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――Cake Cutting Ceremony.

 ( オリジナルなりきり )
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吸血鬼/恋愛/耽美/長文推奨 @yupihiko☆d.mPOva7Vfg ★0LsZL7CDei_aZs



  ×  ×  ×





 ――首筋をなみだのように伝う、紅い紅い雫。噎せ返るような甘い香りで脳を焼く其れを"きれいだ"と言ったら君はどんな顔をするだろうか。砕けた柘榴のように白磁の皮膚の上で膨らむ其の粒は、きっとこの世の何よりも甘美な味がするに違いない。舌先を痺れさせる甘い味に混ざる此れは君の血? それとも涙?


「さて問題です。ここにある極上のケェキ≪人間≫を分け隔てなく七つに分けるにはどうしたらいいでしょうか?」


 冬薔薇の吸血鬼は一つの地に集い、七つの頭で考える。十四の瞳で獲物を見据える。二十八の牙で其の首筋を捕らえる。偉大なる祖父、ノルベルト・ヴィンターローゼンの死後に残された七人の極上の血液を持つ人間たちをどうするか。一年の猶予を設けて思考/嗜好する。


「完全な七角形なんて描けないのにね。」





  ――――Cake Cutting Ceremony!!





  ×  ×  ×




【サブ記事へどうぞ。】

切替: メイン記事(10) サブ記事 (92) ページ: 1

 
 

スレ主 @yupihiko☆d.mPOva7Vfg ★0LsZL7CDei_ly4

【シシィ・トラウス/廊下・ノルベルトの部屋→廊下】



 日を厭う吸血鬼の館。時計を見れば外はおそらく午前中なのだがぴったりと閉じられたカーテンは日光の侵入を許さず、時間の感覚さえ狂わせる。ろうそくの明かりに照らされ麦の穂にも見える亜麻の髪を揺らす少女――シシィ・トラウスは緻密な装飾の掘られた扉の前に立っていた。その手に握られているのはささやかな花束。寒冷でやせた土地のこの国では肥えた土のほとんどは野菜や穀物に使われる。そのため観賞用の花は栽培においてもっとも優先順位が低く、それ故に希少価値が高い。彼女の手に握られていた水仙の花はつぼみも小さく、いまにもしおれてしまいそうなほど弱弱しいものだった。

 重いその扉を開くと、かすかに冬薔薇の匂いが漂う。いそいそとシシィは部屋に入り、花瓶に入っていたしおれかけの勿忘草を持っていた黄色い水仙とそっと交換した。なるべく彼の部屋の静謐な時間を乱さないように、足音さえ殺してシシィは部屋を出る。ぼんやりとろうそくの明かりがまばらについた廊下で、シシィは一度だけ扉のほうを振り返った。

 ――冬が彼を連れて行ってしまったというのなら。


「どうしてわたしも、つれていってくれなかったのかな」


 ちいさく、つぶやいた。そんなことわかっている。彼の隣にはすでに彼が一緒に旅立つことを決めた人がいたからだ。それはわかっている。ずっと前から、わかっていたはずだった。だけど、すこしだけ。さみしいな、なぁんて。


「――そうだ、ハーブティーを入れましょう」


 自分に言い聞かせるように声に出す。そうしてシシィはノルベルトの部屋の前からキッチンのほうへと足を向けた。


>>ALL





【本編開始となります! イベントに関しては http://mb2.jp/_subnro/15685.html-55#aを参照してください。】

5日前 No.1

ジョン・ドゥ @blize859☆wKMk21AYDk6 ★XfXF0jdJYf_qTF

【ジョン・ドゥ/玄関前】

トントントン…

うす暗い廊下に響く甲高い物音。
その物音は廊下から先の玄関から響いているものであった。
玄関の向こう側にはスーツをきた初老の人間がたっていた。
片手にはこのアデルの世界では珍しい「花」と呼ばれるものを持っている。

「失礼いたします。ジョン・ドゥ商会の者です。」

その人物はジョン・ドゥ商会からきたといってきた。
アデルにはいくつもの商会があるもののその中で最も有名なのがジョン・ドゥ商会。
ありとあらゆる品物が星の数のように揃えており、どんなものでも提供するという信念で運営をしている由緒正しき商会である。

