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曉の彼は誰時。

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(6790) - ●メイン記事(513) / サブ記事 (285) - いいね!(30)

ホラーゲーム風 / 和風 / 脱出 @sweetcatsx☆2/Tw0gYxHcQ ★iPhone=VHGaT7ZbKj

 ――――朱月≠ノは気をつけて。

 ――――貴方も、ああなってしまうよ?


【 八月上旬 / 山の麓の町 バス停留所 】

 がたがたと揺られ続けること一時間。止まったバスをおりてゆっくりと辺りを見渡す。辺りには田畑、そして山。この山の向こうに目指している場所はあった。


 その山には入ったらいかん。
 その山の奥には、曉町がある。
 あの町は住人全員が神隠しにあった。もう誰も残っとらん。

 ――――あんたも、神隠しされちまうぞ。


 幾度となくかけられた言葉を愛想笑いで逃げ切って、一歩、また一歩と山の奥へと足を踏み込んでいく。生い茂る木々が空を遮るようにして立ち並んでいるせいか薄暗く、より一層怪しげな雰囲気が立ち込める。深い深い山道をただひたすら、真っ直ぐ。


【 八月上旬 / 曉町高台広場 】

 山道を何時間歩いただろうか。目の前に巨大な朱塗りの鳥居が視界に入る。安堵からか思わず溜め息が零れた。やはり、やはり実在していた。浮き立つ気持ちを抑えつけ辺りを見渡せば黒のワンボックスカーが視界に入る。……もしかしたら、広めの道もあったのかもしれない。

(…………他にも人がいるのか)

 心に小さく浮かんだ疑問。それらを拭い去るためにはこの中に入らなければ。深く息を吸い、ゆっくりと鳥居の下を潜る。――――その時だった。


「――――――――もう、逃げられない」


 鼓膜を震わせた少女の声。辺りに少女はいない。気のせいだったのだろうか。首を捻りながらもふと、視界に映った空に目を見開く。何故、どうして、空はまだ青かったはずだ。それなのに――――


 何故、空は闇に染まっているのだろう。
 何故、月はあんなにも赤く染まっているのだろう。


 ――――これは、閉ざされた町曉町≠ノ足を踏み入れた彼等に待ち受ける怪異譚である。

( 鈴の音が、聞こえた気がした )



 ///

( 冬だけどホラースレッドです! 兎にも角にもサブ記事へ! )

メモ2018/10/08 11:16 : 七、都城京☆e0aRNqDUyEM @sweetcatsx★iPhone-8p27ODDVl8

要必読事項(EDについて) → http://mb2.jp/_subnro/15697.html-234,250#a

イベントについて → http://mb2.jp/_subnro/15697.html-232,233#a


第一章『曉町』>>1-186

第二章『蠶』>>187-354

第三章『朱月』>>355-


【 登場人物 】

▼ オカルトサークル

 八岳龍矢(芙愛さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-41#a

 逢澤安玖(千羽さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-32#a


▼ 曉町探し隊

 御子柴ゆらぎ/ふわりちゃん★(夕邑三日月さん) http://mb2.jp/_subnro/15697.html-16#a

 鑓ヶ岳烈/足軽其の壱(すずりさん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-23#a

 狩谷真希人/よこぎる猫(かささぎさん) http://mb2.jp/_subnro/15697.html-63#a

 安仁屋右叉兎/シシO(推古さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-199#a


▼ ホラー小説作家と編集者とカメラマン

 都城京(冬野)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-62#a


▼ ある理由からやってきた謎の人物

 式島柊平(神崎りりかさん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-28#a


▼ 村で出会った謎の少女

 七(冬野)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-13#a

切替: メイン記事(513) サブ記事 (285) ページ: 1 2 3 4 5 6


 
 

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★QcvG4dbRTI_xKY

【逢澤安玖/一階 書庫】

「……」

 大切な人を殺された、その言葉に安玖の体がピクリと跳ねた。けれど、すぐにくあぁと呑気な欠伸を漏らしていた。
 きっとかつての安玖なら酷く動揺して、更に最悪なところまで行きつけば錯乱していただろう。でも今は胸を痛ませるだけで、心の全てを明け渡すほどの事では無くなっていた。……徐々にではあるが、そんな事を考えていられるほど生易しい展開では無くなってきているというのもあるだろうが。
 適当に物色していた安玖は「二階」という単語に反応した。言われてみれば皆が口々に「落ちてきた」と証言していたのだから、当然、二階も存在するだろう。そして今までの経験則から言って、フィールドとなる舞台の隅から隅までヒントが隠されていた。

「それなら俺も、二階に行ってきます」

 ならば全員でぞろぞろと連れたって移動するよりも別れた方が早いだろう。そう判断しての提案だった。片手をあげ、視線を巡らせる。

>>周辺ALL

【すみません、短いレスになってしまいました】

4ヶ月前 No.401

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/一階書庫】

「なるほど……」

 口に出すことまではしながったが、右叉兎は、柊平が探していると言っていたものが、本当はその悲惨な事件に関する資料などではないかと勘を働かせていた。何せ、さっきはひょんなことから口を衝いて出ていたようであったが、普通なら、あまり話題にはしたがらない事案なのだから。
 その切っ掛けを作ったのは、間違いなく右叉兎本人であったのだが、当人は特に反省する素振りも見せず、かといってそれ以上、相手の領域に踏み込むような間違いは侵さなかった。

「いえ、お辛いんでしょうけれど、それでも俺たちに話してくれてありがとうございます。
 お巡りさんって、12年も前に──つまり、例の事件が起こる前にも──暁町を訪れていたんですよね? そういえば、(12年前の)当時も『神隠し』みたいなことってあったんですか? それとも、ある日、突然誰も居なくなったりとかしたから関係ないのかなあ。
 どうも、僕らとお巡りさんの認識に食い違いがあるような気がして。その、所謂、『暁町の噂』がここまで伝播したっていうのも気になるし。あ、済みません、何だか要領を得なくって……」

 と、気恥ずかしいように柊平の前で笑みを作る。
 彼と話している間にも、暁町捜索隊メンバーの中で話し合いは行われており、そこでようやく、二手に分かれて探索するという結論に落ち着いたようだ。
 今はちょうど、二階に昇って探索する班と、一階に残る班とに、意見をそれぞれ出し合っている最中のようだった。
 柊平の過去も気になるところではあるが、ここ──曉町立図書館──もここで色々と根深いものを背負っているに違いなかろう。

「じゃあ、俺は一階に残って、他に何か目ぼしいものがないか探してきます」

>> 周辺all様

4ヶ月前 No.402

都城京、七 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 都城京、七 / 曉町立図書館 一階書庫→ 】


 ゆらぎの説明をふむふむと聞いた都城は考える。失踪事件と殺人事件、これではホラー小説でなく怪しいオカルト雑誌の怪しい記事になってしまう。

「じゃあとりあえず二手に分かれる感じですねぇ」

 周りの意見を聞きながら都城は再度確認するようにそう言う。さて自分はどうしようか、都城は隣で辺りを見回す七に視線を向ける。

「――――わたしも、にかい、いきます」

 はっきりと、力強くそう言った七の足が螺旋階段へと近づいていく。慌てるようにその後ろを追いかける都城であったがゆらぎ、烈、安玖が二階に行くというのを聞くと悩むように首を傾ける。

「なら私は一階の方がええかなあ、あんまり偏るのもやし」

 二階メンバーは安心出来る、それだけは確かだ。ふらふらと螺旋階段に足を掛け進んでいく七を見上げながら都城は悩むようにうーん、と唸るのだった。

>> 周辺ALL

4ヶ月前 No.403

特殊レス @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【彷徨う男/図書館一階螺旋階段】

 七が二階へと続く階段に足をかけようとした時、それは何もなかった筈の場所に突然現れた。
 階段の途中、進路を塞ぐように降って沸いた登場の仕方以外は、何処にでもいるような青年だった。黒髪をスポーツ刈りにした、大学生くらいの普通の青年。顔が血塗れな訳でも、瞳が空洞な訳でもない。
 ただ、手足がおかしな方向にねじまがっているだけで。

「……――を、知りませんか?」

 切迫した声が響くが、肝心なところが聞き取れない。何も答えられずにいると、ひどくゆっくりとしたスピードでズルズルと近付いてくる。

「……アリカを、知りませんか?」

 そうしてもう一度、呟いた。

 ズルズル、ズルズル。
 後ろを向いた足首を引き摺って。
 道を空けてくれはしないが、襲い掛かってくるような素振りもない。横をすり抜けて階段を駆け上がれば容易く逃げられるだろう。
 それでも彼は、しきりに問い掛け続ける。
「有花……恋人なんです。この町で、はぐれてしまって……ずっと探しているんです。花柄のワンピースの、大人しい子です……きっと、今も一人で怯えて……ねぇ、知りませんか?」

 ズルズル、ズルズル。
 肘の関節が内側に向いた腕が、折れ曲がってぶらぶらと揺れる手首が、此方に伸びてくる。

4ヶ月前 No.404

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 一階書庫→ 】


 七が螺旋階段に足を掛けのぼりはじめた時だった。目の見えない七は階段を安全にのぼれるように竹箒で一段一段確かめていたが、不意に掛けられた言葉に足を止める。聞こえにくかった問いかけに首を傾けたが続く言葉には少し悩むように考え、そして唇を開いた。

「…………ありか、さん……しらないです……ごめんなさい……」

 目の前のその青年がどのような見た目なのか、ずるずるという音の正体を盲目である七は気付かない。だがしかし今までであれば見に迫る驚異に、異形の者にいち早く気づいていた七だが今回は全く気づいていないようで、申し訳なさそうに、困ったように、ぺこり、と頭を下げる。

 伸ばされたその手首に、気付かないまま。

>> 特殊レス、周辺ALL


(なんとも緊張感のない七で申し訳ありません…!)

4ヶ月前 No.405

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

「なるほど……ありがとうございます」

これまでの経緯を御子柴さんからざっと教えてもらい、俺は何度かその内容を脳内で反芻する。時代劇かなにかのセットみたいな町だと思っていたけれど、この町から人が消えたのはそんなに昔のことではなく、ほんの十年ぐらい前までは人が住んでいた。

「失踪事件に……殺人事件……!? さ、さんじゅ……に……!? こんなちっちゃそうな町で!?」

御子柴さんの言葉を鵜呑みにした俺は、思わず後ずさった。失踪とか神隠しとかそんな噂は聞いてたけど、殺人事件現場なんてそんな話は聞いてない、俺達が今いるこの図書館も昔血の海になったことがあった、とかちょうどこの足元のあたりに死体が、とかだったらどうするんだよ不気味すぎる。俺は嫌だ、大量殺人現場だった(かもしれない)場所で一夜を明かすなんて! なんとかして日付変更までに帰らないと! ……って、よく考えたら、今が何時なのか、ここに来て何時間経ったのかももうよくわからないんだよなぁ。
しかし皆の話をよく聞いているうちに、どうやら今のところ大量殺人の事実を裏付けるものは無いようだった。
……町民失踪事件と、その最中に起こった女性の殺人事件。この警察のお兄さんの奥さんがその遺族ということらしい。
失踪事件が何回か繰り返し起こっているなら、朱月≠チてのは集団失踪を指す言葉なんだろうか……?
……さっぱりわからない……。
つい雰囲気に流されて難しい顔を作って見たが、また情報は少なすぎて全然全貌は見えてこない。

「皆さん此処に集まってるし、警察の方もきてるからてっきり事件解決なのかと思いました……。残念だけど手分けして探すしか無さそうですね。えっと、俺はどうしようかな……」

そう言いながら、御子柴さん、鑓ヶ岳さん、逢澤先輩、七ちゃんが向かっていく螺旋階段を見上げ、追いかけるように近づく。長いものには巻かれるタイプだから。けれどふと振り返り、まだこのフロアに残っている安仁屋さんと都城さんと警察のお兄さんとを見比べる。それまでに何を話していたのかは詳しくは知らないが、だいぶ混乱していた警察官の顔色があまり良くないのは気になった。

「都城さん達と一階に残ろうかと思います」

なんとなくその点に関してだけは他人を見捨てちゃダメな気がしてそう言ってみたが、全然役に立てる気はしないので、いざという時に何も振られないように医療系学生だということは絶対に絶対に言わないでおこうと思った。
その時だった。自分のすぐ前で螺旋階段を登ろうとしていた七ちゃんの前に、不審な男が現れた。螺旋階段だから、そこに通せんぼする其奴の姿も、こちらに向かってくる様子もよく見えた。……だれだ、あれ……?

「……! (て、手足が……!)」

……また化け物じゃねーか!
ズルズルズルズル、と引きずるように動かす足も、七ちゃんに向かって伸ばす手も、人間の骨格を完全に無視していやがる。おいおいおいおい七ちゃんなんでフツーに受け答えしてんだよ!

さっきまですぐ後ろに続いて螺旋階段を登ろうとしていた俺は咄嗟に七ちゃんの腕を掴んで、階段にかけた足を引き剥がすように後退させた。

「知りません知りません知りません知りません知りません知りません知りませーーーーん!!!!」

化け物の言葉に被せるようにして、代理で全員分の「知りません」を夢中で連呼しながら、勢いだけで七ちゃんを螺旋階段から引き離す。まったく油断も隙もない。七ちゃんっ! 関わっちゃダメだこんな奴に!
お探しものの名前も、事情も一切聞く気は無い。アリなんとか「知りません!」こいびt「知りません!!」くっそ、俺にだって彼女いないのに、なんで此処の化け物のリア充率クソ高いんだよバカァ!

俺は七ちゃんを引っ張って可及的に螺旋階段から離れながら(至近距離での幽霊登場にビビっているのではなく、年下の子を危険から守るためだ)、螺旋階段で揺れているその化け物を(かなり遠くから)睨んだ。あんなのがいては、二つのフロアに別れて探索以前の問題だ。

>all様


【確定になってしまったすみません、しかも七ちゃんを一階に引き戻してしまった……なんとか大人の都合で振り切ってください笑】

4ヶ月前 No.406

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 一階書庫→ 】


 七の身体が不意に後ろへと下がる、ぐい、と腕を引かれるその感覚に少しよろけつつも落とさないように竹箒を握りしめることは忘れない。何が起きたのか全く理解していない七だが知りません、と連呼する声の主が八岳であることに気づくと不思議そうに首を傾けた。

「――――……」

 七の唇がほんの少し動いたがそれが何を呟いたのかは、誰も知らないしきっと七自身も知らないのだろう。

「………….あの、やつたけ、さん……?」

 今度はきちんと言葉を発したようで不思議そうにしつつも自身の手を引いて螺旋階段から離れさせた八岳に首を傾ける。そしてもう一度螺旋階段の方に首を向け先ほどの青年の問いかけを思い出すように繰り返す。

「――――ありかさん……花柄の、わんぴーす…………」

>>ALL


(八岳くんありがとうございます!さてこの螺旋階段通せんぼ?どうするか、みなさまお考えくださいませ〜〜)

4ヶ月前 No.407

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 迷惑をかけまいとしたことが逆に気を遣わせてしまったようで、周囲はまるで腫れ物に触るような扱いで式島に接した。確かに突然、身内の死を打ち明かされては誰も何と声をかければいいのか分からなくなるだろう。だが「大丈夫だ」「気にするな」なんて気の利いた言葉を発する気力があるはずもなく、式島は項垂れながら煙草をふかし続けた。

 しかし、安仁屋という男だけは式島に追求をし続けた。

「……君は洞察力が鋭いようだね、安仁屋くん。警察官の素質があるよ」
 彼の問いに対して式島は目を見開き、関心したように言った。
「それで、君の言う認識≠ニいうのは一体どんなものなんだい?」
 なんとかして自分の考えを伝えようとしている安仁屋の姿がとても健気に思えて、式島はゆっくりと立ち上がり、近くの机に腰をかけた。彼の勇気を買って、ほんの少しだけ力になりたいと思ったのだ。
「君が求める答えかどうかは分からないが、俺が十二年前に訪れたとき、この町は確かに機能していた。少なくとも誰かが失踪するような事件は起きていなかったはずだ」
 断片的な記憶をどうにか繋ぎ合せながら式島は答える。……そうだ、あのときの暁町は恐ろしいほどに完璧で、それでいて一人で完結しているような町だった。だからこそ俺と翔子はあそこから逃げてきたんだ──……

 そうこうしている間に他の人間は二階へ行く者と一階に残る者で別れていった。式島としては少し頭を冷やしたかったため全員で上階へ向かって欲しいのが正直なところだったが、彼らと無邪気に言葉を交わすことで滅入った気を紛らすことができているのもまた事実であった。
 式島は彼らの話し合いに特に口出すわけでもなく、吸い終わった煙草を地面に落とし、靴で踏みつけた。
 すると突然、少年の絶叫とも捉えられるような大声が館内に響き渡る。驚いて顔を上げると、ちょうど螺旋階段を登ろうとしていた少女と不気味な青年が対峙している最中だった。

「……!」

 式島は警棒を抜こうと咄嗟に腰に手を伸ばしたが、よくよく観察すると青年の方に敵意はないようで、ただアリカ、アリカ、と女の名前を連呼しているだけだった。どうやら肝試し集団に恋人の居場所を尋ねているらしい。

「よく分からないが……君たちに聞いているっていうことは、彼は君たちが彼女を知っていることを知っている≠じゃないのか?」

 少しの間彼らの様子を観察したあと、式島はポロリと言葉を零した。別に何かを知っているわけではない。実際のところ式島はアリカという名の女を聞いたことがないし、花柄なんて派手な服を着ている人間を見たこともなかった。ただ問いかけているあの男の様子が、どこか確信めいているように思えただけだった。


>周辺おーる様

4ヶ月前 No.408

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★jiRmsIi9Iw_xKY

【逢澤安玖/一階書庫⇒】

 龍矢が七ちゃんを勢いよく引き戻した――“おかげ”というべきか“せいで”というべきか、次いで上がろうとしていた安玖が必然的に先頭に立ってしまった。その龍矢の絶叫によって途切れ途切れにしか聞き取れなかった単語を復唱していた安玖は、不意に聞こえてきた式島の声に目を瞬かせる。

「知っている、って事は……俺達が何かしらの形で“会った”人――。着物じゃない、てことは日記とかとは別件……着物じゃなくてもう人間じゃないとしたら……鎧武者、は関係ないとして……俺のお母さん、は三十路超えてたしこんな若い知り合い居なかったから違うだろ。あと、人形のお母さんと、」

 ふ、と思い出す。ぶっちゃけ殆ど忘れかけてはいたが、今まで連ねてきたもの以外で、と言われて思い当たるのはひとつしかなかった。

「……その有花って人かは分からないけれど、月舘って家の近くに花柄のワンピースを着た女性なら居た。っていうか俺達が神居家に入る前に千枚通しを片手に追っかけられたんだけど。茶髪のパーマで、花柄の白いワンピースの上に青いデニムを羽織ってた、俺と同い年ぐらいの」

 てことは、と次々と謎が解けていく。あの女性が口走っていた諸々を全て憶えているわけではないが、やたら強烈に残ったセリフはあった。

「アンタは哉汰さんだ。女性が必死に――それこそ、俺たちを殺そうとしてまで探してた“みんな”の中の、とりわけ大切な哉汰さん」

 失礼を承知で指先でそっと男性を指し示す。そして、緩く首を傾げた。

「あの人は外でアンタ達を探していたんだけど、アンタはずっと建物の中を探してたわけ? で、向こうも必死になってる割に外しか探してなかったと。頭悪いな。……神居家からここまでは特に見なかったけど、月舘家の辺りでも探したらまだいるんじゃないの」

 自分の中の推理を口にしていく。後半の付け足した部分は完全に呆れ口調だった。口が悪いのは元からなのでツッコまないでほしい。

「必死になるのは結構だし、気持ちもホント痛いくらいに分かるけど。むやみやたらに掴みかかったら駄目なの、分かるよね。俺達が知ってるのはそれだけだよ」

>>彷徨う男、(七ちゃん、式島さん、龍矢くん)、周辺ALL

4ヶ月前 No.409

特殊レス @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【彷徨う男/図書館一階螺旋階段→回収】

 男が伸ばした腕は、何をも掴むことなく空を掻いた。そこにいた筈の七は知らないと連呼する龍矢に引き戻されている。
「……そう、ですか」
 重力に従ってダラリと垂れ下がる手は、彼が落胆しているからなのか、骨格が壊れているせいなのかは最早分からない。
 ズルリ。折れた足を引き摺りながら、男は一つ階段を降りた。そるは、遠ざかった二人を追いかける為ではなく、また当て所なく彷徨う為。

 嗚呼、けれど。

「……有花を、見た?」
 その先にいた安玖の言葉に、男は――哉汰はゆっくりと顔を上げた。
「あぁ、そうです。それが有花です。彼女はこの町に入って直ぐ居なくなって……そうか、ずっとあそこに……」
 安玖が告げた特徴を一つ一つ噛み締めながら、哉汰はそう確信する。
 彼女が居なくなってしまったのはもうずっと前のことだが、それでもすべては昨日のことのように思い出すことが出来る。
 サークルの皆と胆試しに来たら、急に辺りが暗くなって、何故か町から出られなくなって……恐る恐る後ろを着いてきていた筈の有花が消えた。慌てて引き返してもそこには閉ざされた月舘家の扉があるばかりで、仕方なく他の場所を探した。そうしている間にも一人また一人と消えていき、最後には自分も足を滑らせて――
「ありがとうございます……ご迷惑を、お掛けしました」
 何故か無事だった首の骨を使って頭を下げる。
「お礼になるかは分かりませんが……僕らが見付けたものです、もしかしたらあなた方の役に立つかも知れない……僕らは生きては出られなかったけれど……あなた方なら或いは……だから、どうぞお気をつけて」
 言うだけ言って、哉汰はまたズルズルと歩き出す。
「……有花、ごめんね……今から、迎えに……これで、やっと」
――此処から、出られる。

 そうしてホールの入り口辺りで、哉汰の姿は霧のように掻き消えた。
 彼が先程まで立っていた場所……螺旋階段の途中に、木札のついた小さな鍵を残して。


 月舘家と神居家の真ん中辺りを、彼女はまだ彷徨っていた。どこなの、と、途切れ途切れに愛しいもの達の名前を呼びながら。
「……かなた」
「有花」
 その声に、男のそれが重なった。
 びくり、と肩が跳ねる。見えない瞳が、声のした方を向く。
 それは、遅きに失した再会。されど、その体を亡くしても求め焦がれ続けた最愛。
「有花」
 もう一度続いた、気が狂う程に探し求めたその声に、彼女は――有花は走り出す。失った筈の瞳に涙を湛えて。
「かなた……哉汰ぁ」
「遅くなってごめん……迎えに来たよ」
 愛しい恋人を目の前にして、自らの瞳を抉ったものなどもう要らない。
 そうして、お互いを探して彷徨う二人も、もう居ない。

>all

【安玖くんの完璧推理のお陰で二人は感動の再会を果たせました、ありがとうございました! 今後千枚通し女こと有花に追い掛けられることはありませんので、安心して探索を続けて下さい!】

4ヶ月前 No.410

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★jiRmsIi9Iw_xKY

【逢澤安玖/一階螺旋階段⇒(追いレス)】

 玄関ホール辺りで男が居なくなったのを認めると、安玖はスタスタと螺旋階段を登り始める。
 きっと彼女は、安玖たちと同じルート――つまり月舘家に入ってしまったのだろう。ただひとつ違うとすれば、自分達の場合は皆が入って取り残される様に締め出された人が居たのに対して、彼女はたった一人であの屋敷に入ってしまった事で。

 ――にしても、と思う。こんなにも巻き込まれた人が居るのであれば、数人は同じルートを通っていそうなものなのに。今まで、月舘家も神居家も謎を解けた人間は居なかったのだろうか。あの男もあの女性も、サークルで訪れたのだと言っていた。つまり、自分達と同じように複数のグループが重なった事もあっただろう。それでも自分達の様に謎を解けなかったのか。……それとも、そういったグループはそもそもとして月舘家にも神居家にも足を踏み込んでいないのか。

「……何か、嫌な感じ」

 ぽそり、呟く。他者の進歩はどう足掻いても見ることが出来ないこの状況で、自分達の進み続けている道は、一体どうなのだろうか。正しい道なのか。既に間違った道へと踏み込んでいるのか。
 あまりにも順調なのだ。人が居なくなったり、増えたり、それを繰り返してはいるが概ね謎を解いては脱出して、導かれる様に次の場所へと踏み込んで。まるで、自分達の進むべき道は最初から決められているかのように。サークル活動の一環だという名のもとに時折行われるTRPGで言うなれば、決められたシナリオの元、一件自由行動と銘打って動いている自分達が、結局のところルート分岐以外は全てKPの意思に沿って動かされている様な。ニャルラトホテプか、違うシステムであればプランナーか、ネクロマンサーか。そういった類の手中で踊らされている様な。そんな不快感が揺らぐ。

