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曉の彼は誰時。

 ( オリジナルなりきり )
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ホラーゲーム風 / 和風 / 脱出 @sweetcatsx☆2/Tw0gYxHcQ ★iPhone=VHGaT7ZbKj

 ――――朱月≠ノは気をつけて。

 ――――貴方も、ああなってしまうよ?


【 八月上旬 / 山の麓の町 バス停留所 】

 がたがたと揺られ続けること一時間。止まったバスをおりてゆっくりと辺りを見渡す。辺りには田畑、そして山。この山の向こうに目指している場所はあった。


 その山には入ったらいかん。
 その山の奥には、曉町がある。
 あの町は住人全員が神隠しにあった。もう誰も残っとらん。

 ――――あんたも、神隠しされちまうぞ。


 幾度となくかけられた言葉を愛想笑いで逃げ切って、一歩、また一歩と山の奥へと足を踏み込んでいく。生い茂る木々が空を遮るようにして立ち並んでいるせいか薄暗く、より一層怪しげな雰囲気が立ち込める。深い深い山道をただひたすら、真っ直ぐ。


【 八月上旬 / 曉町高台広場 】

 山道を何時間歩いただろうか。目の前に巨大な朱塗りの鳥居が視界に入る。安堵からか思わず溜め息が零れた。やはり、やはり実在していた。浮き立つ気持ちを抑えつけ辺りを見渡せば黒のワンボックスカーが視界に入る。……もしかしたら、広めの道もあったのかもしれない。

(…………他にも人がいるのか)

 心に小さく浮かんだ疑問。それらを拭い去るためにはこの中に入らなければ。深く息を吸い、ゆっくりと鳥居の下を潜る。――――その時だった。


「――――――――もう、逃げられない」


 鼓膜を震わせた少女の声。辺りに少女はいない。気のせいだったのだろうか。首を捻りながらもふと、視界に映った空に目を見開く。何故、どうして、空はまだ青かったはずだ。それなのに――――


 何故、空は闇に染まっているのだろう。
 何故、月はあんなにも赤く染まっているのだろう。


 ――――これは、閉ざされた町曉町≠ノ足を踏み入れた彼等に待ち受ける怪異譚である。

( 鈴の音が、聞こえた気がした )



 ///

( 冬だけどホラースレッドです! 兎にも角にもサブ記事へ! )

1年前 No.0
メモ2018/10/08 11:16 : 七、都城京☆e0aRNqDUyEM @sweetcatsx★iPhone-8p27ODDVl8

要必読事項(EDについて) → http://mb2.jp/_subnro/15697.html-234,250#a

イベントについて → http://mb2.jp/_subnro/15697.html-232,233#a


第一章『曉町』>>1-186

第二章『蠶』>>187-354

第三章『朱月』>>355-


【 登場人物 】

▼ オカルトサークル

 八岳龍矢(芙愛さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-41#a

 逢澤安玖(千羽さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-32#a


▼ 曉町探し隊

 御子柴ゆらぎ/ふわりちゃん★(夕邑三日月さん) http://mb2.jp/_subnro/15697.html-16#a

 鑓ヶ岳烈/足軽其の壱(すずりさん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-23#a

 狩谷真希人/よこぎる猫(かささぎさん) http://mb2.jp/_subnro/15697.html-63#a

 安仁屋右叉兎/シシO(推古さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-199#a


▼ ホラー小説作家と編集者とカメラマン

 都城京(冬野)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-62#a


▼ ある理由からやってきた謎の人物

 式島柊平(神崎りりかさん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-28#a


▼ 村で出会った謎の少女

 七(冬野)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-13#a

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神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 → ??? 】

 様々な思惑が行き交う。質問が鋭い矢のように式島に降り注ぐ。
 しかし巫女姿の少女が手に持つロケットペンダントと破られた手紙を目の前にした時、その全てが式島の耳に届くことはなかった。全てが雑音と化して式島のもとを通り過ぎていく。

「ちょっと……見てもいいか?」

 誰の問いかけに答えることなく、式島はロケットペンダントを手に取って恐る恐る中身を確認した。……間違いなかった。それは結婚式の日に式島が妻の翔子に贈ったものだった。幸せそうに微笑む若かりし頃の自分の写真を食い入るように見ていると、御子柴がもう一方の破られた手紙についても言及する。ふと思い立った式島は先ほど胸ポケットにしまった手紙の破片を取り出し、それを少女が持つそれと繋ぎ合わせてみた。ピッタリと破れ目が合わさった。一度も見たことのない文面なのに、それは明らかに式島が持つ手紙の続きだった。

「どうしてこんなものがあるんだ。これは……これは、翔子の私物だ」

 そんなはずはない。そう頭の中で否定しても、手紙とロケットペンダントは無情にも式島に受け入れたくない現実を突きつける。――私の罰? 私の罪? 何を言っているんだこの手紙は。式島は考える。翔子は実家に帰省したときに殺されたはずだ。そう他の警官(どうりょう)は言っていた。俺はその日仕事で何もできなかったんだ。何もできなかったからこそ、こうやって彼女を探しに来ているんじゃないか。そうだ。そうだったはずだ。
 そこまで思って、式島はハッとあることに気がついた。

「もしかしてここに翔子がいるのか……?」

 式島は少女が手にしていた手紙を乱雑に握りしめて駆け出した。周りにいる人間に少しも気にとめることなく、暁町立図書館の外へと向かって消えていった。

>おーる
【レス蹴りみたいな形になって申し訳ありません……!錯乱した式島は少しの間、離脱します】

6ヶ月前 No.477

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 階書庫→一階廊下 】

 とりあえず全員が手にしていた情報を共有していたその時、ゆらぎの手にあった二階事務室内で拾った手紙の断片を乱暴に奪い去っていく式島の姿に都城は首を傾ける。よく分からないが相当焦っているようだ。

「――――まあ、いっか」

 都城は思考を停止させる、彼は彼で行動をしていたし心配することはないだろう、と。そして都城は自分の背にある扉に手を伸ばし開いてみる。ひょこり、と覗いた扉の先は奥に続く廊下、そしてその奥に見える階段。

「みなさーん、この先に下に降りる階段あるみたいですよぉ」

 七が都城の言葉にゆっくり足を踏み出し受付内へと向かう。その様子に都城は扉の先に足を踏み出しながら誘うように周りに声をかける。

「とりあえず、進んでみたらええんちゃいます? 今までもそうやったし」


>> ALL


(式島さんが一時離脱されましたのでこちらは先に進ませていただきました!いよいよ三章はラストに差し掛かりました、皆さまはどのような推理をなさるのか、たのしみです!)

6ヶ月前 No.478

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_gaI

【御子柴ゆらぎ/図書館一階書庫】

「あ、ちょ、おまわりさーん、一人は危ないよー……行っちゃった」
 情報共有ということで様々な憶測が飛び交う中、ロケットと手紙を見た柊平は血相を変えて飛び出していった。なんだ、この図書館は施錠されていなかったのか……てっきり此処も出られないものだとばかり思っていたゆらぎは、何処か拍子抜けたような気分になる。
「まぁあの人は最初から一人でここに来たみたいだし良いのかなぁ……というかあの手紙、前半があったんですね」
 失恋レターだとばかり思っていたが、前の部分を読めば実は全く違うものだったのだろうか。途切れ途切れの話を統合すれば、あれは柊平の妻に当たる翔子という女性の私物だそうだが……何故そんなものがこの地に、意味深にバラバラに散らかっているのか。
「なぁんか嫌な予感しかしないんだけど……大丈夫かな。すっごい不謹慎だけど、あの人の奥さん化けて出ない……?」
 ゆらぎはそう呟いて、不安げに柊平が消えて行った扉の方を見遣るが……やがて京のまぁいっかという声を聞き、彼女も思考停止することを選んだ。

「うん、多分あの人は翔子さんを自分で探したいんだきっと。部外者が邪魔するのいくない。わたし達はわたし達に出来ることをしよう……二度手間になるから取り敢えず地下を確認して、井戸はそれからね。もしかしたら龍矢くんの言う通り鍾乳洞の入口とかあるかもしれないし……いや、あったら本傷むな。縄も探索に使える物かも知れないしね」
 色々と勝手に結論付けたゆらぎは、七や京に続いて地下へと続く階段があるという扉に向かって歩き出した。

>ALL

6ヶ月前 No.479

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

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6ヶ月前 No.480

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫→地下室】

「えっ、す、すみません、俺とんでもない聞き間違いを……!」

安仁屋さんに指摘されて、その通り俺はとんでもなく不謹慎かつ失礼な勘違いをしていたかもしれない可能性に気付く。三年前奥さんは、「亡くなった」んじゃなくて、「いなくなった」のか……だとしたら、申し訳なさと恥ずかしさと焦りで胃のあたりがきゅんと痛む。そうだとしたら、生きている人を死んだ前提で話していたとしたら、本当に本当に申し訳なさでいっぱいだ。
生きること、生かすことは俺にとってどんな場合でも信じられる正しさで、死ぬことは当然避けたいし遠ざけてあげたい悪い事……それ以外の解釈なんて、たとえ諭されようと俺はまだ認めたくない。

しかし俺の失言のせいなのか、混乱の所為なのか、それとも二階から持ち帰られてきた手紙とロケットペンダントを見たせいなのか、何か思い出したのかそれとも何かに気づいたのか、式島さんは玄関から走り去ってしまった。

「ちょっと! 式島さん!!」

俺は慌てて後を追いかける。一人は危ない。それに、意図的ではないにせよ地雷を踏み抜いてしまったかもしれない訳だから。
あの人をあのまま一人にしておいて良いのだろうか。各々納得し始めた皆を背にして、玄関ホールを抜けて図書館の外へと飛び出す。勢いよく開いたガラス戸から、夏の夜風が吹き込んでじわりと肌にまとわりついた。

「式島さんっ…………!」

しかし、赤い月が照らす田舎町に、式島さんの姿は何処にも無くなっていた。田んぼの水が、つやつやと光っている。時が止まったような薄赤い暗闇が俺の声を飲み込んで、やがて水面のようにしんと静まり返った。右も左も、無人の民家の影はなんとなく見て取れるものの、その奥には果てしなく吸い込まれそうな闇が広がるばかりで、今更恐怖を思い出しゾッと身震いする。見失った。こんな暗闇の向こうに、生きた人の気配なんて感じられない。本当にあの人が探している人物なんてこの先にいるのだろうか。
その時だった。
前方から、何処かで聞いた覚えのある重い足音がした。ガチャリ、ガチャリと金属の触れ合う音が。

ーーーーガサガサガサガサガサ……タッ……ガサガサ……コ……ザザザザザ…………ルノ…………?

聞いた覚えのある、ノイズだらけの音声が。

「は………………うわ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

紅の月光に照らされて、いつのまにか其奴は目の前に立っていた。雨に濡れたように艶めく黒の鎧。歴史の教科書か、ばあちゃん家の納屋から出てきたかのような兜。神居家で倒した筈の、巨大五月人形。神居家の人形の呪いなら解けた筈なのに、追いかけてきたのは、もしかしてこいつが人形じゃないから、ってことなのか。

「お、おおおおおおお落ち武者ぁっ!?」

其奴はあの時と同じように、帯びた刀をすらりと抜いた。鏡のように磨かれた刀身に、恐怖に歪んだ俺の顔がますます歪んで化物めいて映っている。
やややややめろって! 今回は先輩も御子柴さんも居ないんだから! 無理無理無理無理俺一人じゃ無理!!
後少しのところで気を失いそうになりながら、けれど数歩も下がれば真後ろに皆の居る図書館があることをギリギリの思考で思い出し、俺は回れ右をして全速力で敵前逃亡をした。

「……みなさん! 早く、早く地下を探索しましょう!!」

俺はガラス戸で五月人形もとい落ち武者を締め出し、肩で息をしながら奥の書庫から地下室へ向かう皆へ叫んだ。落武者は知能の足りない虫のように扉にガンッと一度ぶつかったが、俺が構わず全体重で扉を抑え見えているけれど無視する方向で皆に話しかけていたら諦めるように消えていった。これは、式島さんを今一人で探しに行くのは無理だ。こっちの身がもたない。
結局俺は式島さんを見捨てるような後味の悪さをそのままに、皆を追って地下室へついていくことにした。

>all様



【遅くなりました! 一応式島さんを追いかけてみようとしたもののオバケに軌道修正されて結局諦めて地下探索に加わる感じでいきますー】

6ヶ月前 No.481

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 一階廊下→地下廊下 】

 先頭を歩く都城は七の手を引きながら一階廊下から地下へと続く階段を下りていく。ひんやりと頬を撫でた冷たい風に背筋が凍るような感覚、そっと隣の七を見れば今までのような何かを感じたような素振りはなくきょろきょろと辺りを見回しながらも都城に手を引かれるままてくてくと歩いていく。

「うーん、なんや扉が二個もあるけど……開かへんねぇ」

 階段を下りた先の地下はまたも廊下のようだった。廊下には横並びの扉が二つあるだけで他に目ぼしいものはない。右側の扉に手を伸ばせばがたがたと引いたり押したりとするがびくとも動かない。

「なんやろ……鍵……穴はないし……」

 試しに左側の扉も開けてみようと手を伸ばす、かちり、という音が小さく鼓膜を震わせたがやはり左側の扉も開く様子はなかった。扉には鍵穴もない、ただ足元が少し盛り上がっているぐらいだった。

>>ALL


(ちょっと強引にすすみます!三章ラストまでもう少し、twitterアカウントにヒントをあげておきますのでみなさま推理、よろしくおねがいします!)

