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FakE DeeP 〔ParadisE〕【サブ解禁】

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(1331) - ●メイン記事(20) / サブ記事 (77) - いいね!(20)

司徒 @nobunaga10 ★2rB1db7muK_yoD



『 また、もう一つのしるしが天に現れた。
 見よ、火のように赤い大きな竜である。
 これには七つの頭と十本の角があって、その頭に七つの冠をかぶっていた。 』


__ヨハネの黙示録12章3節






 栄枯盛衰、滅びぬものは無い世界に、その文明は確かに存在していた。その理想郷は確かに浮上していた。だがそれは旧きおとぎ話であるべきだった。旧き神々と、旧き支配者が、地球の覇権を競い合い、一方がその海に沈んだ。こんな話は、到底あり得るものではなかった。あり得てはいけなかった。此れが歴史の正史であるならば__これが「有史以前の正統な表」として機能するならば、我々は、人類はいつの日か滅ぶのだから。

「天を見よ、空を見よ、天堕つる、星辰の導きを」


 さあ、歌え、謳え。幼子に語り掛けるように。ジューダスプリースト、狂信者、旧支配者のしもべたち。ルルイエの浮上を祈り、旧き支配者に傅くがいい。刻まれた獣の数字をなぞるがいい。深淵の王の名の下に、正しき悪徳に身を委ねるがいい。

「底を見よ、地を見よ、汝知る、人々の幸福を」


 さあ、戦え、闘え。幼子に祈りを教えるように。エクソシスト、祓魔者、旧神の奉仕者たち。世界の平穏を祈り、旧き神と共に歩むがいい。刻まれたエルダーサインをなぞるがいい。救済機関の名の下に、歪んだ殉教に溺れるがいい。



___歴史が孕み、人類が産み落とした、最後の人類救済機関、地球の救命胴衣。嗚呼、彼等は【エクソシスト】の名の下に、エルダーサインをなぞる者__。






【クトゥルフ&エクソシストな厨二バトルスレです。閲覧ありがとうございます。興味を持たれましたら、サブ記事にもどうぞ! まだレス禁ですのであしからず。】

メモ2017/09/03 20:06 : 司徒 @nobunaga10★2rB1db7muK_yoD


スレの質問等はスレ主のアカウント日記、あるいは伝言板まで、ご足労をおかけしますが、来て頂けますと幸いです。

切替: メイン記事(20) サブ記事 (77) ページ: 1

 
 

司徒 @nobunaga10 ★2rB1db7muK_yoD


【 アムルカート(カーディナル)/ミスカトニック大学教員寮→食堂 】

 ぱちり、と目を開ける。直後、虹彩に捩じり込まれるように、窓辺から朝陽が差している事に気づく。カーディナル__アムルカートは、静かに瞬きを繰り返すと、幾ばくかの思考の逡巡の後に、悔やんだ顔でカーテンを勢いよく閉めた。最低の朝だ。何て喜ばしい陽光だろうか、何て素晴らしい小鳥の囀りだろうか。ハア、と溜息を吐いた。彼はどうしても朝が嫌いだった。眠っている間は自由なのに、昼間は仕事三昧の身だ。脳味噌は過労気味だし。
 彼はむくりとベッドから起き上がると、壁に掛けられたカーディナルレッドの司祭服を睨みつけながらも着用した。コートも忘れずに羽織る。少し動作する度に、背中の魔法円が呼応し合うのが煩わしく、彼は自室ではいつもクラシック音楽をかけていた。回り続けていたレコードの針を欠伸と共に上げると、荘厳で静謐な響きはかき消え、時計の駆動音だけが虚しく鳴っていた。アムルカートは急に侘しくなって、急いで髪型を整えると、最低限の教材を持って部屋を出た。

『おはようございます、今朝は早いですね』
「おはよう……その、用務員に、新しい遮光カーテンを備え付けてくれるよう頼んでくれないか」

 廊下ですれ違った、何処かの学部の助教授か何かであろう女性が、アムルカートの変わった頼みにYESと返すと、彼は上着の裾を翻して教員寮を去った。不死身にしてはやけにせっかちで、やけに余裕の無い足取りだが、それが彼の性質だった。どうにもこれは治せそうもない。カツカツと容姿に似合わないヒールを床に打ち付けていれば、目的の場所の看板が近づいて来た__食堂である。
 代償として死を差し出した彼にとって、飢餓はするものの餓死はしない。ゆえに、食事も栄養が摂取できれば最低限で問題は無い。けれど、意外と大学の講義というものは1コマ1コマ体力を使う。食事はしっかりしなければやっていけない。それに、今日の授業は確か4コマ目で、内容は犯罪心理学の教本Aに則ったものだ。元々資料があるし、何年も繰り返した授業なので、内容は暗唱できる。まあ、準備はそこまで必要無いだろうが、如何せん専門用語やら解説やらが多いので、ああ、また疲れるのだろう。今から憂鬱な気分になってきて、アムルカートは目の前のプレートに置かれたサンドイッチに齧り付いた。トマトのジューシーさや、肉の味わい深さに、苦悩が薄くなってゆく。

「平和なものだ」

 自嘲気味に独りごち、持って来た資料に目を通す。学科関係の教材に紛れて、エクソシストの業務に関わる書類が散在している。旧支配者の落胤の被害報告やら、新しいエクソシストの調査報告書やら。明らかに他の物より膨大な文量のそれに辟易して、アムルカートはついた皺を伸ばすように、ぐりぐりと眉の間を指で押した。

「__いや、平和では、無いな」

 ハア。背後から、朝から溜息が多いですよカーディナル先生! と間髪入れずに声をかけられ、彼はまた息を吐いた。

>>エクソシストALL様

29日前 No.1

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★J1SGpZKeln_PHR

【西宮掵斗/アバドンの居城内】

あぁ、失敗だ。
思った以上に、素晴らしい失敗だ。

「アハッ、何だこれは、ヒキガエルの細胞を培養してたのに、何で遺伝情報がハツカネズミと近似する? BS(ブートストラップ)値>95だと? あり得ない、あり得ないが、これは事実だ。あぁ、失敗した。けれど、これは素晴らしい大失敗だ!! あぁ、この可笑しな発見の先に何があるというのか!! まぁ、これは学会には提出できない内容だな。同時並行で新たに別の研究を始めるとしよう。何せ、パトロン殿は成果を出せと煩いからね」

年若い少女に見える人影は、そう言うと台の上に置かれた様々な道具を片付け始める。

「さて、我らが王は今頃何をしているだろうか。一応ボクは此方が本業なわけだし、その研究に従事すべきなのだろうけどね」

そう言って取り出したノートにはびっしりと化学式や分子構造式、それぞれの薬品の分量と発生した結果の詳細なレポート。
そして、添付された写真には、腐乱した死体の姿。

醜悪としか思えないそれを眺めながら、彼は冷淡な表情でつぶやく。

「被験体#0018はそろそろ廃棄だな。あれは既に耐久年数を超えている。全く、新陳代謝も再現されるくせに細胞が生成されないから普通に実用に耐える期間は長く見て数週間。これは、新薬を試すべきかな」

