Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(417) >>

曉の彼は誰時。

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(5375) - ●メイン記事(417) / サブ記事 (266) - いいね!(29)

ホラーゲーム風 / 和風 / 脱出 @sweetcatsx☆2/Tw0gYxHcQ ★iPhone=VHGaT7ZbKj

 ――――朱月≠ノは気をつけて。

 ――――貴方も、ああなってしまうよ?


【 八月上旬 / 山の麓の町 バス停留所 】

 がたがたと揺られ続けること一時間。止まったバスをおりてゆっくりと辺りを見渡す。辺りには田畑、そして山。この山の向こうに目指している場所はあった。


 その山には入ったらいかん。
 その山の奥には、曉町がある。
 あの町は住人全員が神隠しにあった。もう誰も残っとらん。

 ――――あんたも、神隠しされちまうぞ。


 幾度となくかけられた言葉を愛想笑いで逃げ切って、一歩、また一歩と山の奥へと足を踏み込んでいく。生い茂る木々が空を遮るようにして立ち並んでいるせいか薄暗く、より一層怪しげな雰囲気が立ち込める。深い深い山道をただひたすら、真っ直ぐ。


【 八月上旬 / 曉町高台広場 】

 山道を何時間歩いただろうか。目の前に巨大な朱塗りの鳥居が視界に入る。安堵からか思わず溜め息が零れた。やはり、やはり実在していた。浮き立つ気持ちを抑えつけ辺りを見渡せば黒のワンボックスカーが視界に入る。……もしかしたら、広めの道もあったのかもしれない。

(…………他にも人がいるのか)

 心に小さく浮かんだ疑問。それらを拭い去るためにはこの中に入らなければ。深く息を吸い、ゆっくりと鳥居の下を潜る。――――その時だった。


「――――――――もう、逃げられない」


 鼓膜を震わせた少女の声。辺りに少女はいない。気のせいだったのだろうか。首を捻りながらもふと、視界に映った空に目を見開く。何故、どうして、空はまだ青かったはずだ。それなのに――――


 何故、空は闇に染まっているのだろう。
 何故、月はあんなにも赤く染まっているのだろう。


 ――――これは、閉ざされた町曉町≠ノ足を踏み入れた彼等に待ち受ける怪異譚である。

( 鈴の音が、聞こえた気がした )



 ///

( 冬だけどホラースレッドです! 兎にも角にもサブ記事へ! )

メモ2018/08/08 00:15 : スレ主☆e0aRNqDUyEM @sweetcatsx★iPhone-VHGaT7ZbKj

要必読事項(EDについて) → http://mb2.jp/_subnro/15697.html-234,250#a

イベントについて → http://mb2.jp/_subnro/15697.html-232,233#a


第一章『曉町』>>1-186

第二章『蠶』>>187-354

第三章『朱月』>>355-


【 登場人物 】

▼ オカルトサークル

 八岳龍矢(芙愛さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-41#a

 逢澤安玖(千羽さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-32#a

 鷸楓華(鵲さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-141#a


▼ 曉町探し隊

 御子柴ゆらぎ/ふわりちゃん★(夕邑三日月さん) http://mb2.jp/_subnro/15697.html-16#a

 鑓ヶ岳烈/足軽其の壱(すずりさん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-23#a

 狩谷真希人/よこぎる猫(かささぎさん) http://mb2.jp/_subnro/15697.html-63#a

 安仁屋右叉兎/シシO(推古さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-199#a


▼ ホラー小説作家と編集者とカメラマン

 早乙女和紀/カメラマン(トキさん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-37#a

 都城京(冬野)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-62#a


▼ 心霊番組の撮影の下見にやってきた関係者

 葉加瀬陽太/ディレクター(霖夜さん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-207#a


▼ ある理由からやってきた謎の人物

 式島柊平(神崎りりかさん)http://mb2.jp/_subnro/15697.html-28#a


▼ 村で出会った謎の少女

…続きを読む(1行)

切替: メイン記事(417) サブ記事 (266) ページ: 1 2 3 4 5


 
 
↑前のページ (367件) | 最新ページ

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★MpRc3BcAKQ_xKY

【逢澤安玖/玄関ホール】

 絶叫。絶叫。そしてまた絶叫に次いで絶叫。なのに何故だろうか、微塵も危機感は湧かない。そりゃあそうだろう。今のところ絶叫の件は九割ほどギャグである。
 取り敢えず、と安玖は思う。調べることで何かを知るという方法は自分以外だってやるだろう。ならば、自分しかしないであろう行動をとるのが、彼の判断だった。
 ポスターの前で何やら言葉を交わす、もはや見慣れたセットで立つ少女と女性に歩み寄る。都城さんと七ちゃん。年の離れた姉妹の様に微笑ましく、二人の放つ独特な柔い雰囲気に目を細めた。

「七ちゃん」

 騒がしい声に掻き消されかけながら、安玖は声を掛ける。それは視線を送るばかりで話しかけるのを後回しに――せざるを得なかったのが正しいけど――していた、盲目の少女。聞きたい事が沢山あった。不明瞭で言葉にしてまとめるにはあまりにも抽象的な、それでも自分達と彼女では確実に見えているモノが違う、数多について。

「……いくつか聞いても良い。多分、ぼんやりとした質問になるから分かり辛いだろうから。直感とかフィーリングで答えてくれたらいいけど」

 膝をつく。見えないと分かっていても少女の目の辺りをジッと見上げ、彼女の手を取る。逃がさない、と心の奥底で低く囁く。
 心優しい後輩や周りの少女達は、無条件に彼女を信じ切っていた。幼気で、か弱く、礼儀正しいからだろう。好感を持ちやすく庇護欲を掻きたてられるのは分かるけれど、不の方向にばかり人の感情の奥底までを探って生きていた安玖は、どうしても信じることが出来ないでいた。いつも、いつだって、まるでストーリーテラーのように自分達の行動を導く彼女が、どうしても安玖の中の不信感を煽っていた。

「君には、何が見えているの。何が聞こえているの。分からない、じゃなくて考えてみて。君にとって――いや、君にだけ見えている“それ”は、聞こえている“それ”は、どんなものなの」

「害を与えようとしているのか、縋ろうとしているのか、きちんと話しかけてきているのか、心の中で考えている時みたいに滅裂なのか」

 手始めに、問い掛ける。掴んだ手も向けた視線も外す事無く、安玖は緩く首を傾げてみせた。

>>七ちゃん、周辺ALL

12日前 No.368

都城京、七 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

12日前 No.369

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 玄関ホール 】


 ただポスターを見上げていた七であったが不意に掛けられた声にゆっくりと振り返る。きょろきょろと首を動かし声の主を探していたが伸ばされた手が自身の手を掴むと僅かに肩を震わせた。

「――――あいざわ、さん」

 ぽつり、と相手の名前を呟いたのは確認のためだった。安玖から向けられた言葉の端々に感じるそれに、思わず横から制止の言葉を発しようとした都城に首を横に振り「大丈夫です、他の皆さんを」と七はそう告げる。まるで、いつか来るであろうと気付いていたかのように、ただ目の前にいるであろう安玖の方に顔を向け、問われた言葉に僅か、悩むように、言葉を選ぶように、少し首を傾けながらも唇を開く。

「――――わたしは、何も見えません。まっくろで、まっくらで…………でもたまにぽつ、ぽつ、ってひかり……みたいなものが見えて……まるで、わたしを呼んでるみたいで……」

 問われた問いに対してそれはひどく曖昧ではあるが、それでも七は悩むように、考えるように、自分の意見を述べる。

「ざつおん、みたいに、頭の中に声がたくさんながれてきて…………たすけて、って、ころしてやるって、おまえも同じ目に、って…………みんな、くるしんでる。みんな……何かの心残りを、さがしてって、じぶんのかわりに、見つけてって」

 肩が震えるのは目の前の彼が怖いからではなく、ただ自分の中に流れ込むような無数の思いに故なのか、それでも俯くことなく包帯で包まれた瞳は安玖の方を向いていた。

>> 安玖くん、周辺ALL

12日前 No.370

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

『こ、こんにちは──こんばんは、だったかな……? あのー……もしかしたら、ここで女の人の霊を見たりしませんでしたか?』

「──!! 」
 突然話しかけられ、式島は息が詰まるほどに驚いた。身体をびくりを震わせ、鬼の形相で声の主の方を振り向く。しかし数秒男の顔を凝視したあと、それが無垢な表情を浮かべていることを確認してゆっくりと息を吐いた。
(なんだ、あの肝試し集団か。)そう思い、そっと心の中で安堵する。あまりにも探し物に熱中していたためか、彼らが書庫に入ってきたことさえも気づかなかった。
 体裁を整えるため、式島はコホンと咳払いをしてから男と向き合った。
「いや、取り乱してしまいすまない。女性の霊か……少し集中していたものだから気が付かなかったな」
 と、そう答えた直後、背後から──螺旋階段のほうからだ──女性の耳を劈くような悲鳴が飛び交ってきたではないか。
 式島は消滅した女の姿をしっかりと目視したあと、先程話しかけてきた男のほうを振り向いた。
「……もしかして今の女性のことか?」と、念のため彼に確認する。しかしそれを確認したところで何の意味もないことは式島も、そしておそらくこの男も分かっていた。

 突然現れては消えた幽霊──未だに信じられないが、やっぱりあれは幽霊なのだろう──を見て、同様の声量で叫んでいた女のほうを向いた。彼女は見覚えがある。式島が初めて人ならざるものに遭遇した時、その場に居合わせていた女だった。にこりと微笑みかけられ、「ご無事で良うござりました」と話しかけられる。その笑みにつられ、式島も自然と口角が上がった。
「ああ、君とは一度月舘家で会ったな。名前は確か……」
 一生懸命思いだそうとする素振りを見せながら、チラリと彼女が持つ日記を一瞥する。そしてそれが式島の探しているものではないと分かると、

「探し物というか……いや、別に大したものじゃあないんだ。ともかくみんな無事そうで何よりだ」

 と、まるで日記には興味がない様子で彼女の質問に答えた。


>安仁屋くん、烈ちゃん、周辺おーる様

12日前 No.371

御子柴ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ(制服バージョン)/図書館一階書庫】

 いい感じの反応を返してくれた烈と京に、ゆらぎはほくそ笑む。
「ふっふっふ、天才コスプレイヤーふわりちゃん★は世を忍ぶ仮の姿、こっちが真の姿のチート系女子高生みこみこです」
 普通逆だろうとか、そういうことには突っ込んではいけない。
 しかしそんなゆらぎの笑みも、開いた扉の先に見えたもののせいで綺麗に消え失せた。

 螺旋階段から落下した女性。血走った眼と目が合って。
「探さなきゃ……わたしの、たいせつな……おにいちゃんの」
 それは、誰の言葉だったのか。

「あわわわ……見た? シシOくん今の見た!? あ、わたしふわりちゃん★こと御子柴ゆらぎです!」
 女性二人はそれなりに驚いているのが見てとれたので、書庫の中に見えた背中に思わず問い掛ける。そしてやっと、ゆらぎはそこにいるもう一人の男性に目を向けたのだった。
 彼のことは、ゆらぎも以前見掛けたことがある……月舘家の中にいた警察官だ。向こうがゆらぎのことを覚えているかは分からないが。
「あ、おまわりさん……どぉも」
 取り敢えず会釈しておく。今を生きる受験生たるゆらぎとしては、消えてしまった幽霊より警察官の方が恐ろしい。
「あ、えーっと……探し物? 良ければ一緒に探します? どうせわたしら本とか色々漁るつもりだったし、人は沢山いた方が良いし」
 此処には探し物に来たという彼の言葉に、部屋を見渡しながら告げる。本棚に机に受付カウンター……図書館らしい図書館である。
 取り敢えずゆらぎは、手近なAと番号の付された机を調べることにした。

>右叉兎くん、式島さん、烈ちゃん、京さん

12日前 No.372

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・玄関】

俺の杞憂は安仁屋さんの勇気ある行動と鑓ヶ岳さんの一言によってひとまず解消されることとなった。
……なんだ、やっぱり人間か。しかも鑓ヶ岳さんの知り合いなのか……それなら良かった……。
それに、みたところ彼は警察官だ。もしかしてこれ、俺達助かったんじゃないか!? 変な山奥に閉じ込められて事件が起きるのは大体警察が到着できないからであって、警察が来たからにはもう安心ってやつ。助かった! ありがてぇ……。
不確定な期待に俺がぬか喜びしているその隣を、見慣れない制服姿が足早に通り過ぎて書庫の中へと入っていく。

「えっ……あ、……みこ、御子柴さん?」

誰だかわからなかったという顔をする一同の中で。どうしたんですか普通の女の子みたいな格好して、と喉元まで出かかったのは慌てて飲み込んだ。そういうことを言うから三流なんだと全然タイプじゃない同期の女子から言われたことがある。「あっ、今日いつもと違うよねそういえばもしかしてシャンプー変えた?髪 切った〜?」みたいなあれ。気遣い。いやいや、髪切ったどころの違いじゃねーだろ。なんでこのタイミングで着替え……あ、あのボストンバッグの中身って制服だったのか。

