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Elemental Blade!!

 ( オリジナルなりきり )
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短編/学園/戦闘 @buridaikon ★4b4NVukaLH_8Xv

『紅い月』

夜空を血の様な真っ赤な月が彩る時、世界は恐怖に包まれる

私利私欲に溺れる人間に業を煮やしたのか、それとも精霊達の気まぐれか

突如として出現した精霊点と呼ばれるポイントから、炎や水、風や大地の精霊達が、具現化し人間達に牙を向ける

精霊に比べれば人間はちっぽけな物で、近代兵器の数々は当たらずにすり抜け、あるいは撃退されていった

なすすべも無く、人類は精霊に蹂躙されていく。だが世界が絶望の淵に立たされた時に、日本人科学者がある言葉を提唱する

「目には目を、歯には歯を、精霊には精霊を!!」

その言葉と共にもたらされた技術は画期的であり、物質に存在する精霊を抽出し自らの力にするというものだ

日本の『九十九神』にあやかり、ツクモシステムと名づけられたそれは、唯一精霊に対抗できる手段として人類の希望となった

しかし、このシステムも大きな問題が存在していた……


〜AM 1:00 日本 朧町 精霊点付近〜

「砂原、悪ぃ!!そっちに5匹行った!!炎系の奴だ狼の形をしている」

「こちら砂原!!了解!!気にしないでくれ、こっちでそいつらは処理する」

紅い月が不気味辺りを照らす。朽ちた街並みの中、迷彩服姿の少年少女達は、唯一そこに存在していた。砂原と呼ばれた少年は無線機で戦況を確認する。先行した隊によると、今日の敵は狼らしい。やがて、遠方で陽炎の様に空気が揺れたかと思うと、背に炎をはやした狼が遠吠えを上げ迫って来た。

砂原は胸ポケットの中に入っている砂時計を取り出し、握りしめる。するとそれは光を放ち大きな戦斧へと形を変えた。
他の少年少女も、物質に力を込め武器へと変えていく。

「敵は5匹!!炎系の精霊だ!!素早い相手だから、間合いに気をつけろ!!炎を吐いたり遠距離攻撃も考えられるぞ!!」

無線で得た情報を、隊員に伝えていく。そして……。

「皆、何度も言っているが絶対に死なない様に!!砂原隊行くぞ!!」

隊長である砂原の号令で、武器を構え突っ込んでいくのだった。



ツクモシステムの大きな欠点。それは、使える者を大きく限定する事だ

確率にして一万人に一人、それも使える期間は、高校生と呼ばれる3年間だけだ

だから、素質のある者は強制的に戦いに駆り出される。それを本人が望まなくとも……

これは、精霊と共に生きる少年少女達の汗と涙と戦いの物語である

【駄文失礼します!!これは、学園物……、なのか?興味を持たれた方はサブの方までお願いします!!】

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友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_WcJ

【 鬼山地獄綿飴 / 部隊室 】

 部隊室に入るや否や防寒のためのボアコートを脱ぎ、それをひょいと壁掛けハンガーラックの端っこに引っ掛ける。いくら長袖と言えど肩ががっつり出ているデザインだ。さすがに外でこれ一枚だと寒いから、屋外ではコートの一枚は必要になってくる。フリーマーケットで買ったのでどこのブランドかは分からないものの、汚れも解れも無くレディースらしい小洒落た造りのそれは綿飴のお気に入りだ。愛用している香水、ゲランのミツコを毎朝一滴シュッとスプレーしているから、脱ぎ着するとフルーティーな香りがふわりと広がる。ただし付け過ぎると香害なのであくまで一滴。ここが大切な所だ。

「こんにちはー! 早速ですけど、ちょっと台所お借りしますねー!」

 挨拶を済ませるとすぐさまキッチンに引っ込む。手洗いうがいをパパッと行い、左手に提げていた最寄のスーパーのレジ袋の中から苺と蜂蜜とレモンとアセロラドリンクを取り出せば、他にも自分用にと買った材料全てに油性ペンで名前を書いた後、使わない分は全て備え付けの冷蔵庫の一角に仕舞った。食器棚から耐熱ガラスのティーカップを取り出し、そこに小さ目の苺を10個と大匙一杯の蜂蜜と絞ったレモン果汁をぶち込めば、ハンディタイプのブレンダ―で撹拌。苺が液体と遜色ない状態になったことを確認した後、150ccのアセロラドリンクを注いで、スプーンでぐるぐるとかき混ぜる。これを電子レンジで1分ほど温め、最後に前回購入しておいたカルモンダンのパウダーの余りをパラパラと降りかければ完成だ。冬の日にぴったりの苺とアセロラのドリンク。秋や冬になると、こういうホットドリンクを自作してリラックスしながら飲むのが楽しみの一つだ。身体がぽかぽか温まるし、美容効果も期待できる。鼻歌を口ずさみながらお手製ホットドリンク片手に自分の席へと移動。綿飴の椅子は紐でくくりつけられるタイプのふかふかの座布団を座面に装着し、背もたれにはニット編みで丸っこい大きめのビーズクッションを置いてあるので、絶対に他のメンバーの席と間違えることがない。ついでに机の下にも自費で持ち込んだフットヒーターがある。引き出しに畳んで押し込んであるブランケットも取り出して膝にかければ、これで最悪室内のヒーターがぶっ壊れても凍える心配が無い。我ながら巣作りのような私物の持ち込み具合である。
 早速椅子に座って用意したホットドリンクを二口ほど飲み、こちらも持参してきたおやつのビスキュイなどを時折つまみながら机の上に置いていたレディースファッション雑誌をぱらぱら捲りだす。一歩間違えれば完全にOLの昼休みの絵面だ。これでも一応は命懸けの戦いを経験したことがあるのだから、人の見た目から得るイメージなどやはり大して役には立たない。戦いの経験の有無を抜きにしたって、こんなお高く留まっていそうな外観で中身は結構剽軽なのだし。まあ見た目から得られる印象と実態とのギャップの話をしだせば、小学生にしか見えないけど高校生、という王道童顔なつばめのほうに一番の軍配が上がるだろう。どんなジャンルでも正統派は強い。机に突っ伏すつばめを眺めながらそんなことを考える。なお綿飴は人に勉強を教えるのがあまり得意ではなく、完全に傍観の姿勢を決め込んでいた。許せ同輩よ。綿飴から与えてやれるのは数学の知識ではなくビスキュイの甘ったるさだ。

「そういえば、今日の訓練って何やるんでしたっけ? 模擬戦とかですか?」

 体力作りのためにマラソンとかなら服も着替えて靴も履き替えないとなー、などと考えつつ、誰に向けたわけでもない質問と共に小首を傾げる。基本的に人がいる場所だと誰かが自分の質問には答えてくれるだろうという楽天思考があるため、聞く相手を指定しないのはこいつの常習だ。そのくせ誰かに「うるせぇ」と言われれば「貴方に聞いてないのに反応してくれるってことは、それひょっとしてツンデレですかぁー? やだー! 可愛いー! 鬼さんの質問に答えたいなら素直に答えて良いんですよー?」とか何とか騒ぎだすだろう気質は、愛嬌があると言えば愛嬌があるし、ウザいと言えばウザい。

>ALL様

【メイン解禁おめでとうございます!】

1ヶ月前 No.4

ゆーす @sable ★mvaJaf04S7_PHR

【花園瑠花/部隊室】

精霊との死闘を義務付けられた者達の集う場所、朧高校。その一角に設けられたプレハブ小屋で、鼻歌まじりに花を愛でる少女がいた。
常に死と隣り合わせという状況下ゆえ、彼女の行いは少々場違いに見えてしまうだろう。単に危機感がなく長生きできないタイプか、はたまた苦境を何とも思わないどころか楽しめるドMか。そんな推測を立てられても文句は言えない。
しかし本当のところはどちらにも当てはまらず、これはこれで瑠花にとって正常な状態なのである。日常は思い切り羽を伸ばして楽しみ、有事の際は一転し死力を尽くす。
メリハリこそが混沌の世に生きる術、そう言いたげな表情で花瓶を持ち上げる。

「お疲れ様です、隊長さん」

湯気の立つコーヒーカップを傍らにデスクワークに励む男こそ、大先輩かつ我らが隊長・砂原草平である。大きな学年差があるため声をかけるのは躊躇われたが、共に戦うこれからのことを考えると、コミュニケーションを取って意思疎通の図れる関係を築いておくべきだろう。
それに隊長という重い責務を背負った彼を放っておけないという気持ちもある。おこがましいかもしれないが、一人のチームメイトとして仲間を労わるのは当然のことだ。
その内容は個人によって様々だが、瑠花にできるのは花を使った癒し。砂原の仕事の邪魔にならないよう、そっと机の端に花瓶を置く。

「お花が嫌いでなければ、時々ご覧になってください」

白く細い花瓶に生けられたのは、黄金にも似つかわしい輝きを湛える菊の花。鮮やかでいて目の疲れない色彩は、自然由来の色の優しさを象徴しているかのよう。
花瓶の色との対比にもなっている上、花特有の瑞々しく甘い様な香りが、コーヒーとはまた違う形で癒しの効果をもたらしてくれるだろう。
言ってしまえば物理的ではなく精神的な疲労回復しか望めないが、自分ができるのはこのくらい。余計なことをしてはいまいかという不安こそあれど、瑠花はふっと柔らかい笑みを浮かべて隊長を労った。

>>砂原草平、ALL


【メイン開始おめでとうございます!絡ませていただきます】

1ヶ月前 No.5

citrus @citrus26☆QKe2LIS7IaQ ★EKHSBXpiiF_2mP

【部隊室/速見結子】


 「おぉ〜、つばめちゃん頭良いっぽい事言ってるっスね」


部隊室は、それぞれの学年によって違う雰囲気や色が醸し出されている中、一人面白そうな事をやっている女の子を発見したあたしは自身満々にドヤ顔を披露する彼女の横でパチパチと手を叩いていた。
どうやら数学をやっているらしいけど、つばめちゃんが唸っているのと同じようにあたしも数学はあんまり得意じゃない。

というか勉強全般の成績は大変よく出来ていません。


 「あたしも数学は低空飛行っスよ〜。誰か教えてくれる優しい先輩は居ないっスかね?」


チラチラと、片や多忙な我が砂原隊の隊長である彼に視線を送りつつニヤニヤと口元を緩ませる。
そんな風にやり取りをしていると、今度はまた新しく入ってきた女の子の方へと視線を向ける。

手際よくティータイムの準備を終えて、雑誌を開いている彼女は鬼山地獄綿飴ちゃん。………正直、初めて名前を聞いた時一度聞き間違いと思ったけど、そんな事はなかった。
そんなインパクトのあるネーミングの彼女を横目に、どちらかというとあたしの視線は彼女の口にしている焼き菓子の方に釘付けだった。
そういえば、お昼は食べていなかった。



>>部隊室(砂原さん、綿飴ちゃん、つばめちゃん)


【出来るだけ、千尋と結子は色分けしていきたいと思います】

1ヶ月前 No.6

citrus @citrus26☆QKe2LIS7IaQ ★EKHSBXpiiF_2mP

【部隊室/八神千尋】


………全てが無意味になってしまったあの瞬間。


愛したモノすべてが朽ち果て、少し前までそこにあったはずの存在が、精霊によって完全に否定されてしまった。
××、×××、××。
今はもう、名前もよく覚えていない。ただ、今ここにある確かな思いはただ一つ。


 「(精霊は、一匹たりとも残さない)」


千尋にとってこの学園はあくまでも目的を遂行する為の道であり、利用しているに過ぎない。仲間、などと言われてもこの目の前に居る数名の"隊員"を眺め。
信用するに値するかどうか。能力適正が低いだとかどうだとか文句をつけられながらこの学園に入学した時から吟味して来た。

しかし、実力という意味では千尋にとって納得の出来る人間は少ない。

目をつけている人間は数人居るが、しかしそれはあくまでも訓練内の評価であり、実際に戦闘になっての動きはまた違ってくるだろう。
そういった意味でも、これからも観察を特に進めていく必要がある。


 「(……早く始まらないのか、訓練は)」


面倒事から逃げ出すのも良いが、しかし体裁上、普段から特に指導を受けている身としては合同の訓練は出ておく必要がある。
鍛錬のせいでこの安全地帯を追い出される訳にはいかない。

部隊室の窓際に身を預けながら、静かに目を閉じてその時を待つ。


>>部隊室

1ヶ月前 No.7

でりSKR @sentakuari ★pl3L5xkSi4_D2H

【神支 円 / 部隊室】


「___ひとつをとおつと成せ、ふたつを去るに任せよ、急いでみつを造れ、然らば汝は富まん。よつは棄て措け、いつとむつよりななつとやつを生め……」


この世知辛い世の中も既に一年の四分の三ばかりを消費し後は只管寒くなる一方。夕闇迫りいよいよ炬燵に蜜柑が恋しい季節。防寒に努める者も居れば暖かい飲み物をしばく者も居て、プレハブ小屋の中は賑やかしい限り。

そんな中、各隊員に割り当てられた事務机に座し、開いた手帳に何事かを書き込みつつ呟く者が居る。周囲の暖かみを断絶するかのようにその一角だけ冷ややかで、色が少ないように見える。厚い前髪で顔を隠した厚着の彼女こそ此処『砂原隊』の日陰者、『神支 円』。日々この平和な日常を脅かす精霊共と戦い、須らく掃滅せんと息巻く個性豊かな面々の中にあって、何故この場所に居るのか良く判らない、そんな存在。

今日はこの後より部隊全体での戦闘訓練があると言うので此処に居るだけの雪像めいた彼女は、今まさに隊員達への個人的な目測で戦闘評価を付けている最中である。手帳に書き込まれた文章や図面は酷く崩れた字体で、他者が一見した所で内容を判読する事は難しい。

「予定のチーム分けだと力量の偏りが激しいかもって円は思うけどなー……、あきゃ、でも相性で何とかなるかも。……斯くて魔女は説く、斯くて成就せん。即ちここのつはひとつにして、とおつは無哉。此れぞ魔女の九九、っと」

ぶつぶつと呟きつつ書面を纏めた円はぱたりと手帳を閉じ、横に置いて、代わりにテスクトゥーラ体の金箔で『SNEGUROCHKA』と題名が刷られた茶革製ハードカバーの文庫本を取り出して読み始める。訓練が始まるまでこれで時間を潰す様だ。


>>周辺ALL

【やっと始めラレルロレー!!】
【これから宜しくお願いします 絡みもご自由にどうぞ】

1ヶ月前 No.8

橘麻琴 @railgun230 ★iPhone=z0FNsBzA5m

【橘麻琴/部隊室】
部隊室に入るやいなや落語だがなんだか知らないけど勉学というか議題を「数学」でなにかしてた。まあ、その子はというと数学を1番の苦手としてるんだろうなと思うこととし低空飛行という事は赤点レベルか?それとも、単にこの単元だけが低空飛行ということなのか?と考えたが、彼女にはそのふざけた勉強法は許せなかったのか、つばめの机にバン!と、手を置いては
「ねえ、勉強熱心はいい、けど私ゃふざけながらやるは関心できないな。」やるならやるでわからなくても真面目にやれ!とピシャリというような勢いでいつものように言いたいことを言い放っては今にも属性が雷なだけに上から鳴るなにかのように言いたいことを言っては。だが、これでも言葉は以前と比べては、言うように心掛けてる、が、はたから見れば何処かでケンカを売っているようにしか見えないだろうなとは自負しているようでどこか言い過ぎ感もあったのか申し訳なさそうにそう言っては、また、「訓練」は、早くやりたいようで体の関節をゴキゴキとならして→部隊室allつばめ

1ヶ月前 No.9

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_jG9

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1ヶ月前 No.10

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

【茅野 火雨/部隊室前喫煙所→部隊室】

「−−はいーーはい、わかりました。砂原にも至急伝えておきます。ーー少佐殿が謝る必要はありませんよ。自衛隊のご尽力、感謝しています。ーーはい、それではお疲れさまです、失礼します」

 火雨はスマホをポケットに入れると煙草を一本口にくわえる。マッチを擦り先端にあてがうと、重い鈍色の世界に淡い灯がともった。一息吸えばケミカル味の冷気が肺へと送られ、火照った脳みそをキンと凍らせる。一息吐けば湿った紫煙が空へと昇り、曇天に掠れて消えていく。胸にたまった苛立ちも頭にこびりついたノイズも、すべてを包んで。所々色のはげたベンチに置いてあるコーヒーに口を付ける。甘味のない純粋な豆の香りと苦味が鎮まった神経を緩やかに覚醒させた。この喫煙所は火雨の特等席だ。無論、隊の中で喫煙するのが彼女以外いないからである。真面目な砂原はこの喫煙所の撤去を何度か試みたがっていたが、副隊長である火雨の作業効率の低下を盾に交渉した結果『キチンと分煙して綺麗に使うこと』を条件に渋々了承してくれた。雨除けの屋根があるだけのふきっさらしなこの喫煙所は、夏は暑く冬は寒い。しかし空と雲と風を一番感じられるこの場所を火雨は気に入っていた。
 砂原隊が発足し自分が副隊長という役職に就いてもうすぐ一年が経つ。そして運良く生き延びられれば、はれて来春から『茅野隊』が生まれるわけだが。現在の人員の顔を思い浮かべると火雨の眉間に深く皺が寄る。『個性的』と言えば聞こえはいいが一筋縄ではいかない連中ばかりだ。あれを一つにまとめ上げると考えると、砂原ではないが頭と胃がキリキリと痛み出す。そろそろ自分の後釜候補も決めなければと、灰をブリキ缶の中に落としながら火雨は考える。新しく隊長になった者の指名で選ばれる副隊長、砂原から自分の名前が呼ばれた時はリアルに絶望しか感じられなかった。

「・・・・・・あの子が生きていたら、先輩もあの子を側に置いたんだろうか」

 自分の目の前で戦死した親友を思い浮かべる。明るく真面目で誰に対しても平等に接し、みんなから慕われそして砂原を誰よりも想い慕っていた彼女。考えたところで詮無きことと頭ではわかってるが、今の自分の居場所がまるで場違いなんじゃないかと時たま心が揺らいでしまう。


 すっかり体が冷え切ってしまった。上下長袖の芋ジャーを着てはいるが、11月の寒空の下にいつまでもいるもんじゃない。短くなった吸い殻をブリキ缶に落とし、『茅野用』とメモ書きされた市販の消臭スプレーをジャージに振りかける。これをしないで入ると色々と面倒なのだ。喫煙者への風当たりの強さを身にしみながら、火雨はそそくさと部隊室に入った。メンツをみれば大体が揃っている、後は三年の先輩方が数名といったところか。

「聞いてると思うけど、今回の訓練は実戦を想定した能力使用の模擬戦だ。1年対2・3年のチーム戦ってことを頭に入れといて、詳しくは隊長から話すから」

 今回の模擬戦、代替わりが差し迫る時期になるとどこの部隊でも行われる。一つは一年生の成長具合の確認、その中でも頭角を現すものがいれば副隊長候補に選ばれる可能性も出てくる。もう一つは今後部隊を率いていく新しい隊長の指揮能力や適性を確認するためだろう。今日は自分が率先してあれやこれやとやらなければいけないと思うと今から気が滅入る。
 中間や期末試験のシーズンになると「どうして命懸けで戦っているのにテストなんかしなきゃならないんだ!」と嘆く声が少なからずある。その意見にはある程度理解を示すが、ここを卒業すれば我々は否応なしに日常に戻される。精霊討伐に貢献したとして進学を希望すれば国から学費の免除が約束されているが、合格できるかどうかは本人の能力次第だ。就職に至っては朧高校卒なんてのはなんの箔にもならない。部活もなく学祭や体育祭などのイベント事もなく、高校三年間という貴重な時間を化け物退治にあてがわれる。『朧高校は青春の墓場』とは言い得て妙だ。

「毎日勉強机に座ろうとしないからそうなる。飲み込みの悪さを自覚してるなら尚更努力しな」

 数学の勉強に力尽き自虐を込めた謎かけで現実逃避をはかる後輩のつばめに対し、火雨は冷ややかな視線と辛辣な言葉とポケットから取り出したキャラメルを放り投げる。キャラメルは放物線を描きながらつばめの額に当たり、白紙に近いノートへぽとりと落ちた。火雨なりのささやかな労い。また座ろうとSwallow(ツバメ 飲み込む)とかけた返しなのだが、相手は気づくこともないだろう。

