Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(68) >>

恋なんてするはずが無かったのに

 ( 恋愛小説投稿城 )
- アクセス(510) - ●メイン記事(68) / サブ記事 (6) - いいね!(14)

麗華 ★V7rtLKEZct_xKY

*櫛田 楓(くした かえで)
 1−1.端正な顔立ちと文武両道さで学年での人気は群を抜いている。
 無気力な性格だが、何事もそれなりに終わらせる。
 音楽を聴くことと読書をすることが趣味で、鞄の中には常に本一冊とヘッドホンが入っている。


*今咲 花楓(いまざき かえで)
 1−2.母親譲りの綺麗な顔立ち。運動は苦手だが勉強は得意。
 とてもおとなしく、静かなためクラスの中では『地味子』『空気』と呼んでいる人も。
 友達と呼べる人はあまりいない。音楽を聴くこと、読書、料理が趣味。


*鴫原 綾穂(たはら あやほ)
 1−2.花楓と小学校のころから仲が良い。
 明るく面倒見の良い性格からクラスの人気者。思った事は言わないと気が済まないタイプ。
 テニス部に所属していて、1年レギュラー。優しすぎる花楓を心配している。スポーツが好き。

切替: メイン記事(68) サブ記事 (6) ページ: 1 2


 
 
↑前のページ (18件) | 最新ページ

麗華 ★W4M3w3rskR_xKY

花楓side

私は、そうやっていろんなことで押し切られてきた。
今の晃君の事もそうだけど、昔からそう。だから私は、いつも弱いまんまなんだ。



少し蒸し暑い日だった。
夏が近づいてきて、夜が、短くなった。星が、見えづらくなってきた。
「ごめん、待った?」
「ううん、全然」
恋人みたいだな…、この会話。部活の後じゃないから、ジャージじゃないんだ。
なんて、変なことを考えながら少し間をあけて隣を歩く。何となく、2人きりは…。
「やっぱ、他のトコの方が良かった?」
「ううん、別に私はどこでも気にしないし」
フォローで言ったつもりなのに、晃君は微妙な顔をしていた。
「男んちはさ…、うん。」
「あぁ…え、うん。なんかゴメン。」

2ヶ月前 No.19

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

晃side

かえちゃんを好きになってから、俺は、遊ぶのを辞めた。
今までずっと遊びとして付き合ってた子とはみんな別れた。怒鳴られたし、叩かれたし、散々だった。
だけど、それでも、それでもかえちゃんを手に入れたいと思った。


家に着いた。
本当に好きな人が自分の家に居るというのは、なかなか現実味が無くて、夢の様な儚さがあった。
「晃〜」
兄ちゃんの声が、上から聞こえてきた。
その声に、かえちゃんも俺も反射的に聞こえたほうを見る。
足音を立てながら、階段を降りて来て、かえちゃんを見た。あ、ヤバイかも…。
「え、晃の彼女?めっちゃ可愛いじゃん」
違うよ。 普段だったら、そう言ってすぐに否定した。
だけど、この時ばかりは……、かえちゃんの反応をみて見たいと思った。
「いや、違いますよ。そんなわけないじゃないですか。」
当然のことなのに、傷ついている自分に驚いた。何だ、こんな気持ち、持ってたんだ…。
「ふ〜ん、そっかぁ。可愛いね、君。名前は?」
「えっと…今咲です。今に咲く。」
2人のやり取りを見てると、無性に腹立たしくなって、焦りが出て来て、不安が出てきた。
ぐちゃぐちゃと、醜い感情が渦まいた。だめだ、これを、俺は知らない。
「ううん、下の名前」
「花楓です。花に、楓で。」
「あぁ、じゃあ…何だっけ、櫛田?と名前一緒じゃん。」
「あ、知ってます。晃君の友達の「うんうん、櫛田楓。めっちゃイケメンだよねー」あぁ…はい」

1ヶ月前 No.20

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

晃side

「もういいよ兄ちゃん。上行くからさ」
2人の会話を無理やり絶った。このままじゃ、俺だけ置いて行かれそうで、ずっと続いていそうだった。
胸が、ヒリヒリと痛んだ。これは、何の痛みなんだろう…。
「え、何すんの?もっと花楓ちゃんと喋りたいんだけど、俺」
「は?勉強だよ。」
俺のその言葉に、兄ちゃんは心底驚いたような顔をした。そして
「どうしたの…、今日で世界終るかな。」
何て、おかしなことまで言い出した。確かに、前の俺からは想像できないだろうけど…。
「終わる訳無いじゃん。行こ」
「あぁ、うん」
無理やり、かえちゃんと2階の自分の部屋へと連れて行った。



「じゃ、はじめよっか」
部屋に入った時の沈黙を破ってくれたのは、かえちゃんだった。
はぁ…、俺ってこんなできない奴だったっけか。……情けないなぁ、ホントさ。
どうしよう、でも、他の奴に譲るのはヤダ。

1ヶ月前 No.21

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

1ヶ月前 No.22

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

晃side

「じゃあね、今日はありがと」
送っていくよ。そう言ったけど、かえちゃんに断られた。いや、拒まれたっていうのかな。
「うん。あ、そうだ。4人で遊びに行こうね。いつか」
「え?あぁ、うん。行こ行こ!」
夕日が、丁度かえちゃんの後ろに下った。悲しいほどきれいに、かえちゃんの姿が照らされる。
やっぱり綺麗だな…、可愛いな…、モテるだろうな。そんな事を思った。
きっと、俺のあの言葉だって、好きな奴だったら拒むことはなかったんだろう。
そう思うと、行き場のない醜い妬みと、胸の痛みが沸々と出てくる。
こんな気持ちの静め方を、知らないんだけど、俺。

1ヶ月前 No.23

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

晃side

「じゃ、また月曜。バイバイ」
そう言うと、かえちゃんは俺から離れていく。その姿を、見届けずにはいられなかった。
だって、好きな奴じゃん。何かあったら心配だし、一番に駆けつけたいと思うし。
……でも、いつから俺、こんな風になったんだろう。


家の中に入ると、さっそく兄ちゃんに問いただされた。
「ねぇ晃!あのかわいい子だれ?!!?!?!?」
家中に木霊する様なでかい声を耳元で出されても…。めっちゃ耳が痛いんですケド…。
「クラスの子だよ。友達」
「……嘘つけ!!お前今ままで、友達って言う女子を家に連れてきたかっ?!」
「……」
正論だった。位置づけは友達だ。でも、俺の中では友達プラス好きな人で…。
だから、2人だけになりたくて、家に呼んだわけで…。
「本当に、友達だし…」
「……ふーん。まっ、もういいけどさ。奪われるぞ、あの子」
兄ちゃんは踵を返して、自分の部屋に戻って行った。

1ヶ月前 No.24

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side

夏が近づいてきた。
蝉の声とか、青い草木とか。なんか、夏って感じがする。 ワクワクする。
でも、運動音痴な私にとって大変な行事……。体育祭がある。
「どうしよ、綾ちゃん…」
「まぁ、頑張ろーぜっ!!」
私の背中をドンッと叩いて、二カッと笑う。
いつもなら勇気づけられるそれも、この悩みばかりはダメっぽいです。


「かえちゃーん」
歩き始めようとすると、呼ばれた。振り返ると、隣には櫛田さんが居た。
「おはよ」
「この前話してた遊園地だけどさ、夏休み行こうよ!!」
晃君のその言葉に、二人が不思議そうな顔をする。あぁ、なんか勘違いされたくない!!
「えっとね、この前廊下で会って…。で、喋ってたの。遊園地、また4人で行きたいねって」
私のその言葉に、二人とも納得したようだった。
笑顔で、そうだねー と頷いてくれた。ただ、晃君は、少し曇った顔をしていた。
ちょっとダメだったかな…、嘘つくの……?

