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【本編開始】人間に成り切れなかった僕らの異界村生活

 ( オリジナルなりきり )
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のんびり生活&ほのぼの交流系 @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

僕らは忘れていた。何か、とても大切な何かを。

一体、何処で間違えてしまったのだろう。どうして僕は、皆と違うのだろう。
どうして、僕は、人間になれなかったのだろう。

__自らが生きる世界で、自らの在り方を見失う人々がいた。自らを人間と認められない彼らは、自らが生きる世界から消え失せた。
彼らは、彼ら自身を形作る最も大切な記憶を奪われ、別の場所に連れて行かれた。

__それは、此処ではない世界の物語。




「…何処、此処?」

貴方が目を覚ますと、そこは帰りに乗った電車の車両の中。そして貴方は、その席に座っています。
車両の中は何の変哲も無い、ごく普通の外観をしています。貴方の格好も、荷物も、乗った時から全く変わっていません。
…しかし、可笑しい。何かがオカシイ。
車両の空いた昇降口から見える景色は、窓から見える空の色は。

貴方の知っているものではありませんでした。

__数時間前のこと。午後の17時過ぎ、貴方はいつもの帰り道、いつもの電車に乗って家に帰るところでした。
当時は随分と疲れていたのでしょう、大勢の乗客の中に紛れるように、運良く座れた座席に座ることの出来た貴方は、そのままぐっすりと眠ってしまったのです。
そうして目が覚めた時には、車両内に人は殆どおらず、ご覧の通り(?)、全く見知らぬ場所に着いてしまった訳です。

(ヤバいな、乗り過ごしちゃったかな…?)

目的地の最寄駅からかなり通り過ぎてしまった駅に着いてしまったのかもしれない、と考えた貴方は、駅員が来るか、再び電車が動き出すかを待つために座席に座り続けていましたが、どうも電車が動き出す気配も、駅員らしき人物が来る気配も感じられません。
何だか嫌な気配がした貴方は、外の様子を見るため、少しの間だけ外に出てみることにしました。

昇降口から一歩足を踏み入れ、硬いコンクリートを踏み締める感覚。消えかけているのか、細かい点灯を繰り返す電球。横向きに隊列を成す、古ぼけたベンチ。文字が掠れて読めない時刻表。
古いながらも妙に小綺麗な駅のホーム。見たことのないパッケージの飲み物のサンプルが並ぶ自動販売機。木々が立ち並ぶ、何処か殺風景な風景。そして何より、この世の物とは思えない、深い群青色のW夕焼け空W。
そこまでを視界に入れた瞬間、ザァ、と風が吹き、貴方の髪と服を靡かせます。
一抹の恐怖を感じた貴方は、すぐに電車の車両に戻ろうと振り返りました。
すると__

どういうことでしょうか、電車は跡形も無く姿を消していたのです。

「…………!?」

何処か異様な駅に取り残され、しかも帰るべき場所へ帰るための手段を失い、貴方は恐怖と不安と共に立ち尽くします。
貴方が戸惑っている内に、群青色の空は遠くに見える山々の向こうから徐々にW赤くWなってゆきます。

どうしよう、と貴方が考えた時、遂に寿命が尽きたかのように消える電球。たちまち赤い闇に飲まれる空間。それは貴方の中の不安を増幅させる他ありませんでした。
とにかく、この空間から逃げ出したい。そう思った時、背後から知らぬ声がしたのです。

『__あんた、見かけない格好だね。そんなとこに突っ立ってたら危ないよ』




(……どうして、自分は此処にいるんだろう?)

数十分後、貴方は、貴方と同じく迷い込んだらしい人々と共に__大広間の宴会騒ぎのど真ん中に座っていました。

『いやはや、皆様、よくぞこの辺鄙な村にいらっしゃいました』
『かんぱーいっっ!!おらーっ!飲め飲めー!はっはっは!』
『こらこら〜、酒飲めない奴もいるんだから自重しなさーい』
『……。(チラッチラッ)』
『ふふっ、久し振りの来客だから、みんなはしゃいでるのね。さぁ、貴方たち。知らない場所に来て少し怖かったでしょう?今くらいは、一緒に楽しく騒いで、恐怖なんて吹き飛ばしちゃいましょ♪』

大広間中をはしゃぎ、早い頃から酔っ払っている者。静かに食事を口に運びつつ、貴方たちにチラチラと視線を送る者。成すすべも無く縮こまっている貴方たちに親しげに話し掛けてくれる者。多種多様に動く住民らしき者が、今正に開かれている宴会を思い思いに楽しんでいます。
此処に連れて来られる以前に不安を齎していた駅とは裏腹に、そこはたいへん騒がしく明るい場所でしたが、どうしても、貴方は周囲と同じようにはしゃげませんでした。

だって、宴会を楽しみ、騒いでいる者たちの、その殆どの姿は。
どう見ても、人には見えなかったのですから。

『…あんた、大丈夫か?…此処の連中は皆WああWだからな、そうなるのも無理無いか』

気が付けば、貴方の側には、あの時の駅のホームで貴方が声を掛けられた、昔の人のような服を着た人物が座っていました。
その人物は、周囲と比べるとかなり人間らしい見た目だったので、若干の警戒を残しつつも、何処か安心感を得た心持ちで、貴方は慎重に口を開きます。

「…あの」
『ん?』
「…此処は、何処ですか?」
『?…あぁ、もしかしてあんた、駅の名前見てなかったのか?
…此処はW明識呑之村(アカシノノムラ)W。あんたらみたいな、あんたらの住んでた場所で問題抱えてた連中が時折迷い込んでくる場所だよ。
……まぁ、あんたらン所の言葉を借りりゃあ、W異世界Wって奴かねぇ?』


そうして、貴方は…いいえ、貴方たちは、人間とは違う異形ばかりが住む異世界の村で暮らすことになりました。
貴方たちが元の世界に戻り、元の生活を送れるようになるのは__まだ、先のこと。



【ようこそいらっしゃいました。私の過去のスレッドをご存知の方々、また懲りずに新スレ建設でございます(((
本スレッドは、何やら重たい過去や人生の課題を抱えて生きていた人間たちが、自らにとって最重要な記憶を失くした状態で某都市伝説の駅そっくりの駅から異世界の村へ迷い込み、そこの住民たちと交流しながらのんびりと生活していく世界観となっております。シリアスは殆ど無い予定です。え?人間たちの設定がシリアス?はて何のk(ry
人外だらけの異世界に迷い込んでみたい方、人外になって生活してみたい方、どちらも大歓迎でございますので、詳しく知りたい方はサブ記事へGO!←殴】

メモ2019/08/18 12:33 : 本編始動!(スレ主)☆iFOiR2juBrUr @reirin16★iPhone-t2Gdx8uNU5

【伝言板】


本スレッドは只今サブ記事のみ解禁中でございます。本編への書き込みはもう暫くお待ちください。

また、ご予約から1週間以上過ぎてもプロフの投稿が確認されておりません方々はご予約を取り消させて頂いております。たいへん申し訳ございません…。

皆さまのご参加をお待ちしております。


【予約・参加状況】(ご登録致しましたキャラクターについてはリンクを貼らせて頂きますので、詳しくはそちらをご覧下さい)

@明識呑之村に迷い込んだ人間(7名)→残り4名

・紗渚様

…暮原 ナユン(くれはら ---)/女(http://mb2.jp/_subnro/15848.html-36#a

・酢橘様

…蓬生春(よもぎはる)/男(http://mb2.jp/_subnro/15848.html-21#a

・友禅様

…紫綬鳳(しじゅ・おおとり)/女(http://mb2.jp/_subnro/15848.html-19#a


A明識呑之村の村民(無制限)

・レーリン(スレ主)

…如月 蓮太郎(きさらぎ・れんたろう)/男/鬼(http://mb2.jp/_subnro/15848.html-16#a

・雲魔物様

…倉敷 雪之助(くらしき ゆきのすけ)/男/手の目(元人間)(http://mb2.jp/_subnro/15848.html-24#a

・フィリ様

…県 みなし(あがた ―――)/女/送り犬(http://mb2.jp/_subnro/15848.html-34#a


B人外と人間の混血(10名)