そんなことを思っている時。

『キャァァァァァァ』

響き渡る絶叫。全ての思考を吹っ飛ばして、全員の視線が書庫へと集まる。悲鳴をあげる隙すら与えず、螺旋階段の上から落下する人影。それは一瞬の出来事で、俺は駆け寄るどころか、自分が落ちるわけでもないのに反射的に肩を竦め固く目を瞑ってしまった。
「…………」
恐る恐る片目を開ける。
「…………!」
息を呑む。居ない。消えた。今確かに、人が落ちた筈なのに、向かう先の床には人影もなく、そこに落ちている何かを取り囲むようにして皆が難しい顔をして立っているだけだった。
……そんなばかな。
人ではないもの、いわゆる幽霊、そんな考えがまず真っ先に頭をよぎるが、幽霊って落ちるのか? ふわふわ漂ったり飛べたりするのがデフォルトじゃないのか? 消える転落死体……ありえない。

俺も皆と同じ程度の野次馬根性を捻り出して、皆と同じようにその人だかりの中に紛れようとしたが、ふと何かに引っ張られるように後ろを振り返った。ポスターが貼ってある壁、の下にいる、七ちゃんと逢澤先輩。都城さんはそこから送られるようにして此方に歩いてくる。残された先輩は身を屈めて正面から七ちゃんを見据え、逃がさないぞとばかりに手を掴んでいる。
ーー『……いくつか聞いても良い』
七ちゃんを、問い詰めているのが耳に入った。
月舘家に閉じ込められたばかりの時、七ちゃんを疑っていた俺は彼女に詰め寄りほんとうに目が見えていないのか試したこともあった。けれどそれに比べたら、先輩のやり方は随分と紳士的だ。なんだかんだでその場の雰囲気にほだされて、そういえば彼女の得体の知れなさ、全く明らかになっていない謎を忘れかけていた。
周りがある程度七ちゃんと仲良くなってしまったから、というのもある。自分が何度か七ちゃんを助けてしまったから、というのもある。あんな小さな子が先輩に力で叶うはずもなく、逃げ場もない追い詰められた七ちゃんを少し可哀想に思わないでもなかった。

俺がとめる、……わけがないだろう。
やむにやまれぬ弁明を聞いてほしい。
相手は先輩なんだ。それに引き換え七ちゃんは今日出会ったばかりの知らない人。しかもよく考えたら俺は七ちゃんのことをよく知らない。先輩が問い詰めるのも無理はない、俺も疑問に思っていたことばかりだ。……あの子には、そうされるだけの理由がある。だから。これは仕方のないことだ。だから。
……ごめんね、七ちゃん。

だから見捨てて、傍観していても良いんだ。何か有益な情報を吐かないかと、声を殺して、腕組みをして。俺が此処で立ち聞きしている事も、目が見えない彼女にはバレない筈だから。

>all様

11日前 No.373

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・一階 書庫】

酷く焦っていた様子だったため、そんな中で話しかけては不愉快に思われるだろうか、と今更ながら心配してしまった烈だったが、男性はそういった様子を見せることもなく口角を上げた。月館家ではばたばたしていて名乗っていてもそれを覚えるような暇がなかったので、此処で改めて名乗り直すことにしよう。

「拙者は鑓ヶ岳烈と申しまする。呼びにくい名前にござりまする、お好きなように呼んでいただいて構いませぬぞ」

そう名乗ってから、烈は男性が自分の持っている日記帳にちらと少しだけ視線を遣った。大したものではない、と彼は口にしているが、烈はそんな男性の様子から彼の探し物はやはり本なのでござるな、と察した。だとしたら烈たちと目的が一致しているのではないか。天才コスプレイヤーふわりちゃん★もといチート系女子高生みこみこ……ことゆらぎが言うように自分たちももともと本を漁るつもりで来たし、此処はお互いに協力するのも良いかもしれない。男性が何を探しているのかはわからないけれど、きっとそれは彼の調べていることに関係のあることなのだろう。

「ゆらぎ殿、拙者も手伝いまするぞ!此方を調べます故、何かありましたらお伝えくだされ!警官殿、どんな資料をお探しにござるか?もしそれらしいものが見つかったら此方からお伝えします故、お教えいただければありがたく思いまする」

そう声をかけてから、烈はゆらぎが調べていた机の隣にある、@と番号の記された机を調べ始めた。善は急げというやつだ。喋りながら探すとかどうなんだ、と突っ込まれそうだが烈は別に気にしてはいない。まずは曉村に関する資料を探さなければ。
そういえば七や京、それに安玖や龍矢といった面々はまだ玄関ホールにいるのだろうか。この書庫にいるのは少なくとも右叉兎、ゆらぎ、そして目の前にいる警察官の男性だけだ。手分けをして何かを探すつもりなのでござろうか、と呑気に考える烈は、玄関ホールで何が起こっているのかをまだ知らない。

>>式島柊平様、御子柴ゆらぎ様、周辺all様

11日前 No.374

都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 都城京 / 曉町立図書館 玄関ホール 】


 七に詰め寄る安玖を止めようとした都城だがそれを止めたのは詰め寄られた本人である七だった。七は、あの目の見えない少女は大丈夫だと、不安げでもなく怯えているわけでもなく、ただ確かな意思でそう都城に断った。だからこそ都城はそれ以上の言葉を掛けられずただその場を離れることしかできなかった。

「…………盗み聞きはよくないんやないですかぁ、なぁーんて」

 とりあえず自分は今出来ることをしよう、それが全員の為になるはずだ、そう思い他の者に続き書庫の方に進もうとし歩き始めたその時だ、ふと視界に映る八岳の姿に僅かに目を細める。そして口調は軽く、へらりとした笑みを浮かべながらそちらに近寄っていく。

「なにやってんです? 先輩さんとこも行かへんし、御子柴さん達も追えへんみたいやし、お姉さんがお話聞きましょかぁ?」

 ちょっと意地悪だっただろうか、そんなことを考えながら都城は八岳に声を掛けた。

>>八岳くん、周辺ALL

11日前 No.375

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/図書館・一階書庫】

 てっきり、後ろから、皆んなが付いて来るものだとばかり思っていたのに、横に居たのは烈だけのようだった。彼女は、直ぐ側に落ちていた日記帳を拾って、その場にいる一同に見せていた。
 先程の警察官と言えば──どうやら烈とは知り合いの関係にあるらしい──いつの間にか、自分たちと同じく、螺旋階段の傍まで来ていた。どうやら右叉兎ほど、日記の存在に興味を示さない様で、烈といくつかの言葉を交わしてもいた。
 すると、背後から右叉兎を呼ぶ声が聞こえてきて。
 この、聞き覚えのある声は……

「あぁ、確かに見たっスよ……」

 螺旋階段から落ちてきた、白い着物の女。
 髪の間からは、血走ったような瞳で、ハッキリと見開かれていた。
 警察官から質問されたのだが、アレが、玄関ホールで見た霊と同じ人物かどうかは、自信がないようで、知らぬ存ぜずの意味を込めて、右叉兎は小さく頭を振った。仮に、そうだと肯定する事もできたが、何故だか彼の前では、嘘は付けないような気持ちにさせられた。

「……ひっ、も、元の制服に、着替えていたんスか?」

 背後を振り返ってみれば、そこに居たのは、見慣れない制服を着た、女子高生だった。どうやら、ふわりんちゃん★こと、ゆらぎ本人であるらしい。右叉兎にとって、暁町、その二大ミステリーに挙げられている一人、その御仁である。
 ゆらぎだけは肝試し気分が抜け切れていないと思っていた──頭が単純な右叉兎は、コスプレを着て肝試しに赴くのが、最近のトレンドなのかと思ってしまっていた──。しかし、理由は定かではないが、今はゴスロリからセーラー服に着替えてしまっている。
 どうやら、右叉兎は現役の高校生であるが故か、セーラー服なぞ、毎日、見飽きて見慣れていたため、ゆらぎの意図を掴み損ねていたようだったが──年齢もちょうど彼と同じぐらいだろうと考えていたから余計に──、赤い、マニアックなメガネを掛けていることから、どことなく、彼女の拘りらしいものは感じ取れたらしかった。
 少しだけ、おっかなびっくりの右叉兎であったが、『どちらかと言えば、俺はまだゴスロリの方が、目の保養になったっス』と、言い掛けるところで、ゆらぎから提案があり、3人は、先ず、手近な机から探索を始めることにした。
 早速、彼は、机Bを調べてみることにしたようだ。

>> 式島柊平様、御子柴ゆらぎ様、鑓ヶ岳烈様、周辺all様

11日前 No.376

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★MpRc3BcAKQ_xKY

【逢澤安玖/玄関ホール】

『――――わたしは、何も見えません。まっくろで、まっくらで…………でもたまにぽつ、ぽつ、ってひかり……みたいなものが見えて……まるで、わたしを呼んでるみたいで……』

 ぽつり、ぽつり、とたどたどしく返される言葉に頷きながら目を細める。踏み込むことに対しての恐怖は無かった。何人もの人が小分けにして問い掛け不信感を煽るくらいならば、自分一人が不信感を背負った方がこの場では安全なのだと分かっていたから。……というのは半分ほどは建前で、恐らく、自分が苦手だと思う相手にどう思われようとも関係ないという考えのせいだ。

『ざつおん、みたいに、頭の中に声がたくさんながれてきて…………たすけて、って、ころしてやるって、おまえも同じ目に、って…………みんな、くるしんでる。みんな……何かの心残りを、さがしてって、じぶんのかわりに、見つけてって』

「心残り……」

 気になる単語を耳につけ、小さな声で反芻する。確かに月舘家も、神居家も――そして自分の母も、何か心残りにしていた事を叶える為に自暴自棄になりながらも彷徨っていた。そしてそれを叶える為に手段を選んでいない事も、それに関連した思考を回すことが出来ていないのも、感じてはいた。
 「助けて」という願いと「殺してやる」という理不尽な思いが同居する事なんて安玖は身をもって知っている。願いを叶えるのに自分ではもう無理なのだと投げ出し、見つけてくれそうな人に口に出さず押し付けて、叶えてくれなければ理不尽に怒鳴り、傷付ける。――まだ幼かった頃の自分もそうだった。

「……次の質問。その声はいつから聞こえてるの。最初この町で君が我に返ってから? 月舘家の前で僕たちに会ってから? それとも、月舘家に入ってから?」

「それと、気付いたら此処に居たって言ってたけど……俺達に会うまで、自分が何してたかは覚えてる? 記憶にある限りの事、俺に教えて」

 口から出る声色は馬鹿馬鹿しいくらいに優しかった。けれど、目の奥は決して“面倒見の良いお兄さん”ではなかった。掴んだ腕はそれ以上、緩む事も力む事も無く、ただ、七を掴み続けている。

>>七ちゃん、周辺ALL

11日前 No.377

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・玄関】

巫女服に、目隠し。突然現れ、何も覚えていないと言い、けれど誰も知りえない情報を口走る。盲目の少女。……謎だらけの七ちゃんの事を、俺も知りたいと思ったのは事実だ。七ちゃんに嫌われるのもあれだから、黙って気配を隠して立ち聞きしていたことも。

しかしそれは、まだ聞きたい情報を殆ど聞き取れていないうちに中断されてしまった。
七ちゃんのもとを離れて此方に向かっていた都城さんが話しかけてきた。俺が意図して声を発さずに立っていたことに気づいてか、気づかずしてか、へらへらと笑って声をかけてきた彼女を一瞬睨んでしまったかも知れない。
声を出せば俺が此処に居ることがわかってしまうかも知れない。いや、でも仮にだまって此処を去っても、「先輩」と呼ぶ相手がいる人物は、この中で俺と鷸先輩の二人だけだ。俺は本来、こういう心理戦や駆け引きみたいなのが全然得意じゃない。
あっけなく観念して、口もとをにやりと歪めた。

「……別に。あなた≪たち≫皆さんも、そろそろ真相を知りたかったところなんじゃないですか」

言葉の防衛戦を張り、俺は声を潜める事もせずに都城さんに正面から共感を求める。

「……それに、一対多数で尋問なんて、俺はそういうことはあんまりしたくありません」

>都城さん、(七ちゃん、逢澤先輩)、all

11日前 No.378

スレ主 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 玄関ホール 】


 七が何を考えているのか、包帯で隠された瞳がどのように動いているのか、それは誰も分からない。ただ、掴まれた方の手と反対の手で強く、竹箒を抱き締めた。

 自分の言った言葉を聞き、なにかを考えながら次の言葉を発しているのだろう、と七は思う。目は見えないがその分他の感覚を研ぎ澄ましているのか、反芻するような呟きに彼は今何を考えているのか、そんなことを七は思う。だがしかし続くように問われた質問にまた考えるように首を傾けながらゆっくりと唇を開く。

「――――気がついた時からずっと、です……どうして、って、――のせいだって、その声の方に歩いていったら……つきだて、のおうちで……」

 思い返すのは一番最初、七は記憶を辿りながら、遡る。七に聞こえたその声、それはきっと月舘家で出会ったあの夫婦であることは間違いない。そして、そのまま七は言葉を続ける。

「気がついたらまっくらな中にいて……こっち、こっち、って声についていったら……みなさんがいました。……わたしが、おぼえているのはそれだけ」


>> 安玖くん、周辺ALL

11日前 No.379

スレ主 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 都城京 / 曉町立図書館 玄関ホール 】


 都城から見た彼は、悪い印象はなかった。よく言っても悪く言っても今時な青年だと都城は踏んでいた。そして、そのやり方を悪い、とも思わない。分からなくもない、だけど、それでも都城は何となく意地悪をしたくなってしまったのだ、だって大人だから、なんて言い訳を内心しつつもこちらを睨むように視線を向ける八岳にへらりとまた笑みを零す。

「そうですねぇ、確かにこんなところはよ出たいし、分からへんことばっかりやし、気持ちも分からんでもないですけどねぇ?」

 安玖が七を問い詰める、その気持ちは都城だって分からなくもない。ただ都城は真っ直ぐに八岳を見つめ、その続く言葉に少しずれた眼鏡をあげつつも唇を開く。

「八岳くんってほんま優しいんやねぇ、お姉さんそういうとこ嫌いやないですよぉ。集団でやなんて、どんな事情があるにしろ、イジメにしか見えへんもんねぇ? ――――そんな加害者、わたしもなりたないですし」

 誰だって汚れ役は背負いたくないに決まってる、そう考えると逢澤くんはすごいなぁ、と都城は思ったがそれを口にする事はなかった。

>> 八岳くん、周辺ALL


(めっちゃ嫌な大人です!ごめんなさい!)

