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狂い人たちに祝杯を!

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(903) - ●メイン記事(29) / サブ記事 (113) - いいね!(10)

【学園/青春/殺し合い/騙り/ゲーム】 @157cm ★iPhone=y44SZZaVfW

さぁさ、今宵開幕されます「ゲーム」はゲームマスターの立会いのもと行われます、そう、言わば「殺人ゲーム」!!


これから君たちプレイヤーを二チームに、じゃなくて、第三勢力ただ一人を加えた合計三チームに分かつ!プレイヤーはゲーム開始と同時に生きるも死ぬも同チームの七人と共にすることになるってこと!まさに「運命共同体」ってとこ?ん、なぜ君たちかって?そりゃもちろん、このゲームマスター様に気に入られちゃったからに決まってるじゃない!


ね、生物化学研究部の皆さん?


ちょっぴり危なっかしい研究も大好物な君たちにはうってつけのゲームでしょう?
今回の舞台は君たちの通う、私立八神高等学校校舎及び寮!
そうそう、ただの殺し合いとは違う一番のポイントは、プレイヤーは自分の運命共同体たちが誰であるかを知らされないってこと!周りにいるプレイヤーが自分を狙っているのかもしれない!だからと言って人間不信になって仕舞えばそれは君自身の「オワリ」を意味するんだ!
それから、三日に一度、第三勢力を除いたプレイヤーの中からランダムで一名に任務が下される!遂行できなかったプレイヤーは問答無用で処刑!あ、因みに任務失敗の罰で死んだプレイヤーのチームは教えてあげても結構。これは俺様からの細やかなオクリモノってことで!

あっ、そうそう、君たちの右腕には勝手ながらICチップを埋め込ませてもらったんだ!規約違反を感知次第爆発する仕組みになってるから十分気をつけるように!



親友も恋人も部長も副部長もこの際関係無し!全てはまだ見ぬ運命共同体たちのために!そして自らのために!何を信用するか、何を裏切るか、全ては君たち次第だ!






そう、あとは時の流れに身を任せるだけで見ることができるんだ!
自らを狙う人物を運命共同体だと過信する哀れな人間の姿を!
運命共同体を自らの手で殺める哀れな人間の姿を!


さぁ、狂い人たちに祝杯を!!









【閲覧いただき有難うございます!こちらは生物化学研究部員が二チームに分かれ、裏切り、裏切られの殺人ゲームに巻き込まれていくスレッドとなっております。興味をもっていただけましたら是非サブ記事まで!サブ記事はまだ書き込み禁止です。】

メモ2017/09/02 23:39 : 遊来 @157cm★iPhone-y44SZZaVfW

(( ルール ))

http://mb2.jp/_subnro/15623.html-1

(( 用語説明 ))

http://mb2.jp/_subnro/15623.html-2

(( ゲーム規約 ))

http://mb2.jp/_subnro/15623.html-3

(( 募集キャラクター / プロフィール ))

http://mb2.jp/_subnro/15623.html-4

(( 生物化学研究部・部員名簿 ))

http://mb2.jp/_subnro/15623.html-72


(( 現在の情報 ))

○ゲーム開始前 交流時間

・午後五時三十分

切替: メイン記事(29) サブ記事 (113) ページ: 1

 
 

スレ主 @157cm ★iPhone=y44SZZaVfW

【 小城聖無 / 生物化学研究部・部室 】

溶け出した水溜りに横たわる柔らかみを取り戻した白いマウスをゴム手袋を嵌めた凹凸の少ないと言われる手のひらに乗せる。十分に解凍できた様子を確認し、それを透き通った緑色の液体の中に入れて蓋を閉じ、色とりどりの透明な液体の中に同じようにマウスが漬け込まれた瓶が並べられた装置の中に入れていく。温度と湿度が一定に保たれたこの装置は追加購入を考えているほど部員からの評判が良く、使用頻度も高いため私的な実験で占領するのは些か申し訳ないのだが今回においては文化祭で論文発表をするために生化研部総出で行っている大規模実験であるため何の文句もないだろう。多少の思い込みが実験結果に影響するというのはよくある話であるため実験の詳細を知っているのは部長と副部長のみで、残りのなにも知らない部員たちが主に指令されたとおりに実験を行っている。今日は偶々部室に一番乗りだったため、ひと段落ついたところで私的な実験に移ろうと必要な実験器具を取り出しに準備室へと足を進めた。

「えーっ、と、ホルマリンはどこだったっけ。最近使ってなかった気がするんですけ、ど」

準備室内は理科室のような特有の冷んやりとした空気で満たされ、仄かに昨日の実験で使った薬品の匂いが漂っていた。棚に羅列された膨大な量の薬品の瓶や容器を人差し指でなぞりながらホルマリンの容器を探す。前々から個人的にマウスの組織標本を作りたかったのだが、最近は部員の実験の共著のレポートに取り組んだり補助をしたりと中々自分の時間が取れなかったためホルマリンを使う機会も減ってしまっていた。とにかく活マウスでも冷凍マウスでもマウスが好きで一年生の頃からずっとひたすらマウスを使った実験を行ってきたがマウスの値が張ってきて以来費用もかさむことから購入も控えていた。のだが、最近になってネットサーフィン(実験器具販売サイト)をしている際にポイントの使用と溜まっていたクーポン、更には「夏休み特別セール」なるものが開催されていたこともあり、マウスも含めその他の不足資料やら器具やらを大量に購入しておいたのだ。現在はマウスを使った実験も難なく行うことができる。そんな理由もあって一時期マウスから距離を置いていたことがあり、ホルマリンが全く見つからないのだ。

「んー、早く見つけないと必要器具とか全部部室に置いてきちゃったし、今更中止なんて面倒なんだよね。上の方の棚とか手ぇ届かないからかなり厄介ですし!あー、この前準備室って大規模清掃があったしもしかして場所変わっちゃったのかな?」

相変わらず多量の独り言を零しながらまた容器をなぞり始めた。




【長らくお待たせ致しました!本編開始でございます!かなり急いでいたこともあり短文で申し訳ございません。まずはご自由に交流を深める時間とします。ごゆっくりお楽しみください。】

25日前 No.1

丹下瑛里華 @arthur ★iPhone=mLdD91PD3v

【丹下瑛里華/生物化学研究部・部室】

 丹下瑛里華は鞄を肩から提げて部室へと向かっていた。彼女が足を踏み出すたびに、束ねた金色の髪が凪ぐように揺れた。手で梳きたくなるような見事な髪だったが、それ以上に目つきが良かった。自信と知性に溢れる瞳は多くの人間が持てるものではない。彼女の成績表やこれまでに取ってきた多くの表彰状を並べるより、この瞳二つに射抜かれる方が彼女が才女であると言う証明に相応しかろう。
 教室で友人たちと数分ばかりの談笑を終えたばかりで、瑛里華の機嫌は悪くなかった。どの芸能人が好きだとか、駅と学校の間にあるクレープ屋のことだとかは、彼女にとって至極どうでも良いことである。どうでも良いことであるが、それらの情報を知った上で友人たちを唸らせる発言をすること自体は好きだった。
 捩くれた性格ではあるが、彼女はそれを何者にも悟らせたことはなかった。知的であることを証明する為だけに入ったも同然の生物化学研究部の部員でさえ、恐らくこの本性は知る由もない。
 今日も強烈な自己を肯定する為に、彼女は部室の扉をゆっくりと開いた。白塗りの扉がからからと音を立てる。

 「聖無、こんにちは。まだあなただけ?」

 にこやかな笑顔で一人だけ部室にいた小城聖無に挨拶をする。クラスこそ違うものの、彼女とは同学年であり同じ部活で共に活動してきた仲である。
 どこか掴めないところはあるものの、瑛里華は聖無の事が嫌いではなかった。入れ込むほどの仲ではないと言えば、それまでだがストレスなく付き合える存在である。

【絡ませて頂きました。すれ違っていたら申し訳ないです。】

>>聖無 ALL

25日前 No.2

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【針邪馬麻酔/職員室→生物化学研究部・部室】

 「すみません、助かります」

 身長185cm超えのボサボサの金髪混じりの明るい茶髪をドイツの国旗のようなリボンで纏めた大男は書類のようなものを教師から受け取ると、本人こそは申し訳なさそうに対応しているものの、外部から見ればこの子全然表情筋動かないなぁ、なんて思われながら針邪馬麻酔は教師から書類のようなものを受け取り職員室から出て、1度職員室の廊下で書類の確認をする。生物化学研究部用の書類と、個人的な大学進学時のドイツ留学の申込書を確認すると、ドイツ留学の申込書の方は廊下の脇に置いたスクールバッグの中に詰め込み、生物化学研究部用の書類を左手に抱えてスクールバッグを背負うようにしながら部室まで足を運ぶ。
 元々麻酔はドイツ留学の申込書だけを貰いに行く予定だったのだが、他の部活で余りが出たとかでアホみたいにお金を消費することの多い生物化学研究部には先生のお情もあり部費増額、道具その他諸々についての書類をついでに、という理由で教師から受け取っていた。どちらにせよ部活に向かう途中だったこともありめんどくせぇとはこれっぽっちも思わなかったが、唯一麻酔が気になる事といえば教師達から「お前は頭がいいのに勿体ないなぁ」なんて事を行くたびに言われることくらいだろうか。つまらない授業をするお前らが悪いんだろうと思わなくもなかったが、それでもう1年2年生を送るのは正直に言うと勘弁だった。

 表情筋こそは動かないし相手にはなかなか自分の感情を読み取ってもらうことがないのだが、本人からすれば表情筋はぐにゅぐにゅだし相手には感情もバレているだろうと思っているが、それがうまく伝わっていないことも皮肉なことに麻酔は分かっていた。自業自得なのは分かってるにしたって、それは気にしていないという訳では無い。というか、どちらかと言うと麻酔はナイーブ……いや、言葉を丸くして言い過ぎた。麻酔はどちらかというとネガティブなメンタルだ。そりゃ気にするに決まってる。寧ろ将来も引きずるだろう。
 能面みたいな顔しておいて感情は豊かなんてどこの漫画のキャラクターだよと突っ込みたくなるようなならないような気持ちもしつつ、ぼんやりと今日は何しよっかなぁだとか久しぶりにピアノ弾きたいなぁだとか、ホームステイ先の人たちは今頃何してんだろうなぁなんて考えているうちに部室の前に来る。
 数度部室の扉をノックした後に「失礼します」と控えめに声をあげて言うと、ゆっくりと扉を開く。

 「……ん。聖無……と、丹下も居たのか。早いな」

 扉を開いた時にふと聞こえた声に誰か居るのか、と思っていただけに部室に入った時に目に入ったのは大きな独り言を言っている妹分のようなもの、だけではなく、自分とは違うちゃんと手入れのされた綺麗な金髪の目立つ本来であれば後輩にあたる人物だった。女子だけの空間に特にうわぁと自ら引いたりもする事は無いが、相変わらず元気な奴だなぁ、今日は空気にでもなろうかなぁとは思った。声に抑揚こそは無いものの、やはり1人よりは誰かがいたほうが良いもの、まあ男子女子と細かく気にするタイプでもないが、女子が気にするだろうと思ったこともあり、挨拶は程々にしておいた。

 「先生から書類預かってきた。暇できた時目通しておいて」

 書類を見えてるかは分からないが書類をひらひらとさせた後に聞こえるか聞こえないかくらいに声を張り上げた後に書類を机の上に置くと、自らが持ってきたスクールバッグを机の下に置いてから他の人のものよりも少しごわついている今にも壊れそうなスクールバッグの中から生物学の参考書と一緒に医学書を取り出す。女子たちは女子たちで盛り上がることもあるだろうし、ここで男が下手に入る理由も理屈もない。今更気まずいもどうもこうも無いが、女子独特の空間には麻酔には少しハードルが高い。そう思うと麻酔は銀縁のスクエアメガネをかけて生物学の参考書と医学書を交互に見ながらなんだかやけに働かない頭でぼんやりと時間を過ごすことにした。


>>all様


【わ〜!本編開始おめでとうございます!久々なオリなりなので文字数が……!!文字数が……!!】

25日前 No.3

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★X2zrn8dq8e_PHR

【佐良白悠加/2年D組教室→生物化学研究部・部室】

授業が終わり、挨拶を終えると悠加は幼馴染を誘うことも忘れ、カバンをつかむと、部室へと向かった。どうせ、あとで来るのだから同じだろう、そう思ったからこそだ。というか、そもそも置いてかれているのだが、それには気が付いていなかったりする。

ややゆったりとした歩幅で周りの生徒よりもスローペースでマイペースに歩き始める。部室につくと二回ほどノックしてから扉を開ける。部室特有の二ぴを胸いっぱいに吸い込むと少しだけ気分は高まる。悠加はこの部活が大好きだった。いつまでも続けたいと思うくらいには。
「あれ……?準備室から何か話し声聞こえる……?」

誰もいないはずの準備室から何か声が聞こえ首をかしげながらそちらの方へほんの少しだけワクワクしながら足を向ける。もしかしたらお化けとか幽霊とか妖怪なのかもなぁ、なんて考えながら。彼女はこの年にもなっていまだにファンタジー系のお化けやら妖怪やら魔法を信じていたりするのだ。

