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蠱毒戦争

 ( オリジナルなりきり )
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異能力/バトルロワイアル @arthur ★iPhone=AhmZ9fKTc5

蠱毒を御存知だろうか?

中国において誕生した呪術の一つであり、その歴史は殷周時代にまで遡ると言われている。

儀式の内容は至ってシンプルである。一つの壺に様々な虫を閉じ込めるのみだ。

すると当然ではあるのだが、虫たちは飢えて共食いを始める。

そうして最後まで生き残った、虫だか化け物だか分からぬ生き物から取れる毒こそが蠱毒であり、その毒を含めば最後。必ず死ぬ。

しかし、その蠱毒の壺の中身を見たものはいるのだろうか?

これはその壺の中身を見てみようという、悪趣味な試みの一つであるーーー

###

20XX年。I県S町、一つの中学校が廃校されようとしていた。

最後の三年生である3年2組を乗せたバスは沖縄への修学旅行のため、H空港へと向けて進んでいた。

16人の生徒たちはこれからの旅について楽しげに雑談したり、トランプゲームに興じたり、あるいは簡易机に突っ伏して吐き気を耐えている者もいた。

どこにでもある修学旅行のバスである。その和気藹々とした喧騒の中、突如として消えていたテレビが砂嵐を映し出し、不愉快なノイズ音を吐き出す。

甲高い悲鳴を上げたり、咄嗟に耳を塞ぐものなど、反応は様々であったが、この場にいる者すべてが突然の怪現象に困惑した。

しばらくそれが続いて、機械の故障かと疑い始めた頃に、着席した白衣の男が映った。顔には舞踏会にでも赴くような、鼻から上を隠した仮面をつけている。

男の口が動いた。

「失礼。これから君たちには殺し合ってもらう」

車内に妙な煙が燻り始め、生徒たちは次々と眠りに落ちる。あれだけ騒がしかった車内はしんと静まり返った。

バスはもう空港へは向かっていない。

メモ2017/12/11 10:36 : グリーヴァ @arthur★iPhone-CzWLXwFsdu
切替: メイン記事(86) サブ記事 (161) ページ: 1 2

 
 

『試験官』 @arthur ★iPhone=GUHSpLftVs

【北部地域/廃校・教室/『試験官』】

 目を覚ました時には見知らぬ教室に座っていた。外から見える風景はすっかり夕暮れ時のものになっており、大きな観覧車が遠くの山並みを背景にして、寂しげに佇んでいる。
 クラスメイトたちは起きていたり、あるいは数分前までの自分と同じく、机に突っ伏している者も少なくなかったが、徐々に目を覚ましては混乱した様子で会話をした。ここはどこだろう、先生はどこへ行った、突然眠気に襲われたのはなぜだろう、そしてあのふざけた映像はなんだったのだろう。誰もが不安を共用しようとしていたところで、教卓に置かれたハイビジョンテレビが音もなくついた。

 「おはよう。お目覚めはいかがかな?」

 仮面の男と表すべきか、白衣の男と表すべきか。画面には、バスの車内でも現れたあの男がいた。

 「ああ、失礼。私は訳あって名前は明かせないが、まぁ試験監督官……長いか。『試験官』とでも呼んでくれたまえ」

 生徒たちの混乱などどこ吹く風で、流暢に男は『試験官』は自己紹介する。「失礼」がこの男の口癖らしい。

 「これから君たちには殺し合ってもらう。何か質問は?」

 3年2組を現実から引き離した決定的な一言を、改めて試験官は口にした。数時間前と異なるのは、質問の余地が与えられたという点である。

【と言うわけでメイン解禁です!それぞれのロケに書き込みを開始してもらうと言ったな・・・あれは嘘だ。大変申し訳ないのですが、こっちの導入の方がすんなりいける気がしたので、数レスは廃校内で『試験官』の説明を受け、それに対して他のキャラと相談したり、あるいは『試験官』に質問や怒りをぶつける感じになると思います。ある程度のレスポンスがあれば、試験官のレスは投下されるので、無理に反応していただく必要はありません。】

>>ALL

10ヶ月前 No.1

ボブ @ferudhires ★Mcag7Tw3Rv_c1Z

【北部地域/廃校・教室/ボブ・C・スティーブンソン】

『これから君たちには殺しあってもらう。何か質問は?』

バスの中でのんびりシエスタを決め込んでいたと思ったら、何だこりゃ?日本の修学旅行ってのはバイオレンスなサプライズも完備してるのか?
…と思ったが、まさか。いくら何でもこんな得体のしれない仮面野郎とテレビまで用意して、『殺し合い』なんて単語が出てくるサプライズはジョークでも胸糞悪いぜ。

「オイオイオイ、あー、何だ?ミスターシャイガイ?こいつはいったいどういう了見だ?殺し合い?レスリングじゃねーんだ、バトルロイヤルなんて今日日流行んねーぜ?」

そう言って、俺は周りでそれを聞いていたクラスメイトたちを見回し、付け加える。
「大体、俺たちがクラスメイト、家族と言っても良いフレンドたちを殺せるワケがないだろ?ん?さぁ、わかったら大人しく俺たちをバカンスのたびに戻してくれよ。こちとら楽しみであんまり眠れてねーんだ。」

空気を和らげるための大袈裟なジェスチャーも忘れない。なんてったって、これが俺の処世術だからな。


【本編開始おめでとうございます〜。この空気を動かすのはこいつしか居ない!ってことでレスさせていただきますね。では、改めてよろしくお願いします】

>>ALL

10ヶ月前 No.2

洗濯蟻 @arinohito ★iPhone=n7Rebp7mCv

【北部地域/廃校・教室/小發月】


「キャハハハッ!いきなり出てきて何かと思えばマジ超ウケる……って言いたいけどガチでマジで殺し合うワケ?なまらヤッベぇじゃん」

俄かには信じがたいが、バスに乗ってて、眠くなって……見覚えのない教室にいれば否応無しに信じるしかなくなるだろう。いや、何かのアトラクションである可能性も捨てきれないが。こう言う生々しい試験とかテストとか言うのは嫌いだ。頭痛くなるし。

サイズの合わない机に頬杖を突きながら、画面に映る陰気臭そうなオタクっぽい奴を睨みつける。そしてやはり、いの一番に口を開いたのはやはりボブ。さすがボブだ、何ともないぜ。試験官を名乗る男に向かって大袈裟に肩を竦めて見せるボブに横合いから口を挟んだ。

「こう言うの漫画で無かったっけ?ほら、手向かったヤツが一番最初に見せしめで殺されるヤツ!」

質問は許されただけ温情だが、試験官とやらはガチのマジであたしらを殺しあわせるつもりらしい。そこまで考えて自分の体に手を這わし巡らせ、身体に異常がないか確認する。爆弾の腕輪とかギロチン首輪とか付けられてる様子は無いが……何となく、イズい気がする。

「殺し合いったってねぇ、それだけ言われてもやっぱ現実味薄いっつーか?何かビッとくる証拠かなんか無いの?この場所以外でさ」

取り敢えずクラスメイト達を見渡し、仲の良い女子グループの姿を探す。皆、何時もの席順とはバラバラに座らされていた。

>>教室ALL

【本編開始ktkrですわ!】

10ヶ月前 No.3

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【北部地域/廃校・教室/天羽美世】

誰かの話している声が聞こえ、天羽美世の微睡んでいた意識は徐々に覚醒し始めた。寝起きは決して悪い方ではないが、なんとなく体が重い気がしてならない。机に伏せていた顔を上げて、美世は白魚の如き細い指で眠たそうに目を擦った。辺りを見回してみると、クラスメートたちが自分と同じように並べられた机を前にして椅子に座っている。中にはまだ眠っている者もいた。そして正面のモニターに映る仮面の男を目にした瞬間、美世の記憶はフラッシュバックに近い形で鮮明に彼女の脳裏に甦った。

「……なるほど、この方が私たちをここに連れてきたようね」

合点がいった美世に追い討ちをかけるように、仮面の男は『これから君たちには殺しあってもらう。何か質問は?』と口にした。一瞬ぽかんとする美世だったが、その言葉の意味がわからないわけではなかった。取り乱すことも感情を昂らせることもなく、美世はひどく落ち着いて事の成り行きを咀嚼した。理不尽だとは思うし、はいわかりましたと言いたくはない。しかしここで迂闊なことをしたらどうなるかわからない。
この状況で真っ先に口を開いたのはクラスメートの男子生徒であるボブだった。正義感が強く真っ直ぐな兄貴肌である彼は仮面の男の発言を良く思っていないようだ。そりゃそうよね、と美世も彼の意見に内心頷く。するとその後に派手派手しい格好をしたギャル風の女子生徒、小發月が横合いから最初に手向かった奴は見せしめにされるのでは、と口を挟む。たしかにその可能性は捨てきれないし、ここでボブを失うのはクラスメートとして美世も好ましくなかった。それにまだわからないことはたくさんある。美世は律儀に挙手して、モニターの中の男へ質問を投げ掛ける。

「いくつか質問してもいいかしら?私たちはどれくらいの期間、ここで殺し合いをしなくてはならないの?場合によっては食料の問題も出てくるわ。そういった際にはどうしたらいいのかしら?見たところ、ここはかなり寂れているようだけれど」

淡々と、はっきりした声音で美世は質問事項を口にした。とにかくここはできるだけ多くの情報をこの男からもらわなければならない。

>>教室all様

【メイン開始おめでとうございます!】

10ヶ月前 No.4

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

【北部地域/廃校・教室/獅子王妃愛】

 両腕の痺れで目が覚めた。
机に突っ伏すような形で眠っていたらしく、両腕の感覚が無いに等しい。手を開いたり閉じたりしているうちに感覚は徐々に戻ってくる。それと同時に移動中のバスで起こった事を思い出し、額に手を当てて溜息を吐いた。身体はダルいし頭も痛い。妃愛の見落としでなければ修学旅行でこんなイベントは用意されていなかったはずだし、サプライズにしても些か乱暴すぎる。特にバス内で流れた不愉快なノイズと趣味の悪い映像は最悪だった。
 教卓に置かれたテレビから記憶に新しい仮面で白衣の怪しげな男がなにやら話しているところを半分くらい聞き流しながらぼんやりと画面を見つめる。馬鹿じゃねーの、と口からついて出そうになったのをどうにか堪えて唇に手を触れた。口角はいつもと違わず笑みの形を作っていて胸を撫で下ろす。こんな所で放課後みたいな仏頂面をかましていたら今までで確立されてきた余裕溢れる獅子王妃愛のイメージが崩れ去ってしまう。培ってきたイメージを壊す事は避けたいところだ。
 それに、どうせ壊れるなら学校に広まった妃愛ビッチ説の方にして欲しい。周囲からすれば他校の男子3人とお付き合いしている挙句に校内でも男を取っかえ引っ変えしているようなやつは尻軽にしか見えないのかもしれないが、彼女にとっては中学生らしく清く正しいお付き合いをしているつもりだった。

「ちょっとゆえゆえー。物騒なこと言うのやめてくださいよぉ。血とか臓物とか死ぬとか殺すとか苦手でーす。」

 ふと聞こえた友人の「見せしめで殺される」という言葉だけ拾うと、いつもと変わらないような調子で軽く不満を漏らす。殺し合いとか正直全く現実味がなくて、それ故の余裕なのだろう。恐怖よりも自分達の修学旅行を潰された苛立ちの方が脳内を占めていた。
 画面の向こうの男に異を唱えたボブ、次いで質問を投げ掛けた月と美世。その3人に便乗するように、妃愛も薄桃の唇を開く。

「ていうかもし万が一本当に殺し合いとか始まるんだとしたら、か弱い妃愛は相当不利です。この中学生同士の殺し合いとかいう馬鹿みたいに悪趣味なお遊びに平等性はないのかしら? 妃愛、真っ先に死ぬのだけは勘弁なのですよぉ」

 少女らしい甘い声にはたっぷりの毒が含まれていた。艶やかな髪をくるくると指先で遊びながら、画面の向こうの男に笑いかける。夕闇のような瞳の奥は笑っていない。殺し合い。その言葉を口に出したら少しだけ怖くなってしまったなんて、そんな事妃愛が言えるわけもなかった。


>>ALL様



【メイン開始おめでとうございます〜! 中学生(?)な感じになってしまいましたがこれからよろしくお願いします!】

10ヶ月前 No.5

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【北部地域/廃校・教室/今福昇】

ぱちり、と目が覚めた。いつの間に眠っていたのかは知らないが、今福の目覚めは良い方だ。更に言うなら寝付きも良いし知らない内に眠るという経験は殆ど無い。珍しい事もあるものだ、と特に気にせず目を開けると他のクラスメイト達が視界に入る。他の皆も眠っていたりたった今起きたようだったりと今福と似たような状態だ。
なんだろう、と漠然とした疑問を考える暇もなくテレビからバスの中で見た男と同じだと思われる人物が映し出される。試験官と名乗った男は簡潔に要件を述べた。曰く――殺し合いをしてもらう、と。

(意味がわからないよ、殺し合い? なんでそんな事をする必要があるんだ。けどそれを聞いたところで答えてもらえるとは思わないし、何よりあのキャラが理由を問いただすとも思えない)

全員がテレビに注目している今なら、自分の表情は気付かれないだろう。そんな思いがあって素直に不安な気持ちを表情に表す。質問があるかと聞かれても簡単に発言する事は今福には出来なかった。
しかし勇敢にも手を挙げて質問をする女子の姿が目に入り、素直に感心する。彼女が出来る事に、何故自分は出来ないのだろうと自分が情けなく思う。彼女が述べた質問事項に、そういえば自分が疑問に思った事が入っていない事に気が付いて意を決して口を開いた。

「殺し合いか……ふむ、私の暇潰しには持ってこいの余興だが。だがしかし、此処に武器は見当たらぬようだが? この私に相応しい武器は無いのか? まさか女子(おなご)が居る中で殴り合いをさせようとは言うまいな」

目を開いた時に見回した時にそれらしき物は見当たら無かったため少し不思議に思っていた事だ。憮然とした態度で少し威圧的に。声は震えなかったはずだ。思った通りに喋れただろう。机の下で足を組み、頬杖をつく。反対側の手が膝の上で震えている事には気付かないようにテレビを睨みつけた。


>>ALL様




【どぎまぎしつつお邪魔いたします! 頭はいいはずなのにちょっとお馬鹿な演技派な昇くんをどうぞよろしくお願いします】

10ヶ月前 No.6

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 北部地域 / 廃校・教室 / 梅王丸鞘 】

 運が悪い連中の中では、運の良い部類なのだろう。
 目覚めて早々に「殺し合って貰う」なんて嘯かれた時、鞘の脳裏をよぎったのはそんな発想だった。例えばこれが人身売買目的の誘拐なら、「殺し合って貰う」じゃなく「死んで貰う」と言われるはず。わざわざ前者の言い方を採用したなら、少なくともこの中から一人か二人くらいは生還者を出してくれるつもりに違いない。そう思えば、全滅必至の状況よりはいくらかマシと言える。地獄と煉獄の違いなんぞ、天国から堕とされた側にしてみれば苦痛である時点で些細な事だろうが。

(殺し合いか……殺し合いね、うん、無理ッス。残念ながらウチ様じゃあ生き抜けない。仮に生き抜けても心が死ぬ。暗黒の生か朱色の破滅か、どちらにせよウチ様を待つのはろくなもんじゃあなさそうッス)

 寝起きでまだ十全に働かない視界の中、早速クラスメイトのボブが試験官を名乗る男に話しかけるのが見える。こういう場面でさえ臆することなく真っ先に声を上げられるのは彼の強みだ。そして彼の言う通り、『ただの梅王丸鞘』にクラスメイトや友達たちは殺せない。ここにはいない双子の姉の言葉が心の底からそろりと這いあがって来る。――「良いコトを教えてあげるわ、鞘。愚かで愛しい私達の妹。人殺しになれるのはね、良い人と悪い人だけなの。普通の人じゃそうはなれないわ」――。……その言葉を正しいものとするなら、梅王丸鞘という名の己は所詮『普通の人』でしかない。だから殺せない。殺せない以上は、殺し合いで負けるしかない。つまり死ぬしかない。
 死ぬしかない状況なのに、それでも生きたければどうすれば良いか。決まっている。殺せるようになるしかない。『普通の人』でなくなれば良い。自分の心を組み敷いて犯して孕ませて、イかれた新しい自分を産んで貰う。それが間に合わなければせめて別の人間の仮面を被る。自分が自分であるから生き残れないなら、自分以外の何かを用意するしかない。幸い、こんな状況でも心が死ぬどころか心にヒビも入れずにいられそうな人間の都合の良いサンプルを、鞘は肉親に二人も持っている。
 すっと目を閉じて、つぶさに兄姉との思い出を思い返してゆく。梅王丸剣と梅王丸刀。イかしてイかれた双子の兄姉。鞘にとっての生きたトラウマ。胃痛の原因。悩みの種。絢爛たる悪性の化身。血色に輝く明の星。いたずらに人を弄ぶ、無邪気な子供のフリをした邪気ありきの大人。……それでも鞘にとっては、誰よりも強くて苛烈な二人。

(作り上げろ、兄ちゃんと姉ちゃんの仮面を。そして被れ。迅速に。今はまだ寝起きで頭が働いてないから大丈夫だけど、『ただの梅王丸鞘』のままであと数分でも過ごそうものなら……じきに心がやられてくるッス)

 發月の笑い声。美世の冷静な質問。妃愛の能天気な感想。昇の相変わらずの言動。それら全てを聞き流して集中し、己が内に狂人の仮面を作り上げる。――そして三十秒ほどで、閉じた瞼がゆるりと開かれた。そこに輝く悪辣な光は、今までの梅王丸鞘のものではない。兄姉の狂気(イロ)に染まった、殺し合いのために生まれた梅王丸鞘の、不吉な仄光りだ。

「全日本殺戮大選手権、はっじまるよー! ……って感じッスかぁ? 素敵なデートのお誘いだけど、急なのはいただけないッスねぇ。事前に知らせておいてくれれば、制服なんかじゃなくて、もっと楽しい血祭りにピッタリの恰好して来たのに」

 この世に在りし異彩とはかくなるもの。いうなれば魔性。兄や姉がよく浮かべている、地獄の妖花のごときを纏った笑み。それを口元に貼り付けて、鞘は頭の後ろで腕を組み、椅子を傾け、組んだ脚を机の上に乗せた。身体のどこにも震えや緊張は見当たらない。当然だ。そんなまともな反応ができるまともな自分は、ついさっき、心の奥底に閉じ込めた。
 だらしない体勢のままケラケラと笑って、テレビに映った男ではなく窓の外へと視線を向ける。そこに輝く月の眩さに目をすがめ、上機嫌に口笛を吹いた。

「けどまぁ、こんなに月が綺麗なんッスもんね。地獄までデートに行くなら今夜だ! って気持ち、分からなくはないッスよ。あははっ。それで、えーっと……質問でしたっけ? じゃあ、ウチ様的には団体戦か個人戦かが結構気になるッスね。あと何人まで生き残れるのか。殺し合えって言った以上は、皆殺しじゃなくバトルロワイアルなんッスよね?」

>ALL様

10ヶ月前 No.7

@yuzumikan0 ★ePNLIeW1xS_IZy

【北部地域/廃校・教室/花杜 珠緒】

「――ん、ふあぁ…なんでこんな体勢で寝てんだろ、わたし」

誰かの何かを言っている声と俯くように寝ていたのか首や背中の痛みでゆっくりと目を覚ます。欠伸をしてから周りを見渡せば一緒に修学旅行に行っていたクラスメイト達が居た。起きている者も居るがまだ寝ている者も居るようで自分以外にも寝ている人が居るだなんて珍しいこともあるものだとぽけーっとしていたが、ふとここってどこだ?という疑問が生まれる。自分が通っている学校の教室かと思ったがよく見れば違うようだった。そもそも自分達は修学旅行に行っていたのだ、その修学旅行で、眠りに落ちる前に何かが起きたような…

(―――あ、そうだ怪奇現象が起きたんだった。急にテレビが点いて、砂嵐が映されて、それから…)

『おはよう。お目覚めはいかがかな?』

何が起きたのか思い出そうとしてみるもののまだ寝ぼけているのかおぼろげにしか思い出せずにいると教卓に置かれていたハイビジョンテレビが音もなく点く。そしてそこに映し出されたのはバスの中でも見た仮面の男だった。

(そうだ。こいつが映って、殺し合いとか意味わかんないことを言って、それからよくわからない煙のせいで無理矢理寝かされたんだ……みんなも、わたしも)

「…最悪な気分。寝るのは好きだけどこういうのはちっとも好みじゃない」

何が起きているのかわからず、混乱している心を落ち着かせるために軽く深呼吸をしてからハイビジョンテレビに映った仮面の男を睨みながらぼそりと小さな声で呟く。それから仮面の男は自分の名前は訳あって教えられない代わりに『試験管』と呼ぶように言ってきた。そういえばバスの中でも「失礼」と言っていたなと思い出しながらそれを聞いていれば

『これから君たちには殺し合ってもらう。何か質問は?』

と言った。殺し合い。それはバスの中でも聞いた言葉だった。普段だったら適当に聞き流して、寝て終わらせるまるで漫画のような現実味のない言葉がこんな状況だからか恐ろしく感じていたがクラスメイトの内の1人、ボブ・C・スティーブンソンが仮面の男に向かって大げさに肩を竦めている様子を見て、少し落ち着きを取り戻す。他のクラスメイト達も思い思いに質問を投げかけたりしていた。

(他のみんながこうして聞いてるし、わたしまで質問しなくてもなんとかなるでしょ…)

そう思いながらクラスメイト達がした質問にどう答えるのか仮面の男の返答をハイビジョンテレビを睨みながら待つ。


>>ALL

【本編開始おめでとうございます。これからよろしくお願いいたします】

10ヶ月前 No.8

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_IZy

【北部地域/廃校・教室/羽幌涼太郎】

もうすぐ卒業と廃校を迎えながらもこれから始まる修学旅行に対して猛烈に恋焦がれていた羽幌は、沖縄へ進む修学旅行の為に乗り込んだバスの座席で不審全に湧き上がる煙が立ち込む中、ゆっくりと熟睡していた。
そして彼はその際、とある夢を体感していた。その夢の内容は至って単純。いつも通りとしか言いようが無い三年二組の教室にて、これまたいつも通りのクラスメイトの彼女と何故か顔や姿がどうしても見えない得体の知れない男性と楽しそうに談笑していた、と言う至って普遍的な光景がずっと続く謎の夢。しかしその中での羽幌は同じ三年二組の教室の中に立っていながらもただその光景を羨ましそうに眺める事しか出来ずにいた。
しかしすると突然、彼は何も出来ないままに自身の視界は次々と暗転して、やがて居心地が悪かった夢よりもさらに居心地が悪そうで深刻な空気が流れていたどこかの廃校と周りのバスに乗っていたはずのクラスメイトに目を開ける。

「俺は一体……どうして……」

時間は少し戻って、三年二組を運ぶ修学旅行バスはエメラルドグリーンが溶けだした綺麗な海、灼熱と言う名前に相応しい太陽、無限とも言える数の砂粒が広がる白い砂浜、悪霊を追い払う魔除けとして知られるシーサー等が有名であり、修学旅行の行き先でもある沖縄へと羽幌を含む三年二組を乗せてバスは順調に進み出していた。そしてこの沖縄への修学旅行は羽幌の人生にとって決して忘れられない出来事になるはずであった。と言うのも実はこの修学旅行で三年生時から思いを馳せていたクラスメイトの彼女に告白を行う予定であった為である。例え、羽幌の告白に対して彼女の返事が了承してもしなくとも、彼の心にそれは深く刻まれ、どんなに母校やアルバムが懐かしく感じる程に時間が経ってもきっと昨日の様に思い出せるくらい、彼は中学最後の思い出創りである修学旅行にて人生の重要な分岐点、決断を迎えようとしていた。
しかし羽幌は告白する事に修学旅行前日から緊張し過ぎたのか、明らかに寝不足であった。その為、バスに乗る頃にはすっかり独り熟睡しており、バスの異変に気付く事は無かった。そして、彼がこれから彼女に言う予定だった淡い思いを胸に眠っている間、テレビから現れた不快音や砂嵐、その後に現れる煙により、気が付けば羽幌は眠りながらも、バスの座席から、少子化の影響で朽ち果てたと思われる廃校の教室に移動されていた。
そして他のクラスメイトの声等により目覚めた彼は、バスでは無く何処かも知らない謎の廃校にいる事に頭が混乱しながらも、周りにクラスメイトがいると言う安心感のお陰でどうにか不安感を掻き消していた。しかしそれもつかの間、廃校に似合わないハイビジョンテレビからバスに映されたテレビにも現れた自称試験官と名乗る謎の人物が映し出されるといきなり衝撃的なひと言を浴びせられる。

 「これから君たちには殺し合ってもらう。何か質問は?」

あまりに突然だったのと寝起きなのもあり、いまいちこれが現実である事と明らかにこの状況が現実と言う範囲をすっかり越えていた悪夢である事を理解出来なかった。しかしそれに対して色んなクラスメイトが個性的で多種多様な反応を見せる事により、これが紛れもない現実である事を身に染みてしまう。

(そうだ、彼女は……彼女は無事なのか?)

