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ヴァリアントは黄昏時に啼く

 ( オリジナルなりきり )
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人外/異能力/クローン @karasu1010 ★0gkYBdXyN1_qTF

これは怪物と呼ばれた者達がそれぞれ異なる形を見せる数奇な運命を辿り、通じ、抗い、導かれ、自身が何者として生き、死んで行くか選択する物語。









 ――ヴァリアントは黄昏時に啼く


【興味がある方はサブ記事へ】

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スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【クロ/ロンギヌス:屋上】

「何を……しているのかな? 二人共」

「……ふぇ?」

小さくなって震えていたクロだったが落ち着いていて聞き慣れた声に恐る恐る顔を上げる。ちらりと見てはサッとまた隠れもう1度見る。よく見ると、その声の主は背中に翼を生やしてはいるもののしっかりと人間の姿をしていた。黒いズボンに白い靴、綺麗に整えられた髪型に赤い瞳。特に目立っていたのが背中から生えている鳥というよりは天使……の中でも大天使の持つような真っ白い大きく立派な翼だった。

「……悠斗?」

クロは今にも泣き出しそうな顔をしながらもその名前を呟く。そう、その背中から翼を生やした彼の名前は伏見悠斗。クロと同じヴァリアントで世間では快楽殺人鬼集団クラウンと呼ばれる団体、道化師の団員だ。ヴァリアントというのはクローン製造で依頼者の依頼にそぐわなかった等の理由で処分対象になった言わば失敗作のクローンの事。ヴァリアントには様々な容姿があり、クロのように化け猫のような姿の者もいれば彼のように鷹のような姿をした者もいる。そして、本来ならヴァリアントはすぐに処刑されてしまうのだが、処刑できない程強力なヴァリアントなどはタイムレスという場所に入れられる。では何故クロ達は刑務所でもないこの場所にいるのかというと、数年前に他のヴァリアント達と共にタイムレスを脱獄したからである。世間ではクローンの失敗作が存在することは秘密にされているようでクロ達はテロリスト扱いされ、オーギュストという組織に追われる身だ。あまり目立つ行動は避けなければならなかったりと色々苦労はあるけれど、クロ達は自分達がヴァリアントという事を隠しながらこの道化師の本部、ロンギヌスを本拠地にし助け合って生きているのだ。
話を戻すと、夢の中で見かけた鷹だと思っていた人物は同じ道化師の仲間、伏見悠斗だった。それに気づいたクロはホッと胸を撫で下ろす。

「はぁー、びっくりしたぁ」

そう言いながら今度は怯える様子も無く、隠れていたところから出てくる。ちなみに隠れさせてもらっていたにも関わらず、すぐ近くに同じく道化師の少年がいることには気づいていない。

「ご、ごめんなさい……その……夢でね、おっきいお魚がいて……食べようとしたらおっきい鳥がわあーってなって……あっ、えっと……おっきい鳥がいて……びっくりして……ええっと〜…………ご、ごめんなさいっ!!」

相手を見て逃げ出すなんて失礼だというのはクロでも分かる。クロはちゃんと謝ろうと色々話すが途中からよく分からなくなり最終的にもう1度謝り、バッと勢いよく頭を下げた。そして申し訳なさそうに猫のような耳を垂らせながら軽く顔を上げてちらっと悠斗の様子を窺う。そこでクロはハッとした。いつも被っていた淡い赤色の猫耳帽子が逃げ出した時に蹴り飛ばしていたのか、悠斗の足元近くに落ちてしまっていたのだ。お気に入りの物でもあったので踏まれてしまわないかと心配になったが、今はちゃんと謝らなきゃいけない時だと思い直し頭を下げる。

>>伏見悠斗様、ゴゴ様、周辺ALL様


【申し訳ありません!うっかり途中で送信してしまいました!】

4ヶ月前 No.16

黒い猫 @sinikake ★iPhone=DznCbfnqH0

【ゴゴ/ロンギヌス、屋上】

「何を……しているのかな? 二人共」

そう尋ねられてはた、とゴゴは瞳を瞬かせた。何をしていると聞かれてもよく分からなかったのだ。瞳を泳がせてチラリと背後を伺えば少女が悠斗の事を身を隠す様にして見ている。

「……悠斗?」

背後の少女、クロが目の前に立つ悠斗の事をちゃんと認識出来た所でゴゴは挙げたままだった手を下ろした。
この少女もヴァリアントで、道化師の団員の一人だ。ゴゴは、正直なところ政治情勢や世間から見たクローンの評価など難しい事は理解出来てない。ただ、ここに居る者たちはタイムレスという場所で様々な目に遭わされた事がある。きっと、この少女も何かあったのだろう。

何か、ないとここに居ないものな。

「はぁー、びっくりしたぁ」

ホッと胸を撫で下ろした様子のクロが隠れるのをやめて隣に立つ。見た目の歳が近い、とその姿を見て改めて思う。

「ご、ごめんなさい……その……夢でね、おっきいお魚がいて……食べようとしたらおっきい鳥がわあーってなって……あっ、えっと……おっきい鳥がいて……びっくりして……ええっと〜…………ご、ごめんなさいっ!!」

猫耳を垂れさせて悠斗に謝るクロを見てゴゴは少し首を傾げつつもその言葉を聞く。
怖い夢を見たんだろうか、とゴゴは頭の中で呟いて、その次に連想された光景に背後に持っていった右腕を左手で掴む。指が刺さりそうなぐらいの力で掴んで懸命にその先を思い出さない様に努める。
ゴゴは自傷癖がある。自分自身の感情を抑え込むために必要な行為のそれは側から見るとあまり受け入れられない。だが、それでも自分の制御が出来ないゴゴにとってこの行為は必要な事だった。
痛みで気をそらしたゴゴは少し目を伏せて、今何を言うべきか、と瞳を泳がせる。と、ちょうど悠斗の足元に猫耳の帽子が目に入る。ぱっ、と顔を上げて頭を下げているクロを見ればいつも被って居る帽子が無い。
ゴゴはそれを確認した後、悠斗の方へ向かってその足元の帽子を拾い上げた。帽子が傷つかない様に優しく埃を払って、その帽子をクロに差し出す。
そこで少しゴゴは後悔した。ゴゴの能力は主に無機物の破壊だ。有機物もやろうと思えば破壊出来る。壊す事に関しては強い能力の持ち主が、こうやって人のものを触るのは悪い事だったかも知れない、と下唇を噛む。

「えっと、はい。その、帽子…お、落ちてた!」

何を言えば良いのか分からずとりあえず見たままの事を言ってクロの方にさらに帽子を持つ手をさらに伸ばす。なんだか人のものを自分が持っているという事が怖くなって目が潤む。

「俺が、拾った事が嫌だったら、ごめんなさい…俺は、壊しちゃうから。あ、だけど今日は上手く能力が使えて…あ!怪我!は、自分で手当て、します」

能力、訓練、怪我、と順々に出来事を思い出してクロに帽子を差し出したまま悠斗を見上げて、自分で手当てします宣言をする。しょんぼりと謝っていたのに上手く能力が使えたと話すときは少し嬉々としていて、だけど悠斗を見上げて手当てします宣言をした時はやけに焦った様に話す。見るだけでその感情の振り幅が分かりやすいゴゴはまた瞳を泳がせて結局足元へと目を伏せた。

≫伏見悠斗様、クロ様、周辺オール様

4ヶ月前 No.17

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_qTF

【神谷聖/名無第一高校・昇降口前】

赤く照らされるその閃光が必死にぎらつかせ危険を知らせるサイレンの如く、しかしサイレンが教えてくれる危険とは真逆の印象を与える赤く照らされるその夕陽が名無第一高校における校舎やグラウンド、体育館と言った情景内を優しく包み込んでいく。だが全くその夕陽に見守られている光景に馴染んでいないクローン、神谷はやけに険しい顔でスマートフォン片手に教員兼来客専用であるシャンデリアと言った無駄に高級感が溢れている昇降口付近の校舎を定義付ける生徒や教師を囲うコンクリートの壁に寄りかかりながらその箱に囲まれている相手、伊瓜からの連絡を待っていた。
と言うのも、これから会う名無第一高校の獅子倉校長にはアンノウンにも隠しているある秘密を絶対に抱えている為であった。それはあの開かずの間に関しての事。
開かずの間。名無第一高校七不思議に挙げられる一つ。他にも伊瓜が引き起こしているのを含めて六つの不可思議が存在しているが此処では割愛する。そしてその開かずの間と言うのは一階の誰も通らない様な末端部分に隠れるように創られ、鋼鉄で出来たとても重そうで頑丈な扉の事を指す。その扉には何の部屋である事すら分からず、教師や教頭、校長でさえも詳細が分からない部屋。それに常に鍵がかかっているらしく誰も開ける事は出来ず、開ける姿を見た者さえいない。その為、この部屋を生徒達が開かずの間と呼び始め、その開かずの間が国一つを破壊する様な兵器の開発する為の場所とか、異世界へ通じる扉とか、人体実験が行われているとか等、様々な噂や憶測、巨大な陰謀等を呼んでいた。さらに名無第一高校は世界一とも言える企業、アンノウンが経営している為、その憶測や噂が妙にリアルに感じ取ってしまい、一部の生徒は噂だと流す事無く沸き立つ好奇心に溺れてしまい、本気でアンノウンの陰謀を探ろうとする者達は少ないくない。しかしそれに対して校長等は開かずの間については否定するどころか、何故かその噂や憶測について放置する処置を取っている。また一部の生徒はその反応についても多くの憶測を呼び青春の一ページの中で騒ぎ立て、開かずの間に対しての熱は未だ冷める事を知らない。だがその開かずの間は青春の一ページや学校の七不思議どころでは済まない秘密を抱えていた。それは決して開いてはいけないコンクリートに囲まれたパンドラの箱。

「 はーぁい、こちら伊瓜 悠ですよー 」
「……神谷だ」

そんな恐ろしい箱だと知っていながら直、寄りかかっている彼はこれからの事について考えながら連絡相手である伊瓜と通話を開始する。

「 どったの? またヴァリアント出た? あれ、もしかして今日会議あったっけ? あ、それともプライベートな内容? 恋の相談? 」

相変わらずの伊瓜の対応。それに対して神谷は校長との待ち合わせまでの時間の事もあった為、相手の事情も気にせず用件だけを淡々と伝える。

「獅子倉が隊長でも伊瓜の様な幹部を通す事無く直接、俺をトラブルシューターとしてアンノウンや魔弾の射手にも極秘に名無第一高校に来る様に指示している。よっぽど、誰にも知られたくなかったんだろう。そして今、俺は校門前に来ていてこれから奴が居座っているだろう校長室に向かう予定だ。そっちの様子はどうだ?」

勿論、オーギュスト幹部である伊瓜が名無第一高校の教師を行っている理由も実は秘密、裏がある。それは学校における開かずの間の監視役としてアンノウンから派遣された為。そしてそれを知っているのはごく限られた人物のみである。
ちなみに獅子倉が何故直接神谷を呼んだのかと言うとオーギュストの団員程度ならいくらでも金で口封じ出来、殺してもクローンの為文句は言われない為だと神谷自身が推測している。

「……獅子倉との待ち合わせの時間にはギリギリになるかもしれないが何か学校や開かずの間に変わった様子や心当たりがあるなら今、伊瓜がいる場所で良かったら話がしたいのだが。特に監視役として開かずの間の中の件について聞いておきたい事があるからな」

何故、神谷は連絡だけでも気が進まない程に性格が合わない伊瓜と会う事を提案したのか、それは伊瓜の性格から監視役として信用していない部分があった為であった。

>>(伊瓜悠)様、周辺ALL


【これから会うかどうかはどちらでも問題ございません】

4ヶ月前 No.18

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_qTF

【犬山/私立姫椿学園付近のメイドカフェ】

本来なら、其処にはご主人様とお嬢様を沢山の色とりどりのメイドが誘うどこもかしこも壁やカーテン、椅子、テーブル中に溢れるメルヘンチックながら独特な雰囲気を持ち、そのメイドが不思議な空間で接客すると言う世界観を存分に楽しむのが此処、姫椿学園付近にあるメイドも可愛く料理も大人気と人気のメイドカフェであったが今や、そのカフェは暴力に飢え狂気としか言いようが無い一人のご主人様、犬山によって店の雰囲気はメルヘンチックとは真逆のバイオレンスな雰囲気に荒らされていた。実際、彼は単純に暴れる理由が欲しかっただけで虹色のメイド等は正直、どうでも良く、ただのきっかけに過ぎない。その行動を意味するのは、まさしく犬山と言う人物が狂っているとしか言いようが無かったと言う事である。常に彼の頭の中で優先されるのは行き付けのメイドカフェに二度と行けなくなる事では無く暴力。むしろ、二度とこのメイドカフェに行けない事に気づけば、店が二度と営業出来ない程に暴れ続け客もろとも血祭りに上げてしまうであろう。
そしてそんな彼は現在、ケーキがお似合いのお洒落でデザインにこだわったであろう小さなフォークを手に持ってプロレスラーの如くメイドカフェの店長の腕を付き刺そうと思いっきり力を入れて振り翳す。

「あんまりカッカすると健康に悪いですよ、男性」

そう言って近くに座っていたはずのマフラーが特徴的のお嬢様は力強く握ったはずのフォークをプロレスラーとはまた違う格闘家の如く華麗なハイキックでフォークを蹴り飛ばし、犬山の頭のネジが飛んだ行動を阻止。一方で蹴り飛ばされた無様なフォークは美しい木目が見える天井に見事、突き刺さっていた。まさかそのフォークも自身が天井に刺さる事等想像すらしていなかったであろう。

「あとこのメイドカフェ、一応アルソックに加入しているらしいので。……あんまり暴れると、吉田沙○里選手みたく屈強な警備員が駆け付けて取り押さえられてしまいますよ。こんな世の中です。イライラすることがあるのは分かりますが、ここいらで収める気はありませんか?」
「ハハハ……君、面白い事言うね。でもさ、それじゃ僕が存分に暴れられないじゃん。まあ、あの店長じゃ僕の空腹を満たしてくれないみたいだから、結局、暴れられないのは変わりないけど。そうそう、だからさー……まだまだ、喰い足りないんだよ。……僕は君の言う警備会社だろうが店長だろうがメイドだろうがご主人様だろうがお嬢様だろうが全部この場で喰らい尽くしてあげる。何なら、警察も呼んでいい」

そう言うと、片目しか無いその瞳孔をおもっきり剥き出す程に開き、先程フォークにハイキックを行ったマフラーの少女の目の前で口角を上げ腹を抱える程に笑い始める。
そして一通り笑った後に、テーブルの上に出された今にも食べて欲しがっていそうなケーキをフォーク同様メイドカフェの世界観に合わせるべくこだわったであろう真っ白な皿ごとマフラーの少女における顔面に思いっきり罰ゲームの如く、叩きつけ押し込もうと企んでいていた。

「ほら、君もお腹が空いただろう。どうぞ、早めのディナ―をお食べ。ケーキだけどね」

さらに食後のデザートも忘れる事無く、先程まで自身が呑気に座っていた椅子を持って少女の脳天に躊躇する事無く振り翳そうと動き出す。そしてその小さな身体から存分に溢れ出る黒紅色の血液を犬山は想像していた。

「……君の血はどれ程、美味なのかな?」

>>恋慕小路散華様、周辺ALL

4ヶ月前 No.19

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_0D6

【 恋慕小路散華 / 私立姫椿学園付近のメイドカフェ 】

 ――何ですかこの人、日本語は通じているのに話が通じていない……ひょっとして薬をやってらっしゃる……?

 目の前の男からの返答を聞き、散華がまず考えたのはそんなことだった。あるいは心のご病気を患ってらっしゃる可能性もある。第一、暴れたいならメイドカフェなどに来ず非合法な地下核闘技場とかにでも飛び入り参加してくれば良いのではないか。そうツッコミたくなったが、たぶんこの様子だと口にしたところでまともな返事は聞けまい。アルコールで知能指数の下がった酔っ払いに道を尋ねられた際、何度説明しても同じことを聞いて来て困った経験があったが……今の散華の心情は殆どそれだ。何を口にしても無駄な気配が濃厚で、考えられることといったら、こいつさっさとどこかに消えてくれないかなという消極的な願いのみ。こういう、本人が不幸か幸福かはよく分からないが、そこにいるだけで周りを不幸にするような生物はあんまり好きじゃないのだ。出来ることなら視界からいなくなって欲しい。

「いやいや、喰らい尽くして『あげる』って、何人に頼まれたから仕方なく感出してるんですか……誰も男性に喰らわれたいとか言ってませんって……男性が勝手に食欲アピってるだけでしょうよ……」

 とりあえず男性には聞こえない程度の小声で何の捻りも無いマジレスをかましてみる。言っても無駄なことが分かっていても、人には何か言いたくなる時がある。今がそれだ。とりあえず警察は呼んでも良いと本人が言っているのだし、と、遠慮なくスマホから110番して警察官にここに駆けつけて貰うことになった。電話している間、目の前の男性はずっと腹を抱えて笑っている。この異常なテンション、やはり危ないお薬をキメてしまっているのかもしれない。そうでなければ躁病の類か。素でこれならいよいよ関わりたくない人種だ。気疲れがもうえげつない。

「や、あの、そういうの本当いいんで。絡んでるだけで疲れる人と絡みたくないし、まして戦うとか御免です。お願いですから出て行ってくれません? 男性なんて、少女の人生にお呼びじゃないんです」

 チラッチラとケーキの乗ったお皿に意味ありげな視線を送っていたので、こりゃあこの皿をぶん投げるなり何なりしてくるな、と勘付く。数秒後にはやっぱり思った通りの行動を相手がしてきた。それを再度の蹴りでまたしても斜め上の天井に飛ばし、続け様に振るわれた椅子は「うおっと」と小さな声を漏らしつつギリギリで身体を横にスライドさせて回避。今のが椅子なんて武器に適さない物でなく、金槌とかなら喰らっていた可能性が高い。男の身のこなしから何かしらの武道や格闘技を嗜んでいる要素は感じ取れないが、それでも暴力沙汰の経験は結構あるのだろう。でなければ、華奢な女子中学生にここまで遠慮なく攻撃はできまい。いや、こっちは喰らっていないけれど。こちらからは一切攻撃していないので、攻撃を喰らっていないのは向こうにしても同じことだ。

「あと、貴方どう見たって成人男性ですよね? ひょっとしたらクローンで中身は中学生くらいの年齢なのかもしれませんけど、それにしたってさっきから台詞選び痛々しすぎますよ。そこは見た目に合わせて発言しましょう? しかも血の美味しいさがどうのこうのとか……最近は成人男性が女子中学生に声を掛けただけでも犯罪者扱いなのに、そんな発言しちゃったらいよいよペドフィリアセクハラクソ野郎の汚名が近いですよ……?」

 煽りではなく、最後のほうは真剣な気遣いを込めての発言だ。実際、男の現状は傍目に見ればかなり酷い。いきなりメイド喫茶で店員と店長に理不尽なイチャモンを付けた挙句に店内で暴れ出し、それを止めようと近付いてきた現役の女子中学生には「……君の血はどれ程、美味なのかな?」とセクハラ発言をかますし皿を投げたり椅子を振り回したりして襲い掛かりもする、性格も性癖もやべー奴。実際がどうであれ、現時点ではそうとしか映らない。とうの散華の表情は完全にドン引きだ。相手に向ける目は春先に現れる全裸コートのおじさんを見る時のモノに近い。

>犬山様&ALL様

【散華は犬山さんに引き気味で戦いを回避しようとしていますが、回避できないと悟ったら諦めて戦います】

4ヶ月前 No.20

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_gi9

【 ハイヴ / 市街上空 → ロンギヌス-屋上 】

 緩やかに羽ばたく黒い翼は、地上を陰らせながら南無第一高校の上空を偵察旋回していた。一見平和な雰囲気の漂う学び舎から、只ならぬ不穏な空気が漂っているのをいち早く嗅ぎ付けた道化師団長ハイヴは、己の勘の赴くままに上空を翔けていた。しかし今のところ、外観からは変わった様子は見受けられない。一人、どこかで感じたことのある気配を持つ男の存在を感知したが、遠く離れた空中からはその動向までは探れない。高校周辺の一帯を見下ろしながら、波乱の予感に嘆息した。そして優雅に空中でターンし、さらに雲を切るほどの上空へと急上昇してから、ロンギヌスへ帰還するためにスピードを上げた。雲たちがハイヴの身を隠すことで、地上から発見尾行されることは防げるだろう。
 果たして、ハイヴが地上に落とす黒い影は、市民の平和を曇らせる暗雲となるか、それともヴァリアントを庇い、包み隠す帳となるか。それは、神のみぞ知るところだ。

 ロンギヌスの屋上が見える範囲まで移動すれば、徐々に飛行する高度を下げてゆく。そこで目に入ったのは、何やら楽し気に、そしてやかましく騒ぐ我が同胞たちだった。ゴゴに、クロに、悠斗。いずれも居場所を求めた哀れな怪物であり、ハイヴにとっては愛しくて堪らない我が子や兄弟同然の存在である。
 悪魔形態のまま、屋上の上空を滑空するようにして減速し、危なげなく三人のすぐ傍に着地した。

「賑やかだな。クロ、少し落ち着くといい」

 事の塩梅は分からないが、何やら少し興奮状態にあるらしいクロを見つめ、微笑を浮かべてその頭に手を寄せ、数回撫でる。間違っても鋭い爪でクロを傷つけてしまうことなどないように、丁寧で優しげな手つきで。
 その後にふとゴゴへ目をやれば、どうやら負傷している様子だ。彼に自傷の傾向があることを知っているハイヴは、ゴゴの怪我を見て辛そうに一瞬眉を歪めた。しかしすぐに先ほどの柔らかな微笑に表情を戻し、浮遊した状態で空中を滑るようにゴゴへと近寄った。その動作の最中、グリモワールが自動でパラパラとめくられてゆく。一定のページでその動きは止まった――≪強欲の項≫だ。無論、その項を判読できるのは能力の主たるハイヴだけだが。

「ゴゴ、おいで」

 ハグを促すように、そっと両手を広げる。多くは語らない。もしゴゴがハイヴとの抱擁を拒めば、団長命令とでも言おう。強欲のページを開いた状態のハイヴが抱き締めた者の傷は、全てハイヴに移行する。だがグリモワールには、己の健康を損なうものをリセットする項も備わっている。全て計算づくで、ハイヴは微笑のままにゴゴが己の腕の中へ飛び込んでくるのを待った。


>>ゴゴ、クロ、悠斗、周辺ALL



【早速絡ませて頂きました。同ロケーションにいるのに、悠斗くんにだけ喋りかけられなくて無念です……是非次レスでは話せればいいなと思います……!】

4ヶ月前 No.21

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_qTF

【伏見悠斗/ロンギヌス・屋上】

「何を……しているのかな? 二人共」

正方形で出来た灰色のコンクリートタイルがびっしりと床に亀裂が入ったタイルや完全に欠けているタイルも含め敷き詰められており、四方には落下防止の柵が囲まれている。しかしその柵は錆び付き、緑色の塗色も見事に剥がれ落ち真っ黒と化しているロンギヌスの屋上にて、肌寒い夕暮れ時でも平気なのか、上着を着る様子も無い伏見はシュールな行為を繰り返すクロとゴゴに呆れながら問いただしていた。

「……悠斗?」

その声は震えながらも確かに今度こそ、寝ぼける事無く伏見と言う存在を迷う事無きしっかりと捕えていた。それに気付いたクロは今までこっぴどく家族にでも怒られたのかと思う程に怯えていたが今は慣れ親しんだ実家へ帰った様な安心感を表わせる。ただ、此処で気になるのは自分をどういう存在と間違えたのか。見る限りは自身の翼に反応していたが、特にクロに対してこの翼を広げる形態を見せた事は普通に何度もあると思う為、驚いたり怯えたりする事は有り得ないはず。そう考えるとやはり寝ぼけていたからとしか良い様が無い、等と様々な推測を見せる伏見。
また先程まで必死に隠して貰っていたゴゴからひょっこり姿を表したクロは今度は伏見の対応が気になってしまったのか、突如伏見に対して驚いた事について釈明会見を行い始める。

「ご、ごめんなさい……その……夢でね、おっきいお魚がいて……食べようとしたらおっきい鳥がわあーってなって……あっ、えっと……おっきい鳥がいて……びっくりして……ええっと〜…………ご、ごめんなさいっ!!」
「別に気にしてはいないから、とりあえず落ち着いて……。ね?」

正直、夢の内容を話しているのは伝わるがどう言った夢だったのかは一切情景が浮かばず、頭の中は疑問点だらけだが、あたふたしながらも頭を下げているクロを優先してとりあえず宥める事にした。また今までクロを懸命に隠し続けていたゴゴもまたクロの様子を見て心配そうに見つめる。だが伏見はその時、ゴゴの腕付近に見えた痛みに気付く事は無かった。さらに言えば、クロを宥めるのによっぽど神経を使っていたのか、伏見の足元に落ちたクロの猫耳帽子を気付けていなかった。

「えっと、はい。その、帽子…お、落ちてた!」

突如、自身の足元に動いたゴゴに驚きながらもクロにおける帽子の存在について今更気付いた彼は足元に落ちていたにも関わらず帽子に気付かなかった事に少し後悔してしまう。

「俺が、拾った事が嫌だったら、ごめんなさい…俺は、壊しちゃうから。あ、だけど今日は上手く能力が使えて…あ!怪我!は、自分で手当て、します」

自身の能力の弊害に苛まれながらも、自身の能力の利点に頼ると言う複雑なゴゴを見てクロと同じくゴゴも慰めようと考える。

「賑やかだな。クロ、少し落ち着くといい」

すると、突如薄い橙色に塗られた平穏な黄昏時の上空を黒い影で覆い隠すが如く、見るからに悪魔の姿をした道化師における師団長、ハイヴが肌寒いビル風に揺られる幾つもの黒い羽と共に訓練所へ舞い落ちる。だが悪魔の様な見た目とは裏腹にクロの頭を優しく撫で、ゴゴの傷を直すべくグリモワ―ルの能力を活用しようとしていた等、優しい光景が見られる。

「師団長……。今まで何処に行っていたんだ?」

そう言いながら、今まで広げていた翼を仕舞い込み脱ぎっぱなしであった衣服を再び着直す伏見もまたハイヴの姿に安心感を覚えていた。

>>ゴゴ様、クロ様、ハイヴ様、周辺ALL

3ヶ月前 No.22

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_qTF

【犬山/私立姫椿学園付近のメイドカフェ】

もはやメルヘンチックな雰囲気等、何処かに吹き飛ばされ嵐の前の静けさの様な静寂が全体に包まれるメイドカフェにて一人、犬山は狂いながらマフラーが特徴的の勇敢な少女の前で腹を抱えて瞳孔が開く程に大笑いしていた。それに対して彼女は自身の表情に今更、蔑みの念を狂っている彼に込めていた。だがこれはまだ序の口。この程度で引かれてもこちらが困ってしまう。

