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Antipodes〜ダンジョンへようこそ!〜

 ( オリジナルなりきり )
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冒険/ダンジョン @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

「世界の果てとは今、君が立っている場所の真後ろである」

        .        .        .    .地学者:アルフォンス・カナエ

―――――――――――――――――――――――

 その場所には秘宝が眠っているとされた。

 例えば、
 海の様に広がる財宝が、
 目にすることすら憚れる黄金が、

 不治の病を治せる水が、
 不老不死を叶える妙薬が、

 死んだ人を生き返らせる術式が、
 歴史の真実を描いた本が、

 地を裂き天を断つ切れ味の剣が、
 この世界では無い世界に至る扉が――――


 夢を追う人は都市アンティポディースに集う。
 数多の出逢い、数多の別離を味わいながら、今日もダンジョンで喧騒は絶えない。

切替: メイン記事(45) サブ記事 (31) ページ: 1


 
 

【参加者大募集中】 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE


【ナナノナ・イーチ/過去】


 空に黒のベールが掛かり、冷たいつむじ風が頬を撫でる。そんな冬空の下、灯る湯気を見ながらカップで暖を取る。隣に佇む女性と肩を当て合い、お互いを感じながら。
 彼女の名はリリーナ。我が恋人。こんな工夫には勿体無いほどの美人である。黄金に相応しい長髪に、ワインレッドの瞳。ふくよかな体型でこれほどボンボンボンが似合う女性はいないだろう。
 ただ――もう少し自分に対して融通を効いてもらいたい所はあるが――と頭の片隅で考えていれば、彼女の口が開き自身の額に指を当てた。


『いいことナナ、私と挙式したいのなら盛大に盛大じゃないとイヤよ? それこそ1千万ドーン使う位盛大なの!』
『リリ……俺だってリリの願いは叶えたい。でも1千万も貯金できるほど工夫の給料が高くないのは知っているだろう?』
『ふっふっふー』

 意味ありげに笑う我が恋人。ああ、何て愛おしい表情だろう。一口分、彼女は紅茶を啜った後ある紙を自身の前に出す。

『これ知ってる?』

 その紙を受け取り、内容に目を通し始める。内容は簡単に言えば、『変な建物?が出来た・それを攻略すれば1億ドーン・けどその攻略に入る前に免許を取ってね』
 そういえば聞いたことがあった。数十年前から中央で変な建物が出来たということ。こんな田舎の片隅にでも噂程度は聞いていたが、こう実際に募集の紙を見ると色々と勘繰ってしまう。まず1億という恩賞金、そして何十年も攻略できていないこのダンジョンという場所、何より免許の取得が必要という徹底ぶり。明らかに何の武芸も持たない人物は門前払いということに他ならない。
 しかし、しかし1億ドーンは魅力的である。一生掛かっても得られないであろう金額。これだけあればリリとの挙式を終えて世界一周旅行実現も夢ではなかった。
 人生は短い。ここが命を掛ける時――、これが天命と受け取った。

『分かった、リリ。俺は『冒険者』になる。そして必ず1億を手にして君の元に戻ってくる……それまで、待ってて貰えるかい?』
『……うん、勿論』

 抱きつく彼女。ただ彼女がどんな表情をしていたか、見ることは出来なかった。

10ヶ月前 No.1

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 クインシー・メイスフィールド / 過去 】

 種違いの妹ジュアニッタ。齢16の彼女がお隣の『海の国』の王族に嫁ぐことになるまでには、それはもう壮大極まりない御伽噺のような恋愛譚があった。海の国の魚人と人魚の戦いに巻き込まれて、姫として嫁ぐ前から囚われの姫状態を経験するはめになったり、魚人の側のトップからも求婚されて「我が妹ながらモテすぎでは?」という逆ハーレム状態になったり。魚人レジスタンス軍のトップと人魚の王族の青年の双方がクインシーに向かって「妹さんを私に下さい」と頭を下げて来た時なんぞ、驚きを通り越してもうロクな反応もできやしなかった。虚無のリアクションだった。
 もちろんそこに至るまでにも数えきれないほどの紆余曲折があり、クインシーも一連の戦いの中のいくつかには巻き込まれたり自ら首を突っ込んだりしたものだ。死ぬかと思うシーンもあった。なんやかんやあって海の国の王族の青年と洞窟で互いに火の番や怪我の手当てをしながら幾夜を明かした後は、友情が産まれてこいつになら妹を任せても良いと思ったりした。けれどその数か月後、今度はレジスタンス軍のトップと孤島に漂流した時は助け合って生還を目指す内にこいつにも妹を任せられると思った。妹はこんなイイ男たちの片方を振らなければならないのか、いっそ自分が女だったら妹に選ばれなかったほうと慰めに結婚してやれたのに、なんて検討違いな後悔が湧いて来たりもした。
 ジュニアッタが12歳から16歳になるまで。つまり4年の歳月を費やした恋愛と冒険の果てに、彼女は王族の人魚の青年を選んだ。途中で実はレジスタンス軍のトップの魚人の青年は王族の人魚の青年と腹違いの兄弟だったことが判明して余計に関係性が拗れたりと色々あったものの、最終的には人魚青年も魚人青年も、というか王族もレジスタンス軍も和解して『海の国』の治世が安定。その立役者として嫁に迎えられる前から『海の国』の国民たちに大いに讃えられ愛されることとなった我が妹の挙式が、ついに再来月と日時も決定した。……のだが。

「やっぱりお兄ちゃんとしては、可愛い妹が嫁に行くんだから立派な嫁入り道具とか持たせてやりたいんだにゃ。けど我が家の財産とかじゃ持たせてやってもたかが知れてるから、ちょっとお宝探しのために冒険者になって来るとするにゃ」
「そうか! わかった! 行って来るが良い! 再来月の夕飯までには帰って来いよ!」
「無茶はしないでね、お兄ちゃん。ダンジョンに良い感じの空き箱とかがあってもそこに住み着いちゃ駄目だよ?」

 神聖娼婦の母キルステンに力強くもあっけらかんと見送られ、名実ともにマーメイドプリンセスとなることが決定済みの妹に心配そうに手を振られ。行く先々の『森の国』の民からも「おうこれ持ってけ」「無事に帰って来いよ」「雌猫にたぶらかされんなー!」と果実を投げ渡されたりしながら、そんな感じの能天気な雰囲気でクインシーの冒険者の道へと第一歩は踏み出されたのだった。
 ……そういえば親父たちには連絡し忘れてたな、と気付いたのは、冒険者の試験会場に到着してからの事である。

「でもまあ、うん。親父たちならどうせ妖精仲間からそのうち連絡行くにゃ。問題ないにゃ」

 自分の犯したうっかりミスは三秒で忘れる。猫なのに鳥頭とはこれいかに。こんな奴だが祖国の自治組織の一員として磨いてきた腕は確かなので、試験にはちゃんと合格して第一冒険者の資格をゲットした。試験会場の片隅にいた陸に慣れてい無さそうな男は、きっと妹が心配そうにしているのを見かねた人魚青年が秘密裏に「未来の兄上の様子を見て来い!」と送り込んだ部下か何かだろう。妹ほどではないが、自分もあの人魚青年に友として気に入られている自覚がある。今回「妹に嫁入り道具を用意したいから」という理由で冒険者になることを伝えた時だって、必死に「私はジュアニッタに財産を期待して求婚したわけではない」「友である君に危険な目に遭って欲しくはない」と説得されたが、最後には「君が気にしなくても俺が気にするんだにゃあ」の言葉で押し切って出て来た。途中から説得に混じって来た魚人青年のほうにも同じ言葉しか言った記憶が無い。
 ともかくこれだけ気にしてくれる人達を袖にして出て来た以上、絶対に妹の嫁入り道具をゲットして、なおかつ己も無事で帰らなければ合わせる顔が無くなってしまう。ゆえに能天気そうに見えて気合は満タンだ。さあ、一緒に今度の冒険に繰り出す仲間たちは一体どんなメンバーとなるのだろうか――。

>対象者無し

※警告に同意して書きこまれました (性的な表現)
10ヶ月前 No.2

【参加者大募集中】 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

【ナナノナ・イーチ/ギルド】


「何でですかー!?」

 ギルドにて一人の男の声が木霊する。
 右端の一席にて座るはナナノナ・イーチ、対するは冒険課第二冒険者部の職員。女性。余り可愛くない。
 ナナノナが都市アンティポディースに到着し、早二週間が経過した。最初の一週間はギルドに書類を提出し、その確認を待ち、証明を受け取った。二週間目は掲示板に『第二冒険者』がダンジョンへ入るため『第一冒険者』とのパートナー契約を結ぶために書類を書く。書類には『自分は〜の知識を持っています』『自分は〜が得意です』など、自分の売りを前面に出す。まるで就職試験の様に。自信満々でナナノナは鉱石の知識を持ってます、と書き募集を待った。

 が。が、だ。
 一週間経過して何の音沙汰も無く、滞在費は冒険者割というのが存在すため諸国に比べて格安ではあるがそれでもこのまま唯日々が過ぎれば財政難待ったなし。後に聞いた話ではあるが、即採用されるのは『治癒系の零力を持った者(知識を問わず)』『あと料理が得意な者(こちらも知識を問わず)』『罠に関する知識に長けた者』。ダンジョンへ入れば長丁場になる事も屡(しばしば)であり、美味しい料理を作れる者は重宝されていた。更にぶっちゃけて言えば、鉱石が数多に点在していたり、鉱石が攻略に影響を与える場所、鉱石で出来た空間があるルートは未だに確立されておらず、鉱石の知識を持っていても役に立たない場面が殆どである。

 故に、ナナノナ・イーチに募集が掛からないのはある程度運が悪いのもあるが納得のいく理由であった。
 が。が。が、だ。

 そんな理由を丁寧に説明されて納得できるほど27年間生きていない。

「ざっけんなー!!」

 席を立ち、その足で真反対の酒場にてビールを注文する。

「親父、ビールよこせ! ピッチャーでもってこーい!!」

10ヶ月前 No.3

【一部ルール改正/参加者大募集中】 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

【ナナノナ・イーチ/ギルド】

 平日の昼前、天には高く陽が昇り世界を明るく照らしている――が、そんな光を浴びないギルド(酒場)の中、酒を飲み続けるナナノナの姿があった。
 机に置かれた並々とビールが注がれたピッチャーは既に空である。顔は若干朱に染まり、口から漏れる息は十二分に熱を孕んだものになっている。思考は若干曇っているものの完全に酔ってはいないが、そんなナナノナの姿に酒場の主である口髭が逞しい中年男性の店主が話しかける。


『……お客さん飲みすぎだよ』
「うっせー! せっかく遠路遥々アンティポディースに来てダンジョン潜れねーんだぞ!! ざっけんな!!!」
『まぁそう喚きなさんな。潜れず燻ってる第二冒険者はアンタだけじゃないんだ、焦らず急かずじっと機を待つんだ』
「第一冒険者様に登用されるのをか?」
『……まぁ、言い方は悪いがその通りだ。そういうルールがある以上従わざるを得ない、それを破る者は罰せられる。当たり前の――そう、当たり前のルールだ』

 ドンと机にピッチャーが置かれ、それを握っていた手はナナノナの頭に置かれる。

『冒険者になる条件にあっただろう? アンティポディースの地に足を踏み入れた瞬間から、冒険者はこの都市の法律の下裁かれる。くれぐれもダンジョンに一人で入ろうとするんじゃないぞ、馬鹿で愚者は何人もいらないんだ』

 頭に置いた手は離れ、背中を軽く叩かれる。まるで背を押すように。ナナノナは黙って何も言えず、店主の顔を見ることも出来なかった。

10ヶ月前 No.4

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 クインシー・メイスフィールド / ギルド 】

 結局試験は危なげなくパスして、クインシーは無事に第一冒険者としてギルドに所属することになった。祖国で狩人として鍛えていて良かった。筆記試験などはあまり自信が無かったから、第一冒険者に合格しなければ第二冒険者の道は厳しかっただろう。途中で寄り道をして美味しそうな定食屋などに顔を出しつつギルドを目指し、辿り着いたのが今日の今。口に来る道の屋台で買ったホカホカの鯛焼きを咥えながらギルドの扉を開ければ、中にはギルドの職員や冒険者たちが何人かいた。
 書類は先に提出して証明のほうも郵送で受け取ったから、一応、第一冒険者としての登録はもう済んでいるはず。えっと、後は何をやればダンジョンに潜り込めるんだったかな、と壁の掲示板に視線をやる。ふむふむ。どうやら第一冒険者と第二冒険者で組んでさえしまえば、勝率云々はさて置きとりあえずダンジョンには行けるらしい。クインシーとしては治癒系の零力や医療の知識を持った者と組みたかったが、その手の第二冒険者は大人気らしくとっくの昔に他の第一冒険者にゲットされていた。

