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Wahrheit―堕ちた探偵の鎮魂歌―【本編開始】

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(854) - ●メイン記事(12) / サブ記事 (37) - いいね!(11)

探偵VS助手/心理戦 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_gaI

「真実は何時も一つなんて、一体誰が決めたんだい? 此の世には人の数だけ、真実が存在しているのさ」
 そうして彼女は、今日も事件を暴いていく。

「真実を知ることが、必ずしも幸福であるとは限らない。それはお前に、不幸を齎すかもしれないんだぞ……?」
 そうして彼は、今日も事件を解いていく。

「謎……? そんなモノ一体どこにあったの? 僕という天才の前では謎は謎の形なんて保ってられないんだよ」
 そうして彼女は、今日も事件を壊していく。

 彼等は真実の探求者であり正義の味方であり子供たちにとっての英雄であり人々の羨望の的である“探偵”だった。
 二年前までは、確かに。

 世界的に有名な五人の探偵達が殺人事件の犯人として逮捕されるというセンセーショナルな事件から二年。彼等の活躍は忘れ去られ、その名を呼ぶことすらタブー視され、正義の探偵など始めから居なかったのだと人々が思い込むようになった頃……彼等はひっそりと、生まれ故郷に舞い戻っていた。
 無実の罪で殺された、自分の無念を晴らすため。ずっとずっと自分の帰りを待っていてくれた、愛しい仲間に報いるため。自分に全ての罪を擦り付けて、今も何処かでのうのうと生きているであろう真犯人への復讐のため。
 彼等は今一度、真実を白日の下に晒すことを誓う。

 これは堕とされた探偵達が、真実を求める物語。
 そしてもう一つ……彼等を決して、真実へと近付かせないための物語。

メモ2018/10/19 09:11 : 御子柴 ゆらぎ☆NIljAHmRyhk @mistydark★Android-GaTaMXF8bf

2018/10/2 本編開始しました、10いいねありがとうございます。


キャラクター一覧→http://mb2.jp/_subnro/15766.html#S27

ファーストイベントについて→http://mb2.jp/_subnro/15766.html#S23


【絡み状況】

一階

・エントランス→ユージーン&ギャレット&ソフィア

・大浴場→クイーン&フラウ

・食堂→アベル、シスター・イーディス

・遊戯室→フィナス

・図書館→尽、グレンダ

二階

・ナイトの部屋→ナイト


※イアンくん本体様より投稿が遅れる旨のご連絡を頂いております。

切替: メイン記事(12) サブ記事 (37) ページ: 1

 
 

本編開始 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

 モミから墜ちて、あの子は死んだ。
 まっ逆さまに、弾けて消えた。
 響く十四の鐘の音は、忘れられた弔いを刻む。
 歌おう、唄おう。鎮魂と讚美を。
 眠ろう、睡ろう。嘆きの代わりに。
 そうして何時か、約束の場所で再び逢えたなら。
 あの子の無念を晴らしに行こう。
 けれどね、どうか気を付けて。あの子を騙る、偽者に騙されないように。

1 die Nachahmung――gestartet 10/2

21日前 No.1

ユージーン @poko10☆sMzkA8RPRfw ★Android=rp39lsupOA

【グレンダの部屋→エントランスホール付近/ユージーン・イムズ】

 整頓された明るい室内。上品なラベンダー色で統一された、どこかメルヘンチックな雰囲気の漂う部屋。この部屋の主、メイドのグレンダは不在だ。その代わりに、窓から差す暖かな光に包まれたベッドには、一人の男が寝転がっていた。己の腕を枕代わりにし、仰向けで天井を眺めている。若い娘の留守中に、そのベッドを堂々と占領する中年男。さぞ不埒な妄想にでもふけっていると思いきや、その表情は浮かない。男は膝を立て、そこに反対の足を乗せるようにして組んでいた。その爪先をぶらぶらと動かしながら、男――ユージーンはため息を溢した。

「……どうしたもんかしらねぇ」

 相棒だったソフィアが殺人容疑で捕まったのは今から二年前のこと。勿論それは冤罪で、事件の真相など全く見えていなかった当時から、ユージーンがソフィアを疑ったことは一瞬たりともなかった。その彼女がつい最近自由の身となった。二年ぶりの再会。「おかえり」と彼女に声をかけると、ソフィアはかつてと変わらない様子で、すました顔でクールに応えた。人殺しの汚名を着せられたことが、彼女を変えてしまわなかったことに一先ず安堵した。しかし当然のことながら、ソフィアは事件の真相を暴くつもりでいた。彼女が殺人犯の濡れ衣を着せられたままでいいとは思わない。いずれ真実を白日の下に晒すときはくるだろう。けれど、この事件を彼女の手によって暴いてほしくなかった。