「あ、瑛里華さんと、聖無ちゃんそれから麻酔君。こんにちわ。何か声が聞こえたから、どうしたのかって思ってきたんですが、何かありましたか?」

そんな風にワクワクしながらひょっこりと顔をのぞかせると、幼馴染の聖無と、麻酔。同じ部員の瑛里華の姿が目に入り、少しだけしょんぼりとしつつ、にこにこと笑いながら挨拶をしながら、声をかける。別に声をかける必要もなかったような気もするが、声をかけないとなぜだかむず痒い思いをしてしまいそうになったからだ。
それになんだ勘だ言っても居心地とかも多少は変わる。
「部活の準備なら僕もできる範囲でお手伝いしましょうか?聖無ちゃん」

準備室にきちんと入ると、大きめのパーカーをまくると、にこりと笑う。
「というか、麻酔君さきに来ていたんですね……。先に行ったの気が付きませんでした」
と少しだけ顔を輝かせながら口を開く。さすが、僕の幼馴染、もしかして忍者の末裔かも、なんて少しあほなことを考えながら。

【本編開始おめでとうございます!久々なので文字数がちょっと怪しいですが、よろしくお願いします!】
>>all様

25日前 No.4

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

【火次月 畏/3年A組→生物化学研究部・部室】

 火次月畏は大層困っていた。
スクールバッグに詰められたスナック菓子のせいで、明日提出の課題が収まりきらない。無理に詰め込めば袋が破裂する。しかしこの課題を今日中に終わらせなければ明日クラスメイトの前で教師に怒られるのは自分であることは分かっていた。
 少し調子に乗って大きいお菓子を持ってきたのが間違いだったと気付いたのはつい先程。そもそも普段ならもうほとんど食べきっているはずのものがこんなにも残ってしまっているこの状況を失敗と言わずになんというのだろうか。
 今朝の己を叱咤したい気持ちに駆られたが時は既に遅い。持ってきたお菓子の中でも一際大きいうす塩味のポテトチップスのパッケージに描かれたキャラクターが畏を嘲笑うかのようにくしゃりと音を立てる。間髪入れずにそのポテトチップスの袋を引っ掴み、雑に机へ放り出して課題をねじ込んだ。悲鳴をあげているジッパーを無理やり閉めてバッグを肩にかけ、机に乗っているポテトチップスの封を開ける。おどけた表情のキャラクターは無残にもひしゃげ、畏からは完全に見えなくなった、大袋に躊躇無く袋に手を突っ込んでぱりぱりと頬張りながら教室を出て、てくてくと部室へと向かう。
 無心で歩き続けること10分弱。頭では全く考えていなかったが身体が覚えていたのだろう。3年間通い続けた部室に辿り着き、がつんと派手に扉へ頭突きをかました。

「……っ!? いた、いたい……」

 汚れていない方の手で額を抑え、痛みと衝撃に震える。今日この瞬間まで食べ歩きに大いに賛成してきた畏が一瞬食べ歩きを辞めようかと思ったレベルの痛みだ。今日中に痛みが引いたら幸運だなと頭の隅っこで考えつつ、若干ふらつきながら部室の扉を開けた。
 昔、お菓子の袋を抱えて生物化学の研究をする場所に足を踏み入れるだなんて、と誰かに言われた事がある。しかし畏は1年の頃部長にも顧問にも飲み食いの許可をもらっているし、そもそも実験よりもまったり過ごせる空間が好きなだけなので実験らしいことはほとんどしていない。勿論邪魔にならないように隅の席で過ごす事が多いが、もし畏が堂々と真ん中あたりの席でお菓子を食べ始めたとしても咎める部員はほとんどいないだろう。
 ちなみに今畏がやっている1番生物化学研究部員らしいことと言えば生物への餌やりくらいである。

「し、失礼します……。あれ、私少し早く来ちゃいました……?」


 食べる手を止め辺りを見回すと、まだ4人しかきていない。珍しいなとは思いつつ、いつも座っている隅の席へと移動して残りも少なくなってきたポテトチップスを味わい、死なない程度に痛かった額の痛みはその美味しさで誤魔化すことにした。

>>ALL様


【メイン開始おめでとうございますー!
菓子ばっか食べててごめんなさい! これからよろしくお願いします!】

25日前 No.5

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【花形守司/図書室→生物化学研究部・部室】

洗剤の臭いが仄かに香る暗幕により外の世界に隔離されほとんど密室状態に近い図書室の中に一人、落ち着いた雰囲気を持つ青年、花形守司が図書室の本棚に囲まれながら医療に関係した本を立ち読みしていた。今、この図書室では医療関係の本がいくつかテーブルの上に塔の様に建てているだけでこの場に足を踏み入れているのは花形一人。そして図書室前の廊下で数人の生徒達が就職先や大学、短大、専門学校等の進路について楽しそうに会話をしていた。

「……人によってはもう進路が決まっているんだろうな……」

花形は会話が聞こえる廊下側では無く暗幕に消えた窓側を眺めては明らかに悲しげで羨ましそうな顔をする。そして読んでいる途中だった本を棚も見ないで乱雑に押し込んで戻す。その後、彼はこの部屋で手に入れたあまりに単純な知識をしっかりと握り締め手に残る感覚を確かめる。さらに感覚さえも自身の掌を潰す程の気合いを入れて一瞬だけ笑顔を見せた後ポーカーフェイスを気取る。真顔の彼は本棚しかないこの空間にやけに似合っていた。それ程に孤独を感じてしまう。道路の脇で倒れている汚れた猫の様に。
それでも少しだけ悲しげな表情が漏れ出る彼は図書室独特の空気を連れて扉をゆっくりと開き誰もいない静かな廊下に出る。窓に差し込む当たり前の日常が花形をようやく優しく包んでいく。それに花形は悲しい顔から自然に笑みが零れてしまう。だが実は彼はこれでもポーカーフェイスを演じているつもり。今も自身から滲み出る感情を完全にコントロールしていると勘違いしている。そんな事も知らずに花形はしばらく進路について再び思い出す。さっきまでの笑顔が嘘の様に圧倒的に困った様な顔をして考え込む。
彼の夢は医師であった。だから図書委員になってまでも医療関係の本を読み漁っていた。通常、医師を目指すなら保健委員にでも選べば良かったのだが何故か花形はそれを行う事はしなかった。本人曰く、すぐに委員会が終わるかららしい。

「そう、すぐに委員会が終わるから部活で活動できる時間が増える」

そんな結構大きな声の独り言を言いながらも生物科学研究部の部室の扉の前に辿り着く。複雑な思い出に触れながら足元が崩れそうな感覚を抑え部室の扉にノックを数回行い返事を待たずに扉を力強く開ける。部室に入ると後輩で何かしらの容器を探している小城。そして小城と同じ生徒会の丹下。また親友の麻酔。その麻酔の幼馴染である佐良白。彼女専用の席でポテトチップスを食べている保健委員の火次月。合計で五人の部員が既に部室へ来ていた。とりあえず全員に軽く挨拶して、本日も変わらぬ生物科学研究部に思いを馳せる。

>>ALL様


【メイン開始おめでとうございます!皆様どうぞよろしくお願い致します!】

24日前 No.6

@anzu00☆Z8uplvJ.Fz2 ★iPod=ymi6gD4Yax

【穂村小宵/廊下→生物化学研究部・部室】

「タアーン、タンタンタンタンタァーンターン」

カッチーニのアヴェマリア。それほど有名ではないと思うし、曲風も決して明るいはでなものではない。それでもこのどこか寂しげなメロディが大好きだった。昔誰かにそう言ったらお前らしくなくもないとかわけわかんないことを言われたんだけど、あれは誰だっけ。忘れたけど思い出す意味もないな。
そうして、人一人いないな、なんて思いながら、静かな廊下を一人でニコニコと歩いている自分は、周りからみればたいそう滑稽だろうと、穂村小宵は思わず笑みをこぼした。
「あ、負けちったー」
あちゃー、といいながら額に手を当て、しかしその目線は右手に握られたいわゆるスマートフォンに釘付けだ。先ほどから対戦していたオンライン将棋ゲームで、僅差負け。相手は結構やり混んでいるだろうなあなんて思いながら、画面を暗くさせてポケットにそれをしまった。別に負けるくらいいーんだけどさ。
「あーあ、なんか楽しいことないっかなー」
そういいながら、それでも楽しそうに廊下を歩く。その姿はひどく矛盾しているが、それに小宵はきづかないそして彼女はふと思い立つのだ。部活!そうだよ小宵ちゃんうら若きJKじゃないですかそんなくだらないこと言ってないで!青春を!!謳歌しなっての!!!!
そうと決まればクルリっと方向転換して部室へ向かうことに。本当は担任教師を探す途中だったのだが、まあいいそれはいいや。手か忘れたことにしちゃお。
そんな楽観思考で歩いて生物化学研究部部室の前にたどり着いた小宵は、何の迷いもなくドアを開け放った。
「どうもー、穂村参上!って、あれ、今日なんか結構少ないんだねー。どしたのみんな忙しいの?」
部室にいたのは数人の部員。てかえらいね後輩ちゃん早いね。穂村ちゃんもうちょっと頑張るよゴメンね。
心の中で何と無く反省を述べ謝罪して、よっこいしょーと近くにあった椅子に適当に座った。何をするというわけでもないが何と無く部室を見渡して、小宵はやはりニコニコと楽しそうに笑った。
「やっぱ、ここが一番だねー」

>>おーるさま


【 メイン解禁おめでとうございます! 穂村も部室に入らせていただきました。なんか何がしたいのかよくわかりませんがとりあえずはいれて良かったと思ってます!これからどうぞよろしくお願いします 】

24日前 No.7

つゆり。 @abyss017☆iervV4WoQZd4 ★iPad=XtxgMs0otn

【千駄ヶ谷光広/3年C組→生物化学研究部・部室】

 授業が終わり、クラスメイト達は鞄を持って家に帰ったり部室へ向かっている中、千駄ヶ谷は立ち上がる事なく、椅子に座って、ずっと机の上に置かれた鏡とにらめっこをしていた。先程の授業が体育で運動をした為、髪が乱れているのだ。いつも持ち歩いている櫛で髪を梳かしながら、今日の肌の調子やむくみ具合も確認する。今日は昨日より肌の調子が良くて、肌のむくみも無い。その事に喜びを覚えつつ、梳かし終わった長い髪を高い位置で一つに結わえる。結ぶのに使うのは、朝から付けていた水色のリボンが付いたバナナクリップ。少し前に友人と服屋巡りをした時に見つけた物で、付けるのは今日が初となる。結び終わってから、再度自前の鏡で確認する。

「よし、バッチリ。」

 少し前までの乱れた髪の面影は無い、整った髪に戻ったので、そう嬉しそうに呟く。櫛や鏡をお気に入りの鞄に入れている間にふと周りを見渡すと、教室に残っていたのは千駄ヶ谷とクラスメイトが二、三人居るだった。鞄に課題やらポーチやらを入れ終え、その鞄を肩に掛ける。そして自分以外に残っていたクラスメイトにまた明日と笑って声を掛け、廊下に出る。放課後と言っても廊下に生徒はそれなりに居た。
 さて、今から部活だ。廊下を見てみたが、生物化学研究部の部員が居る様子は無かった。部員が一人でも見つかれば一緒に行こうと誘ったんだけどなぁと少しがっかりしつつ、一人で慣れた道を辿り、部室へと向かった。向かいながら友達からのメッセージを返したり、タイムラインを確認していると、あっという間に部室の扉の前へと辿り着いた。中で喋っているのか、外に少し声が漏れている。スマホを鞄にしまい、扉を開ける。其処には友達の聖無ちゃん、同学年の瑛里華ちゃん、麻酔ちゃん、悠加ちゃん、三年生である畏先輩、守司先輩、今宵先輩の計七人が居た。他には居なかったので、千駄ヶ谷が七番目に来た感じだろう。既に半分の部員が揃っていた為、もう少しまでは全員揃いそうだ。部員達に「こんにちは」と挨拶をしてから、壁に立てかけてあったパイプ椅子を広げて腰を下ろす。皆で摘めそうな小分けされたお菓子でも今度持って来ようかしらと思いつつ、部室を見渡し、いつもと変わらない光景に笑みを零した。

>>ALL様


【本編開始おめでとうございます!皆様よろしくお願い致します。】

23日前 No.8

スレ主 @157cm ★iPhone=y44SZZaVfW

【 小城聖無 / 生物化学研究部・部室 】

ホルマリンを求めて部室及び準備室内を執拗に歩き回る様子は端から見れば頭がどうにかなったのではと思われても可笑しくはないくらいの滑稽さだが本人はそんなことは一切気にしていない。小綺麗に整頓された実験器具たちの前を通りながら次期の部費が増額されれば割ってしまった試験管に加え今まで生化研はなんだかんだであまり使わなかったものの次の大規模実験で必要となる予定の三角フラスコも新品を揃えようかなんて部費管理員だからこその感性でふらふらとホルマリンを探し回っていると、かちゃっと小気味のいい音を立ててドアが開き手入れの整った軽やかな金髪が揺れる。