C明識呑之村の代表者(1名)

切替: メイン記事(16) サブ記事 (37) ページ: 1


 
 

本編始動! @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

これは、此処ではない世界の物語。

日が落ち、我々の知る闇の黒とは違う紅のそれに包まれた村の中心。そこには時計塔を備えた大型の平屋があり、その窓や出入口からは闇の紅を掻き消す如く明るい灯が漏れ出し、それに負けないくらいの賑々しい騒ぎ声と音楽が流れている。
その平屋の内部では現在、とある訪問者たちを歓迎する宴が開かれているのである。彼らに出会えた喜びと興奮のためか、はたまた酒の力か、宴の参加者らの大部分が訪問者らよりも明るくはしゃぎ回っているのであった。
彼らをそこまで喜ばせる訪問者____彼らは、とある過去が切っ掛けでこの村に迷い込んできた者たちであった。

この出会いは偶然か、必然か。
彼らが元の場所へ還るための道はただ一つ。
それは____。


【如月蓮太郎/集会所】

「やれやれ……此処の住民共は相変わらず賑やかなもんだねェ。宴会なんざ、しょっちゅうやってるようなモンだろうに」

歓迎すべき主役たちを中心にどんちゃん騒ぎを繰り広げる村の同胞たちを、大広間の隅で猪口に注がれた酒をチビチビと啜りつつ、青色の書生スタイルの青年は呆れた風に眺めてそう呟いた。

『おぉ〜い!酒が切れたゾ〜!早く持って来いやー!』

空になった酒瓶を片手に、自らの酒への欲求を全開にしている者。

『ウフフ……このくらい人口が増えるなら、このくらい品揃えを増やして……ウフフ……』

新たな訪問者を眺めながら怪しい笑みを浮かべている者。

『ねーねーアナタ!ちょっとあの人たちに質問してきてよ!トゲだらけの魚は肴に合いますか?って!』

隣の同胞に訪問者へ可笑しな質問をするよう頼んでいる者。
皆、いつも通りに思い思いの感情を爆発させている。中には訪問者へ声を掛けている者もいるが、大抵彼らからは困惑した反応を向けられているように見える。
……それも当然だろう。訪問者たちと我々村の住民は姿も種族も違いすぎるのだから。
彼らを村へ連れてきたのはこの青年である。別に放っておいても良かったのだが、彼らにとって完全アウェーであろうこの地に、しかも山奥に置いてきぼりにするのは些か良心が痛むという理由から、わざわざ声を掛け、安全な村の中まで案内したのである。
それを知った村中の者たちは、突然の訪問者に浮かれまくり、普段以上に羽目を外しているようだった。

「はぁ…。ちょっくら、助け船でも出してやるとするかねェ」

宴が始まって以来、彼らのことを遠目に眺めるだけであった青年だが、ようやく動く気になったのか、片手の猪口を傍らの盆に置くと、遂にその重い腰を上げる。
畳の上をスタスタと歩き、彼らの背後に当たる位置まで来ると、彼らに絡んでいる者に声を掛ける。

「なァ…ちょいと席、譲ってくれねーか?俺も、こいつらに話してェことがあんだよ」
『んー?何だよ〜蓮太郎?交ざりないんなら交ざりたいって素直に言えばいいのに』
「…俺とこいつらWだけWで話してーんだ。村のこととかも教えてやんねーといけねェだろ?」
『あーん?……ちぇっ、わーったよ!但し、後でこっちの酒にも付き合ってもらうからなー?』
「はいはい」

相手からの約束が取り付けられた上で、その者が別の同胞の元へ行った後、青年は訪問者の一人に「……隣、いいか?」と声を掛けるなり、相手からの返事も待たず隣に緩慢な動作で腰掛ける。

「…あんた、大丈夫か?…此処の連中は皆WああWだからな、そうなるのも無理無いか」

相手が戸惑っているであろう最たる理由であろう、周りにいる同胞たちの騒ぐ姿を眺めつつ、あまり覇気を感じられない気怠げな口調でそう語り掛ける。
先程駅で出会ってから困惑し続けている彼らに、此処はそれほど恐ろしい場所ではないということを教えてやろう、という、彼のほんのお節介心からそうしたのだった。

>人間ALL


【初っ端から拙い文章によるお目汚しすみません!!これより本編開始でございます。
場所は宴もたけなわの宴会会場。周りのモブ住民共は酒の力やら何やらでお祭り騒ぎ状態でございます。そして訪問者である人間の皆様はその中心に座っているような状況です。現在の宴や今後の異界村ライフを是非楽しんで頂けたらと思います!】

5ヶ月前 No.1

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_JyS

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5ヶ月前 No.2

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_8cp

【蓬生春/集会所】

「ふう……! いやー、社長に就いてからはこう言う落ち着く機会なんてほぼほぼ無かったからさ。やっぱりこう言うのんびりリラックス出来る場で友達とわいわい一緒に遊ぶって言うのが一番楽しいんだよ、うんうん」

どんな世界の果てでも、そうそうお目にかかれそうに無いまさに異世界と言うべき光景に身を全て委ねて彼、蓬生春は集会所に楽しそうに色んな住民と酒等を飲み交わしていた。

当然、場違いどころか世界観のレベルでこの異界村には合わない高級感溢れるスーツを着こなしている彼は、少し前に異世界に飛ばされたばかり。しかしその人間らしさを欠如する程の楽観的な性格が幸いしてか、まるで強靭なメンタルでも持つ主人公の如く、見た限りだがこの空の色さえ違う異世界に馴染んでしまっていた。

「でもこの機会に分かったんだよねー。僕はやっぱり、道を正してくれる、導いてくれる友達がいないと駄目だって。だってこの異世界で突然、一人ぼっちになった時、急にとんでもない絶望感が襲ってきたもん。本当、死にたくなるくらい苦しかったね。まあ、今、生きてるし、君達と逢えたから楽しいけど! でもあの時、何故か友達を失った感情も襲ってきたんだ。絶対に……絶対に、そんな事、有り得ないんだけどね。気でも狂ってたのかな?」

しかしやはりまだ慣れない状況に混乱しているのか、ちょっと彼自身でも分かる程に急な異変を感じているのが分かっていた。

「まー、別にどうでも良いけどね! はいはい、僕、その友達の為に頑張ってお酒飲めるようになったから一緒に呑んじゃいましょう!」

そして絶対に考えるべき大体の疑問を忘れて、今を楽しく生きるべく、彼は、蓬生春は、まだ名前を知らない、どの世界の出身も知らない人達と宴会を遊んでいた――

>>周辺ALL

【メイン記事解禁おめでとうございます。またサブ記事にて全然、ご意見等出来なくて申し訳ございません。せめてスレ主様が描く異界村ライフを楽しませて頂けたらと思います!】

5ヶ月前 No.3

雲魔物 @cloudian ★Xkv963n3op_CE7

【倉敷 雪之助/集会所】

宴会は好きか、と問われれば雪之助は頷くだろう。
じゃあ騒ぐのは好きか、と問われればちょっとばかり困った表情で頬をかくだろう。

宴会で皆が騒いでいる様子を見るのは楽しいし、自分も思わずウキウキしてしまう。だけども、自分自身が騒ぐというのはちょっとばかし性に合わないと自覚している。酒が入れば自然と騒いちまうもんだと、ある妖怪のおじさんに言われたことがある。だが、残念なことに雪之助は酒が飲めない。酔う段階なんてすっ飛ばしてすぐに潰れてしまうのだ。『元人間』というこの村でも異色な出生を持つ彼の体はまだ成熟しきっていない。実年齢90歳とは人間にしてみれば長寿だが妖怪にしてみれば若造もいいとこ。人間にして13歳の体を持つ彼の体はアルコールをまともに分解できないのだ。

