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――The Last Elegy

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(1334) - ●メイン記事(111) / サブ記事 (108) - いいね!(20)

仮想世界/閉鎖空間/ゲーム/絆 @line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

 ――目を覚まして……あなたはこの世界の救世主……どうかこの世界を助けて……。

 祈りを捧げるような、女性の悲痛な声。真っ暗な意識の中でたった一筋の光だけが、懸命に自分を照らしている。
 一体何が起こるというのだろう。

(――どうかこの世界で生き残って……。なぜならこの世界は……)

 *

 空は灰色に曇り、空気は冬のように寒かった。少年はそっと白い息を吐き出し、ビルの屋上からスナイパーライフルを構え、それにマウントされている倍率7倍のスコープを覗き込む。
 骨組みだけの高層ビル、ひび割れた道路、赤く錆び付いた陸橋、倒壊した電柱。薄暗く曇った廃墟都市に蔓延るのは人ならざる化け物。赤い目をしたアンドロイドはぐるりと首を一回転させながら、自分を探している。
 少年は冷や汗を流しながらも引きがねに指をかけ、滑らかに力を加えた。ライフルが咳き込むような音をひとつ発する。
 直後、吐き出された弾丸はレーダーのように真っ直ぐに標的に放たれた。弾丸は心臓部に命中し、アンドロイドは音もなく倒れ伏した。
 少年はそっと息を吐き、汗を拭った。

 *

 空は青く晴れ、実在する街並みそっくりの景色が現れる。けれどこれは現実世界ではない。退廃都市を制圧したら街並みが現代に戻るだけだ。
 この世界に来てしまった理由は俺たちにもよく分からない。気付いたら退廃世界にいた、そう言うしかない。
 ここでの死は現実世界での死だ。決してこの世界で死んではならない。
 だから俺達は戦っている。いつか日常に帰るために。家族や友人にまた会うために。

 だから希望を失わずに、今日も戦い続けている。
 それが例え、どんな苦難があろうとも――。

【当スレッドは突然退廃的なゲーム世界にやってきた者たちが、ギフト≠ニいう物を具現化出来る能力を使用して元の世界に戻るために人外の敵をばっさばさ倒していくお話です。皆さんのキャラは最初この世界がゲーム世界だとは知りませんが、メインで明かしていこうと思います。
 興味のある方はサブ記事までお越し下さい……!】

メモ2019/08/08 22:42 : 遥☆1jppp41g33s @line★Android-Iph2i3QnCf

▼ルール(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-1#a

▼設定(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-2#a

 ┗元の世界/仮想世界について(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-26#a

▼プロフィール(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-3#a

▼第一章イベント(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-49#a

・イベント期間:7/4〜8/4

・ボス戦:7/18〜7/30

・ラストアタック:7/30

・ボス戦直後の様子:7/31〜8/5

・ドッペルなし


▼募集【サブ記事レス番105時点】

◎騎士団

*団長(騎士)〆

 :旅川 陽磨/たびかわ はるま/男/28歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-61#a

*副団長〆

 ・騎士:功刀 藍良(くぬぎ あいら)/男/21歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-4#a

 ・【キャラキープ中】騎士:神薙 獣華(かんなぎ じゅうか)/女/25歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-11#a

 

*情報通信局長(巫女):募集なし(もらいます。情報伝達にも使用します。初盤はいませんが後々出していきます)

 ・月代美言(つきしろ みこと)/女/23歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-27#a

*幹部

┗騎士:無制限

 ・宇佐 美実(うさ みみ)/女/17歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-20#a

 ・西園寺 鳴弦(さいおんじ めいげん)/男/22歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-24#a

 ・【キャラキープ中】湖朧 辰真(ころう たつま)/男/17歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-30#a

 ・旗条 凪雪(きじょう なぎゆき)/女/20歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-40#a

 ・島津 貴久(しまづ たかひさ)/男/21歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-46#a

 ・小百乃 咲彩(こゆりの さあや)/女/12歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-52#a

 ・千両 まな(せんりょう まな)/女/19歳(http://mb2.jp/_subnro/15846.html-95#a

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ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_khx

【都庁前駅付近/島津 貴久】

「何!? マジか!」

顔を敵から逸らさずに驚いたような声を上げる、さっきすれ違ったときにちらっと巫女服のようなものを身に着けていたのは分かっていたが……。
あ、巫女は日本における神官といっても差し支えない、神官服イコール巫女服という図式が成り立つじゃねえか、考えるヒマが無かったとはいえ少し考えればわかることだ。
頭の片隅でそう理解しながらも戦う手は止めない、こちらに飛びかかろうとしていた狼を大太刀で両断し、残りの敵も手早く片付けてナギと巫女服の女性の下へと駆けよる。

「終わったぞナギと巫女さん。いい腕だったぜナギ、それにしても敵が弱く少なくて助かったな」

大太刀を鞘に納めると武器を仕舞うイメージで大太刀を戻すと二人を見やる。
二人とも怪我などは無さそうで安心した。あとは鳴弦さんたちに連絡を入れるだけだが。

「とりあえず探し人を保護したって藍良と鳴弦さんに連絡を――――ッ!?」

それは突然の出来事だった、辺りが急に薄暗くなり上から声が降ってくる、上を見ると黒いローブで仮面をつけた男が浮いていた。
芝居がかった口調で色々言っているが、一言で要約すれば『私を楽しませろ』だ。ふざけやがって。少しずつ貴久の心に怒りがこみあがる。
見てやがれ自称神、いずれテメェの首を掻き取りに行ってやるからな、それまで首を洗って待ってろよ……!
何もできずに死んでいった奴のためにも、俺たちは決して負けられない。生きて現実に帰ってやる、絶対にだ。

「――連戦で悪いんだが、俺たちも新宿駅に行かないか? もしかしたら藍良や鳴弦さんも行っているかもしれないし、逃げ遅れた奴がいるかもしれない。
 しんどいかもしれないが、人の命がかかってるんだ、少なくとも今は俺たちみたいに戦える奴が戦わなきゃいけない、どうだろうか?」

至極真面目な表情で、そして二人に頼み込むように二人に言う。後でどうなるかはともかく今は戦える人数が圧倒的に少ない。
その上で戦える人たちがボスに挑み、各個撃破されたりしたら目も当てられないことになる。
やれることとやるべきことが一致した俺たちがやらなければいけない、だがナギとこの女性だけは俺が守らねばならない。
自分の提案で巻き込むのだ、その程度出来ずして何が島津だ、俺のご先祖様はもっと厳しい状況でも生き延びてきた、俺も今それをできなければいけないのだ。

>旗条凪雪、月代美言、(宇佐美実)、ALL

1ヶ月前 No.62

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

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1ヶ月前 No.63

リンネ @fallere825☆ogbfCh5GVvpt ★Android=WDXHwCBaoH

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1ヶ月前 No.64

雪鹿 @class ★Android=YCblo76hTC

【旅川 陽磨/新宿駅】

 まずは顔面に鳴弦に盾をぶつけられた大黒狼が一瞬の隙を突いて右足を斬り裂き、体勢を崩したところで鳴弦が左腕を斬る───見事。そう褒めたい気持ちに駆られたが、今はまだその時ではありませんね。しかし、まだ出会って間もないというのに中々に見所のある方々だ。鳴弦さんは少々心配ですが……今はまだ大丈夫でしょう。ええ、まだ頑張ってもらわねばならない。
 ひとまず、この分であるならば彼方は任せていても問題はない筈だ。とすると、私は私のすべき事。つまるところは守衛です……ええ、去る人々は勿論の事、彼等の背も。

 群れの主の危機を知ってか、あるいは目覚めた彼の残飯にありつくためか、群がり始めた狼達。大黒狼と戦いながら、これらの相手をするのは厳しいやもしれません……ま、私も守るだけというのは性に合わないですから、なんにせよ丁度いい。

「瓦礫では味気無かった所です……さあ、いきますよ!」

 背後から飛び掛かってきた狼を槍の柄が勢い良く貫く。それは前触れも無く的確なまでに心臓を穿ち、亡骸を後方へと打ち払って槍は引き抜かれる。それから、駆け出したかと思えば右手に携えた十文字槍で狼の喉笛を薙いで裂き、流れるように持ち手を緩めて後方の柄へと持ち変えれば、リーチの変わった槍を横一閃に振るって逃げ惑う子供へと襲い掛かる狼の腹を裂いた。
 僅か一分間の出来事でありながら、返り血すら殆ど浴びる事も無く次々に狼の数を減らしていく。それでも一匹倒せば二匹、三匹倒せば五匹と増えていくのが現状だ。やはり、群れとして相手どるのは厄介極まりない。

 そう感じている暇すら無く、再び持ち手を変えて伏す事で両側から喰らいついてきた狼二匹がぶつかる。無論、三匹目が来た所を突いて狼の肉体ごと瓦礫を薙ぎ払い、その衝撃で狼の身を槍から引き抜く。白金の髪が血で彩られる中で四匹目の牙を柄で受け止めた所で、ギシリと軋む。
 限界、か。そう覚る頃には亀裂が入った槍を手放すと同時にバク転と同時に槍ごと蹴り飛ばす。それから、着地と共に次の構えを取り、槍を造り上げて追撃に来た狼を一突き。折れはしなかったが、この短時間で相当な無茶をさせてしまったツケだろう。
 武器を創る事に紐付けた構えを取る為だけに粗野な戦法を取ってしまったが、誰にも見られていない事を祈ろう……それにしても、この造り上げる感覚は慣れないものだ。経験があるはずも無いが、此処は鍛練あるのみ、ですね。

「此処からですよ、御二人とも!」

 傷を付けられた大黒狼の様子を見て、恐らく此方を敵と認識した。恐らく、此処からが本気と見るべきだろう。最前線と言える二人へ戒めるように告げ、百人組手よろしく絶え間無き狼の襲来に対応する。一匹、また一匹と亡骸を積み上げていくが、両の背を守りきるには手が足りない。
 効率を求めて火薬を使えば更なるパニックを起こす可能性があるだろう故に、使えない。かといって、暗器の類いはどこまでの再現が可能か分からない。

 他に手立てを考える暇もなく人々を追う狼を穿ち、その顔色に一切の焦燥を出さないまま打ち払う。彼等に此方の心配をさせる訳には行きませんからね……集中を崩せる相手では無いのですから。

>功刀 藍良様、西園寺 鳴弦様、all

1ヶ月前 No.65

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【功刀藍良/新宿駅】

 人々が逃げ惑うのを視界の端に映しながら、藍良は数メートル先にいる大黒狼の姿を静かに見つめる。真一文字に斬りつけたはずの右足の刀傷はどこか荒削りであった。筋力がある分、致命的な深手を負わせることは出来なかったと見える。だが、手練れであれば上手く刀を利用して、自分の思った通り真っ直ぐに、一寸の狂いなく斬撃出来ることもまた知っている。
 刀の切れ味が悪いのではない、俺の技術の問題だ。
 藍良は「くそ」と小さく悪態をついた。彼は非常に自分に厳しく、戦闘においては特に自分自身に対して完璧主義のきらいがあった。本番プレイ前の訓練のときの方が遥かに刀を上手く使えていた気がした。巨大な敵の倒し方に慣れてないゆえか、それとも自分の背負っている命の重圧に上手く身体が動かないのか。
 しかし鳴弦に向かって振り下ろされようとしていた斧の照準が狂い、ビルの端に外せただけでも良いと思い直す。そして自分が今の攻撃に集中出来たのは、その間に鳴弦が大黒狼を引きつけ、陽磨が人々を誘導し守ってくれたためだ。
 鳴弦から声を掛けられると藍良は視線を大黒狼に向けたまま小さく笑みを浮かべる。良い動きをしているのは彼も同じことが言えるだろう。「そっちもな。だがまだまだこれからだ」と冷静に、しかし威勢の良い言葉を返した。
 すると鳴弦が大黒狼に突き立てた盾ごと飛ばされる様子が目に入る。藍良はすぐに助太刀に行けるよう身構えた。が、瓦礫から鳴弦が姿を現し、余裕だと緩く笑みが見えたことに藍良はほっと息をついた。瓦礫に向かって投げ飛ばされる様子を見るに痛くないはずはないと思ったが、それでも気高く振舞おうとする彼の姿勢に感化される。気付けば挑むような眼差しで大黒狼を見上げていた。

「ええ、必ず勝ちましょう!」

 後ろから陽磨に声を掛けられ、藍良は意気込んで言った。背後で狼が悲鳴をあげたり、次々と地面に倒れる音を耳にするとやはり陽磨は戦闘に手慣れているらしい。そして視界の端に手慣れた様子で複数の狼を相手にする陽磨が、槍ごと蹴飛ばしたのを見えたような気がしたが気のせいだろうか。だがしかし、戦闘に慣れてそうな人がやるのだし「咄嗟に蹴るのもアリか」と呟き、依然として刀の構えは崩さず敵に集中しつつも学習したのであった。
 的確なサポートをしてくれることに感謝しながらも、藍良は数メートル先の大黒狼を見据える。斬りつけた分、自分にもヘイトが溜まっているのは間違いないだろう。

 怒りを体現するかのように建物を斧で薙ぎ払い、刀で崩していく大黒狼。と、その瞬間どこかで甲高い悲鳴が上がって藍良は息を飲んだ。大黒狼の動きも止まった。
 廃墟化したビルの影に2人の子供が隠れていた。建物が崩壊し、頭上から粉々になった瓦礫が落ち、そして近距離に大黒狼がいることに怯え、子供たちはぱっとこちらに向かって泣きながら駆け出してきた。
 大黒狼はそれを見つけ、にんまりと笑ったような気がした。真っ赤な瞳は子供たちを真っ直ぐに捕らえ、刀を大きく上げて振り下ろそうとしている。
 まずい。藍良は駆け出す。そして庇うようにして子供の前に立ち塞がる。鋭い巨大な刀が自分たち目掛けて振り下ろされる。
 まともに受け切っては押しつぶされる――。
 藍良は咄嗟の判断で大黒狼の刀を受け流した。刀と刀がぶつかった瞬間、重い一撃に火花が散る。ギリギリで流したためか肩に痛みが走った。

「何してる! 早く避難しろ!」

 刀を受け流した後、背後にいる子供に声を掛けるも今ので完全に腰を抜かしてしまったらしい。瞳に涙を浮かべて、唇を震わせている。そして再び大黒狼が今度は斧を振り上げるのを見て、藍良は足を踏み締めながらも奥歯を噛み締める。次は上手く攻撃を流せるのか、と自問の声が聞こえたが弱気になってはダメだと言い聞かせる。人数の少なさがいたいところだが、増援が来るまでは持たせなければならないとそう思った。

>鳴弦さん、陽磨さん、ALLさま

1ヶ月前 No.66

雲魔物 @cloudian ★Xkv963n3op_CE7

【邦咲 一成/文化センター通り→新宿駅】

気丈な女の子だ、と彼は思った。だけど…それでも女の子であることには変わりないんだ。
怖がっている。たとえ、上空に浮かんでいたあの仮面の人影の言葉がわからなくても、遠くから響いてくる轟音。近づいてくる悲鳴を聞けば、本能的な恐怖も蘇ってくるものだ。大学生である一成すらもそうなのだから、小中学生の女の子達は尚更だろう。

やはり、自分はこの女の子達に寄り添ってあげるべきだろうか。一成は一瞬口を引き結んで考えた。だが、やはり首を振る。自分がここにいて女の子達を守れるかと言われたら答えは否だ。所詮、モフモフの魔法使いじゃ狼には敵わない。モフモフは打撃には強いが、刃物や牙などの鋭いものは苦手だ。結局のところ、少しでも遠くへ逃げたり隠れたりすることが一番の安全策なのは間違いないのだ。

轟音鳴り響く戦場に行った所で、モフモフの魔法使いができることはないのかもしれない。だが、できることがあるのかもしれない。他の魔法使いが、今もお化けと戦っているかもしれない。そんな他の魔法使いの手助けになるかもしれない。大黒狼(カースダークウルフ)だがなんだか知らないが、それを倒さねばどうにもならないというならば、微かな可能性に賭けても駆けつけるべきだ。モフモフを生み出す力が役に立つかは分からないが…いや、何かしら役に立つはず。モフモフは世界を救う。彼は変わらずそう信じた。

一成は、目的地に向けて一歩踏み出した…が、その前にもう一度だけ、女の子達に向き直った。


「僕はもう行くけど…大丈夫。魔法使い達がお化けを倒したら…僕もまた、必ず君達の元に帰ってくるから。それまでしっかり逃げて…隠れててね。…そうだ。約束してた、魔法を使うためのヒントをあげる。魔法のコツは、『想像』することだよ。自分が生み出したいもの…それを頭の中で思い描いたら、今度はそれを目の前に持ってきてごらん。頭の中で思い浮かべたものを、今度は目の前に強く思い描くんだ。そうしたら、きっとそれを生み出すことができる。困った時は、きっと君達の魔法が役に立つ。だから…まずは頑張って逃げるんだよ」


それだけを言い残した一成は、今度こそ丸めた布団を抱えて目的地に向かって走り出した。何度も振り返りそうになったが、心の中で何とか自制した。無責任ながらも…彼女達を信じてやることが一番だと思ったからだ。


>浅沙和泉様 小百乃咲彩様


【邦咲 一成/新宿駅】


新宿文化センターから新宿駅まではちょうど1km。徒歩10分。そこまで行く間に、どれほどの人間とすれ違っただろう。皆一様に恐怖の表情を浮かべて必死に走っている。怪獣映画とかでしか見られないような光景が目の前に広がっていた。自分もこの人達に紛れて逃げたい気持ちを抑えながら、一成は逆の方向に走り続けた。轟音鳴り響く戦場の方向へ。

建物の二階に迫るほどの大きさの黒い影。それが視認できる頃には破壊によって舞い散る瓦礫と砂埃が彼の体に襲いかかる。口を手で押さえながら彼は慎重に、誰にも見つからないように_大きな黒い影にも、殺気を剥き出しにしてうろつく黒狼どもにも_戦場へ近づいていく。


崩落しきった建物の瓦礫の影に隠れ、遠目に戦いの様子を伺う一成。映画の世界の化け物が殺意を振りまいて暴れる様子に芯まで凍りつきそうな思いだが、驚いたことにそんな化け物に立ち向かう…『人間』の姿があった。

刀や槍。戦国時代のような武器を持ち、映画の殺陣のように、スムーズな動きで周囲の黒狼や巨大なる大黒狼に立ち向かう三人の男の姿。一成からしてみれば、それは巨悪に立ち向かう映画のヒーローのように思えた。


(…ど、どうしよう)


一成は迷った。「戦える魔法使い」を探しにきたはずだったが、既に戦いは始まってしまっていた。あの三人なら、化け物どもを倒せるのだろうか? 戦えない自分は、何をしたらいいのだろう? 「何かできるかもしれない」という思いでここにきたのに、いざ魔法使いと化け物の戦いを前にすると、自分など何の役にも立たないと卑下してしまうのだ。

ここは彼らに任せて、自分は…どうする? さっきの群衆のように、自分の逃げるのか? モフモフの魔法使いは、ただの人間として、逃げ惑うしかないのか?