「よっこいしょ、っと」

 ベッドの上で体を起こし、頭をくしゃくしゃと掻いた。シーツに薄っすらと残った人型の凹みはそのままに、グレンダの部屋をあとにする。
 釈放後、ようやく日常が落ち着いてきたからと、ソフィアはそろそろ事件の調査を始めると言っていた。さて、彼女はどこにいるだろうか。合流して調査の手伝いをしなければならない。そう思いながらも、ユージーンの足はソフィアがいそうなコンピュータールームや彼女の部屋には向かわない。事件を明らかにしてほしくない、気乗りしないその足は、気付けばユージーンをハウスのエントランスホールまで運んでいた。
 ちょっとお散歩でもしてこようかしら。でもソフィアは怒るだろう。いや、怒ってくれるならまだマシで、当てにすらしてくれなくなるかもしれない。

「……どうしたもんかしらねぇ」

 先刻と同じことをまた呟いて、指先で頬をぽりぽりと掻いた。

>all
【本編開始おめでとうございます!早速投下させていただきました。至らない本体ですが、何卒よろしくお願い致します。】

21日前 No.2

ナイト @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

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18日前 No.3

クイーン @caim ★Vxqs1Pnm4y_mgE

【二階・ナイトの部屋→一階・大浴場外/クイーン】

 久々のふかふかのベッド。それも煙草のにおい付きの。もうこれ以上は寝られない。そう思ってからは、比較的早く起き上がることができた。
 見慣れた間取りと、少しだけ違和感のある家具、壁の穴の配置、その他いろいろ。――ここ、オレの部屋じゃない。ベッドの上で膝を抱えて暫くあくびを繰り返してから、両掌をベッドに付けてベッド下を覗き込む。部屋の主は、案の定そこに転がっていた。口を開けば勢いの良い罵倒が飛び出してくるその唇は閉じられていて、普段は威圧的に吊り上る瞳も閉じられていてはつまらない。昨夜のことは覚えていない。大切な話をしたような気もするし、くだらないことを賭けあっていたような気もする。とくに引っかかる記憶もないし、オレが此処にこうして寝転がっていたということは、きっとそういうことだったのだろう。あ、あったわ、記憶。一つだけ。壁を見渡した先の一角には、あの頃と同じ戦局を辿ったままのチェス盤。

「ナイトちゃんは、オレを奪ったりはしないでしょ?」

 そう、あの時みたいに。オレたちがナイトとクイーンになったあの日みたいに。果たして理性をブッ飛ばしていた昨夜のオレたちがあの日を模していたのかは定かではないけれど、逆転するための手は寝ぼけた頭の中でも容易に展開できた。負けたくない、欲しいと、隠すことなく野心をむき出したのは、きっとあれが最後。寝息が真下から聞こえてくる。酒に掠れたオレの声は、届かない。
 両足を投げ出して、その下の遊戯の駒の数々を爪先で除け払う。トランプカードを踏みつけた後、力任せに――否、有りっ丈の力を込めてシーツを抜き取った。きっと部屋の外は寒いだろうと、二年間過ごした無機質の建物を思い出していた。様々な物体たちを除けて、部屋の主を振り返る。バイバイ、ナイトちゃん。シーツを引きずって、部屋の外へと出た。

 向かうのは、大浴場。シーツと着ていた衣類を脱ぎ捨てて、軽くシャワーを浴びる。水滴に視界を囲われた中で思い出すのは、二年前のことだった。無機質な部屋の中では一切思い出したことなんかなかったのに。

 ――オレが、殺したの?
 それを最初に聞いた時、咄嗟に出た言葉は語尾がやや下がっていた。そうか、オレが殺したのか。じゃあ、そうなんだろうね。世間が言うには、そういうことなんだろうね。別に、誰かにそう言われ続けるのはどうでも良かったんだけどね。良かったんだけど、ね、でもね、一つだけ取り返さなきゃならないことがあるのを、その後に示された生活の中で気付いたの。奪われたものは、取り返さなきゃいけない。どんな手を使ってでも、ね。

