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学園ラビリンスの幻想【キャラリセ予告】

 ( オリジナルなりきり )
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学園密室/ゲーム/脱出/パートナー/絆 @line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

 カチッ、カチッ、カチッ、とタイムリミットの迫る音が聞こえる。

(――あなたはこの先何があろうとも、大切な人を守り抜く覚悟はありますか?)

 ◆

 学園からの脱出路は断たれた。窓も校舎も屋上のドアでさえ開かない。外は窓が黒く塗りつぶされてしまっていて様子を窺うことは出来ない。なぜか時計の針だけはぐるぐると回り続けている。
 自在に伸縮する小指の赤い糸。自分の未練となるモノ(コネクト)。何でも出せる魔法のようなこの力。次々といなくなってしまった生徒たち。

 人間業とは思えない。

 これは本当に現実だろうか。悪夢でも見ている気分になる。
 ここでは、法も社会秩序も存在しない。あるのはこの学園密室の<ルール>だけ。正義も悪も生死でさえも見極めるのは困難だ。ここでは誰もが裏切り者とも死者ともなり、誰を信じていいのかすら分からない。みんな自分の命を守るために必死だ。

(一体、何を信じればいい?)

 顔を手で覆う。もう時間がない。スマホからは、次のゲームを知らせるアラームが鳴り響いている。

『ゲームスタート、ゲームスタート。さぁ、今日を生き抜くためにその手に武器を取りましょう。プレイヤーの皆さん、せいぜい死なないよう頑張って下さいね』

 ◆

 ――僕はどうしたらいい。元々僕は弱い人間だった。何もかも人任せにしてきた。戦うことなんてできないよ。日常に戻りたい。ああ、あの頃が懐かしい……。

 ――いいのかそんな弱気で。お前、あの子を助けたいんだろう、守りたいんだろう! こんなのお前らしくねぇよ!

(――守り抜け。あなたが大切にしている者、あなたを信じてくれている者を――)
(――信じ抜け。あなたの大切な者を、あなたを命懸けで守ってくれる者を――)

【当スレは運命共同体のパートナーと共に、学園に閉じ込められた生徒たちがある過酷なゲームにプレイヤーとして強制参加させられるストーリーとなっています。
 興味のある方はぜひサブ記事へ……!】
【※レス禁です】

メモ2018/04/16 22:57 : スレ主☆1jppp41g33s @line★Android-Iph2i3QnCf

☆26個のいいねありがとうございます!

☆体育館に来ていない方のみ点呼確認中です。詳しくはこちらをお読み下さい!

 http://mb2.jp/_subnro/15703.html-221#a


★CHAIN/プレイヤーグループチャット投稿内容

本庄椿:起きたら突然学校にいたんだけど、同じ目に遭ってる人いない? 意味分かんなさ過ぎてパニックなう!

和宮涼太:僕も巻き込まれています。

八重泉梵:はじめまして。私も気づいたら学校にいた者です。現在本館の1階にいますが、そちらはどこにいらっしゃるのでしょうか。もしよろしければどこかで合流しませんか?もちろんグループに参加していらっしゃる方なら多く集まった方が良いと思うので、できれば皆様の現在状況をお教え願いたいです。

川上優子(モブ):私も気付いたら学校にいて、今体育館へ繋がる1階渡り廊下で目覚めたのですが……トンネルみたいになってて外の様子はうかがえず……でもとりあえず体育館には行けるようです。一体どうなってるんでしょうね、私も合流したいです。

柊示花惠:三年の柊示花惠だ。俺たちも同じ状況に陥っている。……八重泉といったか、合流に賛成しよう。とりあえずだが、このメッセージを見た者がスムーズに合流できるよう、場所だけ指定しないか。80人ほどいるようだからどこか広いところがいいだろう。

中田平央:生徒会長の中田平です。何人も同じようにいつの間にか学校に居る、という事で恐らくこの80人全員が同じ状況だと考えて良いでしょう。合流には私も賛成です。人数が人数ですから、体育館はどうでしょうか。

本庄椿:反応ありがとう!俺も合流に賛成。確かに80人生徒が入れるのって体育館くらいしかないかもな。なのでとりあえず俺たちは体育館に向かおうと思います!


☆本編開始致しました!ありがとうございます!

 そして本編に投稿する前にこちら

(本編開始について→ http://mb2.jp/_subnro/15703.html-179#a

 参加者さまからのご質問の回答→ http://mb2.jp/_subnro/15703.html-183#ahttp://mb2.jp/_subnro/15703.html-186#a

 をお読みいただけると幸いです……!


☆キャラ表&パートナー表

http://mb2.jp/_subnro/15703.html-199#a

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スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【本庄椿/本館2階 廊下】

 パンパンと2回両手を叩いた音がすると、京介の落ち着いた声音が聞こえて椿は「ハァイ」と素直に返事をした。本気半分冗談半分くらいに思っていたためか、京介の宥めるような言葉に応じることに抵抗はなく、本人はいたってけろっとした表情で続いていく会話に耳を傾ける。「華麗なツッコミですね」と拍手を贈られれば、親指を立てて「任せろ任せろ」などとキリッとした顔で答えるのだった。どこか会話がズレているのだが、こんな状況だというのに全てはノリで会話が進行していく。適応力が高いのか、単に現実としての実感がないのかは椿も分からないが、煉奈が内心何でだよ!と呟いているのも無理はないだろう。
 そしてCHAINにした投稿後、煉奈の口から「赤い糸」という言葉が飛び出して、椿ははたと彼女の指に視線を落とした。赤い糸? 彼女にそんなものはついていただろうか。
 が、やはり、――見えない。赤い糸を外そうと躍起になる彼女の指には何も。目を細めてじっと見つめるも、頭には疑問符が浮かぶばかり。椿は首を傾げ、束の間彼女の様子を見守った。端から見たら確かにどこも異常のない自分の指を触って奇妙な言葉を並べているだけに見えるのだが、椿には笑えない理由がある。なぜなら自分の指にも赤い糸がついており、煉奈の口振りからどうも人にはそれが見えていないらしいのだ。
 視線を自分の赤い糸に落とし、そっと撫でるように触れてみる。糸に触れた感覚はある。そして赤い糸を視線でなぞるとそれは廊下を真っ直ぐに伸びている。一体どこへと繋がっているのだろうか。
 椿は視線で赤い糸を見つめた後、煉奈の方へと顔を戻し自分の指を見せて苦笑を浮かべた。

「いやいや、信衛。実は信じられないかもだけど、俺も左手の小指に赤い糸が絡まってんだ。この感じだと自分の糸以外には見えねぇのかなぁ」

 椿も不思議そうに煉奈の指と、そしてもしかしたら京介の指にも赤い糸があるのかもしれないと彼の指を見、次いで自分の赤い糸に視線を戻して見比べる。本当に学園で目覚めてからというものの、よく分からないことだらけで疑問が尽きない。

 と、そこへスマホからの通知音がしてディスプレイを見ると、他生徒からの投稿があることに気付く。自分の緊張感のないちゃらんぽらんな投稿にも関わらず、丁寧な文章が返ってきているのを見て、椿は内心感謝しつつチャットの文面を追った。と、柊示花惠の名前を見つけ目を丸くした。よくよく考えてみれば、グループチャットのメンバーを流し読みしかしていなかったため、椿は改めてそのメンバーを見る。
 約80名にも及ぶ生徒。その中にも知っている名前がちらほらとうかがえる。心強くもあるが、こんな事態に巻き込まれてしまったとすれば素直に喜んでいいものかいささか迷う。そしてどうやら煉奈も友人がいたらしく、彼女は画面を見ながら驚愕している。煉奈が即体育館へ行く決断をし、合流しようとしているのを見るに、彼女にとって梵という女子生徒は良い友人であるのだろう。

「おい待て! 誰が漫才コンビだ!」

 と言いながらも椿は煉奈の後を追い、「京介も行こうぜ」と軽く手招きして。

 椿は歩きながらCHAINにこう打ち込んだ。

――――
本庄椿:反応ありがとう!俺も合流に賛成。確かに80人生徒が入れるのって体育館くらいしかないかもな。なのでとりあえず俺たちは体育館に向かおうと思います!
――――

>吉祥院 京介さま、信衛煉奈さま、ALLさま

【任意であったにも関わらずCHAINへの反応、そして記事メモに記載していただきありがとうございます!】

5ヶ月前 No.41

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【八重泉梵/本館1F 廊下】

男子生徒は名前を豊岡灯弦と名乗った。梵はふぅん、と口にしてから彼をどう呼ぼうかと内心で思案する。自分が名乗らなかったのも悪いが梵は灯弦の学年がまだわからない。もし彼が先輩であったらそれなりに敬意を払った物言いが求められるのだろうが、もしそうでなかったら今まで構築してきたタカビーキャラが崩壊してしまう可能性もある。少しの間悩んでから、梵はうまく平静を装って相変わらずの高飛車なお嬢様をイメージした口調で続けた。

「豊岡君、ね。こちらこそよろしく。悪いけどあたし、自分の言葉遣いはどうにもできないから、多少口調が荒くてもそういうものだと考えてくれると助かるわ」

一応そんな風に付け足しておいたが、梵としてはなんて失礼なことを宣っているのだろうあたしは……!と頭を抱えたくなった。もっと器用であったなら相手に不快な思いをさせずとも済むことなのに、と後悔していると再びスマートフォンが振動する。Chainの方にいくつか返信が来たらしい。

――――

柊示花惠:三年の柊示花惠だ。俺たちも同じ状況に陥っている。……八重泉といったか、合流に賛成しよう。とりあえずだが、このメッセージを見た者がスムーズに合流できるよう、場所だけ指定しないか。80人ほどいるようだからどこか広いところがいいだろう。

中田平央:生徒会長の中田平です。何人も同じようにいつの間にかこの学校に居る、という事で恐らく80人全員が同じ状況だと考えて良いでしょう。人数が人数ですから、体育館はどうでしょうか。

本庄椿:反応ありがとう!俺も合流に賛成。確かに80人生徒が入れるのって体育館くらいしかないかもな。なのでとりあえず俺たちは体育館に向かおうと思います!

――――

三年生だという柊示花惠という人物と、生徒会長の中田平央、そしてチャットを切り出した本庄椿からの返信であった。3人とも梵の合流しようという提案に賛成とのことで、体育館に集まらないかという考えに至ったようだ。自分の提案が無慈悲に切り捨てられずに採用してもらえたことに梵は安心しつつ、返信を打つために画面に指を走らせる。

――――

八重泉梵:こちらこそお返事ありがとうございます。体育館に集合するのは私も賛成です。こちらも体育館に向かいますので、到着次第また連絡します。

――――

一通り返信を打ってからそれを送信して、梵は再び灯弦に向き直った。彼もChainのチャットを見たらしく、そして体育館への集合には賛成の意を示していた。同意見の者がいるということは言葉以上に頼もしいことで、梵は僅かではあるがこの状況下で安心することができた。

「ええ、そうね。あたしたちも体育館に向かいましょう。今から体育館に向かう人もいるみたいだから、落ち合えたらこの状況について話さなきゃね」

灯弦からの体育館に向かうか、という質問に微笑みで肯定を示す。少なくとも自分たちが体育館に到着した時に誰もいない、なんてことはないだろう。チャットで話した者でも話していない者でも、生徒がいるのならできるだけ話がしたい。それで全ての謎が解明することは決してないだろうが、同じ状況を共有している者同士で何らかの助け合いもできるだろうと梵は踏んでいた。

>>豊岡灯弦様、all様

【そう言っていただけるとこちらとしてもありがたいです……!こちらこそよろしくお願いします!】

5ヶ月前 No.42

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_pp5

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5ヶ月前 No.43

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★rqRPsSgCf7_8gk

【 伊豆丸麻織 / 本館二階廊下 】

 それは気のせいなのかもしれなかった。黙っていた彼の唇が動いて、それが、どことなく意味を持った響きを発したような気がしただけ。小さくて聞こえなかった呟きはおそらくそう大事なものでもないだろうと予想して、それ以上は追及しなかった。彼が何を言おうとしたのかはわからない。それ以上を踏み込む勇気が、まだ麻織にはなかっただけの話だ。無論、彼が服の下に隠されているのであろう何かをなぞるような動きをしたことについても、何も言わない。その手つきから、きっと自分には計り知れない大事なものがそこにあるのだろうということだけは察した。
 彼が何事もなかったかのように話を続ける最中、麻織はとにかく情報を頭の中に入れておこうと、彼の顔をじっと見つめながら黙っていた。彼は、その持ち前の冷静さで麻織と合流する前に既に見回りを終えていたらしい。どこまでも大人で、堅実だ。隙がない。それどころか、此方の話に合わせ微笑むことすらしてくれる。心の底から彼と合流できてよかったと思いながら、けれども麻織はつんと目を逸らした。むんずと腕を組み、強がりの言葉を吐き出す。

「……手伝いなんて結構です。まあ、どうしてもと仰るのなら構いませんけど」

 どこまでも素直でなく、可愛げがないと思ってくれて構わない。どうも麻織には彼の優しさがむず痒くて、こんな態度でしか気を紛らわせることができないらしかった。麻織は内心ああ、と手で顔を覆いたくなったけれど、彼はこんな後輩を前にしてどう思うだろう、とも気になって、逸らしていた目をちらりと花惠に戻してみる。その瞳がまるで悪戯をした後の子どものようにどこか落ち着かないのを、彼は見抜いてしまうのだろうか。
 彼がぼそりと呟いた言葉は、純粋に不便さを憂うようなものであった。だから、それを補うための物を欲した。当然の流れだった。流れが変わったのは、その直後だ。

「……!? な、」

 麻織の双眸は、確かにライトが現れたのを視認していた。何もない空間から、まるで、彼の言葉に呼応したかのように出てきた、何の変哲もない懐中電灯が、床に転がっている。同じく混乱している様子の彼がそれを拾い上げ、問題無く使えることを確認した。その後、未だいまの現象を疑っているような彼の問いかけに、麻織は確かにこくりと一度頷き、「はい、いま……柊示先輩が言った瞬間、この、このへんから……」と、彼の前の空間を手で示しながら、前触れなく現れたライトの異常さを説明しようとする。一体何が起こっているのか、きっとこの場の誰も理解できないだろう、と直感的に思った。これは普通ではない。わかっていたことだが、明らかに異質だ。
 その後、彼がCHAINに情報を発信し、同じように次々とメッセージが送られてくる。話はとんとん拍子に進み、どうやら体育館で此処にいる全員と合流する流れにまとまったようだ。けれど、つい先程意味のわからない現象を目撃したばかりで、なんとなく気持ちが落ち着かないのは確かだった。突然現れた懐中電灯。言ってしまえばそう、魔法のような。

「……とにかく、話もまとまったみたいですし、体育館に行きましょう。まだ警戒は解けませんから、慎重に」

 薄暗い校舎内で、まだ何が起こるかわからない。魔法が使えるのなら、その理由が必ずあるはずだ。例えば、此処で生き延びなければならない、とか、倒すべき何かが存在している、とか。考え出せばきりがない。これから前に進んで、何かがわかればいい、と麻織は漠然と思う。手探り状態のいま、それでも出来る限り周囲に気を張り巡らせながら、体育館に向かうべく足を動かすのだった。

>>柊示先輩、ALL様



( はい、是非! 今もとても楽しいのですが笑、これからもこの調子でいきたいと思います! どうぞお付き合いくださいませ!笑^^ わわ、私もです……長くて読みづらければ適宜読み飛ばしていただいたり省略していただいたり、まったく構いませんので! やりやすい長さとペースでいきましょう、何かあれば気軽に仰ってくださいね;▽; )

>>せつか様

5ヶ月前 No.44

零雨 @himmel☆slI22tG5iR26 ★iPhone=uphccGzYv7

【 春夏秋冬灰猫/保健室前廊下 】

「窓が開かないのは知らなかったなぁ……。でもそれじゃあ、ここから出られないってことだよねぇ?」

 涼太の言葉に、灰猫はほんの少しだけ、気付かれない程度に、眉を寄せる。涼太に不満があるわけでもなければ、不満をぶつけたいわけでもない。そのことを誤解されるのは灰猫としても本望ではなかった。
 赤い糸、という単語に、涼太の小指を確認する。赤い糸があるようには見えなかったが、もしかしたら、他人のものは見えないのかもしれない。

「小指の赤い糸……っていうと、これかなぁ? おれにもあるみたいだけど、他の人のものは見えないみたいだねぇ」

 今度は、自分の右手の小指をもう一度確認する。そこには、確かに赤い糸が結ばれていた。どこに繋がっているのかはわからないが、誰かに繋がっているであろう、と灰猫は予測する。イタズラだとしたら悪趣味だ、という涼太の言葉には、肯定を示すために頷いた。
 涼太が、CHAINを確認しているのが見えて、スマートフォンの存在を思い出す。一緒に見ますか、という言葉にはやんわりと「大丈夫だよぉ」と返しつつ、ポケットに入れたままのスマートフォンを取り出した。

「……そう、みたいだねぇ。えぇと、だいぶ話が進んでるねぇ。これは体育館に行く、でいいのかなぁ? おれたちも体育館、行こっかぁ」

 灰猫はそう言って、涼太くんはそれでいい?と首を傾げた。

>>涼太くん、ALL

5ヶ月前 No.45

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【木実悠梨/本館3F/廊下】

「ええと、中山聡です。2年C組の。よろしくね」

悠梨が言うと、男子生徒は普通に名前と組を明かした。悠梨は驚いたようにポカンとして中山聡というらしい男子生徒を見つめる。というのもその普通さがなんだか新鮮に感じられたからだ。すっかり忘れていたが、そういえば悠梨は自分の見た目のせいで気持ち悪がられないか不安だったのだった。しかし、聡は全く気にする様子もなく、悠梨のようにCHAINを見始めている。何とも思わないのだろうか。

