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(株)幽幻堂出版社の副業Days

 ( オリジナルなりきり )
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語り手 @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

幽幻堂出版社

それは、幽霊や心霊現象についての雑誌を発売している会社である

定期的な出版物は『月刊 裏の世界』、『ちまたで人気の心霊スポット100選』など

内容は、日本各地の心霊スポットの写真や、妖怪の解説など、その手の内容満載。リアリティーのある写真や、斬新な解釈等で、コアな層に人気の雑誌を発売している

まぁ、そのコアな層の人数も多いはずは無く、経営は火の車なのだが

そんな、会社ではあるが、雑誌の編集とは別に、とある副業があったりする…

〜とある廃校舎にて〜

薄く月明りが照らす、朽ちた廃校舎。その中に三つの人影が写る。その人影は物陰に身を隠すようにしゃがむと、教室内の様子を廊下側の窓から覗いていた。

一人は、ヨレヨレの白衣にボサボサの頭、不精髭の細身の男。歳の頃は20前半であろうか。

その横にしゃがんでいるのは、低い身長の吊り目で三つ編みの女の子だ。きっちりと制服を着こなしたその女の子は、さっきまで背負っていた動物型のリュックの中身をゴソゴソと漁ると、カメラを取り出す。

そして、その後ろで震えているのは小柄な老人である。立派な口ひげを蓄えた、そのスーツ姿の老人は、おどおどしながら二人の後にピッタリと寄り添うのだった。

その三人の視線の向かう先。教室の中には、異形の姿の者が5匹ほどたむろっている。その異形の者は、姿は人間のであるが、全身は黒く、瞳の部分だけが、らんらんと紅く輝いていた。

「おい、じーさん。その幽霊とやらは、こいつらでいいのか?」

視線を幽霊から外さぬまま白衣の男は老人に問いかける。その手はポケットに伸び、煙草の箱を掴むと、器用に一本だけ振り出して口に咥えた。
その様子に横から、女の子の小声の怒声が飛んでくる。

「じーさんって……社長!!依頼主に何て口を聴いているんですか!!それに、こんな時に煙草って、緊張感が無さすぎです!!」

女の子の吊り目気味の目が、さらに上がり、掴みかからんとする勢いなのを、老人が気にしないと慌てて宥めた。

「ほ〜れ、じーさんは気にしないって言ってるぞ、理子。それに、この程度なら、余裕だろ」

軽口をたたき、煙草を吹かす社長に、理子と呼ばれた女の子はギリリと歯ぎしりをして悔しがる。それを老人が苦笑して眺めるのだった。


「社長、一応写真は撮りましたよ。ただ、私の腕前では、使えるかどうか……」

「それは仕方ねぇよ。俺が撮っても一緒だ」

「分かりました。じゃあ私も準備してきますね」

そう言いバックを抱き物陰に行く理子に、社長は了解の意で軽く手を上げる。
心霊写真を撮るのには技術がいる。不思議な物で本物をはっきり撮っても、誰も信じてくれない。だから、若干ぶれたり、ぼかしたり、そういう技術がいる。理不尽な話だ。不幸にも今日はカメラマンは用事があり、来れなかった。撮れていれば一週間ぐらいの煙草と酒代にはなったものを……

口惜し気に、ギリギリまで短くなった煙草の火を携帯灰皿に押し付けて鎮火する。辺りに再び暗黒が訪れた。一瞬の静寂。

「さてと、じいさん、最終確認だが……」

携帯灰皿の口をパチンと閉じると、社長は頭を掻きながら、バツの悪そうな表情をする。今から行う仕事が、自分にとって一番嫌な仕事だという事が分かっているからだ。

「この世に未練はねぇな?」

ぶっきらぼうな言葉。それでも彼は、老人の目を真っ直ぐ見つめ問いかけた。

「ええ、大丈夫ですよ。私と子供達の思いが積もったこの学び舎も、老朽化で取り壊しが決定しておりますし、一度は死んだ身ですから……。それまでの安全が保障出来るなら未練なぞ、ありませんな」

真っ直ぐな眼差しに、老人は気にするなとばかりに、やはり笑顔で返答した。
某県某村の小学校だった、この建物。少子化という事もあり、昔は大勢の子供達が通っていたのが、一人二人と減っていき、最終的にはこの地区の学校は一つに統合され、この校舎は使われなくなったそうだ。
この御老人はこの村の出身であり、学び舎の最後の校長だった。残念ながら、退職後すぐに病気で鬼籍に入られたが、守護霊として、この学校に赴き、雑霊を追い払っていたそうだ。
しかし、何時の頃からか、この校舎は心霊スポットとして、注目を集め始めた。人の欲のエネルギーというのはあまりよろしく無く、案の定、悪霊を呼び寄せてしまった。最初は頑張って追い払っていた物の、その悪霊は力を強め、肝試しに来た若者を襲うという事態にまで発展したのだった。
そこで、一週間前に幽霊からの依頼を専門に行う、幽幻堂出版社に声が掛かり、今に至るという訳だ。

「そうか、分かった」

命の確認作業というのは、何度やっても慣れるものではない。一週間も一緒に居れば多少は情が移る。もっとも、慣れる事もないであろう。それだけ言うと、首にかけていた銀の十字架を老人にかざし、社長は目の前で十字を切る。そして祈りの言葉を奉げると老人の体が淡い緑色の光で包まれる。

「お待たせしました!!」

そのタイミングで、物陰で準備をしていた理子が戻って来た。紅い袴の巫女装束に身を包み、両手首には緑色の数珠。手には、六角鉄杖が携えられている。そして、光に包まれた老人を見ると、状況を察して駆け寄った。最期の時が近いのだ。
理子の目は涙を湛えている。

「御免なさい、泣かない様に、いままで我慢してたんですけど、やっぱり駄目……。短い間でしたが、ありがとうございました……。おじいちゃんが、返ってきたようで……楽しかったです……」

手を握り、嗚咽の声を出さずに涙を流す理子。

「私の方こそ、ありがとう……。小学校の校長に戻った様で楽しかったですよ……」

老人は、その頭を撫でる。まるで幼子をあやすように。

社長も、何時もだったら、「高校生なのに、小学生に間違われてやんの!!」と突っ込んで、理子に殴られるまでがテンプレートだが、流石に空気を読んで何も言わない。
社長は教室の中を注視しながら、腰のホルダーに入れた2丁のマスケット銃を取り出す。十字架が彫られ年代物のマスケット銃。型式こそ古がそれは所々改造され、リボルビング式になっている。社長は白衣の内側から、弾丸を取り出すと、手慣れた様子で詰めていく。
やがて、中の一匹がこちらに気づき、視線が合う。こちらに体を向けると、低い獣の様な唸り声を上げ始めた。それに、釣られる様に、2匹、3匹とこちらに警戒の威嚇を始める。

「では、そろそろ行きますね!!あちらの世界でも、お元気で!!」

涙も拭かぬまま、それでも満面の笑顔で、名残惜しそうに手を離すと理子は合掌し呪文を唱え始める。すると、理子のすぐ脇に白い煙が現れ、徐々に形をなしていく。やがて、それが狐の型になる。

「天狐様、我に力を!!」

そして、最後の念で煙の狐が、理子に飛び込み憑依した。
狐の耳や尻尾が生え、顔には6本の髭が生ずる。両の拳は炎で包まれ、その炎は六角杖にも伝わる。先程の涙も熱で蒸発した。
ぴょんと飛び、社長の傍に来ると、鼻息を荒くし両手で槍の型の様に杖を構える。

「気合いが入ってんな」

「もちろんです!!塵すら残しません!!」

「久しぶりに意見が合ったな、俺もそんな気分だ。じゃあな、じーさん、あっちの世界でも達者に暮らせよ!!」

社長は老人の方向を見ずに、それでも珍しく声を張り上げ、老人に最期の挨拶をする。

目線と水平に合わせたマスケット銃から、廊下のガラス越しに銃弾が放たれる。
ガラスはけたたましい音を上げ割れると、弾丸が一匹の額に吸い込まれた。
そして、ガラスの割れた音を合図に理子も、焔を上げながら低い姿勢で一直線に教室内に飛び込むのであった。



幽幻堂出版社

その副業は幽霊からの依頼を専門に請け負う、ゴーストハンター達の集まりだ

行き場の無い霊、この世に強い思いを残した霊

そんな霊達の声を聴き、心安らかに天に召される様に問題を解決する

これは、そんな奴らの物語

霊達の届かぬ願いを叶える、ちょっと変わった奴らの物語である

【目を通して頂きありがとうございます!!よろしければ、サブの方も覗いていって下さいませ〜】

メモ2019/01/16 00:48 : ユンボ @yumbo★9YegwOCpFV_8By

【幽幻堂の愉快な社員達】


http://mb2.jp/_subnro/15793.html-6

六港譲(ろっこう じょう 通称:ジョー)

【ケミカルブレット】

社長 25 男


http://mb2.jp/_subnro/15793.html-7

稲荷理子(いなり りこ)

【稲荷神社の狐憑き】

秘書 17 女


http://mb2.jp/_subnro/15793.html-10

永代橋岐(えいだいばし ちまた)

【聖蝶姫】

アルバイト(素人枠) 17 女


http://mb2.jp/_subnro/15793.html-12

虎杖浜唸(こじょうはま うなり)

【猫の威を借る虎】

カメラマン 19 女


http://mb2.jp/_subnro/15793.html-18

寧々庭奈布(ねねにわ なぬの)

【な行の罠王】

ライター 25 男


http://mb2.jp/_subnro/15793.html-19

旅籠宗助(はたご そうすけ)

【神通の錬金術師】

…続きを読む(20行)

切替: メイン記事(39) サブ記事 (42) ページ: 1


 
 

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

〜プロローグ〜

明治42年/12月/25日(雪)
鉄道技師として、仕事に従事していた私の元に故郷である倉細村から、知らせが届く。
炭鉱村である村の発展の為に、私の鉄道技師としての知識と技術を貸してくれとの事。
私も村に愛着があるが、すぐに返事をする訳にはいかない。
考えさせてくれと、手紙を送る。


明治43年/1月/10日(晴れ)
度重なる説得を受け、倉細村の鉄道事業に参加する事を決断する。
倉細村から、20キロ離れた場所にある鶯山町まで石炭を運ぶ簡易鉄道を走らせるという物だ。
この計画が成功すれば、山奥の寒村である、倉細村も賑わうに違いない。
父や母にも、楽をさせてやれるだろう。
散々悩んだが決断した今、心は今日の天気の様に晴れやかだ。


大正3年/8月/23日(晴れ)
線路を敷く作業も岩盤地帯に差し掛かり、炎天下での今日の仕事は酷く辛い物だった。
自分たちの背丈よりも大きい岩を、数人がかりで谷底まで落とす。その繰り返し。
順調だった進行も目に見えて遅くなり不満を訴える者も出てくる。
何とか説得し、少しづつ歩みを進めるしかない。


大正5年/9月/3日(曇り)
岩盤地帯を抜け、平野に差し掛かる。作業も大分楽になった。
村の老人に聞いた話だが、ここら辺は戦国時代に大きな戦場だったらしい。
山中にある平野で、麓まで見渡せる為、戦略的にも重要点だったそうだ。
築かれた砦では、奪ったり奪え返されたり、多くの犠牲者を出した。
気味の悪い話を聞いたせいか、薄ら寒い気がする。まだ九月に差し掛かった季節だというのに…


大正6年/11月/12日(雨)
最大の難所、鶯谷に差し掛かる。この渓谷に橋をかければ、倉細村は直ぐである。
困難を極めるだろう。しかし、これは鉄道技師としての私の挑戦でもある。
私の知識、技術、持てる物をすべて使用し、成し遂げてみせよう。


大正8年/1月/10日(晴れ)
ついにこの日を迎えた。倉細村ー鶯山町間の路線が完成し、汽車が走る日が。
この仕事を請けると決意してからの10年は、苦難の連続だったが、今思えばあっという間の出来事だったと思える。
これで、我が故郷は発展し潤うだろう。
名残惜しいが、私の鉄道技師としての仕事は今日でおしまいだ。
明日からは、汽車の運転士として、この路線を見守っていこう。
汽車の方も、黒煙を上げ出発を待ちわびているように思える。
それでは、汽車を走らせよう。新たな未来に向けて出発進行だ。


「あの事故から今日で百年か……」

月も無い、星も無い、しんしんと雪が降る、そんな暗闇の森の中で、古いボロボロの車掌服を着た男は呟いた。
傍には朽ちた、木製の建物がたたずんでいる。雑草が生い茂り、所々蔦が巻き、苔を蒸す。
その男は、建物に近づくと、木製の看板の雪と蔦を払う。

『鶯山駅』

かすれた文字で書かれたその看板を男は目を細めて眺めた。
あの事故が無ければこの駅も、使われずに朽ちるという事も無く、人で賑わっていたかもしれない。
そして、自分の故郷でもある倉細村も……。

男は始発の線路のあった部分に歩みを進め、軽く合掌した。
辺りの木々が風も無いのに騒めき始める。光の無い夜の森。だが、その青白い物体は薄蒼く輝き放ち、それは徐々に形を形成し、最後にはコンテナ5両編成の朽ちた汽車になる。

「未練だな……。我ながら女々しい事だ……」

男は自嘲し、汽車に手を触れる。すると汽車は、それに応じる様に汽笛を上げた。
百年前の、あの日。汽車は物の怪どもに襲われ、谷底に落ち男と命運を共にした。
未練を残した男は地縛霊となり、この地に留まる事となる。
汽車という乗り物が時代遅れになろうとも、倉細村が廃村となっても男は、天に召される事は無かった。
そして、汽車を村に届けたい一心で、霊的な力も加えつつ、執念で組み立てそれを試みた。
だが、その度に物の怪どもに邪魔をされ壊されるのを百年もの間繰り返してきたのだ。

そんな時、耳にしたのが幽玄堂出版社の噂だ。何でも、自分の成仏を条件に幽霊の仕事を引き受けてくれるという。

「汽車が、倉細村の駅に着く姿を見るまでは、死んでも死に切れん……。それが見れるなら未練なぞ何もない……」

男は車掌帽子を胸で握りしめ。天を仰いだ。

何時まで、そうしていただろうか。男はハッとなって、慌てて合掌をする。
すると蒼く輝く汽車は徐々に薄くなっていき、夜の闇に溶け込んだ。

「見つかっては、元もこうもない。じゃあ、そろそろ向かうとするか。何日かかることやら……」

そう言うと、男は駅を後にし藁にもすがる思いで、幽幻堂へと歩みを進めるのだった。
残された、駅には静かにしんしんと雪が降り積もるのだった。


第一章『幽霊列車(ゴーストトレイン)』

8日前 No.1

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

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8日前 No.2

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

【稲荷理子/幽幻堂】

「そんなに暇なら、他の人の仕事を手伝ったり、自分の机を片付ければいいのに……」

ジョーの姿を見て理子は思う。だけど言わない。言っても無駄だから。何だかんだ言って長い付き合いである。
ジョーの机とは対称的にきちんと整理した机。片隅には布巾も置かれており、汚れたら何時でも拭ける様に準備している。本棚には、幽霊にまつわる文献や資料、そこに高校の参考書が混じっている。ホワイトボードも置かれており、そこには約束や、締め切りが書かれた、付箋が張られている。

「はぁ、それにしてもこの前は失敗だったな……」

理子は両手で頬杖をつきため息をこぼす。
失敗とはこの前の依頼の時の話である。失敗と言っても依頼自体は成功している。失敗したのは、その時撮った写真の事である。
仕方がないとは言われたが、現像し使えないと分かると、それはそれでショックである。実際はピンボケし過ぎで使用不可だった。

「こういう時の為に、浜唸さんに、少しでも撮り方聞いた方がいいかなぁ……」

自分が写真を撮る機会など、万が一だろう。とことん真面目な性格である。

何度かため息をつくと、理子は壁に掛かっている時計に目を向けた。その針は15時を回っている。

「よし、切り替え、切り替え!!」

それを確認し、自分の頬を両手で軽く叩くと、可愛い狐のバックから紫の包みを取り出す。
中からは、どら焼きが二個。本日のスイーツタイムである。
ポットの方を見ればジョーがコーヒーを入れている。自分も急須で緑茶を入れるべく、机で待機するのだった。