1ヶ月前 No.25

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side〔数日後〕

さっそく、体育祭の練習が始まった。部活に入らず、毎日ゴロゴロの私にとっては拷問です…。
50メートル走だって、ぎりぎり最下位いじゃないかどうか。
もう嫌…、何でこんな行事あるんだ!!
こんなの、運動神経の良さを見せつけるための行事じゃん。こっち側になってみれば、辛さが解るわ。



やっとの休憩中。
水筒の中のお茶を勢いよく飲む。それを見て、綾穂ちゃんが滅茶苦茶驚いた。
花楓が汗かいてる! すごい勢いで飲み物飲んでる!! って。
「あっ」
水筒を口から話して前を見ると、櫛田さんが居た。何人かの男女に囲まれている。綾ちゃん、平気かな…。
心配になったけど、横を向くことはできなかった。見たら多分、無理して強がるから。
綾ちゃんは強いから。優しすぎちゃうから。人の事を、考え過ぎちゃうから。
「かえちゃーん」
「あ、お疲れ」
何て言ったけど、私の方が実際疲れてる。汗ダクダクだし…。
晃君なんて、サラサラだよ。前髪がおでこにくっつくなんてこと、なってない。羨ましい…、代わってよ、私と。
「大丈夫? 結構キツめだったよね、練習。」
そう言って私の隣に座る。ふわっと、いい香りがした。
シャンプーとか、そういう系の爽やかな匂いだった。どうしよ、私くさいよね…。

1ヶ月前 No.26

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side

「あのさ、私くさい…?」
「「え?」」
私の言葉に、2人が同時に反応した。
少しの沈黙の後、それが可笑しくって3人で笑った。
また少しして笑いが収まると、今度は私の質問へと入った。
「どういうこと?くさいって」
綾ちゃんが聞いてきた。どういう事って……、そのままなんだけどな。
「私、汗臭くない?」
「嘘!あたしなんかめっちゃ臭いよ?花楓いい匂いするじゃん。何だろ…夏にいい匂い!
なんか、じめっとして無くて爽やかな感じ?」
「え?」
「要するに、水色とかの匂いって訳だ。」
晃君が言った。なんか、理解してるらしい。
私だけ? 意味わかんないの? え、私の方が一緒に居る時間長いのに…?!?!?
「え??」
「ミント系な?シャンプー?」
「え???」
聞けば聞くほど、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
「とにかく、汗臭くはないの?」
「「うん」」
「良かったぁ」
ホッと胸をなでおろす。くさいなんて思われてたらどうしようかと思った。
「楓ー」
晃君の声が、耳の、体のすぐ近くで響いた。
一瞬、自分を呼ばれたのかと思って、ドキリとした。どうかしてる…。
誤魔化すためにか、右耳に髪をかけた。沈まれ、よく解らないやつ。ざわざわするやつ。

1ヶ月前 No.27

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

楓side

今咲さんを好きになって、自分がこんなにも情けないんだ…と言う事に気付いた。
散々人を振っといて、自分は降られる勇気……告白する勇気すらない。今まで告白しに来た人達の、勇気に胸が苦しくなった。
何で、あんなひどい事をしてしまったんだろう……。
俺は、振られることが解ってるから、だから告白が出来ないんだ。結局、自分が一番なんだ。



「楓ー」
体育祭の休憩中。晃が俺の事を呼んできた。
隣には、今咲さんと鴫原。羨ましい、あんなふうに、行動できるのが。
俺は…何なんだろう。言い訳ばっかして、何もしないで…。なのに今咲さんが誰かに取られるのは嫌で…。



何かしないと…。
後から後悔する前に。

1ヶ月前 No.28

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

綾穂side

花楓は、昔からすごく人気があった。
表立ってすごかった訳じゃ無い。花楓自身も引っ込み思案で人見知りで、すごくおとなしかったから。
でも、男子からのモテようと、女子からの羨望の眼差しは凄かった。
花楓はあたしが人気者だったとか言うけど、実際は誰よりも花楓が注目を受けていた。それは紛れもない事実だった。
「綾ちゃん」
そうやって、羨望の眼差しを受ける花楓から呼んでもらえることで、優越感に浸っていた。
あたしは特別なんだ。皆と花楓の関係とは違う、親友なんだって。だからあたしの方が何倍も…、花楓に依存してる。
花楓なしじゃ…、あたしはただの明るい馬鹿でしかない…。皆、花楓がそばに居るからあたしの所に来るんだよ…?
櫛田と渋谷だって、最初は違ったかもだけど、今は絶対花楓の事、好きなんだから。

そんなの、馬鹿なあたしだってわかる。

1ヶ月前 No.29

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side

なぜか、超が付くほど運動音痴な私が『体育祭実行委員』に推薦された。
クラス1のイケメン、成澤 蒼汰(なりざわ そうた)君と。
選ばれた時の私を見る女子の視線ときたら…。
少なからず私を選んだであろう子だっているはずなのに、刺々してて痛々しい視線ばかりで…。
こっちは迷惑なだけですよ…。


委員の仕事はさっそく、信任された日から始まった。
「1年2組、今咲 花楓です。よろしくおねがいします」
「1年2組、成澤 蒼汰です。よろしくおねがいします」
1〜3年まで、一通り自己紹介を終えると、働きの大まかな説明と詳しく書かれているというプリントを渡された。
「仕事は、同じクラスの男女をペアとし、やってもらいます。なので、書かれている仕事を見て、2人で相談して決めて下さい。」
委員長の言葉に、数秒動けなくなった。
嘘…、それじゃ本当に私…………クラスの女子の餌食になる?!?!?
仕事だけはせめて、一緒にならないようにしようと思ったのに…。あぁ、皆の視線が目に浮かぶ。

1ヶ月前 No.30

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side

会議が終わると、急いで玄関へ向かった。
綾ちゃんが、待ってるから。 待たせちゃ悪いし。
「ごめんね綾ちゃん、待ってもらって。」
「ううん、お疲れ。てか、あたしも今部活終ったばっかだし」
そうやって、二カッと笑った。綾ちゃんは、いつも私に優しい言葉をかけてくれる。
いつだってそう、昔から。昔から綾ちゃんは変わらず、優しいまま。