そしてその玄関の前に立っているその人こそ創設者の「ジョン・ドゥ」である。
彼は笑顔を崩さず誰かが玄関のドアを開けてくれることをまっていたのであった。

≫シシィ ALL

【ロルの長さはこんな感じでよろしいでしょうか】

5日前 No.2

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【グリード・マモン・ヴィンターローゼン/二階・図書館】


祖父、ノルベルト・ヴィンターローゼンの訃報を聞き、館に集まって数日後。遺産配分を滞り無く終え、残る問題はノルベルトが集めた七人の"コレクション"についてだった。考えても考えても答えが出ないので、絞り出した結論が一年の内に考える、といったものだった。お金関連の遺産を、自分は既に持っているしこれから増やそうと思えば増やせるから、といった理由で丁重に辞退した後、これで帰れると思っていた強欲の名を冠するグリードは大きな溜息を吐いた。
場所はヴィンターローゼン邸の二階にある図書館。グリードには只今興味を引かれるものが一つも無い。しかしそんなグリードにも知的好奇心というものは存在する。好き放題していた百年前も興味を引かれたものは片っ端から読み漁ったものだ。このヴィンターローゼン邸には己の読んだ事が無い本が有るのではと思いやってきたのだが、果たして。室内には分厚いカーテンが引かれ、照明も最低限しか灯されていないので薄暗い。吸血鬼でなければ本を読むには適さない暗さだ。

「客人か。……家主じゃ無い俺が出る必要も無いな」

玄関をノックする音が鼓膜を震わせる。吸血鬼の血は半分しかその体に流れてないとはいえ、五感はヒトより鋭い。そのままジョン・ドゥという尋ね人の正体も聞こえたが、首を振って聞かなかった事にした。自分は今は客人(客吸血鬼?)であるし、使用人が居るなら使用人が出た方が良いだろう。商会であればこの家の事を知っている者の方が良いのは尚更だ。
グリードは本棚へ視線を戻すと題名を確認するように指を滑らせる。読んだ事がある。読んだ事がある、読んだ事がある。読んだ事がある。読んだ事はないが題名からして興味が無い。読んだ事がある。興味が無い。読んだ事がある。……読んだ事がない。
思わず手を留めて本を取り出す。正確にはその題名に心当たりはあったが、読んだ事がない本だった。聞いた事のあるだけな、物語。それは母が昔、グリードの弱いが百にも五十にも満たぬ頃、寝物語として聞かせてくれた何て事は無い子供向けの童話だった。

「…………」

グリードの胸に、嬉しいような寂しいような感情が湧き上がる。何か言いたいのに何も言えず、ただその本を見下ろした。
母と人間であった父が自殺した事に何の文句も無い。楔を穿った吸血鬼の人間の末路にはよくある話だ。実際、ノルベルト・ヴィンターローゼンもその選択をしている。当時百歳であったグリードも、子供ではないので分かってはいた。理解していたし納得していた。死ぬ前に言ってくれていたし、承諾もした。別れも済ませた後だった。ただ、――もう少し一緒に居て欲しかったような気もする。
塞ぎ込みそうになった思考を払うかのように顔を上げると備え付けられていたチェアの方へ向かう。案外座り心地の良いそれに腰掛けるとセットにされている丸テーブルへ本を置く。手に取ったは良いものの、内容は知っているのだ。読もうかどうか、その表紙を開く事に戸惑った。



>>ALL様


【なんか最初から暗くてすみません! 気にせず絡んでいただければ嬉しいです】

5日前 No.3

ジョン・ドゥ @blize859☆wKMk21AYDk6 ★XfXF0jdJYf_qTF

【ジョン・ドゥ/ヴィンターローゼン邸玄関前】

トントントン…

うす暗い廊下に響く甲高い物音。
その物音は廊下から先の玄関から響いているものであった。
玄関の向こう側にはスーツをきた初老の人間がたっていた。
片手にはこのアデルの世界では珍しい「花」と呼ばれるものを集めた各種色々な花畑を持っていた。

「失礼いたします。ジョン・ドゥ商会の者です。」

その人物はジョン・ドゥ商会からきたといってきた。
アデルにはいくつもの商会があるもののその中で最も有名なのがジョン・ドゥ商会。
ありとあらゆる品物が星の数のように揃えており、どんなものでも提供するという信念で運営をしている由緒正しき商会である。

