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創り物の学園の中心で

 ( オリジナルなりきり )
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異能力学園群像劇 @isaribi10 ★0gkYBdXyN1_jWF

「この世界はジオラマ。皆、皆、騙されているのよ」
学園の隣の近未来的な実験施設の屋上で少女は空を見上げてポツリと呟く。誰かが呆れながら呟く。
「で?次はどんな陰謀説?」
少女は大げさな笑顔でどこか遠くへ見る。
「もう貴方は知っているはずよ」
少女は笑顔を創りながら、その場を去る。

――此処は九十九(つくも)学園。とある都市に構える豪華な学校。全寮制で家に帰れるのはお盆と正月だけ。制服では無く私服登校で髪型、髪の色も自由の為規則は厳しくは無い。学園の隣には学生、教師専用の研究施設のラボが建てられる等少なくとも金回りが良い私立高校と言うのが分かる。
そしてこの学園には大きな秘密が存在している。その秘密とはこの学園が国の政府により創られた異能力養成学校であった事。その為、九十九学園は普通科と異能力科と別れている。普通科の生徒達は校舎そのものが別れている為その事を知る事は無い。

そして九十九学園の異能力者達はとある事件をきっかけにまるで運命の様に一つの学園から一つの真実まで導かれていく。
【駄文失礼しました。スレ主は至らぬ点や返信が遅れる事がありますが宜しくお願いします】

メモ2017/09/21 11:57 : 友禅☆fXqsD0VZIxk @yuuzenn★DoaFJQIlTR_Qks

ルール

http://mb2.jp/_subnro/15565.html-1


世界観・用語・募集・プロフィール

http://mb2.jp/_subnro/15565.html-2


ロケーション

http://mb2.jp/_subnro/15565.html-28

http://mb2.jp/_subnro/15565.html-73

http://mb2.jp/_nro/15565.html-144


物語全体のあらすじ

http://mb2.jp/_subnro/15565.html-56


第五章のイベント内容

http://mb2.jp/_subnro/15565.html-203


〜キャラクター一覧〜


理事長(セヴェルト・スージオ)

http://mb2.jp/_subnro/15565.html-31


序ノ舞浪曼

http://mb2.jp/_subnro/15565.html-81


黒葛原綴裏

http://mb2.jp/_subnro/15565.html-13


二股舟木舞

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友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 落狩倉陰影&琵琶琴数奇 / 普通科・劇場 】

 良い年をした高校生が三人も揃って二人は0点で一人はそもそもテストを受けていなかったというのは、中々に悩ましいことである。教育委員会が頭を抱えそうな案件だ。とはいえ本気でテストを受ければ陰影も数奇も百点が当然の人材だから、そういう意味では真の0点を取ったのは綴裏ただ一人だ。しかし綴裏少年、筆記用具が手にした傍から消えてしまうなら補習のテストだって良い点数は取れなかっただろうに、一体どうやって留年を免れてきたのだろうか。陰影と数奇が知らないだけで、異能科の進級システムは普通科とは別物なのかもしれない。たぶんそうなのだろう。他にも触った傍から紙が燃える生徒とかがいるかもしれないのだし。

「しかしながら、欠点として生まれ持ったものでもそれを後に武器にすることに成功したならそれは才能と呼んで良いんじゃないかな。例えば風紀委員会副委員長の菊千代くんなんかは、珍しい病気で身体の成長が10歳未満の状態で止まっている。けれどそれを活かして子供の体躯でこそ活かされる独特の合気道術をマスターするに至った。違う創造主に作られた君も、日常生活さえままならなかったのは昔の話で、今は校舎を著しく老朽化させたり人の怪我を治したり老化やガンを防いだり死んでも蘇れたりロボットを狂わせたりできるんだろう? そこまでのことを今できるのに、昔そうだったからという理由でそれほどの能力を大したことないもの扱いするのは――なんというか、『傲慢』で『偉そう』だと思うよ」

 あくまで個人的な意見だけどね、と最後に付け足して容器に入ったオレンジジュースを飲む。スーパーで安売りしている濃縮還元のものとは違い、生絞りなんちゃらだのフレッシュなんちゃらだのと銘打たれたちょっとお高めのオレンジジュースだ。たぶんこっちのほうが健康には良いのだろう。そうじゃないと高いことの理由が分からない。数奇は数奇で綴裏と同じくタコ焼きを爪楊枝で刺してははふはふやっている。途中、いつものドジっ子発作を発動して「きゃあっ」とわざとらしい悲鳴を上げながら“故意のうっかり”で飲み物の容器をテーブルから落としていたが、落ち切る前に陰影がキャッチしてテーブルに戻したので事なきを得た。数奇がむっと頬を膨らませる。ここで怒るとまた同じことをやるので肩だけぽんぽんと二回叩いて放置の方向でいく。自分で聞いておいて綴裏の血液型には興味が無さそうな反応だ。たぶんP型の1と2のどっちなんだよと心の中でツッコミくらいは入れているだろうが。

「ふむ、エリートの基準自体はわりとざっくりなんだ。……ふふ、違う創造主に作られた君の元ネタも確か作品の中でそんなことを言っていたね。私の創造主はあの作品、たまに週刊少年ジャンプで流し読んでいた程度であまり深いネタは分からないけれど……どんな理由があったって、自分に危害があった時点で大抵の人間は『テメェの事情なんざ知るか!』ってなるだろうから、適当で良いと思うよ。それこそ『信奉している占い師にエリート1000人殺せば幸せになれるって言われた』とかでもね」
「『王様ゲームで一番を引いた時、王様に「一番はエリートを殺すことに生涯を捧げろ」と命令されたから仕方なく』、とかそんなんで良いと思うのだわ。人が気にするのは相手が自分に危害を加える理由ではなく、危害を加えた事実そのものなのだわ」

 頬にタコ焼きを詰め込んだまま適当な返事をする数奇。文字数こそ多いものの、言っていることの内容は数奇と大して変わりない陰影。陰影のほうは相変わらず元ネタだとか週刊少年ジャンプだとか訳の分からない発言をしているが、いちいち拾っているとキリが無いので今回は数奇もスルーするルートを選択した。昔、陰影を精神病だと思って治療に当たった精神科医が最終的には陰影の思想に染まって「この世界は作り物なんだ!」とか言い出したのを見て以来、家族も陰影の際どい発言にはあまり深く突っ込まないようにしている。普通科の愉快な仲間たちも同じくだ。例外がいるにはいるけれど。

>黒葛原綴裏様&ALL様

12日前 No.383

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【黒葛原 綴裏/劇場】

ふと、返ってきた言葉に意外そうな顔をした彼は、数秒の動きを止めてから成る程ね、と納得したようにフランクフルトを食べながら目を閉じながら頷いた。確かに、今の言葉はちょっと偉そうだったかもしれないね。いや、僕の言い方が悪かっただけで僕は全く全然悪くないんだけどさ。

「確かに今の僕は才能はあったね。ついつい、昔と同じテンションで話しちゃうのは僕の悪い癖だ。いや、僕は悪くないけれど。言うなれば、君達のような有益な才能じゃなくて性質的には害悪の才能なのかな。というか、僕がネガティブよりもマイナス思考である限りはどんな才能もマイナスにしかならないけどね。」

彼はフランクフルトを棒ごと噛んで切り取った後にさらっと自分の言ったことへ手のひらを返してけろっとした顔でまたフランクフルトを食べ進める。科学系の素材でなければ、まぁ食べてしまっても問題はないだろう。と判断した結果の行動と相手の言葉に一本取られた事を認めた結果の発言ではあった。
要は、才能は道具でそれをどう使うか、つまりは使い手に左右されるものである事は理解していた。じゃなかったら、木舞ちゃんも百合ちゃんも薇ちゃんも友達になるわけないじゃない。あ、軽都もだ。……ただ、能力を完成させればデメリットが大きくなる子が多いのは不思議だけどね。百合ちゃんは治すよりもかける方が得意だしね。

と、数奇は何やらドジをやらかしたが、それをすかさず陰影君がフォローに回る。……注意しているように見えたし、何かワケアリなんだろうなー、とは思ったが敢えてそれ以上は突っ込まないようにした。というか、そこまでの関心が無いのが彼だった。

「へぇ……君達って案外こっちの才能あるんじゃない?もし行くところ無くなったらおいでよ。歓迎されるかどうか知らないけど、棺迎はされると思うよ。」

陰影のシミュレーテッドリアリティに近い何かをスルーしつつ、二人の答えを聞けば、少し面白そうと言わんばかりに顔を若干緩ませては常人だとしたら、絶対に行きたくないと思わせる勧誘を行いつつ、彼の食べていたフランクフルトは棒ごとその姿を消してしまった。どうやら長く持ちすぎたらしく、うっかり塵にしてしまったようだ。ううん……やっぱりちょっと不便だなぁ。軽都居るからって手袋持ってくるのうっかり忘れちゃったぜ。
少なくとも、陰影君みたいなタイプは話し方が面倒くせぇ、とか言って軽都は怒っちゃうだろうしね……。ぶっちゃけ、僕はともかくとして他の二人は怒るから、勧誘も中々に厳選してるつもりなんだぜ?彼等を怒らせた時点で素質が無かったんだね!どんまい!って毎回思ってるから良いけど。

「そう言えば、僕の友達に百合ちゃんっていう女の子が居るんだけどさ、その菊千代ちゃんに気を付けてって言っておいてよ。彼女、珍しい病気が好きだからその子、狙われるかもね。」

病気の話を聞いて思い出した一人の友達を思い出せば、良い土産が出来たな、なんて思いつつ相手側にも注意換気をしておく。彼女は天然物の患者を好んでいる。自分がやれば望み通りの病状に出来るために、現実ではどうなるのかが気になるお年頃らしい。なんとも研究熱心な女の子だよね!
え?教えるなって?そんなの無理だよ。僕ってほら、こう思った事を隠せないタイプだから。正直な男子高校生だと思ってよ!今だけね。

>落狩倉 陰影様、琵琶琴 数奇様、all

12日前 No.384

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【永倉巳鶴&月東雛子/トリガ―ラボ】

九十九学園の色は夜空に唄い、誰の心でもきっと晴れやかに輝き始める。その中で二人の男女はそんな祭りに疲れたのか、一般公開されていない全く静かなトリガ―ラボへ辿り着く。トリガ―ラボの中ではステルス装置関係の研究に夜まで励む一人の研究員がその二人を優しく出迎える。だが研究員は勝手に色々考えてしまい上手いこと空気を作ってしまい二人をトリガ―ラボからでも綺麗な花火が見える場所にわざわざ高級そうなベンチまで用意してそのまま去ってしまう。だがその対応に二人は戸惑いを感じていた。

「……おいおいこのままだと本当のカップルだと思われるじゃねえか。テメェごときの彼女とか死んだ方がマシじゃね。あ、あの……ち、違います。あの勝手に口が……」
「ああ……知ってますよ……。そういう異能力でしたっけ……。別に……あの……気にしては……無いんで……」
「本当にすみません……」
「はい……でもこのままだとステルス装置を盗む事も出来ないんで……」
「そうだよ、その装置を利用して普通科の校舎に侵入して普通科の生活の雰囲気を楽しむんだろうが。分かってんのかよ、能無し」

この二人は普通科に侵入する為に小型ステルス装置を研究員から盗み出そうとしていた。普通科の校舎に入る理由はただ一つ。普通科の様な日常に憧れ、興味を持っていた為。ただし普通科との交流は更生室送りなので勿論隠れて実行する。せめて当たり前の日常に触れられればそれで良い。ただそれに対して永倉は不満を呟く。

「僕は出来れば雰囲気とかじゃなくて普通科に編入がしたい……。もうあんなイカれた奴ばかりの学園にいたくないんですよ。それに何だか僕の価値って能力なだけがして……僕を僕として評価してくれる人がどこにもいない……」
「……」

だがそれはどう足掻いても出来ない。それだけに何故自分がこんな学園に入学してしまったのだろうかと頭を悩ませる程に彼の心は、辛く苦しくはり裂けてしまいそうであった。また異能力により人生を狂わされた月東も似たような気持ちであった。

「いつか異能力が普及したら私達も人間として扱ってくれるはずよ。きっと普通科と交流出来る日が来るわ。きっと普通の人間として見てくれる日が」
「……それじゃ遅いんですよ。僕はいち早く普通科と異能科に平等な関係を築いて貰わないと……」

だがきっと理事長や教師、研究員にそんな事を言えば容赦無く更生室に送られるであろう。だからと言って普通科にお願いしても異能力の存在を信じてくれなければ意味が無い。そもそも信じても異能力者だからと言う理由で迫害される可能性は大きい。

「それでも僕は普通科を信じれば良いのか。それとも僕は異能科を……」

これからの異能科の未来を二人は見る事が出来なかった。破壊でしか見いだせない未来に二人は希望を見出せない。
祭囃子の音色に紛れて手を振るのは二人がかつて描いていた未来。だが精悍な顔で災害へ誘う騒音がそんな未来を絶ち切る。

「誰か……助けて……」

>>周辺ALL


【檜木真琴/グラウンド】

これ以上、誰かを失うのは嫌だ。そう考えながら、一生懸命に貴方の名前を叫ぶ。けれども貴方はどこにも現れない。貴方も私の前から消えるの? か細い声が祭囃子にかき消されてはいなくなっていく。段々彼女の心は不安になってしまう。数か月前ならこんな気持ちになる事は無かったのに。

だが彼女の目の前にわたあめを美味しそうに頬張る花丸山望が現れる。檜木は一心不乱に走り出し彼女の頬を寄せながら力いっぱいに抱きしめる。さながら周りの光景から見れば女子高生がプロレス技のベアハッグ、つまり鯖折りを仕掛けている様にしか見えない。先程のシリアスな気持ちはどこかへ吹き飛び、一瞬にして檜木による第三陣営のフォーメーションを頭に浮かばせる。

「やっぱり実際に会うとフォーメーションがより具体的に想像出来るわね。ほら、私と一緒に九十九学園を守るのよ!」

勝手に興奮してわたあめをモグモグ食べている花丸山を必死に第三陣営もどきについて語り始める。名前も候補が挙がっており、守護者を意味するガーディアンや、いっそヒーロー物と称しツクモレンジャー等も悪くない等と妄想を膨らませる。勿論、彼女がツクモレッド。それが駄目なら一人でツクモレディとして活動するのも良いかもしれない。丁度、特撮のヒーローお面もお祭りと言う事で様々な場所で売っている事だし。

「ふっふっふ……」

そう考え、不敵な笑いを花丸山に浮かべる。この思想を花丸山望の他に宝嵐玉、序ノ舞浪曼、二股舟木舞、湯布院百合、翠紅館ドリスに躊躇も無く押し付けようとするのだから彼女は実に恐ろしい。

>>花丸山望様、(宝嵐玉)様、(序ノ舞浪曼)様、(二股舟木舞)様、(湯布院百合)様、(翠紅館ドリス)様

12日前 No.385

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 宝嵐玉 / 異能科・1年A組 】

 1年A組の出し物――というより、宝嵐玉個人の出し物は中華料理の屋台であった。どうして室内なのにわざわざ屋台なんぞやっているのかと聞かれれば、ひとえに雰囲気のためである。教室中に充満する食欲をそそる香ばしい匂い。四川風の麻婆豆腐や割れば肉汁がたっぷり出てくる熱々の小龍包、焼き立てほかほかの肉まんに白米とチンジャオロースのセット、食べやすいようにとおにぎりにされてラップで包まれた絶品チャーハンにホットもアイスも取りそろえた濃い烏龍茶など、とにかく色々な中華料理と飲み物が全て嵐玉一人の手で作り出されている。グラウンドほど人でごった返してはいないが、味の評判が徐々に人から人へと伝わり客足が途絶えない出店となっていた。さっき上海風焼きそばを買いに来たクラスの男子生徒が「なんかお前、生徒会の人にめっちゃグラウンドで名前呼ばれてたぞ」と教えてくれたが、残念ながら現在の嵐玉はドデカい中華鍋を華麗に操り豪快な火でチャーハンをパッラッパラに仕上げるのに忙しいのでそっちに行っている暇は無い。そんでもって、来られたところで手も離せない。つまりどうなったってここから動く気は無かった。

「ハイ! お次のお客様、春巻き出来たヨ! 三本で五百円ネ!」

 外部から来たらしい太ったサラリーマンの男性に本日二十一本目の春巻きを渡し、次のお客様に注文された回鍋肉の調理の最終仕上げにとりかかる。嵐玉一人で切り盛りしているから回転率は悪いが、その分人件費がかからないので売上は全て自分で独り占めできる。あっちで餃子を焼いてこっちで担担麺を盛りつけてそっちで中華粥を煮てと、はっきり言って目ん玉が三百六十度くらい回転しそうなほどに忙しいが、しかしそれを承知の上で屋台を出したので弱音は吐かない。今晩は寮に帰らず、外泊してここから一番近い位置にある温泉旅館に泊まろう。そして人に作って貰ったごはんと気持ちの良い温泉で疲れを吹き飛ばすのだ。最後にはふかふかの布団で就寝。翌日は早起きして朝風呂を頂いた後で豪華な朝食を食べ、美味しいソフトクリームでも食べながら九十九学園の一限目の授業に間に合うように帰って来る。――完璧に幸福な予定だ。これを目指して今の繁盛期を乗り切ろう。
 ところで烏龍茶だけ買いに来ると言っていた木舞はいつ来るのだろうか。まあアイツのことだから、そう言ったことも忘れてどこかで誰かとトラブルでも起こしているのかもしれない。血の気が多い奴ではないが、失礼な奴ではあるからすぐに争いに発展するののだ。自分もそこそこ失礼な奴であることを棚に上げてやれやれと首を振る嵐玉であった。この期に及んで木舞のことも自分のことも根っこの所では「良い人」だと認識できているのが、こいつのヤバさの最たる所である。

>ALL様

【自分のクラスで店を出したりするのも大丈夫とのことで、全員普通科にいるのもアレですからとりあえず異能科で商売やらせておきます】

12日前 No.386

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

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12日前 No.387

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:普通科 生徒会室】

なんとか穏便にことを丸く収める事ができたいでほっとした。しかし、少しモヤっとするのは変わらない。

そんな気持ちはそっちのけで、樹をどうするかについての議論が進む。照明の枠組み…見本を見てもかなり素晴らしい出来前になっている。これなら全校生徒の目に行き渡るし、樹にとっても今まで色んな生徒を見守って来たその役目をまた果たせる。

「それはとても良い案です。これでいつでも、あの樹と一緒に授業が受けられますし、ずっと使ってもらえる。何よりお洒落です。
では、この照明の案で話を進めていただけるとありがたいです。よろしくお願いします」

嬉しそうに微笑み、深々と頭を下げる。これは私だけの願いじゃない。園芸部、今まであの樹の恩恵を受けてきた人たちみんなの願いでもある。

≫道明石導 all

12日前 No.388

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 道明石導&八ッ橋野狐 / 普通科・生徒会室 】

 レイが完璧に納得してくれたわけではないのは分かっているが、人の心の中の問題まで踏み込んでは行き過ぎた過保護だ。ゆえにそこに畳み掛けて言葉を尽くすような真似はしない。第一、それを導のようなタイプの人間がやってしまうと最終的にはマインドコントロールだとか洗脳だとかの領域にまで行きついてしまう。生徒の自主性や個性を奪う真似をするのはまっぴらごめんだ。
 さて、林檎の樹の再利用案もカタが付いたことだし、レイを送り返して仕事に専念するとしよう。意図を察した野狐が先程用意していた園芸部の人数分のケーキと保冷剤が詰まった箱を片手に扉に近付き、がらりと横に開く。この扉もシャッターみたいに上下で開くようにする案が出たこともあったが、やはり慣れ親しんだ横開きのほうが良いとこの形に落ち着いた。珈琲を飲み干した導も立ち上がり、扉のほうを五指を揃えた指で示しながらレイに微笑みかける。

