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  風船ふわり。

 ( 恋愛小説投稿城 )
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深寿 、 @true00 ★XGXgQW1HPW_mgE




  ふわりふわりと一人の女の子のところには留まらないキミ。
  それでも自分の気配や匂いを女の子の心に残していく、タチの悪い人。

  気まぐれに飛び漂う風船みたいなキミを見つめるわたし。
  憧れるだけで何も行動できない、遊びでさえ誘えない、ただの意気地ナシ。


  飛び回り、誰の手にも留まらない。そんな揺れる風船に手を伸ばそうとする女の子の御話。






    「 風船ふわり 」 →  深寿 / 2017.12.12



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メモ2017/12/12 18:10 : 深寿 、 @true00★XGXgQW1HPW_mgE



 ▼ CAST .


⇒ 坂本 莉都 / Ritsu Sakamoto / ♀

⇒ 春坂 絢斗 / Ayato Harusaka / ♂

⇒ 野宮 颯天 / Hayate Nomiya / ♂


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関連リンク:  うしろすがた。 
ページ: 1


 
 

深寿 、 @true00 ★XGXgQW1HPW_mgE






 中庭の大きなイチョウの木の下で、女の子と男の子が二人きりで立っていた。
 すると、男の子が女の子になにかを告げ、女の子は軽く俯く。そして、女の子は方向転換すると校舎に小走りで入っていった。
 男の子も一度イチョウを見上げてから、校舎に向かって歩き出す ……




 「 りーつ、なに見てんの? 」

 ぽんッと肩をたたかれて、わたしは慌てて振り向く。すると、親友の夏帆がお弁当を持って立っていた。

 「 えっと、いや、何でもないよ。それよりも早くお弁当食べようっ 」

 なんとか誤魔化そうと夏帆にとなりの席を指差すけど、さすが夏帆は鋭かった。
 窓の外にちらりと視線を向けて、「 ああ 」と頷く。

 「 まーたハルくんか。ていうか、今の告白現場じゃないの? 」

 「 … はい 」

 返事すると、夏帆はちょっと笑ってからわたしのとなりの席に座り、お弁当を開き始めた。
 それを見てわたしもお弁当のフタを開ける。

 「 あいかわらず好きなんだ、ハルくんのこと 」

 ちょうど卵焼きを口に入れた瞬間、夏帆にそう言われて思わず咳き込んだ。夏帆はそんなわたしをニヤニヤと見つめてる。

 「 好きっていうか、憧れ … ? んあああ、もうからかわないでよッ 」

 「 ごめんってば。ついね、つい 」

 夏帆はへらーっと笑うと、お弁当を食べ始めた。… ほんともう。


 −−− 春坂 絢斗、通称ハルくん。


 夏帆の言うとおりわたしは彼が好きだ。というより、この高校の女子のほとんどがハルくんのことが好きだろうな。
 でも、彼は彼女を作らないし告白しても容赦なくフるから、女の子はみんな本気ではないフリをして彼に近づく。
 裏では本命の彼女を狙って、激しい争いが繰り広げられてるけどね。