 ――あの二人もまた、その決められた道に沿って捨てられた人々なのか。

「なーんて、ねぇ」

 少し手前で止まり、木札を拾いあげる。眼前に掲げそれを観察すると、どうやら古ぼけた鍵の様だった。
 何故、少女を探していたという彼がこんなものを持っていたのだろうか。そう不信感に眉を寄せる。別におかしな話では無いのだけれど、今は全てをひとまず疑うしかなかった。

「曉神社……うわ、しかも旧字体の方か。てことは相当古い……」

 ゲーム的に言えばラスボスのステージ、なのだろうか。何にしても、何処かのタイミングで此処にも行けという事なのだろう。
 ふう、と息を吐く。そしてその鍵をポケットに入れると、安玖は踵を返した。螺旋階段の特性故、振り向いたとて其処に広がるのは何もない空間だ。だから手すりから少し身を乗り出す形で皆を見下ろし、問い掛ける。

「で、結局、俺以外で誰が二階を見るの」

>>周辺ALL

【鍵を回収するための追いレスをさせていただきました】

4ヶ月前 No.411

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館一階書庫→螺旋階段】

「あ、ちょっとなっちゃん先頭で階段は危ない……」
 フラフラと階段の方へ向かおうとする七の背中に、ゆらぎは手を伸ばしかける。しかしそれが届くよりも先に彼女は竹箒を頼りに階段に足をかけ、安玖が後を追い、そして。
 螺旋階段の途中に、男が一人現れた。
 どくん、とゆらぎの心臓が跳ねる。それは唐突な怪異の出現によるものではなく、彼の顔に見覚えがある気がして。
――ヤット会エタ。
 そんな風に、思ってしまって。

 勿論ゆらぎは彼が千枚通し女の探し求めていた恋人であることなど露知らず、ブンブンと頭を振って頭の中に浮かんだ考えを否定する。
 そうだ、さっきから龍矢だって連呼しているじゃないか。知らない、知らないと。そうだ、自分が知る筈なんてない。会ったこともない人間が、最早人間ですらなくなったものが何を、誰を探しているかなんて。はぐれたお互いを探しているうちに死んでしまった彼等の悲劇的な末路なんて、知っている訳がない。
「……わたしも、知らない」
 小さく呟いたゆらぎが後ずさったことは、誰かに気取られただろうか。

 しかしその後、安玖のひらめきによって男は満足して消えていった。月舘家の人間は血気盛んに襲い掛かってくる輩ばかりだったが、ふじのやその父といいこの男といい、未練さえなくなれば穏便に解決できる怪異もあるということか。
「じゃあ……町を閉ざしているのは、誰の」
 町長辺りの未練、だろうか。

「あ、ごめんわたしも行く〜」
 螺旋階段から顔を覗かせた安玖の呼掛けに、気を取り直した油良も二階へと歩き出した。

>安玖くん、周辺all

4ヶ月前 No.412

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

七ちゃんを引っ張って全速力で後退をした結果、部屋の隅にあった机の角に腰を強打した。けれど今はその地味な痛さよりも目の前の怪異から如何に逃れるかのことの方で頭がいっぱいで、その虚ろな視線が俺と七ちゃんから逸れるのを待ちながら、震えが止まらなかった。
これでは七ちゃんを守る為に引き離したというよりは、ただ怖さのあまり細い腕にも縋る思いで掴み繋ぎ止めているみたいになってしまっている。
遠くから敵を睨みつけながら、観察する。手脚を故障しているためか、その動きは緩慢で隙は多い。けれど神居家にいた奴らのように超常的な何かを使ってくるとも限らないから皆で一斉に遠距離攻撃を仕掛けるべきか。幸い此処は図書館、投げる物(本)には事欠かない。……ってか、俺の場合常にほぼ遠距離攻撃しかしないけども。至近距離怖いから。

「ごめんね、七ちゃん」と勝手に手を引いて驚かせたことには謝るが、彼女が何か主張しているのは必死すぎてあまり気に留めていなかった。それが怪異の話を全然聞いてなかった俺へのサインだったのかもしれないと気付いた頃には、事態は収束していた。警察官さんの言葉で何か思い当たる節があったらしい、逢澤先輩が推理を展開する。あれだ、閉ざされた古い建物で「皆さんを此処に集めてください」ってやつ。俺は震えて見てるだけで、犯人にも被害者にも探偵にもならない。精々第一発見者がいい。先輩の名推理により事態は一件落着。俺はほっと胸をなで下ろすと共に心の中で称賛の拍手を送った。
ってか、千枚通し女の彼氏かよ……。恋人とはぐれたからって無関係な奴を襲うほど発狂するなんて、俺はそんな病んじゃう女とは絶対付き合えない。カナタさん、あんたすげぇな。幽霊に敵意はなくその身の上が解明されると、やっとそんな余計なことを考える余裕が出てきた。かなたさんはご丁寧に激励の言葉まで残して消えていった。おそらく先輩の言葉を頼りに彼女を探しに行くのだろう。死人になってまで探されるぐらい大切に思われるというのは、人ではない怪異に成り果ててまで彷徨い探すほど大切な者があるというのは、俺には未だあまり理解出来ない感情だった。

あの人達も迷い込んでしまった人達なのか。俺達も二の舞になるのではという不吉な予感が一瞬脳裏を掠めたが、必死でそれを追い払った。俺は帰る。絶対に帰るんだ。無事に帰って、オカルトサークルに退部届を出して、陽気で愉快な残りの夏休みを謳歌してやる。明日はバイトの面接。海、バーベキュー、ドライブ、クルージングと釣り、合コン、フェス、遊園地、適度ないい感じの彼女作って、夏の終わりに花火大会……。あいつらみたいに死んでたまるか。

安全を確認したので俺はそっと七ちゃんの腕を離してやった。
振り返ると俺達の後退を阻んでいた背後の物体は、図書館の受付カウンターだったということにやっと気づいた。

>all様

4ヶ月前 No.413

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・一階 書庫→螺旋階段】

さあ二階に向かおうと意気込んだところで現れたのは、手足が不自然に曲がった若い男。一目見たときに、運動部所属歴6年の烈は彼の手足の曲がり具合から“生きていて良いほどの負傷”ではないことを察した。あんな怪我を負おうものなら助かる見込みはない。つまりあれは怪異。どうやら人を探しているようだったが、その時の烈は「ななな何故貴殿は歩くことが出来ているのでござるか!?」と場違いすぎる疑問を口にしていて彼の質問に答える余地などなかった。いや、骨折経験者としてあれはいけない。歩いてはいけない程度の重傷……というかあれは致命的な怪我だ。

「あ……もしかして、あの時の」

そして安玖の名推理により、男は月館家を出たところで遭遇した千枚通しを持った少女の彼氏だったらしい。事情を知った彼は此方に害を及ぼすこともなく、ホールの入り口の方へと歩いていき、霧のようにかき消えていった。成る程、話し合いで解決する怪異に出会えないものかと思ってはいたが、まさか存在するとは。彼らが死という壁を超えて、また再会出来ることを祈るばかりである。若人よ、死しても愛は不滅なるぞ。恋愛のれの字も知らない烈だが、内心でそんなエールを送っておいた。若人と言っても烈の方が若いことには突っ込まないでおこう。こういうのは言葉の綾という奴である……とたぶん烈なら言う。

「あっ、拙者も!拙者も参りますぞー!」

安玖の呼び掛けに慌てて答えながら、烈は螺旋階段へと向かう。そうだ、色々と予想外の出来事があって忘れかけていたけれど、まず優先すべきは二階の探索ではないか。前を行く安玖とゆらぎの背中からふと視線を外して、螺旋階段を登りかけていた烈は七へと声をかける。

「七殿も二階に向かわれるのでござろう?ならば共に参りましょうぞ!一人では危のうござります故!」

七が誰よりも先に二階に行こうとしていたことに気づいて、烈は彼女も共に行くものと考えた。目の見えない彼女にとって階段は危ないものだ。一歩先を歩く自分のリュックサックに掴まってもらうか、手を引くか。もし七さえ良いのなら、彼女を抱き上げて移動しても烈は構わない。

>>周辺all様

4ヶ月前 No.414

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 一階書庫→螺旋階段 】


 腕を引かれるまま足を動かす。あまり事態を把握していないのは何故なのか、ただ何かにぶつかるような音に首を傾ける間もなくおとと、と前のめりになりそうになる体を何とか踏ん張り押し止める。何が起きたのか、そう思う七がふと気付いた掴まれた腕から伝わる震え、その主が自身の腕を掴んでいた八岳だと気付くと、その恐怖に気付くと、七はちりん、と髪を飾る鈴の音を奏で、唇を開く。

「――――だいじょうぶ、だいじょうぶですよ、八岳さん…………あのひとは、ちがうから」

 あのひと、とは螺旋階段にいた青年の事を指していた。七はそう呟き事の収束をぼんやりと聞いていた。霧のように消えた青年はきっと外で女性と会えたのだろう、離された腕から自由を取り戻した七の首は玄関ホールの方を向いていて、ゆっくりと動いた唇は誰に届くわけでもなく、消える。

 ――――もう一度、会いたい。


「……ありがとうございます、またたすけてくださって…………」

 くるり、と八岳の方を振り返ればそう言いながら深々と頭を下げる。そして自身を呼ぶ烈の声に足を竹箒を握り直し踏み出しながらふと、もう一度唇を開く。

「……此処は、とってもかなしいです、かなしみがあふれそうで……いまにもこぼれそうで。……きっと、なにかだいじなもの、とてもだいじな――――」

 曖昧そうで、けれどどこか確信しているようなそんな言葉、意味が分からない言葉の羅列を残した七は「八岳さんも、気をつけてくださいね」と、そう言えばぱたぱたと小走りで烈達のいる螺旋階段へと戻っていくのだった。

>> 八岳くん、烈ちゃん、周辺ALL

4ヶ月前 No.415

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

「いや、俺の認識というか……インターネットとかでもそこまでの情報は載ってなかった気がしたので……失踪事件が10年前に起きたり、その前に殺人事件が起きていたり、わりと最近の出来事の割にはあんまり情報が出回っていないみたいだし……でも、暁町は隣町とも交流を持たないくらいに閉鎖的だったと聞いてますし、俺たち部外者が知らないのも無理はない話なのかなぁ……だけどお巡りさんは違いますよね? お巡りさんは俺らとは違って、異変が起こる前の暁町を知っているし、この町に何が起きていたのかも多分知っているんだと思います。少なくとも、ここにいる俺たちよりは……済みません、相変わらず説明が下手で」

 インターネットで右叉兎が齧った情報と、柊平の口から出た情報とでは、どちらを信じるかで随分と様相が違ってくる。いずれにせよ、右叉兎の情報源であるオカルト掲示板では、多くの人間を介しながら伝言ゲームの要領で話に尾びれのついたものであり、実際にその目で、肌で感じた人間の言葉に敵うはずもない。

「俺がインターネットの掲示板で聞いた話では『暁町の噂』は、その界隈ではホラースポットとしても有名らしくて、街を訪れた人たちの中には行方不明になるのもいるらしいんだけれど、でも、その辺にある極々ありふれた都市伝説として認知している人がほとんどっスよ。誰も本気で信じちゃいないっス。俺も実際、その一人のはずだったんスけど、家出したまま帰ってこない兄さんを連れ戻しに来たはずが、まさかこんな目に遭うなんて……まるで、事故で亡くした娘さんを探しにやって来たあの人みたいですね……?」

 神居家を訪れなかった柊平には与り知らぬことであった。しかし、そんなことよりも、右叉兎がハッとなって気が付いたのは、その状況があまりにも自分と似通っていた点である。

「いや、でも、兄さんはまだ……」

 そこで小さく頭を振った。月舘家に着く前に出会った怪異のことを否定するかのように。

>> 式島柊平様、周辺all様

4ヶ月前 No.416

都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 都城京 / 曉町立図書館 一階書庫 】


 七と離れた都城は、螺旋階段をのぼろうとした七に立ち塞がる驚異に息を飲む。助けなければ、そう思い足を踏み出そうとした都城だがそれより先に飛び出した八岳の姿にその足を引く。かっこええなぁ、なんて小さく呟きながら。

「とりあえずまあ一件落着やなぁ。私等も脱出のために頑張らなあかんってかんじですねぇ」

 へらり、と笑みを零しながら辺りを見渡す。本棚を調べている安仁屋と式島の会話を聞く。あまり難しい話は得意やないんやけど、なんて心の中で呟きつつも唇を開く。

「私等が聞いた内容も安仁屋くんとあんまり変わりないですねぇ、ある日を境に突然町の人が全員消えて、面白半分で肝試しにきた若者たちも帰ってこずー、みたいな内容ですわぁ」

 まあインターネットの情報ですねぇ、と付け加えながら館内を見回し思考する。月舘家、神居家と古びた古民家を探索し続けたがこの図書館はわりと綺麗だった。床も安全そうだし階段も抜けなさそうだし。

「向こうにも扉があるみたいやし、此処の探索終わったら行ってみましょうかぁ」


>> 式島さん、安仁屋くん、八岳くん、周辺ALL

4ヶ月前 No.417

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

また助けてくれてありがとうだなんて、俺にはとてもじゃないけどそんな深々と頭下げられて言われる資格なんかないのに。俺は肯定も否定も出来ず、首だけを横に振る。鑓ヶ岳さんに誘われて二階へ続く螺旋階段の方へと去っていく七ちゃんの背中を見送った。
此処には、また、誰かの悲しくて大切な何かが眠っている。言い残された七ちゃんの言葉に、さっき見た白っぽい女の姿が呼び起こされる。まったく、自分の大事なものは自分で大事に掴んでいなくちゃ駄目なのに。
でも、大切なものって何だろう?


なんとなく集合のようなけれど散らばったままのような曖昧な形で残った一階探索組は、都城さんの言葉で螺旋階段の亡霊の話から探索の方に戻ろうとしていた。
「そうですね、俺もあんまり事前情報は……『町民全員が消えた町』という程度にしか……」
自分からオカルトが好きで好奇心で乗り込んで来たわけでも、何か調べる目的があって来たわけでもない俺は、事前情報の面で圧倒的に希薄だった。だってはじめから興味も無かったし、俺の意思でもなかったし。多少の申し訳なさもあり、都城さんと安仁屋さんの言葉に大人しく同調しながら、自分に出来そうな探索を行うことにした。

「安仁屋さんは此処にお兄さんを探しにきたんですね。警察官さんは犯人を探しに。……そういえば、十二年前の時はどうしてこの町から逃げようとしたんですか? 当時はちゃんとした人の住んでいる町だったんですよね?」

さっき状況を聞いた時に、御子柴さんが真ん中のテーブルは調べたと言っていたから、七ちゃんを連れて退がったときにぶつかった受付のテーブルの上を調べてみることにした。大きな机だな。そんなにボロくない。都城さんの言葉に机の面から顔を上げれば、成る程、受付の後ろにはもう一つ扉がある。

「……そうですね、スタッフルーム、とかでしょうか?」

>一階all

3ヶ月前 No.418

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★jiRmsIi9Iw_xKY

【逢澤安玖/⇒二階書庫】

 最初に反応した御子柴さんに視線をやった安玖は、数秒、彼女をジッと見つめる。けれど何かアクションを起こす前に、明るく響いた槍ヶ岳さんとそれに反応する七ちゃんへと意識を向ける。何やら龍矢と話していたらしい彼女は、パタパタと小走りでやってきた。

 ――言えるんじゃん。良い子だねえー。

 と声に出さず口元だけで手早く呟くと、改めて三人を見やる。……(ツッコミとボケという意味で)一抹の不安が無くもない面子だが、まあ、探索そのものに関しては関係ないだろう。

「じゃあ、この四人だね」

 再度確認するように告げ、先頭だって二階へと足を踏み入れる。


 まあ、当たり前と言えば当たり前なのだが、二階は一階をそのままC&Pしたような場所だった。机も四つだ。
 七ちゃんは何も見ることが出来ない。が、少なくとも自分達には見えないモノが見える。そういう意味では、普通に役立つ。だなんて偉そうな物言いにはなるが、まあ少なくとも気に掛ける人はいるだろうから自分は放置である。

「……ん、しょ」

 階段に一番近い六番のテーブルに近付く。テーブルの傍らにしゃがみ込み、上を見たり下からテーブルの裏を覗き込んだり床を探ったりしながらペタペタと触れていく。取り敢えず見ながら触れば何かしら見つかるだろう、という雑な思考ゆえの行動だった。

>>周辺ALL

3ヶ月前 No.419

特殊レス @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 特殊レス / 曉町立図書館 二階書庫 】


 ――――ドコ?

 ――――ドコナノ、わたしの、たいせつな……


 安玖、烈、ゆらぎ、七達が螺旋階段をのぼり二階書庫に足を踏み入れたその時だった。どこからともなく聞こえてきた女性の声、何かを探すような声。

「――――だめ、あいざわさ……」

 竹箒を頼りに一段一段を慎重に進んでいた七が先を進む安玖に唇を開く。少し焦ったのか足元が縺れ前のめりに倒れそうになる、ちりん、と髪を飾る鈴が音色を奏でる。


 ――――わたしの、たいせつな、たいせつな。

 ――――ネエ、ドコナノ?


『キャアアアアアア!』

 上部から降ってくる白い着物の女性。それはさきほど一階で見たあの女性と同じだった。どさり、と音を立てて床に倒れこんだ女はそのままずるり、ずるり、と床を這いながら女は何かを探すように、求めるように、腕を伸ばす。


「ひっ……!」

 小さな悲鳴、それは七の唇から零れものだった。白い着物の女性は七に向けてその腕を伸ばしていた。

 カエシテ、ワタシノタイセツナモノ、カエシテ


>> 安玖くん、ゆらぎちゃん、烈ちゃん、七


(二階特殊イベ発動です〜〜!)

3ヶ月前 No.420

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階書庫】

 ぐるぐると螺旋階段をのぼった先も、一階と同じ書庫のようだった。机と本棚が並び、受付の奥には部屋が見える。後ろから七や烈も無事に階段を上り終えたのを確認して、ゆらぎもまた先行した安玖と同じようにDの机に手を伸ばす。ざっと天板やら机の下側やら椅子の上やらを確認した、その時だった。

 またしても絶叫が二階に響き渡る。それは此処にいる誰の口から発せられたものでもなかったのは幸いだが、先程は階段から落ちてきた女性がまた何処からか降ってきた。勿論、血走った目は嫌味なほどはっきりと此方を見据えている。
「なんなのよ、さっきから! 飛び降り流行ってんの!?」
 螺旋階段にいた男もその異様な骨格からして何処からか落下したのは間違いない。不謹慎さなどはかなぐり捨てて悪態をついたゆらぎは、一階の龍矢の動きをトレースしたかのごとき勢いで、飛び降りた女性が手を伸ばす七の所に向かう。
「なっちゃん下がって! 念の為聞くけどその箒どっかの家から拝借してきたとか、意味深に置いてあったの持ってきたとかないよね?」
 七と女性の間に割って入ったゆらぎはそのまま後退し、背中に隠した七に問う。まさか女性の探し物が竹箒であるとも思えないが、七がいの一番に狙われた理由はそのくらいしか思い付かなかった。
 ついでに近くの本棚から重そうな辞典を数冊取り出し、臨戦態勢を取る。
「えーとなんだっけ……おにいちゃんにもらったもの? 悪いけど、わたしたちは知りません! 探して欲しかったら何かもっとこう……分かりやすくして!」
 一階に落ちていた日記の内容を反芻しつつ、苛立ち紛れにポイポイと辞典を投げつける。
「大体おにいちゃんからのプレゼントってそんなに大事? ブラコンですか!? わたしのお兄ちゃんなんか一人暮らしでいい気なもんだしたまに帰ってきたらわたしのプリン食べちゃうし、プレゼント貰ったことなんかないし!」
 途中から自分の兄への愚痴が混ざり始めたのは、ゆらぎなりの現実逃避だろうか。
「仲良し兄妹なんてフィクションの世界の話じゃないの? 大体お兄ちゃんなんかちっちゃい頃から苛めっ子で……あれ?」
 立て続けに本を投げ捨てていたゆらぎの手が、不意に止まった。

「……違う」
 その手はそのまま、自分のこめかみへと持っていかれる。急に頭痛にでも襲われたかのように、一瞬にして彼女は無防備になった。
「ちっちゃい頃は……お兄ちゃん居なくて……あれは、お姉ちゃんで、一緒に、遊んで? いやでも家にはお兄ちゃんしか……あれ、違う、お兄ちゃんは……くれた……鈴のついた」
 自分の言葉に混乱し始めたゆらぎは、もう目の前の女のことなど目に入っていなかった。

>二階all

3ヶ月前 No.421

狩谷 真希人 @september9☆l2RtaxPLX0X6 ★gXyGHSaxw7_M0e

【狩谷 真希人/屋外→図書館】

 妖しく光る朱い月は、むせ返るような夜闇の底にある二人の人影を黙って見下ろしていた。
 うち一人は、両の眼を失いながらも愛しいひとを探し続ける人ならざるもの。涙のかわりに滴る赤黒い血が、彼女の頬を濡らす。千枚通しを握りしめ、うわ言のように愛しいひとの名前を呼びながら彼女が追い詰めているもうひとりの人影は、未だその体にかろうじて命を宿している、この町に迷い込んだ男――狩谷 真希人だった。
 月舘家から脱した後、負傷していた彼は仲間からもらった丸薬によって回復こそしていたものの、この千枚通しの女に追われ皆で逃げる過程で、行動をともにしていた彼ら彼女らとはぐれてしまったのである。それからというもの彼は、迫る女の攻撃をかわし、時折その手に握っていた懐中電灯で応戦しつつ、未だ状況の解決策を見つけ出せずに居たのである。女の攻撃によって頬や首筋にできた真新しい切り傷から滴る血を拭いながら、真希人はゆっくりと後ずさりをする。もともと体力はあまりない方だ、息はすでに上がりきっており、喉の奥からはひゅうひゅうという細い呼吸音が漏れる。

 女が、探し人の名前を再度叫んだ。
 あたり一面に漂うのは、夜の匂い、血の匂い、女の金切り声。

「…………っもう、勘弁して、よ」

 勢いよく振り下ろされる凶器を避けた瞬間、真希人はバランスを崩し道端に倒れ込んだ。女を見上げる形となった彼は、諦めたような笑みを浮かべてぼそりと独り言ちた。自分の鼓動がひどく大きく、早く聞こえた。暑い。苦しい。古傷に痛みが走る。走馬灯? というやつなのだろうか。昔の事がどんどん思い出されてきた。ああ、もうこれは。

「だめだね」

 乾いた笑いが口から漏れた。みんなは無事なのかな、僕はやっぱり一人なんだ。そう、いつも。
 再び振り下ろされんとしている千枚通しが、月の光をうけて朱く、朱く光った。諦めの表情で、祈るように目を閉じたそのとき、聞き慣れない男の声が聞こえた。有花。たしかめるように、女に応えるように。続けて呼ばれたその名。千枚通しの女の動きが止まる。
 かなた、と呼ばれた男に、ありか、と呼ばれた女。――ああ、そういう事だったのか。
 真希人はぼんやりとしたまま、再会を果たす二人を見ていた。どうやら自分は助かったらしいとどこか他人事のように思いながら、ゆっくりと呼吸を繰り返す。
 すると、刹那、かなたと呼ばれていた男が真希人に気付いた。彼は優しげな笑みを浮かべながら、ある方向をす、と指差す。そのまま何かを促すように首を縦に振ったかと思えば、彼と彼女は幸せそうな笑みを浮かべたまま、夜闇に姿を消した。

「…………あっちに行けばいいって事、なのかな」



 男が指さした方へあたりに警戒しつつも歩みを進めていくと、一際目立つ建物が現れた。暁町立図書館。そう読めた。此処になにかあるということなのか、それとも。
 意を決して、真希人は図書館の扉を開いた。仄暗い闇に目が慣れてくる。そこには、見知った顔がああだこうだと話をしながら探索をしている様子があった。先程まで一人逃げ回っていた真希人は、久々の生きている人間の声にほっと安堵した様子を見せ、もう既に乾きはじめている頬の傷をなぞった。
 なんとなく困ったようなぎこちない笑みを浮かべながら、ゆっくりと館内の一行の方へ歩み寄り、声を掛ける。

「カナタさんが教えてくれた。みんな此処に居たんだね」

 無事でよかった。そう付け加えた。

>館内(一階)おーる 【やっと真希人復帰です……! ご迷惑をおかけしました……! またこれからよろしくお願いします!】

3ヶ月前 No.422

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・螺旋階段→二階 書庫】

七が無事に後ろを着いてくることを確認しながら烈はゆっくりと螺旋階段を上る。大丈夫、上りだから七が落ちる可能性は低い。それに“上りだから”、後ろにいられても大丈夫だ。大丈夫、大丈夫。そう自分に言い聞かせながら、烈は二階の書庫へとたどり着く。

「よしっ、我等も探索と参りましょうぞ!何か見つかると良いでござるな!」

気合いを入れるために七にそう呼び掛けた烈だったが、直後に響き渡った女性の悲鳴によって場の雰囲気は凍りついた。またしても頭上から落ちてきたのは、先程の女性である。何処から落ちてきたのかはわからない。しかし今回は消えることはなく、ずるずると地面を這って此方に近付いてくる。何かを探しているような、返してと懇願する口振りからは、悲痛ささえ感じさせる。烈は七を守るように彼女の前に立ちながら、近付いてくる女性を睨み付ける。