少しずつ意識と精神がこの非常事態を起こしているな現実に一致すると羽幌は急いで好意を持った生徒のみを考え始める。その生徒も自身と同じくこの教室に入って試験官の話を聞いており、とりあえずは無事を確認する事が出来た。そして彼女が生きていたと言う安堵感が過ぎて現れたのは後悔。彼女が襲われている間、ずっと呑気に眠っていた自分に羽幌は苛立ちさえを覚える。

「とにかく、これからどうするか考えないと……」

まず頭に思い浮かんだのは彼女との逃避行。最低、自分を犠牲に逃がしても構う事は無い。しかし其処で考えられるのは彼女が逃避行を拒否する可能性や彼女が他の人も連れて逃避行しようと考える可能性、そして彼女が他の人だけと逃避行する可能性が示唆される事。特に他のクラスメイトに関しては現時点では先程の試験官が発言していた殺し合いについて了承したクラスメイトが存在するかもしれないと言う事で彼女の敵になりかねないと考えていた。するとその時、様々な策を考えていた彼は一瞬にして、とある事を頭に思い描く事に成功する。

(……そう、彼女以外信頼出来る人間等いないんだ)

そんな彼は思い描いていた人生の分岐点とはまた別の歪んだ分岐点へと少しずつ進んでいた。しかしその中でも羽幌は結果が同じ事を祈る。

>>周辺ALL

※警告に同意して書きこまれました (個人情報)
10ヶ月前 No.9

植田奏 @railgun230 ★iPhone=z0FNsBzA5m

【北部地域/廃校・教室/植田奏】
これから行くと思ってた修学旅行に胸を躍らせていた、そんな時に『殺し合いをしてもらう』という、いきなり意味不明の宣告。わけわからないし、なんで修学旅行で殺し合いなんかしなくてならないのか、と、
むしろそんなことする必要ないんじゃと、思って少し勘ぐる様子を見せるが数秒後に重たい口を開いて
「なんでそんなことをする必要があるのか知りたい。それしてなんになるんすか?」
私がなんとかするいや、なんとかさせないととは思うが、ガチで言ってるような感じがする。だから、どうやろうが、するしかなさそうだと、諦めかけてる自身がいて
そう、『殺し合いをしてもらう』と、発言した人をギロりと睨みながらも何もやれない、この事態になってもそれを止められない自身に嫌気がさしてきて
→all

10ヶ月前 No.10

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_KGe

【北部区域/廃校/教室/カレン・グレアム】
 目が覚めると見知らぬ学校の席に座っていて、今から殺し合いをしてもらうなんていう説明を受けている、なんて、まだ目が覚めていなくてこれは夢の続きなのではないか、と一瞬錯覚してしまっても許されるような話ではないだろうか。

 修学旅行に向かうバスの中で眠くなり、そのまま寝てしまったらしいというところまでは何となく覚えている。しかしこのような所に来たような記憶もなく、もっと言ってしまえばバスを降りた記憶すらもない。周囲の反応を見るに、クラスメートの面々も同じらしい。しかし現にこうして、自分自身だけでなくクラスメートの全員がバスの中から“移送”されているのを見るに、何らかの方法で移動させられたのは確実らしい。
 妙に居心地が悪い気がするのは、行われている会話の所為なのか、座っている古い椅子の所為なのか、それとも別の要因が原因か。あるいはその全てかもしれない。

「まるで私(わたくし)たちが殺し合わざるを得ないことが確定事項のような口ぶりと、私たちの手元に武器の配布が行われていないところから推察しますと……私たちを殺し合わせるために、私たちの身体そのものに何か細工でも施しましたか?」

 戦う理由がないだとか、本来覆しようのない男女の膂力の差だとか、そういった事情を排した『試験官』を名乗る男の口ぶりや、恐らく全員が眠り込んでいたことから考えて、『状況を考えればそういう事も出来ない訳ではない』という程度の話ではあるが、問いを放ってみる。例えば寝ている間に麻酔をかけて、体内に遠隔操作ができる爆弾を埋め込むなんてことも、『中学生同士の殺し合い』なんてことを考え付くような外道ならばしでかしてしまうのではないか。

>>教室内ALL


【本編開始おめでとうございますー】

10ヶ月前 No.11

『試験官』 @arthur ★iPhone=zAM8j873l1

【北部地域/廃校・教室/『試験官』】

 いまいち現実味が湧かないのか、3年2組の面々の中にはかえって冷静であったり、あるいは試験官を煽るような態度に出る者が多かった。ある種、それは不安の裏返しのような行動であるかも知れない。程度の差はあれ、ごく普通の家庭で生まれ育った中学生が殆どなのだ。いや、そもそも成人であろうが、平然とこの状況を受け入れられる者がそういるのだろうか。
 十人十色の反応をする生徒たちに対し、試験官はまるで動物を観察するかのようにただ質問の内容を受け取った。

 「乗り気のようで何よりだよ。では、まず君たちの参加する殺し合い……コドクセンソウについての説明をしよう」

 鷹揚に頷くと、律儀に手元の画用紙にさらさらとシャープペンシルを走らせ、生徒たちに見せる。気味の悪いくらいバランスの取れた字で、『蠱毒戦争』と書かれていた。

 「世には超能力と呼ばれる、まだ科学では解明できないとされているものがあるのは知っているね?エスパー、サイコキネシスなど、様々な呼び方はあるが、まぁ人の領域を超えた魔法のようなものだと思って欲しい。私たちはこれの研究をしていてね……そして、ついに一つの完成を迎えることが出来たんだ」

 早くも話の内容は妄想の産物としか思えぬ方向へと展開する。確かに超能力などの未解明を科学的に解き明かそうとする試みは評価されて然るべきではあるが、逆説的に言えば、その成功がどれだけ飛躍的なものかは想像に難くない。それが成ったと言うのは、それこそタイムマシーンが出来たと藪から棒に言われるのと大差がないことだ。
 画面外からひょっとこの仮面をした男が、虫籠を持ってくると、試験官の目の前においた。虫籠といってもただの虫籠ではない。金庫を強化ガラスで作ったらこうなるだろうと思わせるような、特殊なものである。その中にはカブトムシの幼虫にも似た、白長い芋虫が閉じ込められ、ケースの中でひしめき合っている。蜂の巣の断面にも似たその光景はまさしく蠢動の二文字を体現している。

 「この蛭とも虫ともつかぬような生き物……寄生虫なんだがね、私は毒虫と呼んでいる。こいつに寄生された宿主はいわゆるその超能力に開花するんだよ」

 おぞましい小世界をどこか愛おしげに見つめながら、試験官はそう言葉を紡いでいく。

 「だが、いくつか問題点もあった。まず毒虫は人間の体内など、特殊な環境外でない限りは極めて貧弱で、一時間すらも生きられないこと。毒虫同士を共生させるには、一度他人の体内で生息する必要があること。そして、毒虫が体外に出る時は……宿主が死ぬ時のみであると言うことなどだ」

 そこで一度言葉を切る。察しが良くなくとも、この時点でなぜ殺し合いに結び付くかは理解出来るだろう。

 「そこでキミたちには被験者になってもらうことになった。若い命を消費するのは実に悲しいことだが、諸君らの命は決して無駄ではない。むしろ人類史に大いに貢献し、ある種の永劫を得ることになるだろう」

 異常だった。仮面越しからでも分かるほど、試験官は殺し合いが起こることを悲しんでいる。だが、それ以上にこの実験が人命よりも重いものだと信じて疑っていないのだ。

 「では、具体的に宿主はどうなるか、というところを見て頂こうか」

 その時、教室の扉が開いた。二人の人物が入ってくる。一人はおたふくの仮面をつけた軍服の男で、もう一人は3年2組の担任教師である金井育史先生だった。
 金井先生は痩身で、普段からして血色は悪かったが、今はそれこそ血液すら抜き取られたように蒼白になっている。人の良い国語教師だったが、今の彼に愛想の良い笑顔は浮かべられないだろう。
 『おたふく』の手にいつの間にかカミソリが握られていた。物を取り出すような動作は一切していなかったにも関わらずである。おたふくを注意深く見ていた者は気づいただろう。まるで空気中の埃か何かでも掻き集めたかのように、カミソリが文字通り生成されたことを。
 おたふくはカミソリを振るって、金井先生の喉元を切り裂いた。真っ赤な血が円を描くように飛び、最前列の席に座っていた生徒たちを濡らす。反射的に叫び声を上げたり、硬直した者までいた。
 金井先生はその場に膝をついて喉を抑える。何か言おうとしていたが、ひゅうひゅうとすきま風のような音が切り裂かれた喉からするのみで、要領を得ない。ただ蒼白だった顔面は逆に紅潮し、額には滝のような脂汗が浮かんでいた。

 「さて、人間なら致命傷ではあるが、毒虫は出来る限りで宿主を生き永らえさせようとする。ほら」
 「や、やめて……くれ……」

 ひどいかすれ声ではあったが、言葉を発せるくらいには回復したようだ。

 「ただ、これは致命傷の時のみだと思って欲しい。毒虫としては宿主に寄生して栄養をもらいたい訳だから、その逆をしょっちゅうやっている訳にはいかないだろう?」

 それこそ骨折や病気程度では、せいぜい治りを早くする程度のものでしかあるまい。

 「では、次にどれだけのダメージを与えれば、死に至るのかを検証したいと思う」

 それを聞いて、金井先生の顔が絶望の一色に染まった。

【詰めてもだいぶ長くなってしまった。答えていない質問の方が多いですが、それらは次やその次のレスで行います。早く殺し合いさせろやとお思いでしょうが、もうちょっとだけお付き合い下さい・・・あ、ちなみに金井先生の血に濡れたかどうかは各本体様にお任せします!】

>>ALL

10ヶ月前 No.12

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

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10ヶ月前 No.13

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【北部地域/廃校・教室/今福昇】

コドクセンソウ、と聞いて今福が最初に思い浮かんだのは孤独、であった。殺しあってもらう、と言われているしそうであったらクラスメイトは全員敵となる訳だから間違ってはいない。嫌に整った蠱毒戦争の字を見て、今福は背筋が凍るような嫌な予感がした。というのも、蠱毒という言葉に聞き覚えがあったのだ。
中国で使われる呪術の一つであり、壺の中に虫を何匹も入れ、生き残った一匹に猛毒が宿るという。そう、生き残った一匹。

(蠱毒と同じ事を俺達でやろうとして、蠱毒戦争と名付けているのなら、だったら俺達は誰か一人しか生き残らないのか……?)

自分が何故この知識を持っているのか、過去の自分を恨んだ。知らなければこんな予想はせずに済んだのに。冷や汗が浮かぶ。背筋に脂汗が滲んで伝ったのが感覚で分かった。
試験官は生徒から投げられた質問の全てを答えなかったが、今福が問うたどうやって戦うのか、という質問には答えを示した。恐らく自分達の体にはもう毒虫が入れられていて、それに呼応して目覚めた超能力というもので戦え、という事なのだろう。一体自分にはどんな能力が目覚めているのかは分からないが、蛆のような蠢くものを見て、今福は気持ち悪いとただ思った。
具体例と言って教師を連れて来た時には嫌な予感しかしなかったが、どうか勘違いであってほしいと平然とした態度を崩さず見守っていた。しかし予想通り致命傷を与える行動に、今福は反射的に目を閉じた。びしゃり、と大量の液体がかかる音がする。周りに気付かれないように深呼吸をして意を決して目を開けると、目の前は血の海だった。幸いにも今福が座っていた場所は後方であり血塗れになる事態は避けたが、それでも目の前の光景に卒倒しそうだった。

「せ、せんせい……」

思わず震える声で呼びかける。次にはハッとして口を閉ざしたが聞かれていなかっただろうか。頬杖を付いていた腕は解き、いつの間に机の上に腕を乗せていた事に気が付いた。自分でも分かるくらい手が震えている。それを抑えるように両手をぎゅっと握ると机の下に隠した。その間にも試験官は次の段階に移ろうとしている。曰く、死に至るには、と。

(どうする、どうする? 『私』なら何て言うんだ? どんな行動をするんだ? やめろと叫ぶか? 『私』に合う言葉が見つからない。割って入るか? 此処からじゃ遠い。間に合わない! どうする? どうする!? 考えろ、考えろ……!)

考えたって分かるはずもない。こんな状況に陥るなんて想定していないし、キャラ付けされた今福だって元が考え付かない事を出来る訳もない。ぐるぐると思考が回る中、時間だけが過ぎていく。



>>ALL様

10ヶ月前 No.14

ボブ @ferudhires ★Mcag7Tw3Rv_c1Z

【北部地域/廃校・教室/ボブ・C・スティーブンソン】

ボブの言葉に続いて幾人かの生徒が声を上げる。ボブを驚かせたのは何よりもその中にこの状況に肯定的な、これから自らに降りかかるであろう生活を共にしたクラスメートとの殺し合いという非現実的かつ、『少なくとも彼にとっては』受け入れがたい現実を受容する声が少なくない事であった。
これは本当に現実のことなのか、声は無機質な文字列となって頭の中に入ってくる。コドクセンソウ。できの悪い三文小説のタイトルのようなその言葉の意味を理解したのは、いつの間にか教室に入ってきたおたふくの仮面の男が担任の喉を切り裂いた後だった。


「――ッ!」

初めの試験官の言葉にいち早く反応し、前に出ていたこともあり、担任の頸から噴き出た血がボブのシャツを濡らす。それが彼を現実に引き戻した。

ボブは動くことができなかった。当たり前だ。いくら軍人の息子とはいえ、死をここまで近くに感じたのは初めてであるのだから。
ふと、担任を助けることができないかどうか、という問いがボブの中に生まれたが、それに即座に答えが出た。無理だ、と。担任を伴ってやってきた男は顔こそふざけた仮面で覆っているものの、その体つきや所作はまさしく軍人のそれであった。少し鍛えた程度の自分ではなすすべもなく伏せられてしまうだろうことは火を見るよりも明らかだった。

最悪だ。誰に言うともなく一人ごちる。それらしい理由をつけて担任を見捨てようとしている自分も、この悪趣味な催しを企画したどこかの誰かにも、同等に腹が立った。


>>ALL

10ヶ月前 No.15

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【北部地域/廃校・教室/天羽美世】

試験官と名乗る仮面の男は、あちこちから挙がった質問を一通り聞くと、手元の画用紙に不気味なほど整った文字で『蟲毒戦争』と書いた。蟲毒、という言葉は美世も聞き覚えがあった。詳しくは知らないが、なんとなく概要はわかっているつもりでいる。そのため試験官の説明もすんなりと理解できた。要はこの敷地に自分たちを閉じ込め、殺し合わせるという訳か。簡単に言ってはくれるが、美世からしてみればそれは理不尽以外の何物でもない。しかも試験官によると、自らの体内には彼の持つ虫籠……にしてはやけに頑丈そうなケースに入った蛭とも芋虫ともつかない生き物が植え付けられているというではないか。

「……厭ね」

美世の口から出てきたのはそんな言葉だった。この気持ちの悪さをなんとかして言い表したかったが、それはあまりに形容し難く、また美世の語彙力が思考に追い付かなかった。そのため今の一言はほぼ美世の本心と言っても差し支えはないだろう。
と、次いで教室に二人の人物が入ってきた。おたふくの面をつけた軍服の男と、見間違えるはずもない担任の金井先生。嫌な予感はしていた。しかし美世は成り行きを見守るしかできなかった。おたふくの男は剃刀をどこからか持ち出すと、それを躊躇いなく振るって金井先生の喉笛を掻き切った。美世の口から咄嗟に「先生っ……」という掠れた小さな声が飛び出る。前の方の席に座っていたからだろうか、真っ正面ではなかったため直撃は免れたが美世の白い頬に血潮が散った。少しの間声も出せずにいた美世だったが、試験官の言葉ではっと我に返る。まず沸き上がったのは静かな怒りであった。声を荒げることも暴力に訴えることもなく、彼女はおたふくの男を鋭く睨み付ける。美世は至って落ち着いているように見えるが、実際彼女の足は小さく震えていた。つまり美世も恐れているのだ。それでもおたふくの男を睨み付けたのは、彼女の精一杯の抵抗なのだろう。

「……きっと罰が当たるわ」

それは罪なき金井先生を傷つけたおたふくの男へか、この状況を作り出した試験官へか。はたまたこの状況に対して何も出来ない自分自身への言葉なのか。美世の小さな呟きはぞっとするほど静かで冷たい。それが聞こえた者は果たしていたのだろうか。

>>all様

10ヶ月前 No.16

CSP-8440 @masaq4480 ★JetEFjcaS1_c1Z

【北部地域/廃校・教室/宮沢治】

 何か液体が流れ落ちるような音で目が覚めた。眠気で重たい頭を何とか持ち上げるとそこはいつもの教室だった。目の前には先生が二人立っており、教室内ではいつものようにみんなが馬鹿のようにはしゃいでいる。

なんだいつもの光景か。

 そう思い再びうつぶせの状態に戻る。……しかし途端に頭の中で様々な疑問が沸き起こった。なぜ教室の中で水が流れ落ちているんだ?なぜ修学旅行に行かずに教室にいるんだ?なぜ先生が二人いるんだ?なぜ皆のはしゃぎ声がこんなにも悲鳴的で、混乱的で、罵倒的なんだ?なぜ僕はいつもの席ではなく別の席に座っているんだ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?……。そして一番の疑問は、なぜ血の匂いがこんなにもするかだ。血の匂いは犬を(趣味で)解剖したことがあるのでよく知っている。特に大量の血が流れたときの匂いははっきり分かる。問題はなぜその時と同じ匂いが教室内を漂っているのか?頭が大量に膨れ上がるwhyで破裂しそうだった。
 疑問符で破裂しそうな頭の痛み堪えながら恐る恐るゆっくりと顔を上げた。そしてその直後に顔を上げたことを心底後悔した。
 そこは明らかにいつもの教室ではなかった。教室によく似ているが、窓はあちこちが割れ、黒板は半分以上が剥がれ落ち、電灯は切れかけているのかパチッパチッと音を立てながら点滅していおり、だれが見ても明らかな廃墟であった。そして視線を前に移すとそこにはさらに理解しがたい光景が目に映った。二人だと思っていた先生は「おたふく」の仮面をした男と喉を掻っ切られた本物の先生だった。足元を見ると先生の首から飛び散った血がべっとりとズボンの左足部分を濡らしていた。
 そんな地獄絵図を目の当たりにし脳内がパニックになり思わず吐きそうになった。疑問を解決するために顔を上げたはずなのに、解決するどころかさらに様々な疑問が頭にこみ上がって来ている。

「……これは悪夢だ」

 一人小さくつぶやくと再び机にうつぶせになった。「犬や猫の解剖などをしたからこんな血生臭い夢をみるんだ」と自分に何度も何度も言い聞かせると、ガタガタと肩を震わせながら何かに祈るように目を固くつぶった。

>>all


【なんだこのヘタレ(素)
遅くなりましたが本編開始おめでとうございます!】

10ヶ月前 No.17

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_IZy

【北部地域/廃校・教室/羽幌涼太郎】

羽幌の不安定な心情の如く今にも散り散りに崩れ落ちそうな廃校の教室は、相変わらず個性的なクラスメイトの数だけ空気は幾つにも割れる程に複雑ながら、異様な状況からか廃校に舞い散る埃さえその空気の重さに耐えられずにどこまでもクラスメイトの根本に続く単純に沈み始めてしまう。そんな日常ながら複雑で異様ながら単純な状況で、まさかの色恋沙汰を気にするある意味彼自身も独特の思考回路を持つ羽幌であったが、それ程に彼女を大事に思っていた事とまだこの事態をしっかりと頭に受け入れていない、受け入れたくない事が影響しており、こんな現実を見せられても頭の中ではこの状況において直、愛の逃避行等と言う妄想に近い淡くて脆く、そして夢の如く美しい理想を描いていた。

 「乗り気のようで何よりだよ。では、まず君たちの参加する殺し合い……コドクセンソウについての説明をしよう」

蠱毒戦争。試験官は見慣れない漢字で四文字の単語を書き出し、クラスメイト達の前で淡々と見せ始める。まだ説明すらされていないのに、戦争と言う言葉を聞いただけでどうしようもない恐怖が煽り、想像すら出来ない不安も襲って来るのが自分でも分かる。それでも彼女を守りたいという気持ちは揺らぐ事が無かった。ただし依然として殺し合いについては未だに現実味を帯びる事が出来ないのか、彼女を守る事だけは決意出来てもそれ以外については何も考えられる事は無かった。それだけ余裕は全く無かった。それでも必死に、自身の運動神経、戦闘経験、スタミナ等を考え、他のクラスメイトと敵対する場合に誰が一番性格的に考えて危険なのか、複数で来られると困るグループ等を一通り確かめる。

(しかし猫を被っている奴がいるかもしれないと考えるとやはり彼女以外は信用しない方が……)

だが、同時にこうして友達やクラスメイトとの殺し合いについて考える度にこれが現実である事を信じたくはなかった。実際にこう言った殺し合いが行われるのかと考えると、本当に恐ろしくて思考回路が硬直してしまう。

(何で俺は友達もいるクラスメイトの事をどうして……。いやこれも彼女の為なんだ……)

そう考えた彼は頭の中を過っていた、クラスメイト全員で協力して此処から脱出する方法を考えたが一旦取り止めてこれから説明を始める試験官の話を再び聞く事にした。

 「世には超能力と呼ばれる、まだ科学では解明できないとされているものがあるのは知っているね?エスパー、サイコキネシスなど、様々な呼び方はあるが、まぁ人の領域を超えた魔法のようなものだと思って欲しい。私たちはこれの研究をしていてね……そして、ついに一つの完成を迎えることが出来たんだ」

続いて試験官が話した内容はある意味殺し合いよりも信じられない内容であった。遂に全く理解が追いつかない羽幌の頭は混乱を極め、試験官は何かの洗脳実験を行っているのかとさえ思ってしまう。何が真実で何が嘘なのか。そして誰を信じ、誰を疑い、誰を殺し、誰を救えば良いのか。出来ればこれは夢であってほしい等と羽幌は思い、あの平和的であったバスを必死に恋焦がれるが特に何も変わるはずも無く、日常さえも望めないこの現状に彼は心の中にてとてつもなく大きな不安を孕んでしまう。だが、いずれはこの殺し合いを受け入れなければいけない。この罪悪感に怯えた手で青春の一ページを共に沖縄で刻むはずだった友を殺めなければならない。全ては誰かを殺してでも自分の命を生き残らせる為なのと、その命を捨ててでも彼女を守る為に。
血に塗られたこの非情な現実に少しだけ身を寄せて受け入れてみる。此処から後一歩踏み入れれば決して人間として戻る事は無い。ただし殺し合いから彼女を守る為にはそして生きる為にはこの超能力での殺し合いと言う現実に踏み入れなければならない。もはや現時点で彼女以外の全員が敵だと考えないと死んでしまう。そう、本能が空しく告げていた。しかしそれは最初の内だけであった。

 「この蛭とも虫ともつかぬような生き物……寄生虫なんだがね、私は毒虫と呼んでいる。こいつに寄生された宿主はいわゆるその超能力に開花するんだよ」

淡々とカブトムシの幼虫に似た生命体を前に試験官は超能力について説明を開始する。もしこんな状況で無ければこの話は冗談だと受け止めていたであろう。正直今も冗談であって欲しいがわざわざ拉致して話す事が冗談な訳が無い。例え、それが洗脳実験だとしても少なくとも疑似体験を受ける事は間違いない。そんな事を試験官の話を聞きながら羽幌は静かに狂いながら懸命に殺し合いに向き合う。

(彼女を守る為だ……彼女を守る為だ……)
 「そこでキミたちには被験者になってもらうことになった。若い命を消費するのは実に悲しいことだが、諸君らの命は決して無駄ではない。むしろ人類史に大いに貢献し、ある種の永劫を得ることになるだろう」
(彼女を守る為だ……彼女を守る為だ……)

もはや試験官の声は羽幌の耳には聞こえない。
すると、今まで随分と閉鎖的だった教室におたふくの仮面を被った不気味な人物とこのクラスの担任である金井先生が不穏な空気の中入室する。するとおたふくの仮面を被った人物は切れ味が抜群そうに研がれた剃刀をその場にて一瞬で物質の形成を行い、担任の首元をいとも簡単に掻っ切ってしまう。様々な事が突然起こり、羽幌は再び混乱してしまう。さらに切り裂かれた担任の喉から鮮血が飛沫を上げ自身を含めた前列のクラスメイトに思いっきり浴びて付着してしまう。ただし、担任は超能力による効果なのか不明だが、まだ出血死やショック死は起こしておらず言葉を話せる程に意識があり生きている。

「……」

そしてこれにより、今まで試験官が言っていた話が全て真実である事が分かった。しかしそれよりも羽幌にとって、この教師の役割が自身に好意を寄せる彼女で無かった事に安堵してしまい、全く持って教師の心配や救出等を行おうとすらしていなかった。

>>周辺ALL

10ヶ月前 No.18

『試験官』 @arthur ★iPhone=pOVWnmGjDb

【北部地域/廃校・教室/『試験官』】

 「ああ、失礼。その前に彼の能力を簡潔にだが、説明しよう。彼は鉄を操る宿主だ、今のカミソリは彼の腰に繋がれているチェーンを材料として生成したものになる。こうした異能力が君たちにも備わると思って欲しい」

 試験官がそう言うと、おたふくはシャツを少し捲る。なるほど、確かにベルトには若者が好んでつけるような、チェーンのアクセサリーがだらりとぶら下がっており、何か意匠の施されていたであろう先端の突起部が欠けている。

 「異能力は他人の毒虫と合体することで、より強力になる。火を操る能力であれば、それこそ火力が上がるだろうし、何か限定的な操作も出来るようになるかも知れない。ただ不思議なことに一度他人の体内に潜伏しない限り、毒虫はどうも合体せずに片方が死亡してしまう。蠱毒戦争という形を取ったのは、この特性によるところが大きい」

 試験官が言ったように、毒虫は宿主の体内に留まりたがる性質がある以上、宿主の死という形を持ってしか体外に出る事は出来ないようだ。摘出手術という手段もあるのではないか、という疑問を持った生徒もいるに違いないが、こうして蠱毒戦争が行われること自体が、その試みが芳しい成果を上げなかったことを証明していると言えるのではないか。

 「では、続きと行こうか」

 試験官がそう言うと、おたふくは片方の手で金井先生の髪を掴み、もう片方の手でカミソリを喉に押し付ける。
 緩慢な動きだった。切るのではなく、抉るようにして、喉には刃が食い込んでいく。叫びにすらならない、すきま風のような悲鳴に黒い血が溢れ出る音と重なる。喉笛には深く食い込むようにしてカミソリが入り、金井先生は涙と鼻水を垂らし、口から流れ出た血は頬から首筋を通って、白いYシャツを赤黒く染めていく。
 しばらくして、おたふくはカミソリを引き抜くと、金井先生の髪から手を放した。どさりと音を立てて、金井先生は仰向けに倒れる。喉からは頼りない勢いで、血の噴水が数度飛び出たかと思うと、次第に収まっていった。
 死んだ。頼りなさげではあったが、少なくとも怒鳴り散らしたり、頭ごなしに生徒を否定することはなく、頭を掻きながらも真摯に人と向き合っていた担任教師は、見たこともない表情を死に顔にして、教え子たちの前に晒した。

 「さて、さすがにここまでやれば死亡する。そして、宿主を失った毒虫はと言うと……」

 人間の死というものに特に感慨深いものはないのか、試験官は全く変わらぬ調子で説明を続ける。
 それに呼応するかのように、金井先生の喉笛から、肉を掻き分けて進むような、不愉快な音が聞こえてきた。
 次第に音が大きくなると、やがて傷口から、まさにあの虫籠に入っている毒虫が白い体を赤く染めた姿で現れた。

 「こうして出てきた毒虫を自分の体内に入れる事で、元いた毒虫と合体する。入れる方法は……失礼、見てもらった方が早いかな」

 おたふくは這い出た毒虫をひょいと摘んだかと思うと、仮面を僅かに浮かせた。かさついた唇が上下に開いたと同時に、毒虫が口内放り込まれる。
 噛むようなことはせず、ごくんと喉が嚥下したかと思うと、おたふくは首を左右に倒した。

 「鼻の穴や傷口など、体内に入れさえすれば問題ないが、痛みを伴わないのはこの方法だと思われる」

 この試験官にも痛みという概念があったことに安堵すべきなのかも知れないが、少なくとも口内から摂取する点に精神的苦痛を伴うとは考えていないようだ。

 「次に君たちの質問に答えていこうか」

 すすり泣く声や吐瀉物を吐き出す音が聞こえてきた。

【よ、ようやく質問に答えられる……次回から各キャラへの反応もしていきたいと思っています。ちなみに質問の方はまだ受け付けているので、今回の返信に挟んでしまっても結構です。うまくレスに出来ないという場合は、サブ記事でも受け付けるので、お気軽にどうぞ。上手いこと試験官のレスに挟みますので】

>>ALL

10ヶ月前 No.19

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

【北部地域/廃校・教室/獅子王妃愛】

 蠱毒戦争の漢字を見てもオカルトめいた説明を聞いても、そういった類のものに興味の無い妃愛はただ首を傾げるばかりだった。画面外から男が持ってきた特種な虫籠の中で蠢く白い芋虫めいた寄生虫を見て、更に説明を聞いたうえでようやく現実味が湧いてきたは良いものの、この大抵の日本人が嫌悪を示すようなフォルムの虫が自分の体内に入っていると想像すると目眩がした。
 完全に虫に持っていかれていた意識はがらりと音を立てて開いた扉に向けられる。入ってきたのはおたふくの仮面をつけた軍服の男と、今や棺桶に片足を突っ込んでいるような顔色をした担任だった。
 せんせい、と声をあげるよりも先に担任の喉元が切り裂かれ、妃愛の机にまでその血液が飛び散った。