帰ろうと、歩き始めたとき。
「今咲さん」
後ろから、呼び止められた。振り返ると、成澤さんだった。
少し息が切れてる、走って追いかけてきたんだろうか…。
「どうしたの…?」
「これ、忘れてた。」
そう言って手渡されたのは、本だった。
「あぁ、ありがとうわざわざ」
本を受け取ると、成澤さんが言った。
「今咲さんもさ、夜星 聖、好きなの?」
「えっ、あぁ、うん」
かなりマイナーな作家なのに…、そう思った。何で、知ってるんだろう…。
好きなのかな、成澤さんも。
「ホント!俺も好きなんだ、夜星 聖。」
「そうなの!」
「うん。デビュー作の、可憐で好きになって」
「私も!!今度また話そ!!」

1ヶ月前 No.31

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side〔次の日〕

すごくウキウキしながら学校に来た。
成澤さんと話すのがすごく楽しみ!! どんな本知ってるかな。
「ホント楽しそうだね、花楓」
「うん、だって初めて話しが合う子見つけたんだもん」
私がそういうと、綾ちゃんはフッと静かにほほ笑んだ。
その笑顔につられて、私もへへと笑う。


「おはよう、成澤さん」
ラッキーなことに、成澤さんの席は、私の前。
やった、思い切り喋れる!
「うん…」
え? 私の思いとは裏腹に、拍子抜けする返し方だった。
え、うん…って。挨拶、苦手なのかな?
私も結構そうだし。
仲いい子にしかできないし。

1ヶ月前 No.32

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side

「かえちゃ〜ん」
教科書を片付け終わって、読書を始めようとしたとき。
廊下の晃君から呼ばれた。痛い痛い、皆の視線が…!!
かえちゃんって呼ぶのやめてもらいたいわ…、ホント。皆の視線、信じられないくらい痛い。
足早に教室を出た。
晃君は私の気持ちには気づきもせず、私の顔を見て、ん?なんかあった? なんて言ってきた。
晃君の腕を引っ張って、人目のない方へと言った。
「何?」
「え?どうしたの怒って」
「別に怒ってはないけどさ…」
嘘だ、少なからず腹が立ってる。私は静かに生活をしていたかったのに。
実行委員に選ばれたり、人気者の人たちが近くに居たり。何でだろ、私の周りはいつしか視線だらけだった。
「ノート、見せてくんない?」
「え?何で私?」
危ない、言葉を荒げるとこだった。
何でそんな事で私を呼ぶの…。あんな視線の数、受けなくたって済んだじゃん。
ホント、無神経だよね、晃君って。
「進学クラスじゃん?かえちゃん。だからさ、借りたくて」
「なんで櫛田さんじゃダメなの?」
「別にダメじゃないけどさ、汚いんだよね、字がさ」
「そんなの、ノート取らなかった自分のせいでしょ」
あぁダメだ…。話せば話すほど、イライラしちゃう。早く貸して離れよう。
うん、それが一番良い。
「…貸すよ、来て」
「ありがと!」
ニカニカと笑っている晃君に、もう怒りすら沸かなくなった。


「はい、今日5時間目にあるからそれまでに返して」
「うんOK。5時間目までね」

1ヶ月前 No.33

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side〔昼休み〕

人がまばらな校庭の、後者の目にある日の当たりが良いベンチで、綾ちゃんのお弁当を隣に置いて
私は一人でお弁当を食べていた。いつもなら綾ちゃんも一緒だけど、今日は部活の集まりがあるから遅れるらしい。
数十メートル先で楽しそうに笑い声をあげて遊ぶ男子を見ながら、独り黙々と食べ進める。
なんか、つまらない。寂しい。綾ちゃん、早く来て…。
昔は独りでも寂しいなんて思わなかったのに。綾ちゃんと関わるようになってから、変わった。
好きな人といる事の楽しさ、嬉しさ、喜びを教えられた。
「今咲さん」
「あぁ、どうも…」
横から呼ばれ見ると、櫛田さんが居た。片手にはビニール袋がぶら下げられている。
隣に晃君は……居ない。
「良い?隣」
「え?」
よいしょ、と私の隣に何の躊躇もなく座ってきた。
見られたら…とか、無いのかな。私は視線が痛いから嫌だけど…。
「今、晃居なくてさ。鴫原も居ないんだよね?」
「あぁ、うん。」
いつもなら多分、ココに座らせなかった。
だけど何でだろう、綾ちゃんが居ないから……寂しくて、人の温かさが欲しかった。
「あのさぁ」
しばらくの間をあけて、櫛田さんが喋り始めた。
私は何も言わず、横を向く。櫛田さんは少し緊張しているような面持ちで、ゆっくりと喋り始めた。
「俺、今週の日曜に試合あるんだ。で、応援……来てくれないかな」
「え?」
まさかそんな話だったとは…。いろんな感情がぐちゃぐちゃして、うまく喋れなかった。
驚きとか、意外だ…!!とか、少しの嬉しさとか。
「無理だったらいいんだ、場所だって「何やってるの?」……弓道」
「へぇ……、えぇ、意外!」
おかしさがこみあげてきた。弓道か…。
サッカーとかバスケとか、テニスとか、そっち方面かと思ってた。まさか弓道とは…。いや、カッコいいけどね。
「変…かな…?」
心配そうな顔で言ってくるから、 そんな事ないよ、カッコいいよ と言って笑った。
「でさ、どこなの場所」
「朝戸…」
「まぁまぁだね、距離」
「だから別に、無理だったら「どっちなのよ。来てほしいの、欲しくないの?」……欲しいです」
曖昧な櫛田さんに、意地悪だと思ったけど聞いてしまった。少し照れて赤くなった顔が、意外にも可愛い。
「じゃ、また時間とか送って。」
「うん、わかった。じゃ、晃来たから行くね、ありがと。今咲さん」
「いいえー」

1ヶ月前 No.34

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

楓side

「晃居ないしなぁ…」
取りあえずいつもの場所に向かって歩いていると、校庭のベンチに今咲さんが一人で座っていた。
珍しい、いつもなら隣には鴫原が居て…、喋ってる時なのに。
集まりとかかな…。
今しかない、そう思って、一生分くらいの勇気を出して歩いて行って、声をかけた。
「今咲さん」
「あぁ…どうも」
自分を映す大きな瞳、自分に向けられた視線に、微かに聞こえる生徒の声。
なんか、ダメだ。緊張する。勢いで隣何て座ったけど…。



「――応援……来てくれないかな」
一世一代の告白とは、こういう時のことだろうと思った。恥ずかしさやら色んなものがこみあげてきた。
大丈夫だ、今咲さんはこの言葉の意味を解っているわけはないだろう…。
高鳴って止まらない胸を鎮めるために、深呼吸をして自分に言い聞かせた。

1ヶ月前 No.35

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side〔放課後〕

自分の部屋へ行き、ベッドに座る。制服を脱いで代わりに服を着る。
そしてケータイを見ると、櫛田さんから連絡が来てた。

Re:今日の昼話していた事です。

日時:日曜日の朝8時から5時ぐらいまで
場所:朝戸ホール

もし送るのが無理そうだったら、俺と一緒に行きませんか?
俺、いつも一人で電車で行くんで。
あと、昼食も持ってきておいたほうが良いかもしれないです。
俺の誘いを受けてくれて、ありがとうございます

