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妖と12人の怜悧な人々(参加者様ホシィ!)

 ( オリジナルなりきり )
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【妖怪×戦闘×青春×殺伐×日常】 @kino10 ★EHAKMvHTHQ_jmr

このお話の脇役、猫田是清は考えていた。


「そろそろ自分は殺されてしまうかもしれない」


……突然物騒な話で恐縮だが、彼がそう思うのには理由がある(彼がネガティブな性格であることとかとは関係なく)。

その理由は、彼が日夜『妖怪』と戦っているからだ。

じゃあ彼は妖怪に襲われて殺されることに怯えているのか?


違う。

彼は仕事に殺されようとしていた。


彼の仕事は税理士であり『霊理士』。

前者の説明はするまでもないが、後者の職業については説明が必要であろう。

霊理士とは、陰の世界で日常を脅かす妖怪達を倒し、制御する人々のことだ。


猫田是清は、朝昼夜は税理士として顧客の相談に乗り決算書とにらめっこする傍ら、深夜は妖怪を退治して回っている。

彼は度重なる過労に殺されようとしていた。



【興味がある方はサブ記事へどうぞ!】

メモ2017/12/05 01:04 : 主 @kino10★ccZgXX84ei_c1Z

@お知らせ

 (1)参加希望者様へ(2017/10/14/03:46 更新)

   下記サブ記事参照の上、Bで募集キャラチェック後、参加申請をお願いします。

   http://mb2.jp/_subnro/15631.html-1

   http://mb2.jp/_subnro/15631.html-2

   http://mb2.jp/_subnro/15631.html-3

   http://mb2.jp/_subnro/15631.html-4

   http://mb2.jp/_subnro/15631.html-5

   上記参照後、Aで現段階までの簡単な流れやBのキャラクタープロフィールを把握していただけると参加しやすいと思います。何かご質問等あれば、遠慮なくサブ記事や主のマイページで仰ってください。


 (2)キャラリセ対象者の方へ(2017/11/02〜11/08実施の件)

   対象者の方(主にリセットの自己申告をした以外の方)は、再度参加の旨を伝えていただければ、元の枠に他の方が入っていない限り、再参加可能です。


Aメイン記事の流れ

 (1)第一章「選ばれし者達」

    猫田是清を筆頭とする天上界の遣いによって、西東京檜原村の合宿所にて数人の選ばれし者が選抜される最中、妖怪と人間の混合極道組織「煉獄会」の急襲を受ける。これをなんとか返り討ちにし、選ばれし者達は無事、霊理士に着任することとなった。


   第二章「幕開け」

    合宿所での一件から数日。天上界は新たな選ばれし者の発掘と「煉獄会」急襲に乗り出した。その時、霊理士と霊獣たちは……。


 (2)第二章のルート

   @枯れた庭園……猫田是清の私用で、合宿所で用いられた「怨玉」の怨念の発生源に向かう。

    参加者:猫田是清・根倉胡庵・砂卯月空瑠璃

   AVS煉獄会……天上界の命により、妖怪と人間の混交極道組織「煉獄会」を威力偵察(or殲滅)へ。

    参加者:茨新田葉巻・戌井狗哉

   B新人発掘……猫田是清の同僚、山鳴八房によるちょっと強引な新人勧誘。

    参加者:山鳴八房・十文字清春・桐生竹寅・龍王寺珠・播磨竜胆

   Cその他……(自由行動)

    参加者:酉ノ市紫泥・閃輝


…続きを読む(24行)

切替: メイン記事(262) サブ記事 (284) ページ: 1 2 3 4


 
 

@kino10 ★ccZgXX84ei_c1Z

【 都内某所 / 十文字清春 】


「お疲れっす。十文字です。山鳴さんに言われた通り、『桐生竹寅』と『龍王寺珠』ピックアップしました。あ、寝てますよ二人とも。今車で移動中っす。所見ですか?うーん……『桐生竹寅』の方は霊力・体力共に抜群って感じですけど、霊功で意識奪うのは余裕でした。龍王寺珠は前情報通りガタイはちんまかったんで余裕かなと思ったんですけど、桐生竹寅とは逆に呪術系の耐性強くて混沌させるのにかなり苦労しましたわ。」

十文字清春。鬼に愛された青年。過去に清春に救われ、現在天上界非公認で霊理士業を行いつつ是清の事務所でバイトをしている。
現在、絶賛非公認霊理士業中であり、帰宅途中の選ばれし者達二人を霊功で混沌させ、ワンボックスで拉致っている最中である。目的地は山鳴八房の待つお台場の倉庫街。

「今レインボーブリッジなんで、10分くらい?で着くと思います。到着したらまた電話しますんで。はい。失礼します。……山鳴さんの感じで倉庫街で、しかも拉致って……。」

電話を切った後、世の平和のためと言えど自分が行っている行為に若干の疑問を抱く十文字であったが、はぁ…と一度溜息をつくことで気持ちを切り替えていく。
十文字の直系の先輩は猫田是清であるが、是清の同僚である山鳴八房とも付き合いがあり、十文字はこうしてヘルプを任せられることが多々ある。今回は是清と八房相互からの依頼。是清に比べ八房の方が人使いと依頼の内容が「ヤバい」ので毎回仕事に八房が絡むとなると十文字は何を言い渡されるか戦々恐々とする。

「あ、そーいやキヨさんの出張のチケットとってねえ!胡庵さんにぶっ飛ばされる前にやっちまわねーと。……もしもし?えーと、『軽井沢』行きの新幹線なんですけど予約って……え?ネット予約?いや電話でしたいんですけど。」


【ということでお二方のご配慮に沿って、恐縮ながら勝手にロル回させていただきました。若干強引で、しかも霊的なスキルも勝手に付け加えてしまっている部分もあるので、もし変更してほしい点があった場合仰っていただければと思います。>>YY様、キープ様

電話の相手は言わずもがなですが八房ですが、修行本格始動までのつなぎ的な文章ですので対応していただかずとも大丈夫です。>>Doubt様

この後の展開に関してはお三方(場合によっては追加参入もありますが)に丸投げしてもよろしいでしょうか。一応、こちら側で設置させていただいた舞台としましては、『八房の待つお台場の倉庫街』となります。もし他に何かご要望がありましたら仰ってください。
スタートは多分、既に倉庫街に到着して二人が目を覚ますのを待つ状況(又は覚ましたところ)からになると思います。
十文字に関しては、呼び留めるようなレスをしていただければ倉庫街に残してBに参加させます。>>Doubt様、YY様、キープ様

十文字のプロフは後ほどサブ記事にあげます。>>ALL】

2ヶ月前 No.201

@kino10 ★ccZgXX84ei_c1Z

【 上野駅、北陸新幹線「やばめ」車内デッキ / 猫田是清 】

是清は、例の「枯れた庭の邸宅」に向かうため新幹線で「軽井沢」へ向かっていた。
今回そこへ向かう理由は霊理士としての任務でもなければ税理士としての仕事でもない。後輩の十文字には遠出の理由を「出張」と言ってあるが、その実は是清のオフにおける私用であった。
合宿所で怨玉から溢れる怨念を除去する際、その怨念と直に向き合って以来是清は怨念の発生源となっていたであろう人の思いを捨て置くことが出来ていなかった。
それは言ってしまえば面識があるわけでもないただの赤の他人の思いであり、例え当事者の心と直に向き合ってしまったとしても、ああそうかと受け流してしまえば済むような事象である。しかしそれを受け流せないでいのが極度の「気にしい」の猫田是清であり、久々に寝て過ごせる休日を棒に振ってしまったのは紛れもない彼自身のせいである。

「はい、そこは依頼票にあった通りです。構成員の数は不明ですが、幹部が苦露川を合わせて4人。組長もその時間帯に事務所にいるはずです。今回の任務は威力偵察ですが、場合によっては潰してしまっても構わないという指令が出ています……。ええ……。ありがとうございます。助かります。葉巻さんもお気をつけて。はい。はい。では失礼します。」

デッキに移動し電話をしていた相手は、合宿所での戦闘の際世話になった先輩霊理士の茨新田葉巻である。
度々人間界で事件を起こし、前回の選ばれし者達のリクルートにおいても邪魔建てしてきた上野のヤクザ組織「煉獄会」。その煉獄会へのカチコミの任務のお鉢が今回、先輩霊理士の葉巻を筆頭に、新人霊理士の選ばれし者達にも回ってきたということで、任務のインチャージになるであろう葉巻と、是清は連絡をとっていた。
電話をした一番の理由であるところの後輩霊理士を心配する気持ちをうまく伝えることが出来ず、取り留めのない事実確認等を行うに留まってしまっていたところ、葉巻から「要するに後輩が心配だからよろしく頼むってことでしょ?」という旨の返事を返され、葉巻への信頼感に妙に腹落ちした是清は安心して通話を切れって自席へ戻る。

「ごめんごめん。お弁当食べようか。」


>>ますたぁ様、紫様


【と、いうことで@の方は本格始動です。サブ記事で申し上げた通り今回は具体的な節立てをすることはしませんが、とりあえず最初は車内⇒邸宅到着かなと考えていますのでよろしくお願いします。要望等ありましたらいつでも仰ってくださいね。>>ますたぁ様、紫様

空瑠璃を付けたor付いてきた理由を特にこちらで述べていませんので、描写していただけると助かります。>>紫様】

2ヶ月前 No.202

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

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2ヶ月前 No.203

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

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2ヶ月前 No.204

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_IZy

【戌井狗哉/高田馬場駅・早稲田口→鶯谷駅前】

どんなに駆除する対象である下衆でもどんなに害を与えている害獣でも誰でも一度は信じて優しく受け入れると言う人間、霊獣、全ての生命体が持つべき理想の姿と戌井は考えている慈悲深き素晴らしい土地、いや神々しささえ感じられる聖域と言える東京。そんな聖域を襲ってしまおう等と言う身の程知らずな悪事でも企んでいるであろう猫田が率いる悪の組織特有の醜い企みを邪魔するべく、東京を守護する選ばれし者に認められた戌井は高田馬場での完璧な害虫駆除、そして他の選ばれし者が守護する土地への進出に拳に血が滲む程に力を入れながら、猫田の仕事を阻止する方法を太陽が音も無く沈む夕暮れを背に神妙な顔付きで考えていた。その為、高田馬場での害虫駆除に夢中だったのか、悪の組織を裏で操っていると見た天上界と言う謎の組織から東京の選ばれし者として今日の夕方から夜の間にあの東京を汚そうとしているらしい煉獄会への威力体裁、と言う任務が通達されていたのをすっかり忘れてしまっていた。しかし高田馬場を守護すべき戌井は一瞬悪の組織の任務の為にわざわざ高田馬場を空ける事に悩んだが、東京に出来た下衆をそのまま見逃す訳にもいかない為、任務を実行する事に。しかしその任務だが、どうやら戌井一人だけの仕事では無くどうやら他の霊理士も参加予定らしい。それも先輩らしく、この任務のチームリーダーとして一緒に行動する予定との事。

「はあ……こんな下衆討伐なんて僕一人で十分。むしろその先輩面した霊理士とやらがこの僕の足手纏いにならないと良いけど。それに東京を一番に愛しているであろう僕が何故かチームリーダーじゃないって言うのも腹立たしい事この上無いね……」

そんな失礼な事を普通に呟きながら、チンピラが血を流して眠る高田馬場駅前で軽く準備体操を行い既に捨ててしまった先輩霊理士に関しての資料を僅かに思い出しながら、共に煉獄会殲滅を行うその霊理士について頭の中で考え始める。

(名前は確か茨新田葉巻。別に東京の貢献に役立つ事では無いから名前なんて覚える気は特に無かったんだけど……)

すると、十分準備体操を済ませた戌井は霊力を足に集中して人々からは速過ぎて彼の一切が見えない程に素早い高速移動を始める。ただし、肉離れを起こさない様に普通の人間に分からないが徐々に足の速度を上げている様に心掛けている。ただし戌井は霊力により防御力も上昇している為、肉離れ自体は起こる事は少ない。とはいえ、全く無いとは言えないので怪我の可能性が示唆させる限りは戌井はいつでも東京に貢献出来る様に気を付けている。直、これも動体視力自体は元の人間時と変わらない為、コントロールがかなり難しく建物等に接触事故が起こりそうな時はある。しかしそれでも戌井のテリトリーである高田馬場から煉獄界とか言う下衆の巣窟と化してている鶯谷からは電車で約20分だが、彼なら徒歩でスタミナ不足が故の休憩やトラブルを入れても約10分で鶯谷へ到着出来る。またコントロール不足から正直、走っている最中に一切の余裕は無く都会を疾走する事に感覚を研ぎ澄ましてかなり集中しなければならない。
しかし今回はどうしても集中する事は叶わなかった。その理由は戌井が彼女に対して東京において害か、害で無いかと言う随分と狂った判断を行っていた際、茨新田が着用している格好がどう足掻いても気に喰わなかった為。
特に他者のファッションについては全く興味は無く、別にどの様なセンスだろうが東京のイメージさえ損なわなければ特に至って問題は無い。まあ、見た目から人を不快に与え、自らの評価下げている様な印象を出してしまっている人物はまず無害、有害以前に人間として生物として絶対的に有り得ないとしか言いようが無いが。
そして茨新田は仮にもそんな有り得ない害獣が屯っている悪の組織だとしても表面上だけは聖域である東京を守護すると言う大事な任務を任されている霊理士。身嗜みは常に東京を守護する者と言う意識を持って、選ばれし者に相応しい格好を行うべきである。それに自分よりも先輩と名乗るのであれば、自分以上にかなりの身嗜みを大切にするべき。そうでなければ、同じ東京を守護する者として恥さえ覚えてしまうだろう。東京を守護する霊理士を名乗るのであれば、個性を自己主張させて東京の治安を無闇に乱す様なファッションを着用する事はまずほとんど有り得ない。
それなのに彼女、茨新田が着用している格好はなんとロリィタファッションと呼ばれる容姿で東京を過ごしている。そのファッションが見た目が害虫を彷彿する訳では無いのでTPOや街の世界観に合っていれば特に問題は無いと言えよう。ましてや実際ロリィタファッションが似合ってしまう奇抜さが売りでこれはこれで治安が悪くならなければ東京らしさがある渋谷等の世界観には合っているかもしれない。ただし、彼女は霊理士。即ち、東京を守護する者にロリィタ等と言う個性は不要である。しかもあの格好でどうやら年齢は32歳で夫や子供等家族がいるらしい。それにはもう戌井は怒りを通り越して呆れるしか無かった。

「どうやら僕が霊理士としての意識が低い彼女を更生させてあげないと駄目みたいだね……」

そう呟いた直後、今回もロリィタファッションに身を包んでいるだろう茨新田と待ち合わせている鶯谷の駅前に到着する。そして戌井の目の前には彼自身の想像力を遥かに超えたこの現実世界においてどの様な状況でも決してTPOは決して十分に発揮される事はほとんどない、もはや彼女にとって現実世界は狭すぎるのかと思わせる程のロリィタファッションを着込んでいた少女が美味しそうに飴を舐めていた。
恐らく彼女が茨新田であろうがなかろうが東京と言う価値観から外れた格好に戌井は彼女に注意するべき状況で驚愕せずにはいられなかった。

「なんだろな……何がどう歪んだらこんなに個性を主張したがるのか逆に知りたいよ」

そう飴を舐めている茨新田にも伝わる様に戌井は彼女の少し正面から驚きつつもしっかり呆れながら呟く。

>>鶯谷駅前ALL

2ヶ月前 No.205

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 茨新田葉巻 / 鶯谷・駅前→煉獄会の事務所に向かう道のり 】

「遅刻しといて謝罪も無しに初対面の相手にいちゃもん付けるんも十分に歪んだ個性の主張やで、坊。二分のタイムロスや。ほな、さっさと行こか」

 飴を飲み込み、懐中時計で現在時刻をチェックした後、腰掛けていたキャリーケースから飛び降りて早速この場を離れんと歩き出す。お互い最低限の資料は受け取っているのだ、今さらの自己紹介も必要あるまい。……それにしても、戌井狗哉が思ったよりテンション低めの面倒臭くなさそうな少年で助かった。頭はおかしいが、口の悪さが然程でなければ何を言われようと適当にいなせる。初対面からいきなり怒鳴り散らしてくるタイプのやかましいキチガイなら、こちらも精神レベルを同ランク付近にまで落とし「おぉ、なんや苛立っとんなぁ。生理か? 興奮しすぎて血でパンツびしょびしょになる前に、待っといたるからそこの公衆便所でナプキン付けてきぃ」とでものたまってポーチから取り出した生理用ナプキンを相手の足元に投げ捨てる予定だった。初っ端の煽りとしては中々のものだろう。けれど人間性を疑われたい嗜好や願望など葉巻には存在しないので、やらずに済むならそれに越したことはない。
 声を掛けはしたものの、相手が自分と一緒に行動したくないと主張する場合は好きにしろと目も合わせずに手だけ振って別れる予定だ。だから極論、ついてこないならついてこないで別に構わない。葉巻には何の問題も責任も生じないのだし。上層部に意見を仰いだって、ここで狗哉に先輩たる己の意見を聞かせるための努力に時間を消費するくらいなら、さっさと優先されるべき任務のほうを果たせと言うはずだ。葉巻もそう思っているから、狗哉の行動を強制はしない。というか、事前に是清が狗哉を心配する素振りさえ見せていなければ、集合時刻から二分遅れて来た時点で待たずに彼を置いて行っただろう。だって失礼には失礼で返すのが葉巻の流儀だ。

「充たしたいのよ 五臓六腑まで染みわたつてよ 留度ないのう 酔へる物なら 皆呑ませておくれ もの足りないのう」

 話しかけてもどうせウザ絡みしかしてこないことを知っているから、会話ではなく小さな声で歌を口ずさむという形で移動中の暇を消化する。椎名林檎は良い。自分のソプラノボイスだとあのドスの効いた歌声が上手に再現できないが、まあ、カラオケで92点くらいなら取れる程度の完成度だとは自負している。100点は無理だ。地声で出せる音の振り幅があの歌手と己とでは大いに異なっている。低すぎてどうしても完璧な音程では歌え切れない箇所があって、だからこそのマイナス8点だ。こういう歌はむしろ娘たちのほうが上手い。

「眠りたいのよ 生きてゐることも 忘れたいのよ 忙しないのう 狸寝入りを 照らさないでおくれ うらめしや」

 歌に合わせて進む足取りは軽い。こんな有様を見て、後ろの新米くんはまた眉を顰めているかもしれない。これから仕事に行くのにその振る舞いは何だと。が、葉巻に言わせれば大事な仕事の前に無駄に緊張感を持つなど自分を委縮させるだけの意味の無い行為だ。歴戦の霊理士としてこういう舞台を何度も経験している者たちが心掛けるのは一つ。平静。何事にも動じず、本来の実力さえ出し切れば良い。敵の『勢い』『意気込み』『死にもの狂い』などでは揺るがない確かな強さ。いつも通りのことができればいつも通りに勝てることを知っている、だからいつも通りのポテンシャルが保てるよういつも通りに振る舞う。ただそれだけだ。楽観的でも悲観的でもなく、平常心。それが茨新田葉巻の戦いに対するスタンス。

「さうだよ 幽霊の正体見たり 人間様のお通りよ」

 目的地たる煉獄会の事務所は、鶯谷の歓楽街を抜けた辺りの所にある。よって必然的に、そこに向かおうと思えばラブホテルひしめく街並みを突っ切る必要があった。ヴァンパイアロリィタに身を固めた少女、ではないが少女のように見える女がスキップ混じりで鼻歌と共に闊歩する様は、いやがおうにも一目を引いた。これから仕事に向かうデリヘル嬢にも見えないし、顔色からして酔っ払っているようにも見えない。ひょっとしてPVか何かの撮影かと一部の通行人が辺りを見回すも、カメラの一台も設置されてやいない。そうこう周りがザワついている内に葉巻は軽快にその場を歩き去って行って、そしてまた、新たな通行人からの注目を引き寄せる。

「塩ツ辛い ナマ臭い 生き血がかしましい 南無阿弥陀仏!」

 キャリーケースの中に詰め込んだトウビョウたちが、宿主の歌に合わせて中で身体をくねらせているのが感覚で伝わってきた。葉巻が狗哉に敵意(?)を向けられた時には中の彼らも「どうする? こいつの皮膚と肉の間に潜り込む?」とばかりに気を立たせていたのに、葉巻が気にもしていないことを悟るとすぐにこうだ。ペットではないが、憑き物も飼い主に似るのかもしれない。

「神様 仏様 這ひつくばつて 煙幕を張れば 小火騒ぎ――――っと。あれが煉獄会の事務所やね。そうそう坊主。さっきの今で何やけど、人に対して攻撃的なんは歪んだ個性を通り越して歪んだ悪性やで。今のままやとアンタ、自分が生きてる事より死んだ事のほうを喜んでくれる人間が多い存在になってまうわ。気ぃ付けや、若いの。今は若いアンタやけど、いつまでも若い訳やないんやで。そのうち『若気の至り』じゃ済まんようになる。自分の人生に口出ししてくれる先人がおる内が花やよ」

 歌を中断して先のほうにある大きめの一軒家を指さした後、ちょっと言葉を付け加えると、それに対する相手の返答も聞かない内にまた「交互に人生の上前ハネ合う 世間様おたがひ様」と歌を再開した。もちろん歩みのほうも止めない。
 人に説教なんてガラではないが、やっぱり是清から任された以上は多少の面倒は見ようという気になった。もっとも、その気がいつまでも続くかは分からないが……本格的な指導役は、それこそまだ見ぬ戌の相方にでも任せるとしよう。
 今にも脱線事故を起こしそうな電車を終着駅まで導くなんてお仕事は、本来葉巻の領分ではないのだから。

>戌井狗哉様&ALL様

2ヶ月前 No.206

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【砂卯月空瑠璃 / 上野駅・北陸新幹線「やばめ」車内・自席】