そんな時だった。モフモフの魔法使いが立ち上がる危機が起きたのは。


__何してる! 早く避難しろ!


破壊の騒音の中で、一成の耳に響いた声。
俯いていた一成がはっと顔を上げると、それは刀を持った青髪の男性の声。その男性の声は、背後に庇う二人の子供に向けられていた。その瞬間、一成は自分ができることを悟った。戦えない自分は、逃げ惑うことしかできないかもしれない。だが、逃げ惑うにしてもそれは決して『一人で』ではない。


一成は抱えていた布団を地面に置いて、瓦礫の影から飛び出した。できるだけ、間近に存在する大黒狼を視界に入れないように。そして…一成が二人の子供達の元へたどり着く頃には、彼の両腕にはアザラシとナマケモノ、何ともマイナーな動物のモフモフぬいぐるみが生み出され、抱えられていた。


「ねえ、君たち! 大丈夫!? 早くここから逃げないと! 動ける? ほら、これを持って!」


どうやら腰が抜けてしまっているらしい子供達に、半ば無理矢理モフモフのぬいぐるみを押し付けると、二人の体に手をかけて立ち上がらせた。子供達は、狼に襲われた恐怖よりも、突然現れたお兄さんにぬいぐるみを押しつけられた驚きで目を白黒させていた。そんな子供達を、一成は安心させるようにぎゅっと二人まとめて抱きしめた。


「さあ! 今なら周りに狼もいない。そのモフモフを抱えて、走り出そう! 大丈夫! 必ず…化け物は倒すから!」


一成の抱擁から解放された二人の子供達は、お互い顔を見合わせると…一成に向かってぺこりと頭を下げると、手を取り合って駆け出した。片腕にしっかりと一成の生み出したモフモフぬいぐるみを抱えながら。一成は無事走っていった子供達の背中を確認すると、ほっと一息吐いて振り向いた。すると…獲物を逃がされた大黒狼の怒りの瞳が一成を捉えた…。モフモフの魔法使い、一成の顔は青ざめた。


>藍良様、陽磨様、鳴弦様、周辺ALL


【長文失礼します。スマイル様からの返信が4日間以上存在しなかったために、スレの特殊ルールにより返信をまたずレスさせていただきました。それに伴い、せっかくのボス戦ということなので、自分も集合させていただきました。戦闘中とのことなので、絡みが面倒臭いようでしたらスルーでも構いません!】

30日前 No.67

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_khx

【都庁前駅付近→新宿駅/島津 貴久】

「ありがとう、今は冷静に動けるってだけでも充分だ、避難誘導や怪我人の手当てとか出来ることは必ずあるはずだ、行こう」

頷いてくれた月代美言、というらしい巫女さんにこちらも頷き返すと攻撃が出来なくても出来そうなことを挙げながら大太刀の他にもギフトで日本刀を作り出して、仕舞う。
流石に大太刀一本では武器が弾かれりしたときに心許ない、そして自己紹介を忘れていたことを思い出す、状況が状況だから略式になるがしないよりはましだ。

「俺は島津貴久だ、変な名前じゃなければ好きに呼んでくれ、新宿駅はこっちだ、悪いが飛ばすぞ!」

とりあえず名前だけでも名乗っておくと知ったような足取りで新宿駅を目指して疾走する。
多少だが土地勘があって本当に助かった、大太刀を肩に担いで只管新宿駅を目指してわき目もふらず走り抜けた。

―――――――

最短距離を駆け抜けただけあって新宿駅にはすぐ着いた、身体能力が大きく強化されているのも大きい。
人が逃げてくる方向目指して走ると、いた。大黒狼だったか? すでに何人か戦っている。
鳴弦さんに藍良、あとは知らない人だ、現在貴久は大黒狼の真後ろに居て挟み撃ち出来る位置に陣取っている。
一旦建物の陰に隠れて二人を待ちながら息を整え、深呼吸をする。覚悟は決まった。

「俺は後ろから奇襲をかける、二人は各自出来ることをやってくれ、行くぜ!」

大太刀を肩の上に構えて、姿勢を低くして駆ける。今藍良がビルに隠れていた子供たちを庇って傷を受けていたところだ。
大黒狼がニヤリと笑った気がしたが、どうでもいい。獲物を前に舌なめずりは三流がやることだってとある軍曹が言っていた。
そのツケを今、払わせてやる!

「チィィィィィェェェェェストォォォォォォ!」

薩摩に伝わる伝統の掛け声と共に大太刀を縦に一閃、建物を崩した斧を持った腕、その手首を貴久は豪快に斬り飛ばした。
奇襲なのに叫んでいいのかと偶に言われるが、突然の大声はそれだけでも相手を一瞬でもビビらせる。
動きが硬直して、こちらを向こうとした瞬間に斧を持つ手首を斬り落としたのだ、欲張って腕ごと斬り落とす必要はない、要は武器を一つ削げばよかったのだ。
失った手首から景気良く血飛沫が噴き出す、左頬に一滴返り血が付いたが乱暴に手の甲で拭って藍良とは逆の方に陣取る。
今は子供の命が優先だ、大黒狼の注意はこちらを向いているから藍良か美言が子供を逃がせるだろう、それまでは俺と他の連中で食い止められるはずだ。
否、必ず食い止める。

「おうおう、犬畜生風情が粋がってんじゃねえぞ! かかってこいやァ!」

憎々し気な視線が貴久に突き刺さるが、どこと吹く風で大声で挑発で返す、流石に背筋に一筋の冷や汗が流れるが、そんなものはおくびにも出さない。
しかし、改めてみると武器もガタイもデカイな、こんなのをよく三人で食い止めていたものだと感心する。
だが今はもう違う、増援も連れてきたところだ。ビビれば負けだ、だからこのまま攻める!

「よく持ってくれたな、少ないが増援連れてきたぞ! 藍良が言ってた神官服のヒトも一緒だ!」

叫ぶ間も大黒狼と貴久は切り結ぶ、こちらの身の丈を超える刀を横一線に振るう大黒狼、それを下からの斬り上げで跳ね上げる貴久。
一見すればまともに戦っているが、流石に体格の差が違い過ぎるのか跳ね上げるのには成功したが、腕に強い痺れが走った。次の一撃は流石に無理だ。
奴が崩したビルの合間を駆け抜けて攪乱しつつ三人に合流する。
その間に左手にアスファルトの粉を忍ばせていた、タイミングが良ければ目潰し程度には使えるだろう。

>月代美言、西園寺鳴弦、旅川陽磨、功刀藍良(旗条凪雪、宇佐美実)、ALL

【旗条凪雪本体様から進めていいとの言葉を頂いたので、一緒に新宿駅に来たという体で進めております】

29日前 No.68

リンネ @fallere825☆ogbfCh5GVvpt ★Android=WDXHwCBaoH

【西園寺鳴弦/新宿駅】

痛みがないとは言わない。恐怖もないとは言わない。だが、膝をついたままでいられるほど安い矜持もなければそんな柔な教育も受けてない。
怪我などないものと扱い瓦礫から立ち上がる。
危機のときほどニヤリと笑え、という教えは鳴弦が嫌う実家の教えだが、今というときほどその教えをいかせる場面も少ないだろう。

「人使いが荒い旦那さん方だ!」

此処からですよ、必ず勝ちましょう、そんな二人の言葉に自然と口端と声をあげた。
二人がこういっているというのに、一番槍が折れるわけにも行くまい。因みに丁度旅川の一番槍が折れていたので戦闘中だというのに余計に可笑しくなってしまう。
笑みを浮かべたまま、大黒狼の怒りからか狙いも定まらないほど乱雑に振り下ろされた刀を飛び退いて回避する。
右の刀と左の斧が地面と言わず建物言わず、獲物も決めていないと言わんばかりにあちらこちらへ振るわれ崩れたビルの残骸を盾で弾く。と。
横合いから飛び込んできた黒狼をハッとして切り払い、返す刀で上から飛び込んできたもう一匹の黒狼を串刺す。
集団で移動している旅川の方に集まっていた狼たちがあの敵は狩りづらいとでも考えたのか、ボスの援護のつもりか、鳴弦の元にまで回ってきていた。
更に襲いかかるもう一匹と、頭上から振り下ろされる大黒狼の刀。狼を咄嗟に盾で殴り、一歩引けば味方だと躊躇う気もないのか、目の前で襲い掛かってきた狼が巨大な刀に両断され、その威力を様々と見せつけられる。
真正面から受けるのは不味い。
兎に角回避と受け流しで隙を狙うのが一番安全だ、と再び盾を構えたとき、手元の鈴の音すら掻き消すほど甲高い悲鳴が戦場に響き渡った。
功刀の背後に子供。大黒狼の狙いが変わったことに気付いて斬り込もうにも追加で飛び込んでくる狼に邪魔をされる。一刀目は功刀が受け流したが、続けざまに二刀目が振り下ろされようとしている。
狼に足止めされたタイムロスが響いた。
……間に合わない。違う、間に合わせる。
狼の迎撃は捨て、功刀の援護に向かう。腕くらいは最悪捨ててもいい。そう覚悟したとき、戦場のすべてを引き込むような叫びがあらゆる敵の目線を集めた。

「……真打ちにしたって遅すぎやしないか、島津!」

来るとは思っていなかった増援に負けじと声を上げる。
呼ぶべきか迷い、能動的に巻き込むことを躊躇い、携帯の番号は結局使わなかった、ついさっき分かれた相手との再会だ。
大黒狼の手首が豪快に切り落とされ、盛大に上がる血しぶきが雨のように降り注ぐ。
功刀の元へ走る足を止め、身を翻し直前に迫っていた狼を切り払う。そのままの勢いで駆け、大黒狼の刀が跳ね上げられた隙をつく。

「足元がお留守だったなァ!」

功刀が切り裂いた右足に重ねて一閃。
すでに裂かれた肉を削ぎ、えぐった傷は骨にまで刃が届いた堅い手応え。島津のような豪快な切断とはいかないが、人や獣で言うところの健を裂く。
大黒狼の体勢が大きく崩れたのを見計らい、距離をとって島津と同様に功刀の共へ向かう。
子供はいつの間にか功刀の後ろにいる青年が逃がしたらしい。

「ナイスガッツ、そこな兄さん。だが、戦えないならあんたも引いた方がいい……やるってなら止めないがな」

危険をおかして、どうやってか子供たちを逃がした気概は認めるが、見るからに青い顔をしている青年をこのままこの前線に置いておくのは危険だ。
人手があるにはありがたいがフォローしきれる自信はない。だが、それでも戦うという男を止めるほど無粋ではない。
しかし、悠長に話している暇はないらしい。
青年の背中をよくやった、と軽く叩くと鳴弦はすぐに大黒狼に向かい合う。
大黒狼は使い物にならなくなった右足をそのままに、右下腕を支えに立ち上がり始めている。
赤い目は爛々と、確かな怒りを宿して歯をむき出しに殺意で唸りを上げていた。
その怒りに呼応してか、ボスの危機に馳せ参じたか、気付けば通常の黒狼たちが一匹、また一匹と瓦礫の影から姿を現し始めた。

「功刀、島津、それから旗条ら。あんたらにあのでかぶつを頼んだ。必要に応じてフォローはする。旅川さん、俺も露払いに入ります。……青年、任せられるならさっきみたいにパニクったやつの誘導を頼みたい。無理なら逃げろ、いいな?」

あとは各自やれることをしてくれ、と。
早速と背後から飛び掛かってきた一匹の狼を軽くいなし、斬り捨てると周囲を見渡す。
先程から様子を伺っていたが雑魚を相手取りながら人々を逃がすのを旅川ひとりに任すのは負担が大きすぎる。
戦力の頭数が増えたならば、大黒狼に密集しすぎても、いくら相手が巨体とはいえ味方同士でぶつかる危険性も増えるのだから、ここは一度分担するべきだろうと考えそう提案する。

>藍良様、陽磨様、貴久様、一成様、周辺ALL

28日前 No.69

雪鹿 @class ★Android=YCblo76hTC

【旅川 陽磨/新宿駅】

 意気込みあるいは、悪態にも似た言葉。なんにせよ、返ってきた言葉が弱音ではないならば、これ以上の発破は必要も無いでしょう。
 新たに携えた槍を構え、百人組手よろしく狼を蹴散らす最中で彼等の言葉に安堵した。油断は出来ないものの、過ぎた心配は不要な様子。あの頃と同じく、頼もしい仲間が居ると言うのは素晴らしき事ですね。

 修練用の模造品では無く、我が一族の家宝とも言える舜牙……まさか、師範にならないままに振るうとは思いませんでしたが、この質であれば先程のように容易く折れはしない……と思いたい。その物ではありませんので模造品に変わりは無いのですが、それはそれということで。

 その質を確かめるまでもなく前方と右方より狼が飛び掛かるも、一閃。槍が振るわれ、その首を断つ。謂わば、目にも留まらぬ疾風の一撃にて彼は迎撃を為した。だが、安堵して目を少し離したのが良く無かったのか、叫びにも似た声。
 子供を庇う藍良が大黒狼の一撃を阻むも、その顔は予断を許さないといった様子であり、であらば助太刀を、と駆け出した。しかし───

「くっ、煩わしい!!」

 狼の血を浴びたが故か、敵討ちとも取れぬ形で狼の邪魔が入る。咄嗟に槍の穂先によって打ち払うも、このままでは寧ろ危険に晒すような物である事を悟り、駆けた足を止めて槍を構える。一度、振り払う必要がありますか……。

 止まぬ襲来、そのどれ一つとして彼の肉を裂くことは能わず。されども、その足を止めるには十分であった。数多の喉笛を裂き、心の臓を穿ち、腹を抉れども積み重ねた死体より新たな影の方が多い。
 どうしたものか。そう思案を巡らせていれば、一人の青年が子供達を逃がし、彼を認識した大黒狼の一撃を彼等の知り合いと思われる人物が助太刀に来た。ああ、良かった。

 それから間も無く、島津と呼ばれた青年達の合流を受けて鳴弦が各自の役割を明示した。確かに、鳴弦さんは一撃を受けた身であり、窮地に追い詰めた大黒狼の前に置くには不安が残るのも確かだ。

「ええ、現状であればそれが最善かと……無論、私も必要とあらば助太刀を致しましょう」

 同意を示し、先程は運悪く間に合わなかった事若干の苦々しさを感じてはいたものの、助太刀をすると告げる。とはいえ、それは単に藍良達だけではなく鳴弦や子供達を助けに入った青年達も含めた物であった。
 その彼の背へ向けて殺意に満ちた大黒狼の右腕の剣が振り下ろされていた。それは既に錯乱が始まったか、あるいは誰でも良かったのか。運悪く、がむしゃらとも言える一撃の先に彼が立つ。
 自らの仲間すら厭わぬ姿を捉えながらも既に純然な力任せによるそれは、彼に届く事無く数多の狼の頭上へと轟音を散らして振り下ろされる。
 よくよく見れば、その剣先に槍の穂先が当てられていた。つまり、彼が一閃にて逸らした……強力な一撃と言えども足と左手を失い、血とバランスを失った一撃など当初の一撃に比べるまでもない。

「名すら知らぬ間柄ではありますが、背中はどうぞ我等にお任せを! 鳴弦さん、貴方も無理はなさらぬよう……一先ず、そちらは任せました」

 まるで何事も無かったかのように振る舞い、その場に居る全員へ宣えば再び槍を構える。あの一撃を往なした藍良の腕も心配ではあったが、目に見える負傷をしている彼を気遣いつつも、その気概を買ってか一方を一任する。
 こうした会話の最中においても狼が襲い来る事に違いはないが、それでも一瞥する事も無く薙ぎ払う。疲弊していると言うにも関わらず、その動きは一層切れ味の増したようにも映る。しかし、それは決して槍の質が変わったという理由だけではなく、守るべき者が増えたからだ。
 勇ましき彼等の邪魔立てなどさせはしない。そう言わんばかりに穂先を突き立て、飛来する瓦礫も含めて打ち払い、躯の山を築いて行く。その槍に一片の迷い無く───。

>功刀 藍良様、西園寺 鳴弦様、邦咲 一成様、島津
貴久様、(旗条 凪雪様、月代 美言様、)all

28日前 No.70

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【月代美言/都庁→新宿駅】

 島津貴久と名乗った青年を見て、美言はこくりと頷いた。彼に続いて都庁を後にし、新宿駅へ駆けていく。道中、彼が日本刀を出しているのを目撃するに、もう何度かギフトは使って試したのだろうと思った。行動力のある頼もしい人たちに会えたことに感謝しながら、新宿駅方面へと走る。


 新宿駅に着くと美言は敵の大きさに思わず圧倒されてしまっていた。大黒狼が大きな刀や斧を使って、建物を破壊したり、プレイヤーに直接攻撃を加えている様子に息を飲む。血のような不気味な瞳に映るのは、人々に対する明確な殺意と憎悪。そして大黒狼と対峙しているプレイヤーは2人、NPCは1人。そこでそのNPCは明らかに初期レベルで、これが初期化なのか自分でデータ消去したのか後で精査する必要があるかもしれないと思ったとき、自分はNPCの状態把握ができるのかと気付いた。
 そして彼と目が合ったとき、脳内で『通信回路が繋がった』と感じた。2人は各々置かれた状況を把握し、一つ頷いてほとんど同時に動き出した。
 あまり考えている時間はない。最前線の緊迫した雰囲気に、美言も緊張が走り身体が強ばる。戦場で自分に出来ることは何だろうか。
 そして貴久から声を掛けられると美言は頷いた。と同時にここで戦う者たちがひどく眩しく思えた。

 ――なんて方たちなのだろう……。

 現実世界にこんな大きく不気味な敵はいないだろう。自分が生き残るためだけに、自分可愛さに弱者を見捨てて逃げることだって出来たはずだ。しかしここにいる者たちはそれでも人々を守ろうと巨大な敵に立ち向かう勇敢さが備わっているように見えた。

 と、思わず最前線の戦闘に圧倒されていたときだった。
 黒髪の青年が2人の子供を救出し、その間一髪で貴久が大黒狼の手首を斬り飛ばした。空中から血の雨が降るが、美言は意を決して自分の髪が血で濡れるのもお構い無しに黒髪の青年の元に駆けていく。
 自分には戦闘能力はない。だが、出来ることをすればいいだけ。
 美言が現場に駆けつけたとき、一人の青年が彼に声を掛けて去っていったところだった。
 狼が自分たち目掛けて突進してくるが、目の前に透明な薄い膜のようなもの――結界を形成して子供2人を救出した黒髪の青年と顔を合わせる。どん、と結界にぶつかった音がしたが、頑丈に形成しただけあって狼を弾き返すことに成功した。

「お怪我はありませんか? 青髪の彼は私の仲間、子供たちだけでなく彼の窮地をも救っていただけたこと感謝致します。……そしてもしこのまま前線から退き、避難所である高田馬場駅へ向かうのであれば今なら私の結界で退路を開き、前線から抜けられます。しかし――」

 美言は言うべきか一瞬迷ったがすぐにぱっと顔を上げて青年を見つめる。

「その利き手の刻印、貴族とお見受けします。物を具現化する能力ギフト≠竅A治癒能力も備わっているはずです。……この己の無力さ、恥を忍んでお尋ねします。もしよろしければ人々の避難誘導に一役買っては頂けないでしょうか。もちろん無理にとは申し上げません。それとも他に何か気がかりなことでもございましょうか……?」

 するとふいに人々の悲鳴が聞こえてふっと顔を上げると、線路沿いに狼が出現しているのが見え美言は目を細めた。
 その方向に向かって手をかざし、線路上に大きなドーム状の結界を形成して覆った。まるで透明なトンネルが出来たようである。
 そこで、先程大黒狼に襲われそうになった子供とその母親の姿が見えた。一様にこちらを見て、そしてふいに――母親が深々とお辞儀をする。その後に子供もそれに習うようにちょこんと頭を下げて、親子は結界で形成したトンネルへと入って行った。

>貴久さん、一成さん、(凪雪さん)、新宿駅ALL

【先に美言のレス投稿しておきます……!藍良のレスは少々お待ち下さい。】

28日前 No.71

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

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27日前 No.72

雲魔物 @cloudian ★Xkv963n3op_CE7

【邦咲 一成/新宿駅】

一成は、蛇に睨まれたカエルの気持ちというものを強く実感していた。こういうことを恐れていたがゆえにあの狼のお化けの方を見ないようにしていたというのに。なんとか腰を抜かすレベルまでには陥らなかったが、情けないことに自分の両足は根を張ったように動かない。これではさっきの子供達と同じだ。そして、子供達が本来受けるはずだった運命を、自分が受けることになるのだ。自分に向けられたお礼の言葉も一成にとっては遠くからの言葉に聞こえる。お化けに一刀両断される自分の未来が脳裏にちらつき、思わずぎゅっと目を閉じた。

だが、幸運なことにその未来が現実となることはなかった。一成の耳に届いたのは、自分に襲いかかる狼の咆哮でもなく、人間の叫び声だった。思わず目を見開くと、視界に広がる赤黒い色。


「ひえっ…!?」


その赤黒いのは、大黒狼の血だった。ギリギリのところでもう一度目を閉じた為に最悪の事態は避けられたが、頭や体に血を被ってしまった。感染症とかが心配になってくるが、今はそれを気にしていられる状況ではない。というかなぜ自分を狙っていた大黒狼の手首が失われて血を流しているのか。答えは単純、さっきの声の主に切られたからだ。そして、その声の主は見たことのない人物だった。さっきまで戦っていた三人とはまた別の人物。派手な赤いジャケットを羽織った強面の男だ。あの狼のお化けを容易に切り裂き、声を張り上げるその姿は頼もしくも怖く感じる。畏怖のような気持ちになってくる。

それに続いて追撃に移ったのは、自分より遥かにガタイのいい白っぽい髪の男性。お化けの右足を威勢良く斬りつけたその男性は、一成に気づいて声をかけてきた。目の前の脅威と戦いながら声をかけてくるとは、一成も思わなかった。


「ガ…ガッツ…ですか。……って、あ、い、いいえ! やりません! 戦いませんから、大人しく引いています! はい!」


ナイスガッツ、という謎めいた褒め言葉を頂いたついでに、後方に引いていることを勧められた。「やるってなら止めない」という言葉に対しては激しく首を振って遠慮する。モフモフの魔法使いは刃物使いとの相性が悪いのだ。相当に巨大なぬいぐるみでも出せば陽動兼盾になるかもしれないが…ここまで大人数の味方がいると逆に彼らの邪魔になるだろう。刀を握った白っぽい髪の男性は、自分に向けて「パニクったやつの避難誘導」を頼まれる。無理なら逃げろ、とは言われたが…


「戦いませんが、逃げはしません! モフモフの魔法使いとして…あ、いやそうじゃなくて…とにかく、避難誘導は任せてください!」


思わず女の子達に対してやっていた名乗りまでしてしまいそうになったが、慌てて撤回する。子供達の前ならともかく、流石に刀を持って戦う戦士達を前にして魔法使いを名乗るほど恥ずかしいことはない。彼らが聞き逃していることを祈りつつ、立ち上がった。しかし…避難誘導とは言っても、流石にこの近辺の人達はみんな逃げてしまったのではないだろうか? いやしかし、さっきの子供達のように腰が抜けたり怪我をしたりして動けない人達もいるかもしれない。一度呼吸を押し付けて辺りを見渡すと…ちょうどその瞬間、自分に襲いかかってくる狼の姿が…!