櫛田

1ヶ月前 No.36

麗華 ★6w5Zrp8Y83_xKY

花楓side

見た目よりも真面目な内容に、少し可笑しさがあった。
だってあんなチャラそうな晃君が隣に居て、あんなにキラキラしてて。
そんな櫛田さんが、こんなにも畏まった文章を送ってくるなんて。

わかりました。
連絡ありがとうございます、親に聞いてみます(o^―^o)

花楓


そう送って、ケータイをその場において下におりた。
応援って言ったって、別に何か特別なものじゃあるまいし適当に何か着ていこう。

1ヶ月前 No.37

麗華 ★0ee0QmQj9v_xKY

楓side

家に帰る途中、今咲さんに連絡をしようとケータイの電源をつけた。
が、打とうとしても文が浮かばない。打っても変な文で消す。
何回電源が落ちたか。
「はぁ…、分かんない」
家に帰って何をしていても結局、文は浮かばず、一時間かそれ以上考え抜いた末辿り着いたのは“手紙を丸写しする”こと。
あとは何か適当に‥‥…って無理だ。
それを悩んでたんだよな。でもまぁ…、男だ、決めろ!!
勢いで、送信した。
返信が怖くて、ケータイを机の上に置いてベットにあおむけで寝る。
「折角2人きりなんだし……、頑張らなきゃ、大会。いいとこ見せなきゃ」
壁に掛けられたカレンダーを見る。
あと数日。何とか入賞はしたい。
今まで一度も入賞したことのない県大会……。いつも、4.5位でおわる。
どうしてもあと1つが遠い。あと一戦が、一勝が、難しい。

1ヶ月前 No.38

麗華 ★UTEJSE4tLm_xKY

花楓side〔大会当日〕

結局、2人で電車で行くという事になった。
実を言うと、私は親に友達と遊びに行くとしか言ってない。
だって、櫛田さん(男)となんて言ったら……ね。


待ち合わせは、駅の改札口。
七分丈のジーパンと、赤のギンガムチェックの半袖。
応援だし、そんなに着なくても大丈夫だろ…?とおもって。
それに櫛田さんは、あんまりそういうの気にしなさそうだしさ。
「おはよ」
「おはよ」
先に挨拶をしてくれたのは櫛田さんだった。珍しい、先に挨拶をしてくるなんて。
無造作な髪と整った顔立ち、高身長。どれもこれも、学校と変わらないはずなのに…。
制服じゃないだけで、なぜか印象がグッと変わった。

1ヶ月前 No.39

麗華 ★mcQAICBXB2_xKY

花楓side

「じゃ、行こっか」
そういうと、私の鞄を 持つよ と言ってくれた。意外に優しいところがある…。
でもこれ、お弁当入ってるし崩されるとなぁ。でも、断れないし。
「ありがとう」
微妙に心の中が曇りつつも、断れない私はそれを渡す。
大丈夫かな…、そのお弁当は――。


駅のホームには独特の話す声と、幾千もの人の声、扉が開く音に地面を打ちながら歩く音。
とにかく音であふれかえっている。なぜかここに居ると、不思議な安心感に包まれる。

1ヶ月前 No.40

麗華 ★qYoO1XN5YG_xKY

花楓side

「……ん、……ん、……さん、…咲さん、今咲さん、今咲さん!」
「あぁゴメン!」
我に返ると、目の前には櫛田さんの顔。
うわっ、肌白すぎ。きれいな肌でニキビなんて一つもないし、大きな目。
とにかく……、モデルみたいなすごく整った顔だ。さっきから自分が受けてる視線に気づかないのかな。
「電車、もう来るよ」
「あぁ、うん…。」
ぎこちない答え方だったな…と、思った。私はもっと器用なほうだと思ったんだけど。
取り繕うのだって、簡単にできる様な感じがしてたんだけど。なんか、櫛田さんといると気が緩んじゃうな。
綾ちゃんといるときとは少し違う感じがする。



電車の中は休日と言えど、人は居て。座るところはもちろん、つり革すら握れそうになかった。
必然的にか、私と櫛田さんは端へと追いやられる。
「ごめん…、我慢して」
「大丈夫」
いわゆる壁ドン状態だ。外を向く私に、後ろから壁ドンしてくる櫛田さん。仕方ない、分かってはいるけど…。
息とか、ふんわりと漂う櫛田さんの匂いとか。全部がダメだ。なんか、ダメだ。
音楽を聴こう、そう思ってリュックからヘッドホンを取り出そうとする。
でも、動けないな…。隣にだって、人いるし。どうしよう…。
「取ろうか?」
「え?」
「ヘッドホン」
「何で…「聞こえてるよ、思ってることが」……ハイ、オネガイシマス。」
あぁ最悪。私って独り言を言っちゃうタイプだったか。よりにもよって、櫛田さんに聞かれるなんて…。

1ヶ月前 No.41

麗華 ★RTFb6fWLxI_xKY

花楓side

「はい」
「ありがと」
受け取ってすぐ、ヘッドホンをつけて音楽を流す。
こうやって私はいつも、自分と外とを切ってきた。遠すぎず、近すぎず、適切な距離で。
ふと、電車の窓に映る彼を見た。
すると、視線がバチッと合った。あ、櫛田さんもこっち見てたんだ…。
顔が火照って、恥ずかしくって、匂いがすごく気になりだして――。もうぐちゃぐちゃして、顔を俯けた。
見なきゃ良かった。何で、いつもしない事なんてしたんだろう…。

ダメだ、私が私じゃ無い。 おかしい、すごく。



「そういえば、綾ちゃんたちは?」
「え?」
会場に着いた時、ふと思い出して尋ねると彼は面白いくらい間抜けた顔をした。
「え…、綾ちゃんとか晃君とか」
「いや、来ない…けど」
「え?2人って事?」
「うん。2人が来るって、俺言ってないでしょ?」
「いや、でも普通2人はないでしょ?」
“2人きり”と言うと、余計にこのふいんきを強くしてしまいそうで、“2人”とだけしか言わなかった。
こんなところを、誰かに見られたらどうしよう。綾ちゃんの耳に届いたら。そんな不安でいっぱいだった。
応援してくれる?なんて言われて頷いたくせに、綾ちゃんの事が誰よりも好きなくせに。
どうしたらいいか分からなくて、でも帰っちゃうのも誘いを受けたのに申し訳ないから、試合会場に入った。

1ヶ月前 No.42

麗華 ★xaW6zyvfvY_xKY

花楓side

ぎこちないふいんきのまま、櫛田さんは会場へと入っていく。
“頑張ってね。”
その言葉は、喉もとで詰まって、外へ出すことはなかった。もちろん、彼の耳に届くことすらも。
私は結局、いつも弱虫なんだ。面倒事には巻き込まれたくなくて、息を止めるかのように毎日を過ごした。
目立たないように、波風を立てないように。
いつも“一番であり続けないよう”に。だから分からない。
こういう、恋愛絡みの事は。友達が絡む事は。
小説や映画や、物語の中でしかありえないと思ってた。こんなの、自分にある訳無いんだから って。