「んー……待つのも良いけど、妹の結婚式までには間に合わせたいしにゃあ……」

 小さく呟き尻尾をぷらぷらさせる。鯛焼きの甘さが胃に染みた。さて、本当にどうしようか。おざなりにコンビを組む相手を選べばそれだけダンジョン内部での生存率は下がる。が、治癒系統の零力が使える第二冒険者と組める機会を窺っていれば時間が過ぎ去り妹の結婚式に間に合わないかもしれない。ここはいっそのこと、適当に組んだ第二冒険者の零力や特技が奇跡的にダンジョン内で大いに役立ちお宝をゲットできるかも、みたいな低い確率に賭けてさっさと誰かに声をかけるべきだろうか。
 逡巡の末、悩むのが面倒になったクインシーは近くの椅子の上にとんっと飛び乗って視線を周囲に巡らせる。奇行としてはあまりにも大人しいそれに視線を向けてくる者は案外少ない。が、注目はこれから集めるのだから問題無し。「にゃあー!」といきなり大きな声で鳴いたクインシーに、職員も冒険者たちも咄嗟に肩を揺らしたり眉を寄せたりしながら目を向けてくる。そして多くの人間の視界に自分の姿が入ったと確信した瞬間、クインシーは己の零力『傾城には猫がなる』を発動した。すなわち軽度の魅了という形で注目を持続させることにしたのである。

「クインシー・メイスフィールド、『森の国』出身の20歳。ケット・シーと人間のハーフで第一冒険者。零力は魅了の業、『傾城には猫がなる』。組んでくれる第二冒険者さん絶賛募集中だにゃあー」

 今なら組んでくれた子にこれもプレゼント、とばかりに紙袋に入った鯛焼きをガサガサやって周囲のリアクションを待つ。第二冒険者の一人一人に声をかけることを面倒臭がってこんな手段を取る辺り、半分とはいえ妖精猫らしいマイペースさを隠すつもりは無いようだ。

>ALL様

10ヶ月前 No.5

絶望の空に獣は吠える @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

【ナナノナ・イーチ/ギルド】


「あー?」

 突如聞こえた男の声に振り向く。にゃーと言っていたが、人猫かと脳内で振り向く数秒の間に逡巡しつつ澱んだ瞳が彼の存在を捉える。赤髪の若そうな容姿があまり男らしくない男、というのが第一印象。中性的な顔立ち、が正しいかは定かでは無いが、彼を見ていると酔いとは別に違和感を感じた。まるで彼に惹かれる様な――と。

『――お客さん、渡りに船じゃないか。ありゃ便利な零力だ、無意味な戦闘は避けるに越した事は無いし――何よりアンタの零力と相性が良さそうじゃないか』

 ナッツが山盛りになった皿を片手に、再度話しかける店主。
 クインシーと名乗った人物の零力の内容を聞き、今の自分の違和感に納得がいき誰とも無く頷く。しかし、ビールを一口分飲み店主の様子と周りの人の様子を見比べる。彼に近寄ろうと席を立っている人や彼をずっと見ている人などがいる中。

「アンタもアイツ見てただろうに平気そうだな?」
『俺様は鍛え方が違うからな! ほらっ、早くしないと他の第二に奴さん取られちゃうぞ』

 ガハハと擬音が響きそうな笑みを浮かべながら、ナッツを別の卓に運んでいく。
 その様子を見た後に再度クインシーに目を向ければそこそこ人が集まり始めている。やばい、とジョッキを置き急いで席を立つ。人を掻き分けながら、彼に近づくべく全力を持って他を弾いていく。その光景を見ながら店主は小さく呟いていた。

『まるでメル・シーのチケットの奪い合いみたいだな』

―――

「おい、どけい!」

 10人ほどを跳ね除け、椅子に立つクインシーの前に立つ。胃に余すことなく入った酒が逆流しそうになるのを必死に抑えながら、クインシーを指差す。

「クインシーゆーたか、俺は第二冒険者のナナノナだ。俺様とパートナー契約を結べ!」

 相手に手を伸ばし、単刀直入にそう言い放った。
 ただ――早く返事をしないとトイレに駆け出したいほど我慢が限界の域に達している。必死に耐えているものの頬には脂汗が流れ、若干顔が青白くなっており、表情も歪み始めている。若干相手の香水だろうか、それで一瞬気が削がれたが本当に一瞬。自身の周囲に立ちこむ酒の匂いの方が打ち勝ってしまう。
 ハリーハリーハリーと返答を待つ。


>クインシー

10ヶ月前 No.6

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 クインシー・メイスフィールド / ギルド 】

 誰も反応してくれなかったら寂しいしね、と存分に魅了スキルを振り撒きアピールすれば、それが効果覿面だったのか単に第一冒険者が不足気味で需要が高かっただけなのか、想像していたよりも多くの第二冒険者たちがリアクションを示してくれた。あっちの彼女は自分を見たまま立ち上がろうとしていて、そっちの彼はすたすたと歩き自分との距離を詰めてくれていて、こっちの彼女は声こそ掛けて来ないもののチラチラと自分に目配せしながら周りをウロウロしてくれていて。
 はてさてこの中の誰とコンビを組もうかとウキウキ気分で尻尾をくゆらせていれば、先程まで浴びるようにして酒を飲んでいた男性がジョッキを置いてこちらに向かって来た。どしどし、とか、のしのし、とか、どたどた、とか。そういった効果音の似合う乱暴と言って良い足取りで、彼の勢いに負けて弾き飛ばされる形で道を開けた第二冒険者が何人もいた。日に焼けた肌にがっちりと太ましい身体つき。そしてツナギ姿から察するに、鍛冶職人や炭鉱夫といった力のいる技術職や肉体労働に従事していた者だろう。『森の国』の面々は木々の間を縫うようにして飛び回る戦い方ゆえに細身の者が多く、マッチョに慣れていないクインシー視点では物凄くムキムキに見えた。
 ……それにしても、随分としかめっ面だし顔色が悪い。先程まで飲んでいた酒に毒でも盛られていたのだろうか。あるいは二日目じゃないのに二日酔いになったのかもしれない。むわっとしたアルコールの匂いがこちらまで漂って来て、周辺にいた第二冒険者たちの波がざざっと引いた。けれどそれは、アルコール臭に怯んだというよりも、彼が今にも嘔吐しそうな形相なのを見かねての行動。どんな屈強な冒険者だって、真人間である以上は他人のゲロを好んで浴びたくはない。いや、人間どころか悪魔や天使だってその点は意見が一致するはずだ。

「面白いからオッケーするにゃ!」

 ともあれ指さすナナノナにこちらも笑顔で親指を突き出してそう返し、身軽な動きで椅子の上から飛び降りる。相手の得意分野や零力を確認する前からパートナー契約を承諾してしまったが、まあ何とかなるだろう。向こうから申し出て来た以上、向こうは己の能力がクインシーの能力とそれなりに相性が良いと判断したのだろうし。……そんなことは気にしていられないくらい切羽詰っているだけ、という可能性もあるにはあるけれど。まあ、その時はその時だ。
 パートナーが決まったからと『傾城には猫がなる』を解除。魅了の解かれた面々は微妙にとろんとした状態になっていた目に完璧な正気を取り戻して、それぞれ「出遅れたなぁ」「しゃあない、また次の第一冒険者が来るのを待つか」などと呟きながら自分たちの座っていた席に戻って行った。中には囃し立てるように口笛を吹いている者もいるが、ナナノナに先を越されたことに腹を立てている様子の者はざっと見渡す限り一人もいない。このギルドにはからっとした気質の者が多いようだ。

「さっそくだけどにゃにゃのにゃさん、顔色ヤベーけどどうかしたのかにゃ?」

 な行の発音がにゃ行になる宿命を発揮しつつ小首を傾げる。目の前の男の顔色の悪さは、もうなんと形容したら良いのか分からないレベルで酷いことになっていた。

>ナナノナ・イーチ様&ALl様

10ヶ月前 No.7

【一部ルール改正/参加者大募集中】 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

【ナナノナ・イーチ/ギルド】


 さて、一つ話をしよう。
 君は表面張力を知っているだろうか。原理まで理解している者は少ないだろうが、情景としてコップの上で水がギリギリ保っている状態を思い起こす人が多いだろう。あと一滴、その水面に落ちれば溢れるかもしれない。だけど何もしなければ、そのまま水が零れる事は無い。

 先ほどまで飲んでいたビールはまさにその様なものだ。あと一口分でも飲めば逆流は免れないが、そのままだったらただ深酔いしただけで済んだだろう。駆け出す時に口に入れた一口分のビールが、溢れ出すに事足りる一滴となった。平面を保っていた水面がそれを契機に溢れて行こうとする――

「たっ…………タンマ!!!」

 快諾してくれた相手に開いた手を思いっきり伸ばし、翻る。
 駆け出す。脂汗を飛び散らせながら。脱兎の如き勢いで。口を両手で抑えトイレのドアを蹴破り大きい方の個室に直行する。不幸中の幸い、誰も利用者がいない事に一瞬の安堵を覚えつつ、口を便器の中に入れて、さぁもう我慢する必要は無い。

「************************【※汚いので言語化不可】」

 酒場にも若干ながら響く男性嘔吐中の音声。シチューを食べていた人がスプーンを置くのも免れない酷い声。生来声が大きいのも仇になっている。その音声が二度、三度続いた。あんなのに負けたのかと呟く他の第二冒険者に囃していた人物すら冷めた目つきでトイレを見つめている。

 5分くらい経過後、スッキリとした表情でトイレを出て来る。顔も髪も濡れており口を濯ぐついでに顔も洗ってきて酔いも大分落ちた。少なくとも再度吐くためにトイレに駆ける事は無いだろう。顔色も表情もマシになり、笑みを作る余裕も出来る。
 食事中だった人物から軽蔑の目で睨まれるが、ハッハッハ申し訳ないと乾いた笑みで返しながらクインシーの近くに歩み寄り、対面の席に座る。水で洗ったせいか嘔吐特有の酸っぱい匂いも酒の匂いも大分薄まっている――が、鼻がいい人物なら気付くだろう。

「いやーわりぃな、ちょっち飲み過ぎた。えーとクインシーだったか、契約を結んでくれるつーのはマジありがたい。助かった」

 片手を上げて、店員を呼ぶ。

「お近づきの印に飯でもどうだ? ここの飯は美味くて安いぞ」

 鯛焼きを持っている相手に飯を勧めるのはどうかと思ったが、ついでにお互いの情報も提示しあわないかと続け相手の回答を待つ。こっちはこっちで最低限の自己紹介を先にする。

「改めて自己紹介させて貰う。俺はナナノナ・イーチ、見ての通り男で歳は27。前は工夫をやっててタタル村って辺鄙な所が生まれだ。零力は『悪鬼羅刹さえ手を叩く』、俺がツルハシで叩いた影の人物の動きを一瞬だけだが止める事ができる力だ」

>クインシー

10ヶ月前 No.8

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 クインシー・メイスフィールド / ギルド 】

 小首を傾げて話しかけた瞬間、ついに己の胃袋だか腎臓だかが限界を迎えたらしいナナノナは返事もそこそこにトイレへと駆け込んで行った。というかトイレに自分の身体をぶち込んだ。そして聞こえてくる、店内BGMと思い込むにはあまりにも汚すぎる音の数々。扉がぶち壊されたせいで彼のリバース音声を遮るものは無い。嫌な生演奏だ。場所が場所なので、クインシーにも劇場の最前列並の迫力でそれが聞こえてくる。離れた場所にいる客も咄嗟に食事の手を止めていた。繊細そうな顔をした子はギルドの端っこまで避難して耳を塞いでいる。クインシーはというと、『森の国』に侵入して来た犯罪者を拷問していた際にローブにゲロと血反吐をぶっかけられたことを思い出していた。あれは洗濯しても洗濯しても落ちなくて面倒臭かった、本当に。

「俺もダンジョンには潜りたかったから、ちょうど良かったにゃ。ごはんは有り難く頂くにゃ。お魚が良いにゃ」

 さっぱりした顔で戻ってきたナナノナの提案に頷き、しれっと奢って貰うつもりで魚料理をオーダーする。鯛焼きの袋は一旦小脇に抱えることにした。あそこの店の鯛焼きは冷めても美味しい。そう常連客のマダムが言っていたのを信じよう。さすがギルドの料理人と言うべきか、並の食堂とは比べ物にならないスピードで完成された魚料理が運ばれてくる。きのこや付け合わせの野菜が乗った鮭のムニエルをメインとした定食。『森の国』では米もパンも麺類も主食として流通しているが、この定食での主食はパンらしい。鮭のムニエルにパンって合うのかな、なんて半信半疑で口にしてみれば、予想外なくらいに合った。上機嫌にナイフとフォークでホカホカのムニエルを切り分け口へと運ぶ。故郷の聖なる泉ほどではないが、コップに入った水も中々美味である。

「さっきも言った気がするけど、改めて自己紹介するにゃあ。第一冒険者のクインシー・メイスフィールド。零力の『傾城には猫がなる』は、発動対象がこっちを視界に入れた回数や秒数に応じて相手を深く魅了していくって内容にゃ。年齢は20歳で出身は『森の国』。前は国の自治組織に所属してたにゃ。……俺は少にゃくとも三日以内にはダンジョンに潜りたいにゃって思ってるんだけど、にゃにゃのにゃ、その二日酔い三日で治せそうにゃ?」