「ひゃぁっ!? …あ、あれ?」


情けない声をあげて仰け反った一成だったが、その狼の牙がこちらまで届くことはなかった。何か、痛そうな声をあげてこちらを睨んでいた。そういえばよく見ると狼と自分の間には何かある…透明な、膜のような何か。驚きに目を瞬いていると、その瞬いた目は新たな人物…男だらけのこの場所で初めて見た女性を捉えた。一成の22年の人生の中で初めて見た巫女服を纏う女性は、明確に自分に向かって話しかけてきた。


「あ、えーっと、怪我は…ないです。…結界? 結界…って、これですか? 凄い、魔法ですね…」


感謝されたりもむず痒かったが、それより気になったのは彼女が漏らした「結界」という言葉。初めて目にした自分以外の魔法に一瞬だけ思わず心を奪われるが、彼女の話は後半が本題のようだった。


「右手の刻印…確かにありますけど。……貴族とか、治癒能力とかいうのはよく分かりませんが…避難誘導なら、任せてください! 僕にできることは、それくらい…でも『それ』をしに、ここに来たんですから!」


この世界で目覚める前に届いた声を真面目に聞いていなかったせいで、巫女服の女性の言葉の三分の一は理解が及ばなかった。だが、避難誘導を頼まれたことだけわかればそれで充分だった。彼は再び『魔法』を使う。彼がイメージする過程に、もはや目を閉じる必要はなかった。そうして生まれたのは、モフモフのクマのぬいぐるみ。しかしただのぬいぐるみではない。胸のところには『→』という目立つ赤色の矢印が書かれた看板が固定されている。つまりこれは、避難誘導のためのモフモフだった。我ながらの出来に少しだけ満足していると、お隣の巫女はもっと凄いことをしていた。透明なトンネルかのような結界を展開し、母子を救ってみせたのだ。


「…ええっと……じゃあ、避難誘導は任せてください。あなたは……えっと、その力があれば大丈夫かと思いますが…お気をつけて」


ちょっとだけ自信をなくしそうになったが、顔を振って気持ちを切り替えた。そして彼は少しばかり戦いの場から離れて周辺を注意深く見渡す。一度落ち着いて見てみれば、なるほどまだ避難しきれていない人たちがいる。奥の方の半壊した建物で縮こまっているのは、見た感じ小学生くらいの男の子だろうか。一成は彼に駆け寄った。


「大丈夫!? ほら、立って! 早く逃げよ…う…!?」


今度は慌てて男の子に駆け寄ったが為に、少し他への注意を怠った。すなわち、遠くから一成を狙って襲いかかってきた狼に、ギリギリまで気づけなかった。


「このっ…! あ、痛…っ!」


とっさに一成が取った行動は、避難誘導用に作ったクマのぬいぐるみを迫り来る狼の口めがけて突っ込むという、勢いでの行動だった。だがその牙がテーラードジャケットを貫通して少しだけ腕に食い込み、慌ててぬいぐるみを犠牲に腕を離す一成。無理に突っ込まれた狼は数秒苦しそうな呻き声を上げるが、すぐに吐き出した。それを見て一成も呻き声を出したい気分になった。この狼をどうにかしなければ背後の男の子を逃すことはできない。だけど化け物と戦う戦士達はこちらを手助けする余裕はないだろう。となると…僕が一人でどうにかしないと…。

一成は、腕の痛みをなんとか意識の外に追いやり、より狼からの攻撃を防ぎ易い、等身大レベルの大きなクマのモフモフぬいぐるみを取り出し、盾のように構える。…が、これで防げても所詮時間の問題か…。


>藍良様、鳴弦様、美言様 その他周辺ALL

26日前 No.73

スマイル @smile390 ★iPhone=MqRcTcnPfX

【小百乃咲彩/文化センター通り】

邦咲一成、というらしい青年は残念ながら帰る方法までは知らないらしい。それを聞いた咲彩は隣にいる和泉と同様にしゅんと肩を落とすが、帰る方法を知っている魔法使いが他にいるかもしれないと聞いてパッと顔を上げた。

「じゃあその魔法使いを探しに行かないとだな!」

先程とは打って変わって咲彩の瞳はやる気に満ちている。まだ希望を失ったわけではない。それなら咲彩は咲彩のこの世界でできる精一杯のことをしよう。

誰かと一緒にいるという安心感と大好きなペンギンのぬいぐるみをもらったことで咲彩は大分落ち着けていた。
今ならどんな魔法でも使えてしまいそうな気がする、なんて思いながら続く一成の話を聞いていたその時だった。
ふっと辺りが暗くなった。まるで大きな影に覆われてしまったかのように突然に。不思議に思って顔を上げようとしたが、それは果たされなかった。

『ようこそ、この世界に選ばれし諸君』

咲彩はビクッと肩を震わせる。頭上から降ってくるように聞こえたその声に恐る恐る顔を向けると、そこには黒い服に身を包んだ巨大な人がいた。いや、宙に浮き、不気味な仮面をつけていて顔が見えないため、人間かどうかも分からない。咲彩は反射的にその"者"をお化けだと思ってしまい、ぎゅっと持っていたぬいぐるみを抱きしめる。だけど今は最初に目覚めたときとは状況が違う。
咲彩は一度すぅと息を吸って、吐いた。恐怖で息も手足も震えているのが自分でも分かる。それでも必死にその者の声に耳を傾けた。

その者は自分は『神』と呼ばれる者、とそう名乗った。そしてこの世界は退廃世界というらしい。退廃……難しい言葉はよく分からないが、たしか崩れるとかそういう意味だった気がする。
と、咲彩は神と名乗った者の話を聞きながら自分なりに内容を理解しようと考える。分かったことは、今のこの世界が現実であるということ。この世界で死ねば元の世界へは帰れないということ。そして……元の世界へ帰るにはこの世界を制圧__たぶん制覇とか攻略とか統一とかと似たような意味だろう__して、空中都市というところにいるあの神様を倒さなくてはならない、ということ。

正直聞き返したいことは山程あるが、相手はそれを考える暇さえ与えてはくれなかった。次の瞬間には大きな咆哮、続いてあちらこちらから聞こえてくる悲鳴。咲彩は無意識のうちに瞑ってしまっていた目を開ける。神は大黒狼(カースダークウルフ)と言った。ここからは離れていてよくは見えないが、きっとその大黒狼という怪物が現れたのだろう。救世主、とそう言われたが、もし自分がその救世主とやらに当てはまるのならあの怪物を倒してこの都市を救わなければならないのだろうか。

咲彩は自分なりに状況を把握した。混乱している部分も多いが、それでも何もわからないよりはマシだろう。

「え……?」

咲彩は驚いたような、不安そうな声を出した。一成が一人で他の魔法使いを探しに行くと言うのだ。
嫌だ、と咲彩は思った。彼もいるなら、3人一緒なら頑張れると思った。だけど彼がいなくなってしまったら咲彩はまた和泉と二人きりだ。和泉が頼りないとかそういうわけじゃない。ただ、今は誰とも別れたくなかった。みんな一緒が良かった。

引き止めるか否か迷っていると和泉が言った。行こう、と。

「……っ」

咲彩は口ごもる。本当は行ってほしくない。それなら一成も一緒に逃げよう、とそう言いたい。でもそういうわけにもいかないのだろう。みんなが逃げてしまったらあの怪物を倒すのは?この世界を救うのは?誰かがやらなければならないことだ。それを一成はやろうとしている。

「……わかっ、た。絶対……絶対だからな!約束だからな!」

途中から涙声になってしまった気がする。それでも力強くそう言った。走り去っていく一成の背中に向けて「約束だぞー!」ともう一度そう叫ぶと、咲彩は今度は和泉の方を向く。

「よし!じゃあまずは安全そうなところに行こう!そこで魔法の練習するんだ!」

咲彩は吹っ切れたような笑顔を和泉に向ける。一緒に逃げるのがだめなら咲彩も一成と一緒に行きたかったが、今の咲彩ではただの足でまといになってしまうだろう。それなら咲彩にできること、咲彩がやることは第一は和泉を守ること、そして魔法を使えるようになることだ。何か一つでも魔法を使えれば咲彩ももっと役に立つことができるだろう。

と考えたはいいものの、どこに行くべきだろうか。恐らく怪物がいるのは新宿駅付近だ。だとすると新宿駅から離れるのがいいのだろう。しかし咲彩も新宿区に来たことがあるとは言っても、この辺りに特別詳しいわけではない。それにこの辺りにも狼は彷徨いているかもしれないため、道中に襲われたら大変だ。

咲彩はんー、と考えてから口を開いた。

「とりあえずあの中に入らないか?先に魔法をやってみようぜ!そうすればさやたちにも狼を倒せるようになるかもしれないしな!」

言いながら咲彩は近くに建っていたビルを指差す。まあまあ大きなビルで窓が割れてはいるが、壁はちゃんと残っているのであそこなら隠れられるだろう。あとはあんまり騒がなければ見つからない、と思う。遠くへ逃げるよりも先に魔法を覚えた方が言い、と考えた故の案だった。

>>浅沙和泉様、(邦咲一成様)、周辺ALL様


【大っ変お待たせしました……!待って頂いてありがとうございます……。今後は4日間経つ前にサブ記事にて一言でも知らせるように気をつけます!】

26日前 No.74

常盤 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★uUWv833LNP_m9i

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26日前 No.75

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_khx

【新宿駅/島津 貴久】

「すまんな鳴弦さん、まさかこんなに早くやりあってるとは思わなかったんだ」

遅すぎる、とは言われたが多分本心じゃないだろう、そう思いながら顔を向けずに言い返す。
しかし水臭いものだ、戦うならば連絡の一つもくれればいいものを、俺もナギも断るようなことは言わない。
まあ遠慮したんだろうな。そう思いながらも大黒狼と睨み合う、奴は大層俺を気に入らないらしい、俺もだが。
俺が刀を跳ね上げた隙を突いて鳴弦さんは右足を斬り裂く、うまい具合に足の腱を斬ったようで動きが鈍くなった。

「分かった、そっちも気を付けて」

大黒狼に群がっているのは俺たちだけじゃない、取り巻きの狼共も少なからずいる、鳴弦さんたちはその露払いを行うとのことだ。
隙を窺っていると遠くから一発の銃声が響いて、取り巻きの狼の頭が撃ち抜かれる、奴の注意も一瞬そちらに逸れる。
その一瞬のうちに貴久は駆け出す。奴が刀を振るう前に反動をつけて思いっきり跳躍する。

「俺の奢りだ、くれてやる」

大黒狼の眼前に迫ると左手に忍ばせていたアスファルトの粉を顔面目掛けてぶちまける。
左目に粉がしっかり入ったようで大黒狼は大きな悲鳴を上げる、さらに追い打ちとでも言うように大太刀を握った右拳を左目に叩きつける。
更に大きな痛みが走ったようでもう一度悲鳴が上がる、剣で斬り合うだけが戦いじゃない、目潰しを含めた搦め手も立派な戦術だ。
大したダメージは入らなかったが、大きな痛みを与えた貴久に大黒狼の敵意が集中した、狙い通りだ。

「もうちょっとこっち側に寄せるぞ、そうすればナギの射線が通る!」

先程狙撃された狼の血の出方からナギの狙撃位置を割り出すと、大黒狼をナギの射線が通る位置に誘き出すように動く。
大黒狼は見えている右目で鋭く貴久を睨む、満身創痍といった風体で貴久に攻撃が集中する。それを全力で凌ぐ。
しかし逆に言えば怒りを買った貴久以外にはロクに注意が向いていないということだ、決着の時は近いだろう。

>新宿駅ALL

25日前 No.76

リンネ @fallere825☆ogbfCh5GVvpt ★Android=WDXHwCBaoH

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25日前 No.77

雪鹿 @class ★Android=YCblo76hTC

【旅川 陽磨/新宿駅】

 重い背中だと苦言を呈して尚も物怖じる事無き彼の背を後目に、狼の群れによる猛襲を的確に槍一つで捌いてゆく。先程よりも余裕こそ生まれたが、それ故に不安が的中していた事に気付く事は出来なかったのだろうか。彼の隙を突いて駆けた狼は人を助けるために動いていた青年を狙い、ぬいぐるみ諸共に腕へと牙を突き立てた。
 気付いたのは手遅れになってからの事であり、増援で気を緩めていたのやもしれない、と自省をしつつも穴を繕った狙撃手に感謝するばかりだ───しかし、彼方は確か島津と呼ばれた青年の来た方向に近しい。成る程、どうやら信じて問題の無い方なのでしょう。

 であらば、と大黒狼の方へと気を向ける。愚直なまでに一直線に駆け抜け、一閃。彼の叫びと共に放たれた一太刀は左太腿を見事に切り裂く。だが、肩で息をするような荒い呼吸を繰り返した彼は誰が見たとしても限界だ。

 大黒狼が痛みでもがいている隙を狙って、此方へ後退する彼の姿が見えた為に周知の狼を文字通り薙ぎ払い、彼の意思を聴いた。
 その瞳に憂いは無く、その言葉に偽りは無い。冷静な客観視を元にして自分の出来うる最善を述べ、鮮やかな一太刀と同じく真っ直ぐな信頼を向けている。これ程とは、私は彼を少し侮っていたらしい。

「不肖ながら、確かに拝命致しました……貴方の意志、この身に代えても果たします」

 自身の未熟を思い知りながらも、彼の瞳を捉えて信頼を請け負えば鋭い風切り音を鳴らしては姿勢を整える。それは先程の迎撃に重きを置いた物ではなく、害為す巨体を打ち払わんとする威風吹く槍が如く。


 島津と呼ばれた青年が大黒狼の気を引き付けている隙に疾駆し、その彼が潰した左目という死角に存在した瓦礫の山を脇目も振らずに駆け上がり、跳躍で大黒狼を飛び越える。
 その青年へと振るわれたのであろう爪が頬を掠めながらも肩へと足を着き、間を置かずに背面を通るようにして鋭く跳ぶ。
 その衝撃に気付いて大黒狼の視線が此方へと移ろうも時既に遅し。猛き虎が如く、彼の瞳と牙は標的を捉えていた。

「我等が道、阻ませはしない!!」

 血の一滴すら許さぬ鋭敏にして勇猛たる迷い無き閃撃は的確に首を穂先の長さだけ切り裂き、その巨体に見合った血液が一瞬遅れて吹き出した。しかし、頚椎を断ち斬るには至らなかったか、昏倒しかけた様子を見て降り行く最中に手に持った槍の柄で一突きして前方へと姿勢を崩してはいたが、絶命には至っていないのだろう。滾る激憤を瞳に宿しているものの、その位置と腕を突いた姿勢は最早格好の的であろう。

 我ながら、無茶をした。浅き頬の傷から流るる温度と腕に染みるような痺れを感じながらも武器を手放し、身体を捻りながら倒れ込み、肩へ衝撃を散らした次の瞬間には両腕を地面に突いてバク転の要領で平然と立ち上がった。
 たかだか5mなのだから、強化された肉体であれば多少の負荷で済んだのだろうが、染み付いた軍人としての習慣が衝撃を散らすようにして身体を動かしていたのだ。

 しかし、お陰で隙は生まれないままに、地面へと突き刺さっていた槍を咄嗟に引き抜き、流れるように背後から迫っていた狼を薙ぎ払った。そして、再び槍を構え、迎撃及び追撃の機を伺う。
 その瞳に一切の容赦は無く、その姿に隙は存在しなかった。

>功刀 藍良様、西園寺 鳴弦様、邦咲 一成様、島津
貴久様、旗条 凪雪様、月代 美言様、all

24日前 No.78

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【功力藍良/新宿駅】

 陽磨は快く自分の願いを聞き入れてくれた。背筋を真っ直ぐ伸ばし、大黒狼に向かって行く頼もしい背に「後は頼みます!」と言って藍良は身を翻す。
 陽磨と貴久と凪雪。この3人に任せておけばきっと大丈夫だ。まだ出会って間もないのに、確かに信じることが出来る。「悪い、後は任せたぞ!」と前線にいる2人にも左手を挙げて言って、藍良は大黒狼のいる場から戦線離脱した。

 藍良は状況を確認しようと狼を撃退しながらも周囲を見回してみる。
 鳴弦は狼を相手に様々な手法で攻撃を転じている。避難誘導してくれたお陰もあってか目立って避難している者は減ったが、よく見ると建物の影に隠れている者も窺える。そして少年を逃がそうとする青年の姿。先程、自分の後ろで子供2人を逃がしてくれた者だろうか。

「いやいや、大丈夫だ、問題ない。その調子ならまだお互い動ける」

 楽をさせてくれ、と鳴弦から言われれば藍良は狼を刀で薙ぎ払いながらそう返すのだった。何というか遠慮がない。とは言え、彼自身大黒狼から攻撃を食らっていたところも見ているので、お互い余裕がないのは分かっていた。だが、鳴弦も手を止めることなくそう言うところを見るに単なる冗談であることも分かる。

 藍良は目の前に迫る狼を斬り倒していく。刀を振るう度に肩に痛みが走り顔を歪めたが、気にする暇も与えてはくれない。だが、青年が子供を逃がそうとしているのに自分が動かない理由はない。先程窮地を救ってくれた分、今度は自分が彼の助けになる番だとそんな気持ちで敵と対峙する。ただの一匹もそちらに向かわせはしないとそんな気迫さえ帯びる。自分は今誰かを宥めて共に走るという余裕もないのだ。
 鳴弦や青年が視界入る位置まで移動すると、藍良は刀を構えた。

 飛びかかってくる狼を袈裟斬りに打ち払う。さらに複数の狼の群れを相手に藍良は刀を斜に回した。青い刀身が一匹の胴を撫で斬りにし、さらにもう一匹の首筋を薙いだ。背後から向かってくる獣の足音と呼吸が聞こえると身を翻しながら斬りつける。
 荒い呼吸を整えながら、再び刀の柄を握り直す。肩が痛いためか、刀が重く感じられる。しかし、負けてはいられない。
 すると少女と共に疾走する巫女の姿が見えて、藍良は刀を握り締めた。
 青年へと狼が行かないよう、また前で戦っている3人の元へと行かせぬよう一帯にいる狼に斬りかかっていった。

>新宿駅ALL


【月代美言/新宿駅】

 目の前の青年が「任せて下さい」と言うと、美言は小さく笑って頷いた。今自分が出来ることをしっかりやり遂げようとする彼の勇姿を見て、美言は深く息を吸った。「私も頑張らなければなりませんね」と自分に言い聞かせるように呟いて、周囲を見回す。
 目立って避難している者は減ってきたように見えたが、よく見てみると瓦礫の影に蹲る人々や、廃墟化した建物の1階に身を潜めている者はまだいる。怪我で動けないのか、それとも怯えてしまっているのか、他に何かその場から離れられない理由があるのか。
 すると、ふいに彼が狼に襲われそうになっているのを目にするも、銃弾がその狼に命中した。きっと凪雪さんだわ、と心の中で呟いてほっと胸を撫で下ろす。しかし、一息つく暇もなく結界の外で弾かれた狼が再び大勢を立て直そうとしているのを見て、背筋が冷たくなった。が、それに気付いた鳴弦によって撃退された。

「いえ、ありがとうございます。どうかそちらもお気をつけて……! 私は引き続き避難誘導しますね」

 頭を下げて、美言はまだ避難しきれていない人の元へと駆けていく。


 廃墟化した建物の影には高校生くらいの女の子が膝を抱えて蹲っていた。彼女は怖くて足が竦んでしまって、この場から動けないのだと言った。もう訳分かんない、と両目から涙を流しながら震えている。どうやらパニックに陥っているらしかった。
 しかしもしこの建物に何らかの衝撃が加えられたら簡単に崩壊してしまうだろう。そうなればこの少女も建物の下敷きになってしまう。それにここには敵もいる。状況を考えればいくら影になっているとはいえ、一刻も早くこの場から避難した方が良いことは明白だった。
 周囲に結界を形成し、泣きじゃくる少女を宥めて背中をさする。最初は絶対ここから動かない、動きたくないと言っていたが、「絶対に大丈夫」「自分も共に走る」「見捨てないし見限らない」と言えば少女は次第に落ち着いていった。

「立てますか?」

 そう美言が聞くと、彼女はこくりと頷いた。
 美言は建物の影からそっと顔を覗くと辺りを確認した。狼は2人によって次々と倒されており、また残りも意識はボスである大黒狼に向けられているようだった。どうやら大黒狼が致命傷を与えられたことを気にしているらしい。――今なら抜ける。そう思って「行きます」と言うと美言は少女の手を掴んだ。そのまま一気に駆け抜ける。
 そして結界を作った辺りまで滑り込むように走ると美言はほっと息を吐いた。少女が無事友人と再会したのを見届けて、美言は身を翻して再び戦場まで戻っていく。

>新宿駅ALL

24日前 No.79

雲魔物 @cloudian ★Xkv963n3op_CE7

【邦咲 一成/新宿駅】

こんなモフモフのぬいぐるみで、次の狼の一撃を防げるのだろうか。一成は必死に頭を回転させ、脳内シュミレートを行う。まず狼が襲いかかってきたらさっきと同じ要領でぬいぐるみを盾にする。さっきと違って大きなぬいぐるみに牙がめり込んで動けなくなるはずだから、その隙に男の子を逃す…逃がせるか?

