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Wahrheit―堕ちた探偵の鎮魂歌―【本編開始】

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(1283) - ●メイン記事(27) / サブ記事 (39) - いいね!(11)

探偵VS助手/心理戦 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_gaI

「真実は何時も一つなんて、一体誰が決めたんだい? 此の世には人の数だけ、真実が存在しているのさ」
 そうして彼女は、今日も事件を暴いていく。

「真実を知ることが、必ずしも幸福であるとは限らない。それはお前に、不幸を齎すかもしれないんだぞ……?」
 そうして彼は、今日も事件を解いていく。

「謎……? そんなモノ一体どこにあったの? 僕という天才の前では謎は謎の形なんて保ってられないんだよ」
 そうして彼女は、今日も事件を壊していく。

 彼等は真実の探求者であり正義の味方であり子供たちにとっての英雄であり人々の羨望の的である“探偵”だった。
 二年前までは、確かに。

 世界的に有名な五人の探偵達が殺人事件の犯人として逮捕されるというセンセーショナルな事件から二年。彼等の活躍は忘れ去られ、その名を呼ぶことすらタブー視され、正義の探偵など始めから居なかったのだと人々が思い込むようになった頃……彼等はひっそりと、生まれ故郷に舞い戻っていた。
 無実の罪で殺された、自分の無念を晴らすため。ずっとずっと自分の帰りを待っていてくれた、愛しい仲間に報いるため。自分に全ての罪を擦り付けて、今も何処かでのうのうと生きているであろう真犯人への復讐のため。
 彼等は今一度、真実を白日の下に晒すことを誓う。

 これは堕とされた探偵達が、真実を求める物語。
 そしてもう一つ……彼等を決して、真実へと近付かせないための物語。

メモ2018/10/28 20:12 : 夕邑三日月☆NIljAHmRyhk @mistydark★Android-GaTaMXF8bf

2018/10/2 本編開始しました、10いいねありがとうございます。


キャラクター一覧→http://mb2.jp/_subnro/15766.html#S27

ファーストイベントについて→http://mb2.jp/_subnro/15766.html#S23


【絡み状況】

一階

・エントランス→ユージーン&ギャレット&ソフィア

・大浴場→クイーン&フラウ

・食堂→アベル&シスター・イーディス

・遊戯室→フィナス

・図書館→尽&ナイト、グレンダ


※イアンくん本体様より投稿が遅れる旨のご連絡を頂いております。

切替: メイン記事(27) サブ記事 (39) ページ: 1

 
 

本編開始 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

 モミから墜ちて、あの子は死んだ。
 まっ逆さまに、弾けて消えた。
 響く十四の鐘の音は、忘れられた弔いを刻む。
 歌おう、唄おう。鎮魂と讚美を。
 眠ろう、睡ろう。嘆きの代わりに。
 そうして何時か、約束の場所で再び逢えたなら。
 あの子の無念を晴らしに行こう。
 けれどね、どうか気を付けて。あの子を騙る、偽者に騙されないように。

1 die Nachahmung――gestartet 10/2

2ヶ月前 No.1

ユージーン @poko10☆sMzkA8RPRfw ★Android=rp39lsupOA

【グレンダの部屋→エントランスホール付近/ユージーン・イムズ】

 整頓された明るい室内。上品なラベンダー色で統一された、どこかメルヘンチックな雰囲気の漂う部屋。この部屋の主、メイドのグレンダは不在だ。その代わりに、窓から差す暖かな光に包まれたベッドには、一人の男が寝転がっていた。己の腕を枕代わりにし、仰向けで天井を眺めている。若い娘の留守中に、そのベッドを堂々と占領する中年男。さぞ不埒な妄想にでもふけっていると思いきや、その表情は浮かない。男は膝を立て、そこに反対の足を乗せるようにして組んでいた。その爪先をぶらぶらと動かしながら、男――ユージーンはため息を溢した。

「……どうしたもんかしらねぇ」

 相棒だったソフィアが殺人容疑で捕まったのは今から二年前のこと。勿論それは冤罪で、事件の真相など全く見えていなかった当時から、ユージーンがソフィアを疑ったことは一瞬たりともなかった。その彼女がつい最近自由の身となった。二年ぶりの再会。「おかえり」と彼女に声をかけると、ソフィアはかつてと変わらない様子で、すました顔でクールに応えた。人殺しの汚名を着せられたことが、彼女を変えてしまわなかったことに一先ず安堵した。しかし当然のことながら、ソフィアは事件の真相を暴くつもりでいた。彼女が殺人犯の濡れ衣を着せられたままでいいとは思わない。いずれ真実を白日の下に晒すときはくるだろう。けれど、この事件を彼女の手によって暴いてほしくなかった。

「よっこいしょ、っと」

 ベッドの上で体を起こし、頭をくしゃくしゃと掻いた。シーツに薄っすらと残った人型の凹みはそのままに、グレンダの部屋をあとにする。
 釈放後、ようやく日常が落ち着いてきたからと、ソフィアはそろそろ事件の調査を始めると言っていた。さて、彼女はどこにいるだろうか。合流して調査の手伝いをしなければならない。そう思いながらも、ユージーンの足はソフィアがいそうなコンピュータールームや彼女の部屋には向かわない。事件を明らかにしてほしくない、気乗りしないその足は、気付けばユージーンをハウスのエントランスホールまで運んでいた。
 ちょっとお散歩でもしてこようかしら。でもソフィアは怒るだろう。いや、怒ってくれるならまだマシで、当てにすらしてくれなくなるかもしれない。

「……どうしたもんかしらねぇ」

 先刻と同じことをまた呟いて、指先で頬をぽりぽりと掻いた。

>all
【本編開始おめでとうございます!早速投下させていただきました。至らない本体ですが、何卒よろしくお願い致します。】

2ヶ月前 No.2

ナイト @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

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2ヶ月前 No.3

クイーン @caim ★Vxqs1Pnm4y_mgE

【二階・ナイトの部屋→一階・大浴場外/クイーン】

 久々のふかふかのベッド。それも煙草のにおい付きの。もうこれ以上は寝られない。そう思ってからは、比較的早く起き上がることができた。
 見慣れた間取りと、少しだけ違和感のある家具、壁の穴の配置、その他いろいろ。――ここ、オレの部屋じゃない。ベッドの上で膝を抱えて暫くあくびを繰り返してから、両掌をベッドに付けてベッド下を覗き込む。部屋の主は、案の定そこに転がっていた。口を開けば勢いの良い罵倒が飛び出してくるその唇は閉じられていて、普段は威圧的に吊り上る瞳も閉じられていてはつまらない。昨夜のことは覚えていない。大切な話をしたような気もするし、くだらないことを賭けあっていたような気もする。とくに引っかかる記憶もないし、オレが此処にこうして寝転がっていたということは、きっとそういうことだったのだろう。あ、あったわ、記憶。一つだけ。壁を見渡した先の一角には、あの頃と同じ戦局を辿ったままのチェス盤。