>>ALL

【では、物語を開始したいと思います。拙いスレ主ですが、よろしくお願いします!!】

8日前 No.3

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 永代橋岐 / 幽幻堂 】

 授業が終わってから家に帰るよりも先に幽幻堂へ寄る。それが永代橋岐の日課だ。
 風邪か流行性の病にでも罹らぬ限り例外は無く、今日も今日とてパタパタと蝶の羽音のような足音と共に裾翻し道を駆ける。
 普段なら土日は休みなのだが、今日は先月の学級閉鎖の振り替えだか何だかで急に授業が入ってしまった。本当なら午前中から幽幻堂にいる予定だったのに、これで任務から取り残されていたらどうしよう。
 そんな心配を心に秘めつつ、されど焦らず辿り着いた建物の手前でふわり柔らかに足を止める。それからコンコンコンと三回ばかりノックして「ご無礼仕ります」と古風な物言いで挨拶をしてから扉を開けた。

 中には既に二人の社員。
 ジョーこと六港譲と同い年の稲荷理子。
 この二人しかいないように見えるだけで、実は他の社員もトイレ中とかコンビニへの買い出しとかで席を外しているだけかもしれない。
 先輩にあたる二人に向けて淑やかに微笑み、慣れた動きで軽く一礼。それから風呂敷にまとめた手荷物を邪魔にならぬ部屋の片隅へ置くと、水場でささっと手洗いうがい。それから戻って来て早々に室内の様子を一瞥で確認し、雑用係としての時分がやるべきことを優先順位をつけて判断した。

「お借りいたします」

 譲がコーヒーに湯を注ぎ終えたポットを、失礼にならぬよう一声かけてから受け取り、ついでにポット脇にあった空の耐熱カップも手にして理子のデスクへと静々歩み寄る。
 目的はもちろん、彼女が自分で用意していた急須などを使って美味しいお茶を淹れて差し上げ飲んで頂くことだ。
 何故ポットだけでなく空の耐熱カップまで持って行ったのかは、茶に詳しい者なら想像がつこう。湯冷ましの代わりである。お湯は容器から容器に移す際に温度が10℃ほど下がると言われており、煎茶を美味しく淹れるのに適した湯温は上級煎茶であれば80℃〜70℃。理子が急須に用意している茶葉が品質の良いものであるのは、先程室内の様子を一瞥した際に色艶や葉の撚れ具合でしかと確認済み。そして触って確かめたところポットの中のお湯は上級煎茶を淹れるのに理想とされる温度よりやや高かったので、これは尊敬すべき先輩に素晴らしい一杯を味わって貰うためには必要な作業なのだ。

「理子様。お茶の用意で御座いましたら、このてふてふめが致します故。どうぞごゆるりとお待ち下さいまし」

 テキパキとした手つきで先輩のためにお茶を用意し、適温で淹れて適切な時間で蒸らした煎茶の入った湯呑を茶托に乗せて理子の前へ差し出す。
 一時的に役目を果たした急須はずっとそのままにしておくと茶渋が付着してしまうため、ささっと水場に引き上げて丹念に洗うと食器を干すためのカゴに乗せた。
 さて、お次は社長のデスク周りを掃除する時間だ。シンク下の収納スペースからごみ袋を取り出し、そのままいそいそと譲の傍へ向かう。彼の『整理整頓が苦手』っぷりはいつ見てもこちらのやる気を捗らせてくれる有様で、ゴミ箱の中身を燃えるごみと燃えないごみに分別して捨てて行く作業も自然とペースが上がる。なんだか楽しくなってきた。

>ALL様

【メイン解禁おめでとうございます! とりあえず雑用係の本領発揮で皆様のお世話をしまくらせて下さい】

8日前 No.4

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 虎杖浜唸 / →幽幻堂 】

「たっだいまぁ〜! 唸ちゃん、お菓子調達から帰りましたぁ〜!」

バンッ!! と大きな音を立てて、大声をあげながら、幽幻堂の扉を開く。ノーメイクの顔は満面の笑みで、明るい橙色のカラーコンタクトの入った瞳は輝き、首元ではカメラが揺れ、ドアノブを持っていない手には中身の入ったコンビニのビニール袋が握られている。朝から出社していた唸が、「あっ、もうすぐおやつじゃないですか! 今日確かコンビニでいちご祭り始まるんですよー。オレ、ちょっと買ってきますね!」と、元気に出かけたのが30分前。コンビニへ行く道中で写真を撮り、コンビニで苺パフェや苺大福など始まったばかりのいちご祭り商品を全て一品ずつ買い、帰りながらも写真を撮り、やっと帰ってきた。
中には、自分が出かけたときからいたジョーと理子に加え、学校帰りと思われる岐がやってきていた。

「わっ、岐ちゃんやっほーですぅ! 高校生ってもう冬休み終わってるんですっけ? 学生さんは大変ですよねー。オレが行ってた高校って自称進学校だったんですけど、夏休みも冬休みも補習とか言って半分ぐらい授業があったんですよねー。それはさておき、岐ちゃんオレにも飲み物ちょーだいっ! ココアが飲みたいな〜、粉ならそこの棚にあったと思うのでっ!」

今日はお初にお目にかかる岐にニッコニコ笑いかけながらいつも通りのテンションの高さで自分語りをまじえて最終的にココアを所望。雑用づかいが荒いカメラマンだ。……マンって男性って意味だし、カメラウーマンですかね? 年齢的にまだガールか。
そうして自分のデスクにビニール袋をのっけて、中から小さいパフェに大福にロールケーキ……と、数種類の様々な新作苺スイーツを取り出す。今から全部食べる気である。ココアと一緒に。

「ジョーさんよくコーヒーとか飲めますよね……オレは甘いものの方が好きなのでにが〜いコーヒーは一生飲めそうにないです、いただきまーす! ……理子ちゃんはどら焼き? おいしそうですねぇ」

近侍にでもらったプラスチックの小さいスプーンの袋を開けながら、コーヒーを作ったジョーに話しかけ、パフェの蓋を開けて口へ運ぶ。しっかり味わって飲み込んでから、同じくおやつタイムに入ろうとする理子に話しかけた。

>>allさま

【メイン開始おめでとうございます〜!!初手からうるせえ女ですが、よろしくおねがいしますー!】

7日前 No.5

風俥お兄さん @ganma24 ★Android=vN4FlsE806

【寧々庭奈布/幽幻堂】

 寧々庭奈布は幽幻堂への道を歩む。
 左手にはもう冷めてしまったコーンポタージュ、右手にはしわくちゃになった一万円札を握りしめ、肩には駄菓子が詰まった袋とパソコンの入ったカバンをぶら下げている。
 血色の悪い不健康な顔を嬉々と歪め相も変わらず猫背でゆらゆらと歩いていた。

「あぁ、いい感じに勝った勝った」

 彼はそう呟き握りしめられた一万円札をポケットに突っ込んだ。
 彼は名目上は仕事の帰りであった。数日前に急遽決まった世を騒がす大学教授のインタビューである。ほとぼりが冷めた時だったからであろう他の記者は居らず、奈布と大学教授の一対一。それ故にいい情報を握りしめ、彼は嬉々として職場に帰る筈だった。
 奈布は視界に映る「新台入替」を謳うサイケデリックな色合いの旗に魅入られてしまう。輝くネオンに漏れでる喧騒、パチンコ屋である。彼は当たり前であるかのようにそこに吸い込まれていき、台に座った。
 最初は彼も10分で終わらせるつもりであった。しかし賭博は魔性。10分が20分と続き、最後には二時間も滞在してしまったのである。もっとも二時間で利益を出したのだから上等ではあるが。仕事中の人間としては上等ではない。
 しばらくそうしてゆらゆら歩いてると職場が見えてきた。扉の前で一礼し、自身の左右の手を眺めた。

「手、空いてねぇな」

 足で扉を開いた。「うっす」と呟き、また一礼し自身のデスクに荷物を置いた。菓子の入った袋を摘み上げ、フラフラと唸のデスクの元へと歩いていく。

「唸ちゃん、お菓子あげるよお菓子。さっきパチ屋で……いいや、なんでもない」

 唸に上げた筈のお菓子の中から和菓子とスナック菓子と珍味を取り出しフラフラと社内を歩き回る。

「理子ちゃん理子ちゃん、お疲れさんです。和菓子あげますよ」

 安物のモナカである。正式には和菓子と言うのか分からないが、大雑把な奈布の中では和菓子というくくりである。
 譲の元で資料整理している岐の所に行き、スナック菓子を差し出す。

「てふてふちゃん、いつもありがとうね。スナック菓子大丈夫だっけ?」

 答えは待たずに岐に押し付け、譲の机にイカの珍味を置いた。

「ジョーさん、タバコいいっすねぇ。まぁ、吸えないんすけど」

 社員達にお菓子を渡し終えると再び自身のデスクに戻り、引き出しから原稿用紙と万年筆を取り出した。肩にかけて持ってきたパソコンを起動しインタビュー内容を纏めたPDFを開くと、原稿用紙に文章を描き始めた。

>allさん

【メイン解禁おめでとうございます!とても雑な人間に出来上がったかなぁ?って感じです!よろしくお願いします】

7日前 No.6

ばにらあいす @kodai4370 ★iPhone=IABzHrSWjz

【仰扇 / 幽玄堂】


「………あれ?…もう、夕方…?」

寝た時は夜明け前の少し明るい時間帯、雪も降っていなかったのは不明瞭だが覚えている。はっきり言って十二月なんて話にならないレベルで一月は寒い、外を見ると雪もぼちぼち降り始めている。片田舎なら珍しくもなんともない光景、しかし都会まで行くと滅多にない景色、風流といえばその通りなのかもしれない。


「…大体8時間ぐらい寝てたのか」

近くに置いてあった時計を見て呟いた。特殊な出版社の幽玄堂、その二階は休憩所になっている。その休憩所の、殆ど誰も通らないであろう二階の奥の長椅子に横たわって安眠していた。起きて早々気付いたが、そういえば仮面が見当たらない、どこにいったんだ。焦る様子もなく探して10秒、元々付けて寝ていたというマヌケな真実へ辿り着くのに更に5秒を要した。

黙って起き上がり、一通り顔洗いを済ませてから再び仮面を付けてから一階へと続く階段を降りて行く。一昨日、昨日、そして今日と連続して仕事が入っている。まぁ今日といってもあと9時間ぐらいしか無いわけだが。個人での仕事をしている以上は文句も言えない、しかしそろそろ炊きたてのお手製白ご飯が食べたい、生活リズムぶっ壊しからの昼夜インスタント食品コンボは中々辛い。


その途中、携帯が揺れる。どうやらメッセージが来たようで、左右どちらのポケットからなのか寝起きなので一瞬戸惑ったが、すぐさま取り出して画面を開き、メール欄を確認した。内容は今月の株主総会に関するもの。あぁ、あったな、と洗顔したはずなのにまだはっきりとしない目つきで携帯を凝視し、やがて無造作にポケットへと収納した。

ちょうど一階へと足を下ろすと同時に扉を開閉する音が聞こえた。出入り口に向かうにつれて声も徐々に聞こえ出す。既に何人かきている、会社の扉を開くまでもなく察した。

「…はぁ」

溜息をこぼしてから靴を履き、ゆっくりと幽玄堂を抜けて歩き出した。


≫all様

【開始おめでとうございます!人数集中してたので、とりあえずはイベント開始まで様子見させていただきます】

6日前 No.7

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

【ジョー&稲荷理子/幽幻堂】

『理子様。お茶の用意で御座いましたら、このてふてふめが致します故。どうぞごゆるりとお待ち下さいまし』

お茶を入れようと、待っていると先に岐が淹れて持ってくる。

「ありがとう、岐ちゃん!!いただくね!!」

同世代に様付けされると何やらくすぐったい気がする。
理子は満面の笑みで岐からお茶を受け取ると、一口すする。本格的な手順で淹れられたお茶は、やはり香りや味が違い、気品すら感じる。理子にとって、この会社でちゃん付けで呼ぶのは、岐だけである。特殊な状況に身を置いている二人。だからこそ、気兼ねが無い部分があるのかもしれない。和服だし。
自分にお茶を入れた後は、しっかり急須も洗い、次にはジョーの机を掃除し始めている。その手際の良さはいつ見ても関心するし、同世代とは思えない。

「岐ちゃん、いつも社長の机を掃除させてゴメンね……。もし、良かったら岐ちゃんも、どうぞ」

そう言うと理子は、ジョーの方を一瞬睨んだ後、机の引き出しから懐紙を取り出し、どら焼きを一つ乗せ、岐の机に置くのだった。


すると、大きな音を立てて、ハイテンションな声で唸が戻って来る。
下げられた袋の中からは、色とりどりのお菓子が出てくる。しかも、しっかりというか、ちゃっかりというか、岐にココアを注文している。
コーヒーカップを持ち、ポットの場所を譲ったジョーはそれを見て顔をしかめた。

『ジョーさんよくコーヒーとか飲めますよね……オレは甘いものの方が好きなのでにが〜いコーヒーは一生飲めそうにないです、いただきまーす! ……理子ちゃんはどら焼き? おいしそうですねぇ』

「逆によくそんなに、甘い物を食えるな。見てるだけで胸やけしそうだ……」

ジョーにとって、甘い物は嫌いではないが、かといって食べたいかと聞かれると微妙である。見た目の甘さを、ブラックコーヒーを一口飲んで中和する。そして、ジョーは口の端をちょっと吊り上げ、にやっと笑った。この気持ち悪い笑いをするときは、嫌みを言う合図だったりする。

「お前ら、そんなに甘い物食ってると、ぶくぶくに太るぞ」

ど真ん中剛速球の完全なセクハラである。

「あっ、唸さん。最大火力で社長殴っていいですよ」

女性の敵発言に、こめかみをひくつかせながら、理子が間髪入れずに言葉を被せた。ジョーはおお怖いとばかりに、オーバーアクションで肩を上げるのであった。

「そういえば、唸さんに聞きたいことがあるんですが、写真を撮る時って何かコツとかありますか?この前失敗しちゃって……」

どら焼きを机の上置き、唸の方を向くと、話題を変える意味でも、先ほどの事を質問するのだった。


次に会社に現れたのは、奈布である。両の手に荷物を持ち足で扉を開けて入って来ると、皆にお菓子を配り始めた。季節外れの不健康そうな、サンタクロースである。

パッケージに入った、安そうなモナカを受け取った理子。しかし、その表情は複雑である。
これ、明らかにパチンコの景品だよね。さっき、唸さんに渡す時パチまで言いかけてたし。

「まずは取材お疲れ様でした。そして、モナカありがとうございます、奈布さん」

満面の笑みでと礼と労いの言葉をかける。笑みと真逆で声は笑っていない。

「けど、これパチンコの景品ですよね。仕事中なので、こういう事はこれっきりにして下さい!!」

社長が緩い分、秘書として注意するのだった。

『ジョーさん、タバコいいっすねぇ。まぁ、吸えないんすけど』

やがて、ジョーの所に来た奈布は、イカの珍味を机の上に置く。

「煙草何てやめとけ、金は食うし悪い事だらけだ。こっちの方が、まだ健康的だぜ」

そう言うと、クククと含み笑いをしながら、ジョーは右手でパチンコの台を回す仕草をしてみせる。

「その様子だと、本業の方も結構な収穫があったみたいだな、原稿よろしく頼むぜ」

ジョーは貰ったイカを早速口に加えながら、そう奈布に頼むのだった。



「今日は、まだ全員いませんね」

不意に、理子はジョーに問う。何時もなら、もう少し人がいてもおかしくない。

「ああ、それなら、カップラコンビの緑の方が上で寝てたぜ」

ジョーは親指で上の階を指した。二階は休憩所にもなっており、社員も休める作りになっている。

「それ、止めましょうよ。流石に仰扇さんにも失礼ですよ……」

それを、理子はため息をつき、たしなめた。

理子は、狐を憑依し烈火を纏う能力がある。
仰扇は、狸の面をかぶっている。
狐と狸の名前を冠したカップラーメンの、CMなどで流れるお決まりのフレーズが頭に流れる。
仰扇に緑の要素は無いが、ジョーはからかい半分でそう呼んでいるのだ。