(全く……僕みたいな人間に中途半端に関わろうとするからこんな事になるのに。まあ、この暴れたい気持ちは疼いて止まらないから、もう遅いけどね)

犬山の持つ暴走はもはや衝動の様な単純な気分の様な物で、自分が暴れたい時に暴れる。ただそれだけで場所は一切問わない。その為、警察官の前でも存分に暴れてしまう等、大分頭がぶっ飛んでいる。ちなみに地下格闘技場はクローン限定ならば一応アンノウン主催で存在している。ただし犬山は闘技場と言った見世物は好きでは無く、むしろウイルステロの対象と化している。

「いやいや、喰らい尽くして『あげる』って、何人に頼まれたから仕方なく感出してるんですか……誰も男性に喰らわれたいとか言ってませんって……男性が勝手に食欲アピってるだけでしょうよ……」

この時もまた犬山は未だに腹を抱えて口が裂ける程に大声を上げて笑っていた為、偶然ながら自分の声がうるさい故にマフラーの少女における話を聴く事は無かった。もしも犬山が少女の声を聞こえていたとしても聞いていない素振りを見せて馬鹿にしていただろうが。
そして彼女が何かこちらに会話を求めて来た時に犬山は一瞬の閃きで皿に乗ったケーキを彼女の顔面に投げようと思い付き、即座に実践する。しかし残念ながら、そのケーキはフォークと同じ結末を辿り天井が彼女の代わりに浴びてしまう。ただ、此処までは想定の内。ケーキ投げの次に彼は彼女の頭に向かってメイドカフェの椅子を思いっきり叩きつけようと振り翳す。だがこれもギリギリながらも反射神経が物を言ったのか、無傷で回避されてしまう。

「勿体ないなー。折角のプレゼントが台無しじゃないか。それに君、本当に凄いね。僕の攻撃を避けるなんて人間とは思えないよ」

それに対して直、少女は頭を叩き割ろうとして其処から溢れる血を想像して美味しそう等と言う気が狂っている犬山に至極全うな正論を言い渡す。

「あと、貴方どう見たって成人男性ですよね? ひょっとしたらクローンで中身は中学生くらいの年齢なのかもしれませんけど、それにしたってさっきから台詞選び痛々しすぎますよ。そこは見た目に合わせて発言しましょう? しかも血の美味しいさがどうのこうのとか……最近は成人男性が女子中学生に声を掛けただけでも犯罪者扱いなのに、そんな発言しちゃったらいよいよペドフィリアセクハラクソ野郎の汚名が近いですよ……?」
「それさ、今世間を賑わせているテロリスト、クラウンの僕に言っても無駄だって事くらい分かるよね? あ……言っちゃった、僕の正体。まあ、良いや。君みたいな奴の口封じなんていくらでも出来るからね」

そう言ってマフラーの少女を嘲笑っているかと思ったら突如、本当の話すら怪しい、自身がテロリストである事を宣言し始める。正論も狂気と暴力の前では余りに無意味で無力。

「決ーめた。此処、今日のターゲットで良いかな」

そうして笑う犬山の八重歯は鋸の様に異常に鋭く伸びており、本当に血に飢えていた。

>>恋慕小路散華様、周辺ALL

3ヶ月前 No.23

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_0D6

【 恋慕小路散華 / 私立姫椿学園付近のメイドカフェ 】

 覚悟はしていたが、やはりまともな成人男性らしい返答は聞けなかった。あまりにも話が通じなさすぎて、ひょっとしてコイツわざと頭がおかしいフリをしているんじゃ、と疑ってしまいそうになる。それくらい相手の言っていることは支離滅裂だ。というかこれが演技だとしても、ここまでIQの低そうな演技は一朝一夕では身につくまい。考えようによっては玄人の技術である。そう考えたら、男の言動も多少は有り難がることが……ううん、やっぱり出来ない。だって凄かろうと凄くなかろうと鬱陶しいものは鬱陶しいし……。頭の中をぐるぐると、そんな意見ばかりが回る。
 最初は戦々恐々としていたメイドカフェの他の客たちも、男の言動がもたらす緊張感に一周して慣れて来たのだろう。中にはスマートフォンで男の写真を撮影して、散華より先にインターネットにアップしている様子の者もちらほら見受けられた。流出先は2ちゃん○るだかツ○ッターだかイ○スタグラムだか分からないけれど、とにかく、今頃この男の写真はやらかした事の顛末と共にSNSの海を漂流しだしている。早ければ数時間後にはどこぞのまとめサイトが記事として取り扱っているかもしれない。

「趣味の悪いプレゼントを女子中学生に無理やり押し付けようとする成人男性、端的に言って本当キモイですよ。男性の人生に何があったかは知りませんけど、でも、何があったってキモイのはキモイのに変わりありません。お願いですからこれ以上キモイことしないで下さい。鳥肌出そうです。冗談抜きで」

 投げつけようとしたケーキとお皿を“折角のプレゼント”呼ばわりした男に、ドン引きの表情で自分の二の腕をさすりながらそう切り返す散華。キモイキモイと連呼しているのは紛うこと無き本音だ。女子中学生はこういうところが正直である。もし相手が見知らぬ男ではなくクラスメイト辺りなら、明日にはその言動をL○NEのクラスグループで晒された挙句に散々っぱらディスられてしばらくネタにされること請け合いだ。男は学生でなくてラッキーだった。

(誰一人として聞いてもいないのに自分の肩書を名乗り出しました……しかもこの人、口封じも何も現在進行形で情報が外部流出しまくっているのに気付いてらっしゃらない……!?)

 続いて男の口から放たれた言葉に戦慄を覚える散華。テロリストのクラウン、という響きに怯えたのではない。監視カメラには映像を記録されている。メイドカフェの大きな窓にはカーテンが付いていないから通行人やご近所さんからも中でやっていることは丸見え。周りの客たちの何人かは写真やムービーを撮影している。この状況に身を晒しておきながら、何故か散華の口封じさえしてしまえば自分の発言を無かったことにできると思い込んでいる精神性――それが理解できずに驚いているのだ。わかりやすく表現すると『何言ってんだコイツ状態』である。

「……先に宣言しておきます。これ以上、よそ様に迷惑はかけないで下さい。もし次に同じことをなさるようでしたら、ちょっと『失礼』することになりますよ」

 男がノコギリじみた歯をギラつかせるのと同時、散華の瞳もまた剣呑な色を灯した。『始祖の魔眼(サリエルアイズ)』。三秒凝視したものを灰に変える瞳。オリジナルの恋慕小路散華には無かった、クローンの恋慕小路散華だけの異能力。最終警告だけでこれを未だに発動させないのは、散華から目の前の男への優しさだ。けれど、この言葉さえ無視してまた暴力的な手段に訴え出ようものなら。
 ――残念ながらその時は、こちらも“やらかす”しかあるまい。徐々に近づいてくるパトカーのサイレン音をBGMに、散華は覚悟を決めた。

>犬山様&ALL様

【「私立姫椿学園付近のメイドカフェで自称『テロリスト・クラウン』の男が暴れている」という噂が犬山さんの写真付き(※中には動画付きもあるかもしれない)で色々なSNSに地味に出回り出した状態なので、情報を拾う機会があったらちらっと拾って頂ければ有り難いです】

3ヶ月前 No.24

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【クロ/ロンギヌス:屋上】

「別に気にしてはいないから、とりあえず落ち着いて……。ね?」

全くと言っていいほど怒っている気が感じられない悠斗の声色にクロは本当?というように顔を上げる。見ると、その声色通り悠斗に怒っている様子はなくクロはホッと息をつく。あの説明で伝わったかどうかは分からないが少なくとも気にしていないことは本当のようだ。

「ほー、良かっ……わああっ!?」

クロは安心して言いかけたが、驚いた声を上げる。理由は、クロのすぐ隣を誰かが通り過ぎていったからだ。またパニックになってしまうかと思いきや、そこはちゃんと耐えたようでクロは改めてその人物を認識する。そして、その人物がクロや悠斗と同じく道化師の団員であることに気づく。ふわふわの金髪に羊のような角、全体的にチグハグな服装。頭にはキャスケット帽を被る、彼の名前はゴゴだ。クロも十分子供らしいが彼もクロに負けず幼い部分が多く、嬉しいと笑い、悲しいと泣くという分かりやすい性格の持ち主だ。ゴゴはそのまま悠斗の元まで向かっていき、クロの帽子を拾い上げ優しい手つきで埃をはらうとクロに差し出した。

「えっと、はい。その、帽子…お、落ちてた!」

そう言ってゴゴは帽子を持つ手をさらに伸ばす。クロは突然ゴゴが現れた事にも驚いたのにその上帽子を持ってきてくれるなんて思いもしなかったのでその一連の動きを理解するのが遅れ、きょとんとした表情でゴゴを見つめる。ゴゴは続けて言った。

「俺が、拾った事が嫌だったら、ごめんなさい…俺は、壊しちゃうから。あ、だけど今日は上手く能力が使えて…あ!怪我!は、自分で手当て、します」

ゴゴは全て言い終わると俯いてしまった。そこまで聞いてクロはゴゴが自分の帽子を持ってきてくれたことをようやく理解し、ハッとしたように口を開く。

「嫌とか、そんなのないよ!帽子、ありがとう!あっ、あと、おめでとう!」

クロはそう言って帽子を受け取る。嫌じゃないとはっきり否定し、感謝と祝福は笑顔で伝えた。怪我の方も心配になったが、敢えて言わなかった。クロは、今のは落ち着いて応えられたかな、と心の中で思う。ゴゴの言った"壊しちゃう"というのはきっとゴゴの能力のことを言っているのだろう。ゴゴの能力は触れたものを瞬時に砂のようにしてしまうものだ。本人はまだその能力を使いこなせていないようでもしかしたら自分が今、誤ってクロの帽子を砂にしてしまうかもしれない、という意味で言ったのだろう。しかし、もしそうなったとしてもクロはゴゴを責めたりはしない。ゴゴがこっそり練習しているのは知っていたし、暴走してしまい自傷するのも見たくはない。それに責めたりするような人はここには誰一人としていないだろう。皆、仲間想いで優しい人たちだ。この気持ちがゴゴに伝わっていたらいいな、とクロは思った。

「賑やかだな。クロ、少し落ち着くといい」

聞き慣れた声に声のした方を向くと、そこにいたのはカラスのように真っ黒な翼を生やした道化師の団長、ハイヴだった。その浅黒い肌に白銀の髪で背中に黒い翼を生やす姿はカラスというよりは悪魔に近い。クロはいつの間に現れたのかと驚いたが、さすがに3度目ともなると悲鳴までは上げずに済んだ。ハイヴはクロを見て微笑を浮かべると、クロの頭を撫でる。クロはほんのり頬を赤らめながら黙って撫でられる。悪魔のような容姿に似合わず、ハイヴの手から優しさが感じられた。クロは顔には出さないようにしているが、ちらちらと覗くスカートの中の尻尾はゆらゆら揺れていて喜んでいるのがバレバレだった。猫の姿なら間違いなくもっともっとせがむように擦り寄っていることだろう。しかし、途中でクロはハッとするとぶんぶんと頭を左右に振り、言った。

「お、落ち着いてるよ!さっきはね、ちょっと!ほんのちょっとだけびっくりしただけだもん!」

ハイヴが今までのクロの行動を最初から見ていたかは知らないが、そこまでは考えずにクロはだいぶ苦しい言い訳する。と、ハイヴは今度はゴゴの方を向いて腕を広げていた。これはハイヴの能力、グリモワールだ。そのうちの傷を治す、というより相手の傷を自分に移す能力をやろうとしているのだろう。ハイヴはこの数秒でゴゴの傷に気づき、それを治そうとしているのだ。本当のことを言うとクロもハイヴの腕の中に飛び込んでもっと撫でてもらいたかったのだが、今はゴゴが最優先なので我慢する。クロは、あ、と思い出してずっと手に持っていた猫耳帽子を被るとクロにしては珍しく空気を読んで様子を見守った。

>>伏見悠斗様、ゴゴ様、ハイヴ様、周辺ALL様

3ヶ月前 No.25

オデット @rune1109 ★iPhone=6r8dfM7K4t

【 伊瓜 悠 / 名無第一高校、放送室 】

 おおかた神谷は伊瓜のふざけた態度にはツッコまないと予想していたが、見事なまでにきれいなガンスルー。構ってくれないのはちょっぴり残念だけれど、それもまぁ神谷らしくて口の端が少し上がった。
 淡々と神谷の口から告げられ、スマートフォンのスピーカーから聞こえてくる言葉は、幹部でありなおかつ話の核である高校に勤務している伊瓜張本人には聞かされていなかったものだった。伊瓜だけでなく隊長ですら知らないものなのだから、よっぽどのことなのだろうとは思うけれど。だけれど。
 神谷はクローンを、つまりは神谷のことも差別しているオリジナルに多大な忠誠心を誓っている。傍から見たらそんなのは普通じゃない。解せない。しかし都合の良い操り人形は、オリジナルからかわいがられているようで。実際のところ、神谷はオーギュストの幹部や隊長しか知らないような、隊員なら知ることのできない情報を知らされている。優遇されている。
 「 妬いちゃうなぁ 」なんて彼には聞こえないようにボソリと零す。

 そして神谷の電話の本題は、学校や開かずの間の様子を聞くこと、のようだ。真面目だなぁと微笑む。
 変わった様子。開かずの間について。頭の中で考えを巡らす。
 開かずの間。そもそも開かずの間というのは生徒たちが呼び始めただけであって、正式名称ではない。一階の端にひっそりと潜めてあり、鋼鉄でできた頑丈な扉のことだ。いつも鍵がかかっていて誰も開けることはできないし、扉を開けた姿を見た人さえもいない。そのため生徒も教師も何の部屋かわからないと、名無第一高校の七不思議に認定されている。不思議は不思議のままで留めておけばいいものを。若い高校生たちの好奇心は冷めない。知ってどうするのだ。あの恐ろしい事実を知って、何も得など生まれない。ただ絶望するだけだ。それどころか最悪、生徒たちの集団自殺や生徒たちによる暴動やデモも起こりかねない。伊瓜はそれを一番恐れていた。開かずの間に、あれの真相に生徒たちを近づけてはならない。絶対に。開かずの間の真相が周囲に暴露されてしまうと、アンノウンの評価が下がるからとかで伊瓜はここに派遣されたわけだが。伊瓜自身、そんなことはどうだってよかった。
 この真相をオーギュストの幹部や隊長に知っているということは聞いているが、きっと神谷も……。
「 うーん、神谷くんが満足できるような情報は提供できないけれど、そうだなぁ……まぁ、強いて言うなら僕はこーちょーせんせーが大っ嫌いってことかなぁ 」
 大っ嫌いというところをやけに強調して、伊瓜はスマートフォンを持っていない自由な左手をヒラヒラさせて笑った。

 そして少しの沈黙。口を一度固く結んで、開く。そのままのいつも通りのへらへらとした口調で、
「 ねぇ、神谷くんって僕のこと信用してないでしょ? 」
 左脚を右脚の上にして脚を組む。座っている机がギシ、と音を立てた。
 別に否定して欲しい訳ではない。それに神谷に限ったことではない。確かにこんな不真面目なやつが幹部であり、監視役であるというのは心もとないと思うのが普通だろう。


>>神谷 聖さま

3ヶ月前 No.26

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_qTF

【神谷聖/名無第一高校・昇降口前】

下校する生徒や昇降口を通る教師における歩行の邪魔にならない様に昇降口の誰も通らない様な所で立場が上の幹部であり、名無第一高校に教師として潜入調査を行っている伊瓜とスマートフォンで連絡している神谷。連絡内容はアンノウン関係者の獅子倉校長からのアンノウンやオーギュスト幹部、隊長にも極秘における呼び出しについて。校長の様なオリジナルに忠実な神谷はたまにこう言った個人的な依頼を受ける事があり、その多くがアンノウンやオーギュスト本部には言えない様な依頼ばかり。また依頼者も神谷の事を信用していると言う訳では無く都合のいい操り人形と考えている様で、特に秘密について教えられる事は無く言われた事に従うしかない。だが今回の依頼関しては名無第一高校の開かずの間について監視役である伊瓜と校長に直接、問いただしたい事があった。

(……仕事量を圧迫してでも私がこの学校の監視役に就くべきだったか)

すると何やらボソリとスマートフォン越しから何か声が聴こえた為、一瞬、伊瓜が何か言ったのかと聞き直そうか考えたが気のせいだと思い直し伊瓜からの情報を待つ事にした。

「 うーん、神谷くんが満足できるような情報は提供できないけれど、そうだなぁ……まぁ、強いて言うなら僕はこーちょーせんせーが大っ嫌いってことかなぁ 」

伊瓜からの回答から察するには学校の調子も開かずの間も特に異常が無いと言う事であった。しかし神谷はスマートフォンを耳に当て話を聞きながら、一階部分における幾つもの並べられた窓を何か確認するかの様に眺めていた。
そして彼女が大嫌いだと言っていた名無第一高校の初代校長である獅子倉。見た目も紳士的で生徒達の成績から周りの評判も高く、アンノウンの関係者と言う事もあり絶大的な支持を集めていた。その為、そんな彼を大嫌いと言うのはなかなか珍しかった。そして神谷自身もオーギュスト団員として何度か会った事はある。そして直接会ったが為にこれまた珍しく伊瓜の校長に対する嫌悪に気持ちは神谷にも理解出来ていた。

(恐らく、あの校長では開かずの間を管理できないから監視役として幹部の伊瓜がいると考えれば……)

ただし、いくら校長が無能だろうが大嫌いだろうがそれでも校長に対する忠誠は決して変わらない。

「 ねぇ、神谷くんって僕のこと信用してないでしょ? 」
「……」

突如、伊瓜に言われたその言葉に神谷は反応は行わなかったが心の中で驚いてしまい無言を貫くしか無かった。何故ならばそれは事実の為。ただしそれは開かずの間の監視役として。オーギュストの幹部としては思想は全く違うがその能力を信頼しているつもりである。

――しかし何故監視役として信用出来ないのか。それは神谷のある思想に答えが出ていた。

(……存在さえ認められれば良いと考えていたが、この学校では優秀である為にオーギュスト並に優遇されている様だな。だが恐らくその監視役により校長が……)

「まあ、能力としては多少、幹部として信頼しているが人として信用していないのは事実だ。……別に今はそんな事、どうでも良いと思うが。それがどうかしたか?」

>>(伊瓜悠)様、周辺ALL

3ヶ月前 No.27

黒い猫 @sinikake ★iPhone=DznCbfnqH0

【ゴゴ/ロンギヌス、屋上】

「嫌とか、そんなのないよ!帽子、ありがとう!あっ、あと、おめでとう!」

そう言って帽子を受け取ったクロをゴゴを見て驚いた。お礼もおめでとうと祝ってくれた事にも驚いたが、一番驚いたのは嫌じゃないと否定してくれた事に驚いた。
ゴゴは、自分は許されない、という考えを無意識下で持っている。だから先程の悠斗の、手当をしよう、という好意も遠慮してしまうし自分の事を蔑ろにしがちで、何かしらの行動を起こした時に自分よりも他の人の方が良かったかも知れないと思う。つまりゴゴは自己否定が異常に強い。
なので、クロに嫌じゃないと言われた事にとても驚いたし嬉しかった。俺でも良かったんだ、と思わずゴゴの口元が緩む。

「へへ、ありがとう」

ゴゴは目を細めて満面の笑顔でお礼の言葉を述べる。訓練の事を祝ってくれた事も嬉しかったのでその思いも込めてありがとうを言った。

「賑やかだな。クロ、少し落ち着くといい」

と、頭上付近から聞こえた馴染みのある声にクロとほぼ同時に顔を上げた。まず目に入ったのは真っ黒の翼で、先程の悠斗とは真逆だ。浅黒の肌で黒の翼とまるで悪魔の様な出で立ちの彼は、道化師団団長のハイヴだ。
長い爪があるその手で傷つけない様にクロの頭を撫でるハイヴの手付きはとても優しそうで、クロも尻尾をゆらゆら嬉しそうに振っているのがスカートの裾からチラチラ見える。
ひょっとしてあんまり女の子のスカートの裾を見るのは駄目かな?、と思ったゴゴはすぐに目を上に向けてハイヴを見た。ハイヴも微笑を浮かべていて今度は、ちょっと羨ましいな、と思いながら二人を見る。と、ハッとしてクロが頭を横にぶんぶん振る。水切りしてるみたいなその動きに少し目を向けて首を傾げているとクロが口を開けた。

「お、落ち着いてるよ!さっきはね、ちょっと!ほんのちょっとだけびっくりしただけだもん!」

ちょっとびっくり、と心の中でゴゴは繰り返して先程のクロの様子を思い浮かべる。少し苦しい言い訳に聞こえるのは気のせいではないはずだ。

俺も、びっくりしたらワタワタなるな。

だけど驚いたり慌てたりしたら落ち着きがなくなるのは自分も一緒だ、と思ってゴゴはクロにはにかむ様に笑いかけた。なんとなく似た所を見つけれて嬉しかったのだ。
と、先程からハイヴがこちらを見ている事に気がついてゴゴは顔を上げた。するすると滑る様に近づいてきたハイヴは微笑んでいて、首を傾げる。視界の隅でハイヴの能力であるグリモワールのページがめくられピタリとそれが止まるのが見えた。

「ゴゴ、おいで」

ハグを思わせる様に両手を広げているハイヴを見てゴゴは目を輝かせた。頭を撫でてもらうのも好きだがハグはあまりした事がない、おっかなびっくりといった感じでぎこちなく前に一歩踏み出した。
が、ハイヴの能力で怪我を自身に移すというものがあったのを思い出してゴゴは体を硬くした。とてもハイヴは仲間思いだ、ここに居る全員そうだろう。だとしたらハイヴがおいでと言っているのは怪我を自身に移そうとしているという事だ。
ハイヴのハグは凄く魅力的だが果たして自分は甘えて良いのだろうか、とおろおろと瞳を泳がせて、足元へと視線を移したゴゴはしばし立ち尽くして考える。
飛び込もうかと思ったが、だけど、と思考がぐるぐる回る。だって俺は駄目だ、と結局思考がそこで行き詰まってしまったゴゴはハイヴの黄金色の目を見る。考え込んでいたのは30秒くらいの間だったが、これ以上考えても同じところで行き詰まるのは目に見えていた。
例え師団長というゴゴよりも立場が上で、属しているトップの申し出だとしても、それが自分以外の人が痛い思いをするのはゴゴには許せない事だ。

「た、だの…ハグ?」

恐る恐るといった感じで上目遣いのゴゴが尋ねる。ちらりとグリモワールの方を見て、全く理解出来ない文字の書かれた本に目を凝らすが表紙でさえ理解出来なかった。

≫悠斗様、クロ様、ハイヴ様、周辺オール様

【すみません、悠斗様の「師団長……。今まで何処に行っていたんだ?」の場面に繋げようとしたのですがゴゴの性格上、上手く持っていけませんでした。申し訳ないです】

3ヶ月前 No.28

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★J1SGpZKeln_8gk

【フライシャー/ロンギヌス、屋上】

かつて世界とはモノトーンだった。
色褪せた、愚かで下らない世界。
私を生み出した造物主気取り、私を使いたがる主人気取り、私を失敗作と蔑む所有者気取り。
どれもこれもが愚にもつかない凡俗な連中ばかり。
私より脆く、私より遅く、私より愚かで、私より弱い。
何よりも、あの程度の苦痛とも呼べない方法で、私を縛り付けていられると思い込んでいたのだから片腹痛い。

私が反抗しないことを「我々を恐れているからだ」と勘違いしていた愚鈍な連中。

脱出しなかったのは目的がなかったから。
逃げ出さなかったのは苦ではなかったから。
壊さなかったのはそれほどの価値がなかったから。

けれど、それもあの時まで。

今の私の世界は彩り鮮やかな素晴らしいものだ。
あの口車に乗って脱出してよかったと今では思える。

何よりも、敬愛すべき主人に出会えたのだから。

故に私は壊そう、故に私は戦おう、故に私は生きて、そして死のう。
元よりそのために生み出された。
主人に尽くし、主人を護り、主人の敵を打ち倒すために。

あぁ、その事だけはあの下らない挽き肉たちに感謝してもいいかもしれない。

「私を生んでくださったことにだけは、感謝しておきましょう」

  ◆ ◆ ◆

階段を上っているのは一見して年若い少女だった。
しかし、その姿を見て少女という形容は少しばかり憚られる。
ヴィクトリア朝時代のメイドを思わせる服装の彼女は、異形であった。
顔形は整っている部類に入る。
凹凸の乏しい体つきも華奢ではあるが女子児童とよべる程度には少女的だ。
しかし、その腕が華奢や可憐と言った印象を全て叩き潰すほどのインパクトを持っている。
先ずはその長さ、どちらの腕も少女の身長より長いだろう。
そして、その凶悪さ。
刃物や、鈍器、鋸などと言った見た目も凶悪そうなそれを生物的な印象にして腕の形に押し込んだ凶器。
そうとしか形容のしようがない、そんな両腕が彼女の印象を少女と呼ぶにはいささか凶悪なものに変えている。

しかし、そのような印象とは異なって、顔に浮かぶのは父親の帰りを歓迎する幼い娘のような笑顔。

彼女はそれなりに騒がしくなり始めた屋上へと足を踏み入れる。

「どうも騒がしいと思って見に来たのですが、正解だったようですね。お帰りなさいませハイヴ様。皆様方も丁度良かったです。食事の支度を行おうかと思うのですが、要望などはございますか?」

彼女はその場の全員に向けて問いかけた。

>>ゴゴ様、クロ様、ハイヴ様、悠斗様、周辺ALL様

【出遅れました、絡ませていただきます、よろしくおねがいします】

3ヶ月前 No.29

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_gi9

【 ハイヴ / ロンギヌス-屋上 】

 さきほどまではあたふたと慌て、コロコロと表情を変えていたクロが、ハイヴに頭を撫でられている時には照れくさそうに黙り込んでいるその様子に、ハイヴは思わず表情を綻ばせた。照れ隠しのつもりだろうか、クロは表情にこそ感情を出していないものの、時折視界に映り込む猫の尻尾の動きで、クロが今どんな気持ちなのかはハイヴに筒抜けだった。ああ愛しい、と素直に思う。ゴゴや悠斗やハイヴ、周りの仲間たちの一挙一動に素直に反応して感情を豊かに表現する、クロのことを誰が化け物と罵れるだろう。

 ゴゴに対して開かれた両腕は、未だ何の温もりも得ることはなく、寂しくその場に残されていた。自分のことなどお構いなしで、いつも相手に気を配るゴゴのことだから、ゴゴが誰かにかけてしまう迷惑を全て予想したうえで行動するだろうとは推測していた。もっと分かりやすく言うなら、ゴゴがハイヴに≪強欲≫を発動させることを躊躇って、ハグを拒むか訝しむだろう、とも。

