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 果実と私の初恋。

 ( 恋愛小説投稿城 )
- アクセス(171) - ●メイン記事(13) / サブ記事 (5) - いいね!(2)

海香。 ★XGXgQW1HPW_mgE

あの日、突然私は恋に落ちた。
それはほんとに一瞬の出来事で。だけど、君から目が離せなくなった。
君に捧げる、私の初恋。
甘い果実と、酸っぱい果実。味わった先に待ってるのは、どんな未来なんだろう―――?



   *一言*
初めて小説を書きます、海香です。
飽きっぽいし、文章力もなくてどうなるのかわかりませんが…。
暖かい目で見守ってやってください、。
感想などをサブ記事に書いて貰えたら嬉しいなぁ、なんて思ってます((
では。

メモ2017/02/24 19:17 : 海香。 @yurin0910★XGXgQW1HPW_mgE

  〜登場人物〜


・七星 紺(ななせ・こん)→この話のヒロイン。中学1年生で、吹奏楽部所属。人見知り。


・結城 葵翔(ゆうき・あおと)→紺の好きな人。同じクラス。野球部所属で、明るい人気者。


・風野 灯里(かざの・あかり)→紺の親友。同じクラス。活発で、バレー部所属。


・一篠 真空(いちじょう・まそら)→葵翔の親友。隣のクラスで、野球部所属。


・澤村 明季(さわむら・あき)→紺たちの小6の時のクラスメイト。紺と同じクラスで、バスケ部所属。


・城咲 聖亜(しろさき・せいあ)→葵翔と真空と同小のゆるふわ女子。…に見えるが、葵翔親衛隊のボス。

切替: メイン記事(13) サブ記事 (5) ページ: 1


 
 

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

私はたぶん今、自分史上最高に頑張ってる。
すっごく急な坂を、全速力で駆け上がってるんだもん。
でも、なぜそんな事してるかって?
それはね…。今日から通う『緑桜中学校』の入学式に遅れそうだからっ!
初日から寝坊して遅刻なんて、ゼッタイに嫌だ!
だから、今こうして必死に走ってるの。

坂を上りきると、其処にはすっごく綺麗な桜並木が立っていた。
「うわぁ…、すごい」
思わず急いでたことも忘れ、その場に突っ立って見惚れてしまう。
こんなに綺麗な桜並木があるなんて、今まで知らなかったな…。今度お花見に来たい。
そんな事を思っていると、微かに予鈴が聞こえてきた。
「あ、ヤバいっ。ほんとに遅れちゃう」
そう叫んで、私はまた走り出す。
その時。
さぁーっと風が吹いて、目の前が沢山の桜の花弁で覆われた。
そして、次の瞬間。
――ドンっ、と鈍い音がして、私はその場に尻餅をついていた。
「…ったあ」
顔をしかめて、ケガをしてないか確認する。
手をちょっと擦ったみたいだけど、大きなケガはしていない。良かったぁ…。
ほ、と息をつくと。
「ごめんっ、大丈夫だった!?」
上から、知らない人の声。
「え、あ、はい。だいじょぶです…」
そう言って見上げると、そこには心配げな顔をした男の子が立っていた。

7ヶ月前 No.1

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

なに、この少女漫画みたいな展開は…。
ぽかーんとしながら、私はその男の子を見上げる。
「ごめん、怪我しなかった?俺急いでてよく前見てなかったから」
そう言って男の子はしゃがんみ、私と視線を合わせる。
「あ、いえ…。私も前見ずに走ってたんで」
顔の前で手をパタパタと振り、そう言ってみせると男の子はほっとした様に頬を緩めた。
そして、
「はい、立てる?」
と私に手を差し出す。
「えと、あの、ごめんなさい」
ここで断るのもなぁ、と思い私はその手を軽く握って立ち上がった。

それで、男の子の全身が見えて、私はあることに気付く。
「あの、もしかして緑桜中ですか?」
思わず尋ねると、男の子は目を丸くした後、緩く微笑んだ。
「そーだよ。1年の結城葵翔。緑のリボンってことは、君も1年?」
「あ、そうです。1年の七星紺って言います」
「やっぱそうだよなっ?同級生かぁ、よろしくな」
そう言って結城くんは、握ったままだった手を軽く振った。