「体育館に、ね……ここにいてもどうにもならないだろうし、行ってみようか?」

そう言う聡の声に悠梨はハッとして、こくこくと頷く。反射的に頷いてしまったが、正直何の話か理解していなかったのでもう一度CHAINのグループを見てみると、先程の本庄椿という人のメッセージに何人かの人が返答していた。ほとんど知らない名前だが、1人だけ知っている名前があった。中田平央、この学校の生徒会長だ。皆の返答を見るに、何人もの生徒たちがこのおかしな状況に陥っているらしい。どうやら体育館で待ち合わせるという流れになっているようで聡はそのことを聞いたのかと理解する。生徒会長さんもいるなら皆のことをまとめてくれそうで安心だ。悠梨は自分も返事をしようか迷ってからスマートフォンをポケットにしまい、聡の傍へ駆けていく。どうせ待ち合わせるのならわざわざ言わなくてもいいかと思ったのだ。

「あっ、僕は2年D組!よろしくねっ」

悠梨は聡の隣で立ち止まると聡の方を向いて言い、にこっと笑いかけた。きっと体育館には大勢の人が集まることになるのだろうが、一人でも悠梨のことを何とも思わないでいてくれる人がいるというのは心強かった。悠梨はもう人目を気にしないことに決め、階段の方を向くと「じゃあ行こー!」と歩き出しかけてぴたっと立ちどまる。

「……体育館ってどこだっけ?」

悠梨はちらと聡を見て言った。そういえば自分の教室と職員室以外の場所を覚えられていなかった。悠梨はえへへと苦笑いを浮かべながら聡の返事を待つ。

>>中山聡様、周辺ALL様

5ヶ月前 No.46

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_pp5

【中山聡/本館3F/2年教室前廊下→階段前】
 目の前の、木実悠梨と名乗った少女は、自らが2年D組の生徒であると明かした。隣のクラスの生徒ならば、聡も見かける機会が幾度となく存在していたが、彼女を見た記憶はやはりない。白い髪の少女などこの学校にそうそう居ないはずで、だからこそもし見かけていたとすればより深く印象に残っている筈だ。実際、似たような髪の色の先輩を一度か二度見かけた事を覚えている(たしかあの先輩は男性だったはずだが)。しかし彼女のような学生とすれ違う事はやはりなかったような気がする。
よもや悠梨が入退院を繰り返すような状態にあったことなど知る由もなく、またそれを知っていたとしても今の彼女からはとてもそういう事情があるようには感じられず。聡は、彼女に対する疑念を僅かに高めつつあった。

「一階に降りて、渡り廊下を右に行けば……うん、行けるには行けるみたいだけど。何だか妙なことになってるみたいだね。とりあえず行ってみようか」

 体育館への行き方を尋ねられ、普段通りに行き方を指南しようとして、そう言えばCHAINに体育館が云々とあったと思いだし、再びスマートフォンを取り出した。画面に体育館の文字を探せば、川上という女子生徒の書き込みに、『渡り廊下がトンネルのようになっているが、体育館には行けるらしい』という報告が入っていた。ゲームの中でプレイヤーキャラクターの移動を制限する壁のようなものでもあるのか、と解釈する。しかしここは現実のはずで、そのような技術が出来たという記事を読んだ記憶もない。
 目線の先の悠梨に対して、先程の言葉の通りに体育館への行き方を教え、移動を促す。
 しかし、果たして、自分が通っている学校の施設の行き先を忘れる生徒がいるだろうか。よくわからない彼女がこの状況の元凶である可能性さえも考えながら、さらに聡は警戒心を強めた。

>>木実悠梨、周囲ALL

5ヶ月前 No.47

せつか @reif☆VEep6AUGCeI ★itjxsZSPDY_m9i

【柊示花惠/本館二階廊下→一階渡り廊下】

 手伝いなんて結構、と夕飯の補助を一蹴されてしまいはしたが、しかし直ぐにどうしてもというなら、という一見分かりにくい歩み寄りに気づいたのはルームシェアをしてからだ。椿に紹介されてからは実のところ、彼の物言いや表情等であまり快く思われていないのかとも思っていたが、しかし実際ルームシェアをしてからは麻織の行動による言葉に齟齬があることに気づき始めていた。けれどそれを、直接彼に告げたことはない。

「ならばどうしても、よろしく頼む」

 そう返すこともできるようになったのは、これもルームシェアしてから最近の話だ。唇がわずかに笑むものの、それ以上の変化はあまり見当たらないのは相変わらず表情筋が硬い所為でもあるのだろう。腕を組んで逸らされた視線が戻ってきたのに気づいて、花惠はそれでも変わらずに、彼の瞳の奥の小さな変化に内心気づいてはいたけれど他言はせずに「早く帰ろう」と、それだけを再び小さく呟くのだった。
 想像していたライトが唐突に出現したことについて、麻織も言葉を失うほど驚いている様子と確かなる頷き、そして見たものを出来うる限り伝えようと空間を手で示したことに、やはり突然物体が出現したことに間違いはないようだった。願望が現実に。そんな夢のような魔法のような話、あるわけがないのに。だが今ここで起こったことは事実であるし、手にしたライトの感触も本物そのもの。そしてもちろん使用もできる。「……わけが、わからんな」思わず本音が漏れ出したが、しかし目に見えるこれが真実であることには変わりがないのだ。無理やりにでも飲み込まざるをえまい。
 幾ら考えてもまったくわからないことは、とりあえず横によけておこう。小さく息をついて頭の中を整理してから、麻織のいうようにCHAINにてまとまった話として体育館へと向かうことにした。

「ああ、そうしよう。……体育館は外の渡り廊下を渡るはずだが、川上という奴が言うにやはり外には通じていないようだな……」

 トンネル状になっている、と書いてあった。やはり外には出られない構造となっているという推論は間違っていないようだ。片手には件のライトを手にしたまま、麻織と並びながら階段を数段降りてからふと気づいたのだが、足音が一つ多い。ふいに立ち止まって、降りたばかりの階段のほうを振り返りじっとそちらを見やると、一言、硬い表情と声色をそのもう一つの足音に向けた。

「――誰かいるのか」


≫麻織くん、黒葛原さん、ALL様

【わあっ、とってもうれしいです^^*私もとても楽しいです!ぜひぜひ!こちらこそでございます++ わー!ありがとうございます…!やりやすくそして楽しむことが一番ですよね!お優しいお声がけありがたきです…!】

≫独楽さま

【すみません、二階と三階の踊り場にいらっしゃって、二階に降りてきていらっしゃるということに気づきましたので、同じく階段におりましたので絡ませていただきましたが大丈夫だったでしょうか……? かなり気づくのが遅くなってしまいましたので、もし篝火さんのご都合が合わないなどございましたらそのまま最後の一文や花惠の台詞はなかったことにしていただいて全然構いません!突然失礼いたしました。独楽さんにも突然の行動をしてしまい大変申し訳ないです…!】

≫篝火さま、独楽さま

5ヶ月前 No.48

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=pFeytiwsZA

【和宮涼太/保健室前廊下】

「多分そういうことだと思いますよ……。こんなところに閉じ込めるとか、悪趣味ですよね、そもそも美容に良くないし……」

春夏秋冬の言葉に、頷かざるを得ない。閉じ込められている。認知したくない現実だが、それはもう一度手に掛けた開かない窓がそれを証明していて思わずため息がこぼれた。
「あ、すみません。先輩の前でため息なんて失礼でしたね。すみませんでした」

ため息がこぼれた後に、人がいたことを思い出し、すぐに謝罪を入れた。それにしても本当にこの状況は宜しくなかった。どうにかして寮に帰り、もう寝てしまいたい。そう思っていたが、そう簡単には行かないようだ。
「良かった、僕だけかと思ってました。僕も春夏秋冬先輩の赤い糸は見えなかったので、僕だけ頭おかしくなったのかと思いましたよ」

春夏秋冬もどうやら小指に赤い糸が結ばれているようで、春夏秋冬は春夏秋冬でこちらの赤い糸は見えないらしい。ということは、この糸の先は、本当に自分の相手に繋がっているのだろう。ここまで徹底しているとなると、イタズラだとしたら気味が悪いし、イタズラじゃないにしても気味が悪いし、方法が気になる。まぁ方法がわかったとして、目的がわからないし、分かったとしても悪趣味でそれでいて気味が悪い。悪趣味だ、と涼太が言うと、春夏秋冬は頷く。それに良かった、とでもいうように「ですよね」なんて返す。

CHAINを一緒に見るか、と尋ねると断られた。まぁそんなことを気にするような人でもなければ、絶対一緒に見たかったわけでもないので、「そうですか」なんて返してから再びCHAINに目を向けると、先程よりもさらに進んでいて、体育館に集まらないか?という案でまとまっていた。渡り廊下を行かなきゃいけないのなら、そこから外に出られないかな────。そう思った矢先のこと。希望を打ち砕かれるように入ったメッセージ。思わず、ため息がこぼれかけるが、こらえた所、なんとも言えない情けない声が口からこぼれた。
「そう……、みたいですね。僕達も体育館に向かった方がいいみたいです。……あぁ……。なんか、渡り廊下がトンネルみたいになっているみたいですね」

>>春夏秋冬灰猫様、周辺all様


【お返事遅くなってしまって申し訳ないです……!】

5ヶ月前 No.49

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【木実悠梨/本館3F廊下→階段(3F〜2F)】

「一階に降りて、渡り廊下を右に行けば……うん、行けるには行けるみたいだけど。何だか妙なことになってるみたいだね。とりあえず行ってみようか」

聡が言うには1階の渡り廊下を右に行くと体育館に行けるが、何か妙なことになっているらしい。スマートフォンを見ながら話しているので、悠梨も再度自身のスマートフォンを確認すると一つ見逃していたメッセージがあった。1階の渡り廊下で目覚めたという生徒が言うには、体育館棟への渡り廊下がトンネルのようになっていてやはり外の様子は伺えないという。まだ悠梨の鍵を使ってどこか開けることはできないかと考えていたが、ここまで徹底して外を見られまいとしているのなら無理そうだとその方法は諦める。しかし、そこまでして外を見せない理由は何なのだろう。この学校に密室感を演出させるためだけのものか、将又この学校の外で何か驚くようなことが起きているのか。そもそもここが地球なのかどうかもはっきりしていない。地球から遠く離れた宇宙のどこかに宇宙人に攫われたとか、異世界に飛ばされたとかかもしれない。うーんと暫く考えていた悠梨だったが聡に移動を促され、考えても仕方ないかとこの疑問は放置することにする。

「よし!じゃあ今度こそ行こーっ!」

悠梨は先程よりも元気良く、おー!とするように右拳を上げてから歩き出す。階段を下りながら悠梨はちらと後ろの聡を見、すぐに目線を前に戻し首を傾げる。なんとなくだが、悠梨へ向ける聡の視線が鋭いようなそんな気がしたのだ。

(僕、何かしたかなぁ……?)

考えてみても思い当たる節は……ない、と思いかけてハッとする。そういえば最初に聡を見かけたとき、咄嗟に隠れてしまっていたのだった。今思い返してみると、そのときの悠梨に問いかける聡の声はなんだか怒っていたような気がしなくもない。もしかしたらそれで気を悪くしていたのかもしれない、そう思った悠梨は立ち止まって振り返った。

「あ、あの……最初は誰か分かんなくって、それで隠れてて……だから!聡のこと嫌いとかそんなじゃなくてね?えぇと……その……僕のせいで怒ってるなら……ごめんなさい……」

悠梨はそう言いながら申し訳なさそうに俯いた。

>>中山聡様、周辺ALL様

4ヶ月前 No.50

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【左石右/特別棟4階・廊下】

話し掛けられて驚いてしまうという失礼な態度を取ってしまったにも関わらず、先輩らしき女性は驚かせてしまった事を詫びてきた。優しいその言葉に目を瞬かせれば未だに溜まっていた涙がほろりと零れた。

「い、いえ、そんな……! お気になさらず……」

それどころか涙を拭いて欲しいとハンカチまで差し出してくれるらしい。慌てて手と首を振って必要無い事を伝えるも、どうやら持ち合わせていなかったらしく不思議そうにする彼女に左石も首を傾げる。
その代わりと云わんばかりに頭を撫でられ、ひえ、だかふわ、だか喉の何処から出したか分からない声を上げて驚いてしまう。余り人と馴れ合って来なかった左石にとって頭を撫でられる事等、家族以外では幼馴染相手でしかない。しかも相手は女生徒だ。左石はみるみる内に顔を赤くし、嬉しいやら恥ずかしいやらでまた涙が零れ始める。

「あ、赤い糸……?」

慌てて手で涙を拭っていれば、漸く左石の視界に赤い糸が映る。右の小指に結ばれた赤い糸。いつの間にこんなものが、と眺めているとどうやらそれは彼女の左手の小指に続いているようだ。小指と小指に繋がった赤い糸。それが異性間であれば、示されるものはただ一つしか思い至らない。

「へ、え……ええ!? な、えっ!?」

運命の相手、なんて単語が思い浮かんでしまい左石の顔は更に赤くなっていく。ショート寸前の頭に、多少パニックに陥った左石は熱い顔を冷ます為何か無いかと視線を彷徨わせる。

(み、みず……!)

そう思った途端、左石の頭の上からザバァと何処からとも無く冷えた水が落ちて来た。まるでバケツをひっくり返されたかのように左石は頭から水をかぶる事となる。
突然の出来事に何が起こったのか分からない左石は目をぱちくりとさせると、濡れた頭に手をやる。同じように濡れた掌に一周回って冷静になった頭でも矢張り何が起こったのか分からずじまいだ。室内で雨が降る筈も無いし、誰かがバケツを蹴飛ばしたのならその後のバケツの衝撃が無いのは可笑しい。

「ふ、不運が過ぎる……」

だが百人の不運を全てその身に受けているような生活を受けて来た左石は、多少涙ぐむ程度でそれ以上は気にしない事にした。言っておくならば泣いてしまう事は日常茶飯事なので最早完全スルーしていると言っても間違いでは無い。
多少しょぼくれた表情で一緒に見ようと言ってきた彼女の元へ近付く。濡れてしまった身体で彼女まで濡らさないように気を付けながらその手元を覗き込めば、其処には見慣れているようで初めて見るようなチャットの画面が表示されていた。既に何人か発言しているようで、見ている間にも新しい発言がピコンと現れる。グループの人数は80人と表示されており、その全員が同じ状況だというのなら、今回はそれ程運が悪いとはいえないのかもしれない、と少しズレた考えを持つ。

「あ、ぼ、僕は左石右です。石を左右で挟んで左石右です。えっと、あの……知らないままじゃ嫌なので、教えて、ください」

秋槻潤憂と名乗った彼女に、濡れた前髪の隙間から窺うように左石も倣って名を名乗る。ニコリと笑ったその顔が優しそうで、幾らか安心したのか左石も小さく微笑んで先程の問い掛けに答えた。

>>秋槻潤憂様、ALL様



【遅くなってすみません!! あと濡れてみました(?)】

4ヶ月前 No.51

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=pFeytiwsZA

【秋槻潤憂/特別棟・4階廊下】

「そう……?あぁ、泣かなくていいのに……」

秋槻が謝罪を入れると、未だに溜まっていた涙がほろりとこぼれるのを見て少し苦笑を浮かべてはどうしようかと少し悩んでいたが、自分で拭き取るのを見ると、ハンカチか何かが欲しいな、と思うところだ。────とは言っても荷物から消えていたのだが。頭を撫でていると、彼の口からなんとも言えない声が聞こえ、少しくすりと笑みが零れる。彼の頭を撫でるとたちまち顔が赤くなっているが秋槻はそのことに気が付かない。フワフワしてるなぁ、以外は何も考えていないからだ。
「……?あぁ、アンタとこの糸繋がってたんだねぇ、この糸が何を示してんのか分かんないけど、とりあえず……この空間において何かの運命の人……ってことなんだろうね……。ん?あんた顔真っ赤だけど……風邪……?って……水……?それもいきなり……?」

彼はどうやら赤い糸に気がついていなかったようで、それに気が付くなり、更に顔を赤くする。そこでようやく彼の顔が赤いことに気がつくと、風邪なのか?と聞こうとした時。突如、バケツをひっくり返したような水が彼に降り注ぐ。もちろんここは室内。バケツも落ちてこない。何かがおかしい────。そう思いつつも自分がバスタオルでもないかな、と思っても出てこないし、むしろ拭くものも出てこない。
しかし、このままでは彼が風邪を引いてしまう。どうするか、と少し悩んだ後に思い付いたのは、自分のブレザーを貸すことだった。幸いそんなに寒いと感じない。そうとも決まれば、ブレザーを肩から下ろすと、彼の肩へと掛ける。
「あんた、そのままじゃあ風邪ひくよ。……アタシ、寒くないからこのブレザー羽織ってな。濡れても大丈夫だから」

そう言いながら再びCHAINに目を落とす。彼も一緒に見たい、と言っていたが彼はどうやら自分に気を使ってようで、濡らさないようにそっと手元をのぞきこんでくる。参加人数は80人。相当多いな、なんて考えながらチャットを追った。
「左石右君ね、宜しくね。あたしの漢字はぶっちゃけ書いて説明した方が早いから今度教えてあげるよ。……うーん。わかった。じゃああたしが、今まででわかってることを教えてあげるよ」

お互いに自己紹介をしたところで、彼の疑問に答えるべく、再び秋槻は口を開く。
「まず、こんなに暗い理由だけど、窓に真っ黒なペンキみたいなのが塗りつけられていて……。塗り潰されちゃっているのよね。さらに、窓についてだけど……ご覧の通り開かないようなのよね。……どうやら閉じ込められているみたい」

チャットを追っていくと、体育館に通じる渡り廊下がトンネルみたいになっているみたい、という発言を見つける。
「……とりあえずあたし達も行く?体育館。集合した方がいいみたいだけどね。いつも通りに行けるみたいだし」