「――――ああ」

 ゴゴに尋ねられた問いの答えを短く呟けば、ハイヴの身体が空中を滑りゴゴに急接近する。まばたき一回分ほどの時間もかけていないその動作は、一見して瞬間移動だと誤解されるほどだろう。同時に、ハイヴの背に生やされた黒い翼がぶわりと広がる。ハイヴの両腕がゴゴを捕まえるのと時を同じくして、大きな片翼をクロの身体に引っ掛けるようにして、彼女をハイヴの腕の中へと半ば強引に抱き寄せた。クロが、羨ましそうな視線でこちらを見ているのには気付いていた。ならば、仲間外れになんてしちゃいけないだろう。

「俺が、お前達を抱き締めたいと思った。ただそれだけのことだ。……俺の腕の中は嫌か?」

 悪魔形態であるハイヴのほぼ半分ほどしか身長のないゴゴとクロは、すっぽりとハイヴの両腕の中に納まった。右腕でゴゴを、左腕でクロを、偽りのない愛情を込めて抱き締め、そして二人の耳元で声を紡ぐ。バリトンの利いた低い声だが、穏やかな優しい口調で。翼を広げたことで、何枚かの黒い羽根がひらひらと空中を舞う。それが巧みに、ゴゴの腕の傷がハイヴの同じ箇所に移ったことを目隠しした。ハイヴが二人に囁くように問いかけている最中に、グリモワールのページが一人でにめくられてゆく。そして≪怠惰の項≫でページはぴたりと止まり、瞬く間にハイヴの腕の傷はリセットされ消えた。まるで傷などどこにもなかったかのように。

「……名無第一高校。元よりきな臭い施設だったが、最近妙な気配を発している。少し気になって、偵察にな」

 “何も詳しいことは分からなかったが、”と付け加えながら、悠斗の問いかけに対して答える。名無――すなわちネームレス。とすればあの学校が、奴らの息のかかった施設であることは想像に難くない。かといって、今からもし何かしらの事件が起こるとしたら、その詳しい全容まで感じ取れるほどハイヴはエスパーじみてはいない。名無第一高校に偵察へ向かったのも、「何となくその場所が気になるから」という第六感の働きかけにすぎない。

「ふむ。せっかくだ、お前も加わるか? ああ、ライシャも良いタイミングだ」

 クロとゴゴを抱き締めているという現状。悠斗の目を見て、ハイヴはにやりと含みのある笑みを浮かべる。挑発的とも言えるその微笑みで、ハイヴは悠斗にもハグをいざなった。こういう場合、クロやゴゴより精神的に遥かに大人である悠斗がどういった反応を示すのか、ハイヴの単なる好奇心からの実験だった。
 そして、屋上の扉を開いて顔を覗かせた新たな同胞――フライシャーの登場に、ハイヴは彼女へと視線を移す。ライシャというのは、ハイヴがフライシャーにだけ適用する略称であり愛称だ。よく気の利く彼女ならば、一から説明せずとも、ハイヴが悠斗に加えてフライシャーすらもハグに誘っているのだと判断できるだろう。多く言葉を重ねずとも、彼女は自分の要望や意図を理解してくれる。そこには、ハイヴがフライシャーに対して寄せる全幅の信頼が表れていた。
 ――悠斗もフライシャーもハイヴのハグには応じない――寂しくも、それがハイヴの立てた予測ではあるが。

「――夕餉の時刻……黄昏時か。献立は一任しよう、お前に任せておけばハズレはなかろう」

 フライシャーが食事の要望を問いかけたことで、ハイヴは今の時刻を再認識する。妖しくも美しい、逢魔が時。願わくばこの穏やかな時間が永久に続けばいいのだが、この血腥い世の中は我々ヴァリアントのことを放っておいてくれない。そんな感傷に一瞬だけ浸り、ハイヴはフライシャーへと応答した。


>>クロ、ゴゴ、悠斗、フライシャー、周辺ALL



【可愛いお二人を抱き締めたすぎてふんわり確定ロルごめんなさい、問題があれば書き直します……!自称クラウンの単独テロリストである犬山くんが暴れてることがSNSで拡散されているとのことで、それに気付いたハイヴを対処に向かわせようかとも思ったのですが、2/26に第一章の歯車が動くということで、自重させて頂きます。今後の展開、楽しみにしております!】

3ヶ月前 No.30

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【クロ/ロンギヌス:屋上】

腕を広げて待つハイヴを見てゴゴは1歩踏み出した……が、そこで立ち止まってしまった。ゴゴのことだからすぐに飛び込んで行くと思っていたのだが、ハイヴの意図に気づいたのだろうか。ゴゴは考え込むようにして立ち止まったまま動かない。そして数十秒経ってからやっと顔を上げるとちらりとハイヴを見て尋ねた。

「た、だの…ハグ?」

やはりゴゴでも気づいたらしく、ゴゴの目線の先はハイヴのグリモワールに向けられている。ゴゴの性格上、ハイヴの能力によってゴゴの傷がハイヴに移りハイヴが傷ついてしまうことを躊躇っているのだろう。ハイヴなら自分に傷が移ってもすぐに二つ目の能力を使って直すことができる、それはゴゴも知っているはずだ。だが、一瞬でもハイヴの体が傷つくことに変わりはない。だからこそ、すぐに治せるということを知っていてもハイヴに能力を使わせたくないのだろう。

「――――ああ」

ゴゴの問いにハイヴはそう答えた。グリモワールを開いているからてっきりゴゴの傷を治そうとしているのだと思っていたが、違ったのだろうか。と、クロがそこまで考えたところでハイヴの姿が一瞬で消えてしまった。そして、えっ、と思ったときにはクロはいつの間にかハイヴの腕の中に収まっていた。

「!?」

突然のことに驚きすぎてクロの頭にビックリマークとクエスチョンマークがぽんぽんと浮かんでくる。クロは何が起きたのか分からず呆然としつつ、ハイヴを見上げた。

「俺が、お前達を抱き締めたいと思った。ただそれだけのことだ。……俺の腕の中は嫌か?」

クロの困惑を見抜いてか、ハイヴが訳を述べ問う。そこでクロはこれがハイヴのしたことだと気づいた。ハイヴが中々動かないゴゴを見かねてか、自分から抱き締めに動いたのだ。そして何故かクロもゴゴと一緒に抱き締められている。理由はハイヴがただ抱き締めたいと思ったからだと言っていたが、クロはもしかしてと思った。もしかしたらハイヴはクロの心情に気づいていたのではないか。そう、クロの予想通りハイヴはゴゴにハグを促す間もちゃんとクロのことを見ていて、我慢しているクロに気づき、ハグに加わらせてくれたのだった。どちらにせよ、やっぱりハイヴは優しいなぁとクロは思った。ハイヴは本当に心から団員全員のことを思いやり考えてくれている。

「ううん!嫌じゃないっ」

クロは嬉しさに笑みが零れるのを隠すようにハイヴの胸に顔を埋めて言った。こうしているとハイヴの温かさが伝わってくる。クロはふと、お母さんがいたらこんな感じなのかなぁと思った。クロはオリジナルには親という存在がいることを知っていた。オリジナルは自分を生み出してくれた人物をお父さん、お母さんと呼ぶらしい。オリジナルがどのようにオリジナルを生み出すのかは分からないが、生み出した人のことをそう呼ぶならクロにとっては魔弾の射手が親ということになる。しかし、なんとなくだが魔弾の射手は親に相応しくないような気がした。街で見かける親と子は皆、手を繋いで楽しそうに笑っている。その様子は本当に幸せそうでクロは自分もそんなふうに誰かと手を繋いで歩いてみたいと思っていた。もちろんその誰かは魔弾の射手の人なんかではない。例えば、ハイヴや悠斗となら本当に親と手を繋いでいるみたいだろうし、ゴゴとなら兄妹といるような気分だろう。クロがハイヴの胸に顔を埋めながらそんなことを考えていると、ハイヴが口を開いた。

「……名無第一高校。元よりきな臭い施設だったが、最近妙な気配を発している。少し気になって、偵察にな」

それは悠斗に向かって言っているようで悠斗もクロの気がつかないうちに質問していたのだろう。名無第一高校と聞いてクロは学校かな?と思った。オリジナルは一定の年齢に達すると学校という場所に通うと聞く。そこで何をしているのかはよく知らないが、前にたくさんのオリジナルたちが学校の敷地内の開けたところで遊んでいるのを見たことがあった。クロはきっと楽しい場所なんだろうなと思っていたのでハイヴが"きな臭い施設"や"妙な気配"というのを聞いて首を傾げる。きな臭いの意味は分からなかったが、楽しい場所というのには程遠いような気がした。そんな場所だったのだろうか。

「どうも騒がしいと思って見に来たのですが、正解だったようですね。お帰りなさいませハイヴ様。皆様方も丁度良かったです。食事の支度を行おうかと思うのですが、要望などはございますか?」

そう言う声が聞こえてクロは声のした方を見る。銀色の髪をポニーテールにし、メイドの服を着た一見普通の少女のようだが、その腕はどちらも彼女の身長よりも長く異様な形をしていた。彼女の名前はフライシャー。道化師団長のハイヴの次に高い立場にある道化師の幹部だ。彼女の性格は少し冷たい印象だったため、クロは初めて見たときは正直怖かった。しかし、一緒にいるうちに彼女の新しい面も見られ、今では以前よりは親近感を抱いている。

「――夕餉の時刻……黄昏時か。献立は一任しよう、お前に任せておけばハズレはなかろう」

「おさかな!」

ハイヴの答えに若干重なってクロは声を上げた。フライシャーが食事を作ってくれると聞き、クロはきらきらと目を輝かせる。というのも、フライシャーの作る食事はどれも絶品だったからだ。クロはわくわくしながら今から作られる料理の数々を思い浮かべた。

>>ハイヴ様、ゴゴ様、フライシャー様、伏見悠斗様、周辺ALL様


【ふんわり確定ロルの件ですが全然構いません!クロの場合いろいろとお世話になることの方が多いと思うので、勝手に連れて行ってしまったりしても大丈夫です!】

3ヶ月前 No.31

オデット @rune1109 ★iPhone=6r8dfM7K4t

【 伊瓜 悠 / 名無第一高校、放送室 】

 軽い気持ちで口に出したその質問に、神谷はしばし口をつぐんでいたようだった。図星、だったのか。まぁ気にしないつもりだし、実際、伊瓜だって自分のことを信用していないし、言うなれば他人だって信用していない。なぜって、それは記憶の改竄ができる伊瓜にとっては言うまでもないだろう。人の記憶など当てにならない。本人たちは経験を証拠にして確信を持っているのかもしれないが、そんなもの頭に手をかざせばすぐ書き換えられる。しかし伊瓜が自分を信用していない理由と、神谷が伊瓜を信用していない理由は異なる。神谷が伊瓜を信用していない理由__やはりこの不真面目さ故だろうか。伊瓜は皮肉気に笑った。

 そして神谷から返事が返ってきた。
『 能力としては多少、幹部として信頼しているが人として信用していない 』
 何とも神谷らしい答えだと思った。その言葉には偽りが無いように思える。思わず「 ふはっ 」と吹き出してしまった。
「 うんうん、そうだねぇ。確かに今はどーでもいいことだねぇ。__神谷くんさぁ、やっぱ君いいねぇ。これからも僕のこと信用しないであげてよ 」
 「 あー笑った笑った 」といつの間にか目に溜まっていた涙を拭って、組んでいた足を解いて足をブラブラさせる。そして視界に入った、アナログの壁時計に目をやる。
「 ど? いい暇潰しにはなったんじゃないかな? んーじゃ、神谷くんがーんばってねん 」
 耳からスマートフォンを離し、画面上の赤い円をタップしようとした。
 今日やるべき事は、明日の授業の準備とあの子の添削プリント。そして、あと余裕を持っておこう。今日何かが動き出すような気がする。伊瓜の勘が言っていた。放送室の窓から、寂しげに燃える夕日を睨んで一瞬、先程までのふざけた笑みを浮かべる伊瓜と、同一人物とは思えない悲しく真面目な顔になる。


>>神谷 聖さま

【 明日から動き出すということなので会うのは控えさせていただきました 】

3ヶ月前 No.32

黒い猫 @sinikake ★iPhone=DznCbfnqH0

【ゴゴ/ロンギヌス、屋上】

「――――ああ」

ハイヴの短い答えを聞いてゴゴは、本当にほんと?、と聞こうと口を開けた。しかし突然目の前に現れたハイヴに開けた口からは疑問ではなく「わ、」と短い驚きの声が出た。視界で黒が舞っているのが見える。

「俺が、お前達を抱き締めたいと思った。ただそれだけのことだ。……俺の腕の中は嫌か?」

耳元で響いた低い優しい声にハイヴの腕の中に居ることに気づいたゴゴは少し慌てた。が、同じく抱きしめられていたクロの「ううん!嫌じゃないっ」という声に口を引き結んで頬を膨らます。
ゴゴだって嫌じゃないのだ。ハイヴはとても優しいし、クロも共に抱きしめられているのを見る限り彼女も自分が先程思っていた様に羨ましかったからこうやって彼に抱きしめられているのだろう。
だけど、とゴゴはむっと唇を尖らせてぐりぐりと額をハイヴに押し付けた。折れた角の端がハイヴを傷付けない様にしているあたりがゴゴらしい。
俯いた先で下ろしたままの自分の腕が見えたゴゴはぐっ、と奥歯を噛む。腕の傷が無くなっているからやっぱりハイヴが能力で治してくれたのだ、しかも自分はそれを見ていない。抱きしめたいだけ、とハイヴが言ったのはきっとある意味事実で、だけどきっとそこに気負わせない為の優しさがある。そして今の様に自分に傷が移ったところを見せず、何事もなかったかの様に抱きしめてくれる。その腕にも傷が無い。

「…ありがとう」

ぎゅう、とゴゴがハイヴが治してくれた腕を回して抱きつく。膨れっ面でその顔を見上げてお礼を述べたゴゴの顔は、その優しさが嬉しいが一瞬といえ傷を負わせた事などなど複雑な心情がありありと現れた顔だ。その姿は拗ねた子供を思わせる。
本当はとても、とても嫌だ。ゴゴは仲間が傷付くことがとても嫌で、そして原因が自分ならば許せなくなる。だが、こうやって底知れぬ優しさを見せられるとどうしても複雑だった。
しかし抱きしめられている事の嬉しさがだんだん優ってきて口元がだんだんと緩みだした。ゴゴは頭を撫でられる事も落ち着くから好きだがハグも好きだ。少し恥ずかしくなってクロがしている様にゴゴもハイヴの胸に顔を埋めた。
と、背後で悠斗が羽音や布の擦れる音を立てながら「師団長……。今まで何処に行っていたんだ?」と尋ねる。腕の中で未だに抱きしめられているゴゴは振り返らずにハイヴをまた見上げる。そう言えば彼は空からやって来たのだ。

「……名無第一高校。元よりきな臭い施設だったが、最近妙な気配を発している。少し気になって、偵察にな」

名無第一高校、と頭の中で繰り返してゴゴは少し首をかしげる。聞き覚えのある単語でなんだったっけ、と記憶を掘り返すと出て来たのはコッペパンだ。
ゴゴがまだ道化師に入る前に彷徨っていた時、あの高校の近くのゴミ箱で捨てられていたコッペパンを食べた。あの時、こんな美味しいものがあるなんて、と驚いたが今でも新しいパンを見ると驚いてしまう。
しかしあの場所はそんなにきな臭かっただろうか、と記憶をさらに掘り返そうとしたがコッペパンの美味しさしか思い出せず、それ以上思い出そうとしたら余計な事を思い出しそうで止めた。

「どうも騒がしいと思って見に来たのですが、正解だったようですね。お帰りなさいませハイヴ様。皆様方も丁度良かったです。食事の支度を行おうかと思うのですが、要望などはございますか?」

その声にほぼクロと同時に声のした方を見た。出入口に銀のポニーテールをした少女が立っていてゴゴは顔を綻ばせる。彼女はフライシャーという名の道化師団幹部で、とても美味しいものを作ってくれる優しい人だ。
フライシャーの両腕はその身長よりも長く凶器的で、おそらく恐ろしい見た目なのだろうがゴゴは怖くなかった。驚きはしたが、それもすぐに、美味しいものを作ってくれる仲間、と気にならなくなった。
一任しよう、と言っているハイヴの言葉の終わりに若干かぶさる勢いでクロが、お魚、とリクエストを入れる。ゴゴは先程コッペパンに思いを馳せていたのもあり少し迷いつつも口を開けた。やはり、自分から何かを要望する時は尻込みしてしまう。

「パン、が食べたい…です」

たどたどしい敬語でゴゴもリクエストを述べた。ゴゴはパンならば何でも良い。パンに何かを挟むのも乗せるのも塗るのも何でも美味しいのは、道化師団に入ってから学んだ事だ。

「…ハグは、終わり?」

そしてゴゴは少し残念そうにハイヴを見上げて背後の悠斗を見てフライシャーを見て、またハイヴを見上げた。先程ハイヴが悠斗とフライシャーをハグに誘っていたが終わりなら終わりで少し残念だけど仕方ないかな、と唇を目を泳がせる。ゴゴから見ると悠斗もフライシャーも精神的に大人に見えるのであまりハグに乗ってきたりしない様に見えた。もしハグされたらされたで嬉しいけど、とちょっと期待で緩む口元を誤魔化すため唇を尖らせた。

≫悠斗様、クロ様、ハイヴ様、フライシャー様

3ヶ月前 No.33

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_qTF

【伏見悠斗/ロンギヌス・屋上】

定義さえ分からない人間らしさを探り探りながら装い、今も演じ続けている多くの道化師達はその人間達によって無様に壊された自分が望む理想の舞台を完成させる為にヴァリアントと言う種の防衛、オリジナルへの復讐、人間の様な暮らしを手に入れる、自分が怪物でいられる様に、等と言った様々な理由の元、自らの手で造ったロンギヌスと言うの名のステージにヴァリアント達は集う。そしてまさしくそのステージの為と言っても過言ではない、数々の訓練を自主的に行っているロンギヌスの屋上には道化師のメンバーである、真っ白な翼を展開している伏見、先程まで変な夢を見ながら転寝していたクロ、訓練における過程で怪我をしてしまったゴゴ、そして道化師師団長であるハイヴと言った四人が裏では色んな葛藤も現れていたが基本的には和気藹藹とまるで学校における青春の一ページの様に過ごしていた。
そして現在、四人のヴァリアントの中でもまさに悪魔と言った容姿のハイヴはそんな見た目とは裏腹に変な夢を見ていた事によりパニックに陥っていたクロの頭を優しく撫でていく。そんなクロの様子は顔の表情から見て若干照れているのが分かる。ただ、彼女の尻尾は照れる事無くよっぽど嬉しいのか全力でブンブン揺れており、顔よりもクロの現在における状態が良く分かった。
また伏見自身もハイヴの行動を眺める事で、妙な安心感に包まれていた。ハイヴの優しさが溢れる行動を見るだけでヴァリアントも怪物だろうが失敗作だろうが人間と変わらない心を持っていると言う事実がまだ心を持てず、演じる事しか出来ない未熟な道化師、伏見の頭に沁み渡る。

(私は心を持たない怪物では無いんだ。私は……怪物じゃない。怪物と呼び駆逐する彼等こそ……)

だがそれは同時に伏見のオリジナルに対しての罪悪感を消去すると言う効果を齎していき、やがて伏見の運命に大きく左右する。

「お、落ち着いてるよ!さっきはね、ちょっと!ほんのちょっとだけびっくりしただけだもん!」

その言葉に自分だけの世界に浸っていた伏見は元のクロとゴゴとハイヴがいるロンギヌスの屋上に意識がハンマーで殴られたかのように不意に戻る。そしてクロが発したそのあからさまな良い訳に彼は普段通り、見守る様な形で口角を上げて微笑む。

「た、だの…ハグ?」

一方で先程までクロの頭を軽く撫でていたが今度は、能力であるグリモワ―ルと言う本人以外表紙すら読めない謎の言語で書かれた分厚い本を自動で開きながらゴゴに対して抱擁を求めるハイヴ。そんな中、抱擁に関して随分と羨ましそうに見ていたのはクロ。本人は恐らく我慢しているつもりかもしれないが、ハイヴから抱擁されたいと言う気持ちが勘違いでなければ見て分かる。
この様に先程から傍観者の如くひたすら眺めている伏見であったが、今までにハイヴの能力をクロやゴゴ同様、戦闘時や訓練時に見てきた経験からこれから彼は何を行おうとしているのか考える。そして暫くして彼はハイヴにおける能力の一つで、グリモワ―ルにおける≪強欲の項≫と呼ばれる、抱きしめた対象の傷をハイヴに移す事が出来る能力を利用して救急セットで治す予定であったゴゴの傷を結果的に癒すのだと一人で勝手に予想する。ただしそれではハイヴが怪我した状態に陥ってしまうがハイヴの能力の一つである怠惰の項によりその問題は解消されると考える。
しかしゴゴはハイヴの能力を知っていた為か、それとも自身には治癒能力がある為か、またもや救急セットと同じく再び遠慮がちな態度に出てしまう。それに対して優しさも未熟な伏見は実質、どうする事も出来なかった為、ハイヴの行動を出来るだけスムーズに進む様、サポートに回る事を決める。

「――――ああ」

だが伏見が動く前から、既にハイヴはゴゴの疑問に対して、それさえも優しく包む様な声で返事を行う。そして彼は突然、しかし優しく包み込む様に黙ってゴゴを抱き寄せる。それも怪我していないはずのクロと一緒に。
その為、突然の抱擁に対してゴゴは勿論、クロも呆気に取られており、かなり驚いていた。しかし次第にその腕から感じる優しい温もりを感じたのと、ハイヴが抱擁を羨ましがっていたと言う心情を察してくれた為、クロは大いに歓喜する。また同じく母性を感じる程の優しさを感じたゴゴも迷惑を掛けない様に彼なりの配慮を見せ、自分を否定して責めるもハイヴが行った数々のさりげない優しさに感謝する。
そして暫く余裕が出来たのか、今まで憧れの眼差しで傍観していた伏見の何気ない質問にしっかりと答えてくれる。

「……名無第一高校。元よりきな臭い施設だったが、最近妙な気配を発している。少し気になって、偵察にな」

名無第一高校。この高校はあの憎きアンノウンが経営している為、何か裏や陰謀が埋まっているに違いない。実際、開かずの間や追ってはいけない先生等、多くのオカルトの域を抜ける事は無いが噂や都市伝説は絶える事を知らない。
そんな事を考えていると急にハイヴは気を使ってくれたのか、精神年齢が高く体付きも青年である伏見にもゴゴとクロの時と同じく抱擁を求め始める。

「いや、私はこうして見守るだけで……」

そう言って少し俯き、苦笑と言う複雑な表情を見せる。勿論、道化師の師団長であるハイヴと抱擁するのが単純に恐れ多いのもあるが正直言えば照れくさかった。ただし生まれ故郷が培養液の中であり失敗作扱いされた為、愛を受けずに育っており抱擁等された事は無い。その為、ハイヴと普通に抱擁出来るクロやゴゴが何処か羨ましいと感じていた。

「どうも騒がしいと思って見に来たのですが、正解だったようですね。お帰りなさいませハイヴ様。皆様方も丁度良かったです。食事の支度を行おうかと思うのですが、要望などはございますか?」

すると、屋上における非常階段へ繋がる非常口の方に道化師の幹部であるヴァリアント、フライシャーが立っていた。彼女は師団長に心酔しており時に本物のテロリストの様な行動に出る事もあるが料理上手で優しい人物である。

「――夕餉の時刻……黄昏時か。献立は一任しよう、お前に任せておけばハズレはなかろう」

「おさかな!」

「パン、が食べたい…です」

こうしてフライシャーによる質問にそれぞれが好みの食べ物の提案やお任せを頼み始める。そして伏見も食事時だと知った途端、一気に腹を空かしながらまた食事に関して提案する。

「……出来ればで良いんだけど、今日は好物のいなり寿司が食べたいかな」

>>ゴゴ様、クロ様、ハイヴ様、フライシャー様、周辺ALL

3ヶ月前 No.34

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_qTF

【獅子倉友則/名無第一高校・校長室】

其処に見えるのは誰が見ても多種多様の答えが帰って来る程に人によって見方や姿が変わる幻想的で、まるでその場の空間全てが大きく絵具が描かれたキャンパスの様にそれは揺らぎ、溶け出し、滲み、歪んで見える空模様の元に、これまた多種多様の顔を除かせる幾つもの美しき花達がそれぞれで咲き誇っており、その沢山の花畑に囲まれている不思議な廃校があった。その廃校は見るからに崩壊寸前でコンクリートである壁の塗装は剥がれ落ち、幻想的な上空と花畑を学校に存在すべき者達に映すはずの窓はほとんど割られていると言った思い出も何も無い最悪の状態であった。
そしてそんな校舎の前にある女子生徒が座っていた。それはまるで誰にでも慈悲の表情を見せつつ、何処か儚げな表情を見せる女神の様であった。
するとその女神の肩に何者かの人間の形を成していながらも似て非なる怪物がその不気味な手を懸命に伸ばしていく。決して離さない様にする為に。
しかし其処で女神を今まで照らしていた光り輝く歪んだ太陽も消えてしまいそうな程に巨大な雨雲が覆い隠すかの様に、廃校も女神も彼女に触れようとした怪物も真っ暗と化す。

「……最近、この夢ばかり見ていてね。いつも何度見ても此処で目が覚めるんだよ。出来れば真っ暗になった後である夢の続きも見てみたいんだが……残念ながら、金や権力で夢は買えないらしい。いくらでも人は買えるのにな。全く持って不思議だ」

其処に見えるのは誰が見ても、たった一つの答えしか帰って来ない様な、夢で見た幻想的とはまるで程遠い光景であった。それはどう言う事かと言うと、高級そうなスーツに身を包んだ紳士的な中年が人の形を成していない程に身体を砕かれて死んでいる恐らくは名無第一高校の女子生徒にひたすら最近見る夢について会話を行っていると言う異様としか言いようが無い光景が名無第一高校の大理石における床や壁、天井、そして美しいペルシャ絨毯と言った豪勢な校長室にて行われていた。
そして其処に凶器に使われたであろう校長室に置かれていた最高の座り心地も今や、血塗れで最悪の座り心地と化しているだろう椅子を余所に仁王立ちしながら佇んでいるその中年は名無第一高校における校長、獅子倉。

「しかし神谷君は遅いね。折角、君の処理をお願いしようと思ったのに」

そう言って守るべき生徒の死体等、気にする事無く仁王立ちしていた獅子倉はゆっくり休んで自分の椅子に座れない事を嘆きながらも呑気に今日の夕飯について考えていた。
ちなみに獅子倉が神谷に対して極秘で個人的に依頼した内容はこの死体の処理であった。そして何故オーギュストやアンノウンに極秘なのかと言うと、死体と化した女子生徒がオリジナルでは無くクローンであった為。