 先程発言した内容と被っている部分もかなり多いが、相手に倣い改めて自己紹介をする。妖精猫とのハーフらしく人並より鼻の良いクインシーは、まだナナノナの体内に結構な量のアルコールが残っていることを嗅ぎ取っていた。この分だと、今日中はもちろんのこと明日や明後日くらいまで深酒の余韻が彼の身体を蝕むかもしれない。彼が純粋な人間ではなく、実は酒に強そうな生き物との混血で想像しているより腎臓が優秀とかなら話は別だが……。
 いざとなったら故郷から持参してきたよその国では中々採取できない貴重な解毒用の薬草を無理やり飲んで貰おう。味はブラックコーヒーの五十倍くらい苦くて正直に申し上げると最悪だが、その分だけ効果は絶大だ。

>ナナノナ・イーチ様&ALl様

10ヶ月前 No.9

みみく @mimic11 ★iPhone=C7g44ZjlEU

【 漣柚木 / ギルド前 】
「あァ……今日もいい天気ですねぇ…」

目の前に広がる騒がしい店から目を逸らすように空へ顔を向ける。澄み切った青空はとても綺麗で、自身の心を洗ってくれるかのようだった。さて、と呟いて一つ深呼吸をし、再び騒がしい店__ギルドへと目を向けると、微かな違和感を感じた。食を進めている者達の一部が、顔を顰めてある方向を見ていたのである。
なんだなんだと店に一歩進む。

「……これは…随分と、品が悪い方がいるみたいですが…?」

踏み出して耳に入ったのは、一瞬、本当に一瞬だけBGMと感じてしまった、人の…嘔吐する音である。こんなに聞こえてしまうなんて、そもそもマナーというものがなっていないのではないか、この音の原因の人は。反射的に顔を歪めてしまったが、すぐに取り繕う……こんな顔をして接するのはあまり良くないだろうから。適当に席を選んで座り、メニューを選びつつ水を飲んでいれば、たまたまだろうか、その…先程まで不快な音を奏でていたであろう人物が近くに座ったのだ。盗み聞きは良くないとは思うが、少し興味がある。
……ナナノナ・イーチ、という奴と…赤い……クインシー・メイスフィールド…という二人…らしい__あの二人、面白そうですねェ…そう思うが早いか、早速声をかけることにした。

「……そこの旦那、体調は大丈夫ですかィ?もし二日酔いが気になるんでしたら、これをちょいと舐めると聞くそうですよォ」

にこりと口角を上げ、裾から出した小瓶を振る。その中身は蜂蜜というらしい蜜だ。
そして、いきなり首突っ込んで申し訳ねェです、と笑いかける。

>>ナナノナ・イーチ様、クインシー・メイスフィールド様、ALL様

10ヶ月前 No.10

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【澪尽朱華/ギルド】

ほわほわと湯気を立てるミネストローネをずず、とすすりながら、むすっとした仏頂面の少女━━━━澪尽朱華は今までのことを思い出していた。
一人立ちがしたいとわがままを言った彼女を快く見送ってくれた神父と別れて早一月。無事アンティポディースにたどり着き、不安で押し潰されそうになった試験もくぐり抜け、私にしては幸運続きじゃないかと自己評価が低い朱華にしては前向きな気持ちを抱いていた。だがしかしそれはある意味油断していたということなのだろう、先程頼んだミネストローネが届いて間もない頃にギルド中に筆舌に尽くしがたい不協和音が響き渡った。思わずスプーンを握りしめたまま硬直したのは朱華だけではあるまい。

「……まあ……死人が出なかっただけ良かったのでしょう……」

軽い嘔吐だけで良かった、と無理矢理ハッピーエンドにしてから、朱華は不機嫌な表情を隠すことなくスプーンを動かし始めた。彼女がむすっとしているのは先程の一件を引きずっているから……というのも理由だがその当事者たる男性が割りと近くに座っていたからであった。男性のすぐそばにはぷらぷらと尻尾を揺らしている何かしらの種族との混血なのであろう青年が座っている。彼らは早速契約を結んだらしい。朱華も早いところパートナーを見つけたいところだが、コミュニケーション能力が限りなく低い自分にそう簡単に見つかるものだろうかと早くも難儀している。
はあ私ってどうして駄目なのだろうといつも通りの自己嫌悪に陥っていたところ、また新たな人物が例の男性と青年に話しかけていた。彼は何やら小瓶のようなものを持っている。

「蜂蜜……?どうしてあんな高級なものを」

蜂の巣から採れる蜂蜜は美味で薬品としても使えるが身の危険を冒すということもあって朱華の故郷では高級品であった。朱華は思わず身を乗り出して、しげしげと蜂蜜の入った小瓶を見つめていた。

>>ナナノナ・イーチ様、クインシー・メイスフィールド様、漣柚木様、周辺all様

10ヶ月前 No.11

みみく @mimic11 ★iPhone=C7g44ZjlEU

【漣柚木 / ギルド】
しばし瓶を揺らしていれば、ふと背後に視線を感じた。この男の方を見ているのだろうかと思えば、自分の持つ瓶に対するものらしい。これを譲ってくれた男が確かとても高級なものだとボヤいていたことを思い出し、なるほどと納得する。まぁあの男が文句を言っていたにせよ自分に譲った男が悪いのだから、とやかく言われる筋合いなど一欠片もないのだが。自分の住む港ではこんな木から…だろうか。おそらくそこから取れるものなどあまり売られないどころか見かけもしないので、なんだそれはと首を傾げられる程度の知名度だ……けれど、この後ろの人物はこれが採れるところ付近に住んでいるのだろうか、気になる、興味がある……

「……あァ…そこの嬢さん、これに興味がおありですかィ?」

先程まで話しかけていたはずの二人の方には興味を一切無くしたかのように、自分と同じ黒髪を持つ少女に語りかける。身を乗り出しこちらを見つめていることに少し笑いを漏らして、そこまでですかァ、と呟く。

>>澪尽朱華様、ALL様

10ヶ月前 No.12

【一部ルール改正/参加者大募集中】 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

【ナナノナ・イーチ/ギルド】


『早い安い美味いがこのギルドのモットーだからな! お客さんちゃんと食いな! あとナナ、お前さんはドア直して来い』

 違う卓に料理を持っていく店主が元気良く言い放つ。
 えーと愚痴る間も無く、返す足で首根っこを掴まれ先ほど自身が壊した扉の前に鎮座させられる。渡されるは蝶番とトンカチと釘の3点セット。直すの自体は楽といえば楽だがと、思いつつカンカンと今度は叩く音がギルド内に響く。まぁこのまま放置していれば誰かが大をした際にその音が漏れなく響くだろう。臭いもあれだ。料理を提供する場で赦されざる事であろう。

 慣れた手つきで釘を打ち終え、開閉具合が確認した後踵を返す。ムニエルを行儀良く食する相手に再度対面し、相手の自己紹介を聞く。先ほどより明瞭になった頭ゆえスラスラと情報を叩き込み、ふむふむと頷く。

「『森の国』か、噂は聞いていたがマジで存在する国なんだな。んで潜るんだったら、明日からOKだ。明日には酔いが覚めてるだろうし俺の自慢は吐いたら酒が残らない事だし! 多分!!」

 正直、森の国の存在は噂程度にしか聞いたことが無かった。誰かが森の中で幻想でも見たのではないかと思っていたが、どうやら本物らしい。辺鄙な村だと情報すら定かでは無いから困るぜ!
 ダンジョンへ潜る日取りについては先ほどと打って変わって元気良くバーンと効果音を付けたくなるほど自信満々に胸を叩き明日と明言する。多分の発言はもっと自信満々に言い放つ。

 と、話をしていれば隣の席の男が話しかけてきた。黒髪に細目、印象として適切であるか分からないが"いやらしい"笑みを浮かべる相手。第一印象は失礼だが『怪しい』。だが、こういう人物は下手な人間より遥かに信頼できるという印象も併せ持つ。

『奥さんコイツいかにも怪しくないですか?』
『ええ、奥さん。これは悪徳宗教の勧誘に間違いないですわ奥さん』

 兄と一緒だったら上の様な小漫才も出来るが生憎兄は絶賛仕事の最中だろうなーと関係無い事を脳内に浮かべつつ、間の抜けた表情で相手がぶら下げる小瓶を見据える。振る度に粘液らしい液体が揺れている。

「何じゃこりゃ? 油か」

 水じゃない。だが液体っぽい。感じは油っぽいが色が分からない。だが相手は一舐めすれば効くと言ったが油で酔いが覚めるなんて聞いた事がない。
 疑問符を抱き質問していれば更にもう片方の机から身を乗り出す少女の姿があり。顔を見れば何か怒ってるー!?と一瞬たじろぎそうになるが、そこは大人。内心に留め、小瓶を指差しながら少女に聞く。

「そこの嬢ちゃん、蜂蜜つーのかコレ? 食える――つーか舐めて大丈夫なもんか? あと美味いのか?」

 食べ物であること、あと何より美味いのかどうか。誰でもいいがこの液体の詳細を教えて欲しかった。


>クインシー、柚木、朱華

10ヶ月前 No.13

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 クインシー・メイスフィールド / ギルド 】

 近くの席に座っていた人物が蜂蜜の入った小瓶を揺らしながら話しかけてくる。紺色の着物を身に纏った、どことなく東洋の風情を感じる男性。いかにも歩きにくそうな一本歯の下駄は、確か『森の国』に住む物知りな賢人曰く、東洋の天狗なる妖精だか妖怪だかが好んで履くものだという。けれど彼は顔が赤くも鼻が長くも無いので天狗には見えない。むしろ糸目の怪しげな雰囲気は、こんなことを言うと当の獣たちには「偏見だ!」と嘆かれるかもしれないが、妖狐とか古狸とかのオーラを感じさせる。血筋的な意味合いではなく、性格的な意味合いでだ。
 その蜂蜜に惹かれてか、今度はミネストローネを飲食中の少女が身を乗り出して来た。かなり小柄だ。ブーツのヒール分を差し引けば150cmを下回っているだろう。その割に身体の凹凸には恵まれていて、なるほど、トランジスタグラマーとはこういうものなのかと頭の中で頷いた。クインシーの母親もグラマラスだったが、彼女の場合は身長のほうも高かったのでこの少女とはまた違った恵体だ。どことなく修道女を思わせる清楚なワンピースは、少女のいとけなさをますます引き立てている。
 そしてその少女が話しかけてきた時点で、着物の男性の興味はクインシーとナナノナから少女のほうへと移っていた。クインシーとしても「俺も男と可愛いおんにゃの子なら、おんにゃの子のほうが好きだにゃぁ」という意見の持ち主なので、その対応に不満は無い。ましてやこっちには、まだ酒臭さを漂わせている上にさっき便所でしこたま吐いて来たばかりのマッチョもいるのだ。そりゃあ女の子が話しかけてくれればそっちに流れる。

「よく来る不法侵入者はみんな畑の肥料とかになるから、『森の国』の情報はあんまり外に持ち出されないんだにゃあ。……本当に大丈夫かにゃ? その言葉を信じるけど、でも明日ににゃってやっぱり無理だと思ったら正直に言って欲しいにゃ。このクソ不味いけどクソ強力な薬草をプレゼントするにゃ」

 明日までには二日酔いを治してみせると豪語するナナノナに半信半疑な表情でそう言っては、ローブの内ポケットから取り出したとんでもねぇ色をした薬草を見せる。自然に生えた草がショッキングピンクなんて、珍しいを通り越してホラーでしかないだろう。クインシーも、こんな色をした薬草は『森の国』の外ではお目にかかったことが無い。しかも鼻を近付けるとせっけんの香りがする辺りが、余計に食べる気を無くさせると悪い意味で評判だ。それでも雑草ではなく薬草として扱われるくらい、効果のほうは高いのである。

「にゃにゃのにゃ、蜂蜜のこと知らにゃいのか? ミツバチさん達がせっせと集めてくれる甘い蜜だにゃ。花の蜜をすするより甘いんだにゃあ。でも赤ちゃんに食べさせるといけにゃいんだにゃー」

 『森の国』だと妖精混じりの赤ちゃんがたくさんいて「赤ちゃんに蜂蜜はNG」が「でもうちの子は半分妖精なんで関係ないッスね!」とばかりにスルーされることが多いが、それでもよその国は純粋な人間のほうが珍しいとかいう状況ではないだろうから、必要ないとは思いつつも蜂蜜の情報を補足しておく。とはいえこの場に赤ん坊なんぞいやしない。自分で言っておきながら、別にこれ付け足す意味なかったなと思いつつクインシーは鮭のムニエルを完食した。美味しかったです。ご馳走様。ごちになります。

>ナナノナ・イーチ様&漣柚木様&澪尽朱華様&ALl様

10ヶ月前 No.14

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

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10ヶ月前 No.15

みみく @mimic11 ★iPhone=C7g44ZjlEU

【漣柚木 / ギルド】

「はは、やっぱりですかァ」

少女が見つめていた先がこの小瓶であったことは間違いないようだった。あまり喋るのが得意ではないのだろうか。こくりと頷き、小さく返事をした。自分が前話しかけていた男がこの蜂蜜に興味を示したようで、この少女に質問する。……へぇ、そういう効果があるんですねェ…たまたま耳にした程度の知識では本場には勝てないようだ、まあその通りだが。『森の国』出身らしいクインシー…という赤い猫っぽい奴はにゃーにゃーと言いながらどぎつい草…?を取り出し、少女にプレゼントしている。