11日前 No.380

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★MpRc3BcAKQ_xKY

【逢澤安玖/玄関ホール】

「そっかあ。でもたまに乗っ取られてるって事は、強く聞こえる瞬間もあったりするのかなあ」

 今度はいつもの調子で、いつもの声量だった。ただの相槌で、ただの自分の考えの末端で、ただの確認だから。

「俺ね、あの町の入り口にある赤い鳥居が嫌いだって感じててさ」

 今度の言葉は問いでは無かった。
 屈んだ膝に肘を置き、頬杖をついて話し掛ける。精神的にとかじゃなく、少しくたびれてしまった。ずっと歩き回って、走って。あまり慣れていない古い家の中というのもあったし、裸足のような状態で地面を駆けまわるなど再三言うが幼少期以来だ。気持ちの持ちようでどうこうという域を脱しかける瀬戸際で、正直、足というか膝が痛かった。

「鳥居ってね、見えない壁の役割を果たしているの。特に赤い鳥居は土地神の力を高めて、厄災や魔力を弱める力があって、それを利用して魔物や幽霊と俺たちを隔ててる。神社に限っていえば、神域と俺らの生活領域を分ける為のものなんだけど」

「だったら、あの赤い鳥居ってまるで何かを町の中に閉じ込めてるみたいだよな、ってずっと思ってた。先輩に鳥居の話を振った時から、ずっと、考えてて」

「黄泉戸喫って知ってるかな。アレってね、食べなくても、長時間そこにいるだけで、同化していって気付いた頃には周りの死人と同じになる。死せずして死ぬんだけど」

 ねえ、と声を潜める。龍矢と都城さんがこちらを伺いながら何やら話しているのは気付いていた。というか声量的にもう隠す気ないだろうあの二人。一瞬だけ視線を向け、無感情な瞳を眇め、すぐに七ちゃんへと戻す。彼女へと向け直した視線は、探るようではあったけれどまだ優しさが垣間見えるものだった。――ただ少し、ぼんやりとしているが。

「七ちゃんはさ、ここを彷徨っている人が閉じ込められている人だと思う?」

「嫌な言い方だけど、七ちゃんの答えを聞いてたら、無意識に聞こえてくる声を取捨選択しているんじゃないかって思うんだけど」

「感覚的に、七ちゃんはこの“世界”をどう思うの」

「感情や声に引っ張られているだけかもしれないけど、もしそうだとしてさ。――引っ張られたり助けないとって思ったり七ちゃんが従おうと思ったりする声と、それ以外の声に、その声そのものや周りの空気感に、何か違いはあるの?」

 声量を抑えただけで、声色は変わらない。ただ目元を眺める視線はやはり何処かぼんやりとしており、何かを考えこむ方へと思考が移っていた。

>>七ちゃん、周辺ALL

11日前 No.381

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★iPhone=hWq7OA3GzI

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 鑓ヶ岳烈と名乗った女と話していると、いつのまにか制服を着た別の女が式島に近寄り声をかけてきた。どちらも下心といったようなものはなく、ただの親切心で彼に協力しようとしているらしい。
 彼女らの申し出を無下にするのも申し訳ないと思った式島は数秒考え込んだあと、観念したように息を吐いた。ここで変に突き返して付き纏われるよりかは、何か仕事を頼んだほうが邪魔されないだろう。そう思った。そう、思ってしまったのである。

「……そ、そうか。では鑓ヶ岳くんと……ゆらぎくんの言葉に甘えるとしよう」

 そう言って式島は手に持つ本をパタリと閉じた。「ゆらぎ」というのが制服を着た彼女の名字なのか名前なのかよく分からなかったが、鑓ヶ岳がそう呼んでいたから式島もそれに倣うことにした。(変わった名前だな、と内心思ったが何も言わなかった。)

「君たちが知ってるかどうか分からないが、俺は十年前にここで起きた暁町失踪事件を追っていてね。それに関連した資料を探しているんだ。もし何か見つけたら教えてほしい」

 式島は敢えて自分が本当に探している手紙のことは口に出さなかった。群青色の髪をした男を含め、三人が手当たり次第に辺りを物色し始めていたことに内心焦りを感じつつも、式島はそれを表に出さまいと懸命に口角を上げ続けた。手紙の存在も、自分が手紙を探しているという事実も、彼らに知られることだけは何として避けたかったのである。
(……大丈夫、大丈夫なはずだ。さっき図書館に行ったとき、俺は机の周りには行かなかった。あっちに手紙があることは、まずない。)

 そう自分に言い聞かせながら、式島は再び本を取り出しては戻す作業を繰り返した。早く手紙を見つけ出し、この場から立ち去りたいのが本音だった。


>烈ちゃん、ゆらぎちゃん、(右叉兎くん)、周辺おーる様

11日前 No.382

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ(制服バージョン)/図書館一階書庫】

 机の上の埃を払ってみたり、下を除きこんだりしても、そこには何もなかった。
「こっちは何もないや、烈ちゃんはどう?」
 ゆらぎは外れの意味を込めて手を左右に振りつつ、別の机を調べる烈に問う。しかし残りの机に移動することはなく、着替えたんすね、という右叉兎の言葉に振り返った。
「当てましょうシシOくん。貴方は今ゴスロリの方が良かったなぁとかこっそり思っている……でも残念ながら着替えました、なんか目の調子悪くてさ……コンタクト破れちゃったから諦めた。こっちのがまだ動きやすいしね」
 此処まで来て今更何を、と言われても仕方無いことは自覚しているので、ゆらぎとしても動きやすいという理由はオマケである。何処か残念そうにも見える右叉兎の様子に、辺りの――或いは玄関ホールの湿っぽく張り詰めた空気など無視しておどけて見せた。

 そのまま今度は本棚まで歩み寄ったゆらぎだが、膨大な資料に何から手をつけて良いのか分からず、結局適当な本を一冊取り出す。せめて郷土史でも探せばよいものを、その手に握られていたのは天体と神話について記したものだった。
「赤い月は月蝕やら大気散乱のせいなんだって〜……絶対違うよねこれ。何かもっと……災い、来てはいけないモノ」
 パラパラとページをめくりながら呟く。ゆらぎはゆらぎなりに関係のありそうなものを選んだつもりらしいが、それ以上の情報など都合よく転がっている訳もなく。
「発刊昭和57年……何年前だ? ねぇ、おまわりさんは昭和生まれです? 昭和57年はえっと……1980年くらい? あ、82年か。だと35年前で合ってる?」
 結局直ぐに本は閉じ、年代について柊平を巻き込んでブツブツ言い始める。
「うわ古っ……いやまてよ、昭和? 昭和まで生きてたのこの図書館……?」
 今まで探索してきた民家やら、出会った住人(?)やらのことを思うと、とてもそうは思えなかった。しかし言われてみれば、水洗トイレなんかもあったような……?
 そこでふと、ゆらぎはあることが引っ掛かって顔を上げる。
 今、柊平は何と言った? 十年前の……失踪事件?
「十年前? うっそ、十年前って平成じゃん! 平成19年!? ゆらぎちゃん9歳? 嘘ー!」
 それはつまり、十年前までこの町には人が居たと言うことなのだろうか? それが余りにも目の前の現実と解離しているように思えて、ゆらぎは無意味な情報まで交えて騒ぎ始めた。

>右叉兎くん、式島さん、烈ちゃん

10日前 No.383

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・玄関】

聞いた瞬間に、ぞわりと肌が粟立った。
……この女……。
穏やかな京風訛りの裏の含みが見え隠れして、俺は苛々と腕を組み替え、それでも落ち着かず両手をポケットに入れた。対抗して口角を上げる余裕もなく、俺はいよいよ疑心暗鬼の険しい表情になっていたと思う。

「……。優しくなんかありませんよ。……先輩のしていることを、都城さんは加害者だと思っているのですか。俺が先輩に嫌われ役を押し付けていると言いたいんでしょう」

まどろっこしいこと言ってないで、言いたいことがあるならさっさと言えよーー、と、いつもの調子なら言っていたかも知れないが、この人に今それをされるのは怖いので、やめておいた。
七ちゃんと逢澤先輩のほうは穏やかなもので、「トチガミ」とか「ヨモツヘグイ」とか聞こえてくる。……おそらくそっち系用語なんだろうけど……なんだっけそれ。無難に穏便に、素知らぬふりをして争い事は避けようと思っていたのに、何故だろうか向こうの方が平穏そうに見える。……くっそ、なんでこうなる。俺と都城さんが様子を伺っているのに気付いたらしい、一瞬此方を見た先輩と目が合った気がした。視線を躱し、都城さんに挑むように目を向ける。

「俺は、先輩のしていることを悪い事とは全く思っていませんよ。汚れ役とも思っていません。ーー当然のことです」

俺はそこに、卑劣な二人目三人目として加勢する気も無ければ、ヒーローみたいに劣勢のヒロインを助けに行く気も無いという、それだけ。
あんまり余計なことを喋っていると先輩に怒られそうだから、その視線に肩をすくめてから、都城さんにわざと気安く笑いかけてから人差し指を自分の口の前に立てる。面倒なことは有耶無耶にして逃げるに限る。
「さ、野暮な言い合いはやめにしましょう。同じ考えを持つもの同士、仲良く黙って見守りましょうよ」

>都城さん、(七ちゃん、逢澤先輩)、all様

10日前 No.384

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・一階 書庫】

手始めに机の上を探してみた烈が見つけたのは、月館家からお馴染みの丸薬だった。まだ服用したことはないものの、これが非常に苦い代物ということは烈もわかっている。出来ることなら怪我とかしたくありませぬな、としみじみ思ってしまう烈なのであった。ちなみに烈は思いっきり子供舌なので苦いものは好きではない。むしろ避けて通りたいところだ。

「なるほど、シシO殿はごすろりなるものがお好きなのでござるな!拙者もあのひらひらとしたお洋服は可愛らしいと思いまする!」

右叉兎の反応とゆらぎの推測を見て勝手に「ゆらぎ殿のセーラー服に残念そうなお顔をなさられている」と考えた烈は憚ることなくそんなことを笑顔で言い放った。健全な男子高生になんてことを、と世のDKが悲鳴を上げてしまいそうである。烈としてはあくまでも予想だし、自分もゴスロリは好きだからと好意的に受け取っているだけに過ぎないので余計に質が悪い。ゴスロリなるものをいまいち理解出来ていないのでイントネーションが少しばかり可笑しかった。

「拙者の方には丸薬がありましたぞ!拙者が持っておきます故、必要な時はお声掛けくだされ!」

ゆらぎに丸薬を見つけたことを伝えてから、烈はこの机には他に目ぼしいものがなかったので別の場所を調べてみることにした。とりあえず丸薬はリュックサックにしまっておく。次は警察官の男性が言っていた言っていた曉町の失踪事件とやらについての資料を探さなくてはなるまい。此処でまた自分たちが失踪事件だなんて扱われるのは烈とて御免だ。

「10年前……ということは、拙者も小学生にござるな。8歳だから……三年生にござるか」

ゆらぎの言葉にうんうんとうなずいて、知らなくてもたぶん生きていけるであろう自分の情報を公表してから、烈はゆらぎが調べているものとは別の本棚を探し始めた。郷土史などが有力になるのだろうが、薄暗い上にあまりにも膨大な量の書籍なのでそれらしい資料をすぐに見つけることは難しそうだ。本棚に目線を走らせながら、「シシO殿のところは如何にござるか?」と後方の右叉兎に声をかけた。