巡りに巡ったシュミレートだったが、結果的に言えばそれらは全て無駄となった。
一成が生で聞いたことのない音…即ち銃声が、はっきりと彼の耳に届いた。


「っ!」


思わず情けない声が出てしまいそうになるが、実際に出たのは声にならない声であった。本当に今日は、人生の初体験が多い。人生初の魔法。人生初の巫女との出会い。人生初の銃声。そして…目の前の生き物が絶命する様を見たのも、人生初である。一成の心は恐怖に染まりかけるが、思いっきり顔をブルブルさせて頭を一旦リセットする。
論理的に考えよう。今、銃を撃った何者かは…もはやどこから撃ったのか分からず、姿もここからじゃ見えないが…間違いなく味方だ。理由1:自分ではなく、狼を撃ち抜いてくれた。理由2:ここまで自分の敵らしき生物は全員野生動物じみており、銃を扱うのは人間…即ち、味方である可能性が高い。理由2は推測がすぎる部分もあるが、理由1から見てみれば大分信用していいと思う。

戦闘している方向から青年、と自分を呼ぶ声が聞こえる。というより確認の声か。自分のことを「ナイスガッツ」と形容してくれたガタイのいいお兄さんの声…だったはずだ。


「生きてます! 大丈夫です! ありがとうございますー!」


自分も返事として声を張り上げる。前半部分はお兄さんに向けてだったが、後半のお礼は主に、自分を助けてくれたまだ見ぬ狙撃手に向けてのものだった。聞こえてくれているかは分からないが。それに加えて、お兄さんが自分のことを青年、と呼ぶのを聞いてふと思ったことが一つ。


(…まだ、自己紹介もしてないんだよね)


だから青年と呼ばれるのも仕方ない。自己紹介ができなかったのも仕方ない。彼らは戦闘中だったのだ。でも…この戦いが終われば、自己紹介する時間はあるはずだ。もちろん、『無事に』という条件付きだ。もし犠牲者が出るようなことになれば……いや、信じよう。きっと無事に、戦いは終わる。そして、この場にいる全員と、自己紹介ができる機会は、必ず来る。

座り込んだ男の子の手を取って、一成は辺りを見渡す。先ほど撃ち抜かれた狼を除けば、周りに狼の影は途絶えていた。お化けと戦っている戦士達が、周辺にうろつく普通の狼を積極的に倒し、引きつけてくれているからだ。そして恐らくは_不思議な力を使う巫女さんや、謎の狙撃手のお陰でもある。今のうちだ。一成は、男の子の手を握って、一緒に走り出した。とりあえずは安全な場所まで連れて行く。おそらく自分の救うべき人は、まだまだいる。一成は、より多くの人々をここから離すため、理想的に言えば、救うため。一成は駆けていく。


>新宿駅ALL

24日前 No.80

常盤 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★uUWv833LNP_m9i

【旗条凪雪/新宿駅 廃ビル屋上】

 戦況は、刻一刻と変化していく。
 狙い撃った狼はそのまま絶命したようで、ぴくりとも動かないところを照準器から顔を離してから目視で確認すると、静かに吐息した。狙っていた首よりも風向きによって軌道が逸れ、狼の頭へと銃弾が命中したことによりそのまま息絶えたのだろう。やはり急所は動物と同じ。頭や心臓を撃ち抜けば少なくとも倒すことが出来るらしい。ならば、と。大黒狼を改めて見やった。最初、あれを見たときは絶望を覚えた。しかし、今は違う。立ち向かう人々や避難誘導を率先する人々の勇敢さに、自身もかなり励まされ、そして立ち上がる勇気をもらえた。あの巨躯も今や足を引きずり、はじめ見たころよりも息も荒げているように思うほど、藍良が旅川さんとよんだ槍の青年を筆頭として、前線の彼らにより次々と大黒狼を窮地に追い込んでいっている。なんて頼もしい人たちなのだろうか。
 ふいに聞こえてきたお礼の叫び声に先ほど撃った狼のところを再度みやると、幼子を守っていた黒と白の髪をした青年が無事そうだ。恐らくこちらに気づいていないのだろう、彼は向こうを見ているが凪雪も彼らが無事であることに安堵して、少し口元に微笑みを湛える。あとで急に撃ってしまって驚かせてごめんなさい、と一言謝ろう。そう思って、彼が改めて人助けに奔走するところを廃ビルの屋上から見届けた。

 そして。なれば自分も、何か力にならなければ。凪雪の心に、もう恐怖心はない。
 再び姿勢を低くし、照準器を覗く。狙うは、大黒狼の頭、もしくは頸動脈。先ほど狼を撃ち抜いたことで貴久がこちらの居所を割り出してくれたらしく、うまいこと射線に入るよう誘導してくれている。旅川によってもはや息絶え絶えとなりつつ大黒狼は、しかしながらまだ戦う意志は見せている。さすがボス戦といったところか。

「――……あなたたちの切っ先が少しでも届くように、私は撃つ」

 心は穏やかだ。そして海が凪ぐように、静か。聞こえるのは自身の呼吸音。風の影響を脳内で割り出し、照準器で狙撃すべき個所を特定する。
 引き金をひいた。銃弾は勢いよくも真っすぐと獲物の首へと向かい、しかしやはり風のより軌道が少し逸れて大黒狼の口を撃ち抜いた。口に命中したことで舌もろとも撃ち抜き、まるで痛みにもがくように唸り声が響く。しかし凪雪は本来狙っていた箇所よりも少し逸れたことに舌打ちをし、もう一度照準器を覗いたまま今度は少し下方へと修正し、もう一度躊躇いなく引き金を引く。まっすぐ突き進む銃弾は今度こそそれの首元へと直撃し、頸動脈をかすったのだった。

≫新宿駅ALL

24日前 No.81

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

▼ボス戦の終わり

 人々への怒りが濃密に膨れ上がり、大黒狼は唸り声を上げる。しかし、足を引き摺り、1本腕は削がれ、首から血が噴き出している状態であり、もうその場で倒れても不思議ではなかった。
 人々を殲滅する予定だったのに、新宿駅に来た者たちによって倒されようとしている。しかも自分よりも遥かに小さい者たちに。
 もし敵が一人であったなら力で負けることはなかっただろう。しかしこの場にいる者は皆、連携し合ってこちらに向かってくる。誰かが窮地に陥っているときは必ず邪魔が入る。
 大黒狼は猛々しく雄叫びを上げようと息を吸った。しかしそれより一瞬早く自分の口元目掛けて弾丸が撃ち抜かれる。喘ぎながらもそちらを睨みつけると、すぐそこまで追撃の銃弾が迫って来ていた。
 避ける技量は大黒狼にない。
 銃弾は真っ直ぐ首に直撃し、頸動脈を掠る。だが手負いの大黒狼を仕留めるには十分な攻撃であった。さらに血が噴き出す。

 大黒狼は断末魔を上げて絶命した。
 大黒狼は地面にゆっくりと倒れ、大きな地響きがした。

▼現代都市への変化

 大黒狼が倒れた瞬間、ふいに一陣の風が吹いた。
 優しくも力強い風が新宿駅を起点として、漣のように広がっていく。
 そして風が通り過ぎた場所から、現代の街並みが姿を現す。敵の姿も共に消えていった。
 瓦礫に溢れ返った廃墟都市は、たちまち高層ビルが建ち並ぶ都会の街並みへと変貌していく。
 空は青く澄み渡る。あちこちに桜が咲き乱れ、花弁が宙を舞っている。季節は麗らかな春であるらしかった。

《――『chapter1:東京制圧』completeされました――》

 無機質なシステム音声が東京中に繰り返し響き渡る。

 月代美言は一つ頷いて自分の両手を天高く掲げた。彼女は断片的にではあるが、記憶を取り戻していた。
 その瞬間、東京は透明なガラスのようなものでドーム状に覆われていく。結界であった。
 新宿駅近くにいる者も、離れている者も、救世主と呼ばれるあなたたちは彼女の声を聞くことができた。

「――皆さま、ありがとうございます。おかげで東京を元の姿に戻し、東京で暮らしていた私たちの仲間を呼び戻すことが出来ました」

 人々の歓声が沸いた。
 しかしその者たちは傷一つなく、皆労働者の服装をしていた。スーツ姿のサラリーマン風な男性、エプロンをつけた花屋の女性……。彼らはNPCである。この者たちが彼女の言う仲間、現代都市になると彼らも蘇らせることができるらしい。
 そして頭上から光が降り注ぎ、あなたの腕に腕時計のようなブレスレットが嵌められる。

「それは『ブレスレットマネー』というこの世界のお金で、1ポイント1円と換算されます。機械にブレスレットをタッチすればお買い物ができます。
 この世界について慣れないことも、理解が追いつかないことも多くあるとは思いますが、ひとまず皆さまに必要なのは今は説明ではなく休息とお見受けします。

 新宿駅の東方向に《鳳月亭》という旅館がございます。ボス戦をしていた方はそこから見えるかと思います。大きな木造旅館で、屋根に月が飾られている建物です。駅付近にいない方、分かりにくい方はマップで検索をかけるか、近くにいる従業員服を着た者に聞いてみて下さい。
 また、治療が必要ならば知人の医師を向かわせましょう」

「避難誘導した人々の安否が気になるとは思いますが、後は私たちにお任せ下さい。責任を持って休息出来る施設や病院まで誘導するとお約束します」

 そうして彼女は高田馬場駅方面へと向かっていった。
 さらさらと優しい風が吹き、桜の花びらが舞い散る。廃墟化していた東京は、現代の街並みを取り戻したのだった。

【これにてボス戦終了です。お疲れさまでした!
 鳳月亭へ移動したところでイベント終了となります。しかし〆の投稿は強制ではありません。また、そのまま他キャラさんと最後まで絡む方は移動せずその場で絡んでいただいて構いません。よろしくお願い致します!】

23日前 No.82

雪鹿 @class ★Android=YCblo76hTC

【旅川 陽磨/新宿駅→凰月亭方面】

 遠方より放たれし弾丸は頸動脈を掠め、巨狼の雄叫びは響く事無く霧散してしまった。代わりて響くは獣の断末魔と大敵の伏す地響き。
 常なれば在らざるそれも、今だけは一つ息を吐かせるには十分な物であった。烏合の衆でありながらも、こうして共に手を取りあって戦い、無傷とは呼べぬものの、戦果は最善に近いと言っても過言ではないだろう。

 だが、まだだ。そう、集っていた狼達へ視線を向けるのと時を同じくして一陣の風が吹く。それは穏やかでありながらも気高く、春の訪れを告げるかのようなそれを感じるや否や、狼達はおろか瓦礫ですら姿を消してしまう。代わりに姿を現すのは自分も知る新宿本来の姿であった。
 争い等無かったと言うように何処までも青く澄み渡った空を見上げ、残るは身体に残る疲労感と自ら記憶だけが争いの証左かと、その時まではそう思っていた程だ。

 結界。確か、そう言って退路を敷いた彼女が両の手を天へと掲げれば、空に膜のような何かが現れた。退路を確保していたそれと同じ物。あの時は思考を割く事が出来なかったが、まるで幻想───いや、ゲームの中のようだ。事実、そうなのかもしれない。生憎、その手の話題には酷く疎いのだが。

 彼女の宣言に歓声が湧く。文字通り、居なかった人々が其所に居て歓声を響かせていたのだ。然らば、いつまでも構えるわけにはいかないと穂先を下に向けて安堵と共に悠然と微笑む。
 不意に頭上に光が射し込めば、腕時計にも似たブレスレットの姿が確かに其所にあった。はて、と思っていれば、その説明がなされる。成る程、電子通貨のような物ですね。

 そうして、最後に休息の宿を示して彼女は避難者と同じ道。つまるところ、高田馬場駅へと向かい去っていった。

「成る程、と全てを飲み込めた訳ではありませんが……とにもかくにも、皆様五体満足でなにより。御助力、感謝致します」

 猛々しくも勇ましき姿から一転、共に背を預けて戦った戦友へと穏やかに微笑みかけては、丁重に一つ頭を下げた。此れより先はどうなるか分からないが、少なくとも助力のどれ一つとして欠ければ、斯様な戦果は無かっただろうと踏んでいる。故に、感謝を示す事は何より当然の事。
 手傷を負わされた鳴弦さんに限界まで戦った藍良さんはもちろん、後半の囮を担った青年や懸命に人を助けていた青年。遠方よりの狙撃手や高田馬場駅へと去った彼女も、誰一人として必要でない者など居なかった。

「私は案内通り、凰月亭へと向かいます。必要でしたら手を御貸し致しますので、なんなりと」

 街中で棒立ちする訳にも、無駄に体力を消耗する訳にもいかない。一先ず、彼女の言うとおりに凰月亭なる旅館へ足を運ぶのが先決と端を発してみたが、前述した通り手傷を負った者どころか、満身創痍という者も少なくないだろうと一応の声を掛けてみる。
 疲労感が無い訳でも無かったが、だからと言って人の一人や二人運べぬ程柔な鍛え方をしているつもりは無い……勿論、現状だからこそ言える言葉ですが、ね。

>新宿駅all

【ボス戦終了と言う事で、一先ずお疲れ様でした!皆様、これからも宜しくして頂ければ幸いに御座います!】

23日前 No.83

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【功力藍良/新宿駅】

 銃声、そして大黒狼の断末魔と空気を揺るがすような地響き。
 風が吹き、現代都市へと変わっていく様子を見て藍良は肩の力が抜けた。藍良にとっては見慣れぬ景色ではあったがふっと緊張の糸が緩むと、そのまま地面にしゃがみ込んだ。荒い呼吸を繰り返しながら、目の前にある刀を手で触れて消す。
 誰か一人でも欠けていたら、もっと沢山の被害が出ていただろう。各々が自分の役目を果たし、時にフォローし合いながら窮地を救う。上手く連携がとれていたように思える。

 そして、頭上から光が差して手首にブレスレットが取り付けられると、藍良は怪訝に見つめる。美言から説明がなされると、「ほぉ」だとか「はぁ」だとか微妙な反応を示しつつ、まぁとりあえず専用機器にタッチすれば精算されるということは覚えとこうと思った。高田馬場駅の方へ向かう美言が見えると「後は頼みました」というも聞こえているかどうかは怪しい。こう、言い逃げのようになってしまうのはNPCの悪い癖というか何というか。きっと彼女は彼女なりに必死なのだろう。
 現代都市になって変わったことはもう一つ。ここにいるNPCと通信回路が通ったこと。これにはほっと息をついて藍良は足を投げ出した。

「いや、こちらこそありがとうございました。おかげで肩が再起不能になるという最悪の事態が防げました。――あ、俺は大丈夫です。旅館行くまでの距離なら動けます」

 そう言って、ゆっくりと立ち上がる。
 それにしても、マジで陽磨さん、敵の首切って昏倒させかけるんだもんなぁ、すげえや、と彼をちらと見つつ。いや、それはこの場にいるプレイヤーも同じことが言える。
 自分の肩が負傷したときに真っ先に駆けつけたのは貴族である青年だった。彼は騎士でないにも関わらず、子供たちの命を、ひいては自分の危機を救った。
 貴久は刀を一閃させて見事に大黒狼の斧を持っていた手首を切断して見せ、凪雪もまた青年の窮地を救い、大黒狼に銃弾を放ちトドメを刺した。貴久が射程距離に近づけ、凪雪が撃つという連携が光っていたように見える。
 鳴弦は上手く大黒狼を引きつけて奇襲の隙を与えてくれたり、後半は周囲をよく見て気高く声かけしてくれていたように思う。
 彼らのようなプレイヤーに初めて会ったような気がする。

「とりあえずみんなお疲れ。……怪我は大丈夫か? あと重傷者が近くにいたら教えてくれ。即刻病院に運ばせるから」

 もしくはこの場で応急処置か。
 怪我に関しては人に言えることではないが、動けない程ではない。こちら側から見るとひどい怪我を負っている者はいないように見えるが他の者から見ても同じだろうか。

 すると、頭上からピンク色の花びらが降ってきて、周囲を見回すと桜が咲き乱れていた。先ほどの退廃した世界が嘘のように消え、真上には澄んだ青空が広がっている。
 しかし藍良はそのさらにずっと奥を見据えるように空を見上げていた。

「絶対、ぶっ飛ばしてやるからな……」

 空中都市で待ち受けているだろう敵の姿を思い出し、藍良はそう呟いた。

>新宿駅ALL

22日前 No.84

リンネ @fallere825☆ogbfCh5GVvpt ★Android=WDXHwCBaoH

【西園寺鳴弦/新宿駅】

頸動脈を掠めるように抉り取った一弾が追い詰められた大黒狼への最後のトドメとなった。
ぐらりと揺れる巨体へ、あれは痛いぞざまあみろと嘲笑を以て鼻をならす。
倒れた大黒狼が巻き上げたのは砂埃や瓦礫の残骸ではなく、淡い色彩の花弁で、吹き抜ける春の肌寒さと温もりが混合した爽やかな風に目を丸くした。
風が浚うように蔓延っていた黒狼たちは消え去り、崩れた瓦礫や崩壊したビル群が本来のよく知る姿を取り戻した。厚い雲を退かして青空が垣間見える。
吐き出した吐息が白く濁ることもなく、どこからか響いた無機質な音声に、一段落がついたのだと知らされた。
はりつめていた緊張の糸を、ぶつりと裁ち切った。

「……っかれたぁ」

刀を地面に突き立て、沸き上がる歓声とは反対に崩れるように地面にへたりこんだ。
突然現れた人々の素性を問う気力も残っていない。
ぶわり、と吹き出した汗が傷に染みて呻く。重傷というほどの傷ではないが痛みがないわけではない。特に、盾を構えたとはいえもろに一撃を受けたうえ、その後も酷使をした左腕の悲鳴が遅れて聞こえてくるようだった。

「頑張った、本日は鳴弦さんにあるまじき頑張りだった。もう一歩も動きたくねぇ……動く気力もねぇ……誰かおぶってくれ…………。冗談ですけどねー」

そんなことをぼやきながら刀を杖代わりにしてよっこいしょ、と年寄り臭い声をあげてなんとか立ち上がる。
凰月亭は黙視できる範囲にあるのだから、それくらいは動く余力は残っている。ずぐずぐと痛む四肢。べっとり肌に張り付く血と汗。温い風呂に浸かって休みたい。そんなことを思う。
ぼやいたことに本心はなかった。
すべてが終わって、鳴弦の頭に残ったのは「よくやれた」より「もっとやれたはず」という慚愧にも似た感情だった。
そもそもが危うい綱渡りを幸運で渡ったようなものだ。
島津や旗条の増援がなければ、青年が子供たちを逃がしてなければ、旅川と合流できてなければ、そもそも最初に功刀と出会えてなければ。もっと犠牲が出ていた。もしかしたらその犠牲は鳴弦だったかもしれない。
終わったことだ。だが、恐らく、続くことだ。