「雪が降って来たけど、仰扇さん大丈夫ですかね?風邪ひかなきゃ良いけど……」

そして、理子は心配の言葉を口にするのだった。

>>岐、唸、奈布、仰扇(?)、ALL

【まとめ投稿すみません!!】

6日前 No.8

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 永代橋岐 / 幽幻堂→外 】

 所長のデスク周辺を黙々と片付けていれば、どうやら外出していたらしい唸が外から帰って来た。
 早々に彼女からココアを注文された岐は、もちろん断るはずなどなく「ゑえ、喜んで」とにっこり微笑みココアの用意を開始。デスク周りの掃除もちょうどゴミ袋が二つ分のゴミをまとめ終えてキリが良いし、先にこちらの頼みを片付けてからゴミ処理の仕事に舞い戻るとしよう。
 棚を漁れば唸の言う通りココアの粉が入っていた。これをお湯で溶くだけでも一応ココアの味にはなるのだが、美味しいココアを作るにはそれだけだとちと物足りない。岐は人に飲ませるなら自分の出来る限りで最上のものを、と考えるタイプなので、当然手間は惜しまずアレンジを加えていく予定だ。
 移動先は水場。まず取り出したるはお鍋。それをコンロにかけて弱火で熱すると、無糖のココアパウダーをゴムベラで煎ってカカオの風味を強める。時間は30秒で良い。こうするとダマにもなり難いのだ。それが終わると水をちょっとずつ注ぎながら艶が出るまでかき混ぜる。一気に入れるとクリーミーな口当たりが損なわれてしまう。あくまでちょっとずつが肝心。
 これにお砂糖をふって、水ではなく牛乳を加えつつやはりその都度に混ぜ混ぜ。ぷつっぷつっと小さい泡が浮かぶようになってきたら火を止め、沸騰する前にお鍋はコンロからあげる。熱し過ぎるとミルクのタンパク質が変化して口当たりのクリーミーさがやや減るのだ。
 お鍋の中身は茶こしをセットしておいたマグカップの中に注ぎ入れて、用が済んだお鍋と茶こしのほうはシンクでぱぱっと洗う。ここから上に生クリームだのマシュマロだのシナモンパウダーだの追加で乗せて行くのもアリだが、唸に頼まれたのはあくまでシンプルなココア。今回はこのまま持って行く。ああ、そうだ。小さなティスプーンを添えるのも忘れずに。

「お待たせいたしました、唸様。ココアで御座います」

 素早く、されど丁寧にご用意したココアを唸のデスクに恭しく置き、長居は無用とばかりに一礼だけ残して立ち去る。人のおやつタイムをジロジロ見る趣味は無い。何より所長のデスク周りの掃除はキリの良い所までやれただけで、まだ完璧に果たせていないのだ。こちらをさっさとやらねば。
 そうして掃除を再開したのだが、一分とたたない内に今度はパチンコ屋帰りらしい煙草の臭いを纏った奈布が帰宅……帰職場? してきた。どうやら今日は勝ったみたいで随分と羽振りが良い。岐もスナック菓子を頂いてしまった。

「かたじけのう御座います。ご用があらば、このてふてふめをなんなりと召し使って下さいまし」

 スナック菓子を手に奈布に深々と頭を下げる。スナック菓子、実をいうと食べたことは無い。ので、掃除が済んだら袋をちょっとだけ開けてちょっとだけ食べてみようと思う。これも刺激的な『初めての行為』だ。異国で大麻さえ嗜んだ経験のある娘の心はただのスナック菓子に対しやや過剰ともいえる期待を密かに寄せていた。
 次いで理子からどら焼きも頂いてしまったので、そちらにも深々と一礼して上記の台詞と同じものを口にする。これで本日のお茶の時間、お供はスナック菓子とどら焼きに決定だ。実家に帰省した時に田舎のお婆ちゃんが用意してくれるお菓子の詰め合わせみたいな節操の無さである。しかし岐はそういう混沌を意外に愛しむ女だ。

 ものの見事に片付け終えた所長のデスク周辺から生まれた何袋分ものゴミを、邪魔にならぬよう、そしてゴミの回収日に出し易いよう玄関先の脇に置いておく。そんな風に玄関先でごそごそやっていると理子が外出中の仰扇を心配する声が聞こえて来たので、岐は雑用係として率先して名乗り出た。

「で、御座いますれば。てふてふめが傘の一つも差し出して参りましょう。ちょうど折りたたみ傘を持っております故」

 自分の荷物から日本画の蝶々という渋い色柄の折り畳み傘を取り出し、中の人々にまた一礼をしてから仰扇を追って外に出る。
 目立つ風貌をした御仁だ、途中ですれ違う者に目撃情報でも聞き込めばすぐ合流できるだろう。

>幽幻堂ALL様&仰扇様

5日前 No.9

@kw1 ★iPhone=WeLdY42O45

【 八月一日 鳴 / 街→幽幻堂前 】

「――はい、はい。はい、其れは其れは! 弊社の拙著を気に入って頂いて光栄で御座います! はい、ええ、ええ。幽幻堂出版社で御座います、是非御見知りおきを...、はい! 此の度は本当に有難う御座います〜、はい、其れでは失礼致します! ――――ふう、」

雑踏の中、子供の歓喜の様な軽く明るい溌剌とした声で話すのは、幽幻堂出版社営業である八月一日鳴。道破の蜩と呼ばれる彼でも、仕事中は脳内で言葉を必死に選んで話すものだ。最も、之が仕事なのだから当たり前の事なのだけれど。相手は通話口の先に居るにも関わらず、恰も目の前に当人が居るかの様に彼の顔は明るく、目を細めると右の涙袋がより目立っていた。「失礼致します」と述べた其の後も暫くは目も細め、口元には弧を描いている。相手が通話を切ったのであろう瞬間に ふ、と顔を緩ませては途端に疲れた様に頭を垂れ、大きく息をついた。今日は新しく開店すると言う書店に出向き取引先と成って貰うべく幽幻堂出版社の主な商品の一つである「月刊 裏の世界」今月号の見本を持参して交渉をして来た所であった。出向き先の仕入れ担当者は難しい顔をして「検討します」とだけ言い、不安になりながら帰る道中で納品願いの連絡が入ったのだった。

「之であの店からの発注は確実に成ったけど、彼処の仕入れ担当、何であんなに無愛想なのさ...。 カタブツって感じで無駄に疲れる〜...」

普段であれば得意先を一つ増やせたと言うだけでも咽び泣く程に喜ぶが、今回の書店は何だか小難しい相手が居た様で鳴自身余り嬉しくは無い様子であった。まあ、得意先は得意先なので、社長には喜ばれるに違いないのだが。

幽幻堂に戻る途中で、見覚えのある仮面の男を見つけた。狸を象った仮面を付け、身長は自分よりも十センチ以上は高いであろう大男。その男が我らが幽幻堂の結界師、仰扇である事に気付いた鳴は疲れた顔から一転、悪戯っ子の様ににんまりとして軽い足取りで彼の前へ立った。彼処に居るのは、――デカタヌキ!

「誰かと思ったらデカタヌキじゃん! 会社の外に居るの珍しい気がするけど、御守りの材料でも買いに来たの?」

彼の台詞を字に起こせば偏差値の低い女子高生の様だが、彼は立派な成人男性である。悪意たっぷりの渾名で仰扇に話し掛けているが、鳴の渾名付けは至って真面目で真剣である。喋りながら仰扇の少し後ろから、之また見覚えのある特徴的な髪型の女の子が何かを持ちながら此方に向かって来るのが見え、ヒラヒラと手を振った。

>仰扇、岐、周辺ALL

【勝手に合流すみません;;;;】

5日前 No.10

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 虎杖浜唸 / 幽幻堂 】

「わーいっ! いっつもありがとうございますっ、岐ちゃん!」

マグカップを置き、すぐに去っていく岐の背中にお礼を言ってから、ココアに口をつける。……めっちゃ美味しい。スピードを兼ね備えながらもめっちゃ拘ってない? とは思っていたが、ここまで美味しく仕上がっているとは……。自分なんてお湯沸かして適当に粉入れてお湯注いでぐるぐる混ぜてかーんせーいっ! なので、今度ちょっと教えてもらうことにしよう。

扉の開く音がする。口の中でココアを味わいながらそちらを見やると、ライターと寧々庭奈布がやってきていた。ねねにわなぬの。な行の圧がすごい名前である。滑舌悪いと言いにくいんじゃないかな。
それから何度かいちごパフェを口へ運んでいると、奈布がこちらへやってきた。お菓子をくれるらしい。それを聞いて慌ててパフェの一部を飲み込み、口の中を空っぽにする。そうしている間に袋の中から数種類のお菓子が抜きとられた。アレは他の社員用か。

「奈布さんっ、ほんとですかぁ!? やったぁっ、それでは遠慮なくいただいちゃいますね!」

お菓子の嬉しさで後半のソレは聞き取れなかったのだろう。完全にスルーして素直に受け取る。おやつが増えた。誰も言ってないけれど、これだけ食べたら流石に太るぞ――否、言われた。ジョーに言われた。包み隠さずハッキリと。ニヤリと笑った瞬間からちょっと嫌な予感はしてたけど。

「ジョーさぁん!!! 苺は甘酸っぱいので胸焼けしません!! ふ、太るとか言わないでください!!! もう! 理子ちゃんの許可も出たことだし殴りますよ!? それに、明日から動けば、大丈夫、ですし……」

ぷくーっと頬を膨らませ、ぷんすかと怒る。苺パフェは既に空っぽだ。殴りますよ? とは言ったものの、本当に殴るつもりはサラサラない。冗談込みの軽口だ。軽口にしては、本当に気にしていることだったので、最後の方はやけに弱々しくなってしまったけれども。
やや下がったテンションでいちごのロールケーキの袋を開ける。ロールケーキといってもコンビニスイーツのあの一切れ分しかないやつだ。苺風味のピンク色の生地の中に、生クリームがたっぷり入ってて、ど真ん中には苺が一粒丸ごと陣取っている。
それに一口齧りついたところで、理子から話しかけられる。

「もぐもぐ……ごくんっ。コツ、ですか? そうですねー、そうは言ってもオレもまだまだ初心者なので、教えられることはそんなにないですけど……しっかりカメラを持って、ピントを合わせる、とか? オレが初歩的なカメラマンなせいで初歩的なことしか教えられませんけど……えへへ」

咀嚼、嚥下してから、理子に言葉を返す。SNS映え目指してスマホで取るところからカメラに興味を持っただけの唸には、あまり具体的なことは教えることはできなかった。
奈布のお菓子はパチンコのものだったらしい。自分は其処に足を踏み入れたことが無いからわからないけれど、まあ、お仕事中に行くのは良くないよね……コンビニのお菓子調達とは別だし。うんうん。

「赤い狐と緑の狸で思ったんですけど、ココって動物系かなり多くないですか? オレは虎だし、岐ちゃんは蝶々だし……食物連鎖ではオレがいちばん上ですね! あ、岐ちゃん、いってらっしゃーいですー」

社長と秘書の会話を聞きながらロールケーキを貪っていたが、ふと考えたことをそのまま口にする。まあ、怪異系のモチーフになりやすいよね、動物って。干支だって動物だし、やっぱアニマル系ってかわいいからね……うんうん。なにぇ考えながらココアを飲み、出て行く岐を見送った。

>>幽幻堂allさま

5日前 No.11

ばにらあいす @kodai4370 ★iPhone=IABzHrSWjz

【仰扇 / 外】


「除霊ぐらい宮司にでもお願いしろよ。 いやいや、このままの生活だと本気でやばそうだな、今度保健所行ってみるか…」

溜息の理由はこれだ。一昨日、昨日と続いて悪霊を確実に祓うため夜間はぶっ通しで除霊をし続けていた。街中なので結界で一撃消沈という派手技を使うわけにもいかないのだ。依頼の電話がかかってくるタイミングも神がかっており、生活リズムは徐々に夜行型へと移り変わりしている。慣れってのは怖い。人間の中でもとりわけ恐ろしい能力だと思う、いやそうでもないか。

最近は夜に依頼を遂行することが多い、霊共がもっとも活発に動き出す丑三つ時を狙って確実に除霊するためだ。依頼主は当然寝ているが、たまに怖いもの見たさで起きているヤツもいる、勇気なのか愚行なのか俺には判断しかねるが、肝の座っているヤツは見ているだけで気持ちがいい。俺もそうだ、こんな仮面をつけて街中を歩いている。今回は比較的人のいる時間帯のせいで、さっきから面を見ては逸らす輩がちらほらと確認できる。見てしまうのは仕方ない事だと分かっているがなんかイライラするなぁ、別に犯罪者でもあるまいし、何か言いたいことがあるなら視線じゃなくて直接口で訴えろってんだ。

ん、今誰かタヌキって言ったな。確かに聞こえたぞ。思った事が誰かに通じたのかもしれん。タヌキというのも恐らくは俺の付けている面のことだ、それは間違いない、どいつだ? いや、考えるまでもない、このネーミングセンスを持つ人間は俺の知る限りは1人しかいない。


「…これから仕事の前乗りだ、この時間帯にここは歩かないし確かに珍しいといえば……おい、急に手を振ってどうしたんだ?」

目の前で止まった男、八月一日 鳴に合わせて立ち止まり、彼から色々と言われた直後、急に自身の背後へと手を振る仕草を見て、珍しく心配性な口調で問う。渾名にはノータッチで進める、見たまんまをそのまま表したドストレートな名付け方だ。確か前にもカップ麺呼ばわりされた事もあったな、って渾名云々はどうでもいい。どちらにしても多すぎる文句は野暮ってもんだ、少しツッコミ入れるぐらいで丁度いい、完全に己の主観ではあるが。

彼の手を振った先を確かめるべく、背後へと振り返る。幽玄堂から意外と進んでいないんだなと疑問を感じる一方で、こちらへと向かってくる少女の姿が見えた。何を持っているのかは分からないが、面の隙間からでも一体誰なのか、はっきりと分かる。

「岐か、あいつもどこかへ向かっているのか?」


≫鳴様、岐様、all様

4日前 No.12

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 永代橋岐 / 外→コンビニエンスストア 】

 扇の身体的特徴を挙げ、そのような人物が近くを通りがからなんだかと聞いて回れば、殆どの人間は彼を目撃していたようで素直に教えてくれる。
 彼ら彼女らの指さす通りに道を歩むこと数分。やっとこさそれらしき後ろ姿が視界に入ったところで、けれどお目当ての扇よりも早くこちらに気付き手を振って来る男が一人。あれは恐らく八月一日鳴。ネイビーのパンツや身体の薄さからそう判断したが、この距離では顔まで視認できず、まだよく似た格好のそっくりさんという線も残っている。
 ……とか考えていたが、そこから更に数メートル近付けば普通に八月一日鳴その人であった。杞憂だ。そもそも扇と話し込んでいる時点で別人の可能性など一割も残っていなかったのに、低確率を気にし過ぎてしまった。

「御歓談中のところ、ご無礼仕ります。扇様が傘を持たず雪の中を歩いてらっしゃることを、理子様が気にしてらっしゃったので。その憂いを断つべく貴方様にこちらの折り畳み傘を、と思うたのですが……。まさか鳴様もいらしたなんて、てふてふの失態に御座います。傘を一つしか持って来なんだことをお許し下さいまし」

