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帝都の帳に白菊を

 ( オリジナルなりきり )
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雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

表には必ず裏がありますように、表では文明や栄華が花開き、その裏では民草達の間で不安の蔓延った儚き激動の時代、大正。

そんな時代で今日も今日とて、やいやいがやがやと享楽に酔いしれ賑わう人で溢れた帝都東京で御座いますが、なにやらその蔓延る不安からか、民草の間では妙な噂がたっておりますようでして――――

「ねぇ、聞いた?『少女歌劇団』の幽霊話!また出たんですって。」

「うへぇ……また投身かよ。しかも、また同じ場所で、か。気味が悪いな。」

「そういえば、この辺りで妙な辻斬りが出たらしいですよ。怖いですよね。」

「美術館で、何か変なものを見たって。何だろーな?俺、美術は興味ねぇけど、そういうのは気になんだよ!」

「はっ、馬鹿みたいに騒いでらぁ。いやぁ、こういう姿は実に愉快だねぇ?」

この数多の人が入り乱れてる帝都のあちこちで、こんな風に噂が立ち上って広まりつづけるばかりでな、人の事件ならいざ知らず、法すら縛れねぇ物の怪の類いとなりゃあ、警察の方々も頭を抱えて噂だ、妄言だ、と切り捨てる他無いって訳よ。

ん?どうした。なになに、さっきと喋り方が変わった?お前は誰だ?
ははっ、お前さん。そういう細けぇ事気にしてっと早死にすんぞ?そんな死に急がなくとも、お前さんが知りたいと思えば近い内に分かるだろうさ。適当に待っとけ。

まぁ、話は戻って、だ。民草に蔓延った不安が何を招いたのか。和洋が入り交じるように、人に入り混じったのは何者か――――そいつらが人ならざる者だとすりゃあ、一体全体どうして、この激動の時代になって姿を現したんだろうなぁ?
探しちまえば、そりゃあ謎は全くもって尽きねぇさ。それどころか、糸口すら掴むのもむずかしいだろうな。

お前さんがどうしたって解き明かしたい事があるなら……そうさな。奇怪な噂広がる帝都の片隅、そこに佇む摩訶不思議な探偵社にて、ゆるりと解き明かそうじゃねぇのさ。
ただし、そこに糸口があるだけで手繰り寄せるのは他ならねぇ、お前さん自身だ。口開けてるだけで餌が放り込まれるのは池の鯉と赤子位なもんだぜ?

それじゃ、覚悟が出来たら来い。まぁ……そうだな、期待三割で待っとくわ。

【簡単に言ってしまうと、大正時代の東京を舞台にして妖怪と異能者達の集まった探偵社達が奇妙な事件を解決してシリアスに決めたり、合間でわちゃわちゃとしたりするスレです!興味を抱いてくださった方、よろしければサブ記事も覗いていったりしませんか…?】

メモ2018/09/26 14:36 : 雪鹿 @class★Android-42zyboh5vZ

いいね、18件もありがとう御座います!

本編開始致しました!色々と未熟ではありますが、よろしくお願いいたします!


【お知らせ】

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【序幕について&噂一覧】

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【規則】

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【舞台設定&用語集】

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【ロケーション】

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友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_o1k

【 表通り→フルーツパーラー / 清水小路宝座 】

 こっちよね? と言いながら花街へ戻る道に進もうとする親友を「はいアウトー!」と叫びながら正反対に身体ごと回転させる。拷問されても認めない勢いで自身の方向音痴を否定し続ける彼女だが、やはり誰がどう見たって紛うことなき方向音痴であった。方向感覚という概念が、恐らく彼女の中には紙に包んで袂に忍ばせられる程度の量ほども存在しない。たぶん十年間ずっと同じ道を通い続けたってまだ迷っているほどの娘だ。そんじょそこらの方向音痴とは格が違う。方向音痴界隈の絶対女王とはまさに彼女のこと。亞御嶽羅夢華が他人の助けを得ず自力で道に辿り着ける日があったとすれば、その日はきっと彼女が気付いていないだけで人間を道に迷わせる妖怪の妨害でも喰らっているに違いない。元からめちゃくちゃ道に迷いまくる奴が道に迷わせる妖怪と出会ったことで奇跡的に正しい道が歩めた。そんなミラクルでも起こらない限り、彼女は二十四時間三百六十五日ずっと元気に迷子の子猫ちゃんなのである。
 手を離したらこの子はすぐどこかに飛び出すから、なんて。まるで乳幼児を散歩させるお母さんみたいな心境で仲良くおててを繋いだまま表通りを歩いて行く。一本道とて油断してはいけない。羅夢華なら道無き道を道と断じて進み惑う。刑務所にぶち込まれれば刑務所の中で迷って気付けば脱獄していそうな少女なのだ、迷わせないためには一秒たりとも気を抜いてはならない。今己は戦場にいるのだとばかりに気を張り詰めさせなければ。……実際問題、下手な妖怪を倒すことより彼女を迷わせないことのほうがずっと難しい。フルーツパーラーの中に辿り着いても席に座らせるまでは指を絡めておこう。でなければ店内で姿を消す。そしてひょっとしたら謎の地下室とかに辿り着く。

「――ついたよ。ここがフルーツパーラーだ。さあ、貴方様が目の前にあるはずの店を見失わない内に早く入ろうか。ここは新鮮なオレンヂや林檎なんかを搾って作ったジュースが評判らしいよ。まずはそれを頼んで、デザートと軽食を何にするかは後で決めよう」

 果物のイラストが描かれた看板が堂々と掲げられたフルーツパーラー。洋風の造りになった出入り口を潜り抜け、和洋折衷な装いの店員がかけてくれる「いらっしゃいませ」の声をBGM代わりにどんどん店内へと進んでゆく。もちろん、その間にも親友と手は繋いだままだ。だってまだ彼女を椅子に座らせていない。油断は禁物。逆神の奇跡級な彼女の方向音痴を見縊ってはならない。
 緊張の数十秒を終え、宝座は無事に親友を迷わせることなく空いている座席へとたどり着いた。艶やかな茶色がチョコレートを思わせる木製のテーブルと椅子。窓際に近く外の風景をばっちり見え、日当たりは弱すぎず強すぎない絶妙な位置だ。個別にメニュー表までは用意されていないようだから、壁にかかったお品書きをチラチラ見つつまずは飲み物を頼むことを羅夢華にも提案。赤いペンで「おすすめ」と書かれているくらいなのだ、美味しいに決まっている。というか、店が推している品物がマズいようなら他の味もお察しだから飲み物だけで出たほうが賢明だ。

>亞御嶽羅夢華様&ALL様

1ヶ月前 No.41

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_862

【稲荷神社/風間 誠司】

「なるほど、帝都に居て善良に生きるなら君も立派な帝都市民だ。何か困ったことがあったりしたら俺に言いな……って言いたいところだが、そんな心配な要らないくらいにしっかりしてそうだな君は」

もちろん誉め言葉だぞ? と最後に笑いながら付け加えておく。
表情には出さないが流石にバレているなこれは、と心中で思う。少々露骨過ぎたかなこれは?
明らかにこちらを探るような目をしている、誠司は刑事としても年上としても彼より人間経験が豊富だ、見抜くまでもなく見ればわかる。
かといって探られて痛い腹はない、咎める必要も皆無だ、だから何も言わない。

「聞き分けが良くて助かるよ、こういう事件は物珍しさに野次馬が増えるからな、その野次馬が二次被害にってこともありうる。
 とにかく気を付けてくれ、君らに何かあったら親御さんに申し訳が立たんのでね」

ふっ、と先程までの張り詰めた雰囲気を打ち消すように柔らかく笑う。
風花のほうは心配はいらないだろう、元々大人しい性格だしここまで言っておけば警告を聞き入れてくれるだろう。
鷹男の方は、どうだろう? 一応口頭では気を付けると言ってくれたが、今は信じてみることにしよう。

「あー、なんか聞いたことあるなソレ。たしか付喪神だったか? 爺様曰く大事に使われた物には魂が宿るってやつだ。
 俺も風花さんの推理はいい線いってると思うぜ? たしかに美術品っていうからには相当な年月が経ってるだろうし」

今度は刑事としてではなく一人の人間として美術館の話に興味を示す、妖だの怪異だのを相手にしている身としては風花の話には筋が通っているように思える。
一度気が向いたら美術館にでも足を運んでみるかな? 何せ俺には異能を見極めるための”目”がある、解決とまではいかなくても多少の情報は得られるだろう。

>風花、青崎鷹男

1ヶ月前 No.42

つる @pantarhei☆Nt/e9xXE3HD0 ★iPhone=I0oBMgYLfe

【大通り・茶屋/赤坂憲司】

マニラ封筒を取り出すとノアが察するように此処を離れようかと提案してきた。奥ゆかしいのは結構だが、そんな所で日本に馴染まなくて良いものをと苦笑する。中身は別に大した物ではない。今月分の料金と自分達が把握している噂話の類や事件についての簡単な書類だ。まぁ、後でいいですよと言う感じで椅子にぱさりと置く。

「いや、気にしないでくれたまえ……君とて探偵社の人間だろう?

突き放す意図ではなく赤坂としてはどちらでも良かった。今は勤務時間外であろうし行くなら止めない、留まるにしても遠慮しない。そんな調子で諧謔的に肩を竦めてみる。すると椿がノアに一円札を二枚手渡した。そんなに羽振りが良いのは元から金持ちなのか、よほど探偵社が儲かっているのか…。そんな思案を突き崩すように椿の語りが始まろうとしていた。口が空くので煙草を咥えて火を灯す。知ってるかい?なんて語り口に「あくまで噂は」と相槌を打つ。兵営の中にも怪異の噂話が流れている。自分とて娯楽に乏しい士官学校時代にはそのような噂話を話半分に楽しんでいたものだ。兵達を責めるような真似は出来まい。但し、噂話で済まないような話が実際に起きているのだからタチが悪い。尾鰭がついて人心を惑わすこともある。あまりにも程度が悪く、士気に関わるような物は取り締まりが必要になってくる…。

「…妙ですな? 一の事実が増幅されて十になった……そんな噂話或いは愉快犯の類では? 最も……"秀次や以蔵"のような話になってくれば我々も動かざるを得ませんが…」

正直に言ってしまえば馬鹿馬鹿しいと言った感じで吐き出した紫煙がやる気なく宙を漂った。典型的な噂話の語り口だ。被害者が行方を眩ませたなら目撃者がいる以外に考えられまい。「秀次や以蔵」と言うのは「辻斬り」の揶揄だ。ノアに配慮してぼかしたつもりらしい。椿の妖しい笑みに吸い込まれそうになると背筋がぞくっと寒くなる気がして、思わず腰の拳銃に意識が向く。彼の食す団子がその話と脳内で二重写しになるような気がした。きゅーっと煙草を吸いこんで平静を取り戻す。いつだって堂々とあれ。

「……まだ続きがあるのでは?」

さも、それが知っている全てではあるまいと、ずいっと身を乗り出して直接的な詮索に出てみる。下策だろうか。

>椿様、ノア・ハーグフィールド様
【バタバタしてて遅くなってすみません〜!】

1ヶ月前 No.43

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_Vzx

【稲荷神社/風花】
「恐れ入ります。ただ、そういったものは人の感情から生まれいずる物であるとされていますから、悪性のものであるならば気のせいであると忘れてしまうのが最大の対処となりましょう」

 憑き物、あるいは(自分自身と由来を同じくする)付喪神の類ではないだろうか、という説明は、鷹男と誠司の両方に理解してもらえた。それどころか、わかりやすい説明だからもっと胸を張れという風花には過ぎた評価まで貰ってしまっている。それに対して礼を言うと同時に、思い出したかのように、その対処に関して口にする。
 気のせいであると考えること、忘れてしまう事、というのは、怪異と呼ばれるものに対して最大の効果があるだろう、と風花は考えている。何故ならば怪異が『人の想念によって生まれるもの』なのだから、その想念を消し去ってしまう事こそが怪異に対して特に効果がある物であろうし、それをさせまいとして彼ら悪性の怪異が人に対してちょっかいを出して、あるいは人に対して害を与えることによって自らの存在を表すのだ、と思うのである。なればこそ、風花も必要とされることによって善性の思いでわが身を繋ぎとめようと考えたのだ。

「……とはいえ、一度噂になってしまうとそうそう忘れられるものでもないですよね」

 私でさえそういうものが気になりますものね、と、口にしてみせる。
 美術館で見られている気がするだとか、あるいは辻斬りが出るだとか。神社に関係が無くともそういう負の噂が立つのはなんだか嫌な気分になる物だ。何故ならそういううわさが大きくなればなるほど探偵社が動くだろうし、知り合いも少なからずいるだけに、彼らが万一にも傷ついているのを見たくない、という感情が働いてしまうのだ。

>>青崎鷹男、風間誠司、周囲all

1ヶ月前 No.44

五十鈴 @isuzu0☆LocDP0eky2k ★6nv8TkWG5g_mgE


【 裏通り / 水無瀬 紗代 】


 またぎゃいぎゃいと言われるかと思えば、音色は少し弱々しいというか、深く考えていないというか、回答に困っているというか……。どれにしても当てはまりそうだが、この答えは恐らく回答に困っているのだと思う。それぐらい頭のネジが数本取れている(と思われる)紗代でも容易に分かる。そこで上手く切り抜けようと彼女はよく『 言葉の綾 』という言葉を多用している。少々使い方としてはおかしいものの間違っているなんてことは言わない。現に頑張って日本語を覚えている彼女なのでこれから沢山知っていけばいいだろう、と親戚のおじさんのように思うのであった。気にすんな、と言われては流すしかないので「 フランツィスカ様がそう仰るのなら、気に留めませんね。 」といつものようににっこり笑う。

 自分の目に映ったことをそのまま告げると先程と同じように声を荒げて、弾丸のように飛んでくる。あまりの言葉攻撃に振りではあるが困った様な笑みを浮かべて背を後ろへ反ってしまう。おー怖い怖い、とほんの少しではあるが内心で気圧される紗代だが顔には一切出さず、何とも器用な男である。向けに向けられた鋭い言葉が一先ず落ち着いて、ゆっくりと腕組みをしている手を解く。背を後ろへ反らした弾みでシルクハットがずれてしまったので右手で直す。


「 ふふふっ。あまりの必死さに少し気圧されてしまいましてね。 」


 ブラウンの瞳を閉じてまた小さく笑うと、つい内心で感じたことを伏せていた瞳を開けながら告げてみる。気の強い女性というものは彼女のことを言うのだろう、自分の母親とは全く違うな、と何処か懐かしむように彼女を見つめる。猫事件のことは忘れろ、と押し付けられては忘れようとも忘れられない気がする。が、此処で素直に言えば……、なんて結果が分かり切ったことを何度もする紗代ではない。左手を前にして腹部に当て右手を後ろに回し、静かにお辞儀をしながら「 善処致します。 」と告げる。借りがどのようにして返されるのか想像しながら、ゆっくりと顔を上げていく。

 猫事件のことは一旦置いておこう。昼飯の提案をして彼女の反応を待っていると、驚愕を露にしてすぐに無理矢理に笑みを浮かべた。自分が誘ったのは意外だったのだろうか、と首を傾げてみるがどうやら彼女もまだだったようでぱあぁっと紗代の顔が明るくなる。明後日の方向を向く彼女を余所に誘って良かった〜、と言わんばかりに嬉しそうな笑みを浮かべる。


「 そうでしたか! それならご一緒に行きましょう。私(わたくし)、おむらいすが食べたいのです! 」


 友達作りに試行錯誤中の紗代にとってこれは大いに喜ばしいことで、今まで真面に一緒に食事をした人物は同僚の紅だけ。独り飯も考えていたが、まさかの回答についついはしゃいでしまい自分の好物を口にする。あっとしたように口を閉じて少し落ち着いた音色で「 フランツィスカ様は何が食べたいですか? 好きなもの言って下さい。私が奢ります。 」と彼女の食べたいものを聞き出すように問いかけ、自分から誘ったから自分の奢りだと言うようににこやかに微笑んで言うのであった。


>フランツィスカ・レーヴェンガルト様、ALL様

1ヶ月前 No.45

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【稲荷神社/青崎 鷹男】

三人はすっかり立ち話に没頭し、暫しの間談笑に花を咲かす。しかしその内容は少しずつ、不穏なものへ移り変わっていく。

「忘却……それは盲点だった」

両腕を組んだ状態から片腕で顎を軽く押さえ、関心した。
人の思念を礎とする存在であるならば『いない』と断じてしまえばいい。成る程、これまた筋が通っている、流石は現役聖職者だ。
が、既に噂として一定以上の規模で広まってしまった現状を鑑みるに、それはもう難しいとも彼女は語る。

「こうして見ると、怪異というのは本当に厄介なものだな」

その性質上、出所をはじめとした正確な情報が掴みにくい。遭遇する場所や緊急時の対処方がわからないのは、圧倒的に不利だ。
もっとも、自分としてはその方が興が乗るわけだが。

「やはり、せめて正確な位置くらいは把握したい」

此方から仕掛けるにせよ、民衆に注意換気を促すにせよ、出現地点が割り出せなければ話にならない。
雲を掴むようなものだ、と漏らしため息をつく。ふと、そよ風が頬を撫で、鉢巻きをたなびかせるもそんなことで気は紛れない。

「誠司さん、あんたの方で精密な捜査は出来そうか?」

しかし、ここには調査活動に長けた人物が一人いる。彼ならばいち早く情報整理を済ませられると判断し、相談を持ち掛けた。

>>風間 誠司、風花/弥山 六花

1ヶ月前 No.46

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【裏通り/フランツィスカ・レーヴェンガルト】

いつも悪餓鬼のような粗暴かつ荒々しい振る舞いのフランツィスカではあるが、これはあくまでも嘗められないために心掛けているものなのであって、中身は決して年齢よりも年下ではなかった。むしろ常識はある方だと言っても良い。そのため明らかに紗代の対応が親戚のおじさんが姪っ子にするそれのようであっても、フランツィスカはぎゃんぎゃんと騒ぐことはなかった。あちらが大人の対応をするというのなら、此方も同じ手で応じるまでのこと。フランツィスカはこれまでの荒々しさを深呼吸することで収めて、何歩か後ろに下がった紗代に向き直る。気圧された、なんて口にしている割りにはやけに余裕があるように見える。この余裕は何処から来るんだよ、と思いつつフランツィスカは落ち着いた物言いを心掛ける。

