Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(81) >>

†夢が如く† Χ〜翡翠色の瞳〜Χ

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(1714) - ●メイン記事(81) / サブ記事 (87) - いいね!(10)

語り手 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

自分の中でこういう仕事は本当に天職なのだろうかとつくづく思う。
剣を握り、魔法を扱い、世界を気ままに冒険をする。素敵な仲間と出会い、友情を深め、愛を育むのも素敵ではないだろうか、バラ色の人生だとは思わないだろうか?

違う違う、「今」の自分はそんなバラ色の人生ではない。

物心がつきはじめた頃には既に自分は傭兵一家の一員であり、人手の足りない軍隊に呼ばれては命令通りに敵を殲滅、場所を制圧するだけの仕事だった。

今日も軍の命令通りにとある都市、及び研究所を制圧したのだけれど……正直とても後味の悪い戦闘だったらしい。
研究所のエントランスにて最深部に向かっていったお師さんが帰ってくると背中に背負われている少女が目に入った。

酷く衰弱しており、目は虚ろ目でまるで生気が無い。奥で一体何があったのか、お師さんや他の先輩達は何一つ教えてくれなかった。

作戦終了後、雇い主より研究所内で少女を見なかったかと連絡が入ったらしいが何故かお師さんは少女を隠すように居なかったと答えたと言う。次の日、何故か自分がその少女の世話係に任命されてしまった。

少女は見た目では丁度自分と同い年か少し下ぐらいの年齢、名前はあるけれど教えてはくれなかった。
朝ご飯に自分用におにぎり、相手にパンを持っていったら自分のおにぎりを食われた。米が好きらしいが俺も好きだったのに許さない。

当時、俺は18歳。今から始まる物語は此処から10年後の話になるよ。
正直、冒頭から最後まで何を言っているか分からないと思うけれど「全部繋がる」と言う事だけを覚えていてほしい。




ファンタジーオリジナルなりきり
【†夢が如く† Χ〜翡翠色の瞳〜Χ】

切替: メイン記事(81) サブ記事 (87) ページ: 1 2


 
 
↑前のページ (31件) | 最新ページ

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【フェルディ / 酒場兼宿屋 希望】


普通に会話をしていくうちに、アルカには何かを感じ取ったようだ。
苦労するタイプと言われて、わりと自由に生きてきた方だなと思い込んでいたフェルディはそうだったかなぁと小首を傾げた。
己を語れるほど長く生きてきたわけではないが苦労する事で心当たりがあるとするなら殆どが旅でよくあるトラブルくらいだった。
しかし、それは旅を続けていく上での避けることのできないリスクだ。
どんなに嫌でも誰にだって起こり得る事だ。


「そうなのか? よく分からないが……確かにその体質と付き合っていくのは骨が折れそうだ。」


何気ないやり取りをしていく中でアルカは何かを見抜いたような言葉を告げてた後、アルカ自身も苦労するタイプであると打ち明けてくれた。
しかし、心理学者のように彼女は見抜くことができたというのに、今更ながらパッと見た感じでは華奢そうな身体を気遣ったようなセリフしか出てこなかった。


あらかたシオンが補足を付け足してくれたおかげで大体の事は掴めてきたような気がした。
それでもこの依頼書からは密売人と同じくらいのきな臭いものを感じた。

いつ何処でワイヨ一味がこちらに気付いて見ているかも分からない。充分に周囲を警戒しながら作戦を立てる必要がありそうだ。
……と、そう思っていた矢先にシオンは何故か説明もなく一人で慌ただしく席から飛び出すように出入り口に向かって行ってしまった。
シオンが先ほど真剣に聞き耳を立てていた方向のテーブル席に座る男女に、先ずはどの露店か聞き込みをしてから噂の露店へ向かうのがセオリーなのではないだろうか。

フェルディは突然のことに驚きガタッと席から立ち上がった。


「まて!」


聞こえていのるかどうか分からないが、出入り口まで向かおうとする相手の背中に向けてそう発した。
同じメニューを頼んでいたおかげで同じように硬貨を一枚出すだけで清算を済まし終えて、シオンの後を追いかける。


>>アルカ、シオン、ハーク all



【改行の場所を間違えてました。どうも駄文王です。不快な文章に見えてしまったかもしれません失礼しました。これっぽっちもシオン君のことは疑ってませんよ((】>レーリンさん

3ヶ月前 No.32

スレ主:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【???/酒場兼宿屋 希望】

「あ、こんなに……ありがとうございました!またの起こしをお待ちしております」
相手が頼んだ料理の金額を上回る代金を頂き、ハークは駆け出していくシオンを見送りそれに続いて彼を追うフェルディにも一礼をする。








「此処か、少しは繁盛しているみたいじゃないか。前よりも店が大きくなっている」
「あ、あのアトラスがこんなデカイ店を!? ふざくんな厨房チェックや厨房チェック!」

賑わうお祭りの中、とある大人2人が希望の店の前に立てば前に来た時の事を思い出し感傷に浸っていた、昔はカウンター席しかなく6人分の椅子しか無かった10年と言う年月を過ぎてあの頃よりも料理の腕に磨きが掛かり繁盛を維持しているのだろう。1人の顔文字みたいな男はその店の変わりように何故か納得できずにご立腹となり厨房チェックを申し立てる。

此処に、彼は居るんだろうか。
サングラスを掛けた青年が心の中でそう思い、店の扉を開けると同時に1人の青年が勢いよく掛け出てきてぶつかってしまえば男は地面に尻もちをついてしまう。


「とんがり帽子の青年、そんなに急いでトイレかね。……お店のを使えばいいんじゃないか? ふむ、にしてもこのとんがり帽子は今時珍しい物だな」

尻もちをついた男はゆっくりと立ち上がるも、一体何時シオンのとんがり帽子を盗んだのか。何時の間にかサングラスの男は彼の帽子を被っていたのだ>ALL様


【ちょいとレス蹴りをさせて頂いてイベントを開始しようと思います、近々戦闘になる故お楽しみに!】

3ヶ月前 No.33

フィリ @yuzuriha16 ★98M56DnJQ4_OYu

【アルカ/酒場兼宿屋・希望】

こちらの物言いに、先ほどよりも自然体な反応で言葉を返してくるフェルディさん。
どうやら心的ダメージはないようで安心した。
思ったより順応力は高いようだ。こちらもいつもの口調のほうが気兼ねしなくていいので助かる。
ほっと息をつくのもつかの間、残りのトマトジュースを飲み干しているときにそれは起こった。

「あ………」

突如、走り出すシオンさん。フェルディさんも短い言葉を口にして走り出す。
シオンさん特有の技能なのか特殊能力なのかは定かではないが、
何かを察知したことはその横顔から分かった。

「チップです。トマトジュースおいしかったので」

そう一方的に告げると、銀貨一枚をテーブルの上に置き、素早く席を立つ。
フェルディさんは反応が早かったため、既に私の前方だ。
追いつくには身体能力の強化が必要そう、と背中の剣の柄に手をかけかけたところで
シオンさんと誰かが正面衝突した。転んだ。あ、痛そう。
とりあえず、ぶつかった相手の安否が気になったので首を傾げつつ尋ねる。

「大丈夫ですか、シオンさん? それと、ええと……V系マッチョさん?」

何故かシオンさんのトンガリ帽子はぶつかった相手の頭の上にあった。
ああ、トレードマークが。と言いかけそうになったが、脱線しそうなので自重しておく。
見たところ、知り合いという雰囲気でもなさそう。
だって、私と同じようなネーミングセンスを彼に対して発揮しているし。

「どうも。それはシオンさんのものなので、返してあげてくれませんか?」

手に持たず、頭の上にあるということは意図的にそうしたのかもしれないが、
軽く会釈した後、そんなことを口にする。お節介な気もしたが、話は通じそうな相手だし、
トラブルに発展する前になんとかしなければと思い立ったが故の咄嗟の判断だった。

>???、シオン、フェルディ、ALL

3ヶ月前 No.34

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【フェルディ / 酒場兼宿屋 希望】


唐突に走り出したしシオンに追いつきそうもなく、店内ということもあり追いつく為に全力で走りに抜けるのは危険行為となりえた。
追いかけたまではよかったが、あと一歩早ければ彼を止められる事が出来たのかもしれない。
しかし、後一歩早かったとしても突然開かれる扉まで、咄嗟に躱すことは簡単な事では無いように思えた。
その瞬間に止まる足と身体。閉ざされていた扉が開かれて来客とシオンがすれ違いざまに打つかるのを店の誰よりも特等席で目の当たりにしたのは間違いなかった。

フェルディが声をかけるよりも先にアルカが安否を確認するように声をかけているのが背後から聞こえてきた。ちょっとした展開のあとという事もあってか、わずかに息を切らしているようなそんな気がした。



「ぶつかった事は謝る。……すまなかった。 その手に持っている帽子に関してはアルカの意見に賛成だ。シオンに返してもらえたらとても助かる。」


店に現れたV系マッチョさんと顔文字みたいな面白い人相の男を交互に見ては、フェルディは彼らを警戒していた。
一悶着揉めそうな緊迫した空気の中でそっとシオンに寄り添って手を貸すと怪我はないか確認しつつもシオンには後でお説教タイムを設けようと、そう心に決心して

>>??? 、アルカ、シオン

3ヶ月前 No.35

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【シオン/酒場兼宿屋 希望】

出入口の扉までもう少し。駆ける速度を落とさぬままドアノブに手を掛けようと片手を伸ばしかけたところで、よく知った声が背後から自らを制止するのが聞こえ、本能的に足を止める。しかし時既に遅し、目の前で開いた扉の奥から現れた人影に正面衝突し、作用反作用の法則により、軽々と真後ろへ跳ね返された身体は酒場の床へと背中から叩き付けられてしまった。因みに肩に乗っていたルーチェは、ぶつかった瞬間に空中に投げ出され、シオンより一足先に床にコロコロと転がる破目になってしまっていた。猫のようにしなやかな体躯を持っているため、怪我を負っていないのが何よりの救いである。

「□っ」

床に倒れた拍子に、高所から地面へ叩き付けられた蛙の如き呻き声を上げ、背の痛みに耐えつつゆっくりと上半身を起き上がらせる。そのタイミングで気が付いたらしいルーチェが彼の側に駆け寄ってくる。

『とんがり帽子の青年、そんなに急いでトイレかね。……お店のを使えばいいんじゃないか?』

そんな呑気な声が前方から聞こえ、シオンは今丁度出入口で何者かとぶつかったことを思い出し、徐に顔を上げる。
前方に立つ人影は、サングラスを掛けた背の高い男性のものだったらしい。先程結構速く走っていたシオンとぶつかったとは思えない程の余裕っぷりだ、少しも痛がった素振りを見せていない。とはいえ、実際衝突直後には彼も尻餅をついていたのであるが。

「……ええと……」
『ふむ、にしてもこのとんがり帽子は今時珍しい物だな』
「え?……?………!?」

相手とぶつかった時、何と言えば良かったか。それを思い出そうとしつつ口を開いた直後、前方の男性が口にした言葉、そして男性の頭上に見える何だか見覚えのある物体を目にし、徐に自らの頭に手をやる。そこには、今まで被っていた筈の、本来彼の頭上にあるべきものが姿を消していた。そしてそれは今、正に真正面に立っている男の頭上に被さっているではないか。
慌てた風に両手で頭をまさぐり、周囲にも首を左右に振りながら確認する。しかし、やはり側に帽子は無く、目の前の男が被っている。

「……」

__やられた。シオンは今、何故かそう感じた。別に男がシオンの帽子を盗んだと確定した訳ではないが、先程口にした台詞からして彼も自覚があることは明白である。
改めて男の顔__正確には彼の頭と自分の帽子__を無言で見上げる。側で自分の身を案じる声がしたが、それすら耳に入らない程、そこに集中している。
サングラスを掛けた、筋肉質な体躯のビジュアル系の男。が被っているシオンの帽子。アンティーク、というかヴィンテージな感じの、魔法使いを彷彿とさせるトンガリ帽子は、どう見ても赤コート姿の彼には似合うものではないように感じる。
__否、似合うか否かという客観的事実よりも、今自分が愛用していた帽子を他の誰かが余裕で被っているという事実が、シオンの胸の内に、今まで感じたことの無いような感情が沸々と湧き上がってくる感覚が生じつつあった。
いつもなら帽子の広い鍔が影になって確認しにくいシオンの目付きが、遮るものが無くなった故に、徐々に剣呑なものに変わってゆこうとするのは目に見えて明らかであった。

「……おい、か」

返せ、と言おうとしたところで、被さるように二人分の声がサングラスの男に向けて放たれた。その声の主__アルカとフェルディは、男が被っているシオンの帽子を、シオンに返すように呼び掛けてくれている。駆け寄ってきたルーチェも、床についた手に自らの両前脚を乗せて上目遣いにその円らな両目をシオンに向けている。
それらによって我に返ったらしいシオンの中の感情は不発ながら、彼をフォローする存在が何も無ければ起こっていたかもしれない厄介事を起こすことなくなりを潜め、自らに差し伸べられたフェルディの手に従うように自らの手を彼に伸ばした。

>フェルディ、???、アルカ、ALL


【すみません、何だか語弊が…(・・;)シオンはフェルディ君が此方を疑っているとはこれっぽっちも考えておりませぬ!本体としても、旅人としては金銭面に気を付けるのは当然だろうなという認識であります(>_<;)】
>猫に小判さん

3ヶ月前 No.36

スレ主:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【???/酒場兼宿屋 希望】

「青年、君の口から「返せ」と言いたい気持ちは分かる。赤の他人にいきなり被っていた帽子を盗まれ挙句に被られてしまったのだからね……しかしその言葉を言う前に何かしら言う言葉があるだろう?」

サングラスを掛けた男はスッと帽子を取り、男自身の目は黒いサングラスで見えないがしっかりと視線はシオンの目を見つめていた。
シオンの帽子を返して欲しいと願い出るアルカや、シオンの代わりに男に謝罪するフェルディだったが男はそんなものを求めてはいなかった。

「君がどんな人生を歩んできたか私は知らない。過酷だったのか、そうじゃなかったのか……でも、それは長く生きている人にとっては大体の予想がつけるものなんだ。……荒い口調であっても、素直である事が何よりも大切なのではないかと、私は思っている。……謝罪の言葉を言うだけで心の中では憎んでも構わん、それさえ覚えればこの世の中の世渡りを上手に進んでいけるだろう。……偉そうに語っていてさぞ私がそれを出来るかと言ったら……不完全なんだ、何故ならば人間の感情のコントロールには限界があるから……君達はどうだね、感情のコントロールが制御出来ているか?」

男は長々と自分なりの考えをシオン、フェルディ、アルカに話し問い掛けると、取り敢えずその答えを聞く前に手に持っていた帽子をシオンに差し出した。

「とても簡単な交換条件だ、嘘の謝罪でも本音の謝罪でも私はその言葉を聞く事が出来ればこの帽子を返すよ」>ALL









「か、顔文字みたいな人が居るっ…!」
「あぁん? 聞こえたぞガキこら! 从#´ワ`人」

3ヶ月前 No.37

フィリ @yuzuriha16 ★l3zUkBwQIv_OYu

【アルカ/酒場兼宿屋・希望】

どうしよう。たぶん彼の言うことの半分も理解できていない。

(……まぁ、お互いのことまだ何も知らないですしね)

参った。哲学や考察系の類の本は昔から苦手なのだ。
読んでると眠たくなってくるし。

「(フェルディさんはV系マッチョさんの言ってることってどういう意味だか分かります?)」

隣にいるフェルディさんにそう小声で尋ねる。
V系マッチョの彼のことを理解することも、自分を理解することも始めたばかり。
まるで次の物語の人物の心情を次の選択肢の中から答えなさいという文章問題に当たったかのよう。
だが、人生にテスト問題のような4択は用意されていない。
自分から探っていかなければ相手の心情など永遠に分かりっこないのだ。
ただ、まぁ彼が言いたいことは大まかには理解できる。
向こうからぶつかってきたのに一言もないというのは、全く気にならないなんていう人のほうが少ないだろう。

「怪しいですね。割と欲望に忠実に生きてきましたし」

感情のコントロールができているかというサングラスの男の問いに、あっけからんと真顔でアルカは答える。
例えこれが別の質問であったとしても、自分のことであればすぐさま答えを返していただろう。
快眠と良食。
自分の欲望を大まかに分類するとそんなところだ。
もちろんさらに突き詰めれば細かい欲も出てくるだろうが、大きな柱はその2本だけ。
なんと薄っぺらいことか。でも、私はそれでいっこうに構わない。
その2つを満たすための努力や苦労は惜しまないし、今のところそれで誰かに迷惑がかかったこともない。
欲望とは感情の発露に他ならない。
そういう意味では私は感情のコントロールがあまりできていないのではなかろうか。
閑話休題。ひとまず話題の中心にいるシオンの方へ視線を送る。

「交換条件うんぬんは置いておくにしても、
これからはぶつかったとき、すみませんくらいはすっと言えた方がいいかもしれませんね」

そのほうが余計なトラブルに発展することもないでしょうし。
ハークにぶつかりかけたとき、そのまま面食らって
何も言えずに見送った自分のことを棚に上げて、シオンにそう言う。

「そういえばどうしたんですかシオンさん。急に走りだしたりして」

すっかり流れてしまった話を思い出したのか、唐突にアルカはシオンに尋ねた。
思い返せば、こうして自分とフェルディさんがここまで追いかけてきたのも、彼が急に席を立ったからだ。
あの切羽詰った感じからこのV系マッチョさんがいうトイレというわけではなさそう。
説明もなしに飛び出し――いや、説明する時間さえ惜しかったという可能もあるが、
このV系マッチョさんとのやりとりのおかげか、
彼も少し落ち着いてきているようだし、話を聞くなら今しかないと思い立っての行動だった。

