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東京23区陣取り合戦

 ( オリジナルなりきり )
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異能/領地争い/組織/バトル/日常 @yuuzenn ★YRuDhSwQ0p_rxQ

「ねぇねぇ知ってる? 北区の『出羽(いずるは)映画ホール』の連中、板橋区の『コミック空間』の連中に競り負けて領主ヤられてんだって」
「うっそぉ! じゃあ東京三つ目の合併区の誕生?」
「そう。品川を獲った目黒、中野と港を取った荒川に続いてこれで三つ目。噂じゃ品川と大田もそろそろやりあうかもって話だし、アタシらさっさと引っ越すべきかなぁ?」
「だね、台東区なんだかパッとしないし。領主が負けてあっちの奴隷にされたんじゃたまらないよ」
「幸せな生活のために、より強い領主の治める土地に引っ越して庇護下に入る! これが私たち領民の生きる術ってね」


 ――とある平成の冬の日。
 何の理由も前置きも無く。神様がいきなり東京に手を加えて来た。
 23人の領主が23区を治め、互いに奪い合う陣取り合戦。
 詳しく語ればもっと長くなるが、ともあれそんなものをいきなり押し付けられてから東京では早三年が経過している。

 どこどこの区がどこどこに戦争を仕掛ける。
 どこどこの区がどこどこに合併された。
 どこどこの区がどこどこと同盟を組んだ。

 東京を駆け巡るのはそんな噂ばかり。
 もはや日本という国から隔絶された異郷と化した東京は、自堕落に日々を謳歌しているだけでは生き残れない。

 自分の住む区の領主を他区の連中が殺せば、自分たちの区は他区に吸収された上、自分たち領民は他区の奴隷にされる。
 逆に他区の領主を殺せば、自分たちは仕事をせずとも他区の奴隷にやらせることで王侯貴族のような生活が可能になる。

 全区を統一すれば神が何でも願いを叶えてくれるから、と。
 領主たちの大半だって他区を制圧するのに一生懸命で、力の無い区は次々と淘汰されてゆく。

 ここは魔の東京。げに恐ろしき23区。
 神の横槍が入れられた混沌の地。

 逃げ出すことのできない狂乱の大都会で、貴方はどんな風に暮らしますか――?


【陣取り合戦と異能の要素を含んだ組織モノのバトル&日常スレ(要約)。そんな感じになる予定でございます。詳しくはサブ記事にて。まだ書き込みは禁止です!】

メモ2019/02/16 13:21 : 友禅☆fXqsD0VZIxk @yuuzenn★YRuDhSwQ0p_RBc

≪ルール≫

http://mb2.jp/_subnro/15786.html-1


≪世界観や用語の説明≫

http://mb2.jp/_subnro/15786.html-2


≪スレッド開始時点での東京23区の状況≫

http://mb2.jp/_subnro/15786.html-3


≪募集≫

http://mb2.jp/_subnro/15786.html-4


≪プロフィール≫

http://mb2.jp/_subnro/15786.html-19


〜キャラクター一覧〜


『板橋区』

領主……サムライラ・ニンジャクリーン(http://mb2.jp/_subnro/15786.html-45)


『大田区』

領主……群青空将(http://mb2.jp/_subnro/15786.html-85)


『葛飾区』

領主……泉界湯殿(http://mb2.jp/_subnro/15786.html-10)

副領主……琳圭太(http://mb2.jp/_subnro/15786.html-28)

自警団メンバー……筑紫恋甜果(http://mb2.jp/_subnro/15786.html-62)


『墨田区』

領主……川村桜威(http://mb2.jp/_subnro/15786.html-92)

…続きを読む(25行)

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友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 泉界湯殿 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

 12月25日、午後6時ジャスト。
 夏場ならまだ太陽が空に残るこの時間帯も、クリスマスともなればいよいよ暗闇だ。
 しかし黒一色ではない。何故なら今日はホワイトクリスマス。そう、雪が降っている。

 気温が低いがそんなものは何のその。
 カップルたちは互いに白い息を吐きながらも、ロマンチックなシチュエーションに胸ときめかせ指を絡めて町へ行く。
 それを眺めては遠い目になる、サンタコスでチキンやケーキを売る独り身コンビニアルバイターも一種の風物詩と言えよう。
 有名ファーストフード店のクリスマスバケットを抱えて楽しげに帰宅してゆく小学生とそれを見守る父母、友人同士で集まってカラオケなどで開催されるクリスマスパーティ、どこからでも聞こえてくるジングルベルの音色、視界を飾る赤と緑の色彩。

 世はまさにクリスマスムード。
 もちろんそれは、葛飾区の領主たる泉界湯殿の根城『湯け湯け健康ランド』においても例外ではなく。
 今日のスーパー銭湯は入口の両脇に門松よろしく巨大なクリスマスツリーがでんと二体構えるのを皮切りに、そこかしこに靴下だのトナカイの人形だの光る雪だるまの置物だのジンジャーブレッドマン型のキャンドルだのが盛りだくさんで飾られていた。
 もちろん外装内装のみならず、肝心のお風呂のほうもクリスマス仕様。今日だけ特別にご用意いたしましたシャンパン薔薇風呂は、響きと絵面が豪華なだけでなく美容効果もちゃんとあるとお客様に大好評を博している真っ最中である。

「うむ、うむ、うむ! やはり良いなぁ祭事は。なんと言っても人々が楽しげ。そして賑々しい。こうして過ごしているだけで、温泉私まで幸せな気分になってしまうぞ!」
「今日も元気ッスねぇ領主。アタシはクリスマスってケーキ買ってチキン喰うくらいなんで、あんまそういうの分かんないッスわ」

 番台(カウンター)に立って客たちを迎え入れながら、喜色を抑えきれぬ笑みで湯殿は隣のアルバイターに話しかける。
 このアルバイターはクリスマスだろうと年末年始だろうとバレンタインだろうとハロウィンだろうと祝日だろうと大体アルバイトに入ってくれるとても有り難い人材で、今年の春に大学に入ったばかりの19歳だ。
 もしかしたら大学に入学したことで彼氏ができて以前のように頻繁にはアルバイトに来られなくなるかもしれない、と去年こぼしていたものの、今年も全部シフトを入れてくれたので結果はお察し。
 湯殿も彼氏はいないしクリスマスも働いているがそれでもクリスマスは楽しいしワクワクするので、彼女もそう感じてくれていると良いなと勝手に思っている。

「むむ、なるほどそういう意見もあるのか……。温泉私としては、もうケーキを買ってチキンを食すだけでもだいぶ楽しいと思うのだが……」
「あー、まあ、領主はそういう感じッスよね。何でもかんでもわりと楽しいっていうか。ぶっちゃけ憧れる感性。人生満喫できそう」
「何故だろう。憧れると明言されているのに、君からあまり敬意を感じないぞ……?」
「ええーそんなぁ。めっちゃ尊敬してるッスよ領主のことはー。ただアタシ、真面目に敬意を表現するってことに妙に躊躇いとか羞恥心を持つ女なんで?」

 すれっからしめいた表情で二ヒヒと笑うアルバイター女子大生との、他愛のない会話。
 そんな風に穏やかに過ぎてゆくクリスマスの夜。

 ――それを打ち崩したのは、客の一人が盛大にかました嘔吐の音だった。
 アルバイターと湯殿も咄嗟にそちらを向く。と同時に、自らの身体もまたとてつもない頭痛や関節痛、発熱や嘔吐感といった諸症状に苛まれる。
 ほんの一秒前までは確かに何とも無かった。まったくの健康体だった。
 だというのに何の前触れもなくこうなったのだ。まず二人の脳裏をかすめたのは『毒』の一文字である。
 咄嗟に鼻と口を着物の裾で覆う湯殿と、ポケットに突っ込んでいたらしいマスクをさっと取り出し顔に装着するアルバイター。
 ……が、次第に毒にしてはどうもおかしいことに気付く。嘔吐感のみなら嘔吐剤を疑おう。だが、この症状。これはまるで重度の風邪かインフルエンザのようではないか。その状態へと一呼吸の間で人間を突き落とす毒なぞ聞いたことも見たことも無い。地力だとしても、視線を巡らせた限りこの湯け湯け健康ランドにいる客たちは皆こちらと同じ症状でしんどそうにしている。この中に犯人がいるとは考えづらい。

「とにかく、湯の中にいる客人らの無事を確認せねば! ××殿は体調不良で早退して良いから、家に帰るかそれもキツいならスタッフルームの椅子で横になって休んでくれたまえ!」

 急に大量に出て来そうになった鼻水を箱ティッシュでかみ、丸めたそれをゴミ箱に捨てた後、身体がSOSを訴えかけるのを無視して銭湯の中を疾走する。
 湯に浸かっていない自分たちでこれだけ発熱しているのだ、サウナや岩盤浴をご利用中のお客様がどうなっているかなど想像するだに恐ろしい。早いところ救出に向かわねば死人が出かねない。
 その一身で寒気と火照りの同居する肉体を酷使する。嗚呼、それにしても我が湯け湯け健康ランドでこのような事態が起こってしまおうとは。今は銭湯内のことで手一杯だが、後で外の者たちの安否もしっかりと確認せねば。

>ALL

【そんな訳でイベントスタートでございます。一応、まだ東京湾にインフルエンザ型の建物が浮かび上がる段階には至っていない時間軸です。次か次の次くらいのロルで浮かび上がらせます】

1ヶ月前 No.53

雨上がり @koshou0602 ★iPhone=WhimNy2RFf

【琳圭太 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

 「クリスマスの夜に花の大学生さんが風呂ってどうなんだ、いや、いいけどな?」

 午後6時、男湯にて。薔薇の浮かぶ大風呂で、圭太は一緒に浸かる常連の大学一年生に話しかけていた。

「今年のクリスマスまでには告白するって去年のクリスマスに言ってなかったか?」
「うぅ……そうなんだけど、××ちゃんに話しかけるのがやっとなんだよ……俺のことなんてきっと有象無象としか思ってないよ、告白なんて夢のまた夢だ……」

 ため息をつきながら風呂のふちに肘をつく彼は、何を隠そう湯け湯け健康ランドのアルバイトの女の子に恋をしている。確か今日もカウンターに立っていたはずだ。

「こないだそれとなく聞いたけど、やっぱ彼氏はいないみたいだぜ。今がチャンスだ、漢だろ!?今日にでも告白しようぜ!!」

 高校生のときにアルバイトの彼女に一目惚れしたらしい彼は、たまたま同じ大学になり、最近になってやっと話すまでに進展したらしい。気だるげな態度に垂れ目な目尻、だけど所々から伝わる優しさがいいとのこと。
そして彼が高校生のころからよく一緒に風呂に入る仲だった俺に相談役が回ってきた。相談役と言っても、俺から何か彼にアドバイスをするなんてことはない。好きな子がいたこともない俺が恋愛の助言をするなんて無茶な話で、精々話をきくだけである。
 正直ボスに相談したらいいと思うのだが、それを彼に言うと「いや、領主様はすごい人だけど年下とか同級生の女の子に相談する男ってもうその時点で駄目な気がするし話すの緊張するし温泉(以下略)」とかなんとか言って全力で拒否られた。解せぬ。

「まぁ俺も、好きで守りたい人ができたら、お前に相談するぜ!!だから告白しようぜ、今日はホワイトクリスマスだし、いい風呂に入ってさらにいい男になったあんたなら、絶対……おい、どうした?」
 話の途中で彼の方を向くと、隣で彼が風呂のふちに頭をのせているのに気付く。

「眠いのか?こんなとこで寝たら駄目だぞ、おい起き……げほっ、ごほ!!」

 むせたわけではない咳の症状。そしてさらにガンガンと叩かれるような頭痛、温かい風呂の中なのに寒気。りんごを1日1個食べるためかあまり風邪をひかない俺でもわかる、激しい風邪の症状に気付く。咳をしながら隣の彼の肩を掴み起こすと、真っ赤な顔をして気絶していた。周りを見渡しても、嘔吐するものや、倒れているもの、足取りがおぼつかないものなどばかり。どの人も同じような風邪が悪化した症状をもっている。
「こんなに、急に……まさか、地力?ボスは……げほ、うぇ……頭がくらくらする、ここは暑すぎる!!とにかく、みんなを、ださなきゃ……」

葛飾区内だけで使える重力を軽くする地力を使い、相手の体重を軽くしてから症状の重そうな人から運んでいく。途中で自分と相手の腰にタオルをまき、受付の椅子までなんとか担ぐ。

そこで、同じように赤い顔をしながら走るボスに出会う。ボスのことだ、女湯の方に浸かっている人たちを助けにいくのだろう。

「ぼ、ぼす……なにか地力を受けてるのかもしれない……領民をたすけたら、あとで……おぇ……きを、つけろ……」

>ALL様、泉界湯殿様

【課題終わってからこようと思っていたのにあまりのイベントの面白味に惹かれて……
そして友禅様のかかれるアルバイターちゃんかわいすぎません?彼女、モブじゃないですよね、これからもちょくちょくでますよね……?あまりの可愛さに彼女ちゃん好きな子作りました、すみません】

1ヶ月前 No.54

ばにらあいす @kodai4370 ★iPhone=cZo7SbNI4d

【群青 空将 / 大田区 空港】


「折角のクリスマスなのに、何が嫌で空港の警備をしなけりゃならんのだ」

ぐだぐたと文句を無線めがけて垂れつつ、とてつもなく広い空港内を循環警備する領主。自宅でローストチキンでも貪りながら、ゆっくり漫画読もうなんて煩悩まみれの予定を建てていたら、この時期は旅行客が半端じゃないから警備に来いなどと言われ、アジトとして使っている手前断れずについつい来てしまったのだ。



ガヤガヤと騒がしいのはあまり好きじゃないが、たまにはこういうのも悪くはない、そう思った次の瞬間、謎の目眩に襲われた。身体がずっしりと重くなり、芯が無くなったようにフラフラし始め、次第に立つことすらもままならなくなる。


意識を集中させて周りを見ると、同じような症状を見せ、激しく嗚咽し、中には嘔吐する者までもいた。さっきまで何も感じていなかったのに、いきなりこんなブザマな姿を晒している。まだ動ける所を見ると毒でも無さそうだ、海外の旅行客が新手のウイルスを持ち込んだ……いや、こんな一瞬で感染する病気なんて、映画やゲームに出て来る未知のウイルスじゃあるまいし不可能だ。ならば地力関係か。特殊な能力でウイルスを拡散させたか、それともこのウイルス自体が地力の賜物なのか。

「こんなふざけた真似…フェックショォン!…一体どこのどいつの仕業だ…」


とりあえず犯人探しは後に回していい、厄介なのは空港でこんなものが流行れば被害の全容が予想のつかない規模なりかねないこと。東京全体はもちろん、下手をすれば海外にまで広がる可能性だってある。

ポケットから携帯を取り出してすぐさま連絡を回した。管制塔でくたばっている連中は勿論、同じく警備に駆り出された自警団と愉快な領民達にもだ、当然力のない返事しか聞こえてこないが、それを気にする暇もなかった。時を同じくして、港内の電光掲示板にも欠便の知らせが表示された、この異常なウイルスが収まるまでは飛行機も飛ばないと安堵した所で、次はこの症状をなんとか緩和させなければと動き出した。他にも何名かまだ動けるタフなヤツがいる、各々の目指す先にあったのはトイレ、恐らく下痢か。


「…チィ、俺も行きたいが、今は他者優先だな…」

いつ膝をついてもおかしくない身体で港内を駆け回った。ワクチンの類いは多分効かない、せめて鼻水ぐらいは止めなければ、そう考え、医務室へと急ぐ。確か薬局があったはずだ、そんな淡い希望を胸中に地獄と化した空港を走る。


≫all様
【新イベント開始おめでとうございます!】

1ヶ月前 No.55

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

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1ヶ月前 No.56

雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

【墨田区・北斎通り/川村 桜威】

 嫌な予感がした。いや、後から思いや、そうだと分かったというだけの話。つまる所、今のところは何となくの気分だけで墨田区に居た。

 ちゃりちゃらり。コンクリートジャングルとすら言われる程の町並みの中を霞模様の羽織が車の風に靡かせ、大波の描かれたトートバックを傍らに提げて歩く彼は、それでいながら片手に筆ペン、そしてもう片手に持つスケッチブックへ街並みを描き出してゆく。

 街灯や街路樹の向こうにも並び立つビル、寒空の下で震えながらも忙しなく町行く人々。クリスマスという来る祭りに沸き立つ街並みに浮かぶ人々の顔は、こんな争いの渦中にあっても、なんとも絵になるだろうさ。ん、筆のノリも中々ってもんだ!
 ま、コンクリートなんざ雅じゃねぇ、なんて何時の時代の台詞だってんだ。今を生きてる俺達が今の雅を見出だせねぇってのは、些か馬鹿らしい話じゃねぇのさ。それに、人の表情ってのは何時の時代だって変わらねぇ絶景……と俺は思ってんだぜ。

 ゆらり、目の前を歩く貧相なスーツ姿の男が突然横凪ぎに街路樹の方へと倒れ込む姿が見えた。集中の糸は一瞬にして途切れては咄嗟に筆ペンをバックに突っ込んでから、右手が前に出て、人としては軽くはあるが、それでも確かな負荷を感じて慌てて支えきる為に身を乗り出した。

「やい、おめぇさん危ねぇじゃねぇか。なんでぇ、顔が赤ぇ……のか? ま、熱はあるみてぇだな」

 どうにか支えながら立ち直らせて文句の一つでも、と思ったが、どうにも様子がおかしい。すみません、そう謝罪の意を示しながらも何処と無く目は虚ろで顔は赤く、支えるために首筋に触れた手には、じっとりとした汗が伝う。

「ったく、謝るくれぇなら無理してんじゃねぇよ。病気ってんなら家で休んど、け……っ!?」

 今時の社畜って奴かねぇ、と飽きれ混じりに眉をひそめ、肩から提げたトートバックへ閉じたスケッチブックを入れておく。
 さてはて、近くの病院は何処だったかと振り返った時、ぐらりと一斉に倒れ込むなり壁に寄り掛かる人々。あからさまな異常事態に酷く嫌気が差したが、止まっていては何にもならない。

 不機嫌そうに口をへの字に結んではトートバックの入れた手を抜いて、持っていた筆を宙へ走らせた。その筆の先や彼の頭上にに鮮やかな四色の球体が現れる。筆と共に走った朱の一閃は瞬く間に花火玉へと姿を変える。
 その一筆と共に彼の姿は僅かに描き変えられる。羽織られた「墨田」と大きく背に描かれた法被と顔を覆う狐面。その姿は正しく「墨田区領主」としての姿であった……まぁ、流石に普段の物より多少簡素であったが。

 空いていた左手に持たれた花火玉を空へ軽く放り投げると、それは墨田区の上空で弾ける。昼間だと言うのに、それは鮮やかな紅の花を咲かせる――――ただし墨田区では、それが「緊急事態」を指し示す物である事は領民の誰もが知っていた。この合図が出されれば、仕事等は次の合図があるまで一時停止、それから出来うる限りの自宅待機。あとは自警団や副領主へ警戒を促すものだ。

「……この数は人手が足りねぇか。はてさて、俺ぁ人物画ってぇのは苦手なんだがなぁ……」

 嘆息を短く吐いては、彼の持つ筆は絵の具玉を次々と渡り歩いて行く。その最中で幾つかの彩り鮮やかでありながら、大小様々な絵の具玉が生まれ、それを見ては満足したように筆を懐へと仕舞い込んでおく。

「さぁて、とくと御覧じろ――――百鬼昼行絵巻」

 顔や手元に飛び散った絵の具を気にするでも無し、口元を僅かに緩めた彼がそう呟けば、手をパンッと打ち鳴らす。すると、絵の具玉は花火玉へと変わり、すぐさま無音で弾けた。そこから生まれるは数多の仮生、あるいは妖怪と呼ばれる、人ならざるナニカ。
 その琵琶頭や小鬼達は散り散りになって倒れている人々を近くの建物へと運び込んで行く。それに見慣れず、ぎょっとした者も居ただろうが、その熱のせいで抵抗する事も出来なかったのだろう。

 ともかく、原因を探らねぇとなぁ――――そう、一歩を踏み出した。しかし、揺れて傾く視界。踏み込んでいた一歩に力を込め、近場の街路樹の節を掴む。
 倒れるまでは行かずとも、地へ膝を突くように、しゃがみこんでガンガンと内側で大工仕事でもしてるかのような頭痛を感じていた。
 はて? なんだこりゃ。そう言わんばかりに奇っ怪にして怪訝な表情を彼が浮かべるのも無理はない。なにせ、彼は「生まれてこのかた、病気に掛かった事なんて一回も無い」と思っているくらいなのだから。

>all

【イベント開始おめでとうございます!】

1ヶ月前 No.57

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★J1SGpZKeln_keJ

【水鏡加々美/台東区・某電気街のメイド喫茶】


私、水鏡加々美は思う。
楽園とは当に斯く在るべし、と。

右を見れば可愛い女の子、左を見れば可愛い女の子、正面を向いても視界に移るのは須らく可愛い女の子。
古式ゆかしいヴィクトリア朝のメイド、若干過激なフレンチスタイルのメイド、一風変わった猫耳+しっぽのメイド。

そう、楽園とは斯く在るべし。

「ここがお姉さんにとっての天国だよ〜。外はカップルという名の魔物たちが蠢く黄泉平坂だから今日はず〜っとここにいる〜」

そう言って微笑むと、周囲のメイドたちは苦笑しながらも、もてなしを始めた。
オムライスに文字を書いたり、あざとい仕種を取ってみたり、いずれにしても彼女たちもプロなのだ。
お代をもらって接客する以上は中途半端なことはしない。
そういう店だから私もとことん入り浸っていた。

せわしなく動き回る可愛い女の子たち。

それを目の保養とばかりに見ている私は、巫女さんだった。
緋袴に白衣のまごうことなき巫女さんであった。

メイド喫茶よりも神社に居る方が違和感のない巫女さんだった。

何を隠そう、台東区の腹領主にして、本部である神社の巫女さんでもある私、水鏡加々美はメイド喫茶の一角で蕩け切っていた。

「あぁ〜平和ですわ〜。平和過ぎて怖いわ〜。幸せ過ぎて怖いわ〜」

ホットチョコレートを口にしながら、平和を謳歌していた。



それが起こったのは突然のことだった。
突然の咳、そして膝を折ってへたり込む店員たち。

頬は赤く上気し、異常な発汗も見られる。
甲状腺に腫れが見え、関節が痛むのか顔を顰めて苦しんでいる。

斯く言う私も同じような症状に見舞われていた。

これは覚えがある。

インフルエンザの症状とよく似ていた。
予防接種は受けていたはずなのに、なぜ?
何よりもこれほどの人数が一度に感染して発症するとは思えない。

バイオテロという言葉が脳裏をよぎり、そして腹の底から沸々と怒りが湧き上がった。


「エリエリラマサバクタニ(主よ主よ、我を見捨て給うか)……。せっかく一仕事終えて魂の洗濯中だったってのに、これで全部ご破算かしら? あぁもう、犯人は見つけ次第デストロイしてやるぅっ!! 神無月に縁を結ばれてこの時期に頻発する急造のリア充ども以上に爆ぜろ!!」


とりあえず、まずはメイドちゃんたちをスタッフルームで安静にさせないと……。


>>ALL

【早速このような駄文をば、一応発症までは進めております】

1ヶ月前 No.58

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 筑紫恋甜果 / 葛飾区・筑紫恋家→湯け湯け健康ランド 】

「穂(みのる)さん、甜果ちゃん。晩ごはんできましたよー」
「あっ、はーい」

甜果はクリスマスが好きじゃなかった。だって、クリスマスだからって何かあるわけじゃないから。みんなと違うから。みんな、ケーキを食べて、チキンを食べて、家族や友達と笑顔で騒いで、サンタさんからプレゼントをもらって。そんな風に過ごしているんだと、幼稚園のころ初めて知った。いいなぁ、と。いいなぁ、と、素直に羨ましく思った。みんなが羨ましかった。てんかちゃんは、サンタさんになにもらったの? てんかちゃんのおうち、どんなくりすますぱーてぃするの? そう言われて、何にも言えなかった。てんかのおうちは、サンタさんこないの。けーきもおにくもなくて、いつもどおりのごはんなの。なんて、言えなかった。幼稚園のお友達に言えなかったし、親にも言えなかった。言ったら、怒られる気がして……

「わあ……!」
「おぉ、今年も豪勢じゃな」
「去年、甜果ちゃんがこのお肉美味しいって言ってたから、今年も作ったわよ♪」
「ほん、と……? おばあちゃん、ありがと……!」
「どういたしまして。それじゃあ、食べましょうか」
「うんっ」
「「「いただきまーす!」」」

でも、父母とわかれ、この家に来てからは、クリスマスが好きになった。この家に来て最初の12月。「サンタさんにお手紙書かないの?」「つ、筑紫恋、悪い子だから……サンタさん、来たことないの。だから今年もきっと、来ないよ」そんなやりとりをしたら、クリスマス当日、学校から帰ってきた甜果を、ケーキとチキンと、サンタさんの格好をした祖父が出迎えてくれた。すぐに祖父だとわかったけれど、その優しさが、あったかくて、うれしくて、幸せで。それから毎年、クリスマスがたのしみだった。だから、今年もきっと、楽しい日になるんだって信じ込んでた。

「!? ばあ、ちゃ……じい、ちゃ? ……っ! えっ……なに、これ……」

今年もきっと、クリスマスは、楽しい日になるんだって信じ込んでたのに。
ガチャンッ! 派手な金属音がした。フォークが落ちた音だと気付いたのは、自身も項垂れてから。音がして、音の方を見ると、祖母が苦しそうに被害を机につけていた。縋ろうと手を伸ばした先には苺のショートケーキしかなく、皺の刻み込まれた其の手をクリームが汚している。肩で息をしていて、冬の夜だというのに汗の量が異常だ。ゾッとして祖父の方も見ると、やはり似たような症状。ゴホゴホという、痰の絡んだ咳もしている。(救急車呼ばなきゃ)その判断をする頃には、自分も普通に座っていられなくなった。床しか見るものがなくなって、やっとさっきの音はフォークだったと気付く。

頭がガンガンする。火照って苦しくて、それなのにすごく寒くて。汗で服がべとついて気持ち悪いのに、動くことができないぐらいしんどくて重だるい。身体のあちこちが痛い。鼻水が垂れてくる。激しめの咳が出た。喉がキリキリ痛くて、痰が絡んで変な感じ。まだ夕食に口をつけてないのに、からっぽの胃の中身が逆流しそう。
この症状は知っている。インフルエンザだ。小さい頃2年に一度ぐらいなった。でも、なんで? どうして、3人同時に同じ症状になってるの?