 それでも、わたしは必死にお洒落をして彼の心をつかもうとする女の子を見て、いつもすごいなぁなんて思う。

 わたしは、遊び相手に出さえ立候補できない、ただの脇役。
 なにか行動して傷付いてしまうのが怖くて、いつもハルくんが別の女の子といるのを見つめてるだけ。

 ほんとは彼と話してみたいし、名前も呼んでもらいたい。

 けど、一度遊んで終わりの関係はイヤだ。わたしはふわりふわりと揺れるあの風船みたいな彼を自分の元で留めておきたい。

 そんなワガママを言える立場じゃないから、わたしはいつも意気地ナシのままでいるんだ。






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7ヶ月前 No.1

深寿 、 @true00 ★XGXgQW1HPW_mgE

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7ヶ月前 No.2

深寿 、 @true00 ★XGXgQW1HPW_mgE













 「 あっれぇ、もしかして3組の坂本さん? 」

 「 … ああ、うん。そうだよ 」

 茶髪の女の子が私を見て、目をパチパチとさせた。急に耳に飛び込んできた声に、返事に一瞬遅れる。
 でも、私の意識は彼女ではなく一緒にいる黒髪の男の子の方で ___

 「 あー、君が噂のV坂本ちゃんVなんだ 」

 男の子が私の方を見て ふうん ってうなずく。ばっちり目が合ってしまって、私は思わず目を逸らした。

 「 噂の坂本ちゃんって何なの、ハル? 」

 女の子が口にした名に、胸が鳴る。そう、彼女と一緒にいたのはハルくんだった。
 思わぬ出会いというか初めての会話が急に訪れてしまって、私の思考は今にも停止してしまいそう。あれだけ話してみたいなんて思ってたくせに、いざその瞬間が来ると緊張で言葉が出てこない。それになんだかデート中っぽいし。話せて嬉しい気持ちとデートシーンを見てしまってショックなのとで心の中までぐちゃぐちゃ。

 しかも、茶髪の彼女さんはなんで私のこと知ってるんだろう。ああ、もしかして同じ一年生なのかな。
 けど、それよりも気になるのは『 噂の坂本ちゃん 』って言うのが何なのかってこと。ハル君の答えに思わず耳を澄ます。

 「 んや、男子の間で3組に可愛い子がいるって噂になってんの。その子の綽名がV坂本ちゃんVなわけ。噂なんてあてになんないと思ってたけど、想像以上に本人可愛いよね 」

 ちらりと私に視線を向けてにっこり笑うハルくんに、私は赤くなって「 いやいやいや 」と首を振る。
 あのハルくんにお世辞でも可愛いとか言われると彼女さんの前なのに顔が緩みそうになり、慌てて頬を引き締める。

 「 ごっ、ご注文をお伺いいたします … っ 」

 「 ハハ、坂本ちゃん誤魔化したね 」

 ふわりと改めてハルくんの笑う顔を見ると、前以上に私の心は奪われる。けれども彼女さんの怒ったような顔を見て、私ははっと我に返った。そうだ、ハルくんは今デート中だ。私がときめいててどうする。急いでコーヒーとミルクティーの注文を取ると、私は裏へと戻った。

 祐希さんに「 コーヒーとミルクティーです 」と伝えると、はあいという返事の後に祐希さんはこちらを見て首を傾げる。

 「 あれ、りつちゃんなんか良いことでもあった? 嬉しそうな顔してる 」

 「 え … っ 」

 慌てて両手で顔を抑える。やばい。祐希さんにもばれちゃうなんて、私はハルくんと彼女さんの前でも嬉しそうな顔をしてたのだろうか。

 祐希さんには 何でもないです と誤魔化してからあの二人の方を盗み見ると、彼女さんが頬を膨らませて何かを言っていた。
 ところどころ聞こえてくる会話から、彼女がヤキモチを焼いていることがわかった。

 …… あ。ハルくんが彼女さんの頭を撫でた。

 その光景に私は目を逸らす。そう、彼は学年の王子様。私なんかが可愛いと言われただけで調子になんて乗っちゃいけない。
 もう一度頬を引き締めて、私はさっきの嬉しい気持ちを心にしまった。





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6ヶ月前 No.3

深寿 、 @true00 ★XGXgQW1HPW_mgE








 翌日。4時間目の理科が移動教室なため、私は夏帆といっしょに廊下を歩いていた。ちなみに、昨日あったことを夏帆に話すと目を真ん丸にして驚いてた。そりゃまあ驚くよね。私だって信じられないもん、あのハルくんと話せたなんて。


 「 あ、 」


 階段を降りようとしたとき、夏帆が一言発して立ち止まる。どうしたー?って隣を見ると、なにやらバタバタしている。
 そして、私に向かってパチンと両手を合わせてきた。


 「 ごめん、莉都。あたし宿題のプリントを教室に置いてきちゃったみたい。先行ってて? 」

 「 え、ほんとに? じゃあここで待っとくよ。夏帆なら3分くらいで戻ってくるでしょ 」

 「 ありがと、ほんっとごめん。すぐ戻ってくるからねっ 」


 戻ってくるからねの最後らへんでもう夏帆は走り出してた。さすが陸上部、どんどん姿が見えなくなっていく … あ待って、生徒指導の熊野先生に止められてる。うわあ、走ってるの見つかって怒られてんだろうな。
 これはもうちょっと時間がかかるなぁなんて思って、私は階段のそばの壁に体を寄り掛ける。と、そのとき。