でもこうやって、心臓が飛び出そうなくらいドキドキしながら見てるのは……何でだろう。
櫛田さんだからだろうか、試合が好きだからだろうか、それとも……罪悪感と少しの善意からか。
「頑張って…」
本人が居ないと、いくらだって言えるのに。どうしていつも…、私って器用に生きられないんだろう。
不器用で、不細工で、不格好で、何もできなくて。
綾ちゃんに助けてもらって、やっとまともになれたと思ったのに――。
「頑張って…、頑張って…!!」
神に祈るような気持ちで、手を合わせて俯いて、願い続けた。
どうか――、勝ち進みますように。

1ヶ月前 No.43

麗華 ★GqCbcUELEg_xKY

楓side

いつもの試合よりも、何倍も鼓動が早くなった。
もう何年も来ているこの会場が、また違うふいんきに包まれている気がした。
観客席を見ると、彼女の…、今咲さんの姿があった。
良かった、まだ帰ってない。そんな安心感と一緒に、不安も溢れてきた。
もし失敗したら…、いつも通りできなかったら…。
悪い結末ばかりが頭を埋め尽くし、周りの騒音なんて一切聞こえてこなかった。
「大丈夫…、大丈夫」
そっと呟いて、心を落ち着かせる。
こんな弱いからダメなんだ俺は。こんなチャンスきっともうない。だったら……、思いっきりやってやろう。



12時少し前。午前の部が終わった。
何とか、勝ち残れた。あと2回勝てばベスト4。頑張らないと…。
「櫛田さん」
会場を出ると、今咲さんが居た。ホッと、心が落ち着いた。
「どうしたの?」
「お昼、どうする?」
「一応、パンとかおにぎりとか」
俺がそう言うと、今咲さんが少し俯いて、間が空いた。
「……ごめん、お弁当作ってきたんだけど要らなかったね」
「え?」
「ううん、何でもない」
何て言ったらいいか分からなかった。“食べるよ”そう言えば良い?
無理だ、分からない。どうすれば…。
悲しそうな顔がどんどん消えて笑顔に変わった。
「どこで食べる?」
笑いながら、今咲さんが、そう言った。
結局俺は、何もできなかった。悲しみを、自分で隠させてしまった。

29日前 No.44

麗華 ★KdVrKmXfcX_xKY

楓side

心地よく頬を撫でる風が吹いていた。
もう夏間近だというのに、随分と爽やかな日。木陰のベンチに座って、食べることにした。
そうだ、隣に座ったのは“あの日”が初めてだった。そしてそれが…、これをつくった。
「…楓君」
「え?」
聞き間違いなのかと思った。今、名前を呼ばなかった…?
俺の、名前を。今咲さんが。
「楓君って、呼んでいい?」
俺の俯けた顔を見るために、首を少し傾けて聞く姿に、胸の鼓動が加速した。
サラサラと風で髪が靡くと、シャンプーの匂いが微かに、その場に名残惜しそうに残った。
「…あぁ、うん」
情けない返事だな、と思う。もっと、シャキッとできないかな…なんて。
「よかったぁ。断られたらどうしようかと思った」
呟くようにそっと言ったその言葉に、そんな事しないよ と心の中で呟きながら、フッと笑った。
実際、口に出すわけ、無いんだからさ。
「じゃあ俺は何て呼ぼう…花楓…さん、花楓…。」
やばい、なんか言ってるだけで恥ずかしくなってきた。視線、分かるし。
「今咲さんは、皆にどう呼ばれてる?男子とかに」
「晃君はかえちゃんでしょ、数人の男子は今咲で、あとは今咲さんかな。仲良くなった男子とかは花楓だけど」
え、選択多すぎるだろ…。花楓?花楓さん?今咲?今咲さん?
いやでも、呼び捨てってなぁ。でも、えぇ………。





「花楓でいいよ。」
「え?」
「同じ名前同士だし、なんか特別感あるじゃん?」
二カッと笑う今咲さんの顔を見て、やっぱり優しいな…と、ひしひしと思う。
俺が選択に迷う時、困ったとき、必ず今までそっと一つの答えに導いてくれた。それも本当にさりげなく。
「うん…、じゃあ花楓」
「楓君」
「うん」
少しの沈黙の後、名前で呼ぶのがなんだか急におかしく思えて、笑った。
なんだか、体がフワフワと浮き上がるような嬉しさと温かさがあった。

28日前 No.45

麗華 ★KdVrKmXfcX_xKY

楓side

昼食が終わって、試合が始まる10分前。中のソファーに座って、2人で話していた。
「誰かに試合を見て貰うなんて、いつぶりだろ」
自分に心の中で尋ねたつもりだったのに、声に出してしまっていた。
「え?」
「あぁ、いや…」
「何か意外だな、楓君」
顔を上げた先のしっとりとしたその眼差しに、目が離せなくなった。
言葉が、出てこなかった。浮かんでこなかった。
「え…」
「何か、もっと華やかな人かと思った。まぁ、十分華やかなんだけど」
「華やか?」
「うん、沢山の人に囲まれてて私とはまるっきり違う人間…みたいな。」
言葉を優しく包んでくれているのが分かった。何となく、直感的に。
女子と遊びまくってそうな奴、そんなところだろうな。だって、散々言われてきたし。周りから。
「でもね、ううん、だからかな、なんか嬉しいの。こうやって一緒にどっか行ったり、食べたり。あ、2人はちょっとまずいけどね。なんか、何て言うんだろうな。ちょっと近い存在になった気がする、みたいな」
微笑みながらそう言った彼女の顔は、恥ずかしさからなのか頬が赤くなっていた。

27日前 No.46

麗華 ★JRKATUNbcC_xKY

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

27日前 No.47

麗華 ★JRKATUNbcC_xKY

花楓side

その後、来た電車に乗って、家に帰った。
家まで送るといわれたけれど、断った。
「じゃあ、また月曜」
駅から歩いてしばらくたった私と楓君の家の分かれ道。
「うん」
「あ、このこと。綾ちゃんたちには言わない。約束、守ってよね?」
「解ってるって」
「不安なんだよ、絶対!言わないでね。いったらそうだなぁ……、きるから」
私がそう言うと、楓君は難しいのか顔をゆがめながら尋ねてきた。
「何を?」
「関係を」
「あぁ、うん。大丈夫だよ。話したりなんかしないから」
夕日が斜めから差す、楓君の顔。整った顔立ちで、余計に映える。
「じゃあ、またね。今日はありがと、楽しかったよ。今度は“4人で”行こうね」
「そうだね、考えとく。花楓も考えていてよ」
「うん」