そしてその玄関の前に立っているその人こそ創設者の「ジョン・ドゥ」である。
彼は笑顔を崩さず誰かが玄関のドアを開けてくれることをまっていたのであった。

しかし4階にいる者にはノックの音が聞こえることもなく2階の図書館にいるものには聞こえているがだれかが出てくるであろうということで出るきはないらしい。
仕方なくもう一度扉をノックするのであった。

≫ALL

>>2 、スレ主様の指摘により一部内容を変更しております。貴重なレスを消費してしまってすみません】

4日前 No.4

@kasa3shi☆1hF4w8rWL3Q ★iPhone=wubEjuwW7M

【アリシア・ヴィンターローゼン/二階・廊下→二階・図書館】

カツカツカツ…… とヒールを鳴らしながら二階の図書館へと通じる廊下を歩く。祖父が亡くなったのだからといつものふりふりとしたドレスではなく、シンプルな黒いドレスを身につけ、胸には猫をモチーフにしたブローチ。髪はいつものように使用人に結わせ、ハーフアップにされた髪に黒く細いリボン。全く陽射しを通さない真っ暗な廊下は自分にとってはとても都合がよかった。アームカバーを外すことが出来るのは此処に来るまでは考えられなかったことだろう。しっかりとした足取りで廊下を歩いていく。

「あれ程お金を欲しがるあの方が辞退するなんて、珍しいこともあるものね…… 」

目的地である図書館の前まで来ると、軽く息を吸い扉を開く。扉の先には本を持ちただ立っている男がいた。それが自分の目当ての人物であることを確認すると足音をなるべく立てない様にそっと近づく。どうやら自分に気づいてはいないらしい。

「こちらにいらしたのね、グリード」

そう声をかければ、彼の隣に並ぶ。目の前にある本棚に目を向ければ、自分の屋敷にはない本ばかりであるようだった。ふと目に付いた赤い背表紙の本を手に取りパラパラとめくる。

「貴方がお金を欲しがらないなんて、どういう風の吹き回しかしら? 」

グリードの方に目を向けずに問いかける。前に夜会だかなんだかで会ったときにはあれ程お金を欲していたグリードが遺産のお金を辞退したことが気にかかる。祖父が残した"コレクション"の事もあるのだ。少しグリードとは話しておきたいと思っていた。ちらりと横目でグリードの方を見やる。

>>グリード・アモン・ヴィンターローゼン



【あまり慣れていないのでおかしいところなど多々あると思いますが、その都度ご指導いただければ幸いです…… ! 】

4日前 No.5

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【グリード・マモン・ヴィンターローゼン/二階・図書館】


声を掛けられハッと顔を上げる。どうやら目の前の本の事に夢中で扉を開けて入ってきた人物に気付かなかったらしい。いや、人物と言うには可笑しいか。彼女はアリシア・ヴィンターローゼン、グリードと同じくノルベルト・ヴィンターローゼンの末裔で傲慢の吸血鬼である。

「アリシアか」

アリシアとは吸血鬼ばかりが集まる夜会でも、貴族が集まるパーティでもそう少なくない回数顔を合わせている。同じノルベルトの孫である事が気を合わせたのか、言葉を交わした際には多少なりとも盛り上がった会話をした記憶がある。
探していたような口振りから、どうやらグリードを目当てに此処まで来たのだろう。理由は――"コレクション"の事だろうか。

「……別に、金ならもう有り余る程有るからな」

と、思っていたのだが宛が外れたらしい。当然"コレクション"の事も有るだろうが、一番はこちらだったか。昔と性格が変わった自覚は有る。あれだけ好き放題していれば自分の悪評が嫌でも耳に入る。グリードの会社が大きくなったのもその悪評に恐れをなして言う通りにする者が多かったからでもある。だがここ百年の間で人間の中では悪い噂も無くなり、今では温厚な吸血鬼社長だ。
訝しむのも当然か、と本に視線を戻す。薄っぺらい絵本のようなそれは未だ開かれないままだ。