「花園・・・・・・悪いこと言わないから別の花を生けてあげて・・・・・・その、菊はちょっと」

 砂原の机で凛とした佇まいを見せる見事な菊に苦笑いが絶えない。花園瑠花、誠実さと他人に気を配れる朗らかな性格は我の強い砂原隊にとって貴重な存在だ。今回も彼女なりに隊長である砂原の身を案じ、自分ができる精一杯の努力で彼を労いたかったのだろう。健気な心遣いに悪意の陰りはないと信じたい。が、流石に仏花を隊長の机に置いておくのはあまりにも縁起が悪いので早々に交換してもらおう。

「砂原隊長、先ほど堤少佐から連絡がありまして。一昨日から行方不明になっていた石動隊のものと思われる残骸を発見したとのことです。損傷は激しく、付近を捜索しても生存者の痕跡は発見されませんでした」

 自分の机で休憩中だった砂原の耳元で、先ほど陸自から受けた連絡を小声で報告する。戦死者の確認や報告はここにいれば避けては通れない道だ。しかし中には死に対して未だに割り切れない人間も多くいる。戦闘経験の浅い一年もそうだし、何より目の前の優しすぎる隊長がそうだ。いちいち他人の死に心を痛めていては身が持たないというのに。

>>砂原・つばめ・花園・部隊室ALL


【メイン開始おめでとうございます。いろいろと設定を盛ってしまいましたが、「勝手なまねすんじゃねぇよ!」となりましたら自重します】
>>主様

1ヶ月前 No.11

ぶり大根 @buridaikon ★4b4NVukaLH_8Xv

【羽野 つばめ/部隊室】

『おぉ〜、つばめちゃん頭良いっぽい事言ってるっスね』

突っ伏した状態のつばめ。そのまま顔を上げ、声とパチパチと手を叩く音が聞こえた方を見る。
自分と同じ様な小柄な体格。活発そうな猫目のポニーテール。同学年の速見結子である。

「なんだ、結子かー。宿題見せて……、って私と似たようなもんだよね」

表情は露骨にガッカリである。何も成績まで似なくてもよかったのに。結子の宿題を写しても自分で考えても一緒である。

『あたしも数学は低空飛行っスよ〜。誰か教えてくれる優しい先輩は居ないっスかね?』

「そうだよね!!誰か教えてくれる、先輩はいないかな〜」

つばめはわざとらしく声を出すと、結子の意見に同意して、団長である。草平の方を見つめた。草平の方もその視線に気づいたようだが、資料から目を離さず、面倒そうに手を振ってあし払う。要約すると、『自分でやれ!!』である。

「くぅ……、隊長の鬼……」

的外れな、恨み節を呟く。だが、表情がクルっと変わり悪だくみしそうな顔になる。

「よし!!他の人に見せて貰おうよ!!結子!!」

何故か結子まで巻き込んでいる。つばめは同じ一年生を吟味し始める。

まずは、最初に目が行ったのは、綿飴だ。自分の席でホットドリンクを飲んでいる、ダイナマイトボディ(死語)。眼鏡を掛けているから頭が良さそうかと言われると、そうでもない気がする。そこはかとなく、同族な気がする。止めておこう。

次に目に入ったのは桐矢だ。ミリタリーコートのその少年は乱暴に椅子に座り退屈そうにしている。うん、却下。宿題見せてって言える雰囲気じゃない。

そして、最後に目に入ったのは瑠花だった。獲物を狙う鷹の様に視線が鋭くなる。花瓶を持ち隊長の席に歩いて行く所だ。瑠花なら温厚だし見せてくれるだろう。そう思って声を掛けようとした瞬間だった。

『ねえ、勉強熱心はいい、けど私ゃふざけながらやるは関心できないな』

バンっと机が叩かれ、雷の様な激しい言葉が飛んできて、つばめの肩が思わずビクンとなる。恐る恐る顔を上げると、そこには麻琴の姿が。

「いや、あの、そのね……、今ちょっと休憩してた所なんだよ、麻琴!!ねっ、結子!!」

しどろもどろになりながら、必死に言い訳する。結子、巻き添え。まさか宿題を丸写しにしようと考えていた何て口が裂けても言えない。変な所で麻琴も真面目だし、本当の事を言ったら何て言われるか。

『毎日勉強机に座ろうとしないからそうなる。飲み込みの悪さを自覚してるなら尚更努力しな』

前方にいる火雨から、最もな御言葉とキャラメルが飛んで来て、ノートにポトリと落ちる。

「はい……」

最もな言葉に、素直に返事するとつばめはキャラメルを口に含むのだった。

>>結子、綿飴、桐矢、瑠花、麻琴、火雨、部隊室ALL

1ヶ月前 No.12

ぶり大根 @buridaikon ★4b4NVukaLH_8Xv

【砂原 草平/部隊室】

草平は黙々と資料に目を通す。過去の11月に出現した精霊と、その対策。やはり水や氷系の精霊の出現率が高くなっている。勿論全部が当てはまる訳ではない。全く新種の精霊が出現する事もあるし、逆に極僅かしか出ない事もある。今読んでいる資料だって、同じ精霊が出てくる確率はわずかだ。しかし、わずかでも可能性がある以上、調べておかなくては気が済まない。草平はそういう性格である。それが、隊員の生存率を上げるのだから。

『お疲れ様です、隊長さん』

集中しすぎて人が近づくのに気が付かなかった。声の掛かった方向を見ると、瑠花の姿が見えた。
ポニーテールの花が好きだと語る一年生。花が好きなのに反し、能力は『金』である。本来なら、喧嘩すらしそうに無い雰囲気の少女。しかし、選ばれてしまった以上、戦火に身を置かねばならない。

『お花が嫌いでなければ、時々ご覧になってください』

そう言って飾ってくれたのは、白い花瓶に活けてある、鮮やかな花だった。その色彩に思わず和む。花には詳しく無いから、何の花かは知らないが。

「ありがとう瑠花。所でこれ、何のは……」

『花園・・・・・・悪いこと言わないから別の花を生けてあげて・・・・・・その、菊はちょっと』

その質問を遮る様に、火雨の注意が入る。えっ、これ菊の花なの?一瞬だけ脳裏を過るも、すぐにかき消す。縁起が悪かろうが、好意を無にする事は草平は出来なかった。

「せっかくこんなに綺麗なんだ、飾ってて大丈夫だ。目の保養にもなるしな」

気を使わせない様に笑顔で火雨と瑠花に言うのだった。

火雨の表情が曇り、自分の耳元に顔を近づけて来た。自分だけが報告を受ける様な話。内容は検討がつく。覚悟もしていた。しかし、本音を言えば聞きたくなかった。信じたくなかった。

『砂原隊長、先ほど堤少佐から連絡がありまして。一昨日から行方不明になっていた石動隊のものと思われる残骸を発見したとのことです。損傷は激しく、付近を捜索しても生存者の痕跡は発見されませんでした』

「そうか……」

草平は、一言。簡単な言葉で返す。
石動は1年の時から同じクラスだった男だ。寡黙なタイプで、質実剛健という言葉がよく似合った。同じ隊長としての悩みを相談したり、相談されたり。卒業後は家業を継ぎたいと、珍しく照れながら語ってくれたのを思い出す。
草平は涙が出そうになるのをグッと堪える。握った拳は震え、白くなる。隊長として、隊員に感情を見せる事はしたくなかった。石動隊の1年、2年にも、知っている者がいるかもしれない。

「後、半年だぞ……、もうちょっと、なのに……」

かすれ声をさらに押し殺すように呟く。隠しきれない感情が、目から一滴流れ落ちる。そして、慌ててティッシュを取ると鼻をかむふりをして拭うのだった。

>>瑠花、火雨、ALL

【長くなるので分割します!!】

1ヶ月前 No.13

ぶり大根 @buridaikon ★4b4NVukaLH_8Xv

【砂原 草平/部隊室】

「さっき火雨も言った通り、今回は実戦を想定した能力使用の模擬戦だ。組み合わせは1年対2、3年の連合軍だな」

部隊室に隊員が集まって来た事を確認すると、先程までの感情を断ち切って、草平は説明を始める。思い思いに過ごす、隊員達を見回す。

「目的は2つ。まずは、現在の1年生の実力の確認だな。そろそろ、副隊長を選ぶ時期もきている。勿論今日の結論だけで出す訳ではないが、適正を見たい」

草平は一年生の顔を見回す。どちらかと言えば、攻撃的な能力の1年生。現時点での副隊長としての資質は一長一短である。

「もう一つは、2年生が、最上級生となった時、中心として、皆を引っ張る訓練だな。今日は2年生をメインにやってくれ。俺達、3年生は今日はバックアップに回る。来年度の『茅野隊』としての予行訓練みたいなものだ。3年も部下だと思って、どんどん指示してくれ。火雨、円、千尋、頼んだぞ!!」

次に2年生の顔を見回す。副隊長の火雨を含め、どちらかと言えばテンションが低めなメンツが揃っていた。
1年と2年を足すと、丁度いいんだがなと、草平は思う。だが、こういうのは、なる様にしかならない。現に自分達3年も何とかやっている。

「戦力や能力の偏りは、あるかもしれない。ただ、戦闘のすべてが有利で万全で出来る訳では無いからな。そう思ってくれ」

先程、円が呟いた、疑問に対する答にも回答を出す。
味方がやられて、少人数で戦う事もあるし、自分の能力と相性が悪い敵と合う事もしょっちゅうだ。

「場所は第一グラウンドだ。もう少ししたら、各自着替えて集合してくれ」

そして、今日の訓練の詳細を伝えるのだった。

>>ALL

【指揮を振っちゃったんですが、よろしいでしょうか(汗)>>キープ様】

1ヶ月前 No.14

いちご蒸しパン☆BN0nIoLPBMCP ★iPhone=Cf9tmtvYki

【流石黒曜/校舎裏→部隊室】

一陣の風が髪を梳いて徒に流れていく。この前まで夏だ暑いと騒いでいたような気もするのにすっかり空気は冷たくなった。ぼんやりと過ごしているつもりはないのにこんなにも時間は早く過ぎていく。……あれからもう2年と数ヶ月だ、本当に早いものだ。
この寒い中花をあげに訪れる人もまばらで、一層さみしさを感じさせる慰霊碑の前の献花台にいつもの学ランと寒さよけとしてのマントというこの為に合わせた訳では無いがいかにもと言った風貌で立つ。ぱらぱらといた人影が完全に消えるのを待って持っていた花束ごと目の前の塊を1人座れる程度にどかす。窮屈になった山から2、3の束が落ちたが誰か片付けるのだろう。少なくとも自分ではない誰かが。傍らにやや大きめの白い箱を置き、献花台を背にして腰掛け足を組む。ほんの一瞬第一声に迷い、挨拶からかと口を開く。

「久しぶり、なんだかご無沙汰だね。……特に話題があって来たわけじゃないんだ、ただ名前を見たくて……他のとは上手くやれてる。なんてったって君の入れ知恵だからね。……ん、髪、前より伸びただろ? ぱっと見じゃ分からないかもしれないけど、確実に手間はかかってる。これでずっとぶつけやすくなってて、ぶつけやすくなったと言えば味方にも当たりやすくなっててね。始末書が大変なんだ。そう例の『殺意の有無』から始まるやつ。それで────」

珍しく、本当に珍しく他愛もない話をつらつらと並べていた口がはたと止まる。目を閉じてやや言いにくそうに二の句を繋げる。

「────最近君の声が思い出せないんだ。言われたことは言葉として記憶してるんだけど、それがどんな声だったかを忘れてさ……人は声から忘れる、なんて言うけど君のことは少しも忘れたくなかった。だから少し、怖くて……」

自分も人であるという当然の事実に苦笑しつつ身震いする。長く居すぎた寒さからのそれであることをほんの少し願いつつ段から飛び降りる。

「次に来る時は土産話の一つでも用意しておくよ。君のこともちゃんともう一度思い出せるように努力する。また今度」

慰霊碑の1つの名前に手を振り、雑に壇上の花を直す。片手に白い箱を持って急ぎ足で部隊室に向かう。集合時間は17時、若干過ぎてはいるがまだ間に合うだろう。

三度のノックと「お疲れ様です」の声とともに小屋に入る。質素で飾り気のないそれはそれなりに気に入っている。ちょうど隊長の砂原が号令をかけたところであり、ギリギリになってしまったと困ったような笑顔を浮かべる。

「流石黒曜、遅れました。申し訳ございません。訓練の件了解しました。……ああ、それとケーキを買ってきたので後で皆さんで分けて召し上がってください」

白い箱を軽く揺らしながら肩を竦める。花のついでだ。それに少しでも食べて大きくなった方がいざと言う時見つけやすいだろうし。中身はショートケーキ、チョコレートケーキ、アップルパイ、レモンパイ、桃のタルト、ガトーショコラにティラミス、それとプリンがそれぞれ2個ずつ入っている。冷蔵庫に直行し、胸ポケットに入れたボールペンを取り出し桃のタルトの上の飾り用の厚紙にコクヨウと記してもう一度挿し直す。
自身の卓上にあるいくつかの書類に目を通し、その過程で何気なく見た砂原の机の上の菊の花にややぎょっとする。花園が近くにいて事情を理解した。いや、本人が良いならいいのだが。事実にならなければ彼にとって最上だろう。鼻で笑いそうなのをぐっと殺した。

>>ALL


【遅れながら参加です。遅刻気味ィ! ケーキ買ってきたんでご自由にどうぞ。】

1ヶ月前 No.15

ゆーす @sable ★mvaJaf04S7_PHR

【花園瑠花/部隊室】

花の名を尋ねる隊長の問いに畏れ多くも答えようとしたところで、別の花に変えるようにと忠告する声があった。情報の伝達から戦線での索敵・陽動等、他の人間には到底真似できない範囲の分野を担う部隊の頭脳・茅野火雨副隊長である。
確かに一般的に菊は仏花であり、墓前に添える葬花としての認識が根強い花だ。人の死後に携わる以上、生きた人に渡すには縁起の悪い花と捉える人も少なくはない。
しかし起源を辿るとそれらは誤解であるとわかる。明治政府が西洋の風を取り入れようとした故に根付いてしまった、一種の風評被害とも言える認識なのだ。
菊の真の姿…それは、古くからその気高さを認められ、高貴な身分の人々に愛された孤高の花。皇室が紋として用い、軍艦の艦首にも輝いていたのがその証拠だろう。
ただこういった知識や解釈を全ての人に求めるのは無理というものがある。誰にだって知らないことはあるものだ。それを口に出して説明するのは価値観の押し付けに他ならない。

「先輩方、失礼致しました。悪気はなかったんです」

それらを踏まえて無駄な弁明はせず、素直に謝罪の言葉を述べる。ただ隊長のお言葉には甘えさせてもらうようで、机の上でピンと背筋を伸ばす菊に手を伸ばそうとはしなかった。
そう、我らが隊長には、菊の花言葉が示す通り「高貴」かつ「高潔」であって欲しい。苦境にも決して膝をつかず、常に部隊を引っ張ってくれる太陽の様な存在でいて欲しい。
見た目が太陽に似ており、手折られた後も簡単には枯れることのない菊は、まさにそういった願いを忠実に表しているのだった。

(いよいよ始まるんだ…私の実力がどれほどのものか、先輩方に見てもらわなきゃ)

実戦想定の模擬戦を執り行うという隊長の言葉に、今一度気を引き締めて訓練に当たることを誓う。これは単なる練習ではない。戦禍の中を生き抜く力があるかを図ると同時に、次期副隊長の候補(今日の結果だけで決まるわけではないが)を選び出す選考試合でもあるのだ。
黄金を生み出すという創意工夫無しには何の意味もない能力に一時は戸惑ったが、個人での特訓を重ねてこの日に備えてきた。当然温めてきた奥の手もある。
それらの努力が果たして実戦に通用するかを見極めてもらおう。

「わぁ、美味しそうです!私はレモンパイいただきますね」

…と、そんな小難しい考えを巡らせていた瑠花であったが、これまた大先輩の黒曜が買ってきてくれたケーキには表情の綻びを禁じ得なかった。
生憎これから訓練なのですぐには食べられないが、課題をクリアしてひと汗かいてからの方が格別においしくなるだろう。楽しみは後でとはこのことか。
先輩がやったように飾りの厚紙にルカと記入すると、年齢相応の無邪気な笑顔を浮かべながらパイの上に紙を戻し、花を愛でる時に負けず劣らずの慎重な手つきで冷蔵庫に仕舞うのだった。

>>砂原草平、茅野火雨、流石黒曜、ALL

1ヶ月前 No.16

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_WcJ

【 鬼山地獄綿飴 / 部隊室→第一グラウンド 】

 なるほど今年の秋はネイビーがトレンドなのかー、とレディース雑誌を適当に読み込んでいれば、ふと手元に突き刺さる視線に気付く。顔を上げる。左を向く。視線の主は同じ一年生ゾーンにいる彼女、こちらもつばめと同じく童顔の速見結子だった。つばめが小学生に見える童顔なら、結子は中学生に見える童顔だ。程度は違うが属性は同じ。身長も低くてあどけない雰囲気だから、本音を言ってしまうと、二人とも戦場ではついつい庇わなければならないような気分になる。この二人が強いことは同じ一年生としてよく知っているにも関わらず、だ。さっきは人の見た目などアテにならないと言ったが、そうは言えどもやはり人の見た目は馬鹿にできない。良くも悪くも多少は精神に影響が出る。
 とにかくこれだけ手元に熱視線を注がれているなら、結子はきっとビスキュイかレディース雑誌のどちらかに興味を示しているのだろう。彼女の性格を鑑みれば8:2くらいの確率でビスキュイ優勢。なのでまだ未開封のビニールとモールでラッピングされたビスキュイを、机の上を滑らせて結子のほうに送ってみた。気分としては、バーカウンターの端から端まで他の客にカクテルを飛ばすあれだ。やったことはないけれど。一緒にウインクもしておいたから、これで相手はこちらの意図を察してビスキュイを受け取ってくれることだろう。もし興味を示したのがレディースのファッション雑誌のほうなら申し訳ない。

「ほへー、模擬戦」

 火雨の言葉を聞いて小さく呟く。一年生VS二年生と三年生。言うまでも無く経験値は相手チームのほうが上だ。胸を借りるつもりで行くべきか、倒すつもりで行くべきか。半々くらいの心持ちで自分に出来る限りのことをやるのが良いかもしれない。萎縮しすぎて力が出せないのも問題だし、調子に乗り過ぎてうっかりをやらかすのも問題だ。隊長も実力を確認したいと言っているのだから、現在のポテンシャルをそのまま披露する感じでやってみよう。副隊長は、選ばれたいとも選ばれたくないとも思っていないから、アピールのためにと下手に神経を強張らせずに済みそうだ。
 さて、ともかく隊長に言われた通りに第一グラウンドに行くとしよう。着替えなくても下はジーンズで靴は固定なのだから、この服のままで行って良いはず。いや、寒さを考えるとジャージの上着だけでも羽織っておくべきだろうか。ううむ。……着て来たコートを着直して外に出て、いざ模擬戦が始まるとなったらその時に脱ぐ。これでいこう。苺とアセロラのホットドリンクをぐいっと飲み干し、食べ残しのビスキュイを机の端っこに寄せると素早く席を立つ。途中で黒曜が持って来てくれたケーキが気になるが、今から食べると動きまくった時に横腹が痛みそうなので後で有り難く頂こう。ただでさえビスキュイが入っているのだ、さすがにこれ以上胃袋に詰め込むとマズい。
 壁掛けハンガーフックからコートを取って袖を通し、部隊室の扉を開ける。身を斬られるような冷たさ――とまで書けば大袈裟だが、少なくとも「この寒さの中でタンクトップとか半袖の奴は温度を感じる神経がイかれてるんだろうな」と思う程度には肌寒い。吹き抜ける風が体温を奪っていく。やっぱりコートを着て来て正解だ。9cmのヒールを物ともしない軽快な足取りで歩き、他のメンバーに先んじて第一グラウンドに辿り着く。着替える者はもう少し後になるだろう。それまで準備運動がてら、身体を温めるためにちょっと跳んだり跳ねたりしておこう。

