Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(11) >>

ならばどうしてここにいる?

 ( プロ詩投稿城 )
- アクセス(375) - いいね!(5)

くら @goburin ★SavZ0HjCRh_keJ

〇1

降るまでは、
生まれ、きつ、笛、灰色の、
目くらの乳を吸入する、
カスミの味がある。

刈り取るために鍬を振るう。
ぬくもるためではない。

女たちの手に種子が集まって、
来たる春のために小屋へと消えていく。

種が選別されて、
芽吹くものは街へ輸送される。
枯れたものは堆肥に混ぜられる。
春には、いらない種子たちの
熱量が土をあたためる。

誰のために
誰かのために


〇2

おりた霜を丁寧に拭って
子どもの指からぽつりと種子。
眠ったまま生え代わる、
また嵐のくる春に等分にして。

月の中頃、
冷え切った鋼を背負う友人が
昔々から凱旋する。
熊か何かを殺して持ち帰って。

獣頭を括り付けた縄から、
したたる、
金色の血がじゅうじゅうと土を焼いて、
たれ流れて、
種子たちを焦がしていく。

僕は酒とすりばちで鎮火する。
同じように、雨と風が舐めとっていく。
しゅ、灰が、ら、渦を、
しゅら、僕らの修羅。
鍬までも腐食している。
それが、似ている。

金色の血は、
明くる日には冷え固まっている。


〇3

吹雪いている。
夕暮れがいつの間にか、ない。
影とともに夜がいて、
木々の穴孔がうぉぅんと啼く。

這いずり回る獣はいない。
子どもが種子を隠れて食べていると
夕飯どきに誰かが言いだして、
使用人たちが冷製のリゾットを振る舞う。
僕も食べて、みんな食べている。

隅では種子が運ばれていき、
這いずり回る獣はいない。

その代わりに、冬が立ちのぼる。
洞という虚にふたをして、
隙間かぜが頭を冷やさないようにする。
ぬくもるためではない。
守ってきたのか、殺しているのか、
だが、その唯一の方法しか知らない。

小屋には生温かい鍬がある。
誰かが使っていて、それを僕が使う。
いつもどおり明くる日がくる、
街道には、ひとつも足跡がない。
凍てついた、種子もない。


〇4

一つらなりに目が覚めて、
落ちている種子を拾いに出かけるあさ、
手のひらに豆ができていて、鍬が持てない。
使用人たちがすり鉢と酒を持ってきて、
僕の口と背中をゆすぐ。
「痛かったろう」
「苦しかったろう」
僕は馬屋の隅でゲロをする。
胃液には種子が混ざって、
芽吹いて刈り取られないように押し潰す。

何だったかも忘れた象徴の前で跪き、
今日と昨日、明くる日の恵みに感謝する。
すべてが必要だと、理解している。
「信じることはいい」
僕は馬屋に戻り、種子をなぞる。
泥に埋まってまだ生きている。
そっと、春までには死ぬように祈る。

長い休みをもらった後、
いつも通りに明くる日がくる。
氷と雹が降るころになっていて、
巷では、流行り病で羊が死んでいる。
種子はまだ生きている。


〇5

蹄鉄をぶら下げて、
病原菌を殺戮することを喧伝する。
街からの冊子には
屈強な人間たちと標語が刻まれていて、
ぼくの耳までは届かないまでも
望んでいることが浸み込んでいる。

大勢が動員されて、
春の散歩を始めさせられたと聞いた。
大地は依然として霜に覆われて、
そのずっと奥まで冷え固まっている。

停滞、はえ、薙いで、
食事をして夜を過ぎさり、
星が見えたころ、
散歩する。

形をうしなった僕の
北極点と(北極星が)、
またたたいて、
空中に、浮かんでいる、

刻み込まれた喧騒が、
もしかしたら悲鳴なのかもしれないと、
咀嚼する僕の凍り付いた顎は、
舞い落ちてくる雪を、
ただ、冷たいものと呼ぶことしかできない。

目がくらむ朝がくる。
薄靄のむこうで確かに登った光源は、
ゆっくりと瞬きながら落下する。
ごまかされないように僕はそれを見ない。
ぬくもりだけを分かるために。

音がする、
ひゅうひゅうと私の音が。

星の落ちる音、
芽吹いた種子の、
一瞬の炸裂。
閃じて、はるかはるか遠くの街で、
カスミ。


〇6

鍬を、振るう。
凍えた土は鋼のように引き締まっている。
ひとつめが突き刺さる。

細氷がちりばめられて、
死んだ種子が積み重なっている。
使用人たちは号令とともに遠くへ駆けていって、
木切れとともに僕は棄てられている。

鍬を振るう。鍬を振るう。鍬を。

それから、火をつける。
子どもの手で爆ぜる。
ぼうぼうと拡散して、明くる日は来ない。

埋めた種子はどうなった?
生まれた、ただ一つの子は。
燃えた。焼け焦げた。
これが金色の血で、
これが僕の殺した獣になる。


〇7

新しい春がくれば、ここを離れる。
次の、野原を探す人は、あふれている。

残された小屋には、
たくさんの種子の死体があり、
生きないことは、できない。

1年前 No.0
ページ: 1


 
 