酒でハメを外すこともできず、騒ぐのも性に合わない彼は、宴会場を歩き回って積極的に空の器に気を利かせて酒を継ぎ足したり、絡んでくるおじさんの話し相手になったり…また完全に酔い潰れてしまった人の対処にも回っていた。今はまだ一人二人しか該当者はいないが、増えるのも時間の問題だろう。その他、今日共に来ている義父の介護も大事な役目と心得てる。が、完全な盲目のはずの義父は下手すると自分よりスムーズな動きで静かに集会所の隅で茶を嗜んでいる。

お手洗いとか大丈夫ですかと隅に行って自らの義父に尋ねるが、義父は小さく首を振って呟いた。


「儂はいい。お前は、やりたいことをやりなさい。…例えば、今日の人間達に聞きたいこととか、ないか?」


そう言われた雪之助は思わずグッと息を飲んだ。男手一つで自分を育ててくれた義父は自分の心情をよく理解していた。
義父の言う通り、人間に対し雪之助は強い興味を持っていた。それは他の妖怪の方々のように自分と違うが故に、というだけではなく、元人間であった出生からも思うところがあるのだろう。何か一つの歯車が違っていたら、自分は彼ら人間と同じ立場だったのだから。自分の歳が若いが故に、生まれて初めて見る人間であったことも一因だろう。だが、今や人間達は宴会の主役。遠目から見る限りでも、ただでさえ多くの妖怪達に囲まれて大変そうに見える。こうなってくると、少しばかり気後れしてしまう雪之助。意を決して近づこうとしてみても、やはり先輩とも言える妖怪達の壁は厚い。軽くため息をついた雪之助は仕方ないなあと呟いて、聞きたいことを質問するのは宴会の終わった後、ご縁があったらってことにしよう。と諦めの境地に立とうとした。だがそんな時、ふと彼の手にある瞳がある光景を捉えた。片腕を伸ばしてその手にある目を細めてよくよく見てみれば、今日のお客さんの人間のうち、とある女性_この村ではまず見られないであろう独特な服装をした、微かに緑色を帯びた髪色の人_の元で、他に酔い潰れている人を発見したのだ。

それを認識した瞬間、彼は動いた。先程まで気後れしていた妖怪の先輩方の波を勇ましく掻き分けて、いともたやすく人間達の座る中央部へ到着した。


「あ、ちょっと失礼しますね、人間さん! この人運んじゃいますんで! ん、しょっと…」


女性に掌の目を向けてペコリと挨拶すると_これは目を見せつけている訳ではなく、相手を見て話す当然の礼儀として_左手は視界の確保のために使わず、右腕だけを使ってズルズルと酔い潰れたおじさんを回収。部屋の隅まで運ぶと、呼吸と意識が一応しっかりしていることを確認し、ほっと一息。

そしてスムーズに中央の人間達の元へ戻っていく。右手は視界確保のために前に向けつつ、左手には漬物や焼き魚などのおかずや酒が入った徳利のセットが乗せられたお盆があった。


「えっと、人間さん達、ご飯足りてますか? お酒もありますけど…飲みすぎちゃダメですよ」


先ほどまでは遠慮していた人間達の元へ堂々と切り込みに行く雪之助。これは別に肝が座った訳ではなく、完全に人間達への接待モードに切り替わったからだ。完全に修理屋でお客さんに対応するテンションのまま、静かな左手の盆を人間達の前に置いた。右手の瞳は人間達に向き、数回の瞬きをした。


>紫綬鳳様 集会所ALL


【解禁おめでとうございます! 読みにくく無理のあるレスですが、何卒よろしくお願いします。】

5ヶ月前 No.4

紗渚 @maimai12 ★Android=0dGxrabsEg

【 暮原 ナユン / 集会所 】

「はぁ…。どうして私、こんなところに来ちゃったんだろう…」

暮原 ナユンは分かりやすくため息をつき、目の前に出された野菜炒めを箸でつついた。
今日はさほど疲れる仕事はしていないのに、さっきから疲労感が半端ない。しかも、今までに味わったことのないそれだ。例えるなら、腹の上に重たい岩が乗っているかのような…そう、金縛りにも似た状態だった。
何故こんなにも疲れているのか。それは、驚いたりいつもと違ったりする状況が連続したからだろう。
考えてみれば、今日、仕事の帰りに電車に乗ったところから、もうおかしかった。いつもなら、同じグループのメンバー5人と一緒に、事務所から出る送迎車に乗って寮まで帰る。確か、気分転換に電車を使おうと思ったのだ。
…何故だ?いつもだったら、必ず「ファンに遭遇しないのうに、送迎車を使え」と言われるのに。車が壊れていたのだろうか。肝心な部分を忘れてしまっている。
もどかしさを振り払うように、お冷をぐいっと飲み干した。

「おっ、いい飲みっぷりだねえ。焼酎もう1杯どうだい?」

隣の席に座る女が、焼酎の瓶を片手に話しかけて来た。
ただの水なのに、酒と勘違いしているようだ。ナユンは16歳。未成年なので、酒はまだ飲めない。今は韓国にいるが、韓国の法律でもあと2年は駄目である。

「私、未成年なので…結構です。今飲んだのはお酒じゃなくて、ただの水ですよ」
「ああ、そうなのか。確かに、見た目がまだ若いもんねえ。ちょっと酔い過ぎたみたいだ、水でも貰って来るよ」

女は席を立ち、妖怪と人間のごみごみした空間に消えて行った。彼女の背中を見送り、お冷のコップに残った氷をガリガリと噛み砕く。

「次のライブまでに帰れるかな…?日本でのツアーだし、出来れば早めに帰りたいんだけど…」

そう呟いてはみたものの、心の底では「きっと暫く帰れないんだろう」と思っていた。
異世界に行って、1日2日で帰って来た人間の話など聞いたことがない。もしそう言うことになったら、世界初だと言う自信がある。
どうしてこんな場所に来たんだろう。事務所から帰る際、どうして送迎車に乗らなかったのだろう。ついつい疑問ばかり浮かべてしまい、慌てて首を振った。自分の悪いところだ。しかし、考える以外にすることはない。
仕方なく、自身が所属するK-POPのガールズグループ『(P)onyta!l』のデビュー曲の日本語版を小声で歌いながら辺りを見回した。
韓国訛りが少し入った自分の日本語が、妙に寂しかった。

【解禁おめでとうございます!初心者故他の参加者様やスレ主様のようなクオリティの高いロルを書くことが出来ませんが、徐々に慣れて行くと思うので、今はこれでお許しください。よろしくお願いします。】

> ALL様

5ヶ月前 No.5

フィリ @yuzuriha16 ★uYwEzQoSCH_8cp

【県 みなし/集会所】

宴会。
酒食をそなえ、歌舞などをして楽しむ会。さかもり。
また名をコミュニケーションの場ともいう。
みんなと食事するのも、祭りも大好きなみなしにとってはこういうにぎやかな場所は
どちらかというと好きな部類だったのだが、人よりも聞こえやすいこの耳ゆえに、宴会場の声はいささか頭に響く。
器用に頭頂の耳を伏せたみなしは、ちょこまかとあぶなげなく
人の波の間をすりぬけては、慣れきった手つきでカゴの中のものを手渡していく。

「どうぞです。どうぞです」

みなしは竹の葉に包まれた焼きおにぎりを無心で配り歩いていた。
この宴会に参加させてもらっているお礼というのもそうだが、店の宣伝という意味も兼ねていた。
もちろん、いま重きを置くのはお礼のほうだが、そういう意味では村の者が一堂に会するここはとても理想的といえた。
どうやら売れ行きは好調らしい。おにぎりを詰んだ山のてっぺんが平らになりかけたところで、
頭にねじり鉢巻を巻いたあずき洗いの妖怪から声がかかる。

『おう、今期も豊作らしいじゃねぇか。今食ってるこいつ、こし…なんとかだっけか?
これももちろんうめぇけどよ。やっぱり俺の好みとしてはもう少し粘みと甘みがほしいところだよなぁ。
あれからどーよ、この間のことちったぁ考えてくれたかい?』

