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【メイン開始】華都の月日は妖を映す【募集中】

 ( オリジナルなりきり )
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すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

━━━━鎖を失えば、万物の流れは必ず揺らぐ。


時は此の日ノ本の元号が『明治』に変わって早10年、欧米文化が流れ込み、文明開化が花開く世。人々は変わり行く自国に順応し、はたまた目を回し、とにもかくにも世の革新と隣り合わせに生きていた。
かつて華の都と呼ばれた京もまた同じ。かつての雅な風情を残しながらも、きらびやかな西洋の文化を受け入れつつあった。ほんの10年前には侍が道を闊歩し、辻斬りが出るのは日常の一部でしかなく、何時何処で人が斬られていてもおかしくはなかった街でさえ、維新という名の革命によりがらりと様変わりしていた。

しかし、そんな変容は人間だけを振り回した訳ではない。

古の時代より、人と暮らしを共にしてきた彼等は、じょじょに自らの存在すら消してしまいかねない世の中を恨んだ。かつては共に生きてきたというのに、革命を言い訳に自分たちを放り出した人間を、彼等は酷く憎んだ。たとえ目に見えずとも、存在を信じ、其処にいるものとして扱ってくれた過去を捨てた人間に、並々ならぬ憎悪を向けた。
そんな彼等を待っていたのだろうか、突如彼等の前に現れたその人物はある提案を持ちかける。

━━━━我等の力を以てして、裏切り者共に報復してはみないか、と。

斯くして彼等は立ち上がった。人間たちに自分たちの力を見せ付けてやるために。裏切り者に誅を下すために。明らかに敵意と憎しみに満ちた彼等は、次々と人々の営みを破壊し、蹂躙し、踏みにじった。何の罪も力もない民は彼等の悪行に為す術もないまま、傷つけられ、多くのものを奪われ、喪っていった。
見かねた政府は彼等━━━━人に非ず、然れど神に非ぬモノら、即ち妖に対抗すべく策を練った。妖に近しく、そして妖を抑え込むだけの力を持つ者を探し出し、最も妖の気の強い京へと送り込んだ。


かつて華の都と呼ばれた街で、人と妖は対峙する。
その先にあるのは光芒か、はたまた暗雲か━━━━。


【初っぱなから駄文失礼しますorz 明治に入って間もない京都で人間と妖がドンパチやるスレッドです。少しでも興味をお持ちになられた方はサブ記事へどうぞ!】

メモ2018/01/17 22:48 : すずり☆uVgy9R1pZdc @suzuri0213★Android-nMqLjsjQcP

《第一章:転機は秋風と共に》:>>2


ルール:http://mb2.jp/_subnro/15683.html-1#a


世界観・用語:http://mb2.jp/_subnro/15683.html-2#RES


プロフィールの書き方:http://mb2.jp/_subnro/15683.html-4#RES


現在の募集状況:http://mb2.jp/_subnro/15683.html-125#a


まだまだキャラクター募集中ですので、少しでも興味をお持ちになられた方は是非サブ記事まで……!

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篝火 @hijirisaya☆zk2IQ04u3Kaf ★iPhone=iLc2GwoTR1

【珠簾/花見小路】


きらきらと陽光がきらめく。
清々しい、よく晴れた日だ。清涼な空気は好ましく、珠簾の新芽色の髪を揺らしている。
ぽつぽつと営業を始めた店。あと半刻もすれば、人々の活気で空気は熱を帯び色を変える。
それもまた珠簾の愛好する賑やかさだ。
ことん、ことん、と柔らかく愛らしい草履の足音はそんな空気を震わせることなく、それと同様に彼女自身の姿も光を屈折させない。
珠簾は妖の者、アヤカシというカテゴライズの存在である。そう分類した人間には見ることも知ることもできない。昔はそうではなかったのだが、人々の方から勝手に妖を見る力を失ってしまったのだから、仕方がない。

「ふふ」

悪戯好きの少女の笑みを浮かべて、白い指を伸ばす。目の前から来た、頑健そのものといった風体の男の頬にすれ違いざま触れる。
「うぁ……!?」
突然男の視界が歪み、その場に膝をついた。突然激しい目眩と耳鳴りに襲われたのだ。側で開店準備をしていた老人が、貧血の症状で倒れた男に駆け寄り心配の声をかける。

「うふふ」

振り返りその様子を楽しんだ妖の髪を飾る白い花が、ほんのりと色付いた。それは先程男から吸った血によるもの。少量に留めたためか愛らしい薄紅色だ。

このように人から見られなくなっても彼女の人間への態度は変わらない。からかって遊んで悪戯をして手折って愛でる。そうすることと、そうされることが珠簾の期待する所だ。最近では後者のパターンがほとんどなく寂しいばかりである。
「ひっ」
「あら」
まだ齢の十も達していないような人間の女の子が、珠簾をみて小さく悲鳴をあげた。こんな風に小さな子供には稀に視認されることがある。
大方、吸血する所を見られていたのだろう。
「可哀らしいお嬢さん、秘密にして頂戴ね?」
人差し指をひたりと、女の子の唇に当てる。女の子の唇は空気のせいか恐怖のせいか定かではないが冷えて乾いていた。
珠簾はそんな少女ににっこりと花のように微笑むと、何もせずに離し再び小路を歩き出すのだった。


>>ALL様



【メイン解禁おめでとうございます! 京の賑やかな通りでふらふらしていますので、近い方は是非絡みましょう!】

9日前 No.5

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【一番ケ瀬勹/雪月花本部】


まだ日の昇らぬ暗い内から目を覚ます。時計を確認すれば規定時刻ぴったりを示している。それに満足そうに一度頷くと着替える前に顔を洗う。髭の剃り残しが無いかチェックすると隊服では無く下はそのままに上だけ動き易い洋服を身に纏えば朝日が登るまで本部の周りを走り込む。汗を流すためにシャワーを浴びる。身体がしっかり暖まった事を確認して浴室を出ると入念に柔軟を行い隊服に腕を通す。裾の解れも汚れも無い綺麗なそれは、一番ケ瀬の手洗いである。
仕事場に自分の部屋が設けられて、一番喜んで居るのは一番ケ瀬では無いだろうか。風呂も食事も、家に帰らず店に寄らず、全てが本部で済ませられるというのは、仕事人間の一番ケ瀬には最高の環境だ。おかげで家には何日も帰っていない。今頃部屋の隅には埃が積もっている事だろう。雪月花隊長という仰々しい役職を仰せつかった一番ケ瀬には仕事が山程待っている。主に報告書だの判子待ちだの書類ばかりだが。それでも任せられた仕事を全うするのが一番ケ瀬のポリシーである。むしろ仕事を与えられる事は喜びであるので事務仕事に苦等感じた事は無い。
この後も仕事が待っている一番ケ瀬だが、一日の活力は朝食から、という格言の元、食事をする為に大広間へと向かった。起きた時間こそ早かったもののランニングにシャワーにと時間を潰していた為大広間には既に他の隊員の姿も見える。朝食を済ませている者も中には居て、良い事だと一人頷く。
大広間の奥にある台所へと向かうと食材や調理器具を拝借して食事を作っていく。健康に気を使っている一番ケ瀬は自分でバランスの良い食事を作れるようにと、母や祖母に教わりながら学生時代には料理をマスターしていた。他人が作ったものを食べても良いが、やはり自分で作った方が栄養のバランスが分かる。他の人が食べても良いようにと多めに作ると、炊かれていた白米を粧い味噌汁とほか三品をテーブルへと置いて食べる。よく噛んで三十回。早食いは体に良くない。品数もあって他より時間をかけて食事を終えれば綺麗に食器や調理器具を洗って水切りに乗せておく。
さて、書類を終わらせようかと大広間を後にしようとすればぽつねんと座っている少女の姿が目に入った。照陽瑠璃。唯一残った照陽氏の末裔として保護された少女だ。自分が大広間に居る内に姿を見せるとは珍しい、不規則な生活は良くないと諭したお陰だろうか。しかし食事もせず、誰かに話し掛けもせずただ座っているだけなのは何故だろうか。人と関わらないように過ごしていた事は知っているし、それを見兼ねて注意したのは一番ケ瀬だ。話しかけられる事を待っている風にも見えるが、この大広間に来ているだけでも前進しただろうか。

「――食事ならば、向こうへ行けば置いてあるよ」

近付いて声を掛けると、自分が先程までいた台所の方を掌で指し示す。今ならまだ自分で作らずとも一番ケ瀬が作ったものが残っているだろう。


>>照陽瑠璃様、ALL様



【本編参加が遅れまして申し訳ございません! そして瑠璃ちゃんに絡ませていただきました。前半は読まなくていいです】

8日前 No.6

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=nMqLjsjQcP

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8日前 No.7

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 小神殿八乙女 / 楊弓場 】

 だだっぴろいとは言えない京の都だ、目立つ者がいればそれとなく噂に聞こえてくる。特に主婦や年頃の娘たちの井戸端会議など喧しい。八乙女も一風変わった育ちと暮らしをしているとはいえ、年頃の娘の一人。当然、巷語の幾許かは小耳に挟む。だからしゃも鍋屋の旦那との会話にするりと入り込んできた人物を目視した時、それが誰かとは思わなかった。思い当たる節が取沙汰の中にあったのだ。溜息の出る精緻な美貌の女。正しくはそれと見紛う男。なるほど、これは町の人々も物凄い美人だと噂するわけだ。名前は確か咲花佐和乃。『咲く花』なんて字を名に冠した青年がこれだけ綺麗なのだ、案外、名前が当人に与える影響も大きいのかもしれない。なるほど天晴れと言いたくなる顔立ちと佇まいだ。八乙女の恋愛対象がよりにもよって肥満体型の不細工という稀有なものでなければ、この対面だけで惚れる可能性さえあっただろう。声も客商売に相応しくよく通って、甘味処の従業員だからか、どことなく甘い匂いもする。肌は見るからになめらかそうで、変な話、たくさんかいた汗がうっかり口に入っても爽やかな味がしそうな雰囲気さえあった。五感で楽しめる美青年とはまさしくこういうのを指すに違いない。後半はほとんど憶測と妄想である。

「こんにちは、甘味処の旦那。なんでぃ、旦那も河童の話に興味がおありで?」

 いきなり話しかけてきた麗人に固まるしゃも鍋屋の旦那を差し置き、ひらりといっそ軽薄な仕草で片手を振る八乙女。魔女役が似合いすぎる風貌の娘が風来坊のようなとぼけた印象の笑みを浮かべるのは、今さらながらに中々ミスマッチだ。もっとも、その容姿と言動の不一致のおかげで人に親しんで貰えているのだが。これでじっとりと湿っぽい口調に妖しげで薄ら暗い笑みなんぞを繰り出していれば、あまりにもギャップが無さすぎて途端に毒婦の完成だ。

「で、しゃも鍋屋の旦那。話が戻りやすが、娘さんが河童に求婚されてるってぇのは、いってぇどういった了見で?」
「……ハッ! そ、そうやった、まだ話の途中や!」

 あまりにも戻って来るのが遅いので、正気を取り戻させるべくしゃも鍋屋の旦那の肩を軽く揺する。がくがくと身体に伝わる振動の回数が十を超えたところでやっと現実世界に帰って来た旦那は、途中、噛んだり言い澱んだりしながらもなんとかことの経緯を語り終えてくれた。
 曰く、目に入れても痛くないほど可愛い可愛いうちの娘の部屋の窓際に、何日か前から山盛りのきゅうりが供えられる現象が続いていた。最初は娘に懸想しているきゅうり好きの八百屋の男の的外れなアプローチだろう、と気にも留めていなかったが、日を追うごとにきゅうりの量がどんどん増えていく。一ヶ月を超えた頃にはもう窓の外がきゅうりで見えないくらい盛りに盛られまくっていて、さすがに迷惑だからと娘が窓に「きゅうりお断り」の文句を貼り付けたら、次の日から人間の水死体が窓際に置かれるようになった。娘は生まれて初めて見た死体にショックを受けて寝込み、自分もそれから連日窓際に置かれる水死体への対応に疲れ果てている。あまりにも警察のお世話になりすぎて、最近ではあの水死体を用意している犯人が自分たちではないかという根も葉も無い噂がたち、しゃも鍋屋の客足にも悪い影響が出ている。犯人の正体が河童なのは、夜通し娘の部屋の中でこっそり見張りをしていた時、うっすらと河童のようなシルエットが闇夜の中に見えたからそう判断した。一度きゅうりを断って水死体に変わってしまった以上、この水死体を断ったら次はどうなるのか、という発想が浮かんできて恐怖のあまりにどうすることもできない。けれどこのまま水死体を連日見る破目になるのも御免だ。どうにかして欲しい。

「……河童がきゅうりを好きなのは人肉の味と似てるから、なんて噂もあるくれぇだ。きゅうり断った娘さんの部屋の傍に水死体が置かれるようになたのは、言っちゃあなんだが、あちらさんにしてみりゃ本当に貢物の階位を上げただけかもしれやせんぜ。『君は偽物より本物が好きなんだね』ってなぁ」

 現時点での憶測を口に出してみる。現時点で求婚と確信して良いものかは迷うが、河童が娘さんに何かを求めているのは間違いなさそうだ。

>咲花佐和乃様&ALL様

【絡みありがとうございます!】

8日前 No.8

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【一番ケ瀬勹/雪月花本部】


声を掛けられた少女は、一番ケ瀬が前触れも無く声を掛けたからだろうか、ビクリと肩を震わせた。肩を叩くなり机を小突くなりして存在を気付かせてから声を掛けるべきだったか。次からはそうしようと一人で自己完結していると、可愛らしくない大きさで彼女の腹の虫がなった。

「朝食は一日の源だ。しっかり食べると良い」

確実に一番ケ瀬はその腹の音が少女のものだと気が付いたが、それがどうしたというのだろう。途端に彼女が顔を赤らめる意味も、不機嫌そうに顔を顰める理由も一番ケ瀬には分からなかった。腹が減るというのは人間の生理的本能だ。生きようとする自然なこと。だから恥じる事など無いのに。一から百まで仕事で出来ている一番ケ瀬には女心というものが一切分からなかった。それが仕事に必要の無い事ならばそれで良いとも思っている。
食事を取りに行こうと席を立った彼女を見て、己も仕事場へ向かおうと足を踏み出す。数歩進んだ先で彼女の消え入るような声が耳を震わせた。

「街に? うん。許可を出したのは俺だからね、構わないけれど」

曰く、街中へ行く許可が欲しいと。確かに先日引き篭る彼女に注意をした際、加えて言った事だ。ずっと屋内では気が滅入るだろうし、外に出て太陽の光を浴びないのは不健康極まりない。それに息抜きというものは必要であり大事だと思っている。上にも許可は取っている。
今気付いたが、見ると彼女は麻袋を肩から提げている。元よりそのつもりで来たのだろう。それ程までに外出したかったのだろうか。
一番ケ瀬は一度言葉を区切ると、もう一度口を開く。

「けれど隊員をせめて一人連れて行ってくれるかな? 誰でも良いよ」

自身が身を置く雪月花が設立された理由を思い出す。今の京では人を襲う妖やそれに便乗する術者が蔓延っている。人を襲う理由は何だったか、うろ覚えだが一番ケ瀬には理解出来ない事であった事は確かだ。それに照陽氏の末裔が生きているとあれば狙わない訳は無いだろう。だからこそ、彼女を雪月花で保護しているのである。
一番ケ瀬の口調は提案しているようだが、実質的には強制的なものだ。断られても誰かに命じて尾行させるか無理矢理一緒に行くか、だ。だが誰でも良い、というのは本当だった。大広間には人数も居るし誰かしらには付いて行って貰えるだろう。任務が入っていても一番ケ瀬は隊長だ。命令する事も出来る。勿論一番ケ瀬自身を選んで貰っても問題無い。書類や何やらより照陽氏を守る事の方が優先度は高いだろう。さてどうするか、と今度はこちらが様子を窺う番だ。


>>照陽瑠璃様、ALL様


【このまま他の隊員が来ないようなら僭越ながら一番ケ瀬がお供させていただきます】

8日前 No.9

五十鈴 @isuzu0☆LocDP0eky2k ★NbQEF8QrNY_mgE


【 十神 時雨 / 街中:茶屋 】


 ふんふっふんふふーん。陽気な鼻歌を歌いながら濃紺の軍服を翻し、陽に照らされた翡翠の玉簪が輝き、右手にみたらし団子が入った袋を嬉しそうに持っている彼女。雪月花に所属する術者、十神時雨は今上機嫌である。周りから見ても彼女の機嫌が良いことは丸分かりで、現に鼻歌を歌っているのだ。何故かというと、珍しく朝早く起きて雪月花本部から早々出ておばさんたちが美味しいと評する団子屋にみたらし団子を買ったからだ。たまたま街中に出てきた時、今人気の団子屋の話を聞いて気になったから買ってみた。目の前で袋詰めされてる時の甘い香りといったら、それはもう今まで食べてきた団子の中でも上位に食い込むような香りだった。

 さてさて。歩いてきたのはいいが、何処に向かって歩いているのだろうか。雪月花本部とは真逆の方向に歩いていたことに気付かなかった彼女は一瞬鼻歌が途切れ、ぴたりと足を止めてしまう。このまま本部へ戻るのも良かったが、せっかくの京の街。江戸幕府が幕を閉じて明治という元号になり、今まで見たことがなかった洋風の建物や服が街を彩る。その風景に興味を惹かれ、また鼻歌を歌い足を動かした。
 ふと人混みから抜けた彼女の前には一軒の茶屋。気になっている団子を食べたかったし、ゆっくりできる場所を探していたので丁度良かった。その茶屋に歩み寄っていると、茶屋の前の長椅子に紅や金の布地に色んなものが描かれた装束に白の袴の男。一見その手の職業の者かと思ったが、勘の鋭い彼女は異様な雰囲気を感じ取る。妖かもしれない、と。しかし妖と言えど人間に危害を加えない者もいる。まだどちらの方か分からないが、取り敢えず先に休もう。