「ひ、ぅ」

 咄嗟に目を瞑り耳を塞いだ。つい最近までたわいも無い会話を交わした相手の痛みに喘ぎ助けを乞う姿など見たくなかった。聞きたくなかった。夢なら覚めてと願っても微かに聞こえる男の声は止まない。前世でどれほどの罪を重ねてきたというのだろうか。この平和な日本国でこんな目に遭う中学生なんてちょっとした宝くじに当選するような確率だろうに、恵まれた環境に産まれただけで運の全てを使い切ってしまったのかもしれない。
 数秒、数分、あるいはそれ以上。恐る恐る開いた目に写った光景は、素行が決して優等生ではない妃愛にも困ったように笑いながら向き合ってくれた担任の変わり果てた姿と、赤く染まった毒虫を飲み込む人殺しの姿だった。

「や、無理ですよぉ。非力な妃愛には殺し合いに参加できる資格もありませーん。そもそも虫を飲み込むとか考えられないもの。お菓子の形とかにしてくれればまだ良かったのに」

 薄く笑いを浮かべてそう言う彼女の額には薄く汗が浮かんでいた。無理、無理、無理。そう呟きながら机に飛び散った血痕を制服の袖で執拗に拭う。

 ――ああ、でもあの面子なら妃愛が生き残った方が世の中の為になるんじゃないかしら。
 ふと過ぎった考えは、今は頭の隅に追いやることにした。


>>ALL様

10ヶ月前 No.20

@yuzumikan0 ★ePNLIeW1xS_IZy

【北部地域/廃校・教室/花杜 珠緒】

試験官と名乗る仮面の男の動向をハイビジョンテレビを睨みつけながら窺っていれば

『乗り気のようで何よりだよ。では、まず君たちの参加する殺し合い……コドクセンソウについての説明をしよう』

と言い出した。それから画用紙に何かを書き始め、書き終わったそれを自分達に向けてきた。画用紙には『蠱毒戦争』と書かれていた。蠱毒という言葉は自分が読んだことのある漫画に出てきたことがある。たしかそれは呪いで、まるで「殺しあってもらう」と言われた自分達の状況と似たものだったような…。これまた試験官は超能力などと漫画のようなことを言い出した。ここまで漫画のようなことを言われると笑えてくるなと失笑していれば画面外からひょっとこの仮面をつけた男が気色悪い幼虫のような白い芋虫が入っているケースを持ってきた。ひしめき合い、蠢くそれから咄嗟に目を逸らす。そのまま試験官の話を聞いていれば勝手に被験者とされた自分達の体内にその気色の悪い芋虫――毒虫が入っているのではないかと察してしまう。それに吐き気を覚え「…うぇ」と吐いたわけではないが少しえずく。そしてその毒虫の宿主はどうなるかを見せられようとしたとき教室の扉が開く。それに驚いたことで吐き気が少しおさまった気がする。そこから現れたのはおたふくの仮面をつけた軍服の男性と、担任教師の金井先生だった。

「金井、先生……」

いつも学校で見慣れている担任教師が現れたことで一瞬気が緩んだがよく見てみればまるで血が抜かれたかのように蒼白としている。さすがに担任教師が痩せ身で普段から血色が悪いといえどこれはおかしいと気がついたのは自分が担任教師の様子がよく見える前列の端の席に座っていたからだろう。しかし担任教師に気をとられていたからか、おたふくの男の手にはいつの間にかカミソリが握られていることに気付くのが遅れる。そして、おたふくの男はそのカミソリを振るって、担任教師の喉元を切り裂いた。その瞬間、真っ赤な血が円を描くように飛び、最前列の生徒を濡らす。自分にはかからなかったものの、机の端には飛んできた。それよりも自分は硬直してしまい、喉元を切り裂かれた担任教師から目が離せずに居た。蒼白だった顔面は逆に紅潮し、額には脂汗が浮かび、膝をついて喉を抑え、何かを言おうとしているがひゅうひゅうとすきま風のような音しか聞こえない。

(あ、いや、え、金井先生、喉が、血が、これって致命傷?ってやつじゃ…)

混乱しながらそんなことを思っているうちに毒虫によって担任教師が言葉を発することができるほどには回復していた。どうにか生き永らえたと思ったのも束の間、試験官の説明を挟み、おたふくの男の手よって喉笛に深く刃が食い込むよう、抉られ、しばらくしておたふくの男はカミソリを喉から引き抜き、掴んでいた担任教師の髪を手を放した。どさり、と仰向けに倒れた担任教師の顔に視線を移す。

(……悪夢なら、早く終わってよ。目、覚まさせてよ。お願いだから)

そう願っても、頼りなさげではあったが頭ごなしに否定せずに真摯に接してくれた担任教師の見たこともない、言い表しようがない死に顔を見ればこれは悪夢なんかではなく現実だと嫌でも思わせられる。そして抉られた喉元から肉を掻き分けて進むような不愉快な音が聞こえ、次はそちらに視線を移せばそこからは先ほど見た毒虫が白い体を赤く染めて出てきた。それをおたふくの男は口に運び、飲み込んだ。試験官も毒虫を合体させるために体内に入れる方法はこれを推奨するらしい。質問とか、もう、何も言う気力が湧かない。放心した状態で顔を俯かせるしかなかった。


>>ALL

10ヶ月前 No.21

洗濯蟻 @arinohito ★iPhone=n7Rebp7mCv

【北部地域/廃校・教室/小發月】

「あー、なんつーか、逆にリアル味だわ。逆に?ほら、イマドキVRとか言う拡張現実?みたいなものがあるじゃん?それっぽい所為でリアル感じるわ」

それまでの悪魔の鬼畜の所業、見紛う事無きスプラッタムービーめいたゴア表現を目の当たりにし消沈する。

『蠱毒戦争』

蠱毒の話は祖母から聞いた事がある。古代中国発祥の呪術であり、巫蠱だとか蠱道とか言うらしい。皿に盛った蟲の毒と書き表すが強ち今の状況がしっくりくる。蟲を集めて殺し合わせ、最後に残った一匹の毒呪によって呪った対象を殺害せしめる、そんな感じだが説明を聞く限り我々が蟲で、互いに殺し合う事は確実だ。

やっぱり嘘っぽくても本物の現実なのだろう。あのオタッキーなジョモい奴の言う事は正しく本当で、目の前で行われたのは否応無しの殺人だ。常人なら発狂する。そうでなくとも衝撃のあまり泣き喚いたり叫んだり現実逃避したり逆に受け入れたりする奴はいる。

このクラスでは半々といった所か。

「なぁなぁひあいん、血はそう簡単に落ちないよ。つーかマジなんなのかねぇ?これじゃウチらもヤバイよ」

見つけた友人の元へ歩みながら声をかける。
中学生と言う割には貧相で小さい体格だが、履いている厚底ローファーのお陰で幾らか周りに並び立つ事は出来る。

「センコーはマジ御愁傷様だね。アーメン南無南無。……ガチに如何するよ?ってか外靴のままか。まあ良いけど」

ひあいん、と呼んだ彼女は自分達の仲間の輪に入ってよく会話する間柄。気は合う方だと思うが目の前の惨劇を受けて現実逃避めいて机に振り掛かった血を袖で拭っていた。そんな事をしても血は落ちないし逆に袖まで汚れるだけだ。

カコカコと硬い床に厚底の靴が鳴る。踵の辺りに目を遣った後足元にポツリと落ちた一滴の血の雫に気付き、それを踏みしだいて彼女の横まで来た。


>>妃愛さん、周辺ALL

【お仕事の所為で返信がだいぶ飛んでしまった……】

10ヶ月前 No.22

『試験官』 @arthur ★iPhone=X2pX8TlVxS

【北部地域/廃校・教室/『試験官』】

 「まず、天羽美世くん。君の質問から答えていこう。殺し合いの期間は一週間だ。今日を一日目として考えてもらいたい。食料については、ここを出発する際にバッグに詰めて渡す。ただ一週間分もない事はご了承願いたい……ああ、ちなみにこの地域の地図もあるので、役立てて欲しい」

 それは即ち、飢えから逃れるには級友から奪うしかないという事になる。もちろん、サバイバル術に心得があるのであれば、奪わずとも空腹を抑えられるのかも知れないが、殺し合いの最中に食材を確保して、調理するだけの余裕があるかどうかという話である。

 「獅子王妃愛くん、では君を殺して平等性を保とつとしようか?」

 淡々とした口調が変わらないあたり、本気でそう提案しているようだ。おたふくが金井先生の血で汚れたカミソリをペン回しをするように弄ぶ。

 「君は……梅王丸鞘くんか、金井先生の話とは随分違う印象だね。ああ、失礼、話が逸れた。最後の一人までやってもらうことにする」

 理由といえば、実験としての意味合いがいくらでもあるのだろうが、そんなものを説明されたところで、この場にいる誰一人も納得は出来まい。

 「カレン・グレアムくん、君は聡明だね。だが、細工はこれから仕掛けさせて頂くよ。今から君たちには順々に毒虫を身体に植え付け、一人ずつこの廃校を出て行くことになる」

 当然だとは言えた。この場で弱小とは言え、能力者が十数人と蜂起すれば、さすがにおたふくや控えているであろう他の宿主でも手を焼くだろう。それを防ぐ手立てとも言えたし、なによりここから一人で外に出た人間は何を考えるだろうか。改めてクラスで結集して、おたふくたちへの復讐を果たす為に動くだろうか?いや、その多くはまず自分の命を守ることを第一に考えるはずだ。そして、その命を脅かす危険性があるのは、他ならぬクラスメイトであり、少なくとも自分の親友以外を信頼出来る人間などそうはおるまい。

 「では、始めるとしようか……出席番号一番、天羽美世!君からだ」

 それからすべての生徒が毒虫を嚥下し、食料と地図などが詰まったバッグをおたふくから渡され、最後に「私はあなたたちと殺し合います」とクラスメイトに宣誓させられた上で、校舎を出て行った。
 蠱毒戦争が開幕した。

【大変お待たせしました!これにて蠱毒戦争の開幕です。各キャラの質問は >>12 などの説明で理解しただろうな、というものは省かせてもらっています。ご了承ください。最初のレスは廃校から出て(毒虫を呑み込むところから始めても構いません)、どこへ向かうか、どこへ着いたかという所になるかと。とりあえずバラバラになった仲間を探すも良し、籠城戦を開始するもよし、疑心暗鬼に駆られて殺し合うも良しです。では、改めてこれからよろしくお願いいたします!】

>>ALL

10ヶ月前 No.23

削除済み @yuuzenn ★DoaFJQIlTR_uKh

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10ヶ月前 No.24

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【北部地域/廃校・教室/天羽美世】

しばらくの間躊躇なく金井先生の命を奪ったおたふくの男を睨み付けていたが、試験官は何事もなかったかのように自分たちの質問に答え始めた。殺し合いを行う期間は一週間らしく、食料は出発する際にそれぞれに渡すバッグの中に入っているとのこと。足りなければ他の生徒から奪え、ということなのだろう。美世はどちらかと言えば少食なので幸いと言ったところか。だがしかし殺し合いを逃れられる訳ではない。とりあえず食料についての問題が解決しただけだ。

「……わかりました。ありがとうございます」

礼を言うのには抵抗があったが無言を貫いているのもどうかと思い、美世は礼儀正しくそう礼を口にした。他の生徒の質問にも試験官は淡々と答えていく。やがてすべての質問への解答が終わり、出席番号順に毒虫を植え付けられることとなった。一番の美世はすぐに名前を呼ばれ、先程見せられた毒虫を飲み込むこととなった。正直嫌悪感はあったがここではしたない真似をしてクラスメートに恥を晒すよりかはまだましである。小さく動いているそれを飲み干すと喉の奥をなにかが蠢きながら落ちていくのがわかった。嘔吐したくなるのを必死に堪えて小さく咳払いすることでそれを制する。そしておたふくの男に促されてクラスメートに聞こえるようにこう宣誓させられた。

「……『私はあなたたちと殺し合います』」

バッグを持ち、一先ず教室を出る。とりあえずここはクラスメートの様子を伺ってから出ていくのが得策か。美世は自分が出てきたのと別の……後方の扉からそっと教室の中を伺う。次々と生徒たちが毒虫を飲み込んでいく中、梅王丸鞘は下半身から毒虫を植え付けるという芸当をやってくれた。特段仲が良かった訳ではないが、明朗快活でそこそこ話すこともあった女子生徒である。ここに来てから明らかに様子がおかしいことには美世も気づいていた。

「……どうしたのかしら、梅王丸さん。ああいうことをするような子じゃなかったはずだけど」

殺し合いが始まったとは言え、クラスメートを心配するくらいは許されるだろう。美世はああいう風になる子が少なければいいのだけど、と内心案じたのであった。

>>all様

10ヶ月前 No.25

ボブ @ferudhires ★Mcag7Tw3Rv_c1Z

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10ヶ月前 No.26

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【北部区域/廃校・教室→森林/今福昇】


「退屈凌ぎには持ってこいか。……『私はあなた達と殺し合います』。それでは諸君、また会おう」


正常に働かない頭ではそんな陳腐な言葉しか出て来なかった。教室を出て廊下を見渡すと先に行った人の姿は無い。それを確認すると大きく息を吐いた。ここに来てからキャラを上手く演じ切れていない気がする。これでは周りに素がバレるのも時間の問題かと思うが、もうこの際どうでも良かった。試験官の言葉をそのまま信じるのなら自分一人が生き残るか自分が死ぬかしかないのだ。隠す必要が無い。

(それはともかく、何処に行こうか。一先ず隠れるべきだし、能力とやらを把握したい。木の葉を隠すなら森の中とは言うけど……)

木の葉を隠すなら森の中。人を隠すなら人混みの中。しかしこの荒れ果てた廃校を見るに人なんて自分達以外には居ないのだろう。だとすれば何処に行くべきか。
配布された地図を広げる。見る限り広そうではあるが縮尺を見るに何処に行くにも歩いて充分辿り着く距離だろう。背負ったバッグはそれほど重くない。一週間分の食料が入っているわけではないからだろう。それはきっと、殺した奴から奪い取れという意味合いなのだと思うとまた一段と気が滅入る。
結局、森の中という思考が抜けず近くの森林へと重たい足が向かった。


木々が光を遮って、少し肌寒い。
森林の入口は避けて少し奥まった場所に腰を落ち着けると、手を握ったり開いたりしながら身体の変化を見る。特に変わった感じはしない。次にぎゅっと目を瞑り身体に力を込めて能力の発動を試みる。

(……何も無いじゃないか!)

何も起こらない。近くの木を殴ってみるが拳が痛くなっただけで力が増幅した感じもない。有りがちな炎や水が手から出る訳でも無いし、空が飛べる訳でも無い。もしや外れを引いた、というか自分が飲んだ毒虫は偽物だったか?
これでは真っ先に脱落するのが目に見えている。大きく溜息を吐いて腹をさする。毒虫を飲んだ時の事は思い出したくも無いが、今正に吐き出しそうな顔色をしていると言えば察してくれるだろうか。

(父さん母さん、それに最愛の妹。先立つ不幸をお許しください)

漫画や小説で読んだこの台詞を、まさか自分が言う羽目になるとは思わなかった。泣いて挫けそうになる心をどうにか持ち直して木を背もたれに座り込む。雨雲を伴う黒い雲が少しずつ近付いていた。


【妖艶なJCを見れないなんて…! 今福ってば勿体ない!
冗談はさておき、開幕されました蠱毒戦争。ちょっくら絡みづらいかとは思いますが、殺しにくるも良し、協力を仰ぐも良し、お待ちしております! 恐らく能力的にも一番弱いかと思っておりますのでお手柔らかに……】

>>ALL様

10ヶ月前 No.27

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

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10ヶ月前 No.28

@yuzumikan0 ★ePNLIeW1xS_IZy

【北部地域/廃校・教室/花杜 珠緒】

クラスメイト達が出した質問に淡々と答えているのを黙って聞いていた。毒虫を見ただけで吐き気を覚えたのだから、担任教師のあんな最後を見て嘔吐しそうなのに自分でも意外なことに嘔吐せずに済んだ。

(……この異常な状況に少し慣れてきてしまったような。良いことではないのかもしれないけど、生き残るためには必要なこと…だよね)

それに発言する気力は湧かないが、こんなことを考えるほどには冷静さを保てていた。そうこうしているうちに毒虫を体内に入れることになってしまった。それには一瞬嫌悪感で顔を顰めるが、まぁ仕方ないとすぐに受け入れる。生き残るためには仕方ないのだ。そして出席番号順に呼ばれたクラスメイト達が毒虫を体内に入れ、最後に『私はあなたたちと殺し合います』という宣誓をさせられる様子をじっと見つめる。自分よりも先に呼ばれたうちの一人、梅王丸 鞘がまさかの下半身から毒虫を入れる…否、招き入れるという予想外の行動を起こした。

(梅王丸さんってこんなキャラだっけな…。わたしが寝てばっかでいたからよく知らないけど普通の人だったような…。こんな状況で気でも狂った?それも仕方ないっちゃー仕方ないけど、大丈夫なのか…あんなことして)

鞘の行動に引きはしたものの、手を振りながら教室から出て行くその背中を心配そうに見てそんなことを思う。特に仲は良くなかったし、彼女の性格はよく知らないがさすがに心配にはなる。そうしている間にも他のクラスメイトも毒虫を体内に入れ、いよいよ自分の名前が呼ばれる。それに小声で「…はい」と答え、重たい腰を上げふらっと毒虫と荷物を受け取りに行く。近くで見れば尚更気色の悪いそれに顔を顰める。できればこんなもの体内に入れたくない。しかし生き残るには入れなければいけない。両親とすごく大事なペットのまるちゃんのところに帰るには仕方のないこと。

「…っ―――……わ、『私はあなたたちと殺し合います』」

吐き気がこみ上げてくるが何とか呑み込み、咄嗟に吐き出さないように口元を押さえる。少し吐き気がましになったと感じてから宣誓をし、荷物を受け取って教室から出て行く。ふと自分が出た扉とは逆の後方の扉を見れば、最初に出て行った天羽 美世が立っていた。

「天羽さん、移動しないの」

あまり話したことのないまるで優等生のような彼女に声を掛けながら近付くが、すぐに襲ってくるような人には思えないものの鞘のこともあるし、彼女の様子が急変したり、何かあったときにすぐに逃げられるほどには間隔を空けて立ち止まった。


>>美世、ALL

10ヶ月前 No.29

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_KGe

【北部区域/廃校/教室(→廊下)/カレン・グレアム】
 気分はこの上なく、いやこれより底がないと言えるほどに最悪の物だ。金井先生が目の前で殺されることに対して身動き一つとれなかったことに対して、彼を見殺しにしたことに対して、自己嫌悪がぐるぐると内面で渦巻いていく。

「なるほど。有難うございます」

 試験官からの回答に、短く礼の言葉を述べる。こういったところで多弁になる意味がないという事以上に、目の前で知っている人が殺されたという現実からまだ立ち直りきっていない為、多くを喋れなかったという事の方が大きい。
 自分の手で毒虫を飲むことで『被験』の合意とし、自発的に殺し合わせるとともに、先ほど金井先生を殺す際の生徒たちに反逆されることを防ぐという理由もあったようだ。いくら殺し合いの場が狭いにしても、監視のための存在としてあのおたふくの仮面の男のみがこの場に控えているわけではないだろうが、16人が束になって戦うとなれば恐らく悲惨なことになるだろうという事は想像に難くない。
 一応のリスクに対する策は考えられているらしいし、今すぐにつけ入る事の出来る隙もないようだから―――どう転ぶかはさておき、ここは一旦、試験官の思惑に乗るしかないようだ、と結論付ける。



 生徒たちが五十音順に呼ばれ、一人ずつ虫を飲み込み、教室を後にしていく。か行にあたるイニシャルを持つカレンも早々に呼ばれ、席から立ち上がる。
 指先で虫を摘み、その律動を無視して一気に嚥下する。手袋の先が思った以上に汚れなかった辺り、表面はそれなりに綺麗だったのかもしれない、なんてことをぼんやりと考えた。言うまでもなく、改めて見たいとは思わないけれど。

「……『私は貴方達と殺し合います』。では、ごきげんよう」

 他の生徒と同じ宣誓に付け加え、いつも通りに挨拶する。
 決別はクラスメートたちだけでなく、もう二度と戻れない筈の平穏な生活に向けて。務めて優雅に、冷静に、普段のように。この期に及んで声が震えるだとか、内面の動揺を悟られるようなことがあってはいけないのだ。

 最低限の資源を受け取り、教室の外へ出る。
 行く先は……さて、どうしたものか。まず必要なものは身を守る武器か、それとも拠点か。

>>ALL

10ヶ月前 No.30

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_QaP

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10ヶ月前 No.31

詠琉 @clock☆VeghuuvPddk ★CxGZ9q9dgG_c1Z

【北部地域/廃工場・倉庫/一条三景】

 一条三景が制服を纏ったのは実に約一年ぶりのことだった。本当なら卒業するまで着用どころかクローゼットからも出してやらないつもりでいたのだが、教師陣が連日自宅に押し寄せる騒動となってはさすがに重い腰を上げざるを得なかった。なにより三景自身、不登校であることに後ろめたさを感じていないわけではなかったため、修学旅行という一大行事に参加してやれば多少の罪滅ぼしにはなるのではないかと考えたのだ。
 出発の朝、肩がぴんと不自然に角ばった学ラン姿で一階に降りると、母が三景の好物のフレンチトーストを朝食にこしらえてくれていた。まるで長い旅にでも出るかのようで三景としては気恥ずかしかったが、こんなにも上機嫌な母親を見るのは久しぶりのことだったので、文句を言わずきれいに平らげて家を出た。とはいえ気力を振り絞って集合場所に赴いてみたところで、身内とすらまともに話をしなくなって久しいこの少年がすんなりとクラスの輪に溶け込めるはずがない。結局ほとんど誰とも口をきかぬままバスに乗車し、空いていた席に身を潜め、机に突っ伏して寝たフリを決めこむことしばらく。この時点ですでに後悔の念と帰宅への渇望が凄まじいことになっていたのだが、突如不快なノイズ音が鼓膜を擦り、耳を疑う台詞と共に視界が煙に包まれて。意識を取り戻してからの展開は、もう目まぐるしい。白衣の男が現れ、寄生虫が籠の中でうねうねと蠢き、何度も家に顔を出していた担任教師が派手に血を撒き散らして死にゆく間、三景は一度も声をあげることができなかった。その瞬間、彼の脳内には日々憑りつかれていた劣等感も教師に対する憐憫もなかった。こわい。かえりたい。しにたくない。ごくり、乾いた喉を鳴らして唾を飲みこむ。冗談みたいな世界の中で、今にも爆発しそうな心臓の音だけが確かだった。

 それから陽が沈み、代わりに顔を見せた月も翳りを見せ始め、今。二番目に早く毒虫を呑みこみ――吐き気を堪えて嚥下するのに一分はかかった――、二番目に早く教室を出た三景は、とるものもとりあえず校舎を飛び出して、気付けば廃工場に辿り着いていた。とにかく教室にいる全員と物理的に距離を置きたいとの思いから、方角も分からぬままひたすら歩き続けていたのだが、配給された地図を見るにそれなりに遠くまで来ていたらしい。
 三景はいくつか並んだ倉庫の一つに潜り込むと、コンクリートの地面に腰を下ろし、その場で力無く項垂れた。さいわい過ごしやすい夜ではあったが、いつまでもこの天気が続くとは限らない。鉄臭いだけの空間は錆びたブリキ缶の中に閉じ込められているようでどことなく寒々しかったが、暫くはこのあたりに潜伏するのが無難だろう。

(やっぱり、修学旅行なんて来るんじゃなかったな……)

 本日何度目かの後悔が頭をよぎる。久方ぶりに着た制服はぱりっとしていて、こうして膝を折り曲げて座っているだけでも息苦しい心地がした。せめて緩和できればと学ランの第一ボタンに手をかけた、刹那。突如耳朶を打った派手な物音に、ビクリと肩が跳ねる。倉庫の入口から奥まで隈なく視線を滑らせるも襲撃者と思しき人影はない。迷いに迷ったすえ、三景は下ろしていたバッグをかけなおし、そろそろと倉庫を出て物音の正体を探しはじめた。
 隣の倉庫に忍び寄り、入口の隅から顔だけを出して中の様子を窺うと、暗がりの中に一人の男もとい少年が見えた。ボブだ。しょぼついたまなこをいつになくかっ開きながら、心の中で独りごちる。交友があるわけではないが、印象的な見た目であるからしてさしもの三景も顔と名前くらいは把握していた。かの教室での彼の振る舞いを思い返すに、三景とは違いあまり物怖じしない性質であるらしい。きっと日ごろからクラスの中心にいるような男子なのだろう。……と、いうか。そもそもこんなに「いかにも」な見てくれをしているのだ。大方アメリカのドラマの登場人物みたいに毎日アメフトやバスケに明け暮れ、カーストの高さにあぐらをかき、気の弱い生徒に対してはお小遣いを巻き上げたりロッカーにスプレーで落書きしたり、日々暴虐の限りを尽くしている輩であるに違いない。三景の心は義憤(という名の嫉妬)に燃え上がった。
 と、不意にボブが立ち上がる。三景は咄嗟に目から下を引っこめ、あからさまに逃げ腰になりながらも相手の動向を見守っていた。次の瞬間、三景は自分の目を疑った。いかにも屈強そうなボブの巨体が、まるで風船のように軽々と浮上したのである。これが毒虫の力。自分も同様に能力を有しているとはいえ、こんなものたちとやり合わなければならないのか。三景は開いた口を塞ぐことができなかった。
 やがてボブが歩きだすのを見て三景も我を取り戻した。まずい。こっちに来る。三景は素早く踵を返し、バッグの紐を強く握りしめた。勢いよく一歩踏み出し――ほどけていた靴紐を踏んでコケた。

「うおおおおおおおおおおおっ!!?」

 寂れた廃工場に雄叫びが響き渡る。地面が土なのは不幸中の幸いだった。だが当の三景は軽いパニックに陥ってしまったようで、地面に打ち付けた鼻っ面を押さえて転がりながら悶絶する。どうしようと三景は思った。相手が自分に気づいていないのならどこかに身を隠してやりすごすこともできたかもしれないが、本気の鬼ごっこに発展した時にあれから逃げきれる自信がない。となれば残された道は一つ。
 三景は身を起こし、両頬をバチンと強く叩いた。逃げ出したい心を奮い立たせ、何かを決意した目つきで前を見据える。相手が倉庫から出てくるのと自分が倉庫の入口に立ち塞がるのとどちらが早かっただろう。いずれにせよ相手と対峙したならば、すうと腹から息を吸い込む。そして――

「すみませんでした!!!!」

 膝を折り、手をついて、額を地面に擦りつける。
 圧巻の土下座を見せつけながら三景は何度も頭を下げた。涙目が相手を見上げる度に「許してください」「せめて命だけは」「なんでもしますから」と悲痛な声があがる。最後は頭を土にめり込ませる勢いで、「本当に何も見てないんです!!」と叫んだ。
 地面にぺたりとくっついていた手が土を掴む。いかにしみったれていようと人生は人生だ。こんなところで、こんな体たらくで、自分の人生は終わってしまうのだろうか。――ああ、フレンチトースト、また食べたかったな。土のにおいを嗅ぎながら、鼻先がつんと熱くなった。


