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双界両義

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(2932) - ●メイン記事(184) / サブ記事 (228) - いいね!(15)

スレ主 @vtyjf ★4gCE4td3c0_sxd

人間と異形が共に住まう箱庭世界
片や陽の性質を持つ、我々人と同じ姿を持つ白の民
片や陰の性質を持つ、我々と異なる姿を持つ黒の民

大河を対に向かい合う二つの国
こちらが昼ならあちらは夜、こちらが光ならあちらは闇、こちらが人ならあちらは異形
いつの時代も、どんな生き物も、争う理由はそれで十分。こちらとあちらは違うのだという、ただそれだけの理由。

殺し殺され、憎み憎まれ、不毛な争いを始めたのは半ば必然。
始まりのきっかけすら忘れるような、戦うために互いを憎み合う争いが続くこと幾星霜。千を超える季節が巡り、万を超える戦いがあった。

しかしそれは、突然現れた忌子によって終わりを告げることとなる。
忌子が与えた平等な滅び、白の民と黒の民を関係なく、容赦なく、全て滅ぼす破壊の災厄。

白と黒とに関わらず、気の遠くなるような数の人々が死に絶えた。二国を分つ大河は紅く染まり、野山は骸で溢れ返った。

滅びの危機に瀕し、そこで初めて白と黒は手を取った。皮肉なことに、災厄のおかげで終わりなき戦いは終わりを告げた。

白と黒とが手を結び、滅びの化身と戦って、そして多大な犠牲を払いながらも滅びの結末を回避して
――それから千年と少しの月日が経った

当時を知るほとんどの者が永きの眠りに就き、災厄の爪跡も伝説として語られる、遠いおとぎ話となった中、再び災厄が訪れる――



【クリックありがとうございます、もしも少しでも興味がお有りでしたらぜひサブ記事へおすすみください】

メモ2018/12/06 15:42 : スレ主 @vtyjf★4gCE4td3c0_TJc

【現在二章進行中】


現在の募集状況

>>

http://mb2.jp/_subnro/15776.html-224#a


二章概要

>>http://mb2.jp/_subnro/15776.html-214#RES


ロケーション一覧

>>http://mb2.jp/_subnro/15776.html-214#RES


【2章開始にあたり、過密とそれに伴うスレの停滞を避けるためにルールを一つ新たに設けさせていただきます。

・戦闘が行われているエリアは基本的に最大で本体人数四人までをエリアの参加上限とする。スレの進行をスムーズに行うためですので、ご理解ご協力の程をお願いします】


現在のロケーション状況

○=白の民 ●=黒の民 ☆=灰の忌子

【武闘会場】

・西

☆陽向

○金磚焜炉


・東

○倉丸虎太朗

○墨目 霧刃


・南西

☆灰兼奏司


・南東

…続きを読む(16行)

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大嶽 @arthur ★sMTaXRmOG3_pcO

【黒の国/羅業山・鬼族の屋敷/大嶽】

 「それで儂にどうして欲しいのだ。まさか三大氏族長の矜持とやらを儂にも期待しているというだけではあるまい」

 そう言って縁側から腰を上げる。お前の話は迂遠だとでも言わんばかりに、梅の木に触れて枝振りを確かめ始めた。
 仮説を打ち立てて行動するのは何もおかしなことではない。だが、その行動に他者を巻き込むのであれば、核となる仮説に説得力を持たせ、危機感を他者と共有する必要がある。その点、霊夜は未だにどういう情報を集め、そしてどのように判断したのかを何も話してはいない。
 そこに合理性があると見れば、大嶽もまた協力的な姿勢を見せるだろうし、直感的な要素が強ければ難色を示すかも知れない。ただ一つ言えることはまだ交渉と言えるものは何も始まっていないのだ。

 「助力を仰ぐ以上、ある程度は情報を寄越せ。まずは儂を商談の席につけることだ」

 そう言いながら枝についていたであろう芋虫をつまんで地面に放す。
 商人であるなら霊夜も分かっているだろう。そもそも商談は相手に旨みのある話であると思わせて席に座らせることが第一なのだ。そうでなくては相手もまた何も落としはしないし、準備段階で出し惜しみをしていれば却って損失につながることもある。
 大嶽としても決して霊夜と手を組むことを厭む訳ではなく、むしろいつ戻るかも分からぬ馬酔木を待つよりは、白の国でも使える手駒を多く抱えているだろう霊夜を通して、施療院の長と渡りをつける方が確実なのだ。

>>霊夜

25日前 No.135

浮雲 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【この雷獣、焼き鳥はシェアできる事を考えていないだと!】

【黒の国/居酒屋通り/浮雲】

 賑やかな声が行き交う空間の中、お品書きを眺める少女を、穏やかな表情で見届け終わると、先程の質問をふと思い出し言いかけるが、懐から取り出した銅貨や鉄貨が擦れ合う音をさせながら数え終わると、申し訳なさそうな表情してきたので、あっと思い察した。
「うち、これしか持ってないけど。これでなんとかお酒わけあって飲もうか?」
 袂から銀貨一枚取り出して、食卓に優しく置くと、にへらと笑って首を傾げる。
 かくいう自分はこういう場所に来れば奢られる側なので、飲みたいという気持ちは分かるので、提案を出した途端腹の音が少女から鳴り響いたので、ぱちくりと見開いて驚いた顔をすると、くすくすと口元を手に当てて肩をくすんで笑う浮雲。
「まあまあ、お酒だけじゃ足りへんな」
 さて、銀貨一枚。どう納めようか、人がやる社会的な営みはあまり知らないので、まずは最初に成すべき事を聞こう。
「これ一枚で買えるの教えてくれへんかな」
 太陽については、酒の肴と一緒に教えよう。
 お品書きを掴んで、少女にも見えるように開くと覗き込むと、まずは酒と焼き鳥があったので、うちはこれとこれと指差して自分が頼みたいものを音読する。
「とりあえず、うちはこれでええかなと思うんやけど黒さんはどれにするん?」
 にっこりと笑って、相手の予定を聞いて。
>姚花

24日前 No.136

落ちこぼれ猫 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_2YW

【黒の国/居酒屋通り/姚花】

居酒屋に入って水だけ飲んで帰る。そんな悲惨極まりない上に店主に対しても失礼な終わり方が頭をよぎるが、姚花の表情を見て察したのか、浮雲は懐から銀貨を一枚取り出した。
なんだか、かなり迷惑を掛けてしまっているようで、申し訳ない気持ちであった。しかも腹の虫を鳴かせてしまったものだから、恥ずかしさにも一緒に襲われる。
浮雲は突然の出来事に目を見開いていたが、やがてくすくすと笑い始めた。そんな様子を見て、余計に姚花の中の羞恥心は強くなる。彼女は縮こまり、居心地が悪そうにしていた。

「うん……なんか、ごめんね。ちゃんとお金持ってくればよかった」

チャンスはいくらでもあった。出掛けると言えば、親はいくらかのお小遣いをくれただろう。白の国へ行きたいなどと言い出さなければ、別に悪い人ではないからだ。
しかし、姚花自身は下手をすれば一族の恥晒しとも言われかねないほど、力の小さい落ちこぼれ。故に、親と話すことを、心のどこかで恐れている節があった。
そわそわしている内に、浮雲は店員を呼んで注文をしている。どうしよう、どれを頼むかまだ決めていなかった。手の中の小銭を見ながら、お品書きを眺める姚花。

「これがいいんだけど……足りるかな?」

そう言いながら姚花が指差したのは、一番安い酒と、ほんの数切れ程度のお刺身。店員が確認したところ、ギリギリではあるが、二人の所持金を合計すれば足りるそうだ。
安堵の表情を浮かべながら、注文を確定させる姚花。本当はもう少し量があるものを食べたかったのだが、これに関しては家を出る前の自分を責めるしかないだろう。

「そうだ、さっきの話の続き聞かせてよ。お日様って、どんなものなの?」

頼んだものが出てくるまでの間、暇を持て余している姚花は、身を乗り出して浮雲に質問する。居酒屋に入った最大の目的は、彼女から白の国についての話を聞くためだ。
一度も黒の国から出たことがなく、月しか目にしたことのない姚花にとって、太陽は完全に未知の存在。憧れている白の国を象徴する光景として、興味を示すのは当然の成り行きだろう。

>浮雲
【姚花も焼き鳥をシェア出来ることは知らなかった……?】

24日前 No.137

E9-O3 @e9o3 ★iPhone=kpTHNMlOIW

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23日前 No.138

doubt @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★31edPDrQpE_mgE

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22日前 No.139

陽香 @brahman☆r92H8KW1RF2 ★Android=lmNuvruUyx

【董狐堂/玉紀】

 ああ、喜んでもらえてよかった。こうもかわいい反応をされてしまうと作った甲斐が何倍にもなるものだ。先程から店内を見ている男の元へ。きっと彼も邪魔されたなんて思ってないのに、控えめな声で謝る彼女の優しさに微笑する。本当にいい子。きっと自分だけで美味しいものを独り占めなんてできないのだろう。……あら、彼も何か持っているみたい。

「…………え、それ、今噂のお団子じゃない!?」

 彼が取り出した、そして黄昏ちゃんが包を開けた中には黄金とも呼べる黄色の団子。────実はあれ、どうにか仕入れようと(俺が食べようと)色々な伝手を頼っても手に入れられなかったのだ。こんなひょんな切っ掛けで手に入るなんて思ってもいなかった。

「そうね、おやつの時間にしようか。お得意さんから水出しのお茶を貰ってね、結構前から出してるからそろそろ茶葉開いて飲み頃だと思うわ」

 団子を嬉しそうに手に持った黄昏ちゃんに微笑む。店の中には板間と小上がりがあり、板間には陳列棚、奥の四分の一くらい、だいたい大人が4人くらい並べる広さが小上がりになっており、そこは畳が敷いてある。その上にちゃぶ台や座布団、お客様から貰ったお菓子やお茶やお酒がいくつか。小上がりに腰掛け真ん中あたりに置いてあるちゃぶ台をぐっと引き寄せる。その上には今日起きた頃から置いてある大きめの陶器の水差し。ちゃぶ台の上に伏せてあった手のひらで包み込める程度の大きさ茶碗をみっつ、顔を上げて中に茶を注ぐ。うん、綺麗な濃緑、きっと今が飲み頃。

>>陽炎、黄昏

22日前 No.140

バカラ @bakara ★iPhone=WOe4vYUjGu

【黒の国 董狐堂/陽炎】

『え、ええの? ほんとに? ほんとのほんと?』

「ああ。勿ろ、」

『それ、今噂のお団子じゃない!?』

 黄昏の微笑ましい反応に自然と頬が緩み出掛けた言葉は直後の店主によって遮られる。
 …跳ね上がるほど嬉しいならいいかと納得して琥珀糖を口に放り込んだ。甘いのだがくどくはなく、口の中でとろけるような、それでいて噛むとしゃり、と小気味の良い感触が楽しめる。

「…美味いな」

 これはすぐに売り切れるのも頷ける。甘味に疎い陽炎でも買いたいと思うほどだ。甘味好きにはさぞたまらないだろう。

(今月分はもう売り切れと言っていたな。また来月にでも買いに来るか。彼奴らへのいい土産になる)

 などと考えている間にも話は進み少し奥から黄昏の声が聞こえる。

『あ、そうや! ねぇ一緒に食べよう! おやつ! の! 時間!!』

 今一つ要領を得ない言葉ではあるが、一緒に茶を飲もうとの誘いだろう。いくら若い少女とはいえ女性からの誘いを断るのは失礼。色恋にも縁遠い陽炎にもそのくらいは分かる。
 見ていた品を棚に戻して二人の元へ歩いていく。普段の生活では雑貨屋で店主と会ったばかりの少女と茶を飲むなど考えられない事だが今回ばかりは許されるだろう。

「今行く。もう少し待て」

 甘味は逃げんぞと苦笑交じりの声も今の黄昏に届いているかは微妙なところだが。

》黄昏、玉紀

【黄昏の河原 一条大橋/柏】

 屑どもの流刑地。
 一般的な認識はそうだろうが、しかし柏にとっては違う。
 思わず口を出そうになる言葉を意識のみでこれまた抑え込み、代わりに、

「…いえ。大丈夫です。戻るにしてもここを歩くにしても私一人で事足ります」

 重くなる口調までは隠しきれずに、どうにかそれだけを絞り出す。あまり顔に出ない性分で助かったと心の隅で微かに安堵しつつも、首筋に垂れる汗は以前不快なままだ。
 過去に一度だけ、稽古とはいえ馬酔木と本気で刀を交えた時に感じた薄ら寒さをこのはがねも持っている。意識を強く持っていなければ刀に手が伸びそうになるのが自覚できる。

(今は下がるのが得策なんですが、)