新幹線なんて乗るのは修学旅行ぶりだよ――と思ったけど、修学旅行に行ったのは今年だから、割と最近乗ってるじゃん。言うほど久しぶりじゃないよ新幹線。
今日、くるりが修学旅行以来の新幹線に乗っているのは、霊理士としてだ。あ、今日は別におばけ退治にいくわけじゃないんだ。ここでいう霊理士としてっていうのは、普段の『女子中学生・砂卯月空瑠璃』として行くんじゃなくて、『霊理士、卯の選ばれし者・砂卯月空瑠璃』として此処にいる、という意味だ。閑話休題。今日くるりが来ているのは、あの合宿でくるりがほんの少しだけ、10割中1厘ぐらい協力した怨玉破壊。その怨玉の怨念の源泉たる枯れた豪邸へ、是清さんが向かうと言っていて。1%だけれど協力した身としては、ついていきたいだろう? だから、ついていきたいって言ったらオッケーがもらえたのでついてきた。それだけだ。

「……是清さん、遅いなぁ。なーんて、くるりは足手まといになりに来てるんだから、文句を言える立場ではないけれどね」

是清さんは、先輩の女霊理士の――葉巻さん、だっけ? に、電話をかけにデッキに行っている。ちょっぴりお腹が空いてきた。朝ごはんはしっかり食べたのに。おばあちゃんお手製の、焼き鮭とお味噌汁とご飯の、THE 和風な朝ごはんをしっかり食べたのに。まぁでも、時間的にももうお昼ごはんを食べてもおかしくない時間…かな? 無理言ってついてきた分際で先にお弁当を食べるなんて許されないから、独り言を呟くだけだけどさ。というか、霊理士になったばっかりの、しかも飛び入りで選ばれたくるりなんかと一緒に行動だなんて、是清さんも絶対嫌だと思うよ。すごく困ってると思う。此処まできたらもう今更帰れないけど。なんて、いつも通り自虐していたら、是清さんが戻ってきた。

「おかえりなさい是清さん! はやくお弁当たべましょう! くるり待ち草臥れちゃいましたよ〜! くるりなんて人を待って当然なんですけどね」

戻ってきた是清さんに、パッと笑みを作って明るく迎える。さらっと最後に自虐しているが、たぶんくるりにとっては普通すぎてもう気付いていない。最後の一言が無ければ、空瑠璃の作った明るい雰囲気を微妙に悪くすることはなかっただろうに。

>>猫田是清さま、胡庵さま

【是清さんと席は向かい合ってると勝手に思っていますが、
 問題があれば勝手に変えていただいて構いません!
 是清さん呼びも駄目でしたら変えます!
 そして参加遅れてすみませんでした!!】

2ヶ月前 No.207

YY @nickker8 ★iPhone=IxsT1LftVy

【桐生 竹寅 / お台場倉庫街】

ここ最近の竹寅の追い込み方は凄まじいものがあった。インターハイ直後に開かれる関東地区の練習試合。弱小校からインターハイ常連の強豪校までが一堂に会する大規模なイベントだ。来年のインターハイに向けて敵校の視察の目は非常に厳しい。ましてや、竹寅はそのインターハイで史上初の二連覇を達成。三連覇だけはさせまいとライバル校は躍起になっているそうだ。
そんな重要なイベントが迫っている事もあり、竹寅は通常以上の稽古とトレーニングに励んでいた。本来であれば、最早高校生で相手になるような存在はいないのだが、万が一という事もある。勝負事に絶対は無い。だから少しでも勝利を絶対にする為、竹寅は励んでいるのだ。といっても励む量からして竹寅は異常な訳だが。


つまりは竹寅自身凄く疲れていたという事。勿論竹寅本人からしてみれば、それ自体は全く問題ないのだが身体は正直である。そんな状態の竹寅に、霊理士である十文字清春が放った霊功は恐ろしい程の効果をもたらした。簡潔に言うととてつもなくグッスリ眠っているということだ。どんな夢を見ているのかは定かではないが、とても深い眠りに落ちているのは間違いなかった。


パチィィィン!!!!


そんな竹寅の深い眠りを、一人の少女の強力無比な平手打ちが引き裂いた。
軽い頭痛と気怠さと頬に強烈な痛みを感じながら、竹寅がようやく目を覚ます。


「いってぇぇ……」


普段痛いだとか辛いだとか滅多に言わない竹寅だが、流石に頬をさすりながらこう洩らした。こんなに痛い思いをしたのはいつ振りだろう。自分にこれほどのダメージを与えるのはどんな強者だろうかと、平手打ちを放った相手の顔を見ようと顔を上げる。そこで初めて自分がいる場所が暗闇に包まれていると理解した。それでもその場にあったスマホのライトのお陰もあって、ようやく相手の顔を確認する。


「…え……小学生か………?」


竹寅の眼に移ったのは小学生とも思える少女だった。一体この少女のどこにあんな力があるのか。未だに頬をさすりながらゆっくりと立ち上がり、相手に言葉を投げようとした所で竹寅の頭に素朴な疑問が浮かんだ。


「あれ、ここどこだ……?」



≫八房、珠、清春





【進行の件、了解です!スキルも特に問題ございません!】

≫主様


【大丈夫ですよ!起こして頂きありがとうございます!】

≫キープ様


【ご挨拶が遅れました、桐生竹寅の本体YYと申します。第ニ章よろしくお願いします。】

≫Doubt様

2ヶ月前 No.208

銀鎧の付喪神 @kaizelkai ★PEQrslXdTV_mgE

【 閃輝 / 東京某所 】


 世の中で一番、好きなものが一つある。それは目の前にいる相手を追い抜く事である。
東京のとある某所、一台の赤い車が爆音と共に駆け抜ける。その車を運転する一人の青年は、今日も相棒と共に地上を駆けていた。目に映る景色は巡るように動く。鈍そうに走る車を抜き去り、その閃光のように駆けるその姿は周囲のドライバー達を驚かす。遅い、赤い車を乗りこなす青年は不敵な笑みを浮かべる。そんな青年はまるで車に語りかけるように声をかけた。


「 フッ、相変わらず俺を満足させる相手はいないであるな、相棒。速さを追い求める人が少なくて、実につまらんのである。まあ妖怪側にも俺と同じような存在はもっといないか。 」


 青年の言葉に答えるようにパッシングで答える。まるで仲の良い友のように会話する彼は普通の者ではない。妖怪と呼ばれる異形の存在、異形の存在だからといって、先程のドライビングは彼自身の技術によるもので、決して本来の力を使った訳ではない。使わずとも自分は勝てると思っているからだ。東京に来るまでも数多の走り屋を相手に、競争を挑み続けて来た。だが最近はどうも、張り合いがない。かといって同じ妖怪側には、そういう走る事が好きな連中は残念ながらいない。基本的に人間の日常生活を脅かす存在だから、そっちの方が良いのだろう。自分には何故そんな事をするのか理解もしていないが。

考えながら運転していると、いつの間にか何処かの山道に辿り着いた。


「 山道か、今日は此処を抜けたら帰るか。さぁ、いくのである、相棒。 」


 アクセルを踏み込んで、暗くなった山道を登り始める。そういえば昔、人間が捨てた漫画を読んで、豆腐をこぼさないまま山道を走るシーンがあったのを思い出す。揺れる車体の中で豆腐をこぼさないように走るのも、高度なテクニックだと感じた。今度やってみようと密かに決めた。



>>ALL


【どうも、かなり遅れましたがよろしくお願いします。密かに自由行動で駆け抜けてます。】

2ヶ月前 No.209

@kino10 ★ccZgXX84ei_c1Z

【 上野駅、北陸新幹線「やばめ」車内デッキ / 猫田是清 】


『くるりなんて……』

合宿所での出会いから今日、上野駅で待ち合わせてここに至るまで彼女のセリフにはこの枕詞がついて回る。自分の命を危険に曝すレベルで霊気の放出を自然に行ってしまう特性と言い、彼女はどういうわけかこうして多分に自虐的な面を見せる。
彼女がどんな思いで以上の行動をとるのか、是清には天上界からの資料で予想することはできても確証を得ることはできない。彼女の心の中でも読めない限りは。

「僕もお腹ペコペコです。あ、胡庵さんありがとう。」

砂卯月も含め、選ばれし者達とはこれからきっと長い付き合いになる。自分に出来ることは、なるべく出過ぎた真似はせず、彼らに寄り添い霊理士として育んでやることだと己に言い聞かせ、今はただ、砂卯月に微笑んで見せ、胡庵が配るお弁当とお茶を受け取りお礼を言った。

発射のベルがなる。座席はグリーンシート。軽井沢までは一時間強と言ったところだろう。
やっつんと葉巻さんは新人霊理士達と上手くやっているだろうか。なんとなく嫌な予感を浮かべながら、是清は砂卯月と胡庵と雑談をしつつ、チキン弁当のから揚げを口に運んだ。


>>砂卯月、胡庵


【いえいえ。是清のサイドは勝手に胡庵さんの定位置だと考えているので大丈夫ですよ。是清さん呼びも大歓迎です。>>紫様

恐縮ですが、勝手に弁当・お茶配りの確定踏みました。よろしければ対応お願いします。>>ますたぁ様

いきなりトランプとか始めてたりだとか、このまま車内の雰囲気を楽しんでも、ロル回して到着しててもOKです。>>紫様、ますたぁ様】

2ヶ月前 No.210

@kino10 ★ccZgXX84ei_c1Z

【 煉獄会2階 / 蛇ヶ崎・切裂 】

蛇ヶ崎「あらぁ…?敵さん近くまで来てるみたいだけど、もしかしてお仲間かしら?」

切裂「……。」

蛇ヶ崎「寄りによってあんたと二人っきりで残されるなんて退屈だわー。あたし、あんたがまともに会話してんの聞いたことないんですけど。」

切裂「……。」

蛇ヶ崎「……退屈でゲロ吐きそう。」

切裂「厠へ行け。」

毒々しい配色のボディコンスーツとファーのついた成金趣味のトレンチコートに、その豊満な身を包んだ、時代錯誤の服装の妙齢の女性と中背中肉、胴着と袴に身を包み、日本刀を携えたTHE侍な格好の男の会話はなかなか噛み合わない。
先日体育館を襲った苦露川と同様、彼らも煉獄会の幹部の1人である。

蛇ヶ崎「……だいたいさあ。雑魚の人型妖怪と苦露ちゃん程度に手こずるレベルの相手を私たちがわざわざ相手する必要ってなくない?そもそもここに来る前に一階にいる人型数人でとっちめて終わりでしょーよ。」

切裂「……。」

蛇ヶ崎「なにこれ?」

切裂「えちけっとぶくろ」

蛇ヶ崎「……マジで使うかもだからそこ置いといて。」


>>葉巻、戌井


【ということでAは2階のボス2体と1階の雑魚数体です。特に見張りとかもないと思うのでビルの外観や乗り込み方はお任せします。
雑魚は好きに動かして構いません。蛇ヶ崎と切裂は主が動かしますのでよろしくお願いします。実力はプランクトン苦露川よりちょい強です。>>友禅様、酢橘様】

2ヶ月前 No.211

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【胡庵:上野駅、北陸新幹線やばめ】


是清様が電話から戻ってきて私が配ったお弁当を食べ始めた。胡庵は二人が食べてるのをじっと見てるだけで、手に持っているお弁当を食べていない。
そして是清さまと何気ない雑談をするが、どこか不機嫌そうな胡庵。

何故なら、すこし是清さまに対して怒っているからである。あの合宿以来何かを隠しているであろう是清さまに

何故隠すのか、ずっと長年一緒にいるというのに、信用されていないのだろうか、体調だってきっと優れないはず。それだけじゃない、やっぱり霊力が落ちてる。

>是清さま 砂兎月

2ヶ月前 No.212

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_IZy

【戌井狗哉/鶯谷駅前→煉獄会前】

「遅刻しといて謝罪も無しに初対面の相手にいちゃもん付けるんも十分に歪んだ個性の主張やで、坊。二分のタイムロスや。ほな、さっさと行こか」
「へー、成程成程。でもいきなり東京の選ばれし者であるこの僕を歪んだ個性の主張等とか言う侮辱的な冗談を言い放つ時点で君の方がよっぽど歪んでいると思うけど……それについてはどう思っているのかな? ん? それに既に狂ってるレベルまで歪んでいる君に言われてもまず説得力無いんだよね。それに言っておくけど僕にとって君がほざいていた二分のタイムロスなんて高速移動が出来る僕にとってはそんなの全く関係無くて、あんな害虫共なんて僕が今すぐ高速移動すれば楽々駆除出来るって所を特別に教えてあげるから。それとさ、君の格好についてなんだけど……」

妖艶に相応しい色をこれでもかとこの時間帯から必死に映し出されるネオンに塗れたラブホテル街が見える鶯谷の駅前で現役高校生の戌井が更生と言うよりも抑圧を目的とした説教を茨新田にTPOや態度について長々と垂れていた。しかし茨新田はその説教を聞くつもりが無かったのか、ただ単に煉獄会殲滅に急いでいただけなのか、戌井の発言を見事なまでに無視して煉獄会の本拠地である事務所へと足を運んでいた。

「東京の選ばれし者である僕の話を無視するなんて君は其処等の害虫や下衆よりも酷いと思うな……。ほんと、良く今まで霊理士として過ごしていられたね。僕がもし、君の様な歪んだ人格を持っていたら恥ずかしくて霊理士を辞職するよ。それに唄いながらこの僕の話を聞くなんて無礼過ぎるし何より……」

心底自分の説教を無視された事に随分と腹を立てた彼は、急に小声で歌を歌い始め明らかに素晴らしき東京を守護する役割である霊理士としての意識が圧倒的に低いと言わざるが得ない茨新田に純度100パーセントの嫌味を次々と言い放つ。さらに心の中で彼女が人格、容姿、全てにおいてこの東京にとってこの煉獄会同様汚れを生み出す邪魔な存在だとこの場で判断。茨新田を瞳孔開きっぱなしで睨み付ける戌井は東京に集る害虫共の巣窟である煉獄会殲滅のついでに彼女も東京の代わりに処分する事を決意する。

(ハハハ……君みたいな霊理士を名乗る資格の無い人間は東京に不要と言う事だよ)
「それじゃ君のペースに僕がわざわざ合わせる必要は無いから、お先に煉獄会の本拠地に殴り込んで来るよ。多分、君が歌い終わる頃には僕がもう全部害虫を片付けちゃってるかもね」

そう宣言した戌井はもうすぐ亡骸と化するかもしれないのに呑気に歌い続ける茨新田に鼻で思う存分密かに嘲笑いながら足に霊力を発動して大きく空を飛ぶように飛び上がり煉獄会の拠点へ忍の如く高速に動き出す。

「まあ……所詮は猫田が率いる悪の組織。あんな歪んだ人間が自称東京を守護する者を名乗るのも当たり前と言う事かな」

自身の深き欲望に応じる余裕と金銭を持つ人間達の乱れた色欲を照らす薄明るいネオンに紛れ、独りの高校生は何事も照らせない数々の東京に蔓延る闇を大小関係無く一つ一つ暗殺者の如く次々と処分する。彼が歩いた後には何も残りはしない。

「全く……夕暮れから遊んでいる暇があるならボランティアを行うべきだと僕は思うんだけどね」

そして戌井は煉獄会の本拠地である事務所に辿り着くと、其処には既に呑気に唄っていたはずの茨新田が事務所の付近まで丁度歩きながら歌っていた。どうやら高速で目に余る程の鶯谷に蔓延る様々なトラブルを次々と解決していた結果、茨新田よりも少しだけ到着するのが遅くなってしまったらしい。彼はまたもや害虫駆除に夢中になり思わぬ道草を喰ってしまう。ちなみにこれについて本人は東京を守護する者としては、時間よりも東京の治安を大切にするべきだと考えている為、問題は一切無い、問題のはずが無いと勝手に判断している。

「神様 仏様 這ひつくばつて 煙幕を張れば 小火騒ぎ――――っと。あれが煉獄会の事務所やね。そうそう坊主。さっきの今で何やけど、人に対して攻撃的なんは歪んだ個性を通り越して歪んだ悪性やで。今のままやとアンタ、自分が生きてる事より死んだ事のほうを喜んでくれる人間が多い存在になってまうわ。気ぃ付けや、若いの。今は若いアンタやけど、いつまでも若い訳やないんやで。そのうち『若気の至り』じゃ済まんようになる。自分の人生に口出ししてくれる先人がおる内が花やよ」

すると、煉獄会の事務所に辿り着くと突如彼女は歌うのを止め、自身を個性では無く悪性だと批判を開始する。戌井はすぐさま、返事を返そうと口を動かすがその前に再び茨新田は歌い始めてしまう。そしてそれに再び苛立った戌井は彼女の歌を引き止めるが如く、自身の意見を煉獄会に向かう彼女に言い放つ。

「別に僕より東京を愛していない他の人間なんかどうでも良いんだよね。それより僕は東京さえ微笑んでくれればそれで良い。もしも東京が微笑む為ならば僕は誰だって駆除して見せるよ」

そう呟いて、煉獄会の前に落ちていた小石達を拾うと自身の腕に霊力を発動して小石を煉獄会の事務所のニ階や一階の窓や壁を割ってしまう程の威力を乗せて両手でタイミングも疎らで攻撃を予測させない様に速度も変えながら送球を開始する。

>>茨新田葉巻様、煉獄会ALL

2ヶ月前 No.213

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 茨新田葉巻 / 煉獄会のアジト前→煉獄会アジト一階 】

 SNSのプロフィールが長い奴には精神的に病みやすい者が多いと言う。状況はちょっと違うが、自分が批判された際の彼の口数の多さはつまりそういうことなのだろう。己が否定されること。軽んじられること。見下されること。あるいは視界にも入れて貰えないこと。そういうのが、病的なまでに許せない。「選ばれし者」であることをアピールするように頻繁に口に出すのも、そう思い込まなければやっていられないから。攻撃的なまでに自信過剰と見せかけて、その実は真逆。『東京を愛する自分』、そして『東京に愛される自分』。そういうものに固執して縋りつかない限り、生きることさえままならない。これはそういう手合いと見た。

(人に攻撃的なんは、自分に自信があるからやあらへん。むしろ逆や。他人の粗や恥でも探して自分以下の所まで貶めにゃ、不安でまともに会話が出来へんから。……是清が気ぃ揉むんもよう分かるわ、これキチガイっちゅうかメンヘラの類やん。カウンセラー呼ぶか無理やり寺で修行させたほうが早いで絶対。ウチとぶつけたかて逆効果やろ)

 茨新田葉巻は、己の精神が強い自覚がある。そして一部の人間に優しくはあっても、大多数の人間に甘くはないという自覚も。そういうタイプの人間と狗哉のようなタイプの人間をぶつけたところで、残念ながら事態は好転しない。葉巻は狗哉のことを『いちいち強がらなければ自分を強いと思い込むことさえままならない精神的弱者』として哀れみ切り捨てるだけで、狗哉は狗哉で、自覚があろうと無自覚だろうと、そういう葉巻の気質に煽られてますます躍起になるだけ。
 甘く見るどころか、是清の事がなければ視界にさえ入れなかったであろう取るに足らない存在。見下すほどの価値も無い男。葉巻からそう見做されていることも知らず、一生懸命こちらに敵意を向けて噛み付いて来る姿は、可愛らしいを通り越して哀れだ。円周率に終わりがあると信じて計算し続けている人間を見た時の気持ち。そこに誰かがいると信じてひたすらにシャドウボクシングを続けている人間を見た時の気持ち。
 つまるところ茨新田葉巻は、戌井狗哉という少年を可哀想に思っていた。嗚呼、弱く生まれてしまったから強がらなければならないんだね、と。私は生まれた時から強かったから君の気持ちなんて分からないけど、人生が大変だからいつもそんなにイライラしているんだろうね、と。お可哀想に。お可哀想に。可哀想だから、君が何を言っても否定しないであげる。肯定もしないけどね。だってこんなに弱くて儚くて脆い生き物なんだ。肩肘張らなきゃ生きていけない社会不適合者なんだ。その上こんなにも強い私に否定されたんじゃ、あまりにも人生が恵まれていなさすぎる。
 そこまで考えた葉巻が狗哉に向ける目は、最終的に『自分には千人の愛人がいると必死に言い張る不細工な貧乏人を見る目と同じ目』で固定された。敵意は無い。悪意も無い。殺意も無い。さりとて好意も、敬意も無い。ただただ憐憫の情だけが籠った眼差し。優しいと感じるか残酷と感じるかは、それこそ人によりけりだ。

(――ほんま、可哀想になぁ。なあ、トウビョウはん)

 心の中でトウビョウに話しかければ、キャリーケースの中の彼らは同意するようにチロチロと舌を出した。本気でそう思っているのか、葉巻に話を振られたからとりあえず同意しただけなのかは分からない。

「狡ツ辛い キナ臭い 浮世はかしましい 南無阿弥陀仏!」

 戌井狗哉という哀れな少年への憐憫を込めて高らかに歌い上げる。彼が足元の小石を拾い上げてぶん投げると同時、葉巻もまた、キャリーケースのベルトを外して中身のトウビョウたちを全て解放していた。解放された傍から姿を消し、壁も垣根も関係なく建物の中へと難なく入り込むトウビョウたち。狗哉の耳は人の言葉をまともに聞き取れる機能が備わっていない。よって指示を出すのは無意味。向こうは好きにやる、こちらも好きにやる。標的以外に迷惑をかけた場合はかけた側がかけた分だけの責任を果たすよう後から上層部に指示を喰らう。それで良い。あんなに可哀想な生き物、自分が何とかしてやろうと思うには、彼に向ける愛情が足りなさすぎる。

「神様、仏様 色めき立つた奴等 面白可笑しく 空騒ぎ」

 反閇でアジトの敷地内へと足を踏み入れる。古くは陰陽道や密教にルーツを持つ呪術的な歩行法。左足をすり足で前に出し、次に右足を先の左足に引き寄せて前に出せば、右足の真横に付ける形で左脚を出す。今度は足を変えて、同じことが終わればまた足を変えて、その繰り返し。この歩法がもたらす呪術的な効果は清めと魔除け。そしてルーツである禹歩をとある中国の男が行った時、魔性の者から己が姿を見えなくさせるという効果も発揮したという。そんな呪術的歩行法である反閇を、己が気で強化すればどうなるか。すなわち、葉巻が一歩一歩と足を進めるたびに、敵の目から葉巻の姿は薄れて見えて行き、敷地内に立ち込める妖気は清められていき、葉巻の身体に近付き難くなってゆく。