>>ボブ、ALL

【課題とのバトルロワイヤルから生還(勝ったとは言ってない)してきたらこっちのバトルロワイヤルが始まってました。改めましておめでとうございます! これから三景共々よろしくお願いいたします。
 というわけでボブくんに絡ませていただきました。勝手に倉庫を増設したりアメリカドラマのド偏見を押し付けていたり、セーフかアウトか怪しい状態ですが(すみません……)、もしよろしければ少しの間だけでもお付き合いください】

10ヶ月前 No.32

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【北部地域/廃校・教室→廊下/天羽美世】

しばらくクラスメートの様子を伺っていた美世だったが、突如背後からかかった女子生徒の声にくるりと結んでいない黒髪を靡かせながら振り返った。そこにいたのはクラスメートの女子生徒である花杜珠緒だった。彼女と話したことはほとんどないが、なんとなく美世の脳内では机に突っ伏して寝ている彼女の姿が思い付く。いつもお休みになっているけど寝不足なのかしら、と多少案じているくらいである。しかしあちらに敵意はないようで、少し離れたところからこちらを伺っているだけだ。いの一番に教室を出たというのにいつまでもこんなところでうろうろしている自分が気になっているのだろうと美世は推測した。

「あら花杜さん。……ああ、大丈夫よ、私にあなたを襲う気はないわ。一番最初って何をしていいかわからなくてね、みんなの様子を見てから移動しようかと思っていたところだったの」

普段見せるものと変わりないたおやかな微笑みを浮かべて、美世は珠緒に向かい合う。……というのも彼女の能力を確認するためである。こちらで様子見をしていたときに美世は自らの能力を把握していた。相手の異能を看破する能力。まだ手にしたばかりだからか相手の顔を認識しなければ能力は使えないが、珠緒に真っ正面から向き直ったために美世は珠緒の能力を把握することができた。彼女の能力は宿主の気配を察知するもの━━━━つまりは今すぐ戦えるものではない。人よりは武術の嗜みがある美世としてはそういった能力の方がありがたい。いくら毒虫が体内にいるからと言って、無闇に手負いになるわけにはいかないから。

「花杜さんはこれからどうするの?言いたくないなら私も深追いはしないけれど……。正直言ってね、私はみんなと殺し合いたい訳じゃないの。でもみんながみんな私と同じように考えているとは限らないでしょう?あいにく私の能力は戦闘向きじゃないしね。だから、花杜さんさえ良ければいっしょに行動してもらいたいの。ほら、一人だとどうしても不利なことってあるでしょう?」

美世が言いたいのは端的にまとめると停戦協定を結ばないか、とのことだった。停戦と言っても戦っていた訳ではないし、せいぜい共に行動するくらいである。しかし彼女の能力があれば不要な戦闘は避けられそうだし、美世の能力で見つかっても対処法を編み出して相手を撒くことも可能だ。どうするの?とでも言いたげに、美世は珠緒に視線を送った。

>>花杜珠緒様、周辺all様

10ヶ月前 No.33

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

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10ヶ月前 No.34

ボブ @ferudhires ★Mcag7Tw3Rv_xmq

【北部地域/廃工場・倉庫/ボブ・C・スティーブンソン】

『うおおおおおおおおおおおっ!!?』

先のペンキ缶に負けず劣らずの大きな叫び声が木霊した。
近くに誰かが居たらしい。反響したせいで誰の声だったかは判別できなかったが、少なくとも男の声だ。
不意打ちを受けないように細心の注意を払いながら倉庫の入り口まで向かうと、そこには何か決意を持った男子が一人。こいつは誰だったか、そうだ、あまりクラスに顔を見せない奴。確か、ミカゲとかいったか。
参ったな。いくら腹をくくったからと言ってこんな早くから戦闘することになるとは思わなかった。まだ向こうがどう動くかわからないが――

『すみませんでした!!!!』
その姿勢は日本の伝統的な謝罪の形。膝と手、額を地面につけ、相手に背中を投げ出して地に伏せる。そう。ドゲザだ。

その美しささえあるフォームに少々面食らったが、相手がこちらを見、そして頭を下げなおすたびに「許してください」「せめて命だけは」「なんでもしますから」と呟いているのが聞こえた。そして、『本当に何も見てないんです!!』と叫び、もう一度深く頭を下げた。
彼に戦う意思はないことが分かった。おそらく、さっきの声は俺の能力を見て、やり過ごすために逃げようとしたところでイレギュラーが起きたってことだろう。ならば。

そう考え、おどけた明るい表情でもって、努めていつもの調子で三景に話しかける。
「Hey,man?そうおびえた顔するなよ。俺にお前と戦う意思はないぜ。」

そう言うと、三景の前に座り込み、じっと相手を見据える。語調はおどけていてもその目は真剣そのものだった。
「殺しに来るつもりがない相手を殺しても、寝覚めが悪くなるだけだ。『汝殺すなかれ』ってな。」
話ながら口元に軽く笑みを浮かべ、続ける。

「それで、だ。もしお前に戦うつもりがないのなら、俺と組まないか?俺は、どうにかしてこのクソったれな殺し合いを終わらせる方法を探そうと思ってる。そのために仲間を探そうとしていたところで、丁度よくお前が来たって寸法だ。どうだ、一口乗るか?」

これは分が悪い上に恐ろしく危険な賭けだ。主催者側から目を付けられることは確実だし、なにより熱に浮かされた即席シリアルキラーたちの中にただの中学生を放り込むことにもつながる。狼の群れと羊の群れを同時に飼うようなもんだ。だが、本当に殺しあうつもりがない、ただの中学生に戻りたいって言うのなら、俺はたとえ血に塗れてでも、そいつらを守り切ってやる。それがヒーロー。俺の考えるジョックってもんだ。

>>一条、ALL

【ヒャッハー!新鮮な絡みだァー!……どうもどうも、絡みありがとうございますです。気が付けばどんどんウィルスミス分が侵食していってるボブですが、今後ともどうかよろしくお願いします。wこのまま絡んでいくにしたがって三景君へのボブの呼び名が、メーン→フレンド→ブラザーみたいな感じでランクアップしてくサクセスストーリー的な展開も美味しいな。。。(謎)】

10ヶ月前 No.35

@yuzumikan0 ★ePNLIeW1xS_IZy

【北部地域/廃校・教室→廊下/花杜 珠緒】

結んでいない黒髪を靡かせてこちらを振り向いた美世を少し距離を開けて立ち止まったところから見る。そうしているときも彼女が毒虫の宿主だと感じ取っていた。彼女が先ほど教室で毒虫を飲み込んでいたところを見ていたのだからもちろん宿主だということは知っている。しかし、知っているからそう感じるのではなく、漫画のようだが第六感というもので探知しているように思う。

(なんだ、これ…こういうのを第六感とかっていうのかな。これがわたしの、毒虫の能力……?)

毒虫によって目覚めた能力に戸惑いながらそう考えていれば、美世が自分を襲うつもりはないことと何をしていたのか答えてくれた。とりあえず返事をしようと自分の能力については一先ず置いておくことにして、「そっか」と当たり障りのない言葉を返す。美世が何故ここに留まっているのかわかったことだし、自分はどこかに移動しようと決め、別れを告げようと口を開きかけるが

『花杜さんはこれからどうするの?言いたくないなら私も深追いはしないけれど……。正直言ってね、私はみんなと殺し合いたい訳じゃないの。でもみんながみんな私と同じように考えているとは限らないでしょう?あいにく私の能力は戦闘向きじゃないしね。だから、花杜さんさえ良ければいっしょに行動してもらいたいの。ほら、一人だとどうしても不利なことってあるでしょう?』

たおやかに微笑みながら自分と向き合った美世の言葉に別れを告げようとした口を一度閉じる。そして彼女の言っていることは本当なのだろうか、と身構えてしまうが

「……殺し合いなんてしたくないってのは、わたしも一緒。それに話が通じそうな天羽さんとなら一緒に行動してもいいよ。一人だと不利なことがあるのは確かだし。まぁ、一緒に行動するのならお互いに能力のことを教えあったり、襲わないって約束はしたいものだけど」

美世と停戦協定を結ぶことにした。彼女の言っていることが本当なのか嘘なのかわからないが、一人だと不利なことがあるしできれば仲間は作っておきたい。だから美世の提案に乗ったのだがもし嘘を吐かれていて殺されそうになったら、そのときは逃げればいいし、嘘を吐いている可能性があるとわかっていながら一緒に行動すると決めた自分の選択ミスなのだから仕方ないと思うことにした。

「わたしの能力は宿主を探知する能力みたい。距離が開いてると探知はできないかな?今気付いたばっかだからあまりわからないけど。……そういえば、天羽さんはわたしと違って仲が良い子とか居るんじゃないの?その子らと行動しなくて大丈夫?」

とりあえずこちらから能力を明かさないと美世も明かしてくれないかもしれないと思い、能力の説明を軽くしておく。……彼女に自分の能力を看破されているとは知らずに。それから、そういえばなんとなく気になったことを聞いてみることにした。

(そういえばこうしてちゃんと話すの初めてだし、わたしがこういうの聞くのも珍しいな。てかそもそも寝てないこと自体が珍しい。……流石にこの状況で寝れるわけがないんだけど)

そんなどうでもいいことを考えながら美世の様子を窺う。


>>美世、ALL

10ヶ月前 No.36

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_QaP

【北部区域/廃校→錆びた鉄塔/羽幌涼太郎】

誰が死のうが生き残ろうが、彼女を含めクラスメイト全員で集まるのがあれで最期であっただろう寂れた教室を羽幌は未練も無く後にする。もしかしたら生死は問わずに再会出来るクラスメイトや友はいるかもしれないが、あの殺し合いが始まる最初の時点で出会ったのを最後に自身が死のうが生き残ろうが、一部の友やクラスメイトとは二度と会えないかもしれない。つまり最期に発したあの『私はあなた達と殺し合います』と言う言葉が最期の挨拶になる可能性だってある。まさに残酷としか言いようが無い。ただし、そんな人間として大切な感情を羽幌は足手纏いにすらなっていなかった。もはや彼は超能力に寄生された怪物。彼女の為ならば、この寄生された命を捧げられる。彼女の為ならば超能力を喰らい、彼女を守護する力を手に入れてみせる。彼女の為ならば、1%でも危険と感じられるクラスメイトや友を片っぱしから狩ってみせる。
そんな危険な思考しか考えていない羽幌は、廃校と同じ北部区域にて個人的な意見だが一番シンボルマークっぽく北部区域ならばきっと目立つであろう錆びた鉄塔まで支給された地図を見ながら歩行を開始する。そして彼が歩いて通る周りの景色は時代に取り残され自然に征服された様な殺風景な雰囲気であったが、そんなのには目も暮れずひたすら瞳孔を開き、どこか一点を見つめながら堂々とひたすら鉄塔へ歩みを進めていく。その見た目の様子は本当に狂人としか言いようが無い。そんな羽幌が現在、考えていた事は自身の目標を全て叶えるべく、まず自身の超能力を知り尽くす事。もしかしたら自身の能力により、廃校から見失ってしまった彼女を探し出せるかもしれない。
そして超能力発現の為に彼は目的地へ移動しながらも、腕等、身体の部位に力を入れたり、様々な想像をして具現化を試したり、自身に流れる感覚的な何かをひたすら探したり、もう既に能力が発動しているのかもしれないと周りをとにかく見渡したりして超能力を必死に確認する。さらに何かの状況下で無いと発動出来ないのか、何かのリスクを負わないと発動出来ないのか、時間差があるのか、若干焦りながら様々な推測を建て続ける。

(超能力が発現出来なければ彼女をクラスメイトから守る事も、クラスメイトを狩る事も出来ない。そうなれば、彼女に……)

そんな事を考えていると、遂に目的地である寂れた空気の発信源である錆びた鉄塔に辿り着いてしまった。羽幌が何故か目立っている錆びた鉄塔に向かった理由とは、他のクラスメイトが一旦鉄塔を拠点として向かって来るのを予想して、そこを羽幌が自身の超能力で狙い狩って行く算段でいた。ただし羽幌の見通しが甘かったのか、未だ彼の超能力は発現していなかった。

「超能力は後にして、とにかく軽く食事でも済ませるか。」

朝から何も食べていなかった羽幌はなるべく手軽に食べられそうな食物と少しだけ水分補給するべくペットボトルの天然水を何気なく手に持つ。すると容器に入っていた水が通常では有り得ない振動や波の動き、水自体が浮遊等を行っていた。ただし水を操る事自体にまだそれ程エネルギーが無いのか、ペットボトルに穴を開ける程の威力も水が浮遊する事によってペットボトル自体も影響されて浮遊させる浮力も無かった。

「もしかして……これが俺の超能力と言う事になるのか……?」

羽幌の能力は恐らく水のみを操る能力か、液体全体を操る能力だと思われる。液体全体を操る能力ならば戦闘に役立てるかどうかは不明だが水以外にも血液等応用や幅が効きやすい。水を操る能力ならば、水を操る量の制限が無ければ水が張っているかどうかは分からないが田んぼや用水路、或いは井戸や海沿いに向かえばこちらの能力が有利だと思われる。さらに水を操る能力でも液体を操る能力でも、雨天時は完全にこちらが能力を全力で発揮出来ると言えよう。そう考えれば、ある意味で能力に関しては当たりかもしれない。
この様にどうにか能力が発現する事には成功したが、水を操るだけで戦闘に役立てるとは考えられない。その為、敵が鉄塔を訪れるまでなるべく音を立てず、目立たずに水を操る練習や自身の能力に出来る事、そして能力の範囲や距離、どれだけ操作可能なのか、そして能力を使用しての殺傷方法を水の節約と周りに気付かれない様に軽くだが試してみる事にした。

「後は睡眠についてだが……」

羽幌は適当に鉄塔から少し離れている所に生えていた大木を見つけ、其処を睡眠場所に選ぶ。

「それじゃ、後は彼女を探しださないと……もう危険な状況に居るかもしれない」

>>周辺ALL

10ヶ月前 No.37

洗濯蟻 @arinohito ★iPhone=n7Rebp7mCv

【北部地域/廃校・教室→移動中/小發月】

彼女が比較的落ち着いた所で自身の名前も呼ばれた。自分の名前がどう呼ばれるか気になったが何時も書き物をする時に使う『發 月』との呼びだった。

「ヤベー奴はやっぱヤベー奴なんだねぇ、よくあんな事できるなぁ、ぶっちゃけリスペクト的?キャハハハッ!」

蟲を体に取り込むとの事で大多数のクラスメイトが蟲を嚥下する中、在ろう事かとんでもない場所に蟲をブチ込むケッタイで酔狂な輩が現れる。

「うわー、キモ。イズいわこれ。虫唾ダッシュだわこれ。っべーわマジっべーわ……」

蟲を貰い、暫く考える。……くさそう。
決断的に制服の腹元を捲り、右手に乗せた蟲を勢い良く自身ののっぺりした腹に打った。怖いのは怖いが死ぬよか良い。

パチンッと掌と腹が鳴りあう。

「うっごぉ!!?」

蟲は臍をこじ開けて内部へ。少し血が出たがすぐに塞がった。

「それじゃウチも失礼しますかね。『私はあなた達と殺し合います』っと。……後ヨロシコー」

荷物を整理して背負い、教室を出る間際に振り返って残った一同に含みのある笑い言葉を残した。

「……『再見(つぁいちぇん)』」


___さて、何処に行こうか。先に出て行った友人を追いかけるべきか……と言ってもどこに行ったかは分からない。そんなに離れてないはずだ。取り敢えず西部地域を目指そう。その後は反時計回りに各地域を巡ろうか。

>>周辺All

10ヶ月前 No.38

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【北部地域/廃校・廊下/天羽美世】

美世はこの状況で自分が少しおかしいくらいに落ち着いていることは自負していた。こう見えて実は私ってちょっとした狂人だったりするのかしら、なんて分析する辺りには冷静である。そのため他の生徒がこの状況をどのように思っていて、どんな心理状態なのかはとんと予想がつかなかった。落ち着いているように見せかけていても、内心相当焦っていたり、混乱している者も少なくはない。だから珠緒が自分の提案に賛成の意を示してくれる確率は決して高くないだろうと推測していた。だがそんな美世の憂いは必要なく、珠緒は美世の提案を快諾してくれた。ある程度信用してくれていることに気づいて美世もほっとする。それほど大きい衝撃を受けるつもりはなかったが、やはり拒絶されるのは美世も辛いのだ。

「良かったわ、応じてもらえて。突っぱねられたらどうしようかと思っていたの。あ、私の能力は相手の異能を看破するものみたい。あなたの顔を真っ正面から見たらどうしてかあなたの能力もわかったの。別に覗き見るつもりはなかったのだけれど、嫌な思いをさせてしまったのならごめんなさいね」

珠緒が己の能力を教えてくれたので、美世も正直に自分の能力について述べた。はっきりあなたの能力はもう知っているわと言うわけにはいかなかったのでやんわりと遠回しに婉曲な物言いで伝えたが。どう誤魔化したって真実は変えられないのだからここは素直に伝えるしかないと判断したのだろう。しゅんと肩を落として申し訳なさそうな表情を見せた。

「仲が良い子……か。たしかに私を誘ってくれたり、話しかけたりしてくれる子はいたわ。でも、みんな私とどこか壁があるというか……。きっと私のことを、本当の友人と思ってくれていた子は……私の本質を見ていてくれた子は、数えるほどしかいなかったのでしょうね。それが悪いことだとは思わないわ。だって私、はっきり言って近寄りがたいでしょう?だからこういうときでさえも表面上だけの付き合いをするのは得策とは言えないかなって思ったの」

どこか困ったような苦笑いを浮かべながら、美世は珠緒の質問に答えた。たしかに珠緒が言うように、美世は教室で孤立しているというわけでもなく、仲良くしてくれたクラスメートはいた。しかしよく人間観察をしている美世にはわかっていたのである。彼らは心から自分と仲良くしている訳ではない。見るからに才色兼備で優等生といった風体の美世を放っておくわけにはいかないが、特段つるまなくても困りはしない。そういった付き合いはこの状況では枷になる。美世は誰かといっしょにいないと落ち着かないというわけでもないし、コミュニケーション能力が低くもないのでその気になれば誰にでも話しかけられる。だからあえて美世はよく話していた者ではなく、あまり関わりのない珠緒と協力しようと決めた。こういうときにいつもつるんでいたクラスメートと組んで、自分の価値観に引かれたり今まで通りの付き合いをするのは御免だったのだ。

「……まあ、今はとりあえずこれからどうするかを決めなくちゃならないわね。一先ず雨風を防げる場所を探しましょう。あなたの能力があれば無用な戦いは避けられるし、もし見つかっても私の能力で相手の異能を看破してしまえば逃げ道を作ることができるわ。明日に備えてゆっくり休むのも大事だし、いわゆるアジトを決めましょう?」

暗めになった雰囲気を取り消すかのように、美世は珠緒に近づいてにこりと微笑みながら新たな提案を持ちかける。こういうときに美世の現実主義的な思想が表に出るのだが、本人は特に気にしていないようだ。状況からしてみれば妥当な判断ではあったが。

>>花杜珠緒様、周辺all様

10ヶ月前 No.39

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_3Nj

【 鮫村 絆火 / 廃校・教室→廊下(移動中) 】

 ――非日常、血飛沫、悲鳴、嘔吐。意にも介さず、男は薄く笑った。
 重要なことはただ一つ。自分の意識の奥底、手の届かない場所にある虚無感。その正体を暴き、あまつさえ打ち破ることが出来るかもしれない舞台が、あの怪しげな連中によって整えられたということ。その虚無感の名が“孤独”であると男が知るのは、まだ先の話。
 掌で蠢く毒虫とやらを、文字通り虫けらを一瞥する冷徹な視線で睨む。こんな汚らわしいものに頼らずとも――と、嫌悪ゆえの悪手が顔を覗かせかけるが、それに流されるほど無謀ではなく。

「毒食らわば皿までか。悪くねえな、そういうのも」

 口元に浮かんだ笑みを拭い、開かれた掌をぐっと閉じる。ぐちゃぐちゃに握り潰された毒虫を口へ運び、捻りだされた体液も一滴残さず啜り上げて嚥下する。体内に何か熱いものが宿った気がしたのは、錯覚だろうか。ともかく、ポケットからハンカチを取り出して汚れてしまった手を丁寧に拭き取りながら、教室の出口である扉へ手をかけ、ガラリと開く。廊下から流れ込む夜の気が頬を撫でた。そして前を向いたまま口を開く。

「俺はお前らと殺し合う」

 言い残し、ピシャリと扉を閉めた。律儀にハンカチを持っていたり、扉を開けっ放しにしない所など、随所に現れる男の育ちの良さも、非日常が支配した今となっては最早滑稽でしかなく。廊下に一歩踏み出せば、そこには立ち往生している生徒が何人か視認できた。その中に一人の女生徒――天羽美世の姿を見つけると、つかつかと彼女へ近づく。生徒同士の殺し合いが推奨されているこの状況下、190cmの男子生徒が迷いなくこちらへ歩み寄って来る様子は、もしかしたら恐怖を感じさせるかもしれない。が、男の目的はむしろその逆。

「天羽。死ぬなよ」

 彼女の眼前まで近寄り、顔を見下ろしながらシンプルに言い放つ。その言葉に深い意味があるのかどうかは男だけが知っていることだが、少なくとも今ここで彼女を襲う意図はないことが汲み取れるだろう。天羽と会話をしていた花杜に敵意とも好意ともつかない一瞥をくれれば、彼女たちの横を素通りして歩みを進める。行く宛てはないが、これから決めればいいだけの話。


>>ALL、天羽、花杜



【顔を出すのが遅くなりまして申し訳ないです……本編開始おめでとうございます!
 とりあえず近くにいた&募集に乗ってくださった美世ちゃんと、一緒におられた珠緒ちゃんに絡ませて頂きました。絡んだと言えどもう立ち去ろうとしちゃってますが、もしよろしければ後姿にでも声をかけてやって下されば幸いです……!ごめんなさい度し難い奴で!!】

10ヶ月前 No.40

坂本通 @arthur ★iPhone=OLwRUM0RAQ

【北部地域/廃校・教室→田畑/坂本通】

 廃校から出た坂本通は逃げるように走っていた。
 どこかに向かっているという訳ではない。ただ逃げたくて逃げたくて仕方がなかった。理屈の上では、もちろんこの殺し合いから逃げられないことは分かっている。まさかこの地域から歩いて出るだけで、この蠱毒戦争から逃れられるという事はないだろう。それでも、級友たちと殺し合いをする算段を立てる事など出来るはずがなかった。叫び出したくてしょうがないのを辛うじて飲み込んでいるのが、通に残されている冷静さである。
 不意に視界がぐらつき、頬と胸に熱い痛みが走った。足がもつれて転んだらしい。だが、すぐに立ち上がる事は出来ずに、ぜえぜえとしばらく喘いでいた。
 五分ほど経って、ようやく呼吸が落ち着いてくると、通は腕に力を入れてゆっくりと立ち上がる。

 「(くそっ!こんなことがあっていいのか!)」

 金井先生の死に様を見るたびに激しい吐き気に襲われる。事実、走っている途中に座り込んでは何度も吐いた。蠱毒戦争において空腹が第二の敵となりうる事は重々承知していたが、人間が惨殺される様を見て、そう冷静になれるはずかない。まして、その惨殺された人間というのは、自分の恩師であり、数時間前にちょっとした言葉を交わした相手だったのだ。

 「父さん、母さん……」

 帰りたい。どうしようもない絶望が郷愁を強くさせる。だが、我が家の扉を開くには、他のクラスメイト全ての命というあまりに思い鍵が必要となるのだ。
 この悪趣味では済まされない殺し合いに乗る知り合いがいるのだろうかと思っていたが、家族や今までの人生を思い起こせば、他人の命は決して釣り合わない代償という訳ではないのだ。自分と同様に他人の人生がある事など誰もが知っているが、あらゆる人生から一つを選ぶとすれば、多くの人間は自分の人生を選択するだろう。

 「……許せない」

 だが、坂本通という少年の精神構造は並みの人間よりも少しばかりタフだった。恐怖心や絶望に打ちひしがれはしたが、それ以上に正当な怒りが最終的には競り勝った。戦うべきはその選択を迫られたクラスメイトではない。選択を強いた、あのおたふく仮面の男であり、『試験官』と名乗るゲームマスターだった。

 「……ボクは生き残れないかも知れない。だけど、最後の最後までお前らに屈してなんかやるもんか」

 廃校の方を見据えると、通は一人で啖呵を切る。宣戦布告というには、些か自信が欠けてはいたが、決意のほどは十分だった。
 ひとまずは荷物の確認をしようと、道から少し降りた畑で、バッグの中身を開ける。あたりには鈴虫の鳴き声が涼やかに響いていた。

>>ALL

10ヶ月前 No.41

@yuzumikan0 ★ePNLIeW1xS_IZy

【北部地域/廃校・廊下/花杜 珠緒】

美世の能力は真正面から顔を見た相手の能力を看破するものだと説明を受ける。それに対し、もしかして自分がわざわざ説明しなくても知っていたのでは?と察すれば、やはりそうだったらしくしゅんと肩を落とし申し訳なさそうに「嫌な思いをさせたのならごめんなさいね」と謝られてしまう。そんな美世に看破してたんかーくらいにしか思わないため気にしないでと本心から首を横に振る。

『仲が良い子……か。たしかに私を誘ってくれたり、話しかけたりしてくれる子はいたわ。でも、みんな私とどこか壁があるというか……。きっと私のことを、本当の友人と思ってくれていた子は……私の本質を見ていてくれた子は、数えるほどしかいなかったのでしょうね。それが悪いことだとは思わないわ。だって私、はっきり言って近寄りがたいでしょう?だからこういうときでさえも表面上だけの付き合いをするのは得策とは言えないかなって思ったの』

どこか困った様子で苦笑いを浮かべながらも自分が問いかけた言葉に律儀に答えてくれる美世を見つめ、学校での美世を思い出してみる。美世のことは眠りから目を覚ましたとき、たまに視界に入ったときに見てみればクラスメイト達と何かを話していて、人望がある優等生のような人物だとしか思っていなかった。しかし自分が全く気がつかなかっただけで話していたクラスメイト達とは上辺の関係というやつで、美世なりに思うところがあったのだ。

「…わたしは寝てばっかだったし、近寄りがたいって思ったことはないよ。他の人は知らないけど。てか、この状況なら天羽さんが一番話しやすいかもしんない。寝てばっかであまり接したことのないわたしともこうして話してくれるし、それに何といってもみんな何考えてるかわかんないし…それは天羽さんもなんだけど、まだまし…みたいな?ましって失礼か、ごめん。えっと、とりあえず天羽さんがそうしたいならそれでいいんじゃないかな、うん」

寝て過ごしてばっかで学校で人と話すのを避けていた自分はこういうとき、どんな答えを返せばいいのかわからないが、とりあえず自分の思いをたどたどしくだが素直に言ってみる。しかしいざ言ってみたもののだから何なのって話では?思えてきてしまい、無理矢理話を切り上げる。そして一先ず雨風を防げるアジトを決めることになった。

「たしかに、そうだね。…んー、デパートとか雨風も防げるし、寝る場所や役に立ちそうなものとかありそうだし、人が集まりそうだよね。仲間を増やすチャンスでもあるかもだけど、危険な目に遭う可能性も…。まぁ、どこ行っても危険か……うわっ」