「ふん、そうかよ。お前が気圧されたなんて、珍しいこともあるもんだな。今度は思いっきり驚かせてやらぁ」

フランツィスカとしては落ち着いているつもりなのだろうが、いかんせん日本語の語彙が簡単なものばかりなので言っていることは二流の悪役のそれに近い。下手したらスラム街でしゃがみこみながらガンを飛ばしている若者にも近い何かを感じさせる。要するに柄が悪い。その一言に尽きた。とりあえずこれ以上猫と自分のことについては触れないようだったので良しとしよう。しかし近所の方々に日本語を教わっているフランツィスカとしては、善処しますという答えは遠回しに相手の要望をお断りする時に使うものだと聞いていたのでやりきれない感じが拭いきれなかった。水無瀬紗代、やはり手強い。今度こそは醜態を見られないようにしようと心に決めるフランツィスカなのであった。

「お、おう。オムライス、か。良いんじゃねぇの?あたしもまだ食べたことないし。お前が言うなら美味いんだろうよ」

食えない奴だと思っていた相手がいきなり童子のように瞳を輝かせて表情を明るくさせたものだから、フランツィスカは若干驚きながら受け答えに応じる。オムライスという料理の存在はフランツィスカも知っていた。たしか溶き卵と白飯、そしてみじん切りにした具材をいっしょに炒めて作るものなのだとか。最近では卵に米を包ませる形状のものも出ているという。この前依頼を請け負ったモダンなお兄さんがそんなことを言っていた。美味そうだな、とは思うものの普段食べている料理以外のものとなるとなかなか手を出せないフランツィスカはオムライスを口にせぬまま今日まで生きてきた。恐らく思い出しても食べる機会はないだろうと考えていたので、今回の紗代の誘いは素直に嬉しかった。人混みだとか複雑な人間関係を構築するのが苦手なフランツィスカも、いつでも一人でいたいという訳ではない。たまにはこうして誰かと外食するのも良いものだ。

「とりあえず、さ。お前の行きつけの店は知らないからよ、其処まで案内してくれ。あたしはお前の後ろをずっと着いていくから」

とにもかくにも、件の店に向かわないことには何も始まらない。フランツィスカは腰に片手を当てながらそう紗代に提案する。長身の紗代を見失うことはフランツィスカだってないだろうし、そもそもフランツィスカの方向感覚はいたって正常だ。よっぽどのことがなければ道に迷うことも少ない。故に、此処は紗代の案内に任せて着いていくことにしよう。

>>水無瀬紗代様、周辺all様

1ヶ月前 No.47

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_862

【稲荷神社/風間 誠司】

「まあ根本的な対処が難しいよな、そういうのは。何かに満足すれば消えるのかとかすら分からん、これはそのうち探偵社行きの案件になりそうだな。
 この件に関しては多分警察は動かないだろうしなぁ、直接的な被害が出てないし被害が出ると確信しない限りは事件性が無いと判断されるだろうし」

これは誠司の見解だが美術館に関しては警察は動かないだろうと言う、何故なら危険性が無いし、視線を感じる”気がする”という点で止まってしまっている。
確かな証拠と事件性が無い限り警察は動かない、仮に動いても解決できるかも分からない、一番確実なのは風花が懸念しているように白菊探偵社に話を持って行くしかない。
少なくとも警察に持って行くよりは安上がりで労力も少ない、一応警察にも怪異専門の窓口はあるが形だけと言ってもいい、出来ることは白菊探偵社に依頼を持って行って解決のためのバックアップをすることだけだ。
この事態に関して誠司が思うことは多々あるが、こればかりはどうにもできない、。そして鷹男の言葉に表情を険しくする。

「あのねぇ、俺はさっき遠回しに首を突っ込むなって言ったつもりだったんだが……辻斬りの件に関しては捜査情報は”一般人には”絶対流せない、美術館の件にしても今までは何もなかったにせよ何か起こりえる可能性は無視できないんだ。
 注意喚起も警察の仕事で捜査には俺も加わっているが、その進捗も話せない。もう一度言うが面白半分にせよそうでないにせよ首を突っ込むな、警察から帝都市民に協力してもらうのは必要な際に指示に従ってもらうくらいだ」

険しい表情で少しばかり手厳しいことを言う誠司、例えこの場の空気を悪くしようが一般人に首を突っ込ませるわけにはいかない。
たとえ鷹男がどれだけ強くても捜査に加えることは出来ないし、情報を流すことも出来ない。だからこそ恥を忍んで白菊探偵社に話を持って行こうという所だったのに。
辻斬りの件に関してはもはやただの辻斬りでないことは明白であり、美術館の件も積極的に一般人に首を突っ込ませたくない、今まで被害が出ていなかったからと言ってこれからも被害が出ないとは言い切れないのだ。
だから誠司としては、刑事としては嫌われようとも首を突っ込むことを諦めるまで言い聞かせるしかない、万一にでもこのような好青年を公務執行妨害で逮捕などしたくない。

>風花、青崎鷹男

1ヶ月前 No.48

すみれ @sumi0 ★iPhone=Ej8Qiw6j0k

【 裏通り / 内海律花 】




花街へ行くのは苦手だけど、他人が行くことに干渉するほどではない。それが存在するのには必ず何かしらの理由があるのだろうし、それを求める人たちにとってなくてはならない場所だと、律花は知っている。父親も他所で女を作るようなクズ人間だが、それでもあの男にはそれが必要だったのだろうと思える。許せるかどうかは別として。

だがしかし。律花とて子供ではないのだから、花街がどんな場所くらいかは知っている。まあそれもある程度、と形容する必要があるが。しかし、それを踏まえてかわいいかわいい友人がそこに通っているのだとすれば、その、少しの心配もしたくなるというものだ。実際、紅へ投げかけた問いに何が返ってくるのかと怯えていた。

が。彼女の口から出て来た言葉は予想外(、いや、そうではないかと少しは考えていた)で、少し、いや、内心かなりホッとした。


「そう、なの……? こんなこというのもなんだけど、良かった。それにしても、お座敷遊びか。紅ちゃんは本当に好奇心旺盛ね。ふふ、でも、私もそれくらいなら少し興味があるかも」


彼女の、楽しいものを追い求める姿とでもいえば良いのだろうか、まるで冒険小説の主人公のようなところが、律花は大好きだった。素直で、優しい。笑顔が似合う。感情表現が豊か。自分とはかけ離れているところに、憧れのようなものがあったのかもしれない。

花街に行ったことはないので興味はあるが少し怖いという紅に対し、律花は学校ではそんな風に教えられているのかと一人感心した。まあ、みんなはみんなそうではないけど、確かにそういうことを職とする人も少なくはないのだろう。


「花街、はねえ……とても賑やかだけど、どこか静かなの。とっても艶やかな雰囲気で、すごくアダルトチックなところ。私はそのいろっぽい雰囲気に呑まれそうになるのが少し怖いのだけれどね。楽しい人は本当に楽しいのだろうなあ」


今日すれ違った人を思い出しながらそう答える。とは言っても、下を見つつ駆け足だったので、あまり詳しく話せるわけではない。しかし、すれ違う何人かをふと見れば、みんなにこやかな笑みを浮かべていたハズだ。


「あ、そうだ。折角なら、花街にある喫茶店、今度一緒に行ってみる? 私は大福がお気に入りだけど、種類も豊富だったからきにいるんじゃないかな。ふふ、紅ちゃんの素直なところはとってもいいところだよ。それを利用しようとする人もいるかもしれないけど、何かあったら私が助けに行くわ」


そんなことはないのが一番だけど、と笑いかけた。それでも、職業が職業なのだから、万が一がないとは言い切れない。実際に危ないことも何回かあった。彼女は優しいから利用されてしまうかもしれない。たまに紅と話しているとき、律花はふと考える。それでも、何かあったら駆けつける仕事仲間がたくさんいるから安心だと思って一人で少ししあわせになるのだ。

今日はなんだかいい気分だなんてのんきに考えながら、お土産という言葉に目を輝かせた紅に、中身を告げようと口を開きかけたが、少しの悪戯心が芽生えてやっぱりやめた、と口を閉じた。


「帰ってからの秘密にしましょう。ご褒美もお楽しみも、待っている時間が長いほど嬉しいものだから。ね、そうでしょう?」


言いながら、うん、やっぱりそうだ、と自分でうなずいた。母の受け売りだけれど、的を得ている。まあこれ、言う方は幸せでも言われる方は余計じれったくなってしまうのだが。そこはごめんね、紅ちゃん。

裏通りに仕事を探しにきていたのだと胸を張る紅に、仕事熱心で偉い、と思わず拍手した。それに比べて私は喫茶店なんて! もっと頑張らなくちゃいけないわ。一人そう考えて、よし、と拳を作る。
まずは何から始めようかと思った矢先、新しい仕事はお土産を届けることだと意気込む紅に、肩の力が抜ける。そうして、土産袋を逆の手に持ち替え、差し出してくる手をそっと包み込んだ。


「いいえ、最高の人選よ。じゃあ、早く任務を完遂させましょうか。ああ、でも私、途中で心惹かれるお店があったらそこに立ち寄るのも大事なお仕事だと思うの。今日はせっかくのお休みなんだもの、楽しむことがお仕事じゃない?」



>>紅ちゃん、周辺おーる さま

1ヶ月前 No.49

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_Vzx

【稲荷神社/風花】
「左様でございますね。今日まで何もなかったからといって、今日、あるいは明日なにもないとは言い切れないものでございます」

 誠司の言葉に同意を表す。風花とて、何が起こるかわからないという不安定さは承知している。それが本当に怪異相手ならなおのこと、今まで動いていなかったからといって動く力が無いだけとは言い切れず、ただただそれまで潜んでいただけという見方が出来ないわけではないからだ。

「……確かに、青崎様は武道家として優秀な腕をお持ちなのだろうとは思います。ですが、警官ではない以上、貴方様が今危険な真似をなさるのは出過ぎというものでございましょう」

 それまで鷹男と誠司の会話を黙って聞いていた風花であったが、誠司が剣呑な雰囲気を醸し出したのを合図に、ほぼ彼に同調する形でそのような事を口にする。誠司が何故わざわざ自分たちにこの話をしたのかという事を考えれば、あくまでも注意喚起のためであり、腕試しをしろと言うための物ではないことは明白だ。

「警察には貴方様以上の腕をお持ちの方もいらっしゃいましょう。彼らが失敗したならば、自然とお話が青崎様にも回ってくるのではございませんか?」

 暗に、今はまだ動くべき時ではなく、警察から頼まれてから大手を振って怪異と対峙すればよいのではないか、と、鷹男に問いかける。特に後半は、鷹男と誠司のどちらもが良い顔をしないであろうことはわかっていたが、この場の剣呑な空気をいったん納めるならばそれが最も良い豊作なのではないか、という風に考えたのである。

>>青崎鷹男、風間誠司、周囲all

1ヶ月前 No.50

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【稲荷神社/青崎 鷹男】

誠司から返ってきたのは明確な拒絶、だがそれは立場上の役目から来るものだ。彼の論は当然といえる。そして六花も丁寧な説明を付け加えてくれた。彼女のそれは慎重に言葉を選んでのものと思われる、その思慮深さは聡明というほかない。

「わかった、そっちから助力を乞うまでは決して関わらない」

迷うことなく快諾の意を示す。無論闘争心の疼きを完全に抑えられたわけではないが、それよりも誠司の、警察としての職務と責任を全うしようとする姿勢に感服したのだ。警察全体には失礼かも知れないが、彼ほど気骨のある人物は中々お目にかかれない。だからこそ、ここで踏みとどまり治安維持組織として一任しようという判断を下せた。

「その時が来るまで、いち帝都市民として日常を謳歌させて貰うさ」

嫌味のない、やや崩した笑顔で返答を終える。あそこまで大見得を切ったからには、少しくらい成果を挙げて貰わねば承知出来ない。現時点での警察の底力、お手並み拝見といったところか。

(さて……)

これからの方針は決まった、しかし日没までにはまだ結構な時間がある。それまで何をしようか。今のところ割りと貯金はあるので日雇いの仕事を無理に入れる予定はない。ではスラム街でならず者相手に拳を振るうか? それも悪くはないが……

「六花、暫く話さないか?」

ふと、そんな言葉が口をついて出た。深く考えたわけではない。寧ろほぼ直感的である。ただなんとなく、彼女と一緒に過ごしたいという思考がぼんやりと浮かんだのだ。

>>風間 誠司、風花/弥山 六花

1ヶ月前 No.51

火林 @redgreen57☆jAJGLtPWRlCc ★iPhone=1LYsfyzIpw

【 大通り・茶屋 → 表通り・作楽亭 / ノア・ハーグフィールド 】


これから件の洋食屋に行くことを把握したのであろう社長は、多少と言いながらも多い位の札を2枚ノアへと持たせてくれた。この時代この職業についていながら、ぽん、といとも簡単にこの金額を食事代として出せるのはかなり羽振りが良いのではないだろうか。元々金銭に関して彼が頓着しているようには見えなかったが、あながち間違いではないらしい。社長のことだ、ノアたち探偵社員の見えぬ存ぜぬ所で荒稼ぎしているに違いない。なんてったって個性派揃いの探偵社員を纏め上げ、体制を崩すことなくこの時代を不自由無く生きて行けているのだから。社員へのお給料だって、決して少なくは無い。せめてこのお金だけは賭博で賭けてはならないと決心した。
ありがとうございます、社長。今月のお給金から差し引いといてください。……とは言わなかった。ここは素直に受け取っておいた方が良いのだろう。

引き止める、とまでは行かないだろうがここに居ても平気だとでも言うように赤坂大尉が言ってくれたことが少し嬉しい。先程出会ったばかりだが、ノア自身のことを探偵社員として少しは認めてくれているからこその言葉だと良いと思った。封筒が放られたことから、さほど大した要件の書類が同封されている訳では無いのだろうなとも考えたが、大人は大人同士で話したいこともあるだろう。
社長には崇めるように、赤坂大尉にも再度団子や餅の礼を言い、ノアは振り返ってかの洋食屋では何を食べようかと思案しながら歩き出した。



行き交う人々の隙間という隙間を小柄な体躯を活かしてスルスルと通り抜け、ノアはさほど時間もかけずに目的地である知り合いの働く洋食屋____もとい、『作楽亭』へとたどり着いた。もう昼時だ、先客がいるのであろう店内からは故郷で嗅ぎなれた料理の香りがふわりと漂ってくる。ぐぅ、きゅるる、と子犬のような鳴き声の腹の虫を宥めて、店のメニューに思いを馳せて扉を開いた。

中へ入ると背後の扉が子気味の良い音を立てて閉まる。そうして空席を探して店内を見渡せば、そこにはよくよく見知った顔があるではないか。


「あー! おはよう、冥利さん! あれ、もうお昼だからこんにちはですかね?」


カップへ注がれた湯気の立つ白い液体はミルクだろうか、それと共に彼の口へ放られたシベリヤと思しき食べ物をしみじみと咀嚼する青年は同じ探偵社の社員であった。この国ではあまり見慣れない、しかしノアにとってはよく目にする格好の彼はこの店の雰囲気にすっかり溶け込んでいる。今日の柔らかな日差しでも溶けてしまうのではないかと思うほどのホワイト、それと正反対の赤色の瞳は血液を滲ませたようにも見える。どこかうさぎを思わせる彼の風貌はいい意味でこの土地には似合わないとも思う。


>>椿さま、赤坂さま、冥利さま

1ヶ月前 No.52

鶏チキン @rmlp3322 ★wejhOBMSnu_keJ

【花咲紅/裏通り】


 紅はもう少し自分が大人になって、律花と花街へ行く想像を膨らませた。母や学校の先生や、律花のように落ち着きのある大人になって、艶やかな花街をふたりで歩くのだ。もうその頃には花街には行き慣れていて、自分と律花は故郷のように花街を歩くのだ。数年後、自分はどうなっているだろうか。あと二年で紅は成人する。そうしたらお酒だって飲めるだろうし、今よりももっと様々なことを知っている大人になるのだ。「たのしみねえ」紅はついそう口から漏らしてしまった。


 紅は律花の話を頷きながら耳を傾ける。紅の頭の中でとろりと濃い、練香水の香りが充満した。きっとそんな街なのだろう。女の香水と、キセルから吐かれる重たい煙。

「あだるとちっく、なのね。やはり、紅には少し早いようだわ。きっともう少し精錬された女性になってから、ええ、それこそ、あだるとな大人に! なってから行くような場所なのね」

 紅の中でいろっぽい、というのは彼女が勤める探偵社の社長のような雰囲気だ。落ち着きがあって、甘いようでスパイシーな感じだ。律花の印象はいろっぽいというよりも爽やかな凛々しい大人だが、花街にいる彼女はアダルトチックなのだろうなあ、と悠々と歩く彼女をまた頭の中で思う。

「律花さんのような大人が遊ばれる場所なんだもの。――でもやっぱり興味はあるの! その喫茶店にはぜひ行ってみたいわ! 花街の中の喫茶なんて、ああ、なんて素敵なの!」

 ニコニコしているうちに律花の忠告も聞き流してしまうが、私が助けに行く、という頼もしい言葉には満面の笑顔で返す、「ええ! 律花さんたちが守ってくださるんだもの。紅は安全だわ」と。危ない職業だ、と言われても心の奥底ではでも自分は大丈夫、と思っている甘い部分がある。紅は危険とは縁知らずで生きてきたのだから根本では命の危険を理解していないのだろう。


 お土産の中身を、まだ秘密、と言われて心から残念そうな顔をするが待っている時間が長いほど嬉しいでしょう、という言葉を聞きまたパッと顔が明るくなる。一人百面相だ。

「それはそうね! お仕事をしたあとのちょこれいとや、時々出会える友人のようなものよね。律花さん、まるでわたしのおねえさんみたいね。わたしに姉はいないのだけれど、もしいたら律花さんのような方がいいわって思うわ。うふふ、わたしのおかあさんも今日のおやつが何なのか教えてくださらない方だったから、なんだか思い出してしまったの」

 もしかしたら厳格な母も、ご褒美も楽しみにしている時間がいちばん嬉しいと知っていたのかもしれない。楽しみという言葉とは無縁の女性だと思っていたが、実は自分よりもいろいろな楽しみを知っていたのだろうか。
 握られた手に嬉しさが隠し切れないように口元を緩ませながら頬を桃色に染めた。そして繋いだ手をぶんぶんと振って律花に笑いかける。まさに飼い主と散歩をするときの犬のような喜び方だ。
 どこか立ち寄ろう、と言われて思わず香水が欲しいと頭をよぎった。それは先ほどの花街のイメージからだろう。香水など付けたことのない紅だが、もう十八なのだし少しませてみたい気持ちがあった。