27日前 No.48

麗華 ★ZapAgD9OOv_xKY

花楓side〔月曜〕

「おっはよー花楓っ!」
背中をポンッと叩いて、笑う。いつもの綾ちゃん。
だけど今日はなんか、フワフワしてた。笑顔がピンクで、羽が生えているようだった。


「おはよーかえちゃん」
「あ、おはよう」
制服のポケットに手を突っ込みながら歩いて来る晃君と、その隣を歩く楓君。
周りの視線は、2人に集まっていた。
「おい、あたしへの挨拶は!!」
「はいはい、おはよー」
棒読みの晃君に向かって、綾ちゃんがバンッと叩く。
「痛っ!!馬鹿力だな…」
そんな2人を見て、楓君と私は笑った。
「あ、かえ……今咲さん」
あぁそうだ。急に名前呼びになっても、おかしいのか…。
瞬間、少しの怒りはあったけれど、その意味を知ってすごいな…と思った。
「何?」
「この前さ、4人でどこかいくとこ探そうって言ってたじゃん?水族館、どう?」
「私はプラネタリウムかな」
「あたし水族館に一票!」
「俺はかえちゃんに一票!」
隣でじゃれあっていた2人が言ってきた。
「どうしよっか……」
私がそう言うと、楓君が不思議そうな顔で言った。
「両方行くんじゃないの?」

24日前 No.49

麗華 ★ZapAgD9OOv_xKY

花楓side

結局、両方行くことになった。
水族館が来週の日曜。プラネタリウムが再来週の日曜。


「かえちゃ〜ん」
授業が終わってすぐ、晃君に呼ばれた。
「何?」
「楓がさ、話があるんだってさ」
「あ、ほんとだ…」
気付かなかった。後ろに居たの。
楓君って、気配消すの上手過ぎない? いつもはあんなに目立ってるのにさ。
人気のすくないところに行くと、楓君は周りをキョロキョロとみて言った。
「あのさ、水族館行った後……2人で、どこか行けないかな?」
「はぁ……」
なんて答えたらいいのか分からなくて、間抜けな答え方になった。
「どこでもいいんだ。だから「私の家にする?」……え?」
「見られると私、困るんだ。色々と事情があるんでね。」
別に嬉しがるようなことは何も言ってないはずだ。
なのに楓君は………満面の笑みで、頬まで赤くして、とにかく嬉しそうだった。
「分かった。じゃあ、また」
「あぁ、うん」
え、何? 私このためだけに、ココに呼ばれたの?
いや確かにみられると困るんだけどさ、だからって……。

23日前 No.50

麗華 ★ZapAgD9OOv_xKY

楓side

朝、また4人で出かける場所を離してて水族館とプラネタリウムになった。
なんか、Theデートスポットって感じがする…。
また2人で会いたいな…。でも、1人じゃ会いに行けないし…。
「あのさ、晃――」
「はぁ…。何でこんな奴がモテんだろ」
呆れた苦笑でそういうと、席から立ち上がり花楓を呼んでくれた。
「ありがと」
そういうと、晃は『頑張れ』と言ってくれた。
何も言ってなかったのに、分かるんだな…。やっぱり、さすがだな。
あんまり人が来ない場所に行った。
なんか2人だけみたいで、世界が切離されたみたいで……緊張が。


遊びに誘うと、すんなりOK(多分…)がもらえた。なんと、花楓の家で。
相手から2人きりの状況を作ってもらえるなんて、すごいラッキーでしょ。
何しようかな…。
今から想像するだけで、顔がニヤケそうで。手で、口を隠した。

23日前 No.51

麗華 ★0kvFxNH4RZ_xKY

綾穂side

ここ数日、花楓と櫛田の距離が近くなった気がする。
元々櫛田は花楓が好きで、でも花楓は鈍感で気付いてなくて…、そんな煩わしそうな関係だった。
でも今は……、少なからず花楓はまだ、櫛田の気持ちに気付いてないけど、気付いたらどうするんだろう…?
告白するのかな、付き合うのかな、応援してくれるかな、あたしが振られるのかな……。
色んな可能性が出て来て、不安と焦りが積もっていくばかりだった。
花楓は、あたしとは違う側の人間。無意識に人を惹きつけて、決して離さない。魅せるものが、溢れんばかりに有る。視線はいつも……花楓にある。どこへ行ってもあたしは、その次だった。



「綾ちゃん、行こ」
「…うん」
いつだってあたしは…、どうやったって“花楓には敵わない”んだ。
でもどうしようかな、櫛田の事はどうしても好きで諦められないな。奪ってでも、欲しい。
いつも諦めてるんだもん、良いよね………?

21日前 No.52

麗華 ★0kvFxNH4RZ_xKY

花楓side〔日曜〕

いつも通りのジーパンと、シャツにカーディガン。
少し、肌寒い日だった。
「おはよ、かえちゃん」
「おはよ」
あいさつを返し、晃君の隣に立って2人を待つ。
「俺さぁ、好きな子居るんだ」
「えっ?!」
突然、呟くように言われたその言葉に、驚かないはずが無い。晃君を見ると、どこか遠くを見ていた。
「……え、誰なの…?」
私がそう言うと、ふっと笑って言った。
「かえちゃんだよ、気付かなかった?」
何も言葉が出なかった。頭が真っ白って、このことかな。
何て言ったらいいか分からなくて、だからって無視なんて、もっとしちゃいけなくて…。
「あり‥‥がと」
声はあからさまに震えていて、でもそれをどうする事も出来なかった。どうすれば、良かったの?
「ごめんね、かえちゃん。本当は、ずっと好きだった。」
悲しみが浮かぶ笑顔と少し焼けた肌。
「何で…?」
「え?」
「泣かないでよ、泣いてほしくない」
私のその言葉を受け、晃君は自分の顔に手を当てた。次の瞬間、ハッとした。
「ホントだ、ダサいな俺…」
「………返事は、しっかり考えて返すから…。待ってて」
「優しいね、かえちゃんは」
優しくなんてない。その日を乗り切るための、虚言に似た……言葉。
自分に都合のいい、言葉。

17日前 No.53

麗華 ★0kvFxNH4RZ_xKY

花楓side

沈黙になって数分後、2人が来た。良かった、見られなくて。
晃君はさっきまでの事が嘘のように、元に戻った。いつもの晃君に戻った。
「じゃ行くぞ!!」
楓君が調べてくれた道に沿って、私たちは進んでいった。


「よし!じゃ今回も別れよ!」
綾ちゃんが期待が満載の笑顔で私たちの方を向く。
楓君と晃君は少し考えてから、微かに頷いた。
「じゃあ……2時間後、ここ集合ね。お昼食べよ!!」
その言葉を合図に、私たちは散った。最初は、晃君と。
あぁなんか……、色々と気まずい。
「どこ行く?」
優しく微笑みかけてくれた。意外にも、大丈夫なのかな…。
心配しなくていいのか。
「じゃあまわってこ!順番に」
私がそう言うと、晃君はパンフレットを開いた。
「そうだね、それがいいかも」

16日前 No.54

麗華 ★0kvFxNH4RZ_xKY

晃side

「みてみてあれ!」
「どれ?」
かえちゃんが指さしたのを見ようと、顔を横に並べた。
横目でかえちゃんを見たけど、悲しい。
まったく気にしてないみたいだった、この状況に。
「楓だったら…」
「ん?なんか言った?」
「ううん、で、どれ?」
「ほらアレだって。上に一匹でいるやつ」
ほら、やっぱり気にしてない。視線は上にしかなくて、心は俺にない。
じゃあ誰だ…? 楓…? それともほかに?
考えてしまうほど、終わりのないこの話は俺を暗くさせるばかりだた。
最初は喋ってくれていたかえちゃんも、何かを察したのかほとんどしゃべらなくなった。
無言のまま、時間は過ぎた。