「ところが此方人等一等 恐いのは自らよ」

 さらに手では柏手を叩き、浄化の力をより一層のものとしてゆく。人間にとっては空気清浄器が稼動したようなものであるこの行為。けれど妖怪にしてみれば、急に毒ガスを巻きながら入り込んでくる敵が現れたようなもの。さらには建物の内部で、姿を消したまま体内に入り込んだトウビョウが中の血肉を食い荒らして妖気を己が糧とし、そうして敵から得た新たな気が、トウビョウ経由で葉巻の新たな力として蓄えられてゆく。

「ささくれ立つては ついいけない 胸騒ぎ」

 特殊な歩き方と、特殊な手の叩き方。そして秘密裏に侵入を果たして血の宴を引き起こしていたトウビョウたち。ゆえにゆったりとした足取りで建物に到達した葉巻がその出入り口を開けた瞬間、目に飛び込んできた光景が凄惨なものであるのは、至極当然のことと言えよう。ある者は姿無き蛇に喰われ、ある者は毒となる空気を吸ってのたうち回り、ある者は上階へと逃げて。
 けれど、それら全てに眉をしかめることも無く。相変わらずの平常心のまま、歌も笑みも絶やさずに、葉巻は階段へと続く一階廊下を反閇のまま進みだした。

「遊びたいのよ 誰ぞ好い人と 善がりたいのよ――」

 ――血だまりの廊下に、ソプラノの歌が木霊する。

>戌井狗哉様&ALL様

【雑魚は好きに動かして大丈夫とのことで、初っ端から血腥くてすみません!】

2ヶ月前 No.214

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

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2ヶ月前 No.215

Doubt @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★koxvC6ZLNl_mgE

【山鳴 八房、播磨 竜胆/お台場 倉庫街】

東京、お台場某所。

並び立つ無機質な倉庫とコンテナの群、その合間では今日も作業員たちが慌ただしく飛び回っていた。運輸ならびに流通、この国の生活の要たる労働に従事する人々の傍を一対の奇妙な人影が通り抜けていく
風に靡く白銀の髪、高下駄の音を供に歩くのは凡そこの場とは不釣り合いに過ぎる人物だった。時代錯誤的な和装と人形の如き不自然に整った相貌、なにより身に纏う気配そのもからして常人(ただびと)のそれではない。その人物の異常を強調するかのように額からは双角。正しくこの世の者ではないそれは何が可笑しいのか嫣然とした笑みを湛えている
その横で口元から紫煙を立ち昇らせているのは並び立つそれとは対照的な黒衣の女性。黒髪黒瞳、この国ではさして珍しくもない組み合わせの色合いは大和撫子という単語を連想させる。顔立ちは同行者ほど華があるものではないが、化粧気が無い分同年代と比しても幾分か瑞々しい。フォーマルな服飾も相まったその風体は第一印象で言えばやり手のキャリアウーマンといったところだが、それら全てをブチ壊しているのは睨みつけるように正面を見据える視線。俗に三白眼と称されるそれは虹彩が小さく上方に寄っている分人相が悪く見られがちだが、それを差し引いてもその女のそれは度が過ぎていた。恐らく今周囲に張り巡らしている人払いの気功が無くとも彼女、山鳴八房と視線を合わせる人物は皆無だろう

――――ジリリリリ

黙々と人気のない方面へと足を運んでいる二人を軽快な電子音が呼び止める。一瞥もしない慣れた動作、胸元から旧式の電話端末を取り出し操作、電話回線を繋げる

「はい山鳴……よう、春の字。どうやら首尾よくいったようじゃねぇか。お前は霊理士廃業したら人攫いで食っていけるぜって冗談、冗談だよ。じゃあガキ共は手筈通りの場所に転がしておいてくれ。おう、ご苦労さん」

傍から聞いていれば物騒極まりない会話を手早く済ませ電話を切る。電話相手、十文字清春は中々どうして優秀な男だ。自身とは同期の霊理士、猫田是清の子飼いであり天上界からの認定は受けてはいないがこういった臨時業務ではちょくちょく手を借りている。出会った当時はまだまだ生意気盛りのやんちゃ坊主という認識だったが、こういったリスキーな荒事も卆なくこなすあたり立派に成長しているのだろう。もっとも当初の認識を改めようという気は八房にはサラサラないのだが……
閑話休題。携帯端末を胸元に仕舞いながら八房と白銀の人物、『辰』の霊獣が言葉を交わす

「春の字の所見と天上界(うえ)からの情報を鑑みるに『寅』のアンチャンはゴリゴリの前衛。対して『辰』の嬢ちゃんは支援系と読むのが妥当ですが……竜胆さんはどう見ます?」

「さて……名は体を表すというが、気性や気質は会ってみるまでは吾も分からぬ。『辰』の方に関して言えば資格だけは十二分、とだけ言っておこう」

八房の単刀直入な問いに会ってみぬまで分からないと竜胆が答える。今回天上界から通達されたのは『寅』と『辰』、霊獣に見初められた二人の霊理士候補者の確保及びに気功の開発。霊的な繋がりが成されていることから有資格者とだけは感知できるが、相方となる相手ならば直に会って見極めるのが筋という物だ。本来ならば『寅』の霊獣にも同行してもらう予定ではあったが未だ人間界への顕現を確認できてない以上致し方も無いだろう。顔見知り程度といった関係、別段盛り上がりもなく一つ二つと言葉を交わしているうちに件の倉庫前に辿り着いた
海風に晒され錆びた門扉と巻きつけられた鉄鎖、その佇まいが無人であるということを雄弁と物語っている。古びた倉庫にて一際目立つ銀の光沢、入り口を戒める鉄鎖には今しがた取り付けられたであろう回転式のロックキーが取り付けられていた。無論、春清の計らいである。例に漏れずこの倉庫にも人払いの結界は敷設済みだが何事も例外は存在する。何となく勘の鋭い人物が迷い込んで霊功で昏睡している二人を発見しようものならば一悶着あるのは火を見るよりも明らかだ。細やかな気遣いに感謝しつつ口頭で確認した開錠番号を当て嵌めていく

――カチカチカチ。数字を合わせる

――カチカチカチカチ。数字を合わせていく

――カチカチカチカチブチッ。何かがキレる音が響いた

「だぁあああああああ!まどろっこしいんだよクソがぁああ!!」

咆哮。理不尽な罵声と共に繰り出された豪脚が半ば朽ちた鉄門扉を完全に破砕する。歪み拉げ、室内の二人の頭上スレスレを吹き飛んだ門扉が轟音と共に壁へとのめり込む。鼻息荒げに清々したと吐き捨てる八房、横で苦笑しながらも宥める竜胆の両の視線が室内中央で既に目覚めている二人の若人を捉える

「―――――へぇ」

「―――――ほぅ」

感嘆の吐息を漏らしながら両者が同質の笑みを浮かべた

【ファーストコンタクトから凶暴すぎィ!終始こんなノリですが、よろしくしていただければ幸いです】

>竜王寺珠、桐生竹寅(、十文字清春)、倉庫ALL

【修行ということで欲を言うのならば竜胆と並んで実況解説する方が欲しいところです……他参加者様が居られない且つ主様の負担にならないのであれば清春君にお願いしたい次第であります】
>スレ主様

2ヶ月前 No.216

YY @nickker8 ★iPhone=abmjECW1Qt

【桐生 竹寅 / お台場倉庫街】

「成開高校………龍王寺珠…」

眼前に突き付けられた学生証には確かにそう記されている。成開高校といえば全国トップレベルの超名門校だ。そこの特進ともなればエリート中のエリートと言っていいだろう。
さっきの平手打ちの件もあるし人は見かけによらない。見た目は幼く見えるが、実は凄い女性なのだと竹寅は認識を改めた。


それにしてもここは一体どこなのだろうか。拉致をされたという珠の言葉を聞き、竹寅は溜め息を吐く。不意を襲われたとはいえ情けない話だ。決して驕っているわけではないが、ある程度のレベルには達していると思っていた。どうやらそれも勘違いだったようで。

(まだまだ半人前。もっと修行を積まないと……)


この男の言う一人前の境界は不明だが、普通の修行で達するのはきっと無理だろう。竹寅の無茶な修行はまだまだ続きそうである。


と、そんな事を考えていた竹寅を珠の言葉が現実に引き戻した。どうやら彼女は自分の事を知っているらしい。竹寅自身あまり興味は無かったが、自分の稽古や試合の風景をテレビが取材に来た事があったはずだからその時の映像を観たのだろうか。それにしても……


「桐生竹寅は俺だが、なんだその『金髪の宮本武蔵』ってのは」


珠の言葉に竹寅は怪訝な顔で答えを返す。
どうやらいつの間にか変なあだ名が付いてしまったらしい。竹寅が参考にしている二天一流の祖が宮本武蔵だが、自分はまだその足元にも及んでいない。発信元が自分でないにしても、あの偉大な剣豪と揶揄されるのはあまり気が進まなかった。
ちなみに、珠の『ていうかあんたどうやって拉致られたのよ。』という言葉にも竹寅は頭を抱えた。寧ろこちらがその答えを教えて欲しい。何かで眠らされたのだろうが、全く記憶にないのだ。まぁ思い出せないことはしょうがない。次また同じ失敗をしなければいいだけだ。


珠の言葉を皮切りに再び場が闇に包まれる。隣にいる相手がしゃがみ込む気配を感じ、自分も一旦腰を下ろそうとした所で竹寅が何かを感じた。誰か来る。気配を感じた方向に眼を向け身構えようとした瞬間、外からの怪しげな咆哮と共に、珠と竹寅の頭上を門扉が飛んでいった。



「……………アンタら誰だ?」


手元にあった竹刀をゆっくり出しながら明確な敵意を持って言葉を投げる。
竹寅の視線の先には何やら怪しい二人組。一人は女、そしてもう一人は双角が生えているように見える。二人とも意図が読めない笑みを浮かべているようだ。どちらも面識はないが只者ではないだろう。本来であれば双角が生えている時点で驚愕のリアクションが出る所だが、昔から不思議なものが見えていた影響もありそこには特段竹寅も興味を示さない。それよりも纏っている雰囲気が常人のそれではない事を竹寅は一瞬にして悟った。唯の人間でない事は間違いない。これから何があってもすぐ動けるように体勢を整えた。



≫八房、竜胆、珠、清春





【素敵な設定ありがとうございます!そうですね、高校までは二刀流は禁止になってます。そこは許してください(笑)実は本体の方が昔剣道をやってまして、知り合いの方に二刀流をやってる方がいらっしゃったんです。公式戦では使ってなかったみたいですけど、竹寅はその方がモデルになってます】

≫キープ様


【こちらこそよろしくお願いします。】

≫Doubt様

2ヶ月前 No.217

Nero @nerokichi ★Android=ibuMTFvydU

【丑島亮介/→煉獄会アジト一階】



「あれ、やばいか。普通に遅刻してんなぁ」

 手に収まる支給された端末の画面に照らし出された時刻を眺めて、言葉とは裏腹に全く危機感の無い声色が溜息と共に落とされた。聴覚的にも視覚的にも騒々しいこの辺りの土地は此の世で自らが塒としてある田端とは対局と言っても過言では無い。慣れないとは言わないが元より静寂が常だった身としては鬱陶しい事この上無く、正直さっさと用を終わらしてこの場を後にしたいものだ。そんな事が言えるような現状ではないし、恐らくあの年齢不詳気味の霊理士に少なからず遅刻に対しての喝は入れられそうであるが。しかし一向に急ぐ素振りの見せないで、平均よりかはリーチが長そうな歩を緩く進める。そうして暫くネオンの光に濡れらた地を進んでいけば呆気なく目的地の前に付いた。硝子が割れる音やらなにやら、随分と物騒な騒音が既に響いているというのに周囲の人間が反応を示さないのは十中八九この建物に掛けられた妖術の影響なのだろう。
 手に持っていた腰横のポケットに収納し、阿鼻叫喚の沙汰へと変えられていく敵方のアジトへ足を踏み入れた。想定はしていたが靴の底越しに分かる液体の存在と一面朱に染まった室内は中々に凄惨なものだと言える。そんな鼻を掠める血潮の臭いを前に、相変わらずの緩い笑みを浮かべて口を開いた。

「お、付いた付いた……ってあーあー。相変わらず手が早いね。もしかして俺は必要なかったか? 兎も角遅れて悪かった」

 この惨状を作り出したであろう人物は、状況に全く見合う事無く機嫌のよさそうな様子で歌を紡いでいた。見た目は普通に考えても今回新入りとして参加した少年少女達とあまり差異の無いどころか更に幼く思えるが、このアジト襲撃のリーダーに抜擢される通りに活動している霊理士の中ではベテランと言っても良い。現時点でも末端辺りとはいえ物の怪相手に有無を言わせない力量を発揮できる所は流石としか言いようがない。しかしその淡々とした性格故に実は作戦決行前から若干悪い予感はしていたのだが。少し面倒そうに目を細めつつ不安要素のもう一人、屋外で建物に向かって霊力の込められた石を無造作に投げる青年の方へと目線をやる。

 『戌井狗哉』。前回の合宿所の時点で中々に難アリと判断を下していた彼と、死にたがりや驕る者など即座に見放す彼女。この二人の間に連携のれの字も存在しなかった事は察するに容易かった。様子を見るに現状は予想通りなようで、このままでは手馴れた葉巻はまだしもまだ霊理士として雛な戌井の方が危険だ。前回も力を得たとはいえ無茶をしてそれなりの外傷を負っていたのだから。

(まさに水と油。天上界も中々面倒な編成にしてきやがったな)

 と言っても霊理士自体を信用してない戌井を八房や十文字主管の修行に参加させる事が出来るかと言われれば首を振る。どちらにせよこの状況は避けられなかったと思った方が楽だ。正直二人の生死や関係がどうなろうがそれは彼等の行動次第で自身が手を加える権利も意欲も無いが、これ以上是清の胃を虐めてやるのは宜しくないだろう。天上界から遣わされた身としてはしっかりと働いてやらねばなるまい。
 まあどうにしろ取り敢えず仕事は果たさねばと、だらりと下げた己の右腕を媒介として敵の枷となる呪いを含んだ黒い煙を少しずつ屋内へと充満させていった。


>煉獄会アジトALL




【討伐メンバーが少ないという事で丑はこちら側に参加させていただきました。がっつり遅刻してしまいましたがよろしくお願いします。赤鬼の方はCの方で絡み先がいない方のところに投下できればしたいなと】

2ヶ月前 No.218

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

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2ヶ月前 No.219

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【砂卯月空瑠璃 / 上野駅・北陸新幹線「やばめ」車内・自席】

あれれ。胡庵さんからお弁当を受け取りながら、くるりは違和感を覚えた。お弁当の中身が間違ってたとかじゃなくて、是清さんの行動に、違和感を覚えた。くるりの周りの大人――主に、学校の先生たちは、くるりが何か言う度に「自分を卑下するな」って怒ったり「そんなこと言わないで」って慰めたりしてくるんだ。くるりは何が駄目なのかよくわからない…だって、くるりがいらない子なのは紛れもなく事実だから。だから、いちいちくるりが言ったことに文句をつけてくる先生たちの態度にはもう慣れてしまったんだけど。慣れてしまったからこそ、是清さんが何も言わず、ただ微笑むだけだったことに違和感があるんだ。そういう風に、くるりが何か言っても何も言わなかった人は、家族だけ。お母さんとお父さんとはまともに会話した覚えがないし、いま一緒に住んでるおじいちゃんとおばあちゃんも最低限の会話しかしない。だから、たぶん、こうやって何も言わないで肯定も否定もせず寄り添おうとだけしてくれる人って、お兄ちゃんと弟だけだったと思う。是清さんは、お兄ちゃんや弟と同じ対応をしてくれるんだ。

「……いただきまぁす!」

気持ちが暗くなりかけたからくるりは慌てて笑顔を作って、割り箸を割ってから元気に手を合わせて、ハンバーグ弁当の蓋をあけた。弟みたいに、明るく振る舞わなくちゃいけないよ、くるりは。
ハンバーグを6つに分けながら、なんとなくチラッと胡庵さんの方を見てみる。根倉胡庵。是清さんの霊獣…らしい。どう見ても普通のおねえさんにしか見えないけど、猫…らしい。やっぱ人間じゃない生き物ってすごいんだな。くるりはおばけは苦手だけど、猫とか人間のおねえさんとか、全然怖くない見た目の人外は大歓迎さ! で、その胡庵さん。弁当を食べないで喋ってるだけ。ちょっぴりご機嫌ななめに見える。もしかしたらお腹が空いてないだけかもしれないけれど。というか、人の事情に…霊獣の事情に、他人が首突っ込むなんて、ただのお節介だ。お節介だとわかっているけれど。

「胡庵さん胡庵さん。お弁当、食べないのかい? くるりなんかに詮索されたくないと思うけど、何か嫌なことでもあるのかい? くるりのこと? くるりが来たせいで是清さんと2人きりにならなかったこと? 是清さんのこと? それとも、この中のどれでもないのかな?」

6つに分けたハンバーグのうちの1切れを口へ放り込んで、ご飯も一緒に押し込む。咀嚼、嚥下して、ペットボトルのお茶を飲んで口の中をすっきりさせてから、そう聞いてみる。真面目に諭すように言っているわけではない。それとは真逆の、ニヤニヤとした下世話な笑みを浮かべている。ちょっと煽って話してくれるような人…じゃなくて、霊獣かはわからない。わからないけれど、やってみなくちゃ一生わかることができないからね。これでさらに機嫌を悪くされちゃったら…うーん、どうしようか。まぁこういうときのパートナーだし、是清さんにどうにかしてもらおう。

>>猫田是清さま、根倉胡庵さま

2ヶ月前 No.220

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【東海道新幹線「やばめ」:胡庵】

不機嫌そうに主様を見ていると、久留璃さんが話しかけてきた。なぜお弁当を食べないのか、何か嫌なことでもあるのか、それは自分のことか、二人きりになれないからか

私はちらりと久瑠璃さんのほうをみて、すぐに主様をみる

「いえ、気にしないでください。私はただ、主様の体調管理のため、主様がちゃんとお弁当を残さず食べるかを見届けてから、食べますので。
それから、確かに今日は二人きりではありませんが、そんなことで怒ってはいませんよ。まあ怒っていたとしても、あなただからということではなく、たとえあなたではなく別の人だったとしても怒っていたことでしょうけど…」

久瑠璃さんの質問に、少し不機嫌そうに答える。今は人の姿なので尻尾は出していないが、出していたらきっと今頃、尻尾を思いっきり振っているだろう。(猫は不機嫌な時に尻尾を振る)。

「それに今回の旅、私は反対したのです。主様はここ最近働きっぱなし、この前の合宿のこともありますし、その後せっかくもらった慰安旅行だというのに、結局は仕事がらみの旅など…いくら主様とはいえ危険すぎます。ただでさえ今の主様は………」

霊力が落ちている、と言いかけたが寸前で止め、そっぽを向き、まるで誤魔化すように

「と、とにかく早く食べてください…」

ムスッとしながら、結局主様が食べ終わる前にお弁当を食べ始める。やけ食いである。

≫是清さま 久瑠璃さま

2ヶ月前 No.221

Doubt @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★koxvC6ZLNl_mgE

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2ヶ月前 No.222

@kino10 ★ccZgXX84ei_c1Z

【 煉獄会2階 / 蛇ヶ崎・切裂 】

事務所の窓ガラスが割れるのを皮切りに、事務所全体が不穏な空気に包まれ、1階からなにやら物騒な物音と悲鳴。それに伴い敵意を帯びた巨大な霊気が近づいてくるのを察知する幹部の二人。

切裂「……人が2人。獣が1体。」

蛇ヶ崎「しかも1人はやっぱりお友達。こっちは私がやるわ。霊気も大きくて美味しそうだし。」

蛇ヶ崎はそう言って先ほどまで腰を下ろしていたマホガニーの机から降りると、切裂を残し、2階事務所を後にした。


【 煉獄会1階から2階への階段踊場 / 蛇ヶ崎 】

「あらあらぁ?妖怪でもないのに不気味な霊気放ってるからどんな風体してるかと思えば可愛いお嬢ちゃんじゃない。」

2階の事務所めがけて逃げ惑う人型が、蛇ヶ崎とすれ違い様力なく倒れ、身体が硬直し、みるみる内に石化していく。
そんな様子に目もくれず、蛇ヶ崎は葉巻に向かってニッコリ笑顔で言葉を投げかける。

「私事なんだけどさっきまで嫌いなタイプの奴と二人っきりで私今気分悪いの。その上さらに事務所内に変な気を巻き散らかされた日にはもうこんなとこさっさと出ていきたくなっちゃうじゃない?」

凡そ敵対する人間に向けるような声色ではない、長年連れ添った友達にでも話しかけるように蛇ヶ崎は語る。妖怪・人間問わず、初対面でここまで砕けた態度で接してくる人間は一定数いるものだが、蛇ヶ崎のそれは敵よりも自分が勝っているという自負の表れであることが見て取れる。

「だからいっそのこと場所変えない?……嫌って言っても変えちゃうんだけどさ。」

蛇ヶ崎の姿は話し終える手前でみるみる大蛇へと変化していき、その完成を見ないままその姿を消した。
そして対峙していた葉巻の姿もまた、事務所にはなかった。


【 亜空間 / 蛇ヶ崎 】

永遠ともいえるような暗闇。どちらが上でどちらが下か。自分の立ち位置さえも見失ってしまうような場所。ここは妖下界と人間界を繋ぐ亜空間。
遠近感を確かめるには、自分とは別の見知った何かの大小で把握するしかないだろう。
ならばこの大蛇の大きさは如何ほどのものか。
葉巻の目の前?には煉獄会の事務所ビル一戸に易々巻き付ける程度の大蛇が大口を開いて迫っていた。


【乱文失礼しました。状況説明としましては、蛇ヶ崎が葉巻と共に亜空間へ移動。事務所の2階で切裂が敵を迎え撃つ。といった感じです。

強制的に場所移動させていしまって申し訳ありません。蛇ヶ崎の相手が葉巻を務めさせていただきます。亜空間⇒妖下界に移動しての戦いになると思います。とりあえず初っ端攻撃させていただきました。>>友禅様

