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-proVidence-

 ( オリジナルなりきり )
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お疲れsun @tired☆.qeVeLzfCGw ★iPhone=BmiCpUTj20



星は、自浄作用を持つ。
世界を脅かす者が現れると、それに対抗する者を同時に作り出す。
星はバランス、『均衡を保つ』力を持っているのだ。

彼女達も、かつて『自浄作用』の一部であった。
かつて魔王の軍勢が民を苦しめた時、血を流して世界を守護したのは、星によって生み出された7人の魔法少女。

その報酬は、その力に対する民からの畏怖。
それはやがて恐怖を生み、無知な者は彼女らを差別し、迫害し、追いやった。
誰も救う者はいなかった。

今思えば、それも自浄作用だったのだろう。世界を脅かす者がいなくなれば、それに対抗する力も必要ない。

星にすら見捨てられた彼女らは、報復を誓う。
元々は星から授かった力を強奪し、我が物とする。かつて魔王がそうしていたように、民を蹂躙し、街を灰燼に帰す。


世界は残酷だ。
それでいてなお、簡潔だ。
星は魔女となった彼女らを『自浄』すべく、再び『彼女たち』、魔法少女を生み出した。

しかし魔女達に力を奪われた星は、不完全だった。
魔女から無理やり力を引き抜かれたことにより、新たな魔法少女に与えられる力が弱くなっただけでなく、その力を伝える魔術回路すらズタズタに引き裂かれていたのだ。

だから、星は新たな道を見出した。
それは『絆』の力と、『守護石』の発現。

『星の分子を凝結させて作られる』という特性を活かし、7種の宝石に魔力を満たして魔法少女に与えた。宝石の種類は
ルビー、サファイア、アメジスト、エメラルド、オパール、オニキス、ダイヤモンド。これらが星と魔法少女をつなぐ新たな魔術回路として完成された。
加えて力を『他者に譲渡する』権利を魔法少女に与えることで、彼女らと契約して力を得る『魔法騎士』を生み出したのだ。

こうして力は拮抗し、星の意思による闘いは始まることとなる。



繋ぐための手と
焼き払うための手

苦しむ民の泪を見る目と
激しい憎しみの炎を宿す目

その心が願ったのは
「誰もが笑顔で暮らせる世界」
『誰も存在しない世界』

『「誰も傷つかない世界」』


彼女らの重なった願いを知ってか知らずか
星は今日も、均衡を守る。


【このスレは魔法少女スレのアレンジリメイクスレとなります。そういう世界が好きな方はサブ記事へ!苦手な方はブラウザバックでお願い申し上げます…】

メモ2017/05/05 10:11 : マングル @sable★iPhone-ubbTgyMSve

募集キャラクター

現在のじょうきょう!!

【魔法少女 7人】

●ルビー(赤)

TDNさん

ララ・ランドローバー

http://mb2.jp/_subnro/15559.html-44#a

●サファイア(青)

アルタイルさん

月季 澪

http://mb2.jp/_subnro/15559.html-67#a

●アメジスト(紫)

コアさん

雪峯 響花

http://mb2.jp/_subnro/15559.html-42#a

●エメラルド(緑)

マングル

リリー・ピーアニー

http://mb2.jp/_subnro/15559.html-88#a

●オパール(黄)

●オニキス(黒)

すずりものさん

八命にぃ

http://mb2.jp/_subnro/15559.html-36#a

●ダイヤモンド(白)

七彩さん

ルミエール・ラ・ファイエット

http://mb2.jp/_subnro/15559.html-53#a

【魔法騎士 7人】

●ルビー

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シャムの瞳 @kitten☆DcIyrGCyXF5j ★ENKrTZwyts_wL2

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4ヶ月前 No.58

lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_Zyp

【市街地・大通り/西山翔太】

「……」
戦いの衝撃は比較的遠くにいる僕にも感じ取れた。よほど激しい戦いなのだろうか。

「あ……あ……」
僕は恐ろしくてたまらなかった。
まだ足がすくんでいる。と、そこに――――

ドガシャアアアアアア!!

「うわああああ!!」
戦いの衝撃でビルの瓦礫が僕の頭上に落ちてきた。思わず僕は魔法騎士に変身。
光の鞭を伸ばし、落ちてきた瓦礫を粉々に打ち砕いた。

「はぁ……はぁ……ん?」
ふと我に返ると、恐ろしいことに気がついた。

(このままやられたら、どうなるんだろう……)
『これとは比べ物にならないくらい恐ろしい目に遭わされるのではないか』といった考えが僕の頭をよぎる。

(戦うのは怖いけど……もっと怖い目にはあいたくない!)
そうやって僕は戦う決意をし、今他の魔法少女や魔法騎士が戦っているところに飛び出していった

>周辺all

4ヶ月前 No.59

キープ @keep10 ★B1vJ6I1z8y_8Yr

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4ヶ月前 No.60

コア @koa11 ★Android=dh5DAQ3i3Q

【市街地/雪峯響花】

唐突に平穏を破壊したような轟音と衝撃、私自身に向かってくるような人の波、それだけで既にある程度の察しというものは付いていた。これは自然災害などのようなものではなく、人の手による災害なのだと。

「しかし、人が起こすことのできる範囲を越えているのはそういうことなのでしょう」

先程購入したものの地面に落としてしまったクレープを見ながら一つ呟く。
そう、魔法少女が星の力を強奪した結果として生まれた魔女はイレギュラーな存在だ。本来、有り得ることない姿の者。魔法少女ですら人と呼べるのか怪しいラインだと言うのに、魔女となればそれはもはや人とはかけ離れた存在になるのではないだろうか。過去のものと合わせて今回の被害の大きさもその証拠となりえる。

「やはり、同じ魔法を使う者として同類とは思えません。魔力も考え方も……と、交戦はここでやっていたようですね」

事態を収拾させるためにも変身し、魔女とその他数名から放たれていた魔力を頼りに市街地を回っていたところ、ちょうど交戦の真っ最中という現場に遭遇した。その場にいた者から放たれたであろう炎、それが大型バスを包む様はまさに戦場だ。
こちらから目視できる限りは魔女一人に対してエメラルドの魔法少女リリーと騎士アルバートの計二人、そして、緑色のバリアに守られた子どもたちがそこにはいた。

「あの方は見覚えがない、要警戒ですね」

今のところ相手は一人。数でこそ勝ってはいるが、あの魔女だ。実力差であっさり返される場合もあるため、勝算があるかはまだ判断できない。
しかし、私の力が加わって可能性がゼロに近づくことはまず無いはずだ。例え、まだ敵わない相手だったとしても特徴、癖、魔法の性質と種類を実戦で記憶しておくことで、必ず次には生かされる。戦力という面でも相手を記憶するという面でも人員は多いに越したことはない。

「お二方、ここは私も援護させていただきます。直感ですが、良くない気もしますので」

二人の元へ駆け寄ると私は強化された日本刀の柄を握り締め、いつでも抜刀が可能な体勢を取る。
ただ、そこで初めて理解した。先程見た炎のような激しさはまだこの場には無い。あるのは静寂とそれぞれの想いが入り乱れた独特な雰囲気、それも人の感情を煽ることで作りだされたと思われるものだった。

>>リリー、アルバート、楓


【絡ませていただきます。よろしくお願いします!】

4ヶ月前 No.61

yyyn @nickker8 ★iPhone=GdZJFxU87z

【市街地/ウォール・ロックハート】

市街地が徐々に戦火に包まれていく中、続々と現れる魔法少女、魔法騎士に続いてウォールもまた戦場へと現れた。
その身体は黒い鎧に包まれ、髪色は変化し既に騎士の姿へと変貌を遂げている。対象と思われる魔女は2人確認したが、自分の契約相手である雪峯響花が対峙する魔女ーー楓の前へと姿を見せた。

「悪い。遅くなった」


隣に立つ契約相手の響花、バリアを張るリリー、魔女と対峙しているアルバートにそう声を掛けるとウォールも静かに戦闘態勢を取る。相手の魔女は派手な攻撃ではなく、どうやら精神的な攻撃を得意としているらしい。エメラルドの魔法少女であるリリーが無気力な子供達にバリアを張っている様子と、そのパートナーであるアルバートの耳元で何かを囁いている様子を見れば容易に想像はついた。純粋な破壊を望む魔女より、こういうトリッキーなタイプの方が厄介だということをウォールはよく知っている。人間に潜む闇の部分を上手く利用してくるであろう眼前の魔女にウォールはより一層警戒心を強めた。

が、その心中ではーー

(くそ‥‥!どうしても‥‥)

やはり、いざ敵を眼の前にすると家族の最期を思い出してしまう。冷静さを保とうとすればするほど脳裏にその影がちらつく。

冷静になれ、俺の使命は響花を守ることー

一瞬芽生えた憎しみを打ち消し、ウォールは楓の次の動きに備えた。



>>リリー、アルバート、響花、楓

4ヶ月前 No.62

エメラルドのそよ風 @sable ★iPhone=ubbTgyMSve

【市街地/リリー・ピーアニー】

戦禍に飲み込まれかけた子供達を食い止める、淡い緑色の障壁。宣言こそ無かったが、名を『エメロードウォール』という。丸く加工されたエメラルドの外見をしており、魔力の加減次第で自由に厚みを調整できる。今回は咄嗟に撃った上にドーム状に引き延ばしたため、かなり薄く脆弱性が否めない。魔女の攻撃を受ければひとたまりもなく弾け飛んでしまうに違いない。美貌の魔女が吹き出したのもその点を見てだろう。それでも舌打ちしたり、苛立ったりすることはせず、じっと彼女の瞳を見つめ返す。

「大した洞察力ですね。単なる魔術の類ではない…経験に基づくものと見てよろしいでしょうか」

リリーの顔に微かな動揺の色が走る。驚いたことに、自分の身に起こった出来事を、何から何まで言い当てられてしまった。だが魔術で心や記憶に干渉されたわけではない。となるとあの魔女が用いたのは五感…それも並大抵の努力では不可能なまでに研ぎ澄まされたセンス。この域に来ると、最早″心眼″という表現が相応しい。頼んでいないことまで御丁寧に読み取って来るのだ、彼女に隠し事は通用しないと見ていいだろう。

「皆さんをお守りすることも私達の使命。決して無駄ではありません」

出会い頭早々に嫌味を飛ばすアルバート。もう慣れっこなので大して気には留めず、先制攻撃とばかりに炎を吐きつける彼の後ろ姿を見守る。一瞬決まったかと思われたが大した効果はなく、魔女の余裕は依然として崩れない。そればかりか彼もまた過去を見抜かれ、心に抱えた闇を暴かれてしまった。そんな彼女の様子を、リリーはじっと観察していた。彼女とはまた別ベクトルだが、リリーにも心眼と呼ぶに準ずる力がある。一家の長女として周囲に気を配り、五人もの兄弟達の心に触れた18年間。そのキャリアによって授けられた洞察力…異常な嗅覚や聴覚によるものではない。相手の瞳を見つめることで窺い知れるものがある。

「__貴女も、虐げられてきたのですね」

そう、ポツリと呟く。その口調と表情は、決して魔女にされたような嗤うものでも、傷を抉るものでもない。相手を同じ一人の人間として扱い、嘘偽りや上っ面だけではない、真の慈しみに満ちていた。もちろん家族を奪われたことは悲しいし悔しい。しかしリリーには、矜持と言うべきか、常に心に留めていることが一つだけある。それは魔女を恨まないこと。恨んで憎んで呪って、いつか復讐に成功しても、両親とあの子達は笑ってなどくれない。自分の使命は人々を守り、二度とこんな惨劇が繰り返されない様に戦い抜くことだ。

だからリリーは、魔女の心に触れようとした。嘲り傷つけるのではなく、包み込むようにして。

「お二方とも、応援に感謝します。

あの者は人並み外れた洞察力を持ち、加えて開心・読心にも長けていると見えます。決して心を支配されることの無いよう。飲み込まれてしまえば勝機はありません」

駆けつけてくれた響花とウォールを見据え、あの魔女の能力について注意を促す。多くの場合、怒りや憎しみは相手を打ち倒す力に成り得るが、今回ばかりは逆効果にしかならないだろう。精神的な責め苦に根をあげればそこまでだ。
依然として凛々しい表情を浮かべたままま、金色の杖を構えて立ちはだかるリリー。アルバートに続いて攻撃する選択肢もあったが、読み合いでは相手の方が何枚も上手と見える以上、焦って突っ込んでも結果は見えているからだ。

>>楓、アルバート、響花、ウォール

4ヶ月前 No.63

TDN @arayashi ★gmOEYwYGFh_8Yr

【市街地 / ララ・ランドローバー】

融け落ちた茨と高熱で怯んだように引いた茨を確認して、拳を引き戻す。茨が頭上でこちらの様子を伺うようにゆらゆらと漂っている。構えは解かないまま戦況をざっと見渡す。前方ではにぃが魔女エミリーにその鉄拳を振りかざし、その近くヒロトが逃げ遅れそうになった市民を救出しているのが目端に映る。そして後方ではリリーとアルバート、響花とウォールが二人目の魔女と対峙していた。この状況下で魔女側に加勢があるのは厳しいが、同時にこちらも仲間たちが集いつつあった。しかしそんな一瞬の思考さえ魔女の前では命取りになる。

瞬間、耳をつんざく衝撃音。視線を音の方向にやれば茨がすぐそばの地面に叩きつけられていた。狙いが逸れたのか。そんな疑問符さえ霧散させる続け様の攻勢がララを襲う。降り注ぐは茨の雨。それに対しララは右の手甲を薙ぎ、格納されていたブレードを飛び出させる。ララの魔法によって高熱を帯びたそれは激しく赤熱する。

しかしララはある一点を読み違えていた。

「なっ!? これはさっきの……!」

ララの顔に驚愕が走る。右足が動かない。さきほどそばに降った茨が右足に絡みついていたのだ。逸れたと思ったあれは伏線だった。驚愕冷めやらぬ中、茨の雨は容赦なくララを襲う。もがきながら目いっぱいに腕を薙ぐ。それをなぞるように赤の閃きが迸る。高熱を帯びたブレードが肉迫する茨を一本、二本、三本……と次々に溶断する。さらに高熱纏う左拳を交えて茨を叩き落とす。
しかしその数は圧倒的かつ避ける事を許されない状況において、一人で捌き切るのは困難だった。そしてついにララのキャパシティを踏み越えてセーフティーゾーンに入り込む茨。

「う゛ッ……!?」

直後に腹部から全身を駆け抜ける衝撃。肺の空気が血反吐と共に体外へ吐き出される。呻き声がもれる。口内を鉄の味が犯す。視界が明滅し揺らいだ。日常生活ではおよそ味わう事のできない痛み、これが魔女少女の戦い。目尻に涙を溜めて前を見る。しかしその目にはまだ光があった。さらに迫る茨を見据えながらブレードを振るう。赤の一閃が断ち切ったのは眼前の茨―――ではなく、右足に絡みついた茨。
必然、茨はそのまま直進しララの体を打ち抜かんとする。それに対し攻勢に移る隙のないララは体の前で腕を交差させて守りの姿勢を取る。
さらなる衝撃がララを襲うが、直撃の瞬間に飛びのいた事でわずかに衝撃を殺していた。20メートルほど突き飛ばされた先で膝をついて着地する。非常に危険な行為だが、あえて一撃を受ける事によって距離を稼いだ。