14日前 No.55

麗華 ★GcpyEBRzsA_xKY

楓side

「何するか…」
「買い物行こうよ!」
鴫原に腕を引っ張られて、強引に連れていかれた。


「何買うの?」
「おそろいのストラップ!」
「はぁっ?!」
驚いて、大声を上げてしまった。いや、無理だって、おそろいなんて。
「いいじゃん!買おうよ」
「無理」
笑顔でストラップを差し出してくる鴫原の手を押しのける。
すると、今日に静かになった。今までぎゃあぎゃあ騒いでたのに。
「……花楓だったら、買うんでしょ」
「え?」
最初、聞き間違いかと思った。でも、顔を見て分かった。確信している顔だ。
何となく、俺と似ている顔だ。
「これわね、友達同士のお揃いのやつなの。恋人同士は、また別にある。………だめ?」
「…………」
情けないけれど、何も言えなかった。まさか、鴫原って――。
「好きだったんだ、櫛田の事。」
そう言われた瞬間、色んな感情が、言葉では言い表せない感情が渦巻いた。
息が苦しくて、吐き気がする。こんなにも誰かの告白が辛かったのは、いつ振りだろう。
「わかった……」
吐息と共に、吐き出したたったそれだけの言葉で、鴫原はうるんだ眼を細くした。
「ありがと、頑張ってね、花楓の事。きっと、渋谷も好きだからさ」
「…うん、ありがと。」
「じゃ、これからは友達って事で!!」
鴫原がにこりと笑った。さっき差し出されたストラップを、俺は手に取った。
「よろしく」

9日前 No.56

麗華 ★cClct891op_xKY

綾穂side

今日、家を出るとき決めた。
櫛田を諦めようって。え、何で急に?って、思うかもしれないけど…。とにかく決めた。
「櫛田は、今日で諦める。」
ドアを開ける直前、胸に手を置いてそう言って、家を出た。




「何するか…」
そう言って櫛田が迷った時、チャンスだと思った。
腕を無理やり引っ張って、お店の中に入った。
そして、あらかじめ下調べしておいたお揃いのストラップをもって、櫛田の前に差し出す。さぁこれで――。
これで、嫌な顔をされたら諦める――。
思った通り、櫛田は顔をゆがめた。そして、断れた。
よし、これで諦めよう、そう思ったのにさ…。妬いて、言っちゃった。
花楓だったら買うんでしょ、って。そしたら櫛田は否定しなかった。やっぱ負けだね。
もしこれがOKされたら告ろうと思ってたのにな。


関係が進むかもなんて、ほんの少しでも、微かでも、期待した私がバカだった。
花楓、頑張ってね。花楓は、だれを選ぶのか知らないけどさ。
あたしは、櫛田とくっついてほしいかな……。

9日前 No.57

麗華 ★cClct891op_xKY

花楓side

「どうする…?」
緊張した面持ちでそう尋ねられたけど、一通りまわっちゃったしな…。
「楓君はどうしたい?私、晃君ともう全部まわっちゃって…」
私がそう言うと、数秒の間の後に言った。
「なんか、お店で買おうよ」




「そうだ、どうせだったら色違い買おうよ!このイルカの」
そう言って指さした何種類かのイルカを見て、いいね、と言ってくれた。
「じゃ私はピンクで、楓君青色ね。」
「うん。」

9日前 No.58

麗華 ★cClct891op_xKY

楓side

帰りの時間は、あっという間に来た。
空はもうオレンジから紫へと、綺麗なグラデーションが出来ていた。
「あー楽しかったぁ。」
花楓が空に向かって手のひらを伸ばす。
「来週はプラネタリウムかー」
鴫原が意味が含まれていそうな言い方で言う。
なんか、気になるんだけど。
「そう言えばさ、花楓ってさ、何でプラネタリウムにしたの?どっちかと一緒に見たかった?」
「え?」
空を眺めていた花楓が振り返る。
何ていう質問してるんだ、こいつ……。
と、思いながらも気になって聞くのをやめることはできない。
「別に、そういう訳じゃ無いよ。それに、私結構好きなんだ、プラネタリウム。なんか、あの静かで穏やかな。」
何だ、そうなんだ。……てか、何期待してんだ俺。
恥ずかしさと情けなさが溢れる。ヤバイ、絶対顔赤くなってそう。

8日前 No.59

麗華 ★LibfCb0XbN_xKY

楓side〔次の日〕

「楓ぇー」
晃は、大きなあくびをして、とぼとぼと歩いて来る。
「はよ」
電柱にもたれかかりながら立っていた俺は、挨拶をした。
「眠い……」
目元に涙を浮かべながら、もう一度大あくび。黙って歩き始めた。
晃はそれについて来る。
「今俺が眠い理由、聞きたい?」
「………」
何だろ、これは。何か深い理由があるのか、からかいや気分なのか…。
黙っていると、晃は一方的に話し始めた。
「昨日さ、考えてたんだよ。あれから。」
「何を?」
「かえちゃん」
何にも抵抗せず出てきたその言葉に胸が高鳴り始めた。何だろう、何を考えた…?
「でさ、今日、告ろうと思うんだ。」
「……」
言葉が出なくて、喉が渇いて、頭が真っ白になった。え、告白…?
「振られたら、もう諦めようと思って。」
ゆっくりと隣に並ぶ晃を見た。ずいぶんと大人びた顔をしていた。
いつからこんなに大人びた、綺麗な顔をするようになったんだろう‥‥。

7日前 No.60

麗華 ★i6iEkGMkKt_xKY

花楓side〔次の日〕

「おはよー花楓」
「おはよう」
綾ちゃんは大きなあくびをして、その場で一回うーんと伸びをした。
その後、大きく息を吸って、急に真剣な眼差しになって言った。
「あたし、今日櫛田に告ろうと思う。昨日、似たような……似すぎてることは言ったんだけど、
やっぱりしっかり振られようと思って」
「えっ……!!…あぁ、うん。待ってるね」
「ありがと」
凄く綺麗な清々しい顔をしていた。
朝日がキラキラと輝いていて、綾ちゃんを応援しているようだった。



「おはようかえちゃん」
「おはよう」
晃君たちとあいさつを交わして、教室に入った。
そして前の席の蒼汰君にも挨拶をした。
「おはよ、蒼汰君」
「あぁ、おはよう。あのさ、体育祭なんだけどさ、二週間後だから毎日昼休み集まってって。」
「あぁ、うん。わかった」
最初こそ女子からの視線が痛いたしく怖かったものの、今では何となくなれた。

