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曉の彼は誰時。

 ( オリジナルなりきり )
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ホラーゲーム風 / 和風 / 脱出 @sweetcatsx☆2/Tw0gYxHcQ ★iPhone=VHGaT7ZbKj

 ――――朱月≠ノは気をつけて。

 ――――貴方も、ああなってしまうよ?


【 八月上旬 / 山の麓の町 バス停留所 】

 がたがたと揺られ続けること一時間。止まったバスをおりてゆっくりと辺りを見渡す。辺りには田畑、そして山。この山の向こうに目指している場所はあった。


 その山には入ったらいかん。
 その山の奥には、曉町がある。
 あの町は住人全員が神隠しにあった。もう誰も残っとらん。

 ――――あんたも、神隠しされちまうぞ。


 幾度となくかけられた言葉を愛想笑いで逃げ切って、一歩、また一歩と山の奥へと足を踏み込んでいく。生い茂る木々が空を遮るようにして立ち並んでいるせいか薄暗く、より一層怪しげな雰囲気が立ち込める。深い深い山道をただひたすら、真っ直ぐ。


【 八月上旬 / 曉町高台広場 】

 山道を何時間歩いただろうか。目の前に巨大な朱塗りの鳥居が視界に入る。安堵からか思わず溜め息が零れた。やはり、やはり実在していた。浮き立つ気持ちを抑えつけ辺りを見渡せば黒のワンボックスカーが視界に入る。……もしかしたら、広めの道もあったのかもしれない。

(…………他にも人がいるのか)

 心に小さく浮かんだ疑問。それらを拭い去るためにはこの中に入らなければ。深く息を吸い、ゆっくりと鳥居の下を潜る。――――その時だった。


「――――――――もう、逃げられない」


 鼓膜を震わせた少女の声。辺りに少女はいない。気のせいだったのだろうか。首を捻りながらもふと、視界に映った空に目を見開く。何故、どうして、空はまだ青かったはずだ。それなのに――――


 何故、空は闇に染まっているのだろう。
 何故、月はあんなにも赤く染まっているのだろう。


 ――――これは、閉ざされた町曉町≠ノ足を踏み入れた彼等に待ち受ける怪異譚である。

( 鈴の音が、聞こえた気がした )



 ///

( 冬だけどホラースレッドです! 兎にも角にもサブ記事へ! )

メモ2018/10/08 11:16 : 七、都城京☆e0aRNqDUyEM @sweetcatsx★iPhone-8p27ODDVl8

要必読事項(EDについて) → http://mb2.jp/_subnro/15697.html-234,250#a

イベントについて → http://mb2.jp/_subnro/15697.html-232,233#a


第一章『曉町』>>1-186

第二章『蠶』>>187-354

第三章『朱月』>>355-


【 登場人物 】

▼ オカルトサークル

 八岳龍矢(芙愛さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-41#a

 逢澤安玖(千羽さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-32#a


▼ 曉町探し隊

 御子柴ゆらぎ/ふわりちゃん★(夕邑三日月さん) http://mb2.jp/_subnro/15697.html-16#a

 鑓ヶ岳烈/足軽其の壱(すずりさん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-23#a

 狩谷真希人/よこぎる猫(かささぎさん) http://mb2.jp/_subnro/15697.html-63#a

 安仁屋右叉兎/シシO(推古さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-199#a


▼ ホラー小説作家と編集者とカメラマン

 都城京(冬野)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-62#a


▼ ある理由からやってきた謎の人物

 式島柊平(神崎りりかさん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-28#a


▼ 村で出会った謎の少女

 七(冬野)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-13#a

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千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/二階書庫⇒】

 鑓ヶ岳さんの見つけ出した民謡歌集を読み込んでいた安玖は、やっぱり、と声をあげる。そして戻ってきた御子柴さんと七ちゃんからの問いに本を閉じ、次いで階下から聞こえてきた自分達を呼ぶ声に身を乗り出した。

「町の名前の由来と、町の秘密と、次の目的地。そこに行く理由も分かった。まだ情報が足りないけどね」

 二階と一階、自分の視界に入る全員を見やると目を細める。階段を下りながら自分と鑓ヶ岳さんの見つけた本を掲げてみせ、御子柴さんも何か見つけたらしい、と付け足す。

「次の目的地は神社。ここの土地神について、知る必要がある。……けど、今までの場所以上に覚悟がないと駄目だ。
 あと井戸。そこのポスターにもあった井戸……もしかしたら行く必要があるかもしれないけど……多分、女性はあまり近付くべきじゃない」

 本当に自分の仮説が正解だとすれば、年若い女性達はあまり行くべきでは無いだろう。成人の男女もそれなりに居るが未成年の男女も同じくらい居るこの面子では、懸念が残る。

「渡せる情報があるなら、全員で一度揃えた方が良い。僕もひとつ、仮定の話は建てたけど……どうだろうね、皆が信じられるかも理解できるかもわからないから」

 ――責任は果たすべきだ。本人に自覚はなかったとしても自分から踏み込み、関わったのならば知る責任も、義務も、権利も、ある。
 図書館に入る前に自分が零した言葉。それが、今になってべたりと背に張り付いたようだった。そして何より。

「……“真実”に向き合えない人間の末路なんて、知れてんだよ」

 今までの言動を見ていれば分かる。全員が、心の奥底に大なり小なり――そんなもの互いに比べる物ではないが――向き合いきれない何かを抱えている。この町は、そんな自分達にはとっても「お誂え向き」なのだ。

>>一階、二階ALL

2ヶ月前 No.464

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・二階 書庫】

安玖に民謡集を渡すと、彼はそれを読んで「やっぱり」と口にした。何か思い当たる節でもあったのだろうか。烈にはいまいちわからなかったが、それでもこれまで謎を紐解いてきた安玖が言うのだから何か重要な手掛かりが得られたのだろうと烈は解釈した。そうしているうちに、奥を調べていたらしいゆらぎと七が書庫に戻り、一階の京からも呼び掛けられる。そろそろ探索も潮時、ということだろうか。烈も書庫はある程度調べたし、これ以上目ぼしいものもない。

「我等は興味深い書物を手に入れ申した!後で皆で読みましょうぞ。地図が見つかったというのは大きな収穫にござりますな!……いやぁ、それにしても失礼のお手紙とは……。他意はありませぬが、気になりまする……」

何かあったかと問いかけてきたゆらぎに烈は答えたが、何よりもゆらぎたちが見つけたという失礼レターが気になりすぎて仕方がない烈であった。色恋沙汰に興味がある訳でもない烈とて突然失礼レターと言われたら良くも悪くも興味を抱かずにはいられない。
閑話休題、とにもかくにも次の目的地は神社ということで間違いはなさそうだ。その前に安玖が口にしていた井戸にも向かわなければなるまい。しかし烈は安玖が「女性は井戸に近付くべきではない」と言ったことに疑問を覚えた。たしかに七のような人間は知らぬ間に落っこちてしまう危険性があるから、井戸には近付かない方が良いのかもしれない。女性と一括りにせずとも良いのに、と思ったが、それも安玖なりの考察があってのことなのだろう。烈は特に口を出さないことにした。

「信じる信じない、理解出来る出来ない以前に、拙者は逢澤殿の仮説を聞きたく思いまする。どんなお話も、一度耳にせねば何も始まりませぬからな。……あっ、どうせなら皆が集まっている場でお話しになっては如何でござりましょう?此処からだと上手く伝わらぬやもしれませぬ故」

仮定の話は立てた、と口にした安玖に烈は近付いてそう提案する。頭脳労働が苦手な烈にとって、安玖の仮説はきっと役立つだろうと考えたのだ。それにその仮説がどのようなものであれ、まずは伝えてみないとわからないものである。一階にいるメンバーがどんなものを見つけたかによって、話の筋がまとまることだってあり得るのだし。

「ゆらぎ殿と七殿も、一階に向かいませぬか?拙者はそろそろ皆で一旦お話ししたく思いまする」

後方にいるのであろうゆらぎと七に向かって微笑みながら、烈は一階に行かないかと誘いをかけた。情報を開示するのなら、全員で共有した方が良いだろう。

>>all様

2ヶ月前 No.465

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

それからしばらく、書架の本をパタパタとやっていた俺だったが、特にこれといってめぼしいものは見当たらない。手が段々埃っぽくなってくるばかりだし、やっぱりここには破られた手紙の続きは無いのかもしれない。つーか、手紙破って本の間に挟んだりなんかしないよな普通。そんなことしたら次見つけ出そうと思っても見つけられなく……
俺は用が済んで並べ直した本棚の背表紙を見つめたまま首を傾げた。何だろう、この違和感。
なんで式島さんは、初めから破かれていたという手紙を見てあんな微妙な反応をしたんだ? その手紙を初めて見た安仁屋さんはあの断面を見て直ぐに「破ったと思われるかも」って超慌ててたぐらいなのに。
さっき俺は自分で「人には触れられたくないものがある」って偉そうなこと言ったはいいけど、見せて貰ったあの手紙、別に隠すような文面じゃなかったよな。まあ恥ずかしいとか照れるとかだったらあれだけど……。式島さんが探している間に破れてしまっていたらそれこそ大事な手紙になんて事を! ってなる筈だし、もし本当に見られたくないもので式島さんが意図的に破っていたらあんなにハッとした顔で「元から破れていた」なんてことは言わないだろう。破れていたことを知っていたなら、普通続きを探すことにもっと必死になりそうだけど……式島さんは続きがあるとは思ってなくて、あの紙片の一枚だけ取り返せればそれで良い、みたいな顔だった。

「式島さん。俺は後から来たから、もう誰かに聞かれてたら二重で申し訳ないんですけど……三年前に亡くなった奥さんのその手紙って、いつ、誰から届けられたんですか? 誰かから渡されたとか、ポストに入ってたとか」

記憶が間違ってるか見間違えじゃなければ、俺や都城さん達が遅れて入って来た時、式島さんは酷く混乱した様子で、何が何年前で……とか言ってた。こっちも色々と必死だったから、よくは聞けてなかったけど。なんだか、側から聞いても時系列がめちゃくちゃだった気がする。とはいえ、また彼を混乱させてしまうのはその精神衛生上良くない。そもそも俺はこの人がちょっと心配なのもあって一階に残ったんだった。邪魔な縄は一旦適当に肩に掛け、俺は本棚を調べるふりで本を一冊手に取りながら式島さんに話を振ってみた。

「……失踪して暁町に行ってしまう前、この手紙の『暁町のどこそこで待ってるね』みたいな、何か手掛かりになりそうなこと直接言ってなかったんですか、奥さんは」

>一階all


【もうすぐ合流、との事だったので、順番で迷いましたが追加行動滑り込ませていただきます】

2ヶ月前 No.466

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館二階書庫→一階】

「あ、京さんの声だ……二階組そろそろ戻りまーす」
 下から自分達を呼ぶ声は、ちょうどゆらぎが受付カウンターを越えた所で聞こえてきた。
 それに返事をして事務室から書庫に戻ると、何故か安玖が神妙な顔付きをしていた。そもそも楽天的にヘラヘラしている方がおかしいのだが、その辺は人間の適応能力の高さ故である。町の名前の由来だとか神社に向かわなければならないとか、彼は現状の根幹に関わる何かを見付けたのだろう。

「なるほど神社ね……えーっと、こっから町長さん家の前通って田んぼ突っ切れば良いのかな? 井戸は墓地の方にあるみたい……どっちも如何にもラスボスがいそうだよね……あ、地図見付けたんだ、後でみんなに見せるね」
 事務室で拾った地図を確認しながらゆらぎは告げる。それから、手紙の内容が気になるという烈を振り返った。
「失恋レターもみんなに確認して貰おうと思ってるから大丈夫だよ烈ちゃん。今までのパターンからしてこれも誰かの未練とも限らないし……何か、後悔してそうだし……離別? 死別? どっかに手紙探してるオバケ居ないかな」
 すぐ下に手紙を探している生者・柊平が居るとも知らず、ゆらぎはテトテトと螺旋階段を降りる。
「二階組戻りましたー、一回みんなで情報共有したいんだけどどう?」

>all

2ヶ月前 No.467

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 二階書庫→一階書庫 】

 都城の言葉が鼓膜を震わせる。七もまたゆらぎに続き螺旋階段を下りて一階書庫へと戻っていく。安玖や烈の言葉を聞きながらそれに続くゆらぎの言葉に七の足がぴたり、と止まる。

「――――田んぼ、あっ……あの、自信、ないですけど……たぶん、田んぼは通れないかも、です……」

 月舘家に行く前にどこかで落ちそうになって、たぶん田んぼかなあ、と。自信はなさげではあるが朧げな意識を手繰り寄せるように。

「えっと……わたしは、あの……ペンダント、を……見つけました」

 ゆらぎの言葉に続くように七はそう言って握りしめていた金色のペンダントを周りに見せる。都城はといえば受付テーブル内にある椅子に座りテーブル越しに周りへと視線を向ける。情報共有は大事やねぇ、と呟きながら。