事務所は人型が数体生き残り、切裂が二階で待機していますので、よろしくお願いします。>>酢橘様、Nero様】

2ヶ月前 No.223

@kino10 ★ccZgXX84ei_c1Z

【 上野駅、北陸新幹線「やばめ」車内デッキ / 猫田是清 】

合宿所での一件を天上界に報告し、一眠りして以来、胡庵がヘソを曲げていることに是清はなんとなくではあるが気づいていた。それが自分に向けられていることも。しかしその原因が何かまでわかるほど是清は器用ではない。
とどのつまりは是清が今現在、苦露川に受けた何らかの呪いにより霊力が弱まっていることを胡庵に告げていないことが原因となっている。もっと言うならば、不信感を抱かれいてると胡庵に思わせてしまっていることが原因だ。
その原因もわからぬまま、なんとなく余所余所しい雰囲気でヘコヘコしたまま今日の今日まで是清は胡庵と共にいた。何か解決策はないものか。年は10以上下とは言え、砂卯月という第三者がいる今回の旅を通して何かが起こってくれればという他力本願全開で是清は明後日の方向を見ながらお弁当を食べていると、阿弥陀如来は是清の願いに応じ、その何かは起こった。

『何か嫌なことでもあるのかい? くるりのこと? くるりが来たせいで是清さんと2人きりにならなかったこと? 是清さんのこと?』

何か起こらないかと漠然とした思いでいるのならば、良いも悪いも含めた何かの中から悪い何かがチョイスされてしまっても文句は言えない。
砂卯月が藪をつついている間、是清は一切胡庵の顔を見ていない。見られないと言った方が正しいだろう。ただ青ざめた表情で砂卯月の顔を見ていた。

『別の人だったとしても怒っていたことでしょうけど…』

『それに今回の旅、私は反対したのです。』

胡庵の言葉の矢が是清の胸に刺さる。是清風情は今の胡庵の言葉に対して苦い思いをするだけで、その意図を汲むことはできない。ならばどう切り返すべきか。
昔理由もわからないまま、怒っている胡庵に平謝りして更に怒らせたことがある。目の前に後輩がいることなども加味すると、ここでただ謝るのは得策ではないことは是清にだってわかる。ただ何となくこのままヘコヘコヘラヘラしていても出口は見えないので、やけ食いする胡庵に、是清は自分なりに考えた最善の一手を切り出すことにした。


「良い食べっぷりだね。僕のから揚げも食べる?胡庵さん鶏肉好きだもんね。」


軽井沢につくまでの間、胡庵は是清と一切口を聞くことはなかった。


【次の主のレスで軽井沢到着or邸宅到着しようと考えています。よろしくお願いします。>>ますたぁ様、紫様】

2ヶ月前 No.224

@kino10 ★ccZgXX84ei_c1Z

【 車内 / 十文字清春 】

「あーあー♪日本のーどこーかにー♪私を、待ぁてる、人がいーるぅー♪いぃ日旅ぃ旅だチッ!痛ぇ!?百恵!?」

八房にインバイトされたプレイリストから流れる曲に乗っていた所、漏れなく龍王寺からの呪詛返しを物理的ダメージ(ビンタ)として頬に受けた十文字。思わぬ一撃に錯乱。

2ヶ月前 No.225

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 茨新田葉巻 / 煉獄会アジト一階→亜空間 】

「慾深いのう 地獄の淵へ 突き落としておくれ――と。なんや、丑島の旦那やあらしまへんの。お久しゅう。相も変わらずシュッとしてはるわぁ、ほんにええ男振りやねぇ」

 声を掛けられて振り返った先の緩い笑みに、こちらも軽い笑みで返し会釈する。訛ったままで、けれど後輩に向けるものより丁寧さを感じさせる語調。失礼には失礼で返すのが葉巻だが、逆に言えば失礼なことをされない限り失礼なことはしないのが葉巻でもある。よって狗哉への対応と亮介への対応が異なるのは至極当然のことと言えた。それに、遅れて悪かったと言われはしたものの、彼の名前は最初に送付されてきた書類には記されていなかった。ということは緊急で呼び出されたのだろう。ならば遅刻するのは無理も無いこと。それを説明せずにいきなり謝罪から入る辺り、先程の狗哉の対応との落差で日頃から充分にある彼の落ち着きがますますのものとして感じられる。

(適度に丁寧で、適度にドライで……そうそう、こういうんがええんよ。疎遠でも親密でもない同陣営メンバーとしてやりやすい距離感。人生で出会う人間なんぞ大半が走馬灯にも出てけぇへんような間柄でしかあらへんのに、あの若いのは所詮他人のウチに何をカッカしとるんやろか。……いやまあ、そういう間柄の相手でさえ自分の格下であってくれな気ぃ済まへん辺りが、あの若いのの病状なんやろうけど)

 まだ建物の中には入らず外からの石投げタイムを続行中の狗哉を思い、密かに溜息を吐く。彼のことだ、建物に踏み込んできて亮介と顔を合わせれば、また何かしら失礼なことを言うのだろう。そして亮介の性格上、強気を通り越して悪気の領域で接して来る相手に対して『事を荒立てないために下に出る』ということはほぼほぼ有り得ない。つまるところ、彼の到着によって現在この煉獄会アジトにいる霊理士メンバーに引き起こされる進歩は、人間関係という一点に絞れば特に何も無い。……まあ、是清がこの場にいて狗哉の機嫌をとるために胃を痛めることになるよりは随分とマシだ。久々にすれ違った時、あの後輩は気も心も若干衰弱している様子だったし。これ以上に心労など与えては、いよいよ入院の必要性が出て来る。
 亮介が仕掛けてくれた可視化の負荷。それに微笑みとアイコンタクトで礼を伝えて、頭の中でトウビョウたちに指示を飛ばしながら、自身は歌を口ずさんだまま廊下を進んでゆく。階段へと到達。けれどそこで、葉巻の動きはピタリと停止した。ようやくお出ましだ。今までの雑魚とは一風異なる妖怪の登場。数は一人。いや一匹。この場にいるのがそうというだけで、もう一匹、上の階に目の前の妖怪と同レベルの気配を感じる。ふむ。とりあえず、三体でなくて良かった。雑魚以外にやれそうな相手が二匹だけなら、最悪、狗哉が「悪は悪同士で相打ちしろ」みたいな理論で傍観の姿勢を決め込んだりしても余裕を持って対処できる。一匹を自分が相手、もう一匹を亮介が相手にする形で。

「おおきに、自分でも鏡で見るたんびにそう思とるで。ウチ、かいらしいやろ?」

 相手の軽口に軽口で返し、見目にそぐわぬ憮然とした微笑みを浮かべる。――すれ違った人型の妖怪が石化。魔眼の類を所持している可能性を考えて、片手でコルナのジェスチャーをとる。一部の国では侮蔑のハンドサインだが、他の一部の国では悪運や邪視を祓う仕草ともされる。これを己の気で強化。まじないにも作用する強化特化の気こそが葉巻の武器の一つだ。
 相手の態度からして、こちらを舐めてかかっていることは明白だが……何、そういう性格の悪い妖怪の気は案外珍味だったりする。今は透明になっていて葉巻にしか見えないトウビョウたちが、食欲をそそられたようにうねうねと蠢いた。たまにはジャンクフードやスナック菓子が食べたくなるのが人の業というものだが、人ならざるトウビョウともなれば時には毒とて穢れとて喰らってみたくなる。この血に千年以上巣食ってきた同胞があれを望むというのなら、こちらも気合を入れて『狩って』みせよう。

「せっかくのデートのお誘いを断るほど、ウチは野暮な女やあらへんよ。――ほな、丑島の旦那。また後で。楽なほう選んでえらいすんまへんなぁ」

 自ら狩場へと正体してくれる相手の悪意を好意のようにしれっと受け取って、ひらり、と手を振り亮介に別れの挨拶を済ます。楽なほう、とは二匹いる主だった敵を比較しての話ではない。『妖怪との戦闘』と『狗哉の相手』の二択での話だ。
 纏う仄かな香水の匂いだけをその場に残し、葉巻の姿は亜空間へと掻き消える。呼吸一つ分ほどの時間で変わる景色。田舎の夜より更に暗い闇の中、足の踏み場さえないそこをふよふよと漂う葉巻の華奢な肉体。そして目に見えぬトウビョウたち。トークタイムは終了ということだろう。さっそく攻撃を仕掛けてきた妖怪は、その姿を人型から巨大な蛇へと変化させた上で、がばりと顎を開いてこちらに突進して来る。妙にシンパシーを感じると思えば、やはり蛇の妖怪だったか。

「『まだら山まだら わが行く先におるならば やまとの姫に申し聞かせん』。『朝日さす 夕日輝く日の本の ワラビの恩を忘れたか アビラホレンケンソワカ』」

 蛇避けの効果があると古くから日本に伝わる呪歌、しかも二つ重ね掛け。当然自身の気での強化も施した。自分がトウビョウ憑きなのに蛇避けの呪歌など正気か、と思われるかもしれないが、例えば日頃から神社にお参りに行っているものが丑の刻参りをやっても神社の清浄さで呪いが掻き消されたりはしないように、こういうのは頭の中で「敵は敵、自分は自分」の区別さえ付いていればどうにでもなる。

「『東や高間の山に ふねつくるをろち いくかたのきまへをかし』」

 先の呪歌と同じく、さらに早口言葉のプロフェッショナル並の速度でまたしても呪歌を重ねる。これは単なる蛇避けではなく、蛇に噛まれそうになった時のための呪歌だ。これでものの五秒たらずの間で、葉巻の身には呪歌三つ+気での強化分の目に見えぬ霊的防御壁が形成される。そしてそれだけで安心してしまえるほど、葉巻の歩んできた霊理士人生は短くは無い。

「臨む兵(つわもの)、闘う者、皆陳列べて前に在り!」

 強化した九字切りを襲い来る大蛇目掛けて放つ。格子の形をしたビームのような状態で放たれたそれと同時、透過したトウビョウたちも大蛇の肉体目掛けて疾駆する。相手がいかに固かろうと、触れてさえしまえば皮と肉との間にするりと入り込めるのがトウビョウの特性だ。せっかく狩りの得物が大きいのだから、それを存分に活かさせて貰おう。暗闇が得意な蛇なのは、そちらだけでなくこちらも同じことである。
 自分の攻撃が相手に当たるか避けられるかも確定していない内から、休むことなく次なる攻撃手段の形成に入る葉巻。相手の視界が正常に機能していれば、キャリーケースとは別の鞄から、彼女が何か小さなものを取り出したのが見えたことだろう。

>戌井狗哉様&丑島亮介様&蛇ヶ崎様&ALL様

【違った方向にメンタルがちょいとアレな三人の集まりって感じですねコレ(失礼)。今しがた一人と二人に分断されましたが。名残惜しいですがひとますおさらばです……!】

2ヶ月前 No.226

YY @nickker8 ★iPhone=5uyMHX6bbp

【桐生 竹寅 / お台場倉庫街】


「落ち着け」


信じ難い怪力で倉庫の一部を蹴り飛ばした相手の女に、隣にいる珠がバリエーション豊かな暴言を浴びせる。正体不明な連中に対しあまり挑発するなと制するが、彼女の狙いは別にあったようだ。相手から死角になる位置で言葉を隠れ蓑とし、彼女自身のスマートフォンを操作している。どうやら外部に連絡を取るのは失敗に終わったようだが、この状況下でそういった行動が取れる度胸と機転は大したものだ。


竹寅の問いに対し、『自分達は公務員のようなものでリクルートしに来た』という答えが返ってきた。これまた胡散臭い答えだ。ただのリクルートでこんな拉致のような真似をする筈がない。大体自分達のような高校生に声を掛ける仕事とは何か。竹寅と珠は初対面だし特に共通点もない。超人的な怪力や双角が生えている点についても疑問は残ったままだ。今の所敵意は無さそうだが油断はならない。竹寅の眼光が一層鋭くなったと同時に、八房と名乗った女性から書類の束が投げ渡された。この書類に詳細が記載されているらしいが、竹寅はこういった細々したものを読むのは得意ではない。学校での成績も中の下といったところだ。だからといって読まない訳にはいかないだろう。八房と竜胆という名の男性二人への警戒は怠らず、竹寅は渋々書類の束に目を通した。



ーーーーーーーーーーーーーーー


「……つまりアンタ達は妖ってのを倒す仕事をしていて俺達にそれを手伝えと……?」


霊理士やら天上界やら妖やら常識レベルで計れない内容に苦しみながら、竹寅はようやく書類を読み終えた。最近は体の方を鍛えてばっかりで頭の方は全然使っていない。普段使わない頭をフル回転させたせいか、結構疲れた。
小さい頃から見えていた不思議なものは妖という存在であること。それらを退治するのが八房達霊理士という存在であること。そして自分がその候補に選ばれたということ。他にも詳細な内容が色々記載されていたが、全てを理解しようとすると膨大な時間が掛かりそうだったので、要点だけ掻い摘んで理解することにした。体を使うのは得意だがやはり頭を使うのは苦手なようだ。そんな竹寅でも要点を理解出来たのだからこの書類は相当工夫して作られたのだろう。この分なら隣にいる珠は全ての内容を理解出来たのだろうか。
それにしても自分がこんな事態に巻き込まれるとは。本来ならもっとテンパって頭の中に無限の?≠ェ浮かんでもいいのだが、竹寅は不思議と落ち着いていた。これだけ一気に日常とかけ離れた事実を眼にしても、竹寅が気になっていることは一つだった。


「霊理士ってのになったら俺は今よりも強くなれるのか?」


≫八房、竜胆、珠、倉庫ALL

2ヶ月前 No.227

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【砂卯月空瑠璃 / 上野駅・北陸新幹線「やばめ」車内・自席】

切り分けたハンバーグと米と交互にパクパクと食べ進めながら、この空間に広がる悪い空気を感じていた。あはは、くるり、ムードを悪くしちゃったみたいだ。ムードをよくしようと思ってやったことじゃなかったけど、弟みたいに明るくみんなを笑顔にさせるべきなくるり的には、やらなきゃよかったかもしれないね。
お茶を飲んでいると顔面蒼白な是清さんがこっちを見ていたので、ペットボトルから口を離してから、「てへぺろっ☆」という意味で舌を出した。

「……へぇ。至れり尽くせりされてるんだね、是清さん。…確かに是清さんの社畜っぷりはすごいけど、それはちゃんと口に出さないと伝わらないよ? まぁ、くるりみたいな第三者が2人の関係に口を出すべきじゃあないか」

不機嫌そうな胡庵さんに対して、ニヤニヤしたままそう返す。「ただでさえ今の是清さんは何なんだい?」とか「『主様の体調管理のため、主様がちゃんとお弁当を残さず食べるかを見届けてから、食べ』るんじゃなかったのかい?」とか言おうか迷ったけど、それはくるりが首を突っ込むところじゃないからね。スルーしてあげよう。
そうして、言われた通りとにかく食べる。ハンバーグは食べ終わってしまったので、米をひたすらもぐもぐしていると、是清さんは胡庵さんに唐揚げをあげていた。あまりの不器用さにごはんを吹きそうになったけど、まぁ、難しいよね、こういうの。くるりだって上手く解決できるとは思えない。

「…ふぅ、ごちそうさまでした。もうそろそろ着く時間だし、くるりはすぐ降りれるよう準備をしますね」

弁当を食べ終わって手を合わせ、ビニール袋に空っぽの弁当箱を入れて口を結んで、持ってきたリュックに入れる。お茶の入ったペットボトルはリュックの外のポケットにぶっさす。準備はすぐに終わってしまった。

>>猫田是清さま、根倉胡庵さま

【くるりちゃんの方は次で到着してもらって大丈夫ですー!】

2ヶ月前 No.228

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

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2ヶ月前 No.229

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_QaP

【戌井狗哉/煉獄会前→煉獄会事務所・一階】

夕暮れ時に様々な事情があって自然なオレンジ色に身を染めながら人工色が欲望と共に煌めていく鶯谷を通りすがる人々は霊術のせいか人間性のせいか、はたまた節穴なのか、様々な感情を抱えながらもいつもの通り当たり前を演じて傍観者の立場を貫き通していた。例え、鶯谷に寄生したダニが死んだとしても。例え、鶯谷からより、ダニと外道の為に捧げる彼女の歌が響いても。例え、そんな外道が目にも止まらぬ速度で、地面に落ちていた硬そうな小石や空き缶等を摘み、その直後に何とも出鱈目なフォームを刹那に垣間見せ煉獄会のコンクリートで出来た壁や脆そうな窓ガラスに打ち付け、炙り出しを目的とした威嚇射撃を敵味方関係無く無差別に行っていても。
現在も小石を次々と散弾の如く敵に投げ続ける様に見える戌井だが、むしろ煉獄会に入り込んだ味方であるはずの茨新田に対して彼は彼女の態度や格好からしていずれ東京において治安を乱す危険人物と判断した為に、普通に堂々とこの場でダニと同じ様に制裁を企んでいた。だが、肝心の彼女は相変わらず霊理士としての意識が低いのか、呑気に歌を口ずさみながら東京を汚す害虫を潰していた。

「あらら……これじゃ害虫も可哀想だね。あの程度の蛇遣い霊理士に駆除されるなんて。てかさ、あの程度の蛇遣いに駆除される程度じゃこの煉獄会って組織も大したこと無さそうなんだけど。これってどうなのかな?」

すると戌井が投げた小石の影響で壁や窓ガラスが欠けて穴が開いた事により、明らかに通気性が何倍も良くなった事務所にニ十代後半の男性が入って来て茨新田と何やら会話を始めていた。そして彼女やその男性の反応からすると、どうやらこの煉獄会殲滅任務の飛び入り参加者と言う事で間違いはないだろう。

「なんだろな……これ以上厄介な霊理士が増えても困るんだけどね。全く、僕一人でこんな東京に寄生してなきゃ生きられないダニ共なんて十分だと何度言えば分かるんだか……」

だが恐らく霊理士か人間に化けている霊獣であろう男性は茨新田の様に、容姿が呆れて物が言えない程にTPOに合っていない訳では無い為、見た目は特に問題では無かった。ただし戌井にとっては見た目が普通でやっと東京において害かそうでないかのスタートラインに立っていると考えており、見た目がチンピラ風情だったりするのは論外としか言いようが無い。ただしもしもその自己主張でカッコイイやカワイイを求めているのであれば、チンピラ風情の場合は明らかに神経を疑うレベルで理解不明としか言いようが無い。まあ、東京を守護すると言うこの世で一番大事であろう任務時にゴスロリで歌を歌う神経の持ち主に比べればマシかもしれないが。とにかく、あの男性の動向を見て東京に貢献出来る人物か、東京に害を与える人物か判断する必要はある。
すると、ある程度小石や空き缶等を投げ終えた戌井は男性についての評価を考えていると、自身が事務所に開けた数々の穴から何も燃えていないはずなのに呪縛の様な黒い煙が噴出されるのを見ていく。

「ふむふむ……誰も出てこないって事は僕にビクビク怯えて必死に事務所に情けなく籠城しているか。それともあの男性と茨新田が僕の素晴らしい炙り出し作戦を見事に邪魔してるかのどちらかだね。……どちらにせよ、遠距離射撃だけで解決出来る程に弱い害虫じゃないみたいだね。それでも所詮害虫は害虫だけど」

そう呟くと彼は足に霊力を発動して高速移動を行った後、高速で事務所の入口からでは無く一階の事務所による朽ち果てたコンクリートの壁に能力を直接足に発動して、瞬時にいくつかのハイキック等を出した事により、壁を完全にボロボロにして砕いてしまう。

>>丑島亮介様、(茨新田葉巻)様、煉獄会ALL

2ヶ月前 No.230

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【東海道新幹線やばめ:胡庵】

自分の発言で、ピリピリした雰囲気になっていることに気づかない胡庵。そして『いい食べっぷりだね。僕の唐揚げも食べる?胡庵さんは鶏肉が大好きだもんね!』と言われ、主様のお弁当に残った唐揚げを見る。
確かに鶏肉は大好物だし、いつもの流れならここで大盛り上がりになり、謹んでこの唐揚げを食すのだが

「いえ、結構です……。もし今私が食べてしまったら、その唐揚げ分の栄養が主様に入らないじゃないですか。その栄養不足が元で、あとで倒れられても困ります」


と差し出された唐揚げを断り、そっぽを向く。
胡庵の機嫌が悪いまま、新幹線はもうすぐ目的の駅に到着しようとしていた。

≫是清様 久瑠璃さま

2ヶ月前 No.231

Doubt @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★koxvC6ZLNl_mgE

【山鳴 八房、播磨 竜胆/お台場 倉庫街】

鬼が出るか蛇が出るか。ともあれ理不尽な境遇に置かれた二人が容易く書類に目を通してくれたことは僥倖だ。もっともこれは書類を作成した是清の功績であると見てまず間違いないだろうが……
帰ったら一杯奢ってやるか等と考えていると、意外にも竹寅が先に口を開く。荒唐無稽、普通ならば下らない冗句と一蹴する内容のそれを苦しみながらも理解してくれたようだ。彼の問いかけに首肯を以て答える。此方としてもそこまで理解が及んでいれば上等だ。龍王寺は想定内としてこの竹寅の方も中々どうして飲み込みが良くて助かる。一悶着なかったことにホッと胸をなでおろす八房、落ち着き払った少年の口からもう一つの問いが零れる

『霊理士ってのになったら俺は今よりも強くなれるのか?』

男子高校生、しかも武道の心得があるとなると成程こういった問いかけも出てくるだろう。年相応の願いに頬が緩みそうになるがそれでも心に残るのは一抹の不安。力への欲求は聖者に属さない純粋なものである反面堕ちようと思えば何処までも堕ちてゆける甘美な毒だ。現状ではそういった傾向こそ見られないが、土壇場では大きく揺らぐ可能性も拭いきれない。彼がこの先霊理士としてやっていくのであれば、そういった面で手綱を握る教導役が必要不可欠だろう

「強さの形ってのは人それぞれだ。お前がこの先強くなるか弱くなるかは心掛け次第ってとこさね」

あまり深くは突っ込まず釘を刺すだけにとどめておく。是清ならばあれやこれや思案するのであろうが生憎と自分はそこまで面倒見がいいわけではない。さらに言ってしまえば彼がこの先霊理士になれる確率は八房の見立てでも半々といったところだ。天上界(うえ)の方は手放しにでも新たな霊理士を補充したいところだろうが、生憎と馬鹿正直に従ってやる程八房は真面目ではない