一旦仕切り直し。さすがにさきほどは余所見をし過ぎた。魔女相手に隙を見せた事を胸中で咎めると、視界に見慣れた姿を捉える。

「決心、したみたいね……あたしも負けてらんないわ!」

戦場に姿を見せたのは、ララの契約者。魔法騎士西山翔太。正直まさか、という思いの方が大きかった。あれだけ魔女を恐れていた翔太が。口角がわずかに上がった。肩で息をしながら立ち上がると、両拳と両足に力を込める。体の芯から熱が広がっていくのが分かる。己を鼓舞するように声をあげる。そして魔女エミリーをその視界の中心に据えると地面を蹴り、獣の如き低姿勢から駆け出した。白煙が吹き上がり、全身が赤熱する。魔法の熱量が高まった事が伺え、突進する様は火の玉を思わせる。


 >エミリー、翔太、周辺ALL

4ヶ月前 No.64

三文タコス @skycat774 ★0Ubf6LcRSR_yFt

【市街地/ヒロト・オルグレン】

茨に捕らわれそうな一般人をすんでのところで救い出し、まだしばらくは被害が及ばないであろう後方のビルへと運搬する。そんな事をただひたすらに続けていると助けを必要とする人は次第に少なくなっていき、そしてとうとういなくなった。正確に言えばまだ予断を許さない状況の者はまだ残ってはいるのだが、少なくとも今すぐ助けに行かなければ茨の餌食になる一般人はもういない。
その事を確かめると、ヒロトは救助者を置いているビルからより魔女に近いビルへといくつかの屋上を経由して飛び移った。一か所に留まっているとそこが魔女の攻撃対象になりかねないからだ。

「っ……少し長すぎたか?」

屋上へたどり着くと同時に加速を解除する。と、それと同時に彼の体は軽くよろめいた。見れば息も若干荒く、顔には僅かながらも苦痛の表情が浮かんでいる。
こうなった原因は彼が今の今まで行っていた加速。彼の魔法は通常ではまず実現できない速さでの行動を可能とするが、それは同時に人間の体はそのレベルの速さで動くことを想定していないという事に他ならない。にもかかわらずそんな事をしてしまえば、当然どこかにしわ寄せがくる。そのしわ寄せというのが今彼の体にかかっている過剰な負荷である。
もっとも今の状態はかなりマシな方。最大加速を行った場合など1分も経たないうちに動く事すらままならなくなる。それに比べれば多少息を整えさえすればまだ十分に動ける現状などまだ軽いものだ。

「それにしても……なんて魔女だよ。よくもまあこれだけ捌ききれるな」

息を整える僅かな時間、屋上から戦場と化した市街地の中心を俯瞰する。新手らしき魔女に対峙する魔法少女と魔法剣士達やこちらに飛び出してくる金髪の魔法剣士――確か紅玉の魔法騎士だったはず――など視界に入って来る様々な物の中でも、特に気を引くのはやはり先程から人々を襲う茨の主である魔女だ。
見れば彼女は本体でにぃと交戦しているだけでなく、茨でもまた紅玉の魔法少女を相手取っている。しかもにぃの拳をとっさに茨を障壁にして防ぎララ相手には攻撃に交えて動きを封じる罠を仕掛けるなど、二対一というハンデを全く感じさせない戦いぶりだ。しかも極めつけはそれを行いつつ人々を茨で襲う余裕まであるという事。はっきり言って茨の一本一本に別個の意思が宿っているとしか思えない。

(けどにぃにあそこまで踏み込まれてるとこをみるに、きっとあれはあくまでも操り人形だ。意思があってあれじゃあとんだポンコツって事になるしな)

もし茨に意思があるのならば、あのような下手すると突き破られかねないような危なっかしい位置で止めるとは思えない。恐らくは魔女が魔法で攻撃対象を判別しつつ自力で動かしているのだろう。
そんな事は分かってもほとんど意味がなさそうなものだが、ヒロトにとってはかなり有益な情報となる。

(自分でも信じられんが、魔女だって一応は人間だ。自分の身が危うくなる事が立て続けに起きれば…!)

プロテクターの隙間から手のひらサイズの瓦礫の欠片を引っ張り出す。先程までの救出の最中に見つけ、使えると思って拾っていたものである。
そしてそれを右手に握ると素早く狙いを定め、茨によるカウンターをにぃに繰り出そうとする魔女へ向けて投擲した。すると瓦礫は彼の手を離れた途端、人の手から投げられたとは思えないほどの速さで魔女に向かって飛んでいく。加速魔法により投げる瞬間の速さをライフル銃の弾丸並に増幅させられたためだ。
それと同時に息を整え終えた本人もまた加速を再開し、より近いビルへと飛び移る。たかが加速した石ころ程度で魔女が倒せるなどとは少したりとも思っていない。彼の狙いはただ一つ、にぃがその拳を叩き込めるチャンスを作り出す事。

>エミリー にぃ ララ 周辺ALL

4ヶ月前 No.65

エステル @captain1 ★SDED1rj6G1_8Yr

【市街地/アルバート・ジョルスタン】

炎が燃え上がるバスをアルバートは静かに眺めていた。アルバートが口から吐き出した炎は確かに魔女を飲みこんだ。だが先ほどの一撃で、魔女が倒れるとは到底思えない。彼女らの力は魔法少女・魔法騎士が束になってかからなければ倒れないほど強大だ。アルバートは自分の手で魔女を倒さなければとは考えていたが、簡単に魔女を打倒せるとは考えていなかった。アルバートは独りよがりではあっても、傲慢ではないのだ。

だがさすがに背後を取られるとは思ってもみなかったらしく、アルバートは背後に魔女の存在を感じ、直後首筋に顔を近づけられて体を静止させた。アルバートの炎を真正面から受けたにもかかわらず、髪が少し焦げた程度にしかダメージは入っていない。もはやダメージともいわないだろう。魔女は少々危険な子供の遊びを注意するかのような振舞だ。アルバートは魔女の言葉に返事をせず、じっと反撃の機会を伺っていた。しかしすぐにアルバートの緊張の糸は切れることとなる。魔女が耳元で囁く「兄」という単語。その言葉にアルバートはぐっと息を詰まらせた。その行為だけで魔女にとってはアルバートが「YES」と言っているのと同義だろう。気道をこじ開けるようにアルバートはゆっくり息を吐いた。同時に怒りの感情がアルバートの中で渦巻き、口からは黒い煙が立ち上る。

「黙れ!私は、私の力で奴より上だということを証明する。そして奴には殺すよりも酷い屈辱を味わわせてやる!」

この魔女に、自分の何がわかる。兄の栄光を目の前にしながら、その日陰にばかりいたこの感情を、誰が理解できる。知った風な口を聞く魔女に、アルバートはグラグラと怒りを沸騰させていた。怒りに任せ吐いた言葉が哀れにも魔女にさらなる情報を与えていることなど知りもせずに。アルバートが怒りのまま炎をはこうとした直前に、リリーの声がアルバートの耳に飛び込んできた。そこでアルバートは幾分か冷静さを取り戻す。並外れた洞察力、それがこの魔女の魔法ではない能力ともいうべき力。『心を支配されることの無いよう』という言葉でさらにアルバートの頭は冴える。奇しくもパートナーの魔法少女がアルバートではない二人に向かってかけた言葉で、アルバートの怒りに歯止めがかかったのだった。

魔女の周りにはリリーに加え雪峯、そしてウォールがやってきた。だが手出しはしてこない。それもそうだろう、魔女はアルバートに密着している状態、下手に出だしすれば魔女はアルバートを盾にすることもできる。それならば、アルバートがとる策は一つ、この距離を利用することだ。アルバートはすっと息を吸うと口に炎を再び蓄えた。そしてアルバートは後ろを振り返らないまま左手を自分の背中側に回し、魔女の体をつかもうとする。どこか一か所でもいい、先ほどのように魔女が炎から逃げないようにするため、アルバートは魔女をこの場に留めようとしたのだ。そして同時に自分の股下あたりを狙って口に蓄えていた炎を吐き出す。炎はアルバートの足元を反射し、アルバートとそして魔女の体を覆いつくそうとした。魔女を左手でつかんで炎に巻き込めれば計画通り、魔女がその場から逃げたとしてもアルバートと魔女との距離が離れ、他の魔法少女・魔法騎士が攻撃しやすくなるだろう。もっともアルバートが考えていたのは前者だけで、他の仲間のために……という後者のほうは全くもって考えていなかったのだが。

>>周辺ALL

4ヶ月前 No.66

キープ @keep10 ★B1vJ6I1z8y_8Yr

【市街地/橘 楓】

――気に入らないな。

 じっと自分の眼を見つめ返す魔法少女の視線。真っ直ぐで、ただ真っ直ぐで。家族の死を受け止めて、魔女の所業を受け止めて、なお恨むまい憎むまいと誓っている眼。まるで鏡を見ているかのように、昔の自分がフラッシュバックしてくる。医者の家に生まれ自分の人生を好き勝手に決められたことも、いきなり異端の力を手に入れ星のため人のために戦えと決められたことも、罪なき人々を蹂躙していく魔王軍のことも、命を助けられたのにも関わらず自分を蔑んだ人間たちのことも、恨むまい憎むまいと自らを偽っていたあの無垢で無智だったあの頃の自分を。

『__貴女も、虐げられてきたのですね』

 彼女の問いに、少し視線を下げ思案し。そして、微笑みで返す。『嗤う』でも『自嘲』でもない。橘楓自身の表情であった。この世を混沌の渦に叩き落とそうとしている魔女の姿はどこにもなく、ただの人間としての姿がそこにあった。魔女になっていなければ、いや魔法少女になっていなければ、その笑顔を誰に見せていたのだろうか。家族に、友人に、愛する人に、自分の子供に。そんなことを想起させるような朗らかで、悲しい笑顔だった。

「優しいのね、あなた。けど忠告しておくわ。あなたの正しさが、清らかさが、強さが、優しさが、きっと誰かを傷つけるでしょう」

 その言葉を皮切りに楓は少女から視線を外す。ゾクゾクと集まってくる魔法少女と魔法騎士、現在4対1の状況にさすがの楓も余裕をかましてはいられなくなったのだ。その時目の前の少年から怒号が飛び交う。

『黙れ!私は、私の力で奴より上だということを証明する。そして奴には殺すよりも酷い屈辱を味わわせてやる!』

 その言葉で楓は彼が歩んできた人生の大まかな風景を見た。誰も自分のことを見てくれない。周りの人間も、父や母でさえ自分の姿を見てくれない。彼らの注目の的はいつだって兄だった。どんなに必死になって努力をしても、いや必死に努力すればするほど、兄との優劣がより明確に表れてしまう。こいつさえいなければ、今頃兄の立場は自分の物だったのに。そんなことを思ってしまう自分自身の卑劣さが余計に腹立たしく、悲しい。
 かつての自分と重ね合わせる。誰もかれも、私を見ていなかった。理想的な『橘家から出た有能な医学知識を持った女』としか見れくれなかった。少しでも逆らえば、その期待に満ちた眼はたちまち怒りと憎しみと失望と無関心に変わるだろう。幼心にそれは重々わかっていた。自分自身を見てくれない不満よりも、誰にも必要とされないという事実の方が怖かった。

 偶然にも少年の手が楓の手を掴む。大きい手だ。でも、怒りからか握りしめる力は強くそして指先までひんやりと冷たい。そんな手の冷たさを凌駕する熱量が足元から吹きすさぶ。自分もろとも魔女を焼こうという魂胆か。ここから逃げるのも容易ではある。が、楓は彼の手を放さなかった。先ほどの炎より魔力を込めたのか、今度は特製の服でも守り切れない。徐々に炎が服に移り始め、身を焦がしてきていても楓は彼のそばを離れなかった。

「君はお兄様に復讐し屈服させようとしているというけど。本当は、誰かに自分の存在を認めてもらいたいだけなのではないかしら? 才能がどうだの、優劣がどうだのという前に、ただただ君自身を見て受け入れてほしいと願っているのでは?」

 彼の心に問いかける。自分より一回り大きい背の少年はしかし、楓の眼には泣き叫ぶ幼子のように見える。そんな子供をあやすように、楓は少年の背をそっとさする。その身を炎に包まれようと、優しく。同じ傷を持った者にしかわからない、日陰の優しさを。

「……君とは、ゆっくり話がしたいな。また会えたら、どこかでお茶でもしようか」

 フッと微笑むと楓は少年の手を放す。すでに全身に火が燃え移り火達磨の状態でそこに立っていた。轟々と音を立て焼ける魔女の姿は、かつて中世ヨーロッパで横行していた魔女狩りの処刑を連想させる。

――自己紹介がまだだったわね。

 炎が消える。まるで蝋燭の炎を息で吹き消すように。楓の言葉にあわせて、彼女が来ていた服が様相を変えていく。紺色のワンピースに白い前掛け、さながらナイチンゲールタイプのナース服に身を包み、頭にはキチンとナースキャップを被っている。その瞬間、魔力を扱うものもしくは魔力を感じるものならその体の異変に気付いただろう。まるで上に誰かが負ぶさったように地面へと押し込まれていく。放置された車や建物もギシギシと嫌な音を立て、子供たちを隔離しているバリアにも数か所ひび割れが確認できる。無意識に吹き上がる魔力の残滓だけで、周りに影響を与える。それが魔女の力である。

「初めまして、元魔法少女、橘 楓です。よろしく、後輩諸氏」

 魔力による空間制圧の中、悠々と周りの敵に挨拶を交わす楓。未だ本気で彼女たちを仕留めようとは考えていないようだ。

>>アルバート・リリー・響花・ウォール

4ヶ月前 No.67

コア @koa11 ★Android=dh5DAQ3i3Q

【市街地/雪峯 響花】

「遅れたとしても私の元へやってくるとは流石です。……案外、飛んでくるものですね」

駆け付けたウォールへ一声かけると、つい先程までしていたヒナゲシとの会話を思い出す。同系統の魔力のため分かりやすいといったところだろうか、思っていたよりも早く合流することができた。
しかし、本来であればこれで戦闘が滞りなく進めることができるものだが、今回は相手から仕掛けてくる様子が伺えない。生憎、私の魔法は緊迫した場面で生きるほど器用ではないのだ。

「忠告ありがとうございます。精神的な攻撃とはあまり感心しませんね。無駄に技術や知識に長けた方が厄介な相手ですが、その典型的なパターンでしょうか」

冷静に魔女の能力について注意を促してくれたリリーの言葉に感謝を述べつつ、置かれた状況を今一度確認する。やはり、私からしてやりにくい相手であることに間違いはない。正面から討てないのであれば裏から隙を伺うのも一考だが、それで済むとは思えない。