先ほど受け取った荷物から地図を取り出し、それを美世にも見えるように広げながら候補を少しだけ挙げてみる。そうしていれば突然つかつかと190cmほどの高身長である…鮫村 絆火が近寄ってきた。それに少しびびりつつも彼の視線の先を見れば自分と話していた美世だったのでどうやら用は美世にあるようだった。そして美世の眼前まで近寄り、どシンプルに「天羽。死ぬなよ」と言い放った。

「めっちゃシンプルで情熱的だ…」

それを近くで見守りながら、ついぼそりと小声で感想を呟いてしまう。たぶん…だが、美世を襲う意思はないのではとシンプルなその言葉から汲み取っていればスルーされているとばかり思っていたのに一瞥される。何も反応しないのもあれかと思い、「…どうも」と軽く会釈をしておく。それからどこかへ行くのか自分達の横を素通りしていく絆火に

「…あ、えっとたしか鮫村くんだったよね。これからどうすんの?」

引き止めるように質問を投げかけるがこれでは言葉が足りないのではと内心焦り、どうやら絆火と接点があるっぽい美世に表情筋が凝り固まっているので表情は無なのだが、どこか困った様子で助けを求めるように視線を送る。


>>美世、絆火、ALL

10ヶ月前 No.42

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

【東部地域/デパート/獅子王妃愛】

 「うう、ゆえゆえいないのめっちゃ心細い……。こんなことなら廊下で待っとくべきでした。マジで帰りたいでーす」

 コンクリートで舗装された道を黒いローファーで踏みしめながら歩く事体感で数十分。支給された地図通りに進んでやっと辿りついた東部地域のデパートは明かりの1つも灯っておらず、来るもの全てを拒むような威圧感を放っていた。夜来るべきでは無かったと後悔するが、ふと黄色い看板の雑貨屋が目に入る。全国展開されているその雑貨屋は妃愛にも馴染みが深い店だ。入口付近に位置しているため、月明かりが差し込み辛うじて行動ができるだろうと踏んだ妃愛は中に入る決意を固める。入るには自動ドアを自力で開ける必要があったが、施錠されてすらいない自動ドアは学年内で相当非力な部類に入る妃愛でも少し力を入れれば開けることができた。辺りを警戒しながら小走りで目当ての雑貨屋へと向かい、商品の物色をはじめる。
 文房具やら傘やら香水やらバス用品やら化粧品やらが所狭しと並ぶ中、それらを素通りしてまず向かったのは防寒具のコーナー。体を包み込めそうなブランケットを1枚選んで無理矢理バッグに捩じ込む。その後はウェットティッシュを4つ、15枚入のファンシーな絆創膏を5箱、消毒液を2つ、それから護衛用にごついハサミとカッターを拝借した。出来れば缶詰や飲料水も確保したかったが輸入菓子が並んでいたであろう棚が空っぽなところを見るとそういった類のものは全て撤去されてしまったのかもしれない。
 主にブランケットのせいで膨れ上がったバッグを両手で抱えながら月明かりが射す範囲内を物色したが特に目ぼしいものはなく、もういっそここで寝てしまおうかと棚から離れたレジ付近に移動して座り込む。先程拝借したばかりのブランケットに包まり座ったまま瞳を閉じるが、ふと大切な事を思い出す。

(そういえば妃愛、自分の能力把握してないわ)

 今まで気にすら留めていなかったが、あの気持ち悪い虫を飲んだからにはある程度の能力が備わったはずだ。ブランケットの暖かさに勝てず包まったまま体に力をいれてみたり神経を集中させたりしてみたが、炎が出たり雷が落ちたり水が溢れたり周囲が凍ったりするなんてことは無く、なにか特別な身体的変化も現れない。何も起きなかった。

「虫を飲んだからには何かしらの能力は発現するはず、だと思ったんだけど。……もしかして試験官煽ったからただの虫飲まされたとかですかねぇ。いやいやまさかぁ」

 なにも目に見える能力ばかりではないし、誰かに襲われて初めて自覚するものだってあるかもしれない。しかし能力の詳細が分からないとなれば戦闘にもつれ込んだ途端簡単に殺されてしまう。護身用にポケットに忍ばせたハサミもカッターも、いくら妃愛基準で強そうなものを選んだとはいえ能力者相手には爪楊枝みたいなものだろう。
 これから先どう生き残ろうか、今考えても仕方が無いので英気を養うために寝てしまうことにした。
 やっと眠れる事に気が抜けたのかうっかりしていたのか、レジのカウンターが後ろにある事も忘れていつものベッド感覚で倒れ込み、後頭部を強かに打ち付ける。がつん、と大きな音が脳に響いた。

「いたっ……く、ない」

 当たった感覚は確かにあった。がつん、という派手な音も聞こえた。しかし何故だか痛みだけは感じない。例えるなら手に持っていたバッグをぶつけただけのような感覚。正直少し気持ち悪い。

「なるほどね。妃愛は痛いの好きじゃないから助かりまーす。――最悪死ぬ時も相当楽ですねぇ」

 ただし痛みは体の警告アラームでもあり、それをなくすということは危機察知能力が著しく低下するということ。その危険性は妃愛も充分わかっていたので常時痛覚を遮断するわけにもいかない。然るべき時まで能力は使わないでおくべきだろうと判断し、発動させた能力を解除する。じわじわとスポンジに水が吸い込まれるように痛みが後頭部に戻ってきた。痛覚を遮断した時に負った怪我の痛みは解除すると少しずつ戻ってくるらしい。
 使い道には気を付けようと心に決めて、カウンターに寄り掛かるとバッグを抱えて瞳を閉じた。

【朝が来るまでデパートで寝かせときます!】

>>ALL様

10ヶ月前 No.43

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【北部地域/廃校・廊下/天羽美世】

たどたどしくも己の気持ちを示してくれた珠緒を見て、美世は少しだけその切れ長の目を見開いた。そしてくすりとどこか安心感を含んだ笑みを浮かべる。やっぱりこの子で良かった。ちょっと不思議なところもあるけれど素直に自分の感情を此方に向けてくれるもの。そんな風に思いながら、美世は珠緒に今度こそちゃんとした笑みを返した。

「ありがとう花杜さん。私とあなたってけっこう相性がいいみたいね。まあ、この状況で言うのもなんだかおかしい気はするけれど、これからよろしくね。なんなら私のこと、美世って呼んでもいいわよ?」

天羽さん、じゃ堅苦しいしね、と茶目っ気たっぷりに器用にも片目を瞑って見せる。こういった技術だけはやたらと得意なのでこの天羽美世という少女はただ儚く可憐なだけの深窓の美少女とは言い難い。
さて、珠緒の意見によるとデパートなど大きく広い建物なら雨風が凌げる上に寝る場所にも困らない。諸々の物資もここで揃えることができるだろう。しかしクラスメートが集まりやすいという点もある。珠緒のように良識や分別のある生徒ならある程度の接触も可能かもしれないが、そうでなかったときが怖い。明らかに非戦闘向きの女子生徒二人で敵う相手ではないだろう。能力でかわすことも不可能ではないが、できることなら無用な戦闘は避けておきたいところである。

「たしかにデパートは利点もあるけれど危険も伴うわね。ここは住宅街とかの方が逆に安全なのかもしれないわ。病院もどうかと思ったんだけど、ほら……夜だと怖くないかしら?」

実際のところ怖がる気配は全くないのだが、美世の悪戯心が疼いたのかそんなことを言ってみる。両手をうらめしやのポーズにするほどの周到さである。……と、美世が珠緒をからかおうとしていたところ、目の前に自分より随分と背の高い生徒が立ち塞がった。一瞬敵襲かと表情を険しくしたが、すぐにそれは誤解と気づく。その男子生徒━━━━鮫村絆火は美世を色眼鏡で見ずに接してくれる数少ない生徒の一人であった。積極的に話すということは多くはなかったが、美世の中では「気軽に話せる人」という位置付けになっている。自分よりも高い位置にある絆火の顔を見上げていると、彼は「天羽。死ぬなよ」と短く言葉をかけた。近くで珠緒が「めっちゃシンプルで情熱的だ……」と小声で評していたのが美世の耳にも届いた。

「……あなたも、あまり死に急いでは駄目よ?」

どこか余裕や見る者によっては威圧感すら感じさせる微笑みを浮かべながら、美世もそんな忠告をした。鮫村君なら十分勝ち残れるだけの力量を持っているだろうけど、と内心付け足しながら。そして何もなかったかのように素通りしていこうとする絆火の背中に、余計かもしれないとは思いながらも声をかける。

「今日は一先ず休んだ方がいいわよ、鮫村君。余計なお世話って思うかもしれないけど、私としてはあなたには万全の状態でいてほしいの。無理だけはしないでちょうだいね?」

そして彼の近くまで小走りで駆け寄ると、ポケットから新品のティッシュを取り出して「ハンカチ、汚れてしまったなら使って。まだ余りはあるしかさ張るからもらってちょうだい」と彼に手渡そうとする。教室での一部始終を見ていたことが露見してしまうが美世に気にする素振りはない。まあ断られたらそれでもいいのだけれど、ぐらいのスタンスだった。

>>花杜珠緒様、鮫村絆火様、周辺all様

10ヶ月前 No.44

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_KGe

【西部区域/→神社(境内)/カレン・グレアム】
「……良かった、降りだす前に軒先を借りることが出来そうですね」

 西部地域に存在する神社へと続く石段を登りきり、境内に人影がないことを確認して、カレン・グレアムは小さく息を吐いた。
 今いる地区の北部に存在する廃校舎から、森を回り込む形で反時計回りに歩いて西部地域に流れ着き、折しも降ってわいた雨雲から逃れるために、雨宿りできる軒先を探して地図片手に辿り着いたのが神社だった、というわけである。
 地図を見る限り、他の生徒が行きそうな、武器や寝床といった必要物品が簡単に手に入りそうな場所からはそれなりに離れている。いわゆる逆張りをするメンバーがいる可能性を考えても、少なくとも今晩、誰かと出会う可能性は相当低いとみてもいいだろう。

「名も知らぬこの国の神よ。一晩の宿をお借りします、お許しください」

 ポケットに残っていた小銭を賽銭箱に入れて二礼二拍一礼の礼拝を済ませ、境内を軽く探索する。
 入れる場所があれば室内で休みたいところだが、恐らくここもあの校舎のように放棄されて久しいだろう。大きな建物には鍵もかけられている事だろうし、侵入は難しい。内部に入り込んだとしても、構造を把握していないから何かあった時にすぐに出られないだろう。となると、当初の目算通り、雨をしのげる程度の軒先を借りるしかないか。

>>周辺ALL

10ヶ月前 No.45

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_3Nj

【 鮫村 絆火 / 廃校・教室→廊下(移動中) 】

 生き抜くうえで必要な最低限の物資、それに加えて自分が欲する物を求めて移動をしようと考えているさ中、背後から声をかけられる。呼び止められる形で話しかけられることも、その声音が天羽でなく花杜であることも、バンビには予想外のことだった。ぴたりと足を止め、首だけで花杜の方へ振り返り、視線を合わせてから口を開く。

「最優先事項は物資の調達。ひとまずの目的地は廃病院を考えている」

 問いかけられたことに関しては、意外にも素直に答える。その理由は、バンビが花杜を未だ脅威として認めていないからである。自分が今から向かう場所を彼女に知られることで、自分の身を害されるようなことになるとは考えていない。無論バンビにとって、毒虫を受け入れた彼女は敵というポジションではあるが、天羽と行動を共にしている、という点においては保留というポジションにもなりうる。
 次に、天羽から微笑みを添えて返された第一声に、あからさまに不快そうに眉を顰めた。心外だ、とでも言わんばかりに。

「……俺を誰だと思ってる? その軽口、命取りになるぞ」

 己の努力によって得られた輝かしい来歴によって人格が形成されたバンビにとって、あたかも死に急ぐ雑魚を諫めるような言葉を天羽よりかけられたことは遺憾でしかなく、鋭い視線を天羽へ移し、幾分か低くなった声で答える。彼女が好意でティッシュを手にしながら駆け寄って来るその様子すら、睨めつけるような目で一瞥する。

「解せねえな。なんで俺のコンディションがお前に関係ある?」

 差し出されたティッシュには目もくれず、ただまっすぐに、厳しい眼で天羽の純黒の瞳を見つめながら。彼女の返答次第では、バンビの彼女に対する印象が良くも悪くもがらりと変わるだろう。この場の空気が肌を打つように緊張するのを、傍で見ている花杜には耐え難く気まずい思いをさせてしまうに違いない。彼女がよっぽどの鈍感である場合を除いて、だが。

>>天羽、花杜、周辺ALL

10ヶ月前 No.46

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【北部・森林→住宅街/今福昇】


ぽつり、と頬が濡れる感覚で顔を上げる。一時間ほどそうしていただろうか、体育座りで蹲っていた体は軋んでいる。木を背もたれにしたのがいけなかっただろうか。時刻は夜を過ぎていたが、廃校で目が覚めるまで寝ていたからだろう。蹲って寝ていた訳ではなかったが、長時間同じ姿勢だった為身体が固くなっている。

(それに、いつ殺されるか分からない状況で悠長に寝ていられるほど図太い神経はしていない)

顔を上げて変わらない景色に夢では無い事を悟る。出来れば、出来れば夢であって欲しかった。暗くて静かな森に、不安ばかりが募っていく。

(くら、暗い?)

確かに廃校から見える景色は闇夜で月明かりがぼうっと照らしていたが、だが廃校からこの森林に来れる位には月が明るく輝いていた。可笑しな状況に思わず立ち上がる。固まった身体に痛みが走ったが、今はこれが夢では無い事を裏付けるだけだ。
立ち上がって、気付く。先程頬に当たった雫は結露によるものだと思ってはいたが、違うようだ。雨が降っている。それほど激しくは無いものの、十分も外に居ればずぶ濡れになるような雨。山の天気は変わりやすい、とは聞くがそれは孤島にも通ずるものだろうか。
恐らく木々によって濡れる事を回避していたが、いつまでも木陰で雨宿りは出来ないだろう。リュックだって自分が抱えて蹲っていたから無事だ。急いで地図を取り出して、雨宿りが出来そうな場所を探す。濡れた身体は体力を奪っていくものだとテレビで聞いたから出来れば近場が良い。走らせた視線が住宅街で止まる。学校は荒れ果て森林にも雑草が蔓延っているが、どうだろう。雨宿り位は出来るだろうか。廃校だって木造建築では無かったし、恐らく住宅も木造では無いだろうからそこまで朽ちては居ないはずだ。
何の足しになるかは分からないが、見た中で一番大きな、杖になりそうな木の枝を一本拾うとリュックを背負う。急ぐつもりでいるから走るが、走るのなら前に抱えた方が動きやすい。しかし背後から万が一、なんてあるかもしれない。それを防ぐ為にも背負った方が安全だろう。右手の枝を握りしめると、誰にも会いませんように、と祈りながら走り出した。

それほど時間も掛からず地図通りに行けば家が建ち並ぶエリアに出た。やはりそれほど広くないのだろう。家屋を一軒一軒見て回るが、人が住んでいないと分かる程度には廃れている。住宅街の中程まで来たところで目に付いた家の扉を開けてみる。何の抵抗も無く開き、中をそっと覗いて見ても何の気配もしない。怖い程静かだ。その事に足が止まりかけたが意を決して中へと入る。扉を閉めて、鍵をかける。こじんまりとした、何処にでもあるような一軒家だ。
一息吐いて座り込みたい気分だが、安心出来ない内はやめておこうと中を見て回る。見ただけでも埃が積もっている事が分かったので靴は脱がなかった。全ての窓と裏口らしき扉の鍵を閉める。二階に上がると部屋が三つほどあった。その内の、真ん中の部屋に入ってみるとすのこベッドが置いてある。流石にマットまで、とはいかなかったが丁度いい、と手で埃を払い腰掛ける。夜が明けるまでは此処に居よう。暗いのは怖い。

(晴れないかなぁ)

人工的な光が一切無いからか、森林まで行った時に見た空には星が綺麗に輝いていた。月も明るく照らしていて、それだけでも進めたほどだ。
はあ、と溜息を吐くと硬いすのこベッドに寝転がる。これではまた身体が痛くなるな、と思わないでもなかったが贅沢も言っていられない。今福が目を閉じ、眠りについた頃に雨は次第に弱くなり、雨雲も少しずつ引いていくが今福は気付く事は無い。



【雨が降り始めたという事で今福も移動させました。思ったけれど今福の能力、めちゃくちゃ気付きにくいよねって事でこんな感じに】

>>ALL様

10ヶ月前 No.47

@yuzumikan0 ★ePNLIeW1xS_QaP

【北部地域/廃校・廊下/花杜 珠緒】

相性がいい、その言葉に少しきょとんとしてしまったが美世がどこか安心したような、嬉しそうな笑顔を向けるものだから、こちらも少しだけ微笑んでそれに頷く。しかしその後に美世と名前で呼んでいいと言われたことに「え」と言葉が零れ、又もやきょとんとしてしまう。そんな自分に美世は器用に片目を瞑り、ウインクを向けた。

(天羽さんってウインクとかしちゃうんだ…びっくりしたけど、なんか年頃の女の子って感じでいいと思う……じゃなくて!名前呼び!?これって友達になったときにするようなやりとりでは!?と、とにかくこうして一緒に行動することになったし、信頼関係を深めたほうがいいだろうし……ええい、ままよ!!)

「じゃ、じゃあ……美世、さん」

ぐるぐるとそんな考えを頭の中で廻らせてやっとの思いで美世を下の名前で呼ぶ。しかし先ほどまで美世を見つめていた視線は宙を彷徨い、呼び捨てするほどの勇気は出なかったのか後から小声でさんを付ける。呼び捨てだと馴れ馴れしすぎるかもだし、ちゃん付けとかわたしの柄じゃないし。別にへたれてないし。と自分を言い聞かせながら、友達と呼べる子などいなかった自分にとってこういうのは不慣れで結構照れるため、普段と比べ異常な状況のためかよく動く表情筋を照れ隠しで顔を隠すようにしてそっと撫でる。

「たしかに住宅街なら雨風も防げるだろうし、もしかしたら何か役に立ちそうなものも見つかるかもしれない。……病院は避けよう。少なくとも夜は」

美世の住宅街とかの方が逆に安全かもしれないという意見を聞いて、それに賛同するように返し、夜の病院に行くだなんて、漫画やテレビでホラーものをへっちゃらで見ているとはいえ、流石に怖い。だからはっきりと行きたくないと言えば美世が何やら不穏な動き…まるでうらめしやーと脅かすようなポーズをとっていたが絆火の登場でどうやらからかわれずに済んだみたいだ。美世の絆火に対しての余裕があるようにも、威圧感があるようにも思える微笑みを浮かべながらの忠告を聞いて、この二人は一体どういう関係性なんだと疑問に思う。

(この二人はバトル漫画での主人公とライバルのような言葉の掛け合いをしているように見えるけど……。お互いに認め合っている、ということ?)

そんなことを思っていればどこかへ向かおうと自分達の横を素通りして行った絆火がぴたりと足を止める。呼び止めるように声を掛けた際、絆火のほうを見ていたからかそれにすぐ気が付く。そして首だけでこちらを振り返った絆火は美世ではなく、自分に視線を向けてきたことで目が合ってしまう。それに少し戸惑い、視線を逸らしそうになったが彼が口を開いたことで彼の言葉をきちんと聞こうと視線を逸らしそうになるのを堪える。

「病院、か。夜だし、気を付けないとだね……」

そして彼は意外にも自分の問いかけたことに素直に答えてくれた。だが自分は何かいいことを言えるわけでもなく、先ほど美世に言われたことが尾を引いているのかよくテレビのホラー特集で見る廃病院で怪奇現象に遭うというものを思い浮かべながらそう言葉少なに返事をする。自分がそんなしょうもないことを思い浮かべていれば絆火が美世の忠告にまるで心外だと言わんばかりに眉を顰め、言葉を返し、さらに美世が好意で差し出したティッシュには目もくれず、真っ直ぐに厳しい眼で美世に問いかけていた。それによってこの場の空気が緊張感があるものに変わる。

「ちょっと、二人とも……お互いに認め合って、るのか?えっと、そうならもうちょっと平穏なやり取りを……」

自分が気が付かないだけで鈍感なところはあるかもしれないが、よっぽどというほどではない自分にはこの空気、二人のやり取りを気まずく感じてしまい、つい制止力がない言葉を挟む。二人の関係性をわかっていない自分があまり口を挟むことは控えたほうがいいとわかっているのだがこの空気に耐え切れなかった結果口を挟んでしまった。


>>美世、絆火、ALL

10ヶ月前 No.48

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【北部地域/廃校・廊下/天羽美世】

てっきり訝しげな表情でも向けられるかと思っていたのだが、珠緒はきょとんとした後に視線をさ迷わせてどこか恥じらうような表情を見せた。美世はそんな珠緒を見てくすりと笑む。不思議な子だと思っていたけれど、なんだか微笑ましいところもあるじゃない、と内心満足そうである。一人っ子で兄弟のいない美世にとっては、珠緒の言動は妹のようにも思えるのだろう。

「そういうことなら、私もあなたのことを名前で呼んでみたいわ。あなたが嫌ならこのままでも構わないけれど」

今まで表向きだけの関係でしか付き合いをしてこなかったためか、こういったことは新鮮で楽しいのであろうか。美世の表情はるんるんとしており、いつも落ち着いた顔をしているためかひと度表情が崩れると一気にその清廉とした美貌があどけなくなる。無表情であればとことん冷たく凍てつくが、破顔すればそれはまだ幼い、無垢な少女のものとなるというのだから、この天羽美世という少女は不思議と言えよう。

「うふふ、そうね。じゃあ今日は一先ず病院を避けましょうか。なんだか雲行きも怪しいものね。小雨ならいいのだけれど、本降りになったら此処で一晩過ごすしかないかしら……。……よくよく考えてみたら、廃校もなんだかちょっとあれよね」

険しい顔をして病院は避けようと言う珠緒を見て、美世は楽しそうににやにやと可愛らしく彼女を眺める。悪戯心の加減をいまいちよくわかっていない美世はこういう機敏に疎い。やり過ぎはほどほどにした方がいい、という配慮はある意味美世にはないようなものだ。

「あら、ごめんなさい。あなたの気を悪くするつもりはなかったのだけれどね。でも、あなたはきっとこのクラスの中では最上級と言っても良い身体能力や、戦術を練る知恵も持ち合わせている━━━━つまり、あなたはこの戦いにおいての最大の優勝候補なのよ、鮫村君」

己に厳しい視線を向けてくる絆火の目を臆することなく真っ直ぐ見つめながら、美世はそんな風に言葉を返した。お世辞ではなく、これらは本心から出た言葉と言ってもいい。武術を嗜んでいる美世からしてみれば、絆火の所作や立ち居振舞いは明らかに手練れのそれである。美世もそれなりに今まで武道を習ってきたものの、絆火のそれとは格が違うと悟っていた。だからこそ、美世は絆火のことを周りのクラスメートとはまた違った目で見ていたのだ。

「だから私はそんなあなたと一度本気でぶつかってみたいと思うわ。でも私はまだ弱い。あなたと当たればあなたが倒したという実感もないうちに私は殺されてしまうでしょう。それは私も嫌よ。結果がわかっている試合なんて、つまらないにも程があるわ」

かつ、かつ、とローファーの音を響かせて美世は一、二歩絆火へと近づいた。そこに恐れやおののきはなく、口許に笑みを浮かべているだけである。自分よりも30センチ以上背の高い絆火を見上げながらも、その表情は決してへりくだることはない。その真意を読み取らせるつもりは、美世には更々ない。むしろ汲み取ってみせよと言わんばかりの表情だった。

「今の私はあまりに弱い。故に力を蓄え、あなたに見合うくらいの天羽美世になってみせるわ。だからあなたにも絶対に手を抜かず、油断せず、私と戦って欲しいの。我が儘と思うかしら、それでもいいわ。私が戦いたいのは本気のあなたよ。誰にも媚びず、気高く、孤高を貫く王たるあなたと、私は死ぬ前に相対してみたい。だからあなたには死んでほしくないの」

口許は弧を描いていながら、瞳に宿るのは静かな闘志と只者ならぬ威厳である。一言でも言葉を選び損じようものなら殺されかねないこの状況で、美世は澱みなく言の葉を連ねて見せた。

>>花杜珠緒様、鮫村絆火様、周辺all様


【ひええ美世ちゃん下手したら殺されそうなこと言っちゃってますねドッキドキです……(((】

10ヶ月前 No.49

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_3Nj

【 鮫村 絆火 / 廃校・教室→廊下(移動中) 】

 バンビと天羽の間に流れる一触即発の空気にうろたえ、なんとか仲裁を図ろうとする花杜の言葉には耳を貸さず、ただ眼前に屹立する天羽に意識を傾ける。バンビは決して怒りに我を忘れているわけではない。むしろその逆で、恐ろしいほどに脳髄は冷たく冴えきっていて、注意力も失っていない。ゆえに、花杜が先ほど、バンビの視線を受け止めるがために、一度は逸らしかけた己の目を、勇気をもってバンビに向け続けたことにもしっかりと気付いていた。それでも彼は揺らがない。
 だが、天羽のそれはどうだろうか。真っ直ぐで無遠慮。挑戦的で利己的。言の葉を紡ぐ口調は丁寧であれど、それは彼女の内に巣食う凶暴な攻撃性を覆い隠すための衣に過ぎない。バンビはそう感じた。

「――築き上げた屍の山が、俺を更なる高みへ導く。その頂で俺と比肩するのは、お前かもしれんと思っていたが」

 昏い海の底のように冷徹な双眸で毅然と天羽を見下ろし続ける。今までの人生、己に対してこうも分かりやすい啖呵を切った女など存在しなかった。元より、そこらの有象無象とは一線を画す、見所のある女だとは思っていたが、まさかこんな序盤で己に牙を剥く様な女だとは思っていなかった。それも、己の至らなさを認めたうえで、力を蓄えるのを待ってほしいという我が儘な条件付きで、だ。

「駄目だな。お前は俺を濁らせる」

 言い放てば、それを契機に予備動作もなく右手を天羽の首筋へと伸ばす。その暁には、彼女の首を鷲掴みにし、窒息させるまではいかずとも満足に呼吸は出来ぬほどの握力を加えるつもりで。
 バンビが宿すのは、孤独ゆえに何者にも干渉されず、純粋で洗練された強さ。闇の中でこそ真の光を見出せるが如く、決して揺るがない孤高こそが、バンビの両脚を支え続け、血反吐を吐く様な鍛錬の中に身を置かせ続けた。

「吠えたな、天羽。その口で友に助けを乞うてみろ。それともお前独りで何とかするか?」

 首を掴むのに成功していた場合、その手に込める力を緩めることは一切しないまま、花杜を顎で指しながらも、冷厳たる辛辣な目で射るように天羽を見据え続ける。もし彼女が命を乞う声に喉を震わせたのなら――否、そんなことはきっとしないだろう。あくまで彼女はバンビへの挑戦者である意思を露わにしたのだから。