「げんの りくえすと どおり、次は、こまち植えるです。
げんが教えてくれたおかげで、うるち米でせんべい作れたです。いっぱい大盛況です」

そう答えると「楽しみにしてるぜ」とつるりとした禿頭を撫で上げながら
人懐っこい笑みを浮かべる彼に自然と頬が緩んでしまう。こうして喜んでくれる顔を見ると、
もう少し商品の数を増やしたい、せめて米酒でも造れないものか、などと考えてしまうのだが、
実現までの道のりを考えるとため息しかでてこない。何を隠そう自分こと県 みなしはここ明識呑之村で米穀店など営んでいる。
そこで米を加工した品々を売りに出しているわけだが、あいにくまだまだ勉強中の身であるため、
そこで販売しているものも、そんなに品数は多くない。
人づてに聞いたもの、もしくはなんとか専門書とにらめっこの末、作り出したものと二種類あるわけだが、
どうにも活字というものが性に合わないのか、人に教えてもらう方に比重が傾いているのが現状である。
文盲ではないのだが、新しい商品を一品を増やすのに時間がかかりすぎている理由がそれだった。
とりとめのない考えに身をやつしながら、おにぎりもそれなりの数が知り合いの手に渡ったので、
自分も宴会に加わろうかと思ったとき、ふと、懐かしい匂いがみなしの鼻先をかすめた。

「新しい人間の匂いです」

酒とその肴と他の人が放つ匂いにまぎれてはいたが、
まるで一本の糸を鼻に繋がれたかのように匂いを追っていくと、一人の少女の元へと繋がった。
全体的に整った印象を受ける少女が隣の女性から酒を勧められている。
基本的にいいやつばかりのこの村だから、そんなことはそうそう起こらないとは思うのだが、
悪がらみされているなら助けないとと一歩踏み出したところで、女性が席を立つのが見えた。
どうやらみなしの杞憂で済んだようだ。小さな声で歌を歌う彼女に正面からゆっくりと近づいていく。

「なにしてるです。おなかすいてるです?」

送り犬としての本能なのかもしれない。
割と精神的に参っている人や、疲れている人を見分けるのは得意だったりする。
とりあえずなんでもない風を装って、みなしは彼女の目の前に焼きおにぎりの包みを差し出した。

【解禁おめでとうございます^^ これからよろしくお願いいたします】>暮原 ナユン様、集会所ALL

5ヶ月前 No.6

本編始動!(スレ主) @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【如月蓮太郎/集会所】

青年が訪問者たる人間の一人に話し掛けている間にも、一部の人間たちは様々な動きを見せていた。
彼の同胞たちから料理を勧められるままに淡々とそれを口にしている、彼の目から見ても大胆な髪色とファッションに身を包んだ、彼の見た目とほぼ同年代くらいの少女。
特に戸惑った様子も無く、心から楽しそうに同胞たちと酒を飲み交わしている、彼でも上等なものだと分かるスーツに身を包んだ痩せ型の男。
そして、物憂げな様子でお冷を飲み干し、小声で歌を歌っている、彼の見た目より若干若い見た目の少女。
出会ってから今まで彼らの名前を聞いていなかったが、それでも各個人を特定できるレベルの個性を彼らの外見から伺える。名前もそのうち分かるだろ、と青年は呑気なことを考える。
その他にも彼らと同時に迷い込んだらしい人間の一人が早くも酔い潰れたらしく、大胆な格好の少女の隣で倒れているところを丁度見かけたらしい、我が同胞である手の目の少年により介抱されていった。
手の目の少年の名は、確か『倉敷 雪之助』。今から100年以上前に赤子同然の姿で、何故か盲目となっていた手の目の修理屋__少ししてから、彼は雪之助に自らの目を譲ったことが分かった__に連れられてやってきたことを、青年も記憶している。それが今では立派に修理屋の仕事を全うできる程に成長しているのだから、時の流れとは偉大である。時々、自らの経営する店の備品を修理して貰うこともある。
次に食卓に並べられている煮物__当然、これは人間たちに提供されたものだ__の里芋を人間サイドの断りも無しに摘みながらチラリと視線をズラせば、誰よりも『帰りたい』というオーラを滲み出しつつ、お冷の氷を噛み砕きながら歌を歌っていた少女の元に、一匹…いや一人?の同胞が人混みを掻い潜り近寄り、お手製と思われる握り飯を渡しているのが見えた。
彼女は確か『県 みなし』という名だったか。下の名は彼女自身の一人称としてしょっちゅう口にしているので記憶しているものの、フルネームとなるといまいち確信が持てない程度には馴染みが無い。しかし彼女の作る米にはいつも世話になっている__主に本に熱中し過ぎ『飯くらいちゃんと食え』と、いつも贔屓にして貰っている技師から叱られ渡される米が彼女の米なのだ__。
ただ人間に話し掛けるだけで何の手助けもものを渡すこともしていない自分としては、別に頼んだ訳でもないのだが同胞二人に礼__と言えるかどうか微妙だが__を言いたく思い、薄い笑みを浮かべて声を掛け、直後に人間へと視線を戻す。

「精が出るねェ、お陰でこいつらの精神的負担が減るだろうよ。
…っと、そうだ。あんたら、まだ此処のことを知らねェんだったか?もし良ければ、俺が軽ぅく説明してやるよ。今はそんな気分じゃねーっていう奴もいると思うが…まァ、話半分に聞いてくれや。」

スーツの男はともかく、この現状に怪訝な反応を示す少女二人に特に聞かせるようにそう言うと、まるで今から重要な話をするかのように__実際、彼にとってはそうなのだが__青年は咳払いを一つすると、食卓に片肘を突き、人間たちの顔をその青い瞳で見渡しつつ口を開く。

「そういや、自己紹介もまだだったか。さっきも駅で会ったと思うが……俺の名は如月 蓮太郎。如月堂っつー古書店を営んでいるモンだ。そして、此処は明識呑之村(アカシノノムラ)ってェ所だ。…変な名前だとは思うが、いい村だぜ?
もう気付いているだろうが、此処はあんたらW人間Wとは違う奴ばかりが住んでいる所だ。あんたらの所で言えば…そうだな…W異世界Wって奴だな。人間はたま〜にしか来ない。何せ、此処は人間の棲むべき世界と違うからな。
……で、こっからが本題って奴だ」

蓮太郎と名乗った青年は、自己紹介と共に村のことについて軽く語った直後、突然真剣な声音に切り替える。そう、此処からが人間たる彼らにとって知るべき情報なのである。

「この村に運悪く来ちまった人間ってのはなァ……その全員が、元の世界で何らかの問題__自らのW人間としての価値Wを自ら失っちまう程の何かを抱えているんだよ。当人共は忘れてるがな。多分、何か忘れてるような違和感を覚えてる奴が現に今此処にいるんじゃァないかい?
原理は知らん。ただ、奴らは何か重要な記憶を『何か』に奪われてて、元の世界に戻ることが出来た奴はその記憶を『何か』から取り戻せた奴だけってコトは確かだ。それは容易なことじゃねェ。とにかくゆっくり、長い時間を掛けてソレを受け入れる準備でもすることだな」

そこまでを一方的に語ると、たちまち黙り込む。
どうやら、今の話を聞いた人間側の反応を待っているようだ。

>集会所ALL


【いつの間にやら、いいね8個ありがとうございます!そしてスレ主とは比べ物にならない皆様の素敵レス文に打ち震えております…!(((
せめてスレ進行はちゃんとしていく所存ですので、改めてどうぞ宜しくお願いします!!】