サラサラと事態に対する対処法を考え、そのいくつかをまとめていく。
細胞を生成するように薬品の調合を変えるか、もしくは新陳代謝を非活性化するか。
自身の足には「新陳代謝の停止」という方法で状態を死体に保って運用している。
同じ方法をそれらの全体に施せば、理屈としては耐久年数を数年〜数十年まで引き伸ばせるかもしれない。
少なくとも細胞の生成を促すよりははるかに効率的だ。

動く死体に、生命反応は必要かと言われれば、特段そうでもない。

「あぁ、でも検体が尽きてしまった。新しい検体を手に入れてこないとね。じゃないと研究がすすめられない」

死体ならば戦地にでも行けば、文字通り腐るほど転がっている。
しかし、そんな遠出をするのは面倒なので、やはり霊安室あたりから持ち出すのが良いだろう。
死体の一つや二つ、地面に埋めても腐って土に還るだけだ、ならばせめて医学の発展に有効利用する方が合理的だろう。

昔、学生時代に教授にそう言うと「いかれている」と言われたが、その理由は不可解だ。
ダッテそうではないか。

死んだ人間はただの肉の塊だ。
肉の塊に配慮する必要が何処にあるというのか。


まぁ、それはともかく、考え事をしながらその広い部屋を右往左往している内に徐々に退屈になり、移動を始める。

廊下を歩いて居れば、誰かしらとは出くわすだろう。
そう考えて。

>>黙示録の獣教団ALL様

29日前 No.2

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_WcJ

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28日前 No.3

三木 久子 @headgehog☆6QknUyUqNYko ★OVdZboGfm6_Ae8

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28日前 No.4

Lumen Sage @makita ★Android=1ZJoxJicBJ

【 シルヴィオ/ミスカトニック大学/個人研究室→廊下 】

 早朝のミスカトニック大学校舎の廊下は、未だ学生の姿も無い殺風景な空間を朝日の光のシルクで包んだようである。そこに並ぶ幾つものドア。
 その一つに“シルヴィオ・スコラーリ准教授”と記された真新しいプレートがつけられた木製のドアがある。最近まで空き室だった個人研究室。そのドアが僅かに音を立てて開くとき、その向こうから僅かに光が溢れ出したように錯覚したかと思えば、チャコットグレーの紳士服に身を包んだ、どこか年齢の割には落ち着きと気品を帯びたイタリア人男性の姿が現れる。

 彼がシルヴィオ・クレメンテ・スコラーリ。ヨーロッパにある聖セラータ・グローリア私立大学で教鞭を振るっていた学者で、尚且つローマ・カトリック教会の司祭を務める人物だ。
 そんな彼がここアメリカ合衆国のこの大学にいるのは、神学を担当していた教員が諸事情でしばらく不在になるため、そのピンチヒッターとして派遣されたのが理由だ。勿論、もう一つ理由はあるわけだが……。

「おはようございます」
『おはようございます、先生』

 これから講義室へと向かおうとする彼のわきには聖書、学生用に準備したレジュメが抱えられている。なかなかの量であるため、抱えるのも不安定で大変そうではあったが、一切気になっていないかのように、すれ違う学生や教員に挨拶を交わしながら、彼の表情はいたって穏やかなままであった。

『ねえねえ、いったい何の先生かな?』
『聖書を持っていたし神学部だと思うけど』
『じゃあ、シスター・メアリーのかわりに来る先生って、まさかあの人? シスター、めちゃくちゃ怖かったけど、あの先生は優しそう!』
『お願いすれば単位くれるかな……』

 新しい顔で、尚且つ若い教職員であるだけに、神学部の学生達は皆興味津々に彼を注目している。そんな会話を耳にしつつ、その微笑ましさに彼も自然と笑みがこぼれた。


>ミスカトニック大学All

28日前 No.5

三木 久子 @headgehog☆6QknUyUqNYko ★OVdZboGfm6_Ae8

【 カヤコ・F・マクダネル / ミスカトニック大学 食堂 】

 祓魔師(エクソシスト)に支給する通信用ゴーレムの魔術式として暗号化した設計資料を眺めながら、彼女は特に目的もなく院内を歩いていた。座っているよりは立ったり歩いたりしている方が落ち着く。看護学部時代に知り合った教授やOBとして訪れた際に知り合った学生に声をかけられれば応えていたが、昨晩から彼女の脳内はこのゴーレムの改良案の考察がほとんどを占めていた。現行ナンバーの通信用ゴーレムは半生体であるもののその組成は不完全であり、耐用期間が短く、時に命令外の行動を行ったり突然故障するなどの障害が多々あり、改良の余地はまだまだ残されている。魔術的手段で以って培養した生体ゴーレムを機械で覆うことで機械的な処理と生物的な記憶力と適応力を補っているが、羽音や大きさのため隠密性を損なうことも重要な課題である。位置情報の送信機能も検討すべき事柄の一つだ。
 自分の研究のことになると矢張り気持ちが張り詰めてしまう。少し頭を切り替えるために、書類を返してインシデントレポートと呼ばれる看護師たちの報告書を眺め始めた。結果として事故には至っていな誤った処置や看護師が肝を冷やした場面を共有するために提出させている書類だ。慎重に読み進める中で初歩的なミスについての記述が散見され、看護師の間に疲労が蓄積していることがわかる。そしてその原因となっているのは矢張り人員不足だろう。看護部長を通して現場の状況を共有し、経営側に人員の補給を頼むのも自分の仕事だが、再三の上申に対しての反応を見るに果たして再度申告する意味があるのかは謎である。

「問題は山積みだな……全く」

 先ほど何人かの生徒に実習の口利きをしてくれまいかと頼まれたが、現状学生の面倒を見る余裕はない。今日のところは医院の仕事は看護主任に任せてきており、今日は自分の研究や娯楽に時間をいくらでも費やすことができる。婦長としての看護師たちの業務管理や、プラクティカルナースとして臨床医と看護師の間のような仕事をする傍、自分の研究や医学の分野の勉学に務めるというのはなかなかに時間をとることであり、さすがに疲労が溜まっているのか、思考がうまくまとまらない。体力面は所有している研究施設の設備で管理しているが、精神的な疲労となると難しいらしい。久しぶりにまともな食事でも摂った方がいいだろうと考えながら、彼女の足は既に食堂へと向いていた。
 食堂に着くと遠くで見知った顔の男が大量の書類を前にして難しい顔をしている。特徴という特徴をあげられない程整った顔立ちで、亜細亜風でも欧風でもあるあらゆる点で中間点を取ったような、悪く言って地味な男だが、その表情は立ち居振る舞いは柔和な反面硬質な、異様な空気を放っている。自分は後方支援としての役割が強く、祓魔師としても看護婦長としてもいつも病院で仕事をしていて、戦闘員として表立って戦うことが少ないからそう顔をあわせる機会は多くないが、なんとなく、個人的に親近感を覚えている。自分と同じ東洋系の血の入った外見であることからか、或いは今みたいな苦悩顔のためか。彼を眺めながら頼んでいた日本風のカレーライスを受け取り少し逡巡したが結局彼に同席を頼むことにした。