「なっ、何を探しているのか、口に出さねば拙者にはわからぬぞ!気持ちの伝達とはそういうものにござる!先程の若人を見習えこの馬鹿!」

ちょっと怖くて震えているのを誤魔化すかのように烈にしては珍しい悪態が出てしまった。お前が言うな、と烈の成績を知っている人間が此処にいたら突っ込まれてしまいそうだが、幸い此処にはいないはずだ。いたらそれはそれで怖い。もし女性が探しているのが烈の持っている刺叉だったなら躊躇いなく手渡そう。

「ゆらぎ殿、ゆらぎ殿!此処は図書館にござる!あなたの兄上も、拙者の兄上も、誰の兄上も今此処には居らぬのでござるよ!」

気丈にも女性に立ち向かっていたゆらぎだったが、何かを考え込むようにこめかみを押さえながら固まってしまった。そんな彼女の異変を感じ取った烈は刺叉を女性に構えながらゆらぎへと叫ぶ。嗚呼そうだ、此処には自分たちしかいない。烈にとって兄というのは、頼れて、優しくて、かけがえのない家族だ。彼らがいてくれたら、もう少し冷静でいられたかもしれない。しかし家族は此処にはいない。だから自分に出来るのは、現実を伝えることだけである。

>>二階all様

3ヶ月前 No.423

特殊レス @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 特殊レス(+七) / 曉町立図書館 二階書庫 】


 七に伸ばされた腕はそれを阻むように立ち塞がるゆらぎが投げつける辞書によって七に届くことはなかった。ゆらぎ、そして烈の背後に隠された七はその両腕にぎゅ、と強く竹箒を抱き締めふるふると首を横に振る。

「これは、わたしの、です、わたしのたいせつなもの、わたしの――!」

 わたしのたいせつな、そう繰り返す女の声と七の声が重なる。刺又を構える烈を見つめながら女は壊れたカセットテープの如く何度も何度もわたしのたいせつなもの≠ニ繰り返す、ただそれだけを。


 ゆらぎから投げつけられる辞書によって行動ができなかった女だったが、ゆらぎから投げつけられる辞書がぴたり、と止まる。それは異変、様子が変わりぶつぶつと呟くゆらぎの混乱した様子に烈が声を掛ける。ゆらぎの手から辞書が投げられれことはなくなったことにより女はずるり、と音を立てながら動き出す――――筈だった。

『――――おにいちゃんがくれたの、たいせつな……』


 ――――だがしかし、その場にもう女の姿はなくなっていた。


>> ゆらぎちゃん、烈ちゃん、安玖くん、七

3ヶ月前 No.424

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★jiRmsIi9Iw_xKY

【逢澤安玖/二階書庫】

 机の上に鎮座していた日記に手を伸ばした安玖は、背後から飛んできた悲鳴に体を跳ねさせた。反対側に回るのを横着して身を乗り出し取ろうとしていたのと流石に油断していたのもあって、強かに机の脚へと膝を打ち付け喉の奥で唸る。学校でたまにやる椅子の背凭れへの肘鉄ばりにジンジンとしびれて痛いが、のたうち回っている暇はなかった。
 慌てて振り返れば、着物姿の女性が床でのたうち回り、それに対し七ちゃんを庇うようにしている御子柴さんが「飛び降り流行ってんの!?」などと叫びながら見るからに鈍器な辞典を振りかぶっていた。何か思わぬところから過去の自分へアッパーを喰らった気もするが、今はそれどころではない。ついで叫ばれた「もっと分かりやすくして!」とか槍ヶ岳さんによる「口に出せ」に関しては同意だけど。気持ちはかなり分かる。が、それどころでもないというかそういう問題ではない。

「い、いや、ストップ。流石にストップ。ちょっと待とうか御子柴さ、」

 刺叉とか鉄パイプとか箒なら兎も角、鈍器辞典(語弊)は跳弾するし普通に危ない。現に彼女たちから見て女の向こう側に居る安玖もちょくちょく被弾していた。御子柴さんは御子柴さんで基本的に投げる物が危ないし、槍ヶ岳さんは槍ヶ岳さんで怪異に蹴り込むし、ちょっと怪異に鉢合わせた時は上手く立ち回らないとこっちの身も危ない気がする。
 安玖が何かをする前――正しくはする余地も隙も無かったのだが――に何だか物理的に除霊されたらしい女を心なしか同情的な視線で見送る。分かりやすく言えとか言いつつ聞く気なかったね。

「……何が大切な物だったのか、忘れてるのかもねえ。こんな場所だし」

 溜息を吐きながら現在の予想を口にする。そして女性陣へ歩み寄ると御子柴さんのこめかみを抑える手首を緩く掴み、無理やり目を合わせる様に覗き込んだ。乱暴な方法ではあるが、なるたけ淡々とした口調で言葉を紡ぐ。

「御子柴さん、御子柴ゆらぎさん。ちょっと落ち着こうか。槍ヶ岳さんも、七ちゃんも、ゆっくりで良いから力が抜けるように深呼吸して」

「下の人達もだけど、三人も少し気を張り過ぎ。抱えてること洗いざらい話せとは言わないし、俺も君達どころか龍矢達にだって言える事なんて限られてるからそれは別に良いけど。でも、それは過去や出来事の話。感情はまた別だよ」

「限界なら限界だって言えば良い。まだ今は少なくとも安全だから休めばいいし、関係ない事でも俺や周りに聞いてほしい事があれば言えばいい。俺は今から日記を読むけど、三人はどうする? 読みながらで良いなら話し相手になるけど、今の三人の感情的に必要?」

 三人の顔を順番に見やり、そう問いかけた。

>>御子柴さん、槍ヶ岳さん、七ちゃん

3ヶ月前 No.425

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階書庫】

 この箒はわたしのたいせつなもの――
 そう答えた七にゆらぎは安堵しつつも、その声が何処か目の前の落下物女に重なって聞こえることには安心しきれない部分があった。
 それすらも直ぐに、彼女の意識の外に追いやられてしまったのだが。
 近くで刺叉を振りかぶる烈が必死に呼び掛ける声も、何処か遠い。
 此処は図書館、此処には誰の兄もいない……兄は、居ない。じゃあ彼は? 大学進学と同時に家を出た、御子柴氷純という人間は? 今でもたまに家に帰って来るのに、兄と呼べば面倒臭そうに答えてくれるのに。小学校の頃からよくおやつのことで喧嘩していたのに……でも、その前は?
 ぐるぐると忙しなく動いていたゆらぎの瞳が、虚空を見詰めたまま止まる。
「お兄ちゃんは……居なかった」
 ぽつり、呟く。

 刹那、誰かに手を掴まれる感覚にゆらぎが我に帰ると、目の前に安玖の顔があった。落下物女もいつの間にか消えている。
 は、ちょっと待って近い近い。わたしには地元に心に決めた人が……居ませんけどでも近い!
「あ、安玖くん……ごめん」
 別の方向にショートしそうになった思考回路を無理矢理繋げ、安玖の言わんとしていることを飲み込む。ゆらぎだけではなく後ろの烈や七を心配する彼の言葉通り一つ深呼吸すれば、安心してとばかりに――何処か諦めたように微笑んだ。
「わたしは大丈夫だよ、ありがとう。吐き出そうにも吐き出せるものがないんだ、わたしは覚えてないから……分からないのは確かにちょっと怖いけど、そこも含めて御子柴ゆらぎだって思ってるから」
 それすらも、自身の感情である保証はないけれど。
「探索は早めに再開した方が良いかも。多分あの人、また降ってくるよ。おにいちゃんにもらったたいせつなものを探して……目見えてたみたいだし、なっちゃんが持ってるものと似てるのかも?」

>二階all

【安玖くんがイケメン……烈ちゃんもありがとうございました。】

3ヶ月前 No.426

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 二階書庫 】


 白い着物の女は忽然とその姿を消した。
 まるであれが夢だったかのように。

 安玖の言葉に七もひっそりと深呼吸をする。深く息を吸って、吐いて、握りしめていた竹箒をそっと抱きしめて。ゆらぎはどうやら正気を取り戻したようで、七は会話に耳を傾けつつも唇を開く。

「あの……とりあえず、わたしも、えっと……がんばって、さがします」

 深く会話には入らない、七はただ一言、自分に出来ることを、と足を踏み出す。今はやるべきことを、そう呟きながら二階書庫へと進んでいく。




「――――何かないでしょうか……」


 ずるずり、ずるずる、と音が響く。それはまるでさきほどの女のようだったが、音の主は違うようで、ずるり、ずるり、と机周辺を這い回っている長い白髪の髪の少女――例の如く、七である。ぺたりぺたり、と床を四つん這いで歩く姿は毎度恒例で、あちこちの床をぺたぺたと触りながら探索を続けるがあまり結果は期待できなさそうで、それでも本人は一生懸命である。

「――――?」

 ごそごそと床を張っていた七が、5番の机の下から出てきたその時だった。何かの音が鼓膜を震わせる。なんだろうか、そう思いながら首を傾け顔をあげる。ちりん、と淡い鈴の音を鳴らしながら。


『――――ワタシノ、カエシテ?』

 今度は、悲鳴は聞こえなかった。どさり、という音とともに七の目の前に落ちてきた白い着物の女性。その両腕が七へと伸びる、細い首に伸びた腕はそのまま七を掴みゆらり、と立ち上がる。

「ぁ……っ……」

 ぎりぎり、と強い力が七の首を締め上げ唇から声にならない息の音が漏れる。立ち上がった白い着物の女性は、虚ろな瞳を七へと向ける、カエシテ、カエシテ、と繰り返しながら。

 女のその首はぽっきりと九十度折れていた。長い黒髪を一つに結い、長い前髪の隙間から鋭い目つきで七を睨む。唇から零れるのは、ただ同じ言葉の羅列。

『……おにいちゃんからもらったの、私のだいじなものなの、返して』


>> ゆらぎちゃん、烈ちゃん、安玖くん、七


(終わったーと見せかけてまたまた特殊レス投下です!!)

3ヶ月前 No.427

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★iPhone=hWq7OA3GzI

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 無事探し人を見つけ消えていったカナタという男を見届けたあと、式島は一階に残った安仁屋と編集者――そう鑓ヶ岳は言っていた――ともう二人の青年と対峙した。全員これまでの恐怖体験に対して何かと思うことがあるようで、それぞれ物思いにふけっている。特に首を突っ込む必要はないと判断した式島は、そのまま黙って彼らを見守った。また煙草を一本取り出し、そっと火をつける。特に安仁屋は兄がどうだとか呟いていた。もしかしたら境遇こそ違うが、式島と安仁屋は同じ立場なのかもしれない。

「オカルト情報を掲載している掲示板があるのか」

 三人が口を揃えて言うインターネットの情報に目を見開く。どうして彼らがこんな閉鎖的な町を嗅ぎ当てることができたのか常々不思議に思っていたが、なるほど、そういうことなら納得がいく。これ以上民間人を巻き込まないためにも、署に戻ったらその掲示板の削除依頼を出そう、と式島は小さく心に誓った。最近のインターネットは本当に油断ならない。

「……ああ。先程も言ったように、暁町(ここ)は十二年前まで町としての機能をちゃんと果たしていた。俺は余所者だからよく知らないが、妻がこの町出身だったんだ」

 ふう、と白い煙を上空に撒き散らしたあと、茶髪の青年の問いに対して答える。

「だが決して良い町とは言えなかった。歴史ある古い町だが、だからこそ古いしきたりに縛られた頭の固い町だった。……先程鑓ヶ岳くんが言っていたことはある意味正しいのかもしれない。俺たちはこの町に伝わる儀式から逃れるためにこの町から離れたんだ」

 そこまで言って、図書館の入り口のほうからまた新たな青年が入ってくるのに気が付いた。一瞬また人ならざる者が現れたのかと思ったが、どうやら違うらしい。いや、実はそうなのかもしれないが、いちいち確認するのも億劫になっていたのが正直なところだった。

「君も肝試しに来た連中の仲間かい? ほとんどが二階か受付テーブルの奥を調べているようだけど」

 黒髪の青年に話しかける。そう聞く式島は相変わらず大量の本棚の前で本を抜いては戻す作業を繰り返していた。


>一階周辺おーる

3ヶ月前 No.428

都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 都城京 / 曉町立図書館 一階書庫 】


 床や本棚に視線を彷徨わせつつも周りの会話に耳を傾ける、とはいえ気になる質問は周りがしてくれているし、と自分は発言を控え探索に専念しているようだった。ふと、その時だ。扉が開くような音に目を瞬かせる、もしかしたらはぐれてしまった他の人かも、そう思いながら玄関ホールの方を振り向いた都城は目をまんまるにし、そして唇を開いた。

「狩谷さん!? うわっ、えっ、生きとった……! いや生きとったは失礼やね、でもほんまよかったぁ……えっ、めっちゃ怪我してはるやないですか…! 私丸薬持ってへんのよねぇ……」

 ちょっと八岳さん丸薬持ってへんかったっけ、そう問いかけつつも安堵したように笑みを浮かべる。はぐれていた仲間が帰ってきたのは本当に嬉しいことだった、だからこそ、少し気が緩んだ。

 二階から聞こえてきた悲鳴、そして叫び声、騒ぎ声。どうやら二階の面々は何かと遭遇してしまったようだ。

「二階の子ら、大丈夫やろか……」

 足を踏み出そうとしたが、騒ぎはすぐに収まったようだ。不安そうな表情を浮かべつつもとりあえず目の前の受付テーブルには視線を向ける。テーブルの上には何もなさそうだった。だがしかし横から受付内に入れるようだしそちらには何かあるかも、そう思いつつも式島の言葉に脳をよぎるのは幾度となく見て、聞いてきた、朱月という言葉。これも、彼の言うところの町の何かに関わりがあるのだろうか。

>> 一階ALL

3ヶ月前 No.429

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・二階 書庫】

動きを止めたゆらぎによって辞書の攻撃がなくなったものだから、烈は女が此方に動き出すと思ってぎゅっと刺又を握りしめた━━━━が、女はそんな烈の予想に反して忽然と姿を消してしまった。本当に、何を伝えたかったのだろうか。その場の勢いで馬鹿、なんて罵ってしまった烈だったが、冷静になって考えてみてもあの女の伝えたいことはいまいちわからないままだった。少なくともわかるのは、あの女が探しているのは彼女の兄がくれたという何か。それがわかれば、あのいちいち飛び降りてくる女にも対処することが出来るのだろう。だがその鍵が見つからなくてはどうにもならない。

「箒に、似ているもの……でござるか。ならば本棚よりも用具入れのような場所を探すのが良いかもしれませぬな。何でござろう、モップ……?それともブラシ……?昔見た映画では箒の代わりにデッキブラシを使って空を飛ぶ魔女もおりましたからな」

安玖によって正気を取り戻したらしいゆらぎの言葉に、烈は彼女なりに思考を広げる。言葉にしてみると間抜けさが満載だったが烈としては本気なのだ。ちなみに烈は幼い頃からジブリ映画が大好きである。そこら辺は察していただきたい。

「ゆらぎ殿、先程は大声を上げてしまい申し訳ござりませぬ。誰だってこんな状況に置かれたら不安になるものでござるよ。逢澤殿もかたじけない。……しかし、拙者は見ての通り元気であります故。心配には及びませぬよ。お気持ちだけ、ありがたく受け取っておきまする」

ゆらぎに謝罪の言葉を述べてから、烈は安玖に向けてにかっといつもの快活な笑顔を見せる。そうだ、自分は大丈夫だ。今更どうこう言っていられるものか。過ぎたことは忘れるしかないというのに、くよくよしていたって仕方がない。自分なんて他の人に比べたら、十分過ぎるくらいに幸せな生活を送ってきたのだから。さあ、書庫の探索を始めよう。そう烈が思った瞬間であった。

「っ、七殿……!」

今度は音もなく、突然に現れた先程の女が、カエシテ、カエシテと繰り返しながら烈の首をギリギリと締め上げていた。烈は直ぐ様女のもとまで走る、走る、走る。刺又を放り捨てて、七の華奢な首を締め上げる女の腕を己が両腕で掴んでなんとか引き剥がそうとする。

「だからその大事なものは、返して欲しいものは何かと聞いておるのだ!主語を明確にせぬからお前の大事なものは見つからぬままなのであろう!?欲しいものがあるならちゃんとそれを口に出せ!幼子でもサンタさんに欲しいものくらいは言えるわ!力に訴えるなど言語道断、あってはならぬ所業なるぞ!」

あまりのことに痺れを切らしたのか、烈はいつになく酷く憤慨していた。自分の両腕にあらんかぎりの力を込めて、「は、な、れ、ろぉぉぉぉぉ!!」と叫びながら女の腕を引っ張る。このままうまく外れて取っ組み合いになればまだ勝機はある。一刻も早く七からこの女を離さねば、と烈は必死だった。

>>二階all様

【色々確定ロル使っちゃってますごめんなさい……!もしこれは駄目なのでは、という点がありましたら修正します……!】

3ヶ月前 No.430

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

受付カウンターの上には特に不審なものは見当たらない。そんなに図書館に足繁く通う子供時代を過ごして来なかったけれど、本の匂いや紙の匂い木の匂いは不思議と人を懐かしい気持ちにさせる。
配下待ちの本や、内職みたいに切っているラベル、暁町立図書館と書かれた判子、スタンプ台。延滞者のリストに、読み聞かせ会のポスターの裏紙。……これといってヒントになりそうなものは何も無い。
続いてカウンターの内側に回り、上が駄目なら下から、と窮屈に屈み込んで覗く。その姿勢のまま引き出しを物色していると、警察のお兄さんが煙草の煙を燻らせながら問いかけに答えてくれた。俺は机の上に顔を出す。

「……そうですか、奥さんが……」

この町の出身者、という響きには未だに何となく妙な違和感を覚えてしまう。そりゃあ住民が居たんだからこの町出身の人がいたってなんらおかしくないんだけど、多分つい今の今まで暁町のことを遠い昔話の舞台みたいに思っていたせいだろう。「アタシの元カレ、鬼ヶ島の出身なのー」って言われた時みたいな感じ? 鬼ヶ島だって一応実在する。そんなしょうもないことをつらつらと考えて居た時、相手の視線に気付いてそういえば名乗ってすらいなかったことを思い出した。

「あ……すみません、俺、八岳っていいます。八岳龍矢」

上から読んでも下から読んでも、などという、もしや偽名なんじゃないかという不信感を誘いそうな余分な情報は当然追加せず、俺はすぐにこの町に関する話題に戻った。机の上に顔だけ出していた俺は、立ち上がって体を伸ばす。警察官の話す内容に疑問が募って、机の上に両手をついたまま、無意識に前のめりになる。
儀式……なんだかいよいよ胡散くせぇ。なんて言っては、あらゆる学術分野から叩かれそうだから言わないけど。

「もしかして、朱月≠チてやつが来ないようにする儀式ですか?……一体なんなんですか、朱月って」

この町を探索し始めてから何度となく出てきた言葉だ。儀式の準備、儀式の失敗、朱月が来る……もしかして儀式ってよく怖そうな番組で見かける生贄燃やす系のアレとか、教祖を中心に集団で麻薬を飲むアレなのか……? まさかな、この現代の文明社会においてそれは有り得ない、そんな非合理的なおまじない、やっちゃ駄目だ……。七ちゃんが着ているような巫女服の女性が神楽鈴を持って踊る映像が、頭に浮かんだ。チリンと、さっき階段の下で腕を引いた時の、七ちゃんの立てた音が聞こえた気がした。
ーー『何、この辺の女の子達はーーーー流行ってるの?』
誰かの声が、違うな、なんだ自分の声じゃないか。さっき月舘家で鷸先輩達としていた会話を、なんで今そんなこと思い出したんだっけ? ああ、そうそう、そうだ、儀式……。……新興宗教関連の事件は少なくないと聞くけれど、この町で起きた事件も結局そこに行き着くんだろうか。命懸けで逃げ出さなくちゃいけないような儀式ってなんなんだ、逃げようとしたら死ななくちゃいけない儀式って一体なんなんだ。そうまでして守らなくちゃいけないしきたりって、一体。全っ然理解できないんだけど……。

整然としない思考を遮ったのは、ガラス扉をくぐり現れた狩谷さんと、驚く都城さんの声だった。

「狩谷さん……!」

はぐれたままになっていた、なんとか猫さんこと狩谷さんとの再会に、つられて目を丸くするも束の間、都城さんに「丸薬持ってへんかったっけ」と聞かれ慌ててガサゴソとカバンを探る。あった。瓶の中に、まだ三粒ほど残った丸薬がカラコロと音を立てる。

「よかったら使ってください……」
受付カウンターの机から出ると、丸薬の瓶を片手に駆け寄る。途中不穏な悲鳴が頭上から聴こえて足を止めるが、すぐにまた歩き出して狩谷さんに瓶を差し出した。二階は再び静かになっている。

「……今の声……?」

>一階all様

3ヶ月前 No.431

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

「おまわりさんってこの町の人じゃなかったんスね。それにしても儀式かあ……」

 図書館に向かう途中に見せて貰った【人形師の手記 一】にも同じ言葉があるのに気が付いたようだ。

「そういえば、人形師の手記にも、儀式がどうとか書いてあるのを見たことがあるっス……最後の文言には『朱月』の言葉もあったような気がしたんスが、やっぱりこの町とあの赤い月は、何か切っても切れないような関係でもあるのかな……」

 本棚の本を一冊ずつ手に取り、内容を吟味しながら、横目で柊平の様子を伺っていたが、最初に彼を見た時の違和感が今になってまたぶり返してきた。
 その時は何か探し物をしているのかと思った。聞けば十年前に暁町で起きた失踪事件に関する資料を探しているとのこと。更に言葉を交わしていく内に、どうやらその事件に関わったとされる人間を探すために、この町を訪れたらしいことが分かった。
 だからそれで一度は納得し掛けた。しかし何故だろうか──傍から見ればそれほど執心しているようには見えないのだ。
 柊平は尚も、本棚から本を抜いてはそのまま戻す作業を繰り返していた。

「もしかしたら、お巡りさんが探しているものはもう、ここにはないのかも……」

 先程の人形師の手記で思い出したが、実は右叉兎もこの図書館で同じような手記を見つけていたのだ。それを柊平の前に差し出す。【紅色表紙の日記 一】である。

「これ、玄関ホールの落し物箱にあったものです。もしかしたらお巡りさんが探しているものって、これのことなんじゃないスか? だって、お巡りさん、さっきから本の内容も碌に確かめずに、別の何かを探しているみたいだったので。きっと本に書かれてあることは重要なんじゃなくて、それ以外に何か特徴のあるものを探していたんだと思います」

 そう言い切ったところで、ふと別の可能性に思い当たる。
 表紙が紅色の日記を探しているのなら、わざわざ手に取るまでもなく目視するだけで十分のはずだ。そうすれば背表紙だけを確認すれば事足りる。しかし、柊平はそうしなかった。

「いや、多分、違うな……なら、本の間に挟まったもの? 例えば栞とか……さっき机の下で見つけた手紙のような薄くて軽いものならあるいは……けど、これはあまり事件には関係がなさそうだしなあ……」

 そう呟きつつ、机Bの下で拾った手紙【破られた手紙 一】を試しに、柊平に見せてみる右叉兎であった。

>> 式島柊平様、周辺all様


【何時出すか、ずっとタイミングを伺っておりました。いろいろと雑で済みません】

3ヶ月前 No.432

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★jiRmsIi9Iw_xKY

【逢澤安玖/二階書庫⇒螺旋階段】

 ――何故しきりに七ちゃんばかりを狙うのだろう。
 安玖は女を引きはがすのを手伝いながら、必死に考えを巡らせていた。何故、僕でもなく御子柴さんでもなく鑓ヶ岳さんでもなく、七ちゃんを? 仮に二度目が七ちゃんが自分達から離れたからだとしたら、一度目は同じく輪から離れていた自分が狙われていた筈。女性だから、なら自分は兎も角として固まって一緒に居た他の女性陣を狙わないのはおかしい。
 ――つまり、他の三人には無くて、七ちゃんにだけある何か……。
 女性陣三人を見回す。女は何度も“お兄ちゃんに貰った”と言っていた。兄が妹にあげるとしたら、何だろうか。サークルや大学、高校時代の妹を持つ友人たちの会話を思い起こす。例えば服……確かに七ちゃんだけが和装だけど、もし仮にそうだとして他人の服を奪って着てるってどんなだ。そもそもどっかの家に忘れてきたみたいな話もあっただろ。服を他人の家に忘れるとか頓智気だ。例えば化粧品……七ちゃんは見るからに化粧っ気がない。例えば……。