ひとまず1通りチャットを確認し終えると、体育館に集まらないか?という話で纏まっている。しかし、ここには自分の他にもいる。彼の意見を求めるためにどうしようか、と彼に尋ねるのだった────。

>>左石右様、周辺all様

【大丈夫ですよ!
タオルを差し出してあげたいです!!!】

4ヶ月前 No.52

五十鈴 @isuzu0☆LocDP0eky2k ★NbQEF8QrNY_mgE


【 吉祥院 京介 / 本館2階 / 廊下 】


 首謀者に向けた発言をする2人の間に入る形で宥めた京介。素直に返事する椿に気を取り直して落ち着いた煉奈。その前に煉奈に至っては不穏極まりない単語を呟いていたのでそれを聞いていた京介は苦笑いを浮かべる。女性の口からこんな単語が聞えようとは思いもよらなかった。
 コンビができるんじゃないかと思われるぐらいお互いがノリで会話をするため、煉奈から内心で突っ込みを入れているのは御最もだ。京介が拍手を贈ると椿はキリッとした顔で親指を立てて『 任せろ任せろ 』と告げるのを見て、ふふふっと笑う。
 椿がCHAINで書き込みをしてぽつりと呟いた声が聞えたのだろう、煉奈も同調したようで誰かからの返信を待つ時間がもどかしいのかそわそわしていた。落ち着かないのは京介も同じで焦りは見せずとも内心はそわそわしていた。ふと煉奈から『 赤い糸 』という言葉が飛び出した。煉奈が自分の指に付いている赤い糸を取ろうとするにも取れないらしく、京介からは彼女の赤い糸は見えずただ指を異様に触っているとしか見えなかった。すると椿も自分の指に視線を落とし、赤い糸が絡まっていると告げる。椿の言う通り、自分の糸以外は見えない。確かに京介からは2人の赤い糸は見えないが、自分のものは見える。


「 僕は右手の小指に赤い糸があります。……おや? 椿さんと煉奈さんは左手に、そして僕は右手に……。 」


 自分の指へ視線を落としていた顔を上げて2人に直ると右手に赤い糸がついていると告げる。告げた瞬間、何かしら脳にピンと来た。椿は左手に、と言った。先程、煉奈は左手の小指を触っていた。そして自分は右手。この左右の手が意味することは何だろうか。1人は右手の小指に赤い糸、もう1人は左手の小指に赤い糸。その両者が出会って初めて繋がっているということが分かるのでないだろうか、としか考えられない。


「 恐らくですが、右手に付いている人と左手に付いている人に分かれているんでしょう。……そして、現時点垂れている赤い糸が引っ張られるようになったその先に自分の赤い糸と繋がった人がいる、ということですね。 」


 完全に自己推理になってしまっているが確率は五分五分といったところだろう。疑問が尽きない中、難しい顔をしても辛気臭いだけなのでにこりとした笑みを浮かべて告げるのであった。

 話している内にスマホから通知音が聞えたのでCHAINを開ける。椿が投稿したコメントに次々と他の参加者が返事をしているのを追っていく。混乱している者も居れば案外冷静な者も居ることはこの文を見れば分かる。どうやら体育館に集合と生徒会長からのコメントに成程、と感心して一度スマホをズボンのポケットに仕舞う。
 生徒会長の文を見た煉奈は自分と椿を『 漫才コンビ 』と付けた。その言葉に反応した椿が突っ込みを入れながら彼女の後に追い、『 京介も行こうぜ 』と手招きをして声をかけられた。2人の可愛らしいやりとりにくすっと笑うと


「 ―――漫才コンビ、悪くないですね。 」


 と微笑みながら悪くないと告げ、先行く2人の後を追った。


>本庄 椿様、信衛 煉奈様、ALL様

4ヶ月前 No.53

篝火 @hijirisaya☆zk2IQ04u3Kaf ★iPhone=UzaSo0Ou8L

【黒葛原都撞/本館二階廊下】

階段を降りている間にも立て続けに通知が鳴り響いた。
アプリを開けてみると先ほどとは違う名前が並んでいる。他にも何人も同じ状況に置かれているらしい。一年生のつづくには知らない名前が多いのだが、どうやらみんなここの生徒であるようだ。ようやくグループメンバーを確認するボタンに気がついたつづくは、急いでスクロールして名前を確かめた。中には生徒会の役員の名前もある。
だが真っ先に探した名前はそれではなかった。

「お姉ちゃんいない……」

がっくりと肩を落とす。
いろいろ思うところはあるが、よく出来た姉は殊更このような異常事態に強い。
きっと姉がそばにいたらつづくをグズだの何だのと馬鹿にしながらも、的確な行動を指示してくれたことだろう。
ともあれ、このおかしなグループに入っていないということは、姉はこの校舎内にいないと考えられる。となれば、外からの救助を待つしかない。
そんなことを考えていた時、再び通知が来て会話が進む。
体育館に集合がかかった。強制力はなさそうだが、この状況では不安に揺れる生徒たちは体育館に向かうだろう。
つづくもまた集団に身を寄せたい気持ちと、不確かな行動に身を投じる恐怖に心を揺らしていた。

「……!」

携帯から顔を上げたつづくははっと立ち止まった。
二人の男子が二階の廊下を歩いている。
それだけじゃない。ちらほらと人の気配がする。奥の方に動く人影や、3階から降りてくる足音が聞こえて来た。
あれだけ待ち望んでいた他の被害者だが、いざ目の前にすると緊張で体が強張った。
二人が行ってしまうまで待とう。それで、自然な感じでついて行ってみよう。心の中で今後の計画を立て息を潜めた。しかし。

「ーー誰かいるのか」

うち一人の男子が声をかけて来た。
鋭い口調、鋭い視線。静かな雰囲気の生徒だが、硬い表情のせいでその静かさは和やかではなく厳かに振り切れている。

「ひゃぅっ! あ、ぅ、ごめんなさい……!」

怒られたわけでもないのに反射的に謝ってしまう。びくっと縮めた手の指をきゅっと握り、深呼吸と共に開く。
ダメだダメだ。自己紹介の時は笑顔で。相手に良い印象を与えるためには笑顔と、ほんの少しの弱さ。過剰に弱っているものは切り捨てられる。
親に教えられた人間社会の常識を思い出しながら笑顔を作った。

「わっ、私……一年の黒葛原都撞と言います。私も、そのぅ、気付いたら学校で……。えぇと……」

思ったよりも利発そうに喋れない。卑屈な性格と混乱を極めた状況が邪魔をしている。
目の前の二人が呆れ顔になる前に、何か有意義な言葉を言わなくちゃ。

「二人は、……体育館に行くんですか」

質問をする。
忙しい瞳の動きを自分で牽制するため、少し俯いて瞼を3分の2下ろして瞳に陰を落とす。
そのまま答えを待った。

>>花惠くん、麻織くん、周辺ALL様



【お声がけありがとうございます! 絡み嬉しいです。もしよろしければ、体育館まで同行させていただけませんか? コンビの間にお邪魔しちゃうのは心苦いですが、ルール把握するまでは攻撃的にはならないと思うので、よろしくお願いします】

せつか様、独楽様

4ヶ月前 No.54

つゆり。 @abyss017☆iervV4WoQZd4 ★iPad=R2PluhsJtU

【豊岡灯弦/本館1F 廊下→1F 渡り廊下】

 豊岡が自己紹介をすると、八重泉はふぅん、と口にし、自身の口調についてそういうものだと考えてくれると助かると言った。他人の口調を気にする程神経質でもないので、別に言わなくても良いのだが、と内心思いつつ、「ああ、分かった。」と返した。

「そうだな。もしかしたら何か新しい情報が手に入るかもしれないからな。……では、向かうか。」

 八重泉に微笑みで肯定を示され、体育館に向かおうと体を体育館の方に向けた。確か川上優子のチャットの内容では、一階の渡り廊下で体育館に行けるようだ。……トンネルのようなっていて、外の様子は伺えないらしいが。兎に角渡り廊下に向かわないと意味が無いと思い、足を進める。流石に歩幅の所為で距離が開いていったり、無理に気を使わせるだなんてやりたくないので、なるべく八重泉の歩幅に合わせた。

 元々豊岡等が居た場所は渡り廊下からそれ程離れていなかったので、特に問題も無く到着する事が出来た。本当に渡り廊下は両側に黒い壁が出来ていて、トンネルみたいになっていた。歩行には問題無いが、やはり薄暗かった。――ライトでもあれば安心なのだが。

「薄暗くて危ないな。……八重泉、何か明かりになるような物を持っているか?」

 パッと見た所、懐中電灯等は持っていないように見えた。しかし一応持っているかどうか聞いた。流石に彼女もこの薄暗い渡り廊下を明かりなんて必要無い、と言って進む事も無いだろう。会議室で目覚めた時、何か明かりになるような物が無いか探しておけば良かったと後悔をしつつ、八重泉の返事を待った。

 >>八重泉梵様、周辺ALL様

4ヶ月前 No.55

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_sgs

【中山聡/本館/3F廊下→階段(3F〜2F間)】
 先ほどのやり取りの前に彼女が隠れたことを彼女自身も気にしていたのだろうか、それとも訝しがる視線を曲解したのだろうか。隠れたことについて悠梨が申し訳なさそうに謝罪の言葉を投げかけてきた。警戒してこそいたものの、誰がいるのかもわからない状況であれば隠れるのもやむを得ないことだろうと思っていた聡からすれば、そういった言葉が飛んでくることそのものが想定外だった。自分でも驚いている自覚はあるし、あるいは驚きすぎてやや呆けたような表情になっているかもしれない。

「……いや、そこは怒ってないよ。というか全然怒ってるわけじゃないから」

 なるべく短く簡潔に、彼女の誤解を解こうとする。警戒はしているにしても怒っているわけではないのだから、そこはきちんと言っておかなければならないだろう。
 3階から2階へと、階段を下る。普段歩きなれた階段も、妙に暗いせいで普段と違うように思われる。まるで黒い絵の具で塗りつぶしたかのように外は真っ暗で、違和感がある理由はそのせいなのかもしれない。

「……2階に誰かいるね。雰囲気的には3年の先輩方かな?」

 階下にあたる2階の、より手前な感じがすることからどこかの教室というよりかは恐らくは廊下の方からだろうか、話し声が聞こえてきた。2階の教室は3年の先輩方が使用する教室群があるはずで、先程2年の二人がそれぞれの教室に居た事を考えれば、この先にいるのは3年の先輩である可能性が高いだろう、と考え、そう呟いた。

>>木実悠梨、周囲ALL

4ヶ月前 No.56

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★rqRPsSgCf7_8gk

【 伊豆丸麻織 / 本館二階廊下→一階渡り廊下 】

 彼はいったい何を思ったのか。どうしてもよろしく頼む、なんて言われてしまえば、麻織に選択の余地はなかった。目を軽く見開き、視界の端に捉えていたその人を中心に据える。硬い表情に、よく見れば僅かに変化があるのだと、最初に教えてくれたのは椿だった。今だってそうだ。彼の口角がゆるりと上がったのを、麻織の双眸はしかと捉えた。笑っている。穏やかに、どこか諭すように。その表情に麻織の尖っていた心はやがて丸みを帯びる。偉そうに組んでいた腕はだらりと落ちて、それから緊張したように拳が握られた。恥ずかしくて、視線が僅かに下方を向く。頬が、熱い。

「……そこまで仰るのでしたら仕方がありません、から……」

 情けなく語尾が消えて、きゅ、と唇が横一文字に引き結ばれた。彼の優しさに触れて、逃げ出してしまいたくなった。今の己には到底慣れることはできなさそうだが、いつか、このあたたかさに、此方からも何かを返すことができるようになるだろうか。麻織はそう考えながら、まともに顔すら見えない中で、小さく息を吐いた。それは彼が怒らなかったことに対する安堵か、それとも自身への呆れなのか。やがて聞こえる早く帰ろう、という言葉に、ついに俯いてしまって、それでもしっかりと一度頷いた。まるで悪戯を諭された子どものように。
 わけがわからない、と呟く彼と同様、麻織もその摩訶不思議な現象に対して、まったく理解が追い付いていなかった。けれどそれを一旦は置いておくことに、彼のほうもまとまったらしい。考えてもわからないことをいつまでも考えない。一先ず目の前のことに集中する、麻織と花惠の似ている部分だ。そういったところで、波長が合うことは良いことである。

「そうみたいですね。やはり閉じ込められているのか……、先程のことといい、何となく現実味が薄れてきましたか」

 先程彼が述べた通り、どうやら此処に閉じ込められているらしいと話して、麻織は困ったように眉を寄せた。考えても無駄なことが多すぎて、いったい何を考えればいいのか、それすらも怪しくなってくる。もしかするとこれは夢なのではないか、そう思ってしまうような現象がずっと起きていて、はっきり言ってお手上げだ。第一目標は体育館に向かうこととして、その後はどうする? 気が滅入ってしまいそうな中、階段の途中で彼が足を止めた。つられて振り返ると、そこには一人の女子生徒の姿があった。彼女の狼狽した声に此方も少し驚いてしまって、ぴくりと肩が揺れる。

「! ……伊豆丸麻織です。一年の」

 花惠が警戒したように声をかけたのもいけなかったのかもしれないが、自分でもきっとそうするだろう、と麻織は思った。だとすれば、彼女の些か過剰にも思える反応には驚かざるを得ない。きっとそういう性格なのだと割り切るまでに時間を要して、僅かな沈黙を残してしまった。彼女の自己紹介を聞いて、一度隣の花惠をちらりと見てから、此方も彼女に倣って名前を告げた。同じ一年だということだが、見たことも聞いたこともないというのなら、クラスは別なのだろう。こんな特徴的な名前、一度聞けば忘れないはずだからだ。
 体育館に向かうのかという質問に、一度小さく頷いて、どことなく面倒臭そうに口を開く。

「ええ、まあ。というか、この状況でそうじゃないほうがおかしいんじゃないか? CHAIN、読んでたんだろ」

 怪訝な顔つきは、彼女のどことなく狙ったような、また少し考えればわかるような質問が気に入らないがゆえのものだ。伊豆丸麻織という男に、この状況で不安になるのも仕方がない――ということを配慮する気持ちが、あまりに欠けていた。明け透けな物言いで彼女がショックを受けてしまうかもしれない、なんてことも、無論考えていないのだ。話は終わったかと、ちらりと隣の花惠を見た。その目は既に「面倒事を背負い込みたくない」という意思を示している。

>>柊示先輩、黒葛原さん、ALL様



( わあ、絡み感謝です! こちらこそ、ぜひ体育館まで一緒に行かせてください! ただ麻織が辛辣で本当にすみません……どうか愛想つかさないでいただければ幸いです;;すみません;▽; せつかさんもありがとうございます!^^ )

>>せつか様、篝火様

4ヶ月前 No.57

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【木実悠梨/本館/階段(3F〜2F)】

聡の『そこは』という言い方にじゃあこれ以外で怒らせてしまっていたのかと焦ったが、その後に続いた言葉で安心する。

「良かったぁ……」

ホッと息をついてから歩き出した聡に続く。まださっきの視線が少し気になったが、少なくとも怒っているわけではないらしい。ふと悠梨は、もしかしたら最初の悠梨のように初対面で警戒していただけだったのかもしれない、と思った。だとしたら聡が怒っていたかもなんて自分の早とちりだ。謝ったときも一瞬驚いたような顔をしていたから聡を困らせてしまったかもしれない。悠梨はまた謝ろうかとも思ったが、これも早とちりだったらまた迷惑をかけてしまうだけなので止めておく。そのかわりと言っては何だが、ちらと聡の表情を確認する。相変わらず何を考えているか分からない。こんな状況でも冷静に見え尊敬するが、自分に笑顔を見せてくれないことに納得がいかなかった。悠梨は先程から何度も聡に笑顔を見せている。それとも少し話しただけで心を開いてしまっている悠梨が変なのか。悠梨にとって久しぶりに普通に話せた同年代の人で悠梨が調子に乗っていただけだったのかもしれない。やっぱりこれだけで友達になった気でいるのは間違いだろうか。

「……2階に誰かいるね。雰囲気的には3年の先輩方かな?」

そう言う聡の声に悠梨はふるふると頭を振り考えていたことを頭から振り払ってから、聡の後ろから顔を覗かせる形で下の段を見る。階段にはおどおどしている女子生徒が1人とその下の方にはなんだか険しい顔をした男子生徒が2人。3人とも悠梨よりは身長が高く何年生なのか見た目だけでは判断し難いが、悠梨たちと同じようにこのよく分からない状況に巻き込まれている生徒であることは間違いないだろう。3人の様子を見るに2人の男子生徒が女子生徒を責め立てているように見える。悠梨は聡の後ろから飛び出しその男子生徒と女子生徒の間に入ると、男子生徒2人に向かって言った。

「ストーップ!その子怖がってるでしょ?女の子いじめちゃだめだよ!」

あまり怒ったりしたことがないので上手くできているかは分からないが、自分なりにむっと頬を膨らませる。一応睨んでいるつもりなのだが、悠梨からは全くと言っていい程怖さが出ていない。それでも悠梨は真剣だった。

>>中山聡様、黒葛原都撞様、伊豆丸麻織様、柊示花惠様、周辺ALL様


【絡ませていただきました!黒葛原都撞様、伊豆丸麻織様、柊示花惠様の3人がどの辺りにいるのかはっきりと分からず……もし私の解釈が間違っていましたら申し訳ありません!私の描写を無視して適当に変えてしまっても大丈夫です!】
>>篝火様、独楽様、せつか様