5ヶ月前 No.7

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_JyS

【 紫綬鳳 / 集会所 】

 酒に溺れて眠りこける男の寝言が漫談くらいの五月蠅さになってきたところで、宴会の介抱係を積極的に買って出ているのであろうと想像のつく気の良さが滲み出た青年が近くにやって来た。顔についているほうの目玉は前髪で隠されていて代わりに両手についた目玉が大きく開かれた特徴的な容姿をしているが、そういうあからさまに人間ではない造形の住人は他にも幾らか居るため、今さら悲鳴を上げて驚いたりはしない。むしろ見慣れた現在となっては幼げで細っこくて可愛いな、と感じるほどだ。身体のラインでどことなく元カレの一人を思い出す。確かアイツは、ツイッターに女装写真を上げてはバズる女装レイヤーとして活躍しているはずだ。付き合っている時はそういうタイプじゃなかったのに、人間どういう方向に転がるかなんて分からないものだ。
 閑話休題。ご丁寧に挨拶とお辞儀まで交えて隣の酔っ払いを余所へ運んでくれた少年は、再び人間らの固まっているゾーンにまで戻って来ると、なんとお盆に追加のごはんやお酒を乗せて運んでくれた。甲斐甲斐しいったらありゃしない。さっきまで隣に居た酔っ払いは少年の爪の垢でも煎じて飲んで道徳性やプライドの概念を取り戻すべきだと思うが、ちらりと視線をやったところで件の酔っ払いは座布団を枕代わりに相変わらず夢の世界の住民だった。酒の名前を鼾の合間に喚くのも続行中。あれはもう日付が変わるまで起きまい。

「ありがとう。随分と手厚い子ね。心配しなくても、貴方に引きずらせなきゃいけない破目にはならないわ。胸の分だけ重いもの、アタシ。さすがに初対面の男の子の腰にダメージ与えるのは申し訳ないもの」

 重さの表記にグラムよりキログラムを使ったほうが手っ取り早いサイズの胸を強調するように腕を組んで、豊かな双丘を軽く持ち上げる仕草をする鳳。片目を瞑ってウインクまで付けている。なのに表情が悪戯っぽい笑顔でも妖艶な微笑みでもなく、常と変らずダウナー系能面フェイスなのがアンバランス極まりない。その温度差から、コイツ誘惑しようと思ってこういう仕草してるんじゃなくてノリでやっただけだな、というのが読み取れる。し、実際になんとなくやっただけで鳳に他意は無かった。
 その証拠に二、三秒後にはあっさりグラビアポーズ擬きを取りやめ、黒髪掌目和装少年が持って来てくれた漬物をひょいと箸先でつまんでいる。やっぱり醤油をちょびっと付けた白菜の御漬け物は至高だ。これが三切れもあれば茶碗一杯の白米はさらっと胃袋に収めてしまえる。チーズティーだのパンケーキだのタピオカだのも良いものだが、やはり日本人は遺伝子とか本能とかのレベルで塩っ気が美味いものであると叩き込まれているから。

「嗚呼、ここがヨーロッパ調ファンタジー世界じゃなくて良かったわ。お米が食べられないなんてちょっと耐えられないじゃない?」

 気持ち的にはお盆を手に持つ少年に話しかけているつもりだが、視線が完全に米と漬物に向いているため、どちらかというと食べ物に話しかけている女に見える。
 そんな茶番をかましている内に、さっき知人の性癖ドストライクだなと思った青年が有り難いことに村の説明を始めてくれた。白米と御漬け物と口元とを交互に行き交う手の動きはあくまで止めぬまま、けれど耳は青年の話に欹てて聞き洩らしの無いよう気を付ける。
 名前は如月蓮太郎。職業は見目にぴったりの古書店の店主。村のほうの名前は明識呑之村で、人間はほぼほぼ来ないし住人も人外ばかりの異世界。そしてこの村に来る貴重な人間には共通点があり、皆が皆、己にとって良くも悪くも人生を左右する規模の出来事を不思議と忘却してしまっている。元の世界に戻るためには、その大事な記憶をどうにかこうにか取り戻す必要がある、と。
 ……なんとも難解で曖昧な話だ。霧に包まれた心地である。黒闇々たる夜の中へと放り込まれ、灯りも無いのに探し物をしろと言われたみたいな気分。けれど。待っても夜明けが来ないなら、地力で宵闇を潜り抜けて目当てのものを見つけ、そうして傷だらけで太陽の昇る時へと生還する努力が必要だ。

「重要な記憶……ねぇ。一体アタシは何を失ったのかしら。アタシの目を焼き心を燃やし、人生を輝かせてくれる愛しの女神のことは何一つ忘れちゃいない。けど、アタシがアタシであることを左右するほど重要な価値のあるものがあるとすれば、それはこの世にジョゼフィータ・バルテだけだわ」

 初めて視線を食卓から虚空に移し、何処か遠くを見る眼差しでぽつりとつぶやく。誰に聞かせる為でもない静かな声色はかえって鼓膜をよく震わせた。

>如月蓮太郎様&倉敷雪之助様&ALL様

5ヶ月前 No.8

紗渚 @maimai12 ★Android=0dGxrabsEg

【 暮原 ナユン / 集会所 】

目の前に人…妖怪かもしれない…の気配を感じ、顔を上げる
そこに立っていたのは、犬の耳としっぽを生やした、自分とほぼ同じくらいの年に見える少女だった。身長は自分より小さいが、高校の同級生にもそれくらいの背丈の子がいるので、珍しくはない。もし元の世界で自分の高校に来たら、「可愛い」と愛でられる部類だ。
まあ、犬の耳やしっぽがある時点で、人ではないことは一目瞭然。実際はナユンより90歳も100歳も年上なのだろうが。
しかし、そうと分かっていても「可愛い」と思わずにはいられない。メールでやり取りしている日本の友達に、獣耳のキャラクターが大好きな子がいたはずだから、写真を撮って送ろうか。しかし、初対面でそれは彼女に失礼だし、第一この世界でのスマホは何の役にも立たない四角い板同然だと言うことを思い出した。
ナユンがそんなことを考えていると知ってか知らずか、少女は「何をしているのか、お腹がすいているのか」と問い、包みを差し出して来た。

「いや、別にお腹が空いてる訳じゃ…」

ないです、と言おうとして、包みから漂う食欲をそそる匂いに気づいた。
この匂いはなんだろう。絶対に嗅いだことがあるが、それが何だか思い出せるほど、ナユンの嗅覚は鋭くない。

「…でも、美味しそうなので頂きます」

包みを受け取って開けると、入っていたのは焼きおにぎりだった。もやもやが解消され、すっきりする。
韓国に引っ越す前、日本人の父がよく作ってくれた。父はシェフと言う訳ではなかったが、料理が得意だった。韓国に行ってからも、よく日本食を作ってくれた。韓国で手に入らない食材がある時は、代用出来るものがないか探し回っていた。
そんな父のことを、懐かしく思い出す。
1口齧ると、焼いた米の香ばしい風味が口いっぱいに広がり、思わず口元が緩む。そうそう、これこれ。不思議なことに、父が作る焼きおにぎりと同じ味に感じた。まあ、韓国に行ってからの6年間のうち、ほとんどはガールズグループ(P)onyta!lのメンバーと寮生活だったので、正確な味を忘れているだけなのかもしれないが。
それでも、この焼きおにぎりが美味であることは確かだった。あっと言う間に1つ食べ終わる。

「美味しかったです、ありがとうございます」

少女に視線を合わせ、にっこりと微笑んだ。
(P)onyta!lのファンに向けるものと全く同じスマイルだ。でも、所謂営業スマイルと言うものではなかった。ファンがいるからグループが成り立つ訳で、芸能人だからと偉ぶってはいけない、と言うのがナユンの持論だった。
笑顔を向けた瞬間に、(P)onyta!lのファンの姿が浮かぶ。何度もサイン会や握手会に足を運んでくれる、名前と顔が一致するようなファンもいた。ああ、暫く会えない。もしかしたら、一生会えないかもしれない。それは避けたい。
そう思っていた時、近くに立っていた青年が、人間のそばにいる妖怪達に声をかけた。そして、ナユンを含める人間達に自己紹介を始める。
如月 蓮太郎。古書店の店主で、店の名前は如月堂と言うらしい。此処は「アカシノノムラ」と言う名前で、思っていた通り人間が住む世界とは違う場所だった。
そして、何故此処に来てしまったのかと言うことについても説明してくれた。どうやら、自分達は元の世界に問題を抱えていて、その問題については忘れているらしい。先程抱いた違和感は、そのせいだとナユンは確信した。しかも、その問題が何なのかを思い出さなければ、元の世界には戻れないと言うのだ。
いつ帰れるかは分からない。ただ、ツアーまでには帰れないことは確かだった。そうと分かると、ナユンはあまりうじうじしなくなった。もやもやが取れれば、意外と切り替えが早いのだ。