「ナイトちゃんは、オレを奪ったりはしないでしょ?」

 そう、あの時みたいに。オレたちがナイトとクイーンになったあの日みたいに。果たして理性をブッ飛ばしていた昨夜のオレたちがあの日を模していたのかは定かではないけれど、逆転するための手は寝ぼけた頭の中でも容易に展開できた。負けたくない、欲しいと、隠すことなく野心をむき出したのは、きっとあれが最後。寝息が真下から聞こえてくる。酒に掠れたオレの声は、届かない。
 両足を投げ出して、その下の遊戯の駒の数々を爪先で除け払う。トランプカードを踏みつけた後、力任せに――否、有りっ丈の力を込めてシーツを抜き取った。きっと部屋の外は寒いだろうと、二年間過ごした無機質の建物を思い出していた。様々な物体たちを除けて、部屋の主を振り返る。バイバイ、ナイトちゃん。シーツを引きずって、部屋の外へと出た。

 向かうのは、大浴場。シーツと着ていた衣類を脱ぎ捨てて、軽くシャワーを浴びる。水滴に視界を囲われた中で思い出すのは、二年前のことだった。無機質な部屋の中では一切思い出したことなんかなかったのに。

 ――オレが、殺したの?
 それを最初に聞いた時、咄嗟に出た言葉は語尾がやや下がっていた。そうか、オレが殺したのか。じゃあ、そうなんだろうね。世間が言うには、そういうことなんだろうね。別に、誰かにそう言われ続けるのはどうでも良かったんだけどね。良かったんだけど、ね、でもね、一つだけ取り返さなきゃならないことがあるのを、その後に示された生活の中で気付いたの。奪われたものは、取り返さなきゃいけない。どんな手を使ってでも、ね。

 蛇口を捻って、適当に身体を拭いて、着替えて、ジャケットを羽織る。やけに重い右ポケットに、対称的に軽い左ポケットが懐かしかった。監視下に置かれる際に、これらはすべて取り上げられた。盗られるくらいならとコインを飲み込んでしまおうかと思ったけれど――良かった、こうやってまた左ポケットに返ってきて。湿った髪をかき上げて、シーツを頭からかぶる。
 あ、そうそう、どうしてナイトちゃんのシーツを持って来たのかと聞かれれば。

「おばけー」

 無人の室内で、独り呟く。まあでも、それは単なる口実で。ナイトちゃんの煙草のにおいが、懐かしかったんだ。ヒミツだよ。
 シーツを翻しながら、右ポケットを漁る。ああ、あった。ナイトちゃんから盗んできた、一本の煙草を取り出して口に咥える。――けど、火がない。ジッポーは確か、オレの部屋だったかな。取りに戻るのも面倒だし、キッチンにでも行こうかな。そこで火を借りよ。

>ALL
【本記事開始おめでとうございます!】

2ヶ月前 No.4

アベル @clock☆VeghuuvPddk ★MjZk3PzzVH_8gk

【二階・アベルの部屋→食堂/アベル・イヴォン・ベルジェ】

 例えば落下して潰れた生卵。例えば人知れず土へ還った路傍の花。例えば数光年先の宇宙における小惑星爆発。例えば玩具箱の最奥に仕舞われて、そのまま電池が切れたラジコンカー。
 突然に、緩慢に、劇的に、密やかに、そして理不尽に訪れる死を、少しでも報いあるものにするべく奔走し続けた。古今東西、老若男女の死者と向き合い、声なき者の叫びを武器に幾多の真相をつまびらかにして、そうして辿り着いたのは生と死の狭間、賞賛と糾弾の相反響する出口のない迷宮であった。
 生の数だけ死が存在し、死の数だけ繰り広げられた悲劇が、或いは喜劇がある。再演は許されず、ゆえに光のごとく鮮烈な影を投ずる官能の幕切れがある。だがもしもその顛末が歪められていたとしたら、それは果たして残された者達に如何なる明暗を齎すだろうか。真の結末の為に再び舞台へ降り立ったとして、その先に待っているものは果たして大団円と言い切れるだろうか。或いは、真実を追求する孤独な旅路こそ、ある種の地獄巡りと呼べるのではないだろうか。

 アベルは地獄に行った事が三度ある。一度目は彼がまだ赤子であった時、二度目は探偵としての在り方に迷いを感じ始めていた時、三度目は自分が育った教会を訪れた日の夜の事だ。


 柔らかな朝日に目蓋を撫ぜられて、アベルは意識の水底から緩やかに浮上した。薄い目蓋を押し開き、夢の残滓を滲ませ僅かに潤んだ瞳を窓へ向ければ、陽の光が厚いカーテンの端を淡く縁取って輝いている。
 アベルは身を起こし、ベッドから降りて支度を開始した。冷たい水で顔を洗い、歯を磨いて髭を剃る。鏡台の前で髪を丁寧に結い上げ、クローゼットからリボンタイ付きの黒シャツとパンツを選んで着替え、着ていた服は真四角に畳んでベッドの上に重ねて置いた。最後にモノクルを装着し穢れのない白手袋を嵌めたなら朝のルーティーンは殆ど完了。ブーツを履いて、モデルルームのように整然とした部屋を後にする。

 二年ぶりに帰ってきた。
 その事をアベルが感ずるのは、快適な部屋で目を覚ました時よりもむしろ自室を出て長い廊下に並ぶ扉を視界に入れる瞬間だった。人目を忍ぶようにして孤独に暮らした日々とは異なり、このフィルハウスにはネームプレートが嵌め込まれた扉の数だけ住人の、それも己と同じ世界に生きる人物の営みがある。決して同朋意識の強い方ではないにせよ、生活の端々にさりげなく立ち現れる他者の存在の痕跡が「戻ってきた」という実感を湧き起こし、アベルの足取りを少しは人らしく確かなものにさせるのだった。
 アベル以外の住民は未だ部屋の中で寛いでいるか、或いは既に活動を開始していると見えて、人気のない廊下はあくまでも静かだった。昨晩、眠りに就く前に何処かの部屋で乱痴気騒ぎがあったようだが、それも夜の深いうちに一応の終息を迎えたらしい。洗ったような朝の静けさに規則正しい足音を刻んでいく。静かといってもものさびしい類のものではなく、嵐が過ぎ去った後のように快く好ましい静寂であった。
 反面、出来すぎなほどの平穏を享受するばかりの毎日に焦燥を募らせる自分もいて。

(そろそろ行動を起こしたい……が、情報が少なすぎる。“皆”は既に手がかりを掴んでいるのだろうか)

 悪夢さえも寄り付かない失意の夜を何百と重ねた日々に比べれば現在の環境はあらゆる点において恵まれているし、おかげでこの頃は精神も落ち着いているが、間違っても此処は療養施設などではない。目的を遂行すべく動き出したいのは男とて山々であるものの、現状手札があまりに揃っていなさすぎる。あまつさえ自分が殺人犯という事になっている外の世界へ丸腰で飛び出すなど以ての外。ならばせめて屋敷の内側で出来る事をなすべきだろうが、その前にまず他の探偵と連帯をとる必要がある。それはアベルにとっては少なからず難儀な話だった。団体戦は男の柄ではないし、何よりこれまではただひとり傍にいてくれたらそれで十分であったから。
 階段を下ると、いよいよ様々の生活の気配がより現実味を帯びたものとして感じられるようになる。恐らく早起きの住人やスタッフが既に一階へ降りてきているのだろう。とはいえ未だ人の少ないホールへ入り、扉を何枚か横切って。やがて一つの部屋の前へ差し掛かったところで、足を止めるでもなく吸い込まれるようにドアの向こうへ消えた。

「クロワッサンと卵。それからコーヒーを」

 先客のシスター・イーディスに会釈して、キッチンに至極簡潔な注文を告げる。健やかなる時も病める時もルーティーンの締め括り、すなわち朝食は済ませておかねばならない。いかに状況が切羽していようと自分で定めた段階を律儀に踏みたがる性分なのだった。

>>ALL

【初回レス、はりきりすぎて謎の前口上みたいなの書きがち。次回からはもうちょっとコンパクトなレスにしますね……。何はともあれこれからよろしくお願いいたします!】

2ヶ月前 No.5

シスター・イーディス @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【シスター・イーディス/食堂】

 真っ白な尼僧服に真っ白な眼帯というある種不釣り合いな装束を纏った女性の目の前には、これまた彼女や周囲の厳格な雰囲気に似合わぬ可愛らしい朝食が並んでいた。
 ベリーと生クリームのパンケーキに、シェフ特製ブレンドのミルクティ。鮮やかな見た目と芳醇な香りに微かに左目を細めた彼女――シスター・イーディスは、パンケーキの端に静かにナイフを入れた。

 一口、二口と小さく刻まれたパンケーキが半分ほどになった頃、不意に食堂の扉が開く。自らに会釈する長身痩躯の男性に、イーディスは柔らかく微笑みかけた。
「おはようございます、アベル」
 それは、彼女の愛し子の一人。やっと帰ってきてくれた大切な家族。二年前と全く同じメニューを頼むアベルの姿に抱く感情は様々だったが、もういちいち余計な口を開くのは止めておいた。彼には――否、彼等には早く、日常の中に溶け込んで欲しい。

 ティーカップを傾けて喉を潤したイーディスは、食べ掛けのパンケーキを置いて立ち上がる。
「貴方達の誰かに会えたら渡そうと思っていたものです。二年前とは勝手も違うでしょうから、少しは参考になれば良いのですが」
 そうしてアベルの前までやってきたイーディスは、クロワッサンの載った皿の横に一枚の紙を置く。先程と同じ微笑みを崩さぬまま彼に告げ、食事の邪魔をせぬようにと元の席に戻っていった。

>アベルさん、all

【アベルさんが『フィルハウス住人名簿』を入手しました、詳細はサブ記事をご覧ください。】

2ヶ月前 No.6

ギャレット @sibamura ★KLeSUKumOF_sxd

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2ヶ月前 No.7

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 フィルハウス一階・遊戯室 / フィナス・クルーズ 】

 ――他者の顔は私を審問し問い質す。あたかも自我が他者の死の責めを負わなければならないかのように。あたかも孤独のままで他者を死なせることが自我には許されていないかのように。まさしく自我を指定し、自我に要求し、自我に懇願する顔が直の責任を召喚するのだ。

 そんなことを述懐する哲学者がいたのをフィナスはふと、思い出した。作者の名前も曖昧で彼の言葉の意図さえも朧げだが、その本を手にしたとき、少なくともフィナスは彼の恩人であり恩師であり元相棒であるイアンとの日々を回想せざるを得なかった。頭脳明晰で、どんな問題でもすぐに解決できるイアン。そんな彼のことを神のごとく敬い、そして慕っていたフィナスはいつだって彼の後ろを付いて回っていた。イアンが挑んだ難事件のなかには人の死と向き合わなければならないようなものも数多く存在した。その度にフィナスはそっと遺族に寄り添い、捜査を通じて召喚される責任とどう向き合えばいいのかを必死で考えた。しかし、何度考えども答えが出てこなかった。犯人や事件の全容が判明したところで悲劇がなかったことにできるわけではないし、ましてや人の傷ついた心を完全に救済することなどできるはずもない。そんなことは分かっていた。分かっていたけれど、ただ、何か、何か、何か。自分のような利用価値の低い人間でも与えられるものはないのか、フィナスはずっと探し求めていた。

 それはイアンが名探偵としての道を搗(か)ち落とされた事件でも言えることだった。あのときも大邸宅に住み込みで働いていた一人の女性が無慈悲にも殺され、無関係なはずのイアンも狡猾な犯人によって罪を擦りつけられ勾留された。容疑者の腹心であるフィナスが警察の捜査に立ち入ることができるはずもなく、迷宮入りしたおかげで二年経った今でもその傷は癒えていない。
 しかしフィナスは諦めていなかった。どんなにイアンの信頼が地に落ちようと、フィナスだけは最後まで彼の味方であり続けた。もしかしたら自分が役立てるかもしれない、そう思うといてもたってもいられず、良かれと思って面倒臭がる彼をフィルハウスに連れ戻した。彼が犯人でないことを世に知らしめるために。彼が再び名探偵としての道を歩めるように。フィナスは彼と、そして被害者の女性のためなら何でもするつもりだった。今こそ自分が責任を果たすべきときなのだ。

 カチャカチャカチャ……

 朝日の淡い光がカーテンの隙間から覗き込んで、ようやく今が朝であることに気づく。遊戯室の隅っこで夜通し機械いじりに没頭していたフィナスは、凝り固まった身体をほぐそうと立ち上がり、そして大きく背伸びをした。緊張した筋肉が解れ、思わず「ううっ……」と気の抜けた声を漏らす。浴場で汗を流すか、それとも先にコーヒーを飲みに食堂に行こうか少し悩んだあと、やっぱりもう少しここにいようと思いとどまって腰を下ろした。気分転換をしたい衝動に駆られたが、作業に区切りがつかないとどうしても動く気になれなかった。

「ああ、苦悩が生まれた場所を……見つけ出すのさ……」

 頭にこびり付いて離れないビリー・ジョエルの名曲を口ずさみながら、フィナスは再びドライバーを回し始めた。


>おーる
【参加が遅くなってしまい申し訳ありません、本編開始おめでとうございます……!】

2ヶ月前 No.8

絡繰 @ne9rodoll☆V4.8X.AnvuQ ★wgm3NQbNwV_XGC

【一階大浴場外/フラウ・トゥーゲント】

 罪と罰。いつからか共に語られるようになったその二つは、まるで双子のように何処に行くにも付いて回る。罪には罰が課されると、常々言い聞かせられていた。それを言い聞かせた神父が、罰せられていては世話ないが。私はずっと疑問だった。天とはお赦しになるものではないのかと。しかしそれは間違いだと、神の庭から放り出されたあの日、私はまざまざと突きつけられた。神はお赦しにならないのだ。ならば誰が赦すのだろうか。過去を懺悔し、嘆く者を。良心があったからこそ、条理に反して罪を犯した者を。多くの無念と遺言を背負い、迷いを孕んだあの瞳を。数多の罪を背負っている私が誰かを赦すなど、大それたことかもしれない。けれど、私は神のように博愛も平等も、強要されていないのだ。ならば、私は貴方の、貴方だけの──。

 朝の時間は忙しい。すっかり習慣となった時間に目覚め、微睡む暇もないように即座に起き上がる。服を着替え、身なりを整えて、意気揚々と部屋を出る。屋敷の中を端から端までパタパタと忙しなく駆け回り、食事の時間も禄に取らないまま掃除洗濯を一式済ませるまでが朝のルーティンだった。使用人の仕事の範疇である屋敷内の掃除や整頓もしてしまうため、幾度か仕事を減らさないでくれと言われたこともあったが、性分故どうしようもない。今日もいつものように屋敷中の人間から集めた洗濯物を抱えながら歩き回っていた。

 粗方の部屋を訪ね終えて、腕に洗濯物を抱えながら向かったのは大浴場。意外と使い心地がいいと評判の大浴場には使われたタオルや脱ぎ捨てた衣服の置き忘れが多い。それらを回収するのが目的で歩みを進めていたはず、なのだが。今しがた大浴場の入り口ですれ違った、真っ白に包まれた大きな物体は何なのだろうか。鼻歌を口遊みながら動かしていた足を思わず止めて振り返る。随分とご機嫌そうにシーツを翻すその物体は人間だと気が付き、つい反射的にそのシーツを掴み取った。現れたのは濡れたアッシュブロンドと、無邪気そうに笑みを深めるアイビー色の瞳。

「……クイーン様、何をしてらっしゃるんですか?」

フィルハウスに住む探偵の一人、クイーン。二年前に殺人の容疑をかけられ、拘束されていた人物。私の姉が、殺されたとされている人物。私は彼を疑いも憎みもしていなければ、執拗に避けたり嫌悪を向けることもしていなかった。血の繋がった双子の姉、情がない訳では勿論無かったが、当時の自分にとっては姉よりも相棒の今後の安否の方がよっぽど大事だったのだ。あの頃毎日のように掘っていた穴の中に、今は彼女が埋まっているのかと考えれば、特に何の感慨も浮かばない。それほど、死とはあっけないものである。姉がこの人物に殺されたかもしれないという事実は、彼本人が真実を突きとめない限り覆ることはない。だからこそ彼はこの屋敷に戻ってきているのだろうから。

 彼が突飛な行動を取ることは最早日常茶飯事なため驚きもしないが、純粋に何をしているのかが分からなかった。濡れた髪から雫を落とし、煙草の匂いが染み付いたシーツを被りながら火の点いていない煙草を銜えている……本当に何をしているのだろうか。相変わらず理解の範疇内に留まらない人だと息を吐くが、そういった所を憎みきれないのが彼という男なのだろう。一種の諦めと共に先ほど手に取ったシーツに少しばかり意識を移すと、漂う煙草の香りと派手な皺の寄り方が目立つ。明らかに洗濯の対象物だと全体で教えてくれていた。

「このシーツ、このまま洗濯してしまって構いませんか?……それと、髪はきちんと乾かさないと風邪を引いてしまわれますよ」

にこやかに笑い掛ける形で首を僅かに傾げてシーツの是非を問う。と共に代わりとでも言うように腕の中にあった比較的汚れの少ないタオルをクイーンの頭に被せた。そして一拍置いて、思い出したようにスカートのポケットからマッチの箱を取り出す。洗濯物とシーツで塞がれた右手を使うことなく、左手のみを器用に動かし、取り出したマッチ棒をくるりと回転させたかと思えば次の瞬間にはその先には火が灯っていた。「失礼」と一声かけた後、銜えられていただけの煙草に移される炎。その間僅か数秒。残滓のような火は吐息で吹き消され、手近な屑籠にそっと捨てられた。

探偵として花開かなった自分は、こういった無駄な小手先技だけが磨かれてしまった。所謂助手として、補佐としてあったら便利なスキル。マッチも、元より喫煙者を慮って持っていたものではないが、備えあれば憂い無しである。私のポケットにはそんな小物が詰まっているのだ。

「お煙草も、ほどほどにされた方がよろしいかと。どちらかと言えばナイト様の方が、ですが」

眉尻を下げて少し困ったように微笑みかけた顔に鎮座する、柔らかな緑の瞳は今日も今日とて優雅に細められていた。

クイーン様、周辺ALL様>>

【遅ればせながら本編に参加させていただきます…!何かといけ好かない女ですがお相手いただければ幸いです。】

2ヶ月前 No.9

みんと @milkywayy☆woNfuP/Psag ★iPhone=WsHBgyg92L

【 二階 弐之日尽の部屋→図書館 / 弐之日尽 】

 ――――弐之日尽は自身の探究心のために生きている、

 弐之日尽はベッドの上でその意識を覚醒させた。眠そうに欠伸を零して辺りを見渡す。身体を起こせば身なりを整え、そしてまた辺りを見渡す。

「ふむ……さて、これからどうしようか」

 少し悩むように指を唇に触れさせる。とりあえず部屋から出よう、と足を踏み出す。ばたん、と閉じた扉に背を向け弐之日尽が足を向かわせたのは一階にある図書館であった。図書館に足を踏み入れた弐之日尽は辺りを見回し本棚に入っている本を抜いては中身を確認する。

 本棚にいれられた本達はあまりこだわりがないのか、ジャンルはあべこべだった。もしかしたらこれにも意味があるのかもしれない、何事にも疑ってしまうのは弐之日尽の癖であった。


 弐之日尽は探している。自身に罪人の烙印を押したその謎を解明すべく。

>> ALL


(出遅れてしまい申し訳ありません! 弐之日尽の本体のみんとです。よろしくおねがいいたします!)

1ヶ月前 No.10

凍雨 @kafune☆01.vmkBoVYY ★iPhone=gvuiG3FWjP

【 一階・エントランスホール / ソフィア・ショスタコーヴィチ 】



 白金にも似た長い髪が翻されるたびにソフィアの表情は曇っていった。見慣れた建物の中で、歩き慣れた廊下を進む足は心做しか重たい気がする。今朝目覚めてからというもの、何だか体が重く感じてしまってならない。でもこの感覚が長らく続くと慣れる≠アとを覚えてしまうから皮肉だと思う。幾ら嫌々と言っていても暫くしてしまえばこの重さから解放され、やがて苦痛すら感じなくなってしまうのだろうか。無意識のうちに動くことを辞めていた足元をぼんやりと眺めながら息を吐いた。今日五度目にも及ぶ溜め息は誰に気付かれることもなく、宿主の幸福ばかりを攫ってゆく。全くもって皮肉なものだ。
 まさか巣立ちの場所に舞い戻るハメになるとは。それは予想外もいいところで今でも目を瞑るだけで思い出されるのは、ソフィアの自由を奪った二年前の事件のこと。事実無根の罪を押し付けられたソフィアは穏やかならない感情を胸に抱きながら長い月日を耐え忍んだ。天才ハッカーと呼ばれた探偵は腫れ物扱いを受け、人々から反感を食らった。それが気に食わないのではない。ただ、ほんの少しだけ――。ソフィアはゆっくりと顔を上げると目線だけを静かに泳がせて瞼を伏せた。



「……何を下らないことを考えているんだか」


 感情を抑えてまで平然を装うのは楽なことではない。でも、こうすることには慣れてしまったから致し方がない。動きを止めていた足を叱咤して動かしてみる。一歩、また一歩と進むたびに白い肌を包み込むように嵌められた黒色のハイヒールが高い音を鳴らした。美しい音色が、ソフィアの弱った心を慰めた。酷い気分を晴らしてくれた。お洒落という名の武装が女の気持ちを引き締めさせる。愚かな思いを断ち切ってくれるから、また前を向くことが出来るような気がした。





 さて、何処へ向かうべきだろうか。目的もな彷徨うのは流石に不味い。頭の中でフィルハウスの施設内をイメージしつつ、ぼんやりと思い当たりそうな場所を考えてみる。パソコンルームならちょうどソフィアの専門分野だ。軽く朝食を済ませたらそこに行って、資料集めからはじめようか、なんて考えごとをしながら歩いていたはずなのに進んでいた先は何故かエントランスホールの方面で。



 迷いながらも近付いていくと一際大きな背中が目に付いた。その傍らには良く使い込まれたステッキが添えられている。その要素だけで十分に彼が誰なのかは想像することが出来た。


「おはようございます、ギャレットさん」


 先程までの苦悩を一切感じさせないほど爽やかに微笑みを浮かべる。が、すぐにその表情はクールなものに変わってゆく。冷静を装ったソフィアの眉が顰められる。


「……おはよう。こんなところで会うなんて偶然ね」


 ギャレットに向けた顔とは全く異なり、感情の一端を露にしたソフィアは腕を組んで訝しそうな目を向ける。威張るわけではないがどことなく怒りの矛先を変えてユージーンに振り翳す。二年間の空白を埋める為に今日から動き回る旨は伝えていたつもりだったのだけれど、なんていう苦情を口よりもはやく目が訴えていた。

>>ユージーンさん、ギャレットさん、周囲おーる



【こんにちは。ユージーンさんとギャレットさんの素敵な絡みにお邪魔致します……!】

1ヶ月前 No.11

ナイト @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

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1ヶ月前 No.12

ユージーン @poko10☆sMzkA8RPRfw ★Android=rp39lsupOA

【ユージーン・イムズ/エントランスホール】

 朝のホールは人の出入りはそう多くないが、それでも探偵や助手の卵たちが時折そばを通り過ぎていく。やあやあ、おはよう。その都度彼らに声をかけるものの、彼らの反応は芳しいものではなかった。敵意だとかそんな酷いものじゃないが、少し戸惑ったような、あまり積極的に関わるのは避けたい、そんな感じだ。まあそうだろう。世間を騒然とさせた連続殺人事件の容疑者の味方、だものね。シスターがここに居ることを許している以上誰も文句など言えないがが、喜んで受け入れられないであろうことは理解が容易い。

「まー……そうよね」

 ひとり苦く笑う。けれどソフィアは人を殺したりしていない。後ろ暗いことは何もない。以前のようにフィルハウスの子供たちと仲良くおしゃべりしたいとは思うけれど、この程度で一々傷つくような、そんな繊細な時代はとうに過ぎている。
 不意に名前を呼ばれた。それもファミリーネームを。おっさんだとか、オイだとか、名前で呼ばれないことには慣れている。しかし律儀にさんまで付けて姓を呼んでくる知り合いはそういない。

「あらハニー。朝帰り? やるじゃないの、おじさんも誘ってちょうだいよ」

 ハニー、とは彼――ギャレットに勝手につけた愛称だった。特に深い意味はない。なんとなくふざけて呼んだら、それを嫌がる反応があまりに可愛かったから。それだけのこと。そう言いながらギャレットの体を肘でつつき、にやりと下から見上げた。生真面目な彼のことだ。実際には、ソフィアと同じように人殺しの疑いをかけられた相棒のためにでも出かけていたのだろう。

「しばらくぶりに見たら、また一段と逞しくなったんじゃないの」

そう口にしながら、断りもなくギャレットの腹部にシャツの上から触れる。ぺたぺたと突っついては、少し首を傾げて自身の腹筋を確かめ、またギャレットの腹に触れる。そんなことを繰り返している間に、もう一人の人物がその場に来ていることに全然気づいていなかった。

『……おはよう。こんなところで会うなんて偶然ね』

 名も呼ばれていないのに、それが自分に向けられたものだと瞬時に分かった。空白期間はあれど、あまりにも聞き馴染んだ声だった。恐る恐る声の発せられた方に顔を向けると、相棒の探偵であるソフィアが腕を組み、気持ち睨むようにこちらを見ていた。

「あらー! ソフィア! …………お、おじさん早起きしてここで待ってたのよ。……ささ、調査調査。調査しましょ」

 調査したくありません。事件についてソフィアが調べたらおじさん嫌です。なんてことを言えるわけもなく、ユージーンは抱いた思いと反する言葉を並べた。

>ギャレットさん、ソフィアさん、all

【ギャレットさん絡みありがとうございます、そしてセクハラ(?)すみません〜!ソフィアさんもありがとうございます……!ユージーンは調査乗り気じゃないので、行先はギャレットさんとソフィアさんにお任せします。】

1ヶ月前 No.13

アベル @clock☆VeghuuvPddk ★MjZk3PzzVH_8gk

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1ヶ月前 No.14

みんと @milkywayy☆woNfuP/Psag ★iPhone=WsHBgyg92L

【 一階書庫 / 弐之日尽 】

 IIの本棚から本を引き抜いては戻しを繰り返していた時だった。ふと視界に入った一枚の新聞記事。それに視線を向け唇を開き読み上げようとしたがそれは鼓膜を震わす声によって遮られる。

「…………君は確か、ナイト君だったかな。どうやら新聞記事のようだね、ええと、ふむふむ」

 ナイト、確か自分と同じく罪を着せられ逮捕されたクイーンという探偵の助手だという覚えがある。そんなことを言いつつも手元にあった新聞記事に視線を向ける。

『最悪のクリスマス、一家惨殺事件』
 XX年12月25日、中央区の会社員ウォーレン・ジョーンズ(34)、その妻トレイシー(32)、一人娘のアビゲイル(8)が遺体で発見された。遺体は死後半日ほど経過しており、深夜何者かに襲われたものと見られる。一家は慎ましくも仲睦まじく暮らしており、動機が怨恨である可能性は低い。また現場には一切の証拠が残されておらず、捜査は難航。現在第一発見者に詳しい事情を聴取している。


「どうやら事件の記事のようだねえ、これは確か……アベル・イヴォン・ベルジェ君が犯人として逮捕された事件だったねえ」

 人差し指を口元にあて記憶の宮殿を漁る。考えるように真相を探るようにじっと新聞記事を見つめた。

>> ナイトさん、周辺ALL


(お返事遅れてしまい申し訳ないです、絡みありがとうございますー!)

1ヶ月前 No.15

シスター・イーディス @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【シスター・イーディス/食堂】

 アベルに目的のリストを渡したシスター・イーディスの、皿に残っていたパンケーキが片付かんとする時、彼女の許を訪れる存在がいた。それが他ならぬアベルであるということは直ぐに理解できているのだが、最後の一欠片を咀嚼し終わって、尚且つナプキンで口を拭うまでイーディスは顔を上げなかった。それはきっと彼女なりの、母としてのプライドだろう。
 先程は有り難う御座いました、と丁寧な礼を述べるアベルにイーディスは柔らかく微笑むものの、その直後に彼女の唇から漏れたのは、盛大な溜息だった。
「……我が子に家の心配をさせてしまうなんて、私は母親失格ですね」
 純粋にフィルハウスの心配をしていたのであろうアベルの言葉を極解した落胆であることは、恐らくイーディス自身も理解している。だがそれでも、彼女は彼にそう言わせてしまうことが、そう言わなければならないような事実が悲しかった。あの忌まわしい事件の責めを帰すべきは、本来全て自分であるとすら思っていた。
「二年前の事について、あなた方が気にするようなことは何一つありませんよ。私はフィルハウスが妄言一つで揺らぐようは柔な経営はしていないつもりですし、何より此処には家族であるあなたを疑うようは人は一人だっていません。余り表立ってそうは言わないかも知れませんが、候補生の中にはあなたや他の名探偵達に憧れて此処を目指した子もいるのですよ」
 だからこそ、イーディスはアベルに向けて激励の言葉を掛ける。
「だからどうか、アベル。あなたは何も気にしないで。どうかこれからも、あなたのやりたいことに全力で取り組んで。その中で躓くようなことがあったり、足りないものがあったりしたときは、私に出来ることなら何時でも頼って下さい。私は……私達は、いつまでもあなた方の味方です」
 イーディス一人の言葉で、彼の心のうちの不安や懸念を払えるのかどうかは分からない。それでも、伝えるべきことは伝えたと、イーディスは空の食器を手に立ち上がる。

「ああ、そうそう……フラウもあなたの帰りをずっとずっと……それはもう私が彼女と備品の心配をするくらいに待っていましたから。余裕ができたら、きちんと話を聞いてあげて下さいね」
 後はきっと、若者同士の交流の方が良いだろう、と。見た目にそぐわない年齢の施設長は、キッチンに食器類を返しに歩き出すのだった。

>アベルさん、all

1ヶ月前 No.16

クイーン @caim ★Vxqs1Pnm4y_mgE

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1ヶ月前 No.17

ギャレット @sibamura ★KLeSUKumOF_iGf

【ギャレット=ギャブレー/エントランスホール】

「ハッ、ハニーはやめてくださいよ。それに、朝帰りではありません。なんというか、朝の散歩です。」

 こちらに親しみを込めて声を掛けてくるユージーンの言動に、困惑しながらも律義に訂正をする。
 そんな二人を見る近くを歩く学生の、特に女学生たちの目線がなんとも生暖かい。中には、うれし気に黄色い声を上げている者もいる。だが、彼女たちにとっては残念なことにギャレットにはそういって趣味はない。故にユージーンにシャツの上から胸襟を触られようと男同士の筋肉比べ程度に認識しているのである。

『おはようございます、ギャレットさん』

 そんな二人に涼やかな声がかけられる。声の方を向くと、そこには朝日に輝く白金の髪をもった女性が立っていた。ソフィア・ショスタコーヴィチ、2年目に冤罪をかけられた探偵のうちの一人であり、今彼の横にいるユージーンの相棒だった女性だ。可愛いというよりは綺麗と称した方が適切な面持ちをややキツメの表情で固め、こちらを腕組みしながら軽く睨んでいる。

「あぁ、おはようございます。ミス・ショスタコーヴィチ」

 遅ればせながら挨拶をすると、ふと、先ほどまで騒がしかったユージーンが静かになっていることに気が付く。なるほど、睨まれているのは彼ということか。
 先ほどまでと一転して、気の進まない様子で話すユージーンを見て、ふと助け舟を出そうという気になったのは、きっと自分も弐之日尽に捜査をせっつかれれば内心では気が進まないながらも彼と同じように言葉では承諾するだろうと思ったからだった。

「ん んんっ。 時にミス・ショスタコーヴィチ、朝食はおすみですか? 私はまだでして、良ければご一緒にいかがですか?」

 と、ユージーンにも目配せしながら二人を食堂へと誘った。

>> ユージーン様 ソフィア様

※警告に同意して書きこまれました (性的な表現)
1ヶ月前 No.18

ナイト @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【一階図書館/ナイト】

本の森で遭遇した小さな探偵少女は此方を見上げて一瞥すると、また手許の書物に視線を落とした。それはあの年の新聞記事のようだった。身長差が30cm近くもある子供と大人のような視線の差ゆえに、背後から覗き込むのは容易いことだった。

「……ああ。みてぇだな。アベルさんの、クリスマス一家惨殺事件=v

黒いお下げ髪が揺れて、紙面に陰を落とす。僅かにインクの滲む黄ばんだ生地の上を蛇のような影が行ったり来たりするのを読みにくそうに目を細めた。ナイトはわざと、まるでその事件が本当にアベルが起こしたものと思っているかのような口ぶりで言った。本当にそうだと信じているかどうかの真相は、藪の中。
探偵弐之日尽は当然自分が犯人とされた事件のことを調べているものと踏んでいたナイトにとって、多少予想外ではあった。けれど、彼からしてみれば、別にクイーンの関わったあの事件≠ナさえなければ別に何を読もうが構わないと思っている節はある。
パステルカラーの目がチカチカする表紙のついた絵本を肘で小脇に挟むと、両の手をスーツのポケットに入れてがさがさと探る。ガラの悪いスーツのポケットからは煙草とライターと百人一首が出てきて、琥珀色の目がぎろりと要らぬカードを睨む。クイーンのせいで散々な目に遭った後朝の悪しき思い出と共に、百人一首はまたポケットの闇に葬られた。背を屈め気味に、煙草の箱から浮かせた一本だけを前歯で摘まみ取る。

「いいのかよ嬢ちゃん。車輌爆発炎上事件≠カゃなくて」

爆発炎上、と言いながらのタイミングで、咥えた煙草にライターで着火するあたり、図体だけ大きくなっても相変わらずの問題児。そも此処は図書館、禁煙のはずである。未成年女子の目の前で、煙草の先端はナイトの息遣いに合わせて朱く灯る。広めの口がニヤニヤと笑うたびに、その隙間から濛々と白い煙が朝から体に悪そうな色を巻いて高い天井へと吸い込まれて行った。

>弐之日尽さん、all


【お返事が遅くなりごめんなさい……!!】

1ヶ月前 No.19

グレンダ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【グレンダ・キングスコート/図書館】

 その日、フィルハウスに暮らす車椅子の少女は、異様に長いハタキを持って図書館の掃除をしていた。正確には、屋敷中の埃を叩き落としながら、その時は偶々図書館を通過していた。
 諸々の事情により立ち上がることもままならない彼女だが、多種多様な掃除道具に自分なりの改造を施し、また自分が生まれ持ったバランス感覚を駆使して、少しでもフィルハウスの環境を良くしようと努めている。
 彼女こそ探偵でも助手でもないフィルハウスの第三の住人、グレンダ・キングスコートその人だった。
 立ち上がった成人男性よりも大きな本棚のてっぺんに溜まった埃を丁寧に払うグレンダの視線は当然常に上を向き、本来ある筈のない白い煙を見咎めるのにそう時間はかからない。そして彼女が、それを許容する筈もなかった。
 ずるり、と車輪を後退させたグレンダはハタキを霧吹に持ち変える。中身が純粋な水のみであることを確認し、キイキイとやや不気味な音を立てながら方向転換をして、そして。

「こぉらぁー!」
 パラリンピックよろしく駆け出した。

 Uと付番された本棚の裏から飛び出したグレンダは、急ブレーキをかけながら図書館内で喫煙をする不届き者――もとい、高名な探偵助手・ナイトの顔面に向かって消火スプレーこと水を噴霧する。計算上は資料や隣に立つ尽は無事の筈だった、多分。
「いけませんわナイトお坊ちゃん、図書館は禁煙です! 折角の資料が傷んでしまいます!」
 作り物のように高い少女の声でキャンキャン喚きながら、そして今し方自分がやった資料の目の前で水をぶちまけるという行為を華麗に棚に放り上げながら、グレンダはナイトを叱り付けるのだった。

>ナイトさん、尽さん

【グレンダ突撃させて頂きました!】

1ヶ月前 No.20

アベル @clock☆VeghuuvPddk ★MjZk3PzzVH_8gk

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1ヶ月前 No.21

みんと @milkywayy☆woNfuP/Psag ★iPhone=WsHBgyg92L

【 一階書庫 / 弐之日尽 】

 鼻腔を擽る煙草の匂いに記事から背後に立つナイトへと視線を向ける。にやにやと笑うその表情を見つめ小さく溜め息とともに首を傾ける。車輌爆発炎上事件、それは弐之日尽が捕まったあの事件であるということを彼は勿論理解した上で言っているのだろう、やれやれ、と小さく呟けば続けるように言葉を紡ぐ。

「あのねぇ、ナイト君。弐之日尽にとってはどの事件も変わらないのだよ、弐之日尽の探究心を擽る事件、それは弐之日尽が逮捕されるという未知の体験をさせてくれた炎上事件も、このクリスマスの事件も、勿論、君の相棒の事件も、何ら違いはない。分かるかな?」

 全ての謎を知り尽くしたい、止まらない探究心を語るように彼の唇から吐き出される紫煙を見つめ「君の紫煙で弐之日尽の肺が黒くなってしまうのだけれど」なんて苦言も付け加えた。

「おや、ほら、怒られてしまったじゃないか」

 どこから現れたのか、突如登場した車椅子のメイド、グレンダに怒られるナイトを見つめやれやれ、とまた肩を竦めた。

>> ナイトさん、グレンダさん


(お返事遅れて申し訳ありません!)

27日前 No.22

ナイト @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【一階図書館/ナイト】

紫煙を燻らせながらナイトは弐之日尽の独壇場に付き合っていた。滔々と語る探究心の向かう先々はつまり、彼女の知りうる残された謎の、全てだ。謎を謎のままおいてはおけないというのが探偵としての性分なのか職業病なのか。黒いお下げ髪が幼げな顔の横から華奢な肩に垂れ下がり、揺れている。
いやしかし……と悔しくも考えてしまうのは奴のことで、自分の相棒クイーンは果たしてそこまで仕事熱心に全ての謎を探偵の名において解決しようとしてくれるだろうか……そう首を傾げざるを得ない。
琥珀色の鋭い目はぱちぱちと瞬きすれば幾分かは和らいだ。が、また忽ち不良少年の頃から変わらない喧嘩好きで無法者の悪戯な目に変わる。未成年者の前での、それも事もあろうか図書館での喫煙に苦言を呈す尽の言葉もどこ吹く風で、

「相変わらずだなぁ、嬢ちゃんは何にも変わっちゃいねぇ。身長ぐらいはちったぁ伸びてるかと思ったンだが」

今注意されたばかりの煙の塊を、わざと意地悪で尽に向かって吹きかけた。からからと、したり顔で朗らかに尽を笑っていると、立ち込める副流煙を急ブレーキのような金属音が切り裂いた。

「は…………!?」

いつものナイトの身体能力ならば、危機を察知して回避することは容易かった筈だ。けれど今ちょうどまさに図に乗っていたこの男には、それが出来なかった。
声を上げた時にはもう遅く、振り向いた真っ正面から霧吹きの水を顔面に食らった。いっそ小気味の良いほどの命中で、己の身に何が起こったのか、暫し分からなかったほどだ。
咥えたままになっていた煙草は無事に消火され、へにゃりとしなったまま口からぶら下がって、その先から真っ黒に濡れた灰がぼたぼたと滴り落ちている。幸い、しつこかった寝癖は直った。いや、もう直ったとかそういう次元では無い。通り雨にでも打たれたように、びしょ濡れのペタペタだった。

霧吹きの雨の向こうに、その発射元である犯人の姿を認めて、ナイトはわなわなと震えた。

「テメェ何しゃがんだコラ!!!! 札束でもねぇ紙の束以前に、俺の身支度一式が傷んだだろうがコノヤロウ、落とし前つけろや!!!!」

車椅子のメイド、グレンダ。その射撃の(?)腕は一流のもので、車椅子の上から狙いをつけたにもかかわらず、噴射は見事にナイトの咥え煙草に命中したのだから恐ろしい。ナイトは無事だった尽と新聞記事からグレンダのほうへとつかつかと歩み寄り、殺人犯すら震え上がるガンを飛ばしながら大声でがなり立てた。
この男、不良学生だった頃から何の進歩も学習もない。教員や職員に悪さを見つけられ処罰されそうになると、いつもこのパターンで無駄なエネルギーを消費してガラの悪い行儀も悪い反抗をした。もちろん歯牙にもかけられず、今朝の煙草のように処分されるところも、全く同じ。そして身内であり女性であるグレンダに暴言は吐いても手は上げないところも、全く同じ。

>弐之日尽さん、グレンダさん



【馬鹿の暴言の数々……すみません】

25日前 No.23

グレンダ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【グレンダ・キングスコート/図書館】

 自分が放った霧吹きの水が無事煙草を消火したのを見届けて、グレンダはほっと息を吐いた。これで大事な書物が納められた部屋で、ひいてはフィルハウスでボヤ騒ぎを起こさずに済む。煙草の火の消し忘れは油断ならないのだ、喫煙は定められた場所で。
 そして勿論、この凶行によりナイトが激怒するのも定められた光景だった。
「まぁナイトお坊っちゃん、レディに向かってテメェだなんていけませんわ! そんなんだから何時まで経っても彼女の一人も連れてこないと奥様やクイーンお坊っちゃんに呆れられるんです! 尽お嬢様もそう思われますよね!?」
 更に当然、数々の暴言をグレンダが黙って聞いている訳もなかった。華麗に論点をずらして、隣にいた尽とそこに居ないイーディスやクイーンをも巻き込んで食い下がる。
「それにまるでここにある本が無価値みたいな言い方なさらないで下さいませ、此処は奥様が皆様の為に用意した絵本から医学事典まで何でも揃う魔法のお部屋ですわよ? そりゃ、わたくしの整理が追い付いてないのも悪いですけど、何処かには皆様の事件解決に役立つ資料だってある筈ですわ! ほら、その新聞記事とか! あと一張羅が駄目になったと仰るならとっとと着替えて洗濯に出してくださいな、わたくしが完璧に仕上げてご覧に入れます!」
 かと思えば今度はナイトの言葉に応酬し、肩で息をしながら自らの主張をまくし立てた。

>ナイトさん、尽さん

19日前 No.24

みんと @milkywayy☆woNfuP/Psag ★iPhone=WsHBgyg92L

【 一階書庫 / 弐之日尽 】

 本棚の本に視線を滑らせながら弐之日尽は紡いだ自身の探究心にわくわくしていた。沢山の謎が自分を待っている、それを楽しむように。だがしかし、先程の注意もなんのその、ふう、と吹きかけられた紫煙に少し驚いたように瞳を丸くして、けほと咳込む。気管を通り肺を黒く汚すであろうその紫煙は、未成年の弐之日尽には苦く感じたことだろう。