「うげ……自然に生えたとは思えないぐらいえげつない色でさァ……」

匂いだけであればまだマシなものの、色はピンク、先程クソまずいと紹介されたものをそうすぐ受け取れるものなのだろうか。…あ、受け取った。ちょろいのだろうか、あの少女は。
……へぇ、名前は…澪尽 朱華…という、自分と同じ和名であった。これは、自分も名乗る流れであろうか。

「あァ……よろしくお願いしますねェ…俺も名乗るべきですか…俺は漣柚木って言います、よろしくお願いしますねェ……あと…怪しいヤツじゃないですからね?」

遊ぶように下駄を鳴らし、周りの3人に向け笑いかけた。

>>ナナノナ・イーチ様、クインシー・メイスフィールド様、澪尽朱華様、ALL様

10ヶ月前 No.16

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_3Nj

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10ヶ月前 No.17

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

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10ヶ月前 No.18

【一部ルール改正/参加者大募集中】 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

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※警告に同意して書きこまれました (性的な表現)
10ヶ月前 No.19

みみく @mimic11 ★iPhone=C7g44ZjlEU

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10ヶ月前 No.20

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【澪尽朱華/ギルド】

自らの自己紹介を終えて一息吐いたのか、緊張して固かった朱華の表情はどことなく柔らかいものになっていた。端から見たら先程との違いがいまいちわからないかもしれないが、若干眉間の皺が薄くなっている。そこまで気づける観察眼を持つ者がいたらけっこうな腕前であろう。

「ふむふむ。クインシー殿に柚木殿、ですか。こちらこそよろし……く……!?」

ぺこりとふたたび頭を下げようとした朱華だったが、突如ふよふよと浮遊しながらやって来た妖艶な女性に驚きを見せた。本当に空を飛べる方なんだ……!と内心けっこう失礼なことを考えているが、口に出すほど素直ではないことが幸いした。彼女がいても困ることは然程ないしまあ人数が増えたため若干の緊張はあるが女性ならなんとかうまく話すことができる。そういったこともあって朱華はこくっと小さく頷いた。

「……ナナノナ殿、私の顔になにかついていますか?何やら先程からじろじろとこちらをご覧になっていらっしゃるようですが……。残念ながらこの顔は生まれつきですので苦情は受け付けておりませんよ」

不純な視線を感じ取ったはいいもののそれを違った方向に受け取るのがこの朱華という人間である。どうやら自分の顔が不細工だからじろじろ見ているのでは?といった風な受け取り方をしてしまったらしい。本人はそのつもりはないのかもしれないが少し……いやけっこう頬を膨らませて先程に拍車をかけてむすっとした仏頂面になっていた。童顔ということもあってやや迫力に欠けるが。

「……私は構いませんよ。むしろ一人かと懸念していたのです。こんな人間でよろしければ喜んで」

ナナノナの誘いには嬉しかったのか首を縦に振った。これでさっきのことはチャラにしてあげましょう、なんて考えながら。

>>ナナノナ・イーチ様、クインシー・メイスフィールド様、漣柚木様、ジルニトラ・セティエール・ラビフォリエ様

10ヶ月前 No.21

キハル @haruno001 ★Smart=oLgi2JhE8I

【リビヤード・アレット/過去〜現在(ギルド)】

「なあ、アレット。パフォーマーになってみる気はないか?」

スラム街の小さな喫茶店の中で、彼はアレットにそう呟いた。

「パフォーマー?唐突に何を言ってるんだリル。俺にはそんなの似合わないよ。」
「いや。アレットのヨーヨーさばきは一級品だよ。それをこの暗く悲しいスラム街を少しでも活気付けるために使わないか、と思ってね。」
「…なるほど。そこまで言うなら、やってみようか?」

彼にとっては唯一無二の親友であるリルの頼みだ。それをそう簡単に拒否することなんて出来ないし、寂れたこのスラム街を自分の大好きなヨーヨーで盛り上げられるなら、それは彼にとって本望だろう。

「僕も頑張ってサポートするからさ、やってみようよ!」

そして、リルの彼に対する期待は、的中し、見事結果となって現れた。寂れたスラム街を見事に活気付けた。
だが。ある日。アレットがパフォーマーとしての地位を確立させ、いつも通りパフォーマンスを終わらせて帰路についていた時。その事件は起きた。

「リル!しっかりしろ!リル!」

些細なきっかけで起きたとある暴動。スラム街においては日常茶飯事の出来事であり、普段のアレットは気にもしない。だが、今回は。アレットは声を荒らげて、今回の暴動の被害者となった頬を地面につけたまま動かない親友の名を呼んでいた。

…そして。現在。

ギルドの前で彼は思い出していた。自分がここに来た理由を。既に第一冒険者の証明は貰っている。

「よし。」

アレットはギルドに足を踏み入れていく。だが次の瞬間、アレットの緊張感は一気に吹き飛んだ。「にゃにゃー」と叫ぶ猫の男と、その男の上にいる美女。そしてその美女に見とれているガタイのいい男。さらにその光景をみて呆れている男と、神秘的な女性。

「一体なんなんだ?これは…」

そのどこからどう見ても異様としか言いようがない光景に、アレットは立ち尽くし、ただ見ていることしかできなかった。

>>ALL

10ヶ月前 No.22

キハル @haruno001 ★Smart=oLgi2JhE8I

【申し訳ありません。中途半端な感じで終わってしまったので、少し追記を。】

【リビヤード・アレット/ギルド】

ただ見ていることしかできなかったが、ふとアレットは我に帰る。自分自身がどんな人間なのか思い出しながら。自分は冷静に物事をとらえる人種だ。そして興味のあるものには積極的に関わる。目の前に広がっている光景は興味があるかないかで言えば、むしろ興味しかない。そう自分に言い聞かせ。

「あの…すまない。あなたたちは…?」

アレットは恐る恐る目の前の内の決まった誰かではなく、その「集団」に声を掛けた。

>>ALL

10ヶ月前 No.23

【一部ルール改正/参加者大募集中】 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

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10ヶ月前 No.24

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【ニース・ファクタム/過去・インフェ渓谷→現在・ギルド】

インフェ渓谷に置いて、非日常な出来事は滅多に起こる事ではない。 狩人達は獲物を求めて麓の森林へ繰り出し、村で生活する者は各々の生活の為に動いている。 たまにこの渓谷に挑戦する人間もいるがそんな事は数ヶ月に一度あるか無いか。 大体は自分達の準備不足によって遭難している所を狩人達が拾って、村で休息させた後に元の麓へ送り返すぐらいだ。 大きなニュースがあるとすればそれぐらい。 良くも悪くも此処に住む住人であれば、こんな毎日をずっと繰り返している。

「……で、何で私が旅に出なきゃならんのさ。 狩りだって一家満足に食べられるぐらいは毎日稼いでるし、別に悪い事もしていないのに」

そんなインフェ渓谷の中腹に存在する村の一軒家で、私は不機嫌そうに……否、不機嫌ではあるのだがそれが相手に伝わるようにわざと顔をしかめつつ、食卓の反対側で私と同じく厳しい顔をしている父親と何時もと同じ通り優しい笑みを浮かべている母親を見据えた。

「あー、なんだ。 お前もまだ若い。 この村で生活するのに不満を抱かないのは別に問題無いのだが……」

「問題ないなら良いじゃないか」

口を開いて理由を話し始めた父親の言葉に被せるように、私も再度口を開く。 確かに私ぐらいの年頃が村で過ごすには娯楽は無いと言って良いほどに乏しい。 精々温泉ぐらいしか娯楽と呼べるものはない。 だが私自身はその生活に満足しているし不満を口に出した事は一度だってない。 にも関わらず此処を出て旅をしろ、と言われても納得出来ない。

「だが村の中だけで過ごすというのもまた良くない。 この世界は広い。 人間達が過ごす街並み、エルフが守護する森林、ドワーフが暮らす洞穴。 世界には様々な場所がある。 それを見ようともせずこの村で引き篭もるように生活するのはお前の為にならない。 良いかニース、私達はお前が憎くて言うんじゃない。 可愛いからこそ広い世界を見てきて欲しいだけなのだ」

「可愛い子には旅をさせろって論調は分かる。 でも本人の望まぬ旅は決して良いものになるとは思えn」

「えーい、良いからさっさと支度して出発せい! もう長には話つけてあるから、広い世界を見て来い!!」

私の抗議も何のその、痺れを切らした父親の怒声と共に母が用意する私の獲物や旅用の道具の数々。 それに口を挟む暇すら貰えず、蹴り出されるように私は家から追い出された。

ーーーーー

「 …………」

さて、そんな訳でこの街に到着してから早一週間経過した。 面倒な事に冒険者とやらは免許制らしく、生まれてこの方一度も勉学などした事のない私に襲い掛かってきたのは冒険者の資格を取るのに必要な実力試験だった。 いきなりの身体測定、続いての戦闘試験は用意の出来てない者を振るい落とすには十二分の成果を挙げられるのだろう。 幸いな事に私は戦闘試験を突破して第一冒険者なる資格を手に入れた。 だがそれが即日で配布される訳ではなく。 ギルドに提出して一週間を見て初めて納付されるとの事だった。 その間の宿は無料になるのが懐には嬉しい所か。 ともかくとして、長い一週間を乗り切って無事に証明を貰った。 後はダンジョンに挑戦するだけなのだが、腹が減っては戦は出来ず。 そのままギルドの食堂へ足を運び、唯一空いていた席に腰を落とす。

「……あー、注文しても良いか?」

近くにいた店員を捕まえて幾つかメニューを指差して注文する。 やはり混雑している店内とは言え店員も慣れたもので、注文を即座に料理人に伝えて他のテーブルへと忙しなく動いていた。 さて、そうなると持て余すのはこの料理が来るまでの時間である。 初心者中の初心者がいきなりダンジョンに入っても大地の肥やしになるのは想像しなくれも理解出来る。 ダンジョンは数多くの未知なる環境、未知なる魔物が蔓延っており自らの実力に関わらず命を落とす事も珍しくはないだろう。

『ーーーーあつぅい!!』

近くの座席に腰掛けている冒険者達に話しでも聞こうか、と考えた矢先。 隣の机で談笑している冒険者達の内の一人が、飴色の物体を被って悶絶していた。 飴色の物体から垂れている物を見るに餡掛け焼きそばを被ったのだろうが……まぁ、地獄の苦しみとやらを味わっているに違いない。 周りからお絞りを貰って頭や顔を拭いているが、高熱で粘度の高い物体を頭から被っているのだから火傷にさえなっている可能性さえある。 その様子を見て同情を覚えた私は、自分のまだ未使用のお絞りを同じく手を付けていなかった氷水の中身で包むようにして冷やす。 それを持ったまま男の元へ向かう。

「あー、その、なんだ。 災難だったな。 火傷にならない内に冷やしておいた方がいい。 そこの同卓の奴らも、冷やした絞りかなんかをくれてやった方が良いぞ」

そんな言葉と共に男にお絞りを手渡し、彼と同卓していた男女にも同じく患部を冷やせる物を用意するように伝えながら。

>>ナナノナ、ALL様

10ヶ月前 No.25

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

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10ヶ月前 No.26

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_3Nj

【 ジルニトラ・セティエール・ラビフォリエ / ギルド 】

 突然頭の上に現れて髪を触るなんて、普通の神経ならば手を振り払われてもおかしくない。なのに本気で怒ることもせず、自分に対して手もあげなかったクインシーの対応に、嗚呼いい仔ね、と反射的に思う。尻尾で軽く体を叩かれたが、そんな抵抗は可愛いものだ。故意か否か、ランダムに動く彼の尻尾に胸の谷間を叩かれた際のくすぐったさに、「あんっ」と甘ったるく甲高い声をわざと漏らして。

「ふふ……ごめんなさいね、優しい仔。大丈夫、少しくらい乱れてる方がワイルドで凛々しいわよ」

 頭上から移動し、クインシーの横で止まりながら顔を覗き込む。彼の瞳孔が少し開いていることを見て取り、そんなに警戒しなくてもいいのに、とくすりと微笑む。少しでも彼の興奮を落ち着かせるためにと、優しい声音で言葉を紡ぎながら彼の頬っぺたを軽く指先で撫でた。
 ふと、クインシーとは別の意味で興奮している逞しい体つきの男に声をかけられ、ゆっくりと視線をそちらに向け、緩やかに微笑む。

「あら、嬉しいわ。女の一人旅、少し心細いと思っていたところだったのよ。これからよろしくね、えーと……ナナノナ、ハネズちゃん、ユウキ、クインシー……で合ってるかしら。あたしはジルニトラ。フルネームだとセティエール・ラビフォリエが後ろに付くけれど、長ったるいから名前で呼んで頂戴」