 「 あ、坂本ちゃん 」


 廊下を曲がって来た男子に名前を呼ばれ、ばっとそちらを向く。にこやかに笑って手を振ってたのは、ハルくん。
 声を掛けてくれたのと私の名前を憶えてくれてるのとで鼓動が早くなる。顔も熱くなってきた気がして、慌てて目を逸らした。 それなのにハルくんは歩み寄ってきて、私の顔を覗き込む。必然的に目は合うことになってしまって、… ああこの人は無意識でも女の子の扱いに慣れてんなぁなんて思った。


 「 なにしてんの、こんなとこで? 」

 「 あ、えっと、友だちが戻ってくるの待って … ます 」


 声が裏返らないように必死に答えると、なぜか最後は敬語になってしまった。あー、ミスった。
 ハルくんも敬語に引っかかったのか一瞬沈黙が降りる。そして次の瞬間、ハルくんは「 何で敬語? 」とふっと笑みを溢した。ハルくんの吐息が私の耳許の髪を揺らして、また頬が熱くなる。って、私そんなのにまで反応するって変態じゃん。

 昨日の祐希さんみたいに表情がバレちゃいけないから、私はまた俯いた。それに、至近距離でハルくんの顔をまともに見つめるなんて心臓が持たない。

 ちょうどそのとき夏帆が帰ってきて、ハルくんはじゃあね、と再び綺麗な笑顔を残して去って行った。私はその笑顔にちょっとだけ違和感を覚える。けれどもその理由は自分でもよく分からなくて、私と階段を下りていくハルくんを交互に見てにやにやしてる夏帆に「 行こ 」と言って歩き始めた。


 …… そういえば、ハルくんと同じクラスの友だちが次は数学だって言ってた。なのにハルくんは何処に行ってるんだろう。


 ハルくんに少し関わりを持っただけで、なんだか彼の謎が見えたような気がした。爽やかイケメンで有名な彼の謎。でもそれは確信の持てない些細な疑問で、私の思い違いというか気のせいかもしれない。だから私はその疑問を頭から振り払った。











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6ヶ月前 No.4

深寿 、 @true00 ★XGXgQW1HPW_mgE







 それからハルくんはすれ違うたびに私に声を掛けてくれた。おはようだったりバイバイだったり、一言二言だったけど、数週間前の私が見たらびっくりして倒れるだろうな。でも、ハルくんは私に声を掛けてくるときに女の子といっしょだったりもした。大体そういう時は、女の子が私に冷ややかな目線を送ってくるからちょっとだけ話してすぐに別れる。

 ちなみにハルくんは流石モテるだけあって、会ったときににいっしょにいる女の子は毎回みんな別の人だった。そのことに関しては一度だけ話したことがある。


 「 ねえ、坂本ちゃん。俺がいつも別の女の子といるの見て引いたりしてる? 」


 突然そう聞いてきたときはびっくりした。確かに、ハルくんが毎回違う女の子を連れてるのを見て憂鬱とか感じたりはするけど、そんなのただの嫉妬。そんな勝手な嫉妬なんて本人には言えないから、「 ううん、べつに 」なんて答えたっけ。


 「 ほんとかなー 」

 「 うん、まあ。ハルくんが天然の女たらしなのは仕方ないんだと思うし … あ、 」

 「 うわあ、坂本ちゃんそんなはっきり言う? 俺、今めっちゃ傷ついたわ 」

 「 え、ああ、ごめんごめん 」


 そんな会話をしたのはもう一週間ぐらい前のことなのに、よく覚えている。というかハルくんとの会話は幸せすぎてそんな簡単に脳内から消え去らない。会話だけじゃなくて、そのときのハルくんの表情や声色なんかも全部ぜんぶ私の中に焼き付いてしまって、もうどうしようもできないから私はハルくんを好きな気持ちを無かったことにはしないでおくことにした。