 二人に深々と一礼した後、手にしていた日本画の渋い蝶々がプリントされた折り畳み傘を、ひとまず渡す予定だった扇に渡す。が、それでしまいだ。傘のストックが切れてしまった。そもそも扇に傘を渡しさえすれば自分はすぐ職場に戻る予定だったので無手で来てしまっており、自分がさしている傘を鳴に渡す、という手段も使えない。
 自らの失態に眉尻を下げ、申し訳なさげに瞼を伏せる岐。幽幻堂の雑用係を自認する彼女にとって、他のアルバイターも正社員も皆揃って丁寧に接するべき相手。だのに、今回はこうして二人いるのに片方にしか傘を渡せないことになってしまって。肩が落ちるのも無理は無い。さながら萎れた花、いやさ萎れた蝶々のような有様で意気消沈。しかし人様の前でこうもあからさまに落ち込むのも失礼に該当してしまうと思い至り、慌てて落とした肩と下がった眉尻を上げ直す。

「ゐゑ、ゐゑ、まだコンビニエンスストア、という心強い味方がてふてふには残っておりました。暫しお待ちを鳴様。ビニール傘を手に入れて参りまする」

 それと扇様はかなりお疲れのご様子なので栄養ドリンクも、などと算段しつつ、目先にあった7の字の看板のコンビニにあくまで淑やかに駆け込む。店員さんの「いらっしゃいませー」が軽快に響く店内を、カゴを片手にきょろきょろと物色。もちろんビニール傘と栄養ドリンクは既に購入すると決めてあるが、それだけでなくカイロなども彼らに渡そうかと考えついたのだ。なので今の視線の動き、これはカイロを探している。

>仰扇様&八月一日鳴様&ALL様

【絡んで早々に勝手にコンビニへ移動しております、すみません。次で勝手に中から出てきますので……!】

4日前 No.13

@kw1 ★iPhone=WeLdY42O45

【 八月一日 鳴 / 外 】

「嗚呼、ね。日中外じゃ見掛けないし大抵ド深夜にガサゴソしてるから夜型なのかなって思ってたけどそういうことね。道理で珍しいと思ったよ」

ぽん、とわざとらしく拳を手の平に乗せて納得した様な仕草を見せては少し意外そうに眉を上げてそう述べた。心配そうに、何処か訝しげにどうしたのかと問われると、「いやあ、虫螻ちゃんが来たからさ」とこれまた悪意百パーセントの渾名を呼ぶ。

やたら御丁寧に声を掛けられ、またやたら御丁寧に深い深い一礼をされては「んはは、相変わらず古風だねえ、虫螻ちゃんは」なんて特徴的な笑い声を上げてそう言っては、彼女の物真似をするかの様に自分も同じく深々とお辞儀をして見せる。仰扇に傘を届けに来たのだと察すると同時に、どうやら鳴の存在が誤算だったようで一本しか無い傘を抱えては頭を垂れ、垂れたかと思えばひらひらとコンビニへと駆けて行った。仕草一つを取ってもまるで蝶の様だと思いながら彼女を見送る。

「あらら、行っちゃった。会社戻るだけだから無くてもいいのに、甲斐甲斐しくて真面目で健気で、偉いねえあの子は」

さながら近所の婆さんの様な台詞を呟いては陽気に笑い、岐がコンビニの奥の方へと消えて行ったのを確認しては、「あ、」と思い出した様に仰扇の方を見た。

「そいえば、仕事行く途中だっけ? デカタヌキも甲斐甲斐しくて真面目で健気で偉いよ、何てね、んはは。呼び止めちゃって御免ねえ」

岐に対して思った事と一言一句同じ事を仰扇にも言って遣れば、冗談冗談、と笑う。そして彼が仕事の前乗りに行くのだという事を思い出しては問い掛けたと同時に呼び止めてしまった事を謝罪した。自分はどうせ会社に戻っても社長に営業の結果報告をするだけで後は負われる様な仕事もない。新規得意先との以降のやり取りは別に今日中に処理せねばいけない訳でもないので、正直に言うと暇になる。仰扇の元へ着いて行ってやろうかとも思ったが一応仕事故、お巫山戯には限度がある。(うーん、このまま虫螻ちゃんと帰るべきかなあ、でも会社戻っても邪魔以外することないしな)と二択で迷っている様子であった。

>仰扇、岐、周辺ALL

【着いてくかどうかはお好きに決めちゃってください!幽幻堂に戻ってもよければ戻ります〜】

4日前 No.14

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

【ジョー/幽幻堂】

『ジョーさぁん!!! 苺は甘酸っぱいので胸焼けしません!! ふ、太るとか言わないでください!!! もう! 理子ちゃんの許可も出たことだし殴りますよ!? それに、明日から動けば、大丈夫、ですし……』

「ダーイエットは明日から〜ってか。どれどれ、殴られる前に退散するかな」

ジョーは含み笑いをしながら、自分の席に戻る。もちろん、唸が冗談で言っている事は分かっている。もし、本当に唸が襲ってきたら、全身全霊で逃げる。その威力で殴られれば、漫画的表現をすれば星になり、リアルな表現をすると、スプラッタ物のホラー映画になってしまう。背を向けると、ガサゴソと袋を開ける音。まだ、食うんかい!!
岐が掃除してくれて、見事なまでにピカピカになった席に戻ると、また煙草を一本咥え、煙をくゆらせる。すると唸から、動物が多いという話が出てくる。

「この業界、式神とかの関係で、動物とかそういう物とは、切っても切り離せねーんだ」

そこで、間を取る様に、煙をまたひと吐き。

「唸の虎は偶然かもしれないが、理子は憑依型、岐の蝶は自力で練り上げたとはいえ使役型に分類されるだろうな。詳しくは詮索する気は無いが仰扇の狸も何か意味があるかもしれん」

一応これでも、霊に関する出版社の社長である。知識については持ち合わせている。ジョーは珍しく真面目モードで答える。

「まあ、食物連鎖でいけば、お前が一番だろうな。ただ、うちの連中は癖が強すぎて、口にしたら食あたりを起こすから、引き分けだ」

最後に少し茶化し、根本付近まで短くなった煙草を灰皿に押し付けるのだった。

>>唸、幽幻堂ALL

3日前 No.15

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

【稲荷理子/幽幻堂】

「ありがとうございます!!なるほど、やっぱり基本的な事が大事なんですね」

どら焼きを、むしゃむしゃしながら、唸のカメラ論に相槌を打つ。あの日は感情が高ぶっていた事もあり、被写体が写ったと思ったらもうシャッターを押した気がする。ピントを合わせるという事もしなかった。スマホは持ってはいるが、完全に連絡用で、カメラ機能など使ったこともない。シャッターを押せば写真が撮れるとしか知らない理子にとっては実に為になるお話だ。

二人でお菓子を食べていると、岐が傘を持ち仰扇に届けてくれるという。

「あっ、岐ちゃん。ありがとう!!寒くなって来たから気をつけて」

心配の言葉を発し、その意見をくみ取ってくれた岐。本来であれば、心配の言葉をした自分が行くべきだろう。ちょっと心苦しいが、ここは素直に甘える事にする。そういう部分は見習わなくてはと理子は思う。

「あ〜、美味しかった」

岐の淹れてくれた、極上のお茶と、どら焼きを平らげ、今後のスケジュールを確認する理子。

コンコン

そんなとき、会社のドアをノックする音が聞こえる。オンボロとはいえ、幽玄堂も現代の建物である。呼び鈴ぐらいついている。
不思議に思い理子はドアを開けると、そこには車掌姿の男が立っていた。
歳を50半ばだろうか。頭には車掌帽をかぶっており、見える部分の髪は薄く白髪が入っている。目つきは鋭く、顔は薄汚れた不精髭。何よりボロボロの車掌服が印象的である。

「こちらは、幽玄堂社でしょうか?」

低くしわがれた声で男は理子に尋ね、理子は頷く。
その人間が、もうこの世の人間では無いのは、一目で分かるし、感じる事が出来る。それが、この会社を訪ねて来たのだ。理由は一つしかない。さっきまでのお菓子食しモードから、秘書モードに切り替える。

「依頼者の方でしょうか?お入りください。御話をお聞きいたします」

満面の笑顔に普段は使わない様な穏やかな声で室内に招きいれるのだった。

>>唸、岐、幽玄堂ALL

3日前 No.16

風俥お兄さん @ganma24 ★Android=vN4FlsE806

【寧々庭奈布/幽幻堂】
 理子に叱られるとバツが悪そうに舌を出した。ゆっくり掌を合わせて「ごめんちゃい」と軽口を叩き首を前に出した。

「理子ちゃんもパチンコとかどうよ」

 奈布のは深く何も考えずにそう言った。理子はパチンコ屋に入れない年齢であるのを顧みない言動であったことに奈布は気付き、怒られる前にと「ごめんなさーい」と手を挙げた。
 再び原稿用紙に向き合い万年筆を握る。ジョーの言葉を耳で捉え首を縦に振る。

「今日は吉日ですぜい、パチも取材も良好良好」

 そう喋りながらも奈布は筆を止めることは無かった。筆が紙越しにデスクを弾く音が奈布の耳に反響する。原稿用紙は幾十枚にも重なっていく。心地の良い気分にとなり奈布はデスクに重心をかけすぎてしまう。デスクに並んだ二足で経つソフビがドミノの様に倒れ、最後にある巨大な恐竜のソフビにもたれかかる。奈布はその様を見ると大きく息を吐き、背もたれに倒れた。
 下唇を噛み目を大きく開く。集中がきれた合図である。冷めきったコーンスープを一気に飲みほした。

「あぁ、休憩」

 首を曲げだるそうに天井を眺めると、岐が出ていくのが目に留まり腕を起点に手を振った。
 耳に入った動物の話を聞き奈布もボーッと考えてみることにした。

「そうだねぇ、狐にチョウチョ、虎に狸、他には……」

 最後まで答えを言い切らず再び原稿に向かった。数行書くと原稿用紙を持ち上げ、端を合わせる。彼は推敲をする為にボーッと原稿用紙を眺め始めた。自分の中で怪しげな箇所を全て検閲し終えると、両手を上にあげ伸びをする。

『こちらは幽幻堂社でしょうか?』

 聞き覚えのない嗄れた声を聞いた奈布はボーッとその男を眺めている。すぐに興味をなくしその男の横の壁に視線を写すと、ボーッとポッケに入ったお金を弄り始めた。

>幽幻堂all

3日前 No.17

霧灯 @sunsuncat ★o08FOtq5xo_Tbw

【志麻 和花 / 周辺町→幽幻堂】

 光在るところ闇もまた在り。
 勝利者在らば敗者もまた然り。

 ジャンジャラジャンジャラジャンジャラー。
 音楽がそこら中で頭の中に詰め込まれていくようにけたたましく流れている。液晶画面の中で可愛らしいアニメキャラクターがアニメーション映像に合わせて台詞を発していく中で、その画面周囲を銀色の玉がピンの隙間をガシャガシャ動いて下へ転がり落ちていく。

「……あと少し、あと少し」
『今だよ! クミさん!』
「!! 来た!!」

 映像の中、ファンファーレのようなメインテーマの盛り上がりと共に黄色のヒロインが必殺フォームを取る。そうして最強の魔法光線を敵に向かって放つと画面は閃光に包まれ、逃げる間もなく直撃を受けた因縁の強敵は遂に撃破――――。

『えっ』
『クミさーーーん!!』

 プラン……ドサッ。

 ――――されず。なんと攻撃は効かず、次の瞬間ヒロインは見るも無残に頭からガブリといかれた。

「あああああ……!!」

 ジィーー、ガシャン!
 同時に、残数を使い切った10000円分の緑のカードが台から押し出されてくる。

「…………」

 頭を抱え、言葉にならない声を張り上げて憤慨する女。隣の席のおばちゃんが伏し目がちにふっと笑う。

 開閉する自動ドア。肩を落としてパチンコ屋を一人出ていく。頭の中に詰め込まれていた店内の騒音が遠ざかり静寂が訪れると、まるで何かの境地に辿り着いて心が無になったかのよう。但しその表情は暗い。

 志麻和花(しまのどか)。女性。21歳。独身。職業「編集者」。財布の中の所持金数百円余り。今月もまだ2/3残っているというのに、この数百円で今月の残りを乗り切らねばならないと言うのか。神も仏も無いとはこの事か。見上げた空は薄暗く灰色に染まり、その一部をポロポロポロポロと塩のように零してくる。少し大粒のそれが頬に溶けて雫がスルリと落ちた。コートのフードを被り彼女は道を歩き出す。

 今は昼休みだ。昼休みは食事をするものだが、食事以外のことをしていたところで特に非を問われるものでもない。その上仕事は次の原稿が来ない限りは先にも進まない。暇を持て余して意欲を腐らすくらいであれば、多少刺激的な時間を過ごした方が仕事に対するやる気を評価されようというもの。……というのが彼女の持論だが、例え昼休みでも仕事の合間にパチンコにしけこむような者は大体白い目で見られるのがこの社会。よって同僚達には秘密だ。秘密だが、金が無い以上どうにかしなければならない。頼るべくは彼女には同僚たちしか居ない。その場合、大抵理由を問われることになるが、彼女が金が無い理由は殆ど決まり切っている為、秘密を隠し切れる可能性はほぼ皆無。ああ悲劇。

 レストランの横を通り掛かると、商品ディスプレイの天丼1680円の前に張り付きたくなる。ガラス越しに見える母親と美味しく召し上がってしまっている小さな女の子が羨ましい。
 ホクホクの衣だ。きっとアツアツだ。まずひと際目立つのは大きな、エビ。その他にも、黄色で赤で緑で黒い重箱で甘じょっぱい茶色いタレで、それが真っ白い大量の白米に絡んで。あああ、味噌汁まで……。あれは、豆腐だ。チュルリと喉に溶け落ちそうな四角い柔らか絹豆腐。緑色の小ネギまでぇ……!!(ハァハァ)
 腹が鳴りヨダレまで垂れそうになるのをぐっと押し込む。これを食べる為にも……。尾を引く気持ちを堪えて今は歩き出す。

 昼休みの時間もそろそろ終わりな為、社に戻り始める。時間も無いので昼食は一先ずいつものスーパーでおにぎりでも買っていくしかない。食べながら戻れば良い。金欠とは言え何も食べない訳にはいかない。いざという時にはきっと同僚たちは手を差し伸べてくれる……筈だ。他人に借りを作ることには抵抗はあるが背に腹は代えられない。借りる相手を選べばまだ傷は浅い。その上で間違ってもアイツとかアイツにはバレてはならない。
 ところで昼休みに行くってホワイトボードに書いてくるのを忘れた気がする。その上寝坊して遅刻したし原稿も無いから今日はまだ仕事らしいことは何一つしていない。まぁいいか。誰にどうやってお金を借りるか、今はそちらの方が重要だ。

***

 幽幻堂までの途中のスーパーに寄って60円くらいの格安おにぎりを一つ買って社に戻ると、ドアを開けると同時に内部に向かって口を開いた。

「お疲れ〜諸君! 理子ちゃ〜ん。もしくは宗助居る〜? あのね〜? ちょ〜っとお願いがあるんだけど〜」

 猫撫で声でひと目で下心があると分かる程にニコニコと話しかける。どちらとも既に何度か借りたことがある為、いつもの調子だと分かるだろう。しかし思わぬ先客が居ることに気が付くと、そちらを向いて一言零した。

「おお」

 状況を察して上着を着た姿のままで奥に進むと、唸の傍に立ち、逆手にした手で口を遮って耳打ちするように小声で詳細を尋ねる。

「……で、何なの?」

>>幽幻堂ALL 虎杖浜唸


【こちらも中々ひどい社員を形成出来たと思います。やったぜ。奈布君とは実は同時刻に同じパチ屋に居ました。よろしくお願いします!】

3日前 No.18

ばにらあいす @kodai4370 ★iPhone=IABzHrSWjz

【仰扇 / 外】


案の定、ここへ来たのは永代橋岐という少女だった。到着して早々に一礼、それに返すかのように鳴も深くお辞儀をしている。デカタヌキはというと、目線を彼女へと向けているだけで何もできなかった。たぬきだけにポンコツだ。

その直後に傘を渡されたかと思えば、少し肩を落とした。何か落ち込んでいるのかと疑問に思う暇すら貰えず、今度は近くのコンビニへと入っていった。鳴に渡す傘がないらしく、道具を調達するという目的のために入店したようだ。落ち込んだら元気になったり、かと思えば急に店へと走ったり、華麗に忙しなく動く様は本当に蝶のようだ。鳴の言葉に賛同するかのように「だな」という相槌が口から漏れた。