 ナナノナの申し出に、心から嬉しそうに顔を綻ばせる。ダンジョンとは未曾有の災厄が凝縮された場所、とも風の噂で聞いていた。挑戦者と攻略者の数に圧倒的な大差があるのも、それを如実に示している。そんな場所に一人で赴くほど、自分は命知らずではないつもりだ。彼らの自己紹介は、さきほどこちらまで聞こえてきていたため、一人ひとりの顔を見ながら照らし合わせるように名前を呼ぶ。整合しているかどうか問いかける際に小首を傾げ、最後に自分も名乗った。
 ふと、響くナナノナの悲鳴に似た大声。軽く目を瞠ってそちらを見遣れば、そこには変わり果てた彼の姿。

「――――く、あははは!」

 思わず高らかな笑いが弾けた。いや、こういう場合、むしろ笑ってもらった方が気が楽かもしれない。なんにせよナナノナに過失は一切なく、熱々の料理をぶっかけてしまった店員さんが悪いのだが、誠心誠意謝るその姿を見れば、きつく怒鳴れる者などきっといないだろう。相当熱かったのだろう、わざわざ席を立ってまで悶えるナナノナに、いち早く応急処置を施したこれまた新顔の女性と、慌ててそれに続くハネズ、その2人にひとまず治療は任せ、ジルニトラは“カノンちゃん”と呼ばれた店員へとふわりと近づく。

「やるじゃない、あなた。でも、次からは気をつけてね? じゃないと、いきなりお料理をかけられたお客様、無駄になってしまったお料理、それを作ってくれたコックさん……何より、必死に謝らなくちゃいけないあなた、全部が可哀想になっちゃうわ」

 決してネチネチとクレームをつけるような言い方ではなく、むしろ優しく諭す母のような声音で、カノンの目をじっと見ながら言葉を紡いで。それから、店主の方へゆっくりと向き直り、サイズに腰掛けてゆっくりとした動作で足を組みながら口を開く。

「マスター、ずいぶん派手なプレゼントね。このお店はそういう趣向なのかしら? 火傷しちゃった彼のためにも、冷たいアイスもサプライズプレゼントしてもらえないかしら」

 ――勿論ここにいる私たち全員にね、と付け加えて、ウィンクも添えておいた。それからようやくナナノナの近くへ寄り、背中からインディゴ色をしたコウモリの翼を生やし、その場で軽く羽ばたくことで翼から風を起こし、その風でナナノナを乾かす云わばドライヤー代わりの役を請け負う。ゆっくりと、しかし大きく翼を動かしながら、恐る恐るこちらへ話しかけてきてくれた男――リビヤードへと視線だけを移した。

「ご覧の通り、ただの愉快な冒険者たちよ。これも何かの縁だわ、あなたも一緒に行きましょう。そこの、親切で、鱗と翼が素敵なあなたも。いかが?」

 ぽっと出の自分が彼らを巻き込んでいいのか、という疑問を抱かなかったわけではない。でもこうなったら、大所帯の方が愉快な刺激が得られるという予感しかしない。本能的な直観に従い、リビヤード、加えてニースにも声をかけて。


>>ALL様

10ヶ月前 No.27

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 クインシー・メイスフィールド / ギルド 】

 ナナノナが何やら下心丸出しの視線をこちらに向けているのを感じ、一瞬、「まさかそういう趣味が……?」と危惧したが、冷静に考えれば自分の頭の上には腕を乗せている女性がいるのだから、鼻の下を伸ばしているのはそちらの女性を見てのことだろう。勝手に美男好き扱いして申し訳ない。貴方は健全なエロ親父だ。……エロ親父は健全で良いのだろうか。頭の中で健全と不健全の定義について模索している内、ナナノナの提案で明日のダンジョン潜りのメンバーが増えることが決定していた。クインシーとしても、その提案に否は無い。旅は道連れ世は情け。袖振り合うも多生の縁。ここで出会ったが百年目、はちょっと違うが。とにもかくにも、危ない場所に行くのだからメンバーは豊かに越したことはない。なのでナナノナからの謝罪には、こちらも気にしていないことをアピールするように「にゃあ」と高めの音域で一鳴きしておいた。意図が伝わったかはちょっと怪しい。

「……にゃあ。次にゃでる時は、ほっぺじゃにゃくて顎の下が良いにゃ」

 ほっぺたをぷくーっと膨らませ、顔を少し赤らめそっぽを向きながらそんな言葉をジルニトラと名乗った女性にこぼす。赤面の理由は、自分に手を乗せていた女性がフェロモンムンムンのセクシー美女だったから――ではない。いや、正確にはそれも多少は含まれているのだが、もっと正確に言えば、そういうセクシーな雰囲気や女性のスタイルの良さが、神聖娼婦たるクインシーの母親にちょっと似ていたから。つまりクインシーが照れた理由は、自分がプンスカやっている相手が母親に似ていて、なんだか母親相手に子供じみた挙動をしている所を見られたような気分になったから、である。そのくせ拗ね方が相手を罵倒するとかではなく撫でる位置に対しての要求なのだから、どこまで行ってもマイペースなのがこの青年だ。感性が人間よりも妖精猫寄りであることの弊害の一つ。とはいえ生命に支障を来すほどのものでは無し。

「にゃにゃのにゃ、にゃにやってるにゃ? それ楽しいのかにゃ?」

 ちょっと目を離した隙に餡かけ焼きそばを頭から被っていたナナノナを見て、椅子からひょいと飛び退いてナナノナの傍に着地すると、おしぼりでナナノナを拭く作業を手伝うでもなく彼の様子をしげしげと眺める。どこかの国にはトマトを人間に投げるお祭りがあると聞いたことがあるから、本気でナナノナのこれが事故ではなくナナノナと一人遊びなのではないかと考え込んでいるのだ。店員ではない、新しくギルドに入店して来た人々がナナノナに世話を焼いてくれている最中も、クインシーだけはひたすら不思議そうに尻尾をゆらゆらさせてナナノナを観察するだけ。

「……全然楽しそうじゃないにゃ」

 けれど観察している内に飽きてしまったのか、急に尻尾をぺたんと地面に降ろせば、その場で「にゃあ」と小さく鳴いて今度は自分の尻尾を体育座りして観察しだした。自由だ。客たちも、あからさまに猫混じりのクインシーに「そこ床だぞ」と注意する気は無いらしく、窓から入って来た蝶々を尻尾にとまらせて遊んでいるクインシーはスルーの方向。何をやっても「猫だしなぁ、仕方ないなぁ」で済まされがちな人生を送ってきたから、クインシーは20歳の割にこういう所がまだまだ子供だ。甘やかされている自覚も無いまま甘やかされることに慣れている。

>ナナノナ・イーチ様&漣柚木様&澪尽朱華様&ジルニトラ・セティエール・ラビフォリエ様&リビヤード・アレット様&ニース・ファクタム様&ALL様

10ヶ月前 No.28

【一部ルール改正/参加者大募集中】 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE


【ナナノナ・イーチ/ギルド】


 冗談抜きで。
 粘液が頭皮に接触した瞬間、その帯びた熱が肌から神経を伝い激痛をこれでもかと訴える。その痛みを誤魔化すようにでんぐり返しでスペースのある場所へ移動し、必死に手で頭に被っているものを払い続ける。店員たちがこぞって御絞りを持ってこようとギルド内を駆ける中、普通のお絞りより一層に冷えたお絞りを誰かから受け取った。その時、開ける事すら躊躇する朧気な視界で捉えたのは人間とは異なる腕をした人物。そして大きい乳。

「おー……これは、どうも」

 手渡され冷たいお絞りで頭部を冷やしながら、感謝の言葉を呟く。店員たちも駆け寄りお絞りを渡してくれ、それで残っている頬やら顔付近を拭き始める。額と目の辺りを拭いた後、お絞りを渡した人物を見上げる。

(あれー、この子(ニース)目笑ってなくない? 大丈夫俺? このまま何か追い討ちされない?)

 豊満な胸を一瞥した後、その視線を顔へスライドする。そういう表情が常なのかそうでないのか定かでは無いが、若干痛みから来る汗とは異なる別の汗が頬を伝う。と、そんな場違いな事を考えていれば朱華も大きなタオル――雑巾?で拭き始めてくれて優しいなぁと呟く。そして不幸中の幸いだろうか、朱華の言葉を待たず事件が起きたせいで、彼女が先ほどの発言を笑って許してくれる事を願うばかりである。

 また男一人に対して女性2人(朱華と店員)が拭いてくれている今の状況。何となく如何わしい店を髣髴させ、また鼻の穴が大きくなり鼻息も荒くなる。地獄を脱したせいか、心にも余裕が生じる。

(あれ、これプチハーレムじゃないの? ……おー神よ、貴方を疑って悪かった。アンタやっぱ神だわ神様)

 禍福は糾える縄の如し。不幸があれば、その分幸運もある。世界は都合のいいように創られているものだ。
 拭き終え、頭を徐に触る。幸い、火傷はしていないようだ。捲れたり膨らんでいる部位が無いから多分大丈夫だろう。服の方はというとつなぎの上半身部分とタンクトップも粘々していたが、ジルニトラの風で大分乾いた。が、あの粘粘を思い出すと今日洗濯しねーとアレだカピカピになると推測される。
 そして改めて思う。この女性は恰好も含めてセクシー過ぎる。この様な女性を前にして鼻の下が伸びるのを咎める男はいるだろうか、否いない!

 ようやく大部分が我慢できる範囲になり、麺やら具やらは店員に回収して貰い立ち上がる。悠長に見ているクインシーの首根っこを引っ張り、朱華と共に元の席に戻ろうとする。

 一方カノンと店主。

『エヘヘヘ、カノン褒められたのです。で、で、で、です! ワタシ、頑張るのです!』

 ジルニトラに一礼して、てとてとと擬音が出そうな足取りで厨房へと戻っていく。それと交差するように頭を抱えた店主が、すまなそうな表情を浮かべジルニトラに対峙する。

『いやー申し訳ねぇな。カノンはやる気はあるんだが、いかんせん空回りしやすくてな。……多少なり『零力』の影響もあるんだが――っと、すまねぇ。とりあえず先に、ナナとアンタたちの分のデザートを用意する。そこの東の島国っぽいアンタ(リビヤード)の分も準備すっから、席に付いてな』

 謝罪の言葉を述べるも、カノンに関しては言葉を途中で止め。デザートは残りを見てその後だ、と他の卓の面々に言い放ち店主は厨房の奥へと闊歩していく。いささかブーイングがあったが、致し方ない。食べる連中が少なく、作っている在庫も少ないのだ。

 席に付く間につなぎの上を脱ぎ、腕の部分を腰元に結びタンクトップ一丁みたいな恰好になった上で、席に座る。布の感触が気持ち悪いのもあるし、何よりこの恰好だと涼しいから。

「うへー、俺の髪がたれでコーデされちまってる」

 髪を触る。いつものボサボサの髪がまるで73分けの様に綺麗にセットされており、グシャグシャに戻そうとするも地味に乾いてくっ付いている分抜けそうであまり構えず。髪型が気に入らず口を尖らせるナナノナを尻目に、

『後で桶と水を貸してやるから良く洗っときな、結構念入りにやらねーと髪にも服に残る奴だからな。はい、お待ち』

 7人分のアイスの乗った小皿を卓の上に並ぶ。丸く拳より少し小さい半円球型で上にはアクセントに小さなハーブが乗っており、傍らには小さなスプーンが付いている。まだこの世界のアイスの味はバニラアイスだけであり甘すぎず先に塩っぱさが来る、現代で言う学校の実験で作るアイスに近い。卓に並べた7つの皿を見た後、仕切りなおしと一度パンと手を叩く。

「まぁグダグダがあったが、アレだ。えーと、どこまで話したっけ……俺ナナノナ、そっちがクインシーにこっちの黒髪の怪しい兄ちゃんが柚木、こっちのボインちゃんが朱華、でこっちのエロくてボインなのがジルニトラだ。ひーふーみーしのごで5人か」

 一緒に行くを明言した人物を順々に指差していき、最後は自分を親指で指す。

「ジルも言ってるがそこのお2人も一緒に俺たちとダンジョンに潜らないかい?」

 単刀直入な勧誘をした後、アイスを口に放り込む。銀に煌くスプーンを空中で回しながら、

「そんで、明日行くんだったら事前に決めておきたいのがルートだ。第二のルート、ジャングルっぽいルートが数十年前に攻略されてるのは知っているよな? で、だ。進行が進んでいるルートを選べば、無論先客である冒険者がいるかも知れない。一方ルートが確立されていない、それか打ち止めになっているルートならば競争相手も比較的だが少ないはずだ」

 なーんか忘れているなと思えば、

「…………そういや、クインシーと俺は紹介しあったが皆のは聞いてなかったな。俺の零力はツルハシで影を叩いたらその影の人物の動きを一瞬止められる力だ」

 ルート攻略には各零力も大きく関わってくる。パーティーを組む以上、お互いの能力は知っておきたいと他の面々に情報の提示を求める。

>クインシー、柚木、朱華、ジルニトラ、リビヤード、ニース

10ヶ月前 No.29

キハル @haruno001 ★Smart=oLgi2JhE8I

【リビヤード・アレット/ギルド】

目の前集団に問いを投げ掛けた直後、アレットは困惑していた。

(あなたたちは…?ってなんだよ…)