「ならね、私ね、香水が欲しいわ。大人っぽい、お花の香りがするものがいいわ。でもわたし香水や化粧品なんて買ったことがないからお店を知らないの。律花さん、ご存知?」

 >律花、ALL

1ヶ月前 No.53

雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

【大通り・茶屋/椿】

なにかと思う所はあったらしいが、のあは膝上から去って語る頃には赤坂と俺の二人になっていた。それに関しちゃ、特に思う事もねぇが……ま、どうせ明日には顔を会わせるしな。別に急ぎって訳でもなし、なにより二度手間になって面倒くせぇし……依頼の話は後でいいだろ。
結局、店員が持ってきた湯飲みを口許へ持っていき、赤坂の置いたマニラ封筒を横目でちらりと何時ものか、と一瞥すれば、特段去り行く彼には何も言わずに見送っておく。人目は既に何処へやら、のあも下手な事しなけりゃ目を付けられる事もねぇだろうさ。

さて、そうして話した話の齟齬に赤坂は当然気付いた訳だ。ま、そうだよなぁ。うちにこうして話を持ち込んでいる以上、こういう話にゃ慣れて当然……あぁ、うちんとこに何人か気付かなそうなのが居そうだが、それはそれ。正味、そういう奴の方が、からかい甲斐が―――いや、なんでもねぇよ?本当に気になるんなら、身をもって確かめりゃいいさ。色々と保証はしねぇけど。

「ああ、そういう噂もあったなぁ……何処で聞いたか、とんと忘れちまったがね。さっきみたいな話ばかりなら、忙しねぇお前さんらが動く必要は無いだろうになぁ。」

咀嚼し終えて、先程口に含んだ番茶でするりと喉の奥に流し込めば、以蔵に秀次、それを聞けば自ずと連想出来た話を思い返して何処か愉快そうに笑った。それは果たして、噂として楽しんでいるのか、あるいは何かを嘲っているのか。和らいだ表情でも、真意を掴ませないような雰囲気はそのままに残されていた。
だが、煙草を吸い込む姿を見れば、先程までが嘘のように妖しさはすんなりと鳴りを潜めて、口元は少しだけ緩めたままに出てたか、と内心で密かに嘆息を吐く。話以外で動揺させてどうすんだってな……やれやれ、こういう話をしてるとどうにも興が乗っちまって抑えが上手く効かねぇや。

ずいっと身を乗り出したかと思えば、率直に「続きがあるのでは?」と尋ねてくる。搦め手を使われるよか、ずっと気分が良いが……ま、人様が必死に頭使ってんのを捩じ伏せんのも嫌いじゃねぇけどな。何かを成すために行うような、そういう慎ましやかな努力は好ましい。ま、期待しているような展開かどうかは別だがな。

「御明察―――全てを知っちまえば、この話は全くもって怖くねぇのさ……それにしても、お前さんが軍人様じゃ無けりゃなぁ。」

のらりくらりとした彼にしては珍しく率直に答えたかと思えば、出来れば語りたく無かったような、あるいは、怖くない話である事が大層不本意そうな様子で、つまらなそうに言葉を続ける。そうして、最後に相手の顔を見て勿体なさそうに、そして少しの憂鬱を交えて声を漏らす。ただ、顔は物憂げにも関わらず何処か愉快そうなままだった。
だって、勿体ねぇだろ?こんな面白そうな奴を手元で転がしておけねぇってのは、どうにもな。軍人様じゃ無かったら……ま、それはその時の話だ。今は全くもって関係ねぇ事なんだから、思っていたって仕方がねぇさ。今でも然して面白い事には変わりねぇし、帝都内なら掌みてぇなもんだけどな。

「さて、続きさな。その後、町人は雀の声で目を覚ましたのさ。辺りを見回しゃ、手前の家の玄関……はてさて、あれは夢だったのか――――と、此処で話は終いだ。な?大して怖くもねぇだろ?」

それはそれ、と言わんばかりに話の続きを語り始めたが、聞きやすいように多少語り口を変える事はあったものの、表情も雰囲気も大して変える事は無く、最後には自分で始めた話だと言うのに興味も無さそうに相手の顔色を伺いながら、串に残った二つを口に運ぶ。それはもう先程のように何かを重ねる事は無く、ただ普通に食べているだけだ。

>赤坂 憲司様、ノア・ハーグフィールド様、all

【絡みありがとうございました!】
>火林様

1ヶ月前 No.54

黒ここあ @milky2☆ggNFEl0Udhk ★UhUozvq756_gaI



【 表通り・作楽亭 / 冥利 】

 喫茶の扉が開かれ店内の空気の流れが変わった。外から流れ込む香りには何処か嗅ぎ覚えがあり、そしてその記憶は一瞬の内に理解へと変わる。嗅ぎ違う筈もない。末梢神経まで全てが稼働しているかのようなインパルスで紅い瞳を直ぐに出入り口の方へ向けると、其処には誰よりも、何よりも敬愛すべき存在が居た。特徴的な黄金色の頭髪がふわりと柔らかく弾む様は何処か幼さを覚えさせるけれど、整った顔立ちは周囲に何処と無く異国の雰囲気を感じさせる事だろう。冥利は何に於いても最優先で立ち上がる。例え興味深そうに影を黙って覗き込んでいる女児が居ようとも、そんな事さえお構い無しに、ノアの元へと詰め寄るが如く足早に駆け寄り跪く。

「 ――ああ我が主、ノア様!おはようございます。本日の貴方様も輝かしい黄金色。万物の何よりも美しいそのお姿はまさに天上天下を照らす太陽に御座います。 」

 突如演劇でも始まったのかと誤解されてしまうかのような大仰な身振りで、片膝を床につき片手は胸元へ。もう片手は手の平を差し出し、まるで異国の王子が姫君でも口説くかの様な口振りで言葉を羅列した。その声色に嘘の色は微塵もなく、今にも再会に感極まって涙さえこぼしそうな程の潤んだ瞳で見詰めている。しかし周囲がその異常な行動にザワザワと声を潜めつつ騒いでいる事に素早く気付いて目を細める。流石にこんな公の場で挨拶――挨拶の範疇を越えるのはいつもの事――を交わすのは主に対しても迷惑がかかってしまうだろうか。いくら敬愛すべき主への言葉だとしても、その輝かしい存在に気付いた周囲が騒ぎ立てられる事は恐らく望んでいないだろう。そう判断すると、僅かに肩を落としたように溜息を吐き出しつつも直ぐに膝を持ち上げ立ち上がった。やれやれ、大いなる存在とは時として息苦しさを与えてしまうのですね。なんて、これは自分の所為ではなくあくまでも我が主の偉大さに周囲が騒いでいるのだと言う認識が彼の中にはあった。

「 よければどうでしょう、ご一緒に。以前主が贔屓にしていると聞いたので来店してみましたが、確かに素晴らしい食事を提供してくれる所ですね。――それとも、お団子とお餅で空腹は満たされていますか? 」

 それでもその不満を主に対してぶつける事など一切ない。にっこりと笑顔を浮かべて自分の元いた席の方を手の平で指し示し、首を傾けた。新たに注文するも良し、冥利の注文したシベリヤもまだ二切れ残っている為それを差し出すも良し。どちらにせよ主と共に過ごせる時間があると言うのは、犬にとって最上の喜びである。そして少しばかりの悪戯心。まるで全てを見透かしているかのような口調で、笑みを絶やさないままに尋ねてみる。


>> ノア・ハーグフィールド様

1ヶ月前 No.55

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_862

【稲荷神社/風間 誠司】

「ひとつ言えるのは、あまり面白半分で見に行ったりするのは控えてくれってことだ。被害が出てないから警察としては無理に止めたりできないんだよな」

自分と風花の懸念は真っ当だと思っているが、具体的な被害が出てない以上警察は注意喚起も出来ない。
今は只の噂程度で被害もない、だが好奇心が強い奴がでしゃばって被害に遭う、という可能性も否定できない。
美術館の件も辻斬りの件と一緒に捜査依頼を出しておくか、無論優先度が高いのは辻斬りの方だが。
次の風花のフォローは不快になる、というほどのものではないが苦笑を漏らしかけるほどのものだった、彼女に悪意がないのは分かっているのだが。

「今度こそわかってくれて何よりだ、だが望まざる状況で関わってしまう確率はゼロじゃない、万一出くわしたらその時の判断は君に任せる。
 俺としては出来れば逃げて欲しいがな、今回は一筋縄ではいかない相手だからね」

望まざる状況で関わる事態とは、鷹男自身が”辻斬りと出会ってしまう事態”だ、帝都に居る以上確率は低いがゼロじゃない。
しかし風花が言うように警察が鷹男の協力を要請する、という事態にはおそらくならないだろう、警察にも面子というものがあるし、誠司自身もかなりの使い手だ。
あまり広くは知られていないが現行犯であれば民間人でも犯人を”逮捕する権利”がある、だが知らせてしまえば積極的にかかわろうとするかもしれない、だからこれは言えない。
ともあれ、空気を悪くしたのだ、ここはひとつ詫びの印につまみでも分けておくか。

「そんな行儀の良い君たちにおじさんからの贈り物だ、この袋に酒のつまみで悪いんだが食べ物が結構入ってる、二人で好きなだけ取りな」

本当は酒を含めて探偵社の連中に持って行くものだったが、ここで多少減っても大丈夫だろう。
誠司が持っている袋にはするめいかや柿の種とピーナッツを始めとした酒のつまみに加えて何故か油揚げといったものも入っていた。
さて、この若人たちが適当に食べ物を取ったら俺は退散するかね、元より大した用事があったわけでもないのだし。

>風花、青崎鷹男

1ヶ月前 No.56

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 表通り→フルーツパーラー / 亞御嶽羅夢華 】

アウトだったらしい。体が強制的にぐるりと身体が回る、景色が回る。そのまま手を繋いだまま進み、あっという間に店に着いた。流石にこの目の前にある建物には入れないなんてことはない。そんなのきっと方向音痴じゃなくて真っ直ぐ歩けない人間だ。……正しい道を一生歩めない人間と、どっちがマシだろう。真っ直ぐ歩けないからたぶん外には出ないから、不謹慎かもしれないが、いっそ羅夢華みたいな方向音痴の究極系は足を失くした方が良いのかもしれない。
店へ入り、店員にもてなされ、店の中をずんずん歩き、「もういいんじゃないかしら、手」と呟いてみたりして、結局そのまま席に着いた。

「なるほど……ジュースね。そういえばわたし、昼頃に出かけてから、一度も水分をとってないわ。喉もカラカラだし、それにしましょ! ――すいませーん! オレンヂジュースひとつくださーい! ……あ、宝座。わたしの真似してオレンヂにしないでね? あとで飲み比べするんだから」

相手の発案に素直に賛成し、自分だけ店員を呼んで自分の注文だけした。相手が何を頼むかは知らないから、自分だけ頼んで先に飲む気だ。しかも相手のももらう気満々で、注文の制限までしている。こういうところが礼儀がなっていない。だからトラブルに巻き込まれる――とは、限らないけれど。でも、そんな彼女の傍若無人さを知った上で宝座は自分を気に入ってくれているし、羅夢華も宝座が知っていることを理解した上で何も変わらず仲良くやっている。まだ十数年しか生きていないけれど、きっと自分のこの性格は変わらない。
すぐに頼んだ品はやってきた。瑞々しい橙色の液体を、店員が去る前にゴクゴクと飲み始める。少しは人目を憚れ。オレンヂジュースは、羅夢華の口内にフルーツ特有の爽やかさを、羅夢華の舌に柑橘類特有の酸味を、羅夢華の乾いた喉に潤いを与えた。

「ぷはー。これ美味しいわよ、宝座。ただ飲み比べるつもりだったけど、普通に美味しいからやっぱり交換しましょ。後で飲ませてあげるわ。で? あなたは何にするの?」

口を離し、笑顔で感想を伝える。そして、自分は相手に飲み物を与えるつもりは無かったことを明かしながら、お互いに飲み合いっこすることを提案する。提案というていで言っているが、相手がやらないと言っても(そんなことはないだろうけれど)やるつもりである。そういうお嬢様気取りなとこやめたほうがいいと思うよ、ただの農家娘なんだから。因みに、野菜は育てて食べるから大好きだが、果物は頻繁に食べるというわけではないので、そこまでこのジュースに期待はしていなかったのだが(失礼である)、これなら期待をしていた方が良かったかも、と思えるぐらい美味しかった。今度探偵社のみんなにもオススメしとこ。

>>清水小路宝座さま、allさま

1ヶ月前 No.57

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_rxQ

【 フルーツパーラー / 清水小路宝座 】

 オレンヂジュースを頼む選択肢は親友の手ずから除外されてしまった。自分も頼もうと思っていただけに、いざそれは禁止と言われてしまうと他の何を選ぶか迷ってしまう。……壁のメニュー表には珈琲林檎檸檬ジュースなんて奇天烈でお下劣な代物も記載されている。人生にリスクは付き物だ。いっそこれを注文しようか。少し血迷って、けれどすぐ正気に戻ったからただの林檎ジュースを店員に注文した。不必要な冒険心は時に足元を掬う。親友の前での嘔吐は回避したい。

「お兄さんは林檎ジュースにするよ。貴方様、喉が乾いているなら遠慮せず二杯でも三杯でも頼めば良い。代金はお兄さんの奢りで、厠はあそこの突き当りさ」

 言って、緩慢な動きで通路の奥の茶色い扉を指さす。よその喫茶店ではまだ導入されていない水洗便所を先取り導入したとか何とか自慢している店長の姿を見掛けたことがあるから、入ってみれば彼女も気に入ることだろう。あれは臭く無くて汲み取り式の便所よりずっと快適だ。「この便座、自分の前にはひょっとしてケツに出来物を作った不潔なおっさんが座っていたかもしれない」などと考えてしまうのだけが珠に瑕だが。実際、どんな使い方をしたのか便座に茶色い物体がこびりついていたのを見た時はさすがに別の店の便所にお邪魔した。あれは無理だ。ちゃちゃっと紙で拭き取って座れば良いなんて気持ちになれない。
 嫌な思い出を掘り起こしている内に、林檎ジュースとオレンヂジュースを店員が運んできてくれた。早速ごくりと嚥下してからの親友が放った一言に苦笑こそすれど怒りは湧かぬ。幼き日、森の中で出会った時からわりとこういう性格だったから。そうと知って親友になった以上、そうであることに今さら文句を付けるのは道理に外れる。それに女の子なんて生き物は、献身的すぎるよりちょっと我儘なくらいで丁度良い。慎ましさこそが美徳とされ大和撫子ともてはやされる日ノ本なれば尚更。これからは新しい時代。ゆえに新しい女も生まれる。それを頭ごなしに否定する思考回路はすなわち老害だ。とかなんとか屁理屈をこねくりまわしたものの、要するに清水小路宝座は気に入った相手にとことん甘ったるいのである。

「そういえば羅夢華。今この帝都に流れているいくつかの興味深い噂、貴方様は知っているかい?」

 ジュースに続く軽食を何にするかと再度視線を壁面のメニューへ向ける。しかして口にするのはカレーライスやチキンライスのことではなく、目の前の親友を飽きさせないためのタイムリーな話題だ。宝座とて熟知はしていないが、それでも全ての噂の概要くらいは知っている。夜道を追いかけてくる一対の目のごとき怪光。演じようとしただけで主役の死ぬ幻の舞台演目。閑古鳥が鳴いているのに行けば人の視線を常に感じる美術館。一日も空かなかったり一週間も空いたりと不定期に現われる帝都の辻斬り。これだけのラインナップが揃い踏んだのだ、どれか一つくらいは彼女の気を惹いてくれるだろう。一つも知らなければそれすらも僥倖。説明してやればそれなりに楽しんでくれよう。

>亞御嶽羅夢華様&ALL様

1ヶ月前 No.58

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_Onj

【稲荷神社/風花】
 鷹男が納得したこともあり、また誠司が訂正を入れることが無かったために、ついに風花が自らの論理の飛躍とその誤解に気が付くことは無く。彼女は普通に、さもそうすることが当然であるかのように、話題を流していた。
 所謂『現行犯逮捕』であれば、(大正11年施行の旧刑事訴訟法においては第125条に)警官でなくともできてしまうという事が法律にも明記されているが、それを誠司から聞かされていなければ、風花が知る由は無い。そもそも妖怪として相当非力な部類に入る彼女にそういう事が出来るような力があるわけではないのだ。

「まぁ、申し訳ございませんわ」

 そうして、誠司が持ってきた土産物に対して、風花は能天気にも驚きと感謝の言葉を口にする。見た事の無い形をした菓子もあるようだ。見たところ煎餅の類だろうか、小判型に近いようでまた何とも言い難いような形に思われる。
 彼が持ってきたものの中にはどういう訳か、お揚げ―――一般的に厚揚げなどと呼ばれる豆腐を上げたものを甘辛く煮付けたもの、それも入っていた。それを目ざとく見つけてしまった風花は、もしかするとそちらの方は元から彼が稲荷神社へと持ってきてくれるつもりだったものなのかもしれない、と考えはしたものの、彼に確認するのも何となく憚られるような気がして、特段彼から言われない限りは黙っていようと考えた。

>>青崎鷹男、風間誠司、周囲all

1ヶ月前 No.59

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 フルーツパーラー / 亞御嶽羅夢華 】

宝座は林檎にして、奢ってやるからおかわりは自由にしろと言った。それに対して大した申し訳なさを抱くことなく、(それじゃ、遠慮なく飲みましょ)遠慮しないつもりだった。そして、便所の場所を指す。羅夢華本人は場所を覚えてすぐまた飲み物に口をつけているが、迷うことなく行けるかどうかは怪しい。というか、十中八九行けないだろう。残りの二か一はだれかのあとを追っているだけだ。
ジュースの残りが三分の一ぐらいになったところで、スッとコップを相手の方へ押し出す。「交換しましょ」の合図だ。押し出してそう言う前に、相手が話題を振ってきた。

「興味深い噂? そうねぇ……あなたが言いたいものかはわからないけれど、何個か耳にしたものはあるわよ。不気味な灯りとか、『クレオパトラ』が良くないとか、誰かに見られてるとか――あぁ、そういえば無差別連続殺人事件なんてのも起きてたわね。まぁわたしが知ってるのはそれぐらいかしら。詳しくは全然知らないのよねぇ……。宝座が言っている噂と一緒かしら? 宝座はもっと詳しく知っているの? それとも別物?」

相手が林檎ジュースをこちらに差し出すのを待ちながら、自身の知る噂を明かす。べらべらと喋りながら、宝座の視線の先のものに気付き、まずはジュースを頼み、その後デザートと軽食を決めようとしていたことを思い出し、羅夢華もメニューに目を向ける。
聞いた噂は本当に全部が全部断片的で、何処で起こっているか、等の情報が欠けている。色々な人が話しているのは聞いたけれど、他の話し声に混じった中の、噂っぽいもののピックアップだ。間違っているかもしれないな、とは思ったけれど、正解でも不正解でも面白いとも感じている。羅夢華を飽きさせないという意味では、宝座の話題センスは大正解だ。