「まあ、アンノウンが何を言おうが無視すれば良い。此処は私の学園だからな……。そうだ、この学校を此処まで成長出来たのも全部私が……」

そう自分を何度も何度も言い聞かせていると、いつか吸い上げた煙草の灯の様な、誰でも平等に訪れる夕陽の様な、鈍く真っ赤に腫らした閃光を纏い、危険を知らせてくれるサイレンが騒々しく開かずの間から校舎中に派手なクラブの様に響き渡る。

「そんな……開かずの間は絶対に開かないはずだが……。何故、このサイレンが……」

そして校舎内では下校途中や部活を行っている生徒達が悪魔に抱かれたかの様に訳も分からず唖然としている中、一人真実を知っている為に焦っている獅子倉はサイレンの誤作動とも考えたが彼が考えたなりの最悪の事態に備えて、スマートフォンを取り出しオーギュスト本部に対して正式にトラブルシューターの依頼を行う。

「……とりあえず、この死体や椅子、床に染み付いたカーベットは何処かに隠さなければ」

そう言って獅子倉は神谷が来ない事に文句を呟きながら、凶器である椅子やクローンの死体、血が染み付いたカーベットを誰にも分からない様に捨てるべく自身の手のみで解体を開始する。

>>周辺ALL


【製造番号428番/名無第一高校・開かずの間→1-1教室前】

其処に見えるのは誰が見ても多種多様の答えが帰って来る程に人によって見方や姿が変わる幻想的で、まるでその場の空間全てが綺麗な赤、緑、黄色で出来た三色のカーテンを纏ったオーロラの様に見える空模様の元に、これまた多種多様の顔を除かせる幾つもの美しき花達がそれぞれで咲き誇っており、その沢山の花畑に囲まれている不思議な廃校があった。
その廃校は見るからに崩壊寸前でコンクリートである壁の塗装は剥がれ落ち、幻想的な上空と花畑を学校に存在すべき者達に映すはずの窓はほとんど割られていると言った思い出も何も無い最悪の状態であった。
そしてそんな校舎の屋上にて、ある男子生徒が花の匂いを感じながらゆっくりとただ独りで眠っていた。この様子からは特に普通の男子高校生に過ぎないが、彼は起き出すと途端に誰であろうが恐ろしい暴力を振るう怪物の様な人物であった。しかし彼もまた校舎前で座る女神と同じく時折、儚げな表情を見せていた。
すると、何処かの猫の様に屋上で転寝する怪物の元に人間ならざる怪物の様な何者かが現れ、その怪物にただ無言で抱擁する。

「お前は……」

そうして男子生徒は人間が住めない様なとても冷たい檻の中で横になりながら不思議な夢から目が覚める。此処は見た目は電気が点いていないのか真っ暗で見えにくいが何処かの研究施設である実験室だと思わせる内装であるが実はあの名無第一高校における一室である。それも決して開けられる事の無い事で有名だった開かずの間。

「またか……。何なんだよ、この夢は!」

そしてそう叫びながら鋼鉄で大分丈夫に出来ている壁を思いっきり蹴飛ばすのは、決して出る事の出来ない開かずの間に繋がれた製造番号428番と呼ばれるクローンであった。
何故此処にクローンがいるのか、それは名無第一高校における開かずの間の正体に通じていた。開かずの間の正体とは地下室に創られたアンノウン御用達のクローン工場。それもクローン対象は名無第一高校の生徒達。しかも生徒達には無断で製造している為、生徒達はまさか地下にクローン工場があるとは思っていない。教師に関しては校長の派閥に入っている者は知っている。
ちなみに高校生のクローンをわざわざ学校の地下で製造していたのは将来有望、天才、エリートと呼ばれる程の遺伝子を持つオリジナルを効率よく入手する事で依頼者の依頼に沿った素晴らしい優秀なクローンを即座に大量生産する為。また他にもクローンの用途に合わせて製造しており、スポーツと言った運動に特化した生徒を集めている名無第一高校の姉妹校、名無第二高校や他にも全国から学校や施設を作って優秀なクローンを製造している。
さらに恐ろしい事に名無第一高校はオリジナルにおける生徒から全校生徒をクローンにおける生徒へ徐々に変えてしまおうと考えており、クローンをオリジナルと仕立て上げようと企んでいた。何故、オリジナルからクローンへ生徒を変えようと言った計画を立てたのかは、生徒達もやがては大学を経て社会人へと成長を経る。その就職の際にアンノウンにおいて例え死んでも絶対に逆らわない都合のいい操り人形と化させる為。
また大学生活の四年は人間らしさの検査。つまりヴァリアントの様に壊れないかのテスト。それで使い物になれば社員に採用。ならなければタイムレス直行。
ちなみにオリジナルはクローンとして扱われ、それぞれのニーズに合わせた依頼者の元へ届く。つまり、クローンと呼ばれている生命体の中にはオリジナルも少なからず混じっている事は確か。だがクローンとオリジナルは瓜二つの為、それに気付く事は一切無い。ちなみに今、名無第一高校にいるクローンは4割。と言う事は既に4割のオリジナルが人権のクローンとして売り飛ばされ、依頼者の元で暮らしているか、暴走したクローンとして扱われタイムレスで処刑されている。
その為、校長が開かずの間に対しての噂や都市伝説について放置と言う処置を取ったのも、いずれ生徒全体が真実を知り、その上で絶対にその真実を話す事の無いクローンと化する為。
さらにクローン工場を管理しているのがこの学校の校長である獅子倉。だが彼はアンノウンに隠れて個人的な欲求を満たす為にクローンを利用して悪質な行為を働く等、私物化しており、実際、オリジナルに対してもクローン程では無いが数々の見るに堪えない悪質な行為を繰り返している。そして校長はよく開かずの間を夜中に利用しており、オリジナルでは晴らせない鬱憤をクローンにおける暴力等で発散している。それによる残骸が校長室に転がっていたクローンの死体。
そしてそんな世にも恐ろしいクローン工場内におけるクローン置き場にただ一人、幽閉されており校長におけるクローンの暴力等を間近で見て来た製造番号428番はこの状況に苛立ちながらもある計画を立てていた。

「……俺をこんな所に閉じ込めた事を後悔させてやるよ!」

それからわずか数分後、428番は決して開けられる事の無かった開かずの間における鋼鉄で重たい扉を心臓が破裂しそうなほどに身体中から鳴り響くサイレンの中、思いっきり蹴り飛ばし叩き壊す。

「何処だよ、此処……」

そうして苛立ち焦りながら、思考回路もままならないまま何処か出口なのかも分からず、428番は誰にも見つからない様に本当に心臓が破裂しそうな程、駆け抜けていく。

「此処から抜け出せば俺は……!」

切羽詰まっており、怒りに任せ続ける428番は何も考えず、思いっきり大きな音を立てて扉を開けながら1-1の教室に飛び込んでいく。

>>対象無し


【薬師寺由美/名無第一高校・1-1教室】
【製造番号428番/名無第一高校・1-1教室前→1-1教室】

それは遠い残響の様にぼやけており、ほぼ何も覚えていないが何故か心に穴が開く程にそれは確実に刻まれている。決して忘れない。巨大な雨雲による影響で、日常には欠かせない月も星も全部、刳り抜かれた夜の様な暗闇の中でまだ見ぬ誰かの為に啼いた夢。だがそれに捕らわれる程、彼女は暇ではなかった。

「これから部活でしょ。バイトでしょ。勉強でしょ。お風呂でしょ。LINEでしょ。アハハ、もうやる事が一杯なのよね!」

そうして何故か嬉しそうな様子でセーラー服からジャージに着替えるのは友人に話すのは薬師寺由美。誰にでも優しく接しておりかなりの理不尽を嫌い、正義感を持ち合わせている高校一年生にして立派な人物。この明るい性格から、クラスのムードメーカーでもある。ちなみに名無第一高校の例に漏れず、成績優秀で天才。そして学校で起こっている数々のイジメや体罰、セクハラから正面に向かい、類い稀なる頭脳を使って解決へ導いてきた。

「うん……それで大丈夫?」

だがある問題が薬師寺の周りに起こっていた。それは校長や校長の派閥に属する教師による過度なセクハラや体罰。もはやセクハラや体罰では済まされない程に被害が広がっており、学校に来なくなった生徒や辞めてしまった生徒が多数存在している。さらに薬師寺もその被害者の一人である。

「ねぇ……由美ならどうにか出来ないの?中学の時だって教頭のあの問題だって解決したじゃん」
「う、うん……」

アンノウンが後ろ盾にある為か、流石の薬師寺も困り果てて何も言えなくなってしまいどうしたら良いか分からなくなっていると女子における着替えの為、男子は開けられる事の無い一年一組の扉が開かずの間から必死に逃亡してきた428番によってかなり乱暴に開かれる。

「ちょっと何!? 着替え中なのに!」
「……あ!? お前、何騒いでんだよ。気付かれたらどうすんだ……!」

そして、この薬師寺と428番の二人が道化師やオーギュストだけならず、クローン、ヴァリアント、オリジナルをも巻き込む逃避行が幕を開ける事となった。

>>周辺ALL


【これにて第一章開始です】

3ヶ月前 No.35

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【犬山/私立姫椿学園付近のメイドカフェ】

今までも、メイドカフェの店長の太い腕にフォークを突き刺そうと企み、女子中学生の脳天に椅子を叩きつけようと考える等、狂気の塊とも言えており常識を逸していた犬山が突如として彼のヴァリアントとしての正体でもある血に飢えたヴァンパイアに変貌を遂げると言う、一気に今や店中に飾られたインテリアがミスマッチしているメルヘンチックでも、より一層血生臭さが加速し始めるバイオレンスでも無い、新ジャンル、ダークファンタジーと化したメイドカフェ。
しかし次々とジャンルが移り変わるメイドカフェについて来れる筈も無い客達は色んな感覚が麻痺してしまい、この緊迫した空気を切断する様に犬山や女子中学生、天井に刺さったフォーク等の写真をわざわざ見栄えを良くしながら撮ってインターネットにアップし始める。ある意味これも狂っているが。またそれについてテロリストのはずの犬山は顔が晒されると言うのに全く動じることは無い。

「趣味の悪いプレゼントを女子中学生に無理やり押し付けようとする成人男性、端的に言って本当キモイですよ。男性の人生に何があったかは知りませんけど、でも、何があったってキモイのはキモイのに変わりありません。お願いですからこれ以上キモイことしないで下さい。鳥肌出そうです。冗談抜きで」
「それは残念。ケーキは好みに合わなかったのかー。なら、次はパフェが良いかな? それとも、もうプレゼントは要らない感じ? だったらさ、次は君からプレゼントを貰うよ。大丈夫、別に命を貰うとかじゃないから。ただ、今、君の血管に流れているであろう全ての血液をどうしても啜りたいんだ。」

当然、犬山はヴァンパイアの為、主食は血液。ケーキと言った人間と同様の食事も可能であり味覚も感じ取る事が出来、むしろ養分摂取には欠かせない。ただしそれでも多くの血液を摂取しなければ死んでしまう。ちなみに血にも味が付いており、人によって全く違う。ただし傾向としては健康的である程、美味ではある。ただし犬山の場合は摂取出来れば良いらしく、いくら不健康な人間でも血を吸う対象となり得る。ちなみに勿論、犬山はメイドも店長も女子中学生もお客様も全員の生き血を全て啜る予定。

(こうでもしないと、僕のこの気持ちは収まらないんだよ。収める気無いけどね)
「はあ……それにしても邪魔だな。夕暮れが見えにくいんだけど」

そう言って、明らかに先程よりもよっぽど苛立っている犬山はメイドカフェにおける大きな窓を覗き込む。この窓における普段の役割は恐らく、店の様子をあえて外から見せる事により店の雰囲気や状態を分かりやすくして、解放感を与えメイドカフェに入りやすくする事。だが現在の役割は意図的では無く、結果的だが犬山の暴挙が外から全部丸見えにさせている事。ちなみに犬山はヴァンパイアの為、日光は苦手だが夕暮れ時と言う事もあり僅かな紫外線なら問題無い。そしてメイドカフェの外に見えるそんな夕暮れの景色には何人かの人々が助ける事無くやけに邪魔して騒いでおり、警察に通報や証拠や小銭を稼ぐ為として動画でも撮っているのであろう。

「はあ……無駄無駄。そんな事をしても僕は決して止まらない。チャンピオンベルト巻いたプロレスラーとか有段者の格闘家とか強い奴呼ばなきゃ。警察ごときじゃただの拳銃持った雑魚の集まりでしょ。そんな警察程度の権力で僕を抑えられると思ったら大間違いだって。本当……人間程度が調子に乗らないで欲しいな。……ねぇ? 君もそう思うでしょ?」

そう呑気に笑いながら残していたパフェを再びスプーンで貪り喰いながら、唯一力づくで口封じする、いやしなければならない予定の女子中学生に聞き返してみる。それは犬山が巨大な権力と人数を従えているはずの警察よりもたまたまメイドカフェに来ていた、たった一人の女子中学生の方が厄介だと言う事を証明していた。そしてそれは犬山にとって、警察とは口封じする価値すら無い程度の組織と言う事も証明していた。
ちなみに犬山が顔を晒しても平気な理由は、既に彼は警察限定だが顔をあえて晒している為。それもテロリスト、クラウンとして。と言うのも彼は常に今までのテロ行為の前に顔を晒した犯行予告の動画を警察に送っていた。しかし残念ながらと言うべきか、顔を晒しても犬山は今の今まで捕まる事は無かった。例え、見つかったとしても徹底的に返り討ちにしてきた為である。

「無能な警察君は残念ながら、顔を知っていても、無差別テロを繰り返す僕を逮捕出来ない。これはどう言う事か分かるかな? 分からないなら、説明してあげようか。それは誰も僕を人間が作った法ごときで裁けないって事だよ。そう、此処で宣言する。僕は人間じゃなくてクローンの失敗作であり、異形ながら人間よりも優れた能力を持つヴァリアント、通称怪物だ」

そう言って、今までアンノウンが必死こいて存在を隠していたヴァリアントの存在を犬山はいとも簡単に多くのカメラの前で初めて宣言する。そして彼は楽しげに右手でピースサインをメイドカフェの監視カメラ、外部によるカメラ達に丁寧に一つ一つ向ける。

「んー、パフェって美味しい。それでさ、頭の良い人なら分かるよね。僕の実力は既に証明されている。テロリスト、クラウンとしてね。僕なら誰でも、全員、どんな権力を持っていようが人間なら殺せるんだよ。まあ、分かりやすく言うと怪物の前では権力は無意味。ついでに暴力と狂気も付け加えておこうかな。それじゃどうすれば良いか。答えは簡単。怪物には……同じく怪物で来ないと僕を止める事は出来ない。か弱き人間様はお呼びで無いんだ」

そうして犬山は乾いた血が付着した尖った八重歯を見せながら笑い、自身の攻撃を素早く避ける所で自分と同じ怪物の匂いを全く持っていると第六感の感覚ながら密かに感じていた女子中学生の歪まないながらもどこか偽物の様な瞳を見つめる。

「ほら、遠慮しないで君達もカメラ映してよ。いやいや……僕の顔、馬鹿みたいに撮った所で意味無いから。それより、これから素晴らしいのを見せてあげるよ。……人間共の無能さ加減と権力の限界って奴を」

そう言ってパトカーの赤い閃光を放つサイレンが聴こえ出した途端に異能力を発動。そして女子中学生の能力や特性に警戒する事は無いながら、彼女がどんな能力かを見極めるべく、周りの客やメイド、店長を利用するつもりでいた。

「さて、来て貰って良いよ。……クローン君」

>>恋慕小路散華様、周辺ALL


【犬山が異能力を発動した直後、犬山がヴァリアントの存在を暴露した事によりそれをいち早く気付いたアンノウンがヴァリアントを隠蔽するべく、犬山に関する全ての映像を即座に権力を使って消去しています。と言う事なので、SNSからも全部情報制限されてしまった為、時期的にはまだ消去されていない映像や画像があると思われますが、基本的に犬山の情報は見る事が出来なくなりました。これも含めて犬山の情報を知る機会があれば拾って下さると幸いです。ちなみに犬山は此処まで想定済みです】

3ヶ月前 No.36

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_cjE

【 恋慕小路散華 / 私立姫椿学園付近のメイドカフェ→メイドカフェ前 】

 人を馬鹿にしたような目つきでこちらを見遣り、更に馬鹿にしたような口調で言葉を重ねる男。こんな言葉、口にするには言い澱んでしまうが……心で考えるだけなら構うまい。嗚呼、なんと嫌な男だろう! 台詞の全てにいちいち口を挟んで反論したい衝動に駆られるが、それをしてしまうと相手からも言葉が返って来て、ますます面倒臭い事態になる。だから我慢するしかない。口論が大好きな女ならここで一層嬉々とした顔になり執拗な舌戦を開始するのだろう。けれど散華は、どちらかといえばそれを億劫がるタチだ。精神的な戦いだって、物理的な戦いだって、避けられるなら避けて通りたい。戦わなければ誰かが不幸になる場面なら、それを見たくない自分のために致し方なく戦うけれど。
 はぁ、と精神の疲労を込めた溜息を一つこぼす。疲れを癒すべく、早々に客が逃げ出して無人になったテーブルに置かれている、冷めきった紅茶だか珈琲だかを一口拝借する。飲み干したそれは紅茶でも珈琲でもなくスープだった。ややこしい。どうして当然のごとき佇まいでティーカップに入っているのだ君は。とはいえ数種類のきのこが煮詰められて良い風情に仕上がったスープは大層美味であり、心のささくれも少しは落ち着いた。改めて、視線を目の前の男に戻す。相変わらず不審なことを言っているしやっている様子だ。夕暮れが見たいなら店から出れば良い。散華は面倒な男との対話から解放され、男はお望みの夕焼けが見られる。どう考えたってWIN−WINだ。そっちのほうが幸せだ。なのに男はそうしない。さっきからやれやれ系みたいな振る舞いをしている男だが、ぶっちゃけやれやれと口にしたいのはこちらのほうである。

「男性がどう思おうと勝手ですけど、その思想に少女の同意を求めるのは辞めて下さいって……」

 僅かな声量で少々の憎まれ口を叩く。メイドカフェの前で停止したパトカーのサイレン音に掻き消され、呟きは自身の耳にすら入らなかった。店の外が忙しない雰囲気になる。警察官が現れたことで、中の様子を窺っていた野次馬たちが俄かに騒ぎ出したのだろう。それをかき分けるのに警察官たちも若干手間取っている様子だ。メイドカフェの大きな窓は入口近くにも設置されている。ゆえに入口近くは野次馬のたまり場になっている。ゆえにそこから警察官が入ることが難しい。そこまで考えたところで、散華は己の能力を静かに発動した。冷色をふんだんに散りばめた不可思議な瞳が、闇夜の蛍火のごとく淡く幻想的な光を帯びる。一秒。二秒。三秒。凝視された壁は三秒ジャストのカウントで一瞬の内に灰と化した。店の四方を囲う壁の一枚が、何の前触れもなくいきなり微塵として風にさらさらと吹き飛ばされてゆく。あまりの光景に、店の奥に引っ込んでいた店長が大口を開けて固まった。ちくりと罪悪感が刺激される。大事な店を部分的に害してしまい申し訳ない。けれどこうでもしないと、警察官が仲間で入って来るのに時間がかかりそうだったのだ。店が保険に入っていないようなら、後で両親にお願いしてこの店にお金を送って貰うので許して欲しい。

「説明も宣言も、別にして欲しいって誰も言ってないのにいきなりしてきますよね貴方。……はあ。とりあえず、変態の自論に興味は無いのでバトンタッチです。少女、男性の相手に嫌気がさしたのでさっさと帰宅します。話し相手は今やって来た警察官の方々にでもなって貰って下さい」

 一人で勝手に楽しそうにしている男を、糞にたかる蠅を見る目で一瞥して踵を返す。来て貰って良いよ、とか言われても、別に行きたいとか誰も言っていないのだ。何様のつもりで許可を出す立場にいるんだこの男は。それならこっちも「帰って貰って良いよ」と口にするから帰ってくれ。そっちが帰らないならこっちが帰る。これ以上、謎めいて見せるのが上手いだけの空虚な俗物を相手に貴重な青春を浪費するのは御免だ。初対面の少女に偉そうな口振りで声を掛けても響くわけない――そんな基本的なこと、周囲の誰も彼に教えておかなかったのか。そうなら、こっちのストレスになるので教わってから出直して来て頂きたい。それさえ出来ないほど頭がイかれてしまっているなら、もはやこの男は生きているだけで害悪だ。悪をKILL(斬る)するお仕事の人にでも命を狙われてある日いきなりご臨終してくれ。そのほうが社会とか世界とかのためになる。ついでに散華のためにも。

(とは言え、あの男性が周りのお客さん達に害するつもりなら戦闘開始も已む無しのつもりでしたけど……それは大丈夫そうですね。皆さん、さっきまで写真撮影に夢中だったのに撤退の迅速なこと)

 灰と化した元壁を踏みしめメイドカフェの外に向かいながら、自分より先に店内からの逃走を開始していた客たちを見つめる。たぶん、これを行ったのは散華ではなくあのイかれた男だと思ったのだ。それでこれ以上メイドカフェにいると危ないと思い、我先にと開放的になった店の一角から全員逃亡を開始した。出入り口の狭さにもたついていた警察官たちも、壁が灰燼と化す形でぶち抜かれたことにより容易に店内に踏み込んでいる。もう店員も客も害される心配は無い。となると、ここから先は本職たる警察官たちの領域だ。散華が戦うべき場面ではない。もちろん、散華は人面獣心ではないので警察官たちが目の前で続々と惨殺されるような展開になれば遠方から視線だけで加勢はするけれども。
 ――それにしても。彼はどうして、散華がクローンだと分かったのだろう。気をやってしまっているがゆえの妄言がたまたま真実だったのか、ああ見えて観察眼にでも長けているのか。どちらにせよ、クローンであることをコンプレックスに思っておらず、周囲に秘密にもしていない散華にはどうでも良いことだ。お前はクローンだ、と言われるのは、散華にしてみればお前は女だ、と言われるのと同等のこと。そうだけど、それを口にしてお前は何がしたいんだ? と首を傾げるくらいしかリアクションが思い浮かばない。

>犬山様&ALL様

【アンノウンの情報規制ネットワーク担当の人達めっちゃ仕事多そうですね……差し入れしないと(使命感)
 あと私『イかれたキャラと強気なキャラが敵対関係にある場合特有のギスギスした雰囲気』がわりと嫌いじゃないので文章もそんな感じになっておりますが、もし「表現もうちょっと柔らかく」などのご要望がある場合はそう仰って頂けると有り難いです】

3ヶ月前 No.37

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_qTF

【神谷聖/名無第一高校・昇降口前→名無第一高校・開かずの間】

現在、ズタズタに引き裂かれた死体と夢について会話している獅子倉校長との個人的な依頼の為、校長に指定された名無第一高校の校長室へ向かう中、獅子倉校長に不穏な動きがある事を察した神谷は眩い限りにパトカーのサイレンの様な赤い閃光の如く、放っていく夕陽が目に染みる名無第一高校の豪勢な昇降口前にて現在、潜入捜査を行っているオーギュスト幹部である伊瓜に獅子倉の様子をスマートフォンを通じて聞いていた。これは獅子倉校長がアンノウンに隠れて、依頼者に飼われる優秀なクローンに何か害を行っていないか確かめる為である。神谷自身、もう一つ理由があるのだが此処では伏せておく。
しかし潜入捜査している伊瓜から聞き出せたのは獅子倉校長が嫌いと言うあまり意味の無い情報のみしか教えてくれない。さらに突然、伊瓜は神谷の様子に関して何か感じ取ったのか、名無第一高校の監視役としてとあまり信用していない事を直接質問して突いて来る。そしてそれは彼にとって図星であった。ちなみに信用していない理由は彼女の思想に繋がっている。

(とにかく獅子倉と伊瓜、この二人が余計な事しないようにしなければ。そうすれば優秀なクローンはオリジナルに意味のある種である事を確実に伝えられる。それにクローンがオリジナルとして生きられるのは大きい。……その後の末路が奴隷や失敗作よりも酷くとも『人間』として死ねるのだから)

ただし何故、信用していないのかと言う質問に対してそのまんまの理由で答える必要性は無いと素直に感じ、オーギュスト隊員の一人としてかなり丁寧に答える。勿論、これはこれで事実である。そしてその返答に伊瓜は思わず吹き出し、耐えきれない様に笑っていた。

「 うんうん、そうだねぇ。確かに今はどーでもいいことだねぇ。__神谷くんさぁ、やっぱ君いいねぇ。これからも僕のこと信用しないであげてよ 」

この声を聞いて、やはり伊瓜は何を考えているのか相変わらず全く読めないと神谷はため息を付きながら考えていた。そう考えていると、まだ直接会って聞きたい事があったのだが一方的に連絡を切られてしまった。まあ、世間的に考えれば信用出来ないと言われた相手とこれ以上話したいとは思えない。大分失礼かもしれないが彼女にもそう言った繊細な感性があったのかと素直に驚いてしまう。
しかしそんな事に寄りかかる余裕は全く持って無くなった。何故なら、本来絶対に聴くはずの無いサイレンが校舎中に流れていた為である。サイレンが響いても何も変わらずに帰って行く夕陽を背に普段通りに過ごしていた周りの生徒達も異常事態を知らせる謎のサイレンに戸惑い、平穏を手放してしまうかもしれないと言う恐怖に怯えていた。

(このサイレンは開かずの間に危険が発される場合のみに鳴るサイレン。クローン工場におけるセキュリティから誤作動があったとは考えにくい)
「そう考えると……確実なのは誰かが開かずの間を開けた事になる」

そして神谷が開かずの間について結論を出したと同時に、獅子倉から依頼を受けたオーギュスト本部からトラブルシューターの依頼が来た事とその場所についての連絡が来る。

「では、詳しい事は依頼主である獅子倉に聞いて下さい」
「……」

しかし既に昇降口から全力で周りの生徒の目も気にせず、能力を発動しながら駈け出している神谷が向かっている先は恐らく第一に優先すべきオリジナルである校長が佇んでいる校長室では無く、開かずの間であった。