「俺と対峙したいのなら、俺と同じ土俵に立て。生温い沼に浸かるお前に、俺へ挑戦する資格は無い」


>>花杜、天羽、周辺ALL


【バンビの琴線に見事触れましたね!おめでとうございます!】

10ヶ月前 No.50

坂本通 @arthur ★iPhone=plYOl356HW

【北部地域→西部地域/廃校・教室→神社/坂本通】

 田畑のような視界の開けた場所は危険極まりないということに気付いたのは、荷物をチェックして少し経ってからの事だった。この蠱毒戦争はナイフや銃が支給されている訳ではなかったが、弓矢や銃に似た特性を持つ異能力があることは決して否定出来ない。自分は俊足(スター・ライダーと名付けた)という能力に恵まれたが、これが怪力を発揮する能力であるならば、石を遠投するくらいは造作ないだろう。当たりどころが悪ければ、死に至ってもおかしくない。
 ともかく、そう判断した通は畑に突き刺さっていた鍬を一応拾うと、時速15〜20kmほどのスピードを維持して走っていた。およそ長距離を走るような速さではないのだが、すでに通の身体は試験官の偉大な研究成果によって、人の領域から片足を踏み出してしまっている。
 毒虫は基本的な身体能力を強化するらしいが、スタミナにもその恩恵は現れているようで、心なしか酸素を求める辛さがいつもよりも薄い気がする。最も辛いことに変わりはないので、物陰を見つけては休憩は取っていたが、その移動速度に追随する者は今の3年2組にはいないだろう。
 ひとまず今福昇のような友人と落ち合いたかった。通は交友関係の広い方ではあったが、何人もいるクラスメイトをどこまで自分は知っているのだろうか?あのおとなしかった梅王丸鞘が狂気の淵に引きずり込まれた様を見てしまった今、不愉快ではあるが級友たちを殺人者として疑う自分が生まれていた。
 目的地である神社の本殿に近付きながら、通は木々の伸びる斜面を登っていった。先述した警戒心から、参道を辿る勇気はなかったので、俊足を生かすことはなく、茂みをかき分けながら慎重に進んだ。
 そうして本殿へと出たところで、ついに通はかち合ってしまった。

 「ッ!」

 反射的に鍬を両手で構える。はたから見れば滑稽だったが、当人たちの間では大きな緊迫を生むに違いない。
 鍬の刃が向いた先には、プラチナブロンドの髪をポニーテールに結った美少女がいた。身長は通よりも一回り上だろう。
 美少女はカレン・グレアムと言う。お嬢様然としたイギリス人とのハーフで、負けず嫌いな性格もあってか成績優秀。部活は水泳部に所属しており、そちらでも活躍していると聞いたことがある、いわゆる才色兼備の人だった。
 通自身も何度も話した相手だった。それこそ将来のことなど、踏み込んだ話などはしていないが、取り留めない雑談をするくらいには打ち解けた関係だった。すべて過去形で説明せざるを得ないのは、通と彼女がこれから殺し殺される関係になる可能性が十二分にある為である。
 友人とも言えるカレン相手に使い方次第では、人を殺せる道具を向けている。自分のしていることに目眩がしそうだったが、恐怖心から鍬を投げ出すことが出来なかった。怯えが奇妙な殺気を伴って、境内を漂う。

【絡ませて頂きます。殺し合うもよし、同盟するもよしです。】

>>カレン・グレアム

10ヶ月前 No.51

詠琉 @clock☆VeghuuvPddk ★CxGZ9q9dgG_xmq

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10ヶ月前 No.52

@yuzumikan0 ★ePNLIeW1xS_QaP

【北部地域/廃校・廊下/花杜 珠緒】

珠緒のことも名前で呼びたい、とそう言った美世の表情はるんるんとしており見慣れている落ち着いた表情とは打って変わって年相応にあどけない。それを見て「ブッブー駄目でーす」などと言えるほど根性は捻くれていないし、名前で呼ばれても嫌な気はしない。

「……嫌、じゃないよ。美世さんの好きなように呼んで」

嫌な気はしないが、こういうやり取りに慣れていないせいで照れくさいというのはあり、視線を美世から逸らしたままぼそぼそとそう口にする。そして一先ず病院に行くのはやめておき、雲行きが怪しいためもしかするとこのまま廃校で一晩過ごすことになるかもしれないと言った美世に少し照れくささが落ち着いたため、ちらりと視線を向ける。視線を逸らしていたから気が付いていなかったが病院を避けようと言った珠緒をそれはもう楽しそうににやにやと見つめていた。さらに「廃校もなんだかちょっとあれよね」とまで言われてしまう。

「美世さん、やっぱわたしのことからかってるでしょ。これが普段ならとっとと寝て、美世さんなんか無視してるところだよ」

むむっと眉間にしわを寄せ、元からジト目だというのにさらにジトーッと美世を睨みながらそう言えば、ぷいっと美世から顔を背ける。まるで拗ねましたと言わんばかりにわかりやすく。


珠緒はこちらの仲裁の言葉など聞いてくれない美世と絆火の真っ直ぐな言葉のやり取りをハラハラと何もできないまま見守るしかなかった。なんでこんなことに……と珠緒の目に困惑の色が浮かび、止められないし……という諦めから少し二人と距離を置く。

『駄目だな。お前は俺を濁らせる』

絆火は美世にそう言い放てば、予備動作もなく美世の白い細い首筋へと右手を伸ばした。

「!?……っ、美世さん!!」

予備動作もなく行われたそれに反応が遅れながらも咄嗟に美世の名を呼び、どうすればいいのか混乱しながらも美世を助けねばと傍へと近寄る。


>>美世、絆火、ALL

10ヶ月前 No.53

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_JEY

【西部区域/神社/カレン・グレアム】
 境内を見て回ろうとした矢先、参道からではなくその脇の方から、がさがさと物音が聞こえた。この土地の獣か、それとも他の生徒か、どちらにせよよろしくないもののようだ、と身構える。
 素直に退避するという事も選択肢としてはあったのだが、音から判断してまだ見ぬ相手がまっすぐにこちらに向かってきている事、境内はそこまで広くないようだからどうせすぐに会敵することになるだろうし、それならば何も避けられないような場所よりは多少広い場所で迎え撃った方がまだましだろう、と考え、その場を動かないことにした。
 そして、音の主は、知己の友人の形で現れた。

「あら、ごきげんよう坂本君」

 まるで朝の学校で出くわしたかのように、自然な挨拶を向ける。しかし、カレンの顔には普段の笑顔はなく、足にはいつ相手が動いても対応できるように力が込められている。
 向けられた武器は鍬……かの西遊記の登場人物の一人の武器が鍬の類として描かれていたはずだし、日本史を紐解けば、一揆の際の農民たちの主流の武器の一つが鍬だったという。
 かつての農民たちのような、これを使い慣れている人にはかなり使える武器なのだろうけれど、柄を打ち下ろすか薙ぐかのみでしか真価を発揮しない筈の武器なら、柄の長さよりも短い距離に突っ込んでショートレンジの戦いに持ち込めば、勝ち目の一つでも生まれてくるだろうか。

「貴方が私に武器を構えているから聞くけれど。
 ―――本気で、丸腰の私に対して武器を向けるのね?」

 問いかけは、あくまでも穏やかに。
 まだ敵ではなく/答え次第で本当に敵になる通に対して、そう声をかける。

 武器を探す時間もなかったし、おまけに能力も戦闘に関しては外れくじと言って差し支えないようなものでしかない。可能であればこんな丸腰の状態での戦闘は避けたかったが、武器を向けられている以上、撤退することは出来ない。今の彼に背を向けてはこちらが本当に殺されてしまうだろう。

>>通、周辺ALL

10ヶ月前 No.54

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

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10ヶ月前 No.55

坂本通 @arthur ★iPhone=1TVBnaw0bn

【西部区域/神社/坂本通】

 凶器を向けられてもなお、カレンは平然とした様子で挨拶を投げてきた。
 あまりにも穏やかな挨拶が返ってきたことに通は面食らったが、すぐに自分たちが置かれている状況を思い出す。蠱毒戦争が何を用いての殺し合いであるかは言うまでもない。彼女の態度は敵意がないことの証明であるのか、あるいは自分を造作もなく始末できる算段でもあるのか。通は悲観的な思考を好む人物ではなかったが、戦場において楽観的な兵士が長生き出来ないように、その思考回路は最悪の展開にも想像力を働かせていた。
 挨拶を返すことなど出来ないまま、鍬を構えて汗を滲ませていると、カレンはまた変わらぬ様子で問い掛ける。彼女の問い掛けは端的にこの状況を説明していたが、前述したように必ずしもそれが無抵抗の意思表示にはなり得ないのだ。

 「……ボクだって、キミを信じたい」

 緊張で喉に何か引っかかるような感じがしていたが、どうにか言葉を返すことが出来た。
 通が不安と暴力性に思考を委ね、クラスメイトを害する衝動を抑えることができたのは、今までの日常においてカレンとの交流があったからだろう。その日々を信じたい。息が混ざったような苦しい声だったが、口にした言葉は紛れもない通の本音だった。
 一度声を出すと、いくらか緊張が和らいだ。手の平が汗ばんでいる事に気付き、大きく息を吸う。

 「この鍬だって今すぐにでも放したい。だけど、怖いんだ……もし、もし、キミが人を殺すような人だったらって……」

 縋るような視線をカレンに向けながら言った。
 試験官に対して彼女は冷静に質問していた。現実を受け入れるのが早かっただけなのか、それともこの蠱毒戦争に乗り気ということなのか。かつての日々を信じたいと言う思いと、目の前にいるのは昨日まで友人だった殺人鬼ではないかと言う恐れと疑いがせめぎあっている。
 蠱毒戦争には乗らない。そう決意したにも関わらず、自分はこんなことをしている。初めに鍬を向けた時よりかは落ち着いてきていたが、それに代わって自己嫌悪が鍬の刃から柄、そして手を経由して、胸に流れ込んでくるようだった。

>>カレン・グレアム

10ヶ月前 No.56

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_3Nj

【 鮫村 絆火 / 廃校・教室→廊下(移動中) 】

 天羽の首根っこを掴まんと、緩慢な動作で伸ばしたバンビの手は、彼女に触れることはなかった。自身の手が彼女の首に届く前に、彼女が自分の手首をを掴もうとするのを察知する。いかに毒虫の効力によって身体能力が向上しているとはいえ、基礎的な筋力や馬力は細腕の天羽よりも鍛え抜かれたバンビの方が数段上。よって、関節を外されるようなことはまずない、という確信から、そのまま甘んじて彼女に自身の手首を掴ませる。

「抵抗したな」

 依然とした、冷たい覇者の眼光で天羽を見下しながら低く呟く。王たる自分に抗う、すなわち牙を剥いたという事実がここに生まれたことを自覚させるため。そして、その事実がいかなる意味を持つかを、彼女に理解させるため。

「まるで俺の力を見抜いたような口振りだな。……それがお前の毒虫か」

 この緊迫した状況下で饒舌に口を動かす天羽の言葉から、違和感を掴み取る。無論彼女の言うことは尤もな正論だが、あまりにも自信を振りかざすその態度がバンビに勘付かせた。彼女の力は、対峙した相手の力を悟る能力であると。それを己の目で見て、肌で感じたわけではないが、己の洞察力への自信が、バンビにそれを確信させた。恐らくだが、毒虫が宿主に与える特殊能力はただ一つ。それが相手の能力を知るものであるならば、直接的な攻勢に向いた力を彼女は持っていないということになる。つまり、天羽がこの場でバンビと交戦するのは分が悪い。いくら相手の能力への対抗策を一足先に練れるとはいえ、準備期間もなかった今現在、その場しのぎの対策にしかならないだろう。ゆえに、戦闘を避けるべく、彼女は饒舌に言葉を紡いでいるのだとバンビは感じた。

「姑息な弁を弄すな、お前らしくねえ。この俺に喧嘩を売り、散々大口を叩いたその代価。高くつくが仕方ねえ、それがお前の望みなんだろ?」

 口元に浮かぶのは、不遜ながら不敵な笑み。
 毒虫を呑み込んだ時、己の体内に熱いものが宿ったあの感覚は、決して錯覚などではなかった。熱い、というのは抽象的な意味ではない。孤独な闇を歩むために投げ込まれた、敵の身を焦がす炎そのものが、右手から発現する。さきほど、天羽に甘んじて掴ませたままの右手から。右手に宿りし炎の熱さは感じない。成程、自分で生み出した炎は自分を害することはないのだと学ぶ。天羽が熱を感じて咄嗟に手を離そうが、そのまま炎に触れて火傷を負おうが、そんなことはどうでもいい。

「このまま逃げられるなんて甘いこと、まさか考えちゃいねえだろ。一度は俺が見込んだ女だ、まだ見所があると分かれば今回だけは見逃してやる。お前の軽率な言葉が招いた現実だ、お前の力で切り抜けてみろ」

 天羽に自分と今この場で戦う気があろうがなかろうが構いはしない。ただ一人の男として、あれだけ大仰に啖呵を切られて黙っていることなど恥に値する。天羽の虫のいい申し出も、みすみす受けてやる義理はない。射貫くような眼で天羽を見据えながら厳しく言い放つが、その声音に顕れているのは怒りなどではなく、むしろ相手を品定めする前の余裕。花杜に関しては、天羽が手を広げたことで御しているため、今は眼中には入れない。とはいえ、花杜は何やら天羽と同盟と組んだ様子。せっかく得た味方を失うまいと天羽に助太刀する可能性もあるが、その時はその時。なにより、天羽もバンビと同じくらいプライドが高い。この勝負に水を差すことは、いくら同盟相手とはいえ天羽自身が許さないだろう。


>>天羽、花杜、周辺ALL



【名実ともに蟲毒戦争の初戦勃発ですかね……まさかその相手が美世ちゃんだとは、予想だにしていませんでした。珠緒ちゃんには本当に申し訳ない……でもあたふたしてる珠緒ちゃん可愛い……バンビ役得ですねありがとうございます……!】

10ヶ月前 No.57

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_JEY

【西部区域/神社/カレン・グレアム】
 挨拶への返答はなく。本気か、という問いに対しては、私を信じたいが信じ切れていない、という回答が帰って来た。
 その心情は当然の物だと言えよう。特に、共に笑い悲しんだ同級生があのように乱れたり、狂ったかのような行動をするのを見た後では。今まで見てきた相手を疑いたくもなるような状況となってしまった今であれば。
 この状況も含めて、恐らく『試験官』の目論見通りの展開なのだろう。でなければ、このクラスが被験対象として選ばれることもなかったに違いない。

「私は、貴方が知る普段通りのカレン・グレアム……というわけでもないのかもしれないわね。普段の私であれば、相手が誰であれ武器を向けられている時点で交戦の意思ありと見なしているでしょうから」

 彼がまだ私に斬りかからないのが今までの私を知っているからというのと同じように、カレン自身も、通が以前と同じ……カレンの知っている通が演技ではない、繕う事の無い彼自身だと考えているからこそ、まだ通が敵であると考えていない。
 しかし、彼の言葉を鵜呑みにすれば彼も本意ではないのかもしれないが、現に彼は武器を構えて、こちらにその刃先を向けている。
 このあたりが、互いに限界かも知れない。
 通の縋るような目線を見据え。彼女は、

「ですが、まだ私に武器を向けるというのならば話は別です。
 今すぐに武器を捨てないのなら、貴方を友ではなく、私に敵対する人間であると看做(みな)します。
 貴方が私の生存を脅かすというのなら、その脅威を排除するために対抗するわ」

 無情の最後通牒で以って、正面から切り捨てた。
 体力消費の点から見ても、また心情的にも、可能であれば避けて通りたい道ではあるが、あくまでも彼が武器を捨てるつもりがないのであれば。彼が敵対するというのであれば、戦わざるを得ない。

>>坂本通、周辺ALL

10ヶ月前 No.58

@yuzumikan0 ★ePNLIeW1xS_QaP

【北部地域/廃校・廊下/花杜 珠緒】

「……そもそも憑かれるような状況になりたくないんだけど」

そっぽを向けた顔をそろりと美世に向け、これから珠緒と呼ぶと言ったことにわかったと頷く。それからどこか楽しそうな美世にやれやれと溜息を吐いてから、お詫びの言葉にそう返した。どうやらこれからもこんなやり取りをするハメになってしまったようだ。さて、こんなやり取りをしているものの行き先はまだ決まっていない。住宅街に行くか、それとも他の病院やデパート以外か。地図を見ながらどうするべきか悩む。


「美世さん、手離して……!」

美世に左手を制止するかのように向けられたことで駆け寄る足をピタリと止める。結局何もできない自分は2人のやり取りをどうしたらいいのかわからず、手に余らせながら静かに見守るしかなかった。しかし美世が掴んでいる絆火の右手から炎が発現したことで美世に掴んでいる右手を離すように言う。それから絆火が美世を射貫くように見据えながら戦う意志を示す。そりゃ自分よりも美世の方が武道を嗜んでいるようだし強いのだろうが、鍛え上げられ、能力もどうやら戦闘向けの絆火には分が悪い。

(わたしとしては逃げた方がいいって思う。だけど、美世さんは……)

そう思いながら、美世に視線を向ける。その視線には逃げた方がいいという思いを込めて。しかし美世はこの絆火との戦いから逃げずに向き合おうとするのではと思える。

(それに、もし逃げようとしたところで逃れられるわけじゃないしなぁ。どうしよう……)

自分はどう動くべきか、それともこのまま何もせずに居るべきか悩みながら美世と絆火の様子を窺う。


>>美世、絆火、ALL

【ふおおおお初戦勃発…!!】

10ヶ月前 No.59

水霧 @waterfog7 ★WULpmTDwll_JEY

【東部地域/デパート/ズィーク・ヘルシャフト】

 目覚めてから見た光景は信じ難いものだった。仮面を着けた男により淡々と説明されたそれは中々頭に入って来るものではなかったが、それは呆然と聞いていたからであって、冷静を欠いたものでは決してなかった。如何に普段冷静沈着なズィークだろうと、この様な状況で落ち着いて話を聴いていられる程では無い。目覚めたばかりでまだぼんやりとしていた頭で、更に視界はぼやけていた。視界が徐々にクリアになって、内容を理解した所で、同様に焦りなど無かった。
 言うまでも無い。それは、その状況が、話している内容が、あまりにも馬鹿らしかったから、だ。見事なまでの悲惨な光景と状況だったが、内容が違っていたならば、きっと取り乱していたに違いない。抑々、『お前たちは実験体に選ばれたから、最期の一人になるまで殺し合ってくれ』と言われて、はい分かりました殺します、などと簡単に流れるなど、それこそつまらない三文小説のようだ。しかし実際、死にたくは無い為毒虫を呑み込んで『私はあなたたちと殺し合います』と宣言し、荷物を受け取った訳だが。

 支給された地図を見て、気づいた事があった。――――地理の把握が苦手なズィークにとって、地図通りに動く事は相当辛い事だ、と。出来れば、地図が読めて、その上襲い掛かるような性格では無い生徒と出会いたいが、と思いつつ、恐らく様々な物が揃っているだろうデパートに向かう事にした。地図は見ているが、ほぼ直感と言ってもいい。

 歩きながら、一人思案する。能力を得られるとは言え、自分の能力は把握していない。自分で気づけと言うなら、気づきにくい能力だった場合どうするのか、というのは皆共通な筈だが。

 一人になった事で何時も抱えないような不安を抱きながら、気づけばデパートの前に来ていた。地理の把握が苦手でも何とかなった、と内心安堵しつつ、灯りのついていないデパートを不気味に思いつつ、辺りを見渡して自動ドアを無理矢理開け、入ると警戒しつつ自動ドアを再び閉めた。
 出来ればナイフやブランケット等をとっておきたいものだが、等と思いつつ、適当にありそうだと検討を付けた場所へ歩く。移動している最中、自分の足音と呼吸音は出来るだけ小さくして進めたが、それでも自分の小さな足音が、やけにはっきり聞こえた。暗いなら此処を選んだのは失敗だったか、と思いつつ、商品を見ようと近づいた時だった。

 近くでごつん、という大きな音と共に女性らしき声が聴こえ、心臓が今まで以上に激しく早鐘を打つ。息が荒くなるのに気づきながら、声がした方へ近づきながら、声を張り上げる。

「そこに、誰か居るのか? ……言っておくが、俺は戦う気は無い」

 近づいていく程、その姿はゆっくりと見えるようになっていく。ブランケットのような物を見て、横になっているようなら直ぐに襲いに来るような事は無いだろうと、戦う気は無いと本心を言いつつ、出来れば協力関係まで持ち込みたいと思いながら、一歩ずつ警戒しながら近づいて行く。


【絡ませて頂きますね! よろしくお願いします。】


>>獅子王妃愛様、ALL様

10ヶ月前 No.60

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【北部地域/廃校・廊下/天羽美世】

自らに向けられた冷たく凍てついた視線。それが美世が絆火の手を思いきり掴んだ故であることは当の本人もよくわかっていた。しかしそれを後悔することはない。自分の能力を早々に見破られたのは計算外だったが、美世は焦るような素振りは全く見せることなく口許に弧を描いてみせる。流石だ、とでも言いたげに。

「そうね……まあ当たりと言ったら当たりかしら。やっぱりあなたはそこらの人とは違うわね。私もくどくど話す手間が省けたわ」

本当は喋るのはあまり得意ではないのよ、と美世はこんな状況であるにも関わらずちょっとだけ眉尻を下げた。そして珠緒の手離して、という警告を耳にするや否やぱしっと絆火の手から己のそれを離し、彼の手中に浮かぶ炎を目にする。現実ではありえない光景だが、美世は何故か落ち着いていた。頭の中ではどうやって彼の能力を抑えようかと冷静に考えている。もし美世が狂ってしまっていたら、この場ですぐに命を落としていた可能性もあるだろう。その点この能力は美世にぴったりだったとも言える。

「珠緒、あなたはきっとこのやり取りには無関係よ。ここでの出来事はなかったことにして、何処か安全な場所にでも逃げなさい」

後方で不安げに様子を伺っている珠緒に、美世は一瞬だけ柔らかな笑みを向けた。そして瞬時にその笑みを消すと、スカートが翻るのも気にせずに足を高く振り上げて空中に蹴りを放った。勢いで脱げたローファーが絆火に向かって飛んでいく。たいてい裸足で過ごしている美世にとって履き物はない方が動きやすい。音が鳴るローファーなら尚更だ。美世は身軽になった足を素早く滑らせて後ろへと下がった。摺り足の要領だが、どことなく縮地法にも近い。これにより絆火とそれなりの距離を取った美世は一目散に廊下を駆け出した。靴を脱いでいるからか足音もほとんど聞こえず、かといって遅いわけでもなかった。

(あっちは思いっきり戦闘に向いた能力……つまり私の方が圧倒的に不利ということになる。これは否が応でも撤退戦か防衛戦を決め込むしかない。だとしたら━━━━)

しばらく走って曲がり角を曲がったところで美世はあるものを見つけた。に、と美世の口許に笑みが浮かぶ。これで撒けると決まった訳ではないけれど、少しは目眩ましができるかもしれない。

「━━━━さあ、真っ白にしてしまいましょう?」

美世が手にしたのはあろうことか消火器だった。自分の能力が非戦闘向きならば、文明の利器━━━━すなわちその場の道具を武器にするしかない。巻き込んでしまう珠緒に内心謝罪しながら、美世は躊躇いなく白粉を廊下へとぶちまけた。

>>花杜珠緒様、鮫村絆火様、周辺all様

【初戦勃発かつ美世の生命線縮小しそうな状況でドキがムネムネし始めてます……!お二人には消火器の中身ぶちまけちゃって申し訳ないですorz】

9ヶ月前 No.61

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

【東部地域/デパート/獅子王妃愛】

 ふかふかのベッドがなくても、それどころか冷たく硬い人工大理石の上でもうつらうつら出来る自分に盛大な拍手を贈りたい。もしかしたらどこでも寝れる才能があるんじゃないかとすら思った。寝れずに明日眠気でふらふらになるよりはマシだと目を瞑って何分経ったのだろうか。本気で寝てしまうことに危機感を覚えることもなく、その意識が完全に落ちようとした時、耳障りの良い声が聞こえてそっと目を開ける。暗闇に慣れた妃愛の目には声の持ち主をはっきり捉えることが出来た。
 ズィーク・ヘルシャフト。妃愛の脳は生粋のドイツ人だったと記憶している。上手に日本語を操る為意思疎通には困らないが、中学生にして180センチを超える身長には多少の圧を感じざるを得ない。その整った顔立ちは妃愛が良く絡んでいる女子グループの中でも話題だ。

「……ンー。はァい、妃愛ちゃんがいるわー。寝込みを襲わなかったあなたに花丸あげちゃいまーす」

 誰かいるのか、そんな問いにのんびりと答えると、ブランケット足元に置いて立ち上がった。親しい友人に話しかけに行くかの如く歩み寄る彼女の右手には先程調達したばかりのカッターが握られている。ちきちきちき、と。薇を回すような音を隠すことすらせずカッターの刃を出すと、うっかり折れてしまわないような長さで固定した。今から貴方を刺しますよ、覚悟してくださいね。そう言わんばかりに。
 戦う意志がないと告げるズィークに向かい合うと、いかにも不思議そうに首を傾げる。戦わないのか、この男は。殺さないと死ぬようなバトルロワイヤルに身を置いても、その穏やかな笑みで停戦を申し込もうとでも言うのだろうか。どうせ最後は死ぬか殺すかするのに戦いを勿体ぶる必要がどこにある?