「にしても、帝都も物騒ねぇ。灯りと視線とクレオパトラは兎も角――いやまあ、詳細は知んないけど。最後のは普通に危ないわよね。殺人事件って。この話聞いて以来、いつ狙われるかってヒヤヒヤしてんだから。……ほら、わたしの穴開ける異能って、あんまり戦闘向きじゃ無いじゃない。突然襲われたらそれはもうアウトよね、相手の足元に落とし穴つくって間に合うかどうか。……もしかして、残りの3つも死んだり殺されたりだったりしないわよね?」

異能の話をするあたりから声を潜め、口に手を当て、少しだけ相手に顔を近づけながら、つまり前のめりになりながら、相手に問うた。

>>清水小路宝座さま、allさま

1ヶ月前 No.60

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【稲荷神社/青崎 鷹男】

「あ……」

六花への問いは、誠司にかき消される形で流された。少しだけ面食らいその間に話が進んでいく。だが考えてみればこれでよかったのかも知れない。今の自分の言動は知性が大きく欠けたものであり、ともすれば頭に蛆が湧いているのではないかと疑われても仕方なかっただろうから。そういう意味では幸運だった。
ふいに、誠司が手に持った袋を差し出す。言葉通り中身は酒のつまみになるようなものばかりで、まだ自分はこれらを日常的に食す年齢ではない。

「悪いな、何から何まで世話になってしまって……ありがたく頂こう」

が、だからといって嫌いかというとそうではなく、また酒そのものでもない為素直に受け取っておくことを選んだ。片手の平に収まる程度の量を頂戴し懐へしまう。
ふと、風花の様子が若干おかしい事に気付く。どうやらつまみの一つである揚げ物に、釘付けとなっているようだ。

「?」

怪訝に思い彼女へ視線を向ける。別段大きく表情が変わってはいないが、どこか深く考え込むような仕草を取っている。一体何があったのだろう。

「六花、どうした?」

特に遠慮する理由もないので、直球的な切り込みで様子を伺う。

>>風間 誠司、風花/弥山 六花

30日前 No.61

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_rxQ

【 フルーツパーラー / 清水小路宝座 】

 無言で押し出されたコップの意図を読み取り、こちらも無言で相手のコップを手元に引き寄せ、逆に自分のコップは相手のほうへ押す。林檎ジュースは中々に美味だった。この出来ならオレンヂジュースもイけているはずだ。
 硝子のコップを傾け濃い橙色の液体を喉へ迎え入れる。まず感じるのはとろりとした舌触り。水でも氷でも薄まっていない。なのにキンキンに冷えていて、コップに結露も出来ている。とすると、これはコップのほうを氷で冷やすなりして飲み物もそうなるよう工夫を施しているのだろう。こういった細やかな気遣いが客足を途絶えさせぬ秘訣と見た。もちろんよく冷えているのみならず、味も程よく甘くて酸っぱくてまさしくオレンヂ。値段以上の価値アリだ。

「なんだ、全部知っていたんだね。お兄さんが知っていることも貴方様と同じくらいだよ。そしてお兄さんたちが知っているくらいだ……当然、探偵社の皆も知っているだろう。もしかしたら近い内、『噂』のどれかにお仕事として接することになるかもしれないぜ」

 ホルマリン漬けの瓶詰で奇人の見本市にでも出品されそうな面々を思い浮かべつつ、交換したばかりのオレンジジュースを啜った。彼ら彼女らであれば間違いなく『噂』は耳に入れている。そしてかの面々の耳に入った以上、いずれ神秘と秘密のヴェールを剥ぎ取らんと好奇心の赴くままに動きだすのは目に見えていた。宝座は好きな子たちと一緒に何かをするのが楽しいタチで、探偵社の面々は大好き。だから探偵社の彼ら彼女らがそうする以上は宝座もそうするだろう。どの『噂』が標的になるかはまだ不明だが、いずれかの『噂』がその対象になることは、確信にも似た予感として胸の内に在る。

「ふふ。確かに貴方様の異能はそう危ないものではないものね。危ない相手に対して危ないものを振りかざせないのは、そっちのほうがよっぽど危ない。――貴方様の身が心配なら、これから毎日お兄さんが送り迎えでもしようか? ご存じの通りお兄さんは、親友であり幼馴染である貴方様のことがとってもとってもお気に入りなんだ。ご用あらばどこへでも駆けつけるよ?」

 相手が近付けてきた顔にこちらまで顔を近付けることで更に距離を詰める。オレンヂの吐息と林檎の吐息が混じり合う。傍目から見ればその姿はイチャつく恋人同士そのもの。先程まで飲んでいたジュースを交換する所まで見られていたなら尚更だ。リア充爆発しろ、という言葉のまだ生まれていない大正時代。この年代の独り身たちが目の前で耐え難い男女の睦み合いを見た時、果たしてどのような言葉でその気持ちを表したのやら。……最も、恋人同士というのは勘違いだ。初めて会った時から現在に至るまで。亞御嶽羅夢華と清水小路宝座の関係性は『友情』の域を出ない。

>亞御嶽羅夢華様&ALL様

29日前 No.62

五十鈴 @isuzu0☆LocDP0eky2k ★6nv8TkWG5g_mgE


【 裏通り / 水無瀬 紗代 】


 此方が抑えたのであれば、彼女もまた荒々しさを見せず深呼吸で収めたあたり眉を下げてほっとしたのは悟られてはいけない。そこまで気を張っていない彼女のことだから自分のことで精一杯なのだろうと、まずは安心していいところだろうか。決して馬鹿にしていない、褒めていると捉えてほしい。
 本当に思っているのか思ってないのか、随分落ち着いて言うものだから少し拍子抜けしてしまう。そこは彼女にとっては嬉しがるところなのに、なんて言うまでもないが。まぁ実際、先程の醜態を晒した後なのでこれ以上晒すまいとしているのかもしれない。これには紗代もお手上げのようで軽く笑って見せた。


「 そういう日もありますよ。―――借りと言い驚かしと言い、楽しみがまた増えましたね。 」


 珍しいこともあって良し。それだから毎日が楽しい。今度は驚かせにも来る時、どんな風に驚かせに来てくれるのだろうか。ベタに道の角から来るのか、座ろうとしていた椅子を引いてくるのか、部屋にドッキリでも仕掛けるのか。将又、自分の想像つかないことを仕出かしそうだ。考えに考えてもその案は両手から溢れ出るほどある。どんなものが来るのか今から楽しみである紗代は、『 待ってます 』と言わんばかりに満面の笑みを彼女に向ける。

 表情が明るくなった自分の顔を見るなり若干驚きを浮かべる彼女に首を傾げてみた。が、それも一瞬で自分の食べたい物を告げると食らい付いたように答えてくれた。どうやら驚いたことにオムライスを食べたことが無いらしい。名を知っているあたり、どういうものなのかは知っている口調だった。こんな美味しいものを知っているだけで食べたことがないなど、紗代にとっては有り得ないことだ。


「 た、食べたことないのですか!? おむらいす食べに行きましょう。決定事項です。 」


 嘘だ、とつい言葉が漏れそうだったのを寸で止め驚きの表情を浮かべる。また珍しい顔だな、と言われそうなのは承知だがそんなことはどうでもいい。食べたことがないのならこの機会に是非食べてもらいたい。表情を隠すように俯き加減にコホンと一つ咳払いをして、かけている黒縁眼鏡をくいっと上げ真剣な表情を浮かべる。彼女の返答を聞くまでもなく決めてしまう紗代はまだまだ子供だと思われるだろう。
 そうと決まれば店に向かうのだが、紗代が言うまでもなく提案してくれる彼女は流石だ。後ろを着いて歩くと彼女は言った。自分は背も高いし他の住人の頭一つ出ているから見失うことはないからだろう。だが最近の帝都は悪い噂もあり無いとは思われるが、万が一。いや億に一、彼女が襲われてしまっては……と良くない方向に思考が向いてしまう。彼女が喧嘩強いことも知っているし能力もある。が、それを差し引いても彼女は女だ。無いとは分かっていても、もしという可能性もある。拭いきれない不安を拭うようにこちらも提案してみる。


「 喜んで案内致しますが、後ろを着かれては思うように話も出来ませんし。……よければ隣に居て下さると嬉しいのですが。 」


 それっぽい理由を付ければ納得してくれるだろうと思った紗代は、少し寂しそうに眉と視線を下げては、彼女の顔色を伺うようにちらりと見つめる。



>フランツィスカ・レーヴェンガルト様、ALL様

28日前 No.63

つる @pantarhei☆Nt/e9xXE3HD0 ★iPhone=I0oBMgYLfe

【大通り・茶屋/赤坂憲司】

椿の膝から離れたノアが礼を述べ、立ち去ろうとしていた。ノアに受け渡された金に思わず視線が移る。昼食代として2円とは随分な大金だ。二等兵の月給が大体5円少しと考えれば、ある所にはあるのだなと感心してしまう。どこから入れてるのかは存ぜぬが、羽振りの良さには驚かされる。働き先を間違えた、とは思わないが…。

「構わんとも、気をつけてな」

ノアを視線で見送ると、するすると器用に喧騒の間を抜けて行った。自分がこうして関わる以上、また会うこともあろう。改めて視線を椿の方にやる。この合点の行かない話をもう少し聞かねばならない。

「左様ですな…だが、人心の乱れが懸念される以上、手を抜く訳にはいかんので…役所なんてそんなものです」

面倒な仕事ですよと些か愚痴っぽく、溜息と紫煙を同時に吐き出す。こうして楽しそうに語る相手を見ていると、仕事をしているのか、噺家を相手にしているのか分からなくなりそうだ。演技でないなら尚更タチが悪いのか、天賦の才と言うべきか……。どのみち堅物であらねばならない自分にはやりにくい相手だ。

「ははは…こういった噂話は尻切れ蜻蛉か後日談があるのが相場でしょう?…軍人でなければ、ねぇ…」

もう少し遊ばれるかと推測していたので、「ご明察」と返されたのは少し意外だったようだ。不興を買ってはいまいか、とにかく話は最後まで聞くのが聴衆の役割だ。半分ほど燃え尽きた煙草を摘んだ左手を顔の側に持っていき、耳を傾け続ける。「軍人でなければ」と言う言葉には二、三の行間がありそうだが、今思案しても仕方あるまいか。軍人でなければ面白かったかも知れませんね、逆に言えば貴方が我々の仲間ならね…とは言わないでおいた。

「ふむ、ありふれた怪談噺のような…確かに誰かを怖がらせるには些か物足りませんな?」

竜頭蛇尾のように興が薄れつつある椿の語りにそれらしい所見を述べ、灰皿に煙草を押し付ける。確かに、よくある話だが町人の立ち話や酒場の噂話とは訳が違う。何しろ、相手は本職の……。まだ何かがあるのか、これから起こるのかは分かりかねるが、とにかく一つの情報は得られた。

「火のない所に煙は立たぬ、とでも言えばいいのか……関心があるのは何故、何処で、何時、誰が……そのような噂が立ったのか…そんなところですな……おっと、随分と話し込んでしまったようで…私はそろそろお暇しましょう」

懐から取り出した懐中時計を見やれば、思っていたよりも長時間茶店にいたことを知る。硬貨を何枚か店員に手渡せば、立ち上がり剣を吊る。封筒の中身は金と資料と諸々だと付け加えた。

【遅くなって申し訳ありません! イベント前に次のレスで以って一旦舞台裏へ戻ろうと思います。絡みありがとうございました〜!】
>椿様、ノア・ハーグフィールド様、all

28日前 No.64

雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

【大通り・茶屋/椿】

ゆらゆらと揺れる煙と共に吐かれた溜め息と愚痴。しかし、その実、そんな仕事は然して嫌でもないのだろう?等と野暮な事を聞くのは止めて、ただ薄く口元に笑みを湛えて「そうかい、そんなものかい。」と一言返す。後に、どうにも似合わん気もした燻り消え行く紫煙を眺めて、くつくつと笑みを密やかに浮かべていた。

「確かに、そうかもな。」

意外そうに言葉を紡いだかと思えば、生真面目に答えを返していたが、そいつはお前さん……そういう話を山ほど聞くか、あるいは聡明じゃなきゃ気付かんよ。まして、俺の語り口なら尚更さな。ま、俺が欲しいのは聡明さじゃなくて面白い奴なんだがな?と、そう愉快そうに笑みを深めて、短く言葉を返した。しかし、その後の事は決して気にも止めず、ただ無かった事のように触れもしない。
俺が言葉を零しちまったのが始まりだが、今更お互いに道を違えた事を言っても何にもならないだろうさ。それに、お互いに道を乗り換えるつもりは無いんだろう?なら、この話は尻どころか頭で切っちまうのが正解だ。画餅の話なんざ、いくらしたって腹は膨れねぇんだ。

そうして、灰皿に煙草を押し付けて火を消すのを尻目に短く所見を述べた。だろうなぁ、怪談話は尾ひれが付くもんだが、今回の話は尾ひれを切り落とされたようなもんだ。それが何を意味するのか、そこから先は後の話、少なくとも今此処で語るような話じゃねぇのさ。

赤坂が関心のある点を述べ終えた辺りで不意に取り出した懐中時計を開き、時間を確認したかと思えば、いそいそと会計を済ませて剣を吊る。ああ、もうそんなに経ったか。あっという間の気もしたが、中々に楽しかったもんだ。そりゃあもう、色んな意味で、な?

「ははっ、其所は自分で調べた方が存外面白いぞ。おう、有り難く頂戴させて貰うさ。それじゃ、またな。」

関心のある点を告げられて、からかうように笑ったかと思えば、まるで探偵の仕事を勧めるかのように言葉を紡ぐ。面白い、それに込められた意味はおおよそ額面通りでは無いのだろう。その意味合いがどういったものなのか、それは彼以外には知る由も無いのだが。
置きっぱなしになっていたマニラ封筒を片手に取ってから、多少の惜しさはあれど、引き止めるような理由も無し。普段と同じように資料について軽く礼を告げて切り出された別れに応える。金については……まぁ、別に無くたって良いんだがな。今となっちゃ、こんな湯水が多少増えたところで大した得とも思えねぇのさ。風呂桶に数滴、雫を垂らしたって分からねぇのと同じさな。

そうして再び始まりに戻った。彼は番茶を飲み、残った一串を10分程掛けて食べ終える。それを確認した店員がおずおずと皿を下げに行ったが、しかし、其処には人の姿はなく、代金として数枚の硬貨が置かれているばかり。
――――はて、ついさっきまで其処に居たのに何処へ?と辺りを見回すが、遠目で見たって目立つ黒一辺倒の美丈夫は何処にも見えず、店員は腑に落ちないまま片付けを始めるばかりであった。

>赤坂 憲司様

【いえいえ、お気になさらず!こちらこそ、絡みありがとうございました!】
>つる様



【→白菊探偵社/椿】

さてはて、あれから多少の寄り道こそしたが、殆ど真っ直ぐ帰路についた。全てを包み隠して雑踏に紛れ、燻る煙のように気にも止められず探偵社に到着する事位、やたらと容姿のせいもあって目立つが夢現のごとき彼に掛かれば赤子の手を捻るよりも簡単な事に変わりない。
片手にマニラ封筒、片手に名を馳せた和菓子屋の羊羹の包みを携えて、自宅も兼ねた探偵事務所への階段を上がり、その扉を開く。特段遠見をする必要もなし、と声もしないので誰も居ないかと踏んでいたが、そこには一人の男が居た。

紅葉のような火傷痕、相も変わらずガタイの良い身体に纏った白い軍服―――何より、隻腕ってだけでも分かりやすい。俺が探偵を思い付いた、言わば始まりの男、天田 空地。本名を知ってはいるが、来客が何時あるか分からないこの場で敢えてそう呼ぶ必要もあるまいよ。

「なんだい、お前さん居たのか。なら、団子の一つでも持ってくりゃ良かったな。」

涼しくなってきた頃合いとは言え、相も変わらず汗は一つもかいていない顔で少し意外そうに表情を変えたかと思えば、ふらりと適当に空いてる机に羊羹を放って向かいのソファーに腰を掛ける。そうして、机に置かれた資料やらの類いを見やれば、彼が探っているのであろう事件の噂へ容易に思い至って得心がいった。茶屋で持ち上がった時は、とんと忘れちゃいたが資料をみれば流石に思い出すってもんさ。
休みだと言うのに、何とも生真面目というか、人を救う事に迷いの無い男らしい。帝都の間でも専ら語られ、近頃の中じゃ最も物騒な物である「帝都辻斬事件」は確かに、空地にゃ放っておけんのだろうさ。生憎と、そこまで奮い立つ心境がいまいちと分からんが、そこがまた良い。分かりきった事を逐一やるよか、遥かに面白いだろう?