>>(伊瓜悠)様、周辺ALL

3ヶ月前 No.38

甘でうす @salieri ★iPhone=4uxzajypCr

【山羊/私立姫椿学園付近の裏路地→私立姫椿学園付近のメイドカフェ前→私立姫椿学園付近のメイドカフェ店内】

「久しぶりの現地調達...めんどくさいなぁ」

数少ない趣味の1つである、ガチャポン収集の為、この付近では穴場とされる、この裏路地でガチャポン制覇をしていた時である、突然仕事用のスマホに電話がかかって来た。
その電話相手は、常連の客であり、だいたい2週間に1度の頻度で依頼してくる上客の為、趣味のガチャポン収集の手を止めて電話を取ってしまったのが運の尽きであった。
依頼の内容は、ここからさほど離れていない位置にあるメイドカフェにて、戦闘している者たちの情報収集であり、直ぐにSNSなどで調べた所、この戦闘をしているもの達が、普通のクローンやオリジナルとは違うとわかった。
《ヴァリアント》普通のクローンやオリジナルではあり得ない性能や能力を持つ存在であり、僕らの生みの親と言われている魔弾の射手が隠蔽している存在。
この存在が暴れているのであれば、直ぐに情報規制が入ってしまうのは目に見えているので、仕方なく依頼達成の為に現地に赴く事にした。

「うわぁ、もう動画とか消され始めてる...ある程度は保存しておいたけど、さすが大企業。 そこはかとなく香るブラックな香りがなんとも不気味だよなねぇ」

きっと今夜は情報規制の為に眠れないであろう、アンノウンの社員達に心の中で敬礼をしながら、目的地に向かって歩く。
しばらく歩くと、周りの人達が多くなり、なにか騒ぎがあるのは一目瞭然で、やっと着いたか。
などと、運動不足を思わせる思考をする。

「さって、仕事しますかねぇ...」

撮影用のビデオカメラを取り出して、あたりを写し始める。
そこには今しがた到着したであろう警察が、メイドカフェの周囲の人をかき分けて店に入ろうとしている。
それを気にせず、野次馬根性で動画を撮り続けてる、人達などの処理に追われていた。
ここからだと、店の中は見る事が出来ず、周りの声を頼りに聞いていると、まだ、先ほどの動画の男性と女性は店の中らしい。
それと、男性の方は自らを《道化師》とメンバーだと名乗ったらしい。
通常ヴァリアントが戦闘する場合、屋内での戦闘は建物にダメージを与える為、本格的に戦闘が開始されると建物の何処かしらが壊れるはずである。
その様子もないので、まだ本格的な戦闘は始まっていない様だ。

「めんどくさいけど、仕事の為だ、行きますかぁ...」

なら戦闘が始まる前に近くに赴き、それを絶好のポジションで見るだけの、時間はあるだろうと踏んで、その場から移動する。
予備の隠しカメラと録音機などの、機材も電源を入れる。
そうして、小柄な身長を駆使して、野次馬達の足元をくぐり抜け、最前列まで出る事ができた。

「人が思ったよりもおお...え?」

人の多さに苛つき、愚痴をこぼした、その瞬間。
店の壁が灰に変わった。
先程までなんの変化も無かった壁が急に灰に変わるなど、そんな現象は知らない。
あるとしたら、《ヴァリアント》の能力。
故に戦闘が始まったのかと勘ぐったが、どうやら違う様だ。
壁が消えた事により、先程まで見る事が出来なかった建物の中を視認すると、そこには中学生に見える女の子と、高校のブレザーと思われる服装をしている男性、がいて、その2人は先程までアップされていた動画に映っていた人物だ。
この壁を消した能力を使ったのは店の中の人達の表情で2人のどちらかだと当たりをつける。
そして2人を観察する。
中学生ぐらいの女の子は、薄いピンクの長袖のセーターに裏生地のデニムのパンツ。
とあまり戦闘などする様な格好ではなく、雰囲気からして、何処ぞのお嬢様といわれても納得のいく、浮世離れした印象だ。
(あの子が、戦闘するような人にはみえないけど、店の人間の立ち位置と動画を見るに、人を見た目で判断するのはまずいって名言は有効なようだ...それに比べて男のほうは...)
男性の方は、学校のブレザーの様なものを着ている、しかし、そのブレザーの至るところに血液が染み込んだ様な跡があり、普段から血にご縁がある生活をしているのは直ぐにわかる。
(ザ・ヤンキー、随分と印象通りの奴だな、しかし、そんな奴がメイドカフェって...プププ...これも人を見た目で判断してはいけないって名言が有効だね...)
そんな事を考えていると、気づけば周りの野次馬達は避難していた。
近くにいるのは警察だけであり、オレンジ色のジャージと、とても目立つ格好の山羊は随分と浮いていた。
しかし、警察も警察で、今しがた起きた、壁が消える現象と、店内の2人...いや自らを《道化師》のメンバーと言った男性に視線が集中しており、まだ山羊の存在に気づいていない。

「これは、まずったな...仕方ない、この際警察に摘み出されるまで、徹底的に情報収集してやる。 最悪、動画は消されても、目で見た記憶までは消せないはずだしねぇ...」

そう腹をくくった山羊は更に近くで観察するために、店の中に入っていく。
そこにあるテーブルの下に入って姿を隠しつつバレない様観測し続けるのであった。

>>犬山様&恋慕小路様&周辺ALL様

【遅まきながら、絡ませていただきたいので山羊参上。
それとSNSと動画を拝見させていただきました。
よろしくお願いします。】

3ヶ月前 No.39

伊藤優希 @railguns03 ★iPhone=fZHfklgTyv

【伊藤優希/名無第一高校1-1組教室】
「んー薬師寺ちゃんも色々大変なんだね。私も同じくやりたいことたくさんありすぎなんでっちゅーかコイツ、一体全体誰やねん」
諸事情ではあるのだが、一応はやりたいことはある。親の経営してる病院等々で、小遣い稼ぎをしたり、それをやってるときにあった男子からの告白されたものの、興味がないから、恋愛とかには不向きだからとバッサリと断るわけにもいかず2、3人の男子と軽い言葉を日に何度かかわすと言った彼女が、一番避けたく面倒だと思うことをしないといけない時間もできてしまい、本当に忙しいは忙しいのだが、目の前にいる彼女よりかは暇人なのだろうな、と思ったりと、色々考えを巡らせながらに428号を見るなり『あんた、誰?ここの関係者か何か?』と、突っかかるように聞いてみては本当に何者なのだろうか、誰なんだよ、と、思っては、この学校関係者であるとしたならば428号が、ここにいる面には構わないし、全然いい。しかし、彼、いや、相手が全くの無関係な人間であった場合は、問題だろうな、と思いながら
→薬師寺由美、428号、all

3ヶ月前 No.40

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★J1SGpZKeln_8gk

【フライシャー/ロンギヌス、屋上】

同胞たちからの返答が返ってくる。
そして、自らの主であるハイヴ様からはハグに加わっても良いと許可が下りる。
しかし、私の腕は見ての通り、同胞を抱きしめ癒す事よりも敵対者を裂き、潰し、砕くことに特化されている。
故に、私はいつもの通り、主人の抱擁を促す声に否やを返す。

「お戯れを、私はそのような褒美を頂けるほどの成果を上げてはいません。それはまたの機会にと、具申いたします」

確かに、ハイヴ様の腕の中は暖かく、居心地がいいのだろう。
しかし、其処に安住し、思考を止めてしまえば、その心地よさに酔いしれて爪を削がれたならば、私は生まれた意義を失ってしまうのではないか?
そんな妄想ともいえない空想が頭の隅をよぎる。

Cogito ergo sum(我思う故に我在り)という通り、思考を止めたなら私は私ではなくなってしまう。
きっと、あの愚かな存在と同じく成り下がってしまうのだろう。
さらに言えば、色彩を取り戻した世界だけで、私の忠義には十分すぎる褒賞だ。

其れよりも今は夕食の準備だ。
主人や同胞を待たせるわけにはいかない。
稲荷寿司、魚料理、パン、それらを最適な手順で創り上げ食卓に並べるまでの過程を計画し、その通りに行動すればいい。

其処まで考えて、活性化した思考の片隅が僅かな違和感に気付く。

「さて、それでは夕食を……と言いたいところだったのですが、どうも、そう悠長に構えていられないかもしれませんね」

ごく一部が局所的にとはいえ俄然喧騒を増した街の様子を一望する。

あぁ、なんて哀れで、恐ろしくて……、心地いいのだろう。

そうだとも、私は料理も好きだが、やはり荒事の方が好ましく感じる質らしい。
正義か、悪か、そんな事などどうでもいい。
必要なことは敵か、味方かそれだけ。
善悪などと言う傲慢な価値観、倫理という名の窮屈な枷など、私には必要ない。
「ペンは剣よりも強し」と賢しらに騙る者たちが居る。
たしかに、ペン(思想)は剣(暴力)より強いことも多い。
しかし、ペンが剣より強いのならば、剣はペンより早い。
ペンが及ぼす影響を受ける前に、剣はペンの持ち主を叩き切ればいいだけだ。

つまり、どのような面倒ごとも、荒事も、乗り込んで粉砕すれば解決する。
いや、解決はせずとも、解消はするだろう。

「ハイヴ様、私は御身が御意の儘に」

>>クロ様、悠斗様、ゴゴ様、ハイヴ様、周辺ALL様

3ヶ月前 No.41

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_gi9

【 ハイヴ / ロンギヌス-屋上 】

 悠斗とフライシャーにはフラれてしまったが、そのことを不快に感じるほど浅慮なハイヴではない。彼らには彼らなりの理由や思想があってこそのことだということを、きちんと理解しているからだ。悠斗の場合は、恥じらいと遠慮。フライシャーの場合は、忠誠と慎み。彼ららしい、とハイヴは微笑んだ。無論、素直に顔を埋めてきたクロや、拗ねたような表情を浮かべながらも最終的にはハグに応じたゴゴに対しても同じだ。彼らは千差万別のイキモノで、だからこそ愛おしい。

 だが、優しい時間は永遠ではない。先ほどからハイヴが感じていた妙な予感は、気のせいではなかったのだから。ふと、フライシャーが視線を巡らせた方角へハイヴも耳を澄ませる。悪魔の地獄耳とでも言うべき聴力で捉えたのは、悲鳴――それもたくさんの。声質からして、若い男女だと思われる。心当たりはある。ついさっきまで偵察へ飛んでいた、あのきな臭い学校。

「……嫌な予感ほど当たるものだな」

 そっと目を伏せ、ため息交じりに呟いた。現状の変化を敏感に感じ取ったゴゴが、名残惜しそうな目でハイヴを見上げた。その姿にまた父性を動かされ、ハイヴは静かに伏せた目を開いてゴゴの瞳へと視線を重ねた。

「いや、終わりではない。少しの間、中止するだけだ」

 ゴゴとクロ、しっかりと二人の顔を交互に見ながら、優し気な声音で言い聞かせるように言葉を紡いだ。言い終われば、愛しい二人の同胞の身体に回していた己の両腕をほどき、彼らの身長に合わせるために屈めていた腰をすっと伸ばす。背筋を伸ばし、凛々しい佇まいで、ハイヴは名無第一高校の方角を一瞥しながら、今度はフライシャーに向けて口を開いた。

「最優先課題は情報収集だ。意義のない破壊は自重せよ。相手が何者か判らぬ場合もだ。もしオーギュストであれば捕縛せよ。後の現場判断は、お前に任せる。俺はひとまず、名無第一高校へ向かうつもりだ。……頼りにしているぞ、ライシャ」

 意識して荘厳な口調で、今後の行動の指針とわずかな命令を告げる。破壊を是とする過激派とも言える彼女を制御することは難しい。いくら忠誠心が厚いとはいえ、常に一緒に行動できるわけではない。だが、だからこそ。なればこそ、ハイヴはフライシャーに全幅の信頼を寄せている。ゆえに、詳しい命令は敢えて下さなかった。聡明な彼女であれば、今、道化師の幹部たる己がどこへ行き、何をすべきかを、自分で思考し行動するだろう。
 そしてハイヴは、今屋上にいる全員を見渡せるように、夕陽を背にして彼らに向き直り、開口した。

「俺は、お前達を兵隊として使役するために道化師を作ったわけでは断じてない。運命を共にした同胞に、生きる場所を与えるためだ。……どうか、命を賭けるような無茶はしてくれるな。万が一、命の危機を感じれば、力を使っても構わん。もし、本当に困ったなら――」

 一つ一つ、ハイヴの意思が皆に伝わることを願って、丁寧に言葉を並べてゆく。我々は、世間からはテロリストの汚名を着せられてこそいるが、道化師の理念は破壊でもなければ快楽を貪ることでもない――ただ、一緒に生きてゆくためであると。
 話しながら、ハイヴの背に黒い翼が生えてゆく。通常の、二枚の翼ではない。それに加えて、もう二枚、つまり合計四枚の翼が展開された。ハイヴの力は、翼が増えるにつれて出力が上昇する。力のこもった翼から、ハイヴは4枚の羽根を引き抜いた。独りでに舞い散る、ただの羽根ではない。空を飛ぶために必要不可欠な、いわゆる風切り羽と呼ばれる貴重な羽根である。引き抜くたびに鋭く痛んだが、それが顔に出ないように努めた。そして、その風切り羽を、それぞれの団員に一枚ずつ手渡してゆく。ゴゴ、クロ、悠斗、フライシャー。ちょうど四枚渡し終えれば、ハイヴは二枚だけ翼をしまった。

「――その羽根は特別製だ。俺がグリモワールを解除しようが、例えどんなに離れていようが、消滅することはない。俺の力が必要な時、それを握り締めて俺を呼ぶがいい。どこにいても、必ず俺に届く」

 堂々とそう言い切ったが、実は特にそういった力を持っているわけではなかった。けれど。それでも愚直に信じられる。自分の抱える愛しい同胞たちの叫びは、必ず己に届くことを。それはまるで、ハイヴが自分自身に言い聞かせているようでもあった。
 屋上のフェンスにひらりと昇って、紅く染まる街並みを眺めた。先ほど、自身の行き先は一応口にしたが、無論ついてくることはお勧めできない。何故ならその場所は、嫌な予感の発生源であるから。それに、腹を空かせているクロやゴゴや悠斗に、同行を強要するわけがない。だが逆に、置いてけぼりにするつもりもない。自分で考え、決定し、行動すること。彼らならそれが出来ると、ハイヴは確信していた。だって、彼らはバケモノではなく、理性のある立派なイキモノなのだから。ハイヴは首だけ巡らせて振り返り、夕陽に紅く照らされた横顔で全員に向けて微笑んだ。

「また後でな」

 そうして悪魔は飛び去った。屋上のフェンスに、ひらりと一枚の黒い羽根が舞った。

>>クロ、ゴゴ、悠斗、フライシャー


【お返事遅くなりまして申し訳ございません……私情によりバタバタしておりました。クロちゃん&ゴゴくん本体様、ふんわり確定ロルの快諾本当にありがとうございました!
 今後も遅筆になると思われますので、一応このレスで屋上での絡みのハイヴ〆レスとさせて頂きます。時間が見つかり次第、新たな場所でレスを投下する予定ですので、その時は何卒よろしくお願いいたします……!】

3ヶ月前 No.42

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【深瀬新/バベルの塔・会議室前廊下→バベルの塔・会議室→私立姫椿学園付近のメイドカフェ】

現在、たった一つの高層ビルに設置されている施設だけで優雅な生活が簡単に出来てしまう事で有名なバベルの塔。それだけコンビニやスポーツジム、バー、高級レストラン、五つ星ホテルの部屋と勘違いしてしまう様な休憩室と言った設備や環境が充実している。しかし現在、バベルの塔は騒然としていた。と言うのも、インターネット上にてウイルステロを起こしていた快楽殺人集団、クラウンのメンバーである人物が一人だけらしいがお嬢様学校として有名な姫椿学園付近の最近、料理が美味しいらしいと評判で恐らく軌道に乗り始め、数々の取材やテレビ番組等で紹介されていたかもしれないメイドカフェで思う存分、叫びながら暴れている映像や画像が多く載せられていた。しかしそれだけならば、むしろアンノウンはクラウンを捕まえられると歓喜するに違いない。だが、あろう事かそのテロリストは自分が現在、映像や画像に映っていると言う事を利用して自らをクローンの失敗作であるヴァリアントだと宣言。大体の人間やクローンの依頼者でさえ、頭のネジがぶっ飛んだテロリストの戯言だと考えるが、テロリストの言っている事が真実である事を唯一知っており、散々、逃亡ヴァリアントをテロリストに仕立て上げ、対抗する組織さえ資金を投じて創ったのだが一番あってはならない事が起こってしまったアンノウンはそうでは無かった。今までの事は全て終わってしまうと考えた上村副社長はネットワーク担当に今までの犬山に関する画像と動画の削除を指示。さらに犬山に関する画像が消去された事で、たまたま犬山について情報を見ていた人々が不審に思う事を考え、動画や画像を載せた野次馬達、そして犬山の言葉を聞いたであろう者達を一人一人、警察の権力を使い、インターネットや名誉棄損、傷害等どの様な容疑でも構わないので冤罪でも無理やり逮捕させ、無かった事にしようと企んでいた。その為、恐らくメイドカフェにおける客、メイド達、店長は全員逮捕される道を辿る可能性が出てきてしまう。勿論、アンノウンはメイドカフェで暴れている犬山の確保を最優先に考えている。

――またアンノウンも人間の為に存在している組織ながら、警察を口封じにする価値すら無いどころか、その権力を利用出来てしまう程の怪物であった。

しかしバベルの塔が騒然としていた理由はそれだけでは無い。これから訓練を行う予定であった深瀬であったが、ある依頼が来たと言う事だった為、会議室へ他の隊員と共に緊急招集された。そして其処で話を聞かされたのは名無第一高校と呼ばれるアンノウンが経営している高校にて、地下に隠していたクローン工場に異変が起こったと責任者である校長からトラブルシューターをお願いされた事を説明される。

「と言う事は犬山のテロと開かずの間の事件が同時に起こっているなのか……」

そしてオーギュストが二つの事件に出した結論はそれぞれ五分五分の力しか出せないが二手に分かれる事。

「でも、あの犬山が相手だと一筋縄では行かないと思う。それに神谷さんも伊瓜さんも開かずの間に対処しているかもしれないが、何が起こっているか分かっていない以上は想定外の事を考えた方が良いな」
「……何言ってるのよ。深瀬。本当に貴方って慎重派ね。私達は選ばれた優秀なクローンよ。それも異能力持ち。失敗作であるヴァリアントに負けるはず無いし、開かずの間だってただの誤作動よ。どうせ、伊瓜さんあたりが気まぐれで何か、ブザーでも押したんでしょ。こんなの私一人でもどうにかなるわ」

その後、犬山対策部隊として深瀬率いる戦闘寄りの能力を持つクローンがメイドカフェに、開かずの間対策部隊として神谷や伊瓜と合流次第、依頼を活動するトラブルシューターとしての能力が高いクローンが名無第一高校に向かう。
ただしどちらも、一応表面上は世間はおろか警察にも極秘組織の為、目立つ行動は控えて集団で動く為警察官の格好に扮して各自、車に移動。犬山は元よりスーツの為、そのままスパイアクションに出てきそうな高級な黒塗りの車に乗り込み移動。

「……俺が犬山を止めてみせる」

>>対象無し


【犬山/私立姫椿学園付近のメイドカフェ】

今頃、オーギュストのカモフラージュの為に警察官を装った深瀬達が焦げ付いたエンジンを吹かしつつ、窓から直接手を出して簡易的なパトランプを取り付け、まさかの折角の高級車からパトランプ一つで覆面パトカーへと姿を変える。そしてそんなパトカーが巨大な高層ビルであるバベルの塔で隠れてしまいそうな夕陽を背に発する赤き警告音が徐々に大きく聞こえ始めるのは、そんな夕陽を愛する怪物により狂気と暴力が反響して、椅子は寝転がり、ケーキは天井に付着していると言う混沌を極めるメイドカフェ。
その中で意外にも怪物を名乗る犬山は現在、自身の人間に対する持論を自慢げに展開、宣言、解説しながらも、ちゃんとメイドカフェの客として注文したパフェを美味しそうに食していた。ただし直接口で喰らい尽くすと言う行儀の悪さは目立つが。しかしそれが意味していたのが警察が来ても犬山は直、全く持って余裕を感じていた事であった。ちなみに犬山は戦闘や喧嘩は大歓迎であり、むしろ強敵を求めている戦闘狂の部分もある。

(まあ、普通に雑魚だけじゃ飽きちゃうし、退屈だからね。少しは骨のある怪物君と殺し合いしたかったんだよ)

その為、今回現れたクローンと思わしき女子中高生は彼にとっては丁度良い相手であった。また何故彼女がクローンだと分かっていたのかと言うと、第六感の部分もあるが舐めていたとはいえ自身の攻撃を余裕で回避した点で格闘技の経験者や軍人でも無ければ人間で出来る行為ではないと推測。其処でヴァリアントかクローンに絞られるが、女子中学生からの見た目でかなり裕福に育っているのが分かる。故に其処から考えられるのはヴァリアントはテロリスト扱いされ逃亡している身。学校等通っている余裕は絶対に無い。勿論、クローン自身も普通ならば学校に通って貰える等、珍しいケースと言えるだろう。ただし異能力持ちと言った優秀なクローンの場合はこの様に人間並の生活を行っていてもあまり珍しくは無い。
と言う事で犬山は彼女をクローン、それも異能力持ちだと予測する事が出来た。
一方で、同じ怪物であろう少女に対して、自分の持論に同意を求めたのだが本人は犬山の暴走に耐えられなくて帰った他の客が残したティーカップを手に持ち、何故か呑気にティータイムを楽しんでいた。相変わらず、自身に対しての反応は薄い。いや薄いどころか、無視しているのに等しい。
すると、どうやら犬山を捕まえる為に警察官がメイドカフェに到着したらしいがスマートフォンで今度は警察官を映し出す野次馬達が邪魔で通れないらしい。それに思わず、犬山は立つのが疲れたのか、丁度良い高さのテーブルに座りながら退屈そうに欠伸しながら警察の行動を待っていた。
するとそれから僅か三秒。状況は一変する。と言うのも突如、入口付近の壁が一瞬で灰の様に粉砕されメイドカフェの風に流される。通常では有り得ない光景に多くの人々がこの時だけ時が止まったが如く、消え行くコンクリートの壁に唖然としていた。

「説明も宣言も、別にして欲しいって誰も言ってないのにいきなりしてきますよね貴方。……はあ。とりあえず、変態の自論に興味は無いのでバトンタッチです。少女、男性の相手に嫌気がさしたのでさっさと帰宅します。話し相手は今やって来た警察官の方々にでもなって貰って下さい」
「いやいや君、まだ殺し合いも始まってないのにバトンタッチって……。折角、面白くなってきたのにそれは無いよ……」

明らかにテンションが下がる犬山を余所に多くの狂い始めた客やメイド、店長は正気を取り戻したのか、メイドカフェから次々と全力で逃げ始める。同時に警察官達もそれに合わせて客達を保護しながらも、ある一人の警官が犬山の元へ近づいていた。

「……おや、君は……深瀬君かな」

しかしこの時、上手くテーブルの下に隠れていたある情報屋の存在まで二人共、気付く事は無かった。

>>対象無し


【深瀬新/私立姫椿学園付近のメイドカフェ】
【犬山/私立姫椿学園付近のメイドカフェ→???】

「……甲斐。俺がお前を止めてみせる」

そう甲斐と呼ばれる人物に向かって、ある人物は慣れた手付きで煙草を取り出したと思うとおもむろに自身の口に加え、安いライターで火を付けた後、至福の時であろう最期の一服を存分に味わう。そして――

そんな煙草の煙に消えてしまいそうな情景が、オーギュスト隊員である深瀬における脳裏の奥底にとんでもない頭痛と共に見えていた。

「……やっぱり、お前と会う度に変な記憶が呼び出される」

そして目の前にはその記憶を呼び起こしたと思われる人物、犬山が食べ終わったパフェを意図せず、情報屋の方角へ投げ飛ばし気だるげに頭を掻き始める。

「奇遇だね。僕も……同じ事を考えていたよ。実に……不思議だ。君は……。まあ、頭痛のせいって言うのもあるけど今は君と戦う気分じゃないんだ。むしろ君にクローン君との戦いを邪魔されて何だか気分が損なわれちゃった。まあ、人を殴りたい気持ちはまだ収まってないから今度は君等にバレない様に上手く行わないとね。それじゃ……今度はクラウンとして会おうね、深瀬君。そして……クローン君もね」

そう言って沈みかけの夕焼けながら、入口付近の壁が灰と化した為、紫外線を存分に浴びてしまう犬山であったが何か良い事を思い付いたのか、急に高笑いしながらメイドカフェから裸眼では目で追いにくい程の高速移動を行い、他の警察に扮しており、現在店長やメイドの保護を行っているオーギュストを存分に罵りながら華麗に逃亡。

「……! 大丈夫ですか? ……ん?」

そう言って今頃、逃げ遅れた女子中学生の存在を知った深瀬は彼女に駆け寄り心配するが、同時にテーブルの下に隠れている人物にも気が付く。ただしその人物が情報屋だとは思っておらず、女子中学生と同じく逃げ遅れて隠れていた客だとして考えていた。

「もう、大丈夫です。とりあえず、此処から出ましょう」

>>恋慕小路散華様、山羊松陰様、周辺ALL


【表現についてですが、特にご要望はございません。むしろこれ以上でも特に構いません。これからも宜しくお願い致します】

>>友禅様


【遅くなりましたが、絡んで頂きありがとうございます。これから宜しくお願い致します】

>>甘でうす様

3ヶ月前 No.43

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_cjE

【 恋慕小路散華 / 私立姫椿学園付近のメイドカフェ前 】

 何やら真人間離れしている存在なのは間違いなかった。去って行った男への総評はそれだ。いずれの再会を匂わせるような発言を置いて行かれたが、できることならそんなフラグは近所のリサイクルショップにでも売りつけてしまいたい。十円くらいで買い取って貰えないだろうか。たぶん無理だな。自分がリサイクルショップの店員でもそんなの金額査定さえしたくないし、どうしても引き取って欲しいなら逆に金を払えくらいは言いたくなる。……やっぱり金を払われても嫌だ。だって本当に、あの人話がちっとも通じないし――次会う時は傍らに凄腕のカウンセラーさんでも引きつれておこうか。妙案と思えた発想も、即座に頭の中のエアカウンセラーさんに腕をバツにして拒否された。残念。

「あー、はい、大丈夫です。ちょっと精神的に疲労しただけで……あの、これってひょっとして事情聴取とかされたりしますか? もし無いなら、このまま家に直帰したいんですけど」