「隣、よろしいですか。アムルカートさん」

>>カーディナル(アムルカート)、周辺ALL

28日前 No.6

白い生き物 @forte10☆NeDCG1Klls. ★SjANaFstHP_Hja

【キルラ・ルシェ/孤児院廃墟-中庭“コスモス”の花壇】

俺はこの場所が嫌いだ。ここは確かに俺が生まれて、生かされて、育てられた場所ではある。
しかし、そこにあったのは世界が終焉を迎え、自分たちだけが理想郷へと引き上げられ、救済される、という幻想。
俺を生贄にした両親も、俺を育てた教団の奴らも、己が為に行動する者ばかりだった。
少なくとも、俺がここで過ごしていたころの彼等は。今はどこがどう変わったかなど知らない。
もう一度言おう。俺はこの場所が嫌いだ。ここに、俺のいる場所などどこにもないのだから。
だけど、ここだけは違う。ここは打ち捨てられた花壇。俺がこっそり持ってきたコスモスが、
まるで野生化してそこに根付いたかのように生き生きと花を咲かせて風に揺れている…。
“コスモス”…それは俺が爺さん(とうさん)と婆さん(かあさん)の家で、初めて知った花の名前…。
俺に愛を教えてくれた、尊い…もう一つの両親との思い出の花。ここだけが…この敷地での、俺の唯一の居場所…




―――――――――――――――




寂れた孤児院廃墟の一角に、まるで絵画から飛び出したような白い人影が木漏れ日に照らされている。
一つに結われた長く絹糸のように細く滑らかな銀髪が花壇の花と共に風に靡き、揺らぐ。
雪のように透き通った白い肌は、一滴色をそこに落とせば吸い込んでしまいそうな程に日光に淡く反射する。
その華奢で折れてしまいそうな繊細な体軸に宿す生命が燃えるような深紅の瞳は、
愁いと侘しさを同居させた虚ろな目のまま、―“彼”―はそこにいた。
彼の名はキルラ・ルシェ。黙示録の獣教団に入信し、狂信的思考の両親によって教団の為に生まれ、
教団の力の為にこの世に生まれ落ちて間もなく死ぬはずだったもの。旧支配者の生贄として捧げられた赤ん坊である。
その生贄が、何故ここにいて、何故青年になるまで成長しているのか。答えは簡単だ。
彼は旧支配者の力を授かり、かの大悪魔“リヴァイアサン”を彷彿とさせる能力を死ぬ寸前に手に入れたからである。
そして彼は暴発した能力に飲み込まれ、生存本能だけで暴れる海龍の幼生の姿となって、
己の両親と生贄の儀式を担当した司祭をその爪牙で殺めたのである。
その力は彼の中の深い傷となり、教団にとっての戦う手段の希望の光になった。
故に彼は生かされたのだ。破滅の未来を望む者たちの兵士の一人として。

「……………………。」

彼は無言で遠く広がる青空を仰ぐ。一度逃げ出したこの場所に連れ戻されて、
悲願の末に育ての親である老夫婦の家で暮らすことを許されたものの、結局自分はこの教団の兵器でしかないのだ。
彼は知っている。この孤児院の外の世界のことも。そこで学んだ異教の教えも。行き交う人々の感情も。
そして、欲して止まなかった親から子へ注がれる“愛情”も。ここを逃げ出してから全て知っている。
だが、彼はこの教団から逃げ出したいとはもう思っていない。外界で触れたその優しさを、温もりを、
仲間に伝えたいのだ。敵視している世界が、こんなにも美しいものなのだと。教えたいのだ。
だが、まるで異教徒が迷い込んだような性格の彼は、今やこの教団の信者たち…少なくとも一般信者たちは
彼の言葉に耳を傾けようとしない。異教の教えなど不要。そう言われて聞いてくれやしない。
狂信者と呼ばれる同じ能力を有する者はどうかは分からない。未だに誰とも会ったことはないのだから。
でも、きっと届かないだろう。少なくとも、彼一人の力では…破壊を司る海の龍に蝕まれる彼の声だけでは。

「u en tha shi fa a ru la so wilao si ha quo chi wa ya...」

彼は目の前に堂々と咲き誇るコスモスを見つめ、自分を愛し、育ててくれた老夫婦の歌っていた子守唄を口ずさむ。
何語でもない。ただ、声の音色だけの、老夫婦の真心の詰まった、一種の聖歌にも似た曲調の子守唄。
16歳でありながら未だに声変わりのしきっていない中性的な歌声が微風に乗る。
澄み渡る清流のようなボーイソプラノが中庭で静かに、流れる時間(とき)にその音色を刻み込むように、
少しずつ、少しずつ、彼の生きたいと言う強い意志を示すようにその声はゆっくりと、大きくなっていく。
彼は知らない。祈るように歌う、思い出の歌が、愛を知った時の喜びの感情が溢れて、己が歌声を響かせ始めていることに。

>ALL

【歌詞はこちらの完全造語ですが、参照歌を参考までに…
こんなイメージの歌と思っていただければ…(https://www.youtube.com/watch?v=tyIk38w4NWg)】

28日前 No.7

仙蝉 @zenzen ★PBus3wLSBT_zRM

【ドロシア・クラークリード / 自宅→孤児院廃墟空き部屋】


「行ってきます。父様」
『ええ行ってきなさい。われらが人の安寧のために』
 ばたんと音を立てて閉まった扉に父の口上が途切れる。
 まだ薄暗い空は宵の色を残したグラデーションに塗りつぶされるようにわずかな星々が瞬いている。寝床で目を覚ました小鳥がさえずる声が響くがその姿は見えず、街はいまだ早朝の微睡に沈んでいた。
 大学にほど近い彼女の自宅前の通りは学生や職員の通勤通学などで人があふれるような道路であった。しかしこの時間にすれ違うのは、ジョギングにいそしむキャリアウーマンか犬の散歩をする老婦人ぐらいなもので、臆病のドロシアが外出するにとても丁度いい時間であった。
 今日は教授が読み漁った資料の整理と、図書館に期日の近い本を返却、それから学生が実験していた時に出たゴミを出して……とこれからの予定を反芻しながら、足早にいつもの通勤路を歩いていた。