沙織 ★mWOmgO7iri_6Og

美しいです。何度も何度も読み返したい、暫く潜りに来ます。本当に素敵な作品を拝読させて下さり有難う御座います!潜り切ったら、また言葉を書かせてくださいませ。

一端失礼いたします。

1年前 No.1

くら @goburin ★SavZ0HjCRh_keJ

こんばんは。

語彙を緩めにしてみましたが、散漫かつ未圧縮。
かなり読みやすくしたつもりではありますが、
優れた詩と呼ぶにはちと無駄が多すぎるかもですね。
かといって、妄想を膨らませる詩っぽいなにかばかり叩きこんでも飽きる。
そういう思わせぶりな作品は、永遠には書けないでしょう。
元々、永遠に書ける人なんていないとは思いますが。
文句のつけようもないものを一つだけ書きたい気持ちです。
本作、割と磨けばいい線いきそうですけど消化不良ですね。
でも、それなりに整えたので、また読みに来てください。
二回くらいは耐えられる力が本作にはあるはず……!

1年前 No.2

(・ω ★iPad=fzC70a31dr

ドラクエ

1年前 No.3

(・ω ★iPad=fzC70a31dr

津市、玄米

1年前 No.4

くら @goburin ★iPhone=xMtA2CYZuX

こんにちは。

何に惹かれたのかは分かりませんが、
良かったです。

1年前 No.5

沙織 ★keBoFeAXXi_6Og


今晩はです。

 きちんとした状態になったとき、作品に向き合いたかった為、遅くなりました。拝読させて下さり、有難う御座います。

 この作品を目にして、一番初めに思い浮かべたイメージの絵は、ジャン=フランソワ・ミレーの落ち穂拾いでした。

 >〇1

>『降るまでは、
生まれ、きつ、笛、灰色の、
目くらの乳を吸入する、
カスミの味がある。

刈り取るために鍬を振るう。
ぬくもるためではない。

女たちの手に種子が集まって、
来たる春のために小屋へと消えていく。

種が選別されて、
芽吹くものは街へ輸送される。
枯れたものは堆肥に混ぜられる。
春には、いらない種子たちの
熱量が土をあたためる。

誰のために
誰かのために』


 ため息が出るほど、美しいです。作品の選ばれたことばたちのゆくえが、収束していくのがみえるようです

 まるで祈りのような厳かな収束

 >『誰のために
  >誰かのために』


>〇2

>『おりた霜を丁寧に拭って
子どもの指からぽつりと種子。
眠ったまま生え代わる、
また嵐のくる春に等分にして。

月の中頃、
冷え切った鋼を背負う友人が
昔々から凱旋する。
熊か何かを殺して持ち帰って。

獣頭を括り付けた縄から、
したたる、
金色の血がじゅうじゅうと土を焼いて、
たれ流れて、
種子たちを焦がしていく。

僕は酒とすりばちで鎮火する。
同じように、雨と風が舐めとっていく。
しゅ、灰が、ら、渦を、
しゅら、僕らの修羅。
鍬までも腐食している。
それが、似ている。

金色の血は、
明くる日には冷え固まっている』


 >『金色の血は、
明くる日には冷え固まっている』


 金色の血、私は命そのものと読みました。ぐるぐると詩作品に惑っているものが静かに静かにやきついて、鎮火して沈下し明くる日には冷え固まる。その惑っているぐるぐるしたものが、私のちっぽけな読みでは掬いきれない、それが修羅というものなら腐食というのなら、それが似ているというのならそれはなんなのかという渦に巻き込まれて それは、獣なのかというと、獣はそのようなことを考えるかということ、それでは、神なのか、いえ、これは人なのだと、背筋が冷えて


 >〇3

>『吹雪いている。
夕暮れがいつの間にか、ない。
影とともに夜がいて、
木々の穴孔がうぉぅんと啼く。

這いずり回る獣はいない。
子どもが種子を隠れて食べていると
夕飯どきに誰かが言いだして、
使用人たちが冷製のリゾットを振る舞う。
僕も食べて、みんな食べている。

隅では種子が運ばれていき、
這いずり回る獣はいない。

その代わりに、冬が立ちのぼる。
洞という虚にふたをして、
隙間かぜが頭を冷やさないようにする。
ぬくもるためではない。
守ってきたのか、殺しているのか、
だが、その唯一の方法しか知らない。