「聖無、こんにちは。まだあなただけ?」
「あー、えりーちゃーん!そーなんだよ。全然誰も来なかったからもう実験始めようと思ってたとこ、なんだけどねー」

実際もう一つは済ませてしまったのだが、なんて軽く嘘を吐きながら間延びした軽い声で返した相手は丹下瑛里華だ。同じ生徒会に所属する同学年で特に接点というと無いに等しい部分もあるものの無理なく付き合える存在ではあった。そんな返しも曖昧に目ではホルマリンを探していた。実験にだけは一途な性でやると決めた実験はその日のうちにやってしまわなければどうも気が済まないのだ。瑛里華へのふざけ混じりな挨拶もそこそこにピンセットやらバットやらをいそいそと準備していると、早速ながら三人目の部員が到着したようだった。

「……ん。聖無……と、丹下も居たのか。早いな」
「先生から書類預かってきた。暇できた時目通しておいて」
「なぁに?私がいることがそんなにご不満?なーんて嘘ぉー!あっ、それもしかしてっ」

気怠そうな口調で入ってきたのは針邪馬麻酔だった。一応同学年だが本人曰く留学やら色々と事情があって留年したらしく年齢で言えば一つ上で、よく可愛がってくれる親しい存在だ。そんな彼が目の前にひらひらと紙を掲げてきた。揺れ動いて上手くは見れなかったものの微かに捉えた「部費増額」の文字。脳がそれを理解した瞬間に素早く二十センチ上は堅いであろう彼の手元のプリントに飛びついた。真っ新な紙にきっちりとした活字で印刷された黒い文字。そこには他の部活動の余りとやらで次期の部費が増額されるとの内容が記されていた。生化研部の部費は主に不足実験器具や資料に使われるため、他の部活とは違って部費を使うごとに生化研部も潤い、同時に学校の理科備品も潤う、まさに一石二鳥システムとなっているのだ。何かと部費を消費する機会も多いため、余りが出た場合は学校側も利益を得ることになる生化研部にまわされることが大半だ。よって、他の部の妬み嫉みを集めがちなのだが。兎にも角にも部費は貰ったもん勝ちだ。ホルマリンのことも忘れてすぐさま愛用の某リンゴマークのノートパソコンを立ち上げ、部費予算の打ち込みと商品の発注をしようとキーボードに指を躍らせ始めたところだった。準備室方面のドアが突如として開いたのだ。

「あ、瑛里華さんと、聖無ちゃんそれから麻酔君。こんにちわ。何か声が聞こえたから、どうしたのかって思ってきたんですが、何かありましたか?」
「よーうこそゆーかちゃーん!!いやはや何かも何も部費増額というビックビックニュースに心も指も躍らせたところだよー、と言いたいところだけど、本質はただホルマリンが無いっていうくだらなーい話なんだけどね」

オーバーリアクションで佐良白悠加を迎え入れたところで、「何かありましたか?」という彼女の問いに対して単純明快に現在の嬉しいニュースについて語ろうとしたところで、ピンセットとバットが視界に入り、探していたホルマリンのことを思い出す。

「部活の準備なら僕もできる範囲でお手伝いしましょうか?聖無ちゃん」
「あ、そうそう、ホルマリンどこいったか知らない?前あったはずのとこに無くって。最近準備室の清掃があったからもしかして場所変わった?誰か知ってる人いないですかー?」

悠加の言葉に甘えてここはホルマリンの捜索を手伝ってもらおうと笑みを浮かべて答えた。少しだけ声を張り上げて現在部室にいる部員にも声をかける。清掃があった日は数名部室で手伝いをしたと聞いているため、誰か知っている人がいても可笑しくないのだ。ゴム手袋を嵌めたままの手を勢いよく天に向かって突き上げながら呼びかけた。

>丹下瑛里華様、針邪馬麻酔様、佐良白悠加様、部室内ALL様

【とりあえず直接的に絡んでくださっている方に返させていただきました。ありがとうございます!】
>ALL様

23日前 No.9

天象儀 @bonbonbon ★Android=9jl9FPjAQO

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23日前 No.10

津崎実琴 @railgun230 ★iPhone=z0FNsBzA5m

【津崎実琴/一年A組→生物科学研究部部室】
授業が終わると、すぐに売店に行くかのような急ぎっぷりで、自身の属している生物科学研究部へと足を運ぶ。すると、副部長の鼬野 佳祐がいた。しかも、自分のことを「みんな大好き」な副部長だと思ってるような口ぶりであった。確かに副部長としても先輩としてもたよりがいのあるし面白い人だなとは、思ってはいたので別にそれを否定する必要も無いだろうと思い
「こんにちは副部長、えっと入らないんですか?」
そう、
鼬野 佳祐を脅かすかのように足音を消し背後から肩をポンと軽く叩きながら副部長入らないんですか?と聞きまるで会社でいう部下と上司のようなやり取りというか、会話の仕方であり佳祐をびっくりさせるようにしてはみたものの、先輩のことだからおそらく自身の存在にはというか自身が後ろにいたことは分かってるんだろうなと思い
「すごい汗ですね。また、走って来たんですか?」
と、あせがすごかったから走って来たんじゃ無いか。というのも彼女の憶測でしかないが聞いてみては
→佳祐、生物科学研究部部室all

23日前 No.11

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

【火次月 畏/生物化学研究部・部室】

 ぱりぱり。大袋に残ったポテトチップスも最後の1枚となった。しょっぱくなったお口をさっぱりさせるべく昼休みに自動販売機で買った1本110円のアップルティーで喉を潤す。本格的なセイロンやらダージリンやらよりも、自動販売機やスーパーなんかで売っている香料甘味料がどっさり入った甘い紅茶の方がずっと好きだった。何が良いって甘くて飲みやすい。紅茶本来の味わいを楽しむよりもジュース感覚でペットボトルから一気飲みした方が畏の性には合っている。お子様舌と家族から溜息を吐かれることもあったが、変にこだわりを持っているよりは安く済んで良いじゃないかというのは畏の持論だ。とどのつまりは美味しければなんでも良いのだ。美味しいものとはすなわち正義なのだ。
 美味しいポテトチップスを食べ終わり、さて課題でもしようかと鞄を開けてプリントと筆記用具を取り出したところで可愛らしい声が響き渡る。どうやらホルマリンがどこかに行ってしまったらしい。一応清掃には参加していたが、残念な事にホルマリンには全く触れていない。例の如く部内の生物達のケージをせっせと掃除して少し触れ合ってそのまま部屋へと帰ってしまった。
 その事実を伝えるべく、そっと席を立って聖無の側へと向かう。声量には自信が無いので、此処からだと声が届かないと判断したのだ。

「あの、私が掃除していた生物方面にはホルマリンありませんでしたよ。……宜しければ探すのお手伝いしましょう……」

 しましょうか? そう最後まで言葉を届ける事は叶わなかった。勢い良く開けられた扉。驚いてそちらを見ると勢い良く砂糖水を飲む副部長。そして倒れる副部長。怒涛の展開に目が点になる。早鐘を打つ心臓を落ち着かせるために深呼吸をして、視線を聖無へと戻した。

「……えっと、お手伝いしましょうか?」

 先ほど言いそびれた台詞を言い直し、聖無へと笑いかける。
普段なにかとお世話になっている副部長には申し訳ないが、今この状況を打開するものを持っていない。飲みかけのアップルティーを渡す訳にもいかないので、副部長の喉は他の部員に託すことにした。


>>小城聖無様、鼬野佳祐様、周辺ALL様


【絡めているのだろうか……?(頭抱え)
佳祐くんに至ってはめっちゃびっくりしてめっちゃ見た後にそっと視線を外すという絡みにすらなっていないなにかになってしまいましたが何卒……何卒よろしくお願いします……】

22日前 No.12

丹下瑛里華 @arthur ★iPhone=C6KILMgae5

【丹下瑛里華/生物化学研究部・部室】

 「あら、邪魔しちゃった?」

 冗談交じりにそんな言葉を聖無に投げながら、瑛里華は近くの椅子に腰を落ち着ける。聖無はどうやら暇を持て余した末に、なんらかの実験を行うつもりだったらしい。わざわざ一番乗りしてまでしたいものなのかと瑛里華は思ったが、もちろん口に出すような真似はしない。聖無であれば勘違いする事はないだろうが、その手の質問を情熱の否定として受け取る手合いは少なくないのだ。
 会話から間髪入れずに部室の扉が開く。瑛里華より頭二つぶんはあるかと思わせるような偉丈夫が入室し、聖無と瑛里華にいまひとつ覇気にかける挨拶をする。

 「針邪馬さんこそ。後で読んでおきますね」

 少し砕けた言葉で同学年である偉丈夫に返事をする。先に書類を手に取った聖無が歓喜しており、どうやら部費の増額がされるらしい。
 偉丈夫こと針邪馬麻酔はある事情で留年している。無論、同学年と言っても先輩という意識は抜けるものではなく、かと言って針邪馬先輩と呼んでは一年生の前では体裁が悪かろう。いまいち感情の読めない人物なので、いらぬ気遣いかとも瑛里華は思ったが、それを周囲が評価するかも知れなかった。
 彼の持ってきた書類の内容を聖無はもうノートパソコンの中に打ち込んでしまったらしい。再び机に置かれた書類を手に取った瑛里華だったが、続々と部員たちがやってきた。佐良白悠加、火次月畏、花形守司、穂村小宵、千駄ヶ谷光広、鼬野佳祐、津崎実琴……それぞれが三者三様、いや九者九様とでも表現するべきか。普通に部室に入ってくる者もいれば、騒がしい登場をする者もいる。
 瑛里華はそれぞれにきちんと挨拶をかけたところで、ようやく書類に目を走らせた。具体的にどれだけの増額がされるかなどが記されていたものの、特別頭に留めておくべき内容は見られない。
 自分にとっては興味のなくなった書類だが、部員の誰かが読むかも知れない。机の片端に書類を置いておくことにした。

【全員に絡むと滅茶苦茶になりそうだったので、返信は聖無と麻酔に絞らせて頂きました。】

>>(聖無 麻酔) ALL

20日前 No.13

天象儀 @bonbonbon ★Android=9jl9FPjAQO

【鼬野 佳祐/生物科学研究部室】

「うおっ、実琴ちゃんやんか……ずっと俺の後ろに居ったんか……!?」

 部活を前にした鼬野の幸せアーマーは、教師の殺意たっぷりの冷徹な目線すらも余裕で跳ね返す優れもの。入室前に後輩の津崎 実琴が肩を叩いたことには、まるで気付かなかったらしい。

 A組所属の優等生だからか否か、鼬野はどうにも彼女の思考回路が理解できないようだ。根っからの真面目っ子なのは十二分に伝わってくるのだが、今のように先輩を驚かせようとする悪戯心も兼ね備えた、掴み所のない後輩。とはいえ料理が得意など、気の合うところも多いため、彼女もまた佳祐のセクハラを受けることも少なくはない。

 彼女の存在に初めて気が付いたのは、鼬野が飽和砂糖水を飲んで地に伏した、まさにその瞬間だった。「走ってきたんですか?」と至極冷静な顔で問いただしてくる彼女に、鼬野は辛そうな顔をねじ曲げてニコリと微笑んだ。

「そうやねん。この炎天下で何人もの女子に追いかけ回されてな。皆ラブレター片手にオレを我が物にしようと……してたらパラダイスやったんやけど、あいにくあの子たちの手に握られていたものは、鋭利な竹刀と木刀やった。せっかくリスクを犯して更衣室を覗いたったっちゅうのに、あいつら制服で待ち構えよってからに!こら近い日にリベンジせなアカンわ!実琴ちゃんかてそう思うやろ!?」

 せっかくの後輩とのスキンシップ。身体中の水分を寄せ集める思いで再びマシンガントークを解き放つ。

 普通の人が聞いたらドン引きどころでは済まない過激な内容だが、この部活においては彼が“覗き”や“スカートめくり”のエピソードを引っ提げてやってくるのは珍しくない……どころか日常茶飯事であるため、当然のように部員たちは誰もこれといった反応を見せることはない。逆にそういった土産(?)話がない方が、こと生物化学研究部においては不自然なのである。

「まあ、とにもかくにもこの干ばつ待ったなしの喉を潤さんことには……お?」

 寝たきりで首だけを動かし、水分と名のつくものを徹底的に探しだした鼬野が、ピタリと視線を止めた。

 その先にあったのは……満タンではないものの、充分な量のアップルティーだった。

 血を見付けた吸血鬼より、大判小判を見付けた大泥棒より、巨大カブトムシを見付けた虫捕り少年より、アップルティーを視界にとらえた鼬野の瞳は、あらゆる悪霊を浄化しそうなほどの、この世のものとは思えぬ爛々とした輝きを放っていた。

 視線を意図的に外された気がしたが、おそらくたぶんきっと気のせいだろう。

 文字通りのオアシスを見付けた鼬野は、今までの様子が嘘のようにアクロバティックに起き上がり、すぐさまその所有者である同級生───火次月 畏の元へ距離を詰め、その決して健康的とは言えない、彼女の内気さを体現するかのような色白の両手を握った。