「支障はないし別に構わないが…」

話しかけて足止めしてしまったことを謝罪する言葉を投げかけてきた。岐へ放った言葉と同じ文句が連なっていたのはちょっとした冗談のつもりだろう。笑いながら冗談と付け加えるぐらいだからな。

にしてもこの傘の蝶々、えらく渋いな。普通の高校生が持ってる折りたたみ傘といえば、基本は無地か、それとも何かしらの模様が入っているとか、まぁ個人の嗜好には依存するがそれでもごく平凡なタイプ。しかしこれは変わっている。果たして手作りなのか、それとも発注先の会社があるのか、どちらにしても綺麗なデザインをしている。戻ってきたらちゃんと返さねぇとな。


「ここで喋っていても別にいいが、そろそろ出版社に戻ったらどうだ? 吉報を知らせる相手がいるだろう、もちろん岐が出てきてからだが」

ぶっちゃけ彼の仕事が成功したかは分からない。朗報か悲報かも全然知らないが、弄る気満々の笑みで話しかけてきた時のテンションから大体どうなったのかを考えて吉報と表した。それに万が一の時、幽玄堂に人が多い方が都合がいいとは思う。出版社としても霊関連でも、俺がいる恩恵は皆無と言っていい。それこそ、ここへ来た2人に比べれば。


≫岐様、鳴様、all様

3日前 No.19

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 虎杖浜唸 / 幽幻堂 】

「なるほどー。この業界のことはぜんぜん詳しくないですけど、物事にはきちんとした理由があるんですねー。あはは、食あたりは困るので、食べるのはもっと胃が強くなってからにしておきますね」

ジョーの珍しいマジレスに、ココアの入ったマグカップを両手で持ったまま、納得の意を伝え、ジョークにはジョークで返す。奈布も何か言いかけていたが、すっかり仕事モードなのか、原稿用紙に向かっている。
マグカップを置き、再びロールケーキを食べながら、「お役に立てて光栄の至りです」と理子と笑いかけた。
もちゃもちゃとロールケーキを食べ終え、ずずず……と岐の淹れてくれたココアを啜っていると、玄関の扉が叩かれた。社員はノックなんてしない。つまり、お客さんということだ。ついでに言うと、チャイムだってついている。――とどのつまり、十中八九幽霊。残りの二か一は守株な人間。
理子がドアを開けると、其処には駅や電車でよく見る姿の、初老の男性が立っていた。よくみるとは言ったものの、普段見る車掌さんはこんなにボロボロではない。やっぱり、幽霊だ。これは百パーセント幽霊である。

「ひぇえ……」

こんな会社に所属しておいてなんだが、唸は幽霊とかお化けとか妖怪とかそういう怪異の類が、大の苦手である。暗いのも怪談も全部無理。初めの頃こそ毎回のようにギャーギャー騒いでいたが、この頃はこうして小さく悲鳴をあげるに留まっている。いや、めっちゃ怖いけど。めっちゃ怖いけど、逃げることなく、目を逸らす程度でおさめることができるようになった。涙も零れないようにはなったし。ちょっと出てくるけど。

「あ、おかえりなさい、和花さん……。さ、さあ……あのお客さん、たった今きたところなので、オレにもわからないです……。電車がどうとかなんじゃないですか……? ……あ、ちなみにオレのコレは今日のおやつナンバー3の苺大福です。コンビニで今いちご祭りやってるんですよ〜……」

苺大福に手を伸ばしたところで、帰ってきた和花が自分のところへやってきて状況を問うも、唸にもわからないとの旨を、やや涙目で素直に告げる。袋を開き、一口食べてから、金欠編集者におやつアピールをする。あげるつもりはさらさらないし、なんなら貸す金もないけれど。

>>幽幻堂all

3日前 No.20

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 永代橋岐 / コンビニエンスストア→外 】

 結局、カイロはどこに置いてあるか分からなかったので最終的には店員さんに場所を聞いて無事に買うことができた。灯台元暮らし、レジ前に置いてあったのを見逃す痛恨のミス。けどこれでもう覚えたから、次回からはちゃんと店員さんの手を煩わせることなくカイロを購入できる。
 もちろん傘も栄養ドリンクも手に入れた。意気揚々と達成感に包まれながらコンビニを出、寒い中で目上のお二人を待たせてはならないと優美を損なわぬ程度の駆け足で走る。自分は暖房がばっちり効いたぬくぬくのコンビニエンスストアに居たから良いものの、向こうの二人は雪が降りしきる中で雑談に興じているのだ。急がねばさすがに申し訳ない。いや、コンビニでの買い物に使用した時間はたかだか二分なのでそこまでお待たせはしていないけれど。しかし念には念を入れるべきだ。

「お待たせいたしました、鳴様。こちらコンビニエンスストアにて購入いたしましたビニール傘に御座います。ご一緒に懐炉もどうぞ。扇様の分の懐炉も用意しておりまする。嗚呼、それとこちらの栄養ドリンクを。鳴様はしっかりと睡眠をとっておいでですが、僭越ながら扇様はそう見えなんだもので……。お仕事で忙しいことと存じますが、どうかご自愛くださいまし。不詳てふてふめからせめてもの貢物に御座いまする」

 戻って来るや否やぺこぺこと頭を下げながら鳴にビニール傘とカイロを差し出し、扇にはカイロと栄養ドリンクを差し出す。ビタミンやタウリンが配合された疲労回復に効果的な栄養ドリンクだ。もっと言うとリポビタンDだ。一緒に並べてあったチオビタドリンクとちょっと迷ったけれど、なんとなく値段が高いほうが効きそうな気がしてこっちを選んだ。岐は栄養ドリンク界隈の大御所じゃないので判断するとなると値段や知名度で選んでしまう。決め手は「CMで見た」だ。

「御二方の博識な会話にてふてふめが水を差しては興醒めというもの。御用を果たしたからにはすぐに退散いたしますので、どうぞお二方もお風邪など召されぬ内に幽幻堂までいらせられませ」

 大人と大人の会話に高校生の小娘がいては邪魔になろう。手渡すものだけ手渡せば、岐は最後に深々と腰を折ってその場からヒラヒラと羽ばたき退散した。なお羽ばたくような足取りというだけで物理的に飛翔はしていない。父親から蝶々っぽさを求められすぎた結果仕草がそれらしくなっただけで、身体の構造と致しましては普通に人間なので当然の話である。さすがに努力や習慣で羽根は生やせない。自分の霊能力が進化すればワンチャンあるかもしれないが。

>仰扇様&八月一日鳴様&ALL様

【渡すものだけ渡してさっさと帰るパシリの鑑(自画自賛)。次のレスで職場へ戻ります。急に来て急に帰る中途半端な絡みですみません!!】

3日前 No.21

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

【稲荷理子/幽幻堂】

「私の姿が見えて、ほっとしているよ。こちらで、幽霊の依頼を聞いてくれるとの事だが……」

「ええ、ご相談から解決まで、当社で承っておりますよ」

車掌の霊を応接間とは名ばかりの、ついたてで区切られたエリアに案内する。案内している最中に和花が帰ってきたようだ。
あの猫なで声と、満面の笑みは以前も見たことがある。

「和花さん、そのお話は後程で」

依頼者の手前、理子も猫撫で声の満面の笑みで返事を返す。その背後には威圧感という名のオーラを纏わせて。
理子は、こっそりとため息をつき、頭を抱える。団長を筆頭に、なぜ我が社の大人達はこんなにだらしないのかと。

応接間に通し、車掌を椅子を進めると、理子はお茶の準備に取り掛かる。岐が居ない以上自分が準備するしかなく、覚束ない手つきで、急須にお湯を注ぐ。注ぎながらも、横目で車掌の事を注視する。

あれは、どう見ても車掌の服装である。しかも、現代の物とは思えないデザインだ。とすれば、明治か大正時代、もしくは昭和の初期ぐらいに没した人物であろう。そうすれば、霊でいた時間は100年ぐらいになるだろうか。
車掌の格好をしている点を考えると、事故がらみの依頼であろう。事故で亡くなる場合は、無念の思いが強く、地縛霊になりやすい傾向がある。詳しい話は聞いてみないと分からず、推測の域を出ないが……
理子は、お茶を入れると、お盆にお茶を乗せ依頼者の元に運ぶ。幽霊にとって、お茶を飲むという行為は意味の無い行動かもしれない。しかし、幽幻堂に来てくれた以上もてなすのは当然の事だ。

「死んでから、こんな人間的な扱いを受けたのは始めてだよ。この体になってから寒さという物は感じないが、やはり、この雪を見ると心が冷える。ありがたくいただくとするよ」

そう言い帽子を外し、お辞儀をする車掌。どうやら、礼儀正しい人らしい。一応悪霊の類の可能性を頭の隅に置いてはいるが、どうやら心配はなさそうだ。

「ええ、この雪の中来られたならなおさらでしょう」

笑顔で相槌を打ち窓の外を眺める。

その時、理子に悪寒が走った。ゴーストハンターの直感と言うべきか。
窓の外を更に注視すると、薄暗い上空に赤い星々が写る。それは、天体観測でよく見るような小さい輝き。
だが、その内の二つが、徐々に大きさを増して行きこちらに急加速で接近してくる。
それが、巨大な鷹であり、赤い星々は不気味な光を帯びる双方の眼であることを確認できる距離になった時、理子は車掌に向かって飛びこみ、突き飛ばした。不意を突かれた車掌は受け身を取る事も出来ず、応接用の簡易テーブルを薙ぎ地面を転がっていく。

ガチャーン!!

突き飛ばしたのと、ガラスを破り鷹が急襲してきたのは、ほぼ同時だった。
その鋭い嘴は、理子の左腕を掠め、応接用の奮発した椅子を木っ端みじんに粉砕する。理子の服の左袖に一筋の線が入りそこから血が溢れ、赤く染め上げていく。腕を伝った血液はポタリポタリと、地面に水滴となって滴るのだった。

車掌と鷹の間に庇うような位置取りを理子は取る。
急襲してきた鷹。その姿は醜悪としか形容できない程だった。
その鷹は1メートルはあるだろうか。双方の眼は不気味な光を湛え車掌の方を睨み付けている。
体は一部腐り落ち、不愉快な腐臭を漂わせている。そして、所々骨がむき出しになっているのだ。それでも、ご丁寧に尖った嘴と鋭い爪は健在である。その大鷹が2匹、3匹と室内に入り込み、大きな音で羽ばたいている。

何が起きたかも分からず、身を起こした車掌は、自分を庇ったであろう少女を見る。そして、何かを言いかけたのを、理子が言葉を被せて遮った。

「よくあるんです、こういう事。ですが、ご安心下さい。当社には優秀なスタッフが揃っておりますので、きっとお客様の意に添えると思いますよ」

腕は痛む。しかし、安心させるために笑顔で車掌に話しかけるのだった。

>>和花、周辺ALL

【ちょっと強引ですがイベント始めます!!そして、このままだと理子は何も出来ないのでヘルプミーですw】

3日前 No.22

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

【ジョー/幽玄堂】

「さてと、偶には社長らしい事もでもやろうかね」

ジョーは気まぐれに、スマホを取り出すと電話をかける。相手は鳴である。
今日は新規オープンの書店に売り込みに行っているはずだ。新規オープンの店は、結構大手である本屋の為、置いてもらえれば我々の生活も潤うはずだ。鳴の、あの性格は営業には向いていとは思っている。しかし、あの独特の表現というか、言葉回しというか……。とても、心配である。

ジョーは鳴の番号を出し、電話をかける。スマホを耳に当て、何回かコールした後、明るい声が返って来た。

「おーい、鳴。戦果はどうだった?」

開口一番、気怠そうな声でジョーは鳴に尋ねるのだった。
そんな時、会社の扉が開き車掌の服を着た幽霊が入って来る。理子が対応しているが、自分も社長として出なくてはならない。

「今、幽霊の方の客が来たみたいだ。対応しなきゃならないから、一度切る……」

切るぞと言いかけた所で、けたたましい音を上げガラスが割れ耳をつんざく。電話の向こうにも、その音は聞こえているだろう。
そこからのジョーの動きは速かった、空いている手で腰のホルスターに装着している銃を、まるで西部の早撃ちガンマンのように抜くと3連射。それぞれが、両の翼と眉間に命中し、一匹が墜落する。

「敵襲だ!!近くにいるならすぐに戻ってこい!!」

怒鳴る様に、それだけ言うと、電話を切る。外を見ると大鷹にすっかり囲まれているようだ。不幸中の幸いか室内には数匹づつしか入って来れないようだ。
自分に向かってきた鷹を躱し床に転がりながら、白衣の内側にある一本の弾を込める。それを、明後日の方向に撃ちだした。
その銃弾はガラスを突き破り、空に向かうと花火の様に空中で赤く四散する。霊力を持つ人間にしか見えない、アクシデントありの信号弾である。

「依頼人の安全が、最優先だ!!うちの会社に殴り込みに来たことを後悔させてやれ!!」

そして、皆に支持を出し、自分も銃で応戦するのだった。

>>鳴、周辺ALL

【確定ロル気味になってすみません……>>鳴様。アクシデントありの信号弾を撃ったので、外の皆さまも、戻って来て下さいませ〜】

3日前 No.23

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 永代橋岐 / 外→幽玄堂前 】

 ガラスの割れる硬質なクラッシュ音はよく響く。それが、雪がしんしんと降り積もる静寂の道のりの最中であったなら尚更。
 草食動物が遠方の肉食獣の遠吠えを決して聞き逃さぬように、岐もその音を敏感に聞き取った。同時に、外敵を威嚇するハリネズミの如く彼女の四肢からぶわりと半透明の蝶々が咲き誇る。蝶に咲き誇るとは些か奇妙な表現だが、数十匹もの蝶々が突如として身体から現れ出る様はそう形容するしかなかった。

 穢れた気配。禍の音色。――身内の危機。
 じっとしてはいられない。逸る宿主に影響を受け、蝶たちもまた大きく羽根を広げる。羽上に走る静電気じみて刺激的な緊張感。それを振り払うかのように一斉に羽ばたき、無数の蝶々たちは我先にと幽玄堂を目指した。

 蝶々たちであれば岐よりも先行させられる。これだけ邪悪な空気が離れていても微かに感じ取れるのだ、職場が悪霊に襲われているのはまず間違いあるまい。ならば浄化の力を持つ岐の蝶々たちは多少なりとも役に立てる。
 岐本人も後ずさりしてはいられない。前に進もう。走って駆けて素早く帰り、少しでも現場でお役に立たねば。若輩者で弱者で新入りの自分にとって現場での経験は値千金。今後の成長のためにも積極的に関わっていくべきだ。

 前にも後ろにも燐光を発する美なる蝶々を付き従え、それらの上に君臨する女王蜂ならぬ女王蝶の風格を以てして岐は路面をひた走る。
 走っていても軽やかさと麗しさを損なうな、いつでも蝶々のように美しい君で在ってくれ。そんな愛情と呼ぶには歪みすぎて命令と呼ぶには必死すぎる父の願いは、こんな時でさえ岐に見栄えの良さを優先させた。結果、お決まりのことだが全力疾走はできない。それでも父に強制された美意識の許す範囲での全力を出している。限定全力疾走だ。

「――つきました! ご無事ですか、皆々様!」

 幽玄堂を目視できる範囲に辿り着けば、既に先行させた蝶々たちの何匹かは敵に取り込まれた後だった。大量にいる中の複数匹の鷹だけ雰囲気の禍々しさが和らいでいることからそれが判断できる。だが足りない。敵と思しき鷹の数が多すぎる。
 幽霊はあの鷹だけでなく、割れた窓の隙間から見えるかぎり人型のも一体いるが……あれは敵ではない。こちらを害そうという勇んだ殺意がミジンコほども感じ取れないから。となると、自分が席を外している間に此処を訪れた依頼人の線が濃厚だ。すなわち彼も守護対象。
 しかしたくさんの鷹が建物を取り囲んでいる現状、これらをどうにかせぬ限り自分が中に入るのは難しい。となると、依頼人を守るのは内側にいる面子に任せるしかない。岐の仕事は外を取り囲む鷹たちを少しでも落ち着かせて攻撃的ではなくすこと。