「Shall We Dance?」

 気取った言葉を履いているヒールにかけて、かつんっ、とグラウンドの砂を靴底で叩く。LED電球のスイッチを入れたみたいに眩い閃光を発したヒールは、次の瞬間にはサイハイブーツに姿を変えていた。青いエナメルの生地に金色の革紐で施された編み上げ。ヒールの高さは9cmから12cmへ。まるであつらえたように脚にぴったりとフィットするこれが、ツクモシステムに適応した綿飴の武器だ。属性『脚』。キーアイテムのポインテッドトゥスティレットヒールから生まれ出る攻防一体のバトルシューズ。靴の形をした盾にして鉾。精霊にとっての死神の足音を奏でる物。そして己の死装束となるかもしれない物。
 たんっ、たんっ、たんっ。その場で三回ほど跳ねて変な所が無いか確認。いつも通りの靴音だ。前回の戦闘の後ちゃんと破損が無いかチェックしていても、こうして次の戦闘で使う前にも一応チェックしておかないと、武器の疵は意外と己の死や危険に繋がったりする。でも今回は大丈夫そうだ。自分にも靴にも可笑しい所は無い。後は他の皆が集合するまで、近くの建物の壁を駆けあがるでもして身体を温めておこう。あまり動きすぎると疲れるが、適度に動いておけば模擬戦が始まってすぐに逆に良い動きができるようになる。スロースターターなら、綿飴と同じことを考えて早めに来る者もいるかもしれない。

>ALL様

1ヶ月前 No.17

citrus @citrus26☆QKe2LIS7IaQ ★EKHSBXpiiF_2mP

【 部隊室 / 速見結子 】


 「つばめちゃんとウチ、成績表じゃほぼ同率っスから……」


露骨につばめが残念そうな表情を浮かべたのを見て、あはは〜と苦笑いしながらもスッとポケットから取り出した直近のテスト成績表を差し出す。
ただでさえ生徒数の少ないこの学園において、ここまでずば抜けて成績が悪いと嫌がおうにも目立ってしまう。……事を、下の方にかなりの太字で書かれている名前を指さした。
かの『兄貴』の教えその一。『勉強ォ?んなもん貴重な"子供時代"の拘束具みてぇーなもんだぜ!』という格言を守り続けた結果、こうなってしまったのもある。
同世代より抜きんでた知識量で、幼い頃通っていた僅かな学生期間では常に成績トップを飾っていた結子も、ついに最底辺争いをしてしまう程になった。
怠慢とは、恐ろしや……

傍でぴっぴっと手で隊長にあしらわれている彼女を横目に見つつ、机から器用にスライドされてきたお菓子の包みをキャッチ。
ふと送られてきた綿飴ちゃんの方を見やるとウィンクを一つ。これは、もう、行くしかない。


 「まもむッ!」


そして一口。うまいッ!と言いたかったのだろうが、喉奥から出てくる言葉と口に含んだお菓子が衝突して不可思議なハーモニーを醸し出した。
直感で生きている結子。本来甘いモノは極力控えている程苦手な食べ物だが、このお菓子は絶妙な砂糖の量でお茶の香りを壊さない位に調節されているのが分かる。
故に素材の味をそのまま味わった結子は、ニコニコと笑顔を浮かべながら綿飴ちゃんにピースサインを送った。

他の人に教えてもらおうよ!という声にまむ、まむ(いえす、マム)とどこで覚えて来たのかよく分からない音を発しつつ、もちゃもちゃと口を動かす。
つばめちゃんの勉強教えてもらう旅のお供をしつつも、咀嚼していると、


 「ぶふッ」


急に鳴り響く怒号に思わず口の中をバーストしそうになった結子は、げほごほと咳き込みながら麻琴ちゃんへ


 「そ、そっスよ、ちょっと休憩してただけっス……」


げはごはと本格的な咳き込みに入った辺りからつばめに気をかけられず。
先輩であり二年生の副隊長のありがたいお言葉に「(正論っスね)」と小さく思い浮かべてつばめを同情の瞳で眺める事しかできなかった。

茅野火雨。彼女の姿や言動は、記憶にある兄貴が女性になったらこんな風になるのかも……という程に、類似している点が多い。
年中上下ジャージ姿なのは、兄貴は年中ハーフパンツに革ジャンだったのでそこが大きな相違点とも言うべきだが、鴉などを思い浮かべる深い青色の髪や赤(なのかどうなのか半開きなのでいまいち分からないが)っぽい瞳。
粗暴な中にもきっちりとした芯が通っていて、それでいて優しさも感じられる。
結子にとって火雨の存在は、かなり気にかかっている人物でもある。

という風に脳内ではシリアスっぽい風を吹かせつつも、表面は咳き込んだせいで出てきた涙を袖で拭いつつぽけーっと火雨を眺めているのであった。

そんな中、また新たな興味を惹くもの。具体的に言えばケーキが到着し、その箱を見た途端におぉ、と小さく嘆息する。
ケーキ、といえばおそらく現在地上に存在する食べ物の中で最上位級に苦手なモノに入るだろう。理由はまぁ、昔色々とあったので甘いモノは軽いトラウマの様なモノになっているので。


 「……よし、何事も挑戦っス! 黒曜先輩頂きますっス!」


相変わらず漫画から飛び出してきたような綺麗な容姿の黒曜先輩へと飛びつくと、瑠花先輩のレモンパイを横目に白い箱の中にあった中で一番甘そうな桃のタルトを手に取る。
意を決し、正面から一気にがぶっと行こうとしたところで止まると、保険の為に一応タルトを四分の一ほど千切って。
その欠片を口にッ……!!


 「ぶぼふッ」


口にした途端にこれまでの風景が流れ去り、軽く意識が飛びかけた結子はそのままゆらゆらとつばめの元に戻って、


 「つばめちゃん、コレ、どう、っスか」


ばたっと顔面から床に倒れ込んだ。広辞苑の言葉で簡単に表すと、これが、『バカ』である。


>>部隊室の皆さん


【一レスで二回も嘔吐する系の一年生】

1ヶ月前 No.18

citrus @citrus26☆QKe2LIS7IaQ ★EKHSBXpiiF_2mP

【 部隊室 / 八神千尋 】


自慢する訳ではないが、日々の鍛錬に加え余計なモノすべてをシャットアウトする自身の特性の様なモノで、五感はかなり優れている方である。
茅野火雨が現れ、訓練内容であるだろう『模擬戦』の旨を伝えた後、砂原草平に耳打ちした内容がこれだけの距離離れている千尋の耳にも微かながら端々が聞こえていた。
石動。石動××。
名前が一向に思い出せないが、そういえばそんな人間もこの学園には居た気がする。話の内容の通り、以前あった任務を遂行中消息が途絶え………そして、想像に難くはない結末を迎えたらしい。
ソレを聞いて一々"悲しんだ様相"を見せるのが、砂原草平という男。この男、確かに一般的に見れば『隊長』という枠組みがなるほど当てはまるんだろう箇所がいくつかはあった。

千尋が目をつけている人物の一人でもあるが、しかしそれ故にコイツの脆すぎる一点だけは見逃せない。その自前の高いカリスマ性が生み出している、"人間を惹き付けては、また消えていく"負のスパイラルが生まれている事に。それは、この学園が三年間という短い期間の間のみ、精霊という超常の存在と死闘を繰り広げるこの状況だけを理由に出来るか?と言われればいやそうではないという意見があるのが千尋だ。
コイツの周りでは他の人間が、『砂原草平』という男に多少なりと感情面で影響を受け、直接的な影響はあるない分からないにしろそれが何らかの『悪性』か『良性』に働いているのはここ数か月の状況を見て分かる。
死を慈しむその態度は、千尋にとっては"砂原草平自身が生み出している流れ"に気付かずに、精神を自傷しているように見える。
これはあくまでも一意見。しかし、行き過ぎた情愛は最悪の状況を生み出す事を―――――――――薄れゆく記憶の中で、確か、自分がそうだったことを。

それまで目を閉じて静かに集中力を高めていた千尋は、ゆっくりと目を開くと新たに入ってきた流石黒曜、という長身の美丈夫を見やる。
彼は、読めない。すぐに何かしら感情の機微を浮かび上がらせる砂原草平とは対照的に、この男は全てが読めない。戦闘における指揮能力や直接戦闘能力が高い事は過去の戦闘の資料である程度把握はしているが。
その立ち振る舞いには気味が悪い位に"規則性"が存在し、まるでルーチンワークの様にそれをこなし続けているせいで"ボロ"が一切見当たらない。ソレが、逆に怪しさを増している。完璧の中にある違和感はとても掴み辛く、そして見分け辛い。

砂原の元へ歩みを進める手前で、黒曜の前に立ち止まると、


 「……流石黒曜。」


相手の機微、僅かな、細かな、微かな、細部まで動きを眺める為、彼の変わった金色の瞳を見つめ続ける。時間にしておおよそ一分。たっぷりと見つめ続けた後、


 「模擬戦、よろしくな」


それを誤魔化すという訳ではないが彼女なりの、一応の"ご挨拶"を口にすると特にこれといった事もせずにそのまま砂原・茅野が居るデスクへと歩いて行った。
能力を使用したり、ケーキで失神するバカが居たり、一人黄昏れる孤高の人が居たりと背後で行われる喧騒には目もくれず、砂原達のデスクへとたどり着いた千尋は、


 「"どこまで"やっていい。先に程度を決めておかなければ、行き過ぎるヤツが確実に現れるだろう」


最後の一言は、一種の疑いをかけている黒曜に対するカマかけと同時に、自分自身がやれるのならどこまでもやってしまいそうな危険性がある……自制の為の発言でもある。
あの日以来自分に掛かっている洗脳の様なモノは時折我を忘れそうになる程に強く頭に響いてきては、復讐の為にどこまでも行ってしまいそうな本能的な恐怖を感じる時が来る。
その前に、枷を掛けねば。
また彼らの隣に居た花園瑠花は、実際の模擬戦でどれほどの力を見せるかによって千尋にとっての評価は大きく変化するだろう。現状の評価だけで言えば、『お嬢さん』と言ったところだろうか。


>>部隊室の皆さん(砂原隊長、茅野副隊長、流石黒曜)


【度々失礼な発言をしていると思われます。ご了承ください】

1ヶ月前 No.19

でりSKR @sentakuari ★pl3L5xkSi4_D2H

【神支 円 / 部隊室】


人の命は儚く脆い。何処かで何かが行き過ぎれば容易く圧し折れる。
この世界に生きる者なら尚更だ。世界は残酷で冷酷で非情。

自分たちが戦っている『精霊』と言うのは一説には自然現象に宿る一種の霊体だと言われている。彼らは環境破壊を辞めない人間に愛想を付かせて牙を剥いた、その結果がこれだと本で見た事があった。信憑性には欠けるが、万物には古来より神が宿っている、自然物にしろ人工物にしろ大切に扱わねばならないと説くのはこの国特有の自然崇拝にも見て取れる。昔の時代はこうでは無かったが此処2〜300年程度の歴史の中で地球を取り巻く環境は変わってしまった。

経済の発展、技術の進歩と共に人類が自然に対して行ってきた行為、その揺り戻しがこれだと、本には書いてあった。

「……石動隊の皆は行き過ぎちゃったんだって円は思うな……、……R.I.P.(安らかな眠りを)」

隊長に齎された凶報を横耳で聞いて、そっと胸の前で十字を切る。
然る後手帳を開いて幾つかのページを破り取り折りたたんで卓上ゴミ箱に置く。
自分には最早必要のない物だ。


__暫くして。

気持ちを切り替えたらしい隊長が摸擬戦の詳細を話し出す。
曰くこの摸擬戦には二つの目的がある。一つは一年生組の実力を推し計る事。
もう一つは我ら二年生組の指揮能力の訓練。正直自分に隊長が務まるとは思えないので他の二人に此れは丸投げする。

しかし隊長に念を推す様に自身の名前を呼ばれた事に動転し、

「あっはい」

と決して小さくない返事を返してしまった。
その後に続く自身の独り言に対する返答の様なものまで貰い、やはりこの隊長は特別製だ、と考えた。考えるだけで口にも顔にも出さない。行動場所は寒風吹き荒む第一グラウンドとの事だ。

……やる事は多そうだ。先ずは火雨さんか千尋さんに指示を仰いで……此処は火雨さんが良いか。あとは陣地の構築、エリアに障害物の設置、etcetcetc。三年生組は今回は補助に回るらしいのでそれを考慮して、一年生組がその実力を如何無く発揮できる環境を御膳立てしつつ、その全てに対処しなければならない。記憶している限りの一年生の属性情報は自身の属性と相性が悪いものが大半。
電気系統が二人、身体強化が二人、切断系統、金属系統、そして出来れば交戦を避けたい炎熱系統。その他にも居た気がするがパッと思い浮かぶのはこれだけ。
どの面子を見ても見事に弱点や上位互換で固まっている。しかし隊長の言い分も間違いじゃない。

「あきゃー……、前途多難だ。横っ腹がシクシクする……」

そう頭を抱えた所でギリギリで飛び込んできた先輩の差し入れと、漂う甘い匂いに僅かに身体が反応した。ケーキである。即ち糖分である。

「シナプスを満たす甘い恍惚。脳細胞の肥満はダイエット要らず。香ばしき糖分こそ至高のエネルギー源。Hallelujah Hallelujah.」

ショートケーキ、チョコレートケーキ、アップルパイ、レモンパイ、ピーチタルト、ガトーショコラ、ティラミス、プリン。此ればかりは出遅れてしまっては元も子もなく余り物を宛がわれるに違いない。


ぎしっ。


椅子を軋ませて立ち上がる。座っていた事で縮こまっていた体躯が伸び上がる。
頭部がプレハブ小屋の決して高くは無い天井近くまで上がり切る。
身長198p。年齢と性別を顧みても高過ぎる外見はコンプレックスの一つだ。ここに居る誰よりも大きく、巨きく見えるが身体の線は細め。しかし厚着しているので体格的には一見普通に見える。

ごつっ、ごつっ、と歪んだ足音を響かせながらケーキの箱に寄り暫く考えた後、クレーンゲームめいた動きでアップルパイを手に取って、差し入れしてくれた流石先輩に一言礼を入れる。

「有難う御座います流石先輩。これはあとで熱々に温めて食べようかなって……、流石、流石の流石先輩……、あきゃきゃ」

手に取ったアップルパイを持って自分の席に戻り、引き出しから紙皿とラップを取り出して乗せ換え、卓上の隅に置く。そう長い時間放置するわけじゃないし、アップルパイは熱々に温めて食べる方が美味しい。名前は書かなくても態々取って勝手に食べるような輩はこの隊には居ない……だろう。

一人早々に隊員室を出て行ったのを見て自身も準備を始めた。と言っても髪を降ろしてもこもこした白いウシャンカ帽とマフラー、ドゥブリョンカと呼ばれるコートを隊員服の上に着用、手袋を嵌めるだけだが。

髪留めのロッカースイッチを押すとパチンと音がしてゴムが外れ、ばさりと髪がずり落ちた。元々ツインテールに括っていた時点で膝下まで届くほどの髪量。残った一方のゴムも外すと、バサバサした髪は床まで届きそうだ。

ウシャンカ帽とマフラーで防寒した後、コートを着て、身支度を整える。

「円は先に行って準備してるんだ……みんなも早めに来た方がいいかなって円は思うけどなー……」

最後に使い捨てカイロと携帯水筒を提げ、出て行き際に後ろを振り返って小さく呟く。

「……あきゃきゃきゃ、コザイクは一切無しだから」


第一グラウンドに辿り着いた後準備運動に励む一年生、やたら仰々しい名前を持った彼女を横目にグラウンドに立ち、しかる後手袋を嵌めた手をパシンと叩き合わせる。


キュルンッ、ヂギギギギギッ!


その瞬間、手袋の周囲に何処からともなく雪片が軋みながら凝集し、一本の長軸の白い杭へと変貌した。がりん、と地を突いた杭の先の砂地に白く薄い雪の層が滲み出す。同時に冷気が身体に下り、吐き出した息が一条の線になって棚引く。


「………………」


準備運動を続ける一年生を厚い前髪の向こうから観察し続けながら、残りのメンバーが来るのを待った。


>>周辺ALL

【一足先に失礼します】

1ヶ月前 No.20

橘麻琴 @railgun230 ★iPhone=z0FNsBzA5m

【橘麻琴/部隊室】
「休憩、ねぇというか、休憩に数学に関する落語とは面白い発想してんじゃん」
休憩というつばめに一瞬本当にそれか?単に努力を怠り楽をしようとしてんじゃないの?と、おもったのだが、速見結子の、『休憩』という発言により、《なるほど。これまでつばめの趣味についてはよくわからなかったけどそれが、その、落語まがいのことが趣味なのか?それでか。》と、勝手に納得しているようで、休憩にそれならばも和むし良いかなと、考えてたりし、すると、彼女が咳き込んでたりしてたので、へんなとこにつっかえたのか、大丈夫かな?と思ったので取り敢えず水を差し出しては、自身はノーマルにショートケーキを選択した後に
「それじゃ、いただきますね。」
そう、言っては自分も何か差し入れとかした方が良いのかなと考えたりし
→黒曜さん、つばめ、速見さんたちその場オール

1ヶ月前 No.21

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_jG9

【千田桐矢/部隊室】

僅かな希望と充満する死骸といつも通りの煙草と隊長の近くに置かれた菊の花と何処か甘い様な匂いが五月蝿いくらいに混ざり合うプレハブ小屋にて自身の見慣れたデスクに座りながら見慣れた光景を眺めている千田は反吐が出る程の退屈を感じながらも、静かにただ無言で目の前で繰り広げられる情景を劇場でも見るかの如くそれぞれで展開されるこの雰囲気に身を寄せていた。
すると、副隊長から今回の訓練についてこの場で淡々と連絡される。どうやら訓練の内容は能力使用の模擬戦らしい。正直、相手は誰であろうとも関係ないが自身にとって、模擬戦とは能力を使用する為に精霊の存在程、大嫌いであった。人生を狂わせたこんな能力は同じく自身の人生を間接的にも狂わせた精霊や人間と同等の存在。だが同時にこの力、存在が無ければ精霊や人を終わらせる事は出来ない。残り二年の青春を犠牲にすればかつては望んでいた日常が帰って来るのだろうが、その為には三年間、死と戦い続けなければならない。残念ながら千田はその経緯を辿ろうと一度は考えたがその前に彼は既に狂っていた。
すると、先程まで副隊長と何やら小声で話していた隊長から詳しい模擬戦の説明を聞かされる。その様子を彼はやる気が無さそうに聞きながら、途方も無い憂鬱やストレスを感じていた。ただ、病気や怪我でも無ければ棄権は難しいので此処は訓練を早く終える事だけを考え、簡単な戦闘準備を行う。とはいえ特に準備と言う準備はほぼ無く、服装を着替えるつもりはなく、武器もポケットの中にいつでも忍び込ませている。必要なのはせいぜい準備運動とストレッチくらい。
そして千田は自身のデスクから立ち上がり、軽く端の方で準備運動を開始すると、先程現れた先輩である流石がどれを見ても美味しそうな多くの種類のケーキ類を用意してくれる。しかし生憎だが千田はあまり甘いのが好きではない。それでもプリン等は食べられるが、まず食べる時間が無い。そもそもアップルパイの様なスイーツもあるがまず、冷たい食べ物が寒がりの千田にはあまり好まれない。だが彼はよっぽど空腹だったのか、無言でプリンと同封されたスプーンを取り出す。訓練の事を考え後で食べる事を選択した者、訓練後の楽しみとして食べる為にスイーツを冷蔵庫で冷やす者、この場でスイーツを食べるが苦手なスイーツだったのか知らないが突如、床から崩れ落ち倒れる者、スイーツに対する様々な対応を砂原隊は見せるが、彼は時間が無い中、無表情でプリンを開封して乱雑にそして素早く全て食べきる。そしてゴミと化したプリンの入れ物をゴミ箱に捨てるのも面倒なのか自身のデスクへ置いて、訓練を行う為部隊室を後にした。