4ヶ月前 No.58

せつか @reif☆VEep6AUGCeI ★itjxsZSPDY_m9i

【柊示花惠/一階へ降りる階段→一階渡り廊下】

 語尾が少しずつ消えていくのを聞き届けると、思わず小さく笑みを浮かべてしまう花惠の表情筋はいつになく珍しく柔らかいような気もする。それだけ少しずつ、花惠も麻織との生活や日々の会話により態度の硬化さが和らいできたのだろう。その内椿や潤憂に見せる様な、似合わないドジや世間知らずを自身も気付かぬうちに発揮する日は恐らく遠くはないかもしれない。
 ライトをくるくると、低く宙に放り投げては一回転決めて再びキャッチをするという手慰みをしながら、ふいに思いついたことを後ほど実践してみようと、麻織を見やり「後で手を貸してくれ」とだけ告げて、とりあえず体育館へと向かうことが一番の先決であるからと麻織と共に足をのばそうと階段を降りていたのだが。背後に聞こえる自身と麻織以外の第三者の足音に警戒した花惠はかなりきつい口調と険しい視線でその足音の正体を見極めようとしていると、聞こえてきたのは驚きを含みながらも慌てたような、そして怯える様な小さな叫びと謝罪。それがか細い女生徒の声色であるということは分かり、ようやく薄暗い中で相手方の表情が見えると、やはり声色と同調した表情をしていた。何に対してのごめんなさい、なのかはわからないが、花惠は今の状況、あまり見たことのない顔を目の前にすれば自然と警戒心が引きあがるのは性格によるものでもある。だが普段から花惠の表情筋はとても硬いので、一見すれば普段通りといえば普段通りなのではあるが。

「……一年か。三年の柊示だ」

 麻織が先に自身の所属と名を明かしたのに次いで、花惠も自身の学年と苗字を告げる。麻織と同じ学年のようだが、ちらりと彼を一瞥してもどうやら目の前の彼女の名前に心当たりはないようだ。彼女も自分たちと同じように、目覚めたらこの学園にいたということなのだから自分たちと同じ状況であることはすぐにわかる。続く突き放すような言葉を彼女に吐いたのを聞いていたけれど、警戒心が引き上げられた彼の態度について花惠は特に弁明をするでも庇護するでもなく、まっすぐに彼女を見つめていた。

「黒葛原といったな。お前は体育館に行かないのか?」

 静かで淡々とした口調であった。ふいに麻織から向けられた視線と、その言わんとしていることに気づいて小さく息をつき、宥めるように背中を軽くたたいた。「大丈夫だ、体育館に行くだけなら問題ない」と静かに言葉を添えて。
 そんな麻織と都撞のやりとりを見たのか聞いたのか、都撞の背後からやってきた二人の内一人が、彼女と自分たちの間に割って入ってきた。女生徒のほうは見たことがないが、男子生徒のほうは寮で何度か見かけたことがある。恐らく部屋番が近いからか時々見かけるくらいではあるので、詳しく接したことはないのだけれど。いじめてはだめだと、そう、恐らく睨みを利かせているのだろう彼女を真正面から観察するように見つめ、ようやく口を開く。

「苛めはしていない。俺たちは彼女の質問に答え、そして質問を返しているだけだ。信じないのであればそれで構わない」

 そうして踵を返し、背後に増えた三人の生徒を改めて見やりながら、「それで、体育館へ行くのか、行かないのか。行かないのなら俺たちは行くが」と、そう問いかけるのである。

≫麻織くん、黒葛原さん、中山さん、木実さん


【いえいえ、此方こそ気づくのが遅くなってしまって大変失礼いたしました!花惠の態度が冷え冷えとしてますが、あれがわりと通常運転なところがありますのでお気になさらないでくださいね…!ごめんなさい!ぜひぜひ一緒に参りましょう!++】

≫篝火さま

【絡みありがとうございます!場所の表記がそのまま渡り廊下とありますが、現在は階段におりますので合ってますよ^^私こそ分かりにくい表記をしてしまい大変申し訳ございません。】

≫有栖川さま、スマイル様


【お返事大変お待たせいたしました……!】

4ヶ月前 No.59

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【左石右/特別棟4階・廊下】

左石は思い浮かべただけで顔を赤くして照れてしまったその言葉を恥ずかしげも無く言ってのけた秋槻に、またひえっといった声が出てしまう。この空間における何らかの運命の相手。これから何が起こるのか、嫌な予感がヒシヒシとし始めた左石はそんなの気の所為だとばかりに頭を軽く振って無理矢理にでも消し飛ばした。傍から見れば頭の水滴を飛ばした位にしか思われないだろう。
それはそうと、秋槻潤憂というこの女生徒は、どうやらそういった色恋沙汰には疎いらしい。顔が赤い左石を風邪かと言って心配する位だ。だったら此方も余り気にしないで良いのだろう。寧ろ一人でそわそわとしている方が余っ程可笑しい。

「え、そんな、でも……ありがとうございます」

そのままでは風邪を引くだろう、と濡れた左石を心配してブレザーを貸してくれる彼女に申し訳無い気持ちから多少遠慮するも、本当にブレザーが無くても平気な様子の秋槻を見て素直に借りる事にした。矢張り濡れた所為か少し肌寒く感じ始めた事も有る。優しい彼女のその行動に、益々信頼が募っていく。肩に羽織ったブレザーよりも秋槻のその優しさが何より暖かかった。
教えて欲しい、と勇気を持って告げれば秋槻は頷いて答えてくれる。外が暗いのは夜だからでは無くペンキか何かで黒く塗り潰されているから、との事。夜じゃないのか、と思うと少し気が楽になったが、塗り潰されているなんて普通じゃない状況に喜べもしない。更に窓が開かない、閉じ込められたとなれば恐怖で顔が青ざめ始める。水を被って身体が冷えた訳では無い震えが走り、安心を得ようと秋槻から借りたブレザーの襟をぎゅっと握り締める。

「トンネルのようになってる……、っていうのは、どういう事なんでしょうか。余りにも現実的じゃ無いですよね……?」

覗き込んだCHAINには到底信じられないような事が書いてあり、思わず独り言のように呟いてしまう。窓が塗り潰されているのなら外が暗い──黒い理由も分かるのだが、渡り廊下がトンネルのように塗り潰されているのは意味が分からない。垂れ幕でも掛けられているのだろうか。だがそうだとしたら捲れる筈だし外の様子も窺える筈である。不安気に眉を寄せて流れる会話を見ていれば、体育館に集まろうという話になってきた。数名で居るよりも沢山の人に囲まれていた方が幾らか安心出来るだろうか。

「そう、ですね。行きましょう」

お伺いを立ててきた秋槻に頷いて了承の意を示す。スマフォの存在に気付かない左石一人では、きっと体育館に辿り着くなんて出来なかっただろう。彼女が居て本当に良かったと左石は心から思った。

>>秋槻潤憂様、ALL様


【優しさに涙がちょちょ切れそうです……何が始まるのか分かる前から信頼度MAXですね!】

4ヶ月前 No.60

零雨 @himmel☆slI22tG5iR26 ★iPhone=uphccGzYv7

【 春夏秋冬灰猫/保健室前廊下→ 】

「うーん……本当に開かないみたいだね、どう頑張っても外には出られない、かぁ……。あぁいやぁ、気にしなくていいよぉ。おれも、ため息がつきたくなっちゃうしぃ」

 涼太が窓に手をかけるのを見て、灰猫はそう言ってへらり、と笑みを浮かべる。実際に、灰猫自身もため息をつきたくなるような状況だ。

「そうだねぇ……。お互い嘘をついてる、って可能性もあるけどぉ……」

 涼太の言葉に頷きながら、その可能性はさすがにないかなぁ、と灰猫は呟く。
 ――涼太には自分の赤い糸は見えず、自分には涼太の赤い糸は見えない、ということはこの糸の先にいるのは彼ではない、ということでいいのだろう。

「……うん、じゃあ行こうかぁ。まず、渡り廊下まで向かわないとねぇ」

 渡り廊下でも外には出られないんだねぇ、と呟きながら、灰猫はCHAINを閉じた。

>>涼太くん、ALL



( お気になさらないでください…!こちらこそ、遅くなってしまって申し訳ありません…! )

4ヶ月前 No.61

ろずに @tamtg ★PnMbNaCcXY_M0e

【信衛煉奈/2階廊下→体育館入口】

 ――実は信じられないかもだけど、俺も左手の小指に赤い糸が絡まってんだ。
 苦笑いを浮かべながらそう告げる椿に、煉奈は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。椿の差し出した左手の小指を凝視する。どんなに集中して見つめても、あるのは指だけだ。無理にこちらに話を合わせているだけなのかと疑ったが、どうやら京介も椿同様赤い糸が指先に繋がっているらしく、右手の小指に視線を落としていた。椿と煉奈は左の手から赤い糸が始まっているが、京介は違うらしい。この違いに何らかの法則性は存在するのだろうか……。

「要するに、あんた達にもそれぞれ『運命の相手』がいるって訳ね。それにしても謎すぎるわ、首謀者は仲人役でもするつもり?……一応言っとくけど、私は熱も無いし危ないクスリに手を出した事は無いから。それは、あんた達もでしょう?」

 自分だけが視認できる赤い糸。気づいたら校舎に居た事も大概だが、赤い糸の謎も相まっていよいよ頭がキャパシティオーバーになりそうだ。「他者からは見えず自分にだけ見える」なんて事が可能なのか。まるで、幻覚や幽霊などのオカルトチックな話ではないか。自分達が正気を保っていないのかと不安にはなったが、此処に居る全員普通に受け答えもできる為その可能性は低いだろう。

 ……考えても仕方が無い。この問題は一旦置いておくとして、まずは残りの生徒達との合流が先だ。もしかしたら赤い糸の相手も、体育館で見つけられるかもしれない。加えて、友人である梵にも合流して安否を確認したい。
 目標を再認識して、再び体育館へ歩を進める。後ろから「漫才コンビ」という称号に突っ込む椿と、そんな彼に促されて追いかけてくる京介の姿があった。
 はじめこそ我先にと大股で歩いていたが、いつの間にか背丈が高い故に歩幅も大きい彼らに並んで歩く形になっている。信衛煉奈は己の体型に絶対の自信を持つ人間だ。しかし、自分と同等、あるはそれ以上のスタイルに恵まれた人間を目にすると、負けず嫌いな性質が態度に表れる。こんな時にいつもの気性が刺激されたのか、すらりとした体躯を持っている彼らに、性別も違うのに「速すぎるわよ!レディをファーストしなさいよ!」と負け惜しみを吐き捨てる。先程はついてこいと言いながら二人が自分よりも前を歩き出そうとしたらこれだ。椿と京介が温厚な人間でなければ、すぐさま言い争いに発展しているだろう。
 そんな子供じみた対抗心を燃やしていると、やがて一階の渡り廊下まで到着した。

「ちょっと……何よこれ、本当に外の様子が分からないじゃない……」

 川上と言う名の生徒がCHAINで発言していた奇妙な事を思い出す。いつもなら校舎脇の花壇や塀が目に映る渡り廊下は、川上の言うとおり周囲を覆われてまさしくトンネルのようであった。ここまで外の世界と遮断されていると、気味の悪さを通り越して考える事すら放棄したくなる。何故ここまでして外の景色が見えないようにしているのだろう。CHAINのグループメンバー以外とは一切の連絡も不可能なので、全てが校舎内で完結している。歩きながらトンネルの側面をなぞると、とくに何の変哲も無い感触が指に伝わった。

 ――歩いていれば、当然ゴールに辿り着く。
 渡り廊下を通り体育館の入り口まで辿り着いて、少し緊張した面持ちで扉に手をかけた。合流する事に意気込んでいたがいざとなると僅かながら不安は湧き上がる。椿と京介の顔をちらりと垣間見た後、煉奈は扉にかけた手に力を加えた。

≫椿様、京介様、周囲ALL様【勝手に体育館前へと移動してしまったのですが大丈夫だったでしょうか…?】

4ヶ月前 No.62

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【八重泉梵/本館1F 廊下→1F 渡り廊下】

受け取り手によっては失礼極まりないと憤慨されることもあるのであろう梵の物言いだったが、灯弦は特に気にした様子もなく「ああ、わかった」と短い返事だけを口にした。何か言われるのではないか、と内心びくびくしていた梵はひとまず安心する。とは言え灯弦が不快な思いをしていないとは限らないので、今後とも自分の言動には気を付けようと改めて思う梵であった。いくらキャラクター作りに力を入れていても、そのせいで人間関係がぶち壊しになったら本末転倒というものだ。

「……皆ももう体育館に向かっているのかしら。できれば知り合いがいてくれると助かるのだけれど」

そんな訳で体育館に向かうことになり、ぼそりと誰に聞かせるでもなく梵は呟く。もし体育館に到着した際に、自分の知り合いが誰もおらず独りぼっちになるような状況に陥ってしまうのだけは避けたい。灯弦にも友人はいるのだろうし(と梵は仮定している)、対して自分にとって友人と呼べる存在は数えるくらいしかいない。せめて煉奈でもいてくれたのなら良いのだけれど、と内心で祈りながら梵は歩を進める。灯弦との間にあまり距離が開かないのはきっと灯弦が歩幅を合わせてくれているからなのだろう。そう考えるとなんだか申し訳ない上にありがたくも思い、いつか何かしらの形で彼の手助けをしようと梵は心に決めるのであった。変なところで律儀なので自然と恩返しをする流れになってしまうのである。自主的に人助けをしている者だということを鑑みればおかしくはないことなのだが。

「明かり、ねぇ……。スマホでなら少しは照らせるけど、せいぜい足元が良いところでしょうね。まさかこんなに暗くなっているものとは思っていなかったわ。本当どうなってるのかしらこれ」

体育館に繋がる渡り廊下までやって来たのは良いものの、なぜかそこはトンネルのように真っ暗な空間へと様変わりしていた。こんなことなら何処かから懐中電灯でも持ってくるべきだった。そんな後悔を胸にしながら、一応梵はスマートフォンのライトを点けてみる。やはり少しは明るくなるが足元を照らす程度である。慎重に歩いていけば大事には至らないだろうが。

「あたしのライトだけじゃ心もとないって言うなら、あんたのスマホも出しておいた方が良いわね。これだけじゃちょっと頼りない気もするし」

とりあえず灯弦が怪我などをしないようにと一応の警告はしておいた。彼が梵のライトだけで大丈夫だというのならそれはそれで構わないが、注意をするに越したことはないだろう。

>>豊岡灯弦様、周辺all様

【返信が遅くなってしまい申し訳ございません……!】

4ヶ月前 No.63

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=pFeytiwsZA

【秋槻潤憂/特別棟・4階廊下→本館へ繋がる渡り廊下】

秋槻は特に何の感情も持たずにサラリと言った言葉。”運命の相手”。秋槻はいわゆる色恋沙汰には疎い。相談や質問は良くされるが、秋槻自身がよくわかっていないのもあり、そういう相談は他の人に任せることにしていた。もちろん、そういう感情にも疎い。

「ん……?やっぱり髪濡れてると気持ち悪いよね。んー、なにかあんたの髪、拭くもの欲しいね。ブレザーだけじゃ寒いだろうし……。何よりも頭、それじゃあ冷たくなっちゃうでしょ。この辺にタオルとかあればいいんだけど……」

彼が頭を振っているのを見るなり、首をかしげながら尋ねる。この状態で風邪をひくと、恐らく医者はいないだろうから、風邪薬を渡すことは出来ない。そもそも今この状況をあまり理解していないが、非日常に巻き込まれているのは確か。しかし、巻き込まれたものは仕方が無い、という事で、早くこの空間に慣れよう────。そう思うと、やはり、怖がりな人は怖いだろうなぁ、なんて内心思う。

この学園は今のところ変なようだ。彼の頭の上にいきなりバケツの水をひっくり返したような量の水が降ってきたのも含め、いつもの学園とは違い、さらに何かがあるようだ。この赤い糸もそのうち何かしら関係を持つのだろう、と結論を出す。今はこの赤い糸がなんの運命────いや、何のいたずらで繋がっているのかはわからない。それが分かるまでは、とりあえず彼のそばに居るべきだと思い、にこりとわらいながら口を開く。
「恐がらせてごめんね。……でもとりあえずあんたは何かしらあたしと何かの運命で繋がってるみたいだし、この糸が何を示すのかが分かるまでは、あんたのそばに居て、守るよ」

そうは言ったものの、とりあえず体育館に向かわなければ、わかることも分からない。もしかしたらそこで何か新しいことを知ることになるかもしれない。

「なんか不思議な現象起こってんねぇ。……まぁ、とりあえず外の様子は見れない上に出れないんだし、事実の確認はしようがないけどね」

彼の言葉を聞いて少しため息混じりに口を開いた。しかし、巻き込まれたものは仕方が無いとは思うが、もう少し融通が聞かないものかと思う。このままでは空気が悪くなり、体調を崩す人も出るだろうし、衛生的にもよくない。あとは食べ物の問題もあれば、寝床もある。

とりあえず、体育館に向かわなければ、わかることも分からない。左石にも行くかどうかを確認すると賛成をしてくれる。
「いつも通りに行けるといいんだけど……まぁ、多分、いつも通りに行けるみたいね。暗いから、足元に気を付けてね。転ぶと何があるか分かんないしね。なるべくあたしから離れないようにね。すぐにあんたのこと守れるし」

じゃあ行こうか、なんて言いながら秋槻はゆっくり歩き始める。スマホの柔らかい光を頼りにしながらそっと。
本館からの方がいつも行き慣れているのもあり、渡り廊下まで行ったところで左石に声をかける。
「……あ、アンタ渡り廊下からでも平気?」

>>左石右様、周辺all様


【和宮涼太/保健室前廊下→1階渡り廊下】

ため息のことを謝罪すると、春夏秋冬は気にしなくていい、自分もしたい、と告げた。そのことに安堵しながらふわりと笑いながら口を開く。
「……ありがとうございます、先輩。……うーん……。見たい、ですね。多分、これ割れないでしょうし……」
あかない窓をコンコン、と軽く叩いてみるが、いつも通りに見えるが、恐らくこういう世界のお決まり、というヤツで割れないだろう。力がそんなにないから割るかどうかを試せないが。