小屋には生温かい鍬がある。
誰かが使っていて、それを僕が使う。
いつもどおり明くる日がくる、
街道には、ひとつも足跡がない。
凍てついた、種子もない』

 凍てついた食事のなかで、そこには生温かい鍬があり、足跡もなく、種子もない この生温かな小屋の中には、獣などおらず、人がいる

 >『這いずり回る獣はいない。
子どもが種子を隠れて食べていると
夕飯どきに誰かが言いだして、
使用人たちが冷製のリゾットを振る舞う。
僕も食べて、みんな食べている』


 なんて、繊細な描写 >『夕飯どきに誰かが言いだして、
             使用人たちが冷製のリゾットを振る舞う。
             僕も食べて、みんな食べている』


 そこに広がるのはよくわからない異質なもの そこの小屋は冷たい手で撫でられたように病が蔓延しているのではないかとそんな想像すらしてしまう そこに漂う異質さ、その空気感 、首筋を冷たい手で撫でられたように思います。


 ここで私は、人という存在の不安定さを読み込んだように思います。人は弱く、獣にもなり切れず、病も簡単に蔓延されてしまう そこが温かな小屋であろうとも 内と外の不穏な空気感から、隔絶を感じます。埋めようも無いほどの冷たさ、人と人の間の温かさを感じ取れない それはまるで表面上だけの生温かな満足


 **


 イメージする世界そのものがぶわっと胸に迫ってきて、一度に消化するには最初の印象とおり複雑で美しい為、何度も潜りに来て良いでしょうか……?本当に素敵な作品を読み込ませて下さり有難う御座います!

 今の時点で、私なりの解釈しか出来ていないくせに、胸がいっぱいです。


 また、続きを潜りに来させてくださいませ。m(__)m


 一端、失礼致します。

1年前 No.6

くら @goburin ★SavZ0HjCRh_keJ

こんにちは。
改めてありがとうございます。

〇1

やはりミレーの落ち穂拾いは偉大ですね。
第一連は特に連想しやすくなっていて、なりすぎていて、
僕は(終盤とのイメージの統一をはかるため)
女性が拾うという文言を抜くことを考えました。
しかし、どう考えても種子を男が拾うのは連想できない。
ここが詩の、ひとつの弱点でもありますが、
連想や全体的な雰囲気で組まれている多くの詩は、
落ち穂拾いなどの強大なイメージに勝てないですね。
時代を考えると、女性が拾わなくてもと思うんですけど。
男が拾う、という言葉が引き起こす映像は違うなぁ。

みたいな第一連です。

〇2

第二連は不親切極まりないですね。
金色の血に対するイメージが交雑している。
まずそれは、獣の血なのか?
それとも、凱旋者がもたらす血なのか?
僕の解釈は、凱旋者が獣を殺したから金色の血だった、です。
獣を殺すということは本作を通じて、イニシエーションになっていて、
それを殺すことは英雄的で、かつ悲劇的です。
それは鋼のように冷えなければできない。
凱旋する者が、獣である自分自身を殺すという読みをすれば、
熱量が流れ出て、それが次第に冷え固まるというイメージができます。
血、そのものは命と呼んでも良いかもしれません。
しかし、本来なら命は種子を芽吹かせるのに、
それが種子を焦がしてしまうというのは、
たぶん、殺された血で、痛みある熱量だからだと思います。
死に向かっていく命というかな。
灰と渦と修羅と腐食は、そんなに上手くいってないですね。
意図はありますが。僕の解釈では、鎮火するのは僕自身なんです。
風雨が種子を濡らして、同じように鎮火させる。
しかしその鎮火に、意味があったのだろうかと。
霜の世界に帰っていくことに、懐疑的であるようです。

〇3

ぬくもりも凍えもなく、豊かなものは何もない空間、
死ぬことも生きることもできない、と見えてきます。
この気持ち悪さは、顔の見えなさにも起因するでしょう。
仰る通りに、表面上だけの生温かな満足があります。
奇妙なのは、誰かが言いだしたのに、その声が欠けていること。
固有名詞がまったく存在していないことなど現実ではありえない。
おそらく小屋にはたくさん同じ境遇の人がいるのですが、
生温かい鍬の、生温かさは分かるというのに、
それを誰かのぬくもりとは感じ取れない。捉え方でしょうか。
同じ小屋のなかでも、もっと楽しく生きてる人はいて、
どちらが良いというものでもないですが、
誰もがそうであるように見えることと、現実は同じではないかも。
冷えるつもりはないが、温まるつもりもない。
冷製リゾットの冷たさなんかで不安になってしまう、語り手。
世界について書いているようで、実はもっと小さい話、
見るべきものが何なのかに悩む話、にしても良いですね。
というのが、僕の解釈のひとつです。
しかしこの第三連、詩としては面白みに欠けますね。
ちょっと長いか、ギミックないから飽きちゃうかな。
さらっと読むには主張が強いし、推敲の余地いっぱいありますね。
「その代わりに冬が立ちのぼり」の件は削ってもいいかもしれません。
なんか幅を狭めてしまいそうですし。