「空地、大方お前さんの考えてる事は分からんでもないが、あんまり気張るなよ?そら、ここらで一息入れといたらどうだい?」

ふぅ、とソファーの肘掛けに肘を着いて空いている隣に封筒を置いて一息着いたかと思えば、落ち着き払ったような柔らかな表情で軽く休憩を勧めてみる。そんな彼の意向に沿うように、いつの間にやら机上には淹れたての番茶が並々と注がれた湯呑みが二つ。天田の方に置かれた湯呑みの隣には、切り分けられた羊羹が数切れよ楊枝が紅葉柄の小皿に乗せられて置いてあった。
先程から其処にあったかのように突然現れたそれを、彼は全く意に介しておらず、当然の事のように湯呑みを口元に運んで一口啜った。こうして、社長が居て人が少ない時にだけ時折起こる、この怪現象は社長の異能によるものなのか。それをはぐらかすように、飲み終えた彼の口元には薄く笑みを湛えられている。
ただ、少し離れた机上にあった羊羹の袋は破られて、傍らに小柄な包丁が置かれていた。

>天田 空地様、all

【絡ませて頂きますね!よろしければ、お相手してやってくださいませ…!】

27日前 No.65

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_862

【稲荷神社/風間 誠司】

「ん? 何か変な物でもあったかい?」

鷹男のほうは片手に乗る程度にとって懐にしまったが、風花の方はなにやら悩んでいる、風にも見えないが躊躇っているような……?
そう思って袋の中を覗いてみると自分でも入れた覚えのない油揚げが入っていた、確か晩御飯用にと作ったものだったような。
多分何かと間違えて袋に入れたのだろう、しかし別に自分は油揚げ大好きという訳でもない、どちらかと言えば好きだけども。
誠司は風花の正体を知っている、といっても偶然”視てしまった”だけなのだが、彼女に害意はなく普通に暮らしている一般市民のため誠司はこのことを黙っているのだが。
まあ好きなものが入っていたならば仕方ない、今日の晩御飯は外で済まそうと心中で決めると何気ない風に口を開いた。

「ああ、好きなものが無かったらこの油揚げとかどうだい? 前に親父が酒の肴にしてたのを思い出して入れてみたんだが、これなら食べられるだろう」

心の中で親父に謝りながら誠司は風花に油揚げを勧める、酒のつまみに疎くてもこれなら馴染みのある味だろう、と。
さてと、そろそろいい時間だ、あまり休めなかったが二人に注意喚起できたし良しとしよう。ふと空を仰ぐと火が中天に昇っていた。

「あー、すまん。そろそろ俺は行かなきゃいかん、これはあげるからメシのおかずにでもしてくれ、じゃあな」

そういって風花に油揚げを持たせると誠司は地面に置いていた別の袋、酒が入っている方の袋を持つと神社を後にした。
手を合わせて祈れなかったが、お稲荷様よ、どうかこの二人を守ってくれ。そう祈りながらゆっくりと会談を降りて行った。

>風花、青崎鷹男

【遅くなって申し訳ありません; 一旦誠司を離脱させます】

27日前 No.66

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【裏通り→移動/フランツィスカ・レーヴェンガルト】

フランツィスカは嫌味を言うのが得意ではない。ついでに皮肉を言うのも得意とは言えない。何でもかんでも素直に口にしてしまうことは控えようとしていたが、さすがに驚かしてやる、と言ってから楽しみにしてます、なんて言われてしまっては素の声色で「は?」と言うのを避けられなかった。いや、其処は戦々恐々としろよ。そんな突っ込みが喉までせり上がってきたが、フランツィスカは済んでのところでそれを飲み込む。水無瀬紗代、この男は食えないのを通り越して最早少し抜けているのではなかろうか。フランツィスカはそう考えて紗代に視線を向けたが、じろじろ見るのも何なので間もなくしてすぐにぷいっと顔を背けた。紗代といっしょにいるとなんとなく手のひらで転がされているような気がしてならない。

「……まあ、お前の人生が楽しいならあたしは別に構わないけどな。本当だからな」

大人ぶって静観しようとしたのだろうが、フランツィスカの言葉はなんだか拗ねた子供のそれのようになってしまった。日本語とは難しいものだ。この前夜道で出会ったまだ年若い青年が心配で帰り道を共にした際に、ちょうど月が出ていたので「月が綺麗だな」と言ったら赤面されたことをフランツィスカは思い出す。知らず知らずのうちに愛の告白をすることになるなんて思ってもいなかった。貿易商のもとで働いていたからある程度の外国語は覚えているけれど隠喩にはどうにも慣れない。根は真面目なフランツィスカなので、こっそりと勉強はしているのだが。
閑話休題。オムライスを食べたことがないと口にしたフランツィスカに、紗代はひどく驚いた表情で彼女を見つめた。オムライスって其処まで有名だったか?と一瞬訝しげな顔をしたフランツィスカだったが、それだけ紗代がオムライスを好んでいると理解してふっとしたり顔になった。わかる、わかるぞとでも言いたそうな表情である。そりゃあフランツィスカだって、せっかく誘った相手に「ヴルストってなんですか?」と聞かれたら同じような顔をすると思う。下手したら嘘だろ、と叫んでしまうかもしれない。

「ふぅん、其処まで言うならちょっとは期待してやっても良いぜ。つかお前、本当にそのオムライスとやらが好きなんだな。時間があるなら自分で作っちまえば良いのに」

料理があまり得意ではないフランツィスカが言うのも何だが、好きな料理があるなら作ってみるのもまた一興だと思った。作り方がわからないのなら店の者に頼んで教えて貰ったりレシピを写させて貰えたりしねぇのかな、とフランツィスカはぼんやり考える。まあ店には店の矜持というものがあるだろうし、そう簡単にいくとは思えないけれど、考えるくらいなら誰も咎めるまい。フランツィスカにとってその提案はぽっと出のものでしかなかったので、所詮はそれくらいの認識だった。

「隣……隣か。ま、まあお前の顔を見るのに首がちょっと痛くなるくらいだし?今回は横を歩いてやるよ。せっかくの外食だしな」

日本の女性は男性の後ろを歩くのが良い、と聞いていたフランツィスカとしてはなんとなく複雑な気分になるが紗代の計らいを無下にするのも無粋なのでたたっと小走りになって彼の横へと並んだ。もともとそれなりに背が高いのとブーツを履いているのを加えても、フランツィスカが見上げなくてはならない程に紗代の背は高い。本当に何食ってるんだろ、とフランツィスカは彼を横目で見ながらふと考えた。

>>水無瀬紗代様、周辺all様

【僭越ながら移動させていただきました……!不自然な部分があったら申し訳ないです……!】

27日前 No.67

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_Onj

【稲荷神社/風花】
「ええ、左様でございましたら、有り難くいただきます。お稲荷様へのお供え物にもなりますし」

 風花に対する鷹男の問いは、同じことに気が付いた誠司の行動が答えとなっているだろう。『そうあれ』と願われて誕生した風花の好物の一つが、稲荷神の好物として結び付けられたお揚げだ。それ故に目に入れば思わず凝視もしてしまうものだったのだが、誠司にもそれは気が付かれていたらしい。
 そもそも誠司は風花の正体を知っており、この場においてもその名を呼ぶ数少ない人間の一人だ。鷹男がそれに関して何も言わないのは、風花の名が恐らく巫女としての名だと考えているからなのだろうし、そうであるのならばそれに越したことはないのだから態々言及して寝た子を起こす様なことをする必要はないだろう、というのが風花の考えだった。

「有り難くいただきますわ、風間さん。お気をつけて。
 ……さて、順番が多少前後いたしましたが。お話でございましたね、青崎様。何をお話しいたしましょう?」

 境内を抜けていく誠司を見送り、お揚げの包みを持ったままではあるが、風花は鷹男に向き直り、そう問いかける。先ほど流してしまった言葉ではあったが、誠司がいなくなった現在は二人きりだ。であれば、他の人とは出来ないような本な話などでもするのも悪くはないだろう。

>>青崎鷹男、風間誠司、周囲all


【お相手ありがとうございましたー!】
>>ライブラ様

27日前 No.68

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【稲荷神社/青崎 鷹男】

六花の動向を軽く注視していると、誠司が件の油揚げを混ぜた理由を簡潔に話す。どうやらそれが彼女の疑問点だったらしく、彼が話し終えるとどこか満足気な表情へ変わった……ように見える。
そして誠司はこれ以上の用は特にないのか、六花に油揚げを渡すと神社から去っていった。恐らくはあの後警察として市民を守る為知恵を絞り、奔走するのだろう。

(彼のような人間ばかりなら、どれだけよかったことか)

純粋に、心底そう思った。己の職務を平均以上に果たす能力、そして他人と短時間で打ち解けられる気配りの良さ、この二つを兼ね備えた者をいざ探すとなると、驚く程少ないものだ。

「っ!?」

六花は話に応じると申し出た。なんてことだ、てっきり完全に流されたと思っていたものだから、具体的な話題の内容を全く考えていない。

「ん、ああ……そうだな」

自分でもわかる程歯切れの悪い返しである。この醜態を自覚する程、より暗い思考に嵌まっていきそうだ。
さて本当にどうしたものか、この場合は何が正解だろう。取りあえず周囲の景色や直前の記憶から適当なものを見繕うことにする。神社、鳥居、静寂、恋愛小説、来訪者、警察、忠告、怪異、辻斬り、食べ物……

(よし、恋愛小説でいこう)

現時点で六花と会話を弾ませられそうなものはこれしかない。
……別に彼女と過ごす義務はないのだが、こうして頭を悩ませているのはひとえに『時間を共有していたい』という淡く湧き出た願望があるからだ。

「じゃあ、恋愛小説について話そうか」

あくまで何でもないように装い、取り繕う。

「この系統の人気作は、大抵想い人と添い遂げられなかったり、或いはその人と共に死ぬ、といった悲劇的な結末なのはどうしてだろう。六花は何か知っているか?」

だが話す内容に偽りはない、直感的に思ったことを口に出している。出任せであっても出鱈目ではない。より厳密にいうと、数多く抱いている恋愛小説への疑問、その中で最も新しく浮かんだものを話題の種にしている。

>>風間 誠司、風花/弥山 六花


【ライブラ様、お相手ありがとうございました】

26日前 No.69

火林 @redgreen57☆jAJGLtPWRlCc ★Xh40ylaRkF_XGC

【 表通り・作楽亭 / ノア・ハーグフィールド 】


 声を掛けるや否やすぐさまこちらを振り返った青年は予想通り、ノアの見知った人物である冥利さんその人だった。そして彼の腰掛ける椅子の真下にはゆらゆらと蠢く影が出来ており、おそらく異能を操り近くの少女を虜にしているのだろう。その証拠に彼女は一心にその影を興味深そうにして見つめている。ノアの外見年齢と実年齢が一致していたならば、理由は無くとも普通は動かないはずのものがひとりでに動く現象に一途に見入っていただろうか。……ただ、少女を入れていたその視界に入る大きな影がひとつ。冥利さんだ。あれ、おかしいな。冥利さんはボクより身長が高いはずなんだけど……。
と思うが早いか彼が跪くのが早いか。早足でこちらへ歩み寄った彼はなんとノアの目の前へ膝をつき、先ほどのノアの挨拶に返してくれたようだ。

「Oh,gee……」

 はて、彼はどこかの劇団の役者だったろうか? もしや今帝都で噂になっている……なんて冗談が頭に過ぎる位には、彼の身振りや台詞はそれっぽい。胸元に置かれた手と差し出された手、ソレに加えて床へ着いた片膝と台詞はまるで、お伽噺に登場する王子様と言ったところだろうか。薄らと水膜の張った真紅の双眼は、照明が反射してさらに輝きを増している。彼の言う「輝かしい淡河運色」とは似ても似つかない美しさ。いっそのこと抉り出して宝石箱で大事に……と考える輩が出てきてしまっては大変だ。
ノアには勿体無い言葉の羅列と彼の奇行にざわつくギャラリーはさして気にはならない。生憎人の視線には慣れている。被っていた帽子を脱いで脇に収め、ほんの少し驚きで苦みの混ざった笑みを浮かべた。

「それは褒め過ぎだってば! ――それなら冥利さんはPrinceで、ボクはLittle princeって感じかな?」

 あんまり褒められたことないから恥ずかしー! などと思いながら、羞恥を隠そうと口にした冗談だ。顔が熱い気もするが、赤くはなっていないだろうか。
熱を冷まそうと小脇に挟んでいた帽子でパタパタと顔を仰いだ。僅かだが上昇していた体温も下がって来たような気もする。そうして再び彼を見やると、先ほどまでこちらを見つめていた双眼がいつの間にやら細められ、やや鋭くなっていた。辺りを見回したのだろうか、周辺のざわめきを聞き入れたのか、彼は何故だか肩を落として立ち上がった。それにならってノアは彼を見上げる。随分な身長差があって、斜めよりも少し上を向かなければルビーを望むことは出来ないかもしれない。
そうして「一緒にどうか」、と問われれば断る理由も無く、「ありがとうございます!」と二つ返事でお邪魔させてもらうことにした。もとより食事は一人よりも二人で食べた方が美味しく感じるに決まっている。独りきりで盗み取った少量の食べ物を、日の差さない寒い空間で食べる、あんな日常には戻りたくないものだ。誰かと食事をする温かさを知ってしまえば尚更だろう。

「でしょ? ボクもよく食べに来るけど美味しいよね、ここのお料理! ――――わ、何で知ってるんです? もしかして冥利さんも大通りに居ました?」

 団子と餅を食べたことを知っているのはおそらく社長と赤坂大尉だけだ。辺りに知り合いは居なかったはず、などと思案しているが、ひょっとしたらすぐ近くを横切っていたのかもしれないとも考えた。どちらにせよ、ノアの食べたものを言い当てられる不思議な現象には素直に驚いている。まるで四六時中監視していたかのように得意げで、悪戯が成功した時のような口調で語られる事実には、こちらも事実で返さなければ。もっとも嘘を付く必要性も無いのだが。
御団子も御餅も食べたけどまだ足りない、との趣旨の返答をして、メニュー表を見ずに近くの店員に注文を承ってもらう。コロッケとビーフシチュー、そしてデザートに食べようとフルーツパフェを。去り際に社長が持たせてくれた食事代で足りるだろう。冥利さんの分も一緒に支払ってしまおうと思いながら、着席後に出されたお冷を口に含んだ。
そういえば、社長や大尉が話そうとしていた帝都の噂話を彼は知っているのだろうか。


>>冥利さま、ALLさま
【 返信が遅くなってしまって申し訳ないです……! 】


【 こちらこそ、絡みの方ありがとうございました! 】
>>ぬしさま、つるさま

25日前 No.70

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_Onj

【稲荷神社/風花】
 お話でも、と声をかけた相手は、やや面食らったような態度を見せた後に、やはり風花が半ば予想していた通りに、恋愛小説についての話を切り出した。しかし風花の予想と合致していたのはそこまでで、彼が切り出した内容は想定していたよりもずっと深く、思わず風花も考えさせられてしまうような内容の物であった。

「そうでございますね……この人とならば死んでも良い、と思えるほどの恋をすることがどれだけあるか。こういった本の読者、多くは若い女性ですが、そういった子達は一般的にも未だ多いとは申せませんでしょう」

 この大正の世に於いて、いまだに父母あるいは家長の決めた相手と結婚する、あるいは見合いによる結婚が少なからず残存している。特に女学校に通うような華族の娘などは、そういう理由で辞めていく生徒が今でもいるというし、だからこそ『命短し、恋せよ乙女』なんていわれるのだ。

「ですので、それが悲愛に終わるとしても、燃えるほどまでに焦がれる相手と死んでも一緒に居られるという小説が流行るのではないでしょうか。現実では、そういった事が出来ないからこそ、私たちの生涯が一つであるからこそ。特に心中もののような、絶対に私たちが出来ないようなものが流行る……などと、訳知り顔に考えてしまったのですが。如何でございましょう?」

 出来ないことに対する空想としての読み物。手が届かないからこそ、それに思いを馳せて共感を得る。それが、特に心中もののような、最終的に悲劇で終わる物が好まれる理由ではないだろうか、と、風花は考える。自分も含めて、周りの人間の事を考えるならば死ぬことなどできないようなものが殆どであろう。それ故に、心中という主人公の死をもって終わる作品への身勝手な空想が出来る。その解釈があっているかどうかで言えば、合っているとは言い難いかも知れないが、それでも彼女はそういう考えがしっくりくるような気がしたのだ。

>>青崎鷹男、周囲all

25日前 No.71

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【稲荷神社/青崎 鷹男】

持ち掛けた話題に対し、六花は鼻で笑うようなことはせず真摯に応じてくれた。その懐の深さに感謝し、耳を傾ける。話題がそこまで薄っぺらなものでなかった可能性もあるが、やはり前者の線が濃密だ。
彼女の考察は実に興味深く、且つ聞いていて分かりやすい。筋道や順序がしっかりしている上言葉選びも丁寧なので、内容がすんなり頭に入ってくる。

「成る程……死んでも一緒に、か」

自らの命を投げ捨ててでも、想い人と共にいたい。そんな『不可能な願望』を形として描いているから恋愛小説は人気が出るのだろう。夢と刺激に満ち溢れた世界を描く、冒険活劇がそうであるように。不可能だから魅力的なのだ。

「ふむ……」

腕組みしつつ、顎に拳を添える。非常に面白く有意義な談義だ。それまで全く知らなかった界隈の情報や仕組みを知識として吸収する。これが親父の言っていた『視野を広げる』ということなのだろうか。

「次に、想い人……つまり男性側に体格面で優れた者がかなり少ない理由は分かるか?」

何冊も読み進めていると、主人公の望む相手には筋骨隆々とした者が殆どいない点が目立つ。だから何だと言われればそれまでだが、格闘家の端くれである身としては、一株の寂しさを感じるというのが本音だ。筋肉質と乱暴者という言葉が等号で結びつけられているとしたら、少しばかり悲しい。

>>風花/弥山 六花

24日前 No.72

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 フルーツパーラー / 亞御嶽羅夢華 】

相手の話を聞きながら、押し出されたコップを取って口をつける。林檎ジュースもなかなか美味しい。オレンヂは甘味と酸味が入り混じっていたけれど、林檎にはそんな酸っぱさはなく、甘すぎない甘さでスッキリしていた。うん、美味しい。このお店はアタリと断定していいだろう。
噂に関しては、宝座も自分と同じような情報量しか無いらしい。宝座の言う通り、探偵社にはなかなか濃いメンツが揃っている。自分もキャラ――というか、自己主張が激しい方だと思ってたし、宝座のこともヘンな子だと幼少期に会って以来思っていたけれど(だってもうまず一人称から変わってたもん。『坊や』って。数年前から『お兄さん』になったけどそれでも普通ではないわ)、探偵社には、そんな自分たちと同じどころかそれ以上の人間ばっかりだ。変わった人間は結構いるんだなぁとおもった。世界は広い。

「仕事として関わるとしたら、それはもう既に『噂』ではなく『事件』のはずだけど、『噂』のまま関わることができるのがウチだものね。普通に面白そうだし、是非積極的に仕事したいわ。機会を逃さないように、できるだけ探偵社には行くことにしましょう」

できるだけも何も、意識しなくったって羅夢華は大抵探偵社にいるのだが……。『噂』の仕事については、まだ可能性の話ではあるものの、かなり乗り気である。
少しだけしか縮まっていなかった距離が、お互いに息がかかるぐらい近くなった。これで相手が憧れの人ならば、少女漫画(この時代にはまだ無いけれど)では間違いなく『ドキッ…』とうう字がでかでかと書かれ、羅夢華の頬には斜線とトーンが多めに描かれ貼られていたことだろう。しかし残念なことに、相手は幼いとき共に妖怪を倒した中の友人だ。長い間友人として見てきたから、というのは、相手に抱く想いが恋愛感情では無い理由にはならないけれど。この距離で、双方の心臓の鼓動のテンポが、先程から全く変わっていないことは、相手を恋愛対象として見ていない証明にはなる。簡単に言うと、異性と異様に顔違いのにドキドキしてない。

「女子供を襲うような妖怪を倒すための罠には十分なんだけどね――あら、いいわね、それ。あなた、普通に強いし、頼んじゃうのもありかもしれないわね、ふふふ。……あ、すみませーん、カレー1つくださぁーい」