その時、私はあることを思い出す。
「あ〜っ、入学式っ!遅刻しそうなんだった」
そう叫ぶと、結城くんもあ、という顔になる。
「ヤッベ、すっかり忘れてた。このままだと遅刻だな」
どーしよ、初日から遅刻なんてありえない…。
入学式真っ最中の体育館に一人で入ることを想像して、私は泣きそうになった。
それが顔に出てたのか、結城くんは何かを考え込み、
「あ!俺裏道知ってるわ、行こっ!」
と私の手を取り走り出した。

7ヶ月前 No.2

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

塀に空いた穴を潜り、何だかよく分からない雑木林を抜け。
丘の上にぜえぜえ言いながら登ると。
そこには階段があり、緑桜中学校に繋がっていた。
「よっしゃ、5分前だからギリ間に合う」
スマホの画面を確認しながら、結城くんは軽く笑みを浮かべた。
「あの、ごめんね?ぶつかったのに、裏道まで教えてくれて」
申し訳なさ過ぎて、ぺこりと頭を下げる。
そのままじっとしていると、不意に結城くんの手が私の頭に伸びてきた。

……な、なに?
体を固くして息をのむと、結城くんは頭にそっと触れ、何かを拾い上げた。
「葉っぱ、ついてた」
え?
反射的に顔を上げると、たぶん雑木林でついたのであろう、緑葉を持って微笑んでた。
「あ、ごめん…」
そんな事か、と思いながら呟くと、彼は「それと、」と私の顔を覗き込む。

「そーゆー時は、ごめん≠カゃなくてありがとう≠チて言ってくれた方が嬉しいんだけど?」
そう言って、照れた様に結城くんは私の額にでこピンし、「行こ」と階段を降り始める。
そんな彼の後姿を見ながら、私の胸はドキドキと鳴り出す。
なんだろ、この気持ち…。
思わず胸に手を置いて、きゅ、とブラウスを握る。
なんか、心臓が糸で結ばれて引っ張られてるみたいな…。
「あれ、来ねーの?置いてくよ?」
振り返って結城くんが叫ぶ。
「あ、待って。すぐ行くから」
私も叫び返すと、その気持ちを胸の奥に一旦しまって、彼の元へ駆け出した。

7ヶ月前 No.3

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

――キーンコーンカーンコーン…。
入学式終了のチャイムが、学校に鳴り響く。

あの後私は、結城くんと別れてすぐに体育館に向かった。
うちの学校はすっごく自由な校風なのが有名で、入学式の並び順も来た人から順番に座るだけだった。
「よかったぁ」
呟いて、席をキョロキョロと探すと。
「紺、こーんっ!こっちこっち」
誰かが小声で私を呼んでいる。
声の主の方を見ると。
「あ、灯里っ!」
席に座った、親友の灯里がこちらを見て手を振っていた。
「遅いから心配してたんだよ〜?でもまぁ、ぎりぎりセーフだね」
「あはは、ごめんねぇ」
苦笑を漏らしつつ、私は灯里の隣に座る。
…って、灯里も私の前の席だし、結構遅いじゃん。
心の中でこっそり突っ込んでいると、灯里が
「でも、マイペースな紺がよく間に合ったね。てっきり初日から遅刻かと思ってた」
と顔を覗き込んでくる。
「もー、失礼な。確かに危なかったんだけど、助けてくれた人がいて…」
言いつつ、彼のことを思い出して、ちょっとふわーと顔がニヤける。
「…なにニヤついてんの、紺。っていうか、その助けてくれた人って誰?同小?」
興味津々、って感じで聞いてくる灯里。
「えっとねぇ、」
結城くんの姿を探して答えようとすると、入学式開始の号令がかけられた。
「ごめん、終わったら言うね?」
それで、私たちは入学式に臨んだのでした…。


7ヶ月前 No.4

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

「紺、さっきの話の続き!誰に助けて貰ったって?」
体育館を出て早々に、灯里が駆け寄ってくる。
「えっと〜、」
人混みの中、彼の姿を探す。
「あ、いた!あの人だよ!」
少し背が高い結城くんは、すぐに見つけられて。
でも、背が高くなくても、もしかしたら見つけられてたんじゃないか、って。
こっそりそんなことを思って私はちょっと顔を赤くした。