「……折角の気遣いだ。あっちは任せてこっちは凰月亭とやらに向かおうぜー……」

力なく声を溢しながら何気なく空を見た。
青い、青い空。網膜を焼く光に目を閉じる。
一般人は守るものと教えられてきた。嫌いな教えだった。誰かを守るのは"人として当然"だと思っていた。それがこんなにも難しいとは思わなかった。
瞼を開け、空ではなく人々へ視線を巡らす。今のところは重傷を負っているものはいないようだ。
難しい、だが、やると決めた。

「……それは、俺らにとってもやるべきことだしな」

空の向こうにいるであろうかの怨敵への功刀が呟いた決意にも宣言にも似たような言葉を、何気無い独り言を以てして拾い上げた。
それは、多分、功刀ひとりにさせるものではないからだ。
そして、重い足を動かして凰月亭へと向かった。
>新宿駅周辺ALL

22日前 No.85

常盤 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★uUWv833LNP_m9i

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21日前 No.86

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_cv6

【新宿駅/島津 貴久】

「やった、か。ハハッ」

確かに大黒狼は絶命した、それを確認したと同時に肩の力が抜けて、次いで膝の力が抜けそうになって慌てて気張る。
流石に無茶をし過ぎた、必要なことだと判断したからとはいえ、一歩間違えれば確実に死んでいた。
その実感が今となって押し寄せた、だが言葉では弱音を吐かずに辺りを見渡す。
荒涼とした廃墟から見覚えのある近代化した新宿が戻っていた。

「ようやくひと段落か、もうちょっと頑張るとしよう」

気を抜くと崩れそうになる膝を強く叩くと大太刀に着いた血を払って鞘に納め、収納する。
無機質なシステム音が流れ、此処がネットゲームの世界であるということを嫌でも認識させる。
ブレスレットマネーの説明を突かれた頭でしっかりと覚えると、鳳月亭なる旅館に向かうことになった。

「俺は幸い怪我はしてないが……なんか甘いものが欲しいな」

そう独り呟くとみんなの下へと向かう、正直一歩も動きたくないほどに疲れているが、痩せ我慢で押し切ることにしたようだ。

>新宿駅ALL

【書き込みが遅くなって申し訳ありませんでした、ボス戦お疲れ様でした】

21日前 No.87

雲魔物 @cloudian ★Xkv963n3op_CE7

【邦咲 一成/新宿駅】

一目散に背中を向けて駆けていく、中学生くらいの女の子が無事に駆けていく背中を見て、また一成はほっと胸を撫で下ろした。
これで何人目だろう。まだ両の手で足りる人数だと思うが…。それくらいの数も正確に把握できないほど、一成は必死だった。戦いの最前線から離れた避難誘導作業ってだけでも強い緊張感とプレッシャーを感じるのに、実際に最前線で命を賭して戦っている戦士たちはどれほどの重圧なのだろうか。想像もできない。だからこそ…想像もできないからこそ、今自分がやるのは自分にできることだけなのだ、きっと。まだ誰か、避難しきれていない人はいないか、誰か…。


そこまで思考を巡らせた時、地面が揺れた。地震のような微動ではなく、巨大なトランポリンに重い物が落ちたかのような衝撃。中腰で膝に手を置いていた一成は危うくバランスを崩しかける。なんだなんだ、一体何が…と確認するより早く、目を見張るような事態が起きた。


「…え、え? は、あ、えええ…!?」


ボロボロの廃墟都市が、まるで時が巻き戻されるかのように整然と聳え立つ都市へと変換されていく。瓦礫が消え、狼が消え、建物が元へと戻っていく。それに加えて降り注ぐ無機質なシステム音声。分からない、分からなすぎる、と一成は混乱していた。いくらシステムみたいな音声が流れた…ってだけではこの世界がゲームだとはパッと繋がらない。ただ単に訳が分からず、ハテナマークを浮かべるのみであった。

続いて、世界に響いた声は…あの巫女さんの声だった。え? と更なる疑問が生まれたと思いきや、そんな疑問を考える暇もなくなるほどの急展開がまた起こる。


「…………」


多種多様な人々が突如現れ、歓声が湧き上がる。両手で数えるほどの人数を探して助けていた一成からすれば、もはや声を上げて混乱することもできず、ただただマヌケにポカンと口を開けていた。一種の思考停止状態だ。その思考が回復したのは、光が降りてきて腕に何かはめられた時だった。


「…ブレスレット…旅館…か。…なんだか、よく分からない、けど……終わったのかな…全部」


今度は声を聞き逃さなかった。先程までの荒廃っぷりが嘘のように澄み渡る世界を仰ぎ見て、一成は嘆息した。最後の『全部』という言葉はほとんど願望なのだが。彼にとって本当の『全部終わった』とは、家に帰ることなのだから。


(…和泉ちゃんと咲彩ちゃんは、無事かな……旅館に向かってて、くれてる、かな……僕、も…)


向かおう、と思った直後…緊張の糸が切れたことによる脱力で、前のめりに倒れこむ。ただし地面に頭をぶつけるより早い段階で、モフモフな布団を生成して、その上に倒れこめるくらいには、魔法…『ギフト』を使いこなしていた。


(……あと五分…)


お決まりの文句を脳内で思い浮かべながら、疲れ切った体を布団に預けて目を閉じる。実際に彼が凰月亭へ向かうまで、あと十五分。




【ボス戦お疲れ様でした。遅ればせながら、せっかくなので自分も〆レスを投稿させていただきました。これからもどうぞよろしくお願いします。】


>新宿駅ALL

20日前 No.88

スマイル @smile390 ★iPhone=MqRcTcnPfX

【小百乃咲彩/文化センター通り:とあるビル内】

「そうだな。……うん!絶対!絶対皆で帰ろうな!」

一成お兄さんも一緒に、と言って笑う和泉を見て、咲彩も自分自身に言い聞かせるように声に出して言う。心のどこかで一成が戻ってこないのではないかという不安もあったが、それすらも吹き飛んでしまったような気がした。

かくれんぼが得意と言う和泉に、じゃあきっと狼も見つけられないな!と言って冗談ぽく笑ってみせる。こんな状況で不謹慎かもしれないが咲彩は少し楽しい気持ちになっていた。きっとそれは一緒にいる和泉やぬいぐるみをくれた一成のおかげだろう。怖い気持ちに蓋をしているだけだったとしても今の咲彩たちにはこれくらいが丁度良かった。


和泉に続いてビル内へ入ると、ざっと中を見渡してみる。割れたガラスの破片や崩れた瓦礫などが散らばっていてやや危ない気もするが、たぶんどこへ行っても同じだと思うので仕方ないと割り切ることにする。怪我をしないよう気をつけるしかないだろう。
そう思いながら咲彩はちらと和泉を見る。自分はいいとしても、和泉が心配だった。もし怪我をしてしまっても今は絆創膏どころかハンカチすら持っていないため応急処置もできない。
咲彩はどうしようかと考えてハッと思いついた。長袖Tシャツの上に着ていた赤いパーカーを脱ぐと、きょろきょろと辺りを見回す。 そして破片などが少ないところを見つけると、そこへ自身のパーカーを敷いた。

「これなら安心だな!」

腰に手を当ててそう言うと和泉の方を向き、ここに座っていいぞ!とパーカーを指差しながら座るよう促す。咲彩はというと立ったままでいるつもりだが、そこまで疲れてはいないし和泉を怪我させたくないので気にしなかった。
よし、と意気込むと、咲彩は早速魔法の練習に取り掛かった。


__……数十分後。

「もーーー!なんでできないんだー!!」

咲彩はもう何度目かも分からないイメージを経て叫んだ。咲彩の足元には、石ころ、ナイフ、鉄パイプ、ボクシンググローブなどが転がっている。
魔法の練習を始めた咲彩だったが、一成に言われた通りいくら頭に思い浮かべても、何故か物騒なものしか出すことができないのだ。もちろん、家に帰るイメージをしても帰ることなんてできなかった。
うぅ、と咲彩は肩を落とし、これとも何か関係があるのかと自身の利き手の甲に刻まれた謎の印を見る。魔法の練習をしていて気づいたのだが、咲彩の片方の手の甲には盾と剣の模様が刻まれていたのだ。擦っても取れないし、タトゥーのようなものなのだろうと思う。刺青はあまり良くないイメージがあったが、この印はなんだかかっこよく感じられ、咲彩は気に入っていた。因みに和泉の手には咲彩とは別の印が刻まれていた。

「いいや!じゃあさや、今からみんなを守る剣士になる!」

できないものはできないので考えていてもしょうがない。幸いにも武器になりそうなものなら作り出すことができるようなので、それならと自分は戦士になると宣言する。この世界には狼のようなお化けがたくさんいるのだろう。だから咲彩はそれらを倒し、みんなを守れるようになろうと,そう思ったのだ。武器を出せるのだから一石二鳥だ。

そうと決まれば武器となる剣が必要だろうと、咲彩は剣をイメージする。いつかに絵本で見た王子様が持っていたあんな感じの……。

「わぁ〜!剣だ!かっこいい!」

目を開けたとき、目の前には想像通りの剣があった。咲彩は大喜びでその剣を手に取る、が。

「重っ!?」

一見簡単に持てそうに見えたその剣は見た目以上に重くずっしりと感じられた。この世界特有の効果により持ち上げることはできたが、振り回すのは難しそうだ。
少々悔しいが、それならと今度は少し小さくなった剣をイメージする。目を開けると小さくなった剣、所謂短剣というやつが目の前に現れた。これなら、と短剣を手に持ち軽く振ってみる。

「おおーっ!できた!できたできた!和泉!見て見て!どうだ!?すごいだろ!」

短剣を振り回しながら興奮気味に和泉に話しかける。剣を振り回すなんて危ない気もするが、今の咲彩はそこまで頭が回っていない。

と、突然に一陣の風が吹いた。咲彩は剣を振り回す手を止め、反射的に目を瞑る。風が吹き去るのを待ってからそっと目を開けると……。

「わあ!なんだこれ!?」

一瞬にして廃墟と化していたビル内がまるで始めから傷一つなかったかのように元通りになっていたのだ。それだけじゃない。
咲彩は窓に走り寄って外を見た。

「わあ……っ!い、和泉!来てみろ!すごいぞ!」

空は青く澄み渡り、枯れていた草たちは本来の姿を取り戻したかのように綺麗な緑色。そして極めつけは満開の桜。風に煽られてピンクの可愛らしい花弁が宙を舞っていた。まさに『春』といった景色だ。つい先程までの光景が嘘のようだった。

《――『chapter1:東京制圧』completeされました――》

そんなアナウンスのようなものが繰り返し響いた。

「東京制圧……コンプリート……」

咲彩はぽつりと呟き、自称神様が言っていたことを思い出す。多分だが誰かが怪物を倒してくれたのだろう。だから現代都市、元の街並みに戻ったのだ。

「やった!やったな!きっと他の魔法使いがお化けたちを倒してくれたんだ!」

自分は何もできなかったことに悔しさもあったが、今は素直に喜ぼうと思う。
ふと頭上から光が降り注いだかと思うと、自身の腕に腕輪のようなものが取り付けられた。さっきの機械的な声とは違い、ちゃんとした人の、女の人の声が説明をしてくれる。話を聞くに、これを使えば買い物することができるらしい。そして《鳳月亭》という旅館があるからそこで休息を取るといいと言う。
行ってみよう、そう言おうとして口をつぐむ。一成に言われたことを思い出したのだ。一成は倒したら必ず咲彩たちの元に帰ってくると言っていた。それまで逃げて隠れていて、と。しかし外の様子を見ても、もう危険はないと思う。万が一というのがなくもないかもしれないが、大丈夫……だと思う。

咲彩はんー、と考えてから口を開いた。

「一成と約束したけど……行こう!もしかしたら怪我してるかもしれないし!さやたちが助けてあげなきゃ!」

もしかしたらだが、もし一成が怪我をしていて動けないとかだったら大変だ。それに今なら狼に出くわしても咲彩にも倒せそうな気がした。

>>浅沙和泉様、周辺ALL様


【ボス討伐ということで時間を飛ばしてみました!返しづらかったら変えてしまって構いません!】

20日前 No.89

リンネ @fallere825☆ogbfCh5GVvpt ★Android=WDXHwCBaoH

【浅沙和泉/文化センター通り(とあるビル内)→凰月亭】

ビルの中は、当然と言うべきか。外見を裏切ることのない荒廃だ。瓦礫や割れたガラスがそこかしこに広がり、一歩進むごとにパキリとガラスを踏んで割る音が響く。
大きな瓦礫や踏んだら危なそうなものは避けて歩くが、小さな残骸まで気にしていたら歩くことすらできなそうだ。
赤いリボンの付いた靴はお気に入りだが、この残骸の転がった床を歩くのには向いていない。こんなことならスニーカーを履いてくればよかったと歩きにくさに唇を尖らせた。
さて、どこに隠れようか、と手近な瓦礫の影を探っているとき、さやお姉ちゃんが「ここに座っていいぞ!」と自分の赤いパーカーを絨毯のように引くものだから慌ててしまう。

「えっで、でも……!」

急いでさやお姉ちゃんが引いたパーカーを和泉は持ち上げるが、時すでに遅し。細かなガラス片や砂埃で汚れてしまい、叩いても元のパーカーの状態に戻すのは難しそうだった。
どうしよう、と悩むが折角の好意を無駄にするのも憚られた和泉は「ありがとうね」とぺこりと頭を下げ、いそいそとパーカーの端に控えめに膝を付く。
そして、さやお姉ちゃんに倣い、小さく握りこぶしを作ると、よし、と意気込み魔法を練習する。

イメージが大切だ。魔法とはそういうものだ。
そう教えてもらえればあとは早いものだ。
なにを創るのかはもう決めていた。

__……数十分後。

「でき、できたぁ……!」

さやお姉ちゃんから隠すように背中を丸めてイメージすること数十分。
デザインよし、肌触りよし、伸びもよし。完璧だと自画自賛する。積み重なった失敗作の数は知れず。しかし、こればかりは大雑把な和泉と言えども妥協は出来なかった。出来上がった逸品を満足げに検分するとさやお姉ちゃんに見せようとし、ちょうど苦戦していたらしいさやお姉ちゃんも満足のいくものが出来たところらしかった。

「剣? すごいね、かっこいい! さやお姉ちゃんにぴったり!」

小さな剣を持つさやお姉ちゃんは本当のヒーローのようでキラキラと目を輝かせて和泉も自分のことのように喜ぶと、自分の作品もさやお姉ちゃんに差し出した。
赤色のパーカー。
さやお姉ちゃんが引いてくれたものと同じものだ。

「あのね、作ったの! さっきはありがとう! 自信作なんだよ、これ!」

気に入ってもらえればいいなぁ、と差し出した。そのときだ。
一陣の風が吹き抜けると世界を浚う。
桜の花弁がビルの中にまで吹き込み、先程までボロボロだったビルの内装が綺麗に整えられていく。
美しい光景だった。

「すごい……これも魔法なのかな?」

この魔法を使える人は、きっとすごい魔法使いに違いない。喜びよりも呆気に取られ、目を丸くしてビルの外の光景を見た。
そして無機質なアナウンスに続く女の人の声。
呆然としていた和泉は、さやお姉ちゃんの言葉にハッとする。

「うん! 一成お兄さん、困ってるかもしれないもんね!」

助けてあげなきゃ、その言葉にうなずく。
魔法も習得した今ならきっと力になってあげられる、と拳を握って意気込んだ。

【遅くなってすいません! 皆様ボス戦及びイベントお疲れさまでした! 次もよろしくお願いします!】
【大丈夫です、返信遅れて申し訳ありません。今後もよろしくお願いします!】
>小百乃咲彩様、周辺ALL

18日前 No.90

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【功刀藍良/新宿駅付近】

 空は青く澄み渡っていた。数日前のことが嘘のように晴れ上がり、建物は現代の街並みを取り戻している。戦場と化していた新宿駅前は、今やビルが建ち並ぶ都会の街並みへと変わっていた。ひらひらと舞い散る桜は壮観で、今は暖かな春であるらしかった。
 しかし、現代と比べると治安は決して良いとは言えなかった。街中では強盗に手を染める者が現れたり、洞窟に敵が出現したり、極めつけは奇妙な噂まで流れている。『人が突然消えた』『影の中に吸い込まれた』と。荒唐無稽な話で、それは単に尾ひれがついた噂と見るべきか、別の能力を持つ者が現れたと考えるべきなのか非常に悩ましかった。なぜならこの世界では有り得る出来事である可能性を捨て切れないからだ。
 何が起こっているのか少し調べて来て欲しいと美言からお願いされたが、しかし果たして彼がどれだけ力になれるのか怪しい。
 藍良はまるで田舎から都会へ上京してきた学生のように物珍しそうに周囲を見回している。見慣れぬ街の景色。2019年の文明にも慣れず……正確に言えばゲーム世界では簡略化されてしまいがちなことであったり、このゲームが作成された時代のプレイヤーがゲームしやすいよう多少文明をその時代の物に作り替えていたりするので分からないことは多くあった。例えばこの世界には料理スキルや運転スキルがないので、現実のように料理をしたり運転をすることは藍良には出来ない。そういったことの方に悪戦苦闘しており、彼は現代都市では非常にあたふたとしているのだった。

「現代都市が分からねぇな……」

 そして度々、ふっと頭の中で浮かぶのはここがまだ退廃都市であった頃に出会った者たちの顔だった。彼ら、彼女らは元気だろうか。慣れぬ環境に身を置かれているという意味では同じことで、この世界ではゲームらしさと現実らしい事柄が混同しているように思える。どこかでここがゲーム世界だと全体に伝えられたら良かったのだが、そういった情報共有場もないままここまで来てしまったのが申し訳ない限りであった。救世主であればどこかでNPCが助言している可能性もあるが、実際にきちんとした説明がなされているのかは分からない。
 藍良はそんなことを考えながら慣れぬスマホでマップを見ながら新宿駅を歩いている。正直、行方不明事件を調べるにしても、手がかりが少なくて行き詰まってしまっている。美言には悪いが断りを入れて一旦、どこかカフェやレストランにでも入って休憩しようか、それとも頭を切り替えて今日はこの世界に慣れるよう散策すべきかと考え始めていた。

>ALLさま

【これより第二章開始となります。第二章では何をしていただいても構いません。街を散策する、何か食べに行く、戦闘訓練をするなど。また多少変化があってもいいかなと思い、そのうち行方不明事件の犯人を出現させてちょっかいをかけに行くこともあるかもしれません。
 第二章でもよろしくお願い致します……!】

17日前 No.91

雲魔物 @cloudian ★Xkv963n3op_CE7

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16日前 No.92

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_cv6

【鳳月亭 談話室(和室)/島津 貴久】

浴衣を着た黒い髪の男が和装の談話室に入ってくる、今は誰も居ないようだ。
貴久は風呂上りなのか髪が湿っており肌は上気している、大分寛いでいるようだがこれでも毎日やることはやっている。
まずは戦いの訓練だったり、武器を作るイメージの練習だったり、身体能力が強化された体での動作確認だったり。
今では作り出した武器は数知れず、大剣だったり小太刀だったりナイフだったりと様々だ、大太刀や刀のスペアも作っている。
効果があるかは分からないが筋トレやランニングもやっている。これに関しては訓練というよりも習慣だ。
それでも汗は流れるので露天風呂に入って汗を流して此処に涼みに来たという次第だ。

「さて、何か飲み物は……」

最初は中々慣れなかったがブレスレットマネーの使い方にも慣れてきたところだ。
そのカネの出所は荒廃した外での戦いの産物だ。敵を倒してメシの種にする、というのは中々慣れない。
前はアルバイトで稼いだ金をそのまま小遣いに当てていたが、今ではそれを遥かに超える額の金が入ってくるので金銭感覚が狂いそうだ。
かといって豪遊する気にはなれず、買うとしても必要最低限の物だけにしている、今買おうとしている飲み物も勿論その一つだ。

「ふぅ、生き返るとまではいかないがスッキリするな、爺臭いことを言う連中の気持ちがわかる気がする……」

とりあえずコーヒー牛乳を購入して椅子に座る、そして半分くらい一気に飲む。
今日の訓練のノルマはやったし、髪が乾いたらあとで外にでも出るかな?