6ヶ月前 No.482

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_LOn

【安仁屋右叉兎/一階廊下→地下廊下】

柊平の後を追うように、玄関ホールへと駈け出して行った龍矢。走り去る龍矢に言い掛ける言葉もなく、離れ行く彼の背中を右叉兎はただ見届けるだけしかできなかった。ゆらぎの言葉に半ば納得し掛けていたからだ。ゆらぎの言うように、自分一人の力だけで柊平は翔子を探したかったのだろう。一人の警察官として、また、一人の恋人として、愛すべき女性を守ってやれなかった負い目を感じないはずはなく、あの時、怒りに近い感情を右叉兎へと向けたのは冷静さを失っていたからなのかもしれない。どうして手紙の存在を隠し通さなければならなかったのか、柊平の考えなど右叉兎には知る由もなかったが、彼にも何かしらの事情があるに違いないと自分自身を納得させた。

「そういえば式島さん曰く、翔子さんの殺人事件に関わったり、失踪事件を起こしたとされる犯人がまだ暁町に居るらしいっスけど、なるべく固まって行動した方がいいというのは俺も賛成っス。多分ああいう手合いは幽霊や化物よりも質が悪いと思うっスから」

柊平と合流できているのならひとまずは安心だろうと、一人で出て行った龍矢のことを憂慮した後で、京の後に続いて右叉兎は地下廊下へと下って行った。廊下には横並びの扉が二つあるだけで他に目ぼしいものは見られなかった。右側の扉の取っ手に京が手を差し伸ばしたが、引いたり押したりするもののピクリとも動かないようだった。今度は左側の扉を開けようとする。しかし、室内にカチリと音を響かせるのみで全く開く様子は見られなかった。

「長い間使われてなかったようっスからね。もしかしたら立て付けが悪くて開かないのかもしれないっス。何かパールのようなものがあればこじ開けられそうっスが……用務員室かと思えばそうでもなさそうだし、一体ここはどういう目的で作られた部屋なんスかね?」

 何もないと分かっていながらも右叉兎は部屋をぐるりと見まわしてみた。

>> 周辺all様

6ヶ月前 No.483

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館一階廊下→地下廊下】

 取り敢えず地下に行くという提案は、龍矢や右叉兎にも受け入れて貰えたらしい。後ろに続く足音を感じながらゆらぎはトコトコと階段を下りる。ゴスロリ衣装から制服に変わったお陰か、矢張り多生なりとも動きやすい。
「え、殺人犯いるのこの町……お化けよりよっぽどヤバいじゃん……犯人は神居家にいたママとかで既に解決してますように」
 思考が非現実的なものに侵されているからか、或いは単なる現実逃避か、地下に潜った先や扉を開けた先に件の殺人犯が隠れているかもしれないという可能性は無視して、ゆらぎは進む。

 しかしその歩みは地下室に辿り着いて直ぐに止まった――二枚の扉を前にして、先に降りた面々が立ち往生している。どうやら鍵もなければ鍵穴もなく、けれど扉は開かないらしい。
「鍵穴がないってことは内側から閂でもかかってて別の入り口があるのか、何か仕掛けが鍵替わりなのか……ドアノブ順番に回すとか上の本棚で正しい順番に並び替えるとか、意外とハイテクな受付とかで操作する電子ロックとか……でも上はもう怪しいものはなかったし……」
 ブツブツ言いながらゆらぎは考える。全ては仮定でしかないから、全てが正しいようにも間違っているようにも思える。
 目の前にあるのは、左右対称の二枚の扉だけ。
「……双子の扉」
 ぽつり、と。何かを思い出したように呟いて。

>all

6ヶ月前 No.484

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・地下廊下】

皆の後を追いかけ、転がりそうになりながら階段を駆け下りた。躍起になって見慣れた背中を追いかければ、不意にそれが階段を降りた先で動かなくなり、扉の前で詰まって危うく追突事故を起こしそうになる。

な、なんですか、いったい…………
寸前で止まり、そう言いながら彼女達の肩越しに見えたのは、閉じられたままの扉。なるほど、それでつまっていたのか。皆さんをここに集めてください・状態≠ノなってる皆さんと、よく分からないこの状況を見回す。
この図書館で鍵らしきものは見つけなかった。少なくとも一階では。それは二階組も同じ事らしく、皆それぞれに首をひねっている。これは、また地上階に戻って、鍵を探さなければいけないだろうか。でも鍵穴はないって言うし。
扉を破壊できそうな持ち物があれば良いが……ドライバーやコルク抜きや栓抜きがついたアウトドア用サバイバルナイフか? いや、さすがにピッキングツールはついてないぞ……ってか鍵穴がないんだって。あとこの図書館で見つけたものといえば……縄? いやこれは関係ないだろう。……ロケットペンダント? RPGのダンジョンじゃないんだからなぁ。

「蹴破れそうなほどヤワにも見えませんし」

左右対称に並べられた、二つの扉。そのどちらともが開かないらしい。右も、左も。
俺は二つを見比べて、都城さんがガタガタと揺らしている左の扉に近づいてから自分でもガタガタと揺すってみた。開かない。続いて、足元に出来た小さな丘をふみふみと踏んでみる。うーん……。

「……もしかして御子柴さんの好きなあれだったりして。……右の扉、俺と『せーの』で開けてみませんか。はい、せーの!」

俺は左の扉に手をかけたまま、顔を右に向け、誰か勘まかせの物は試し精神に張ってみてくれるよう促した。

>all様


【短くなっちゃってごめんなさーい!】

6ヶ月前 No.485

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・一階 書庫→地下廊下】

地下に向けて歩んでいく一行の背中を追いかけながら、烈は何か怪しかったり危なかったりするものはないかと辺りを見回していた。これまでの経験から、いつ何処に仕掛けがあっても可笑しくはないと考えているからなのだろう。今時地下室というのも珍しい、と思いながら烈も歩を進めていく。そんな中、右叉兎から“失踪事件を起こした犯人がまだ町内にいるかもしれない”という話が挙がる。烈もゆらぎと同じように、犯人はこれまでの怪異たちであって欲しいと願うばかりである。ほら、月館家を出てすぐに出会った千枚通し娘とか、可能性がなくもない。

「……!分かれ道、にござるか……!?」

歩みを進めていくうちに当たったのは目の前に存在する二つの扉である。どちらかが正解、もしくはどちらか片方を選ぶことによって当たり外れはなくとも行き先が変わる、ということだろうか。普通の図書館にこんな迷宮めいたものがあるものだろうか、と烈は目の前に立ち聳える扉を睨み付けた。

「押して駄目なら引いてみろ……という感じにはござりませぬな。はて……」

顎に手を遣りながら、烈もどうにかして扉を開けられないものかと思案する。謎解きは苦手だ。それでも皆の力になりたいという思いに嘘はない。何か手掛かりのようなものはなかろうか。そう考えていた烈は、じろじろと不自然過ぎるくらいに辺りを観察する。やや中腰になりながら、何か落ちていないかと探していた時、ふと京の足下が何やら盛り上がっていることに気づいた。

「……?編集者殿、編集者殿。貴殿の足下にござるが、何やら盛り上がっておられるご様子にござる。少し見てみたり、出来たら踏んでみたりして何か埋まってなどおられぬか確認は出来ませぬか?」

もしお嫌にござったら拙者が承りますぞ、と後に付け加えながら烈はそう京に声をかける。其処に何があるのかはわからないし、何もないかもしれないけれど、気になったのならそのままにはしておけない。

>>周辺all様

【ひぃ〜〜お返事遅れてしまって申し訳ございません……!】

6ヶ月前 No.486

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 地下廊下→双子廊下(右) 】

 周りの声を聞きながら都城は右の扉を調べ始める。特に変わった様子はないただの扉なはずだがどうやっても開かない。どうしたものか、安仁屋の言葉通り壊すしかないのか、そう思っていれば背後から掛けられた烈の言葉に足元を見る。

「あっ、ほんまや。これ乗ったらかち、っていうしおりたらならへんねぇ……」

 足元の盛り上がった部分はまるでスイッチのように踏めばかちり、と音がする。だがしかし扉はやはり開かなかった。いつのまにか左の扉を調べていた八岳の言葉にこくん、と頷いた都城は「いっせーのーで!」と声をあげながら扉を押してみた。両方の扉を、同時に。

「――――ひらいた」

 七の小さな声と重なるように扉が開いていく。扉の先は一本道で奥には扉が一つ、二つの廊下は全く同じようで、辿り着く先も同じにのかもしれない。

>>ALL


(八岳くんナイスです〜〜!!!!進行の都合によりいっせーのーでを待たずに開けます!八岳くん当たり!答えは、偶数人で同時に足元の踏み台を踏む、でした!)

6ヶ月前 No.487

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館地下→双子廊下】

 御子柴さんの好きなアレ――不意に自分の名前を呼ばれたゆらぎが顔を上げると、皆の立ち往生は終わっていた。どうやら、両方の扉を同じ人数・タイミングで開ける必要があったらしい。
「わたしそんなにせーのせーの言ってるかなぁ……言ってるか。あとこのドア一人で開けたいときどうすんだろう……司書さん困らないのかな……ま、取り敢えずドア開いたところで進もうか」
 色々とゆらぎの中にも突っ込み所はあった様子だが、この状況下で突っ込むだけ無駄だということはこれまでで嫌というほど自覚している。だからさっさと先に進もうと扉の向こうの暗闇を覗き込んで……真横にも全く同じ道が続いていることに気付いた。

「これ、どっち行く? 鍵の感じからするとどっち選んでも大丈夫だと思うけど……いや違う……多分これ、半々じゃないと進めない」
 最低二人居ないと開かない扉というのはつまり、その二人を分断するためのものではないのだろうか。幸いにも此処には二人よりも多くの人間が居るから、一人ずつ進む羽目にはならなさそうだが。

「どうしようかな……取り敢えず全員で右行ってみて……多分その段階でドアが閉まっちゃうけど。閉まらなきゃ僥倖、そのまま行こう。閉まったらグッパーね」
 手の平を握ったり閉じたりしながら、一行を振り返って告げるゆらぎは知らない。グーだかパーだか下手をすればチョキだかを一斉に出して組分けをするアレの呼び名が、地方によって異なることを。

>all

【多分置きレスで例のアレをやるのは難しいので、別れる場合は適当にお願いします。】

6ヶ月前 No.488

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・地下廊下】

都城さんとタイミングを合わせて押し込んだ扉は、スッと開いた。
「うわぁぁっ!?」
何をしても開かなかった時の勢いのままほぼ全体重をかけていた俺は、扉に突っ込んだまま前につんのめり、危うく転けそうになる。
……開いた。
危ないところで態勢を立て直し、ドアノブには手をかけたまま、開いた扉と続く細長い廊下とを交互に見比べる。

「おっしゃぁ! 当たりか! ………………や、あの、勘じゃなくて、推理と論理的思考、それから洞察力ですよ」

ハッと周囲の目に気付いて、咳払いを一つ。
俺たちを二手に分断する別れ道……。ただでさえ人数が少ないのに、細分化されては心許ない。どこに続いているからわからない先行き不明瞭な細長く薄暗い廊下がそんな気分を加速させているのかもしれないが。

「そうですね、それじゃあみんなで右に……」

俺は御子柴さんの勧めに従って左の踏み台から降り、都城さんのいる右の扉の方へ向かった。が、その瞬間にいま解錠した扉はひとりでに閉まって、カチリという施錠音を背中で聞いた。どうやら、皆で片方に集中するわけにはいかないらしい。

「ダメみたいです。小癪な仕掛けだが、二手に別れるしかないみたいですね……御子柴さん、それは……」

怪訝な顔で扉を睨んでいたこの視界の端で、何かが開いたり閉じたりしている。それは、御子柴さんの手だった。ああ、名前なんていうんだっけ、懐かしの、二つのチームに別れる時の……

「……限定ジャンケン?」

……じゃなくって。

「ええと。……まあいいや、雰囲気でわかりました。はい、お手を拝借! グッとっパーで別れましょ!」

俺は徐に右手を掲げ、みんなにもそうして貰うよう促してから振り切った掛け声とともに手をパーに開いた。勿論この時、この掛け声が微妙にバラバラでなんか締まらない感じになるとは俺だって予想していなかったわけだけど。

「よし、丁度わかれたみたいですね、行きましょうか……」

>all様


【というわけで、尺の都合で適当に二分割、ですね】

6ヶ月前 No.489

推古 @iwing ★6TfTABjBWh_sxd

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・地下廊下】

「これ、一人だけがグーかパーだったら最悪なパターンじゃないっすか……」

おっかなびっくり手を差し出す。
ゆらぎから提案があった時から決めておいた型を出して半々の組を決める。
左右対称の扉から続く廊下へ、二手に分かれて進む班を組むのである。どちらのチームに組み込まれるかはまだ右叉兎にも分からない。先ほどから危惧していたように、片方の班に一人だけで分けられる可能性も確率的にはあり得る話だ。それでもズルをして後出しをするのも格好がつかないと考えたのか、周りに合わせるように手を差し出した。もう子どもではない──と右叉兎は思っているのでわざわざ声には出さなかったが、心の中では恒例となっている例の開始の合図を唱えていた。

>> 周辺all様

6ヶ月前 No.490

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下廊下】

どうやら龍矢の推理は的を得ていたらしく、重苦しい音を立てて扉が開いた。喜ぼうとしていたもののハッとして咳払いをする龍矢に、烈はクエスチョンマークを頭上に出しそうな表情を向けた。嬉しいのなら思いっきり喜んでも良いというのに。……周りの目をあまり気にしない質の烈は、時々そんな風に思うことがある。さすがに空気は読めないわけではないので口に出すことはないのだが。