「……さっさと済ませるか」

そして千田は先客が二人程いる第一グラウンドに辿り着くと面倒そうに三段警棒の様に折り畳まれた物差しを展開させ、黙って影を潜めながら訓練開始まで待機する。

>>周辺ALL

1ヶ月前 No.22

唐紅 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

【黒墨 蘇鉄/部隊室→グラウンド】


 いつからだろうか、こんな馬鹿げた事態が始まったのは。
 年端も行かないガキを戦場に出す、戦時中の日本でも中々無い事だ。

 精霊との闘争に現状終着点は見えない。そもそもツクモシステムやらで精霊を全て薙ぎ払う事自体正しい事なのだろうか。答えも見えないが、自分たちが生きる以上敵として立つ存在は屠らなければならない。それに対する是非は求められていないのだ。我々が命を全うするために、3年という刻限は。

 故に我らには――少なくとも俺には求められる。この堂々巡りを終わらせるために、精霊の駆逐を。
 次に泣く人が出ないように。


―――


「いいじゃねーか、センスあるぜ」

 パチパチと乾いた音が室内に響く。いつもの頭に手拭、灰色のゴムパンにサンダル、上は黒のTシャツの上に灰色のパーカーとラフ極まりない服装で中へと入れば、砂原の机へと闊歩して近づく。
 仏花である菊が砂原の机にある時点で色々思う事はあった。イジメで無く善意からの行為なのは推測できる、が表面上いつもと変わらない不機嫌そうな表情を浮かべ。
 まさか理由は違うが自分と似た行為をする人物がいる事に内心で驚きつつ、手を振り上げる。

「俺様今日暇だったからな、そこらへんの引っこ抜いてきたからやるよ」

 拍手の邪魔にならないよう小指で挟み持っていたのは旬から少し遅れて咲いた黄色のマリーゴールドの束。それをずぼっと既に活けてある花を押し曲げながら乱雑に花瓶の中に突っ込む。
 厳密に言えばマリーゴールドも菊の一種である。花言葉も負に系統するものを宿している。だが黄色のマリーゴールドに至ってはそれとは別にもう一つ、宿している花言葉はあるが――わざわざ書く必要は無かろう。

 と、模擬訓練の話をされ、くるっと踵を返し。

「サポート、ねぇ。まぁ俺様の力じゃこれから躍進間違い無しのチェリーボーイズの相手にはならんし丁度いいわ。何より“隊長”の命令だしな、ちゃんと従ってやるよ」

 背中を向け、声だけで返す。
 わざわざ“隊長”と言い放ってる理由は、隊長としての砂原の命には従うがそれ以外の時、即ち砂原自身の願いの時は一切合切断るという定義。砂原が隊長になった瞬間からこれは固持している。幼稚染みた行動だと重々理解しているものの変えられない矜持でもある。

 2年であるこいつは――誰だったか。忘れたが砂原に質問する奴に取って返すように言葉を放つ。

「“死なない程度”にだろう? 隊長様、分かってるって」

 一方的な解釈を言った後菓子には目もくれず、ひらりと手を挙げプレハブ小屋を出て行く。
 時間も時間、季節も季節、厚着でパーカーを着てきたとはいえ寒いなと小さく呟ければ両手をポッケに突っ込み、時を待つ。

>ALL様


【書いてて何か度し難い奴だな。ロルが酷いのは許して下さい。またこれからよろしくお願いします】

1ヶ月前 No.23

ぶり大根 @buridaikon ★4b4NVukaLH_8Xv

【羽野つばめ/部隊室→グラウンド】

『つばめちゃん、コレ、どう、っスか』

桃のタルトの残り4分の3を手を持ち、ゾンビの様にその場に倒れ伏す結子。つばめは、慌てて大げさに肩を揺する。

「結子!!しっかりして!!傷は浅いよ!!衛生兵ー!!衛生兵ー!!」

ノリノリの茶番である。

「くっ、結子の仇は私が取る。だから、安心して」

そして、結子の手から、桃のタルトを取り上げると、一口で全部を突っ込む。シロップで固められた桃と、サクサクのタルト生地が口の中でハーモニーを奏でる。

「うまっ!?ゴフッ!!」

口の中にタルトを突っ込んだまま、驚きの声を上げる。そして、声を出した拍子に、タルトが入っちゃいけない方の気管に入り込んだ。見事な誤嚥である。『嚥』と『燕』って似てるよね。咳き込み、たまらず、胸を叩くつばめ。顔も真っ赤である。やがて、ムセ込みながら咳き込むと、何とか平常を取り戻す事が出来た。

「ゴホッ!!手ごわい相手だった。結子、仇は取ったよ……。安らかに眠って……」

そして、つばめはやり遂げたかの様な、安らかな顔になり、結子へ祈りを奉げるのであった。
元々、重い空気は苦手なつばめだったが、ちょっと、やり過ぎたかもしれない。皆に白い目で見られている様な気がする。

「あはは……、私も準備してきますね!!」

つばめは、引きつった様な笑いを浮かべると、急いで更衣室へ向かい、戦闘用の迷彩服に袖を通した。スピード重視の戦闘スタイルのつばめ。戦闘服も体にフィットし、余分な空気抵抗を作らない様になっている。

「黒曜先輩、ご馳走様でした!!私もグラウンドに行きます!!」

電光石火で着替えると、つばめはドアを開け、グラウンドへと向かうのだった。

冬の日暮れは早く、夏ならばまだ日が射していようこの時間。今の時期は既に夜と変わらない。グラウンドには、照明など無く、星の輝きだけが、薄く辺りを照らしている。精霊と戦闘は、夜間戦闘が主である。だから実践を想定し、灯りは極力落とす方向性だ。小走りでグラウンドに着くと先客が二人。一年の綿飴と、二年の円だ。

「やっほー、綿飴。私も来ちゃった。円先輩もお疲れ様です!!」

軽く綿飴と円に挨拶を交わすと、つばめも準備運動を始める。軽く足首や肩を伸ばし、ストレッチすると、その場でもも上げをしたり、10メートル程の短距離ダッシュをしたり。つばめのスピードをマックスで出せる様に入念に準備する。そして、羽の髪飾りに手を伸ばすと、両手に一本ずつ持つと、それは光に包まれる。光の中から生まれるのは、2本のダガーナイフ。それを両手で器用に回して見せ、逆手で2本構える。

「ねぇ、綿飴、今日の模擬戦なんだけど、何とか勝てないかな?」

ダガーを構えたまま、つばめは綿飴に話しかける。吐く息は既に白い。
つばめは考える。2、3年生に比べて、1年は近接攻撃に特化したメンツが揃っている。逆に2、3年生はサポートあり、遠距離攻撃ありと多様だ。

さっきまでの馬鹿をやっているのとは全く違う真剣な、表情である。
つばめは、睨み付ける様な視線で円の方を見た。円の方も杭を持ち、雪の層を作り出している。
問題はどうやって近づくかという事だ。直線的な動きの多い、つばめにとって、障害物を作り出せる円は天敵と言っていい。
逆に近づいてさえしまえば、倒せる自信はある。

「相手に貼り付ければ、勝機はあると思うんだよね」

そして、綿飴にそうつぶやくのだった。

>>結子、綿飴、円、ALL

【草平のレスは、ちょっと文章がまとまらない為、後日にしたいと思います……、遅レス申し訳ないです】

1ヶ月前 No.24

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_WcJ

【 鬼山地獄綿飴 / 第一グラウンド 】

 近場の壁を駆け上っては落下するスピードより速く駆け下りる、という変化球のランニングみたいな準備運動を繰り返していれば、ちょうど何回目かの地面にとんっと着地したタイミングでつばめが話しかけてきた。朗らかな挨拶にこちらも笑顔で片手を振って応える。同じ一年生の前衛タイプとして、彼女とはなんだかんだ戦場で近くにいることが多い。お前らが並びあってると年齢差が十くらいあるように見えるよな、と言ったのはどこの誰だったか。言われた綿飴もそう思った。初対面の折、つばめのことをうっかり高校の入学式に迷い込んでしまった生徒の妹さんとかだろうと勘違いしたのは記憶に新しい。ちなみにこれはつばめには秘密だ。
 今日の模擬戦になんとか勝てないか、と。真剣な眼差しで相談を持ちかけてくるつばめに、綿飴も軽薄さをなるべく削いだ表情で腕組みをする。確かにつばめの言う通り。相手に貼り付けさえすれば、こちらのグループのメンツを考えれば勝利にかなり近付ける。問題は、それが難しいということなのだ。容姿から生じるイメージの割にはそれなりによく回る部類の頭をぐるんぐるん回して、これからの戦闘に関する様々なことを考える。それらがある程度まとまった辺りで、つばめに倣ってこちらもやや潜めた声で呟く。

「鬼さん的に、一番ヤバいのは『グラウンド』で『砂原隊長』と戦うっていう点なんですよね。水使いと海上で戦うようなものですよ。武器化した状態で操る砂と普通の砂は見分けがつくけど、ひとたび普通の砂の中に砂原隊長の操る砂を紛れ込ませられたら、もう砂原隊長にしか“普通の砂”と“操れる砂”の違いが分からないじゃないですか。つまりグラウンドというフィールド全てが警戒の対象ですよ。足元に常に注意しなくちゃいけなくなります」

 模擬戦の場所が第一グラウンドだと聞いた時からずっと思っていたことを口にする。グラウンドというステージは、言うなれば隊長にとってはパワーアップ効果のあるフィールド魔法みたいなものだ。そりゃあグラウンドの砂全てを操るなんて芸当は範疇の外だろう。それでも武器と見紛うものがどっさりある場所で、ひとたび相手の武器を見失えば、『フィールドにあるどれが相手の武器なのか分からなくなる』。そうなるともう、グラウンドそのものを警戒対象とし常に気を張り詰めるしかない。だからといって足元に注意しすぎていると、それこそ相手チームに隙を突かれてジ・エンド。二年生と三年生の先輩方は、後輩の油断を見逃してくれるほど甘っちょろい方々ばかりではない。

「なので、砂原隊長は真っ先に仕留めさせて頂くべきだと思うんですけどー……砂原隊長が能力的にグラウンドだとくっそ強いのも、だからこそ真っ先に狙われやすいのも先輩方はご承知の上でしょうから、逆に潔く諦めたほうが良いかもしれません。いや諦めちゃだめなんですけど、うっかりそんなことを考えちゃうくらい難しいですきっと。あと、神支先輩の存在を思えば自分の動きの邪魔にならない程度には温かい恰好でいたほうが良いですね。あとあと、うちのチームの結子ちゃんと瑠花ちゃんは、能力的に離れた場所にいる状態からスタートして貰ったほうが良いかなって思いと、近くにいてお互いの能力を上手く組み合わせれば凄い合体技とか出来るんじゃないかって思いの両方あって、すっごく悩みます。臨機応変にできればそれが一番なんですけどね」

 頭の中を同輩と先輩の能力の内容や身体能力の程度などの情報がひたすらに回っている。目下、一番悩むのはやはり砂原隊長をどうすれば迅速に無力化できるか。この人の能力があればこの作戦が使えるのに、という思考回路にあてはまる『この人』が殆ど先輩チームに属していて、有効な決定打となりうる作戦が中々浮かんでこない。

「そうそう、桐矢くんをどうすれば『個人戦』から『チーム戦』に引き込めるかって問題もありますよねっ。能力的に桐矢くんには是非とも流石先輩を抑えて頂きたいけど、ぶっちゃけ桐矢くんにそういうお願いしたところで通るかって言うと、うーん……って感じじゃないですか。コミュニケーションめっちゃ難しい。ちなみに鬼さんとしては、八神先輩の能力抜きでパない身体能力は鬼さん以外だと近接戦闘で張り合うの難しいと思うから、邪魔が入らなければ八神先輩とお手合わせ願う? つもりでいます。まあ、こっちもこっちで『相手チームの他の先輩たちが素直に鬼さんを八神先輩に近付けてくれるか』っていう問題点が発生しちゃったりするんですけど。うむっ、語れば語るほどに問題点だらけだ! 困ったちゃんですね!」

 相手の返事も来ない内から思い浮かんだことだけひたすらに喋り倒した後、こてんと首を傾げて。

「そういえば、つばめちゃんって最初に誰を狙うつもりでいるんですか? 場合によっては、助走の距離を稼ぐ時とか相手チームからのガードに入りますし、なんなら滑空するつばめちゃんの進路に発生する障害物を砕く役目とか引き受けますよ? めちゃくちゃ頑張ったら脚でつばめちゃんの滑空スピードに追い着けるの、たぶん一年生チームだと鬼さんだけですし。まあ、その代わり鬼さん遠距離からだと何もできなかったりするんですけどね!」

 なお綿飴の台詞についているビックリマークは、叫んでいるのではなく小声で叫んでいることの表現だ。一応周りに聞こえないよう声は潜めている。無駄に器用だ。

>羽野つばめ様&ALL様

1ヶ月前 No.25

いちご蒸しパン☆BN0nIoLPBMCP ★iPhone=oqFnnD7cPt

【流石黒曜/部隊室】

買ってきたケーキに対する様々な反応を薄ら笑いながら受け流す。大方の者が自分と同じく冷蔵庫に入れるか今食べるかのどちらかで、食べた側の反応も様々である。……約1名気絶している。甘いのが苦手な人用にティラミスを購入したのだがまあ食べたかったのだろう。気絶したのは自分のせいではない。訓練では死ぬことはないだろうが怪我での戦線離脱はありえなくない。せいぜいこれが最後の食事にならないことを祈っている。まあ複数回戦闘も重ねているのだ、動き方の1つや2つ把握しているだろう。
机の上の大方の状況を把握したところでマントを外そうと襟首のボタンに手をかけた折、フルネームで呼びかけられた方に「はい?」という声で返事と視線を返す。10cmほど小さな背丈が目に入る。2年の八神だ。呼びかけたあとじっと顔を見つめられ、そのまま硬直される。まあ自分は顔が売りではあるからいくらでも……と思ったが彼女の性格も相まって普通に見ているという雰囲気ではない。自分も彼女の傷んだ髪を見据える。こちらは染めるだけだったからいいものの、彼女は脱色か何かしているのだろう。いつ飛ぶか分からない首だ、恥ずかしくないように手入れは大事だ。自論だが。
八神の観察に飽きて(向こうはそうでもないようだが)、マントをやっと外し丁寧に畳んで椅子に掛けたところで刺さる視線が『挨拶』で締められる。もういいのか、とそちらを見たあと模擬戦は指名式だったのだろうか、いや普通によろしくの意味で捉えるべきかと少し考えるも「ええ」といまいち曖昧な返事で濁した。そもそも今回は2、3年生は合同のはずだし、そう固くならずとも、と声をかけようとしたが次に八神が隊長に持ちかけた話で納得する。なるほど、警戒か。どこかでボロでも出しただろうか。あるいは、1年目の1年生の資料を舐めるように読んだか。元々模擬戦は得意な部類ではない。戦場を駆ける時ですら近くに誰かいないか気を張らねばならないのに、それが対人相手ともなるとある程度手を抜かないとそれこそ重大な怪我人は出るだろう。能力を使うなら尚更だ。左手は椅子に置いたまま、右手を顎に添え悩む仕草をする。まあ砂原は優しいからどこかしらでストップはかけてくれるだろうが、最初から提示して貰えるなら確かに楽だ。

「私はいつも通り怪我のないよう努めますが、不安だというなら能力を縛って……ああ、そうなると武器なしの本当に監査のみになりますが……それに能力使用下でのテストではなくなり……ううん、その辺りはおまかせします」

更衣室お借りしますね、と意見に付け足して奥に引っ込む。触れた部分から粉にするという性質状アンダーウェアは重点的に定めなければならない。あと何度使えるのだろうか。今回は念のためいつもの服の上にTシャツも着ておこう。一度では抜けきらなかった後ろ髪を首の後ろに手を通してさらりと梳き抜き、軽く首を振ると残っているものがないのを確認する。動きやすい格好に身を包むと巾着から鉄粉入の瓶を取り出し胸ポケットに入れる。能力は縛ってもいいとは言えど、お守りのようなものだ。これが無ければ始まらない。

「意見は纏まりましたか? あるいは私はグラウンドで待機して待っていた方が落ち着けますか?」

圧のある言い方でなく、あくまで穏やかに。にこりと笑みながら再度人数のやや減った部隊室に戻る。もう少し時間が欲しいのなら先に行き、寒さで体が動きませんでしたということのないようにアップの1つでもしておきたい。

>>部隊室ALL

1ヶ月前 No.26

ぶり大根 @buridaikon ★4b4NVukaLH_8Xv

【砂原草平/部隊室】

『"どこまで"やっていい。先に程度を決めておかなければ、行き過ぎるヤツが確実に現れるだろう』

自分の前まで歩みを進め、そう尋ねて来たのは、八神千尋だ。2年生の近接攻撃担当と言っていい。自分に話かけているようで、背後の黒曜を意識している。だが、気持ちは分かる。
戦友でもあり、同級生でもある、流石黒曜は聖人君主の様な男だ。今日もケーキを買ってきて皆に振る舞っている。しかし、付き合うにつれ、その性格に闇がある事を知る事となる。

「細かい事は火雨に任せるが、まぁ、大怪我しない程度だろうな。実践を想定した訓練だから真剣にやらなくては意味が無い。かと言って、大怪我でもしたら、それこそ本末転倒だから」

千尋の質問に草平は答える。千尋に答えながら、後ろの黒曜にも牽制を入れている。また、千尋も真剣にやると言ったら一切の手加減をしないタイプだろう。人を寄せ付けない雰囲気があり、隊長として心配になって来る。

『私はいつも通り怪我のないよう努めますが、不安だというなら能力を縛って……ああ、そうなると武器なしの本当に監査のみになりますが……それに能力使用下でのテストではなくなり……ううん、その辺りはおまかせします』

「いや、能力を縛るのは止めてくれ、黒曜。これは1年だけの訓練だけではなく、俺達の訓練もかねているからな。それに、お前の能力に1年がどう対応するかも、見たいしな」

その後、黒曜から出された質問に草平は答えた。黒曜の能力である『粉』は接近戦では無類の強さを発揮する。接近戦が主軸の1年生が多い事を考えると、外せない。2、3年生の合同チームなら、千尋と黒曜の2人が、白兵戦の要になる。自分も武器の性質上、接近戦も出来るが、どちらかと言えばスペシャリストと言うより、オールラウンダータイプだ。

「2人とも近接戦は頼んだぞ。頼りにしているからな!!」

そして、笑顔で激を入れるのだった。

草平は、2、3年生の合同チームのメンツを考える。
2年生はバランスが取れている。近接の千尋に、中、遠距離の火雨、そしてサポートの円
3年生も一応はバランスが取れていると自分は思っている。近接の黒曜に、近、中距離でサポートをこなせる草平、そして、中、遠距離を担当するのは……

そこまで、考えを巡らせると草平は深いため息をついた。頼りにはなる。なる事はなるが、胃が痛くなるような奴だ。

パチパチと乾いた拍手が響き、頭に手ぬぐいを巻いた蘇鉄が入って来る。そして、持ってきた花を乱暴に花瓶に突き刺す。突き刺されたマリーゴールドにより、瑠花の持ってきた菊の花が折れ曲がる。それを見て流石の草平もカチンとくる。

「おい、蘇鉄!!この花は瑠花が持ってきてくれたんだぞ。俺の事は、憎んだっていいが、他の奴の好意を踏みにじるんじゃない!!」

草平にしては鋭く大きい声を出すが、蘇鉄はどこ吹く風だ。蘇鉄の言った皮肉も、何時もなら右から左に流すのだが、イライラする。そして、蘇鉄はそのまま、手をヒラヒラさせると、外に出て行ってしまった。草平はしばらく出て行った扉を睨み付けるのだった。
やがて、力を抜くように息を吐く。上がったボルテージを必死に下げる。