「とりあえず情報共有出来たら先に進みましょかぁ、なんかこの奥に扉あって、どこかに続いてる見たいですよぉ」

 あ、ちなみに私は収穫ゼロです、と苦笑を滲ませて。


>> ALL

2ヶ月前 No.468

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_LOn

【安仁屋 右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

 Bの番号が割り振られた机を入念に調べ上げてみたが狙いは外れたようだ。
 破られた紙片の残りが同じ場所に隠されてあると踏んでいただけに期待外れの結果だった。
 ばつの悪そうな微笑みを湛えながら柊平の元に返ってきた右叉兎は、今の今まで手元に置いておいた紙片の一部を元の持ち主へと返却した。

「何だかんだ言って返すのが遅れたっス……!! 式島さんの言う通り、確かにそれらしいものは見つけられなかったっスけれど……」

 手紙が中途半端に破られていたから、続きがあるものと安直に判断したが、右叉兎の思い違いの可能性もあるにはあった。もしかしたら勘違いなのかもしれない。柊平に指摘されて以降、自分自身の考えに自信をなくしつつあった。

「ちょっと分かんなくなってきたっス……ッ!! そもそも十年前に暁町で失踪事件があったっスよね? 式島さんの奥さんが手紙を送れるとしたら、普通に考えれば、十年以上も前の出来事になると思うっスが……? あっ、そういえば式島さん、翔子さんがいなくなったのが三年前で一週間前に手紙が来たって、確かそう言ってたと思うっスけど、もしかしてあの紙片のことを言ってたっスか?」

 龍矢の質問の意図が未だに図りあぐねていたが、大体の内情は理解しているつもりだった。いつ手紙がきたのかは以前に柊平から耳にしていたからだ。

 二階へ探索していたメンバーが続々と階段から降りてくる。あらかた探し終えたのだろう。情報を共有したいと言うゆらぎの提案に答える。

「俺が玄関ホールで日記を拾った以外に、他に目ぼしいものと言えば、式島さんの手紙が見つかったくらいっス」

>> 式島柊平様、八岳龍矢様、御子柴ゆらぎ、周辺all様


【遅くなって済みません】

2ヶ月前 No.469

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 安仁屋から手紙を受け取り、もう二度と失くさまいと大事そうに胸ポケットにしまう。そして彼に向けて「ありがとう」と、ここで初めて柔らかい笑みを浮かべた。
 図書館の中を探索し続ける八岳と安仁屋が何やら腑に落ちない様子で式島に質問を投げかけた。式島はなぜ彼らが自分のことを知ろうとしているのか見当もつかず、けれど答えるわけにもいかないと記憶を遡ろうとする。
 ――……まただ。頭の中が靄のよう朧げになっている。昨日見た夢を思い出そうとするように霞みがかった記憶を手探りでかき分けていくと身体がそれを拒否するように頭痛がどんどんひどくなっていく。

「一週間前……世話になった人にこの手紙を受け取ったんだ。翔子がいなくなってもう三年も経っているのに突然ポストに投函されていて……いや、違う。俺は今日が初めて手紙を読んだんだ。十年前、町が滅ぼされたからって言って、それを翔子が様子をみに行って……あれ、翔子が死んだのは本当に三年前だったか……?」
 そこまで言って式島は八岳のほうを見る。
「どこ、とは言っていなかったな。色々探し回ってはいるが……そういえばまだ彼女の実家に行っていないな。神社にあとで行ってみるとしよう」

 式島が色々と思いあぐねているあいだに、二階へ捜索しに行っていた連中が戻ってきた。互いが見つけたものを見せ合っている。その中で巫女がどこかで見たことあるようなロケットペンダントを握りしめているのに気がついた。

「なあ、君が持っているそれはなんだ?」

 式島は確認しようと巫女姿の少女に話しかけた。


>おーる

2ヶ月前 No.470

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/一階書庫】

 一階に降りた安玖は周囲の様子を見渡し、勝手に情報共有を始めることに決め込んだ。あまり接点のない人の個人的事情は、ドラマや小説を読む程度かそれ以下にしか興味が湧かない。ましてや少し話した程度の警察官は、割と本気でどうでも良かった。
 適当な机に鑓ヶ岳さんと自分が手に入れた本と自分のスマホを並べる。それぞれ該当ページと漢字に直したメモ帳が見せられており、それらを順繰りに指で示しながら説明を始めた。

「こっちが二階の机から出てきた日記。多分だけど子供が書いたんだろうね、平仮名だけだったから俺のスマホで漢字に直した。内容をざっくり言ってしまえば、この日記が書かれた時代よりも昔、とある娘が“おつさん”というところへ嫁入りするのを嫌がっていたら井戸に落ちて行方をくらませた。死んだ、んじゃなくて行方が分からなくなったらしい」

 唇に指先を押し当て、おそらく、と呟く。この日記を書いたのが子供だと察せられる以上、あまり信用する気になれないのも本音だった。だけど、この町に来てから手に入るそれらが役立たなかった事は無いから。そんなしょうもないと言われるかもしれない理由だけが、安玖の憶測の背中を押していた。

「……おそらく、この“おつさん”ていうのは月の事だと思う。そうなると嫁入りっていうのも異類婚姻譚や人身御供の一種だと思う。……別の言い方をするなら、人柱。日本では昔から巫女や純潔の操を持った女性、7つに満たない子供を土地神に捧げてきた。子供ならば神の内に、親なる神へ返却だとか食事代わりだとか。女なら神の伴侶として、が主だった理由とされてきたね。そんな凄いモノを用意できますから、どうか我々から災いを避けてくださいませ、って祈るんだ」

 次に指で示すのは鑓ヶ岳さんが見つけた歌集のひとつ。今まで自分達が不審に思ってきたそれについて書かれている、小さな物語。

「少なくとも、この町は……村だった頃のこの土地は、その儀式をしていた。それも神が直々に要求しに来ていた」

「暁町って名前は、これが由来だ。まんま赤い月が昇るから『赤月』……それが転じて今の『曉村』になり、村が町へと変わって今の『暁町』になった。けど、人間がつける名前なんて所詮はただの名前だ。それ以上の意味なんて、ほとんど持たない」

「そしてこれも恐らくだし、可能性としていくつかあるけど……途中まではきちんと嫁が捧げられたんだろう。けど、元々そのスパンが人間には長かったからか、時代が大きく流れる中でいつしかその仕来りが忘れられてきた……もしくは神社やこの本のような形で残ってはいたけれど、誰も信じなかった。だから赤い月が昇った日、誰も新しい嫁を供えはしなかった。神にしてみれば約束を違えるだなんて言語道断だし人間から見れば長い年月も向こうからすれば大した時間じゃない。だからいつまでも赤い月は下りず、言うに屍人が町にあふれかえり皆が飲み込まれた――」

「――もしくは、きちんと用意されていた捧げられるべき存在が、何かしらの形で直前に逃げてしまった。この土地の人間からすれば、捧げるはずだった存在以外を神の嫁にするわけにはいかない。……そうこうしている内に儀式が失敗に終わり、以下略、か」

 どちらにしても、だ。安玖は周囲の人間の顔をぐるりと見渡し、顎を引く。彼の顔を幼くさせている要因でもある瞳を瞬かせ、まるで熱を帯びたスマートフォンを冷ます時のように何度も頭を振る。

「僕が次の目的地が神社か井戸だと言ったのは、そこら辺の理由から。人柱は特定の範囲でのみギブアンドテイクが効く土地神に相手でしか行わない。全知全能クラス相手にんなことしてたらこっちが搾取される一方だからね。そして土地神ならどう考えても町と同じ、しかも伝承と同じ名前を持つ神社が祀っていないわけがない。しかもあの男の人、わざわざ神社の鍵を落としていった。――この町に関わる人達はどうにも何かの目的を達成させる事に関しては恐ろしくも効率的だから、行けって事だろうね」

「井戸は……これこそ僕の推測でしかないけど、嫁入りの儀式に使われていた場所が井戸なんじゃないかな。小説ばりのサスペンス劇場が繰り広げられていない限りわざわざ井戸に飛び込む理由も、その後に遺体が見つからない理由もわからない。女性は行くべきじゃないかもしれないって言ったのは、どうも人柱にされていたのが女性ばかりのようだから。もし仮に神社と井戸がその根源に近かった場合……確認しようのない確率の話にはなっちゃうけど、俺たち男よりは女性達の方が狙われやすいと思う。そんなのっぴきならない事態になった時、そもそも人間の俺達でどうこうできるのかもわからない」

 僕の持っている情報はこんなもん。
 最後にそう付け加え、ふう、と息を吐く。勢いのままに語り倒したのもあって少しくたびれたのだ。あとの推測なり行動なりは周りにぶん投げようそうしよう。と情けない決意を硬く決め込み、どうする、と周囲の表情を伺った。

>>一階ALL

【もう小出しにするのが面倒臭いので、安玖が持っている情報と推測を(かなり長文ですが)まとめてぶん投げます。ので、あとは任せました!】

2ヶ月前 No.471

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・二階→一階 書庫】

周りの面々が次々と一階に移動したため、烈もその様子を見て最後尾を着いていった。また誰かいなくなってはいないだろうか、と少々不安な気持ちもあったがひとまずはぐれたらしい人はいないことを確認して一安心する。はぐれてしまった面々は大丈夫だろうか。無事だと良いのだが、と烈は少し眉尻を下げた。

「あっ、その民謡集はまだ続きの巻があるやもしれませぬ。たしかこれが一巻でござった故。もし一階の方で続きの巻を見つけた方がいらっしゃったならお教え願いたく思いまする」

安玖が机の上に置いた本を指差して、烈は一階にいた面々にそう呼び掛けた。もしかしたらまだ手がかりになるようなことが書いてあるかもしれないし、もしそうだったのなら見つけておきたい。まあ、今は情報開示の時間なのでまた探す機会を得ることが出来たら探してみようとひとまず烈は情報開示に集中することにした。
安玖の推測は正直に言ってしまえば、普段の烈ならば非科学的だと言って一笑に付してしまいそうなものであった。それでも、この状況下であれば不思議と現実味のあるもので、烈は神妙な表情で彼の話を聞いていた。人身御供。詰まるところの生贄、人柱ということだろう。そんな風習がまだ残っているのか、と疑問に思うこともあるが、外部から隔絶されたこの地であればそういった風習があったとしても可笑しくはない。儀式を怠ったが故に町が滅び、怪異に飲み込まれたというのなら、再びこの土地の土地神にいわゆる“嫁”を供えなくてはならないのだろうか。もしそうだとしたらはっきり言って烈は御免被る。というか誰だって知らぬ土地で人柱になどなりたくはないだろう。自分たちはあくまでも探検に来たのであって、神に嫁入りしに来た訳ではないのだから。たとえ土地神の好みが侍口調の女性であっても、烈は丁重にお断りする。無事に帰るためには従来の方法以外で解決したいものだ。

「警官殿、警官殿。つかぬことを問うて申し訳ござりませぬが、実家……ということは貴殿の奥方は神社の関係者なのでござるか?」

ふと、式島の言葉に疑問を覚えた烈は彼の話に割り込む形を取った。もしも彼の妻の実家が神社なら、普通なら入れないような場所にも入ることが出来るのではなかろうかと考えたのだ。いわゆる、関係者以外立ち入り禁止の場所である。神社がキーになるというのなら、出来るだけ隅々まで探したいところだ。

「とにもかくにも、でござる。もしも井戸を調べるというのなら、一旦男性陣と女性陣に分かれなくてはなりませぬな。神社に行くのはその後になさった方が良かろう」

ひとまず今手に入れた情報を整理するためにも、烈は一同をぐるりと見渡した。今後、どのように行動するのかは重要な問題である。大勢で動くことにデメリットがないとは言えないが、烈としては出来るだけ皆で行動を統一したいところだった。また誰かはぐれたなんてことになるのは、絶対に避けたかったから。

>>一階all様

2ヶ月前 No.472

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館一階書庫】

 安玖に向けて道順を説明すると、七から田んぼは通れないという忠告があった。落ちそうになった、というのは七の目が見えないからなのか、それとも田んぼはもう潰されていて別の穴とか池とかになっているのか。
「なるほど気を付けよう。まぁ、一回見に行ってみて駄目だったら戻るとか? 町長さん家にも何か色々ありそうだしー」
 階段を降りながら、ゆらぎはそう結論付ける。