「零距離の攻撃は大抵通じるものですが……」

対するアルバートは自らと魔女の距離を利用して焼き付くそうとするが、そう簡単に思い通りにさせてくれないのが世の常というものだ。魔女は炎に包まれても表情一つ変えない。それどころかアルバートに語りかける姿から炎を意識していないようにも見えた。魔法の力を得ているとはいえ、普通あの業火に包まれれば無事では済まない。強奪されたという星の力が如何に強力であったかが分かるものだ。そして、その力が作用してか炎はあっさりと消えてしまった。
代わりに目に入ってきたのは先程までとは違う魔女のナース姿。それこそ救われた女子は皆憧れてしまう天使のような存在であり、いくつもの命を救ってきたその姿には貫禄すら感じる。瞬間、身体全体に不自然な重みが襲ってきた。周囲の物も軋む音を鳴らし、同様にそれを感じている。

「これが、魔力の一部というわけですか……」

姿が変わったのを皮切りに感じた重み、溢れ出る魔力と考えるのが納得の行く答えだろう。しかし、そのような状況の中でも魔女は平然と自らを名乗り、挨拶を交わす。自分に害を成さないのは力のバランスがコントロールできている証拠だ。それと共に潜在する魔力が如何に強大であるかも察することができた。とはいえ、それに対抗すべく力を得たのが今回の魔法少女とその騎士だ。星の自浄作用となって対抗している以上、魔女に負かされることのないように仕組まれているのが理だろう。

「魔女という方にわざわざ名乗っていただけるとは思いませんでした。まさか、これだけやってまだ人の名を大事に持っているとは。申し遅れました。私は雪峯響花、覚えるなり忘れるなり好きにしてもらって構いません」

このような時だからこそ表情を変えるわけにもいかないと思い、私は常時変わりない振る舞いで対応する。同時に少し鞘を下げて刀身を数センチほどウォールに見せ、こちらはいつでも大丈夫だという合図を出した。

>>楓、リリー、アルバート、ウォール

4ヶ月前 No.68

夜明けを願う @miyo666☆AyT.PM4ZxVI ★iPhone=4T5z1lSTy5

【市街地 / 八命にぃ】


魔女の視線は、自分ではない、別の方向へと向いていた。そのため、ガードされたとはいえ拳を茨に叩き込めた。禍々しい茨により防がれた拳に伝わる衝撃。腕が痺れる。しかし、その程度で怯むわけにもいかなかった。次の攻撃を喰らえば、確実に距離を取られてしまう。まだ、この状態では近距離の方が優位に戦える。流石にあんな量の茨を捌きつつ最接近など、一人じゃ無理だ。このチャンスを無駄にしてはいけない。
しかし、これを躱すためには横に逸れなければ、あまりにも近い、近すぎる。腕を力の方向にいなせばよいが、その先は?
この位置で避ければ、きっと真横からのカウンターに墜落されるに決まっている……!腕を負傷する覚悟で懐に飛び込むしか。

一瞬、風の切れる音が聞こえる。あれはそう、狙撃銃が着弾する直前に聞こえる音。誰が放ったかはまだわからないが、確信した。その確信はどこから生まれるのかわからなかったし、論理的に導き出したものでもない。所詮勘だが、きっとこれは……。
着弾地点が、もしもこの目前に迫る茨であるならば、きっと衝撃で軌道は逸れる。ならば、大きく避ける必要はなくなる、多少掠るかもしれないが、相手には直撃を与えることができるかもしれない。紅玉の魔法少女である彼女にも茨は襲い掛かっているのだ。こちらだけに意識を集中させるわけにもいかないんじゃないか?そこに隙ができてもおかしくないだろう。
ならば、突っ込むまでだ。

「そろそろキャパオーバーしてもいいんじゃねえのッ!」

この勢いなら大きく地面を破壊してくれるだろう、魔力を腕に集中させ、さらなる質量の増加を図りつつ、茨に突っ込む。同時に、弾丸並みの速度で飛来した石ころか何かが、茨に着弾する。
ここでダメージを与えることができれば、そしてこちらに意識を向けさせれば、きっと"あいつ"と連携が取れるだろう。飛来した弾丸…ではなく、瓦礫であったそれを見た瞬間確信した。あの速さが、この魔女に致命の一撃を叩き込む鍵になるかもしれない。

さあ、もう少しでここまで到着できるんだろう?一発、ぶちかましてやろう!
闘争本能は、こんな命のやり取りの最中だというのに、気分を高揚させていく。

>>周囲ALL

【亀レスゥ!待たせてほんと申し訳ないゾ…】

4ヶ月前 No.69

お疲れsun @tired☆.qeVeLzfCGw ★iPhone=6dROcx5T9m

【ウィルフリート/森の神社】

「はぁ!?人!?」

どういうことだ、ぬいぐるみが人に。人形ではなく生身の人になってしまった。こういう場合、性別はどう表現すればいいのだろう。男?いや、雄?
……あああそうじゃなくて!!

「魔女が出た!そういうことだな!?」

いうが早いかバイクにまたがると、一つ深呼吸。キーを挿しハンドルを握ると、祈る気持ちでエンジンをかける。
…かかった!!

「おらぁ!後ろに乗れ!この際ノーヘルは見逃してもらうぞ!」

魔女。そのワードが出ただけならまだしも、すでに仲間と交戦している。その状況に対して感じる、腰を砕くような焦りは1秒ごとに大きくなるばかり。
エンジンを吹かし、閑静な森に爆音を響かせながらルクスに促した。


>>ルクス 周辺all

【現地に着いたところで一旦絡みをおしまいにしましょうかね…戦闘にも巻き込まれることですし。】

4ヶ月前 No.70

lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_Zyp

【市街地・大通り/西山翔太】

「うわ……」
魔女と対峙して、その強大な力を改めて実感する。
すごいプレッシャーだ、やっぱりこんなのは怖い。でも――――

「……あなたは怖いけど、黙ってもっと怖い目に遭わされるのはもっと嫌です!」
僕は魔女に啖呵を切った。そしてさらに、

「だから……勝負!」
こう続けた。
そして僕は光の鞭を二本出し、片手に一本ずつ装備する。

「はあああああああ……!!」
気合を入れてそれを精一杯伸ばす。
そして、それを魔女めがけて一気に振り下ろした!
――――我ながら結構な力を入れた。これは結構消耗しそうだ……

>エミリーおよび周辺all

4ヶ月前 No.71

yyyn @nickker8 ★iPhone=GdZJFxU87z

【市街地/ウォール・ロックハート】

「そりゃあ、お前の騎士だからな」

隣にいる響花に掛けられた言葉に、ウォールも短く言葉を返す。暫く別行動の日々が続いていたが、いざという時に彼女を一人にする訳には行かない。自分に近い魔力、さらにそこから複数の魔力を感じ取り、全速力でここまで来たがその判断は正しかったようだ。無事に合流出来てホッと一息つきたい所だが、今はそんな場合ではない。まずは眼前の危機を取り除かなければ。

「割と厄介だな。具体的な力は分かんねーし、心が相手だと対処も難しい。」

リリーの助言を受け、どうしたものかと思案していると、今敵との最短距離にいるアルバートが動いた。魔女の体を掴み、自分諸共炎を放ったのだ。放たれた炎は魔女をも包むが、それでも相手は全く動じていない。それどころか火達磨になりながらもアルバートへの接触を続けていた。が、それも終わりーーーー


『初めまして、元魔法少女、橘 楓です。よろしく、後輩諸氏』


4対1という圧倒的に不利な状況ながら、敵は余裕の表情を浮かべて自己紹介を始めた。響花やリリーの先輩。魔法少女の成れの果てという事か。今の魔法少女達を同じ目に遭わせる訳にはいかない。自然とウォールの手にも力が入る。


「名前は覚えておく。家族の仇ではなく、星を破壊しようとする敵としてな」


魔女である楓の変身により周囲の物が軋み、体が重くなっていく。だが響花同様、ウォールもまた表情を変えずに相手を見据える。自分の復讐の対象ではなく、使命を全うする為の敵としてその名を記憶した。

そして響花からの合図を確認するとウォールも攻撃態勢に入る。相手も戦闘態勢に入った様だしこのまま睨み合っていても仕方ない。先程の子どもの様に再び一般人まで巻き込まれては更に厄介だ。こちらから先に仕掛ければ相手の対処の仕方が確認出来る。まずは様子見の一撃を。


「先に行く」

響花を含む3人にそう声を掛けると、ウォールは楓に向かって一気に駆け出した。自分の双剣が届くまではまだ距離があるが、ウォールにとっては問題ではない。相手を目線で捉えるとウォールは自分の魔法を発動させる。その魔法は相手を自分の元へと一気に引き寄せる引力。相手に一切の準備もさせず射程圏内に捉えると、ウォールは二振りの剣で左右同時に斬り掛かった。



>>楓、響花、リリー、アルバート

4ヶ月前 No.72

魔道の獄炎 @sable ★KMxItQnK9M_yFt

【市街地-路地裏-/エネトラクト・ブレイム】

今日は五日ぶりに外に出た。別に太陽の光も人々の喧騒も鬱陶しいだけだし、人肌が恋しいなんてことは絶対にない。ならば彼女が外の空間に求めるものは何か?答えは単純明快。死。苦しみ。そして炎。それらが渦巻く地獄の底の様な光景だ。自分の人生を壊し、大切な両親を奪った人間共に復讐する。そして全てを煉獄と猛爆の底に沈める。それさえ達成できれば後はどうでもいい。自分にはもう何もない。人並みの生活など望めないし、恋人を作って幸せな家庭を築くなんて到底無理な話。だから何もかも破壊し尽くす。

ふと声をかけられ、振り向くと数人のヤンキーがたむろしていた。何かと思ったら挑発的な言葉を投げかけられる。自分達のテリトリーを我が物顔で歩くエネトラクトが気に入らないらしい。大方自分達への挑戦とでも思い込んでいるのだろうが、こんな掃き溜めが縄張りとは程度が知れる。不良以前に男なんて顔も見たくない。そう思ったエネトラクトは、邪悪な笑みに口角を吊り上げながら、能力を行使し火薬を生成した。男共の頭上に降らせると同時に、自身には耐火・耐爆発の特性を付与する。

「『井の中の蛙、大海を知らず』...よく考えたら韻踏んでるよね。

まあいいや。バイバイ」

間髪入れずに指を鳴らし着火。不良共が宙を舞う。子供に飽きられ、投げ捨てられたお人形のように。こんな粉と火花で人の命が奪えるなんて、我ながらどうかしていると思う。力なく横たわる彼らの目に光は無い。お父さんとお母さんも殺された。こんな風に、呆気なく。なんとなく昔のことを思い出したエネトラクトは、らしくもなくその場に座り込んでしまった。

   アイツら
___魔法少女、来るんだろうな。こんな凄い音したんだし。

彼女には珍しく、戦いたくないという気持ちが芽生えかける。魔法少女だった時は率先して戦線に身を投じてきた彼女がだ。純粋無垢な彼女らに、自分を重ねて見てしまうのだろうか。いや、こんなまともな思考は平時限定だ。一度戦いが始まれば彼女は"狂う"。少なくとも戦いを拒むなんて真似はもうできなくなる。

>>市街地all


【どなたか絡みお願いします!主に戦闘で!】

4ヶ月前 No.73

シャムの瞳 @kitten☆DcIyrGCyXF5j ★kYIkHPKvza_wL2

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4ヶ月前 No.74

エステル @captain1 ★SDED1rj6G1_8Yr

【市街地/アルバート・ジョルスタン】

アルバートが背後を確認もせずの伸ばした手は、魔女の手をつかんだ。しめたとアルバートはほくそ笑む。そしてアルバートが吐き出し炎はちりちりと音を上げ、魔女の衣服を燃やしているようだ。自身の服も焦げ臭いにおいを放っているが今はそんなことを気にしている場合ではない。このまま炎で魔女を燃やし尽くせば……そう思っていた矢先、魔女の手がそっとアルバートの背中に添えられた。

「っ……!」

魔女の言葉にアルバートは頭が真っ白になる感覚を覚えた。そして息をのみ、そのまま呼吸ができなくなる。『君自身を見て受け入れてほしいと願っているのでは』魔女のその言葉は、固く閉ざしていたアルバートの心をいとも簡単に貫き、アルバートを支配する。「お兄様と違ってアルバート様にはもっと良いところが……」違う。「お兄様と違ってアルバート様にはまた別の才能が……」違う。「お兄様のいないところできっとアルバート様にも活躍の場が……」違う!そうやってずっとずっとアルバートは兄と比較されてきた。アルバートのことをほめようと四苦八苦するその口からは、必ず兄という言葉が不随する。大丈夫、あなたと兄は違うから……そんな言葉の中身には兄という栄光の影に向けられた哀れみの意が含まれていた。そういつだってアルバートは兄のおまけでしかなかった。誰も自分を見ていないと、アルバートは思っていたのだ。だからこそ兄を超え、その羨望のまなざしの中心に自分が立とうと魔法騎士で手柄を立てることを誓ったのだ。だがその根幹にある想いとは、『自分を見てほしい』という願いでしかない。兄も、家も、なにも関係ない。アルバート・ジョルスタンという人間を見てほしいとアルバートは願っていた。それはアルバートでさえたどり着いていなかったアルバートの本音だったが、魔女はこの短い時間で見事にアルバートの心を暴いたのだった。背中に添えられた手が背中をさすると、その手が物理的にアルバートの心臓をわしづかみにし、心を支配される感覚に襲われる。それはアルバートの錯覚だったが、アルバートは精神的にこの魔女に支配されていた。その証拠に、アルバートは魔女が自分の傍から離れる瞬間、拘束を解くように自ら魔女の手を放したのだから。

手を放して数秒後、魔力の波がアルバートを襲い、その衝撃で幻覚から覚めたようにアルバートは目を見開く。そして肺に足りていない分の酸素を慌てて吸い込んだ。先ほどの魔女のほうを振り返れば魔女はナース服に身を包んでいる。あれが魔法少女の姿らしい。そして魔女は、自らの名を橘楓だと名乗った。普通であればここで自分も名乗り返すべきだろう。だがアルバートは自分の名前を口にしなかった。これ以上自分の情報を相手に渡してしまえば、さらにあの魔女に、橘楓に心を奪われてしまうのではと彼にしては珍しく弱気に考えたからである。アルバートが様子をうかがっているとウォールが楓へと突っ込んでいった。そして自身の魔法を発動させる。アルバートもそれに続こうとしたとき、別方向から強力な魔力の気配を感じる。それは別場所で街を襲う魔女、エミリーの茨だった。このままではあの茨に動きを制限されてしまう。アルバートは息を吸い込むと口から炎を吐き出し、茨を燃やそうとした。しかし、ただ防御しただけではない。口から吐き出された炎は茨を伝い、茨が伸びていく方向と逆方向に侵攻していく。そうして炎を連鎖させながら、エミリーの周囲に漂う茨へ引火させ、焼き払い、エミリー自身も炎で攻撃しようとしたのだった。

>>周辺ALL

4ヶ月前 No.75

東部戦線の暴風 @sable ★KMxItQnK9M_yFt

【市街地/リリー・ピーアニー】

目の前にいる魔女について多くは知らなかったが、リリーには一つの確信があった。彼女も傷つき、虐げられて生きてきた。そう、彼女もまた被害者なのだ。だから単なる悪人と決めつけ、人格を否定するような物言いをしてはならない。
決して媚を売りたいわけではないが、リリーは優しい目をしていた。魔女も微笑む。先程自分の過去を暴かれた時とは明らかに違う、朗らかな笑顔。でもその裏には深い悲しみが隠れている。もう、後には戻れない。それは二人とも同じ。

そして魔女は忠告する。リリーの芯とも言える優しさと正義が、いつか誰かを傷つけるだろうと。

「傷つくのは私一人で十分です。もう誰にも、辛い思いはさせません」

忠告を終えた魔女は、魔法少女たちがそうしたように戦闘服に身を包んだ。端から端までナース服に忠実な外見は、彼女の過去に繋がるヒントに成りそうだ。
その姿を凝視するリリーだったが、突如として強烈な衝撃をその身に感じて恐怖する。自分だけではない。周りの人、物、そして空間。全てが強大な魔力によって悲鳴を上げていた。これが魔女の力なのか...気の弱い者なら見ただけで戦意を喪失してしまうだろう。リリーも怖い。
だけど立ち向かわなくてはならない。そうでなければ、ここに至るまでの自分の発言には、何の重みも意味も無くなってしまう。街は崩壊し、子供達は戦禍に身を投じる。それだけは絶対に阻止しなければならない。

「私はエメラルドの魔法少女、リリー・ピーアニー。決して後には引きません!