「やっぱり、暫く帰れないんですね…まあ、何となく分かってましたけど。あー、ちょっと残念だけどすっきりした!私の重要な記憶って、一体何なんだろう」

前半は蓮太郎と目の前の少女に向けての台詞、後半は独り言だった。
嫌な予感がしたが、その正体は掴めない。これが「忘れている」証拠なのだろう。

> 如月 蓮太郎様、県 みなし様、ALL様

5ヶ月前 No.9

フィリ @yuzuriha16 ★JVjFpIdrgV_Bka

【県 みなし/集会所】

ここに来たばかりの人間はわりかし遠慮がちな傾向にあることを知っていたが、
目の前の少女はそれが少し顕著であることをみなしは理解した。
うまく言葉にできないのだが、警戒しているというよりかは、一歩距離を置かれているとでも言えばいいのだろうか。
しかし、おにぎりの匂いにつられたのか、最初は遠慮がちだった彼女も、みなしの手の中にある包みを受け取ってくれた。
しかも、それをすべて平らげてくれた上に、微笑みまでくれた。
その健啖ぶりと笑顔を見て、みなしの尻尾が最高潮を表したのは言うまでもない。

「やっと笑ったです。みなし知ってるです。
人間つらいとき、くるしいときあるですけど、それでも無理して笑うことあるって」

この場合の笑うは単に笑顔のことだけを言っているのではないのだろう。
表情こそ変化は微小なものだったが、今にも飛び跳ねそうなみなしの内情を、
はちきれんばかりに残像をつくって揺れる尻尾が全て物語っていた。
そうこうしているうちにも、古書店を営む如月 蓮太郎からもはやおなじみとなった説明が開始される。
彼の言葉を聞いたみなしは反応を示すかのように、その頭頂にある両耳をぴんと立てた。

「れんたろーです!」

親しげにそう呼んではいるものの、彼と直接的な面識はない。
なんなら今直接かかわりをもったといっても過言ではないくらいだ。
なら何故、みなしが彼のことを知っているかというと、ただ一方的に知っているというだけだ。
主に、自分が営んでいる米穀店に訪れる彼の知人の口を介して。
確かこちらから言わなけば飯もロクに食わないやつがいるとか何とか嘆いていたのを思い出す。
妙な使命感にかられたみなしは聞きたいこともあったので、すぐ近くにいた彼に視線を向ける。

「れんたろーにもおすそわけです。ごはん、ちゃんと食べないとだめです」

ずいと竹の葉にくるまれた包みを彼の鼻先に差し出しながら、
みなしは先ほどから疑問に思っていることを口に出してみた。

「この人たち、すむ場所どうするです? すむ場所困ってるなら、私、店、よゆうあるですけど。
ごはん困らないです、たくさんあるです。りそうのしょくばです」

マイペースというかフリーダムというか、これから彼が説明するであろう言葉を先取りして
ない胸をどーんとたたきながら、鼻息荒くみなしは力説する。
純粋にこの村の一員として役に立ちたいというのもそうだが、単に一人住まいは寂しいというのも本音の一つだった。
まだみなしがこの村にくるまでには、それこそ毎日と言っていいほど人との関わりは密接だった。
一人暮らしを始めてからというもの、だからこそ余計に、あの頃のことを思い出すのかもしれない。

「思い出せない記憶、あるなら しばらくここで過ごしてみたら思い出すこと、あるかもしれないです。
それまで誰かの家、住まわせてもらうといいです。みなしは大歓迎です」

先ほど話した少女を含め、蓮太郎から説明を受けていた全員に聞こえるような声でみなしは言った。

>暮原 ナユン様、如月 蓮太郎様、集会所ALL

4ヶ月前 No.10

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【如月蓮太郎/集会所】


余程村の白飯と漬物が気に入ったのか、大胆な格好の少女はそれらを交互に食べながら此方の話に注意を向けているようだった。
普通の人__この村にはほぼ人外しかいないが__が見ればただ一心不乱に食事をしているようにしか見えないだろうが、蓮太郎は話をしながらもそれに気付くことができた。嘗て此処を訪れた人間らの中にも、同じようなことをしていた人間が複数人いたために、少しずつ彼らの思考を読み取ることができるようになったことが理由だろう。
一方、歌を歌っていた少女はみなしの焼きおにぎりの味に気分が綻んだのか、完全にとは言わないがいくらか落ち着いたようだった。

『重要な記憶……ねぇ。一体アタシは何を失ったのかしら。アタシの目を焼き心を燃やし、人生を輝かせてくれる愛しの女神のことは何一つ忘れちゃいない。けど、アタシがアタシであることを左右するほど重要な価値のあるものがあるとすれば、それはこの世にジョゼフィータ・バルテだけだわ』
『やっぱり、暫く帰れないんですね…まあ、何となく分かってましたけど。あー、ちょっと残念だけどすっきりした!私の重要な記憶って、一体何なんだろう』

そして、蓮太郎の話を聞き終えた二人は口々に異なった感想を述べる。しかしながらやはり、二人とも此処に迷い込む以前のW重要な記憶Wについて心当たりがない様子だった。

「……まァ、そう考えるのが普通だわな。人間ってェのは皆そういう大事なモンを失って此処に来る訳だ。そんでも、その大事なモンが取り戻して良かったのかどうかって悩む内容の奴もいたがねェ…。それでも、何とか足掻いて、足掻いて、足掻きまくってでもそいつを取り戻すべきだと、俺は思うが」

二人に向け小さく溜息を吐いて後、蓮太郎はもう一言口にし、続けて自らの意見らしきものも付け加えた。
嘗ての人間たちの多くは、その人生を終わらせてしまいたくなる程辛い経験をした者が多かった。きっと、彼女らも彼女ら以外の人間たちも、そういう者がいるだろう。
しかしそれでも、記憶を取り戻して元々の居場所へ戻って欲しい__それが、蓮太郎の考えであった。

>鳳、ナユン、集会所ALL


村の来訪者たる人間たちに話をしていると、突然すぐ側から声が耳元に飛び込んできた。若干驚いて隣に視線を向けると、頭の犬耳をピンと立て、此方に笹の葉で包んだ物体を差し出すみなしの姿があった。

『れんたろーにもおすそわけです。ごはん、ちゃんと食べないとだめです』
「…………あー……悪いね、気を遣わせちまって。いつもお世話になってるってゆーか…。最近はちゃんと飯食ってるから、心配しなくていいよ……多分」

獣から妖怪へ変わった存在故か若干舌足らずな口調で、しかし此方の痛いところをつく言葉を以って此方に話し掛ける彼女に、蓮太郎は数秒呆気にとられるも、その表情は徐々に申し訳なさそうな、この場を取り繕うような苦笑いに変わり、多少自信のなさげな返事を口にしつつ、差し出された包みを受け取った。
蓮太郎は所謂本の虫である。それ故に暇さえあれば本を読んでいることが多く、本の世界に入り浸りすぎて寝食を忘れたり、今ではもう自らの身体の一部と呼んでも良い義足の点検を忘れてしまったり__以前は違うものを使っていたが、放置していたことが災いして数ヶ月前に破損してしまった__と、最早生活に支障を来す程の重症であった。
逆に言えば、本さえ読まなければまともな生活を送ることができるのだが、彼に一生本を読むなと言うことは彼にとって極刑に近い。そもそも彼だってやわでは無いのだから、ちょっとやそっとでは死にはしないのだが。
人間たちへの話を終えたところで、みなしは彼らの住む家をどうするのか尋ね、自分の店に住まないかと彼らに宣伝し始めた。彼女は元々人間たちとの接触が多かったのだと以前知り合いから聞いたことがある。久しぶりの人間で嬉しいのか、表情は読み取りにくいものの彼女の言動や尻尾の動きが彼女の心情を物語っていた。
実を言うと、人間たちの住む場所については考えていない。そもそも村の説明をすることしか頭になかった。己の古書店に住まわせてやっても良いが、どちらかと言えば一人の時間の方が好きな蓮太郎としてはあまり乗り気では無い案件であった。まあ他の誰かに任せればいいか、等と無責任なことを考えつつ、蓮太郎は口を開く。