 どうにもここで引き返す気にはなれなかった。とはいえ表立って敵対してこそいないとはいえ、あまり友好的とも思えない。

「…私は、」

 はぁ。息を吐き余分な力を抜く。はがねの目を見て、

「もう少しこの辺りを見て回ろうかと考えています」

 言った。

》はがね、陽向、一条大橋ALL

22日前 No.141

浮雲 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【黒の国/居酒屋通り/浮雲】
 注文が決まったところで、浮雲が手を上げて店員を呼ぶと、少女と自分が頼んだ物を読み上げていくと、店員はぺこりと会釈して注文入りましたと、大声で厨房に伝えると浮雲はお品書きを閉じて、元にあった場所にしまうと。
「そういえば話の続……あら先に言われてしまったわ」
 こちらも頼んだ物が出るまで、太陽について話題に持ちかけようとしたら、一歩先に相手が聞いて来たので、まずは一言そう言うと、ふふふとあどけない表情を作る。
「明るくて眩しくて暑い時もあるけど、ぽかぽかしてとっても気持ちええよ。木の上や瓦の上で寝る時なんか最高や」
 弾んだ声で、両手を合わせてそれに頬を乗せる仕草をする。
 太陽によって暖められて寝るのが心地よいと浮雲は語る。
 黒の国は常夜の国、常陽の国である白の国しか味わえないものである。
「ほんま、あちらさんについてなんも知らへんのな」
 太陽すらも知らない少女に無邪気に言葉を紡ぐと、浮雲ははっと何か気がついた顔をした後、不思議そうに首を傾げた。
「猫さんはどうして白の国に行かへんの? 耳と尻尾隠すかもしくは猫さんに化ければ、うちと違って怪しまれへんのに」
 白の国には飼い主に捨てられたのかは不明だが野良猫や野良犬が歩いている。
 浮雲はイタチ、普通は野山に生息する動物おまけに普通のイタチよりも数倍大きい姿のイタチなので、街中歩けば目立つ。
 だが少女は猫だ。尻尾も一本ある。あちらで、普通の猫として振る舞えば異形だのと怪しまれないのでは浮雲は思った。
 黒猫を膝元を乗せてこくりこくりと昼寝する老人に、いつものようにいたずら用の電撃を食らわせた時を思い出した瞬間、閃いた。
「せや、うちが猫さんの飼い主として白の国に連れて歩けば、きっと大丈夫やと思うな」
 一族の体裁を微塵も考えない、浮雲らしい発言を繰り出して来たのだ。
 例え彼女が周囲にびくびく縮こまっている理由を知っても、こういう事を10割発言する。
 頼んだ物が出来上がるまで、まだかかるだろう。
「いい案やろう?」
 童女かつ淑やかな微笑みでそう提案を持ちかけるが、彼女の答えは―――――
>姚花

21日前 No.142

葛城霊夜 @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_2YW

【黒の国/羅業山・鬼族の屋敷/零夜】

 「…君は損得勘定よりも感情で物事を判断する一面も持っていたと思ったけど、さすが三代氏族の長。鬼の代表なだけあって簡単にはいかないか」

 先程の言葉は半分ハッタリであった。黒の国を執り行う三大氏族の長としての矜持に触れればこちらが手に入れた情報を開示せずとも手を組むことに同意してくれるのではないかと考えていた側面もあったが、竹を割ったようなまっすぐな中にも自身の特になるように本音を引き出す計算じみた一面を発見した。さすがに、鬼を取りまとめるだけあって簡単にはいかないようだ。彼のいう通り納得できる情報に加えて最低限でもお互いに利益のある状況を作らなければ交渉は難しいだろう。

 「…僕が求めるのは治安が悪化した場合の対応方法について。噂が真実だと仮定して起こりうる事態に備えておきたいからね。」

 湯飲みを机に置き一つ呼吸を置いた後に自身がここにきた理由を口にしていく。彼が言葉にした情報を寄越せとの言葉は意図的に無視、自身が手に入れた情報が大獄に対して商談で言う利益に繋がるかといえば否定的なのは否めない。その中で会話を続けてもなんの意味もない。それに彼も情報を欲しがるということは行動をとるべき精度の高い情報は手に入れていないのだろう。そして自身も協力を仰ぐ手札にすらならないものを提示するわけにもいかない上に今後の動向次第では屑札にもなるものだ。

 彼がなにをしてほしいかとの問いかけに対してのみ返答をしていく。2つの噂に関連性があるかどうかは置いておくとしても黒の国に対して恨みを持つものとかの地で灰のものがいることは確定的である。その中で黒の国が治安が悪化した場合の対応をどうするかということを伝えておきたかった。定例であれば竜のものが対応するのであるが、今回ばかりはそう簡単には収まりがつかないかもしれないと自身の直感が告げているのだ。



 大獄

21日前 No.143

落ちこぼれ猫 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_2YW

【黒の国/居酒屋通り/姚花】

姚花が質問すると同時に相手も同じ話を切り出そうとし、結果として食い気味になった。だが、彼女はそんなこともお構いなしとばかりに、目を輝かせながら身を乗り出す。
どうやらお日様というものは、基本的にはぽかぽかとしていて暖かいものであるらしい。それを浴びながらする昼寝というものは最高だと、浮雲は語ってみせる。
声を弾ませ手を頬に添えている仕草からして、病み付きになるほどなのだろうか。是非自分も体験してみたいと姚花は思うが、そのためにはどうにかして白の国に足を踏み入れる必要がある。

「うん。行ったこともないし、親に聞いても何も教えてくれないんだ」

姚花の家で、白の国の話題を出すことはタブーに近い。両親は当然あちらを見てきたことがあるのだろうが、関わりを持つべきではないという方針で、子供達がそれを知ることは禁じられているのだ。
なので、本来はこうして外で他人と白の国についての話をするのも危険なのである。さすがの両親も、そこまでは管理しきれないためか、お咎めを食らったことはまだ一度もないのだが。

「行けるものだったら行きたいけど、親から行くなって言われてるし、逆らったらどうなるか分からないよ」

浮雲の質問に答える姚花の言葉から分かるのは、やはり彼女が両親の存在を恐れている節がある、ということだろう。猫になったとしても、どこからか話が伝わってしまうかも知れない。
それに小耳に挟んだ噂によれば、両親は自分の子供達が白の国に行っていないか、行こうとしていないかを監視するため、あちらに通じる道に見張りを置いているらしいのだ。
たとえ猫になったとしても、一族はその姿を勿論知っている。故に、その目を掻い潜ることは不可能だろう。白の国を見たいという願望は相当なものだが、両親の圧がそれ以上に怖かった。

「えーっと……確かにいい案だと思う。けど、親に見つかったら、貴方も大変な目に遭うかも知れないよ……?」

飼い猫としてあちらに連れ込むという案自体は素晴らしいと思ったが、姚花はそれをしたことによって、後で浮雲に迷惑がかからないか、ということを心配していた。
あの両親のことだ。最悪の場合、子供に要らないことを教え込んだという名目で、浮雲にとんでもないことをするかも知れない。そしてそんなことが起きた暁には、自分の身も危ういだろう。
またしても姚花が縮こまってもじもじしていると、二人の元へ酒が運ばれてくる。続いて、刺し身も机の上へと置かれた。焼き鳥は、もう少し時間が必要そうだ。
様々なしがらみから、すぐに決断を下すことが出来ない姚花。しかし、このチャンスを逃したら、次にそれが訪れるのはいつになるのか分からない。悩む彼女は、自らの夢と、両親に対する恐れの間で葛藤していた。

>浮雲

21日前 No.144

バカラ @bakara ★iPhone=20fwbeGRPW

【白の国 施療院/馬酔木】

 白の国、施療院。
 初夏の穏やかな日差しの中でも忙しなく人々が行き交う中に馬酔木はいた。

『…それで、どういったご用件ですかね』

 面倒臭そうに対応してくる若い女性、歳は20中頃だろうか。長い黒髪を一つに束ね、赤縁のメガネの奥から覗く瞳は冷ややかな光を称えている。気の弱い者であれば逃げてしまいそうな眼光の前も意に介さず、心底億劫そうに見下ろしている。

「だから何度言ったら分かるんだい。上の奴はいないのかって聞いてるんだよ」

『ですから。退役された貴方が何のご用かと聞いているのです』

「あんたに言ったってしょうがないだろ」

『でしたらお通しすることはできかねます』

 このやりとりも早15回目。目に見えて苛立つ馬酔木に対して女性は平淡かつ事務的に応答を繰り返すのみ。強引に突破も試みようとしたが、制止を振り切って入ったともなれば馬酔木に非が出る。最悪は出入り禁止をくらいかねない。

「いいからここを通しなって」

「何のご用か伺わない以上は、」

「あーもう!」

 面倒くさい! と普段の馬酔木からは想像もつかない様な絶叫が城内に木霊した。

》ALL

【よく分からない文になってしまい申し訳ありません!】

21日前 No.145

浮雲 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

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17日前 No.146

大嶽 @arthur ★sMTaXRmOG3_pcO

【黒の国/羅業山・鬼族の屋敷/大嶽】

 「お主こそ金を量るのは得手でも心を測るのは不得手のようだな」

 感情的であるとの人物評を下されていたことに対し、大嶽もまたあまり好意的とは言えない評価を霊夜に返す。
 若かりし日の過ちを二度繰り返すつもりはない。譲れない感情があるならば、それこそ現実的に思考し、そして冷徹な心構えでいるべきだと大嶽は考えている。まともに殺人計画も練れない復讐鬼が本懐を遂げられることなどまずあるまい。
 最も大嶽が感情的な人格の持ち主であったからと言っても、今ある情報ではせいぜい警戒を強める程度が関の山に違いなかった。白の国の了承も得ずに黄昏の河原へと兵を動かす訳にはいかない。

 「最低限の費用もかけられぬのなら、助力などは期待せぬことだ」

 再び商人じみた言い回しで、冷ややかに話を切り上げた。流布している噂やそれを元に組み立てた推測さえも語れないのなら、そもそも動きようがない。指示も報酬もなく動く者がいるだろうか。
 噂の真偽を確かめる為の人手を割いてまで、灰の忌子への取り締まりおよび治安維持に回すだけの利益が大嶽にはないのだ。それこそ霊夜の言うように、灰の忌子を抑制することで噂の真相に近付けるなら、その手を打つのもやぶさかではないのだが、その肝心な根拠を霊夜は出し惜しんでいる。
 この歯切れの悪さはひょっとすると、彼も断言できるだけの根拠とは思っていないのかも知れないが、ここまで来ている以上はもう少し腹を晒しても良かろうにと大嶽は思った。

 「覚えてはおいてやる。三大氏族長の矜持の為にな」

 皮肉っぽい言い方ではあったが、大嶽もまた霊夜を侮っている訳ではない。直感的なものであったとしても、霊夜に何かしらを感じさせるものはあったという事実は軽視できない。
 無論、現実的な問題として人手が不足している以上、霊夜の望むほどに動かせるかは別だが、屯所からの報告をより仔細に見るくらいは出来る。

 「好きな時に帰るといい」

 商業の統括者ともなれば多忙であろうが、話が終わったからと言ってつまみ出すような真似はしない。
 この質実剛健な鬼の本拠を商人たる霊夜がくつろげる場所だと認識するかはまた異なる問題であったが。

【遅れて申し訳ないです。とりあえず切り上げられる形にはしておきました】

>>霊夜

16日前 No.147

スレ主 @vtyjf ★4gCE4td3c0_pcO

【旧城/見廻り組隊舎→施療院/八幡武臣】

>>馬酔木

目下の心配事が一つ減り、肩の荷が下がった気楽さのまま仕事のために施療院へ歩を進めると知った声が耳に入る。

どうして厄介事というのは、一つを解決すればすぐにまた新たな厄介を引き連れてくるのだろうか。ため息、僅かに足が重くなる。

「――どうしたんだい、こんな所で大きな声なんて出して」

施療院の前で揉める二人に、苦笑を隠そうともせずに問いかける。それなりに顔が広く、多くの隊員と顔なじみとはいえ、なんの連絡もなしに押しかられたなら係の女性も通しにくいだろう。

「馬酔木さん、来るなら来るで言ってくれないと……それで、今日はどうしたんだい?身体になにかあった?」

とりあえず立ち話もなんだから、と院長権限を振りかざして職務に忠実な隊員を説得する、院長としての威厳などないも同然だが、なんとか顔を立ててもらうことに成功し、施療院の中へ。

忙しそうに働く面々を横目に、ほとんど使われることのない応接室へ馬酔木を先導する。

「それで、僕に用があったんだろう?なにか大事でも起きたのかな?」

畳の上に座り込み、軽口のような調子に、ほんの少しの真剣味を滲ませて要件を促す。出来れば穏便に済ませられるような案件であってほしいが――その祈りは、果たして届くのだろうか。

【黄昏の河原/一条大橋/陽向】

>>柏、はがね

「――そう、それなら、無理にとは言わないけど」

一人でこの辺りを見て回りたいと答えた柏に対し、少しの警戒を残したまま見送る。

先程は噂の真偽の調査などは行われていないとは言っていたが、この辺りを見て回るということはそれも全てが本当ではないのだろう。

灰が白と黒と仲良くなってくれれば良い、とは思う。だが、そんなものはすぐには実現不可能なことは火を見るよりも明らかだ。

だからこそ、今はそっとしておいて欲しい――そんな願いすら、叶えてはくれないのだろうか。

「大丈夫だとは思うけど、一応気をつけてね?」

すぐに錫屋敷の場所が割れることはないとはいえ、こうして見廻り組が出張って来るほどには事態は切迫している。

じりじりとした焦りだけが、胸の奥で燻ったままいつまでも消えてくれなかった――

15日前 No.148

バカラ @bakara ★iPhone=TDNGFQWUuQ

【白の国 施療院 応接間/馬酔木】

 通された先は小綺麗な応接間だった。馬酔木も現役の頃に何度か使用した事はあるが、それでも殆ど使われる事はなかったと記憶している。

(まさか客人としてここに来ることになるとはねぇ…)