「すまん、瑠花!!折角持ってきて貰った花をこんなにしてしまって……。あいつの代わりに俺が謝る!!」

そして、瑠花にむかって頭を下げるのだった。花屋が夢だと言った瑠花。花への思いは人一倍あるだろう。それを考えると、蘇鉄への怒りが込み上げてくるのだった。

『意見は纏まりましたか? あるいは私はグラウンドで待機して待っていた方が落ち着けますか?』

「いや、俺もそろそろ、グラウンドに行くよ。話はそっちでしよう。皆もそろそろ移動しよう」

草平は背後にある時計を親指で指しながら、黒曜に答える。そして、皆に促しながら、迷彩服に着替えるとグラウンドに向かうのだった。


「円、お疲れ様。今日はよろしくな!!」

すっかり日が暮れたグラウンドに草平は到着すると、先に到着していた円に声を掛ける。そして、胸ポケットから砂時計を取り出すと、それは光、巨大な刃を持った戦斧に変化する。それを両手で掴むと、素振りを始めた。ブオンという鈍い風切音がで何度もそれを繰り返す。その額には、薄っすらと汗が浮かぶのだった。そして、ドンという音と共に斧を地に下ろす。そして、確認の意味を込め円に話しかけた。

「今日の隊長は火雨だ。詳しくは火雨に任せるけど、同学年として守ってやれよ。1年にも足の速いのがいる。性格を考えれば、いきなり火雨を狙って突っ込んできそうだからな」

今日は、助言的な物は言っちゃいけないんだけどな、と軽く付け足し円に注意を促すのだった。

>>千尋、黒曜、蘇鉄、瑠花、円、ALL

1ヶ月前 No.27

ゆーす @sable ★mvaJaf04S7_PHR

【花園瑠花/部隊室】

不意に鳴り響いた拍手の音、そして菊を押し曲げて挿されるマリーゴールド。いきなりの事にビックリした瑠花は「きゃっ」と小さく声を上げたが、すぐにいつものことであるとわかって無反応でいることに努めた。
きっと黒墨先輩には暗く重い過去があるのだ。生まれつきの悪人などそうそういないだろうし、好んであのようなキャラを演じるはずもない。
だからといって砂原隊長を露骨に嫌うような言動が許されるわけではないが、一年坊の自分に何かできるわけもないと自覚していた。余計な詮索をすれば、チームの溝を更に深めてしまう恐れがある。
己がすべきは鍛錬と信頼関係の構築。前者は日々の積み重ねが物を言うし、後者は同学年を始めとして友好的な相手から順に築いていけばいい。
そうして真に部隊に溶け込める日が来たら、その時こそ難しいことを考えればいいのだ。今はまだその準備が出来ていない。

「せ、先輩!顔を上げてください!元はといえば私が余計なことをしたせいなんですから」

無類の花好きとして腹立たしい思いこそあれど、ここでその感情を表に出してはいけない。今一度出過ぎた真似をしたことを謝ろうとした瑠花だが、何も悪くない砂原隊長が頭を下げている事には驚きを隠せなかったのか、少し声を荒げてしまう。
これまでのやり取りのどこを振り返っても、彼に非などありはしないのだ。余計な世話を焼いた自分の行いを咎めず、それどころか菊の綺麗さを褒めてくれたのだから。
たまたま三年生同士の因縁に巻き込まれる形になったとはいえ、その点を加味しても隊長が謝らなければならない道理など無いと言えるだろう。
少々大きな声を出してしまったことを詫びるように、自分は気にしていないと笑みを浮かべて軽く会釈し、瑠花もその場を後にした。大事な訓練が待っている。

_____________


「呼びました?」

戦闘用の迷彩服に着替えてグラウンドに姿を現した瑠花は、まず初めに同学年である綿飴とつばめの所に顔を見せた。面子からして中々に会話が弾みそうな環境が整っている。
相変わらずの丁寧語とはいえ、先輩方にやるのと同学年にやるのとでは話が違う。どことなく弾んだ口調で綿飴の背後からひょいと顔を覗かせ、輪の中に入る。
どうやら模擬戦に向けて作戦を練っているところらしい。訓練とはいえ勝ちに行きたいという点は完全に同意だし、その意気込みは二人にも負けていないつもりだ。

「確かに離れてスタートが得策かも…溶けてアツアツの金を先輩方にかけるなんて、万が一のことがあったら大変ですし…

でも組み合わせるのはやってみたいです。精霊相手には是非とも!」

結子と自分は離れた地点で戦うのがいいという綿飴の発言に、少々寂しい思いは残るものの賛同の意を示す。他の攻撃なら当たっても何とかなるだろうが、溶けた金属ともなれば話は別。
火傷痕が一生残ってしまうかもしれないし、指同士が癒着して上手く動かせなくなってしまうかもしれない。超高温故に服が発火して火だるまという事態だって有り得る。
経験則からして自分達より数段上手な相手とはいえ、流石にそればかりはタブーな気がした。
しかし賛同したのはネガティブな部分だけではない。この二人が組めば凄い合体技が出来る、という点にも強く頷けた。要は彼女の発言の受け売りだが臨機応変に動くことだ。

「砂原隊長対策に一役買えるかもしれません。地形に干渉されたとき、ちょっとの間ですけど金で足場を作れますから。

もしそれが不発に終わっても、つばめちゃんの助走台だったり、綿飴ちゃんの壁ジャンプ用の壁だったり、作れるものは色々ありますよ!」

自分もサポートに回れることを主張し胸を張る。もちろんそればかりではない。連携も大切だが、実力者揃いの相手方と一対一で対峙したときには、やはり強力な個人技が必要になる。
この日に備えて用意してきた"二つのトッテオキ"が唸る瞬間を想像し、瑠花のテンションも二人に負けないくらい高まりつつあった。

>>砂原草平、鬼山地獄綿飴、羽野つばめ、ALL

1ヶ月前 No.28

ぶり大根 @buridaikon ★4b4NVukaLH_Hja

【羽野つばめ/グラウンド】

一人で喋る綿飴の話を聞きながら、つばめも脳内で戦況をシミュレートする。

『呼びました?』

そう尋ねながら瑠花が、途中で加わり会話は3人になる。

「確かに、砂原隊長の能力は厄介だよね」

土のグラウンドのどこから攻撃が飛んでくるか分からない。それは、恐怖である。逆に、砂に気を取られると、煙や紙が飛んでくる。遠距離攻撃は2、3年生チームにかなりの分があった。それだけでは無く、2、3年共に一癖ある能力の持ち主が多い。だから、生き残れたと言えばそれまでだが。

『砂原隊長対策に一役買えるかもしれません。地形に干渉されたとき、ちょっとの間ですけど金で足場を作れますから。もしそれが不発に終わっても、つばめちゃんの助走台だったり、綿飴ちゃんの壁ジャンプ用の壁だったり、作れるものは色々ありますよ!』

「あっ、それいい!!いざとなった時は、瑠花お願い出来る?」

そして会話の中で瑠花の提案を、喜び受け入れる。つばめの滑空能力は、上方からの攻撃に向いている。もしも、足場を踏み、より高い地点から攻撃出来れば、それは高威力の一撃となる。

そして、一人で話す綿飴の言葉に対し、つばめも自分の意見を言う。

「黒曜先輩の能力、本人と真逆で極悪だよね。私も出来たら近づきたくないなぁ……」

黒曜先輩の『粉』の能力は粉々の略だと思っている。接近戦主体の1年生では、正直厳しい。

「千尋先輩も、生身であれだけ動けるのは、反則だよ、本当に……。出来れば、綿飴に任せてもいい?」

スピードだけなら互角だと、つばめは思う。しかし、その他戦闘技術には、やはり差があった。特に同じ様な武器を使用するため、技術の差は嫌というほど思い知らされている。

『そういえば、つばめちゃんって最初に誰を狙うつもりでいるんですか? 場合によっては、助走の距離を稼ぐ時とか相手チームからのガードに入りますし、なんなら滑空するつばめちゃんの進路に発生する障害物を砕く役目とか引き受けますよ? めちゃくちゃ頑張ったら脚でつばめちゃんの滑空スピードに追い着けるの、たぶん一年生チームだと鬼さんだけですし。まあ、その代わり鬼さん遠距離からだと何もできなかったりするんですけどね!』

やがて、思考が纏まったのか、コテンと首をかしげながら、綿飴がつばめに質問した。

う〜ん、とひとしきり悩んだあと、つばめはその質問に答える。

「私は、火雨先輩狙いで行くよ。砂原隊長は厄介だけど、奇襲で倒せるかと言えばそんな気はしないんだよね。今回、指揮をとるのは火雨先輩だし、近づけば何とかなりそうかな?そうだね、最初お願いしていいかな?」

まぁ、失敗したら、その時はその時で、そう言葉を付けたし綿飴に頼むのだった。


>>綿飴、瑠花、ALL

1ヶ月前 No.29

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_WcJ

【 鬼山地獄綿飴 / 第一グラウンド 】

 つばめと会議になっているかは微妙な作戦会議をしていると、ちょうど話題に上っていた瑠花がひらひらと歩み寄って来た。足音の表現にひらひらなんて可笑しいかもしれないが、自分が彼女の足音を『花弁が舞い落ちるような』と感じたから素直にそう表現する。花を愛する彼女は花のように愛らしい。彼女も彼女でつばめほどではないが童顔で、ふと、結子といいつばめといい瑠花といい、ひょっとして砂原隊の自分以外の女は皆幼くて可愛らしい感じなのでは……? なんて発想が脳裏をよぎる。二年生や三年生も含めればそうでもないが、一年生に限定すればそうである可能性が高い。大人っぽいファッションが好きだから己の容姿も気に入っているが、周りが可憐な子たちばかりだと自分が老け顔であるような気になってきそうだ。とまあ、それはさて置き。

「確かに精霊相手ならともかく、先輩相手に高温ゴールドぶっ掛け攻撃は万が一ヒットするとマズいですね。でもでもすっごく気になります、是非精霊とのバトルで披露する機会があれば鬼さんにも見せて下さいね! ジャンプ用の壁はぶっちゃけ大変ありがたい。というわけで拝みます! いざとなったらお願いしちゃいますね!」

 パンパンッと手を二回叩いて、瑠花に向かって頭を軽く下げる。本気で神様相手にするように拝んだわけではないが、それでもしっかりと感謝の意は込めた。つばめもつばめで瑠花との連携プレーに異論は無さそうだし、とりあえず綿飴としては、模擬戦スタート時の配置ではしれっとこの二人の近くにいることにしよう。千尋を任せても良いかというつばめからの問いにサムズアップしながらそう考える。ぶっちゃけ綿飴も小学校中学校と九年間ずっと新体操ばかりやり込んでいたから、はっきり言って戦闘技術は千尋に及ばない。が、そこはブーツの強化がなんとかしてくれる。技術が足りない分は能力でカバー。最終的に適えば良いのだ。もちろん技術は大事だから、それはこれからの訓練や戦いの中で今まで以上にきっちり獲得していかなければならないけれど。

「茅野先輩ですかぁ。確かに近付けばどうにかなりますね。それでもやっぱり、近付くのが難しかったりしますけど。……でも難しいこと避けたら勝てるのかって言われれば、そんなこと全然ありません。最難関から突破してやるぜくらいの強気さで行くのも必要な時ってありますよね。というわけでっ! 鬼さん、つばめちゃんからのお願いはしっかり引き受けました! お任せあれ。つばめちゃんの助走タイムは神にも悪魔にも精霊にも邪魔させませんよっ」

 今回の敵は神様でも悪魔でも精霊でもなく先輩なのだが、とにもかくにも。朗らかな笑みでつばめのお願いを快諾し、再度ぐっと親指を立てる。片方の手は腰に当てて、なんとなく、洋画のビッチがヒッチハイクする時みたいなポーズだ。そんな映画は観たことがないので完全にイメージでしかない。でもこれにウインクも加えればかなりそれっぽくなるはず。
 それにしても、他のメンバーは中々集まらない。今の内に最低限の情報くらいは交わしておきたいのだが、着替えに時間がかかっているかケーキを我慢できなかったか、果たしてどちらなのだろう。結子がケーキに夢中になっている姿はわりと想像できるが、桐矢がケーキに夢中になっている姿は想像したら違和感が半端ない。そもそも桐矢の場合はグラウンドに来たところで他の隊員に話しかけようとしないだろうから、最悪顔面にツバを吐かれるのも覚悟した上で、姿が見えたらこちらから話しかけよう。……いやでも、最近は最初の頃に比べればちょっと態度が軟化してきた気もするし。さすがにツバは吐かれないか。あんまり警戒しすぎると、今度はそれがレッテル貼りみたいになってしまってあんまり宜しくない。ここは前向きなくらいでいこう。

>羽野つばめ様&花園瑠花様&ALL様

1ヶ月前 No.30

でりSKR @sentakuari ★pl3L5xkSi4_D2H

【神支 円 / グラウンド】


準備を終え着々と集まってくる面々。
杭を地面に突き降ろしたまま考えを巡らせる。戦闘区域。天気。気温。仲間の能力。相手の能力。これらを組み合わせて何が出来るか。何が出来そうか。

見晴らしのいい砂のグラウンドは砂原隊長の天下であり、遮蔽物が無く広い場所は運動能力強化能力を持つ面々に有利に働く。自分の役割はこの場所を如何に味方に有利に、敵に不利な状況に出来るかだ。雪の壁を設置して障害物を形成し、地面への積雪で足場を削り、冷気で相手にデバフを掛け、敵の攻撃を遮り、味方の動きを助ける。

例えば砂原隊長と協力して砂の混じった雪塊を作り雪壁を強化しても良い。雪玉や雪杭を作って八神さんに投げさせるのも一驚。流石先輩と協力すれば雪塊の再成型で多種多様な形状の雪塊を作り出せる。黒墨先輩の折り紙の補助も出来るだろう。茅野さんの煙と雪壁を組み合わせれば視界封鎖や幻惑、誘導に事欠かない。逆に仲間達との弱点を共有する所も視野に入れなければ。

ただ、全てに気を回す様な器用な芸当は出来ない。誰にどれだけのリソースを割くかが重要。それに自分の力量と自分個人でやる事、戦闘行動を含めると自分自身が何人いても足りない様な気がする。


__考える事に集中し過ぎて足元の地面に霜が降り、一部分だけ氷結どころか完全凍結の一歩手前まで来ている事に気付かなかった。パキパキと音を立て、凍った地面から靴をはがし取りながらもそこで更に考える。

集まっている面々の足元を見詰める。金属製品が足元にある時、または靴に金具が付いている時に低温地帯に足を踏み入れる事は危険極まる行為だ。熱伝導で冷気が靴の中にまで浸透してくる。彼の冬季に起きた戦争では、靴裏に滑り止めの金属スパイクを付けたピッタリサイズの軍靴を履いていた兵士達が揃いも揃って凍傷になって足の指を落としたり脚自体を落としたりと散々な目にあっている。……長時間戦闘ではいざ知らず、うまく使えば短い戦闘時間でも相手の行動力を削ぎ落とせるかもしれない。それに湿った氷と乾いた氷の違いも重要だし、濡れた手で凍て付いた金属製品に触れた結果なぞ想像もしたくない。この辺りも思慮しないと。自分のサポートで見方が行動不能になっては元も子もない。


ぐるぐる、ぐるぐる。思考は回る。
回る思考も地に付かなければ空回りするだけだ。


その空回りを止めたのは隊長の一言だった。


「円、お疲れ様。今日はよろしくな!!__今日の隊長は火雨だ。詳しくは火雨に任せるけど、同学年として守ってやれよ。1年にも足の速いのがいる。性格を考えれば、いきなり火雨を狙って突っ込んできそうだからな」


その言葉を聞いて思考の方向性が定まった。

「…………すいません、有難う御座います。……円は円に出来そうな事をやります」

少し頭の中を整理して答える。
何もかも自分一人で考えすぎるのが悪い癖でもある。思考の迷路に嵌って抜け出せず同じ場所をぐるぐる回る故は文字通り『円』の如く。取り敢えず火雨さんを中心とした仲間の防衛、及び障害物の形成の体で動こう。詳しい事は彼女に訊けばいいだろう。

「今日はよろしくお願いしたいなー……、もしかしたら砂原隊長の『それ』が必要になるかもしれないかなって円は思ったからその内声を掛けるかも……。あきゃきゃっ」

弱気ながら僅かに笑みを見せつつ砂原隊長に頭を下げ、踵を返して茅野さんに指示を仰ごうとその姿を探す。


>>砂原隊長、周辺ALL

1ヶ月前 No.31

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

【茅野 火雨/ 部隊室→第一グラウンド】

 本人がいいと言っているし菊の件はこれ以上言及することはないが、この部隊室には他の部隊の人間や高校の関係者等も出入りする。『砂原は部隊内でいじめにあっているのではないか』とあらぬ疑惑をもたれても困る。それを説明するのは十中八九自分なのだから。

 三年の先輩方を見ているとよく砂原の胃がもったものだと同情する。流石黒曜、砂原隊きっての曲者であり能力的にも人柄的にもあまりお近づきになりたくないタイプ。曰わくその兄弟は全てツクモシステムに選ばれており、大半を戦場で亡くしている。曰わく優男の仮面の下には狂気のバーサーカーが巣くっている。などなど、彼に対する肯定的な評価の陰に無視できない過激な噂がついて回っている。黒墨蘇鉄、隊長である砂原に対し過剰な敵意を向ける男。その人格も香ばしいもので、実力はあれど隊長に選ばれなかったのはさもありなんといったところだ。しかしその粗暴な言動の端々に繊細な彼の人となりが見て取れる。花園が活けてくれた菊の花瓶に無造作に挿したマリーゴールド。その花言葉は「嫉妬」「絶望」「悲しみ」などネガティブなものが多いが、黄色のマリーゴールドにはさらに花言葉が隠されている。知ってか知らずなのか、火雨には判別できなかった。

「油断していると、頭から喰われますよ。黒墨先輩」

 一足先にグラウンドへ向かう黒墨の背中に言い放つ。珍しく、というのもなんだが砂原が他人に対して語気を荒げている。それも自分に対する挑発や悪意からではなく花園が丹誠込めて活けた花に無礼を働いたことに対する怒りだ。全く持ってこの人は、自分のことより他人のことを最優先に考える人だ。そんな優しい隊長だから皆はついて行くのだろうか。果たして自分の指揮に人がついてくるだろうか。今まで考えてこなかった『隊長』としての資質を自問自答し、火雨は憂鬱気にため息をもらすのだった。

 静かに更衣室で実戦で使う迷彩服へ袖を通す。前衛でスピード重視のつばめとは対照的に火雨の服はゆとりのあるもこもことした印象が特徴的だった。服の内側と体の間に空気の層ができる構造になっており、冬場でも暖かいのだそうな。更衣室から出ると、すでに多くの隊員はグラウンドへ向かっていった後で、部隊室はがらんとしていた。火雨は何気なくエアコンの電源を消し、窓等の戸締まりを確認すると、ちゃっかり流石が持ってきたチョコレートケーキに名前を書いてグラウンドへ足を運ぶ。



「今回の模擬戦、少なくとも私は彼らに対して一切の手心を加える気はありません」

 遅ればせながら火雨はキセルをふかしながら2・3年の集団に口を挟む。キセルはすでにツクモシステムにより通常の数倍の大きさをほこっており、火雨の口から吐き出された煙は、空に薄らぐものではなく、まるで白い大蛇のように火雨の体にまとわりつく。茅野火雨、属性『煙』。自分の名前は大好きな祖父がつけてくれたようで、火雨自身も気に入っている。奇しくも日本神話に登場する煙草と漬け物、草木の神様である鹿屋野比売神と同じ読みなのだ。それの影響もあるのか、火雨の能力適正は同年代よりも比較的高い。

「我々が戦う相手には少なくとも“三つの脅威”があると、私は考えます。説明しますのでこちらに集まってもらえますか?」

 迷彩服のポケットから取り出したのは将棋で使う駒。それを煙の盤上に置いて操作する。あっという間に今回の模擬戦の大まかな位置どりが浮かび上がった。

「まず最も注意する点。彼らの攻撃の基盤であるコンビ。『羽野つばめ&鬼山地獄綿飴』」

 浮かび上がる飛車と角行の駒。この駒たちは将棋において攻撃を仕掛けるのにも守備を固めるのにも非常に優れている。

「知っての通りこの二人は砂原隊きっての機動力とスピードを持っています。つばめの加速と最高速度に達する速さは目を見張るし、綿飴には速さに加えて多彩な足技を持ち攻撃力も高い。また味方の援護を受けて三次元的攻撃を行う可能性もあります。我々の中で彼女たちと正面切って戦えるのは八神だけ。二人を主軸に攻めてくるにせよ、攪乱や陽動にあてがうにせよ、まずこの二人の足を止める」