(まさか、毒……!? 空気感染……? もしかして、筑紫恋の地力が……? ……ううん、それは違う)

それは違う。だって、甜果の毒はあくまで体力を奪うだけ。インフルエンザになんてできやしない。じゃあ、なに? バイオなハザード状態?
なんで? なんで今日? クリスマスは、とってもいい日のはずなのに……っ(……怖い)苦しくて動けなくて、鼻水と一緒に涙が流れていく。すごく怖かった。朦朧としていて激痛の走る元々良くない頭で、必死に思考を巡らせても、性格も相まってネガティヴな考えしか出てこない。もし、2人が死んじゃったらどうしよう。そしたら、またお父さん達のところに? やだよ、筑紫恋、ずっとこの幸せな家にいたい! もうあんな怖い思いしたくないの!! すごく怖い! 2人が死んだらさみしいよ、どう生きていけばわかんないよ! もう大切な人とお別れしたくないよ! 怖い、怖い、怖い、怖い……っ!!!

「ゲェッホ、ゴッホ……こ、わい……! やだ、やだやだや、だ……っ……――はいっ、こーうたーい。恋紫ちゃん初めてのクリスマスだよ、はーっしんどい!」

盛大な咳のあと、怯えきった瞳から涙を零し、弱音を零した少女は、ふっと一瞬気を失い、すぐに涙の止まった目を開け、立ち上がった。体調が回復したわけではなく、恐怖が消えたわけでもない。変わったのは――替わったのは、人格だ。祖父母がインフルエンザで死んでしまうかもしれない恐怖に耐えきれなかった『甜果』の代わりに、『恋紫』がこの恐怖をトコトン楽しみ代行する。最近は戦争ぐらいしか出番が無かったのだけれど、まさかの恋紫としては初めてのクリスマスである。まあ記憶は一方的に共有(それは共有とは言えない)しているから、記憶自体はあるけど――恋紫として過ごすのは、初なのだ。とは言っても、インフルエンザにかかってる状態なのだから、全く嬉しくない。いや、とっても怖いから、とっても愉快ではあるのだけれど。

「……消防本部通信指令室、だっけ? そこもやられてるってことは、ウチだけじゃなくて葛飾区全体みたい。とりあえず――」

119に連絡したが、咳と声の濁りが酷くて、相手も同じなのがわかって、切った。この調子じゃ病院も救急隊員もアウトだろうな。
喉が痛いから喋るのもつらいが、口に出さないと頭で整理できそうにない。フラッフラのクラックラな足取りで、なんとか祖父と祖母をベッドで寝かせることに成功。めちゃくちゃ時間かかった。いや、マジでしんどい。2人とも意識はなかったけど呻いてたから死んではない。でも衰弱した老人はすぐに死ぬ。死んでしまうのはとても怖い。それがすごく楽しい。
次に、使い捨てマスクを引っ張り出して装着し、ソレの入った袋を鞄に入れ、おでこに貼る冷たいシートを取り出して貼りつけ、ソレの入った箱を鞄に入れ、防寒着を着込み、鞄に分銅が入っていることを確認して、家を出た。2人の枕元に【湯け湯け健康ランドに行ってます。ゼッタイ解決するからね】と、甜果そっくりの字体で書いたメモを残して。



「湯殿ちゃん! 琳! 大丈夫!? ……やっぱり、此処もダメ……」

大声出して喉が余計痛くなった。
葛飾区の自警団として、何かあってもなくても、湯け湯け健康ランドに集まるのは普通だった。だから今回も、きっと何か関係あるに決まっているから、此処へやってきた。案の定、ヘロヘロの湯殿と圭太がいる。恋紫のことは自警団のみんなよく知っているから、呼び方や口調や話し方や仕草表情、ひとつみればすぐにわかるはずだ。まあ、こんな状態でも判別できるかは謎だけど……酷い有様だ。でもコレ、私達と一緒……。
まだ症状が悪化しきっていないからか、さっきまでぼんやりとでも回転する頭だったが、外に出たせいで(しかも雪が降っててちょっとテンション上がった)だいぶ駄目になったようである。咳が酷くなり、熱が上がってきた気がする。上手く考えられなくなってきた。苦しい。思わずその場に座り込む。

「……救急車、連絡したけど、駄目だった。コレが起きてるの、この銭湯だけじゃなくて、少なくとも葛飾区全体……ではあると思う。うちのじいちゃんばあちゃんも……私も、なってるから」

ぐわンぐわんする頭を冷え●タ越しに揉みながら、なんとか現状報告する。水浸しな様子とひとっこひとりいない浴場から察するに、2人は此処で客を救っていただろうから、外の状況は知らないはずだ。だから、自分が持っている情報だけでも、教えておかないと。
あぁ、それと。

「ゴホッ、ゴホッ……ん゛ん゛、これ、マスクと冷え●タ。無いよりマシだと思って、持ってきた……くふふ、たのしいね。理由のわからない病にみーんなでおかされるのは。怖くてたまんないねぇ」

鞄から取り出した袋と箱を、2人に渡した。かわいらしい笑みとともに。

>>泉界湯殿さま、琳圭太さま、allさま

【やっとこさ参戦です!入りまでがなっげえ!!!】

1ヶ月前 No.59

雨上がり @koshou0602 ★iPhone=WhimNy2RFf

【琳圭太 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

 ボスとカウンターで会うことを約束し、別れる。ボスもひどい風邪の症状を持っていたあたり、広範囲に、どんな人物も風邪引きにさせることができるようだ。まだ地力とは決まっていないが、高確率でなんらかの地力であると思われる。今の東京なら、そう考える方が自然だ。

 今まで頭痛もちの人の気持ちが微妙にわからなかったが、ようやくわかった。頭を尖ったものでぐりぐりと彫られるような痛みに顔を歪める。さらにずっとつきまとう吐き気に、肩から下を覆う寒気に、謎の腹痛。止めには脳にお湯が入ってるんじゃないかというほどあつい熱の症状。それをこらえて何度も仮眠室と男湯とを往復して、やっとこさ全員を運び終えた。地力の使いすぎか、はたまたこの異常な身体のせいなのかふらふらしながら仮眠室の壁にもたれる。地力を使って相手の体を軽くするとはいえ、背が高い人は失礼ながら若干引きずった。

「クソ、こんなとき身長があれば……ちくしょう、なんだよこれ、なんでこんな状態に、なんで葛飾区領民に、なんでボスに!!!!!クソ!!!」

熱のせいなのかイライラするし、自分が情けないし、なぜだか目の前がぐらぐらして、見にくい。そのまま怒りに任せて仮眠室の壁を殴る。
ドガン!という音と共に拳に鋭い痛さが伴い、やっと正気にもどる。
赤いなぁと思いつつ血だらけの拳を見つめていると、ボスとカウンターで会うことを約束していたのを思い出す。

「なにしてんだ、おれ……ボスんとこ、いかなきゃ……う゛ぇ、吐きそう……」

途中で服をきて、カウンターまで行くと、なぜか雪だるまの置物に話しかけるボスの後ろ姿を発見した。……さすがボス、無機物にも挨拶を忘れない……ってことか!さすがだ!!!
ボスの髪はボサボサ、服もびしょびしょで、はやいところボスにも休んでもらわなければと思いながら話しかける。

「ボス、戻ったぜ……ってボス!!おでこ!!!打ったのか!?めっちゃ腫れてっけど……大変だ、しっぷ……しっぷっておでこにはっていいのか……?あ、熱冷まシートなら、熱も下がるし一石二鳥……?とりあえず、冷やさないと!!」

ボスにけががあると分かり取り乱したのと、熱がピークを迎えたのが重なり、圭太はかつてないほど焦った様子で一時自分の体調の悪さを忘れて救急箱をとりに走り出す。
救急箱から氷のうを取りだし、冷凍庫から氷をだしていれ、ボスのおでこに当てる。湯け湯け健康ランドには緊急時に合わせてのグッズがたくさんあるのだ。

「……とりあえず、これで……、ボスは、ねててくれていいぜ!……あれ、甜果?きてくれたのか、……じゃないな、恋紫か!おい、大丈夫か、おまえもやすんだほうがいいぜ」

恋紫が来ているのに気付く。彼女がそのまま地面に座り込んだので、目の前にいって自分もしゃがむ。

「そんな、葛飾区全体が……。どうしたら……。ほかの区も、そうなのかな……あ、熱冷まシートとマスク、ありがとな。仮眠室のみんなにもつけてくる」

頭があまり回っておらず舌足らずになっていっていっているのに、本人は気付いていない。

>泉界湯殿様&筑紫恋甜果様&ALL様

【垂れ目設定とか勝手に作っちゃったと焦っていたので、友禅様と想像図が同じでよかったです!!一重に頭に彼女の顔が浮かんでくるほどの友禅様の文章力のおかげですね……ありがとうございます、これからもどんどん出してください!!!
それにしてもインフルエンザ描写難しいですね笑
メンタルにきてもいいかなと思って圭太は若干情緒不安定気味にしてます、ボス第一主義は変わっておりません!】

1ヶ月前 No.60

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 泉界湯殿 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

 熱で頭がおじゃんになって愛しの副領主と雪だるまを見間違えたが、副領主はそんなことも気にせず……というより、そんなことに気付いた様子もなく走って氷嚢を持って来てくれた。
 なんて良い男なんだ。葛飾区イチ良い男で賞をあげたいくらいだ。というかあげよう。この騒動が終わったら手作りの賞状を手渡すと今決めた。
 やはりインフルエンザのせいでちょっとハイになった脳味噌は、氷嚢で物理的に冷やされていてもそんな考えばかり浮かばせる。いけない。ここは真剣に事態の打開策を検討せねばならぬ場面。シリアスを取り戻そう。

「ン゛ッン゛ン゛! ありがとう圭太。しかし寝てはおれんよ、区民の一大事こそ領主の動くべき時だ。ここで休んでは愛しき領民らに誇りを持って顔向けなぞできんからな!」

 今度は台詞の最中に痰が絡まぬよう事前に咳払いをした後、圭太の気遣いに笑顔でそう返す。とは言え顔は真っ赤だ。氷嚢の冷たさが発熱に負けてさっそく袋の中で水に変わっているような感覚がある。実際そんな風になるような熱が出ていればさすがに意識を失っているはずなので、あくまで体感の話だが。
 番台付近でそんなやり取りをしている内に甜果……いや、あの雰囲気と言動は恋紫のほうだ。祖父母と共に住んでいる彼女の家で目の前でその二人がインフルエンザに罹ってしまったなら、二人が死んでしまうかもしれないという恐怖に精神を追い詰められ恋紫が出て来るのもうなずける。

「恋紫、圭太。……どうやら事態は葛飾区どころか、東京23区の全域に襲い掛かっているらしい。このニュースを見てくれ」

 誰かが倒れ込んだ瞬間にリモコンに当たって電源が切れていたテレビ。それを情報目当てに再度付け直せば、マスクを付けて額に冷えピタを貼った真っ赤な顔色のアナウンサーが生放送で原稿を読み上げていた。
 そこから伝わって来る情報を総合すると、どうも東京23区にいる全ての人間がこのインフルエンザを突然発症し、元から危篤状態だった病人や呼吸器がいるほどの要介護老人、極端な低体重で生まれてケースに保護されている赤ん坊などの、生命力が弱い人間の層に既に死者も発生しているという。
 湯殿は悔しさのあまり唇を噛んだ。葛飾区にだって上記の条件に当てはまる領民はいる。それが失われているのだ、領主として湧きあがる怒りと悲しみを抑えきれない。この怒りは事態を引き起こした下手人のみならず、むざむざと誰かがこの事態を引き起こすのを見過ごした自分にも向けられた。
 だが、ここで自罰なんぞしていたところで死んだ領民は生き返らない。病んだ領民らが治ることもない。

 動かねば。
 なんとか事態を打破する手がかりを探り、活路を見い出し、解決という結果を掴まねば。
 それが葛飾区の領主、泉界湯殿として果たすべき責務である。

 噛み締めすぎた唇が犬歯で破けて微かに血を流す。
 それにさえ気付かず、睥睨するような、あるいは祈るような眼差しでテレビ画面を見つめる。
 何かヒントが転がっていないか。何か。早く皆を楽にしてあげるための解決策、その糸口が。
 そんな願いが通じたのか、それとも偶然の一致か。
 湯殿が強い想いを込めて画面を凝視した数十秒後、テレビ画面の中で速報を知らせる高音が鳴り響いた。

≪ただいま速報が入りました。東京湾にインフルエンザウイルスの形をした謎の建物が突如浮上したようです。一連の騒動との関係性は不明ですが、建物の傍にはライトアップされた巨大な看板が建てられており、そこには『領主御一行さま歓迎!!』との文言が記されているようです。これは東京23区の領主たちを狙い、領民まで巻き込んだ新手のテロなのでしょうか? いずれにせよ……ゲホッ!! 申し訳ありません、別のアナウンサーと交代させて頂きます≫

 すらすらと原稿を読んでいるように見えたアナウンサーもインフルエンザ感染者であることに変わりは無い。
 ついに耐え切れず咳き込んでしまい、けれどお茶の間の皆様の目の前でニュース番組の最中に飲み食いなんぞしてなるものかという気概からか、その場では水一つ口にすることなく上品に一礼して下がって行った。
 そして新たに別のアナウンサーが登場するも、これといって新しい情報は無い。ひたすら同じ情報を繰り返すか、病人で溢れかえる町の映像を流すばかりだ。

「恋紫。マスクと冷えピタ、感謝する。後はゆっくり休め。圭太。留守は任せたぞ。悪いが表の札を閉店中にしておいてくれ。
 ――温泉私は、誇りを取り戻してくる。このまま身体の弱い領民から順に死んでいくのを、指を咥えてむざむざと見てはいられまい」

 泉界湯殿は勇敢ではない。ただプライドがあるだけだ。
 領主としてのプライドは、第一に領民の命に対し責任を持つこと。
 領民らの命が脅かされているこの状況。誰しもが等しく辛く、等しく苦しいこの状況。
 そんな状況でも、己が領主であるならば……否、領主であるからこそ動くべきだ。

 血を吐いても領民のために動け。
 骨が砕けても領民のために動け。
 肌が裂けても領民のために動け。
 腕が抜けても領民のために動け。
 腸が抉れても領民のために動け。
 まして今の己はただ病んでいるだけなのだ。なおさら動け。動け。動け。動け。

 鬼気迫る責任感に突き動かされ、湯殿はふらふらとした足取りで外行き用の背中に温泉マークがプリントされた長羽織をひっ掴む。
 それに袖を通すだけ通し、ろくに汗も拭えていない身体でスーパー銭湯の出入り口を目指した。

 早く解決しなければもっと自分の領民たちが死んでしまう。
 その悪夢の可能性に焦らされ、多少冷静さを失いかけていた。
 領民を大切にする彼女はこういったシチュエーションにとことん不利だ。
 自分が一秒でも立ち止まろうものなら、その都度一人の領民が死んでいくような気分に襲われている。
 情の深さは時として徒だ。

>琳圭太様&筑紫恋甜果様&ALL様

【遅番終わりに眠気と格闘しながら書いたのでわりと誤字とか多いかもしれません、失敬!
 めちゃくちゃ素敵な文章を書く方に文章力を褒めて頂けた次の投稿であまり良い文章が書けなかったレスを上げるのって、なんかめっちゃ申し訳ないんですけどでも眠気に勝てませんでした……!!】

1ヶ月前 No.61

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 筑紫恋甜果 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

(あ、『私』だってわかるんだ)と、熱で浮かされた頭でぼんやり思う。おまえもやすんだほうがいい、と自身も目線を合わせて心配してくれる圭太は、若干呂律が回っていない。琳こそ休んで! と言いたくなる。みんなには私がつけとく! って。そう言って立ち上がる前に、湯殿に、ニュースを見てくれ、と指示され、素直に目を向ける。
そこに映し出されるは、恋紫と同じような風貌のアナ。雪の女王と一緒の方じゃないよ? ……そういう冗談言ってる余裕はないんだって。熱のせいでただでさえ悪い頭が余計バカになっているのを自覚した。どうやら、23区の人間全員がインフルエンザにかかっているらしい。元から体調が悪かったり弱かったりする人間は、既に死んでいるケースも出ているようで。ソレを聞いて、背筋にゾゾッと寒気がした。これが恐怖のせいか、熱のせいかは、わからない。だけどそれと同時に、感情が、愉悦が、心の奥底からどんどん湧き出てくる。マスクの下で自然にニッコリしてしまう。元から上がっていた口角がさらに上がる。もしかしたら本当に、家に置いてきたおじいちゃんとおばあちゃんは死んでしまうかもしれない。でも、ソレが楽しくて楽しくてしょうがない。勘違いして欲しくないのだけれど、恋紫は別に頭がおかしいわけではない。人並みに心配し、人並みに叱る。常識も良識も持ち合わせているし、祖父母に死んでしまうのは絶対に嫌だ。ただ、『恐怖』に対して、普通の人と同じように『怯える』のではなく、『楽しむ』という対処をするだけなのだ。

そんな風に恐怖を心から喜んでいると、テレビから何かを知らせる音がする。アナウンサーが言うに、『東京湾にインフルエンザウイルスの形をした謎の建物が突如浮上したようです』『一連の騒動との関係性は不明ですが、建物の傍にはライトアップされた巨大な看板が建てられており、そこには『領主御一行さま歓迎!!』との文言が記されているようです。』。……はい? ウィルス形の建物ってなに? 領主御一行って……? よくわかんないけど、わかんないことって不安で怖いなって『筑紫恋甜果』は思うから、なんだかルンっとくるよね!