 苦笑交じりに部屋に上がりつつ畳に座る。丁度、武臣の正面。普段は覇気の欠片も感じられないが実力は国内外でも指折り。どこぞの剣術爺い(じじい)と対等以上に立ち回れる猛者だ。

『それで、僕に用があったんだろう?なにか大事でも起きたのかな?』

 軽い口調の中に真剣味の含んだ声音。現役の頃から変わりない。
 尤も。変わりないのはこちらもだが。

「別に。用ってほどでもないさ。馬鹿弟子の様子見と世間話でもと思ってね。
 …で、どうなんだい。柏の様子はさ。あの子は器用だが動きが固い。そこいらの隊士よりは強いだろうが、」

 ため息を一つ。

「三本刀辺りには手も足も出ないだろう」

 選ばれる連中ってのは一本、芯を持ってるか大体何でもやれるかのどっちかだからね。そう言えば出された茶を一気に飲み干す。礼節も何もないがそれがこの馬酔木という人物だった。

「だからこそ見廻り組に放り込んだんだけどね」

 快活に笑う真意は掴めない。果たしてそれだけなのか。それを知る者は今はもう馬酔木だけだが、それはまた別の話。
 と、ここまではいつも通りの砕けた態度だったのだが、纏う空気が一変する。心理描写などではなく物理的に。黒く渦巻くように。方術《禍津風》。

「…そいつともう一点。あんたにゃ聞きたいことがある」

 瞳の奥に獰猛な光を湛え口を開いた。大嶽に見せたそれより数段鋭い光。恐らく先代の三本刀とこの男しら知らないであろう表情。渦巻く風は静かに、それでいて荒々しく二人の頬を撫でた。

「《錫屋敷》。《黄昏の河原》辺りにあるとされてる屋敷さ。灰の連中の溜まり場らしい。一月ほどを歩いたが結局は見つけられなかった。まあ、目星はあらかた付いてるがね。
 あんたなら知ってるんじゃないかい」

》武臣

【ここで知っても大嶽には話さず、他の三箇所のみ情報を提供する予定です。その辺りの開示は恐らくはがねや錫屋敷の人間と絡んだ上でどうしようか決めていきたいと考えています】

15日前 No.149

スレ主 @vtyjf ★4gCE4td3c0_pcO

【旧城/見廻り組隊舎→施療院/八幡武臣】

>>馬酔木

探るような世間話、弟子の様子を見に来た師匠という当たり前の光景。知らない仲でもなければ、焦るような何かがあるわけでもない。付き合うように、その問に答えを返す。

「うん、そうだね――まずは自分がどこに立っているのか、何をするべきなのか、そこがしっかりしないとこれ以上は強くなれないだろうね」

無論、技術や肉体的な伸び代はまだまだ大きい――そして、その成長がこのまま順調に進めば、次期三本刀の候補に挙げられるまでに成長するという未来も決して夢物語ではない。

だが――技と体、それだけでは決して越えられぬ壁というものが存在する。そして、その壁を乗り越えないことには決して三本刀という護国の要にはなれはしない。

「で、本題はそれかな?」

纏う黒い風に頓着した様子もなく、眼の前に小さな門が開く。二点間を結び、繋げる方術。開いた障子の向こう側、施療院の休憩室から二つほど湯呑とお茶を拝借、のんびりと二つの湯呑にお茶を注ぐ。

「さて、どうだろうね――まあ、僕が知っていたとして」

湯呑をゆっくりと口元に運び、熱いお茶を一口。黒い風に晒されながらも、のんびりとした態度を崩さない姿は一種異様ですらある。

ほう、と一息吐いて湯呑を置く。そのまま苦笑を浮かべながら、世間話の延長線のような調子で続ける。

「あまりいろいろ嗅ぎ回って面倒事を起こさないでね?」

困ったように、伺うように、笑みを浮かべる――それはまるで、その表情以外を知らない絡繰りが、常にその表情を浮かべるかのように。笑みという外側の中に、ナニが隠れているのかは伺うことも出来ない。

        ・・・・・・・・
「そうしないと、僕が仕事しないといけなくなっちゃうからさ」

だから、徒に灰に関わるのはやめておけ、と。最終勧告にも似た忠告を言外に行う。

だが、もしも何かしらの信念を以て、危険を冒す覚悟があるのならば――新たな選択肢が生まれるかもしれない。

14日前 No.150

ask2 @ask2 ★iPhone=P9oxZSYDmV

【黒の国/城下町/お燐】

 >(対象者なし)

 予想に反して、特使の仕事はその日のうちに完遂された。流石に王や氏族へ手渡しとはいかなかったが、小間使いに託すことに関しては、何の問題も生じなかったのだ。

「なんというか、拍子抜けね。いえ、面倒事を期待してたわけじゃないけれど――」

 ぼやきながらも、内心それはそうかと納得もしている。
 民の気性は荒く、血気盛ん。武力を物差しとする実力社会といえど、街は整備され、法が敷かれている。であれば道理も通るというもので、公務として赴いた以上は無碍にされないのは当然の帰結だった。

「……このまま帰るのも慌ただしいわよね。宿は取っちゃったし、出立は明日の朝にしましょう」

 姿は見えないが、近くに控えているであろう借り物――もとい天機という忍者に告げ、お燐は宿に向けて歩きだした。

12日前 No.151

バカラ @bakara ★iPhone=1h9j3mwLgF

【白の国 施療院 応接間/馬酔木】

『そうしないと、僕が仕事しないといけなくなっちゃうからさ』

 笑みの裏に隠れた何かはわからないままにかつての上司は言う。言外の忠告。下手に破ろうものなら大事にも発展しかねない。
 しかしその程度で止まるほど馬酔木という人物は御し易くはない。獰猛な光を一段と強くすると口元を吊り上げる。

「言って聞くほど私が利口じゃないって、あんたなら分かるだろ。
 まあ安心しなよ。切った張ったやるのは嫌いじゃないが民を巻き込むのは望むところじゃない。血を流すのは私らで十分さ」

 茶受けの落雁を放り込み噛み砕く。

「さてと。世間話はさておいて」

 先ほどまで渦巻いていた風はどこかへ霧散し静寂が戻る。
 表情も化生すら逃げ出しかねないそれから破落戸と差異のないいつもへと戻っていた。

「あんた、何かやろうとしてるんじゃないかい。
 こいつは私の勘だがね。最近の下の様子と千年って節目。あんたなら黒を巻き込んで黄昏の河原辺りで祭でも始めるんじゃないかって思うんだが…」

 二つ目を噛み砕きその甘さにうへぇ、と顔を歪める。甘いものは嫌いではないがこれは甘すぎると言わんばかりの表情を浮かべながら続けた。

「そいつはどうなんだい」

》武臣

10日前 No.152

スレ主 @vtyjf ★4gCE4td3c0_TJc

【旧城/施療院応接室/八幡武臣】

>>馬酔木

湯呑を置いて考え込み、少し目を伏せる。僅かな時間の熟考、どんな結論が出たのかは推し量るすべはないが、白の国の院長を勤める男は首肯を返した。

「そうだね、それなら良いんだ――遊び半分は駄目だよ、やるならきちんとやらないと」

さて、と一旦区切ったところに思いも掛けない言葉が飛んでくる。少しだけ目を細め、関心と驚きの入り混じった苦笑に、頬を掻く。

「勘がいいのか、耳が早いのか――うん、そのつもりだよ。ちょっとした腕試しを目玉に、出見世なんかもたくさん出してもらって賑やかにやろうと思ってね」

ある程度予想がついているならば話は早いとばかりに、思案していたもう一つの案件を切り出そうと馬酔木の表情を推し量る。

「そこで、なんだけど――僕の推薦枠で、腕試しに出てみない?」

引退した君を引っ張り出すのは悪いんだけど、と前置きを挟んで続ける。

「葵くんはしっかりしているけど気負い過ぎるし、灰燕は万一に備えて控えてもらわなきゃいけない――君は面識がないから知っているかは分からないけど、霧刃ちゃんはこういう真正面からの腕試しは苦手なんだ」

だから、と言葉を区切って拝むように手を合わせる。

「向こう、黒の国の人たちも面子があるだろうしそれなりの人を寄越すと思うんだよね。僕は別に負けても良いんだけど、僕主催で白がぼろぼろに負けちゃったら流石に体裁が悪いし――頼んじゃっても良い?」

九条葵に墨目霧刃、双方が並外れた実力を持つ三本刀を任ずる者達。だが、少しばかり足りない。

前者は、民を、仲間を守るためならば自らを犠牲にしても良いとすら考えている節がある。後者は単純に戦場が違う――彼女の戦場は、衆目の前で武を競う場には存在しない。

九条葵には、自分すらも救うという『全てを守り通す』という覚悟が、墨目霧刃には『陽の下にて振るうことの出来る武』が、それぞれ欠けている。
あるいは、彼女たちが三本刀でなければ完璧を追い求める必要はないのかもしれない――だが、護国の要として、いつか訪れるその時を乗り越えるために、彼女たちにはここで立ち止まってもらう訳にはいかない。

戦いの中での成長もあるだろう、だが、

「ちょっと過保護かもしれないけど、君が抜けた穴を埋めるためにも、三本刀の女の子たちにはじっくりと強くなってもらいたいんだ――いきなり国を背負って戦わせるなんて、ちょっと僕には出来ないかな」

無論、彼女たちが自らを試すために出るというのならば諸手を挙げて歓迎する。だが、その背中に国の重圧をかけたくはないと、国をまとめる立場に有りながらそう言い放った。

8日前 No.153

バカラ @bakara ★iPhone=1h9j3mwLgF

【白の国 施療院 応接間/馬酔木】

『――僕の推薦枠で、腕試しに出てみない?』

 今度は馬酔木が驚く番だった。
 片腕を壊死寸前まで壊され退役した馬酔木ではあるがその実、腕は殆ど落ちてはいない。寧ろ三本刀にいた頃よりも剣の冴えは鋭くなっているのだが、この男はそれを知らない筈。落雁に歪んだ顔も元へ戻ってしまっていた。
 しかしそれもすぐに戻ると武臣の話に耳を傾ける。それが終わると小さく息を吐いた。

「…理由は分かるがね。元三本刀とはいえ今の私はそこらの破落戸と変わらないよ。
 そりゃ抜けちまった件については悪いと思っているよ。九条の奴と時期が殆ど変わらないってのもまずかったとは思ってる。私らの時ほど時間もなかったろうしね」

 襟首を軽くかき最後の落雁を口に放り込む。

「いいよ。出てやる。あんたの言う通り、九条の娘も御庭番の頭もまだ青い。剣術爺いなら問題ないけど何かあったら困る」

 貸し一つだからね。そう言うと腰に差していた刀を軽く小突く。

「だがまあ、祭の余興だってんのならこいつは解放しなくてもいいんだろ?」

》武臣

7日前 No.154

スレ主 @vtyjf ★iPhone=1O4MQwLmm1

【旧城/施療院応接室/八幡武臣】

>>馬酔木

肯定的な意見に手元の湯呑を呷って、安心とお茶を呑み下す。

「ああ、ありがとう。言うまでもないとは思うけど、出るからには優勝目指して頑張ってね」

口にしなくとも、出るからにはそのつもりだろうとは思いながらに一応の鼓舞。そこに付け加えるように、馬酔木の疑問に応える。
       ・・・・・
「そうだね――その必要がある、と思ったら使ってもいいよ」

まあ、そんなことほとんど無いだろうけど――そう笑いながらも、見定めるように見つめる瞳には何の感情も浮かんでいない。

それじゃあ、と、立ち上がり、これで話は終わりだと言わんばかりに応接室を後にする。

かつての三本刀――その力は現在どの程度なのか、どちらに転ぶにせよ見極めておくに越したことはない。

「さて、一月後が楽しみだね――」

そう、独り呟いた言葉は誰にも届かず、虚空に消えた。

【章移行のため、ここで辛味を切らせて頂きます。絡みありがとうございましたー。>>バカラ様】

6日前 No.155

スレ主 @vtyjf ★iPhone=1O4MQwLmm1

【黄昏の祭/貴賓席/八幡武臣】

>>ALL

面倒で長い挨拶もそこそこに、開始の合図を告げて大会の開始の銅羅がなる。大会の運営を任せた施療院の一員がその仕事をこなすのを貴賓席から眺めながら、しかし武臣の瞳はどこか遠いところを見ていた。

用意された舞台、自身の方術である六道遊戯の維持の集中のためにと開会の宣言を他へ任せて、その実方術の維持などしていない。

前準備の段階できちんと陣を敷き、幾つもの起点を仕込んで起動させた大結界は同格――あるいはそれ以上の力を受けない限りはまず壊れることはない。

「さて、どうなるかな」

その目に映るのは過去、そして未来、現在(いま)と重なるようにして風景がブレる。

「約束を――」

流星が堕ち、永遠が砕かれ、孤高が死んだ日。守ると誓った我が子を、愛した人を、背中を預けた親友を、裏切り、この手で殺めたあの日の約束は決して違えない。

「期待、しているよ――この程度なら犠牲なく切り抜けてもらわないと、ね」

そうでなければ、滅んでしまえばいい。深い水底のような、どこかを通り過ぎてしまった者の目をしながら、誰にも聞こえないようにそう呟く。

何かを犠牲にして得られる平穏など、何の意味もない――その犠牲を強いるくらいならば、この世界に意味はない。苛烈な炎の如き感情を、その内に隠しながら貴賓席に設えられた椅子に深く腰をかける。

