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霧の都に葬送曲No.28 だけを表示しています。

スワン @poko10☆sMzkA8RPRfw ★Android=rp39lsupOA

【スワン/9月5日/ロンドン橋付近、テムズ河の畔】

 まだ夏の香りが残る時期とはいえ、夜の風はひんやりとしていた。月明かりの下、両腕で己の体を抱きしめるようにしながら橋を歩く。
 ジムと名乗った可愛らしい坊やは、お家に帰りたいと泣いてしまった。私と星を見るよりも、やっぱりママのところに帰りたいと。愛しくて愛しくてたまらなくて、私のものにしたかったけれど、泣き始めた坊やを見たら何かがすうっと引いていった。泣きじゃくる坊やの手を引いて家の前まで送り届けた帰り道。今日はもう星を見る気にはなれない。シャーロックさんの待つ家に帰ろう。

 ロンドン橋を渡りきったところで、ふわりと血の香りがした。嗅ぎ慣れた臭いのはずだったが、自分の愛しい子どもから発せられるものとは訳が違う。背筋がぞわりとして、思わず足が止まった。
 何の気もなくふと顔を横に向けると、河の畔に人影があった。はじめは一人に見えたが、違った。横たわったもう一人に、誰かが刃物を突き立てていた。横たわっている方の人間は既に息絶えているようだった。

「……きゃっ」

 口を手で抑え、息を呑む。人殺し。怖い。私も、殺される?
 逃げなくちゃ、通報しなくちゃ。そう思ったが、足が固まって動かない。衝撃のあまり、目線も釘付けにされたまま逸らせなかった。不本意なまま死体を見つめる。月明かりに照らされた真っ白な顔。これほど白い人間の肌を見たことはなかった。

「…………なんだか、きれい」

 無意識にそう呟いていた。無垢な愛しい子どもたちの骨を飾ったら、とても映えそうだと思った。いつしか恐怖心ではなく、魅入られていた。足を摺るようにして、静かに、少しずつ近付いていく。
 近づくにつれ、刃物を手にした人物の姿も明瞭になっていく。紅い髪のスーツ姿の男性だった。傍に行って何をしようというつもりがあるわけでもない。男性の背中まで数メートル、というところで、つま先が小石を蹴飛ばした。カツン、という小さくも尖った音が、夜の闇にこだました。

>ミリヤム、all
【殺人現場にお邪魔します……!よろしければお相手お願いします。】

2018/06/16 17:13 No.28

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