「待たせはしない、任せてくれ。普通科の生徒たちの日々の充足に尽力するのも生徒会の勤めだ。帰るのなら、宜しければ八ッ橋野狐に送らせる。これは土産だ。是非とも持ち帰って皆で食べてくれ」

 一個千円超えのケーキがいくつも詰まった箱を野狐がレイに手渡す。値段を明かすといやらしいので流石にそれはしないが、湯水以上に金を使ってなお有り余る財力の生徒会に常備されている時点で高級路線のものであることは想像がつく。特に導は、土産にするなら良いものを、というタイプだ。食べる段階になって食器が無いと困らないよう、中には紙皿やプラスチックのフォークなども人数分入れてある。まさに至れり尽くせり。本当、普通科の生徒にはほとほと甘い女だ。本人は過保護になりすぎないようにと気を付けているが、見る者が見れば現時点で十二分に過保護である。
 出番が済んだプロジェクターはいつの間にか壁の中に引っ込んでいて、空中に投影されていた木枠の映像も見る影もない。壁に溶けるみたいに消えて行ったプロジェクターを見るたび、一体金鳥はどういった技術でこれを作ったのかと甚だ疑問に思う。こと機械工作やロボット関係に限れば、九十九学園普通科の頂点に立つのは導ではなく金鳥だ。こういう遊び半分の機械だって充分に難解だが、彼女が本気で作った機械ともなるといよいよその道のプロでも何がどうなっているのかサッパリ分からない。ガンダムみたいなロボットを作るのが夢だと言っていたが、案外もう、本気で取り組めば作れてしまうのではないだろうか。テレポート装置の自力での再現など、最近の彼女の躍進っぷりを見ていると正直そう思う。

>白月レイ様&ALL様

12日前 No.389

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:普通科 生徒会室】

ようやく話がまとまり、すっと立ち上がり部屋の外へと歩く。扉を開けてくれた相手にぺこりと頭を下げる。
すると、帰るなら送らせる、これは土産だとケーキを出された。学園の敷地内だし送ってもらうなんて、それに

「そんな、帰るといっても寮に帰るだけですし、送ってもらうなんて申し訳ないですよ。ただでさへこの前の一件で私、皆さんにご迷惑をおかけしましたし…。あ、あの時は本当にごめんなさい。」

とりあえずケーキは受け取ることにした。断ってもこのケーキが勿体無いし。にしても園芸部員全員分ぴったりある…偶然?
そして、プールでの転送装置事件のことのお詫びもいいに来たのだと今思い出し、咄嗟に謝罪の言葉を口にした。
事故だったとしても心配をかけたことには変わりはない。

≫道明石導 all

12日前 No.390

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【花丸山望 / 普通科・グラウンド】

「わっ、ひ、檜木さん…おどろかせないで…」

真琴は望を見つけると、瞬間強く抱きしめた。突然のことに言っていることはとても驚いている様子だが、当の本人は表情を一切変えないで、眉も瞳もピクリとも動かず、真顔のまま言っている。発言にびっくりするぐらい説得力が無い。
望を離してくれた真琴は、よくわからないことを話し出す。望はそれを聞きながらわたあめを齧る。この人、何言ってるんだろう。フォーメーション? 何の。九十九学園を守る? 誰が、あなたと一緒に? もしかしてわたし? どういうこと? 光のぼんやりと入った小豆色の瞳で、気持ちの高ぶった真琴をじっと見つめる。わたあめを食べ進めながら、いつもあまり使わない頭を使って考える。えっと、つまり……檜木さんは、わたしや、さっきわたしの名前と一緒に呼んでいた、宝さんや浪漫や翠紅館さんや他の誰かと、学園を守ろうとしてるってこと? ……やろうとしていることはわかったけど、何故そうなったか意味がわからない。どうしてこうなった。

「……あの、さっき、浪漫とか、宝さんとか翠紅館さんとかも呼んでましたよね? 宝さんだったら、異能科の1Aの教室で、中華料理屋さんをやってますよ。浪漫は…えっと…電話かけてみますね」

気味の悪い不気味な笑みを浮かべている真琴に、とりあえず所在を知る人物だけ教えておく。教えたところで、嵐玉は1人で仕切ってるわけだから、物凄く忙しいから、会って話をするなんてできないだろうが…。そして、翠紅館さんのいる場所は見当もつかないけれど、浪漫だったら連絡先がわかるので、とりあえず電話をかけてみることにした。浪漫が真琴さんのこのお誘いに乗るとはとても思えないけれど…。
心の中で苦笑を浮かべながらも、鞄からスマホを取り出して、浪漫の電話番号をプッシュし、電話をかける。望の耳元では、プルルルルル…という音がしているけれど、浪漫のスマホから出ている音は祭囃子に紛れて聞こえないかもしれない。……お祭りに来てるか知らないけど。

>>檜木真琴さま、序ノ舞浪漫さま、周辺all

【浪漫ちゃんに電話かけておりますが、無視されても構いません!】

11日前 No.391

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 道明石導&八ッ橋野狐 / 普通科・生徒会室 】

 送って貰うのは良いと言われたので、ならば引き下がることにしよう。ここで「いやいや、是非とも送らせてくれ」「いえいえ、本当に大丈夫ですから」「いやいや」「いえいえ」みたいな繰り返しの会話をするには、残念ながら導と野狐はあまりにも忙しすぎる。なのでケーキの箱を受け取って部屋の外に行ったレイに手を振って、にっこりと笑顔で見送ることにした。今日ばかりはそんなことが起こらないと信じたいが、途中で彼女がトラブルに巻き込まれれば五加と金鳥が組んだ監視カメラのシステムによって自動的に近くの生徒会役員や風紀委員会のメンバーなどに連絡が行くようになっている。生徒会室から園芸部への道のりくらい、確かに一人でも問題ないだろう。

「なに、悪いのは異能科のイザコザを普通科に持ち込んだ傍迷惑な連中だ。白月レイには何の非もありはしないさ。……そう言うのなら、しつこい真似はせず見送るとしよう。が、なるべく危なさそうな人間には近付かないようにしてくれ。人が多いと、それだけトラブルも増える」

 まあ実際のところ、危なさそうな人間というか怪しそうな人間は飽和しきっていて「誰が危なさそうで誰が危なくなさそうか分からないんですがそれは」な感じだが、それでも剥き出しの包丁を持って荒い息遣いで徘徊しているヤバい奴だとか、明らかに目がイっていて足取りが覚束ないようなゾンビじみた奴などはこの心持で避けられるはず。見るべきは服装よりも挙動だ。そもそもそんな奴がいれば既に監視システムに引っ掛かって連絡が来ているはずなので、いないとは思いたいが……念には念を入れなければ。異能科にはまだ見ぬ厄介な能力の持ち主が五万といるだろうし。
 とりあえず、これからさっきよりもさらに急いだペースで仕事を終わらせてなるべく早く綴裏たちのほうに向かわなくては。頭のイかれ具合では綴裏と良い勝負をしそうな男と綴裏にとって「物凄く嫌いなタイプ」には当てはまらなさそうな女を選んだから、出会って早々に勝負が開始されるような目にはなっていないはず。彼も彼女も急な呼び出しに自分たちの担当している仕事を後回しにして駆けつけてくれたのだから、導も野狐も急がなければ。だがその前に木枠の加工の発注だ。本棚に漫画本のように無数に陳列されたノートパソコンの中から黒いものを一つ引き抜き、零コンマ数秒で起動させたかと思えばブラインドタッチで依頼の長文を見る見る間に認(したた)めてゆく。五加が自作したノートパソコンはハイスペックすぎて読み込み待ちという概念が無いに等しい。急ぎの場面ではこの行き過ぎた機能性がとても有り難かった。

>白月レイ様&ALL様

【絡みありがとうございましたー!】

10日前 No.392

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

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10日前 No.393

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 序ノ舞浪漫 / 異能科・一階廊下 】

「ふぅ……これでスーツ系の屋台は、普通科も異能科もあらかた回りきったわね」

 両手一杯にどっさりとお菓子を抱えた状態で、どこか達成感に満ち溢れた表情を浮かべる浪漫。いつも何処でも大量のフリルを纏った彼女だが、今日はそれ以上にクレープやチュロスなどの甘ったるい香りを纏っていた。残念ながらソフトクリームやトルコアイスは置いておけず早々に食べ切ってしまったが、『ドライヤーの温風を五分も当て続けても溶けない!』と銘打たれた特殊な棒アイスはまだ取ってある。常温なら三時間は大丈夫らしいから、せっかくなのでこれはお風呂の中で食べよう。暑いお湯に浸かりながら冷たいアイスを楽しむのは至福の一時だ。一度やったことのある者なら分かる。
 さて、そろそろ自室に引き上げてこの戦利品たちを今日中に食べなければいけないものと明日まで大丈夫そうなものとに分別する作業をしよう。そう決めた浪漫の足取りは自然に女子寮を目指し校舎を下っていたが、その途中、スカートのポケットに突っ込んだスマートフォンがこの間ダウンロードしたばかりの新しい着信音を奏でた。アーバンギャルドのワンピース心中。かけてきたのは誰だろうか。そもそも自分の連絡先を知っている人間がさほどいないので、ある程度の予想はつく。

「ごめんなさい、そこの貴方。この私のポケットからスマートフォンを取り出してこの私の耳に当てて貰っても良いかしら」
「え、あ、はい。別に良いですけど……」

 できるだけ気弱で人の頼みを断れ無さそうな生徒に頼んで、言った通りのことをして貰う。画面に浮かんだ電話のマークを押すくらいは人差し指でも出来るので自分でやった。記された名前は案の定「おもちちゃん」。つまり友人たる花丸山望からの連絡。まさか彼女に何かあったのだろうか。いや、単純に食べきれないほどの量の食べ物を買ってしまったから一緒に誘おうという話かもしれない。なるべくそちらであって欲しいのが本音だ。本当に望が非常事態に巻き込まれているなら浪漫は駆けつけるが、実際の所、浪漫は自分がさほど戦闘に向いているとは思っていない。『守る気でいる』のと『守りきれる気でいる』のとは別物だ。相手によっては浪漫も勝機を見いだせない時くらいある。それでも決して、精神的にまで屈服してたまるかと強気な態度は崩さないだろうけれど。

「もしもし、おもちちゃん? 何かあったの?」

 受話器の向こうからは祭囃子が聞こえてくる。この大きさなら普通科のグラウンドの真っただ中だろう。善良な女子生徒に耳元でスマートフォンをキープして貰ったまま、浪漫は望の返事を待った。

>(花丸山望様)&ALL様

10日前 No.394

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

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10日前 No.395

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【日陰蝶瑞穂/異能科・1年A組】

ディザスターと言う立場ながら金儲けの為に学園内で勝手に店を出していた日陰蝶は他の屋台の偵察も兼ねてグラウンドや学園内の屋台の稼ぎの様子を確かめるべく、周りの様子を見てみる。その中でもまさかの学園内で人が混んでおり、行列まで出来ている-Aの教室へ彼女は疑問を感じ入って行く。彼女からすればグラウンド上のセレブ御用達の高級店やコストパフォーマンスやボリューム、品質、知名度で勝負している有名店に比べれば生徒が創る料理等、月とすっぽんの差以前に財力の掛け方が違う為、勝てる訳が無いと彼女は素直に感じていた。とある一つの高級店なんてわざわざ一流シェフを金に物を言わせて何十人呼んで来て高級素材を使用した料理を提供しているらしい。
それでもたかが素人がちゃんと自分の腕で作る料理でちゃんと高級店や有名店と勝負出来、行列と言う結果を残しているのかが理解出来なかった。

「ほな……素人でも勝つ方法は山吹色のお菓子(賄賂)やね」

しかし生徒一人に高級店を飼い馴らす程の資金があるのだろうか。勿論、学園で一つの店に対して資金は支給されるだろうがそれなら高級店や有名店も何なら、彼女の店もそれなりの資金、むしろグラウンドの店等は生徒以上の資金を必ず貰っているはず。ただし九十九学園の生徒にも金持ちは実際存在はしている。もしかして親の財力を使って店を出している可能性を感じずにはいられない。それと同時に上手く行けばその相手とそれなりの関係やビジネスパートナーを持てるかもしれないと淡い期待を感じる。そして並んだ彼女の鼻を刺激するのは様々な中華料理の匂い。だがそれよりも彼女を刺激するは屋台から醸し出される僅かながらも感じる金の匂い。即座に彼女は大蛇の様に続くこの行列に並んで見る。相手は所詮、九十九学園の生徒。如何様にもよりよい関係を持てる方法は頭の中に浮かんでいる。
そして行列で暇を潰す時間を過ごし彼女に順番が回る時、丁度スマートフォンからの着信が鳴り響く。相手は同じディザスターの八城。八城からの電話等、金絡みの依頼しかない。ただ、今はそんな電話に出られる様な場合では無い。八城よりも掘り出し物のビッグビジネスチャンスかもしれないのが今、この学園のそれに目の前で転がっていると言うのだから拾う以外の選択肢等有り得ない。彼女は目の前の人物に付け込んで来る様な笑顔で接してみる。

「……ほんなら、一番のおススメでお願いしてくれはります?」

そう言って目の前の人物が本当に金持ちなのかを見定めるかのようにじっくり眺め始める。そして、相手の反応次第で上手く仲良くなると言う名目で自然な会話を試みる。

>>宝嵐玉様


【檜木真琴/普通科・グラウンド】

どうやら花丸山の話だと、宝は1-Aの教室で中華料理屋を行っているらしい。とりあえず、お腹も減っているので後で花丸山と一緒にスカウトにでも行こうと意気揚々と鼻歌交じりで抱きしめた花丸山の身体を離し今度は花丸山のわたあめを勝手にパクパク食べてしまう。

「うん、やっぱり甘いわね……で、でもこれ以上食べると太っちゃう……でも今日は祭りだし……でも……」

そんな事を考えていると、花丸山は序ノ舞に電話をしてくれるらしい。やはり持つべき物は仲間だと彼女は頷きながら感心する。それに恐らくだが花丸山もこの学園を守るのにノリノリと見た。まずは最初の仲間ゲット! 等と勝手に決め付け喜び祭囃子に合わせて我流の盆踊りを踊り出す。

「ほら、貴方も踊るのよ!」

そして彼女は花丸山のツクモレンジャーによるポジションはどこなのだろうと考え始める。こればかりは花丸山自身に聞かなければいけないと思うがまずは全員スカウト出来てから提案した方がポジションで色々揉める事は無いと判断。

「……何だか色々順調ね。見てて、矢野島。私が絶対この学園を元に戻すんだから」

そう言って、今回参加出来なかった矢野島にささやかな笑顔を見せてみる。彼女や学園にいる全ての生徒や教師達が望んだ本当の未来を作る為に。

>>花丸山望様、周辺ALL

10日前 No.396

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 宝嵐玉 / 異能科・1年A組 】

 鉄製の重たい中華鍋を時間短縮のために片手に一つずつもち、両手同時に豪快に振るう。上がる火柱で教室の熱気が増した。が、待たせている間にこういうパフォーマンスも織り交ぜておいたほうが客ウケが良い。よって教室の体感温度が上がってしまうとしても積極的に火柱を上げていくつもりである。後ろのほうではエビチリとシュウマイも調理中なので、隙を見てそちらにも手を回さないと駄目にしてしまう。一人で切り盛りする屋台は一秒一秒を争う戦いだ。厨房は戦場、対戦相手は料理とお客様。出来上がったばかりのシュウマイを皿に移している内に、烏龍茶を煮出していたヤカンがピーピーと火を吹き出した。両手が足りていないので器用に足を延ばしてその指でコンロのつまみをひねる。中国雑技団並の身体の柔らかさは意外と色々な場面で役に立つ。汗は額と首に巻いたパンダ柄と大極図柄の手ぬぐいが吸い取ってくれている。わざわざ手で拭く暇など無い。やはり事前に巻いておいて正解だ。

「承知したヨ、あっちの空いてる席で待つヨロシ! 出来上がったら呼ぶネ! そしたら取りに来るヨ!」

 お嬢様然とした京ことばの少女から受けた注文を受理し、顎をしゃくって席の位置を示す。育ちが育ちなのだ、向こうの表情で「あ、こいつただ料理を食べに来たわけじゃないタイプの客アルな」と何となしに察することができる。が、察したから何だというのだ。今の嵐玉に時間の余裕など無い。どんなアクシデントが起ころうと起こらなかろうと、料理が作れないような状況に陥るまではひたすらに料理を作り続ける予定がパンパンに詰まっているのだ。ならばそれに則った行動をするのみ。この茶髪の少女の前にも後にも客がどっさりいるのだ。彼女ばかりにかまけていられない。
 一番のオススメと言われたのだから一つで良いかとも思ったが、せっかくなので烏龍茶と棒餃子を作っておく。日本人なら白米も食べたがるだろうから、ついでに白米もセットにしておこう。もちろん料金は三つ分の金額を請求する。まあ三つ頼んでも千円以内の良心的な価格だし、向こうも文句は言わないだろう。そもそも千円以内の料理で文句を言う奴は店員に料理のチョイスを任せてこない。最初から最も安いものを頼む。
 相手がちゃんと席に移動したかも確認しないまま、早速料理にとりかかる嵐玉。それでいて次々と声をかけてくる他の客たちの注文もちゃんと聞いているのだから、こいつも記憶力や情報処理能力はそれなりに良いほうなのかもしれない。

>日陰蝶瑞穂様&ALL様

9日前 No.397

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

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9日前 No.398

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【黒葛原 綴裏&唐津 軽都/劇場】

ドラゴンボール並のインフレ、か。いやまぁ、能力だけを見れば僕とか軽都に百合ちゃんって結構ヤバめだよね。それぞれに明確な弱点があるとは言え、これが無かったら百合ちゃんと軽都はともかく、僕とか本当にすぐに死ぬモブになりそうだよねー。見た目とかもそれっぽいし。それに加えて僕達の上位互換は……あぁ、うん。確かに、結構ヤバイね。その内、ドラゴンボールも真っ青のインフレしそうだよ。

「あははっ、本当の事言われて怒らない人なんて君達くらいだぜ?それと、そういう健康だとかの話は僕にはちょっと難しいや。というか、そもそも僕は自主的に傷付いたつもりは無いんだよね。うっかり、足が滑ったり……僕って勝負事勝ったこと無いから多分、運が悪いんだろうね。」

陰影の言葉を受けても軽く笑い流しては、自分で始めた話題の癖して飽きたようにたこ焼きを爪楊枝で中から無理やりタコだけを引きずり出してから、その寄生虫が無理やり食い破った何かの腹のような空洞のたこ焼きを食べるのだった。まぁ、それが終わった辺りで爪楊枝は塵となって消えてしまったわけだが。
とはいえ、脳内麻薬を減少する事も出来る彼や百合、そもそもそういう者を他人に押し付けられる軽都辺りには全く関係のない話でもあるだろう。となると、彼等は普通に頭がおかしい人間となるのだが、それはどうしようもないだろうか。