 蛇口を捻って、適当に身体を拭いて、着替えて、ジャケットを羽織る。やけに重い右ポケットに、対称的に軽い左ポケットが懐かしかった。監視下に置かれる際に、これらはすべて取り上げられた。盗られるくらいならとコインを飲み込んでしまおうかと思ったけれど――良かった、こうやってまた左ポケットに返ってきて。湿った髪をかき上げて、シーツを頭からかぶる。
 あ、そうそう、どうしてナイトちゃんのシーツを持って来たのかと聞かれれば。

「おばけー」

 無人の室内で、独り呟く。まあでも、それは単なる口実で。ナイトちゃんの煙草のにおいが、懐かしかったんだ。ヒミツだよ。
 シーツを翻しながら、右ポケットを漁る。ああ、あった。ナイトちゃんから盗んできた、一本の煙草を取り出して口に咥える。――けど、火がない。ジッポーは確か、オレの部屋だったかな。取りに戻るのも面倒だし、キッチンにでも行こうかな。そこで火を借りよ。

>ALL
【本記事開始おめでとうございます!】

15日前 No.4

アベル @clock☆VeghuuvPddk ★MjZk3PzzVH_8gk

【二階・アベルの部屋→食堂/アベル・イヴォン・ベルジェ】

 例えば落下して潰れた生卵。例えば人知れず土へ還った路傍の花。例えば数光年先の宇宙における小惑星爆発。例えば玩具箱の最奥に仕舞われて、そのまま電池が切れたラジコンカー。
 突然に、緩慢に、劇的に、密やかに、そして理不尽に訪れる死を、少しでも報いあるものにするべく奔走し続けた。古今東西、老若男女の死者と向き合い、声なき者の叫びを武器に幾多の真相をつまびらかにして、そうして辿り着いたのは生と死の狭間、賞賛と糾弾の相反響する出口のない迷宮であった。
 生の数だけ死が存在し、死の数だけ繰り広げられた悲劇が、或いは喜劇がある。再演は許されず、ゆえに光のごとく鮮烈な影を投ずる官能の幕切れがある。だがもしもその顛末が歪められていたとしたら、それは果たして残された者達に如何なる明暗を齎すだろうか。真の結末の為に再び舞台へ降り立ったとして、その先に待っているものは果たして大団円と言い切れるだろうか。或いは、真実を追求する孤独な旅路こそ、ある種の地獄巡りと呼べるのではないだろうか。

 アベルは地獄に行った事が三度ある。一度目は彼がまだ赤子であった時、二度目は探偵としての在り方に迷いを感じ始めていた時、三度目は自分が育った教会を訪れた日の夜の事だ。


 柔らかな朝日に目蓋を撫ぜられて、アベルは意識の水底から緩やかに浮上した。薄い目蓋を押し開き、夢の残滓を滲ませ僅かに潤んだ瞳を窓へ向ければ、陽の光が厚いカーテンの端を淡く縁取って輝いている。
 アベルは身を起こし、ベッドから降りて支度を開始した。冷たい水で顔を洗い、歯を磨いて髭を剃る。鏡台の前で髪を丁寧に結い上げ、クローゼットからリボンタイ付きの黒シャツとパンツを選んで着替え、着ていた服は真四角に畳んでベッドの上に重ねて置いた。最後にモノクルを装着し穢れのない白手袋を嵌めたなら朝のルーティーンは殆ど完了。ブーツを履いて、モデルルームのように整然とした部屋を後にする。

 二年ぶりに帰ってきた。
 その事をアベルが感ずるのは、快適な部屋で目を覚ました時よりもむしろ自室を出て長い廊下に並ぶ扉を視界に入れる瞬間だった。人目を忍ぶようにして孤独に暮らした日々とは異なり、このフィルハウスにはネームプレートが嵌め込まれた扉の数だけ住人の、それも己と同じ世界に生きる人物の営みがある。決して同朋意識の強い方ではないにせよ、生活の端々にさりげなく立ち現れる他者の存在の痕跡が「戻ってきた」という実感を湧き起こし、アベルの足取りを少しは人らしく確かなものにさせるのだった。
 アベル以外の住民は未だ部屋の中で寛いでいるか、或いは既に活動を開始していると見えて、人気のない廊下はあくまでも静かだった。昨晩、眠りに就く前に何処かの部屋で乱痴気騒ぎがあったようだが、それも夜の深いうちに一応の終息を迎えたらしい。洗ったような朝の静けさに規則正しい足音を刻んでいく。静かといってもものさびしい類のものではなく、嵐が過ぎ去った後のように快く好ましい静寂であった。
 反面、出来すぎなほどの平穏を享受するばかりの毎日に焦燥を募らせる自分もいて。