「僕は先輩が嘘を言っているとは思えないですし……、そもそもこんなことで嘘を言ったところで、先輩に何の得もないですし、ただ僕が頭おかしいヤツ、ということだけで、得はないですから」

そんなふうに言ってみて、へらりと笑った。「まぁ……、この糸の先って何でしょうね?」なんて呟く。
体育館に向かうことを許可をされると春夏秋冬と共に歩き始めることを決める。

体育館に向かう途中、人が集まっているところを見つけた。そこは渡り廊下だ。遠くからしか今は見えないが、CHAINで言っていた通り、確かにトンネルのようになっていた。
「わわ、本当にトンネルみたいになってますね……。
あ、こんばんわ、先輩たち……」

>>春夏秋冬灰猫様、1階渡り廊下all様

4ヶ月前 No.64

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【本庄椿/2階廊下→体育館】

 自分と煉奈は左手に、京介は右手に赤い糸がついているらしい。椿は、自分の指を凝視する煉奈を見ながらやはり他者には赤い糸は認識出来ないものなのかと思った。いや、本当に首謀者がいるのなら『わざと認識出来ないようにしてある』と言った方が正しいのかもしれない。椿は続く京介の推理に耳を傾け、そしてにこりと最後に笑った彼に椿もふっと笑みを浮かべて力を抜いた。――考えていても仕方ないか、と。ここまでの情報で分かることはあまりに少ない。そして続く煉奈の言葉に椿はあっけらかんと笑った。

「ははっ! 首謀者が仲人役かぁ、光の速さでお断り申し上げたいところだな。ちなみに俺も変なクスリやってるわけでもないし、もちろんお前をはめるために演技をしてるわけでもない。…………そういや、ここまで手の込んだことの出来るヤツって結構限られてきそうだよな」

 最後にぽそっと一人そう呟き、煉奈の後に続いて体育館へ歩みを進めていく。
 そして、CHAINに煉奈の友人であろう八重泉梵からすぐに丁寧な返事があり、椿は「おお」と感嘆の声を上げる。煉奈に「お前の友達しっかりしてんなぁ」と関心して後ろを向いたとき。
 煉奈が何かしら言いたげな表情をしていることに気付いて首を傾げる。と、彼女から「レディをファーストしなさい」と言われ、椿は「ほ?」と間抜けな声を出してぱちぱちと瞬きをした。しかし、その言葉の意味が分かると、思わずふふっと笑ってしまった。どうやら前を歩かれてしまってご機嫌斜めらしい。自分も男性と女性で歩く歩幅が違うことを失念していた。レディファースト、そういや前に劇で英国紳士のちょい役をやったことがあったなとふいに思い出した椿は「これはとんだご無礼を」とまるで西洋の貴族のように片足を軽く引いて片手を胸に当て、優雅にお辞儀をしてみた。「どうぞレディ、御前へ」道を開けてみるも、誰もここまでやれとは言っていない。以前、妹にもしたら「お兄ちゃん恥ずかしい」と腹パンされて痛みに悶絶したことをもう忘れたらしい。

 そうこうしている間にすぐに一階の渡り廊下へと辿り着き、椿はその異変に無意識に目を凝らした。トンネル状になった渡り廊下は蛍光灯は点いているものの薄暗く、先を見通すことが出来ない。ここに来るまでは半信半疑だったが、川上という女子生徒が言ったことは本当だったようだ。徹底して外を見せないようにする首謀者の執念すら感じられて、スタンディングオベーションをして拍手喝采でもしてやりたくなる。ここまでやるのにさぞかしご苦労なさったことだろう。煉奈のつぶやきに同意しかなかった椿は呆れ返ったようにため息をつき、目を閉じて数度頷いた。
 行き慣れた道というのもあったのだろう、椿個人からしてみれば体育館まではあっという間だった。薄暗いせいもあったためか、途中で何人か生徒とすれ違ったが見知った顔を特に見つけることもできず、気付けば体育館前まで辿り着いていた。そして煉奈が体育館のドアに手をかけたとき、ふっと疑問が頭を過った。

 ――あれ、俺たちが一番最初か?

 誰かいるなら恐らく体育館の扉は開いていそうだが、実際閉まっているので中に誰もいないことになる。話し声も体育館からは聞こえて来ない。
 考え込んでいると煉奈がちらりとこちらを振り返った。表情には不安の色が見え、椿も彼女と目を合わせた後に何となく京介の方を見て。そして頷く。

「ゆっくりな」

 と煉奈に言い、体育館の扉は開かれる。暗がりにいたせいか中から漏れる光が眩しい。息を飲み込んで、開かれた扉の隙間から目を細め館内を覗く。が、特にこれといって変わった様子はなく、いつも通りの光景が広がっている。

「……大丈夫そうだな。開けんぞ」

 椿も扉に手をかけて、体育館を解放した。そして、最初は少し顔だけを出して確認すると、椿は体育館へと慎重に入りぐるりと周囲を見回す。

「ええっと……? 時計もぶっ壊れてて、窓も真っ黒かい。体育館も狂いっぷりは教室と何ら変わんねぇな。ギャラリーは知らんが」

 体育館の2階部分に当たるコの字型のギャラリーを、目でなぞるように見ながらそう言った。さすがに1階から覗くことは出来ないが、何も起こらないところを見ると一先ず安心で良いのだろうか。「何かめっちゃ緊張したな」と椿は小さく笑いながらぽつりと呟いて。

>吉祥院 京介さま、信衛煉奈さま、ALLさま

【いえいえ!むしろ体育館まで来ていただけて助かりました!誘導ありがとうございます……!
 また、体育館に入って若干場面転換(?)している気もするので、移動前の描写を入れるのがあれでしたら拾っていただかなくても構いません!やりやすいようにしていただいて大丈夫です!(^^)】
>ろずにさま

【ちなみにギャラリー、壁側に沿って設置されているので外の光はおろか、体育館の明かりが入りにくくやはり薄暗いです。探索するにはちょっとはらはらするとは思いますが、現時点で何か起こるわけではありませんのでよろしくお願いします!行くのなら描写はお好きにしていただいて構いません!(探索は自由です)】
>ALLさま

4ヶ月前 No.65

篝火 @hijirisaya☆zk2IQ04u3Kaf ★iPhone=x2HuYfU94h

【黒葛原都撞/一階渡り廊下】

仲の良さそうな二人の男子はてっきり同い年かと思ったら三年と一年のようである。どうも、と二人の自己紹介に対しぺこりと頭を下げかけたが、間髪入れずに麻織の切って捨てるような追及に身を竦めた。

「あぅう……、そのぅ、もしかしたらこのチャットに犯人さんが紛れ込んでいて、不安がってる生徒を上手に誘導してですね、一箇所に集めたところで爆破する計画かも……なんて」

もともとネガティブな性格のつづくだが、この状況を作り出した首謀者の目的も動機も正体も分からないことが、マイナス思考に更なる拍車をかけていた。
いっそ誇大な被害妄想を口にしてから、ハッとする。怪訝そうにしていた花惠の足が体育館の方へ向いていたからだ。

「って、考えすぎですよね! こんな馬鹿みたいに稚拙な推測してたってなんにもならないですよね、私みたいなグズが出過ぎた事言ってごめんなさいぃ……!」

泣き出さんばかりの卑下っぷりだが、これはつづくにとっては日常茶飯事である。この行きすぎた謙遜と自虐が、つづくをクラスで孤立させている。今のやりとりだけでも少し頭の回る人間ならば、つづくの人となりがぼんやりと分かることだろう。こいつは相当面倒くさいと。

「あの、いじめられてるわけじゃないんです! 私が、あの体育館行くか決めかねてて、お二人に迷惑を……。そのっ、大丈夫なので、私が悪いのでぇ心配しないで下さい」

庇うように間に割って入ってくれた悠梨にもつづく節を炸裂させ、この場を見渡す。
どうやらみんな体育館に向かうようで、杞憂しているのは自分だけ。
となれば、長いものには巻かれろ。それが勝利への近道。一人で勝ち進めるのは姉のように、常人とは一線を画す一部の特別な存在だけだ。

「ごちゃごちゃ言ってごめんなさい、や、やっぱり私も体育館行きたいので、ご一緒しても良いですかぁ……?」

深呼吸して少しだけ落ち着きを取り戻したつづくは、ややあって四人に許しを乞うように一歩近づいた。

>>花惠くん、麻織くん、悠梨さん、聡くん、周辺ALL様



【つんけんした態度大丈夫です! つづくも必要以上ににおどおどして怖がるのですが、もともとそういう奴なのであまり気にせず、放置気味で丁度いいかと思います! あまり優しくするととメンヘラな本性がでてくるので要注意です】

>>せつか様、独楽さま



【絡みありがとうございます! 体育館までご一緒させていただけると嬉しいです〜】

>>スマイル様

4ヶ月前 No.66

零雨 @himmel☆slI22tG5iR26 ★iPhone=uphccGzYv7

【 春夏秋冬灰猫/一階渡り廊下 】

「……割れたりしたら、すぐにでも出るんだけどねぇ。とじこめられてるみたいだし、今はまだ出られない、かなぁ」

 窓を叩いた涼太の言葉に、灰猫はその窓に触れながら、ボソリと呟いた。――本当にやるつもりなんて灰猫には一切ないが、椅子やテーブルで試せばあるいは。と、そこまで考えて、ありえない、と灰猫は否定する。そんなに簡単に割れるなら、こんなことにはなっていないはずだ。

「そうだねぇ、こんなことで嘘をついても、お互いにメリットはないかなぁ。……会えたのが涼太くんみたいな子でよかったぁ」

 そう言って、にへら、と笑みを浮かべる。もしもこうして出会った相手が不親切な人だったら、何があったものかわからない。
 この糸の先は、という涼太の言葉には、「そうだなぁ、やっぱり運命の相手、とかかなぁ?」と、首を傾げた。
 体育館への道の途中、渡り廊下が見えてきた。どうやら同じように集まった人集りがそこにはあるようだった。そして、CHAINで話にあったように、渡り廊下はトンネルのようになっているのがわかる。

「……本当にトンネルみたい、すごいねぇ……」

 その光景を見ながら、灰猫はそう呟いた。

>>涼太くん、その他一階渡り廊下ALL



( お返事が遅くなってしまい、申し訳ありません;; )

4ヶ月前 No.67

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=pFeytiwsZA

【和宮涼太/1階渡り廊下→】

春夏秋冬の言葉に頷きながら自分の出うる限りの力で1度窓を叩く。
……割れない。痛いなぁ、なんて思いながら窓を叩いた方の手をさすりながら春夏秋冬に向き直ると口を開く。
「そうですね……。そもそも今何時なんでしょうね?正確な時間は分からないですし……」

春夏秋冬の言葉に一瞬だが意識が飛かける。いつまでこの学園に閉じ込められたままなのか、ということを考えてしまったからだ。
「そうです、ここで嘘を言ってもお互いに多分デメリットしか残らないですよ。……僕も春夏秋冬先輩にあえて良かったです。優しそうな春夏秋冬先輩で、嬉しかったですよ」

春夏秋冬の言葉に頷き、会えたのが自分のような人でよかった、と言われ驚いたように目を丸くした後にニッコリと笑みを深めると嬉しかった、と告げる。赤い糸の先は運命の相手かなぁ、という言葉には「やっぱりそうなんでしょうね」、と返す。となると、相手は男と女、どちらになるのだろう、と思う。涼太だってこんな形をしているが、女の子の方が好きだ。付き合うなら、女の子がいいとは思う。この赤い糸の先がなんの運命の相手なのかは分からないが、せめて倒さなければいけない、とかではありませんように、と願うばかりだった。

渡り廊下には、涼太の赤い糸の先の人もいたが、涼太は気が付かない。というのも今は特に気にしていなかったというのもあるが、何よりもトンネルの方がきになっていたので、運命の赤い糸の先には気が付かなかったのだ。

「とりあえず……、通ってみますか?」

トンネルを見ていた春夏秋冬にそんなふうに声をかけるのだった。

>>春夏秋冬灰猫様、(木実悠梨様)、周辺all様


【大丈夫ですよ!】

4ヶ月前 No.68

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★rqRPsSgCf7_8gk

【 伊豆丸麻織 / 一階渡り廊下 】

 階段を降りながら、麻織は先程の不可思議な光景を思い出していた。何もない空間から突然現れたライト、驚いた様子の花惠。当然意図的でないのは明白である。花惠が、ただ明かりがあれば、と願望を口にしたのがきっかけなのだろうか。至極単純な答えであるが、他に思い当たる節もない。それから、自分にも先程花惠がして見せたように、何かをぽっと出すことが出来るのかどうかも気になった。自身の手のひらを見つめて、どうだろうか、と怪訝な顔をしては首を傾ける。もし魔法が使えたのなら。高鳴りそうになる心臓を見栄と意地で抑え込み、ゆるく横に首を振って夢見がちな思考を遮った。ふと隣から手を貸してほしいと聞こえてくれば、慌ててそちらを向き「ああ、はい……」とどこか気の抜けた返事をした。
 同じくして階段を降りてきたらしい黒葛原という女子生徒は、麻織のきつい問いかけに対し、どこかおどおどしている様子で自身の答えを述べた。爆破。聞き捨てならない単語で、それから、その場にいる者の疑心暗鬼をさらに煽りかねない発言である。麻織は眉を寄せ、緩く腕を組んだ。あのなあ、呆れた様子で再び言葉を発しようとしたところで、発言者からすぐに謝罪の言葉が飛んでくる。馬鹿みたい、稚拙、グズ、彼女の口からは次々に自嘲的なフレーズが飛び出して、さらにヒステリックな雰囲気が増してしまうように思えてしまった。一呼吸おいて、麻織は溜息を吐き出した。見兼ねたように花惠から宥めるように背中を叩かれて、しぶしぶと言った様子で一度だけ頷いて見せた。彼が言うのなら、少なくとも間違いはないはずだ。だけど、でも。人付き合いの下手くそな麻織は、こういうとき、相手を理解するよりも先に距離を取ろうとしてしまうのだ。
 すると、その空気に割って入る人影がひとつ。麻織の目の前に、まるで黒葛原を守るように立ちはだかる。

「はあ?」

 今度こそ、麻織が抱いたのは明確な敵意だった。だけども、敵意と呼ぶには刺々しすぎて、間の抜けた言葉が浮いてしまう。誤解だと言えばよかったのに、麻織にはその一言すら言えなかった。眉を更に寄せ、不穏な空気を醸し出す。花惠が状況説明をし、またその些細な衝突の原因を生み出した(と、麻織は思っている)黒葛原が再び口を開いたので、その場は収束に向かっていくように思えた。もう付き合っていられないと、花惠に続いて彼女たちに背中を向け、体育館の方面を見る。どうやら人も増えてきたようだ。ここで、立ち止まっている理由はない。

「勝手にしろ。もう行きますよ、余計な争いは御免です」

 相変わらずおどおどしている黒葛原に、やはり麻織は優しい言葉のひとつもかけられない。それがまた、正義感の強い悠梨との衝突の原因になるかもしれないなんてことも当然考えられず、マイペースに、どこか強引に、トンネルのようになっている渡り廊下を歩き出すのだった。

>>柊示先輩、黒葛原さん、木実さん、中山さん、周辺ALL様


( お返事遅くなってしまい申し訳ありません……! 大人数の絡みに慣れていないもので、全てに触れられず……また対応が雑ですごく申し訳ないです;▽;ご容赦いただけますと幸いです……仲良くしたいのですが……!;; )

4ヶ月前 No.69

せつか @reif☆VEep6AUGCeI ★wxF62nvbQ9_m9i

【柊示花惠/一階渡り廊下→体育館】

 爆破する計画かも、という都撞の言葉に、なるほど、彼女は極度すぎる心配性か、もしくはただ単純にすべての事象において最底辺な事態が起こることを予め想定しておき、そしてそれを所謂ネガティブな言葉によって発信してしまうようなそんな性格か何かなのだろうと花惠は一つの結論に至った。そして同時に彼女が自分自身のことを息を吸うように卑下の言葉も混ぜてくるので、なるほど、そうであればさぞ難儀な生活を送っていることだろうとは一瞬だけ思ったが、しかし花惠にとってはそれもひとつの彼女の個性というものなのだろうと脳内できっちりと折り合いをつけることにした。麻織も少し落ち着いたようだが、目の前に立ちはだかる女子生徒の言葉に対して口からつい出てしまったのであろう彼の間の抜けた言葉の中に、まっすぐな敵意がそこにあることに気づき、彼のこういった様子はそういえば自分も向けられたことが過去にあったなあとついつい懐古してしまった。表情にはまったく表れないので花惠の心の中だけではあるが。
 麻織がそのまま暗いトンネルのようになっている渡り廊下をすたすたと先に歩き出してしまった後ろ姿を見てから、再び振り返りちらりと都撞と悠梨、そして聡を順に見やって、そして都撞言葉に「好きにするといい」と。返答のニュアンスは麻織の言葉と変わらずに、そのまま先を行く彼の背中に次いで改めて歩みだした。後ろの三人に背中は見せているが、しかしやはり隙も油断も見せないのが花惠である。