「ごめんな聖無ちゃん、お話し中に! ちょっと畏ちゃんと大事な交渉があるんや!」

 火次月が話していたのは、後輩の小城 聖無。何を考えているかは分からないが、一つだけ分かることは、とりわけ実験に関する情熱はここにいる誰にも引けを取らない、いるべくしてこの部活に身を置く逸材である。ふだんは何をされても怒りを露にすることのない彼女が、実験になると人が変わる。基本的におちゃらけている佳祐も、この空間、少なくとも小城の目の届く範囲では、異なる実験器具の扱い方をしたり、誤って壊してしまったりしないよう、細心の注意を払っている。今も彼女は本日の実験の準備を真剣に、しかしどこか嬉しそうに進めている。自分が誤って飲んでしまった砂糖水がその材料でないことを、切に祈るばかりだった。
 しかしながら、彼女は前述した通り実験以外のことには無関心かつ無防備なので、佳祐のセクハラの第一ターゲットとなってしまった不運な少女である。もっとも、本人が不運と思っているかは不明である。


 さてさて、佳祐のキラキラな瞳は少しも勢いが衰えることなく、伏し目がちな火次月の瞳を真っ直ぐに覗き込んだ。

「畏ちゃん……オレ、もう喉が渇いて限界なんや。そのアップルティー、少しでええから恵んでくれぇぇ!!」

 と、鼬野が起き上がった途端に誰もが予想できたであろう最低のネゴシエーションを、相手の手を握ったままで、なんの躊躇いもなく執り行う。

 火次月と鼬野。性格も、学力も、テンションも、何もかもが正反対のこの二人だが、実は仲は決して悪くない。というのも鼬野には、人見知りがちな火次月と少しでも学校生活の楽しさというものを共有したいという思いから、本人の意見はあまり聞かずに彼女を日の光の当たる所へ、グイグイ、グイグイと引っ張り回すという、何ともアクティブな習慣がある。だが、火次月はそれに対して然程の嫌悪感を抱いてはいないらしく、その見返りとして絶品のお菓子や、学問において最底辺に位置する鼬野にとっては優等生という名の天使によりもたらされた蜘蛛の糸と喩えても過言ではない“5分間課題代行券”なる褒美が、満天の笑顔と共に与えられる。また、そんな鼬野には火次月も、他の人には言えない少し特別な悩みを溢すことがある。このエロバカ男が優等生である彼女の相談相手という使命を全うできていると胸を張って言うことはできないが、気休めにはなるようだ。あまり細かいことを気にせずに心の蟠りを存分にぶつけられる相手としては、過剰なほどに明朗快活かつ部員思いな鼬野を置いて他にはいない。

 そんなこんなで二人の関係も決して悪くない中での賭け。それでもなお、勝算はきわめて少ない。

 というのも、先に述べたが、ペットボトルの中身が減っていることからも、彼女が少なくとも一回はそれに口をつけたことは火を見るより。

 そのような一品を、例え同い年の人間が身も心も乾燥していっているとはいえ、果たして悲観と自信のなさを全身から醸し出した彼女が差し出してくれることがあるだろうか。

 しかし、あれやこれやと考えている暇はなかった。今の必死の懇願で力が抜け、その場にヘナヘナと座り込んだ鼬野は、そのまま前かがみで倒れ込んだ。端から見れば土下座に見えなくもない。

 そして、神にすがるかのような、輝きを完全に喪失した電池切れの瞳で火次月を力なく見上げた。

>>津崎実琴さま、火次月畏さま、小城聖無さま、部室ALLさま

【エロイタチが罠に掛かりました←
でもこれは「絡めているのだろうか」と悩んでいらっしゃったたわら様の不安を払拭したという点を考慮すれば善行と言えなくもありませn(などと供述しております
誰か佳祐の毒牙から畏ちゃんを守ってあげてください!でもまだ殺すのはやめてくだs(((((
最後になりましたが、絡んでくださった方々、本当にありがとうございます&遅れてしまって申し訳ありません!】

19日前 No.14

遊来 @157cm ★iPhone=y44SZZaVfW

【 小城聖無 / 生物化学研究部・部室 】

「あの、私が掃除していた生物方面にはホルマリンありませんでしたよ。……宜しければ探すのお手伝いしましょう……」

呼びかけてすぐに声をかけて情報提供してくれた畏はアップルティー片手に手伝いまで申し出てくれた。と思いきや、突然の轟音に遮られてしまった。勢いよく駆け込んできたお調子者が過ぎる生化研部のエロ担当、鼬野佳祐だった。勝手に叫びながら飛び込んできたかと思えば勝手に飽和水溶液(ビーカー入りなのだから勿論かなり汚いし危険)を飲み干し、勝手に咳き込んで勝手に干からび始めた。無論ここで彼を救出したとしても恒例のセクハラを仕掛けられるだけであることは目に見えているためそのまま放ってミイラにでもなっていただくという判断を下した。

「……えっと、お手伝いしましょうか?」
「それはありがたいことこの上なーっし!ぜひぜひお手伝いいただきたいー!ホルマリンがないとなーんも始まんないんだよー!?組織標識とサンプルはセンセーにも頼まれてんのにぃ。」

「ごめんな聖無ちゃん、お話し中に! ちょっと畏ちゃんと大事な交渉があるんや!」
「え、えぇ?」

嬉々として二人でホルマリン探しにでも出ようとした時、さっき床にバテていたはずの佳祐がいつの間に復活したのか(こういう言い方をするのもなんだが)畏を奪い取って行った。すっかり無防備だったためゆっくりとその先を目で追うと、アップルティーをくれと必死に交渉している。彼のことなのだから恐らく喉の渇きと同級生との間接キスを同時に行おうだなんてよくわからないことを考えているのだろうがそんなことはどうだっていい。畏にはこれからホルマリン探しの旅に出てもらうはずだったのだ。ゆらりと怒気を宿して佳祐に近づき、音もなく後ろから踏み台に乗ってビーカーに並々入った水道水をゆっくりとかけてやる。

「畏ちゃんはわたしとホルマリンを探すって言ってるのに。どうしてそう邪魔ばっかりするの?」

くりくりとした大きな瞳で若干の身長差のため生まれる上目遣いを駆使しながらも白と紫のマーブルの繊細な色気を持つ瞳の奥に怒りを宿して佳祐を見つめる。ここの部員なら誰もが知っていることだが、彼女の実験の邪魔をするようなことがあればそれ相応の仕打ちが待っている。尚且つ、なにが彼女のトリガーになるのかはわからないのだ。
スクールバッグの中から飲みかけのぬるいスポーツ飲料を取り出し、すっかりびしょ濡れの彼のシャツに投げつけながら畏の腕に抱き付く。

「お水ならそれ飲んでもいいし畏ちゃんがくれるっていうならアップルティーでもいいし、とーにーかーく、邪魔しないでっ!」

>火次月畏様、鼬野佳祐様、ALL様

【やはり全員に絡むのは無理ありますね(有言無行の鑑)!!絡める分だけでも絡ませていただいております!】
>各本体様

19日前 No.15

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【針邪馬麻酔/生物化学研究部・部室】

 「おっ……と」

 居たのか、というと不服そうな声を漏らしたかと思えばすぐに麻酔の手に持っていた書類に食いついてきた聖無の姿に少し驚いたように麻酔は目を珍しくぱちくりとさせた後に、挨拶をしてきた瑛里華を見て「おう」と軽く挨拶だけして一つだけ頷いた。
 その後からぞろぞろと人が入ってくるのを見て、やはりこの部活にはすぐに人が集まるものだな、なんて思った。順番に幼なじみの悠加、彼女である可愛い畏、親友の守司、個性的な小宵、比較的真面目なイメージがある光広、バタバタとしながら慌ただしく部室に入ってくる佳祐、いつの間にか部室のところまできていた実琴。まだ数人来ていない様子ではあったが、半分は来ているみたいだった。
 あとは……なんて思いながら指を手折りながら考えていると、相も変わらず騒がしい佳祐の姿に麻酔はそっと目線をやる。関西の両親がいるとかで関西弁を話す佳祐には、学力的な面でも色々と面倒をかけることも多く、またあいつは、なんて呆れ気味に肩を竦める。
 ふと佳祐が畏と話している聖無との間に割って入ったかと思えば畏の飲んでいたというアップルティーを強請っている姿にまたあいつは、とただ呆れていただけの麻酔は不意にこめかみをピク、と動かす。
 やはりこれでも彼女の彼氏という自覚はあるのか、それを黙って見過ごせるほど心の広い男ではなかったということか。それはどうかは分からないにしても、不意に麻酔は掛けていたメガネを取ってメガネケースにしまい、読んでいた医学書をそっと机の上に置くと、佳祐の後ろに回って握りこぶしを作って躊躇いもなく握りこぶしを力を入れすぎない程度に、当たると相当なダメージは入るような角度で振り下ろした。

 「何やってんの、佳祐」

 手刀で首元をトン、とやることも考えたのだが、あれは下手にやると佳祐が死ぬかもしれない、と思ったこともあり麻酔の少なからずとも今の状況に残った善意で手刀が繰り出されることは無かった。
 妹のように可愛がっている聖無を不快にさせたことも麻酔を不快にさせた理由の一つだろうが、やはり一番は畏に間接キスを遠まわしに強請っているという事だろう。嫉妬深い男は嫌われるものだ。
 聖無がふと飲みかけのスポーツドリンクを佳祐に投げたのを見て、佳祐が拾う前に先に麻酔が聖無が投げたスポーツドリンクを拾って聖無の近くの机に置く。

 「そんなに喉が乾いたなら俺のをあげよう。下心を見せながら女性との関わりを持とうとするのは関心しない。もし何かあった時に真っ先に疑われるようなことはしない方がいいよ」

 はぁ、とため息を吐きながら麻酔は机の下に置いたスクールバッグから職員室による前に買っておいたフルーツをふんだんに使ったのがパッケージからわかる紙パックの小さめのジュースを麻酔に渡す。元々は紅茶が無かったので代わりに飲もうと思っていたのだが、今となってはそれとこれとは話が別だ。
 相も変わらず仏頂面で言葉の話し方にも抑揚はないが、佳祐に対して放った言葉に嘘偽りはないし、それが表に出ないだけであって彼なりに佳祐を心配しているのだった。まあ、表に出ないのが少し問題なのだが。

>>鼬屋佳祐様、火次月畏様、小城聖無様、all様


【畏ちゃんが危ない!!行かねば(使命感)。時間の合間を縫って走り書きになったので文章が変かもしれませんが大目に見てください(震え声)】

18日前 No.16

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

【火次月 畏/生物化学研究部・部室】

 嫌な予感がしていた。
目を逸らしているというのに感じられる畏に向けられた視線。ああこれは出来る限りゆっくりこの場を離れなければ、と半歩後ろに下がった時、倒れ伏していた佳祐が運動音痴を極めた畏には考えられないような動きで起き上がり、凄まじい勢いで距離を詰めてきたかと思えばきゅっと両手を握られた。なんという早業。畏の耳には空を切る音すら感じられた程だ。もしも畏の運動神経がカンストしていたとしても、今の不意打ちは回避できなかったのではないだろうか。
 しばらく動かないだろうなと思っていた矢先の出来事。言うなれば蝉ファイナルである。人より多少ビビりな畏でなくとも驚いて然るべき場面だ。蝉ならばまだ足が開いているか閉じているかで判断ができるが、彼は人間だった。瞳孔でも見ない限り判別なんてできない。完全なる不意打ちにやっと落ち着いた心臓がまたえげつないビートを刻み始めた。BPM的には最早ロックの領域である。
 畏の心臓がロケンロールしていると知ってか知らずか、目の前の彼はきらきら輝く瞳で飲み物を強請る。頼まれごとは断れない性質であるが故に、「あ、飲み掛けでよろしければ」なんて口に出そうとしたところで、しかしそれを言葉として発する事は出来なかった。へなへなと座り込む佳祐に凄まじい猛攻を仕掛ける聖無と、先程まで難しそうな医学書を読んでいたはずが今や彼に拳骨をかましている麻酔の姿を見れば、誰だって何を言おうとしていようが口を噤んでしまうに違いない。何しろ迫力が4DXの映画レベルなのだ。特に麻酔に至っては落ち着いて状況を判断したうえで冷静に拳を振り下ろしていた。流石将来医学の道を志しているだけある。
 現在進行形で満身創痍の佳祐を心配しつつ、場の雰囲気が落ち着いてきたところを見計らっておずおずと口を開く。

「えっと、これくらいだったらいつでも差し上げたんですけどね。いえでも、飲み掛けって衛生的によろしくないですし、未開封のジュース持って来てくれて有難かったです。あとわたし、下心丸出しの鼬野くん嫌いじゃないですよ。素直で可愛いと思います」

 腕に抱きついてきた聖無の頭を宥めるようにぽんぽんと撫でながら、心身ともに満身創痍であろう佳祐にフォロー(本人的にはフォローのつもりである)をいれる。普段お世話になっているお礼も若干兼ねているつもりらしいが、大してフォローになっていないのが悲しいところだ。しかもそのあと慌てたように「聖無ちゃんも麻酔くんも可愛いですよ」と付け加えたのは最高に無駄な気遣いとしか言いようがない。