相手の申し出に、楽しそうに微笑みながら、冗談交じりに乗っかってから、近くにいた店員を呼び止め、軽食を頼む。実は喋りながらずっとメニュー表を見ていた。相手のみを見て話せよ。

>>清水小路宝座さま、allさま

23日前 No.73

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_rxQ

【 フルーツパーラー / 清水小路宝座 】

 面白い仕事に乗り逃さないようできるだけ探偵社に居ようと意気込む幼馴染。その際には是非とも宝座も付いて行かねば。一人で行かせてはまた迷子だ。今度は花街どころか、謎の孤島とか怪しい邪神を祀る伝統がある山奥の村とかに迷い込みかねない。……初めて出会った時だって、彼女はあの寂れた森の奥深くまで迷って入って来たのだ。いくら方向音痴でもさすがに××には行かないだろ、の××に何も当てはめることができないほどの迷子スキルの持ち主を相手に油断は禁物。ほぼ毎日通う探偵社だってしっかりと付き添ってやらないと何が起こるか分からない。こと羅夢華に関してなら、道に迷って異世界に到着したと聞いたって宝座は信じる。彼女の方向音痴はもはやファンタジーなのだから。
 ほぼゼロ距離で羅夢華の顔をジッと見つめながらそんなことを考える。と、不意に彼女のほうから視線が外された。何も恥ずかしがったわけではないだろう。彼女はそんなタマではなく、彼女と自分の関係はそういったモノでない。見ろ、その証拠に赤面もせずメニュー表を眺めカレーライスを頼んだ。それを残念と感じない辺り宝座のほうも大概だ。たぶん、羅夢華は宝座に彼女ができても嫉妬しないし、宝座は羅夢華に彼氏ができても嫉妬しない。親友を幸せにできない奴なら交際は認めない、と宝座のほうは考えるだろうが、その感情は決して恋情の類ではないのだ。羅夢華が宝座の彼女に好ましくない感情を抱いたとてやはり宝座と似たようなもので。要するに、仲良しすぎてもう身内認定に食い込んだから今さら『男女のお付き合い』なんてある種のランクダウン及びクラスチェンジをする必要性を感じていない。
 まあ、もしも羅夢華が悪い男に騙され傷物にでもされて泣こうものなら宝座は相手を嬲り殺すけれど――。これだって、ただの行き過ぎた友情なのだ。

「じゃあ、今日から早速お兄さんが送り迎えするよ。あ、すみません! こっちにもコロッケ下さい!」

 カレーライスを注文する羅夢華に続いて手を上げ、コロッケを新たに頼む。ここはコロッケを単品で頼んでもサービスでライスが付いてくるから有り難い。贅沢を言うとパンかライスの選択ができたならなお良かった。もっと贅沢を言うとパンの種類まで選べたら最高だ。実際に口に出してしまうとクレーマーなので、この『贅沢を言う』は決して心の中から出さないよう気を付ける。
 ものの数分で店員さんがカレーライスとコロッケを運んできてくれた。名店は客を待たせないのだ。付属のフォークでコロッケの真ん中をぶっ刺し、サクサクと二つに切り分ける。白くて丸いお皿に乗っかったコロッケの数は三つ。うち切り分けた一つの半分を、幼馴染の許可もとらずにひょいとカレーライスの皿に乗せた。彼女ならきっと食べたがるはず、と思っての行動だが、コイツの脳内には幼馴染がダイエットに勤しんでいるという発想は無いのか。

「――おい、テメェら動くな!! そこの店員は今すぐ金を出しやがれ!!!!」

 このまま食事を終えたら可愛い幼馴染を家まで送り届けて……と今日の予定を整理していれば、おっとその予定は崩させて頂きますよとばかりに、片手に出刃包丁を持った酔っ払いの男が入店してきた。
 宝座はコロッケを詰め込んでほっぺたをリスみたいにしたまま、さりげなく幼馴染を庇うように椅子を動かし男の視界から彼女を隠す。アルコールを摂取しすぎて足がガクガクの男だ、いくら出刃包丁を持っているといえ自分が出ずとも近くの客が取り押さえるだろう。ちょうど入口の近くに図体のデカいのがいることだし。

「いやあー! 強盗よぉー!!」

 駄目だ、入口の近くの図体のデカい男は気弱なオネェだった。野太い声で悲鳴を上げてずざざざざっと飛び退いている。近くにいた他の客も酔っ払いよりオネェの悲鳴にビビって狂乱状態だ。なんなら酔っ払いの男もちょっとビックリしている。お前はビックリしてんじゃねぇ。出刃包丁を落としかけているぞ。

>亞御嶽羅夢華様&ALL様

23日前 No.74

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_Onj

【稲荷神社/風花】
 問いに対する答えに対して彼なりに納得したのだろう、それ以上に彼が特に追及することは無く。話題は次の物へと移り変わっていく。あるいはそれが彼が以前から気になっていたことなのだろうか、身体を常日頃から鍛えている彼ならではの問いが飛び出してきた。
 風花が普段そこまで気にすることは無く、それ故に考えた事もなかったようなことであるが、彼のためにも何とか答えを導き出さないといけないだろう。

「んん、そうですね。男女の体格差が最初から少なからず存在いたしますから、読者が特段それ以上の差を求めないのではございませんでしょうか。私と青崎様の身長差を考えていただければお分かりいただけると思うのですが、身長だけでも5寸(約15cm)ほど違いますでしょう? 書かれた時代や舞台とされている場所にも依りましょうが、鍛えている方よりも鍛えていない方の方が現代では増えておりましょうし」

 一拍考えてひねり出した答えは、身近な例えを使ったものである。鷹男と風花の身長差が15cm程。それは一般的に体格差として、充分すぎるほどの差であると言えよう。例え鍛えておらずとも男女の筋力の差は歴然としているし、特筆するまでもなく読者の共通認識として存在している筈だ。
また、作品が時代にもよるが、それが現代に作られた現代を舞台としたものであるならば、現代の男性像がそこに投影されるものだ。時代を遡っていけば、戦いのために体を鍛えることが当然とされていた時だってあったわけだし、そういった頃が舞台となっていれば書かれるまでもなく周囲の男性は皆鍛えているのが当然だったはずだ。
 そういった点から、それらしく答えを考えだしてはみたのだが。彼はそれに納得してくれるだろうか?

>>青崎鷹男、周囲all

22日前 No.75

黒ここあ @milky2☆ggNFEl0Udhk ★UhUozvq756_sxd


【 表通り・作楽亭 / 冥利 】


 聞き慣れない言葉。何も知らなければ聞き間違えたのかと疑う程、彼の口から零れた単語らしき言葉は聴覚が拒絶反応を起こした。西洋文化の発展が目覚ましい現代に於いても、未だ英語は慣れ親しむに程遠い存在だ。それがつい最近まで怪異として帝都を騒がせ、今では人間のフリをしている世間知らずな妖怪からしてみれば尚更で。もっともノアが西洋の言葉に精通しており、尚且つそうやって会話の中に織り交ぜて来ると知っているからこそ冥利でもそういう言葉という事だけは何となく把握出来た。その程度だ。

「 ぷりん……?浅学寡聞の私には、未だ西洋の言葉は難しい。お恥ずかしいばかりです。良ければ意味をお教え頂けないでしょうか。 」

 言葉とは裏腹にあまり恥ずかしそうにしていないのは彼の表情に微笑みが固定されているからだろうか。リピートすら出来ずに言葉を濁らせてはゆったりとした動きで首を傾斜させ、瞳を伏せつつも口元にはほんのり笑みを浮かべたまま宣う。とは言え、主の言葉を十二分に理解するにはやはり西洋の言葉を学ばなければならない。今すぐには無理だとしても、将来的には。そうすれば主に煩わしい思いをさせずに済むし、何しろ言葉を覚えれば主に褒めて貰えるかも知れない。同じ言葉を語る事で喜んで貰えるかも知れない。そんな思いが冥利の西洋文化の興味の根源にはある。ノアが先に席に着いた後へ着いて行き、遅れて着席しつつも尋ねる。
 少しからかうつもりで吐いた言葉に、予想通り、と言っては失礼に当たるだろうか。期待通りに、ノアは驚いてくれた。その様子に冥利は少しばかり嬉しげに瞳を細めて首を振る。事実、冥利は暫くの間この作楽亭にその身を置いていた。だがそれでも帝都の居たる所のあらゆる情報を集めてくれる影狼。触れられる影さえあれば生む事が出来て、彼らの見た事は愚か訊いた事や嗅いだ事までも情報共有して冥利にフィードバックしてくれる使い勝手の良い妖術だ。欠点らしい欠点は敢えて上げるなら大量に生み出せない事と、そこまで強力なパワーを有していない事くらい。怪異だった頃であればもっと強力な妖術で、そこそこ帝都を騒がせたものだったがそれはまた別の話。いや、過去の話だ。きっとこの先、あの頃と同じような力を冥利が操る事はないだろうと、冥利自身が自覚していた。

「 いえいえ。もしも仮に私自身がその場を通りかかってノア様を見かければ、お声をかけない理由がございません。しかしながら私には、影がありますから。 」

 暗にその事を語りつつも、全てを語らない。全てを語るには、この帝都と言う場所はリスクが大きいのだ。物騒な噂が跋扈する場で自身の腹の内を明かすのは愚の骨頂。何が足下をすくって来るかも判らないのだから。少し時間が経って飲みやすくなったミルクに口を付けつつ、じっと主を見詰め思考する。いくら忠犬と言えど、やはり彼の行動に多少の縛りを付ける程度は必要かも知れないと。あくまで、彼への忠誠心から。

「 しかし、お気を付け下さいノア様。この帝都は少しばかり厄介な存在が多い……私が言えた身ではありませんがね。 」

 カップを置いて、言葉重めに語りかける。今日も多くの噂を掻き集めた冥利だから言える。どれも単に聞けば信憑性の無いものかも知れないけれど、騒ぐ程の真相では無いものかも知れないけれど、それでも火の無い所に煙は立たないのだ。嘘のような怪異は存在する。命の危機に晒される事だってある。彼の能力を知っていれば常人よりは平気だとは理解出来ても、だからと言って心配するなと言うのは到底不可能だった。神妙な顔付きで、ぽつりと呟くように、次いで苦笑し自虐するように。


>> ノア・ハーグフィールド様

22日前 No.76

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【稲荷神社/青崎 鷹男】

六花はこれまた筋が通り、具体的な根拠に基づく考察を話してくれた。
一般人の時点で、男性と女性で体つきの違いは明確。故により大きな相違点を描写する動機は薄い、とのこと。

「それ以上の差を描く必要がないだけで、別に悪印象を持たれているわけじゃないということか……ありがとう、胸のつかえが取れたよ」

無論そうでない場合も往々にしてあるだろうが、やはり大多数はそうと考えていい筈だ。

(……さて、もうそろそろお暇した方がいいか)

空に目をやれば、太陽がやや傾きつつある。
思ったよりも長々と話に付き合わせてしまった。恐らく気疲れしていることだろう。本当に枢要な講話であった、またいつか彼女の迷惑にならない範囲で、対談と洒落混みたいものだ。

「俺はもう行く、退屈な話題で時間を潰させてしまったかも知れない……だが、もしそうでないならまたこうして、腰を据えて話をしたい」

それだけ言い終わると、踵を返し歩き始める。このまま神社に残って修行に励んでもよかったのだが、やはりこれ以上彼女に気を使わせるのは憚られる。
これからどうしようか、自分にしては長いこと体を動かしていない気分なので、どちらかといえばスラム街へ足を運んだ方がいいだろうか。

>>風花/弥山 六花


【ここで鷹男は一時退場させます、お付き合い頂きありがとうございました】

21日前 No.77

火林 @redgreen57☆jAJGLtPWRlCc ★iPhone=9h3k2IMc5C

【 表通り・作楽亭 / ノア・ハーグフィールド 】


「えっとね、プリンスは皇子かな? リトルは『小さい』って意味だから、小さな皇子!」

 驚きのあまり思わず口にした英語をどうやら冥利さんは上手く聞き取れなかったのか、表通りに居た際のノアのように頭に疑問符を浮かべたような表情をしていた……と思う。と、いうのも、彼は「恥ずかしい」などと言いながらも顔に僅かな笑みを未だに張り付けていたままだったからだ。西洋の国ではそんな表情をポーカーフェイスと呼んで、その名の通りポーカーを行う時、自身の手札を悟られまいと顔色を固定するのだ。本来は無表情のことを言うのだろうが、感情が読み取れないと言う点においては共通しているため、この際表情の種類は置いておこう。ふと、冥利さんを賭場に誘ってみようか、と思い当たる。彼のことだ、どんな状況だろうと柔らかな笑みを絶やすことなく相手を混乱に陥れ、きっと圧勝するに違いない。ノアのように負け越している姿を想像することも少々難しい。
話を戻すが、西洋の文化が徐々に馴染んできたとはいえここは日本。海外からの来訪者もそこまで多く居るわけでは無いため、そちらの言語もこの国ではポピュラーなものでは無さそうだ。社長でさえノアの名前が平仮名表記されているような発音で紡ぐ。
そうして席に着いてすぐに彼へと単語の説明をするものの、ノア自身もまだ完全に日本語を理解してはいないのだ。今しがた聞いた『せんがくかぶん』という単語も初めて耳にするものだった。

「日本の言葉はむずかしいですね……あ、でもさっき『すかんぴん』って教えて貰いました! ボクみたいな文無しのことだって!」

やはり賭場よりも先に辞書を買いに行った方が良いかもしれない。海外の文明を受け入れ、それをさらに発展させようとするほどの叡智のある国なのだ。言語が複雑な事にも納得がいく。


ものの数分で運ばれてきた料理が届く頃には、冥利さんの飲むミルクは幾分か冷めてしまったようだ。先程まで立ち上っていた、彼の影のように揺れる湯気は見当たらない。
そんな彼の影によってノアの行動が把握されていたことを暗にだが明かされる。明言しないのは、おそらく異能の存在、またそれを持つ者の存在を明らかにしない為であろう。ただでさえこのところ物騒な噂をよく耳にする。茶屋で二人が話していたのもそれに違いない。噂だが、仮にその伝わり方が違えてしまえば、噂は噂は呼び、尾ひれを付け、人々を混乱と恐怖の渦に巻き込んでしまうことも無きにしも非ず。そんな所で更なる話を持ち込むのもかなりriskyだな、と思う。
彼がカップを持ち上げるのとほぼ同時にノアも箸を持った。日本暮らしもかれこれ数年だ。頭を使うことを覚えるより、身体を使うことを覚える方が簡単だ。箸だって使えるようになった。千切りのキャベツのベッドに横たえられた、揚げたてのコロッケを割る感覚はいつもわくわくする。誕生日のプレゼントを開ける子供の気分だ。中から湯気と共に溢れる香ばしい香りは、育ち盛りの少年の食欲をそそる。半分に割ったそれをさらに半分に割り、口へ入れようとした所で初めて彼の視線に気が付いた。

既に口元にあったコロッケは再び皿へ。ルビーの双眼を真っ直ぐに見つめ返す。入店時の演技がかった口調から一転して、妙に重たいそれで語られる言葉。きっとノアの行動と共に得た噂話についてだろう。ノアの異能をもってすれば、命を落とさない限りは回復が出来る。そのことを知りながら『気を付けろ』と、身を案じてくれている事に対する喜びは大きい。しかし、危険に晒されているのは何も自身だけでは無い。帝都の市民、探偵社の社員、そして彼自身もまた同じなのだ。
次いで彼がどこか彼自身を嘲るように口角を上げるのを見て、心の柔い部分がきゅう、と音を上げた気がした。思わず安心させようと、撫でてしまいたくなって手を差し伸べようとしてしまう。

「……大丈夫、ボクは死なない限り平気だからね! 気を付けるのは冥利さんも同じですよ! 最近何かと怖いですからね。知ってます? 劇団の演目が良くないとか、視線を感じるっていう噂」

なるべく心配を掛けたくはないが、これでも探偵社の一員。この国に足を踏み入れる前も入れてからも多少の死線を潜ってきたのだ。それでもそんな経験、きっと彼の前ではほんのひと握りにも満たないかもしれない。異能が戦闘向きではないことも加わって余計な心配をさらに掛けてしまうだろうか。出来れば周りの人には笑っていてほしい。そう思って自分も笑顔で接するのだ。

>>冥利さま、ALLさま

21日前 No.78

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 フルーツパーラー / 亞御嶽羅夢華 】

送り迎えしてもらえることになった。別に羅夢華は方向音痴では無いのだけれど、万が一また迷ってしまったら大変だから、送迎してもらえるならしてもらった方が良いに決まっている。
大して待つことなく、羅夢華の頼んだカレーライスと宝座の頼んだコロッケとライスがやってきた。手を合わせてから、汁と米と野菜を乗せたスプーンを口に運ぶ。ごろごろしたジャガイモを口内で転がしながら(ん、このジャガイモ美味しいわね。本来の味とカレーの味が良い感じに両立してるわよ)と心の中で絶賛した。農家の娘なので野菜が好物なのである。二口目にさしかかったところで、宝座が切り分けたコロッケが皿にやってきた。(やけに丁寧だと思ったら、そういうことだったのね)あとでちょうだい、と言わずに済む。ありがたい。こちらもカレーを一口分あげようと丁寧にスプーンによそい、「はい、あーん」と無感情にやろうとしたところで、口に出す前にそれは中断された。

「――チッ。なによ、人の食事の邪魔しないでほしいわ」

不機嫌を隠そうともせず前面に露わにして、持ち上げていたスプーンを皿の上へ置く。舌打ちと文句を吐き出してから、苛々の権化のような目で睨みつけるように、視線を声の方へ。出刃包丁を持った男性。恐らく酔っ払い。それを確認してから、もう一度舌打ちをする。羅夢華はおっとりした垂れ目の割に血の気が多い。喧嘩なんて日常茶飯事の女だ。相手が包丁を持っていなければ、あるいは自分の能力が超強かったら、それか此処が店内でなければ、「誰があなたなんかに金を渡すもんですか! かかってきなさいよ!」と喧嘩を売っているところである。
さてどうしたものか、と、宝座の気遣いに気付かぬまま考えようとしたところで、強盗の近くにいたゴツい男性から、男らしい低音の叫び声があがる。それによって店内はもう破茶滅茶だ。怒りを通り越して呆れになってしまい、はあ、とクソデカため息を吐く。息を吐ききってから、視線を目の前の幼馴染に戻した。