>ALL

【第二章開始おめでとうございます】

15日前 No.93

常盤 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★jUUcOPSEWm_m9i

【旗条凪雪/鳳月亭 自室→廊下】

 大きな戦いから数日。退廃していた新宿も見事現代と相違ない都市へと戻ってからまだ数日しか経ってはいないけれど、この世界での生活も少しばかりか慣れ始めてきたという人間の環境への順応力の高さには恐れ入るばかりだ。と、自分自身ふとしたときに感じることが多々ある。しかしもはやこれについては、慣れたほうが身のためだとも一種諦観めいたものもあることは間違いない。どうあがいても、来たる「最後の戦い」に勝利をしなければ恐らく現実世界には戻れやしないのだから。
 この鳳月亭の従業員や街の人々は救世主だと歓迎されたことが少しむずがゆかったが、慣れぬ土地(外見だけはよく知っている)だったので親切に色々なことを教えてくれたり、話しかけられたり、買い物をしたときにおまけをしてくれたりと非常に気さくで、恐らく現実の東京よりも過ごしやすい土地や環境になっていることが実はとても面白かったりする。同じ都市の名前をしているのに、こうまで違うのかと思ったらギャップで混乱してしまうが非常にありがたい、というのが本心でもあった。新宿で共に戦った彼らや、表では見えなかったが後から聞けば都市中に溢れかえるほど現れた敵を少しでも減らそうと尽力をしていたり、或いは逃げ遅れた民たちを素早く的確に避難誘導をしてくれていたという、まだ名前も顔も知らぬ人たちとも改めてこの鳳月亭で顔を合わせ、そして自己紹介をしあった記憶はまだ新しい。彼らが全員居たからこそ初めてこの東京が救われたのだと思うと非常に感慨深くなるのもまた事実。

「さて、今日はどうしようかしら」

 大きな戦いが終えてからというものの、鳳月亭の散策や新宿区内の散策は一通り終えたように思う。自室できちんとした服装に着替え終えてから、姿見でおかしなところがないかを確認してからひとつ頷く。火の元をきちんと確認し、何か危ないことはないかと部屋を見回してから特に問題ないことを認めると、自室を出て廊下へ。今日は少し遠出をするのも悪くない。その前に、そういえばこの鳳月亭に非常においしそうなパンが売っている店があったなと思い出したので、お腹が空いたなという理由で鳳月亭に併設されているパン屋へと向かうのであった。


≫ALL


【千叉継鳥/新宿駅付近】

 鳳月亭を出て小一時間、特にあてもなく継鳥はこの似て非なる新宿の街並みを緩やかな気持ちで散策をしていた。時折気さくに話しかけられることにも手を振っては応えての繰り返しだが、煩わしくはまったくなかった。澄み渡った空を時折見上げては、ここで数日前の大きな戦いがあったのだと思うと不思議な気持ちになる。今やたくさんの人でにぎわっているこの新宿の様相は現実世界のものとほとんど大差なく、けれどこの街を闊歩している人々が所謂ゲームでいうところのNPCというものなんだと知って驚いた。というかそもそもこの世界が現実ではないということそもそも信じられないのではあるが、しかしてまさしく今ここに立っているこの世界が継鳥にとっての現実になりつつあるのは確かであるのだと思うと、それは今の自分は受け入れなければならない事実であるということは間違いなかった。自分の役割は貴族といういわゆる後方支援ではあるけれど、現実の世界では医者であるということもありやはり怪我をしている人などを放っておくことは出来ないために出来うる限り前線に出たいとは思うが、それでも自分の負った傷はどうやら癒すことが出来ないようで、最前線で戦う騎士たちの足手まといになることはつまり本末転倒になるとのことでどうもままならない。なんとかしたいとは思うけれど、どうやら自分は他の貴族のように物質を創造するよりも治癒能力のほうに長けているらしく、まだそれ以外ではそれほど貴族として役には立っていない。これもどうにか打開せねば。思わずついてでた溜息はしかし小さく、隣をすれ違う人にも特に気づかれてはいないようだった。

「……少しお茶でも飲んでいこうかな。そういえばお腹もすいた気がする」

 小さく呟いてから、どこか適当な喫茶店かレストランか。頼りなく鳴いた腹を軽くさすりながら、あてもなくふらりと歩みだすのであった。


≫ALL


【二章開始おめでとうございます〜!これからも楽しみにしております!】

15日前 No.94

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【功刀藍良/新宿駅付近】

 見慣れぬ街を歩いていると、つい色んなところに目を奪われてしまう。例えば、桜の散る様、高層ビルが建ち並ぶ都会の街並み、外観の凝ったお洒落な喫茶店やレストラン。空は青く澄んでいて、爽やかな風が自分の髪を撫でるようにして吹き過ぎていく。プレイヤーたちはこんな世界で暮らしていたのだろうかと藍良は密かに興味津々だった。自分はあまり外の世界について詳しくないだけあって余計に。
 つい数日前まで廃墟化した街並みが広がっていたが、まるで時間が巻き戻ったかのように今や老朽化した建物も瓦礫も一切ない。ここが戦場となっていたことが信じられなかった。武器を手に取り、命をかけて戦っていたとは到底思えぬ光景。多少治安は良くないが、それでも退廃都市であった頃に比べれば幾分かマシである。
 まるで自分がゲーム世界から現実世界に出て来てしまったのだと錯覚してしまいそうになるが、しかし体力回復が早かったり医師からもらった薬が異様に早く効いたことを考えるとやはりここがゲーム世界なのだと痛感するのだった。

 そして未だに管理者側から何も介入がないことを考えると、やはり自称『神』を倒さねばプレイヤーを元の世界に帰すことも、この世界を元に戻すことも出来ないのだと思うと何だか寒気がした。自分よりも遥かに高知能で広範囲な権限を持つ者と相対することを考えると何だか苦しくなる。藍良は胸の動悸が早くなるのを感じて、胸に手を当てて深く息を吸った。
 そこで多少足がふらついてしまったことがいけなかったらしい。前方から歩いてくる深い濃紅色をした男性とぶつかりそうになって、とっさに身体を捻って避けようとした。が、目の前に迫る電柱、バランスを崩して傾ぐ自分の身体。そして額と電柱がぶつかった鈍い音と痛みが襲って「うっ」と唸り声を上げる。スマホが手から滑り落ち、虚しく地面に転がる音もした。
 騎士であるにも関わらずこの失態。額を擦ると擦り傷になっているのが分かって微妙な心境になった。自分の間抜けさに心の底から悔いる。自分が体勢を崩して勝手に電柱にぶつかっただけなので相手は全く悪くない。こちらの落ち度である。むしろ、この拍子に転んだりしてはいないだろうかとふと彼の方に顔を向けた。

「すみません、ぼけっとしてて。そちらは怪我はないですか?」

 身体を男性の方へと向けて藍良は首を傾げた。

>継鳥さん、ALLさま

【もしよろしければお相手して下さると嬉しいです!勝手に電柱にぶつけさせているのでもし絡みにくければスルーしてもらっても構いません……!】

14日前 No.95

常盤 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★iPhone=e25HN4EJVI

【千叉継鳥/新宿駅付近】

 お腹が空いたなあ、とお腹も気持ちもしょもしょもしながら、こういう時自分が貴族という役職であるにも関わらず料理系のものが食材しか出せないことが嘆かわしい。新鮮な食材を出せるのだからそれだけで充分なのでは、と優しい言葉を掛けてくれた狙撃手の女性が居てくれたので、なんとなくその場ではそうかもしれないと前向きになれたのではあるが。やはり元来料理は苦手な物のひとつであるので、こうして能力にも影響が出たのだろうと容易に憶測は出来る。もっと料理をきちんとしていれば良かったと後悔してももうどうにもならない。諦めてどこかの飲食店でごはんを食べたほうが精神衛生上良い気がする。継鳥はそう一人内心で納得をしては、さてとやはりどこかで美味しいものを食べてからまたこの似て非なる東京を散策しようではないかと意気込んだ。
 その時である。

「! ……っ!? 僕こそ余所見していたから気づかなくてごめんね、というより僕のことよりも君のほうが大丈夫?」

 すれ違う際に青年がぶつからないように身をよじるようにして避けてくれたらしく、しかしそれにより電柱との距離感を失ってそのままぶつかってしまったようだった。手から滑り落ちたであろう彼のスマホはそのまま地面に激突しそれも少しだけ鈍い音をさせていた。彼のスマホを拾いながら、どうやら派手に落とした割には傷がついてないことを確かめると少しだけ安堵はするが、それよりも彼だ。足早に駆けつけて膝をつき、しかし彼は尚も相手のことを心配しているのだからとても心優しい人なのだろう。継鳥自身は全くもって無傷だから問題ないのだが、彼はどうやら電柱にぶつかった際に頬を擦りむいてしまったらしい。赤く擦れていて少し血が滲んでいるのが見受けられた。

「少し怪我してるね。ほかに怪我しているところはあるかい? 足とかは痛めてない?」

 職業病とも言っていいほど他に怪我をしていないかを彼に確認しながら、「はい、君のスマホ」と彼に拾ったスマホを手渡した。端末自体に傷は見受けられなかったことも伝えてから、「気分が悪いとかあれば隠さずに言うこと」と次いで彼に告げるのであった。


【絡みとっっても嬉しいです!!ありがとうございます!!】

≫藍良さん、周辺ALL

13日前 No.96

くら子 @kura003☆pak20/nYiv6 ★Android=pBGahVAiu6

【宇佐 美実/鳳月亭 談話室】
幾度も手をかざせど、何も出てこない。はて?と小首を傾げ、やり方が違ったかなと今度は両手を2回叩いて机にかざすが何も出ない。椅子から立ち上がると両手で2回叩いてその場をくるりと一回転。両手を大きく伸ばして気(?)を送る。何も出ない。
ぎゅ、と眉間に皺を寄る。む、と唇を突き出す。ぐう、と腹の虫がなった。

宇佐 美実は「貴族」の役職の者がその手から食べ物を出せることを知っていた。もちろん、「騎士」の自分が出せないことも知っているが、ほら、ミミちゃんなら出せそうじゃん?

そんな淡い彼女の期待は当然叶うことは無い。所詮1プレイヤー。ルールをねじ曲げることは出来ない。

「やだあ。お腹すいたわよう。」

新宿駅から危機を救った救世主となって数日。机に突っ伏した彼女の腕に付けられたブレスレットマネーはもうすっからかんだ。初めての目にするシステムに好奇心であれこれ買ってしまったからである。
今度はちゃんと調節しようと心に誓うが、さて、その誓いがしっかり守られるかどうかは神のみぞ知る。

さまざまな人が賑わう談話室。美味しそうな匂いも漂う。空っぽの腹を刺激され、恨めしそうに人々を隠れた瞳でじっと見つめるのだった。


>>ALL

【第2章おめでとうございます!これからよろしくお願いします!】

13日前 No.97

雪鹿 @class ★Android=YCblo76hTC

【旅川 陽磨/→鳳月亭・廊下】

 人々の心に余裕があるとは言い難い状況故か、あるいは午前七時という時間故か、閑散とした小規模の道場の中に僅かな床の軋む音と風切り音が響き渡る。
 一条の短穂槍を構え、踏み込みと同時に突きを放つ。それから、背後へと切り返して薙ぐ。その一挙一動の精錬さは一人稽古だと言うのに迫り来る敵の姿が見えていると言わんばかりであり、確かな迫力が其所にあっただろう。容貌に見合わぬものの何処か馴染む鳳月亭より貸し出された浴衣を纏う彼の予断無き表情も一層それを際立たせていた。

 あの戦いを終えて数日が経ったが、その間も内外共にロクなダメージを負わなかった彼は未知であるこの世界の見聞を深める一方で、改めて鍛練にも勤しんでいた。退役後の現状維持を目的としたそれでなく、あるいは青春とでも言うべき時代のそれ。
 というのも、あの戦いに於いて自分が万全であったかと問われればNOだ。最善を尽くしはしたが、更なる強化を受けた肉体の感覚を掴みきれていない感覚が確かにあった。恐らく、本来の身体における扱い方を熟知しているが故の違和なのだろう。
 ……無論、それでも人並み以上に戦える事は実証済みだが、これから先の戦いにも望むのだから取り除くべきものだ。でなくては、取り零してしまうやもしれない。

 故に、こうして鍛練を積み続けている。時は刻まれ日は昇り続てゆき、分針が二周した所で穂先を下へと向けて一息吐く。一人で使っていると言うだけあって息苦しさこそ感じなかったが、それでも汗はじとりと滲む。
 片隅に置かれたタオルへと歩みを進めて手に取り、額を拭いながら思うとすれば───

「……必要経費、ですかね」

 この衣服の事であった。
 一応、鳳月亭の従業員から許可を得ているとは言え、毎度毎度こうして世話になるのは申し訳無い。であらば、何かしら自前で用意する必要がある……と思い至ったのは此度の鍛練の最中の事。それほどまでに考えるべき事が多すぎたのだろうか、と内心で溜め息を吐く。

 あるべき場所へ短穂槍を置き、手荷物を持つ。それから、道場を後にする際に頭を下げて鳳月亭へと続く道を進んでいった。



 斯くして、汗を流して普段通りの服装に着替え終えた彼は胴着を買うべく鳳月亭の廊下を歩き進めていたが、ふと夜の帳を切り分けたような髪を持つケープコートを羽織った女性の姿が視界に映る。
 知り合ってから数日であるために確信は無かったが、それでも声を掛けるに値するだけの自信はあったのだ。旗条 凪雪───あの一戦において、射撃の才を遺憾無く発揮した文字通りに強き騎士の一人。と記憶しているが、声に出すのは止めておこう。

「ごきげんよう、旗条殿。これから何処かへ御出掛けになられるのですか?」

 彼女が新宿を散策している事は小耳に挟んではいたが、何処か楽しそうにも見受けられた後ろ姿へ行き先を朗らかに挨拶も兼ねて訊ねてみてしまう。
 普段と相変わらぬ穏やかな微笑みの下で行き先を聞くのは不躾であったろうか、とも思うが、何も好奇心だけで聞いたわけではない。老婆心ながら、近頃の不穏な噂の件もあった。彼女のような抜かりの無い者に不要なのやもしれないが、こればかりは仕方ない。

 しかし、だ。こうも穏やかに話し掛けた彼であったが、職業病か、はたまた祖父の指導故か無自覚に足音は立てていない。何と言おうか、気配を殺していないのがせめてもの救い……尤も救いとなるか否かは彼女が気付くかどうか、それに掛かっているのだが。

>旗条 凪雪様、all

【後れ馳せながら、二章開幕おめでとうございます! これからも何卒、よろしくお願い致します】>皆様

【絡ませて頂きましたが、不都合等御座いましたらスルーして頂いて構いませんので……! よろしければ御相手のほど、よろしくお願い致します!】
>常磐様

13日前 No.98

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【功刀藍良/新宿駅付近】

 足早に自分の元へ駆けつけてくる彼の様子を見るに、どうやら怪我はないようでほっと安堵の息をついた。先ほどは電柱にぶつかるという失態を犯してあたふたしてしまったせいか、彼の姿をよく確認できなかったのだがこうして顔を合わせて落ち着いた対応をしているのを見るに歳上であるらしかった。
 謝罪をする彼に藍良は首を振って答えた。彼に非はないと思った。

「いや、とんでもないです。他に特に怪我もしてないし、ほら、この通り足をくじいたりもしてない」

 立ち上がって膝についた砂を雑に払い落とす。足首の関節を動かして見せ、他に怪我はないことを示してみる。
 スマホを受け取るとき、ふと彼の手の甲に銀色の盾と青い星型の刻印があることに気付いた。貴族の刻印だった。礼を述べてスマホを確認すると、彼の言うように液晶が割れたり傷ついている様子も無く「良かった……」と小さく呟いた。そのままスマホをジャケットのポケットに入れながら、初対面の相手にここまで心配してくれる彼はとても親切な人なのだろうと思った。
 そして気分が悪ければ隠さず話すよう告げられると、藍良は「ええっと」と口ごもりながら何て話すべきなのかを考えた。吐き気や目眩を覚えているわけではなかったが、空中都市で待ち受ける自称神との戦闘を考えると悪寒がすることもある。かといってあの神のせいでプレイヤーが元の世界に帰ることも、この世界を元に戻すことも出来ないのだと思うと無性に腹立たしくなることもある。そしてまた、ゲーム世界であるにも関わらずプレイヤーの安全性が損なわれている状況に痛切な思いに駆られるのだった。

「……気分は悪くはないんですけど、まだこう……頭の中が整理出来てなくて」

 困ったように藍良は笑った。

「考え事ばかりしていられる性格じゃないのでその辺りを歩いてみたり、仕事とってきたり、今もどうせなら何か食おうかなって思ってたんですけど、街にも慣れてないこともあってやっぱり何だか落ち着かないんですよね」

 藍良は静かな口調で話した。どこか自分が見知らぬ遠いところへ来てしまっているのではないかと、そんなことさえ思った。
 しかし、初対面にも関わらず親切に接してくれる彼に甘えてこのままだらだらと話してしまうのも申し訳なく思ってふっと口をつぐんだ。そして「すみません、引き止めてしまいましたね。何かこの後ご予定はなかったですか?」と気遣うように尋ねてみて。

>継鳥さん、ALL

【こちらこそありがとうございます!第二章でもよろしくお願い致します…!】

12日前 No.99

リンネ @fallere825☆ogbfCh5GVvpt ★Android=WDXHwCBaoH

【浅沙和泉/凰月亭自室→玄関前】

和泉は凰月亭の貸し与えられた部屋に置かれた姿見の前でくるりと身を翻した。レースのあしらわれた水色のエプロンドレスの裾がふわりと舞い上がる。
新作の服を身に纏い、えへへ、と和泉は顔を緩ませた。
この世界に来て数日。
和泉は"家に帰る魔法"を習得するため、日夜魔法の修行を繰り返していた。今のように洋服を作ったり、玩具を作ったり、時には一成お兄さんにもらったぬいぐるみのようなもふもふを再現しようとしたり……お前それは本当に修行なのかというのはご愛嬌である。
なにより修行とはいえ、部屋の中では出来ることが少ない、というのが和泉の主張だ。もっと広いところで色々と試したいところではあるが、宿の人――凰月亭を管理するNPC――から「外は危ないから出来るだけ君は出歩かないほうがいいよ」と言われ、それを忠実に守っていたからだ。
和泉のブレスレットマネーは戦いに参加していないが、HP残量や生存率の低さなどの条件を満たしていたのかそれなりの額が振り込まれている。
現在の治安でそれを持った子供など鴨葱以外の何者でもない……が、そんな事情を知らない和泉はいい加減飽きてきた。
もとより子供に部屋の中で何日も大人しくしていろ、というのが無理な相談なのだ。

「いずみ、一人でおつかいしたことあるし。へっちゃらだよ」

誰に言うでもなく主張すると、床に放り投げられた次の洋服を手に取る。
魔法にかかれば白い清楚なブラウスも、ラテ色のシックなワンピースも、なんだって出し放題選び放題だ。
また鏡の前でうきうきと服合わせする和泉だが、ふとその表情は曇る。
お母さんが居たときは、あまり服を買って貰えなかった。この世界に来てきたパーカーはお父さんにねだりにねだり、買ってもらったお気に入りの一着だ。ピンクのプリーツスカートも、赤いリボンシューズもそうだ。お気に入りだったから着ていた。

「……うん、やっぱりいつも通りが一番だよね!」

そう断じると洗濯に出して返ってきていたいつものコーデを身につけ、意気揚々と洋服が散らかり放題な部屋を出ていく。
ぱたぱたと廊下を歩く人たちをすり抜け、玄関へ向かい靴を履く。気分はこれから大冒険だ。

「どこ行こうかなー、お洋服見ても良いし……あ、タピオカっていうのも飲みたいな、あとあと……」

外の危険など露知らず、和泉はやりたいことを指折り数え外へと踏み出した。

>周辺ALL

【西園寺鳴弦/中野駅付近→ゴーストタウン】

現代都市を現す言葉のなかにコンクリートジャングルという形容詞がある。自然がなく、代わりにコンクリートで固められたビルが建ち並ぶ光景をそう揶揄されたものだ。
そう思えば、現代都市のようだと思えどやはりここは現実ではないのだろうと思わせられる。
桜の木々が花を咲かせ、風に煽られれば花弁を散らす。肌寒さは残るが暖かな日溜まりが人々を照らす光景は、先日の死闘が嘘のようだった。
ぐるりと痛めた左腕を回すが、当初あった痛みは最早名残すらない。打撲や切り傷もあとかなもなく、この数日で全快したといって間違いない。
自分の体であるはずなのに、人体の本来ある能力を越えた現象に有り難さよりも気味の悪さを覚えるのは鳴弦の悪癖なのだろう。
そうして当たり前だとか現実だとかに囚われてしまうのは悪いことではないと思うが、今現在は足枷にしかならない。
りん、と右手に握る刀の飾りが鈴の音を鳴らし、風と共に黒い狼を斬った。

「よ……っと、次は左」

そう鳴弦が呟くと左手に盾。そしてその盾に光の線がぶつかり弾かれた。
光を吐き出した宙を浮く球体……スフィアを弾いた盾をフリスビーのように投げ付け両断する。
鈴の音が鳴る刀――拵えを揃えるために立ち寄った武器屋にて「仇蓮華」と銘を受けた――を左腰に差した鞘へ戻すと、代わりに短槍を握り構える。