 人を諦めるのは難しい、というのはハルくんに出会って初めて知ったこと。



 「 あ、坂本ちゃん 」


 ハルくんが私を呼ぶ声が聞こえた。私の席は教室の廊下側。開け放した窓の向こうに、ハルくんの顔があった。
 私はもう彼に名前を呼ばれることに慣れてしまって、次の時間の宿題をしていた手を止めてそちらを向く。


 「 次の授業なにー? あ、英語か。俺もそのプリント配られたわ 」

 「 ハルくん、なんかあった? 」


 思わずハルくんの言葉を遮ってしまう。けれど、それほど彼はなんだかいつもと様子が違って。


 「 あーあ、よく分かったね坂本ちゃん 」


 ハハッと笑った彼の笑顔も、やっぱりいつもと何かが違う。でもその理由を聴く前にハルくんは「 もう授業始まるから 」と言って自分のクラスへ戻っていってしまった。… また増えた、彼の謎。







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6ヶ月前 No.5

深寿 、 @true00 ★XGXgQW1HPW_mgE








 「 …… わっ 」

 もう十一月の初め頃。私は教室から出た瞬間、誰かとぶつかりそうになった。ギリギリ身をかわしてから、ごめんなさいとぶつかりそうになった人の方を見上げると。


 「 こっちこそごめん。大丈夫だった? 」


 至近距離に綺麗に整った男子の顔があった。不覚にも息を呑んでしまう。大きな眸が此方を見つめていて、私はその眸に吸い込まれそうになった。


 「 おーい、聞いてる? 」

 「 え、ああ、ごめんなさい。大丈夫です 」


 はっと我に返って慌てて頭を下げる。やばい、不自然なくらい見つめてしまった。しかも初対面の人なのに … 嗚呼、私のばか。
 俯いたままこの場をやり過ごそうとするのに、なぜかこの人は動こうとしない。不思議に思って顔をあげるとやっぱり綺麗な瞳は私の姿を写している。… なに、私何かやらかした? 焦り始めたそのとき、私は彼に右手をつかまれた。

 ーーー え、いや、何!? 何されるの!?

 でも、告げられたのは予想外の言葉。


 「 坂本 莉都さんだよね、俺と友だちになってください! 」

 「 … はああああっ!? 」


 素直な心の叫びが口から漏れる。その叫びは教室中に響き渡って、みんなが此方に視線を向けざわめいた。そりゃそうだよね、今の私は茶髪の男の子に右手を握られている状態。完全に周りから見るとおかしい。けれど意外にもみんなはその茶髪の男の子の顔を見てなぜか納得したような顔。
「 なあんだ 」「 野宮君がまたナンパしてんのか 」なんて声が聞こえ、私は目が点。


 「 え … っと。どういうことでしょうか 」



 にこにこと笑顔を浮かべている野宮君と呼ばれたこの人に向かって尋ねる。さりげなく握られた手を外しながら。


 「 どういうことって、友だちになりたいって言ったじゃん 」

 「 …… ナンパ? 」

 「 違う違う、いつもはそうだけど今回は … あ、ちょっと待って! 」


 身の危険を感じた私は野宮君の前から逃げ出す。廊下を走ってると、後ろから野宮君が追いかけてくる。… もう、何なの彼奴はっ。1年生の全クラスの前を追いかけっこしてるもんだから、廊下にいた人も教室の中にいる人もみんな驚いたように私たちを見ている。はああ、目立たずにやっていくつもりが何でこんな事になっちゃうかなぁ。ほんと全部、野宮とかいう彼奴のせいだ。

 一組のとなりの空き教室を見つけて、やっとそこに逃げ込む。カチャンッと鍵を閉めると、ふうと息を吐きながら私は教室の中を振り向いた。











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6ヶ月前 No.6
ページ: 1

 
 
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