(そろそろ行動を起こしたい……が、情報が少なすぎる。“皆”は既に手がかりを掴んでいるのだろうか)

 悪夢さえも寄り付かない失意の夜を何百と重ねた日々に比べれば現在の環境はあらゆる点において恵まれているし、おかげでこの頃は精神も落ち着いているが、間違っても此処は療養施設などではない。目的を遂行すべく動き出したいのは男とて山々であるものの、現状手札があまりに揃っていなさすぎる。あまつさえ自分が殺人犯という事になっている外の世界へ丸腰で飛び出すなど以ての外。ならばせめて屋敷の内側で出来る事をなすべきだろうが、その前にまず他の探偵と連帯をとる必要がある。それはアベルにとっては少なからず難儀な話だった。団体戦は男の柄ではないし、何よりこれまではただひとり傍にいてくれたらそれで十分であったから。
 階段を下ると、いよいよ様々の生活の気配がより現実味を帯びたものとして感じられるようになる。恐らく早起きの住人やスタッフが既に一階へ降りてきているのだろう。とはいえ未だ人の少ないホールへ入り、扉を何枚か横切って。やがて一つの部屋の前へ差し掛かったところで、足を止めるでもなく吸い込まれるようにドアの向こうへ消えた。

「クロワッサンと卵。それからコーヒーを」

 先客のシスター・イーディスに会釈して、キッチンに至極簡潔な注文を告げる。健やかなる時も病める時もルーティーンの締め括り、すなわち朝食は済ませておかねばならない。いかに状況が切羽していようと自分で定めた段階を律儀に踏みたがる性分なのだった。

>>ALL

【初回レス、はりきりすぎて謎の前口上みたいなの書きがち。次回からはもうちょっとコンパクトなレスにしますね……。何はともあれこれからよろしくお願いいたします!】

12日前 No.5

シスター・イーディス @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【シスター・イーディス/食堂】

 真っ白な尼僧服に真っ白な眼帯というある種不釣り合いな装束を纏った女性の目の前には、これまた彼女や周囲の厳格な雰囲気に似合わぬ可愛らしい朝食が並んでいた。
 ベリーと生クリームのパンケーキに、シェフ特製ブレンドのミルクティ。鮮やかな見た目と芳醇な香りに微かに左目を細めた彼女――シスター・イーディスは、パンケーキの端に静かにナイフを入れた。

 一口、二口と小さく刻まれたパンケーキが半分ほどになった頃、不意に食堂の扉が開く。自らに会釈する長身痩躯の男性に、イーディスは柔らかく微笑みかけた。
「おはようございます、アベル」
 それは、彼女の愛し子の一人。やっと帰ってきてくれた大切な家族。二年前と全く同じメニューを頼むアベルの姿に抱く感情は様々だったが、もういちいち余計な口を開くのは止めておいた。彼には――否、彼等には早く、日常の中に溶け込んで欲しい。

 ティーカップを傾けて喉を潤したイーディスは、食べ掛けのパンケーキを置いて立ち上がる。
「貴方達の誰かに会えたら渡そうと思っていたものです。二年前とは勝手も違うでしょうから、少しは参考になれば良いのですが」
 そうしてアベルの前までやってきたイーディスは、クロワッサンの載った皿の横に一枚の紙を置く。先程と同じ微笑みを崩さぬまま彼に告げ、食事の邪魔をせぬようにと元の席に戻っていった。

>アベルさん、all

【アベルさんが『フィルハウス住人名簿』を入手しました、詳細はサブ記事をご覧ください。】

11日前 No.6

ギャレット @sibamura ★KLeSUKumOF_sxd

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11日前 No.7

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 フィルハウス一階・遊戯室 / フィナス・クルーズ 】

 ――他者の顔は私を審問し問い質す。あたかも自我が他者の死の責めを負わなければならないかのように。あたかも孤独のままで他者を死なせることが自我には許されていないかのように。まさしく自我を指定し、自我に要求し、自我に懇願する顔が直の責任を召喚するのだ。