>フェルディ、シオン、???、ALL

3ヶ月前 No.38

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【フェルディ / 酒場兼宿屋 希望】


か弱い声で子供のようにたどたどしくも、ぎこちなく硬い発音。
ぶつかった男は、いとも容易くシオンが言わんとしていた事を察して言葉を紡ぎあげる。そして、そこまで察した男は不満気にもそれとは別の言葉を欲していた。
例えかわりに代弁してくれる者が居たとしても、それだけでは満足しないかのようにシオンだけを見据え、他はシャットアウト状態だった。

そのかわりに返されたのは長々と知的に論理的に哲学者のように問いただしてきただけであった。
文字どおり思い考えることが思考である。しかし、フェルディはそれらについて思考し数少ない経験や知識をもとに、あれこれとじっくり頭を働かせるのは得意ではなかった。
V系マッチョさんには申し訳ないがそれらを解き明かす事をしなかった。というよりは出来なかったという方が正しいかもしれない。
何故なら話を聞いていたのは最初の部分と言っても過言ではないからだ。

言える事はただ一つ。


「知らん。 シオン……謝った方がいい。」


もちろん男の問いかけに対してもアルカが小声で問いかけたことも含めて「知らん」の一言で済ませた。
知らない事をさも知っているかのように振舞って、おいそれと答えるわけには行かなく、それ以上の言葉は見つかりそうになかった。

V系マッチョさんのお連れと思わしき人物の顔文字のような人相に、店の中にいた客か店員の一部が早々に思わず目を奪われていたようだ。
その口調からは下っ端のチンピラのようではあったが、ぶつかった事にはまるで触れずに大人気なく店内の子供に絡みに奥へと進んでいってしまった。
だからと言ってまだ気を許した訳ではない。謝罪を要求し罪の意識を認識させて金品をせしめてくるような新手のクレーマーなら容赦はしない。

とはいったものの確かにアルカの言うように突然店を飛び出していったシオンの行動は気になる点が多々あった。
V系マッチョさんに叱られて、さらにある程度アルカからの注意を受けたシオンに、お説教タイムを今更設けようとしていたフェルディの出番はなさそうだった。

しかし、帽子はまだ男の手の中にあった。今のフェルディに出来うる限りの事はほとんどなく、シオンの言葉一つでこの課題が大きく拡大するか、それとも前に先に進めるかが彼にかかっていた。


>>シオン、???、アルカ

3ヶ月前 No.39

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【シオン/酒場兼宿屋 希望】

目の前のサングラスの男は、シオンの瞳をサングラス越しに見つめたまま、彼が今まさに言わんとしていた言葉を見事に言い当て、その上でシオンからの自らに対する謝罪の言葉を要求した。更に続けてシオンら3名に向けて哲学的な見解を交えた問いを投げかけてきたが、感情など幼い頃の思い出に不本意ながら捨ててきてしまったシオンにはさっぱりだった。
コントロールするにも、そうすべき感情の殆どが無い。とは言え先程湧き上がりかけた不快な感情のままに相手に食って掛かろうとしたことも事実なので、今の彼は自制心の発達していない子ども同然なのかもしれない。

「……感情のコントロール…分からない。10歳の頃までは、笑ったり、怒ったり、出来てたかもしれないけれど…今は、分からない。それでも…多分、今の僕は怒ってたんだと思う。もう、そうしないようにする」

彼の言うことを上手く理解出来ていないものの、自分なりの見解を話した後、少し黙り込む。先に男が求めた「謝罪の言葉」を自らの脳内辞書の中から探すためだ。元々、最初にぶつかった時にそうしようとはしていたのだから。

(…子どもの頃は、よく言ってたし、言い聞かせられてた筈…。でも、ずっと言ってなかったから、どんなのだったか……)

確か、2年前にもその言葉を何度も呟いた時期があった気がする。しかし思い出すのは何故か困難であった。感情が起因しているのか?否、それとも…。
数秒間のうちにそう思案していると、男はまた続けて、交換条件として自分に謝罪してくれたら帽子は返すと交渉してきた。フェルディやアルカも、シオンは謝るべきだという風に言っている。ならばやはり謝ることが社会的に正しい道なのだろう。そもそも帽子は自分のものだから返すのは当然、という考えはこの際置いておく。

「……元々、人とぶつかったら言うべき言葉を言おうとしていた。でも、突然帽子を盗まれたと思ったら、何だか不快なものが頭の中を満たしてきて…。でも、僕は別に憎いなんて思ってないし、思う必要もないと思ってる。だから、ええと……」

しっかりと立ち上がってから、自分を真っ直ぐに見据える男のサングラスの奥の瞳を見つめ返し、言い訳じみてはいるが彼にとっては思い思いのことを口にすると、再び言い淀むように口を閉じ、サッと頭を下げ、ようやく思い出した言葉を同時に口にした。

「ごめんなさい…っ」

シオンの表情も口調も単調で、本当に申し訳ないと思っているのか、と思う連中もいるだろう。しかし、今の言葉は彼の心からのものだということを、此処で断っておく。
精一杯の謝罪を終えると、ゆっくりと頭を上げ、姿勢を低くし、足元に寄り添うように座っていたルーチェを抱きかかえる。
アルカからも注意を受け、「…分かった。ごめん」と一言謝ると、次に彼女が呈した疑問について辿々しく答える。

「…先走った。複数人で行動するの、一瞬忘れてた。さっき、別の席に座ってた冒険者が話してたの聞いて…W怪しい露店Wがある場所、魔法で探そうと思って……今、此処で起こったことは、僕の責任……二人とも、ごめんなさい」

そして二人にも頭を下げる。冷静になってみれば、別に一人急いで探しに行くことは無かったのだ。単独行動ばかり取っていたからか、同じ街で気紛れにターゲットを狩ってばかりいたからか、今までそんなトラブルは無かったのだが、今回は自分でも理由が分からないくらい、急いで探すべきだと判断してしまった。
それが仇となり、見ず知らずの人間にぶつかり、帽子を取られ、周りに迷惑を掛けてしまった。これは実に効率の悪いことだ。そうこうしている内に敵は呪われた贋作で金を儲けてそそくさと撤退してしまうに違いない。

「…敵を探し当てるなら、情報を得た時点で現場に向かうのが得策。多分、奴らが現れてトンズラするまでには時間が無い。早く行かないと…」

姿勢を戻してからそう続けると、次はサングラスの男の方に向き直る。

「…用事、あるんでしょ?何だか変な口調で話す人も一緒にいるみたいだけど…僕、もう行かなきゃ。……帽子は、全てが終わってからでいいから」

>???、アルカ、フェルディ、ALL


【前回のレスの文字の一部が読めない方…アレは「う」に濁点を付けた文字を書いてます((-_-;)】

3ヶ月前 No.40

ラクロア:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【ラクロア/酒場兼宿屋 希望】

「ふっ……変な口調の連れは確かに私の連れだが、その前に君達は心の中でV系だと思っていただろう。見た目はまぁ……そう見えるかもしれないが、こう見えてもう三十路手前の年齢なのだよ。若気の至りと言う訳ではないが……」

まだ帽子は返さなくてもいいと言うシオンの申し出を無視しては優しく彼に帽子を被せてやり、男は先程から3人の思っている事を表情から読み取り自分がそれなりの歳である事を伝える。
そして男は先を急ごうとしているシオン達を他所にポケットから財布を取り出し、中身を確認すると先ずシオンに腕を伸ばし肩を組めばもう1人、フェルディに手を伸ばして肩組みをする。

「さぁ、それじゃあ親交を深める為に一杯付き合ってもらおうか。因みに代金の事は心配しなくてもいいぞ、奢る分の金は持ち合わせているし何よりもこの店は私の知り合いが経営している店でね。少し用事があって10年ぶりに来てみたんだ。肌が青白い子も一緒に来ると良い、大勢でテーブルを囲む食事は美味いものだからな!」


「おーい、ラー君!こっちやで!はよぉ来いやっ!从´ワ`人」


先程の神妙な口調から一転して急なおっさん口調になり、アルカも食事に誘いズカズカと店内に入っていけば何時の間にか店内には自分達しか客は居らず貸し切り状態だった。
そこへ先程の顔文字みたいな男が丸テーブルに座っては此方に向かって大きく手を振り誘導をしている。


「おっと、自己紹介が遅れたね。……私の名前はラクロア、スカイウィング空賊団の艦長を務めている者だ。もっとも、そこらの空賊とはやや異質のだけれどね」>ALL

3ヶ月前 No.41

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【フェルディ / 酒場兼宿屋 希望】



「これから気をつければいいよ。」

確かに自分の所有物を無断で取られてしまうのはあまり気持ちのいい事ではないことは分からなくもない。
シオンもぶつかった事には謝ろうという気持ちはあったのだろうが、ぶつかった相手もお互いにどっこいどっこいのような気もした。
そう言った素直になれないところを見るとシオンは意外と頑固なところがあるのかもしれない。
物静かで大人しいタイプだとこちらが一方的に思い込んでいただけで、割と言いたい事もよく喋るし本人が気づいているかはわからないが自己主張もかなり強い方だ。

謝罪の言葉を述べた後、走り出したことの経緯を話してくれたおかげで大体のことは掴めてきた。
魔法でどうにかして居場所を突き止め、そのまま置いていかれてしまったという事らしい。


「焦る気持ちもわからなくもない。3人居るんだし、どうせなら1人ではできない事を他の誰かの力を借りればできるようになる事もある。 ……例えば袋叩きにするとかさ。」


考えもなく無闇にこの依頼をたった1人で引き受けたとはやはり思えなかった。恐らくこの依頼はシオン1人でもどうにかなるものだからこそ引き受けたのだ。
人手が増えたのだからもう少し彼にはゆとり持つ事を覚える必要がありそうだ。

フェルディは皆んなで力を合わせて卑劣なアドバイスをしてから口元に笑みを浮かべた。その後、肩にのしかかる重みに顔を向けたのである。


「えっ、はっ?!……空賊団の艦長!!?」


一通り話を聞いていく中にあったワード一つ一つ敏感に拾い上げたフェルディの思考があやふやになり身体が硬直したのは言うまでもなかった。
胸に喜びが兆し、次第に強固な根を張る。それは見つかりそうもない宝物地図が目の前にポンと差し出されたかのような感覚にいつしか近づいていった。
夢にまで見た空の旅が今まさに現実になろうとしているのだから興奮せずにはいられない。


「俺、フェルディナントって言います! その食事会、友人との約束を果たしたら皆んなで絶対行きますね!!」


態勢を変えてスルッと肩を組む腕からすかさずくぐり抜けると、先約を守るためにラクロアにそう宣言し終えると総選挙前の握手会の如く力強く強引に握手を交えた。
先ほどまで金品を要求し巻き上げるようなチンピラなどと疑っていたことなどもはや忘却の彼方に吹き飛んでいる。
頭の中空っぽの状態で言いたい事を言い終えたあと、平常心を探り落ち着くまで苦労したが、相手の手をすぐに離したフェルディは、シオンとアルカに向き直る。


「そういうことになった。さあ、早いとこ片付けよう。 ――何かプランはあるか?」


終始、いだに口元や頬の緩みぱっなしではありつつもあるフェルディはアルカとシオンに訪ねかけた。
実のところ、先ほどのクラムチャウダーを食べたこともありそこまでお腹は空いていない。
依頼を手伝うと言い出した以上はそれを果たしたい気持ちが今は勝っている。なによりこの依頼を達成できた暁にはちょうど小腹も減る頃合いになるだろう。


>>シオン、ラクロア、アルカ、all

3ヶ月前 No.42

フィリ @yuzuriha16 ★wbx7AtlJUk_OYu

【アルカ/酒場兼宿屋・希望】

V系マッチョさんはラクロアという名前らしい。
あ、というかV系とか思ってたのばれてますね。表情には出さなかったのに。
そんなわき道に逸れかけた思考をシオンさんの謝罪の声と、
次いで聞こえたフェルディさんの興奮した声がかき消した。

「別に謝ってもらうほどのことではないですよ。ただ、何か分かったときは教えてくれると助かります。
もらった血の分は働かせてもらうつもりですし、
たまには自分の実力がどのくらいか確認しておくのも悪くないと思うので」

フェルディさんと私の言葉を受け、しゅんと俯くシオンさんは年齢以上に幼く見えた。
思わず、衝動的に彼の頭へ伸ばしかけた手を引っ込める。うん、今のはちょっとあぶなかった。
こうしてやりとりを繰り返すうち、ようやく二人の大まかな人物像というものが掴めてきた気がする。
ちょっと素直に人の言葉を受け取りがちなところがあるけれど、面倒見の良いフェルディさんに、
私以上に感情表現が苦手なところはあるけれど、根っこの性格は純真そのものなシオンさん。
思った以上に、私はこの二人のことを気に入り始めていた。
一緒にいるのが不快ではないというよりも居心地が良いと感じるほどに。
と、ここで先ほど急に席を立った理由がシオンさんの口から語られる。

「なるほど。だったら急いだほうが良さそうですね。
向こうも違法性のあることをしている自覚はあるでしょうから
いつでも逃げられるよう準備くらいはしているでしょうし」

アルカも大まかにはシオンと同じ考えらしい。
ハークから聞いた限りでは勢力的には脅威ではないらしいが、
逃走経路を確保していないほど間抜けとは思えない。
どうしたものかと唸っていると興奮冷めやらぬといった様子のフェルディさんの姿が視界に入る。

「良かったですね」

本当の意味で喜びを分かち合うことはできないけれど、
その嬉しそうな声を聞いていると、こちらも自然と笑みが込み上げてくる。
生きる目的があることはいいことだ。
それは存在するだけで窮地に立たされたとき生きる力となる。
そういうものが自分にはないからこそ、そう思える。
無気力に目的もなく流されるまま生きてきたからこそ、フェルディさんの姿は私の目に眩しく映った。
そうこうしているとラクロアさんから声がかかる。
肌が青白い子とは間違いなく私のことを指して言っているのだろう。
とりあえず、初対面の定石ということで自己紹介から入る。

「アルカです。アルカ・ディウォーカー。
ところでお連れのゆるゆる顔文字さんはなんというお名前なんですか?」

本当はなんという種族なんですかと聞きたかったのだが、
初対面の相手にそれを聞くのはさすがに憚られた。
そのままあれよあれよと相手の言葉に乗せられるがまま同席する流れになる。
が、こちらにはまだやらなければならないことがあった。
フェルディさんも承知しているのか、ラクロアさんに断りを入れて話題に方向修正をかける。

「ただの贋作を売りさばいているだけならまだしも
買った人だけじゃなく周りの人を無差別に不幸にしているという点が気に入りませんね。
袋叩きにするという案、採用するなら喜んで乗っかりますよ?」

物騒なことを口にするフェルディさん。
ただ、ワイヨー一味のこれまでの所業を考えたら、それでもお釣りがでるほどだろう。
すぐさま彼の言葉に同調した私は、暗い影を顔に落として薄く微笑んだ。
うん、我ながら改心の出来だ。
自然にこの表情にはなれないけど、表情をコントロールする術は身についてきたかも知れない
そして、フェルディさんの口から襲撃のプランについて議題が上がる。
目的の人物に会えた喜びを隠し切れない浮き足立った声に、自然とこちらの頬も緩む。

「では、それならまずお互いの能力の把握から…
何が出来るのか、何が得意なのか、すり合わせをするというのはどうですか?」

会ってからかなり長い時間話している気もするが、
それでもまだ互いについて知らないことのほうが遥かに多い。
情報の開示はある程度必要なのではないかとアルカは進言する。
こういうのは言いだしっぺからするのが定石だ。アルカは先手をきって語りだす。

「私は見ての通り前衛が得意です。呪いの付加された武器を無力化する武装や
武器破壊に特化した武装もあるので、そっち方面でなら役に立てると思います」

目視可能な呪いや付加された呪いを対象ごと打ち破れるルーンブラインドと
障害物や武器の破壊に特化したキラーテイスト。
呪いの付加元である武器を破壊すれば呪いも効力を失うという
前提が成り立つのならこの二つの剣はまさにうってつけといえた。

>ラクロア、フェルディ、シオン、ALL

3ヶ月前 No.43

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【シオン/酒場兼宿屋 希望】

複数人で密売人を成敗するという話を取り付けたにも関わらず勝手な行動を取ってしまったシオンに対し、しかし迷惑を掛けた相手であるフェルディとアルカは快く許してくれた。これからはこういうことが無いよう、周りに気を配ってくれれば大丈夫だということだ。
そう言われると、何だか胸の辺りがほんの少しだけ、暖かくなった気がした。だが、その懐かしくも理解し難い感覚は、すぐに消えてしまい、その感覚の正体を思い出すには至らなかった。
謝罪のために下げた頭を再び上げると、二人の目をじっと見つめるシオン。許して貰えた時は何と言えば良かったか、思い出そうとしているためだった。そして、その言葉は案外すぐに思い出せた。