 それにしても、渡り廊下はCHAINのチャットの川上とかいう生徒の投稿通り、トンネルのような状態になっていて窓の黒と同じように真っ暗というよりかは真っ黒だ。蛍光灯の明かりはついているが、やはり外の光が入らないためかかなり薄暗い。そういう時に役立つのは片手に持っているライトだなと思い、出番とばかりにそれの電源を入れては最初に周囲を見回し、シンプルだがやはり解せないなと真っ黒な壁になっているそれを照らしてから改めて前方に光を当てて歩を進める。先ほども麻織に後で手を貸してくれと告げたが、魔法のようにライトを出したときと同じ要領で、後程今度は麻織の手の上を意識してライトでもなんでもいいから出してみようと、そう思いながら彼の背に追いついた。
 目の前に見えてくる体育館の扉。が、開いている。話声もちらほら聞こえてきたので、どうやら先に体育館へ到着した人がいくらかいるようだ。

「……、人が集まり始めているな、……! 麻織、椿がいる」

 体育館へと足を踏み入れ、体育館に集まる人間の顔ぶれをざっと見回してから、その中に同じクラスの知り合いや同じ学年の知った顔もちらほらと居た。その中に、自分の友人も。


【すみません、私もまたお待たせいたしました!
 勝手に体育館まで移動してしまいました、何か不都合などございましたら後半はカットしていただいてもかまいません…!大変失礼いたしました。】

≫黒葛原さん、麻織くん、木実さん、中山さん、(椿くん)、ALL様

【絡み切れてませんが勝手に花惠が見つけてます…!不都合等ございましたら気になさらずそのままスルーしてくださって大丈夫です…!】

≫主さま

4ヶ月前 No.70

五十鈴 @isuzu0☆LocDP0eky2k ★8dXnLGpsYk_mgE


【 吉祥院 京介 / 2階廊下→体育館 】


 自分の指に絡みついた赤い糸をちらりと見て、椿と煉奈の指を見やるがそこには何もついていない。やはり他人からは見られないようになっているのか。何とも厄介なものだ。つくづく首謀者は悪趣味極まりないな、と頭を抱える。煉奈が簡潔に纏めるとそれに自分は頷くことしかできなかった。そして続ける彼女の言葉に椿が笑う。首謀者が仲人役なんて自分もお断りだ、と言う前に彼の口から言われたのでくすっと笑いながら「 僕も同じです。 」と柔和に告げる。


「 僕も変なクスリは使ってませんよ。此処まで壮大なシナリオを造るぐらいなら次のコンクールに向けて練習したいものです。 」


 椿に続き自分もやっていない発言をすると、今の状況に似合わない台詞を吐く。コンクールというのはピアノコンクールのことで3ヶ月後に迫っている。だからこんなところで足止めを喰らっている訳にもいかず、でもどうしようもない現実に頬を膨らまして腕組みをする。京介曰く怒っている、らしい。

 普段歩くペースで歩いていると横から何か言いたげな煉奈に気付き、椿同様首を傾げる。どうやら先に歩いていたのに後から来た自分たちが何時の間にか並んで歩く形になっているので、それが彼女の性格に刺激を与えてしまったのだろう『 レディをファーストしなさいよ! 』と言われる。間抜けな声を上げる椿とは違い「 おやおや……。 」と困った様な笑みを浮かべる京介。成程、前を歩かれて不服という顔だ。その意味を理解して煉奈には悪いと思いつつ、口元を隠しながらふふふっと笑う。前に椿が劇で英国紳士のちょい役をしていたのを思い出し彼に続いて「 申し訳御座いません、お嬢様。 」と右手を胸に当て左足を引き、華麗にお辞儀をしてみせる。完全に見様見真似だが『 どうぞレディ、御前へ 』と言う椿の言葉に京介も道を開ける。ふむ、時にはこんなこともやってみるものだな、と思うのであった。


 そんなことをしている間に1階の渡り廊下に着く。川上という女子生徒がCHAINで言ったことは本当だったようで辺りを軽く見渡す。渡り廊下がトンネルみたい、なのは強ち間違っては無い。蛍光灯が点いているにも関わらず先を見通せない程の薄暗さ。まさか此処まで酷いとは思ってもみなかったので恐怖を通り越して笑えてくる。煉奈の呟きに同意したのだろう椿も溜息を吐いて数回頷いて見せた。その様子に京介も頷くしか道が無かった。

 ついに体育館の入り口に来た訳だが、体育館の扉が閉まっているため自分たちが一番乗りだろうと予想できる。緊張した煉奈がちらりと振り向き、椿も此方に視線を寄越して京介は小さく頷く。2人が扉に手をかけて開放した。慎重に体育館へ入る椿に続いて京介も入る。そして後ろに居る煉奈に「 足元、気を付けて下さいね。 」と注意を促す。どうやら時計は壊れていておまけに窓も暗い、風景は同じだな。小さく笑う椿に「 そうですね。 」と短く返す。
 そして数人の足音が近付き、くるりと扉の方へ振り返り「 少しずつですが集まってきましたね。 」とぽつりと呟くのであった。


>本庄 椿様、信衛 煉奈様、周辺ALL様



【 体育館までの誘導ありがとうございます! 移動前の描写は一応入れておきましたが、次から切ってもらって大丈夫です。 】


>ろずに様、主様

4ヶ月前 No.71

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_sgs

【中山聡/本館/→1F渡り廊下】
 彼が悠梨に声をかけた理由は、ちょっと様子を見るべきじゃないか、という意図も多少は含まれていたのだけれど、彼女の中にはそんな選択肢は存在していなかったらしく、複数の男子生徒に女子生徒が難詰されているように見受けられるという、いかにも『いじめっぽく見える』状況を見た瞬間に、止める間もなく飛び出して行ってしまった。慌てて後ろから追いかけたけれど、もう後の祭りであった。よもや彼女がそこまで正義感が強いとは、思ってもみなかった。

「ご説明有難うございます。当事者の貴方達の双方がそう言うなら、少なくとも僕はもう何も追求しません。
 どうせ僕達も体育館に行くつもりでしたし、よかったらこのままご一緒させてください」

 状況を説明してくれた先輩と後輩の説明を聞き、そのどちらにも齟齬にあたる物は無かったことからそれを信頼し、名前を知らない先輩(花惠)の言葉にそう答える。
 僕達も、と、悠梨をさりげなく一緒に巻き込んだけれど、さっきの今でこれはあまり良くなかったかもしれない、と悠梨の方を伺う。実際のところ、例え彼らと合流していなくても体育館には向かう予定だったのだから必ずしも彼らと一緒に移動する必要はないのだけれど、悠梨はこの学校の状況を覚えていないらしいし、何より、この状況は明らかに異常なものであることは明確で、それを考えれば一人でも多くの人間と一緒に行動したほうが全員の生還率というものも上がるのではないか、と考えたために、彼は同行を申し出た。

>>木実悠梨、柊示花惠、黒葛原都撞、伊豆丸麻織、周囲ALL


【返信遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした;】
>>絡んでいただいている皆様

4ヶ月前 No.72

零雨 @himmel☆slI22tG5iR26 ★iPhone=uphccGzYv7

【 春夏秋冬灰猫/一階渡り廊下→体育館 】

 涼太の言葉で、ようやく時間という概念を思い出した灰猫は、スマートフォンをもう一度確認しようとスリープモードを解除する。一度も止まることなく、永遠と動き続ける数字に、灰猫は小さくため息をついた。

「……ダメだねぇ。やっぱり、正確な時間なんてわからないみたい」

 何か、本当に厄介なことに巻き込まれているのであろうことは、灰猫も理解していた。学校からは出られず、時間もわからない。こんな状況、冗談でもドッキリでもないことは確かだった。

「うん、そうだよねぇ。……ふふ、ありがとぉ。そう言われると、ちょっと嬉しいねぇ」

 涼太の言葉に、灰猫はまた、にへら、とした笑みを浮かべる。赤い糸の先が誰かはわからない、わかった後、どうなるかもわからない。本当に、一体何のために存在しているのかわからない糸を見つめて、灰猫は首を傾げた。

「……そうだねぇ。この先が体育館だし、立ち止まってても仕方ないよねぇ。うん、行こっかぁ」

 そう言って、灰猫はトンネルへと足を踏み入れる。

>>涼太くん、周辺ALL



( ありがとうございます〜…;;またもや遅くなりまして、申し訳ありません…! )

4ヶ月前 No.73

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【左石右/特別棟四階・廊下→本館へ繋がる渡り廊下】

運命の相手、だなんて人によっては赤面ものの言葉を何の躊躇い無く言い放ち、左石が狼狽えた理由もよく分かっていない様子の秋槻に矢張りそういった方面には疎いのだろうと今度こそ確信する。ならば此方も気にしない事にした。秋槻に恋愛感情を抱いているのなら別だが、そうでは無いのだから相手が気にしていないのなら此方も気にする必要は無い。というより寧ろこれ以上頭を悩ませるような事はしたくない。

「タオル、……」

未だに左石が濡れ鼠なのを気にしているのか、タオルでもあれば良いのにと言う秋槻に、まあ確かに有ったら嬉しいと思う。正直、左石にとっては水を頭から被る事は日常茶飯事だし何ならもっと酷いものでびしょ濡れになる事も有るので、その度に一々拭いていてはタオルの消耗が激しく洗濯物も増えるばかりだ。だから爪の先程も気にしていないのだが、秋槻がそこまで気にするのであればさっさと吹いてしまいたい。
出来ればふわふわの柔らかいタオルが良いな、と自分が洗濯すると必ずゴワゴワになってしまう部屋のタオルたちを思い出しながら拭くものを想像する。すると先程水を思い浮かべた時のようにパサ、と頭に何かが落ちて来た。

「タ、タオルだ……」

再びの謎の出現にビクビクしながら落ちて来たものを手に取ると、真っ白なタオルだった。手触りは悪く、何処と無く草臥れた使い古されたタオルだ。それは左石が良く使っているゴワゴワのタオルで、どうやらふわふわなものと一緒に想像した結果、よりリアルに思い浮かべた方が優先されたらしい。手触りの良いふわふわのタオルを使った事が片手で数える位しか無いのが此処で災いしたとでも言うのか。相変わらずの運の悪さではあるが、想像したものが出現する、という怪奇現象に理解が追い付かず左石の目にはまた涙が溜まり始める。
意味が分からないと涙を流しながらも濡れた頭を拭く手段が見つかったのだから使わない手は無い。ゴワゴワのそれで乱暴に拭きながら秋槻の話を聞く。

「……! あ、ありがとうございます……」

しかし守る、だなんて言われてしまえばピタリと手を止めるしか無い。そんな事言われたのは生まれて初めてだ。にっこりと笑う秋槻に、この人はもしや神なのでは等と咄嗟に思ってしまう。まあ、神の存在なんて一ミリも信じていないのだが。本当に神が居るのなら左石の不運体質はいい加減直っても良い筈である。何度神社にもお寺にも赴いた事か。
今はそんな事を考えている場合では無いと飛躍した思考をガシガシと荒く頭を拭く事で吹き飛ばす。それよりも今はやらねばならない事がある。離れないようにと釘を刺す秋槻に頷くと半歩程後ろに離れて彼女に着いていく。

「? はい。構いません」

渡り廊下に着いた辺りで尋ねられるも、その質問の意味が分からず首を傾げる。しかし直ぐに特別棟からでは無く本館から体育館へ行こう、という意味だと気付き頷いた。確かに、あまり特別棟から体育館へ行く機会も無いし慣れている方から行った方が良い。急がば回れ、というやつだ。

>>秋槻潤憂様、ALL様


【たいっへん遅くなりまして申し訳ございません!!!】

4ヶ月前 No.74

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=pFeytiwsZA

【和宮涼太/1階渡り廊下→体育館】

涼太の言葉でなにかに気がついたかのように春夏秋冬がスマホのスリープモードを解いているのを見て、自分も確認しようも思い、スリープモードを解く。やはり時間は分からない。しかし、夜中だとしたらこんなに眠くないのはちゃんちゃらおかしい。涼太は何方かと言えば肌のために夜ふかしなどはせずに早寝早起きを心がけているからだ。
「あー……。そう見たいですねぇ……。やっぱり時間わからないみたいです。……ちょっと不便ですね?」

春夏秋冬の言葉に少し落胆の声色ぼそりと呟くように言って見せるも、ギリギリため息をこぼさないようにこらえることには成功する。ちょっと不便ですね?なんて訊ねながら涼太はスマホをスリープモードにする。いや本音を言うならちょっとどころではないが。本当に面倒くさいことに巻き込まれたと思う。こんなの悪趣味以外の何物でもない。そんな風に考えていると、春夏秋冬から声が掛かる。

「いえいえ、事実なので……。でも嬉しかったなら良かったです、春夏秋冬先輩」

春夏秋冬のヘラりとした笑いを見るとこちらもふわりと笑い返しながら事実だ、ということも告げつつ、嬉しかったなら良かった、と伝えると、渡り廊下の先に行くことを伝えられ頷き返し、隣に並んで歩く。

いつも通りの場所にとりあえず体育館はあった。いつも通りに扉も開き、既にもう中には人がいて、はやいなぁ、なんて思いながら軽く会釈をした。
「もう人がいるなんて、びっくりだね?」
なんて声をかけながら体育館を見渡した。

>>春夏秋冬灰猫様、周辺all様

【大丈夫ですよ!】

【秋槻潤憂/特別棟・4階廊下→本館へ繋がる渡り廊下】

どんな運命の相手か分かるまで傍に居るとは言ったものの、これが殺し合いとかだったら秋槻に出来るかどうかが問題だ。それでも、彼女はただ単純に守りたかった。彼のことを。

「……?あれあんた今そのタオル、どこから出した?……って聞いても分からないみたいね。……うーん、あたしが想像しても何も出てこないみたいね……」

秋槻が少し考え事をしている隙に左石の手には硬そうなタオルが握られていた。もちろん先程は持っていなかったし、恐らく左石も訳の分からなさそうな顔をしているのを見ると、彼は訳の分からないことになっていて怪奇現象的なものに理解が追い付いておらず、涙目になっていることが伺えた。しかし、秋槻がいくらハンカチを想像しても出てこない。自分は持っていないのか、と思うと少なからず不便だと感じる。なにか出せるものはないかと思い、色々な日用品を頭に思い浮かべるが出てくる訳が無い。
ふっと窓に目を向けると、一つ思ったことがある。窓、割って外に出られないかな、と。そう、人を殴って気絶させられるぐらいのものを────。そう思っていた時のこと。手に重みが加わったことに気が付き、その手元を見てみると、よく技術で使うようなトンカチが握られていた。とりあえず、訳が分からなかったが、辺りを見渡した後に「左石、このことはちょっと秘密にしてね。あぁ、あと危ないからあたしの後ろに下がってて」なんて言ってからおもむろに窓にそのトンカチを投げつける。そして盾でも出てこないか、と思っていると、秋槻と同じくらいの高さの盾が出てきて内心驚きつつもそれを支えつつ、左石の前に立ちはだかる。
ガツン、と勢い良くぶつかったトンカチはその場に落ちる。
「あれ……割れない……」ぽつりと呟いた後にまじまじと窓を見つめる。何も変わったところはない。

「うーん……とりあえず先を少し急ごうか……」

とりあえず先ほどのことはなんだったのだろうか。そんな風に思ってしまう。自分の手元に出てきたのは人を殴って気絶させられるぐらいのものや、人を守れるもの。それらが出てくる。不思議な現象に頭を捻るも、そまそも彼女の頭でそんな怪奇現象のような物の答えが出るわけもなく。とりあえず思ったことは左石が怯えていないか、という事だったので、彼に向き直ると声をかけた。
「怖がらせちゃったらごめんね、窓割れないかなと思って」

>>左石右様、周辺all様


【大丈夫ですよ!!】

4ヶ月前 No.75

篝火 @hijirisaya☆zk2IQ04u3Kaf ★iPhone=a4ElHaSfbj

【黒葛原都撞/体育館】

また嫌われてしまった。いつもそうだ。
つづくは陰鬱とした気持ちでとぼとぼと花惠たちの背中について行く。
自分はただ可能性の一つを提示して、体育館に集まるリスクについて、他の生徒たちはどう思っているのか聞こうと思っていただけなのに、思い切り睨まれてしまった。
きっと彼らにはグズで愚鈍な女子生徒として記憶されたことだろう。
はぁ、と小さなため息を一つ。当てつけのように大きくしては衝突の原因になりかねないので、自分の気がすんで相手に聞こえない大きさで。
まだ微かに苛立ちを募らせている麻織の後ろ姿を観察する。
睨んだり冷たい言動を向けてきたりするが、この一年は怖くない。事あるごとに花惠を気にし、その動向に従うそぶりを見せている。
今だって明確な敵意を割って入った第三者に向けたが、花惠に軽く宥められそれ以上の攻撃はしなかった。つまり、花惠さえ怒らせなければ比較的安全と言えよう。かなりの信頼を置いている。というか、依存しているのだろうか。
問題は寡黙な花惠の方だ。温厚そうではあるが何を考えているか掴みにくい。分析が進むまで彼とは距離をとった方がよさそうだ。

つづくは一人黙々と分析しながら歩みを遅くして距離を開けた。自然と後続の二人組に近く形になる。
割って入ってくれた女子生徒。嬉しくもあるが、一歩引いた目線で見ればなかなかのトラブルメーカーかもしれない。自分から厄介ごとに突っ込んでいく性格は、楽しいスクールライフでプラスに働くことはあっても、この異質な状況ではいい結果を招く方が少ないだろう。
そして女子生徒と一緒いる男子生徒。丁寧過ぎるくらいの丁寧語だが、この学校では珍しくない。あの場で解散をしていたら恐らくもっと険悪になっていただろう。同行の申し出は良いフォローだとつづく思った。それが計算によるものか偶然なのかは判断できないが。

ともかくこの場でつづくはまだ信頼できる人間を見つけていなかった。
そしてそのまま、一定の距離を保ったまま、体育館に足を踏み入れた。
入学式や体育の授業などで、まだ両手で数えきれるほどしか来ていない体育館だ。しかし、つづくの記憶にある体育館とは雰囲気が別物である。窓が悉く塞がれ、重く暗幕が垂れ下がった体育館は陰鬱な闇を湛えたドームとかしている。真っ暗ではないにしろ、日光が入らないというだけで、こうも寒々しくなるのか。
つづくはある種の感心を抱きながら中を伺う。
ちらほらと人が集まってきているようだ。
集まって何をするつもりなのだろうか。情報交換だろうか。しかしつづくが把握しているのは、せいぜいがCHAINに書かれている事くらいだ。