 ちりん、と何かの音が耳に滑り込む。顔をあげ、音がした方を見れば七ちゃんの髪に揺れる二対のそれが目に入る。

「……鈴?」

 可憐な音を響かせる鈴に目を瞬かせ、あっ、と声をあげる。
 例えば、髪飾りなどのアクセサリー。この場に居る四人は何かしらを髪に付けている(ないし付けていた)が、いずれも音が出るような物では無かった。アクセサリーならば自分も付けているが、強いて言えば石と石がぶつかるカチャカチャという音が微かになる程度で、鈴なんてものは付いていないしこの時代の人が付けそうな物ではない。
 それにこの人に関連がありそうな日記には鈴が描かれていた。兄に貰って燥ぐという意味でも間違いはないだろうし、何より鈴の付いた箒みたいなアクセサリー類であれば安玖には覚えがあった。

「七ちゃん、ちょっと頑張って。筋肉の動きが俺達と同じなら、手首の内側を押したら筋肉が勝手に開くから」

 そう言い残し、弾かれる様に走り出す。目指す先は一階だが、下まで降りている余裕はない。


「鷸さん!!」

 転がるようにして螺旋階段を途中まで下り、手すりから身を乗り出して下を覗く。目的の人物を探している暇なんて無い。

「確か簪もってたよね!? 鈴の付いたヤツ! アレ貸して!!」

 一階の面々が反応するよりも先、安玖はそう捲し立てた。

>>七ちゃん、(槍ヶ岳さん、御子柴さん)、一階ALL

3ヶ月前 No.433

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階書庫】

「ううん大丈夫。気にしてないよ〜、心配してくれてありがとう。でも烈ちゃん……多分、掃除道具じゃないと思う……」
 烈の提案に自分の問い掛けを棚に上げたゆらぎが答える。
 いやしかし、七も竹箒を宝物のように抱えているし、曉町ではそれらは重大な意味を持つものなのだろうか……そんな馬鹿な。そうでなくとも、妹に掃除道具をプレゼントする兄なんてただの嫌がらせだ。
「あ、なっちゃんそこの机はもう探し……」
 そしていつの間にか地面に這いつくばっていた七にも声を掛ける。彼女がいたのは先程ゆらぎが見たのと同じ机だったから制止しようとした……けれどその言葉が届くより先に、七の動きは止められていた。

 再び現れた、落下物女の手によって。

「なっちゃん!」
 烈が女を引き剥がしにかかり、何かを思い付いたらしい安玖も叫んで走り出す。ゆらぎも取り敢えず七の後ろに回り込み、宙ぶらりんのその体を支えた。
「ちょっと落ち着きなさい! あなたのおにいちゃんがくれたものなんて、なっちゃんは持ってないから! 自分の大切なものも覚えてない訳!? よく見てよ違うでしょ?」
 烈の実力行使とは別に、無駄かも知れないが一応説得も試みる。

>二階all

3ヶ月前 No.434

特殊レス @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 特殊レス(+七) / 曉町立図書館 二階書庫 】


 意識が遠ざかる中、声が聞こえたような気がした。


 ――――これをあげよう、きっとおまえに良く似合う。


 優しい声、あたたかい声、胸がぽう、とあたたかくなる。微睡みのようなそんな優しい時間。ちりん、と淡い鈴の音が遠くに聞こえるように七は眠りに落ちてしまいそうなそんな感覚に襲われる。

「――――だめ、!」

 だがしかし、鼓膜を震わせる烈と安玖の声に遠ざかっていた意識が引き戻される。右手に握る竹箒を落とさないようにぎゅう、と握りしめながらもがくように足をばたつかせる、安玖の言葉に左手を動かそうとするが、その前に烈とゆらぎのおかげが女の力が弱まり七はそのまま地面に倒れこんだ。


『わたし、の……わたしのかんざし…………おにいちゃんにもらった、たいせつな、たいせつな――――』

 まるで、泣いているかのような、そんな悲しい声音で女は繰り返す。そしてそのまままた霧のように消えていく。女の悲痛な声が消えたその場に残ったのは、けほけほと噎せる七の声だけ。

>> ゆらぎちゃん、烈ちゃん、安玖くん、周辺ALL


(みなさんありがとうございます! そして安玖くんおおあたり〜〜! また女は消えてしまいました!)

3ヶ月前 No.435

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・二階 書庫】

力にはそれなりに自信のある烈でも引き剥がすことに苦戦する程、七を締め上げる女の勢いは凄まじいものだった。しかしそれでも多勢に無勢、七の意識が飛んでしまう前に女の力は弱まり、七は床に投げ出される形となったが女から解放された。此処で押さえよう、と腕を動かそうとした烈だったが、そうする前にまたしても女は霧のように消えてしまう。いきなりのことに「わわっ!」とバランスを崩しかけたが、其処は元運動部の意地で転倒を防いだ。

「ふぅ……危機一髪にござりましたな。ゆらぎ殿、助太刀かたじけない。七殿、ご無事にござるか?痛いところがあるならば遠慮なく申し出よ、此方には丸薬があります故」

けほけほと咳き込んでいる七のもとへと駆け寄ると、烈はひとまず七の呼吸がしっかりとしていることを確認する。咳き込めるならしばらくすれば呼吸ももとに戻るだろう。しかしあれだけの力で締め上げられていたのだ、首を痛めていても可笑しくはない。そのため烈は頼まれた時のためにと丸薬の小瓶を取り出しやすいリュックサックのポケットに移動しておいた。

「それにしても、素晴らしい推理でしたな逢澤殿!簪は盲点でござった!まるで兄上が見ていた外国の探偵ドラマの主人公でござる!」

そして螺旋階段の方に移動した安玖に、烈は素直に感心したのであろう、この場には似つかわしくない明るい声音でそう呼び掛けた。空気読めとか言われてもこれは反論出来ない。逢澤殿が探偵なら助手は八岳殿でござるな、なんて烈はぼんやり考えそうになったが、いかんいかんと気を取り直す。

「とにもかくにも、でござる!我等は此処の探索をせねば!……そういえば、七殿のところは何か見つかり申しましたか?たしか、こう……机の下に……」

先程まで七が四つん這いになって何かを探そうとしていたことを思い出して、「拙者は机の下を見まする!」とこれまで七がしていたそのままの姿勢、つまりは四つん這いで宣言する。形振りなんて構わずに、烈は先程七が探していた5番の机の下を、ごそごそと辺りに何かないものかと手探りで探し始めた。

>>二階all様

3ヶ月前 No.436

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 編集者が上を見上げたのにつられて式島も二階の様子を伺う。耳をすませば複数の女性の甲高い悲鳴が微かに聞こえてきて、どうやらまた人ならざる者と仲良しこよしをしているらしい。十二年前、式島が最後に訪れた時はあんなにも余所者を受け付けない町だったのに、今では得体の知れない輩の巣窟と化している。式島は未だその違和感が拭えずにいた。なぜ暁町は――人ならざる者とはいえ――余所者たちを受け入れているのだろう。今まで立ちはだかってきた数々の亡者たちが一体どこのどいつで、なぜ暁町に受け入れられることができたのかなんて式島が分かるはずもなかった。否、考えもしなかった。式島の目的は彼らとは別のところにあって、こんな非現実的な怪奇現象に構っている暇などなかった。

 茶髪の青年が名乗ってきたのに対し、自分も「……式島だ」と小さく返す。彼の半信半疑な様子を見るかぎり、どうやら彼も暁町の伝承とやらにあまり納得していないのだろう。何かを思い悩んでいる様子だった。無理もない、と式島は内心同調する。自分も翔子と出会うまでは何もかもが御伽草子のように感じていた。
 しかし話自体に興味はあるようで、八岳は式島に質問を続けた。

「さあ、俺も妻から聞いた程度だからよく知らないが……少なくともあのおどろおどろしい月を見て喜ぶ人はいないだろうな」
 図書館の窓に浮かぶ朱月を見ながら式島は答える。今宵も真っ赤に町を染め上げていた。
「八岳くんと安仁屋くんの言う通り、俺もあの朱い月が儀式と関係している可能性は高いと思うよ。見ての通り、こんな時代遅れな町だ。何を考えていてもおかしくはない」

 そう言って再び本棚で作業を繰り返そうとしたとき。安仁屋が小さな紙切れをこちらに見せてきた。その前に何か違う本も差し出してきたような気がしたが、そんなことは対して重要ではない。大事なのはなぜ、彼が、妻の手紙を、持っているのかということだけだ。

「……それ、どこで見つけたんだ?」

 今までの作り笑顔が消え、真顔に戻る。次の瞬間、式島は手紙を持つ安仁屋の手首を強く握りしめた。思わず力んでしまうのをどうにか抑えようと、ふう、ふう、と深く呼吸を繰り返す。今までずっと血眼になって探していた命よりも大切なものが、いつの間にか他者へ渡っていたのだ。絶対に見られるわけにはいかなかったのに。絶対に自分が探し出さなければならなかったのに。


>周辺おーる
【手荒な扱い申し訳ありません、振り解いてもらってかまいませんので!】

3ヶ月前 No.437

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

受付カウンターの中から出てきた俺は、縄をずるずると引きずっていた。何だろうな、これは。いや、まあ見ての通りなんだろうけど、何でこんなものが受付の引き出しなんかに……。月舘家の納屋で武器になりそうなものを探したとき、俺が選んだのはロープだったけど、そしてそれは逢澤先輩のお母さんの霊と戦った時に役にはだったけど、二本も要らねえしなぁ。まあいいか。

図書館に着いたばかりの狩谷さんを迎えながら、式島と名乗った警察官のお兄さんを振り返る。

「警……式島さんも見ました? あの不気味な月……やっぱりあれが朱月かな……ってことは、俺たちが此処に来ている今≠ェ丁度その皆に恐れられてる恐怖の朱月っ!?」

朱月なう!? 嬉しくねぇぇぇ……いやそれヤバイって、うっわぁ、もうなんでそんなタイミング悪く来ちゃうかなぁ!?
……俺は今は室内だから見えない月を天井方向に立てた指で示し、それから一人で不吉な妄想に頭を抱えた。
先輩達も、なんでよりによってそんな日に連れてくるんだよ……! と身の上を恨みながらガクガクブルブルと震えていると、螺旋階段の上から件の先輩の一人が姿を現した。
……逢澤先輩? 二階で何かあったんだろうか。鷸先輩を呼んでいる。

「簪がどうかしたんですか? 鷸先輩ならそういえばまだーー見ていませんね……?」

俺は図書館玄関ホールのほうに目をやり、その姿を探す。

「……って、式島さん? 安仁屋さん?」

その視界の途中にいた式島さんの顔から笑みが消えていた。安仁屋さんが差し出したメモのようなものに明らかに血相を変え、怒ったように顔を強張らせている。
何が、あったんだ? そのメモが一体……?

「ちょっと……」
こんな時に仲間割れは困る。とりあえず鷸先輩のことは逢澤先輩に任せるとして、だけど狼狽えながら俺は右往左往するばかり。安仁屋さんの腕を掴む式島さんと、掴まれている安仁屋さんとを交互に見比べる事しかできないでいる。

>一階all様

3ヶ月前 No.438

特殊レス @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 特殊レス / 曉町立図書館 二階書庫 】


 烈が七のように地面を這い、七もまた辺りをくるくると見渡す。とはいえ視界は真っ暗。腕を伸ばし本棚に並べられた背表紙を撫でてはみるが全く意味のない行動である。


 ――――わたしのかんざし、

 ――――だいじな、だいじな、わたしの。


『きゃああぁああぁあ!!』

 劈くような悲鳴。その声に続きどさり、と何かが落ちるような音。空から落ちてきたのはやはりあの白い着物の女だった。折れた右足を引きずりながら、あり得ない方向を向いた左腕を伸ばしながら、這いずるように七へ向かう。七の髪を飾る、鈴を求めて。


 女の両の眼には明らかに殺意と敵意が籠っていた。次は、きっと女は逃げない。そして誰も、逃げられない。


>> 二階ALL


(二階イベント最終です! とはいえ26日が終わることには終わってしまう短いイベントですが…)

3ヶ月前 No.439

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階書庫】

 何とか女から七を引き剥がし、ほっと一息を吐いたのも一瞬。二階の探索は、そう簡単に再開させては貰えなかった。
 劈く悲鳴と、重たい物が落ちる鈍い音。聞き慣れたくはないが、正直もう聞き飽きた。

「あぁ、もう! 何回落ちてくんの? 何処から墜ちてくんの? 鴨居? 天井? 欄間?」
 最早悪態ですらない疑問符だらけの言葉を叫びながら、ゆらぎは女に走り寄る。今度は本を取り出している時間さえなく、結局彼女は、鞄から取り出したカッターナイフを構えた。

「おにいちゃんに貰ったのは簪なんでしょ簪! なっちゃんのはリボン! あなた自分で言ったじゃない! 月舘家に忘れてきたんでしょ? それっぽいのあったらしいから! こんなとこでウダウダしてないであっちに行きなさい! 大体自分があげたもののせいで妹が他人様に襲い掛かってたらおにいちゃんも困るでしょ、あなたのおにいちゃんにはそういう優しい人でしょ!?」

 彼女は何度言っても何を言っても執拗に七を狙う。これで聞き入れて貰えなければ、一息にカッターを振り下ろすしかない。

>二階all

3ヶ月前 No.440

都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 都城京 / 曉町立図書館 一階書庫→螺旋階段 】


 式島の言葉を聞きながら受付テーブル周りをぐるぐると見回っていた都城だが螺旋階段から覗き込んだ安玖の慌てたような言葉に目を瞬かせる。側にいた八岳がきょろきょろと辺りを見回すがそういえば確かに楓華の姿が見えなかった。そして早乙女の姿も。

「……ほんま、鷸さん何処行きはったんやろ……かんざし……?」

 安玖の言う簪という言葉に首を捻る。鈴の付いた簪、鈴の付いた簪。すずのついた、かんざし?

「あっ」

 小さく唇から零れた言葉。それはかなり間抜けな声であったが目は丸くぱちぱちと瞬きを繰り出す。そしてポケットをごそごそと漁りそしてそれ≠取り出した。

「えっと、よく分からんけどもしかして、さがしものって、これ……?」

 いつだったか、楓華から預かっていた鈴の付いた簪を取り出しそして駆け出す。そして螺旋階段を駆け上がれば其処にいた安玖にそれを手渡す。

「あとは逢澤くん、お任せしますんでよろしゅうお願いしますねぇ」

 へらり、と笑い階段を駆けおりる。男見せたってくださいねぇ、なんてやっぱり丸投げである。

>> ALL


(ということで! 大人の都合でレス投下です。よろしくおねがいします!)

3ヶ月前 No.441

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★jiRmsIi9Iw_xKY

【逢澤安玖/螺旋階段⇒二階書庫】

 ――鷸さんが、いない?
 龍矢の言葉に目を見開く。思えば確かに図書館に来る道すがらから、いつの間にか、彼女の姿を見ていなかった。気付かない程に自然に姿を消していたサークルメンバーに体が冷える。……自分達の中から人が居なくなったのはこれで3人目。しかも、いずれも女性で、後に残ったのは自分と龍矢の男二人だけ。どうしよう、と思わず龍矢に縋る視線を向けそうになり、踏みとどまった。

「ん、任された」

 都城さんに手渡された簪をしっかりと握り、駈け出す。
 大した距離は無かったのだが、その間に何だか状況が変わったらしく御子柴さんが女性へとカッターナイフを振り上げていた。ただ七ちゃんは助かったようで、離れていたのは幸いだ。

「御子柴さん、ストップ」

 ぱしり、と背後から御子柴さんの手首を掴んで止める。そのまま彼女と女性の間に体を滑り込ませ、簪を眼前にかざす。

「君の探し物、これで合ってるよね」

 生憎と安玖は簪の付け方を知らないから、彼女が受け取るのを待ち微笑む。

「大事な物なんだったら失くしちゃいけない。失くしたとしても、事実か分からないのに他人のせいにしちゃいけない」

「そんな事をしていたら、もっと大切なものを失い続けることになるよ」

 分かるね? と静かに問い掛けた。

>>都城さん、二階ALL

【ゆらぎちゃんの動きを勝手に阻止しちゃいました、すみません】

3ヶ月前 No.442

特殊レス @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 特殊レス / 曉町立図書館 二階書庫 】


 ずるり、ずるり、と七に寄っていこうとする女が不意に足を止める。そしてゆるり、と立ち上がりながらゆらぎへと視線を向けた。その言葉に、その思いに。

『――――おにいちゃんは、やさしかった』

 ぽつり、ぽつり、と呟く。優しくて優しくて、でもいなくなってしまった。おにいちゃんはどこへいってしまったの、ねえ、なんで、どうして、わたしのおにいちゃんはどこなの。

『――――ちゃん、わたし、の、かんざし……』

 女の唇が誰かの名前を呼ぶ。懐かしそうに、苦しそうに。その時だった。女の視界に映るそれに、女の目が見開く。

『ッ……あ、ぁぁぁぁぁぁ!!』

 安玖から手渡されたそれを見た女の頬を涙が伝う。悲しくて、嬉しくて、苦しくてら、ちりん、と音色を奏でる伸ばす七の髪を飾る鈴ではなく女が握る簪。


『おにいちゃんはやさしかったのに、――――で、いなくなってしまった。おにいちゃんだけじゃない。――――も、いなくなってしまって』

 簪を掴んだ女の瞳から涙が零れる。大事そうに簪を抱きしめながら震える声音はまるでなにかを悔やむようだった。

『おにいちゃんも、おねえちゃんも、おかしくなって……町がおかしくなって――――あなたたちも、気をつけて。おかしくなってしまわないように』


 ありがとう、あかつきに、気をつけて。そう囁くと女は柔らかな微笑を零して髪に簪を挿すと霧のように消えていく。まるで初めから何も居なかったかのように。ただ、その場所には鈴の描かれた日記がぽつん、と残されていた。


>> 二階ALL


(ということで二階サブイベ鈴の付いた簪≠アれにて成仏という形で終了です! ちょっと大人の都合ぶっこみましたが、烈ちゃんとゆらぎちゃんの立ち回り、安玖くんの名推理ありがとうございます! とてもたのしかったです! それでは探索にお戻りください!)

3ヶ月前 No.443

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階書庫】

 振り上げた腕は後ろから誰かに掴まれて行く先を無くした。はっとして振り返ると、そこには簪を手にした安玖がいる。
「安玖くんナイス!」
 思わずゆらぎはそのままハイタッチでも決めそうな勢いで叫んだ。刃など、振り下ろされずにすむのであれば、その方が良いに決まっているのだから。
 そのまま彼の為に道を開けたゆらぎは、未だに熱を帯びる右手に一瞬視線を向けて、飛び出したままの刃をしまう。今日だけで安玖に手を取られたのは二回目だ……多分。いや、首とか背中とか入れたらもっと色々あったかも知れない。龍矢パパとは違う意味で頼りになる男性である……変な意味ではないが違う意味で心臓に悪いが。
 そしてその一方で、落下物女は正気を取り戻してくれたようで。

 優しかったおにいちゃんにが、いなくなってしまった。失踪した兄がくれた簪だったから、あんなに半狂乱になって探し続けていたのだろうか。しかし、おにいちゃんもおねえちゃんもおかしくなったとは? 優しかった人がおかしくなって消えてしまった? それこそ今目の前で一行の身を案じる女は人が変わったようで、まるで先程まで“おかしくなっていた”かのようだ。そう言えばふじのの父親も急に大人しくなって……おかしくならないように気を付けて……あかつきに気を付けて?
「朱月のせいでおかしくなった?」
 これまでの事象を統合したゆらぎの疑問に、答えるものはもういない。満足したのか、彼女は始めからそこにはいなかったかのように消えてしまっていた。そこに一冊の日記だけを遺して。

 何とはなしにそれを拾い上げたゆらぎは、書かれた文字列を読み上げる。
「いなくなってしまった。どうして? どうして、いなくなっちゃったの? ……しょうま、おにいちゃん。……しょうま……この後何かスペースあるけど読めないや……さっきの話からするとおねえちゃんかな? えっと、こわいよ、たすけて」
 何だか聞覚えのある響きにゆらぎは一瞬首をかしげたが、結局深く考えないことにした。それよりもさっきから意味深に文章が歯抜けになっている日記が多すぎることの方が気になる。
 しょうま、なんて……多くはないが少なくもない名前だろうから。

「……二階、もっかいちゃんと探そうか。さっき安玖くんも日記がどうって言ってたよね?」

>二階all

【思いっきりサブ記事に本編のレスを投稿してしまった馬鹿です、お許しください……m(__)m 二重投稿エラー避けに若干加筆してあります。
 改めましてサブイベントお疲れ様でした!】

3ヶ月前 No.444

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・二階 書庫】

二度あることは三度ある、再び現れた女はまたしても七に向かって近付いてきた。這いつくばって探索をしかけていた烈は一瞬対応に遅れる。くそ、と彼女にしては珍しい悪態がつい口から飛び出した。どうしたものか、焦る気持ちを抑えながら机の下から這い出た烈だったが、どうやら安玖の持ってきた簪が鍵となったらしい。女なその簪を探していたようで、生きている人間のようにほろほろと涙を流す。お兄ちゃんもお姉ちゃんも、町もおかしくなってしまった。そう彼女は語ってから、女は此方を案ずるように、「ありがとう、あかつきに、気をつけて」と口にして消えてしまった。

「人が、いなくなる……朱月……。先程警官殿がおっしゃっていたお話とも似ておりますな。もしかして、我等が閉じ込められたのも、そのせい……?」

女の言っていたことを反芻しながら、烈はむむむと頭を悩ませる。こんなことなら兄者こと次兄にも着いてきてもらえば良かった。文系の兄者なら民俗学についての造詣も深いのではないか……なんて思いもしたが後の祭り。今は自分たちの力で此処から脱出するしかないのだ。ならば探索を続け、手がかりを見つけていくしか手段はあるまい。

「左様にござるな、ゆらぎ殿。二階もしっかり探索致しましょうぞ。虫食い日記が多いのは困りものでござるが手がかりにならないということはありませぬ。こう、パズルのように、いくつか組み合わせれば概要がわかるやもしれませぬからな」

ゆらぎの手にした日記を横からちゃっかり覗き込みながら、烈は彼女の意見に賛同の意を示す。本当にゆらぎの言うとおり、此処で見つける日記は何処か抜けている箇所がある。それでも記録として残されているものである以上、烈たちは日記に頼らざるを得ない。

「朱月、というのは何かの儀式でござろうか。それとも迷信……?この町に伝わる伝統的な何かの可能性が高うござりますな。だとしたら神社について調べるのが妥当にござるか……?あっ、逢澤殿、神社の鍵をお持ちでござりましたな!ならば拙者は次に向かう場所のためにも、神社や伝統行事についての書物を探すことを薦めまする!」

一通り思索してから、烈が思い至った答えはそれであった。神社について調べる。一階では目ぼしいものがなかったけれど、二階にならあるかもしれない。それでも他者の意見を聞いておくことも忘れずに、「皆様はどのようにお考えにござるか?」と一同に質問を投げ掛けた。

>>二階all様

3ヶ月前 No.445

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

「どこでって、そこの机っスけど……」

 Bの番号が割り振られた机を見る。

「正確には、机の下の方に落ちてあったのを拾ったものっスけど、これがどうしたんですか?」

 頭に疑問符を浮かべる。柊平がなおも切歯扼腕するような思いで右叉兎の腕を握り締めるが、何に対して怒っているのかが本気で分からないようだった。右叉兎はこの場の空気が読めなかったので、自分がまさか揉め事に関わってるとは露知らず、まるで対岸の火事かのような態度をとっており、のほほんとした表情で目の前の相手を見やる。

「あっ、そっちも何か見つけたんスか?」

 ちょうど龍矢が受付カウンターから出てくるところだった。縄を床に引きずりながら運ぶ様子には度肝を抜かされたようで、どうしてあんなものが図書館にあるんだろうと首を傾げた。

>> 式島柊平様、八岳龍矢様、周辺all様

3ヶ月前 No.446

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七 / 曉町立図書館 二階書庫 】


 白い着物の女は消えた。七はぺたり、と地面に座り込んでいたがもそもそとまた動き始める。服に付いた埃を払ってから唇を開く。

「――――わたし、は、本棚は調べられそうにないので……他をさがしてみますね」

 本棚探索が目が見える周りに任せ竹箒をぎゅ、と抱きしめるとまた歩き出す。きょろきょろと辺りを見回しながら、足元を箒で掃きつつ前に進む。ぽすり、と何かにぶつかったようで首を傾けながら左腕を伸ばしぺたぺたと自分に触れた障害物に触る。固いそれの上には特に何もないようだが何は少しずつ進みながらそれを確かめてみてから後ろを振り返る。

「えっと……これ、机……? ここだけ開く……みたいです……」

 七にぶつかったそれはどうやら一階にもあった受付テーブルであるようだった。横から受付テーブル内に入れるようでそれを確かめた七は振り返り周りの様子を伺うことにしたようだ。