「 こんにちは! 時雨さんも隣に座ってもいいかな? 」


 無邪気な笑みを浮かばせながら長椅子に座って団子を食べている男に声をかけた。こうして笑みを浮かべているとまだあどけなさが残る顔立ちとこの身長で10代後半に見られてもおかしくはないが、これでも27である。

>幽桐様、ALL様


【 遅くなりましたが、メイン解禁おめでとうございます! そして馴れ馴れしいですが幽桐様に絡ませて頂きました。 】

7日前 No.10

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=nMqLjsjQcP

【照陽 瑠璃/雪月花本部】

腹の音はお世辞にも小さいとは言い難いものだったが、一番ケ瀬は特にからかったり気にすることはなく、至極当たり前なことのように扱った。変にいじられるよりかは良かったのだが、瑠璃からしてみればなんとも言えない気分になってしまう。なんだか自分だけがめったやたらに気にしているような絵面になるではないか。目立つことが好きではない上に自分の失態をすぐに気にする瑠璃は頬のひとつでも膨らませたくなったが、時と場所を考えてからかいつもの鉄面皮を無理矢理顔面に張り付けた。若干不機嫌そうな色は残ったが、瑠璃は上手く誤魔化せたと思っているので実は内心少しばかりホッとしている。

「え……い、いいんですか?」

あまりにもあっさり外出の許可が取れてしまい一瞬瑠璃は呆気にとられてしまった。もっと嫌そうな顔でもされるかと思っていたのに。ぽかんとしてしまったせいか瑠璃の硬い表情がほんの一時ではあるが緩んで年頃の娘らしいそれになった。念のために隊員を誰でも良いので一人連れていくように、との条件も課されたが、それくらいは妥当だと思うので瑠璃も特には反論しなかった。しかし誰を連れていくか、となるとけっこう悩む。

(そういえばまともに話したことのある隊員って、正直言って隊長殿くらいしかいないな)

ずっと閉じ籠もって誰とも関わろうとしなかったのが災いしたのだろうか、瑠璃がこれまで会話を交わしたことのある隊員は見に覚えのある者でこの一番ケ瀬くらいしかいないのだ。ここに連れてこられた時に敷地内を案内された際にも、瑠璃は適当な返事しかしてこなかったのだから尚更である。一番ケ瀬は雪月花の隊長、むやみやたらに外に連れ出しても良いものなのか。暫考えを巡らせてから、瑠璃は麻袋の紐を握りしめながら再び一番ケ瀬を見上げる。

「あの……お忙しい中申し訳なくは思っているのですが、隊長殿をお供することは可能でしょうか……?」

どう思われるかはわからないが、とりあえず駄目元で聞いてみることにした。もし駄目なら式神を付けてもらうとか備考形式にしてもらうかにしよう、と次の策を頭に巡らせながら。

>>一番ケ瀬勹様、周辺all様



【咲花 佐和乃/楊弓場】

突然首を突っ込んだにも関わらず、二人のうちの一人━━━━どことなく一筋縄ではいかなさそうな娘は飄々とした物言いで佐和乃に手を振った。見てくれはなんとなく占い師とか呪術を生業にしているかのように思える風体なのに、蓮っ葉な話し方なのは不釣り合いな気がしてならない。女のような名前と見た目の癖に大雑把で声も低い方である佐和乃が言えたことではないが。

「嗚呼、河童に魅入られたなんて話は滅多に聞くことがないんでな。……ところで、俺はお前とは初対面のはずだが……うちの甘味処は其処まで有名なのか?」

自らの素性が相手に知られていることを不審に思い、そんなことを聞いてみたが特に深い意味はない。ただ、佐和乃には自分がまさか有名になっているなんて考えはないし、せいぜい祖母の作る餡蜜が美味いとかその辺りだろうな、と間違いに間違いを重ねた解釈を生み出してしまっていた。たしかに甘味の美味さも評判になっていたが、たいてい甘味処の噂と言えば店番がやたら綺麗な顔立ちをしているだとか、その店番が食い逃げしようとした不届き者に華麗な蹴りを入れただとか八割型佐和乃関連である。佐和乃からしてみれば自分は至極当然の行いをしているだけであって目立っている自覚なんてないに等しい。これだから噂に尾ひれがつきまくって絡まれやすいのだ。

「それは気の毒なことだ。仮に犯人が河童だとしても必ずしも其奴がお前のところの娘に懸想しているとは限らないと思うが……何かしらの接触を図ろうとしていることは確かだろう。放っておけば彼方の機嫌を損ねて何をしてくるかたまったものではないだろうがな」

初対面のしゃも鍋屋の旦那に対してもやたら偉そうで横柄だが、これが佐和乃の普通の喋り方なのだから仕方がない。下手したら余計恐怖を煽るだけになってしまうかもしれないが、佐和乃には全くその気がないのでだいぶ質が悪い。佐和乃は妖の存在を深く信じている訳ではないが、根っからのじゃじゃ馬なのとほんの少しのおせっかいでこの事件の手伝いでもしてやろうかという気持ちになっていた。上から目線なのは仕様である。気にしてはならない。

「あー……そこの娘、女手ひとつでは何かと手間がかかるだろう。あいにく俺は暇していてな、俺のできる範囲でなら手伝ってやっても構わんが?」

素直に手伝ってもいいですか、と聞けばいいのにこの態度である。本人に悪気はなく至って真面目なつもりでいるようだ。これだから佐和乃には友人が少ないのだが、彼はそんなことを知るよしもない。

>>小神殿八乙女様、周辺all様


【隊長殿にエスコートの依頼を試みてみます……。佐和乃がやたら上から目線です、すみませぬorz】

7日前 No.11

藻屑 @96109610 ★ckDnZME2Oh_8gk

【幽桐/街中:茶屋】

団子を食べ終え煎茶を啜っているとふいに声が掛けられる。
『こんにちは! 時雨さんも隣に座ってもいいかな? 』
女性の声に振り向くと隣に若い女が立っている。軍服と呼ばれる洋装に身を包んだ長い髪の良く似合う女性だ。

「なんとまぁ若い娘ではないか。構わぬゆっくりしてゆくと良いぞ。」

恐らく彼女は幽桐の真の姿に気づいているのだろう、しかし殺気も殺意も感じられなかった…良い人間なのだろう。
最近は特に軍服を着た連中から追われやすい身のためどうも疑いがちになってしまうのだ。
再び湯呑に口を付ける。そしてふと思い出したように

「娘よ、この茶屋はみたらし団子が大変美味でな…ぜひ食してみるとよいぞ。はっはっは」

常連ともなるとどうも他の客にお勧めの品を教えたくなってしまう。
きっと彼女も甘味が好きなのだろうと共感の意を示し朗らかに笑って見せる。
不思議なことに先ほどまで掛けていた面が小面(こおもて)から笑う翁の面へと変わる。幽桐は喜怒哀楽を示すとき面の使用が変化するのだ。
扇子を広げ涼し気に風を起こせば桜の花びらが舞う、機嫌がいいときはいつもこうやって芸を披露するのだ。

「うむ、若い娘に綺麗な桜とは実に雅。長生きはしてみるものじゃなぁ」

>十神時雨様、ALL様

【お声かけ感謝です。おじいちゃんは若い娘とお話しできて大変ご満悦です。←】

7日前 No.12

狛犬 @nickker8 ★iPhone=BnyBFUvbLf

【月双刹那/右京区:寂れた廃村】


華やかな街中とは全く別世界の様相を見せる廃村。木々や雑草が生い茂り、日光の光すら拒むこの場所は滅多に人が寄り付かない。お化けが出るやら、怪しい輩が出るやら等の噂が住民達に広がっているようだ。


そんな場所を軽い足取りで進む一つの人影があった。ウェーブが掛かった黒髪を襟足で結び、顔には翁の能面。こんな場所で人に見られる心配など殆ど無いのだが、それでも顔を隠す徹底した用心深い性格が見て取れる。


この男の名は月双刹那。かつてこの国が日の本と呼ばれていた時代、術者として照陽氏と双璧をなしていた月双氏の末裔である。尤も、彼が月双氏の末裔だと知る者は少ない。日本の歴史上、月双氏はあまり良いイメージを持たれない。朝廷に対し謀反を計画したとして、流罪を受けた過去があるからだ。その為月双氏の末裔等と言えば色々不便が生じる。普段は刹那とだけ名乗り、街中で小さい何でも屋を営んで生計を立てていた。規模こそ小さいが安い値段と確実な仕事が噂になりそこそこ儲かっているようだ。そんな刹那が顔を隠してまでこんな場所に足を運ぶ目的はーー


「うーん、今日は誰もいないのかぁ……」


辺りを見渡し呑気な声を上げる。こんな場所で一体誰を探しているのか。丁度近くにあった切り株に腰を下ろすと刹那は軽く溜め息をついた。誰もいないのであれば佐和乃の店に行った方が良かったか。もし誰も来ないようであればあんみつでも食いに行くかと思案する。今日は早めに店を閉め、ある事を伝えにこの場所へ来た。今はまだ小さいがいずれ自分達の計画の大きな脅威となるかもしれないと、ある者達に伝えに来たのだが……


「まぁそんな緊急でもねぇし、もうちょいしたら帰るか」


切り株を背にゴロンと横になると能天気にそんな言葉を口にした。


≫ALL様



【遅れてしまい申し訳ございません。折角なので妖側の本拠地に向かわせてみました!どなたか絡んで頂けると嬉しいです。もし誰もいらっしゃらないようであれば街中に戻します!】

7日前 No.13

あぶ @abuabu ★TeB3squf21_wNY

【シロ/花見小路】

 ふわりふわりと真っ白い尾のような髪が、右へ左へ揺れて動く。活気付いた街中を頭一つ、否二つ分近く抜きんでる様は、いっそ異様にも見える。めしいのような白い瞳は、しかししっかりと街や、人々や、季節の移ろいを拾い上げては彼の情緒を揺さぶる。今日も世界はとても美しい。満足気に頷くのは、ばけぎつねのシロと呼ばれる男である。
 シロは普段あまり見ない街の光景に、煙管の煙をぷかとくゆらせて笑った。シロが目にする普段の街、というのは、艶やかで、瑞々しく、色香の香る、まるで極上の花魁か太夫のような、触れればとろけてしまうくらいの、言ってしまえば大人の街なのだ。昼日中、甘味に舌鼓を打つ以外に、することと言えばいつも清潔に整えてある布団にもぐりこむことくらいで、朝日眩しい京の街なんて久しく目にしていなかった。
 起き抜けに寝ぼけながら酒をひっかけようと思ったら、乾いた徳利が転がったので、仕方がなしに出かけてみたが、案外これが気に入った。

「早起きと言うのもなかなか乙なもんだね」

 誰にでもなく、ぽつりと呟く。しゃらしゃらとした紺の羽織を翻し、街を闊歩するのもなかなか楽しいものだ。
 喉の奥でくつくつと笑みと欠伸を噛み殺し、すいと視線を流せば京女たちがきゃあと黄色い悲鳴を上げる。悪くない、悪くない。そして、その悪くない中に、シロは美しい華を見た。
 年の頃はハタチかそれくらいだろうか、艶のある宝石のような黄緑の髪は春風吹きすさぶ草原のようで、ほのかに色付いた髪飾りが映える。黄水晶のきらめきを宿す瞳は憂いを帯びるようなのに、どこか楽しげに笑っていて、印象的だ。

「……やあ、やあ、本当に、乙なもんだね」

 くつくつ、また笑いを押し殺して、シロは楽しげに笑う少女に近寄っていく。ひとでないもの、おなじ世界に生きるいきもの、美しい華、愛でてやりたくも、手折ってやりたくもなる。

「どうも、御嬢さん。もしお暇であれば、ぼくと一杯花見酒なんてどうかな」

 きゅ、と口角をあげ、話しかけるそのさまは、まさしく悪巧みをするきつねそのものである。

>>珠簾さま、周辺Allさま


【遅くなりまして申し訳ないです!めっちゃいやらしい絡み方してすみません、よろしくお願いします……!】

7日前 No.14

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 小神殿八乙女 / 楊弓場 】

 有名人の自覚の無い佐和乃の言葉に、くすりと人知れず含み笑いをこぼす。和菓子だって絶品だが、甘味処の名が知れ渡る理由となっているのは彼の美貌や容姿からは想像もできない蓮っ葉さにある。てっきり自覚ありきと思っていたが、意外と己に無頓着らしい。自分のことを多少は不気味だが上玉だと認識している八乙女よりも精神的な可愛げがある。初心でおぼこっぽい、なんて評価は男に向けるには不適切だが、浮かんでしまったのだから仕方が無い。妙な趣味の変態にでも目を付けられそうな青年なので、今度そういう場面を見掛けたら京都の民のよしみでこっそり助けておこう。直接来るタイプの変質者には強そうだが、こういうタイプは遠回しで粘着質で間接的で厭らしいストーカーなどには弱いと相場が決まっている。逆に八乙女はそういった手合いへの対処が大得意だ。式神使い万歳。持つべきものは無数の手足と目玉だ。

「へぇ、手伝って頂けるたぁありがてぇや。けど、甘味処の旦那……その、言っちゃあなんだが“ひろいん”みてぇなツラしてやすからね。途中で河童に惚れられて被害拡大しねぇでくだせぇよ?」

 予想もしていなかった相手の申し出。それに本気とも冗談ともつかないトーンでそんな言葉を返す。表情はそこそこ真剣だ。しゃも鍋屋の旦那は、“ひろいん”という南蛮語の意味を知らないらしく小首を傾げている。佐和乃に伝わるかどうかも謎だ。が、伝わったなら彼は不快だと隠すことなく表情や言動でアピールして来ることだろう。そういう所も良い。強気な美人は八乙女の好みだ。もちろん芸術的な意味での鑑賞対象としての好みであり、恋愛対象とは別物だが。

「けどまぁ、そん時ゃそん時だ。旦那が河童に攫われて囚われのお姫(ひい)さんになっちまったら、あっしが忠義の武士のごとく勇んで助けに行きやしょう。――それこそ、『小神殿八乙女』って名前と『花簪』って二つ名に懸けてね」

 舞台俳優じみた、見栄えのする、それでいて自然な動きで佐和乃の白魚の手を取って、その作り物のような指先にちゅっと唇を落とす。腰を折ってそんな場所に口付けしている姿は、本人が口にする忠義の武士というよりは、西洋の絵物語にでもいそうなキザな騎士そのものである。なまじ佐和乃も八乙女も別ベクトルで器量良しなだけに、女歌舞伎の一幕さながらに人目を集めた。周りの男客たちも矢場女たちも、数秒間はお互いのことを忘れて佐和乃と八乙女のやり取りをどこか惚けた風に注視する。ついでにしゃも鍋屋の旦那も頬をうっすらと赤くして、はわわ、なんてあざとい悲鳴を小さくこぼしていた。両手で顔を覆う動きをしているものの、ちゃっかり開いた指の隙間からこっちに目を向けている。

>咲花佐和乃様&ALL様

【上から目線の別嬪さんとかめっちゃ好きです、どんと来て下さい! こっちも指先にキスとかの確定ロルが混じっていてすみません。駄目なら修正しますね】

7日前 No.15

五十鈴 @isuzu0☆LocDP0eky2k ★NbQEF8QrNY_mgE


【 十神 時雨 / 街中:茶屋 】


 周りの賑やかな声にかき消されない程度に発したので、長椅子の男は自分の声に気付いて振り向いてくれた。顔を覆っている女の面にきょとんと首を傾げてしまうが、すぐに笑みを浮かべる。顔を面で隠しているなんて恥ずかしがり屋なんだろうか、と思ってしまう。そしてなんなく了承を貰い「 じゃっ、隣失礼しまーす! 」と男の隣に腰を下ろす。


「 御隣ありがとうね。わ、若くないよー! だってもうすぐ三十路だよ? 」


 自分の膝の上に団子屋で買った団子の袋を置き礼を告げる。若い娘と言われ、頬を赤くさせて首をぶんぶんと左右に振る。まさか若い娘と思われるときが来るなんて思ってもなかったので不意をつかれたような感覚に陥る。10代と間違われたら後味が悪いので、赤い頬を冷ますように両手を当ててもうすぐ30だと知らせる。まぁ相手は妖なので人間の年齢言ったって分からないかもしれないが、念の為だ。念の為。
 熱くなった赤い頬が冷めると目をきらきらさせながら袋からみたらし団子を取り出す。とうとう人気の団子屋のみたらし団子が食べられる。そう思うと涎が垂れるが我慢。すると隣の男がこの茶屋はみたらし団子が美味しいと勧めてきた。さっき食べていたのが此処の団子か、と思い出しながらどうしようかと悩む。美味しいなら此処の団子も食べてみたい興味心から決心した。


「 実はさっき人気の団子屋からみたらし団子買ったんだけどー……。でも此処のみたらし団子も食べる! 他の店とのみたらし団子の食べ比べやってみたかったんだよねー! 」


 前々から食べ比べしたかったのでいい機会だと思った。美味しいって言われたら食べない訳にはいかない。びしっと手を上げて「 みたらし団子とお茶下さーい! 」と店の中に向かって注文すると活気のいいお婆さんの声が返ってきた。勧めてくれた男が朗らかに笑うと面が笑う翁に変わった。