『エメロードウォール』!」

名を明かした魔女に向かって名を名乗る。二人の騎士はそうはしなかったが、リリーは何の戸惑いもなく自らの名を口にした。特に深い意味は無いが、強いて言えば自分のことを心に刻み付けさせるため。
仲間達の動きに合わせてリリーも行動に出る。まずは崩れかけた子供達のバリアの修復が優先だ。計四つのエメロードウォールを展開すると、一つは子供達に、残りの三つは仲間達に向かって発射し、せめてもの守りとする。これで一発くらいは凌げるに違いない。魔力の問題で自分の分は展開できなかったが、そんなことはどうでもいい。自分の使命は仲間も含めた人々を守ることなのだから。

ふとララと彼の騎士・翔太の方を見ると、彼女らの相手の魔女によって茨が差し向けられてきていた。厄介な刺客だが、一般人から狙いが逸れたと思えば上々だ。相手は強大な魔力を持つ魔女とはいえ、こっちだって四人がかり。茨を対処するくらいの余裕が無いわけじゃない。パートナーのアルバートに続いて金の杖に魔力を込め、茨を叩き壊す。そして彼の肩を掴んで目を見据え、凛とした表情で以て一言。

「しっかりしてください。誰が何と言おうと貴方は貴方、『アルバート・ジョルスタン』という一人の人間です!

ありのままの貴方を否定したり、誰かと比べたりするなんて、そんな権限には誰にもないんです!」

リリーはアルバートの身を心から案じていた。彼は常に深い闇を抱え、怒りと憎しみの中に生きていた。ただの一人も、彼の成長を手放しに喜び、彼の悲しみに温かい涙を流してくれる、そんな人はいなかったのだろう。彼には何の罪もない。彼もまた、虐げられ孤独に咽び泣いてきた、一人の被害者なのだ。
今まで彼に向かって、いや仲間に向かって、こんなに強気に出たことはない。彼の闇を理解しているからこそ、余計な口出しはせずに陰から見守ってきた。だが今日の彼は傍目に見ても危険だったのだ。ものの数秒で全てを暴かれ、楓に心を掌握されている。煽られれば激昂し、慰められれば心を許してしまう。必死に息を吸い込む姿は弱々しく、憐れだった。まさにあの女の掌の上だ。
だからリリーは踏み切った。ただの鬱陶しい説教だと思われ、余計に怒りを買うだけかもしれない。この気持ちは伝わらないかもしれない。しかしリリーは本気だった。誰も本当の彼を見ないのなら、自分が見る。誰も彼のために涙を流さないというのなら、自分が流す。

他の誰かと比べたりなんかしない。その証拠に、彼女の深い緑色の瞳は、アルバートただ一人を映していた。

>>周辺all


【やってしまった...送信ボタン押したと思ってページ閉じてたみたいです。ずっと返信滞ってて本当に申し訳ないです...】

4ヶ月前 No.76

兎咲 @tmr☆qrj4adrhQpgH ★Tablet=rLqy3zkxxj

【市街地-路地裏-/ルミエール・ラ・ファイエット】


「『されど空の深さを知る』……彼らも手にかけられる前に、知れたのでしょうかね」

 座りこんだ彼女の、だいたい大股五歩後ろから声をかけた。火薬が振りかけられ着火する前に彼らを救ってあげたかったところだが、火薬を光弾で吹き飛ばすのが間にあわなかった。彼等にはちゃんと手を合わせてあげなくちゃいけないな、そんなことを思いながら、彼女に声をかけた。その声色に怒りだとか負の感情は一切なく、むしろ愛に満ちているような歪んだものだった

「さて、行き過ぎた制裁をされたことには変わりはないのですから、戦わなくてはいけませんね? 本当なら投了していただきたいところですけれども……“愛よ、我に力を与え給え”」

 といっても、投了の案を出したとして乗ることはないだろうし、例えしたとしても彼女にメリットはないのだから意味はないのだけれど。いつも通りの詠唱をしてロザリオにキスをする。そうすれば純白の光の柱が立ち、普段の姿が魔法少女のものへと変化していく。修道女を思わせるその姿、けれど愛し足りない私には、この姿にはまだ近づけない。遠い、存在。
 自分の周りに十六の光球を展開、相手の動きを待つ。無防備な相手に攻撃はしない。したくなかった。

>>エネトラクト


【絡みますー!】

4ヶ月前 No.77

魔道の獄炎 @sable ★KMxItQnK9M_yFt

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4ヶ月前 No.78

三文タコス @skycat774 ★0Ubf6LcRSR_yFt

【市街地/ヒロト・オルグレン】

結果から言えば目論見は成功した。投げた瓦礫は茨に直撃しそのコースを変更させ、その事によりできた隙ににぃは拳を魔女の顔面に叩き込む事ができた。それにより魔女の仮面は砕け、さらに十数メートル後方へと吹き飛んでいく。
しかしその成功が果たして事態を良い方向に向かわせるかと言えば話は別、むしろ逆かもしれない。何故なら彼女は繭のような黒い茨の集合体に包まれたかと思うと、悪魔のような禍々しい姿へと変貌を遂げたからだ。姿だけではない、今まで以上の茨を使役している所を見るに力もまた上昇しているのだろう。

「本気を出してきた、ってところか」

忌々しげに舌打ちを漏らす。普段の彼ならば到底やりそうにない行為だが仕方ない。普段と戦闘中の彼はある意味で別人なのだから。
薄々そうだろうとは思っていたが、魔女は今まで本気を出していなかったらしい。そしてある程度力を開放した今も全力を出しているかは怪しいものだ。それを考えるとこちらも更なるパワーアップに備えある程度の余力を残しておきつつ、それでいて今まで以上の力をふり絞らなければならないだろう。
さらに悪い事に、どうやら魔女は明確にこちらを攻撃対象として見据えたようだ。にぃがメインターゲットでなくなった(かもしれない)事を考えればいいのかもしれないが、あの魔女の全力に対応するにはこのビルの上という場所は少し分が悪い。ビルを破壊されてしまえばこちらは足場を失う。跳べても飛べはしない以上、そうなればこちらは彼女相手に自由落下中の致命的な隙を晒す事になるだろう。

「……さあ、どうだろうな」

自分たちが憎いか。お前達も自分達と同様、用が済めば排除されるだけだ。そんな魔女の言葉に短い言葉を返しつつビルから飛び降りる。
実の所、ヒロトは魔女が憎いのかどうか自分でもはっきりしていない。確かに無暗に人命を奪い街を壊す彼女らの行為は唾棄すべきものだが、そうなるに至った理由を鑑みれば同情を覚えない事もない。人類と魔女、どちらかが破滅する以外にも道があるのではないかとも思う。ただ一つはっきりしているのは、彼女らがこの行為を行い続ける限りは和解など到底無理だという事。銃を乱射する狂人が相手では対話などできるはずがない。
そんな事を考えていた僅か数秒の間に、地面はすぐそこという所まで迫っていた。気を取り直し、四肢を地面に付き衝撃を分散させつつ着地する。

「にぃ、まだ亀にはなって……なさそうだな。何よりだ」

素早く起き上がりつつ、自身の契約者を見やりそんな事を口にする。
彼女の魔法は言ってしまえば瓦礫と自分の体を融合させ、それにより攻撃力や防御力を増加させるもの。瓦礫は彼女がそう認識できれば何でもよく、融合上限といったものもない。ただ瓦礫を融合させていくという事は重量も増加させていくという事でもあり、あまり融合させすぎるとその重みで動きが鈍くなってしまう。その状態の事をヒロトは「亀」と呼んでいた。実際の亀は結構早く動けるのだが、まあそこはイメージの問題だ。
魔女の実力は未知数、場合によってはより多くの瓦礫を融合させる必要がある。ただそのせいで「亀」になってしまうと、その鈍さが命取りになりかねない。場合によってはフォローに入る必要もあるかもしれない。

>>にぃ エミリー 周辺ALL

4ヶ月前 No.79

夜明けを願う @miyo666☆AyT.PM4ZxVI ★iPhone=oO5x1IUj2t

【市街地 / 八命にぃ】


拳は脳天を貫き、仮面ごと相手を吹き飛ばす。こんな鈍器の直撃を受ければ、そんなことになるのは当然の結果が待っているだろう。追撃を行うため、吹き飛んだ魔女に向かって走る。
しかし魔女はポツリポツリと言葉を紡ぎ、そして"変身"する。その姿はまさに魔女であり、そしてその空気の圧は、まだ軽い自分を吹き飛ばし、距離を取るには十分すぎるものだ。
空中で体制を立て直し、着地する。しかし、困ったな。所謂本気モードで襲いかかってくるかもしれないアレに最接近する手立てが思いつかない。焦りは禁物だが、少しだけでも隙を見せてくれたらそれだけでいいのだが。


「お前らのことは同情してるよ。私も同じ末路を辿るかもしれないのは十分理解してる……でもそんなくっだらねー感情なんかどうでもいいんだよなぁ!早く死ね!こんなくそったれの役目なんざ早く終わらせたいんだよ!」


その返答は、自身を奮い立たせるものだったかもしれない。もしかしたら、魔女へ同情をかけるはずの言葉だったかもしれない。しかし、気に入らなかった。『憎いですか』というその問いは、自身の存在を認めさせるための物だと思った。憎まれているなら仕方ない、そういう諦めの精神を、許せなかった。
世界、星から見捨てられるような扱いを受けた彼女たちが、全てを憎むことになったのは当たり前だ。そして、こうやって全てを壊すように動くのも当たり前だ。しかし、何故破壊するべき対象に、自身の存在を肯定させなければならない。強者になった優越感?それとも破壊し尽くすことへの後悔か?どちらにせよ、悪役はおとなしく悪役で、私にブチ殺されるべきだ。それが私たちの運命ならば。


「大丈夫大丈夫…てか、その亀って名称どうにかしてよ」

言いたいことが激しく理解できてしまうから反論はできないが、毎回亀という名称にツッコミを入れる。しかし、今回の戦いでは確実に動きがトロくなるだろう。なんせ、そうでもしないとあの魔力の塊には太刀打ちできなさそうだ。
実際のところ、自分の魔法は質量を増加させるだけでなく、その瓦礫で魔力を増幅させる形を無理やり作ることにある。動けなくなったら元も子もないが、ある程度まで吸い込むことができれば、ギリギリ魔女にも対抗できるかもしれない。

だから次の行動も、魔女の攻撃を気合いで躱すことを選択した。

>>周囲ALL

4ヶ月前 No.80

キープ @keep10 ★B1vJ6I1z8y_AkG

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4ヶ月前 No.81

コア @koa11 ★Android=0qnlIoZILT

【市街地/雪峯 響花】

緊迫した中、「先に行く」と声を掛けて楓と名乗った魔女に向かうウォール。同時に彼の魔法も発動し、楓との距離は一気に縮まった。関係からして共闘する機会も多くなる故にと私自身も受けたことがあるが、まさに強力な磁石のような力で操られたものだ。次いで反応するように私の足も動き出す。
しかし、その行く手を阻もうとしたのは他所にいる魔女から放たれたであろう刺々しい茨。後方のアルバートのケアにより進行は食い止められると思ったが、中には賢いものもあるようでしなやかに飛んで炎から逃げてきたようだ。リリーの張ったバリアはまだかかってはいるが、野放しにすれば私はおろかウォールの動きに必ずや支障が出るだろう。仕方無く背後からやってくる茨を左方向に回避すると居合切りと魔法によって炎に近い部分から切断、さらに燃え移るように峰打ちをする。こういったものは先端だけ切っても意味がない。だとすれば、魔法を使用して中間部分を切断、炎に巻き込ませた方が効率が良いものだ。

これで行く手を阻むものはもう無い。攻めに転じようと視線をウォールと楓の方に送ったが、そこで目にしたのはなんとも不可解な光景――攻撃を仕掛けたはずのウォールが楓を抱き締めている――だった。密着であれば近接を得意とする彼にとっては絶好の機会、喉元を掻き切るなんて容易いことだろう。それが不可能であるなら異常が発生していると考えてみるべきか。

――先程、接近をしていたアルバートは普段通りの反応だった。一つあるとすれば、何らかの楓の行動がウォールをあのようにさせている理由か。

楓の行動を一通り頭の中で整理してみる。ナース姿への変身、魔力のコントロール、香水、口に含んだ丸薬、上目遣いの視線……。思った以上に動かれていたものだ。おかげでどれも気になる点止まりで確証にならない。だが、動作を見る限りは誘惑に近いものを感じる。そのような状態で隙だらけのパートナーを放置するわけにはいかない。近接攻撃は楓にも可能であることを忘れてはならないのだ。

「さて、この茨を使わせていただくとしましょう。目を覚ますにも周囲の目があるということを理解させるにもうってつけです」

足元にある切断して間もない茨、そのちょうど良い細さの箇所を鉄パイプ状の長さに切り上げる。宙に舞った茨は次に私のボレーシュートのような蹴りによって楓とウォールの頬をかすめるくらいのコースで飛んでいく。身体能力の向上も影響してか速さもそれ相応のものだ。
普段ならばあれほど刺々しいものは触れるだけで怪我は必至だが、対象を茨にした魔法での間接的な接触であれば問題はない。離れた物体へ攻撃ができるといっても結局は魔法。考え方は目の前へ移動して攻撃をしていることで合っているが、実際は蹴りの衝撃も斬撃も魔力によって作られているに過ぎない。間接的な接触というのはそういうことだ。

「ここに来て誘惑とはふしだらな方です。楽しみたいのであれば他所でやってください。私が目を付けた騎士は、その程度で揺らぐわけがありません」

私は自身が見込んだ人物が簡単に惑わされるほど隙だらけではないと主張する。最も確実な根拠はない。ウォールの全てを知っているわけではない。だが、契約を頼んだ私が彼の強さを保証しなければ誰がするというのか。

>>周辺ALL

4ヶ月前 No.82

兎咲 @tmr☆qrj4adrhQpgH ★Tablet=rLqy3zkxxj

【ルクス/森の神社】

「流石にこれは驚くんだね……」

 そんなそこまで驚かないだろうと思っていたが思ったよりオーバーリアクションで驚いていて、そこはこっちがびっくりするとこだった。けれどすぐに切り替えて魔女が出たと把握したのは流石だと思う。エンジンのかかったバイクに跨がり、自分にも後ろに乗るように指示してきた。事後処理でしか僕は使えないと思うけど、行かせてもらおう。