『大体の事情は察したわ。霊理士っていう職業も私たちが選ばれた特別な存在だってことも、その竜胆って奴が私とバディ組む相手だってことも・・・・・・あんたたちがどうやっても私たちを霊理士にさせたいってことも、どうしてアンタみたいな武道派が交渉人に選ばれたってことも』

本題を切り出そうと口を開きかけたところでどこかで聞いたような陽気なメロディーが割り込んでくる。今の今まで胡坐をかいて書類へと視線を落としていた珠が立ち上がる。スカートの砂利を払いながらも鋭い視線は真っ直ぐに八房を捉えていた。暗く狭い室内をさらに圧する重い殺気が充満する。未だ覚醒すらしていない少女の気に空気がうねり流れていく。天才と自称するだけはある様で、どうやらこちらの意図まで全て筒抜けとなっているようだ。頬を叩く烈風と殺意、感化されるかのように己が内面に膨れ上がる二つの歓喜を抑え込む。飼い犬を躾けるのは容易だが思ったことが顔に出るのはどうにも抑えられないらしい。自然深まる笑み、しかしそこに浮かぶのは先までの取り繕った表情では断じてない。例えるのならば獲物を前に牙を剥く獣、血に飢えた餓狼の微笑

『手荒な新人教育しようって魂胆でしょ!? 八房“さん”!』

「流石天才……と言いたいが一つだけ訂正だ、嬢ちゃん。今からやるのは『新人教育』じゃあなくて『入社試験』だ……クソガキ」

激闘を予感した竜胆が一歩後退するのと八房の姿が消失するのは同時。息がかかるほどの至近で紡がれる宣戦の合図と共に繰り出された左掌底が珠の腹部を捉える。八房の霞む右脚はそのまま吸い込まれるように隣に立つ竹寅の鳩尾に直撃する。刹那の合間に二人を文字通り蹴散らした体術、常人ならば悶絶するレベルの一撃も八房にとっては愛撫にも等しい。否、対峙する二人にとってもまたこの程度の攻撃は然したる脅威には値しないだろう。今この時を以て気の解放は成されたが故に、これより先は常人の域を遥か超越する

「多少荒っぽくなっちまったがさして堪えてはいねぇはずだ……俺は攻めにも受けにも『両の脚』しか使わねぇ。テメェらは何でもいいから俺をノしてみせろや。『シノ』か『ドーセツ』、どっちかを俺から引きずり出せたら及第点をやるよ」

天を指すは右手中指。挑発のファックサインが開戦を告げる

【確定ロルになってしまいましたが気の解放ということでご容赦ください……】

>竜王寺珠、桐生竹寅、倉庫ALL

2ヶ月前 No.232

Nero @nerokichi ★Android=ibuMTFvydU

【丑島亮介/煉獄会アジト一階】


「そういう茨新田の嬢ちゃんも相変わらず可愛らしい成りだな。そこらに転がってる妖共もまさかこんな別嬪さんに蹴散らされるとは思ってなかっただろうよ」

 言葉尻に"良い冥土の土産だ"と付け加え、相手方の軽やかな語り口に同じような形で返答を寄越した。やはりというか何というか、人間としても霊理士としても経験豊富な彼女であるからこその落ち着き様と言える。力量が十分とはいえ敵の懐を正面から破りに行く際に見られる典型的な反応として、大抵は普段よりも闘争心が昂っていたり緊張を孕んでいたりするものだ。しかし葉巻の表情は、纏う空気は普段のものと一切変わらない。それは本心を隠すために用いられる強がりでもなんでもなく、類稀なき才能と百戦錬磨と言っても過言では無い膨大な経験からなるものなのだろう。

 腕から放つ気は止めること無く、凄惨な景色と化した屋内をぐるりと見渡した。見る限り一階に居た妖らは残らず屠られたようで、特に手も煩わせられる事無く制圧も済むかと思えば、上の階から急いだ様子の感じられない二つの足音が束の間に落ちていた静寂を掻き消した。音のする方から嗅ぎ取れる、簡単に対処出来ていた物の怪共とは一線を画すであろう妖気に、笑みは崩さないまま細めた目で其方へ目を向けた。

(1匹、2匹、……今の所他の気配は無いか。ならアレらが此所のまとめ役かね。何にせよ手数が少なくて済むのは助かる)

 新たに現れた二人の妖と、その背後や周囲の気配を見る限り他に敵方は居ないようで、思ったよりも少ない人数配置に拍子抜けする。まあ余程目の前の物の怪の力量に自信があるのか人手が足りないだけかは知れないし、さらに上階にはもっと手強い輩がいる可能性もあるが、こちらもアジト制圧に当てられた人数は片手で収まる程度。お世辞にも多いとは言えない実状、単純に物量戦というのは周囲に目を当てにくいのだ。サポートだけでは無く新人霊理士のお守りも少なからず必要な今、少々手練だろうが敵対象が単体に絞れる現状は非常にやりやすい条件だった。
 ふと隣で目の前の妖の片割れと軽口を叩き合う葉巻に不可視なのだろう、何かしらの霊力的干渉が掛けられた気配を感じ取り、阻止する為に霊力を放出しようとしたが当事者である葉巻の様子を見てその手を止める。どうやらあの蛇型の妖の誘いに乗る気なようで、その目には焦りも恐怖も感じられない。いや、寧ろ好都合と言った様子か。彼女はそのまま刹那に姿を消した。

「……全くだ。きっちり任されてやるから今度飲みにでも付き合ってくれよ」

 葉巻の残した楽な方≠ニいう言葉の意味を理解して、少しだけ困ったように笑みを深める。まあ、相手方が彼女を指名したのだから仕方ない。それに自ら妖の狩場に誘い込まれはしただろうがこれで何の制約もなく存分に狩りを楽しめるのは葉巻も同じ事だ。少々戦場が不利な程度で音を上げるような霊理士でない事は分かっている。余計な心配はしていない。

 それよりも頭を回さねばならないのは寧ろ此方の方だ。さてどうやって戌井と共闘を仕掛けるか。第一に葉巻と戌井を分けられたのは逆に此方の利点になった。あの様子じゃどちらかの言動が起源になって仲間割れが起きかねなかった以上、それが避けられただけでもプラスと言えよう。正直これは敵方など関係無い初歩的な問題なのだが。
 その張本人である戌井も、そろそろ射石だけじゃ妖共の反応が無い事に痺れを切らして遅かれ早かれ屋内に直接乗り込んでくるだろう、と思考をしている間も入れずにコンクリートの壁へ轟音を立てて盛大な穴が空く。派手に吹き飛んだ外壁の破片と砂埃から片手で顔を遮りつつ、外から漏れる夕日を背に豪快な登場を決めた戌井の姿を見て、思ったよりも早かったと息をついた。
 残った妖がどの程度の力を持つか判断出来ない以上、二人で手を下す方が当然効率が良いのは語るに及ばない。挙句今の己にはパートナーたる霊理士も居ないのだから。少し荒い真似事になるが時間も無い、軽い挑発程度なら情緒の無い子供みたく怒る事も無いだろうと、腕を組んで首だけを捻り戌井の目を見て口を開いた。

「────"戌井狗哉"、自分は東京の守護者つったか。ならこの場はお前にお誂え向きの舞台だろう? 東京を護れる力ってのを、今此処で見せてくれよ」

 新人とはいえ選ばれた逸材の霊理士。とんだじゃじゃ馬ではあるが扱い方を違えなければ確実に、いや予想以上の霊力を見せてくれるだろう。人に化けた丑は変わらない緩い笑みを浮かべ、深緑の瞳に期待の色を宿して戌井を見据えた。


>煉獄会アジトALL



【状況把握しました。確かにテンプレートに普通といえる人はいない気はしますね()】

2ヶ月前 No.233

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【狗盗/→煉獄会前→煉獄会事務所・一階】


此度の任務について、狗盗は自分が仕える主戌井狗哉から何も指示を出されていない。それは大いに狗盗を苦しめた。彼は何も言わず先に言ってしまった。それは勝手に自分について来いという事なのか、それとも己で考えて行き先を選べと言うことなのか。これは、恐らく試されているのでは無いかと狗盗は思う。主人が黙ったままでも主人の意向を読み取れ、という事なのではないかと。ならば、ならば! この狗盗、必ずや御期待に添えて見せます……!
と意気込んで暫く。未だに答えは出ないままであった。こんな難題を課すとは、流石狗哉様。と狗盗の中ではただひたすら戌井の評価が鰻登りであったが、しかしこのまま動けないでいるのが一番不味いであろう。最善の答えは果たしてどれなのか。言わずとも主人に付いてこい、なのか。自分で然るべき場所へ行け、なのか。はたまた狗盗の好きにしろ、なのか。分からない。全く以て分からない。

(いや、しかし。考えてみると答えは一つしか無いのではないか?)

仮に答えが言われずとも主人に付き従え、であったならばそれは戌井と同じ所へ行くという事である。仮に自分が行かねばならない場所へ行け、であるのならば自分が行かねばならぬ場所は戌井の傍なのだから戌井と同じ場所である。また仮に、したいようにしろ、という事ならば戌井の近くに居る事こそが自分のしたい事であるのだからそれも結局戌井と同じ場所なのだ。
気付いてしまえば、どうしてもっと早く分からなかったのだろうかと嘆かわしくなる。こうやって悩んでいる間にも己の主人は一人で突き進んでいるのだろう。即決していればその分主人と長く居られた筈である。

(こうしては居られない。早く狗哉様の元へ急がねば)

ううん、ううんと頭を抱え無駄にその場をぐるぐると回るのをやめ、顔を上げると犬の姿へと変わる。人目の無い場所で悩んでいた為見られるという事は無いだろう。考える時は人間の姿の方が捗るが、走るのであれば動物の姿の方が早い。狗盗は全速力で四本の脚を走らせると、匂いと気配を辿り煉獄会の前へと辿り着く。荒い息を整えつつ人の居ない路地裏に入りまた人間の姿へと戻ると、聳え立つビルを見上げる。恐らく目的地である事務所は半壊していて、黒い煙が昇っている。立ち煙る血と死の匂いに、何が起こったのかありありと想像出来た。

「ああ狗哉様! 雑魚共の相手でしたら私がやりましたのに!」

折角のお召し物が汚れてしまいます、と主人の怪我は心配していない。見るからに戌井が負けるような強い相手では無いし、実際立っている者は居ない。中へと入っていく主人に倣い、狗盗も事務所へと足を踏み入れた。



【飛び入り参戦失礼致します。ログを散々読んでの投稿ですが矛盾や解釈違い等有りましたら無視して戴いて構いません。よろしくお願い申し上げます】


>>戌井狗哉様、丑島亮介様、茨新田葉巻様、煉獄会ALL様

2ヶ月前 No.234

YY @nickker8 ★iPhone=WmXHYy6CpN

【桐生 竹寅 / お台場倉庫街】

『強さの形ってのは人それぞれだ。お前がこの先強くなるか弱くなるかは心掛け次第ってとこさね』


自分の問いに対する八房の答えに竹寅は賛同の意を示す。確かにその通りだ。力は時に人を滅ぼす。甘い甘い悪魔の囁きに乗ってしまうともう二度と善の道へは戻れない。まるで映画のような話だが、妖といった闇が存在する以上、自分がいつ道を外れてしまうかは分からないのだ。
だが、竹寅はそんなに弱くない。これまでの人生を通して培ってきたのは体の強さだけではないからだ。自分を律する心の強さ。あくまで自分に厳しく、何のために強さを求めるのか。どんな事があっても竹寅の軸はブレない。懸念はされているのかもしれないが、杞憂に終わらせてやる。そんな意思を込めた強い眼で竹寅は再び八房を見据えた。


と同時に。
珠の言葉が文字通り場の空気を一変させる。これが彼女の″気″と呼ばれる力なのだろう。竹寅の体にピリピリした空気が纏い付くと場は次の展開へと進む。入社試験だと話をした八房の蹴りが竹寅の鳩尾を捉えた。動体視力に優れている竹寅が全く反応出来ないレベルの攻撃。凄まじい威力の蹴りに、竹寅は壁際まで吹っ飛び大きな音を立てて壁に衝突した。


「面白い………これが俺の気か」


八房の攻撃が恐らくトリガーになったのだろう。竹寅の纏う空気が変わった。体の中にある泉から力がどんどん溢れてくるような感覚。常人であれば耐えうる筈のない八房の蹴りに、竹寅自身が大きなダメージを受けなかったのがその証拠だ。


″気″というものはそれを扱う者によって大きく性質が異なる。身体強化や属性、治癒や幻術等そのバリエーションは様々。竹寅に関しては多少の身体強化を施してくれているようだ。だが、その一番の変化は竹寅の右手に握られた白銀の長刀。その透き通った刀身はまるで芸術品のような神々しい美しさを放っている。リーチがあり、それなりの大きさであるがとても軽い代物だ。故に扱いが難しいだろうが、竹寅にとってそれは苦ではない。寧ろ慣れ親しんだ相棒が圧倒的な進化を遂げて自分の元に帰ってきてくれたのだ。
妖刀として有名な村正という刀があるが、竹寅の刀は妖刀というよりは神刀。日本神話で有名な天叢雲剣といったところか。そこまで言わせるような無限の神気を放っている。




「礼を言うよ、八房さん。アンタのお陰で」


相手があれだけの実力者である以上、こちらも相手を殺す気でやらなければ戦いにもならない。
刀の先を八房に向け竹寅はわずかに笑みを浮かべた。瞬間、竹寅が駆ける。そのスピードは先程の八房にも引けを取っていない。気の解放による身体強化で今までとは別次元のスピード、そしてパワーを駆使し、八房目掛けて白銀の長刀を振るう。それは寸分の狂いもなく相手の首を狙って放たれた。


「俺はもっと強くなれる!!」



≫八房、珠、竜胆、倉庫ALL

2ヶ月前 No.235

@kino10 ★ccZgXX84ei_c1Z

【 亜空間 / 蛇ヶ崎 】

葉巻が様々な霊功を用い、己の強化と敵の弱体化を図り終えるほんの数瞬の間。それに対応するかのように大蛇はそのなり形はそのままに身を頑強な石に変え、身体の撓りや眼球運動などが停止。当初飛び込んできた勢いそのままに葉巻めがけて体当たりする形となった。


「(フフフ。何やったって逃がさないわよ。私たち『二人』からは誰も逃れられないのだから。)」


葉巻が察知していたか否かはわからない。が、この亜空間には既にもう一体の妖が潜んでおり、石化した大蛇の突進のドサクサに紛れ、その巨腕が葉巻を屠らんと振るわれていた。


【 煉獄会前 / 切裂 】

一般市民A「おい!なんだアレ!ビルが……!」

一般市民B「キャー!!」

妖連中が施していた人払いも虚しく、あまりの戌井の暴れっぷりに往来の一般市民達が遂には、霊理士と妖怪の間で行われる非日常に気がついてしまう。
戌井の打撃により、崩れるコンクリートの破片がその命を捕らんとばかりに女性の下に降り注ぐ。


切裂「斬る」


耳を劈くような女性の甲高い悲鳴の音は、煙たそうに咳き込む音にその波長を変えた。先程まで落下してきていた、大きいものは直径1mほどはありそうなコンクリートの礫は塵と化し、数センチ先も見えぬほどに辺り一面をもうもうと漂っていた。いくら塵程度に細断されたとは言え、こうも視界を遮るほどに塵煙が辺りを漂うものだろうか。その答えは切裂の霊功によるものだということを煙に巻かれる一般市民は知る由もないだろう。
塵煙で視界を奪われているのは何も一般人のみではないのかもしれない。霊理士1人と霊獣2匹。彼らの周りもまた塵煙が纏わりついていた。


切裂「(斬る)」


そんな中、切裂の斬撃が戌井を襲う。


【戦闘描写が下手で恐縮です。わかりづらいところがございましたら解説致します。>>友禅様、酢橘様、Nero様、白鷲様】

2ヶ月前 No.236

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

【 茨新田葉巻 / 亜空間 】

 ところで遥か昔には、古代エジプトのクレオパトラや中国の楊貴妃が、美容のために真珠を粉にして飲んでいたという。パウダー状とはいえ宝石を飲み込むなんて正気か、と思う者もいるかもしれない。けれど実際にそれが可能で実行した者がいる以上、石を砕いて飲むというのは確かにこの世に存在する文化なのである。そして葉巻の小さな身体では、重みで動きを制限されずに纏うパワーストーンの数には限界があった。ゆえに中学生の頃、その世界三大美女たちの逸話を知った時に思い浮かんだ。そうだ、身に付けられないなら砕いて粉にして飲んでしまえば良い、と。
 今回、煉獄会アジト襲撃の任の前に葉巻が飲んできた粉状のパワーストーンは三種類。一つは水晶。パワーストーンの王道中の王道。非常に優れた浄化作用があることで知られ、水晶のさざれ石などは他のパワーストーンの浄化にも頻繁に用いられる。他には心身の活性化、潜在能力の開花、直感力の強化、細胞の再生力や免疫力を高める、体内に蓄積された毒素やマイナスエネルギーの排除などが効能として挙げられやすい。さらに水晶は古き時代に『水精』と呼ばれ、精霊が宿る神聖な石として様々な儀式に登場していた。ほぼほぼ万能的でオールマイティに活躍するこの水晶を、葉巻は己の『身体能力のみならず物やまじないの類にも作用する強化特化』という気の性質をフルに活かして強化。袋状のオブラートに包み小分けにして何度も飲み干したパウダーの量、水晶限定でなんと100グラム。
 もう一つはシャーマナイト。水晶ほどメジャーなパワーストーンではないが、こちらもスピリチュアル的な効能に限定しても、エネルギーバランスを整える、心を前向きにする、負のエネルギーから精神を守る、目に見えないエネルギーの追及を手助けする、持ち主の危機察知能力を高める、持ち主の理解力を高める、『神と繋がる』感覚を味わうことができる、など主に精神面で様々な活躍が期待できる。こちらも袋状のオブラートに包んで30グラムほど摂取した。
 最後の一つは翡翠。災難避け、この世とあの世を繋ぐ、人生の成功と繁栄を守護する、不運や呪いを退ける、持ち主の身を守る、冷静新着さと忍耐力を養う、生命力を与える、叡智を授ける、眠っている能力を開花させる、強力な浄化作用とヒーリング効果、あたりが主な効能だ。縄文時代から勾玉の形で護符として重宝され、一部地域では家の年長者に翡翠をプレゼントするという風習も未だに根付いている。オカルト的なものよりもむしろ物理的な危機から持ち主の身を守ることに長けている、というのも密かに有名な話だ。こちらも袋状オブラートに包んで20グラムほど胃に収めた。
 それら気で強化済みの合計150グラムの体内のパワーストーンたちが、腹の中で蠢いて葉巻に危機を知らせた。逆らう理由は無い。気で強化されたパワーストーンで強化された危機察知能力と直感力、という段階を踏んだ警告に従って、今しがた鞄から取り出したばかりの物体――『御塩殿神社の塩の塊』を後方にぶん投げた。あの伊勢神宮の神事に供える塩を代々奉納し続けていることで密かに有名な神社の密かに有名な塩。さらさらとした粉状ではない、堅塩と称される、かまどで一晩焼いて固められたその塩は、一つの塊を作るのに800グラムの塩を使っているだけあって本来は手の平に収まらない大きさである。しかし今回、葉巻はその硬塩を二つに砕いた状態で和紙に包んで持って来た。よって片方だけなら手の平にかろうじて収まるサイズとなっている。硬塩を包むのに使っている和紙も、ホワイトセージの煙と月の光で清めたことで浄化グッズと化していた。さらに言うなら、和紙の白はオカルト的には浄化の色だ。

「『ノウマク・サンマンダバザラダン・センダ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン』!」

 怨敵調伏に効果があるとされる不動明王の真言と共に、後方の妖怪の図体ド真ん中めがけて鋭く空を裂いた由緒正しい神社の硬塩with清浄な和紙。そして九字を石化という手法で無効化してなお慣性の法則そのままに滑って来てかまされた大蛇の体当たりは、事前に準備しておいた蛇避けの呪歌によって形成されていた不可視の霊的防御壁を一枚犠牲にして防ぎきった。ここが完全に向こうの空間、つまり葉巻にとってはアウェーとはいえ、葉巻の形成した互いに互いが高め合うような攻防一体オカルト陣形に疵を付けるとは大したものだ。向こうが相変わらず姿を消しているままのトウビョウたちの突撃に気付いているかは定かではないが、どちらにせよ、それも結果的には石化という手段で侵入を防ぎ切っている。見事なものだ。触れられさえすれば皮と肉の間に潜り込むのが容易いトウビョウたちとて、それが皮でも肉でも無ければ、触れたところで侵入はできない。

(――けどまあ、見たところ石化したままで動くんは無理そうや。石からただの蛇の状態に戻る一瞬の隙。その一瞬の隙さえあったら、トウビョウはんらは数のゴリ押しで相手に苦痛を与えるんには成功する)

 目で見えずとも血で分かる。この亜空間に何百匹と蠢いている、愛し愛されこの血に千年以上住み着いて来た彼らの気配。向こうが二対一のつもりでも、こちとらその『一』の中に数えるのも馬鹿らしい数のプラスアルファを当たり前に含んでいるのだ。連携プレイを見せつけたいなら、こちらも見せつけてやる。

「『祓へ給へ 清め給へ』『祓へ給へ 清め給へ』『祓へ給へ 清め給へ』――」

 大蛇が亜空間のどこで石化を解いても素早くトウビョウたちが体内に侵入できるよう頭の中で指示を出しつつ、口では略祓詞を連続して唱える。同時に残り400グラム分の堅塩を手で握り潰しながら自身の周囲に円状に巻き散らし、一枚破れた分の結界の補強を言葉のみならず物理でも行った。葉巻の戦い方は、数いる霊理士の中でも一般人が思い浮かべるソレに最も近しい。すなわち、身体を動かしてどうこうよりも、いかに自分の守りを固めつつ相手の力を削ぎ、その場を自分のフィールドに変えて行くか。
 ――本物の蛇にも負けぬトウビョウ筋の徹底したしつこさ、その身で味わって貰おう。