それに加えて本当の事、という事に言及しておくと、人間というのは自分の浅ましさを受け入れられてない限りは指摘されると怒るものだ。いや、百合ちゃんの場合は別に収集してる訳じゃないのよ。と怒るから、間違えられた事に怒るのだろうけど、はたから見たら変わらないから僕は否定も訂正もしないけどね。

「へぇ……いやまぁ、嫌いじゃないけどね。」

「俺は4分なんたら、っていう曲好きだけどな〜。」

二人はなにやら音楽に対する関心が薄いらしく、軽都に至っては適当な事を言いながら食事に関心を向けているようでフランクフルトを手にとっては咥えながら綴裏の座っている椅子の背もたれに腕と顎を乗せていた。油が多少綴裏に垂れたが、それはまぁ言わなければ分からないだろ、とでも思っているのか放置して食べ進める。
そして、二人が驚かなかった事に関しては、それこそ二人してどうでも良いことらしい。そりゃあ、当事者の二人が驚いていないのだから、むしろ彼等にとっては驚いている方が異常なのだろう。普通、という概念については人それぞれという奴だろう。

「おー、俺は唐津軽都。こいつの元同居人の親友君だ。じゃ、遠慮なく座っとくわ。」
「僕の外部に居る友達を纏めてる子だよ。まぁ、分かっちゃったと思うけど、彼の能力は『斬撃』見えない鎌鼬を飛ばすんだ。僕の友達の中で結構珍しい普通寄りの子だから、結構君達普通科に近いんじゃない?」

一通り食べてお腹いっぱいになったらしく、綴裏は食べる手を止めてへらへらと笑いながら、突然現れて突然現れた席に座った奴を追加紹介をしておいた。ただ、その紹介は嘘と本当とどちらとも付かない事を交えている。友達を纏めてる事は本当だが、異能に関しては嘘っぱち。不幸を押し付けて来ているからこそ、普段の様子自体は普通科に近くはあるが、それを是とする彼の精神構造自体は異常である事に違いはないだろう。そもそも、普通だったら黒葛原 綴裏なんていう触れたら噛むどころか腐食して引きずり込まれるか、精神的重傷を負うというのだから、彼も近かったとしても普通ではないだろう。

「そう言えば、俺って監視されんの嫌いなんだよなー……。」

軽都がふとその目を淀ませてそう呟きながら、ちらと視線を外に写すと同時にこの劇場のネットワーク回線、あるいは無線でもつかってるとしても、この場にいる者以外が中の状況を見ることも聞くことも出来ないだろう。勿論自律稼働しているロボットであるなら、それを見ることは出来るが、そのデータを外部へ送ることはできない。要は、電波や回線は全て切り断たれた状態にある。勿論、携帯も圏外にはなってしまっている事だろう。

「別に俺は危なくねーし、この位いいだろー?」

程よく冷めた唐揚げをもぐもぐと言う音がよく似合いそうな食べ方をしながら、呑気な声でそう言う彼には危険そうな雰囲気や目の淀みも消えていた。まぁ、普通の疲れ気味な好青年といった雰囲気だ。黒葛原 綴裏はそれを意に介さずに「それ、美味しいんだ?」と軽都に聞きながら、唐揚げには全く手を付けずに既に食べる気が無いのか、チョコバナナを手に持った。

>落狩倉 陰影様、琵琶琴 数奇様、all

9日前 No.399

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 落狩倉陰影&琵琶琴数奇 / 普通科・劇場 】

 本人にその気が無くてもああなら、もはや本能とか遺伝子のレベルで支離滅裂な行動を好むように出来ているのかもしれないな、なんて思ってみた。本気で自制しても勝手に身体が傷付くなら戦闘中もそうなるはずだから、そうならないということは気が緩んだ瞬間にだけ湧いて出てくる衝動という可能性もある。どちらにしろ難儀なことだ。一番どうしようもないのは、そんな自分を本人がどうにかしたいと思ってい無さそうな所。どこからどう見たって、彼は『自分が頑張って集団と迎合することで孤独を回避する』よりは、『集団に頑張ることを止めさせることで迎合して孤独を回避する』タイプだ。たぶんいつか好きな女性でも出来た時、その女性が自分より先を行っていれば彼は己の歩調を速めて追いつこうとするのではなく、相手の足を引っ張って動きを止めさせ引き寄せることで自分の元まで下がらせる。見当違いなら申し訳ないが、勝手な解釈ではそう感じた。
 足元では相変わらず綴裏が塵と化させた爪楊枝や棒の残骸を吸い込むためにルンバもどきが働いている。とは言えダイソン以上の吸引力により一瞬でお掃除を完了させてはまた壁際に戻って行き、そしてゴミが出ればまた壁から出動してきて、というのを繰り返しているから、常に足元にいるわけではない。むしろ足元にずっといたほうが楽なんじゃないかと思うが、いちいち戻っているということはそういう風に設定されているのだろう。

「4分なんたら……嗚呼、4分33秒のことかい? あれを演奏するには演奏してはいけないから、彼らが手持ち無沙汰になってしまいそうだね。ついでに会話も止めなくてはならないから、さすがに雑談のお供としてはお勧めできないかな。でも、この場面でその名を挙げる感性は結構好きだよ」

 テーブルに頬杖をついて微かに微笑みながらそんなことを宣う。軽都の言葉を聞いて思い浮かべた『4分33秒』という曲は、端的に言うと「無音の音楽」だ。演奏の際に用いられる楽譜には全章を通して休止を意味する文字しか書かれておらず、この曲を演奏する際、奏者たちは楽器と共に舞台に登場はするものの一切それで音を奏でることはなく、一定の時間の経過と共にそのまま退場していく。もちろん、誰も楽器を演奏しない代わりに誰かが歌ってくれるようなこともない。ゆえに素人でも演奏できる曲を教えてくれ、と聞かれれば陰影は真っ先にこれを挙げる。だって演奏しないことが演奏なのだから、これ以上に素人向きのものは無い。同時に『無音を聴く』なんて哲学じみた芸術思考は玄人向きでもあるから、総合してみれば素人に演奏はできても楽しむことはできない曲である。
 まあ、他にも陰影や数奇が知らないだけで4分から始まるタイトルの曲はあるだろうから、軽都にしてみれば「は? 何その意味わかんない曲? 知らないけど?」となっているかもしれないが、とりあえず二人が真っ先に思い浮かべたのはコレだった。

「創造主に作られた私は落狩倉陰影。黒葛原綴裏くんとは数分前に知り合ったばかりだ」
「数奇様のお名前は琵琶琴数奇なのだわ。同じくこちらの彼様とは数分前が初対面なのだわ」

 自己紹介を受けたのでこちらも揃って名乗り返す。綴裏が何か言っているが、さすがに彼の性格をある程度知っていながらそれを真実と真に受ける気はしない。そもそも普通科の面々は異能力を持っていないからこそ普通科なのであり、相手が異能力者である時点で性格は関係無く異能科だ。というかそれ以前に、普通科に『普通科らしい性格』なんてものは無いし、たぶん異能科にだって『異能科らしい性格』なんてものは無いはず。綴裏は一体、何を持って軽都を普通科に近いと言ったのだろう。性格が普通という意味なら、ぶっちゃけ普通科には名前の割に普通の性格の生徒などほぼいない。

「ふむ。瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず……という言葉には否定的なようだね」
「良いとは言ってあげられないけど、別に悪いとも言わないのだわ。数奇様達、君様達が『そう』なのは承知の上で会っているのだし。文句をこぼしても今更なのだわ」

 早々に綴裏の吐いた能力の内容が嘘だと明言するような行動をとった軽都。が、綴裏は軽都が自分の嘘に乗っかってくれなかったことなど気にしないだろう。なんとなくそう思う。電波の通じなくなったスマートフォンをポケットにしまい直し、再びオレンジジュースを啜る。とりあえず菊千代に注意喚起のメールは送れたから、さしあたってスマートフォンが必要な用事も無い。いくら中のネット回線を切ったところで外に残っている監視カメラのサーモグラフィーなどが生きている限り中の情報はある程度金鳥や五加たちに伝わるし、それまで無効化されても、いざとなったら金鳥が宇宙に自費で飛ばした人工衛星が性能的な意味で火を吹く。この程度では劇場が陸の孤島と化すことは無い。ひょっとしたら陰影や数奇が事前に知らされていないだけで、この空間にマイクロボットがふよふよしていて、切れたネットワーク回線の代わりに直に金鳥の元まで飛んで戻って情報を渡している可能性もある。あの女は考えうる限りのことを考えてもさらにその上の科学力を行使してくる生物だ。陰影や数奇が何かしなくても、トラブルに見舞われれば勝手に自分で対処して改善してバージョンアップまで漕ぎつけて見せるだろう。だから自分達は特に動かない。そっちの分野はそっちの分野を得意とする面子に任せている。
 新しい指示を受けられなくなったロボットのオーケストラ達がエンドレスで『暗い日曜日』を演奏し続けている鬱屈とした空間。けれどここにいる四人は四人とも、それぞれが己のペースを崩すことなく淡々と飄々と振る舞っている。他人を簡単に飲み込む空気を持った人間も、それが四人揃えば誰かの空気一色に染まることはなく、互いの空気が空間にマーブル模様を描いて混沌とするものだ。

>黒葛原綴裏様&唐津軽都様&ALL様

8日前 No.400

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 普通科モブ生徒ABC / 普通科・庭園 】

 もし庭園で異能科や異能力について叫んで回っている彼らがもっと落ち着いていれば、半ば馬鹿にするようにスマートフォンで自分達を撮影してくる者は外から来た客ばかりで、普通科の生徒たちは一人もそうしていないことに気付いただろう。とある経緯(詳しくは >>358 )から生徒会や委員会上位の面々に異能科と異能力の存在を知らされた普通科の生徒たちは、彼らの言っていることが嘘ではないと知っているから。けれど良い気はしなかった。彼らにどんな事情があるかは知らないが、先日、自分達の校舎は異能科のせい――いや壊したのは風紀委員長らしいが、それも異能科の襲撃が無ければ壊さなかっただろうからやっぱり異能科のせいだ――でほぼ半壊の憂き目にあったばかりだというのに。どうしてまた波風を立てるようなことをするのか。お願いだから異能科のトラブルは異能科で片付けてくれ。そう痛む頭を押さえて愚痴りたい気持ちになりつつも、しかし放置しているわけにはいかないので美化副委員長に渡された機械を操作して変な奴が普通科の庭園にいることを伝える。この庭園にも監視カメラはあるから、自分達が伝えなくったって彼女らの目にも耳にも既にこの場の情報は入っているだろうが。

「我不可解。何故彼等普通科来訪」
「拙者にもわからないでござる」
「ワシにも分かりませんですだ」

 漢字だけで喋るモブ生徒A、典型的侍口調のモブ生徒B、どこかの田舎の訛りが出たモブ生徒Cがこそこそと話し合い、揃って首を傾げる。本当に、彼らは何がしたいのだろう。そのうち吐血でもしだしそうなほど必死に叫んでいるのだから、たぶん何かこうしなければならない理由があったのだろう。それは分かる。けどどれだけ大変な出来事に見舞われていようとも、それで普通科に来ようと思うのが分からない。先日の普通科の一件は異能科では周知の事実ではないのだろうか。数十のルートから無差別に色々な生徒や教師に送りつけ、「これだけ証拠が揃っていながら何もしないなら、残念ながら貴方達を軽蔑せざるをえない」とメッセージまで添えたらしいあの事件の映像は、どうやらもみ消されたらしい。これで普通科の面々から異能科への心象は余計に悪くなった。異能科がどれだけ大変だか知らないが、教師も自分の校舎の生徒くらいしっかり管理して欲しいものだ。今目の前にいる二人の行動は、まあ先日の襲撃者たちに比べたら可愛らしいくらいのものだが……それでも迷惑なのには変わりない。

>(永倉巳鶴様)&(月東雛子様)&ALL様

8日前 No.401

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【鈴蛙鈴鹿&一番/理事長室前】
【百目鬼昇/理事長室前→???】

全く持って電気が点いていない異様な雰囲気に包まれている理事長室前の廊下で鈴蛙は隣で同じく護衛に付いている百目鬼を見ては彼の処分について迷っていた。もしも生徒会にとって害と見なす者であれば即座に斬らなければ大変な事になりかねない。あんな人物でも残間に一目置かれているのだから、彼の起こす行動等生徒会に大きな影響を及ぼす可能性を秘めてしまっている。判断を誤れば生徒会において大きな損害を生む事になる。
そして彼女は冷静に百目鬼の今までの言動等を思い出し敵か味方かをなるべく素早く判別する。その結果、鈴蛙は刹那の速度で百目鬼の元へ向かい抜刀し、百目鬼の首目掛けて刀を振るって見せる。百目鬼も即座に床に置いていた刀を持ちその場から離れようとしたが腕に刀が擦れ出血する。

「鈴蛙さん……やっぱり、生徒会を裏切るんですか」

百目鬼は待っていたとばかりに不敵な笑みを浮かべ、出血した個所を我が子の様に抱いて鈴蛙を指差してみては鈴蛙を裏切り者の様に仕立て上げ、周りの護衛している生徒会役員に聞こえる様に叫び倒す。だが生徒会役員どころか誰も百目鬼に駆け付ける人物はいなかった。

「生徒会執行部庶務職、鈴蛙鈴鹿。只今より職務を執行する」
「……成程、この護衛自体が……ダミーでしたか。わざわざ私の為に……理事長さえも利用するなんて実に光栄ですね。そして貴方は私の処刑人と言う事に……」
「ぬし、頭がとち狂っておるのか? 何を言っておるのかサッパリ分からん。まあ良い。貴様の素性はかたわらにさて置き、それを握っている以上、剣士であることは明確よ。ならば剣戟にて語り合おうぞ。もっともその鈍では、剣においてもロクな言葉を語れるか怪しいものだがな」
「随分面白い事を言うんですね。殺し合いに言葉は不要です」

百目鬼は刀を振り下げ素早く構え、思いっきり居合の如く鈴蛙の身体を真っ二つに割ってしまおうと振り上げる。しかし鈴蛙は冷静に百目鬼の間合いから離れ、様子見としてなのか、百目鬼の異能力を判断する為の動作として全ての攻撃を受け流す様な構えを取る。それに対して百目鬼は単純で何の捻りも無い太刀打ちを行う。言うなれば、狂った殺人鬼が我が物顔で適当に片手で威嚇程度に武器を振るっている様なそんな感覚を鈴蛙は迷う事無く捉える。

(異能力を使用する気配は今の所無し)

鈴蛙は百目鬼の攻撃に対して刹那の見切りを行い紙一重で避けていく。そしていくつかのフェイントを彼の反応を確かめるべく、殺意を込めつつ刀身を素早く振るう。だが百目鬼は何も反応を示す事は無い。攻撃するチャンスはいくらでもあったが、言っても向こうの異能力が分からない限り、こちらも異能力を発動する訳にはいかない。もし彼の能力が治癒能力ならば鈴蛙自身の異能力は意味を成さない。

「さて、時間稼ぎはこれで終わりです」
「……?」

そう言って百目鬼は突如戦闘を止めて突然の意味が分からない行動に警戒を強める鈴蛙から無言で理事長室前から普通に一階に向かうエレベーターに向かって去って行く。鈴蛙は百目鬼を追おうと走り出すが後ろの殺気立つ気配が彼女を止めてしまう。

「人数は一人だけか。だが良いだろう。仕事に直ぐ戻れるからな」

鈴蛙が振り向けば、袖が捲くれた腕に龍の刺青を入れた人物が警官の格好をして彼女に掌を見せながら近づく。彼女は警官だろうと立ち入りは許した覚えが無く、明らかに相手が敵意を持っていると確信した為、警官から距離を取り刀を構える。すると、警官は面倒そうに舌打ちしながら身体から鱗を出し、大量の鱗を剥がして剣の様にして龍の様に変貌した手にしっかりと持つ。

「抵抗するんだから、少しくらい壊しても訳無いよな」

そして鈴蛙は暗闇に巣食う明らかに人間ならざる存在を見てしまう。目の前に存在する警官はもはや人の形を完全に維持出来ていない人の皮を被った化物。それを見る度、彼女はかつての清掃員を思い出す。ただしそれでも鈴蛙は冷静に徹し対応するべく、理事長の護衛を装っていた生徒会役員達に連絡を行い百目鬼の追跡を指示する。その後、彼女は応答無用で能力を発動しながら警官に走り込み全身の力を込めていくつかのフェイントを交えながら直線を描き刀を突いていく。

>>周辺ALL

8日前 No.402

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【永倉巳鶴&月東雛子/普通科・庭園】

草木に埋もれながら笑われる永倉は周りの様子を見てさらに絶望的な未来を描いていく。かつてそんな絶望も分からないで人間を勝手に信じていた自分の哀れ加減にもはや笑うしかない。異能力者でさえディザスターと生徒会で争っているのにただの普通の人間に期待するのは明らかに間違いであったと彼は心の底から悔やむ。

「何だ……普通科も周りの人間と同じだったんだ」

勿論、普通科等に自分達が救えるなんて思って等いない。勿論、普通科を巻き込む事だって自分自身は望んでいない。勿論、もし自分が普通科の立場だったら怯え、逃げ惑い、二度と関わろうとはしないであろう。

「だ……だからと言って人の助けを求めるのはそんなにいけない事なのか? 僕だって迷惑かけたくてこんな事してる訳じゃないのに……僕は幸せになりたいだけなのに……」

同じ庭園の中にいた三人の生徒は迷惑そうにこちらを見る。もはや自分の存在は罪。今まで存在意義を探していた永倉は一つの結論に辿り着いてしまった。

「僕は……この学園の……害」

途端に今までの行動が走馬灯の様に頭の中を駆け抜けていく。何も出来ない無力な自分に苛立った日々、自身に世界に貢献出来る程の能力と才能がある事を知り生きている価値をようやく見出した日々、能力と才能でしか自分を見てくれないと本当の自分の価値に悩み嘆いた日々、普通に憧れ、普通科に興味を持ち叶わないと知りながら普通科と是非交流して普通の人間の気分を味わいたかった日々。それも全て無意味に頭から穴が開いたかの様に崩れ去る。
そんな中でも口から血が出るまで異能科から自分を救いだして欲しいと叫ぶは月東。何なら土下座でも何だって行う。これ程、藁にも縋る思いと言うのが相応しい事は無い。頼るべき警察もメディアも全て理事長の犬。九十九パーセント無理だろうがとにかく一般人やら普通科やらに頼るしかない。そうでないと洗脳されるのだから。変人と笑われても引かれても拷問を受けるよりはよっぽどマシだと考え、月東は目から大粒の涙、口からは血反吐とヨダレ、鼻から滝の様に流れだす鼻水が溢れる程に流れていく。