「湯殿ちゃん! 悪いけど、その命令は受けられない。非戦闘民がばかすか死んでいくのを見てられないのはっ……ヘックシュ! ……ごめん。非戦闘民が、ばかすか死んでいくのを見てられないのは、わかる。……でも、湯殿ちゃんだってそんな身体でっ……ゲホッ、ゲホッ……そんな身体で、無茶するなんて、ダメ。湯殿ちゃんが行くなら、私も行く! これ届けるだけ届けて、後は休むなんて、絶対嫌!」

途中、嚔と咳を挟みながら、領主に反抗する。湯殿の体調を心配しているのは本心だ。彼女が無理をしてもしも死んでしまったら――それを考えると、怖くて怖くてたまらなくって、自然と笑顔になっちゃうけど、それは楽しいだけで、湯殿にいなくなって欲しいわけではない。湯殿が無理をするくらいなら自分も行くという意を表した。筑紫恋甜果の地力を今使えば、絶対に死者が出る。でもそんなの関係ない。大切な領主様を死なせないためなら、怖いことも楽しいこともなんだってする――否、怖いことと楽しいことは、恋紫にとっては紙一重なのだけれど。たとえ、熱の膜が張ってあるような身体でも、掠れた声でも、咳が出ても喉が痛くても、鼻水が止まらなくて頭がくらくらしても、自警団として、領主を支えることは、譲れないのだ。

>>泉界湯殿さま、琳圭太さま、allさま

1ヶ月前 No.62

雨上がり @koshou0602 ★iPhone=WhimNy2RFf

【琳圭太 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

「23区、全域で……そんな、こと、あるのかよ……。てか、これ、インフルエンザだったのか、初めてかかったな」

テレビで放送された内容は、東京23区の人間にインフルエンザの症状で苦しんでいるというもの。しかも、それのせいで死人まで出ているとのこと。
これが誰かの陰謀だったなら、到底許せる行いではないと思っていると、その思考を裏付けるような速報が入る。
東京湾にインフルエンザウイルスの形をした謎の建物が突如浮上、『領主御一行さま歓迎!!』の看板――。

「っぼ、ゴホッ、んぐ!!……ボス、東京湾に行くのか……、おい、待ってくれ!!」

留守を頼むと言って1人で立ち去ろうとするボスの腕を掴む。

「まさかそのびしょびしょの状態で行くのか、自殺行為だぞ!!!いくらボスでも駄目だ、まずは汗流して服を着替えて、形だけでも万全の状態で行かなきゃ、こっちはすでに満身創痍みたいなもんなんだぞ!!!
分かってる、分かる、そんなん俺だっておもうよ、一秒でもはやく解決して、みんなを助けなきゃって!!今にも死んじゃうかもしんねぇ領民がいるって思うと、怖くて恐ろしくて、――奴らを、殺したくて殺したくて堪んねぇよ!!!
でも、だけど、こんな恐ろしい地力を持ってるような奴らんとこに、こんな罠みたいな思惑に乗せられるんだぞ……、たのむ、ボス……ほんとはボスに他区に行かせたくもないんだ!それなのに、領主全員が来るかもしんねぇ場所なんか……。
ボスには、俺が命にかえても生きてもらわなきゃ……。でも、ボスだから……他区でも、どんな状態だとしても他人のために動くボスだからこそ、俺はボスについてくって決めたから!!!だから……、とにかく、そとにでれるじょうたいにして、おれも、ついてくからな、たのむよ、ボス……」

あまりに興奮しすぎたのか、最後の方はあまり意識がない上、文章もめちゃくちゃだった気がする。だが、とにかくボスを今の状態で、たった1人でなんか絶対に行かせたくないという一心だった。

恋紫も同じように、ボスについていくと宣言している。

「I beg you,BOSS…….たのむ……」

泉界湯殿様&筑紫恋甜果様&ALL様

【文才のなさをインフルエンザのせいにできる……!!素晴らしい……!!!】

1ヶ月前 No.63

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【墨田区・北斎通り/京極壱成】

 壱成は絶句した。そこには苦しそうな表情をしながら咳き込む領民で溢れかえっていた。ある者は道端に座り込み、ある者は電柱に手をついて浅い呼吸を繰り返している。
 何がどうなってる……。
 突然のことに唖然としながら周囲を見回していたが、ふと近くに自分の見知った背中を見つけた。自警団の若い者がスマホを片手に持って道端にいた。壱成はこの状況を聞くために彼に近づき、「おい、ちょいといいかィ」と僅かに彼の肩を引いた。その時だった。
 青年の身体が傾ぎ、自分の胸にもたれ掛かってくる。壱成は反射的に受け止めたが驚きのあまり声が出なかった。いつも溌溂と任務をこなし、若いながらも一生懸命に人のために動く姿が印象的な青年だった。その彼が完全に脱力し、僅かに肩を引かれるだけで倒れ込んでしまっている。何事かとビックリして壱成は思わず青年を見た。
 顔が赤く、苦しそうに肩で息をする青年。額に手をやるとじんわりとした汗と高熱が掌に伝わってきた。
 すると彼はうっすらと目を開けて「副領主」と、か細い声で自分を呼んだ。

「おい、しっかりしろィ。どうした。何があった」

 青年はゆっくりと片手を上げた。その手にはスマホが握られており、そこからアナウンサーの声が聞こえてくる。壱成は青年からスマホを受け取り、その画面を見た。
 その瞬間、壱成は思わずひくりと眉を顰めた。その映像には、東京湾に浮かぶインフルエンザの形をした謎の建造物があった。そこに書かれていたのは『領主御一行さま歓迎!!』の文字。明らかに領主を誘い込もうとしているのは容易に見て取れた。これは罠だ。しかし、さらに映像が切り替わり、東京中にインフルエンザの症状をした領民たちが溢れかえっている様子が流れる。

「――ふざけるな……」

 静かに、壱成は内なる怒りを燃やしていた。例えばこれが罠だとしても、自身の身に宿った怒りの炎はそう簡単に消えそうにもなかった。気は長い方ではないことも相まって、壱成の双眸は細められ刃物のように鋭かった。
 そして、その時視界の隅に白い布状のものが浮遊しているのが見え、ふと何かと思ってそちらに視線を移すと壱成はぎょっとした。――一反木綿がじっと自分たちを見下ろしていたのだ。しかしよく見ると、それは自分のよく知る見慣れた絵に近い形をしていた。これは、旦那の……。そう思ったとき、一反木綿からぬうっと青年に向かって手が出て、壱成は頷いて青年を一反木綿に乗せた。

「悪ぃなァ。頼むぜ。しっかり役目を果たしてくれよ」

 するすると白い布を靡かせながら、それは離れていく。しかしふっと、青年は振り向いて何かを投げつけてきた。壱成はそれを受け取ると、おやと小さく笑った。マスクが2つ、気が効くじゃねェかと目元を和らげる。すぐさま取り出すと壱成はマスクを装着した。

 そうさ、まずは旦那と落ち合うことが先決だ。

 しかし、百鬼夜行が来る方向を辿って歩いている内に息が苦しくなってきた。桜威を見つけたとき、すでに壱成も呼吸が乱れ、身の内に灯る熱っぽさに足取りがふらついていた。そしてどうやら桜威も体調は芳しくなさそうだと見受けられる。苦しそうにしゃがみ込んでいる桜威に壱成は何とか駆け寄って、「旦那」と声をかけた。

「この騒動はどうやらふざけたウラがあるみたいですが、知ってやすかィ」

 壱成は自分のスマホを取り出すと、先ほどのニュース映像を桜威に見せた。そして一通り、アナウンサーが原稿を読み終えるのを待つと、壱成は静かに口を開いた。

「自警団の若ェもンが、巡視中だったらしくていち早くこの騒動に気付きやしてねェ。さっき道端で会ったんですが、身体の方がすでにインフルエンザに罹ってたみたいで旦那の一反木綿に乗せられて――」

 そこで壱成は咳き込んだ。口元に手を当てて、大きく息をつく。呼吸を整えようとしても、一度咳き込んでしまえば次から次へと咳が出始める。

「すいやせん、俺も罹っちまったみたいでさァ。旦那、とりあえずこのマスク、その自警団がくれたもんで。ちょうど、2人分用意してたみたいですねィ。
 ――どうしやすか? 旦那。どう考えてもこの一件、そのアナウンサーが言うように領主を狙った罠でさァ。だが今のところこのふざけた建物に行くしか、事を収める方法が無さそうなのも事実。……様子を見るも、ここに行くも、俺ァ旦那に任せまさァ。ここのボスは旦那ですからねィ。でも行くなら俺ァどこまでも旦那にお供しまさァ。地獄の果てでもねィ」

 インフルエンザの症状が出ているというのに、壱成は熱で顔を赤くしたままいつものままにっこりと笑った。しかしその瞳は依然としてどこか鋭いままだった。途中で何度か咳き込む様子も見られ、悪寒が身の内に顔をもたげていたが領民をこんな目に陥れた怒りの方がよほど勝っていた。白いマスクを桜威に差し出して、壱成は彼の返答を待った。

>桜威、ALL

1ヶ月前 No.64

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 泉界湯殿 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

 熱で浮かされた頭を使命感と責任感が重ね焼く。
 この熱はもはや領民らの安全を命懸けで獲得し遂せるまで決して冷めぬものと思われた。
 だが、留守番を任せた二人からの言葉で火照った脳味噌に水が注がれる。
 嗚呼、そうだ。なにも領民を死なせたくないのは自分だけではない。アイツが死ぬかもしれない、コイツが死ぬかもしれないと不安なのは自分だけではない。彼も彼女もそうなのだ。いくら最も責任を背負うべき立場だからといって、使命を果たすべき立場だからといって。この責任と使命ばかりは、自分で独り占めできるものではないのだ。
 一番多くを背負うべきは自分でも、彼ら彼女らの分まで横取りしてはいけない。それは器の大きさではなく傲慢さに繋がってしまうから。

 はぁ、と短く息を吐きだす。
 体温は相変わらず嫌になるほど高いが、それでも頭は少し冷えた気がした。
 こちらの腕は熱く、それを掴む圭太の腕もまた熱く。やっぱりここでゆっくり療養して貰うのが良いのでは、という傲慢と庇護欲が表裏一体になった気持ちが湧いて来そうになるのを、獲得し直したばかりの冷静さでぐっと押しとどめる。
 至近距離にある副領主の目を見つめ、次いでやや離れた位置にいる恋紫の目を見つめ。最後に瞼を閉じて数秒ほど自分の心を見つめ。
 そうして再び湯殿の瞼が開いた時、もう彼女の目は責任感と義務感に急き立てられ焦る女のそれではなかった。
 ただただ静かに、『覚悟』が揺らめいている。

「――すまんな、少し取り乱してしまった。やはりいかんな。温泉私はどうも、愛する者の危機に弱い。葛飾区という一つの家の大黒柱がいつまでもこれではあまりにも格好がつかん。今後はもっと精進せねば」

 前半は二人に向けて話しかけ、後半は自身に向けて戒めるような言葉を。
 それだけを熱い呼吸と共に口から出して、出入り口から踵を返す。

 圭太の言う通り、まずはビショ濡れの服を脱いで身体を拭き、真新しい服に着替えてから行動に移ろう。そうだ、水分もとらなければ。事が起こってから領民の救助に必至で水滴一つも口に入れていなかった。これでは熱のせいで脱水症状を起こし、東京湾に辿り着く前に倒れる間抜けを晒しかねない。

「圭太。恋紫。二人のことも、領民のことも、必ず我が身と我が魂をかけてこれ以上は損なわせはしない。温泉私が死ねば皆も道連れだ。故に死ぬことはできんが、それでも命懸けでこの約束を守ると誓おう。代わりと言ってはなんだが、二人もこの不肖の領主の支えになって欲しい。でなければ、この未熟な小娘はまた一人で先走ろうとしかねんからな!」

 顔は赤くて、まだ額にはたんこぶがあるし、髪だって梳かしていない以上は先程と変わらずボサボサのままだが。
 それでも領主としての責任感を突っ走らせるのではなく、歩んでいく形にまで落ち着かせた湯殿の笑顔はどこか先程までとは違って見えた。

「さあ、そうと決まれば早く着替えねばな! 圭太も行こう! 恋紫はここまで急いで来て喉が渇いただろう、先にスタッフルームの冷蔵庫からスポーツドリンクや経口補水液を取り出し飲んでおいてくれ!」

 掴まれていた腕をこちらから握り替えし、男子と女子の脱衣所の入り口が隣り合って並んでいる所まで圭太を引っ張って歩いてゆく湯殿。
 領民の事が心配な気持ちはもちろん健在だ。が、これでもう単身特攻をかます気にはならないだろう。

>琳圭太様&筑紫恋甜果様&ALL様

【新年あけましておめでとうございます!(フライング)(明日も書き込んだ場合はもう一度言う)
 今日はシフトが入っていて返事が遅れましたが、明日も明後日も明々後日もシフトがが入っているのでやっぱり返事が遅れます。今年の年末年始は慌ただしくすぎてゆく……すまない……】

1ヶ月前 No.65

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 筑紫恋甜果 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

圭太の支離滅裂且つ真心こもった必死な様子にあぁ、自分はは葛飾区の自警団に入れて良かったな、なんて、場違いにほっこりした気分になる。この心がぽかぽかする感じが、熱のせいなのか否かは、頭痛のする脳では考えられなかったけれど、前者ということにした。
自分達の言葉を聞いてくれた領主様は、こちらに謝ってくる。どうやら、ひとりで行くことはやめてくれるようだ。良かった。湯殿はこのままではいけないというが――(湯殿ちゃんは湯殿ちゃんのままで、いいとおもうんだけどな)と、恋紫はキリキリする喉を通じて声を出すこと無く、そう思った。心の中だけでおさめることにした。

「――もっちろん! 私達は最初からその気。自警団に入ったときから湯殿ちゃんが領主じゃ無くなるその瞬間まで、私達は湯殿ちゃんを支える! 支え続ける! う゛っえ゛、ゲホッゲホッ……う゛ん、そうする。ごはん食べる前だったから、余計喉も渇いてるし……食欲はないけど……」

湯殿の申し出に、勝気な笑みでそう返す。途中、大声出したせいで、空っぽの胃から液体が逆流しそうになったし(一瞬上がってきたけどすぐ戻ってった)、咳も出たけど、気持ちに変わりはない。
さてと。領主様があー言ってくれたことだし、自分はおとなしくスポーツドリンクでも飲みに行くとしよう。よっこらせと立ち上がり、スタッフルームの方へとフラフラ歩き出す。正直に言えば、今すぐトイレにこもって吐くだけ吐いて、薬を飲んで眠ってしまいたい――否、そこまでのわがままは言わない。此処に寝転んでそのまま安らかに目を閉じてしまいたい。そのぐらい身体が重たくてしょうがない。すっごくしんどい。でも、自分は自警団なのだ。そんな怠惰は許されない。それに――(それに、絶対安静ってまでじゃないにしても、無茶しちゃいけないような体調不良の状態で、必要以上に動き回るのって、ありえないくらい怖い! いつ倒れちゃうかわかんないし)楽しいことは、積極的にやりたい。休みたいのと楽しみたいので、二律背反。でもそれは恋紫にはよくあることだし、しんどい今は、まあいいや、どうでもいいやってぐらいのもんだった。

「……ぷはー! 生き返る…………あ、終わっちゃった……経口補水液、だっけ? そっちも飲んでいいよね、うん……」

スタッフルームの冷蔵庫をガッチャンと音を立てながら乱雑に開け、いちばん近くにあったスポーツドリンクのペットボトルを手にとり、やや震える手で蓋をとるなり、マスクをずらし、ゴクゴクと一気に飲んでいく。一気飲みは苦手なので2回に分けたがすぐに飲み終わってしまった。残念。でも言われたから経口補水液の方も飲むことにした。(脱水症状を直すのが、経口補水液なんだっけ……? なんか聞いたことある気がするけど、あたま痛すぎてぜんぜん思い出せない……)思い出せない記憶って怖いよね。そんなことを考えながらそちらも飲み干し、一度トイレへ行って用を足してから、再び元の場所へ戻る。

「おまたせ! さ、行こっか」

>>泉界湯殿さま、琳圭太さま、allさま

【あけましておめでとうございます!今年もよろしくおねがいしまーす!!】

1ヶ月前 No.66

雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

【墨田区・北斎通り/川村 桜威】

 妙に回らん頭を抱えて妙な熱っぽさを鑑みても、医学の心得なんて物はとんと無いもんで、それが何なのか見当も付かなかった。これが風邪って奴なのか、あるいは別の何かなのか、という事も。
 いや、全くって訳でもねぇか。道端で倒れ伏した領民達がああなったってんなら、俺がならねぇ訳もねぇよなぁ……無差別テロって奴か、あるいは何か別の目的でもあんのか。いずれにしたって、此処で俺が伏す訳にゃいかねぇよなぁ。

 そうしていりゃ何やら後ろから、ちょいと忙しないようで、しかし普段より乱れたような足音が聞こえた。
 しかしまぁ、随分とタイミングの良いこって。振り返りはしなかったか、下駄の音と旦那と呼ぶ声を背に膝に付いた土埃を手で払っては「よっこいせ」なんて親父臭い声を漏らしながら、やおら立ち上がる。

 正味、未だに喉に絡む痰やら響く頭痛やら尋常ならん気怠さは続いてるもんだから、寝転んで絵の一つや二つ描いていてぇもんではあったが、そういう訳にゃ行かねぇってのが領主の辛い所よなぁ……ま、それはそれ。
 さてはて、どうしたもんか。そう思っていれば、「知ってやすかィ」という言葉と共に取り出されたスマホを覗けば、何やらニュースのようで――――しかしまぁ、何ともふざけた内容であった事だけは確かなもんだ。

 それが丁度終わる頃合いで語り始めた壱成の話に耳を傾けていれば、最中で咳き込む壱成の様子に目を丸くしてはいたが、インフルエンザという言葉で得心がいった。なるほどなぁ……とすりゃ、俺も患っちまってるって訳か。

 若ぇのが渡したっつう白いマスクを一枚受け取っては、狐面の中から普段と同じように笑う壱成の顔を見やる。ったく、目と顔が合ってねぇよ。

「なぁ、壱の字。俺ぁインフルエンザなんざ、御初にお目にかかる訳だが……こりゃ、随分と描きづれぇなぁ。こんなもんを何時まで経っても患っちまってたら、満足いく絵の一つも描けやしねぇ」

 ちゃらりと雪駄を鳴らしてマスクを付けながら一歩前に進む。そして、漆に桜模様の描かれた筆を懐から取り出す。その最中で唐突な言葉の数々は相も変わらず呑気にも聞こえただろうが、それでも何処と無く怒気を孕んだような言葉尻。雰囲気は唐辛子でも、まぶしたようにピリッと引き締まる。

「俺ぁ、俺の筆を止める奴は誰であろうと許さねぇのさ。ま、ここは一つ、御挨拶と行こうじゃねぇの!」

 宙に浮かんだ絵の具玉。相変わらず何処か素直ではない言葉を続ける最中、渡り歩く筆の軌跡に、新たな色の絵の具玉が練り上げられる。薄水色、青藍、茅色。
 最初に練り上がった茅色が花火玉へと変わりながらも地面へ落ちる。そうして、それが地面へ当たって弾けたかと思えば、ズズッと音を立てて地面から滲むように平田舟の姿が現れた。二人は突如として道中に現れた舟に乗る阿呆のような状態であったが、此処で終わる訳がないのが彼である。

「壱の字、落とされねぇように捕まっとけよ? んでもって、とくと御覧じろ! 江戸街道中・京見津々!」

 残った薄水色や青藍色、そして白を先程と同じように舟の上から地面に落とせば、ぐらりと舟が揺れて景色が次第に変わっていく――いや、より正確に言うなら空が近くなっていく。それこそ、10階建てのビル程の高さへ。
 下を見たならば、舟を持ち上げるようにしてザァザァと音を立てている波の姿が見える事だろう。いくら、先行く道の人々は粗方片付いていて、彼の能力は消せば痕跡は跡形も無くなるとは言え、何とも無茶苦茶なやり方ではあった。

「それじゃ、東京湾のどの辺かは知らねぇが……ま、隅田川から行けば然して遠くはねぇだろ?」

 狐面の下でニッと笑えば、二人の乗った舟は隅田川へと津波の架け橋によって運ばれて行く。なだらかであっても勢いは津波のそれと変わらぬが故に、五分と掛からず隅田川へと運ばれて行くだろう。そこから先も波や流れを作れば目的地へと着く。
 ただまぁ、この移動方法は間違いなくジェットコースターのそれと似た刺激があったのは違いなかったが……。

>壱成、all

1ヶ月前 No.67

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★Android=uJs7nQDOiH

[板橋区・コミック空間/サムライラ・ニンジャクリーン]

 体調が優れないと感じたのはつい先日。オンラインゲームの大型アップデートにより、エナジードリンクとコミック空間のフードをガソリンにパソコンの前に二日間張り付いた代償かと思い、気に止めなかった。暖かくして一日寝れば治るだろうと自室であるコミック空間のグレードが一番高い部屋で寝ることにした。夜中にハッと目が覚めると息苦しさを覚えた。この感覚は覚えがある。酷い風邪をひく予兆だ。枕元に置いてあったスポーツドリンクを口の端から少し零しながらも飲み、逃避するように布団へと戻り無理矢理に寝た。だが、朝になっても熱は下がらないどころか上昇し、体の節々が痛い。
 まだコミック空間に住み着く前、地力に目覚める前。趣味にお金を割くために予防接種を受けなかったためか、似たような症状に襲われたことがある。あの時は一人で狭く古びたアパートに一人暮らしをしていて、咳をしても一人の意味を痛感した覚えがある。
 迷惑を掛けてしまうが、朝のミーティングに顔を出さないでいると押し付けられた誰かが起こしにこの部屋に来るはずだ。その時に体調が悪いことを伝えようと考えた。
 だが待てど待てど誰も来ない。まさか呆れられてしまったのかと汗の量が更に増える。思考がどうも後ろ向きに進んでいく。何とか布団から這いずって出ると個室の扉を押し開けて、聞こえないとは思いつつ痛む喉から声を絞り出した。字幕があったら間違いなく呼んだ副領主の名前には棘が生えている。

 静寂が返ってきた。
 思わず息を呑んだサムライラは肘から腕を付き、立ち上がった。あまりにも静かすぎる。人の気配すらしない。壁伝いに朝のミーティングをする場になっている大人数用のカラオケルームへと入った。
 中ではマスクや熱さまシートをし、テーブルに突っ伏している自警団と領民がいた。

 何とか皆と地区の状況を確認した。恐ろしいことに領民の大半が酷い風邪の状況に置かれているようだった。コミック空間は空気清浄機を何台も動かし、換気を忘れず入口やトイレに限らず各個室にアルコール除菌を置くなど衛生には気を配ってきている。何よりこの集団感染。原因は十中八九、地力に寄るものと見て間違いではないだろう。自警団や領民が他の地区の友人に連絡を取ったようだが23区全域で確認されているようだった。それに安堵を覚える。このような状況で攻め込まれでもしたら一瞬で終わってしまう。
 少しの安心を感じると同時に、病弱な領民や現在大きな怪我や病気を患っている領民のことが引っかかった。症状に個体差はあれど、拗らせて悪い方向に向かってしまえば最悪、命に関わる。一刻も早く解決しなければならない。だが、原因もはっきり分からない上に手がかりさえない。分かることは地力によるものということだけ。

 スマホを取り出したサムライラはSNSのアプリを起動するとコミック空間内にいる自警団全員と連絡を取った。まずは各自がこれ以上悪化しないように動くべきである。
 コミック空間の調理場は完全に封鎖すること。倉庫から飲料、出来合いのレトルト商品を時間分けしてお互いの接触を避けながら各々が取りに行くこと。それが終わった者から自分の元の来て、地力による簡易的な治療を受けに来ることをまとめて伝えた。

 カラオケルームに一人座り、痛む腰を摩るサムライラ。体に触れ、体を自身の武器とすることで身体強化を行って風邪の症状を少しでも緩和させようとしていた。自警団が来た際には相手を自身の武器として扱うことで仲間の身体強化を狙うつもりだった。
 少し冷静になった部分とまだ夢を見ているような熱を持った頭が混在している。ふと、北区の出来事が浮かんだ。
 何かが焼ける音、燃える音。
 誰かが吠える声が響き渡る。
 激しく脈打つ心臓と滾る血。
 恐怖、笑顔、崩壊、倫理観。

 相手の肘を思い切り踏み、両手で握った刀を重く、早く、一撃で刎ねると振った。

 自分でも驚く程に冷静に順を追って思い出していた。風邪で少し浮いた気持ちが、まるでアニメのワンシーンを、マンガの一コマを見るように、他人事のように見せた。

「……笑えますネ」

 一人そう呟いたサムライラは扉を開けて苦しそうに入ってきた仲間に笑いかけた。

>>皆様


[生存報告の意味を込めた書き込みです。イベントが動くまで待機しています]

1ヶ月前 No.68

陽香 @brahman☆r92H8KW1RF2 ★iPhone=NPTyWMGmXt

【板橋区・コミック空間/まゆ】

___事態は、昨夜から。

かわいさとは健康な身体から、とはよく言うものです。そして、アキバのメイドとは「かわいい」ことが絶対条件。まゆちゃんたちメイドにとっては日々のなんでもないお給仕であっても、ご帰宅してくださるご主人様・お嬢様にとってはそれ1度きり、なんてことも。そんな方達の前で「今日はたまたまかわいくない日です」など、決して許されることではありません。なのでまゆちゃんの健康管理は徹底的に____してたはずなのに。

「なぁんで……こんな熱……しかも家の暖房はぶっ壊れて、マキナくんに修理頼んだらマキナくんも熱出てるらしいし、近所のホテルも予約で満室……クリスマスの23区イカれてません? まゆちゃんもブチ切れながら石を投げるレベルですよ」

健康管理虚しく、40度近い高熱。まゆゃんの本当のお家であるお花畑の星とは別の、千代田のそこそこの高さのマンションのエアコンは温度設定が19度の冷房から動かなくなり、じゃあホテルに泊まるか、と思ったらどこもかしこも予約で満室、というか従業員もだいぶぐったりしてた。まゆちゃん、メイドの体調管理はほんとに厳しくしてるのでわかるんです、あれは確実に無理しかしてない身体。皆が皆ああなんて、何か良からぬことが起こっているに違いありません。というか、今朝からやたらと社員妖精さんのところに『今日お休みします』ってメールがメイドから来てたんらしいんですよ、それですうぃ〜てぃあは臨時休業。……本当に、23区で何が起こってるんです?