「我が霊力の続く限り。現われ出でて遊び戯れ給ふ。さあさ蝶々らよ。いざいざ現世の空へ羽ばたかん――」

 花嫁衣装のように無数の蝶々を纏い、舞に似た一挙一動と共にそれらを翻し、羽ばたかせる。
 空へ飛び立った蝶々らは哀れにも鷹に一瞬で啄まれ……けれど、啄んだ鷹たちは悪しきを清められることで次第に動きが大人しくなってゆく。
 鷹と蝶の物量勝負。これが成立するのは岐の霊力が続く時間のみ。この調子で蝶々を出し続ければ、鷹が綺麗な鷹になるよりも先に岐の霊力が底を尽くだろう。
 だが岐に心配する気持ちは湧いてこない。中には頼れる味方がたくさんいて、外にもまだ帰って来ていない自分以外の味方が最低でも二人いるのだ。彼ら彼女らを信用するからこそ、その目に死への恐怖は灯らなかった。

>ALL様

3日前 No.24

@kw1 ★VT8P8ydYB2_Xy1

【 八月一日 鳴 / 外 → 幽幻堂 】

「うん? 嗚呼、よく吉報だと分かったねえ。適当に言ったのかもわからないけど、んはは。そうだね、戻ろうかな〜」

彼の言葉にケタケタと笑いながらそう言えば、先程コンビニへ向かった時と全く同じ足取りで岐が帰って来た。心なしか先程より顔が明るく見えるのは意中のものを入手できた故の達成感だろうか。律儀に何度も頭を下げながら、コンビニで買って来てくれたのだろう簡素なビニール傘に加え、ホッカイロも渡してくれる。相変わらず気配りのできる子だ。齢十七にしてこの立ち振る舞い、言葉遣い、そしてこの心配りはなかなか常人には難しい。幽幻堂という曲者揃いの会社でもしっかりと仕事を全うする姿は、いくら鳴でもさすがに感心せざるを得なかった。用が済むや否や彼女は颯爽と幽幻堂へ戻って行ってしまう。「有難うね〜」と述べながらヒラヒラと手を振った。

「さてと。傘もカイロも貰ったし、ボクもそろそろ幽幻堂に戻ろうかな。それじゃ――ん? 社長から電話だ」

仰扇に別れを告げ、踵を返そうとしたところ、ふと鳴の懐から何ともファンシーで奇っ怪な電子音が流れる。彼の携帯電話が着信を示していた。液晶画面からは「社長」の二文字が表示され、慣れた手つきで操作をすれば「なーにー?」と陽気に返事をする。戦果――なんて格好付けたことを言うが今回の営業の結果のことであろう――を問われれば「そうそう!そのことなんだけどさあ――」と続けるも、先方から来訪人?来訪霊?が来たようで一瞬焦ったような声色になる。嗚呼そう...、と報告は後ででいいかと思った矢先、音割れをするほどの音が通話口から聞こえた。音の高さ、鋭さからしてガラスが何かが割れた音だろうかと察する。続いて三度の銃声、そして何者かによる断末魔と、社長の怒声。――敵襲だ。「ッ、すぐ向かいます!」と相手にはもう聞こえていないだろうがそう声を張り上げ、急いで携帯を懐にしまった。胸ポケットにメモ帳とペンが入っているのを確認しては仰扇の方を見て、「幽幻堂に敵襲、社長が応戦してる!」と切羽詰まったような声色で早口で伝える。仕事の前乗りと言っていたが非常事態、選択は仰扇に任せるしかない。

「取り敢えずボクは先に行くから! デカタヌキのそれは後回しの方がいいんじゃない? 先方に断り入れて幽幻堂戻りな!」

そう捲し立てると踵を返し、岐から貰ったビニール傘を使う余裕も無く走って幽幻堂へと向かった。

**

「虫螻ちゃん!」

幽幻堂の近くに着くなり見慣れた蝶々と、先程の音の主であろう物体が入り混じって交戦をしていた。――音の主は、この大鷹にも似た醜悪な何か――怨念にも似た霊力を放つ奴等が実在するモノだとは到底思えないが、この鋭利なクチバシと鉤爪は間違いなく鳥類であったことを裏付けた。岐の出した蝶に群がる大鷹のようなモノが、蝶に応戦するモノほど禍々しい霊力が薄まっていくのを感じると同時に奴等の動きが鈍くなっていくのに気付く。彼女の蝶が、奴等の霊気を吸い取っているのだと悟った。胸元のポケットから先程所持を確認したメモ帳とペンを取り出し、適当に開いたページに「疾風迅雷」と書き殴るとそのページを破り取り、懐から小さな折り畳み式ナイフを取り出し、自らの右手首のリストバンドをずらしては思い切り切りつけた。途端に滴り落ちる血を破ったページに吸い込ませると、みるみるうちに文字から雷雲が浮かび上がる。やがて外にいる大鷹のようなモノのうち4〜5割程を覆う雷雲が浮かべば、

「虫螻ちゃん、伏せて! ――疾風...迅雷!!!」

岐の前に背を向け、雷雲から逃すように仕向ければ先程ノートに書き殴った文字を叫ぶ。それと同時に浮かび上がった雷雲からいくつもの稲妻が大鷹のようなモノに向かって落ちた。奇妙な断末魔を上げて奴等は地に落ちた。相変わらず血の滴る腕を岐に見せないように体の前に隠せば、「おかげで獲物が狙いやすいよ、ありがとうね」と岐に優しく声を掛けてやる。まだ数のある大鷹のようなモノを見上げて憎たらしいものを見るように睨み上げた。

>岐、仰扇、周辺ALL

【仰扇さん置いてっちゃった...笑】

3日前 No.25

霧灯 @sunsuncat ★o08FOtq5xo_Tbw

【志麻 和花 / 幽幻堂】

 理子から背後に蓮華を散らした菩薩のような微笑みでもって最上の客前対応が帰ってくると、和花もまたこれがこの会社の社内雰囲気だと伝わるようなとても穏やかで和やかな美しい微笑を浮かべ返す。
 バツの悪さを感じつつ、そのまま無言で奥へ。金の無心は後回しに現状把握の為に唸へ尋ねる。

「……そう」

 それに対して分からないと答える唸に和花は事も無げに返答する。応接間に案内されて行ったのを見るに話はこれからだったのだろう。和花は丁度良いタイミングで帰って来たらしい。
 それは兎も角、いちご祭り。
 視界に入ったその赤色の物体に視線を落とすと、なるほど確かに。甘い甘いあんことフルーティな酸味の香り満載のいちごの大福だ。唸が涙目な理由には今更のことであろうから特に気に留めるつもりはないが、この状況、それほどの美味を味わっていると錯覚しなくもない。
 無言でいちご大福にゆっくり手を伸ばし。スッ。
 しかしそのいちご大福が同じくゆっくり遠くへ遠ざけられ。スッ。

「…………」

 無機質な目で一時視線を合わせた後、車掌の霊へ向き直り話を戻すように呟く。

「依頼かぁ」

 因みに食べかけだって構わない。

 社内にはそれほど人が居ない。ジョー、理子、唸の他には、あとは外出から戻って来ていた奈布くらい。経理の宗助やそれ以外のメンツの姿は見えない。
 奈布の席には相変わらずフィギュアの類が並んでおり、そんな中で彼はいつも通り仕事中のようだ。テキストはきちんとデータで貰わねばならないからまだ時間は掛かるだろうが、彼の仕事が終われば和花も自分の仕事が進むことになる。しかしこのまま何もしなくていい時間が続けばいいのに。1月10日。正月ボケである、とも言い切れないのが彼女。

 さて。居るにも関わらず自ら対応をしないジョーを他所に、相変わらず対応を任せきりにされている理子が車掌の霊にお茶を入れに行ったのを見て、和花は自分も何か飲みたいなと考える。おにぎりを食べながら帰って来たので歯にはベットリ海苔が付いてもおかしくない。客前でそんなはしたない姿を見せる訳にもいかない。……などと考えている訳も無い。おにぎり一つで食事が足りる訳が無いので残りは水分で乗り切るのだ。

「あ〜ったかカ〜ップにお〜茶〜々〜」

 ドポドポドポ。茶筒から緑茶の粉末を黄色のMYマグカップに入れてポットの湯を注ぐ。お湯はもう無くなった。無いが足さない。すぐに戻って依頼人の話に耳を傾けなければならない。あとで誰かやるだろう。
 ズズズと飲みながら戻ると、車掌の霊が厚意に感謝を述べていた。よくある反応だなと思いながらもう一口。
 理子が窓の外を見るのに釣られて自分も見て、雪降ってんだもんね〜寒いわなどと思うと、理子が止まった。どうしたの?と思って見ていれば。

 直後、赤い光とガラスの割れる音、そして吹っ飛んだテーブルなど。身を覆って破片を防ぐ。

 見ればそれは「鷹」。但し屍のようだ。腐臭が漂い一瞬で気分が悪くなる。入って来たのは3匹のようだが、窓の外を見れば更に群がってきている。こんなものを引き寄せた元凶が何かというのは見て明らかだ。

「全く」

 残りのお茶をもう一口含んで適当な場所にカップを置くと、和花は中の鷹を無視して真っ先に窓へ向かった。外に飛び出ると、中へ入って来ようとする更なる鷹に対して円を描くような宙返り蹴りを見舞って打ち落とし、一回転してから"タン"と着地すると、同時に抜け落ちた鷹の羽根も静かに地面へ落ちた。

「あんた達社内なんだから静かに処理しなさいよっ? あと、あたしの机だけは兎にも角にも万が一にも死守すること! カップもね!」

 後ろ振り返って人差し指を立ててそう伝え、急降下してきたもう一匹も蹴り落とす。
 見れば岐たちも駆けつけてきていた。自分は窓の外で身構えて鷹の侵入に備える。

>>幽幻堂ALL 稲荷理子 虎杖浜唸


【面白かったので、ちょっとだけ確定描写ですみませんw >>紫様】

2日前 No.26

奈布 @ganma24 ★Android=vN4FlsE806

【寧々庭奈布/幽幻堂】

 先程の霊の後に入ってきた和花の姿を見て暫くボーッとしていたが、仕事が頭に浮かぶと「あ、」と言う言葉を口に出し机に向かった。
 暫く集中する為に倒れたソフビを並べていたが集中が高まりペンを握った。
 その刹那、赤い光、けたたましい音と共にガラスが割れる音が車内に響き渡った。その音に驚いた奈布は鷹の方に体を曲げると同時に手が並べたソフビに当たり再び倒れだした。

「社内ねぇ……爆弾は使えねぇし。トラバサミは鷹には効かねぇだろぉ、」

 慌てふためく奈布の元にジョーが放った『依頼人の安全が、最優先だ!!』と言う言葉が耳に届くと共に彼の指針が定まった。姿を隠すように中腰に成りながらデスクとデスクの間を駆け抜け、依頼人の元に駆け寄る。依頼人を抱えようと触れようとするが、彼の手は体を掠めるばかりで掴むことが出来なかった。奈布は霊を視認することしか出来ないのである。
 困りに困った奈布は手袋に父に加工してもらった塩を振り掛け、それを付けた。

「叔父ちゃん、ちょっとばかし痛てぇぞ」

 奈布は車掌を引っぱり角に寄せると壁と壁に杭を打ち付けワイヤーを引く。絶対にそのワイヤーに触るなと言う意味を持つ事を告げた。
 すぐに理子の元に転がり込んだ。周囲で鷹と戦闘している中、奈布は理子の傷跡に消毒液を塗り、ガーゼを当て包帯を巻いた。
 再びバレないようにコソコソと手の上に足を置く、所謂『深草兎歩』の構えで歩き鳴の元へ歩んでいく。

「鳴ちゃん、鳴ちゃん、戦闘中ごめんね。たしか治癒能力あったよね。理子ちゃんの方……できる?」

 見た目も言葉も腰を低くそう言い、手を合わせ会釈をした。

>理子様、鳴様、幽幻堂all様

【爆弾は使えないので、治療と車掌の避難の方をさせていただきました。】

2日前 No.27

@kw1 ★iPhone=WeLdY42O45

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2日前 No.28

緑酢 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_lXe

【旅籠宗助/路地裏→幽幻堂前】

「ふむ、折角の雪なのだから上手く錬金術を施して戦闘用に使える武器や普段使いに役立つ道具を製作するべく化学反応を起こしていたのだが、残念ながらこれ以上は不可能の様だ」

そう人間一人分しか通らなそうなかなり狭い路地裏でビニール傘を刺したロングコートの男性が一人、落書きだらけの壁に平気で寄りかかって何やら独り言を無表情で呟いていた。

「だが丁度良かった。長らくこの寒さで風邪を引きかけ、さらに私の魔力も少し消費して疲れていたのだから」

しかしそんな不審者にしか見えない彼だが、実はその正体は神の所業かと思う程の錬金術を扱える事から通称、神通の錬金術師と呼ばれている幽幻堂出版社経理、そして幽霊退治を副業として活躍している元詐欺師、旅籠宗助であった。
ちなみに神通の錬金術師と言う異名は当時、詐欺を行っていた時に使っており適当に名付けていた異名。勿論、名付けの理由も全て詐欺師時代の嘘である。

そんな現在はちゃんと錬金術の使い手であるはずの彼であったが現在、ある理由でその錬金術を扱えないでいた。何故なら、この状況を午前中の授業があったのだろうか、近所に在る高校の生徒達に見られてしまった為。特にいくら幽霊退治がある程度人々に知れ渡っているとはいえ、掌で雪の化学反応をひたすら無表情で起こしている大人を見れば事情を知らない限り、誰でも怯えてしまうであろう。

「だが錬金術を使用する事で雪の移動と言う観点では非常に利便性が効いている。これなある程度の雪かきを行わなくても楽に周囲が片付くだろう。するとどうだ。私の同僚や社員、社長達が楽に出勤や退勤が出来る。まあ、私の魔力が尽きればそれで終わりなのだが」

ちなみにやけに旅籠が異様とも言える程、独り言の数が多いのはちゃんと常に高潔である自分を演じられる様にする為の練習。それはいくら自らを高潔に仕立て上げても飽く迄も彼の性格は詐欺師時代から変わらない私欲に塗れた薄汚いクズに過ぎないと彼自身が考えている為。

「さて、錬金術実験に夢中になり過ぎて本業である幽幻堂の仕事を疎かにしてしまったな。一応、雑誌における売上のチェックでも行っておこう。後はそれによる利益や損失を簡単に計算すれば……」

そう言いながら旅籠は見た目の厳格そうな雰囲気に反し、若干いい加減な勤務態度でその場をゆっくり徒歩で後にして職場である霊幻堂へと身体を向ける――





――しかしもうすぐ職場へ辿り着くと言う距離まで歩いた所で、その職場である霊幻堂が幽霊らしき大鷹に襲われている事に気付く。

「ほう、今回の依頼者は随分と威勢が良いな。だが彼等は上手く切り抜けながら対応しているのだろうか。なるべくどの様な生命体であろうが最期の瞬間は私も立ち会いたいものだが、今、考えるべき事は同僚や上司、そして社長の安否だ」

そう言って意外にも社員について心配する旅籠はとりあえず、霊幻堂の割れてしまった窓ガラスの前まで向かって行く。

「成程。これは一体、どうやって損害賠償の請求書を書いておけば良いのかな? 全く、余計な出費はこの企業の首を絞めるだけだと言うのに。とにかく亡霊が窓ガラスを割ってしまった場合において窓ガラスの保険が適用されるかどうか確認しないと」

そう言って亡霊であろう大鷹に嫌味を言い放ちながら、事前に身体の中で霊力化しておいていた短刀を完全に掌で再現させ、所持する事にした。

「遅れてすまない。錬金術における実験を行っていた為、事務の仕事を遅刻してしまった。まあ、どうやらそれどころでは無いらしいがな。とりあえず、霊力が尽きそうな社員は私が回復させておこう。しかし残念だが怪我等と言った霊力とは関係ないのは回復させる事は不可能だ、すまない。せめて怪我をさせた者に対して私が一発、軽くだが文句でも言っておこう」