 空を飛翔する燕と角を振り上げ舞い跳ぶ鬼の子。どちらも入隊当初から頭角を現しており、初の実戦でも臆することなく精霊に突っ込む度胸もある。いつしか同学年の前に立ち皆を先導するような存在になっていた。副隊長候補としてどちらも注目される。

「二つ目『花園瑠花・橘麻琴・速見結子』彼女たちの能力が組み合わされば非常に手強い相手となる。その中核を担うのが花園の能力」

 火雨はスマートフォンを取り出しあるものを見せる。そのサイトには金の金属としての特徴が記されていた。まずは金属の中でも特に優れた延展性を誇るというもの。細く長く、薄く広く様々な加工ができ世界の装飾品に豪華な彩りを与えてきた。しかし注目すべきは、鉄にも勝る電気伝導と熱伝導の良さである。煙の盤には金将、香車、歩兵の駒が浮かび上がる。

「彼女たち単体ではそこまで問題はありません。前衛二人のようなスピードもなく攻撃範囲も狭いため近づけさせなければどうということもない。遠距離からの攻撃も対処できないものでもない。しかしこの金の電気伝導と熱伝導の優良さが事態を一変させる」

 盤の上で香車が動いた。

「橘の雷は威力は高いがその分本人への負担が大きい。離れた敵に当てようとしても空気は電気抵抗が非常に大きいため、それなりのダメージを相手に与える代わりに自分がダウンする羽目になる。そこに花園が金の紐、いや糸でもいい。相手と橘を繋ぐ導線を引いたら、橘は最小のリスクで雷の能力を発揮できる。彼女に金で作った武器を持たせれば、強力な前衛にもなれる」

 盤上を真っ直ぐに進む香車はさながら雷の如く。敵陣を突破する雷神の矢と化す。

「金の融点は約1000度、これは鉄に比べるとずっと低い値です。しかし熱伝導率は鉄の約4倍、速見の炎熱の能力と非常に相性がいい。速見自身に武器を持たせるもよし、融解し流動性を持った金を花園が操るもよし。速見はあぁみえて器用なところがありますし視野も広い。無鉄砲なところは他の二人が止めてくれるでしょう」

 歩兵は前にしか進めない。飛車角のような機動力もないし金将銀将のように臨機応変にその場から動くこともできない。将棋で歩兵の主な役割と言えば、捨て駒や壁として用いるのがほとんどだろう。しかし、と火雨は歩の駒をひっくり返す。運用次第で歩兵は金と同等の力を得る。一兵卒でも王を取れるのだ。

「そして最後、『千田 桐矢』一撃の破壊力は間違いなく砂原隊でもトップクラスでしょう。彼自身自分の能力に対して否定的であり、創意工夫を怠っているのは非常に残念ですが。彼が今回チーム戦に参加するか、それとも個人戦を挑むかで対応が変わってきます」

 銀将を動かしながら火雨は思う。彼は、ここにきた当初の自分によく似ている。ツクモシステムにより自分の人生を強制的に変えられ、自分に近しい人間に拒絶され、心のより所を失ったまま戦場に身をおくしかない現実。困惑と怒りと、悲しみと絶望を抱きながら彼は今生きている。彼女が生きていたら、彼に笑顔で声をかけて暴力的なまでにその心のわだかまりを溶かしていくだろう。かつて自分がそうされたように。



>>第一グラウンド2・3年生ALL

1ヶ月前 No.32

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_jG9

【千田桐矢/部隊室→第一グラウンド】

菊の花が折れる程に空気が張り詰めている部隊室から、いつの間にか千田は他人事の様に移動して砂埃が舞う土のグラウンドに一人、準備体操も行わずに立ち尽くしていた。そして折り畳み式の物差しを三段警棒の如く展開した後に模擬戦まで黙って影等を潜めながら訓練開始までひっそりと孤独の中、待機する。そう言えば退室する際に八神が隊長に対し、模擬戦についての力加減を質問していた。個人的にだが特に誰がどんな意図を持って模擬戦で加減や暴走を行ってもそれに対応する余裕はない。ただ思う事と言えば、同級生達も先輩達もどんなに歪んだ感情にしろ他者を思う余裕がある事。それだけでも自分の事だけで精一杯な千田は羨ましく感じる。
そんな考えを持つ彼は今回の模擬戦も出来れば能力を長時間活用せず、直ぐにでも終わらせたい。ただし実践を想定している副隊長の言動やこれまでの動向、これまで何度か行った模擬戦からしても少しくらいのダメージでリタイアさせて貰えるとは考えられない。これなら自殺や相手を殺してしまった方が随分楽だなと千田はかなりぶっ飛んだ発想をしているが直、落ち着いた様子で徐々に砂原隊が集まり始めるであろう、乾いた土と血で塗れた第一グラウンドと言う名前の戦場に身を寄せる。
ちなみに千田の能力を活用した戦闘方法として、能力自体は事前に考えるのも嫌らしく基本的に戦闘スタイルはその場で考えたり、相手の能力に合わせたりして、臨機応変に対処すると言うスタイルをどの状況でも通している。また千田が乱雑ながら咄嗟に思い付いた能力の使い道は、防御、拘束、単純な武器化、浮遊する線に乗る、罠等。さらに線のコントロールや線の種類を切り取り線等に変える事も可能な為、これ以上にも様々な応用が出来るかもしれないと考えられるが千田は頑なに行わない。ちなみに他者の能力は今までの訓練等で見て来てはいるが彼自身は記憶出来ていない。恐らく、他者を見る余裕はないと思われる為。

「……」

そんな千田は無言でキーアイテムである物差しをじっくりと無表情で眺める。こんな人生が狂ってしまった原因である自身の能力等、地球上に存在する物で精霊と同様、トップクラスにランクインしている程に大嫌いである。だが自身が望んだ最期を過ごす為には精霊を利用した能力が絶対不可欠である事に間違いはない。だから、かなりのストレスを感じながらも能力を使用するしか無かった。しかしこの生活に慣れてからか、拒否感それに嫌悪感、ストレスはまだまだ数えきれない程溢れているが何故だが不思議とこの能力が敗北する事は一切考えなくなった。理由も根拠も何も無い。当然、あからさまに誰が見ても強力な能力でも無い。故に何故、この様な感情を抱くのかさえ彼は未だにさっぱり理解出来ない。だが妙に物差しが心強いと思う事があってしまう。
しかし千田はそんな事を考える余裕は無いと考えを切り替えながら、それぞれの個性が融合や拒絶を続ける砂原隊を慣れた様子で見守る。そんな現実と望んだ理想を比べながら。

>>周辺ALL

1ヶ月前 No.33

橘麻琴 @railgun230 ★iPhone=z0FNsBzA5m

【橘麻琴/部隊室→グラウンド】
訓練するために、その指定の服に着替えて、自身のなくてならないもの。アイテムとかも綺麗にとはお世辞でもいいにくいような、例えるなら、小学校低学年の男子がハンカチをしまってしまうあれである。
そして、『模擬戦であること』と、大体が自身のことを知ってる人が『相手』であるという意味で少し甘くみており、「おしっ」と、自身に気合いを入れては、体力的にあれだからあんま能力の使用は避けていたもののこうともなればしゃあない。だけど面白そうとは思ってはそして、『この模擬戦やってやろうじゃんか』とまでは思い
→茅野、グラウンドall

1ヶ月前 No.34

ゆーす @sable ★mvaJaf04S7_PHR

【花園瑠花/第一グラウンド】

三人の作戦会議もとい作戦発表会はなかなかの盛り上がりを見せていた。訓練とはいえ先輩方を倒すつもりで挑むと決めた以上、血気盛んな一年生が燃えるのも当然か。
入学から半年以上が経った今、自分達の力は彼らにかなり近づいてきているだろう。しかし経験は力では買えない。死地に臨んで過ごした一年という時間は、埋めようのない彼我の実力差を生み出していた。
まずはこれをカバーし、互角の勝負に持ち込まなければ勝利は望めない。そのためには堅実な動きが求められると同時に、時には彼らの意表を突くような戦術も必要不可欠。
緩急を付けたり、今まで見せたことのないパターンに持ち込んだりと、柔軟な対応をしなくてはならないだろう。

「はい、サポートは私に任せてください!頑張って攻守の繋ぎ目になりますから」

必要とあらば壁や踏み台を用意するという提案を受け入れてくれた二人に、満面の笑みで以て応える。彼女らの持ち味は一年生の中でも頭一つ抜けた戦闘能力だ。
優れた個人技は勝利を手繰り寄せてくれる。本人の性格次第では輪を乱したり大きな隙を晒したりしかねないが、この二人にはその様な問題点は見当たらないし、事実チームにとって非常に心強い存在となっている。
ならば自分がすべきは最善のサポート。戦況に応じて攻守のどちらにも力を注ぎ、いざという時には自分で攻め上がることもできる。サッカーで例えるならミッドフィールダーの様なポジションを目指していた。
いくら優秀なアタッカーでも完全に単騎で活躍できるわけではない。その点を上手くカバーできるかどうかも、先輩方は審査しておきたいに違いない。より完璧なチームに近づくために。

「茅野先輩は誰よりも早く押さえないといけませんね。自由に動かせたら全滅は免れないと思います」

そう、彼女の真の恐ろしさは、戦闘能力等の表出した要素ではない。オールラウンドプレイヤーという万能な性質に加え、敵のデータを分析し尽くし攻防の基点とする天才司令塔…それが茅野火雨副隊長。
既に能力とあらかたのスタイルを把握されている以上、彼女を敵に回しての戦闘は限りなくこちらが不利になる。そのゲームメイク力を発揮する機会を少しでも奪わなくては、一年生サイドに勝ち目はないと言えよう。
当然他のニ、三年生も得意分野こそ違えど実力者で固められている。茅野副隊長の持ち味が活かされるということは、同時に彼らの戦闘力も二倍、いや三倍に膨れ上がるということを意味するのだ。
瑠花自身も有能なゲームメイカーを目指している以上、負けられない戦いであると同時に、多くを学び取りたい試合であった。

>>鬼山地獄綿飴様、羽野つばめ様、ALL様

1ヶ月前 No.35

いちご蒸しパン☆BN0nIoLPBMCP ★iPhone=ihbupiRNe4

【流石黒曜/部隊室→第一グラウンド】

即答は意外だった。これは本当に、本気で行ってもいいと受け取ろう。
何せ自分の武器は接触と非接触を交互に、かつ高速に繰り返すが故に自身の能力にはうってつけのものなのだ。当たりどころが悪ければ鉄程度の強度の武器なら多少分厚くとも刃を当て回転させただけでも破壊を期待できる。人相手には滅多に回転鋸は使用しないが、今回は視野に入れておこう。
黒墨の挿して行った花とそれに伴うやり取りをうんうんと首を動かしそんな考えで見過ごす。話はそっちで、との事で「では先に向かいます」と一声掛け机の上のメッシュ素材の防塵マスクと滑り止め加工の施された軍手複数双を手に取り、黒墨の後を追うように外に出る。その背にかけられた一言を自分も受けつつ、本来言うべきそんなだから君は隊長はおろか副隊長にすらなれないんですよ、という嫌味を冷気と共に飲み込んだ。どうでもいい。ただ彼を「未だに自分の器量に気づけないどうでもいい存在」だと思うネタが増えただけだ。そう考えるとさらに頗るどうでもいいな。
グラウンドの土を踏みしめ、軽いストレッチで体を解す。期待されていると言われたし、やはり前線でかつこれはサポートしつつされつつと言った流れか。嫌だな、全力で駆け回りたいと逸る脳内の声を抑え、もし八神と組んだ場合の自分の動きをシミュレートする。五月蝿い武器を相方に持つのは些か同情するが、彼女の能力のおかげで不意打ちの成功率が大幅に上がる可能性がある。有難いことこの上ない。……まあ大方自分とは組まず単独で特攻かナビ役かだろうが。よろしくな、の真意を未だ把握出来ない。

来いと聞こえた声でメンバーの元に集い、煙の盤を器用なものだと見上げる。
確かに前衛2人の速さは警戒に値する。体躯に似合わない武器を持たされた自分は恐らく後手を取るだろう。防戦に至るとしても誰を攻め立ててくるかを読まなければ痛手を受ける。遠距離は花園と千田を潰せばさして問題ない。言うのは簡単だがそこに至るまでがやや難しい。いくら金より伝導がしにくいとは言え痛いものは痛い。千田は万能型、あるいは器用貧乏と捉えるべきか。しかし油断した頃に酷く効いてくる。

「羽野君と鬼山地獄君に対して私に出来る足止めは砂を巻き上げての撹乱……砂原君とダブってしまいますね。そうなると止まったところを狙う役回りですか。速見君と橘君はは距離さえ掴めれば近距離に持ち込めると思うのですが、なるほど。花園君がどう動くか、ですね。千田君は咄嗟の判断が活きるような気がします。どうせ五月蝿い武器ですし私を囮に使うのもアリと言えばアリですが」

自分の出来ることが対人だとやはり少ない。それに作戦が空回りすることも大いに有り得る。常に最悪のパターンを想定しながら立ち回り、いざとなればその場で最も取りたくない手段ですら取らなければならない。大きな怪我のないように、だが全力で。やはりこの時点で厳しいものがあったなと苦笑した。

>>ALL

1ヶ月前 No.36

唐紅 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

【黒墨 蘇鉄/グラウンド】


 皮肉の言葉も冷たい眼差しも慣れたものだ。当然だ。砂原の様な人格者が甘いと言われることはあっても非難される事などあるまい。理解している、アイツは絵に描いたような“いいヤツ”だ。
 だから――だからこそ俺様はアイツの事が性根の底から嫌いなのだろう。

 信頼と信用は違う。
 羨望と同調は違う。
 俺様はアイツ(砂原)の様に成れない。

 誰かの涙を拭うことも、誰かの絶望に寄り添うことも、俺様には出来ない。
 大嫌いだからこそ、その存在を確立させ続ける。

―――

 副隊長様のご丁寧な説明に再度乾いた拍手を送る。勉強してるなと内心で褒めつつ、理解できない部分はそのままにして相手の言葉を一切省みずポケットからメモ帳を取り出し、表紙を捲り。

「5枚――5枚だ」

 メモ帳からページを破る。白い何も描かれていない5枚のページを扇状に開き、火雨の眼前に置くように提示する。

「サポートに徹するんだったらそれ以上は使用しない。どんな状況になっても、絶対だ」

 メモ帳の総ページ数は30枚。だが模擬戦程度、しかも補助に徹するならば本気になる必要はあるまい。ただ事が終わるまで与えられた役を演じるだけだ。
 ポーズはそのまま、いつもと同じ不機嫌そうな表情で。

「俺様の能力、知ってると思うが『折り紙』だ。敵意を持った攻撃を受けない限り、『折ったもの』は俺様の管轄内だ。逆に敵意を持った攻撃ならば指に触れただけで『ただの紙』になる。無論そうなれば威力はゴミカス以下になる」

 一人、迷彩服を着ず私服のまま話を続ける。

「急襲を提案するなら人を乗せられる『飛行機』を折ろう。蚊帳の外からチョビチョビ願うんだったら『手裏剣』を、全員の鼓膜か存在をふっ飛ばしたいなら『鉄砲』を。別にそれ以外でもいいが、何を折ってほしいか言えば折ってやる。それで俺の出番は終わりだ」

>ALL

1ヶ月前 No.37

帯刀 光輝 @wurm723 ★Android=h6VFERH2hD

【帯刀 光輝/グラウンド】

着なれた私服から何時もの迷彩服に着替え終わり、今回の舞台であるグラウンドにやってきた。この迷彩服に着替えている時は何故か安心してしまう、ああ、俺はまだ生きてるぞ、と。俺はどんくさくて被弾も多いし、戦闘も強いとは言えない。それなのにまだ生きてるのは奇跡に近い。だからだろうか、この迷彩服に着替える時は俺にはまだ次があると思える。

「なんて、こんな事考えるのはいつもの俺らしくないか。…気持ち切り替えなきゃな」

何時もなら考えないような事に思わず苦笑い、こんな事よりも今回の訓練について考えよう。今回の訓練は2、3年の先輩方が相手だ、先輩方は場数も踏んでいて能力の使い方も熟知してる。当然だが先輩方に比べて自分は能力を上手く使えていない、そう考えながら服の下に入れていたキーアイテムであるペンダントに触れる。こいつが変化した両手剣、見た目も派手であまり好きではないし、何よりでかくて重い。大きさが160cmもある剣を振るうのは体力的に長期戦に向かない。そんな俺があの人たちとまともに戦うにはやはり他の皆と連携を取らなければならないだろう。どうするか考えながら周りを見渡してみると、1年女子の大体が集まっているのが見えた。きっと対策等を練っているのだろう、自分も混ざって作戦の内容を聞いておきたいが昔からああいう女子のグループに自分から話しかける、というのは苦手だ。なんというか凄い気まずい、こんな大事な訓練の時に何を考えているのかと言いたい人もいるかもしれない。しかし男子なんてそんなものである、少なくとも俺はそうだ。俺一人で行くのは辛い、他に誰か探して一緒に行って貰おう。

そう思い探してみると、一人でいる同級生と思わしき男子を見つけた。確か彼は、千田さんだったか。一度彼の戦闘を見たことがあるが、彼はとても強かったのを覚えている。いつか話しかけよう、と思っていたのだが話しかける機会を逃し続けていた。彼自身、他との関わりを持とうとしていないのか、他の人と話しているのを見たことがない。彼が共に戦ってくれればきっと心強い味方になってくれるだろう。とりあえず話しかけてみよう、千田さんの元まで歩いていき、声をかける。

「千田さん…だったよな?俺は帯刀光輝、同じ一年生だ。あっちで訓練について作戦会議してるみたいだからさ、一緒に行かないか?」

いつも通りの笑顔で千田さんに話しかける。内面は正直めちゃくちゃ緊張している、話した事の無い人物に話しかけるのは何時まで経っても慣れない。



>>千田桐矢様、ALL様



【はじめまして、絡ませて頂きました。これからよろしくお願いします!】

1ヶ月前 No.38

citrus @citrus26☆QKe2LIS7IaQ ★EKHSBXpiiF_2mP

【 グラウンド(部隊室より移動) / 速見結子 】


 「…―――――ハッ!?」


つばめら他のメンバーが続々と部隊室を後にする中、わりと本気でタルトの甘さに失神していた結子は、顔面から倒れ伏していた為に赤くなっている鼻先をごしごしと擦りながらもゆっくりと身を起こした。
几帳面な人が居るのか、床はそれほど汚れてはおらず、服に目立った汚れがついていない事を確認した結子は、部隊室の人間が一人を残してその殆どが移動している事に気付く。
その一人とは。


 『……ケーキで失神』


フッ、と珍しく笑みをこぼす(完全に鼻で笑う嘲笑なのだが)八神千尋。彼女は横目でこちらをジロリと見やると、特に何事も無くそのまま部隊室を去って行った。特にこれといった関わり合いも無かった彼女もまた、"精霊"によって運命を左右されてしまった被害者。いや、この言い方は本当に合っているのかどうか結子自身も分からないが、少なくとも家族や親友といった愛情のある関係(兄貴は、愛情と言うよりも尊敬や憧れが強かった)を長く持ったことが無い結子にとって。


 「……家族、かー」


長い、長い間。狭苦しい二畳ほどの小さな物置に軟禁され続けた自分にとっては、母親や父親は恐怖・畏怖の対象でしかなく、彼らに愛を覚える機会は一度も無かった。
あまりにも生々しく、それでいて血の繋がりのある"赤の他人"との関係は………速見結子にとっては、"無"だ。
一人取り残されてしまったせいか、または悲劇の証人の背中を見たせいか。 そんなシリアスちっくな事をグルグルと頭の中に巡らせていた結子は思い切り両頬をバシッと叩いて喝を入れ直す。
戦う理由はどうであれ、今は今を生きる。そう、今を生きることこそが、これまでの人生に対する答え。

足早に若干サイズの大きめな迷彩服を着込むと、薄暗い部隊室を抜け、砂埃舞う少し寒々とした風が吹くグラウンドへと足を踏み入れる。
一年、二・三年生に分かれてそれぞれ作戦会議を行っている様子を察した結子は、一先ず今回の模擬戦で使用する大道具を準備する。
既に両腕に嵌められている、黒を基調とした無骨な印象を与えるその篭手は彼女の為に作成された特殊な耐火仕様であり、まずはこれにマッチを擦り合わせる事からスタートする。
小さく灯った火は、まるで酸素を吹き込まれたかのようにものの数秒で轟々と燃え盛り、ガントレットが熱によって赤く燃え上がっていく。
両の拳をガチッ、と合わせると、何度かステップを踏み、独特な構えを作っていく。所詮は女子高生、基礎から作られているインファイターの先輩や同級生には真っ向勝負を仕掛けられればかなり苦しい。
ただ、それらに追いつくための努力はしている。

両腕の肘まで覆うガントレットが炎に包まれたまま、近くに居た男子二人の方へと歩み寄っていく。


 「え、と。千田くんと帯刀くん、だったっスかね? 模擬戦、よろしく頼むっス」


遠巻きに見える一年女子三人組に軽く手を振って小さく笑みを浮かべると、そのまま二人の方へと視線を移して挨拶ついでに軽く会釈する。
二人とも、深く関わり合いのある人物ではなく、ほぼ初対面の為に一先ず顔見知りになっておこう。というのが結子の考えである。


>>千田くん、帯刀くん、グラウンドの皆さん

1ヶ月前 No.39

でりSKR @sentakuari ★pl3L5xkSi4_D2H

【神支 円 / グラウンド】

火雨さんの姿は呆気無く見つかった。
御得意の煙を使った戦局示唆。将棋の盤面に準えたその喩えは成程判りやすい。
将棋のルールは知らないが駒の動きは知っている。

白く吐息を靡かせながらジッと彼女の説明を聞く。
攻めも受けも両方行ける性質ならばこちらは受けに徹するのが常套手段か。

「………足止めは、飛んで来るなら壁を置けばいいし、走って来るなら足元を不安定にすればいいって円は思うけどなー……」

ゴッ ビチチチッ!