「 え、え!? 何々!? 何の芸当!? 」


 ずいっと男の顔に近づいて驚いた表情を浮かべながら手品でも見せられて興奮する子供のような顔をする。お面が変わる芸当は見たことがないのでついつい見入ってしまう。はっとして顔から遠ざかり「 ご、ごめん! つい、見入ってしまって……。 」と苦笑いを浮かべながら謝る。
 団子とお茶が来るまで人気のみたらし団子を食べようと、袋から出して串を持つ。甘い香りが漂い、たれが輝いている。先端の団子1つを口に頬張ると、網で焼いた香ばしい匂いともちっとした弾力、癖の無い甘いたれが団子と混ざり思わず「 美味い! 」と叫んだ。口の中を無くならせて男に向き直ると、ふわっとした優しい笑顔を見せる。


「 名乗るの遅くなってごめん。――雪月花所属の十神時雨!よろしくね! 」

>幽桐様、周辺ALL様

6日前 No.16

篝火 @hijirisaya☆zk2IQ04u3Kaf ★iPhone=SrpABHmeTj

【珠簾/花見小路】

まるで古鈴のような暖かな中に厳かさを感じる声の主は、異様の相をしていた。
大きな白い固まり、というのがその男を目の当たりにした第一印象であるのは、人も妖も変わりないだろう。あまりの白さに目が眩んだ後、慣れて来て見えるのは、その端正な顔立ちと只人為らざる出で立ちである。
人に化けているが、珠簾に近しいもの、妖のものに違いなかった。
酒好きの人間好き。白銀の狐の噂は、噂好きではない珠簾にすら聞き及ぶ有名人、もとい有名狐である。その証拠に目で物を見るのではなく光で景色を感じ取る花の怪である珠簾には、ちゃんと天鵞絨の如き光沢を持った白銀の尾と、芸術品のような三角の耳が見えている。

「数ある花の内から声を掛けられるなんて面映ゆいわ。けれど、そうね。こんな往来で人の目に見えぬ娘と御喋りだなんて、もう既にお酒を召されていると思われるのではないかしら」

先程、狐の妖にそうとは知らず浮き足立っていた人間の娘たちが不思議そうに彼を眺めているのが面白くて、珠簾は目を細めた。
時代が時代なら社に祀られるか、大妖怪と畏怖されるような格を持っているだろうに。現にこの街並みと神々しさすらある男の姿は乖離している。だが当人は世俗に親しむ方が性に合うようだ。
格の高い妖というのは珠簾のように若い妖を鼻にもかけないきらいがあり、彼女も苦手とする相手である。そんな妖が真っ白な姿で赤い口を開いて笑うのを見て、誘いに乗るのも楽しそうだと想像する。
もちろん恐ろしさが無いわけではないが、珠簾にとっては生存よりも自分の存在で楽しませる事が優先事項だ。そして目の前の彼がそれを望んでいると言うのなら断る理由はない。
それに、人間と関わり合いになろうとする白狐の話は是非とも聞いてみたいとかねてから思っていた。

「わたくし、お酒は嗜まないの。だから、あなたのお得意な場所でご相伴に預かりたいのだけれど」

揺れるキセルの吐き出す煙の行方を見やりながら、ようやっと返事をした。


>>シロ様、周辺ALL様



【お声がけありがとうございます! いやらしい絡み方というご本人様のコメントに笑ってしまいました。よろしくお願いします!】

6日前 No.17

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_7FY

【雪月花本部/卜部 銀閣】

「おや、お二人さんお揃いで、お出かけですかい?」

瑠璃と勹の後ろから声を掛ける男が一人、雪月花の中では割と年長の部類に入る隊員、卜部銀閣だ、
あまり覇気のない声に加えて平凡そうな出立ちの男だ、有事の際には人が変わったかのように積極的に動くが今はその時ではない。
二人の話を聞いていなかったのか瑠璃の顔色を窺うような表情を見て首を傾げている。

「買い出し程度の雑事なら俺が行きましょうかい? 隊舎内の軽い掃除も終わった所で今は暇してるので」

瑠璃について銀閣が知っていることは少ない、照陽氏の末裔であり、身も蓋もない言い方をすれば半ば強引に此処に連れて来られた女性であるということくらいだ。
他の性格や趣味、どういったものを好むか、などの細かいことは全くと言っていいほど知らないに等しい。
隊長である勹に買い出しなどの雑事をやらせるよりは平の隊員である自分が行った方が何かと角が立たなくていいだろうと思っての提案だ。
隊長相手に委縮しているものと勘違いしながらも銀閣は二人を見やる。

>照陽瑠璃、一番ケ瀬勹、ALL

【遅ればせながら絡ませていただきます、よろしくお願いします】

6日前 No.18

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=nMqLjsjQcP

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6日前 No.19

藻屑 @96109610 ★ckDnZME2Oh_8gk

【幽桐/街中:茶屋】

隣で美味しそうに団子を頬張る女性は十神時雨と名乗る。幽桐は彼女の言葉に肩をピクリと動かす。

「…雪月花か」

雪月花と言えば確か妖を滅するために構成された組織だと記憶している。となればこの娘自分が妖だという事に薄々感じているのだろう…。
いつの日か軍服を着た連中に追い回されて大変困った日があったがそうか、やはり雪月花だったか。
そんなことを考えていたせいかいつの間にか面はいつもの小面に戻ってしまっていた。

「そうだろうそうだろう、旨いだろう」

雪月花とかいう組織について聞いてみようかとも思ったが下手に好奇心を出していてはこの先危ういと思い咄嗟に話を変える。
行きつけの自慢の店の団子を美味しいと言ってもらえたのが嬉しかったのか幽桐も共感の気持ちを伝える。
…にしても本当に美味しそうに食べる娘だ。先ほど団子を食したばかりだった幽桐だったが十神を見ているとどうも関係なくなってしまう。
彼が物欲しそうに団子を見ていたのに気づいたのか団子屋の女将がそっと追加で団子を持ってきてくれた。

「はっはっは、女将には敵わぬな」

面をずらし早速団子を頂きながら朗らかに笑う。
そして突然ポンと何かを思い出したかのように手を叩く。自分も名を言っていないではないか。

「忘れておった。儂は幽桐、京を巡りながら舞や歌を歌ったりと…まぁ変わり者の爺さ。よろしく」

>十神時雨様、ALL様

5日前 No.20

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

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5日前 No.21

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_7FY

【雪月花本部/卜部 銀閣】

「雪月花隊員、卜部銀閣。好きに呼んでくれて構いませんよ。覚える気がないなら隊員その壱や弐とでも覚えててくだせい」

露骨に棘のある態度を取られているが、銀閣は相も変わらず覇気のない声で応対する。
銀閣は気分を害している様子はない、一応瑠璃の事情は知っているのだ。さしずめ雪月花は『瑠璃を強引に親元から引きはがした連中の仲間』といったところか?
本来の瑠璃を知らない故に”境遇もあるが気難しい年頃なのだろう”ということでこの態度には納得できる程度には銀閣は大人だ。
本当に出かけるつもりであるらしいが、特に目的といったものはなさそうな口ぶりだ。

「朝食はとりましたよ隊長殿、まあ朝なので軽いものではありますが」

一番ヶ瀬隊長はよくこの手の質問をしてくるのは気のせいだろうか?それが悪いというわけではないが、銀閣は朝食はきちんととる方だ。
隊長として部下を気遣うのも仕事の内という所か。年長なのにこれといった役職についていない自分が出来るのは精々手伝い程度だ。
特に敵意も何も映っていない目で瑠璃を見やる、鬱憤を溜めこまれるより適度に発散してもらう方がいいかと考えているが表情には出ない。

「つまらん人間なのは俺も同じでさあ、だが京を歩きたいなら護衛も要る。うっとおしいと思われるがこればかりは規則、ご勘弁くだせい
 隊長殿はああ仰っている、俺が嫌だというなら無理強いはしませんが、そうでないなら荷物持ちくらいはやりますよ」

銀閣は瑠璃を扱いかねているのか敬語で接している、といっても口調は砕けたもので気遣いを感じさせない。
苦手意識を持っているわけではない、ただ単にこの年頃の女子をどう扱っていいか分からないだけだ。
一番ヶ瀬の意図は何となく察したのか瑠璃に同行の許可を求めるように聞く、嫌がられるなら隊長一人で行ってもらうか、自分は影から見守るしかないが。

>照陽瑠璃、一番ケ瀬勹、ALL

5日前 No.22

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 小神殿八乙女 / 楊弓場→表通り 】

 よしない申し出と袖にしても良かったのに、八乙女が佐和乃からの協力を受け入れたのは、ひとえに彼が愛らしかったからだ。直接相手に口にすれば、それこそ烈火のごとく怒り狂われるかもしれない。それはそれで可愛いだろうが。ともかく、つんと澄まして気位の高そうな、どことなく猫を思わす態度の美しい青年がこんな小娘を自ら進んで手伝おうとしてくれるのが、なんだ心の奥底を突かれてキュンとしたのだ。だから追い返さなかった。戦力にならない一般人だと知った上で。
 八乙女は自分の何かに対して無自覚な人間というのをあまり快くは感じないが、それでも相手によってはその感情がまろやかになるどころか反転して、「こんなに××なのに××ってことを理解してない所が可愛い」となることもある。佐和乃はそれに当てはまった。常連客たちを陶然とさせる美しさが、何故河童には効かないと思えるのだろう。首を傾げたくなるが、でもそういう所が良い。恋愛対象ではない相手にこういう感情が湧き上がってくるなら、これを分類した場合の名称は……父性あたりか。八乙女は女だというツッコミは野暮だ。世の中には男のお姫様だって女のお父さんだってきっといる。いるったらいるんだい。
 妙な虫を付かせたくなくなる子でさぁ、とか妙なパパ気分を味わっている八乙女だが、たぶん噂に聞く彼の親衛隊たちにしてみれば自分こそが悪い虫に見えることには気付いていない。気付いてしまっても、並み居る妖怪をバッタバッタと薙ぎ倒して来た女なので歴戦の軍人でもない人間の集団くらい簡単にあしらうだろう。最悪妖怪がしれっと紛れていても、相性次第では複数相手もイける。

「ははっ、お可愛らしい御仁でさぁ! いやぁ、悪い悪い。旦那の魅力ってやつをちょいとばかし周りに見せつけてやりたくなっちまってね。なにせ場所が場所でぃ。乳繰り合ってる男客と矢場女に煽られちまって、連れ合いを自慢しようって気になっても悪かねぇでしょう? 何よりあっし、別嬪は下心抜きに好きなんでさぁ。ちやほやすんのは癖ですぜ」

 世の全ての生物が感嘆するに申し分ない美貌を真っ赤に染め上げ喚き立てる佐和乃に、八乙女は悪びれもせず飄々とした言動を崩さない。弁解するどころか、絵ヅラだと追加で口説いている勢いだ。デブ専のブス専なだけに、美人を愛でる気持ちに下心が含まれていないというのは真実である。それでも出会って数分の相手をいきなり『連れ合い』呼ばわりは、男だったらこいつそのうち下心抜きに口説いた女達に背中から刺されて死因に「痴情の縺れ」って書かれるだろうな、と言いたくなるある種のろくでなしっぷりを醸し出していた。
 ひらりと相手の手を離して身軽に距離をとる。あのまま口付けっぱなしだと、いつまでたっても周囲の視線が自分たちから離れない。八乙女はそんなことは些事だと気にも留めないタイプだが、どうやら佐和乃はそうではなさそうだし。あんまりやりすぎるとそっぽを向かれてしまう。上玉は拗ねても上玉だが、むざむざ人を怒らせる趣味は無い。ここいらが切り上げ時だ。

「良いじゃありやせんか、お姫さん。昔のイスラムとかいう国じゃ、『酒姫』って呼ばれて愛らしさと魅力を褒め称えられてた存在は、女じゃなくて美少年だったって聞きやすぜ。つまり野郎だって、可愛けりゃあ姫で良いんでさぁ」

 異国の遥か昔のマイナーな文化まで引き合いに出しての強引な理論で姫呼びの正当性を説き、「そんじゃお姫さん、さっそく調査に行きやしょうか」と口にしてはくるりと踵を返す。とりあえず歩きながら話そうということだ。しゃも鍋屋の旦那も「待っとくれやすぅー」と慌てて八乙女の後を追う。目立つだけ目立って颯爽と去って行こうとする面々を、楊弓場の人々はどこか名残惜しげに見送った。

>咲花佐和乃様&ALL様

【佐和乃さんヒロイン度数たけぇ! 八乙女が父性(仮)に目覚めました】

5日前 No.23

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=nMqLjsjQcP

【照陽 瑠璃/雪月花本部】

一番ケ瀬は特に瑠璃の外出に異論はないらしく、瑠璃の表情を見て疑問をその顔に浮かべた。はっと瑠璃が気づいて緩んだ彼是を持ち直そうとするがもう遅い。どことなく自分の弱い部分を見られたような気がして、なんとなくだが瑠璃は悔しくなった。変なところで負けず嫌いだが、それを表に出すまいとするのが照陽瑠璃である。後ろ向きなところがある彼女はたとえ自分が誰かに対抗したとしても勝ち目などよっぽどのことがない限りないに等しいと考えていたから、あまり自分から喧嘩を仕掛けまいと心掛けていた。特に此処は人智を超した能力を持ち合わせた者たちで溢れているのだから。

「……いえ、隊長殿のおっしゃる通りです」

此処はあまり波風を立てたくはないので瑠璃はそう一番ケ瀬の言に賛同しておいた。彼は恐らく瑠璃の心中など知るよしもない。きっと自分が深く考えすぎていただけなのだ。こんなところまで来て一切相手を責めないのは瑠璃の気性である。本人が口にしないので察されることはないと思うが。

「卜部殿……ですか。既に存じ上げておられるかもしれませんが、照陽瑠璃と申します。以後よしなに」

卜部銀閣、と名乗った隊員に、瑠璃は律儀に自己紹介で返した。あちらは多分自分のことを知っているのだろうが、此処で黙りこくっている訳にもいかないし、そうはいっても話題らしい話題も見つけられなかったのでとりあえず困ったときの自己紹介と洒落込んだ。人付き合いが得意ではない瑠璃なりの打開策である。人の名前を覚えるのは苦手ではないので忘れることはないだろう。何はともあれ失礼のないようにしなくては。そして瑠璃に若干砕けた敬語で言を重ねてきた卜部に、瑠璃は相変わらず仏頂面を決め込みながら返答する。

「別にあなたが嫌という訳ではありません。お手伝いをしてくださるならそれは普通にありがたいと思いますしお心遣いには痛み入ります。……私は見ての通りなんの取り柄もない小娘ですゆえ、少々不快な思いをなさられるやもしれませんが。そういうわけで、私は隊長殿のご提案の通りで構いません。お出掛けの前に軽くご飯を食べてからでもよろしいでしょうか?」

そして一番ケ瀬の三人で行こうか、という提案には吃驚したものの特に反対すべき理由もないのでこの三人で出掛ける案に乗ることにした。人数は少ないよりも多い方が良いだろうし、恐らく二人は自身の護身は平気でやってのけられるくらいの手練れだろう。自分のような小娘が壮年の男性二人を連れて歩くのは少しばかり気恥ずかしくもあったが。

>>一番ケ瀬勹様、卜部銀閣様、周辺all様


【咲花 佐和乃/楊弓場→表通り】

当の八乙女の心情を知るよしもなく、佐和乃は羞恥とまたしてもこの女性らしい容姿のせいでか弱くて非力なお坊っちゃんに見られた(と彼は受け取った)ことに打ち震えていた。比喩ではなく本気でふるふると震えているのである。これを刹那辺りの数少ない友人に見られでもしたら大爆笑されるか町中に流布されるかの二択だ。なぜかいつもいじられたりからかわれたりするのは佐和乃の役所で、彼は少なからずそれを良く思っていなかった。自分だって男だぞ、とやたら主張したがるのはそれもあってのことかもしれない。

「可愛くないっ!そ、それとそうやって誰も彼も口説いていたらどうなるかわからんぞ。夜道にはせいぜい気を付けることだな。いくら明治になったからと言えど、曲者が減ったわけではないからな!」

周囲からの視線に晒されても尚飄々としている八乙女に、佐和乃は彼なりに皮肉を込めて忠告した。相変わらずどこかずれているので端から聞いたら身の危険を案じてはいるが強がってしまうばかりにきつい言い方になっているようにしか見えなくもない。しかし辻斬りに父親を殺されている佐和乃からしてみればこれは八乙女を割りと真面目に心配しているのだ。こいつ本気でそんじょそこらの人間の恨みでも買って死なぬものかとはらはらしている様子である。こういうところにおせっかいでお人好しな面が出てしまっているのだが、佐和乃に自覚がないだけに厄介極まりない。基本的に自分のことには興味があまりないのだ。

「な、そこで異国の話を持ち出すのは卑怯だろう!その理屈だと数代前の時代のお小姓は大体姫ということになるぞ!それから姫と呼ぶな!どちらかと言えばお前の方がそれに見合った顔だろうに!」

颯爽と去っていこうとする八乙女をどたばた追いかけながら、もうしばらくは楊弓場に顔を出すものかと決心する佐和乃であった。恐らくその手の情報をいち早く手に入れた者はすぐに楊弓場に走ってくるかと思うので、彼の判断は賢明と言えよう。だからと言って着物の裾を気にせずに脚を半分ほど飛び出させながら走っていいという理由にはならない。身なりを気にしない佐和乃の脚を見て直ぐ様彼を追いかけようとした好色親父がいたそうだが、どこからともなく現れた甘味処の常連客の手刀を食らって目を回したそうな。