彼等は特に誰も憎んでいない。されど、彼等の声は隣の祭囃子にかき消される。そしてやけに耳に残ってしまう時計が刻んでいく音の中、自身が描いた学園を見てみる。
だが彼等はその学園の中にある一人の人物を見つけてしまう。その人物は校舎のどこかの窓から庭園を覗きこみ手に持ちやすく汚れる心配も無いおにぎり状のをラップで包まれたチャーハンを頬張りながらこちらの様子を窺っていた。そして彼の腕にはカギに似た形状の金属が彼の腕に何本か埋まっているのが見える。つまり、彼もまた人の形をした化物。

>>(普通科モブ生徒ABC)様、周辺ALL

8日前 No.403

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【日陰蝶瑞穂/異能科・1年A組】

注文した際、料理の製作に忙しいのか、顎で席に誘導する辺り、一人でこの屋台を切り盛りしているに違いないがこの様な行列を一人で捌く等、通常ならば有り得ない。そんなに人件費を削減したい程にお金にがめついイメージでは無かったが、もしかしたら料理人としてのこだわりが彼を動かしているのかもしれない。とにかく作業の邪魔をするなオーラが無意識かどうかは知らないが意外とかなり感じたので一旦此処は素直に引いて席で待つ事にする。そしてもし本当に一人で経営しているのならば付け入る隙はいくらでもある。しかし本当に金持ちならば一人で経営する事は無いのではないかと言う謎の偏見が彼女の頭を過る。賄賂を贈る金があって何故、人件費を払う金が無いのは不自然。それとも一人で頑張ってますアピールで同情や母性本能を誘い擽っているのか。そんな小賢しい戦法で商売が繁盛するとは思えないが実際狙っている可能性は無くは無い。
とりあえず、席に座って今現在、開催中である九十九学園の夏祭りのエゴサーチでもしてみる。エゴサーチは自身が経営している屋台の評判を知る事が出来、尚且つ、一人で中華料理の屋台を経営している屋台についてもいち早く知れる。すると、エゴサーチの結果、何だか女性が中庭の様な所で顔からヨダレや鼻水等、出る物が出ている映像や画像が話題とされている。どうせ、頭のネジが飛んだバカが騒いでいるのだろうと彼女は鼻で罵り嘲笑う。すると、スマートフォンから再び八城の連絡が来る。すっかり八城の事を忘れていた彼女は呆れ、面倒ながらも電話に出てみる。無論、内容は依頼。今回は中百舌鳥舎人の居場所の詳細。中百舌鳥舎人と言えば、一時期ディザスターで活躍していた有名人である。勿論、彼女の電話番号等は元ディザスターながら残っているのでそれを元に居場所を探ってみる事を伝えると八城は珍しく高笑いしながら、電話を勝手に切ってしまう。流石の八城も祭りの日はテンションが高いらしい。それはそれでウザいのだが。
ちなみに彼女の店も学生の店ならかなり繁盛している方であり別の学校ならば確実に伝説に残る程に業績を伸ばしている。さらに元の資金を今までのノウハウを駆使してかなりの節約に成功し今回で残った資金を既に自身の貯金に当てているらしい。恐らく今日だけでも巨万の富が大きく流れており、この屋台の様なビジネスチャンスもゴロゴロ転がっている。まさに今回の夏祭りは大成功と言えよう。しかも次回はさらに大規模に進化する事間違いなし。これ以上の金が設けられる等、高校生としてはかなり有難い。

「流石は理想の学園と言う事かの……」

そう皮肉を込めながらも彼女はこれから出てくるであろう中華料理に味や値段等の様々な期待を寄せる。

>>宝嵐玉様、周辺ALL

8日前 No.404

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 宝嵐玉 / 異能科・1年A組 】
【 中百舌鳥舎人 / 異能科・廊下→1年A組 】

 茶髪で京ことばを操るお嬢様風の女子生徒から注文を受けておよそ三分。その間も他の客を捌きながら平行して料理も作り上げた嵐玉は、出来上がった料理をさらに盛り付け提供用のカウンターに乗せながら「八番のお客様、注文の品できたアルー!」と叫ぶ。そして八番のお客様こと茶髪の彼女が料理を取りに来たかも確認しない内からまた料理と客対応に戻った。悠長にカウンターの前で待っている時間など無い。ちなみに支払いは、ボランティアで手伝ってくれている男子生徒が各テーブルを回って回収していくシステム。正確には「金は良いけど一ヶ月くらい俺の弁当作ってくれ、それで手伝う。今まで弁当作ってくれてた彼女と別れたけど自炊すんの面倒臭いんだ」という内容にOKをして手伝って貰っているので、まあ弁当の材料費のことを考えればタダではないのだが……普段からわりと料理を作りすぎる質(たち)だし、あれを人の弁当に回すと考えればさほど痛手の出費にもならない。ということは、嵐玉的にはやはりタダで手伝って貰っているようなものなのだ。
 なお烏龍茶はアイスもホットも両方一杯で200円、白米(小)は300円、棒餃子は500円で、合計1000円である。棒餃子には千切りのキャベツと輪切りのキュウリも添えてある。トンカツにキャベツが添えてあるのと同じ理由だ。口の中をサッパリさせるためのほとんど味のしない野菜たち。単品で食べれば飽きるのだろうが、これがジューシーで肉厚な棒餃子と食べると丁度良い。テンション高めの客にグルメ漫画の登場人物みたいなリアクションをさせた自慢の逸品だ。具体的にはとんでもない文字数の食レポをしながら棒餃子一本でごはん一杯を完食してくれた上、その後ごはんを二杯おかわりしてくれ、ちょっと姿を消したかと思うとタッパー持参で戻ってきて「これに出来る限りの棒餃子を詰めてくれ!」と一万円札を握らされた。きっと今頃自宅で家族と棒餃子パーティでも開いてくれていることだろう。あそこまで喜ばれるのは作り手として冥利に尽きる。
 嬉しい思い出を振り返りつつも、やはり調理の手と接客の口は止まらない。良い香りに釣られてふらふらとやって来た不思議の国のアリスのコスプレのような恰好をした少女が、妙に途切れ途切れな発生で小龍包と烏龍茶を注文してふらふらと席に移動してゆく。背中に大きな鋏なんて背負っていて、そんな彼女を見た客の何人かは小さな声で「アリス・ザ・リッパーだ……」「その名前はもう返上したんじゃなかったか?」「っていうか中華料理屋が微塵も似合わねぇ……」などとヒソヒソ言葉を交わし合っている。それはもちろん嵐玉の耳にも入ったが、やはりだからといって気にしている暇なんぞ皆無なのだ。噂話に参加している暇があったら、一回でも多く中華鍋を振るわなければ。今やるべきことはそれだけだ。

>日陰蝶瑞穂様&ALL様

7日前 No.405

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 普通科モブ生徒ABC / 普通科・庭園 】
【 一尺八寸山的 / 普通科・グラウンド→庭園 】

 ブツブツ小さな声で何かを呟いていたかと思えば、また大声で叫びだした謎の異能科の生徒たちに思わず後ずさるモブ生徒ABC。近寄ったら面倒臭いことになりそう。本能がそう告げている。いや、血を吐く勢いで助けて助けてと言われればそれは可哀想だなと思うし、力になってやりたいと少しも思わないと言えばそれは嘘になるのだが、それ以上に相手のあまりの様子に引いてしまう。名も知らぬ生徒の顔面は色々な体液でぐちゃぐちゃだ。あれ、もう服の襟元とか絞れるんじゃないだろうか。
 そんな風に最初の内は引いていただけの三人組。が、なにせ根っこが善良寄りなもので時間が経過するにつれて「とりあえずハンカチでも差し出したほうが良いのでは」という気分になり、代表してモブ生徒Aがすり足で二人との距離を徐々に詰めていく。怯えさせないようにゆっくりと。気分は虐待されて引き取られたばかりの犬に近付く飼育員と同じだ。なるべく刺激しないよう慎重に……ただしそれを行っているモブ生徒Aの恰好がペストマスクに黒のツナギと大変怪しいため、効果があるかは甚だ微妙である。

「我非危険。此布使勧。貴方顔面洪水。至急拭良」

 しかもこんな喋り方なのではっきり言って何が言いたいのか分からない。モブ生徒Bとモブ生徒Cのほうはモブ生徒Aとの付き合いが長く言っていることが当たり前に理解できてしまうので、残念ながらそこら辺を失念してしまっていた。しかし来日数年目にして未だに日本語が不自由なモブ生徒Aが人に指摘されて己の口調の伝わり辛さを再確認するよりも早く、いつの間にか庭園に来ていた風紀委員長、一尺八寸山的がモブ生徒Aのことを後ろから追い越し二人組に近付いてゆく。その足取りに躊躇いは無い。手には何故か工事現場で車などを誘導するための棒状のライトを持っており、チカチカと点滅するそれを左方に振りながら異能科の二人組に話しかけた。

「的的にはー、庭園で座り込まれちゃうと通行の邪魔ー。だからー、とりあえず邪魔にならない場所まで移動しよー。お話ならそこで聞くー」

 相変わらずゆるゆるの口調だ。彼女の身体能力なら力尽くで運ぶことも容易だろうに、自分で立って歩いていくように声を掛けているのはかなり穏やかな対応だ。案内のためにそのLED誘導棒は本当に必要だったのか? という疑問に関しては、まあ彼女のことだからたとえ聞いても「使ってみたかったから使ったー」とかそんな返事しか来ないだろう。異能科の二人組の視線が校舎のとある生徒にやたらと集中して向いていることはここに向かう途中から察していたので、大事があってはいけないと、さっきまで一緒だった菊千代にはそちらに向かって貰っている。彼一人でなく途中で応援に“あの子”も引っ掛けていたから、まああちらは何があっても大抵のことは大丈夫だろう。……それはさて置き、この二人組がずっとへたり込んで動かなければどうしよう。その場合はやはりおんぶか抱っこで移動して貰うことになるので、矜持があるなら早めに立ち直って欲しい。

>永倉巳鶴様&月東雛子様&ALL様

7日前 No.406

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【永倉巳鶴&月東雛子/普通科・庭園】

助けを求める月東は叫び過ぎにより喉を酷使した為、これ以上無い程の嗚咽を何度も行う。流石にこの状況を校舎から庭園から様々な場所やツイッター等を通じて笑っていた人々も単に祭りで舞い上がっている高校生では無いと判断。とりあえず見て見ぬフリを決め込むか付近の教師を呼んでくる等様々な対応が普通科校舎で見え隠れする。中には助けようとする一般人や普通科の教師もいたがそれは異能科からの救済では無く精神が何らかの原因により崩壊した人物達として捉えてしまう。つまり結局、彼女の言う事を信じる人物は彼女から見て誰もいなかった。それでも彼女は庭園の中で助けを叫び続ける。

「我非危険。此布使勧。貴方顔面洪水。至急拭良」

その中で先程から庭園に立っていた普通科らしき生徒が怯えながらもハンカチを持ち顔が酷く体液で汚れている月東に他の言語で話しながら近づいていく。それに対して月東は突如として話しかけられた他の言語を話す生徒に茫然とする。一方で永倉は他の言語を勉強している為か、彼が言っている意味は大体理解していた。だが彼はそれでも怯えながら普通科の生徒から慌ただしく離れる。永倉の中で先程の彼等の反応は当然で何も悪くない反応だと知りながら、相当精神に効いた様で彼の支えになっていたモノが全て崩壊していた。そして自分は無価値で害な人間だと自意識過剰に絶望する彼にもう一度人を信じる心は存在していなかった。
すると、誘導棒を持った女性が月東の元へ行き彼女の妄言とも取れる発言をちゃんと聞いてくれる。恐らくだが彼女の言葉から推測すると普通科の関係者だと思われる。月東の口は少し口角を上げ、自身の頭をこれでもかと言う程、下げる。とりあえず男子生徒が差し出してくれたハンカチで一心不乱に自分でさえ汚いと思える顔や服を拭って行く。そしてあっという間に手に持っていたハンカチは涙や汗、鼻水、血反吐、ヨダレ等の体液をたっぷり吸い込みもはやハンカチの役目を果たせてはいなかった。さらにまだ助かった訳でも無い彼女の目から今まで以上に洪水の様に涙が次々と溢れ出してしまう。少しだけ生きる希望を見つけた彼女はそのまま誘導棒の灯に身を任せながら女性の元へ駆け寄る。しかしこの状況で永倉はその状態から動く事無く、虚ろな顔をしてどこか遠くを見つめていた。

「……」

月東は永倉に何度も何度も呼びかけるが彼は人形の様に其処にただ座っていた。月東は折角の生き残れるかもしれないチャンスに焦り、永倉を無理やり背負いなるべくコンクリートの地面を歩きながら庭園を進んでいく。

「……そ、それじゃ……話を……」

彼女は枯れ果てた声を庭園にばら撒いては申し訳無さそうに普通科の関係者が案内するのを待つ。

一歩一方永倉を担いで歩を進める月東は人生で楽しいと思えた事は無い。そんな瞬間はこれからも無い。ただ一人で生きて一人で死ぬ。他の人から見れば情けなく可哀想で有り得ない程空虚で当たり前で無価値な人生。生きている意味さえ考えた事は無い。生きている意味なんて自分には無い。それは今も変わりはない。これからの未来に何かを見出せる事は無い。そしてそんな事を考える自分が大嫌い。自分が死んでも誰もその事に気付かないで忘れられて無かった事にされる。そんな人生を何十年もこれから歩んでいく。

それでも生きたいと思った。それを今、嫌っていたはずで人生を狂わされたはずのもう一人とも言えない自分によって気付かされた。

そして月東は命の重みを確かめながら心から思う。死にたくないと。

>>普通科モブ生徒ABC様、一尺八寸山的様、周辺ALL

7日前 No.407

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 一尺八寸山的 / 普通科・庭園→ピロティ 】

 なにせ今まで接してきた異能科の生徒がこぞっていきなり襲い掛かってくるような奴らばかりだったもので、的は内心この二人組にもいきなり何かをぶっ放されるくらいのことはされると思っていた。が、僅かに頬を緩ませながらしきりに頭を下げるその姿に悪意や敵意は感じない。元から害の無い性格なのだろうか。それとも精神的に衰弱しきっているから害が無いだけなのだろうか。どちらにせよ、今こちらに襲い掛かってこないのは面倒臭くなくて素直に有り難い。体液をたっぷり含んだハンカチをモブ生徒Aがビニール袋越しに回収してポケットにしまうのを眺めながら、誘導灯を持っている側とは逆の手でスマートフォンをぽちぽち弄る。監視カメラでチェックされているから伝わっているだろうが、とりあえずまだ戦闘に発展しそうな気配は無いということだけ他の面々にも伝えておいた。三つ編みの少女はというと、顔を拭いたばかりにも関わらずまた大粒の涙をはらはらと流し号泣し続けている。水分不足が心配なほどだ。しかし反応があるだけ、その少し後ろで白痴じみた様相を呈している黒髪の少年よりはマシである。何があったかは知らないが、あまりの精神的ストレスにキャパシティオーバーを起こしたのだろう。ああなると大抵の人間は正気を取り戻すのに時間がかかる。というか弱ければそのまま戻ってこない。精神病棟にはああいう顔をした人間がゴロゴロ転がっている。

「こっちだよー、ついて来てー。君たちはもう大丈夫ー。連絡くれてありがとうー」

 一瞬、背負われている側の少年を自分が代わりに持ち運ぶべきか迷った。が、触った瞬間にいきなり狂乱されて暴れ回られるのも面倒臭いので、とりあえずはそのまま三つ編みの少女に運搬して貰うことにした。相変わらず誘導灯を振り回しながら相手がついて来られるようゆったりとしたペースで歩き出し、モブ生徒ABCたちには、すれ違い様にお礼と君達はついて来なくて良いという内容を述べる。見た目や口調のアクの強さに反して基本的に良い子たちなので、その言い分にはごねることなく頷いてくれた。特にモブ生徒Aは自分のハンカチを体液でビッシャビシャにされたにも関わらず気にした様子が無い。なにせペストマスクで表情が分からない子なので、的の見当違いという可能性もあるけれど。
 行先はとりあえずピロティにしておく。普通科にはピロティに当てはまる場所は幾らかあるが、今回的が向かったピロティは体育館の傍にある、剥き出しのコンクリートが緑に塗られたピロティだ。よく体育館が一杯でグラウンドも天候事情により使えないという日に、活発な部類の生徒たちがそこでボールを蹴ったりダンスを踊ったりしている。横からちょっと雨は入って来るが、上には校舎があって屋根代わりになってくれるので雨の日の丁度良い活用スペースになるのだ。椅子も机もない殺風景な場所だが、まあ話すだけなら問題あるまい。複数並んだ内の柱の一つにもたれかかり、途中の自動販売機で買ったミネラルウォーターのミニボトル二本を異能科の二人組にひょいと投げ渡す。代金は求めない。的の奢りだ。

「まず初めに言っておくとー、普通科の皆は訳あって異能科の存在と異能力の存在は知ってるんだー。けどー、異能科の一部生徒に連続で襲撃を仕掛けられたりしてるからー、異能科への感情はあんまり良くないのー。だから君達が普通科に何を求めてやって来たかは知らないけどー、協力を求めるなら相応のお礼があると嬉しいなー。的的にはー、別に君達に恨みは無いけどー、普通科の子達のほうが大事ー。だから君達を助けて得が無い場合はそっちが優先ー」

 自分用として買ったファンタオレンジのペットボトルを指の上でくるくる回しながら、小首を傾げて相手にそう告げる。詳しい事情は知らないが、もしもこの二人を助けてしまえばそれは異能科の中の誰かを敵に回す行為になるだろうという予感が的にはあった。だからこそ迂闊に「助けてあげる」なんて言葉は口にできない。自分は異能科の風紀委員長ではなく普通科の風紀委員長なのだ。優先すべきは普通科の生徒たちの安全。そこは決して間違えてはならない。

>永倉巳鶴様&月東雛子様&ALL様

6日前 No.408

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【日陰蝶瑞穂/異能科・1年A組】

こう言った外食でよくある事と言えば注文してから料理が出されるまでの待ち時間がどうしても発生しまう事。それに対して一部の有名店等はバイキング方式を取りセルフサービスを上手く活用しているがいくつもの料理を一人だけで働いている屋台等の場合だとそうはいかないはず。しかしそんな状況下でこの店は注文してからわずか三分で盛り付け提供用のカウンターに料理を乗せ「八番のお客様、注文の品できたアルー!」と日陰蝶に向かって声が通る。もっと待つものかと考えていた彼女は中百舌の電話番号で連絡を行っていたが一旦止め、美味しそうな料理の匂いを心地良く嗅ぎながら自身の料理が出ているであろうカウンターへ辿り着く。彼女が思っている通りの店ならば一番のオススメと言われて提供するのは最も店で一番人気がある、或いは味に一番自信がある料理を出すはず。そして男性がカウンターに出した料理は烏龍茶と白米(小)と棒餃子。見た目や匂いからして既に美味しそうであり、高校生が出す屋台のレベルでは確実に無かった。それどころか、真剣に料理人を志せば素人から見ても今すぐにでも店を出せる程の腕を持っているのが分かる。まさにダイヤの原石が此処で豪快に転がり落ちている。
そう確信しながら、料理を自身の席へ持っていくと手伝いであろう男子生徒が金の回収を行っていた。彼女が合計金額を率直に聞くと相手は1000円と淡々と答える。そして日陰蝶は1000円を見せつける様に出し、相手の元へ優しく渡す。それに気付かない相手は素直に彼女が渡した1000円を取り出し契約を完了させる。そして満足そうな彼女は目線を再び料理に戻し、棒餃子にはキャベツとキュウリが添えてあるのを黙って見つめる。客の事をちゃんと考慮してこの野菜達は棒餃子を見事に際立たせる。それに野菜により料理に彩りが出てきて目でも料理を楽しめる。そんな事を考えながら、棒餃子を箸で口の中に運びしっかりと広がっていく味や食感を噛み締める。そして彼女の口でいっぱいに広がる味覚が止まる事も知らずに溢れ出して来る。それに白米が非常によく合っており、どんどん白米が進んでいく。また烏龍茶はこの夏の様に暑い日にはピッタリである。