>>鼬野佳祐様、小城聖無様、針邪馬麻酔様、周辺ALL様




【そっと撫でるだけの絡みにものすごい濃い返信をしてくれた天象儀様に大きな拍手を送りたいです! 控えめに言ってめちゃめちゃすごい!(語彙の低下)
さらに聖無ちゃんがヤバいくらい可愛かったり麻酔くんが死ぬほどかっこよかったりしてますがそこら辺はきりがないので割愛します!
絡んでくださりありがとうございました!】

18日前 No.17

自由 @nanamaru☆43ke11mKtUk ★iPhone=dgcL1EDLvj

【小日向友/階段→生物化学研究部部室】

「ひいい、遅くなっちゃったっ!!」

 慌ただしくバタバタと階段を駆け上がる少年。先ほどまでなぜか初対面の人に数学を教えていた。完璧に理解させることができご満悦な友だったが、完璧に時間というものを忘れていたのだ。すぐに仲良くなった問題の初対面の人物、「リョーくん」に何気なく今何時〜?と聞いたら、もうそれはそれは大変な時間。友とあと一人、同じクラスの津崎実琴を除けば先輩ばかりの部活だ、まさか先輩に迷惑をかけるなんてもってのほかだし、それ以前に友にだって時間を守る程度の常識はある。しかし、このまま部活に行けるほど道のりは甘くない。友は知っていた、こうやって急いでいるときに限って──

「わああ、大丈夫ですかっ!?」

 案の定階段でつまずいて大量のプリントをばらまく生徒。きっと職員室帰りなんだろう、日直か係か何かで次の授業に使うのを持って行かされてるんだろうなあ。それとも前の授業で提出したのを返してるか。どちらにしても、別にやりたくもないことをやってその上に面倒臭いことになるという非常に困った事態にあの子は直面しているに違いない。
 とここまで一気に考えて、友はプリントを落とした生徒の元へ駆け寄る。何年生かはちょっと定かではないが、初めて見た顔だし多分二年生か三年生だと思う。彼女はプリント運びを自ら進んでやっているかもしれないし、この状況を面倒臭いともなんとも思っていないかもしれないが、一度思い込んでしまったことを友が明確な根拠なしに変えることはない。思い込むことに根拠はないが。
 一応全てのプリントを彼女の腕の中に戻し、礼を言われた後「教室まで持って行きましょうか〜?」と申し出たのだが曖昧な笑顔でやんわりと断られた。プリントを戻すときに勢いが良すぎて、その多くがぐしゃぐしゃになってしまっていたことに友は気付いていない。

「ふうう〜、さて、もう大丈夫だよねっ。ううう、急がないと……。」

 もともと潤んでいる水分多めの瞳を、心なしかさらにうるうるさせて階段をまた駆け上り始める。さすがにお決まりの事件はひとつ解決したのだし、これ以上はないだろう。神様だってそんなに残酷ではないはずだ。困っている人を無視すればそれで済む話なのだが、それが出来るほど友のメンタルは強くない。
 途中食堂のおばあちゃんに声を掛けられ、もしやと肩を震わせたのだが、杞憂だった。今、友の手の中には冷凍みかんが三つ。手が凍りそうだがもしかしてこれを部に持って行けばお詫びの品ってことにはならないだろうか。……ならないだろうな……そこでおばあちゃんにもらったもらいものだし。
 やっと部室の前に到着する。みかんを腕の中に抱え直して片手を開けると、ドアを開いた。

「おっ、遅くなってすみませんっ! あのお詫びと言ってはなんですがよろしければこれをっ……!」

 入るなり膝をつき、目を閉じうつむいて三つの冷凍みかんを乗せた手を上げ、まるでその先にいる誰かに冷凍みかんを捧げるような格好になる。170センチがこんなことをしているとなかなかシュールだが、本人的にはいたって真剣であった。

>ALL様


【初投下です!前半どうぞ読み飛ばしてください食堂のおばあちゃんに冷凍みかんもらうだけです()今部室がただでさえすごいことになっているのにものすごく雑な絡みの入れ方になっていますがよろしければ冷凍みかん誰か受け取ってくださいませ(震え声)】

18日前 No.18

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★X2zrn8dq8e_PHR

【佐良白悠加/生物化学研究部・部室】

悠加が挨拶をしながら顔を覗かせると、どうやらものすごく興奮した様子で歓迎をしてくれる。
『よーうこそゆーかちゃーん!!いやはや何かも何も部費増額というビックビックニュースに心も指も躍らせたところだよー、と言いたいところだけど、本質はただホルマリンが無いっていうくだらなーい話なんだけどね』

『あ、そうそう、ホルマリンどこいったか知らない?前あったはずのとこに無くって。最近準備室の清掃があったからもしかして場所変わった?誰か知ってる人いないですかー?』

どうやら部府が上がったことがものすごくうれしいみたいで、彼女の声は弾んでいた。そのあとにホルマリンがない、という言葉に首を傾げた。部活の手伝いを名乗り出るとみんなにも質問を投げかける。少なくとも自分が片付けた範囲にはなかったような気もする。
「ホルマリン、ですか?じゃぁ、僕も一緒に探そうかな?たしか、僕こっちのほうを片付けたので、ここにはないと思いますよ」
そう言いながら悠加はこの間の清掃の時に片づけていた棚の前に立つと、軽く探すが、見当たらない。やっぱりないなぁ、なんて考えながら、隣に手を伸ばそうとしたときのこと。聞き覚えのある声が聞こえ、後ろを振り返った。するとやはり、自便が一方的に好意を寄せている鼬野が目に入った。ついでに気が付かない間にずいぶん部員が来たようだった。そこにも驚いたが相変わらずすぎて、悠加は少しだけ微笑む。
「こんにちわ、鼬野くん。女の子にまたセクハラまがいなことしてたんですか?それに彼氏さんがいる子にしちゃだめですよ」

軽くけん制しながら苦笑をこぼすも、声をかける。
「小日向さん、こんにちわ。気にしなくて大丈夫ですよ、冷凍ミカン美味しそうですね」

遅れてきたわけでもないのに謝ることなんてないのになぁなんて考えながら、にっこりと笑う。
「ミカン、受け取ってもだ丈夫ですか?」
折角持ってきたものだ。受け取らないと彼女にも悪いだろうあな、なんて考えながら受け取ってもいいのか聞くのだった。

>>鼬野佳祐様、小城聖無様、小日向友さん、all様

18日前 No.19

@anzu00☆Z8uplvJ.Fz2 ★iPhone=eEtZTAeNS0



【 穂村小宵/生物化学研究部・部室 】



何があったんだっけ、とぼんやり考える。
最初は可愛い後輩ちゃんたちがホルマリンを探していただけのはずだった。そこに佳祐君がやってきて、それで何、えっと、突然飽和砂糖水を飲みだして、それで飲み物欲しがって? え、え、え、なんで濡れてるんだっけ何これギャグですか。じわじわと浮かぶ笑みを隠せそうになくて思わず手で口元を覆った。しかし目元が三日月になっていることに、小宵は気づいていない。
まあでも怒った聖無ちゃんはとってもかわいかったし、畏ちゃんは優しいし......。なんていうかすごい不謹慎だけど佳祐君ありがとう!とは思うものの、流石にそこは私も三年生! 声には出さないってか出せない。私までびしょ濡れになっちゃう。

「んもー、佳祐君副部長でしょうが。セクハラなんかしないの! てゆーか何、なんでそんな喉乾いてたの? 運動でもしてたの? ......ふはっ、見れば見るほどビッショ濡れだねー。はいこれ。安心していいよ使ってないから」

気になっていたことを一気に聞きながら、堪えられずに吹き出してしまった。だって濡れてるんだもん笑うじゃん! さすがに笑っただけは可哀想だなと思い、白地に水色の水玉模様が描かれたフェイスタオルを出して渡してあげた。穂村ちゃんってば優しい〜!
ああ、で、聖無ちゃんホルマリン探してるんだっけ?ホルマリンね、ホルマリン......。

「聖無ちゃーん、危険薬品入れてる棚みたいなのあったじゃん?あそこは? ホルマリンって結構やばいやつだし」

ごめんね事実はわからないや、と付け足してにっこり笑った。そしてその目線の先にいた麻酔君に、これまた思わずニヤリとした。

「麻酔クンってばー、可愛いとこあるよね。畏ちゃんの飲みかけを飲ませたくなかったのかな? ンンー? どうなの彼氏君」

ニヤニヤしながらそう言ったのはいいものの、その後の畏ちゃんの発言に思わず小宵はずっこけた。盛ってない盛ってない。割と本気でずっこけた。

「いやいや畏ちゃん!佳祐君庇わなくていいって。仕方ないよ女の子にセクハラねだりまくってるんだから! あと麻酔君は可愛いじゃなくて格好いいっていってほしかったんじゃないかしら?」

こちらもニヤニヤーと言ってからかっておく。んもう、そうじゃないんだな。可愛い、かわ、可愛いけども! いや私も言っちゃったけども、でもでもでも、彼女にはもっと違うこと言って欲しいでしょうよー。
一人でもどかしくなっていれば、小日向君がやってきて冷凍みかんを差し出してきた。おおう、小宵が言うことじゃないけどさ、だいぶうちの部活って各々のキャラクターっていうか個性?強いよねー。濃いよねー。

「やっほー、小日向君! みかん美味しそうだけどごめんねー、私そんなお腹空いてないんだ。お気持ち受け取るよん!」

テンション高めでそう言って、しかしそのあと悠加ちゃんが冷凍ミカンを受け取っているのを見てキラリと目を光らせた。おおっとこれはチャーンス。悠加ちゃんとおんなじミカンを食べれるかもしれない。私はレディーでそれは彼女も然り、オーケー。今ここで一切れねだったって佳祐君のように叩かれることはナーシ。よし。

「悠加ちゃーん、もしよかったら一切れくれませんか! 私も食べたいけど一個はきついかなー、って.......えへ」

小宵は手を合わせて、少し頭を下げる。そうそてダメかな、と呟きながら心の中では必死に祈っていた。



>> 鼬野佳祐様、小城聖無様、針邪馬麻酔様、火次月畏様、小日向友様、佐良白悠加様、all様





【 やっと書き込めた!前回から大分あいてしまって申し訳ございません!絡めるだけ絡んだんでちょっと何言ってんだこいつになってるかも知れないです!ごめんなさい!ていうかまずこんな面倒臭い先輩で申し訳ないです!!!! 】

18日前 No.20

津崎実琴 @railgun230 ★iPhone=z0FNsBzA5m

【津崎実琴/生物科学研究部室】
ずっと後ろにいたのか?と、先輩である、鼬野 佳祐にそう聞かれると、ずっと後ろにいたというのは事実ではなく、今さきがたに来たばっかしであった。そのため、
「い、いや?べっ別に今来たばっか。そしたら先輩がいたんで、肩を叩いてみただけですが。」
たまたま、偶然くるタイミングが同じであっただけでつけていたわけではないんだからね?と先輩、分かってますか?それじゃ私がストーカーしてるみたいじゃないですか?と、そういうと佳祐が、そのすごい汗の理由を話しはじめた。
「先輩ってやっぱり人気者なんですね。というか、覗き見してれば誰でも叩くなりなんなりしたくもなりますが。けど、竹刀とか木刀で襲われるのは勘弁ですけど、覗き見は、よくないですよ?また痛い目見ますよ?」
佳祐が竹刀と、木刀で襲われた事の原因はというと、覗き見をしていたことにあるのでは?と、いう。そもそも、先輩は普段は良い人なのだから、こういうことをしさえしなければなにもされなくてすんだのではないか。と、覗き見したくなるのか、それはわからないが、とりあえずやめたほうがいい。と、覗き見をやめることを勧め→鼬野 佳祐、生物科学研究部、部室all

18日前 No.21

天象儀 @bonbonbon ★Android=9jl9FPjAQO

【鼬野佳祐/生物化学研究部部室】

いける。

下から火次月の困り顔を覗き込んだ鼬野は、確かに勝機を感じていた。

火次月は極度の人見知りだが、それと同じくらいに優しい人間。こうして必死の思いで強請……もとい、悲願すれば、きっとアップルティーを恵んでくれる。

「ぐああああ!!あと三十秒以内に水分を得な、オレは死んでまう!!死にたくない!せっかく剣道部女子たちの猛攻をくぐり抜けたっちゅうのに、こないな所で死にたくないんやあああ!!」

 とどめの一押し。彼は地面に顔をグリグリと押しつけながら悶え苦しみ始めた。もっとも三十秒という数字は完全に適当。カウントダウンを設けることで火次月を焦燥に陥れ、一気に獲物を差し出させるごり押し作戦に出たのである。

 勝利を前に笑みがこぼれそうな彼に言葉をかけたのは、後輩の佐良白 悠加だった。

 彼女の顔を見るなり、鼬野の表情が一瞬真面目なそれへと変わった。腕がチクリと痛んだ気がした。

 普段は、鼬野と天秤にかけるのが烏滸がましいくらいに真面目な彼女が昔、二人で部室にいたときに誤って器具をひっくり返してしまった。珍しい事だったため頭が充分に機能しなかったのであろう、器具の中に入っていた液体が降りかかったとき、鼬野は無意識のうちに彼女の前に立ち、左腕にそれを浴びることになった。左腕には、今も残る惨たらしい火傷の痕がくっきりと刻まれることになった。

 バスケットボールの、大事な時期だった。

 しかし、それで彼女を責めるつもりはない。無意識とはいえ、あのとき動いたのは他でもない自分自身。本能が助けたいと思った上での身代わりなのであれば、自分に佐良白を責める資格も、理由もない。

 傷痕は鼬野が、このような汗だくの状態でも長袖を着続けているため、上手く隠せている。よってこの出来事は鼬野と佐良白二人だけの秘密となっている。

 過去の出来事を思い出していた鼬野は、らしくない顔をして黙りこくっていたことに気付いて、慌てて首を振った。

「と……止めんとってくれ悠加ちゃん!誰であろうと関係あらへん!オレは素敵な彼女が出来るまでは絶対に死ねへんのや!」

 そして慌てていつものハイテンションに軌道修正して、佐良白に叫んだ。

(ここまでやればもう決まりやろ!さあ来い畏ちゃん!乾ききったオレに恵みの水を!!)