>>周辺ALL様

【何とも遅れてしまいましたが、これから宜しくお願い致します!】

2日前 No.29

ばにらあいす @kodai4370 ★iPhone=IABzHrSWjz

【仰扇 / 外→幽玄堂】


「あぁ、すまない」

岐から渡されたカイロをポケットへ、ドリンクを傘とは逆の手に持って礼を言った。正直カイロはともかく栄養ドリンクまでもらえるとは思っていなかった、年下にまで気を使われるぐらいには弱っているのが丸わかりのようだ。もう少し健康に振る舞う努力はしておいた方がいいかもしれない。

帰っていく彼女を見て、鳴の方も幽幻堂へと戻ると言い、あちらへと向かう素振りを見せた。その直後のタイミングで彼に電話がかかって来た、相手は大体分かる。呑気そうに話していて仕事終わりは羨ましいと一瞬妬んだが、そこから彼の様子は一変した。何やら会社が襲われているらしく、社長も応戦しているとのこと。さっきまでの陽気さはどこへやら、こちらが返事する暇も岐からもらったビニール傘を使う暇もなく、幽幻堂の方へと戻っていった。


「何の理由もなく襲われるわけがあるまい、大方幽霊化した依頼人絡みなのは分かる、俺にはどうでもいいことだが…」

まるで興味のなさそうな口ぶりで誰もいない虚空へ言い放つ。金にならない仕事は絶対にしない、その主義は今も昔も変わらない。こちらも現場へ向かおうと足を動かそうとした瞬間、携帯を入れていたポケットが震えた。誰かからの電話だ。相手は、丁度これから向かう場所に住まう人間、急にどうしたんだ。

「あぁ、俺だ…」

電話越しに語られた相手の言葉に、返す言葉はなかった。「あぁ、そうか」と最後に相槌を打っただけで電話も向こうから切られた。内容は至極簡単、除霊が完了したからもう大丈夫、だと。俺以外にも依頼していたのは、それはまぁ確実性を求めるなら当然のこと。だが俺が夜型なのが災いし、同業の人間が既に仕事を終えていた。最後にかかってきたのはせめてもの情けと言わんばかりの謝罪電話。向こうに着いて知るよりかはまだマシなのかもしれない。にしてもこんなあっさりと仕事が取られるなんて、お笑い沙汰だ、全く。



「ア”ア”ア”ア”ア”ァァァーッ!」

大きな唸り声をあげ、発狂しながら幽幻堂へと一目散に駆け抜けた。会社前にたむろする腐敗した鷹軍団とこの面を着けた男、どちらが敵なのかと今問われたら自分でも疑問に思ってしまいそうな勢いだ。だがそこには哀しみも笑いもない、あるのは純粋な怒りと仕事を奪った相手への激しい殺意、その衝動が具現化したかのように、ドリンクをポーチへと収納し空となった方の掌に小さな正方形が産まれた。といっても本当に具現化されたのではなく、彼が生業とする結界術の一つ。

幽幻堂は窓ガラスが割れているのが確認できる他に、社員達が外での対応に追われている。恐らくは社内も同じ状況になっている。他の社員がいないのはそのためだろう。自己最高記録の速さが出たおかげですぐに襲われている本社は見えた。そこまできても止まらない、まだ豆粒ほどしかない結界を上空の鷹めがけてぶん投げた。蝶の影響が出ておらず、まだまだ凶暴な輩の方へと狙い通りに飛んでいく。やはり腐っても鷹だ、その小さなカケラに反応し5匹ほどが集まる、鳥類の目は反則級の性能だが、その凶暴性と鳥の目がこの結界に対してはアダとなる。集まった5匹の鷹を覆うように結界が展開、瞬きほどの時間で大きくなった結界に反応できず、見事に閉じ込められた。本来ならここから色々派生させるが、今回はこのまま消す。

伸ばした手を強く握ると、今度は結界があっという間に収縮する。鷹も逃げようと羽をばたつかせたが、健闘むなしく結界に押し込まれて行き、やがて結界と共に点のような小ささとなって消滅した。しかしそれでも全体から見れば雀の涙ほど、まだまだ鷹は沢山いる。

「こっちも増援到着だ、約1名な」


≫all様

2日前 No.30

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 永代橋岐 / 幽玄堂前→幽玄堂 】

 一人お外であくせく鷹を浄化している内に、所長から連絡を受けた鳴が猛ダッシュで帰って来た。さすが成人男性なだけあって岐なんかの全力疾走よりよっぽど早い。自らの能力を駆使して颯爽と鷹を駆逐していく姿も堂に入っている。岐にはああいった芸当ができない。あくまで浄化だけが能なのだ。しかし半人前だからこそ、一人前の相手を羨み立ち止まっている暇などない。まして嫉妬する余裕など。そんなものにわき目を振らず、新人はただただ努力と邁進あるのみ。劣等感と向上心は別物だ。実力の及ばざる者こそ、下手な感情に足を引っ張られず色々なことを精力的に頑張らねばならない。
 伏せてと言われた通りに伏せ、ついでに蝶々たちも巻き込まれぬようちょいちょい手招きして自分の周囲に低空飛行させる。鷹は空高く飛んでいたせいで雷が直撃して何羽も黒焦げになつていた。さすがの攻撃力。あんなのが蝶々たちに直撃していれば跡形も残らず消滅していただろう。なにせ人間相手だろうと幽霊相手だろうと触れた瞬間に取り込まれる防御力ゼロの蝶々たちだ。耐久性でいうとそこいらの野鼠のほうが上回っている。

「身に余るお言葉、かたじけのうございます。ひとえに鳴様のお力で御座いましょう」

 鳴から投げられた感謝の言葉に、こちらも感謝の意を示しつつ相手の力量を慎ましやかに賞賛する。実際、あれだけの威力の雷が落とせるなら岐の浄化が無くともほとんどの鷹を仕留められたに違いあるまい。が、多少であれど岐の力が目上の人物のお役に立てたのも事実は事実。それは素直に有り難く頂戴しよう。
 伏せていた岐や低空飛行していた蝶々たちが元の体勢に戻ると同時、どこかで何かをしていたらしい旅籠宗助が独り言を呟きながら空飛ぶ鷹をスルーして平然と幽玄堂に入っていくのが視界に入った。彼はいつもあんな感じなので今さらそのことに関して戸惑ったりはしない。鳴が人を悪口に近いあだ名で呼ぶのと同じく、ああいう点は彼のもはや変えられぬ性質なのだから。言ってしまえば岐の蝶々ムーヴもそんな感じだ。

 怪我人の手当てはもうそれに相応しい人物が担当している。ならばそれは人様のお仕事、己の務めではない。できることが浄化しかないなら、できる浄化をひたすらに頑張る。それが今の岐の義務。
 鷹たちが凄まじい勢いで駆けて来た扇に気を取られた一瞬の隙を突き、割れた窓から蝶々らと共に身を滑り込ませ幽玄堂の中へと入る。小さな硝子の破片にまみれて着物の袖がキラキラと輝いて見えるのが、宝石みたいで綺麗だななんてこんな状況なのに呑気に思ってしまった。しかしこの感想を父に漏らせば「じゃあ今後は君のために仕立てる蝶々の振袖の表面にスワロフスキーをまぶそう!」と言ってスキップでも踏みながら呉服屋へ赴いてくれるだろうから、これ以上人目を惹く派手な格好をする破目にならぬよう沈黙を金と口を噤む。自分の発言がどこから父の耳に入るか分からない。

「遅ればせながら。多少なりともお力添えになれれば嬉しゅう御座います」

 建物内に転がり込むと同時、ぶわりと蝶々を袖口から立ち昇らせてオーロラのように波状で揺らめかす。半透明だから向こうの景色は見えるし、これだけ広範囲に蝶々を飛ばせばどんな鷹だって窓から入り込んでくる時に蝶々に触れざるを得ない。それ即ち浄化の影響に晒されるということで。
 霊力の消費が多くなってしまうのが難点だが、これで鷹たちの攻撃性を軒並み少しずつ減少させられるはず。仮に自分がヘバってしまっても、ここには実力派の先輩がたくさんいるのだ。多少無茶したってどん詰まりにゃあならぬ。

>八月一日鳴様&ALL様

2日前 No.31

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 虎杖浜唸 / 幽幻堂 】

車掌さんが応接間の方へ行くのを確認して、苺大福を食べ進める。うん、やっぱりおいしい。和花の手が伸びてくるのを視界に捉え、静かに遠ざける。あげませんからね、オレが責任もって最後まで食べきります。そんな緩い攻防を終え、モグモグと咀嚼していると――

「きゃあっ!?」

窓が派手な音を鳴らして割れた。危うく大福を喉につまらせるところだった。正月の老人みたいな死に方をするところだった。
硝子を割ったのは鷹。(ガラスとかけて烏が来たらちょっとだけ面白かったのに!)歩く死体――否、飛ぶ死体? フライングデッド? とにかく、あちこち破損し腐っている死体みたいな鷹が襲ってきた。おばけ全般苦手な唸は当然ゾンビも無理である。涙の量が増した。
ややパニックになっていると、社長から指示が出る。依頼人の安全が最優先、鷹に後悔させる。それを踏まえて、自分のすべきことを把握するべく、まずは周りを見渡す。
岐ちゃんはいつも通り蝶で浄化。鳴さんは攻撃。和花さんは侵入阻止。奈布さんは車掌さん援護。あっ……鳴さんが回復に行った。宗助さんが帰ってきた。仰扇さんも来たみたい。……まあ、

「アタッカーのオレは、殴るしかないんですけどねっ!」

ぐし、と涙を拭うと、苺大福をそっと開けた袋の中へ戻し、首から下げた大事なカメラを机の上へ置いてから、デスクの下にこっそり置いてあるバットを取り出す。殴れば殴るほど攻撃力が当たる。そんな後半戦どんとこい系能力の唸には、鷹をぶん殴り続ける以外の選択肢が無かったのだった。

「えぇぇーいっ!! よくも理子ちゃんをやってくれちゃいましたねっ、絶対許しませんからぁー!!」

怖さを吹き飛ばすように大声を上げながら、両手で握りしめたバットで、鷹の身体を殴打する。身長が割と高めで良かった。空飛ぶ的に届かないなんてことが無いから。

>>幽幻堂allさま


【完全に遅れをとった!!そして私は戦闘ロルが死ぬほど苦手な上 状況が把握しきれていないので指摘しながら温かい目で見守ってください(死)】

2日前 No.32

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

【稲荷理子/幽幻堂】

「な、奈布さん、依頼者なんだから、もっとお手柔らかに。乱暴にしてすみません!!」

痛む傷を抑えながら、アワアワと依頼者に謝る理子。だが、緊急事態だけあって強くは言えない。中腰姿勢でこっそりと近づいた奈布が、車掌を隅に飛ばしワイヤーを張る。触れるなと言っている事からも、おそらくは何か仕込んであるのだろう。罠王の異名をとる奈布。食玩を集めたり、罠に必殺技の様な名前を付ける子供っぽいなと思う所もあれば、今回の様に機転を利かせる大人の様な面も持つ。まだ、人生経験の浅い理子にとって、よく分からい部分は多い。だが今は、自分より一回りも大きい、その猫背が頼もしい。

「すいません、奈布さん、助かります……」

奈布が理子の傷を見ると応急処置を行う。消毒液が染み一瞬顔をしかめるも声は出さない。消毒液を塗り、ガーゼを当て包帯を巻く。見方が戦っている間に、自分が何もできないのがもどかしい。傷の具合が思ったよりも酷いと見たのか、深草兎歩の構えで外へとこっそりと向かう。理子は思う。深草兎歩なんて、そんな技術どこで身に着けたんだろう。やはりライターだから知識が豊富なのだろうか。謎な人だと。

理子は鷹共を目でけん制しながら、左腕を抑える。思ったより傷が深い。それに毒性もあったのかピリピリと痺れて来た。そんな折、紫電一閃の声と、雷を携え、赤みがかった茶髪の男が理子に駆け寄って来た。八月一日鳴である。「化け狐」、そう呼ばれた渾名。何度も自分の名前は理子である事を言い、由来まで長々説明しても、変わらぬその名。訂正する事を諦め、今ではもう慣れっこになっている。

『なに無茶なことしてんのさ。さっさと治すから傷見せて、ボクの血が止まっちゃう前に』

へらへら言う鳴に、理子は左腕を差し出す。包帯はガーゼを当てたにも関わらず、血が薄っすらと滲んでいた。

「無茶なんて!!……すいません」

無茶などしていないと言いかけ、その言葉は謝罪に代わり尻すぼみになる。咄嗟だったとは言え、傷を負ったのは事実だ。不可抗力かもしれない。だが、その考えは理子が否定する。
この、すみませんには二つの意味がある。一つは心配をかけてすみません。治療に関してのすみませんだ。正直に言えば、理子は鳴に治療されるのは、好まない。鳴の治療は、治す為に自らの血を奉げる必要がある。そういう能力だと知っていても、鳴が血を流す度に罪悪感に囚われるのだ。だが、依頼者が居て、敵が襲ってくる状況。自分も早く戦列に並ばねばならない。

「鳴さん、治療をお願いします!!」

早口気味に言い左腕を差し出す。そして、残った右手で数珠を取り出し、「化け狐」になるべく、呪文を唱えるのだった。

>>奈布、鳴、周辺ALL

1日前 No.33

ユンボ @yumbo ★9YegwOCpFV_8By

【ジョー/幽玄堂】

蝶が舞い

雷が乱舞し

狸が絶叫しながら、駆け寄って来る

「すげー、絵面だな、おい」

銃で鷹を迎撃しながらジョーは呟く。ただでさえ、幽霊が出ると噂のこの物件に、新たな伝説が加わった瞬間である。蝶、雷はともかく、狸は確実に人の為、一般人にも見えるはず。理子が一撃食らった物の、依頼者を確保し、後は的確に敵を裁いていく。

まずは、窓の外に飛び出したのは、和花だった。忍者を思わせるような、軽やかな身のこなしで、宙返りで蹴りを食らわせ叩き落とす。以前からの知り合いである和花。協力し、時には争った事もある。紆余曲折あったが、今では社員の一人である。背が高くスラリとしたその容姿から繰り出される技には魅了されそうだ。そんな、彼女は後ろ振り返って人差し指を立てて一言。

『あんた達社内なんだから静かに処理しなさいよっ? あと、あたしの机だけは兎にも角にも万が一にも死守すること! カップもね!』

ジョーは思うのだ。これで、喋らなければなぁ……と。

「銃使いに、静かにとか無茶言うなよ。まぁ、机だけは守ってやるよ、仕事にも関わるしな。ただ、一番はあいつに言った方がいいぞ」

そう言いいながら、ジョーは唸の方を親指で指し示す。ジョーも冷や汗気味である。バットで懸命に殴り続ける唸。唸の能力は殴れば殴るほど威力があがる。その内勢い余って、床や柱を壊しそうで見てて恐ろしい物がある。大声で一心不乱に振っているから尚更だ。

「おい唸、頼むから、会社を壊さないでくれよ」

皮肉でも何でもなく、本心で注意するのだった。

ジョーはジョーで銃で鷹を牽制し始める。鷹スレスレにフェイクの弾を放ち、一ヶ所に誘導。机や備品の無い部分で鷹を落とす。その亡骸は積み上がり、強烈な腐臭を放つ。

「流石にこれはキツイな……。あっ、やべっ」

匂いに気を取られたのか僅かに手元が狂い、弾丸は鷹の眉間からちょっと逸れ眼球付近に着弾。血しぶきと共に飛び出す眼球。そしてそれは、和花のマグカップにホールインワンする。しばしの無言。