 そんなことを述懐する哲学者がいたのをフィナスはふと、思い出した。作者の名前も曖昧で彼の言葉の意図さえも朧げだが、その本を手にしたとき、少なくともフィナスは彼の恩人であり恩師であり元相棒であるイアンとの日々を回想せざるを得なかった。頭脳明晰で、どんな問題でもすぐに解決できるイアン。そんな彼のことを神のごとく敬い、そして慕っていたフィナスはいつだって彼の後ろを付いて回っていた。イアンが挑んだ難事件のなかには人の死と向き合わなければならないようなものも数多く存在した。その度にフィナスはそっと遺族に寄り添い、捜査を通じて召喚される責任とどう向き合えばいいのかを必死で考えた。しかし、何度考えども答えが出てこなかった。犯人や事件の全容が判明したところで悲劇がなかったことにできるわけではないし、ましてや人の傷ついた心を完全に救済することなどできるはずもない。そんなことは分かっていた。分かっていたけれど、ただ、何か、何か、何か。自分のような利用価値の低い人間でも与えられるものはないのか、フィナスはずっと探し求めていた。

 それはイアンが名探偵としての道を搗(か)ち落とされた事件でも言えることだった。あのときも大邸宅に住み込みで働いていた一人の女性が無慈悲にも殺され、無関係なはずのイアンも狡猾な犯人によって罪を擦りつけられ勾留された。容疑者の腹心であるフィナスが警察の捜査に立ち入ることができるはずもなく、迷宮入りしたおかげで二年経った今でもその傷は癒えていない。
 しかしフィナスは諦めていなかった。どんなにイアンの信頼が地に落ちようと、フィナスだけは最後まで彼の味方であり続けた。もしかしたら自分が役立てるかもしれない、そう思うといてもたってもいられず、良かれと思って面倒臭がる彼をフィルハウスに連れ戻した。彼が犯人でないことを世に知らしめるために。彼が再び名探偵としての道を歩めるように。フィナスは彼と、そして被害者の女性のためなら何でもするつもりだった。今こそ自分が責任を果たすべきときなのだ。

 カチャカチャカチャ……

 朝日の淡い光がカーテンの隙間から覗き込んで、ようやく今が朝であることに気づく。遊戯室の隅っこで夜通し機械いじりに没頭していたフィナスは、凝り固まった身体をほぐそうと立ち上がり、そして大きく背伸びをした。緊張した筋肉が解れ、思わず「ううっ……」と気の抜けた声を漏らす。浴場で汗を流すか、それとも先にコーヒーを飲みに食堂に行こうか少し悩んだあと、やっぱりもう少しここにいようと思いとどまって腰を下ろした。気分転換をしたい衝動に駆られたが、作業に区切りがつかないとどうしても動く気になれなかった。

「ああ、苦悩が生まれた場所を……見つけ出すのさ……」

 頭にこびり付いて離れないビリー・ジョエルの名曲を口ずさみながら、フィナスは再びドライバーを回し始めた。


>おーる
【参加が遅くなってしまい申し訳ありません、本編開始おめでとうございます……!】

9日前 No.8

絡繰 @ne9rodoll☆V4.8X.AnvuQ ★wgm3NQbNwV_XGC

【一階大浴場外/フラウ・トゥーゲント】

 罪と罰。いつからか共に語られるようになったその二つは、まるで双子のように何処に行くにも付いて回る。罪には罰が課されると、常々言い聞かせられていた。それを言い聞かせた神父が、罰せられていては世話ないが。私はずっと疑問だった。天とはお赦しになるものではないのかと。しかしそれは間違いだと、神の庭から放り出されたあの日、私はまざまざと突きつけられた。神はお赦しにならないのだ。ならば誰が赦すのだろうか。過去を懺悔し、嘆く者を。良心があったからこそ、条理に反して罪を犯した者を。多くの無念と遺言を背負い、迷いを孕んだあの瞳を。数多の罪を背負っている私が誰かを赦すなど、大それたことかもしれない。けれど、私は神のように博愛も平等も、強要されていないのだ。ならば、私は貴方の、貴方だけの──。

 朝の時間は忙しい。すっかり習慣となった時間に目覚め、微睡む暇もないように即座に起き上がる。服を着替え、身なりを整えて、意気揚々と部屋を出る。屋敷の中を端から端までパタパタと忙しなく駆け回り、食事の時間も禄に取らないまま掃除洗濯を一式済ませるまでが朝のルーティンだった。使用人の仕事の範疇である屋敷内の掃除や整頓もしてしまうため、幾度か仕事を減らさないでくれと言われたこともあったが、性分故どうしようもない。今日もいつものように屋敷中の人間から集めた洗濯物を抱えながら歩き回っていた。