 そして情報共有をしたいというゆらぎの提案は、階下のメンバーにも受け入れられた。京や右叉兎の見付けたものについて聞き、安玖の手元を覗き込み、彼の推測を聞く。
 ふむふむ、と呟きながら、ゆらぎも自らが手に入れた地図を机に広げた。
「わたしとなっちゃんで二階の事務室見てたんだけどね、この地図と貴方が来ないみたいな失恋レターとネックレス見付けたの。ネックレスはロケットになってて写真はお巡りさんっぽくて……あ、やっぱ見覚えある? お巡りさんの探し物ってそれ? 取り敢えずなっちゃんさっきの見せたげて〜」
 手紙とネックレスは、とゆらぎが七を振り返ると、ちょうど柊平が彼女に声をかける所だった。中に入っていた写真は矢張り柊平だったのだろうか。
 取り敢えずそちらは七に任せることにして、ゆらぎは改めて地図を見遣る。安玖・烈の見付けた文献と彼の話とを統合した時に、何故か違和感を覚えたからだ。

 恐らく町の名前の由来だとか土地神に人柱を捧げるといった推測は間違っていないのだろう。生贄を捧げずに神の祟りで集落が滅びるなど、オカルト界隈ではよくある話だ。その舞台が井戸というのも無くはない、だが、そうだとすれば。
 ゆらぎは自分が見付けた地図の一点、墓地の近くの井戸を指差す。
「……確かに井戸は調べた方がいいと思います。安玖くんの推測も間違ってはないと思う。でも……変な話、人柱を突き落とすような井戸、わざわざ地図に載せる? ここは本当に単なる井戸なのかも知れなくて、何かもっとこう……山の奥とかどっかの地下とかそういう秘匿されたとこにあるのかも知れないけど。ここだとしたら大っぴらにする意味がないし……この子の日記もストレートに読めば嫁さんは井戸に落とされたんじゃなくて井戸から逃げたってことじゃない? 梯子云々ってのは確認したさあるし、男女で別れるならそれもアリだけど……井戸が外れだった時にそれこそ女の子生贄にするぞーって襲われたらたまったもんじゃないし……別れるにしても求む男子。あと京さんが言ってた奥の部屋も一応見ないといけないかなって思うんですがどうでしょう」

>all

2ヶ月前 No.473

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 二階書庫→一階書庫 】

 不意に七の鼓膜を震わせたのは聞き慣れない声音だった、びくりと肩を震わせ一歩後退るがゆらぎに掛けられた言葉にこくりと頷きロケットを開けそっと周りに見えるように差し出す。

「えっと……わたしには……見えないので御子柴さんの言葉通り、かと……」

 俯きつつも式島にロケットを見せれば反応を待つようにただじっとしていた。

「井戸ねぇ、まあ別れるのも手かもしれへんけどこれ以上人が減るのも怖いですしねぇ、みんなで一緒、ってのも有りかもしれまへんよぉ」

 そういや八岳くんもなんか見つけとったよね、そう声をかけつつ自身の意見を述べる。都城はやはり奥の部屋が気になるようでそわそわとしつつも拾得物発表会を見守るかのように受付テーブルに肘をついた。

>> ALL

2ヶ月前 No.474

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

式島さんは俺の質問をはぐらかそうとしているわけではなく、むしろ精一杯答えようとしてくれていたように見えた。けれど、なんだろう。どうして「世話になった人から受け取った」のに「突然ポストに投函されていた」んだ? 矛盾している。せめてその「世話になった人」とやらの詳細を覚えていたなら、俺はその手紙を渡した人が式島さんの奥さんからの手紙の都合の悪い部分を破って渡した線を疑っていたのだが。

「俺もちょっと……わからないんですよね。暁町の人達が失踪したのは10年前、で式島さんの奥さんが亡くなったのは3年前。手紙が一週間前に届いたのは、奥さんがそれこそ誰かに預けでもすればなんとかなるとしても……普通、十年前の事件と三年前の事件を同じ事件として捜査しますかね……? 二つの事件を一つのものとして捜査し始めたのは、式島さんの所属する警察署のほうで決めたんですか? もしかして、奥さんの手紙を渡してきたのは警察の同僚とかでは無いですか?」

俺は本を閉じ、式島さんと安仁屋と都城さんのところへ戻ってきた。さっきの二手に別れる前の式島さんの話をちゃんと聞いていた安仁屋さんが、もう一度要点を説明してくれたが、暁町の失踪事件と奥さんの失踪或いは殺害には七年近くものタイムラグがある。腕を組み、考え込むとひとりでに表情が険しくなってくるのがわかる。

「式島さん、誰かに騙されているんじゃないですか……?」

ちょうどその時、二階から遠く聞こえていたがやがやというざわめきが近づいてくることに気づいた。
相澤先輩、七ちゃん、鑓ヶ岳さん、御子柴さんがぞろぞろと連れ立って螺旋階段を降りてきた。どうやら二階の探索は終わったらしい。皆で大きな机を取り囲み、俺たちは情報共有をすることになった。
地図……そうか、ポスターの井戸はそこにあったのか。手紙の欠片……間違いない、あれが破れた手紙の続き。ロケットペンダント……前後関係からすれば、若い式島さんの隣に写っているのが奥さんの祥子さんなんだろうな。それから、民謡集や、相変わらずの日記。
どうやらこの町には、土地神への人身御供のようなしきたりがあったらしい。……そんな時代錯誤な風習! 何時代だっつーの! と鼻で笑いかけた俺だったが、その直後に相澤先輩が大真面目に民俗学的な解説をし始めたものだから、笑い声を出さなくてマジで良かったと心の底から思った。先輩との間に変な軋轢だけは生みたくない。いやしっかし……先輩マジで神様とか信じてるのか……マジか……。……え、てかこの流れってみんなも神様とか信じてる系なの? 人柱とか人身御供とか、それで取引できてるとか本当に思うの? マジかよもしかして俺がおかしいのか? ここは一発信じとくふりしといたほうがいい!?
俺が耐え難い認知的不協和に頭を抱えていると、不意に都城さんから声を掛けられてハッと怪しい世界の淵を覗く断崖絶壁から現実に引き戻される。

「あ……ああ……そういえば、受付のところに縄があったんですよ。これ。何に使うのかはさっぱり……。あ、それと井戸。よくありますよね、この村の下は巨大迷路みたいな鍾乳洞になってて、いろんなところにつながっている……ま、お話の中だけだと思いますけど。俺も皆で纏まって行くほうに賛成です」

「だって井戸なんて怖いじゃん」という言葉はもちろん飲み込みながら、俺は皆が取り囲んでいる机の上に縄を置いた。なにかの仕掛けとかに使う縄なんだろうか? 地下迷宮のくだりは、月舘家で床に穴を開けた時には一瞬頭をよぎったが、それは餓鬼の頃その手の本が大好きな母親からよく聞かされたよくある昔話からの受け売りだった。まったく子供にデタラメを吹き込んで貰ったら困る。だからお化けだの幽霊だの超常現象だの信じてビビる輩が後を絶たないんだぜ。……俺もその一人になりかけてるけど。

>all様

2ヶ月前 No.475

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_LOn

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

「八岳さん、俺の記憶が確かだと、式島さんは一度もそんなことは言ってなかったっス。翔子さんが"居なくなった"と"亡くなった"を聞き間違えるんじゃないっスか?」

 柊平が言った言葉を再度思い出そうとする。

「そういえば、その前にも、十二年前の暁町を式島さんが訪れた時に、翔子さんと二人で逃げようとしたと言いかけていたような……? すぐにそれを式島さん自身が否定していたから、単なる思い過ごしなんでしょうが……」

 仮に柊平の言葉を信じて整理するとすれば、十二年前に曉町を訪れた柊平が翔子と共に町から逃げ出し、どこか別の場所──式島の居住でも生家でもいいが、そこで二人で移むか翔子を預けるかしたのだろう。十年前には失踪事件が発生するが、凶報が届くまでにはタイムラグがあり、翔子が例の事件を知ったのは三年前で、同時期に柊平の元から去るということになる。

「でも、そんな単純な話じゃないと俺は思うっス。式島さんが翔子さんと交わした約束が俺は気に掛かるっスけど。今まで式島さんの助けになるからと思って色々と質問をしてきたっスが、それ以上話を進めれば式島さんのプライベートに深く入り込み過ぎるっスからね。それに式島さんが忘れていたんじゃ話を続けていても埒が明かないっスから。俺から始めたお節介なんで言いだし難いっスが、式島さんに思い出す機会を与えるためにも、ここで一旦保留にしないっスか? 俺もその井戸のことは少し気になりますし……」

 正直に言って、人柱や人身御供と言われても右叉兎はピンと来なかったが。

>> 八岳龍矢様、式島柊平様、周辺all様

2ヶ月前 No.476

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 → ??? 】

 様々な思惑が行き交う。質問が鋭い矢のように式島に降り注ぐ。
 しかし巫女姿の少女が手に持つロケットペンダントと破られた手紙を目の前にした時、その全てが式島の耳に届くことはなかった。全てが雑音と化して式島のもとを通り過ぎていく。

「ちょっと……見てもいいか?」

 誰の問いかけに答えることなく、式島はロケットペンダントを手に取って恐る恐る中身を確認した。……間違いなかった。それは結婚式の日に式島が妻の翔子に贈ったものだった。幸せそうに微笑む若かりし頃の自分の写真を食い入るように見ていると、御子柴がもう一方の破られた手紙についても言及する。ふと思い立った式島は先ほど胸ポケットにしまった手紙の破片を取り出し、それを少女が持つそれと繋ぎ合わせてみた。ピッタリと破れ目が合わさった。一度も見たことのない文面なのに、それは明らかに式島が持つ手紙の続きだった。

「どうしてこんなものがあるんだ。これは……これは、翔子の私物だ」

 そんなはずはない。そう頭の中で否定しても、手紙とロケットペンダントは無情にも式島に受け入れたくない現実を突きつける。――私の罰? 私の罪? 何を言っているんだこの手紙は。式島は考える。翔子は実家に帰省したときに殺されたはずだ。そう他の警官(どうりょう)は言っていた。俺はその日仕事で何もできなかったんだ。何もできなかったからこそ、こうやって彼女を探しに来ているんじゃないか。そうだ。そうだったはずだ。
 そこまで思って、式島はハッとあることに気がついた。

「もしかしてここに翔子がいるのか……?」

 式島は少女が手にしていた手紙を乱雑に握りしめて駆け出した。周りにいる人間に少しも気にとめることなく、暁町立図書館の外へと向かって消えていった。

>おーる
【レス蹴りみたいな形になって申し訳ありません……!錯乱した式島は少しの間、離脱します】

2ヶ月前 No.477

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 階書庫→一階廊下 】

 とりあえず全員が手にしていた情報を共有していたその時、ゆらぎの手にあった二階事務室内で拾った手紙の断片を乱暴に奪い去っていく式島の姿に都城は首を傾ける。よく分からないが相当焦っているようだ。

「――――まあ、いっか」

 都城は思考を停止させる、彼は彼で行動をしていたし心配することはないだろう、と。そして都城は自分の背にある扉に手を伸ばし開いてみる。ひょこり、と覗いた扉の先は奥に続く廊下、そしてその奥に見える階段。

「みなさーん、この先に下に降りる階段あるみたいですよぉ」

 七が都城の言葉にゆっくり足を踏み出し受付内へと向かう。その様子に都城は扉の先に足を踏み出しながら誘うように周りに声をかける。

「とりあえず、進んでみたらええんちゃいます? 今までもそうやったし」


>> ALL


(式島さんが一時離脱されましたのでこちらは先に進ませていただきました!いよいよ三章はラストに差し掛かりました、皆さまはどのような推理をなさるのか、たのしみです!)