「…………」

ふと、不安になって手を見つめる。赤い糸は体育館の外へ頼りなくたわんで揺れていた。


>>花惠くん、麻織くん、悠梨さん、聡くん、周辺ALL



【サブ記事より、順番繰り上がりで書かせていただきました。体育館についたので、この先は解散していただいても大丈夫ですし、絡み継続も大歓迎です。ありがとうございました!】

>>絡みのある皆様

4ヶ月前 No.76

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★rqRPsSgCf7_8gk

【 伊豆丸麻織 / 体育館 】

 その場の空気に背を向けた麻織は、結果的にこの面子の中で先頭を切って歩くこととなった。体育館に続く渡り廊下は校舎の窓と同様に真っ黒く塗りつぶされていて、光すらも飲み込む闇がそこにはある。果たしてこれは夜の色なのか、それとも全く別の何か、あるいはその何かすらもないのか。考えられることはいくつかあるが、どれも確かめることはできない。その状況に人知れず眉根を寄せ、薄暗い前を睨みつける。後ろから、おそらく花惠の持つライトの光が、体育館の扉を照らしていた。
 けれどその扉は既に開いており、内部からの光がはっきりと漏れているのを、麻織の双眸は捉えた。警戒心がぐっと引き上げられたのは、先程黒葛原が放った言葉が原因だ。これも罠かもしれない。此処に踏み入った瞬間、何が起こるかなんて誰も分からないのだ。そして、それでも、麻織たちにそれを検証する術さえもないということ。できるのは、とにかく他の、同じ状況に陥っている誰かと合流する、そして、何か情報を得ることだけだった。

 体育館に入った時、隣にいた花惠が見知った名を口にした。椿、椿先輩。は、と目を見張って、慌てて花惠の視線を辿った。

「あ、本当だ……! 椿先輩も、此処に……こんなところに、来てたのか……」

 椿の存在を認知した瞬間、安堵と、彼もまたこんなよくわからない場所に来てしまっていたのかという落胆にも似た何かが、麻織の中に浮かんだ。だからこそ表情はどこか困ったように笑って、ちらりと隣にいる花惠を見る。彼もまた、きっと同じことを思っているに違いない、と。だって彼と椿は、仲の良い友人だから。最近出会ったばかりの自分とは違うのだ。
 改めて体育館を見回すと案外自分たちのほかにも生徒が集まっていたのだということがわかった。また、残念ながら、その中に事情を知っているような顔をしている生徒が一人もいないらしいということにも、気付いてしまう。麻織は注意深く回りを観察しながら、どうにかヒントを得ようとしていた。

>>柊示先輩、黒葛原さん、木実さん、中山さん、(椿先輩)、周辺ALL様



( うまく皆さんに絡めておらず、また言動の数々本当にすみませんでした……!;; 体育館についたので、ひとまず絡んでくださっていた方々ありがとうございました、この後は解散等お任せいたしますね! )

>>絡んでくださっていた方々

4ヶ月前 No.77

零雨 @himmel☆slI22tG5iR26 ★iPhone=uphccGzYv7

【 春夏秋冬灰猫/体育館 】

「うん、時間がわからないっていうのは、結構不便なんだねぇ」

 涼太の言葉に頷きながら、スリープ状態にして、スマートフォンをしまう。集合して何かわかればいいけれど、とCHAINで行われていた会話を思い出す。

「……そういうこと、言われたことが少ないからねぇ」

 こういうのって、言われるとわかるものだねぇ、と涼太には聞こえないくらいの小さな声で呟く。決して他人に言うつもりはないが、幼い頃から忌避されてきた灰猫にしてみれば、そんなことを言われるだけでも嬉しかった。
 ――トンネルと化した渡り廊下を渡りきれば、そこはもう、体育館だった。既にちらほらと、何人かの生徒の姿があった。

「……早いねぇ。みんな、見てからすぐに移動した、とかなのかなぁ……」

 灰猫はそう、関心するように呟いた。

>>涼太くん、その他体育館ALL



( 何度も何度も遅れてしまい、本当に申し訳ありませんでした…!体育館に着きましたが、ここで解散するかどうかはお任せしたいと思います、絡んでくださりありがとうございました…! )

>>千里さま

4ヶ月前 No.78

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=pFeytiwsZA

【和宮涼太/体育館】

「そうですねぇ、せめて外の様子が分かればある程度の時間は予想できますが、外の様子も見えないですし……体育館の時計もダメになっているようですね……」

春夏秋冬の言葉に頷きながら涼太は辺りを見渡す。暗くてあまり良く見えないが、暗がりに慣れた目では時計が狂っていることは理解出来た。
ここに来てなにか情報が集まることを願いつつ、涼太はどこかに腰を下ろせないかと探す。

「そう……何ですか?春夏秋冬先輩いい人なのに……。そういうのがわからない人も居るんですね……」

春夏秋冬の言葉に涼太は目を丸くした。その後に、わからない人もいるんですね、なんて呟くと目を伏せた。

「そうですね……あとは案外近くにいた、という可能性も無きにしも非ず……ですね」

春夏秋冬の言葉に頷くと、辺りを再び見渡す。これからもどんどん人は増えるのだろうか……、それともこの人達だけなのか。そんな不安が頭をよぎる。
先程から歩き続けていたのもあり、だんだん体に疲れが生じてくる。
「あ……、先輩よかったらあそこに腰を下ろしませんか?……床になっちゃうんですけど……」

どこかにゆっくりと腰を落ち着けるところはないか、と思い探してたが、ようやくゆっくりできそうなところを見つけた。体育倉庫前を指さしながら涼太は春夏秋冬に問いかける。ここに直接座るのは冷たいし、硬いのだが、この際仕方が無いのだろう、と涼太は思っていた。座布団なんて都合よく出てくるはずが無かったのだから。
「……え、座布団……?僕こんなもの持ってなかった……はず……どこから……」
いつの間にか手の中にあった座布団。デザインとしてはダサいが、肌触りや座布団の柔らかさとしてはかなり良さげだ。因みに、ふたっつ、手には抱えられていて、頭を捻りながらもノロノロと体育倉庫前まで歩くのだった

>>春夏秋冬灰猫様、体育館all様

【大丈夫ですよ!私も返信遅いので……!】

4ヶ月前 No.79

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=Iph2i3QnCf

【本庄椿/体育館】

 椿は体育館をぐるりと見回して、腕を組んだ。珍しく難しそうな顔をして考え込む。椿は幼少から演劇に身を置いていたため、自分が今どんな顔をしているのか大体のことなら分かった。しかし、今は別段自分の表情を隠す必要もないので、そのまま思考を巡らせていく。逆に言えば近くにいる京介や煉奈に対して警戒していない証であるとも言える。
 これまでのことを鑑みるに、やはり自分たちは学園に閉じ込められてしまったらしい。煉奈も京介も自分も、体調が悪いわけでもなければクスリをやってトリップしているわけでもない。コンクールに向けて練習したい、という京介の言葉に乗っかって、自分も次の公演に向けて台本を読み込みたいとも思う。高校生とはいえ、お遊びに付き合ってやるほど暇ではない。楽しそう、という気持ちはやや薄れ、だんだんと『はやくここから出せ』という脱出したい気持ちが勝ってきているとも思う。
 しかしどうすれば脱出出来るのかが分からない。何か穴があれば良いのだが、ここまで徹底されると望みは薄そうである。

 そうこう考えを巡らせていると、京介の『人が集まって来ましたね』という声に顔を上げる。そのまま入口付近に視線を向けると見知った顔を見つけ、思わず「あっ」と声を漏らす。
 紅桔梗色の髪を持つ友人と、その隣で困ったような笑みを浮かべてその友人を見上げている後輩。柊示花惠と伊豆丸麻織である。椿は2人が特に怪我をしている様子もなさそうでほっと胸を撫で下ろした。無事で何よりだ。この荒唐無稽な状況に、どんな危険があるのかも分からないと思っていたのだ。どうやら2人は先にこちらに気付いていたらしく、椿はいつも通りに明るく笑んでひらひらと手を振った。そして彼らの後ろから2、3人ほど生徒が続いて入ってくるのを見て団体で行動しているのだと知る。
 そして麻織や花惠がいることが分かって、隣にいる京介に「あの2人もCHAINに名前が乗ってる。やっぱり、学園に閉じ込められてるのはCHAINにいるメンバーらしいな」と呟いた。

「だとしたらなんで俺らなんだろうな。この80人は初対面の生徒もいる。共通点もなさそうだし、意味が分からん。――……まぁ、何にせよ同じ境遇にいる不運な者同士、何とかして脱出しないとな」

 そして「とりあえず話聞いてみようぜ」と京介に言って椿は花惠と麻織のいる方向へ歩みを進めた。椿は歩きながら笑みを浮かべ、「よう」と短く挨拶をする。そして彼らと一緒にいる生徒たちもどこも怪我はないようで、良かった良かったなどとひとりでに思いつつ。

「いやー、ちょっと心配してたんだけど誰も彼も無事そうで何よりだわ。それで、お前らのいたとこも脱出出来そうなとこはなかったか? …………――って花惠、それ」

 花惠が懐中電灯を持っていることに気付いて椿は驚きのあまり声を上げた。「どっからパクってきたんだ」と顔を上げて彼を見て。花惠が出した物だと知らないとはいえ、パクってきたという発想をするあたりが椿である。しかし、教室には懐中電灯はなかったはずでそうなれば職員室あたりだろうかと検討をつけながら。「俺らもどっかからパクってくれば良かったな〜」と京介に言って、若干の悔しさを滲ませる椿であった。

>吉祥院 京介さま、柊示花惠さま、伊豆丸麻織さま、(信衛 煉奈さま)、体育館ALLさま

4ヶ月前 No.80

有栖川 @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_sgs

【中山聡/本館/→1F渡り廊下→体育館】
 三人の後に続く形で渡り廊下へと至る。普段であれば外へと通じている渡り廊下は、その屋根が覆っているところから一ミリの先も見通せない……否、もとからある天井部分と黒い壁でトンネルが形成されるという、異様な状態になっていた。これが普通の状態だったなら、せめて近くの数十センチくらいは見通せるはずだから、明らかにおかしい状況であることを改めて実感させられる。

「本当、出来の悪いゲームみたいだ」

 誰ともなしに、一人呟く。まるで自分たちの行動を制限するかのような、自己主張の激しい黒い壁は、全く持って現実離れしていて、しかしそういったもので聡が例えに引き出せるゲームの世界で言うならば、人気のゲームというよりかはどちらかといえばチープなもの、言い換えれば低予算で作られたような、壁にテクスチャを張る余裕すらないことを思わせるような、そういったことが感じられた。

 明りの漏れている体育館へと入る。数人しかいないものだろうと思っていたが、CHAINの投稿を見た生徒は意外と多かったのか、三々五々といった感じで、中にはそれなりに生徒がいるようだった。あの文章が投稿されたグループには確かにそれなりに人がいたし、考えてみれば現状も当然と言えるだろうか。
 皆が話している中で堂々とスマートフォンを弄るというのも失礼に思われたために、ここまで一緒に来た面々とは一旦少し離れた位置に立ち、現状を改めて確認するべくスマートフォンを取り出す。先ほどの投稿以降に新しいものは特にないようだ。到着していることを報告するべきか、とも考えたものの、どうせ皆集まるだろうから別にせずともいいか、と考え直し、再びスマートフォンをポケットの中にしまい込んだ。
 知り合いと情報交換をしておこうと考えたために、誰か同じクラスの生徒がいるか、あるいはこの指の先の赤い糸の相手でもいないだろうか、と視線を周囲にさまよわせる。
 赤い糸は体育館の外に伸びている。相手はまだこの場に来ていないという事らしい。少なくとも最初に確認した時には糸は下の方へと延びていたから、階段を下りるうちにどこかで逸れてしまったのだろう。
 紅い糸の先の人は待っていれば来るだろう、と高をくくり、知り合いを探す方へと意識を集中させる。

「クラスメートが一人もいないって、そんな事もあるのか」

 軽く周りを見るけれど、クラスメートの姿は見当たらず。単に一番乗りだっただけだとは思いつつも、聡はそんな言葉を口にしてしまっていた。

>>柊示花惠、黒葛原都撞、伊豆丸麻織(、木実悠梨)、体育館周囲ALL


【体育館到着とのことで、一旦絡みを切らせていただきます。絡んでいただきありがとうございました、またの機会があればよろしくお願いいたします】
>>絡んでいただいている皆様

4ヶ月前 No.81

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【木実悠梨/体育館】

どうやら女子生徒はいじめられている訳では無かったようだ。本人が言っているのだから信じるしかないのだが、そうだとしても冷たすぎると悠梨は思った。こんなにおどおどした子にそんな態度では怖がらせてしまうに決まっている。もうちょっと優しく接してあげてもいいと思う。悠梨はまだ少し不満があったが、せっかくほとんど関係の無い聡が上手く事を収めてくれたので何も言わないでおく。大人しく皆の後ろについて歩いてしばらくするとトンネルにたどり着いた。

「わぁ〜!お化け屋敷みたい!」

お化け屋敷というより心霊スポットに近いだろうか。一応蛍光灯はついているようだが外からの明かりが一切無いため薄暗い。しかも、真っ黒な壁のせいか不気味さがより強調されていた。本当にお化けが出てきたりして、なんて思う悠梨だが怖さなんて微塵もない。むしろお化けがいないか探す勢いできょろきょろと辺りを見回しながら歩いていた。そして、恐らく奥には体育館があるのであろう扉の前までやってきた。扉は既に開いていたのでそのままぞろぞろと中に入る。体育館内も蛍光灯がついてはいるが外からの明かりがない分薄暗い。悠梨は「おぉー……」と小さく声をもらしながら広い体育館を見回した。今のような様子の体育館に来たのは初めてでなんだか新鮮に感じられたからだ。例えをあげるなら滅多にない停電やら地震やらではしゃぐ小学生と同じような気持ち。そんな気持ちで相変わらずきょろきょろしていた悠梨だったが

「……、人が集まり始めているな、……! 麻織、椿がいる」

という先程の男子生徒の声に自分が呼ばれたわけでもないのにその男子生徒の視線の先を見る。そこには悠梨の知らない男子生徒がいてその男子生徒もこちらに気づいたのか、笑みを浮かべてひらひらと手を振っていた。麻織というらしいもう1人の男子生徒を見るとさっきよりは表情が和らいでいるように見える。悠梨にとって第一印象は怖そうだった2人だが、きっと優しいところもあるのだろう。悠梨はなんとなくだが3人とも仲が良く信頼し会える関係なのだろうと思った。

「……いいなぁ」

悠梨は少し寂しげな表情で無意識にそう呟いてハッとすると、邪魔をしてはいけないと思いさりげなく麻織たちから離れた。離れたところでけっこう人がいるなぁと思いながら周りを見ていると、ふとさっきの女子生徒が俯いているのが目に入る。その顔は不安げだった。悠梨はじっと女子生徒を見つめていたが、何を思ったのかなるべく足音を立てないようにして女子生徒に近づくと

「ばあっ!」

と言いながら女子生徒の前にしゃがんで顔を覗き込んだ。そしてにっと悪戯に成功した子供のような笑顔で「びっくりした?」と笑いかけた。

>>黒葛原都撞様、柊示花惠様、伊豆丸麻織様、中山聡様、周辺ALL様


【お待たせしました!1度とばしていただきありがとうございます!そろそろ次のステップへということだったので体育館に着くまでの会話にはあまり触れないでおきました!そして都撞ちゃんに絡んでみました!ここまで絡んでくださった方々ありがとうございました!】
>>絡んでくださった方々、篝火様

4ヶ月前 No.82

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【左石右/特別棟4階・本館へ繋がる渡り廊下→体育館】

自分が想像しても何も出て来ない、と左石が持つ突然現れたタオルを見てそう呟く秋槻に、もしかしたら、という考えが頭を過ぎる。先程左石の頭に降ってきた水とタオルは何方とも思い浮かべた途端に現れたものだ。火照った頭を冷やす為にと思い浮かんだ水は上から降ってきて文字通り頭を冷やしてくれたし、その所為で濡れた頭を拭きたいと思い浮かべたタオルはそうしろとばかりに頭へと落ちてきた。頭を冷やしたいというのはそういう意味では無いし、普通に水でも飲んで落ち着きたかっただけなのだがコップに入った水を想像しなかった左石の落ち度である。それに草臥れたタオルは左石の水気を吸って少しばかり雑巾のような感触であった。そんな左石の醍醐味である不運さを前面に押し出したような現れ方ではあったが、全て左石の想像通りなのだ。であれば。

「想像すると、現れる、のか……」

その事に、漸く左石は思い当たる事が出来た。発言を聞くに、秋槻は気付いていたのだろう。他ならぬ彼女の発言があって左石も気付けたのだ。
気付いたは良いが一体どんな理屈なのか。到底現実的とは思えない現象に頭が痛くなってくる。もう考えないようにしよう、と思考を頭から追い出せばいつの間にか秋槻の手に握られているトンカチ。それは一般家庭や授業で使われるような極普通のものだったが、一体いつの間に手にしていたというのか。目を白黒させていれば、あろう事か秋槻はそれを窓に向かって放り投げた。