それだけで一瞬よぎった様々な感情が消え去り、何時も通りの苦笑が戻る。

一瞬の眼差し、その意味するところ――その真実は、未だ語られることはない。

【急な章移行、開始日の延期等本当にご迷惑をおかけしました。これより2章を開始させていただきたいと思います。2章概要はサブ記事をご覧ください。>>参加者ALL様】

6日前 No.156

陽向 @vtyjf ★iPhone=1O4MQwLmm1

【武闘大会会場/西/陽向】

>>ALL

開始の宣言、その次の瞬間には既に転移は終わっていた。事前に説明を受けてはいたが、瞬き一つの時間で全く別の場所へと飛ばされるのは不思議な気分だ。

準備運動代わりに屈伸、辺りを見回せば見たことのあるような――けれど、見知らぬ町並み。

「さて、っと。頑張らなきゃね――お願い、聞いてもらわないと」

優勝の願い、白の国からの灰の忌子への絶対不干渉をもぎ取るための戦い。幸い、どれだけ派手にやろうとも、どんな傷を負わせようとも、戦いが終われば全て無かったことになるらしい。それならば、全力を出すことに躊躇いはない。

「それに、僕が頑張っているところを、子どもたちにも見てくれてるはずだし」

負けられないな、そう小さく呟き、気合を入れ直す。この中継されているこの戦い、他の灰の忌子――特に年端もいかない小さな子どもたちもきっと縁日のどこかで見てくれているだろう。ならば、無様は見せられない、見せたくない。

「よしっ、準備完了……!!」

軽く跳んで体の調子を確かめる。僅かな高揚と少しの緊張、思考は冷静、肉体は万全――どこからでも、誰がかかってきても、負ける気はしないし負けるつもりもない。

6日前 No.157

大嶽 @arthur ★sMTaXRmOG3_TJc

【黄昏の祭/貴賓席/大嶽】

 黒の国の重鎮たる大嶽の眉間にはいつも以上に深い皴が刻まれていた。彼の眼前には黒の国と瓜二つの壮麗な街並みが広がり、それらは全て彼の統括する鬼の一族が粉骨砕身して設営した渾身のものであったが、その威容すら大嶽にとっては忌々しく思えてくる。
 接触を図ろうとしていた施療院の長からの書状が事の発端だった。はじめ、大嶽は向こうも先見の里にまつわる話を持ってきたのかと思ったが、書面には期待を裏切る形で彼を不愉快にさせる内容が記されていた。
 二ノ国御前試合。巷では武闘大会と、より趣旨を明確にした呼称が使われているが、書状はその運営への協力願いだったのである。この両国の交流を深める催しは白の民を蔑視する大嶽にとって、無手の武芸者に妖刀を持たせた子供をぶつけるが如き、笑えぬ児戯だった。子供が武芸者を刺し殺したとしても、それは妖刀の凄まじさの証明として大嶽は受け取らざるを得ない。
 未だこうして渋面を作りながらも、運営に関わらざるを得なかったのは、単に黒の王と他の氏族長の性格からして避けられぬことを察知していた為である。己一人が反対したところで、決行されてしまうのは目に見えていた上、この大会自体は人心を落ち着ける作用は少なからずあるだろう。氏族長として民を掌握する必要が大嶽にもある。

 「(それに羽虫どもの餌くらいにはなろう)」

 春先からの問題の一つである灰の忌子も表向きは参加出来ることになっている。無論、連中も今まで自分たちを抑圧してきた権力者を信用するとは思えないし、素性くらいは隠して参加するだろうが、それでも分かる者には分かるのだ。紛い物の腐臭というものは。
 大会中に何か仕掛けることは出来ないだろうが、終わった後に尾つけさせるくらいは訳ない。罠としては大味ではあるものの、卑しい非人どもを釣るには十分だろう。
 それに施療院の長もここまで協力されてはこちらを邪険には扱えまい。全てを引き出すのは難しくとも、この催しの真意や先見の里にまつわる話の断片くらいは掴んでおきたい。あの消極的な男がこうした催しを行うこと自体がどうにもきな臭く感じるのだ。
 貴賓席とは言っても、白の国と黒の国とで席割りはされているため、施療院の長こと八幡武臣は遠い位置にいる。大嶽の視力を持ってすれば彼の横顔は良く見えるが、その表情の裏に潜んだ真意までは分かりかねた。

【二章開始おめでとうございます。時間経過でより直接絡みに行かせて頂くかも知れません。】

>>(八幡武臣) ALL

6日前 No.158

ぴーぴーけー @ppkppk☆ErEBsPNY5g.j ★iUcwHsnoGa_m5I

【黄昏の祭/縁日(白側)/三条ほとり】

「いらっしゃいませー! 甘酒はいかがですかー?
 暑い日に飲むつめたい甘酒は、とーってもおいしいですよー!
 おだんごも、あんみつも、とおーっても、おいしいですよー!」

 人混みの中、積まれた木箱の上で看板を持ちながら笑顔で客寄せにいそしむ少女。よく通る少女のかわいらしい声は、この暑さを幾分和らげるような錯覚すら思わせる爽やかさがあった。出店場所を決めるくじ引きで幸運にも一条大橋のすぐ近くの角地の権利を獲得した利休庵は、今回は茶屋として店を出していた。酒粕ではなく麹から造られた甘酒は非常に美味で、方術を利用して冷やされたそれは大変な人気を呼んでいた。普段の店の常連も多く姿を見せ、どうやら売れ行きは上々のようだ。
 三条ほとり。彼女は人間ではなく、黒の民である。妖怪「河童」――この街を走り生活や農業に利用される小さな川「甲神川」の守り神として崇められている存在。しかしそれを知る者は一般世間にはおらず、酒屋の看板娘として街の住民から愛されていた。

『いいぞー酒屋小町!』
『今日もかわいいわねー!』

「もー! おじさんたちもからかってばっかりじゃなくて、買って行ってよね!」

 店の常連や商店街の知り合いから声をかけられると、照れくさそうに頬を膨らませて怒った姿を見せる。その様子がかえってさらなる人気を呼ぶらしく、客足は絶える素振りを見せない。店主夫妻も忙しそうに、だが嬉しそうに接客にいそしむ。先程囃し立てた2人も、どうやら行列に並んだようだ。今日のほとりは特別に店の屋号が染め抜かれた藍染の前掛けの着用を許され、その嬉しさで非常に気合が入っている。どれくらい嬉しがっているかといえば、朝一番に白竜の牙にいる知り合い達のもとに見せに行ったほど。

(白竜の牙のみんなは来てくれるかな……? 虎太朗くん、来てくれるといいな……)

 そんな気持ちを心に秘めながら、酒屋小町はまた客寄せの声を上げる。冷たく、かつ栄養価の高い甘酒はこの暑さにはまさにうってつけだ。ほら、また売れた。酒屋小町は木箱の上でぺこりと頭を下げ、その花のような笑顔でその客に礼を述べ、客寄せの仕事に戻る。

「お買い上げ、ありがとうございまーす! また来てくださいね!
 ……いらっしゃいませー! 甘酒や甘味はいかがですかー?」

 まだまだ客足は途絶える素振りを見せない。


【2章開始おめでとうございます! ほとりを一条大橋のすぐそばの出店に置いておきます。
 ほとりは出店の客寄せに木箱の上にいるので見つけやすいと思います。】

>>ALL

6日前 No.159

灰色の魂 @kaizelkai ★x9PY0FGVrO_mgE

【 武闘大会会場/南西/灰兼奏司 】




 白と黒の国合同に開催された武闘大会、これほど自分の力がどれだけなのかがわかるのはそう滅多にない事だろう。この大会の告知を聞き、参加しない手はなかった。誰でも参加可能という事で、灰の忌子が混ざっても問題はなかった。知り合いもどうやら参加してるので、当たった時は恨みっこ無しで勝負に挑みたい。
開始の合図の直後、瞬き一つの時間で全く別の場所へと飛ばされる。味わった事のない感覚だが、悪くはない。そして視界に映った景色は受付の場所から一変していた。

家屋が疎らに並ぶ寂れた場所であった。そこら辺に落ちてある廃材を手に取る。まるで本物のような材木の質感を感じており、随分と凝っていると内心感心する。



「 ……さて、相手を探すか……。 」



 頭に巻いてある手ぬぐいを今一度、しっかりと締める。この大会にどれほどの強い者がいて、それに当たれるかが表情こそ表してはないが、密かに楽しみにしている。浮ついた気でいると、足元が掬われるかもしれないので油断はせずに、緊張や高揚感に高まる自分を静める事にする。
今日はどんだけ暴れても、どんだけ相手を傷つけても大丈夫という仕組みがある。受け取った水晶一つで身代わりとして受けるとは、これはかなり凄いのではないかと思う。

ふと空が急に暗くなる。目まぐるしく太陽と月が交代しており、普通の空ではないのがわかった。





「 此処は……丁度良い舞台かもしれないな……。 」



 昼夜の切り替えが早いこの舞台は自分にとって、その力を活かすの殺すのには丁度良い腕試しだと思った。陰と陽が入れ替わるのが早い場所で自分の力を使う事は初めての経験である。



>>対象者無し


【二章開始おめでとうございます。】

6日前 No.160

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_m5I

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6日前 No.161

バカラ @bakara ★iPhone=1h9j3mwLgF

【縁日 白側/柏】

 縁日というものを数年ぶりに味わった気がする。
 見廻組に入ってからは稽古に明け暮れていた。仕事として出る以外には祭の時でも刀を握っていた記憶がある。師匠の七光りだけで見廻組にいると思われる事が嫌でひたすら稽古を繰り返しいただけ。真面目とは程遠いが今は関係ないだろう。折角の久方ぶりの縁日。楽しまなければ損だ。
 …とはいえ、師匠である馬酔木から一つ、命令を受けている身からすればあまり縁日にうつつも抜かしていられないが。

「武闘大会に出ろ。ただし禍魂器は使うなって、どんな無茶振りですか…」

 正確に言えば『禍魂器の解放禁止』であり、刀を振るうことは許可されているのだが、それでも両国中から腕に覚えのある者が集う武闘大会。そこに出るというにはこのハンデはあまりにも大きい。
 ため息をついたところで何か変わるでもなし、不肖の弟子からすれば師の言いつけは守る他ない。
 気晴らしに烏賊焼きを頬張り歩いていると見知った顔があるのを見つけ、足を止めた。
 どこで手に入れたか想像も付かないような和装に傍の棺。間違いようがない。香花寺胡頽子だった。同じ職場の同僚ではあるがあまり面識はなく、会えば挨拶する程度。とはいえ彼女は目立つ。自然とどのような人物かは知っていた。
 見つけた手前、無視するわけにもいかず歩をそちらに向ける。声がかろうじて届くかくらいの所でふと違和感に気付く。

(殺気…?)

 以前すれ違った時とは微かに違う空気に一瞬だけ足が止まる。
 だが、ここまで来て引き返すというのもよろしくない。歩を再開させると近くに立ち、覗き込むように声をかけた。

「何をしているんですか。香花寺さん」

》胡頽子、周辺ALL

【二章開始おめでとうございます!】

6日前 No.162

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_m5I

【 縁日・白側 / 香花寺胡頽子 】

 目を閉じていても、誰かが近付いて来るのは足音で分かっていた。
 だがここは祭の会場。自分に用があって距離を詰めて来るのではなく、単に目的の場所への経由地点に自分の傍が含まれていただけだろうと思っていた。
 故に声をかけられた時には多少びっくりした。ゆるりと瞼を開けて、声の主に視線を配る。黒い髪に椿の花飾りをつけた少女。同僚の柏だ。
 自分も恋人たる花椿を偲んで髪に椿の飾りを付けているので、もし椿の花が好きならそれ関係で話が合うこともあるかもしれない、とちょっと考えていたこともある相手。
 考えていたことがあるだけで実際に深く踏み込んだ会話の経験は無く、現状、すれ違い様に会釈しあうか軽い挨拶を酌み交わす程度の間柄だ。
 そんな彼女が何故こちらに話しかけてきたのかは……わりと律儀な気質の娘なので、知り合いを発見したからには挨拶せねばという意識が働いたと見える。
 そういう生真面目さは嫌いではない。

「こんにちは、柏殿。見ての通りに花椿と添い寝しているのさ。そういう貴方は……気合の入りようからして、どうにも観戦という風には見えないね。ひょとして参加するのかい?」

 それなら花椿と一緒に貴方を応援するよ、などと続けつつ岩上で上半身を起こす。
 愛に溺れて恋に堕ちた頭のおかしい女でも、家族でもない相手と会話する時に横になりっぱなしはマズいという常識くらいは持ち合わせているらしい。

 本来は自分より5cmほど背丈の低い柏。だが、現在の胡頽子は岩に腰掛けている形のため、目を合わせようと思えば自然と相手を見上げる形になった。
 ショートボブに黒真珠の瞳も相まって、柏という少女の容姿はさながら日本人形めいている。もっと幼い頃にはそれこそ座敷わらしを思わせる童女だったに違いない。
 見廻組に属することなく市井の町娘として暮らしていれば、彼女を巡って町の男が小競り合いを起こすようなこともあっただろう。
 けれど、理由は分からないまでも彼女は馬酔木の弟子たることを選んだのだ。その時点でただの愛らしい町娘として人生を終えることなど望んではおるまい。
 それは胡頽子とて同じこと。花椿の仇さえとれるなら、苦痛も恐怖も厭わない。恋する女は精神的に無敵なのだ。