2ヶ月前 No.478

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_gaI

【御子柴ゆらぎ/図書館一階書庫】

「あ、ちょ、おまわりさーん、一人は危ないよー……行っちゃった」
 情報共有ということで様々な憶測が飛び交う中、ロケットと手紙を見た柊平は血相を変えて飛び出していった。なんだ、この図書館は施錠されていなかったのか……てっきり此処も出られないものだとばかり思っていたゆらぎは、何処か拍子抜けたような気分になる。
「まぁあの人は最初から一人でここに来たみたいだし良いのかなぁ……というかあの手紙、前半があったんですね」
 失恋レターだとばかり思っていたが、前の部分を読めば実は全く違うものだったのだろうか。途切れ途切れの話を統合すれば、あれは柊平の妻に当たる翔子という女性の私物だそうだが……何故そんなものがこの地に、意味深にバラバラに散らかっているのか。
「なぁんか嫌な予感しかしないんだけど……大丈夫かな。すっごい不謹慎だけど、あの人の奥さん化けて出ない……?」
 ゆらぎはそう呟いて、不安げに柊平が消えて行った扉の方を見遣るが……やがて京のまぁいっかという声を聞き、彼女も思考停止することを選んだ。

「うん、多分あの人は翔子さんを自分で探したいんだきっと。部外者が邪魔するのいくない。わたし達はわたし達に出来ることをしよう……二度手間になるから取り敢えず地下を確認して、井戸はそれからね。もしかしたら龍矢くんの言う通り鍾乳洞の入口とかあるかもしれないし……いや、あったら本傷むな。縄も探索に使える物かも知れないしね」
 色々と勝手に結論付けたゆらぎは、七や京に続いて地下へと続く階段があるという扉に向かって歩き出した。

>ALL

2ヶ月前 No.479

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

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2ヶ月前 No.480

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫→地下室】

「えっ、す、すみません、俺とんでもない聞き間違いを……!」

安仁屋さんに指摘されて、その通り俺はとんでもなく不謹慎かつ失礼な勘違いをしていたかもしれない可能性に気付く。三年前奥さんは、「亡くなった」んじゃなくて、「いなくなった」のか……だとしたら、申し訳なさと恥ずかしさと焦りで胃のあたりがきゅんと痛む。そうだとしたら、生きている人を死んだ前提で話していたとしたら、本当に本当に申し訳なさでいっぱいだ。
生きること、生かすことは俺にとってどんな場合でも信じられる正しさで、死ぬことは当然避けたいし遠ざけてあげたい悪い事……それ以外の解釈なんて、たとえ諭されようと俺はまだ認めたくない。

しかし俺の失言のせいなのか、混乱の所為なのか、それとも二階から持ち帰られてきた手紙とロケットペンダントを見たせいなのか、何か思い出したのかそれとも何かに気づいたのか、式島さんは玄関から走り去ってしまった。

「ちょっと! 式島さん!!」

俺は慌てて後を追いかける。一人は危ない。それに、意図的ではないにせよ地雷を踏み抜いてしまったかもしれない訳だから。
あの人をあのまま一人にしておいて良いのだろうか。各々納得し始めた皆を背にして、玄関ホールを抜けて図書館の外へと飛び出す。勢いよく開いたガラス戸から、夏の夜風が吹き込んでじわりと肌にまとわりついた。

「式島さんっ…………!」

しかし、赤い月が照らす田舎町に、式島さんの姿は何処にも無くなっていた。田んぼの水が、つやつやと光っている。時が止まったような薄赤い暗闇が俺の声を飲み込んで、やがて水面のようにしんと静まり返った。右も左も、無人の民家の影はなんとなく見て取れるものの、その奥には果てしなく吸い込まれそうな闇が広がるばかりで、今更恐怖を思い出しゾッと身震いする。見失った。こんな暗闇の向こうに、生きた人の気配なんて感じられない。本当にあの人が探している人物なんてこの先にいるのだろうか。
その時だった。
前方から、何処かで聞いた覚えのある重い足音がした。ガチャリ、ガチャリと金属の触れ合う音が。

ーーーーガサガサガサガサガサ……タッ……ガサガサ……コ……ザザザザザ…………ルノ…………?

聞いた覚えのある、ノイズだらけの音声が。

「は………………うわ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

紅の月光に照らされて、いつのまにか其奴は目の前に立っていた。雨に濡れたように艶めく黒の鎧。歴史の教科書か、ばあちゃん家の納屋から出てきたかのような兜。神居家で倒した筈の、巨大五月人形。神居家の人形の呪いなら解けた筈なのに、追いかけてきたのは、もしかしてこいつが人形じゃないから、ってことなのか。

「お、おおおおおおお落ち武者ぁっ!?」

其奴はあの時と同じように、帯びた刀をすらりと抜いた。鏡のように磨かれた刀身に、恐怖に歪んだ俺の顔がますます歪んで化物めいて映っている。
やややややめろって! 今回は先輩も御子柴さんも居ないんだから! 無理無理無理無理俺一人じゃ無理!!
後少しのところで気を失いそうになりながら、けれど数歩も下がれば真後ろに皆の居る図書館があることをギリギリの思考で思い出し、俺は回れ右をして全速力で敵前逃亡をした。

「……みなさん! 早く、早く地下を探索しましょう!!」

俺はガラス戸で五月人形もとい落ち武者を締め出し、肩で息をしながら奥の書庫から地下室へ向かう皆へ叫んだ。落武者は知能の足りない虫のように扉にガンッと一度ぶつかったが、俺が構わず全体重で扉を抑え見えているけれど無視する方向で皆に話しかけていたら諦めるように消えていった。これは、式島さんを今一人で探しに行くのは無理だ。こっちの身がもたない。
結局俺は式島さんを見捨てるような後味の悪さをそのままに、皆を追って地下室へついていくことにした。

>all様



【遅くなりました! 一応式島さんを追いかけてみようとしたもののオバケに軌道修正されて結局諦めて地下探索に加わる感じでいきますー】

2ヶ月前 No.481

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 一階廊下→地下廊下 】

 先頭を歩く都城は七の手を引きながら一階廊下から地下へと続く階段を下りていく。ひんやりと頬を撫でた冷たい風に背筋が凍るような感覚、そっと隣の七を見れば今までのような何かを感じたような素振りはなくきょろきょろと辺りを見回しながらも都城に手を引かれるままてくてくと歩いていく。

「うーん、なんや扉が二個もあるけど……開かへんねぇ」

 階段を下りた先の地下はまたも廊下のようだった。廊下には横並びの扉が二つあるだけで他に目ぼしいものはない。右側の扉に手を伸ばせばがたがたと引いたり押したりとするがびくとも動かない。

「なんやろ……鍵……穴はないし……」

 試しに左側の扉も開けてみようと手を伸ばす、かちり、という音が小さく鼓膜を震わせたがやはり左側の扉も開く様子はなかった。扉には鍵穴もない、ただ足元が少し盛り上がっているぐらいだった。

>>ALL


(ちょっと強引にすすみます!三章ラストまでもう少し、twitterアカウントにヒントをあげておきますのでみなさま推理、よろしくおねがいします!)

2ヶ月前 No.482

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_LOn

【安仁屋右叉兎/一階廊下→地下廊下】

柊平の後を追うように、玄関ホールへと駈け出して行った龍矢。走り去る龍矢に言い掛ける言葉もなく、離れ行く彼の背中を右叉兎はただ見届けるだけしかできなかった。ゆらぎの言葉に半ば納得し掛けていたからだ。ゆらぎの言うように、自分一人の力だけで柊平は翔子を探したかったのだろう。一人の警察官として、また、一人の恋人として、愛すべき女性を守ってやれなかった負い目を感じないはずはなく、あの時、怒りに近い感情を右叉兎へと向けたのは冷静さを失っていたからなのかもしれない。どうして手紙の存在を隠し通さなければならなかったのか、柊平の考えなど右叉兎には知る由もなかったが、彼にも何かしらの事情があるに違いないと自分自身を納得させた。

「そういえば式島さん曰く、翔子さんの殺人事件に関わったり、失踪事件を起こしたとされる犯人がまだ暁町に居るらしいっスけど、なるべく固まって行動した方がいいというのは俺も賛成っス。多分ああいう手合いは幽霊や化物よりも質が悪いと思うっスから」

柊平と合流できているのならひとまずは安心だろうと、一人で出て行った龍矢のことを憂慮した後で、京の後に続いて右叉兎は地下廊下へと下って行った。廊下には横並びの扉が二つあるだけで他に目ぼしいものは見られなかった。右側の扉の取っ手に京が手を差し伸ばしたが、引いたり押したりするもののピクリとも動かないようだった。今度は左側の扉を開けようとする。しかし、室内にカチリと音を響かせるのみで全く開く様子は見られなかった。

「長い間使われてなかったようっスからね。もしかしたら立て付けが悪くて開かないのかもしれないっス。何かパールのようなものがあればこじ開けられそうっスが……用務員室かと思えばそうでもなさそうだし、一体ここはどういう目的で作られた部屋なんスかね?」

 何もないと分かっていながらも右叉兎は部屋をぐるりと見まわしてみた。

>> 周辺all様

2ヶ月前 No.483

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館一階廊下→地下廊下】

 取り敢えず地下に行くという提案は、龍矢や右叉兎にも受け入れて貰えたらしい。後ろに続く足音を感じながらゆらぎはトコトコと階段を下りる。ゴスロリ衣装から制服に変わったお陰か、矢張り多生なりとも動きやすい。
「え、殺人犯いるのこの町……お化けよりよっぽどヤバいじゃん……犯人は神居家にいたママとかで既に解決してますように」
 思考が非現実的なものに侵されているからか、或いは単なる現実逃避か、地下に潜った先や扉を開けた先に件の殺人犯が隠れているかもしれないという可能性は無視して、ゆらぎは進む。

 しかしその歩みは地下室に辿り着いて直ぐに止まった――二枚の扉を前にして、先に降りた面々が立ち往生している。どうやら鍵もなければ鍵穴もなく、けれど扉は開かないらしい。
「鍵穴がないってことは内側から閂でもかかってて別の入り口があるのか、何か仕掛けが鍵替わりなのか……ドアノブ順番に回すとか上の本棚で正しい順番に並び替えるとか、意外とハイテクな受付とかで操作する電子ロックとか……でも上はもう怪しいものはなかったし……」
 ブツブツ言いながらゆらぎは考える。全ては仮定でしかないから、全てが正しいようにも間違っているようにも思える。
 目の前にあるのは、左右対称の二枚の扉だけ。
「……双子の扉」
 ぽつり、と。何かを思い出したように呟いて。

>all

2ヶ月前 No.484

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・地下廊下】

皆の後を追いかけ、転がりそうになりながら階段を駆け下りた。躍起になって見慣れた背中を追いかければ、不意にそれが階段を降りた先で動かなくなり、扉の前で詰まって危うく追突事故を起こしそうになる。

な、なんですか、いったい…………
寸前で止まり、そう言いながら彼女達の肩越しに見えたのは、閉じられたままの扉。なるほど、それでつまっていたのか。皆さんをここに集めてください・状態≠ノなってる皆さんと、よく分からないこの状況を見回す。
この図書館で鍵らしきものは見つけなかった。少なくとも一階では。それは二階組も同じ事らしく、皆それぞれに首をひねっている。これは、また地上階に戻って、鍵を探さなければいけないだろうか。でも鍵穴はないって言うし。
扉を破壊できそうな持ち物があれば良いが……ドライバーやコルク抜きや栓抜きがついたアウトドア用サバイバルナイフか? いや、さすがにピッキングツールはついてないぞ……ってか鍵穴がないんだって。あとこの図書館で見つけたものといえば……縄? いやこれは関係ないだろう。……ロケットペンダント? RPGのダンジョンじゃないんだからなぁ。

「蹴破れそうなほどヤワにも見えませんし」

左右対称に並べられた、二つの扉。そのどちらともが開かないらしい。右も、左も。
俺は二つを見比べて、都城さんがガタガタと揺らしている左の扉に近づいてから自分でもガタガタと揺すってみた。開かない。続いて、足元に出来た小さな丘をふみふみと踏んでみる。うーん……。

「……もしかして御子柴さんの好きなあれだったりして。……右の扉、俺と『せーの』で開けてみませんか。はい、せーの!」

俺は左の扉に手をかけたまま、顔を右に向け、誰か勘まかせの物は試し精神に張ってみてくれるよう促した。

>all様


【短くなっちゃってごめんなさーい!】

2ヶ月前 No.485

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・一階 書庫→地下廊下】

地下に向けて歩んでいく一行の背中を追いかけながら、烈は何か怪しかったり危なかったりするものはないかと辺りを見回していた。これまでの経験から、いつ何処に仕掛けがあっても可笑しくはないと考えているからなのだろう。今時地下室というのも珍しい、と思いながら烈も歩を進めていく。そんな中、右叉兎から“失踪事件を起こした犯人がまだ町内にいるかもしれない”という話が挙がる。烈もゆらぎと同じように、犯人はこれまでの怪異たちであって欲しいと願うばかりである。ほら、月館家を出てすぐに出会った千枚通し娘とか、可能性がなくもない。

「……!分かれ道、にござるか……!?」

歩みを進めていくうちに当たったのは目の前に存在する二つの扉である。どちらかが正解、もしくはどちらか片方を選ぶことによって当たり外れはなくとも行き先が変わる、ということだろうか。普通の図書館にこんな迷宮めいたものがあるものだろうか、と烈は目の前に立ち聳える扉を睨み付けた。

「押して駄目なら引いてみろ……という感じにはござりませぬな。はて……」

顎に手を遣りながら、烈もどうにかして扉を開けられないものかと思案する。謎解きは苦手だ。それでも皆の力になりたいという思いに嘘はない。何か手掛かりのようなものはなかろうか。そう考えていた烈は、じろじろと不自然過ぎるくらいに辺りを観察する。やや中腰になりながら、何か落ちていないかと探していた時、ふと京の足下が何やら盛り上がっていることに気づいた。

「……?編集者殿、編集者殿。貴殿の足下にござるが、何やら盛り上がっておられるご様子にござる。少し見てみたり、出来たら踏んでみたりして何か埋まってなどおられぬか確認は出来ませぬか?」

もしお嫌にござったら拙者が承りますぞ、と後に付け加えながら烈はそう京に声をかける。其処に何があるのかはわからないし、何もないかもしれないけれど、気になったのならそのままにはしておけない。

>>周辺all様

【ひぃ〜〜お返事遅れてしまって申し訳ございません……!】

2ヶ月前 No.486

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 地下廊下→双子廊下(右) 】

 周りの声を聞きながら都城は右の扉を調べ始める。特に変わった様子はないただの扉なはずだがどうやっても開かない。どうしたものか、安仁屋の言葉通り壊すしかないのか、そう思っていれば背後から掛けられた烈の言葉に足元を見る。

「あっ、ほんまや。これ乗ったらかち、っていうしおりたらならへんねぇ……」

 足元の盛り上がった部分はまるでスイッチのように踏めばかちり、と音がする。だがしかし扉はやはり開かなかった。いつのまにか左の扉を調べていた八岳の言葉にこくん、と頷いた都城は「いっせーのーで!」と声をあげながら扉を押してみた。両方の扉を、同時に。

「――――ひらいた」

 七の小さな声と重なるように扉が開いていく。扉の先は一本道で奥には扉が一つ、二つの廊下は全く同じようで、辿り着く先も同じにのかもしれない。

>>ALL


(八岳くんナイスです〜〜!!!!進行の都合によりいっせーのーでを待たずに開けます!八岳くん当たり!答えは、偶数人で同時に足元の踏み台を踏む、でした!)