…今、ここまで、泊まれる、というか休めそうな場所探して歩いて来ましたが、やけに少ない道行く人、フロントでまゆちゃんのお泊まりを断ったホテル従業員さん、全員が漏なく、健康じゃない。……バイオハザードでも始まるんですかね? まゆちゃんはああいうゲームなら、バイオハザードよりサイコブレイクの方が好きなんですけど。

………いやいや、違いますから。

出ましたよ、体調の悪さがカンストした時特有の、本当に関係ないことまで考えちゃうアレです。というかどこまで歩かせる気なんですか? 千代田からテキトーに大通りと少し外れたところを歩いて泊まれそうなところを探しているんですけど、いや本当にどこもロクに動いてないですね? まゆちゃん殺す気ですか? もういっそホテルじゃなくて椅子かソファがあるとこならどこでもいいです本当に辛いんですよ立ってるのも厳しいんです。

____あ、漫喫あった。いいやもうここで、確かここは個室とかあった気がするな、もういっそカラオケルームのソファでいいから寝たい。千代田区のすうぃ〜てぃあ本社から歩き通しで死にそうなんですよ。

「ええ、はい、24時間で……げほ、え、あ、会員証ですか? ありますヴゴホッ」

ちょっと会話するだけで大惨事じゃないですか。よかった、もうツインテールはほどいて、マスクして、ノーメイクで、カラコンも外して地味な茶縁のメガネかけててよかった、まゆちゃんがこんな醜態なんてゴシップに引き抜かれたら辞職ものです。

受け取った伝票を持ってエレベーターへ。受付の子もだいぶやられてましたね……いや、まゆちゃんも相当なので人の事言えませんが。ああもうはやく横になりたい……布団じゃなくていい、カラオケルームのソファでいい……ほら、このドア開けたら寝っ転がれるソファが___

「あっ」

あっ、じゃないですよ。

……いやいや、さっきから棒立ちしちゃって、コミュ障みたいになってるじゃないですか。というか今何が起こってるんです? 確かエレベーターを降りて、ルームのドアを開けて、そしたら部屋の中には項垂れる人達と、その中央にはブロンドのお姉さんがいたんです。えっ? これどういう状況?

「え、あ、部屋間違えましたね? すいません_」

とんでもない早口だった。自分でもよくわかります。いつもならこんな下らない間違えなんかしないし、したとしてももっと冷静に対処してるはずです。……にしても、綺麗な人ですねぇ。女優さんですかね、どっかで見たことある気がします。

「____ああっ! サムライラさん!?」

……どこかで見たことある、そのはずです。広いルームの中で一際目立つ彼女は最近専らの話の話題である、板橋区領主のサムライラ・ジャクリーン。この情報化社会、ネット上で彼女の顔をみかけることなんていくらでもありました。あれ、え、もしかして、これはパンデミックに乗じてまゆちゃんが板橋に攻め込んだと勘違いされて殺られるのでは? という思考が脳を過り、同時に冷や汗が吹き出す。ドアの取手にかけたままの手だって、手汗でたぶんヌルヌルです。

「あ、あの、別にまゆちゃん千代田から攻め込んできたわけじゃないです本当に」

さっきよりも声が上擦っている。語尾を切ったところで、(千代田とか言わなかったらセーフだったかもしれないのに!)と気づいてしまったんですけど。悪寒と焦りでプルプル震える手を、音をたてぬように、秒速1センチほどの速さでゆっくり閉ざしていった。

≫サムライラさん

【お久しぶりです……(白目)。本当にお久しぶりになってしまって申し訳ないです……! そしてスレ主様がガチモンのインフルを患わってしまったと……どうかご養生ください】

【やったー! 個人的に片思いしていたサムライラさんに絡めて嬉しいです。ロル蹴りの許可もありがとうございます……! ぜひぜひ、熱で頭いかれて本調子ではないですが、まゆちゃんをどうぞよろしくお願いします……!≫神波さま】

1ヶ月前 No.69

ぴーぴーけー @ppkppk☆ErEBsPNY5g.j ★iUcwHsnoGa_Qi5

【千代田区・江楠研究所→アニメイト前/江楠真希奈】

「はあ……はあ……あと少し……!!」

 唐突な風邪。風邪というにはもはや重すぎる症状を引きずりながらも、彼は研究室に籠って「あるもの」を製作していた。以前知人のツテでちょいちょいして手に入れていた検査キットを使ってみると、結果はインフルエンザ。まゆちゃんからの電話に出たときも、まゆちゃんをはじめ「すうぃ〜てぃあ」のみんなも一斉に同様の症状を発症しているようだ。話を聞けば、どうやら街中の人々も同じらしい。持ち前の正義感が発現した彼は、先程から病体をおして開発にいそしんでいた。
 目の奥が熱い。鼻水は詰めたティッシュでかろうじてせき止めている。喉が焼けつくように痛い。全身の関節が熱い。目の前の機械の製作を進めようとする手の感覚が鈍い。これはまずい。

「……ククク、仕方ないですなあ……発明家としての矜持からあまりやりたくはないのでござるが……悪しき病原体インフルエンザウイルスよ、たかだかその程度でこの僕を止められると思っているのですかな……!?

『機械の行進(マシンヘッド)』……! 機甲兵(トイソルジャー)よ、僕の手となれ……!!」

 彼がスッと左手を壁の方へ向けると、そこにあったCDプレーヤーがいきなりカシャンカシャンと変形し、高さ60cmほどのロボットへと姿を変えた。海外の某ロボット映画のように変形を遂げたそのロボットは、その命令を忠実に遂行し、製作を代行し始めた。これで真希奈は実際に手を動かさずとも「意思」だけで製作を進めることができる。普段彼がこれをしないのは、ただ「自分の手で作り上げたい」だけである。


――――


「フッフッフ……できましたぞ……完成しましたぞ……!!
 製作中だった別のやつを改良しただけだけど……インフルエンザ対策フルフェイスヘルメット!!!
 これで勝つる!!! わーっはっはっは!!! ありがとう機甲兵くん、君は最高の仲間だ!!!」

 完成したフルフェイスヘルメットを被り、(外からはわからないが)笑顔で機甲兵の頭を撫でる。機甲兵は「うぇひひ、とんでもないでやんす」などと言わんばかりにてれたような仕草で頭を掻き、再びCDプレーヤーの形へと戻った。

 身の回りの持ち物を詰め込んだ鞄を持って研究所から外に出る。「喉を潤すための吸気湿度自動調節および鼻水を止めるための薬剤吸入機能」や「額や耳下腺周辺の熱を適度に冷却する機能」のついたフルフェイスヘルメット。身体には四肢に装着した、脳の信号を即時解析し運動を補助する外骨格。所々に外部から信号伝達を認識するための淡く光る電飾の青い光がゆらめく。その姿は近未来モノの映画に出てくるソルジャーか何かである。

「さーて、まゆちゃんや今日子ちゃんはどこかな? 困ってるだろうから、助けてあげないと」

 ヘルメット内の目の前のディスプレイに映像が映る。携帯電話の中継アンテナの情報を傍受し、それぞれの位置情報を割り出す。詳細な位置はわからないものの、ある程度までなら絞り込める。同じ千代田区の友人として、そして大切な仲間として、彼女たちが困っているならば助けなければならない。精細な測定結果が割り出されるまでの間、しばらく秋葉原の街を歩くことにした。

 末広町駅からメトロ沿いに南下してアニメイト前まで歩いてきたものの、どうも人が少ない。まばらにいる人々もどうやら発症しているらしい――――少なくとも、千代田区は甚大な被害を受けているようだ。原因を突き止めなければ。

 とはいえ、素体となる身体はいつも通りの白衣のため(そもそも日常からこんなことをしているのは秋葉原でも、おそらく東京中探しても彼だけなので)見る人が見れば真希奈とわかるが、初見の人間からすればどこからどう見てもヤバい奴である。

>周辺ALL

【あけましておめでとうございます。イベント開始もおめでとうございます。しばらく真希奈は秋葉原をうろつかせておきます、状況を見て移動させるかもです】

1ヶ月前 No.70

雨上がり @koshou0602 ★iPhone=WhimNy2RFf

【 琳圭太 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

「俺はいつだってボスの味方で、仲間だ。ボスのことを支えられるほど体はまだまだ強くないし、かといってボスの心を支えられるかと言われてもボスは崇高すぎて俺なんかじゃ到底及ばないだろうし、力になれるかも分からない。でも、ボスは俺が、両親に、世界に、葛飾区みんなに誓って、絶対に守る。そしてボスには、東京を、世界中のみんなを救ってもらう。それはあんたが『葛飾区の領主』だからじゃない。『泉界湯殿』っていう、俺が世界で一番尊敬するその人だからだ!!」


無条件で、全幅の信頼を寄せるその言葉。
 どんな悪条件を重ねられても、そのたった一言には全ての悪意を跳ね返すだけの願いが込められていた。

 彼女の生き様、彼女の精神、彼女の持つ心の暖かさ。泉界湯殿への心酔と尊敬は、彼女が圭太にかけた「呪い」だった。

 圭太は湯殿に連れられて脱衣場入り口までいく。

「さ、ボスはとりあえずさっさと着替える!!俺も、りんご食べる……。あとは銭湯で休んでるみんなに伝言のこしとくよ」

領主も副領主もいないのでは、心配をかけることになるだろう。

>>泉界湯殿様、筑紫恋甜果様、All様


【あけましておめでとうございます!遅れてすみません!
全く進んでないです、今回は好きな小説から結構表現引用しました……】

1ヶ月前 No.71

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 泉界湯殿 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

 向けられる敬意は眩しく、親愛は温かく、信頼は尊い。それに相応しい女で在りたいと思う。あらねばならぬ。
 泉界湯殿と琳圭太の出会い。それは呪いか、祝福か。決めるのは当人たちで、決まりきるのは今際のことだ。今は呪いでしかないものが、生きていく最中(さなか)で祝福に転じることもある。誰かにとっての呪いが誰かにとっての祝福であることも。
 極端な話、『呪い』であり『祝福』であるものもこの世にはたくさんある。二つは完全に別物ではないのだ。
 ただ一つだけ、現時点で確かに言い切れることがあるとすれば。泉界湯殿にとって、琳圭太との出会いは祝福である。それによって死ぬることがあったとて。地獄に叩き落とされることがあったとて。それでも。何度生まれ変わろうと背中を預け合いたい男との邂逅が、祝福以外であって堪るものか。

「そうか! ならば温泉私は、君に誓われるに相応しい領主であることを重ねて誓おう! 君の期待を裏切らず、君の敬愛を踏み躙らない。それでいて君の想いを重荷と抱え込まず、双翼として携え更なる高みへ羽ばたく者へ成ろう! 『自分はそんな風に思われるべき人間ではない』――誰にだって言えるそんな簡単な言葉で、君の想いを受け流したりはせんぞ。全てを全て受け止めて、全てが全て我が愛となるよう! ……ええい頭が回らんせいで途中から言いたいことの方向性がブレた! この話は熱が下がった時にまた改めてしよう、では!!」

 言いたいことだけ言いきろうとしたら途中から言いたいことの内容が逸れ、しかしそこから軌道修正して話せばあまりにも立ち話が長くなりすぎるため、やむなく切り上げて脱衣所に駆け込む。やっぱり大事な話はインフルエンザの時になんぞするべきではない。高熱や関節痛のせいで十秒前に自分が何を言っていたのかも忘れそうになる始末。
 脱衣所の中で手早く着替えを済ませ、湿った髪をドライヤーの最大風速でスムーズに乾かす。最後に冬用の羽織に袖を通し、これで外に行く準備は完了だ。後はスタッフルームで水分補給をして恋紫らと合流する。ちょうどスタッフルームから出てきたばかりの恋紫と入れ違いに中へと入り、残っていた経口補水液をペットボトル丸ごと一本分飲み干した。外で水分が欲しくなった時のため、着物の袖の丸みを利用しそこにスポーツドリンクを二本ほど収納。羽織のポケットにも一本ずつ突っ込み、合計四本のペットボトルを所持した状態で番台に向かった。
 そこには既に恋紫がいる。圭太もそろそろ来る頃合だろう。

「よし! それでは葛飾区自警団所属三名、これより東京湾に浮かぶ謎の建築物へと移動を開始する! 移動手段はタクシーだ、スタッフルームから運転手を呼んでおいた!」

 ビシッ、とスーパー銭湯の出入り口を指させば、そこには確かにタクシーが一台停車してあった。運転手はマスクこそ付けているが顔色が平常で高熱に犯されている様子が無い。というのも、彼の地力は『自分の体温を操作すること』。ゆえに鼻水は出るわ痰は絡むは関節は痛いわで被害を受けているのに、高熱だけは自分の地力で完璧に相殺できているのだ。――後に彼は「自分の人生で一番地力が役に立った瞬間」としてこの騒動の一幕を上げている。

「はっはぁ、高熱の無いインフルエンザなんざただの凄い花粉症と筋肉痛が同時に来てるくらいのもんですからねぇ!! 皆さんをお送りすることくらいお茶の子さいさいですよぉ!!!!」

 窓をウィーンと開け、数十メートル以上の距離がある中の人間にも聞こえるほどの大声でそう啖呵を切る運転手。実際のところ凄い花粉症と筋肉痛が同時に来るのはだいぶキツいと思うのだが、それでも熱が無いというだけでこの状況におけるアドバンテージは絶大だ。事故の心配なく安心して運転を任せることができる。

>琳圭太様&筑紫恋甜果様&ALL様

【光属性で制作した自キャラがその光属性っぷりゆえに人様のキャラに結果的に呪いをかけたエモさ、たまらないものがあります……。
 そして新年あけましておめでとうございます! 私のほうはすっかりインフルエンザも治りました!】

1ヶ月前 No.72

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 筑紫恋甜果 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

圭太の湯殿への言葉を聞いて、恋紫は熱に浮かされた頭で(重いなぁ……)と思った。甜果も恋紫も、そんな風に誰かに宗教じみた感情を抱いたことは無い。そんな呪縛的な想いに応えようとする湯殿は素直にリスペクトだ。なんていうか、筑紫恋甜果にとっての『呪い』って、『他人』ではなく『恐怖』だから。恐怖に呪われ、自分は――恋紫は、呪いそのものみたいなもんだ。それをどうとも思わないし、自分は『筑紫恋甜果』以外の何者でもなくてちょっと代わりにやってるだけだから、それが自分を縛るものとは考えられない。苦手なことは、誰にだってあるでしょう?

「タクシー乗るの、私、初めてかも……。凄い花粉症と筋肉痛でもしんどいと思うけど、それでも助かる。ありがとう」

ややフラつく足で出口へ向かうと、運転手が車から出てきてドアを開けてくれた。タクシーの目の前まで来てから礼を言い、いちばん奥……進行方向を向いていちばん左に、ちょこんと座る。
正直、領主がタクシーを手配してくれたのはめちゃくちゃ有難い。この体調でこれ以上歩くのは無理だ。家から此処に来るまでで体力は使い果たしているようなものなのだ。これから戦うかもしれないのだから、此処で体力を温存しておかなければ。

>>葛飾区allさま

【うわーっ短文!! 勝手にタクシーに乗らせて走らせるのは流石にまずいかな?? と思ったら恋紫がタクシー乗るだけになっちゃいました…!!;;】

1ヶ月前 No.73

雨上がり @koshou0602 ★iPhone=WhimNy2RFf

【 琳圭太 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

 他所から見れば、かけられるには過大な期待に、ある種重すぎる思い、他の人なら疎まれるであろうような湯殿が湯殿であることの絶対的信頼。それには気付かない圭太だが、そんな全てを受け止めると言う湯殿。

――他の人のことを一番に考えて、我が身を犠牲にすることなど屁でもない彼女には、それを守ろうとする人間がいることをわかってほしかった。

もし単身で挑んだ場合もボスの地力の強さがあれば、簡単に死ぬようなことはないだろう。だが、そんなことを心配しているわけではない。
もし、もし死んでしまえば。

この世界を救う人間がいなくなってしまう。

圭太にとって湯殿は世界のヒーローで、諦めることも、辞めることも絶対にしない英雄だ。
ボスの背中を自分に任されていることは、圭太の中で一番の誇りである。
だからこそ、湯殿を支えて、命懸けで守る。世界を救う英雄と、どこにでもいる一般人の自分の命、そんなものは比べるまでもない。

そこまで考えて、啓太は自分の汗を拭く前に仮眠室のホワイトボードに書き置きをしておこうと仮眠室に入る。

「えっと、『ボスと、圭太と、恋紫でこの急なインフルエンザの原因であろう者たちがいる東京湾にいってきます、銭湯のものはご自由にお使いください』っと……なんか、咳とかはもうあんまでないけど、熱が一段とあがったきがすんな…ズズッ」

鼻をすすり、脱衣場の洗面所で顔を洗う。冷たい水を顔につけるのは気持ちいい。

りんごを食べながらカウンターに戻ると、既に恋紫とボスがいた。俺が来たのを確認してか、ボスは声高々にタクシーを呼んだと言って出入り口を指差す。

「うおぉ!!!さすがボス!!!運転手さんもありがとう、本当に有り難いぜ!!!どう考えても電車とか動いてなさそうだしな、走ることしか考えてなかったぜ」

脳筋ぶりを発揮したあと、恋紫が一番奥のシートに座ったのを確認して、助手席と後方の席かで迷う。

「ボスは助手席がいい?うしろがいい?いっそのこと後ろに三人でのる……?いやなんかそれ俺もボスと恋紫みたいに小柄って意味みてだな、や、その通りだけど……」

>>泉界湯殿様&筑紫恋甜果様&ALL様


【『呪い』は圭太がどれだけ湯殿ちゃんを尊敬、信頼、心酔してるかを表現できたらいいかなと……。でも湯殿ちゃんの明るさは近くにいる者を照らすだけではなく、影を深くしそうでもあって本当においしいキャラです……。
てか圭太まじで重い!!!大丈夫ですかこれ!?わんこの度過ぎてる!!!】

1ヶ月前 No.74

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 泉界湯殿 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド 】

 恋紫がタクシーの後部座席に乗ったのを見届け、湯殿は助手席に座る。タクシーの上座下座の話を持ち出すと助手席は下座なのだが、インフルエンザに侵された頭ではそんなちゃちいことは気にしていられない。身体が怠すぎてもう座れるなら前とか後ろとかどうでも良いのだ。圭太もどこに座るかで頭を悩ませていたことだしちょうど良い。こういうのは上司(?)がさくっと席を決めなければ他の者が決め辛いのが定番。偉けりゃ偉いほどケツは軽いほうが話はスムーズに進む。小学生の頃の校長先生もたぶんそんなこと言ってた。たぶん。

「うむ! さすが我が葛飾区の区民、辛いというのによく働いてくれる! だが、いつまでも働かせるような鬼畜な領主ではないぞ温泉私は! 待っていてくれ運転手殿よ! 君の働きに報いるべく迅速にこの事態を収束させ、君がきっちり休みをとれるようにしてみせようではないか!」
「おう! 応援してるぜ領主さんよぉ!! それに自警団の皆さん方も!!」

 インフルエンザ真っ只中なのに相変わらずクソデカ声の領主に釣られてか、やはりタクシー運転手さんの声もバカデカい。狭苦しいタクシーの中でコンサート会場並の声量を腹から出している。しかしこれまたインフルエンザのせいで耳鳴りが激しいので、本人たちは自分がそこまで大きな声を出しているとは思ってもいないのであった。人間は身体が不調だと色んな場面で不都合が生じる。早く健康体を取り戻さねば。
 助手席が埋まったので圭太は恋紫と並んで後部座席に乗り込んだ。扉が閉まる。一秒後、タクシーは道が空いているのを良いことに法定速度ギリギリでの爆走を開始する。みんなインフルエンザで建物内にこもっているからこそのスピードだ。だってギリギリはギリギリでもギリギリでアウトのほうの速度である。なお、またしてもインフルエンザのせいで頭がちょっとおかしくなっているので、運転手も湯殿もタクシーが法律に触れる動きをしていることに気付いていない。安静にせずに無理するものだから知能指数が犠牲になっているのだろうか?