「あぁ、安全運転で頼むよ!」

 森に響く爆音に少し苦笑いを浮かべて、彼の後ろに乗った。僕自身は別にバイクから振り落とされても魔力を消費して元通りにはできるが、人間の体を持つ彼らは大きな怪我一つで死に直結しかねない。事故を起こさないように願いながらしっかりと捕まって現場についた時の僕の動きを考えた。

>>ウィル


【了解ですー!】

4ヶ月前 No.83

lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_Zyp

【市街地/西山翔太】

「あ、ありがとうございます……!」
茨に襲われたかと思ったら、砕かれていた――
僕は少し戸惑いつつも、自分を助けてくれた魔法少女に感謝した。

「はぁ……はぁ……ん?」
どうやら光鞭はいつの間にか消えてしまっていたらしい。
僕はさっきので大分消耗してしまった。

「そんなぁ……」
しばらくは丸腰で戦うしかなくなった。
もっと勇気があれば、魔女に飛びかかれるだろうが、僕には生憎そんな勇気はない。

とりあえず回復まで逃げ回ることにしよう……

>リリーおよび周辺all

4ヶ月前 No.84

yyyn @nickker8 ★iPhone=4ItahO6Bxk

【市街地/ウォール・ロックハート】

「‥‥‥!」

まさに身体が言う事を聞かない状態といっていいだろう。自分の攻撃は見事に躱され、逆に距離を詰められてしまう。隙を突かれたウォールを待っていたのは予想だにしない攻撃だった。
結果的に敵である楓を抱き締める形になってしまったが、勿論ウォールはすぐに離れようとする。が、彼女はそれを許さなかった。楓から発せられる濃厚な薔薇の香りに、ウォールの心は徐々に支配されていく。ただの誘惑ではない。自分の細胞に、潜在的な意識に訴えかけてくるその支配は、楓の強烈なアピールも相俟ってどんどん強くなっていきーー


このまま彼女の思惑通りになる訳にはいかない。相手の誘惑を打ち破るべく戦っていたウォールを救ったのはパートナーの響花だった。響花は新たな魔女が放った茨をも利用し、こちらに攻撃を放ってくる。放たれた茨が頬を掠めた瞬間、一瞬だが楓の誘惑を打ち消した。その一瞬の隙に、ウォールは楓から離れ一気に後方へと跳躍。ようやく相手から距離を取るとウォールは少しだけ苦笑いを浮かべた。

「悪い。助かった。」


自分を救ってくれた響花に礼を言うと、ウォールは再び楓を見据える。相手が魔女とは言え、守らなくてはいけない響花の前であんな姿を見せてしまったのは大失態だ。

(くそ!何やってんだ俺は‥‥‥)

相手の手の内を探るどころか、逆に術中に嵌ってしまう所だった。決して油断をしていた訳ではない。ただ、全く予想外の攻撃に対処が間に合わなかったのは事実だ。戦闘タイプの魔女では無いにしても、やはりその魔力は凄まじい。現に自分の攻撃もいとも簡単に否され利用されてしまった。だが、既に起きた事を悔いても仕方がないのだ。同じ失敗は二度としない。ウォールの眼に再び闘志の炎が灯った。



>>楓、響花、リリー、アルバート、周辺ALL

4ヶ月前 No.85

兎咲 @tmr☆qrj4adrhQpgH ★Tablet=rLqy3zkxxj

【市街地-路地裏-/ルミエール・ラ・ファイエット】

「“魔法少女をやめる”、ですか……貴方以外にも救わなくてはいけない人はたくさんいますから……その人を救ってからやめるしかないですね」

 清き純白の光に守られて、投了の条件として出したその条件に応えた。自分たちが最終的にこうなってしまったから、やめろと言っているのかと検討をつける。それからの私の返しは直ぐには辞めれないという意味を持った答え。ぷっ、と吹き出した彼女のリアクションを見てやはり私に全てを愛して祈るシスターの姿は似合わないのかと思っていた。外も中も汚れきった怪物になったと彼女は言う、けれど私の目に汚れも怪物も映ってはいなかった。“常人が扱えることのない力を持っているのが怖い”という理由だけで迫害された彼女達のしたことは許されることではなくても、その考えに至ってしまったのは、人間たちのせいなのだから。

 だから、私は救いたいのだ。何かしらの方法で、これ以上お互いを消耗させることなく――可能な限り、穏便に。先輩たちがこうなっている以上、私達もこうなるのは避けられないのだから。

「……貴女から望んで汚くなったわけではないと、私は思っていてもいいですか? 何かで救う手段を……私は探したい、貴方達の立場を増やさない方法を、私達がそうならない方法を……けれど、崩した罪は何かしらで支払わないといけないとは、思っています」

 低速で、ゆっくりと。十六発のうちの一発が彼女に向かって飛んでいく。目的は戦闘目的でも、危害を加えるわけでもない。彼女の罪を祓うという意味での、一発。

「……なので、少し痛いと思いますけどよろしいですか? 彼らの分の罪だけ、ですけれど」

>>エネトラクト


【こちらこそ愛一色の(?)魔法少女ですがよろしくお願いします……!】

4ヶ月前 No.86

魔道の獄炎 @sable ★KMxItQnK9M_yFt

【市街地-路地裏-/エネトラクト・ブレイム】

「ま、素直に「はいやめます」なんて言うわけないよな」

清らかな衣装に身を包んだ少女は、エネトラクトの予想通りの答えを返してきた。ただ辞めたくないと言うだけじゃなく、人々を救いたいからという理由まで添えて。感心だ。どこまでも自分より他人の幸せと救済を祈っている。理想のシスターだが...甘っちょろい。そんな戯れ言では世の中は変えられないと、他の誰でもなく自分自身の身で痛感した。魔法少女だった頃は、エネトラクトも同じことを考えていた。自分の場合は祈りでも救済でもなく戦闘だが、こうして自己犠牲の末に平和の世が築かれると信じていた。でも違ったのだ。

「たりめーだろ。進んで汚れたい奴なんているか。それにな、罪を償う手段ってのはたった一つしか無いんだ。

それは同じ罰を受けること」

それでもなお、こんな自分に救いの手を差し伸べようとしてくれる少女。彼女の愛は本物だ。しかしエネトラクトは拒絶した。罪を償うためには全く同じ痛みを味わわなければいけない。人を殺した罪は、神に祈ったところで消えやしない。自分も命を奪われて初めて清算される。もうエネトラクトには死しか残されていない。おまけに一人殺しただけで立派な罪だというのに、自分はいったい何百人殺してきたのだろうか。死んで地獄に堕ちれば、永遠に苦しみ続けなければならないのだ。

彼女の身体が禍々しい黒色のオーラの中に飲み込まれていく。純白の光に守られる少女とはまるで正反対。オーラが消え去ると同時に姿を現したエネトラクトは、濃い赤と黒が入り混じった暗黒の鎧を装着していた。これが魔女としての彼女の姿。全てを煉獄の底に沈め葬る、地獄の悪鬼。同じ空の下に生きていながら、少女は神の加護に包まれ、エネトラクトは死神に後ろ髪を掴まれていた。

「おーいってぇ。でも地獄に行ったらこれの数億倍は辛いんだろうなあ」

罪を祓うという名目で飛来する光弾。それを何の抵抗もせずに自身の身体で受け止める。もちろんこんなもので赦されるなんて思っちゃいない。祈りも、救いも、鼻から信じちゃいない。その証拠にエネトラクトの口からは"地獄"というワードが飛び出す。もう自分が地獄に堕ちることを受け入れ、諦めているのだ。ぺっ、と血の混じった唾を吐き捨てると、背負った鞘から一振りの長剣を抜く。

「この刃が答えだ。せめてもの情けに、あたしと同じ苦しみを味わう前に殺してやるよ!」

そう叫ぶと地面を蹴り、鎧をまとっているとは思えないスピードで切りかかる。甘っちょろい戯れ言を掲げ、あくまで魔法少女としての人生を歩むというのなら、もう交渉は決裂したも同然だ。ならば少女にも残された道は死しかない。敵とはいえ後輩だ。この炎と刃で天国に送ってやろうじゃないか。まだ何の罪も犯していない、まっさらな状態で。

>>ルミエール

4ヶ月前 No.87

TDN @arayashi ★gmOEYwYGFh_8Yr

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4ヶ月前 No.88

キープ @keep10 ★B1vJ6I1z8y_AkG

【市街地/橘 楓】

「……ッ痛!」

 頬目掛けて飛んでくる茨の弾丸。この少年の魔法少女である雪峯響花がエミリーの魔法の残骸を蹴り飛ばしたものだった。しかも香水の誘惑を断ち切るために自らの騎士へも。正確無比な攻撃は少年の薄皮一枚を見事に切り裂き、その痛覚により一瞬我に返った魔法騎士は楓の下から離れた。あの攻撃も見事ながら、僅かな痛みを利用して危地から脱出してのけたあの騎士も大したものだと、楓は血の滴る手の甲を眺めながら評価する。反射的に左手で防いだ攻撃は防刃性の高いグローブを切り裂き、手の甲に大きな傷をつけた。この戦闘初めての負傷を前に、楓は思案する。

――あの茨を……蹴った?

 楓の戦闘服は長い時間をかけて魔力をこめながら手編みした特注品である。対ショック性、防刃・防弾はもちろん、魔法による攻撃にも対応する『布の軽さを持つ重装備』なのだ。たとえ大国の軍事力が束になっても楓に傷をつけることは非常に困難である。魔女を殺せるのは同じく魔法が使える魔法少女、そして同等の力を持つ魔女のみだ。エミリーの茨も例にもれず、彼女の手から離れてなお高い防御力を誇る楓の服を破り、負傷させるに至る凶器だ。
 問題は、それを蹴り飛ばした響花である。何の対策もなしにあの茨に触れればただでは済まない。ましてやあそこまで威力を持つ蹴打ともなれば、少なくとも流血は免れない。しかし見たところ彼女に目立った外傷はない。彼女の能力に関係しているのだろうか。あの魔法騎士はまるで磁石のように楓を引き寄せた。そして彼女は反発させるように危険な茨を触れることなく蹴り飛ばした。想像の余地はあるが、今は保留としておこう。固定概念に捕らわれると足元をすくわれる。楓はそっと手の甲を撫でると、傷どころか破損していたグローブもすっかり元通りになっていた。

「あらぁ残念。もう少しでお姉さんの虜にできたのに……フフッ、響花ちゃんには刺激が強すぎたかしら?」

 手ごたえはあった。その聴覚は心拍数の急激な上昇を聞き取り、その嗅覚は汗腺から噴き出す多量の汗の匂いを感じ取り、その視覚は顔の火照りから体温の上昇と瞳孔の肥大化を確認した。交感神経が活発に働いている証拠だ。寸でのところで逃げられたが、体内に取り込まれた薬物の効果はまだまだ続く。ふと魔法騎士の下腹部を見やり、意味ありげに含んだ笑みを浮かべた。

「それにしてもボク、かなり鍛えてるわねぇ。一般的なウェイトトレーニングではなく、武術における鍛錬の方が近いかしら。んー、でもあまり実戦でやりあった経験はないのかしら。戦場においてもベッドの上においても、ウフフ。軍属? ……そうでないとしたら……私たちに対するレジスタンス部隊にでも入ってたかしら?」

 魔法騎士に抱き着いた意図。無論香水の匂いと色香で骨抜きにするという意味合いもあったが、あの一瞬で楓は『触診』をしたのだ。体幹から足腰の筋肉そして骨格に触れることで彼がいかにして過ごしてきたのかが大体わかる。無駄な脂肪や筋肉がない。しかしパワーやスタミナまで下がっているわけではない。ただ体をデカくするウェイトトレーニングによる筋肉の付き方ではなかった。相手を打ち倒す。そのための体づくり、まるで戦国期の武士のようだ。
 しかし不意を突かれて狼狽する姿から、命のやり取りは少ないと見た。軍属の者ならそれなりに実戦の経験もあるだろうが。民間から立ち上がった対魔女レジスタンスの出ならば戦いに不慣れでも納得がいく。レジスタンスと言っても実際に魔女と戦うわけではない。正規軍でも敵わない相手に民兵が蜂起したところで結果は火を見るより明らかだ。彼らの活動は魔女に対する注意喚起、避難経路の確保と食料や物資の調達。そして魔女信者への武力介入と言ったところか。楓たちが現役だったころも一定数いたのだ、世界廃滅を望む魔王軍を支持する輩が。悪魔信仰に近いものなのだろう。彼らも助けなければいけない苦労は楓自身身に染みている。

 そしてあの魔法騎士の攻撃にはちょっとした違和感を感じた。同じ魔法騎士であるリリー・ピーアニーの魔法騎士アルバート・ジョルスタンの攻撃とは似ても似つかぬ違和感。アルバートの攻撃はまさに敵意と殺意をむき出しにした肉食獣のそれを同じだ。敵を狩り殺生する爪や牙のような鋭利な感情が感じ取れた。それに引き換え響花の魔法騎士の攻撃は殺意こそあれど、目的が違って見えた。草食動物が自らの身を守るために角や蹄を持ったように。守るために戦う、あの魔法少女を守るために。
 しかし楓の洞察力はそこにいくらかの詭弁が隠されていること、彼の瞳の奥に眠る憎悪を見抜いていた。初めて相対したとき、自分に向けられる殺意に気付いていた。しかし戦闘が始まって、その殺気は内包されるように見えにくくなる。自らに課した使命感で復讐心を律したか。それならば話は早い。興奮剤の効果がまだあるうちに、その内に秘めている野獣が如き激情をおびき出すだけだ。

「もしレジスタンスにいたなら私と会っていたかもね。あの子たちに情報をリークするためにいろんなレジスタンスの秘密基地にお邪魔したから。あの時はNPOの医療従事者、名前を桜庭 ヒノキ(さくらば )と名乗ってたっけ」

 迫害しておきながら被害者面をして魔女を排斥するレジスタンスができたという情報は魔女たちの間でかなりの噴飯物だった。中にはレジスタンスが匿われているとされた小国を国ごと滅ぼした魔女もいた。楓は被害が国単位ででると色々自分の商売に影響が出ると思い、偽名を使ってレジスタンスに潜入。場所を魔女にリークするという仕事をしていた。

>>リリー、アルバート、響花、ウォール、周辺All

4ヶ月前 No.89

エステル @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【市街地/アルバート・ジョルスタン】

茨へ向けた攻撃を終えた後もアルバートの心には楓による『しこり』のようなものが残っていた。『自分自身を受け入れて欲しい』それはアルバート自身も気付いていなかったアルバートの心からの願いであり、その願いにアルバートはまだ戸惑っていたのだ。楓と対峙することは今や自分の願いと対峙すること。得体の知れない自分自身の心と向き合うのを恐れ、アルバートは攻撃後も楓の方をすぐには振り替えることができなかった。そこでふいにアルバートの肩に手が置かれた。パートナーのリリーだ。そして『貴方は貴方』だと力強い言葉と目線とをアルバートに送ってくる。リリーの言葉は理解できる。『自分を認めて欲しい』それが自分の願い、だがアルバートはその自身の願いを受け入れられずにいた。