 話しかけてきた刑事さんの問いかけに、大丈夫アピールと早く帰りたいアピールを織り交ぜた返答をしておく。とうの刑事さんは何やらテーブルの下に隠れているらしい人物に話しかけているが、その相手がどんな容姿をしているかは刑事さんが壁になってよく見えない。よほど気弱なのか、それとも目的があってあえてテーブルの下に隠れたのか。どちらにせよ、まさかさっきの男よりも接していて疲れることはないはずだ。あんなのがこの世に二人もいて堪るか。いや、最悪二人いても良いから、さすがに一日にその貴重な二人を二連荘は勘弁して頂きたい。頼むよ神様。テーブルの下の彼はまともな人間であってくれ。ちょっと変わったファッションをしているとか個性的なカラーリングをしているとかなら大丈夫だから、せめて性格だけは安心して話していられる感じに――!
 刑事もテーブルの下の何者かも無視して帰ってしまえば良いものを、律儀にメイドカフェの外で二人を待ちながら天に向かって祈りを捧げる。もちろん心の中でだけだ。実際に跪いて十字を切ったら紛うことなき変人認定を受けるし、そもそも散華はクリスチャンではない。たぶん無宗教だ。ひょっとしたら仏教か神道のどちらかに家が属しているかもしれないが、属しているにしても、それがどちらだったかを忘れてしまう程度には気配が薄い。だからとりあえずは無宗教の認識で大丈夫。だと思う。

「ふぅー……いやあ、それにしても今日はとんでもない一日でした。少女、帰ったらこの疲れを癒すためにベッドでゴロゴロして子猫をモフることにしましょう」

 小さな声で悠長な独り言をぶっこいているが、まだその『とんでもない一日』が終わらない可能性だって残されている。そのことに散華が気付いてしまうのはいつになる事やら。

>犬山様&山羊様&深瀬新様&ALL様

【承知いたしました!
 こちらこそ、改めてよろしくお願い致します】

3ヶ月前 No.44

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【伏見悠斗/ロンギヌス・屋上】

どこからか盛大なパレードでも行っているのか、幾つもの覆面パトカーが夕陽に反射されたオレンジ色の道路を元気よく姫椿学園方面へ疾走しているのが見えるロンギヌス屋上にて、いつのまにか翼を生やしていた形態から完全に元の人間に戻っていた伏見は僅かながら不穏に騒がしい情景に何か第六感と言った感覚的ながら異変を感じていた。

(気のせいかもしれないな。この事をわざわざハイヴやフライシャーに話す必要は無い。余計に混乱するだけだ)

ちなみに現在行われている師団長、ハイヴにおける抱擁の件だが正直、ゴゴやクロが抱擁されて喜んでいるのを見ていると一度も抱擁に限らず、こう言った人の温もりに触れた事が無い為、本当は羨ましいのだが、流石にと言うか普通に恥ずかしいのと自身の団員や性格、キャラと言う立ち位置からして、ただ見守ると言う事が自分に一番合っていると考えていた。
しかしそんな中、頭に夕飯と言う文字が出る度にフライシャーの作る自身の好物である稲荷寿司を思い起こしてしまい、どうしようもなく食欲が次々と湧き立って来る。それに魚料理もパンも特に苦手と言う訳では無く、むしろ好きな部類に入る為、それ等もまた腹を鳴らせてしまう。ただし伏見が嫌いな食べ物は鳥を使った料理である。

「さて、それでは夕食を……と言いたいところだったのですが、どうも、そう悠長に構えていられないかもしれませんね」

そんな事を考えているとフライシャーも恐らくこのロンギヌスから見える街の違和感や不信感に気付いていたのか、何か不穏な空気を察した様である。しかし個人的にはヴァリアントに被害さえ来なければ特に問題が生じる事は無いと思っている。いくら人間が人質にされていようが、クローンが苦しんでいようが知った事では無い。だが、それと同時に何か心に引っかかる事もある。それが何かは分からないがその不穏な空気に答えが待っているかもしれない。

「……嫌な予感ほど当たるものだな」

そして当然と言うべきか、ハイヴもまたこの街に訪れた小さいながらも凄まじい雰囲気を感じ取っていた。しかも自身よりも既により良く状況を知っている様子。その事もあるのか、今までゴゴと黒に抱擁していた彼は一旦、抱いていた優しい手を二人から離す。

「俺は、お前達を兵隊として使役するために道化師を作ったわけでは断じてない。運命を共にした同胞に、生きる場所を与えるためだ。……どうか、命を賭けるような無茶はしてくれるな。万が一、命の危機を感じれば、力を使っても構わん。もし、本当に困ったなら――」
「……」

すると、ハイヴの背には伏見と同じ様に、しかしながら伏見トは真逆の真っ黒な翼が生えていく。そしてそれは二枚の翼を展開する伏見よりも数が多い四枚の翼。そんな翼から丁度四枚の羽根が勝手に意思を持ったかのように引き抜かれ始める。しかし翼を持っている伏見だからこそ分かるがその羽根は風切り羽と言う空を飛ぶには大事な羽である。そんな貴重な風切り羽である四枚の羽根をそれぞれ、ゴゴ、クロ、フライシャー、そして自分に一枚ずつ渡し始める。

「――その羽根は特別製だ。俺がグリモワールを解除しようが、例えどんなに離れていようが、消滅することはない。俺の力が必要な時、それを握り締めて俺を呼ぶがいい。どこにいても、必ず俺に届く」

それを聞いて伏見はハイヴにおける相変わらず偉大なる優しさにただ、真っ黒な羽根を掴むしか無かった。

「……」

そしてハイヴは恐らく嫌な予感がした方向へ飛び立っていく。付いていくも此処で待つもまた別の道を行くのも自由。それに対して伏見はただ、手に収められた一枚の羽根を胸ポケットに大事にしまい込み、此処でハイヴの帰りを待つ事にした。

(ハイヴが向かったかもしれない名無第一高校において何かヴァリアントの影響が無い限りは此処で訓練でもしているか)

>>ゴゴ様、クロ様、ハイヴ様、フライシャー様、周辺ALL

3ヶ月前 No.45

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【クロ/ロンギヌス:屋上】

フライシャーの問いかけに他の団員たちも各々の希望を述べる。ゴゴはパン、悠斗はいなり寿司が食べたいそうだ。悠斗が食べたいものを素直に答えたことには正直驚いた。食べたいものがあったとしてもてっきりハイヴのようにフライシャーにお任せにすると思っていたからだ。常に冷静であまり自己主張をしないようなイメージの悠斗でもクロが魚を好きなようにそれほどいなり寿司が好きなのだろう。それに同じいなり寿司でもフライシャーが作るとなるとひと味とふた味も違う。クロは別にいなり寿司が好物なわけではないが、想像するだけで涎が出そうだった。

「さて、それでは夕食を……と言いたいところだったのですが、どうも、そう悠長に構えていられないかもしれませんね」

「……嫌な予感ほど当たるものだな」

フライシャーの言葉にクロはえっ、と思った。せっかく今から美味しい料理の数々を食べられると思っていたのにまるでそれは出来ないとでも言うようなことをフライシャーが言ったからだ。それに続いてハイヴも何かを感じ取ったように呟く。ハイヴまでそんなことを言うのかと思ったが、ハイヴやフライシャーの表情を見る限り冗談を言っているようには見えない。クロはこれから何か良くないことが起こるんだと察した。

「…ハグは、終わり?」

隣から聞こえた声にクロはハッとして隣を向く。見るとゴゴが残念そうな顔でハイヴを見上げていた。そこでクロはそういえばハイヴに抱かれていたんだと思い出す。これから起こることへの不安ですっかり忘れていた。

「いや、終わりではない。少しの間、中止するだけだ」

そんなクロやゴゴの気持ちを見透かしてか、ハイヴが優しく落ち着かせるように言い、そっとクロとゴゴから離れた。中止、という言い方がハイヴらしいと思った。今は一旦中止するがまたあとでハグしてくれると解釈でき、そこにもハイヴの優しさが表れていた。ハイヴのおかげでだいぶ不安が和らいだが、やっぱりまだ不安でクロはハイヴを見上げた。

「ハイヴ様、私は御身が御意の儘に」

「最優先課題は情報収集だ。意義のない破壊は自重せよ。相手が何者か判らぬ場合もだ。もしオーギュストであれば捕縛せよ。後の現場判断は、お前に任せる。俺はひとまず、名無第一高校へ向かうつもりだ。……頼りにしているぞ、ライシャ」

行動の指示を待つフライシャーにハイヴは団長らしい厳格さで告げる。名無第一高校……先程からハイヴが気にしているようだった学校だ。ハイヴがそこへ向かうということはやはりそこで何か起きているのだろう。今まで気づかなかったがよく耳を澄ましてみるとある方向から生徒たちのざわめきやサイレンのような大きな音が鳴り響いている。また他の場所からも違うサイレンの音が聞こえた。一体何が起きているというのだろう。クロがまた不安になっているとハイヴが口を開いた。

「俺は、お前達を兵隊として使役するために道化師を作ったわけでは断じてない。運命を共にした同胞に、生きる場所を与えるためだ。……どうか、命を賭けるような無茶はしてくれるな。万が一、命の危機を感じれば、力を使っても構わん。もし、本当に困ったなら――」

そこまで言うとハイヴは1度口を閉じ、背中から4枚の翼を出した。そしてその中から4枚、自身の羽根を引き抜くとこの場にいる一人一人に1枚ずつ渡していく。クロはハイヴの行動の意図が分からないまま黙ってその黒い羽根を受け取った。ハイヴは全員に渡し終えると4枚出した翼のうち2枚をしまい、また口を開いた。

「――その羽根は特別製だ。俺がグリモワールを解除しようが、例えどんなに離れていようが、消滅することはない。俺の力が必要な時、それを握り締めて俺を呼ぶがいい。どこにいても、必ず俺に届く」

クロにはまだハイヴの言っていることがよくわからなかった。でもこの羽根を握ってハイヴを呼べば必ずクロたちの元へ来る、というのは伝わった。全てを話し終えたのか、ハイヴはくるりと身を翻す。恐らくあの学校へ向かうつもりなのだろう。クロは何か言わなければと口を開くが声は出なかった。ハイヴは顔だけをこちらに向けると

「また後でな」

と言って飛び去っていった。クロはハイヴにもらった羽根をぎゅっと握り締める。その羽根からはほんのりと温かさが伝わってきてこの羽根が先程まではハイヴの翼の一部だったのだと実感できる。一人で向かったハイヴ。まだ何かあると決まったわけではないが、やっぱり心配だ。せめて見送りの言葉をかけたかったが残念なことにクロの口からは何も出てこなかった。

(大丈夫、かな……)

クロは無意識に隣にいたゴゴの服の裾をきゅっと握り、俯いた。

>>ハイヴ様、フライシャー様、ゴゴ様、伏見悠斗様、周辺ALL様

3ヶ月前 No.46

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【神谷聖/名無第一高校・開かずの間→名無第一高校・校長室】
【楠城真実&久染琢磨/名無第一高校・昇降口→名無第一高校・校長室】
【獅子倉友則/名無第一高校・校長室】

少しでも触れたら火傷する程、熱せられた綺麗に弧が描かれた丸い鉄球の様に溶けていく日常的な夕陽を後ろに構え、その夕陽の様に真っ赤に熱せられるサイレンが随分と鳴り響いている非日常な名無第一高校の校舎。その昇降口前には本来、部活中であった生徒達も一切気にせず、我が物顔で警官に扮した大量のオーギュスト達が学校の中へ堂々と入り込んでいた。

「とりあえず、開かずの間に行けば良いんだろ……? こんなくだらない仕事さっさと終わらせて犬山の部隊と合流しねえと」
「久染(ひさぞめ)。相変わらず、単細胞ね。此処はまず神谷さんと伊瓜さんと連絡した後に合流して、まず校長から詳しい話聞かないと。別にそんなに焦るほど、一大事って訳じゃないでしょ」

開かずの間をくだらない仕事だと一蹴するのは久染と言う男性。彼自身、この様なトラブルシューターであるオリジナルやクローンの尻ぬぐいを好んではおらず、ヴァリアント排除に力を入れている腕っ節とそれによる成り上がりにしか興味無いクローン。製造番号は4400番。その為、本人は犬山討伐部隊に参加したかったのだが上司から実力不足とされ、開かずの間対策部隊に強制的に参加させられていると言う状態であった。
そして久染に対してきつく当たっているのは楠城(くすのき)と言う女性。思い込みが激しく自分が絶対に正しいと唱える完璧主義者。また彼女の異能力に合わせて、難攻不落の絶対女王と言う異名を持っている。ただし彼女の自分勝手な性格から周りからは嫌われており、裏からは異能力に関する異名を皮肉に変えた、コックローチと酷く揶揄されているクローン。製造番号は100番。
そしてそれぞれ楠城は伊瓜にm久染は神谷にスマートフォンにて直接連絡を行い、昇降口の前で多くの生徒や教師から冷たい視線を浴びながらも返事を気長に待っていた。

「……久染か。お前が連絡寄こすと言う事はオーギュストがこの学校に到着したと言う事か?」
「まあ、そう言う事になります……。それじゃ校長室になるべく早めに現地集合で」
「分かった。直ぐに向かう。……ただ、とりあえず早めに対処した方が良いのは間違いないとオーギュスト隊員全員に伝えておけ」

そう言いながら現在、学校における開かずの間の前にて現在における状況を軽く確認していた神谷は久染に対する返事も聞かずに電話を切る。

「さて、恐らく状況からして……」

現在、明らかに非常事態を知らせる音が懸命に発されているサイレンの原因である開かずの間は頑丈な鋼鉄の扉が蹴り飛ばされたかの様に開かずの間の内側から破壊されていた。この事から神谷はある一人のクローン、それも能力持ちが開かずの間から脱走した事を悟る。

「……それにしてもまさか守るべきクローンが余計な事をしてくるとは」

そう嘆いてはこの予想外の事態に嘆くしか無かった。今まで、監視役や校長ばかりを見張っていた自分がいかに視野が狭いのかが分かる。しかしだからと言って決して後悔する事無く、オーギュストにおいてオリジナルにおける最善の策を決めながら校長室へ急いで廊下を全力疾走する。そして校長室の扉を少し乱暴に開くと其処には不自然過ぎる程、床や天井がピカピカに磨かれ目立っている中、神谷が来なかった事に苛立ちながら窓から学校の様子を見ている獅子倉校長と楠城と久染と言ったオーギュストの隊員達が姿勢を正して立っていた。そして待ちくたびれた校長は後ろを振り返りながら嫌味を呟く。

「やっと来たか。これだからクローンは……。まあ、全員はそろっていないがもう初めてしまおう」
「……それで依頼と言うのは?」

そして神谷の予想通り、依頼内容は異能力持ちクローンがクローン工場である開かずの間から脱走したらしく、そのクローンを早急に保護して欲しいとの事。

「ああ……私がサイレンが鳴った直後にすぐさま開かずの間に向かった時、気付いたんだ。あの異能力持ちクローンである428番が逃亡したってね……。そして428番の特徴はさっき言った通りだ。それでは私の名誉の為、直ぐにでも428番を捕まえてくれ」

そう言った後、獅子倉はため息を付きながらオーギュスト達に偉そうに指示して始め、部屋から全員無理やり追い出されてしまう。そして部屋が大分広く感じる校長室にて再び一人になった獅子倉は緊迫した表情である人物に連絡する。

「これで良いんですね……甲斐さん」

>>周辺ALL

3ヶ月前 No.47

黒い猫 @sinikake ★iPhone=DznCbfnqH0

【ゴゴ/ロンギヌス、屋上】

「いや、終わりではない。少しの間、中止するだけだ」

ゴゴの問いにハイヴは優しく答えてから立ち上がった。背筋を伸ばしたハイヴを見上げる。ハイヴの視線の先は名無第一高校方面へと向けられている。
今の今までご飯の話やハグの話をして穏やかな空気だったのに、とゴゴもちらりとハイヴの視線の先に目を向けて眉間に皺を寄せた。何か嫌な事が起きている気もして少し奥歯を噛みしめる。

「ハイヴ様、私は御身が御意の儘に」

「最優先課題は情報収集だ。意義のない破壊は自重せよ。相手が何者か判らぬ場合もだ。もしオーギュストであれば捕縛せよ。後の現場判断は、お前に任せる。俺はひとまず、名無第一高校へ向かうつもりだ。……頼りにしているぞ、ライシャ」

ハイヴがフライシャーへと荘厳な口調で指示を飛ばす。それをゴゴも聞きながら口を引きむすんだ。意義のない破壊は自重せよ、ならば自分に出来る事はあまりないと思ったのだ。
ゴゴの精神は常に不安定だ。何かの拍子に暴走するし、だんだんと暴走していく事もある。その時、ゴゴはゴゴの意思で能力の制御が出来ない。何でもかんでも破壊して、敵と判断したならばそれがどんな相手でも壊しに行く。そのせいで自分が壊れていこうとも構わずに。
意義のない破壊は自重、ならばゴゴに出来る事は最優先とされた情報収集だろうが、残念ながら壊滅的なまでに機械音痴のゴゴが出来る情報収集は限られている。
自分に何が出来る?、と顔を険しくさせながら考えていると、ハイヴが全員を見渡せる位置で此方を見る。夕陽に縁取られた彼はかっこよくてゴゴは少し表情を緩めた。

「俺は、お前達を兵隊として使役するために道化師を作ったわけでは断じてない。運命を共にした同胞に、生きる場所を与えるためだ。……どうか、命を賭けるような無茶はしてくれるな。万が一、命の危機を感じれば、力を使っても構わん。もし、本当に困ったなら――」

ゴゴは、世間からなぜ道化師がテロリスト、と悪く言われているのかいまいち分からない。自分の様に訳も分からず破壊してしまうものばかりなら悪く言われるかも知れないが、でもこんなに優しい人がたくさんなのになぜ、と思っている。

こんな俺にも優しいのに。

ゴゴがタイムレスに居た時に何をしたのかきっと知っている人も居るだろうに、道化師の仲間たちは優しい。だから、大切な人と一緒に居たい、というただそれだけの理由でゴゴはここに居る。
ばさり、とハイヴの背に黒の翼が生える。計四枚の翼が生えてハイヴの声を聞きながらゴゴはその翼の縁を目で追う。ハイヴの力がその翼に宿ってるみたいだと思った。
そしてハイヴはその翼から羽根を引き抜いた。痛いんじゃ、とゴゴは焦ったがハイヴの表情に変わりがないのを見て思わず開いた口を閉じた。
そしてハイヴはその引き抜いた羽根を差し出された。目の前にある黒にゴゴは手を伸ばしてその羽根を受け取る。ほんのり暖かさを感じて、羽根が潰れない様に握った。

「――その羽根は特別製だ。俺がグリモワールを解除しようが、例えどんなに離れていようが、消滅することはない。俺の力が必要な時、それを握り締めて俺を呼ぶがいい。どこにいても、必ず俺に届く」

ハイヴのその言葉に顔を上げて彼を見上げる。仲間達に羽根を配り終え、二枚だけ翼を仕舞った彼は堂々とそう言い切った。
屋上のフェンスにひらりと昇ったハイヴを目で追いながら、ゴゴは付いていきたいと思ったが自分に何が出来るのか分からなくて口を開けれなかった。酷く焦る感覚がしてきょろきょろと瞳を泳がせる。が、

「また後でな」

と、ハイヴのその言葉を聞いてゴゴの瞳がハイヴの飛び立つ姿を写す。置いてけぼりにする訳じゃない、そう言ってくれてる様な言葉にゴゴは少し落ち着いて、冷静に自分が出来る事を考えようと思った。
見送りの言葉が出てこなかったや、とちょっと申し訳なく思っていると、隣に立っているクロが服の裾を握ってきた。俯いたクロの顔は伺えないが、おそらくハイヴの事が心配なんだろう。
少し迷った後、ゴゴは握ってきたクロの手を裾から離して、その暖かな手を自分の手で握り繋ぐ。ちょっと自分が触るのは嫌かな、とまた思いもしたが、今はクロを安心させたかった。

「師団長が、また後で、って言ってたから今度は俺らからハグしに行こう」

クロに対して笑いかけながらそう言って、手を繋いでない方の手でゆらゆらとハイヴの羽根を揺らす。しなやかなその羽根は夕陽に照らされて黒光りして、とても綺麗でハイヴと繋がっている様な、彼が側に居てくれる様な気がした。

「今皆の為に俺に何が出来るか分かんないから…俺は…その、すぐ動ける様にしとこうかなって思うよ。師団長の事も、心配だけど…」

黒い羽根を折らない様にズボンのポケットにしまったゴゴは、そう言いながら自信なさげに瞳を泳がせぽりぽりと頬を掻く。今の段階で、自分が出来る事は、自分が思いつく限りではない、と思ったのだ。
ハイヴの事は心配だがゴゴが下手に動けば、道化師団員が無差別に破壊活動を行なっている、という事態になりかねない。自分の能力の危険さはだいたい把握出来ているゴゴは、時には動かない方が良い事もある、と自分に言い聞かせる。
が、やはり心配なのは心配なので長い前髪の下できょろきょろと瞳を泳がせて名無第一高校の方面を伺って居た。

≫悠斗様、クロ様、ハイヴ様、フライシャー様、周辺オール様

【ゴゴのタイムレス時代については、強制的に暴走状態にさせられて仲間を殺した、というもので噂で聞いて知っている、や、本人に聞いてないけど暴走してる時の言動で何となく察した、などもし使う事がありましたらその様な感じで大丈夫です】

3ヶ月前 No.48

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【製造番号428番/名無第一高校・1-1教室】
【薬師寺由美/名無第一高校・1-1教室】

「あ? お前に関係ないだろうが。少し黙ってろ。誰かに気付かれたらどうするんだよ。折角此処から逃げるっていうのに。まあ……一応此処は目撃者は全員、一生黙らせた方が良いか」

そう言って名無第一高校における一年一組の女子が部活動によりジャージ等に着替える時間であった一年一組における一階ながら窓からの夕陽が映えてとても綺麗な教室の中で、突然入り込んで来た金髪変態男子に対して薬師寺の話し相手であった友人、伊藤が文句を垂れていた。しかしそれに金髪の不良と言った雰囲気が物凄く溢れ出る男子であり、直ぐ隣の部屋とも言っても良い程、近くに重々しく設置されている開かずの間から脱走して来た428番は伊藤の声で自身を追う者に気付かれるかもしれない為なのと、目撃者である一年一組の女子達を殺害するべく自身の異能力である液体を操る能力を即座に発動。近くの学習プリントや小テストが大量に置かれている窓際の金属製で出来た鉛色の棚の上に赤と青と白の三種類の目立つ薔薇が飾られている華麗な花瓶からその花瓶に入った水を念力みたいに空中に救い上げ、伊藤の口と鼻に無理やり当てさせ窒息死させようと企んでいた。しかし頭の回転が早い薬師寺は428番が花瓶を見た直後にその事に気付いた為、急いで伊藤の前に立ち立ち塞がってみせる。

「止めて……だ、大事な友達なの……」

通じるかどうかは分からなかった。ただし此処で止めていなかったら、428番は本気で人を殺そうとしていたと言うのは間違いない。それ程、彼はあまりに凶暴であまりに無知であった。

「……俺が一番嫌いなタイプ、教えてやろうか」
「……?」

突如、少しだけ笑って見せた428番は花瓶の水を道化師におけるパフォーマンスの如く水を丸いボールの様にしてジャグリングを操り出し始める。それに一瞬、翻弄させる薬師寺。そしてその反応を見た途端、彼はすぐさま能力を解除。宙を水ヨーヨーの様に舞っていた瑞々しい水はゴムが切れたかのように落下して、教室における高級そうな床を叩きつけ、花瓶の水が零れたかの様に水浸しにしてしまう。

「お前みたいな偽善者みたいな奴だよ。……お前も良い人ぶってんのも大変だな。オリジナルはオリジナルらしく自分よりも下の奴を蔑んでれば良いのに」
「そんなの……違うわよ……!」
「そうか、確かに違うかもしれないな。で? 違ってたらどうすんだ。そんな偽善者の意見なんていちいち聞いてねぇんだよ! まあ良い……俺はお前の相手をしている暇は無いんだ。さてと、見た感じ大丈夫そうだからさっさと此処から……」

そう言ってかなり荒れている428番は一年一組における透き通って見える程に汚れていない綺麗な窓等、気にせず能力を発動しようと企むが、その直後に窓から幾つもの覆面パトカーが開かずの間のサイレンとはまた違うサイレンが騒々しく共鳴しながら、校門前で警官らしき人々がぞろぞろと降り始める。流石に警察と言う組織の存在が知らない428番もとりあえず彼等に見つかったらかなり危険と言う事だけはなんとなくながら分かる。その為、かなりタイミングが良くならないと此処から身動きが取れない事となる。だからと言ってずっと此処にいると周囲の生徒による情報で位置が分かってしまう。

「畜生……。お前等の下らねえ会話のせいで俺は……」

薬師寺と伊藤によってますます逃亡する手段を失ってしまった428番はどうすれば良いか必死に考え込んでいた。

「貴方は一体……?」

そんな騒然として誰も声を挙げられない中、一年一組の教室にて薬師寺の震えた声での質問が静かに木霊する。

>>伊藤優希様、周辺ALL

3ヶ月前 No.49

オデット @rune1109 ★iPhone=6r8dfM7K4t

【 伊瓜 悠 / 名無第一高校、放送室→1−1教室 】

 放送室から出て、とりあえず職員室へ帰ろうとしたそのとき、急にけたたましいサイレンが校舎中に鳴り響く。
「 ____ッ! 」
 このサイレン。伊瓜はこれに心当たりがあった。反射的に回れ右をして階段を下りようと、あの開かずの間へ足を進めようとする。
「 あ、先生 」
 上から声をかけられて足を止める。声がかけられたほうに視線を移すと、そこには2年生の女子2人組がいた。彼女たちはジャージに身を包み、ところが一人はもう一人におぶられている。
「 どしたの? その子 」
「 なんか、廊下を歩いてたら猛スピードで走ってる人がいて、その人に跳ね飛ばされちゃって足捻っちゃって 」
 おぶられている子は背中で苦笑しながらピースをしている。
 なにか、なにか引っかかる。不安が胸中を渦まく。
「 それにしてもこのサイレン、何なんですか? ……って、あれ? 伊瓜先生? 」

 __きっと開かずの間のほうは神谷が行っているだろうから。階段を上り終えると、甲高い悲鳴が廊下を響かせる。悲鳴のするほうはある教室の前の廊下からだ。そこへ走り中に突入せず、ひとまず落ち着いて確認する。この女子しかいない空間にいる金髪の男が、きっと開かずの間から逃げ出したクローンなのだろう。早く捕まえて目撃者の記憶を消せばいいだけ。まぁ目撃者の数が多いことは面倒だけれど。
「 ____ッ!? 」
 突如として衝撃が走る。窓際の棚の上の花瓶から水のかたまりが宙へ浮かび上がる。そんなことは自然現象ではない。この男、異能力持ちだ。ということは、この男は開かずの間から出てきたクローンではないのか。まぁいい。自分は生徒たちをこのヴァリアントから守るだけ。……とでも言ってみたいものだが。残念ながら伊瓜の能力は戦闘向きではないため、きっとこのヴァリアントには勝てないだろう。だからといって、ここで生徒を見ないふりして逃げるのは教師失格だろう。廊下にいる生徒たちの頭を撫でて記憶を消し、教室から離れさせる。野次馬は首をつっこまないほうがいい。
 さて。スマートフォンを取り出し、ある人物の名をタップしてそのまま胸ポケットへとしまう。一つ深呼吸をして。そしていざ。