>>小神殿八乙女様、周辺all様


【佐和乃が予想外の反響を呼んでて吃驚です……。佐和乃親衛隊への入隊には特に規定を設けておりませんのでご希望の方は是非(((】

5日前 No.24

生方 @centralsos☆ViS5KK6YBDM ★N9Rsc1snjY_ly4

【三守 椛 / 京都のとある茶屋】

 京都。通り。行き交う人々。そして茶屋。
 店舗正面に配置された長椅子に腰掛け、地に落ちる陽気な日の光に対してくっきりとした境界を作る日傘の影の中で彼女は思った。
 多くの人々が仕事の最中、もしくはこれから労働に汗掻き励もうと言う中、慌ただしさの欠片もなく一人公然と団子を頬張ることのなんと優雅なものか。
 その余りの余裕を見せつける浮世離れした姿。それは西洋的には淑女を意味する「れでぃ」というもの。その余裕は何もしていなくとも自然と笑みを生み出すかのようで、実に晴れ晴れとした気分で団子を一つ、二つ、と食し、茶を啜り、その後深く熱い吐息を吐いた。ふう。見上げる空も青い。身も心も満たされていく。

 ウットリとしながら布で口元を拭く。この小さな手拭い……ならぬ手巾で口をちょこちょこと拭くのも西洋式のようで、優雅さに拍車が掛かる。ああ、自分と来たらまたしても気が付かぬ内に「れでぃ」の仕草を取ってしまったわ。いけない、いけないわね。もうこれは「れでぃ」が染みついてしまっているかのようね。
 …………。
 そんなことを思った直後、拭いた後の手巾に徐に視線を送る。
 醤油タレの茶色は殆ど付いていない。拭き取る前にしっかりとひと舐めふた舐めしたからである。彼女は折角手に入れた洋風手巾に汚れが付かなかったことにホッと胸を撫で下ろした。
 拭いたのは只の格好付けである。拭いた後に汚れの確認するその行為を下品だとか貧乏臭いだとかは、まぁ思わなくもないが、口に付いた甘いタレを舐めずに見す見す拭き取るなどということもしない、というかそんな勿体無いことは出来ない。何しろ誰にも見られていないのだし、団子とは口や指に付いたタレまでが団子であるとは彼女の持論である。今考えたが。兎に角何の問題もない。

 食べ終わったら、串だけ残った団子の小皿を脇に両の手を膝の中央で重ね、少し俯き加減に視線を落とす。
 何とも気品を感じる有る佇まい。通行人の一人二人が思わずこちらを凝視してしまっていたとしてもそうおかしくない。
 これが齢15を超えた大人の女のた・し・な・み。間食一つにも品を感じさせなければ大人とは言えない。そうした思考を持つ自分は間違いなく「れでぃ」。ああ、なんて優雅。

「うふふふふふ」

 着物と同系色で揃えられた頭の上の山吹色のリボンが満足そうに小さく揺れる。尚、通行人が確かに一人二人ある意味で振り向いた。

 だが、そんな「れでぃ」で「大人」で「優雅な」ひと時ももう直終わりを迎えてしまう。
 何故なら彼女は現在進行形で絶賛仕事途中。これは同行している隊員が戻って来るまでのほんの一時の休憩、ほんの一時の至福であった。残念ながら本当の彼女には朝っぱらからこんなことが出来る「れでぃ」の権利は無いのであった。

「は〜あ。報告しに戻るのが堪らなく面倒です。このまま道に迷ったことにでもして道すがら東から西へ、長崎は出島を目指しての蘭学文化修学及び九州漫遊の旅にでもしけ込みたいです。あ、ご店主さん、お団子もう一皿お願いします」

 まぁ、他の人もいるから無理ですけどね。
 願望が願望でしかないことを悟りつつ店主が持って来た代わりの団子を受け取ると、大口を開けて一気に頬張る……のを途中で止めて、おちょぼ口でわざわざ少しずつ食べ始めてみた。
 とりあえず、他隊員が極力遅く戻って来ますように。あ〜ん……パクリっ(やはりもどかしくて大口で食べた)。

>>各隊員様 ALL


【メイン初投稿失礼します。プロフ下部に付けましたように、隊長から妖怪達の動向を探る命を受けて戻って来たという設定です。付近に他の隊員さん(モブ)がいます。この後の流れとして、雪月花の屋敷に戻って隊長への報告前に適当に街をブラつきつつ、何かの流れにそれとなく絡んでいく方針です。隊員の方で、もし入り方に悩んでおられる方がいましたら良ければご利用下さい。尚、その場合細かい内容は決めてませんので捏造して下さい。皆様どうぞよろしくお願いします!】

5日前 No.25

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 小神殿八乙女 / 表通り 】

 追いついたしゃも鍋屋の旦那の先導で表通りを歩く。楊弓場から出る途中、客の一部から妙に敵意のこもった視線が飛ばされているのには気付いていた。が、殺意は込められていなかったので初っ端はスルーを敢行。熱烈な眼差しの送り主が何者であるかは、佐和乃に不埒な手を伸ばそうとした男が速やかに成敗された時点で察した。なるほど。あれが噂に聞く佐和乃親衛隊。話でしか知らなかった珍獣を間近で見られたような妙な嬉しさが八乙女の身を包んだ。向こうにはメンチ切られたものの、こちらはその嬉しさを表現するように最後の最後でウインクと投げキスをかました。佐和乃親衛隊の何某はビビってズザザザザッと十歩ほど後ろに下がったのを覚えている。当然だ。陽気な装いで軽減されているとはいえ、不吉を司る魔女のごとしと謳われた妖しげな雰囲気と顔立ちは健在。そんな女、しかも今の今まで睨み付けていた相手にいきな軽薄なリアクションを返されたのだ。「まさか呪いをかけられた?」くらいに考えても無理はあるまい。好意的に受け取れというほうが難しい。
 さて。佐和乃の忠告通り、これからの人生、夜道は妖怪と曲者たちに加えて口説いた相手からの攻撃にも気を遣うとして。河童らしき生き物の妖気は今のところ感じないな、と辺りにさりげなく視線を配りながら一定のリズムで足を動かす。自分一人ならもっとこう、言い方は悪いが雑で大胆でワイルドな女子力の欠片も無い捜索方法を取ることも考えたが、非戦闘員であるしゃも鍋屋の旦那と佐和乃が同伴しているとなるとそうもいくまい。分類としては、言い方はキツいけど何だかんだ優しくて刺々しい態度の裏に可愛らしさのある美少女ヒロイン(男)と、運動音痴でちょっと走ったらすぐにバテちゃうドジッ子属性持ちだけど家族思いのぽっちゃりヒロイン(男)といったところか。中々のラインナップだ。これはやる気も出ようもの、と、大衆小説の女に弱い主人公みたいな心持ちになりつつ口笛を吹く。どっちも女じゃないとか、そんな極めて理性的なド正論のツッコミは無しだ。世の中、正しい考えより間違った考えのほうが面白いこともたまにはある。

「いんやぁ、あっしが姫ってぇのはちと無理があらぁ。姫の手前に『妖』とか『毒』とか『魔』とか付いてりゃ話は別ですがねぃ」

 頑是ない子供のようにきゃらきゃらと笑って、すれ違い様に自分の懐から財布を抜いて行こうとしたスリの手をさりげなく叩き落とす。みすぼらしい身なりなら銭くらいは恵んでやろうという気になるが、結構良い仕立ての服を着ていたからスリで稼ぎまくっている手練れに違いない。そんな奴にお情けで恵んでやる現金は無いのである。代わりにさっき家で食べて来た飴の包み紙、つまりはゴミを相手のズボンのポケットにねじ込んでおいた。狼戻とまでは行かないが、害を加えて来た相手にはそれなりに意地悪をする八乙女だ。粋やいなせを好んではいても、仰ぎ見るべき人格者にはまだまだ遠い。それを本人も自覚している。

「お曾さんがお嫌だってんなら、お嬢って呼び方もありやすが――と、おや?」

 よく回る口が途端に動きを止め、軽薄な雰囲気がおもむろに剣呑なものへと切り替わる。袖口からしゃらりと音を鳴らして手の平に現れたかんざしは、聖夜の月輪のごとく冴えた淡い金を照り返す繊細な細工の軸に、朱塗り蒔絵の華やかな鈴の組み合わせが調和の取れた、二本の玉簪だった。通常はただの玉である部分を鈴にとっ変えた、品を失わないながらも新しさのある中々デザイナブルな逸品。値段もお手頃で、店ではそれなりに若い御嬢さん方に人気だ。

「式神群舞より二柱招集。是を依代として憑依せよ。『薄雲』。『匂宮』」

 先程までとは打って変わって、さながら閑吟のごとき厳かさと風雅を以てして八乙女の唇から音が紡がれる。同時に、ただ美麗なだけだった二本の簪にあきらかな輝きが纏わりつく。まだ式神として顕現はしていないが、いつでもそうできる状態だ。『薄雲』と『匂宮』。契約している式神の内、源氏物語の巻名から名付けた五十四柱の式神を、八乙女はその使い勝手とバランスの良さからよく呼び出す。今簪に宿らせた二柱は、その五十四柱の中の二柱だ。
 ――つまるところ、八乙女は『何か』を感じて密かに戦闘体勢に入っていた。

>咲花佐和乃様&ALL様

【八乙女は親衛隊にも入っていないのに佐和乃さんに馴れ馴れしいから親衛隊から「ギリィッ」ってされているようなポジションになります。たぶん。でも妖怪相手にドンパチやってる女なので、親衛隊が焼き入れに来ても親衛隊は八乙女に勝てない(妄想)】

5日前 No.26

五十鈴 @isuzu0☆LocDP0eky2k ★NbQEF8QrNY_mgE


【 十神 時雨 / 街中:茶屋 】


 頼んでいた団子とお茶が自分の隣に置かれると微笑みながら礼を言う。今持っている団子を食べきると先程届いた団子の串を持ち、一口頬張ると口の中に甘辛いたれの後に団子のもちもち感が食欲をすする。此処の団子屋もなかなか美味しい。人気の団子屋の団子とはたれも団子の食間も異なり、正直どっちも美味しい。名前を名乗り、団子を食べ進んでいると隣の彼はピクリと肩を動かしたのを時雨は平然ながら見逃さなかった。自分が雪月花と名乗ったばかりに妖の彼は気にしてしまったのか。これは悪いことをしてしまったようだ。でも自分は易々と妖を滅したりしないし、まずできない。


「 そ、そんな顔しないで! 時雨さんはお前さんを滅したりできないし、むしろ仲良くしたい! 」


 笑う翁の面からいつの間にか小面になってしまったので、恐らく雪月花のせいで大変な目に合っていた頃を思い出していたのだろうかと予想はできた。今の自分の思いをそのまま彼にぶつけてみる。仲良くしたいのは本当のことで、もう友達だと彼女は思っている。
 重苦しい空気から彼は話を変えるように旨いだろう、と嬉しそうに言った。確かに人気の団子屋の味に引けを取らない。最後の団子を持って口へ運ぶ。


「 うん! 此処の団子毎日来たくなるぐらい美味しい! 」


 ごくっと口の中を空にして子供のように無邪気に笑ってみせる。彼に話しかけて正解だったかな、なんて思ってしまう。薄々隣からすごい視線を感じて何かと問いかけようとしたが、どうやら団子を見ていたようで女将がそっと団子を持ってきた。それに彼は笑いながら団子を食べた。彼につられるように笑いながら「 あはは! よく見てるね、此処の女将は。 」と最後の団子を頬張る。食べ終えてお茶を啜ると、「 ご馳走様でしたー! 」と両手を合わせる。
 隣の彼は幽桐という京を巡りながら舞や歌を歌ったりする爺らしい。


「 じゃあ、幽桐ちゃんだね。へぇ、舞とか歌歌うんだ……。今後舞とか歌とか見てみたいなー、なんて。 」


 パンっと手を合わせて鳴らすと幽桐ちゃんと呼ぶことにする。舞や歌を歌ったりしそうだなー、と感じながら感心する。純粋に見てみたい衝動に駆られてお願いするように問いかけてみた。

>幽桐様、周辺ALL様

4日前 No.27

藻屑 @96109610 ★ckDnZME2Oh_8gk

【幽桐/街中:茶屋】

幽桐は目を丸くするなぜなら『幽桐ちゃん』などと親しみを込めて名を呼ばれたことなどないからだ。いや名を呼ばれたこと自体が久々な気がしたのだ。
面のおかげでこの間抜けな顔を晒すことはないと安堵するがどうも気持ちが落ち着かない。

「いやすまない、ちゃん付けで名を呼ばれることなど今までなかったものでな」

とは言いつつ内心すごく嬉しがっているのだ。気持ちを落ち着かせるために茶をくいっと飲み干した。
そして気分を得したのか十神の話を聞き入れることにした。

「良い良い、今度とは言わず是非今から披露してみせよう」

よっこいしょ、と椅子から立ち上がるとどこから取り出したのか幽桐の手には桜柄の扇子が握られている。
パンと勢いよく扇子を開き一呼吸置くと辺りに幽桐の声が響き渡る。これは昔自分の主がまだ生きていたころに良く披露した演目だ。
誰かのために舞を踊るなど久しくそして嬉しい。今まで様々な人間に追い回され酷い目にあって来たが…皆が皆そのような輩ばかりではないのだな。
何処からか鈴の音でも聞こえてきそうな舞はしばらく続き茶屋の付近一帯は空から季節外れの桜の花びらが舞い降りてくる。

「……といったところだ。」

場所が場所なだけに少々切り詰めてしまったがまぁ良いだろう。
いつの間にか茶屋の前には人だかりができてしまい軽く祭りでも始まりそうな賑わいだった。


十神時雨様、ALL様

4日前 No.28

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【一番ケ瀬勹/雪月花本部】


照陽の卜部に対する誰だという発言を聞いていたのか聴いていなかったのか知らないが、此方は誰々である、という説明をしなかったのは、単に照陽が隊員の名前を知っていると思っていたからである。つまりは聴き逃していたという事だ。であるから、二人の自己紹介しあう様子を何処と無く不思議そうに見詰めた。まあ知らなかったのなら仕方無い。これで名前も顔も大丈夫だろう。

「そうか。うんうん、朝ご飯は大事だからね」

挨拶への是という返答に良い事だと一つ頷く。食べていないのであれば如何に朝食が大事かというのをとくと説くのだが、食べたのであれば必要無さそうだ。軽いものという注釈は入っていたが、軽いものであっても腹に入ればそれだけで良いものである。と、朝食の事について考えていると照陽がまだ朝食を食べていなかった事を思い出す。丁度彼女の口からも食べて良いかと声が掛かった。

「そうだね。うん、君は朝食を食べると良い。俺達は身支度を整えてこよう。流石にこれでは歩き回れないからね」

もう一度厨房の方を手で示しながら促すと、その手を胸元に置いた。雪月花はその存在を秘としている。雪月花の隊員である事を示す隊服を着たままでは何かと問題が有るだろう。卜部にもそれで良いかと彼の顔を見遣った。
また、一番ケ瀬の提案が受理された事で何の発言もしなかったが、照陽が三人で行く事を拒否したとしても護衛を二人連れて行く事の有意性を一頻り述べた後で否が応でも一番ケ瀬は首を縦に振らせただろう。無理強いはしない。しかし部下に対しては自分の意見は押し通すのが一番ケ瀬である。これがもし自分より上の立場の方だとしたら素直に従っただろう。それでも自分の意見ははっきりと口にするだりうが。


>>照陽瑠璃様、卜部銀閣様、ALL様



【一番ケ瀬さん結構ゲスい可能性が出てきました……】

4日前 No.29

あぶ @abuabu ★TeB3squf21_wNY

 既に酒を、という言葉に、シロは思わず笑ってしまった。ああ確かに、自分はいつでも酔いどれているに違いない。

「そうだねえ、もしかしたらそうかもねえ」

 すぱ、と煙管の煙を吹かし、目じりを細め言葉を続ける。

「こんな酔いどれに、極上の華ときたものだ。酒の見せる夢かもしれないねえ。いやしかし、覚めれば夢、覚めなければ現、胡蝶の夢だのなんだのと、“にんげん”は言うんだろう? ぼくはそういう話、大好きでね。つまるところさ、ぜひその夢のような時間を、きみと一緒に過ごしたいっていうわけなんだけれど」

 シロは彼女の目の前にすいと手を差し出して、小首を傾げて問うた。

「ぼくはシロ。きみの名前を聞いても、美しい御嬢さん? そしてよければ、名乗るのであれば、ぼくと一緒に甘いものでもいかがかな?」

 左手に煙管、右手を誘うように少し揺らして、大仰な自己紹介を終えるとシロはようやっと本題を述べる。甘味とくれば、あの店しかない。まさしく麗しい青年と、まさしく美味極まるあんみつが有名な、シロお気に入りの甘味処だ。たまには酒ではなく朝から甘味を、それもこのような美しい女性と楽しめるのであれば、悪くないどころか大当たりくじもはだしで逃げ出す幸運だろう。
 人々はシロと華のような女性に目を取られ、歩む足を止めている。ひばりの鳴き声とわずかな風切り羽のはためきさえ聞こえるほど、あれほどの喧騒にまみれていた京の花見小路は静寂に包まれていた。
 人の話を聞いているような、聞いていないような、有無を問うような、問うていないような、どちらともない言葉のかけらを笑み浮かぶくちびるの端にそえて、シロはもう一度手を揺らし、彼女を見る。

>>珠簾さま、周辺Allさま


【シロ……おまえいったいなにをしたいんだい……??
 ただ女性を甘味処にお誘いするのにとんでもねえことになって申し訳ないです……
 丸投げみたいになっちゃうの本当にすみません、よろしくお願いします……!】