 しかし、彼の願いは違った形で実現することになった。


「ぴゃああああああ!!!」


頭上からゆっくりと降り注がれる水が、鼬野の体を侵食していく。背筋がゾクリとした彼から、男子が音源とは思えない可愛らしい悲鳴が放たれ、部屋中に激しく響き渡る。

「だ、だ、誰じゃあ! オレの“ミイラ待ったなしの衰弱しきった男を演じることで女子との間接キスをごく自然な流れで実行しちゃおうぜ作戦”を邪魔する不届き者はぁ!? オレのパーフェクトな計画を邪魔する外道は、誰であろうと許さへん………」

 確かに剣道部女子との一連の絡みで疲労も溜まり、飽和砂糖水によって少なからず心身のダメージを被ったのも事実。

 しかし、それは決してフラフラと床にへたりこんだり、喋るのもままならないほどに重い症状ではなかった。そこを補ったのが鼬野の下心を原動力としたオーバーな演技。

 工夫の一切ない作戦名が物語るように、全ては此度の標的である火次月との間接キスのため。

 まさに怪我の功名だった。剣道部の女子に追いかけ回されて疲労困憊の男子高校生役を上手く演じきることで、あたかも“飲み物くれるなら誰でもいいよ”といった体を装うことができる。しかしながら彼の狙いは最初から決まっていた。無作為とは程遠かった。

 そのための迫真の演技。家で密かに練習していた“頬をちょっと痩けさせる”技もいいアクセントになって、鏡を見ずとも完全に、誰がどう見ても死にかけであると。

 そう思っていた。

 そんな鼬野の醜き役柄を丁寧に洗い流すように、ゆっくりと注がれる水。これは完全に見破られている。

 アップルティーでは、ない。紅茶ではなく殺意の匂いがする。

 予想外の出来事にガバリと体を起こした鼬野は、辺りをキョロキョロと見渡した。


「ぞ?」


 突如として現れたのは、いつもより少し高い位置に見える小城の顔。さきほどは強引に火次月をかっさらっていってしまったが、どうやら無くなったホルマリンを一緒に探そうという、自分とは全く異なる正当な“先客の交渉人”だったらしい。

 危険信号、危険信号。

“実験絡みで小城を怒らせてはならない”と確認したのは数分前。

 そんなつもりはなかったとはいえ、自分のエロ計画は小城の実験までの道のりにドンと立ち塞がって通せんぼをしてしまっていたらしい。いつも怒らないからこそ、些細な事が彼女の逆鱗に触れてしまう。

 殺気のせいで背が高く見えるのかと思いつつ下を見ると、彼女は踏み台に乗っていた。手に持ったビーカーからは水が滴り落ちていた。どうやら自分をびしょ濡れにしたのは彼女で間違いないらしい。

 紫と白の幻想的な瞳を上目使いにして見つめてくる彼女に鼬野は、蛇に睨まれた蛙のごとく指一本も動かせなかった。

「い、いやぁ……聖無ちゃん、ちゃうねん、誤解やって……これは、その……そう!砂糖水を飲んだあとにアップルティーを飲んだら、メッチャ甘く感じるって聞いたことあるから!それを“実験”しようと思……グバアアア!!」

 焦りに焦りながらも、最後の抵抗として“実験”という単語を強調した言い訳を交えて、彼女に赦しを乞おうとした。“実験ならしょうがないですね”という結果になれば大金星だったのだが、現実はアップルティーのように、ましてや飽和砂糖水のように、甘いものではなかった。

 鳩尾に飛び込んできたのは、またしても中身の減っているスポーツドリンク。とはいえ体を鍛えている鼬野に充分なダメージを与えられるほどの内容量だった。結果、彼は演技じゃなくともその場に蹲ることになった。そして浴びせられた『邪魔をするな』の一言。勝負はついたかのように思われた。

「く……くそっ、まだや!まだオレは戦える! 畏ちゃんがムリやったら聖無ちゃんや! 戦果を挙げずに降参なんて無様なマネ、このエロ武将の鼬野サマが出来るかぁっ!!」

 それでもなお、湯葉ほどの薄っぺらいプライドが一人のエロ武将を動かした。コロコロと転がった、おそらく飲みかけであろう小城のスポーツドリンクに向かって這い寄りながら、いつになく真剣な顔で手を伸ばす。許可は降りた。今度こそ……。

 やっとのことで中指の先が触れた、その時だった。

「ぎゃべっ!!」

 先刻の担任に引けを取らない……いや、それ以上に重い拳骨が、地を這うエロ武将の脳天に命中した。本当に蛙になってしまったような声を出して両手で頭を抑える彼に降り注いだ『何してんの』という低い声。

「この拳骨の感触と陰気な声は……麻酔か!!」

 涙目で首をもたげて上を見上げる。その先には鼬野の予想通りに……針邪馬 麻酔が全くの無表情で立っていた。

 単位不足のために二年生としてこの部に在籍しているが、実際は鼬野と同い年。学問は非常に優秀で、ドイツへ留学経験もあるエリートだが、いつもポーカーフェイスでテンションも低い水準の所で一定されたネガティブな性格であり、これまた火次月と同じくこの部で鼬野の対局に立つ者の一人として名前が挙げられる。

 前世で馬鹿な人間を片っ端から殺していった呪いではないかと疑われるほどに頭の出来が残念な鼬野にも、挫けずに勉強を教えていられる、いい意味で少し変わった人物である。

「何しよんじゃいきなり!確かにオレはアホやから石頭やけど、瓦みたいにパッカーンとは割れへんで……て誰が石頭のアホじゃあっ!しばくぞボケェっ!!」

 頭の痛さからこのような乱暴で理不尽な振る舞いをしているが、上記の理由から針邪馬は鼬野にとって頭の上がらない人物となっているらしく、彼が諭すように話を始めると、牙を抜かれた小犬のようにシュンと大人しくなった。

 針耶馬の手には、狙っていた小城のスポーツドリンク。

 よくよく考えれば、今回ターゲットとなった二人は、麻酔が妹のように大事に接している小城と、麻酔の彼女である火次月。佐良白も言っていたが、改めてその恐ろしさを再確認した。

 反射的に手を伸ばしたが、こうなればもう取り返すことはかなわない。

「う……く……くそがああああああ!!!」

 それは降参と何ら変わらぬ、鼬野の魂からの叫びだった。

「何でオレばっかりこないな目に……剣道部の女子の覗きにも失敗するし、畏ちゃんと聖ちゃんの飲み物も飲まれへんし、麻酔にはガチ説教されるし……救いは、救いはあらへんのか……!?」

 そして力尽きたようにペタリと床に手を置き、涙声でポツポツと言葉をこぼし始めた。さりげなく覗きの自白を忍び込ませながら。

 だが、神はエロ武将を見放してはいなかった。敵と思っていた針耶馬から、塩が送られてきたのである。

 その手にそっと置かれたのは、先の二人のように開封済みでない、紙パックに入ったフルーツジュースだった。

「麻酔……オマエ、これ……!?」

 驚いたように針耶馬を見上げてその真意を問おうとするも答えはすぐに返ってきた。『俺のをあげよう』と。


 性別なんて、もう関係なかった。

 今の鼬野が望んでいたものは、剣道部女子の着替えシーンでも、生化研女子との間接キスでもなかった。

 震える手で穴にストローを差し込み、一気にズズズッと飲み干した。もしここがジュース早飲み大会の会場だったならば、きっと観客席がざわついていただろう。それぐらいの人智を越えたタイムで、鼬野は紙パックを空にした。

 と同時に、エロ武将の頬を涙が濡らした。

「オレ……見失ってた。オレがホンマに欲しかったんは……優しさやったんや。ぬるくてもええ。それが人間の優しさで温められたものであれば、これより旨いジュースはあらへん。おおきにな、麻酔……おおきに……うあああああ!!」

 二時間サスペンスの一時間五十分くらいのシーンを彷彿とさせる、見事な泣き崩れを披露する真犯人、鼬野。その小刻みに震える背中を、窓から差し込んだ放課後の赤い夕日が、幻想的に照らし続けていた。


【文字数エラー引っ掛かったんでここで分けます←】

17日前 No.22

天象儀 @bonbonbon ★Android=9jl9FPjAQO

 事件は終わった。鼬野はゆっくりと立ち上がった。そして窓際まで歩いていき、燃えるように赤い町並みを眺めて黄昏れ始めた。


「女が存在する限り、オレのセクハラは終わらへんと、そう思っていた。でも、それで大事な部員を傷付けるようであれば、オレはもう、セクハラから足を洗」

 そのとき、鼬野の言葉をある人物の台詞が遮った。


『わたし、下心丸出しの鼬野くん嫌いじゃないですよ。素直で可愛いと思います』


 小城が腕に抱きついている火次月から放たれた一言。十数秒の沈黙。

 皆に背を向けていた鼬野の肩が、プルプルと震えだした。

そして勢いよく部員たちの方を向く。その顔に貼り付いていたのは……


「ぐはははははは!!聞いたかオマエら!!やっぱりオレにはセクハラがお似合いのようや!!落ち込んで損したわい!よっしゃ、やったろうやないか!

《たとえオレがオマエらに殺されることになっても》

オレはエロ武将として美しく最期を遂げる自信があるわ!!ざまあみさらせ!だーはははははは!!」


 ムカつくくらいに満面の笑顔だった。

 無論、この生化研に限ってそのようなことは絶対にないという底無しの信頼あっての発言で、深い考えは……ない。

「そういうことや、実琴ちゃん!悪いけど“覗きをやめた方がいい”っていう提案には乗れへんな! オレはオレの決めたエロ道を歩み続けるんや!」

 と、覗きが襲撃の原因だという冷静な分析を行った津崎にやたらとカッコよさげな台詞を吐きつつも、満面の笑みを向けた。

「にしても汗と聖無ちゃんの水攻撃のせいで体冷えてきたわ!はよ拭かな風邪引いてまう……ん?」

 次に鼬野に差し出されたのは、白と水色の水玉模様の、なんとも女の子らしいハンカチだった。

 差出人は、鼬野と同じく生化研の副部長を務める、穂村 小宵だった。

「おおっ!気ぃ利くやんけ小宵! ふぃぃ……さっぱりするぅぅ……とちゃうわ!! 知ってんねんぞ! オレが水かけられとったとき、オマエ影でコソコソ笑っとったやろ!てか今も笑っとるし!何が“ふはっ”じゃ!助けに来いや、同じセクハラの同志やろがい!?」

 貰ったハンカチで念入りに顔を拭いていくが、突如としてそれをブンブンと振り回しながら怒りを露にする。

 鼬野がこの部で唯一”ちゃん“付けで呼ばない女子である穂村は、いつも飄々としている鼬野の親友である。授業に昼寝をする不真面目者であったり、運動が得意であったり、極めつけは可愛い子が大好きであったりということで、あの鼬野と何だかんだで気が合う、珍しい人物。おかげで鼬野からはこのように勝手に“セクハラの同志”呼ばれ親しまれている。

 ニヤニヤ顔のままで麻酔や畏、更にミカンを貰った佐良白にまで、ハイテンションで話しかけていく穂村。ここで佐良白への彼女の言葉、そしてそれに対する周りの反応を聞いて、バッと身を乗り出した。

「おいおいおいおい!!何で小宵の時はお咎めなしやねん!!不公平や!男女差別や!いじめや!!」

 抗議の構えを取る鼬野。そしてその視線は、佐良白にミカンを手渡した一年生の小日向 友へと渡った。

「小日向ぁぁぁ!!聞いてくれ!皆がオレのことをゴミのような扱いしてくるうう!! 小日向はオレに優しくしてくれるよな!?頼むわ、エロ本貸したるから! 今ならエロビデオも付けるからぁぁぁぁぁ!!」