2ヶ月前 No.487

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館地下→双子廊下】

 御子柴さんの好きなアレ――不意に自分の名前を呼ばれたゆらぎが顔を上げると、皆の立ち往生は終わっていた。どうやら、両方の扉を同じ人数・タイミングで開ける必要があったらしい。
「わたしそんなにせーのせーの言ってるかなぁ……言ってるか。あとこのドア一人で開けたいときどうすんだろう……司書さん困らないのかな……ま、取り敢えずドア開いたところで進もうか」
 色々とゆらぎの中にも突っ込み所はあった様子だが、この状況下で突っ込むだけ無駄だということはこれまでで嫌というほど自覚している。だからさっさと先に進もうと扉の向こうの暗闇を覗き込んで……真横にも全く同じ道が続いていることに気付いた。

「これ、どっち行く? 鍵の感じからするとどっち選んでも大丈夫だと思うけど……いや違う……多分これ、半々じゃないと進めない」
 最低二人居ないと開かない扉というのはつまり、その二人を分断するためのものではないのだろうか。幸いにも此処には二人よりも多くの人間が居るから、一人ずつ進む羽目にはならなさそうだが。

「どうしようかな……取り敢えず全員で右行ってみて……多分その段階でドアが閉まっちゃうけど。閉まらなきゃ僥倖、そのまま行こう。閉まったらグッパーね」
 手の平を握ったり閉じたりしながら、一行を振り返って告げるゆらぎは知らない。グーだかパーだか下手をすればチョキだかを一斉に出して組分けをするアレの呼び名が、地方によって異なることを。

>all

【多分置きレスで例のアレをやるのは難しいので、別れる場合は適当にお願いします。】

2ヶ月前 No.488

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・地下廊下】

都城さんとタイミングを合わせて押し込んだ扉は、スッと開いた。
「うわぁぁっ!?」
何をしても開かなかった時の勢いのままほぼ全体重をかけていた俺は、扉に突っ込んだまま前につんのめり、危うく転けそうになる。
……開いた。
危ないところで態勢を立て直し、ドアノブには手をかけたまま、開いた扉と続く細長い廊下とを交互に見比べる。

「おっしゃぁ! 当たりか! ………………や、あの、勘じゃなくて、推理と論理的思考、それから洞察力ですよ」

ハッと周囲の目に気付いて、咳払いを一つ。
俺たちを二手に分断する別れ道……。ただでさえ人数が少ないのに、細分化されては心許ない。どこに続いているからわからない先行き不明瞭な細長く薄暗い廊下がそんな気分を加速させているのかもしれないが。

「そうですね、それじゃあみんなで右に……」

俺は御子柴さんの勧めに従って左の踏み台から降り、都城さんのいる右の扉の方へ向かった。が、その瞬間にいま解錠した扉はひとりでに閉まって、カチリという施錠音を背中で聞いた。どうやら、皆で片方に集中するわけにはいかないらしい。

「ダメみたいです。小癪な仕掛けだが、二手に別れるしかないみたいですね……御子柴さん、それは……」

怪訝な顔で扉を睨んでいたこの視界の端で、何かが開いたり閉じたりしている。それは、御子柴さんの手だった。ああ、名前なんていうんだっけ、懐かしの、二つのチームに別れる時の……

「……限定ジャンケン?」

……じゃなくって。

「ええと。……まあいいや、雰囲気でわかりました。はい、お手を拝借! グッとっパーで別れましょ!」

俺は徐に右手を掲げ、みんなにもそうして貰うよう促してから振り切った掛け声とともに手をパーに開いた。勿論この時、この掛け声が微妙にバラバラでなんか締まらない感じになるとは俺だって予想していなかったわけだけど。

「よし、丁度わかれたみたいですね、行きましょうか……」

>all様


【というわけで、尺の都合で適当に二分割、ですね】

1ヶ月前 No.489

推古 @iwing ★6TfTABjBWh_sxd

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・地下廊下】

「これ、一人だけがグーかパーだったら最悪なパターンじゃないっすか……」

おっかなびっくり手を差し出す。
ゆらぎから提案があった時から決めておいた型を出して半々の組を決める。
左右対称の扉から続く廊下へ、二手に分かれて進む班を組むのである。どちらのチームに組み込まれるかはまだ右叉兎にも分からない。先ほどから危惧していたように、片方の班に一人だけで分けられる可能性も確率的にはあり得る話だ。それでもズルをして後出しをするのも格好がつかないと考えたのか、周りに合わせるように手を差し出した。もう子どもではない──と右叉兎は思っているのでわざわざ声には出さなかったが、心の中では恒例となっている例の開始の合図を唱えていた。

>> 周辺all様

1ヶ月前 No.490

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下廊下】

どうやら龍矢の推理は的を得ていたらしく、重苦しい音を立てて扉が開いた。喜ぼうとしていたもののハッとして咳払いをする龍矢に、烈はクエスチョンマークを頭上に出しそうな表情を向けた。嬉しいのなら思いっきり喜んでも良いというのに。……周りの目をあまり気にしない質の烈は、時々そんな風に思うことがある。さすがに空気は読めないわけではないので口に出すことはないのだが。

「ふむ、なるほど。ならば半分に分かれねばなりませぬな。逢澤殿の話もあります故、バランス良く男女が分かれてしまうのもいささか不安ではござるが……」

双子の道を行くには半分に分かれるしかない。それに一抹の不安を覚えるものの、後には引けないと考えた烈はそれを受容することにした。もしかしたら自分たちを分断して離ればなれにするのが目的なのではないか、なんて考えてしまったが、其処は持ち前の前向きさ加減で否定しよう。きっとこの道の先は何処かで繋がっているはずだ。どのくらいの道のりになるかはわからないけれど合流出来るならそれで良い。

「ほほう、グッパーにござるか!懐かしゅうござりますなぁ、拙者も幼き時よく行い申した!」

うんうん、と感慨深そうにうなずきながら烈はグッパーに応じることにする。グーとパー、どちらを出すにしても確率は半々である。右叉兎がなんだか不穏なことを言っていたけれど、きっとそんなことは起こらないはずだ。いや、起こらないと信じたい。こんな暗い道のりを一人で進んでいくなんて正直嫌だ。せめて誰か一人でも良いから同じものを出していますように、そう願いながら烈は手を出した。

>>周辺all様

1ヶ月前 No.491

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館地下】

 龍矢が扉から――恐らくその前の凹みから離れると、案の定扉はひとりでに閉まってしまった。よくできてるなぁ、とゆらぎは場違いに感心するが、全員が手分けして探索することには同意してくれたのでその思考は振り払った。
「一人は流石に危ないから、その時はやり直そうね。はいグッパーグッパー、グーッパー!」
 とまぁ、龍矢に合わせたつもりの掛け声を上げたゆらぎだが、三文字目から既に何かがおかしく、手を開いて閉じる回数すら異なっていた気がした。というか異なっていた。ゆらぎはしげしげと自分の握り締められた手を見詰め、「パーって言いながらグー出すの意外と難しいんだよね」という常套句を、そっと胸の内にしまいこんだ。
「……えーっと、じゃあパパのチームは右で、わたしの方が左ね」
 掛け声云々について触れると収集がつかなくなると察したゆらぎは、まるで何事もなかったかのように二つの扉を指差した。

>all

【チームの詳細についてはスレ主様より発表があります。】

1ヶ月前 No.492

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_LOn

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・地下廊下】


グーとパーでの組み分けの結果、龍矢・安玖・京・七と、ゆらぎ・烈・右叉兎の班に分かれた。

「右扉へは八岳さんの班が。左扉へは御子柴さんの班が。ってことっすね」

両方の扉を開錠するためには、両扉の前にある出っ張りを両者が踏んだ上で、隣の扉と同じタイミングで取っ手を捻らなければならない。
解いたのは龍矢の功績だが、開錠のための仕掛けが判明した今、迷いなく右叉兎は左扉の前へと進んだ。

「今思えばこの仕掛け、ゲームとかでよく見るアレっすよね。どんな技術で動いているのか、今更ツッコむ気も起きないっすが……」

右叉兎が言いたかったのは謎解きダンジョンでよく用いられるような仕掛けを差しているが、果たして何人の人間が気付けただろう。右叉兎は自然と口を衝いて出てしまったが、まさか現実で実際に実行しうるとは本人も予想だにしない出来事のようだった。とにかく、扉の先へ進むには二人以上の人間が、それぞれ左右の扉の前にある出っ張りの上に立ち、双方の取っ手を同じタイミングで捻る必要があった。


>> 周辺all様

1ヶ月前 No.493

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下廊下】

グッパーで組分けを行った一同だが、結果としては龍矢・安玖・京・七と、ゆらぎ・右叉兎・烈というものになった。誰といっしょに進むことになるか、内心わくわくとしていた烈ではあったが、この結果を前にして「おぉぉ!」とこの湿っぽい地下道には似つかわしくない大きな声を上げた。そして瞳をきらきらと輝かせながらゆらぎと右叉兎の方を見る。

「これは!これは、“曉町探し隊”ではござりませぬか!まるで運命でござるな!」

そう、烈がはしゃぐ所以は烈と共に左手の扉の方に進むメンバーが見事に“曉町探し隊”で構成されていたからである。そういえばこんな見事に分かれたことなんてなかった気がする。烈は誰とでもいっしょに行けるのなら構わなかったが、こうも綺麗に分かれるなんて思ってもいなかった。だからこのように、もう高校三年生だというのに、子供のようにはしゃいでいるのである。放っておけばそのうちぴょんぴょんと跳び跳ねそうな勢いだ。しかし周りの目もあるということでさすがに自重したのか烈は不自然にひとつ咳払いをして静かになった。こんなところではしゃいでいる場合ではないと実感したのだろう。烈としてはちょっとした成長だ。

「たしかに、どのような技術で動いているのでござろうな。それに、わざわざ図書館の下に斯様なものを造った意図がわからぬ。もともとあったものなのか、図書館の建設と共に造られたものなのか……。どちらにせよ、どのような施設にござろうか」

右叉兎の言葉に賛同の意を示してから、烈はうーむと首を捻る。一体この迷宮のような施設は、何のために造られたというのか。どうやらこの曉町では民俗的な風習が色濃く残っていたようだから、そういったものに由縁のあるもの……という線もあり得なくはない。何にせよ、この先に進んでいかなければならないのは変わらないのだから、今どうこう言ったところで何かが変わるという訳ではなかったのだが。

>>周辺all様

1ヶ月前 No.494

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 地下廊下→双子廊下(右) 】

 二つの扉を同時に開ける、ぎいいという鈍い音とともに開いた扉の中を覗きこむ都城の横を七がすり抜けるように奥へと足を進める。

「わっ、七ちゃん先行ったらあきまへんって、なら私は八岳くんと逢澤くんとですねぇ、行きましょかぁ」

 そっちは任せましたよ御子柴さん、そう声をかけ都城は廊下へと足を進める。見たところ特に変わった様子はない、普通の廊下のようだった。

「うーん、特に変わったとこはないみたいやねぇ、うんうん」

 きょろきょろと辺りを見回す七の手を握り都城はそう呟く。どう思います? と他の二人にそう問いかける。道は真っ直ぐ、曲がり道などはなさそうだ。

「あの扉がゴール、みたいですねえ」

>> 八岳くん、逢澤くん、



(ということでさくさく中に進ませてもらいますね、!)