「…ありがとう。これからは、気をつける」
『キュン!』

相変わらず表情の分からない顔だったが、まるで飼い主の思いを代弁するかのように、彼の腕の中に抱かれているルーチェが愛らしい笑顔で一声鳴いてみせた。
短い時間だが、シオンには、二人の人柄のようなものが理解できるようになっていた。珍しい外見だが、その中身は空賊に憧れるごく普通の少年らしい性格で、他人への気遣いもできるフェルディ。初対面時はヘロヘロで大変な目に遭っていたが、話してみれば穏やかで、しかし大人びた外見に似合わず思ったことはズバズバと言う良くも悪くも素直なアルカ。そして二人とも、優しい。もし今のシオンが自らの感情を忘却の彼方に追いやっていなければ、二人の存在が眩しく、そして自身の性格を呆れたものだと感じていたことだろう。その前に、二人から暖かい対応をされた時点で泣いてしまっていただろうが。
突然走り出した経緯を話すと、拙い説明ながら二人とも理解してくれたようで、特にアルカは彼と同じ意見のようだ。そしてフェルディは彼にやや物騒な提案を話す。

『焦る気持ちもわからなくもない。3人居るんだし、どうせなら1人ではできない事を他の誰かの力を借りればできるようになる事もある。 ……例えば袋叩きにするとかさ』
『ただの贋作を売りさばいているだけならまだしも買った人だけじゃなく周りの人を無差別に不幸にしているという点が気に入りませんね。
袋叩きにするという案、採用するなら喜んで乗っかりますよ?』
「…ナルホド、袋叩き…ね。考えたことが無かった。今まで僕一人で悪者をやっつけてきたから、集団で標的をボコボコにするなんてこと無かったし。……それ、採用」

フェルディの話に悪どい顔で同調するアルカ。勿論シオンも例外ではない。される相手には堪ったものではないリンチ攻撃でさえ無表情で採用してしまう程には、彼には敵への慈悲など持ち合わせていない。

帽子を返すのは後でいい、というシオンの申し出を無視するように、サングラスの男性はシオンの頭に優しく帽子を被せた。ポスンと頭上に物を載せられたことで、シオンは無意識的に軽く両目を瞑る。その後改めて帽子のバランスを片手で取り、男性が言った『V系』という単語に目をパチクリとさせる。どうやら彼はシオンもそう思っていたと思っているようだが…。

「……V…系……??」

初めて耳にする言葉に首をコテンと横に傾ける。恐らくヴィジュアル系の略か何かだろうが、彼にとっては未知の単語である。そう言えば、アルカ辺りがそう言っていた気がする。そう考えたところで、チラリと視線をアルカに送る。もし気付かれなかったり、視線を逸らされたりすればアウトだが。
依頼完遂のために店を出ようというところで、突然肩に腕を回され、親睦を深めるために一杯付き合えと言われた。いきなり肩組みをされただけでも驚くべきことなのに、急用がある中食事に誘われたのである。感情に乏しくともある程度の思考はできるシオンでも、正直理解に苦しむ出来事であった。

「……………………………………は?」

長い沈黙の末、出てきたのは多少調子外れの声と短い言葉。もし今のシオンが(ry)、すぐさま杖の先端を男性の顔にクリーンヒットさせていただろう。

「…話、聞いてた?僕らは今から依頼内容にあった標的を仕留めに行くところで…そういう場合じゃ…」

しかし突然ぶん殴るなんて真似はせず、いつもの調子で、しかし若干きつめの口調で言葉を紡ぐが、それは隣から突然飛び込んできた興奮によって掻き消された。
男性の名前はラクロアで、空賊団の艦長なのだという。その正体を知るやフェルディは興奮覚めやらぬ勢いで自己紹介と自称艦長のラクロアとの固い握手を繰り広げる。シオンもその隙にラクロアから回された腕から脱出する。

「……僕も、今はお腹空いてないし、先に受けた依頼こそ最優先。そっちの申し出は、多分それが終わってからでも可能。もし失敗したら、また街に依頼受け直しに行かなくちゃいけないし……それは非効率的だから」

突如舞い降りたまたとないチャンスに興奮していたものの、どうやらフェルディはシオンの受けた依頼を優先してくれるらしく、シオンもそれに乗じてラクロアの申し出に断りを入れる。あくまで完全に拒否するのではなく、最優先にすべき事柄を片付けてから、そちらの厚意を受け入れる、という体で、だ。その方が相手も機嫌を損ねずに済む、と昔誰かが言っていた。
何かプランはあるか、というフェルディの問いに、先にアルカがお互いの能力を見せ合うことを提案してきた。そして言い出しっぺ故か、まず彼女が最初に自身の戦闘スタイルと武装について説明する。見ての通り…というか、彼女の喪服らしい格好からは前線で戦うイメージがシオンには湧かない(尤も、今まで見てきた冒険者の多くはフェルディの様な皮鎧やプレートメイル等を身に付けていたからだが)が、呪いを付加された武器を無効化したり破壊したりできるという武装の説明を聞けば、成程、確かに前線で戦って欲しいところだ。武器は恐らく、背負っているあの布に包まれた物体だろう。どのように扱うのだろうか?
アルカの能力を把握したところで、次はシオンが武器のことを教えることにした。依頼の中心は自分だ。早くに言っておいた方が良いだろうという判断である。

「…僕の武器は、この杖。属性魔法だけでなくて、覚えていれば回復やバフ・デバフなんかも使える。でも…あまり魔力の制御とか、長い詠唱とか、苦手なところがあるから……後衛が難しい時は、杖の形態を変えて、前衛で戦う」

片手に握っている長身の杖を前に掲げて見せつつ、使える魔法について説明する。そして一旦口を閉じると、フェルディ、アルカ、ラクロアら含めた周りの人々に「…巻き込まれると、危ない。離れて」と一言告げると、抱えていたルーチェを少し離れたテーブルに置いてやる。腕の中が気持ち良かったのか、ルーチェは何だか不服そうだ。

「…離れた?じゃあ……いくよ」

全員が離れたのを確認すると、杖の持ち手を両手で握り、意識を集中させる。すると水晶玉が眩く輝き出し、徐々に形状が横に長く、一方は鋭く湾曲していく。輝きが収まった頃には、シオンが持っていた杖は、赤く大きな刃を持つ大鎌へと変化していた。それを見せつつシオンは説明する。

「…伐鎌(デス・サイズ)。あらゆる命を刈り取り、能力を一時的に奪う、攻撃特化の大鎌。形態を変えると、奪った能力は無くなる。大きな獣や壁なんかは、これで何とかしてた」

外野からざわつく声がチラホラと聴こえてきたものの、気にせず次の形態へと変化させようと集中を再開した。次は元の杖の形状と思いきや、先端の両側方に輝く一対の翼のようなものが浮かんでいた。

「これは、移動用。多分、軽い人なら一人か二人程度なら乗せられると思う。空中に逃げる時なんかも使う」

そこまで説明すると、何やら少し考え込んだ後、今度こそ元の杖の形状に戻し、「…終わり。もう戻っていいよ」と周りに言うと、二人に向けてこう言った。

「…僕の武器の能力は、このくらい。取り敢えず、魔力が底を突かなければ…前衛も後衛もやれる。もし怪我をしたら…僕が回復魔法掛けるから、言ってね」

そこまで言うと、テーブルに載せていたルーチェを迎えに行き、再び抱き抱えた状態で元の位置に戻り、そこで黙り込んだ。
__今の彼の言葉には、一部嘘が混ざっていた。彼の持つ杖の形態は、もう一つ存在する。しかしそれは彼にとって辛い記憶を蘇らせるだけでなく、自身にも不利益を生じるものであったため、今後は使わないとして現在は無いものとして説明しなかったのだった。

>フェルディ、アルカ、ラクロア、ALL

3ヶ月前 No.44

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【フェルディ / 酒場兼宿屋 希望】


たとえ話のつもりだったはずなのだがアルカは袋叩きというチームプレイを気に入ってくれたようで、フェルディからすれば逆に衝撃を受ける羽目になるとは予想すらしていなかった。
さらにそこからシオンまでどういう訳かたとえ話が通用していない。なんにしても元気を取り戻してくれたのはとてもいい事だ。


「ダークだな。……まあ、悪くないけど。」


おかげさまでそれまで緩みっぱなしだった頬も引き締められた。
いい加減いつまでも浮かれている場合ではないと、空の旅の事は一旦頭の隅に置いておく。
採用してくれた二人のために気を引き締めておかねばと、ここで静かに深呼吸を一つ。
やることは決まった。いまさら怖気付くなどできるはずがない。
今一度、横をちらっと見る。アルカの表情からはそれまで見てきた中ではイキイキとしているようにも見えた。今まさに愚かな人間共にとって脅威となる事に違いない。
シオンもそれに影響を受けているのか、最初に会った時より緊張がほぐれ気を許してくれているようだった。

話の流れは完全に敵を討つため、お互いの能力などを見極める話し合いに切り変わった。
アルカは己の力について口頭だけで済ませてくれたが、シオンはわざわざ派手に魔法の力を目の前でお披露目までしてくれた。


「俺の武器は弓とナイフぐらいだ。あとはあまり派手じゃないが四大属性くらいなら使える。」


それまでに散々すごそうな能力を聞かされたあとで堂々と己の手の内を明かすのもどうかと思うが、
何の躊躇いも恥ずかしげもなくサラリと言ってしまえばまさに居酒屋で出された唐揚げの山の端っこに添えられたパセリそのもののようであった。

話を元に戻すと導き出される立ち位置がこれではっきりとしてきた。


「前はアルカに任せてるとして、魔法が得意そうなシオンには後ろで詠唱に専念してもらうとしようか。俺はなるべく二人の援護ができる中間の位置にいようと思う。

 アルカが危なくなったら俺が前に出る。それでも最悪危なくなったらシオンにも前に出て戦ってもらうようになるが……回復アイテムは必ず常備しておいてくれよ。無ければ今のうちに渡しておくから好きに持って行ってくれ。」


見た目は非力そうに見える女の子を前線に立たせるのは男として心苦しいものが当然あるわけだが、あの細い背中に背負っているものを振り回されたら一溜まりもなさそうだ。
そんなことを思いつつ祭りで買い込んでおいた小さな紙袋を二人に差し出す。こんなに早く役立つとは特売セールも馬鹿にできたものでないとフェルディは思い知らされた。
シオンの回復魔法があれば何も心配はないかもしれないが、チームを組む以上はなるべくならその秘められた力を気兼ねなく存分に発揮してもらいたいところだ。
もちろん、他に何かこうしたいと言う意見があればそれを取り入れて行くつもりではある。他にもいいアイディアが生まれるならいつでも大歓迎だ。


>>アルカ、シオン、all

3ヶ月前 No.45

ラクロア:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【ラクロア/酒場兼宿屋 希望】

「分かってはいるさ、ただ急いては事を仕損じると言う言葉もある。もしかしらたその標的が自分達にとって都合の良い物を持ってきてくるかもしれないだろうしね」


シオンの事情はしっかりと理解をしているつもりであるものの、実際にはこの街に来てから殆ど飲食していないためやや空腹である事は確かだった。
それに此処は酒場、陽気で良い客ばかりが来るとは限らない。案外酒場と言う場所はトラブルを招く客が来る事が多いのだ。


シオンにそう伝え、先に席を確保していた仲間の場所に向かうと何故かオーサカは机の上でブレイクダンスをしていた。僅かにアルカに彼の事を説明しようにもその光景を見た時は何と紹介してやればいいか言葉に詰まった。

「……。彼の名前はオーサカ・デル太。空賊団の乗組員で開発、修理、調理など様々な分野で働いてもらっているオールラウンダーだ。私達と違って顔が顔文字になってる理由は昔実験に失敗した際に呪いに掛かってしまったらしいが本人は気に入っているらしい。 オーサカ、飲食をする机の上でブレイクダンスは止めておきたまえ」

「なんやねん!人が一日一善と同じように一日一ブレイクしとる最中にこのグラサン艦長は!从♯´ワ`人 を? なんや喪前、もう勧誘しとるんか?」

身体全体を動かしていた動きを止めテーブルから下りると既にラクロアの周りには複数人の若い人間がおり、本来の目的でこの場所に訪れた事とは違う事をしているラクロアにため息を吐きつつもオーサカは両手を広げて歓迎をする。

「俺の名前はオーサカ・デル太や! いやぁー、やっぱ艦長含めて俺とアホガキだけで船動かすの辛いもんなぁー。こうやって仲間が増えてくってホント酒場システムって便利や。……よろしゅう!从´ワ`人」




「にしても先程から何やら物騒な……察するに標的はワイヨ―一味と言ったところか。……実に懐かしい名前だがまだ活動していたとはな」


フェルディの話を聞きつつもどうやら食事会が終わってからひと悶着ある様子だ、この街で何かしらトラブルを起こす集団と言えばその一味しか考えられない。
10年前に【預けに来た】際も絡まれては叩きのめしたものの、今では昔の自分と比較にならないほどの冷静さを手に入れた為自分から何かしら仕掛ける事はないだろう。

だが、仮にこの場所での戦闘になった場合。友の店に迷惑を掛けるわけにはいかないので会話で解決できなかった場合は行動に出るべきであろう。

「フェルディナント……長いからフェルディで構わないかね? 一応その私をその後衛に控えさせておいてくれ」>ALL

3ヶ月前 No.46

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【フェルディ / 酒場兼宿屋 希望】


賑やかな酒場から早々に出て行こうとしていた最中、それをラクロアが再び引き止めにかかる。
振り返ればテーブル席の周りにはすでに勧誘されたのか或いはもとからいるスカイウィング空賊団のメンバー達が何人かそこに佇んでいた。
もとは空の旅の為に食事会を開いてメンバーを集めるという名目があったはずなのだが、それらを差し置いてまで力を貸すと名乗りを上げてくれたからには空賊団艦長としての目利きに叶う何かがあったのかもしれない。
でなければ例え興味本位だったとしてもフェルディを除いた空の旅を志願しない者達のことで、ここまで首を突っ込もうとは思わない。普通なら。
店を貸切にしてまで宴の席を用意するのにどれだけの日数と費用を費やしたか想像すらつかない。
ラクロアの仲間のうちの一人である顔文字の男オーサカ・デル太と名乗った彼も表情からは分かりにくいものの声のトーンからして困り果てているようであった。



「俺は構わないよ。艦長がそうしたいならね。 それと後衛に付くならさっきみたいにシオンと喧嘩だけはしないで欲しいかな。……頼むから。」


戦闘での提案はもちろん、愛称で呼びたいと言う申し出にも謹んで応えた。そのついでに先ほどの事もあって一応クギも刺しておいた。
今に標的が懐をほくほくと稼ぐ噂の露店へ、これから向かおうかと考えていた矢先だったこともあり彼の意気込には嬉しく思いつつもあったが、慎重に考えた。
これをきっかけに仲良くなってくれるかは二人次第である。

ラクロアのような経験豊富な大人が戦闘に加わってくれるのはとても有り難いし、なにより彼は標的について「懐かしい」とまで口にするほどワイヨー一味に親しみがあるくらいだ。

戦闘で彼が後衛に加わるのであれば安心して背中をシオンとラクロアの二人に預け、堂々と前だけを見て挑むことができるかもしれない。
……しかし、二人がいがみ合っていればフェルディにとってそれは恐ろしく脅威でしかない。


「そろそろ出発しようか。奴らが逃げる前に。」


アルカやシオンから他に何もなければ後は魔法で探せると言っていたシオンの能力を頼りに出発するだけである。
一人加わった事で先に話し合って決めた報酬の分け前については敢えて話題には持ちかけなかった。
なぜなら彼が自ら進んで申し出たことでもあるし、店を貸切にするくらいならこの程度の事で催促するほど金銭には困っていないだろうと踏んだからだ。


>>ラクロア 、all

3ヶ月前 No.47

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

3ヶ月前 No.48

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★UkeJywNdud_OYu

【アルカ/酒場兼宿屋・希望】

V系という単語に首を傾げるシオンさん。
いかにも自分が呼ばれたと分かるような呼び方をしないと
不便だから特徴をとらえた呼び方をしたのだが、伝わらない人には伝わらないらしい。
視線からシオンの考えを読み取ったアルカは、胡乱な知識を総動員して解説を始める。

「視覚表現に訴えたオサレでポップで退廃的なミュージシャン風ファッションのことです」

うん、適当。単にそれっぽい単語を並べただけである。
本当のことをいうとV系のことはアルカもよく分かっていない。
それでも名づけの先駆者として説明を求められている、そんな気がした。
いや、先駆者ってなんですか。
なんだか納得はいかないけど、ともかく義務は果たした。
これでシオンさんが納得してくれるのをただ祈るばかりである。

「心配性ですね。でも、ありがとうございます。
ちゃんとあぶなくなったら言いますし、絶対に無茶はしないので」

フェルディさんから回復アイテムを受け取る傍ら、
ああ、やはりというべきかなんともフェルディさんらしい言葉が飛んできて、
思わずくすりと笑ってしまう。まぁ、自分で言っておいてなんだが、
よく信用してくれたものだと痩せぎすな自分の体を見下ろして思う。
明らかに栄養状態の悪い体。加えてこの青白い肌。
自分がフェルディさんやシオンさんと同じ立場なら、間違いなくパーティー加入お断りな案件だった。
聞いたところ、フェルディさんもシオンさんもオールラウンダーのようだし、
本当に危なくなったときは助けてもらうということを、せめてもの慰めに言っておく。

「オーサカ………オコノーミヤキ」

何故か机の上でブレイクダンスを始めるゆるゆる顔文字さん改めオーサカさん。
その名前からふと連想したのは、東方の珍味と故郷で呼ばれていた鉄板料理だった。
ふと思考が口から漏れる。
一度気まぐれで持ってきてもらったものを口にしただけだが、あれはおいしかった。
関連性なんてもちろんないだろうけど、オーサカさんに聞いてみるのもいいかもしれない。
確かそんな地名の名物だったような、いや、ちょっと違ったかもしれない。
人知れず懐かしさに浸っていると、ラクロアさんから昔を懐かしむような声が聞こえた。