ゴーストタウン、そう呼ばれる一角は現代化した都市部に置いても異質の場所だ。
人の気配はなく、代わりに無機質な殺意に満ちた場所。
荒廃しきった退廃都市とは違い、ある程度の文明の名残はあるものの、今現在の拠点である新宿駅付近など人の行き来のある場所に比べると廃れている。
そこには空を覆う結界の範囲においても黒狼やスフィアなどの敵が未だに存在している……とはいえ、それらはこの人気のないゴーストタウンから出てこない。つまり、鳴弦のように態々足を運ばなければほとんど無害のようなものだ。

「銃、地雷、……ダイナマイトは無理っと。やはり鳴弦さん火薬と相性悪いな」

次々に武器をギフトによって持ち変え、敵を叩き伏せる。武器の持ち変えに最初は数秒要していたが、刀や槌などの近接武器であれば現状秒も掛からなくなっている。
特に盾はいい。斬れるに殴れるし投げれる。使い勝手が楽だ。だが、それでも自分が咄嗟に頼ってしまうのは、腰に差した一刀である、と鳴弦も自覚していた。

「……今日はこんなとこにしますかねっと。また遊んでくれや、やっこさんがた!」

最後に一匹黒い狼を槍の投擲を以て仕留めると、盾を手に後退する。
流石に背中を見せるほど馬鹿ではない。じわりと浮いた汗をぬぐいながら、その日の鳴弦式鍛練は終了と相成った。

>周辺ALL

【遅れて大変申し訳ありません! 二章スタートおめでとうございます。皆さま方におかれましても今後ともどうぞよろしくお願いします】

11日前 No.100

雲魔物 @cloudian ★Xkv963n3op_CE7

【邦咲 一成/鳳月亭 談話室(洋室)】


『納豆小豆ポテトチップス』とでも言うべき名状しがたい菓子を食し終り、目の前の机の上にある皿は空になった。


「ふう。美味しかった」


満足気な表情で空の皿を見つめる一成だが、ジッと微かなカスが残る皿の上を眺めること数十秒後。再び体を机の上にのりだした。


「………」


一成が真剣な表情で皿の上に意識を集中させると、皿の上に一枚のポテトチップスが現れる。通常のうすしお味チップスのようだが、普通のと違うのは反りがなく、まっすぐキレイな円形ということだ。一成は一つ頷いてそれを口に入れると、二度目の集中を始める。そうして、二回目に現れたのもキレイな円形のポテトチップス。ただし、さっきと違うのはそれが真っ白なホワイトチョコレートでコーティングされていること。一成はそれも口に放り込む。常人ならばホワイトチョコレートの後に感じる塩っぽい感触にミスマッチを覚えるところだが、今の一成に不具合を感じる舌はない。得心したように頷いた一成は、三度目の集中を行う。…すると、


「できた。…皿型のホワイトチョコレートチップス……いいんじゃない?」


そう、先ほどのキレイな円形の白いポテトチップスを大きくすることで、皿と見間違うほどの出来栄えのお菓子となった。しかも今度は皿特有のかすかな反りや出っぱった高台の部分まで再現する拘りっぷり。パッと見では皿の上に皿が置かれているようにしか見えないほどだ。だが、彼のギフトによる創造はこれで終わらない。彼の作ろうとしているものは「皿ごと食べられるポテトチップスの盛り合わせ」飾り菓子の初歩みたいなものなのだ。皿のように見えるポテトチップスの上に、更に普通のポテトチップスを生み出していく。うすしお味、コンソメ味、醤油味、バニラ味、ペパーミント味、明太子風味、わさび風味、めんつゆ風味。各2枚ずつの計16枚+1枚のチップスセットができあがった。いや、明らかな外れの紛れたロシアンルーレットと言うべきかもしれない。無論、一成にはそんなつもりはさらさらない。

自らの菓子作品の出来栄えに、右腕のモフモフを堪能しながら満足そうに頷く一成。早速その作品に左腕を伸ばしかけるが、ふとその手が止まった。ここで一成はとある感情が芽生えた。ちょっと勿体無いという感情だ。自分で作って自分で堪能するのも乙なものだが、せっかくチップスを皿にするというビックリ要素のあるお菓子なのだから、誰かに見せて感想を聞きたいという、ちょっとした自己顕示欲のようなものが顔を出したのだ。

誰かに食べてもらおうかな、とここで一成は目の前の皿だけに向けていた集中を、初めてこの談話室全体へ向けた。お腹が空いている人にちょうど分け与えられたらいいな、と思うがそう上手くタイミングが合わさるとは思えない。適当な人に頭を下げて食べてもらうとか…。


そのような折……彼の耳が、奇妙な音を捉えた。思わずくるりと彼の首が回る。


それなりに人も声も飛び交う談話室である。今聞こえた音が…まさか腹を空かせた者を示すあの音だとは断言できまいか。しかし……この際、試食を頼むにあたっては人を選ぶことなし。ご縁でお願いしてみよう。


一成は立ち上がった。ポケットのハンカチの上に皿型のチップス盛りを乗っけ、ご縁を感じた一人の女の子の元へ。小柄な赤色のパーカーを着た彼女の亜麻色の髪は…彼好みのモフモフをしていた。


「そこの君。…突然で申し訳ないけど、これの試食をお願いできないかな? …よければ、感想も」


ウェイターよろしく片手にポテトチップスを掲げ、一礼する一成。掲げているのがポテトチップスでなければ、それなりに絵になっていただろうに。そもそもあれが皿ではなく、皿そっくりのポテトチップスに気づくかどうかは分からないが。


>宇佐 美実様 談話室(洋室)ALL


【せっかく洋室に来てくだすったということで、少しばかり不自然かもしれませんが絡ませていただきます。レス遅れまして申し訳ございません。】

10日前 No.101

常盤 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★iPhone=e25HN4EJVI

【旗条凪雪/鳳月亭 廊下】

 鳳月亭のパン屋で売っているパンはそれはそれはおいしいと、どこぞの人が噂をしていたのを小耳に挟んだことがそういえばあったと密やかに思い出し、せっかく今鳳月亭に世話になっているのだからと少しでも別のことで還元もしたい気持ちも実はあったのでこれはいい機会だと早速足は件のパン屋へと向いている。パンを食べて空腹を満たした後でも外の散策に充分時間は取れるはずだ。
 そんなことを思いつつ少し楽しげな雰囲気さえもかもしながらも、どこからか名前を呼ばれたような感覚と同時にごきげんようとかけられた挨拶の言葉が聞こえてきた凪雪は、咄嗟に足を止めて振り向いた。その先に居た、朗らかな笑顔さえも携えた非常に見覚えのある青年の姿を認めて、凪雪はあら、と小さく声をもらす。

「旅川さん、ごきげんよう。ええ、街へ出る前に噂になっていた鳳月亭のパン屋さんへと行こうと思っているのだけれど、……旅川さんさえ良ければご一緒にいかがかしら」

 微笑みを零しながらも挨拶をしてから、彼の問いには静かに頷いてからもその前にこの館内にあるパン屋へと赴いて空腹を満たそうとしていることもきちんと付け足した。特に隠しているわけでも、どうしても一人で行きたいと思っているわけでもないので、彼へのこれからの予定の種明かしひどくあっさりしたものである。その上、もし良ければ、という控えめな提案さえも申し出る。もちろん無理にとは考えてはいない。これから彼も何かしら予定があるかもしれないし、そもそも他人と行動すること自体が好まない人もきっといる。彼がどうであるかは分からないが、しかしながら無理強いをするほど面の皮が厚い訳でもないために「ご予定があるのでしたらそちらを優先してくださいね」と一言加えた。

【わーーー!!絡んでもらえてめっっちゃ嬉しいです!!若干時間がとれなかったのでせっかくですのに短文でのお返事申し訳ないです…。
 またこちらこそ勝手に誘ってますが断ってくださっても大丈夫ですからね!】

≫陽磨さん、周辺ALL


【千叉継鳥/新宿駅付近】

 他には特に怪我をしていない、という彼の言葉通り、立ち上がってから彼自身で検分して見せてくれるのを継鳥は注意深く見やる。関節の動きや表情の変化を見逃さないようにと意気込んでいたけれど、どうやら彼の言っている言葉は真実らしく、継鳥もようやく問題なさそうだと肩の力を抜いてから安堵の息を吐く。彼は自身のスマホが無事であることを確認してから柔らかい表情を見せていたのを継鳥も思わず表情を柔和にさせるが、そういえば彼、どこかで見たことがあるなとはたと急に思い立っては首を傾げた。一体どこであっただろう。
 そうこう心の中で首を傾げたままではいたものの、それよりも後に続いて彼の言葉を聞いたときに急に頭の中の霧が晴れたかのようにすっきりした気持ちになった。そうだ、彼は先日の戦いで前線に出ていた人物だった。功刀藍良、それが彼の名前だったと記憶している。

「ーーーーなるほど。頭の中を整理できない中で日々を過ごすのは、確かに落ち着かないね。それが君の立場ならば、人よりも考えることはたくさんありそうだ。それでも果敢に立ち向かおうとすることはとても凄いことだね」

 そう告げながら、少し触れさせてね、と一度断りを入れてから彼の頬に片手を添えた。目を瞑り、静かに呼吸を整える。そうすると次第に継鳥の手から淡い光が現れ、藍良の頬の擦り傷を光が優しく覆った。暫くして閉じていた目をゆっくりと開く頃には、添えていた手も頬から離して「はい、おしまい」と笑顔で告げる。彼の頬の傷は綺麗さっぱりと消えて無くなっていた。これが継鳥の、貴族としての異能の中で何より飛び抜けて発達した治癒の能力である。

「話を聞いていると、……といっても僕は君と知り合ってまだ数分しか経っていないけれど、君は少し溜め込んでしまうきらいがあるような気がするなぁ。他人に少し吐き出すだけでも、纏まらなかった考え事にヒントを得られるかもしれないね。そんなわけで君さえ良ければどうかな、これから僕とご飯でも」

 この後の予定と言われて、実はお腹が空いて気落ちしてるところだっからどこかレストランを探していたんだ、とおどけたように付け足してみる。勿論無理にとはいわない。急にまだ出会ったばかりの人間との食事は、普通なればハードルが高いイベントの一つだ。年下を困らせてしまうような大人ではないのである。

≫藍良さん、周辺ALL

10日前 No.102

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【功力藍良/新宿駅付近】

 初対面にも関わらず、彼は自分の話に耳を傾けてくれる。「君の立場ならば」という言葉は自分を知っているようで、もしかしたら彼は誰かから自分のことを聞いているのかもしれなかった。
 治療の断りを入れられ頷くと、あっという間に頬の擦り傷が不思議な淡い光によって治っていく。思わず「すげえ……」と素で感嘆して、自分の頬を軽く撫でた。ひりひりとした感覚も出血もなく、驚くほど綺麗に擦り傷は消えていた。貴族のヒールを目の当たりにしたのはこれが初めてだった。「ありがとうございます」と丁寧に礼を述べ、惜しみなく治癒を施す彼はとても親切な人なのだと思った。あまり人を信じ過ぎるのも良いことではないと学習したばかりだったが、今回は己の直感を信じてもいいような気がした。

「いえ、こちらこそぜひご一緒させて下さい。一人より誰かと食事していた方がきっと良い。――……そう言えば自己紹介がまだでした。功力藍良と言います。役職は一応騎士をしてます。どうぞよろしくお願いします」

 ちょうどお腹が空いていたところだった、と聞くと「それは良かった」と言いながらももしかしたら彼は話を合わせてくれているのかもしれなかった。しかし、せっかくの好意だったので甘えることにした。会ってまだほんの少ししか経っていない間柄ではあったが、奇妙な出会い方をしただけにたまには話の成り行きに身を任せても良いと思えるような、そんな不思議な気分だったのだ。

 どこか良い店はないだろうかと周囲を見回す。道に沿って並ぶ建物はビルの他にも飲食店もあって、窓という窓全てに青空が映り込み、日の光が反射して眩しかった。たまたますぐ側にレストランらしきお店があったので、そのウインドウに展示された食品サンプルを眺めてからくるりと彼の方へ向いた。

「ここは洋食みたいですね。俺は何でも食えるんですけど、何か食べたいものはありますか? 見たところ近くに和食やファミレスもあるみたいですよ」

 視線を前方に向けて店の看板があるのを確認する。この街に明るいわけではなかったので、彼がどこか目的地があったり、食べたい物があって出歩いていたならそちらに合わせようと思いながら。基本的に空いたお腹を満たせれば良いという大雑把な思考の持ち主でもあった。

>継鳥さん、ALL


【月代美言/中野区ゴーストタウン付近】

 退廃都市から現代都市へと変わり、この数日間は目まぐるしく日々変化していった。NPCにはプレイヤーに説明する場合も考慮して情報が食い違うことのないように情報共有を測り、また各区の状況をこちらに送るよう具体的に指示を飛ばしたりしていた。そしてここ数日判明した奇妙な事件も含め、東京内で不穏な動きは確かにあった。

「人が突然いなくなってしまうなんて一体何が起こっているんでしょうね」

 隣を歩いている自衛官の制服を着たNPCに尋ねてみるも、彼も首を傾げて分からないといった素振りを見せた。中野区でも3件ほど行方不明事件が起こっていたので気になってここまで尋ねて来たのだが、結局現場に行っても手がかりは掴むことはできなかった。そしてそのついでに中野区にゴーストタウンがあるというので彼女はその近くまで来ていた。ゴーストタウンや洞窟には敵キャラクターが出現するらしかったが、しかし敵はそのエリア内からは一切外に出ることもないとも報告を受けていた。その情報に間違いはないらしく、事実自分の姿を見てもエリア外にいれば襲ってくることはなかった。ゲームでいうところのレベル上げのためのフィールドであろう。戦闘能力のない自分一人ではなかなか危険地帯へ行くことは出来ないので、NPCの中でも戦闘能力がある者と共に行動していたというわけである。救世主よりは戦闘能力は劣るが、それでも一人で歩くよりは心強かった。彼女は敵が襲ってくる境界線の手前におり、注意書きのポスターやテープでも張ろうかと考えていたところであった。
 するとゴーストタウンから人の声がしてはっとそちらに顔を向けると、見知った者の姿を発見した。

「あら……鳴弦さん……?」

 そこで数日前に戦場で出会った者の姿に、美言はぱちぱちと瞬きをして呟いた。新宿区ならともかく、こんなところで再び会うとは思っても見なかった。槍を敵に向け投げ、盾を持って後退している姿が目に映る。ボス戦時には剣と盾を使用して戦闘していたと記憶していたが、どうやらこの数日で槍を扱えるようになったらしかった。ギフトを上手く使いこなしているように見えた。このエリア内で日々、戦闘訓練をしていたのだろう。しかし、エリア外にいる自分が今話しかけて訓練の邪魔をしては悪いかしら、と手を頬に当ててそんなことを考えていた。

>鳴弦さん、ALL

【何だか微妙な絡みになってしまってすみません。もし絡みづらければスルーしていただいても構いません……!】

9日前 No.103

雪鹿 @class ★Android=YCblo76hTC

【旅川 陽磨/鳳月亭・廊下→パン屋】

 声を掛ければ、彼女は足を止めて間も無く振り返り、小さく声を洩らした。その仕草一つを取っても品のある女性である事は誰の目から見ても明らかなのだろう、と今更と言わざるを得ない感想を抱いた上で、改めて気を引き締め直す事にする。戦場とは違った、不馴れな締め方で。
 なにせ此方は幾年物の付け焼き刃。それが明らかになろうとボロが幾つ出ようとも構わないが、こうして彼女の前に立つ以上、むやみやたらと彼女の品位を下げる行いは避けたい……なんて事はない、ただのプライドのような物ですね。

「成る程、パン屋ですか。確かに、そのような話も御座いましたね」

 優しく微笑みを雫した彼女の返答曰く、外へ出向く前に噂となっているパン屋へ足を運ぼうとしていた、と聞けば納得したように小さく頷き、そういった話を小耳に挟んでいた事も同時に思い出す。……とは言っても、然したる重要性も無いと見て具体的な情報と言うのは記憶していないのだが。
 まだ時間も早い。噂になっているとは言え、客足は疎らだろう。彼女がそこまで考えているかはともかくとして、こういった時間帯に赴くのは一つの手なのやもしれない。

 そう思考に一段落をつけた折りに、一緒にいかがかしら、と此方の予定へ配慮した言葉を添えて誘われる。予想外、そう言う他無かったそれに僅かながら驚いて僅かに口を開いたまま、数秒の間を置いてしまったが、すぐに微笑む。何を隠そう、返事は決まっていたのだから。

「ええ、貴女さえよろしいのであれば、是非ともご相伴にあずからせて頂きたく。これといった用件も御座いませんもので、願ってもない事ですから」

 事実、予定と言えるような予定は無く、柔らかな笑みを向けて誘いに肯定を示す。訓練明けという事もあってか、早朝に朝食を取って尚も小腹が空いているのだから、何処に非の打ち所があろうか。
 それにまあ、パン屋で御茶をする程度ならば紳士の嗜みの一つ……何も問題は無いです。強いて言うなれば、パン屋など家の周りに無く此処何年も行っていないと言いますか、片手で数えるほどしか……まあ、その辺りはなんとかなるでしょう!

「では、早速向かいましょうか」

 一言、声を掛ければ相手の歩幅に合わせるように止めた歩みをパン屋へと指針を変えて進め始める。その様子は穏やかな彼らしくあるというのに何処か嬉々としていて、先述の言葉が嘘ではない事が物語られていた。
 平時とは言い難い状況でありながらも、普段と変わらぬ毅然とした彼は何の臆面も無く、その日々ですら楽しむ。無論、平和であるならば、それに越した事は無いのだが。

>旗条 凪雪様、all

【そう言っていただけて私としても嬉しい限りです……! むしろ、御忙しい中にも関わらず御返事頂いてありがとうございます。手隙の時で構いませんので、あまり気にしないでくださいね……!】

8日前 No.104

リンネ @fallere825☆ogbfCh5GVvpt ★Android=WDXHwCBaoH

【西園寺鳴弦/中野区ゴーストタウン付近】

拭った汗が乾く前に案の定と言うべきか、黒狼が唸りを上げながら飛び掛かってくる。頭上からは同じタイミングでスフィアが光線を放ち、飛び掛かった黒狼を盾で殴り光線の間に押し入れた。
ぎゃん、と短い断末魔を最後に絶命した亡骸を右手で掴みスフィアへ投げ付ける。重さに沈んだ隙を狙い、上段蹴りをひとつ叩き込み粉砕する。
短く息を吐くとその場から飛び退く。建物の陰から再び飛び出してきたスフィアの光線が先程まで鳴弦が立っていたコンクリートの地面を焼いた。
飛び上がり、近場にあった建築物の錆びた手摺りを足場に小さなビルの屋上へ。そのままスフィアの光線と飛び付く黒狼の猛攻を器用に避けながら逃走し、ゴーストタウンエリア外へ出る。
一歩エリア外に出れば敵は襲ってこない。鳴弦の姿を口惜しそうに眺めて黒狼は踵を返した。

「そうそう、諦めがいい方がモテるぞぅ」

今度こそ一段落がついたと滲んだ汗をパーカーの襟で拭う。
鳴弦は先日のボス戦で服に穴が開いたり解れたり汚れたりの損傷が激しかったこともあり一式買い換えていた。僅かに新しい衣類特有の糊の匂いが汗と混じって鼻腔をつく。
ほぅ、と一息ついたときに漸く人の気配に気づき顔を上げた。

「おん? 巫女さん、じゃなくて月代と……えー……」

見慣れた巫女服の女性と見慣れぬ自衛官服の男性の姿に首を傾げる。
この仮想世界で過ごして数日、鳴弦は未だにプレイヤーとNPCの違いが分からない。或いは見分けるつもりもないと言ってもいい。
男性の両手に刻印がないことを見て、漸く最低限"救世主"と呼ばれる立場の者ではないとだけ判断できる程度の認識だった。
余談だが自衛官の制服姿の男性を見て咄嗟に逃亡を謀り掛けた。今はなにも疚しい立場でもなければそういったこともしていないと思い直して踏みとどまったが、あと数瞬その判断が遅ければ鳴弦は再びゴーストタウンへダッシュしていたことだろう。閑話休題。

「デートかい? なんていうのは野暮だな。制服姿でデートなんてフラれちまう。こんな辺鄙な場所に客人なぞ、俺くらいだと思ってた」

へらりと笑って軽く茶化してから本題……というほどのものではないが話題を変える。そも、鳴弦はそこまで他人の関係に興味があるわけでもない。
問題は"騎士"でもないふたりが何故こんな危険地帯付近へ来るか、だ。
……危険といえば、ふと鳴弦が街中で小耳にはさんだ噂話を思い出した。詳しくは知らないし、最近……とはいえここ数日の話ではあるが。