「ふむ、なるほど。ならば半分に分かれねばなりませぬな。逢澤殿の話もあります故、バランス良く男女が分かれてしまうのもいささか不安ではござるが……」

双子の道を行くには半分に分かれるしかない。それに一抹の不安を覚えるものの、後には引けないと考えた烈はそれを受容することにした。もしかしたら自分たちを分断して離ればなれにするのが目的なのではないか、なんて考えてしまったが、其処は持ち前の前向きさ加減で否定しよう。きっとこの道の先は何処かで繋がっているはずだ。どのくらいの道のりになるかはわからないけれど合流出来るならそれで良い。

「ほほう、グッパーにござるか!懐かしゅうござりますなぁ、拙者も幼き時よく行い申した!」

うんうん、と感慨深そうにうなずきながら烈はグッパーに応じることにする。グーとパー、どちらを出すにしても確率は半々である。右叉兎がなんだか不穏なことを言っていたけれど、きっとそんなことは起こらないはずだ。いや、起こらないと信じたい。こんな暗い道のりを一人で進んでいくなんて正直嫌だ。せめて誰か一人でも良いから同じものを出していますように、そう願いながら烈は手を出した。

>>周辺all様

6ヶ月前 No.491

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館地下】

 龍矢が扉から――恐らくその前の凹みから離れると、案の定扉はひとりでに閉まってしまった。よくできてるなぁ、とゆらぎは場違いに感心するが、全員が手分けして探索することには同意してくれたのでその思考は振り払った。
「一人は流石に危ないから、その時はやり直そうね。はいグッパーグッパー、グーッパー!」
 とまぁ、龍矢に合わせたつもりの掛け声を上げたゆらぎだが、三文字目から既に何かがおかしく、手を開いて閉じる回数すら異なっていた気がした。というか異なっていた。ゆらぎはしげしげと自分の握り締められた手を見詰め、「パーって言いながらグー出すの意外と難しいんだよね」という常套句を、そっと胸の内にしまいこんだ。
「……えーっと、じゃあパパのチームは右で、わたしの方が左ね」
 掛け声云々について触れると収集がつかなくなると察したゆらぎは、まるで何事もなかったかのように二つの扉を指差した。

>all

【チームの詳細についてはスレ主様より発表があります。】

5ヶ月前 No.492

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_LOn

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・地下廊下】


グーとパーでの組み分けの結果、龍矢・安玖・京・七と、ゆらぎ・烈・右叉兎の班に分かれた。

「右扉へは八岳さんの班が。左扉へは御子柴さんの班が。ってことっすね」

両方の扉を開錠するためには、両扉の前にある出っ張りを両者が踏んだ上で、隣の扉と同じタイミングで取っ手を捻らなければならない。
解いたのは龍矢の功績だが、開錠のための仕掛けが判明した今、迷いなく右叉兎は左扉の前へと進んだ。

「今思えばこの仕掛け、ゲームとかでよく見るアレっすよね。どんな技術で動いているのか、今更ツッコむ気も起きないっすが……」

右叉兎が言いたかったのは謎解きダンジョンでよく用いられるような仕掛けを差しているが、果たして何人の人間が気付けただろう。右叉兎は自然と口を衝いて出てしまったが、まさか現実で実際に実行しうるとは本人も予想だにしない出来事のようだった。とにかく、扉の先へ進むには二人以上の人間が、それぞれ左右の扉の前にある出っ張りの上に立ち、双方の取っ手を同じタイミングで捻る必要があった。


>> 周辺all様

5ヶ月前 No.493

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下廊下】

グッパーで組分けを行った一同だが、結果としては龍矢・安玖・京・七と、ゆらぎ・右叉兎・烈というものになった。誰といっしょに進むことになるか、内心わくわくとしていた烈ではあったが、この結果を前にして「おぉぉ!」とこの湿っぽい地下道には似つかわしくない大きな声を上げた。そして瞳をきらきらと輝かせながらゆらぎと右叉兎の方を見る。

「これは!これは、“曉町探し隊”ではござりませぬか!まるで運命でござるな!」

そう、烈がはしゃぐ所以は烈と共に左手の扉の方に進むメンバーが見事に“曉町探し隊”で構成されていたからである。そういえばこんな見事に分かれたことなんてなかった気がする。烈は誰とでもいっしょに行けるのなら構わなかったが、こうも綺麗に分かれるなんて思ってもいなかった。だからこのように、もう高校三年生だというのに、子供のようにはしゃいでいるのである。放っておけばそのうちぴょんぴょんと跳び跳ねそうな勢いだ。しかし周りの目もあるということでさすがに自重したのか烈は不自然にひとつ咳払いをして静かになった。こんなところではしゃいでいる場合ではないと実感したのだろう。烈としてはちょっとした成長だ。

「たしかに、どのような技術で動いているのでござろうな。それに、わざわざ図書館の下に斯様なものを造った意図がわからぬ。もともとあったものなのか、図書館の建設と共に造られたものなのか……。どちらにせよ、どのような施設にござろうか」

右叉兎の言葉に賛同の意を示してから、烈はうーむと首を捻る。一体この迷宮のような施設は、何のために造られたというのか。どうやらこの曉町では民俗的な風習が色濃く残っていたようだから、そういったものに由縁のあるもの……という線もあり得なくはない。何にせよ、この先に進んでいかなければならないのは変わらないのだから、今どうこう言ったところで何かが変わるという訳ではなかったのだが。

>>周辺all様

5ヶ月前 No.494

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 地下廊下→双子廊下(右) 】

 二つの扉を同時に開ける、ぎいいという鈍い音とともに開いた扉の中を覗きこむ都城の横を七がすり抜けるように奥へと足を進める。

「わっ、七ちゃん先行ったらあきまへんって、なら私は八岳くんと逢澤くんとですねぇ、行きましょかぁ」

 そっちは任せましたよ御子柴さん、そう声をかけ都城は廊下へと足を進める。見たところ特に変わった様子はない、普通の廊下のようだった。

「うーん、特に変わったとこはないみたいやねぇ、うんうん」

 きょろきょろと辺りを見回す七の手を握り都城はそう呟く。どう思います? と他の二人にそう問いかける。道は真っ直ぐ、曲がり道などはなさそうだ。

「あの扉がゴール、みたいですねえ」

>> 八岳くん、逢澤くん、



(ということでさくさく中に進ませてもらいますね、!)

5ヶ月前 No.495

かささぎ @september9☆l2RtaxPLX0X6 ★gXyGHSaxw7_M0e

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5ヶ月前 No.496

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館地下】

「よし、いい感じに別れたね……じゃあ、暁町探し隊再始動ってことでれっつごー」
 グーを出した面子を確認したゆらぎは、それが自分達の根城である掲示板のメンバーだったことに満足そうな顔をする。右叉兎の言う仕掛け云々の件は、今更つっこむだけ無駄だとスルーして、左の扉に向かって進む。
 右の扉は京達が、左の扉は右叉兎と烈がそれぞれ引っ張って、全員が薄暗い廊下へと足を踏み入れた。
 そこは地下室らしい淀んだ空気の広がる、真っ直ぐな道だった。果てが見える位の長さで、最奥に扉が一つ。
「あー、これならすぐ探索終わる……」
 呑気な声を上げたゆらぎだが、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。弾かれたように振り返った彼女の目線は、今し方通り抜けたばかりの扉に……その向こうの部屋に佇む青年に向けられている。
「……真希、ちゃん?」
 ぼんやりと虚ろな瞳で階段に立ち尽くすのは、真希人だった。迎えに行かないと、と頭では思っているゆらぎだが、その手に握られた物が何であるかを理解した瞬間、一瞬その動きは止まった。

 そして、その一瞬が致命的だった。

「真希ちゃん駄目っ! それは違う!!」
 走り出したゆらぎが目にしたのは、真希人の頚筋に宛がわれる刃物。彼が何をしようとしているかは明確で、その結果は火を見るよりも明らかで、だから止めなければならなくて。
「真希ちゃん!」
 ゆらぎの声は届かない。その結果すら、見届けることは叶わない。
 限界まで手を伸ばしたその指の一ミリ先で、無慈悲にも扉は閉まった。だからゆらぎには、真希人が何をしたのか、どうなったのか知る術がない。
 ただ、聞こえる筈のない水音と、何かが転げ落ちる音だけがくぐもって聞こえた。
「真希ちゃん、真希ちゃん! 真希人くん! 平気!? 大丈夫!?」
 扉を叩くが内側からは開かないようになっているらしく、押しても引いてもびくともしなかった。勿論、向こう側からの答えもない。
「どうしよう……真希ちゃんを助けなきゃ……あっちのドアは? 開く!?」
 もとの扉を開けるのを早々に諦めたゆらぎは、廊下の奥に見える扉をすがるように見詰めた。

>探し隊all

【真希人くんお疲れ様でした、ありがとうございました。】

5ヶ月前 No.497

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・双子廊下(右)】

各々思い思いに握りしめたり開いたりして突き出した手のひらは、ちょうど俺たちを二分割した。

「俺と一緒なのは、逢澤先輩と、七ちゃん、都城さんですね……」

進むべき右の扉の奥を覗き込もうとしたその矢先に、開けた戸を支えていた俺の腕の下を潜り抜け先走っていく小さな影がある。

「あっ、ダメですよ七ちゃん一人で行ったら……!」

その声は折しも都城さんの声と被り、そのまま促される形で俺と先輩も姉妹のような女性陣二人の後に続いた。
扉の向こうはただまっすぐな廊下が続いているだけ。左右に狭く聳える壁が言いようのない閉塞感というか圧迫感を与えてきて、なんとなく息が詰まる。こんなところ、さっさと通り抜けよう。四人の一番後ろを歩いていた俺はちょっと煽り気味になって前方の逢澤先輩の背中を追いかける。
じゃないと、後ろから何か良からぬ声でも追いかけてきそうな気がして。

ーーーーバイバイ

………!?


ーーーーバイバイ

…………えっ、なんだって!?


確かに、それは聞こえた。俺達が背を向け遠ざかっていく、もう誰もいない筈の、双子扉の部屋のほうから。
振り返っちゃ駄目だと思うより早く、身体が勝手に音の出どころへと向いていた。確かめなければいいのに、人はわからないものが怖く、見ることで安心しようとする。恐怖心は視覚情報が無い時ほど、それ以外の感覚が研ぎ澄まされた増幅するから。無意識に恐怖の正体を見て確かめようとする。たとえそこに、見ない方が良かった結果が横たわっていたとしても。

「か、狩谷さん…………!?」

置いてきた双子扉の向こう、何処か淋しそうな人影がひとつ佇んでいる。この廊下をそう長くは歩いていない筈なのに、左右を狭く囲う壁は騙し絵のように延びていた。彼は遠く、蜃気楼みたいに遠く、駆けてもいつまでも届かない幻のように遠くに見えた。
それでも、そんなに遠くに見えても振り返った俺は我を忘れて引き返し全力疾走で駆けつけざるを得なかった。条件反射だ。佇む狩谷さんを見た瞬間に、血の気が引いて、次の瞬間にはそれが逆流するように身体中を焦がして、早く行けと背中を押した。
狩谷さんが、手にした刃物を自らの首筋にあてがっていたからだ。

「何してるんですか!! 狩谷さん!!」

混乱し、動転し、思わず叱るような大声が出た。叫びながら足はもう床を蹴るのに、怒鳴り声も繰る足音は反響するのに、狩谷さんは思っているスピードで近づかない。

「狩谷さんっ!! 狩谷さぁぁぁぁん!!」

駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ、走りながら睨むように見据えた眼前の視界の中で、声は届かず狩谷さんの手は凶器を引き、首を……恐らくは頚動脈を切り裂く。真っ赤な花火が噴き上がるように、見たことも無い程の大量の血が迸る。その瞬間、それをサブリミナルかあるいは見間違えだと否定でもするかのように俺の目の前で扉が閉まった。
狩谷さんを思いとどまらせようと伸ばした手は、空を掴まず、代わりに硬く重い扉を打ち当てられた。

「狩谷さん!! なんで! なんでだよぉ!!!! 嘘だ! 嘘だろぉぉぉぉ! おい!!!! 狩谷さぁぁぁぁん!」

狩谷さんが死んだ。
目の前で。遮られたこの扉の向こうで。
まだ助けられるなんて、一縷の希望を抱いて扉をガタガタと揺らしても体当たりしても、扉はピクリとも動かない。こうしている間に、狩谷さんは血を流し冷たくなって……。何度も何度も俺は扉を殴るのに、きっともうだめだ、手遅れになる。叫びながら、喚きながら、暴言を吐きながら、俺はもう何て言って怒っているのか自分でもよくわからなくなってきた。
駄目だ、駄目だこんなの。何で狩谷さんは死んだんだ。何で死んだんだ。意味がわからない。そんな風に、そんな風に俺たちも死ぬのか。
今までに途中で居なくなってしまった先輩達も、まさか…………まさか…………

「い、嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!! なにがあったんだよ! どうなってんだよ!! お゛い!! 狩谷さん! 答えてくださいよ!!」

何が起きているんだ。狩谷さんは霊とやらの仕業で取り憑かれてああなったのか。そいつは俺達のことも取り殺そうとしているんじゃ無いのか。こんな理不尽なことがあって良いわけがない。何が、何が、何がどうして、こんなことに。
狩谷さん! 狩谷さん! 呼ぶ声に返事はただの一度もなく、扉を殴り蹴り掻きむしり続けた手は擦り剥けてひりひりと痛んだ。それでも返事は来ない。扉の向こうに、もう生の気配は無かった。