 ――歩いていたはずだった。

 目の前にそびえるのは、仰々しい大学の門でもなく勤め先である研究室の扉でもなく、ただ廃墟同然の建物の壁に必死でとりついている赤い木製のドアである。壁紙は時の流れにより無残にも引き裂かれ、ぽつんと部屋の隅に置かれたクローゼットには天井と壁の間から染み出た黒いシミが垂れ落ちていた。
 物静かな住宅街の朝から一転、廃墟同然の建物の中でドロシアはたたずんでいた。
「……」
 理解が追い付くはずもなく、自身のキャパシティを超えた状況に指の一本も動かせずに立ち尽くす。
 ここはどこだろう、果たして変えることができる場所だろうか、今は何時であるのか、そもそも以前の記憶からどのくらいたったのだろう。
 様々な疑問が浮かんでは消える中、ただ一つだけ明確なことがあった。
 ドロシアをここまで連れ込んだのは、“彼女”の他ならないのであった。
 彼女が訪れた以上まともな場所であるはずがない。もっと言うなら教団のアジトか何かかもしれない。だってこんな廃墟の一室なんてまさにそんな雰囲気ではないか。つまりはこの建物の中には教団に与する者たちが集まっていて……。そんな中彼女であればいざ知らず、ただ怯えるだけの無力な人間がポツンと取り残されている状況。何が起きても、何をされてもおかしくないのである。
 常々自分の身の危機を肌身で感じているドロシアであったが、今の状況はことに耐えかねた。急激にのしかかるストレスに視界がゆがみ、耳に詰め物をしたかのような圧迫感が広がっていく。足元がふらつき、あと一歩のところで埃だらけの床に体が落ちてしまう、というところで『ただいま』という声が耳に飛び込んできた。
 はっと息をのんで足に力を籠める。すんでのところで崩れ落ちずにすんだ膝は、しかしがたがたと恐怖に震えていた。
 やはり誰かいた。
 いい人であろうか。いや、こんな廃墟に「ただいま」だなんて、“普通”の生活をしている人間じゃないに決まっている。などと偏見にあふれた考えが頭をよぎる。
 しかし気の弱いドロシアの脳内は次から次へと恐ろしい予測を立てては怯える精神に鞭を打つ。
 よく聞けば人の気配は一つではない。ドアの向こうから聞こえる足音や床のきしむ音など、むしろ先ほどまでどうして気が付かなかったのかと思うほど明らかな気配がいつくもあった。
「かくっ、かくれなっ」
 とにかく見つかってはまずいと部屋を見渡してみる。ガラクタやら木材やらが乱雑に散らばった床には、足跡が付くほど埃がたまっており普段は人の出入りがない部屋であることがうかがえる。部屋の奥には年季の入っているらしいクローゼットが窓をふさぐようにして置かれている。あそこに入ればもしかしたらやり過ごせるかもしれない。
 思い立ったらすぐに動かなければ。震える足を無理矢理動かして部屋の奥へ進む。
 しかし焦る気持ちと裏腹に恐怖に打ち震えた足は思うように動かない。
「あっ……!」
 気が付いた時にはもう遅かった。ガラクタの一つに足を取られ体が傾く。
 バタンッと派手な音を立てて壁に立てかけてある木材が倒れて埃が待った。
「まずっ……はっ、はくしゅっ! くしゅっ」
 舞い上がったほこりを吸い込み、くしゃみが止まらない。物音を立てるというレベルではない。ばれたかもしれないという恐怖心に体が硬直する。とにかく隠れるほかないと口元を抑えて立ち上がる。
 何とかクローゼットの扉に手をかける。部屋よりも埃っぽく底が抜けてしまいそうなほどボロボロであったが、意を決して中に飛び込んだ。





 >教団ALL様

28日前 No.8

Nero @nerokichi ★Android=ibuMTFvydU



【久埜 エフゲニー/ミスカトニック大学図書館→食堂】



はっと意識を取り戻す。

小さな文字に集中し過ぎたせいか、目が疲れている気がする。右手を顔に近づけて親指と人差し指を使って眉間をほぐしながら、己の左右に視線を向けた。目の前に聳える背の高い本棚がずらりと縦横に列をなした前には自身と同じように書物を片手に立ち尽くす人々が疎らに見受けられる。さっきまでこの列に人は居なかった筈だが、どうやら知らない内に手に収められた文献へどっぷりのめり込んでいたようだ。正直知識を取り入れる目的の元手に取っただけで進んで読もうとしていた物じゃなかったのだけれど、余程自分は暇だったらしい。趣味という趣味がない自身にとっては別段おかしい事でも無かった。たったそれだけの事だったのだが。
それがまるであの教団へ銃口を向ける為だけに己が生きていると婉曲的に知らしめられているような気がして、急速に顔を強ばらせた久埜は、目の前に並べられた書物を迷いの無く数冊掴んで狭い通路を性急に歩み出した。

己が何も無い空っぽな存在だと、認めたくなくて。


紙が擦れる無機質な音を背に図書館の出口を潜ると、如何にあの場が静寂に包まれていたのかよく分かる程校内は賑わっていた。彼方此方から生徒達のだろう笑い声が聞こえてくる。大袈裟な表現だとは思うが、異世界から戻ったような感覚と言っても自身の基準では過言では無いと思う。最近SF小説を読んだのだがどうやら思考までそれに影響され始めているらしい。我ながらなんと単純なのだろうか。
それより彼等の行動を見る限り、そういえば自身がかなり早朝から図書館に足を運んでいた事を思い出した。校内に設置された時計を見るとやはり、針が指し示すのは講義が未だ開始されていない早い時を示している。
同時に人間というものは一つの事象に気付くとそれに触発されて二、三と今迄流していた事柄へも目が付くようになってしまうのだが久埜も例外でなく、起床から珈琲しか受け入れていない腹の虫が控え目な主張をするのは最早必然だったろう。

「……流石に腹は減るよなぁ」

周囲の人間の反応を見るにこの腹の唸りは誰に聞かれることもなかったみたいだ。少し恥ずかしそうにきょろりと周りを見渡して苦笑を落とし、この些細な身体の主張を解決すべくここからそう遠くない食堂へと向かう。実際自分は学生ではないのだが、機関に所属しているエクソシストであれば利用できる所が有難い。それらしい看板の前を通り過ぎて、職員の女性から若干大きめのBLTサンド二つとサラダの乗った皿を受け取り、何処の席に座ろうかと視線を彷徨わせていると、ふと見慣れた背中が視界に入った事に気が付いた。
何やら小難しそうな書類を読み漁る見知った男に一時声を掛けるのを戸惑っていたが、暫く顔を見てなかったし挨拶でもとプレートを両手に彼の視界内に入り込んで小さく笑みを浮かべた。