「誘拐だか失踪だか、行方不明者が続出してるって言うし。物騒な時期に出歩くのは感心しないぞ?」

そう冗談めかしてふたりへ注意喚起をした。とはいえ、東京都内という狭い世間で鳴弦の耳に触れるような噂だ。或いはすでに知っているのかもしれない。
被害の実態を知らない鳴弦にとっては所詮はただの噂で、現状、そこまで重くとらえていないからこその対応である、とも言えた。
>月代美言様、周辺ALL
【とんでもございません! 絡み感謝です!取り合えず美言様のこと簡単な噂のことは鳴弦も知っているという体で返えさせていただきます。不都合がございましたら変更もいたしますのでお申し付けください】

7日前 No.105

常盤 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★iPhone=e25HN4EJVI

【千叉継鳥/新宿駅付近→移動】

 治癒能力についての自信は、継鳥にとってどの貴族の役職を持つ人よりも持っていると自負さえしている。祈るだけで、あるいは触れるだけでその人の持つ傷を癒してしまうのだからこれは医者いらずかなとも思ったことはあったけれど、それでもどうもこの世界にも医者はいるらしく、貴族は自分自身を治療できないという弱点を後に知ってからはやはり能力を扱うには何かしら対価となりしものがあるのだなと納得した。対価といえばこの治癒能力についてはどうやら傷を癒せば癒すほど、深い傷を完璧に治療しようとするほど疲労が蓄積するらしい。本来は疲労の蓄積度はかなりシビアらしいが、自身に関しては他人を治療した回数や精度の割には疲労等はそれほど顕著に発露しないらしい。その代わりに分かったことといえば治癒能力以外の物質の顕現があまり得意ではないということだ。戦いからの数日、同じ貴族の人間と知り合った時に訊いたがやはりどちらかというと物質の顕現を得意としているほうが多数らしい。個体差というものがあるのかと思うと、やはり現実世界では医療に従事しているのだから何となく納得もした。この力が戦う定めの者たちへ少しでも安心素材になればと思わざるを得ない。もちろん、早く自分も他の貴族たちのように物質を顕現することができるようになれば、またやってくるであろう決戦の日での身の振り方も変わってこよう。
 そんなことを頭の中で訥々と考えながら、目の前にいる青年の傷の手当てに従事していたが、貴族のヒール能力を目の当たりにしたのがこれが初めてだったのだろうか。もらした感嘆の声が聞こえて思わず笑みを浮かべた。丁寧に礼さえも述べてくれた彼の印象はやはり好青年で、継鳥も「どういたしまして」と受け答えをしたところでどうやらこちらの食事の誘いにも乗ってくれるらしかった。これは継鳥にとっても非常に嬉しいことで、自然と継鳥も無自覚に表情を明るくさせた。

「藍良くんだね、此方こそよろしく。僕は千叉継鳥、もう知ってはいると思うけれど貴族だよ。……君のことは、この間の戦いの際に前線で狙撃手をしていた凪雪くんに聞いたんだ」

 そういえば先ほど彼のことを知っているような口調で思わず話してしまったけれど、彼のことは先日に凪雪から実は話の流れで知ってはいたのだということを包み隠さず話した。一方的に知られているというのも、どことなく気持ち悪いと思う人もいるだろう。けれどその話も含めて、色々と話すのは腰を落ち着けてから、腹を満たしてからでも問題はないだろう。

「長話になる前に、お店を決めたほうがいいよね。そろそろお腹空きすぎて目が回りそうなんだ、ふふ。……うーん、そうだな、あ、じゃあそこのファミレスにしよう。僕普段あまりファミレスに行かないから」

 黄色い看板が目印のファミレスを見つけて、どうやらファミレスは現実世界と似通っているものらしく、むしろ同じなのではと首もかしげる始末。それならば味も保証されているだろうしメニューも豊富であるから選択肢も増えるだろう。それに何よりさきも言ったがそもそもファミレス自体にあまり足を運ばないというのもあるので久々に食べたいというのも事実。
 そうと決まれば早速行こう、と彼を促し、その黄色い看板が目印に立っているファミレスへと向かうのであった。

≫藍良さん、周辺ALL


【すみません、先に継鳥のお返事だけ失礼します…!!凪雪のお返事は申し訳ありませんが明日以降に改めて投稿いたします!お待たせしてしまって申し訳ありません…】

6日前 No.106

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【月代美言/中野区ゴーストタウン付近】

 人気のない寂れた街。風はひっそりと佇む廃墟の隅まで吹いてきて、眠たそうな草木を震わせていた。それらを見ていると自然と退廃都市での経験が脳裏を過ぎった。記憶のない自分、狼に襲われそうになったところを助けてくれた勇敢な騎士、果敢に立ち向かい大黒狼を皆で倒したのはつい数日前のこと。彼も退廃都市で出会った者の一人だった。これから非日常のど真ん中を歩み続けなければならない生活を思うと気が滅入りそうになるが、自分一人ではないことを思うと落ち着いて物事を考えることが出来た。

 鳴弦はこちらに気付いたようで、美言はにっこりと笑みを浮かべる。首を傾げて自分の隣にいる自衛官服の男性を見る彼の様子に気付き、美言は「あぁ」と初対面であることを察してそのNPCに手を向けて紹介を始める。

「こちらの男性は治安維持に尽力してくれる数少ないNPCです。名前は結城衛。ギフトを使えたり身体能力が強化されているわけではありませんが、体術や銃器を扱えたり、怪しい動きをしている者がいないかサーチができるので共に行動してもらっていたところなんです。とはいえ、人々に危害を加えることはないので安心して下さいね」

 そして冗談混じりに「デート」という言葉が出てくると、美言もまたからかうような笑みを見せた。

「あら、鳴弦さん。私が今デート≠したい相手はたった一人なんですよ。私、会いたくて会いたくて堪らない方がいらっしゃるの。けれどもその方はちっとも姿を見せず、待ってすらくれない――」

 そこで隣にいた結城がコホンと咳払いをして、美言はふふと面白そうに笑った。

「なんてそんなロマンチックなモノではありませんが、ふふ、私たち、実はその失踪事件を調べているところだったんです。どうやら影や暗闇を利用して動いているのか、なかなか尻尾を出してくれなくて。せっかく現代都市に戻ったというのに安心して生活出来ないのは困ってしまいますね」

 美言はやや眉根を下げて困ったように笑んだ。自分が情報を把握出来ないイレギュラーな出来事はどうも気味が悪い。しかし、一体何が起こっているのかを把握しようにも敵の姿が見えて来ず手掛かりは掴めぬまま。
 そこでふいに美言は「そうだ!」とぱちんと両手を合わせて鳴弦を見上げた。

「鳴弦さん、もしよろしければ少々ご協力いただけないでしょうか。こういった敵が出現するゴーストタウンや洞窟にはなかなか近づけなくて。街中は他の者が目を光らせているのに手掛かりが掴めないことを考えると、こういった人気のない場所に犯人が潜伏している可能性があるんです。今だけ護衛を頼めないでしょうか?」

 そう言って美言は首を傾げて問いかけるのだった。

>鳴弦さん、ALL

【お返事が遅くなってすみません。不都合などとんでもないです、こちらこそ把握していただきありがとうございます……!】

【すみません、藍良のお返事はまた後日投稿させていただきます。もう少々お待ちいただけると幸いです……!】

6日前 No.107

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【功力藍良/新宿駅付近→ファミレス】

 千叉継鳥、彼が自己紹介するのを聞き、話の中に出て来た女性の顔がふと浮かんだ。夜空のような艶のある髪と不思議な瞳の色をした彼女は、退廃都市で会った者の一人だった。「なるほど、凪雪が」と納得したように頷いた。
 そして貴族であることを継鳥の口から改めて聞くと、どこか珍しそうな表情で彼の利き手にあった刻印を一瞥した。
 貴族の役職の者に会ったのは一度目ではなかったが、彼のようにスムーズに治療を施してくれる者と会ったのは初めてだった。騎士にも出しやすい武器と出しにくい武器があるように、貴族にも得意・不得意があるのだろうかと予測を立てる。自分も未だに凪雪のように銃器の類を具現化させることは出来ず、自分が得意とする刀剣類ならぽんぽん出てくる。遠距離戦も見越して考え、弓矢を出すことにはこの前成功したがそれも毎回出せるわけではなかった。やはり自分は近距離戦向きなのでは、と考えざるを得ない。
 しかしそう考えても、確かにここで立ち話をするよりもそのレストランに移動した方がゆっくり腰を落ち着けて話せるだろうと藍良も頷いた。

「ファミレスですか。メニューも豊富ですし良いですね。……――ははっ、俺も腹が減って仕方なかったのでちょうど良かったです。そうですね、お話は中に入ってからにしましょう」

 黄色い看板に向かって歩き出した継鳥に続いて、藍良も足を進めた。

 自分にはよく分からなかったが街並みは洞窟やゴーストタウンがないあることを除いては現実世界とほぼほぼ同じらしく、プレイヤーにとっては既視感のある建築物もたくさんあるらしかった。退廃都市よりはよほど暮らしやすく、馴染みやすい街が現代都市であるのかもしれなかった。

 そんなことを考えながら継鳥と共に店内に入ると、奥からひょっこりと女性店員が顔を出して「いらっしゃいませ」と笑顔で出迎えて来る。2名であることを告げ、きびきびとした動きで案内をする彼女の後をついていく。途中、ざっと店内の様子を見回してみたが目立ってバグが起きている者や混乱している者もいなさそうで藍良は一人頷いた。
 案内された席は窓際であった。椅子に座って、2つあったうちの1つのメニュー表を継鳥の目の前に置く。藍良はメニュー表を開いて「うーん、何にしましょうか」と呟く。そしてふいに小さく笑った。

「今日は不思議な日だな。電柱にぶつかって、ヒールで治してもらって、それをきっかけにこうやって一緒に何か食いに行くことになるなんて。……そう言えば凪雪から話を聞いたって言ってましたが、この世界がどんな世界かももうご存知ですか?」

 メニュー表をめくりながら、そう問いかけてみる。こうやって会話をしていると彼は落ち着いているように見えたので、もしかしたら色んな人からもう既にこの世界について聞いているのかもしれないと思ったのだ。

>継鳥さん、ALL

【遅くなってすみません……!】

5日前 No.108

常盤 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★iPhone=e25HN4EJVI

【旗条凪雪/鳳月亭 パン屋】

 それはそれは自身でも思うほどには急な誘いではあったけれど、しかして彼はそれに対して芳しくない表情を浮かべるでなく寧ろ快諾してくれたことに、凪雪の心のうちも嬉しさがこみ上げる。やはり誘ったからには断られるよりも快諾してもらえたほうが心持ち軽くなるのは事実で、しかしもし断られたとしてもそれは相手の事情も慮らなければならないことなのだからひとしおに悲しい感情を前面に押し出すのはいかがなものなのかとも思いさえする。けれどその考えは結局のところ杞憂でもあり、かといって承諾を得たから野放しに喜ぶ様子を見せるのはあからさますぎて、凪雪は「よかったわ。やっぱり一人だとただ摂食するだけになってしまうから、こうしてどなたかと一緒に食事をするの、とても好きなの」と微笑みを浮かべながら本心を静かに告げるだけであった。
 そもそも食事をすること自体は好きだが、一人でする食事は実はあまり得意ではない。食事をしながら会話をしたい、とか、食について分かち合いたい、とかそういうわけではなく、ただ単純に気分の問題であった。一人で食事をすると途端に味気なくなってしまうことが、凪雪にとってはそれこそ悲しい事態である。なので今回目の前にいる彼が快諾してくれたことは非常嬉しいことなのだった。彼の様子をとってみても、どうやら無理して承知してくれたわけでもなく、なんとなくその表情が嬉々としているところを見ると、凪雪と自然と表情に笑みがこぼれた。

「ええ、道は分かるから案内するわ。お店の雰囲気もとても素敵なのよ」

 早速促してくれた彼に、凪雪も頷いてからようやく止めていた歩みを踏み出した。パン屋に向かっている際、彼がどうも自身の歩幅に合わせてくれて歩いてくれていることがなんとなしにわかって、やはり自分より年上な男性ということもあり非常に紳士的だと感銘を受けさえする。しかしそれを今ここでわざわざ言うのも無粋だろうと自身で判断した結果、口にせずとも自然に受け入れ、心の中で謝辞を述べることが礼儀だろうと口を噤んだ。そのかわりになるかはわからないが、微笑みは浮かべて。

「ああ、見えてきたわ。あのパン屋さんよ。ふふ、ここまで来ると食欲を刺激される美味しそうな香りがするわね」

 少しばかりかひと気が少なくなった廊下を進んでいくと、ぽつんとパン屋が現れた。道中では焼きたてのパンの香りが漂っており、食欲が非常にそそられる。思わずお腹がなりそうになった。

「入りましょう、今ならお客さんも少なそうよ」


【大変お待たせしました〜!!お待ちいただいて非常にありがたかったです!!しかしまたもや絡みづらい文章を書いてしまったと反省しております……許される限りお付き合い頂けると大変うれしいです。】

≫陽磨さん、周辺ALL

【後日継鳥のお返事も投稿させていただきます…!!もう暫しお待ちいただければと思います…!】

4日前 No.109

雪鹿 @class ★Android=YCblo76hTC

【旅川 陽磨/凰月亭・廊下→パン屋】

 何処か憂いていたような彼女の顔色が答えを返すと同時に嬉々とした感情が滲んだような、そんな微笑みを浮かべて落ち着いて告げられた言葉に彼も微笑みと共に「ええ、そうですね。私も好きですよ、誰かと食事をするのは」と同意を示す。
 そう、誰かと食事をする、というのは嫌いではない。寧ろ、日常的に一人で食事をするようになったのはつい最近の出来事だ。なにせ、幼少から学生までは道場の住み込みで鍛練に励む弟子達と、それから一人暮らしをするまでも、同部隊の彼等と寝食を共にした。故に、一人暮らしを始めるまでは一人で食事を取ると言うのは、なにかしら不測の事態が起きた時に他ならない事でもあったのだ。それも大抵は悪い事であった、と僅かに曖昧な記憶の中で苦く息を吐く。

 現状も良い状況では無いものの、彼女と共に食事をして過ごす一時は良い物だろう。出会って数日───いえ、この僅かなやり取りであっても彼女が心穏やかで性根の良い人物である事は分かる。ならば、多少の緊張こそすれども、喜ばしく思わない事がありましょうか。

「雰囲気の良い……それは楽しみが増しますね。では、御言葉に甘えてお願い致します」

 同じく歩みを進め始めた彼女の言葉を聞き、未だ見ぬパン屋へと思いを馳せつつも案内を任せるように半歩程遅れて歩き続ける。普段より幾分か遅いものではあったが、こうして共に歩くとなれば寧ろ時間が長くなる分、悪い事とも思わない。
 朝と言えども女中さんや中居さんの仕事はあるらしく、廊下ですれ違う度に何かしら仕事を抱えている様子であったので挨拶は返すだけにしておいた。なにせ、突然何人も泊まる事となったわけで、厚意とは言え未だ尚大変である事に変わりはないだろう……身の回りの事は出来るだけ自分でしなくてはなりませんね。

 そうして歩み進めていると、人が更に疎らとなった代わりに不意に香ばしい香りが漂ってくる。同じく、それに気付いたらしい旗条さんが奥に存在する店が目的のそれであると示す。
 彼女の言った通り、外装も店自体の雰囲気も品と趣のある様子でありながらも、凰月亭の雰囲気を壊す事の無いような、噂となるのも頷ける程であった。

「ええ、そうですね。早速ですが、失礼しましょうか」

 彼女に促され、微笑は湛えたままに相手の方を見ながら頷いて自動ドアが開く音と共に入店する。廊下まで漂っていたバターや酵母、あるいは焼きたての香りが歓迎するように感じられる程に満ちており、彼も思わず目を僅かに見開く。
 店内に立ち並ぶ棚には仄かな温もりを保ったままのクロワッサンやプレッツェル、他にもカルツォーネや菓子パンなんかも所狭しと並べられ、どれもこれもが輝いて見えるような、そんな気すらしてくる程だ。

「もし何かあれば御取りしますので遠慮無く言ってください。勿論、必要が無ければ、それはそれで構いませんので」

 重ねられた木目の取り皿とトングを一つずつ手に取り、浅い木籠の中で並べられたパンを前にした所で旗条に向けて、何かあればパンを取るくらいいくらでも手伝うと告げておく。勿論、選ぶ楽しみと言うのを奪いたい訳ではないので一言、その旨を付け加えて。
 さてはてどれにしようかと少しばかり我を忘れては思い悩む。なにせ、どれもこれもという訳にも行かず、後程来るにしても此処まで種類があれば相応に思い悩む。サンドウィッチやクロワッサンも良いだろうが、しかし、シナモンロールやブリオッシュも捨てがたい。

 しかしまぁ、今日は彼女も居ることだ。甘い物は避けておくに越した事は無いだろう、と小柄なミートパイを木皿に乗せてあと一つは何にしようか、と戦場の彼とは似つかないような、他愛もないような可愛らしい事に悩む彼の姿が其所にあるばかりであった。

>旗条 凪雪様、all

【いえいえ、お気になさらなくて大丈夫ですよ……!此方こそ、返しづらくなってしまって申し訳ありません。
返信等、時間に余裕のある時で構いませんので、御相手して頂ければ私としても嬉しい限りです!】

2日前 No.110

リンネ @fallere825☆ogbfCh5GVvpt ★Android=WDXHwCBaoH

【西園寺鳴弦/中野区ゴーストタウン付近】

治安維持に尽力している、と月代から紹介を受けた自衛官の男性こと結城へ小さく感嘆の声を上げながら「どーも」と会釈する。
彼もまた月代や功刀同様にNPC、つまりデータの塊だということだ。とはいえ、この世界のNPCたちは一人一人に自立した意識があり、独立して行動している。生きていた場所や時代、そして本人たちの意識以外に区別のしようがなく、それが鳴弦にとってのプレイヤーとNPCとの線引きを曖昧にしていた。だが、曖昧であることに特別不便もない。むしろ、その線引きを明確にしてしまう方が、多くのNPCたちが闊歩するこの世界では不便になるだろう。
鳴弦にとって軽い冗談を交わし合えるくらいには彼らは気安い存在だった。

「くく……っ別嬪さんにそこまで言わせるなんて罪なやつがいたもんだ」

存外ノリのいい月代の返しに思わず吹き出しながら頷いて話を聞く。しかし、話を聞くうちに浮かべていた笑みはすっと引いた。
所詮は噂、と軽く見ていたが月代が結城という戦闘能力を有している護衛を伴ってまで調べているということは噂は事実なのだろう。対岸の火事もこの狭い世界では悠長に見ていられるものでもない。
ただでさえ強盗だなんだと物騒な時期になっている。誘拐、なんてことが起きていた場合、十中八九被害者は良い目にあっていないだろう。
鳴弦は険しい表情を一瞬見せるが、焦ったところで仕方がない、と緩ませる。
今できることと言えば、月代の調査協力くらいだろう。

「勿論。月代が意中のお相手とデートに漕ぎ着けられるように協力は惜しまないとも。今だけとは言わずいつでもな」

どうにもNPCの立場にある彼らは妙なところで遠慮がちだ。
件の自称神への対抗策が見つかってないのだから一蓮托生。もっと気軽に頼れば良いのに、と鳴弦は思っている。

「しかし、影や暗闇を利用してるってのは……騎士や貴族にそんな魔法みたいな真似出来ないよな。そうなると、新種の敵の類いか?」

月代の言い草を見るに影に隠れて何かしら悪事を働いているだとかの比喩ではないだろう。
行方不明者の噂にある"影の中に吸い込まれたように見えた"という一文が事実である、ということだろうか。だが、そのようなことは騎士には出来ない。貴族も同様のはずだ。この二つの役職に出来るのは武器或いはそれ以外のものを出したり消したりするだけだ。
影に人を吸い込む、まるで魔法のような行い。
ゲームの世界だ。もしかしたら魔法のひとつふたつ使える者がいるのかもしれないが……ふと空を仰ぐ。
青い空には月代が張った薄いガラスのような結界が存在し、それは敵の侵入を防いでいる。例外が今いるゴーストタウンや洞窟などくらいだ。

「……外から来た訳じゃないなら、内側から湧いたか……どうにかして入ってきたか。どっちにしろシマの中で勝手されるのは気分悪いし、放置は出来んな……それじゃ、どこからエスコートしましょうかね」

そうひとりごちた後、月代と結城に向けてへらと笑いながら協力することへうなずいた。

>月代美言様、周辺ALL

2日前 No.111
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