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白き者と黒き者

 ( オリジナルなりきり )
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現代日本/闇堕ち/シリアス @rune1109 ★iPhone=UeQfQtu4fA

 __今朝、七々扇市の住宅で18歳の娘が、両親を殺害した疑いで逮捕されました。

少女は昨夜、8時ごろ自宅の寝室で40代の両親を刃物で複数回刺した疑いが持たれています。また、両親の体内からは睡眠薬が検出されました。
今朝、近所の住人が自宅を訪ねて発見し、警察に通報したということです。
近所の人によりますと、

『 娘さん、いつもニコニコしていてねぇ。大きなお家に住むお人形さんって感じでした。……まさかこんなことが起こるなんて、ねぇ 』

『 とても気品のある家庭でしたよ。挨拶すれば返してくれたし。でも、町内会とかに積極的に参加するような家族ではありませんでしたね 』

 少女は警察の調べに対し、容疑を認めているものの、動機は明らかになっていません。





*





「 開けろ! オイ! 開けてくれ!! 」

 必死になってドアを叩き叫ぶ。しかし、ずっしりと構えたその黒い2枚の扉はビクともせず、無残にもただ自分の手に痛みを返すだけで。
 帰り道、彼女と挨拶を交わしたとき、何か違和感を覚えた。
『 さようなら 』
 いつもと変わらないその一言のはずなのに、彼女の声は少し上ずっていて、いつもの自信の無さそうな気弱な顔つきは、何かを成し遂げようという決意と希望に満ちたような、そんな顔つきになっていて。
 よくないことが起こる。そう、自分の勘が言っている。そんなもの、ただの自分の思い違いであり、妄想であることを願いつつ__だがじっとしてはいられなかった。
 早くこのドアを開けてくれ。そして怪しんだ様子で「 警察呼びますよ 」とでも言えばいい。リビングに戻って、ドアを叩いて喚き散らす不審者のことを薄気味悪がって、でも「 まぁいいか 」と一蹴して、「 せっかくのママの美味しそうな料理が冷めちゃうよ 」なんて、3人で顔を見合わせて小さな笑みを零して、団欒していればいい。

「 無駄だ 」

 後ろから声がかけられた。いや、もしくはずっと叫んでた自分に向かって何回か呼びかけていたかもしれない。
 動きを止め、振り返る。
「 ……また、お前らのせいか 」
 喉が渇いていて、うまく声にならずに掠れた。顔をしかめ、喉に手をあてて咳払いをする。
「 そんな人聞きの悪いことを。行動に移したのは彼女であって、俺はただほんの少しの勇気を与えただけさ 」
 目の前のソイツは首をすくめる。さも自分は悪くないと言いたげな態度で、それが無性に腹立たしくて掴みかかった。
「 ……ハハ、俺なんかに構ってていいのか? きっと今ごろ、待ちに待った楽しい楽しい“お料理”の時間だゼ 」
「 __ッ! 」
 襟首を掴んだ左手に力が入る。右手の拳を振り上げたとき、
「 !? 」
 突然目の前が真っ白になった。目を細めて瞳孔が小さくなれば、隣の家の住人が目を丸くしてこちらにライトを向けていた。「 何をしているの! 警察呼びますからね! 逃げないでよ! 」キィキィと甲高い声をあげる住人。
「 ……まぁ目標は達成したし、そろそろ俺は切り上げるかな 」
 手の中のソイツの口もとが怪しく歪む。無駄だとわかっていても、逃がさないように強く捻りあげた。
「 ッ! 逃げるな! お前らはなんでこんなこと__ッ、 」
 パッと、跡形もなく音もなくソイツは消えた。
 左手に残ったのは虚しくも空(くう)だけで。それをギュッと強く握る。爪がくい込む。
 なんで、なんて聞かなくてもわかることなのに。わかっていても、それでも決してわかり合う日は来ないのだろう。



 __これは、生きるために壊し、壊れる、破滅のものがたり。




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