>>安仁屋右叉兎様、式島柊平様、御子柴ゆらぎ様、周辺all様

10日前 No.385

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 玄関ホール 】


 七が発した言葉に帰ってきたのは独り言のような言葉だった。七は独り言のような、呟きのような、問いではないその言葉をただ淡々と聞きながらとりい、と小さく呟く。

「――――」

 相手の様子の変化に七は疑問にも思ったがそれを口に出すことはなかった。良い印象を抱かれていないことぐらい、七にも分かっていたから余計に、ただ続く問いかけには竹箒をぎゅ、と握りしめそこで初めて七は俯いた。目を逸らし続けた、飲み込み続けた何かに触れるかのように。

「――――分かりません。此処は、こわいです。……何か、とってもこわいものが、わたしたちを追ってる、みたいな…………ここにくるひとすべてを、のみこもうとしてる、みたいな……」

 小さく、息を吐いてから唇を開く。

「…………みんな、みんな」

 ――――死んでしまえばいい。

 七の唇から零れ落ちたのは、七の声よりも低く冷たいものだった。七の言葉でない、全く別のそれは、ただそう言い放ち口元を歪ませ唇を開き何かを言おうとしたが「二人ともそろそろ私等も物探ししませんかぁー?」という都城の気の抜けたような声によって遮られる。

「――――逢澤さんも、行きますか?」

 次に唇を開いたその声は、確かに七のものだった。

>> 安玖くん、周辺ALL

10日前 No.386

都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 都城京 / 曉町立図書館 玄関ホール 】


 子どもをついついからかってしまうのは大人の悪いところだ、と全大人を勝手に代表して言い訳をする。八岳の様子を観察しながら、その言葉を聞きながら可愛いなあ、なんて場違いなことを思ってしまう。

「んんー、逢澤くんは間違えてへんし、悪いとも思ってないですよぉ、かっこいいやないですかぁ、私には真似できへんわ。こわいやないですか、嫌われるの」

 この多いとも少ないとも言えない人数の中、何が起こるか分からない中で、都城はそう言うと困ったようにばつが悪そうに笑みを滲ませる。残念ながら安玖には背を向けていた都城がその表情を見ることはなかったが聞こえてくる会話に危険がないことだけは安心していた。

「――――せやねぇ、逢澤くんのしたことは正しい。それは同意見ですよぉ、うふふー、意地悪して堪忍ねぇ」

 けろり、としたように明るい笑みを浮かべる。どうやらこれ以上は駄目だと本人も分かっているようで、引き際は弁えているようで、否、僅か鼓膜を震わせた七のものではないその声音にはっとしたように振り返る。嗚呼、なるほど。怖い顔だ、と安玖に微笑みかけながら盲目の少女を見つめる。

「二人ともそろそろ私等も物探ししませんかぁー?」

 少し大きめな声でそう七達へ声を掛けてから、もう一度八岳を振り返り見つめ「ただちょっと、ずるいんとちゃうかなって思って、意地悪しちゃいました。ああでも、そういうところ可愛らしいなぁってお姉さんは思いますよぉ」なんてからかうように一言付け加えながらウインクを落とす都城なのだった。

>> 八岳くん、七、安玖くん、周辺ALL

10日前 No.387

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★MpRc3BcAKQ_xKY

【逢澤安玖/玄関ホール】

「……」

 普段の七ちゃんから聞こえると思えない、というべきか。それとも時折、垣間見える不穏さから言えば想像通り、というべきか。どちらにしても、この場に於いては非常に洒落にならない物言いに眉を寄せる。
 自分がたまにやってみせる、低い声とはわけが違った。龍矢のように言ってみれば、生物学上は絶対にありえない。明らかに声帯が別人だ。
 ――なるほど、ねえ?
 にっこり笑う。手首を緩く握りなおし、彼女の耳元に口を寄せた安玖は言葉を落としていく。

「最後に。これは質問じゃなくて忠告」

「この町から逃げたいと思うなら、誰かを助けたいと思うなら……やり遂げたいと思う何かがあるなら、その全てについて自分の力でも考えた方が良い。分からないとか、ぼんやりしてるとか、そうじゃなくて。例え支離滅裂であっても自分の持つ言葉を全て使って限界まで周りに伝えた方が良い」

「そうやって自己主張しないと、僕みたいな最低な大人に容赦なく見捨てられかねないよ」

 囁き落とす言葉は酷く大人げないものだった。笑顔のまま、まるで幼子の内緒話の様に、自分よりも遥かに下の少女に言葉を注ぎ続ける。

「君が信じている周りの“強いお兄さん”も“優しいお姉さん”も、君の心内を言葉にしてあげるような優しさは向けられないからね。言葉にされていないものを信じてやれるほどヒロイズムに飛んだ人間だって、この場にはいないと思った方が良いよ」

「特に僕は、君みたいな怯えてばかりで聞かれないと口を閉ざし続ける人間が――気に入らないから」

 離した手で緩く少女の頭をぽんぽんと撫でると、会った当初と変わらないお兄さんぶった笑顔を浮かべ直す。そして箒を持っている手とは逆の手を取り、立ち上がる。都城さんがこちらに笑いかけていたから、安玖もまた、笑い返し歩き出した。

「やっぱり七ちゃんは都城さんの方が良いよね。行こうか」

 先程まで見せていた不信感や嫌悪感を全てそぎ落としたような、やけにさっぱりとした声色だった。

>>七ちゃん、(都城さん)、周辺ALL

10日前 No.388

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

「いや、俺はただ、さっきのゴスロリ風の衣装の方が、俺的には、まだ目の保養になるなあって思っただけで、別に、今の服装が気に入らないってわけじゃ、ないっスからね……ッ!? あと、足軽其の壱さんも、あんまり揶揄わないであげてくださいっスね……?」

 ズバリ図星を指摘され、何だかこそばゆい思いのした右叉兎は、自分でもよく分からない、弁解めいたものを始めてしまっていた。照れ隠しに、強がって見せるような態度を取って見せるのも、思春期の男子特有のアレなのである。
 烈もただ、右叉兎に、本心を伝えたかっただけのようだったが、当の本人には、その本意が伝わってこなかったようで、だけれども、その言葉ほど迷惑がっていっる様子は見られないようだった。

 机Bを探索していた、右叉兎の手には今、【破られた手紙 一】がある。
 本棚の方へさっさと歩いて近付こうとする、ゆらぎの後ろ姿を尻目に、手紙を読み始めたが、さすがに、この場では、声に出して読み上げたりはしなかった。その時はまだ、皆んなが揃ったタイミングを見計らって、折を見て披露すればいいだろうと考えていた。
 ゆらぎは既に、パラパラとページを捲りながら作業を始めていた。ポツポツト聞こえてくる単語を聞き取れば、どうやら例の朱月に関する資料を、読んでいるらしいことが分かった。そんな彼女を他所に、一人、警察官の男へと近寄って行った。

「お巡りさんも、よろしくお願いします。あっ、俺、安仁屋右叉兎って言います。俺は、あっちの方を探してきますね」

 右叉兎はそう言って、手近な本棚から物色し始めた。
 ちょうどすぐ後ろには烈の姿があった。

「ん〜……正直どうなんだろう。あれだけの本を全部、調べるわけにはいかないっスから、ある程度、ジャンルを絞っていかないと……たぶん、ここに居られる時間もあんまない気が……俺たちはこの町に閉じ込められている以上、ここで、食って寝てとかしなきゃいけないんだろうけれど、それにも限度があると思うんスよね……」

 かく言う右叉兎は、このような事態を想定していなかったせいか、予め準備していたものなど、殆ど皆無なのである。

>> 御子柴ゆらぎ様、鑓ヶ岳烈様、式島柊平様、周辺all様

10日前 No.389

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★iPhone=hWq7OA3GzI

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 ししまるどの……? ごすろり……?

 聞き慣れない単語がいくつかあったが……ともかく、自分が発した「十年前」という言葉に意外な反応を見せた鑓ヶ岳と御子柴に式島は少し戸惑った。自分がつい昨日の出来事のように考えていたことが目の前にいる少年少女たちにとっては途方もなく遠い過去の話であるようで、自分が何歳の頃の話だと、二桁にも満たない数字を言い合っているのが何だか微笑ましくも感じた。分かっていたことではあるが、やはりこの子たちはまだ若いのだ。

「……俺か? 俺は昭和60年生まれだから、その本のほうが年上になるな」

 御子柴が手にした本を覗き込み、自分もパラパラとページをめくってから答える。予想はしていたが、やはりこの本の間にも手紙はなかった。

「ああ、暁町(ここ)は伝統ある町だった。それが十年前、突然町民全員を消して廃れたんだ」

 図書館の古さに驚きを隠せない御子柴に対して、まるで思い出に浸るかのような郷愁感漂う様子で式島は語った。それはただ事件を追っている人の顔ではない。平静を装ってはいたが、その表情には憎悪や哀愁といった色々な負の感情がぐちゃぐちゃに押し込められていた。

「……犯人はまだ捕まってない。君たちも遊ぶのは大概にして、早くお家に帰ったほうがいい」

 そう静かに告げたあと、式島は安仁屋右叉兎と名乗った男のほうを振り向いた。彼も鑓ヶ岳と御子柴と同様、式島に協力的なようだった。一生懸命思考を巡らす男の様子を見て、式島は口角を上げる。

「何かあったらでいいよ、安仁屋くん。俺も前に一通り暁町立図書館(ここ)を調べたが、そこまで目新しい情報はなかったから――」

 そこまで言って、式島はハッとあることに気が付いた。探す手を一瞬止める。数時間前にもここを訪れたときと、微妙に本の配置が変わっていたのである。


>烈ちゃん、ゆらぎちゃん、右叉兎くん、周辺おーる様

10日前 No.390

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 玄関ホール→一階書庫 】


 忠告、その後に続く言葉を七は脳内で反芻させる。朧げで曖昧で不確かなその脳で、鼓膜を震わせるその声音は、言葉は残酷なものにも聞こえるが七はゆるり、と口元に弧を描かせる。小さな小さな、笑み。

「――――みんなででられるよう、わたしも、微力ながらがんばりますね」

 だれも、おいていかれないように。
 そう小さく呟きながら、頭に触れたその手に首を傾けながらも引かれるように七も足を踏み出す。

「――――――あっ」

 手を振り返す安玖の姿とその隣を歩く七の姿にほっとしたような表情を浮かべる都城とは正反対に、七が言葉を落とす。驚いたように、戸惑ったように、他の者がいる書庫の方へ歩きながらもきょろきょろと不安げに辺りを見渡しそして顔をあげる。

「……としょかんは、本があるところ…………わたし、本は読めない……」

 今更すぎるやろ、七が発した如何にも今気づいたかのような言葉に内心で都城はついつい突っ込むのだった。

>> 安玖くん、都城、八岳くん、周辺ALL

10日前 No.391

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・玄関→一階書庫】

……ほら、やっぱり思ってることは同じじゃないか。俺とあなたは傍観の共犯だ。だけどこれは別に悪いことじゃ無い。臆病者の同類、なのに大人ってのはずるい。
同じ意見の者同士、という此方の交渉に応じてこれ以上事を荒立てないでくれるのはありがたいが、でもなんか最後は子供扱いで茶化された感じがして、俺は少しむくれた。都城さんて、なんか最初は御育ちの良いお嬢さんって感じなのかなと思ってたけど……案外そんな一筋縄ではいかなさそうだ。俺は都城さんと違ってこの状況を面白いとは思わない。人との衝突なんて面倒臭い以外のなにものでもない。

「…………気にしないでください、どうせーーーー」

言いかけた言葉は、傍聴の狭間に突然現れた信じ難い声によって中断された。思わず、都城さんと同じタイミングで俺も七ちゃんに視線を奪われる。
今のは…………?
七ちゃんがまるで別人のように、声まで変えて誰かの言葉を口走ることは前から何度かあった。俺はその度に眉を顰めその神託もどきを聞いてきた。声質を変えることは現実的に不可能では無い。同じ声帯でも周囲の筋を使って閉じ方や震わせ方を変えれば、または共鳴腔をうまくコントロールすればある程度声質は自在に変えられる。けれど、七ちゃんの声をそれだけで説明できるかといえば、答えはノーだ。声帯の長さは決まっているし、他の要因である骨格や体格は変えられない、つまり何が言いたいかというと……生物学上ありえない。
などという御託を並べているということは、要はつまり、説明のつかない現象は怖い!!