自分の言動。明らかにいつもとは違う。いつもの平静な状態であれば、「あんたたち誰だ?」と、遠慮も無しに言うのに。それだけ目の前の存在が彼にとって異様だったのか。それとも別の何らかの理由があるのか。そう思っていると、一人の男の声が耳に届く。

「あー?お前さん誰だ?」

その声に気付き、声の主の方へ顔を向ける。身長は自分よりも高く、体つきもいいガッチリとした白髪と黒髪の男。そんな男の容姿を確認している最中、次はその男の声とはうって変わって女性の声が聞こえた。

「……あなたと同じ冒険者、それから近々共にダンジョンに潜る予定の団体……ですが」

自分と似た、黒髪と黒い目…いや、これは青色…藍色と言った方が良いだろうか。そんな目をした女性。が、その目は此方を睨み付けている様に見え、自分の問いに答えてくれた際の声は、若干震えている気がした。唐突に後ろに現れた初対面の男に怯えているのか、敵意を抱いているのか。だが、どちらにせよ質問に答えてくれた、ということは変わりない。その感謝の意を込め、アレットは彼女に下手な笑顔を送った。

ーーーーーーーーその直後。先程の男の声が聞こえた。だが、明らかにさっきとは声色が違う。その声に気付き、視線を向けると。さっきの容姿の確認が無駄になるほどに原型を留めていない、ナナノナの姿。餡かけ焼きそばに包まれた彼の頭。軽く騒ぎになる食堂。その様子を見ていたアレットの動揺と緊張は、いつの間にか消え去っていた。

「ハハハッ。」

と、静かに誰にも気付かれない程の小さな声で笑う。そうしていると。

「ご覧の通り、ただの愉快な冒険者たちよ。これも何かの縁だわ、あなたも一緒に行きましょう。」

翼を羽ばたかせながら、こちらに声をかけてきた女性。今度はその女性に視線を持っていく。大きな翼にコウモリのような耳と、容姿は明らかに人外のそれであり、閉鎖されたスラム街で育ったアレットにとっては未知の存在。だが、今の彼にはそういった容姿は気にならなかった。気になったのは、その女性が放った一言である。

「これも何かの縁だわ、あなたも一緒に行きましょう。」

閉鎖されたスラム街で育った男の夢。みんなで楽しく、ワイワイとした賑やかな日々。子供の様な夢だが、この世に生きとし生きる者は誰しも一度は夢見ることだろう。そして、この男。リビヤード・アレットはそれに対する思いが誰よりも強い。
その夢が。理想郷が。いま目の前にある。
そう思った彼は。

「フッ…ハハハハハハッ!」

笑った。心の底から笑った。勿論その笑いには、先程まで抱いていた動揺も、緊張も混じっていなかった。
そして、笑うのを止め、少しずれた黒の眼鏡を直し、ゴホン、と咳払いをしたあと、彼はこう言った。

「その誘い、乗らせてもらうよ。」

と。その顔に一切の迷いも戸惑いもなく、ジルニトラの誘いに答えた。

「俺の名前はリビヤード・アレット!第一冒険者だ。よろしく頼む。」

この場にいる者全員に届くように少し大きめの声で自己紹介をしたアレット。その目には、これから先どのように自分は進んでいくのだろうか、という、期待と興奮が隠しきれずにいた。

>>ALL様

10ヶ月前 No.30

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

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10ヶ月前 No.31

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【澪尽朱華/ギルド】

一通りナナノナを拭き終わり、近くにいた店員の一人がわざわざ「お客さまに片付けさせちゃ悪いだろう?」とウィンクをしてから朱華の持っていた布巾を持っていってくれたので、朱華はふたたび自分の座っていた席へと腰を下ろした。なんだかバタバタしてしまっていたのでほっとひと安心といったところか。拭いている最中にナナノナがなんだかだらしない表情をしていたのは気のせいだろう。朱華はそう思うことにした。

「……ふぉぉ……」

そしてジルトニラと名乗った女性が頼んでくれていたアイスを目にしてわずかに……いやかなり瞳を輝かせる朱華。教会に居たときはこういった菓子を食べる機会はあまりなかった。……というのも、神父は保存の効くものしか買ってこなかったのだ。そのためケーキや焼き菓子は食べていてもアイスをお目にかかったのはこれが初めてだった。表情は然程変わっていないがとにかく瞳の輝き具合が尋常ではない。それを誤魔化すかのようにこほんと咳払いして彼女は「いただきます」とひどく冷静ぶった声で言った。

「……ごめんなさい、私の顔は生まれつきこうなのです。怒っているわけではないのですが……」

自分の答えにふにゃりとした笑顔を向けてくれた青年に朱華はそう謝罪した。誤解されるのには慣れているが良い気分にはなれない。どうにかして表情筋を柔らかくしたいものなのだが、どうやっても上手くいかないのでやきもきしているところなのだ。後に青年はリビヤード・アレットと名乗った。リビヤード殿かアレット殿か朱華は呼び方に迷った。

「私の零力、ですか。あまり役立つことはないかもしれませんが、一応身に付けている金属の形を変えることができます。どちらかと言ったら補佐に回ることになるかもしれません。━━━━先程のことは、後々片を付けさせていただく所存ですので、どうかお覚悟を」

ナナノナに己の零力について問われ、朱華はおずおずと返答した。彼女は前線に出たがる気質ではないので補佐役に回るつもりのようだが、彼女の零力は攻守どちらにも化ける。朱華が着けている腕輪や首から下げている南京錠、果ては彼女が踏みしめている地面の砂鉄や彼女の血液まで武器になるのだから、時と場合に合わせて様々な活用ができると言えよう。そしてナナノナのセクハラ発言についてはダンジョン内で借りを返してもらうことにした。朱華としては根に持っている訳ではないのだが、言葉足らずのためにまたしても誤解を生みかねない。

「……アイス、溶けてしまいますよ?」

そして床に体育座りして尻尾を弄っているクインシーに一言声をかける。自分はもうほとんど食べきってしまっているので、近くに手のつけていないものがあると居心地が悪いのだろう。なんとなくそわそわしているようにも見える。尻尾ふわふわしてそうだなぁ、なんていう不躾な思いが顔に出たのか、どちらかと言えば彼の尻尾を凝視しながら。

>>ナナノナ・イーチ様、漣柚木様、クインシー・メイスフィールド様、ジルニトラ・セティエール・ラビフォリエ様、リビヤード・アレット様、ニース・ファクタム様、周辺all様

10ヶ月前 No.32

みみく @mimic11 ★iPhone=C7g44ZjlEU

【漣柚木 / ギルド】

本当に怪しいと思ってればそんなことはしない、というナナノナの言葉にそうか、と頷く。

「…いてっ」

自分が呟いた言葉が聞こえていたようで、仕方ないだろと小突かれる。
……いや、そんなに顔に出すことは無いだろうと思う。付き合いづらいな、と思いつつため息をつけば、ナナノナに……なんだろうか、あんかけのようなものが降り注ぐ。文字通りの意味だ、そんなに熱いものが降ってくれば火傷もするだろう、悲痛な叫びが響いた。

「…大変なことになってますねェ…?」

胸を見ているんだとはっきり言われた少女もお人好しな性分か、拭いてあげていた。やんややんやと人が増え、騒がしくなったものだなと思う。自己紹介……はいいか。怪しい奴とは言われたが説明してもらったのだから。……しばらくして運ばれてきたのは…アイス、という甘味。注文してくれたのは…ジルニトラという女の人……人…?だったようで、ありがとうございますねェ、と呟いて頂く。……こういったものはあまり口にしないため、ここに来てよかったなぁと思いつつ話に耳を傾けた。
……零力を教え合う話題だろうか。

「………えぇと…零力の話ですかィ、俺は…そんなに役に立つとは思えねェんですが、自分の血を操れる程度でさァ、空気に触れてねぇとダメですけどねぇ……」

補助に回るのは苦手でして、と笑って語る。

>>周辺ALL様

10ヶ月前 No.33

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_3Nj

【 ジルニトラ・セティエール・ラビフォリエ / ギルド 】

 ゆるやかに翼をはためかせながら、店主の言葉にぴくりと反応する。零力の影響――?カノンのドジ加減は、言ってみれば零力の副作用とでも言うのだろうか。自分の零力が自分にとってマイナスに作用することなど今まで一切ジルニトラは経験しなかったので、マスターが漏らしたその一言は大いに興味深いものだった。何故か店主はすぐにこの話題について口を噤んだので、それ以上詮索するような野暮なことはしなかったが。ふよふよと円卓へ戻りながら、片手の指先を口元に添えて思考を深める。

(零力――――思った以上に奥が深いのね。研究の必要があるわ)

 難しい顔で考えに耽っている最中、ふと視線を巡らしたまさにその瞬間、目に飛び込んできた表情によって、難儀な考え事はどこかへ弾き飛ばされた。ジルニトラの視線に先にいたのは朱華。運ばれてきたアイスを前にして、子供のように顔を輝かせているその姿に、思わずジルニトラは軽く吹き出すように笑いをこぼした。

「よかった、アイスが好きみたいで。……あらユウキ、お礼ならあたしじゃなくてマスターに差し上げて」

 あそこまで露骨に嬉しそうな顔をされれば、注文した此方もそれ冥利に尽きるというもの。アイスが嫌いな人など未だに聞いたことがないが、甘味が苦手な人はいると聞く。それを懸念しなかったわけではないが、それでもアイスの登場を喜んでくれる人物がいたことに安堵し、優し気な笑みを朱華に向けて。
 次に、呟くような小さな礼が聞こえてきた方へと視線を移す。柚木のその感謝は恐らく自分へ宛てられたものだろう、と受け取り、口元だけで緩やかに微笑みながら言葉を紡ぐ。“それにどうせなら、言葉じゃなくって別のものでお礼して欲しいわ”、と柔らかい唇の隙間から覗く紅い舌で、自身の口の端をぺろりと舐めながら付け足して。無論本気で誘っているわけではないが、自身の空腹は餡かけ焼きそばやアイスなどでは満たされないことも事実。ともあれこの言動で、自分の種族がサキュバスであることは、大抵の人には伝わったと期待しておく。もし伝わっていなければ、己はただの痴女だと思われるのが関の山、その誤解はこれからパーティを組むうえではコミュニケーションの障害にしかならないやもしれぬ。まあその時はその時、と楽観的に考えて、次はナナノナの言葉に耳を傾ける。

「あたしの零力は、自分の姿かたちをイメージできる限り自由自在に姿を変えられる力よ。こんな風にね」

 言い終わるや否や、ポンッとコミカルな音とともに、淡いピンク色の煙がジルニトラの身体を包み込んだ。そして2秒も経たないうちに煙が晴れ、その奥でサイズに腰掛け浮いているのは、ジルニトラではなくクインシーの姿に変わっていて。姿だけでなく、声もクインシーのそれに成り代わっている。無論、何度か彼と言葉を交わしたことでジルニトラが彼の声を覚え、それを能力によって再現しているに過ぎないのだが。イメージできる限り、とは、自分の記憶にある限り、とも言い換えることが出来る。

「自分より大きなものに化けようとすれば、表面上は精巧でも体の大きさは私のものになってしまうけれど。どんな姿になっても、自立行動は可能よ。例えば4の道なら、私が水そのものに姿を変えてB2Fへの道を探索することも出来るでしょうね」

 クインシーの姿と声のままでも、喋り口調はジルニトラのもの、その様子は大きな違和感を皆に与えるだろう。特に、クインシー本人には。ともかく、自分の力の詳細や汎用性を説明し終われば、もう一度煙の中に身を隠し、瞬時にジルニトラ本人の姿へと戻る。そしてクインシーに視線を向け、勝手に姿を借りてごめんなさいね、とウィンクをしながら謝って。

「ダンジョンの中で他の冒険者と鉢合わせた場合、やっぱり協力よりは戦闘に発展するものなのかしらね。もしそうだとしたら、比較的手付かずのルートを選んだ方が、無駄な戦闘は避けられるでしょうけど……如何せん、環境が厳しいわね。現段階では、1、5、8の道への侵入は非現実的かしら」

 己の故郷である夜の都ラヴロッカから、アンティポディーズに至るまでの長い旅路で見聞きし蓄えた知識を頼りに、自分なりの考察を述べる。ジルニトラはダンジョンに入ったことが一度もないので、他の冒険者と遭遇した場合どうなるのかは憶測にすぎないが、数に限りのある秘宝を奪い合うという観点から見ると、敵は減らしておくべきという思考になるのが常なのではないか、という推察に至る。そして、もしその敵が、攻勢に向いた零力を持っていた場合、苦戦は必至。ならばそれを避けるべく動きたいところだが、挑戦者が少ないルートにはそれ相応の理由があるもので。
 ともかく、自分以外の仲間たちの零力と考えも聞いておきたい。一旦自分の発言を区切り、次に口を開く者の言葉に耳を傾けて。