「……狩谷さん……」

俺は拳ごとずるずると下にヘタリ込む。


>七ちゃん、都城さん、逢澤先輩、狩谷さん



【遅くなりました……!
真希人さんの衝撃ホラーのラスト…………!!!!!! 八岳渾身の絶叫を贈りたいと思います。お疲れ様でした!!】

5ヶ月前 No.498

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_eQW

【安仁屋右叉兎/図書館地下】

元来た扉が開かないと知るや否や反対側の扉を目指して進む。
振り返り際に足元が縺れて転倒しそうになるものの、何とか堪えて奥の扉まで来れば一縷の望みを掛けつつノブを捻る。
幸いにも扉は何の障害もなく開き、右叉兎を異質な空間へと誘う。「あぁダメだ……ここも行き止まりみたいっす!!」
机と祭壇らしき台があるのみの殺風景な部屋だ。隣にはさっき入ってきたばかりの扉と同じような扉がもう一つある。
「はああぁぁ……神居家の主人は結局俺たちに何をさせたかったんだ……。町の秘密って一体何の事だったんだ……?」
しばらく現実を受け入れられずその場に座り込んでしまう。暁町に入って来て以降、様々の体験が脳裏を掠めていく。
「これもみんなあの朱月ってやつが原因なんだろうか……」

>> 周辺all様

5ヶ月前 No.499

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/双子廊下(右)】

 それを遠目に見た時に安玖の中で浮かんだ言葉が「だろうな」だったなんて知ったら、くだらないくらいに優しく可哀想なくらい根がヒロイズムに溢れたこの後輩は殴りかかって来るのだろうか。開くわけがない扉にそうしたように。
 どうせ皆が等しく抱えている思いだ。自分も死ぬのではないか、自分が望まぬタイミングで死ぬだなんて嫌だ。それならいっそ――だなんて、考えることくらい正気だろうと狂気だろうと出来る。ただ、実行するその一瞬の間に正気を捨てるか否かの違いしか、もう無いのだ。あの人はそれを捨てた。最後の最後で。
 はあ、と溜息を吐いて龍矢の背後へと向かう。そして右足を大きく上げ――その背に掛ける。そうしてからぐらつく程度に体重を掛けて顎をあげた。

「死を悲観するのも助けられなかった自分に対して嘆くのも結構だけど、そこで蹲って泣きじゃくるつもりなら蹴り飛ばすよ」

 低く唸るようだった。別の言い方をするなら、冷たくて人の温度を捨てたような、そんな声だった。
 記憶の中で落ち行く片割れと狩谷さんの姿がダブる。あんなにも大量の鮮血を見たのは、後にも先にも彼が死んだ時だけだった。――その筈だった。……なんて言ったところで、彼と飛海は百合と薔薇、月と太陽くらいには似ても似つかないから一蹴してしまったが。

「僕さあ、容易く自分の命を投げ捨てる覚悟も、無様に這いずり回ってでも死ねない理由も出来たんだよね。で、そうしてまで帰るには人手が居るんだけど」

「でも、龍矢がただでさえ人数が足りてないこんな状況で余計なこと考えて、自分からなけなしの正気を失くしに行くような奴なら話は別。邪魔にしかならないし、最後の一手を投げ捨てる可能性があるなら信じる事も出来ない。そのボロボロの両手を現実逃避のために使うなら、使えないようにへし折ってやるし」

 背中に掛けた足へ徐々に力を込めていく。そして御子柴さん達が向かった通路のある壁へ顔を向け、ハッ、と鼻で笑ってやった。

「隣も気付いてるだろうな、この状況。だとしたら向こうの面子は開くわけがない扉の前で狼狽えるなんて無駄なことせずに、さっさと出口に向かうだろうね。少なくとも現状でそれが一番の方法だし、テンパったとしても御子柴さんや鑓ヶ岳さんは頭が回るからね――もう一人の男の人はよく分かんないけど。それに僕も同じ行動する」

 で、とそこで言葉を切った。背中から足を退け龍矢の隣へと移動すると、無理やりその顎を掴んで持ち上げた。目線を合わせ、眼球に力を込めて睨め付ける。自分でやっておいてなんだけどぶっさいくな顔になったな、と関係ない事をぼんやりと考える。次いで、今の自分は酷く恐ろしい目をしているのだろう、と他人事の様に思った。

「生憎と僕は足を怪我しているわけでもないヤツの腕を引いて歩いてやるほど人が出来てないんだけど。お前はどうするつもり?」

 答えろ。言外にそう圧力を掛ける。
 自分に怯えようが、反感を抱こうが――自分が築き上げてきた彼の中でのイメージが崩壊しようが、どうでも良かった。そもそも安全なのかも分からない場所だ。今の龍矢が戦力にならないならならないで、相手が狙いやすいように留まってやるつもりなんてさらさら無い。だから何としてでも彼を立たせ、前へと歩くしかない。

>龍矢くん、狩谷さん、(七ちゃん、都城さん)

【お祖母ちゃんの容体が安定したのでふっかーつ! です。そしてかささぎさんにありがとうとお疲れ様を送りたいと思います】

5ヶ月前 No.500

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・双子廊下(右)】

正直に白状しておこう。
俺は、狩谷さんの死を悲しみ打ち拉がれていたわけではない。

助けたかったのも助けられなくて悔しくて泣きそうなのも、本音ではある。でも俺は結局、同行人の一人の死を目の当たりにした瞬間、怖くなったのだ。今日出会った他人とはいえ目の前で死なれたらそれはショックだけど、勿論絶対に死んでほしくは無かったけれど、他人は他人。嘆きと怒りの鉾先は自分や大切な人が同じ目に遭うかもしれない恐怖。自分や周りの人がマトモじゃなくなっていく恐怖。即ち、自己防衛だ。

その、できれば無事でいて欲しかった大切な人の一人に、まあ俺は今踏まれているわけだけど。

「……うっ…………」

不意打ちで背中にのしかかった重さに耐えきれず片膝から両膝をつき、扉に上体を押し付けるように潰れた。頭上から響く先輩の声と共に、踵の感触が背骨にめり込んで走る痛みに呻き声が零れた。顔は見えない。声は逢澤先輩のもので間違いないが、何がそんなに彼を怒らせたのか俺には分からなかった。

「…………人、を助げ、ようと、じ、て、出来、なぐ、て、悲し、ぐ……って、何が……っう…………悪い、ん゛です、かぁ…………!」

痛え。痛い痛い痛い痛い痛い! ちょっと待て踏みすぎだから! …………っ痛いマジで!
徐々に増強していく圧力と暴言に、物理的に扉に縋り付くしかなくて、顔を埋め眉を寄せて耐えながらやっとの事でそれだけ反論する。踏まれながら断片的に聞いた先輩の話を要約すれば、ここで狩谷さんの嘆いてモタモタして足手纏いになるなって話らしい。心配なら御無用だ、生憎俺も発狂する気も死ぬ気もない。自分から命を投げる奴が吐くほど嫌いだから同感だ。
やっと猛攻が止み、背中に押し付けられていた足裏の圧が消える。歯の跡がつきそうなほど食い込んでいた手の甲で、口元を拭う。掠れた擦り傷の血で逆に汚れてしまったが、やっと息ができる。

「……泣いてねぇし、つかこの中で一番正気なの俺だろ」

もちろんこのぼやきは聞こえないように愚痴零したつもりだったが、今度はぐいと顎を掴まれる。まだ息も上がったまま、強制的に上を向かされると、逢澤先輩の静かに燃える瞳が目の前にある。凍てつくように冷たい。怒ってる。まずい、今の聞かれたか!? と焦ったが、そうでもないのかもしれない。
……どうするもこうするも。
やっと反論を許されるようになったことで、応えを待つような先輩の手をパシリと払いのけ、立ち上がりながら先輩の服の胸元を掴んだ。立ち上がれば、俺の方が背が高いのを忘れてた。さっきと逆に俺が見下ろして、此処までの鬱憤を込めて睨み返す。

「……ほんとに。マジで人が出来てないですね。そんな顔でそんなことが言えるようになってきてるなんて、何も痛まず無駄なことだと切り捨てられるなんて、おかしいですよ。先輩こそ正気とは思えません。人が死んでいるんですよ!? いつまでも此処にいるわけに行かないのは分かっています。でも、感情を無くしたら例え生きて出られても死んでいるより最悪ですよ!」

言い過ぎた。とはちょっと言いながら思った。俺のモットーは長いものに巻かれる、アズローマンズドゥ、住めば都の、異口同音、付和雷同。余計な波風は立てない。まして強いものに楯突かない。先輩なんかもってのほか! の筈だったんだけど。……仲間内から死人が出るというアクシデントのせいだ。俺のせいじゃない俺のせいじゃない。
でも実際、俺は狩谷さんは自分の意思や気の迷いじゃなくて殺されたんじゃないかと思っている。それを正気を保てなかった弱い奴呼ばわりして切り捨てるのは、人として出来ない。……その代わり、本当に自分から死を選んだというのなら、話は180度変わるけれど。
俺は鷲掴みにしていた先輩の服をぱっと離した。


>逢澤先輩、七ちゃん、都城さん、all


【パニックからの仲間割れ好きなんでやってみたのですが先輩ごめんなさい……そして、七ちゃんと編集者さん止めてくださ……】

5ヶ月前 No.501

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 地下双子廊下(右) 】

 七を追って廊下の奥へと進む都城はふと地面に落ちていた何かを蹴り飛ばしてしまう。なんだろうか、それを拾いあげていたその時、鼓膜を震わせたのは先程都城とともに七に制止の声を向けていた八岳の、絶叫だった。はっとしたように振り返った都城の視界に映る閉まろうとする扉、その隙間に見える紅色。廊下に残る、八岳の絶叫が痛ましくて、都城は唇を噛み締める。

 ――――またひとり、朱月にのまれてしまった。

 絶叫の中、都城の鼓膜を震わせたのはこの場にいる誰の声音でもない、声だった。それに気付くよりも先に視界に映ったのは蹲る八岳の背を踏む安玖の姿で。都城は深く溜め息を吐いた。七はこの状況に気づいていないのか、なんなのか、すたすたと先の扉に向かってしまったし、背後は険悪ムードだ。最悪やん、そう小さく吐き捨て都城は拾ったそれを握りしめて唇を開く。

「ええ加減にしーや、学生組! こんなとこで二人が揉めてもしかたあらへんやん、あー、もう、お姉さんこういう役苦手やねんから!」

 何と言えばいいのか分からず盛大な溜め息とともに頭を掻く。ゆるく視線を動かし言葉を選んでいれば先程まで先の扉のそばにいた七が都城の脇をくぐり二人の元へと向かう姿に、いやあんたが行ったら余計面倒やないですか、なんて言葉は飲み込み、かわりに溜め息を吐き出した。

「――――けんか、だめです…………くらいきもちは、あかつきが…………ふたりも、死んでしまう……そんなの、だめです……」

 右手を八岳へ、左手を逢澤へと伸ばした七はぽつぼつとそんな言葉を吐き出す。相変わらず曖昧なものだがしっかりと意志のこもった声音で、なかなおり、そう付け足して。


>> 安玖くん、八岳くん


(真希人くんおつかれさまです! みんなのお姉さんこと都城は役立たずなので七ががんばりました!がんばれたのか?)

5ヶ月前 No.502

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

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5ヶ月前 No.503

特殊レス @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 都城京(特殊レス) / 曉町立図書館 地下 双子廊下(右) 】

  険悪な雰囲気な安玖と八岳、それを止めに行った七の後ろで都城は拾ったそれに視線を向ける。それはどうやら一枚の手紙のようだった。途中で破られたその紙に目を通し、都城はうーん、と小さく唸り首を捻る。

「これ…………ちょっとそこのお三人さん! これってもしかして式島さんの――――」

 式島さんの探しとった手紙やないですか、そう言いかけた都城の言葉はどん、と扉を叩く音によって掻き消される。自分達が通ってきた扉、それを叩く音が廊下に響く。



『――――開けて、みんな、開けて』


 それは、先程その身を紅の海に沈めた狩谷真希人の声。


『助けて、みんな、開けて』
『――――ネエ、開ケテヨ』


 それは、地を這うような、低い女の声。二つの声が混ざり扉をどんどんと叩く。


「――――おまえたちも、みんな、みんな、」


 俯いた七の声がそれに混ざる。三つの音が混ざり合い、強く強く、壊さんばかりに強く、扉を叩く。


 ――――おまえたちも、みんなみんな、しんでしまえ。


>> ALL


(手紙入手レスと追加で進行上の都合により特殊レスです! 地下書庫に入れば音も声も止みますが遅いと…………?)

