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霧の都に葬送曲No.40 だけを表示しています。

シチダンカ @caim ★Vxqs1Pnm4y_mgE

【シチダンカ/8月31日/シチダンカ宅前】

 彼の後を追う。
 爪先で降り立ち、無意識に膝を曲げて衝撃を受け流した。髪が重力に従い直してやや遅れてから、霧雨が皮膚上に纏わりつくのを再開する。それにしても髪、縛ってこればよかったわ。霧を喜ぶなんて、逃走者以外にはいないのに。頬にへばりつく前に、前髪をかき上げて後ろ髪までをまとめて流した。霧に目が慣れるまでの僅かな間、ふと視界の端で影が動く。霧に隠れて三重にもぼやけるそのシルエットには、案の定一部が歪に欠けていた。

「未だ生きててくれてよかった」

 ヒールの足音にかき消しながら、勿体付けるようにゆったりとした一定の歩幅で間合いを詰めていく。これは狩りではなく、救いなのだから。目の前で芋虫のように地を這うその血の染みついたシャツの、彼の背中をヒールで撫で付けた。びくりと、彼の肩が跳ねる。あたしへの恐怖心だとか、そんな次元ではなく、きっと動物的な本能なのだろうけれど。芋虫のあなたを、此処で蝶にしてあげたいのよ。――さて。牛刀を持ち直した。

「ごめんなさいね。お喋りしたいのは山々なんだけど、先に仕事片付けちゃうわね」

 後方の気配に向かって、それだけを伝える。果たしてどちらに用事があるのかは知らないけれど、――もう優先順位は決まってるの。しゃがみ込んで、彼の首に手を回す。左腕に狙いを付けて、一振り。ぎゃ、と喉を引っ掻くような悲鳴が一つ。

「あたしいつも詰めが甘いのよね」

 右太腿に狙いを付けて、一振り。鑢のように攻撃的な悲鳴が一つ。

「だからいつも」

 右太腿に、もう一振り。

「力任せにやっちゃって」

 次は、左太腿。彼の声はもう、二度と聞こえない。黒マントの裾が、広がる血液を染み込ませていく。

「……服汚しちゃうのよね。これ、仕立ててもらったばかりなのに」

 乱暴に宙で血振りを行って、牛刀をポーチに仕舞い込む。それから、ゆっくりともう一つの気配に向き合った。霧の中に浮かぶシルエットは小柄だった。辛うじて霧に透けて見えたその姿から、小さく感じた親近感に僅かに口角を緩める。誰にだってヒミツはあるもの。

「あたしに用かしら、お嬢ちゃん?」

>メロウ、ALL
【絡んでくださってありがとうございます!!】

2018/06/18 22:42 No.40

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