1ヶ月前 No.495

かささぎ @september9☆l2RtaxPLX0X6 ★gXyGHSaxw7_M0e

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1ヶ月前 No.496

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館地下】

「よし、いい感じに別れたね……じゃあ、暁町探し隊再始動ってことでれっつごー」
 グーを出した面子を確認したゆらぎは、それが自分達の根城である掲示板のメンバーだったことに満足そうな顔をする。右叉兎の言う仕掛け云々の件は、今更つっこむだけ無駄だとスルーして、左の扉に向かって進む。
 右の扉は京達が、左の扉は右叉兎と烈がそれぞれ引っ張って、全員が薄暗い廊下へと足を踏み入れた。
 そこは地下室らしい淀んだ空気の広がる、真っ直ぐな道だった。果てが見える位の長さで、最奥に扉が一つ。
「あー、これならすぐ探索終わる……」
 呑気な声を上げたゆらぎだが、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。弾かれたように振り返った彼女の目線は、今し方通り抜けたばかりの扉に……その向こうの部屋に佇む青年に向けられている。
「……真希、ちゃん?」
 ぼんやりと虚ろな瞳で階段に立ち尽くすのは、真希人だった。迎えに行かないと、と頭では思っているゆらぎだが、その手に握られた物が何であるかを理解した瞬間、一瞬その動きは止まった。

 そして、その一瞬が致命的だった。

「真希ちゃん駄目っ! それは違う!!」
 走り出したゆらぎが目にしたのは、真希人の頚筋に宛がわれる刃物。彼が何をしようとしているかは明確で、その結果は火を見るよりも明らかで、だから止めなければならなくて。
「真希ちゃん!」
 ゆらぎの声は届かない。その結果すら、見届けることは叶わない。
 限界まで手を伸ばしたその指の一ミリ先で、無慈悲にも扉は閉まった。だからゆらぎには、真希人が何をしたのか、どうなったのか知る術がない。
 ただ、聞こえる筈のない水音と、何かが転げ落ちる音だけがくぐもって聞こえた。
「真希ちゃん、真希ちゃん! 真希人くん! 平気!? 大丈夫!?」
 扉を叩くが内側からは開かないようになっているらしく、押しても引いてもびくともしなかった。勿論、向こう側からの答えもない。
「どうしよう……真希ちゃんを助けなきゃ……あっちのドアは? 開く!?」
 もとの扉を開けるのを早々に諦めたゆらぎは、廊下の奥に見える扉をすがるように見詰めた。

>探し隊all

【真希人くんお疲れ様でした、ありがとうございました。】

1ヶ月前 No.497

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・双子廊下(右)】

各々思い思いに握りしめたり開いたりして突き出した手のひらは、ちょうど俺たちを二分割した。

「俺と一緒なのは、逢澤先輩と、七ちゃん、都城さんですね……」

進むべき右の扉の奥を覗き込もうとしたその矢先に、開けた戸を支えていた俺の腕の下を潜り抜け先走っていく小さな影がある。

「あっ、ダメですよ七ちゃん一人で行ったら……!」

その声は折しも都城さんの声と被り、そのまま促される形で俺と先輩も姉妹のような女性陣二人の後に続いた。
扉の向こうはただまっすぐな廊下が続いているだけ。左右に狭く聳える壁が言いようのない閉塞感というか圧迫感を与えてきて、なんとなく息が詰まる。こんなところ、さっさと通り抜けよう。四人の一番後ろを歩いていた俺はちょっと煽り気味になって前方の逢澤先輩の背中を追いかける。
じゃないと、後ろから何か良からぬ声でも追いかけてきそうな気がして。

ーーーーバイバイ

………!?


ーーーーバイバイ

…………えっ、なんだって!?


確かに、それは聞こえた。俺達が背を向け遠ざかっていく、もう誰もいない筈の、双子扉の部屋のほうから。
振り返っちゃ駄目だと思うより早く、身体が勝手に音の出どころへと向いていた。確かめなければいいのに、人はわからないものが怖く、見ることで安心しようとする。恐怖心は視覚情報が無い時ほど、それ以外の感覚が研ぎ澄まされた増幅するから。無意識に恐怖の正体を見て確かめようとする。たとえそこに、見ない方が良かった結果が横たわっていたとしても。

「か、狩谷さん…………!?」

置いてきた双子扉の向こう、何処か淋しそうな人影がひとつ佇んでいる。この廊下をそう長くは歩いていない筈なのに、左右を狭く囲う壁は騙し絵のように延びていた。彼は遠く、蜃気楼みたいに遠く、駆けてもいつまでも届かない幻のように遠くに見えた。
それでも、そんなに遠くに見えても振り返った俺は我を忘れて引き返し全力疾走で駆けつけざるを得なかった。条件反射だ。佇む狩谷さんを見た瞬間に、血の気が引いて、次の瞬間にはそれが逆流するように身体中を焦がして、早く行けと背中を押した。
狩谷さんが、手にした刃物を自らの首筋にあてがっていたからだ。

「何してるんですか!! 狩谷さん!!」

混乱し、動転し、思わず叱るような大声が出た。叫びながら足はもう床を蹴るのに、怒鳴り声も繰る足音は反響するのに、狩谷さんは思っているスピードで近づかない。

「狩谷さんっ!! 狩谷さぁぁぁぁん!!」

駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ、走りながら睨むように見据えた眼前の視界の中で、声は届かず狩谷さんの手は凶器を引き、首を……恐らくは頚動脈を切り裂く。真っ赤な花火が噴き上がるように、見たことも無い程の大量の血が迸る。その瞬間、それをサブリミナルかあるいは見間違えだと否定でもするかのように俺の目の前で扉が閉まった。
狩谷さんを思いとどまらせようと伸ばした手は、空を掴まず、代わりに硬く重い扉を打ち当てられた。

「狩谷さん!! なんで! なんでだよぉ!!!! 嘘だ! 嘘だろぉぉぉぉ! おい!!!! 狩谷さぁぁぁぁん!」

狩谷さんが死んだ。
目の前で。遮られたこの扉の向こうで。
まだ助けられるなんて、一縷の希望を抱いて扉をガタガタと揺らしても体当たりしても、扉はピクリとも動かない。こうしている間に、狩谷さんは血を流し冷たくなって……。何度も何度も俺は扉を殴るのに、きっともうだめだ、手遅れになる。叫びながら、喚きながら、暴言を吐きながら、俺はもう何て言って怒っているのか自分でもよくわからなくなってきた。
駄目だ、駄目だこんなの。何で狩谷さんは死んだんだ。何で死んだんだ。意味がわからない。そんな風に、そんな風に俺たちも死ぬのか。
今までに途中で居なくなってしまった先輩達も、まさか…………まさか…………

「い、嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!! なにがあったんだよ! どうなってんだよ!! お゛い!! 狩谷さん! 答えてくださいよ!!」

何が起きているんだ。狩谷さんは霊とやらの仕業で取り憑かれてああなったのか。そいつは俺達のことも取り殺そうとしているんじゃ無いのか。こんな理不尽なことがあって良いわけがない。何が、何が、何がどうして、こんなことに。
狩谷さん! 狩谷さん! 呼ぶ声に返事はただの一度もなく、扉を殴り蹴り掻きむしり続けた手は擦り剥けてひりひりと痛んだ。それでも返事は来ない。扉の向こうに、もう生の気配は無かった。

「……狩谷さん……」

俺は拳ごとずるずると下にヘタリ込む。


>七ちゃん、都城さん、逢澤先輩、狩谷さん



【遅くなりました……!
真希人さんの衝撃ホラーのラスト…………!!!!!! 八岳渾身の絶叫を贈りたいと思います。お疲れ様でした!!】

1ヶ月前 No.498

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_eQW

【安仁屋右叉兎/図書館地下】

元来た扉が開かないと知るや否や反対側の扉を目指して進む。
振り返り際に足元が縺れて転倒しそうになるものの、何とか堪えて奥の扉まで来れば一縷の望みを掛けつつノブを捻る。
幸いにも扉は何の障害もなく開き、右叉兎を異質な空間へと誘う。「あぁダメだ……ここも行き止まりみたいっす!!」
机と祭壇らしき台があるのみの殺風景な部屋だ。隣にはさっき入ってきたばかりの扉と同じような扉がもう一つある。
「はああぁぁ……神居家の主人は結局俺たちに何をさせたかったんだ……。町の秘密って一体何の事だったんだ……?」
しばらく現実を受け入れられずその場に座り込んでしまう。暁町に入って来て以降、様々の体験が脳裏を掠めていく。
「これもみんなあの朱月ってやつが原因なんだろうか……」

>> 周辺all様

1ヶ月前 No.499

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/双子廊下(右)】

 それを遠目に見た時に安玖の中で浮かんだ言葉が「だろうな」だったなんて知ったら、くだらないくらいに優しく可哀想なくらい根がヒロイズムに溢れたこの後輩は殴りかかって来るのだろうか。開くわけがない扉にそうしたように。
 どうせ皆が等しく抱えている思いだ。自分も死ぬのではないか、自分が望まぬタイミングで死ぬだなんて嫌だ。それならいっそ――だなんて、考えることくらい正気だろうと狂気だろうと出来る。ただ、実行するその一瞬の間に正気を捨てるか否かの違いしか、もう無いのだ。あの人はそれを捨てた。最後の最後で。
 はあ、と溜息を吐いて龍矢の背後へと向かう。そして右足を大きく上げ――その背に掛ける。そうしてからぐらつく程度に体重を掛けて顎をあげた。

「死を悲観するのも助けられなかった自分に対して嘆くのも結構だけど、そこで蹲って泣きじゃくるつもりなら蹴り飛ばすよ」

 低く唸るようだった。別の言い方をするなら、冷たくて人の温度を捨てたような、そんな声だった。
 記憶の中で落ち行く片割れと狩谷さんの姿がダブる。あんなにも大量の鮮血を見たのは、後にも先にも彼が死んだ時だけだった。――その筈だった。……なんて言ったところで、彼と飛海は百合と薔薇、月と太陽くらいには似ても似つかないから一蹴してしまったが。

「僕さあ、容易く自分の命を投げ捨てる覚悟も、無様に這いずり回ってでも死ねない理由も出来たんだよね。で、そうしてまで帰るには人手が居るんだけど」

「でも、龍矢がただでさえ人数が足りてないこんな状況で余計なこと考えて、自分からなけなしの正気を失くしに行くような奴なら話は別。邪魔にしかならないし、最後の一手を投げ捨てる可能性があるなら信じる事も出来ない。そのボロボロの両手を現実逃避のために使うなら、使えないようにへし折ってやるし」

 背中に掛けた足へ徐々に力を込めていく。そして御子柴さん達が向かった通路のある壁へ顔を向け、ハッ、と鼻で笑ってやった。

「隣も気付いてるだろうな、この状況。だとしたら向こうの面子は開くわけがない扉の前で狼狽えるなんて無駄なことせずに、さっさと出口に向かうだろうね。少なくとも現状でそれが一番の方法だし、テンパったとしても御子柴さんや鑓ヶ岳さんは頭が回るからね――もう一人の男の人はよく分かんないけど。それに僕も同じ行動する」

 で、とそこで言葉を切った。背中から足を退け龍矢の隣へと移動すると、無理やりその顎を掴んで持ち上げた。目線を合わせ、眼球に力を込めて睨め付ける。自分でやっておいてなんだけどぶっさいくな顔になったな、と関係ない事をぼんやりと考える。次いで、今の自分は酷く恐ろしい目をしているのだろう、と他人事の様に思った。

「生憎と僕は足を怪我しているわけでもないヤツの腕を引いて歩いてやるほど人が出来てないんだけど。お前はどうするつもり?」

 答えろ。言外にそう圧力を掛ける。
 自分に怯えようが、反感を抱こうが――自分が築き上げてきた彼の中でのイメージが崩壊しようが、どうでも良かった。そもそも安全なのかも分からない場所だ。今の龍矢が戦力にならないならならないで、相手が狙いやすいように留まってやるつもりなんてさらさら無い。だから何としてでも彼を立たせ、前へと歩くしかない。

>龍矢くん、狩谷さん、(七ちゃん、都城さん)