「そうだなァ…こいつらが住みたいって思うような家があれば、そこに住まわせてやればいい。お前の店に住んでみたい人間もいるかもしれねーからな」

そう言いながら包みを広げ、現れた香ばしい香りを放つ焼きおにぎりを一口齧る。
人間たちの反応を待ちながら咀嚼して数秒、「……うめーな」とボソリと呟いたのは別の話。

>みなし、集会所ALL

4ヶ月前 No.11

紗渚 @maimai12 ★Android=0dGxrabsEg

【 暮原 ナユン / 集会所 】

手のひらや指についた焼きおにぎりの名残り…香ばしい風味のする米粒を舐め取りながら、目の前の少女を見上げた。
表情こそ大きくは変わらないものの、腰から生えた尻尾が揺れている。それはもう、千切れるんじゃないかと心配になるレベルで。ナユンが焼きおにぎりを全て食べたことが嬉しかったのだろうか?確かに、自分があげたものを完食してくれたら誰だって嬉しい。その気持ちが素直過ぎるくらいに出ている尻尾を見て、ナユンの微笑みは更に深まった。 気持ちが落ち着いて来たように感じる。

『やっと笑ったです。みなし知ってるです。人間つらいとき、くるしいときあるですけど、それでも無理して笑うことあるって』

彼女…一人称が「みなし」なので、「みなし」と言う名前なのだろう…の言葉が、何となく心に刺さった。
そう言えば此処に来てから焼きおにぎりを口にするまでの間、少しも笑っていなかったと気づく。そんなに元の世界が恋しいのか、そんなに執着があるのかと自分で自分に呆れ、苦笑を漏らす。でも、そんな感情でも、表情筋が解れて行くのを感じるのはどことなく心地よかった。
次の瞬間、みなしの注意は蓮太郎へ向いていた。焼きおにぎりの包みを差し出し、「ご飯はちゃんと食べないと駄目だ」と説教のような台詞を口にしている。
蓮太郎は普段、あまりちゃんとした食事を取っていないのだろうか?確かに、毎朝決まった時間に起きて毎晩決まった時間に寝るような雰囲気は感じられない。まあ、憶測でものを語るのは失礼極まりない話なのだが。
それにナユンだって、決して健康的な生活を送って来たとは言えなかった。事務所の練習生時代は野菜しか食べない危険なダイエットをしたこともあったし、リバウンドで甘いものを食べ過ぎて肌が大荒れに荒れたこともあった。デビューしてからも、忙しいと朝昼晩全部カップラーメン。栄養の偏りなんて全く気にしていなかった。そう言えば昨夜も、遅くまでテレビを観ながらインスタントのトッポギを食べていた気がする…。「チーズ味が美味しいんだよね」なんて考え始めてしまい、慌てて首を横に振った。
異世界に来たのはいい機会かもしれない。食生活を見直そう。そう決心し、再び皿の上の野菜炒めに手を伸ばす。野菜が甘い。練習生の時にダイエット目的で食べていた野菜の、何倍も美味しいと感じる。まあ、あの時は自らの意思に反して食べていたのだから、美味しいと思わなくても無理はないのだが。インスタントではない自然な味が、何より心に沁みた。
野菜炒めの皿の手前に置かれているのは、味噌汁の椀だろう。具は豆腐とワカメらしい。スタンダードな日本の味。これも久しぶりに食べる。汁を啜ると、その温もりと味噌の風味にに心が解れた。大分この場に慣れて来たらしい。此処に来たばかりの時は一生馴染めないような気がしていたが、案外そうでもないのだと気づく。
徐々に食欲と元気を取り戻し、味噌汁の具を咀嚼しながらみなしと蓮太郎の会話に耳を傾けた。
みなしは、この場にいる人間の住む場所を心配してくれているらしい。自分の店なら余裕があるし、食には困らないと言っている。1言2言ではあるが彼女とは言葉を交わした訳だし、これも何かの縁だ。彼女の店の住人に立候補してもいいかもしれない。
対してその話を聞いた蓮太郎は、同意の台詞を口にしながらも乗り気ではなさそうだった。1人でいることが好きなのだろう。これもナユンの勝手なイメージなので、必ずしも当てはまるとは限らなかったが、彼の反応を見るに当たりだろう。
ナユンは味噌汁を飲み干して口元を軽く拭うと、みなしに向かって軽く手を上げた。

「よければ、お店に住まわせてください」


>県 みなし様、如月 蓮太郎様、集会所ALL様

4ヶ月前 No.12

雲魔物 @cloudian ★Xkv963n3op_CE7

【倉敷 雪之助/集会所】

今現在の雪之助は、修理屋としてお客と相対するような擬似的接待モードである。こういう時のお客との雑談はあまりこみいらず、相槌を打つ程度におさめ、個人的な感情は表に出さない。それが基本だが…


「はあ…お胸の分……ですか。うん…」


彼は少しばかりウブだった。平均年齢が高い妖怪の村なのにも加え、修理屋を利用するお客の年齢層も高めの方が多い。そしてとりわけ村の中でも若造の彼は、若い女性に対して適切な対応という経験に欠けていた。特に、女性がなんだか蠱惑的なポーズでウィンクしてくるときの対応が。指を折り曲げて手の目を伏せ、あからさまに動揺している彼は真に彼女が誘惑してこようとしているのか、それともノリでやっているのか判断する余裕はあまりあるまい。もっとも、仮に本気の誘惑を受けたとしても彼は100%丁重にお断りするだろう。ウブな人間_もとい妖怪というのは生真面目なものなのだ。まあ兎にも角にも、心配しなくても大丈夫と言われれば、少なからずホッとする。お酒の介護は手馴れていても、あまり多くやりたいものではない。雪之助のためにも、当人のためにも。自分が持ってきた食事を女性が食べているその様子の方が、彼にとっても健全だ。


そーこーしているうちに本題を切り出したのは、鬼の青年_もちろん比喩ではなく、種族しての『鬼』である_の連太郎さん。私事で交流がある訳ではないが、それなりにお客として修理屋を利用してもらっているために、言葉は幾度か交わしている。義足とは聞いていたが、それを思わせないほどに力は強く、修理品をお届けする際に雪之助の補助を必要としたことはないほどだ。

自身の何倍も長生きをしている鬼の青年が話す、人間達が何か問題を抱え、失った上でここに来たという話…初めて聞きました!などとはもちろん口に出さない。人間達が知るべき真剣な話に自分の感想など不要。とはいっても心の中で「そんなことが…」と呟いたりはしていた。この村が人間にとって如何に不思議なものなのか、考えたこともなかった。曲がりなりにも元人間だが、外からやってきた人間と触れ合うのは自分の人生で初めて。今まで考える機会すらなかったことだったからだ。

なんだか自分の人生の中でも結構重大な場に立ち会っているんじゃないか、と雪之助が考え始めた時、自分の持ってきた料理を食してくれた女性の言葉に、思わずちょっと反応してしまった。