4日前 No.30

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=nMqLjsjQcP

【照陽 瑠璃/雪月花本部】

雪月花の隊長殿は規則正しい生活を重んじているのだなと瑠璃は改めて実感する。目の前で卜部に朝食は食べたかと問いかけ、是という答えにうんうんと頷いている様子を見れば一目瞭然である。何かと引きこもりやすく、その気になれば食事も睡眠も全て読書に使ってしまいがちな瑠璃とは真逆といっても良い。だからこそ彼は自分に外出の許可も出したのだろう。部屋に籠らないという条件のおまけで。寝起きがよろしくない瑠璃からしてみれば朝食のひとつやふたつを抜いても昼や夜にその分も合わせて摂ってしまえばいいじゃないか、とも思うがこの場所でわざわざ一番ケ瀬に逆らって良いことはないので素直に従っておくことにする。

「……はい、わかりました。たしかに街中を軍服で歩いていては、何かと目立ちますもんね」

身支度を整えてこよう、と告げた一番ケ瀬に、瑠璃は仏頂面ながら賛同の意を示す。ただでさえ瑠璃の洋装も目立つというのに、それに軍服の男二人が加えられたらたまったものではない。妖だけではなく今のご時世に不満を持つ者まで寄せ付けてしまう。まあ瑠璃の故郷はどちらかと言えば江戸に近い多摩の農村なので今の政府を良く思う気持ちは薄いかもしれなかった。此処に連れてこられたということもあるが、それ以前に新政府によって奪われたものも多い。瑠璃の故郷の人間の中にも、新政府との間の戦争で命を落とした者がいる。それゆえに瑠璃もあまり今のご時世を良く思ってはいなかった。

「あの……一応確認しておきたいのですが、お出掛けをする上で行ってはいけない場所、なんてものはありますでしょうか?私としては、街中を見て回ったり、近辺の寺社を訪れたりしたいのですが……」

朝食を取りに行く前に、瑠璃はとりあえず行く場所に指定はないかと確認しておくことにした。さすがに瑠璃の年で賭場や花街に行こうとは思わないが、それでも組織の都合で立ち入りを禁じられている場所もあるかもしれない。向かおうとした直前に引き留められるのも嫌なので、事前に確かめておこうという魂胆である。

>>一番ケ瀬勹様、卜部銀閣様、周辺all様


【咲花 佐和乃/表通り】

自らを慕う親衛隊の存在を知らない佐和乃は、八乙女が突然変な方向を向いて空中に接吻……いわゆる投げキッスをしたことについては特に触れないことにした。常連さんには基本的にきつい当たりはしない(と思っている)佐和乃だが、こちらに害を及ぼすと判断した者に関してはそれがたとえ常連客だろうと親衛隊だろうと容赦はしない。そのためたまに親衛隊の一部が佐和乃をじろじろ見たとかそういう小さい理由で佐和乃に足蹴にされたりすることも少なくはないのだが、それでも親衛隊がなくならないのは不思議なことである。売り上げが伸びるのは良いことだが、逆に佐和乃から足蹴にされること目的でやって来るお客様もいるのではなかろうかと彼の祖母は密かに心配しているらしい。

「そのように自分を卑下していては本当に言葉の通りになってしまうぞ。もっと自信でも持っていればそのうち貰い手も見つかるのではないか?」

自分に姫呼びは無理がある、と言った八乙女に、佐和乃は至極真面目にそう答えた。こいつの場合嘘でもなんでもなく本気で言っているのだから末恐ろしい。お前が言うな、と突っ込まれてしまいそうなこともさらっと言ってしまうために相手から反感を買うことも少なくはないが、佐和乃からしてみれば「せっかく忠告をしてやったのに何故こいつは怒っているのだ」という反応になるので厄介極まりない。……と、八乙女の横をすれ違い様にスリが通りかかったのに佐和乃は気づいた。佐和乃も京に戻ってきたばかりの頃にはよくこういった手合いに苦しめられたものだ。八乙女はなんなくかわしたようだがそれでも佐和乃の不快感は拭いきれない。それもあってか八乙女の少し後ろを歩いていた佐和乃はそのスリに(彼からしてみれば)軽く足を引っ掻けてやった。派手にスッ転ぶスリの男に侮蔑の視線をくれてやってから、また何事もなかったかのように歩を進める。この男はこのようなよろしくない手合いを何よりも嫌うために平然と先程のようなことをやってのける。以前には老婆を狙ったひったくりを追いかけて華麗な飛び蹴りをお見舞いしたり、店内で盗みを働こうとした者の眉間にお気に入りの扇子を投げつけて気絶させたりとけっこう過激な手段を取ることも辞さないのである。そのせいで自分の名前が街中に広まりまくっていることには気づいていないが。

「一介の平民にお嬢はないだろう!まったく、京は国中から色んな奴が集まっているから対応に困る。近江ではこんなことなかったぞ━━━━むっ?」

姫呼びが駄目ならお嬢というのはどうだろうか、と提案してくる八乙女に、懲りることなくいちいち反応する佐和乃。彼は数年前まで動乱から逃れるために隣県の滋賀で過ごしていたのだが、そこでは特に何も起こらなかったらしい。佐和乃が幼かったというのもあるのだろうがこれは今からしてみれば非常に不思議なことだと思う。近江の人間は皆美形に対する耐性が強かったのだろうかと考える者も少なくはないだろう。そんなわけで平穏に過ごせたため佐和乃は滋賀もとい近江をやたら高評価している。
そして様子の変わった八乙女に少しばかり驚きの色を示してから、はっと横にいたしゃも鍋屋の旦那に気づいて彼を守るかのようにその前に立った。八乙女が何らかの特別な職業に就いていることには気づいていたのでここはその手の専門家に任せておくとして、しゃも鍋屋の旦那が自分と同じく一般人であることを今しがた再確認したらしい。自分も妖とかその辺りに関しては一般人だというのに、変なところで働く正義感はそんなことを気にしてはいられなかったようだった。

>>小神殿八乙女様、周辺all様

【スリさんに対して佐和乃が好き勝手やっちゃってます、お許しくださいませ……!瑠璃の外出先は街中でお店巡りになるかと思います】

3日前 No.31

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

【飯綱山葛尾 / 右京区:寂れた廃村】


「あら、お待たせしてもうたか?」

 艶めく雌の声が廃村に響く。木々は立ち枯れ、草は我が物顔で土地を侵食し、建ち並ぶ家々は呼吸もせず眠っている。まるで生気のないこの廃村において、女は異彩を放っていた。タイトなスカートにふんだんに施されたフリルとリボン。胸元と背中を大きく開けたデザインのドレスはしかし、女の日本人離れしたグラマーなプロポーションをよりいっそう際立たせていた。そして何より目を引くのがその目映いばかりの紅色。灰と土気の色合いしかないこの村で、いや絢爛豪華な京の中心にいても彼女ほど目立つ人物はいない。西欧文化が多く入ってはきているが未だ男尊女卑の風潮が根深い明治の頃、ここまで自我を主張する女性がいただろうか。

 飯綱山葛尾。この京都が日の本の中心とされた約千年前からこの地に住まう妖の一人である。妖怪の中でも長命な部類にはいるためさぞかし強大な力を持っているはずと思われるが、その実彼女が扱える技はそこら辺の雑魚でも使える物ばかり。そんな彼女がなぜ日の本一の術師と恐れられた月双刹那の側にいられるのか。

「聞きはりました? 西南戦争で西郷隆盛が切腹したそうやて。穏健派で戦争嫌いの『せごどん』がいなくなれば、いよいよこの国も戦争の時代になりますやろうなぁ・・・・・・フフフ、新政府軍にたんまり武器弾薬その他諸々買うてもろて、ウチらの敵は一番のお得意様や」


 葛尾は刹那の近くに膝を突き、彼の頭をそっと自分の膝の上に乗せた。肉付きの良い太腿がまるで沈み込むように頭を包む。異国のドレスからは京都の老舗で売られている匂い袋の芳しい香りが立ちこめていた。裾が汚れるのも厭わず膝の上の男に面白そうに話をする姿は、遊女の邪さかそれとも母親の慈しみか、並みの男では判別しがたい魔力がある。
 飯綱山葛尾の力とは、人の心を弄び操る力。妖術により無理やり操作するのではない。相手の心の隙を見いだし瞬時に体を滑り込ませ、じわじわと相手を捕らえていく洗脳の達人。その力を応用し築き上げた財力と情報網、力のある妖怪には扱えず短命の人間には到達し得ない葛尾独自の処世術だった。


「何をそない難しい顔しとるん? もしかして、最近新政府から派遣されたっちゅー『雪月花』のことかいな」

 京都で散発的に起きていた妖怪による人間への襲撃事件。それの鎮圧のために対妖専門の術師を集めた組織が『雪月花』。まるで幕末の京都に逆戻りやと、葛尾は肩を震わせた。しかしその中でも一つ気になる情報があった。月双の本家筋に当たる照陽氏の末裔を彼らが囲っているという。そうなると非常に厄介なのだが、葛尾の情報網を駆使しても彼らの人数やら居場所やらはわからずじまい。相当強力な人払いの結界を施していると予想する。


>>刹那様 ALL


【本スレ投稿遅れたこと誠申し訳なく思います。これからよろしくお願いします】

3日前 No.32

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

【躑躅燈籠 雲類鷲/街中】

 平穏平和無味無臭。流れる時はせせらぎの如く。
平穏は好きだし平和も好きだ。人々の笑い声は聞いていてこちらまで楽しくなるし、のんびりと流れる空気には愛おしさすら湧いてくる。蝶のようにあっちへふらふらこっちへふらふら行く宛もなく彷徨う奇抜な格好の男は通行人の視線を引き寄せるが、当の本人は何も気にせず女物の簪をぼんやりと眺めていた。恋人への贈り物を吟味しているようにも見えるが、躑躅燈籠 雲類鷲という男はそこまで愛に溢れていない。どちらかと言われれば爛れた愛を好む男だ。故にこの簪、贈り物という点では確かに違いないが、送る相手はこの間夜に遊んでくれた茶屋の娘である。思ったより楽しかったので礼でもしようと考えたは良いものの、何が良いのかさっぱり検討がつかなかった。自分に似合うものは分かるし、雪月花の面々になにか贈れと言われればそれも迷うことは無いだろう。しかし一夜限りのお付き合いで相手の好みを察することが出来るほど雲類鷲は出来た男ではなかった。

「困って、しまいました」

 元々下がり気味の眉を更に下げ、色とりどりの簪に目をやる。見れば見るほど全て同じものに見えてきたのか瞳には混乱の色すら浮かんでいた。困った顔をしている奇抜な男に声を掛けようか掛けまいか迷っている店員の事など見えていないのか、1人で簪を手に取ってはまた戻すの作業を延々と続けているこの男、傍からならば恋人想いの良い奴に、後ろ姿だけならばただ簪を購入しようとしている女性にも見えるが、ただの不真面目な遊び人であった。


>>ALL様


【本編に書き込むのが凄い遅くなってしまった挙句に今更オール文を出すとかいう暴挙に出てしまって申し訳ありません……。特に誰からも絡まれなかった場合は適当に簪買って雪月花本部に帰って自室で寝かせます!】

3日前 No.33

ライブラ板 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_7FY

【雪月花本部/卜部 銀閣】

「こちらこそ、以後よろしくお願いします」

固い言葉とは裏腹に砕けた調子で言うと、どことなく瑠璃の人物像がつかめてきた気がした。
無理して肩肘張った態度をとっている印象を受けたのだ、さながら見知らぬ人間を警戒している猫のような。
流石にこれを言うと失礼に当たるので口にも態度にも出さない、やはり彼女もいろいろと大変なのだろう。

「それほど肩肘張らずとも大丈夫ですよ、少なくとも雪月花の隊員には気難しい人間はいないので」

警戒している猫の話はしないが肩肘張らなくても大丈夫だと口に出して言ってみる。
言ってみたのは良いが、この言葉は隊長に当てはまるとは限らない、体調だけはイマイチ掴み所がない人だと思っている。
ただ根は善良だと信じている、でなければ隊長職など務まらないだろう、多分。

「それでは、俺も着替えてくるとします、念のために帯刀もしておきますよ
 っとと、ただ出歩く程度なら普通にどんなところでも大丈夫だと思いますが、どうでしょうかね隊長殿?」

背を向けて更衣室に行こうとするが、瑠璃の質問に足を止めて答えるが、自信がないのか隊長にも聞いてみることにした。
流石に機密情報が集まる場所などは当然制限がかかるが、京の町を出歩く程度なら特別入ってはいけない場所はなさそうだが……。
精々人気のない場所ダメかもしれないが、その程度しか思い浮かばない。

「では改めて、着替えてきます」

銀閣はそれだけ言うと更衣室に向かって歩いていく、更衣室で手早く普段着である黒い着流しに着替える。
そして三度笠を被り左腰に日本刀『湖月』を差すと本部の門の前にて二人を待つ。
よく一昔前の浪人みたいな格好だと言われるが、異文化が入り始めた昨今では取り立てて珍しい格好でもない、良くも悪くも然程目立つ格好でもない。

>照陽瑠璃、一番ケ瀬勹、ALL

3日前 No.34

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 小神殿八乙女 / 表通り→鴨川の端っこ 】

 妙な気配さえ感じずあのまま平和に雑談が続いていれば、佐和乃の気遣いの言葉に「いんやぁ、逆でさぁ。あっしは自信が無いから妖姫を自称するんじゃなく、自信があるから冗談半分たぁいえそう名乗れるんですぜ」なんて嘯いていたことだろう。が、そんなIFも妖怪の気配を感じた今となっては断絶された選択肢。目にも綾なかんざし二本は、女がめかしこむための道具ではなく、女が戦うための道具として今この場にある。手の内にある二本とは別の、被く鋭利な玉かんざしが、頭上でふるふると勝手に振動を始めた。アテレコするなら「おっ、戦闘ッスか? 自分出番ッスか? 出れるッスよ?」とかそんな感じだ。他のかんざしと違って、髪に挿しているこの玉かんざしだけは常に式神を憑依させてある。妖怪からの奇襲攻撃や不意打ちに対する防衛手段として。が、今こいつを使う予定は無いのでそのアピールは封殺。出番が無いことを悟ってか、玉かんざしは大人しくただの静かな髪飾りに戻った。お前の登場シーンはいつかきっとあるからそれまで待っていろ。

「お姫さん、しゃも鍋屋の旦那。あっしについて来てくだせぇ。あちらさんがこっちに目ぇ付けたってんなら、今さら離れたほうが危険かもしれやせん。……ただし良い子にゃ見せらんねぇ技をあちらさんにお見舞いする暁にゃ、目ぇ逸らして頂けるとありがてぇや」

 もっとも、今の時点では戦闘になるかは五分五分といったところ。八乙女は姿を見せずに遠方から敵意だけ向けてくる相手に敵意を返す器用なことをしながら、まだ見ぬ相手に恐れを感じていない颯爽とした足取りで淡々と移動してゆく。そうして足を動かすこと数分。辿り着きたるは鴨川の端。かつては権力闘争に敗れた貴族や武将たちが処刑された場所。だというのに、川の水の流れはどこまでも清い。水清ければ魚住まず、などというけれど。綺麗な水辺に住まないのは魚だけで、妖怪ならば平然と住み着ける。敵意は確かに、この方角から飛ばされてきた。殺気だとか敵意だとか気配だとかを読むのは、今は遠い場所にいる師匠との修行の旅でいの一番に叩き込まれたスキルだ。じゃり、と足元の石を草履の靴底が踏みつける。幸い、普段なら水切り遊びなどの興じている子らで賑わうこの鴨川も、端のほうなら大して人気は無い。あるいはこちらに敵意を向けてくる妖怪が、何らかの方法でそうなるよう仕向けでもしたのか。

「――出てきなせぇや。師匠の直弟子たるこのあっしに喧嘩売ったんだ。買わねぇわけにゃあいかねぇが、今なら殺しじゃなく縲絏で勘弁してやれらぁ。だが、こちとら一応は術者名乗ってんだ。そっちが本当に戦う気だってんなら、始まっちまえば手加減はできやせんぜ」

 声には威圧と寛容がある。本当に今すぐ大人しく姿を現し、静かにその身を差し出して来たなら、八乙女は敵意を向けて来た妖怪を滅さず、捕まえて雪月花に突き出すくらいで自分の行動を止めただろう。が、忠告に従うような妖怪ならそもそも遠距離からあんな敵意を飛ばしてこない。それを理解しているから、この忠告は半ば形式上のものだ。八乙女が皮に声をかけて数秒後。とぷり、と鴨川の水面が不意に泡立った。そして河原にまで響いてくるのは、悲哀と色香のこもった艶やで鬱々しげな声。間違いなく女のものだ。

「嗚呼、悲しい。なんと悲しい。自分の恋路を邪魔する者たちを片付けてくれと、そう友から頼まれ力を貸すことに決めましたが。……まさかその敵の中に、このような子供までいようとは。子供を殺さなくてはいけないとは。悲しい……子供を殺すことを悲しいと思えない私の在り方が、とても悲しい」

 麗しのソプラノボイスで嘆きながら、声の主たる女の妖怪は、鴨川から姿を現した。鴨川はそう水位のある川ではない。だというのに、目測で五尺二寸ほどの女がそこから出て来たのだ。妖怪を信じていない者でも、これを目撃すれば相手に薄気味悪さくらいは感じることだろう。そして何より、その容姿がすでに彼女が人間ではないことを物語っていた。ただ喋って、ただ現れただけ。未だ大した身動きさえしていない。だというのに、それは悪魔の誘惑かと思うほどの光景だった。……彼女はそれほどに美しい姿をしていた。星一つ輝いていない夜空のような黒髪と、反対、星が一面に輝くような白さの肌。じっとりと赤く濡れた唇。薄絹の白装束に包まれた身体は嫋やかで、細身でありながらどこか扇情的なシルエットを描いている。魔性を伴い潤んだ黒真珠の瞳が、緩慢な動きでこちらに視線を向けた。同時に、八乙女は俊敏な動きで佐和乃としゃも鍋屋の旦那の視界を遮るように二人の双眸の高さに腕を伸ばす。川から出て来る、妖艶にして美麗な女の妖怪。そういった存在は、えてして目を奪われた者から精気を吸い取る傾向にある。この二人の精神耐性がどの程度かわからぬ以上、まずは二人の視界を遮るのが手っ取り早い。
 ――改めて、自身の恋愛対象が美男美女ではなかったことに感謝する。八乙女の予測が正しければ。この妖怪はきっと川姫だ。