「弟子の貴方が参加するなら、師匠の馬酔木殿も参加なさるのかな。とすると大会の最中に師弟対決も有り得る。それは見てみたい気もするけれど、そうなった場合の貴方の大変さを思えば実現しないほうが良い気もする。……ああ、花椿もそう思うかい? そうだね。人の苦難を願うのは良くないことだし、やっぱりここは師弟対決にならないようにお祈りしておこうか」

 台詞の前半は柏に向けたもの、後半は花椿に向けたものだ。
 それに伴い視線の行く末も柏から花椿に移っている。

>柏様&ALL様

6日前 No.163

バカラ @bakara ★iPhone=1h9j3mwLgF

【縁日 白側/柏】

『こんにちは、柏殿。見ての通りに花椿と添い寝しているのさ。そういう貴方は……気合の入りようからして、どうにも観戦という風には見えないね。ひょとして参加するのかい?』

 上体を起こす胡頽子。仕草の一つ一つが妙に色香があり、そう言ったものが欠けていると重々承知の柏からすれば少しばかり羨ましいとも思ってしまう。

「ええ。まあ…。お師匠からそう言われまして。いつもの無茶振りです。『禍魂器を解放させずに勝て』と」

 話していて若干気が重くなってきたが、烏賊焼きを齧り何とか気を持ち直す。
 ふと何か気になったのか右の人差し指をくい、と曲げると風が舞い胡頽子の和装の端を軽く揺らす。弧を描くようにゆっくりと上がっていく風の先には一匹の蟻。ふわりと地面に降り立った事を確認すると視線を戻して謝罪した。

「すいません胡頽子さん。
 …それと師弟対決ですが、恐らく一方的に私が叩きのめされるだけかと。お師匠には今の今まで勝てた試しはありませんし、あの人、剣筋が滅茶苦茶で読めないんです。単純なようですごく複雑で…」

 我流にも程があると言外に恨みを呟ききつつ、恋人(棺)に視線が移っている同僚に苦笑する。

「本当に仲がよろしいんですね」

 嫌味を言えるほど口が達者ではない柏が、これが嫌味と取られなかねないとは知る由もなく。

》胡頽子、周辺ALL

5日前 No.164

葛城霊夜 @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_m5I

【黄昏の祭/貴賓席/零夜】

 眼下に広がる喧騒をただただ人当たりのよい笑みを浮かべていた。黒の国の代表として三代氏族の長である自身が貴賓席に座していた。力がすべてを物語る黒の国であっても自身は力ではなく経済力。端的にいえば貨幣が重要だと考えているので力のぶつかり合いが行われる今回の祭りに関しては観客として参加しようと決めていた。また、同属の老人たちに軟弱者だといわれてしまうのだろうか。咥えていた煙管から小さく苦笑いの形を作っていた。

 部下には出店で利益を上げるように指示をしている。このような大きなイベントでは出店がつきものである。利益になることに目ざとい自身にとっては今回の祭りはいい稼ぎになるだろう。そしてもう一つ目的がある。今回の祭りを通じて白のものと交流を持ち新たな商業ルートを構築するという大名目。以前より白の国と交流を持ちたかったため、白の国も集まる祭りを利用しない手はない。

 「…見たところ白の国の人みたいだけど、ここにいるってことはある程度の身分の人だと思っていいのかな?」

 眼下に広がる景色を眺めていると人の気配を感じた。瞳をそちらへと向けると見覚えのない人物がいた。正確にはまったく見たことのない風貌をもっていたというほうが正しい。少なくとも黒の国のものではない。また、灰のものが国を代表するものやそれ相応の身分を持っていないと貴賓席に近づくことすら出来ないだろう。灰のものではないとして論理的に考えて白の国のものであると帰結する。

 口元に薄く笑みを浮かべ商談をする際に作る表情を構築。穏やかな笑顔を見せつつも自身の思惑を見せない完璧な装甲を生成すれば椅子から腰をあげ、深い緑の着物をまとう彼の元へと歩を進めていく。どういった立場であるかわからないが、この貴賓席にいるということは身分がしっかりしたものであることは確実である。白と黒の国が交流する祭りでしか起こりえない境遇を自身の利益、ひいては黒の国に最大限の利益をもたらすべく人当たりのよい笑みと共に声をかけていく。

 八幡武臣・ALL

【2章開始、おめでとうございます。早速ですが、絡ませていただきますね】

5日前 No.165

doubt @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★31edPDrQpE_mgE

【武闘大会会場/南東/薫義】

疎らに建った廃屋の群れ、それらを沈まぬ落日が不気味な唐紅に染め上げている。
この催しの為に張り巡らされた四方2kmにも及ぶ大結界、中でも南東に位置するこの場所は夕日に支配された廃村だ。開戦間もない現状では未だ転移してから此処に辿り着いたものが皆無なのか、将又息を殺し確殺の瞬間を虎視眈々と狙っているのか。何れにせよこの寂れた村は寂れた外観そのまま痛いほどの静寂と沈黙に沈んでいる。

「あぁあ……キラキラ、キラキラ、貰った……で、でもたそがれのやつの方、がきれい……綺麗」

童子染みた独白と無遠慮な足音。そんな状況にあって物怖じせずに道中を往く人物は余程の腕利きか、もしくはどうしようもない愚者であるのか。見たものを不安感に苛む光景、痩せた黒い影を路地に落として異形は掌に納まった小さな水晶を玩んでいた。訳も分からず手渡された水晶、結界内への転移直前、自分の肩にのせられた父も同然の人物の掌の温もりを思い起こす。彼が何気なく言い放った策励の言葉、そこに含まれた真意を薫義は理解できずにいた。


『二ノ国御前試合』

白竜の牙が長、八幡武臣が黒の国へと送った書状から端を発した白と黒合同の一大企画。まるで両国で示し合わしたかのように事が進み、無事開催と相成った此度の祭りは二国間の共存共栄を謳ってはいるがその実、実体はそこまで単純明快なものではない。白と黒、そして灰。其々のが内に秘めたる想いが入り乱れる混沌。出店に屋台、縁日に顔を綻ばせる無辜の民たちの裏側では謀略までもが静かに蠢き見え隠れする。そしてその大きな渦に巻き込まれているのはこの薫義とて例外ではない。
二百年前、意志持たぬ災禍としてこの地に顕れ暴威の限りを尽くした薫義は本来ならば黒の国にとって看過することが出来ない危険分子だ。即刻処分されるか将又時の彼方まで地下牢に繋がれ続けるか……目付け役を宛がわれ保護並びに監視されているこの現状は、偏に管理し制御できる可能性が残されているからに他ならない。
故に、此度の試合は薫義のひいては後見人たる河伯、彼率いる氏族の今後を占う試金石となる。彼に対して未だ懐疑的な黒の国上層部に戦力としての有用性を知らしめることが出来れば必然それを運用可能とした功労者たる河伯の国内での発言力も高まっていくだろう。それと同時に強大な力を敢えて開示する事は敵対するこの白の国に対する示威行為となり、それは二国間の全面衝突の防波堤、抑止力にも成り得るのだ。もしそれらを成すことが出来たのならば、それは黒の王に直下にある三大氏族という均衡を打ち破る好機にもなる。

最早これは薫義一人の戦いではなくなってきていた。

>武闘大会ALL

【第二章開始おめでとうございます!】

5日前 No.166

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_m5I

【 縁日・白側 / 香花寺胡頽子 】

 一応年下だというのに自分より随分と雰囲気的な可愛らしさのある同僚を見つめ、そういえば、と思い至る。
 うとうとしていたからひょっとして気のせいということも有り得るが――武闘大会、確かもう開始した直後くらいではなかっただろうか。
 うん。さっき何人もの人間が「やっべ遅れる」だとか「セーフ? セーフかこれ?」などと騒ぎつつ受付に駆け込んでいるのを目撃したから、たぶん間違いあるまい。
 となると、こうして不参加の自分と柏が話し込んでいる現状、胡頽子はともかく柏にとってはかなりマズい。
 師匠直々に参加しろと言われているのに開始時刻の認識ミスでまだ受け付けにも行っていないなんて、後で師匠にバレたらきっと大目玉だろう。
 言い辛いが、ここは一つ彼女のためにも口にせねば。

「禍魂器を解放させずに勝てとは、また随分と無茶振りだね。あ、蟻も取ってくれてありがとう。それに胡頽子と花椿が仲良しなことを見抜くなんて、貴方には見る目がある。……それで、だ。ええっと。なんと言えば良いのやら……急に話が変わるんだが。思うに貴方は、いま一つの窮地に立っていると思うんだ。大会の会場のほうをよーく見てくれ。開始前にしては妙に騒々しいと思わないかい?」

 袖についていた蟻んこをさりげなく取ってくれた気の効く行為に礼を述べた後、なんとも濁した表現で相手が犯したミスを指摘せんと試みる胡頽子。
 すっと指さした先は武闘大会会場の中央で、そこでは祭の記念に参加しとくか程度の意思で参加したのであろうほろ酔いの人間がハイテンション気味に殴り合っている。
 開始前ならば運営からストップがかかるはずの光景。しかしストップはかかっていない。この時点で柏にも察することができるはずだ。自分のやらかしてしまったこと、その内容を。

「……一人よりは、三人のほうが頼み込んで通して貰える確率も高いだろう。もし貴方が不戦敗ではなく参加した上での勝敗を望むなら、胡頽子と花椿も受け付けについて行って柏殿を急ぎ参加させてくれないか願い出てみるが」

 ナチュラルに己が彼ピッピの亡骸を一人分にカウントした台詞をのたまい、柏の目を見つめたまま小首を傾げる。
 この大会が伝統あるものなら「過去の歴史に遅れて参加した者はいない」などの理由で即刻つっぱねられるだろうが、幸い今回が初めての開催だ。
 前例が無い分、丁寧かつ真摯に参加したい旨をアピールすれば今ならまだギリギリ行けるかもしれない。

>柏様&ALL様

【サブ記事のほうでスレ主様が「二章は武闘大会が開始した直後に始まるため、参加者は受付等は済ませ、戦いが始まったというていでお願いします」と書いてらっしゃったので、このままやり取りを続けるとすわ柏ちゃんが不参加組になってしまうとこんなロルを回しました。結果的に短いやり取りになってしまうでしょうが、絡んで頂きありがとうございます!】

5日前 No.167

くら子 @kura003☆pak20/nYiv6 ★f7XmWr8z31_m5I

【武闘大会会場/東/倉丸 虎太朗】

 月が大きく輝く暗い夜。落とされた沢山の家影が大きく伸びて、その存在感で圧迫される。まるで、怖い話にでてくるお化けのようだ、と震えながら一人少年は歩いていた。
 彼が夜の街を歩く理由。夏真っ盛りに宣言された白と黒の合同祭。目玉は『二ノ国御前試合』。通称『武闘大会』は『施療院の院長が何でも願いを叶えてくれる権利』を優勝賞品に様々な腕自慢たちを賑わせていた。
 白竜の牙の一隊士である虎太朗もまた、己の力がどこまでのものかを試すため(本当の所は、実家の家族が見に来るようなので)、張り切って応募したのだが、大会の合図と共に飛ばされた場所は白の者は見ない暗い景色。とてもこわい。
一度黒の国に訪れた事があるが、その時は友人も一緒に居たし、何しろ街は賑やかだった。独りで不気味に静かな暗い夜道を歩くのはこんなに恐ろしいものなのか。

 気休めに掌の小さな欠片に目を落とす。参加の受け付けの際、渡された小指の先程のとても小さな水晶。戦闘の致命傷は全てこの小さな水晶が砕けて身代わりになる様で、戦闘終了後は何一つ怪我がない状態に戻るそうだ。しかしいくら水晶が身代わりになるとはいえ、碌な実践をした事のない新人隊士には、そして暗い街に独りで居る孤独と恐怖も相まって、少しばかり、重い。だが、家族が見ている手前ここで引きさがるのは、倉丸家の長男坊としてプライドが許さなかった。

 無くさないように、胸元に入れた。お守りを大切にしまいこむように。

だが、心はちっとも晴れない。
ああ、物影がひどく大きく見える。ほら、今にもその曲がり角から何かが――

「ぅひっ……!?」

出てくるはずも無く。想像だけで怖がってしまう自分はもう駄目かもしれない。いや、しっかりしろ、と自身を鼓舞し励まし、微かに震える足を進めた。


>>周囲ALL

【2幕開始おめでとうございます!虎太朗共々よろしくお願いいたします…!】

5日前 No.168

ぴーぴーけー @ppkppk☆ErEBsPNY5g.j ★iUcwHsnoGa_m5I

【武闘大会会場/東/墨目 霧刃】

 月明かりのみが輝く宵闇の中、建物の上を駆け抜ける黒い影があった。白の国に存在する忍の中で、名実共に頂点に立つ存在、墨目霧刃。襟巻をマスク代わりに使って口元を覆い、上体を一切ブレさせない独特の姿勢のまま目にも止まらぬ速さで走り抜ける。その熟練の技術は、凄まじい速さながらもわずかな物音さえ立たない。日常であってもその技術をもってすれば、眠った猫を起こすことなくその前を走り抜けることが可能なほどである。
 彼女はある目的のため、ある人物を探していた。その目的は優勝商品などではなく、ある人物に会うため。方術によりきわめて正確な予測能力を持つ彼女にとって、曲がり角の先にいる相手がその人物であることは事前に予測できた。