「……さてさて、宝座。どうする? あの男をやっつける? それともこのまま平凡な客でいる? あぁ、こっそりお店から抜け出すなんてのもありね。勿論、カレーもコロッケも食べ終えてからよ。勿体無いからね。因みにわたしはどれを選んでも作戦に貢献できる自信があるわ。さあ、どうするのかしら?」

先ほどまでの怒りでも呆れでもなく、薄く笑ってそう問う。食事の邪魔をされて怒っても、店内の混乱具合に呆れても、探偵社の端くれ。事件はだいすきだし、不謹慎だったとしても楽しくなってしまうのだ。あの男の真下に彼がすっぽりハマりそうな穴でもあけるか、このまま居座り怯えたフリでもするか、壁に穴をあけて逃げ出すか。もしも宝座にもっと良い案があるならそれに乗るし、何れかを選んでも羅夢華は笑顔で友人に付き合い協力する。奢ってもらうお礼だ、選択権をやろう。とでも言いたげな目で、相手の返答を待つ。

>>清水小路宝座さま、allさま

20日前 No.79

ねこ @nekochan ★TeB3squf21_2Js

 結局、と鳴海はひとりごちる。結局、この場所に来てしまうのだ、と。

「ああ、ぼくってば情けない」

 フィルタまで焦がすほどにちまちまと意地汚く吸った煙草の火を、靴底に押し当ててじゅうと消す。その表情は、微塵も情けないなんて思っていない顔だ。のんびり、へらへら、をまるまま再現すればきっとこういう顔になる。
 ここは白菊探偵社の軒先、入口より半歩ずれた道路際である。まったくもっていつも通りのコースをたどり、自分一人では解決できない事件を放り投げるべく足を向けたわけだが、あのいやに色気のある椿という謎に満ちた男、どうにも食えない。鳴海は、いっそ彼こそがすべての怪異の根本である、と言われた方がまだいくらか納得できるな、とこっそり常思っているわけだが、そんなことが知られればもう助けてはもらえないかも、と口にはしていない。まあ、せずとも、なんとなく知られているような気がするのだが。
 どうにかこうにか、依頼人からの報酬は自分に、そして面倒で厄介な事件解決は椿――というよりあの、隻腕で火傷跡が綺麗……という言い方はおかしいだろうか。しかし鳴海には綺麗に見える、あの天田という男――を筆頭とする白菊探偵社に任せてしまいたい。はて、どうしたらうまく事は進むだろうか。ない頭をひねり、考え、また煙草を一本取り出し……かけて、そのくしゃくしゃの箱が空っぽであることに気づいた。
 足元には、吸い殻が散らばっている。あーあ、と鳴海はため息をついた。煙草の一本でも惜しいくらいの生活をしているのに、無意識で味わう間もなく吸い終わってしまうとは、なんともったいないことか。

「……ま、なるようになるか。椿さんて、結構その辺ふわっとしてるところ、あるっぽいし」

 仮にもよそ様の探偵社の入り口前に煙草の吸殻を捨てたこともすっかり思考の端へと追いやり、また、図々しく厚かましい頼みごとをするにも関わらず手土産の一つも持たないこの佐倉鳴海という男、常識がないのか肝が据わっているのか、その両方なのかもわからないが、とりあえずは何の考えもなしに白菊探偵社の入り口を遠慮なく押し開けた。

「どうも、佐倉です。佐倉鳴海です」

 お邪魔しまあす、と言いながら、なんとも、自分の家に帰ってきたかのような堂々たる挙動である。開けたドアの隙間からは地面に散らばる無数の吸殻は見えるだろうし、にこにこしている鳴海がまったくの手ぶらであることもわかるだろうし、そして、これまでの経験から、鳴海がここにくるときは大抵厄介な案件を持ってくる、ということもわかっているだろう。

「早速だけどね、面白い話、聞きたくない?」

 まあもっとも、社長である椿にとって、それはきっと厄介というよりは面白い案件、になるのだろうが。入口に立ち、にこぉ、と嫌な笑みを浮かべて言い放ちながら、苦労をするのは天田さんだな、と、他人事のように鳴海は思った。

>>椿さま、天田空地さま、Allさま


【絡み失礼します〜!噂話デリバリーに参りました!聞き流してくださっても、受け入れてくださっても、どちらでも大丈夫ですので、よろしければお相手してやってくださいませ……!】

20日前 No.80

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_rxQ

【 フルーツパーラー→表通り / 清水小路宝座 】

 お気に入りと公言する幼馴染から「あーん」して貰う機会を知らぬ内に逃していた宝座。幸いなのは当人が気付かなかったことか。知ってしまえば心底から悔しがって帰宅した後ふて寝していたはずだ。恋愛感情を抱いていないくせに、親友とイチャつくの大好きマンなので貴重なスキンシップを逃すとたまにそうなる。こんなんだから敵からの煽りで「お前あの子のこと本当はそういう意味で好きなんじゃねーの」的な言葉をぶつけられるのだ。尚この系統の台詞をぶん投げて来た敵は全員ヤってきた。もちろん殺のほうの字だ。大好きな幼馴染をネタに煽ってくる奴には容赦しない。

「随分と酔っ払っているようだから、アルコールが抜けたら本人も自分の凶行にビックリするかもしれないね。とはいえ自動自得だ。呑まれるほどに酒を飲んだのは自分の責任だろう」

 基本的に好きな相手以外にドライな気質の宝座だ。男を庇う素振りは無く、あっさりと見捨てる発言で締めくくった。彼女はそんなことをしないけれど、仮に酒に酔って強盗したのが羅夢華なら泣き落としや脅しまで含めたあの手この手で彼女を庇っただろうに。相手が変わればこうも対応が違う。現金でちゃっかりした奴だ。可愛い幼馴染の機嫌を降下させた時点で相手は有罪。心配りをせずとも良し。
 一方、飲んだくれは自分より巨躯で自分よりドスの効いた声で悲鳴を上げるオネェに最初こそビビっていたが、手に握る出刃包丁の存在を思いだし再度強気になっていた。あんな薄っぺらい粗悪品の出刃包丁、ちょっと頑丈な椅子から横殴りにされればポッキリ折れてしまいそうなものを所持しているからといって、どうしてあそこまでそっくり返ることができるのやら。いやはや百薬の長の力とは恐るべき。宝座も成人したあかつきには“ああ”はならぬよう気を付けねば。泥酔して路上で小粋なダンスでも始めようものなら、きっとその時にはもっと愛らしく成長しているであろう幼馴染に嫌われてしまう。

「そうだね。店の床に穴が空くとここの店長に申し訳ないし、ひとまず店から追い出すよ。お兄さんが彼を人気の無い場所に追いやったら、貴方様に落とし穴をお願いして良いかい? そこから先はおまわりさんに任せようぜ」

 なんだか好戦的な様子の羅夢華にこちらも笑い返す。意識を切り替え異能を発動させれば、次の瞬間には店中の紙ナプキンが突風に煽られたようにぶわりと舞いあがった。向かう先は飲んだくれ強盗犯の足元。強度を鉄板レベルにランクアップされた何枚もの紙ナプキンは慌てふためき足をバタバタ動かす男の靴と床の隙間に滑り込み、そのまま救い上げるようにして男の身体を攫って行った。半分以上の紙ナプキンはその強度のまま店内に被害が出ない程度に暴れさせ、客らの視界を邪魔することに専念したので、当然、客たちは何が起こったかよく分かっていない。この隙に店中の窓という窓でも開け放つ小細工をしておけば、いきなり強い風が吹いてどうにかなったのだと勝手に納得してくれるはずだ。

「行こう、羅夢華。迷子にならないように手を繋いだ上でね。貴方様だと空でも迷子になりかねない。どうか天使のように羽ばたいて消えてしまわないでね」

 幼馴染の細い指に己の細い指を絡め、紙ナプキンたちを集わせることで作った即席の空飛ぶ絨毯(紙製)に彼女ごと飛び乗る。向かう先は表通り。人目につきすぎると厄介なので、店内と同じく紙ナプキンを無数に舞わせて通行人らの視界を塞ぎつつ、酔っ払いは紙に上空まで運ばせ自分たちもさっさと視認できない高度まで到達する予定だ。それから空を飛んで人気の無い場所に行き、例えば適当な森の出入り口とかにこの酔っ払いを放置し警察へ通報しよう。

>亞御嶽羅夢華様&ALL様

20日前 No.81

雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

【白菊探偵事務所/椿】

さて、と一息つくべきであろう所で、彼は御茶の入った湯呑みを手に持ち、ゆらりと立ち上がった。それが何を意図しているか、それはこの時点で分かる筈も無かったが、コトリ、羊羹が数切れ乗せられた小皿が彼の座っていた手前の机へ、茶の入った湯呑みと共に置かれていた。やはり、それも意に介さずに天田の方へ歩みを進める折りに、事務所の扉が何とも手慣れた様子で無遠慮に開かれた。もちろん、椿はそちらの方へと視線を向ける。大方、其処に居る人物は予想は着いていたが。
相も変わらず少し間延びしたように、お邪魔しまあす、なんて言ってにこにこと笑みを浮かべた男の顔は当然ながらに見覚えがある。本人も名乗っていたが、佐倉 鳴海――――しがない一人の探偵なのだが、これがどうにも探偵としての資質に欠くと言うべきなのか。幾度と無く手に終えなくなった案件を此方へ回してくるのが、何時の間にやら常となってしまっている。ま、資質に欠くのはうちの面子も中々のもんだとは思うが、と椿は悠々とした笑みを湛えた中で密やかに社員を思い返して、少しばかり愉快に思う。

ともかく、そんな佐倉は「面白い話、聞きたくない?」なんて早速ながらに話を切り出して来たものだから、椿は左側から回り込んで天田が座っているソファーへ、ゆったりと腰を沈めて番茶の入った湯呑みを机の手前に置く。流石に大の男二人が座れば、多少の手狭さを感じない訳では無かったが、今は然程気にするような事でも無い―――少なくとも、椿にとっては。

「ほう、面白い話な……そいつはいい、話して貰おうか。そら、其処に座んな。」

面白い話、それは要するに「また」という事になるのだが、それは椿の知った事ではない。故に、嫌な顔をするなんて事はなく、満つ月の双眸を佐倉へ差し向けて口元を好奇に歪ませる。
佐倉が入ってくる少し前に突然現れた淹れたばかりの番茶の入った湯呑みと羊羹の乗せられた小皿が手前の机に置かれているのにも関わらず誰も座っていない場所―――要は椿が先程まで座っていた場所であり、今となっては椿と天田の二人と向かい合う形になるのだが―――を指し示すように視線を向ける事で着席を促した。それはまるで、最初から誰かが来る事を想定されていたようで、事実椿は佐倉の来訪に対して殆ど驚いたり意外そうな反応はしていなかったが。

「……ああ、飯の方が良かったか?そうなら店屋物の一つでも奢ってやるが……ま、話の後だ。どうせ、昼飯の付け合わせにしたいような話でもないんだろう?」

そう言えば、まだ昼を少しばかり過ぎた頃合いで少し前にもノアが空きっ腹だったな、と思い返せば、羊羹を出した手前に一応そう声を掛けておく。正直、昼飯の付け合わせに面白い話が聞くのは俺としちゃあ構わないが、あくまでそれが自分の目線で見た話だ、って事位は分かってるさ。大方の奴らにとっちゃあ、佐倉の持ってくる話ってのは昼飯の付け合わせにするには重すぎたりするもんだろうさ。

>佐倉 鳴海様、天田 空地様、all

【絡みありがとうございます!喜んで受け取らせてもらいますね…!】

18日前 No.82

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 フルーツパーラー→表通り / 清水小路宝座 / 亞御嶽羅夢華 】

羅夢華の提案の中から、宝座は『あの男をやっつける』を選んだ。お店に穴があくのは可哀想だから、外に追い出してから落とし穴。作戦を理解し、「了解よ」と頷く。落とし穴に入れたらあとは警察任せにも了承している。いやいや、いくら探偵社の端くれと雖も犯罪者を逮捕する権利は持っていないからね。
さてどうやって外へ追い出すのかしらん、と問おうか問わまいか考える前に、店内の『紙』ナプキンが空を飛んだ。台風でも突撃したかのようだが、店内は無風且つ窓を閉めきっている。まあつまりは目の前の彼の仕業だ。一部は飲んだくれの足元へ、一部は店中で舞って客の視界を覆っている。

「あら、ご心配ありがとう。でも宝座、わたしは方向音痴でなければ、空を飛ぶ能力も持っていないのよ。あるのは穴をあける力だけ。これは地上向きの異能だからね、天空はわたしの担当から外れるってやつよ。雲の上ではわたしは何もできやしないの。――にしても、空飛ぶ絨毯だなんて。いとも簡単に幼い子どもの夢を叶えてくれるのね、宝座は」

素直に幼馴染の手を繋ぎ返し、引かれるがままに空飛ぶ絨毯へ乗る。
空では何もできない、と羅夢華は言ったが、そんなことはない。今はこの紙ナプキンの強度が鉄板レベルだから何もできないけれど、もしもう少し弱ければ――羅夢華に少しでも傷をつけることが可能であり男一人を持ち上げられる奇跡の強度ならば、いとも容易く絨毯に穴をあけ、彼を殺すことだってできる。できるだけであって、わざわざ人を殺したりなんてしない。そんなまどろっこしいことしてまで自身の異能を使って殺そうとは思わないもの。最初から宝座が紙を薄紙とかにしてしまえばいいんだから。

「……にしても、高いわねぇ。このぐらい高い方が確かに人目につかないから便利だけれど、もしも落ちたらひとたまりもないわ――なーんてね。あなたがわたしを落とすだなんて一ミリも思っていないわ。あなたのことだから、あの強盗犯を落としてしまうことはあれど、誤って落下死させてしまうことはあれど、わたしのことは自分が犠牲になってでも助けてくれそうだもの――犠牲になってでも、は言い過ぎかしら? 冗談よ、あなたが死んでわたしだけ生き残ったら死んだあなたを生まれ変わるまで恨み続けるんだからね。……あ。あそこの森なんていいんじゃない? 生憎、わたしの視力はこんな高いところから見えるように作られていないから、アレが森かどうかはよくわからないのだけれど」

惚気くさくて重い話を素面でしてから、目に留まった緑の塊を指さす。遠くから見たら苔の塊に見える。降りてみるか、超視力の人間が現れるか、下の人間と連絡がとれないと苔の塊なのか森なのかの判別ができそうにない。

>>清水小路宝座さま、allさま

【少し(?)すすめました!】

17日前 No.83

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_rxQ

【 表通り→森 / 清水小路宝座 】

 彼女が方向音痴を認めないのは出会った時から今日まで続く一種の伝統芸能。故に今さらそこには触れず、緩い笑いと共に受け流す。頑なに真実を認めたがらない女の子も可愛いものだ。それが親友ならば尚更。幼馴染ならば余計に。亞御嶽羅夢華ならば一層。
 数多の紙きれを百鬼夜行のごとく引き連れ空を舞い飛ぶ。この状況で逃げられるとは思わないが、念のために飛翔の最中も紙にくるまれた酔っ払いから視線は外さなかった。……こうして観察していると、ふごふご喚きながらもぞもぞ蠢く紙まみれの人型は、新手の妖怪か異星人のペットにでも見えてくる。チャネリングの修行でも積まないと意思疎通ができなさそうだ。まあ酔っ払いは往々にして人間の言葉が通じない生き物なので、そういう意味では宇宙人みたいなものである。大して違わない。

「おや。そんな風に言うってことは、貴方様も一度は空飛ぶ絨毯に憧れたことがあるのかい? ふふ。それなら良かった。図らずもお兄さんは、大好きな親友の夢を一つ叶えてあげられた訳か」

 幼馴染の言い分に機嫌を上昇させる。ついでに高度も上昇させる。アルコール浸しの神経とて、あまりの出来事に恐怖を感じずにはいられなかったのだろうか。気付けば鼻をつく異臭。具体的にはアンモニアの匂い。どうやら目先の酔っ払い、大小の小のほうを下半身からドバドバお漏らししてしまったらしい。おっさんの失禁を喜ぶ趣味はないし臭い続けたくもないから、自分たちに匂いが来ずに済むよう酔っ払いを風下に配置し直す。何も口には出さなかった。幼馴染との間で酔っ払いがおしっこを我慢できなかった話題などで盛り上がれる気がしないし、いくらなんでもそれで盛り上がるのはおっさんが可哀想かなとなけなしの良心が働いたのだ。それにしてもこちらのテンションが上がった瞬間に黄色い液体で文字通り水をさすなんて。中々空気の読めない酔っ払いだ。空気なんて読める理性が残っていれば、そもそもフルーツパーラー強盗なぞ目論まなかったのだから当然と言えば当然だが。

「嗚呼、その通りさ。お兄さんが貴方様を落とすだなんて万に一つも有り得ないけれど。億に一つも有り得ないけれど。兆に一つも有り得ないけれど。京に一つも有り得ないけれど。それでも無量大数の果てにそんな有り得ないことが起こってしまったなら、それでも絶対、貴方様のことだけは助けてみせるよ。
 ……って言いたかったんだけど。そうか、そうなってしまうと恨まれてしまうのか。それは嫌だな。お兄さん、有象無象になんと思われたって折鶴一羽こさえる程度の時間でどうでも良くなるだろうけど。貴方様に恨まれるなんて、そんなのは考えただけで目の前が真っ暗になってしまう」

 本当に真っ暗になったのか、一瞬だけ酔っ払い側の紙のコントロールが不安定になり身体がガタンッと高度を下げた。それでも自分たちが――親友たる羅夢華が乗っている紙絨毯の高度は下げなかった辺り、先程の発言は本気でしたものなのだろう。友情もここまでの熱量があればいっそ恋情であったほうが健全だ。
 閑話休題。そんなこんなで彼女の指さした森へと無事到着し、まずは紙にラッピングされたままの酔っ払いを雑に着地させる。次いで自分たちの紙絨毯は、ふわりと小鳥の羽を落とすかろやかさで地面付近に降ろした。些細な仕草から人間性は垣間見える。コイツは本当に、懐に入れた人間以外わりとどうでも良い男だった。『赤の他人』で『犯罪者』ともなれば一入(ひとしお)。

>亞御嶽羅夢華様&ALL様

【有り難いです!】

17日前 No.84

ねこ @nekochan ★TeB3squf21_2Js

【白菊探偵事務所/佐倉鳴海】

「そうだね、お昼の付け合せにしては、ちょっぴりばっか、おいしくないかも」

 勝手知ったるなんとやら、といった様子で、ずかずかと事務所内に入り込み、それじゃ失礼して、と遠慮もなくソファに腰かける鳴海は、まったく何も考えていない様子で挨拶もそこそこに、まずは羊羹を口に運んだ。