「お久しぶりです、カーディナル教授」

>カーディナル教授、ALL



【絡んでよかったのかと思いつつ他にエクソシスト側の方が居なかったので絡ませていただきました……見落としあれば申し訳ない。因みに勝手に久しぶりに会った事になってますが設定的におかしければ一番下の台詞は無かったことにして頂いても構いません】

28日前 No.9

Doubt @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★lCAAWJgq5v_mgE

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28日前 No.10

レーリン/スマホから失礼します @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【新名 恵美/ミスカトニック大学考古学研究室】

__夢を見ていた。上空から満月が明るく照らす以外は酷く真っ暗な空間に、二人の人間が__否、一人の幼い少女と、暗黒よりも真っ黒なんじゃないかと思える色をした人の形をした異形の青年が、お互いに手を繋いで歩いていた。
二人は自分の視線の方向から背を向けている。当然顔は見えない。彼女は二人のことをよく知っていた。だから、必死に呼び止めようと何度も大声で二人の名を呼んだ。
しかし二人は振り返らない。少女は楽しげに青年に語り掛け、青年はそんな少女の声に微笑ましげに耳を傾けている。
その輪に入りたくて、二人目掛け思い切り走った。それでも尚距離は縮まらない。そのことがますます彼女の心をもどかしくさせる。
ずるい、と彼女は思った。自分も知っていて、経験もしたことがあるのに、その思い出からさえも自分は虚勢されているようで、悔しかった。悔しくて悔しくて、堪らなかった。
彼女は躍起になって叫ぶ。ねぇ、聞いてよ。あなたたちに言いたいことがたくさんあるんだよ。○○○○には、もっと色んなことを話したいんだよ。お願い、片方でいいからこっちを向いてよ。
私を置いていかないでよ__!!

その声がやっと届いたのか、目の前の二人が突然ピタリと歩みを止めた。彼女もようやく立ち止まり、ゼェゼェと息を切らしつつ二人に視線を送る。
暫くすると、二人はほぼ同時に彼女の方へ徐々に顔を振り向かせる。それと同時に月明かりも徐々に強くなってゆく。そろそろ視線が、その酷く懐かしい気配を纏った二つの顔が、もう少しで彼女の視界に入ろうとする瞬間____。
____視界を、月明かりが真っ白に塗り潰した。


「…………うーん…………」

米マサチューセッツ州アーカム・ミスカトニック大学内の考古学研究室。考古学的な文献の他、考古学と全く関係無さそうな怪奇小説も一部山積みになっているデスクにて、この大学所属の女学生『新名 恵美』は目を覚ました。どうやら文献を読み漁っているうちに眠ってしまったらしい。長時間デスクに突っ伏してしまっていた所為か、身体中が痛い。講義を入れていない時間を利用して考古学の勉強をしようとわざわざ研究室へ来たのだが、うっかり睡魔に負けてしまったのだろう。

「……また、あの夢かぁ。今回こそ顔が見れると思ったのになぁ…」

寝過ぎて逆にはっきりとしない頭を起こしながら、彼女は先程の夢の内容を思い出し、心底残念そうに呟く。例の夢は最近、時々同じものを見るようになっていた。夜道を歩く二つの人影があり、それらが振り返る瞬間、毎回のように視界がホワイトアウトし、目覚めることがお約束となっている。最初は殆ど記憶に無かったのだが、何度も見てはギリギリで目覚めるということを何度も繰り返しているうちに徐々に記憶に残るようになっていった。しかしそれがじれったさを助長させるのか、彼女はそれが悔しいと思う。

「それにしても…何であんな夢が今更見えるようになったんだろう?クロちゃんと会えなくなってから10年くらいは経ってるのになぁ…__あっ、そういえば今何時だろ?」

思い出したように自分が座っている椅子の隣に置いてあるデイパックからスマートフォンを取り出し、ホーム画面を確認する。デジタル時計は正午ちょうどを表示しており、目を丸くする。

「やっば…寝過ぎた…。まだ一冊も読んでないのに〜!はぁ、仕方ない、さっさと全部片付けるか」

そう独り言ちると、スマホをデイパックへ戻し、デスクに置いていた桃色の兎面を顔に装着し、本当に仕方無さげに、厚さの違う文献を数冊ずつ持ち上げ、研究室の大きな本棚の空きスペースへそれらを戻してゆく。
次のコマは講義がある。だから早めに昼食は済ませておきたい。

>大学ALL様


【遅くなりましたが、本編解禁おめでとうございます!!初レスを書くのにどんだけ時間掛かってんだよ!ってくらい時間が掛かっております((( さて、うちの恵美は現在考古学の研究室にて行動をしております。次レス辺りで食堂へ向かわせようと思っておりますが、場合によってはそのまま集合させようと思います!】

28日前 No.11

司徒 @nobunaga10 ★2rB1db7muK_yoD

【 アムルカート(カーディナル)/食堂 】

 読みかけだった書類には、エルダーサイン保有者の顔写真が貼ってあり、その下の「生死欄」には死亡済みと記載されていた。サンドイッチに挟まれていたレタスが抜け落ち、皿にペタリと落ちる。飛び降り自殺だったらしい。親にタトゥーを疑われ、殴打された挙句勘当されたのが理由だそうだ。年齢を見るに、多感な年頃であっただろうから、辛かったのだろう。こういう事態を避ける為に、機関としてはエクソシストになる前の人間の保護にも、予算を使いたいところだ。どうせ大学事業で相当稼いでいるのだから、裏の仕事で惜しむ必要は無いだろう。報告書に流麗な筆記体でサインすると、その手で白紙の報告用紙を取り出し、「エルダーゴイセンを所有していないエルダーサイン所有者への配慮:求む」と書き出し、一旦ペンをテーブルへ転がした。

「んんん……」

 低く唸りながら腰を伸ばすと、ポキポキと不健康な音が鳴る。さて、残りは遅い朝食を食べてからにしよう、と皿に落としたレタスをフォークでつつく。すると、鼻孔に食欲をそそるカレーライスの匂いが入り込んできた。同時に背後に気配を感じ、やや間があってから、それはこちらに近づいてきた。それでもアムルカートは、直前まで、どうせこちらを見向きもせずに通り過ぎるだろうと高をくくっていたが、ふと顔を上向かせると、気配は明確な人物と変わり其処にいた。
 理知的な雰囲気とモノクルが特徴の、凛とした佇まいの女性だった。美しい黒髪や控えめな駆動の表情筋も相俟って、その姿は何処かの絵画か、白黒写真さながらの、遠いようで近いような、独特のオーラを放っている。大学生でこの立ち居振る舞いだったら威厳があり過ぎるし、かと言って自分に話しかけるのだから、普通の教師陣でも無いだろう__カヤコ・F・マクダネル。アーカムの魔女との呼び声高い、苛烈で冷然としたエクソシストだ。
 世界救済の仲間と一括りに言えど、自分は司令官兼鉄砲玉役で、彼女は欠かせない支援の人材だ。顔を合わせるのも珍しいので、一瞬キョトンとしてしまったが、「ああ」と咳払いともつかない声で応え、散らばっていた書類を慌てて片付けた。

