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霧の都に葬送曲No.48 だけを表示しています。

凍雨 @kafune☆01.vmkBoVYY ★iPhone=VYPk6iMpWR



【 ルイス / 6月30日 / ベイカーストリート→廃れた彫刻屋「L」 】


 最高だと嗤ったルイスを見て、リリィは首を傾げている。その様子に疑問を覚える。裏の顔は殺人鬼であるけれど表向きにはそこそこ有名な劇場でそこそこに有名な舞台の役柄を演じている若手俳優であるはずなのだが、どうやら目の前の相手にはそれが理解されなかったらしい。でも一層その方が都合が良いと思った。今は、まだ余計な心配しなくても済むから。今度どんなことがあったとしてもリリィにはルイスの存在を知られていない方が後々差し支えがないだろうと考えたルイスは、ひとまず目の前の彼女の話を黙って聞くことにした。


 こんな廃れた場所に、脚を踏み入れようとなんてしない。そう話すリリィの表情に嘘の色は見られなかった。寧ろ事実をありのままに嘘偽りなく語れるその姿勢が羨ましいと思う反面、疎ましいとも思ってしまった。が、それを覆い隠すかのようによく出来た愛想笑いを浮かべる。適当な相槌を打ちながらも、内心では目の前の人物は一体何者なのだろうと思考を巡らせていればこちらのことなんて気にかける素振りもなく、彼女は店内へ戻っていってしまった。なんの前兆もなく、暗い店の中へ溶け込んでいく後ろ姿を疑心の眼差しで見つめていたら、突然妖しげな声が響いた。その内容を聞いたルイスは暫くして首を傾げた。


「……なにそれ、アンタって相当変わってるんだねぇ」


 行く宛や帰る宛のある子が嫌いなんて、本当に変わっている。でもあながち分からない話ではなかった。それはきっと、自分がそうだからなのかもしれない。帰る宛がある奴は幸せ者で、それ以外は可哀想で不幸な子だと言われたならばその人の首は吹っ飛ぶ所だったが、どうやら彼女は違うらしい。第一に、の辺りからもルイスには意味が分からなかったので特にこれといった反応はしないでおこう。けれどリリィも又、常人ではないような気がする。そう結論に至ったルイスはふ、と大きく息をつく。


 さっさと店内へ戻ってしまったリリィのことを目線で追う。足音と同時に木製の床が定期的に鳴らし合う音を連れて、彼女は室内に置かれたソファーへ向かっている様だった。黒いヒールで飾られた長い脚を組んでそれに腰を掛けたリリィの姿を目にしたルイスはじっと、リリィのことを見詰めた末にこんなことをしていても埒が明かないことに気付かされた。恐らく向こうだって名の知れぬ訪問者を何一つ疑うことなく、快く迎えるような真似はしないだろう。少なくともオレならそうはならない。
 かと言って、招かれたのに疑心暗鬼になるあまりここで帰るのもルイスらしくない選択だとも思う。ならば、答えはひとつに決まっている。


「――オレには端から帰れる場所なんてないよ。……だからさ、少しの間だけ、せめて夜が明けるまでいいんだ。オレをここに置いてくれない……?」


 寂れた店のドアを潜るや否や、三流俳優かのように目にはうっすらと涙を浮かべ、如何にもワケありそうな臭い芝居をしながらここに居させてくれと懇願する振りをした。口や顔は演じれる。その意味が嘘でも真でもそれは演じる側にしか分からないのだからどんなことをしてもリリィには分かるわけがない。爆発事件を起こした直後の犯人が身を潜める為に人が寄り付かないであろうこの場所に居たいと思うことだって、きっと彼女には分からない。だから多くを語らず、情に訴える作戦に出た。
 上手くいくか、いかないかは運次第。そう思いながらリリィの近くとも遠くとも言い難い位置で孤児のような真似をして見せたのだった。

>>リリィ様



【遅くなってしまい申し訳ありません。一応店内に入らせて頂きましたがルイスの誘いを受けるも蹴るもリリィさんにお任せ致します……!】

2018/06/28 23:48 No.48

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