「……ほほう、まさか此処で出会えるとはの」

確実にビジネスチャンスを掴んだのと同時に自身の目に狂いは無かった事を確信していると、予想外の人物がこの屋台に小龍包と烏龍茶を注文していた。異能科ならば大体の人物が知っているであろうが一般人はそのコスプレとテンションに困惑している。彼女こそ、八城が探していると言う中百舌鳥舎人。八城に巻き込まれる等、彼女もなかなかの不運である。一応、中百舌を運良く捜索しなくても彼女を発見したのでスマートフォンのカメラ機能で彼女を隠し撮りしてからその画像を八城に送ってみる。恐らく全力疾走しながら此処へ向かって来るであろうがその前にどうにか屋台の男性を口説き、ビジネスパートナーとしての地位を確立しなければならない。それに正直、八城が彼自身のクラスで暴れる可能性は十分にある。日陰蝶は清掃員騒動の際の保健室での出来事を思い出し八城=疫病神の法則を叩き出す。

>>宝嵐玉様、(中百舌鳥舎人)様、周辺ALL

6日前 No.409

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【八城修/コンピューター室→異能科・三階廊下】

八城は何度か日陰蝶に連絡を行っていたのだが何度も切られてしまう。そんな状況にカラス面越しで彼は苛立っていた。恐らく元貞坂や渡嘉敷が既に理事長等の場所確認を終え、自身の合図をきっと待っているはず。ディザスターの計画自体には影響は無いが自身の計画には大いに影響してしまう。日常に潜むあの災害を粉々に砕くまでは計画を進行する訳にはいかない。そう考えていると、ようやく日陰蝶から連絡が来る。彼はすぐさま日陰蝶に中百舌の居場所を特定する様に用件だけを伝える。すると、彼女がまだ元ディザスターではあるが万が一に備えてだろうか、単に消去するのも面倒だっただけだろうが、中百舌の連絡先が運よく残っていた。八城はもっと捜索が大変な事になってしまうのだと予想していただけにこれは嬉しい誤算であった。彼は思わず高笑いをコンピューター室中に響き渡って行く。その後、電話を切りソワソワしながら日陰蝶への連絡を待つ。そして三分も経たない内に八城のスマートフォンに中百舌の画像が添付されているのが分かる。場所も明記されており、どうやら同じ階の1-Aの教室らしい。実は彼のクラスなのだがそんな事も忘れて八城はスマートフォンをポケットに入れ込み静かに笑いながら、扉を壊して廊下に歩き立つ。

(君の、正義、良心、さえ踏み潰して直、望む日常をこの手で見事に圧縮し潰して……)

そう言って、彼は1-Aの教室まで意外とゆっくりと歩を進める。歩きながら八城は彼女が望むと言うその日常を遠くから眺める。その日常は僅かに香る中華料理の匂いでこの廊下に染み付かせていた。そして同時にたまたま正面から歩いていた一般客の腕を静かに左腕で掴んで窓の外まで動かし、右腕を喉元に当てまず一人圧縮させ腕と喉を内部崩壊させる。喉を崩壊させた事で一般客の声は一切出ない。

「最低一人は犠牲にしなければならないからな。……恨むなら、この階に来てしまった中百舌を恨むんだな。後、この場を動いたら頭を潰す」

そう言い残し、彼女の望む錆び付いた日常の一部を圧縮する。

(中百舌のせいで日常が次々と救えずに死滅していく……。まさに無力な災害。誰かを救える力は無いのに誰かを苦しめる力は其処に存在してしまう)

そう考え、狂気に満ちたカラス面は血の匂いを漂わせながら楽しげな屋台に一歩一歩近づく。

>>(中百舌鳥舎人)様、周辺ALL

6日前 No.410

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 宝嵐玉 / 異能科・1年A組 】
【 中百舌鳥舎人 / 異能科・1年A組→普通科・庭園 】

 やはり異能科には平和な日など一日も無いということだろうか。調理の最中どこからともなく漂ってきた血の香りに、やや面倒臭そうな表情を浮かべる嵐玉。離れた場所で無料の水をずずっと啜りながら同じく眉をしかめる舎人。他にも血の匂いに気付いた敏感な何人かがちょっとザワつきだしたが、誰も廊下に出ようとはしていない。当たり前だ。その血の匂いが廊下から香ってくるのに、このタイミングでわざわざ自ら外に飛び出すなど自殺行為でしかない。ゆえに気弱な者は逃げようとするのではなく、あえて教室の端に寄ったり、身体能力にそれなりの自信のある者は早々に扉ではなく窓から飛び降りることで戦線離脱を決めていた。そして舎人は『身体能力にそれなりの自信のある者』に含まれる。ギリギリで調理が間に合った注文の品を片手で受け取り、金を直接嵐玉のズボンのポケットにねじ込んでから、窓枠に足をかけ躊躇いなくフライアウェイ。高さが3階だから着地に失敗しても死にはしないだろうが、できることなら怪我もしたくないので気を付けて着地すれば見事に成功した。残念ながら紙コップに入った烏龍茶は結構こぼれたが、半分は残っているので判定セーフ扱いとしよう。それを一気飲みして傍にあるゴミ箱に紙コップを放り捨て、割り箸でトレイ入りの中華料理を口に運びながらスタートダッシュして普通科の方向に駆けて行く舎人。完全に逃げ切りを目指している。襲撃者に心当たりが無くはないが、その心当たりが戦うと面倒臭い奴なので関わりたくない。そんなスタンスなのだろう。真顔で中華料理を食べながら物凄い勢いで走ってくるアリスコスプレの女は道行く人々にだいぶジロジロ見られていたが、むしろ異能科よりも普通科に近付くにつれて変な恰好の奴が多くなってきたので、途中から視線は気にならなくなった。
 所戻って1年A組。危機に慣れた異能科の生徒たちはそれぞれがそれぞれなりにアクシデントの予感に対応したものの、外からやって来た一般客たちはザワつくだけで席から立とうともしていない。顔を見合わせて笑い合っているか、スマートフォン片手にSNSでも覗いているような連中ばかり。要するに平和ボケしている。それに比べれば異能科の生徒は例え戦闘に向いていない能力者でも警戒心を持っているから、改めて異能科の日常がどれだけ血腥いか分かるというもの。そりゃそうだ。なにせここ数ヶ月で数十人、下手をしたら百人近くの生徒がご臨終している。そんな学校に通っていれば嫌でも危機感は身に付く。そして普通科の生徒はそもそも異能科の校舎にいない。生徒会から祭の期間中でも異能科の敷地内には入らないようにと通達を受けているからだ。

「誰がやらかしたと思う?」
「これまでの感じからすると、ディザスターか生徒会のどっちかだろ」
「まあそうだろうなー」
「血の匂い、こんなに濃いってことは流してる人たぶん死んでるわよね」
「ねー。殺られたのクラスメイトだったらどうしよ。あ、でも今日だと一般客もいるからそっちの可能性あるかぁ」
「どーすっかなー。良い感じの着地できる自信ないけど、入って来た奴のヤバさによってはもう怪我覚悟で飛び降りたほうが良いかなー」
「そこのカーテン繋いでロープでも作るー?」
「あ、俺手から超強力な接着剤を出す能力持ってる。ロープ作るなら手伝うぞ」
「マジ? でもお前のその能力、オンオフ効くならスパイダーマンみたく壁伝って降りたほうがロープ作るより早くね?」
「一緒に来てたクラスメイト、気付いたら消えてるんだけど。あいつテレポーターだっけ?」
「いや、確か特定の物と自分の位置を入れ替える能力じゃなかったか? ほら、そこに見覚えのないスチール缶転がってんじゃん。たぶんそれと自分の場所を入れ替えたんだろうぜ」
「ってことは下かー。あ、いたいた。おーい、××さーん! クラスメイトのよしみでアタシも逃がしてくんなーい?」

 教室の端でワイワイガヤガヤ話し合う異能科の生徒たち。相変わらず席に座ったまま微塵の危機感も抱けていない一般客たち。嵐玉はというと商売が台無しになる雰囲気にテンションを下げながら「はあ」と小さく溜息を吐き、ガスコンロの火を切ると凄く面倒臭そうな目付きで出入り口に視線を向けている。まったく、どこの誰だか知らないがせっかくの絶品中華料理が血の香りで台無しだ。料理は衛生観念が大事なのだから、人殺しならもっと食品と関係ない屋台が出店しているところでやってくれ。

>日陰蝶瑞穂様&(八城修様)&ALL様

5日前 No.411

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【花丸山望 / 普通科・グラウンド→移動】

今は電話出られないのかな、と思いながらも相手を待っていると、思ったよりも早く相手が出た。望は何かないと電話をかけない人間なので、何かがあったことは察しているっぽい。ありがたい。しかし、どう説明したものか。正直、望も自分に今何が起きているのか説明してもらいたいぐらいだ。
相変わらず無表情のまま、心の中ではすごく困りながら、ため息をついて、とりあえず自分にもわかることを説明しようと試みる。

「えっと……いま、檜木さんに会ってて、一緒に九十九学園を守ろう、って言われた。檜木さんが、浪漫のことも探してたから、とりあえず会った方がいいと思って…いま、何処にいる? そっちに行くから」

自分で言っててやっぱりよくわからない。電話で説明しきれる気がしないので、とにかく面と向かって話したかった。顔を見た方がもう少しわかりやすく説明できそうだ。檜木さん本人もいるし。電話の向こうから祭囃子は聞こえてこないので、浪漫はグラウンドにはいないだろう。なので、とりあえず校舎のほうへ足を進める。
移動するのでついてきてください、と言おうと思い真琴の方を見ようとすると、わたあめが食べられた。「あっ」という声が漏れる。まぁ、わたあめが特別好きなわけではなく雰囲気で買っただけだから構わないので、真顔で真琴を見つめるだけだ。これがわらびもちだったらキレてた。
ちなみに。真琴は望を仲間だと思ったり学園を守ることの乗り気だと思ったりしているかもしれないが、全く以ってそんなことはない。真琴のことを敵と思っているわけではないのだが、だからといって仲間だとは思えない。知り合いというのが妥当だろう。仲間というのはあることを一緒になってする仲間だ。真琴にとってはこれから九十九学園を守っていく仲間だとしても、望にとってはそれはただの押し付けなのだ。まぁ明確に拒否を表していないので、勘違いされても仕方がないといえば仕方がない。勿論だが、学園を守る気もない。守らないでこのまま壊れていくのを見ていたいのかと言われればそういうわけではないけれど、生徒会とディザスターの間に入ってその2つからこの学園を積極的に守っていこうとは思えない。あの争いごとに首を突っ込むのは、弱い望にとっては死を意味する。誰だって死にたくはない。

「……踊りません。浪漫のとこいきますよ」

盆踊りっぽい動きをしだした真琴に、表情を変えずにそういうと、グラウンドを出ようと歩き出す。スマホに耳を当てたまま喋ったので、たぶん浪漫にも聞こえてしまっただろう、ということに後から気付き、「ごめん、こっちの話」と浪漫に言った。

>>序ノ舞浪漫さま、檜木真琴さま、周辺all

5日前 No.412

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 序ノ舞浪漫 / 異能科・一階廊下 】

 溜息の後に友人の口から出た名前に、うげっとばかりに顔をしかめて心中で舌打ちする浪漫。檜木。檜木真琴。その名前を冠する人物は決して浪漫にとって好印象ではない。人の話を殆ど聞かないくせに自分の話は人に聞いて貰えて当たり前だと思い込んでおり、初めて訪ねた男の部屋を好き勝手に荒らすことに何の申し訳なさも滲ませない常識の無い女――先日の嵐玉の部屋での一件からそう判断したからだ。まさかの女が望と一緒にいるなんて。できることなら今すぐにでも離れて欲しい。一緒にいたらトラブルに巻き込まれるに決まっている。いや、それ以前にその女こそがトラブルを起こす可能性のほうが高い。完全に真琴へのイメージが悪い方向に固定されてしまっている浪漫であった。

「この私はその女と会わないし、おもちちゃんも今すぐ離れたほうが良いわ。わらび餅持ってる? 持ってるなら能力発動させてその女から逃げて、この私と異能科の体育館辺りで落ち合いましょう。持ってないなら……仕方ないからこの私が届けるけど、食べたらやっぱりすぐに能力発動して逃げて。この私もすぐに逃げるわ。そしてやっぱり異能科の体育館で後から合流しましょう」

 一緒に九十九学園を守ろうと言われた、という発言内容から完全に警戒態勢に入っている浪漫は、真琴が何かとんでもなく面倒臭いことに自分や友人たちを巻き込むつもりだと判断し強く撤退を勧める。自分はそっちに行きたくないが、望にそこにいて欲しくも無い。だから真琴を振り切って自分たちだけで合流しようと提案したが……そういえば、あの女の能力はどのような代物だったか。内容次第では望一人での逃げ切りは難しいかもしれない。その場合はもちろん友人のために浪漫も手を貸すが、会わずに済むなら会いたくない女なのだ、浪漫にとっての檜木真琴は。
 何の話を持ちかけてくるつもりか知らないが、どうせその話にこちらがなんと答えようと、聞いた時点でこちらも向こうに賛成していると思い込まれて強制的に巻き込まれるに決まっている。平穏に生きていたいならば、えてしてそういう生き物とは距離を置くべきだ。浪漫は己があまり普通ではないことを自覚しているが、それでも真琴ほどにトラブルメイカーではない。だからとてもじゃないが真琴とお近づきになりたいとは思わないのだ。大体、彼女も生徒会に所属するならそちらで仲間を探せば良いものを。どうしてわざわざ一般生徒の自分や望に手を伸ばしてくるのだろう。勘弁してくれ。自分も望も、血腥いのは好きじゃないのだ。それよりも和菓子や洋菓子の甘い香りが好きなのに。

>(花丸山望様)&ALL様

5日前 No.413

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【鈴蛙鈴鹿&一番/理事長室前】
【亜門・ギネルーク・龍牙/異能科・廊下→理事長室前】

祭囃子が窓に写りそうな夜の中、理事長室前の光が照らされていない廊下で一番は鈴蛙が繰り出す渾身の突きに対して、鱗まみれの左腕を籠手代わりにして確実にダメージが通らない様にガードを施す。しかし鈴蛙の突きは一番の腕を確実に貫通させ、彼女は足で一番を押し込みながら刀を引っこ抜く。ただし同様に彼女の左腕も同じ様な傷を受けてしまう。それでもダメージを受けた一番はこの状況で窓の方を眺め、手に届きそうな天蓋に似た曇天と目の前の狂的に無表情を届けていく。

「カウントダウンは……決して止まらない」

そう言って大声を叫ぶと突如としてグラウンド上が真っ暗に変わり、あるアナウンスを九十九学園に響いていく。

「只今より、花火大会を開始します。中央部分には決して近づかないで下さい。またグラウンド上の証明を消灯しましたので足元にご注意ください」

しかし鈴蛙は呑気に花火大会を眺める余裕は何処にも無かった。暗闇の中でも分かる程に目の前の警官は人間の形から大きく外れていた。彼女から見えるは銀色に煌めく龍の頭。そして首からは蛇の様に伸びるかつて口から出していたエネルギー波と紅蓮の炎が渦巻いてエネルギー波と途轍もなく長い尾を巻きながら混合して発光する。鈴蛙が暫く蛇の様な化物のシルエットに刀で冷静に構えていると、グラウンド上にて観客達がカウントダウンを一斉に大声で開始し始める。やがてその声がゼロを告げる時、一番は静かに彼女に囁くように伝える。

「……タイムオーバー。時間切れだ」

それを称える様に天蓋を崩壊させるかの如く、やけに音域が高い口笛が窓ガラスを叩き割る様に輝いていき、やがてそれは爆音と共に美しく気高くそれでいて力強い真っ赤な花火を深海の様な夜と目の前の化物に反射して色づける。そして反射して見えたその化物の姿に鈴蛙は最大限警戒する。彼女が見た化物の姿は完全体とも言える龍であった。花火の様に気高くそれでいて力強さを伴う彼は鈴蛙を殺さない程度の威力で彼女の元へ炎とエネルギー波で包まれた尾を鞭の様に撓らせ攻撃を仕掛けていく。鈴蛙はその尾を斬ってしまうとするが尾はエネルギー体なので斬る事は不可能。例えエネルギー体を斬れたとしても一番にダメージは皆無。ただし鈴蛙は一切逃げず、せめてカウンターで眼球を突こうと刀を龍の目玉に向ける。
しかし突如として糸で出来た龍の様な生物が鈴蛙を守る様に現れ、エネルギー体の龍の攻撃を守って行く。しかしが糸で出来た龍はその形を維持出来ずに崩れていく。
鈴蛙は糸を出した人物に心当たりがあるのか、冷酷な表情を見せながら糸が出て来た方向へ刀を警戒しながら構える。そして構えた方向には明らかに

「亜門か、何のつもりだ?この場に乗じて余をぶち殺そうと言う腹積もりか?」
「これでも俺も少しは生徒会の役に立てられるかなって思っただけだ……」
「麻薬漬けで犯罪塗れの汚い手のぬしの言葉を信用しろと?」
「……でも、俺は此処で、九十九学園で更生したんだ……」
「だからどうした?どう足掻こうがぬしの言葉等、信用出来る訳無かろう」

そんな事を言いながら二人は争っていると龍と変貌した一番は口から拡散されたエネルギー波を廊下全体に発射させる。

>>周辺ALL


【雑で唐突ですがこのレスを持って花火大会をグラウンド上で開始します。サブ記事にも花火大会について書いておきます】

5日前 No.414

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【檜木真琴/ 普通科・グラウンド→移動】

花丸山が序ノ舞に連絡を行っている間、檜木は暇だったので踊りながら近くのお面を売っている屋台に向かう。店主からしても祭り気分でもまさか適当なオリジナル盆踊りを踊りながらとりあえずヒーローのお面を七人分購入するなんて思っていないだろう。彼女はただヒーローの仮面を被るだけではつまらないと演劇部にでも行って色んなコスプレを行く事を勝手に決断する。すると、いつ花丸山が自分と踊りを行うかと待っていたが彼女は勝手にグラウンドを出ようと歩き出す。しょうがないので彼女も花丸山の後を追って行く。すると、突如として周りが真っ暗になってしまう。生徒会かディザスターの襲撃だと考えた彼女はとりあえず花丸山の生存を確認する。折角のツクモレンジャーの一員をこの場で死なせる訳にはいかない。すると、花火大会のアナウンスがグラウンド中に響き一息ついて安心する。もう、矢野島の様な人物を出すなんて御免だ。