「え、どれ?もしかして、あのカッコいい人?」
灯里が結城くんの隣の人を指差して囁く。
「違うよ〜。その隣の人。ほら、今上着脱いだ人」
「あー、あれかぁ。結構カッコいい人に助けて貰ったんだねぇ」
ニヤニヤしながら、灯里が私を見てくる。
「結構じゃなくて、めちゃめちゃカッコいいんだよ?」
そこをどうしても言っておきたくて、頬を膨らませると、灯里は少し目を丸くする。

「もしかして、紺。あの人に一目惚れでもしたの?」

一目惚れ≠ニはっきり言葉にされて。
私は瞬く間に、頬を染め上げた。
「やっぱ、そうなんだ〜。へぇ、あの紺がついに初恋か」
なぜかお母さんみたいな口調で灯里がいい、私は思わず灯里の肩をバシッ、と叩く。
…そんなんじゃないもん。
初恋だなんて、ねぇ。私がだよ?今まで恋に興味なかったのに。
頭ではそんなことを思ってるのに、胸はそれに反比例するように、ドキドキと高鳴っていく。

「うちは、その隣の人の方がいいと思うけどなぁ…」
ぽつり、と灯里がそんなことを呟いたのを、私は危うく聞き逃しそうになる。
「え、え、え?まさか、灯里…?」
「なーんてねっ」
悪戯っぽく笑って前を向いたどこか楽しげな灯里を見詰めながら、私は、やっぱり灯里もあの人に一目惚れしたんじゃないだろうか、とこっそり思った。

7ヶ月前 No.5

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

一年生の校舎に行くと、靴箱前に人が集まっていた。
「みんな何やってるんだろうね〜」
灯里にそう囁くと、「あんたバカ?」と返された。
「みんなクラス表見てるにきまってるでしょーが」
「あ、なるほど」
そういう事だったのかぁ、と頷くと、灯里に溜息をつかれた。

「ほら、うちらも見にいこ?」
そう言って灯里が人混みに向かって走り出す。
「あ、待って!」
追いかけながら、私が灯里に
「一緒のクラスになれたらいいねぇ」
と言うと
「まあ、5クラスあるから可能性は低いけどね」
とそっけなく返事された。
でも、その顔は結構嬉しそうで、(ツンデレだなぁ)と私は思う。
そんなこと本人に伝えたら怒るに決まってるから、口には出さないけど、ね。

はしゃいだり落ち込んだりしている人の群れからちょっと後ろで、ぴょんぴょん飛び跳ねながら、私はクラスを確認する。
「えっと、私の名前は…。あ、4組だ!」
「え、マジで?うちも4組だよ」
私より背の高い灯里は、飛び跳ねなくても見えるみたいで、事もなげに言った。
「わぁい、灯里と一緒だ!一年間楽しいねぇ」
思わず灯里に抱き着くと、灯里はヤレヤレ、と言いつつ頭をポンポン、と撫でてくれた。


7ヶ月前 No.6

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

1年4組の教室に入り、席に着く。
斜め前が灯里で、ちょっと安心。私人見知りだから、近くに灯里がいると心強いんだよね。
隣は誰だろー、と思ってると。
「よー、七星!」
と聞き覚えのある、元気な男子の声。
見上げると、小学校の時のクラスメイト、澤村明季(さわむら・あき)くんが立っていた。

「明季くん、ひさしぶり〜。また同じクラスだね、よろしく!」
「おう、こっちこそよろしく」
そんな会話を交わしてから、明季くんも席に着く。
すると、灯里がくるっと後ろを向いて
「えー、また澤村と一緒なの?うるさくなるわー」
と、顔をしかめた。
あ、灯里…。本人に向かってなんてことを。
あわあわとしていると、明季くんはふ、と笑った。
「あいかわらずやなぁ、風野も。いいじゃん、仲良くしよーぜ」
「しっかたないなぁ」
べ、と舌を出して、灯里も小さく笑った。
それを見て私はほっと胸をなで下ろす。
…灯里も灯里だけど、明季くん相変わらず返しが上手いなぁ。
いつもこの2人の会話を聞いていると、そんなことを思ってしまうのは、ちょっと憧れてるから。

その時だった。
ガラッ、と教室のドアが開いて、見覚えのある男子が。
思わず、私は息を飲む。
なぜなら…、その男子とは結城くんだったから。
結城くんは一緒に入ってきた友達と軽口を交わしてから、此方に歩いてきた。
――私のこと、わかるかな。ついさっき話したばっかりだし、憶えてるよね?
彼が近づいてくるのを見つめながら、私は心臓をバクバクさせる。