「そ、そうです! 探索に戻りましょう!」

それにあんな不穏な感じの声で言われたら。あれは、誰からの誰に宛てられた、声なのだろう。都城さんの号令に引きつった調子で答えてからその背中に続く。
都城さんが振り返る。彼女の言葉に言いかけて遮られた言葉を思い出した。

「ーーどうせ、みんな仲良くずるいんだから、良いんです」

都城さんも笑ってくれたし、和解はできたようで何よりじゃないか、そうだろう? 円満が一番。やっぱり平和に仲良く行きましょうよ。皆で脱出できるように。
ウインクを投げてきた大人に、「いい歳して……」と言おうものならそれこそ平和がぶっ壊れそうなので、それだけはそっと心の中に閉じ込めて、大人しく探索に戻ることにした。

>都城さん、(七ちゃん 、逢澤先輩)、all

10日前 No.392

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館一階書庫】

 烈は毎度お馴染みとなった丸薬を見付けたついでにゴスロリへのフォローを語り、右叉兎はしどろもどろになって弁解を続けている。
「うん、分かる。ぶっちゃけわたしもさっきの方が好き。制服って無個性じゃん、自分が塗り潰されちゃうような感じ、本当はあんまり好きじゃない」
 右叉兎が見抜いた通り、ゆらぎは自分の格好には拘る方だ。ならば何故着替えに制服を持参したのかというと……その方が何かあったときに学校行事だ何だと言い訳が出来るという打算である。

 そんなことを言いながらも、ゆらぎは再び柊平の言葉に考え込む。
「伝統ある町……なのは間違いない気がする。でも、十年前まで人がいたにしては寂れ過ぎているというか……文化が外とずれているというか……うーん、ゴーストタウンの都市伝説は多いし連続殺人事件とかで滅びた村ってのもありがちだけど、だったら失踪じゃないよなぁ……いや、月舘の人達殺されてたんだっけ……? 鳥居が結界で時空が歪んでるとか……」
 彼の、この町の歴史を知っているかのような素振りには言及せず――と言うか気付かずに、ゆらぎは自身の記憶と知識を総動員して考える。それで何か思い付くかと言われれば何もないのだが、図書館、人形の家、月舘家とここまでのことを反芻する。
「帰れるなら帰りたいけどね……月舘家には閉じ込められるし女の子には追い掛けられるし、ふじのちゃんのパパには此処へ行けって言われたし……多分、ちゃんとした手順を踏まないと出られないんだと思う。図書館も鍵が掛かってるのかは見てないけど、仮に入り口の鳥居まで引き返したとしても出られない気がする……モウ逃ガサナイ、みたいな」
 最後はわざと声色を変えて告げる。無理矢理低い声を作った物騒な言葉は、折しも少しだけ七の唇を震わせたそれと似ていた。

「あ、なっちゃん! 京さんとパパも……安玖くんももう来るかな? 着替えてたわたしより遅いとか心配するじゃん」
 そして書庫に入ってくる七に駆け寄り、その背後に続く面々を確認して安堵の息を漏らす。
 辺りを見渡せば、皆はそれぞれ本棚に意識が向いているようだが、どうしたものか。
「さてどうしよっか……図書館なら本の分類くらいされてるだろうし、郷土史的な棚探してみる? それか人海戦術で虱潰しか……あ、二階もあるんだよね、行く?」

>周辺all

9日前 No.393

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・一階 書庫】

遠慮のえの字もなく烈に指摘された右叉兎は気恥ずかしそうな、そして気まずそうな表情をしながら弁解する。その様子がなんだか微笑ましくて、烈はこんな状況にも関わらずにへーと緩い笑みを浮かべてしまった。うんうん、仲良きことは美しきかな。相手が迷惑がっていないことをわかっているからだろうか、笑みを浮かべたまま右叉兎の言葉に返事をする。

「むっふっふー、了解にござるー。いやぁ、シシO殿もそういったお顔をなさられるのでござるなー」

なんだその語尾は、と言われそうなくらいにはわざとらしく語尾を伸ばして、烈は再び本棚の探索に戻る。しかし普段から読書をする訳ではない烈が本と対峙したところで、彼女がどうこう出来る余地はなかった。クエスチョンマークを頭上に浮かべながら、とりあえず手近な場所にあった郷土料理の本と曉町にあったのであろう小学校の文集を持ってゆらぎと警察官の男性のもとへと戻ってきた。「拙者のところにあったのはこれくらいにござる」と伝えてから、二人の話に参加させてもらうことにした。

「町民全員が、消えた……?それは、町が廃された訳ではないのでござるな……?だとしたら、うーん……神隠し……?しかも町民全員を……?」

10年前、この曉町の町民全員が姿を消した。そんな話を聞いて、烈は驚くと共にそっと二の腕を擦る。もし探索の前の自分だったら「神隠しなんてあるわけなかろう、あっても温泉でお手伝いすることになるアレでござりますな?」みたいに呑気なことを言っていられただろう。しかし実質閉じ込められたと言っても良い現在の状況ではそんなこと言っていられない。

「うぅ、その点については申し訳ござりませぬ……。ゆらぎ殿の言う通り、我等は帰りたくても帰れない、そんな状況に陥っているのでござる。手順にござるか、やはり何かしらの儀式に挑まねばならぬのか……?なんだっけ、たしか曉がどうたらこうたら、みたいな……」

ゆらぎの言葉に同調してから、帰るための手順について烈は思いを馳せる。何処かで見つけた日記の中に、曉だか何だかと記されていたことを思い出す。あれは一体何のことなのだろうか。考えても思い付かないので烈はとりあえず後ろから追いかけてきた七や京などの面子におーいと手を振る。良かった、はぐれた訳ではなかったようだ。

「皆様、お待ちしておりましたぞ!二階にも書庫があるというのなら其処も探してみるべきにござるな。あと此処で探していないところは……」

見落としているものはないかと、烈はまだ誰も見ていないと思わしきCの机の上を見てみたり、引き出しを開けてみたりした。少しの見落としもいざとなったら命取りになる。だとしたらちょっとしつこいくらいに探すのがいちばんだ。

>>周辺all様

9日前 No.394

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

 右叉兎は見逃さなかったが、普段から感情を表に出さなそうな大人しいタイプの人である。その時も、柊平の変化は微々たるものであったが、右叉兎だけはどうやら、その僅かな表情の変化に気が付いてしまった。
 これは一番下に産まれた末弟の習性であろうか、彼はよく、自分より年上の大人を観察する傾向にあるらしい。

「……もしかして、前に来た時と、何か変わったところでもあるんじゃないっスか? 以前にも、ここ──曉町立図書館──を訪れて一通り調べたことがあるんだったら、俺たちに協力を仰がなくても、その記憶を辿りさえすれば、すぐに探し物に行き着くと思いまスけど……」

 右叉兎は、柊平が本当に探したかったものを知らないにしても、ただ純粋な気持ちで、彼に、助け舟を出したつもりのようだ。
 彼とは此処──曉町立図書館──で会うのが初めてだが、烈やゆらぎとも知り合いであるそうだし、彼自身の現在の身分もあってか、今のところは、彼のことを完全に信用し切っている。
 という次第で、柊平の嘘を見破れないのも、当然なのであった。大人を疑いはするが、その悪性を、右叉兎はそれも良しとして信じ切ってしまう。これは危うい傾向なのだが、彼はまだ、大人の、延いては、人間の善悪の良し悪しを、よく理解できていないのである。

 いま自分の手元にある手紙が、本来、彼の探している物だとは露知らず、その探し物に協力的な姿勢を見せている、右叉兎であったが、まさか、恋人との再会を願った手紙の一部が、今回の神隠し、その謎の糸口に繋がるヒントになるとも思えず、未だに手元の中で暇を取ってもらっていた。

 右叉兎は柊平の言葉の端々から薄々感じてはいたが、暁町の住民失踪に関する事象を、この人が、ハッキリと事件だと言っていたのを思い出した。事件と呼ぶからには、まず被害者があって、そして同時に、加害者が存在するものだ。
 これがオカルトに類するものなら、単に、神隠しとだけで済ませられるものを。大人とは、子供とは違って、こうも物を見る視点も異なるものか。根が単純な右叉兎は、この町に、何か強大な陰謀が渦巻いているような様相を想像した。

「でも……流石に一人では限界がありますし、見落とし、もあるかもしれないっスね……ッ!! 俺も、何か分からないことがあったら、お巡りさんに聞きに行きますので、だからお巡りさんも、何かあったら遠慮なく俺たちを頼ってください」

 僅かな思索から、この図書館の書物を虱潰しに探すよりも、この大人に頼った方が効率的だと判断していた、右叉兎は、最初に会った時とは打って変わって、臆面もなくそう言い放った。

>> 式島柊平様、周辺all様

9日前 No.395

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

玄関から透明なガラス戸をくぐった先は、大きな書庫だった。壁一面の本棚、並べられた四つの大きな机、受付カウンターに、螺旋階段。水槽の中の景色のように眺めていた景色が目の前のものとなって、一歩踏み入れると改めて周囲を眺め回した。
俺達を呼ぶ声が……尤も、俺の名前はパパじゃないんだけど……声がして、本棚に奪われていた視線を戻せば、すっかり制服バージョンの御子柴さんが出迎えてくれた。さっき戻ってきたばかりの時に一度見ているから初見ではないけれど、やっぱりなんとなく見慣れない。別に悪くはないと思うけれど。

「ああ、すみません遅くなってしまって。ええと、何の話ですか?」

先に書庫に入っていた御子柴さん、鑓ヶ岳さん、安仁屋さん、そして初めから書庫にいた警察のお兄さんは机や本棚を探りながら十年前がどうとか、神隠しがどうとか、そんな話をしている。断片的に会話を拾っているに過ぎない俺は、状況を確認しながら、
(十年前? ……そんな最近の話なのかこれ?)
と内心首を傾げた。

どうやら皆は本棚の資料から暁町の秘密を紐解こうとしているらしい。俺もとりあえずそれに倣って、身近な本棚の一つに並ぶ背表紙に、ざっと目を通してみた。

>周辺all様

9日前 No.396

都城京、七 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 都城京、七 / 曉町立図書館 玄関ホール→一階書庫 】


 八岳の言葉ににっこりと笑みを浮かべる都城はそのまま合流した七達とともに玄関ホールをくぐりその先へと向かう。辺りをきょろきょろと見回す七を横目に見つつも都城も視線を彷徨わせる、と、見覚えのない人物が一人。誰だ? どう見ても警察官であることは間違えない。そして此処には若者ばかり、記憶のなくした幼い少女までいる始末、冷や汗が流れる感覚、やばい、小さく呟きつつもこちらに寄ってくるゆらぎにへらり、と笑いつつ唇を開く。

「――――ゆらぎ、さん?」
「お待たせしてしもてごめんなさぁい、つい井戸が気になってしもて出遅れてしもたわぁ、えっと……そちらさんは、警察の……」

 月舘家で出会った事も都城は全く覚えていないしむしろ都城も七も式島とは鉢合わせていなかったはずだ。ついつい年長者故か、緊張してしまう。

「――――たくさん本がある、みたいですし……二手に別れたほうが、探しやすいかもしれませんね……」

 ゆらぎの言葉にこくん、と七が頷く。とはいえ本の探索には全く向いていないが七の顔は螺旋階段の先、二階を見上げていた。

「まあこんだけ人がいはるんやし、それになんかあっても叫んだら届きそうやしねぇ」

 都城は辺りを見渡す。道は二つ、螺旋階段を上り二階にあがるのか、端にある受付カウンターの向こう側に扉が一つ見えるのでその先にも道があるのだろう。そのどちらかか、と都城は心の中で呟きどうしましょ、と首を傾けた。

>> 周辺ALL

9日前 No.397

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★iPhone=hWq7OA3GzI

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 式島の忠告に対し、御子柴は考え込むようにして今までの経緯を話してくれた。なるほど、彼女たちは式島と行動を別にしている間に様々な怪奇現象に苛まれたらしい。町から出るための「手順」があると、御子柴と鑓ヶ岳は口を揃えて言っていたが、果たして本当にそんなものがあるのか、式島は俄かに信じがたかった。馬鹿馬鹿しい。彼女たちはこの町をカラクリか何かと勘違いしているのではないのだろうか。今まで潜り抜けてきた道のりを全く知らない式島は懐疑的だった。……ただ先程の消えた白い女といい、暁町が以前のものと変わり果てているのもまた事実だった。

「……あ、いや大したことじゃないんだ。前に見たときと本の並びが違うような気がして」

 そうだ、この本棚だってそうだ、と安仁屋の問いに答えながら式島は考える。人為的なのか、はたまたそうではないのか式島が知る由もなかったが、気に留めていなければすぐにでも見落としそうな変化がこの図書館には散りばめられてある。玄関の鍵だってそうだった。式島がここに入ってきたとき、図書館の扉は確かに開いていた。しかし先ほど安仁屋たちは鍵を開けてここに入ってきたのだ(ガチャリと音が聞こえたから間違いない)。やっぱりこの町はおかしい。式島は考える。釈然としない何かが、奇妙な違和感が胸の中を渦巻いていく。この子たちの言う通り、これは霊の仕業なのか……?