「わはははははは! なんだかいつもより早く感じるな運転手殿! インフルエンザのせいか?」
「がはははははは! そうですわ領主さん! きっとインフルエンザのせいっすわ!!」

 酔っ払いにも似た阿呆と阿呆のやり取りが、僅かに空いた窓からすっからかんの道にやかましく漏れ響く。
 これが普段の道路なら、たまに九州から遠征と称して東京にやって来ている暴走族や珍走団のグループに絡まれる原因になったりするのだが。
 現在の道路はもう野良猫の鳴き声だって耳を澄まさなくても聞こえてしまうくらい静かなので、当然タクシーは何者にも絡まれたり煽られたりすることなく順風満帆にかっ飛んで行くのであった。

>琳圭太様&筑紫恋甜果様&ALL様

【タクシーに動きがないままロルをもう一周させると場が停滞しそうなので、圭太くんは後ろの席に乗ってくれたことにしてしまいました。確定ロルすみません……!!
 次のロルでもう東京湾に到着したことにして頂いても大丈夫ですし、面倒臭ければ私の次回ロルでそうします! ご自由にどうぞ!】

1ヶ月前 No.75

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★Android=uJs7nQDOiH

[板橋区・コミック空間・カラオケルーム/サムライラ・ニンジャクリーン]

 大きなくしゃみや咳き込む音が室内に響き渡る。音源となった相手にティッシュ箱を手渡していると、カラオケルームの入口のドアノブがゆっくりと動いた。マスクを顎まで下ろして小さく笑いかけた。

『あっ』

 小さく漏れた相手の言葉。熱で上手く回らない思考回路で自警団の誰かか、領民の誰かか、急いで名前を呼ぼうと動かした。だが見つからない。マスクの上部を掴んだままゆっくりと首が傾いていく。朝のミーティングに出てくれるような主力メンバーは間違いなくすぐ分かる。そこにはいない。自分が忘れているだけかと思っていると、小さな謝罪の言葉を述べた。
 そこでサムライラはふと、聞き覚えのある声だと感じた。早口で謝るその姿に既視感があった。どこだどこだ、と記憶を掘り起こす。北区を配下にしてから数日後、改めて領主の顔ぶれと人数を確認するために並べた写真。その中で満面の笑とピース、ハートマークが飛んでいそうなウインクをカメラに向けたのであろう女性。サムライラのブロンドの中に混じるベタ塗りとは正反対の柔らかな色合いをした黒髪。その髪先は大きく太く巻かれている。写真で見た雰囲気とはまた違うが、それでも見間違えるほど領主をしていない。

 相手の名前を呼ぶより早く、彼女はサムライラの名前を大声で呼んだ。その言動に傾いていた首が回転するのではないかと思うほどにさらに傾く。普通考えて、このタイミングで他の区の領主が来るということは宣戦布告と見るのが定石である。現に彼女は板橋区領主の目の前まで来ることは出来ているのだから。
 だが、この23区に蔓延している病状はおそらく23区にいる時点で発症している。それはサムライラも彼女も例外ではない。実際、ドアノブを持つ彼女も見てわかる体調の悪さだ。その状態で堂々と正面から切り込むのはリスクが大きすぎはしないだろうか。領主は区を背負い、領民を背負い、命を背負っている。その重さを知らないほど、彼女は軽薄な人間ではない。

 そんな仕事を巡らせていると、遂に彼女は自分の名前と区。そして、わざわざ攻め込んだわけではないと言葉を続け、ドアをゆっくり閉め始めた。少し笑ってしまった。ここで見送るのもありだろうかと一瞬考えたがそういうわけにもいかない。まゆちゃんが本当に攻め込んだわけではないという確証はどこにもない。性善説で生き延びるのはいつか限界が来る。サムライラも頭の片隅ではまゆちゃんの言葉に嘘はないだろうと思っている。それでもここで動かなければ、疑わなければ領主として、一人の屍の上に立っているものとして示しがつかない。

 サムライラはゆっくりと閉まるドアを見てから足の裏にそっと触れ、床を強く蹴ると閉まりきる前のドアに腰から下げていた刀を手に持つと鞘ごと差し込んだ。
 防音設備が整ったカラオケルームに硬い音が響いた。サムライラは一瞬だけ冷めていた脳みそがまた熱を持ち始めたのか少しふらつきながらも、ドアの隙間に足を差し込み刀を腰へと戻した。顎に掛けていたマスクを持ち上げ、付け直すと咳き込んだ。

「どうやら23区全体の問題みたいデス。イチジキューセンがいいネ」

 相手が最近話題の自分を信じてくれるかは分からないが、提案するだけ価値はあるはずだと自身に言い聞かせながらサムライラは小さく笑った。

[こちらこそ絡んでいただきありがとうございます……!!まゆちゃんさんとても可愛いので絡めてとても嬉しいです。少し乱暴な動きしてしまいましたが、どうぞよろしくお願いします]

>>まゆちゃん様(陽香様)

1ヶ月前 No.76

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 筑紫恋甜果 / 葛飾区・タクシー車内 → 東京湾 】

恋紫は不真面目且つ適当な人間なので、当然のように上座下座の常識なんて知るはずなく、2人の座る位置にも自分が座る位置にも意味があるなんて思ってもいない。
頭痛と吐き気がちょっと酷くなってきて俯く。しんどいけど、しんどいのに無理をするのはやっぱり恐ろしく楽しみで、自然と笑みが零れてしまう。ただ楽しめばしんどいのは終わって役目も終わって自分は眠れるなんて、もしかしてすごいラッキーなのでは?
そのまま自分の膝を見つめていると、湯殿と領主が、東京ドームでマイクを外して自分の想いを届けたいのかってぐらい――いや、そこまでじゃないかもしれないけど、恋紫的にはそのくらいのすんごい大声で会話をしていた。

「湯殿ちゃんも運転手さんも、うるさい! 近いんだからもっと小さな声で――うわあっ!?」

その大声が頭に響いた。それでも相手も同じ体調なのもわかっているから、やや呆れ気味にさして怒ることもなく、痛い喉に配慮して小さめの声で注意しようとするも、言い切る前に車が動き出した。え、めっちゃ速い。吹き飛ぶかと思った。慌てて、けれど熱にうかされた身体でノロノロとシートベルトをつける。このスピードは絶対にインフルエンザのせいではないことはわかる。わかるけれど、そんな危ない運転が、恋紫には恐怖でしかなくてとても愉快でたまらなかった。一周回って彼女もインフルエンザのせいでおかしくなっているのかもしれない。

「あっははははははは! いい、いいよ、運転手さん! もっとスピードあげちゃえ――!」

心から楽しそうにケラケラと笑う。さっきまで声のボリュームを注意していた彼女はいない。熱のテンションでただでさえおかしいのにもっとおかしくなった。
そうやって笑い声を上げていれば、さすが違反スピード。あっという間に着いた。

「はー、たのしかった! 運転手さん、ありがと。後は私達に任せてゆっくり休んで!」

そう声をかけてから、にこにこ顔のままタクシーから降り、2人が出てくるのを待った。

>>葛飾区allさま

【着きました(着きました)】

1ヶ月前 No.77

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【墨田区・北斎通り→東京湾/京極壱成】

 桜威の怒気を孕んだ口調を聞いてニヤリと笑う。
 そうさ、このお方も俺も墨田が好き勝手されるのをただ黙って見過ごす人じゃないんでさァ。

 宙に浮かぶ絵の具玉がふわふわと目の前を通り過ぎる。鮮やかな手捌きで練り上げていくさまを見ながら、ふと桜威に声をかけようかと思った。旦那、何をするつもりで……? しかしそう口を開こうとした瞬間、茅色の花火玉が地面に弾ける。すると、唐突にコンクリートが溶け始めたかのように滲み出し、そこから現れたのは舟の先端だった。まさかこれは、と息を飲んで見守っているとあっという間に舟全体が自分たちの下から姿を現し、気付けば俺は平田舟に乗っていた。突如道端に現れた舟に乗船している墨田区ツートップという滑稽な図が出来上がる。だが中途半端だからこそ、それだけで終わるはずがないことは分かる。
 ――……だんだんと旦那のやりたいことが見えてきた。口元を緩め、船上で桜威の様子を見つめる。
 彼は慣れた手つきで薄水色や青藍色、白色の絵の具玉を舟から落としていく。その瞬間、ぐらりと舟が揺れ、思わず手をついた。こりゃあ、大人しく舟の上に座っちまった方がいいかもしれねぇなァ。舟を持ち上げ始めた波の音を聞きながら、俺はすとんと座った。
 舟は浮き上がり始め、風景がだんだんと小さくなっていく。
 だが何せ発想力が豊かなお方だ。このままゆっくり空中散歩となるわけがないんでさァ。
 捕まっておけよ、という桜威の言葉と上空から見る街の小ささに、俺はふふっと笑みを見せて「へい」と返事をして船縁を掴んだ。インフルエンザの熱に浮かされて俺も頭がおかしくなっちまったのかもしれないねィ。

「……そうですねィ。このまま隅田川の津波でも使って行きゃあスグでしょう。俺ァ、地力が雷なもんで上手く補助は出来やせんが……万一妨害してくる敵方がいたらここから電気使って気絶させやす。旦那は舟を運ぶことに集中してくだせェ。他は俺に任せてくだせェ」

 片足立ちになり、いつでもそこにあることを確認するかのように刀を右手でそっと撫でた。
 そして、舟は急発進した。それはまるでジェットコースターのよう。だが線路は津波、派手に水飛沫をあげて超スピードで船を滑らせていく。舟は不安定に揺れ、時に宙に飛ばされながらも再び津波の線上へと着地する。エキサイティングな移動の仕方に、船縁に捕まりつつも俺は思わず感嘆の声を上げた。

 そして津波を利用しながら隅田川経由で行くと、5分もしないまま東京湾に辿りついた。

 静止した津波、その上で平田舟に乗っている人物が2人。何とも奇妙な光景である。
 すると津波の上からタクシーで降りてきた者たちを見つけ、桜威に顔を向けた。「旦那、どうやら他の区のモンも敵方に御挨拶に来たみたいですぜ?」と静かに言った。
 まだ1人しか見えないが、中をうかがっている様子からタクシーにはまだ何名かいることだろう。もしかしたら領主・副領主もいるかもしれない。
 東京湾に集まる領主や副領主、自警団はどれくらいいるだろう。
 そしてふと顔を上げて東京湾を目でなぞるように見つめ――あぁあれか、と目を細めた。

「旦那、アレでさァ」

 東京湾に浮かぶインフルエンザの形をした建物。『領主さま御一行様歓迎!!』の文字がライトアップされている。咳き込みながらも、壱成はそれから目が離せずにいた。疲労や身のうちに宿る熱っぽさよりも、領民をインフルエンザにさせた者はどんなやつらだろうとさえ考えていた。

>桜威、周囲ALL

【東京湾に到着させました!移動描写で間違ってたところがあったらすみません……!】

1ヶ月前 No.78

雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

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30日前 No.79

雨上がり @koshou0602 ★iPhone=WhimNy2RFf

【 琳圭太 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド→東京湾】

ボスが助手席に座ったため、恋紫の隣に座って扉を閉める。

ボスのよく響く声が頭にわんわんとこれまたよく響いたかと思うと、負けないくらい大きな運転手さんの声も車中に響く。

「……なんか、速くねぇ?まぁ、風邪引いたときとか熱やばいときって、周りの行動が速く見えるよな……それでか、てか、ねむい……」

なんか周りがうるさいけど、それを気にしていられないくらいに眠い。尋常じゃなく眠い。
駄目だ、俺がちゃんとしないと、基本このはツッコミ役が不足しているのだから……と思いつつうつらうつらの眠りに落ちる。

次に目が覚めたときは、東京湾だった。

「うわっ!!もうついてる!?結構ちょっとしか乗ってなかった気がすんだけど……運転手さん、ありがとな。えっと……とりあえずこれな」

降りる前に一万円を渡して、東京湾を見渡す。
正直一万円は独り暮らしの圭太にとって大金だが、もうすぐ1月になればまた親から少しの仕送りとお年玉がもらえるはずだ。

「うわっ、ほんとにでっけぇ変な建物浮いてるぜ……ん?」

タクシーからおりると、なぜか舟に乗った二人組が降りてくるのが見える。

「……□墨田区……ッ□」

圭太が気づくやいなや、飄々とした態度で挨拶をしてくるのは、確かに墨田区領主だった。

とっさにボスの隣に移動し、なにか仕掛けてこようものならと、すぐに地力を使えるように警戒する。
だが、墨田区領主は戦う気はないようだし、やはり彼もインフルエンザの症状を持っているようだった。

「……とりあえず今は、このインフルエンザの原因となる輩をとっちめるために、一時はみんなで協力しようぜ……ボスに手出したら、ゆるさねぇからな」

>>泉界湯殿様&筑紫恋甜果様&川村 桜威様&京極壱成様、ALL様

24日前 No.80

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 泉界湯殿 / 葛飾区・湯け湯け健康ランド→東京湾 】

 滅多矢鱈ハイテンション気味な三人と眠気に敗北を喫した一人がタクシーで無事現場へ到着。
 そこにはニュースで見た通りのインフルエンザウイルス型の建物がそびえたっており、東京湾の景観を甚だしく汚染していた。
 花粉症の人間がテレビ画面でスギを観ただけで鼻をむずむずさせてしまうように、インフルエンザに罹患した身体ではアレを観ただけで熱が上がりそうになる。
 視界の端で支払いを圭太に先越されたのを見て、湯け湯け健康ランドに帰ったら絶対にこっちの財布からお金を返そうと決意しつつタクシーから降りる。さすがにタクシー内部で揉めては運転手に迷惑だ。
 其はそうとして。どうやら真っ先に動いたと自負していた自分たちと、時をほぼ同じくして動いていた者らも居たらしい。川村桜威と京極壱成。墨田区を代表する領主と副領主たる二人を目前に、先程まで微睡んでいた圭太は途端に眠気を吹き飛ばし警戒心を顕にしている。
 直に顔を合わせたことがなくとも、上の立場にいるとなれば自然と顔は拡散されて上辺だけの面識はできる。だからこちらは向こうの顔を知っている。当然、向こうもこちらの顔を知っていることだろう。恋紫は兎も角、湯殿と圭太は領主と副領主だ。
 俄かに神経を尖らす自区の副領主を尻目に、ここまで葛飾区御一行を運んでくれたタクシーの運転手は「そんじゃ、オレはここでおさらばしますわ!」と運転席から手を振って去って行く。帰りはまた連絡して迎えに来て貰う予定だ。さすがに事態の収束までいかほどの時間がかかるか分からないのに、患った身体で長時間の待機をするのは苦痛だろう。

「――すまん。シリアスな空気のところ申し訳ない。温泉私、ちょっと嘔吐しても良いだろうか」

 墨田区の領主がくしゃみをしたところで、圭太の反応を見る通りまだ微かには互いの間にピリついた空気の残滓があった。
 が、それすらも一掃するかのように。湯殿はおもむろに挙手してそんな台詞をかまし、そう発言した二秒後には「おえぇ」と色の良い唇から経口補水液と胃液しか入っていないゲロをぶち撒けた。有言実行の女だ。
 正確には、ぶち撒けたと表現するのは不適切である。なにせ魔眼によって空気から湯桶へと変換された物体を顔の下に構え、それで道を汚さぬよう吐しゃ物を受け止めたから。しかしタイミングやシチュエーションを思えば、こんな状況下での嘔吐はどうしたってぶち撒けと表現したくなる。
 十余秒の時間を経て、苦しげな呻き声と湯桶の底を液体が叩く音は鳴りを潜めた。出すもの出した湯殿はよいしょと湯桶を地面に置くと、懐から経口補水液を取り出してガラガラペッとうがいをし、吐き出した水はまた湯桶に入る。残りの経口補水液は失った水分を補給するために胃袋へ収めた。

「ふぅ。いやはや、かたじけない! 実はここに到着しかけている頃からずっと吐きたかったのだが、到着したら到着したでそちらが随分と剣呑な空気をしているから余計に吐きたくなってしまってな。ほら、張り詰めた空気は決して内臓によろしくなかろう? そんな訳で圭太も墨田区の領主殿も、もっと和気藹々と行こうではないか! あんまりピリピリしているとだな、貰いゲロを引き起こして君らまで吐きたくなってしまうぞ!」

 吐いてスッキリしたので、湯殿の顔に浮かぶのは輝くばかりの笑顔である。
 なお、足元に置かれていたゲロの入った湯桶は、これまた魔眼のパワーでただの温泉水へと丸ごと変換され無害に道を薄く濡らしている。意外と使えると自分の中で評判のこの魔眼、なんとゲロの処理にも使えるのだ。天から「よっ、地力の無駄遣い!」と誰かが囃し立てて来たするが、これもきっとインフルエンザ特有の幻聴だ。
 空気に水ではなくゲロを差すとんでもない力技で場を自分に引き寄せ、わざとか天然かまんまとペースを掴んだ湯殿はそのままインフルエンザ型の建物に真っ先に歩いてゆく。

「さあさ着いて来るが良いぞ、皆の衆! 人前でいきなり嘔吐するなどという粗相をしてしまったからな! その詫びとして、先鋒はこの葛飾区領主が受け持とうではないか!」

 東京湾を横切るように形成されたインフルエンザ型の建物への道。
 湾上のそれを堂々とした足取りで闊歩し、ついでにわははははと軽快な笑い声をも響かせる。陽気を以て生業とするようなやかましさだ。もちろん空元気。中にいる敵に向けた、自分たちはそう簡単にそちらの攻撃でヘタれる玉ではないという意思を込めた一種の啖呵である。

>琳圭太様&筑紫恋甜果様&ALL様

24日前 No.81

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 筑紫恋甜果 / 葛飾区・東京湾 】

本当に建っていたウイルス型の建物を(趣味、悪い)と思いつつ見上げていると、声をかけられた。(えーっと、この人達は……墨田区の人、だっけ?)甜果が真面目で良かった。記憶の共有を勝手にしてるこっちとしては、キチンと他の区の人のことを調べていてくれてありがたい。恋紫にそんな真面目さは無いので。答え合わせは彼方がしてくれた。自分から正体は明かすスタイルのくせして胡散臭いとは、なんか腹立つ。素直なのかそうじゃないのか……。
自分が「私とはお初にかかると思うよ」と応える前に、さっきまでウトウトしていた圭太が俊敏に動き、湯殿を護ろうとピリピリした。うん、琳のそういうしっかり警戒していくスタイル、私は好き。

「……え」

ちょっと嘔吐しても良いだろうかって何? 今まで聞いたことのある発言の中で、領主さんの一人称の次の次の次の次くらいに変わってると思うんだけど。
なんて驚いてる間に吐いた。えぇ……便利な魔眼で良かったね。一連の様子を受けて――とは言っても、恋紫には、もちろん甜果にも、つまりは筑紫恋甜果には、他人が嘔吐するところを見る趣味なんてないから、あくまで様子を感じ取ったのは耳と鼻なのだが、一連の様子を受けて、恋紫も一瞬胃からせり上がってきたけれど、なんとか口内まで来たぐらいで飲み込んだ。口の中が不快な味でいっぱいだ。流石にこんなのでは怖くないので楽しくない。
吐ききった湯殿は今日一番の笑顔(湯殿ちゃんはいっつも笑ってるけど)で、嘔吐ネタふんだんに使って場を和ませている。「まーそうピリピリしないで〜」と圭太に言うつもりだったのだが、不要だったか。流石領主様。

「……うん! 満場一致で一時休戦協力バトルってことで! 共闘よろしく、墨田区さん! えぇーっと……ちょっと待って、思い出す……あ、京極と川村! 私は恋紫、正確には筑紫恋甜果――まぁ、どっちで名乗るのが正しいかわかんないけど、少なくとも私は恋紫。でも筑紫恋甜果以外の何者でもない。よろしく! ――にしても、コレからどんな敵に会えるのかな? 私、楽しくなってきちゃったっ!」

建物へ歩みを進めていく湯殿に続いて、マスクを顎まで下げてから、墨田区の2人に挨拶をすると、心底楽しそうに笑いながら湯殿についていった。だってだって、東京に住む人全員をインフルにしちゃう力の持ち主だよ? とっても怖いに決まってる!

>>東京湾allさま

22日前 No.82

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【東京湾/京極壱成】

 岸に降り立つと、タクシーから出てきたのは黒髪の少女と赤髪に黒メッシュを入れた少年だった。壱成はその見覚えのある顔に「おや」と言葉を漏らした。確か少女は葛飾区領主、少年は副領主であると記憶している。ということは先にタクシーを降りていたツインテールのこの少女は自警団であろうか。何にせよ、共にこの場に来ているところを見るに、彼女は領主・副領主からの信頼も厚いのだろうと思える。
 葛飾区と言えば何度か他区からの襲撃を受けるも、その度に巻き返しを図り生き残ってきた粘り強い区である。領主・副領主共に10代の若者であるにも関わらずこの領取り合戦の世を生き抜いているとは、油断ならない区であると思ったものだ。むしろその若さで葛飾区を統制しているのだから大したものである。

 副領主らしく桜威の後ろに控え、壱成は一連のやり取りを見守りながら頭の中でそんなことを考えていた。共闘は可能か。個人的には葛飾区は比較的穏和な区だと踏んでいたが、それが検討違いであれば交渉にすらならない。『ボスに手出したら、ゆるさねぇからな』と釘を刺す圭太に、壱成は静かに「安心しろィ。それより領民のインフルを治す方が先でさァ」と返答した。
 すると突如豪快なくしゃみと、その後の湯殿の嘔吐宣言。壱成は片手で顔を覆って天を仰いだ。「御領主お二方、締まるもんも締まらないでさァ。大丈夫ですかィ」とツッコミを入れてしまったのはご愛嬌。別に本気で怒っているわけではないしむしろ体調が心配である(人に言えたことではなかったが)。まァ、無理するもんでもなし吐きたいもんは吐ききっちまった方が楽でさァ、とすらも思うわけで。

 湯殿が再び顔を上げ、溌剌とした笑顔を見せたとき、壱成もつられてどこか困ったように笑ってしまった。憎めないお方だねィと密かに心の中で呟いた。本人は粗相をしでかしたと謝罪しているが、彼女の真っ直ぐさで場の雰囲気が穏やかになったのも事実だ。『ついて来るが良いぞ皆の衆』と先陣を切って歩き出す湯殿、そして軽やかな足取りで彼女に続く恋紫。この状況でもインフルエンザを吹き飛ばすかのような明るい2人の言動に壱成もつられるようにふふと笑った。

「ふふ、随分陽気じゃねェか、葛飾区。そうさ、我らが領主を貶めようとし、かつ領民をインフルエンザに掛けちまう連中なんて俺たちで吹き飛ばしちまえ。誰に喧嘩を吹っかけたのか分からせてやりやしょう。
 ……あァ、お察しの通り俺ァ墨田区副領主、京極壱成でィ。こちらこそよろしく頼みまさァ」

 マスクを軽くずらしてはそう挨拶を返す。『筑紫恋甜果』『どっちで名乗るのが正しいかわかんない』という言葉には気になったが、ここで問うのも野暮というもの。特に深くつっこむこともせず、壱成は再びマスクを元に戻した。
 そして、ふと桜威の横に立ち、彼に顔を向けた。

「……旦那、俺ァラーメン屋で話したこと忘れてないですぜィ。俺ァ、今の平和な墨田が好きであって、領民がインフルエンザになってる状況を許しておけやせん。……葛飾区と共闘になるとは思いもしやせんでしたが、……これも何かの『縁』でしょうかねィ。――行きやしょう、旦那。俺ァ、どこまでもお供しやすぜ?」

 そう言ってにんまりと笑いつつ……しかしその後で「ぶえぇっくし!!」と先ほどの桜威顔負けのくしゃみをして締まるものも締まらない状況を自ら作り出してしまうのだった。「んあー、すみやせん」と言いながら下駄を鳴らして歩き出すのだった。

>東京湾ALLさま

【ありがとうございます!】>雪鹿さま

19日前 No.83

雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

【東京湾/川村 桜威】

 確か、葛飾の副領主で合ってかねぇ……ま、なんにせよ年若い男が葛飾屋の隣に立っては警戒するように此方を見る。こんな時勢、領主とあらば警戒しねぇ方が妙な話。であらば、必然も当然の結果さな。
 はてさて、これなら普段の画家としての俺の方が良かったかねぇ。そんな思いも半分に、ちょいと面白がって様子を敢えて伺っている間に刺された釘へ、壱の字が静かに応えた。

「そうさな。ま、俺みてぇなのじゃ手ぇ出して返り討ちに合うのが関の山ってもんだ。そう気張んなくて良いんじゃねぇかい?」

 くつくつとマスクの下で笑みを浮かべ、狐面の中から葛飾の副領主殿を捉えては、相も変わらず冗談めかして言葉を紡ぐ。
 副領主、その余裕の有無は何とも正反対のようであったが、その実、方向性は似たようなもんなんだよな。と、口にはせずとも静かに狐面の下で思う。ま、どちらが上か下か、なんてのはねぇよ……強いて言うなら、どっちも画題としては上物さな。

 ま、多少緊張感の生まれたそれを洗い流すように――って言うにゃ些か向かねぇが、葛飾屋の嘔吐で綺麗さっぱり無くなっちまった。相も変わらず奇特な力とは思いつつも、顔を覆って天を仰いだ壱の字に「ま、この通り下がしゃんとしてんなら、上はゆるりと出来るって訳さな」なんて、へらっと笑っては冗談混じりに返しておく。