杭を打ち下ろした地面が白く塗り潰され、30p四方の圧雪ブロックが現れる。更にそのブロックの横に同等のサイズの小さな壁が形成された。更に足元に積もった雪を踏み締め、前後に磨り動かす。摩擦抵抗の低さを物語るように滑らかに脚は滑った。
圧雪アイスバーンの脅威を冬場の事故で知った者も多いだろう。10トントラックであろうと容易く滑り飛ばす、轍のある乾いたアイスバーンの上に薄く雪や水が張っている状態で滑り止めの無いタイヤで走るスポーツカーが如何なるか等結果は眼に見えている。忽ちスリップして吹き飛んで路肩にぶつかり潰れてのたくって死ぬ。

「熱伝導率が高いってことは、冷気も伝わり易いんだ……」

敵の有利はそのまま不利にも繋がる。熱を持つ物ほど冷え易いのは既知の通り。幾ら火力があろうと雪塊を一瞬で融かせはしない。圧縮された1立方mの雪の重さは一トン近い。そんな物を一瞬で融かしきる火力を持つならそれを他の事に使用した方がマシだ。攻撃に使うにしろ防御に使うにしろ必ず数秒は隙が出来るだろう。

同様に雪が電気を通すかと言われたら、まあ微妙なところだ。不純物が混じっていない乾いた雪はほぼ絶縁体と見ても良い。ただ通電時の衝撃もあるので防げるかどうかは微妙なところだ。自分も試した事が無いのでわからない。

「その……、円は取り敢えず火雨さんを中心に皆の防衛、及び障害物形成の体で動こうかなって思ってるんだけど……、どうしたらいいかな?」

取り敢えず自分がどのように動けばいいのかを火雨さんに聞いておこう。判らない所を何時までも考えても判らない物は判らない。故に彼女に指示を求める。


>>火雨さん、周辺ALL

【如何様にも命令してあげて下さい】
【何もなければ提示したとおりに独自の判断でふわっと動き回ります】

1ヶ月前 No.40

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_jG9

【千田桐矢/第一グラウンド】

乾いた地面で無造作に並ぶ砂粒達を無情に巻き飛ばす冷たい秋風が身に染みる第一グラウンドで、千田はファー付きミリタリーコートのフードを被り、キーアイテムである物差しを右手で力強く持ち、不気味に立ち尽くしていた。彼が見る限りでは既に同級生と先輩方達のそれぞれで即席で作戦会議を展開させていた。恐らく相手の能力や味方の能力の相性等を確かめているのであろう。これにより、相手の能力を無効化や弱体化、味方の能力のサポートや強化が上手く柔軟に対応出来る。それに他者の能力との相性により能力の応用等、大きく幅を広げる事も可能。ただし千田は能力についてあまり考えたくは無いのと、特に他者の能力を用いてまで精霊討伐に困る事は現時点ではあまり無い。それに例え精霊討伐に困ったとしても特に気にする事は無い。むしろ、ようやくきっかけが出来たときっと喜ぶであろう。
すると、珍しく同級生の一人が自身の元まで笑顔で歩いて話しかけてくれる。

「千田さん…だったよな?俺は帯刀光輝、同じ一年生だ。あっちで訓練について作戦会議してるみたいだからさ、一緒に行かないか?」

千田に話しかけたのは帯刀光輝と名乗る迷彩服をきっちり着込んでいる男性。とは言っても、同じ砂原隊に所属しているのだから元より名前と姿やこれまでの活躍は既に知っている。ただし、帯刀とはあまりと言うより、今まで苦手でも嫌いでも無かったが特に話す機会が無かった為か、ほぼ初対面に近い。個人的なイメージとしては常に笑顔でフレンドリー。イメージのみだが千田とは真逆の対象を受ける。だがそんな帯刀に対してこの高校に来た当初の千田ならば失礼ながら自分の事で精一杯且つ他者に無関心の為、少なくとも好印象を受ける対応は行えない。しかし千田は不気味な無表情を覗かせながらも拒絶する様な反応を行う事は無かった。

「誘いは十分有難い。だが俺はそういうのはあまり面倒――

すると、温かい火が腕に灯っている速見が自分と帯刀に向けて話しかけてくれる。恐らく腕に宿る火は能力で出来た火であろう。正直、他者の能力も自分の能力程では無いがあまり気分が良いとは言えない。だが、かなり寒がりの千田にとっては彼女から燃え盛る熱は能力だろうが何だろうがとても心地の良い物であった。ちなみに千田は帯刀と同様に速見について、名前と姿、活躍等は理解していながら話す機会はこれまであまり無く、彼女もほぼ初対面に等しい。ただし、千田の中での彼女のイメージは桃のタルトを食して大胆に倒れる等、結構強烈にコミカルなイメージが残っている。勿論、飽く迄もイメージなので、速見やいつも笑顔な帯刀にも自身と同じ様に何か裏や悩みを抱えているかもしれないが。また意外にも速見と帯刀は反応からしてどうやら自身と同じ様にほぼ初対面らしい。とにかく、速見から挨拶されたのでこちらも普通に挨拶を返す。

「……こちらこそ宜しく頼む」

>>帯刀光輝様、速見結子様、周辺ALL


【初めまして。お二人様、絡んで下さりありがとうございます!またこちらこそこれから宜しくお願い致します!】

1ヶ月前 No.41

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

【茅野 火雨/第一グラウンド】

 ふと顔を一年生のほうへ向けると、千田の近くに人が集まっている。速見の能力だろうか、夕闇が濃くなっていくグラウンドの中あそこだけぽっと明るい。灯火に浮かび上がったもう一人の顔は、千田と同じく砂原隊では珍しい一年生男子、帯刀光輝。属性は『光』戦闘スタイルは近接戦闘を主体に、中・遠距離攻撃も可能で時には味方のサポートにも回れる。こう書けば前衛後衛を手がけるオールラウンダーのようにも取れるが、火雨は渋い顔を浮かべながら銀将の隣に歩兵を置いた。

「どっちつかずって感じなのよねぇ・・・・・・」

 彼の武器は身の丈ほどある両手剣。体が出来上がっていない帯刀では武器に振り回されている感が否めない。砂原以上の鈍足パワーファイターだ。遠距離攻撃も溜める時間や使用後の体力低下など、あくまで近接戦闘の補助といったところ。どちらにせよ他の一年と比べると見劣りはする。
 しかし、彼の人柄というか妙に人を引きつける何かを持っている。現に孤立しかけていた千田を上手くチームの輪に取り組んだ。一年のことは一年に任せるかと火雨は視線を目の前の盤上に戻す。

「この前衛コンビをいかに後衛と切り離すかですが、この役は私に任せてもらえませんか。一つ試したい策がありますので」

 はっきり言ってしまえばこの提案は余りに無茶なものだった。スピードどパワーに関して圧倒的に火雨に分が悪い。近接戦闘の土俵に上がってしまえばまず勝ち目はない。しかし紫煙をくゆらせる火雨の目には迷いがなかった。

「円、守りの要はあなたに任せる。私と円で相手の攻撃を防ぎますので、千尋と先輩方はその隙に各個撃破を狙ってください。今回は『籠城戦』相手方が攻撃主体と言うなら、こっちはじっくり守りを固めて行きましょう。あ、それと皆さん失礼」

 突然火雨が口の中の煙を全員の顔に吹きかける。煙は瞬く間にそれぞれの耳や目、鼻に入りこんだ。

『喧嘩売ってるわけじゃないですよ。作戦実行中大規模な煙幕を張る可能性もありますので、これで煙の中でも視界が確保できますし鼻呼吸すれば息もできます』

 火雨の言葉がまるで無線のように全員の頭に響く。しかし当の本人は口を一切動かしていない。煙を介しての情報伝達、さらに煙幕による情報遮断。戦の本質は情報の奪い合いという火雨の理論に基づく能力運用だった。

「それじゃ、風邪引く前にそろそろ行きましょうか」

 北から吹く風がやや強さを増していた。火雨はキセルを吹かしながら南に移動する。向かい風の向こうに一年を見据えながらそのときを待った。

>>ALL

1ヶ月前 No.42

でりSKR @sentakuari ★pl3L5xkSi4_D2H

【神支 円 / グラウンド】


「………えっと、把握」


キュコンッ!


手袋と杭が分離し、変形。無数の小さな雪の立方体が生成された。更に立方体はより小さい立方体に分割され掌の中に山となって収まった。そのまま腕を振るうと小さい雪の立方体は四方に散らばって地面に落ちる。


ヂヂヂヂヂヂッ!


着弾点から生成されたのは一辺1mの圧雪立方体。付近一帯を囲うそれは障害物であり防壁であり足場であり攻撃の起点。まったくランダムで生成されて居る為所々重なって積み上がっていたり、幅の広い防壁の様になっている所もある。

更に手元に杭を再生成し、それで地面をなぞるとそれに沿って雪の壁が盛り上がっていく。更に盛り上がった雪壁を何回か突くとそこに雪の立方体がレンガの様に積み上がって行った。一度突く度に生成される雪のブロックは宛らレゴブロックで組み立てる石垣の如く、コの字型に積み上がっていく。

「一応、円は火雨さんを何時でも守りに行ける距離には居たいなって思うけどな……あっきゃふッ!」

眼鼻口に吸いこんだ煙を一瞬気管に入れてしまいくしゃみを一つ飛ばす。今迄にも何回かこの煙は浴びているが未だに慣れない。頭の中に聞こえてくる声を聞き流しつつ、『籠城戦』に備えた。夕闇の風の冷たさは自分にとっては心地よく生温い。これから更に寒くなるのだから。

提げていた携帯水筒に口を付け、熱いオニオンコンソメスープを少量啜る。その後陣地構築作業に戻った。


>>周辺ALL

【グラウンドの一角に陣地を形成中。当方に迎撃の用意あり】

1ヶ月前 No.43

ぶり大根 @buridaikon ★4b4NVukaLH_Hja

【砂原草平/グラウンド】

『今日はよろしくお願いしたいなー……、もしかしたら砂原隊長の『それ』が必要になるかもしれないかなって円は思ったからその内声を掛けるかも……。あきゃきゃっ』

弱気ながら笑みを返す円。引っ込み思案であるが、自分と同じ様に操作系の属性を操り、確かな実力を持つ円。もっと自信を持ってもよいのにと何時も思う。

「ああ、何かあったら頼ってくれ。おっ、副隊長のお呼びだ、行こうぜ」

隊長として、頼られる事は嬉しい事だ。勿論それがプレッシャーに繋がる人間もいる。しかし、草平はそれを心の励みにするタイプである。だから隊長という任務こなせている。そして、火雨の呼びかけにより、そちらの方へと行くのだった。

「なるほどな……」

草平は顎に手を当て頷き素直に関心する。煙で出来た将棋盤に、駒を並べて説明する火雨。自分でも考えていた内容と同じ部分は、多いが、瑠花、結子、麻琴の連携までは正直頭が回っていなかった。考えてみれば、自分だって、円と協力し壁を作る事もある。1年だって、それを目にしているのだ。考えない訳はないだろう。
動画まで用い説明する火雨。その冷静さと独自の見解は群を抜くだろう。司令官という意味では、自分よりも向いているのではないかと思う。ただ、本音を言えば、煙草は控えた方がよいと考えている。

火雨は、前衛と後衛を切り離す手段を提案する。本来ならば、そういう役は自分が得意だ。特に今日は、グラウンドという事で、正攻法から、奇襲まで、思う存分戦える。

『円、守りの要はあなたに任せる。私と円で相手の攻撃を防ぎますので、千尋と先輩方はその隙に各個撃破を狙ってください。今回は『籠城戦』相手方が攻撃主体と言うなら、こっちはじっくり守りを固めて行きましょう。あ、それと皆さん失礼』

「了解だ。じゃあ俺も今日は、攻撃に回るとするよ。指揮は頼んだぞ、火雨。蘇鉄、黒曜も各個撃破でいいな?」

火雨の提案に軽く手を上げ了承し、3年生にも確認する。去年、自分も2年生で指揮を、執ったがやはり、3年に命令すのは気を使うものだ。まぁ、自分が小心者なだけで、火雨は大丈夫な気がするが……
自分はどちらかと言えば、守備の方が得意だ。しかし、今回の司令官は火雨り、当然従う。守りの要として、同学年である円を置いた。こちらの方も、主要ポジションの重要性を知るいい機会だ。そんな時、火雨に煙草の煙を纏わされ、草平は思わずむせ返る。当然の事ながら、草平は煙草を吸ったことは無い。能力だから仕方がないとは思うが、やはり倫理的に納得いかない物がある。

草平は腕時計に目を落とす。時刻は開始時間まで、あとわずかとなっていた。

「さて、そろそろ時間だ準備は良いか?」

思考で情報を伝達して、皆の顔を確認するのだった。

>>2,3 年ALL


【羽野つばめ/グラウンド】

『茅野先輩ですかぁ。確かに近付けばどうにかなりますね。それでもやっぱり、近付くのが難しかったりしますけど。……でも難しいこと避けたら勝てるのかって言われれば、そんなこと全然ありません。最難関から突破してやるぜくらいの強気さで行くのも必要な時ってありますよね。というわけでっ! 鬼さん、つばめちゃんからのお願いはしっかり引き受けました! お任せあれ。つばめちゃんの助走タイムは神にも悪魔にも精霊にも邪魔させませんよっ』

「ありがとう、綿飴!!確かに火雨先輩を自由に、させる訳に行かないからね。砂原隊の先陣組頑張ろう!!」

綿飴、瑠花、麻琴の顔を見回し、ニカッと笑う。勿論、いきなり相手の大将の首を上げるのは難しいかも知れない。しかし、やって見なくては分からない。復活した結子が合流すると、桐矢、光輝と会話しているのを見つけると、つばめは、「おーい」と声を掛けながら近づき作戦を説明した。作戦という程でもないのだが。

「取りあえず、私と綿飴で火雨先輩に先制攻撃してみるよ!!指揮系統を分断出来れば何とかなるかもしれないし。何か合ったら、フォローお願い」

結子はともかく、桐矢と、光輝はあまり会話をした事がない。しかし、一年未満とは言えここまで共に死線を潜り抜けて来た仲間なのだ。残念ながら潜り抜けられなかった同級生もいる。感受性の豊かなつばめは、大泣きしたのは覚えている。そんな、悲しみも一緒に経験してきた。

「背中は預けるからね!!」

これまでも、これからも、卒業まで共に死線を潜り抜ける仲間に対し、全幅の信頼を寄せる。信頼しなければ、信頼してもらえない。

「さて、そろそろだね!!綿飴、瑠花、麻琴、結子、桐矢、光輝、頑張ろうよ!!ファイトー!!」

まるで、円陣でも組みそうな勢いで、一人ひとりの名前を呼び、つばめは、気合いを入れるのだった。

>>1 年ALL

1ヶ月前 No.44

ぶり大根 @buridaikon ★4b4NVukaLH_Hja

【模擬戦開幕!!】

双方のチームが100メートル程の間隔を開け構える。皆その手には、様々な武器を携えている。その時が迫るにつれ、皆口数が少なくなっていく。模擬戦と言え、実戦を想定した訓練だ。下手をすれば大怪我してしまう。緊張感を持って行わなくては意味がない。

「そろそろ、開始時間だ!!」

アナログ式の腕時計を見つめながら、1年にも聞こえる様に草平は号令をかける。1800時ピッタリに、練習開始である。

「カウントを始めるぞ!!10、9……」

時計の秒針が、開始までの時間をカウントダウンする。

「3、2、1、始め!!」

やがて、秒針が12と重なり、暗闇のグラウンドで戦いの火蓋が切って落とされる。

一番最初に動いたのは、つばめだった。自称、砂原隊の切込み隊長として、この役だけは譲る事は出来なかった。
カウントが始まった辺りから、つばめは、陸上のクラウチングスタートの要領で構えていた。そして、草平の始めの「は」の字が聞こえるか否かのタイミングで、弾丸の様に飛び出す。10、20メートルとスピードに乗って駆け出し、十分にスピードが乗ると、水泳の飛び込みの様に前方に体を投げ出す。しかし、その体は地に落ちる事は無い。蒼色のダガーを両手に持ち、翼の様に広げると、滑空する。地面との距離は30センチを切っている。軽い砂埃が上がり、一気に距離を半分以上詰める。一羽のつばめが、超低空飛行で、2、3年チームに迫るのだった。

一方、2、3年陣地では……

「さてと、予想通り、つばめが突っ込んできたな」

草平は呟くと、砂で出来た戦斧を構える。今回は、攻撃という事で、斧の刃を少し小さめにし、スピード重視の仕様にする。両手で構えられた、2m近い柄の斧。刃先からは、砂が流れている。まるで砂時計の様にゆっくりと。
何時もなら、ここで砂の壁を作り、つばめの進路を妨害する所だ。しかし、今回は守備のメインは円である。しかも、今回の策は前衛と後衛の切り離し。とすれば、ある程度、呼びこまなくては意味をなさなくなる。自分の能力を出すのは策が成してからでよい。

「じゃあ、前衛と後衛の切り離しは任せたぞ。ただ、あまり無理はすんなよ、危なくなったら直ぐに呼べよ。こういう場合は隊長は真っ先に狙われるからな」

草平は火雨の肩をポンと叩く。ある程度呼び込むという事は、1年コンビと距離が近くなるという事だ。策が成し分断が成功したとしても、1年コンビを撃破しなければ意味をなさなくなる。勿論そういう対策込みの、作戦を立てているとは思う。しかし、桐矢などの不確定要素がある以上絶対とは言えない。対人戦であれば、隊長を狙うのは定石だ。自分も、去年は火雨、千尋、円には苦労させられた苦い記憶がある。心配しても仕方が無いがこれも性分である。だが、心配事が口から出そうな寸前の所で草平は止めた。