二回も読んでくださってありがとうございます。
僕も自作語りできて楽しいです。




1年前 No.7

三浦果実 @kajitsu☆Ffo9ajlC7oie ★iPhone=hacbI9ZS9o

本作は完成度が高いと思う。完成度とは言葉の連なりに合理と非合理の按配があり、可読性が維持されながらも、もう一度読みたくなる深みを持たせている。しかも最後まで。合理は共感を持ちやすく、しかし共感だけでは面白さ、探って入り手繰り寄せたくなる気にならない。本作には探求したくなる非合理もある。

ただ私の趣向を持ち出せば、好みな作品ではない。私宛てに投稿されているわけではないので、これは蛇足になってしまうけれども。

1年前 No.8

くら @goburin ★iPhone=xMtA2CYZuX

こんばんは。

読めないのが一番マズいです。読めない言葉で作られた形は、美しいだけで書き手が飽きてしまう。そういう耽美ワールドは最高だけど虚しくなる。でも平易な文体で書くのもショートショートを書くのと変わらないので、お話を書いてるみたいになる。バランスは大事ですが、でもバランスを取ってもどっちつかずの微妙なアルチザンに成り下がるかも。

まぁそんな話はともかく、本作は、視点をもっと色々と持たなきゃいけない気がしています。この分量で展開させるには時間の流れだけでは弱い。場所も視点もぐっと混ぜ合わせたほうが多分読みやすかったと思います。これは陰鬱だ。

なんかもうちょい良いの書きたいす。
これじゃ誰も蘇りません。

1年前 No.9

沙織 ★FbrP8nqNkG_6Og


 こんにちはです。

 今年も宜しくお願い致します。

 作品を読み込むことが年を越してしまいましたが、また引き続き読ませて下さいませ。

 **


 くら様の自作語り、とても嬉しいです。わぁ、こういう点意識されていたのびっくり、とか、わぁ、読み込めてた嬉しいとか、嬉しい発見が沢山ありました。自作のこと語って頂けるの有難いのですね。素敵なお言葉をいつも、有難う御座います。


 失礼致します。

1年前 No.10

沙織 ★uWqDnU33AT_6Og


>>7

を 改めて、読み返して。

 何度も何度も読みたくなる作品は、読みがたいからではないですよ。読みたくなるからですよ。それは、手をひかれるからです。

 意識の手を引かれるからです。

 3か月前に感想どまりのものしか書けなかった私は、その間、思い返し思い返し考えたように思います。

 特に金色の血とスープが絡まりあって、独特の空気感の食卓の情景は、本当に絵に現れるようなのです。匂いたつようです。私は、くら 様の詩作品から絵を見ます。本当に美しい絵を。 食卓の様子では、私の思い描く絵は、青いドレスを着た一人の年配の女性がミルク壺からミルクを注いでいる状態で停止している絵です。タッチは、ミレーの画風のようなのですけれど、でもそう言った絵はないんです。……私、あんまり鮮明に同じ絵ばかり思い浮かぶからどこかでみたのだろうって探すのですけれど……解らない、その食卓には、子供達が2人座っています。どちらも少年です。その少年二人が揃って座っているテーブルで年配の女性がミルク壺からミルクを注いでいます。その場所は少し暗めの部屋に見えますけれど、お皿にはスープとパンがあります。右画面上からは、年配の男性が何か言いたげに少年二人を見下ろしている構図です。すこし身体を斜めに傾けたような恰好です。


 私は、思い返す度に、豊かさとはなんだろう、とぼんやり考えます。それは、つめたくあってほしとは思えないのです、でも、どうも思い描くものはこちらの世界では、ひどく冷静な(つめたくはないのだけれど)ひどく冷静な日常なのです。それが豊かさだとは思っていないんです。登場人物が、それに、どこか哀しみもあるような気がします。それは命の哀しみです。それは日常に溶け込むようにある目を背けたい命の哀しみなように思います。でも、それは冷静に無視できるものであり、日常では無視されなければ冷静でいられないものなのだと唐突に思います。

 ……まだ、全然上手く言えない、

 ……すみません、

 もう少し、読み込ませて下さいませ。

 一度に出来なくて、ごめんなさい。

 一端、失礼致します。

11ヶ月前 No.11
ページ: 1

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる