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【1名募集】――――Fallere.

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(1291) - ●メイン記事(30) / サブ記事 (93) - いいね!(14)

脱出/謎解き/殺伐/ハンドアウト @yupihiko☆d.mPOva7Vfg ★0LsZL7CDei_gaI



   ――――――Fallere.





        ――――――――(偽る。欺く。図る。)








  「ここはメイトランドの屋敷。人類が遥か昔、星の光に形を見出したその日から。メイトランドは魂の在処を探しています。」





  「あなたの魂はどこにありますか?」





【メイン・サブともに書き込み禁止です。】

メモ2018/09/20 19:04 : スレ主☆d.mPOva7Vfg @yupihiko★0LsZL7CDei_gaI



(いいね14ありがとうございます)


×連絡用アカウント @Fas_ilust


×ストーリー  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-1#a


×規約  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-2#a


×夜間行動表  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-4#a


×Q&A  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-27#a


×名簿


@キャサリン・ルース/絡繰様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-48#a

Aエリク・ミラーノヴィチ・チュカノフ/れんな様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-42#a

B香霖堂 晴(こうりんどう はれ)/なかの様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-30#a

Cゆうと様予約

D桃井・アルヴァ・シャーロット(ももい ー)/遠浅様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-44#a

E二宮・マーチ・旭(にのみや ―― あさひ)/あさしま様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-45#a

F初ヶ崎 このみ(はつがさき ――)/冬野様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-37#a

Gロマン・ヌエストラ・アトーチャ/芙愛様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-31#a

H三苫 里都(みとま さと)/ビビ様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-43#a

I西四辻 慎(にしよつつじ まこと)/独楽様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-32#a

Jエレン・ラーゲルクヴィスト/秋津様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-49#a

Kオルガ・ダングルベール/夕邑三日月様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-40#a

L暮沢 雪(くれさわ せつ)/六花様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-46#a

M本多 熙(ほんだ ひろむ)/これからだ様  http://mb2.jp/_subnro/15763.html-36#a

…続きを読む(2行)

切替: メイン記事(30) サブ記事 (93) ページ: 1

 
 

スレ主/本編開始 @yupihiko☆d.mPOva7Vfg ★0LsZL7CDei_gaI



【掌編/クレルのささやき】



 私の目の前に、ことりとケーキの乗ったお皿が置かれます。うっすらと粉雪のように砂糖がふりかかったシフォンケーキです。あたたかいうちに食べなさい、と促されるのですがどうしましょう。私にはそれを食む歯もなければ糧とする内臓もありません。仕方がないので私はあいまいに微笑んでキッチンをあとにしました。きっと美味しいケーキは私よりも皆さんのほうがお好きでしょう?

 心配しなくても毒なんて入っていませんよ。はじめから難しくしたら面白くありませんからね。




第一章「謎解きの目覚めにモーニングケーキは如何。」




【本編開始となります。昼パートは9/20〜10/4、夜パート行動決定が10/5〜10/7、夜パートは10/8〜10/15となります。】

1ヶ月前 No.1

オルガ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

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27日前 No.2

ロマン @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

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26日前 No.3

初ヶ崎このみ @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 初ヶ崎このみ / メイトランド邸自室→玄関ホール 】

 確か、私は自分の家に居たはずなのに、書きかけの原稿を机に残していたはずなのに、何故か気がついたらこの家にいた。数日が経過した今でも、私はまだこの状況に慣れてはいなかった。

「だっ……誰もいませんかぁ……いませんよねぇ……」

 そろりそろりと自室から出たこのみは辺りを挙動不審に確かめつつ廊下に出ていた。抜き足差し足忍び足、音を立てないように歩くその姿は不審者そのものだが本人は至って真面目であり目的は玄関ホールのようだ。

「うーん……やっぱり扉は開きませんねぇ……」

 外に繋がっているであろう扉を押したり引いたりしてみては溜め息を吐き出す。扉に凭れへたり込むようにその場に座り込めばポケットから煙草を取り出し火を付け咥え紫煙を吐き出せば困ったように天井を見上げる。帰りたい、外に出たい、こんなところで死にたくない、ただそれだけを考えながら。


>> ALL


(遅れてしまいましたが本編開始おめでとうございます! どうぞよろしくお願いします)

25日前 No.4

あさしま @apology☆KdizKBUyxLI ★iPhone=nrmImToomY

【二宮・マーチ・旭/メイトランド邸ランドリー→居間】

ドアを開けて、衣服を放り込む。わざわざ時間をかけて洗うほどの数ではないが、何せそもそも手持ちの衣服が少ないのだから洗わなければ仕方ない。たった数枚のために洗濯機を回すのは旭にとって初めての経験だ。アパートのクローゼットに仕舞ったまま日の目を見られないでいる衣服の数々がふと甦る。
ドアを閉めて、洗剤を手に取る。愛用のメーカーではないこと、そしてラベルのデザインがシトラス系の香りを想起させるものではないことが不満だが、これも仕方ない。キャップを開けると満開の花の匂いが漂った。顔をしかめることで舌打ちしかけたのをやり過ごし、適量を放り込んでボタンを押す。問題なく動いたことを確認してから、丈の長いカーディガンを翻して旭は部屋を出た。

「――ええと、ああ、オルガ? Good morning。早いのね」
階段を降りて居間へ向かう。ひと部屋ひと部屋がそこだけで暮らせるほどに広いのは屋敷らしい、と言うべきか。せっかくこんなに広いのだから真ん中を陣取るなりすればいいのに、彼女は何故か隅でこじんまりとしていた。レースカーテン越しに差し込んだ陽光が彼女のロングヘアの一本一本を輝かせる。
「ねえ、ティータイムにお邪魔してもいいかしら。お礼にトーストを焼くわ。バターをたっぷり乗せたやつよ」
彼女の向かいにあるソファに了承なく腰かけながら首を傾げる。近くに寄れば寄るほど、彼女が淹れたであろうアッサムの芳醇な香りが鼻翼を擽る。化学的な花の匂いが塗りつぶされていく。

>オルガさん
【図々しい女がお邪魔します……!何卒よろしくお願いします!】


【本編開始おめでとうございます!よろしくお願い致します!】

25日前 No.5

遠浅 @konronka ★iPhone=FANTm8bY3H

【桃井アルヴァシャーロット/居間】

分厚い扉をのしかかるように開く。立派なお屋敷の立派な扉は、自宅の密度の低い木製ドアのように気安く開いてはくれない。ちょっとやそっと触っただけでは、あらあら何かしたかしら? と澄ました顔で居座り続けるのだ。探索のために部屋から部屋へ動き回るたびに付属するこの動作は、一度なら気にも留まらないが、積み重なると案外疲れる。能天気が取り柄のシャーロットには、館内に広がる判然と張り詰めた空気より、気がかりな「あのこと」より、むしろこういった生活面での不便の方がよっぽど堪えた。室内にふたつの人影をみとめると、そんな些細なモヤモヤは即座に散会したのだが。

「おはようございます、オルガお姉様、マーチお姉様! 」

名前を完璧に覚えている相手でよかった。挨拶をしながら内心こっそりと胸を撫で下ろす。長身で気品溢れる美女2人は、このけったいな西洋貴族の邸宅のような面持ちの居間によく似合って素敵だった。

>>オルガさん、旭さん


【本編開始おめでとうございます!シャーロットですお邪魔します〜!お2人の麗しさにつられてやって来ました!よろしくお願いします!】

25日前 No.6

なかの @dolce0105☆EIJm993bXx5T ★Android=HijRBqzqy2

【香霖堂 晴/メイトランド邸 ダイニング・キッチン】


 自分が幸福か不幸かと問われれば。まあそれは、不幸だと吐き捨ててやりたくなる。しかし、その感傷が思春期故に生まれる一時的なものである可能性を、男はしっかりと把持していた。だからこそ、自らを不幸だと嘆く文句を今の晴は口には出さない。……そう、“今の”晴は。かのことを知らなかった少年時代、痴態を晒した恥辱は未だ忘れるに叶わない。だが、今はもう違う。自分の物差しで測った場合と、社会の物差しで測った場合の不幸の大きさが全然違うことがあることを、――すなわち。万物は比較によってその価値を定義されることを、男は知っている。

 とは言え、流石にこの状況は不幸だとぼやいても許されるのではないか?そんな疑問符が浮かんだのは、このメイトランド邸とやらに連れて来られた二日目の朝。いや、三日目だったか。急に始まった軟禁同棲生活には未だ戸惑いを隠せない。隠せない……が。脱出の糸口すら満足に掴めていない今朝も、身体は一丁前に空腹を訴える。体は資本、どの世界にいてもそれはきっと変わらない。そんな彼の思考は晴をキッチンへ向かわせた。

 誰もいないダイニングを通り抜け、一目散にキッチンに向かう。そこには、ひょこひょこと目の前で色鮮やかなオレンジが冷蔵庫の前で揺れていた。ひどく印象深いその先客を見止めた晴は、ロマンに声を掛けようと一つ前に進む。晴の傍らで異変が生じたのはその時だった。カウンター上のケーキケースからキッチンには似つかわしくない電子的な音が聞こえたのである。突然の出来事にやや身を揺らした晴は躊躇わずケーキケースに触れた。昨日までは開かなかった筈のそれはすんなりと開く。朝から食すにはやや重いかもしれないが、この空腹の前では正直そう大きな問題ではなかった。ひとまず、近くにいるかの青年に声を掛けることにする。この場所に居るということは、目的を同じとしているに違いないのだから。

「なあロマン!これ、アンタが開けたのか?」

>>ロマンくん( >>3 )

【本編開始おめでとうございます!早速ロマン君に絡ませて頂きます、これからよろしくお願い致します!】

23日前 No.7

ロマン @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【ロマン・ヌエストラ・アトーチャ/メイトランド邸キッチン】

キッチンの中をあれやこれやと物色してみるが、めぼしいすぐ美味しい≠ヘ見つからない。一手間加えれば美味いものに化けそうなものはあっても、朝はチュロスとかクロワッサンとか、何か即効性のありそうな甘いものが食べたい。それから、一緒に紅茶が良い。ロマンはニルギリのレモンティーが好きだった。午後なら、ラムを加えた紅茶も。

「おおっ、何コレ超うまそう!」

目を輝かせたのは、キッチンカウンターの上に乗っていたケーキケースを見つけたからだった。透明な板越しに見える中身は大きなシフォンケーキで、ふわふわ生地のきめ細かい肌が、粉雪のような純白の砂糖で粧し込まれている。見ているだけで、クリアケース越しにでも甘い香りが漂ってきそうで、ロマンはごくりと生唾を飲む。
「へえ、いいじゃんいいじゃん」と、盛大な独り言と共に伸ばした手はしかし、ケースを開けることができない。ん? と首を傾げて、ケーキの上に何か乗っているのに気づく。

ーー『1ならO、2ならI、3ならY、4なら?』
それは、なぞなぞの書かれたカードだった。

「……これは……」

餌を待つ犬のように開いたままだった口を一旦結び、ロマンはそっとケーキケースの前から離れる。顎を擦り擦り、冷蔵庫の前を一往復二往復。
クイズを解かないと、ケースの中のケーキは手に入らないらしい。もしや、と、タブレット端末を見れば、此処で目を覚ましたときに配られていたタブレットに同じクイズが配信されていた。なるほど。
海色の目を眇めたその時、件のケーキケースのほうから、電子音が聞こえた。

「ピ……?」

タブレットから顔を上げ、音の出どころの方へ顔を向けると、其処にここ数日で見慣れてきた青年の顔があった。その姿に気付くと、ロマンは満面の笑みを浮かべる。カラフルな頭の上にもしも獣の三角耳でも付いていたなら、ピンと立っていたに違いない。

「おーっ! ハレーー! 丁度いいや、一緒にレッツ朝メシしようぜーーーーぃ」

彼は日本という嘗て先人達には黄金の国と呼ばれた島国から連れてこられた男で、ハレ、というらしい。その国にある文字では晴≠ニ書くらしく、その字の意味を聞いたらロマンの職業柄、「なんて縁起のいい名前!」と感動せざるを得なかった。
その晴も今の電子音に気付いたらしい。ケーキケースに手を掛けると、それを開ける。さっきロマンが触った時はビクとも動かなかったケースは簡単に開いた。甘く美味しそうなシフォンケーキは目の前に現れる。晴に声を掛けられて、ロマンは一つ二つ瞬きしてから笑い出す。

「オレが……? や、ハレってばオイオイ、今ハレがその手で開けてたじゃん。それよりなぁ、一緒に喰っちまおうぜ、育ち盛りでさ、腹ペコなんだよ!」

自分よりも少しだけ背の高い晴の肩越しにひょこりと顔を出し、「なあなあ朝メシわけてーっ」と顔の前でパチンと手を合わせる。


>晴くん


【絡みありがとうございます! ハレくん呼びしたかった(^^) よろしくお願いいたします!】

23日前 No.8

オルガ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_gaI

【オルガ・ダングルベール/メイトランド邸居間】

「あらおはよう。私の淹れた紅茶で良ければどうぞ、味の保障はいたしかねるけれども」
 不意に声を掛けられて目を上げれば、何時の間にか向かいのソファーが占領されていた。颯爽とその席に座ったストロベリーブロンドが印象的な彼女は、いつも綺麗に化粧をして、凛とした雰囲気を纏わせている。先程ベッドから出たばかりの自分より、余程早く起きたのではないだろうか。
「私はたまたま目が醒めてしまっただけだから、早いのは貴方の方だと思うけれど……洗濯まできちんとしてきたのね」
 彼女が席に着いた時、ふわりと馨しい……けれど何処か人工的な花の香りが漂った。部屋のリネンと同じような香りがしたから、きっとランドリーに寄って来たのだろうと解釈する。部屋で考えていた疑問が一つ解消された。

 そうしてティーセットの中から予備のカップを引っ張り出して温めている間に、可愛らしい声がもう一つ。
「おはよう。折角だから貴方もどう? 朝から素敵なレディに囲まれてお茶が飲めるなんて、光栄よ」
 重そうな扉を小さな体で開け放った少女は、この屋敷の陰鬱な雰囲気を吹き飛ばすように明るく自分たちの名を呼んだ。この屋敷に来てからの短い期間にも、その自信にあふれた笑顔に救われることはあったし、きっとこれからもそうなるのだろうという気はする。
 だから、彼女もお茶の席に誘った。二人のように魅力的な存在と共に居られて光栄なのは本心だったし、自分一人で飲むお茶はやはり少し味気なくて、どうせなら人は多い方が良い。

 しかし、三人分のお茶を淹れ終わった頃、がちゃんと耳ざわりな音が響いた。思わず振り返ったが誰か人が増えていることもなく、物が倒れて壊れているということもなく、ぱっと見は先程と変わらぬ豪奢な一室のままである。
「今……何か、落ちなかったかしら?」
 自分では特に異変を見付けられなくて、二人を見詰めて問い掛けた。

【絡み有難うございます、早速素敵なお二人とお茶会出来て嬉しいです!】

>旭様、シャーロット様

22日前 No.9

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★rqRPsSgCf7_keJ

【 西四辻慎 / メイトランド邸 自室 → 大図書館 】

 異様な焦燥で目が覚めた。追い立てられるように瞼を開いて、しんと静まり返った室内に宥められる。まとわりつくような感触が気持ち悪くて、シーツを蹴った。汗まみれだ。不快感に舌打ちを零して、寝返りを打ってから体を起こした。しばらく、こんな目覚めが続いている。
 結局、得体の知れない屋敷に連れてこられて、数日が経っても此処から出られる気配は見えなかった。それどころか覚えてなければいけないことまで思い出せず、わけのわからぬ焦りに追われる毎日だ。いったい、何がどうなってやがる。自問自答を繰り返しては、答えの見つからないそれに苛立ちばかりが募った。こんなところで油を売っている暇はないはずだ。生半可な覚悟で、夢を追っているわけではない。
 ベッドから床に足をおろし、乱雑に服を脱ぎ捨てた。軽くシャワーを浴びて、着替えの服に手を通す。気分が悪い。ふらふらするのは低血圧のせいか、それとも、食事が足りていないだけか。見知ったばかりの、得体の知れない連中と顔を突き合わせてする食事というのもなんだか落ち着かず、おざなりになってしまっている部分もある。だが、こればかりは性分だった。どうしようもないな、と考えを巡らせて、ようやく部屋を出た。

 階段を降り、玄関ホールを通って、向かう先は大図書館と呼ばれるエリアだ。最中、小柄な女性が外に繋がっているのであろうドアの前で煙を吸っているのが見えたが、一瞥しただけで慎はその場を通り過ぎた。あの独特な苦みは、一度体験したらもういいと思ってしまう。過去の話だった。
 しばらく廊下を歩いて、再び静寂の間へと足を踏み入れる。大きく、広い図書館だった。本は所狭しと並べられ、ぱっと見たところ珍しそうな本だってたくさんある。へえ、と独り言を零せば、それは響かずに地面へと落ちた。

「……気色悪ぃな、誰が読むってんだ……?」

 この屋敷にいたのは機械人形とかいうふざけたあいつだけ。ならば、此処にこの本を集めたのも、並べたのも、奴がやったのか? 機械人形のくせに、本を読むのだろうか。得体の知れない悪寒を感じつつ、本棚の間をゆっくりと歩いて行く。
 奥に、ひとつの扉を見つけた。扉には、「禁書の間」と書かれている。禁書。あまり良いものを感じない響きだ。手をドアノブに伸ばし、捻ってみたが――開かない。

「まあ、そうだろうな……」

 再び独り言を零し、暫く扉を眺める。鍵か何かがあれば開くのだろうか。別段開かなくとも困ることはなさそうだが、禁書という響きに、少し惹かれる部分はある。持ち出し禁止というわけでもなく、ただ単に禁止指定されている本とくれば――此方に読まれては困る内容があってもおかしくはない。ご丁寧に施錠までして、そうまでして隠したい何かがあるのか。だとすれば、暴かなければ。
 再び扉に背を向け、広い大図書館の空間を見渡した。この中に鍵があるのなら、一人で探すのは気の遠くなる作業だ。ふら、ときた立ち眩みを、額を押さえてなんとか治める。

「……やるか」

 小さく零せば、再び本棚の間へと、足を進めた。

>>ALL様

( 本編開始おめでとうございます! 出遅れてしまいましたがまずは一人で行動させてみました、宜しければ構ってやってくださいませ。これからよろしくお願いいたします! )

22日前 No.10

なかの @dolce0105☆EIJm993bXx5T ★Android=HijRBqzqy2

【香霖堂 晴/メイトランド邸 ダイニング・キッチン】

 純度100パーセントの笑みを投げ掛けられ、こちらも手をヒラヒラと振りながら人の良い笑みを浮かべる。彼の持ち前の性格故か、もしくはその風貌のためか、ロマンという男からはどうも年の差を感じさせない。名前の通り、彼の胸に根付く浪漫主義は青年を溌剌とさせる。きっと良い歳の取り方をするのだろう。何となく、そう思った。
 喜の感情を全面に出してくるロマンの頭部、あるいは下半身からは獣耳や尻尾が生えているように見える。分かりやすくその感情を動きで示してくるそれらに対して瞬き1つ。そして、ついつい目を擦った。もちろんそれらが本当に生えている訳もない。

「ははっ、そりゃいい!オレもまだだったんだよな、朝メシ」

 そう言って、晴は後ろから伸びてくる合わされた手をぱちんと自身の手で軽く挟む。引き出しからナイフを取り出し、慣れた手つきでナイフを滑らせ、大きめのシフォンケーキを等分し始めた。その軽さに質の良さを覚える一方で、肩越しに聞こえるロマンの言葉にどこか釈然としない気持ちが生まれる。

「あー……?あー、まあそうさな。オレが開けた……のか?」

 ロマンの言葉は確かに間違っていない。確かに彼の言う通り晴がケースを開いた訳だが、何かが決定的に違う気がした。やや首を傾げるが、そんな些細な疑問は鼻腔を擽る香りにどこかへ飛んでいってしまう。

「ロマン、全部食っちまったりしねェようになあー。今のアンタの食欲なら……全部吸い込んじまってもおかしくねぇや。甘味をオレ達だけで全部ぶんどったなんて知れたら女性陣に何を言われるか溜まったもんじゃないぜ?」

 揶揄い混じりに笑ってそう言いつつも、晴は白い丸皿を2つ並べ、シフォンケーキを一つずつ取り分けていく。そこはちゃっかり、気持ち分大きめのものを選びながら。

>>ロマンくん、ALL

【ギリギリですみません!このレスで昼パートが終了した場合は、2人仲良くも騒がしい朝食を終えた体で次のパートに進めれば良いな、と思います……!】

19日前 No.11

ロマン @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

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18日前 No.12

遠浅 @konronka ★iPhone=FANTm8bY3H

【桃井アルヴァシャーロット/居間】

「ありがとう! ぜひいただきます」

ふわりとこちらに飛んで来た微笑みに、シャーロットもまた微笑みで返す。オルガお姉さんは紅茶が好きなんだ。勿論初めて知った情報だけれど、まるで昔から知っていたように、引っかかりなく心に落ちる。高価そうなティーカップがよく似合う彼女は、値をつけようもないほど高価な女性だと思った。その向かいに腰掛ける、これまた高価なエメラルド石のような瞳をしたお姉さんの隣に座る。紅茶の匂いに胸を弾ませていると、かちゃんっという音が耳に入る。何か落ちたか、とこちらを見つめられたので反射的に辺りを見回す。すると暖炉の横に、古びたトングらしきものと棒状のものが落ちていた。

「……これ、かしら? ほら、真上の壁に何か付いてる。きっとこれで固定していたんだわ。何故こんなものがここにあるかは分からないけれど……」

そう言いながらトングを拾い上げると、先に炭の焦げたような跡が見て取れた。成る程、暖炉の火を弄る為の物なのかもしれない。いつか野外でバーベキューをした時に、友人がトングで炭を並べていたのを思い出した。一緒に落ちていた棒も拾うと、暖炉の中を覗き込み、両の手で燃えさしの薪をガラガラと崩したり移動させたりしてみる。この棒が何かはよく分からないけれど、どうかしら、もしかしてサマになっているんじゃないかしら。なんてね。

>>オルガさん、マーチさん


【順番抜かしてすみません! 7日までレスしていいとのことでしたので少し進めてみました! これで昼パート終わりでしょうか? 短い間でしたが素敵なお茶会ありがとうございました! 】

16日前 No.13

れんな @riina☆NV9.aFlWgHaQ ★7bxWB9HAqF_EBO

【 エリク・ミラーノヴィチ・チュカノフ / メイトランド邸大図書館 】

 ──静黙たる大図書館に佇むのは、雪を身に纏ったような純白の青年。彼はその蔵書全てを余すことなく貪るかのように読み漁るべく、そこに誰が来ようと気付く事無く……片っ端から一冊一冊を手に取ってはぺらぺらとページを捲り一段落一節一文一句漏らす事無く目を通す。──速読。知識を求める心が突き動かした結果手に入れた技術。本に触れる時間は有意義だ。知識を獲得する一分一秒全ての刻に無駄がない。細い指先は次へ次へと紙を捲り澄んだ瞳は文字を追う。読み終えた本は元の位置に戻し、その隣の本を読み……それをひたすらに繰り返しては丸一日ここで居座っているらしい。やがて棚一列の本を読み尽くしてしまえば、きょろきょろと辺りを見回す。

(──まだ、まだ読み足りないな。幸いここにはこれだけ本があるんだ、三日かけても読み切らなさそうだ。満足するまで読めるかも。この屋敷についても何かわかればいいのだけど……)

 ふと、辺りを見回している時。彼の視界に一人の人物の姿が入る。何かを探すように本棚の隙間を縫うように歩みを進める彼──西四辻慎の背後から、気配を殺し足音を立てぬようにそろそろと近づいていく。そしてそのまま距離を縮め、彼との距離が十数センチ……という所で青年は唇を開いた。

「やあ! 君も本を読みに来たのかい?」

 爽やかな声。にこやかな笑み。ひらひらと軽く手を振りながら、青年──エルーシュカは挨拶を試みる。

>慎さん(、大図書館ALL)


【ご挨拶が遅くなりまして申し訳ございません。本編開始おめでとうございます! 何卒よろしくお願い致します〜。】

15日前 No.14

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★rqRPsSgCf7_keJ

【 西四辻慎 / 大図書館 】

 本棚の間を通り、来た道とは別の道を歩いていると、先程は本棚に邪魔されて見えなかったらしい机が見えてきた。どうやら此処がこの巨大な図書館の中心部であるらしい。先程の開かなかった扉のことが頭をよぎり、その机に迷いなく歩み寄ろうとした――その時だった。
 唐突の声だった。静寂が、明るく跳ねるような声で破られる。

「――ッ!?」

 ばっと振り返った先、そこにあったのは、見覚えのある――憎たらしいと思ってしまうような、底抜けに明るい笑顔だった。すぐに安堵、それから、明確な怒りが、慎の中に沸き上がる。そのままに、口を開いた。

「テメエふざけん、……っ驚かせんな! 普通に声掛けろや!」

 思わず詰め寄りながらそう声を荒げる。怒りの理由は単純明快、"ビビったから"、だ。人の気配のしなかった図書館、つまり警戒レベルは常よりももっとずっと低くて、そんな無防備なところへやってきた彼。心臓への直接的なダメージはかなりの数値をたたき出し、事実、慎の心拍数は驚くほどに跳ね上がっているというわけである。それを隠すような怒声は広い図書館に響き、なんとも虚しい空気を生み出しては消えていく。

「クソ、……付き合ってらんねえ」

 彼の挨拶と質問にこたえることなく、慎は彼に背を向け、本来の目的である机に向かって足を再び動かし始めた。手がかりがあるのなら何でもいい。とにかく一つでも多くの情報を集めなければならない。――恐らく、他の明確な目的を抱いた参加者たちよりも幾分かは、そう、思っている。きっと、背後の彼よりも。
 机の上に置かれた本。分厚く、作為的に見えるそれに、慎は訝しげに眉を寄せた。

「ああ……? 本じゃねえのか、これ」

 よく見ればそれは本ではなく箱のようだった。触れても開かない。ちょうどそのタイミングでタブレットが反応を示し、うんざりと言った様子でそれを見る。先程からいくつか送られてきているふざけた謎とやらが、また追加されたようだった。この謎解きをしなければ箱は開かないし、あの禁書の間とやらの謎も恐らく、このまま解けないままであることは確かだ。タブレットを操作し、そこにつらつらと書かれてある文章に目を通す。

 よくある形式の問題だ。だが、少し手間がかかりそうなそれに、慎ははあと溜息を吐いた。うるさかった心臓はだんだんと落ち着きを見せている。恐らく全員分のタブレットに同じものが送られているのだろうから、無理をして解く必要は無いのだ。わかっている。だが、このよくわからない箱を見つけたのは自分であって、この場にいるのも自分である。謎が解け、行動するのも必然と自分となるわけで、何が言いたいかと言えば。解きたいのだ、自分で。
 送られてきた問題文とじっとにらめっこしながら、慎は問題を頭の中で整理していく。正直者、嘘つき、臆病者、裏切り者――待てよこれ、面倒臭ぇな。まるで法学の問題に向き合っているときのような冷静さよりも幾分かイライラが募りはじめ、小さく舌打ちを零した。段々混濁していく思考が、半ば当たって砕けろの精神で答えを入力する。ブー。かちん、ときたのは慎が単純に短気であるからだ。

 やがて。

「……あ?」

 何者かが謎を解きました。タブレットに表示された文字列を見て、思考が止まる。――先を越された。負けず嫌いの炎がめらりと燃える。

 それから数分後、慎もようやく答えに辿り着き(まあ、一度外しているのだけれども)、眉間に皺は寄りつつ、どこか晴れやかな顔で机の上の箱に手を伸ばす。開いた。その中には、どこか見慣れた――チェスの駒のようなオブジェがひとつ。形状はポーンに似ている。それを取り出し、まじまじと観察した。上部の、球状になっている部分に何となく手をかけると、回った。中には。

「……んだこりゃ」

 駒のようなオブジェの中に入っていたのは、一枚の紙きれだった。それには、「破滅を予言した司書カサンドラは押し花に」という文字が刻まれている。意図の読めない文章に訝しげに片眉が上がる。箱の中には、他に何も入っていないようだ。禁書の間に入るための、直接的な道具は見当たらない。あわよくば鍵か何かがあればと思っていた慎にとっては、少し落胆する内容である。だが、これも確かな一つの情報だ。
 慎は、紙きれを何となく背後の彼に見せつつ、情報を共有しておきながら、最後にはそれをオブジェの中に戻し、それごと自身のポケットに突っ込んだ。開いたままの箱はそのままにしておく。ここを訪れた人間が、箱は開いたのだということをわかるようにしておくためだ。他に、禁書の間を開く手がかりを調べるのには、どうも時間が足りないようだ。他に人手があるならまだしも、自分一人――もしくは、彼と二人、程度では。
 大きな図書館に謎と、まだ本を読みたいという彼を残し、慎は一先ずそのエリアを後にした。焦燥は、未だに後ろから追いかけて来ている。

>>エルーシュカ、ALL様

( 遅刻すみません!!;; エルーシュカくん絡みありがとうございます! 全くうまく絡めてなくて本当にすみません……驚かしてもらって(?)ありがとうございました! 一応開いた箱の中身を描写しています、謎解きしてくださった方々、お疲れ様でした!^^ )

15日前 No.15

ロマン @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【ロマン・ヌエストラ・アトーチャ/自室→使用人室】

ーー浪漫溢れる冒険喜劇は、まだ始まったばかり。
謎が謎を呼び謎を追いかけ、夢見るロマンは施錠された部屋への侵入方法を見つけたのだった。


夜の帳が下りる。鳥籠の中から懐かしむ空の星影。
目を閉じいつだって思いを馳せたのは、零れ落ちそうな満天の星のささやき、波間漂う夜光虫の群れのかがやき、輪唱する海獣達の声のざわめき、真珠に似た月下舞う波飛沫のはなやぎ。ロマンが夜毎夜風に身を任せ甲板から眺め暮らした風景。ーー鳥籠の中には無い風景。
近づいては遠去かる港の灯り。銀河を流れる彗星になった心持ちで行き違う舟人に瞬きを送っては、不動の恒星に標べを求めた。夜半が訪れれば、黒く蜷局巻き弛まず果てなく繰り重ねる潮騒の音。射干玉色の波が、漆色の轟が、得体知れぬ怪物のように或いは巨大な黒き獣のように横たわる。それでも空と海との境界線は淡く仄白く輝いて、見えない明日の欠片を魅せる。暁の水平線に別たれ鏡となった水面(みなも)はまるで空と同じ数の星々を映し、揺蕩う夢追人の船はゆらゆらと上も下も右も左もない無限宇宙の星の間を漂流しているような危うい多幸感にさえ見舞われるのだった。目を閉じ、想うだけでも。

ベッドの上、そんな遥か過去の光に思いを馳せていた。俄かに暗闇の中で、碧い二つの目が開き、微かに残る僅かな光を集めて輝く。それは白日の下に見るあの好奇心と楽天的思考に満ちた若い煌めきと、違っているようで何処か脱け出せないでいる。正気か狂気か確信がハッタリか、夢現なる野心の閃き。……昔からロマンは、普段はちゃらんぽらんの馬鹿のくせに出し抜けのように不意にそんな目をした。突発的衝動だったのか、計画的行動だったのか、布団を蹴るように跳び起き、さっと抜け出した。



人目を避け、大した灯りにも頼らず、行き着いた先のドアノブをそっと回す。真夜中だというのに、案外歩き回っている住民は自分だけでは無いらしい。姿こそは見えねども邸を行き交う人の気配は確かにある。注意深く辺りを見回し警戒する。靴は脱いで足音を消し、派手な豹柄の上着も着ずに気配を押し殺して階段や廊下を過ぎれば、幸い顔を合わせる者は無かった。……方法は、ある。お陰様で、昨日まで施錠してあったはずの扉は簡単にこの来客を受け入れた。控えめな音を立てて出迎えた尚深い暗闇の亀裂に、息を殺したまま身を滑り込ませる。猫のような身のこなしの彼は、もしかしたら前世では本当に嘯く通りの泥棒か空き巣か何かだったのかもしれない。
後ろ手に静かにドアを閉め、やっと息を吐いた。灯りをつける。

「……使用人室……思ったより小さいな……」

どのくらいの期間閉ざされていた部屋なのだろう。揺らめく橙の灯りの中で、ぐるりと部屋を見回す。小さな灯りは囲む壁という壁に広がり、侵入者の影は大きく延伸した。人様のお屋敷の、しかも召使いの私室にケチ付ける気は全然無いんだが、と、相変わらずの独り言のあとで肩を竦めた。部屋は質素で、調度品も机とベッド、それからクローゼットがあるぐらいのものだった。この部屋の主だった者の人生はどんな風だったのだろうと想像力を馳せてみる。
「よし」一声、気合いを入れる。ひとまず侵入成功だ。視線で部屋中を舐めるように一巡りすると、口唇は好奇心にそっと弧を描いた。探検を始めよう。兎も角先ずは、男は黙って家捜しだ。ロマンはクローゼットを開け閉めして調べ、それから事務机の上や下引き出しの一つ一つに至るまで、今朝のキッチンでの食材探しと同じかそれ以上に入念に探った。

>

【夜間行動ロルです。部屋の内容を参考に書かせていただきましたが、何か間違い等ありましたら御指摘下さいませ……!】

14日前 No.16

機械人形クレル @yupihiko☆d.mPOva7Vfg ★0LsZL7CDei_sxd

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14日前 No.17

ロマン @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

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13日前 No.18

オルガ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【オルガ・ダングルベール/メイトランド邸玄関ホール】

 今朝のお茶会は本当に楽しかった。同性である自分の目から見ても綺麗な彼女と、可愛らしい彼女。二人に囲まれて穏やかに紅茶を啜るだけの時間は、思い出すだけでも僅かに広角が上がる。
「……だから」
 だからこそ、この微笑ましく美しい時間に終止符を打たなければならない。こんなところに、彼女達や他の皆を何時までも留まらせていてはいけない。
「早く、みんなで外に出るの」
 自らに言い聞かせるように呟けば、自室に置かれた椅子から立ち上がった。

 扉に鍵をかけ、向かうのは玄関ホール。
 やわらかなランプの明かりは、昼間よりも心なしか強くなっているような気がする。けれどその他はいつもと同じで、正面には大広間へと続く大きな扉と二階へと向かう階段、左右には一階の様々な部屋に続く廊下が伸びている。
 ヒールの音を誰もいないホールに反響させながら、歩み寄ったのは階段に背を向けた位置にある重厚な扉。恐らく外へと続いているのであろうそれは、押しても引いても出来心で蹴飛ばしても、矢張りピクリともしなかった。
「やっぱり正攻法じゃ駄目ね……此処も謎解きが必要なのかしら?」
 定期的にタブレットに配信されるよく分からない文言に挑むことが、捧げるべき知とやらなのだろうか。だとすれば血とは?――分からない、何も分からない。兎に角今は情報が足らなすぎる。
 結局何の宛もなく、重たい扉を睨み付けた。

>玄関ホールall
【取り敢えず今宵は玄関ホールをうろちょろします。】

12日前 No.19

機械人形クレル @yupihiko☆d.mPOva7Vfg ★0LsZL7CDei_sxd



【クレル/使用人室】


「過程を大切にする、ですか」

 過去に蓄積された記録などを脳内で辿り、なんとなく類似した事象を絞る。彼の言わんとしていることはなんとなくわかったが、一人で騒がしく話すその理由がまだいまいち理解しきれていないのか、クレルはぱちぱちと瞬きをする。はちみつのきらめきを散らして考え込むようなそぶりを見せるが、あとでじっくり考えることにしたのかふるふると頭を振ってロマンの話に耳を傾ける。

「楽しんでいただいているようで何よりです。不穏や不信は次へ進むを助けますが時として其れは破滅の近道にもなりますから」

 侍女カトリーナも楽しいのがいちばんだと言っていました、と付け加えたクレルはふわりと表情を和らげる。きゅ、と引き締まった唇がゆるやかにほどけてやわらかな笑みを形作った。聞きたいことがある、というロマンの問いは予測できた。このような状況に陥り、黒幕に最も近いであろう存在が目の前に現れたなら何かしらの情報を得ようとするのは当然だ。提供してもよいと許可が出ている情報ならば積極的に提供するようにと言われている。クレルはいちどゆっくりと目を閉じ、そして開いた。

「――――なんでしょう。私に答えられるものであれば」

 短くそう答え、果たして何を聞いてくるのか返答を待った。



>>ロマン

12日前 No.20

ロマン @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【ロマン・ヌエストラ・アトーチャ/使用人室】

クレルという美少年は、ロマン達十六人が此処メイトランド邸に連れてこられたその日、彼等の前に姿を現した不思議な機械人形だった。見目麗しい人の子の姿をしているが、耳を澄ませばその機械の体からは無機質に軋む音を響かせ、その身の節々は人形らしい球体関節によって繋がれている。かぶりを振る度に揺れる黒髪はさらさらと背中の上で揺らめいて見とれるばかりでも、その肌には温度もその胸には鼓動も、きっと存在しないのだろう。物腰は柔らかく礼儀正しいが、投げ掛けてくる言葉や疑問からは、クレルがやはり人間ではないこと、人の心を持たない機械人形なのだということを都度都度言い渡されているような気がした。そしてその上で自分達が人間という観察対象として試されているような心地さえした。

カトリーナ、とクレルの口から思わぬ名前が出たことに、ロマンは僅かに瞠目した。人形とは思えない本当の子供みたいな幼気な笑顔を目の前にして、反対にロマンは楽観的テンションで弧を描いていた口を微かに歪ませ、「カト、……」無意識にぷつぷつと繰り返す。ーーこの屋敷で、いったい何があったんだ。

動揺されていると悟られるのも、不本意だった。ハッとした驚きを飲み込み反芻し落ち着くと、ロマンは余裕ぶった動きで部屋の中を行ったり来たりし、ベッドに腰掛けるクレルの前でまたピタリと止まると背を屈めてその黄金色に煌めく瞳を覗き込む。

「疑問だらけに決まってるだろ。いきなりこんなクイズ屋敷に閉じ込められて、その主犯と繋がってそうなお人形さんが目の前にいたら。その水晶体(レンズ)越しに、あっち方さんに中継されていたりして」

ビデオカメラのレンズにそうするように「おーい」と戯けて、十本の手指を磯巾着のように忙しく器用に蠢かせ、それから瞳の向こうに仮定する第三者に向かって挑発的な投げキッスを贈った。無論、ハッタリに決まっている。これで、機械人形クレルの向こうに本当に監視する黒幕がいたとしたら無鉄砲の大うつけ。本当はそんなものはなくクレルが自立した意思を持っていたとしたらいよいよ虚しい馬鹿の一人相撲。
馬鹿の真似事、狂言者の戯言、「それじゃ、しっつもーん!」と高らかに手を挙げ声を上げ、クレルの隣にどかりと腰を下ろした。薄い簡易ベッドが、ギシリと音を立てる。

「俺達にこの屋敷の過去を暴かせて、どうしてほしいんだ? 国籍も年齢も立場も生い立ちもバラバラ、この屋敷の事だって所縁があるどころか互いに知らない奴ばっかり。それをわざわざ集めて、これは何かの実験なのか? それとも誰かへの復讐なのか? 俺達に何か訴えてるのか? まさかテレビ番組の企画の撮影とか言わないよな?」

一つ息を吐いてから、実にありきたりな問いかけ。口調は案外至って平静だった。「俺達をどうする気だ!」なんてよくある命のやりとりをするゲームものの主人公のように掴みかかったりなんて今はしない。彫刻のように美しい横顔から、返答を待つロマンは、左に倣ってぶらぶらとベッドサイドで脚を蹴り動かした。

>クレルさん

10日前 No.21

機械人形クレル @yupihiko☆d.mPOva7Vfg ★0LsZL7CDei_sxd



【クレル/使用人室】



 せわしなく室内を動き回ったり独り言を繰り返していたロマンは漸くクレルの隣に腰を落ち着ける。黄金のガラス玉に手を振るロマンの様子に首を傾げた。しかしロマンはそれだけでは止まらずこんどは矢継ぎ早に問いを紡ぐ。目を閉じて吟味するようにそれをしばらく聞いていたクレルだったが、それが止んだことを悟りゆっくりと目を開く。

「どうしてほしいか、ですか」

 問いを投げかけるロマンの様子を観察するようにじっ、と眺めた後、クレルは音もなくベッドから投げ出していた足を絨毯におろして立ち上がった。くくった射干玉の黒髪をしなやかに揺らし、ロマンを正面に見据えるような形で立つ。やわらかな明かりに胸元の宝石がゆらめく光を魅せた。

「――はじめに申し上げたでしょう。メイトランドの目的は魂の在処を探すこと。機械人形クレル≪私≫は長い年月をかけメイトランドの富と粋を集めて造られましたが未だ完全ではありません。ですから私は皆様のデータを収集し魂というものを知ろうとしています。それが我らの使命なのですから」

 それだけ告げるとクレルはつかつかと踵を返し入ってきたドアへと向かった。静かに扉を開いて簡易ベッドに腰かけるロマンへ一度だけ視線を向ける。

「あなたのその観察力と行動力があれば再び私に会えるかもしれません。またいつかの夜、どこかでお逢いしましょう」

 ぱたん、とクレルは扉を閉じ、わずかな明かりが揺らめく夜闇に消えた。わずかな機械音も、静かな足音も、もう何も聞こえない。



>>ロマン(〆)




【夜パート終了が近いので短いですがこれで〆ますね!】

9日前 No.22

六花 @firefly11☆KKBeOi5I.f6 ★Android=lm40plGUFw

【暮沢雪/メイトランド邸自室→玄関ホール】

 此処へとやって来て──正確に言うと訳も分からぬまま連れて来られて──数日。スマートフォンに届いたよく分からないメールを開いたそのあとのことは全く記憶が無く、気がついたら此処に居た。ただ、それだけ。
 雪以外にも同じ目に遭っている人間は他にも何人も居て、その他の皆はもうこの状況に順応してきているのだろうか。

 例えば睡眠。この屋敷に用意されているベッドは、此処ではない方の自室、つまり暮沢家の雪の部屋のベッドよりもふかふかしていて良質なものである。しかしどんなに良質なものであろうと、この状況下で心地好く安眠などできる人間は限られているのではないか、と雪は思う。眠れないほどの緊張感は抱いていないが、熟睡できるほどの安寧は得られない。まあ、それは此処に来る以前からそうなのだから今更だけれど。

 さて、現在雪は探索中である。と言っても、自室を出て探索を始めたばかりであるので目的すら定めていないのだが。
 この屋敷のこと、集められた目的、美しくまるで人間のようにしか見えない機械人形のこと。雪は未だ何の情報も手に出来ていないが、知らなければいけないことがたくさんあるのだから屋敷内を調べる必要があるのだ。それはきっと他の皆も同じだろう。そんなことを考えていたら、階段を降りた先に誰かの後ろ姿を見つけた。

「あ、……ダングルベールさん。……扉、やっぱり開かないですよね……?」

 金色に輝く美しい髪。玄関ホールに佇んでいたのはオルガ・ダングルベールであった。雪は外へと繋がっているであろう扉の前に立つオルガの側へと歩いて行き、扉をじっと見つめた後に彼女の表情をうかがった。こうして側に立ってみると、彼女の履いている靴のせいだろうか、彼女よりも雪の背の方が低いことを知った。

>>オルガさん、玄関ホールALL

【すごく出遅れてしまいましたが夜間行動です!今更なのですが本編開始おめでとうございます……(小声)
麗しいオルガお姉様に絡ませて頂きましたが、夜パートももうすぐ終わってしまいますしお気になさらないで頂けると幸いです;;】

9日前 No.23

オルガ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

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8日前 No.24

ロマン @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【ロマン・ヌエストラ・アトーチャ/使用人室】

ベッドサイドに立ち相手を見下ろす者と、薄い簡易ベッドのマットレスに腰掛けて相手を見上げる者。その位置関係は今や逆転し、ロマンがクレルを見上げる格好となった。隣に並び座ったつもりだったスプリングが機械人形の重さから解放されて、僅かな反動が波打ち際のように掌に寄せては返す。
「ふぅん」と興味深そうに相手の返答を聴いては、前のめりの姿勢から背筋を伸ばした。満足のいく答えでを得たように。それでいて、益々加速する物語を楽しむように。

「我ら≠ヒぇ……。確かに、金かかってそーな、高く売れそーなお人形さんだこと。でもさ、人の魂を知りたいなら、観察ばっかしてねぇでもっと皆と喋ったり遊んだりしたら良いんじゃねーか? ……なんて、俺が言えたことでも無いが」

組んでいた脚を解き、ゆったりとした部屋着の膝を叩いた。太陽よりも赤茶けた薄暗い灯の色を浴びて、昼間のようなキラキラ光る珊瑚礁の色にはみえない深い色の目を細めた。
まるで、完璧だった。目の前の麗しき機械人形も、用意されている閉ざされた洋館という冒険の舞台も、筋書きも。それ自体一個の生き物みたいに自分達を飲み込み、監視し、出来過ぎた謎掛け仕掛けをしてくるこの屋敷も。完璧だった。あまりに整い過ぎた綺麗さも、蠱惑的な魅力も、度がすぎると恐ろしい。けど、疑念も畏怖も 、好奇心や欲望と表裏一体なのだろう。だから、駆り立てられてしまったのだろう。

(俺達が仕組まれたように探らされているのは、虚構ではなく本当にこの屋敷の過去……? 肯定はしなかったが、否定は、しなかったな……まるでそういう前提みたいに)

ロマンが機関銃のように繰り出した質問の、核心は其処だった。かまをかけて反応を見ようとした。だがしかし、流石は、相手は機械人形。一筋縄ではいかないようだった。メイトランド邸の主人は金持ちの道楽に人造人間でも作ろうとしたのだろうか。その教材として閉じ込められた十六人は使われているというところか。

確かに、人間を超える思考を持つ機械人形や、故人の代わりになれる人造人間なんて、なかなかーー浪漫のある噺ではないか。
けれど此処で夢溢れる科学幻想譚に賛同するのも、他の面子を裏切るようだからやめておいた。彼らの中には切羽詰まって此処からの脱出を望んでいる者もいるようだから、其処は協力したいと考えている。

答えるだけ答えるとクレルはさっと踵を返し、ロマンを置き去りにして扉の方へと向かった。おい、と呼びかけるも効力は無く、話は此処までのようだった。まだ話したいことはある。扉に手を掛けた状態で一度クレルが振り返ると、ロマンは床を蹴るようにベッドから立ち上がった。ギシリと軋む音を背中で聞き、薄らと自信と余裕の笑みすら浮かべてクレルを追うように向き直る。向う見ずな夢追人の瞳は、薄闇の中でもギラギラとした光を失わない。かの眼をもってすれば、何時如何なるときにも希望と物語とをを見出せるから。

「……探している奴がいるんだ。……丁度、お前みたいな=v

言うが早いか、親指と人差し指を立てた利き手を空砲を撃つように頭上に掲げ、それをゆっくりと正中に据えたまま真っ直ぐに己の胸元の高さまで降ろした。振り返っているクレルを正面照準に捉え、莫迦の浪漫主義者(ロマンチスト)は屈託無く笑う。
ーー海闊天空。

「おう、だからまた会おうな! ……ってぇ! おいおい聞いてんのかー!?」

ぱたん。と空虚な音を響かせて、再会を願う声は分厚い扉に遮られる。今のちょっとイイシーンだっただろコラ! と、ぽん、と空間を切り離されたように、ロマンは真夜中の四角いオレンジ色の箱の中に置き去りにされた。やれやれ、とロマンは少し凹みのついた簡易ベッドを見遣る。もうクレルの声も、あの機械音も聞こえてはこなかった。全く、分からないことだらけだ。明日になったら共有しよう。

>クレルさん(〆)


【ぎりぎりに詰め込んでしまいすみません。短い期間でしたが、お相手頂きましてありがとうございました!】

8日前 No.25

スレ主/二章開始 @yupihiko☆d.mPOva7Vfg ★0LsZL7CDei_sxd

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8日前 No.26

スレ主/二章開始 @yupihiko☆d.mPOva7Vfg ★0LsZL7CDei_sxd



【二章一日目の期限を誤っていたため訂正です。
書き込みがまだないので期限延長しますね。

昼パート10/19〜11/2、夜パート行動決定11/3〜11/5、夜パート11/6〜11/13】

3日前 No.27

なかの @dolce0105☆EIJm993bXx5T ★Android=HijRBqzqy2

【香霖堂 晴/音楽室】

 住めば都とはよく言ったものだ。朝が来て、目を開いて。その目に映る天井への違和感は日を経るごとに少なくなっている。否。視覚こそ騙されつつあるが、触覚はそう簡単に騙されてくれなかった。晴は汚れ一つないシーツをギュッと押してやる。適度なスプリングが返ってきた。青年は、腰が少し痛みを訴えてくるような……そんなかの煎餅布団が少し懐かしい。どちらの方が質の良い寝具かと問われると、確実に今なのだが。
 くぁぁと欠伸を一つ零した晴は部屋の外へ出た。やたらと画数の多いネームプレートを一瞥した彼は、一先ず居間にでも向かおうかと歩き出す。青年は自分の苗字があまり好きではない。その画数の多さに幼い頃は辟易したものだ。テストや書道などの際に苦しめられた記憶は一度や二度ではない。印鑑は潰れるし、細い欄には書きにくいし。今もこの苗字はあまり好きではない。しかし幼い頃とは違い、晴はほんの少し大人になっていた。ゴタゴタ言っても仕方がない。きっと、これから先もこの姓と付き合っていくことになるのだから。
 異変に気付いたのは歩き出したその時だった。昨日までは確実に封鎖されていた場所が開けている。――興味が湧いた。階段へ向かおうとした足は方向を変え、未知なる領域へと踏み入れていく。隣の棟と繋がっている廊下には様々な絵画が飾られていた。少し興味深そうに眺めながらも、晴はそのまま廊下を通り過ぎていく。

 隣棟にはいくつかの扉があった。晴は扉に手を掛ける。ガチャガチャとドアノブを回してみたが、どうやら施錠されているらしい。早々に見切りをつけた彼は、隣の扉を開く。こちらの扉に関しては、すんなりと中へ招いてくれた。
 まず、晴の目に飛び込んできたのは黒曜に光るグランドピアノであった。一旦はその存在に圧倒されたものの、きょろきょろと辺りを見渡せば透明なケースの中に楽器の類が仕舞われていることが分かった。楽譜らしきものも飾られている。晴はその時、この場所が音楽室……もしくはそれにあたる場所なのだと理解した。
 しかし、最低限楽譜が読める程度の青年は音楽に特別明るいという訳ではない。先程の保管されている楽器に関しても、その違いに関してはさっぱり分からなかった。弦楽器に関してもそうだ。大中小と様々なサイズのものがあるが、晴には全て同じようなものに見える。チェロやコントラバスといった名称など知らない。青年にとっては、「小さいバイオリン」と「中くらいのバイオリン」と「大きなバイオリン」であった。しかし、値が張るのだろうということだけは分かる。香霖堂晴とは、そんな男子大学生だ。

 晴はおもむろにグランドピアノの蓋を慎重に開けると、鍵盤を指で弾いてみた。質の良い音がする。いつの間にか抜き取ってきた楽譜を片手に、晴は片手で鍵盤を叩き出した。素人である彼は、もちろんメロディラインを辿々しくなぞることしか出来ない。点を順に打っていくようなその作業では、勿論流れるような旋律が紡がれるはずもない。しかしどういう訳か、初心者にしてはスムーズに楽譜を追えている。晴が知っている程度には有名な譜ということもあってか、なんとか聞けなくもなかった。半拍遅れた晴の鼻歌交じりに、辿々しい演奏が続く。男は、妙なところで器用な質であった。

>>ALL

【遅くなりました、2章開始おめでとうございます!とりあえず音楽室に突っ込んでおくので、どなたでもお気軽にいらっしゃってくださいー!】

1日前 No.28

ロマン @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

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1日前 No.29

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★rqRPsSgCf7_keJ

【 西四辻慎 / 自室→音楽室 】

 まるで過去の映像のような、実際に体験したそれを映しているような夢を見た。今日はいつもと違い、追い立てられるような目覚めではない。ぱち、と目を開き、今見たそれが夢だったのだと脳みそが咀嚼する。寝起きの頭ではどうも整理がつかなくて、一度端に置いてから体を起こした。気味の悪い感覚だ。
 部屋を出て、ようやく覚醒し始めた頭が状況をようやくまとめ始める。部屋の扉が並ぶ廊下。シャンデリアのついた壁に、天井、それから自室に置かれた椅子やベッド。自分はこれを、知っている気がした。


 気味の悪い感覚を揺蕩うように、部屋の並ぶ東棟を歩いていたところだった。昨日は閉鎖されていたはずの渡り廊下が解放されていることに気が付き、迷いなくそちらへと歩みを進める。これが進歩なのか、それとも何者かの思惑通りなのかはわからないが、今は進むしかない。ただ何かに追われている感覚だけは確かにあって、自身を叱咤するかのように前へと進ませる。
 渡り廊下にはさまざまな絵画が飾られている。俗にいうアートギャラリーのような様相を呈しているが、慎はそれには目を向けなかった。既視感。見つめてしまえば帰ってこられないかのような、言ってしまえば幼稚な恐怖感が確かにそこにはある。夢で見たから見覚えがあるのか、それとも――慎はそこまで考えて、強制的に思考を閉じた。今これを考えている場合ではない。まずは目先のことを、だ。
 西棟にやってくれば、いくつかの扉が並んでいることがわかる。これをまた一から手探りかと思うと辟易してしまいそうだが、慎は小さく息をもらし、ひとつの部屋を選ぶ。こういったちまちまとした作業は嫌いではない。昔は、少しだけ苦手だったけれど。学業は耐えることだって大事だ。もどかしい思いをしなければ、その先に待っている結果にはたどり着けない。慎はそう思って、まさに今、もどかしい思いをしながら必死に戦っていた。早く戻らなくてはならない。夢を追いかけるには、時間も必要だ。

 防音らしい、少し重たい扉を開けると、真っ先に聴覚が反応した。ピアノの音がする。そうして次に視覚が、人の姿をとらえた。

「……、何してんだ、お前」

 清楚なピアノと、彼の背中に存在する龍があまりにも似つかわしくない。すらりと背の伸びた彼の、名前は確か――香霖堂。珍しい名前だったから憶えている。
 慎は彼の存在を認識して、扉を閉めようか逡巡した。部屋は他にもあるわけだし、此処をわざわざ二人がかりで探索する必要があるのかどうか。だが、先日の探索が頭をよぎり、再びため息を吐き出しては音楽室に足を踏み入れ、防音の扉を閉めた。ここはあの大図書館ほど広大ではないが、人手が多くて助かるのは確かだ。効率性を考えるなら、この年下の男と同じ空間にいたほうがいい。……いささか不本意ではあるものの。

 彼のいるグランドピアノに近付くと、その上には小さな置物がひとつ。黒鍵のないピアノだ。指先で触れると、見当違いな音が鳴るばかり。持ち上げて振ってみると、中には何かが入っているようだ。タブレットに謎解きが追加され、ああ、と小さく声を漏らす。

「……おい、ちょっとばかし手伝え。これ、演奏すりゃいいんだな?」

 ピアノの置物を戻し、その置物の蓋に書かれている曲のタイトルを指し示す。ピアノに触れることは久しい。小さい頃、好きでもないのに通わされていた音楽教室を思い出して、ほろ苦い気分になるも今は感傷にふけっている場合ではないのだ。こういうところで役に立つのなら悪くもない。まさか、閉じ込められている場所から脱出するために、音楽の経験が役に立つとは思わなかったけれど。細い指先が、法則性を見つけ出すために小さな置物に触れる。押した鍵盤と違う音が飛び出して、思わず眉間にしわが寄った。気持ち悪ぃな、八つ当たりのように隣にいる彼にガンを飛ばしながら、フレーズを頭に思い描く。


 やがて、小さな置物が自動的にそのメロディを奏で始め、ばね仕掛けのように置物の蓋が開いた。どうやら正解したようだ。ちら、と隣にいる彼を見て、中を見るように顎で示す。ゆるりと腕を組み、はあ、と再びため息を押し出した。

「いちいち謎解きかよ、……いい加減面倒くせぇな、クソ……」

>>香霖堂晴、ALL様

( 二章開始おめでとうございます〜! 改めましてよろしくお願いいたします。音楽室の晴くんに絡ませていただきました!^^ )

22分前 No.30
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