「ああ。構わない……カヤコ・F・マクダネルさん? 君と戦場で会う事はあまり無いが、職場で会うとは。奇遇だな」

 若干たどたどしい発音で、相手の名前を言い切った。その後はいつもの不貞腐れているのか無愛想なのか分からない、気難しそうな音色と動作をマクダネルに向けた。本心から出た驚きのまま、味もしないであろうレタスをようやっと口内へ放り込む。

「んむ。だがタイミングが良かった。君の看護婦長としての功績を見込んで、少し相談に乗ってもらいたい事案が__」
『お久しぶりです、カーディナル教授』

 視界にフッ、と入った人間に、またもやアムルカートは目を見開いた。シルバーブロンドの髪、アクアブルーの瞳。そして白い肌。笑みを浮かべる相貌は、自分と比較できない位快活で、好青年という言葉がここまで相応しい者がいるだろうか、と素直に感心する。だが、彼もエクソシストだと記憶しているので、困ったように下がる眉が特徴的な、穏やかな笑みとは裏腹に、相当量の代償を払っている事実に変わりはないのだ。それでも、飾り気は無いが機能性に富んだ服装は彼の彫の深い面と調和して温和さを強調させており、そんな悲惨な戦いを覆い隠している。それにしても、珍しい出来事が立て続けに起こるものだ。こちらも笑顔に切り替え、ちらりとマクダネルを見やりながらも、エフゲニーに挨拶を返した。

「久しぶりだな。朝から勉強でもしていたのかね? それとも読書か」

 自身と違い、既に目が覚め切っているエフゲニーに問う。マクダネルに相談する筈だった事柄は、新米エクソシストやエルダーゴイセンを持たぬエルダーサイン保持者へのメンタルケア関係だった。彼女に指示を仰げば、それ相応のアドバイスが来るだろうという推測が理由だ。けれど、エフゲニーとの世間話も無碍にする訳にはいかないだろう。それに、よく考えてみれば、起き抜けの食事から仕事の話をするのも気が引けるし、仕事や勉学、思考の渦からやっと抜け出した彼・彼女らをエクソシズムの沼に引きずり込むのも酷い行為だ。
 一気に人間の活気___と言っても2人だが__に溢れた周囲に、アムルカートは無意識に頬を緩ませた。人と対話をしていた方が、自身を蝕む魔法円の呼応反応や、コルセットピアスの衣擦れを煩わしく思わなくて済む。サンドイッチと一緒に頼んでおいた、少し濃い目の紅茶を啜って、アムルカートは静かに応答を待った。

>>久埜エフゲニー、カヤコ・F・マクダネル、大学ALL


【 考古学者&詐欺ロリは、初回のみキャラごと1レスずつ投稿したいと思いますので、申し訳ございませんがもう少々お待ちくださると幸いでございます。 】

24日前 No.12

司徒 @nobunaga10 ★2rB1db7muK_yoD

【 アンナ・シエル/ミスカトニック大学考古学研究室 】

 研究というのは、考古学においても、他の学問においても__ロングラン__膨大な時間と手間が掛かるのが常だ。なればこそ、教授という職は、職業というより趣味を極めた文化人に近い。人生の時間を削って、己の好みだけを追い求めるスキモノだ。少なくとも、この研究室の主である教授はそうだろう。たとえその人物が、教授用に与えられた個室でニヒニヒと唇を歪める不審者であったとしても。

「__ここは、成程……系列からして非ユークリッド幾何学の下位互換だな。ん……珍しい。母音に特徴的なアクセントがある。これは極東方面の性質を有しているとも考えられるか? それか……うーーん」

 ラファエロ・ブルーの頭髪を揺らして、外見に反しダンディズムに溢れる声を響かせる。音を発する度に声帯代わりの装置は脈拍に合わせて蠢動している。大道芸人と言わんばかりにピンクで統一されたスーツが無ければ、陰気なマッドサイエンティストそのものだ。しかし、彼女は人体実験も生体解剖も行わない、調査主義のれっきとした考古学者である。
 彼女__アンナは、おもむろに机上の石板を黙読し、声帯装置の状態を確かめた。工具箱から録音機を取り出し、「あー、あー」と音程を調整し、唐突に石板に書かれた文字に節をつけて歌い始めた。おぼろげに光るパソコン画面には、音楽記号のほぼ全種が映し出されており、同時に音声の解析も進行していた。

「イー、イル、イル、イー……うん。やっぱり。母音だと思っていたものは音楽記号か。成程、長短と高低の音によって感情や状態を表していたんだな。これは中々面白いが。石板というだけで、エルダーサインには何の関係も無さそうだ。ムー大陸には関係の無い、どちらかと言うとピラミッドの中にでもありそうだな……だが類似点もある。研究の必要がありそうだ」

 唇を人差し指でなぞりながら、ボソボソと呟く。パソコンの音声解析を停止し、データを抽出して懇意の音楽家に送っておいた。こういう事は専門家同士で分業する方が早く済む。彼女なら正確な音譜を制作してくれるだろう。それに考古学的・言語学的価値を見出すのが自分の仕事だ。いや、それまで手が空いているかと思えば、そうでもない。録音機に録った音源を、既存の伝統音楽に当てはめ、調査区域の幅を狭めなくては。
 羊皮紙とパソコンのどちらにもその旨を記載し、アンナは席から立ち上がった。そろそろ講義の時間だろう。たてつけの悪い扉を開き、埃っぽい個室から抜け出す。考古学を専攻した学徒たちは、もう全員講義か腹ごしらえに向かった頃だろうか。

「僕はどうしようかねえ。まあ食糧を経口摂取しなくてもあと10時間はもちそうだけど、朝からビール注射って教授的にOKかなあ? そもそも人間的にお陀仏しそうだけど__」

 物騒な独り言をつらつらと述べていると、見知った兎面が目に入った。仕方なさげに、気が進まないといった様子で、散在する文献を片付けている。フェミニンな服装と強烈なコントラストを放つ兎の仮面は、アンナが知る限りではそこまで明るい理由の代物では無い。白と紫の、ラベンダーさながらのグラデーションの髪が、研究室の古風な__陰気な文献の海に、鮮やかな彩光を放っている。まあ、自分のラファエロ・ブルーだって、ローズ・ドゥ・パリだって、端から見れば毒花を通り越して劇物なみのインパクトだろうけれど。
 アンナは「ふむ」と顎を人差し指と親指でなぞりながら、思慮の体勢を取った。するとそのままつかつかと歩み寄り、新名の身長に合わせ、少し目線を下げて微笑んだ。