7ヶ月前 No.7

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

結城くんはそのまま私の傍まで来て、通路を挟んで隣の席に腰かけた。
…あ、席近いな。
そんなことを思う反面、私のこと憶えて無さげだな、と少し落ち込んで下を向く。

でも、次の瞬間。
「七星さん、」
私を呼ぶ、彼の声。
トクンと胸が鳴って、恐る恐る隣を見る。
そこには、頬杖をついて此方を見詰める結城くんの姿があった。
「わ、私のこと憶えてたの…?」
呟くと、当たり前じゃん、と可笑しそうに笑われた。
「まさか同じクラスで、席近いとは思わなかったよなぁ」
そう言われて、私も頷く。
「……」
何か返事をしようと思うのに、緊張しすぎて口をパクパクさせることしか出来ない。
ああ、もう。ほんとに自分が情けない。

「ふは、金魚みたくなってんじゃん」
ふいに、結城くんのツッコミの声。
って、金…魚?あの、金魚?
私と金魚が並んで頭に浮かんで、思わず口許を緩めてしまった。
「七星さんって、もしかして人見知り?」
結城くんに聞かれて、「うん…」と答える。
人見知りの人とは、やっぱり接しにくいよね。
でも、結城くんはそんな事は言わなかった。

「よかった、俺嫌われたのかと思ったじゃん!」

明るい声で言われて、なぜか私は泣きそうになる。
私の周りのみんな―灯里や明季くん―は、何でこんなに返しが上手なんだろう。
「嫌いになるわけ、ないよ」
ぽつり、と漏らした私の小さな声を聴き、結城くんは照れた様に笑った。

7ヶ月前 No.8

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

『LINEしませんか?』
私は、結城くんの笑顔を見ながらそう言ってみようかと悩んだ。
入学祝いにスマホを買ってもらって、まだ男子とは誰ともやってない。
記念すべき一人目の男子が、結城くんだったらなぁ…。
そんなことを思って、私はふるふると頭を振った。
…いくら何でも、図々しすぎるよね。
でも、やっぱりしたい。
んー、と悩みこんでいた時だった。

「結城くーんっ、LINE始めたんでしょ?」
キラキラした華やかな女子の集団がやってきた。
「私たちとやらないっ?この学校スマホOKだから、ラッキーだよね〜♪」
きゃぴきゃぴとした高い声で、彼女たちはそう告げる。
――ああ、悩んでるから先越されちゃったじゃん。
私は激しく後悔する。
いつもこうだ。ウジウジ悩んでて、結局後悔ばかりする。
泣きたくなって、私は俯いた。
でも。

「悪いけど、俺今日スマホ忘れちったんだよね」
…え?
結城くんの言葉を聞いて、私は「嘘だ」と思った。
だって、朝、結城くんはスマホで時間を確認してた。
だけど、何だかそれを言っちゃいけない気がして、私は黙ったまままた耳を傾ける。
「だからゴメン、また今度にして?」
「えー、しょうがないなぁ。じゃあ、明日ねっ?約束だよぉ」
女の子たちは、不満気な顔をしながらも去って行った。
続いて、隣からは大きなため息。

「あの…、結城くん」
「ん、なに?」
さっきの笑顔で、彼はまた此方を向く。
「えと…、朝はスマホを持ってなかった?」
小声で聞くと、結城くんはああ、という顔をする。
「持ってるけど、一番に登録したい女子がいたから」
そう言ってはにかむ彼を見て、私は頭を殴られたみたいなショックを受けた。
…だって、結城くんにそんな女の子がいたなんて。
「そう、なんだ」
私は掠れた声で必死にそれだけ言うと、ふらっと席を立った。

7ヶ月前 No.9

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

そのまま教室を出て、階段の踊り場に行く。
…なんだ。私ったら、灯里には違うとか言っときながら、結城くんのこと好きになってたんじゃん。
でも、失恋確定、だよね。
はああ、と大きな息を吐くと、涙が出てきそうになる。