「……虎太朗、ここにいたか。どうやらその様子では、まだ誰とも遭遇していないようだな」

 曲がり角の直前で止まり、そこからゆっくりとした歩みに切り替えてその存在の前に姿を現す。普段の日常で見せる優しい姿とは違う、ピンと張りつめた弦のような緊張感。目の前の人物――倉丸虎太朗にとって、彼女のその姿はめったに見ない姿であろう。

「虎太朗、お前は常日頃から鍛錬を欠かさない、私にとっては誇らしい存在だ。
 剣に向かってまっすぐ打ち込むその姿勢は、必ずお前にさらなる強さを与えてくれるだろう」

 落ちついた声色のまま、彼の日常の鍛錬に対し素直な本心を紡ぐ。彼女自身の普段の怯えた様子は微塵も見えない静かな立ち居振る舞いから放たれるその賛辞によって、もしかしたらその少年は安心しているのかもしれない……「仲間ができた」と。しかし彼のそういった予測は、彼女が腰に据えた刃を静かに抜き、腰を低く落として構えながら紡いだ次の言葉によって無残にもかき消されることとなる。

「……虎太朗、ちょうどいい機会だ。今のお前の力を見せてみろ。


 ……さあ、かかって来い……!」

 白竜の牙・見廻り組隊士、倉丸虎太朗。
その前に、畏怖すら感じさせるような一切の油断のない鋭い目で立ち塞がるのは、
彼が日常で慕う「優しい霧刃お姉ちゃん」ではない――

――隠密御庭番衆筆頭にして三本刀の一刀、「墨目霧刃」であった。



>>倉丸虎太朗様、周辺ALL

【普段の霧刃お姉ちゃんとは違いますが、よければ絡んでくださいませ!】

5日前 No.169

E9-O3 @e9o3 ★iPhone=kpTHNMlOIW

【武闘大会会場 / 西 / 金磚焜炉】


「え?我等がコレに参加していル理由カイ?」

宙に金貨が翻る。キラキラと輝きながら高く飛び上がったそれを手の甲で受けて隠す。

「今、我々が調べてル噂話にちょっと関係が有るッテ言えば納得か?……まァ、一種の肝練りヨッ。祭と訊キャあ顔を出さずにャ居られない、サガッて事ダ」

手を外す。出た面は裏。
再び金貨を取って指に乗せ弾き上げる。
キンッ、と甲高い金属音を響かせ金貨は飛んだ。

「……ンー、しかし。遣り過ぎたかナッ?」

パラパラと砕けた土壁から瓦礫が落ちる。
粉砕された屋台、破砕痕の残る瓦屋根、倒れた木々、ひび割れ陥没した地面に減り込んだ金輪。


カコォンッ!


落ちてきた金貨を雄々しく蹴り抜かれた右脚の下駄歯が打ち返し、金貨はそのまま遥か遠くに飛ばされた。荒々しく残る破壊の痕跡の真ん中に倒れていた男が光に包まれ何処とも無く消え去る。

「先ずは一ツ、ッテ所かねェ。しかし良く出来ている物だ、コレは」

懐に入れていた小さな水晶。それをつまみ上げしげしげと眺め回す。この小さな水晶が命と同義とは。

「命短し、襷に長し。……サテ、如何してくれようカ」

ボゴンッ、とひび割れた地面から金輪が独りでに浮き上がって引き抜かれ、そのまま金磚焜炉の方へ飛んでくる。右手を掲げると金輪はその手首に嵌まり込んでガチリと音を立てた。

「チと気が早い気もしないデモ無いガ、なるべく長く生きていた方が実入りも多いダロ。細工は流々とナッ!」

金磚焜炉はパチンと短手を打ち、顳□に右手の指を当ててくるくると巻く様になぞりながら祝詞を唱え始める。


《やはれ ひとしや やろふもの》


抑揚の無い、無感情な声で唱う金磚焜炉の身体の周囲に光が発生した。五芒星、六芒星、三日月、十字架、鳥居、太極印、紡錘形の目。様々な紋様が重なり合い絡み合って蠢く。

《われら ひとしく まはるなや》

ざりざりざりっ、と土の地面に線が曳かれる。金磚焜炉の纏う人民服の袖口や裾からザラザラと金銭貨幣が溢れ出て地面に落ちて四方に転がり、遍く如く散らばった。

《けにみるや てつのくにまて》

曳かれた線は地面に滲む様に掠れて消え、次いで遠方に展開された『結界』と感覚が繋がる。今や彼女の方術の支配下に置かれた一帯、距離にして約一畝が彼女の手の内にあった。

「コレで一先ずは如何にか成るだろウ……アー、恐い恐いッ!」


>>周辺ALL

5日前 No.170

@grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★dxkzXfPWBG_TJc

【武闘大会会場/南/蓮華】



 幕間は一瞬。重い瞼が降りて、揚がる刹那の間。
 始まりは、壮大に。そして、奇妙に。見る者に冒険譚を追憶させ、これからの物語≠フ行く末を夢想させる。
 足を踏み下ろした先の地は、まさに相応しい場所だ。
 想像というものは、存在しないものを思い浮かべ、映し出す。だからこそ、眼前に広がる無限の蒼は、空想をより膨らませる力の源となる。
 それが、本当に存在しないものだから。
 生命の始まり、自然の象徴ともいえる海。本物のそれを、私は見たことがない。ないからこそ、目の前に広がる空想上の海に思いをはせることが出来る。
 躍動、鼓動する心臓の高鳴りを受けて、すぐにでも高らかに声を上げてしまいそうな気持ちを堪える。
 あたしは芸達者。人を笑わせるのが、あたしの仕事であり、楽しみだ。だから、自分が先に笑い出してはいけない。笑顔を作ってはいけない。必死に堪えて、几帳面に顔を整えた。

「さて……なんでも♀閧「を叶えてくれるって言うンだし、張り切りますか!」

 ガコンッ! ──と、仰々しい物音ともに、背負っていた箪笥を降ろした。
 この箪笥こそ、あたしが肌身離さず持っているあるもの≠収納している。つまり、あたしにとっては命の次に大事なものだ。
 そして、この大会において失ってはならないものでもある。これがなければ、あたしはただの小娘に過ぎないのだから。
 それだけのものであるというのは、一目見ればわかることだろう。これは優位性を保つものであり、同時に弱点でもある。
 だから、先んじて仕掛けを作動させておくことで、即座に戦えるようにするのだ。

 ────

 蓮華が箪笥の上部に取り付けられた釦を押すと、小刻みに震えだした箪笥から何かが回る音がする。
 それは、この箪笥の中に収納されているものを動かす機構だ。人間の体でいうのであれば、関節に等しいもの。
 発条仕掛けで動くそれは、木製の歯車を回し、絡繰として機能する。
 もちろん、素材が素材だから、動かすには時間がかかる。起動して直ぐに動けるわけがないからだ。急に動かせば、どんな破損が待っているか分からないのだから。
 十分歯車を回転させた証として、箪笥の節々に切れ目が入る。正確には、接合していた部分が切り離された。

 パタン、パタンという音と共に展開されていく箪笥。
 収納されている物──それは箪笥そのものに変形している人形=B
 手と足の四肢を形どり、棚から動く小さな作業腕が甲冑を装備させてゆく。
 最後に兜を頭部に被せて、戦支度が整った。
 少女・蓮華の武器にして命の次に大切なもの。それが、この人形≠ネのだ。


「いよっし! 今日も調子がいいネ、《花鳥風月》! お客さンが来るのが待ちきれないかっ!」

 あたしは腕を組みながら、《花鳥風月》に両手を伸ばした。
 母さんが遺してくれた人形。心血を注いで作ってくれた人形。あたしの相棒にして、大切な宝。白と黒、そして灰が入り混じる、この一大行事のなかで披露するにはもってこいだ。
 こんな晴れ舞台、経験したこともない。だから、震える心が、燃え尽きるほどの熱を生んでいる。舞台への、喜びの熱を。
 黒く塗りつぶされた甲冑が太陽にきらめきを映し出し、砂浜と海だけの世界に、特異点のような異質さを生み出す。
 そもそも、あたしという存在自体が特異点のようなものだ。同じような境遇の人は、ほかにもいる。
 すべてを不問として参加を受け付けるというのは、異常にも思えてくる。白と、黒。枠組みに縛られた者たちにとって、それは耐え難いことであるはずだ。
 最もあたしからすれば幸運だ。こういう時にいつもいつもお払い箱状態になるのだから、ここはあっと言わせる活躍をするほかない。
 きっと、ほかの《灰》の子もそんなことを思っているんだろうなあ、っていう勝手な想像を膨らませながら。

「準備よし……どっからでも来やがれッてンです」

 人形の四肢には白い糸が縫い付けられている。
 それに絡みつくように、少し灰色の糸が彼女の指先から伸びている。両手の指、合わせて二十本。
 人形に接続された糸は、彼女の力によるもの。一応、バレないように指先に包帯を巻きつけて、糸を固定させているように見せかけている。
 くいっ、と指を上に曲げるだけで、連動した糸の動きに合わせて人形が宙に浮かぶ。
 それはつまり、彼女の戦闘態勢が整ったことを意味するのだった。

>周辺ALL

【第二章開始おめでとうございます!そして、これからメインのほうにも参加させていただきます、皆様よろしくお願いいたします…!】

5日前 No.171

仏の剣 @adrasteia ★qa9glxeVZq_Onj

【黄昏の日 / 貴賓席 / 直毘 灰燕】


 彼は知っていた。八幡武臣という男が凡そ己の知りうる限り、齢の推移に一度の変容も見せていないことを。
 彼は知っていた。八幡武臣という男がその水天一碧の視座に踏み抱く、刹那的で頽廃的な激情(けつい)を。
 彼は知っていた。八幡武臣という男が現世(うつしよ)を儚み、犠牲の上に成り立つ無限の過去(あす)に唾棄していることを。

 以上は彼の見識。しかしだからこそすべて前提で―――ゆえに解答。
 だが彼にとってはその始終どちらともどうでもよく、よって訪れる顛末についてもまた無関心。      ・・・・
 己が一本の太刀であろうとするように、院長と呼ばれるこの男も恐らく同様。無欠の生き方を求め続けた捻くれ者に他ならないのだろう。そして―――ああ、いいやむしろ。

 ・・・・・・・・・・
 斯く在るべきなのだと、彼は納得すらしていた。

「――――。」

 なればこそ国士無双、影に侍る。
 縁日と盛夏の熱に浮かれる黒白の雑踏を蚊帳外に。かつて“剣鬼”とまで畏敬された隻腕隻眼の初老……直毘灰燕の顔面には、未だ瞑目の色が刻まれていた。


>八幡武臣、葛城霊夜


【期待を裏切る男とは僕のこと。第二章開幕おめでとうございます。
 某SNSで「最初に暮雨くん書く」などと豪語していましたが、まあ一皮剥けばこんなものですよ(沖田さんになる)】

5日前 No.172

バカラ @bakara ★iPhone=o8dlqph4TX

【縁日 白側→武闘大会会場 北/柏】

『……急に話が変わるんだが。思うに貴方は、いま一つの窮地に立っていると思うんだ。大会の会場のほうをよーく見てくれ。開始前にしては妙に騒々しいと思わないかい?』

「? 何のこ、と…」

 もはやここから先は言葉にはならなかった。顔色はすっかり青ざめわなわなと口は微かに動くばかり。
 忘れていた。そう言ってしまえば簡単だが、その後を思えば楽観など出来るはずもない。過去の仕置きの数々が脳裏によぎっては冷や汗となって頬を伝う。
 まずい。これは非常にまずい。
 と、ここで渡りに船。というか救いの手が。

『……一人よりは、三人のほうが頼み込んで通して貰える確率も高いだろう。もし貴方が不戦敗ではなく参加した上での勝敗を望むなら、胡頽子と花椿も受け付けについて行って柏殿を急ぎ参加させてくれないか願い出てみるが』

 小首を傾げそう言う胡頽子。半ば混乱している思考が唯一出した答えはひどく単純だった。

(土下座でも何でもして是が非でも出場しなければ…!)