 頼みの綱である小日向に泣きつく情けない先輩像。しかもその頼み方も最低きわまりない。犬のように懐っこく純粋で汚れなき彼に“エロ本”や“エロビデオ”といった餌を巻き付けるだけ巻き付けて、なんとか味方につけようとする姿は、溜め息もののあさましさだ。


>>小城 聖無さま、針耶馬 麻酔さま、火次月 畏さま、小日向 友さま、佐良白 悠加さま、穂村 小宵さま、津崎 実琴さま、部室ALLさま

【6454文字て。←
「ふええ……こんなに対処しきれないよぉ……」ってぐらいに色々な方から絡んでいただけることの、なんと幸せなことか。
時系列は勝手にバラバラにしたので分かりにくいですしたぶん誤字とか脱字とか多いと思いますし人によってはかなり無理矢理な絡みですしとにかく長いですしもうホントすんまへん(´・ω・`)
一応一人ずつで、ある程度は場面を区切っているつもりですので、対応するところだけ読んでもらえれば!「>>」の部分も順番にしていますので!ホント長いですね!!でも楽しすぎて止まらなくなっちゃったんです!すみません!!
たぶんこれが一幕で最後の投稿になるか……いやでも日常パートとお別れは寂しいからあと一回ぐらいは……でも時間が……ぐぬぬ……ここに来て長文病の弊害が……。
えと、とりあえずこれからも宜しくお願いします!失礼しました!(すたこらさっさ】

17日前 No.23

津崎実琴 @railgun230 ★iPhone=z0FNsBzA5m

【津崎実琴/生物科学研究部室】
自身が、先輩である鼬野佳祐に覗き行為について「やめたほうがいいよ」と、言ったのだが、まるで聞く耳を持たない先輩。俺はエロ街道を歩き始めると言ってたいや、いう先輩に鼬野佳祐にカチンときて
「あーあ、先輩のこと思って言ってんのに全く聞き入れないってエロ街道?何それ?また木刀や竹刀で今回みたく、たたかれてもいいってか?つか、それが本望なわけ?私がやめたら?やめたほうがいいよっていってやってんのにさあ違うよ。違うよと、これは間違い行為だよといってんのに。つーかさ私が違うっつったら違うんですよ。先輩」
エロ街道をそのまま歩き出すという先輩、いい加減いい歳してそれはやめてくれ。そう、思ったりしてそんなことのために先輩の自己満足なんかのために覗きなんてやったのか!私が違うといったら違う!つーかやることを改めてと、問いただしたくもなっては、
そうブチギレたのかそう言ったのちに自身の鞄で頭を叩いてみては、
→鼬野佳祐、その場All

17日前 No.24

@akira0908☆G2g5KGLD3yBo ★Tablet=UIgVrM4Ag0

【針邪馬麻酔/生物化学研究部・部室】

 「誰が陰気な声だコラ」

 陰気な声、という目の前の蛙のような状態になっている佳祐にもう一度握りしめていた拳を開いて綺麗に揃えた手刀を首ではなく頭のてっぺんをめがけて風の音を切りながら腕を振り下ろす。
 陰気な声、という言葉には正直反論も出来なかったが、言われっぱなしはしょうに合わないので特に気にしてはいないもののそれっぽいことは言っておくことにした。
 すると佳祐の口からは誰が石頭のアホだ、と一言も言っていない言葉にキレられ、麻酔はぼんやり「こいつアホだなぁ」なんて腹の中でくすくすと笑っているものの、表情が顔に出ないせいでやけに強ばった寧ろキレたような表情になったまま、腕を組んで言葉を放った。

 「誰もそんなこと言ってないだろ。それともなんだ、そんなに頭が瓦のように割れる手刀が欲しいのか」

 俺にはそんなこと出来ないけど、と言いそうになるのを堪えて、ここは敢えて寧ろ今すぐにでもできるぞなんて風を装って言ってみた。
 麻酔の諭し(?)によって涙声になりながら噛み締めるように言葉を振り絞る佳祐の態度は些か大人しくはなったが、麻酔が彼の前に紙パックのフルーツジュースを見せるとこれがまた騒がしくなった。
 百面相を見ているような気分であったが、震えながらストローに手をかけ、紙パックに穴を開ける姿がどうしてもおかしくて「ふふっ」と珍しく小さく声を漏らして口元に手を当てた。
 表情に出るほど受けているのはなかなか珍しいもので、麻酔は今にも笑い死にそうになっているが、周りからすれば「珍しいこともあるもんだなぁ」というレベルの微笑を浮かべる麻酔だった。
 ストローに唇を当てたかと思えば、ほぼ一瞬にして紙パックの中身が無くなったってあろう事を紙パックが萎んだのを見て確認すると、麻酔はくすくすと笑っていた表情をやめ、次は驚いたように一瞬目を見開いた。正確には目を見開いた“つもり”だった。
 改心したかのようにセクハラから足を洗う、と言う旨を今にも言い出しそうな雰囲気に、やれやれと麻酔が肩を竦めた。これで懲りてくれ、そんでもって勉学に精を出してくれ、なんて思っていた……が、その後の畏の言葉に麻酔は思わず畏を二度見した。
 それが彼女の良いところでもあるというかなんというか、彼女が良いと言うなら何も言えないのは麻酔の悪いところでもあるだろう。ここは本当は彼氏としては否が応でも拒否しなければならないのだけれど。
 そのせいで(?)付け上がった佳祐はムカつく程の満面の笑みを見せてきたので、ここは釘を刺しておこうと思い、少しだけ睨みを効かせた目線で佳祐を見る。とはいえ、皮肉なことにいくら睨みを効かせようと表情が表に出ないこの顔、厄介なことに睨んでいるのも伝わっているかどうかは分からない。
 彼の纏う殺気のようなものは或いは伝わっているかもしれないが。

 「うん、確かにエロ武将の方が佳祐らしいと思うし、その度に俺が咎めればいいだけだもんね。……ただし、俺の目の前で畏と聖無にセクハラまがいの事をしたらその大事な大事な女の子を見るための目玉が無くなると思ってな。もちろん、痛くしないから安心していいからね」

 言葉の抑揚のなさが却って恐怖値を煽っている可能性を麻酔は考慮していなかった。最後の“痛くないから安心していいから”という言葉の旨については言わずとも麻酔科医を目指す彼ならではの台詞だろう。持ち歩いている、のかは分からないが、何れ注射器を持ち歩くようなことになってしまったら彼は本当にやりかねない。
 小宵に言われた可愛い所あるよね、なんて言葉に「はぁ」と意味がわからなさそうに抑揚のない返事をすると、小宵の口からはどうなの彼氏君、なんて聞かれたので、聞かれたのには答える、ドイツ留学に行った影響で鍛え上げられたあっさりした(ジメジメもしているが)性格でさらりと答えを出す。

 「嫌に決まってる。確かに畏は誰が見ても可愛いし佳祐が狙うのも分からなくはない。だけどそれとこれとは別だし、彼女を変な男から守るのは男として当然に決まってる」

 さらりと惚気を出すのもドイツ留学に行った影響……なのかは分からないが、こうしてさらりと惚気けるのはもしかしたらヨーロッパ人の祖父の血も継いでいるのだろう。メンデルの遺伝の法則的な。
 まあ、惚気けると同時に佳祐を“変な男”と無意識にディスったあたりに麻酔の怒りのような何かが含まれているのかもしれないが。嫉妬深い男の面倒くささよ。

 ふと付け足された畏の「麻酔くんも可愛い」という言葉に少しだけ麻酔は照れくさそうに何も言わずに首元を落ち着かない様子で触る。表情にこそは出ていないものの、耳がほんのりと赤みを帯びているのは、一部の人間にしか伝わらないだろう。
 「畏の方が」と言いかけたところで口を噤む。人前でそんな余計なイチャつきを見せるのは正直麻酔的にもハードルが高かった。いくらヨーロッパ人の血が流れてるにしても、だ。ただ、何もしないのも何だかアレだったので、麻酔はぎこちない手つきでくしゃくしゃと畏の頭を撫でる。
 随分とわかりづらい愛情表現である。
 佳祐の小宵のお咎めは何故ないんだ、という言葉は無視する事にした。
 するといつの間にか部室に来ていた友が冷凍みかんを差し出してきたので、冷凍みかんを受け取ってもいいか、と尋ねる悠加の言葉の後に「一つ貰うね」と悠加の後ろから長い手を伸ばして友の手から冷凍みかんを一つ取ると、何の迷いもなく皮をむいて半分に割ってからその半分を友にうんたらかんたら言っている佳祐の口元にえい、と押し込もうとする。

 「うるさい。小日向も聞き逃していいから。佳祐がごめんね」

 呆れたようにため息を吐いて、もう半分の方を畏と聖無に向かって「食べる」と尋ねているのかイマイチ分からないアクセントで食べるかどうかを聞きながら皮をむいたみかんを差し出した。
 (いらないって言われたら俺が食べよう。)

>>鼬野佳祐様、火次月畏様、穂村小宵様、小日向友様、小城聖無様、all様


【うわぁい!全員拾おうとしたけど無理だった!!(無謀)麻酔は最後の日常パートレスですので今後の日常パートの麻酔の事はどうぞお好きにしてくださって構いません!!】

16日前 No.25

たわら @tawara529☆OfI7utBYH1Y ★Android=7J0aOKrluH

【火次月 畏/生物化学研究部・部室】

 ――余計な事を、言ってしまった。
そう思った時には時すでに遅しというやつで、畏の目に耳に届くのは呵呵大笑をぶちかます我らが副部長。これからも永遠にセクハラ行為をし続けると誓うような満面の笑みだった。あちゃあ、と右手を額に当てる。しかし、もしここで畏が鼬野くんらしく云々を言っていなかったら彼は本当にセクハラをやめていたのか、と聞かれるとそれはもう3日後くらいには元気に女性を追いかけ回す佳祐の姿が見られそうなので言っても言わなくても大して違いは無かったのかもしれない。
 そんな畏の発言に文字通りずっこけた小宵は佳祐と同じくこの部活の副部長である。快活で友人も多く、色々な人から慕われている印象が強い。クラスも委員会も部活も同じなのでなにかと話す機会が多いが、そこで受ける印象もやっぱり「すごい良い人」の一言に尽きるのだった。

「た、確かにそうですね……。いえでも人類は皆死なない程度に庇われる権利がありますし……」

 佳祐の話から突如として人類の話に飛び、長考を始めようとしたところで頭を振っていけないいけないと己を律する。行動はのんびりとしているが頭の回転だけは早いので、平気で半日以上一切動かず軽い論文程度の文字が脳内を駆け巡ってしまう事もある。半日を人類の権利について考える事について費やすのはあまりにも惜しい。己を制するのまた己の役目なのだと畏は理解していた。

「わあ、流石小宵ちゃんです……。萎びたほうれん草さんよりこの世に貢献出来ないわたしなんぞには分からない乙女心だけに留まらず、彼氏心まで分かってしまうのですね……! これからは積極的に格好良いを使っていこうと思います……! ありがとうございます……!」

 「格好いいっていってほしかったんじゃないかしら?」とニヤニヤ(畏の目には女神の微笑みに見えた)しながら言う小宵の言葉に、男の人は素直に格好良いと言われた方が嬉しいのかとふんふん頷きながら「きっとやってみせます!」と言わんばかりに両手に拳を作りガッツポーズを決めてみせる。畏は良くも悪くも素直だった。やれと言われれば遅かれ早かれやる女なのだ。

 そんなような話をしているとぎこちない手つきで麻酔に頭を撫でられる。ちらりとその顔をみれば、表情こそ変わっていないが耳はほんのりと朱に染まっていて、脳内会議ではミニチュア畏がホワイトボードに「麻酔くんとても可愛い」という結論をでかでかと書き込んだところだった。彼氏贔屓なのかもしれないが、どこをどう見ても可愛いものは可愛い。
 差し出された冷凍みかんはぶんぶんと頷いて食べるという意志を伝えてから有難く半分の半分、聖無の分を残した4分の1をいただくことにした。冷凍された果物にハズレはない。


>>鼬野佳祐様、穂村小宵様、針邪馬麻酔様、周辺ALL様


【とても楽しかった日常パートともそろそろお別れとなりますが、ここからどうシリアスぎしあんスレになっていくのかがもう楽しみでなりません……!
畏もこちらを最後の日常パートレスに致しますので、二幕が始まるまで大人しくみかん食べてます!】

16日前 No.26

自由 @nanamaru☆43ke11mKtUk ★iPhone=dgcL1EDLvj

【小日向友/生物化学研究部部室】

 みかんを差し出した手がぶるぶると震える。大丈夫だろうか、遅くなってしまって……。先輩からの叱咤を覚悟した時、上から降ってきたのはそう、天使のようなふわりとした声だった。

「小日向さん、こんにちわ。気にしなくて大丈夫ですよ、冷凍ミカン美味しそうですね。ミカン、受け取っても大丈夫ですか?」

 恐る恐る顔を上げると、案の定にっこりと笑みをこぼす悠加の姿があった。そう、友が想いを寄せる天使である。そんな彼女に声をかけてもらえたことが嬉しくて、耳まで赤くなっているのが自分でも分かった。若干バタバタしつつも「だっだだだ大丈夫ですよっ!!」となんとか返す。みかんを持っていなかった方の手の甲で軽く口を抑えると、「どうぞ」といつもより赤めの頬で、それでもいつもの人好きのする笑顔でみかんを手渡した。

