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青い心臓、ブルーキュラソー色の地下水に沈む

 ( オリジナルなりきり )
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青い心臓×トラジコメディ @caim ★Vxqs1Pnm4y_mgE


 波の音なんか聞いたことがない。若者の苦し紛れの言葉に、運転手は笑うだけだった。


「よせよ。お前、知らないのか? 人間の形してりゃあ誰だって雇うような組織だぞ?」
「知ってますよ。でも、おれの夢なんです」
「引き返すなら今だ。グラムに入った後、帰って来なかった奴を三人知ってる」
「おれは、うまくやる。それで絶対に、のし上がる」
「……何処までだ? これが最後だ。送ってってやるよ」
「西区域の、アパート。104号室の女を殺らなきゃいけない」
「それ以上は喋るな。五分後には俺らは敵だ」


▼104号室は呪われていた。

「ねえ、青い心臓のユメを見せて?」


 目が覚めると、真っ暗の部屋の中、シマウマ模様に光り続けるテレビの容赦ない明るさに目を細めた。シマウマが上下に行ったり来たり、悪あがきみたいに点滅を繰り返す。わたしが人間であった頃、そこに映るのは異国の楽曲を延々と流す放送が流れていたはずだった。最後に聞いた曲は、わたしと彼が愛していた曲だった。フィール・ラヴ。ありきたりなラヴソング。夕食の後、八時二十三分になると、彼はいつもその曲を口ずさみながら踊るのだった。それは彼の癖でもあったし、一種の××みたいなものでもあった。それから、諦めきれない夢でもあった。
 何十年も前に流行った歌姫の姿を真似て、キスするみたく唇を突き出しながら妖艶な手先をひらひらと振って、彼女になりきった顔で意味も知らない歌詞を唇に乗せて形作る。

 わたしはもう、人間ではないけれど。彼が舞台に立って踊る姿が見たかっただけの、寂しい人間の女だったけれど。
 スポットライトが大好きだった彼は、よく電球を買ってきた。偽物の明かりを買ってきた。だからこの部屋には、四十二個の裸電球が天井から吊り下げられている。一番低い物は、わたしの身長と同じ高さだった。わたしは、赤いルージュを引いた後で、彼と同じ身長の電球にキスを落とした。かつて人間だった、ケモノからの愛情表現。


▼人間に、戻りたい。

「夢を語るな」
「夢を語るな」
「夢を語るな」
「夢に食い殺される」

▼「泳いでごらん。泳ぎ切ってごらん。青い血を、流してごらんよ」


「……そう、地下水路に?」

 その少女は、ワンボックスの後部座席に埋もれていた。天井は、ポニーテールヘアーの少女の頭よりもずっと高い。遠くで緑色のネオンがふてぶてしく輝く様も、少女の目には届かなかった。雨粒に反射した縦長の光を遠目に見て、少女はわざとらしく溜め息を吐く。

「ちゃあんと始末できたのね、彼」
「ですが、あれじゃあ素人同然だ。二度目はなくていいでしょう」
「……で、水の色は?」
「ドブ色のままでした」
「じゃあ、誰かが好きでやったことにすればいいわ」

 少女が退屈そうに両手を組んで頭上へ伸ばす。それでも、まだ天井は高かった。

「ねえ、それ、オイノリのつもり?」

 運転手が胸元に置いた手を慌ててハンドルへと戻した。

「また持ってきたんでしょう? それ、世間じゃとっても気持ち悪いことよ。マトモぶったところで、所詮あなたと私たちは同類なのよ」

 少女が、躰を乗り出す。運転手を目隠しをするような手つきのせいで、わずかに車輪がセンターラインからはみ出した。窓硝子越しに危険性がないことを確認した後、少女は運転手の胸ポケットから赤く染まったハンカチーフを取り出す。それから、舌を出してうへえと唸った。運転手がハンドル操作を誤ることはない。ただ、少女の丸い肘が首筋に触れた時、苦手な物を食べた時みたいな顔をした。


「やつらは夢を吸収する。そういう映画、観たことない?」


▼これは、青い心臓を、巡る話。


【違法ドラッグ「青い心臓」を巡って、様々な組織や個人が対立しながら「夢」を叶えようとするお話です。
 続きはサブ記事で行いますので、興味を持たれましたら足を運んでくださると嬉しいです!】

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