>> 二階ALL

3ヶ月前 No.447

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階書庫】

「……烈ちゃんエスパー?」
 虫食い日記は困る、と思っていた通りの事を言い当てられたゆらぎは思わずそう呟いた。烈がエスパーというよりは、皆同じような事を思っているというのが正しいのだろうが。
「うん、それもそうだね……今までの事を統合すると、月舘家からは誰か追い出されてて竹彦さんとやらが後を継いだけど何かが上手く行かなくて、ふじのちゃんは人形壊しちゃってパパとすれ違って……あとあのひとがどうのってのとおにいちゃんがいないってのと……なるほど分からん。いなくなったおにいちゃんと月舘家の元跡取りが同一人物ってのは流石に安直だしなぁ……」
 そして、幾つか組み合わせれば良いという烈の提案にゆらぎはこれまで皆が見付けた日記の内容を反芻するも、結局有益な情報は出てこなかった。
「となるとやっぱり神社関係の本を……取り敢えず本棚? あ」
 先程放り投げたのは辞典だから関係ない、としれっと放置を決め込んだゆらぎは散らかっていない本棚を指さ……そうとしてその人差し指はカウンター状の机に向いた。何故なら其処には、箒を頼りに歩き出し、更にカウンターが開く場所を見付けたという七がいる。

「えっとなっちゃん大丈夫? 先ずは無事で何より……そこは多分受付カウンターだよ、本の貸し借りの手続きするところ。今なっちゃんが触ってるところに蝶番が付いてて、持ち上げれば開くはず……奥は事務所かな? 行ってみるなら一人じゃ危ないし着いてくよ〜。あ、烈ちゃんに本棚の確認お願いしていい?」

>烈ちゃん、七ちゃん、周辺all

3ヶ月前 No.448

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 安仁屋の何も分かっていないような無垢な表情を見て、式島は自分が早計に失していたことに気が付いた。どこにあったのかと問いたものの、手紙が見つかった、その事実だけが重要なのであって、本当は見つかった場所なんてどうでもよかった。いや、何故あんな触れてもいない机の下に手紙があったのか疑問には思ったが、この際そのことは気に留めないでおこう。この町に足を踏み込んでから幾度となく摩訶不思議な怪奇現象に見舞われ続けていた。いちいち反応していたらきりがない。
 式島は掴んでいた手をそっと離し、息を整える。そして呑気な安仁屋に向かって「……すまない」と小さく謝ったあと、改めて彼の瞳をじっと見つめた。

「それは、その紙片は俺にとってとても大切なものなんだ。……返してくれるか?」

 絞り出すような声で懇願する。安仁屋はおろか、近くにいる八岳も編集者もまだこの紙切れについて何も気が付いていない様子だった。それならば今すぐこの手紙を回収することができれば全ては杞憂に終わるだろう。彼らに何一つ手がかりを渡してはいけない。この暁町の失踪事件は自分一人で解決しなければ意味がないのだ。
 式島は八岳が縄を見つけたことにも一切眼中にないようで、ジッと安仁屋の答えを待った。彼の返答次第では強奪することも厭わない様子だった。


>一階周辺おーる

3ヶ月前 No.449

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・二階 書庫】

どうやらゆらぎも烈と同じようなことを考えていたらしい。烈ちゃんエスパー?という彼女の言葉に烈は一瞬きょとんとするが、すぐにぱっと表情を輝かせた。この薄暗い室内にはあまりにも似つかわしくない。

「おぉ、以心伝心、にございますなゆらぎ殿!拙者はよく空気が読めないだのなんだの言われます故、同じことを考えていたというのは嬉しいものにござりまする!」

もしも此処に烈のクラスメートがいたら「そういうところだよ鑓ヶ岳」と突っ込まれそうである。これまでに経験してきた出来事だとか先程の一件だとか、決して明るいことがあった訳ではないのにこのテンション。ある意味物凄い肝っ玉と言えるのではないか。雰囲気ぶち壊しなことこの上ない。かといって烈がほの暗い雰囲気を作り出すことは地球が四角くなってもあり得ないことであろう。
七も動けるようになったのか、着物についた埃をぱたぱたと払ってからまた動き出した。七がたどり着いたのはいわゆる貸し出しなどを行う受付カウンターだった。箒を掃きながら進んでいたら其処に行き着いた、ということで間違いなさそうだ。

「うむ、わかり申した!ではゆらぎ殿と七殿には奥の方をお願い致す!気になった書物は読み終わり次第近くの机にまとめておきまする!」

本棚の調査を頼まれた烈はぐっ、とそのまま溶鉱炉にでも沈んでいきそうな勢いで親指を立ててみせる。何故そんなに前向きなのだろうか。答えは鑓ヶ岳烈だからである。気にしてはいけない、これがデフォルトだ。
とりあえず烈は近くの本棚から順に気になる本を手に取っていくことにした。神社だとか民俗学だとか、そういった類いの本を重点的に探していくことにする。ある程度手に取ってからさすがに持ちきれなくなったのか、烈は近くにあったGと記された机に持っていた本を置いておくことにした。

「……そういえば、此方の机はまだ調べておりませなんだな」

本を置いてから、ついでとばかりに烈はGの机の上を眺めてみたり、引き出しを開けたりしてみた。(別の机だが)先程潜った机の下も確認しておこう。

>>二階all様

【ひぃ〜お返事遅れてしまって申し訳ございません……!】

3ヶ月前 No.450

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

ちょっと、二人とも何揉めてるんですかこんな時に……
そう言いかけて安仁屋さんと式島さんの間に割って入るところだったが、二人の間には思っていたほど剣呑な空気は流れていない。
ちゃんと協力しましょうよ、なんて、とても言えた義理ではないけれど、俺はそこそこまあまあ空気を読んで立ち回り、人とは敵対せず、貢献しているつもりだ。自画自賛。
どうやら安仁屋さんは式島さんの反感を買うべくすっとぼけているわけではなく、彼自身気づかないうちに式島さんの大切な何かを手中に収めてしまっているらしかった。事の行く末をハラハラと見守っていると、式島さんも冷静さを取り戻してきたらしく、此処からは穏便に話が進みそうだ。

「……よかった。あの、安仁屋さんが何を手にしてしまったのかはわかりませんが、大切なものなら返してあげたほうがいいんじゃないでしょうか。人には触られたくないものもありますし、その……」

式島さんを怒らせないようにそう言いながら、しまったこれでは安仁屋さんと敵対してしまうみたいだ、と慌てて自衛に入る。

「でも、手掛かりになるなら共有したほうが良いというのもわかります。今までみたいに、思わぬ誰かがパズルの別のピースを持っているってこともありますし」

そこまで言って俺は「すみません」と肩を竦めた。出過ぎた真似は絶対しないほうが良いと思っていたのに。なんでもありません、と両者に取り入る俺は卑怯だ。鷸先輩が持っていたはずの簪を手に螺旋階段を駆け上がっていく都城さんの後ろ姿が見える。階上から、逢沢先輩と何か話している声がした。都城さんが届けたのも、何かの1ピースだったのだろうか。

「……ああ、そうなんです、受付のテーブルに、こんな縄が……なんでこんなものが図書館にあるんでしょうね」

丁度手掛かりの話と安仁屋さんの言葉で思い出したのと、このムードに居たたまれなくなって話題を逸らしたかったのと、その両方で、俺は手にした縄を掲げてみた。どうしてこんなものがこんなところに。残念ながら今のところ全く何も思い当たる節がない。
きっと二人も同じだろうな……と希の薄い期待を抱きながら、そっと図書館の出入り口を見る。そういえば、逢澤先輩も驚いていたけれど、
ーー鷸先輩、何処へ行ってしまったんだろう。


>安仁屋さん、式島さん、都城さん、一階all

3ヶ月前 No.451

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七 / 曉町立図書館 二階書庫 】


 ぺたぺたと受付テーブルに触れていた七であったが背後からかけられたゆらぎの言葉にごそごそと蝶番をあげれば扉を押す。ゆっくりと開いていくそれに気付いたのか振り返って辺りを見回し唇を開く。

「えっと……じゃあ、行ってみます……。御子柴さんも……よろしくお願いします……」

 ぺこりと頭を下げれば七は受付テーブルに手を触れさせ伝いながら足を踏み出す。受付テーブル内はそれほど広くもないがテーブル背後には扉が一つある。七は扉には気付かず受付テーブル付近を捜索しているらしくしゃがみながら辺りをぺたぺたと触れて歩く。

「――――これ、は……?」

 ふと、七の動きが止まる。どうやらなにかを見つけたようだ。受付テーブルの中に手をいれた七は触れたそれを握りながらゆっくりと手を引く。そしてそれを握ったまま着いてきてくれたであろうゆらぎへと向けば首を傾ける。なんでしょう、これ、と付け足しながら。

>> 二階ALL


(運営側が奥の探索に固まってしまったのでアイテムは回収させてもらいますね…! 推理はみなさまに丸投げです!)

3ヶ月前 No.452

都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 都城京 / 曉町立図書館 一階書庫 】


 安玖に渡した簪、どうやら二階の騒ぎは無事に鎮まったらしい。都城ば安堵の表情を零し螺旋階段に背を向け一階の面々の元へと歩き出そうと足を踏み出す。だがしかし、都城は振り向いたことで今度は別の事件を見てしまったらしく顔が青くなる。

「えー……何やっとるんですか…………」

 振り向いた都城の視界に映ったのは安仁屋の腕を掴む式島の姿だった。何とも険悪な雰囲気である。小さく息を吐き出してとりあえず止めなければ、と意を決して動き出した都城だったが都城が口を挟む間もなく収束しかかっていた。なんやねん、と内心ちょっとつっこみながらもゆっくりと足を進める。フォローしているつもりなのだろう、八岳の言葉に少し表情を緩めつつその手に持つそれにひええ、と小さく悲鳴を零す。

「なんって危ないもん持っとるんですか八岳さん……! いや縄跳び用……? なわけあらへんよねぇ」

 八岳の握る縄に首を傾け目を瞬かせる。一瞬不穏な思考が脳裏を過ぎったが此処は図書館、もしかしたら子どもの忘れ物かも、なんてことを思いそう言葉を零した。

>> 一階ALL

3ヶ月前 No.453

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階書庫→事務室】

「はーい、此方こそよろしく〜。じゃあちょっと行ってくるね」
 七と烈の了解を取り付けたゆらぎも、受付カウンターの中に向かって歩き出す。小さい頃は何となく憧れていたその場所も、今となっては何の変哲もない机である。長らく――と言っても柊平の言葉を信じるのであれば10年前後だが――使われていないせいか、事務用品なども特にない……と思いきや。
「あ、なっちゃん何かあったの? 見せて見せて〜」
 テーブルの中をごそごそやっていた七が、引き出しから何か白いものを引っ張り出した。目の見えない彼女の代わりに確認しようとその手許を覗き込めば、どうやらそれは一枚の紙切れのようだった。
「うーん、紙? 何か書いてあるからちょっと借りるね……ゴミじゃないと良いけど」
 七から紙を受取り開く。そこには女性らしい綺麗な文字で誰かへの思いの丈が書き付けてあった。
「だけどきっと、あなたは来ないでしょうね……――いつも考えているわ。何これラブレターならぬ失恋レター? いきなりだけどで始まってるし、破れてんのか一枚目があるのか……何だろ、人形の次は手紙のパーツ集めないといけないのでしょうか」
 七の為に内容を一読し、ついでに自分の見解を述べてから七に返す。それから改めてカウンターの中を確認するが、それ以上は何もなさそうだった。

「此処はこれだけかな。こっちにドアがあるから行ってみよう」
 手紙を返した勢いで竹箒を握っていない方の七の手を引き、事務室へと続く扉に向かう。自分より幼い少女とは言え誰かと手が繋がっている安心感からか、ゆらぎは一呼吸も置くことなく、そのままドアを開け放った。特に何も飛び出してこなかったのは幸いなのかも知れない。
「事務室かな、机が四つある……それだけだから、取り敢えず手分けして確認しよっか」
 そうしてゆらぎは右半分の、漢数字の一と二という番号がついた机を調べる。七に合わせているのか真似をしているのか、ペタペタと天板や引き出しを撫でたり、意味もなく机の下に潜ったりしながら。

>烈ちゃん、七ちゃん、周辺all

【確定ロルで七ちゃんの手を引っ張るゆらぎちょっとそこ代われ……じゃなくてすみませんでしたm(__)m】

3ヶ月前 No.454

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

「えっ……そうだったんっスか?」

 驚いたような目で、柊平と破られた紙片を交互に見やる。
 意外だった。どうして最初から言ってくれなかったのだろう。
 しかし、だからといって彼への信用を失ったわけではない。龍矢の言葉に倣うなら『人には触れられたくないものもある』ようだし。もとより指摘されるまでもなく返すつもりではいた。

「いえ、八岳さんが謝らないでください。この場合、いつまでも自分の手元に置いておいた俺が悪かったっスから。でも、これ以上誤解がないように最初に言っておきますけど、俺が最初に見つけた時から既にこんな風に破られていた状態だったっスよ? 本当っス……ッ!! 実は一部だけ破いてちょろまかしていたとかないっスからね……ッ!? でっも、もしかしたらちゃんと探せば破られた紙片のもう一部が見つかるかもっスね」

 柊平の様子を伺った。どうして彼が怒っていたのか終ぞ解らなかったが、それでもアレがあまり好ましくない状態であるのは鈍感な右叉兎でも理解していた。なるべく穏便に済ませたかったのは彼も同じ気持ちだった。
 慌てた様子で机Bに駆け寄ると入念に、引き出しの中や、それこそ机の裏側まで丁寧に調べた。

>> 式島柊平様、八岳龍矢様、周辺all様

3ヶ月前 No.455

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階事務室】

 ペタペタ、がさごそ。
 少し汗ばんだ手が机に触れたり離れたりすることで起こる湿った音。役に立たなさそうなものを脇に避ける度に起こる物音。普段であれば気にも留めないような些細な音さえいやに明瞭に響く静寂を、あ、という呟きが打ち破った。
「ラッキー、地図みっけ〜」
 一の机の上に残っていた紙の束からゆらぎが見付けたのは暁町の地図だった。今まで通ってきた高台広場や月舘家、神居家の他にも町長邸や墓地が記載されている。図書館の入り口で話題に上がったらしい井戸の場所もしっかり書いてあった。
「流石にこれで町全部ってことはないだろうけど、ないよりはマシかな。まだ町に入ってからそんなに歩いてないと思ってたけど、町長さん家に神社もあるから、この辺が中心部なのかなぁ……後でみんなにも見て貰おうっと」
 これまで通った道を指でなぞり、その先にあるものも確認しながら、ゆらぎはそう独り言ちた。

>七ちゃん、周辺all

【地図ゲットしたので追いレス失礼します】

3ヶ月前 No.456

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 式島のフォローに入った八岳に便乗するように、式島は手を差し伸べて紙片をこちらに回すようにと催促した。どちらもこちらに対して敵対心を抱いているわけではなく、寧ろ肯定的に式島を捉えているようで内心ホッとした。どうやら手紙を無事に返してもらえそうだ。
 そこで一瞬、八岳の言っていた「手掛かり」という言葉に反応する。

「その破片が何かの手掛かりになるとはとても思えないが……。見たければ見ればいい」

 そう言って、安仁屋が慌てて弁解しつつ机周りを調べている様子を傍観した。「一部だけ破いて」と彼は言ったが、式島は彼の言葉がまるで分からなかった。頭の中にクエスチョンマークを浮かべる。
「あ……いや、その手紙はもとから破れていたんだ。多分、探しても見つからないと思うが……」

 今まで手紙が破れていることに対して何の疑問も思わなかったが、安仁屋の言葉を聞いてハッとした。そういえば確かに変だ。もしかしてあの手紙には続きがあるのだろうか。


>一階周辺おーる様

3ヶ月前 No.457

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

穏やかならなかった緊迫した事態は、なんとか収束方向に向かい不穏さは影を潜めてきた。やれやれ……安仁屋さんも式島さんも乱暴な人じゃなくて良かった……。ほっと一息吐いていると、近付いてきた都城さんから小さな悲鳴が上がる。今度はなんだ!? と思ってたら、その視線は明らかに俺に向いているーーーーえ、俺ぇ!?

「え、危ないもんってこれ!?」

手元に視線を落とす。この縄のことか……って、ハッ!まさか!

「ち、ちちちち違いますよ都城さん! 俺はそんな変な趣味は無いですから! 誤解です! 締めたりとか縛ったりとか打ったりとか吊るしたりとかマジそんな趣味ありませんから!!」

探索中に見つけたんですよう! と、怪しいものではありません弁明をしながら、畳んで両手にした縄をぴんぴんと横に引っ張りながら近付く。そこでようやく、縄跳びとかほういう平和的思考もあったのだなということに気づく。成る程、一理ある。

安仁屋さんと式島さんの話では、安仁屋さんの見つけた紙は手紙の一部で、それは元から破られていた。そして持ち主の式島さんは、手紙が破られていてまだ続きがあるということも知らなかったようだ。
式島さんが見ても良いと言ってくれたことで、俺も若干躊躇いはしたがそっと覗き込ませてもらうことにした。確かに、個人的な手紙のようだった。あまり脱出と関係のない個々のプライバシーに首を突っ込むのは気がひけるが。

「確かに……この手紙のこの部分、破れているみたいですね。何が書いてあったんだろう」

式島さんは、この「待っている」という文言を見て差出人探しにきたのだろう。安仁屋さんの言うようにこの手紙に続きがあれば、もしかしたら詳しい居場所とか書いてあるんじゃないだろうか。

「俺ももうちょっとこの辺り探してみます」

それに、気掛かりは他にもあるし……俺は書庫の机の近くから、出入り口付近の方へと移動して、また本棚を眺め、最近触った形跡のある本を手に取っては、何か挟まっていないか調べた。

>1階all様

3ヶ月前 No.458

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/二階書庫】

 左手にスマホを、右手に日記を持っていた安玖はふと顔をあげ首を傾げた。今の今まで二人が別室に行った事に気付いていなかった彼は、ぐるりと室内を見渡し扉が開いている先を認め「ああ」と声をあげる。

「二人は別の部屋に行ったのか」

 納得したと再度声をあげ、またスマホへと目を落とす。そこには漢字に直された日記の文面が表示されていた。

「タケルくんが言ってた
 サトシくんに聞いたんだって
 昔嫁さんがおつさん所行くの嫌がったんだって
 嫁さんは井戸に落っこちちゃったんだって
 死んだのかな? でもタケシくんは違うって
 井戸はお外に繋がって嫁さんは居なくなったって
 ホントかな。気になるな不思議だな
 でも井戸を覗いても真っ暗
 でも梯子が掛かってたから下りれそう

 ととさんに怒られた
 井戸は危ないから駄目だって
 ととさんに叩かれた
 残念だな」

 子供が書いたと誰でも分かるような文面。言い回しがどことなく古臭いから、今まで出てきた人々と同年代なんだろうと分かる。
 “ととさん”は父親の事だ。“おつさん”は恐らくだが月の事だろう。嫁さんだの男の子達の名前だのはよくわからないが、井戸に落ちたのに死んだわけでは無く、けれど確実に居なくなっている、というのと父の言動を見るに推測できるのはほぼ一つ。

「――……人柱」

 時代や地域によって目的や方法などは変わるが、大体は若く操の清らかな女性か穢れを知らない子供を使う。子供の場合は大半が食糧として差し出すし、女性ならばそれでも食糧か神の嫁として差し出される。儀式を行う場所も日本人が古来から無条件かつ無意識下に信仰し恐れる火か水の元が多い。火ならば多くの松明に囲まれた火の中で一際大きく燃えるそれに身を捧げる、水ならば海や滝や川や――果てには井戸にも白い無垢姿で身を投げ出す。

(よっぽど信仰心が強いか、そうやって育て上げられていない限りは嫌がる人の方が多いだろうし……ましてや年頃ともなると思い人が他に居たっておかしくはない)

 この町で起きている不可解な現象は自分達が思っているよりもずっと前から起きていて、今まではそれを人柱で無理やり抑えていたのだろうか。そして人柱の文化が廃れた今になって、その効力を失い放たれた怪異に飲み込まれているのだろうか。もしくはそれより前に既に飲み込まれて、何も知らない人々が移り住み“また”飲み込まれたのが集団失踪の原因なのだろうか。
 何にしても。と思う。「暁町」「月」「井戸」について、何か情報を手に入れるべきだろう。戦うよりは考えることの方が性に合うけれど、だからって数少ない情報から何でもかんでも導き出せるわけではない。メモを取り敢えず保存し、安玖は先程から一人で本棚を漁っている鑓ヶ岳さんに声を掛ける。

「この町の歴史に関する書類とかあった?」

>>鑓ヶ岳さん、周辺ALL

【大幅に遅れました。すみません!!】

3ヶ月前 No.459

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・二階 書庫】

図書館を利用したことこそあれど、烈は目の前の本棚に並べられているような小難しい本を読んだことはない。一応現代文は得意科目であるはずなのだが、趣味では論文だとかエッセイだとか、そういったものに手を付けることはないようだ。おとなしく読書をしているよりも体を動かしたり美味しいものを食べたりした方が良いじゃない、といったスタンスらしい。そのため本棚を見つめる烈の表情は何やら気難しげだった。良さげな本を見つけようと一生懸命なのだろう。こんなことならもっと本とか読んでおけば良かった、と気になった本をぱらぱら捲りながら烈は後悔する。最初の触りと後書きを読んではいるが、めぼしいものは数冊しか見つかっていない。

「……む?これは……」

そんな中で、烈の手がある一冊の本に伸びる。タイトルは“曉村民謡集 1”。烈の瞳が一気に輝きを取り戻した。これは良い手掛かりになるかもしれない。烈は早速ページを捲ってみる。

《壱 月のお嫁様
 その昔、この村にはそれはそれは美しいお姫様がいらっしゃいました。
 お父様とお母様の言うことをよく聞く賢い子で、村の人々に愛される優しい子でした。
 お姫様は村の人々と仲良く幸せに暮らしていました。

 ある日、村の空に真っ赤な月が昇りました。
 その日を境に村の夜は明けなくなり、人々は不安でいっぱいになりました。


 村の夜が明けなくなって幾日か経ったある日、お姫様のもとにそれはそれは美しい男の人が現れました。
 男の人は美しい舞をお姫様に見せると、こう言いました。
「私は月に住む神の一柱です。私の妻になってくれる人を探しに、この世界にやってきました。あなたはそれに相応しい、どうぞ私と結婚してください」
 お姫様は喜んで、その申し出を受けました。
 二人が月へと上っていくと、村の夜は明けました。
 そうしてお姫様と月の神様は、末長く幸せに暮らしたのでした。》

一通り内容に目を通してから、烈はもう一度最初のページに戻る。そうして何度も何度も読み返した。真っ赤な月。そのワードは烈に、これまで幾度か耳にしてきた“朱月”という言葉を思い出させた。これを、この物語を噛み砕けば、“朱月”の謎に迫ることが出来るかもしれない。そんな思いから何度も同じページを行ったり来たりしていた烈の耳に、同じく書庫の探索をしていたらしい安玖の声が入る。すっかり一人で立ち読みしてしまっていた烈は、安玖のもとまで民謡集を手にしたまま駆け寄る。

「逢澤殿!先程此方の本棚で、このようなものを見つけ申した。その中に、非常に興味深いお話があり申してな。此処、この話にござる。これは警官殿がおっしゃっていた“朱月”の手掛かりになると思いまする。……あ、いえ、これはあくまで拙者の憶測故、まだこうと決まった訳ではございませぬが……」

途中まで物凄い熱意で話していた烈だったが、さすがに恥ずかしくなったのか最後には彼女にしては後ろ向きなことを口にしていた。散々手掛かりになると思ってはいたが、まだどのような意図が込められているのか烈は断定出来ない。なんだかかぐや姫に似たところがありまする、と思うくらいである。此処はひとまず安玖にもこの民謡集を読んでもらい、彼の意見を聞いてみることにした。

>>逢澤安玖様、二階all様

3ヶ月前 No.460

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七 / 曉町立図書館 二階書庫→事務室 】


 見つけた手紙の内容を七の代わりに読み上げるゆらぎの言葉を聞きながら首を捻る。あまり七もぴん、とはこなかったようだ。手紙の意味も、その内容も。自身の見解を述べるゆらぎの言葉に七も少し考えるように唸りながらも唇を開く。

「破れてしまってるなら……もしかしたら、他にもあるのかもしれませんね……」

 二階にいる七達は気付かない。七達が拾ったその手紙が一階でも見つかっていることを。そのままゆらぎに引かれるように事務室内に進んだ七はゆらぎの言葉に小さく頷きゆらぎが探す机の反対側の三と四を調べ始める。ぺたぺたと机の上を触ってみたり机の下に潜り込んだり、とまあ相変わらずの探し方ではあるがゆらぎと同じタイミングで同じような行動をしているのは側から見ると少し面白いかもしれない。

「地図…………べんり、そうですね。……あれ、これは…………」

 ゆらぎが見つけたのはどうやらこの町の地図のようだった。ゆらぎの声にそう言った七は四が書かれた机の引き出しに手を入れ、触れたそれに首を傾けながら引き出す。しゃらん、という音と冷たい感触がその手にはあった。

>> ゆらぎちゃん、周辺ALL

3ヶ月前 No.461

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階事務室→書庫】

 曉町の地図を眺めていると、七から声が掛かる。地図が役に立つのは多分間違いないし、彼女の方も何かを見付けたようである。
「どうせなら町の出口とかも書いといてくれればいいのにね……えっとそれは……ペンダント、かな?」
 七が見付けたものを確認すると、それは金色のペンダントだった。彼女の手の中で鎖がシャラシャラと音を立てているそれは、トップの部分がやや大きなつくりになっている。
「あ、もしかしてロケットかな? なっちゃんちょっと横のとこ押してみて、そこ、出っ張ってるとこ」
 中に何か入っているのでは、と踏んだゆらぎは七に頼む。すると案の定、中には一枚の写真が入っていた。
 袴姿の男性と、白無垢姿の女性。仲睦まじく二人が寄り添うそれは、誰がどう見ても結婚写真である。しかも。
「結婚写真が入ってる……これ多分、下にいるお巡りさんだ……探し物これだったのかな?」
 男性の顔に、ゆらぎは見覚えがあった。というか、さっき話したばかりである、多分。それは今より幾分か若い柊平で……恐らく隣がその妻。気のせい程度であれば彼女にも見覚えがあるのだが、白無垢姿の写真など大体そんなものだろう。
「何でこんなとこにあるんだろうね……返してこようか? この部屋も大体確認したし……」
 事務室の中の机やカウンターなど、見られるものは七と二人で全て見た。一つ一つに指を向けながらそう結論付けたゆらぎは、最後に入ってきた扉を指したまま手を止める。
「帰ろう、なっちゃん」
 何処に帰るのかと言えば、他の面子の所へである。

「おーい、こっちは粗方見たよ〜。失恋レターと地図とペンダント見っけた! そっちは?」
 そうして書庫の方へと顔を出しながら、残っている二人に問うのだった。

>七ちゃん、二階all

【アイテム全回収とのことで(すっとぼけ)合流目指します】

3ヶ月前 No.462

都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 都城京 / 曉町立図書館 一階書庫 】

 和解した様子の二人を横目に都城は先程自身が発した悲鳴に驚いている八岳に苦笑を滲ませる。必死に弁解する彼を眺めへらりと笑いつつゆるり、と足を後ろに下がらせる。いやだって怖い、怖いんやもん。

「いやなんかこわい、こわいんやけど……うん、分かった、縄を拾ったんやね、うんうん」

 もしかしたらなにかに使えるかもやね、とフォローをいれつつ都城は受付テーブル内に避難することにしたようだ。他の者は本棚などを探しているようだが特に何もなさそうだし、やはり進むべくはこの受付テーブルの後ろにある扉が都城は気になるようだ。

「まあとりあえず、二階の人等はどうなってんやろ……。御子柴さーん! 七ちゃんに逢澤さんに鑓ヶ岳さーん!」

 そっちはどないですかー、と都城は上を向き声をあげ二階にいる者達へ声を掛けてみることにした。

>> ALL


(とりあえず合流に向けてALL文であげますね!)