>咲花佐和乃様&ALL様

【ところでなんですけど、八乙女から佐和乃さんへの「お姫(ひい)さん」呼び、あだ名として固定しても大丈夫ですか? 私、特定のキャラが特定のキャラに用いる特定の呼び方、みたいなのが結構好きでして! 駄目なら甘味所の旦那呼びに戻しますので!】

3日前 No.35

春子 @pm300 ★iPhone=jalKlSGKeU


【峯 巴那莉 / 街中】

良い天気の街並みの中で、目に付いた簪店が一つ。彼女は思い付くままにその品に飛びついていた。綺麗な黒塗りを眺めているだけで胸が幸せになってくる......日本の嗜好品もやっぱり大好きだな。そんなことを考えながら彼女は何度も何度もいろいろな簪を見ては戻し見ては戻し、自分にとって最良の品を見つけるために吟味していた。
と、そこに一人の男が。何度か簪をみては何やら困った様子である。
少し風変わりな見た目ではあるが、思い切って声をかける。

「もしよければ、わたし、相談に乗りましょうか?女の子の気持ちはよく分かるつもりよ」

いつものように、人には親切心をがモットーな彼女は一歩前に進み出た。

>>躑躅燈籠 雲類鷲様 / ALL様

3日前 No.36

五十鈴 @isuzu0☆LocDP0eky2k ★NbQEF8QrNY_mgE


【 十神 時雨 / 街中:茶屋 】


 『 幽桐ちゃん 』と呼ぶと名を呼んだことに沈黙が流れ、馴れ馴れしすぎたか、と内心で思ったが時すでに遅し。沈黙がやけに長く感じられて怒られると思ったが、彼は名をちゃん付けで呼ばれることは今までなかったと言った。なんだ、彼は呆気にとられていただけか。ほっと胸を撫で下ろし、怒られる恐怖から安堵の気持ちと嬉しい気持ちに変わり混ざり合う。彼の初めてを取った気分で気持ちが良かった。嬉しい気持ちを抑えられず、思いっ切り笑って見せる。


「 たっくさん幽桐ちゃんって呼んであげるー! 」


 なんて単純な頭なのだろうか。ちゃん付けで名を呼ばれないだけで、先に自分が言ったみたいに誇らしげに言う。中身は年齢にそぐわない子供らしさを発揮する。
 歌や舞が今度見たいと発言したが、彼は椅子から立ち上がるや否今此処で見せてくれると言った。まさか今見られるとは思わなかった彼女は高ぶる心を抑えられず、目をきらきら輝かせピンッと姿勢を正す。まるで手品のように何処からか出した桜柄の扇子に「 おぉ! 」と歓声を上げて前のめりになる姿勢を慌てて引き戻す。パンと勢いよく扇子が開かれ、彼の透き通るような綺麗な声が響き渡る。目の前には優雅に舞を見せ、緩やかな音色の歌を歌う彼に思わず見惚れてしまう。季節外れの桜の花びらが舞い降り、引き込まれそうな雰囲気に息をするのを忘れそうになる。鈴や太鼓、笛の音が聞こえてきそうな舞は多いに周りの観衆を取り囲み、茶屋の前は人だかりができてしまった。


「 ――……綺麗。 」


 舞と歌を終えた彼を真っ直ぐ見つめ、いつもなら騒ぐところが思考が停止したような感覚に陥りポツリと零す。胸がすっとするような、汚いものが流れ落ちたような、そんな感じだった。今度はこっちが呆気にとられてしまう。はっとして拍手をすると周囲の観衆へと渡り大喝采になる。


「 なんだろう……、なんかすごかった! こう、心が軽くなったっていうか! ……あぁ! なんて言えばいいんだろう……! と、とりあえず見惚れるぐらい美しかった! 」


 長椅子から立ち上がって感想を述べようとするが、上手く言葉に出来ずに頭を抱えてしまう。大の大人で語彙力が無いのは哀しいことだが、彼女にとってはこれが精一杯の言葉だった。


>幽桐様、周辺ALL様

3日前 No.37

藻屑 @96109610 ★ckDnZME2Oh_8gk

【幽桐/街中:茶屋】

果たして満足しただろうか、不安げに十神の顔色を伺ってみたが彼女は美しかったと椅子から立ち上がって舞を褒めてくれた。
まるであの時をようだ…と昔を思い出し目を細める。と言っても面の下の顔など相手には分からないのだが今日ばかりはそれがよかったと思う。

「お気に召してくれたか…それはよかった」

面は再び翁のものへと変わり彼が本心で笑っていることが伺える。
とはいえど少し張り切り過ぎたのか普段静かな通りは人でごった返してしまっていた。

「これはこれは、少しばかりやりすぎてしまったな…はは」

今日はこれにて終いぞ。と集まて来た人だかりに向かって身振り手振りで早う帰れと伝える。すると人間はみな蜘蛛の子を散らすように去っていった。
何人かはついでと団子やで甘味などを買っていった、普段世話になっている店の宣伝にはなっただろう。

「女将よ騒がせて悪かったな」

そういうとチャリンと音を立て座っていた長椅子に小判を数枚置いていく。
団小屋には似つかわしくない額だと言えるが幽桐は人間の世の金銭感覚がいまだによく理解ができておらず「金ならまぁ何でもよいか」という考えのもと適当に払っているのだ。
十神と自分の二人分は軽く支払えるだろうと軽いノリで支払いを済ませた後彼女の方を向く。

「良いひと時だった。時雨よ感謝する」

奥で女将が小判に目を白黒させている姿をよそに十神にお礼の言葉を贈る。
嬉しさを現したお亀の面を扇子で少しばかり隠してしまったがまぁ照れ隠しなのだろう…。

>十神時雨様、ALL様

3日前 No.38

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【一番ケ瀬勹/雪月花本部】

行っては行けない場所。そんなものは有るかと問われ果たして有っただろうかと思案する。京には様々な場所が有る。茶屋に簪屋、宿屋に飯処。満腹を求めての飯屋もあれば小腹を満たすだけの甘味処だってあるだろう。色とりどりの着物を売る呉服屋も、最近流行り出した南蛮のものを売る店だってある筈だ。店以外でいえば野犬の居る森や神社なのだろうか。だがどれも、一番ケ瀬や卜部が居れば安心出来る場所だろう。自分達が護衛でも危ない場所はあるかと問われていると勘違いしたままの一番ケ瀬は大丈夫だと判断する。

「うん。無いよ、大丈夫。もし危なくなったら俺が云えば良いからね」

同意を求めるように聞いてきた卜部にも頷きを返す。何が何でも照陽瑠璃を守れと上からのお達しだ。例え一番ケ瀬自身がどうなろうと彼女だけは守り抜くだろう。

「さて、十五分くらいで良いかな? 十五分後に玄関に集合だ。君は支度は出来ているようだし、ゆっくりと食事をとると良い」

早食いは健康に悪いからね、と言い残すと大広間を後にした卜部に倣い一番ケ瀬も一度自分の部屋へと戻る。箪笥を開けるとがらんどうとしているが隊服以外のものが数着入っている。家と本部を行き来する時の為に持ってきていたものだが、他にも役立つようで何よりだ。淡い色合いの着物を取り出すとキッチリと着る。解れも何も無いようで安心した。長い間箪笥にいれていたからか木の匂いが移っている。桐の匂いだ。
可笑しいところは無いかと確認した後、何の変哲もない打刀を佩刀し玄関へと向かう。大広間を後にして玄関まで来るの十分も掛かっていない。五分前行動を心掛ける一番ケ瀬には普通の事だ。じっと立って、照陽が現れるのを待つ事にした。


>>照陽瑠璃様、卜部銀閣様、ALL様

3日前 No.39

花夏 @hana5natu8 ★iPhone=InpUrD91qc

【ツキ/街中 河原】

人で賑わう京の街並は、江戸から明治へと変化する時代に合わせて、その景観を変えた。人が変わり、街も変わる。それが進化なのか、退化なのか……それを決めるのは、いつだって後の世を生きる者達であると、誰かが言っていた。それならば、とツキは、ぼんやりと考える。自分は今をどのように生きていけば良いのか。

「なぁ、一緒に遊ばへん?」

突然のツキの誘いに、まだ10も数えないほどの小さな女の子は、キョトンと首を傾げる。
きっと、余程大規模な戦争でも起きない限り、自分は目の前にいる少女よりも長くこの世を生きることになる。いくら歳を重ねても、彼女達と同じスピードで老い、成長することはない。妖とは、そういう者なのだと、妖から聞いた。

「今日はね、おっかさんと遊ぶの。」

「そうなん?しゃぁないなぁ。ほな、また今度なぁ。」

「うん!またねー!」

さほど残念がることなく、笑顔でヒラヒラと手を振るツキに、女の子も笑顔でブンブンと元気に手を振って、どこかへ走っていった。手持ち無沙汰になったツキは、歩きながら首から下げた小さな巾着袋の中から玩具を取り出そうと、中を覗き込んだ。その瞬間……、

「っわぁ!」

、河原の砂利につまずき、盛大にすっ転んだ。その姿は、さも間抜けだったことだろう。しかも、不幸なことに、その衝撃で巾着袋の中に入っていたビー玉が、ポチャンッと音をたてて、川の中に飛び込んでしまった。

「あーっ!だめだめだめっ!」

すぐさま、ツキもビー玉を追って、勢いよく川に飛び込んだ。バチャンッと大きな音をたてると、ツキは水面に顔をつけて、川底を覗き込んむ。側から見れば、死体が浮いたようにしか映らないだろう。1〜2分ほど、水中でビー玉を探し始めたところで、バシャッとツキは顔を上げる。

「どないしよ……。」

川の中に呆然と立ち尽くし、不安げに眉を下げたツキは、数秒放心してから再び川に顔をつけてビー玉探しを再開した。

【投稿かなり遅れた上に、どう皆様と絡もうか悩んだ結果、絡みづらい絡み文に逃げてしまいました。しばらく絡みがなければ、ビー玉見つけて街ブラします!】
>ALL様

3日前 No.40

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=nMqLjsjQcP

【照陽 瑠璃/雪月花本部】

卜部の、それほど肩肘を張らずとも良い、という言葉に瑠璃は一瞬だけきょとんとしてから、やはりそうきたかと内心ほくそ笑んだ。どうやら目の前の隊員は、瑠璃のことを「突然雪月花に連れてこられて隊員たちに警戒している少女」として見ているらしい。たしかに瑠璃は此処にいる者はほとんど信用することもなく警戒してはいるが、だからと言って無抵抗を貫き通すつもりはない。この伝説の巫女の血を引く少女は薄々自分がなにか大きな計画に巻き込まれそうなことに勘づいている。もとより此処からは一刻も早く脱走する所存なのだから、周りに変に探られないようにとあえて誰とも話すことなく自室に閉じ籠っていた。それを破られたとなってはか弱くて警戒心を鋭く尖らせた非力な少女、という部分を全面的に出していかねばならない。なかなか上手くいくものだと思いつつ、逆に瑠璃は決して油断はするまいと決心した。こんなところで計画が頓挫しては瑠璃が故郷に帰れなくなるかもしれないからだ。

「……ない、のですか。わかりました。移動は皆様の指示に従うことにいたします」

一番ケ瀬によると、特定するような「行ってはいけない場所」というのはないらしい。もしあったのなら彼から直接伝えられるそうだ。さすが雪月花の隊長なだけあると瑠璃は感心する。きっと彼はそんじょそこらの妖ならば瞬殺してしまうのだろう。
15分後に玄関口に集合、ということになり、瑠璃はとりあえず朝食を食べることにした。伝統的かつオーソドックスな日本の朝食。一番ケ瀬の料理の腕前に少し嫉妬してから、瑠璃は律儀に「いただきます」と告げてから咀嚼する。庶民的だが舌に染み渡る味わいに、ふと瑠璃は故郷を思い出した。母は元気だろうか。夫を亡くし、かつ娘も奪われた彼女は瑠璃が出立する前夜、声を殺して泣いていた。母の嗚咽を聞いていた瑠璃からしてみれば罪悪感だとか寂しさが込み上げてきて、彼女も密かに枕を濡らした。じんわりと熱くなった目元を俯くことで隠しながら、瑠璃は朝食を食べ終わる。しっかり「ご馳走様でした」と手を合わせて、食器を厨房に返しに行く。その表情に弱々しさは見当たらず、もとの無表情が戻っていた。

「……お待たせしました。では、参りましょうか」

そして玄関口へ向かってみると、やはり既に一番ケ瀬と卜部が待ち構えていた。二人とも軍服ではなく和装で、街中にいてもおかしくはない格好に身を包んでいる。少し新鮮な気持ちを覚えつつ、瑠璃はそれを悟られないように二人を促した。

>>一番ケ瀬勹様、卜部銀閣様、周辺all様


【咲花 佐和乃/表通り→鴨川の端っこ】

どこか雰囲気ががらりと変わった八乙女に導かれて、佐和乃は人気の少ない鴨川の端っこまでやって来た。もともと近江暮らしが長かったとはいえ、京都の地理にはそこそこ精通している佐和乃である。なんでもかつて刑場の置かれた鴨川の河原には幽霊が出る、なんて噂が流れているのは既に知ったことだ。幽霊なぞいるものか、と強がっている佐和乃だが怖いものは怖い。目に見えるものにならなんとでもできるが、得体の知れないモノほど対応に困る。それゆえに強気だった佐和乃もだんだんと不安になってきた。二の腕を擦りながらも、八乙女としゃも鍋屋の旦那の前では弱味を見せられないために唇を噛み締めて我慢する。

「……!か、川の中から……!?」

そして八乙女の挑発を契機に、不自然に鴨川の水面が揺らぎ始めた。ひっ、と恐怖から佐和乃は息を飲む。しかし自分は男だ、人間二人守れずしてどうする、と自分に喝を入れて震えている足を踏ん張る。まだあちらが自分たちを襲うとは限らない、いざとなれば自分がこの二人を先導して逃げよう……なんてことも考えながら、佐和乃はその妖と対峙する。

「お、お前が何者なのかは知らないが、それほど嘆くくらいなら友とやらを殴り付けて諭すくらいはしてみたらどうなのだ!お前一人が苦しんでいるわけではない、お前に殺された者やその親族も苦しんでいる!同じ苦しみを抱くなら、何故動かない!?それから川の中にいて寒くはないのか!妖だかなんだか知らないが、濡れたままでは寒いだろう!少なくとも俺は寒い!」

一瞬だけその妖の姿を見ることはあったが、八乙女が素早く視界を遮ってくれたのと(恐らく)佐和乃の好みの異性が「自分よりも身長が低くて可愛らしく、素直に自分を見てくれるできれば年下の女の子」だったのが幸いして精神的にどうこうなることはなかった。悲しみに満ちた声を漏らす彼女に、佐和乃は恐怖から後半はどうでもいいところを突きながらも、真意を確かめようと声を上げる。

>>小神殿八乙女様、周辺all様

【大丈夫ですよ!むしろ是非是非お姫さん呼びしてやってくださいな!佐和乃は嫌がってますがそのうちあだ名みたいなものと受け取って満更でもなくなります】

3日前 No.41

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 小神殿八乙女 / 鴨川の端っこ 】

 遅かった。佐和乃は異性の好みが大幅に川姫から外れていたおかげで魅了にかからなかったものの、しゃも鍋屋の旦那はああいうルックスがドストライクだったようだ。川姫の壮絶なまでに美しい姿に、呼吸すら忘れて見惚れている。そのままふらふらと川姫に近付こうとしたので、咄嗟に振り返ってパァンッと盛大な音の伴うビンタをかました。平手打ちの衝撃と魅了が解けた衝撃、ダブルのショックで地面に頽れて頭上に『!?』という混乱の文様を浮かべるしゃも鍋屋の旦那。川姫相手に水辺での戦闘、という状況で人質までとられてしまってはいよいよ進退谷まりかねない。多少乱暴だがやむを得ない処置だ。「何があったんや? 何や今の衝撃は!?」と現状を理解できず慌てふためく旦那に、事実を偽って「衝撃波ですぜ。恐らく敵の攻撃でさぁ」とホラを吹いておく。人を誣いるも甚だしい。精神的に捻じれていない、むしろ真っ直ぐな部類の旦那は、その言葉に疑いも持たず「ひえぇー……衝撃波……」と怯えた様子を見せていた。川姫も己の所業を目の前で捏造されたのに、否定するどころかこちらを睨ることさえしない。ただ、自身の指で自身の黒髪をするすると梳りながら、物憂げな眼差しを水面に落とすばかり。

「嗚呼、悲しい……。正論が己に響かないことが悲しい……。人の子の温かい説教が、私の冷ややかな心を溶かさないことが悲しい……。これ以上、悲しくなる前に。悲しくも、貴方たちを消してしまいましょう」