「記憶か……。……嗚呼そうだった、俺は十二年前にもこの町を訪れて、それで翔子と逃げようとして……いや、違う、何を言ってるんだ俺は。翔子がいなくなったのは三年前で……だけど一週間前に手紙がきて……それで……」

 『記憶を辿る』と言った安仁屋の言葉に触発され、式島は思い出そうと試みるが何故か頭の中が靄がかかったようになって上手く思い出せない。そもそも何故あんなにも手紙に執着していたのか、どうして他人に見られたくなかったのか、肝心な部分が思い出せなかった。じんわりと額から冷や汗が出る。思い出そうとすればするほど頭がガンガンと割れるように痛んだ。
 『遠慮なく俺たちを頼ってください』そう凛とした声で言った彼の顔を横目に見て、式島は再び口角を上げた。

「……ありがとう。こんなことを君たちに言うのはおかしいが、俺は暁町失踪事件の犯人に妻の翔子を殺されたんだ。だから何があっても俺はその犯人を捕まえなければ気が済まない。そう、何があっても……」

 そこまで言って式島は口を噤んだ。後ろから次々と現れた面々に軽く会釈をしてからその場に座り込む。そして胸ポケットから煙草を一本取り出し火をつけた。その手は少し震えていた。

「……悪い、少し時間をくれ。俺は暫くここにいるから君たちは鑓ヶ岳くんやそこの女性の言う通り、他の場所も行ってみるといい。二階もかなり広かったからな」

 皆がいない方角に向けてふう、と煙を吐く。少し心が落ち着いたような気がしたが、それが一瞬のまやかしであることは式島も分かっていた。


>周辺おーる様
(こんなこと言ってますが、無理に問いただしてもらっても本体的には全く問題ありません笑)

9日前 No.398

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_a2e

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

5日前 No.399

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・一階 書庫】

警察官の男性は何を気にしているのだろう、と気になっていた烈だったが、彼によれば本棚の配置が変わっているのだという。たしかにこれまで動くはずのないものが動いたり勝手に移動したり消えたりすることはあったので、烈は男性の言葉に特に疑いを抱くことはなかった。慣れって怖い。烈とて慣れたい訳ではなかったが、これまでの体験からして変な慣れが出てしまうのは仕方のないことである。慣れたといっても驚かなくなった訳ではないのだが。

「うむ、ゆらぎ殿、解説の方かたじけない!我等が此処で見聞きしたのは今のお話の通りにござる。僭越ながら拙者も二階へ参りたく思いまする!」

これまでの経緯を説明してくれたゆらぎに謝礼の言葉を述べつつ、烈も二階の探索をしたいと申し出る。先程女性が飛び降りてきた場所だ、何か鍵になるものがあっても可笑しくはないかもしれない。最初はなんだかんだで怖がっていた烈も、本格的に肝が据わってきたようだ。たぶん此処から脱出したらあったこと見聞きしたことを洗いざらいまとめてエッセイにでもしそうな勢いである。エッセイを通り越してもはやそれはちょっとしたホラー大作なのでは?という突っ込みはお控え願いたい。烈の文章力だとエッセイにもならない可能性がある。

「編集者殿、此方は、警官の……警官の、警官殿でござりまする!月館家からお世話になったのでござるよ。警官殿も目的があって此処に━━━━警官殿……?」

京に警察官の男性のことを紹介しようとして、しかししっかりと名前を聞いていなかったこともあってなかなか苦しい感じの紹介になってしまった。目的も似通っているものだし、此処でお互いに協力出来たら……と思った烈だが、彼の様子が芳しくないことに気づく。妻を殺された。男性の言葉には烈も言葉を詰まらせてしまう程の重みがあった。だから彼はあんなに急いた様子で何かを探していたのか。

「……左様にござるな。お辛いことを聞いてしまって申し訳ございませぬ。何かお有りでしたら、遠慮なく我等をお呼びくだされ。出来る限りの範囲にはなり申すが、力になりますぞ」

これ以上詮索するのは無粋だと考え、烈は一同に向き直ると「さ、皆で探索にござりますぞ!」と妙に大きな声を出す。もともと声量の大きい烈ではあるが、この時ばかりは何処と無く作為的なもののように聞こえた。

>>周辺all様

5日前 No.400

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★QcvG4dbRTI_xKY

【逢澤安玖/一階 書庫】

「……」

 大切な人を殺された、その言葉に安玖の体がピクリと跳ねた。けれど、すぐにくあぁと呑気な欠伸を漏らしていた。
 きっとかつての安玖なら酷く動揺して、更に最悪なところまで行きつけば錯乱していただろう。でも今は胸を痛ませるだけで、心の全てを明け渡すほどの事では無くなっていた。……徐々にではあるが、そんな事を考えていられるほど生易しい展開では無くなってきているというのもあるだろうが。
 適当に物色していた安玖は「二階」という単語に反応した。言われてみれば皆が口々に「落ちてきた」と証言していたのだから、当然、二階も存在するだろう。そして今までの経験則から言って、フィールドとなる舞台の隅から隅までヒントが隠されていた。

「それなら俺も、二階に行ってきます」

 ならば全員でぞろぞろと連れたって移動するよりも別れた方が早いだろう。そう判断しての提案だった。片手をあげ、視線を巡らせる。

>>周辺ALL

【すみません、短いレスになってしまいました】

5日前 No.401

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/一階書庫】

「なるほど……」

 口に出すことまではしながったが、右叉兎は、柊平が探していると言っていたものが、本当はその悲惨な事件に関する資料などではないかと勘を働かせていた。何せ、さっきはひょんなことから口を衝いて出ていたようであったが、普通なら、あまり話題にはしたがらない事案なのだから。
 その切っ掛けを作ったのは、間違いなく右叉兎本人であったのだが、当人は特に反省する素振りも見せず、かといってそれ以上、相手の領域に踏み込むような間違いは侵さなかった。

「いえ、お辛いんでしょうけれど、それでも俺たちに話してくれてありがとうございます。
 お巡りさんって、12年も前に──つまり、例の事件が起こる前にも──暁町を訪れていたんですよね? そういえば、(12年前の)当時も『神隠し』みたいなことってあったんですか? それとも、ある日、突然誰も居なくなったりとかしたから関係ないのかなあ。
 どうも、僕らとお巡りさんの認識に食い違いがあるような気がして。その、所謂、『暁町の噂』がここまで伝播したっていうのも気になるし。あ、済みません、何だか要領を得なくって……」

 と、気恥ずかしいように柊平の前で笑みを作る。
 彼と話している間にも、暁町捜索隊メンバーの中で話し合いは行われており、そこでようやく、二手に分かれて探索するという結論に落ち着いたようだ。
 今はちょうど、二階に昇って探索する班と、一階に残る班とに、意見をそれぞれ出し合っている最中のようだった。
 柊平の過去も気になるところではあるが、ここ──曉町立図書館──もここで色々と根深いものを背負っているに違いなかろう。

「じゃあ、俺は一階に残って、他に何か目ぼしいものがないか探してきます」

>> 周辺all様

5日前 No.402

都城京、七 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 都城京、七 / 曉町立図書館 一階書庫→ 】


 ゆらぎの説明をふむふむと聞いた都城は考える。失踪事件と殺人事件、これではホラー小説でなく怪しいオカルト雑誌の怪しい記事になってしまう。

「じゃあとりあえず二手に分かれる感じですねぇ」

 周りの意見を聞きながら都城は再度確認するようにそう言う。さて自分はどうしようか、都城は隣で辺りを見回す七に視線を向ける。

「――――わたしも、にかい、いきます」

 はっきりと、力強くそう言った七の足が螺旋階段へと近づいていく。慌てるようにその後ろを追いかける都城であったがゆらぎ、烈、安玖が二階に行くというのを聞くと悩むように首を傾ける。

「なら私は一階の方がええかなあ、あんまり偏るのもやし」

 二階メンバーは安心出来る、それだけは確かだ。ふらふらと螺旋階段に足を掛け進んでいく七を見上げながら都城は悩むようにうーん、と唸るのだった。

>> 周辺ALL

5日前 No.403

特殊レス @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【彷徨う男/図書館一階螺旋階段】

 七が二階へと続く階段に足をかけようとした時、それは何もなかった筈の場所に突然現れた。
 階段の途中、進路を塞ぐように降って沸いた登場の仕方以外は、何処にでもいるような青年だった。黒髪をスポーツ刈りにした、大学生くらいの普通の青年。顔が血塗れな訳でも、瞳が空洞な訳でもない。
 ただ、手足がおかしな方向にねじまがっているだけで。

「……――を、知りませんか?」

 切迫した声が響くが、肝心なところが聞き取れない。何も答えられずにいると、ひどくゆっくりとしたスピードでズルズルと近付いてくる。

「……アリカを、知りませんか?」

 そうしてもう一度、呟いた。

 ズルズル、ズルズル。
 後ろを向いた足首を引き摺って。
 道を空けてくれはしないが、襲い掛かってくるような素振りもない。横をすり抜けて階段を駆け上がれば容易く逃げられるだろう。
 それでも彼は、しきりに問い掛け続ける。
「有花……恋人なんです。この町で、はぐれてしまって……ずっと探しているんです。花柄のワンピースの、大人しい子です……きっと、今も一人で怯えて……ねぇ、知りませんか?」

 ズルズル、ズルズル。
 肘の関節が内側に向いた腕が、折れ曲がってぶらぶらと揺れる手首が、此方に伸びてくる。

4日前 No.404

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 一階書庫→ 】


 七が螺旋階段に足を掛けのぼりはじめた時だった。目の見えない七は階段を安全にのぼれるように竹箒で一段一段確かめていたが、不意に掛けられた言葉に足を止める。聞こえにくかった問いかけに首を傾けたが続く言葉には少し悩むように考え、そして唇を開いた。

「…………ありか、さん……しらないです……ごめんなさい……」

 目の前のその青年がどのような見た目なのか、ずるずるという音の正体を盲目である七は気付かない。だがしかし今までであれば見に迫る驚異に、異形の者にいち早く気づいていた七だが今回は全く気づいていないようで、申し訳なさそうに、困ったように、ぺこり、と頭を下げる。

 伸ばされたその手首に、気付かないまま。

>> 特殊レス、周辺ALL


(なんとも緊張感のない七で申し訳ありません…!)

4日前 No.405

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

「なるほど……ありがとうございます」

これまでの経緯を御子柴さんからざっと教えてもらい、俺は何度かその内容を脳内で反芻する。時代劇かなにかのセットみたいな町だと思っていたけれど、この町から人が消えたのはそんなに昔のことではなく、ほんの十年ぐらい前までは人が住んでいた。

「失踪事件に……殺人事件……!? さ、さんじゅ……に……!? こんなちっちゃそうな町で!?」

御子柴さんの言葉を鵜呑みにした俺は、思わず後ずさった。失踪とか神隠しとかそんな噂は聞いてたけど、殺人事件現場なんてそんな話は聞いてない、俺達が今いるこの図書館も昔血の海になったことがあった、とかちょうどこの足元のあたりに死体が、とかだったらどうするんだよ不気味すぎる。俺は嫌だ、大量殺人現場だった(かもしれない)場所で一夜を明かすなんて! なんとかして日付変更までに帰らないと! ……って、よく考えたら、今が何時なのか、ここに来て何時間経ったのかももうよくわからないんだよなぁ。
しかし皆の話をよく聞いているうちに、どうやら今のところ大量殺人の事実を裏付けるものは無いようだった。
……町民失踪事件と、その最中に起こった女性の殺人事件。この警察のお兄さんの奥さんがその遺族ということらしい。
失踪事件が何回か繰り返し起こっているなら、朱月≠チてのは集団失踪を指す言葉なんだろうか……?
……さっぱりわからない……。
つい雰囲気に流されて難しい顔を作って見たが、また情報は少なすぎて全然全貌は見えてこない。

「皆さん此処に集まってるし、警察の方もきてるからてっきり事件解決なのかと思いました……。残念だけど手分けして探すしか無さそうですね。えっと、俺はどうしようかな……」

そう言いながら、御子柴さん、鑓ヶ岳さん、逢澤先輩、七ちゃんが向かっていく螺旋階段を見上げ、追いかけるように近づく。長いものには巻かれるタイプだから。けれどふと振り返り、まだこのフロアに残っている安仁屋さんと都城さんと警察のお兄さんとを見比べる。それまでに何を話していたのかは詳しくは知らないが、だいぶ混乱していた警察官の顔色があまり良くないのは気になった。

「都城さん達と一階に残ろうかと思います」

なんとなくその点に関してだけは他人を見捨てちゃダメな気がしてそう言ってみたが、全然役に立てる気はしないので、いざという時に何も振られないように医療系学生だということは絶対に絶対に言わないでおこうと思った。
その時だった。自分のすぐ前で螺旋階段を登ろうとしていた七ちゃんの前に、不審な男が現れた。螺旋階段だから、そこに通せんぼする其奴の姿も、こちらに向かってくる様子もよく見えた。……だれだ、あれ……?

「……! (て、手足が……!)」

……また化け物じゃねーか!
ズルズルズルズル、と引きずるように動かす足も、七ちゃんに向かって伸ばす手も、人間の骨格を完全に無視していやがる。おいおいおいおい七ちゃんなんでフツーに受け答えしてんだよ!