3ヶ月前 No.463

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/二階書庫⇒】

 鑓ヶ岳さんの見つけ出した民謡歌集を読み込んでいた安玖は、やっぱり、と声をあげる。そして戻ってきた御子柴さんと七ちゃんからの問いに本を閉じ、次いで階下から聞こえてきた自分達を呼ぶ声に身を乗り出した。

「町の名前の由来と、町の秘密と、次の目的地。そこに行く理由も分かった。まだ情報が足りないけどね」

 二階と一階、自分の視界に入る全員を見やると目を細める。階段を下りながら自分と鑓ヶ岳さんの見つけた本を掲げてみせ、御子柴さんも何か見つけたらしい、と付け足す。

「次の目的地は神社。ここの土地神について、知る必要がある。……けど、今までの場所以上に覚悟がないと駄目だ。
 あと井戸。そこのポスターにもあった井戸……もしかしたら行く必要があるかもしれないけど……多分、女性はあまり近付くべきじゃない」

 本当に自分の仮説が正解だとすれば、年若い女性達はあまり行くべきでは無いだろう。成人の男女もそれなりに居るが未成年の男女も同じくらい居るこの面子では、懸念が残る。

「渡せる情報があるなら、全員で一度揃えた方が良い。僕もひとつ、仮定の話は建てたけど……どうだろうね、皆が信じられるかも理解できるかもわからないから」

 ――責任は果たすべきだ。本人に自覚はなかったとしても自分から踏み込み、関わったのならば知る責任も、義務も、権利も、ある。
 図書館に入る前に自分が零した言葉。それが、今になってべたりと背に張り付いたようだった。そして何より。

「……“真実”に向き合えない人間の末路なんて、知れてんだよ」

 今までの言動を見ていれば分かる。全員が、心の奥底に大なり小なり――そんなもの互いに比べる物ではないが――向き合いきれない何かを抱えている。この町は、そんな自分達にはとっても「お誂え向き」なのだ。

>>一階、二階ALL

3ヶ月前 No.464

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・二階 書庫】

安玖に民謡集を渡すと、彼はそれを読んで「やっぱり」と口にした。何か思い当たる節でもあったのだろうか。烈にはいまいちわからなかったが、それでもこれまで謎を紐解いてきた安玖が言うのだから何か重要な手掛かりが得られたのだろうと烈は解釈した。そうしているうちに、奥を調べていたらしいゆらぎと七が書庫に戻り、一階の京からも呼び掛けられる。そろそろ探索も潮時、ということだろうか。烈も書庫はある程度調べたし、これ以上目ぼしいものもない。

「我等は興味深い書物を手に入れ申した!後で皆で読みましょうぞ。地図が見つかったというのは大きな収穫にござりますな!……いやぁ、それにしても失礼のお手紙とは……。他意はありませぬが、気になりまする……」

何かあったかと問いかけてきたゆらぎに烈は答えたが、何よりもゆらぎたちが見つけたという失礼レターが気になりすぎて仕方がない烈であった。色恋沙汰に興味がある訳でもない烈とて突然失礼レターと言われたら良くも悪くも興味を抱かずにはいられない。
閑話休題、とにもかくにも次の目的地は神社ということで間違いはなさそうだ。その前に安玖が口にしていた井戸にも向かわなければなるまい。しかし烈は安玖が「女性は井戸に近付くべきではない」と言ったことに疑問を覚えた。たしかに七のような人間は知らぬ間に落っこちてしまう危険性があるから、井戸には近付かない方が良いのかもしれない。女性と一括りにせずとも良いのに、と思ったが、それも安玖なりの考察があってのことなのだろう。烈は特に口を出さないことにした。

「信じる信じない、理解出来る出来ない以前に、拙者は逢澤殿の仮説を聞きたく思いまする。どんなお話も、一度耳にせねば何も始まりませぬからな。……あっ、どうせなら皆が集まっている場でお話しになっては如何でござりましょう?此処からだと上手く伝わらぬやもしれませぬ故」

仮定の話は立てた、と口にした安玖に烈は近付いてそう提案する。頭脳労働が苦手な烈にとって、安玖の仮説はきっと役立つだろうと考えたのだ。それにその仮説がどのようなものであれ、まずは伝えてみないとわからないものである。一階にいるメンバーがどんなものを見つけたかによって、話の筋がまとまることだってあり得るのだし。

「ゆらぎ殿と七殿も、一階に向かいませぬか?拙者はそろそろ皆で一旦お話ししたく思いまする」

後方にいるのであろうゆらぎと七に向かって微笑みながら、烈は一階に行かないかと誘いをかけた。情報を開示するのなら、全員で共有した方が良いだろう。

>>all様

3ヶ月前 No.465

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

それからしばらく、書架の本をパタパタとやっていた俺だったが、特にこれといってめぼしいものは見当たらない。手が段々埃っぽくなってくるばかりだし、やっぱりここには破られた手紙の続きは無いのかもしれない。つーか、手紙破って本の間に挟んだりなんかしないよな普通。そんなことしたら次見つけ出そうと思っても見つけられなく……
俺は用が済んで並べ直した本棚の背表紙を見つめたまま首を傾げた。何だろう、この違和感。
なんで式島さんは、初めから破かれていたという手紙を見てあんな微妙な反応をしたんだ? その手紙を初めて見た安仁屋さんはあの断面を見て直ぐに「破ったと思われるかも」って超慌ててたぐらいなのに。
さっき俺は自分で「人には触れられたくないものがある」って偉そうなこと言ったはいいけど、見せて貰ったあの手紙、別に隠すような文面じゃなかったよな。まあ恥ずかしいとか照れるとかだったらあれだけど……。式島さんが探している間に破れてしまっていたらそれこそ大事な手紙になんて事を! ってなる筈だし、もし本当に見られたくないもので式島さんが意図的に破っていたらあんなにハッとした顔で「元から破れていた」なんてことは言わないだろう。破れていたことを知っていたなら、普通続きを探すことにもっと必死になりそうだけど……式島さんは続きがあるとは思ってなくて、あの紙片の一枚だけ取り返せればそれで良い、みたいな顔だった。

「式島さん。俺は後から来たから、もう誰かに聞かれてたら二重で申し訳ないんですけど……三年前に亡くなった奥さんのその手紙って、いつ、誰から届けられたんですか? 誰かから渡されたとか、ポストに入ってたとか」

記憶が間違ってるか見間違えじゃなければ、俺や都城さん達が遅れて入って来た時、式島さんは酷く混乱した様子で、何が何年前で……とか言ってた。こっちも色々と必死だったから、よくは聞けてなかったけど。なんだか、側から聞いても時系列がめちゃくちゃだった気がする。とはいえ、また彼を混乱させてしまうのはその精神衛生上良くない。そもそも俺はこの人がちょっと心配なのもあって一階に残ったんだった。邪魔な縄は一旦適当に肩に掛け、俺は本棚を調べるふりで本を一冊手に取りながら式島さんに話を振ってみた。

「……失踪して暁町に行ってしまう前、この手紙の『暁町のどこそこで待ってるね』みたいな、何か手掛かりになりそうなこと直接言ってなかったんですか、奥さんは」

>一階all


【もうすぐ合流、との事だったので、順番で迷いましたが追加行動滑り込ませていただきます】

3ヶ月前 No.466

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階書庫→一階】

「あ、京さんの声だ……二階組そろそろ戻りまーす」
 下から自分達を呼ぶ声は、ちょうどゆらぎが受付カウンターを越えた所で聞こえてきた。
 それに返事をして事務室から書庫に戻ると、何故か安玖が神妙な顔付きをしていた。そもそも楽天的にヘラヘラしている方がおかしいのだが、その辺は人間の適応能力の高さ故である。町の名前の由来だとか神社に向かわなければならないとか、彼は現状の根幹に関わる何かを見付けたのだろう。

「なるほど神社ね……えーっと、こっから町長さん家の前通って田んぼ突っ切れば良いのかな? 井戸は墓地の方にあるみたい……どっちも如何にもラスボスがいそうだよね……あ、地図見付けたんだ、後でみんなに見せるね」
 事務室で拾った地図を確認しながらゆらぎは告げる。それから、手紙の内容が気になるという烈を振り返った。
「失恋レターもみんなに確認して貰おうと思ってるから大丈夫だよ烈ちゃん。今までのパターンからしてこれも誰かの未練とも限らないし……何か、後悔してそうだし……離別? 死別? どっかに手紙探してるオバケ居ないかな」
 すぐ下に手紙を探している生者・柊平が居るとも知らず、ゆらぎはテトテトと螺旋階段を降りる。
「二階組戻りましたー、一回みんなで情報共有したいんだけどどう?」

>all

3ヶ月前 No.467

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 二階書庫→一階書庫 】

 都城の言葉が鼓膜を震わせる。七もまたゆらぎに続き螺旋階段を下りて一階書庫へと戻っていく。安玖や烈の言葉を聞きながらそれに続くゆらぎの言葉に七の足がぴたり、と止まる。

「――――田んぼ、あっ……あの、自信、ないですけど……たぶん、田んぼは通れないかも、です……」

 月舘家に行く前にどこかで落ちそうになって、たぶん田んぼかなあ、と。自信はなさげではあるが朧げな意識を手繰り寄せるように。

「えっと……わたしは、あの……ペンダント、を……見つけました」

 ゆらぎの言葉に続くように七はそう言って握りしめていた金色のペンダントを周りに見せる。都城はといえば受付テーブル内にある椅子に座りテーブル越しに周りへと視線を向ける。情報共有は大事やねぇ、と呟きながら。

「とりあえず情報共有出来たら先に進みましょかぁ、なんかこの奥に扉あって、どこかに続いてる見たいですよぉ」

 あ、ちなみに私は収穫ゼロです、と苦笑を滲ませて。


>> ALL

2ヶ月前 No.468

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_LOn

【安仁屋 右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

 Bの番号が割り振られた机を入念に調べ上げてみたが狙いは外れたようだ。
 破られた紙片の残りが同じ場所に隠されてあると踏んでいただけに期待外れの結果だった。
 ばつの悪そうな微笑みを湛えながら柊平の元に返ってきた右叉兎は、今の今まで手元に置いておいた紙片の一部を元の持ち主へと返却した。

「何だかんだ言って返すのが遅れたっス……!! 式島さんの言う通り、確かにそれらしいものは見つけられなかったっスけれど……」

 手紙が中途半端に破られていたから、続きがあるものと安直に判断したが、右叉兎の思い違いの可能性もあるにはあった。もしかしたら勘違いなのかもしれない。柊平に指摘されて以降、自分自身の考えに自信をなくしつつあった。

「ちょっと分かんなくなってきたっス……ッ!! そもそも十年前に暁町で失踪事件があったっスよね? 式島さんの奥さんが手紙を送れるとしたら、普通に考えれば、十年以上も前の出来事になると思うっスが……? あっ、そういえば式島さん、翔子さんがいなくなったのが三年前で一週間前に手紙が来たって、確かそう言ってたと思うっスけど、もしかしてあの紙片のことを言ってたっスか?」

 龍矢の質問の意図が未だに図りあぐねていたが、大体の内情は理解しているつもりだった。いつ手紙がきたのかは以前に柊平から耳にしていたからだ。

 二階へ探索していたメンバーが続々と階段から降りてくる。あらかた探し終えたのだろう。情報を共有したいと言うゆらぎの提案に答える。

「俺が玄関ホールで日記を拾った以外に、他に目ぼしいものと言えば、式島さんの手紙が見つかったくらいっス」

>> 式島柊平様、八岳龍矢様、御子柴ゆらぎ、周辺all様


【遅くなって済みません】

2ヶ月前 No.469

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 安仁屋から手紙を受け取り、もう二度と失くさまいと大事そうに胸ポケットにしまう。そして彼に向けて「ありがとう」と、ここで初めて柔らかい笑みを浮かべた。
 図書館の中を探索し続ける八岳と安仁屋が何やら腑に落ちない様子で式島に質問を投げかけた。式島はなぜ彼らが自分のことを知ろうとしているのか見当もつかず、けれど答えるわけにもいかないと記憶を遡ろうとする。
 ――……まただ。頭の中が靄のよう朧げになっている。昨日見た夢を思い出そうとするように霞みがかった記憶を手探りでかき分けていくと身体がそれを拒否するように頭痛がどんどんひどくなっていく。

「一週間前……世話になった人にこの手紙を受け取ったんだ。翔子がいなくなってもう三年も経っているのに突然ポストに投函されていて……いや、違う。俺は今日が初めて手紙を読んだんだ。十年前、町が滅ぼされたからって言って、それを翔子が様子をみに行って……あれ、翔子が死んだのは本当に三年前だったか……?」
 そこまで言って式島は八岳のほうを見る。
「どこ、とは言っていなかったな。色々探し回ってはいるが……そういえばまだ彼女の実家に行っていないな。神社にあとで行ってみるとしよう」

 式島が色々と思いあぐねているあいだに、二階へ捜索しに行っていた連中が戻ってきた。互いが見つけたものを見せ合っている。その中で巫女がどこかで見たことあるようなロケットペンダントを握りしめているのに気がついた。

「なあ、君が持っているそれはなんだ?」

 式島は確認しようと巫女姿の少女に話しかけた。


>おーる

2ヶ月前 No.470

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/一階書庫】

 一階に降りた安玖は周囲の様子を見渡し、勝手に情報共有を始めることに決め込んだ。あまり接点のない人の個人的事情は、ドラマや小説を読む程度かそれ以下にしか興味が湧かない。ましてや少し話した程度の警察官は、割と本気でどうでも良かった。
 適当な机に鑓ヶ岳さんと自分が手に入れた本と自分のスマホを並べる。それぞれ該当ページと漢字に直したメモ帳が見せられており、それらを順繰りに指で示しながら説明を始めた。

「こっちが二階の机から出てきた日記。多分だけど子供が書いたんだろうね、平仮名だけだったから俺のスマホで漢字に直した。内容をざっくり言ってしまえば、この日記が書かれた時代よりも昔、とある娘が“おつさん”というところへ嫁入りするのを嫌がっていたら井戸に落ちて行方をくらませた。死んだ、んじゃなくて行方が分からなくなったらしい」

 唇に指先を押し当て、おそらく、と呟く。この日記を書いたのが子供だと察せられる以上、あまり信用する気になれないのも本音だった。だけど、この町に来てから手に入るそれらが役立たなかった事は無いから。そんなしょうもないと言われるかもしれない理由だけが、安玖の憶測の背中を押していた。

「……おそらく、この“おつさん”ていうのは月の事だと思う。そうなると嫁入りっていうのも異類婚姻譚や人身御供の一種だと思う。……別の言い方をするなら、人柱。日本では昔から巫女や純潔の操を持った女性、7つに満たない子供を土地神に捧げてきた。子供ならば神の内に、親なる神へ返却だとか食事代わりだとか。女なら神の伴侶として、が主だった理由とされてきたね。そんな凄いモノを用意できますから、どうか我々から災いを避けてくださいませ、って祈るんだ」

 次に指で示すのは鑓ヶ岳さんが見つけた歌集のひとつ。今まで自分達が不審に思ってきたそれについて書かれている、小さな物語。

「少なくとも、この町は……村だった頃のこの土地は、その儀式をしていた。それも神が直々に要求しに来ていた」

「暁町って名前は、これが由来だ。まんま赤い月が昇るから『赤月』……それが転じて今の『曉村』になり、村が町へと変わって今の『暁町』になった。けど、人間がつける名前なんて所詮はただの名前だ。それ以上の意味なんて、ほとんど持たない」

「そしてこれも恐らくだし、可能性としていくつかあるけど……途中まではきちんと嫁が捧げられたんだろう。けど、元々そのスパンが人間には長かったからか、時代が大きく流れる中でいつしかその仕来りが忘れられてきた……もしくは神社やこの本のような形で残ってはいたけれど、誰も信じなかった。だから赤い月が昇った日、誰も新しい嫁を供えはしなかった。神にしてみれば約束を違えるだなんて言語道断だし人間から見れば長い年月も向こうからすれば大した時間じゃない。だからいつまでも赤い月は下りず、言うに屍人が町にあふれかえり皆が飲み込まれた――」

「――もしくは、きちんと用意されていた捧げられるべき存在が、何かしらの形で直前に逃げてしまった。この土地の人間からすれば、捧げるはずだった存在以外を神の嫁にするわけにはいかない。……そうこうしている内に儀式が失敗に終わり、以下略、か」

 どちらにしても、だ。安玖は周囲の人間の顔をぐるりと見渡し、顎を引く。彼の顔を幼くさせている要因でもある瞳を瞬かせ、まるで熱を帯びたスマートフォンを冷ます時のように何度も頭を振る。

「僕が次の目的地が神社か井戸だと言ったのは、そこら辺の理由から。人柱は特定の範囲でのみギブアンドテイクが効く土地神に相手でしか行わない。全知全能クラス相手にんなことしてたらこっちが搾取される一方だからね。そして土地神ならどう考えても町と同じ、しかも伝承と同じ名前を持つ神社が祀っていないわけがない。しかもあの男の人、わざわざ神社の鍵を落としていった。――この町に関わる人達はどうにも何かの目的を達成させる事に関しては恐ろしくも効率的だから、行けって事だろうね」

「井戸は……これこそ僕の推測でしかないけど、嫁入りの儀式に使われていた場所が井戸なんじゃないかな。小説ばりのサスペンス劇場が繰り広げられていない限りわざわざ井戸に飛び込む理由も、その後に遺体が見つからない理由もわからない。女性は行くべきじゃないかもしれないって言ったのは、どうも人柱にされていたのが女性ばかりのようだから。もし仮に神社と井戸がその根源に近かった場合……確認しようのない確率の話にはなっちゃうけど、俺たち男よりは女性達の方が狙われやすいと思う。そんなのっぴきならない事態になった時、そもそも人間の俺達でどうこうできるのかもわからない」

 僕の持っている情報はこんなもん。
 最後にそう付け加え、ふう、と息を吐く。勢いのままに語り倒したのもあって少しくたびれたのだ。あとの推測なり行動なりは周りにぶん投げようそうしよう。と情けない決意を硬く決め込み、どうする、と周囲の表情を伺った。

>>一階ALL

【もう小出しにするのが面倒臭いので、安玖が持っている情報と推測を(かなり長文ですが)まとめてぶん投げます。ので、あとは任せました!】

2ヶ月前 No.471

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・二階→一階 書庫】

周りの面々が次々と一階に移動したため、烈もその様子を見て最後尾を着いていった。また誰かいなくなってはいないだろうか、と少々不安な気持ちもあったがひとまずはぐれたらしい人はいないことを確認して一安心する。はぐれてしまった面々は大丈夫だろうか。無事だと良いのだが、と烈は少し眉尻を下げた。

「あっ、その民謡集はまだ続きの巻があるやもしれませぬ。たしかこれが一巻でござった故。もし一階の方で続きの巻を見つけた方がいらっしゃったならお教え願いたく思いまする」

安玖が机の上に置いた本を指差して、烈は一階にいた面々にそう呼び掛けた。もしかしたらまだ手がかりになるようなことが書いてあるかもしれないし、もしそうだったのなら見つけておきたい。まあ、今は情報開示の時間なのでまた探す機会を得ることが出来たら探してみようとひとまず烈は情報開示に集中することにした。
安玖の推測は正直に言ってしまえば、普段の烈ならば非科学的だと言って一笑に付してしまいそうなものであった。それでも、この状況下であれば不思議と現実味のあるもので、烈は神妙な表情で彼の話を聞いていた。人身御供。詰まるところの生贄、人柱ということだろう。そんな風習がまだ残っているのか、と疑問に思うこともあるが、外部から隔絶されたこの地であればそういった風習があったとしても可笑しくはない。儀式を怠ったが故に町が滅び、怪異に飲み込まれたというのなら、再びこの土地の土地神にいわゆる“嫁”を供えなくてはならないのだろうか。もしそうだとしたらはっきり言って烈は御免被る。というか誰だって知らぬ土地で人柱になどなりたくはないだろう。自分たちはあくまでも探検に来たのであって、神に嫁入りしに来た訳ではないのだから。たとえ土地神の好みが侍口調の女性であっても、烈は丁重にお断りする。無事に帰るためには従来の方法以外で解決したいものだ。

「警官殿、警官殿。つかぬことを問うて申し訳ござりませぬが、実家……ということは貴殿の奥方は神社の関係者なのでござるか?」

ふと、式島の言葉に疑問を覚えた烈は彼の話に割り込む形を取った。もしも彼の妻の実家が神社なら、普通なら入れないような場所にも入ることが出来るのではなかろうかと考えたのだ。いわゆる、関係者以外立ち入り禁止の場所である。神社がキーになるというのなら、出来るだけ隅々まで探したいところだ。

「とにもかくにも、でござる。もしも井戸を調べるというのなら、一旦男性陣と女性陣に分かれなくてはなりませぬな。神社に行くのはその後になさった方が良かろう」

ひとまず今手に入れた情報を整理するためにも、烈は一同をぐるりと見渡した。今後、どのように行動するのかは重要な問題である。大勢で動くことにデメリットがないとは言えないが、烈としては出来るだけ皆で行動を統一したいところだった。また誰かはぐれたなんてことになるのは、絶対に避けたかったから。

>>一階all様

2ヶ月前 No.472

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館一階書庫】

 安玖に向けて道順を説明すると、七から田んぼは通れないという忠告があった。落ちそうになった、というのは七の目が見えないからなのか、それとも田んぼはもう潰されていて別の穴とか池とかになっているのか。
「なるほど気を付けよう。まぁ、一回見に行ってみて駄目だったら戻るとか? 町長さん家にも何か色々ありそうだしー」
 階段を降りながら、ゆらぎはそう結論付ける。