「あらそうなの? でもでも、貴方に交戦意思が無くても妃愛にはあるから付き合ってほしいのだわー。良いでしょ? ズィーくん優しいですもんねー」

 明朗快活に口を開く普段の教室で見るような楽しげな表情と行動が一致していない。初めて会った時勝手につけたあだ名で親しげに彼の名を呼ぶが、その手の刃物は前に突き出して押し込むだけで肉を貫けるような凶器だ。
 一歩ずつ歩み寄り、ズィークに向かって真っ直ぐに刃先を向けたところで、ぱっと笑ってカッターを持った右手と何も持っていない左手を上げる。その姿は何もしませんよ、とアピールしているようでもあった。

「――なァんて、挨拶代わりのちょっとしたジョークでーす! 寝起きでバトるのはあまりに不利なので妃愛も今は敵対する気ありませーん。ズィーくんめっちゃでかいから妃愛とか一捻りでKOだろうし、明らかに不利な戦いはしない主義なのでー! ま、やれって言われたらやるけれど、ズィーくんは戦いたくないんでしょ?」

 最初は本気だった。本気で手に持った文房具を殺人の道具に使おうとしていたのだ。しかしまだ蠱毒戦争も序盤。相手の能力の把握もしていないのに戦いにもつれ込むのはあまりにもリスクが高いと判断し、自分も今は交戦の意思はないと告げた。カッターの刃こそしまっていないけれど。

【絡み有難うございますー! こちらこそ、これからよろしくお願いします!】


>>ズィーク様、周辺ALL様

9ヶ月前 No.62

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_3Nj

【 鮫村 絆火 / 廃校・教室→廊下(移動中) 】

 天羽の能力は対峙した相手の力を見抜くことだ、という推察はどうやら的中していた様子。相手の能力を看破するはずが、逆に自分の能力を暴かれたというのに、一欠片の焦りも見せないところが、彼女の肝っ玉のでかさを物語る。触れれば問答無用で怪我を負わされてしまう炎が、バンビの掌から発現するのを目の当たりにしても動揺しなかったのも、彼女の能力のおかげもさることながら、神経の図太さも一役買っているのだろう。つくづく深窓の令嬢とは程遠い女だ、とバンビは半ば呆れながら思う。
 次の瞬間、弾丸のようにこちらへ飛来する塊……先ほどまで天羽が着用していたローファーを視認し、避けることなく己の手でそれをキャッチする。目眩ましのつもりか、と頭の片隅で考えながら、天羽が踵を返した瞬間にバンビの身体もスイッチを入れたかのように地を蹴った。

「人様に靴を投げつけるとはな。漸くお前らしさが出てきたじゃねえか」

 優等生やらおしとやかやら、第三者からの勝手なイメージによる文言に一方的に飾られてきた天羽のことを、バンビは色眼鏡をつけることなく見ていた。恐らく他のクラスメイトが今の天羽の様子を見れば、“あの天羽がはしたない、あの天羽が人に向かって靴を放り捨てるなんて意外だ”などという感想を抱くだろう。しかしバンビの抱くそれは全くの真逆。柔らかな笑みの奥に隠れた、豪胆で手段を択ばぬ一面こそ、バンビが天羽を興に思うものの内の一つで。
 なるほど、運動神経も女子にしては悪くない天羽はなかなか健脚のようだ。しかし脚の長さや筋力などのアドバンテージから、バンビが天羽へ追い付くのは時間の問題。しかしバンビは故意に走るスピードを少し落としている。片方の腕を横に突き出し、硬く拳を握りながら天羽を追跡する。その拳は廊下にびっしりと整然に並ぶ窓ガラスを、バンビが脚を進めるたびに粉砕してゆく。バンビの拳はといえば、いつも着用している革製のグローブに守られているために無傷。無茶な使い方をしているために多少は痛めるかもしれないが、この程度で使えなくなるほど軟な鍛え方はしていない。ガラスが幾度も砕け散る甲高い音が背後から聞こえてくるのは、追われる身である天羽にとって少なからずプレッシャーのようなものを与えるだろう。
 天羽が曲がり角を曲がったことを視認すれば、バンビは今まで規則的に運んでいた脚を、一段と深くぐんっと地面へ踏み込ませ、進行方向を転換させ、思いっきり跳躍した。刹那、廃校内に響き渡ったのは一際けたたましい破壊音。一秒ほど間を置いて、二度目の破壊音が鳴り響く。天羽のすぐ背後から。

「目眩ましか、悪くねえ。それで次は?」

 すぐ背後からバンビの声が聴こえたことを、天羽は怪訝に思うだろう。そのままバンビは、先ほどの騒ぎで手にしていた、比較的大きな一枚のガラス板を天羽に向かって投擲する――否、それは彼女への攻撃行為ではなく、正確には彼女の足元の床を狙って放たれたもの。天羽の足元のすぐ横の床に叩きつけられたガラス板は、思わず身も竦むような大きな音を立てて粉々に砕け散る。無数の半透明なまきびしとなったそれは、靴という鎧を失った天羽の足裏に容赦なく突き刺さり、肉を抉るだろう。無論靴下も履いているだろうが、鋭利な破片の前ではそんなものは薄皮一枚にすぎない。投げられたガラスは一枚ではない。天羽がこの先走って通過するであろう廊下に、もう二枚ほどのガラス板の破片がばらまかれた。
 先ほどの曲がり角を起点として、天羽が曲がる前の地点をA、曲がった後に消火器をぶちまけた地点をBとする。バンビはAの段階で横へ跳躍し、腕を交差させて窓をぶち破り、そのまま宙を舞ってBの窓を破壊し、再び廊下に着地したのである。それこそが二度鳴り響いた一際大きな破壊音の真相。随分無茶なことをしているが、宿主になるずっと昔から余すことなく鍛え上げられたバンビの身体能力と、生まれ持った運動神経、極めつけに毒虫によってもたらされた恩恵が、この人間離れしたパフォーマンスを可能にした。これによって、撒かれた消火器の煙に触れることなく、加えて天羽が直角に曲がった角を斜めの最短距離で移動したことで、瞬時に二人の間にあった距離を詰めることに成功した。だがまだ、彼女をひっ捕らえることはしない。手を伸ばせば届く距離にいるのは間違いないが、あくまでこれは品定めである。彼女が次にどう機転を利かせるか、楽しみであるが無論油断も慢心もバンビにはない。

>>花杜、天羽、周辺ALL


【廃校内でリアル鬼ごっことは粋ですね、当方も胸が躍ります……!】

9ヶ月前 No.63

ボブ @ferudhires ★Mcag7Tw3Rv_xmq

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9ヶ月前 No.64

坂本通 @arthur ★iPhone=PIWvRXyv7m

【西部区域/神社/坂本通】

 敵だって分かれば、クラスメイトも殺すっていうのか。そんな風に言い返そうとして、飲み込まざるを得なかった。道具の用途はともかくとして、通は手にした鍬を武器として握っており、そして、その刃を向けられているのは他でもないカレンなのだ。それは己の生存を脅かすものは排除するという、彼女の言がそのまま形になっているといっても過言ではないだろう。
 言い返すこともできずに、通は俯いた。そして、またゆっくりと顔を上げる。

 「……ひとつだけ聞かせてくれ。どうしてキミはそんなに冷静でいられるんだ……?」

 交戦の意思が薄れたのか、あるいは鍬の重さに耐えかねたのか。その刃先が本来の使用目的と同様に地面に向けて少し垂れた。
 カレンの言っていることは理解できる。抗弁が出来ないと思ったくらいには正しい。だが、だからと言ってこれだけの理不尽を受け入れられるものなのか。それとも受け入れられない部分が、対話する時間を与えてくれているという事なのか。
 行動原理は先程までの自分と何も変わらないはずなのに、彼女の落ち着きっぷりがあまりに不可解だった。
 鍬を手放す。今、通の恐怖心の源はカレンが人を殺すような人間かどうかよりも、殺し殺されるような状況で冷静さを保っているという点の方が大きくなっていた。

>>カレン・グレアム

9ヶ月前 No.65

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_JEY

【西部区域/神社/カレン・グレアム】
「私とてこの状況には怒りや悲しみを覚えてはいますが、何もかもにおびえるよりも状況を打破するために策を考えるべきだと判断しただけ……と言っても、納得はしてくれないでしょうね」

 がしゃん、と、金属と石がぶつかる音が静かな境内に響き渡る。
 カレンの通告に応じる形で通が落とした鍬が立てた音が消えた後、彼女は静かに語りだした。

「半分は、受けてきた教育の違いでしょう。淑女たるもの、親が死にでもしない限りはしたなく取り乱すのはよろしくない、と、幼少期から教え込まれてきましたから。もう半分は、」

 一度言葉を切り、考え込む。
 果たしてこれを言ってしまってもいいものなのか。恐怖に陥っている相手を刺激してしまうのではないか。言う事によって、自分と相手を取り巻く状況が悪化してはしまわないか。
 数秒考えた後、言わないよりは言った方がいいであろうと判断して、再び口を開く。

「……気心も知れている貴方にだから打ち明けますが、取り乱し方というものを知らないから、怒りや驚き、恐怖といった負の感情を、制御なく表に暴発させられないだけです」

 敢えてするべき理由付けがあるのだとしたら、本当にそれくらいしかないのだと思う。
 この状況でも冷静でいられるというより、冷静でいるしかないという方が恐らく正しいのだ。

>>坂本通、周辺ALL

9ヶ月前 No.66

坂本通 @arthur ★iPhone=2FKv4IglzR

【西部区域/神社/坂本通】

 カレンによると、怒りや悲しみこそ感じてはいるが、それ故にこの状況を打破する策を講じるべきだと考えているらしい。だが、その精神状態を一言にまとめるのであれば、冷静の二文字でしかなく、なぜその状態のままであれるのか、という問いに答えているとは言えまい。
 彼女自身もそれは理解しているようで、言葉を付け足していく。半分は受けて来た教育の違いと言ったが、それでも通は納得がいなかった。少なくとも、通の育った日本や、カレンの育ったイギリスにおいて、ほとんどの人間が道徳観を叩き込まれて成長するのだ。それにも関わらず、夕方のニュース番組を見てみれば、実に様々な犯罪が並べられている。教育というものが完全でない事の証明だろう。
 淡々と語っていた様子のカレンが言葉を切った。もう半分とやらを語るべきかそうでないかを迷っているらしい。
 相槌を打つべきか通が悩んだところで、彼女は口を開いた。

 「知ら……ない……?」

 掠れた声で確認するように聞き返す。カレンの声は美しく通っていたので、聞き取れなかった訳ではなく、その言葉の意味する所を理解しかねた故の反駁だった。
 負の感情を知りながらも、一度もその感情に踊らされた事のない人間など存在するのだろうか。通には信じがたい気持ちだった。本人の自覚はともかくとして、坂本通は気さくで優しい気性の持ち主だったし、恐らく彼を知るクラスメイトの見解もそれで一致するだろう。だが、そんな彼でも欠点を言い詰られれば落ち込むだろうし、家族や友人を侮蔑されれれば怒るだろう。そして、それは涙や悪態、それこそ逆鱗と呼ばれる部分に触れれば、暴力や暴言に転ずるかも知れない。
 これは通に限らず、大抵の人間がそうだ。感情に任せて、道理の通らぬ行動をしてしまう弱さが大なり小なりあるはずだ。
 それが目の前の少女は、自身にそれがないのだと言っている。持って生まれた性であり、そして育った環境とが手を結んだ結果、生命の危機に瀕しても泰然としていられるのだと言う。

 「えっと……つまりキミはとんでもなく理性が強いってこと?」

 感情を分別なく発散することを悪とし、その抑止力を理性と名付けるなら、正解だと言って良いだろう。
 カレンの危惧とは裏腹に、通は自分から尋ねたにも関わらず、何か相談事でもされているような気分になっており、いつの間にか声の震えも止まっていた。

>>カレン・グレアム

9ヶ月前 No.67

田嶋晶子 @arthur ★iPhone=2FKv4IglzR

【南部区域/遊園地・グッズショップ/田嶋晶子】

 田嶋晶子は廃校を出た後、自分の異能力を理解した上で、南下していた。
 彼女はごく一般的な女子中学生ではあったが、図太さに感じては周囲をたまに苛立たせるくらいには持っていた。さすがに担任教師の惨殺を見せつけられた時などは顔を青くして、上下の歯を必死に噛み合わせていたが、あの緊迫していた教室から解き放たれると、いくらか頭を使う余裕が生まれたのである。
 ひとまずはいつも行動を共にしている仲間と合流する事だった。自己中心的なきらいのある晶子だったが、さすがに自分以外の人間を皆殺しにして生き延びようという傲岸さは持ち合わせておらず、ただ殺し殺される状況に怯えているのだ。せめて信頼できる仲間と肩を寄せ合い、そして雨風をしのげる場所を確保したかった。先程からどうにも雲行きが怪しいのである。
 まずは人がそれなりにいそうな場所であり、そして自身の能力を活用しやすい場所を偵察しようと、この南部区域にある遊園地に目をつけたのである。
 ポップなデザインのマスコットキャラクターが描かれたゲートを前に一度立ち止まる。仲間がいるかも知れないが、あるいはこの蠱毒戦争に乗り気になっている者がいる可能性も十分あり得るのだ。

 「……しゃーない、行こう」

 それでも意を決して、ゲートを潜る。
 園内は無数のアトラクションが夜空の中に聳え立ち、不気味な印象を強くしていた。電飾の類は突然ながらついておらず、テーマパークにしては物悲しい、虫の鳴き声だけがBGMになっている。
 建物の陰に隠れながら、アトラクション内などを見て回ったが、さしたる収穫はない。緊張の糸は張り詰める一方で、ある建物の中へと足を踏み入れる。
 瞬間、ちりんちりんと甲高い鈴の音が屋内に木霊した。

 「ッ!誰かいるの!?」

 すぐに飛び下がると、手にしていた懐中時計をつけて、屋内を照らした。
 その光に浮かび上がることになるであろう人物は、田嶋晶子にとって最も遭遇したくない人物であったに違いない。もし、この狂った実験に巻き込まれることがなければ、あるいはこれからの人生も友人として関わりを持ち続けたかも知れない相手だったが、今は危機感や警戒心を強く感じる狂人だった。

>>梅王丸鞘

9ヶ月前 No.68

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_UxJ

【 南部地域 / 遊園地・グッズショップ / 梅王丸鞘 】

 獲物を物色しに狩場たる外へ出向こうとしていた鞘。謂えらくは、廃病院に行くべきか森に行くべきか、はたまたあても無くブラつくべきか。どれに至るにしろ、この場に留まるつもりは無かった。その予定を枉げて留まることになったのは、ひとえに侵入者の足音が聞こえて来たから。遊び場にあるまじき静寂に包まれた遊園地では、ただの足音がヒールでも履いているみたいによく響く。甚く愉しげに、鞘は口端を引き上げた。兄と姉の挙措を真似て。毫も狂乱を恐れぬ、深淵の化生がごとき佇まいで。
 歩く。歩く。歩く。足音を殺して。翻ったスカートの裾がまくれると、白い肌が雪のように現れる。否。この闇の中において、その白さはもっと不吉なものに見えるだろう。白百合か。白菊か。はやまた白骨か。悪夢と現実の狭間にあるかのような悍ましさ、それゆえの妖しさ。魔なる者なら陶然となり、聖なる者なら唾棄せずにはいられない。そんな禍々しい何かを繚乱と振り撒いて、鞘は足音の主に密やかに歩み寄って行った。
 そしてグッズショップの出入り口にまで近付いた瞬間。周囲に張り巡らせていたアナログな警報の一つに相手が引っ掛かり、ちりん、と闇夜に鈴の音が行き渡る。玩具コーナーに置いてあった、カラフルなビーズがたくさん詰まった子供向けのおもちゃ。そのビーズを通してアクセサリーを作るために付属している透明で細いゴム。それにビーズではなく、鈴付きのキーホルダーからむしり取った小さな鈴だけを通して作った、夜の間くらいしか効果を発揮しない殺傷能力皆無のトラップ。それに相手の身体の一部が触れたのだ。
 次いで鼓膜を震わせた声に、思わず眼差しをすがめる。

(この声は……あっちゃあ、よりにもよって晶子ちゃんッスかぁ。ウチ様としては好きな子だけど、兄ちゃん姉ちゃんの琴線に触れるかっていうとなー)

 先程ポケットの中に詰め込んだゴツめのキーホルダーを犇と握り締める。晶子のことだ、鞘が此処にいるとあたりを付けて追って来たのではなく、偶さかの邂逅なのだろう。向けられる光の眩しさに、少し眉根が寄る。こちらからすれば逆光だが、それでも暗闇よりは相手の姿も見えやすくなった。聞き間違いではない。やはり晶子だ。見慣れた少女の姿。相手にとっても鞘の姿はそうであるはずだ。本来ならば。さりとて今の鞘は、生身の鞘ではない。イかれた仮面を被って、狂気のコーティングを施して、異常性で肉を染め上げて、この一週間の血祭りのために調整した偽物の鞘。ゆえに、晶子にとってはこの邂逅は望ましいものではないはずだ。彼女は図太い少女であれど、気狂いの少女ではなかった。この場に鞘との対面を喜ぶ者がいるならば、それは間違いなく純正のキチガイ。そして晶子は、気を違えてはいない。

「あっは。第一ママ友、はっけーん。君の赤ちゃん、ウチ様にちょーだい」

 悪魔や魔女が絶賛してくれそうな、語尾にピンクではなく毒沼みたいな色のハートマークを付けた禍々しい甘ったるさの声。花咲く笑みと例えるならば、その花はベラドンナかトリカブトか――。
 晶子に声を掛けるのとほぼ同時。鞘は手に握っていた重みのある金属製のキーホルダーを晶子の胴体ど真ん中を目掛けて思い切りぶん投げ、同時に足場を強く蹴り上げた。己の能力は知っている。相手の能力は知らない。けれどそれは、相手にしたって同じこと。ならばここは近付く。距離を詰める。戦いとはどちらが強いかではない、いかに己の優位性を相手に押し付け、己の有利なフィールドに相手を引きずり込むか。よほどの実力差が無い限り、肉弾戦にしろ口喧嘩にしろ性格の悪いほうが勝つ。というのが、兄か姉かは忘れたがどちらかの言い分だ。
 鞘に格闘技の心得は無い。だから変に技巧には走らない。狙うは喉か顎。そのどちらかを思い切りド突く。喉にヒットすれば一時的に、いや、自分の能力を考えれば下手をすれば完全に気管が潰せるし、顎など掠っただけで脳震盪が起こると言われるような部位だ。こちらはまともに当たらずとも相手の戦闘能力を削げる。
 唇には笑みを、瞳には爛漫を、雰囲気には楽しさを。ただし全てが正ならず、負の微笑みで負の無邪気さで負の悦楽。華やかなまでの忌まわしさ不吉のヴェールとして纏い、今、梅王丸鞘の凶弾と拳は田嶋晶子に肉薄した。

>田嶋晶子様&ALL様

9ヶ月前 No.69

田嶋晶子 @arthur ★iPhone=yH4PbfLZdx

【南部区域/遊園地・グッズショップ/田嶋晶子】

 懐中電灯の光に浮かび上がったのは、梅王丸鞘だった。慣れ親しんだはずの顔ではあったが、その表情は歪んでいた。喜悦と狂気が入り混じった、怖気を催すものである。
 歪んだ口元から猫撫で声を発したかと思うと、鞘はその手の平にでも隠し持っていたのか、何か小さなものを投擲した。

 「くっ!」

 晶子は咄嗟に体を捻ると、投げつけられたものを躱し、本能的に床を蹴って外へと飛び退がった。相手の姿を視認出来なければ、何も分からぬままに腹部がこじ開けられていただろうと思うと、冷や汗が噴き出した。悲鳴を上げようとしたが、目の前の敵対者は口元を歪めたまま距離を詰めてくる。
 だが、外に出ればこちらの能力はいくらか有効に活用できる。足に意識を集中させ、グッズショップ前のタイルを蹴り抜くと、バネに弾かれたように晶子の身体が後方に飛んだ。走り幅跳びでもしたかのような跳躍力であったが、助走などは決してない。
 懐中電灯を手にしたまま、じりじりと後ろへと下がる。毒虫の恩恵があるとは言え、身体能力においては晶子が上回るはずだったが、そんな理屈で納得出来るはずもない。そもそも殺し合いなど忌み嫌ってしかるべきもので、戦争に駆り出された兵士ですら、多くは人殺しなどしたいはずもないのだ。

 「鞘!あんた、どういうつもり!?本気であたしを殺す気なの!?」

 背を向けて走り出したかったが、先程の投擲はさながら高校球児の投球すら思わせる鋭さがあった。あんなものを背にして逃げる勇気もまたなかったのだが、恐ろしさを誤魔化す意味もあって、鞘を怒鳴りつけていた。
 昼休みに給食を食べながら、ありきたりなテレビドラマだとか歌の下手なアイドルの話をしたり、放課後には別の部活なのに待ち合わせて帰るなど、少なくともクラス内においてはよく行動していた相手だった。
 そんな相手があの忌々しい毒虫を我が子と呼び、あろうことか自分の命さえ狙っている。あの日々は全部、嘘だったのかと思うと、悔しさと怒りが湧いてくる。怒声を出した次には、涙腺が徐々に重くなっている事を感じた。

>>梅王丸鞘

9ヶ月前 No.70

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_UxJ

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9ヶ月前 No.71

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_JEY

【西部区域/神社/カレン・グレアム】
「……断言はできないけれど、そうなのでしょうね」

 理性が強いのか、という問い。理性を本能に対する制御機構と考えるのならば、客観的にはそうなのだろう。彼の問いに対して確実な答えを出すことをしなかったのは、そんなことを考える機会が今までなかったためである。

「このようなことになるまで考えてもみなかったことだから、自信はないけれど」

 目の前の相手のように、話してどうにかなるならばまだいいけれど、遭ったら即殺し合いになってしまうようなことになれば、どういったことになるかはどうにも断言しがたい。
 先ほどのように諭せるのか、同世代の少女のように取り乱せるのか、殺し合いをせざるを得ないと結論付けるのか。実際にそうならないと、判らない気がする。

「……坂本君、落ち着いて来ましたわね。皆も話して落ち着いてくれると有り難いのだけれど」

 クラスメートの様子も、先ほど武器を構えられた時とは全く変わって、普段に近いような雰囲気に戻っているように思われる。とりあえず彼がまたこちらに武器を向けてくることもないだろう、と心中で判断した。

>>坂本通、周辺ALL

【返信遅れました、申し訳ないです】

9ヶ月前 No.72

田嶋晶子 @arthur ★iPhone=49YLUPvlVJ

【南部区域/遊園地・グッズショップ/田嶋晶子】

 高揚した様子で、梅王丸鞘は冗談ともつかぬ戯言を喚き散らす。殺意の有無を尋ねたものの、それを言葉で示すつもりはないようだ。
 およそ真意の分からない言葉を投げつけられ、恐怖心よりも不快感と憤怒のボルテージが上がって行くのを晶子を感じていたが、鞘の放った次の言葉はその上昇を大いに助けるものになった。

 「ッ!イカレてんじゃないのアンタ!!」

 この状況下や自分たちの関係性を鑑みて、なぜ性行為の誘いなどするのか。異常な状況下に加え、同性であり、友人であったことなど、様々な要素が嫌悪感という感情に収束され、それを叩きつけるように晶子は声を荒げた。
 そして、それと同時に目の前の人物を殺害しない以上、自分の命がないことも理解せざるを得なかった。言葉の意味こそは理解出来るが、もはやその真意は常識の外にあることは明白であり、そもそも分かりたくもないという強い否定の感情が先立っている。殺人に対する忌避感より、鞘への悪感情が上回っていた。
 スカートに忍ばせていたポールペンを取り出すと、地面を蹴って鞘へと飛びかかる。武器としては頼りない代物であったが、それこそ人間の目玉くらいは潰せる。肉体的な苦痛を連想して、晶子は思わず悪寒を感じ取ったが、すでにやめられるところに彼女はいない。鞘は決して身体能力の優れている方ではない。取っ組み合いになれば自分に分があるはずだった。

>>梅王丸鞘

9ヶ月前 No.73

詠琉 @clock☆VeghuuvPddk ★CxGZ9q9dgG_xmq

【北部地域/廃工場・倉庫/一条三景】

 水滴が波紋を作るように、己のそれよりもくっきりとした面貌に晴れやかな色が広がっていく。それを見てまた不思議そうな顔をした。
 意外だった。三景にとって、ボブのように輪の中心にいる人物というのは、いつも自信に満ち溢れていて、不安や孤独を少しも知らないように見えていた。自分のような日陰者を頼りにしたり、ましてや対等な存在であると見なすなど、考えもしなかった。ここに少しでも、リーダー格の人間にありがちな(と三景は思っている)傲りや不遜の片鱗が見られたなら、三景は相手をいやなやつだと見なし、思う存分敵視することができたかもしれない。だが当のボブからはそんな負のオーラはどうしても感じられなかったのだ。あくまでも自分以外の人間は全員敵だと思っておきたいのに、これでは思ったように彼を警戒しきれない。三景はいよいよ困ったような気持ちになった。

『ともあれ、これから俺たちは運命共同体だ。よろしく頼むぜ、相棒?』

 大きな手のひらが視界に入り、三景はいつの間にか下がっていたらしい視線をはっと持ち上げた。人好きのする笑顔と差し出された右手と、視線を何往復かさせてから、「ああ……」とか「うん……」とか曖昧な相槌を漏らし遠慮がちに右手を伸ばす。
 ずんぐりした短い指先は夜風に晒されていたせいで大分冷たくなっていた。握るというよりは触れるくらいのぎこちない握手を交わしながら、もう引き返せないなと三景はぼんやり思った。彼の話が本気にしろ嘘にしろ、これで三景と晴れてボブの『運命共同体』兼『相棒』になったのである。

「それで、なに? 案って……」

 握手の後でリュックサックを背負い直し、きょろきょろと周囲を窺いながら三景は問うた。第三者に聞かれるのを警戒してか、声は内緒話でもするようにひそやかだ。


>>ボブ、ALL

【めちゃくちゃ遅れまして申し訳ございません……明日やろうは馬鹿やろうでした本当にすみません……。まだまだ生きる意志は十分にありますので(!)もしよろしければ今後ともよろしくお願いいたします。あとあけましておめでとうございます!】

9ヶ月前 No.74

反物 @tannmono☆LYOo5Bp9JJY ★4vPZUtl7Aa_D9v

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9ヶ月前 No.75

ボブ @ferudhires ★Mcag7Tw3Rv_xmq

【北部地域/廃工場・倉庫/ボブ・C・スティーブンソン】

『それで、なに? 案って……』

辺りを伺う様に、小声で三景が問いかける。
それに対して、一緒になって小声で話そうとしている自分が、アメリカで悪戯の計画を日々練る悪餓鬼だったころの自分と重なり、懐かしさが込み上げてきた。
だが、今彼らが上がっている舞台は"Stand by Me"ではなく、"The Long Walk"なのだ。だが、だからこそ。そこに突破口がある。
さあ、悪戯の計画を練るとするか。

ボブは三景に合わせて小声で、実に楽しそうにその計画を話し始める。

「よし、それじゃあ一条軍曹、作戦の概要を説明するぞ。まず初めに、俺たちは最期の一人になるまで殺し合いをすることになっている。とは言ってもだ、お前もそうだったと思うが、殺しあいましょうと言われてはいそうですか、と言って見知った相手を殺しに行けるほど腹をくくった奴が一体どれだけの数いると思う?」

一度勿体ぶるようにそこで言葉を切り、続ける。

「あいつらはわかっちゃいないんだ。とびぬけた個の力なんかよりも、意思を統一した集団の力の方が強いってことがな。だから、俺は仲間を募る。殺しあう気のない人間を集めて、この状況を打開するんだ。丁度良いことに俺たちには降って湧いた能力がある。まさか同じ能力が被っているなんてこたないだろうから、その多様性と汎用性は未知数だからな。ただ、一つ懸念があるとすれば……」

それまでの表情から打って変わって、何かを覚悟した眼差しで以て続ける。

「理想論だけで考えれば、クラスメイト全員と手を組むことが最上だが、現実を考えれば、こんな極限状態だ。俺たちのこの言葉を聞き入れずに、自分が生き残るためにと俺たちを殺しにかかってくる奴もいるだろう。そういう相手に対しては、躊躇はしない。向こうがその気ならその気をねじ伏せて俺たちは生き残る。運命共同体なんて言った後で悪いが、そのことだけは覚悟しておいてほしいんだ。たとえそれが、幼馴染や、親友、そんな間柄の相手であっても、だ。」

「っと、少し真面目になりすぎたか。殺すといっても、そのつもりはなくとも追い詰められて正常な判断を失っている奴もいるだろうし、それは最後の手段だ。殺されそうになったから殺すってのじゃあ、そこら辺のシリアルキラーと変わらないしな。どちらにせよ、できうる限りは俺がお前を守ってやる。俺が体を鍛えているのは仲間を守るためでもあるからな。まぁ流石に、素手で人を捻り潰すのは難しいだろうけどな。」
冗談めかして最後にそう付け加えた。
「俺の計画はこんなところだ。どうだ?相棒。」


【穴だらけだし行き当たりばったり感強いのは中学生クォリティってことで一つ。明けましておめでとうございます。ちょっと長文過ぎるかなとも思いましたがどうかご容赦ください。。。
P.S.
明日やろう症候群は私もよく発症するので、ZENの精神でのんびりとやっていければと思っております(謎)】