「まぁ、壊してないからいいな。洗えば大丈夫だろう」

そう、呟くと再度鷹を撃ち始めるのだった。

やがて、室内に飛んでいた蝶が数を増やしオーロラの様に辺りを覆う。窓から入って来た、鷹がオーロラに触れると、動きが緩慢になっていく。岐の蝶ではあるのは理解できるが、数が多い。霊力の消費も激しいはずだ。そう思い視線を外に向けると、我が会社の経理担当でもある。旅籠宗助の姿も見える。あの見事な白髪は見間違えるはずもない。

「岐、聞こえるか!!あんまり無理すんなよ!!やばかったら、宗助に霊力補給してもらえ!!」

ジョーは室内から、外に向かって叫ぶ。岐に倒れられては困る。勿論心配なのもあるが、敵を倒し切った惨状を修復するには岐の力が必要である。自分も含めて、この会社の連中はそういうのが、苦手な奴が多い。

「宗助!!霊力切れた奴のフォローは任せる!!後、結構物を壊されてるんだわ、被害額の計算もな……」

後半の方は、深刻な問題である。考えたくもない。

「仰扇も、フォロー頼むわ!!後、建物に被害がいかない様守ってくれ!!崩れられたら叶わん!!」

ジョーは、一応社長らしく外の面子にも支持を出す。そして、皆の頑張りによって鷹の数が徐々に減って来るのであった。

>>和花、唸、岐、宗助、仰扇、周辺ALL

1日前 No.34

奈布 @ganma24 ★Android=vN4FlsE806

【寧々庭奈布/幽幻堂前】

 鳴から陽気なウインクをされたので彼もウインクし返し手を振った。面倒臭そうに立ち上がり彼は大鷹を睨みつけた。大鷹はバサバサと飛び、とてつもない眼光で奈布の顔をにらみつけている。奈布は何故かにへらぁと笑い、頭を下げた。

「やぁ、鷹ちゃん初めましてだね。俺は寧々庭奈布だ……って!喋ってる時に攻撃するなよ!」

 悠長に自己紹介を始めると鷹は案の定襲いかかった。嘴を先にして投げナイフの如く襲いかかる鷹を、奈布は間一髪で避けると、何を思ったか鷹の足を掴もうと手を伸ばした。奈布は鷹の足を運良く掴めた。
 本当ににまぐれだったのだろう。驚いた顔をしながら彼はポーチをまさぐりスイッチと爆弾を取り出した。スイッチに書かれた番号に、爆弾に着いたダイヤルを合わせる。
 爆弾を抜け出そうと蠢く鷹に括り付けると再び羽ばたかせた。

「やっぱり今日は吉日だぜい」

 何度も襲い来る鷹を間一髪避けながらもほかの鷹に爆弾持ちが近付いた瞬間に、ボタンに親指をかけた。

ドカアアァン!!

 とんでもない轟音と共に一匹の鷹が爆発四散し、それに巻き込まれた二匹の鷹が地に落ちる。彼は鮮血飛び散るその場を見てニンマリと笑った。

「いやあ!楽しいねぇ!!空飛ぶ何かが目まぐるしく破裂する音は!!」

 地に落ちた鷹を掴み上げそれにワイヤーを括りつける。彼は鷹の付いたワイヤーを冒険家のようにグルグルと回し、電線めがけ鷹を投げ飛ばした。
 電線にワイヤーが絡みつくと、彼はより嬉しそうにニンマリと笑った。ポーチから絶縁体の手袋を取り出し、手袋の上に重ねるように付ける。
 その手袋でワイヤーを掴むとそれをスペツナズナイフの刀身に括り付けた。

「ナイフ捌きはド三流、しかし飛び道具は一流でさぁ!!」

 引き金を引くと共に刀身がバネの力により飛ばされる。バネの力がとてつもなく強いが故に、飛べば飛ぶほど加速していき、とてつもない威力を帯びていく。
 そしてそれが最高潮に達した時に、見事に鷹に命中し感電した。痙攣しながら鷹は電気を受け、黒焦げになり地に落ちる。
 残った柄を丁寧にポーチにしまうと中をまさぐり始めた。

「まずは4匹。さあて、な行の罠王と言われたる所以を見せてやろうかね」

 両手に華。否、爆弾を持ちケラケラと笑う。彼は爛々と光る青みがかった瞳を鷹共に向け、景気づけに爆弾を上空に打ち上げた。物騒な花火が鳴り響く。

>鳴様、幽幻堂all様

19時間前 No.35

@kw1 ★iPhone=WeLdY42O45

【 八月一日 鳴 / 幽幻堂 】

いつもは自分のお巫山戯にまんまと(そう思っているのは鳴だけであり、本当は想定の上あしらっているかもしれないが)引っ掛かってはポコスカと怒る理子だが、今回ばかりはしゅんと頭を垂れていた。まあそうなるよなあと思いながらも彼女の謝罪に目を向けることなく黙々と治癒にあたる。極力彼女の視界に入らないよう(それでも視界に入ってしまうことに変わりはないが)自分の腰元辺りで予め用意しておいた紙に自らの血を垂らした刹那、小さくも眩い光が紙面から溢れる。まるで液体の様に零れだす光を理子の患部に流せば、20秒程で光は収まり、そこにはうっすらと傷跡が残るだけで先程の痛々しさは完全になくなった。

「応急処置で傷塞いだだけで完全に治ったわけじゃないよ。まだちっこいんだから、また無茶なんかしたらすーぐ傷開くからね」

次は知らないよーだ、なんて、どっちが「ちっこい」のか理解に苦しむような子供っぽい台詞を残しては、彼女の邪魔をしないよう窓際に避ける。そこでやっと今回の依頼者でありこの騒ぎの原因であろう人物と目が合った。嗚呼、この人か。なんて考えては口元に弧を描きながらヒラヒラと手を振る。と、外から何やら発狂したような声と大きな爆発音がした。一人の声は...まさかとは思うがデカタヌキ...否、仰扇だろうか。あの彼がこんな声を出すか...?と疑問に思うのは鳴の彼へのイメージが「寡黙」だからである。彼の開いた結界が鷹達を包み、文字通り収縮して――消えた。どこに行ったのかわからないが、消滅してしまった以上攻撃はしてこないだろう。そしてあの豪快な爆発音。これは間違いなく先程入れ違いした奈布である。やはり屋内よりも屋外の方が彼は思い切り暴れられるようだ。窓から見えた鷹は、見るも無残に(まあ最初から無残な見た目してたけど)血飛沫をあげ地に倒れ、またある鷹は先程鳴が食らわせた疾風迅雷よりも強力な雷撃を受けたのだろう、プスプスと焼け焦げていた。

「おー怖、あの二人は敵に回したくないよね、オジサン」

ひえ〜なんて効果音を呟きながら依頼人に声を掛け、どうせ奈布にされたのだろう、ワイヤーに触れないよう固まっているのを見てはケタケタと笑った。
窓際では虫螻ちゃん――岐が一際大きな蝶をはためかせ社内に入ってくる鷹を次々と浄化してゆく。なんて画期的なのだろうかと思う。彼女の負担は大きいが、間違いなく力になっているだろう。攻撃手は屋内外共に十分ある。鷹の数も減ってきた。そろそろボク要らなさそうだななんて思えば、ぽけーっと皆を見守るのだった。

>理子、奈布、仰扇、岐、幽幻堂ALL

15時間前 No.36

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 永代橋岐 / 幽玄堂 】

 狙った獲物は逃さない獰猛な猛禽類とて、浄化して気勢を削いでやれば多少は動きも鈍る。その代償は強烈な倦怠感。岐は一気に霊力を使い過ぎて既に肉体的疲れを感じ始めていた。しかし限界はまだ先にある。マラソンだって疲れるのは早くても、疲れてから本当にヘバるまでは根性さえあればしぶとく走り切れるものだ。戦いだって意志の力でそれくらいのことは出来る筈。頑張れ己。無邪気に野を駆ける幼子のように、自分には果てが無いと思い込め。
 セルフ鼓舞で疲れを振り切って蝶々を波状に展開させ続けること数分。他の面々もそれぞれの能力を駆使して善戦するさなか、所長から声がかかる。やばかったら宗助に霊力補給……嗚呼、そうだ。そういえば彼はそのような能力を持っている。ざっくばらんに説明すると物を霊力に変換して自分に蓄えたり人に移したりできる御仁。それが彼。具体的には他にも色々とできるらしいが、基本は霊力の回復役職という認識をされている。
 そろそろアフター6に駅構内で出没するお疲れのサラリーマンみたいな顔色になってきた自覚はある。ここは一つ、所長の言う通り彼のお世話になるのが賢明だ。

「承知いたしました。てふてふの霊力に変わる物が、人様の物では申し訳ありませぬ故。只今、私物を取って参ります」

 ぺこりと所長に一礼し、あくまで蝶々で弾幕を張ることは怠らぬまま本人だけが移動。建物の片隅に置いてある風呂敷包みに駆け寄り、中から小物入れとして使っている巾着を取り出した。そのさらに中を漁り、探り当てたるは歯が三本だけ折れた半月型のつげ櫛。小学生の時、父と京都旅行をして『十三や』でプレゼントされたものの一つだ。蝶々は花が好きだから、とわざわざ花の彫りが入ったものを何本も買ってくれ、未だに何本かはまだ自室の引き出しの中に眠っている。しかしこの櫛は小学校から高校入学までの期間使用したもの。椿油に何度も漬け込んだので、元のあっさりした木色ではなく独特の飴色に艶めいている。教室の机に置いていたところ窓ガラスを野球部のボールが突き破り櫛を直撃、なんて憂き目にあってこんな風に破損しなければ、きっとまだまだ何十年と使い込めたことだろう。
 それだけに捨てがたくこうして手荷物の中で役目もなくただただ場所をとっていたつげ櫛。だが、廃棄するのではなく霊力として自分の内側に取り込まれるなら踏ん切りはつく。これを手にして宗助に小走りで駆け寄る。
 最初は自分が霊力を使い果たしても他にも頼れる仲間がたくさんいる、と思っていた岐だが、よくよく考えるとその頼れる仲間たちは『荒れた部屋を綺麗に片付ける』ような作業においてはあんまり頼れる仲間たちではないのだ。だから自分は戦いでスタミナを枯らさず、むしろ後始末のほうで活躍するくらいの気持ちで居なければならないことに遅まきながら気付いた。そのためにも回復は必須。腐った鷹のせいでちょっと臭くなっている部屋の消臭とか、ガラス片の片付けとか、新しい窓ガラスの手配とか、倒れて散らばった棚の中身を元通りの配置に戻すとか、そういうのは全部自分がやるのだ。戦いで疲労してはいられない。真の戦場は敵を倒し終えた後に待っている――。

「もし、宗助様。こちらでお願いしても宜しいでしょうか?」

 瑕を負ってなお古都の風情ある十三やのつげ櫛を恭しく両手で差し出し、花にとまった蝶が羽をたたむ姿のイノセントとエレガンスを以て腰を折る。
 蝶々が人の形を取って地上に舞い降りたのだ、と頭のおかしい父に信じ込まれるだけの“それらしさ”は、疲労が骨身を侵したとて損なわれぬ。命ある限りそう振る舞うよう躾けられ、乞われ、強いられ、願われてきたのだから。
 もっともそんなもの、異臭のする鷹が部屋のあっちこっちで特徴的な鳴き声を反響させている現場では振り撒く意味も無い美しさなのだが。

>ALL様

※警告に同意して書きこまれました (個人情報)
5時間前 No.37

霧灯 @sunsuncat ★o08FOtq5xo_Tbw

【志麻 和花 / 幽幻堂】

『銃使いに、静かにとか無茶言うなよ。まぁ、机だけは守ってやるよ、仕事にも関わるしな。ただ、一番はあいつに言った方がいいぞ』

 ジョーに言われてバットを持つ唸を見て、

「……し、死守で!!」

 ドジスキルが発動しないことを遠くから祈る。

***

「あのねぇ、あんた達今一体何時だと思ってんのよ。もう15時よ? 遅刻するなんて善良な社員の風上にも置けないわね!」

 腰に手を当てて指を立ててズビシと指摘する。学生である訳でも外出予定があった訳でも無い仰扇と宗助の2人に対してここぞとマウントを取っておく和花。印象的に上に立っておくことはいざコミュニティ内で意見を通す事態が起こった時には色々と役に立つ。色々と。但しこの女自分も遅刻している。

 理子の怪我は鳴に任せておけば良いし、車掌の霊は奈布が窓から引き離し、窓は岐が蝶で障壁らしきものを張ったのなら万が一鷹が侵入したとしてもまぁすぐ処理出来るだろう。なら自分は鳴が抜けた分、残りの鷹の処理にでも移ろうか。数もある程度揃ったし律儀に守り続けるより減らした方が良いだろう。仰扇だけに押し付けておくわけにもいかない。そう思うと改めて眼鏡を外しコートの内側へ仕舞い込む。

 和花は高く跳躍した。幽幻社の最上部ほどの高さまで一跳びで体を運び、再び一回転して社の壁を蹴って方向転換し更に高く斜めに向かって舞い上がると、滞空する鷹を一度に2匹分蹴落とす。
 和花の体はそのまま宙を落下していく。だが、まだ終わらない。落下中更に足元に力を込めると、足場も無い空でまるで地面を踏みしめたように和花の体はもう一度跳躍し、更に別の鷹を蹴り払った。
 そのまま一度正面の電信柱の上に着地する。

「よっと。さーてあと何匹かな?」

 振り返って空中を見渡す。

 志麻和花。女性。21歳。独身。職業「退魔士」。かつては忍びと呼び恐れられたこともある一族であり、人の世を悪鬼羅刹から守ることを生業とした闇を生きる者。財布の残りは少なく、まともな退魔仕事からも会社都合により向こう3ヶ月遠ざかっている身ではあるが、この道8年のベテランの技はまだまだ腐ってはいない。

 そして並の人間の脚力を大きく上回る特異な能力の名は「天翔脚」。彼女の家に伝わる秘伝の技の一つである。体内で増幅した霊力により高い身体能力と速度を獲得し、放出した霊力によって足下に力場を形成することにより、例え空中であろうと彼女の足場とならぬ場所は無い。

「終わったらココアを飲もう。運動後の糖分補給で至福を味わおう。あのカップ保温カップでスーパーの百均コーナーで新春初売りの癖に100円どころか200円もしたんだもの。でもお陰でただのお茶ですら至福の味がした気がしたわ、ふふ」

 鷹が減って来たことを確認すると、ご機嫌にこの後の夢を馳せていた。打ち上がった奈布の爆弾も祝砲のようだ。

>>幽幻社ALL ジョー 仰扇 旅籠宗助

4時間前 No.38

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 虎杖浜唸 / 幽幻堂 】

唸の能力の詳細をそれでも簡潔に言うのなら、『触れたものに霊力を宿し、一定の条件でそのものから霊力が消えない限りアタックすればするほど与えられるダメージが増えていく』だ。その『ダメージ』は、自分の能力を把握しきれておらず情けない限りだが、どうやら霊的なものだけでなく現実の無機物にも通ずるようだ。なので、ジョーからも和花からも建造物の一部やデスクの私物を破壊しないか心配されている。ちょっと心外だ。

「しっ……つれいですね! 大丈夫ですよっ、この鳥さん達以外には当たらないように気をつけて振ってるんでっ……おっとっと」

言ってるそばからバットの当たった鷹が潰れていき、そのままバットが床に触れかけた。あぶないあぶない。床にかっこいいヒビが入っちゃうとこでしたぁ。
唸の振るうバットの方だが、初めは当たってもツンと指で突かれた程度の優しさだったのに、今ではこの通り触れただけで鷹をぺちゃんこにしてしまうところまで来ている。もちろん、他のメンバーの力も加わって、あっという間に此処まで簡単に倒せる状態だ。当たった鷹から死体になっていく――あ、元からデッドしてたんだっけ。どっちにしろ、死んだまま動いてても完全に死んでも怖いもんは怖い。

「ジョーさーん! オレ、運動神経悪いし戦況とかよくわからないので、もし何か指示があったら言ってくださいねー」

これは本心である。なにか裏があるわけではなく、自分がするべき行動を把握しきれないから、積極的に指示を出して欲しい。怖いの我慢して、その通りに動くから。

>>ジョーさま、和花さま、allさま

3時間前 No.39
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