 そして情報共有をしたいというゆらぎの提案は、階下のメンバーにも受け入れられた。京や右叉兎の見付けたものについて聞き、安玖の手元を覗き込み、彼の推測を聞く。
 ふむふむ、と呟きながら、ゆらぎも自らが手に入れた地図を机に広げた。
「わたしとなっちゃんで二階の事務室見てたんだけどね、この地図と貴方が来ないみたいな失恋レターとネックレス見付けたの。ネックレスはロケットになってて写真はお巡りさんっぽくて……あ、やっぱ見覚えある? お巡りさんの探し物ってそれ? 取り敢えずなっちゃんさっきの見せたげて〜」
 手紙とネックレスは、とゆらぎが七を振り返ると、ちょうど柊平が彼女に声をかける所だった。中に入っていた写真は矢張り柊平だったのだろうか。
 取り敢えずそちらは七に任せることにして、ゆらぎは改めて地図を見遣る。安玖・烈の見付けた文献と彼の話とを統合した時に、何故か違和感を覚えたからだ。

 恐らく町の名前の由来だとか土地神に人柱を捧げるといった推測は間違っていないのだろう。生贄を捧げずに神の祟りで集落が滅びるなど、オカルト界隈ではよくある話だ。その舞台が井戸というのも無くはない、だが、そうだとすれば。
 ゆらぎは自分が見付けた地図の一点、墓地の近くの井戸を指差す。
「……確かに井戸は調べた方がいいと思います。安玖くんの推測も間違ってはないと思う。でも……変な話、人柱を突き落とすような井戸、わざわざ地図に載せる? ここは本当に単なる井戸なのかも知れなくて、何かもっとこう……山の奥とかどっかの地下とかそういう秘匿されたとこにあるのかも知れないけど。ここだとしたら大っぴらにする意味がないし……この子の日記もストレートに読めば嫁さんは井戸に落とされたんじゃなくて井戸から逃げたってことじゃない? 梯子云々ってのは確認したさあるし、男女で別れるならそれもアリだけど……井戸が外れだった時にそれこそ女の子生贄にするぞーって襲われたらたまったもんじゃないし……別れるにしても求む男子。あと京さんが言ってた奥の部屋も一応見ないといけないかなって思うんですがどうでしょう」

>all

2ヶ月前 No.473

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 二階書庫→一階書庫 】

 不意に七の鼓膜を震わせたのは聞き慣れない声音だった、びくりと肩を震わせ一歩後退るがゆらぎに掛けられた言葉にこくりと頷きロケットを開けそっと周りに見えるように差し出す。

「えっと……わたしには……見えないので御子柴さんの言葉通り、かと……」

 俯きつつも式島にロケットを見せれば反応を待つようにただじっとしていた。

「井戸ねぇ、まあ別れるのも手かもしれへんけどこれ以上人が減るのも怖いですしねぇ、みんなで一緒、ってのも有りかもしれまへんよぉ」

 そういや八岳くんもなんか見つけとったよね、そう声をかけつつ自身の意見を述べる。都城はやはり奥の部屋が気になるようでそわそわとしつつも拾得物発表会を見守るかのように受付テーブルに肘をついた。

>> ALL

2ヶ月前 No.474

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

式島さんは俺の質問をはぐらかそうとしているわけではなく、むしろ精一杯答えようとしてくれていたように見えた。けれど、なんだろう。どうして「世話になった人から受け取った」のに「突然ポストに投函されていた」んだ? 矛盾している。せめてその「世話になった人」とやらの詳細を覚えていたなら、俺はその手紙を渡した人が式島さんの奥さんからの手紙の都合の悪い部分を破って渡した線を疑っていたのだが。

「俺もちょっと……わからないんですよね。暁町の人達が失踪したのは10年前、で式島さんの奥さんが亡くなったのは3年前。手紙が一週間前に届いたのは、奥さんがそれこそ誰かに預けでもすればなんとかなるとしても……普通、十年前の事件と三年前の事件を同じ事件として捜査しますかね……? 二つの事件を一つのものとして捜査し始めたのは、式島さんの所属する警察署のほうで決めたんですか? もしかして、奥さんの手紙を渡してきたのは警察の同僚とかでは無いですか?」

俺は本を閉じ、式島さんと安仁屋と都城さんのところへ戻ってきた。さっきの二手に別れる前の式島さんの話をちゃんと聞いていた安仁屋さんが、もう一度要点を説明してくれたが、暁町の失踪事件と奥さんの失踪或いは殺害には七年近くものタイムラグがある。腕を組み、考え込むとひとりでに表情が険しくなってくるのがわかる。

「式島さん、誰かに騙されているんじゃないですか……?」

ちょうどその時、二階から遠く聞こえていたがやがやというざわめきが近づいてくることに気づいた。
相澤先輩、七ちゃん、鑓ヶ岳さん、御子柴さんがぞろぞろと連れ立って螺旋階段を降りてきた。どうやら二階の探索は終わったらしい。皆で大きな机を取り囲み、俺たちは情報共有をすることになった。
地図……そうか、ポスターの井戸はそこにあったのか。手紙の欠片……間違いない、あれが破れた手紙の続き。ロケットペンダント……前後関係からすれば、若い式島さんの隣に写っているのが奥さんの祥子さんなんだろうな。それから、民謡集や、相変わらずの日記。
どうやらこの町には、土地神への人身御供のようなしきたりがあったらしい。……そんな時代錯誤な風習! 何時代だっつーの! と鼻で笑いかけた俺だったが、その直後に相澤先輩が大真面目に民俗学的な解説をし始めたものだから、笑い声を出さなくてマジで良かったと心の底から思った。先輩との間に変な軋轢だけは生みたくない。いやしっかし……先輩マジで神様とか信じてるのか……マジか……。……え、てかこの流れってみんなも神様とか信じてる系なの? 人柱とか人身御供とか、それで取引できてるとか本当に思うの? マジかよもしかして俺がおかしいのか? ここは一発信じとくふりしといたほうがいい!?
俺が耐え難い認知的不協和に頭を抱えていると、不意に都城さんから声を掛けられてハッと怪しい世界の淵を覗く断崖絶壁から現実に引き戻される。

「あ……ああ……そういえば、受付のところに縄があったんですよ。これ。何に使うのかはさっぱり……。あ、それと井戸。よくありますよね、この村の下は巨大迷路みたいな鍾乳洞になってて、いろんなところにつながっている……ま、お話の中だけだと思いますけど。俺も皆で纏まって行くほうに賛成です」

「だって井戸なんて怖いじゃん」という言葉はもちろん飲み込みながら、俺は皆が取り囲んでいる机の上に縄を置いた。なにかの仕掛けとかに使う縄なんだろうか? 地下迷宮のくだりは、月舘家で床に穴を開けた時には一瞬頭をよぎったが、それは餓鬼の頃その手の本が大好きな母親からよく聞かされたよくある昔話からの受け売りだった。まったく子供にデタラメを吹き込んで貰ったら困る。だからお化けだの幽霊だの超常現象だの信じてビビる輩が後を絶たないんだぜ。……俺もその一人になりかけてるけど。

>all様

2ヶ月前 No.475

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_LOn

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

「八岳さん、俺の記憶が確かだと、式島さんは一度もそんなことは言ってなかったっス。翔子さんが"居なくなった"と"亡くなった"を聞き間違えるんじゃないっスか?」

 柊平が言った言葉を再度思い出そうとする。

「そういえば、その前にも、十二年前の暁町を式島さんが訪れた時に、翔子さんと二人で逃げようとしたと言いかけていたような……? すぐにそれを式島さん自身が否定していたから、単なる思い過ごしなんでしょうが……」

 仮に柊平の言葉を信じて整理するとすれば、十二年前に曉町を訪れた柊平が翔子と共に町から逃げ出し、どこか別の場所──式島の居住でも生家でもいいが、そこで二人で移むか翔子を預けるかしたのだろう。十年前には失踪事件が発生するが、凶報が届くまでにはタイムラグがあり、翔子が例の事件を知ったのは三年前で、同時期に柊平の元から去るということになる。

「でも、そんな単純な話じゃないと俺は思うっス。式島さんが翔子さんと交わした約束が俺は気に掛かるっスけど。今まで式島さんの助けになるからと思って色々と質問をしてきたっスが、それ以上話を進めれば式島さんのプライベートに深く入り込み過ぎるっスからね。それに式島さんが忘れていたんじゃ話を続けていても埒が明かないっスから。俺から始めたお節介なんで言いだし難いっスが、式島さんに思い出す機会を与えるためにも、ここで一旦保留にしないっスか? 俺もその井戸のことは少し気になりますし……」

 正直に言って、人柱や人身御供と言われても右叉兎はピンと来なかったが。

>> 八岳龍矢様、式島柊平様、周辺all様

2ヶ月前 No.476

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 → ??? 】

 様々な思惑が行き交う。質問が鋭い矢のように式島に降り注ぐ。
 しかし巫女姿の少女が手に持つロケットペンダントと破られた手紙を目の前にした時、その全てが式島の耳に届くことはなかった。全てが雑音と化して式島のもとを通り過ぎていく。

「ちょっと……見てもいいか?」

 誰の問いかけに答えることなく、式島はロケットペンダントを手に取って恐る恐る中身を確認した。……間違いなかった。それは結婚式の日に式島が妻の翔子に贈ったものだった。幸せそうに微笑む若かりし頃の自分の写真を食い入るように見ていると、御子柴がもう一方の破られた手紙についても言及する。ふと思い立った式島は先ほど胸ポケットにしまった手紙の破片を取り出し、それを少女が持つそれと繋ぎ合わせてみた。ピッタリと破れ目が合わさった。一度も見たことのない文面なのに、それは明らかに式島が持つ手紙の続きだった。

「どうしてこんなものがあるんだ。これは……これは、翔子の私物だ」

 そんなはずはない。そう頭の中で否定しても、手紙とロケットペンダントは無情にも式島に受け入れたくない現実を突きつける。――私の罰? 私の罪? 何を言っているんだこの手紙は。式島は考える。翔子は実家に帰省したときに殺されたはずだ。そう他の警官(どうりょう)は言っていた。俺はその日仕事で何もできなかったんだ。何もできなかったからこそ、こうやって彼女を探しに来ているんじゃないか。そうだ。そうだったはずだ。
 そこまで思って、式島はハッとあることに気がついた。

「もしかしてここに翔子がいるのか……?」

 式島は少女が手にしていた手紙を乱雑に握りしめて駆け出した。周りにいる人間に少しも気にとめることなく、暁町立図書館の外へと向かって消えていった。

>おーる
【レス蹴りみたいな形になって申し訳ありません……!錯乱した式島は少しの間、離脱します】

2ヶ月前 No.477

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 階書庫→一階廊下 】

 とりあえず全員が手にしていた情報を共有していたその時、ゆらぎの手にあった二階事務室内で拾った手紙の断片を乱暴に奪い去っていく式島の姿に都城は首を傾ける。よく分からないが相当焦っているようだ。

「――――まあ、いっか」

 都城は思考を停止させる、彼は彼で行動をしていたし心配することはないだろう、と。そして都城は自分の背にある扉に手を伸ばし開いてみる。ひょこり、と覗いた扉の先は奥に続く廊下、そしてその奥に見える階段。

「みなさーん、この先に下に降りる階段あるみたいですよぉ」

 七が都城の言葉にゆっくり足を踏み出し受付内へと向かう。その様子に都城は扉の先に足を踏み出しながら誘うように周りに声をかける。

「とりあえず、進んでみたらええんちゃいます? 今までもそうやったし」


>> ALL


(式島さんが一時離脱されましたのでこちらは先に進ませていただきました!いよいよ三章はラストに差し掛かりました、皆さまはどのような推理をなさるのか、たのしみです!)

2ヶ月前 No.478

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_gaI

【御子柴ゆらぎ/図書館一階書庫】

「あ、ちょ、おまわりさーん、一人は危ないよー……行っちゃった」
 情報共有ということで様々な憶測が飛び交う中、ロケットと手紙を見た柊平は血相を変えて飛び出していった。なんだ、この図書館は施錠されていなかったのか……てっきり此処も出られないものだとばかり思っていたゆらぎは、何処か拍子抜けたような気分になる。
「まぁあの人は最初から一人でここに来たみたいだし良いのかなぁ……というかあの手紙、前半があったんですね」
 失恋レターだとばかり思っていたが、前の部分を読めば実は全く違うものだったのだろうか。途切れ途切れの話を統合すれば、あれは柊平の妻に当たる翔子という女性の私物だそうだが……何故そんなものがこの地に、意味深にバラバラに散らかっているのか。
「なぁんか嫌な予感しかしないんだけど……大丈夫かな。すっごい不謹慎だけど、あの人の奥さん化けて出ない……?」
 ゆらぎはそう呟いて、不安げに柊平が消えて行った扉の方を見遣るが……やがて京のまぁいっかという声を聞き、彼女も思考停止することを選んだ。

「うん、多分あの人は翔子さんを自分で探したいんだきっと。部外者が邪魔するのいくない。わたし達はわたし達に出来ることをしよう……二度手間になるから取り敢えず地下を確認して、井戸はそれからね。もしかしたら龍矢くんの言う通り鍾乳洞の入口とかあるかもしれないし……いや、あったら本傷むな。縄も探索に使える物かも知れないしね」
 色々と勝手に結論付けたゆらぎは、七や京に続いて地下へと続く階段があるという扉に向かって歩き出した。

>ALL

2ヶ月前 No.479

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

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2ヶ月前 No.480

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫→地下室】

「えっ、す、すみません、俺とんでもない聞き間違いを……!」

安仁屋さんに指摘されて、その通り俺はとんでもなく不謹慎かつ失礼な勘違いをしていたかもしれない可能性に気付く。三年前奥さんは、「亡くなった」んじゃなくて、「いなくなった」のか……だとしたら、申し訳なさと恥ずかしさと焦りで胃のあたりがきゅんと痛む。そうだとしたら、生きている人を死んだ前提で話していたとしたら、本当に本当に申し訳なさでいっぱいだ。
生きること、生かすことは俺にとってどんな場合でも信じられる正しさで、死ぬことは当然避けたいし遠ざけてあげたい悪い事……それ以外の解釈なんて、たとえ諭されようと俺はまだ認めたくない。

しかし俺の失言のせいなのか、混乱の所為なのか、それとも二階から持ち帰られてきた手紙とロケットペンダントを見たせいなのか、何か思い出したのかそれとも何かに気づいたのか、式島さんは玄関から走り去ってしまった。

「ちょっと! 式島さん!!」

俺は慌てて後を追いかける。一人は危ない。それに、意図的ではないにせよ地雷を踏み抜いてしまったかもしれない訳だから。
あの人をあのまま一人にしておいて良いのだろうか。各々納得し始めた皆を背にして、玄関ホールを抜けて図書館の外へと飛び出す。勢いよく開いたガラス戸から、夏の夜風が吹き込んでじわりと肌にまとわりついた。

「式島さんっ…………!」

しかし、赤い月が照らす田舎町に、式島さんの姿は何処にも無くなっていた。田んぼの水が、つやつやと光っている。時が止まったような薄赤い暗闇が俺の声を飲み込んで、やがて水面のようにしんと静まり返った。右も左も、無人の民家の影はなんとなく見て取れるものの、その奥には果てしなく吸い込まれそうな闇が広がるばかりで、今更恐怖を思い出しゾッと身震いする。見失った。こんな暗闇の向こうに、生きた人の気配なんて感じられない。本当にあの人が探している人物なんてこの先にいるのだろうか。
その時だった。
前方から、何処かで聞いた覚えのある重い足音がした。ガチャリ、ガチャリと金属の触れ合う音が。

ーーーーガサガサガサガサガサ……タッ……ガサガサ……コ……ザザザザザ…………ルノ…………?

聞いた覚えのある、ノイズだらけの音声が。

「は………………うわ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

紅の月光に照らされて、いつのまにか其奴は目の前に立っていた。雨に濡れたように艶めく黒の鎧。歴史の教科書か、ばあちゃん家の納屋から出てきたかのような兜。神居家で倒した筈の、巨大五月人形。神居家の人形の呪いなら解けた筈なのに、追いかけてきたのは、もしかしてこいつが人形じゃないから、ってことなのか。

「お、おおおおおおお落ち武者ぁっ!?」

其奴はあの時と同じように、帯びた刀をすらりと抜いた。鏡のように磨かれた刀身に、恐怖に歪んだ俺の顔がますます歪んで化物めいて映っている。
やややややめろって! 今回は先輩も御子柴さんも居ないんだから! 無理無理無理無理俺一人じゃ無理!!
後少しのところで気を失いそうになりながら、けれど数歩も下がれば真後ろに皆の居る図書館があることをギリギリの思考で思い出し、俺は回れ右をして全速力で敵前逃亡をした。

「……みなさん! 早く、早く地下を探索しましょう!!」

俺はガラス戸で五月人形もとい落ち武者を締め出し、肩で息をしながら奥の書庫から地下室へ向かう皆へ叫んだ。落武者は知能の足りない虫のように扉にガンッと一度ぶつかったが、俺が構わず全体重で扉を抑え見えているけれど無視する方向で皆に話しかけていたら諦めるように消えていった。これは、式島さんを今一人で探しに行くのは無理だ。こっちの身がもたない。
結局俺は式島さんを見捨てるような後味の悪さをそのままに、皆を追って地下室へついていくことにした。

>all様



【遅くなりました! 一応式島さんを追いかけてみようとしたもののオバケに軌道修正されて結局諦めて地下探索に加わる感じでいきますー】

2ヶ月前 No.481

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 一階廊下→地下廊下 】

 先頭を歩く都城は七の手を引きながら一階廊下から地下へと続く階段を下りていく。ひんやりと頬を撫でた冷たい風に背筋が凍るような感覚、そっと隣の七を見れば今までのような何かを感じたような素振りはなくきょろきょろと辺りを見回しながらも都城に手を引かれるままてくてくと歩いていく。

「うーん、なんや扉が二個もあるけど……開かへんねぇ」

 階段を下りた先の地下はまたも廊下のようだった。廊下には横並びの扉が二つあるだけで他に目ぼしいものはない。右側の扉に手を伸ばせばがたがたと引いたり押したりとするがびくとも動かない。

「なんやろ……鍵……穴はないし……」

 試しに左側の扉も開けてみようと手を伸ばす、かちり、という音が小さく鼓膜を震わせたがやはり左側の扉も開く様子はなかった。扉には鍵穴もない、ただ足元が少し盛り上がっているぐらいだった。

>>ALL


(ちょっと強引にすすみます!三章ラストまでもう少し、twitterアカウントにヒントをあげておきますのでみなさま推理、よろしくおねがいします!)

2ヶ月前 No.482

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_LOn

【安仁屋右叉兎/一階廊下→地下廊下】

柊平の後を追うように、玄関ホールへと駈け出して行った龍矢。走り去る龍矢に言い掛ける言葉もなく、離れ行く彼の背中を右叉兎はただ見届けるだけしかできなかった。ゆらぎの言葉に半ば納得し掛けていたからだ。ゆらぎの言うように、自分一人の力だけで柊平は翔子を探したかったのだろう。一人の警察官として、また、一人の恋人として、愛すべき女性を守ってやれなかった負い目を感じないはずはなく、あの時、怒りに近い感情を右叉兎へと向けたのは冷静さを失っていたからなのかもしれない。どうして手紙の存在を隠し通さなければならなかったのか、柊平の考えなど右叉兎には知る由もなかったが、彼にも何かしらの事情があるに違いないと自分自身を納得させた。

「そういえば式島さん曰く、翔子さんの殺人事件に関わったり、失踪事件を起こしたとされる犯人がまだ暁町に居るらしいっスけど、なるべく固まって行動した方がいいというのは俺も賛成っス。多分ああいう手合いは幽霊や化物よりも質が悪いと思うっスから」

柊平と合流できているのならひとまずは安心だろうと、一人で出て行った龍矢のことを憂慮した後で、京の後に続いて右叉兎は地下廊下へと下って行った。廊下には横並びの扉が二つあるだけで他に目ぼしいものは見られなかった。右側の扉の取っ手に京が手を差し伸ばしたが、引いたり押したりするもののピクリとも動かないようだった。今度は左側の扉を開けようとする。しかし、室内にカチリと音を響かせるのみで全く開く様子は見られなかった。

「長い間使われてなかったようっスからね。もしかしたら立て付けが悪くて開かないのかもしれないっス。何かパールのようなものがあればこじ開けられそうっスが……用務員室かと思えばそうでもなさそうだし、一体ここはどういう目的で作られた部屋なんスかね?」

 何もないと分かっていながらも右叉兎は部屋をぐるりと見まわしてみた。

>> 周辺all様

2ヶ月前 No.483

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館一階廊下→地下廊下】

 取り敢えず地下に行くという提案は、龍矢や右叉兎にも受け入れて貰えたらしい。後ろに続く足音を感じながらゆらぎはトコトコと階段を下りる。ゴスロリ衣装から制服に変わったお陰か、矢張り多生なりとも動きやすい。
「え、殺人犯いるのこの町……お化けよりよっぽどヤバいじゃん……犯人は神居家にいたママとかで既に解決してますように」
 思考が非現実的なものに侵されているからか、或いは単なる現実逃避か、地下に潜った先や扉を開けた先に件の殺人犯が隠れているかもしれないという可能性は無視して、ゆらぎは進む。

 しかしその歩みは地下室に辿り着いて直ぐに止まった――二枚の扉を前にして、先に降りた面々が立ち往生している。どうやら鍵もなければ鍵穴もなく、けれど扉は開かないらしい。
「鍵穴がないってことは内側から閂でもかかってて別の入り口があるのか、何か仕掛けが鍵替わりなのか……ドアノブ順番に回すとか上の本棚で正しい順番に並び替えるとか、意外とハイテクな受付とかで操作する電子ロックとか……でも上はもう怪しいものはなかったし……」
 ブツブツ言いながらゆらぎは考える。全ては仮定でしかないから、全てが正しいようにも間違っているようにも思える。
 目の前にあるのは、左右対称の二枚の扉だけ。
「……双子の扉」
 ぽつり、と。何かを思い出したように呟いて。

>all

2ヶ月前 No.484

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・地下廊下】

皆の後を追いかけ、転がりそうになりながら階段を駆け下りた。躍起になって見慣れた背中を追いかければ、不意にそれが階段を降りた先で動かなくなり、扉の前で詰まって危うく追突事故を起こしそうになる。

な、なんですか、いったい…………
寸前で止まり、そう言いながら彼女達の肩越しに見えたのは、閉じられたままの扉。なるほど、それでつまっていたのか。皆さんをここに集めてください・状態≠ノなってる皆さんと、よく分からないこの状況を見回す。
この図書館で鍵らしきものは見つけなかった。少なくとも一階では。それは二階組も同じ事らしく、皆それぞれに首をひねっている。これは、また地上階に戻って、鍵を探さなければいけないだろうか。でも鍵穴はないって言うし。
扉を破壊できそうな持ち物があれば良いが……ドライバーやコルク抜きや栓抜きがついたアウトドア用サバイバルナイフか? いや、さすがにピッキングツールはついてないぞ……ってか鍵穴がないんだって。あとこの図書館で見つけたものといえば……縄? いやこれは関係ないだろう。……ロケットペンダント? RPGのダンジョンじゃないんだからなぁ。

「蹴破れそうなほどヤワにも見えませんし」

左右対称に並べられた、二つの扉。そのどちらともが開かないらしい。右も、左も。
俺は二つを見比べて、都城さんがガタガタと揺らしている左の扉に近づいてから自分でもガタガタと揺すってみた。開かない。続いて、足元に出来た小さな丘をふみふみと踏んでみる。うーん……。

「……もしかして御子柴さんの好きなあれだったりして。……右の扉、俺と『せーの』で開けてみませんか。はい、せーの!」

俺は左の扉に手をかけたまま、顔を右に向け、誰か勘まかせの物は試し精神に張ってみてくれるよう促した。

>all様


【短くなっちゃってごめんなさーい!】

2ヶ月前 No.485

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・一階 書庫→地下廊下】

地下に向けて歩んでいく一行の背中を追いかけながら、烈は何か怪しかったり危なかったりするものはないかと辺りを見回していた。これまでの経験から、いつ何処に仕掛けがあっても可笑しくはないと考えているからなのだろう。今時地下室というのも珍しい、と思いながら烈も歩を進めていく。そんな中、右叉兎から“失踪事件を起こした犯人がまだ町内にいるかもしれない”という話が挙がる。烈もゆらぎと同じように、犯人はこれまでの怪異たちであって欲しいと願うばかりである。ほら、月館家を出てすぐに出会った千枚通し娘とか、可能性がなくもない。

「……!分かれ道、にござるか……!?」

歩みを進めていくうちに当たったのは目の前に存在する二つの扉である。どちらかが正解、もしくはどちらか片方を選ぶことによって当たり外れはなくとも行き先が変わる、ということだろうか。普通の図書館にこんな迷宮めいたものがあるものだろうか、と烈は目の前に立ち聳える扉を睨み付けた。

「押して駄目なら引いてみろ……という感じにはござりませぬな。はて……」

顎に手を遣りながら、烈もどうにかして扉を開けられないものかと思案する。謎解きは苦手だ。それでも皆の力になりたいという思いに嘘はない。何か手掛かりのようなものはなかろうか。そう考えていた烈は、じろじろと不自然過ぎるくらいに辺りを観察する。やや中腰になりながら、何か落ちていないかと探していた時、ふと京の足下が何やら盛り上がっていることに気づいた。

「……?編集者殿、編集者殿。貴殿の足下にござるが、何やら盛り上がっておられるご様子にござる。少し見てみたり、出来たら踏んでみたりして何か埋まってなどおられぬか確認は出来ませぬか?」

もしお嫌にござったら拙者が承りますぞ、と後に付け加えながら烈はそう京に声をかける。其処に何があるのかはわからないし、何もないかもしれないけれど、気になったのならそのままにはしておけない。

>>周辺all様

【ひぃ〜〜お返事遅れてしまって申し訳ございません……!】

2ヶ月前 No.486

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 地下廊下→双子廊下(右) 】

 周りの声を聞きながら都城は右の扉を調べ始める。特に変わった様子はないただの扉なはずだがどうやっても開かない。どうしたものか、安仁屋の言葉通り壊すしかないのか、そう思っていれば背後から掛けられた烈の言葉に足元を見る。

「あっ、ほんまや。これ乗ったらかち、っていうしおりたらならへんねぇ……」

 足元の盛り上がった部分はまるでスイッチのように踏めばかちり、と音がする。だがしかし扉はやはり開かなかった。いつのまにか左の扉を調べていた八岳の言葉にこくん、と頷いた都城は「いっせーのーで!」と声をあげながら扉を押してみた。両方の扉を、同時に。

「――――ひらいた」

 七の小さな声と重なるように扉が開いていく。扉の先は一本道で奥には扉が一つ、二つの廊下は全く同じようで、辿り着く先も同じにのかもしれない。

>>ALL


(八岳くんナイスです〜〜!!!!進行の都合によりいっせーのーでを待たずに開けます!八岳くん当たり!答えは、偶数人で同時に足元の踏み台を踏む、でした!)