>>アリシア・ヴィンターローゼン様、ALL様


【絡んで下さりありがとうございます!】

3日前 No.6

ロト @fue☆dTW3Rdrh5/. ★iPhone=uYwUDyqtCB

【ロト・ヴィンターローゼン/一階・バスルーム】

あまく、あおい、薔薇の香りが立ち込めている。
朦々と昇り立つ湯煙の中に溶け込んで、眩暈を覚えるほど濃密な芳香が紗羅(ヴェール)のように素肌に絡む。

つっと滑らす指先の冷感が、掌の温感が、メレンゲのような泡を転がし、ぬめりを伴いながら皮膚を滑って、数刻前に痴人が残した痕をなぞる。爪の跡、鬱血。打ち付けた果実がそこから熟れ傷んでいくように同心円状に広がっている首筋の紅黒い刻印。吸い付いた口唇が記した紲(きずな)は、肌が湯の温みに上気しても尚克明に浮かび上がる。そんなもので火遊びの御相手は精々ちっぽけな独占欲でも証ししたつもりなのかも知れないが、その程度、今更なんの枷にもなりはしない。
喉を抑えるように首筋を囲った手のひらが両鎖骨に沿って流れ僧帽筋の上から肩を抱く。上腕から肘それから手首の方へと身体を抱くようにしなやかに伸びながら辿ったあとで、今度は片腕ずつ指先からくるくると撫で洗いを始めた。
力強く引き締まったその背中には、四百年以上も生きてきた者にしてはあまりに化け物じみた若々しさと雄々しさが未だ息衝いている。あまくあおい香りを運ぶ手のひらが、するりと脇腹を滑る。過ぎる景色のように手の陰に掻き消えふたたび現れたのは、背面から腰を抱くように前面へと左脇腹を周り、水の流れか蛇の道の如くに腿へ這っていくような青黒い刻印。欲情の痕と違って消える事の無いその印は、長い年月のうちにすっかり身体の一部となって気兼ねなく緩々と白い雲に覆われていく。

蛇口をひねる音に続く温かな雨に遮られて、バスルームにはプラチナ色の幕が下りた。



ヴィンターローゼン家の血を継ぐ者の一人、ロト・ヴィンターローゼンは真綿のようなバスローブに火照る身を包み、大きな鏡のある洗面台で歯を磨いていた。鏡越しに今しがた自分が出てきた薄暗いバスルームが映っている。ペパーミントのほんのりと甘い薄荷の香りを延ばし、ギザギザと尖って磨きにくい歯を器用に一本ずつ磨いている。これで、昨夜の甘く苦い戯れの後味も彼の中では綺麗にさっぱりとリセットされる。

先代当主、ノルベルト・ヴィンターローゼンの訃報を受けてロトがこの邸に招集されてから数日が経過していた。相続の金品の分配も粗方片付き、残すは七人の『コレクション』と、あとは細かいものを除けば精々家督とこの屋敷ぐらいであろう。そこにきてヴィンターローゼン家の吸血鬼達の出した結論は、「一年間をこの邸で暮らしその間に決めよう」という実に穏便なものだった。はじめこそロトはこの案への賛成を渋った。奔放な自由人であり家族などと暮らす気もさらさら無い彼が、一年間も親戚や人間と共同生活をするなんて虫酸が走るに決まっていたからだった。しかしその考えは話し合いのうちに少しずつ改められ、最終的には彼もそれを飲み込むに至った。彼の気を変えたのは、優しさでも同胞意識でもない。七人の極上の血を持つ人間は、長いことこの邸で飼われたが為に、しのごの言えどもこの邸からは離れられない筈なのだ。これを蹂躙できる好機かもしれないとしたら、先代当主は何と良いものを遺してくれたのだろう。これは捉え方によっては枷では無いと、ロトは悪趣味な算段を立てては一人内心でほくそ笑んでいた。

