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霧の都に葬送曲No.51 だけを表示しています。

サマエル @september9☆l2RtaxPLX0X6 ★gXyGHSaxw7_M0e

【サマエル/6月8日/移動中→西洋料理店Wildcat】

「全く、私としたことが」

 鈍色の空を見上げ、頬に纏わりつく雨粒を乱暴に拭いながら、その男は地下鉄の駅から霧の都へ降り立った。音もなく降りしきる霧の雨の中で、男は傘を機内においてきたことにようやく気がついたらしい。重たい旅行鞄――中には書きかけの論文が入っている――を胸に抱え、袖を通さず羽織っていたベージュのレインコートよろしく着込むと、左目の片眼鏡(モノクル)についた水滴を、白手袋をした指先でそっと拭う。
 不機嫌そうに眉を潜めているこの男もまた、この霧の街を住処とする殺人鬼であることに違いはない。表向き(といっても殆ど本業のようなものだが)には考古学者をしている彼は、名をサミュエルという。最も、殺人鬼としての彼は「サマエル」と呼ぶべきだが。

 三ヶ月もの間長期の発掘調査に出かけていた彼は、久々の雨の匂いに懐かしさを覚えつつ、やがて諦めたかのように雨の中一歩踏み出した。胸に抱えた鞄が濡れないように注意を払いながら、髪や衣服が濡れるのは仕方がないといった様子で、足早に歩く。彼の足は自然と、いつものあの店の方へと向かっている様だった。半日以上飛行機に揺られていた体は重く、疲労が溜まっているのはもちろんのこと、腹も空いている。何の気なしにくつろげ、そして料理も食べられるところといったら、彼の中で選択肢は一つだった。
 西洋料理店Wildcat。その表ではなく裏口の方へ慣れた様子で回り込めば、何の変哲もないアパートの扉へ手をかける。そのまま中へ入り、ようやっと一息つくといった様子で、彼はその場に置かれたタオルで顔や髪、肩など雨に濡れた体を軽く拭った。そのままふらふらと足を進め、重厚な扉へ手をかけ、そして、開く。

「やあ諸君、久しいねえ。ご機嫌いかがかな。やはりこの時間だと客も少ない様だが――」

 気取った様子の挨拶を店主であるシャーロックと訪れていたエディにしつつ、久方ぶりに訪れる店内をぐるりと見渡し――彼は一つの異変に気付き、思わず言葉を失った。
 そう、ジャックの存在である。彼は三ヶ月前からこの街を後にしていたのだ。当然、数日前にシャーロックがこの幼気な子供を攫ってきた事も知り得ない。殺人鬼たちが集う世間とは隔離されたこの空間に、どうして幼子がいるのか。サマエルは珍しく目を見開き、理解が追いついていないといった様子で数回瞬きをすれば、視線はカエルの入ったケースを弄んでいるジャックに向けたまま、再度口を開いた。

「シャーロック、私がいない間に此処は託児所にでもなったのかい」

>ジャーロック、ジャック、エディ、ALL 【やっっっと本編に来れました……! 遅くなりまして申し訳ございません。これからどうぞよろしくお願いいたします】

2018/06/30 00:29 No.51

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