 佐和乃の上げた声を、けれど川姫はまともに受け取らない。いや。まともに受け取った上で、それでもこんな反応しかできないのかもしれない。随分と難儀な性格の妖怪だ。賢しらな口さえ聞けやしない。川姫という妖怪に悲恋や悲劇に纏わる逸話があると聞いたことはないけれど。それでもマイナスの感情を蟠らせ燻らせているような態度を見れば、彼女の悲観さはこちらを煽るためのものではなく素だと分かる。妙なる琴の音のごとき声が悲しみを謳うと同時。倹しい衣装を花嫁装束のごとく引き立てる艶やかな羽二重肌に、鴨川の水がしゅるりとまとわりつく。八乙女も構えた。寝穢い魚も起きていた魚も、我先にと川姫の周囲からこぞって逃げ出し、運悪く逃げ遅れた魚は逆巻く水の奔流に巻き込まれる。辛気臭い表情は、けれど川姫の麗しさを微塵も損なっていない。忌々しいほどの美々しさと鬱々しさをそのままに、川姫は純白の指先をついと動かした。瞬間、意思持つ蛇のごとく、いくつもの水流が八乙女たち目掛けて襲い来る。戦いで濡れたら帰りに新しい着物を買わなくいけなくなって結構な出費だ、なんて吝い考えをよぎらせつつも、その手は澱みなく握ったかんざし二本を真正面に投擲してみせた。妖しげな、されどまだ稚さを残す顔立ちに、凛然とした気迫が漲る。普くに響かせんとばかりの雄々しさで喉から迸った裂帛に、二本の簪は眩いほどの黄金の光を放った。

「――顕現せよ! 攻式佰漆拾肆号『薄雲』! 守式佰陸拾壱『匂宮』!」

 しかして姿を現したるは、雲の上に乗った仙人のようなヒゲの老人と、ありとあらゆる場所から匂い袋をぶら下げた変わった打掛姿の女。前者が『薄雲』、後者が『匂宮』だ。攻式、守式と銘打たれている通りに、薄雲は攻撃を得意とし、匂宮は守護を得意とする。よってまず動いたのは匂宮。腕を動かすだけでも怠そうな、絹地にたっぷりと刺繍の入った袖を華やかに翻す。すると袖付近の匂い袋が一気にその口を開けて、中から出て来るキラキラとした色彩豊かな粒子たちが眼前に集い壁を作った。匂い袋は女人のお洒落のみならず、魔除けとしても用いられる。“香り”による防御。匂いの濃い場所であればあるほど、匂宮の防御は鉄壁と化す。つまり自分との距離の近い攻撃ほど防ぎやすいのが特徴だ。
 ぶつかり合う水の槍と香りの壁。混ざり合ってまるで香水のようになった水飛沫が周辺へと飛び散り、鴨川一帯を神の園で作られる葡萄酒のように芳醇な香りが満たした。無駄にフルーティーでロマンティックな匂い。すくって小瓶にでも詰めれば新種の香水として高値で売れそうだが、今そんなことをしている暇は無い。続けて薄雲のほうにハンドサインで指示を出しながら、八乙女は視線を川姫に向けたままで後ろの佐和乃に声をかけた。

「お姫さん、できるだけあっしの近くにいておくんなせぇ! できればしゃも鍋屋の旦那の腕でも握っといてくれるとありがてぇや! またあちらさんと目ぇ合ったら、魅了されて向こうに行っちまう!」

>咲花佐和乃様&ALL様

【ありがとうございます! 嫌がられるリアクションも好きだけど、慣れてもはや嫌がられなくなってもそれはそれで『懐かない猫を手なずけた』ような気分になり八乙女も結局は満更でもなくなる。かくして世の中は平和に回る(棒)】

3日前 No.42

篝火 @hijirisaya☆zk2IQ04u3Kaf ★iPhone=XkeM0BuMCW

【珠簾/花見小路】

シロの申し出に花の妖怪はそのすっきりとした印象の垂れ目を丸くした。
高貴や魅惑を見るものに思わせる黄色の瞳も、大きくした目の中にあれば、無邪気な葯の色だ。すると、さっきとは打って変わって子供じみた表情になる。

「あら、甘いものは好きよ」

てっきり朝からやっている奇怪な酒蔵にでも連れて行かれると思っていた珠簾は、年相応の喜びを声の端から滲ませた。
味覚については、妖になってから生まれた感覚で、ようやく甘さを良いものと認識したばかり。正直なところ酒の繊細な風味など、珠簾に理解する自信はなかった。
ほっと安心してシロを見上げる。あんなにざわついていた小路は不思議なことに水を打ったように静まり返っていた。
化かされている。
人間たちはふつり、とシロに興味をなくしていた。幻術か、印象を操作して人間の意識から離れたのか。あまりに自然だったので気がつかなった。
もしかしたら、自分も既に騙されているのかもしれない。そんなことをふと考え、珠簾は感嘆のため息を吐いた。こんな妖が穏健派であるなんて、人間を根絶やしにせんとばかりに息巻く一派が嘆くのも無理はない。

「わたくしは珠簾。同道するわ、シロさん」

すらりと伸ばされた手を取った。
生き物らしい体温を感じる。狐の血はどんな色かしら、と素朴な疑問を頭によぎらせながら、ゆったりと彼に続いて歩き出した。


>>シロ様、周辺ALL様



【短めのレスになってしまいました……! 長ロル不慣れですいません。少しずつ文字数増やしていきたいです。麗しい青年といえば、あそこですね! エスコート&移動よろしくお願いします 笑】

3日前 No.43

狛犬 @nickker8 ★iPhone=kMdxhdSCIo

【月双刹那/右京区:寂れた廃村】


鬱蒼とした廃村に女性の艶めく声が響き渡る。声の主は刹那の元へ歩み寄り彼の隣に腰を下ろすと、彼の頭を自身の太腿へと乗せた。頭に感じていた木面の硬い感触が、全てを包み込むような柔らかさへと変わる。この女性に膝枕をされて喜ばない男はいないだろう。刹那自身も悪い気はしない。


「よう葛尾。相変わらず良い女だな」


翁の能面を取り、素顔を晒すと刹那は目前の相手の名を呼んだ。飯綱山葛尾という名のこの女性はその妖艶な見た目ながら、人間に復讐を企てる刹那達を支える参謀役の妖である。戦闘力は高くない分、人間という存在を深く理解しており人心掌握術や洞察力に関しては最早人智を超えたレベルに達している。情報や資金の提供という面で妖側の貴重な戦力だ。


「国が荒れるのは朗報だ。俺達もその分動きやすくなる。また一儲け出来そうだな。」


嬉しそうに展望を語る葛尾に刹那もまた言葉を返す。妖の存在によって京が揺れ始めたのに加え、人間同士の争いが始まればその揺れは一気に大きくなる。その揺れに乗じれば自分達の目的は容易く果たせる。国の安定が乱れるのは刹那達にとっても好都合だった。


「流石、もう知ってたか。なら俺が来る必要は無かったなぁ」


全く葛尾の情報収集力、そして洞察力には頭が下がる。恐らく雪月花の中に照陽氏の末裔がいる事も知っているのだろう。刹那が今日廃村に来たのはその事を妖達に警告するためだった。だが、葛尾がそこを把握していれば特に問題は無い。わざわざ足を運んだのに無駄足だったと溜め息を吐いた。


「只の術者の集まりなら大した事無いだろうが、照陽氏の末裔がいるとなれば話は別だ。どんな力を持っているかは分からんが、単純な血筋で見れば月双の末裔である俺より強い。一応用心するよう伝えといてくれ。」


葛尾を含む一部の妖には自分が月双氏の末裔であることは明かしている。無論、その先の真実は話していない。力は月双氏当主の頃から衰えていないが相手が照陽氏であればどうなるかは分からない。その照陽氏の末裔とやらが本気で力を向けてきたら、此方側は刹那が本気で迎え撃つしか手はない。それだけ照陽氏の力は強大だった。月双羅刹の頃からその印象は刹那の頭に強く刻まれている。最もその末裔がどれだけ力を継いでいるかは分からないので、未知数な部分が殆どなのだが。



≫葛尾様、ALL

3日前 No.44

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

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2日前 No.45

生方 @centralsos☆ViS5KK6YBDM ★N9Rsc1snjY_ly4

【三守 椛 / 京都のとある茶屋→正面土手下の河原】

「あむあむ……むぐむぐ!」

 最後の団子も串から引き抜き、串に付いた団子の破片ひと欠片まで綺麗に美味しく味わいながら周辺の景色を眺めていた。秋の風は少し冷たくもあるが本日の陽気は仄かに夏を取り戻したかのような眩い日差しが印象的だ。自分以外にも道行く人々の表情は忙しくもどこか穏やかそうで、この茶屋正面の河原を見れば子供が川で無邪気に遊んでいる。

「もう秋だというのに川遊びですか。子供はいつまでも元気に暇を持て余せていて良いですねぇ。羨ましいです」

 などと自分もそれほど年齢が変わらないのだろうに実に上から目線にそんな感想を独り言ちる。おまけに朝っぱらから団子を美味しく頂いて優雅などとのたまっているその姿には、遊ぶ子供を羨ましく思えるほどの忙しさは到底伺えない。

「まぁ私も子供の頃はよく遊びましたけど? 泳いだり、潜ったり、波乗りしたり」

 目を閉じて自分で言いながら「やったやった」と一人で相槌を打つ。思い返す脳裏には幼い頃の自分自身の楽し気な姿とキャッキャッとした声が再生される。ふざけ過ぎて死に欠けたようなことも生きている今ではただの良き想い出に過ぎない。嗚呼懐かしき幼少期。
 そうして懐かしみながら川で遊ぶ子供をしばしじっと眺めていたが、ふと、何か違和感を感じた。

「…………」

 子供が。

「…………」

 動かない(浮かんだまま)。

「って、身投げぇっ!!!?」

 ガタン!!
 一気に立ち上がって、慌てて河原の方へと駆け下りて行った。



「おーーーーいっ!!! ちょっとーーーー!!!」

 声を掛けつつ近くまで来たが子供はまだ動かない。彼是1分2分は経っている。返事の無い子供へ青ざめた顔であわあわと近づいて行く。
 だが、漸く背後まで来たところで子供が突然再び動き出した。
 ザバァッ!!
 びくぅっ!?
 蘇った死体を見たみたいにこちらの体が跳ね上がる。
 見ればそれ自分と同じ程度の背丈の少女だった。子供にしては少々大きい気がする。自分もそれほど大きい方ではないが。もしかしたら大人なのかも知れない。まだ後ろ姿だしはっきりはしないが一先ず少女だとしておく。
 こちらに気が付かない少女が何かを呟いた後に再び水の中に顔を沈めて行くのを見て、改めて数m離れた河原の砂利の上から両手を添えて大声で訊ねる。

「君ーーーー、そこで何してるんですかーーーー?」

 その声は心配そうな声でもあり、一安心後の少し余裕を取り戻してのちょっとした好奇心の混じった声でもあり、何か奇異な物を見たような声でもあり。
 いつもの彼女がしていそうな表情薄めな落ち着いた顔で川の少女の背中を見つめていた。

【初めまして。これは放って置けないなと思い絡んでみました。良ければお願いします!
 尚、待っていた他隊員のことは放置してやって来ましたが、その位置から川の方を見れば椛を発見出来ます。同行していた設定の隊員様方はその際素直に椛を見つけても良いし、サボって逃げたとか兎に角居ないとか思って探さずに移動しても構いません。】

>>ツキ様 ALL

2日前 No.46

五十鈴 @isuzu0☆LocDP0eky2k ★NbQEF8QrNY_mgE


【 十神 時雨 / 街中:茶屋 】


 自分の目の前で舞をしてくれた彼に感想という感想を述べられず、ただこの身に感じたことをそのまま言ってしまったが面は翁のものとなっていた。面が変わったのを見ると「 うん、すっごく良かったよ。 」とにこりと笑いながら告げる。
 茶屋を取り囲むように人だかりができ、彼は困った様に人を追っ払っていた。みるみると人だかりが薄れ、普段の京の街へ戻る。


「 幽桐ちゃん有名になったみたいだね。 」


 先程の観客を見るなり彼は少なくとも京の街に広まるだろう。長く座っていたせいかその場に背を伸ばすように天へ両手を上げて伸びをする。まぁ、やりすぎもなにもこんなに人だかりができるとは思ってなかったので彼の言葉に苦笑いを浮かべる。ついでにと団子を買った人もいるので店にとっては良いだろう。
 そして女将に謝るなり長椅子に小判を数枚置いて行くが一人分の団子の額ではない。まさか自分の分まで払ってもらっているのだろうか、と不安にかられる。せめて自分の分は自分で出したかったが、そう思っている間に『 良いひと時だった。時雨よ感謝する 』と感謝の言葉が来た。なにか感謝されることでもしただろうか、とふと考えてみるが一向に答えが出ない。でもこちとら舞を見せてもらったので五分五分だろう。


「 こちらこそありがとう! ……ま、また会ったら、さっきみたいな舞と歌見せてね! 」


 お亀の面を扇子で隠した姿は照れているのだろう、と予想はついた。続けざまに笑顔で彼に礼を贈る。そして言おうか迷ったが意を決したようにまた舞と歌を見せてほしいと告げる。今度会ったら今以上にすごい舞や歌を見せてくれそうな気がしたから。


>幽桐様、周辺ALL様

1日前 No.47

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=nMqLjsjQcP

【照陽 瑠璃/雪月花本部→街中】

照陽の末裔を見失わないように、または何時如何なる事態に対応できるようにする処置だとわかってはいても、瑠璃は一番ケ瀬や卜部が自分の半歩後ろを歩いていることを不自然に思った。昔はそうでもなかったが、今は男尊女卑の風潮が広まりつつある。女性は男性の3歩後ろを歩くべき、なんて言われているのに自分が二人の前を歩いていては、周囲の目線も気になって仕方がない。瑠璃は咳払いしてから眼鏡を押し上げ、少々言いにくそうに切り出した。

「……あの、できれば、私の隣を歩いてはいただけませんか……?私、京都なんて歩いたことないし、逃げようとか考えてませんので……」

後半は「(いずれ逃げるつもりだけど今は)逃げようとか考えてませんので」ということになるが、まあそこは二人が勘づいている訳ではなさそうなので置いておこう。一番ケ瀬のまずは何処に行くんだい、という質問に、瑠璃はしばし思考を巡らせる。街中を歩きたいが、特に行きたいと思う店はないし、とりあえず行った先で気になる店があれば其処に寄るつもりである。普通瑠璃くらいの年頃の娘ならお洒落や流行に食いついても良いはずなのだが、生憎彼女はそういったものに興味を示すことはなかった。生きる上で必要なのは飯と睡眠と読書、と豪語する娘は全国を探しても瑠璃くらいのものだろう。何かあるとすぐ引きこもるだけのことはある。

「ま、まずは色々とお店を見て回ろうかと思います。こっちに何があるのかとか、そういったことはまだよくわからないので。皆様からしてみれば、つまらない道中になると思いますが……」

雪月花の隊員二人にとっては退屈な道のりになるかもしれないが、そこは付き添いということで我慢してもらおう、と瑠璃は考えた。自分はまがりなりにも照陽の末裔なのだから、少しばかりは我が儘を言っても良いのではないか。そんな思惑を胸に、瑠璃は近づきつつある京の街に少しの期待と緊張を覚えた。

>>一番ケ瀬勹様、卜部銀閣様、周辺all様


【咲花 佐和乃/鴨川の端っこ】

自分には効かなかったらしいが、しゃも鍋屋の旦那には彼の妖の術が効いてしまったらしい。旦那の頬をひっぱたくという力業でそれを断ち切った八乙女に佐和乃は少し驚いた。あまり腕っぷしで解決することはなさそうに見えた彼女だが、こういった場面では手段を選んではいられないということか。今まで散々誰かをひっぱたいたり蹴っ飛ばしたりしてきた佐和乃に人のことを言う権利などないのだが、まあ彼に自覚とか悪気とかそういった類いの感情はないので気にすることはなかった。

「くっ、こいつめ、めそめそする類いの女か……!俺の苦手な手合いだ、まったく……!」

己の言葉が届かない歯がゆさに佐和乃は唇を噛む。しかしそんな悔しさは長くは続かない。八乙女の手にした簪から顕現した神々しい式神に、佐和乃はしばらく唖然としていた。今まで妖などといったこの世にあらざるモノと関わってきたことなど皆無の人間が、突然このような現象を目にしたら言葉を失うのも道理である。現実主義者の佐和乃ならば尚更だ。だが事態は佐和乃を待ってはくれない。飛んでいきそうになる意識を自らの頬をぱちんと両手で張ることで引き戻し、佐和乃は目の前の現実に向き合う。ひとまず、今自分にできることはしゃも鍋屋の旦那を守ること。彼の意識がこれ以上あの妖に向かないようにしなければならない。「おい」と切り出してから、佐和乃はしゃも鍋屋の旦那の手を握る。

「あの妖を見てはならん。八乙女があいつをどうにかするまでは、嫌かもしれんが俺を見ているか目を瞑っていろ。お前には愛すべき家族がいるのだろう?ならばそいつらのために生きて帰ることだけを考えろ。俺は決してお前をあちらに行かせたりはしない。もしまた魅入られたのなら、力ずくでも引き戻してやる」

普段は女性の如く麗しい佐和乃のかんばせだが、このときばかりはしゃも鍋屋の旦那を行かせてはならないと言う使命感と、少しの正義感からかきりりとした精悍な青年の顔を映し出していた。表現するなら若い侍かなにかのようにも見える。とにもかくにもこのときの佐和乃はいつもは見せない男らしい表情を浮かべていたという訳だ。

>>小神殿八乙女様、周辺all様

【平和がいちばんですよ(棒) いつの間にかしゃも鍋屋の旦那がヒロインみたいになってますね……佐和乃は一般人ですので一般人なりに頑張ってるだけなんです、ご容赦くださいませ……!】