>>>>一条、ALL

9ヶ月前 No.76

坂本通 @arthur ★iPhone=0I47On222s

【西部区域/神社/坂本通】

 通のざっくりとした人物評に対し、カレンは確信とまではいかなかったが、それでも自分という人間を端的に表しているとは思ったらしい。自分がどういう人間であると断言出来るほどの自信はないものの、おおむね納得したようだった。
 自分がどういう人間であるか、という極めて人間的な疑問に頭を悩ませるカレンの顔は無機質なものはなく、困惑にも近い感情がどことなく読み取れた。

 「まぁ……ね。ただ、グレアムさんが武器を構えなかったからだよ」

 首肯はしつつも、あくまでカレンのリアクションが齎した結果だと通は付け加える。
 もし彼女が反射的に武器を構える、もしくは攻撃を示唆するような動作をしていれば、結果は違っただろう。この状況下で落ち着いている者がいるとすれば、それはカレンのような強い精神性の持ち主か、精神そのものが破綻している者の他にはいようはずもない。
 殺し殺される事に十分な理由を与えられた者たちが、殺し殺される道具を手にした状態でかち合えば、まず生まれるのは死への恐怖心と相手への強烈な不信感である。ふとしたきっかけでその感情が爆発することは想像に難くなく、仮に五分前の坂本通同士が鉢合わせていれば、殺し合いに発展した可能性は高かっただろう。
 落ち着いてくれるとありがたい、というカレンの言葉をそのまま受け取るのであれば、積極的に殺し合いに加担するつもりはないという事になる。だが、少し前に通に突きつけた宣告は、必要があれば殺し合いを行うという意思表示だとも言えた。その割り切りの良さはこの蠱毒戦争での生存率を著しく上げるであろうが、通のような小心者にとっては、どこか恐ろしいものにも感じられる。

 「……グレアムさんはこれからどうするの?」

 殺し合いを忌避する理性に対する共感と、必要があれば人をも殺すであろう決断力に対する畏怖。通の心内では二つの感情が揺蕩していたが、カレンと共に行動したいという思いが強くなっていた。
 恐ろしいという思いは確かにあるが、その殺意は理不尽に振るわれるものではなく、理屈の上では防衛本能にカテゴライズされる全く正しい決断だろう。
 何より、この夜の闇に独りで耐え抜く勇気はなかった。情けない話ではあるが、命を預けるに足る親友など、このクラスに何人いただろうか。今福昇やボブ・C・スティーブンソンの顔は浮かんだが、運良く彼らと会えるとは限らないのである。
 その点、彼女であれば、少なくとも自分の命を脅かすような真似はしない。今の問答で、確信にも似たものを感じていた。
 同盟を切り出すことが出来なかったのは、むしろ自分が彼女にどう思われているかの一点である。怯えていたとはいえ、自分は彼女に武器を向けてしまった。その後ろめたさが鉄を積み重ねたように胸中にわだかまっているのだった。

【遅れて申し訳ないです!】

>>カレン・グレアム

9ヶ月前 No.77

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_kuu

【西部区域/神社/カレン・グレアム】
 武器を構えるも何も本当に丸腰だったのだから、と言いかけて、結果的にそれがいい方向に向いたのならばまあいいだろう、と考え直し、口を閉ざし、代わりに微笑みを返した。

「無用な会敵を避けること、自衛のための武器の入手と雨風をしのげる拠点の確保、可能であれば味方となり得る他の同級生と合流すること。一週間生き延びるためにやる事と言ったらそんなものだと思うわ、私の場合は多少切り詰めれば食料もそこまで不足しないでしょうから」

 今後どうするのか、と問われての返答は、今まで(と言うのにはやや短すぎるかもしれないが)の指針とそこまで変化はない。変更点があるとすれば、拠点の変更くらいであろう。よもや爆弾が降ってくるなんてこともないだろうし、この神社を拠点として引きこもるのにはありかも知れない。ただ、正面から攻められたときに退路がないようだから、敵を退ける力を持たない現状、無策でこの場に留まるのは必ずしも良い考えであるとは言い難いであろう。

「坂本君は私が会敵と言ったからまた不信感を抱いたかもしれないわね。私が敵と認定するのは明確に私に害意を向ける相手だけにしているつもりだけれど、言葉が強すぎたらごめんなさいね。言い直すわ、基本的に信頼できない相手とかち合うのは回避するつもり」

 特に彼女の場合、相手がどれだけ外れくじを引いていても素手で男子勢の大半に一対一で勝つのは不可能に近いであろう。特に鮫村絆火やズィーク・ヘルシャフト辺りは普段の体力/戦闘力の高さを多少なり知っているだけに戦闘に突入した場合の勝ち筋が見えない。生存のためにはやはり、確実に味方になりそうな相手以外と出会うことそのものを避けないといけない。
 月明かりがあるとはいえ、周囲に人工的な明かりがない夜間であるにもかかわらず、互いに表情がはっきりと見え、細かな動作も把握できるような状況なのだ。互いに視力が上がっており、恐らく他の身体能力も上昇していると考えれば、素手であっても会敵した場合被害は昨日までに取っ組み合ったと仮定するより大きなものとなるであろう。

「出会ったら問答無用で戦闘に突入しそうな相手も回避するべきでしょうし……さっきの状況から判断すれば梅王丸さん辺りかしら」

 もし勝ったとしても同級生のスカートの中を暴きたくはないですし、なんて言葉を付け加える。互いに教室で彼女の様子を見ているだけに、この判断については反論もないであろう、と半ば確信がある。狂気に落ちたように見える彼女に、恐らく会話は通じまい。
 彼女の真似をしたくはないが、意外とああすることで生存性が上がったのかもしれない。そもそもそういう事を全く想定していなかったが、考えずくであれをやったのなら策士だと言わざるを得ない。

>>坂本通、周辺ALL

9ヶ月前 No.78

田嶋晶子 @arthur ★iPhone=siHX6ijn3c

【南部区域/遊園地・グッズショップ/田嶋晶子】

 鞘は的外れな見解をなおも大声で述べる。不愉快な口を閉ざしてやるつもりで繰り出した一撃だったが、晶子の右手は鞘の顔の左側面を穿ったのみだった。耳たぶを貫いていたのだが、それを確認する事は出来なかった。鞘がボールペンを握り潰したのである。破片が飛んできた事により、反射的に目を閉じた。
 血の気が引く心地だった。接近戦に持ち込んだのは、あくまで鞘が自分よりも身体能力が低いと見なした為である。だが、ボールペンを片手で砕くなど、明らかに尋常ではない。毒虫の能力が自分と同様に身体能力を強化する代物だったのだ。
 晶子が次に目を見開いたのは、激痛が身体を襲った為である。孫悟空の緊箍児の如く、万力で締め付けられるような痛みが両腕と背骨を責め立てる。

 「が、ああああああああ!!!」

 絶叫を上げた。叫びが遊園地に木霊すが、誰かが助けに来る事はないだろう。
 足をバタつかせ、鞘を蹴ろうともがく。数メートルを跳躍できる脚力ならば、この拘束からも抜け出せるだろう。もちろん、そんな冷静な判断に基づいての行動ではない。ただ激痛に対する反射的な行動であり、そして上手く相手の身体に当たるかどうかは運次第としか言えなかった。

【遅れて申し訳ない……そして、アウトでしたかアレ!投下されてから結構経ってからだったので、管理者的にも悩んだのだろうかw明確な基準がある訳ではないので、なかなか難しいですね】

>>梅王丸鞘

9ヶ月前 No.79

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 南部地域 / 遊園地・グッズショップ / 梅王丸鞘 】

 顧みてくれない鞘をなじるように、穴の空いた左の耳たぶがじくじくと痛みを訴える。それは無視した。だって今はそんなことを気にしている場合ではない。あと兄姉なら耳に穴が空いた程度のことは気にしないだろうから。狂気を衒うのに妥協は禁物。正気など薙いで、艶めかしく悍ましく、頭のおかしさを振り撒けば良い。寄りかかって、振り回して、突き刺して。そんな風に使うための武器としての狂気なのだ。だから躊躇うな、恥ずかしがるな。イかれた奴を演じきれ。心の底から、それが虚像ではなく真実であるかのように。そしてやり果せよ。常人が俯く状況を、仰のいて進める狂人の振る舞いを。悪魔を招ずる勢いで。悪鬼に見初められる精度で。さあさ誰よりも華やかに。それでいて惨たらしく!

「あはは! 駄目ッスよ、そんな苦しそうな表情! 女のプライドがあるなら、地獄に沈む時だって綺麗に笑ってみせるのが筋ってもんッス! 人間やっぱり、死ぬ覚悟なんざ生まれた時から決めてないと!」

 めちゃくちゃなことを言いながら、相手を拘束する腕を微塵も緩めない。どころか、さらに力を強くしてゆく。トン単位の軽自動車をも持ち上げられる女のパワーが、相手の皮膚も筋肉も脂肪も白骨も内臓も、全てをしぼって新鮮な人間ジュースを作ろうとするようにパワーアップし続けた。グッズショップ内部に響き渡る晶子の絶叫。鞘の哄笑。友情にも悲鳴にも絆されることなく。鞘の抱擁は、外れない。
 とはいえ晶子もただ圧死させられるのを待つばかりではない。意図したものではないかもしれないが、強化された脚を動かすことで鞘に抵抗して来た。それが見事にすねにヒット。強化された脚力での蹴りを喰らえば、まともな体勢から放たれたものでなくとも凄まじい力強さを感じ、ほとんどの人間が咄嗟に離れるものだ。が、今これを喰らったのは鞘。同じく強化された筋力を持つ者。しかも現在、鞘の両腕は完全に晶子の身体に回りきった状態でいる。それを鑑みれば、蹴りを喰らっても本人に離れる気さえなければ『脚の骨が折れても腕は離さない』くらいのことは可能だ。
 左足のすねに嫌な痛みが走る。ひょっとしたら折れたかもしれない。ヒビは完全に入っているだろう。これは見ずとも確かだ。しかし持って行かれてしまったならこっちもお返しすれば良いのだとばかりに、晶子の身体から嫌な音を響かせ続ける鞘。そうこうしている間にも晶子の脚のバタつきは止まらず、再度、鞘の左太ももの端に蹴りが掠った。これは場所が良かったので骨にダメージを及ぼさなかったものの、あまりの威力にアザどころか皮膚が裂けた。どろりと中身の血液がこんにちは。しかし耳たぶといいすねといい太腿といい、さっきから身体の左側ばかり負傷している。腹いせとばかりに、『腕』だけでなく『指』にも渾身の力を込め、晶子の肉体に力づくで侵入するように彼女の柔らかな横腹にぐっと思い切り突き立てようとした。試したことはないが、これだけ腕が強化されているなら指の力も結構なものになっているだろう。堅い肋骨に守られていない横腹の肉くらい、ひょっとしたらこのまま抉って中身を見られるかもしれない。

>田嶋晶子様&ALL様

【時間が空いていたから私も完全に油断していて、削除→ペナルティのコースを喰らっていると分かった時には「そんな何日も経過してからのパターンとかあるんだ」と初めて知りました。たぶん描写がねっちょりしすぎていたのがいけなかったんですね。今度からアウトラインギリギリを攻める時には、あっさり描写を心掛けます。アウトラインから完全に離れるのは、ちょっと鞘のキャラ設定的に無理なので……】

9ヶ月前 No.80

坂本通 @arthur ★iPhone=25oDLmJgp2

【西部区域/神社/坂本通】

 どういう意図なのかは分からないが、カレンは微笑みを浮かべた。久々に笑顔を見たなと思ったものの、通はその真意には気付かない。まさか武器どころか能力すら無いも同然とは思いも至らなかった。
 彼女はこれから移動するらしい。神社のような建物は夜の寒さを凌ぐなどの利点はあるが、両開きの扉以外に逃げ道がなく、また階段を使わない場合は木々の伸びた斜面を下っていく必要がある。害意を持った誰かがやって来た時に逃げづらいだろう。

 「味方になりそうな人って誰がいるかな?昇やボブは信頼できるとボクは思ってるけど」

 それなりにクラスメイト全体との親交があった通でも、本当に信用出来る相手を選べといえば限られる。
 カレンは誰の名前を挙げるのだろうか。彼女は冷静すぎるところはあるものの、決して人間的な感情に欠けている訳ではない。通とはまた違ったコミュニケーションがあり、そして信頼できると思う相手も違うはずだった。

 「……いや、こっちを殺そうとして来るヤツは敵って言っても良いと思うよ」

 カレンの言うように、いささか情の欠ける表現ではあるが、他に適切な言いようもないだろう。あるとしても剣呑さは「敵」という単語とさほど変化がないように思える。
 自分が激しく動揺し、カレンを害しかねなかったばかりに、対話さえ出来れば分かり合えるのではないかとも思う。だが、そんな狼狽とは縁の遠そうな鮫村絆火やカレンが名を挙げた梅王丸鞘などはどうであろうか?前者は毅然として脱出を持ちかけてきそうな気もしたが、後者と対話が出来るとは思えなかった。
 スカートの中を暴く、という言葉に思わず通は赤面したが、ふとある事に気付く。もしカレンと鞘がかち合ってしまった場合はどうなるのだろうかと。

 「……ボクも行っていいかな?」

 先程から燻らせていた言葉が自然と出て来た。もし、ここで別れて、彼女の死を知ることがあれば、ひどく後悔する気がした。
 一度、対峙した自分が同行を願っても断れるだろうという思いもあったが、だからこそ、ここまで自分に向き合ってくれた相手に恩を返したいという気持ちも強くなっている。
 彼女もまた殺される立場にある。そして、それを望んでいない。それにも関わらず、毅然として自分に接してくれた。そのカレン・グレアムを恐れていては、誰も信じられなくなるだろう。

>>カレン・グレアム

9ヶ月前 No.81

田嶋晶子 @arthur ★iPhone=LwiL2jE2hZ

【南部区域/遊園地・グッズショップ/田嶋晶子】

 相も変わらず、梅王丸鞘は独自の美学を主張していたが、あの毒虫を排泄器官に招き入れた者が女のプライドなどと宣っても、説得力には欠けるであろう
 最も田嶋晶子には反論する余裕はない。声帯はただ激痛を表現する道具に成り果てている。叫ぶたびに血反吐が飛び出る。
 どれだけもがいても拘束は弱まらず、それどころか腕と肋からは骨のひび割れる音が立てられ、その度に晶子は声を絞り出した。涙が溢れ、失禁している事にも気付いていたが、羞恥心のような瑣末な感情が介入する余地はない。もはや、天に許しを乞うような気持ちで暴れ続けたが、その抵抗を嘲笑うかのように彼女を取り囲む力の輪は狭まる。

 「がっ」

 ぼきり、とひときわ嫌な音がすると、晶子は糸を失ったマリオネットのように身体を鞘に預けた。涙と鼻水が溢れ、口からは血混じりの涎が垂れている。苦悶の表情が焼き付けられていた。
 田嶋晶子は死んだ。知人に別れを告げることはおろか、自分の人生を振り返ることすら許されず、昨日まで雑談していたクラスメイトに縊り殺されたのだった。

>>梅王丸鞘

9ヶ月前 No.82

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 南部地域 / 遊園地・グッズショップ / 梅王丸鞘 】

 よぎる。死の予感ではない。殺しの予感だ。ぞくぞくとした、熱いのか寒いのかも分からないものが脳髄からよじ登って来て、精神の表層へと至る。両手で掬い上げることができたなら、きっとそれは、赤黒白の斑模様で構成されていたことだろう。血の色。死の色。骨の色。不吉な極採色を散りばめた感情が、鞘の心を蝕もうとする。けれども。今の鞘を動かすのは、鞘の心ではない。鞘の心の上に貼り付けた、兄姉を模した狂人の心。だから躊躇わない。だから止まらない。自分はこれから人を殺すのだ、という恐怖は、最奥にだけ留まって、強固な仮面にはほんの少しの影響も及ぼさなかった。本物よりもこの場に適した偽物の仮面は、殺害ごときを厭わない。むしろ嘉する。
 ぼきり。ばきっ。ぐちゃっ。色々な効果音の果てに、抱き締めていた田嶋晶子の身体は力を失った。試しに揺らせば、ふらりと彼女の身体がのけ反る。涙も出ていた。涎も出ていた。小便も出ていた。血も出ていた。幸い、内臓は出ていなかった。が、あと数秒も圧迫していればどうなっていたか分からない。なんにせよ、逆くの字にだらりと曲がった身体を見れば、死んでいるのは誰の目からでも確かだ。それを悪びれるでもなく、まして楽しむでもなく。狂人の虚像を己に投影したままの鞘は、小鳥が餌を啄むような仕草で晶子の顔に唇を落とした。そしておもむろに、自分の舌を血と涎であふれかえった晶子の口内へと突っ込む。簡単に言えば死にたてほやほやのご遺体に深いキスをかましたのだ。

「んっ、ふ……んん? 今飲み込んだの、虫と血の塊のどっちッスかね? やっべ、わっかんねぇー」

 喉の奥から出てきたものを舌で探り当て嚥下したものの、それが寄生虫なのかただのぐちゃぐちゃになった内臓の一部と血の混じりものなのか判別が付かず、小首を傾げながらうんうんと悩む鞘。口元には、もちろん晶子の唾液と血液が付着している。いそいそと這い出てくるのではなく、胃袋になだれ込む勢いで来てくれれば、今食したのが毒虫だと自信を持って言い切れたのだけれど。いやはや。寄生虫たちの動きの遅さを見縊っていた。あんなもの舌でちょっと触ったくらいじゃ押し出されて来た肉片との差異が分からない。

「しょうがない。晶子ちゃんを全体的にバラバラにして、中に毒虫が残ってたらそれを改めてウチ様の第二子としてお迎え。残ってなかったらもうお迎え済みだったってことにするッス」

 呟いて、抱いたままだった晶子の遺体を地面へと委ねる。部活動中は凛々しく、生き生きとした表情が印象的だった晶子も、内臓をポテトのようにマッシュされた死体となってはさすがに健やかな形相をしていない。遺体をなだめすかすように「いやんっ、晶子ちゃんってば死んでも可愛いッスねー!」などと言ってみるが、当然、死体相手に機嫌をとってもリアクションなどありはしなかった。どころか身動ぎさえしない。瑞々しい肌のハリツヤはまだ健在とはいえ、腹部付近がすっかり目も当てられない惨状になった晶子の遺体。そこにさらに手を加えて、悍ましい音をたてながら力任せに分解してゆく。約めると遺体の解体作業だ。身罷ってから解体されるまでのスピーディーさでいうと、晶子はこの世でトップ10くらいには入っているかもしれない。天国だか地獄だかにいる本人に知らせてもファックサインしか返って来なさそうなランクインだ。かさばる死体を素手で二桁のパーツに分解し終え、それを綺麗に路上に並べては、どこか満足げな表情で見下ろす。見惚れていると言っても良いかもしれない。けれどそれは、晶子の死体に見惚れているというよりも、晶子の死体をこんなにも綺麗にバラせた己の意外な才能の結果に見惚れているに過ぎない。
 結局、晶子の遺体に虫は残っていなかった。最初に飲み込んだのがちゃんと毒虫だったのだ。

「晶子ちゃん、死んだからこれで人間じゃなく仏様ッスね。地獄の仏様。……そういえば、ウチ様ってば仏様とも寝たことないかも。うん、仏様なら優しいから何しても許してくれるッスよね。殺り合うのは終わったんだし、今度は一緒に寝るッス。ささっ、晶子ちゃんこっちこっち!」

 せっかくバラしたのだから有効活用しないと勿体無い、とハンドメイドしたばかりの晶子の骨や目玉などで作った即席人体ピアスを穴が空いたばかりの左の耳たぶに通した後、残ったパーツを晶子の血まみれの服でくるんで腕に抱え、鼻歌混じりのグッズショップの中へと持ち帰る。一緒に寝る、がそのままの意味でないのは、前後の言動を鑑みればおのずと察せられた。骨からこそげ落とした肉片を靴底で踏みつけ、いかにも飄々とした足取り。指先に付着した晶子の血と尿と涎と肉と脂とをぺろりと舐め取りながら、腕の中でうなだれている晶子の生首に、目をすぼめて笑みを向けた。

「人を地獄に送ったからには、いずれウチ様も地獄行きッス。けどね。行先が同じでも、その道のりをどれだけ楽しめるかは個人によって違う。ウチ様は、目一杯楽しんでみせるッスよ」

 ヒビの入った脚でくるくると回って、高々と生首を夜空に掲げる。嗚呼、やはり今日は月がいっとう綺麗だ。こんな日に殺された晶子は、ある意味ではとてもラッキーだと思う。血で染まった皮膚が月光に照らされる悍ましさは、美しさに通ずる。私が殺した君は、スポットライトを浴びた苦悶の生首は、生きていた頃の君よりずっと個性的で魅力的だ。

「手始めに、今日は君とのワンナイトラブを楽しませて欲しいッス。えへへっ。ヤること終わったら、右が晶子ちゃんの上半身、真ん中が私、左が晶子ちゃんの下半身で川の字になって寝ようねー」

 にこにこ笑顔でベッドの上に晶子の遺体たちを放り投げ、自身もその上にダイブ。――そこから始まった気狂いの宴は、筆舌を尽くせば世界から天罰が下るので割愛しよう。だが、これだけは言える。
 自身が殺して解した少女の肉片と淫蕩に戯れる狂人の姿は。地獄すら生ぬるく、表現のしようがないほど悍ましかった。――最悪だった。

>田嶋晶子様&ALL様

【ペナルティ回避のためにかなりボかしたので、今回は前回に比べてちょっと中身が薄いです。とりあえず鞘はこのまま全体の時間で朝を迎えるまで行動休止させておきます!】

8ヶ月前 No.83

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_kuu

【西部区域/神社/カレン・グレアム】
 味方になりそうなクラスメートは誰が思いつくか、と聞かれ、改めて思考を巡らせる。先ほど教室で説明を受けた時の周囲の反応を考えれば、候補はそれなりに絞れるであろう。

「今福君は接点があまりなかったと思うので詳しくはわかりませんが、スティーブンソン君ならば確かに頼れそうですね。頼る、という点では天羽さんの慧眼にも頼りたいところですが、彼女がどう出るかは何とも言えないから……」

 誰と合流出来るのが最善か、という事を考えた時にまず浮かぶのは、運動部絡みでよく顔を見る機会があったボブのことだ。教室でも一貫してこの状況に否定的な態度を取っていたし、非戦闘あるいは専守防衛の態度を取り、かつ味方を増やそうとするならば、彼に接触するのが一番確実だろう。
 今福昇に関しては容姿の奇抜さ以外では通とよく話しているようなくらいしかほぼ記憶がなく、何なら一人称に何を使っていたのかもほぼ覚えていないくらいだ。果たして彼が前から『私』を使っていたのか、それとも敢えて一人称から変えることでこの異常事態に対する防衛機構として用いているのか、それもよくわからない。教室での彼の状態を見て、それでも彼と仲の良い通が信用に値するというのなら、それを信頼するべきか。
 天羽美世についてもこういった非常事態における行動まで判断できるほどの材料は持っていない。普段の冷静沈着さを考えれば恐らく話せば通じる方だろう、とは思うが、万が一にも彼女がこの戦争に乗り気だった場合の事を考えると、彼女との接触にどうしても腰が引けるというのが正直なところだ。

「ええ。言い直す必要もなかったかしらね」

 敵対することになるクラスメートをそのまま敵、と呼ぶことに対して、どうやらそこまでの考慮をする必要はなかったらしい。先ほどからの流れがあったとはいえ、少々過敏になりすぎてしまっただろうか、と反省する。

「……そうね。そうしてくれると、私としても有り難いわ。一人より二人、二人より三人の方が、一週間生存できる確率が上がるでしょうから。とりあえず、今福君かスティーブンソン君と合流を目指して行きましょう」

 このまま二人で行動することを了承し、通も信頼できる相手として口にしていたボブ・スティーブンソンか今福昇との合流を目標とすることを提案する。
 自分が持っている筈の能力もわからない不安定な状態のまま、一人で生存し続けられる自信はなかったし、背後から刺されるだとかの裏切りのような事態に不安がなければ、二人で行動するというのはカレンにとっても渡りに船ともいえる状況だ。他の誰かと合流できればさらに良いが、誰がどこにいるのかわからないしそれを調べる手段もない以上、この先二人で何とか死なずに生き延びる方策をある程度考えておくべきだろう。

>>坂本通、周辺ALL

8ヶ月前 No.84

坂本通 @arthur ★iPhone=U4NgPsWOcA

【西部区域/神社/坂本通】

 カレンにとってもボブは信頼できる人物として映っているらしく、通の意見にも同意した。昇についてはそもそも彼をよく知らないようではあった。最も普段の彼を下手に知っていれば、かえって信頼の置けなさそうな人物と見なされてしまいそうではあるのだが。
 カレンは続けて、天羽美世の名前を挙げる。三年二組の優等生と言われれば、彼女は外せないだろう。整った容姿に、清楚な物腰の才媛が殺し合いに加担するとは確かに考えづらい。
 だが、彼女からはいつも人の輪から一歩外に出ていたような印象も受けた。美貌と才覚が自然と人に距離を置かせていたのだろうと通は思っていたが、距離を取っていたのは果たして彼女の周囲だけだったのだろうか。棘というには小さすぎる違和感を感じて、首肯するには至らなかった。

 「向かうとすれば、病院かな?どれだけ薬だとかが残ってるのか分からないけど……」

 ひとまずボブや昇との合流を果たすという結論が出ると、自ずと議題は次の目的地の決定になった。
 通が病院を候補に挙げたのは、やはり薬品の回収が見込めるという点だった。食料になるようなものは間違いなく撤去されているだろうが、包帯のような簡単な医療器具であれば、残されている可能性は否定出来ない。そういった物資を求めてやってくる生徒は他にもいるだろうし、ボブであれば似たような結論に辿り着くのではないかと考えたのである。
 一方で、多くの生徒がやってくる可能性も否定は出来ない。それも視界の限定された屋内でかち合うことを考えると、あまり安全とは言えない目的地だろう。
 運良く話の通じる人物と遭遇出来れば僥倖だが、梅王丸鞘のような危険人物と出くわしてしまえば目も当てられない。リスクとリターンの計算は単純ではないだろう。

>>カレン・グレアム

8ヶ月前 No.85

カレン・グレアム @hananomi☆Mwp.W.uiBT6 ★5tuXai74if_R0X

【西部区域/神社/カレン・グレアム】
「……そうですわね。包帯や消毒薬の類がまだ残っていれば今後役に立つでしょうし、行っておいて損はないかも知れないわ」

 通からあった、病院へと向かうという提案に、僅かに考え込んだ後に同意した。どうしても直ぐに行かなければいけないというわけではないものの、包帯や薬品はあって損がある物ではないはずだ。
 この地域に存在している物資の数が有限で、しかも補給がなされることがないという事は、基本的にそれを取っていくことを考えついたものが先に取っていくだけとなり、先に到着したものが絶対的に有利だ。この蠱毒戦争が始まってから時間も多少経っているだけに、先に病院で物資を補給することを思いついた生徒にもう根こそぎ持っていかれてしまっているかもしれないという懸念がない訳ではないが、必要となり得る物資の存在の確認だけでも、行く価値はあるだろう。

「では、参りましょうか」

 決めたのであればさっさと行動するに限る。通に声をかけ、カレンは下り階段へと身体を向けた。他に誰かが昇ってきているならばまた対策を考えなければならないし、場合によっては戦闘を回避できない場合もあるだろう。可能な限りはそういったことにはならないことを願いたいものだ。

>>坂本通、周辺ALL

8ヶ月前 No.86

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