「ここで暴れられるのは困りますね。トマトジュースおいしかったので」

理由までも自らの欲望に直結しているのがなんというか俗っぽいのだが、
この店を守る理由なんて、これくらいしか思い浮かばなかったのだからしょうがない。
他のもっともらしい理由づけは他の人に担当してもらうとして、とりあえずの方針は固まった。

「そうですね。深夜を過ぎる前には終わらせふあぁ……終わらせたいですね」

犬歯をあらわにしながら、小さく欠伸をしたアルカは、
そろそろ出発しようというフェルディの言葉にすぐさま同調する。
一度自分の意思でシオンさんの依頼に同行することを決めたのだ。
今さら面倒くさいなんていうつもりはない。
それに、心地よい疲労の後の睡眠というのも案外、嫌いではなかったりする。
それでも、月が完全に上りきるまでには終わらせたいという気持ちはあった。
なんせ、今日はずっと血を求めて歩きどうしだったから一睡もしていない。
惰眠云々はもう諦めたが、せめてもの悪あがきで最低限の睡眠時間は確保しておきたかった。
そうこうしているうちに、覚悟が決まったのか探査魔法を発動させるシオンさん。
アルカにはそういった便利な補助スキルがない。
もしも神様がいるなら戦闘力にステータスを極振りした不運を恨んでいたところだ。

「便利ですね、それ。
相手の位置が分かるなら、後をつけて後ろから叩いてしまいましょう」

シオンの過去を知らないアルカは考えなしに
シオンの魔法にそう感想を漏らした後、人差し指を立てながら提案してみる。
卑怯なことこの上ないが、相手にこちらの位置がばれていないからこその提案だった。

>シオン、フェルディ、ラクロア、オーサカ、ALL

3ヶ月前 No.49

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【フェルディ / 酒場兼宿屋 希望 → 外 】


何かを知っているかのような口ぶりで勿体ぶってなかなか手の内を明かそうとはしない。確かにそんな風に振る舞われたら大概はシオンのように怪訝しくなってしまうのも分からなくもない。
謎かけのように語りかけてくるラクロアという人物はミステリアスな男である。今のところそんな印象をフェルディは受けている。
シオンのいう事ももっともだが悪気はないにしてもなかなか痛いところを突いてくる。相手が寛大的に受け止めてくれることを祈るだけだった。


「後は二人に任せた。期待してるよ。」


そんな心配をよそに近寄るシオンに対しやれやれと肩をすくめると、フェルディはそう言って返した。

アルカもシオンも戦闘ポジションについてやアイテムもこころよく引き受けてくれた。
その後アルカに心配性だと笑われてしまい、「別に心配ってわけじゃ……。」などと、思わず古くさいツンデレのような発言を口走りそうになるものの後衛コンビを思い出し言いかけたところで飲み込んだ。
そう言われてみればそうかもしれないと思い当たる節がまったく無いわけではなかった。
念には念を入れてアイテムを渡したのだが、だからといって二人を侮っているわけではないのだ。
むしろ二人の能力はいずれも興味があった。
百聞は一見にしかず。その場で説明を受けてただ魅せられるよりも、実戦でそれを本人が活用しているのを目の当たりにした方が一番よく理解を促せる。

いざ敵陣へ。先ほど不発に終わりを迎えた探査魔導の魔法の力が再びかけられる。
それは人並み以上に鼻が利く魔獣より正確に、方角と距離だけではなく居場所を突き止めてみせた。
それだけではなく更に相手の行動まで把握できてしまうのだから上手くやればアルカの抜け目ないアイディアがまかり通ることも可能である。


「なるほど、二人とも流石だ。 それなら丁度よく漁師が使う網のような物をその辺で拾ったから、これを使ってうまくやれば何とかイケるんじゃないか??」


シオンとアルカに対して正直な感想を述べた。
次に、酒場から出て暫く移動をしていると地面に光る物が視界に入りコレは使えるのではと、二人に網を広げて見せた。
丁寧に畳まれいたのではなく見えにくい草陰に隠れていた物だった。
利用価値がなく捨てたものと捉えてもいいほどの縺れ具合。その場にあったのだから不法投棄に違いない。

故に、これは決して盗むわけでは無い。単なる再利用だ。


>>シオン、アルカ、ラクロア

3ヶ月前 No.50

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【シオン/酒場兼宿屋 希望→外】

シオンが疑問に思ったWV系Wという単語。最初にそれを口にした相手に視線を送ると、彼女はシオンの意図を理解したようで、すぐに説明してくれた。…が。

「……視覚表現…訴える…オサレでポップ……退廃的…ミュージシャン風…ファッション……???」

アルカの説明は様々な言葉を並べ立てた、抽象的且つ難解なものであった。シオンも全てを理解出来ていない訳ではないものの、出てきた単語の半分は聞き慣れない言葉であったために、理解しようと自らそれらの単語を鸚鵡返しに口にしたものの、やはり理解しづらい様子である。現に、何度も首を左右に傾げていたのだから。

「……ナルホド、分かった。ありがとう、アルカ」

しかし1分も経たない内に理解した風な言葉を口にした。単語の中身はよく分からないものの、WそういうものだWということで脳内にインプットしたのだろう。どうせ後で調べれば分かる、とでも考えているのだろうか…。
世間一般の人間の中では、シオンの知識量は少ない。とはいえ生活力は人並みにあるし、戦闘力も野獣や盗賊とまともに戦える程度の実力はある。しかし、幼い頃に得た理論や教養等のスキルはたかが知れているし、その後自らの置かれた環境が特殊過ぎた所為で、まともに勉強する機会すら無かった。彼はそれでも問題ないと考えているが、今後生きていくためにも相当の知識を蓄える必要があるだろう。

「?……分かった」

自分が誰と喧嘩するのか、という意味合いで尋ねると、フェルディはその話題を逸らすかのように、後は二人に任せた、期待していると言った。質問に合わない返答をされ、僅かに不満を感じたが、一応コクリと頷き、チラリと彼の側にいるラクロアの顔を見上げる。
二人に、ということは、彼も戦闘に加わるのだろうか?何のために?報酬が欲しいの?そんな考えが頭の中でグルグルと巡る。報酬の山分けを視野に入れているとしたら、後で再び分け前について考えなければいけない。シオンには金への執着はあまり無いが、生活費や食費、戦闘に使える便利アイテム等が皆無というのも困る。確か報酬の内容も平均的なものであった記憶があるので、分ける人数によっては分け前も大幅に減るのだ。
自分から報酬の山分け&アイテムの譲渡を決めたのだから、今更変えるなんてことは難しい。しかし分ける相手は元々二人だったのだから、自分含め三人分の計算しかしておらず、そこにもう一人加わるとなると計算のし直しで大変になってしまうだろう。そういうのは、何か……嫌だ。

「……ラクロアも、報酬は欲しい?」

さり気なく、相手だけに聞こえるように声を抑えつつ聞いてみる。これで返事がイエスならば、また後で考えることが増えるだけだが…。
再び発動した探査魔法。その効果と精度に、当然感想が飛んでくる訳で。

「…………うん、魔法使いは、魔力と精霊たちとの繋がりが大事だから。相手の視線の向きとかは分からないけど…」

便利、という言葉を掛けられ、意味深に間を空けた後にコクリと頷く。魔法は確かに便利だ。魔力と才能(もしくは弛まぬ努力)さえあれば、わざわざ五感や道具に頼らなくてもすぐに様々なことが出来てしまう。シオンも、過去が特殊でなければ、純粋に魔法を使えることに嬉しく思っていただろう。
尤も、シオンは元々魔法を扱える程の魔力など持ち合わせていない、平凡な少年だったのだが。
フェルディらに続き希望から外に出て暫く歩いていると、フェルディが草むらから何かを見つけ、拾い上げた。広げてみると、一目でそれと分かるが明らかに本来の用途として使い物にならない、大きな投網のようなものだった。
これを使ってみないかという旨の台詞に、シオンは少し考えた後で一度頷き、口を開く。

「…それ、いいかも。もし可能なら、それに何らかの効果を付与させた状態で、僕らの気配、音、姿なんかを消して敵陣に奇襲を掛けるなんてことも…いいんじゃないかな?」

網は獲物を一網打尽にするための道具だ。おまけに使い方次第では、網目に電球や相手の苦手な物体なんかを括り付けて追い討ちを掛けることも出来る。アルカの言っていた、敵を背後から叩くという作戦に使うには持ってこいの代物の一つと考えられる。
そして、シオンが提案した魔法。全てが同系統のステータス変動魔法で、掛ける対象の発する特定の条件を他者から感知出来なくする魔法だ。シオンはそれらを習得しており、詠唱さえ成功すれば複数人に重ね掛け出来るが、普通に使っただけでは仲間の位置さえ分からなくなってしまうので、利用する魔法は計画的に唱える方が良いだろう。
初めての複数人での共同作業(?)。自分では気付いていないが、シオンの口数は、最初よりも多めになってきていた。

>アルカ、フェルディ、ラクロア、ALL

3ヶ月前 No.51

ラクロア:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【ラクロア/酒場兼宿屋 希望】

「やれやれ、致し方ない。私も同行するとしようか」
皆酒場の外に出てしまった故、付いていかないわけにはいかなくなりラクロアは「よっこらせ」と椅子から立ち上がる。

「を、ラー君行くのはええけどYO! アトラスに挨拶しにいこーぜ? 本来の目的があってこの街に来たんやろ?从´ワ`人」
「それもそうだな、少し挨拶をして久々のワイヨ―の顔を拝みに行くとしようか」

オーサカに呼び止められその話の内容に納得をすると久々に出会う友、アトラスが居るであろう厨房に歩み始めたその時だった。

ラファの叫び声が聞こえたや否や、厨房の壁が急に崩れては何かが飛び出してきたのだ。

「あなた!」
「あ、アトラス!? ど、どうしたんや喪前!从´ワ`;人」

爆発するようなメシでも作ってたんか?とオーサカは続けるも、アトラスに駆け寄り傷の具合を見ては事故ではないと判断する。

「……右胸から左腹にかけて斜めに斬られているな………幸いにも急所までは届いていないが出血がやや酷い。ラファ、近隣の住民から電話を借りて救急車を呼ぶんだ。……この場は我々に任せたまえ」
アトラスの傷口を見てはやや混乱しているラファに的確な指示を出し、プルプルと血まみれの手を伸ばしてきたアトラスの手をそっとラクロアが握る。

「つ、強くなってる……気を付けろ、ワイヨーは……の、【能力】を……」
「10年前の傭兵時代、私に強さに及ばなくてもお前は皆に美味しい手料理を振る舞ってくれたな。表では不味いと言ってお前を怒らせていたが……不味いわけが無いんだ、アトラス」
「……! ラクロア……!」


「友を死なせはしない。……オーサカ、アトラスを引き摺って店の外に行ってくれ。ついでに出て行った若者達を此処へ……」
「! わ、分かった!……無理すんなや! 从´ワ`人」

ラファに続きオーサカにもアトラスを安全な場所へ運ぶよう指示を出し、オーサカがアトラスの両脇に手を入れて引き摺り始めたところに砂埃立ち込めている厨房から勢いよく鋭利なナイフがオーサカの顔目掛けて飛んでくる。しかしそれを見越してか、ラクロアが人差し指と中指でナイフの刃を挟み込み手際よく砂埃の中に投げ飛ばすと「ぎゃー!あ、足がっ!」と悲鳴が聞こえた。

「急げ! 友を傷付けられたとは言え私が全て倒す訳にはいかん。 シオンの仕事を奪ってしまう事になるのだからな!

無事にオーサカがアトラスを店の入り口から出て行った所を見送り、視線を砂埃漂う厨房に向けるといつの間にかそこには巨大な影が砂埃に紛れて揺らめいていた。

「んん……?んんん……?聞き覚えがあるぞ、今の声は……」









【酒場兼宿屋 希望→外】

「も、喪前らー! 大変大変大変大変大変たいへんたいへんたいへんたい……!」

ズザザザザザァッーーー!と血まみれのアトラスを引き摺りつつもオーサカは先程ラクロアと話していた若者を見つけるや否や兎に角大変な事が起きた為大変という言葉を連呼する。

「へんたいへんたいへんたいへんたい……変態な事が起こったでぇ! 喪前ら!! 从´ワ`人キリッ」

2ヶ月前 No.52

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【フェルディ / 外 】


標的を討ち取ることに抜かりなしと言った徹底された罠が今シオンのアイディアの元に産み出されようとしている。
シオンの魔法による効果を付与させることができればワイバーンやコカトリスなどの飛竜向けに使ってもいいくらいの申し分ない贅沢な代物になることだろう。


「面白そうだ。巨大な怪物に仕向けるくらいの罠が出来上がりそうだが備えておくに越したことは無いかもしれないな。」


シオンの思いつきと習得している魔法に関心する他ない言葉にそう返して、さっそく自分が今できる事に取り組み出した。
最初は手ぐしのようにして引っ掻くようにして絡まりをほどこうとした。徐々に手繰り寄せて行く間に損傷した箇所見つけては補強して行く。
そんな器用なことをここ何年も続けてきたからこそ成せる技といってもいい。
ドワーフのような職人の技術力には及ばないにしても一時的には使えるまでになっていた。その場しのぎに過ぎないがこれで足止めぐらいになるはず。
いよいよ修理が終わりに差し掛かる頃、酒場からここまで来た道を不意に視線を漂わせる。普段なら自ら選んで進んできた道を振り返る事は滅多にないがこの時ばかりはそうせずにはいられなかった。
宙を漂う視線は風と共に運ばれてくる血液の香りを追いかけていた。
そして目線の先は道の奥へと止まり目を細める。その先からは騒々しいくらいの慌ただしさと見覚えのある顔が浮かび上がってくると道端の表面を削るかのように滑り込む音を見事に鳴らせた。



「何があったんだ……?!この傷は誰にやられた? ――今、手当てしてやるからな!」


ここまでたどり着いたオーサカは何か呪文のような言葉を繰り返しながら此方へくるが、そんな事よりも運ばれてきた人間のために視線は傷口へと釘付けられた。
溜息をつく余裕もなくフェルディは運び込まれた人間に出来上がったばかりの投網をグルグルと巻きつけ止血のために止む終えずアストラを締め上げた。
他に思いつく手はなかった。これは応急処置なのだ。


「酒場で何かあったらしいな。どんな手を使ったのかは分からないがひょっとしたら俺達は敵に出し抜かれたのかもしれない。 ……一旦引き返そう。」


>>all

2ヶ月前 No.53

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【シオン/外】

「……ん。ただ、掛ける魔法によっては…モロハノツルギ?になることがあるから…使う前に考えないと」

自らの網を用いた罠に関する発想に快い感想を言ってくれたフェルディに、シオンは無表情ながら、心なしか得意げな色を浮かべているような顔をしつつ、罠に使えそうな魔法のデメリットについて少しだけ触れておく。
別に網で敵を魚の群の如く一網打尽にせずとも、その丈夫な繊維を利用して頭目の首を締め上げても良いのだが……それは敵の実力を見極めてからの方が良さそうだ。
尤も、そんな物騒な方法を仲間が許すかどうかが問題なのだが……シオンは店での三人での会話から、二人ともWそういうことが大丈夫な人Wだと考えているので、その方が問題かもしれない。

「…器用だね。僕はそういうの…苦手」

慣れた手つきで網をほぐし、修復していくフェルディを側で見つめ、素直な感想を口にする。
網は打ち捨てられていたレベルなだけに、所々絡まり、所々千切れかかりボロボロだったが、フェルディによって見る見るうちに使い物になる網へと生まれ変わってゆく。面倒なことは大体やらないか、簡単な魔法で済ませるシオンには出来ない芸当である。出来るようになろうとは思わないが、彼の手先の器用さは素直に感心出来ることだと思う。

「…そういえば、あの人たち、遅いね。お店に用事でもあったのかな__」
『も、喪前らー! 大変大変大変大変大変たいへんたいへんたいへんたい……!』

自分たちが外に出てから少し経ったが、ラクロアはまだ一行を追ってきてはいなかった。先程何か話していた気がするが、気にしていなかったせいかよく覚えていない。
用事でもあったのか、と今辿ってきた道を振り返る直前、聞き覚えのある声と慌ただしい足音が徐々に此方へ近づいてくる。頭上に「?」と付きそうな表情で背後を振り返ると、先程見た顔付き(よく見るとおかしな顔をしている…)の男が何かを引き摺り、猛ダッシュで此方に向かってきていた。
どうしたのか、と声を掛けようとしたところで彼が一行に追い付き、側にスライディングを決めつつようやく止まった。「大変」を連呼し過ぎて途中から変な言葉に変化していたが…それよりも気になるものが目に留まる。
真っ先にフェルディがその人物の応急処置に取り掛かり、例の網を身体中に縛り付ける。その人物は大怪我を負っており、息も絶えだえの状態だ。すぐにでも治療しなければ、まともに生活出来る程の復帰は出来なくなるだろう。

「……あの酒場に、奴らが来たのか。魔法の不具合?いや、それは有り得ない……絞った標的とは別の連中が襲撃したとか?…どっちみち、今は怪我人の治療が先、かな…」

周囲の言葉を耳に入れつつ、ブツブツと独り言を呟く。魔法で探し当てた標的は未だ移動の気配が無い。しかし別の場所でも何やら良くない者が人を傷付けたことに変わりは無い。
シオンにとって、目の前の怪我人を手当てする義理は無い。本来なら放置すべきなのだろうが、仲間の行動や怪我人を連れて来た男の様子を見、そして店での出来事を思い返すうち、何故か、そうすべきではないと感じた。
片手に持っていた杖を構え、横たわる怪我人の側に近寄れば、先端の水晶玉を一番重いと思われる傷__右胸から左腹にかけて斜めに入った斬り傷の上に掲げ、呪文を唱える。