5ヶ月前 No.504

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★fPOFwkowwK_xKY

【逢澤安玖/双子廊下(右)】

 想定通り彼は完全に伏せきる前に安玖への嫌悪感で(周りから見ても龍矢からしてもあまり良くはないのだろうが)見事に復活した。まあ、自分も割と目の前の後輩の言葉でカチンときてしまったのは想定外だったけど。だってコイツ、想像以上にぶん殴りたい思考回路してる。さすがに殴ったらこっちが100%悪いからやらない。そうじゃなかったら殴り合いの第2ラウンドを決行していた。

「……こっちはその“死んでるより最悪”の状態で10年も生きてんだよ」

 乱れた襟元を正しながら、低く、小さく、何かに掻き消される様に吐き捨てる。母の事が解決したところで、そちらとの折り合いなんて早々に付けられるものでは無い。
 ――時々、どうしようもなく龍矢に対して言い表すことが出来ない感情が湧く。正義感が強くて、正当であろうとして、そして事実、少なくとも大筋は正しくある。その姿が自分が憧れそうあろうとしても成し遂げることが出来なかったものだから、時として強い憧れにもなるし好意にも恐怖にもなる。……ただ、とも思う。正義の反対はまた別の正義というのであれば、悪の反対はまた別の悪とも言えよう。理性の利かない咄嗟の行動が正しかったとしても、その先の行動が全て悪に落ちるのであればその正義はただの悪でしかなのだ。それに何より、

「『先輩たちが言うから』『皆さんが行ったから』って押しが弱いふりして他人に取り付いて責任から逃げ回って、そのくせ都合が悪くなったら噛み付いて『自分は正気だから周りが悪い』だの『周りが変だから自分も変になりつつある』だのその責任からも逃げて――そんなんで正しさも正気も主張できると思ってんなら……いい加減にしろよ、クソガキ」

 口の中で回った言葉は背後から突如として響き渡った騒音に圧されてしまった。当人である彼に聞こえていようがいまいが知った事ではないし、それで更に彼を怒らせたのであれば一先ずの安全が確保できた状況であれば別に両頬どころか腹パン・膝蹴りも無抵抗で喰らう気もある。その際にこちらがイラッとするような言動があれば、殴り返すかも知れないという事実は置いておくべきだろう。


 バツが悪そうにしている龍矢の手首を掴み、今度は扱けないように調節しながら前へと押し出す。いつもの、自分が最後尾になる立ち位置だ。そして自分も地面を蹴――る前に、一寸、振り返り鼻で笑う。

「扉越しじゃ聞こえてなかったわけ。……こっちには無様に這いずり回っても死ねない理由があんだよ、口の無え死人はすっこんでろ」

 ぐいっと七ちゃんの腕も掴み、都城さんの方へと押し出す。後ろから追ってきていて前は静かなのを見るに、今回安全なのは都城さんのいる最前列だ。手を離す直前に、この図書館へ入ってすぐに投げ掛けたのと同じ声色で彼女の名を呼ぶ。

「君も本気で俺達に生きて欲しいと思ってるなら、自分の精神ぐらい乗っ取ってる相手ぶん殴ってでも引っ張り出しなよ。警告したでしょ」


「――さっさと走れ!」

 叩き付けた言葉は、存外、廊下ではよく響いた。

>>周辺ALL

【最悪、合流したらその先で落ち着くだろうという投げやり気味です。あと皆さんへの確定ロル(?)かもしれません。駄目そうであれば修正します!】

5ヶ月前 No.505

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/双子廊下左→地下書庫】

 ゆらぎの目線の先で、右叉兎と烈の背中が反対側の扉に吸い込まれていく。その事実に安堵したのも束の間、行き止まりという絶望的な宣告が耳を打った。
「そんな……どうしよう」
 此処まで来て行き止まりなんて……真希人の所に戻れないどころか外に出ることも叶わないではないか。思わず扉に背中を預けてへたりこみそうになるゆらぎだが、小さな衝撃がそれを阻んだ。
 最初は小さなノックのような、しかし次第に大きくなるそれ。開けて、とせがむ二つの声と、滅茶苦茶に扉を叩く音。
「真希、ちゃん」
 その声の主の少なくとも片方を、ゆらぎは知っていた。知っていたからこそ、諦める事が出来た。彼がこんな風に、自分達を呼ぶ筈がない。お前達も死んでしまえだなんて、そんなこと口にする筈がない。だからこれは彼ではない、彼だとしても、それは、もう――朱月に呑まれた別のナニカ。

――開けて、開けて、開けて、開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開ケテ開ケテ開ケテ開ケテ……しね。
「駄目」
 ぽつり、と呟くゆらぎの瞳は、何処か虚ろで。
「駄目よ、わたし、どうしても会いたい人がいるの。だから、戻ってきたのよ。だから、まだ」
 死ねない。

「……ごめんね。わたし、真希人くんはそんなこと言わないって信じてるから。でも、もし次があれば……その時はまた一緒に行こうね」
 扉にそっと手を当てて、二度と触れられないであろう温もりを感じようとする。
「……バイバイ」
 奇しくも彼の最期の言葉と同じそれを口に乗せ、ゆらぎは走り出す。瞳を僅かに濡らし、今も頭の中に響き続ける「死んでしまえ」という声に抗うように。
 それは仲間を喪ったばかりの少女が見せる、強がりで懸命な、気高い行為になる筈だった。

 少なくとも三秒は。

「ふぎゃっ」
 駆け出してすぐ、ゆらぎは何かに足を取られて地面にダイブした。タイミングがタイミングなだけに妨害工作かと身構えて起き上がったものの、足元にあるのはなんてことのない一枚の紙切れだった。それに滑って転んだらしい。
「はぁぁあ!? 何でこんなとこにこんなもん落ちてんのよ! 空気読んでよね!」
 悪態をつきながらも取り敢えず自分を転ばせたものを乱暴にひっつかみ、ゆらぎは今度こそ地下書庫に飛び込んだ。

>all

【ゆらぎにシリアスは無理でした……取り敢えずアイテム回収します。】

5ヶ月前 No.506

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_eQW

【安仁屋右叉兎/地下書庫】

 膝をついて立ち上がる。完全に立ち上がるまでには少しだけ時間を要した。あの時の急転回で足首を捻ってしまったからだ。まだ皆には気付かれていないようだけれども、どこか歯痒い思いがする。思えば神居家では何の役にも立てなかった。もう皆の足手纏いにはなりたくない。
 改めて周囲を精査してみた。周りを見渡して見ればここが書庫だと知れた。仮にここが“敵”の罠で、俺たちを閉じ込める腹積もりなら、神居家の主人は俺たちを図書館まで行くように誘導しただろうか。正直言って本当のところはよく分からないが、きっとこんな陰気で危ない感じのする場所にでも意味があるはずだ。
 恐らくここへは、あの式島さんでさえも足を踏み入れてはいないはずだろう。まずは暁町に起こった事件に関する資料がないか探してみよう。そして、それと並行してこの場から脱出できるような仕掛けを探してみる、もしそれが駄目だったら次は外に居る式島さんに助けを伝える方法を考えてみよう。

「みんな……!!」

俺はさっき考えた思索をみんなに聞こえるように声に出して意見してみた。

>> 周辺all様

5ヶ月前 No.507

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/双子廊下(右)】

「んだと、誰がクソガキだって……ーー」

俺が目上の人間相手に我を忘れるなんて、迂闊だった。図星を指され咄嗟に頭に血が上った俺は、つい先輩の肩を雑に掴み凄んだ。
ああ、その通りさ。押しが弱いふりをし下手に出て、強いものには逆らわず、はみ出さず、流れに逆らわない。どうでもいい決定権なんて持たない。余った意思と決定権はもっと娯楽的な刹那的な愉快なことに使う。責任も無い。失敗のリスクも少ない。孤立もしない。勝ちは無くとも負けは無い。生きる上での知恵であり、戦略だ。それの、何が悪い。多少の後ろめたさが無いわけでは無いが、そうでもしなきゃ俺が生き残れなかったんだ仕方ないだろ。何故完璧だった筈の立ち回りに、御指導御鞭撻を賜らなければならないってんだ。

「俺等≠セって必死に頭使ってるんです。その工夫をし損ねた不器用な負け組に、今更狡いだ正しくないだ文句を言われたって、寒いだけですよ。……ま、先輩は俺の大嫌いな負け組じゃないって、信じてますけど」

一瞬カッとなったのはやばかったが、先輩の言う通り、俺は身近な年長者に手をあげるような馬鹿じゃない。さっきまでの大声とは違う、少し離れれば聞こえなくなるような抑えた声で小さな棘を突き立てた。今こんなことで揉めたって、それこそ生産性なんか無いんだ。やめたほうがいい。そもそも俺達は一緒にいて上手くいかないわけじゃ決してないけど、根本的には理解し合えないような気はしていた。そんな暇があるのなら、それこそ生きて、人道的に生きて、健やかに此処から出る術でも考えたほうがいい。

場に流れる空気は、最悪だった。そうならないようにひたすら回避し続けてきたのだが、この崩壊はもうどうしようもなくお手上げだ。俺はとっくにムード調節なんてのは諦め、匙を投げていた。都城さんと七ちゃんの仲裁が入らなければ、どんな険悪な空気になっていたか知れない。それは俺だって望まない事態だ。

「すみ……ません」

七ちゃんのような年下の女の子に仲裁されるなんて、流石にバツが悪い。都城さんのようなよその大人の方に餓鬼みたいな学生の喧嘩の一部始終を見られていたのも冷静になれば恥ずかしいが。とりあえずここは事勿れと、口先で謝り容易に下げられる安い頭を下げていると、また別の声がこのやり取りを遮った。

『――――開けて、みんな、開けて』

「……狩谷さんッ!?」

死んだ筈の狩谷さんの声が、何故。
扉の向こうから。戸を叩いて、助けを求めている。
助からない筈なのに、なんで。声が……。
俺は動揺し、思わず扉の向こうの声に耳を貸しかけたが、先輩の手が俺の手首を掴んでいる。

『助けて、みんな、開けて』
『――――ネエ、開ケテヨ』


「……いや、狩谷さんじゃ、……ありませんよねぇ! わかってましたよそんなことはァ!!」

掴まれていた手から、気を取られた扉とは反対の方向へのベクトルで強引な力が付与される。押し出されると同時に叫んで、俺の手を掴んでいた先輩の手をそのまま引っ張って、前方を走る都城さんと七ちゃんの後を追いかけた。そこから先は無我夢中で駆けた。細く長いと思っていた廊下は、駆け抜ければ一瞬だった。

>双子廊下(右)all様

4ヶ月前 No.508

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 地下双子廊下(右)→地下書庫 】

 鼓膜を震わせる様々な声音。狩谷真希人の声、低い女の声、そして七の声。都城は一瞬その様々な声に混乱した。口論をする逢澤と八岳もその声音達も、隣の廊下にいるであろう御子柴達も、どうしたら、戸惑う都城の意識を引き戻したのは、口論をしていた筈の逢澤の声、さっさと走れ、狭い廊下に響く逢澤の声に都城は駆け出した。振り向かず、前だけを見て。

「――――あ、…………こ?」

 七の言葉は掴まれ押し出されたその腕に止まる。七は下唇を噛み締め、小さく息を吸う。そして、力一杯吐き出す。

「――――にげて、その声に囚われちゃ、朱月にのまれちゃだめ、!」

 竹箒をぎゅう、と抱きしめそう叫ぶ。幼い声色は、まるで泣いているみたいに廊下に響く。真っ直ぐに走る七は都城の扉が潜った扉を潜りその先にいた都城にぽすり、とぶつかった。


>> 周辺ALL

4ヶ月前 No.509

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下書庫】

どう足掻いても目の前の現実が良い方向に変わるなんてことはないということを、烈は理解していた。絶対にないということは必ずしもないのだろうが、それでも可能性は限りなく低い。それがわからないほど烈も愚鈍ではなかった。目の前は行き止まり。後ろの扉は完全に閉ざされた。

(つまり……我らは此処に、閉じ込められた……)

信じたくはなかった。しかし受け入れなければ先へは進めない。がくりと付きたくなる膝をなんとかこらえて、烈は辺りをきょろきょろと見回してみる。殺風景な空間ではあるが、其処が書庫であるということは烈にも理解出来た。今までの流れからするとこの部屋にも何か仕掛けがあって良いはずである。とりあえず烈は近くの壁や床に視線を走らせて、気になった場所をぺたぺたと触ってみた。だがしかし運よく仕掛けが作動して脱出の糸口が見つかりました……なんて展開になるはずがなく、特に変化らしい変化は見られない。どうしたものかと思案していた烈だったが、そう遠くない場所にいた右叉兎の呼び掛けが聞こえたことでそちらへと向き直る。

「シシO殿、如何なされた?」

何か脱出の糸口になるようなものでも見つかったのだろうか。そんな淡い期待も込めて彼に近づこうとした烈であったが、それとほぼ同時にゆらぎが駆け込んできたことで一旦烈の視線はそちらに向くこととなる。

「ゆらぎ殿!……その手にしておられるものは、一体……?」

まずは再会を喜ぼうとした烈であったが、ゆらぎの手に何やら紙切れのようなものが握られていることに気づいて首をかしげる。なんだろう、メモ帳の一部か何かだろうか。そうこうしているうちに、七や京も地下書庫にたどり着く。彼女らと共に行動していた龍矢や安玖も近いうちに此方と合流出来ることだろう、と烈は予測した。

「と……とりあえず、でござる。シシO殿、何かお有りになったというのなら皆様がこのお部屋に入ってきてからお伝えくだされ。ほら、こういった情報は皆で共有しておいた方が良うござりましょう?」

いまいち状況は掴めなかったが、ひとまず烈は再び右叉兎へと近づいてそう声をかけた。何かあったというのなら、他の面々にも知ってもらいたいというのが烈の意見であった。

>>周辺all様

4ヶ月前 No.510

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/地下書庫】

 ゆらぎが地下書庫に飛び込んで直ぐ、別の扉からサークルメンバー達も姿を現した。彼等の形相を見る限り向こうも色々と大変だったようだが、過ぎたことは気にしても仕方無い。今はこの先のことを考えなければ。
「えっと……みんな無事、ですか?」
 地下書庫に集った人間の頭数を見て、変な増減がないことを確かめる。それからやっと、ゆらぎは地面にダイブしたときに制服についた埃を払った。

「あ、待ってねれっちゃん、今から読むから……みんなも一応聞いてて。さっき廊下で拾ったの」
 烈から先程拾った紙切れのことを問われ、ゆらぎは改めて自分が踏みつけたその紙片を見る。それは思いっきり破れていたが、裏側にくっきりと残るローファーの足跡から考えるに、最初からその状態で落ちていたようだった。

「病室に来るあなたはいつもどこか苛ついていて疲れていた。きっと私のせいね。そんなあなたを見るのが何よりも辛かった。許されないのは分かっている、でも最期だから書き留めたい。あなたを心から愛している。忘れてとは言わない。忘れないでとも言えない。あなたにたくさんのものをもらったのに、私は何一つ返すことができなかった。最後まで付き合ってくれてありがとう、これからはあなたの生きたいように生きてほしい。私は幸せでした。