「すまん、ちょっと過保護だったな……。信頼してるよ、副隊長」

それだけ言うと、草平は斧を構え一振りする。眼鏡越しに覗く視線は1年陣地を見据えていた。
自分には、1年コンビの様なスピードは無い。性格的にも籠城戦は合っていた。そして、1年生を待ち受けるのだった。

>>ALL

【まとめ書き&遅レスすみません!!遅くなりましたが模擬戦を開始したいと思います!!】

1ヶ月前 No.45

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_WcJ

【 鬼山地獄綿飴 / 第一グラウンド 】

 やっとこさグラウンドにやって来た桐矢を作戦会議に招待しようとしたが、それより先に彼に話しかけた者たちがいたので諦める。たぶん、あっちはあっちで別口に作戦会議をしているのだろう。……ひょっとしたらただの雑談で終わっている可能性もあるが、そこら辺は大丈夫だと信じたい。
 とりあえずつばめと瑠花と綿飴の意見が「茅野先輩は早めに抑えよう」で一致。お互いがお互いのサポートをする約束もまとまり、適当な配置場所も決まった。先輩チームは先輩チームで既にフィールド魔法みたいに己の陣地を整えている者がいて、あっちも作戦会議が盛り上がっている様子だ。……こちらに桐矢というアンコントローラブルな少年がいるのと同じく、向こうにも蘇鉄という下手をすればそれ以上にアンコントローラブルな青年がいる。だから前向きに考えれば、向こうだって完璧な連携プレイはできないはず。もちろんその条件はこちらも同じで、そうなると個人の力で押さなければならない場面も出てくるだろう。ただしそうなってしまうと、組み合わせにもよるが戦闘経験の豊富な先輩たちのほうが有利。
 ……向こうの二人を相手するのにこちらは三人、みたいな感じで、数の有利を存分に行使して戦ったほうが良さそうだ。それを卑怯と詰る者はいない。なにせ自分たちが精霊相手に普段やっていること。最初の内はいたのかもしれないが、けれど戦いに変なプライドを持ち込む者はえてして死にやすい。だからまあ、そういうタイプは学校生活が過ぎれば過ぎるほど数を減らしてゆく。そして最後には、大概絶滅するのだ。入学して間も無い頃、「精霊も一匹なんだから私も一人で相手します!」と言い張って特攻を仕掛けたクラスメイトがあっさり上半身と下半身に千切れてこの世からバイバイしたのも、その光景を真正面から見た上に返り血や内臓を浴びてしまって発狂間近になった生徒がいたのも、まだ記憶に新しい。
 そんなこんなを話している内に、隊長から準備は良いかとの確認がかかる。綿飴は笑顔でサムズアップ。能天気なのではない。綿飴は普段から戦いの最中でも朗らかな笑みが絶えない女だ。余裕の現れではなく、単に精神と表情がそういう風に結びついている。桐矢たちとのざっくりとした作戦の摺合せも一応は済ませて、さあ、いよいよ模擬戦の始まりだ。元気良く「ファイトー!!」と叫ぶつばめの隣、こちらも天に拳を突き上げて「いっぱーつ!!」と続けてみる。本当はリポビタンDよりチョコラBBが好きだ。だって美容に良さそうだし。

「それでは――良い子の時間は終了です。ここから先は、悪い子になりましょう」

 いつも通りの笑顔の中で、すがめられた瞳にだけ冴えた光を灯して。隊長直々のカウントの直後。つばめが走り出したのと殆ど同じタイミングで地面を蹴り上げた綿飴は、彼女の傍に躍り出て疾走に追随する。つばめはカウント開始前から構えた状態でクラウチングスタートしたから、十中八九あちらのチームに進行方向までバレているだろう。それだけに、綿飴としても護り甲斐がある。目を光らせていたおかげか、それとも向こうは元々つばめに初撃を仕掛ける作戦ではなかったのか。つばめの滑空に至るための助走は妨害されることなく完遂され、彼女は無事に低空飛行を開始した。両手には抜き身の刃物。綿飴も並走する脚を速める。つばめに近付きすぎず、けれど離れすぎず。せっかくのスピード型があまり固まりすぎていては宝の持ち腐れだ。最初はつばめのガードに入るという言葉に偽りは無いが、だからといってそれだけに徹するつもりも無かった。複数のことを同時にこなせるだけのポテンシャルが無ければ、先輩たちには一矢報いることさえできまい。ゆえにつばめの飛行進路に出現するであろう障害物を蹴り砕く作業も、自分自身に向かってくる攻撃に対する迎撃や回避も、相手チームの隙を見つけて積極的に仕掛けて行く攻撃も、どれもサボる気は皆無。だからといって欲張り過ぎないようにも気を付けて――さあ、今日も戦場を舞う蝶々になろう!

>羽野つばめ様&花園瑠花様&ALL様

【場面転換につきぶつ切り気味です、失礼いたします!】

1ヶ月前 No.46

ゆーす @sable ★mvaJaf04S7_PHR

【花園瑠花/第一グラウンド】

三人で作戦会議に花を咲かせていると、砂原隊長からまもなく訓練開始との合図が出された。一旦会話を切り上げ、瑠花も戦闘に備える。能力のテストをするとそれだけ体力を消耗してしまうため、屈伸や伸脚といったベタな準備運動で済ませる。
それだけでも身体はそこそこほぐれ、寒い冬の夜でも柔軟に動ける程度には温まってきた。そう、全ては柔軟に。身のこなしも、個人技も、状況に応じたサポートも。
先輩方の布陣を見るに狙いは『護り』。攻撃的な面子の揃った一年坊に対し、経験則に基づいた守りを以て対抗するつもりのようだ。一対一で戦うのは容易いことだが、揃って受けに回られたのでは突破は困難を極める。
それは恐らくつばめと綿飴の二人にとっても同じこと。ならば自分がすべきは…瑠花の中で大方の方針が決まった。

「皆さん、上がりましょう!」

砂原隊長の「始め!」の合図と共に前方へ駆け出す。向こうが守備に重きを置くというのなら、こっちは一年生全員で攻め立てるのみ。格上の相手に対して集団プレーが有効というのはスポーツで学んでいる。
そして今回瑠花が務めるのは攻守の繋ぎという重要なポジションの一つ。難しいし今の自分に完遂できるかはわからないが、挑戦してみる価値は十分にある。
前を走る二人には適わないものの、運動の経験が豊富なためそれなりに足が速い。後方に付く形で二人を追いかけ、三角形を描くような布陣で突入する。

「サポートは任せてください。攻守の切り替わりは私が繋ぎます」

スピードを維持しつつ先輩方が待ち構える雪の要塞に迫る。

>>鬼山地獄綿飴様、羽野つばめ様、ALL様

1ヶ月前 No.47

唐紅 @karakure ★WfkdFvXBLL_mgE

【黒墨 蘇鉄/第一グラウンド】


 ここまで綺麗に無視されると逆に清々しい。
 わざわざ俺様が、こちらから協力してやろうと言ってやっているのに蔑ろにされるこのやるせなさ。
 不愉快極まりない、顔はいつも不機嫌そうな面ゆえ誰も怒りを理解しないだろう。別に理解してほしいわけでは無い。
 内心で砂原以外の全員に『死ね』と吐きつつ、一人2年3年から横に約5メートル離れた場所に移動する。地面に膝をつけ太腿の上で折り紙を折り始める。破ったページの内、使用するは3枚。残り2枚は半分に折った状態でポケットに突っ込んでおく。

 寒風が頬を撫でる中、砂原の合図を機に模擬戦が開始するが緊張感なぞ皆無。
 最悪両手を挙げて降参すればいい程度にしか考えていない。だが、ただ何の抵抗もせずやられるのは癪極まりない。舐められるのは一番嫌いだ。いや、一番でも無いが嫌いだ。

 自身の判断で既に折ったのは『鉄砲』を2つ、『飛行機』を1つ。
 右手の人差し指と中指で挟んでいた『飛行機』をまるで投げキッスの様に空へと放つ。
 それは風に乗り先に誰も何もいない虚空へと飛んでいく。ゆっくり、ゆっくり、水平に空を翔るそれを見送った後、左手の指で挟んでいるは2つの『鉄砲』。『折り紙で折ったもの』のサイズは自分の意思で調節が可能。時間も一瞬。今はかなり小さいが、それこそ敵(1年)が自身に接近しようものなら即座に自身の体格を超える大きさまで肥大化し、常人ならば吹き飛ぶ程の衝撃波を放つ『鉄砲』と化す。空中を緩やかに飛ぶ飛行機も意思一つで方向を変え、肉を抉る槍と化す。

 籠城戦は即ち迎撃戦。ならば仕掛けやすいように餌を用意するのが常。
 わざわざ餌を用意せずとも、あちら(1年)が仕掛けないことにこの模擬戦は終わらないが人参があった方が駆けやすいだろう。
 徐にその場で寝転ぶ。地面で服が汚れるなど一切気にせず、頬杖を突きながら1年の動向を見守る。自身に近寄れば『鉄砲』を使用する準備は出来ている。

>ALL

1ヶ月前 No.48

帯刀 光輝 @wurm723 ★Android=h6VFERH2hD

【帯刀 光輝/グラウンド】


「誘いは十分有難い。だが俺はそういうのはあまり面倒──

「え、と。千田くんと帯刀くん、だったっスかね?模擬戦、よろしく頼むっス」


思っていたよりも千田さんの反応は悪くなく、普通に此方の言葉に返事をしてくれた。それが何故か嬉しく思えて、思わず笑みを浮かべた。後は彼の返答を待つだけ、と言った所で同じ一年生である速見さんが声をかけてきた。そういえば、確か彼女もまだ話した事のない人物の一人だ。一目見て驚いたのは腕に着けている、肘まで覆うほどのガントレットが燃えていることだ。確実に能力だろうが、熱くは無いのだろうか。能力を発動していても持ち運びがしやすいものを見ると少し羨ましく思ってしまう。いや、充分ガントレットも重いだろうが。

「おう!よろしくな!えっと…速見さん、だよな?」

千田さんの後に速見さんの挨拶に返事を返しながら、一応名前が合っているのか確認を取っておく。こういう初対面の相手と話すとき、自分の誰にでも臆せず話せるというのは役に立つ。周りを見てみると一年生も上級生も準備を進めている様で、能力を発動させている人も少なくなかった。自分も発動させておいた方が良いだろうか?そんなことを考えていれば後ろの方で大きな音を立てて雪の壁が発生していた。恐らく先輩方の誰かの能力だろう、といっても出来るのは一人しか居ないだろうが。

「とりあえず、先輩方に対して一人で挑まないようにしたいよなー。確実に押し負ける気がする」

少し苦笑いで手練れしか居ない上級生の面々を頭に浮かべた。さて、そろそろ自分も準備をしておこう。二人に「ちょっとごめんな」と言って三歩ほど下がりペンダントを武器である派手な両手剣に変える。するとズドン!と大きな音を立てて両手剣がグラウンド深々と突き刺さった。ため息をつきながら突き刺さった両手剣の持ち手を両手で掴み思いきり引き抜くと、少し不安だったが両手剣は無事に地面から抜けた。そのあとはいつも通り軽く能力を使ってみる、両手剣を眩しくないようにほんの少し光らせるのだ。たまに力加減を間違えて数秒目が見えなくなるほどに光らせる事があるので今のうちに調整をしておく。そんな事をしていると、羽野さんが自分達の方へとやってきて一番聞いておきたかった作戦について話してくれた。今回は接近戦に向いている人たちが多いようなので、自分は補助に回った方がいいのかもしれない。

そうこうしているうちに、訓練開始まであと一分を切っていた。開始前にレーザーを放つために溜めておく、こうやって予め溜めておけば咄嗟の時に放つことが出来て便利なのだ。砂原先輩がカウントダウンを始めると同時にレーザーが放てる状態になったのを確認、急いでサングラスをかけた。そしてついに訓練が開始、それと同時に羽野さんと鬼山地獄さんがかなりの速さで敵陣地まで向かっていく、それに合わせて剣を地面に突き刺して固定。

「全光束、照度、光度、輝度…全調整完了。…皆、出来るだけこっち向くなよ!眩しさで目が開けられなくなるからな!」

行おうとしているのは勿論光の放出、光の向きを敵陣地に、仲間が自分の方に向かなければ被害が無いように調整した。これから放つのは見てしまえば相手の視界を数秒間確実に使い物にならなくする眩しい光。ちゃんと後遺症等が残らないようにしてあるが、念のため大きな声を出して周りの仲間に注意を促しておく。そして剣から敵陣地に向かって放たれる光、上手く行くといいのだが。



>>千田桐矢様、速見結子様、ALL様

1ヶ月前 No.49

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

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1ヶ月前 No.50

でりSKR @sentakuari ★pl3L5xkSi4_D2H

【神支 円 / グラウンド】


「ドロ甘」


戦闘が始まるや否や予想通りの突っ込み様だ。見てて清々する。
既に陣地の構築を終えて戦線に出ていた自分に迫る飛車と角行。


『円、前衛の二人を私の真ん前に誘導するように障害物を置いてくれないかしら。”壊しやすいように緩く作って“その後分断用の壁も作るからそのつもりで』


自分から動く事を苦手とする自分にとってこの煙の通信と彼女の指示は実際有り難い。他のメンバーも攻撃を開始して居る。突如の突風が吉と出たか凶と出たか。相手にとっては追い風だろう。……相手の勢いを利用しない手立てはない。

「把握。今ある分も含めると……、これをこうして、こう」


パキンッ


手元の杭を半分に折り砕き、それぞれをつばめと綿飴の方に投げ飛ばす。
地面で一度跳ねたそれは空中で急速成長。楔形の障壁と化した。

力を平面で受け止めれば砕け散る、ならば角と斜面で迎え撃てばいいのだ。相手を弾丸に喩え、雪の壁を装甲と考えたとき、装甲の厚みと入射角の関係によっては相手の攻撃を『滑らせ弾く』事もある。厚さ100mmの装甲版を斜め60度に傾けた時、真正面から来る弾丸に対し実質200oの傾斜装甲で迎え撃つ事が出来る。だが相手は人間だ。足を踏ん張ったり風を使ったりして軌道を変える事も出来るだろう。

だがそこの摩擦係数が低ければ、踏ん張る足も滑るだけ。もしも割り砕こうと試みたとして、コンクリートの角に足の小指をぶつけるが如く。更にマイナス数十度の低温持雪に地肌が触れたとしてどうなる事か。


ガゴゴゴゴゴゴンッ!


更に手元で生成した雪玉をばら撒きつけた箇所に拒馬が生え伸びる。
これは無数の杭が相手に向けて突き出ているいわば突撃防止用のバリケード。
細かい形状指定ができない以上その姿は前斜上方へ向けて乱杭歯の如く乱立する氷柱にも見える。飛び越えるにしても避けるにしても、細心の注意を引かねばなるまい。ただ、普通の壁よりは強度が劣る。だがそれも『壊しやすさ』を顧みた際コレが一番適当では無いかと考えた結果であり、楔形の雪壁と合わせて前衛の二人と後に続いて来そうな者を火雨さんの下へ誘導する、元からある圧雪立方体と組み合わせた、斑で歪で穴だらけの様な漏斗型の囲いだ。


その後『分断用』と聞いてピンと来た。今の内にあのコ型の雪垣を構えて置こう。



>>相手前衛、火雨さん

1ヶ月前 No.51

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_jG9

【千田桐矢/第一グラウンド】

普通の人間ならば、近くに寄るだけでかなり熱いのであろう速見が出すガントレットの炎も極度の寒がりの千田ならば適温であり十分心地が良い。ただし、自身の手に握られている物差しは折り畳みながらも展開されるとかなり長くそれでいて木製なので炎に少し触れるだけでも結構燃えてしまうであろう。その為、一旦地面にゴミを捨てるくらいの要領で物差しを適当に置いてしまう。
そしてそんなぶっきらぼうながらも速見に普通の挨拶を返した千田に続いて、帯刀も速見にいつも通りの笑顔でやはり初対面と思わしき挨拶を行う。二人が初対面だと言うのは今までは言動に対する予想であったが今回の挨拶でそれが確信へと変わった。
すると、挨拶を行っていた帯刀は他の女子が集まっている同級生や緊迫した空気が流れる先輩が集まっているグループをそれぞれで確認し始める。千田は同級生達も先輩達も恐らく大体は作戦会議や能力の確認を行っているのであろう。それがいかに重要なのかは分かっているつもりだが、それでも彼は自分や他者の能力に関して、僅かでも考えたくは無かった。
すると、自身の付近に立っていた帯刀は先輩達の真剣そのものな作戦会議を見たからなのかは分からないが随分と弱気な発言を呟きながらも、三歩ほど下がると能力を発動したのか突如として何処かのキーアイテムが派手でとても重そうな両手剣へ姿を変え、その剣を僅かに発光させていく。その様子を千田は見て、地面に落としていた物差しを再び手に取り模擬戦が始まるまでずっと影を潜めていく。
また自分達とは別の同級生グループの一人であったこれまたほぼ初対面であった羽野から「おーい」と話しかけられながらこちらに近づいて、速見と帯刀と共に作戦を伝えられていく。

「取りあえず、私と綿飴で火雨先輩に先制攻撃してみるよ!!指揮系統を分断出来れば何とかなるかもしれないし。何か合ったら、フォローお願い」

こうして他の人に作戦を教えてくれるのは有難いが、千田は作戦に参加した覚えはないので特に関係は無い。と言うよりもそんな余裕は無い。そんな事を考えていると、遂に隊長が10秒前から模擬戦へのカウントダウンを数え始める。そして模擬戦が開戦されたのと同時に先程の作戦通りに羽野と彼女も羽野と同じくほぼ初対面であろう鬼山地獄が敵地まで駆け抜けていく。そしてその後ろに羽野と鬼山地獄と作戦を建てていた花園が三角の陣形を取りながら走って行く。そして後方から放たれる溢れるばかりの光。恐らくは帯刀が地面に突き刺していた両手剣の光であろう。そして同時に敵地を覆い隠す様に姿を現す煙。
その様子を見ながら千田は持っていた物差しをまるでキャンバスに絵を描く筆の様に空中にゆっくりとなぞり、空から一筋の線を生みだす。

「……」

そして千田は咄嗟に何かを思い付き、その物差しで、自身の前後にて縦と横にいくつも壁の如く、設置された太線とその太線に張り付ける細くて長い線を空間から生み出す。さらに細長い線を太線に張り付け、その細長い線を風船の糸の如く握っておく。
その後、何があるか分からないが煙の方へ全く気にする事無く一直線で近づいていく。ちなみに前後の設置した線は煙の中で何か障害物や罠があった場合に付き、接触すると反応を起こし細長い糸に伝わって千田に障害物や罠がある事を示してくれている。さらに設置された多くの太線は本物の壁の役割を果たしており、能力に干渉した攻撃や線と線の間をすり抜ける様な緻密な攻撃で無ければ壊す事は不可。

「……一刻も早く終わらせないとな」

そう呟きながら、第一グラウンドと言う名前の戦場にて千田は能力を使用しているからなのか、かなりストレスが溜まっており苛立っていた。

>>帯刀光輝様、速見結子様、周辺ALL

1ヶ月前 No.52

橘麻琴 @railgun230 ★iPhone=z0FNsBzA5m

【橘麻琴/グラウンド】
「とりま。こっちも遠慮なくガンガン行くか。」
充電器と電池を左手に忍ばせ、それらはもちろん攻撃時までは見せないつもりだ。いや、見せたら意味がないなと、思いつつ、燕の「ファイト」に対しては「オー」と、一言返して、自分の『やり方』でいこうと思いつつもし自身の体力と勝つことを天秤にかけてを測ってみたらやはり体力は犠牲に勝利を掴みたい。いくら、模擬といえど「勝負は勝負」であるし、と、いったとこか。うまくいけば二、三年の先輩相手に勝利をつかめるのだが、自分の体力が尽きるのが先か先輩がたから一本取ることが先か。と、思いつつ雷を全体に行くように落とすがこの際、二、三年生の誰にやるとかは関係ない。兎にも角にも目的は『勝てれば誰であろうといい』みたいなかんじであり
→つばめ、all

1ヶ月前 No.53
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