「…少し、邪魔する。……生命と癒しの精霊よ、悪しき者の牙に掛かりて、肉体傷付き、命薄れし者に、汝らの慈愛と恩寵を以て、我に治癒の力を与え給え__W治癒魔導(ヒール)W!!」

呪文を唱え終えるか終えないかの瞬間に、水晶玉が緑色に優しく輝き、暖かな光が怪我人__基アトラスに降り注ぎ、徐々に痛々しい傷口を癒していく。流石に完治とまではいかないものの…生命に危険が及ぶ心配は殆ど無い状態にはなるだろう。

「……多分、これで大丈夫。後は安定した場所で安静にさせればいい…と、思う。さあ、皆。酒場にいるかもしれない敵の首でも刎ねに行こうか」

魔法を掛け終えた後、アトラスを連れてきたオーサカに向けてそう告げると、フェルディとアルカに向けてやや物騒な台詞を口にする。
このタイミングでこんな冗談を…、と思うかもしれないが、少なくとも半分は本気であることは、彼の発した剣呑な声音が物語っていた。

>フェルディ、アルカ、オーサカ、アトラス、ALL

2ヶ月前 No.54

フィリ @yuzuriha16 ★FhVuKibund_lXe

【アルカ/外】

さて、いざゆかん依頼遂行の旅へ、と外へ足を踏み出した直後だった。
騒然となる店内。次いでバタバタと騒がしい足音。
実に様式美めいたというか、お約束な言葉の逆転現象を
引っさげて現れたオーサカにアルカは小さな欠伸をもって応じる。
が、事はオーサカの能天気な発言に反して、思った以上に深刻そうだった。

『へんたいへんたいへんたいへんたい……
変態な事が起こったでぇ! 喪前ら!! 从´ワ`人キリッ』

「酒場に、変態……腹踊りを始めた人でも出たんですか?」

いつもの調子で答えたアルカの視線は、一瞬でオーサカの腕の中に釘付けとなった。
血まみれの、女性。一体なにがあったのかとか、この女性は誰なのかだとか、
そんなことはどうでもいい。ただ一つ、思うことは。

(中にこんなことを平然としでかすような人がいる、ということですよね)

ヴェール越しのアルカの赤い眼がすっと冷たい色を帯びる。
コキコキと首を鳴らした彼女はおもむろに背中の荒布に
グルグル巻きにされた重そうなブツに手をかけた。
はらはらと自重で解け落ちた荒布を自身の右手を保護するかのように
巻いていくと、ついにその中身が露となる。
二人が傷ついた女性の介抱をするのを確認したアルカは、
気色ばむシオンに本気か冗談か
分かりづらい言葉を漏らした後、ためらいなく酒場のドアへ向かって駆けた。

「首を刎ねるまではいかないにしても、あばらの2、3本くらいならポキっとしてもいいと思います。
………冗談を言っている場合じゃなさそうですね。
ナインゲート・ハンダー…第一形態、レギュラーアイゼン」



【アルカ/外⇒酒場兼宿屋・希望】

酒場のドアを開け放つと同時に、緑色の刀身が露になったかと思いきや、
光に包まれたそれは無骨な飾り気のない銀色の大剣へと姿を変えていた。
細身の腕に似合わず、あぶなげなくそれを構えたアルカは、ラクロアの横に並び立つ。

「旧友との再会……という雰囲気ではなさそうですね。しんがりは任せて下さい」

まるで外敵と自分とを隔てる壁のように
巨大な剣を体の前に突き立てたアルカは、もうもうと立ち込める濃煙の中へ目を凝らす。
すでにラクロアは敵の位置を特定できているのか、視線が砂煙のある一点を見据えたまま放さない。
ドアから漏れ聞こえてきた声から察するに女の人に怪我をさせたのも、
店をこんな有様にしたのも十中八九、あの集団に間違いないだろうが、念のため聞いておく。

「ひょっとして貴方達は……えっと…」

あれ、名前なんだっけ。確かワ…ワ…ワなんとかだったような。

「ワッショイ一味さん?」

このシリアスを一気に弛緩させるこの性格は、もはや天性のものなのか、
ボケなのか本気なのか分かりづらい顔でアルカはこてんと首をかしげたのだった。

>ラクロア、オーサカ、アトラス、フェルディ、シオン、ALL

2ヶ月前 No.55

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【 フェルディ / 酒場兼宿屋・希望 】


先立ったアルカに続いて酒場の入り口をくぐり抜けると先程まで穏やかに過ごしていた場の雰囲気は一変して人々の恐怖で満たされていた。
アンバーな瞳を凝らして立ち込める煙の中を歩み進めて行くと、ようやく自らの足場を確保することが出来た。
前方にはラクロアとその隣を一番取りでアスカが陣取る形となっていた。


「宴会に間に合ったか? 俺も混ぜてくれよ。」


ラクロアの元へ戻ってくるなり半分冗談混じりでそんな皮肉めいたようなセリフを送った。
そして、なるべく前線に立つ二人から近過ぎずさほど遠くもない距離を保ちながら敵との間合いを図る。
弓を握り片方の手はそっと矢羽に触れる。さて、この空間をどのように処理するかが勝敗の分かれ道だ。
ゆっくりと横へ移動しつつ敵の出方伺う。



「この騒ぎを起こしたワッショイの諸君……お前たちの首をシオンが刎ね、肋の骨2、3本をアルカが頂くそうだ。 まぁ、それが嫌ならおとなしくお縄を頂戴致せ……と言ったところだ。」


ワイヨーなのかワイヨなのか、正直どっちが正しのか分からなくなっている。一文字しか合っていないアルカのボケに胸を張って再びツッコミを入れる事は出来なかった。
素直に敵が従うかどうかなどは結果は目に見えて入る。それどころか話をまともに聞いているなどそんなはずもないだろう。
心臓に悪い方や小さなお子さんを持った親御さんたちたいしての細やかな気遣いのつもりで言ったのだが、しかしながら煽り文句としてはなかなかの効果があったようにも思えなくもない。
“止めはしないが子連れの客も中にはいるだろうからトラウマを植え付けるような無茶はするなよ ”ぐらい二人に言っておけばよかったかもしれない。


>>ラクロア、アルカ、シオン、allあけおめ!

2ヶ月前 No.56

ラクロア:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【ラクロア 酒場兼宿屋・希望 】

「気を付けろ、先程オーサカが引き摺ってきた怪我人を見ただろうが彼も以前は中々の腕を持つ傭兵。そんな彼を倒した相手だ、舐めてかかると痛い目に遭うかもしれん」

続々と先程の若者達が店内に戻ってきては自分の知り合いが倒された事及びその知り合いがそれなりに強いにも関わらず敵に倒されてしまった事を伝えて注意を促す。
そして舞っていた砂埃が徐々に消えていくと、厨房の壁の向こうには黒い巨体の影があり空いていた穴からは通れず手にしていた武器で荒々しく壁を殴り崩させると数十人の子分とその姿を現した。

「そうだ!俺達ぁ!」
「泣く子が黙らずもっと泣く!」
「あワッショイ♪あワッショイ♪ あワッショイ一味♪ ってやらせるなボケぃ!! 俺達がワッショ……ワイヨー一味だ!」

子分達がコミカルな紹介をしてくれるなか、ラクロアはその親玉であろう男を観察する。
全長2mはあろうスキンヘッドに黒い髭を生やしたその男、腕の太さは分かりやすく言えば電柱に例えれば分かりやすいだろうか。
如何にも強面のその男こそ、この酒場を襲撃しラクロアの友を傷付けた男、ワイヨ―である。

(……10年前とはまるで別人、鍛え続けた?……それとも)

「おい、……そこのサングラスの男。アトラスは何処に行ったんだ……」

10年前にとある用事でこの街を訪れた時、一度だけラクロアは彼を倒した事を思い出していた。
一味の頭である事は間違いなかったが身長は今よりも低く筋肉も吃驚するほど無く鍛えていると言う感じではなかった、戦いのノウハウを知らぬチンピラとノウハウを知っている傭兵との戦いなど結果がどうなったかなど聞かなくても分かるだろう。

「私の仲間が安全な場所に連れて行ったよ。……久しぶりだな、ワイヨ―。……私の事を、覚えているだろうか…?」
事実、オーサカがどこの安全地帯にアトラスを運んだかは知る訳がなくただワイヨ―にそう教えると、特に煽る事もなくラクロアは静かに久しぶりの再会の言葉を相手に伝える。
先程自分の声に反応を示していたのならば少なからず自分に倒された恨みでもあるんのだろう。

「その声……10年前のアトラスの連れか……。だが雰囲気が全くの別人だな……特に口調……そんな話し方をしていたのか…?」

「……10年前お前を倒した時は私はただの若造に過ぎん、10年あれば性格も口調も変わるのさ……いや、変わらざるを得ない事を学び、経験したと言うべきか。…君もそうだろう、10年間で随分と身体を鍛えた様子だが、はてさて……本当にそれは「鍛えた」のだろうか。 どうせ帰れと言っても無駄なのだろう? 本来ならば戦闘はしたくないが、今回はアトラスの仇を取らせてもらう。それに、お前は依頼対象者らしいからね」

自分が変わった事を告げ、相手にも何等かの疑いを掛けつつも足元に転がっていたデッキブラシを手に持つと、ラクロアはブラシの先端を相手に向けた。
まるで「次こそは完全に掃除をしてやる」と、笑みを見せつつもその瞳はサングラスによって隠されている。だが隠されてても何処となく分かる、真剣な眼差しで自分を睨んでいると……。




「……殺れ、この場に居る全員を殺すんだ!!」

「さて、若者諸君達! 君達の力量、このラクロアに見せてくれたまえ!」




【あい、ワッショイ一味もといワイヨ―一味との対戦が始まりますた。(´ワ`) 暫くは子分戦で好きに暴れて倒してくれて構いませんYO】>ALL

2ヶ月前 No.57

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【シオン/外→酒場兼宿屋・希望】

アルカ、フェルディと続き先程の酒場へと戻っていく仲間たち。少々出遅れる形にはなったが、シオンも早速酒場へ向かうために走り出す。
二人に比べれば、シオンの素の足の速さは人並み前後であり、戦士としては鈍足とも取れるスピードであるため、走っても立ち止まっても二人との距離は引き離されてしまう。
だが、問題はない。走って行けばどの道酒場に辿り着き、敵を狩__基捕縛すれば良いのだ。

(…それにしても、あの店から尋常じゃない気配を感じる…。例の装備品が関わっているのかな?それとも__)

走りながら考え事をしていると、突如前方から奇妙な人影が現れる。数は三人ほど、それぞれ別々の武器や防具を身に付けており、服装としては一般的な賊(雑魚)のようなものである。
三人の人影はジリジリと、走るシオンの方に近寄ってゆく。そして何かを呟くように口々に喋り始めた。

『ヒッヒ……お前〜、冒険者だろぉ?金目の物、ぜ〜んぶ寄越しなぁ…』
『俺たちゃ、こーんな素晴らしいモンを手に入れたんだぜぇ?これさえありゃあ、おめーなんてイチコロよぉ』
『嫌とは言わせねぇ…何せ、俺らはワイヨーお頭の__』
「邪魔」

何か重要な言葉を口走りかけた連中に一言だけ言い放つと、そのまま連中の間をすり抜けるようにして走り去る。
__直後、一人の腕が、もう一人の足が、更にもう一人の手首が、それぞれ音も立てずに持ち主の体から離れ、宙を舞った。

『____ぎゃあああぁあぁぁあああぁぁぁあああ!!!??!』

背後から聞こえる悲痛な絶叫に目もくれず、シオンは無言で酒場へ到着した。

『おい、……そこのサングラスの男。アトラスは何処に行ったんだ……』
『私の仲間が安全な場所に連れて行ったよ』

入口の扉を開け放った時、目の前には、ラクロア、隣にアルカが並び立ち、その側にフェルディが弓矢を構え警戒している。そしてその視線の先には、スキンヘッド&髭面の巨体の男が立っている。
シオンが到着したのは、ラクロアがその男と会話をしているタイミングで、シオンはスタスタとラクロアとアルカの間に割って入るように立ち止まると、ラクロアに続くように口を開く。

「…あの人を怪我させたのはお前か。……あの人の怪我は、僕とフェルディで手当てした。多分、死ぬことはない」

会話の内容からアトラスを負傷させたのは目の前のスキンヘッドだと判断し、先に思考した言葉を口走り、次に先程アトラスは自分たちで手当てしたことを伝える。フェルディの名を言っても相手方には分からないかもしれないのに、彼の名をそのまま用いたのは、決してわざとではない…。
深く被ったとんがり帽子の影に覆われた双眸は、彼が今何を考えているかを判断させない色を帯びていた。

戦闘開始の音頭と取れる言葉がスキンヘッドとラクロアから放たれると、先程立てた作戦通りに、シオンは杖を構え、仲間の後方へ移り、早速詠唱を開始する。

「…お前たちは捕縛依頼を受けているから、手加減はするけど……無理だったら、大将首だけ持って帰るから。
__歴戦の英霊、闘争と鼓舞の精霊よ、迫りしかの仇敵に抗い、恐れを断ち、討ち滅ぼさん力を、心を、今こそ我が同胞の身に宿さん__W勇士の鬨声(ブレイブス・バトルクライ)W!!」

>ALL

【あ、相変わらずセンスねぇ呪文…((((
シオンが最後に詠唱した魔法は、所謂攻撃バフ系の魔法です。味方全員に効果がありますが、掛かった相手の適性により個人差がありますので、どのくらい強くなったかは皆様の判断にお任せします(((】

2ヶ月前 No.58

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【 フェルディ / 酒場兼宿屋・希望 】


戻ってくるなりピリピリとした雰囲気をどうにか誤魔化せないかと思い至り、ここらでジョークをひとつ。
そんな下らないことを述べた後ラクロアからピシャリと指摘受けてしまった。


「分かった。肝に命じておこう。 それと、なかなか強そうな武器だな。一つ欲しいがどこで手に入るんだ?」


気をつけろと言っておきながら当のラクロアはデッキブラシを構えて敵に挑もうとしていたところそんな素朴な疑問をポツリと一言。

砂埃が舞う中で、奥の方から荒々しく瓦礫を押し破りようやく姿を現した親玉と思われる大男とその子分達。
『ワッショイ』の掛け声でこちら側のボケにたいして
丁寧に喰い着いてそれに一旦乗っかった後にツッコミを入れるテクニックを披露してくれた。
親玉なんかより子分達の方がちゃんと話をすれば分かってくれるんではないかと、そんな気さえ起こさせた。
要するに憎めないキャラといったところだろうか。


「なんでお前らみたいなユニークな連中がそんな男の元で働いてるのか不思議でならない。 金か?それとも脅されて仕方なく着いてるだけなのか?」


オーサカによって店の外に運び込まれたアトラスの傷からしても店の破損具合から見てもあの大男が一撃でやったものであるのは間違いない。
あの電柱のような腕を持つ大男に向けて弓で射抜いた矢が刺さることはあっても大したダメージを稼げるかは分からないが、ちょこまかと騒がしい子分達ならうまいこと急所を当てることが出来れば一撃で始末する事は容易い。しかし、出来ればそうはしたくない。

途中から戦場に参戦してきたシオンがラクロアとアルカの間を割り込み宣戦布告を唱えると続いてフェルディも後に続くように付け加えた。


「あの大男は許さない。 だが、お前たちが謝って店の修理とここのお手伝いをするならこの矢が無駄に放たれる事はないぞ。」


上手く行くかどうかは分からないが子分達の注意を惹きつけられればそれで良かった。
弓を構えて二の矢三の矢を放つと、後ろへ下がったシオンの魔法が放たれた。
子分達の頬すれすれにかすめる程度でよかったのだが、シオンが放ったデバブによって子分達に当たりはしなかったものの矢は壁に刺さるどころか貫通して爆発のような音を奏でながら消えていってしまった。アレを回収するのは不可能に思えた。


「これは……加減が難しいかもな……。」


再び矢を数本ほど矢筒から引き抜いて手に持つ。
弓の弦をきつくきつく引き伸ばしていくと、 今にも切れるぞ切れるぞと脅しをかけてくるかのようだ。


>>ラクロア、シオン、アルカ、all

2ヶ月前 No.59

フィリ @yuzuriha16 ★hn2llKO88N_lXe

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

2ヶ月前 No.60

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

2ヶ月前 No.61

ラクロア:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【ラクロア 酒場兼宿屋・希望】

「おっと危ない、ん……壊れてしまったか……」

背後からシオンを棍棒で狙う子分の足をデッキブラシで振り払い、床から離れ宙を舞う相手に回転させた勢いのある棒術で薙ぎ払うとラクロアはシオンの危機を救う。
しかしあまりに勢いが良くデッキブラシの耐久度が耐え切れずに折れてしまい、ラクロアは床に転がっていた客が座る用の四つ足のついた木製の椅子を片手に持つ。

「シオンとやら、加減をしているつもりだろうがもっと加減してやりたまえ。生活に支障が出ては例え彼らが悪人であっても気の毒だ」

シオンに注意を促すと敵が中距離から銃を両手で構え、ラクロアに向けて発砲されつつも椅子で受け止めつつ尚且つ貫通を防ぐ為に面積の広い座る場所で受け止め尚且つ椅子の足に弾丸が通る様に受け止めると有り得ないような顔をする子分に椅子を投げつけるとその場に居る負傷者全員に呼び掛けた。