「花火大会だって。ちょっとちょっと!」

しかも花火と聞いて今まででも十分高いテンションが俄然、さらにテンションが天に昇る様に高まって行く。それだけに今日は浴衣を着ておくべきだったと非常に後悔する。そう感じながらも真っ赤な花火に向かって「たまやー」等と騒ぎ立て、花丸山を確かめながら花火を眺める。

「来年は卒業して高校生じゃないけど皆と此処に行きたいな」

そう笑って花火越しに感じる未来に対して大切な思いを寄せる。ちなみに皆とは彼女の頭の中で既に結成されている第三陣営(仮)のメンバーと矢野島と自身の友達。

「花丸山もそう思うでしょ。そうだと言いなさい!」

>>花丸山望様、周辺ALL

5日前 No.415

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【花丸山望 / 普通科・グラウンド→移動】

自分は真琴に会わない、望も能力を使って逃げろ、異能科の体育館で会おう。浪漫は望の言葉を聞くと、そう言い放った。完全に警戒している。好ましくない状態を予知して用心している。そして、その良くない事から望も救ってくれようとしている。いつも口調と気の強い浪漫だが、今日はいつも以上に強い気がする。お願いだから逃げて今すぐ逃げて早く逃げて、という焦りが滲んでいる気がした。

「う、うん、わかった。できるだけはやく体育館のほうにいけるようにがんばる。じゃあ、またあとで」

逃げるには両手が塞がっていると不便だ。片手にわたあめ、もう片手にスマホというのは、逃げることにはとても向いていない。という理由で、浪漫との電話を切り、鞄にスマホを入れる。
そんなこと言わないで会ってあげて、なんていう優しさは望には無かった。これが逆なら、浪漫が真琴に会いたがっていたならそう言っていたが、信頼している友人が逃げろと言うのだ。逃げるしかないだろう。
ということで、鞄に入ったわらびもちを取り出そうとすると、辺りが一気に暗くなる。真っ暗だ。何事かと警戒したが、すぐにアナウンスがかかった。チャンスだと思い、望は暗い中でわらびもちをひとつ口にする。今日は抹茶味。味わいたいところを我慢して早々と飲み込むと、花火が上がる。真琴の方を見ると、やけにテンションが上がっていた。周りが見えない今のうちなら、と思ったが、チラチラと時折こっちを見ながら花火を楽しんでいる。次に花火を見た隙に能力を使って逃げ出そう。そう思っていると、真琴が何やら語り出す。来年は皆と此処に来たい。『皆』というのは自分と浪漫やその他の方々も含まれているのだろうか。なんて思っていると、そう思うでしょ、と聞いた後に、そうだと言いなさい、と命令された。

「……思いません。わたしの思いを、勝手にきめないでください!」

これは答えて納得するまで花火を見ないな。そう判断し、相手の予想外であろう行動に出る。つまり、望では本当に珍しく、反論した。しかも普段のほわほわした穏やかな雰囲気の無表情とは一転、ムッとしたような表情を浮かべ、声を荒げ。本当にムカついたのかと言われれば、実はそうでもないのだが、浪漫に逃げろと言われたので、多分この人は関わってはいけない人だ。だから自分からちゃんと拒まなくちゃ、と思っての行動である。
そうして相手が次の言葉を出す前に驚いている間に、能力を発動させる。自分の存在という周囲からの認識を、極限にまで薄くする。それが望の能力だ。今は、望の姿はきっと、誰の目にもうつっていない。透明人間ではないのでジッと目を凝らせば見つけられるかもしれないが、とにかく陰が薄いのできっと見つけられない。能力を発動してすぐ、真琴の様子は確認しないで、花火を見るために立ち止まっている人混みの中を、当たらないように走って進んでいく。人肌に触れると能力が解除されてしまうので、できればこのままバレないで行きたい。

>>序ノ舞浪漫さま、檜木真琴さま、周辺allさま

【どんどん逃げてますが、真琴ちゃん追いかけても追いかけられなくてもどっちでも大丈夫です!】

4日前 No.416

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 序ノ舞浪漫 / 異能科・一階廊下→体育館の出入り口 】

「……どうか無事に逃げ切って頂戴ね、おもちちゃん」

 切れたばかりのスマートフォンに向かって真剣なトーンでそう呟いた後、今の今までスマホを持ってくれていた男子生徒にお礼を述べてポケットになおして貰う。ついでとばかりに両腕に大量に通していたビニール袋を彼に押し付けて、三千円でこれを女子寮の自分の部屋の前まで運んで欲しいと依頼してみる。男子生徒は突然のお願いに目をパチクリさせていたものの、金欠だったのか本当に三千円を渡した段階で快く頷いてくれた。ごねられれば一万円までは値上げしても良かったが、できるだけ出費はしたくないので三千円で受けて貰えて有り難い。浪漫の部屋がある階を教えて、自分の代わりに買い回ったスイーツを持って行ってくれることになった男子生徒を見送る。運んで貰うのを全部ではなく8割くらいにしたのは、ひょっとしたらまた厄介な戦いに巻き込まれることがあるかもしれないからだ。浪漫の能力にお菓子は必要不可欠。
 体育館に向かうため、一階廊下から校舎の外へと躍り出る。何故か三階にある自分たちの教室から飛び降りて着地を決めている生徒が何人もいたのは多少気になったが、今はそちらに木を取られている場合ではない。知らない誰かが巻き込まれているアクシデントよりも、見知った友人が巻き込まれるかもしれないアクシデントのほうが優先順位が高いのは当然のこと。ゆえにこちらにまで飛び火してこない内にさっさと校舎周辺からも離れる。人が多くて多少の手間取りはあったものの、大して時間もかからず体育館の傍に辿り着いた。望は普通科にいたのだから、まだこちらに到着してはいないだろう。あえて中に入らず出入り口の辺りで彼女を待つ。こっちのほうが幾らか見つけやすいはず。
 普通科のほうでは花火が上がっている。友人が難儀な女に絡まれている事実を知らなければもう少し楽しい心持ちで眺められたかもしれないが、さすがに今の状況では素直に歓声を上げる気にもならない。……望は無事にここまで来られるだろうか。生徒会の連中と揉めたくはないけれど、いざとなったら望のために役員の彼女と一戦交える覚悟くらいはとうに決めている。ビニール袋の中から取り出したどんぐり飴を口に含み、それを舌先で転がしながら甘味で脳を落ちつけようとしてみた。十個で三百円。昔から屋台の人気者である色取り取りの大きなどんぐり飴たちは、こんな状況でも変わらぬ美味しさで浪漫の精神に安らぎをもたらしてくれる。どんぐり飴に限らず、飴やチョコのような小さなお菓子は持ち歩きやすく武器として使う機会も多いから、そういう意味でも有り難い存在だ。

>(花丸山望様)&ALL様

4日前 No.417

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【檜木真琴/ 普通科・グラウンド→移動】

「……思いません。わたしの思いを、勝手にきめないでください!」

花丸山から出たその予想外の言葉に檜木は頭が真っ白になって放心状態に近い状態できょとんとしていた。

「な、何よ……急に。どうしたの?」

怒りに似た、それとも花丸山が急に態度を変えた為動揺してしまったのか、それはきっと誰にも分からない。ただ人混みに押し潰されながら、祝福するかのように空中で煌めいた花火の下、彼女は消えた。檜木は矢野島の事を思い出しまた自分が誰かを傷つけたと思い座り込み、頭を抱え始めたと思ったら一瞬にして何故か開き直る。矢野島は明らかに自分が悪いけど、花丸山については自分の責任はないはずだと無意味なガッツポーズを行う。ならば、彼女は急に叫んだと思えば逃げてしまったのだろうか。何か用事があれば言えば良いのに。いや、恐らく花丸山は今にもトイレにでも行きたかったのだろう。等と考えては気にせず花火を見て「たまやー」と叫び倒す。確か、トイレはグラウンド上にこの為に設立した寮や学園にも負けない豪華なホテルの様なトイレが外に置かれていた事を思い出す。何だか、金の使い道を間違えている気もするが其処は気にしない。
それにしても花火自体も多くの資金が使われているのだろうと一瞬で理解出来る程に花火の量が異常。しかも現在、流行している様々な音楽に合わせて花火が美しく打ち上げられる。蝉が鳴き疲れる程の暑さの中、人々は団扇を扇ぎ、楽しげに上を見上げては打ち上げ花火を眺め夏の風物詩を感じ取る。そして彼女はこの夜を抱きながら、誰にも見せた事の無いどこか儚い表情を見せる。

「……」

>>(花丸山望)様、周辺ALL


【絡みありがとうございました!また絡めたら嬉しいです!】

3日前 No.418

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【永倉巳鶴&月東雛子/普通科・庭園→ピロティ】
【二番/グラウンド→ピロティ】

明らかに永倉の精神状態から病院にでも運ぶべきなのだろうが、彼の場合は病院さえも信じられないで暴れてしまう可能性が示唆されるので月東はこのまま背負っておく事を決意する。彼女もきっと傍から見れば頭が薬物等でぶっ飛んだ人だと思われていただろうがそんな中、ハンカチを出してくれた普通科の生徒とその友達らしき二人に頭をぎこちなく下げてペースも自分と合わせてくれる普通科の関係者に感謝しながら歩いていく。
そして連れ出された場所はピロティ。月東はピロティなんて単語は小学校で聞いた以来で何だか懐かしく感じながら、ゆっくり優しく永倉をピロティに座らせる。また誘導棒で案内してくれた女性は柱に寄りかかりながらミネラルウォーターのミニボトル二本を弧を描きながら投げ渡してくれる。月東にとっては非常にありがたいが、感情を失った様に虚無の表情をした永倉は恐らく飲む気力さえ湧いていないであろう。
すると、案内してくれた女性から発された言葉は彼女達にとってとても大きな衝撃を受ける。それは普通科の生徒達は既に異能科の存在と異能力の存在を知っていたと言う事であった。とはいえ、正式に学園から報告された訳では無く、異能科の誰かが普通科に襲撃を行った事により認知したらしい。もし月東達が同じ様な状況に立っていたのなら、直ぐに転校でも欠席でも何らかの行動は取っていたであろう。この学園ではそんな事はあり得ないのだろうが。
しかし異能科の影響が普通科まで出ていた等、正直怒りを覚える程に苛立っていた。ディザスターや生徒会は何人の無関係な人を殺し回ったら、気が済むのだろうか。逆によくその状態で自分達と話を設けてくれたのかと目の前の女性には本当に感謝しきれない。そんな事を考えると、その女性は協力の代わりに取引を持ちかける。ただ、彼女にそんなお礼が出来る程の何かを持ってはいない。永倉が確か全てを無害にする能力だか、治癒能力だか結構役に立つ能力だかを持っていたはずだがこの状態では恐らく無理であろう。
折角のチャンスが掴めない事に慌て、戸惑い、自身の思想をフル回転させ普通科の為に協力出来るかを必死に考える。そして彼女はある一つの結論に至り、その事を笑顔で彼女に提案しようとすると、突如として彼女の視界は真っ暗へ変わり、そして花火大会を告げるアナウンスが学園中に響き渡る。どうやら花火がこの学園に打ち上げられるらしい。そして月東は静かに雲が覆う真っ黒な空を見上げる。やがて観客達の叫び声により始まるカウントダウン。そんなカウントダウンの中に月東は普通科の関係者に聞こえるか聞こえないかの言葉で呟いていく。

「……今の状態じゃ難しいかもしれませんが何年越しでも良いので私はなるべく普通科と異能科、どちらもがこの九十九学園を守――

何かを語ろうとしていた月東はカウントダウンと共に花火が打ち上げられるのと同時に腹から血を流して倒れていく。やがて花火によってピロティに照らされるは月東の涙。
そして人々が美しき花火に夢中に見ている際に、ピロティに深くキャップを被った男性は永倉と普通科の関係者にデリンジャーを静かに向ける。その男性は首元に数字の2が彫られておりその2をよく見てみると様々な表記で細かく重ねながら2が羅列されていた。

「……悪いねぇ。まあ、これも全ては異能力の普及の為に犠牲になると思って死んでくれよ。別に俺は普通科以外に迷惑かけるつもり無いんだからさぁ……」

そう言って、煽った後、精悍な顔つきでデリンジャーを花火の音に合わせて永倉と普通科の関係者の方に向けて撃っていく。

>>一尺八寸山的様、周辺ALL


【ちなみに二番の仕事は夏祭りに来ていた国の関係者の雇われボディガードです】

3日前 No.419

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 一尺八寸山的 / 普通科・ピロティ 】

 三つ編みの女子生徒がこちらの質問に答えるのを待ちながらミネラルウォーターを一口飲む。黒髪の少年のほうは相変わらず自意識がはっきりしていない様子で、渡したは良いものの、あれでは水を飲むにも飲ませるにも一苦労だろう。ここにいたのが的ではなく保健委員長なら嬉々として世話を焼くであろう少年の様子も、けれど的にとっては喜ばしいものではない。さっさと立ち直ってくれないだろうか。このまま何分たっても自我を取り戻さないようなら、ショック療法に力加減したデコピンでもかまそう。的のなるべく優しくしたデコピンは、喰らってみれば残念ながら全く優しい威力ではない。
 しばらく無言の時間が続く。そうこうしている内に、予定通りに色々な場所の電気が消えて空に花火が打ち上がりだした。一般生徒なら驚いたかもしれないが、的は風紀委員長としてこのことを生徒会長から知らされていたので特に驚きはしない。聞こえてくるカウントダウンの声はとても楽しそうで、普通科の皆が楽しんでくれているようで何よりと頬を緩めた。妙な事件を起こそうとする者さえいないのなら、この夏祭りという提案も的にとって悪いものではないのだ。ただ残念ながら、どうせ変なことをする奴は出てくるんだろうな、という想いは拭いきれなくて。案の定いきなり現れた謎の男に視線をやりながら、的はゆるく溜息を吐いた。
 的は知らないことだが、彼女の鍛えれば鍛えるほど際限なく強くなれる能力は視力にだって反映されている。つまるところ、いくら暗闇と言えども男の登場を見逃すようなヘマはしてやれない。男はきっと自らのデリンジャーから放った弾丸が茶髪の少女を殺害したと思い込んでいるだろうが、その弾丸が彼女の身体を抉る寸前、足元の小石を蹴り飛ばして弾丸の軌道を逸らしたのは的だ。ゆえに彼女は死んでいない。小石をとんでもないスピードで蹴り飛ばしたためにそのソニックブームじみた何かでうっかり彼女の腹を裂いてしまったが、それにしたって一、二時間ほど放置していても死なないような怪我だ。少なくとも弾丸を直に喰らうよりは彼女にとってもマシだろう。

「的的にはー、貴方すっごく性格が悪そうー」

 煽りのつもりで言った相手とは対照的に、『そう感じたからそう口にした』といった風情で小さく呟く的。デリンジャーを向けられても焦る様子など微塵も無い。申し訳ないが弾丸なんぞ歯で受け止められる。さながら少年漫画のパワータイプキャラのごとく。けれど相手の能力が弾丸に触った相手に何かしらの異常を起こすようなものだと面倒臭いので、あえて歯では受け止めず、張り込み中の刑事が着ていそうだとよく言われる飾り気のないコートをひらめかせる。赤い布を追いかける闘牛のごとくコートの中に飛び込んできた弾丸は、けれど強靭な防弾繊維や防刃繊維で編まれたそれに穴を空けることなく、あっさりと地面に叩き落とされた。
 黒髪の少年に打ち込まれたほうはというと、これも心配ご無用。いつの間にかピロティの床から生えて来ていた防弾シールドが謎の男と黒髪の少年との間に割って入り、少年に一切の傷を付けることなく全ての弾丸を受け止めている。やはり自分達で施設を一新しておいて良かった。こういう時に金鳥の仕掛けによる手助けは便利極まりない。負傷した茶髪の少女は男の視線が的と黒髪の少年に向いた一瞬の隙を突き、これまた壁から密かに登場していた金鳥の高速機動ロボットが回収済みである。今頃、安全な場所で医療用ロボットか保健委員長による手当でも受けていることだろう。同時に、普通科・異能科を問わず敷地内中に大きなアナウンスが響き渡る。

『――普通科のピロティにおいて、普通科と異能科の生徒や教師として登録されていない、銃器を所持した謎の人物が異能科の生徒に傷を付けました。繰り返します。普通科のピロティにおいて、普通科と異能科の生徒や教師として登録されていない、銃器を所持した謎の人物が異能科の生徒に傷を付けました。近くにいる皆様は急いで避難して下さい――』

 このピロティにももちろん監視カメラは設置されており、当然、五加や金鳥が選りすぐって設置したカメラは暗闇ごときで映像を録画できなくなるようなポンコツではない。ゆえにこの事態に気付いた五加が放送委員会に指示を出し、このアナウンスが早々に流れ出したのだろう。音量は花火の打ち上げ音に絶対に負けない特大ボリューム。耳栓をしている者がいたってこのアナウンスは当たり前に聞こえるはずだ。
 しかしまあ、何も起こらないとは最初から思っていなかったものの……それでもいざ何かが起こると、やはり面倒臭いものである。大体、普通科と異能科が合同で祭をやっている時に問題を起こすという時点で、迷惑は普通科だけでなく異能科にもかかるということが分からないのだろうか。第一声から既に知能が低そうなんて、ますます相手するのが面倒臭い男だ。容姿からして的より年上だろうに。

「的的にはー、『死んでくれ』なんて無茶なお願い聞いて欲しいならー、せめて裸で三回まわってワンした後に靴を舐めるくらいはするべきー。それでも死んであげられないけどー」

 平時と変わらぬ緩い口調でそう言いつつ、いつの間にやらおんぶしていた黒髪の少年を別のロボットに預け安全な場所まで運んで貰う的。同時に警備システムの“ほんの一部”が作動し、天井や壁や柱からは音もなくいくつも銃口のようなものが突き出ていた。それら全てが謎の男と、男がいる位置から半径5m四方を埋め尽くす形で弾丸の雨を降らせる。実弾ではなく麻酔弾だ。ただし普通の麻酔弾ではない。少しでも掠ればアフリカゾウだって一晩中ぐっすりの、とんでもなく強力な麻酔弾。そして黒髪の少年がピロティから運び出された後で、ピロティの出口を塞ぐ形で上からシャッターが降ってきて、男の逃げ場を完全に無くす。このシャッターは核シェルターにも採用されている素材で作られた素晴らしく頑丈なものだ。場は完全な暗闇。何の光源もありはしない完全な夜。的には何の支障も無いが、果たして謎の男にとってはどうだろうか。

>永倉巳鶴様&月東雛子様&二番様&ALL様

3日前 No.420

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【花丸山望 / 普通科・グラウンド→異能科・体育館の出入り口】

どうやら真琴は追いかけてきていないようだ。ある程度離れてから立ち止まってホッと息を吐き、だがしかし彼女がもしかしたら物凄く目が良いかもしれないので、人に当たらないようにしながら再び歩き出す。グラウンドの端まで来ると、人もだいぶ減ってきた。あともう少しで異能科の敷地だし、と少し油断したとき。ドンッ、と人とぶつかった。そのことにより、望の能力は解除され、存在感は元の濃さに戻る。ぶつかった相手は、一般客のカップルの男性。望の方を見て「うおっ!?」と情けない声をあげて目を瞠っている。そりゃそうだ。誰もいないと思っていたところから女の子が現れたのだから。男が固まっていると、女の方が口を開く。「まぁくん、どうしたのぉ?」「あ、いや…女の子にぶつかっちゃって」「もう、気を付けてよぉ?」「あ、あぁ、ごめんな。いるのに気付けなくて…」「なにそれぇ」と、イチャイチャしながら屋台のある方へ歩いて行った。まぁ、別に透明人間になっていたのではなく存在感が薄くなっていただけなので、実際に「そこにいたことに気付けなかった」だけなので、あの男もそこまで気にすることはない。
もういいかな、と思い、能力を再び発動することはなく、走って異能科の敷地に入り、そのまま体育館の方へ駆けていく。