「お早う、新名ちゃん__ん、もうお早うって言う時間でもないか。驚いたよ、君が研究室に居たなんて。てっきり受講の準備をしている頃合いかと。サボるんなら僕のウイスキー買って来て欲しいなあ」

 彼女が講義をすっぽかすような人間で無いのは重々承知の上で、にへらと唇の端を吊り上げながら要求を垂れた。軽く受け流されると分かっていても、言いたくなるのがアンナの性質だ。ストロベリー・ソーダのネクタイを弄りながら、首を傾げる。

「あ! それか学生なら食堂かい?」

 天才的閃きか何かでもした風に、パア、と顔色を明るくして幼気に問う。これが普通の成人女性の声色なら多少許せるだろうが、今の彼女はどこぞの海賊か殺し屋あるいは紳士マフィアめいた壮年男性の声色であり__御年44歳である。

>>新名恵美、大学ALL


【 絡まさせて頂きました…! 】

22日前 No.13

三木 久子 @headgehog☆6QknUyUqNYko ★OVdZboGfm6_Ae8

【 カヤコ・F・マクダネル / 食堂 】

 人見知りなのだろうか。顔を合わせる機会は少ないとはいえ、一応自分は部下のようなものだし、こういう反応をされるのはなんというか単純に驚いているのだろうが、なんとも言えない気持ちになた。自分よりも遥かに歳上の人物がこのようにたじろぐのは良くも悪くも可愛らしい。
 盗み見るようなつもりはなかったが、日頃から書類や書物と向き合う時間が長い生活を送っていると、目にした紙面の内容を瞬時に読み取ってしまう癖がついている。なるべく情報を遮断するため、基本的に自分に関係のない書類の存在に気づいたらそちらをなるべく見ないようにしているが、彼が書類を片つけるとき手元に目が行ってしまったので、うっすらとだがその内容がわかった。エルダーサイン保持者の少年についての資料であったし先ほどの表情や記載されている内容からしても大方エルダーゴイセンを持たないサイン所持者の精神面のケアか、保護のための方法案にまつわることだろうと察しがつく。彼の隣に着席し、“そのことでしたら”とほとんど言いかけたところで、もう一人男性が現れた。案外と言っては悪いが、人気者なのだなと彼女は思った。

「では後ほどお話をうかがいましょう。御機嫌ようエフゲニーさん」

カーディナルを覗き込むようにして彼に声をかけたのは久埜エフゲニーというエクソシストだった。書類上で顔を合わせることの方が多く、浅い仲ではあるが顔は記憶している。自分より歳はひとつ上だがその表情には若い葛藤の色があり、純粋な人柄を感じさせる。どこか影のある好青年という感じだ。前線で戦うエクソシスト同士積もる話もあろうと思い、挨拶は最低限にして一口カレーを頬張ろうとしたが、日系だった母親が口うるさく言っていたことを思い出すとスプーンをおいて両手を合わせた。知人の手前心の中でその言葉をいうと、ようやくカレーを口にした。思い出深いその味よりもずっと水っぽく、甘口だった。


>>アムルカート、久埜エフゲニー、ALL


【文脈上待った方がいいかなと思ったのですが、スレに一切動きがないのでageがてら失礼します。各々待機レスが多いので、まだ見ていらっしゃる方いましたら、あれでしたら最初の投稿の時点から時間を少し進めて誰かに絡みにいってみても良いかもしれません】

8日前 No.14

シルヴィオ司祭 @makita ★Android=1ZJoxJicBJ

【シルヴィオ・クレメンテ・スコラーリ/ミスカトニック大学/講義室】

 両開きになっているアラベスク紋様の浮き彫りが施された、なかなか洒落たアンティーク風の扉の先に、扇状の室内。御使いや聖人のステンドグラスを通して、光が色彩を帯びて射し込んでいる。
 神学部の准教授はまだ学生の姿のないその中を潜り、横に長い黒板の前の教壇の上に講義の準備物を「ふぅ」という溜め息と共に降ろした。

「……?」

 その時の反動であろうか、置かれた聖書から一枚の絵葉書がスルリと飛び出す。シルヴィオはそっとそのハガキを手に取ると、そこに印刷された絵画を瞳に映した。

「聖マッティーノの……殉教………………」

 描かれた主題を呟く彼の目はどこか遠くを見るようである。ある殉教者・聖マッティーノの最期を描いたものであり、彼が衆人環視のもと、異端者として屈辱的な姿にされて火刑に処される様子を描いた、近世以降の宗教画に明るいものであれば誰もが知るであろう主題だ。
 聖人伝では、彼は死後、白い鳥と共に昇天したとされており、ローマ・カトリックの信仰者にとっては伝説的聖人と言えよう。

「本当に……私は……」

 主題は実に残虐なものではあるが、シルヴィオの表情は穏やかなものだ。そして彼は意味深に呟く。
 彼には実感などわかなかった。自分は自分であるという自己同一性はそのままなのだ。自分であるという実感、彼にとってそれは、何か得体の知れないもののように感じていたかもしれない――――――


>大学All

7日前 No.15

Nero @nerokichi ★Android=ibuMTFvydU

【久埜 エフゲニー/食堂→廊下】


声を掛けてから現在の状況に気付いてハッと二人の顔へ交互に視線を向けた。どうやら大分タイミングの悪い登場の仕方をしてしまったらしい。それを理解した途端笑みを浮かべていたエフゲニーの表情は瞬く間に焦りを示し、目に見えて狼狽しながら素早く頭を下げた。

「おはようございますカヤコさん。少し調べ物があったので図書館に寄ってきました……。す、すみません、どうやら邪魔をしてしまったようで」

偶然とはいえエクスーシア機関が誇る枢機卿と看護婦長の妨げになってしまったと思うと気が重い。絵で表現すれば明らかに汗が飛んでいるモーションがつきそうな様子のまま、若干手早く二つあるうち片方のBLTサンドを食べ終えて残りを先程貰っていた包装紙で包み立ち上がった。彼等は咎めること無く迎えてくれたが流石にこのまま居座り続けるのは己の気が引ける。というより現在脇に挟んでいる書物も早めに目を通しておかないといけないのは事実なので対応してもらった手前行儀は悪いが退散する事が選択としては正しいだろう。

