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片翼の天使

 ( オリジナルなりきり )
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あさの☆X4kRYuVKaek ★iPhone=oScSNj8Qcr


 失われていく温もりを感じながら、夜の寂しさに諦めを覚えた少女は、小さく震える体を横たえてフローリングの上で眠った。

「ーー片翼の天使を殺して」

 それが少女の最期の言葉。翌朝冷たくなった彼女は海に葬られて消えた。









 廃れたビルでひとりの男が首を括った。隣に立つ女はそれを退屈そうに眺めながら煙草を吸った。

「またいつもの死にたがり?いい加減にしてよ、アンタのそれにはもううんざり」

 ロープに吊られた男はこれ見よがしにため息をつく。

「全く優しくないよね、そんなんだからいつも男に逃げられるのさ」
「うるさいわね。アンタには関係ないでしょ、それ以上言ったら知らないわよ」
「おお、怖い怖い。まったく君はその目力で人ひとりくらい殺せそうだね」

 女はぎろりと鋭い視線を向けるが、男は愉快そうに笑うだけだ。真面目に話を聞く素振りはない。

「それ以上減らず口叩くようだったらアンタの首に巻きついてるロープ切ってやらないわよ」

 真赤なルージュを塗った女の唇の片端が意地悪く歪む。その言葉が本気であると分かった男はこれはマズイと、さっきまでのヘラついた笑みを引っ込めた。

「ごめんごめん、変なこと言って。落ち着いてよ、君はいつだって素敵さ。特に笑顔が輝いてるね」
「あらそう、それはどうも」
「怒らないでよ、さっきのはジョークさ。今のが本心」

 その言葉に女は呆れたように肩をすくめると、持っていたナイフでロープを切った。男はバランス良く床へ下りる。そして女に向き直ると、女は男の首にはっきりと浮かぶ鬱血の跡を見て不快さを露わにした。

「その首どうにかならない?醜くって仕方ないわよ、早く治して頂戴。それから、その死にたがりもやめて欲しいもんだわ。アンタだって分かってるんでしょ?ーー永遠を止められるのは、」

 女は片眉を吊り上げて男を睨む。女が一呼吸吸って次の言葉を続けようとしたので、男はうんざりといった表情で、これから女が言うであろう言葉を紡いだ。

「永遠を止められるのは片翼の天使だけ、そう言いたいんだろ」

 うるさいなと男はぼやきながら女に背を向けると、そのまま床に横になった。何度目の夜だろう。終わりのない夜を人々は今日も彷徨い歩く。










 誰かの吐き捨てたガムが男の靴にへばりつき、歩くたびに嫌な音を立てた。それに気づいた男は怪訝そうな眉をひそめると靴を棄てて歩き始めた。いかにも高級そうなその靴はゴミとなる前に誰かによって拾われ、いつのまにか姿を消した。そんなことなど知らぬ風に、男はいつまでも歩き続ける。歩くたびに傷口が痛み、血は地面に垂れた。しかし止まるわけにはいかない。
 誰にも片翼の天使を奪われるわけにはいかないのだ。






【ここまでお読みくださりありがとうございます!普通から外れる人々が片翼の天使≠ニ呼ばれる正体不明の何者或いは何物かを探す話です。興味を持たれましたら良ければサブ記事までどうぞ。】

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