「浪漫! おそくなってごめん。でも、檜木さんはたぶんおいかけてきてないから…」

体育館の出入り口前で立っていた、セーラーロリィタに身を包んだ少女に声をかけた。

>>序ノ舞浪漫さま、allさま

3日前 No.421

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 序ノ舞浪漫 / 異能科・体育館の出入り口 】

 しばらくどんくり飴を舐めながら花火を見上げて時間を潰していれば、遠くのほうからこちらに駆けてくる友人の姿が見えた。彼女の背後に視線を向けるも、どうやら誰かが追ってきている様子はない。良かった。上手く逃げられたのか。ほっと安堵の溜息を吐き、望に向かって軽く手を振る。いざとなったら真琴を振り切るために彼女と戦う覚悟くらい決めていたけれど、戦わずに済むならそれに越したことはない。

「無事で何よりだわ、おもちちゃん。怪我は大丈夫かし――」

 ――ら、と続けようとしたところで。いきなりスピーカーから聞こえてくるとんでもない音量の放送。花火の打ち上げ音さえ凌駕して過剰なまでに耳に届いたその内容に、浪漫は一難去ってまた一難か、と眉根を寄せて舌打ちした。普通科で銃器を持って暴れている奴が出たらしい。さっきは教室から飛び降りている者が複数いたりしたし、やはり普段から暴れている連中というのはこういうイベントの最中でも大人しく出来ないもののようだ。いっそのこと、いつかのプールの時と同じようにさっさと女子寮に避難するべきだろうか。そんな考えが脳裏をよぎった。潔癖症のドリスなんかは最初からこの人込みを嫌がって女子寮に引きこもっているだろうし、この祭は授業じゃないのだから、参加しなかったところで何かしらのペナルティが発生したりはしない。たぶん一般人の前に出したら大騒ぎになってしまう聚楽なんかも最初から不参加だろう。ならば自分達も不参加に転じたところで、誰にも文句は付けさせない。
 そう判断した浪漫が望の手を取ろうとしたところで、普通科のほうからいきなり地鳴りのようなものが聞こえてきた。咄嗟に動きを止めてそちらに視線をやる。足元に揺れを感じないということは、きっと地震ではない。そのピロティで暴れている某かが爆発物でも持ち込んでいたのかもしれない……という考えは、けれど空に勢いよく飛び立っていた複数の飛行機のような何かが打ち消した。どうやら地鳴りの勘違いしたのは、あの複数の飛行機っぽい何かが発したエンジン音だったようだ。普通科の敷地から飛んだということは、あれは異能科ではなく普通科の誰かの持ち物と見て間違いあるまい。異能科と違って平和だと思っていた普通科にも、あんなものを用意しなければならない事情があるのか。やはり九十九学園は異能科や普通科の隔たりなく丸ごと可笑しいらしい。

「……ねぇ、おもちちゃん。今の飛行機っぽい何か、見間違えじゃなきゃ普通科の敷地から飛んで行ったわよね?」

 飛行機っぽいものがマッハもかくやの勢いで花火を背景にどこかに飛んでいき、最後には視界から消えていくのを見送りながら、小さな声でそう呟く浪漫。飛行機っぽい何かは一つだけでなく何十とどこかに飛んでいき、けれどものの五分としない内にまた花火の音だけの静かな(?)空間に戻った。浪漫は知らぬことだが、今の飛行機のような何かは飛行機ではなく異能科の例のロボット作りの天才少女が作った飛行型ロボットで、その目的は普通科の一犯生徒たちを乗せての早急な避難。けれどそんなことは知りもしない浪漫にしてみれば、また何かトラブルが起こるのかと胃が重くなるだけの光景であった。もう嫌。望を連れて普通の学校に転校したい。

>花丸山望様&ALL様

2日前 No.422

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_zI8

【日陰蝶瑞穂/異能科・1年A組】
【八城修/異能科・三階廊下→普通科・庭園】

八城が浴びながらも潜ませていた血液の臭いに反応した一部の日常は姿を変えていく。これでいかに災害がこの場に存在してしまっていると周りの日常が受け入れず危険に晒される事を血祭りに上げ思い知らせ、彼女をトラウマの様に頭に刻もうとしたがその前に当の本人は並んでいた店にて注文の品を受け取ったと思ったら即座に窓から三階から飛び込んでしまった。

「所詮は災害。日常で生きる事は不可能と言えよう。それに人はいずれ選択を行わなければならない。いつまでもこんな錆び付いた鳥籠を逃げ回って無駄と言う事だな」

一方で日陰蝶は血の匂いに嫌悪感を示す宝嵐玉にビジネスパートナー、共同経営者、せめてライン等の連絡交換を提案する。ちゃんと経営において全面的なサポートの内容についての説明や、いつでもビジネスパートナーとして契約出来る様に自身との契約書等の極めて重要で必要な書類の提示、そして自己アピールを行っていた。

「ウチならこんな素敵な屋台をこの血の匂いが香る程の治安の悪い学園や無くてアンタはんの望む場所で高級店にも負けない店舗を出す事が出来るんよ」

しかし必死に日陰蝶は宝嵐玉に懸命に説得するが血の匂いの元凶である八城が空気を読まずに普通にそれを中断して彼女に結構な借金をしてまで依頼を申し込む。また依頼内容は日陰蝶の能力による自身の肉体強化。それに対して彼女はとにかくどういった反応を示しているか知らない為、手応えは分からないがまだ宝嵐玉との交渉が途中なのでそれを邪魔する八城の話を直ぐにでも終わらせるべく要点だけ確認して隠し持っていた大量の金を破りながら窓に放り込み八城に能力を発動する。そして八城は三階から舞う大量の金と暗転とカウントダウンを終え、打ち上がった花火と共に花火の光しか見えない中、窓から跳び込み落下する。だがこの程度の高さなら今の彼に振動さえ感じる事さえ無かった。また暗転によりグラウンド上はかなり暗かったが何発も打ち上がる花火の前ではそんなに不便では無い。そして何の抵抗も無く地面に着地した八城は直後、中百舌が向かった方向へ思いっきり地面を蹴り若干飛躍していると言える程の高速移動を実施する。

「逃げれば逃げる程、お前のせいで日常が死んで行く」

そう言いながら、一瞬にして花火に夢中になっていた一般客や異能科の生徒の頭を殴って行き、花の様に美しく歪みながら次々と容易く命を粉砕する。そして普通科に近づいていくと奇妙な格好をした人物が多くなっていく。異能科の事情を何も知らない普通科はコスプレを行う程に祭りに余裕があるのかと普通科の生徒に対して圧縮させようとしたが同時に花火より大きい爆音とも言えるアナウンスが頭に響いていく。どうやら、普通科のピロティにて銃器を所持した危険人物が暴れているらしい。だが八城はそんな普通科の情報はどうでも良いとしばらく感じているとそのピロティの方向から物凄い地鳴りが轟いていく。また頭の無い死体に誰かが気付いたのか、その地鳴りにも負けない悲鳴を花火大会の夜の下で叫ぶ。
他にもエンジン音等で非常に耳障りだが恐らく彼女が向かったであろう普通科の庭園に訪れる。既に普通科はアナウンスによる避難勧告で人だけで無く、祭囃子やエンジン音、悲鳴、地鳴りの中で唯一静寂に包まれていた。これなら、誰にも見られる事無く中百舌のアリバイを無くす事が可能。

「そろそろディザスターの計画も始めておこうか」

そう言って渡嘉敷にラインで連絡して理事長の誘拐についての決行の合図を送る。

>>中百舌鳥舎人様、宝嵐玉様、周辺ALL

2日前 No.423

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 宝嵐玉 / 異能科・1年A組 】

 誰かさんの死体を片手に血の匂いをプンプンさせながら登場した男子生徒は、けれどよく分からないポエムみたいなことを呟いたかと思えば、死体を教室に放り捨て窓から飛び降り去って行った。一体、何のためにこの死体を作ってここまで腕に抱えて来たのだろう。絶対活用する機会とか無かったと思うのだが、それでもわざわざ用意してきたなら、彼は己の登場シーンの演出に凝るタイプなのかもしれない。それが悪いことだとは言わないが、持参してきたならポイ捨てせずちゃんとお持ち帰りして欲しかった。これは自分達が掃除しなければならないのだろうか。面倒臭いし、後で職員室に行って先生に片付けて貰うよう頼んで来よう。……自分が行かずとも他の生徒が行ってくれるだろうか?

「高校くらい卒業しておきたいからすぐに他に出店っていうのは無理だけど、卒業する頃になってビジネスパートナー云々をお互い覚えてたらその時はお願いするアル。LINEの交換くらいは別に良いネ」

 差し出された書類などには手を付けなかったものの、まあ好意的なほうだろうと言える返事をしつつ適当な紙にLINEのIDを書きなぐって茶髪のお嬢様に渡しておく。意外と字は達筆だ。日本語は変な訛り方をしているくせに。途中で外が暗くなったり花火が打ち上がったりしたものの、さすがに料理をやっている教室でそれをするのはヤバいという学校側の判断か、1年A組を含むいくつかの教室の電気はついたままだ。いざとなったら炎で燃え盛る中華鍋を光源にするが、それより普通に電気が付いていたほうが当然明るいので、その選択には素直に同意する。ただし警備の薄さは駄目だ。外から犯罪者を招き入れるどころか、生徒が犯罪者と化しているのに警備員も教師も駆けつけないのはどういうことなのか。最近の九十九学園の治安の悪さと来たらベネズエラだとかホンジュラス並で、教師と警備員のストライキぶりはフランス以上だ。今まで九十九学園は日本にあると思い込んでいたものの、ここまで酷いとひょっとして日本ではなかった……? みたいな気分になってくる。それでもまあ、幸か不幸か嵐玉の故郷よりは随分とマシなのだが。

「さっきの奴、八城修だよな。ディザスターの」
「今回やらかしたのは生徒会じゃなくてディザスターかあ」
「いやいや、まだ分かんねーぞ? ひょっとしたら生徒会のほうもこれから何かやらかすかもしんねーじゃん」
「元気だよなあ、あそこの両陣営」
「元気すぎて人殺しちゃうのはどうかと思うけどな」
「つーかこの可哀想なおじさんの死体、誰が処理すんの? あと完璧にブルっちまってる外来の客たちへの状況説明」
「それこそ教師の仕事だって。俺ら生徒の負担すべきことじゃねぇよ。つーか負担させるなら金払え」
「俺は金より平穏が欲しいよ。実際問題、マジでこの学園そろそろヤバいぞ。可笑しかったのは元から可笑しかったけど、最近は明らかに酷くなりすぎてる」
「だよなあ。俺自分は強いから殺されないってタカ括ってたけど、それでもこんなに人が死にまくってる学校にいんの嫌になってきたわ。いっそ転校でもすっかなぁ……」

 死体を目の前にしても吐いたり泣いたりするどころか顔色さえ悪くしていない異能科の面々は、性格が元からそうというよりは、慣れてしまったからこうなのだろう。推理ものの小説や漫画だって、連載初期の内は叫んでいたヒロインや主人公が中盤になると眉一つ動かさなかったりするものだし。良くも悪くも人は慣れるのだ。そして死体を見たのは初めてだから慣れるも何もあったもんじゃない外からの客たちは、いきなり教室に放り捨てられた死体を見て口元を抑えたり、者によってはズボンを自分の尿で濡らしたりしている。中々にめちゃくちゃな状況だ。こうなってしまっては、もう屋台に客なんぞ来ないだろう。引き上げ時だ。

「場が白けたから、もうこの中華料理の屋台閉店ってことにするヨ。手伝ってくれた奴には余りものやるアル、そうじゃない奴はさっさとここから出るヨロシ」

 場の全員に向かって、高くも低くもないいつも通りのテンションでそう宣言すれば、手伝ってくれる者と「じゃあまた明日なー」などと手を振りながら教室を出て行く者の半々に別れた。それは異能科の生徒の話で、一般客はまだ全員床にへたり込んでいる。……一体、教師や理事長はこの事件をどう隠蔽する気でいるのだろうか。被害者が一般人で目撃者にも一般人がいるとなれば、いくらなんでも学園の中だけで収めるのはあまりにも難しいだろうに。大変なのは自分じゃないから、どうでもいいと言えばどうでもいいけれど。

>日陰蝶瑞穂様&ALL様

1日前 No.424

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 中百舌鳥舎人 / 普通科・庭園→異能科・校門付近 】

 打ち上がる豪華な花火を背景に中華料理を喰いながら全力疾走するアリスコスプレの女。そんな意味の分からない存在と化していた舎人が庭園に辿り着いて最初に取った行動は、まずは口の中に入っている料理を完食してゴミをゴミ箱に捨てるという大変常識的なものだった。見た目こそ派手だし敵意を向けてくる相手には容赦ない女だが、自分から道徳的にマズい行動をとるほど落ちぶれてはいない。舎人は舎人自身のことをそう認識している。正解かどうかは、まあ、多少危ういところがあるけれども。

「面、倒臭い」

 誰に聞かせるためでもない小さな呟きは、大音量の放送や地鳴りのようなジェット音など色々なものに掻き消された。飛んで行った飛行機じみたロボット達は、状況を考えれば生徒を避難させるために飛んだものなのだろう。今までの経験で異能科の教師がそんな優しさを発揮してくれるとは思わないから、たぶん普通科サイドの用意したもの。そして普通科が用意したものなら、避難したのも普通科の生徒だけだろう。今回のイベントで異能科の生徒がまた何人か死ぬだろうという舎人の予感は、こうなってしまえばあながち間違いではない。その証拠に遠くのほうから悲鳴が聞こえて来た。
 またあのしつこい男が追いかけて来たのかと溜息をこぼし、場所を変えるために足場を強く蹴り上げる。陸上選手もかくやのスタートダッシュで、相手に追い着かれる前に辿り着いたのは異能科の校門付近。開きっぱなしのそこで屯している警察官の一人に、まあこの状況を長らく放置していたなら無駄だろうと思いつつも一応声をかけておく。それとも案外、この警察官が理事長の差し金なら、自分の敵とも言えるディザスター関連の出来事には意外と精力的に働いてくれたりするのだろうか。なら嬉しいが、高望みはしない。

「八城修……異能科の男子生徒でディザスターの一、員。が人、を殺した……外から来。た一般人を。伝えるだけ伝えてお、く」

 それだけ言って警察官の傍から離れると、人目の多い校門付近でこちらに向かってくる修を待ち構えるように無言で立つ。警察官の向こう側のマスコミたちがこぞってフラッシュを焚いたりカメラを回したりしているが、これも理事長が権力でもみ消すのだろうか。それともネット社会の昨今だ、しれっとyoutube辺りに流出してしまい九十九学園の内情が露呈するのだろうか。舎人にとってはどちらでも良い。自分が平穏にさえ暮らせるのなら、どちらでも。
 ――それにしても、あの男は一体、どうしてここまで自分のことを狙ってくるのか。面倒臭い。嗚呼、面倒臭い。とにかく面倒臭い。ひたすらに面倒臭い。この上なく面倒臭い。どうしようもなく面倒臭い。先日のプールの件に応じなかったのがそんなに腹立たしかったのか。尻の穴の小さい男だ。我儘が許されるのは偉い立場にある人だけなのだから、舎人に言うことを聞いて欲しければごねるよりも先にそういう立場になる努力をすれば良いのに。相手の目的が何だか知らないが、それを放棄してこちらを追いかけて来るような小物めいた行動をしている内は彼の願いなんぞ叶いやしないだろう。運命の女神様はそこまで物好きじゃない。もちろん舎人も、彼が好きじゃない。

>八城修様&ALL様

1日前 No.425

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_37U

【永倉巳鶴&月東雛子/ピロティ→】
【二番/ピロティ】

月東が発した言葉は彼女が望んだ世界に似ていた祭囃子にかき消されて、皮肉にも彼女と同等の存在とも言える異能力の普及を目的とした異能力者に邪魔されてしまう。そして彼女はその異能力者を直接的な原因として妙に床が冷たいピロティにて意識を失いそうになってしまう。しかしこの状況で普通科の関係者を、自分を邪魔した異能力者から守らないと考え、行動を起こそうとするがその前に身体が動けずにそのまま泣き崩れ倒れてしまう。
そんな中、学園の柱さえ寄りかからず、何も信じれていない永倉は相変わらず、マネキンの様な虚ろな目でよくある真っ暗で星も月も何も無い普遍的な夜空に打ち上がる花火さえも全く見上げずに異能力者が見せるデリンジャーの真っ暗な銃口を眺めていた。壊れた彼が今見る世界はどんな景色だろうか。だがそれさえ守る事は出来ない。二度と今見る彼の景色を壊させないと決めたはずなのに。
しかしその思いさえ周りの日常と共に貫こうとする弾丸が数発。だがその一部の弾丸は一人の女性が防弾繊維が縫われたコートによっていとも簡単に防がれる。さらに永倉へ向けられた残りの弾丸は突如として生え出て来た防弾シールドが彼を守る様に現れ永倉への弾丸を全てガードされる。この状況と先程のコートの女性についての対応に土と金と血の匂いが吹き荒れるピロティにて普通科崩壊を開始した二番は少しだけ驚愕していた。それもそのはず、撃ち殺そうとした女子高生が強力な防弾繊維のコートを着込んでいたり、学園のセキュリティが学園の域を超えている防犯システムだったのだから驚くのは当然と言えば当然である。勿論、彼は隣が異能科でトリガ―ラボの最新科学を取り扱っていると言う事は知っていたがそれが普通科まで採用しているとは思っていなかった。

『――普通科のピロティにおいて、普通科と異能科の生徒や教師として登録されていない、銃器を所持した謎の人物が異能科の生徒に傷を付けました。繰り返します。普通科のピロティにおいて、普通科と異能科の生徒や教師として登録されていない、銃器を所持した謎の人物が異能科の生徒に傷を付けました。近くにいる皆様は急いで避難して下さい――』

また大音量の避難勧告がこれでもかと言う程学園中に鳴り響いていく。このままだと百目鬼の普通科崩壊はあっけなく失敗に終わってしまう。だがそれでも二番は余裕の笑みを浮かべコートの女性に淡々と話しかける。

「成程ねぇ……。これで大体は不審者発生から避難勧告までの時間は理解出来たよ。それで?次はどうすんの?」

すると、コートの女性は死んでくれと言う程の無茶なお願いならば、裸で三回まわってワンした後に靴を舐めるべきだと指摘される。それに対して二番は落ち着きながらも呆れた様な口振りでデリンジャーを彼女に向けて馬鹿にした様に呟く。

「残念だけど逆に君が僕に死んでくれって叫びながら裸で三回まわってワンして靴を舐める事になると思うんだけどねぇ。まあ、普通科以外に迷惑かけない程に僕は優しいから君と違ってそれで死んであげるんだけどなぁ……」