「そうかい、恋紫な。吠えるじゃねぇか! なに、威勢のいい奴ぁ良いもんだ! ……ま、何はともあれ引き受けてくれて助かる。なんせ、俺ぁ目が良いばっかで戦えねぇからなぁ」

 と、そんなこんなを経て結ばれた一時的な同盟と、その後の威勢の良い恋紫の発言を聞いて上機嫌そうに笑いながらも、未だにのらりくらりとした様子でいた。はてさて、彼は彼女の言葉を何と理解したのか。あるいは何も考えていないのか、それは定かではない。
 程無くして「着いてくるが良いぞ、皆の衆」と先陣切っていく葛飾屋と後を追うように駆ける少女に向けて「おうさ! 今回ばかりは頼りにしてるぜ」なんて軽口かどうかも分からない言葉を投げ掛けては歩き出そうとした折りに、隣へと歩み寄った壱の字が語りかける。

「――――ったく、そいつを引き合いに出すなってんだ。ま、奇縁も縁の内ってな。俺にゃ、とんと縁なんざ無ぇもんだとばかり思ってんだがなぁ……そうかい、そうしてぇなら止めねぇよ。どうにも俺のお供ってのは大変らしいが、今更お前さんに覚悟なんざ問う方が無粋みてぇだしな」

 最初こそ、柄にも無い件の事を若干照れ臭く思っているのか、視線を反らしてぶっきらぼうに小言を投げていたが、最後にはにんまりと笑った壱成の顔をちらと見返した。
 それから、なにやら諦めたように。それでいて、何処か清々とした様子で息を1つ吐いて、ニッと口角を上げてから前を向く。手先とは打って変わって不器用な口先で皮肉めいた信頼の言葉を告げながら。
 したいようにしろ。そう言った結果がこれなら、俺ぁ何にも言えねぇのさ。ったく、とんだ縁もあったもんだ、と何処か素直になりきらないままに悪態を遮るように、何時か聞いたようなくしゃみが響いた。

「ははっ! こりゃまた、景気の良いこって! ま、変に気張っても仕方なし。締まらねぇ位で丁度良いや」

 やはり、と言うべきか。壱の字が鼻を啜りながら、くしゃみを謝罪する言葉を聞き、笑い飛ばしたかと思えば、天を仰いでいた壱成の小言に準ずるような言葉を残して隣を歩き始める。
 ――さてはて、鬼か蛇か曲者か。何が出るにしたって構わねぇや……俺ぁ、ちょいとばかし文句を言うだけさな。

>東京湾all様

19日前 No.84

ぴーぴーけー @ppkppk☆ErEBsPNY5g.j ★iUcwHsnoGa_Qi5

【千代田区・アニメイト前→板橋区・コミック空間/江楠真希奈】

 ヘルメット内部のディスプレイの端に、短いアラート音とともに発信源解析完了の通知が表示された。意思によってディスプレイを操作して内容を見てみれば、どうやらまゆちゃんは現在板橋区のコミック空間にいるらしい。あそこはたしかサムライラちゃんが暮らしている場所のはず。近くの家電量販店の展示されているテレビには、東京23区中が同様の被害に遭っているというニュースが放送されていた。ニュースキャスターもマスクをしている。これは急いだ方がいいかもしれない。

「サムライラちゃんの様子も心配ですな……。よし、少し急ごう……!」

 急いで自宅に帰って愛車である軽トラにいくつかの機械類とともに乗り、板橋区に向けて走り出す。しかし全域にわたってインフルエンザの被害に遭っているとはいえ、ここは東京のど真ん中。交通量は普段から非常に多い。なおかつインフルエンザのせいでドライバーの判断力が低下したためか、どうやら事故が発生し渋滞が発生しているようだ。バイクならば、あわよくば裏道を走れるかもしれない。

「……なんだ、バイクならいいのか。『機械の行進(マシンヘッド)』。まゆちゃん、サムライラちゃん、今行きますぞ……!!」

 ガシャガシャと音を立てながら、軽トラは真希奈を乗せたまま変形してゆく。同時に、車内に載せたいくつかの機械類もカチャカチャと変形してゆく。軽トラは大型の4輪バイクへと、機械類は3台のドローンへと姿を変えた。バイクは勢いよく走り出し、ドローンは少し先を先行して搭載されたカメラでリアルタイムに交通情報をヘルメットへと送る。バイクは左右のタイヤ間を狭めて裏道へ入り、狭い路地ながらも時速100kmを優に超えて走っている。しかし事前に周辺の詳細な状況を知れるため、ハイスピードクルージングでも事故なく走ることができていた。しかしとある十字路を曲がった瞬間、そこには1匹の黒い猫が。

「……!!」

 黒猫は目を見開き、身体をこわばらせる。だがバイクは突然急激なフロントブレーキをかけ、曲乗りのジャックナイフのように前へと跳ね上がった車体のせいで真希奈の身体は前方へと投げ飛ばされた。バイクはその状態から凄まじいスピードで変形し、人型のロボットへと姿を変える。ロボットは飛び込み前転のように猫を跳び越え、再び凄まじいスピードでバイクへと姿を変えるとともに真希奈の身体を受け止めて何事もなく走行を続けた。たまたまそこに居合わせてその様子を近くで見ていた数人の住民は、あんぐりと口を開けて目の前で起こった事態を理解しようと必死のようだ。

「……びっくりした……! よし、このまま急ごう……!!」


――――


 板橋区、コミック空間。普段は若者にとっても人気の娯楽施設として存在し、また真希奈の友人であり板橋区領主でもあるサムライラ・ニンジャクリーンの住む場所でもある。先程の電波の発信源解析の結果、どうやらふたりはそこにいるようだ。真希奈の乗ったバイクは店の前に静かに止まり、ドローンは車体へ、真希奈もそっとバイクから降りた。しかし――――

「……くっ……おおお……!!

 ぼ、僕のムスコの中の息子や娘(予定)が悲鳴を上げておる……!!」

 股間を抑え、車体に寄りかかりながら悶絶するサイバーなヘルメット姿の真希奈。
速度と小回りのみを重視した変形。それは操縦者の快適性を犠牲にし、そのダメージはシートにまたがる彼の股間へと向けられたのだった。
しばらくしてなんとか持ち直し、そっと店のドアを開けて声をかけてみた。

「サムライラ殿ー! 真希奈です、お邪魔しますぞー!
 まゆちゃーん、いらっしゃいますかなー? 体調はどうでござるかー?」

>まゆちゃん様、サムライラ・ニンジャクリーン様、周辺ALL

19日前 No.85

ばにらあいす @kodai4370 ★iPhone=IABzHrSWjz

【群青 空将 / 大田区→東京湾】


「海沿いの恩恵は生かさせてもらうか…はっ、はっ、ヴェェックショォォォイ!」

我ながらとんでもないくしゃみをぶちかましたもんだ。薬を飲んで無理やり鼻水は抑えたが、身体中を走る寒さと熱は止まる様子をまるで見せない。空港でマスクを拝借して付けてはいるが、こんな紙切れ同然の道具で楽になれるほどウイルスというのは甘くない、やはり根元を潰す以外にこの災厄を止める術はないということか。東京湾へは空港を出て海沿いに歩けばすぐだ、多少の距離はあるが、いつものバイクを使うわけにもいかない、これで事故を起こせば本末転倒。辛いどころの騒ぎではないが、無難に徒歩で向かうことにした。


「薄気味悪いな、あんな毒々しいものを見せられる病人の気にもなれってんだ…」

海沿いまで老体に鞭打ちする気分で歩いてきた、そこから目に飛び込んできたのはチカチカと光り領主歓迎を謳う文字、それを引っさげて東京湾に浮かぶウイルスみたいな建築物。自分から居場所を言っていくのかと困惑したが、この惨状ではいくら地力持ちといえど弱体化は避けられない。人間に猛威を振るうのは決まってウイルス、映画しかりゲームしかり、現実でもそれは変わらない。

「あのまま呑気に浮かんでいられると困る、フライトに影響を及ぼす前に海に沈めるとするか…」

「天獄」と叫んで左目を閉じた。すぐ近くに何かの落下音が聞こえたかもしれないが、そこを探っても何もいないだろう。何故なら音を出した正体は魔眼を持たなければ姿を捉えることすらできない、いわゆる透明人間のような存在だからだ。オールバックに長身、自身と同じ格好をした男、それが空将の目にははっきりと視えている。マスクをして咳き込んでいる弱った病人のその姿が。

「いや、お前もかよ」

冷静に突っ込んだ。ゲホゲホと激しく咳込む天獄、まるで鏡に写った自分を見ている気分だが、考えてみれば呼び出されるこいつも人間と言えば人間、こっちに連れてきてしまえばウイルスの影響が出るのも分かりきっていたことだ。それでも身体中を覆っていた気だるさはいくらかマシになった、身体機能を強化する恩恵がこんなところで功を成すとは思わなかったが、これで少しはまともに戦えるか。それはそうと、一応他の個体も見ておくか、天獄以外を連れていく良い機会やもしれん。

修羅、畜生、餓鬼、地獄と順番に呼び出してみて吟味した結果、とりあえずインフルエンザの症状が一番ひどくない地獄を連れていくことにした。総合的な戦闘力では餓鬼に一歩及ばないものの、単純な腕力だけなら他4体をぶっちぎって最強だ。心強いのは確かだが、その餓鬼以上に意思疎通が取れない、最も厄介な個体。ある意味子供と言うべきか、そんなことより今はあの建物だ。

『…ヘッックシュゥゥゥン!…オー、ニンゲンサーン、今回は僕を連れて行ってくれるんですねぇ、今日は何します?』

「…これから解体ごっこで遊ぶ、まずはあの建物を壊すからな、とりあえずついて来い」

そう言って指をさした先の建物、から視線を少し逸らすと、遠くの海沿いに人影が見えた。ちょうど5つ、恐らくはあのウイルスに突入すべくやってきた他区の人間に間違いない。俺はここへ単独で来てしまった、軽はずみな行動を取るのは厳禁だ、すっかり忘れていた。ここで殺されるなんてしょうもない死に方はしたくないからな。左目を開けて魔眼を解除した、これで次に呼べばくる個体は地獄になった。

「前言撤回、もう少し様子を見るか…」


≫all様

19日前 No.86

雨上がり @koshou0602 ★iPad=ihrSGDc1yh

【琳圭太 / 東京湾 】

 川村桜威と京極壱成。墨田区と言えば、噂ではあるが、自分の副領主を殺した相手を副領主にしたという。端から見れば異常な区だ。そんな区の領主と副領主、しかも若干好戦的(圭太には)とくれば、警戒は必然。
だが、そんな圭太の心配も他所に、一言の宣言と共にマイペースに嘔吐をする湯殿。しかもそのあとに、にこやかに「もっと和気藹々と行こうではないか!」である。
圭太にとって湯殿のその一言は、墨田区への不信感を心から一掃するに値する。

「……さっすがボス!!
だよな、人を噂で判断しちゃいけねぇし、目的が同じなら仲良くするのは大事だよな!!
I'msorry,俺は琳圭太、葛飾区の副領主だ、よろしくな!」

先ほどまでの警戒は一転、幼さを残した笑みを墨田区の二人に向けてから、湯殿のあとをついていく。走ると頭が揺れて平衡感覚がなくなるので、あくまではや歩きである。

それにしてもボスの地力はやっぱり一番すごいし、ボスの持つ人徳も惚れ惚れする。さすが、もうボスを誉める言葉とか「泉界湯殿」しかないんじゃないか……!?(?)

インフルエンザ故のテンションからではなくいつもの平常運転でそこまで考えてから、後ろから歩いてくる墨田区の二人に話しかける。

「それにしても、そっちもやっぱりインフルエンザになってるんだな。領民まで巻き込むのはタチが悪すぎる、絶対に許さねぇ。何が目的かも言わずして他人に迷惑かけるとか有り得ねぇ……。
あと、あんたなんで狐の面してるんだ?」

 先程の墨田区副領主、京極壱成が話していた「それより領民のインフルを治す方が先でさァ」という言葉が、領民第一に考えている証拠であると考え、案外葛飾区と方針は変わらないんじゃないかと解釈する。だからこその一種の世間話と、あとは純粋に領主川村桜威の狐面が気になったという疑問である。15才琳圭太にとって、かっこいいものは見逃せない。好奇心丸出しの無垢な目を向け、明け透けに尋ねる。

>東京湾all様

【前回ほんとに急いでいて推敲もせず投稿したので、今読み返したらひどい文章でした、すみません……いや推敲してもひどい文章ですが……
学校がインフルで学級閉鎖になったのに全くインフルエンザにならない…】

18日前 No.87

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_Qi5

【 泉界湯殿 / 東京湾→インフルエンザ型の建物内部 】

 湯殿の次には恋紫。その他の面々も続々と続き、インフルエンザ型の建物の内部に足を進める。扉はついていなくて普通に入ることができた。セキュリティのSの字も無い。
 やはりこの建物の目的は閉じ籠ることではなく誘い込むこと。標的は思惑通りに領主らと見える。あれだけ巨大な看板で領主を歓迎して入口は開けっ放しなのだ、これで中におびき寄せるのが目的でなければ他に何の意図があるのか全くもって分からなくなる。
 熱く脈動する血の流れに煽られ、ただ歩いているだけで体温が上がった。それとて今さらの話。高いで言えば体温なんぞは一時間も前から38℃を超えている。ここにいる面子は皆そうだ。だから誰一人として泣き言を漏らさず、たとえ無理やりでもやる気の潰えていないところを何処かで観ているはずの敵どもに示している。負けん気の強さは良い勝負。どいつもこいつも冗談や戯れでは体調不良を嬉々としてネタにするくせに、真剣な場面ではそれを理由に手を抜くつもりなんてこれっぽっちもありやしないのだ。

「うむ。しかし何だ、ものの見事に冷え切った空気だな! 外より中のほうが寒いのではないか? こうも気温が低いと、体調が悪くても湯に浸かって一息つきたくなってしまいそうだ」

 外から見ると教科書用の図のように複数の色に塗ってあって凸凹していてなんだかとっても気持ち悪かった建物は、中に入ってしまえばコンクリート打ちっぱなしの灰色一色で目に優しかった。だが寒い。はちゃめちゃに寒い。雪女にでも魅入られたかと思うほど寒い。向こうがこちらへの嫌がらせに冷房代を奮発して室内温度を一桁代にまで下げているのか。あるいはこの奥に氷や冷気を使う地力の持ち主でも待機しているのか。
 呑気な台詞をほざく傍ら、最初から眼帯を外しっぱなしの湯殿の魔眼はあくまで警戒心を顕に周囲を睥睨している。現在の位置づけは身内に表情を見られる心配の無い一番前だから、彼女は先程までの朗らかな形相と打って変わって、領主のそんな顔を初めて見た近所の小学生あたりなら三十秒は硬直するであろうシリアスさを発していた。しかし後ろの恋紫や圭太にひょっこり覗きこまれでもすれば、すぐさま平時と変わらぬ笑顔を浮かべる。それを演技ではなく、あくまで素の切り替えで行えるのが泉界湯殿という女の性質だ。
 息が苦しくなるほど静かな空間に淡々と響き渡る一向の声と足音。しばらく歩き通す内、やはり肌が感じる温度は徐々に下がってゆく。これはもう建物の道中に敵方の地力の使い手が待機していると見做して間違いあるまい。眼前の空気を魔眼の力で五枚のバスタオルに変え、内四枚を後ろの面々に防寒着代わりに手渡す。後ろを振り向かず前を見たまま手だけ後ろに動かすのは、視線を離した一瞬の隙に相手が仕掛けてくるかもしれないと危惧したからだ。そうでなければ元来愛想の良い湯殿は首どころか身体ごと後ろを向いて、テンションの高い言葉の一つ二つも交えながら直に配り歩く。こんなにそっけないのは今が緊急事態ゆえに仕方ない。
 余った一枚は自分で着物と羽織の上から重ねて肩にかけ、軽く胸のあたりで結び目を作っておく。かなり大きめで分厚いバスタオルなので、ポンチョみたいにしたこの状態でも肩から太腿くらいまでは余裕で覆ってくれる。いっそ空気の大半をお湯にでも変えてじゃぶじゃぶとかき分けながら突き進めばもっと早いが、そんなことに地力を無駄遣いしすぎては戦闘の最中にヘバる可能性がある。なので咄嗟の寒さ対策もバスタオルの制作に留めた。

「あれは――氷で出来た扉か?」

 一向が歩くこと五分後。湯殿の視界にはあからさまに一階のダンジョンボスでも居そうな大きさ3メートルの氷製の扉が立ちふさがり、ドアの隙間からは凄まじい冷気が噴き出ていた。業務用の冷凍庫を彷彿とさせる。いやさそれ以上だ。中はマイナス何度になっているのか想像するだに身震いしてしまう。恐怖ではなく、寒さ故に。

「……諸君。扉を開けて中に入るのではなく、とりあずできる限り離れたところからまず温泉私の魔眼であの扉を熱々の温泉水に変えてみようと思うのだが。異議はあるだろうか?」

 片目は前を向いたまま、もう片目だけちょっと後ろを見るなんて器用な眼筋の動かし方をしつつ後ろのメンバーに問いかける。本音を言うと、もう現時点で冬将軍に遭遇したレベルの体感温度なのであの中に突入して行きたくはない。インフルエンザの身であることを鑑みれば、下手したらあの中で十分も戦闘行為をしただけで死にそうだ。なので中身を引きずり出す方向性で進めるのが湯殿の希望である。

>琳圭太様&筑紫恋甜果様&京極壱成様&川村桜威様&ALL様

【ネタバレ:一階のダンジョンボス(仮)は歩ける寝袋を着用して防寒用のゴツいブーツとマスクとゴーグルをはめた中学生くらいの少女。『自身の半径10m以内であれば無尽蔵に氷を生やせる』地力の使い手。生やした氷は自然に溶けるまでそのまま場に残るため、高速で本体が移動し続ければ広範囲に氷を生やせる。ぶっちゃけ寒さは本人も感じるので防寒必須】

17日前 No.88

陽香 @brahman☆r92H8KW1RF2 ★Android=qkiWwZL3Tn

【板橋区・コミック空間/まゆ】

 完っっっっっっっ全に、今、笑われました。

 疲れている時、体調の悪い時はたいていマトモな思考回路をしていないのです。いえ、言葉が脳を通らずに口から出ていくので、思考回路を通さない、と言った方が適切でしょうか。まぁとにかくやばいんですよ。まゆちゃんの領主としての萌え萌えでかわいい姿ではなく、今はパッと見ただの限界OLなんです。言わなければバレなかったものを────

「〜〜っ!?!?」

 無音で、できるだけ柔らかく、それまでのことを無かったことに出来るように、いつの間にか息も止めてゆっくりゆっくり閉めていたドアに衝撃が走る。あとちょっとで逃げられる、と思ったところで突然の攻撃でした。ドアの隙間から廊下側に頭を見せている──ああ、これは、殺られる、と思いながら観念してドアの手すりから手を離した。後から考えれば、地力を使って眠らせられないかチャレンジすればよかったのだが、今のまゆちゃんに正常な思考ができるはずなく、マスクの下で口をあんぐり開けながら、だらりと手を上げて《無害》を示すしかなかった。

────どうやら23区全体の問題みたいデス。イチジキューセンがいいネ。

 フリーズ。「きゅ、きゅうせ、休戦、」と真っ白になった(元から真っ白)の頭は繰り返す。今相当なあほ面をしていることでしょう。
 23区全体の問題──あっやっぱりこの謎のインフル(検査してないので本当にインフルエンザかはわからないですが)って23区全体のアレなんですか!? やっぱり。メイドさん妖精さん全員お休みは流石にやばいのでは、って思ったんですよ。

 ……いやいや、まちなさいまゆちゃん。相手はあのサムライラ・ニンジャクリーンです。さっきのまゆちゃんのたどたどしい言い訳はもしかしたら火に油を注入する言葉だったことも有り得ます。

「────あ、いや、あの、休戦のお誘い……? は、ちょっと待ってください。あの、今の声、聞こえました……?」

 聞き間違えるはずがない。ここ最近は親の声よりも聞いたやたらとテンションの高い声、それはおそらく同じようにインフルに侵されている筈なのに、まっったくのいつも通りに聞こえた。

「……やっぱり」

 その姿を目に……いや、なんかサイバーでロックなフルフェイスのせいで顔は見えないんですが、まぁわかります、私の知り合いでこんなことするやつは1人です。

「……なんでここがわかったんですか、マキナくん」

 ジト目で彼を見ながら、なんとなくマスクを顎の下まで下げる。普段予防でマスクをしているなら当然の行動ですけど……なんでこんなインフルの時にマスク外したんですかまゆちゃん、と思ったところですぐ元に戻す。

「体調ですか? ヤバいに決まってますよ。まゆちゃんが身バレ対策以外にマスクをつけたのなんて初めてです」

 いつもの感じでテキトーにテキトーなことをテキトーなトーンで言いながらすすす、と数歩下がる。

「ね、ねぇ、今サムライラさんから『休戦しないか』って言われたんですけど、これどう思います? 信じていいですか? 副領主的にはどうですか」

 こそ、っとサムライラさんに背を向ける形でマキナくんと向き合い囁く。

>>サムライラさん、マキナさん

17日前 No.89

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 筑紫恋甜果 / 東京湾→インフルエンザ型の建物内部 】

(眼が良くなる、とか)そんなへぼい地力、死んだらゲームオーバー――は、誰だってそうなんだけど。特殊で特別な領主に、そんなダッサい力を与えるかな? ただの怖がりでしかない筑紫恋甜果でさえ、敵味方共にデバフみたいな地力をもらっているし、うちの領主は便利で便利な魔眼を贈られている。そんななか、視力を上げるとか、その程度なんて、ありえるか? 地力のことじゃない可能性もあるけど、「戦えない」ってことはやっぱり地力なんだろうし――下げたマスクを直しながら、ぐわんぐわんと痛む頭を必死に回して考えていたけれど、そんな思考は残念ながら、建物に足を踏み入れた瞬間に終わってしまった。

「さっむい!」

寒い。めちゃくちゃ寒い。湯殿の言う通りだ。すごく寒い。もしかして此処は冷蔵庫なのだろうか? それか、触れたものを凍らせる雪の女王様でもいるんだろうか? 妹に雪だるま作りに誘えと命じて此処から早急に出て行ってもらいたい。結局それで出てきたんだっけ? あの女王様。
自分たちの周りの空気は全部人間の五感では感じることのできない氷の塊なのかもしれない、なんて、さっきまで墨田区の領主の地力について考察していたことも忘れ、熱のせいでおかしくなったテンションでしょうもないことばかり考えてしまっていると、眼前からバスタオルが投擲された。確りキャッチ。思ったより、おおきくてもふもふ。なるほど、防寒用というわけか。バスタオル制作者の真似をして肩にかけて、そのまま歩いていくと。

「私は賛成! あんな氷の扉、近づくだけで凍っちゃいそうだもんね」

でっかい氷漬けにされたドアを発見。ドアそのものが氷なのか、氷そのものがドアなのか――わからないけれど、とにかくドライアイスから出る煙みたいなのが大量にある。あんなのに近付いたら自分は氷像になってしまい、勝手に倒れて粉々になってかき氷になってしまうだろうから、みんなで分けて好きなシロップかけて食べて欲しい。もし形が残ってたら勇敢な自警団の一人として飾ってほしい。
冗談はさておき、そんな理由で(?)湯殿の魔眼で生み出すお湯でアイスドアを解凍するのは大賛成だ。もし地力によって疲れることがなければ、常に自分たちの周りの空気もお湯化してほしいけれど、それは流石にラスボス前にバテちゃうもんね。だからバスタオルなんだろうし!