 粗方の部屋を訪ね終えて、腕に洗濯物を抱えながら向かったのは大浴場。意外と使い心地がいいと評判の大浴場には使われたタオルや脱ぎ捨てた衣服の置き忘れが多い。それらを回収するのが目的で歩みを進めていたはず、なのだが。今しがた大浴場の入り口ですれ違った、真っ白に包まれた大きな物体は何なのだろうか。鼻歌を口遊みながら動かしていた足を思わず止めて振り返る。随分とご機嫌そうにシーツを翻すその物体は人間だと気が付き、つい反射的にそのシーツを掴み取った。現れたのは濡れたアッシュブロンドと、無邪気そうに笑みを深めるアイビー色の瞳。

「……クイーン様、何をしてらっしゃるんですか?」

フィルハウスに住む探偵の一人、クイーン。二年前に殺人の容疑をかけられ、拘束されていた人物。私の姉が、殺されたとされている人物。私は彼を疑いも憎みもしていなければ、執拗に避けたり嫌悪を向けることもしていなかった。血の繋がった双子の姉、情がない訳では勿論無かったが、当時の自分にとっては姉よりも相棒の今後の安否の方がよっぽど大事だったのだ。あの頃毎日のように掘っていた穴の中に、今は彼女が埋まっているのかと考えれば、特に何の感慨も浮かばない。それほど、死とはあっけないものである。姉がこの人物に殺されたかもしれないという事実は、彼本人が真実を突きとめない限り覆ることはない。だからこそ彼はこの屋敷に戻ってきているのだろうから。

 彼が突飛な行動を取ることは最早日常茶飯事なため驚きもしないが、純粋に何をしているのかが分からなかった。濡れた髪から雫を落とし、煙草の匂いが染み付いたシーツを被りながら火の点いていない煙草を銜えている……本当に何をしているのだろうか。相変わらず理解の範疇内に留まらない人だと息を吐くが、そういった所を憎みきれないのが彼という男なのだろう。一種の諦めと共に先ほど手に取ったシーツに少しばかり意識を移すと、漂う煙草の香りと派手な皺の寄り方が目立つ。明らかに洗濯の対象物だと全体で教えてくれていた。

「このシーツ、このまま洗濯してしまって構いませんか?……それと、髪はきちんと乾かさないと風邪を引いてしまわれますよ」

にこやかに笑い掛ける形で首を僅かに傾げてシーツの是非を問う。と共に代わりとでも言うように腕の中にあった比較的汚れの少ないタオルをクイーンの頭に被せた。そして一拍置いて、思い出したようにスカートのポケットからマッチの箱を取り出す。洗濯物とシーツで塞がれた右手を使うことなく、左手のみを器用に動かし、取り出したマッチ棒をくるりと回転させたかと思えば次の瞬間にはその先には火が灯っていた。「失礼」と一声かけた後、銜えられていただけの煙草に移される炎。その間僅か数秒。残滓のような火は吐息で吹き消され、手近な屑籠にそっと捨てられた。

探偵として花開かなった自分は、こういった無駄な小手先技だけが磨かれてしまった。所謂助手として、補佐としてあったら便利なスキル。マッチも、元より喫煙者を慮って持っていたものではないが、備えあれば憂い無しである。私のポケットにはそんな小物が詰まっているのだ。

「お煙草も、ほどほどにされた方がよろしいかと。どちらかと言えばナイト様の方が、ですが」

眉尻を下げて少し困ったように微笑みかけた顔に鎮座する、柔らかな緑の瞳は今日も今日とて優雅に細められていた。

クイーン様、周辺ALL様>>

【遅ればせながら本編に参加させていただきます…!何かといけ好かない女ですがお相手いただければ幸いです。】

7日前 No.9

みんと @milkywayy☆woNfuP/Psag ★iPhone=WsHBgyg92L

【 二階 弐之日尽の部屋→図書館 / 弐之日尽 】

 ――――弐之日尽は自身の探究心のために生きている、

 弐之日尽はベッドの上でその意識を覚醒させた。眠そうに欠伸を零して辺りを見渡す。身体を起こせば身なりを整え、そしてまた辺りを見渡す。

「ふむ……さて、これからどうしようか」

 少し悩むように指を唇に触れさせる。とりあえず部屋から出よう、と足を踏み出す。ばたん、と閉じた扉に背を向け弐之日尽が足を向かわせたのは一階にある図書館であった。図書館に足を踏み入れた弐之日尽は辺りを見回し本棚に入っている本を抜いては中身を確認する。