>>ALL様

10ヶ月前 No.34

キハル @haruno001 ★Smart=1hDt0mENp5

【リビヤード・アレット/ギルド】

自己紹介を終え、アイスのある卓の空いている席に座り、アレットは朱華に言った。

「いや。こちらこそ、誤解してすまなかった。」

そう陳謝した後、アイスをスプーンに乗せ口に運びつつ、先程ナナノナが言っていた今ここにいる冒険者達の名前を復唱する。

「えーと…ナナノナ、クインシー、柚木、朱華、ジルニトラ、あと、さっき俺と一緒に自己紹介したニース…よし、大体覚えた。」

記憶力には自信がある。…今まで人生を生きてきた中で役に立ったことはないので、今後も役に立つことはないであろう虚しい特技だが。その後ナナノナの言っていた零力についての質問に答える。

「俺の零力は、糸や紐などの細い物の強度を高めることが出来る能力だ。それをそのまま武器として扱うことも出来るし…俺は実践したことは無いが、何重にも束ねた糸や紐の強度を高めれば、足場としてその上に乗ることが出来るかもしれない。」

この零力が攻撃的なのか補助的なのかは良く解っていない。ただ少なくとも言えるのは、アレットの武器はヨーヨーであり、そのヨーヨーに使用されているストリングにも零力を付与することが出来る。つまりこの零力とアレットの相性はかなり良い、ということだ。…自分以外の物(者)に使う際はどうなるかは解らないが。
次に、ジルニトラの発言に対し、アレットはこう返した。

「1、5、8の攻略が困難なのは同感だ。で、さっきナナノナとジルニトラが言ってた通り、先客がいて戦闘に発展する可能性…それを考えると、攻略しようとしている冒険者が多い7の道も微妙。ってなると、3、4、6の三つが候補として上がると俺は思う。」

無論、どのルートだろうと苦戦はするだろう。だが、先程のナナノナとジルニトラの発言を考慮すると、必然的に残る候補はその三つなのでは、という考えだ。その自分の考えをアレットは皆に伝えた。

>>ALL様

10ヶ月前 No.35

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 クインシー・メイスフィールド / ギルド 】

 呑気ににゃんにゃん言いながら尻尾にとまった蝶々と戯れていれば、餡かけの悪夢から目覚めたらしいナナノナに首根っこを掴まれてズルズルと席まで戻された。体勢が崩れた拍子に蝶々はクインシーの尻尾から飛び立ち、またひらひらと窓の外から自然へと帰ってゆく。蝶々は猫以上に気まぐれだ。半分は人間とはいえ首を掴まれると大人しくなってしまう猫の習性はクインシーにも健在であり、彼は背中を丸めて声を押し殺しながら、まるで母猫に咥えて運ばれる子猫のように椅子の上へと送られていった。

「うにゃあー」

 頂きますの代わりに小さく鳴いた後、スプーンは無視して小皿を両手で掴むと、そこに乗ったアイスクリームを舌でペロペロと舐め取ってゆく。人間がやれば行儀が悪いと眉を顰められる行為だが、アイスを舐めながら猫耳がぴょこぴょこ動いていたり尻尾が揺れているだけで、なんとなく許される絵面になっている。途中、先程ナナノナにセクハラを受けていた少女が自分の尻尾を見ていることに気付き、「触る? 触る?」とばかりに無言で彼女のほうへと尻尾を伸ばしてみた。強く掴まれでもすれば「フシャーッ!」となるのは免れないが、別に触られたりつつかれたりするくらいならどうという事も無い。可愛がられたい気分の時に可愛がってくれる人間は好きだ。

「俺の能力は、これ今日説明するの三度目にゃんだけど……『傾城には猫がなる』って言って、要するに魅了の能力だにゃ。発動対象が俺を視界に入れた回数や秒数に応じて、より深く相手を魅了することが可能にゃ」

 ジルニトラが自分の姿形で女言葉を使う光景を落ち着かなさそうに眺めた後、その場の流れに応じてまたしても零力の紹介をする。彼女のウインクする姿もやはりどことなく母親を彷彿とさせて、それがますます精神的にソワソワする原因となった。
 共にダンジョンに行くことになったメンバーが真剣な様子で明日どのダンジョンに踏み込むかを話し合う中、クインシーはそれに参加することもなくアイスをペロペロと舐め続けている。不真面目なわけではない。単純に、こういう話し合いはそれが得意な人間たちに任せたほうが良いと思っているのだ。クインシーは脳筋ではないが、さりとて策士でも無い。自分以上に頭脳労働の得意そうな者が仲間にいれば、当然、その仕事は他に譲る。その分、自分の活躍できる場面では他人の分まで働くというのがクインシーのモットーだ。
 とはいえ、傍目にはアイスに夢中になりすぎて話し合いを忘れている気ままな猫としか映らない。

>ALL様

10ヶ月前 No.36

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【澪尽朱華/ギルド】

一悶着終わってふたたび和やかで賑々しい雰囲気に戻り始めるギルド内。それに落ち着いたのか朱華はぱくぱくとアイスを口にしていた。もともと食欲旺盛で大食いな訳ではないのだが、好きなものとなると別腹になるのは一般的な若い娘と同じのようだ。しばらく周りを見ていなかったので朱華は初めて食べるアイスの美味しさに舌鼓を打っていたわけだが、なんだか近くから視線を感じてふと振り返った。先程アイスを注文してくれていたジルトニラが、母性すら感じさせる笑みを浮かべてこちらを見ている。なんとなく気恥ずかしくなって、朱華は白い頬をほんのり赤くさせてもにょもにょと喋った。

「お、お恥ずかしながら私、生まれてこの方アイスを食べるのは初めてで……つい年甲斐もなくはしゃいでしまいました。……ご、ご馳走さまです」

なかなか人に礼を言うことが苦手な朱華にしては頑張った方である。だがしかしそのアイスはほとんどサービスに近いものなのでご馳走さまと言うのは少しばかりおかしい気もするが。

「わ、私……人と話すことが苦手なので、これからもご迷惑をおかけすることがあるかもしれません。でも、せ、精一杯気を付けて、配慮していきますので、よ……ろしくお願い申し上げます……!」

悪いのはこちらなのにわざわざ陳謝してくれたアレットに対して、朱華はまごつきながらもそう返した。今まで自分と同年代の若者と話すことはほとんどなかった朱華はそういった類いの人間と話すことが最も苦手と言っても過言ではない。しかし教会を出てからはなるべくこの短所を克服していこうと密かに決心していたのだ。朱華がギルドに入ってから口数が多くなったのは、彼女なりに変わろうとしていることもあるかもしれない。

「で、では失礼します……」

自分が尻尾を見ていたことを感付かれたのか、クインシーは触る?触る?とでも言いたげにこちらに尻尾を向けてきた。もともと朱華は小動物が好きである。教会の前に捨てられていた犬や猫は神父の目を盗んで餌をやったりしていた。まあ実はだいぶ前から気づかれていて後々笑い話にされた訳だが。ともあれ朱華はそういったものに目がないので相手の機嫌を損ねないようにちょんちょんとつつくように尻尾に触れた。「もふもふ……」と感触を口にしてしまう程度にはお気に召したようである。

「……私も、他の冒険者の方々と揉めるのはよろしくないかと思います。3でしたら地形全体が刃になっているようですので、私の零力からしてみればフロア全体が武器になりますが……」

明日に向かうダンジョンについて朱華も講じる。彼女の零力は金属を自在に操ることができるものだ。そのためフロア全体が刃であるならば逆にそれは利点となる。まあ他のフロアでも朱華の身に付けている貴金属で零力は使えるので差し支えはないのだが。

>>all様

10ヶ月前 No.37

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

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10ヶ月前 No.38

【一部ルール改正/参加者大募集中】 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

【ナナノナ・イーチ/ギルド】


「俺も今、皆の零力を聞いて1・8のルートは行けないと思った。ついでに7のルートはニースが言うように、他の冒険者たちが多い。深ければ深いほど衝突する危険性は否定できない」

 冒険者同士の戦闘は推奨されていないが、無論完全に守られているわけでは無い。
 冒険者たちがダンジョンへ潜る際、証明であるバッチを提示すると同時に名前を記載していく。ダンジョンが発見された当時潜った冒険者の行方不明者が絶えず、確認が出来ないことにより必ず潜る際は名簿にサインしていく事が義務付けられた。故にダンジョン手前には受け付けの小屋が建っており、職員が常駐している。

 そして、今では殆どと言って少なくなったが昔は『冒険者狩り』を生業にしている人たちがいた。名の通り、冒険者を狩りその身包みを剥ぎ換金したりその身を餌に罠を暴いたりした。数十年前『三 四歳』がその現場を発見し、『冒険者狩り』のグループを壊滅した。が、末端までその刃は届かず未だにその残党がダンジョンには巣食っているとの噂も残っている。

 一通り全員の零力、そしてルートの提案を聞きながら残ったアイスを頬張る。美味し、アイス美味し。
 スプーンを口の端に咥え、ぶらぶらと上下に動かしながら頬杖を付いて皆の顔を見ていく。

「とりあえず皆の能力、どこまで出来るか聞かせてくれ。俺はホント、一瞬しか動きを止められない。ぶっちゃけ戦闘や攻略に役に立たん、ショボい奇襲役でも請け負わせて貰う」

 実際、ナナノナの零力は戦闘でも攻略でも現段階では役に立つ部分は少ない。それが第一冒険者に落ちた理由、というのを理解している。
 ダンジョンへ潜った時、せめて『鉱石の知識』で皆の役に立ちたいとは内心思っている。
 苦笑を浮かべた後、朱華の方を向く。

「朱華、お前さんの零力で剥き出しの刃を平らにするとかできるのか? 地面だけでいい。それが出来るんだったら、圧倒的に有利に攻略できるし『能力の詳細』を理解していない他の冒険者が後追いする可能性は少ないだろう。万が一、自分たちが通った後、刃が元に戻る可能性も」

 3のルートを選択するならば、まず警戒するのは階段の下りた先。刃が四方八方に満ちた道無き道。足の踏み場も無く、伸びている刃の長さ、太さ、幅も様々であり、その刃も極めて鋭利。空中を飛翔できる冒険者が嘗て突破しようと思ったら、その刃に阻まれ途中で落下し串刺しになった事件もあったらしい。だが、朱華の刃が一面だけでも有効ならばルートを突破可能かもしれない。実際、3のルートはその一番最初の通路すら攻略できていないからそれを攻略だけでもダンジョン攻略に置ければ大進歩と言えるだろう。
 顔をジルニトラに向ける。先ほどクインシーと同じ姿になって目が点になったが

「ジル、4のルートだが俺はあんま賛成できん。この前第一冒険者のアッシュっつう半魚人に事情を聞いたがかれこれ4年近くルートを探しているが見つからないらしい。『秘宝』が存在しないなのかも知れないが、泳ぎのプロの奴さんがその年月掛けて見つからない以上、俺たちが一朝一夕で見つけられるとは思えない。別にお前さんの能力を過小評価している訳では無い。それは分かってくれ、あと……変身の幅――虫とかにもなれるのか? なれるんだったらトンボとかになって通路の先を見ることも可能なのか?」

 柚木、リビヤードのほうを向く。

「柚木、リビヤード、お前たちの能力で出来る血や糸の強度はどこまで持つ? 大人一人くらい乗せれるならそれに乗って刃の上も歩いていけるが」

 朱華の能力が適用できない場合、3のルートを選ぶならまずルートの先を確認した上で柚木とリビヤードの能力を綱渡りの要領で行けないかと考える。そして人を乗せる可能な糸系の能力が2人いれば一本が切れてももう一本で救出という事が不可能では無い。
 ニーアの方を向く。

「ニーアの能力があれば、確かに5のルートを進められるかも知れないが……万が一ニーアに不慮の事態があった場合、俺たちは漏れなくミンチになるから俺は余り推奨しない」

 5のルートに関して適材な零力を持ったニーアがいるが、逆にニーアがいなくなったらどうしようもない。重力は逃げ場の無い攻撃の様なものだ。このパーティーの他の零力で救出、突破は不可能に近い。
 最後にクインシーのほうを向く。

「クインシーは……戦闘で頑張って貰うからな」

 明らかに戦闘向け、しかも対人にも適している能力のクインシー。肩を叩き、期待を顕にする。


>クインシー、柚木、朱華、ジルニトラ、リビヤード、ニース

10ヶ月前 No.39

みみく @mimic11 ★iPhone=C7g44ZjlEU

【漣柚木 / ギルド】
どこのルートがどうだとかいう話にうまくついていけず、まあ、流れでなんとかなるかぁと聞き流していれば、ふと自分の名を呼ばれてやっと会話にちゃんと耳を向ける。……強度。強度か…そんなこと、試したこともなかったけれど…

「あぁ……ええと、俺の零力がどれくらい持つか…ですかィ…?」

ううん、と考え込むフリをする。否、考えてはいたのだが、試したことすらないことを聞かれてももし失敗しては困る。だが、武器を作り出して使うことは可能だ。そう考えれば人が一人乗るぐらいの強度はいけるのではないかと思い至る。実際自分の血を使っているわけなので、やりすぎるとこっちの身がもたない。