 ……以上。これってあれだよね、翔子さんの手紙、だよね。何かもう内容的に遺書めいてきたけど……何でこんなもんがバラバラに落ちてんのかなぁ……あの人何か勘違いしてるか隠してるかしてるんじゃないのかなぁ……いや、違う。疑ってない、疑ってないけども!」
 真希人の死を目の当たりにしたせいか、ゆらぎはつい柊平への疑心を口にしてしまい……慌てて首を振ってそれらを否定した。

>all

4ヶ月前 No.511

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 都城京 / 曉町立図書館 地下書庫 】

 ぽすり、とぶつかってきた七を抱きとめながらも都城は辺りを見回す。どうやら此処も書庫なようだ。壁一面の本棚を見回しながらも、その一角。不自然なまでにその存在感のアピールしている祭壇からはそっと目を逸らす。だって怖いんやもん、なんて心の中で言い訳しつつ。

「えっと、もしかして行き止まり……? えっ、私等閉じ込められてしもた……?」

 ふらふらと動きがちな七の手を引きながらも反対側の廊下から合流したゆらぎの言葉に「はぁーい、都城も七ちゃんもいまーす」とへらりと笑う。そしてゆらぎが読み上げた手紙に思い出したかのようにポケットを漁る。引きずりだしたのは先程の廊下で拾った手紙だった。反対側にも落ちていたのか、おっちょこちょいだなあ、なんて思いつつ唇を開く。

「それ、私も拾いましたよぉ、えっと、やっぱり破れてるし式島さんが探してたやつやろか……。読みまーす。えっと、

 今朝、先生が訪ねてきてお家に帰ることを許して下さった。これが最後のチャンスかもしれないって、つまりはそういうこと。自分に未来がないと知ったときどうしても受け入れることができなくて、焦りや怒り、他の醜いもの全てを何の罪もないあなたにぶつけてしまった。

 ……うーん、内容的には御子柴さんのやつの前……やろか」

 読み上げた手紙の内容に首を捻る。ゆらぎの疑問は最もだった。何故手紙は破られていたのか、バラバラに置かれていたのか、謎は深まるばかりである。


>> ALL


(こちらも手紙内容共有させてもらいますね!)

4ヶ月前 No.512

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_eQW

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・地下書庫】

「そうっすね。今は皆が揃うのを待つっす」

 烈さんに続いてゆらぎさんや七ちゃんたちも部屋に入って来ていた。
 だが、八岳さんや逢澤さんの姿がまだ見えない。一体どうしたのだろうか。
 しかし、俺の心配を他所に、ゆらぎさんと都城さんは、それぞれ手にしていた手紙を読み上げていく。どうやらさっきの廊下で拾った代物らしい。
 俺はゆらぎさんと京さんが読み上げるのを黙って聞いていた。手紙はバラバラに破かれて別々の場所に置かれていたが、それが何を意味するものなのか。二人の疑問はもっともだったが、俺には今ひとつピンと来なかった。

>> all様


【遅くなってしまって申し訳ございません】

4ヶ月前 No.513

都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 都城京 / 曉町立図書館 地下書庫 】


 地下廊下を通り地下書庫へと足を踏み込んだ都城は辺りを見渡しながら置かれた机に手を伸ばす。積まれた本はどれも年代物らしく色褪せ読める状態ではない。だがしかし開かれたままの書物に目を向ける。ぱちくり、と目を瞬かせそれを読み上げるように唇を開ける。


「ええと……

 曉町はかつては曉村という村であった。
 曉村では数十年に一度、月が赤く輝く時期が訪れる。その時期になると陽が昇らなくなり村は闇で包まれ天には赤い月だけが輝くという。
 そしてその赤い月を見た村人が突然周りの村人を殺害したという。
 村人はこれを赤い月の呪いだといい、以降は赤色の月、朱月が訪れると村が滅びてしまうという語り継がれ恐れられるようになった…………」


 読み上げた書物の内容に都城は眉を顰める。やはり赤色の月は襲い掛かってきた人達が言っていた朱月だったのか、そんなことを内心で呟きつつも都城は書庫内を歩き回る。出口はなさそうだし特にめぼしいものもない、あと怪しいといえばあの如何にも、な祭壇ぐらいだ。

「ああいう祭壇って、気味悪いんやよなぁ……」

 小さく不満をぼやきつつも足は祭壇に向かっていく、そして祭壇に立てかけるように置かれたボロボロの書物に目を向けた。あからさまな溜め息が唇から零れた、ほらみてみぃ、なんて呟いてそれに手を伸ばしページを捲った。


「 朱月ヲ鎮メル為 選バレシ少女ヲ月ヘ捧ゲヨ
 月嫁ト也シ少女ハ 舞ヲ踊リテ月ヘ捧ゲラレル
 舞ヲ踊リシ月嫁ヲ 月ヘト還ス可シ 」


 ――――なんや、さっぱり分からへん。そう呟いた都城であった。



>> ALL


(とりあえずアイテム回収レスを先にあげさせていただきます!)

2ヶ月前 No.514

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 地下書庫 】


 「――――ここは、なんだかへんです」


 書物を読んでいた都城の呟きを掻き消すように唇を開いたのは地下書庫に入って以来、ぼう、と立ち尽くしたままだった七であった。竹箒を強く、強く握りしめながら変です、と繰り返す。目を瞬かせた都城が「またなんか感じはったんですか?」と問いかける。


「…………いままでとちがって、ここにかんじるものはないです……なにも、朱月へのこわさとか、そういうのもなんにも、ないです…………その、あの……えっと、だから……」

 言葉に悩むように、迷うように歯切れの悪い言葉で、包帯で隠された瞳を辺りに彷徨わせる。


「…………なんにも、わからないんです」


 ごめんなさい、そう呟いた七は俯く。その空気を和ませるかのように都城は七に駆け寄りその頭を撫でる。大人だから、お姉さんだから、自分がなんとかせねばと思いながら。


「……あっ、もしかしたら式島さんやったらなんな分かりはるかもしれまへんねえ。ほらこの遺書めいた手紙の残りもあの人に渡さなあかんやろし……」
「…………わたし、あのひと……にがてです…………」

 先程自分やゆらぎが拾った手紙、それはたしかに式島が探していた手紙残り続きなのだろう。いなくなってしまった奥さんが残した、遺書めいた手紙、そしてペンダント。この図書館には本ばかりでなく変わった拾いものが多かったなあ、と都城の思考が逸れる、そう、あの八岳が見つけた縄もそうだが。


「七ちゃん、そんなん言うたらあきまへんよ。式島さんは私等に色々助言してくれはったし助けてくれた、ええ人やないですか」
「でも…………なんだか、あのひと……こわくて……」

 七の言葉に都城が注意をするように声をかける。だがしかし七はふるふると首を横に振るう。大人だし確かに口調なども幼い少女には怖いのだろう「助けてくれたお人に、そんなん言うたらだめです」まるで子どもを叱るように、都城はもう一度七に声を掛けるのだった。


>> ALL


(それではまず冬野から!まずみなさまの最終推理結論たのしみにしてます〜〜!)

2ヶ月前 No.515

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/地下書庫】

 あーでもないこーでもないと手紙の内容やらメンバーの様子やらに悩んでいたゆらぎだが、京が読み上げた書物に苦虫を噛み潰したような表情で顔を上げた。
「それってあれじゃん……さっきの安玖くんの話じゃないけど、朱月を鎮める為の生贄じゃんやーだー……あ、それか意外と踊りだけで何とかなったりする?」
 祭壇にあった書物に書かれている状況は、恐らくここに来て探し隊やオカルトサークルが遭遇した現象と合致するものだろう。ならば解決策もそこに書かれている通りなのかも知れないが、まず大前提としてこの地下から出る必要がある。そうでなければみんな揃って飢え死にだ。
「いやいやいや、此処に死体が転がってないってことは出口もあるってことでしょ……って言うか手紙! おまわりさんの手紙が落ちてるのに本人いないってことは、少なくともあの人は出るか戻るかしたってことでしょ? 諦めなければ多分……出口とか抜け道とかある筈! もう、あの人もそのくらい教えてからいなくなってよね……」
 脳内に浮かんだ飢え死にという語句を振り払うべく、ゆらぎの語気は若干強まる。最終的には血相を変えて飛び出していってしまった柊平への不満めいた言葉になってしまったが、今まさに京と七も彼に対する言葉を口にしていた。

「……それは、仕方ないのかも知れない。だって――は――を……けれど、だけど」
 二人を肯定するように、けれど否定するような少女の呟きは、虚空に消えた。

「まぁなっちゃんの言うことも分からなくもないけどね……奥さんの話やら曉町の殺人事件の話やら、矛盾してることもなくはないし、やたらこの町に詳しいし……いや、奥さんの実家なら来たことあるのか。あと気になると言えば手紙とネックレスがばら蒔かれてんのも怪しいっちゃ怪しい。でもま、疑いだしたらパパのロープも凶器に見えてくるし……まぁ、本の整理とかに使うやつだろうけど。あ、どっか縄で地上まで上れたりしないかな? でとにかく、あの人が犯人でしたーなんてオチだったらわたしらとっくに全滅してるし? ほらほら未来の編集長もなっちゃんも落ち着いて」
 それとなく七と京の間に割って入りながら、ゆらぎはフォローになっていないフォローを暴論と共に話し終えた。

>all

2ヶ月前 No.516

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下書庫】

如何様にしてこの空間から脱出したものか。周囲の本棚に目ぼしいものがないかと目を凝らして探していた烈であったが、そんな最中に京が何かを見つけたようで、一旦視線を彼女のいる方向へと向ける。もしかして鍵でも見付かったのか……と一瞬烈は考えもしたが、そんな感嘆に事が進む訳がなかった。京の手にあったのは鍵ではなく、明らかに年季の入った本……というよりかは書物、と形容した方が正しそうな一冊であった。

「ふむふむ、なるほど……。やはり逢澤殿の見立ては間違ってはおられませなんだな!……しかし、生贄と言われましても、なかなか現実味がないというか、なんというか……。うーむ……」

朱月を鎮めるための生贄。話だけ聞いていると如何にもなシチュエーションというか、よくある伝承のひとつと受容出来てしまいそうだ。しかし、今は状況が状況である。見立てを間違えてしまえば自分たちの命にも関わって来そうな予感さえする。烈は一生懸命いつもはあまり使わない脳みそを回転させてみた。
朱月、と呼ばれる現象。それは何だか今まで自分たちがこの曉町で体験してきたものとよく似ているような気がしないでもない。仮にこの不可思議な現象が朱月によるものなのだとしたら、今年は生贄を捧げなかった……ということになる。だって、生贄を捧げなかった時に村が災厄に見舞われたのだから。

「……生贄の、少女」

それはあくまでも烈の何気ない呟きだった。其処で七の姿が目に入ったのは、果たしてただの偶然であったのだろうか。嫌な考えが脳裏を駆け巡り、烈はぶんぶんと首を横に振った。いや、まかり間違っても七がこの朱月の儀式に関係していると決めつけるのは良くない。七だって自分たちと同じように、ただこの場所に迷い込んだだけかもしれないのだ。

「と、とにかく今は此処から出ることが先決ですな!ゆらぎ殿の言う通り、警官殿のお手紙があるということは彼が出入り出来たということ!きっと何処かに出口はあるはずにござる!」

湿っぽいことをいつまでも考えていたって何が始まる訳でもない。烈は気を取り直して、この部屋からの脱出方法を考えることにした。ゆらぎが言った通り、式島の手紙が落ちていたということは、彼がこの部屋に出入り出来た可能性が高い。むむむ、と烈は頭を捻る。

「……警官殿はこの施設の仕掛けを既に攻略しているということにござろうか……?だとしたら、我等に脱出の手掛かりを教えてくださっても良いというのに……。あ、しかし急いでおられたのなら、余裕が無くとも仕方ありますまい」

せめて出入口は此方、みたいな感じに伝えてくれたのなら良かったのに、と今更ながら烈は思う。しかし過ぎてしまったことをいちいち考えていたのでは意味がない。式島も式島で何やら切羽詰まっているようだったし、烈は不思議と式島が自分たちを騙して此処に閉じ込めた、とは考えられなかった。最初から烈たちを嵌めるつもりなら、怪異に襲われているところをわざわざ体を張ってまで止める必要はないし、無駄なお喋りをしたとしてもぼろが出そうになってはどう考えても本末転倒だ。故に烈は、式島が怪しい、とはどうしても思えない。甘い、と評価されてしまいそうだが、これが烈の精一杯なのである。もしも推理が外れて窮地に陥った時には、自分からすすんで殿を務めよう。

「……もしかしたら、警官殿の奥方はその……曉の伝統行事……?が真に上手くいかなかった故に、何かしらの凶事に巻き込まれたのやもしれませぬ。ほら、神社のお方だとお聞きしておりました故……。それか此処に警官殿を嵌めようとしている者が潜んでいるか……。……ともかく、拙者はあの警官殿は単なる被害者……というか、少なくとも我等の敵ではないと思いまする。拙者は頭が弱い故、説得力はないにも等しいやもしれませぬが……」

上手く考えがまとまらないままに話し始めてしまったせいか、最後の方はややしどろもどろになったりつっかえたりしながらも、烈はなんとか自分の意見を口に出すことが出来た。これまで推理らしい推理はせずに怪異に体当たりしてきたような人間なので説得力には欠けると思うが、それでも何も考えないで行動するよりはましだろう。