1日前 No.48

ライブラ @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_HV3

【雪月花本部/卜部 銀閣】

門の前で待っていた銀閣は一番ヶ瀬や瑠璃とすぐに合流して京の町に繰り出すこととなった。
一応護衛という形になるので半歩後ろを付いていく、例え奇襲を受けようとも返り討ちにできる自信はある。
それを瑠璃は嫌がっているのか恥ずかしがっているのか隣を歩いて欲しいと言う。銀閣は首を傾げるが言われたとおりに隣を歩くことに。
だが瑠璃の言った余計な一言を聞いて心中で見落としていたことに気づいてしまった、監視は『瑠璃が逃げ出さないため』ということも含まれていたことを思い出したのだ。

「分かりました、とりあえず行きたいところはどこで? 俺は京の出身なので案内くらいは出来ますよ」

しかし、本当に行きたいところがないと聞くと案内する側としては困る。
銀閣は脳内で年頃の女子が生きたそうな場所を必死に探してみる、そうだ流行りものの服とか茶屋はどうだろうか?
茶屋は朝飯直後などで後に回すとして、とりあえず近くにある呉服屋を案内してみよう。

「こっちの通りには呉服屋が並んでます、もう少し行けば茶屋や卜部流の剣道場がありますが、朝飯を食べたあとなんでそっちは後に回します、いいですかい?」

この辺りだと大体こんなものか、もう少し足を延ばせば硝子細工のものを扱っている店などがあるが、目的がないならば近くのものを適当に見せて土地勘を付けさせればいいかと銀閣は考える。
余談ではあるが銀閣の実家である卜部流の道場もこの近くにある、昔からある道場なので茶屋が並ぶ通りのすぐそばにあるという結構いい立地に立っている。

>照陽瑠璃、一番ケ瀬勹、ALL

【遅れてすみません、日常ロルが全然伸びない;】

1日前 No.49

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【一番ケ瀬勹/街中】

門前で待っていた卜部とも合流し、無事に県境に位置していた雪月花本部から街中へと繰り出す。途中照陽から隣を歩いて欲しいと進言を受けるもその意味が分からず首を傾げた。見張りだけでなく護衛も兼ねているので半歩後ろを維持しているが、それだけでなく男二人と女一人が横に並んでしまえば道幅を狭めてしまうという周りへの懸念も有っての事だ。卜部と照陽、二人位ならば良いだろうが一番ケ瀬までもが隣に並んでしまえば邪魔になる事は間違いないだろう。このまま横に並ぶ事のメリットが思い当たらず一番ケ瀬は緩く頭を振る。

「余り道幅を狭めても迷惑だろうからね。勿論君が逃げ出すなんて思っていないよ。逃げ出しても必ず捕まえるけれどね」

つまりは一番ケ瀬の頭に男尊女卑等という考えは入っていないのだ。単語こそ知ってはいるしその意味も理解しているが、だから何? と首を傾げるのが一番ケ瀬である。仕事人間の一番ケ瀬に男尊女卑等関係が無いのだった。言ってしまえば、京都なんて歩いたことないし、と枕詞がついた逃げ出す気が無いという台詞も、では歩いた事が有るのなら逃げ出す気が有るのか、と思ってしまう。だからするりと後半の言葉が出て来たのだ。
何処に行くでもなく、見掛けた店に入りたいと言う彼女にではどうしようかと悩んだところで思い出す。
――京都の地図こそ知ってはいても何処に何の店が有るのか全く分からない。
規則正しい生活とバランスのとれた食事。仕事の為にこれを気にかけている一番ケ瀬は寺子屋や道場にこそ足を運べどその行き帰りに寄り道等しないし、間食等以ての外だ。服だって母親が手ずから作ったものや貰い物で済ませているし、そもそも数を持っていない。女性に簪や紅といった贈り物をした事が無いし、連れ立って逢い引きも経験が無い。つまり、娯楽施設にも呉服屋にも装飾品を売る雑貨屋にも行った事が無いのだ。これでは案内のしようがない。

「……済まない。失念していたが、道は分かっても商店の場所が分からない。君にばかり任せる事になってしまうと思う。……ああこんな事なら偵察しておくべきだった……! 済まない瑠璃君、俺が許可を出した事なのに案内も出来ないなんて……!」

この男、本気で悔しがっている。受け賜った仕事は完璧に、を信条としている一番ケ瀬には耐え難い苦痛なのである。なんなら爪が掌に食い込むほど拳を握り締めている。


>>照陽瑠璃様、卜部銀閣様、ALL様


【仕事人間の末路(?)コメディチックになりました、すみません……】

1日前 No.50

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

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1日前 No.51

藻屑 @96109610 ★ckDnZME2Oh_8gk

【幽桐/街中:茶屋】

またいつか舞を見たい。そう言われた幽桐は静かに笑う。
このような妖者に再び会いたいなどと抜かす人間もいるのだな…そう思ったのだ。

「おぉ、よいぞ。それではまたな」

それだけ言い残すと幽桐は人ごみの中へと消えていく。目立つ着物を着ていたのも関わらず彼の姿はいつの間にか消えてしまう。
大変興味深い体験をした。…今のご時世妖者に対して友好的な人間がまだ残っていた。
ましてその者は雪月花の人間であるにも関わらず親しく名を呼び接してくれていたのだから。

「世の中まだまだ捨てたものではないのかもしれないな」

軽い足取りで町中を歩く。今日はとても気分が良い、すきっぷというものを思わずやってみたくなるほどだ。
夕日に照らされる美しい古都を背にぴょこぴょこと鳴れない動きでスキップをしながら面の妖は上機嫌にその場を後にした。

>十神時雨、ALL様

【爺とお話してくださいありがとうございました。ここいらで爺を退散させたいと思います。また是非お会いいたしましょう!】

18時間前 No.52

すずり @suzuri0213☆uVgy9R1pZdc ★Android=nMqLjsjQcP

【照陽 瑠璃/街中】

瑠璃の意図を察してか、卜部は瑠璃と歩幅を合わせて歩くことにしたらしい。道幅を狭めてしまうからか、一番ケ瀬の方はやはり半歩後ろを歩くようだったが、先程よりはおかしい部分はなくなっただろう。それもあってか瑠璃も少し安心したようで、周りを見回す余裕も出てきたようだ。母に連れられて幼い頃に江戸の街を訪れたことはあるが、京の町並みは江戸とはまた違った雰囲気や魅力がある。江戸が喧騒と人情に溢れた華やかな都市なら、京はしっとりと風情を感じさせる古都といったところか。

「じゃ、じゃあ、まず呉服屋さんとか、装飾品の売っているお店を見てみようと思います。京のお着物って、私の故郷でも有名でしたから」

京の出身だという卜部によると、自分たちが今歩いている辺りから通りを挟めば呉服屋や装飾品などのお洒落に関するものの売られている店が多くなるらしい。自分が着るのには興味のない瑠璃だが、美術的な面からそういったものを見るのは嫌いではない。むしろ楽しめる手の人間である。そのため僅かに高揚しているかのような声音でそう答えた。匂袋くらいなら買ってもいいかな、なんて思いながら。

「た、隊長殿……?あの、私、全然気にしていませんから……だから謝らないでください……!そういうのは人によって向き不向きのあるものですから、どうか気に病むようなことだけはお控えください……!」

自分が京の街中をよく知らなかったらしい一番ケ瀬が、どうやら本気で詫びているのに気づいた瑠璃は慌ててそんな言葉をかけた。故郷に帰るためならどんな人間であろうと利用してやるなんて考えていたくせに、こういった事態になると素でフォローを入れてしまう辺り瑠璃もある意味お人好しなのだろう。きっと後々こんな調子じゃ駄目だろう、と自らを責めることになるのだろうが今はまだ彼女にそこまでの考えはない。彼女にとっては目の前のことで精一杯なのだ。

「あ、あそこのお店なんてどうですか!?若い娘さんがいっぱいいらっしゃいますから、きっと面白いものが置いてあるはずです!」

この雰囲気をなんとか打破しなければと、瑠璃は手近にあった雑貨店を指差す。若い女性に人気なのか、きゃいきゃいと甲高い声が聞こえてくる。正直今時の少女がどのようなものを好むかわからない瑠璃だったが、今はそんなことを気にしてはいられなかった。

>>一番ケ瀬勹様、卜部銀閣様


【咲花 佐和乃/鴨川の端っこ】

図らずも佐和乃としゃも鍋屋の旦那がお花畑を背景にしそうな雰囲気を漂わせている間に、八乙女の式神と川姫の戦いは激化してしまっていた。ちなみにこの顔立ちのせいで色々と追っかけられている佐和乃だが、今まで交際をした経験は皆無である。告白紛いの行為を受けたことはあれど、ほとんど佐和乃が取りつく島もないくらいにこっぴどく拒絶するか聞くまでもないと無視するかあまりに酷ければ鉄拳制裁に及ぶかのどれかなのでいわゆる彼女ができたことは一度もない。佐和乃に近寄ってくるのは彼の好みの女性とは正反対のことが多い上にむさ苦しい野郎共がほとんどなので仕方ないと言えば仕方がないのかもしれないのだが。そのため佐和乃の男前な言葉の数々はすべて無自覚である。こうして見てみればこの男、それなりに恐ろしい。時代が時代なら国がひっくり返っていないとも限らない。
そんな中、仙人のようだった八乙女の式神━━━━薄雲という名のお爺ちゃんが突如偉丈夫顔負けのえげつない体格へと変貌し、直接川姫に殴りかかった。その一撃を食らって派手に吹っ飛ぶ川姫。これにはさすがの佐和乃も口をあんぐりと開けて飛んで行く川姫を眺めていることしかできない。

「……お、終わった、のか?」

あまりの決着のつき方にいつもの覇気はどこへやら、口をぱくぱく魚のように動かす佐和乃。どうやら相当な痛手を負ったらしい川姫からは水蒸気のようなものさえ漂っている。端から見ればなぜかこちらがやってはいけないことをしてしまったかのような気分に陥りかねない。佐和乃も実際陥りかけた。

「ま、まだ生きているようだな。本当にあの世送りにするのではないかとヒヤヒヤしたぞ……」

手早く川姫を式神に拘束させた八乙女に佐和乃は恐る恐る声をかける。術者の戦いを見たのはこれが初めてだが、これから他の術者に出会ったとしてもよっぽどの者でない限り驚かなくなりそうである。しゃも鍋屋の旦那のように魅入られないよう薄目で川姫を一瞥してから、佐和乃は静かにことの成り行きを見守った。

>>小神殿八乙女様、周辺all様


【インドア引きこもり娘の瑠璃も戸惑い始めました。楽しい道中になりそうで私は愉しい←
やっと佐和乃の男らしい面を出せてひと安心です……。八乙女姐さんプチハーレムじゃないですかぁやだー((( 】

12時間前 No.53

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 小神殿八乙女 / 鴨川の端っこ→街中・路地裏 】

 飛縁魔然り、雪女然り、絡新婦然り、そしてこの川姫然り。美しいことを武器の一つとする類の妖怪たちは、揃いも揃って顔面だけで村や町の二つや三つは征服できて当たり前とばかりに容姿端麗だ。その分野の極致とも言えるのは玉藻前あたりだろうか。あのクラスになると、町や家どころか国や城を滅ぼす。傾城に傾国とはよく言ったもの。面食いなら秒で落とせる麗しさは、当然、美しい生き物と端から定義されている川姫にも備わっていた。
 だからしゃも鍋屋の旦那がまたうっかり魅了されそうになったのも仕方の無いことで、けれども、今度はギリギリの所で踏みとどまった。酸っぱいものでも食べたみたいに頬を窪ませてプルプルしている辺り、根性で身体全体に力を入れて耐えきっているのだろう。そんなしゃも鍋屋の旦那を差し招くかのごとく、しっとりとした妖艶さに濡れそぼった川姫の眼差しが彼を貫く。それにさえ耐えきろうと頑張ったしゃも鍋屋の旦那の力みと痙攣がますます大袈裟になり、もはやしゃも鍋屋の旦那の今の様子が新たな妖怪や怪談の一種として語られそうなほど震えまくっていた。これ以上頑張ると頭の血管とかがプチッといってしまう危険性があるので、八乙女は川姫としゃも鍋屋の旦那の間にさりげなく身体を割り入れる。

「『川姫』が殿方を誘惑するのを邪魔なさるなんて、酷い御方……。私の種族にとっては、それが義務でお仕事ですのに……」
「そうだとしても、友達の手助けとやらは『川姫』の仕事じゃありやせんでしょうよ。ほら、その綺麗な肌を鞣して革細工にされたくなきゃ、さっさと友人とやらのことをとくと語って下せぇや。なにせこっちも術者としての評判がかかってるんでさぁ」

 憂い顔の美女に脅し文句をかける姿はやはり悪役じみていた。普段の飄々とした笑みではなく凄味の加わった笑みは、漢字表記すると『笑い』ではなく『嗤い』な雰囲気の、まあ要するに空恐ろしいものだ。臈長けた魔女が悲劇のヒロインにやばめの取引を持ちかけている構図にしか見えないが、それでも一応、正義はこちらにある。気弱な人間なら向けられただけで貧血でよろけそうなスマイルを浮かべたまま、手元で執拗にかんざしをジャラジャラさせること三十秒。最初こそ気丈に無言を貫いていた川姫も、奏でられるジャラジャラ音が2ビートから128ビートに至った瞬間に降参した。賢明な判断だ。薄情だとは思わない。友情と目の前の相手への恐怖がせめぎ合った状態でここまで耐えたのだ、この川姫はむしろ妖怪としては友情に厚い部類だ。

「……はい、私に貴方たちを殺すよう頼んだ友人は河童です。嗚呼、友人からのお願いも果たしてあげられないなど、私は悲しい……」
「悲しむのはあっしらが帰った後で好きなだけすれば良いと思いやすぜ。で、殺したがってる理由とか聞きやした?」
「確か……人間の娘に求婚していて、彼女も自分のことを好いてくれているのに父親が邪魔してくるせいで上手く行かないから、父親を殺すしかないのだと……そんなことを言っていた、気がします。悲しい恋です……」
「えぇ……。しゃも鍋屋の旦那、旦那の娘さん河童の求婚にまんざらでも無いんですかい?」
「んなアホなことあらしまへん!! ワシの娘は未だに『ウチ、大人になったらパパと結婚する!』って言うとりますー!!」

 胡乱な表情で振り返ってしゃも鍋屋の旦那に訊ねれば、いきなり元気になった彼は親馬鹿を全開にして全力で「河童と娘、実は相思相愛説」を否定した。というかそもそも娘さんはまだ10歳だし、仮に本当に相思相愛だったとしても、河童の花嫁として送り出すのなんて不安すぎる。現時点で判明している河童の情報は、『女の子へのプレゼントとしてきゅうりと水死体を選ぶ奴』かつ『惚れた女の父親殺しを友人に依頼する奴』かつ『10歳の女児に本気で求婚する奴』だ。こんなやべー要素が三つも揃った相手、例え娘が子供じゃなくったって父親として御免だし、ぶっちゃけ種族が河童でなくともアウトな物件である。それと娘さんが河童に惚れているというのも、この分だと河童の勘違いっぽい。河童いずくんぞ、娘さんの心を知らんや。

「うーん。こいつぁアレですぜ、その河童とやらは勘違い“すとーかー”野郎と見て間違いありやせん。頭の中じゃ何故だか旦那の娘さんが自分との結婚を望んでると思ってて、それを邪魔する旦那と、旦那に味方するあっしらを消すつもりで友人の川姫を嗾けて来た。どうやら随分とおつむのイかれた奴のようですねぃ」

 うんうんと頷きながら、やっと見えて来た河童の人物像を語る八乙女。川姫もその言葉に思い当たりがあったのか、「そういえば、彼は昔から悲しいほどに思い込みの激しい殿方でした……」と悲しげな表情で呟いている。本人のいない場所でボロクソに言われている河童。でも事実なので仕方が無い。さて、事の次第が判明すれば話は早い。さっさとその河童の住処まで行って力ずくで叩きのめし、肉体的にへばったところを事実の突き付けで精神的にもへばらせよう。それでも娘さんを諦めないようなら、その時は残念ながら黄泉の国へお引越しして貰うしかない。大丈夫、八乙女はその引っ越しのお手伝いのプロだ。今まで何件もの実績がある。安心して新居に逝って欲しい。
 もう自分たちを襲って来ることはないだろうと川姫を雲の拘束から解放し、彼女から聞いたその河童の居場所に向かって歩き出す。川姫には鴨川に戻るように勧めたが、彼女は「いえ……河童は私の友人ですので、私も説得しに行きます……これ以上の暴走は彼にとって悲しいだけです……」と言い張って引き下がらなかったので、八乙女も諦めて彼女がついてくることを受け入れた。仮に河童の居場所に到着した瞬間に裏切られたとしても、もう川姫にあれだけの水攻撃を繰り出せるほどの力は残っていない。敵対されてもどうにでもなる。
 全身ズブ濡れの美女を連れて街中の目立つ所を歩くわけにはいかないので、河童の住む沼地に行くまでのルートには積極的に路地裏を使うことにした。恰幅の良いしゃも鍋屋の旦那が、時おり狭い道に挟まってつっかえそうになったりもしたが、そこは川姫が水ですべらせて事なきを得る。このまま誰の妨害も入らなければ、沼地までは歩いて数十分といったところか。式神で空でも飛べばもっと早いが、さすがに真昼間からするにはあまりにも目立ちすぎる。隠密行動も秘匿には大事だ。

>咲花佐和乃様&ALL様

【やおとめの はーれむに かわひめ が くわわった !】

6時間前 No.54
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