「紺っ、どうしたの?」
「…灯里」
慌てて目を擦って声の主を見ると、灯里が心配げな顔で立っていた。
「さっきのあんたたちの会話聴いてたら、なんか仲良さそうだなぁって思ってたけど。いきなりどうしたの?」
そう言いつつ、灯里が階段を下りて私の傍に来た。
「〜っ、あかりぃ」
そのまま私はぼふっ、と灯里に抱き着く。
灯里はさっきとは違って、ぎゅうと抱き締め返してくれた。
「…やっぱり、あの人のこと好きなんでしょ?」
優しく聴かれて、こくんと頷く。
「だろうと思った。紺ったら、気持ち隠そうとするんだもん。ずっと一緒にいたんだから、うちには教えてよね」
呟かれて私は、ごめん…と謝る。
「別にいいんだけどさっ。紺の考えてることなんてバレバレだし」
「うう…」
「別にあの人にLINE交換したい人がいてもいいじゃん。紺は紺らしくいればいいのっ」
わかった?と顔を覗き込まれて、私は頷く。
「じゃあ、教室戻ろ。もうすぐHR始まっちゃうのに、紺が階段下りていくから吃驚したじゃん」
明るくそう言いながら、灯里は私の手を引いてスタスタと階段を上る。

「あかりっ、」
ごめんね、と続けようとして、私は結城くんの言葉を思い出す。
『そーゆー時は、ごめん≠カゃなくてありがとう≠チて言ってくれた方が嬉しいんだけど?』
ん?と振り向いた明かりに、私は満面の笑みを浮かべて
「ありがとう」
と叫ぶ。
灯里は「なーに改めて言ってんの、」と照れ笑いしつつ、頭をポン、と撫でてくれた。

7ヶ月前 No.10

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

 【葵翔side】

「…どーしたんだろ」
そう呟いて、俺はドアの方を見る。
話してたらいきなり七星さんが教室から出て行って、吃驚した。
俺、気付かないうちに何かしちゃったんだろうか。
悪い考えが頭をよぎり、大きな溜息が漏れる。
「あーおーとっ」
ぼーっと考えてたら、後ろから誰かに抱き着かれた。
「うっわ、だれ!?」
慌てて振り向くと、へへんと腹立つ笑みを浮かべた真空が其処に立っていた。
「びっくりしただろ?顔がマジやばかったぜ」
くつくつと笑い続ける真空の頭を、俺は容赦なく叩く。
「おまえなぁ、人が考え事してる時に抱き着くなっ!」
「え、じゃあ、考え事してなかったら抱き着いても良いわけ?」
お前そっち系だったのか、と一歩下がる真空を、俺はさらに叩く。
「んなわけねーだろうがっ!バカかお前は。大体、抱き着いてくる真空の方がよっぽどそっち系に見えるわっ」
「へぇへぇ。さーせんした。でも元気出ただろ?」
そう言われてみれば、確かに…。
暗い気持ちだったのに、此奴のせいでそれをすっかり忘れてた。
…いつも思うけど、真空ってふざけてるように見えてそういうところ凄いよなぁ。
ちょっと尊敬の目で見ると、真空は「俺に惚れちゃった?」とニヤついてくる。
…前言撤回。此奴はやっぱりふざけてる。
少しでも尊敬した俺が馬鹿だった。
はああ、とさっきとはまた別の意味での溜息をつく。

その時。
――ガラガラっ。
ドアが開いて、1人の女子とその後ろから七星が入ってきた。
俺は真空のことなんか一瞬で忘れて、七星さんに駆け寄る。
「あ、結城くん」
少し目を丸くしてこちらを見つめる彼女に、俺は一息で叫ぶ。
「あのっ、俺とLINEしてくんないっ?」
「えっ…」
さっきよりも目を大きくして、七星さんはぽかーんとフリーズ。
「あー…、やっぱダメだよな。ごめんっ、今の忘れ――」
「いいよ?私なんかで良ければ、LINEしよう!」
俺の声を遮るように、今度は七星さんが叫ぶ。
「マジで?いいの?」
思わず小さくガッツポーズをすると、彼女は驚きつつも微笑を浮かべた。
誰もが目を奪われるような、最高の微笑を――。