 本棚にいれられた本達はあまりこだわりがないのか、ジャンルはあべこべだった。もしかしたらこれにも意味があるのかもしれない、何事にも疑ってしまうのは弐之日尽の癖であった。


 弐之日尽は探している。自身に罪人の烙印を押したその謎を解明すべく。

>> ALL


(出遅れてしまい申し訳ありません! 弐之日尽の本体のみんとです。よろしくおねがいいたします!)

6日前 No.10

凍雨 @kafune☆01.vmkBoVYY ★iPhone=gvuiG3FWjP

【 一階・エントランスホール / ソフィア・ショスタコーヴィチ 】



 白金にも似た長い髪が翻されるたびにソフィアの表情は曇っていった。見慣れた建物の中で、歩き慣れた廊下を進む足は心做しか重たい気がする。今朝目覚めてからというもの、何だか体が重く感じてしまってならない。でもこの感覚が長らく続くと慣れる≠アとを覚えてしまうから皮肉だと思う。幾ら嫌々と言っていても暫くしてしまえばこの重さから解放され、やがて苦痛すら感じなくなってしまうのだろうか。無意識のうちに動くことを辞めていた足元をぼんやりと眺めながら息を吐いた。今日五度目にも及ぶ溜め息は誰に気付かれることもなく、宿主の幸福ばかりを攫ってゆく。全くもって皮肉なものだ。
 まさか巣立ちの場所に舞い戻るハメになるとは。それは予想外もいいところで今でも目を瞑るだけで思い出されるのは、ソフィアの自由を奪った二年前の事件のこと。事実無根の罪を押し付けられたソフィアは穏やかならない感情を胸に抱きながら長い月日を耐え忍んだ。天才ハッカーと呼ばれた探偵は腫れ物扱いを受け、人々から反感を食らった。それが気に食わないのではない。ただ、ほんの少しだけ――。ソフィアはゆっくりと顔を上げると目線だけを静かに泳がせて瞼を伏せた。



「……何を下らないことを考えているんだか」


 感情を抑えてまで平然を装うのは楽なことではない。でも、こうすることには慣れてしまったから致し方がない。動きを止めていた足を叱咤して動かしてみる。一歩、また一歩と進むたびに白い肌を包み込むように嵌められた黒色のハイヒールが高い音を鳴らした。美しい音色が、ソフィアの弱った心を慰めた。酷い気分を晴らしてくれた。お洒落という名の武装が女の気持ちを引き締めさせる。愚かな思いを断ち切ってくれるから、また前を向くことが出来るような気がした。





 さて、何処へ向かうべきだろうか。目的もな彷徨うのは流石に不味い。頭の中でフィルハウスの施設内をイメージしつつ、ぼんやりと思い当たりそうな場所を考えてみる。パソコンルームならちょうどソフィアの専門分野だ。軽く朝食を済ませたらそこに行って、資料集めからはじめようか、なんて考えごとをしながら歩いていたはずなのに進んでいた先は何故かエントランスホールの方面で。



 迷いながらも近付いていくと一際大きな背中が目に付いた。その傍らには良く使い込まれたステッキが添えられている。その要素だけで十分に彼が誰なのかは想像することが出来た。


「おはようございます、ギャレットさん」


 先程までの苦悩を一切感じさせないほど爽やかに微笑みを浮かべる。が、すぐにその表情はクールなものに変わってゆく。冷静を装ったソフィアの眉が顰められる。


「……おはよう。こんなところで会うなんて偶然ね」


 ギャレットに向けた顔とは全く異なり、感情の一端を露にしたソフィアは腕を組んで訝しそうな目を向ける。威張るわけではないがどことなく怒りの矛先を変えてユージーンに振り翳す。二年間の空白を埋める為に今日から動き回る旨は伝えていたつもりだったのだけれど、なんていう苦情を口よりもはやく目が訴えていた。

>>ユージーンさん、ギャレットさん、周囲おーる



【こんにちは。ユージーンさんとギャレットさんの素敵な絡みにお邪魔致します……!】

4日前 No.11

ナイト @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

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3日前 No.12
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