「 はいはいはいはい、ね、君ちょっとその子たちから離れよっか 」
 抵抗しないことを表明するように両手を肩まで挙げて、教室内に足を踏み入れる。ただ、伊瓜のやるべきことは時間稼ぎ。彼が来るまでの。最悪、射撃か。
 伊瓜の胸ポケットのスマートフォンの画面には、久染 琢磨という文字が。


>>製造番号428番さま、薬師寺 由美さま、伊藤 優希さま、、久染 琢磨さま、周辺ALLさま

3ヶ月前 No.50

伊藤優希 @railguns03 ★iPhone=fZHfklgTyv

【伊藤優希/名無第一高校・1-1教室】
いかにもちょいワルの度を越し、普通にワルな野郎、いや、彼女からすれば単なる不審者にしか見えないやつ428号が、ああ言う行動に移るとは思ってはおらずだが、コイツは自身にどう言う手を使ってやるかは不明、多分これまでの経験上、窒息させるつもりでいたはずだろうなと鼻と口に手を置かれた時点で察して、そして428号の発した言葉、偽善という言葉にカチンとき、そして彼の発想に呆れたのか溜息をつき、指を噛んで何とかしようとして
「私としてもあんたがもし、仮に人間的に下だとしてもそうは見れない。オリジナルだから何?ってなるしくだらないなあそういうのは」
そもそも自身は何かが相手より上だからって蔑んだり、相手を憐れんだりということは基本的にはしないタイプ。だが、今のを聞いて人間としての部分で少し相手の人間性はどうなんだと、少し思ってたりし
428号はくだらない会話とか言ってるけどそもそも入ってきたのはあなたの方なんじゃないのかと少しだけ呆れたりし、こいつの考えてることが不明であるため、何をどうしようとここにきたんだ。しかも女子部屋に?と、もしかしなくても最近よくありがちな覗き魔か?とまで思ったが、お前らのせいで俺はということはどっかから逃げてきたということかとまで考えながら
→薬師寺由美、428号、all

3ヶ月前 No.51

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【深瀬新/私立姫椿学園付近のメイドカフェ前】

自らをヴァンパイアと名乗る頭のネジが途轍もなくぶっ飛んだテロリストから、どこかから嗅ぎ付けたヴァリアントである情報屋、テロリストと対等に話すクローンの女子中学生、テロリストが滞在していると通報を受けた多くの警察に扮したオーギュストと言った個性しか無い面々が訪れた事により随分と大混雑と化したメイドカフェであったが、その中で一番暴走していたテロリストであるヴァリアント、犬山が女子中学生が異能力持ちクローンである事を知り、一対一の戦闘を望んだが警察に扮したオーギュストが邪魔したが為に興ざめしてしまいメイドカフェから逃亡。しかし女子中学生の戦闘自体はまだ望んでいるらしく、彼は勝手に女子中学生との再会を楽しみにしていた。

「あー、はい、大丈夫です。ちょっと精神的に疲労しただけで……あの、これってひょっとして事情聴取とかされたりしますか? もし無いなら、このまま家に直帰したいんですけど」

一方でどこかに逃亡した犬山追跡を他のオーギュストに任せ、店長やメイド、そして多くの客がオーギュストに保護されながら未だメイドカフェに取り残された女子中学生、そして情報屋の二人に警察としての演技を続ける深瀬は冷静に安否を確認していた。これに情報屋はよっぽど犬山が恐ろしかったのかまだテーブルの下で隠れて出てこないが女子中学生は意外と淡々としており、今すぐ家に帰りたい様子があからさまに分かる。ただ、残念ながら深瀬は警察では無く飽く迄も警察に扮したオーギュスト。実際に事情聴取等における判断は一切分からない。故にもうすぐ本物の警察が来るはずなので細かい対応はそちらに任せる予定。

「すみませんがもう少し待っててもらいますか? もうすぐ担当の者が来ると思いますので」

慣れない笑顔を振りまきながら、二人に待っててもらう様に言っておく。本来ならばこんなテロリストが被害を起こした現場に残す等有り得ないが。細かい事は気にしてられない。しかしそんな客二人の元に訪れたのはある一人のオーギュスト。それも伊瓜とは別の幹部が信頼している部下。

「それじゃ事情聴取するから、おじさんの車に乗って貰えるかな? とりあえず、君は……中学生だから、まず家族にこの出来事について連絡しておいてね。それと其処の……お兄さんも宜しく頼むよ」

そんなオーギュストが見せる反応に慣れない笑顔から真顔に戻り、深瀬は素直に疑問を感じていた。何故ならば、自分達は警察に扮したとはいえオーギュストである。別に警察の仕事の代わり等行う気は無い。飽く迄も、犬山捕縛の為に目立たない様にカモフラージュしているだけ。オーギュストが事情聴取を行う意味が無いはずであった。
しかしこれには裏があった。実はアンノウンは犬山をヴァリアントだと知っているであろうメイドカフェの店長、及びメイド、さらにその場にいた客達を事情聴取と称し、適当に理由を付けて警察の権力を使い、適当な理由を付けて名誉棄損、傷害等どの様な容疑でも無理やり逮捕させ、無かった事にしようと企んでいた。勿論、其処には女子中学生と情報屋も含まれていた。ちなみに深瀬は内部事情を知らない為、この事は師団長や幹部クラス、或いは幹部の派閥に入っている人物や隊員ながら能力や忠誠心が高い人物しか分かっていない。
そして深瀬が何やら疑っている所に気付いたのか、その部下がすぐさま彼の耳元へ囁いて見せる。

「深瀬。この人達から何かテロリストについて聞けるかもしれない。少しでも情報は早く、そして多い方が良いだろ」
「……」
「全ては……あの忌まわしきテロリストの為だ。あれは……俺達じゃないと捕まえられないんだよ」

そしてその部下は深瀬の肩を軽く叩いた後、二人の元へ駆け寄りメイドカフェの外に誘導しようととびっきりの笑顔を見せながら、ゆっくり優しく手を伸ばしてみせる。

>>恋慕小路散華様、山羊松陰様、周辺ALL

3ヶ月前 No.52

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_gi9

【 ハイヴ / →名無第一高校 - 校長室 】

 ハイヴの姿は、まさしく悪魔と呼べるそれから、浮世離れした存在感を持つ青年へと変貌していた。その人間形態で疾駆する先は、まさしく今回の騒動の元凶の地、名無第一高校。悪魔形態で飛来しない理由は、あまりに目立ちすぎてしまうからだ。オーギュスト達が集結しつつある今、自分が彼らの対抗勢力たる道化師団長であるということは、隠す必要があった。無用な戦闘は避けたいし、発見・警戒されれば、自由に身動きをとることが出来なくなる。ゆえにハイヴは、地に足つけて疾走していた。シックなスリーピーススーツを身に付けて走っているのに、一切窮屈そうな印象を与えず、寧ろその姿は洗練されていた。
 そして見えてきたのは、校門から堂々と校内へ入っていく警官たちの群れ。否、あれは警官ではなく、それに扮したオーギュストであることは、容易に察しがついた。そこでハイヴは一旦足を止め、曲がり角に身を潜めて様子を窺う。全力疾走の直後だというのに、その額には汗一つ滲んでいない。激しい運動のために少しよれてしまったジャケットの襟元を掴み、バサリと一つの挙動で身だしなみを整えた。
 オーギュスト達が全員校内へ入っていったのを視認し、後を追う形で自身も高校へ潜入する。服装がフォーマルなスーツであったことが功を奏し、さほど不自然さはなかった。そこでふとハイヴの嗅覚をくすぐったのは、濃密な血の匂い。よほど血腥いことが起きているらしい、とハイヴは眉をしかめた。校舎内には入らず、建物の周りを歩く形で血の匂いを辿れば、導かれたのは校長室。厳密には、ハイヴにはその部屋が校長室であることなど分からなかったのだが、この部屋に血の匂いが充満していること、それだけで此処を警戒する理由としては十分すぎた。
 校長室の外壁、つまり部屋の中からは死角にあたる場所にそっと身を潜ませ、中の気配を探る。聞こえてきたのは、複数人の話し声。盗み聞きしたその内容は、ハイヴの眉間に寄せられた皺をより深く刻むに値した。この学校には、開かずの間と呼ばれる隠されたクローン工場があること。そこから428番と呼称される異能力持ちのクローンが脱走したこと。そして、オーギュスト達の任務は、428番を早急に保護することであること。

(――――甲斐? この男に指示を出している者がいるのか)

 校長室から獅子倉以外の全員が追い出された直後、獅子倉が電話口で声に出した名前に違和感を覚えた。オーギュスト達に偉そうに指示できる立場であることから、この男の地位は相当高いものなのだろう。だがそんな男が敬語を使い、リマインドの電話をする謎の相手。今、己が辿り着くべきは、電話口の向こうにいるその者なのかもしれない。そう判断したハイヴは、外側から窓に手をかけ、強引に窓を開く。施錠されていようが、ヴァリアントたる己の腕力の前では意味を成さない。窓枠を乗り越え、校長室に侵入し、獅子倉と対峙した。

「俺が何者かは言わん。貴様が何者かも問うまい。だが、一つだけ教えろ。甲斐とは何者だ」

 言い放ったハイヴの表情は、無。先ほどまで刻まれていた眉間の皺はきれいさっぱり消えていた――否、故意に消したのだ。怒りや動揺は、己の動きを鈍らせる。だが、強い意志を宿した深紅の双眸は、射貫くようにまっすぐに、獅子倉の瞳を睨んでいた。
 獅子倉から、同類の気配は感じない。ということは、彼はただの無力なオリジナル。今この場で彼を組み伏せ、痛みによって情報を吐かせる手立てなどいくらでもある。己の権力に酔い、玉座にふんぞり返っている者ほど、案外口は軽いものだ。だが、敢えてそんな野蛮なことはしない。獅子倉とて雑魚ではないだろう。ハイヴが異能力を持つクローンあるいはヴァリアントであることは、既に勘付いているはず。なのに、ハイヴが暴力的手段に訴えず、あくまで話し合いのスタンスを取っていることは、獅子倉にとってのハイヴの心象を上げる要因になりうる。だが、ハイヴはここに馴れ合いに来たわけではない。ゆえに、あくまで強い詰問口調で言葉を紡ぎ、獅子倉の返答を待った。


>>獅子倉、周辺ALL



【人数的な比率を考えて、校長さんに絡ませて頂きました。遅筆になるとは思いますが、何卒よろしくお願い致します!】

3ヶ月前 No.53

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【神谷聖/名無第一高校・校長室前→名無第一高校・開かずの間→名無第一高校・1-1教室前】
【楠城真実/名無第一高校・校長室前→名無第一高校・2-1教室】
【久染琢磨/名無第一高校・校長室前→名無第一高校・階段】

世界へ羽ばたくのも夢ではないエリートの卵が集う名無第一高校における開かずの間から脱走したクローンを保護してほしいと言うトラブルを解決すべく、アンノウン関係者である獅子倉校長により呼び出された伊瓜や神谷、楠城、久染が率いるオーギュスト。ただし潜入捜査中の伊瓜は久染が依頼について連絡しようとしている最中であった為、彼女は結果的にだが校長室には来る事は無かった。そしてそんな校長から依頼内容を伝えられると逸早く解決を望むが為に校長による命令で校長室からオーギュストは追い出されてしまう形で任務を遂行する事に。

「……」

それに苛立ちを隠せていないのは伊瓜に連絡を取っている久染。無言ながらも明らかにオーラ等に威圧感が加えられており、機嫌が大分悪くなっているのが分かる。恐らく本人は開かずの間のトラブル等かなぐり捨てて犬山を討伐して簡単に実力だけで誰よりも早く大きく手柄を取りたいと考えていた。その中で特にオリジナル達に媚びを売って幹部候補まで成り上がったと思われている神谷には密かにではあるが嫌悪にも近い対抗心を燃やしていた。ただし正直言えば、本人は隠しているつもりだろうが全然隠せておらず剥き出しており、現在も伊瓜に連絡を繋げていながら神谷に強烈なメンチを切っている。
その様子に全く持って神谷は気にしていないが一方の楠城は相変わらずの光景に呆れ果てながら、他のオーギュストとそれぞれ脱走クローンを探すべく、神谷は開かずの間に、楠城は二階の教室に入り込み学校を移動し始める。
そんな中、一人校長室前で連絡を待っていた久染であったが恐らく何か用事等があったのであろう伊瓜から遂に連絡が訪れる。

「やっと繋がった……。とりあえず、校長による依頼の件の詳細をお伝えするんで聞いてて下さい」

そう言って彼は少し雑ながら依頼内容である、開かずの間から脱走した一人の異能力持ちクローンの保護の説明を伝えていく。

「それじゃ他に質問とか無いなら切りますけど」

ぶっきらぼうな口調が目立つ彼だがそう言いながら、一応最後に質問の有無を聞いておくが既にその足は一階へ向かう階段へ向かっており、見るからに幹部と言う上の立場に人物に対して向き合っておらず、怒られてもおかしくない様な行動が少しずつ垣間見える。
そんな中、一人もう一度様子を確認するべく、開かずの間に向かっていた神谷であったがその道中に一年一組の教室を何故か離れる生徒を結構見かける。

「……何かあったのか?」

しかしその生徒達に聞いても返って来るのは曖昧な返答だけ。しかしそれでも彼は少し一年一組が気になった為、気配を消しつつ教室の様子を隠れながら窺っていく。
すると、其処には荒れている金髪の学生と女子二人、そして伊瓜の姿があった。

>>伊藤優希様、伊瓜悠様、周辺ALL

3ヶ月前 No.54

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【獅子倉友則/名無第一高校・校長室】

やけに綺麗好きな客をお出迎えする訳でも無いのにあまりに丁寧に拭かれ、汚れが一つも無い床や壁に素晴らしい程の清潔感を。同時に鎮座すべき校長の椅子やお気に入りのゴミ一つ絡まる事を許されないペルシャ絨毯も不在と言うとんでもない程の違和感を直感的に感じてしまう校長室に自身の依頼における為に群がったはずのオーギュストをこれまた自身の依頼における為に、鬱陶しそうに追い出す獅子倉。
そして疲れているのか、窓から見える夕焼け空を見ながらたった一人の空間に大きなため息を行って見せる。しかしそのため息は空全体に広がっている大きな夕焼けに届く事無く、その窓に真っ白な吐息として小さく張り付いていた。また紳士的な仮面の中、上手に隠れた鋭い目線の先は数々の学校におけるトロフィーや賞状が幾つも飾られた大きな棚。実はその栄光に魅せられた棚の知られざる裏にこそ、あの血がたっぷりと付着した椅子とペルシャ絨毯、床の清掃に使用した多くの雑巾、そして無残な姿と化した女子高生と言ったこの校長室の違和感の答え、殺人現場がそのまま入っていた。
それを全て処分して無かった事にしようとした人間の皮を被ったまさに悪魔の様な獅子倉校長であったがある人物に対して電話を入れる事を忘れていた為、急いで自身のポケットからスマートフォンを焦りながら取り出し、緊迫した表情でわざわざ直接電話で連絡する。

「これで良いんですね……甲斐さん」

しかし獅子倉の口から出た甲斐と呼ばれた人物への報告はすぐさま遮られてしまう。何故ならば突如、目の前に映るスーツに映る男性がこの時期、常に閉まっているはずの校長室の窓を無理やり腕の力だけで抉じ開け、窓枠から堂々と校長室に不法侵入した為。

「俺が何者かは言わん。貴様が何者かも問うまい。だが、一つだけ教えろ。甲斐とは何者だ」
「申し訳ありません。少し邪魔が入ったので一回切ります。……また直ぐに折り返し連絡致しますので」

突然起こったこの行動に対して、獅子倉は一切驚く事無く、明らかに閉まった窓を腕力だけでこじ開ける様な少なくとも人間とは程遠い存在を前に、甲斐に繋がっているスマートフォンの連絡を冷静に閉ざしていく。

「さて……此処は私の学園だ。勝手に入ってくれては困るんだよ。……特に汚れた怪物とか」

獅子倉が目の前に現れた人物をヴァリアントと特定した理由は彼にとってクローンは絶対に逆らわない自分の私物だと思い込んでいる為。それにより、自身に反抗する様な態度を見せるのはヴァリアントしかいないと言う事になる。それに獅子倉自身はアンノウンの関係者。アンノウンからテロリスト扱いされている道化師ならば自身を襲う理由は存在する。
以下の事から彼は目の前に見えるスーツの男性をヴァリアントだと特定している。ただ、それならば自身の命が狙われていると言う状況であるが獅子倉は決して余裕は感じられないが怯えている様子も見えておらず、飽く迄も格下と話している様な雰囲気が口調や態度から目に見えており、先程の甲斐と言う人物とは真逆の反応であった。

「まあ、不法侵入は絶対に許せないが、この状況において君は実に都合が良い所に来たみたいだ。上手く君と言う存在がこの学校に乱入してくれたお陰で開かずの間等における脱走クローンの件等、全責任を君に押し付ける事が出来る。そう、開かずの間から異能力持ちクローンが脱走したのも、女子高生のクローンを殺したのも全てお前等クラウンのせいにしてしまえば、この学校の評判もこの私の評判も落ちずに済むと言う訳だ。それにしても……お前等ごときにも利用価値があったとは驚きだよ。おっと、言っておくが私に少しでも、少しでもだ、何かあれば直ぐにでも校長室前にて私の護衛を行っているであろう何人かのオーギュストが来るはず。つまり……残念だが、もはや君はオリジナル一人、殺す事は出来ない。どうだ、ヴァリアント。いくらお前等が逆らおうが無意味。これがオリジナルの権力だ」

そう偉そうに言い放ち、淡々と獅子倉はむしろヴァリアントを歓迎する構えを見せる。忍びよる本物のクラウンの足音にも気付かずに。ちなみに実際には依頼優先の為、獅子倉の護衛等存在しないが、運が良いのか校長室前にはオーギュスト隊員である久染一人が伊瓜で連絡を取っている状態ではあった。

>>ハイヴ様、周辺ALL


【校長の性格上、かなり失礼な事を言っておりますがこちらこそ宜しくお願い致します!】

3ヶ月前 No.55

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【神谷聖/名無第一高校・1-1教室前】
【楠城真実/名無第一高校・2-1教室】
【久染琢磨/名無第一高校・階段→名無第一高校・校長室前】
【製造番号428番/名無第一高校・1-1教室】
【薬師寺由美/名無第一高校・1-1教室】

もはや開かずの間とは呼べず、今は無き鋼鉄の扉から見えてしまった学校の闇が埋まっている地下室から壮大に聴こえる耳障りなサイレンが何十分も生徒達に奏でられる名無第一高校において、その旋律により誘われた様に訪れるのはトラブルシューターであるオーギュスト。その中で、オーギュストの幹部と言う上の立場である伊瓜に校長が言っていた今回のトラブルシューターの内容である開かずの間から脱走したクローンの保護について伝えるべく直接、スマートフォンで連絡を取るのは久染であった。ただし既に彼は階段を下り始めて脱走クローンを探す等、上司に対して無意識にながら作業を行う等、完全に幹部に対する緊張感や尊敬を感じ取る事は出来なかった。当の本人は悪気がある訳ではないが。その意識があまりに低い。

「……何の音だ? いや……すみません。こちらの話です。気にしないで下さい」

しかし生徒達が優秀なのか、埃一つ見える事の無い美しささえ感じる階段を下りている途中、校長室から僅かながら何か音が聴こえるのが分かる。それが何なのかは一切分からず、単に校長が珈琲でも飲んでいる音かもしれない。ただ、それがどうしても気になってしまい校長室の前まで戻る事に。

(チッ……神経を研ぎ澄ますっていうのも意外と面倒臭ぇな……)

そう考えながら、伊瓜と連絡を取っているのと同時に校長室の様子を扉越しだがしばらく眉を顰めながら眺めていた。その一方で開かずの間から脱走したクローンであり、オーギュストから追われている428番は、現在、オーギュストに追われているという事実を知らないながらもサイレンにおける状況や先程、外から見たオーギュストの様子から見て、自身を探している人物がいる事は完全に察しており、もはやこの状態が袋の鼠かもしれない事も既に悟っている。さらに実際、学校から抜け出したとしてもそれでも追って来る可能性はかなり高い。そう考えた428番は現時点で自分の姿を見た一年一組のクラスメイト全員を自身の持つ液体を操ると言う異能力で殺害しようと企んだが此処で薬師寺と伊藤と言う二人の生徒と価値観による違いから真正面から揉めてしまう。

「いちいちうるせえな……。もう全員皆殺しだぁ!」
「 はいはいはいはい、ね、君ちょっとその子たちから離れよっか 」

そう叫んだ途端、突如もう動かないと思われていた教室の扉がガラガラと音を立てて開かれる。その音で428番の前に立ち塞がっていた薬師寺は一瞬、扉が開いた事に警戒していたがその開けた人物を見て思わず安堵して微笑みがこぼれる。その人物とは学校の教師である伊瓜。この騒ぎを知った誰かが先生に連絡してくれたのか、それともたまたま彼女が見かけたか、どうやってこの状況を知り得たのかは分からないがこの状況に身を呈して割りこんでくれる事に感謝する。
ただし相手は人を殺してしまうかもしれない程の威力を持つ異能力を所持している為、教師一人ではどうする事も出来ない。来てくれた事は有難いが此処は先生を止めなければ428番によって倒されてしまうかもしれない。

「あの……伊瓜先生……」

しかしそう言いながら薬師寺が伊瓜がいる方向に駆け寄ろうとすると突如、428番が右手で彼女の腕を強く掴み、左腕で彼女の首を絞める形で自分の方へ引っ張り、人質を取る。

「俺に寄るなぁ! ……今すぐ俺とこいつ以外全員この教室から出ろ。じゃないと……こいつを殺す」

そう呟いて、目の前の伊瓜と伊藤に宣言すると、冗談では無い事を示す為に腕に留まっていた一部の水を操作して一発だけ弾丸の様に飛ばし、怯えていた一人のクラスメイトの腹部に直撃させ、血が垂れ流される程の大怪我を見せつける。

「……分かったらこの教室から出てけよ。……出てけって言ってんだろうが!」

髪を取り乱しながら明らかに苛立ち興奮している428番はそう叫んだ後、天井に向けて腕を伸ばし、掌から幾つものシャボン玉の様な泡が溢れ始め、花火が打ち上がるが如く沢山の泡が真っ直ぐ上昇した後に大きな音を立てて弾け飛ぶ。そして其処から降り注ぐ雨の様な水の粒が硬化しながら校舎の屋上や学校付近の地域に大量に落下。屋上には多くの亀裂やヒビが入り、学校周辺では人や動物に直撃して怪我してしまっている等と言った痛々しい被害が広がっている。そしてこの泡が弾け飛ぶ様子はこの街全体で目撃されており、テレビやネットでも大きく報道されニュースに取り上げられていた。

>>伊藤優希様、伊瓜悠様、周辺ALL

3ヶ月前 No.56

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【伏見悠斗/ロンギヌス・屋上→名無第一高校・屋上】
【犬山/名無第一高校・屋上】

温かな太陽における光の元、日向ぼっこを行っていたクロも起き上がるビル風は夕焼けが空に染まる度、次第に寒さを覚えていきあの髪や翼を靡かせていく中、癖になる甘辛い油揚げと酢飯の相性が抜群であろう稲荷寿司が出て来る食事時を密かながら楽しみに待っているのは道化師の伏見。彼は冷え込むロンギヌスのあまり整備されていない訓練所兼屋上にて、師団長の帰還をひたすら待ち望んでいた。胸ポケットにしまった黒い羽根を優しく握りながら。
しかし彼の予想通り、直感で感じ取っていた嫌な予感は見事、的中してしまう。メイドカフェ方面とはまた違う名無第一高校から突然、幾つものシャボン玉の様な泡が打ち上げられたらと思うと一気に刹那の時を迎え、大きな音を立てて弾いては何も無かった様に消えていく。此処までは単なる不思議な光景で無害。しかしその時飛び散った水の粒が霰の如く硬化しており、見る限りでは色んな個所でオリジナルと言った悲鳴が聴こえてくる。それに対して伏見自体はどうでも良いが問題はその名無第一高校にハイヴが向かっていると言う事。

「あの程度で心配するほどの怪我がしているとは思えないが、何か異変があの高校に起こっているのは間違いないかもしれないな」

そう一瞬で決断した後、伏見は再び背中から衣服の中で翼を生やすが今度は顔付きや腕、足、胴体が鳥人態へと変化していき、衣服をビリビリに引き裂きながらハイヴから貰った黒い羽根だけは大事に取っておき、大きく飛翔するべく二枚の翼を展開させていく。

「オリジナルが余計な事を行わなければ良いのだがね」

そうして怪物は屋上のフェンスに、ひらりと一枚の白い羽根が舞う中、飛び去っていく。そして彼が驚きの速度で滑空しながら辿り着いたのはハイヴが滞在しており、現在開かずの間のサイレンや428番の威嚇によりかなり騒然としている名無第一高校。その影響を正面から受け、もはや悲惨な程に穴だらけと化した屋上に上手く自身が落ちる事もコンクリートが崩れることも無く着地する。
すると、彼の目の前には見覚えのある人物が立っていた。

「また頭が痛いよ。……今度は伏見君かな? 今日は深瀬君と言い、クローン君と言い、何だか色々ある日だね」

>>周辺ALL

3ヶ月前 No.57

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_0Fn

【楠城真実/名無第一高校・2-1教室→名無第一高校・階段】

かなり慎重に行動して標的である428番を保護する機会を窺っている神谷や彼とは真逆で先頭切って突っ走り行動している伊瓜と言った二人のオーギュストは、脱走クローンである428番が今や開かずの間よりも注目されており、黒板に残された明日の課題についてや提示物が空しく見える一年一組の教室で二人の女子生徒と揉めているのを発見。各自それぞれで逃亡しない様に対処している中、既に多くの生徒は一部のオーギュストが校長室で依頼内容を聞いている時に体育館の中へ、素早く避難を済ましており寂しげな雰囲気が漂っている誰も教室にいないはずの二年一組の教室にて、脱走クローンを模索しているのはオーギュスト隊員であった楠城であった。そんな彼女は神妙な顔付きで誰かも知らない一番教卓の前に構えられた落書きだらけの学校机に指先をちょこんと触れる。