しかし話し合おうと共同生活を始めても、色欲の吸血鬼ロト・ヴィンターローゼンは勝手気儘なもので、屋敷にはすぐに飽いてしまったようだ。夜な夜な屋敷から繰り出して、人間界にも魔の巣食うアデルの夜を闊歩しては艶に遊び回り、夜明け近くまで放蕩の限りを尽くして帰ってこない。そのため今朝も夜明け前に帰ってきて深酒をしたままベッドに倒れこみ、朝餉も放棄してこの時間まで眠り続け、ようやく起き出して風呂に入ったと思ったらまた寝不足解消の二度寝をしようとしている堕落の極みのような有様である。屋敷内はいつでも宵闇の刻のように薄暗く、いつ眠りいつ覚めても良いほど時間感覚を狂わせてくれるが、それにしても一族の者や人間達とあまりにも顔を合わせないのは如何なものか。
濡れたまま雫を垂らす銀の髪を肩に掛けたタオルで絞るように拭う。昨日の女はここ数日でも指折りの、面倒臭い女だった。歯磨剤を唾棄し漱いだ口から、思わず疲労の溜息も一緒に零れ落ちる。

>all


【こんにちはー。芙愛ですー。本編開始おめでとうございます! 遅ればせながら初投下させていただきます。拙い文章では御座いますがなるべく迷惑は掛けないように頑張ります。これからどうぞ宜しくお願い致します。】

23時間前 No.7

@kasa3shi☆1hF4w8rWL3Q ★iPhone=wubEjuwW7M

【アリシア・ヴィンターローゼン/二階・図書館】

手に持つ赤い背表紙の本に視線を戻しぱたりと閉じた。大して興味を掻き立てられるような内容ではなかったようだ。元々あった場所に戻し、また別の、今度は少し褪せた桃色の本を手に取る。今度は開かずに、じっとその本を見つめていた。

「欲しいものを手に入れて、それで満足だなんて…… 一体何があるか、分かりませんわね。」

隣にいる男はどうやら見ないうちに随分と変わってしまっているようだ。夜会で会った時の彼とは全く違う。あの時は強欲の吸血鬼の名に相応しい、お金に魅入られた男だったのに。――自分と少し似ていて、気が合う男だと思っていたのに。この胸に渦巻くものはなんだろうか。言いようのない、落胆とも軽蔑とも違うこれは一体何なのだろうか。その答えを知ってしまってはいけないような気がした。

「長い時を生きていれば、こういうこともあるのかしら…… 」

本の表紙を撫でる。ザラザラとしていて、所々に傷があるようだ。この本がこの館に来てそれなりの年月が経っているのだろう。鼻腔を擽る古書の匂い。嫌いではないが、あまり嗅ぎたいとは思わない匂いだった。隣の男に今度はしっかりと目を向ける。するとどうしたことだろう。一冊の薄い本を持ち、それをどうするでも無くただ持っている。どうやらその本は絵本のようだ。彼が絵本を持っているという状況が異様に感じ、どことなく彼の様子がおかしい気がした。自分は誰かのために気を遣うような質でもないのだが、今の彼には自分にとってはなんとも言えない異様さがあった。

「そうだわ、グリード。貴方は知っているかしら。ここの地下にはワイン蔵があるそうよ。一緒に行きましょう」

これが彼のためなのか、彼のためと称した自分の我儘なのか。それはアリシア自身でさえも分からない。

>>グリード・マモン・ヴィンターローゼン様 ALL様


【遅くなって申し訳ありません!文才もなく申し訳ない限りです…… 】

15時間前 No.8

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=nMqLjsjQcP

【ナーダ・アドラシオン/廊下】

早寝早起きは騎士たる者であれば当たり前のこと、と生前父親が言っていた。ただそれだけの理由で、ナーダ・アドラシオンは朝に弱いのにも関わらずに早朝に身を起こし、怠い体に鞭を打ってきっちりと服を着こなして背筋を伸ばし、自室を出る。若干顔色が優れないようにも見えるが、常に無機質な仏頂面を浮かべているという点からしてみれば普段とそう変わらないのかもしれない。朝食をがっつりと食べる気にはならないが、規則正しい生活を心がけていた父親がいた以上食事を抜くわけにもいかないので、軽めにしようかなどと考えながら足早に廊下を進む。

「……あら、あの子は」

ふと、ナーダの視線が移動する。其処に映されたのはまだ年端も行かなそうな、少し触れただけでも傷ついてしまいそうな、どことなく頼りなさげで華奢な少女の背中であった。その後ろ姿には見覚えがある。人の名前を覚えるのが早いわけではないナーダでも、なんとなく彼女のことは気になっていたから、自然とその名前を脳裏に刻み付けていた。