【お祖母ちゃんの容体が安定したのでふっかーつ! です。そしてかささぎさんにありがとうとお疲れ様を送りたいと思います】

1ヶ月前 No.500

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・双子廊下(右)】

正直に白状しておこう。
俺は、狩谷さんの死を悲しみ打ち拉がれていたわけではない。

助けたかったのも助けられなくて悔しくて泣きそうなのも、本音ではある。でも俺は結局、同行人の一人の死を目の当たりにした瞬間、怖くなったのだ。今日出会った他人とはいえ目の前で死なれたらそれはショックだけど、勿論絶対に死んでほしくは無かったけれど、他人は他人。嘆きと怒りの鉾先は自分や大切な人が同じ目に遭うかもしれない恐怖。自分や周りの人がマトモじゃなくなっていく恐怖。即ち、自己防衛だ。

その、できれば無事でいて欲しかった大切な人の一人に、まあ俺は今踏まれているわけだけど。

「……うっ…………」

不意打ちで背中にのしかかった重さに耐えきれず片膝から両膝をつき、扉に上体を押し付けるように潰れた。頭上から響く先輩の声と共に、踵の感触が背骨にめり込んで走る痛みに呻き声が零れた。顔は見えない。声は逢澤先輩のもので間違いないが、何がそんなに彼を怒らせたのか俺には分からなかった。

「…………人、を助げ、ようと、じ、て、出来、なぐ、て、悲し、ぐ……って、何が……っう…………悪い、ん゛です、かぁ…………!」

痛え。痛い痛い痛い痛い痛い! ちょっと待て踏みすぎだから! …………っ痛いマジで!
徐々に増強していく圧力と暴言に、物理的に扉に縋り付くしかなくて、顔を埋め眉を寄せて耐えながらやっとの事でそれだけ反論する。踏まれながら断片的に聞いた先輩の話を要約すれば、ここで狩谷さんの嘆いてモタモタして足手纏いになるなって話らしい。心配なら御無用だ、生憎俺も発狂する気も死ぬ気もない。自分から命を投げる奴が吐くほど嫌いだから同感だ。
やっと猛攻が止み、背中に押し付けられていた足裏の圧が消える。歯の跡がつきそうなほど食い込んでいた手の甲で、口元を拭う。掠れた擦り傷の血で逆に汚れてしまったが、やっと息ができる。

「……泣いてねぇし、つかこの中で一番正気なの俺だろ」

もちろんこのぼやきは聞こえないように愚痴零したつもりだったが、今度はぐいと顎を掴まれる。まだ息も上がったまま、強制的に上を向かされると、逢澤先輩の静かに燃える瞳が目の前にある。凍てつくように冷たい。怒ってる。まずい、今の聞かれたか!? と焦ったが、そうでもないのかもしれない。
……どうするもこうするも。
やっと反論を許されるようになったことで、応えを待つような先輩の手をパシリと払いのけ、立ち上がりながら先輩の服の胸元を掴んだ。立ち上がれば、俺の方が背が高いのを忘れてた。さっきと逆に俺が見下ろして、此処までの鬱憤を込めて睨み返す。

「……ほんとに。マジで人が出来てないですね。そんな顔でそんなことが言えるようになってきてるなんて、何も痛まず無駄なことだと切り捨てられるなんて、おかしいですよ。先輩こそ正気とは思えません。人が死んでいるんですよ!? いつまでも此処にいるわけに行かないのは分かっています。でも、感情を無くしたら例え生きて出られても死んでいるより最悪ですよ!」

言い過ぎた。とはちょっと言いながら思った。俺のモットーは長いものに巻かれる、アズローマンズドゥ、住めば都の、異口同音、付和雷同。余計な波風は立てない。まして強いものに楯突かない。先輩なんかもってのほか! の筈だったんだけど。……仲間内から死人が出るというアクシデントのせいだ。俺のせいじゃない俺のせいじゃない。
でも実際、俺は狩谷さんは自分の意思や気の迷いじゃなくて殺されたんじゃないかと思っている。それを正気を保てなかった弱い奴呼ばわりして切り捨てるのは、人として出来ない。……その代わり、本当に自分から死を選んだというのなら、話は180度変わるけれど。
俺は鷲掴みにしていた先輩の服をぱっと離した。


>逢澤先輩、七ちゃん、都城さん、all


【パニックからの仲間割れ好きなんでやってみたのですが先輩ごめんなさい……そして、七ちゃんと編集者さん止めてくださ……】

1ヶ月前 No.501

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 地下双子廊下(右) 】

 七を追って廊下の奥へと進む都城はふと地面に落ちていた何かを蹴り飛ばしてしまう。なんだろうか、それを拾いあげていたその時、鼓膜を震わせたのは先程都城とともに七に制止の声を向けていた八岳の、絶叫だった。はっとしたように振り返った都城の視界に映る閉まろうとする扉、その隙間に見える紅色。廊下に残る、八岳の絶叫が痛ましくて、都城は唇を噛み締める。

 ――――またひとり、朱月にのまれてしまった。

 絶叫の中、都城の鼓膜を震わせたのはこの場にいる誰の声音でもない、声だった。それに気付くよりも先に視界に映ったのは蹲る八岳の背を踏む安玖の姿で。都城は深く溜め息を吐いた。七はこの状況に気づいていないのか、なんなのか、すたすたと先の扉に向かってしまったし、背後は険悪ムードだ。最悪やん、そう小さく吐き捨て都城は拾ったそれを握りしめて唇を開く。

「ええ加減にしーや、学生組! こんなとこで二人が揉めてもしかたあらへんやん、あー、もう、お姉さんこういう役苦手やねんから!」

 何と言えばいいのか分からず盛大な溜め息とともに頭を掻く。ゆるく視線を動かし言葉を選んでいれば先程まで先の扉のそばにいた七が都城の脇をくぐり二人の元へと向かう姿に、いやあんたが行ったら余計面倒やないですか、なんて言葉は飲み込み、かわりに溜め息を吐き出した。

「――――けんか、だめです…………くらいきもちは、あかつきが…………ふたりも、死んでしまう……そんなの、だめです……」

 右手を八岳へ、左手を逢澤へと伸ばした七はぽつぼつとそんな言葉を吐き出す。相変わらず曖昧なものだがしっかりと意志のこもった声音で、なかなおり、そう付け足して。


>> 安玖くん、八岳くん


(真希人くんおつかれさまです! みんなのお姉さんこと都城は役立たずなので七ががんばりました!がんばれたのか?)

1ヶ月前 No.502

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

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1ヶ月前 No.503

特殊レス @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 都城京(特殊レス) / 曉町立図書館 地下 双子廊下(右) 】

  険悪な雰囲気な安玖と八岳、それを止めに行った七の後ろで都城は拾ったそれに視線を向ける。それはどうやら一枚の手紙のようだった。途中で破られたその紙に目を通し、都城はうーん、と小さく唸り首を捻る。

「これ…………ちょっとそこのお三人さん! これってもしかして式島さんの――――」

 式島さんの探しとった手紙やないですか、そう言いかけた都城の言葉はどん、と扉を叩く音によって掻き消される。自分達が通ってきた扉、それを叩く音が廊下に響く。



『――――開けて、みんな、開けて』


 それは、先程その身を紅の海に沈めた狩谷真希人の声。


『助けて、みんな、開けて』
『――――ネエ、開ケテヨ』


 それは、地を這うような、低い女の声。二つの声が混ざり扉をどんどんと叩く。


「――――おまえたちも、みんな、みんな、」


 俯いた七の声がそれに混ざる。三つの音が混ざり合い、強く強く、壊さんばかりに強く、扉を叩く。


 ――――おまえたちも、みんなみんな、しんでしまえ。


>> ALL


(手紙入手レスと追加で進行上の都合により特殊レスです! 地下書庫に入れば音も声も止みますが遅いと…………?)

1ヶ月前 No.504

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/双子廊下(右)】

 想定通り彼は完全に伏せきる前に安玖への嫌悪感で(周りから見ても龍矢からしてもあまり良くはないのだろうが)見事に復活した。まあ、自分も割と目の前の後輩の言葉でカチンときてしまったのは想定外だったけど。だってコイツ、想像以上にぶん殴りたい思考回路してる。さすがに殴ったらこっちが100%悪いからやらない。そうじゃなかったら殴り合いの第2ラウンドを決行していた。

「……こっちはその“死んでるより最悪”の状態で10年も生きてんだよ」

 乱れた襟元を正しながら、低く、小さく、何かに掻き消される様に吐き捨てる。母の事が解決したところで、そちらとの折り合いなんて早々に付けられるものでは無い。
 ――時々、どうしようもなく龍矢に対して言い表すことが出来ない感情が湧く。正義感が強くて、正当であろうとして、そして事実、少なくとも大筋は正しくある。その姿が自分が憧れそうあろうとしても成し遂げることが出来なかったものだから、時として強い憧れにもなるし好意にも恐怖にもなる。……ただ、とも思う。正義の反対はまた別の正義というのであれば、悪の反対はまた別の悪とも言えよう。理性の利かない咄嗟の行動が正しかったとしても、その先の行動が全て悪に落ちるのであればその正義はただの悪でしかなのだ。それに何より、

「『先輩たちが言うから』『皆さんが行ったから』って押しが弱いふりして他人に取り付いて責任から逃げ回って、そのくせ都合が悪くなったら噛み付いて『自分は正気だから周りが悪い』だの『周りが変だから自分も変になりつつある』だのその責任からも逃げて――そんなんで正しさも正気も主張できると思ってんなら……いい加減にしろよ、クソガキ」

 口の中で回った言葉は背後から突如として響き渡った騒音に圧されてしまった。当人である彼に聞こえていようがいまいが知った事ではないし、それで更に彼を怒らせたのであれば一先ずの安全が確保できた状況であれば別に両頬どころか腹パン・膝蹴りも無抵抗で喰らう気もある。その際にこちらがイラッとするような言動があれば、殴り返すかも知れないという事実は置いておくべきだろう。


 バツが悪そうにしている龍矢の手首を掴み、今度は扱けないように調節しながら前へと押し出す。いつもの、自分が最後尾になる立ち位置だ。そして自分も地面を蹴――る前に、一寸、振り返り鼻で笑う。

「扉越しじゃ聞こえてなかったわけ。……こっちには無様に這いずり回っても死ねない理由があんだよ、口の無え死人はすっこんでろ」

 ぐいっと七ちゃんの腕も掴み、都城さんの方へと押し出す。後ろから追ってきていて前は静かなのを見るに、今回安全なのは都城さんのいる最前列だ。手を離す直前に、この図書館へ入ってすぐに投げ掛けたのと同じ声色で彼女の名を呼ぶ。

「君も本気で俺達に生きて欲しいと思ってるなら、自分の精神ぐらい乗っ取ってる相手ぶん殴ってでも引っ張り出しなよ。警告したでしょ」


「――さっさと走れ!」

 叩き付けた言葉は、存外、廊下ではよく響いた。

>>周辺ALL

【最悪、合流したらその先で落ち着くだろうという投げやり気味です。あと皆さんへの確定ロル(?)かもしれません。駄目そうであれば修正します!】

1ヶ月前 No.505

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/双子廊下左→地下書庫】

 ゆらぎの目線の先で、右叉兎と烈の背中が反対側の扉に吸い込まれていく。その事実に安堵したのも束の間、行き止まりという絶望的な宣告が耳を打った。
「そんな……どうしよう」
 此処まで来て行き止まりなんて……真希人の所に戻れないどころか外に出ることも叶わないではないか。思わず扉に背中を預けてへたりこみそうになるゆらぎだが、小さな衝撃がそれを阻んだ。
 最初は小さなノックのような、しかし次第に大きくなるそれ。開けて、とせがむ二つの声と、滅茶苦茶に扉を叩く音。
「真希、ちゃん」
 その声の主の少なくとも片方を、ゆらぎは知っていた。知っていたからこそ、諦める事が出来た。彼がこんな風に、自分達を呼ぶ筈がない。お前達も死んでしまえだなんて、そんなこと口にする筈がない。だからこれは彼ではない、彼だとしても、それは、もう――朱月に呑まれた別のナニカ。

――開けて、開けて、開けて、開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開ケテ開ケテ開ケテ開ケテ……しね。
「駄目」
 ぽつり、と呟くゆらぎの瞳は、何処か虚ろで。
「駄目よ、わたし、どうしても会いたい人がいるの。だから、戻ってきたのよ。だから、まだ」
 死ねない。

「……ごめんね。わたし、真希人くんはそんなこと言わないって信じてるから。でも、もし次があれば……その時はまた一緒に行こうね」
 扉にそっと手を当てて、二度と触れられないであろう温もりを感じようとする。
「……バイバイ」
 奇しくも彼の最期の言葉と同じそれを口に乗せ、ゆらぎは走り出す。瞳を僅かに濡らし、今も頭の中に響き続ける「死んでしまえ」という声に抗うように。
 それは仲間を喪ったばかりの少女が見せる、強がりで懸命な、気高い行為になる筈だった。