「……ふぅ」

そして誰もいないと言う妙な空間が繰り広げられるこの教室にて楠城は依頼も気にせず、ある事を考えていた。それはもしも自身がオリジナル、即ち普通の人間として生まれて来たのならば。と言った内容であった。例えば日々、自身の感情や信念、運命、未来、自意識を喰らい尽くしてしまいそうな異能力に気にする事も無く、平穏に暮せたかもしれない。学校二も普通に通い、普通に友達と何気ない事を話して普通に部活に全力で楽しめたかもしれない。誰かを演じる偽物では無い。正真正銘、自分の足だけで歩く本物の人生。
そんな危険を知らせるサイレンをなぞってはオレンジ色の日常を思い描いていく彼女であるが、同時に今考えている事が甘い幻想である事も理解している。もはやオーギュストにおいて人間らしき感情さえ抱く暇や余裕が与えられる事は無い。その為、ひたすら自身の特殊能力と相互関係を求め続けると言う兵器としての役目を果たすのみで、いくら人間と似ていても飽く迄も彼女はオリジナルに利用されている人間とは非なる操り人形。クローンはクローンでしか生きられない。その為、決して少なくとも彼女は人間らしさに捕らわれる事は二度と無い。

「……私はこの能力を従えてやるべき事をやれれば……」

すると突如、儚さと美しさを捨てた大量且つ、割りにくい大量のシャボン玉が一瞬とも言える時間の間でコンクリートで出来た床のクリーニング後の衣服の如く、真っ白に磨かれたタイルをいとも簡単に突き破り打ち上げられる。それに対して冷静に対応する楠城は一つ目の泡がこの教室に入り込んだ瞬間に能力を咄嗟に発動して驚異的な身体能力でその泡を避けていく。ただし動きに無駄が多いのか、予測出来ない大量の泡にかすり傷を何度も浴びせられてしまい、壁に手を付かなければ立てない程のダメージを負ってしまう。
そして全ての泡が二階を貫き、もはや教室の床や教卓、机、展示物等は穴だらけで今にも素の全てが崩れ去ってしまいそうであった。

「もしかして下の階に脱走クローンが……?」

しかしそれでも傷だらけになりながらも彼女は懸命に依頼の為に痛みに耐えて泡の影響によりコンクリートが無情にも抉られている壁から手を離して、クローンが泡を出した可能性を示唆して一階に行く為にゆっくりながら階段へ向かって行く。

>>周辺ALL

3ヶ月前 No.58

伊藤優希 @railguns03 ★iPhone=fZHfklgTyv

【伊藤優希/名無第一高校・1-1教室】
いきなりこのちょいワルどころか単なる不良のような容姿の男が『でてかないと殺す』だなんてことを言いはじめるので、この野郎マジでやるつもりなのかよ。こういうことは突発的に手を挙げるもんじゃないのに、と思いながらに、一応形だけは出はするが、彼がいつ手をあげるか、わからない。もしかしたらあげる可能性はこういう奴は98.9パーセント程度。だが、自身が相手を興奮させてしまったら?由美の安全が保証されなかったら?とか考えては慎重になりつつもう、手を挙げさせないようにしようと思いながらもこの状態だと多分100パーセント手をあげるだろうな、と。思っては
「ねえ、これでいい、でしょ。形だけは出はした。で?何が目的だった?」
自身の友人を傷つけようとして、それだけでなくだ、それ以上のことをするかもしれない。
ただただ、相手の目的と、由美にだけは手を出すな、と一応はやる通りにはしたんだから自身の友達にだけは一切もう金輪際手出しすんなやと言ってはもうどんだけなんだよと、思い呆れたようにため息つき、ある意味楽しい時間が428番、あんたのせいで台無しだよ。と、思いながらにだが、由美の無事を第一に考え→428番、薬師寺由美、all

3ヶ月前 No.59

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【クロ/ロンギヌス:屋上】

クロは誰かに自分の手を握られた感覚にハッとして顔を上げる。見ると、手を握っていたのはゴゴだった。

「師団長が、また後で、って言ってたから今度は俺らからハグしに行こう」

笑いかけながらそう言うゴゴにクロは驚いたようにゴゴを見つめる。

「今皆の為に俺に何が出来るか分かんないから…俺は…その、すぐ動ける様にしとこうかなって思うよ。師団長の事も、心配だけど…」

ゴゴはハイヴから貰った羽根をゆらゆらと揺らしながら眺めたあと、そっとポケットにしまい、自信なさげな表情で目を泳がせた。そんなゴゴを見て、クロはゴゴもクロと同じくらいハイヴのことが心配なのだと分かった。それでもゴゴはクロのように俯いているだけではなく、前を見据えてこれからどうするべきか、自分たちにできることは何かを考えているのだ。それに俯いているクロにまで手を差し出してくれた。

(……うん、そうだよね。クロたちにだって何かできることはあるはず)

心配しているだけだなんて他人事のように見ているのと同じことだ。ハイヴは他人なんかではない。道化師団の仲間で大切な家族だ。家族が今、危険な場所に身をおかしてまで様子を見に行ってくれているというのにじっとなんてしていられない。家族を想うならせめて、今自分たちにできることは何か考え、行動するべきだ。クロは決意を固めると、一度唇を引き結んでからゴゴに笑顔を向けた。

「ゴゴ、ありが……」

そう言いかけてクロはビクリと肩を震わせると、ゴゴに肩を寄せるように近づいた。そして恐る恐る名無第一高校がある方向へと目を向ける。このロンギヌスからだとよくは見えないが、まるでシャボン玉のような小さな丸いものが名無第一高校付近に散らばっていた。そしてそれは弾丸のように辺りにばら撒かれ、そして……

「っ……!」

クロはぎゅっと目を瞑ってその次に起こること、あの名無第一高校付近で起こっていることを想像しまいとした。それでも耳のいいクロには嫌でも聞こえてしまう……怯え苦しむたくさんの悲鳴が。クロはまるであの地獄のような場所、タイムレスに戻ってしまったような気分だった。あの場所では、悲鳴が聞こえるのは日常で毎日のように死人が出るのも当たり前だった。誰もがここから出たい、抜け出したいとくるはずのない助けを願いながら日々の非日常に耐えていた。あの頃を思い出すと今でも身体が震える。あんなところにはもう二度と戻りたくはない。

「あの程度で心配するほどの怪我がしているとは思えないが、何か異変があの高校に起こっているのは間違いないかもしれないな」

そう言う悠斗の声にクロは我に返り悠斗を見た。悠斗は真剣な表情であっという間に鳥人の姿になると

「オリジナルが余計な事を行わなければ良いのだがね」

と呟き、クロが「ゆうと!」と叫ぼうとしたときにはもう飛び立ってしまっていた。
悠斗が飛んでいった方向は名無第一高校の方だった。ハイヴに続いて悠斗までいなくなってしまい、この場に残っているのはゴゴとクロのみ。クロもできればハイヴや悠斗を追って少しでも助けになりたかった。しかし、名無第一高校では明らかに異常な事態が起きている。先程の名無第一高校の様子だと行けば戦闘にもなりかねないだろう。だとしたらクロの能力では確実に足でまといになってしまう。仲間の足を引っ張るくらいならここで大人しく待っていた方が……クロはそこまで考えてハッとする。

(違う……それじゃだめなんだ)

クロはさっきゴゴに言われたことを思い出す。ゴゴは自分にできることは分からない。けれどせめてすぐに動けるようにしておく、とそう言っていた。ゴゴだってなにが起きているのか分からない場所に飛び込むなんて怖いに決まっている。それにゴゴの能力上、能力を使っていて危ないことだって多い。それでもゴゴはそのときが来たときにはすぐに動けるようにしておこうとしている。クロの仲間の迷惑になるくらいなら動かない方がいい、なんてのはただの言い訳だ。ハイヴもクロたちについてこいとも来るなとも言わず、自分たちに選択権を与えてくれている。それならどっちを選んだって構わないということだ。

(クロは……皆に迷惑はかけたくない……でも、助けになりたい……だったら……!)

「ゴゴ、行こう!クロたちも!あのね、クロ、考えたんだ!皆の邪魔にならないようにこっそり動くの!」

クロは漫画だったらドヤッという文字が入りそうな顔で自慢げに言った。こっそり動く、というざっくりとした考えでもちろん先のことは考えていない。それでも、黙って仲間の帰りを待つよりはずっといいだろう。「だからゴゴも行こっ!」と言いながらクロはゴゴの腕をぐいぐいと引っ張った。

>>ゴゴ様、周辺ALL様


【申し訳ありません!フライシャー様をどのように加わらせればよいか分からず、結局元からいなかったかのようになってしまいました!次のゴゴ様のロルでは私の描写を無視してどこかにフライシャー様を登場させたりして全然構いませんので!なんだか投げやりになってしまい本当に申し訳ありません!】

3ヶ月前 No.60

黒い猫 @sinikake ★iPhone=DznCbfnqH0

【ゴゴ/ロンギヌス、屋上】

「ゴゴ、ありが……」

おそらくお礼を言おうとしたクロが突然黙ったのを見てゴゴは首を傾げた。恐々とクロの視線が名無第一高校方面へ向く。
クロの目線をゴゴも辿って同じ方を向くが此処からだと高校はよく見えない。しかし、何か球体の様な、巨大なしゃぼん玉の様なものがちらちらと見える。

「っ……!」

そのしゃぼん玉を確認した時、隣で息を飲む様な気配がしてぱっと視線をクロへ戻せば強く目を瞑って何かに耐えていた。何かあの場所で起きているのだ、クロにこんな顔をさせるほど辛い事が、それだけはゴゴも分かってぎりり、と奥歯を噛みしめる。
しゃぼん玉は弾けた。あれが何かしらあたりに影響を与えているのはなんとなく分かって、だとしたら今名無第一高校はどんな状況になっているのか、そこまで想像してゴゴは顔を顰める。クロは耳が良いからきっとその騒動が聞こえているのだろう。

「あの程度で心配するほどの怪我がしているとは思えないが、何か異変があの高校に起こっているのは間違いないかもしれないな」

その光景を見た悠斗はそう言って鳥人の姿になった。

「オリジナルが余計な事を行わなければ良いのだがね」

そしてそのまま白い翼を広げて飛んで行ってしまった。その方向は名無第一高校。
オリジナル、という言葉を聞いてゴゴは改めて高校の方を見る。ハイヴなどの様子を見る限りあの高校はアンノウンに関係のある場所の様だが、当然そこにはオリジナルがいる。

オリジナル…

ゴゴはオリジナルに対して特別嫉妬も羨望も憎悪も無いが自分も誰かのクローンだと言う事は分かる。それに対して何か思う事が無いだけで。
確かにタイムレスに居た時はオリジナルである研究者に様々な事をされたが、ゴゴはどちらかといえば『理不尽』に怒りを覚える。

あそこで、それが起きてるかもしれない。

そう考えるときりきりと頭が締められるような感覚がしてタイムレス時代の出来事がちらちらと思考に過ぎる。知らず奥歯をぎりり、と噛み締めてゴゴは睨みつけるように名無第一高校を見る。
もし、そこで起きている事態があまりにも理不尽に何かを傷付けるものならゴゴは怒るだろう。その何か、がたとえゴゴの知らぬ者だとしても、ゴゴはその理不尽が許せない。

一方的に傷つけてくるなら俺は…

「ゴゴ、行こう!」

きりきりと狭まってきた思考がクロの声で戻ってくる。その後に続いた「クロたちも!あのね、クロ、考えたんだ!皆の邪魔にならないようにこっそり動くの!」という言葉にゴゴは呆けたようにクロに顔を向けた。
その顔が自信満々、といった風でゴゴは少し笑って頷いた。名無第一高校に着いたら自分がどうなるか分からないが、とりあえず向かわなければ何も出来ない。

「だからゴゴも行こっ!」

そう言いながらグイグイとクロに手を引かれるまま屋上の出入り口へと向かう。
すると先程そこに居たはずのフライシャーが居ない。ひょっとしたら何かしら一声かけて消えたのかもしれないが気がつかなかった。

「ええと、なんか、準備ある?」

ゴゴは特に準備も何もないのでこのまま飛び出て大丈夫だがクロはどうなのだろう、とクロを見る。階段を降りつつ尋ねたので変に声が跳ねた。

≫悠斗様、クロ様、周辺オール様

【返信が遅くなり申し訳無いです。フライシャー様に関してですが、ぼかしぼかしで書きました、文章力が無くかなり雑な感じになってしまって申し訳無いです】

2ヶ月前 No.61

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_xGQ

【神谷聖/名無第一高校・1-1教室前】
【製造番号428番/名無第一高校・1-1教室】
【薬師寺由美/名無第一高校・1-1教室】

開くはずの無かったあの間が壊される様に開いた時までは部活の為に着替えている途中であろう薬師寺と言ったクラスメイトの女子達が自分のスペースに近い学校机の上にジャージや制服を乱雑に置いて、部活前の少し気だるさを感じてしまうテンションで最近の事情や愚痴を零し、無駄な時間、暇潰しとも言える他愛の無い会話を続けていた。そして覗き対策としてカーテンに閉ざされた窓際の僅かな隙間から見える色濃くオレンジ色に塗られたまん丸な夕焼けを見てこの誰にも止める事の出来ない青春をなるべくオレンジの味のするガムをゆっくり噛む様に味わって物思いに耽けると言うまさに学校独特の光景を見せるいつも通りの一年一組の教室。
しかしそれはその青春の下に眠るパンドラの箱、開かずの間から脱走した428番と言う異能力持ちクローンの出現により引き裂かれる事となる。そんな彼は追手から逃げる為に、慌てて開かずの間の直ぐ近くの一年一組の教室に木造で出来ていた立派な扉を思いっきり蹴飛ばしながら行儀悪く飛び込んでいく。しかし彼にとって運が悪く、当然突如着替え途中である一年一組に入った428番に対して女子達は変態を見る様な目で騒ぎ始めてしまう事に。さらにそのクラスメイトの女子達におけるリーダー格であった薬師寺とその友人で大分揉めてしまっていた。
このタイムロスで逆上した彼はこの場にいる全員、自身の正体を隠すべく能力で殺害する事を決意。しかし同時に、一人の教師が乱入。これに驚いた428番は今度は薬師寺を人質にしてしまい、全員教室から出る事を能力で威嚇しながら指示。

「……良いから、お前等出てけよ!」

しかしこの威嚇により、異変を感じたのか何人かのヴァリアントが率いる道化師や一般のヴァリアント、クローン、オリジナルが反応。中には好奇心からか、危険を顧みずして調査を開始する者まで出始めてしまう。それは校長に問い詰める者。直接威嚇を行った生徒を静かに覗く者。師団長の様子を見に来た者。面白そうだからと言う理由で屋上まで飛び込んで来た者。どうしてもその学園の真実を知りたいのか、次々と甘い蜜に誘われる様に自ら巻き込まれに向かっていた。
しかし世の中には知らない方が良い事もある。もしも428番が開かずの間を開ける事が無かった場合、この学校も何も変わらず今まで通り平穏に過ごせていたかもしれない。そんな中で彼等は何を選択して、どの様な運命を辿るのか。
そして現在、一年一組の教室は薬師寺と428番だけである。通常ならば放課後の二人きりと言う空間と言えば甘酸っぱい青春の一ページをまさに思い起こされるが、残念ながら彼女と彼の関係は逃亡者と人質と言う青春を微塵も感じさせてはくれない。そんな中、無理やり追い出された薬師寺の友人を含めたクラスメイトの女子達と428番により負傷した生徒。そしてオーギュストの幹部である教師を余所にひたすら428番の隙を扉の窓から密かに隠れながら見ているのはオーギュスト隊員である神谷。ちなみに他のオーギュスト隊員は屋上で破裂音が鳴ったと思い込んでおり、多くの隊員は伏見と犬山が佇んでいる屋上に移動中である。また名無第一高校の生徒は一年一組の着替え途中であった者以外は体育館に避難済み。現在は教師が生徒の数を確認中。しかし生徒には一階に火事が起こったと説明しており、開かずの間については一切何も語っていない。
その一方でオーギュストにより追い詰められている428番は薬師寺を人質にしながらも何も出来ない状況に心底苛立ちながら教室を見渡せる教壇に荒々しく乗り、此処から逃げる方法を考えていた。

「腐ったオリジナル共が……。やってくれるじゃねえか」

そして人質になった薬師寺は意外にも縄やコードで縛る事も清掃用ロッカーに閉じ込める事も暴力を振るわされる事も無くただ自分の席に座って助かるのを待っていた。これは教室の外で待ち構えているであろう教師やオーギュストに変な刺激を与えない為。428番は頭に血は登っているが、自身が生き延びる為、考えが錯乱する事は無い。しかし逆に未だ何も被害を受けていないはずの彼女は428番から恐怖を感じたのか、身体が止め処なく震えていた。

「どうした? お前が本当の善人なら自分以外の命が危険から解放されたんだ。心から喜べよ。おい」
「……私、どうしたらいいのか分からない。……どうしたら貴方を救えるのか……」

薬師寺は今までの人生で運が良かったのか、悪人と言った悪人に遭った事は無い。それはあの獅子倉を含めて、全員改心出来る余地がある、或いは最初は善人であったと判断してしまう程である。それ程彼女は性善説をひたすら唱えていた。ただし今回、クローンと言う事もあるのか、428番と言うあまりに特殊な生命体に彼女は身体が震えるほど、戸惑っていた。

「ねえ……何かこんな事をした理由があるんでしょ? あるなら教えて。私でも人を救うって言うのは難しいけど、話くらいなら聴いてあげられるかも……」
「こいつ……この状況でまだ偽善者を気取る気かよ。ふざけやがって……俺を舐めてんのか……!」

彼女の美し過ぎて逆に偽物に見えてしまう様な数々の言動であったが、残念ながら存在が偽物である彼にとっては全てが逆効果であった。

>>周辺ALL

2ヶ月前 No.62

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_xGQ

【犬山&伏見悠斗/名無第一高校・屋上】

一階の一年一組付近から火元も分からずに現れた火事により、学校に残った生徒が避難を余儀なくされた為、誰ひとりと見かける事の無いはずの名無第一学校。しかしそんな高校、しかも自殺防止と言う理由で侵入禁止であった、誰も使われていない埃に塗れた様子から、噂塗れの開かずの間とは全く違い、忘れ去られ寂れた屋上から突然、打ち上げ花火の様な速度で何かを貫き通す音を豪快に立てながら浮かび上がったのは幾つも泡であった。それも一つ一つがバランスボールの様に巨大で、しかし触れれば弾けてしまいそうなシャボン玉の様な雰囲気を漂わせながら。そしてまさしくそれは花火の様に、シャボン玉の様に、パッと開いては一瞬で消えてしまう。残るのは弾けた泡から生まれた幾つもの落ちて行く滴。それはゲリラ豪雨の様に学校中に降り注ぐはずだったのが、落ちて来たのは雨は雨でも雨の形を模した鋼鉄の強度を誇る弾丸。実は威嚇を行った428番の能力により、弾けた泡の滴が鉄の様に硬化してしまい、鉄の雨が恐ろしい事に戦場の如く、学校中に着弾していた。
そんな状況下、泡が上空で弾けたまさに真下に二人の人物が殺気立つ程の戦闘態勢を取っていた。二人とも人とは似つかぬ姿で。一人は凛々しく精悍な表情を見せる鳥人。一人は狂気に磨かれ笑うヴァンパイア。しかしその相手はどちらも道化師でもクラウンでも降り注ぐ雨色の弾丸でも無い。それはこれから屋上に姿を見せるであろう幾つものあの泡の様に溢れ出る大量のオーギュストであった。

「あー……僕さ、念の為に開かずの間を調べておくよ。いや君達は先に行っておいで。僕も確認が終わったら屋上に行くから」
「そう言ってビビってるだけでしょ。マジダサッ……!」
「違うって……トイレだよ。トイレ。そんなのも分からないのかよ。……ったくもう我慢出来ないから僕行くね」

一方で案の定、神谷や伊瓜、久染、楠城を除いたオーギュストは屋上からした謎の破裂音の正体を確かめるべく、屋上に向かえる階段を隊列も無しに我先にとズカズカと登っていた。勿論、普段は入れない屋上。この様な異常事態も入れる訳も無く、鍵が閉まっていた。しかし異能力持ちのオーギュストは鍵程度では障害にすらならない。無理やりこじ開けてしまえばそれで良い。そして一人のトイレへ向かった男性隊員を除いた20人程のオーギュストはそれぞれ思い思いの能力や武器を構えながら、扉を壊して屋上に堂々と入り込む。
そして目の前に広がるのは恐ろしい事に足の踏み場も無いのではないかと言う程の多さを誇る穴だらけの床と言う異様な光景。しかし残念ながらそれと同時にこの訳の分からない意味不明な光景が彼等にとって人生最期の光景であった。死因は10人は付近の酸素が無くなった事による窒息死。もう10人は致死量を大きく超えた霧状の毒による毒死。

「うんうん、僕達ってさ、相性抜群だよね。どうかな? 僕と一緒にクラウンやってみない? 頭はずっと痛むけど」
「……遠慮しておくよ。それより、君が余計な事をしてくれなければ道化師に歓迎出来るんだけどな。私はなるべく同種を殺したくは無いんだ。説得で済むならそれが良い」
「……そんなの僕に通用すると思ってんの? だとしたら、大分君は怪物に相応しいよ。人間の気持ちが分からないんだからね」
「……」
「それじゃ僕は行くよ。元々次回テロを起こす予定だった場所はメイドカフェじゃなくてアンノウンと関連の近い此処だから」

実は犬山もまたこの学校の秘密を暴こうとする一人であった。正式には暴くのではなく壊すのだが。

>>周辺ALL

2ヶ月前 No.63

伊藤優希 @railguns03 ★iPhone=fZHfklgTyv

【伊藤優希/名無第一高校・1-1教室】
「(なんかマズったかも色々興奮しちゃってて、冷静な考え、思考が停止しちゃってる?…にしてまこの状況ヤバイなあ)」
428号は完全に何が正しくて何がいけないのかな判断ができなくなってるに違いない。いや、絶対それだ。人間、焦ってたり、パニックになっている時とかって正常な判断ができなくなることが多いものだ。そう、彼の場合はなんに対しての怒りかは不明だが、怒りすぎて「それ」ができてないのだとすれば?と色々考え
さっきから由美と交わされる言葉に「偽善」と言う言葉が多くあるように思え、それはなんか違うように思えた。目の前にいる428号にはそれは偽善じゃなく本心で由美はいってるのだと、思ったのだ。そして見兼ねた彼女は、呆れたように
「舐めてる?そんなことあると思ってんの?あんたのため思って話聞くって言ってんのに何故、それを偽善とかいってさしのばした手をつかまないわけ?」
偽善者だとかそんなの今は関係ない。せっかくのさしのばされた手を掴むことが何故出来ないのか。と、呆れ哀れむように大きな溜め息をつき
→薬師寺由美、428号、all

2ヶ月前 No.64

スマイル @smile390 ★Android=N8ewA5S8Mh

【クロ/ロンギヌス:屋上】

クロが言うとゴゴは笑いながら頷いた。クロはこんな上手くいくかも分からない提案に同意してもらえたことが嬉しく、照れたように笑みをこぼす。クロはゴゴの腕を引いて階段を下りながら思った。名無第一高校へ行くのが怖くなくなったわけではない。しかし、クロにはこんなにも自分のことを信頼してくれている仲間がいるのだ。一人なんかじゃない。それだけで何倍も心強かった。

「ええと、なんか、準備ある?」

ゴゴの問いかけにクロは1度立ち止まり、ん〜と首を傾ける。確かに今から敵陣に乗り込むというのに素手では心許ない。クロは何か武器になるものはないかと考えてみた。しかし、いいものが思いつかない。ロンギヌスに武器庫のような場所はないし、ヴァリアントなら皆それぞれの能力がある。やはり自分たちの能力を上手く活用するしかないか。しかし、クロとゴゴの能力では遠距離には向かない。ゴゴは直接触らないと砂塵にできないし、クロなんて引っ掻いたり噛み付いたりだ。その上、あまりダメージを負わせられない。弓などがあれば遠距離攻撃ができるかと思ったのだが、まああったとしても絶対使えないので諦めることにする。それにクロには普通の人よりは優れた聴力や瞬発力がある。それで敵の居場所をいち早く察知し、隠れるなりすれば良い。もし戦闘することになったとしても攻撃を避けながら引っ掻くくらいはできるだろう。クロはそう考えつき、次は武器以外にも何か必要なものはないかと考える。

「あっ、そうだ!」

すぐに一つ思い浮かんだ物があり、クロはゴゴを置いてけぼりにして階段を駆け下りる。そして、2階に着くとある物を手にしてゴゴの元へ戻った。

「これ!」

クロは両手をゴゴの目の前に突き出して言った。その手に握られているのは、絆創膏だ。皆無事で帰るのが1番だが、万が一誰かが怪我をしてしまったときのためにと思ったのだ。クロはゴゴに絆創膏を見せながら「一応ねっ」と言って階段を降りる。
1階に着き、外へ出ようとすると受付で呼び止められた。見ると受付にはフライシャーがいて二つの包みを差し出している。クロは首を傾げつつそれを受け取ると、片方をゴゴに渡してから包みを開いた。

「わあああ!」

クロは中身を確認すると嬉々とした声を上げる。包みにはパンが一つ入っていたのだ。クロは待ちきれずにぱくっとパンにかぶりつく。と、パンの中にはお魚が入っていた。クロは驚きと嬉しさでもうよく分からない声を上げながら喜んでいたが、フライシャーに宥められて落ち着きを取り戻す。フライシャーの話を聞くと、自分は団長不在のロンギヌスの留守を守るとのことだった。そして、お腹を空かせていたクロたちのためにこのパンを用意してくれたらしい。

「フライシャー、ありがとう!」

クロは感謝の気持ちを込めてお礼を言い、続いて「行ってきます!」と元気良く言うとロンギヌスを後にした。


【クロ/名無第一高校:グラウンド脇の植木付近】

クロたちはどうにか警察(オーギュスト)などの目を掻い潜り、名無第一高校のグラウンド脇の植木の影に身を潜めていた。クロは植木の隙間から周りの様子を確認する。生徒たちは既にどこかしらに移動しているのか見当たらないが、グラウンドの所々に赤い後があるのでつい先程まで悲惨な状態だったことが分かる。クロは皆無事だといいな、と思った。クロの皆というのにはハイヴや悠斗は勿論だが、オーギュストやオリジナルも含まれている。というのもオーギュストやオリジナルでも皆が皆悪い人ではないとクロは信じているからだ。クロはもう1度皆が無事でありますようにと祈ると、ゴゴの方を向く。

「人もあんまりいないし、中には入れそうだよ」

クロはゴゴに小声で言いながら考える。中に入れたとしても校内がどうなっているかは分からないので、安心はできない。今のうちに何が起きてもいいように作戦を立てておいた方がいいだろう。とはいってもクロではあまりいい案が思いつかない。クロは「どうしよう……?」とゴゴに視線を送った。

>>ゴゴ様、周辺ALL様


【そろそろいいかなと思い、書き込ませていただきました!勝手にフライシャー様を動かしてみたのですが、不都合などございましたら変えてしまっても構いません!】
>>黒い猫様

2ヶ月前 No.65
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