ポツリ、ポツリ。
雨の音。
私は決めた。
翔と別れて、友達に戻ることを。
コツ、コツ、コツ。
足音が聞こえる。
「あさか、久しぶり。」
「ごめんね。こんな朝早く呼び出して。」
「いいよ。俺も話したいことあったからさ。」
「あ、あのね、わ、私、翔と別れようと思っているの。」
しばらく沈黙が続いた後、翔が口を開いた。
「俺、あさかのことが大好きだ。俺が話したいことは、違うことだ。」
「俺の家で話そう。」
私は意味が分からなかった。翔は一体、何を話したいのだろう。
私は言われるがままに、翔の家に行った。
翔の家は、いつも以上に綺麗だった。
「俺からの話は、牛津先生の事だ。最近、牛津先生は、幼稚園に来ないらしい。電話もつながらないんだって。」
嘘!あの牛津先生が?
牛津先生は、私の年少のときの先生だ。人一倍優しく接してくれる。
「あと、俺、おまえと別れない。何度も言うが、おまえのことが大好きだ。」
「私も好き。でも、」
その時だった。私は壁に背中をつけ、逃げることが出来ないようにされた。これが噂の壁ドンか。
「好きだ。」
翔はそう言うと、私の唇に優しくキスをした。