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霧の都に葬送曲No.50 だけを表示しています。

シャーロック @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【シャーロック/6月8日/西洋料理店Wildcat】


「ふむ……世の中ではやっぱりこれはそんなに美味しくないみたいですねぇ」いつものように調味料を遠慮なくざらざらと振りかけているエディを横目に、シャーロックはカウンターの中から出てきて、エディの二つ隣のカウンター席に斜めに座る。丁度、ジャックとシャーロックがエディを挟む形になる。今日は余程客が入らずに暇なのだろう、下拵えと称した暇潰しのために皮を丸裸にされ執拗なまでに芽を抉られ続けていた馬鈴薯をボウルに放り出す。エディの分のシェパードパイを焼く隣で賄い飯も焼いていたらしい、半分サイズのシェパードパイを並べ、飲みかけで殆ど水割りと化したウイスキーミストを隣に備えた。

本当に、オネエさんとはよく言わせたものだな、とシャーロックは内心呟くが、それを口にしようものなら多方面からいつ寝首を掻かれるかわからない。此処は、殺人鬼の巣窟であるということを忘れる男ではなかった。それに、本人が淑女でいたいなら淑女と、少女でいたいなら少女と、認めて野暮なことは言わずに一人のレディとして扱うのが男というものだと彼は思っていた。べた褒めされるジャックを何と無く得意な気持ちで見やりながら、自らのシェパードパイにも塩をかける。まだジャックとは出会ってから二日ばかりしか経っていないというのに、気分はまさに授業参観で子供が褒められた時の親心だ。塩をかけてもまだ病人食のような味気の無いシェパードパイの、ほくほくと柔らかいマッシュポテト部分を頬張る。
「うん、」
そのままでも我ながら不味からず思っているが、仲間達が思い思いに様々な調味料を掛けるものだから、やってみたかったのである。塩は良い。しょっぱければなんとなく美味しくなったような気がする。「美味しい、なかなか」
この現状満足の有様である。西洋料理店Wildcatの味の向上は当分は見込めなさそうだ。

一方、ジャックは味の無いシェパードパイを残さず綺麗にたいらげ、エディの鞄の口から一体何が出てくるのかとワクワクしながら見守った。
「いきもの……?」
丸く大きな目をさらに大きくして、前のめりになって鞄から登場する生物を待ち構えている。隣で内容を知っている保護者は、グラスを傾けながら苦い微笑を浮かべている。
「わぁっ!」
見たことのない色合いの蛙に、ジャックは感嘆の声を上げた。「フロッグだぁ……っ!」
水槽のようなケースの中を覗き込む少年に、恐れの表情は微塵もない。中に入っている極彩色の生き物に対して、恐れよりも好奇心が圧倒的に勝ったらしい、躊躇いもなく楓のような手を伸ばしてケースを包み持ち、自らの顔の前に近付けた。童心というのは、本当に怖いものを知らない。隣で「食事中に……」と引き気味の紳士を置いて、ジャックはきゃっきゃと歓声をあげて、ケースを頭上に掲げ下から覗いて見たり、傾けて蛙がすーっと滑りそうになるのを夢中で見ている。空気穴から息を吹き入れ、ケース蓋に小さな指を掛ける。
「かわいい かえるさん あーそーぼー」
ケースの蓋が自分で開けられないのを知ると、「あーそーぼー」ともう一度繰り返し、両手で挟んだ蛙さんのケースを上下にゆさゆさと振った。
慌てたように、それまで知らん振りを決め込んでいたシャーロックが「やめなさい」と止めに入る。エディの連れているかわいいペット達≠ヘ、かわいく(といって良いかどうかは疑問だが、まあ「かわいく」)見えていても凶器だ。殺人鬼の凶器。幼い子には知って欲しくもない稼業の、仕事道具だ。

>エディさん、all


【遅くなってしまい申し訳ありません!】

2018/06/29 16:31 No.50

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