>>インフルエンザ型の建物all

15日前 No.90

あじ @yudukir ★lnjDmImMxf_Qi5

【豊島区 池袋駅西口/湯月 琉々香】

「●カリ6本、リ●D4本、老人会のおじいちゃん方には龍角●のど……フェックシ!あっやべっ」

不思議なことに空中に浮かぶ薬局の袋の中身を確認している小学校高学年位の見た目をした少女、いえ女性。誰であろう、この池袋を有する豊島区の領主であり、"学生会"豊島自治委員長であり、"老人会"名誉池袋班長であり、"みらくる☆メイドNo,11"である湯月琉々香だ。それでして、念動能力の持ち主であり、病に苦しむ領民の為に買出しへ向かう美少女である。正直非の打ち所といえば、その自分でも分かるレベルの壊滅的なファッションセンス位なのではないか。高熱で頭がやられているのか、向ける対象の無い自己紹介と自画自賛をしてしまった。盛大にくしゃみをした勢いで鼻水をたらした事にやべっと独り言を吐き出した私はつい10秒前の奇妙な自己紹介を忘れ、パーカーのポケットからティッシュを一枚二枚と引っ張り出し、女の子らしさの欠片すら感じない豪快なかみっぷりを歩道のど真ん中で披露する。その様子に顔をしかめる領民の姿は無い。いやむしろ、しかめる余裕自体彼らには無かったのだ。辺りを見回しても、目に映るのは顔を体調が悪そうに体をすくめながら無言で歩いている領民たちの姿だ。彼らの中には咳き込む者もくしゃみをする者、鼻水をすする者、咳をしすぎてえずく者の死屍累々であった。彼らに共通していたのは実に体調が悪そうである事と皆が皆マスクをしている事だろうか。そんな"非日常"を眺める私はやっぱりなといった感情ですぐに興味は失われてしまう。でも自らの領民のこの有様を見て少々思うことはあった。上手に言葉にはできないが。ただ言葉に言い表すとするなら、

「どうしてこうなった。」

確かにどうしてこうなったのか。事の顛末はつい3時間前に遡る。

【豊島区 "大学"構内/湯月 琉々香/3時間前】

・豊島区。東京都西部に存在している区。領主は湯月 琉々香。領主就任直後は池袋の"大学"や"Maid Dream"、巣鴨の"老人会"等による方針の違いや、利害関係のもつれから来る派閥間抗争が凄まじく、一時期はあわや内乱の危機に陥る。それを上手く取りまとめたのが豊島区自警団と当初は領民からあまり期待されていなかった領主であった。彼女らは自警団を交えた四派での協議を重ね、利害関係の調整や方針の取りまとめなどを行い今日の"四大評議会"の基礎を作り上げた。今では"学生会"、"老人会"、"Maid Dream"は自警団と同じ"四大評議会"の一組織であるが、実際の所は自警団の傘下と言っても差し支えない。



『豊島は新宿を併合する。』

この一言に集約される豊島区の拡張欲的な野心は、豊島区総力を挙げての戦支度という形を成した。何故ならつい先週の"四大評議会"とその代表者会議たる"五頭会議"にてお隣の新宿区を併合する為の計画『第4号決議案』の履行が承認されたから、いやされてしまったからだ。四大評議会の壱、"学生会"は新宿方面の経路、施設、重要拠点等の視察と実際の戦闘を請け負い、弐たる、"老人会"は主力部隊の抜けた豊島を護るべく留守番と陸路輸送の手配を請け負う事になっていた。参である"自警団"は精鋭部隊として来るべき決戦に備えていたし、肆となる"Maid Dream"はその他団体の後方支援や、新宿区に潜入してでの欺瞞情報の流布等敵の後方霍乱に勤めていた。既に都道305号線の経路の確認と、新宿駅の構造の確認と具体的な突入の準備も終えており、後は計画の発令を待つのみといった状況であった。計画では陸路と鉄路の二つを使うことになっている。陸路でのトラック輸送による部隊と電車では持ち込むのが厳しいブツの品々の輸送、新宿駅から地力に優れる精鋭部隊の投入。歌舞伎町の迅速な無力化と、新宿東口方面の陸路部隊との共闘。場合によっては領主たる私。湯月 琉々香も出ることになっていた。テンパリやすい私のことだ。いくら地力が優れていようとも精神的に圧倒されればそれまでだ。頭をカチ割られてジ・エンドだろう。頭蓋骨はひしゃげ、むき出しの脳に何度も振り下ろされるのは、私の武器であったはずの鉄パイプ。何かがつぶれる音、何かが飛び散る音、全身に走る激痛は自分の姿形を思い出すことを拒む。もう何も見えない。そして何も聞こえなく…………そんな事を思い浮かべて怖いと思ってしまう。しかも相手はホストやキャバ嬢の連中だ。どうしても本能的に恐れてしまう何かがある。本当に勝てるのだろうか?やはり今からでも計画の見直しを……

「領主様〜このダンボールはどこに持っていけばいいですか〜?」

ネガティブ思考に苦しんでいたら、"大学生"の子に話しかけられた。黄色のワッペン。どうやら彼は学生会のメンバーらしい。領主だからって絶対的に崇められているとかはまず無い。たぶん生徒会長位の偉さだと思われている……はずだ。まぁ、そうか。そんなことよりダンボールのことだ。えっとどこだっけ……うーん。

「嗚呼、それはね……えっと。そう、メイドリームの方の荷物だったはずです。」

ありがとうございますと同じくらいの年の男の子。彼と私では身長差は30cm位ある。現に同性の級友でも少し見上げるような形になるのだ。彼からしたら私なんてきっと領主という名を冠するだけのチビに見えたことだろう。まるで子供に道を尋ねられる感覚……いや、尋ねる感覚か。って考えるとすこし面白い構図だな。とくだらないことを考える私は自然と頬が緩んでしまう。こころなしかちょっと笑いたくなるような。ほんのすこし安心と寂しさが入り混じった感情。やっぱり"池袋"が一番落ち着くなって。ひとまず落ち着いたところでふと思い出すのは豊島区内での三派の方針の対立。肝心な事はすぐに思い出せない自分だが、こういった関係の無い事を思い返すのは得意なんだなって。アレは今では自警団の事実上の傘下の学生会、老人会、メイド喫茶の方針の違いから生じた対立は論戦じゃ済まなくなる所だった事件。それがきっかけで四大評議会が結成されたり。"アイツ"が東奔西走利害関係の調整に使い回わされたり。他にもいろいろすっごい大変だったなぁ。もう3年かぁ。きっと私は頑張ったよね?なれない場所で、今でも実感の出来ない現実に、そして領主の重圧に耐えて。何度も埼玉に帰りたい。普通の女の子に戻りたいと荒川の対岸を眺め泣いたり。一人枕を濡らしたり。正直、領主になってから上手くいかない事ばかりだった。でもその苦労がはじめて報われるかもしれない。それが戦争という形になってしまったのだけど。

「クリスマスまでには帰れるさ〜なんて。」

なんて呟くは第一次世界大戦を前にした兵士の言葉。今の私たちと同じように戦争へ赴かんとする彼が期待していたのは英雄譚。騎士道とかそんな感じの何かで華々しく、そして雄雄しく戦果を挙げて家族の元へと帰る。それを送る女性たちは花束を抱え、戦場へと赴く彼らの頬にキスをする。『必ず帰って来い』と、ね。それに釣られて出征した男達もいくらかはいただろう。言うなれば当時の戦争とは浪漫だったのだと。だが、実際の所は戦場の花形たる騎兵達は機関銃になぎ払われ、英雄になろうとした彼らに降り注ぐは砲弾の雨、塹壕にこもって、英雄のなんて必要の無い、闇雲に死体を増やすだけの戦争。そんな明日が見えないモノだったっていうオチだったけど。『泥沼』とでも称そうか。どうか願わくば私たちの戦争も華々しい英雄譚で終わることを願いたいな。と自嘲気味に一人で笑う。

ってクリスマスは今日なのですけどねだんn……

「ッ!?」

オチをつけようと思えば突如、体に走るは悪寒。さっきまで何ともなかった自分の体が訴えるは寒さ。特に指先が寒さを強く訴える。指先が、膝から先の足先が。そしてそこから熱が奪われているような感覚に陥る。次に襲い掛かるのは今すぐにでも倒れこみたくなるような気だるさ。この異常事態にいまだに自分の脳は対応仕切れていない。敵の地力の攻撃?何故今、この時に?そしてましてや何故私を?考えろ私。どこから?誰が?まさか新宿区の連中?それにしては早すぎる。やられる位なら先にやっちまおうという事だろうか。領民は?周りの人々は攻撃を受けていないのか?ショート寸前の頭を回しに回して出た考えが周りの心配。一応地力による攻撃を警戒しつつ、周りを見回す。周りは苦しそうに地面に崩れ落ちる人、力なく壁にもたれかかる人。激しく咳き込む人。死屍累々とはこのような事を言うんだろうな。でも、もう私はダメくさい。頭の中で球体が動いているような。頭痛が酷い。何でもいいから一息休みたい。私はあまりのだるさから廊下の隅に置かれていた長いすに倒れこんでしまった。今にも休息の為にシャットダウンしそうになる意識が最後に何かを捉えた。それはどこからか聞こえてくるテレビの音声だった。

<<速報です。現在東京23区内にて不特定多数のインフルエンザの突然発症が確認されました。政府はこの事態に際し、官房長官の記者会見を執り行…………

ああ。そういうことか。私も領主としてやらねばならない事もあるはずだ。いや、ある。動かなければならないけど、今はこうやって横になっていたい。咳と鼻水で呼吸が苦しい事には変わりないけど、まどろみに落ちていく感覚が絶妙に心地がいいんだ。だから起きたら行動を開始しよう。

>>ALL様

【豊島区内よりロールを始めさせて頂きました。至らない所があると思いますがこれからよろしくお願いします。】

※警告に同意して書きこまれました (個人情報)
15日前 No.91

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★Android=uJs7nQDOiH

[板橋区・コミック空間/サムライラ・ニンジャクリーン]

 ドアの手すりから手を離して、力が抜けた手を挙げて降参と言わんばかりのまゆちゃんはサムライラの停戦の願いに戸惑いを隠せなかったようだ。見下ろす形になった状況でくしゃみを一つ。確かに、この状況でここ最近話題の人となったサムライラの提案というのが信用に値するかと言われれば、答えは難しい。それはサムライラが一番分かっており、閉まりかけた扉を乱暴に止めたのも今思えば大分危ないなとも感じる。
 どんな形であれ、どんな状況であれ、今この23区は戦争の真っ只中。兵器などの武力に並び、信用というのは重要視される。地力が強くなれど幾つかの区が手を組んで攻め入れば有利とは言いきれない。それにこの場は板橋区。まゆちゃんの地力は弱まっているのだ。相手が警戒心を強く抱くのは当然のことであった。

 まゆちゃんはパニックになりつつあったが、サムライラにも聞こえてきた風邪をひいていると思われるのにテンション高めの声が彼女を冷静にさせた。

「エクスサン、でしたか」

 きっと本人である。フルフェイスのマスク越しに聞こえる声は少しくぐもっているが、風邪くらいでオタ友の声を間違えるほど彼女は仲間を忘れていない。ゴテゴテの機械感溢れるフルフェイスヘルメットは正にSFに登場するようなデザインをしており、江楠さんの志の高さを感じる。サムライラも思わず、心に沸き立つ好奇心を抑える。今はそういうことを気軽に話す時ではない。

 江楠さんと話したいことは山ほどある。
 風邪をひく前に放送されたロボットアニメが次回予告から予想されていた最高に胸が熱くなる展開だったこと。書きこまれたシーンとアイキャッチ。更に来週を待てないと思わせる次回予告。きっと話し出したら止まらなくなってしまう。先日発売の漫画も語りたいことが沢山ある。どこが良かったか、どこが素晴らしかったか。かっこいい台詞、シーンが数え始めたら止まらない。
 溢れだしそうな愛をグッと抑えて熱でボーッとしそうな思考を無理矢理に冷静にさせる。視線をまゆちゃんを含め、江楠さんに向ける。
 彼は随分と頭がいい。それは学力の意味では勿論のこと、頭の回転が早いという意味でもある。合理的な判断を瞬時に行える機械のような面もある。百歩譲ってまゆちゃんが停戦を受け入れたとしても、千代田区の頭脳が拒否するかもしれない。寧ろヘルメットの機械で症状を緩和している彼の方が上手く立ち回れるかもしれない。
 いつでも武器を構えられるようにしながらも、心のどこかで良き友として受け入れてくれると淡い期待を持った。

>>まゆちゃん様 江楠真希奈様

14日前 No.92

ぴーぴーけー @ppkppk☆ErEBsPNY5g.j ★iUcwHsnoGa_Qi5

【板橋区・コミック空間→板橋区市街地/江楠 真希奈】

「……お、まゆちゃんにサムライラちゃん、無事でしたか! いや、無事ではないか! しんどいもんね! まあ少なくとも動けているようでよかったですな!」

 火照った顔にマスク姿で息も上がっている受付のお姉さんに教えられて通路を進めば、真希奈も以前利用させてもらったことのあるカラオケルームの前になにやらひと悶着起きる寸前のようなふたりの姿があった。彼自身はヘルメットのおかげで幾分症状を緩和できているため、いつものような飄々とした振る舞いでぺらぺらとしゃべくりながらてくてくとふたりに近づいてゆく。あいかわらずテンションが高い。

「フゥーハハハ、なにをおっしゃるまゆちゃん! この僕にかかればスマホの発信源解析なんてちょちょいのちょいですぞ! いやー、でも会えてよかった。あのあとまた『すうぃ〜てぃあ』に電話しても出ないから心配してたんですぞ」

 訝しげな表情で発せられたまゆちゃんからの質問には、半ば「待ってました!!」と言わんばかりのノリとヒーローめいた変な決めポーズを交えながら自信満々に自分の成した偉業(?)の解説をする。もちろんモラルや法規的な点では完全にアウトであるが、そこは真希奈である。証拠は残さないうえ、仮に残っていたとしても神の介入以降のこの治安では実質的に見過ごされる可能性すらある。
 やがて矢継ぎ早に解説を終えれば満足したようで声色はやや落ち着きを取り戻し、相手に会えたことに安堵する。開発終了後に彼女の分も作ろうかと尋ねようと電話したのだが、繋がらなかったようだ。

「あっちゃー、やはりまゆちゃんも見事にやられちゃってますねー……。
 よかったらまゆちゃんもこのヘルメット使います? もちろん開発データは残してあるんで、僕の家に帰ったら簡易版であれば10分ほどで造れますぞ?」

 すぐにマスク姿に戻ったものの、彼女の苦しそうな表情はしっかりと確認できた。発熱のせいで火照った彼女の顔を目にしながらも、飄々とした、しかしいつもより穏やかな声色で尋ねる。領主として、そして友人として、彼なりに心配しているのだろう。もちろん彼女の性格は彼なりに理解はしている。しかし彼女がそう言った「無骨なメカメカしさ」を嫌うことは、知っていても今この状況で気がつかない。その時点で彼の「デリカシー」というものはお察しであった。

「休戦、いいんじゃないですか? 仮に今この状況で戦うとすれば、明らかにこちらが不利ですよ。2対1だとしても、ここは相手の庭ですからね。
 それに、外で少し気になることがありました。僕は力を持つ者として、それを対処しに行かなければなりませんから」

 そう言うと突然ヘルメットの下部がカチャカチャと変形していき、彼の首元を覆っていた装甲が大きく拡がった。そのまま彼は静かにヘルメットを脱ぐ。これから友人に『頼みごと』をするための礼儀として、ヘルメットをしたままではいけない。ヘルメット装着のためにいつものビン底ダテメガネは外しているため、切れ長の赤茶色の瞳が現れる。すぅ、と外気で一呼吸したあと、穏やかな表情でふたりに向き直る。

「ここに来る途中、街の中で何やら不穏な連中がいました。どうやら武装しているようです。聞こえてきた会話では、どうやら敗北した区の連中のようですね。このいざこざの隙に武装蜂起してテロでも画策しているのかもしれません。もちろん僕の深読みでしかないならそれでいいんです。ですが、無関係な一般市民を巻き込むわけにはいかない。

 ――サムライラちゃん、少しの間まゆちゃんを頼みます。区を統べる者同士、いずれ戦う運命にはあるのかもしれませんが……今は『良き友達』として、あなたを信じます。
 ……まゆちゃん。あんまり無理しちゃダメだよ? 領主としても友達としても、僕はいつもあなたを心配して――


 ――あ、ごめん、鼻水垂れてきそう! じゃあとりあえずそういうことなんでよろしく! じゃあね!!」

 神妙な雰囲気から唐突に上を向き一気にいつものアホな雰囲気に強制的に引き戻し、急いでヘルメットを被り直してビシッと敬礼して駆け出して行った。せわしないことこの上ない。一応当初の目的はまゆちゃんを迎えに来たのであるが、今は市民を守れる場所にいなければ。もちろん彼女を蔑ろにしているわけではない。信頼できる友人がいるからこそである。

――――

 板橋区、コミック空間の近くの工事現場。そこには数十人の武装した集団がいた。鉄パイプやバット、中には日本刀を持つ者まで。一目見ただけで、あきらかに何か良からぬことを企てている連中である。

「おやおや……どうやら僕の予想は当たったようですね……。

 君たち、その武器で何をしようというのかな!? 一般市民に被害が及ぶ可能性があるなら、僕はそれを捨ておけない。
 ここは板橋区だが、領主の友人として、そして千代田区副領主として、君たちを鎮圧しなければならない!!」

 大げさなヒーローポーズ。しかもわざわざ工事中の鉄骨の上の、連中からすれば逆光になる位置を計算して声高に名乗りをあげる。

(ククク……うふふひひ……!! 一度やってみたかった……!! 快感……!!)

厨二病である。


>まゆちゃん様、サムライラ・ニンジャクリーン様、周辺ALL

【東京湾の皆様が進軍(?)開始したので合わせた方が良いかなと判断したためバタバタとせわしなく場面を展開してしまいごめんなさい……。真希奈に同行するか否かはお任せします!!】

12日前 No.93

@line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【京極壱成/東京湾→インフルエンザ型の建物内部】

 壱成が投げかけた言葉に桜威は照れくさそうにしていたが最後はぶっきらぼうな答えが返ってくる。壱成はにんまりとした笑みを浮かべたまま「へい、覚悟なんてこの立場になるときにしてまさァ」とあっけらかんとした口調でそう言った。覚悟、という意味では旦那も。と心の中で思うのだがこの場では口には出さず。かつての副領主を殺した自分を墨田区の副領主に任命したときの彼の覚悟に比べれば――、とそう思うのである。
 すると、前を歩いていた圭太がふと後ろを振り返って話しかけてくる。その内容を聞くに、葛飾区もまた領民を大切に思う区であることが分かる。彼からは領民を思う真っ直ぐさがあり、きっと領民からも信頼の厚い良き副領主なのではないかと思わせるものがあった。壱成も圭太の言葉に「そうですねィ。苦しんでる領民を放っておくわけにはいかないからねィ」と同意を示す。

 そうしているとインフルエンザ型の建物の入口までやってきて壱成もまた足を踏み入れる。扉もなく、やはり領主を誘い込むことが狙いかと考えながら湯殿を始めとする葛飾区メンバーの後に続いていく。
 中は寒かった。自分の吐く息は白く、吸い込めば肺の奥まで冷気が染み込んでくる気がした。壱成は身の内によだつ高熱と、この冷たい雪山にいるかのような外気に腕を組んで身震いした。ただでさえ体調が芳しくないのに、この冷凍室に放り込まれるとさすがに堪える。しかし、敵方がどこで見ているか分からない以上、情けない面を見せるわけにもいかなかった。これは単に、副領主としての自分のプライドだった。
 灰色一色の静まり返った室内には自分たちの足音しか響いて来ない。湯殿から渡されたタオルを礼を言って受け取り、肩に羽織る。よく気がつくお人だ。同時に先程の嘔吐を温泉水に変えたり、突如タオルを出したりする様子を見て、面白い能力を持っているなとそう思いながら歩みを進めていく。

 扉の前まで辿り着くと、壱成は腕を組んでそれを見上げた。ドアの隙間から白い冷気が漏れていて、それがこの辺りの空気をよりいっそう冷たくさせている。中に何がいるのか開けて見なければ分からないが、敵が近いと感じるには十分だった。
 こちらに提案を持ち掛ける湯殿の声が前から飛んでくる。壱成は頷いた。中に敵がいると仮定すると、近付いてドアを開けるよりやや離れた場所から開けた方が安全ではあるだろう。中の様子が分からない以上、近くにいて冷気に当てられるよりはよほどマシであると思える。

「俺も異論はありやせん。中が分からない以上、ちょいと離れた場所にいた方がいいでしょうしねィ」

 引きずり出せるなら引きずり出す方が賢明だ。壱成は湯殿の話に同意して、そして敵が扉を湯水に変えた瞬間に先制攻撃を仕掛けてきたことを考慮して刀の柄に手を添えた。ついでに電気を通して刀身に熱をも溜めておき。

>建物内ALLさま

【建物内に入る前の会話も入れてますが、場面転換なので蹴っていただいても大丈夫です……!】

11日前 No.94

雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

【東京湾→インフルエンザ型建物内部/川村 桜威】

 全くもって揺らぎもしねぇにんまり顔を見て「そうかい、そりゃ重畳」と返す一方で、はてさて、民草共はこいつの何が怖いってんだか。と、前々からの疑問をふらりと想起した。その答えは分かりきっているが、それでも思わずにゃいられねぇのさ……ま、こればっかりは今更過ぎるんだがな。人が故に、ってもんだ。

 そう、何やら思うところ在りそうな壱の字との会話を一度切り上げてから、踏み込む最中に前を歩く琳が話を振ってくる。何と言おうか、実直そうな青年と見受ける彼は副領主としての熱意を見せた一報で、好奇心に満ちた目を向けて狐面に質問を投げ掛ける。

「後はまぁ、怒らせて判断力でも削ぎたかったのかねぇ……いずれにせよ、手間の掛かる事しやがるもんだ。
――――ああ、これか。そりゃ理由に検討も付かねぇなら教えらんねぇ話らしいからなぁ……ま、俺としちゃあ、つっけんどんにする訳じゃねぇんだ。その詫びと言っちゃあなんだが、万事相済んだときたら、一つ近付きの印にどうだい? お前さんに見合う物を見繕ってやらぁ」

 まだ見ぬ敵の思惑へ一つの憶測を立てては、腕を組んだまま呆れ返った末に溜め息を一つ吐く。なにせ、領主に雁首揃えてもらおうって旨は掛かってた幕一つで良く理解できたからな。
 とはいえ、そんな空気も吸い飽きたようで、狐面を付けてる理由自体は自警団の面々から言い含められたようにはぐらかし、マスクの下でニッと笑っては、トントンと狐面の鼻を叩いてはその詫び一つと言って提案してみる。所在事態は分かってるからなぁ……郵送でも何でも――いや、ささっと描いて渡しちまっても良いんだが、ついさっきああ言った手前な。

 さて、易々と開いた扉の中へ足を一歩踏み入れれば、肌も凍みるような極寒。そして、彼からしてみれば眉間に皺の一つも寄せたくなるような灰一辺倒……なんでぇ、俺への当て付けか!? と重苦しい身体とは反対に熱に浮く内心で少しばかりの文句を良いながらも、半ば最後尾といった位置から中の様子を伺っていた。
 おおよそ、先程の桶と同じように生み出されたバスタオルを一枚「ありがとさん」と礼の一つと共に羽織の上から更に羽織る。多少はマシになるとは言え、寒いってのは然して変わるもんでも無いな……やれやれ、こんな具合の悪い状況でやり合わなきゃなんねぇのかよ。本当に奴さんもよくやるぜ。

 そうして歩き始めて数分といった頃。何かが見えた――ありゃあ、扉か。と言うが早いか。先頭の葛飾屋が、さらりと似た事を言う。なら、扉で間違いねぇわけだ……いや、それにしたって触れただけで凍りそうな扉だな。今じゃなかったら、絵の一つにでも納めときてぇもんだが……まぁいいさ、もう覚えたからな。

「そうさな、異論はねぇや。俺達ゃ挨拶に来た客人なんだしな、奴さんらに出迎えて貰うとしようかね」

 このような状況では葛飾屋の言葉に異論は無い。普段であれば、適当に塗り替えちまうもんだがな……と、軽い皮肉も交えた答えを返す一方で静かに懐に一つ手を置いた。これだけで何が出来る訳でも無し――だが、刀の柄に手を掛けた壱の字が居る。それなら、俺はこうしてりゃ問題ねぇのさ。

 さてはて、どんな顔のお出座しになるのやら……ちょいと楽しみになってきちまった。やれやれ、俺も熱に浮かれてるのかねぇ?