>>周辺all様

【ひぃ〜お待たせしてしまって大変申し訳ございません……!推理になっているかわからないので不安で仕方ありませんが、何卒ご容赦くださいませ……!】

2ヶ月前 No.517

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・地下書庫】

やっぱりそうか、扉の向こうから俺たちを呼ぶ声は狩谷さんなんかじゃなかった。先輩との啀み合いも誹り合いもかなぐり捨てて、絶叫と共に手を取って駆け抜ける。廊下の終点に開いた扉から転がり込むように次の部屋に入る頃には、喉はもうがらがらだった。
長い廊下を抜けた先で、前の部屋で別れた御子柴さん達とも合流することが出来た。良かった……誰も減ってはいないようだ……。そう思ってから、ふとまた狩谷さんのことが過ぎり一人で気落ちした。

「……また、祭壇ですか……」

少し遅れて入ってきた為か、俺がきた時には皆はもう集まっていた。部屋は行き止まりのようで、けれど俺たちに戻る道ももう無い。「閉じ込められた」という言葉がバラバラと聞こえてくる。そんな……まだ、何か脱出方法はあるはずだ。だって、七ちゃんが此処は怖い気配を感じないって言うし、御子柴さんや鑓ヶ岳さんの言う通り此処に敷島さんの残した物が落ちているのに本人は居ないということは抜け道はある。俺は読み上げられる手紙や飛び交う憶測をしばらく黙って聞いていた。

「……その手紙の内容からすると、敷島さんの奥さんが亡くなったのは、暁町じゃなくて病院……って事なのか……?」

地下、手紙、生贄、縄、朱月と共に起こる集団狂気、儀式、月嫁、十年前の失踪事件、三年前の殺人事件、届いたばかりの手紙……考えろ、考えろ考えろ考えろ考えろ。俺はこんなところで閉じ込められたまま死ぬなんて嫌だ。俺は、誰かのように死んだりなんてしない。

「幾つか、俺も確かめたい事があります」

大声で喚きながらの全力疾走の後では痰が絡むのを咳払いしてから、鑓ヶ岳さんもそうしていたようにぐるりと面々を見渡した。

「知っての通り此処は図書館の地下です。あの、図書館の玄関にあったポスターの井戸……あれが、例えば図書館の地下とか暁町の他の施設の地下と巨大な迷路で繋がっていたらどうでしょう? 集落の下には蟻の巣のような巨大な鍾乳洞が……なんて話を聞いた事があるだけですが」

そう言いながら天井を指差し顔を上げた。脱出経路といえば、確かに、敷島さんは此処へきて何処かへと抜け出したのだろうか。今、何処にいるのだろう。図書館で彼を最後に見たのはおそらく俺だ。酷く狼狽しているようにも焦燥しているようにも見えた。その直前に俺や安仁屋さんがした質問に対してだって…………。

「…………こんなことはあまり言いたくはありませんが、敷島さんに悪意が無かったとしても、解離性健忘≠ニいうものがあります。人は、見たいように物を見る……あまりに強いストレスを受けた時に記憶が欠乏したり歪められてしまう事をそう言います」

周囲の様子を伺いながら、バッシングは回避するよう言葉を選びながら、それでも見聞きしたことは言わなければとそっと話し始めた。敷島さんと暁町のことや奥さんのことを話していた時に俺が漠然と感じていたこと。

「敷島さん夫妻が暁町を訪れたのは12年前、その頃は村は正常に機能していたけれど敷島さん達はそこから逃げた。暁町失踪事件は10年前、なのに奥さんが亡くなったのは3年前……3年前起こった殺人事件と10年前の失踪事件を同じ事件として捜査するなんてこと、普通はありませんよね。疑問に思った俺は敷島さんに聞いてみたんです。でも思い返そうとするとどんどん混乱していく感じで……手紙を受け取ったのに至っては1週間前にポストに投函されてたとか世話になった人から受け取ったとか今日初めて読んだとか、支離滅裂でした。今その手紙を読んで疑うに、敷島さんの奥さんは元々病気で、死因は暁町の失踪事件に関する殺人事件では無い、亡くなったのは本当は病院かもしくは外泊中の敷島さんの家ではないでしょうか? 病気の原因が暁町のことに関する心労とかそういうのはあるかもしれませんけど。奥さんの死は敷島さんにとっては抱えきれないぐらいショックな出来事で、敷島さんは奥さんの死に関する記憶と共に訪れた暁町に関する記憶がごちゃ混ぜになってしまって暁町を彷徨っている……とか」

敷島さんと翔子さんが暁町を訪れそこから逃げ出した背景には、もしかしたら朱月への儀式が関係していたのかもしれない。たとえば、神社の家柄である翔子さんが月嫁に選ばれてしまい、それで二人で逃げ出した、とか……。その可能性は確かにある。けれど前の失踪事件が10年前なのと翔子さんが亡くなったのが3年前なのと遺書が届いたのが先週なのとではあまりにも時系列がめちゃくちゃだ。

「解離性健忘、それで突然何処かに走り去ってしまったり、脱出経路は教えてくれなかったり、よくわからないことを口走ったり、手紙の続きがあったことも忘れてしまったり……あの手紙、敷島さんにとって思い出したくない内容なのかもしれませんね、奥さんとはあまり仲良さそうには見えない文面もありました」

こんなところです、と俺は肩を竦めた。初めは敷島さんが誰かに騙されているのではないかと思ったが、これが騙しの筋書きだとしたら、敷島さんが騙されていたとしても冷静だったとしたら、おそらくあんな取り乱し方はしないだろう。

> all様


【大変遅くなりました……! 八岳の合流レス&推理レスとさせていただきます。】

2ヶ月前 No.518

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★0jNsxvmXp2_uLX

【逢澤安玖/暁町立図書館・地下書庫】

 安玖の見立てと同じじゃん。やだ。現実味がない。
 そんなニュアンスで飛び交う言葉に「まあ、そうだよね」としか言えない安玖である。普通なら日常生活を送っていく上で、2020年代に突入しようかというこの現代日本ではまず聞かないし考えもしない言葉のディスコ・クラブ。ぶっちゃけ安玖自身も「そんな仰々しい方向性なのかあ」と頷き掛けている手前、その辺りは一先ずスルーだ。目下の優先事項は式島さんと、此処から移動する方法だろう。

「まあ……記憶が混濁しているみたいだし、まだ全てをそのまま信用していい人ではないだろうね」

 生贄の件はとりあえず知らない、とばかりに七ちゃんと都城さんの会話にそう入った安玖は目を細めてみせた。二人の意見を肯定する気も否定する気も無いという意思表示だ。

「だから、良いんじゃない。嫌いなものは嫌いだし苦手なものは苦手だし、疑うのも信じるのも好くのも嫌うのも……興味を持つ事ですら、誰かに言われて『はい、そうですね』って出来るほど易いことじゃない」

 宥めている(のだと思われる)御子柴さんを他所に呟き、自分の推理を述べ始めた龍矢へと視線を移す。まるで否定される事を恐れるかのような言葉選びに舌を噛みながら、それでも意見に理解できると頷く。理解できるから、安玖もまた、話を切り上げた彼に続くように言葉を並べ立てた。

「あともうひとつ考えられるとしたら」

 龍矢があくまでも何処までも現実や科学や医学を前提とするのなら、自分がすべきなのは単純なる心理や心霊といった計算や理屈では説明できない部分を前提とした思考だ。そもそれが自分の専門分野で、自分の経験則が一番役立つのも、そのジャンルだ。それらをどれくらいの分量で、どうとるのかは提案する側である安玖の役目では無い。……と、思う。多分。

「お母さんも、さっきの彼氏さんも、女の子も、今まで通った家の人も、……全員が自分の一番強く思った事象以外の記憶がない理由と関係があるか」

 ずっと引っ掛かっていたのだ。お母さんは狂ったように葬式の時に安玖に吐き捨てたのと同じセリフしか言わなかった。正気に返った後は、あんなにも聞いた事の無い言葉を並べていたのに。それこそ、あの瞬間に行き成り時間が飛んだようだった。他の人もそれは同じで、娘の事故を覚えていなかった母親も急に真面な人間になった。彼女たちが固執していた事柄とそれ以外を天秤に掛けた時、大抵、記憶に優先的に残そうと思うのは辛く耐えがたい内容よりも幸せな記憶の方だ。あの二人の母親ならばきっと、子供が死んだことや居なくなったこと以外を忘れるよりも寧ろそちらを忘れて生きていると思い込むだろう。その上で見つからないのだ、となる筈だ。だってそれが心を守るために産まれつき生き物に備え付けられているシステムというものだから。
 脳と心理は関係があるようでいて全く無く、実は解離性健忘もそうだったりする。というか頭に“心因性”と付いたり付かなかったりする類は全てそうなのだ。“心因性”と付けば此方の領域でもあるがただの健忘ならばそれは龍矢の領域の話でしかない。ならばすり合わせる為の反対側である此方の話は心因性であり、心霊性だ。

「皆、ね。皆、記憶がめちゃくちゃなんだよ。目的や未練に囚われて、それ以外の記憶がめちゃくちゃで、順番も何も、憶えていなかった」

「あの人、既に半分くらいは“あっち側”なんだと思うよ。手紙はオカルトとポエムをふんだんにまぶせて言えば、あの人の未練の欠片で、記憶を取り戻す切っ掛けか自分と向き合う切っ掛けでしかない」

 にしても自分自身が言う内容が事実だとすれば、これ以上に酷いことはない。手紙の情報に限った事ではないが、朱い月にはいついつも人間の心の醜さが付いてまわっているようだ。それが本人がその瞬間に一番感じたことなのか分からないけれど、少なくとも本人自身が抱いていた想いがもっとずっと醜く大きく変えられたような。……朱い月にそんな力があるのか、ただ、不安に不安を重ねた人間が起こす心理現象の果てなのか、それは全く分からないけど。

「きっと最初は、自分の忘れたことを思い出したくて来たとか、そんな程度だったのかもしれない。けどそれがいつしか未練となって、あの人の記憶をより一層、混濁させていく……なんてね。七ちゃんが再三そう言ってるんだから、無くはないだろうし」

 七ちゃんの忠告はいつもそうなのだ。誰かが何かに酷く拘り、薄暗い感情を吐露した時、彼女は怯えて頭を振って見せる。嫌な言い方をするなら、やっぱり彼女はある種の鉱山のカナリアなのだろう。だからこそ。七ちゃん自身が自分達を未練に、いや、もっと言えば足枷になるほどに考えてくれたならば……多少は彼女が“あちら様”に引っ張られる事も無くなるんじゃないかと。

(思うんだけどなあ……)

 じゃあ自分が足枷になれるのか。そう問われると、幼かった自分が背後に張り付いてくる。母の足枷になれなかった自分が、ふるりと震え今にも消え入りそうな風に此方の背を掴むのだ。
 だから、というわけではないけれど。安玖の足は祭壇へと近付いていた。皆が怪しいと言いながらも最後の一歩という意味では近付かない、地下室に不釣り合いでいてお似合いなその場所。月に深く関係のあるらしい神に捧げるのに態々地下を掘り起こした、こんな場所で――無い事は無いが、多くあるわけでもない話だ。だったら後は、予備準備か、フェイクか、過去の産物となったか、……ただのギミックか。

(そもそも、今って“何年の何月何日”なんだろう)

 老けていなかった母親。幼いままの少女。訪れたのが同い年の頃だったという事しか分からないカップル。
 全員の入り込んだ時間や日にちは全く違う筈なのに、まるで同じ日ですよ、と言わんばかりに揃っている。自分達はたまたま町に来てすぐに互いに日にちや時間の確認をしていたから同じタイミングで来たと知っているけれど、それなら、他は? あの式島さんという警察官は? 母は見た目を信じるならば7年から8年前に来ている筈で、その時点で“ズレて”いて、それで。

(向き合えなかったり、向き合う切っ掛けがなかったり……それだけで、こんなにも)

(……向き合わなくて済むのなら、それが一番――なのにね)

 でも誰も逃げられない。向き合わなければならない。皆が顔を背けている近く現実的に突き付けられる筈の選択肢も、そうなのに。
 薄く汚れた靴下が、祭壇の上に降り立つ。そうして安玖はぐるりと辺りを見渡すのだった。

>>周辺ALL

【遅くなりましたが、安玖の合流・推理? レスになります。それ以外にも行動してるけど、うん】

2ヶ月前 No.519

七、都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 地下書庫 】


 「――――……」

 皆が皆、口々に自分の思い考える推理を述べる中で七は思考していた。この図書館に来てから感じた違和感。月舘家、神居家で痛いほどに伝わってきた想い。押し付けられるように、流れ込むような想いが渦のように押し寄せてくるのに。

 この図書館ではそれがなかったから。感じたのはあの、大切なものを失くしてしまった人の想いだけ。それ以外は何も、何も感じなかったから。自分が出来ることはそれしかないのだ、それしかないのに、と七は僅かに自分の情けなさに少しばかり凹んでいた。そんな七を他所に都城は辺りを見渡し話を聞きながら書庫の中を歩き始める。

「うーん……烈ちゃんの言うことも分かるし、八岳くんとか逢澤くんの意見も一理あるよなあ…………まず、あの、式島さんは何処行きはったんやろ……」

 祭壇付近にいる安玖を横目で見つつ、都城はよく七がしているようにぺたぺたと彼方此方に触れていく。そして、本棚の一つに目を向ける。何故か、そこだけが他とは違って埃が少なくみえて首を傾ける。


「――――みやこのじょう、さん……」

 七の声が都城の鼓膜を震わせるよりも早く、都城はその埃の少ない本棚に手を伸ばし、触れていた。


>> ALL



(みなさま推理レスありがとうございます〜〜!!最高でした!!!!今回特殊レスを担当してくださるのは神崎りりかさんですので投稿をお待ちください!)