「分かっている!私は兄とは違う。兄より強く、聡明だ。そして、私は兄よりも次期当主にふさわしい。見ていろ!」

誰よりもアルバート自身が兄とアルバートとを比較することを止められないでいたのだ。アルバートがアルバート自身を嫌悪し、見下している。自分の中に抱える矛盾を消化できず、アルバートの語気は強くなり、パートナーであるリリーに対して声を荒げたのだ。それは八つ当たり以外の何物でもないのだが、アルバートはリリーを気にかける様子もない。どこまでもアルバートは兄と自分しか見ていなかった。

アルバートはウォールと雪峯の攻撃が一旦落ち着いたのを確認する。楓がウォールと戦闘を始める前、楓はなにかを口に含んでいた。興奮剤か筋肉強化剤か……中身は分からないがあれを口にしたことで楓の動きは段違いのものとなった。加えて、先ほどウォールは何やら動揺していた。自分と同じように何か心理を揺さぶられたのかもしれないが、もしかすると何かしらの薬の影響なのかもしれない。アルバートが心を乱したのもその薬のせいなのだろうか。その後楓が口にしたのレジスタンスに潜入していた事実。おそらくウォールを焚き付けるための言葉だろう。真偽は分からないがそれでウォールが興奮状態になり楓を殺してしまっては困る。なにせ魔女を倒した功績はアルバートが手にしなければならないのだがら。

楓の左手には傷、ここを起点に攻めて行くべきだろう。アルバート走り出した。そして口を開け楓の前に炎を吐き出す。だがそれは楓を直接攻撃するものではなった。楓の前に立ちはだかったのは炎の壁でしかない。そして楓とアルバートの間に死角を作り出す。一呼吸置いたあと、楓の上空から急速にせまる物体があった。それは緑色の鱗を纏う塊。鋭い爪と牙とを兼ね備えた全長3mほどの物体だ。それは、アルバートが自身の魔法を解放した姿、ドラゴンと化したアルバートの姿だった。アルバートは鋭い爬虫類の目で楓を見据えながら重力と翼による推進力によって急下降しつつ、その鋭い爪で楓の左手を睨む。狙うは楓の顔の左側、あえて手は狙わない。楓が咄嗟にガードした時には直接、アルバートの攻撃を回避した時にはもう片方の爪で楓の左手を狙うために、アルバートは顔を狙ったのだった。女性であれば顔は狙うべきではないなど、そんな理屈はアルバートに通用しない。アルバートは自身の願いを殺すように、楓に向かって攻撃をしかけた。

>>楓、リリー、ウォール、雪峰、周辺ALL


【すみません、楓戦の流れについていけなくなるので、レス蹴りさせていただきます】
>>エミリー本体様

4ヶ月前 No.90

yyyn @nickker8 ★iPhone=4ItahO6Bxk

【市街地/ウォール・ロックハート】

まだ少し頭がクラクラする。楓の薬の影響なのだろうか。相手から離れても尚、影響を与え続ける楓の攻撃。次に同じ様な攻撃を受ければアウトだろう。戦闘不能になるか楓の操り人形になるか、いずれかの状態に陥る可能性は高い。だとすれば近接攻撃は危険、遠距離攻撃で様子を見るのが得策か。


「そこまで見抜いたのか」


楓の言葉がウォールを現実へと引き戻す。身体に触れていた間に自分の情報は洩れなく把握されてしまっていたらしい。だが、別にレジスタンスに所属していた事が知られても特に問題は無い。楓の言葉通り実戦の経験は多くないが、そこは否が応でも慣れていくだろう。特に気にしていなかった。
確かにウォールは幼い頃からレジスタンスに所属していた。勿論両親も一緒で父は前線、母は医療部隊として活動していて、ウォールも学校に通いながら時々その手伝いをしていたのを微かに覚えている。ただ、その頃の記憶はハッキリとは覚えていない。両親が所属していたレジスタンスが壊滅し、二人を失ったショックから記憶が抜け落ちたのかもしれないとの診断を受けた。そこからレジスタンス繋がりで別の組織に所属し、今に至る。無理にその記憶を取り戻そうとせず、今日まで生きてきたウォールだが、彼は今この瞬間再び過去の記憶と向き合う事になる。それは楓が口にした名前ーー


「桜庭‥‥ヒノキだと‥‥?」


その名前を聞いた瞬間、ウォールの絡まっていた記憶の糸が静かに解け出す。両親が所属していたレジスタンスに、ある日いきなりやってきた1人の女性。NPOの医療従事者だった彼女は母と共に医療部隊で活動していた。周りからの評価は高くウォール自身も懐いていた節がある。手の空いている時は遊んで貰ったり、勉強を教えて貰ったりしていた。ところが彼女が何らかの用でレジスタンスを去った後、急に魔女の侵攻が始まった。強大な力を持つ魔女の前にレジスタンスが壊滅したのは言うまでもない。たまたまウォールはその場に居なかったので難を逃れたが、両親は他界。ウォールは深い悲しみの底へと突き落とされた。
ウォールに突き付けられた真実。それは家族を奪ったのは自分が姉のように慕っていた女性であり、その女性は魔女だったということ。その事実は、楓の目論見以上にウォールを打ちのめした。


「ヒノキ‥‥姉ちゃん‥‥?」


ウォールの頬を冷や汗が伝う。姉だと慕っていた女性をかつて呼んでいた愛称で呟いた。その声は楓に届いているかどうか微妙だったが、彼女の聴覚であれば恐らく聞こえているだろう。眼前ではドラゴンと化したアルバートが楓と対峙している。その姿を映すウォールの眼に最早闘志の炎は宿っていなかった。



>>リリー、アルバート、響花、楓、周辺ALL




【勝手に設定加えてしまいました。もし不都合であればスルーして頂いて構いません!】

>>楓本体様

4ヶ月前 No.91

エメラルドのそよ風 @sable ★KMxItQnK9M_yFt

【市街地/リリー・ピーアニー】

口調を荒げるアルバートを見て、リリーは確信した。彼の願いが叶うまで、実はもうあと一歩の所まで来ているのだと。最後の壁はアルバート自身が作り出している。兄と比較されることを忌み嫌いながら、彼もまた呪縛にかけられた様に同じことをやっているのだ。これもまた彼の責任ではない。誰かと比べることでその人間の価値を決めるという、虐待に等しい行為を周囲の人間が繰り返した結果、アルバートはそれを自分の心に刻み付けてしまったに違いない。そうすることでしか自分の価値を見出せない人間にされてしまったのだ。こうなってはリリーの言葉は届かない。例え届いたとしても、捻じ曲がった意味でしか受け取ってはもらえない。後は彼の心ひとつ。自分はその時をただ祈りながら待つしかない。歯がゆい思いで胸がいっぱいになるが、これもまた自分に課せられた使命だと思うしかない。

「ウォールさん!」

混乱は尚も広がり続ける。次の標的は響花のパートナーである魔法騎士、ウォールだった。彼の両親が魔女に対抗するための組織に所属しており、幼いウォールを残してこの世を去ったということは知っている。しかし真相は彼ですら掴めぬ闇の中、当然リリーに知る由もない。だが美貌の魔女は、そんなこの場にいる誰もが知り得ぬ事実まで、その手の中に握り締めていたのだ。まるで猫をならすための猫じゃらしの様に、余りに残酷な現実が突きつけられようとする。それを察したリリーは彼に向かって叫ぶが、もう手遅れだった。ウォールの瞳に滾る炎が消え、その場に立ち尽くす。自分達はあの女の掌の上だ。過去という時に何よりも人を傷つける武器を以て、決して抗えぬ角度から切り込まれる。このままでは一人、また一人と戦闘不能に追い込まれてしまう。ならば、そうなる前に決着をつけるしかない。

「『エメロードストーム』!」

念のため彼の前まで急行し、庇うようにして立ちはだかって攻撃に出る。金の杖の先端にはめ込まれたエメラルドが輝き、重い岩ですら天空の彼方へと吹き飛ばすような突風を巻き起こす。耐えようにもその場からは容易に動けなくなるため、もし決まればアルバートの攻撃の補助にも成り得る。本当は精神的な面での補助もしてやりたかったが、それに関しては自分の出る幕ではない。何故ならウォールには、自分なんかより更に彼のことを理解している、ベストパートナーがいるのだから。今は二人の絆にかけるしかない。ウォールが再び闘志を取り戻すかどうかは、彼女にかかっている。

>>周辺all

4ヶ月前 No.92

シャムの瞳 @kitten☆DcIyrGCyXF5j ★kYIkHPKvza_wL2

【市街地 / エミリー・ブリッジ】

四方に張り巡らされたエミリーの千里眼は、逃げる人間たちを追うことを放棄し、カエデの戦いの様子だけを見つめていた。たとえ僅かでも、沢山の敵に囲まれる彼女の力になりたかった。しかしカエデから送られた視線は、エミリーの思いを汲みながらも逆に彼女を気遣うものだった。今は互いの敵に集中するように、と。正しくその視線の意味を読み取り、エミリーは唇を噛む。カエデは、強い。自分の感情に囚われ、闇雲に壊すことしかできないエミリーよりもずっと。
彼女の気遣いと、何より信頼を裏切りたくはなかった。未練を振り切るように、エミリーは諦め悪くカエデを追う「目」を全て閉じる。同時に細く長く四方に伸びていた茨から、流し込んでいた魔力を引き抜いた。茨は一気に干からび、黒い塵となって消えていく。余分の魔力を得て、エミリーの悪魔を象る茨はいよいよ勢いを増した。

カエデは必ず勝利する。エミリーは彼女の視線をそう信じた。ならば自分は迷いなく、目の前の敵を倒すことに全力を尽くそう。再会を喜ぶのは、それからでいい。

>>楓周辺All

【流れを邪魔するようなロール申し訳ありませんでした。】


エミリーの背中で成長し続ける茨は最早大樹とも呼べそうな様相になり、擦れ合ってメキメキと音を立てている。それはエミリーを中心として、巨大な籠のような、目の粗い檻のような構築物を形作りつつあった。うねる茨が天を覆い、地を埋め尽くす。エミリーの残った視界に映る世界は、黒い茨に覆われた地と空。そして一人の魔法少女と、共に並び立つ長身の青年。

青年は魔法少女を気遣うように声をかけ、魔法少女もまたそれに応える。まるで仲の良い友達か何かのように。エミリーの目にはそれは、空虚な茶番にしか映らなかった。彼もまた、この世界が生み出した悪意の一部。今は親しげな様子を見せていても、いざとなれば魔法少女を切り捨てるに決まっているのに。
エミリーの視界に見えていた魔法少女たちの中でも特に幼く、しかし大人びた表情を見せる瓦礫を纏った少女。彼女から先ほど激しく叩きつけられた言葉が、耳に残っていた。

『お前らのことは同情してるよ。私も同じ末路を辿るかもしれないのは十分理解してる……でもそんなくっだらねー感情なんかどうでもいいんだよなぁ!早く死ね!こんなくそったれの役目なんざ早く終わらせたいんだよ!』

彼女のその言葉は、エミリーにとって驚きに値するものだった。新たな魔法少女たちは、誰も世界の悪意を知りもせず、無邪気にこの星を信じているものだと思っていたのに。
かつて魔法少女エミリーは、人と世界の美しさを信じていた。だから彼女は戦えた。敵と同じだけ自分の血を流しても、この世界を護ろうと思った。彼女の周りの人々を、彼らの生きるこの星を愛していたから。そして彼女は人々の裏切りに絶望し、魔女となった。彼女を疎み、悪意しか見せない世界と人々に、存在する価値などないと思った。
しかし、この幼い魔法少女は、己の行く末を理解しながら、「くそったれの役目」と彼女が呼ぶ使命の為に、魔女エミリーの前に命を懸けて立ちふさがっている。

エミリーはこの瞬間、初めて認識した。「新たな自分たち」ではなく、「個としての彼女ら」を。

『あたし達には、その絶望を、憎しみを……
    ここで終わらせてあげる事しかできない。』

流星のごとく赤熱した、赤の魔法少女が隊列に加わる。その澄み切った瞳はエミリーを真っ直ぐに見つめていた。曇りのない決意の瞳。その瞳は懐かしくも厭わしい、己の過去の幻影だ。だがしかし、過去の自分たちと彼女たちと、一体何かが違うというのか? エミリーは目を伏せる。これ以上その瞳を、三人の並ぶ姿を見ていたくなかった。
この憎しみを、終わらせることなど出来る筈がない。人間たちが、世界が今のままである限り、たとえ魔女が全て倒されたとしてもきっと同じことが繰り返される。その筈、なのに。

「……どうして、ですか?」

思わずこぼれたそれは、先ほどまでの独り言とは決定的に違う。それは今度こそ、目の前の魔法少女たちに対する問いかけだった。

「結局は排除されると理解していて、貴方たちは戦うのですか。戦いに勝利しても、その先に貴方たちの生きる場所はないと知っているのに。……一体」

何を想って、戦っているのか? その質問をエミリーは辛うじて飲み込んだ。彼女たちを支えるものが何なのか、それを知ってどうなる。新たな魔法少女たちをねじ伏せ、世界の無価値さを確かめることだけがエミリーの望みだ。
今更どんな言葉を聞こうと、彼女の世界への不信と憎しみは最早消えはしないだろう。彼女はこの世界の闇ばかりを見過ぎてしまった。この悪意に満ちた世界を壊す自分が正しいのだと信じることで、彼女は世界に受け入れられなかった自分を保ってきたのだ。余計なことを聞けば、きっと、何かが壊れてしまう。

「……お願いが、あります。私の視界から、消えて下さい」

それは、相対している者にとっては唐突と感じられただろう。魔女の足元にまとわりつき、地面を波打つ黒い海のように見せていた茨が、素早く収束して魔女を包み込んだ。すっきりと露わになったアスファルトの路上には、黒い影が落ちている。それはエミリーの頭上数十メートルで、空を覆うように広がっていた巨大な茨の檻。一拍を置いて、広がった茨が突如支えを失ったかのように一斉に先端を垂れた。
黒い空が、落ちてくる。先ほど赤の魔法少女を襲った茨の雨とは、威力も数も比べ物にならない。皮膚を裂き、肉を潰し、骨を砕くに十分な威力のそれが、何十何百の雨となって、アスファルトの路上に降り注ぐ。

>>にぃ、ヒロト、ララ、周辺All

【すみません、会話には無理に付き合って頂かなくても大丈夫です。遅くなって申し訳ないです。】

4ヶ月前 No.93

キープ @keep10 ★B1vJ6I1z8y_AkG

【市街地/橘 楓】

『ヒノキ‥‥姉ちゃん‥‥?』

 その呼び名に、その声に、楓の瞳は大きく開いた。魔女として世界に宣戦布告を出して間もないころ。その強大な魔力と溢れんばかりの憎しみを吐き出すように、魔女たちは暴虐の限りを尽くした。当時の彼女たちには理性というものはなく(今もあるかどうか怪しいところだが)ただ血に飢えた獣のように破壊と虐殺を繰り返していた。特に自分たちを非難するレジスタンス部隊への攻撃は激しく、前述の通り小国一つ壊滅させた魔女もいたほどだ。無理もない。あそこは自分たち魔女への憎悪を寄せ集めた吹き溜まり。まだ幼い彼女たちにとって、今まで戦っていた魔王軍と同等、いや殺意と憎悪に関してはそれ以上に抱いていたのかもしれない。
 楓はそんな彼女たちのバックアップに邁進していた。自分たち魔女の力に対し人間はなんら打開策も取れず、なされるがままの状態だった。しかし楓にはある種予感めいた考えが脳裏に在った。人間を廃滅しようと魔王軍は現れ、それに対抗すべく我々魔法少女が星の意思で生まれた。その星が我々の悪行をこのまま黙って静観するはずはない。いずれは我々に対抗するであろう何かが現れる可能性は十分にある。そのためにも、彼女たちの暴走をある程度抑えておく必要があった。