そう言って永倉を背負っていたコートの女性の足元と頭、手首を狙って撃ち殺そうとするが天井、壁、柱から銃口が生えてきていた為、この場は断念して即座に二番はその場から離れようとする。しかし上から現れたシャッターが逃げ惑う二番と壁、柱、天井から現れていた銃口を迅速に囲んで逃げ場が無くしてしまう。二番はこの状況が詰みである事を直ぐに知ってしまう。全てがシャットアウトされ遮られてしまった自身の姿さえ見えない暗闇の中、二番は手に持ったデリンジャーを自身の頭に向けて自分の最期を悟る。

「ただ、百目鬼の計画はこれで実施されるんだけどねぇ」

そう言って誰にも見られる事無く存在を確認される事無く一人きりでひっそりと自らの手で人生に終わりを迎える。だが実は彼の目的は普通科崩壊では無く普通科を避難させる事にあった。ただし決して、普通科を百目鬼から救済したいが為の行為では無くむしろ普通科全員を確実に死に至らしめる為の行為。
やがて誰もいない普通科校舎、死体が現れながらもこの状況で呑気に花火を楽しむグラウンド上等でスタンバイをしていた身体に番号が刻まれた者達が続々とエンジン音に乗せて飛んでいく機動ロボットに目を向けてはそれぞれそのロボットに乗り込むべくそれぞれ行動を開始していた。

そしてコートの女性の背後には死んだはずの二番がタイマー式の爆弾をいくつも持って、何事も無かったかのように無傷で現れる。

「……あの程度で僕を封じ込めると思ったのかなぁ?だとしたらかなり面白い子だねぇ」

>>一尺八寸山的様、周辺ALL

1日前 No.426

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 一尺八寸山的 / 普通科・ピロティ 】

 どうしてこの不審者といい前の不審者といい、犯罪者という社会的敗北者の身分でこうまで偉そうにできるのだろう。病名がつく精神状態なのかもしれない。可哀想なものを見る目で男を見て、痛々しさのあまりに眉を下げる。自分より年上の男が中二病を拗れさせた言動をしているのを見るのは、なんというかとても居た堪れない。奇しくもそれは、かつて菊千代が屋上で白衣の少年と相対している時に感じたものと同じ気持ちだった。要するに、見ているだけで恥ずかしい。喋れば馬鹿がバレるほどに馬鹿なら喋らなければ良いのに。それでも喋ってしまうということは、まさか彼は自分の頭が良いとか言動が恰好良いとか思っているのだろうか。ならばますます哀れだ。良い精神科医かカウンセラーを紹介してやらないと。悪意ではなく善意から、真剣にそう考える。だって今の年齢であの性格でも充分に痛いのに、あの性格のままさらに年を重ねればあまりにも悲惨すぎるだろう。

「えっとー……念のために聞いておくけどー、君ー、精神障害者保健福祉手帳とか持ってたりするー?」

 悪意が無くとも暗に相手をキチガイ扱いしていると分かってしまう質問だ。相手の言ったことをそっくりそのまま返す所も幼稚だし、既に普通科以外に迷惑をかけている状態で普通科以外に迷惑をかけないと言い張っているのもヤバいし、己を優しいと称している辺り自己認識が出来ていないし、これはもう頭がご病気の方でしか有り得ないだろうというのが的の判断であった。
 そして相手は誰にも知られることなく死んだと思い込んでいるだろうが、暗闇でも的は普通に相手のことが見えるし、監視カメラにもしっかり撮られているのでわりと色々な人にその光景は見られている。ついでに言うとロボットは既に普通科の生徒を避難させきっていて既にこれから飛び立つロボットはいないので、今さら普通科の生徒のフリをして乗り込もうとしても無駄である。今はあの飛行機みたいなロボット達はもう九十九学園から視認できる範囲にさえいない。つまるところ、彼の仲間は残念ながら行動が遅かった。まあ、ここら辺は現在ピロティにいる的は知らないことだが。

「的的にはー、君もう喋らないほうが良いよー。口を開くたびに底が見えてきてるー」

 思ったことを善意で素直に口にしながら、爆弾など気にした素振りもなく背後に振り向く。麻酔弾の雨は相変わらず男を目掛けてピロティの至る所から発射されているから、男はまた死ぬか避けるでもしなければすぐにオネムになってしまうことだろう。そして付け加えるなら、的は『爆弾程度』じゃ軽い火傷さえ負わない。だからますます爆弾程度で粋がっている男が哀れになり、彼を見るめにはさらに憐憫の情が増した。早く決着をつけてあげたほうが、これ以上この子も恥を晒さずに済む。そんな気持ちから的はゆっくりとした動作で天井を見上げて、いくつもある監視カメラの一つに向かって話しかけた。

「ピロティに充満するくらいの催眠ガスよろしくー。この子すっごく可哀想だからー、早くどうにかしてあげたいー」

 その言葉を聞き届けて一秒としない内に、麻酔弾の絶え間ない嵐はそのまま、そこに加わる形で間欠泉のごとき勢いの催眠ガスも飛び出して来た。それも一ヶ所ではなく複数個所からだ。的はまたまた壁からにゅっと腕だけ生えて来たロボットからちゃっかりガスマスクだけ受け取ってそれを顔にはめたが、ぶっちゃけこれがなくても鍛えられた肺活量により数時間ほど呼吸を我慢できる。けれども念には念を入れた。
 この催眠ガスは特別製で、このガス専用のガスマスクでしか防ぐ効果を発揮しない。だから仮に相手があらかじめガスマスクを持ち込んでいたとしても、市販のガスマスクではこの催眠ガスを無効化できないのだ。一息でも吸えば見る見る間に夢の世界に旅立つ強力な催眠ガス。そして愛変わらず四方八方から降り注ぎ続ける数千もの麻酔弾の波。トドメに持ち歩ける程度の小型の爆弾なら裸の状態で受けても「熱いー」となるだけで怪我なんて負わない人外の頑丈さを誇る女。相手の異能力は今のところ「死んだと思ったら何故か無傷で背後にいた」なんてことを出来る以外には不明だが、はたしてこの状況をも切り抜けられるものなのだろうか。もう見ているだけで恥ずかしいので、早い所倒れてこれ以上の恥は晒さないで欲しいのだが。

>二番様&ALL様

1日前 No.427

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_37U

【日陰蝶瑞穂/異能科・1年A組→】

「高校くらい卒業しておきたいからすぐに他に出店っていうのは無理だけど、卒業する頃になってビジネスパートナー云々をお互い覚えてたらその時はお願いするアル。LINEの交換くらいは別に良いネ」

花火大会や八城等の様々な邪魔が入る中、彼女が提示したビジネスパートナーについて、宝嵐玉の返事は結構好感触であった。アポ無しで時間が無い中、上手くラインのID交換に辿り付けたのはかなり大きい。だがとにかく此処から一切油断せずに信頼関係を築き上げていくかが重要と言える。正直口調は思った異常に色々胡散臭かったが特に人間性は気にしていない。金儲けが出来れば悪魔にでも鬼にでも時に手を組み時に利用する。ただそれだけである。こうしてラインのIDが書かれた紙を丁寧に折り畳んだ後に、三階から落下した八城についての借金の計算を瞬時に頭の中で行う。ちなみに彼が用意した死体は単純に日常を崩すのに最も分かりやすい表現として死体をこの場で見せる事であった。ただしこの思惑は中百舌が直ぐに窓から逃げた事で全く意味を成していないが。つまりは結局、この死体の活用はちゃんと成されてはいない。そう考えながら八城の借金に利息を付ける。

ちなみに警備についてだが理事長の、警備員等配置しなくてもこの理想の学園は問題が一切無い様に見せたいと言う意向で警備員の配置はそもそも行っていない。それでこの様な惨劇なのだが。この学園の厄介な所は治安がスラム街並に危険なのに世間の評価は物凄く安全な場所だと認知されている事である。教師については既に大多数が反理事長派でありディザスターと協力関係にあるので、八城の行動については隠蔽工作を早速行っている。実際、肉体強化された八城の行った殺人は他の一般人や身体能力が人間と同じ異能力者にとっては何が起こっているのかさえ分かっていない。ちなみに理事長は理事長室で祭りの様子を見ているのなら、普通科は不明だが少なくとも異能科のこの状況も理解しているはずである。

「場が白けたから、もうこの中華料理の屋台閉店ってことにするヨ。手伝ってくれた奴には余りものやるアル、そうじゃない奴はさっさとここから出るヨロシ」

とりあえず日陰蝶は自身の店の様子を確かめるべくこれから店舗をどうするか考えながら階段を下りる。ちなみに彼女の店は現在、花火を見ながら食事を楽しませるべく外に大量の椅子とテーブル、いくつもの扇風機を延長コード等を用いて置き、花火大会であまり来なくなる客をこれでもかと言う程集めていた。ただしこの状況ではもう大きな儲けは狙えそうも無い。

「ほな、そろそろ潮時やね」

>>(宝嵐玉)様、周辺ALL

1日前 No.428

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 一龍斎柾&手鞠土々呂 / 普通科(?)・どこにあるかも分からない謎の施設の一室 】

 ここが何処かは普通科でも少数の人々しか知らない。もしかすると地中の奥深くかもしれないし、地上からでは目に見えないほどの空高くかもしれないし、地上ではあってもどこかにひっそりと隠された部屋かもしれないし、あるいはそのどれでもないかもしれない。柾と土々呂はこの場所が何処であるかを知る数少ない二人だが、それを目の前の少年少女たちに教えることは話し合いで決まった規則により禁じられている。だから目覚めた少女や正気を取り戻した少年に尋ねられても、残念ながら答えてはやれないのだ。
 茶髪の少女と黒髪の少年――五加が異能科にハッキングして手に入れた情報によると、名前は月東雛子と永倉巳鶴らしい――を清潔なシーツの敷かれたふかふかのベッドに寝かせ、二人が意識を取り戻すのを待ちながら、柾が用意した医療用トレーに乗ったクッキーアソートをバリボリと齧る。紅茶が入っているのがティーカップでなく注射器なのはいつものことだ。柾に用意させると大体こうなる。だから土々呂も今更つっこまない。
 巳鶴と雛子の治療は既に済ませてある。正確には怪我をしているのは片方だけで、もう片方が負っているのは精神的な傷だけれども。そんな彼の癒しになるよう医学的にストレス緩和の効果が証明されているBGMを流し、ついでに心を落ち着ける作用のあるアロマなんぞもティフューザーで焚いてある。金鳥の医療用ロボットが手掛けた縫合は完璧で、輸血も済ませてあって、眠っている彼女らの額に汗が浮かべば柾が水に浸したタオルで甲斐甲斐しく拭いてあげていて。だから順当にいけば近い内に目覚めるはずだ。それを柾は楽しそうに待ち構えているけれど、土々呂はと言うとむしろ部屋の天井からぶら下がったサンドバッグを殴るほうに夢中になっていた。柾と違い病人を好む性癖を持たない女だ、仕方がないと言えば仕方がない。

「早く目覚めて欲しいと思うけど、でもぐっすり眠って早く元気になってねっていう気持ちもあったりするから、何て声をかけるか迷っている最中なの」
「僕Bが思うに、眠ってて聞こえないんだしどっちでも良いんじゃないかなっ!」
「もう、私はいつもそうなの。少しは君の気持ちも汲んでほしいところなの」

 相変わらず一人称と二人称の狂ったややこしい口調で頬をふくらませる柾。それを光る汗と爽やかな笑顔で受け流し、嬉々としてサンドバッグを殴り続ける土々呂。壁も天井も床も備品も、その殆どが白で統一された不思議な雰囲気の部屋の中で、彼と彼女の存在は周囲から浮きまくっている。けれどどこにいたって浮くことのほうが多い奴らだから、やはりそんな小さなことを気にはしていない様子だ。
 純白の壁掛け時計がカチカチと秒針を小刻みに動かす。天井ではアンティーク趣味と科学の融合したLEDのシャンデリアが淡い光を放ち、壁にある大きな窓の向こうは、そこも部屋になっているらしく覗いてもまた純白の部屋しか見えない。その向こうの部屋の窓から見える光景も、純白の部屋で、そのさらに向こうも――。合わせ鏡のように延々と続く同じ部屋。不気味な場所だが、ここに来るのは初めてじゃないから不安には感じない。そもそも設計者が身内なのだ。一体、何を怖がることがあろうか。

「大丈夫なの。ここには怖い人なんて誰もいないから、私も早く目覚めると良い。君もそれを待っている最中なの」

 脳味噌が糖尿病にでもなっていそうな甘ったるい笑顔でベッドの二人の顔を拭きながら、そう声をかける柾。はたして二人は、いつになれば目覚めるのだろう。

>永倉巳鶴様&月東雛子様&ALL様

1日前 No.429

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_37U

【八城修/普通科・庭園→異能科・校門付近】

八城の目の前に中百舌は立っていたが先程の花火交じりに聞こえた悲鳴によってこちらの存在に気付かれてしまった様だ。

「……さあ、証明してくれ。君の望む大切な大切な平穏とやらを」

誰もいない庭園の中で八城は血まみれの手を眺めては静かに独り言を呟いていく。彼は自分には一切無い思想を持つ彼女に興味を持っており、それ故に今までの全てを放っておいても彼女の求めているモノをどうしても見てみたい。そんな事を考える余裕を持ちながら中百舌が逃げて行った方向へ全力疾走する。今の彼ならば、一回ジャンプを行うだけで学園の屋上まで飛んで行けそうな程に肉体が強化しており、彼が彼女を捉えるのは容易い事であった。方向的には校門付近であり確か正義の象徴であったはずだが今や、理事長の犬と化した警官と九十九学園の都合よく、情報操作を行う警察と同じ理事長の犬であるマスコミが配置されているはず。どうせ、明日の新聞記事にはどれもこれも九十九学園を肯定する様な嘘八百な記事しか書かれていないであろう。ただし、理事長はディザスターについては結構寛容な対応をしており、彼女がディザスターについて発言してもきっと無意味であろう。そもそもあんなコスプレの様な格好した女性の発言等、常識ある警官ならまともに取り合う訳が無い。またネット社会の昨今だが恐らくツイッター、フェイスブック、インスタグラム、どれを取っても情報操作により高評価な意見しか閲覧する事は出来ない。その為、先程まで大量に乗せられた庭園にて女性が発狂する動画等が出ていたが全ていつのまにか削除されており、検索しても何も出てこない。
それよりも彼女は何故、こんな学園で平穏を求めているのか理解が出来ない。そもそも周りを不幸にしてしまう災害と言える力を持っていながらそして無力ながら平穏に過ごせる精神が分からない。彼女は自身の手で一体何を求め、何を救い、何を犠牲にしようとしているのか。
そして八城は校門の前に辿り着き、中百舌の方へゆっくり歩いていく。だが彼女は疲れているのか、校門から逃げずに動く事はない。そう、無力な人間はいずれ選択を迫られる。例えその選択で大切なモノが失おうとも。時に運命の女神様は非情である。この世のどんな選択肢でも誰もが幸せになれる選択肢は存在しない。

「……」

カラス面の青年は武器であるスタンガンも構わずにこちらを一寸狂わず、アリスの格好をした女性を眺め続ける。後ろには憧れの警官もいるがもはやは理事長の犬と化したノンフィクションの警察等、知った事ではない。ただ、彼は現実を彼女に叩き込む為に選択を迫らせようと動き出す。

>>中百舌鳥舎人様、周辺ALL

1日前 No.430

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★DoaFJQIlTR_Qks

【 中百舌鳥舎人 / 異能科・校門付近 】

 まあ取り合ってくれんだろうなと思いながらの報告だったので、相手側からのリアクションが無くとも肩を竦めるだけで肩を落としはしなかった。自分の身は自分で守れる奴でなければ、九十九学園異能科では生き残れない。……こう書くとやはりとんでもない世紀末感が漂う。もうこれ学園ではなく戦場を名乗ったほうが良いのでは? ほら、あっちでもこっちでも今も昔も人が死にまくっている場所な訳だし。あれれー? おっかしーぞぉ? どうして学校で自分の子供が死んでるのに保護者は何も言ってこないんだー? 頭の中のコナンくんがあざとく首を傾げている。もう「実はお前らの家族は外ではとっくの昔に殺されてるんだよぉ!」とか言われても内心「あ、やっぱり?」と思えそうなくらいの境地に達してきた今日この頃。
 まあ警察官はこちらの言葉に応じないだけで積極的にこちらを攻撃してくるつもりなどは無さそうなので、もうステージの備品か何かだと思い込んでスルーすることにしておく。もちろん敵意を感じればこちらも攻撃対象と看做す。奥のほうから気取った感じでゆったりと歩いて来る男子生徒――誠に残念ながら、予想していた通りに八城修であった――を白けた眼差しで迎えながら、またしても溜息を吐く。疲れた。体力的にではなく、精神的にだ。人の視界に入っただけであそこまで気力を奪える存在なんて、考えようによっては逆に貴重な存在かもしれない。いわゆるエナジーバンパイアとはまさしくああいう男を指すのだろう。関わらないほうが良い人間だと思ったから関わらないようにしているのに向こうから関わってくるなら、これはもう怒ったって舌打ちしたってツバを吐いたって許される。

「そ。ちらさぁ、『八城修が問題を起こすのは裏でイジメ等を行っている者に対してのみ』っていう自分の設、定……忘れてない?」

 人伝に聞いた評判を設定なんて表現しつつ茶化すように言っているものの、これは前々から気になっていたことだ。ダークヒーロー枠だったはずの修はいつの間にかただのいじめっ子、どころか自分の欲望や目的のために勝手に人殺しするクソ野郎になっていて、周囲にしてみればキャラ崩壊も良い所なのである。あとなんかポエマーにもなっているし。いや、よくよく考えてみればポエマーは昔からだったかもしれないけれど……とにもかくにも。
 自分なりの正義というものに意固地になっていたはずの彼が、その正義を捨ててまでどうしてこんなことをするのか。さらに本音を言えばそっちはどうでも良くて、何故自分に執着してくるのか。聞きたいのはどちらかというとこちらだ。聞いておいて何だが、どうせまたポエムっぽいことを言ってくるだけでまともな答えは返ってきやしないだろうと理解している。それでも問わずにいられなかったのは、単に目の前の男への面倒臭さが一定基準を超えたからだ。

「そもそもそち、ら。こちらをどうした……い、の? ストーカーす、るなら、こちらが納得できる理由くらいは礼儀として用意してあ……るよね?」

 スタンガンをバチバチさせながら寄ってくる黒スーツに、おっさんの尻の穴からひねり出されている最中の糞を見る目を向けつつ問いかける。相手にさほどの身体能力は無かったはずなのに、ここまで余裕ぶっているならそれは第三者の助力があるという事に他ならない。伏兵がいるのか、あるいは例のお金大好きウーマン辺りから数万円分のバフでもかけて貰ったか。どちらにせよ、無傷で退けるのは無理だと思っておこう。ああもう、本当に面倒臭い。向こうがこちらに執着していても、こちらから向こうへは執着していないのだ。どうでもいい相手に好意なり悪意なり向けられたって、ただただ煩わしいだけなのに。

>八城修様&ALL様

8時間前 No.431

酢橘 @karasu1010☆TyGLtXpsS1g ★0gkYBdXyN1_37U

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1時間前 No.432
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