>蛇ヶ崎様&巨腕の妖怪様&ALL様

【まさか「蛇の妖怪だから」という理由だけで咄嗟に例として名前を出した濡れ女がたまたま正解だったとは……。丁寧にお答え頂きありがとうございます!】

2ヶ月前 No.237

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

【龍王寺珠 / お台場倉庫街】

 風が頬を過ぎた。


 瞬間世界は間延びしグチャグチャにかき回される。全てが早送りのように乱れ飛び上下の感覚さえ失った。ドラム式洗濯機に放り込まれたらこんな感じだろうとあまりにも場違いな空想を抱く。静止、暗転。その光景が収まり代わりに激しい星の点滅が視界を埋め尽くすとき、背中に激痛が走る。衝撃は背面から一気に内臓へと伝播し珠の横隔膜は限界ぎりぎりまで押し上がった。

「ガッハァ!? ――――ッカ! ハッ・・・・・・!? ゥアァ――――・・・・・・!」

 呼吸困難。内に含んだ酸素を全て吐き出した肺はなかなか動いてくれない。耳の奥でゴオゥッと血流の音が聞こえる。酸欠と頭を強打したことにより脳の働きが鈍くなっているのか。徐々に視界がブラックアウトしているさなか急に呼吸がしやすくなった。今まで水中にいたかのように腹一杯空気を取り込む。一呼吸する度に八房から掌底を喰らった場所が熱を帯びた。手足の末端の痺れもとれる頃、その熱は体全体を包み込む。いや、表現的にはナニか流動する物が自分の体の周りを循環している。そのナニかは自分だけではなく、隣の竹寅にも八房にも竜胆にも流れ出ている。しかし自分の流れよりも竹寅や八房の流れは大きく激しい。珠の流れが山奥の清流ならば、彼らは運河や渓谷の急流に近い。水量も速さも桁違いだ。竜胆のはというと、ほとんど動きが見られない。まるで朝霧が立ち込める湖畔のような静けさ。人外の激闘が行われている中においても、我関せずと言わんばかりに悠々と、言い方が悪ければ飄々としている。しかし悠然とそこに佇むその姿は、海原に近い度量を感じさせた。

 これがあの資料に書いてあった『気』と言うものか。

「何・・・・・・で?」

 珠は愕然としていた。この場にいる誰よりも自分の気が少なく、浅く、弱いことに。生まれてから15年もの間、常に人の前に立っていた。誰も彼も自分の背中を眺めていた。そこに優越感も何も感じない。だってそれが当たり前だったから。自分は天才で、特別で、異端で、だから他の人間とは違う。友達という存在も仲間という存在も、両親という存在だって必要ない。孤独の中でも生きてきたんだ。才覚と力と知性で生きてきたんだ。

 なのにこの差は何だ。まるで、まるで自分だけが――――。

「・・・・・・冗談じゃないわよ・・・・・・ふざけんじゃないわよっ!」

 困惑する珠の横で竹寅の気の流れが変わる。淀みなく流れていた気が押し止められるように動かなくなった。どんどんと膨れ上がる気の量、そして竹寅の姿が消えた。先程八房が自分たちにやって見せた高速移動。気をまるでダムの放流のように運用し、爆発的な力はまさに鉄砲水そのものだ。

 竹寅の背が遠く小さく見える。その光景に珠は奥歯を噛み締めた。自分の気の量ではいくら溜めたところであのような爆発力は出せない。他人ができることが自分にできないという揺るぎない現実を突きつけられ、筆舌に尽くしがたい悔しさと怒りが沸き起こる。

「私は・・・・・・私は天才だあぁあ!!!!!」

 咆哮一つ、踏み出す一歩。周囲の気を無理やり操作し追い風のようにして珠は駆ける。しかしその速さは目を見張るものではなく、竹寅との差は広がるばかり。静かな清流に大雨が降ったように、その気は乱れ澱んでいた。弓矢を持って相手に殴りかかる愚行。聡明な龍王寺珠とは思えない気の運用だった。今までたった一人で生きてきた彼女は、自身の気の本質は何なのかまるで気づいていない。竹寅の持つ白刃が八房の首を狙う中、珠はその戦闘にすら参加できていなかった。

>>八房 竹寅 竜胆 BALL



【彼女にはいっぺんデカい挫折を味わってもらいます(暗黒微笑)】

2ヶ月前 No.238

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_QaP

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2ヶ月前 No.239

Nero @nerokichi ★Android=ibuMTFvydU



【丑島亮介/煉獄会アジト一階】


 投げかけた挑発に対してマシンガンの如き怒涛の切り返しが突如として流れ込んできた事に、珍しく丑島の表情が目に見えて変わった。それは訝しげでも怒りでも無く、何か予想外のものを目の当たりにしたかのような表情。何時も緩みっぱなしの口元は真一文字に戻り、眉も普段より目から離れた間の抜けた顔。そんな相手方と全く状況の合わない呆け面は、まだ戌井が語り終わらぬうちに破顔し吹き出すような笑いに変わる。

「ぶっ、くく、く……はー、いや悪い。別に馬鹿した訳じゃあ無いんだがな。そうか、挨拶か。確かに俺だけ名前知ってんのも不平等かもな」

 今言った言葉の通り、本当に馬鹿にした嘲笑のような意図は無かった。ただ少し意外だったのだ。これまで彼の様子をはっきりと見たのは合宿所の体育館で拘束されて何やら喚き散らしていた時の一度だけ。どれだけ話の通じない狂人なのかと構えていた手前、挨拶やら何やらとかなり可愛らしい指摘をされて思わず思考停止をしてしまった。もっとこう子供の喧嘩じみた取り留めも無い、下らない罵声が飛んでくるかと思っていたのだ。同時に先入観で固定していた戌井の印象を訂正する。なんだ、思っていたよりも普通の青年じゃないかと。少々扱いの難解な奇人程度。まあこの態度じゃ葉巻と対立するのも理解出来るし、恐らくはアジトに辿り着くまでにオブラートにも包む事なく彼女にド正論を叩き付けられたのではなかろうか。そして予想するまでも無く、今の自分への言論のようにマシンガントークをかましたのだろう。
 普段よりも深い笑みを浮かべていた口元を右掌で軽く摩り顔を上げ、そのまま腕組みを辞めて再び戌井の方へと視線を向けた。

「俺は丑島亮介。お前が"戌"の霊獣に選ばれた霊理士ってんなら、俺は"丑"の霊獣そのものだよ。ま、お眼鏡にかなうような輩じゃなくて悪いな。なんなら狗盗……忠犬の方が良かっ────」

 己の詳細を示し、すぐにでも残された一匹の物の怪について焦点を切り替えようとした途端の聞き慣れた同じ霊獣の悲痛に聞こえる叫び声が丑島の発言に被さるように屋内に響く。若干面倒な予感が脳裏に過ぎるが、噂をすればなんとやら。その予測はそのまま的中したらしい。戌井の忠臣、いや忠犬である狗盗が口煩い様子で姿を現した。

 さて戦力もリスクも増えた。戦闘面に関しては寧ろプラスだろう。戌井は未だパートナーたる霊獣との共闘を拒んでいるように見えるが共に行動することによりその霊力は強化の一途を辿る。それに狗盗の姿勢の低さと執拗さなら否定はされつつも戌井の方が先に折れて初歩的な共闘が可能になるやもしれない。
 面倒なのは歯止めが効かなくなる事。確かに戌井は才能も霊力も十分だが新人であり経験もない彼に今現れた妖を正面から相手取るのは不安の一言だ。時に驕りは人間の命をいともたやすく刈り取る。段取りも考えも無い適当な戦法は勝ち負け問わずその者の生死自体が危ぶまれるだろう。そして続くは狗盗である。その異常な忠誠心を除けば幾分かは理性的と言える彼だがもし戌井が負傷した、もしくは死んだとなれば恐らくその壊れかけているタガはあっさり壊れるかもしれない。妖怪共を蹴散らしてくれるだけならまあ結果オーライだが、相手の方が単純に力量的な問題で上手なら血の昇った冷静で無い狗盗に勝ち目は無い。寧ろ後追いの様に始末される可能性もある。もしくは妖を始末したあとでも暴走を続けるようであれば対処に苦しい。

(まあ物の怪の攻撃は全部俺が受けて、戌井と狗盗に攻撃メインで集中してもらう方が一番安定するかね)

 普通に考えてもこれだけのリスクが降り掛かる。正直異常に干渉する気もないし手も貸せない程突っ走られて死なれたのならそこまでの人間だったと思うしかないのだろうが。

 戌井と狗盗を交互に見やり軽く息をついたところで、目の前の妖の短い一言と共に爆煙のような粉塵が視界の全てを覆い隠す。肌で感じる霊力の気配によってこの塵煙が作り出されている事を察すると共に、特殊な陰の気配を嗅ぎ取る自身の鼻が灰色の視界の先で急速接近をしている事を察し、それまで気の黒煙を放出し続けているだけだった丑島の身体が動いた。
 向かうはその侍のような妖と、標的に選ばれた戌井の真横。戌井自身も殺意か空気かに反応したのか既に迎撃態勢を取っているが、動きと視線の先を見るに相手の位置までは把握していない。そうなると相手の追撃に対抗出来ないであろう。姿勢を低く取り、戌井を庇う形で身体を潜り込ませ妖の刀身に触れぬ角度からその手首を掴む為に素早く腕を伸ばす。これで一度引いてくれれば体制を整えられるし、万が一攻撃を続行させられても多少切り傷が一本入る程度だ。その間に敵の手首から直接気を、呪いを捻じ込める。
 冷血な命の駆け引きは淡々と、しかし刹那に始まった。



>>煉獄会アジトALL



【勝手に庇う形で乱入させていただきました。すみません】

2ヶ月前 No.240

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【狗盗/煉獄会事務所・一階】


「はい、申し訳ございません。余計な事だとは重々承知しておりますが、熟考し貴方様の為を考えた結果、私は貴方様の傍に居る事に決めました」

呼んでないと言われれば正しくそうである。しかし何処其処へ向かえとも言われていないので勝手に考え着いてきたのだ。そのお陰で散々悩むハメになりこうして参戦が遅れたのは否めないのだが。
世間一般から云えば狗盗に投げ掛けられた返答は厳しいものだろうか。しかし狗盗にしてみれば己の小言を無視せず反応して戴けただけで舞い上がる程嬉しいので何の問題も無い。証拠に今の狗盗の顔は笑ってこそいないものの嬉しそうにキラキラとしている。犬の姿であれば間違いなく尻尾がちぎれんばかりに振られているだろう。

そういえば、と自分が参入する間際名前を呼ばれたような気がした狗盗は主人に釘付けになっていた視線を上げる。そこには先輩霊獣である丑島亮介が立っており両腕から気の黒煙が濛々と放たれている。あの黒い煙はこれか、と合点が行くが二人の位置関係からして今の今まで二人で話していたような雰囲気である。もしやお話を邪魔してしまっただろうか。狗盗の脳裏には微笑ましく仲良くお喋りをする二人の姿が思い浮かんだ。実際は違うし戌井の性格的にも有り得ない光景だが主人関係には盲目な狗盗は気付かない。しかし良く躾されている狗盗は挨拶をせねばときっちり四十五度に腰を折り曲げる。

「先日ぶりで御座います、丑島殿。お話を遮ってしまい申し訳」

ございません、と続く筈の言葉はそこで途切れた。謝罪は大事だが悠長に会話を繰り広げている場合では無いと判断したからだ。丑島が出していたそれとは全く違うまるで砂嵐でも吹き上がっているかのような視界の悪さ。それと何かの動く気配。動物時程ではないが狗盗は戌の霊獣故に人間の姿をしていても多少は鼻が利く。妖と、そして殺意の臭いに狗盗は頭を下げる姿勢のまま僅かに移動する。殺意の向かう先が主人である戌井だと悟ったからだ。これが自分が丑島であれば何も行動は起こさなかっただろうが、主人であれば別である。自分が動くと同時に戌井も動いた事が分かったが、防御態勢を取るつもりは全く無いようだ。しかしそれは狗盗が許さない。向かって来る斬撃から戌井を護るように前へ踊り出れば己の頭を右腕で庇う。臭いの元から位置は大方予想が付いているが見えない事には確証はない。それでも主人を守る事が己が使命。
使命感に駆られると同時に激しい怒りも奥底から湧き上がってくる。

(狗哉様に、狗哉様に攻撃だと? 此奴、絶対に殺す)

ふつふつと、怒りが狗盗の頭を支配する。自分が一体どんな表情をしているのかは分からないが、本来の犬の姿であったなら歯を剥き出しにして唸っているのだろう。そんな狗盗の怒りに連動するが如くぽつ、ぽつ、と青い拳程のサイズの火の玉が現れ始めた。


【狗盗なら絶対庇うと思ったんです、すみません】

>>戌井狗哉様、丑島亮介様、切裂様、茨新田葉巻様、煉獄会ALL様

2ヶ月前 No.241

Doubt @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★koxvC6ZLNl_mgE

【山鳴 八房、播磨 竜胆/お台場 倉庫街】

得心いったという風な表情の少年と愕然と揺らぐ少女。反応こそ両極端ではあるが両者ともに気の覚醒には成功したようだ

矢張り一足早く対応して見せたのは『寅』の少年、桐生竹寅。気の覚醒によりさらに冴えわたる闘志と肉体、さらに右手には白銀の刃が握られている。緩やかな刀身と纏う神気は御伽噺にも出てくるような霊剣そのもの。まさに彼の生涯と経験が凝った一振りは降りかかる災いを悉くに斬って捨てるだろう。恐らく適性があるのは能力は肉体の強化と武具の具現といったところか。些か正直に過ぎる面もあるとはいえ、搦め手を使わずとも一定の力を発揮できるであろうこの能力は単純に強い。即戦力が求められる現状においてこれほど適した人材もまたいまい

『礼を言うよ、八房さん。アンタのお陰で』

殆ど合格みたいなもんじゃあねぇか、と思わず漏れそうになったボヤキが遮られる。背筋に氷塊を突っ込まれたような怖気は久しく忘れていた戦慄という感覚。先程までただの少年であった男に自分が恐怖を覚えたのか?何かの間違えだと揺れる視界の正面に捉えた少年の像が一陣の風と共に消失した

『俺はもっと強くなれる!!』

刹那に首筋を襲うは死を司る白刃。溜め込んだ気を一挙に放出しての高速跳躍は恐らく先の八房のそれに並び超えていく水準。急激な加速を殺すことなく繋げられる横薙ぎの一撃は人の領域を遥か超越した絶技と言って相違いないだろう。気の解放によって身体能力で並ばれた。となれば幾ら八房が場数を踏んでいようが太刀筋の読み合いにおいては竹寅の方に一日の長がある。元より無手と帯剣者の戦力差は優に三倍はあるというのが定説で、下手に変わったとてその刃は寸分違わず彼女の首を刎ね落とすだろう。とどのつまり山鳴八房は詰んでいる。確定した死の直前、緩やかな時の流れの中で犬神憑きは不敵に笑う。呆気ない終わりを前にした諦観?否、この程度はかの女にとっては窮地にすら値しない

「甘めぇんだよ剣術屋!」

気の強化により極限にまで高められ、ダメ押しとばかりに『音』を纏った右の脚がコンクリの床面を踏み砕く。地面を深々と穿つ黒脚を起点に広がる亀裂が竹寅の下にまで到達、道場では決して在り得ない「足場の崩壊」という異常が少年の踏込を僅かばかりに狂わせる。前髪を僅かばかりに掠りながらも絶死を一振りを回避した八房が至近距離から残る左脚を振り上げる。空振り泳ぐ右腕を強襲、武装解除とまでと行かずとも体制を崩すことには成功する。このまま剣の運用が困難なインファイトに持ち込むのが定石だが、今は生憎と殺し合いに興じているわけでは無い。試験と教育の場とみるのならば何時までも優等生にかまけている場合ではないのだ
八房の黒の瞳が捉えるは既に竹寅にあらず。取り乱したように叫び疾走する少女、龍王寺珠に此方も呼応するように突進。周囲の気に干渉しての加速は彼女特有の力に見えるが、その所作はお世辞にも効果的とは思えない。言うならば噛みあわない歯車同士が無理やりに動いているぎこちなさ。とてもではないが真価を発揮しているとは言えない有様だ

「おい、どうしたどうした天才!あんまし萎えるような無様晒してくれるなよ!」

一喝、交差気味に少女の突撃をいなした八房は返礼とばかりに右の脚を腹部へと叩き込む。今度は蹴り飛ばすことなく少女を引っ掛ける形で再度加速、一気に壁面へと叩きつける。壁面を背に八房の右足一本で磔刑に処される少女。体重を傾ければ少女の矮躯を完全に踏み抜くのも容易いギリギリのライン、徐々に、だが確実にに力を加えながら八房は冷淡に吐き捨てる

「陽動か策かは知らねーけどな、そんなもんやらせる訳がないだろうが。隠してるもんがあったら全部出せ、ガチンコで俺にぶつかってこいや……ただ俺も気が長げぇほうでもなし。あんまし勿体ぶってると……このままバラしちまうぞ?」

【なんやこのチンピラ……】

>竜王寺珠、桐生竹寅、倉庫ALL

2ヶ月前 No.242

YY @nickker8 ★iPhone=IsniptKmfz

【桐生 竹寅 / お台場倉庫街】


竹寅が放った一閃は、足場の崩壊という八房のトリッキーなアイディアによって空を切った。今まで様々な相手と手合わせをしてきたが、この八房は間違いなく最強だろう。気を解放したばかりとはいえ自分の中では会心の一撃だったにも関わらず、まさかノーダメージで避けられるとは思わなかった。今までにない強敵との戦いに、竹寅の胸は自然と高鳴る。霊理士として成長すればさらに強くなれると確信した瞬間でもあった。


「!」


が、いつまでも喜んではいられない。八房は竹寅の一撃を躱すだけでなく、そこから全く無駄の無い動きでカウンターの蹴りを仕掛けてくる。右腕に強烈な蹴りを食らいバランスを崩してしまった。さらに追撃が来るかと身構えたが、そこにはもう八房の姿は無い。


相手の姿を眼で追えば、八房は既に珠の腹部に蹴りを入れそのまま壁へと叩き付けていた。自分が八房に攻撃を仕掛けた際に後方で珠の咆哮が聞こえていたが、彼女はどうやら気の運用が上手く行っていないらしい。そんな彼女にハッパを掛けつつ、八房はその蹴りの力を少しずつその力を強めている。″試験″とは言っていたが、よもやそのまま珠の体をへし折ってしまいそうな勢いだ。



「くそっ!何やってんだアイツ……!」


珠とは少し会話をした程度だが、あのままやられっぱなしでいるような性格、力量ではない。とは言えあの状態が続けば万が一ということもあり得る。
先程と同様の攻撃ではまたかわされて手痛い一撃を受けるかもしれない。ならば八房を珠から引き離すには一つ。


(上手くいくか……試してやる…)


右手の刀に気を込める。それに応えるように長刀の神気が一層高まった。狙うは距離のある八房。瞬時に狙いを定めると居合抜きの要領で得物を下から一気に振り上げた。


瞬間、放たれたのは神速の斬撃。気が体に馴染んできた事で遠距離攻撃も可能になった。スピード、斬れ味が増した新たな攻撃。放たれた斬撃は全てを切り裂く勢いで八房を珠から引き離すべく襲い掛かった。



≫八房、珠、竜胆、倉庫ALL




【八房さんハンパない(笑)】

≫Doubt様

2ヶ月前 No.243

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

【龍王寺珠 / お台場倉庫街】

 ――――ボグッ! グチュッ・・・・・・!