「やっほー、小日向君! みかん美味しそうだけどごめんねー、私そんなお腹空いてないんだ。お気持ち受け取るよん!」

「ああ、いえいえそんなっ! これ、実は食堂のおばあちゃんにそこでもらってきただけなんです〜。ほんとに、全然気にしないでください!」

 小宵に声をかけられそちらに身体を向けると、心から申し訳なさそうに眉を下げてそう答えた。食堂のおばあちゃんにもらったものだなんて結構重要なカミングアウトをしてしまったが、冷静に考えればそのみかんどっから出てくるんだよという話なので結果的には良かったと思う。きっと。
 悠加にみかんの一切れをねだる彼女を見て、心の底から「羨ましい〜〜えええ悠加先輩のみかんもらえるとか何!?天国!?でもでもそれってやっぱり女子同士だから許されるのであって僕なんかが言ったらただの気持ち悪い奴だもんな我慢しろ僕!!!」という思いが湧き上がってくる。そこで本能に忠実になってしまうほどの人間でもないので、なんとか冷静さを保ったまま次の声の主の方を向いた。

「小日向ぁぁぁ!!聞いてくれ!皆がオレのことをゴミのような扱いしてくるうう!! 小日向はオレに優しくしてくれるよな!?頼むわ、エロ本貸したるから! 今ならエロビデオも付けるからぁぁぁぁぁ!!」
「うるさい。小日向も聞き逃していいから。佳祐がごめんね」

「いえ、やー、はいっ! お疲れ様です先輩っ!! でもなんか特典すごいのでそっちは遠慮しておきますね! そんなものなんかなくたって僕は鼬野先輩大好きですから、ほらほら落ち着いてください〜。」

 いつの間にか悠加の後ろから伸びていた長い手の持ち主は、麻酔のものだった。もらってもいいかを聞かないあたりやっぱりなんだかかっこいいなあなんて心の中で思いつつ、その言葉には曖昧に返事をしておく。彼なりの冗談だと思ったし、さすがにこれでスルーしたら佳祐がまた叫び出す気がする。従って言葉を返すことを選んだ。いくら純粋と言えども一応男子高校生、健全な付き合いをしていれば自然と「エロ本」や「エロビデオ」といった用語を知らないわけではなくなってしまう。だがその上で佳祐の言葉を赤面もせず軽く流した上に、先輩大好きなんて小恥ずかしいことを、ふわりとした女の子のようにも見える笑みを添えて口にした。

 気付けばみかんを頬張る生物化学研究部がそこにできており、側から見ればちょっとシュールな光景だとは思ったがとりあえず良かったと友は胸をなでおろしのだった。

>>佐良白悠加様、穂村小宵様、鼬野佳祐様、針邪馬麻酔様、周辺ALL様


【ひいい、日付変わってしまいましたがこれだけは投下しておきたかったのですみません……! みなさんみかんごときにこんなに絡んでくださって本当にありがとうございましたっ、第二幕楽しみにしております!】

16日前 No.27

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★X2zrn8dq8e_PHR

【佐良白悠加/生物化学研究部部室】

ほんの少しだけ、彼の顔がまじめなものになった。あの日のことは二人だけの秘密だ、と言って、次の日から彼は長そでをきて登校するようになった。彼には感謝をしてる。もしあそこで彼が庇ってくれなかったら自分が大けがを負っていたのだから。
今、ここでありがとう、とかごめんなさい、とかいうのはおかしい。みんな知らないし、彼自身が気にするな、そう言ってくれたのだ。そうだとしても心に傷を負わせていた。そんな相手を好きになるのは間違っているような気がして伝えられないままだった。

ほんの一瞬だった。すぐに彼はいつも通りの笑みを浮かべると、叫んだ。

『と……止めんとってくれ悠加ちゃん!誰であろうと関係あらへん!オレは素敵な彼女が出来るまでは絶対に死ねへんのや!』
彼らしいな、と思うと同時に、彼女さんにされる人は羨ましい。なんて密かに思いながら、くすくすと笑いながらその問いに対して返答を返した。
「鼬野くんらしいですね、僕も鼬野くんに素敵な彼女さんができるように神様にお願いしておきますね。どんな方が好みなんですか?……あ、でも女の子皆!とかはだめですよ。神様も困っちゃいますから。素敵な女の子はたくさんいますからね」

そう。これが自分がしてあげられる最善のことだ。彼女になることはできなくても、素敵な彼女さんが現れることを願う、それだけだ。自分ではない、誰かに。

遅れてやってきた小日向の手の上に乗っていた冷凍ミカンを受け取ると、ふっと微笑みながら、お礼を口にした。
「ありがとうございます、小日向さん。ああ、それと、顔が少し赤いみたいなので、風邪には気を付けてくださいね。最近、寒暖差が激しいので、体調も崩しやすいですし……。そういえばミカンは滋養にいいみたいなので四分の一、食べますか?」

四分の一、というのは幼馴染の麻酔の彼女である穂村も欲しいと言っているし、ほかにも分けたいと思ってる人がいたからだ。三分の一分けて、彼の手の上にのせてから、悠加はほむらへと振り返り、口を開いた。
「もちろん、いいに決まってますよ。穂村さんにはいつもお世話になっていますし……、一切れ、とかじゃなくて四分の一受け取ってください。あ、食べきれなかったら、僕に返してくださいね!」

そう言ってから彼女の前に差し出す。チラリと、鼬野のほうを向いて、そっと、声を絞るかのように鼬野に質問を投げかける。
「その、鼬野くんも冷凍ミカン、食べますか?4分の一余ってるので、よかったら貰ってくれないかなと思うんですが……」

いらない、と言われたら、自分で食べようかな、なんて考えながら。

>>穂村小宵様、鼬野佳祐様、小日向友様、部室all様

【もう日付変わったというのに更新するおバカです!どうしても更新したかったんですごめんなさい……。第一幕終わりなので、これからは日常パートが少なくなってので、なるべく早く更新したかったのですが……皆さん久々でものすごく更新遅いのに付き合ってくださり、ありがとうございました!第二幕でもよろしくお願いします!】

16日前 No.28

遊来 @157cm ★WiiU=i79mtet6A9

【 小城聖無 / 生物化学研究部・部室 】

「く……くそっ、まだや!まだオレは戦える!
畏ちゃんが無理やったら聖無ちゃんや! 戦果を挙げずに降参なんて無様なマネ、このエロ武将の鼬野サマが出来るかぁっ!!」
「そんなに喉が乾いたなら俺のをあげよう。下心を見せながら女性との関わりを持とうとするのは関心しない。もし何かあった時に真っ先に疑われるようなことはしない方がいいよ」
「え?下心?別にそれぬるくなっちゃってるしもうあげても良かったんだけど。わたしと畏ちゃんの邪魔させないためならそんなの安いものだし」

麻酔に握りこぶしで一発やられる佳祐に多少の善意が働き可哀想だなーなんてふわっと思いつつ机の上に置き直されたスポーツドリンクのペットボトルを見て首を傾げた。先ほどまで顔を真っ赤にして怒っていたというのに一度怒ってもスッと引くのが特徴の一つでもある。今回は大切な実験器具や資料を雑に扱われたわけでも壊されたわけでもなかったので、そこまで怒り狂うまでのことでもないという彼女なりの判断だったのだ。いや、怒り狂うほどでもないにしては頭上から少量ずつ、しかし十分な量の水をかけ続けるというサイコパスチックで悪質極まりない嫌がらせを行っているのだが。その上歴代生物化学研究部至上最鈍感と言っても過言ではない聖無は部活仲間であれば、というよりは相手が意識しようがしまいが大体の人と間接キスなど何ら問題無く行える。ずぶ濡れのまま麻酔に割とがっつり説教をされる佳祐を暖かい火次月の腕にしがみつきながらぼんやりと眺めているとなんだか哀れにすら思えてくるほど彼にとってはまさに「この日を厄日と言わずして何と言う!!デー」まっしぐらルートに突き進んでいるとしか思えなかった。つい数分前に彼の頭の上から水を滴らせ、彼をそのルートへと導いた一因であるのは天下の小城さんであるのだが。と思いきや、麻酔が手渡した未開封のフルーツジュースを涙をぼろぼろ零しそうな勢いで吸い上げているのだから結果オーライ、やはり二つの利益を同時に得るべきでないと切実に学んだ。二兎がどうとかなんだとかそんなことわざがあった気がしないでもないが思い出せないのならばそれは気のせいだと思い込むに越したことはない。

「聖無ちゃんも麻酔くんも可愛いですよ」
「わーっ、畏ちゃんの方がかわいいーっ!好きぃー!!」

腕に巻きつくようにしがみついていた畏の細い腰にしがみつき直しながら畏の服に顔を埋め女の子らしいいい匂いを堪能していたところでハッと顔を上げ、「あれ、あ、麻酔ごめん!でもー、女の子同士だから許してほしい!だってだってわたしは畏ちゃんがだぁい好きだからーっ!麻酔には渡さん!」と異様なハイテンションで幼馴染だからと遠慮も無しに畏に顔を埋め直す。ふわりと匂うこの匂いは先日ふらっと立ち寄った学校近くのドラッグストアで嗅いだ新作の柔軟剤ではなかろうか。流石は火次月、すでにチェック済みだと言うのか。普段柔軟剤は寮一階に設備されている巨大なランドリールームで自動販売されている適当なものしか使わない聖無にとってそれは明らかな女子力とやらの表れである。クンクンと鼻をひくつかせて必死にあるだけの空気を吸い込むとやはり暖かみのある柔かな生地からは甘く軽やかな匂いが漂う。これを麻酔だけに独り占めされるのは損だとしみじみ思った。
すると、自分を呼ぶ小宵の朗らかな声が聞こえた。

「聖無ちゃーん、危険薬品入れてる棚みたいなのあったじゃん?あそこは? ホルマリンって結構やばいやつだし」
「あーっ!そうかも!んー、危険薬品は許可取らないとなんだけど、まー、前は普通に使ってたんだし、大丈夫だと思う!」

そう握りこぶしを作って意気込んでから危険薬品の棚へとパタパタと駆けていく。私立校ということも影響しているのか、最悪部員全員で鬼ごっこでも出来るんじゃないかくらいの異常なほど広い部室と準備室は割と気に入っていた。無論鬼ごっこなんてしでかせば聖無の逆鱗に触れるのは目に見えているのだが。危険薬品の棚を下から順番に少しだけ辿ったところで、それがアルファベット順に並んでいることを察した。清掃以降危険薬品は扱っていなかったため気がつかなかったらしい。ホルマリンの頭文字である「F」を一番上から順に辿っていくと、AからEまでの薬品が極端に少ないせいか、ホルマリンは上から二番目の棚に鎮座している。小城の身長は百六十センチ。手を伸ばせば届かなくもないかもしれないその位置まで試しで手を伸ばしてみるもあと五センチほど届かない。五センチくらいなら背伸びでどうにかなるかと粘ってみるもやはり五センチの差というものはかなり大きいらしい。横着者な自分が悪かったと反省もそこそこに踏み台を持ってきて上り直したその時。

バンッという衝撃音と共に部屋の電気という電気が消えて外の気味の悪い暗さも相まって辺りは不可視な闇に包まれた。

「うわあああああああああああっっ!!!」

と、直後、たった五センチぽっちで良かったはずだったのに何故か部室内で一番高い踏み台を持ってきて上がったばかりだった聖無の手は掴もうとした棚の手すりをかすって空を仰いだ。あ、落ちる、そう確信したが最後、ふらりとバランスを崩して地面に吸い込まれるように引き寄せられていく。それはスローモーションのようで、色とりどりの薬品瓶や丁寧に手入れされた器具たちが確りと視界に残像を残しながら次々と空へ舞い上がっていくように見えた。ガンッ、と停電したときさながらの鈍く大きな音を響かせながら暗闇の中意識を絶たれた。


意識が飛んだのは数秒だったらしく、目を開くと真っ暗闇のまま、冷たい床に横たわっていた。部員たちの焦ったような声が聞こえてくるあたり数秒だと察したのだ。冷えた床で強めに打ってしまった後頭部の鈍い痛みに目を閉じて堪えながらも聞こえてくるのは慌てふためく部員たち、自分もまだ混乱が解けたわけではないがたかが停電。いずれ復旧してその後は何時ものようにみんなで食堂へ駆け込んで、女子部員たちと部屋に戻って、少しばかり駄弁ってから眠るのだと。そう思い込んでいた自分を私は数時間後、恨むことになる。一つだけわかることは、「幸せは永遠ではない」ことだった。

>針邪馬麻酔様、鼬野佳祐様、火次月畏様、穂村小宵様、ALL様

【お待たせいたしました!本日より第二幕開幕となります。どうぞお楽しみください。尚、諸事情あって機種が違うのですが話すと長くなるので省きます(適当)】

15日前 No.29
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