さっきまですぐ後ろに続いて螺旋階段を登ろうとしていた俺は咄嗟に七ちゃんの腕を掴んで、階段にかけた足を引き剥がすように後退させた。

「知りません知りません知りません知りません知りません知りません知りませーーーーん!!!!」

化け物の言葉に被せるようにして、代理で全員分の「知りません」を夢中で連呼しながら、勢いだけで七ちゃんを螺旋階段から引き離す。まったく油断も隙もない。七ちゃんっ! 関わっちゃダメだこんな奴に!
お探しものの名前も、事情も一切聞く気は無い。アリなんとか「知りません!」こいびt「知りません!!」くっそ、俺にだって彼女いないのに、なんで此処の化け物のリア充率クソ高いんだよバカァ!

俺は七ちゃんを引っ張って可及的に螺旋階段から離れながら(至近距離での幽霊登場にビビっているのではなく、年下の子を危険から守るためだ)、螺旋階段で揺れているその化け物を(かなり遠くから)睨んだ。あんなのがいては、二つのフロアに別れて探索以前の問題だ。

>all様


【確定になってしまったすみません、しかも七ちゃんを一階に引き戻してしまった……なんとか大人の都合で振り切ってください笑】

4日前 No.406

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 一階書庫→ 】


 七の身体が不意に後ろへと下がる、ぐい、と腕を引かれるその感覚に少しよろけつつも落とさないように竹箒を握りしめることは忘れない。何が起きたのか全く理解していない七だが知りません、と連呼する声の主が八岳であることに気づくと不思議そうに首を傾けた。

「――――……」

 七の唇がほんの少し動いたがそれが何を呟いたのかは、誰も知らないしきっと七自身も知らないのだろう。

「………….あの、やつたけ、さん……?」

 今度はきちんと言葉を発したようで不思議そうにしつつも自身の手を引いて螺旋階段から離れさせた八岳に首を傾ける。そしてもう一度螺旋階段の方に首を向け先ほどの青年の問いかけを思い出すように繰り返す。

「――――ありかさん……花柄の、わんぴーす…………」

>>ALL


(八岳くんありがとうございます!さてこの螺旋階段通せんぼ?どうするか、みなさまお考えくださいませ〜〜)

3日前 No.407

神崎りりか @else☆TYRYeuBpk3k ★t4ewEy7NmI_AC5

【 式島柊平 / 暁町立図書館・一階書庫 】

 迷惑をかけまいとしたことが逆に気を遣わせてしまったようで、周囲はまるで腫れ物に触るような扱いで式島に接した。確かに突然、身内の死を打ち明かされては誰も何と声をかければいいのか分からなくなるだろう。だが「大丈夫だ」「気にするな」なんて気の利いた言葉を発する気力があるはずもなく、式島は項垂れながら煙草をふかし続けた。

 しかし、安仁屋という男だけは式島に追求をし続けた。

「……君は洞察力が鋭いようだね、安仁屋くん。警察官の素質があるよ」
 彼の問いに対して式島は目を見開き、関心したように言った。
「それで、君の言う認識≠ニいうのは一体どんなものなんだい?」
 なんとかして自分の考えを伝えようとしている安仁屋の姿がとても健気に思えて、式島はゆっくりと立ち上がり、近くの机に腰をかけた。彼の勇気を買って、ほんの少しだけ力になりたいと思ったのだ。
「君が求める答えかどうかは分からないが、俺が十二年前に訪れたとき、この町は確かに機能していた。少なくとも誰かが失踪するような事件は起きていなかったはずだ」
 断片的な記憶をどうにか繋ぎ合せながら式島は答える。……そうだ、あのときの暁町は恐ろしいほどに完璧で、それでいて一人で完結しているような町だった。だからこそ俺と翔子はあそこから逃げてきたんだ──……

 そうこうしている間に他の人間は二階へ行く者と一階に残る者で別れていった。式島としては少し頭を冷やしたかったため全員で上階へ向かって欲しいのが正直なところだったが、彼らと無邪気に言葉を交わすことで滅入った気を紛らすことができているのもまた事実であった。
 式島は彼らの話し合いに特に口出すわけでもなく、吸い終わった煙草を地面に落とし、靴で踏みつけた。
 すると突然、少年の絶叫とも捉えられるような大声が館内に響き渡る。驚いて顔を上げると、ちょうど螺旋階段を登ろうとしていた少女と不気味な青年が対峙している最中だった。

「……!」

 式島は警棒を抜こうと咄嗟に腰に手を伸ばしたが、よくよく観察すると青年の方に敵意はないようで、ただアリカ、アリカ、と女の名前を連呼しているだけだった。どうやら肝試し集団に恋人の居場所を尋ねているらしい。

「よく分からないが……君たちに聞いているっていうことは、彼は君たちが彼女を知っていることを知っている≠じゃないのか?」

 少しの間彼らの様子を観察したあと、式島はポロリと言葉を零した。別に何かを知っているわけではない。実際のところ式島はアリカという名の女を聞いたことがないし、花柄なんて派手な服を着ている人間を見たこともなかった。ただ問いかけているあの男の様子が、どこか確信めいているように思えただけだった。


>周辺おーる様

2日前 No.408

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★jiRmsIi9Iw_xKY

【逢澤安玖/一階書庫⇒】

 龍矢が七ちゃんを勢いよく引き戻した――“おかげ”というべきか“せいで”というべきか、次いで上がろうとしていた安玖が必然的に先頭に立ってしまった。その龍矢の絶叫によって途切れ途切れにしか聞き取れなかった単語を復唱していた安玖は、不意に聞こえてきた式島の声に目を瞬かせる。

「知っている、って事は……俺達が何かしらの形で“会った”人――。着物じゃない、てことは日記とかとは別件……着物じゃなくてもう人間じゃないとしたら……鎧武者、は関係ないとして……俺のお母さん、は三十路超えてたしこんな若い知り合い居なかったから違うだろ。あと、人形のお母さんと、」

 ふ、と思い出す。ぶっちゃけ殆ど忘れかけてはいたが、今まで連ねてきたもの以外で、と言われて思い当たるのはひとつしかなかった。

「……その有花って人かは分からないけれど、月舘って家の近くに花柄のワンピースを着た女性なら居た。っていうか俺達が神居家に入る前に千枚通しを片手に追っかけられたんだけど。茶髪のパーマで、花柄の白いワンピースの上に青いデニムを羽織ってた、俺と同い年ぐらいの」

 てことは、と次々と謎が解けていく。あの女性が口走っていた諸々を全て憶えているわけではないが、やたら強烈に残ったセリフはあった。

「アンタは哉汰さんだ。女性が必死に――それこそ、俺たちを殺そうとしてまで探してた“みんな”の中の、とりわけ大切な哉汰さん」

 失礼を承知で指先でそっと男性を指し示す。そして、緩く首を傾げた。

「あの人は外でアンタ達を探していたんだけど、アンタはずっと建物の中を探してたわけ? で、向こうも必死になってる割に外しか探してなかったと。頭悪いな。……神居家からここまでは特に見なかったけど、月舘家の辺りでも探したらまだいるんじゃないの」

 自分の中の推理を口にしていく。後半の付け足した部分は完全に呆れ口調だった。口が悪いのは元からなのでツッコまないでほしい。

「必死になるのは結構だし、気持ちもホント痛いくらいに分かるけど。むやみやたらに掴みかかったら駄目なの、分かるよね。俺達が知ってるのはそれだけだよ」

>>彷徨う男、(七ちゃん、式島さん、龍矢くん)、周辺ALL

2日前 No.409

特殊レス @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【彷徨う男/図書館一階螺旋階段→回収】

 男が伸ばした腕は、何をも掴むことなく空を掻いた。そこにいた筈の七は知らないと連呼する龍矢に引き戻されている。
「……そう、ですか」
 重力に従ってダラリと垂れ下がる手は、彼が落胆しているからなのか、骨格が壊れているせいなのかは最早分からない。
 ズルリ。折れた足を引き摺りながら、男は一つ階段を降りた。そるは、遠ざかった二人を追いかける為ではなく、また当て所なく彷徨う為。

 嗚呼、けれど。

「……有花を、見た?」
 その先にいた安玖の言葉に、男は――哉汰はゆっくりと顔を上げた。
「あぁ、そうです。それが有花です。彼女はこの町に入って直ぐ居なくなって……そうか、ずっとあそこに……」
 安玖が告げた特徴を一つ一つ噛み締めながら、哉汰はそう確信する。
 彼女が居なくなってしまったのはもうずっと前のことだが、それでもすべては昨日のことのように思い出すことが出来る。
 サークルの皆と胆試しに来たら、急に辺りが暗くなって、何故か町から出られなくなって……恐る恐る後ろを着いてきていた筈の有花が消えた。慌てて引き返してもそこには閉ざされた月舘家の扉があるばかりで、仕方なく他の場所を探した。そうしている間にも一人また一人と消えていき、最後には自分も足を滑らせて――
「ありがとうございます……ご迷惑を、お掛けしました」
 何故か無事だった首の骨を使って頭を下げる。
「お礼になるかは分かりませんが……僕らが見付けたものです、もしかしたらあなた方の役に立つかも知れない……僕らは生きては出られなかったけれど……あなた方なら或いは……だから、どうぞお気をつけて」
 言うだけ言って、哉汰はまたズルズルと歩き出す。
「……有花、ごめんね……今から、迎えに……これで、やっと」
――此処から、出られる。

 そうしてホールの入り口辺りで、哉汰の姿は霧のように掻き消えた。
 彼が先程まで立っていた場所……螺旋階段の途中に、木札のついた小さな鍵を残して。


 月舘家と神居家の真ん中辺りを、彼女はまだ彷徨っていた。どこなの、と、途切れ途切れに愛しいもの達の名前を呼びながら。
「……かなた」
「有花」
 その声に、男のそれが重なった。
 びくり、と肩が跳ねる。見えない瞳が、声のした方を向く。
 それは、遅きに失した再会。されど、その体を亡くしても求め焦がれ続けた最愛。
「有花」
 もう一度続いた、気が狂う程に探し求めたその声に、彼女は――有花は走り出す。失った筈の瞳に涙を湛えて。
「かなた……哉汰ぁ」
「遅くなってごめん……迎えに来たよ」
 愛しい恋人を目の前にして、自らの瞳を抉ったものなどもう要らない。
 そうして、お互いを探して彷徨う二人も、もう居ない。

>all

【安玖くんの完璧推理のお陰で二人は感動の再会を果たせました、ありがとうございました! 今後千枚通し女こと有花に追い掛けられることはありませんので、安心して探索を続けて下さい!】

2日前 No.410

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★jiRmsIi9Iw_xKY

【逢澤安玖/一階螺旋階段⇒(追いレス)】

 玄関ホール辺りで男が居なくなったのを認めると、安玖はスタスタと螺旋階段を登り始める。
 きっと彼女は、安玖たちと同じルート――つまり月舘家に入ってしまったのだろう。ただひとつ違うとすれば、自分達の場合は皆が入って取り残される様に締め出された人が居たのに対して、彼女はたった一人であの屋敷に入ってしまった事で。

 ――にしても、と思う。こんなにも巻き込まれた人が居るのであれば、数人は同じルートを通っていそうなものなのに。今まで、月舘家も神居家も謎を解けた人間は居なかったのだろうか。あの男もあの女性も、サークルで訪れたのだと言っていた。つまり、自分達と同じように複数のグループが重なった事もあっただろう。それでも自分達の様に謎を解けなかったのか。……それとも、そういったグループはそもそもとして月舘家にも神居家にも足を踏み込んでいないのか。

「……何か、嫌な感じ」

 ぽそり、呟く。他者の進歩はどう足掻いても見ることが出来ないこの状況で、自分達の進み続けている道は、一体どうなのだろうか。正しい道なのか。既に間違った道へと踏み込んでいるのか。
 あまりにも順調なのだ。人が居なくなったり、増えたり、それを繰り返してはいるが概ね謎を解いては脱出して、導かれる様に次の場所へと踏み込んで。まるで、自分達の進むべき道は最初から決められているかのように。サークル活動の一環だという名のもとに時折行われるTRPGで言うなれば、決められたシナリオの元、一件自由行動と銘打って動いている自分達が、結局のところルート分岐以外は全てKPの意思に沿って動かされている様な。ニャルラトホテプか、違うシステムであればプランナーか、ネクロマンサーか。そういった類の手中で踊らされている様な。そんな不快感が揺らぐ。

 ――あの二人もまた、その決められた道に沿って捨てられた人々なのか。

「なーんて、ねぇ」

 少し手前で止まり、木札を拾いあげる。眼前に掲げそれを観察すると、どうやら古ぼけた鍵の様だった。
 何故、少女を探していたという彼がこんなものを持っていたのだろうか。そう不信感に眉を寄せる。別におかしな話では無いのだけれど、今は全てをひとまず疑うしかなかった。

「曉神社……うわ、しかも旧字体の方か。てことは相当古い……」

 ゲーム的に言えばラスボスのステージ、なのだろうか。何にしても、何処かのタイミングで此処にも行けという事なのだろう。
 ふう、と息を吐く。そしてその鍵をポケットに入れると、安玖は踵を返した。螺旋階段の特性故、振り向いたとて其処に広がるのは何もない空間だ。だから手すりから少し身を乗り出す形で皆を見下ろし、問い掛ける。