 肉同士がぶつかり合う重く鈍い音とともに、水気を孕んだ嫌な音が珠の耳に届く。痛覚よりもまず押し寄せる嘔吐感。熱を帯びた何かが胃を食道を逆流する。

「ゴボォエッ!! ガッハァ・・・・・・!」

 珠の口から黒ずんだ血が吐き出された。内臓、特に消化器官へのダメージ。胃酸と吐瀉物が混ざり込んだ血で腹部に突き出した右足が汚れる。しかしそんな事はどうでもいいと言わんばかりに犬神憑きの女はその手を緩めない。右足で珠を引っ掛けながら加速。倉庫の壁に突き刺した。叩きつけるという表現ができなくなるほど、その黒い槍は鋭く、凶凶しい。珠の体は壁にめり込むほど強く押しつけられており、グッタリと力無くうなだれている。まるで百舌鳥に捕らえられ木の枝に生きたまま串刺しにされた哀れな獲物のように、その凄惨な姿は直視することを躊躇われ、また幼子と見紛う少女をここまで痛めつける山鳴八房の冷酷さがにじみ出ていた。

 痛みも苦しさも感じられない。壁に突っ込んだ衝撃で背骨を損傷したのか、腰から下が痺れるように動かなかった。頭に思い浮かぶのは、明確な死。死の淵に立ち珠は考える。自分の人生とは何だったのだろうか。天才として生き、天才として死ぬのだろうか。このまま孤独のまま。龍王寺珠は思案する。そして指摘する。自分の人生で一番の誤りを。


 ――――何が天才だ。何が特別だ。思い上がるのも大概にしろ。自分より強くて優れた人間なんていくらでもいたじゃないか。『井の中の蛙、大海を知らず』のそのままに、自分は何も知らなかった。そのくせ自分の弱さに目を背け、認めぬまま虚勢を張っていた。特別だから孤独なんかじゃない。普通であることを恐れたから孤独を選んでいただけだ。なるほど彼女の言うとおり、自分はただの生意気な『クソガキ』だった。弱くて卑怯で寂しがり屋で、強がって粋っていただけの、子供だった。



 死にたくない。



 震える珠の腕が八房の足を握る。

「わダ・・・・・・ジも、ゲホッ! お礼・・・・・・言わな、きゃ」

 その手の力は弱々しく、その声はたどたどしい。口元は血反吐で黒く汚れ、痛々しくみすぼらしい姿をさらけ出していた。

「ありがとう・・・・・・八房さん・・・・・・アンタの、お陰で」

 しかしその気力は、その目の光は。

「私は、やっと弱くなれた」

 まだ死んでいなかった。



 突如八房の気の流れが変わる。肉体強化のために全身をくまなく覆っていた霊力が、珠の手を介し彼女の方へと移っていく。水が低きに流れるように、その量とスピードは徐々に増していった。古代中国の房中術には交接した相手から一方的に気を奪い取る技術があると言われている。しかし気と言うものは血液と同じように、個々人でその性質が違っており、安易に他人の気を自分の内に取り入れると回復するどころか却って悪影響を引き起こす可能性が高い。だが稀にどんな気の性質にも適応し同調し馴染む特殊な気を持つ者が存在する。清流の水はどこへでも行ける。激流の川でも、静謐な湖でも、雄大な海原でも。

 八房の気を取り込む珠の顔に生気が戻ってくる。有り余る気を使ってダメージを負った内臓や脊椎を修復しているのだ。RPGでは無くてはならない『回復魔法』。呪文を唱えればチョチョイと治療できると思われているが現実はそうはいかない。天上界が認定した霊理士の中で簡単な裂傷や打撲を治療できる者は全体の4割。骨折や内臓へのダメージなど重傷患者の治療が出来るのはその中の3割未満。内臓破裂など生死に関わるダメージや重要な神経が通る脊椎、脳や心臓の治療が行えるのは10人いるかいないか。専門的な医療の知識と針の穴を通すほどの緻密な気のコントロールが組み合わさって初めて出来る芸当である。

 八房の気の流れは目に見えて弱まっていた。総量にして7割ほどの気を奪ったことになる。腹部へ叩き込まれた右足の力も徐々に抜けて、掴んでいる右腕は対照的にその凄みを増していった。それなのに、ここまでやってようやく拮抗できる状態。渾身の力を込めてもその足を破壊するどころかやっと自分の体から離したぐらい。まったくバカバカしいまでの強さだ。本当に尊敬する。

 その時、不意に珠の首筋に電流のようなものが走る。研ぎ澄まされた気への感覚が数秒後起こるであろう未来を珠に見せた。山鳴八房の体が、真っ二つに断ち裂かれる映像を。考える暇などなかった。自分が抱いたことのない感情に身を委ねた。

「危ないッ!」

 自分の真後ろで気を爆発させ、飛びつくように八房を押し倒す。床に倒れ込む最中自分の頭ギリギリのところ、薄く鋭利な刃のような気が通った。あの速さと切れ味、一瞬でも助けるのを躊躇したり受け止めようなんて思っていたら二人ともお釈迦だっただろう。死の淵を二度もかわすことになった珠は、安堵から思わず八房の胸に頭を押しつけて深くため息をついた。

>>八房 竹寅 竜胆 BALL



【自分の作ったキャラにここまで大怪我させたのは珠ちゃんが初めてかもしれない】

2ヶ月前 No.244

Doubt @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★koxvC6ZLNl_mgE

【山鳴 八房、播磨 竜胆/お台場 倉庫街】

「さて、ぼちぼち潮時だなこりゃ」

右脚の先、血と吐瀉物に塗れ息も絶え絶えに喘ぐ少女の醜態に八房は事の決着を確信した。天上界より指名されたとはいえ、まだ十代も半ばの少女には元よりさした期待を抱いていた訳でもなかったのだが、こうも予想通りだとやはり張り合いという物に欠けてしまい面白くない。もっとも自身の興不興を優先した挙句に無益な人死を出して良しとするほど此方も頭のネジが外れているわけでは無い
確かに彼女は天才で、素質はあったのだろう。しかし例え霊獣を受け入れるだけの器があったとて、それだけでこの先の激戦を生き残れる保証などどこにもないのだ。現状直面している惨事が生温いとさえ錯覚させる程の鉄火場を八房は何度も経験してきた。多少乱暴な物言いだが、ここで元いた平穏の世界へと帰っていける少女はきっと幸せなのだと思う。天上界のお偉方には頭下げて詫びを入れる形になるがそれもまた致し方ない。それと今回態々視察に足を運んだ竜胆にも謝罪の必要があるだろうか
了承を得るべく後方にて事の顛末を見届ける竜胆へと視線を送る。腕を組み佇む竜胆の表情は相も変らず意図の読めない微笑のまま。それは賛同の笑みなのか、それとも否か。考えあぐねいている八房にただ一言竜胆が言葉を投げかける

「戦いの最中に敵を視界から外すとは中々に剛毅だな犬神憑き。それと、余り彼女を舐めないでいただこう」

警告か将又冗談か。何度反芻してみてもやはり意味の分からない。困惑のままに口を開こうとした刹那右脚に微かな違和を覚える。視線を戻すと右脚の先、磔の少女が抗うかのようにしがみ付いていた。とはいっても抵抗らしい抵抗は皆無、咽ながら紡ぐ言の葉さえ聞き取れない程に弱弱しいもので。満身創痍、半死半生の少女に継戦の余地はあるというのだろうか?八房の至極当然と言える疑問をゆっくりと面を上げる少女の表情が解決に導いた。乱れる前髪の合間、血反吐に汚れながらも決して折れることのない意志を宿した燃える瞳

『私は、やっと弱くなれた』

少女の決意の言葉に総身が泡立つのを感じる。止めを刺そうと足に力を込めたのと少女がその力を発揮したのは同時。突如襲い来るのは全身を隈なく蹂躙するような倦怠感。少女と接触している右脚を基点に文字通り気を「吸われる」感覚に苦痛の声を漏らす
気の吸収。それ自体は妖怪の一部、さらに言えば霊理士であってもそれに類する異能を発揮するものは存在する。希少ではあっても目新しいものでは決してない。その前提があってなお八房をして驚嘆させているのは偏に少女のそれが根本から異なる体系の能力に属していることにある。先に見せた通り竜王寺珠の持つ性質は「流」。気の流れに干渉し、操作する彼女の能力に例外は無い。例え相手が内包する気であろうともその支配下から逃れる術は無いのだ

(こいつ……俺の気を自分に流し込んで回復に中ててやがるのか……?!)

同時に白蝋のと化していた少女の頬には血の気が戻る。八房の気を利用しての治癒、それに加えての自己強化により一方的な磔は最早拮抗状態にまで押し返されている。互いに身動きが取れない千日手、されどこの状況は二対一という前条件を鑑みるに八房の不利へと天秤が大きく傾いていた
絶好の勝機、それを見逃す竹寅では断じてない。裂帛の気合いと共に放たれたのは空を切り宙を駆ける斬撃。虚を突かれた一撃に舌打つ八房。女が手を打つよりも早く少女の叫びが倉庫内を木霊する

――――炸裂。斬撃に砕かれたコンクリの壁面が散らばり噴煙が視界を覆う。爆心地の直下、四肢を投げ出すように仰向けに倒れる八房が胸元で安堵するように息を吐く少女へと純粋な疑問を投げかけた

「よぅ……なんで俺を助けた?やりようによっちゃ俺のタマも十分に取れた、とは考えなかったか?」

>竜王寺珠、桐生竹寅、倉庫ALL

2ヶ月前 No.245

YY @nickker8 ★iPhone=cFT5IWdD6W

【桐生 竹寅 / お台場倉庫街】


竹寅が放った斬撃は、珠の危機察知能力の甲斐あって誰も傷付ける事なく倉庫の壁面を粉砕した。勿論、竹寅に殺意は無い。珠と八房を引き離す為の斬撃であったが、どうやらその攻撃は不要だったようだ。


「よう、大丈夫みたいだな」


倒れ込んでいる2人の元に駆け寄り、珠にそう声を掛けた。先程まで死にそうな程追い込まれていたが、今はもう眼前の八房に勝るとも劣らない気を宿している。どうやったかは知らないがこれが彼女の『気』なのだろう。流石は『辰』の選ばれし者。やはり竹寅の見立て通り彼女もまたかなりの強者だ。



「なぁ、八房さん。試験とやらはまだ続くのか?」



先程までの八房とは違い、気が大分減っているように感じる。珠のように詳細に相手の気について分かる訳では無いが、竹寅でも減少が分かる程の減りようだった。それとは対照的に気が漲っている珠を見れば、何があったかは容易に想像がつく。ここで試験が終わった場合、間違いなく珠は合格になるだろう。あの八房をここまで追い込んだのは紛れも無く彼女なのだから。となると自分の場合はどうなのか。特に決定的な攻撃を決めた訳でもないし合格を貰えるかは微妙。というのが竹寅の見立てだった。自分が更に強くなるには霊理士になることは最低条件。今の次元を超える強さを手に入れるにはここで躓いていては話にならない。現状の自分の評価がもし不合格であれば、この先で何とか挽回しなければならないしここで試験が終わるようであればかなりマズイ。そんな彼独自の焦りから八房に質問を投げた。



≫八房、珠、竜胆、倉庫ALL

2ヶ月前 No.246

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

【龍王寺珠 / お台場倉庫街】

「・・・・・・ふざけんじゃないわよ」

 なぜ自分を助けた、との問いに重く低い怒気をはらんだ声で答える。八房の胸ぐらを掴み引き寄せる。その瞳には隠しようのない怒りの炎が燃えさかっていた。

「私をあんなぼろ雑巾みたいにしといて、死んでイーブンなわけないでしょ!? アンタにいまここで死なれちゃ私が困るのよ!」

 古来中国に『登龍門』という言葉がある。鯉が激流の黄河を上り、龍門と呼ばれる瀑布を泳ぎ切ると龍へと転生し天へと昇る伝説から、成功へと至る難関を突破したことを意味することわざである。鯉に意志や感情があるならば、なぜ彼らはわざわざ滝を昇ろうとしたのだろうか。

「アンタは私の初めての壁なの! 初めて全力でぶつかって、それでも全く歯が立たなかった相手なの! 誰かに負けたことも、誰かを見上げたことも、誰ッかを・・・・・・尊敬することも、初めてでェ!」

 胸の奥から沸き起こる経験したことのない感情の奔流は、涙となって零れ落ちる。ボロボロと流れる大粒の雫はとめどなく彼女の小さな手を濡らした。
 なぜ鯉は龍になろうとしたのか。黄河を泳げる素質のある鯉だ、それは見事な体躯の持ち主だろう。湖や滝壺など一所に留まれば、そこの主と噂されるに違いない。絶対的強者として安寧の生活が約束されていた鯉は、その生を振り切ってまで黄河を渡る。強さへの渇望、困難へと立ち向かう勇気、その原動力は自らに内包した『弱さ』。弱い自分を受け入れ、泳ぎ続けた者だけが、龍へと成れるのだ。

「強く・・・・・・なってやるッ! 強くなってやる! 一人でもアンタを倒せるぐらい、強くなってやるッッ!!」

 黄河は時に氾濫し多くの犠牲を齎した。しかし肥沃な土と絶えぬことのない水と水産物は国全体を潤す糧となった。破壊と創造、死と恵みを与える雄大な河を人々は『龍』と崇めた。涙で澄み切った眼は高い志により研磨され、珠玉の如き輝きを放ち、纏う覇気は龍をも統べる皇(すめらぎ)の器を感じさせる。

「それに何寝ぼけたこと言ってるのよ、チェックメイトよ山鳴八房」

 タマは既に握られていた。相手の気を奪えると言うことは、自分の気を相手に流せると言うこと。珠は自らの気を八房の内臓に流し込んでいた。それはまるで手のように胃を、肝臓を、そして心臓を握っている。下手に動けばどうなるか、想像もしたくない。
 竹寅も合流しこちらの布陣は盤石のものとなった。後は、この女がどういう評価を下すか。

>>八房・竹寅・竜胆・BALL



【返信遅くなって申し訳ありませんでしたぁぁぁ!!】

2ヶ月前 No.247

Doubt @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★koxvC6ZLNl_mgE

【山鳴 八房、播磨 竜胆/お台場 倉庫街】

「やっぱりガキだなぁ……お前。みっともなくボロボロべそかきやがって……女の涙はそんな安っぽいもんじゃねぇだろうがよ」

単純な疑問。返された答えは少女らしからぬ、そして少女らしい年相応の感情の奔流。
自分ですら制御できない思いの丈が涙となってしとどに頬を濡らしていく
人は元来、生まれ落ちて物心つくころには必ず何かしらの障害と対峙する。それは親の躾か同輩の虐めか将又その他なのか。要因こそ千差万別なれど、自分自身の力だけではどうしようもなく立ちいかない、何度ぶつかろうとも踏破出来ぬ強固で高い聳え立つ壁を人は必ず経験する。そうして初めての敗北の中で己の身の程を知る
だが眼前で落涙する少女は違うのだろう。己の才気と気概がそれを良しとしなかった。そして挫折と敗北を知らぬままここまで進んできてしまった。それを八房がブチ壊しにした。十と余年をかけて構成された少女の世界を跡形もなく打ち壊し、外の世界を突き付けてやった。と、御大層な言い方になってしまったがこんなものは人間ならば誰でも済ませてしまったものだ。大方の人間が鼻垂らしていた幼少期に済ませてしまったものを、今更自覚したというのは遅きに過ぎるという物だ。尤もこんな些細な切っ掛けであっても目に見えて成長してしまうのだから天才という物は恐ろしい

『それに何寝ぼけたこと言ってるのよ、チェックメイトよ山鳴八房』

そして彼女の言うとおり、今や生殺与奪の権限はこの小さな少女が握っている。全身、特に内臓にまで張り巡らされている気はまさに少女のものと見て間違いない。相手の気を自分に流せるということは逆もまた然り。己が気を相手に流すことすら容易いのだろう。無論そんな不純物を遠慮無しに流されてしまってはどれ程のダメージを被るかは想像に難くない。故にこれは詰みである。ナイフを首元に突き付けられてヘラヘラと笑っていられるのは余程の狂人か、将又ナイフによる刺突が致命傷に成り得ない人外か。この明らかな敗北の前で平然と笑って見せた山鳴八房という女は間違いなく前者に類する人間だった

「そっちの小僧もまだまだやり足りないみたいだし、新人二人にこっぴどくやられましただなんて恥かしい報告キヨの野郎に出来るはずもねぇ……あと何より、本気になったテメェとガチンコしてみてぇじゃねぇか。詰んだかどうかなんてのは俺が決めることなんだよ!」

――オン・アミリタ・テイ・ゼイ・カラ・ウン

紡ぐは真言、司るは『戌』。力ある八房に言の葉に呼応し内に眠るに二つの獣が吼え猛る。内側より伝播する咆哮が八房の全身に干渉、縛鎖の如くに戒める少女の気の悉くを無害な『音』へと変換する。密着状態にある少女の反応すら置き去りにするほどの解呪式の高速展開、そして無害とはいえ内臓を直接振るわせる微細音波に八房の口端には鮮やかな朱が零れる。常人ならばたとえ成人だろうと叫ばずにはいられない激痛の中女は剛毅に笑みを浮かべる。自身に跨る少女を抱えたまま跳躍、空中での姿勢制御と回転の勢いそのままに一気に振りほどく。さぁ、首輪は外れたぞ。これから三人愉しいお散歩(ランデブー)と洒落こもうか

「ゲ、ガボッ……そら寝坊助もようやっと目ェ覚ましたところで試験の続きだ。気合入れて魅せろやガキ共ッ!」

>竜王寺珠、桐生竹寅、倉庫ALL

【病床に臥せっておりまして……返信遅れ申し訳ないです】

1ヶ月前 No.248

YY @nickker8 ★iPhone=5uLOojlU7y

【桐生 竹寅 / お台場倉庫街】


(なんだこの気は……)


やはりこの女は只者ではない。隣にいる珠が絶対的な優勢を保っていたにも関わらず、その珠の気を圧倒的な気で塗りつぶしていく。八房自身にもそれなりのダメージがあるのだろうが彼女は痛がるどころか笑みを浮かべていた。その様相はさながら狂人といったところだ。初めて会った時からその片鱗は感じたが、今では気の質が全く違う。これが試験前に言っていた『シノ』と『ドーセツ』とやらの影響なのだろうか。これが霊理士と霊獣の真の力ーーーー



場を支配し圧倒的な気を放つ八房を前に竹寅の気がさらなる昂りを見せる。自分の気だけでなく対となる霊獣の存在によってここまでの力を出せるのか。自分がこれから足を踏み入れようとしている世界には、これから先どんな修行をしても絶対に手に入らないような力がある。ならば俺も手に入れてみせよう。たとえ霊獣の力がなくても一人でもその『強さ』を。


そんな竹寅の気がもう一段階覚醒する。右手だけでなく左手にも白銀の神刀が具現した。それはまさに十拳剣。右手に天叢雲剣、左手に十拳剣を持つ竹虎の姿はスサノオノミコトを模しているようにも見える。
その気を覚醒させ八房を圧倒した珠にも、その珠をも超える気を放ち現状を支配する八房にも負けるわけにはいかないのだ。竹寅は珠のようにその場の気を上手く操れる訳でもなければ、八房のように内なる霊獣と共鳴しその力を高める事が出来る訳ではない。彼に出来る事は、あらゆるものを『切り裂き断ち切る』事だ。



『ゲ、ガボッ……そら寝坊助もようやっと目ェ覚ましたところで試験の続きだ。気合入れて魅せろやガキ共ッ!』


試験官はどうやら試験を続ける気のようだ。その言葉を聞くや否や竹寅は再び八房の元へ駆け出す。その顔には僅かだが笑みが浮かんでいた。既に手に馴染んでいる二振りは竹寅の昂りに応えるように一層の神気を放つ。どんどん加速していくスピードさえも利用し竹寅は八房目掛けて二振りを振り抜いた。



そこから放たれるは文字通り神すらも屠らんとする斬撃。竹寅に流れる気を全て刀へと集約させた一撃だ。先程放った斬撃とは別物のX印の斬撃が八房を襲う。


「神斬り・双月ッ!!!」



≫八房、珠、竜胆、倉庫ALL



【返信の件、お気になさらないで下さい。くれぐれもご無理だけはなさらぬ様に。】


≫Doubt様

1ヶ月前 No.249

@kino10 ★ccZgXX84ei_xmq

【 北軽井沢「冴木家別荘」 / 猫田是清 】


軽井沢駅を降りてショッピングモールに目もくれずタクシーに乗り込み1時間弱。「群馬県」北軽井沢に到着すると、そこからは徒歩で更に小一時間、別荘地を奥へ奥へと進み、別荘跡の廃屋すらも見て取れなくなったころ、是清たちは目的地へ着いた。

成人男性二人分ほどの高さの石造りの塀と、これでもかとばかりに鎖で雁字搦めに締めこまれいるさび付いた鉄製の門。門の隙間からは、新人霊理士勧誘のゴタゴタの際に是清が見た件の景色が確かにあった。

枯れた庭と朽ちた邸宅。

ここに至るまで、「コノサキススムベカラズ」「キタミチモドレ」等ユニークな記載のある標識をいくつか目にした。標識の文字が醸し出す不穏な雰囲気とは裏腹に、進んだ先の目的地には妖しい気配は「ほとんど」なかった。

「ふう……。お疲れ様です。檜原村の合宿所以来の険しい道のりでしたね。」


目的地に着くなり、辺りに漂う微妙な気配に眉を顰めつつ数秒、何事か思案した後、いつも通りの如才ない苦笑いで、是清は後方にいた胡庵・砂卯月の方に振り返りそう語った。


>>砂卯月・胡庵

※警告に同意して書きこまれました (個人情報)
1ヶ月前 No.250

@kino10 ★ccZgXX84ei_xmq

【 煉獄会前 / 切裂 】

己が直接刀を振るい、戌井に斬撃を浴びせたかに思わせる周到なカモフラージュ。その実は、人型大の殺気を織り交ぜた斬撃型の衝撃波。
切裂の手首をつかみにかかった丑島は、蜃気楼か何かを手でとらえたような手ごたえの無さを感じることだろう。

生身の人間であれば真っ二つ。鉄であっても深さ数センチの傷をつける程度の斬撃。戌井に振るったものであったが、その従者である狗盗にそれを阻まれた。


「命は取らぬ。」


殺気もなしに頭上から現れた切裂は着地と同時に、戌井と戌井を庇う狗盗の背の隙間に刀を通す。

「その身体、達磨にし持ち帰る。」

無防備に振り出された戌井の腕が宙を舞った。


>>戌井、狗盗、丑島


【腕を切り落とすというかなり強めの確定ロルなので、もし問題がある場合は腕に斬撃を見舞う手前でも構いません。よろしくお願いします。>>酢橘様】

1ヶ月前 No.251

@kino10 ★ccZgXX84ei_xmq

【 亜空間 / 蛇ヶ崎・牛鬼 】

「ブモォォォォオオオォォォ」

塩には邪気払いの効果があることは周知の事実であるが、市販されている程度のただの塩であれば、この牛鬼にはかすり傷程度のダメージしか負わせることはできなかったであろう。そして、そのかすり傷程度では牛鬼は怯むことなく、葉巻を殴りつけていたことだろう。
御塩殿神社の塩。牛鬼は振るった拳の勢いに合わせて、自爆するかのように腕全体を蝕まれた。まるで火花のように丑鬼の巨腕から血しぶきが飛び、葉巻の頬を掠めるか掠めないかギリギリのところで丑鬼にパンチが反れた。
尚も巻き上げられる聖なる霊験あらたかな塩に、今度は傷こそできないものの牛鬼は悶え苦しみ、思うように身体を動かせないでいた。


「(っチ!使えないパートナーだこと。こうなったら……。)」


自らを囮に牛鬼に攻撃させる当初の予定が崩れた蛇ヶ崎は、脱皮の要領で石化した己の身体こ口内から新たな大蛇として、粘液を身にまといつつ現れ、大口を開け葉巻を襲う。その身をトウビョウに蝕まれながら。