 レジスタンス部隊へは名前と経歴を詐称し入り込んだ。どこの部隊でも医療の知識と経験が備わっている人間は少ないらしく、怪しまれるどころか諸手を振って歓迎されたときは戸惑いもしたが。医療部隊に配属になり、怪我の手当や治療をする傍ら子供たちの世話も積極的に行った。その少年もよく自分に懐き、色んなことを話した。家族のこと、レジスタンスのこと、将来のこと。そして魔女や魔法少女のことも。他の部隊に応援を頼まれたという口実でその部隊から離れる際、少年は目に涙を溜めて見送ってくれた。彼の頭を撫で、笑顔で

『また、どこかで会えるよ。それまでに誰かを守るぐらい強い男の子になりなさい』

 と言ったんだっけ。我ながら残酷なことをする。後30分もしないうちに、連絡を受けた魔女たちがここら一体を焦土と化すことを知っていたから。

 憔悴し戦う気力を宿さぬ彼の瞳をじっと見つめる。

「……背、伸びたね。男前になったからわからなかったよ……強くなったね、『ウォー君』」

 橘楓は一瞬にして、あの頃の桜庭ヒノキに戻った。あの当時のままの笑顔で、あの当時のままの呼び方で、あの当時のままの優しさで。その暖かさが、その優しさが、その温もりが、鋭く深く心を抉り取ることを楓は知っていたから。
 あとは彼の記憶が彼を縛る。脳というのは優秀なもので、見聞きした出来事は常に記憶し続けている。しかしその記憶を全て思い出していたらとてもじゃないが日常生活は送れない。脳は情報の必要量を計算し、それに応じて記憶をよみがえらせる。それ以外の記憶は脳の奥底に眠ったままの状態だ。俗に『忘れる』という表現は『眠っている』と表記したほうが辻褄が合う。
 しかしその記憶を引き出すのは、案外些細なきっかけが多い。自分の好きな食べ物を食べ、母親が作ってくれた料理を思い出す。帰省した時に嗅いだ故郷の匂いで子供の頃を思い出すなど。両親の死、所属していたコミュニティの壊滅。その二つの不幸は彼の頭の中に刻み込まれ、そして封印されているはず。一度こじ開けられたら最後、パンドラの箱のようにトラウマが噴き出すだろう。



「『エメロードストーム』!」

 詠唱が聞こえたと同時に巻き上がる旋風。重心を落とし地を踏みしめていなければどこかへ吹き飛ばされそうだ。チラと見る。もはや腑抜けと化したウォールを庇うようにリリーが立ち塞がっていた。どうだ、戦闘不能の者を守りながら強敵と相対するのは辛かろう。これでまともに自分と戦えるのは響花とアルバートのみ。リリーは子供たちに加えてウォールの身の安全を優先するだろうから援護ぐらいしかできないだろう。
 突如として立ち塞がる炎の壁。アルバートが吐き出したものだろうが、こちらへ直接攻撃はしないようだ。つまりは目眩ませ。視線を右に左に移す。どこにもいない。不意に上空から気配を感じ見上げる。そこには、殺意と破壊の権化が舞っていた。牙、爪、固い鱗、どれもこれも友好や愛情なんて生ぬるいものを寄せ付けない、ただただ力を誇示する姿。

「ドラゴン……それが君の手に入れた力なのね、アルバート君」

 左手に魔力集中、布を生成して防御態勢に入る。あの質量と落下速度、相応の衝撃が来ると予想し待ち構える。


――ッッッドン!!!

 轟音とともに楓が立っていたアスファルトの道路が崩れる。楓を中心にひび割れが生じ弾かれた衝撃波で建物のガラスがはじけ飛んだ。
 抗っている。左腕に強烈な一撃を叩き込まれている中で、楓はその攻撃の意思を探っていた。自分が暴き出した彼の心、それに対する戸惑い。長年兄を呪い兄を妬み、兄に勝つことを自らの魂に刻み生きてきた彼にとって、自分の常識を根底から崩してしまいかねない衝撃だったろう。楓は爬虫類のその瞳を見つめる。感情が流れ込む。自分たちを魔女と罵っていた人間たちと似た目だ。その本質は恐怖。安全だと思っていた自分の世界に突如現れた異端。自分の常識が全く通用しないソレを、彼らは恐れた。恐れたから排除しようとした。かつての平和と安寧を取り戻そうと。

――揺れている

 攻撃自体は凄まじい破壊力だ。現に気を抜けば防御が破られてしまいそうになる。しかし芯が通っていない。彼は自分自身に疑いを持ち始めている。そもそも兄への復讐心と対抗心でしか自分を保てない不安定な自我だ。その兄に対する考えが揺らげば、すぐに支えが無くなる。自尊心が無くなった者はなんにでも縋る。それがたとえ悪魔の手だとしても、人は安定を求めてしまう。

――その崩れた自信、私が支えよう

 アルバートの爪が楓の防御を突き破る。弾かれたように広がった左腕に竜の爪が襲い掛かった。

「ぐっ!? アアァアァァアアッッ!!」

 宙を舞う左腕。肩口から夥しい量の鮮血をまき散らし、楓はその場に蹲った。ドサリと力なく落ちる左腕。戦闘服も清楚な顔も血で汚し、荒く呼吸を続ける。防御に宛てていた布で傷口を縛る。時折傷むのか脂汗を流し苦悶の表情を見せる。楓は生成した布を切り飛ばされた左腕に巻いた。腐敗と細胞の壊死を防ぐために。血と泥で穢れ地に頭をつける。右手は未だ血の止まらない左腕を押さえ、苦しそうに呻き声をあげる。
 先ほどの衝撃でナースキャップも落ち、纏められていた楓の髪が顔にかかり表情が見えにくい。その濡羽色の髪の隙間。アルバートのパートナーリリーにしかわからないように視線を送る。その眼は苦しみも憎しみも持ち合わせていなかった。ただ不敵に不遜に――嗤っていた。

「……ック、ハハッ……すごいな。現役の頃も魔女になってからも、とりわけ大きな怪我とかしてこなかったのに……まさか左腕を飛ばされるとはねぇ……防御力には自信あったんだけどなぁ」

 ゆっくりと立ち上がる。兄の日陰を歩いてきた少年は常に認められることに飢えていた。その心は渇いていた、伽藍の器にはその虚しさを紛らわすために兄への復讐という嘘を満たし続けていた。しかしそれでは満足できない。本当に欲しているものが違うのだから。楓は嘘で満たされた心の器を傾ける。零れ落ちた器の中身。そこに魔女は水を注ぐ。満たす、満たす。求められるがままに満たす。そこに悪意という毒が混ざっていようとも、器は満たされてしまう。彼の心を掌握するのに代償が必要というのならば、左腕ぐらいわけなく差し出せる。

「『……君は強いよ、アルバート君』」

 それはあまりにも残酷で、あまりにも優しすぎる呪詛だった。まるで母親のように微笑む楓は、アルバートを含め三人の動向を待った。

>>周辺ALL

4ヶ月前 No.94

コア @koa11 ★Android=dh5DAQ3i3Q

【市街地/雪峯 響花】

咄嗟の思い付きは「魔女」の茨が功を奏してウォールを助け出すことに加えて楓にも傷を追わせることができた。後者に至っては魔法のせいか即座に治癒されていたが、負傷したという事実は確かなもので一つの収穫に間違いはない。回復に専念せざる得ないほどの攻撃ができれば正面からの突破も不可能ではないのだ。私自身の魔法を使用して傷口に追い討ちでも良い。楓が根を上げて隙を見せるような長期戦になれば勝機だって少なからずある。

「どちらかと言えば貴方が不意に食らった茨の直接的な刺激の方が強いと思いますが」

一つの策が失敗に終わったというのに変わらず揺さぶりをかけてくるのは楓の基本的な戦術だからなのだろう。こちらのことなどお構い無しに次々と語りかけては術中に嵌めようとしてくる。己が知ること、知り得ないことまでを巧みな話術と観察眼で引き出し続けている。

「何を言われようが聞く耳持たずで結構です……どうかしましたか?」

楓に身体を触れられたことをきっかけにレジスタンスに所属していたことを見抜かれたウォールだったが、特に乱す様子もなく冷静沈着。リリーとアルバートの先例からこの揺さぶりに関しては何も問題はないと安堵した矢先だった――。

『桜庭 ヒノキ』

私自身は聞き覚えの無い名ではあったが、楓が口にした瞬間にウォールの動揺する姿というものが目に見えて分かった。そして、ついには声をかける暇もなく動揺から混乱へと変わっていったようで、気付けば戦意喪失となった彼が私の目に映った。
言い当てられた事実に関しては目立った反応が無かったのを見るに、やはりウォール自身が知り得なかった事実が鍵となってしまったのだろう。こうなればもう物理的な方法での解決は無いものだ。

「お二方、ありがとうございます。必ず私が片を付けさせます」

竜へと変化を遂げて再び仕掛けるアルバートと状況を察してこちらを庇ってくれるような位置で攻撃を行うリリーたちに感謝の言葉を述べる。こうなればやるべきことは確認しなくとも十分に理解できる。
一歩ずつゆっくりとウォールへと近づき、私は成そうとする。他の誰にも真似できないこと。唯一のパートナーを救い、戦線へと復帰させることを。

「どうしたというのですか、虚ろな目をして。初めて見た貴方の目は覇気に溢れたものだったと記憶していますが」

私がウォールを見上げる目線は決して媚を売るようなものではない。光を失った瞳に光を、再び彼を立ち上がらせようとしたものだ。それは彼が魔法騎士として戦う覚悟を決心した時のものに似た誰かを守ろうとする目でもある。私自身が確固とした心持ちで挑まなければ、彼が楓の策に飲み込まれてしまうのは火を見るよりも明らかだ。

「魔女の言う強さなど偽りに過ぎません。得た魔力を私利私欲のために振りかざす者の強さの基準は力のみ、上辺だけのものなのです」

楓がウォールへとかけていた優しい言葉に反応するように呼び掛ける。
他者の評価に翻弄され、欲望に溺れたが故に触れた星の力。それによって行われた我儘かつ、非道な存在証明は強さと呼ぶことはできない。

「この荒れた時代で耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、現実に向き合おうとする心も持ち合わせてこそ本当の強さです。貴方はそれもレジスタンスで培った。違いますか?」

かつては魔女たちも分かっていたはずなのだ。魔王軍に屈することなく、自分達と同じように希望を信じて絶望的な現実に向き合っていた人々は強いと。そして、時は違えど彼もレジスタンスに所属して同様のことを行っていた一人だ。

ウォールの目をしっかりと捉えて語りかけていた最中、私の耳に一つの悲鳴が入る。これまでに聞いたこともないような人の声。目を向ければ一瞬で理解できたその事態は楓の身体の欠損だった。
アルバートの赤く染まった大きな爪を見るにあれで引き裂いたのだろう。楓はそのまま蹲っている。まさに戦況を打開するような一撃だ。これで防戦であったリリーも動きやすくはなる。しかし、ウォールを更に混乱させてしまう恐れがあるという事実も含まれていることを忘れてはいけない。

「ウォール・ロックハート! ……貴方の過去に辛いことがあったとしても、現在の貴方を形成する糧となっているのは紛れもない事実です。今、ここで非情な現実に向き合っているとしても、すぐに過去の一部となり、また強い貴方を作りあげるのです。今は理解できなくても良いです。しかし、これが世の理だと私は信じています」

こちらへ興味を惹くために少々声を荒げてその名を呼ぶ。そして、この事態に関わらず先程の話を続ける。余計な言葉をかければそちらに反応して同士討ち……なんてなればまさに最悪の状況でもある。まずは普段の冷静な彼を取り戻してから楓の件は考えるとするべきだ。

>>周辺ALL

4ヶ月前 No.95

yyyn @nickker8 ★iPhone=5NLEF7wz8b

【市街地/ウォール・ロックハート】


深い闇に落ちていく様だった。無意識の内に封じ込めていた記憶がウォールを闇へと誘っていく。戦いなど無意味、このまま何もせず滅してしまった方が楽だ。そうすれば過去の記憶の中でずっと笑っていられる。両親と姉と慕っていた女性と一緒にいられる。それが例え偽りだったとしても、これ以上辛い思いはしなくて良いのだから。


楓の優しい言葉がウォールに決定的な一撃を与えた。自分の精神が音を立てて壊れていく感覚。恐らくもう俺は二度と立ち上がれないだろう。過去は断ち切れたと思っていた。魔法騎士になった事で復讐心を奥底にしまい、魔法少女を護ることを第一に行動してきた。が、どうやらずっと過去に縛られていたようだ。情けねぇなーーー


光を失いかけたウォールを救ったのは、契約相手の響花だった。彼女は楓とは違い、強くそして真っ直ぐな眼差しで自分を見据える。そんな彼女の言葉の一つ一つがウォールを少しずつ蘇らせていく。
辛い過去は今の自分を作っている糧。その言葉が身に染みる。その通りだ。過去は変えられない。ならば何も悲観することはない。臆する事なく向き合っていけばいい。辛い過去は今を生きる力になる。過去には縛られない。もう二度と大切な人を無くしたりしない。今度は必ず守ってみせる。俺は未来に向かって歩くーーー


「見失う所だった。響花、ありがとう」


その眼は決意に満ちていた。もう過去の幻影は映していない。そこに映るのは今を共に生きる大切な仲間。思えば、響花に闇から拾い上げて貰ったのは二度目だ。二度目はたった今だが、一度目は契約を依頼された時。復讐心に囚われ、闇の中を彷徨いながら戦っていたウォールを救い出してくれた。そうだ、あの時誓っていた。命に代えても必ずこの少女を護ると。まだ何の恩も返せていない。自分の契約相手が彼女で良かったと心の底から思う。


「リリー、もう大丈夫だ。世話掛けちまったな」


自分を庇ってくれていたエメラルドの魔法少女、リリー・ピーアニーにもそう声を掛ける。本来なら自分が護らなければならない立場だというのに、どうやら相当な迷惑を掛けてしまっていたようだ。この借りはこれからの働きで返す。
双剣を握り直し、2人の魔法少女に感謝の言葉を述べるとウォールはスッと前に出る。見ればドラゴンと化したアルバートが、楓に甚大なダメージを与えたようだ。果たしてこれが戦局にどういった影響をもたらすかは分からないが、大きな動きがあったのは確かだ。左腕を失うという重傷を負っているにも関わらず、相手は微笑みを浮かべながらアルバートを賞賛する。