「手負いの者は早く戦闘から離脱する事を強く勧める、四肢など切断された者は自分の服を破って布で圧迫止血した後にビニール袋に切断された部分を入れて水が漏れないような物に氷水を入れていくんだ。幸い此処は酒場、ビニール袋も飲み物に入れる氷も揃っているはずだ。モタモタしていると接着しなくなるぞ!」

四肢などを切断され床にゴロゴロと転がっていた複数人の子分を起こしてやれば厨房に行くよう説明をし、斧を振り下ろす敵の攻撃を避けると同時にまた床に転がっていた椅子の足を持ち振り上げつつも敵の顎にクリーンヒットし撃退をする。

「私に攻撃を仕掛けている暇があるなら、仲間の救出を手伝ったらどうなのだ!……ぐっ!?……ッ!!」

仲間よりも自分達に攻撃を仕掛けてくる事に対してどのような教育をしたのかとワイヨ―に視線を変えようとした時だった、巨大な棍棒が自分の脇腹へとヒットし攻撃を仕掛けたのがワイヨー本人と分かるも既にラクロアは酒場の壁に激突し、その攻撃力が凄まじい威力を物語るように1軒、2軒の壁を突き抜け最終的には酒場の壁から目視出来ぬ12軒目の家の壁を突き破り瓦礫の中に埋もれてしまった


「馬鹿が……敵の心配なんざしやがって、口調も変われば性格までも変わっていやがる。……にしても流石に高い金を支払って手に入れた「能力」だぜぇ……」
ドンッ!と棍棒の先端を床に突き入れ、ワイヨーは自分自身の変わりように不気味に笑みを浮かべその掌を眺めていた。

2ヶ月前 No.62

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【 フェルディ / 酒場兼宿屋・希望 】


突然酒場に湧いて現れたワイヨー一味によるおもてなしを受け、皆それぞれ自分が出来ることに力を注ぎ迎え撃つ。
アルカは次から次へと楽しみながら迫り来る子分達を跳ね除け、シオンも魔法を使い派手に蹴散らしていく。
フェルディは床に散らばった瓦礫の一つ拾い上げるとシオンの背後を取った敵の頭に命中させるため振りかぶろうとした。しかし、ラクロアの姿が目に入り途端にその動きを停止させた。

敵を配慮してか致命傷を負わせないためにラクロアは未だに剣を引き抜こうとはしなかった。
四つ足の木製の椅子を拾い上げると同時にシオンに向けられたセリフが何よりもそう考えせざる終えない。
彼がそうしたくないと言うのであればフェルディは片方の手に握られた弓を静かに収め、代用できそうなものを物色し適当に手に持った。

騒動の中で厨房から飛ばされてきたと思われるフライパンの柄を握り酒場に流れる弾丸を見切って受けては弾きながら中腰の姿勢で移動し始めた。
無言で窓際まで近づくと、まずはカーテンを持てるだけくすね取る。次にゴミ袋や調理用に備えてあったポリ袋などをかき集めたが敵の目をかいくぐり氷を回収するまで容易ではなかった。
どうにかして敵の目に触れずには済んだものの、問題は手負いの者を手当てをしている間に大きな隙を敵に与えてしまうということだった。
フェルディはもちろん手当てをする前に手負いの者をテーブルの陰に寄せるなどして死角になりうる範囲内で無言のまま処置を始めた。

流石に全員分の布を自らの服を使って処置するわけにはいかなかったのでカーテンを細くナイフで切り裂き、あとはラクロアが唱えた応急処理のやり方をアサシンの如く軽い身のこなしで素早く施していった。


>>ラクロア、アルカ、シオン、all

2ヶ月前 No.63

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【シオン/酒場兼宿屋・希望】

詠唱中、背後で誰かが打撃を受け倒れる音声が耳に入る。詠唱を一旦止め、素早く振り返ってみれば、ワイヨーの子分が蹲るようにして倒れており、その側には壊れたデッキブラシが転がり、さらにその側でラクロアが得物を店の椅子に変え、シオンに忠告した。…どうやら、彼に我が身を救われたらしい。

「…何で、手加減する必要があるの?敵対する奴らは、徹底的に攻めていった方がいい」

しかし当のシオンはラクロアの忠告に無表情で(ただ純粋に疑問を呈するように)そう返すだけで、もう少し加減して戦おうとは思っていないようだった。
皆との交流の中ではあまり見えなかったが、シオンとは元々そういう奴なのだ。攻撃されるからやり返す、相手が自分を殺そうとしてくるなら自分も相応の対応をする、やられる前にそうできないレベルまで痛め付ける__今まで生きてきた経験上、そうする方が自分の身の為になる。無論今回の依頼は捕縛優先なので、死なない程度には加減しているが。
そして、シオンが鎌で攻撃している最中に四肢を切られていたらしい(?)子分共に対して適切な治療法を叫ぶラクロアに更に疑問を浮かべるように首を傾げるも、フェルディが早速治療を始めたのを見ると、一瞬の逡巡の後に杖を構え直した。

「…一応、無力化は成功してるし…いいか。W詠唱者防御魔導・軽(セルフ・ディフェンス・ライトW」

再びの短い詠唱により、青色に輝いた水晶玉から溢れ出した光が、シオン自らの前身を包み込み、染み込むようにして馴染んでいく。これで一定時間は多少の物理攻撃に対して強くなった。この上で未だに襲い掛かってくる子分共の攻撃をいなし、時に杖でカウンターをキめつつ安全な場所を目指す。
その時だった。

『……ぐっ!?……ッ!!』
「ラクロアっ……!」

ワイヨーの得物がラクロアの脇腹にクリーンヒット、その勢いで彼は酒場の壁を突き破り、彼方へと真っ直ぐに吹っ飛ばされてしまった。
それを見て反射的に駆け出そうとした直後、吹っ飛ばされたラクロアにより壁に空けられた大穴の前を塞ぐように複数人の子分共が目の前に立ち塞がる。

「……邪魔…。でも、仕方ないか……」

無表情ながら僅かに苛立った風に呟いたと思えば、被っていた帽子を少しだけ浮かし、中に控えていたルーチェにボソボソと何かを指示する。

「…頼んだ」
『キュ!』

そして、シオンの帽子から抜け出し、床に着地したルーチェは、子分共の足の隙間を縫うようにして素早く駆け出し、壁の穴を抜け、ラクロアが埋まっている瓦礫を目指し走り去っていった。

『あ゛っ!?オイコラ待ちやがれこのチビ助__』

図らずも逃がしてしまった小さな獣を追いかけようと背後を振り返った瞬間、その子分の喉笛ギリギリに、赤く湾曲した刃がピタリと添えられる。

「…お前の相手は、僕だ」

既にぶん殴って気絶させたらしいその他の子分共を背景に、目の前の子分の首筋に鎌の刃を当て、冷たい眼光を放ちながら、シオンはそう呟いた。

「……事が済んで、君が生きていたら、色々聞きたいんだよね…。君の親分が何処でWあんなものWを手に入れたのか__とか、ね」

>ALL


【ルーチェ/外】

酒場を出て、一目散に走り、暫くすると、突き破られた家の壁にこんもりと盛り上がる瓦礫を発見し、その前まで駆け寄る。

「キュー?キュン!キュン、キュン!」

そこにラクロアの姿は無く、普通なら見逃してしまいそうだが、真っ直ぐに突き破られ、無残に破壊された数々の建物の終着点であり、彼がこの中に埋もれていては一大事であるという考えから、小さなルーチェは何度も高い声で瓦礫に吠え続ける。

『もしかしたら、ラクロアは何かに埋まってるかもしれない。…その時は、助けてあげて』

酒場から出る前に、シオンから言われた言葉。彼の願いを聞いた以上、あの人を助けずにはいられない。

「キュー!……キュー…」

やがて鳴き疲れたのか、吠えるのをやめるルーチェ。彼はこの中にいるのだろうか、生きているのだろうか?そう考えても彼を引きずり出せるほどの力はルーチェには無く、途方に暮れるように暫くその場で佇む。

>ラクロア、ALL

2ヶ月前 No.64

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★02ubZwIff8_lXe

【アルカ/酒場兼宿屋・希望】

ドカン!と、馬車が家に突っ込んだような大きい音に、
はっと音の聞こえたほうに顔を向けると、そこには大きなトンネルが出来ていた。
ついでにラクロアさんの姿もない。
あの短い悲鳴はたぶん彼のものだったのだろうと遅れて理解が追いつく。
それにしても、えげつない。あれもう家じゃなくて通路と呼んでいいレベルですよね。

「えいやっと。どっこいしょー」

『ヒュギ!?』『ナァァァン!?』

意識をそちらに向けながらも子分の悲鳴の連鎖は続いていく。
空の旅へご招待した子分の数が10を超えたあたりで、こちらにお鉢が回ってきた。
ラクロアさんの指示で素早く傷ついた子分たちを手当てしていくフェルディさん。
棍棒の強打を受け、数軒先へ消えたラクロアさんを追って大穴の開いた壁に向かうシオンさん。
そうなると、必然的にアルカが目指す先は一つに絞られる。

(いちばん面倒くさそうなのが残りましたね)

それは頭(かしら)の追撃を許さないこと。

「しんがりはこちらに任せてラクロアさんの救出と、子分さんの救助に専念して下さい。こっちはなんとかしてみます」

こちらを頭目に近づけさせまいと、無謀にも挑戦してくる子分の波を天井へと打ち上げながら、
アルカは徐々に棍棒を突き立て上機嫌に笑うワイヨー一味の頭目へと近づいていく。
やがて互いの得物が届く間合いまで近づいたアルカは自分よりはるかに背の高い彼にぼんやりとした視線を送った。

「随分と臆病なんですね。えっと………ツルツルマッチョさん」

左右から迫ってきた子分二人組みを剣の腹を使った横薙ぎの殴打で
壁へと弾き飛ばしつつ、アルカは器用にも首を傾げてみせる。
しかし、相変わらずの空気の読めなさだった。
ワイヨー一味を名乗っているのだから、頭目の名前がワイヨーだと分かりそうなものなのに、
アルカは迷った末に、自身の微妙なネーミングセンスに頼る道を選んだのだった。

「一人を倒すのに、こんなに子分を引き連れて。
その『能力』というのがなんなのかわかりませんけど、
せっかく強い力を手に入れたのに不意打ち気味にラクロアさんを攻撃するのが、いかにも小物っぽいというか…」

うん、素直に思っていることを口にしただけだけど、
この安い挑発は相手の注意をこちらに引きつけるという目的もあったりする。
けっして、彼のいかにもな盗賊的ビジュアルに
ちょっと悪戯心がうずいたとかそんなことはない。ないったらないのだ。

>ラクロア、シオン、フェルディ、ALL

2ヶ月前 No.65

ラクロア:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

「よっこらせと……ふふっ、この歳でよっこらせか……私も老いてしまったものだな。」
瓦礫に埋まっている中、久しぶりの攻撃により受けた箇所を手で押さえつつもキューキューと言う鳴き声に反応し、岩や木材の中から立ち上がると無意識に口にした言葉に自分自身笑ってしまった。
10年前にワイヨ―が能力を手にしていたら、あの時今の攻撃を受けていたら間違いなく自分は殺されていた。昔の自分は唯の人間だったから……。

「さて、そろそろ幕引きと行こうか。個人的にも立場的にも事をこれ以上大きくしたくはない」
自分を心配してきてくれたのだろうルーチェを抱き上げては、ラクロアはゆっくりと歩き始め酒場へと向かっていった。





【酒場兼宿屋・希望/ ワイヨ―VSシオン アルカ フェルディ】

「こ、こいつら強い!手も足も出やしねぇ!」
「おい!勝てないと分かったのならこっちの怪我人を……ぎゃああ!」
「お、親分!? ぐはっ!」

既に大勢の子分達は戦意を消失し始めており手負いした仲間の手当てなどをしていた矢先だった、何故かワイヨ―が子分達を大きな棍棒で叩き伏せ始めたのだ。
その様子は先程とは異なり、「フヒューッ!フヒューッ!」と息を荒くし全身に汗を流し始め黒目は無くなり白目をむいている状態と言えば想像しやすいだろうか。

「や、やっぱりあの薬が悪かったんだ!売った奴が言ってたじゃねぇか!「薬がその身体に適合しなかった場合は思考力が著しく低下する」って!元々親分は頭が悪いのにもっと悪くなっちまったのか!?」

暴走し始めたワイヨ―を恐れ、怪我を負った仲間を店内から引き摺って子分達は逃げ出すとついに店内にはワイヨ―とシオン、フェルディ、アルカの4人だけとなった。

「バ、馬鹿な事を言いやがル……絶対的に支配できる能力ヲ手に入れた俺は……無敵なんだよ!!全員捻り潰してヤるぞ!!」


そこらじゅうの身体から血管が浮き出ては何もせずとも自滅の道を辿るのではないかと思うワイヨ―の豹変、自らを奮い立たせるために床に棍棒を殴りつけると店全体が大きく揺れる。
その揺れが鎮まるも、何故か4人から少し離れた掃除用具入れのロッカーがガァータガタガタガタと恐れるように震え続けていた。

1ヶ月前 No.66

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【 フェルディ / 酒場兼宿屋・希望 】


アルカとシオンが敵の注意を引きつけてくれている間に床に転がってるワイヨの子分達を一通り見て回ることができた。
仲間よりもこちら側にに攻撃を仕掛けることを優先し続けたワイヨの子分達が一目散に散り散りと逃げ去っていく。
我が身可愛さのあまりか人を押しのけ去っていくそんな情けない姿を見せつけられて「どういたしまして。」と、堪らず閉じきった口を開いた。

ラクロアの手順通りできたのは二人がいたからこそで、ここまで支持通りの介抱をすることはできなかったかもしれない。


「おおかた手を尽くした。二人ともありがとう。」


やれやれと言った風に二人の元へ戻ると手首に若干付着した子分達の血を残りのカーテンの拭い去り丸めてその辺に投げ捨てた。
崩れてしまった陣形を再び形成しつつ今置かれた状況を把握し、態勢を立て直していく。
どうやら子分達は親玉を残して逃げ去っていったらしく残されたのはフェルディを含めた三人と、その親玉だけとなった。
すっかり人も殆ど居なくなり、もぬけの殻となった店内ならば今度こそ行く手を遮る者に邪魔されることなく本当に倒さなくてはならない相手と対峙しあえるまで漕ぎ着けた。


「……うっ。」


棍棒を床に叩きつけて自ら奮い立たせるさまはまさに野獣のようで最初の見た時とは明らかに豹変しきっていた。
叩きつけられた棍棒によって地が揺れはじめると思わず小さく声を上げて蹌踉めくと引きぬくはずの弓に手をかけ損ねてしまった。
近くのテーブルに手をついて転倒は免れもう一度相手を見据えるとどういうわけか息も絶え絶えと血管を浮き立たせてて鬼のような形相をしたスキンヘッドの男はどことなく震えると言うよりは攣をしていたようにも見えた。
それまでの生き方、人生の功績に関わらず病と死の苦痛は誰しも公平にやってくるが、彼を楽に死なせるものかと見えない何者かが背中を擦っているようにも見えた。

もちろんフェルディ自身いくら同情心に駆られようともこの男にささやかな眠りを送るつもりはなく
再び弓を手にしたフェルディは矢を一本、二本、三本、と膝、足、肩に当たるように射抜いた。


>>スキンヘッドの男、アルカ、シオン、ラクロア、all

1ヶ月前 No.67

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【ルーチェ/外】

ガラガラと崩れたように岩や木の枝等の積み重なった瓦礫の中から、「よっこらせ」という軽い掛け声とともにラクロアがひょっこりと現れた。
先程の攻撃で傷付いたのだろう箇所を手で押さえているが、元気そうな姿の彼を視界に収め、ルーチェは嬉しそうにピョンピョンと飛び跳ねる。

『さて、そろそろ幕引きと行こうか』

そう語るラクロアに大人しく抱き抱えられ、ルーチェは彼と共に酒場へと戻るのだった。

>ラクロア


【シオン/酒場兼宿屋・希望】

一人の子分を捕らえているシオンの背後で、大剣片手に幾多の子分共を吹き飛ばし、前進していくアルカ。
そして怪我を負った一味の子分共を手当てし終えたらしいフェルディから、シオンら二人へ礼を言われる。

『おおかた手を尽くした。二人ともありがとう』
「…元々、僕がやり過ぎただけだし……お礼は、いいよ」

手当てに使ったらしい血で汚れたカーテンを丸めるフェルディに、固まったままの子分の首筋から鎌をゆっくりと離しつつ、シオンはそう返す。自分が敵に容赦をしなさ過ぎたためとはいえ、仲間に手間を掛けさせてしまった。このお詫びはいつかしよう、とシオンは心の中でそう思った。
そんな中、アルカが頭目であるワイヨーを『ツルツルマッチョさん』と呼び、挑発するように立て続けに(半ば主観も入っていそうな)正論を並べ立てていく。
その様を、ワザと相手を怒らせてカウンターでも決める気か、とシオンは捕らえた子分の襟首を掴んで考える。その矢先のことだった。
シオンら三人に怯え、退散しようとする子分共の一部を、その大きな棍棒で叩き付けた者がいた。ワイヨーである。
何事かと彼を見遣れば、まるで薬物か過剰な防衛本能か何かによって脳みそがイカれた獣のように、全身に青筋を浮き上がらせ、白目を向いて荒い息を吐き出し続けている。明らかに異常だ。
その有様を見て怯えた様子の子分から、Wあの薬Wという気になるワードが飛び出す。まるで自分が追ってきた呪われた装備品のような代物だ。