「女神…カミサマを知っているのですか? …あっ、と…ゴメンなさい。つい…」


前半の言葉はほぼ無意識の問いかけ。後半はそんな無意識の問いかけを発してしまったことへの謝罪だった。明らかに自分に向けられた言葉ではないのに、それに反応して問いかけてしまったことに対する謝罪。神様という存在についての話は、雪之助は雲をつかむような話しか聞いたことない。義父は「人々がそう思えば、そうした思いが神になる」という感じの、分かるような分からないような話をしてもらったことがある。また極々少数だが、この村にも所謂全知全能のような神が存在する、と信じている住人もいる。といってもその信仰の度合いですら大きく差異があるくらいだが。だからこそ、人間の口から出た「神」…もとい「女神」という言葉に反射的に応じてしまった。だが…ふと改めて彼女の言葉の全体を脳内で反芻してみると、さっきの「女神」という言葉は…そのまま「神」を指すのではなく、単なる比喩として用いただけなのでは……と察した。勝手に反応した挙句、見当違いな問いかけになってしまった。と彼は恥じて顔をちょっと赤くした。


>紫綬鳳様 集会所ALL

4ヶ月前 No.13

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_sEg

【 紫綬鳳 / 集会所 】

 近くの席に座っている洒脱な少女も、自分と同じく『失った記憶』の明確な心当たりは無いらしい。どうやら今日や明日に帰れるお手軽な展開を望むのは無理そうだ。数ヶ月の長期戦を覚悟しよう。
 となると、どこか幼げな印象の喋り方をする犬耳の彼女が口にした通り、暫く住む場所が必要だ。醜きと汚きとを疎む年頃の女としても野宿は御免である。最悪寝床は狭くても良いからお風呂には浸かりたい。それに化粧水や乳液といったスキンケアのグッズも手に入れたいが、この村ではそういうものは売っているのだろうか。無いならあるだけの材料をかき集めて自作の道に走るしか無い。へちま水とかなら、確か江戸時代にも流通していたくらいだしこの村の文明度で制作可能な筈だ。
 不可思議な村で入手可能な美容アイテムについて思索している内にも、話はどんどん進んでいく。どうやら家は住みたければそこに住んで良い、くらいのざっくりした決定に落ち着きそうだ。空家があればそこを借りてお針子でもやっていこう。無理ならまあ、他人と同居しながらでも服は縫えるしデザインは考えられる。過ぎた我儘は言うまい。

「ねえ、ここら辺で洋服を売っている住人の家ってあるかしら? あるならその人の所に住ませて欲しいわ。無いなら……そうね、できれば空家にでも一人で住みたいけど。無理は言わないから、その時はお風呂のある家ならどこでも住むわ」

 完食した白米と漬物が入っていた空の器にご馳走様でしたと手を合わせてから、こちらも軽く上げた手をひらひらと振って自分の意志を表示する。
 さらに付け加えるなら住人の性別は自分と同じ方が良いけれど、そういうのは口に出さなくても大体同性が選ばれるものなのでまあ大丈夫だろう。

「ええ。知っているわよ、女神。野原の蝶で、この世の春。見る幸福で、感じる天国。並はずれて美しいから誰からも愛されて、きっとアタシ以外にも彼女を女神と仰ぐ者は大勢いる。もっとも、彼女をそう認識した上で近くに居座れるくらい逞しい精神の持ち主は今のところアタシだけだけどね。……まあ、たぶん貴方の求める明確な神様とは別物だけれど。それでもアタシにとって、彼女は本物以上に絶対の女神よ」

 恥ずかしがる手の目の少年に嬉々としてそう返し、最後にはえっへん、という声の聞こえてきそうな誇らしげな表情でそう締めくくる。
 鳳の心に永遠に死なず在りぬる美貌の女神。その存在感は世界を跨いだ程度では揺らがず、記憶の中の彼女は今日も今日とて決して穢さぬ聖域の娘であった。

>如月蓮太郎様&倉敷雪之助様&ALL様

【今から遅番で駆け足なのでちょっと雑な返ロルです。すみません】

4ヶ月前 No.14

フィリ @yuzuriha16 ★JVjFpIdrgV_khR

【県 みなし/集会所】

「ほんとです?」

ナユンの言葉を聞いてからのみなしの反応は早かった。
ピンと頭頂の耳が反応を示したかと思うと、シュン!とその姿が瞬間移動のごとくかき消える。
そして、ナユンのすぐ目の前に現れ、彼女の両手を掴んだみなしはきらきらした瞳で彼女の顔を覗き込んだ。
みなしは妖怪、それも送り犬だ。
頭頂の耳と腰あたりにある尻尾を除いて姿こそ人のそれとほぼ変わらないが、身体能力は人外のそれとなっている。
加えてその思考回路も極めて脳筋…いや、獣寄りなためこうして思わず考えるより先に体が動いてしまったのだろう。
嬉しそうに何度も彼女の手を両手で掴んで――それでいて人であるナユンの身を考慮してか彼女が痛がらない程度に――上下に振った

「やったです。家ついたら中あんないするです。
ごはんもたくさん食べるです。お風呂もいっぱいはいるです。それで毎日いっぱい遊ぶです。
きがえとか、ほかにもいろいろ準備しないとです。今日は遅いから明日そろえにいくです」

急に、いや、これが元来の性質なのか口数の増えたみなし。
既にみなしの頭の中にはめくるめくナユンとの夢のスローライフが展開されているのだろう。
今にも小躍りしそうな勢いで彼女の手を掴んだままその場でぴょんぴょん飛び跳ねたみなしは、
ある程度そうしてから満足したのだろう後ろ手に手を組んでナユンの顔を下から覗き込むようにして、
本当に微妙な変化で分かりづらいが口角を上げて微笑んで見せた。

「れんたろーれんたろー、さっそくひとり家族できたです。
れんたろーの言ったとおりです。いっしょに住んでくれる人いたです」

気分はさながら寺子屋に通う生徒のそれなのだろうか、はいはいと片手をあげながら何故か蓮太郎に報告するみなし。
それは単に今の自分の嬉しさを分かってほしいというよりも、
ズバリ今の状況を予見していた蓮太郎に対する驚愕の感情のほうが勝っているかのように見えた。
そんな中ぼそりと聞こえたおにぎりを食べた蓮太郎の呟きに薄すぎてわかりづらい微笑みを浮かべたみなしは、
ふと、視界の端にとらえたものに興味を引かれたのか、今度は目を丸くしてそちらの方向を見つめ始める。

「きれーな服。キョーミ深いです。
おねーさん、どこから来たです? どこかのお姫様です?」

この中でも抜きんでて――いや、逆に何故今まで気づかなかったのかと思うほどに主張の強い格好をした鳳の前に
ちょこまかと移動したみなしは屈んで彼女の服を眺めるように下から上に視線を移動させた。
いったいどこをどう見ればお姫様という結論に至るのだろうかとツッコミが入りそうだが、
たぶん頭まで野生児な単純思考のみなしの言動に深い意味はない。
そこでふと何事か頭をよぎるものがあったのか物思いにふけるかのように顎に手を当てる。
先ほどから耳に入ってきていた彼女の言葉を反芻するに、
どうやら彼女は服飾…もっと言えば洋服の売買をする店を宿に希望しているらしい。

「洋服屋……よくうちにごはん買いに来てくれる
クモのおねーさんがいるですけど、れんたろーは何かこころあたりあるです?」

そのクモのおねーさんにすぐに話をもっていっても良かったが、なんせ客と店主の関係だ。
話をする程度に仲はいいのだが、必ずしも宿泊の許可が下りるとも限らない。
選択肢は多いほうがいいと思ったのだろうか、ともかくこういうときは
蓮太郎のような゛はくしき゛ な人に頼るのが吉だとみなしは知っていた。

「いまここにいる人間からは悪いにおいしないです。
だからきっと、どこに住むことになっても大丈夫です。みなしはみなしの嗅覚を信じるです」

小さく首を傾げたみなしは蓮太郎にも話をふってみる。

>暮原 ナユン様、如月 蓮太郎様、紫綬鳳様、集会所ALL

3ヶ月前 No.15

紗渚 @maimai12 ★Android=0dGxrabsEg

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3ヶ月前 No.16
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