「! お願いします…!
 それと、すいません胡頽子さん。少しお手を借ります…! 花椿さんも!」

 二人の手(?)を強引に取ると数瞬、渦巻く風。周りがそれに気付くより先に柏は跳んでいた。
 直線では人にぶつかる。迂回や避けていてはどうあがいても間に合わない。故に上。大砲よろしく打ち出された三人は恐ろしい速さで弧を描き、
 受付前に墜落≠オた。
 正確に言えば衝撃は全て方術により相殺され周りへの被害もないのだが、絵面としては『両手に棺桶と少女を連れた娘が空からものすごい速さで落ちてくる』などという奇天烈なもの。受け付けの女性も目を丸くするのも無理はなかった。
 しかし、そんな事を気にする余裕など柏にあるはずもなく、両手を掴んだまま受け付けに飛びつくと懇願した。

「お願いします! どうしてもこの大会に参加しないといけないんです!」

◇◇◇

 …結論から言うと柏の懇願は聞き入れられた。無理に無理を重ねてもらいようやく、ではあったものの、それでも参加できたことは有り難かった。

(胡頽子さんと受け付けの方には後日改めてお礼を言おう…)

 そう心に固く誓い辺りを見渡すと辺りは鬱蒼とした森林に覆われていた。木々に阻まれて先までは見渡せない。腰に差した刀の柄を握りふっ、と一息。思考がガチリと音を立てて切り替わるのが実感できた。

「視界が悪いのは向こうも同じ。いかに先に敵を見つけるかが鍵、ですか…」

 水晶を懐にしまうと風を纏い文字通り疾駆≠キる。柄を握りいつでも抜けるように、周囲に常に気を配りながら。

》胡頽子、周辺ALL

【なんかもう、本当にすいません…。
まずければすぐに修正致します。ちなみにですが、陽炎は不参加で警らを、馬酔木は会場中央に出す予定をしております】

【強引にぶった切ってしまい申し訳ありません!
こちらこそ絡んでいただきありがとうございます!】
》友禅様

4日前 No.173

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_m5I

【 縁日・白側 / 香花寺胡頽子 】

 顔色の悪いことイルカのごとしな柏を見、無理も無いと内心同情する。
 かの男のことをそう深くは知らないが、弟子がうっかり大会への出場そのものを出来ず不戦敗したとあらばタダでは済まさないタチなのは流石に察せていた。
 となると、このまま時が過ぎるのを待てば彼女に待っているのは折檻か嫌味かゲンコツか説教。
 それを回避すべく彼女が『空中に大ジャンプして途中の所要時間を省略』なんて手段に出たのも、師匠への畏敬の念ゆえと思えば気にすることなく許せた。
 まして胡頽子は見廻組の隊員。ちょっと空中から地面に激突する衝撃くらい、しっかり基礎を修めた方術で怪我しない程度に分散させられる。花椿だってこの程度で壊れるほどヤワな棺に入っていない。

「頑張ってくれたまえー柏殿ー! 花椿と胡頽子も応援しているよー!」

 情に訴えかけるあの手この手の“お願い”の末、特例扱いで遅刻を経ての参加を許可された柏が会場に走って行くのを、花椿と胡頽子の二人がかり(?)で手を振って見送る。
 受付のお姉さんには迷惑なことをしてしまった。でも同僚である分、受付のお姉さんの気持ちより柏の気持ちを慮ってやりたかったのが本音なので、自分の行動にさほど後悔は無いのだ。花椿もきっとそう思っているはず。
 ……それでもやっぱり申し訳ないのも本心だから、もう一度あの美味しい甘酒を購入してきて受付のお姉さんにお詫びの品として献上しておいた。
 遺伝子とか細胞とか神経とか本能とか魂のレベルで満足感を与えてくれる美味しさの甘酒だったので、これさえ飲めば受付のお姉さんだってきっと面倒事を忘れてハッピー気分に浸れると思う。
 別にアルコールでさっきの記憶を飛ばしてくれないかなとかは考えていない。……本当だよ?

「さてと。参加メンバーが発表されていないか、ちょっとそこら辺をうろついて情報を聞きまわってくるとしようか。たぶんだけど、虎太郎殿なんかも今朝の緊張した様子を見るに参加していると思うんだ。この際だから、同僚はみんな応援してみようじゃあないか」

 よっこらせと背負い直した桐平棺との一人ぼっちで二人きりな会話をしつつ、受付付近から元いた岩の近くへといったん戻ってくる。
 そこにしばらく放置していた飲みかけの甘酒を飲み切ってゴミを処理し、行く宛てもなくふらふらと縁日の隙間を縫って歩いた。
 人の噂話は意外とタメになるもので、すれ違う人々の会話から数多くの見廻組メンバーが参加していることが次々と判明してゆく。
 中でも墨目霧刃が出場しているのには驚いた。そういう指令でも下ったのだろうか。彼女が殺し合いではない日の当たる戦に率先して出るなど珍しい。
 あるいは胡頽子が勝手にそう思っているだけで、元から彼女はこういうイベントに参加するタイプだったのかもしれない。そうであったなら、今まで根拠の無いイメージを押し付けていて申し訳ない。反省しよう。

>(柏様)&ALL様

【いえいえ、サクサク進めて頂けるのって大好きです!
 柏ちゃんの活躍、観客席から見守らせて頂きます!】

4日前 No.174

スレ主 @vtyjf ★4gCE4td3c0_TJc

【黄昏の祭/貴賓席/八幡武臣】

>>葛城霊夜、大嶽、(直毘灰燕)

空が常に夕刻を示すこの場所で、戦以外の理由で白と黒が集まることなど中々に珍しい光景だろう。そして、それを眺める人物が三大氏族の長と白の国の実質的な長――ともすれば平和な一枚絵のようにすら見えるこの光景も、その裏には様々な思惑が渦巻いている。

「うーん、そうかぁ……おじさん、影薄いからなぁ」

それを知ってか知らずか、恍けた態度で頭を掻きながらちらりと貴賓席のもう片側、黒の名士達の座る方を見やる。その中の一人、見知った顔を見つけて視線だけを注ぐ。あるいは、彼の鬼ならばこの会話すら聞こえていると踏んでのことなのだろう、特に隠し立てる気もないように世間話を老いた男は続ける。

「そうだね、あそこの大嶽サンとは旧い付き合いなくらいには、そこそこの身分だよ?」

そう嘯きながら、対面に立つ男を頭の天辺から足の爪先までしげしげと見つめ、感心したような声をあげる。

「それにしても、噂には聞いていたけど君が葛城くん?その歳で氏族長なんて凄いね――確か、二百くらいだったよね」

今日の天気の話をする老人のように、他愛も無い話をするような調子で見定め、分析していく。まるで、これまでの半生を見てきたかのように、幼い頃からのお隣さんだとばかりに、詳らかに見極めていく。

「そうだね、葛城サンなら、商談かな……となると、この前に太陽の光を吸収する方術を開発した鍛冶師がいたかな。この方術を石に刻んで、白(こっち)と黒(そっち)を行き来させる商いなんてどうかな?」

全て見透かしたように、トントン拍子で互いに利のある商談の条件を整えていく。あるいは、この祭が始まる前からこの瞬間を想定していたとすら思えるほどの周到さで、懐から契約書を取り出してすらみせる。

「ついでに護衛を付けて、こっちとそっちの特産品なんかをやり取り出来るようにしておこうか。国をあげての公共事業――通商路の開通の先駆けにすれば、僕たちも君たち獣の氏族も懐が潤うし、未来(さき)のお得意さま獲得にも繋がるよね」

ひらり、と懐から追加で三枚の契約書を取り出す。安全に、定期的に、素早く、互いの領地を行き来できる路――その価値が分からぬ商人がいるはずもない。公共の事業を興せば雇用が生まれ、燻る破落戸を傭兵に、荒れた領地を整えた路に、異なる価値観が交われば宝の山が生まれる。この契約書一枚で、金の山が動くことは想像に難くない。

「で、どうかな?僕としては獣の氏族とは今後とも仲良くやっていきたいんだけど――ああ、勿論、大嶽サンや河伯サンの鬼と龍の氏族とも、ね」

にこにこと微笑む好々爺といった風情で笑みを浮かんべながらも、その瞳の奥に沈む光はどこまでも冷たく鋭い。互いの利益、損得勘定、白と黒が共に儲かる『美味しい』話――少しでも算盤を叩けるならば、この話の価値は分かるはずだが、果たして乗るか反るか。

4日前 No.175

陽向 @vtyjf ★4gCE4td3c0_TJc

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4日前 No.176

E9-O3 @e9o3 ★iPhone=kpTHNMlOIW

【武闘大会会場 / 西 / 金磚焜炉】


ガキュウンッ!!!


それは、まるで鉄の盆を思いっきり打った様な。
背後から後頭部をブチ抜く一閃は何たるや。

有り余る衝撃と豊満な炎に飲み込まれ、つんのめる様に翻筋斗打って吹き飛ぶ金磚焜炉。金銭貨幣を弾け落としながらゴロゴロと転がって、すわ一蹴無残かと思いきや。


「__ソウ来なくては、面白いッ!!」


ゴォンッ!!

地面が爆ぜた。右手首から地面に向けて打ち出した金輪の反動による急制動。天地を逆さに手を突いて、くるりと居直る金磚焜炉の薄ら鈍く光る目が襲撃者を捉えていた。距離は十数歩程開く。

「『金貨は裏』だッたゾ、同志!挨拶前ノ奇襲は一度だけ認められルッ!ソレで落ッ死ぬ奴ァ覚悟が足りないンだッ!」

金磚焜炉が頭に被った人民帽。それを取って埃を払うかの様にパンパンと叩くと、ゴトンッ、と鈍い音を立ててひしゃげて融けかけた金銭の塊が地に落ちた。この仕込んでいた金銭が盾となり、受け切れなかった衝撃を分散させたと言う寸法で難を逃れた訳である。
それでも万全の守りとは当然言えず、文字通り頭を割る様な痛みに苛まれる。しかしその痛みを顔には出さず再び人民帽を被り直し、金磚焜炉は恭しく頭を下げた。

「我等の名前は金磚焜炉。同志、快い一撃だッタぞ!そして今度は我等の番ダッ」

右手首に金輪が戻る。その右手の人差し指と薬指を立てて相手に向け、雄々しく叫ぶ。

「喰らッテ驚けッ!『金磚彊顛倒光条』!!」

次の瞬間、周囲に散らばった金銭貨幣が眩く発光。高熱を発しながら銃弾の如く跳ね飛び群れを成し、襲撃者に向けて多方向より襲い掛かった。


>>日向さん、周辺ALL

【一つ前のレスで振ったコインが裏でしたので防御失敗】

4日前 No.177

始末剣 @adrasteia ★qa9glxeVZq_Onj

【黄昏の日/縁日(白)/金翅城 暮雨】

 やがて縁日は訪れ、今や一条大橋には雑踏が犇めいていた。

 ここは暑気蒸す黄昏の河原。平素の静けさと比較してこの喧々囂々は一体何事かと問われれば、それはやはり白と黒とが合同で催した大祭によるものだ。
 ――すなわち、武闘大会。腕っ節に自信のある強者(つわもの)ならば、如何な荒くれ無宿渡世人であろうと歓迎される二ノ国御前試合。
 当然、野次馬相手の辻売り目当てに商人共も押し寄せ、連なり合わさり完成された屋台の総数など調べ出せばそれこそ枚挙に暇がない。

 押すな押すなの活況に気もそぞろ。人波の間隙を縫い、そうした大道を歩む昼行灯がまたひとつ。

「うっ――――!」

 刹那――発作。突然の眩暈に男は足元を縺れさせる。
 このまま転倒を許せば、大なり小なりと怪我は間違いないだろうが――さて。

>ALL

3日前 No.178

陽向 @vtyjf ★4gCE4td3c0_TJc

【闘大会会場/西/陽向】

>>金磚焜炉

踊る黄金、跳ねる弾丸、前後左右を埋める輝きが殺到する中、生まれた炎が右手に宿る。

「どうも、よろしく!!僕は陽向――それじゃあ、行くよ」

返答と同時に、右手の炎が刹那の圧縮、群がる金貨に蹂躙される瞬き一つ前に青白い炎が爆ぜる。爆風と衝撃、強引な加速で己の身を頭よりも高い位置へ跳ね上げ――圧縮して固めた足場へ右足をかける。一歩、不十分な踏み込みによる加速は足裏で膨らんだ大気がカバー。とりあえずの第一波を飛び越えて一息に浅黒い肌の少女へと距離を詰める。

「――っ、う」

当然、それは弾幕の薄い宙からの接近とはいえ自ら黄金の中へと飛び込むことに相違ない。打ち据える黄金と、身を焼く熱、焼き抉られた肌が衝撃と痛みの悲鳴をあげる。噛み殺した苦鳴、それでも寸分も衰えない戦意を瞳に宿し、強引に好戦的な笑みを浮かべる。

「今度は、こっちの番だからね――!!」

痛み、苦しみ、恐怖に緊張、動きを鈍らせる全てのものが、炎に変わり燃えていく。全身を青白い自身の炎が舐めるように包み込み、心が『軽く』なる。余分なもの、いらないもの、嫌いなもの、それら全てを燃やし、力へと変える。

纏うは炎、その両手に生まれた蒼い輝きは拳を包む篭手として顕現する。

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

気合の叫びとともに繰り出すは右と左の乱打。我流とはいえ、黒の血を半分引く陽向の身体能力から繰り出されるそれは女子供のままごとと侮ることなど出来はしない。そして、炎によって底上げされた拳は、必殺の一撃へと届き得る。

爆ぜる蒼い炎の乱舞、なんの策も無しに受け止めればただでは済まないだろう。

2日前 No.179

Nero @nerokichi ★Android=ibuMTFvydU

【武闘大会会場 南/ニノマエ】


「施療院の院長が何でも願いを叶えてくれる権利、なあ」


遠い喧騒が耳を過ぎる。消えては響きまた消えと四方八方から聞こえる激しい衝突音と喧しい怒号がまるで祭りのようだと、呑気な思考が浮かんだ。
だがこの物騒な騒音も今の時点では背景音楽さえなり得ない。異能で分かる限り周囲には人の気配はなく、ただ砂と塩水が広がる妙な景色が目の前にあるだけ。海を知らないニノマエからすれば初めこそ海の存在は驚きの一言であったが、慣れれば波の音のする良い場所だ。最早闘うのも面倒になってきたと適当な岩場で横になり、武闘大会にあるまじき緩やかな眠気を感じつつ欠伸を漏らして、先程呟いた言葉の真意をぼんやりと噛み砕き始める。