「では、俺は調べ物の続きがあるので先に失礼させてもらいます。また次の機会に」

少し言葉が少ない気もするがここでまたダラダラと話すのも良くないだろう。せめて笑顔をと表情を軟化させて再び頭を下げる。眼前の二人が琴線に触れ易いような短気な人間では無い事が救いであるが、以後気をつけなければなるまい。同時にもう少し状況判断を養わねばと心の中で自嘲を覚える。
そのまま踵を返して二人に背を向け、プレートを返却場に置いて食堂を後にする。これで何の心置き無く仕事の話に戻ってくれればいいが、少しでも自身が引っ掛かりの要素となってしまったのなら申し訳ないと反省の篭る溜息を吐き出した。

兎も角部屋に戻ろうかと、大学の出口を目指して未だ移動の為に多くの学生が留まっている廊下を歩む。本当に表向きだけは施設設備の揃った大学にしか見えない辺り凄いと思う。関係者以外はまさかこの施設が教鞭をとる場でなく教団に対する対抗組織の拠点とは想定できないだろう。自身は一人のエクソシスト他ならないが、一体この組織のバックはどれほどの権威を持った者達なのだろうかと自分とは相見える事の無いだろう計り知れない世界が頭の中に浮かんだ。

ふと、ぼんやりとしていた己の視界にとある人物の影が過ぎる。生徒に向けられる慈悲という文字をまさに具現化したような穏やかな笑みを携える男性。その姿に思わず首を傾げた。ここの教員は大体覚えた筈なのだが、彼はどう見ても初めて見る顔である。自身のように生徒では無い関係者なのかと思ったが、周囲の学生の話し声と彼の手元にある聖書から新任教師である可能性の方が高そうだ。

「おはようございます。新しい教員の方ですか?」

己は授業を受ける者では無いのだがこの施設を利用する限り挨拶くらいはしなければならないのでは、と何故か働いた律儀な思考に動かされ、先程の様に邪魔にならないように若干戦々恐々としながらも祭服に身を纏う彼に声を掛けた。

>シルヴィオ、ALL



【停滞させてしまい申し訳ありません、完全にレスを返したつもりでいました……。また自分の勘違いでカーディナルさんに絡み先が居ないと思い込んでいましたので、シルヴィオさんの元へ移動させていただきました。勝手ながら申し訳ないです。ハイエナは状況を見て必要そうであれば登場させていただきます】

7日前 No.16

レーリン/スマホから失礼します @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【新名 恵美/ミスカトニック大学考古学研究室】

何故自分はこんなにも多くの書物を取り出してしまったのだろうと、今は過去の自分を恨めしく思える量の文献を、たった一人で、時々溜息を吐きたくなりながら片付けてゆく。そして本棚のちょうど自身の目線と同じくらいの高さにある段差に本を収め終え、一、二段ほど上の枠の中に本を置くため、梯子がわりに先程自分が使っていた椅子を持ってくると、軽めの本を数冊抱え、椅子の上に立とうとする(マナーとしてちゃんと靴は脱いでいる)。椅子は研究室の備品なのだが、彼女は気にしない。
ちょうど椅子に片足を掛けようとする直前、視界の端によく見た青色が見えた。その方向を見やれば、一度見れば誰もが忘れないであろう個性を爆発させた色合いのスーツに青髪の女性が此方の目線に合わせて屈んでいる。そして彼女__そう、彼女だ__の八重歯の目立つ口から発せられた声は、女性的な外見とは決して見合わない渋い男性的な低音である。外見以上に、その声色に誰もが驚かされただろう。しかしそんな個性のあり過ぎる要素の持ち主の声と言葉を前に、恵美はただ、至極平然と、言葉を返すのである。

「あっ、シエル先生!こんにちは!…あはは…実はこの量の本を空き時間に読もうと思っていたんですけど、1冊目を読んでいるうちに寝ちゃったみたいで…よいしょっと……というか先生こそ、もうお昼食べに行ってると思ってました。あと、まだ明るい時間にお酒は控えた方がいいですよー?」

相手の女性__この大学所属の考古学者『アンナ・シエル』の声色に驚いたりドキドキさせられたりした学生は多いようだが、この新名 恵美という人間は初見からちっとも驚くことも、一瞬であってもドキドキすることも無く、普段通りのテンションで彼女と顔を合わせることが常である。原因として挙げるとすれば、物心つく以前からW様々なものを見てWきたため、同じように彼女のことも「そういうものなのだろう」と無意識下に判断したことか。尤も、それがW地声Wだったなら、少しは反応も変わったかもしれないが。
ところで、相変わらずのキザな口調で話し掛けてきたシエルに対し、椅子の上に立って本を本棚に戻しながらその内容についていつも通りに、(兔面の所為で表情が見えないが)年頃の女子らしい言動で返す。しかしアンナの『ウィスキー買って来て』発言には流石に常識的なツッコミを入れた。相手の為人はよく分かっているし、今回の言動だって冗談半分で取っていることも承知しているが、流石に顔見知りの大人が真昼間から酔っ払う姿は見たくない。

「うーんと、この本はこっちに……あぁ、すみません先生、そこに置いてある図鑑?取って貰えますか?…え?あ、はい!本を片付け終わったら急いで食堂に行こうかと…。まぁ、とは言っても私は今日もお弁当なんですけどね」

真剣に本を棚に収めつつ、遠慮も無く下の恩師(予定)にも協力を要請しようと彼女の顔に振り向いた直後、彼女から『学生なら食堂かい?』と、まるで天才的発想をしたと思った子どものような表情で問われたため、一瞬キョトンとした表情で固まるが、直後内容を理解して上の台詞で答える。恵美は寮で一人暮らし故に自炊するタイプで、朝弁当を作らなかった場合を除き、食堂に行けども自前の弁当を食す。そして幼い頃から故郷の味が身体に染み付いているのか、恵美は断然米派である。大学の食堂のメニューも美味しいが、やはり彼女は米の方が口に合うようで、行き着けのスーパーでも必ず日本産の食材や米を購入する(その度に少なくとも昔住んでいた地方以外は、祖国はちゃんと生きているということを実感するのだが、それはまた別の話)。

「……っと、こんなのんびり話してる場合じゃない!早く片付けないt__うわぁっ!?」

ふと我に帰ると、今の状況を思い出し、慌てて本が山積みのデスクの方に身体ごと振り返る。しかし急に方向転換をしたことが災いし、足の踏み場の狭い椅子の上でバランスを崩してしまう。

>アンナ、ALL

【レスを遅延させてしまい、本当に申し訳ございませんでした…!!やっと恵美のターンを投稿でございます!】

5日前 No.17

司徒 @nobunaga10 ★2rB1db7muK_yoD

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2日前 No.18

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_uKh

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2日前 No.19

仙蝉 @zenzen ★PBus3wLSBT_c1Z

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1日前 No.20
切替: メイン記事(20) サブ記事 (77) ページ: 1

 
 
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