「君ねぇ、もし君の紫煙で弐之日尽の肺が黒く染まって癌にでもなったらどう責任を――――」

 つらつらと唇から紡がれる苦言は途中で止まる。ふむ、と小さく頷いた弐之日尽は、そしてにやり、と唇に弧を描かせる。

「ふむふむ、なるほど。ナイト君は淑女に紫煙を吹きかける意味を知っての行いなのかな? だとすれば、それはそれでとても面白いし、とても興味深いことだね?」

 記憶力が良く、膨大な知識量を誇る弐之日尽はさも愉しげに好奇心を抱いた瞳をナイトに向ける。


「おやおや、水も滴る良い男というやつかな? ふむ、弐之日尽もまだ恋愛事には未経験だからねぇ、まあ世の中にはナイト君のような粗暴者を好む淑女も居るだろうし」

 弐之日尽に掛からなくてよかった、そう愉快そうに笑う弐之日尽は濡れ鼠と化したナイトを見つめそう茶化しつつもグレンダに振られた言葉にはフォローになってない、むしろフォローするつもりがあったのかさえ分からない言葉を掛ける。


>> ナイトさん、グレンダさん

19日前 No.25

ナイト @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【一階図書館/ナイト】

機関銃のように捲したてるグレンダの御小言に、すっかり参ったかナイトは手のひらで耳を覆うようにしてセルフボリューム調節を試みる。それでも聞こえる仕事熱心なグレンダのお説教はナイトの大きな手のひらを貫通し、右耳から入ってきてそのまま脳を経由せず左耳へ抜けて、隣の本棚で跳ね返り、左耳からまた入って静電気のようにぱちぱちと弾けるようだった。

「(あー、うるせーうるせー)」

グレンダと尽の二人に見上げられながら肩を竦めて、キンキンと響くマシンガントークをやり過ごす。「とりあえずコイツぁとっとと切り上げて、大人しく洗濯場に行ったほうが良さそうだ」なんて考えながら、此処の蔵書の価値がどうだとか、事件の資料がどうだとかは全く聞いていない。

「わーったわーった、あんまりキィキィ言ッてっとモテねえぞ。悪かったな、大人しく洗濯機に放り込んでくるよ…………あ゛? 待てよ?」

言っているそばから全く反省の色はなく、言いながらもう無意識の手癖でポケットの中のライターと煙草を取り出している。咥えかけてはじめて、それがさっきの霧吹き攻撃により儚くも水に濡れてもはや吸えたものではなくなっていることに気がついた。盛大に舌打ちして、咥えていたしなしなにひしゃげた一本をそのまま床に棄てて靴で踏みつける。猿の手にも取れるほど分かりやすい苛立ちの表情で。ぐりぐりと意地悪く靴のつま先で湿気た煙草の吸殻を踏み潰していると、グレンダと尽の言葉の意味が不意に分かって顔を上げる。何時まで経っても彼女の一人も連れてこないと……∞弐之日尽「も」まだ恋愛事には未経験だからねぇ……

「ちょっと待て。俺に女が居ねぇたぁ聞き捨てならねぇな。ガキと一緒にするんじゃねーよ、オンナが居たって俺ぁ連れてなんか来ないぜ」

……だって女はしょっちゅうチェンジだから。
とは勿論言わずに、不名誉な言い草への弁明は果たしておく。グレンダや尽の未成年女子に心配されるほど落ちぶれちゃいないと言いたいらしい。事実、ナイトの交友関係は派手で、付き合うのも面倒がない軽い女ばかりで、そしてすぐに別れる。長続きした試しがない。とにかく短気で堪え性がなく気に入らないとすぐにキレるナイトも悪いし、振ることも振られることも多い。なんなら、一週間前にフラれたばかりだ。フラれる理由の大半は、
「貴方しょっちゅう『クイーンは』とか『クイーンが』ばっかりで、よく恋人の前で他の女の話ばっかりできるわね! 私と、女王様どっちが大事なのよ!」
という、相方がその名前ゆえに女だとばかり思われて浮気への疑念と嫉妬を巻き起こし、その有様に面倒臭くなってすっかり冷めたナイトがそれを否定せず、
「当たりめぇだろ、お姫様《Queen》のほうがイイ」
と答え余計事態をややこしくしてしまうからだ。そもそもそんな二択を迫るようなつまらない女なんて遅かれ早かれ切っていただろう。

「新品未開封の嬢ちゃんと一緒にすんじゃねぇ」

グレンダと尽にニヤリと不遜の笑みを浮かべると、うっかり自ら恋愛経験が無いことを暴露してしまった尽を揶揄うように人差し指の腹を尽の頤に這わせ、持ち上げるように力を掛ける。その、好奇心に満ちた眼差し。自分のような擦れた大人とは絶対に違う。

「よく知ってんじゃねぇか、子供の癖にマセガキか。 あたぼうよぉ、意味を知ってて御挨拶したに決まッてんだろうが…………少しはビビったか? 嬢ちゃん」

無論ナイトに未成年者に手を出すようなそんな高尚な趣味は無い。ただ持前の浅慮な喧嘩っ早さとニコチン摂取失敗の憂さ晴らしとで悪戯心が加速しただけだ。

>グレンダさん、尽さん

15日前 No.26

凍雨 @kafune☆01.vmkBoVYY ★iPhone=gvuiG3FWjP



【 一階・エントランスホール / ソフィア・ショスタコーヴィチ 】


 ユージーンとギャレットの双方に朝の挨拶をすると、なんてことのなく返事が返ってきた。それが少しだけ懐かしくて、ソフィアは一瞬だけ頬を緩ませた。が、すぐに訝しげな表情に戻ってしまう。それはソフィアが声を掛ける前の二人の言動を見てしまっていたから。男同士で、尚且つ大人と呼ぶに相応しい年齢であろう二人がある意味で仲良く接しているのを見て何とも言い難い感情がじわりと滲み出た。それに、ユージーンの声がどことなく違和感のある話し方が気に食わなくて、より一層不機嫌に極みがかかる。


「……まだですが」


 ギャレットの提案に腕を組んだまま、少しだけ考え込む。たしかに朝食はまだ済ませていない。空腹を感じているのも事実ではあるのだが、ソフィアは大概の場合、砂糖もミルクも入っていないブラックコーヒーを一杯摂取するだけで朝食をとったことにしてしまうこともあるからちゃんと食事をとりましょう、と言われると悩んでしまう。食欲がないわけではない。でも、簡易的な方法を知っている者からしたら大層な食事とたった一杯のコーヒーを天秤に掛けて考えてしまうのだ。それにソフィアには早急にやらなければならないことがある。それらが頭を過ぎり、すぐには快い返答をすることが出来ずにいたけれど、ギャレットの誘いを断るのは胸が痛む。ゆえにソフィアは眉を顰めたまま、目線を移動してユージーンの様子をマジマジと見詰めた後にゆっくりと息を吐いた。


「きちんと食べるものを食べないと頭は働かないですものね。是非、私たちもご一緒させて下さい。……調査はその後にするわ」


 心做しか、ナチュラルに《私たち》というところを強調しながら話す。その傍らでどこかぎこちなく話しかけてきたユージーンになんとも言い難い違和感を抱いた。なんとなく、かつての相棒が戸惑っているように見えてしまって。そんなものはただの見間違いなのかもしれない。もしかしたら茶化して遊んでいるのかも、とは思ったものの、突っかかりが妙に気になって仕方がなかったソフィアはひとまず急速を最優先にした旨を小声で漏らした。


 さて、朝食をとるのなら食堂辺りに出向くべきだろうか。それならばエントランスホールに居続ける意味はないと考えたソフィアは口よりも先に足を動かし、二人よりほんの少し離れた位置から振り返って「はやく向かいましょう」と唇を動かした。


>>ユージーンさん、ギャレットさん


【お返事が遅くなってしまい、申し訳ありません……!】

10日前 No.27
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