「━━━━シシィ」

とん、と軽く廊下の床を蹴ると、ナーダは常人からしてみれば走るほどの速さ……彼女からしてみれば早歩きの範疇で少女━━━━シシィ・トラウスへと近寄り、短く声をかけてから彼女の隣へと並ぶ。女性にしては背が高いナーダの目線の位置はシシィのそれよりもだいぶと高いもので、そのつもりがなくとも見下ろす形になってしまっていた。しかし彼女に人からどう見られているかを気にする心はないので特に其処に囚われることはなく話を続ける。

「おはよう。キッチンに向かうのなら、私も同伴していいかしら?軽く朝食を取ろうと考えていたのだけれど」

もちろんシシィがキッチンに向かっていると断定した訳ではない。しかし向かう方向がなんとなく同じだったのでもしかしたら、と仮定したのだ。シシィの行き先が違っても気にすることはないし、ナーダとしては朝の挨拶に付け加えた軽い質問に過ぎなかった。

>>シシィ・トラウス様、周辺all様

【遅ればせながらメイン解禁おめでとうございます……!拙い絡みで申し訳ないです……!】

15時間前 No.9

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【グリード・マモン・ヴィンターローゼン/二階・図書館】


本の題名をなぞるように指を這わせる。なんて事は無い薄くて子ども向けのただの絵本であるのに、その本自体に思い出など欠片も無いのに何故か酷く重いものに見えた。重くて硬くて、閉じられているから表紙を開く事が困難を極めているのだと思えば迷い続ける自分に言い訳が出来た。本当はただの、絵本であるのに。

「金がありゃあ手に入らないものなんてねェ。だったら欲しがる必要もねェだろ」

会社を立ち上げた理由なんて、ただ暇だったからだ。両親が居なくなって今まで以上に好き勝手出来ると思ってもグリードの強欲さは変わることは無かった。元々他よりあった金も、親が遺していった資産もあるから何もせずとも数百年は生きられただろうに、グリードは何故かすぐに会社を設立した。まるでやる事を探すかのように。五十年かけて会社が成長して、軌道に乗って今では子会社を幾つも持つ大企業だ。資産も気付いたら何十倍にも膨れ上がっていた。自由に使える金なんて吐き捨てる程あった。その金を使って欲しいと思ったものを片っ端から手に入れていった。知人でも知らない奴でも価格以上の金を出せば喜んで差し出してきた。そうして一人の城を欲しかったもので飾り付けて五十年。出来上がった城は誰もが羨み、欲しかったもので溢れた部屋は息を呑むほどのものだった。好奇心に任せてじっくり見たいのに入る事さえ憚られるような、輝かしいものだった。けれどグリードには、何処か色褪せて見えた。手に入れて手に入れて手に入れて、一頻り満足した後に出た言葉は「もういいや」だった。全てが金で賄えるのなら、欲しがったところですぐに手に入る。いつだって手に入れる事が出来る。ならば今でなくて良い。そしてグリードは、昔の彼を知る人が見れば驚く程に普通の吸血鬼へと変貌した。だからアリシアのこの反応も当然の事なのだろう。
はあ、と息を吐いてアリシアが話題を変える。曰く地下にワイン蔵があると。

「知ってっけどォ……なんで俺まで……」

ノルベルトの訃報を聞く前にもこのヴィンターローゼン邸には何度も足を運んでいる。だから邸内の事は大抵分かっているしキッチンの調理器具の在り処までばっちり知っている。だが何故グリードまで一緒に行かなくてはいけないのか小言を洩らそうとしたが、しかし。

「……わァったよ。お前は言い出したら利かねェもんな」

アリシアは傲慢と謳われる吸血鬼だ。何度も顔を合わせているのだからその性質位は知っている。仕方ないと云わんばかりに大きな溜息を吐いて机に――絵本に――手をついて立ち上がる。行くならさっさと行こうぜ、と言いながらアリシアを追い越し扉に手を掛けた。子供受けの良さそうな絵が描かれた本は机の上にぽつん、と居座っている。


>>アリシア・ヴィンターローゼン様、ALL様



【お気になさらず!】

14時間前 No.10
切替: メイン記事(10) サブ記事 (92) ページ: 1

 
 
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