7ヶ月前 No.11

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

 【紺side】

その夜、私はご飯を食べ終わって、自分の部屋のベッドにダイブしていた。
「結城くんと、LINE交換しちゃたよ…」
呟いて、私は恥ずかしくなりぼふっと枕に顔を埋める。
あの後、結城くんと女子に見つからないように、屋上でLINE交換した。
その時に『いつでもLINEしてきていいからね』と彼は言ったけれど……。
ほんとに良いんだろうか?
さっきからウジウジと悩む私。
ダメだ!このままだといつもみたいに、後悔してしまうかも。
そう思って、私はメッセージを打ち込み、えいっと送信を押す。
すると、すぐに既読がついた。
「はやっ、」
それに続き、結城くんからメッセージが。
…勇気出して送ってよかった。
そう思い、私はお風呂に入るまで結城くんとやり取りを続けたのでした――。
どんなのかっていうと、まぁ下みたいな感じです。

    *

私:<今晩は、結城くんですか?>

結城くん:<俺に決まってるでしょw>

私:<まあ、そうだよね笑>

結:<宿題やった?>

私:<うん。結城くんは?>

結:<まだww>

私:<え、早くやりなよ〜>

結:<えー、七星と話してたい>

私:<だーめっ、ちゃんとしないと>

結:<真面目だねぇ>

私:<まぁね笑>

結:<じゃあ、宿題するわ>

私:<うん、頑張れ〜>

結:<おやすみ、七星>

私:<おやすみ!>


   *

みたいな感じです。
私、LINEだと別人みたいになっちゃうなぁって思った。
でも結城くんと話すのは楽しいってこともわかったんだ。
あとは、結城くんの<七星と話してたい>ってところにはドキッてした。
天然なのかな…、こんなの女子に言ったら落ちちゃうよ。
ふぅと息を吐いて、私は幸せな気持ちでその日は眠りについた。

7ヶ月前 No.12

海香。 @yurin0910 ★XGXgQW1HPW_mgE

 【葵翔side】

次の日。
俺達1年はまだ朝練がないから、のんびり歩いて学校に向かっていた。
すると、目の前に見覚えのあるボブヘア女子。
「なーなせっ、おはよ!」
後ろから走り寄り声を掛ける。
出会って2日目なのに馴れ馴れしいかな、と思ったけれど、昨日のLINEで俺は七星と仲良くなったような気がしていたので、あまり躊躇はしなかった。
「あ、結城くん。おはよう」
にこにこと微笑みながら七星が振り返った。
あれ、もしかして七星…。

「前髪切った?」
思わず声に出してたらしい。
七星は「よく気付いたね」と目を丸くして、ちょっと前髪をいじった。
ほんと俺…、何で気付いたんだろ。
他の女子の髪は気付かないどころか、「切ったんだ〜」とわざわざ報告されても変化が分からない。
その度に、真空にバカにされるんだけど…。
なんか、七星は他の女子と違う…様な気がする。よく分からないけど。

春の暖かな陽射の中、俺と七星は並んでゆっくりと歩く。
「あ、ここっ」
ふいに七星が駆け出す。
「なんかあったー?」
俺も彼女の後ろからついて行くと、そこは昨日俺達がぶつかった場所。
「ここでシャーペン落としちゃったんだよね」
軽い口調で七星がそんなことを言う。
…いやいや、シャーペン落としたのにそんなに軽くていいのか?
心の中でツッコミを入れつつ、落としたのは俺の責任でもあるので一緒にしゃがんでシャーペンを探す。
隣をすれ違ってゆく緑桜中の生徒―たぶん上級生―がこちらを見ながらヒソヒソと何かを言っているのが分かる。
まあ、そりゃそうだよな。
始業前に男子と女子が道路にしゃがみ込んでなんかしてんだもん。
俺が通行人だったとしても、不審に思うし真空と一緒だったら何かを囁き合うかもしれない。

だけど…。
七星は人の目なんか気にせずに雑草の間なんかを探し続ける。
そこまでして探すなんて、そんなに大事な物なんだろうか。
ふと疑問に思った瞬間。
「あった!結城くん、あったよ!」
七星の嬉しげな声にそちらに顔を向けると、彼女はどこからどう見ても男物のシャーペンを大事そうに握りしめている。
「よかったな」
なぜか心が不吉な予感をさせながら、俺は立ち上がる。
「うん…、大事な人に貰ったものだから。見つかって良かった」
ほっとした様に頬を緩める彼女とは反対に、俺の顔はたぶん引き攣っているだろう。
七星が握りしめてるそのシャーペン。
W大事な人Wっていうのはもしかして…。
心に苦く黒い物が流れ込んできたような気がして、俺は思わず彼女から目を背けた――。

7ヶ月前 No.13
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