2ヶ月前 No.487

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館地下→双子廊下】

 御子柴さんの好きなアレ――不意に自分の名前を呼ばれたゆらぎが顔を上げると、皆の立ち往生は終わっていた。どうやら、両方の扉を同じ人数・タイミングで開ける必要があったらしい。
「わたしそんなにせーのせーの言ってるかなぁ……言ってるか。あとこのドア一人で開けたいときどうすんだろう……司書さん困らないのかな……ま、取り敢えずドア開いたところで進もうか」
 色々とゆらぎの中にも突っ込み所はあった様子だが、この状況下で突っ込むだけ無駄だということはこれまでで嫌というほど自覚している。だからさっさと先に進もうと扉の向こうの暗闇を覗き込んで……真横にも全く同じ道が続いていることに気付いた。

「これ、どっち行く? 鍵の感じからするとどっち選んでも大丈夫だと思うけど……いや違う……多分これ、半々じゃないと進めない」
 最低二人居ないと開かない扉というのはつまり、その二人を分断するためのものではないのだろうか。幸いにも此処には二人よりも多くの人間が居るから、一人ずつ進む羽目にはならなさそうだが。

「どうしようかな……取り敢えず全員で右行ってみて……多分その段階でドアが閉まっちゃうけど。閉まらなきゃ僥倖、そのまま行こう。閉まったらグッパーね」
 手の平を握ったり閉じたりしながら、一行を振り返って告げるゆらぎは知らない。グーだかパーだか下手をすればチョキだかを一斉に出して組分けをするアレの呼び名が、地方によって異なることを。

>all

【多分置きレスで例のアレをやるのは難しいので、別れる場合は適当にお願いします。】

2ヶ月前 No.488

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・地下廊下】

都城さんとタイミングを合わせて押し込んだ扉は、スッと開いた。
「うわぁぁっ!?」
何をしても開かなかった時の勢いのままほぼ全体重をかけていた俺は、扉に突っ込んだまま前につんのめり、危うく転けそうになる。
……開いた。
危ないところで態勢を立て直し、ドアノブには手をかけたまま、開いた扉と続く細長い廊下とを交互に見比べる。

「おっしゃぁ! 当たりか! ………………や、あの、勘じゃなくて、推理と論理的思考、それから洞察力ですよ」

ハッと周囲の目に気付いて、咳払いを一つ。
俺たちを二手に分断する別れ道……。ただでさえ人数が少ないのに、細分化されては心許ない。どこに続いているからわからない先行き不明瞭な細長く薄暗い廊下がそんな気分を加速させているのかもしれないが。

「そうですね、それじゃあみんなで右に……」

俺は御子柴さんの勧めに従って左の踏み台から降り、都城さんのいる右の扉の方へ向かった。が、その瞬間にいま解錠した扉はひとりでに閉まって、カチリという施錠音を背中で聞いた。どうやら、皆で片方に集中するわけにはいかないらしい。

「ダメみたいです。小癪な仕掛けだが、二手に別れるしかないみたいですね……御子柴さん、それは……」

怪訝な顔で扉を睨んでいたこの視界の端で、何かが開いたり閉じたりしている。それは、御子柴さんの手だった。ああ、名前なんていうんだっけ、懐かしの、二つのチームに別れる時の……

「……限定ジャンケン?」

……じゃなくって。

「ええと。……まあいいや、雰囲気でわかりました。はい、お手を拝借! グッとっパーで別れましょ!」

俺は徐に右手を掲げ、みんなにもそうして貰うよう促してから振り切った掛け声とともに手をパーに開いた。勿論この時、この掛け声が微妙にバラバラでなんか締まらない感じになるとは俺だって予想していなかったわけだけど。

「よし、丁度わかれたみたいですね、行きましょうか……」

>all様


【というわけで、尺の都合で適当に二分割、ですね】

2ヶ月前 No.489

推古 @iwing ★6TfTABjBWh_sxd

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・地下廊下】

「これ、一人だけがグーかパーだったら最悪なパターンじゃないっすか……」

おっかなびっくり手を差し出す。
ゆらぎから提案があった時から決めておいた型を出して半々の組を決める。
左右対称の扉から続く廊下へ、二手に分かれて進む班を組むのである。どちらのチームに組み込まれるかはまだ右叉兎にも分からない。先ほどから危惧していたように、片方の班に一人だけで分けられる可能性も確率的にはあり得る話だ。それでもズルをして後出しをするのも格好がつかないと考えたのか、周りに合わせるように手を差し出した。もう子どもではない──と右叉兎は思っているのでわざわざ声には出さなかったが、心の中では恒例となっている例の開始の合図を唱えていた。

>> 周辺all様

2ヶ月前 No.490

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下廊下】

どうやら龍矢の推理は的を得ていたらしく、重苦しい音を立てて扉が開いた。喜ぼうとしていたもののハッとして咳払いをする龍矢に、烈はクエスチョンマークを頭上に出しそうな表情を向けた。嬉しいのなら思いっきり喜んでも良いというのに。……周りの目をあまり気にしない質の烈は、時々そんな風に思うことがある。さすがに空気は読めないわけではないので口に出すことはないのだが。

「ふむ、なるほど。ならば半分に分かれねばなりませぬな。逢澤殿の話もあります故、バランス良く男女が分かれてしまうのもいささか不安ではござるが……」

双子の道を行くには半分に分かれるしかない。それに一抹の不安を覚えるものの、後には引けないと考えた烈はそれを受容することにした。もしかしたら自分たちを分断して離ればなれにするのが目的なのではないか、なんて考えてしまったが、其処は持ち前の前向きさ加減で否定しよう。きっとこの道の先は何処かで繋がっているはずだ。どのくらいの道のりになるかはわからないけれど合流出来るならそれで良い。

「ほほう、グッパーにござるか!懐かしゅうござりますなぁ、拙者も幼き時よく行い申した!」

うんうん、と感慨深そうにうなずきながら烈はグッパーに応じることにする。グーとパー、どちらを出すにしても確率は半々である。右叉兎がなんだか不穏なことを言っていたけれど、きっとそんなことは起こらないはずだ。いや、起こらないと信じたい。こんな暗い道のりを一人で進んでいくなんて正直嫌だ。せめて誰か一人でも良いから同じものを出していますように、そう願いながら烈は手を出した。

>>周辺all様

2ヶ月前 No.491

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館地下】

 龍矢が扉から――恐らくその前の凹みから離れると、案の定扉はひとりでに閉まってしまった。よくできてるなぁ、とゆらぎは場違いに感心するが、全員が手分けして探索することには同意してくれたのでその思考は振り払った。
「一人は流石に危ないから、その時はやり直そうね。はいグッパーグッパー、グーッパー!」
 とまぁ、龍矢に合わせたつもりの掛け声を上げたゆらぎだが、三文字目から既に何かがおかしく、手を開いて閉じる回数すら異なっていた気がした。というか異なっていた。ゆらぎはしげしげと自分の握り締められた手を見詰め、「パーって言いながらグー出すの意外と難しいんだよね」という常套句を、そっと胸の内にしまいこんだ。
「……えーっと、じゃあパパのチームは右で、わたしの方が左ね」
 掛け声云々について触れると収集がつかなくなると察したゆらぎは、まるで何事もなかったかのように二つの扉を指差した。

>all

【チームの詳細についてはスレ主様より発表があります。】

1ヶ月前 No.492

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_LOn

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・地下廊下】


グーとパーでの組み分けの結果、龍矢・安玖・京・七と、ゆらぎ・烈・右叉兎の班に分かれた。

「右扉へは八岳さんの班が。左扉へは御子柴さんの班が。ってことっすね」

両方の扉を開錠するためには、両扉の前にある出っ張りを両者が踏んだ上で、隣の扉と同じタイミングで取っ手を捻らなければならない。
解いたのは龍矢の功績だが、開錠のための仕掛けが判明した今、迷いなく右叉兎は左扉の前へと進んだ。

「今思えばこの仕掛け、ゲームとかでよく見るアレっすよね。どんな技術で動いているのか、今更ツッコむ気も起きないっすが……」

右叉兎が言いたかったのは謎解きダンジョンでよく用いられるような仕掛けを差しているが、果たして何人の人間が気付けただろう。右叉兎は自然と口を衝いて出てしまったが、まさか現実で実際に実行しうるとは本人も予想だにしない出来事のようだった。とにかく、扉の先へ進むには二人以上の人間が、それぞれ左右の扉の前にある出っ張りの上に立ち、双方の取っ手を同じタイミングで捻る必要があった。


>> 周辺all様

1ヶ月前 No.493

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下廊下】

グッパーで組分けを行った一同だが、結果としては龍矢・安玖・京・七と、ゆらぎ・右叉兎・烈というものになった。誰といっしょに進むことになるか、内心わくわくとしていた烈ではあったが、この結果を前にして「おぉぉ!」とこの湿っぽい地下道には似つかわしくない大きな声を上げた。そして瞳をきらきらと輝かせながらゆらぎと右叉兎の方を見る。

「これは!これは、“曉町探し隊”ではござりませぬか!まるで運命でござるな!」

そう、烈がはしゃぐ所以は烈と共に左手の扉の方に進むメンバーが見事に“曉町探し隊”で構成されていたからである。そういえばこんな見事に分かれたことなんてなかった気がする。烈は誰とでもいっしょに行けるのなら構わなかったが、こうも綺麗に分かれるなんて思ってもいなかった。だからこのように、もう高校三年生だというのに、子供のようにはしゃいでいるのである。放っておけばそのうちぴょんぴょんと跳び跳ねそうな勢いだ。しかし周りの目もあるということでさすがに自重したのか烈は不自然にひとつ咳払いをして静かになった。こんなところではしゃいでいる場合ではないと実感したのだろう。烈としてはちょっとした成長だ。

「たしかに、どのような技術で動いているのでござろうな。それに、わざわざ図書館の下に斯様なものを造った意図がわからぬ。もともとあったものなのか、図書館の建設と共に造られたものなのか……。どちらにせよ、どのような施設にござろうか」

右叉兎の言葉に賛同の意を示してから、烈はうーむと首を捻る。一体この迷宮のような施設は、何のために造られたというのか。どうやらこの曉町では民俗的な風習が色濃く残っていたようだから、そういったものに由縁のあるもの……という線もあり得なくはない。何にせよ、この先に進んでいかなければならないのは変わらないのだから、今どうこう言ったところで何かが変わるという訳ではなかったのだが。

>>周辺all様

1ヶ月前 No.494

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 地下廊下→双子廊下(右) 】

 二つの扉を同時に開ける、ぎいいという鈍い音とともに開いた扉の中を覗きこむ都城の横を七がすり抜けるように奥へと足を進める。

「わっ、七ちゃん先行ったらあきまへんって、なら私は八岳くんと逢澤くんとですねぇ、行きましょかぁ」

 そっちは任せましたよ御子柴さん、そう声をかけ都城は廊下へと足を進める。見たところ特に変わった様子はない、普通の廊下のようだった。

「うーん、特に変わったとこはないみたいやねぇ、うんうん」

 きょろきょろと辺りを見回す七の手を握り都城はそう呟く。どう思います? と他の二人にそう問いかける。道は真っ直ぐ、曲がり道などはなさそうだ。

「あの扉がゴール、みたいですねえ」

>> 八岳くん、逢澤くん、



(ということでさくさく中に進ませてもらいますね、!)

1ヶ月前 No.495

かささぎ @september9☆l2RtaxPLX0X6 ★gXyGHSaxw7_M0e

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1ヶ月前 No.496

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館地下】

「よし、いい感じに別れたね……じゃあ、暁町探し隊再始動ってことでれっつごー」
 グーを出した面子を確認したゆらぎは、それが自分達の根城である掲示板のメンバーだったことに満足そうな顔をする。右叉兎の言う仕掛け云々の件は、今更つっこむだけ無駄だとスルーして、左の扉に向かって進む。
 右の扉は京達が、左の扉は右叉兎と烈がそれぞれ引っ張って、全員が薄暗い廊下へと足を踏み入れた。
 そこは地下室らしい淀んだ空気の広がる、真っ直ぐな道だった。果てが見える位の長さで、最奥に扉が一つ。
「あー、これならすぐ探索終わる……」
 呑気な声を上げたゆらぎだが、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。弾かれたように振り返った彼女の目線は、今し方通り抜けたばかりの扉に……その向こうの部屋に佇む青年に向けられている。
「……真希、ちゃん?」
 ぼんやりと虚ろな瞳で階段に立ち尽くすのは、真希人だった。迎えに行かないと、と頭では思っているゆらぎだが、その手に握られた物が何であるかを理解した瞬間、一瞬その動きは止まった。

 そして、その一瞬が致命的だった。

「真希ちゃん駄目っ! それは違う!!」
 走り出したゆらぎが目にしたのは、真希人の頚筋に宛がわれる刃物。彼が何をしようとしているかは明確で、その結果は火を見るよりも明らかで、だから止めなければならなくて。
「真希ちゃん!」
 ゆらぎの声は届かない。その結果すら、見届けることは叶わない。
 限界まで手を伸ばしたその指の一ミリ先で、無慈悲にも扉は閉まった。だからゆらぎには、真希人が何をしたのか、どうなったのか知る術がない。
 ただ、聞こえる筈のない水音と、何かが転げ落ちる音だけがくぐもって聞こえた。
「真希ちゃん、真希ちゃん! 真希人くん! 平気!? 大丈夫!?」
 扉を叩くが内側からは開かないようになっているらしく、押しても引いてもびくともしなかった。勿論、向こう側からの答えもない。
「どうしよう……真希ちゃんを助けなきゃ……あっちのドアは? 開く!?」
 もとの扉を開けるのを早々に諦めたゆらぎは、廊下の奥に見える扉をすがるように見詰めた。

>探し隊all

【真希人くんお疲れ様でした、ありがとうございました。】

1ヶ月前 No.497

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・双子廊下(右)】

各々思い思いに握りしめたり開いたりして突き出した手のひらは、ちょうど俺たちを二分割した。

「俺と一緒なのは、逢澤先輩と、七ちゃん、都城さんですね……」

進むべき右の扉の奥を覗き込もうとしたその矢先に、開けた戸を支えていた俺の腕の下を潜り抜け先走っていく小さな影がある。

「あっ、ダメですよ七ちゃん一人で行ったら……!」

その声は折しも都城さんの声と被り、そのまま促される形で俺と先輩も姉妹のような女性陣二人の後に続いた。
扉の向こうはただまっすぐな廊下が続いているだけ。左右に狭く聳える壁が言いようのない閉塞感というか圧迫感を与えてきて、なんとなく息が詰まる。こんなところ、さっさと通り抜けよう。四人の一番後ろを歩いていた俺はちょっと煽り気味になって前方の逢澤先輩の背中を追いかける。
じゃないと、後ろから何か良からぬ声でも追いかけてきそうな気がして。

ーーーーバイバイ

………!?


ーーーーバイバイ

…………えっ、なんだって!?


確かに、それは聞こえた。俺達が背を向け遠ざかっていく、もう誰もいない筈の、双子扉の部屋のほうから。
振り返っちゃ駄目だと思うより早く、身体が勝手に音の出どころへと向いていた。確かめなければいいのに、人はわからないものが怖く、見ることで安心しようとする。恐怖心は視覚情報が無い時ほど、それ以外の感覚が研ぎ澄まされた増幅するから。無意識に恐怖の正体を見て確かめようとする。たとえそこに、見ない方が良かった結果が横たわっていたとしても。

「か、狩谷さん…………!?」

置いてきた双子扉の向こう、何処か淋しそうな人影がひとつ佇んでいる。この廊下をそう長くは歩いていない筈なのに、左右を狭く囲う壁は騙し絵のように延びていた。彼は遠く、蜃気楼みたいに遠く、駆けてもいつまでも届かない幻のように遠くに見えた。
それでも、そんなに遠くに見えても振り返った俺は我を忘れて引き返し全力疾走で駆けつけざるを得なかった。条件反射だ。佇む狩谷さんを見た瞬間に、血の気が引いて、次の瞬間にはそれが逆流するように身体中を焦がして、早く行けと背中を押した。
狩谷さんが、手にした刃物を自らの首筋にあてがっていたからだ。

「何してるんですか!! 狩谷さん!!」

混乱し、動転し、思わず叱るような大声が出た。叫びながら足はもう床を蹴るのに、怒鳴り声も繰る足音は反響するのに、狩谷さんは思っているスピードで近づかない。

「狩谷さんっ!! 狩谷さぁぁぁぁん!!」

駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ、走りながら睨むように見据えた眼前の視界の中で、声は届かず狩谷さんの手は凶器を引き、首を……恐らくは頚動脈を切り裂く。真っ赤な花火が噴き上がるように、見たことも無い程の大量の血が迸る。その瞬間、それをサブリミナルかあるいは見間違えだと否定でもするかのように俺の目の前で扉が閉まった。
狩谷さんを思いとどまらせようと伸ばした手は、空を掴まず、代わりに硬く重い扉を打ち当てられた。

「狩谷さん!! なんで! なんでだよぉ!!!! 嘘だ! 嘘だろぉぉぉぉ! おい!!!! 狩谷さぁぁぁぁん!」

狩谷さんが死んだ。
目の前で。遮られたこの扉の向こうで。
まだ助けられるなんて、一縷の希望を抱いて扉をガタガタと揺らしても体当たりしても、扉はピクリとも動かない。こうしている間に、狩谷さんは血を流し冷たくなって……。何度も何度も俺は扉を殴るのに、きっともうだめだ、手遅れになる。叫びながら、喚きながら、暴言を吐きながら、俺はもう何て言って怒っているのか自分でもよくわからなくなってきた。
駄目だ、駄目だこんなの。何で狩谷さんは死んだんだ。何で死んだんだ。意味がわからない。そんな風に、そんな風に俺たちも死ぬのか。
今までに途中で居なくなってしまった先輩達も、まさか…………まさか…………

「い、嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!! なにがあったんだよ! どうなってんだよ!! お゛い!! 狩谷さん! 答えてくださいよ!!」

何が起きているんだ。狩谷さんは霊とやらの仕業で取り憑かれてああなったのか。そいつは俺達のことも取り殺そうとしているんじゃ無いのか。こんな理不尽なことがあって良いわけがない。何が、何が、何がどうして、こんなことに。
狩谷さん! 狩谷さん! 呼ぶ声に返事はただの一度もなく、扉を殴り蹴り掻きむしり続けた手は擦り剥けてひりひりと痛んだ。それでも返事は来ない。扉の向こうに、もう生の気配は無かった。

「……狩谷さん……」

俺は拳ごとずるずると下にヘタリ込む。


>七ちゃん、都城さん、逢澤先輩、狩谷さん



【遅くなりました……!
真希人さんの衝撃ホラーのラスト…………!!!!!! 八岳渾身の絶叫を贈りたいと思います。お疲れ様でした!!】

1ヶ月前 No.498

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_eQW

【安仁屋右叉兎/図書館地下】

元来た扉が開かないと知るや否や反対側の扉を目指して進む。
振り返り際に足元が縺れて転倒しそうになるものの、何とか堪えて奥の扉まで来れば一縷の望みを掛けつつノブを捻る。
幸いにも扉は何の障害もなく開き、右叉兎を異質な空間へと誘う。「あぁダメだ……ここも行き止まりみたいっす!!」
机と祭壇らしき台があるのみの殺風景な部屋だ。隣にはさっき入ってきたばかりの扉と同じような扉がもう一つある。
「はああぁぁ……神居家の主人は結局俺たちに何をさせたかったんだ……。町の秘密って一体何の事だったんだ……?」
しばらく現実を受け入れられずその場に座り込んでしまう。暁町に入って来て以降、様々の体験が脳裏を掠めていく。
「これもみんなあの朱月ってやつが原因なんだろうか……」

>> 周辺all様

1ヶ月前 No.499

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/双子廊下(右)】

 それを遠目に見た時に安玖の中で浮かんだ言葉が「だろうな」だったなんて知ったら、くだらないくらいに優しく可哀想なくらい根がヒロイズムに溢れたこの後輩は殴りかかって来るのだろうか。開くわけがない扉にそうしたように。
 どうせ皆が等しく抱えている思いだ。自分も死ぬのではないか、自分が望まぬタイミングで死ぬだなんて嫌だ。それならいっそ――だなんて、考えることくらい正気だろうと狂気だろうと出来る。ただ、実行するその一瞬の間に正気を捨てるか否かの違いしか、もう無いのだ。あの人はそれを捨てた。最後の最後で。
 はあ、と溜息を吐いて龍矢の背後へと向かう。そして右足を大きく上げ――その背に掛ける。そうしてからぐらつく程度に体重を掛けて顎をあげた。

「死を悲観するのも助けられなかった自分に対して嘆くのも結構だけど、そこで蹲って泣きじゃくるつもりなら蹴り飛ばすよ」

 低く唸るようだった。別の言い方をするなら、冷たくて人の温度を捨てたような、そんな声だった。
 記憶の中で落ち行く片割れと狩谷さんの姿がダブる。あんなにも大量の鮮血を見たのは、後にも先にも彼が死んだ時だけだった。――その筈だった。……なんて言ったところで、彼と飛海は百合と薔薇、月と太陽くらいには似ても似つかないから一蹴してしまったが。

「僕さあ、容易く自分の命を投げ捨てる覚悟も、無様に這いずり回ってでも死ねない理由も出来たんだよね。で、そうしてまで帰るには人手が居るんだけど」

「でも、龍矢がただでさえ人数が足りてないこんな状況で余計なこと考えて、自分からなけなしの正気を失くしに行くような奴なら話は別。邪魔にしかならないし、最後の一手を投げ捨てる可能性があるなら信じる事も出来ない。そのボロボロの両手を現実逃避のために使うなら、使えないようにへし折ってやるし」

 背中に掛けた足へ徐々に力を込めていく。そして御子柴さん達が向かった通路のある壁へ顔を向け、ハッ、と鼻で笑ってやった。

「隣も気付いてるだろうな、この状況。だとしたら向こうの面子は開くわけがない扉の前で狼狽えるなんて無駄なことせずに、さっさと出口に向かうだろうね。少なくとも現状でそれが一番の方法だし、テンパったとしても御子柴さんや鑓ヶ岳さんは頭が回るからね――もう一人の男の人はよく分かんないけど。それに僕も同じ行動する」

 で、とそこで言葉を切った。背中から足を退け龍矢の隣へと移動すると、無理やりその顎を掴んで持ち上げた。目線を合わせ、眼球に力を込めて睨め付ける。自分でやっておいてなんだけどぶっさいくな顔になったな、と関係ない事をぼんやりと考える。次いで、今の自分は酷く恐ろしい目をしているのだろう、と他人事の様に思った。

「生憎と僕は足を怪我しているわけでもないヤツの腕を引いて歩いてやるほど人が出来てないんだけど。お前はどうするつもり?」

 答えろ。言外にそう圧力を掛ける。
 自分に怯えようが、反感を抱こうが――自分が築き上げてきた彼の中でのイメージが崩壊しようが、どうでも良かった。そもそも安全なのかも分からない場所だ。今の龍矢が戦力にならないならならないで、相手が狙いやすいように留まってやるつもりなんてさらさら無い。だから何としてでも彼を立たせ、前へと歩くしかない。

>龍矢くん、狩谷さん、(七ちゃん、都城さん)

【お祖母ちゃんの容体が安定したのでふっかーつ! です。そしてかささぎさんにありがとうとお疲れ様を送りたいと思います】

1ヶ月前 No.500


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