7日前 No.61

麗華 ★i6iEkGMkKt_xKY

楓side

昼休み、いつの間にか一緒に弁当を食べるという事が習慣化し、『男子が迎えに来るべきだろ』
という鴫原の言葉に押し切られ、いつもの様に弁当片手に2人で隣のクラスへ行った。
珍しく鴫原しかいなくて、花楓はどこをみても居なかった。
「おぉ」
鴫原がこっちに気付いて歩いてきた。数人のクラスメートに手を振って。
「かえちゃんは?」
晃が教室や廊下を見回しながら聞いた。
「あぁ、体育祭の実行委員だから集まり。2週間ずっと。まぁ、10分前には終わるらしいけどさ。」
「ふーん、誰と一緒なの?」
「成澤」
成澤…、蒼汰か。アイツモテるよな、カッコいいし。優しいし。
「まぁけっこういい感じなんだよね。」
「何が?」
俺が聞くと、鴫原はにやにやしていった。
「成澤と花楓。二人とも好きなの一緒らしいしさ。」
“好きなものが一緒”なんて、羨ましいよな…。一緒に立てるなんて、羨ましい。
俺なんか、多分いくつも背伸びしないと並べない。隣には。

5日前 No.62

麗華 ★i6iEkGMkKt_xKY

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

5日前 No.63

麗華 ★i6iEkGMkKt_xKY

花楓side〔放課後〕

やっぱり私は体育祭の集まりがあって、綾ちゃんは部活がある。
「最初のスタートは―――、で、その役は山梨さんに――」
ボーっと頬杖を突きながら、窓の外の夕焼けを見ていた。
別に、私が参加しなくたって、話し合いは進んでいく。ただ、それだけの話。
「これ、今咲さんと成澤さんでお願します」
「はいっ!!」
ボーっとしていたのに突然名前を呼ばれ、反射的に大きな声が出た。
皆、驚いて私の方を見た。隣の席の蒼汰君も。
「すみません……」
小声でそう言って、縮こまる。
……あぁ、めっちゃ恥ずかしいんだけど。
「ここだよ、仕事」
蒼汰君がそっと小声で言った。
差し出されたプリントには、ところどころにはメモとラインが引かれていた。
「ありがと」
プリントを受け取って、さっと目を通す。
「当日、一緒に仕事やるんだって。頑張ろーね」
二カッと笑ったその顔が、窓から注ぐ夕日に照らされたせいだ。妙に輝いて、カッコよく見えたのは。
「あぁ、あ、うん」
もじょもじょと返事をして、顔を俯けた。もう最悪だ、何なの今日。恥ずかしいこと起こり過ぎ……!!

4日前 No.64

麗華 ★i6iEkGMkKt_xKY

花楓side

「ではこれで終わります。また明日、昼と放課後。」
その言葉を合図に、皆、一斉に散らばった。待ちかねていたように。
「蒼汰君、帰る子いる?」
「え、いや、今日はひとりかな」
「一緒に帰っていい?私も一人でさ」
何でこんな事言ったのか、全然わからない。でも、気付けば口走ってて。
ひとりなのは嫌だから、そう言い訳をしておこう。



「今咲さんが一人なんて、驚きだな」
靴を履こうとしゃがみこんだ時、隣で立っていた蒼汰君が言った。
「そうかな、私そんな人気者でもないし。それに仲いい子だって、3人ぐらいだし。」
「誰?」
「え?」
「仲いい子。」
え、何でそんな事…。って、思ったけど、揺らいでいたその瞳に、吸い込まれる様に言った。
「楓君と、晃君と綾穂ちゃん……」
「そっかぁ」
ふっきったように、上を見て苦笑した。
「どうしたの?」
「ん?別に。そっか、楓と晃かぁ。」

2日前 No.65

麗華 ★gb95pUANvA_xKY

花楓side

「楓と晃ってさ、モテるよね。」
遠くを見つめながら、そう言った。
「確かにね、すれ違うと絶対、女子振り返るし。」
「個人的にさ……「うん」どっちがいいの?」
真っ直ぐな瞳が、私を射抜いて離さなかった。どうしよ、目離せない。
「どういう…こと?」
「どっちが好きなの、楓?晃?」
「え……、別に、え?……どっちも…友達だよ??」
頭の中がぐちゃぐちゃに混乱して、何を言ってるのかわからなかった。
何で混乱してるのかさえも、自分で分からなかった。
ただただ、誤解されてる…と、思うばかりだった。

1日前 No.66

麗華 ★IEfcT0X4L3_xKY

蒼汰side

俺は、一緒だった中学の頃から今咲さんの事が、好きだった――。
同じクラスでもなく、同じ委員会になったことがあるだけという、
喋ったことも殆どない俺なんかのことを、今咲さんは覚えてくれていた。
そして、高校で同じクラスになった時。言ってくれた。
「放送委員一緒だった、蒼汰君だよね。よろしくね!」
せっかく、諦めようとしてたのに…。
そう後悔しながらも、一緒の高校になったという嬉しさが自然とこみあげて、心の中を満たしていった。


『櫛田と晃、今咲さんの事好きらしい』
どこかの男子が、そんな話をしているのを聞いてしまった。
多分、男子が言うんだから間違いはないんだろうな…。
晃と楓は、同じ塾だから中学の時から知ってるけど、モテてたなんて知らなかった。
だから、それを後から知ったとき、もう勝ち目はないな…と、我ながらも情けなく諦めようとした。
なのに――、
体育祭の実行委員を一緒にすることになって、席は前後、好きな作家が一緒…なんて。
なんでこんなに重なるんだよ…。

13時間前 No.67

麗華 ★IEfcT0X4L3_xKY

楓side〔放課後〕

晃と2人で廊下を歩いていると、見慣れた後ろ姿が遠くに見えた。
「あ、かえちゃんだ」
隣にいた晃が言った。俺は、無言でうなずいた。その時ふと、隣にいた人物に気付いた。
「誰だ…、あれ」
「……成澤じゃない?」
「え…、あぁ、確かに。何となくそんな感じも」
成澤って……成澤蒼汰だっけ。たしか塾が一緒だった気がする。
こうやって見ると、やっぱり花楓は細くて綺麗…。
「明日、かえちゃんに告る。」
「え」
突然思いついたかのように、口走った。
「仕方ねぇじゃん、もうやり切ったし。」
「………」
瞳が大きく揺れていて、まだ決めきれていない決意なのだろうと思った。
それから帰りは、花楓の話題は一切出さなかった。晃も。
「じゃあな」
「頑張れよ、明日」
「いや、頑張るとかじゃないだろ」
苦笑した。俺もそれにつられて、少し緩む。
「でもすごいよ、俺にはそんなの……無理だし」
「俺だって、怖いよ。振られるって分かってて、それでも告りに行くなんてさ」
晃の言葉に驚いて、少し俯けていたか顔を上げた。すると目が合って、ふっと笑いながら言った。
「今までは振る側だったじゃんか、自分で言うのもどうかと思うけどさ。彼女なんて困らなかったし、作ろうと思えば作れた。本気にだってなったことも無かったし。」
悲しそうに笑った。すごく辛そうな笑顔に、返す言葉も見つからず目を背けてしまった。
「‥‥‥」
「お前もさ、やった方がいい。…って、俺は思うよ。じゃあ」

5時間前 No.68
切替: メイン記事(68) サブ記事 (6) ページ: 1 2

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…感想・コメントはこの記事ではなく、サブ記事に書き込んでください。(小説カテゴリでは必須です)