2ヶ月前 No.520

特殊レス @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 曉町立図書館・地下書庫→小さな墓地 】

 都城が書庫を捜索しようと手を伸ばす。彼女の手がそっと本棚に触れた瞬間、本棚はカチッと機械的な音を鳴らしてゆっくりと動き出した。ズルズルと床を引きずるようにして左側に移り、隣接する本棚とピッタリ重なり合う。そして奥から顔を出したのは真っ黒に染まった無機質な鉄扉だった。扉の隙間からぴゅうぴゅうと冷たい風が音を立てて吹いている。耳を澄ませば、遠くで何かが地面を掘っている音がした気がする。どうやらこの扉は外に通じているようだ。

 都城が意を決して明かりのない隠し通路を進んでいくと、辿り着いた先にも地下書庫で見つけたものと同様の、重苦しい鉄扉があった。
 彼女が一歩近づくと扉が独りでに開いて、その先の景色をゆっくりと呈す。外だった。目の前に現れたのは朱い月影に照らされた小さい墓地だった。古びた墓石と井戸があり、どちらも黒ずんで水苔がこびりついている。大きく空気を吸い込むと、微かに鉄のような、いや、何かが腐敗したようなキツイ臭いがしたような気がした。

【皆さんの推理レス読んでいてとっても楽しかったです!ありがとうございます。三章の謎は全てここで解決しますので、最後の探索をよろしくお願いします】

2ヶ月前 No.521

都城京、七 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=8p27ODDVl8

【 七、都城京 / 曉町立図書館 地下書庫→裏道→墓地 】


 触れた本棚が音を立てて動き出す。其処には扉が一つ、どうやら隠し扉があったようだ。都城は一瞬悲鳴をあげたものの耳を澄まし風の音を確認すれば「ここから外に繋がってるっぽいですよお」と言いながら重い鉄扉を押し開ける。

「此処で立ち往生してもしゃーないし、行きましょか。七ちゃんは迷子にならへんようにおねえさんと手繋ぎましょねえ」

 完全に七の保護者ポジションな都城は七の右手を握り鉄扉の先の通路を進む。地下通路を進みながら懐中電灯で辺りを照らす。どうやら八岳が言っていたようにまるで蟻の巣のごとくあちこちに繋がっていそうにも見えたが崩れてしまったのかほかの道は土でほぼ埋まっていて人が通れそうもなかった。

「あ、ゴールや。なんか久々に外出た気がする」

 行き止まりには階段のようなものがあった。階段をあがり鉄扉を開けばそこはどうやら墓地のようだ。沢山の墓石が並ぶ墓地の手前に一つぽつん、と立つ墓石とその近くの井戸。不意に七がぎゅ、と都城の手を引く。

「あの…………なにかおちて…………」
「ほんまや…………誰のやろ」

 七の足元に落ちていたもの、それは一冊のノートだった。


>> ALL


(神崎さんありがとうございます〜〜!特殊レスの追レスをあげさせていただきました!いよいよ三章もラスト、お楽しみくださいませ)

2ヶ月前 No.522

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・地下書庫→裏道→墓地】

どうやら京の触れた本棚が何らかのスイッチになっていたらしい。重苦しい音を立てて動き出す本棚に、烈は思わず身構えてしまう。そりゃあ、目の前でこんなからくり屋敷のような光景を見せつけられたら、よっぽど慣れている者でない限りびっくりせざるを得ないことであろう。本棚の動きが止まるまで、烈は警戒するようにその様子を睨み付けていた。

「……これは、隠し扉にござりまするな」

そして現れた扉に、烈はふむ、と顎に手を遣って至極当たり前のことを口にした。見ての通り、という奴なのだが、烈としては何か言わなければと思ったのだろう。とりあえず、よくよく耳を澄ませてみれば風の音が聞こえる辺り、外に繋がっていると見て良さそうである。これで一応この地下書庫からは脱出出来そうだ。
烈に異論はなかったので、烈は京と彼女に手を引かれる七に着いていくことにした。こうして歩いている二人の姿を見てみると、年の離れた姉妹のようにも見える。……いや、外見に差異がありすぎるだろうという突っ込みは野暮というものだ。とにもかくにも、二人の姿は烈にとって微笑ましいものだったのである。兄弟と言ったら兄二人になる烈としてはまた新鮮な光景でもあった。

「……!此処は……」

やっと外に出ることが出来た一行であったが、たどり着いた場所を見て烈は思わず息を飲んだ。ただでさえ薄暗くて不気味な雰囲気が漂っているというのに、出た場所は墓地ときた。しかも付近には古びた井戸がある。いかにもそれらしいものが出てきそうなシチュエーションについつい烈は己の二の腕を擦ってしまう。たしか古井戸から何か出てくる系のホラー作品があったな、なんていちいち思い出さなくても良いことまで思い出しそうになり、いけない、病は気からにござる、なんて自分に言い聞かせて、烈はきょろきょろと辺りを見回してみる。もしかしたらこれまでの場所と同じように、何か鍵となるものが見つかるかもしれない。

「おや、編集者殿、七殿。そちらは何にございましょう?」

そんな中、烈が見つけたもの。それは七の足元に落ちている一冊のノートだった。これで古びた古文書でも落ちていたらそれこそ洒落にならないと思うが、ノートでもなかなかに怪しさが満点である。それでも何か重要な情報が記されているかもしれないので、烈はノートを拾い上げてみる。

「何か可笑しな仕掛けでもされていたらいけませぬ。此処は拙者が開きましょうぞ」

飛び出す絵本……の類いには見えないが、とりあえず触った者に何かあるようではいけないので、ノートを持つのは烈が担当することにした。いざとなったら持ち前の身体能力を駆使して遠くに投げ飛ばすつもりでいるのだろう。さすがに爆発はしないと思うが、此処に来てからは驚きの連続である。用心するに越したことはない。
ノートの中身は日記のようだった。此処に落ちているノートだとか帳面だとかは、八割くらいが日記なのではなかろうか。呑気にそんなことを考えていた烈だったが、その内容を見て顔を強張らせる。

「こ……これは、いけませぬな……」

何がどういけないのか、烈にもよくわからなかった。ただ、その日記を記した者が、生きることを諦めようとしているということだけはわかる。どんな話をしたら良いのかわからなくて、烈は助けを求めるように周りの面々へと視線を走らせた。

>>周辺all様

1ヶ月前 No.523

推古 @iwing ★AIO1WMlkRo_zZL

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・地下書庫→裏道→墓地】

触れられた本棚から扉が現れる。隠し扉だろうか。
ともかく外へ出られるならそれに越したことはない。重い鉄扉が押し開けられた。
懐中電灯の明かりを先頭に後続する。見通しの悪い通路だった。
むき出しの土壁が空間を圧迫している。中は真っ暗で、暫くは灯りを頼りに歩かなければならないようだ。
道の行き止まりに階段のようなものがある。
地上へ上がるための階段だった。
階段をのぼりきったところに扉があり、そこを潜り抜ければ、たくさんの墓石が並ぶ墓地へと出た。墓地のそばには小さな古井戸があったが、七の足元に落ちていた一冊のノートが気掛かりだった。それを拾って読んだ烈の反応に内心で同情せざるを得ない。きっと良くないものでも見たのだろうと。

>> 周辺all様


【お待たせしてしまい申し訳ございません】

1ヶ月前 No.524

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/地下書庫→小さな墓地】

「あ」
 古めかしい部屋の、いやこの町の雰囲気にそぐわない機械的な音がしたかと思うと、ゲームさながらに本棚の裏から扉が現れた。烈の言う通り、紛うことなき隠し通路である。変なところばかり近代的なこの町の仕掛けに、ゆらぎはいよいよ驚かなくなった。
「……これで外出れそうだね。早く行こう」
 自分より後ろにいる面々を振り返り、先に進む京と七、烈の後に続く。ひんやりとした地下通路は僅かだが傾斜がついていて、そして風も吹いていて、外に繋がっているのは間違いなさそうだ。
「……待っててね。必ず、戻るから」
 振り返ることも止めたゆらぎの目に写るのは一筋の光。折しもその時、京が通路の最奥の扉を開けたのだった。だったのだが。

「うわここどう見ても墓地じゃん……ひえ、井戸まであるよ。何、何で図書館がこんなとこ繋がってんのさ、入口の遊んじゃいけない井戸ってこれ!?」
 地底から這い出した土竜の気分で外に出たゆらぎだが、当然そこには変わらず赤い月が不気味に輝いている。しかもその明かりにはっきりと照らし出されているのは、如何にもな雰囲気が漂いまくっている井戸と墓地である。先程諦めた筈のツッコミが、早々に復活していた。
 しかし、あれだけ意味深な通路や祭壇から続いていたのはこの墓地なのだ。何かきっと意味はあるだろうと、ゆらぎは辺りを見渡す。先行していた女子三人と右叉兎は日記らしきものを見つけた様子なので、取り敢えず……と、ゆらぎは罰当りにも墓石をペタペタと触りながらその裏に何かないかと覗きこんだ。

>all
【遅くなりましてすみません、あと若干大人の都合ぶっこんでますm(__)m】

1ヶ月前 No.525

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/書庫→裏道→墓地】

都城さんの手が本棚に触れたその時、その活路はまるでRPGのギミックのように俺たちの前に現れた。

「……冗談だろ……」

ひとりでにズルズルとスライドする本棚の、奥から現れる重厚な鉄の扉。俺の脳内に、某勇者が剣と盾を携えダンジョンを進むゲームの気持ち良い効果音が鳴り響いた。現実にこんなことってあるのか。おいおいちょっと凝りすぎだろ……。なんだか俺以外の皆が割とこのおかしな町に慣れてきてるっつーか順応してきてる気がするけど、俺はまだだ、まだ全然驚く。ってかなんで皆そんなにすんなり受け入れられるんだよ、良く考えろよ、おかしいだろ……。口を閉じるのも忘れて半開きにぽかんと開けたままでいると、更に鉄扉は俺達を招き入れるようにゆっくりと開いた。
……外だ。外に通じている……! 助かった……!
やったぞ、助かった! と、新鮮な外気を胸一杯に吸い込みかけて、そのとんでもない饐えた臭いにむせ返り、咄嗟に鼻と口を押さえて咳き込む。

「うげっ、……っげほっ、けほっ、……っんだよこれ!! …………え……ここお墓じゃないですか……まさか本当に地下通路があって繋がっていたなんて…………」

前列について行くのに必死になって全然周りを見ていなかったが、ぐるりと周囲を見回せば、通ってきた通路には幾つもの横道があり、何処かに繋がっていそうだったが今は土砂崩れの後のトンネルのように殆どが潰れてしまっている。奇妙な村の下に張り巡らされた巨大地下迷宮は……あながち怪奇小説の中だけの世界ではなかったのかも知れない。たったひとつ正面に残された道を抜けた俺達は、墓地へと出てきてしまったというわけだ。これは別に名誉挽回の弁明ではないが、俺は別に、死体は大丈夫だ。……大丈夫だ。こう見えても医療従事者の卵だ。……大丈夫大丈夫。気持ち悪い解剖実習もしたし、……大丈夫大丈夫。落ち着け俺。上がるな心拍数。

「……日記……? また日記ですか。今度はキャンパスノート……あまり古さは感じませんね」

もしかしたら、ついさっき話題にしていた式島さんのものだったりしないだろうか? 或いは奥さんの……。そう思って懐中電灯の光と視線とを同時に鑓ヶ岳さんの手元に移す。

「…………これって…………」

答えはその、どちらでもなかった。
此処に来てから今までで一番、見てはいけない文章を見てしまった気がして、思わず懐中電灯のスイッチを切ってしまった。白々と照らされていたノートの頁が残像を残して黒闇に溶ける。何もスイッチまで切ることはなかったのに、と気付いて、点け直した電灯は何も無い地面を照らした。

「……誰のものなんでしょうね。内容から考えるに式島さんのではなさそうだ」

読んでしまった文面、思い返すだけで胸糞悪い。自殺未遂? ふざけるな。そんなに辛いなら黙って死ねば良いのに、それをわざわざ書き遺すなんて。周りの奴らを悪者にして、残された人達が巻き込まれてどれぐらい迷惑するか、どれくらい後味悪い思いをするか、考えたことも無いんだろう。そもそもそんな風だからーーーーーー。
その思考から抜け出せない俺がまた悪者だっていうんだろ。そう差し向けてくる名も知らぬあの日記の書き手に、また更にムカついた。
けれど行き場の無い苛立ちが、無関係の鑓ヶ岳さんに伝わってしまったら彼女に申し訳ない。だって俺達は、関係ないのだから。此処で空気を悪くするような失敗を俺は踏まない。表情を悟られないように、それから怖がらせないように、そっと鑓ヶ岳さんのそばを離れた。

「……同情はしかねますね……生きたくたって時間が無い人だっているのに、こんな逃げ方をする奴は……」

懐中電灯を手に墓石や足元を照らしながら、湿った地面を踏む。じめじめしていて空気が重い。臆する事なく墓石を覗き込む御子柴さんの肩越しに若干遠巻きながら墓石を見ていると、ふとあの音がまた聞こえ出した。あの音……暗闇の中で、きっと何者かが、地面を掘っている。此処にくる前に僅かに聞こえていたその音は、俺達が墓地に来てから次第に大きくなっているようだった。

「……静かに。……誰かが、穴を掘って…………暁町の人でしょうか? 墓穴を作っている…………でも、なんで……?」

既にだいぶ喋ってしまっている面々、そして自分自身に、「しっ」と人差し指を立て、声を潜めて墓石の陰に屈んで様子を見る。今更隠れたところで意味があるのかどうかは不明だけれど。

「……隠れながら、近づいて見ましょう」

俺は電灯を消し、朱色の月が落とす墓石の陰を縫うようにしてこそこそとその音のする方向へと向かった。勿論、一人で行くのは嫌だから、時々後ろを振り返り群れから離れすぎないように注意を払って。

>all


【ごめんなさい! 遅刻しました!!】

1ヶ月前 No.526
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