「ン、おいしい。甘すぎないのがいいよね。お茶、お茶〜……あつ、あつつ。いや、でも、やっぱりおいし……」

 ずず、と今度はまた遠慮もなく茶をすする。いったい何しに来たのか、はなはだ疑問ではあるが、向かいに座る男は気にする様子もなくどっしりと構えるだけだ。鳴海は羊羹と茶に舌鼓を打ちながら、内心蟠る感情を抑え込む。いつも、こうしてなんのアポも取らずにここへ足を運ぶと言うのに、毎度何かしらの形で自分が来ることを予見されているようで、いっそ気味が悪い。だが、若干の居心地の悪さは感ずれど、悪意のようなものは見受けられないので、ありがたくこうしてすきっ腹を満たしているわけだが。

「それで……ウン、おいし。まあ、面白い話って言うのがさあ、知ってる? あのさ……花一匁、って童謡、あれあるでしょ? ふふ、笑っちゃうんだけどさあ……」

 実際、笑いごとではない。人が消えているという事実があるわけで、まあそれは鳴海にとってなんら関係のない話ではあるが、依頼として舞い込んできたのでこうしてここへ足を運んだのだ。けれど、説明を重ねれば重ねるほど、「花一匁の人さらい」の話はまあまあに寒い駄洒落のようで笑えてくる。かくかく、しかじか。自分の知るあらかたの情報を出し終えたところで、羊羹の最後の一切れを口に放り込んだ。

「ってわけ。どう思う? ぼくはさあ、さっぱりなんにも見当つかなくて。でも、やっぱりお金はほしいでしょう? だからさあ、情報料ってことで、解決したらぼくにもいくらか流してもらえると、とっても助かるんだけどなあ……」

 情報料もなにも、ここまで何の承諾も得ずに勝手に話をしておいて、なんともわがままな話だが、これが鳴海の常套手段だった。そして、大抵の場合、それを拒まないのも椿である、と鳴海は思っている。この男、面白ければおよそ何でも受け入れてしまう節があるな、と踏んで、まあ有体に言えば利用させてもらおうという魂胆だ。

「ね、ね、椿さん、面白い話大好きだろう? 花一匁の噂、まだ知らなかっただろう? ねえ、頼むよお、ぼくこの通り素寒貧でさ! お願い! ついでに言うと、羊羹だけじゃ足りないから、お昼もおごってください! あともしよかったら夜ご飯も! ハヤシライス食べたい! お願い!」

 ぱん、と目の前で両の手を合わせ、ねっ、ねっ、と必死に頭を下げる姿は、ある意味ではあまりにも潔く情けなく、何の感情もわかないかもしれない。なにせこの鳴海という男は、年中こうして誰かに頭を下げて食いつないでいるような状態だ。ねえ、おねがいだよう、と、女にそうすり寄ればころりと落ちてくれるのだろうが、あいにくだが相手は男二人、それも鳴海の手の内をほぼほぼ読み切った者たちである。お願い〜お願い〜、神様仏様鬼神様〜、と、そんな中でも冗談を抜かすことを忘れない鳴海の能天気さは、見上げた根性としか言えない。

>>椿さま、天田空地さま、Allさま


【ひとまず内容は詳しく記載せずすすめました、情報開示はロール内で行ったていでいますので、椿さん、天田さんお二人からほかの方への伝達など、後の展開に合わせて行っていただけるかと思います……!】

15日前 No.85

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 表通り→森 / 亞御嶽羅夢華 】

「……あっはは、一本とられたわね! そうね、そういうことになっちゃうわね。自分で言っといてなんだけど、全然気付いてなかったわ、自分の夢が叶ってることに! あなたは、図らずもわたしの夢を一つ叶えてあげられた訳だけど、わたしも図らずも夢を一つ叶えられちゃったわ」

憧れたことがあるのかい、と言われ、きょとんとする。そして少ししてから、楽しそうに笑った。誰でもそうだろうと思って何気なく『幼い子どもの夢を叶えてくれるのね』なんて言ったが、なるほど。『誰でもそうだろう』の『誰でも』に自分も入っていたわけか。宝座の機嫌と高度とともに、羅夢華の機転も上昇。尿を排泄しやがった酔っ払いはアウトオブ眼中である。

羅夢華のことだけは守ってくれるらしい。言ったとおりだった。恨むというのも含め冗談だったのだが、本気で茫然自失気味の幼馴染に、また「ふふっ」と笑いを零す。悪戯好き且つ無責任な羅夢華なので、今の彼の状態はとても面白い。
そんなことをしているうちに、たのしい空の旅は終了。森の前へ静かに着地した紙製絨毯から降り、数分振りに地面へ足を置いた。

「――よっ、と。コレで終わりね。味気ない仕事で地味な異能よねー、ほんと。宝座みたいに派手ならいいのに。ぽんってやってひょいって落ちて終わりよ。……ほら、さっさとまた飛んで帰りましょう? その前に警察か。あーあ、強盗やっつけたんだし報酬金とかもらえないのかしら!」

ぱちんっ。特ににっこり笑うわけでもキメ顔をするわけでもなく、ごくごく普通の特に何の感情も入っていない顔で、指を鳴らす。すると、飲んだくれの真下へおっさんのヒップのみがぴったりハマるような穴が空き、強盗は短い手足を真上へピンと伸ばして仰向けのまま臀部が穴から抜けなくなった。滑稽である。突然地面に穴が空いただけで、紙ナプキンが舞ったり紙で空飛ぶ絨毯を作ったり……と比べると、すごく控えめな異能だ。それをジョーク交じりに嘆きながら、再び紙絨毯の上へ歩いていく。そして金にがめつい彼女らしい発言をするのだった。

>>清水小路宝座さま、allさま

【羅夢華が穴をあけなきゃ終わらないので、終わらせちゃいました!】

15日前 No.86

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★YRuDhSwQ0p_rxQ

【 森→空中 / 清水小路宝座 】

 ふわりと体重を感じさせぬ軽やかさで舞い降りた羅夢華。その後ろで音も無く、ふわりというよりはシュタッという効果音が似合う着地を決める宝座。場所が森だからといって森林浴を楽しむでもなく、二人は早々に酔っ払いを穴へとはめ込みこの場から帰ることを選択した。マイナスイオンがそよそよと風に紛れて吹き付ける爽やかなシチュエーションも、気紛れな少女とそんな少女を気に入る少年の前では後ろ髪さえ引くことはない。
 穴に落ちた酔っ払いのお尻が穴にピッタリはまっていることを確認し、目隠し部分の紙だけを残して酔っ払いの身体から他の紙を剥がれさせる。目元のものだけ残したのは、自分たちが完全に立ち去るまで酔っ払いに姿を見せないためだ。自分一人ならいざ知らず、この場には親友がいる。もしこの酔っ払いが想定したより恨みがましい性格で、ここで顔を見せてしまったばかりに後ほど見当違いの復讐に走られるのはまっぴら御免だ。先にこちらに来てくれれば完膚無きまでに打ちのめす。が、羅夢華のほうに行ったなら男のやり方によっては彼女が危険に陥る。それを回避するための目隠しだ。

「派手でも所詮は紙だからね。お兄さんより強くて華やかな異能力者はいっぱいいるさ。でも、貴方様にそう言って貰えるのは嫌いじゃあない。いや、もっと言えば大好きだ。うん。人に、ましてや親友に褒められるのはとっても幸せな気分だね!」

 瞳を満足げに輝かせて紙製の空飛ぶ絨毯に乗り上げる宝座。こいつは親友を誉めそやすのも好きなら、親友に誉めそやされるのも好きだ。というかもう親友が好きだ。好きだから親友だ。
 報奨金が出るかはさて置き、警察に知らせるべく既に式神――ただここに強盗がいるという情報を記しただけの人型の紙きれである――を近くの交番まで飛ばした。今日出勤しているおまわりさんが真面目ならものの数十分の内にあの酔っ払いは回収されるはずだ。酔っ払いの指紋が付着した出刃包丁も埋まった酔っ払いの近くに置いてきた。もちろん、自身と親友の指紋まで残す無様は晒していない。紙越しに触れた。

「さて、途中で道草を食わされたけれど。確かお兄さんは貴方様を自宅まで送り届けるんだったね。当初の目的を果たすとしようか。さ、今度はさっきよりもっと高い空を突っ切るよ。お兄さんにしっかり掴まって!」

 羅夢華が自分の後ろに乗ったのを確認。次の瞬間、ペーパークラフト空飛ぶ絨毯は意気揚々と天空への飛翔を開始した。鷹に代表される猛禽類のごとき鋭さで青空を裂き、貫き、駆け抜ける。しかし前方に上手いこと紙で壁を作ってあるので吹き飛ばされるほどの衝撃は感じない。先程は酔っ払いの姿を宇宙人に例えたが、むしろ一般の人々にしてみればこんな訳の分からない物に乗って空を飛んでいる宝座らのほうがよっぽどSFチックな存在だろう。もっとも、それは野次馬がいればの話。ただでさえ人気の無いルートを選び、加えていちいち視線を真上に向けねば眼に映らぬ高所を飛んでいるのだ。正体を察せぬどころか、そもそもそこに変なものが存在していると知れる者さえ今はいない。

>亞御嶽羅夢華様&ALL様

【100くらいからイベントが始まるらしいので、名残惜しいですがそろそろ引きに入りましょう。次のロルで家についたことにして頂いて大丈夫です。
 絡みありがとうございました! 羅夢華ちゃんとまた絡めたらとっても嬉しいです!】

15日前 No.87

雪鹿 @class ★Android=42zyboh5vZ

【白菊探偵事務所/椿】

話を黙々と聞き入った椿は茶を啜って、話が終わると同時に声をぽつりと、なるほど、と興味深そうに小さく漏らす。それは間違いなく彼が知らなかった話である事を意味していて、同時に関心がある事は明白であった。
花一匁、はてさて心当たりもとんと無いが、一体何があったか。閉じた世界の花街にゃ、生憎知り合いが居ねぇからなぁ……どうにも情報ってもんが回って来ねぇのさ。後は、俺があんまり花街を好いてねぇってのもあるんだがね……いや、正しく言うなら、花街で酒に浮かされたような馬鹿が嫌いなんだが。

花街に対して複雑な心境を持ちながらも、それはそれ、最悪俺が行かなくたって良い話だろうし、と割り切っていれば、解決した暁には情報料として金をくれ、と大雑把かつ単刀直入に訳するならば、そうなる言葉に何と答えるか、と思い悩んだ頃合いでパンッと鳴らされた両手と必死に下げられた頭。素寒貧、その言葉をまさか此処でも聞く事になろうとは、と思ったのは言うまでもない。
ついでに昼飯と夕飯まで―――それどころか、しれっと食べたい物を要求してくる辺り、手慣れてると言うか何と言うか……いっそ清々しい位の行動と言動に緩みかけた口元を、そっと肘掛けに置いていた手で隠す。別に、金なんざ興味もねぇが、はてさてどうしたもんかね……こういう愛嬌のある男ってのは、どうにも女より扱いに困る。

「……ったく、面上げな。そこまで求めるってんなら、応えてやるよ。なんなら三階の空き部屋にでも泊まってくか?ついでに朝飯も付けてやってもいい――――が、お前の要求を全部飲む代わりに一つだけ条件がある。」

はぁ、と軽く溜め息を吐いた椿は僅かに呆れたように鳴海を見据え、少しばかり冗談めかしたように鳴海の要求に色を付けてから、顔を隠していた左手で頬杖を突き、相手の顔の方へ差し出した右手の人差し指を静かに立てる。その顔には悦楽の笑みと共に、先程までは無かった好奇の煌めきが月が如く瞳へと浮かび上がっていた。
そんな目は大体好奇をそそられる話を聞き終えた時に一瞬垣間見せるような、探偵事務所の社員達に取っては仕事が決まった合図とも取られるようなものであったが、今回は違う点が一つ。それは既に鳴海の話した話ではなく、鳴海自身に向けられている事。今まで、情報料を頼まれてもなんだかんだで何も求めずに条件を飲んで依頼を請け負った彼が条件を突き付けようとしてるのが、何よりの証拠だろう。

「なに、難しい事でも悪い話でもない。条件ってのはな……今回お前さんが持ち込んできた依頼に限り、鳴海、お前さんを一時的に雇わせろ。安心しろ、給料も出してやるし、理不尽な扱いはしねぇさ……まさか、嫌とは言わねぇよな?」

さらりと断らせる暇もなく悠々と条件を語り上げると共に、目を上機嫌そうに細めては頬杖を止め、右腕を下ろして袖の中で腕を組む。その条件は簡単に言ってしまえば「お前も働け」と言うものであるが、それを断らせるつもりは全く無いらしく、まさか、と言葉を続けると同時に細めていた瞳をゆっくりと開いて鳴海の瞳を真っ直ぐに見詰める。口元は薄く笑みを弧を描いたままなのに、目は全く笑う事はない。
ま、断るなら断るで構わねぇが……さてはて、そうなったら何をどうしてくれようか。それはそれで楽しみが1つ増えて損はねぇし、そう考えれば俺としては断ってくれて構わねぇんだがな?

「ああ、それと……閻魔様じゃなくて鬼神様ってのは良い心掛けだな。案外、神さんやら閻魔の奴より気前が良いって話だぜ?ま、真偽はどうだか知らんがね。」

思い出したように、冗談であろう鳴海の言葉に湛えた妖しい笑みを深めて、くつくつと笑って冗談っぽく言葉を返す。その顔に動揺は見られなかったが、瞳は何処か試すように鳴海の顔を映していた。
鬼神様。はてさて、そう呼ばれたのは何時ぶりだったか。俺の事を言った訳じゃねぇんだろうが、それでも悪いもんじゃねぇよな……ま、そんな事を言おうもんなら、今後も活用してくるのが鳴海って奴だが。なんて、内心密かに苦く笑っていた。

>佐倉 鳴海様、天田 空地様、all

【お気遣い等、ありがとうございます……!】

15日前 No.88

@purple3ru ★iPhone=5uXDFiflht

【 森→空中→亞御嶽家 / 亞御嶽羅夢華 】

所詮は紙とは言うけれど、やっぱり武器があるほうがかっこいいし見栄えも良い、というのが羅夢華の考えだ。キメ顔で指パッチンして人を文字通り嵌めるのも気に入っているけれども、巧みにアイテムを使いこなし相手をひれ伏すのはやっぱりかっこいい。自分がもしも武器を使うなら……穴掘りらしく、シャベルとか? それはそれでかっこいいけど、指を鳴らすのには邪魔だしなあ……。
褒められた宝座は、段階的にテンションを上げていった。みるみるうちに、おめめがキラキラしていく。最終的には目に星でも散りばめられたかのように爛々とさせた。それを(面白いわね……)と一部始終を見届け、ちょこん、と紙絨毯に座り込む。

「あぁ、そういえばそうだったわね。すっかり忘れてたわ。――了解よ、最後まで空の旅を楽しませてちょうだいね!」

宝座の片腕に軽く掴まり、片手で頭の上に乗った帽子を押さえる。高所恐怖症だったらきっと楽しめなかったから、恐怖症じゃ無くてよかった。途中すれ違う鳥に微笑みかけたり、慌てて逃げられたりしながら(空飛ぶ謎の飛行物体にビビったのか、いつも通り羅夢華が動物に嫌われているのか)、あっという間に空を駆け抜けていく――というのは、飛んでいるコレにはちょっと合わない表現だけど。
そうやって暫く飛んでいるうちに、少しずつ高度が下がっていき、地上の景色が見えだして、自分の家の場所に気付く頃には、また静かに地面へ着地していた。また軽やかに絨毯から降りて、くるりと振り返り満面の笑みを浮かべる。

「ありがとう宝座、また何かあったらよろしくね。それじゃ!」

幼馴染に手を振ると、両親の待つ家へ帰った。

>>(清水小路宝座さま、allさま )

【そういえばそうでしたね…!こちらこそ絡みありがとうございましたー!!!】

10日前 No.89

ねこ @nekochan ★QQFvMurVdq_keJ

【白菊探偵事務所/佐倉鳴海】

 鳴海は、向かいに座る男の言葉をよくよく噛み砕いて、じっと考えた。このひと、いま、自分を一時的に雇うと言ったか?

「嫌とは……言えない、のは、わかってて言っているんだろうから、本当椿さんもひとが悪いっていうかさあ……」


 ぶつぶつと口の中でひとりごちて、つい先ほどまでのんびりと寛いでいた図体を縮こませ、はあ、とため息をつきながら両手で顔を覆った。雇う? 自分を? はっきり言って、何の役にも立たない自信しかない。一応は士官学校出という肩書を持ってはいるが、自主退役した元軍人で、今は探偵という名の昼行燈をたしなんでいるこのぼくを……雇う?

「まさかなにかの生贄に使う気じゃ……いや、でも、理不尽な扱いはしないんだよね? 本当だよね? 椿さんは、嘘つかないもんね? 大丈夫だよね?」

 この人間離れした椿という男が、いったいどこまでを理不尽とするのかがいまいちよくわからず不安に駆られるが、しかし給料も出る、おまけに食事までついて、しかも明日の朝食まで出してもらえるのだという。鳴海は、ウーム、と顎に手を当てて、煙草を取り出そうとして、箱が空であることを思い出し、しばしの沈黙ののちに口を開いた。

「……前金で、煙草買ってくれる?」

 どの面下げて前金だ、煙草だ、と言っているのか甚だ疑問ではあるが、鳴海はそういうことを深く考えない。そこが鳴海のいいところだし、悪いところでもある。まあ、この深く考えない性格のおかげで生き延びてきた面もあるし、一概に否定はできない……だろう、と、本人は思っている。

「お願い、ねっ、気前良しの鬼神様〜!」

 手のひらくるり、とはどこで聞いた言葉だったか。もう、鳴海の中で、そうと決まれば話は早かった。もともとない頭をひねるより、こうしてこの食えないながらも利用価値の大いにある男についていったほうが賢いのだ。下手なプライドで腹は膨れない。自尊心で高楊枝をする時代は終わったのだし、まあ理不尽な扱いはしない、と言っている手前、自分が下手を打たなければ命を落とすこともなさそうである。下手を打たない自信はないが、後は野となれ山となれ、だ。

「おっと、そういえば、これってつまりぼく今日から少しの間、白菊さんの看板背負うってこと? 下手な真似できないなあ……」

 ああでも、佐倉探偵事務所の所長である自分が、よその探偵社、特にあの白菊探偵事務所に雇われた、なんて噂、広がったらそれはそれで面白いなあ、と口元に手を当ててぼんやり考えた。くるくるの天然パーマは脳まで直結しているのか、頭の中がお花畑である。

>>椿さま、天田空地さま、Allさま

10日前 No.90
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