「…おい、その薬ってだれから__」
『ひっ、ひぃぃいいい!!』
「あっ…」

あろうことか自分たちの頭目に怖気付いて逃げ出す彼らに薬のことを尋ねようとするが、他のことに注意が向いて手の力が緩んだのか、その隙に捕らえていた子分も猛スピードで逃げてしまった。追い掛けようと思ったが、すぐに首を振って諦める。

「…もっと大事なターゲットがいるから、いいか…」

酒場の出入口や壁の穴等から散り散りに逃げていく子分共を横目に、再びワイヨーに視線を向ける。
もはや言語にも異常の兆しが出てきている彼は、アルカの挑発に乗ったか否か、『俺は無敵なんだよ!』と返すと、自らを鼓舞するように棍棒を床に突き立てる。あの巨体から繰り出される一撃は当然大きな衝撃を生む訳で、まるで地震のような揺れに、流石のシオンも体勢を崩されそうになる。

「っ……」

それでも杖を床に突き、全身を支えることでなんとか振動に堪える。
子分が口にしていた薬物の内容からして、これ以上放置してはワイヨーの頭は使い物にならなくなるだろう。別に楽にしてやっても良いが、どうせなら駄目になる前に無力化して警察に突き出してやる方が得策に思えた。

「…お前、これ以上暴れると頭も心も獣以下になる。大人しく捕まって貰おうか。
…アルカ。その剣は呪いを無効化する力があるんだよね?こいつは薬の所為でおかしくなってるみたいだけど……何とかならない?」

改めて標的を確保する決意を固めるように杖の先端を相手に向け、一方でアルカに剣でワイヨーをどうにかできないかと尋ねる。今のところ呪いの装備品らしきものを持った輩は殆ど見ていないが、彼にも呪いのようなバッドステータスが掛かっている可能性を踏んでのことである。
フェルディがワイヨーに矢を数発お見舞いしているのを見遣ると、これで止めにしようと考え、今までと同じように、杖を構えて詠唱を開始する。

「どれくらい効果があるか分からないけど、僕も無力化してみる。……回帰と解(ホドキ)、鎮(シズメ)と眠りの神霊・精霊たちよ。我に立ち塞がりし愚かな者、その身に余る力を奪い、その心の狂気を鎮めよ__W×××・××××W!!」

>ワイヨー、アルカ、フェルディ、ALL

1ヶ月前 No.68

フィリ @yuzuriha16 ★LqMScYMxKl_lXe

【アルカ/酒場兼宿屋・希望】

突如、焦点のあっていない目になり、荒い息を吐き始めるワイヨーの頭目。
かと思えば、敵と味方の判別すらつかない無差別な攻撃によって子分を巻き込み自らの力を誇示し始める。
ああ、貴重な芸人候補が、などと思うのもつかの間、なんとも雲行きが怪しくなってきた。
支離滅裂な言動から察するに、どうやらこちらの挑発に乗った、というわけでもなさそうだ。
頭目の棍棒が起こす風に揺られる前髪をうっとうしそうに払いのけながら、
アルカは無骨な大剣の柄を力を込めて握りなおし腰を低く落とす。
と、ここで聞き覚えのある声が耳を掠めた。

『…アルカ。その剣は呪いを無効化する力があるんだよね?
こいつは薬の所為でおかしくなってるみたいだけど……何とかならない?』

『おおかた手を尽くした。二人ともありがとう。』

背後にもはや馴染みのある三人と一匹の気配を感じ取ったアルカは、
無事な様子のラクロアにひっそりと安堵しながらも考えをめぐらせる。

(薬ということは……ここは異能の解呪に優れたルーンブラインド……?
それとも毒素の浄化能力をもつエイドブランク………駄目元でどっちもやってみましょうか)

「なんとかやってみます。フェルディさん、シオンさん、
懐に入り込まないことにはどうにもならないので、なるべく相手の気をひきつけておいてくれると助かります。
ナインゲート・ハンダー第二形態―――」

一瞬の逡巡の後、アルカはシオンの言葉に二つ返事で了承の意を伝えると、手元の剣に意識を集中させる。
すると、途端にアルカの手の中の剣が光に包まれ、シルエットが変化していく。

「―――エイドブランク」

光が消えると、細身の剣が姿を現した。
それは無駄な装飾の一切を省いた、孔雀石色の鮮やかな緑の刀身が目を引く細身の十字型両刃剣だった。
いや、少し語弊がある。形は両刃剣だが、この剣には刃がなかった。
儀礼用に使うには大きすぎ、かといって純粋な武具として用いるには
十分な殺傷能力を期待できない軽すぎる中途半端な大きさ。
切るというよりも、叩く殴るに適した切断能力皆無の形態。
見た目的にワイヨーのもつ棍棒より重量で劣るこの剣を何故選択したのか、答えはすぐに明らかとなった。

「敵視認(タリホー)。こっちです、ツルツルマッチョさん」

言うが早いか、アルカはルビーレッドの瞳と真珠色の髪がつくる
赤と銀の残像を残しながら、一直線にワイヨー一味の頭目へと突っ込んでいく。
先ほどより明らかに軽くなったフットワークで壁やらテーブルやらを足がかりに
まるでピンボールの玉もかくやといった様子でぴょんぴょんと立体的に飛び回ると
棍棒を持つ手とは逆側――ワイヨーの利き手とは反対側に降り立ち、
ヒュンと軽い風切音をさせながら長剣を彼の肩めがけて剣を振った。

>シオン、フェルディ、ラクロア、ワイヨー、ALL

1ヶ月前 No.69

ラクロア:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【ワイヨー 酒場兼宿屋・希望 】

「ぬゥ……身体が思うように……」

物理攻撃に特化した肉体は何時の間にかピークを向かい始め、フェルディの放った3つの矢がピンポイントに狙った個所を射抜きワイヨーは片膝をついて棍棒を持つ方の肩に刺さる矢を掴む。
売人が言った通り普通の思考が思うようにできなくなり尚且つ体の自由さえもおぼつかなる状態、しかも引き連れてきた部下は全員逃亡しておりその)部下達を瞬時に倒してしまう3人に勝機など有るのだろうか?


シオンの詠唱が始まりそっちに顔を向け気を取られていると先程から自分を挑発していた相手が自分が持つ得物とは反対方向に移動している事に気付くも既にアルカは攻撃態勢を実行しており別の方を強打されてしまえばその武器に見合う殴打力で机や掃除用ロッカーなどを壊しながら吹っ飛び仰向けに倒れ込む。

「く、クソォ……アトラスを仕留め損ね、ラクロアの死に顔も拝めないままこいつらに負けるなどと……!……ん?」

悔しさからか、床より上半身を起こし上げつつも圧倒的チームワークにより窮地に追いやられるワイヨー、だがこのちょっとした戦場に似合わぬ鳴き声が聞こえるとすぐにその方向へと顔を向ける。

「うぇええええん!!痛いよぉ!助けておとーさん!おかあさああああん!!あーーん!!」

鳴き声に先に居たのは掃除用具に隠れていたアトラスとその妻ラファが誰かより預かって育てていた子供、ハークだった。戦いが始まり掃除用のロッカーに隠れていたはいいものワイヨーが吹っ飛ばされた拍子にロッカーにぶつかり倒れたところをロッカーが開いて飛び出てきてしまったのだろう。

ワイヨーにとってこれはこの状況をひっくり返す好機、ニヤリと笑えば既に重量のある棍棒などは持つことが出来ず、その辺に落ちていた部下が使っていたナイフを手に取るとハークの首根っこを掴みナイフの刃をハークの喉元に突き付ける。

「うわああああん!!やだぁあああ!!助けてええええっ!」

「おいお前らッ!このガキの命が惜しかったら今すぐ武器を下して両手を上げろ!そこの詠唱している奴も詠唱を即刻止めるんだ……へへ、ヘヘヘヘヘッ!!!」

1ヶ月前 No.70

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【 フェルディ / 酒場兼宿屋・希望 】


放った矢は的に吸い寄せられるように宙を飛来し狙いどうり足や肩に命中した。
なすすべもなく、とうとうその巨体な身体を支えていた足を地につきあともう一押しで大男を捕らえることができそうだ。

誰一人として頭を思いやって店内に戻ってくる者はいなかった。
これまでの部下にたいする所業が何となくではあるが手に取るように想像がついた。恐らくあれが始めてという事でもないのだろう。


「分かった! 支援は任せろ!」


その後、敵の注意を引きつけてほしいとアルカからの要望にそう返し、そこから更にアルカによる渾身の一撃を浴びせられたワイヨーの頭は、大男でありながらその風貌に見合わずロッカーやテーブルなどの障害物を巻き込みながら盛大に吹っ飛ばされた。

唯一華奢な少女のどこにそんなパワーがあるのかとギョッとしたフェルディは吹っ飛ばされた大男とアルカを交互に見比べた。

このままのペースで敵に打ち込み続ければ根をあげるのも、もはや時間の問題だった。

シオンが呪文を詠唱している間にフェルディもワイヨの頭に次なる連射を撃ち込むための態勢を速やかに整える。
興奮しきったイノシシに声や音などの挑発が効きそうにないのは先ほどの戦いでアルカが既に実証済みである。
物理的にどうにか煽るしか方法はないだろうと思考を巡らせ再び矢筒から矢を引き抜いて構えようとしたときだった。

一体今の今までどこに隠れていたというのか、何処からともなく聞き覚えのあるような泣きじゃくる声が聞こえ、そちらに目を向ける。

ほぼワイヨーの頭と同じタイミングで目を向け一瞬目を離してしまう。
その隙に泣きじゃくるハークは大男に捕らえられ、首元にナイフの刃を当てられ、まんまと人質を大男に与えてしまった。


「クソ……。  」


大男にとって又とない勝機が訪れ、その顔は馬鹿にしたような、脅迫するような、餌物を前にして舌なめずりするような満面の卑劣な笑みを浮かべていた。
フェルディはそれらを目の当たりにすると懺悔の火に心をただらせながら言葉を吐き捨てた。

固く握られていた武器から手の力を緩めると途端に主人の手元を離れ、そのまま落下し地面に放り出されてしまった。

バラバラに撒かれた数本の矢から目を離すと、大男を睨みつけながら両手を上げる。


「言われた通りにすればハークを解放するんだろ? こっちは3人だ。人質を取ったとしてもお前に勝ち目ない。 ――どうだ、落ち着いて話し合わないか??」


言われた通りにしたくらいでは空頼みに終わるのは分かりきっている。
今できることは適当に話を引き延ばして時間を稼ぐことくらいだった。



>>ワイヨーの頭、シオン、アルカ、all

1ヶ月前 No.71

フィリ @yuzuriha16 ★utb0zLQDz1_lXe

【アルカ/酒場兼宿屋・希望】

不意打ちとはいえ、気取られずにラクロアさんに一撃を食らわせたのだから、
頭目の反撃を予想していたのだが、アルカの予想に反して、
フェルディさんの的確な矢による攻撃の後、
放たれた刃のないエイドブランクの刀身が、やすやすと頭目の体を押し飛ばした。

(消耗してきている…? なんにせよ、ここで手を緩めるわけには…)

ドンガラガッシャンと、まるで漫画のような擬音をかき鳴らしながら、
椅子や机を跳ね飛ばして飛んでいく頭目を尻目に、
僅かに身じろぎする気配を感じてアルカは背後を横目に振り返る。
気配の主はフェルディさん。お目々ぱっちり。大いに驚かれている。
ああ、はい。まぁ、そうなりますよね。自分でもここまで飛ぶとは思ってなかったんですけど。
この戦いが終わったら、また銀貨でも握らせて、
このことは黙っておいてもらうようにお願いすることにしよう。変な噂が立っても困るし。
そんなことをぼんやりと考えながらも、アルカは再び手元の剣に意識を集中させる。

「ナインゲート・ハンダー……第五形態、シーンホワイト」

剣のシルエットが直線的なものから左右から複数のL時型の枝の生えたような刀へと変化する。
戦いのダメージによって僅かにひび割れた床をギシ、とたわませたアルカは
倒れた頭目に追撃を与えようと駆け出そうとしたが、その足に急ブレーキをかけた。
理由は明白、頭目が握り締めたナイフの先――軽く力を入れただけで指が沈みそうな子供の白い肌、
泣き叫ぶハークの姿が見えた。

「はあ……そうですか」

なるほど。落ちていたのが銃でなかったのが、せめてもの救いですね、と
頭目の要求を最後まで聞き終えたアルカは、
手に残る重みをガランと床へと転がした後、念を入れるようにそれを右足で踏みつけた。
お望みのようなので、両手も大きく開いて軽くバンザイ姿勢。
これで大丈夫ですか、とでも言いたげにアルカは頭目へ向けて小さく首をかしげた。

「どうしてそんなにラクロアさんに固執するんですか?
命までとろうとするってことは、それだけの理由があるってことですよね?」

両手を挙げた状態なので、口を手で塞ぐこともままならないまま
アルカはふああ…と小さく欠伸をしたかと思いきや、唐突にそんな疑問を口にした。
フェルディさんの時間稼ぎにのったというのもあるが、単純に気になったというのも本音だ。
凄まじい怪力を手に入れる代わり、強い副作用のある薬。
いくら考えなしでも、部下でさえそのことを知っていたのだ。
その情報が頭目の耳に全く入っていなかったということはないだろう。
そして、頭目が言った「口調も変わっていれば性格も変わっている」という言葉。
どうもそこが引っかかってしょうがなかった。
なんせアルカが知っているのは“今のラクロアさん”だけだからだ。

>シオン、フェルディ、ラクロア、ワイヨー、ALL

1ヶ月前 No.72

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

1ヶ月前 No.73

ラクロア:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【ワイヨー/酒場兼宿屋・希望】

「落ち着いて話す時間すらもねェさ……直に此処には警察が来る。お前らもこの祭りに来た以上耳にしたはずだ。【第七警察隊】の名前を……本当にこの町は厄介な連中に応援を頼んだもんだ……」

目の前にいる彼らも十分に脅威な存在であるが、これほどまでの騒ぎを起こした以上「こういう時の場合の為に呼んだ組織」がワイヨーにとって一番厄介な事だった。
第七警察隊の隊員は全部で9人、今回は確かその内の派遣されてきた警察官は4人がこの街に来ている筈だ。

「へへへ、居てほしいとすりゃ隊長のイラヴィス……最悪なメンバーは知る限りじゃソルジャとガロか……」

その警察隊の誰が来ているのか、ワイヨーも把握しておらず噂で聞いた程度の隊員の評判から居てほしい人物、居てほしくない人物の名前を挙げるとシオンの質問に半ば諦めた表情で答える。

「へへへ……正直知らねぇ奴さ、この街の住人じゃねぇ事は確かだと思うぜ。……多額の金を支払って手に入れた薬だが、それにまで裏切られるとはな……部下も逃げ出して当然さ」
今更悔やんでも遅い事は承知の上、薬との出会いについて知りうる限りの情報をシオンに提供すると次にアルカへの質問に移る、しかしそこもまた悔しそうな顔を彼はしたのだ。

「……十数前まではこの街は俺の支配下だったんだ……なのに、急にアトラスの奴がこの街で店を開いた……開いたまではいいさ。奴はそれに加えてこの街を守るようになった……へっ、チンピラ上がりの俺が元傭兵の奴に勝てるわけがなかったけどな……でも何度も何度も挑んだ……負けたくはない一心自分なりに特訓もした!そんな時に丁度十年前にこのガキを預けに来た野郎が居たのさ……そいつがラクロアだ。今とは随分雰囲気が違うけど間違いなく奴だった」

自身の過去を語り始めるワイヨー、それは男と言うプライドが歪んでしまったものだった。
挑み続ける事は諦めない事に繋がる、特訓する事は今は無理でも何れ勝機を掴む事に繋がる。どれもこれも人として大切な事である。
しかしそれはどことなく弱い心に薬と言う味方が現れ、それに頼ってしまったことに今まで築き上げてきた努力が水の泡になってしまったのだ。

「たった一度だけ、ラクロアに因縁をつけて正々堂々の勝負をしたけれど手も足も出せず一撃で倒されたさ。奴もまた元傭兵、そしてアトラス以上に強い存在だった……俺はあの野郎達(アトラスとラクロア)を目標にしてきたのに……俺って奴ぁ……」



心の弱さを知り、言葉の最後には涙を流しつつもハークを解放し床を両手につけてうな垂れるワイヨー。
そこに壁の穴から全てを聞いていたかのようにシオンのルーチェを片手で抱えたラクロアが現れ、徐々に薬の効果が切れて細くなっていく背中に触った。


「薬に頼ったとはいえ、私に一撃を喰らわせた事。……実に見事だったぞ、ワイヨー。……何れまたあの時のように正真正銘の真剣勝負をしようじゃないか なぁ?」
「うっ……ううっ……」

今ワイヨーが憎んでいるのは他の誰でもない薬に負けた自分自身。どんなに彼が悪党でも、10年前に拳を交わしたあの時をラクロアはしっかりと覚えていたのだ。
何れは彼の心には支配の心から、慈悲の心、立ち上がる頃には何かを守る為に立ち上がるだろう。

「親分!」「親分!」「親びん!」「親方!」「親バカ!」

気絶したワイヨーを心配するように子分達が現れては囲み、あとはもう任せても大丈夫だろうと思うとすぐ傍に解放されたはいいものの恐怖で動けずにいたハークはラクロアは優しく抱っこをしてやり背中をポンポンと軽く叩いてやる。怖い思いをした子を、父親が安心させるように。

この騒動を聞きつけ遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる、この旅立ちの祭りも終わりに近い。