「で、結局、俺以外で誰が二階を見るの」

>>周辺ALL

【鍵を回収するための追いレスをさせていただきました】

1日前 No.411

御子柴 ゆらぎ @mistydark☆NIljAHmRyhk ★Android=GaTaMXF8bf

【御子柴ゆらぎ/図書館一階書庫→螺旋階段】

「あ、ちょっとなっちゃん先頭で階段は危ない……」
 フラフラと階段の方へ向かおうとする七の背中に、ゆらぎは手を伸ばしかける。しかしそれが届くよりも先に彼女は竹箒を頼りに階段に足をかけ、安玖が後を追い、そして。
 螺旋階段の途中に、男が一人現れた。
 どくん、とゆらぎの心臓が跳ねる。それは唐突な怪異の出現によるものではなく、彼の顔に見覚えがある気がして。
――ヤット会エタ。
 そんな風に、思ってしまって。

 勿論ゆらぎは彼が千枚通し女の探し求めていた恋人であることなど露知らず、ブンブンと頭を振って頭の中に浮かんだ考えを否定する。
 そうだ、さっきから龍矢だって連呼しているじゃないか。知らない、知らないと。そうだ、自分が知る筈なんてない。会ったこともない人間が、最早人間ですらなくなったものが何を、誰を探しているかなんて。はぐれたお互いを探しているうちに死んでしまった彼等の悲劇的な末路なんて、知っている訳がない。
「……わたしも、知らない」
 小さく呟いたゆらぎが後ずさったことは、誰かに気取られただろうか。

 しかしその後、安玖のひらめきによって男は満足して消えていった。月舘家の人間は血気盛んに襲い掛かってくる輩ばかりだったが、ふじのやその父といいこの男といい、未練さえなくなれば穏便に解決できる怪異もあるということか。
「じゃあ……町を閉ざしているのは、誰の」
 町長辺りの未練、だろうか。

「あ、ごめんわたしも行く〜」
 螺旋階段から顔を覗かせた安玖の呼掛けに、気を取り直した油良も二階へと歩き出した。

>安玖くん、周辺all

1日前 No.412

八岳龍矢 @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【八岳龍矢/暁町立図書館・一階書庫】

七ちゃんを引っ張って全速力で後退をした結果、部屋の隅にあった机の角に腰を強打した。けれど今はその地味な痛さよりも目の前の怪異から如何に逃れるかのことの方で頭がいっぱいで、その虚ろな視線が俺と七ちゃんから逸れるのを待ちながら、震えが止まらなかった。
これでは七ちゃんを守る為に引き離したというよりは、ただ怖さのあまり細い腕にも縋る思いで掴み繋ぎ止めているみたいになってしまっている。
遠くから敵を睨みつけながら、観察する。手脚を故障しているためか、その動きは緩慢で隙は多い。けれど神居家にいた奴らのように超常的な何かを使ってくるとも限らないから皆で一斉に遠距離攻撃を仕掛けるべきか。幸い此処は図書館、投げる物(本)には事欠かない。……ってか、俺の場合常にほぼ遠距離攻撃しかしないけども。至近距離怖いから。

「ごめんね、七ちゃん」と勝手に手を引いて驚かせたことには謝るが、彼女が何か主張しているのは必死すぎてあまり気に留めていなかった。それが怪異の話を全然聞いてなかった俺へのサインだったのかもしれないと気付いた頃には、事態は収束していた。警察官さんの言葉で何か思い当たる節があったらしい、逢澤先輩が推理を展開する。あれだ、閉ざされた古い建物で「皆さんを此処に集めてください」ってやつ。俺は震えて見てるだけで、犯人にも被害者にも探偵にもならない。精々第一発見者がいい。先輩の名推理により事態は一件落着。俺はほっと胸をなで下ろすと共に心の中で称賛の拍手を送った。
ってか、千枚通し女の彼氏かよ……。恋人とはぐれたからって無関係な奴を襲うほど発狂するなんて、俺はそんな病んじゃう女とは絶対付き合えない。カナタさん、あんたすげぇな。幽霊に敵意はなくその身の上が解明されると、やっとそんな余計なことを考える余裕が出てきた。かなたさんはご丁寧に激励の言葉まで残して消えていった。おそらく先輩の言葉を頼りに彼女を探しに行くのだろう。死人になってまで探されるぐらい大切に思われるというのは、人ではない怪異に成り果ててまで彷徨い探すほど大切な者があるというのは、俺には未だあまり理解出来ない感情だった。

あの人達も迷い込んでしまった人達なのか。俺達も二の舞になるのではという不吉な予感が一瞬脳裏を掠めたが、必死でそれを追い払った。俺は帰る。絶対に帰るんだ。無事に帰って、オカルトサークルに退部届を出して、陽気で愉快な残りの夏休みを謳歌してやる。明日はバイトの面接。海、バーベキュー、ドライブ、クルージングと釣り、合コン、フェス、遊園地、適度ないい感じの彼女作って、夏の終わりに花火大会……。あいつらみたいに死んでたまるか。

安全を確認したので俺はそっと七ちゃんの腕を離してやった。
振り返ると俺達の後退を阻んでいた背後の物体は、図書館の受付カウンターだったということにやっと気づいた。

>all様

1日前 No.413

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=ti0IvmfI1e

【鑓ヶ岳烈/暁町立図書館・一階 書庫→螺旋階段】

さあ二階に向かおうと意気込んだところで現れたのは、手足が不自然に曲がった若い男。一目見たときに、運動部所属歴6年の烈は彼の手足の曲がり具合から“生きていて良いほどの負傷”ではないことを察した。あんな怪我を負おうものなら助かる見込みはない。つまりあれは怪異。どうやら人を探しているようだったが、その時の烈は「ななな何故貴殿は歩くことが出来ているのでござるか!?」と場違いすぎる疑問を口にしていて彼の質問に答える余地などなかった。いや、骨折経験者としてあれはいけない。歩いてはいけない程度の重傷……というかあれは致命的な怪我だ。

「あ……もしかして、あの時の」

そして安玖の名推理により、男は月館家を出たところで遭遇した千枚通しを持った少女の彼氏だったらしい。事情を知った彼は此方に害を及ぼすこともなく、ホールの入り口の方へと歩いていき、霧のようにかき消えていった。成る程、話し合いで解決する怪異に出会えないものかと思ってはいたが、まさか存在するとは。彼らが死という壁を超えて、また再会出来ることを祈るばかりである。若人よ、死しても愛は不滅なるぞ。恋愛のれの字も知らない烈だが、内心でそんなエールを送っておいた。若人と言っても烈の方が若いことには突っ込まないでおこう。こういうのは言葉の綾という奴である……とたぶん烈なら言う。

「あっ、拙者も!拙者も参りますぞー!」

安玖の呼び掛けに慌てて答えながら、烈は螺旋階段へと向かう。そうだ、色々と予想外の出来事があって忘れかけていたけれど、まず優先すべきは二階の探索ではないか。前を行く安玖とゆらぎの背中からふと視線を外して、螺旋階段を登りかけていた烈は七へと声をかける。

「七殿も二階に向かわれるのでござろう?ならば共に参りましょうぞ!一人では危のうござります故!」

七が誰よりも先に二階に行こうとしていたことに気づいて、烈は彼女も共に行くものと考えた。目の見えない彼女にとって階段は危ないものだ。一歩先を歩く自分のリュックサックに掴まってもらうか、手を引くか。もし七さえ良いのなら、彼女を抱き上げて移動しても烈は構わない。

>>周辺all様

23時間前 No.414

@sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 七 / 曉町立図書館 一階書庫→螺旋階段 】


 腕を引かれるまま足を動かす。あまり事態を把握していないのは何故なのか、ただ何かにぶつかるような音に首を傾ける間もなくおとと、と前のめりになりそうになる体を何とか踏ん張り押し止める。何が起きたのか、そう思う七がふと気付いた掴まれた腕から伝わる震え、その主が自身の腕を掴んでいた八岳だと気付くと、その恐怖に気付くと、七はちりん、と髪を飾る鈴の音を奏で、唇を開く。

「――――だいじょうぶ、だいじょうぶですよ、八岳さん…………あのひとは、ちがうから」

 あのひと、とは螺旋階段にいた青年の事を指していた。七はそう呟き事の収束をぼんやりと聞いていた。霧のように消えた青年はきっと外で女性と会えたのだろう、離された腕から自由を取り戻した七の首は玄関ホールの方を向いていて、ゆっくりと動いた唇は誰に届くわけでもなく、消える。

 ――――もう一度、会いたい。


「……ありがとうございます、またたすけてくださって…………」

 くるり、と八岳の方を振り返ればそう言いながら深々と頭を下げる。そして自身を呼ぶ烈の声に足を竹箒を握り直し踏み出しながらふと、もう一度唇を開く。

「……此処は、とってもかなしいです、かなしみがあふれそうで……いまにもこぼれそうで。……きっと、なにかだいじなもの、とてもだいじな――――」

 曖昧そうで、けれどどこか確信しているようなそんな言葉、意味が分からない言葉の羅列を残した七は「八岳さんも、気をつけてくださいね」と、そう言えばぱたぱたと小走りで烈達のいる螺旋階段へと戻っていくのだった。

>> 八岳くん、烈ちゃん、周辺ALL

22時間前 No.415

推古 @iwing ★gBSwv0JJyH_Tzt

【安仁屋右叉兎/曉町立図書館・一階書庫】

「いや、俺の認識というか……インターネットとかでもそこまでの情報は載ってなかった気がしたので……失踪事件が10年前に起きたり、その前に殺人事件が起きていたり、わりと最近の出来事の割にはあんまり情報が出回っていないみたいだし……でも、暁町は隣町とも交流を持たないくらいに閉鎖的だったと聞いてますし、俺たち部外者が知らないのも無理はない話なのかなぁ……だけどお巡りさんは違いますよね? お巡りさんは俺らとは違って、異変が起こる前の暁町を知っているし、この町に何が起きていたのかも多分知っているんだと思います。少なくとも、ここにいる俺たちよりは……済みません、相変わらず説明が下手で」

 インターネットで右叉兎が齧った情報と、柊平の口から出た情報とでは、どちらを信じるかで随分と様相が違ってくる。いずれにせよ、右叉兎の情報源であるオカルト掲示板では、多くの人間を介しながら伝言ゲームの要領で話に尾びれのついたものであり、実際にその目で、肌で感じた人間の言葉に敵うはずもない。

「俺がインターネットの掲示板で聞いた話では『暁町の噂』は、その界隈ではホラースポットとしても有名らしくて、街を訪れた人たちの中には行方不明になるのもいるらしいんだけれど、でも、その辺にある極々ありふれた都市伝説として認知している人がほとんどっスよ。誰も本気で信じちゃいないっス。俺も実際、その一人のはずだったんスけど、家出したまま帰ってこない兄さんを連れ戻しに来たはずが、まさかこんな目に遭うなんて……まるで、事故で亡くした娘さんを探しにやって来たあの人みたいですね……?」

 神居家を訪れなかった柊平には与り知らぬことであった。しかし、そんなことよりも、右叉兎がハッとなって気が付いたのは、その状況があまりにも自分と似通っていた点である。

「いや、でも、兄さんはまだ……」

 そこで小さく頭を振った。月舘家に着く前に出会った怪異のことを否定するかのように。

>> 式島柊平様、周辺all様

22時間前 No.416

都城京 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

【 都城京 / 曉町立図書館 一階書庫 】


 七と離れた都城は、螺旋階段をのぼろうとした七に立ち塞がる驚異に息を飲む。助けなければ、そう思い足を踏み出そうとした都城だがそれより先に飛び出した八岳の姿にその足を引く。かっこええなぁ、なんて小さく呟きながら。

「とりあえずまあ一件落着やなぁ。私等も脱出のために頑張らなあかんってかんじですねぇ」

 へらり、と笑みを零しながら辺りを見渡す。本棚を調べている安仁屋と式島の会話を聞く。あまり難しい話は得意やないんやけど、なんて心の中で呟きつつも唇を開く。

「私等が聞いた内容も安仁屋くんとあんまり変わりないですねぇ、ある日を境に突然町の人が全員消えて、面白半分で肝試しにきた若者たちも帰ってこずー、みたいな内容ですわぁ」

 まあインターネットの情報ですねぇ、と付け加えながら館内を見回し思考する。月舘家、神居家と古びた古民家を探索し続けたがこの図書館はわりと綺麗だった。床も安全そうだし階段も抜けなさそうだし。

「向こうにも扉があるみたいやし、此処の探索終わったら行ってみましょうかぁ」


>> 式島さん、安仁屋くん、八岳くん、周辺ALL

17時間前 No.417
切替: メイン記事(417) サブ記事 (266) ページ: 1 2 3 4 5

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…進行相談・設定はサブ記事をご利用ください(テスト中)。