>建物内all様

【次で場面転換かと思われますので、私の方の内容も蹴っていただいても大丈夫です……!】

11日前 No.95

陽香 @brahman☆r92H8KW1RF2 ★Android=qkiWwZL3Tn

【板橋区・コミック空間→屋外/まゆ】

「スマホの発信源とか怖いんでやめてください……あれ、2人は友達ですか? あと、フルフェイスはいりません、かわいくないので」

 マキナくんが何やら機構がうんたらかんたら話しているのを右から左へと「へーそうなんですか」と絶妙にタイミングの合っていない相槌を打ちながらテキトーに聞き流す。

 ──「知り合いですか?」ではなく、「友達ですか?」。噂のサムライラさんとマキナくん2人の間に感じたものは、それだった。いえ、お互い領主や副領主としての意識として名前を覚えてたり顔を知ってたりするので、そういう意味で知り合いなのは当然なんですけど、まゆちゃん的になんとなく、この2人には友達みたいな空気を感じるんですよ。そうじゃなければ、こんな禍々しいフルフェイスを着けてる人、即不審者扱いにしてるでしょうし。「そうですね。マキナくんもそう思うなら、」と、質問への答えが帰ってきたあたりで、ヘルメットが変形し、いつものマキナくん……じゃなくて、瓶底メガネが無い。いつもとは大分イメージが違う。

「不穏な連中、ですか? げほ、え、武装蜂起? なんですかそれ怖い。え、って、ちょっとどこ行くんヘブシッ」

 特撮だとするなら、少し前まで流れていたBGMが止まり、胸から上のマキナくんピンのカットで撮られていそうなセリフを、それまでの少しいい話風を全て吹き飛ばすほどの「鼻水」で終わった。なんなんですか、あの台風みたいな男。

「…………ということで、なんか、よろしくされちゃったんですけど」

 あはは、と苦笑いしか出てこない。いや、よろしくお願いされても、まゆちゃんだけじゃなくサムライラさんもなかなかの重度のインフルエンザにやられてるはずです。よろしくする余裕なんて無いでしょ。

「……千代田区領主のまゆちゃんは、東京の平和とかどうでもいいんですよ。世界中全てがまゆちゃんの虜になるなら。……でも、なぁんか、人が傷付くのは、人間としてどうかな、って、見過ごせないな、って……。いや、こんなことただの17歳が零すセリフじゃないんですけどね」

 頭一つ分……程ではないですが、まゆちゃんとサムライラさんの身長差は大きい。マキナくんが去った後、マトモに会話をしようと、自分でまゆちゃんとサムライラさんを隔てていたドアを開けた。距離は片腕ぶんくらいでしょうか。これくらいの距離で会話していると、まゆちゃんがサムライラさんを見上げる形になります。

「マキナくんがここに来た時は『不穏な動き』程度にしか言ってませんでしたが、今がどうかはわかりません。……まゆちゃんの力は、人間相手だと結構効くんですよ?」

 「だからまゆちゃんのお守りとか本当、ヘックシュ、本当に、そんなの真に受けなくていいですってコホンっ」と、にへら、と笑いながら、階段をたたたっと駆け下りる。マスクとメガネで表情はあんまり伝わらなかったでしょうけど。
 正直、さっき自分で言ってたことの意味がわからない。熱でテンションがおかしくなってきて、普段は言わない──というか、思いもしない、ようなことも飛び出てきちゃうのでしょう。自分の身の危険のリスクを背負ってまで、わざわざ他区の争いをとめるなんて、普段のまゆちゃんなら絶対にしません。それだから、今まで宣戦布告も受けず侵略されていない千代田区は、特に大きな抗争は起こさずにここまでやってきた。────でも、いくらインフルエンザテンションでも、言ってしまったことはやらなきゃいけない。いけないんですよ。メイドさんは、絶対に嘘なんかついちゃいけません。

 コミック空間の受付のお姉さんに、「すいません、返金とかはだいヘックシュ大丈夫です」と伝票を置いて外に出ていく。前払いした分くらいのお金なんてどうでもいいですね。いつの間にか、熱なんてどうでもよくなってました。たしかに身体はだるいし息は苦しいし、でも、『やらなきゃいけないこと』があるなら、それくらい、多分忘れられるんです。多分、半分くらいは。

 コートのポケットからスマホを取り出し、(噂のやばいヤツらのいる場所はどこですか)というメッセージをマキナくんに送る。すぐ位置情報なりなんなりが送られてくるでしょう。

>>サムライラさん、マキナさん

9日前 No.96

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★Android=uJs7nQDOiH

[サムライラ・ニンジャクリーン/コミック空間カラオケルーム→コミック空間入口]

 江楠の言葉にサムライラは驚きを見せた。板橋区にて領主を討たれて配下となった元他の区の領民が武装し、動いていると言うのだ。可能性があるのは北区、品川区、中野区、港区の領民達である。この風邪の影響を受けていないとすれば、完全にこの風邪は地力によるものだと確信した。誰彼と対象を決めることが出来るということは相当の手練によるものか、はたまた大人数の協力を得てのものか。それは定かではないが、今現在そちらに割く思考は持ち合わせていない。
 全員かは定かではないが元北区民を除く板橋区民は全力で戦うことは出来ないはずだ。それに多対一を仕掛けられると難しい領民もいるだろう。反乱を起こそうとする相手が病院やその他、助けを必要とする者達がいる場所を狙わないとも限らない。それだけは阻止しなくてはならない。
 しかし、武器を取ることを、振るうことを、敵と相見えることに人一倍恐怖を覚えているのも確かだった。この度の混乱に上手く乗っているだけかもしれない。だが北区民の一部は違うはずだ。信じて着いて行った領主の首を跳ねられたのだ。恨みが、辛みが、ないはずがない。それを向けられているのだと思うだけで体が強張る。刀を離してしまいたくなる。投げ捨ててしまいたくなる。北区の領主の首を飛ばすその瞬間にこうなることは分かっていたはずだ。後悔しないのだと決意したはずだった。
 それなのに毎日行っていた訓練の際ですら地力を使うのが怖い。自分が振るった力で誰かを倒し、倒された人を見て悲しむ人がいるのが恐い。戦争だと割り切っても、理解と納得は別に分けられる。

 誰も傷つかない未来を、板橋区の領主が作ることは既に不可能なのである。



 熱すら感じなくなる思考の海に沈んでいたサムライラを掬い上げるように二人の人物がコミック空間の廊下を走り出し、階段を下りて消えていった。その二人は板橋区の人間ではない。きっと、彼彼女が本来すべきことは燃え始めそうな炎から全力で遠ざかることのはずだ。それが、それがどうしてコミック空間内の誰よりも早く、炎の中へと飛び込むことが出来るのだろうか。

 江楠 真希奈。サムライラの友人にして千代田区副領主。普段は機械にしか興味を持たぬ彼が、千代田区領主の安否を確認すると誰よりも何よりも早く同時に飛び出して行った。まだ長いとは言えない付き合いだが彼の根幹には誰かの役に立ちたいという意思が時折見える。それは素晴らしいもので、尊ぶべきだ。
 嵐のように現れては台風のように一気に去っていく。彼は頭が良い。回転が早い。今回時の人となったサムライラに何も感じていないはずがない。いつか彼とも敵対する時が来るのかもしれない。だけど今の彼は良き友達としてサムライラを信じると言った。お互いに万全ではない体調、板橋区内、室内、距離が近い、とサムライラに分がある状況であると考えた上での言葉だったのだろう。そんな中で『無関係な一般市民を巻き込むわけにはいかない』と千代田区領主を置いてこの場を去った。

 まゆちゃん。アキバ全土に店舗を持つ超大手エンターテインメント系メイドカフェ『すうぃ〜てぃあ』のメイド長兼社長にして千代田区領主。彼女を初めて見たのはまだ23区で戦争が起きるより前、千代田区にオンラインゲームのイベントがあると足を運んだ時だ。屋外に作られた特設ステージの上での全力で踊る彼女に目を奪われた。相手がどうすれば楽しめるか、それを念頭に起き最高のパフォーマンスをする姿は正にメイドだったのを鮮明に覚えている。
 同時に、つい先ほどの苦笑いを思い出す。お互いにどうよろしくすればいいのかと言葉を探していると扉を自分から開けた彼女が少しの沈黙の後に口を開いた。彼女は可愛らしさに隠れているが権謀術数主義である。どのような手段を使おうと、非人道的なことを行おうと千代田区を発展させようとしている。だから彼女が言った『東京の平和とかどうでもいいんですよ』というのはきっと本音だ。彼女からすればどこが滅びようと関係ないのだ。そんな彼女が人が傷つくのは、と意志を変えて動き出した。
 メイドであることに揺るぎなき信念と誇りを持ち、「かわいい」「もえ」をモットーに生きるパーフェクトなメイド。それが普段とは違う姿を人に見られるという今生の終わりになりかねない失態させ気にせず走り出した。

 一人になったサムライラはゆっくりとカラオケルームの扉を開いた。中にまだいた板橋区民を見渡し、口を開いた。

「少し、セキを外しマス。コミック空間の入口を完全に封鎖したくだサイ。自警団のメンバー、マシな人は全出入口、窓の警備に当たってください。誰一人、コミック空間からデないデネ。外は──板橋区はワタシが守りマス」

 サムライラは扉を閉めると勢いよく走り出した。ここはどこ。ここは板橋区。領主、サムライラ・ニンジャクリーン。
 腰から下げた刀の鞘を強く握った。階段の手摺をパルクールのように飛び越えると受付の仲間に声を掛けて外に出た。江楠、まゆちゃんがどこに向かったのかと周囲を見渡した。


 動かない自分を正当化するようにだらだらと言い訳を考えて考えることを放棄していた。
 領主としての責任とか、いつか敵対するかもしれないとか関係ない。
 動く時に動くことができるか。それができる人間は。

 機械感丸出しのフルフェイスヘルメットを被っていても瓶底メガネを着けていても。
 いつものツインテールはほどいて、マスクして、ノーメイクで、カラコンも外して地味な茶縁のメガネかけていても。
 たとえ風邪で鼻水まみれでも。

 きれいで、かっこよく、かわいいのだ。

 >>江楠 真希奈様 まゆちゃん様

9日前 No.97

あじ @yudukir ★lnjDmImMxf_Qi5

【湯月 琉々香/"大学"池袋キャンパス本館前】

私は校舎に寄りかかって考え事をしていた。普段から緑が壁一面に覆茂る校舎にも少しくらいは禿げてるところがあったりするのです。そこに倦怠感のあまり寄りかかってしまったわけで。せっかくのホワイトクリスマスなのに情けないですね……あはは。彼氏はいないので私には一切関係のない話ではあるのですが。はぁ……あっちなみに先ほど熱を測ったところ39.1℃ありまして、道行く領民に大丈夫?と聞かれるわけですが実のところぜんぜん大丈夫なんですね。ぶっちゃけ新宿の逆侵攻くらいなら防げそうな気がします。インフルエンザとか風邪のひき始めといいますか、症状が出始めたときって一番つらいのですが一番テンションがあがるときなんですよ。はい。まあ、それはさておき私は高熱と頭痛で上手く回らないのに高速回転しつづける脳みそを酷使して考えに耽る。
さて、これからどうしましょうか。私としては予定通り新宿を侵略するか、予定を変更して"東京湾"のふざけた奴らに引導を渡しにいくかのどちらにしようか迷っているわけで。でも、現実的に考えれば後者か。この状況が続けば、当初の予定に支障がでることは明白。それ以上に私の区の領民にも被害が及んでいる。仮にこの状況下で無理言って新宿に攻め込んで併合できたとしても、それ相応の犠牲が確実にでるだろう。その隙を他の区は突いてくるかもしれない。そうすれば、この区はひとたまりもなくやられてしまうだろう。もちろんそのような事態は避けたい。だが、領主を慕い守るのが領民の役目だとするなら領民を愛し守るのが領主の役目じゃないのか。しかし、この状況で焦って行動を始めるのはリスクでしかない。しかもそれが単騎で敵の居城に行くともなればリスク以外の何でも形容できない。いや、できる。『無謀』だ。でも、事態が事態だから他の区も動いている可能性もある。……私は何をすればいい。既に自分の中では答えがでかかっていたがあと一つ確信が欲しい。このように優柔不断な人間なのだ私は。最善は何か、最良は何かと考えている内に機を逃してしまうのがいつものオチだろう。いや…でも……じゃあ逆に…

_____今、"領主"としてやるべきことは何?

そうか最善でもなくてもやるべきことがある。それを私はすでに分かっていた。ただ言い訳を探していただけなのかもしれない。なるほど、そういうことかと無理やり自分に納得させる。それからは早かった。今の自分ができることをするために。全速力で池袋駅へ、雪降る冬の東京湾へ、そして…………

「あのふざけた奴らの頭ひっぱたいて正気に戻してきま……フェクチッ!!」

途中でくしゃみがでたものの、ふと横を通り過ぎた領民への"いってきます"も済ませた。"いつもの"も手元に浮いている。全ての準備は整った、後はその弱っちい心に"覚悟"を決めて行くだけだ。

…………

>>ALL様

7日前 No.98

ぴーぴーけー @ppkppk☆ErEBsPNY5g.j ★iUcwHsnoGa_Qi5

【板橋区・工事現場/江楠真希奈】

『なんだァ、てめェ……!?』
『なにもんだ!?』

 武装した集団は鉄骨の上で逆光に照らされる真希奈を見て次々に声をあげる。堂々とした口上とは裏腹に、その見た目はSF映画の兵士のようなフルフェイスヘルメットと白衣、そして四肢に絡みつくように装備された機械の外骨格。ヒーローめいたポーズをとってはいるものの(とっているからこそ)、明らかに不審者である。あやしすぎる。

「フフフ、フハハハハ!! 『何者』だと? 僕の名は江楠真希奈! 千代田区副領主だ!! ……おっと、まゆちゃんからLINEだ。ちょっと待ってね君たち」

 何事もなかったかのようにポーズを解除し、ヘルメットにリンクさせたスマホを意思によって操作する。まゆちゃんからの問いには「今ここの工事現場におりますぞ!わりと敵がいっぱいいてヽ(^。^)ノオワタ」といった文と位置情報を送る。また、たった今から少なからず領内で一悶着起こしてしまうことになるため、この区の領主であるサムライラちゃんにも同様に「ごめんね、蜂起してる奴らをやっつけるからちょっと騒ぎになるかも(´・ω・`)スマソ 一応ここにいますぞ!」と、同じく位置情報を送っておいた。2人に送った文に記載されたURLにアクセスすれば、マップアプリが起動し真希奈の現在地がわかる、という仕組みである。下にいる集団がなにやら叫んでいるが、返信に夢中だった彼の耳にはまったく入っていなかった。

『おい、聞いてんのか!』
「ん? あ、ごめん、LINE返してたから聞いてなかった、何て!? もっかい言って!!」
『ナメやがって、かかれ!! 副領主だと、好都合だ!! 見られたからには生きて返すな!!』

 ちょうど5階部分に相当する位置にいる真希奈には集団の声は聞こえなかったらしく、相手の発言内容を素直に聞き直す。それを挑発と受け取ったのか、猛る声とともに集団の数人が真希奈のもとに向かおうと走り出す。しかし真希奈がいる位置に上がるための階段を彼らが登ることはかなわなかった。近くに停まっていたトレーラーのトラクター部分から機械の腕が伸び、彼らを弾き飛ばしたのだ。

「フフフ、残念。僕はもうその車に触れている……つまりそのトラクターはもう『僕の仲間』だよ。
さあ行け僕の機甲兵(トイソルジャー)! トランスフォーム! 連中をやっつけろ、オプティ○ス!!」

 そのトラクターは伸びた腕に続いてガチャガチャと変形し、やがて某ロボット映画でおなじみのあのロボットへと変形した。デザインも名前も、完全にアウト。
 ロボットは武装集団をバッタバッタと投げ飛ばしていくものの、どうやら集団の中にも厄介な能力を持つ者がいるようだ。身体強化と思われるその能力者は、がっしりとロボットの腕を掴み、その動きを止めてしまった。その隙に集団の一部が喊声とともに階段に向かってきた。

「……あ、止められ……おーっと。……もしかしてピンチかな?」

 主力と思しきロボットは止められてしまった。下階からは雄叫びをあげながら迫る5〜6人の武装した集団の足音が聞こえてくる。明らかなピンチにヘルメット内部で引きつった笑みを浮かべつつ、脳内で対処法を練る。

真希奈が今いる近くに利用できそうな機械はない。ドローンは連れてきているものの、大きさからしてあまり役には立たないだろう。ヒーローめいた登場のことばかりを考えてトラクターにのみ能力を使用し、そのあとのことは考えていなかったのだ。

ピンチ。アホである。

>>まゆちゃん様、サムライラ・ニンジャクリーン様

7日前 No.99

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★Android=uJs7nQDOiH

[板橋区/コミック空間入口→工事現場/サムライラ・ニンジャクリーン]

 熱でのぼせていた脳が、思考の海に沈んでいた脳が、自分でも驚く程に冷静になっている。江楠がコミック空間から出てからあまり時間は空いていない。行ける距離は限られているはずだと、辺りを見渡した。着けていたマスクを顎まで下げ、虱潰しに探そうと思っていると腰から下げた巾着に入れてありスマートホンが震えた。何となく察すると取り出して起動すると予想通り江楠からの連絡だった。
 相手の声が聞こえるような文面に少し笑ってしまう。彼の話し言葉をそのまま文字に起こしたようなメッセージと共に位置情報が付属していた。URLをタップし地図のアプリケーションを立ち上げた。江楠がいる場所はコミック空間近くの工事現場だった。車で数分とかからない場所であり、徒歩圏内だ。大きな波を過ごした板橋区の新たなスタートの一つである新しい工事を邪魔させるわけにはいかない。板橋区の地形ならば頭に入っている。瞬時に最短距離を脳内で割り出すとスマートホンを握ったまま走り出した。

 三分とかからず工事現場に到着するとどこかで、いや、映画館の巨大モニターとコミック空間のパソコンで見たことがある巨大ロボットが視界に飛び込んできた。一瞬、敵側の地力かと構えるがこのようなデザインのロボットを作り出すのは江楠以外にいないだろうと腑に落ちた。よく見ると五階の窓から彼の姿も見える。フルフェイスヘルメットなので表情は伺えないが、数人が建物を駆け上がっているのが見える。俗に言うピンチというやつだろうか。
 見たことある司令官ロボットも身体強化の地力の者と取っ組み合いになっており上手く動かせないようだ。

 サムライラは迷う事なく再度、地を蹴ると江楠作のロボットと組み合っている相手に向かって走り出した。数人に気づかれたが間を流れる川のようにするりと走り抜け、身体強化の地力の持ち主の背中に音もなく立った。相手が気づくと同時に更に強く下へと蹴り出した。
 ロボットと組み合っていた相手が上からの力にバランスを崩すと同時にサムライラは高く飛び上がった。空中で何とか体勢を立て直し、江楠達がいる建物の外壁に着いていた縦の雨樋を掴み、体をしならせて反動で工事中だからまだ窓が着けられていない階段の踊り場に飛び込んだ。タイミングがよかったのか江楠の元へと向かっていた者を蹴り出す形になった。
 飛び込んだサムライラは三点着地、否、スーパーヒーロー着地を決めており内心は決まったと大満足である。三点着地は彼女の地力で強化しているから可能なのであり地力なしでやれば衝撃がどこにも逃げず流石の彼女も骨折で済まない。普段の時に真似して怪我したのは内緒である。

 サムライラに蹴り出された者によって押し出され一つ階を戻された者達を糸目で見据える。そのまま首を動かして階段を上った先にいる江楠を見ると、糸目の端を普段以上に下げ口角を上げて笑うと控え目に恥ずかしそうにピースサインを送った。

「ヒーローはピンチに駆けつけるンデス」

 >>江楠 真希奈様 まゆちゃん様


[メイン記事No. 100到達おめでとうございます。これからもよろしくお願い致します]

 >>スレ主様

3日前 No.100

桜花 @kgb☆YV/LbxVUS0Pr ★Android=0bca4o0hXK

【千代田区・とあるバー/クロード・クリストフ】


真っ昼間から、グラスに入ったコニャックをあおる男がいた。
静かに酒を呑み、薄暗いその店にはグラスを置く音と、髭面の中年マスターがグラスを磨く音だけが響いていた。
「マスター」
グラスの酒を呑み干した男は、お代わり、というようにグラスを差し出した。
マスターもそれを察して、またグラスを手に取るとそこれコニャックを注ぎ、男へ渡した。
一思いにグラスを傾け、酒を飲み干すと、ひときわ大きな音を立ててグラスを置いた。
立ち上がってポケットに手を突っ込むと、金をカウンターに置いて出入り口へ歩いていく。
ドアに手をかけ、マスターの方を振り向く。
「安物のコニャックだ_______が、しかしマスターと店の雰囲気のお陰で、上質にも勝る旨さになっている_________良い店だ。これからも頼む」
そう言うと、男は_______クロード・クリストフはドアを押し開け、外へ出た。
強者と戦うために、歩みを進めた。


>>All


【スレ初参加です!よろしくお願いします!】

10時間前 No.101

あじ @yudukir ★lnjDmImMxf_RBc

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1時間前 No.102
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