「……一応…武器ぐらいの強度にすることは出来ますねェ……それで、大丈夫なら」

やりすぎるとこっちの身がもちませんけどねぇ、と言い、はははと笑う。

「……俺は別に、好きに言ってくれればやるんで…たのみまさァ」

作戦の指揮を執るナナノナにひらひらと片手を振って椅子に深く腰掛けた。

>>ナナノナ・イーチ様、周辺ALL様

10ヶ月前 No.40

キハル @haruno001 ★Smart=yKo45u716C

【リビヤード・アレット/ギルド】

「ああ、よろしく。」

丁寧に言葉を返した朱華に対し、アレットはそう返した。正直アレットからしてみても、こんなに丁寧な女性と話したのは初めてで、どのように接するべきか良く解っていない。

「…虫?トンボ?」

ナナノナの話の中で出てきたその言葉に、アレットは若干嫌悪感を抱く。虫が極端なまでに苦手な彼にとっては名前が出ただけも嫌なのだろう。まあ、そのトンボにジルニトラが変身して探索する…という案が通った暁には腹をくくるつもりではあるが。その嫌悪感を抱いている最中で、柚木と自分に対しナナノナの質問が飛んでくる。柚木が答えたのを見てから、自分もその質問に答える。

「糸をどれだけ束ねるかにもよるが…大人一人が限界だろうな、恐らく。ただ、さっきも言ったが強度を高めた糸を足場に…ってことを実践したことは一度も無い。保証は出来んぞ。」

ナナノナの質問に答えつつ、改めて実践したことはない、ということを伝えるアレット。彼も零力で強化した糸を武器として扱えるため、大人一人ぐらいはいけるだろうという考え。だが、それと同時にアレットも柚木と同じことを考えており、実践したことのないことをやって失敗してしまったら困る。

「俺も柚木と同じように、頼まれさえすれば力の限り努力する。そこらへんの指揮は任せるよ。」

>>ナナノナ・イーチ様、周辺ALL様

10ヶ月前 No.41

すずり @suzuri0213 ★Android=nMqLjsjQcP

【澪尽朱華/ギルド】

アイスを完食し、ご丁寧に両手を合わせて「ごちそうさまでした」と言ってから、再び朱華は話し合いに耳を傾ける。どうやら他の者たちも自分と同じように、まだ挑戦者の少ない階を目指すつもりでいるらしい。衝突がないのは朱華としてもありがたい。きっと舌戦になったら持ち前の弱い精神力が災いしてめそめそ泣きながら故郷に帰ることになるのだろうから。

「……一応、私が触れているものなら自由に操ることができますが……なにか細工がされていたら不可能かもしれません。地面一帯を平らには難しいですが、道を拓くことくらいならできるでしょう」

ナナノナの質問にそう答えてから、はたと思い出したかのように自らの両腕に着けられている純金製の腕輪へと視線を向けた。すると腕輪はまるで溶かされたかのようにぐにゃりと歪み、徐々に形を変化させていった。螺旋を描くようにして細長く伸びた腕輪だったものは、ものの一瞬で鎖へと変わっていた。先端には鋭く尖った楔のようなものが取り付けられている。

「こういう風に金属を変化させて、同じく金属にくくりつけたり突き刺したりした上でなら、この鎖に触れている金属も私の手で変化させることができますが……。普通の金属と同じくらいの強度はあるものかと思いますので頑張れば支えとしても使えるかもしれません」

試しに鎖をスプーンに巻き付けてみると、スプーンは形を変えて白鳥の形をした小さなモニュメントに変形していった。もちろんもとの形に戻してはおいたが。ずっと腕に鎖を巻き付けている訳にもいかないので、朱華は再び鎖を腕輪へと戻す。その気になれば持ち歩いている武器の太刀も素材となるのだが、金属以外の部分はどうにもならないのでボロボロ落っこちてしまうのが難点といったところか。そのため朱華は太刀は太刀として扱うことにしている。一応神父から護身術は叩き込まれているので一通りの立回りはできるだろう。神父にはいつまでたっても敵わなかったが。

「……もしかして、虫とか苦手な感じですか?」

ナナノナの発したトンボ、という単語に身を強張らせるアレットを見つけて、朱華は心配するというよりは軽くからかうような調子で彼に声をかける。今まで人をいじったことがない朱華は同年代の若者と話すということで若干くだけた調子になっているようだ。先程短くはあるがやり取りはしたので安心感も抱いているのだろう。ちなみに朱華もにょろにょろとした芋虫や蜘蛛などは苦手なのだが、ここではあえて口に出さないことに決めたらしい。

>>ナナノナ・イーチ様、リビヤード・アレット様、周辺all様

10ヶ月前 No.42

朱銀 @syuginn☆lXg/nRyFCsTU ★HPzqP6MFXB_3Nj

【 ジルニトラ・セティエール・ラビフォリエ / ギルド 】

 ナナノナがここに集まる面々の零力を知るや否や、それをどのルートに如何に有効に使えるかを瞬時に考え付くこの男の頭の回転の速さと柔らかさを、頼もしく思ったのがジルニトラの第一の感想だった。女の肢体に鼻の下を伸ばし、ヤケ酒に酔って嘔吐する、そんなどこにでもいる男かと思っていたのに。

(食えない男ね。まあ食べてはみたいけど)

 そんなことを心の中で呟いていれば、ナナノナに問いを返されてそれに応じる。

「あら、そうなのね。いいのよ、あたしのぽっと出のアイデアだし気にしないで頂戴。さっきも言った通り、あたしがイメージ出来るなら何にだってなれるわ。トンボの眼――複眼、だったかしら。あれも変身時に再現可能よ。ただ、複眼で見える世界って実はとても粗いの。視野は360℃だけれど、目に映る映像の解像度は人間のそれ以下ね。だから、視力で通路の先を見通したいなら猛禽類に変身した方がいいわ」

 サイズの上に寝そべり、ふよふよと浮かびながら頬杖をつきつつ言葉を並べる。ジルニトラは、自分の零力のことを、イメージできる限り、つまりは知識として頭に入っているものなら何にでも変身できると理解しているため、以上の回答をナナノナに提示した。
 そもそもの疑問だが、ここにいる全員雁首揃えてダンジョンに入ることが正解なのだろうか、とジルニトラは考えを巡らせる。他の冒険者と敵対し、戦闘を行う前提であるならば戦闘員の数は多いに越したことはないが、仲間同士の零力の相性を考えれば、それぞれ小隊のように分かれることも一つの手ではないかと思う。がしかし、あまり上手いこと考えがまとまらないこともあり、ただ考えに耽って黙り込んでしまっただけになってしまって。

「――ともかく、私に出来る役目で最たるものはきっと偵察。次いで戦闘かしら。何にせよ私がなれるものは無限、もし特定の何かに姿を変えてほしいなら言って頂戴。図書館にでもこもって、それについてお勉強してくるから」

 小さなハエにでも変身すれば、刃の障害をかいくぐってその先を視ることも可能だろう。その分リスクもあるが、何せハイリスクハイリターンが己の信条。自分にできることを指折り数えれば、全面的に協力する意を表して。
 ふと、虫がどうのこうのという朱華とリビヤードの会話が聞こえてきたので、すぃっと空中を滑って2人に横槍を刺す。

「あらあら。男の子なのに虫が苦手なの? ふふっ、可愛い。ついいじめたくなっちゃうわ」

 意地悪そうな笑みを浮かべ、次の瞬間にはぽむっと音を立てて、毒々しい紫とショッキングピンクの縞々模様の脚を持つ巨大な蜘蛛に変身して見せて。


>>ALL様

10ヶ月前 No.43

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【ニース・ファクタム/ギルド】

「どこまで出来るか、と聞かれてもなぁ……」

さて、皆の意見を聞いてから口を開いたナナノナは“皆の能力がどこまで出来るか”という言葉だった。 と言っても私自身自分の能力をそこまで多用している訳ではないので厳密な所までは分からない。 だがそれで分からないとしたままで攻略出来るほどダンジョンは甘くはないだろう。 取り敢えず自分で確認している所までは伝えておくとしよう。

「先程述べた通り私の零力としては重力操作だな。 範囲内であれば負荷を与える、範囲外であれば及ばない程度だ。 ……ただ掛ける対象に対して少なからず集中するから対象が増えれば増える程制度は落ちるだろうな。 狼6匹程度が限度だから魔物相手であれば二匹から三匹程度の動きを鈍らせる、と考えるのが妥当だろうな」

全く使用している訳でもないので自分で試しに使った成果を伝え、そのままダンジョンで使用した際の予想を伝える。 群れて狩りをする狼相手で六匹までは対処したが増援で来た七匹以上は対処出来なかった。 勿論その相手に集中出来なかったというのもあるが私の集中力の限界が素早い相手で六匹程度、と考えた方が良いだろう。 過少で報告するのであればまだしも過大な報告は控えた方が良い、と判断したというのもあるだろうが。

「で、掛けた対象から放たれた物体は重力負荷の対象にはならないようだ。 例えば相手が炎球とか岩とかを投げつけて来たとしてもそれは負荷を受けないから普通にこちらに向かってくる。 無論投げるまでに負荷は受けているから威力とかは下がるだろうが、それでも脅威には変わりない」

そう、重力負荷と言えば聞こえは良いが本質的には相手の行動を妨げるだけの物なのだ。 相手の行動全てを封じる訳ではないのでそこまでの万能性は無かったりする。 ……さて、ナナノナは能力とは言っていたが零力とは述べていない。 私自身が出来る事も伝えておくべきだろう。 零力だけ立派でも本人の身体能力が伴って無ければ足を引っ張り兼ねない。

「私も飛ぶ事は可能だ。 一人であれば抱えて飛ぶのも問題無いから万が一があった場合は近くにいる奴を抱えての緊急回避も出来るとは思う。 ……ジルニトラ一人での偵察も危険は伴うだろうから、一緒に行ける範囲内であれば私も護衛役として勤めるのも吝かではない」

さっきから話を聞いているとジルニトラに行先の偵察を任せる流れが出来ているが、単体での行動は身軽性と同じく危険性も跳ね上がるだろう。 トンボとかハエにでも変化している時に敵に襲われでもしたら目も当てられない。 それなら途中までの障害は私が請け負った方が危険は少ないだろう。 ……まぁ、実際ダンジョンを見て見なければ分からないが。

そうこうしている内に自分が注文した料理……と言うよりかは鉄板の上でジュージューと音を立てている肉が来たのでフォークを右手で掴んでそのまま齧り付く。 ナイフとかまどろっこしいので使う気にもなれず、こうやって引きちぎった方が圧倒的に早い。 ……人間のマナーとかそこら辺は知らん。 噛り付いたままフォークを引き、ブチブチと音を立てながら裂ける肉を噛み締めながら一旦フォークを置く。

「……何だ、虫が苦手なのか? イナゴとか焼けばそれなりに美味いがなぁ……腹には溜まらんが。 トンボも魚釣りする餌代わりにはなるし、結構有用な虫は多いぞ?」

顔をしかめたリビヤードに自分の所見を伝えながら、置いたフォークを再度手に取り肉に再度齧り付く。 自分の感覚が人間とは大分離れている事を棚に上げながら言う言葉に価値があるかどうかは知らんが。

>>ナナノナ、ジルニトラ、リビヤード、ALL

9ヶ月前 No.44

キハル @haruno001 ★Smart=yKo45u716C

【リビヤード・アレット/ギルド】

「あ、いや…ハ、ハハハッ。」

朱華に虫が苦手だということがバレて、苦笑いするアレット。さっきまで丁寧に接してくれていた女性の唐突なからかい口調に戸惑うとともに、弱点が知られることはこんなにも恥ずかしいものなのか、こんなにも平静を欠くものなのか。そんなことを思う。その恥ずかしさを払拭するかのように、凄まじい速さで皿の上の残りのアイスを口に入れる。そしてアイスを食べ終わり、スプーンをおいた後、ニースの言葉に答える。

「種族の違いってのは末恐ろしいな。俺には虫を食うなんて行為考えられんよ。」

具体的にニースがどのような種族なのかは聞いていないが、身体の至るところにある鱗や背中の翼を見るに、少なくとも人間ではないことは確かだ。そのように肉を貪り食う彼女を観察する。

「…まぁ、人間にも虫を食う奴は割りと居るが。」

貧乏なスラム街で育ったアレットは、そのような人間を一人、二人程度なら見たことはあり、アレットも食べさせられかけたことがある。その時はどうにか食べずに済んだが、それも彼の虫嫌いを加速させる要因になったのかもしれない。

「ん?」

突如聞こえてきたジルニトラの声。そして、その声の直後に聞こえた「ぽむっ」という音。その音がなんなのか気になり、アレットは音の方向を向く。

「!?」

次の瞬間目に飛び込んできたのは、アレットにとってあってはならない光景、アレットにとってこの世に存在してはいけない生物。それを見てアレットは後ろに大きく退けぞる。そしてそのまま。

(ドサッ)

という鈍い音とともに、食堂の床に頬を付けるアレット。その目からは色が失われており、口からはぶくぶくと音をたてる泡のような液体。完全に意識は飛んでしまっている。とはいっても軽い気絶なので、すぐに起きるだろうが。

>>澪尽朱華様、ジルニトラ・セティエール・ラビフォリエ様、ニース・ファクタム様、周辺ALL様

9ヶ月前 No.45
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