(参加資格も経費も無し、ご丁寧に救命措置まで付けた上でこの破格の景品。挙句に提供側は白の国の実質頭。……随分胡散臭え大会だぜ。裏が無い方が異常なくらいだ)

最悪参加者全員が"生贄"と見立てた何かかと邪推をするが、白の国の参加者がいる時点でそれは思い込みが過ぎると払拭する。だがどう考えても単純な意味合いを持った催事とは思えない。そんな平和呆けた事が出来るほど、両国の因縁は浅くないだろう。

(まあだとしたら何で俺はこんな大会出てるのかって話だけど)

きっと同じ事を突っ込まれれば俺のせいじゃありませんー、等と巫山戯た事を抜かすだろう。だが今回ばかりは本当にニノマエの意思ではない。仮にも獣の士族の一端である彼だが、少なくとも跡取りの器ではない事を看破されてこの様な得体の知れない大会に放り込まれたのだ。言わば様子見であり正真正銘の生贄である。これでそれなりの武勲を上げてくれば御の字だと。
ちょっとあまりにも扱いが雑では無いかと思ったが、ここ最近の己の所業を鑑みるにあまり文句を言い出す事が出来ず今に至る。

ああおいたわしやニノマエ、等と自分で自分を慰めながらスン、と一つ鼻を鳴らしてゆっくりと上半身を起こした。その表情にほんの少し怪訝な色が混じる。
背後からゆっくりと一つ気配が寄ってくる気配を感じとったのだが、"色"が見えない。
匂いには色がある。特に人間と非人間の差は大きい故に性別よりも得られやすい素性の境。己の異能はそれを殆ど確定で判別出来る自信がある。だがこの存在はどういうことか、酷く朧気だ。言うなればそれは水の中で混ざりきらない絵具に近い。

首だけを背後へと向けて、その存在を視認する。それは、鮮やかな赤髪の彼女は、赤黒く輝る甲冑の武を携えて現れた。

「よっお嬢ちゃん、そんな立派な人形構えてどうしたよ。劇でもすんの?」

そしてニノマエは、そんな臨戦態勢に入った蓮華に向けてまるで偶然出会った友人のように片手だけを向けて緩い挨拶を投げかけたのだった。

>蓮華、all


【2章開始おめでとうございます。武闘大会にあるまじき緩い登場で申し訳ない限りですが、蓮華さんに絡ませていただきました。よろしくお願いします。】

2日前 No.180

E9-O3 @e9o3 ★iPhone=kpTHNMlOIW

【武闘大会会場 / 西 / 金磚焜炉】


「来い来い、同志ヨ」


ぱしん、と両の拳を突き合わせながら微笑うする金磚焜炉。矢張り、切った張ったと命のドツき合いは楽しい物なのだ。恐さはあるが不快には感じない。何より__、


ヂキッ ガガガガガシャンッ


突き合わせた拳に両腕から次々とスライド展開された金輪が嵌っていく。その内二つを両手で握り締めると今までの徒手空拳から籠手と『圏』を装備した武装状態へと変貌。


『やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


蒼炎の忌子。陽向、と言ったか。成る程確かに『迫』はある。袖がはためかない様に捲って折り込み、金磚焜炉は地を蹴った。


ドゴン、と先ずは一合。


方術によって底上げされた脚力と己の持つ禍魂器の特性。肩の後ろで溜めた始めの一撃は炎を粉砕する形で相殺。そのまま右左右と繰り出された拳撃で襲い来る炎塊の拳を往なしそのまま相手とカチ合う……、いや、後ろに跳ね飛び距離を取った。

「熱チチッ!矢張り異質の炎ダナッ!?」

金磚焜炉もある意味では熱を伴う攻撃が出来るが、熱と炎じゃ訳が違うし由来も違う。方術である程度防禦を以って仕て、繰り出す攻撃による熱は耐えれてもこう言う手合いの『異質の炎』はタチが悪いし分も悪い。成れば演る事は限られる。

「此地人等、こう言う立会イは好きだが得意じャア無いンダ」

相手が距離を詰めて来ないうちに次の一手を考えて、ふと思いついたことを試す為に金磚焜炉は再び腕を振るった。

「コレぞ我等が圏。『乾坤雫落擲金圏』」


ドドドドウッ!!!


右左右左と振り抜いた両の腕から次々と射ち出される金色の輪が宙に複雑な弧を描きながら猛烈に相手へと向かう。先程の方術とは質量も威力も性質も異なる攻撃だ。
相手がこれに対応する隙を突いて、考えを実行に移す算段を立てた。


>>陽向さん、周辺ALL

【技名を一々口に出すぐらいテンションの上がっている焜炉 こう言うのはノリと勢いだってはっきり分かんだね】

2日前 No.181

葛城霊夜 @koki☆iOEaToagbI2 ★P24UIEe7ZZ_m5I

【黄昏の祭/貴賓席/葛城霊夜】

 多く数えられないほど黒の国のものがいるなかで有数の身分を持つ自身がこの場にいるように今、目の前にいる彼もそうであろう。並みのものではここには座れないだろう。護衛であれば配下に控えているだろうし、身分がしっかりと保証されていなければ近づくことすらできないであろう。論理的に帰着した答えと共に声をかけてみたところ、同じく立場を共有している大獄との知り合いらしい。彼の性質からして白の国と知り合いがいたことに驚いた。

 「…たぶん、彼から僕のことを知ったんだと思うんだけど、まさか僕のことを知ってる人がいるなんて驚きだよ」

 挨拶もままならないまま自身の名前を告げる彼に思わず瞳が軽く見開く。立場あるものだとは自認しているが、白の国と直接交流をもっているわけではないため存在程度は知っていてもおかしくはないが名前まで分かっているとは思わなかった。ただ、先程三代氏族の長である大獄と知り合いであることから口数が少ない彼でも自身のことを紹介したのかもしれない。

 「…僕以外に長になるものがいなかったからね。ご老人達は人の矢面に立たないで自分の身を守ることしか能がないから」

 三大氏族である自身がこんなに若いものだとは想像していなかったという言葉に口元に苦笑いができた。ここにいない同族の老人達の姿が頭に浮かんだ。あまり言いたくはないが彼らは人の上に立つ素質をもっているとは思えなかった。集まりとしても人の意見に文句しか立てず責任を持とうとするものがいなかった。若輩者ではあるが、自身が獣の氏族を纏める素質があると誰よりも自認している。

 「…確かにそれはこちらとしても受け入れたい商談だけど、お互いに自己紹介もままならないまま契約するのは白の国じゃ分からないけど黒の国の文化にはないからね。大獄君と知り合いってことは悪い人ではないけどまずは挨拶がしたいかな」

 自身の立場を知りあらかじめこちらの思惑を悟っていたのかのように契約書を取り出し、黒と白の国の貿易の話を始める彼に柔和な笑みを浮かべたまま話を聞いていた。最大限の利益を引き出したい自身と彼も同じくして交流を持ちたいと思われるが契約を結ぶ相手の素性が分からない現状で契約をするのは性急に過ぎる。同じ立場の大獄と知り合いということで怪しむ必要もないが、流儀として素性の知れないものと契約を結ぶことはできなかった。

 人当たりのよい笑みを浮かべてはいるが瞳から除く感情は冷たく彼が掲示した内容は双方に利益があるものだ。確かに彼が伝える内容に嘘偽りがないとは言えないが、契約を前提とする考えが白の国でも通用するなら文化的な交流ができるだろう。

 八幡武臣・(大嶽)・(直毘灰燕)

1日前 No.182

陽向 @vtyjf ★4gCE4td3c0_TJc

【闘大会会場/西/陽向】

>>金磚焜炉

凌がれた、一度ならず二度までも。一度目は安直に頭を狙ったため――頭ならば弱点であるという思い込み、もっと防御の薄い首や、胴、あるいは二撃目以降を考えて脚、いくらでも選択肢はあったはずなのに。舐めていたのか、あるいは久方振りの本当の戦いで勘が鈍っていたのか――今になって、『敵』と相見えることに震えそうになる。

二度目は身を削っての突貫、あるいは初見であるならば有効打が入っていたかもしれないが、異能のタネが割れた後では対策も取られるのは当たり前だ。安直が過ぎる、これは自分だけでなくまだ抗う力すら持たない子供たちの命運を決めるかもしれない戦いなのに。自らの負けが、回り回って子供たちの命の危機に繋がるかもしれない恐怖に、炎が揺らぎそうになる。

「――ごめん、本気を出すよ」

手抜かった相手の少女に対してか、この戦いを見守っている子供たちに対してか、あるいは自分に対してか――呟いた言葉を銃爪に、両腕の炎が膨らむ。

恐怖完了。
自虐完了。
準備完了。

――覚悟開始。

膨らむ炎が全身を包み込み、その火勢を爆発的に増加させる。大気が焼け焦げ、大地が赤熱し、青白い炎は極光を思わせる白へと変化していく。

「僕の炎は心を燃やしてその力を増す――だから、もう僕にも止められないよ」

右足を振り下ろす。爆発、そうとしか取れない炎の爆散。何もかも喰らい尽くさんと広がる炎が黄金すらも呑み込み、炎で以て絡みとる。とはいえ、流石に瞬時に燃やし尽くすほどの火力は『今は』ない――だが、軌道が逸れればそれで十分。

足元が爆ぜ、大地が捲れ上がる。足裏への一点噴射、先の圧縮した大気を用いた踏み込みよりも、更に疾く――その加速は、指数関数的に増加する。

瞬き一つで最速へ――そして、最速を越えて自らの操作すら効かない速度まで肉体を加速させる。

「これが、僕の全力――!!」

燃やす、何もかもを。燃やす、心を。

大事なモノ以外が全て燃えて、心が軽くなる。意識が高揚する、視界が狭まる――仲間への想いが溢れ出す。

大事な事、大事な想い、守りたいもの、溢れる想いが思考を歪める。熱が、炎が、暴走する。

再び少女の懐へ飛び込み、しかし先程とは違い今回は拳の構えすらない。ならば、何を。

「燃えろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

答えは叫びと共に。全身に纏う炎が密度を増し、白い輝きが溢れ出す。白光、そして焦熱。自らを爆炎そのものと変えて、陽向は少女――金磚焜炉ごと周囲を巻き込んで燃やし尽くした。

【熱いバトル(物理)を繰り広げられたとても楽しいです、陽向ちゃんも思わず熱くなってしまっています。】

9時間前 No.183

スレ主 @vtyjf ★4gCE4td3c0_TJc

【黄昏の祭/貴賓席/八幡武臣】

>>葛城霊夜、大嶽、(直毘灰燕)

苦笑、それから気恥ずかしげに頭を掻いて謝罪。ごめんごめん、と歳を取ると話が長くなった上に頓珍漢なことを言っていけないね――などと、誤魔化しながらも見極めはここで終わった。

「うーん、そうだね、僕は八幡武臣――恥ずかしながら、白の国の施療院長を務めさせてもらってるよ」

氏族の、あるいは国の、大勢の者を率いる組織の長――それは、有能になればなるほど舐められるのを嫌う。それは舐められるということは、ある種死ぬよりも悲惨なことになるからだ。

一度舐められると、周囲は次々と不当な取引を押し付けてくる――とりあえず吹っかける、脅しても許される、取引相手からそんな風に思われるようになってしまえば、終わりだ。己に付いて来ている仲間や家族、信念、教義、哲学。その全てが不当な取引に脅かされる。

死ねば終わる、自分だけの不幸とは違い、ずっと広い範囲で、長く禍根を残すことになる。

だからこそ、この老人は目の前の獣の氏族長を『試し』た。簡単に目先の利益に飛びつき、体面すら保てない者であるならば――その時は警戒する必要があったからだ。

愚かな敵よりも、利口な敵――目先だけに囚われている者は、簡単に甘言に乗せられる。その点、利口な敵である方が幾らでもやりようはある。

そんな考えを苦笑の仮面に押し込めて、世間話のように好々爺は話を続ける。

「それと、実は僕、大嶽サンとは顔見知りだけどきちんと話したこと無いんだよね――だから、君の話は色んな噂話をいろいろ集めて推測したんだよ」

僕、この歳にしてはちょっとばかり目と耳は良いからね――などと、その情報の出処についてはぼかしながら、契約書に自らの名前を記入する。連名での記入、後は自らの名前だけを記入すれば良い契約書を手渡して、こっそりと獣の氏族長へと耳打ちする。

「だからほら、ちょっと大嶽サンと仲良くなるためにお話してくるね――このお祭りも最後まで『楽しんで』いってね」

今後とも宜しくと言い置いて、歩を黒の名士が集まる座席の中へと進める。そして、ぴたりと、ある男の前で足を止める。

「やあ、大嶽サン――今日も眉間に皺なんて寄せちゃって、お祭りなんだから楽しまなきゃ」

片手を挙げて、気さくな挨拶――周囲からの刺さるような視線さえ無ければ、気楽な老人が散歩の途中で気軽に挨拶したとしか思えないほどの軽さ。

あるいは、敵意を込めた視線すら相手にしていない――相手にするに値しないと、受け流しているだけのかもしれないが、その真意を掴める者はいない。

「顔馴染みなんだし、ちょっとお話でもどう?『色々』お話したいこともあるだろうし、こんな機会でもないとお話なんて中々出来ないからね――」

何も考えていない愚者か、あるいは全てを見透かした賢者か――道化のように笑みに全てを隠した老人は黒の国の最古参と相対した。

9時間前 No.184
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