「えっ、……わあ!」

突然の行動に左石は咄嗟に頭を手で守る。必ずガラスが割れるような音が響くと思い待ち構えていたのだが、したのはゴン、という硬くて重いものが地面にぶつかるような音だった。不思議に思って恐る恐る顔を上げると目の前に広がるのは大きな盾を構えた秋槻の姿。その大きな盾にも驚いたのだがそれより気になるのはトンカチと窓の行く末だ。そろりと盾から顔を覗かせれば無傷の窓と床に落ちたトンカチが目に入った。割れない、と秋槻が呟いている通り、罅一つ入っていない。訳が分からない。

「い、いえ……吃驚、しましたけど、平気です……」

トンカチを投げ付けても割れない窓にも驚きだが、突然窓を割ろうという奇行に走る秋槻にも驚きだ。確かに、窓が割れれば脱出の糸口が見つかるだろうが、それにしたって急すぎやしないだろうか。この人ちょっと天然が入っているのでは……と半ば失礼な事を思いつつドキドキと恐怖と驚きで脈打つ心臓を抑え息を吐く。

「えっと、体育館、ですよね。行きましょう」

これ以上道中で何事も起こらなければ良い、と祈りながら歩き出す。自分のスマフォとお守りには未だ気付かないまま。

>>秋槻潤憂様、ALL様



【毎度毎度遅くなって申し訳ありません! これから少しずつ返信速度も早くなるかと思われます……】

4ヶ月前 No.83

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=pFeytiwsZA

【秋槻潤憂/特別棟4階渡り廊下→体育館】

窓に投げたトンカチを拾い上げると鞄にトンカチをしまうと、ずっしりとした重みを感じた。そのまま窓に近寄り傷やヒビが入っていないかを確認するも、入っていない。まぁ、4階の窓が割れたからといってここから脱出なんてカーテンを繋げても不安が残るのだから無理に近いのだが、それでも試してみる価値はあった。

「やっぱり吃驚させちゃったみたいね。割れたらみんなに脱出出来るかも、って言えたけど……。無理みたいね。急いで体育館行きましょう」

左石の言葉を聞くと申し訳なさそうにしながら、再び「ごめんなさいね」と言ったあとにフワフワと頭を軽く撫でる。
盾を持ち上げると、体育館への道へと急ぐ。あれから恐らく相当時間が経っているだろうと思う。時間がわからないので、なんとも言えないが、恐らく最後の方だろうと思う。

「へぇ……、本当にトンネルみたいになってんのね。まぁ、恐らくここの壁は触れない方が良さそうね。なんとなくだけど」

一階の渡り廊下まで来ると、CHAINにはいっていたように周りはトンネルのように覆われていて、きょろりと少しだけあたりを見渡す。どうなってんのか知りたいと思ったが、今は下手にモノに触れずに、しておこうと思い、そのまま体育館へと足を進める。

体育館へと入ると、既に多くの人が集まっていて、軽く見渡すと中には見覚えのある顔もいくつかあり、ボソリとあっちゃあ……なんて呟く。
「あいつらも巻き込まれてたんだね……。……左石は?知り合いとか巻き込まれてない?」

あたりを少し見渡した後に見覚えのない生徒がそれなりにいたことに気がつく。こんなにも多くの人が巻き込まれているのかと思うと、首謀者は誰なのかと気になるところだ。自分たちを学園に閉じ込めて何をさせるつもりなのだろうか────。そう思いながら持ち上げていた盾をそっと床に置いてふぅと、一息吐くのだった。

>>左石右様、体育館all様


【 いえいえ、お気になさらないでください!むしろ、今度から私の方が学校始まったので、返信遅れる可能性高いです……。ご迷惑おかけ致しますが、よろしくお願いします】

4ヶ月前 No.84

篝火 @hijirisaya☆zk2IQ04u3Kaf ★iPhone=MFfH0WIOur

【黒葛原都撞/体育館】

何が始まるでもなく、ただ漠然と人が集まる体育館を見渡す。
不安そうにきょろきょろとしている生徒、生徒、生徒ばかりだ。
どうやら教員は一人もいないようである。
もしこの80の名前の中に教員がいるならば、リーダーシップを取ってくれるかと甘い期待を抱いていたが、それはもろくも崩れ去った。
では次点で生徒会長。
携帯に目を落とす。チャットの履歴に中田平の文字。誰も指揮をとらなければ、恐らくは彼女がリーダーを名乗り出てくれるはずだ。
兎にも角にもつづくは自発的に行動することを苦手としていた。
今までもずっとそうだ。
明確な目標を与えられるか、誰かの指示に従って努力すると途端に結果を出すことができた。
だから今のこの宙ぶらりんな自由は何とも居心地が悪い。
そんな内心を抱えて、そわそわおどおどとしていると、突然目の前に現れた女子生徒の顔。
何が起きたか分からないまま、

「ばぁっ!」

「ひぁあ!」

単純な驚かしにまんまと引っかかり、びくりと飛び上がってしまう。
びっくりした? と悪戯っ子の笑みを浮かべるのは、先程割って入ってくれた正義感の強い女子生徒である。

「は……わ、あっ! すいませんっ。あの、さっきはありがとうございましたぁ。私、一年の黒葛原都撞です……。えーと……」

確か自己紹介がまだだったので必要最低限すぎる情報を口に出し、相手の名前を呼ぼうとしたが、これもまだ知らない情報だった。
高等部の名札のない制服をこの時ばかりは不便に思った。


>>悠梨さん、周辺ALLさま



【絡みありがとうございます! 悠梨ちゃん天真爛漫で可愛いです〜! ゲームの内容がわかった後でどうなっちゃうのか、楽しみですね】

>>スマイル様

4ヶ月前 No.85

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【八重泉梵/本館1F 渡り廊下→体育館】

自らのスマートフォンのライトによる明かりを頼りに普段大雑把な彼女にしては珍しいくらいに慎重に進んできた梵だが、道中では特に何か起こるということもなく無事に体育館へと到着することができた。体育館にはちらほらと自分たち以外の生徒の姿も見受けられ、その安心感からか梵はふぅと溜め息を吐く。とにもかくにも到着した時点で自分たちしかいない、という絶望的な状況は避けられた。こんなだだっ広い体育館に少人数でいることはなかなかに辛い。

「……先生たちはいないみたいね。まあ最初から期待はしていなかったけれど」

一通り辺りを見回してから、梵はやれやれとでも言わんばかりに肩をすくめた。もともと教師たちの助力を期待していた訳ではないが、この訳のわからない状況下で一人でも大人がいればそれだけでも場の雰囲気ががらりと変わると考えていたのだ。今のところは見受けられないがこの状況に際してパニック状態にでも陥ってしまう生徒がいたら自分ではその生徒を止めること、落ち着かせることは難しいだろう。お人好しな梵のことだから行動には移るのだろうが、果たしてそれでその状況を打破できるとは限らない。それがわからないほど梵も暗愚ではなかった。
それにしても、人数がいるというのにこのまま突っ立っているというのはなかなかに居心地が悪い。灯弦の様子を少しだけ伺ってから、梵は目線だけで自分の知り合いがいないか探し始めた。このタカビー気取りな性格から梵には友人らしい友人がいない。いや、孤立しているとか仲間外れにされているという訳ではないのだが、この雰囲気から近寄りがたいと思う生徒が少なくないのだろう。それは梵も重々承知の上であった。それを鑑みた上でこの言動に徹している。それでも信衛煉奈のように物言いを気にすることなく接してくれる者もいるのだから梵が孤独を覚える場面というのもそう多くはない。まあ彼女に至っては梵以上に天上天下唯我独尊なところがあるからなのかもしれないが、今まで付き合ってきた上で梵もそんな煉奈の性格を理解している。物言いに対して実際は柔軟で前向きな思考の持ち主である梵からしてみればそれも彼女の個性として受け取られている。二人がぶつからないのはこういった部分があるからなのかもしれなかった。

「……それにしたって、この糸って何処と繋がってるのかしら。もし繋がってる先がよくある話のように運命の相手だというのなら、物の道理のわかる人か知り合いと繋がってると良いのだけれど……」

ふと、自分の小指に巻き付いている赤い糸が気になった梵は手を掲げてそんな風にぽつりと呟いた。運命の相手と繋がっているなんて梵は信じられないが、この状況下ならどのようなことが起こったっておかしくはないのである。そんなことを考えながらなんとなしに梵は糸の行く先をぼんやり目で追っていった。本当に意識はせず、ただそこに糸があるからその行く先がどの方向なのか気になっただけだったのだ。

「━━━━ッ!?」

それなのに、梵は大変なことに気づいてしまった。自分からそれほど離れていないところにいて談笑している男子生徒たち。そのうちの一人の小指に、自分の指に巻き付いている糸が繋がっている。ぱっちりとしたアーモンド型の瞳を大きく見開き、梵はそこに驚きを色濃く映した。頭で考えるよりも本能のままに行動へと移してしまう性分の梵は、周囲など気にせずに例の男子生徒のもとへと一直線に駆けていく。

「あ、あああ、あんた、ちょっとこれってど、どういうことなのよ……!?」

脇目も振らずに走ったからか息も乱れ、あまりの衝撃と驚愕からか呂律も回っていない。自らの小指に巻き付いている赤い糸をもう片方の手で指差しながら、上擦った声で目の前の男子生徒へと詰め寄った。その輪の中に先程自分が案じていた信衛煉奈の姿もあったわけだが、そんな周囲の人物のことなど気にしていられないほどに梵は切羽詰まっていたのだ。

>>豊岡灯弦様、本庄椿様、吉祥院京介様、柊示花惠様、伊豆丸麻織様、信衛 煉奈様、周辺all様

【返信が遅れてしまい申し訳ございません……!もうすぐ次パートに進むということで体育館の方に移動させていただきました。椿君やその周辺の皆様にはいきなり突撃する形になってしまって申し訳なさでいっぱいです……!(土下座)】

4ヶ月前 No.86

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【中田平央/体育館】

CHAINというアプリを介して巻き込まれたらしき一同へ体育館へ移動するように伝えると、言い出しっぺが遅れるのはいけないだろうと自身のクラスを出たその足で早々に体育館へと向かっていた。既に何人か居るようで、これからもCHAINを見た生徒が続々とやってくる事だろう。ここで自分は何をすべきか。生徒会長として、中田平家を継ぐ者として、やるべき事は決まっている。『正しきこと』だ。
中田平は当然という態度で登壇すると、大きく息を吸い口を開いた。

「学年やクラスを考慮する必要は有りません。来た順に前へ並んで下さい。まずは四列で。人数が増えればまた指示を出します」

トーク履歴の人数や名前欄を見る限り教師が居る事は期待出来ないだろう。生徒だけがこうして何かに巻き込まれている中、指導者が必要だ。一時的にとは理解しているが、相応しいのは生徒会長である自分だと自負していた。
体育館の入口からまた一人、時には友人連れでやってくる生徒が来る度に同じように声を張って指示を出す。だが、中田平が出来るのはここまでだ。何が起こっているのか中田平にも分からない以上、状況の説明など仕様が無い。


>>体育館ALL様




【左石右/→体育館】

割れないガラスは何事も無かったように依然としてそこにあって、それがどこか不気味で目を逸らす。左石は自身の経験上、脱出は不可能な気がしたがそんな事言ってもどうしようも無いので口を噤んだ。
体育館へ続く渡り廊下は、言っていた通りトンネルのようになっている。周りの景色は見慣れた校庭や樹木の筈なのに、塗り潰されたかのように真っ黒だ。どんな原理なのか、不思議に思って思わず手を伸ばしてしまうが、秋槻の発言に直ぐに手を引っ込めた。

「そっ、そうですよね……い、いえ何もしていません!」

触れようとしていた事が恥ずかしくて、言わなければ良いのに何もしていない、等と何かしようとしていた事を自分から伝えてしまう。もう好奇心が顔を覗かせないように渡り廊下の真ん中から出ないように歩く。
体育館には既に大勢の生徒が居て、特別棟の4階に居た上にとんだハプニングが重なったからか、予想通り最後の方の到着のようだ。

「えっと……そうですね、何人か、知った人が……」

秋槻に知り合いは居ないかと聞かれ、目を凝らすと確かに自分の知り合いも巻き込まれているようだ。クラスメイトに幼馴染。幼馴染以外ほぼほぼ話した事が無い人達だが、一方的に知った顔は沢山ある。……あれはもしや、何時ぞやの女子生徒では無いだろうか。左石の不運な出来事を目の当たりにして、気紛れだと言って手を貸してくれた。だからといって話し掛ける勇気は左石には無いのだが。

「並ぶみたいですね、行きましょう」

生徒会長の中田平が体育館の前へ並ぶように指示を出している。流石生徒会長だな、と思いながら隣の秋槻に列を指差した。

>>秋槻潤憂様、ALL様


【浮上率が高くなるといったその口で一週間以上も開けてしまい申し訳ありません……。久しぶりに中田平も出させていただきました】

4ヶ月前 No.87

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=pFeytiwsZA

【秋槻潤憂/体育館】

正直、潤憂はこの状況を夢だと思いたかった。つい先程までは。というのも、巻き込まれたものは仕方が無い、とは思ってはいるが、こんな非現実なことは信じたくはなかった。しかし先ほど手にあった重み。あれは現実そのものだった。

「あぁ……やっぱりそっちも?……こっちも知り合いの顔はいくつか見かけたのよ。……全くなんの冗談なのかしらね?」

ぼんやりとしていると先ほどの秋槻の質問、知り合いはいるのか、という問に対して答えが返ってくる。それを聞いて秋槻は少し悲しそうにしながら冗談なのかしらね?なんて言う。
そんな回答をしたあと。生徒会長により、並んでくれ、という号令がかかる。

『並ぶみたいですね、行きましょう』
という左石の言葉を聞くと、「そうね」とにっこり笑いながら返し、列の方へと歩き始めるのだった────。

>>左石右様、体育館all様


【いえいえ!大丈夫ですよ!】

3ヶ月前 No.88

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【木実悠梨/体育館】

悠梨が顔を覗き込むと女子生徒は期待通り小さな悲鳴を上げて驚いてくれた。そんな女子生徒の反応を見て悠梨は笑いながら、聞こうと思っていたことを尋ねようと口を開く。しかし、悠梨が声を発するより先に女子生徒がお礼の言葉と自身の学年と名前を述べた。そして続けて何かを言おうとしていたようだがそこで口ごもる。悠梨は首を傾げて女子生徒を見つめていたが、ハッと悠梨が名前を言うのを待っているのだと気づき急いで口を開いた。

「あっ、僕は悠梨!木実悠梨です!」

悠梨はそう言うと「よろしくねっ」と付け足して苦笑する。そういえば、自己紹介がまだだった。お互い名前すら知らないのに突然目の前に現れてそれは驚いただろう。

「ご、ごめんね!なんか下向いてたから……あ、そうだ大丈夫?具合とか悪い?」

悠梨は謝ってからそう尋ねる。周りは知り合いとの再会に安堵している中、都撞は一人だけで俯いていたからだ。知り合いがいないのかと思いもしたが、それを言うのは流石に失礼だし相手を傷つけてしまうと思ったので止めた。勿論悠梨には知り合いがいるはずも無く、クラスメイトにも友達と呼べるような人は思い浮かばない。もしかしたら都撞も同じなのではないかと一瞬期待したのだが、すぐに思い直した。悠梨のことは置いておくとして都撞に友達がいないなんて可哀想すぎる。もし本当にそうなら悠梨は今すぐにでも周りに声をかけまくって都撞と友達になってくれる人を探す。悠梨みたいな思いはしてほしくなかった。悠梨はそんなことを考えながら都撞の顔を見つめていると、体育館に大声が響いた。声のする方向を見ると教壇に一人の女子生徒が立っていた。綺麗なストレートの髪に着崩しのない制服、この学校の生徒会長、中田平央だ。ほとんど知ってる人のいない悠梨でも生徒会長のことは知っていた。この状況で皆をまとめようと指示を出せるのはさすがは生徒会長だと尊敬する。

「並ぶんだって。都撞ちゃんも行こ!」

生徒会長の言葉を聞いて周りの生徒たちも動き始めたようなので、悠梨は都撞にそう言うと勝手に都撞の手を引き歩き出した。

>>黒葛原都撞様、周辺ALL様


【遅くなりました!!】

3ヶ月前 No.89

篝火 @hijirisaya☆zk2IQ04u3Kaf ★iPhone=pwlrl8d8wj

【黒葛原都撞/体育館】

くるくると表情が豊かな女子生徒は悠梨は軽く自己紹介をして、つづくの手を引いて列の方へ歩き出した。
一人で孤立しているように見えたから、元気付けてくれているのかもしれないと解釈する。優しく世話好きで無防備な様子からして、彼女に想いを寄せる弱者コミュニティの男たちは大勢いるに違いない。
そんな邪推をしながらもつづくは悠梨と供に列に並んだ。
予想通り、生徒会長の中田平が壇上に立ち号令をかけている。よく通る清々しい声を待ってましたとばかりに、つづくの後ろにも瞬く間に列が形成されていく。
ようやく秩序立った展開にほっと胸を撫で下ろしのもつかの間だった。

「おい! これどうなってんだよ!! 生徒会長だろ? なんか知れねぇのかよ」

体育館後方から、誰が発したとも分からない怒号が飛ぶ。
安心して攻撃性を取り戻した無責任な生徒が、表に立った生徒会長に責任を求めている。
頭の悪い愚図だ。ああいう手合いには関わりたくないと、つづくは怯えて身を縮めた。

「うぅ……。ここで、この後どうなるんでしょうね……? 助けが来るまでみんなで待つ、とかでしょうか……」

隣の悠梨にそっと話を振る。
もちろん、いつまでも待ち続けられるとは思っていない。今のような奴らが必ず団体行動を乱すのだから。
しかし、悪くなった空気を紛らわすために分かりきったことでも口に出さずにはいられないのだった。


>>悠梨さん、央さん、周辺ALL様



【空気を悪くするモブを出しました。姿は見せないので適当にあしらっちゃって下さい。】

3ヶ月前 No.90
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