 少なくとも三秒は。

「ふぎゃっ」
 駆け出してすぐ、ゆらぎは何かに足を取られて地面にダイブした。タイミングがタイミングなだけに妨害工作かと身構えて起き上がったものの、足元にあるのはなんてことのない一枚の紙切れだった。それに滑って転んだらしい。
「はぁぁあ!? 何でこんなとこにこんなもん落ちてんのよ! 空気読んでよね!」
 悪態をつきながらも取り敢えず自分を転ばせたものを乱暴にひっつかみ、ゆらぎは今度こそ地下書庫に飛び込んだ。

>all

【ゆらぎにシリアスは無理でした……取り敢えずアイテム回収します。】

1ヶ月前 No.506

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_eQW

【安仁屋右叉兎/地下書庫】

 膝をついて立ち上がる。完全に立ち上がるまでには少しだけ時間を要した。あの時の急転回で足首を捻ってしまったからだ。まだ皆には気付かれていないようだけれども、どこか歯痒い思いがする。思えば神居家では何の役にも立てなかった。もう皆の足手纏いにはなりたくない。
 改めて周囲を精査してみた。周りを見渡して見ればここが書庫だと知れた。仮にここが“敵”の罠で、俺たちを閉じ込める腹積もりなら、神居家の主人は俺たちを図書館まで行くように誘導しただろうか。正直言って本当のところはよく分からないが、きっとこんな陰気で危ない感じのする場所にでも意味があるはずだ。
 恐らくここへは、あの式島さんでさえも足を踏み入れてはいないはずだろう。まずは暁町に起こった事件に関する資料がないか探してみよう。そして、それと並行してこの場から脱出できるような仕掛けを探してみる、もしそれが駄目だったら次は外に居る式島さんに助けを伝える方法を考えてみよう。

「みんな……!!」

俺はさっき考えた思索をみんなに聞こえるように声に出して意見してみた。

>> 周辺all様

1ヶ月前 No.507

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/双子廊下(右)】

「んだと、誰がクソガキだって……ーー」

俺が目上の人間相手に我を忘れるなんて、迂闊だった。図星を指され咄嗟に頭に血が上った俺は、つい先輩の肩を雑に掴み凄んだ。
ああ、その通りさ。押しが弱いふりをし下手に出て、強いものには逆らわず、はみ出さず、流れに逆らわない。どうでもいい決定権なんて持たない。余った意思と決定権はもっと娯楽的な刹那的な愉快なことに使う。責任も無い。失敗のリスクも少ない。孤立もしない。勝ちは無くとも負けは無い。生きる上での知恵であり、戦略だ。それの、何が悪い。多少の後ろめたさが無いわけでは無いが、そうでもしなきゃ俺が生き残れなかったんだ仕方ないだろ。何故完璧だった筈の立ち回りに、御指導御鞭撻を賜らなければならないってんだ。

「俺等≠セって必死に頭使ってるんです。その工夫をし損ねた不器用な負け組に、今更狡いだ正しくないだ文句を言われたって、寒いだけですよ。……ま、先輩は俺の大嫌いな負け組じゃないって、信じてますけど」

一瞬カッとなったのはやばかったが、先輩の言う通り、俺は身近な年長者に手をあげるような馬鹿じゃない。さっきまでの大声とは違う、少し離れれば聞こえなくなるような抑えた声で小さな棘を突き立てた。今こんなことで揉めたって、それこそ生産性なんか無いんだ。やめたほうがいい。そもそも俺達は一緒にいて上手くいかないわけじゃ決してないけど、根本的には理解し合えないような気はしていた。そんな暇があるのなら、それこそ生きて、人道的に生きて、健やかに此処から出る術でも考えたほうがいい。

場に流れる空気は、最悪だった。そうならないようにひたすら回避し続けてきたのだが、この崩壊はもうどうしようもなくお手上げだ。俺はとっくにムード調節なんてのは諦め、匙を投げていた。都城さんと七ちゃんの仲裁が入らなければ、どんな険悪な空気になっていたか知れない。それは俺だって望まない事態だ。

「すみ……ません」

七ちゃんのような年下の女の子に仲裁されるなんて、流石にバツが悪い。都城さんのようなよその大人の方に餓鬼みたいな学生の喧嘩の一部始終を見られていたのも冷静になれば恥ずかしいが。とりあえずここは事勿れと、口先で謝り容易に下げられる安い頭を下げていると、また別の声がこのやり取りを遮った。

『――――開けて、みんな、開けて』

「……狩谷さんッ!?」

死んだ筈の狩谷さんの声が、何故。
扉の向こうから。戸を叩いて、助けを求めている。
助からない筈なのに、なんで。声が……。
俺は動揺し、思わず扉の向こうの声に耳を貸しかけたが、先輩の手が俺の手首を掴んでいる。

『助けて、みんな、開けて』
『――――ネエ、開ケテヨ』


「……いや、狩谷さんじゃ、……ありませんよねぇ! わかってましたよそんなことはァ!!」

掴まれていた手から、気を取られた扉とは反対の方向へのベクトルで強引な力が付与される。押し出されると同時に叫んで、俺の手を掴んでいた先輩の手をそのまま引っ張って、前方を走る都城さんと七ちゃんの後を追いかけた。そこから先は無我夢中で駆けた。細く長いと思っていた廊下は、駆け抜ければ一瞬だった。

>双子廊下(右)all様

24日前 No.508

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 地下双子廊下(右)→地下書庫 】

 鼓膜を震わせる様々な声音。狩谷真希人の声、低い女の声、そして七の声。都城は一瞬その様々な声に混乱した。口論をする逢澤と八岳もその声音達も、隣の廊下にいるであろう御子柴達も、どうしたら、戸惑う都城の意識を引き戻したのは、口論をしていた筈の逢澤の声、さっさと走れ、狭い廊下に響く逢澤の声に都城は駆け出した。振り向かず、前だけを見て。

「――――あ、…………こ?」

 七の言葉は掴まれ押し出されたその腕に止まる。七は下唇を噛み締め、小さく息を吸う。そして、力一杯吐き出す。

「――――にげて、その声に囚われちゃ、朱月にのまれちゃだめ、!」

 竹箒をぎゅう、と抱きしめそう叫ぶ。幼い声色は、まるで泣いているみたいに廊下に響く。真っ直ぐに走る七は都城の扉が潜った扉を潜りその先にいた都城にぽすり、とぶつかった。


>> 周辺ALL

23日前 No.509

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下書庫】

どう足掻いても目の前の現実が良い方向に変わるなんてことはないということを、烈は理解していた。絶対にないということは必ずしもないのだろうが、それでも可能性は限りなく低い。それがわからないほど烈も愚鈍ではなかった。目の前は行き止まり。後ろの扉は完全に閉ざされた。

(つまり……我らは此処に、閉じ込められた……)

信じたくはなかった。しかし受け入れなければ先へは進めない。がくりと付きたくなる膝をなんとかこらえて、烈は辺りをきょろきょろと見回してみる。殺風景な空間ではあるが、其処が書庫であるということは烈にも理解出来た。今までの流れからするとこの部屋にも何か仕掛けがあって良いはずである。とりあえず烈は近くの壁や床に視線を走らせて、気になった場所をぺたぺたと触ってみた。だがしかし運よく仕掛けが作動して脱出の糸口が見つかりました……なんて展開になるはずがなく、特に変化らしい変化は見られない。どうしたものかと思案していた烈だったが、そう遠くない場所にいた右叉兎の呼び掛けが聞こえたことでそちらへと向き直る。

「シシO殿、如何なされた?」

何か脱出の糸口になるようなものでも見つかったのだろうか。そんな淡い期待も込めて彼に近づこうとした烈であったが、それとほぼ同時にゆらぎが駆け込んできたことで一旦烈の視線はそちらに向くこととなる。

「ゆらぎ殿!……その手にしておられるものは、一体……?」

まずは再会を喜ぼうとした烈であったが、ゆらぎの手に何やら紙切れのようなものが握られていることに気づいて首をかしげる。なんだろう、メモ帳の一部か何かだろうか。そうこうしているうちに、七や京も地下書庫にたどり着く。彼女らと共に行動していた龍矢や安玖も近いうちに此方と合流出来ることだろう、と烈は予測した。

「と……とりあえず、でござる。シシO殿、何かお有りになったというのなら皆様がこのお部屋に入ってきてからお伝えくだされ。ほら、こういった情報は皆で共有しておいた方が良うござりましょう?」

いまいち状況は掴めなかったが、ひとまず烈は再び右叉兎へと近づいてそう声をかけた。何かあったというのなら、他の面々にも知ってもらいたいというのが烈の意見であった。

>>周辺all様

22日前 No.510

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/地下書庫】

 ゆらぎが地下書庫に飛び込んで直ぐ、別の扉からサークルメンバー達も姿を現した。彼等の形相を見る限り向こうも色々と大変だったようだが、過ぎたことは気にしても仕方無い。今はこの先のことを考えなければ。
「えっと……みんな無事、ですか?」
 地下書庫に集った人間の頭数を見て、変な増減がないことを確かめる。それからやっと、ゆらぎは地面にダイブしたときに制服についた埃を払った。

「あ、待ってねれっちゃん、今から読むから……みんなも一応聞いてて。さっき廊下で拾ったの」
 烈から先程拾った紙切れのことを問われ、ゆらぎは改めて自分が踏みつけたその紙片を見る。それは思いっきり破れていたが、裏側にくっきりと残るローファーの足跡から考えるに、最初からその状態で落ちていたようだった。

「病室に来るあなたはいつもどこか苛ついていて疲れていた。きっと私のせいね。そんなあなたを見るのが何よりも辛かった。許されないのは分かっている、でも最期だから書き留めたい。あなたを心から愛している。忘れてとは言わない。忘れないでとも言えない。あなたにたくさんのものをもらったのに、私は何一つ返すことができなかった。最後まで付き合ってくれてありがとう、これからはあなたの生きたいように生きてほしい。私は幸せでした。

 ……以上。これってあれだよね、翔子さんの手紙、だよね。何かもう内容的に遺書めいてきたけど……何でこんなもんがバラバラに落ちてんのかなぁ……あの人何か勘違いしてるか隠してるかしてるんじゃないのかなぁ……いや、違う。疑ってない、疑ってないけども!」
 真希人の死を目の当たりにしたせいか、ゆらぎはつい柊平への疑心を口にしてしまい……慌てて首を振ってそれらを否定した。

>all

12日前 No.511

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 都城京 / 曉町立図書館 地下書庫 】

 ぽすり、とぶつかってきた七を抱きとめながらも都城は辺りを見回す。どうやら此処も書庫なようだ。壁一面の本棚を見回しながらも、その一角。不自然なまでにその存在感のアピールしている祭壇からはそっと目を逸らす。だって怖いんやもん、なんて心の中で言い訳しつつ。

「えっと、もしかして行き止まり……? えっ、私等閉じ込められてしもた……?」

 ふらふらと動きがちな七の手を引きながらも反対側の廊下から合流したゆらぎの言葉に「はぁーい、都城も七ちゃんもいまーす」とへらりと笑う。そしてゆらぎが読み上げた手紙に思い出したかのようにポケットを漁る。引きずりだしたのは先程の廊下で拾った手紙だった。反対側にも落ちていたのか、おっちょこちょいだなあ、なんて思いつつ唇を開く。

「それ、私も拾いましたよぉ、えっと、やっぱり破れてるし式島さんが探してたやつやろか……。読みまーす。えっと、

 今朝、先生が訪ねてきてお家に帰ることを許して下さった。これが最後のチャンスかもしれないって、つまりはそういうこと。自分に未来がないと知ったときどうしても受け入れることができなくて、焦りや怒り、他の醜いもの全てを何の罪もないあなたにぶつけてしまった。

 ……うーん、内容的には御子柴さんのやつの前……やろか」

 読み上げた手紙の内容に首を捻る。ゆらぎの疑問は最もだった。何故手紙は破られていたのか、バラバラに置かれていたのか、謎は深まるばかりである。


>> ALL


(こちらも手紙内容共有させてもらいますね!)

11日前 No.512

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_eQW

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・地下書庫】

「そうっすね。今は皆が揃うのを待つっす」

 烈さんに続いてゆらぎさんや七ちゃんたちも部屋に入って来ていた。
 だが、八岳さんや逢澤さんの姿がまだ見えない。一体どうしたのだろうか。
 しかし、俺の心配を他所に、ゆらぎさんと都城さんは、それぞれ手にしていた手紙を読み上げていく。どうやらさっきの廊下で拾った代物らしい。
 俺はゆらぎさんと京さんが読み上げるのを黙って聞いていた。手紙はバラバラに破かれて別々の場所に置かれていたが、それが何を意味するものなのか。二人の疑問はもっともだったが、俺には今ひとつピンと来なかった。

>> all様


【遅くなってしまって申し訳ございません】

4日前 No.513
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