「ハッ!こんな小せぇのがいくらわらわら身体にとり付こうが!何度だって脱皮繰り返して引きはがしてくれるよ!」


>>葉巻


【ごり押し体力勝負に持ち込んで、あわよくば牛鬼の復帰を望んでるパターンです。>>友禅様】

1ヶ月前 No.252

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_D9v

【 茨新田葉巻 / 亜空間 】

 略祓詞を連続して唱えたまま堅塩での結界の補強を終え、続けざまに取り出したるは薄っぺらい小型のミュージックプレイヤー。けれど日本人なら誰でも知っている有名メーカーの高級品だけあって性能は折り紙つき。慣れた手つきで視線も送らず操作して、目当ての曲を大音量で流す。正確には、曲というよりただの音色だ。クリスタルボウル。音による浄化、サウンドヒーリングのツールとして一部の間で名が知れ渡っている。自宅に置いてあるそれを鳴らして録音することで、重量のある実物を持ち運ばずに済む。クリスタルボウルの音がもたらす恩恵は浄化。高純度の水晶を主原料として作られた聖なる楽器。すなわち音による清めの力は柏手を上回る。穢れ無き浄化の音色は小さなプレイヤーから最大音量で亜空間へと響き渡り、葉巻にはヒーリング効果を、悪しき妖怪たちにはストレスと苦痛をもたらす。人間で例えれば、黒板やガラスを爪で引っ掻くあの音が特大、かつ肉体的なダメージさえ伴って延々と聞こえてくるようなもの。加えて葉巻の気で強化されているのだから、もうちょっとした音響兵器じみている。当然、牛鬼が悶え苦しむ時間はより長引くはず。

「はんっ、ウチのトウビョウはんらは皮に貼り付くんやのうて皮と肉の間に潜り込むねん! ホンマに引き剥がしたかったら、脱皮なんて根性無い真似せんと自分の肉ごと引き剥がすことやな!」

 相手の強気な言葉に負けじと強気で返す。ミュージックプレイヤーからクリスタルボウルの音を爆音で流し空間の邪気を現在進行形で祓いつつ、お次に葉巻が手に取ったのは5ml程度の液体が入るごくごく小さな小瓶が数本。葉巻の小さな手の平にだって五本は余裕で握り込めるそれらの中に詰まっているのは、どれも浄化の作用を持つ純度100%の精油。霊的防御にも効果があるとされるローズマリーに、乳香という和名で有名なフランキンセンス、悪魔祓いにも使われた経歴を持つオルガノ、かつては神と繋がる目的で焚かれたバジル、呪い返しのパワーを発揮するガランガル。それらを勢いよく地面へと叩き付けると、もちろんガラスの小瓶は粉々に割れる。隙間から昇り立つ多種多様な芳香たち。そのどれもが、やはり葉巻にとっては心地良く己が性能を補助してくれるものであり、敵方にとっては忌々しいことこの上ない聖なるものだ。風もない密室たる亜空間では、音も香りも外より永続する。亜空間を自分のフィールドへと作り変えて行く作業は、着々と進みつつあった。
 目の前にはトウビョウに生きたまま血肉を喰らわれてなお、怯むことなく大口を開けてこちらに向かってくる蛇。喉奥までしっかりと見えそうな其処を目掛けて、葉巻は集めた気が青い光となって灯った指先でis(イス)のルーンを書き上げた。氷を意味する文字だ。英字で言えばIに近い形のそれは、やはり葉巻の気によって強化されたことで、物理的な氷の剣と化して大蛇の喉へと勢いよく飛んで行く。その傍から同じ指でyr(ユル)のルーンを虚空に二つ書いて、目の前の大蛇への追撃と、後ろの牛鬼へと攻撃もこなす。yr(ユル)はイチイの木、死と再生、そして弓を司るルーンだ。それを視覚化すれば、禍々しくも荘厳な威容の弓と、毒を持つイチイの木によって作られた矢という形で顕現する。二つある弓の片方は大蛇に毒の矢を番え、もう片方は牛鬼に毒の矢を放つ。
 いくら結界を補強し続けながら幾重にも用意しているとはいえ、みすみす相手にそれを破らせなければならない理由は無い。自分の守りも、相手への攻めも。どちらも全く手を緩めず、『今まで通りに』勝ってみせる。ミルフィーユみたく何層も重ねられた結界の中で舌舐めずりをして、葉巻はそれからも手を休めず、攻撃のためのis(イス)とyr(ユル)のルーンを次々と書き連ねた。一時的にダウン状態になっている牛鬼のほうにも姿無きトウビョウたちは迫っている。大蛇からだけでなく牛鬼からも血肉という形でトウビョウ越しに気の補給ができれば、そろそろ大技をぶちかましてみても良いかもしれない。もちろん、自分に隙を生み出さない程度に加減した範囲での大技だが。

>蛇ヶ崎様&牛鬼様&ALL様

【相手を削りに削りつつ自分の防御を堅めに堅め、なのでこちらも持久戦の姿勢です。結界こさえまくってるので、基本その場から動きません。葉巻としては「堅牢な城を作って篭城しているのだから、城の中の自分に攻撃している者がいるからと城から移動する意味がない」な姿勢です】

1ヶ月前 No.253

キープ @keep10 ★Tablet=CBeB5ByG4P

【龍王寺珠 / お台場倉庫街】

 油断はなかった。八房の体内に張り巡らせた気は攻撃の為だけではない。金縛りのように四肢を動けなくする捕縛の効果や僅かな気の流れも感じ取る感知の効果もあった。まさにチェックメイト、詰みの一手。それをまさか盤上ごと力任せにひっくり返されるとは。耳をつんざく咆哮と最初出会った頃よりもさらに強くなった獣の臭い。一瞬にして自分の気が無力化され、軽々と振り払われた。コンクリートの床が迫る。この速度でぶつかったら先ほどの二の舞だ。珠の目が二つの気を見切る。空気中を流れる気と、地面を這うように流れる気。先程は力任せに操ろうとして、まるで噛み合わない歯車のような無様な姿をさらしてしまった。支配するのではない。こちらから歩み寄る。そして同調し、調和する。

(さっきは無理やり操ろうとして・・・・・・その、悪かったわ。だから今度は)


「今度はちゃんとやるから」


 珠の体がふわりと浮いた。いや浮いただけではない。まるで天へと昇る若き龍が如く倉庫の屋根スレスレまで自身の体を押し上げた。どんな気にも順応する珠の気。ならば自分の体すら気に還元すれば、より多くの力を味方にできる。龍王寺珠の仮説は正答へと導かれていった。空気の気、そして龍脈から注がれる気。この地球上にはありとあらゆる気がまさに川の支流のように張り巡られている。その気の流れを縦横無尽に泳ぐ珠の姿はまさに水を得た魚。その緩急自在の移動は風に乗る飛燕のように自由を謳歌していた。

 八房に先ほどの技よりもさらに強力な必殺技を浴びせかけようとする竹寅。全力前進、攻撃は最大の防御と言わんばかりに相手の先の先をいく戦闘スタイルは猛虎の権化とも言える。しかし、攻撃に特化した動きは隙も多くカウンターを取られやすい。あの八房が、それを見逃すほど甘い性格ではないと珠はこの戦闘で学んだ。特にこの空中戦。かわすこともましてや受け止めることもできない竹寅の斬撃を八房はどう対処するか。決まっている。己が持つ最大最強の力で真っ正面から対峙する気だ。


「相変わらず一人で突っ走るんだから。攻撃後の隙見え見えよ」


 竹寅の後ろに付いた珠は気を二人の体を纏うように流していく。八房の攻撃が竹寅の攻撃を打ち消すレベルの高威力と判断した珠は、防御のための結界を施した。八房の気の性質は『音』。音とは波である。空気及び水などを振動し伝わる科学的現象である。この結界内の気の流れは極めて遅い。まるで泥水や固まる前のコンクリートのように、吸収率は極めて高い。震えなければ音ですらない。八房の攻撃を全て受け止める気でいる龍王寺珠であった


>> 八房 竹寅 竜胆




【返信遅れました。今日あたりから返信できそうなので、今年もよろしくお願いします】

1ヶ月前 No.254

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【胡庵:軽井沢「冴木家別荘」】

タクシーに乗り、目的地である別荘に着くまでの間、胡庵はまだ怒っていた。そして目的の別荘について、是清さまが「お疲れ様でした。」という言葉に、コクリと頷き

「主様こそお疲れ様でございました。日々の疲れの上にこんな山奥に遠出までなさって、私共よりよっぽどおつかれのはずでございましょう」
と、少し棘のある言い方ではあるがこれでも、労っているつもりである。そして例の屋敷の門を見る。
怪しい気配を漂わせているこの屋敷、なんだか嫌な予感がする。

「主様……お気をつけください。神獣の目から見ても、ここはとても嫌な気配で満ちています。ここは……しっかりと準備を整えた方がよろしいかと」

嫌な気配がするのはもちろんだが、この屋敷……なんだか昔いたあの屋敷にそっくりな気がして、本当のところ入りたくない。でも是清様はきっと仕事だからと入っていってしまう。是清さまを一人で行かせるわけには(砂卯月さんもいるのだが)やはりついて行くしかないだろう


>是清 砂卯月

(待ってました。
少しRPGとかでよくある「戦いの準備はできた?」『もちろん』『もう少し待って』的な流れにして見ました)

1ヶ月前 No.255

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【砂卯月空瑠璃 / 北軽井沢「冴木家別荘」】

「お、お疲れ様です……ってことは、やっと着いたのかい?」

軽井沢駅を降りて、素敵なショッピングモールには一歩も入れず(趣味:ウィンドウショッピングのくるりにはなかなか辛い決断だったよ)タクシーに乗り込み、1時間ぐらい走ったところで(運転手さんには、是清さんと胡庵さんとくるり、どういう関係に見えたんだろ?)歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩き疲れて、やっとゴールへ辿り着いた。途中の奇妙な標識には、ついホラーゲームでもやっているような感覚で「いやでも道を進まないと話が進まないし、進むしかないんだよ…」と突っ込んでしまった。幽霊が見えるとはいっても現実世界を生きている身としては、『いかにも』な表号は、ゲームの中の世界な気がしたのだ。
塀は空瑠璃2人分より大きく、門は鎖まみれで腐りかけで。こんなの本当にゲームでしか見たことがない。さっきまでホラーゲームなら、これはラスボス前のRPGだ。ロールプレイングゲームだ。

「な……、なんてことを言うんだい、胡庵さん! そんな怖いこと言われたら入りにくくなるだろう!?」

(くるりなんかが足を引っ張るわけにはいかないから、此処で足踏みしてるつもりはないけど――)と、胡庵のいう『嫌な気配』を新米霊理士ながら自分なりに感じとり、固唾を呑む。微々たるものではあるのだが、胸がざわざわする雰囲気が漂っている。おばけが無理な空瑠璃としては、正直ここで退散したいところだ。しないけれど。絶対にしないし此処まできたらむしろ退散する方が面倒だし目的を達していないから帰るわけにはいかないのだけれど、それでも、入るのがちょっぴり億劫になってしまう。おばけっぽい何かがいればダッシュで逃げ出してしまう、きっと。

「……い、行きましょう是清さんっ…」

それでもこれから霊理士としてがんばるんだからこれも仕事だ、と覚悟を決め、空瑠璃は是清に準備完了を知らせた。

>>猫田是清さま、胡庵さま

1ヶ月前 No.256

Nero @nerokichi ★Android=ibuMTFvydU

【丑島亮介/煉獄会アジト一階】



 物の怪の手首を掴んだかと思えばその掌に感触は無く、握った拳は虚しく空を切った。反応は悪くなかったとは思うがどうやら速さについてはあちらの方が上手らしい。戌井の腕が吹き飛ぶ光景を相も変わらず動かぬ表情で眺めながら、そんな冷静な思考がスローモーションのように綴られていく。まあ、予想出来ないような事でもない。相手が一太刀で四肢を断絶できるような得物を携えているという視覚的情報があるにも関わず慢心的な行動をしてしまった時点で此方の落ち度だ。
 それにしても。どちらかというと気になる点はそこでは無く奴等の発言の方だった。前回の合宿所襲撃の時も感じていたが、口を開けば誘拐やら持ち帰るやらと明確な殺意を感じない。霊理士を卵のうちに仕留めておきたいのなら、今の斬撃で首を飛ばせばよかったものを。それを態々達磨にして攫うと宣言するとは。

「……苦露川の時も気になったが、単純な始末じゃなく態々誘拐なんて面倒な方法を選ぶ目的は何なのかね」

 どちらにしろろくな事でも無いだろうが。独り言のような問いを零しながらくい、と右手の指を曲げて掬い上げるような仕草をすると黒い霧の一部が戌井の切断された腕断面に収束していく。残念ながら己の気に直接的な回復手段は無いが出血の程度や痛みを抑えるくらいは出来る。それでも危険な状況には変わりないし、現状この場の霊理士霊獣で回復薬やら術やらを使用できる可能性があるのは葉巻ぐらいだろう。そしてその葉巻は現在別の妖に引きずり込まれて不在。

(早くも面倒な事になってきたな)

 パートナーの腕を吹っ飛ばされるというインパクトのある行動を取られれば狗盗はまあ理性的な行動が取れるかと言われれば難しい。挙句冷静な思考無しにアレの相手が出来るとは思えない上、ここは敵方のアジト。物の怪からすれば絶好の狩場であるが故に戦闘を長引かせるのは避けたい。

 丑島が一つ長い息を吐き出したのを合図に、部屋に充満していた気の性質が変わる。澱みが増したそれは霧状であるというのに何処か鉛のような気配を持って、室内を縦横無尽に駆ける切裂に纏わりつくだろう。動きが少しでも緩慢になれば十分。此方が少しでも相手に触れることが出来れば直接気を送り込んでくれる。同時に戌井が重点的に狙われると分かった今、タンクとしての役割もそれなりに果たさなければならない。
恐らく多少は霧に視界を取られているであろう物の怪の位置を己の気から割り出し、その身体を掴み上げる為に低い体制のまま素早く接近した。


>煉獄会アジトALL


【お久し振りです。連絡遅くなってしまって申し訳ない。戌井さんの投稿を待った方がいいかとは思ったんですが一応落とさせていただきます。今のところ腕が切り落とされた方向で進めたのですが主様と同じで酢橘様の判断で改変してもらえればと】

1ヶ月前 No.257

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_QaP

【戌井狗哉/煉獄会アジト一階】

自身から躊躇無く見えていたはずの当たり前であった澄み切った視界を単なる呼吸さえも行うのが人体に危険無影響を及ぼすかもしれないと警戒してしまう程の真っ黒で有害物質が含まれていそうな霧が視覚を完全に使い物に出来なくなる程覆い隠し、これでもかと溢れ出し充満している敵地の事務所にて、頼れるのは己自身の視覚以外の感覚のみであった。そしてそんな瞳を閉じても何も変わらない程濃度が高い暗闇をいとも簡単に裂きながら現れたのは斬撃による不意打ち。それに彼は煙が風圧によって掻き消す程のカウンターパンチを繰り出し、相手との距離を軽く確かめていく。そして分かったのは敵の不意打ちは完全なる衝撃波。つまり直接的な物理攻撃では無かったと言う事になる。それに対して、戌井は本体を探し当てるべく自身の腕をすぐさま引っ込めようと考えたがその時、相手からの鋭い攻撃と呟きが発される。

「命は取らぬ。」

そしてその攻撃は自身の片腕を斬り飛ばそうと考えており、実際相手の中ではこの暗闇の中、実際には確認出来ないが恐らく自身の腕が舞っていると考えているであろう。しかし残念ながら、身体全体に霊力を振り分けている為にダメージは変わらないが斬られた事による傷についてはあまり酷くなる事は無かった。戌井もまたしっかりと事前に対策を取っていた。その為、戌井が負った傷は腕が取れる程では無かったが、ダメージは実際に腕が飛ぶ程激痛が走り、一瞬怯みながらも相手が犯したその一瞬の判断の迷いを利用して直ぐに相手と距離を取る。
すると、全く持って一ミリも動かない程の激痛が直も走り続けていた自身の腕から黒い霧が周りを覆うが如く、集まり始め自身の腕の痛みを和らげてくれる。

(僕がこんなダニごときに負けるはずが無いじゃないか。絶対に僕の手で鉄拳制裁してあげるよ……)

今までの余裕そうで相手を小馬鹿にしていた顔はどこへ行ったのか、今の戌井の顔は憤怒に満ちている表情でまだ見ぬ敵を探知すべく事務所の壁を高速移動により伝っていき、人影が見えた瞬間誰であろうとフェイントをいくつか入れたストレートを放とうと考えていた。

>>狗盗様、丑島亮介様、(茨新田葉巻)様、切裂様、煉獄会ALL様


【申し訳ありませんが此処で重傷を負わされてしまうと >>239 での表現に矛盾が生まれてしまうので、腕は斬られていないが斬られる程のダメージを受けたと言う事にして下さると助かります】

1ヶ月前 No.258

白鷺 @keiunuiek☆mQLLuNXADKnU ★Android=hn2HASXm05

【狗盗/煉獄会アジト一階】


「っ、狗哉様!」

敵からの攻撃を、丑島が本体を捕え狗盗が戌井を庇う事で回避したかと思ったが、丑島が掴んだ腕ごと敵の姿は蜃気楼の如く掻き消えた。戌井を庇ったため狗盗に襲いかかろうとした衝撃波も戌井のカウンターで霧散した。かと思えば頭上から声が聞こえたと同時に刀の鈍い光が視界の端に映った。狙いはずっと狗盗の主人である戌井。慌てて振り返れば深い傷を負ってはいないものの痛みに耐えるような表情をした戌井の顔が目に入る。恐らく戌井の気によって怪我を最小限に抑えたのだろう。でなければきっと腕が飛んでいた。しかし戌井の気では痛みまで抑える事は出来なかった筈だ。つまり今戌井には腕が切り落とされる程の痛みが走っているという事である。一気に怒りが頭を支配する。ぼわり、と浮き上がっていた火玉が膨張する。
飛び出そうとした足を止めたのは丑島が操る黒い煙だった。戌井の怪我を癒すように彼の腕に纏わり付くその様子を見て、自分がやるべき事は何か冷静に判断しなければならないと脳が警鐘を鳴らした。

(後で八つ裂きにしてやる)

怒りのままに叫び出したい気持ちを抑えて、落ち着けるように息を長く吐く。既に二人は敵へと向かっている。此処で狗盗までもが前線へ赴いても邪魔になるだけだろう。今、自分がしなければいけない事は何か。膨張した火の玉がゆっくりと収束していき、拳大の大きさにまで小さくなると狗盗の頭も冷えてきた。

「……援護致します」

それでも怒りは治まって居ないのか地を這うような低い声で宣言する。一先ず戌の霊獣の選ばれし者である戌井に狗盗の気の性質を付与する。戌井が拒むこと無く付与出来れば、繰り出そうとしている拳に青い炎が纏うだろう。
迷い無く走り出した丑島の先に、敵は居るのだろう。そう考えるとその進行方向の更に後ろ、つまりは敵の背後に炎を二つ程火の玉にして現す。それに先程戌井の腕を切り落とそうと現れた時に臭いも覚えた。確かに、その方向に居る。敵の逃げ道を塞ぐように一つ、また一つと火玉を増やしていく。


>>戌井狗哉様、丑島亮介様、切裂様、茨新田葉巻様、ALL様


【遅くなり申し訳ありません。
戌井様の気は霊獣だし知ってるだろ、と思って知ってる設定にしましたが、問題があれば、ああこいつストーカーしたんだな、等と思ってくだされば……】

1ヶ月前 No.259

@kino10 ★ccZgXX84ei_xmq

【 北軽井沢「冴木家別荘」 / 猫田是清 】


連れの二人が警戒するように、確かに別荘に至るまでの道、そして至っての門前には嫌な気配が流れている。しかしそれは、元々ここにあったより禍々しく濃い気配の出がらしのようなものに是清には思えた。六感までのすべてに関して鋭敏な神経を持つ猫の霊獣たる胡庵が、この微かな気配を何かが収束した後と捉えた是清とは逆に、何かの前触れと捉え警戒したのは、主人と彼女の経験則や性格の差異に依るのだろう。
往来の看板や邸宅の外観は、一般人が警戒心を抱くのには十分過ぎるものであった。気の発現によりもともとあった霊感が更に鋭敏になった砂卯月にとって、経験の無いただ漠然とした得体の知れないこの嫌な気配は、どれほどの消耗をもたらすであろうかと是清は思案した。


「ありがとう胡庵さん。確かに警戒を怠るべきではないよね。ただ何となくここはもう大丈夫って気もするんだ。でも一応砂卯月さんは僕と胡庵さんの近くを離れないでね。」


そう言って是清は胡庵の助言に沿い、纏う霊気に多少の緊張感を働かせた。
是清は門前に立つと、正面に手を翳し何かしらをぼそぼそと呟いた。すると、複雑に絡み合う門を閉ざす鍵の役割を担っていた錆びた鎖は、その絞力を失ったかのようにダラダラと解けていき、地面に落ちた。すると同時に門がガラガラと大きな音を立てながらゆっくりと開いていった。


「砂卯月さんは特に大丈夫かな。ただ用心のためと今後のために……。ごめんね、失礼するよ。」


庭園に足を踏み入りその雰囲気に触れ、是清は何事かまた思案した。そして砂卯月に関して独り言ちると彼女の手を握った。
すると所在なく動き回っていた砂卯月の気は身体中満遍なく彼女を覆い、その性質も柔和なものとなった。


「この気の状態は身体を癒す効果や、外からの悪い気を受け流す効果があって、肉弾戦になっちゃったときも所謂柔の動きに対応するんだよね。今の状況には最適だと思う。できれば僕が手を離した後も続けられるよう努力してみてほしい。じゃあ離すよ。」


>>胡庵・砂卯月


【結局あんまり危険じゃないという落ちなので、よろしくお願いします。】>>ますたぁ様、紫様

1ヶ月前 No.260

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【胡庵:軽井沢】

主様は今回は大した案件ではないというが、それでも警戒を怠るわけにはいかない。何より今の主様では、いくら今回が雑魚妖怪の仕業だとしても、きっと
いざとなれば私がこの命にかえても
と思っていたとき、ふと目の前に心をくすぶられる光景が胡庵を襲う

主様が砂卯月さんの手を握っている。もちろんそれは、彼女を霊的なものから守るためなのはわかっているが、胡庵のなかで密かに火花が散っていた。

「……」

先ほどまで人の目を気にして人間に化けていた胡庵は、急に子猫の姿になり、是清さまの肩に乗っかり擦り寄る。

「あ、お気になさらず、この方が主様を守りやすいので」

といいながら砂卯月さんの方を見て『勝った』と言わんばかりの顔をしている。

≫是清さま 砂卯月さま

1ヶ月前 No.261

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

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18日前 No.262

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