「さて、皆これからどうする。このままここに居れば警察の事情聴取と言うやや面倒な事に付き合うはめになるのだが……私と共に来るかね。此処で出会ったのも何かの縁と私は思っている」>ALL

1ヶ月前 No.74

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【 フェルディ / 酒場兼宿屋・希望 】


体力を削り追い詰めていたとは言え、一枚の新聞紙が燃えてしまうのを見ているより他愛なかった。
それだけ呆気なく吹っ飛ばされた大男を見ていると、何の前触れもなく不意に振り向いたアルカと一瞬だけ視線を交わす。
何らかの合図を送っているようには見えないが、そもそもそんなプランは話し合いでは立てなかった。
彼女のシグナルに男のサガという事もありまさか気があるのかとさえも思ったが、それを今戦場で考えることではないと一旦その事は一先ず振り払った。


正直、シオンによる挑発的な言葉で男が逆上し不利な状況になるのではないかとハラハラしていたが、
大男は諦めきったようにシオンやアルカの質問に対して丁寧に答えを返して来た。
両手を上げて無害の状態を示すと大男はこちら側の言葉に耳を傾け、それまでに起こったことやラクロアについて洗いざらい話をしてくれた。


「ハークを無事に返してくれたな。敵にこんなことを言うのもどうかと思うが……“ありがとう”。」


全てを話し終わる頃には男は涙を流しながら床に両手をつきハークを解放した。
これが彼をここまで追いやった真相の全てなのかはわからないが、過去のラクロアについてどうこう考察するほど頭が回らなかった。

彼にはもはや先程見せた獣のような戦意は消え失せていた。
男は心の弱さを知ったのだ。それだけでも彼はまだ成長の余地があるという事だろう。

散らばった武器を広い上げて背負い込むと同時に手を差し伸べようとしたが、
次々と瓦礫をかき分け先程逃げ去ったと思っていた子分達が現れ、その役目は必要には及ばないといった様子だった。


サイレンの音かあたりに鳴り響く音が聞こえ出すとラクロアの提案に一も二もなく同意を示す相槌をする。


( ……あの話を聞かされた後だと、親子のように見えてくる。本当に。)


手慣れたように子供をあやすラクロアに感心するも当初の目的を思い出すと、
飛行船の旅を思い出しつつ早くこの場から去りたい気持ちとが複雑に混じり合い、それらが駆け足とともに表れる。


「これ以上の面倒ごとはもういい。充分だ。 シオンもアルカも船に乗るならチャンスは今しかないぞ!」


>>ワイヨーの一味、ラクロア、ハーク、シオン、アルカ all

1ヶ月前 No.75

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【シオン/酒場兼宿屋・希望】

ハークを人質に尚も抵抗を見せるワイヨーであったが、その態度は最初に遭遇した時とは打って変わり、諦めと落ち着きを醸し出す大人しいものだった。力を増すという薬の効果が切れかかっていると我が身で感じているのだろう。どうやらそれに連れ、知性も彼本来の気性も元に戻ってきているようだった。
彼が言うことには、もうすぐ【第七警察隊】が此処に駆け付けるらしく、シオンから掛けられた質問に対しても、全く知らない人物から多額の金で買ったということで、有力な情報はあまり得られなかった。
__だが、薬の売人はポープ・タウンを拠点にしている訳ではなさそうなことや、【第七警察隊】の隊長や隊員の一部の名前と人柄については多少は把握できたので、そこは良しとしよう。
フェルディやシオンの問い掛けに対し、半ば諦めの色を混ぜた表情をしていたワイヨーはしかし、アルカの問い掛けには顔を悔しげに歪ませ、己の身の上と過去のラクロアについての思い出話を始める。
元々ただの不良だったらしいワイヨーが山賊の長としてこの町を支配していた頃に、突然現れたアストラにコテンパンにされたらしく、それからというもの、連戦連敗ながら毎日己を鍛え、何度も彼に挑み続け、後に子どもを預けにやってきたラクロアとも真剣にやり合ったことがあるという。今まで己の力だけで勝とうと奮闘してきたのに、恐らく、ある日その目にチラつかされた薬に心を奪われてしまったのだろう。
本人もそのことを心底悔やんでいるようで、その後ハークや三人に何をするでもなく、男泣きしながらハークを解放してくれた。

「……成程。つまりお前は、一応…被害者だった、ということか」

ワイヨーがハークを解放したタイミングで、シオンは呟くようにそう口にする。彼がワイヨーの話をどのくらい理解しているかは定かではないが、決して諦めず鍛え続けてきた彼の努力を無駄にするようなものを勧められてしまったという不運こそ、最も言葉にするべきだと踏んだのだろう。一度床に置いた杖を再び取った後も、ワイヨーに攻撃を仕掛ける素ぶりは決して見せなかった。
その時、『キューン!』という聞き慣れた鳴き声がシオンの耳に飛び込んできた。

「!…ルーチェ…」
『キュンッ!キュンキュンキューン!』
「わっ…うん、そっか。よく頑張ったね、ありがとう」

タイミング良く(?)壁に空いた穴からラクロアがルーチェを抱えたまま現れ、彼の腕の中に収まっていたルーチェがシオンの姿を認めると同時にそこから飛び出し、タッタカタッタカと軽快な足音を立てながら素早く走ってくると、最後は持ち前のジャンプ力でシオンの胸に飛び込んできた。
シオンは自分の胸元に元気よく飛び込んできた相棒を思わず受け止めると、勢いよく尻尾を振りながら何かを話すように鳴き声を上げる相棒の頭を撫でつつ、労いの言葉を掛ける。
再びワイヨーのいた場所に顔を向けた時には、先程逃亡したと思い込んでいた子分共が、倒れている我らが頭目に群がり、口々に声を掛けていた。そしてワイヨーも、完全に薬が抜け切ったのか、細く小柄な風体の男の姿に戻っていた。

「……結局、奴らは依頼にあった密売集団だったのかな…」
『キュー?』
「…ごめんね、ルーチェ。もしかしたら、依頼は失敗になるかも」
『キュ!?』

今まで敵対していた山賊共を呆然と見つめながら、結局彼らは標的だったのかと疑問を呟くシオン。そんな彼を不思議に思ったのか、今まで彼の胸元に埋めていた顔を上げるルーチェに、何処か申し訳なさそうな声色で依頼失敗の可能性を告げると、そんな彼の態度に信じられないといった驚き顔をされてしまった。今までのシオンならば絶対にしなかったであろう選択を、彼は口にしたのである。
例の露店には結局到達できなかった。それでも恐らくあれは今頃、警察隊の御用になっているだろうし、シオンら三人が山賊の頭目を成敗したと主張しても、結局警察隊の手柄となるだろう。何にせよ、今依頼を完遂するには非合理的な状況であることには変わりなく、シオンはそれを避けたかった。
__遠くからサイレンの音が聞こえてくる。きっと間も無く、ワイヨーは連中に逮捕される。警察のやり方に、ギルドの一員が首を突っ込むことは出来ない。ここは諦めて撤退する他無い。

『さて、皆これからどうする。
私と共に来るかね。此処で出会ったのも何かの縁と私は思っている』
『シオンもアルカも船に乗るならチャンスは今しかないぞ!』

突然のラクロアからの誘い。今のシオンがもし一人だったならば即刻断って町からおさらばしていただろうが、フェルディからも船に乗ろうと誘われてしまい__そういえば、彼は空賊に入りたいと考えていたのだった…。とシオンは思った__どうしようかと思案する。この流れでアルカもラクロアとフェルディに続いたらシオンはぼっち確定である。

(……仲間外れは、なんか…嫌だな…)

そう考えている中でも、サイレンの音は刻一刻と迫ってくる。山賊共と一緒に参考人として連行されるのは御免だ。だが、依頼のためだけに此処に来た自分は、一緒にいても良いのだろうか__。

『キュ!キュー!』
「ルーチェ?……ルーチェは、一緒に行きたいんだね。そっか…。
……僕も行く。でもまずは、ギルドの方に話を付けに行かないと…。良ければ、送ってくれると、助かる。『アルディス』っていう名前の街にあるギルドなんだけど…」

しかしルーチェからの勧めもあり、シオンはラクロアの誘いに乗ることにした。しかし自身の最優先事項として、自身が依頼を引き受けたギルドに話をしに行かなければならない。標的が別にいるなら長旅に、標的がワイヨー一味で、警察隊に捕まるとすれば失敗になるということを言っておかなければ、その後の手続きが面倒になるのだ。…行ったところで、馴染みの受付員以外からの反応はあまり見たくないのだが…。
そんな訳で、先程までの戦いの中でようやく思い出した街の名前をラクロアに告げ、彼が持つという飛空挺でそこまで送迎してくれないかと依頼する。報酬がどうのこうのより、今は現場から少しでも遠ざかるのが最優先だ。

>ワイヨー、フェルディ、アルカ、ラクロア、ALL

1ヶ月前 No.76

フィリ @yuzuriha16 ★0jadCTJCJA_lXe

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

1ヶ月前 No.77

ラクロア:参加者募集中 @seed ★ED1GVbBXxW_yoD

【ラクロア/酒場兼宿屋・希望】

「満場一致で何よりだ。……さて、オーサカにも連絡をしておかねばならないな」
この場に居る全員が自分の誘いを断る事も無く同行に賛同してくれたことを心より嬉しく思い、また船が賑やかになる事を思うとポケットより携帯電話を取り出し液晶を見ると「不在着信 98件」の着信表示にこれだけの着信はオーサカしかないと思えば自分の腕の中で恐怖と緊張からスヤスヤと寝息を立てて寝ているハークを抱き直しラクロアはオーサカへと電話を掛ける。

「オーサカか、此方は問題なく終わったよ。……アトラスも無事か、彼に伝えてくれ。【此処まで育ててくれて感謝する】、と」

周囲からしてみれば育ててくれた人物はアトラスとラファ、そして育てられた人物は紛れもなくハークの事を示すだろう。
ワイヨーの話でも10年前にラクロア自身が子供を彼らに預けに来たと発言しており、10歳前後のハークならばその預けられた子供がハークの可能性は十分高い。
2人の関係性についてはまだ謎に包まれているが、近い内にそれらが明かされてくる時が来るだろう。




「まだアトラスの酒場に居るのだが徐々にサイレンの音が近づいてきている。警察に遭遇しては些か厄介、このまま酒場で出会ったメンバーと共にポープタウンの北入り口に向かう。お前も早急にその場所へ向かうんだ」
先程よりもサイレンの音は確実に近づいてきており、その事をオーサカに伝えつつ北入り口に向かうよう指示を出すと通話を終了し携帯電話をポケットに入れる。


「さて、決まれば此処に長居は無用。先ずは酒場を出て裏路地を通り、……些か危険だが表通りを突っ切ろう。警察がこの現場に到着して念の為の封鎖網を張るかもしれない、そうするとこの町から出て行く事が困難になってしまうからな」>ALL

1ヶ月前 No.78

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【シオン/酒場兼宿屋・希望】


やはり、アルカもラクロアについて行くようだ。これでこの場の全員がラクロアの飛空挺に乗ることが確定した。それを確認すると、ラクロアは携帯電話を取り出し、オーサカ__先程、アトラスを引き摺って酒場での襲撃事件を伝えにきた男だったか__に連絡を入れる。
【此処まで育ててくれて感謝する】、と言っていたが、一体誰のことだったか。ふと、シオンは彼の腕の中で眠っているハークの顔を見つめ、先程のワイヨの発言を記憶の内から引き出してみる。

『__そんな時に丁度十年前にこのガキを預けに来た野郎が居たのさ……そいつがラクロアだ』
(……この子どもは、ラクロアのW大切な人W…なのかな…)

奴の言ったことが正しければ、ラクロアは恐らくハークに会いに、この酒場まで来たのだろう。シオンは、W大切な人Wのために向こうから迎えにきてくれる人がいるハークのことが、少しだけ……羨ましく思えた。
自分にも家族や友人はいた。だがシオン自身、故郷の所在が分からないために会いに行くことも、彼方の方から会いに来てくれることもあり得ない。シオンをあの施設から連れ出し、共にいてくれたあの人も、もうこの世にはいないのだ。

「…………__え?あぁ、裏通り…。そこから表通りを行くんだね。問題ない。こういうのは、慣れてる」

半ば上の空になっていた思考も、ラクロアからの言葉で現実に引き戻される。どうやら、警察が町を封鎖する前に、この酒場から裏通りを通って表通りを突っ切る形で脱出するらしい。
シオンはそれに頷いて見せると、一度帽子を脱ぎ、腕の中に収まっていたルーチェを頭の上に載せると、その上から帽子を被せた。屋外を行動する時は、こうしてルーチェを帽子の中で丸まらせていた方が、逸れにくいし嵩張らないと考えた結果が、このスタイルなのである。

「……アルカも、血がいる時は…僕にも、頼んでね」

アルカがラクロアについて行くと言った際、『また血がもらえるなら』と言っていたことを思い出し、彼女の方をチラリと見て、彼女にそう告げるのだった。

>アルカ、ラクロア、フェルディ、ALL

1ヶ月前 No.79

フィリ @yuzuriha16 ★VqWR7PJYqA_o01

【アルカ/酒場兼宿屋・希望】

ラクロアさんの腕の中ですやすやと寝息を立てるハークくん。
どうやらラクロアさんは彼を連れて行く気らしいが、そこにハークくんの意思は尊重されていない。
どうして彼が10年もの間、ハークくんをここに預けていたのか、
何故今になって彼を引き取りに来たのか、正直なところよく分からないし、どうでもいい。
そんな風に、なげやりに考えてしまうのは、きっと―――

「…………」

脳裏によぎるのは雨の音。ああ、いやだ、煩わしい。本当に煩わしい。
今日はまだ一睡もできていないからこんなことを考えてしまうのだと、
小さくかぶりを振って頭に浮かび上がった考えを追い出すと、ラクロアさんから声がかかった。

『さて、決まれば此処に長居は無用。先ずは酒場を出て裏路地を通り、……些か危険だが表通りを突っ切ろう』

「………ああ、はい。私もその作戦でいいですよ。
フェルディさん、シオンさん、ラクロアさんは体力的にどうですか?
二人くらいなら私が担いでいくこともできますけど」

どこか暢気に構えたまま話が纏まるのを待っていたのだが、近づくサイレンの音でふと我に返る。
あれ、よくよく考えてみればこれって結構マズい事態なのでは?
とにかく顔を見られてはまずい。
何か適当な罪状をでっちあげられて手配書など作られた日には本当に面倒くさいことになる。
裏路地を通り、それから表路地を突っ切るというラクロアの提案にアルカは一も二もなく首肯した。
そして、先ほどの戦闘でラクロアの受けたダメージの大きさを慮ってか、そんな提案をもちかける。
この中でいちばん痩せぎすでひょろい自分が口にするのもおかしな提案だが、けして実現不可能なことではない。
返事を持っていると、シオンさんから気遣わしげな視線がこちらに向けられた。

「ありがとうございます。まだ大丈夫ですけど、必要になったら言いますね」

こちらの体質を気遣ってか、シオンさんから控えめな声で言葉が投げかけられる。
なりたて吸血鬼となって幾ばくか、どれだけ時間が経っても慣れないものは慣れない。
人に血をもらうという行為にまだちょっと遠慮があったため、向こうから言い出してくれたのはありがたい。
正直なところ、恐ろしく栄養状態がいい彼の血を先ほど飲んだおかげか、まだ全然余裕があるくらい。
腹八分目どころか満腹レベルだ。
これなら一週間ほど血をまったく飲まなくてももつくらいにはなっていると思う、たぶん。
ただ、シオンさんの申し出はとてもありがたかったので、感謝の言葉を告げておいた。

>ラクロア、シオン、フェルディ、ALL

29日前 No.80

猫に小判 @yuusha145 ★iPhone=7ZD6KpJM0h

【 フェルディ / 酒場兼宿屋 → 移動中 】


若干強引な呼びかけではあったが、二人は迷っている余地がないといった感じでラクロア率いる空賊に入団した。
これでようやく物語は歩み始めたばかりだが、それはまだほんの僅かでしかない。

酒場で出会ってまだそこまでお互いのことを話した訳ではないが、
戦いを通して行く中で言葉や会話よりもはるかにそれは雄弁に物語るものがあったのではないだろうか?
少なくともフェルディはそうであると感じていた。

目の前でおもむろに端末を片手に通話しだすラクロアから思いがけない言葉に耳を傾けた。
“此処まで育ててくれて感謝する”……ここまで育てたのはあの店夫婦で間違いないが冒険する上で引き取らなければならない事情があるようだ。
それを今問いただしても良かったのだが腕の中で眠っているハークの邪魔をしたくはなかった。
それに今は警察が此方に向かっておりそれどころではなかった。
時期には警察と野次馬で溢れかえるだろうこの場から少しでも早く離れるために一行は走り出したのである。


「ありがとう。乙女からのお誘いは嬉しいが遠慮しておくよ。
 君こそ疲れているなら俺が抱き抱えてやろうか? ハークとは少し違った抱え方でよければだけどな。

 ……どうするお姫様??」


しばらく走り抜けて行く最中、突飛なアルカの心遣いに心を和ませた。
乙女が抱きついてきてくれるだけなら男としては大歓迎なのだが、野郎二人仲良く抱えあげられてしまってはプライドもあったものではない。
絵的に問題がある誘いにはやんわりと断りを入れた。
だがそのかわり、ただ断るだけではと思い、いつも眠たげなアルカを少しからかって所謂お姫様抱っこを提案してみた。

>>all

29日前 No.81
切替: メイン記事(81) サブ記事 (87) ページ: 1 2

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…進行相談・設定はサブ記事をご利用ください(テスト中)。