「俺の次はアルバートを潰すのか?橘楓」


乗り越えた痛みは強さとして心に残る。騎士として、そして人間として強くなったウォールの眼は一層闘志の炎を燃やす。その眼で静かに楓を見据えた。


>>周辺ALL

4ヶ月前 No.96

エステル @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【市街地/アルバート・ジョルスタン】

アルバート・ジョルスタンは愚かだった。アルバートが気づかぬうちに埋もれさせていた願い、『自分を認めてほしい』という願い。それはもうとっくの昔に叶っていた。エメラルドの魔法少女と契約を交わしたあの日、あの時に少なくともリリーはアルバートの力を認め、アルバート・ジョルスタンという男を選んでいるはずだ。だがその時でさえ、アルバートは自身による呪詛によって心を縛りつけていた。『ジョルスタン家の次男だからだろう』『あの兄の栄光を知っているから同じジョルスタンの自分を選んだのだろう』口にはせずともアルバートの頭に刻み付けられた兄への劣等感からアルバートは自身を蔑んで、リリーとの契約を素直に受け取れなかったのだ。そして『こいつは兄を越えるための道具だ』などと愚かな思考で自分の心に蓋をしていた。リリーはアルバートの考えを理解し愚かな思考も承知し、それでもなおアルバートの身を案じているのに、アルバートはその慈悲深い心に気づいてもいないだろう。アルバートは自分自身で心にこびりついた劣等感を振り払わなければならない。そう、本来であれば。

アルバートの手に伝わってきたのは肉を切り裂く確かな手応えだった。爪が楓が張った防御を貫き、楓の悲鳴がアルバートの周囲に響き渡る。アルバートは自分の手で魔女の力を打ち破ったのだ。それが楓の罠とも知らずに。アルバートは竜の姿のまま楓を見下ろした。赤く染まった楓の体、それから地面。楓は荒い息を吐きながら弱々しくアルバートに話しかける。その甘い言葉でみるみるアルバートの心にある劣等感は削ぎ落とされ、代わりに自尊心と自信とで満たされていった。自分にもできる、兄にはできないことを自分ならやれる。その証拠に見てみろ、自分が放ったたった一撃で目の前の魔女は息も絶え絶えだ。

「ふん、魔女の力もこんなものか」

アルバートの心は毒入りの水で満たされていく。水に毒が入っていることなど考えもしない愚かな思考を伴って、自分に対する嫌悪感が薄れていく。アルバートの思考に一瞬ジョルスタン家の人間が兄を差し置き自分を賞賛する映像がよぎった。もう虫の息の魔女を、楓を消せばアルバートは望んだ地位を得られる、望んだ賞賛を得られる。だが、最後の一言でアルバートの心の器は水が溢れかえるほどにまで満たされた。

「……私は……」

それは何よりも欲しかった言葉、楓が口にしたのはアルバート・ジョルスタンの力を認める言葉だった。言葉は残酷だ。例え本心を伴わなくとも、言葉は時に他人へと深く突き刺さる。アルバートは今まさにそんな状況だった。対峙してわずかな時間でアルバートの願いを見抜き、その願いを満たす言葉を投げ掛けてくる橘楓という存在。アルバートの心が毒入りの水で満たされる、そしてアルバートの思考は『楓は自分を認めてくれる』という愚かな思考へと行き着いた。

「私は……お前を殺さなければならない。お前を殺し、私は兄を越える!」

ドラゴンの姿のまま牙をむき、吠えるように叫ぶ。それはアルバートの中にかすかに残った理性が叫んだような言葉だった。だがもうすでに遅い。アルバートは楓を見下ろしながらも一切攻撃の予備動作を見せないのだ。ウォールの声もアルバートには届いていない。『彼女こそが自分を認めてくれる人物だ』アルバートの心は、すでに楓の手のひらの上にあった。

>>周辺ALL

4ヶ月前 No.97

lzh @lllllzh☆PvKD6UICUoMc ★TuwsMa7hHI_Zyp

【市街地/西山翔太】

「……はい!」
ララの言葉に僕は大きな声で返す。
そして僕はビルをかけまわり、逃げ回りはじめた。

あちこちを駆け回り、魔力が戻るまで攻撃から逃げ続ける。

「……ん?」
逃げ回っている途中、ふと見ると魔女の背中が目に入った。
見ると大樹とも呼べそうな姿で、茨がメキメキと音を立てている。どうやら檻のようなものを作る気らしい。

「うわ……」
僕は戦慄した。

しばらくすると、魔女が語りかけてきた。
『結局は排除されると理解していて、貴方たちは戦うのですか。戦いに勝利しても、その先に貴方たちの生きる場所はないと知っているのに。……一体』と。

僕はこう返す。
「僕は自分のことすらよくわかってません……でも怖い目に遭うのは嫌だから、こうしてるんです」

>エミリー・ブリッジおよび周辺all

4ヶ月前 No.98

夜明けを願う @miyo666☆AyT.PM4ZxVI ★iPhone=oO5x1IUj2t

【市街地/八命にぃ】


笑わせてくれる。虫唾が走る。こんな問いなんてせずに、その強大な魔力でブチ殺せばいいのに、くだらない。……そう、思いたい。この、隅っこにある気持ちには気づかないふりをしよう。同情でもなく、憎しみでもない。自分たちだけではない、目の前の魔女までもが巻き込まれた運命に対する、それには。
少なくとも今、心を塗りつぶしながら湧いてきた怒りの方が大きい。あの魔女は、自らが行ってきた殺戮と破壊を覚えていないのか?生きる場所を、誰かの居場所をぶち壊した自覚すらないと来ている。魔法少女だったなら、少し考えればわかるはずだ。『戦うしかない状況を作り出したのは、一体誰なのか』
戦わなければ死が確定している。戦った先は未知数だ。どれだけ悪い状況に転がり落ちようが、死ぬことは、避けられるかもしれない。それに_______


________生き残った先で、この星自体に復讐することだってできるかもしれない。
歪んだ希望。怒り。負の感情は、オニキスを通じて魔力へと変換される。


「どっちにしろさ、戦わなくてもお前らに両親も友達ももろともぶち殺されて、居場所なんて魔女が生まれたその日から私にはないんだよ。ここでお前らに殺されるわけにもいかないから、私はお前をぶち殺すしかない」



魔女は、ぽつりとこの場にいる全ての正義のヒーローを否定する。
途端にそれは起こった。伸びる巨大な茨。降り注ぐ黒きそれは全てを破壊するのには十分だった。あまりにも広範囲すぎる。全て避けることなんてできやしない。しかし、一発でも当たれば……そこに待っているのは、滅茶苦茶に破壊される自分だ。……そして、自分だけではない。きっと周りの…ララ、ヒロト。彼らにも危険が迫る。魔法の相性から言って、ララは数発食らっても逃げ切ることができるだろう。ヒロトも、体を酷使することにはなるがその加速を利用し離脱すれば突破できる。

しかし、自分にはそんな余裕はない。彼らのように逃げ切ることはままならないだろう。ならば、仕方がない。

破壊された途端から、瓦礫を全て吸い上げる。まさかヒロトの言葉通りになるなんて思いもしなかったが、吸い上げた瓦礫を甲羅のように自分に貼り付け、黒い暴力の雨から自身を守る。砕かれていく側から灰となり、消えゆく瓦礫。耐えきることができるとは到底思えないその威力は、私の心を、絶望より先に反抗心で満たすには十分だった。
『私の目の前から消えてください』、その言葉に、意地でも逆らってやる。お前が攻撃を緩めるまで、絶対にここで耐え続けてやる。

足が、腕が、悲鳴を上げる。瓦礫の重量と降り注ぐ茨威力でので自分が押し潰されそうだ。しかし、自分の心に湧き上がった黒い感情が、魔力を高める。更に硬く、重く、廃材の甲殻を形成する。

久しぶりに、身動きが取れなくなりそうだ。それとも、甲殻を破壊されて、あの雨に飲み込まれてしまうのが先か。

>>周囲ALL

【遅れてすいませんでした!!!!!!
クソみたいなロルしてますけど魔法ぶっ壊して吹っ飛ばしてもらっても全くもって構わないです。いたそう(小並感)】

4ヶ月前 No.99

兎咲 @tmr☆qrj4adrhQpgH ★0ZnpP1Lt8i_jWF

【市街地-路地裏-/ルミエール・ラ・ファイエット】


「……っ!」

 てっきり相殺されるものだと思っていた。暗黒の鎧に包まれた彼女の姿は、まるで自分で罪を身にまとっているようにも見えて。直撃した私の光は彼女の体にダメージを残し、吐き捨てられた痰には赤い色が混じっていた。そして彼女の言葉から、諦めのような――そんな雰囲気を感じてしまった。この人は思っている、自分は地獄に落ちるべきだと。本当に落ちるべきなのかと問われれば違うはずなのに。金属の擦れる音を意識の遠くで聞いたと思えば、手には一振りの長剣。

 戦わないと、いけない。
 ここで嫌だといっても、切り伏せられるだけだ。

 そんな考えが頭を巡った、その一瞬。ほんの一瞬で彼女は迷うことなく距離を詰める。私に抗う手段はないわけではないが、近接となると彼女に完全に対抗できるかと聞けば絶対に違う。彼女は先輩なのだから。振り下ろされる彼女の剣から逃れるように身を引いた。そして長いベールの切れ端が、彼女と私の間の宙ををひらりと舞うと共に右頬に痛みを感じた。寸でのところで頬とベールを切られたようだ。

「……戦うしかないのですね」

 今だけは戦うしかないと自分に刻み込むように。小さくつぶやけば彼女の後ろに光弾を配置して、振り下ろされた剣に向かい一発放つ。武力を削いで、可能な限り戦いを続けない。今の私にはそれしかできない。

>エネトラクト

【遅くなりました……!中間がせまっているので来週も遅くなると思います】

4ヶ月前 No.100

キープ @keep10 ★B1vJ6I1z8y_VuR

【市街地/橘 楓】

『俺の次はアルバートを潰すのか?橘楓』

 振り返りウォールを見る楓の表情には、この戦いで初めて見せる驚愕と動揺が浮かんでいた。心を読み切ったはずだ。過去を引き出したはずだ。精神を破壊したはずだ。それなのにその瞳に宿す闘気の強さは先ほどとは比較にならないほど大きく、鮮麗されている。蛹から羽化した蝶のような、雄々しく逞しい姿。その立ち振る舞いで、彼が楓にとって無視できない外敵とまで成り上がったことを悟る。薬と毒は僅かな成分の差である。耳かきの先端ほどの差で、大きく効果が変わることも珍しくない。自分が投与した毒が、結果的にウォールを成長させるきっかけになるとは。表情には出さないが、楓は腹の中で舌打ちをした。
 過去に捕らわれた者、過去に逆らう者、過去に怯える者。人間の悩みの種は、決して取り返しのつかない過去の出来事に起因する。『過ちが去る』と書くが、去り行く過ちを人はどこまでも追い続けてしまう。幻想の許しを得るために。追うのを止め、立ち止まり、過ちの背を眺め、見送った人間は恐ろしく強い。今の彼がそうだ。正も邪も、喜びも悲しみも、受け入れる勇気を持ったのだ。

(あの子の強さを、見誤っていた……)

 楓の視線の先には、ウォールの魔法騎士、雪峯 響花の姿があった。落ち着いた物腰や大人びた印象を持つが、年は十代半ばだろう。そんな少女が二度も魔女の攻撃から自らの騎士を守り抜いたのだ。冷静な判断力、そして物怖じしない心の強さ。何よりウォールとの絆の深さが彼を立ち直らせたのだ。魔法少女と魔法騎士。それは魔女がこの星から魔力を奪ったために作り上げられた粗悪な対抗馬では決してなかった。この二人が組み合わされば、魔女の力すら喰らう強大な天敵となりうる。
 そして楓は気づいてしまった。この星の意図に。魔女を倒すための魔法少女、それらが新たな星と人間の脅威となっては元の木阿弥。故に、迫害を受けようとも化け物と蔑まれようとも、支えとなる片割れを生み出した。その心が闇で覆われないように、互いに存在を認め合い励ましあうための救済措置を。我々の失敗を糧に学んだのだ、この星は。左腕の傷を押さえる右手に力が込められる。思い出すのは魔女となり果てたかつての仲間たち。殺されるかもしれない恐怖と、誰かを殺す恐怖を幾日繰り返しただろう。守るはずだった人々が目の前で蹂躙されたとき、何度絶望に身を焦がしただろう。それでも皆が笑いあえる世界を作るために、自分たちの闘いが無駄ではないと証明するために、その身を投じた我が妹たちの笑顔を思い出す。楓の瞳から一滴の涙が零れる。それと同時に、彼女が繕っていた笑みの仮面が剥がれ落ちた。

――結局我々は、いいように使われた挙げ句、失敗作と見做され、モルモットととして捨てられるのか

 その憎しみは静かで冷たかった。激高し当たり散らすではなく、内に濃縮させ無駄に霧散するのを防いでいるような。色白の素肌に酸化し黒ずんだ鮮血、今まさに人を斬り殺した白刃のような凄みと美しさを纏っていた。これが本当の橘楓の素顔なのだろう。光を喰らうかのような瞳でウォールたちを見つめ、口を開いた。

「潰す? 人聞きの悪いことを言うのね。彼の心の闇を覗くことも触れることもしなかった連中が――邪魔をするなッ!!」

 地を踏み鳴らした瞬間、楓と竜の姿となったアルバートを包み込むように地面から布が飛び出してくる。包帯のように細長い布は幾層にも重なりやがて半円状のドーム型になっていく。はたから見れば巨大な繭か、蜘蛛の巣に捕らえられた虫の成れの果てを想起させた。リリーが子供たちを隔離した『エメロードウォール』に似た魔法であるが、魔力ではなく布という物質による障壁のため頑強さは桁違い。布とは言ってもその質感は分厚いゴムに近い物で、響花やウォールが放つ斬撃に耐えうるための防刃性、リリーが放つ風で飛ばされた物質に耐える耐衝撃性を考慮されている。
 繭の中は外界の音と光の一切を遮断していた。先ほどのウォールのように、干渉されることを防ぐために。

――そう、私を殺すの。それで? 私を殺して君はどうなるの?

 漆黒の闇の中、楓の声だけが反響しながら聞こえる。微笑みかけていた時の声とは打って変わって、魂まで凍てつくような冷たい声だった。

――私を殺せば、君の思う通りになるのかしら? もし私を殺しても何も変わらなかったら? 今までの君に戻るだけだったら?

 支えたアルバートの自信を揺らす。掴んだ手の力をわざと抜いていくように。徐々に徐々に。

――また君はあそこに戻るの? お兄様の影に怯えていたあの頃に。独りぼっちだったあの頃に。

 人間は絶望の中でも生きていける。人間は孤独の中でも生きていける。しかし人間は、一度絶望から抜け出したら、一度孤独から解放したら、二度とかつての場所に戻るまいと抗うのだ。過去の凄惨な体験を恐れているのではない。やっと手に入れた掌に乗る程度の幸福が、目の前で消え失せるのが恐ろしいのだ。

――私が死んだら一体だれが君を認めてくれるの? 一体だれが君を支えてくれるの? 一体だれが……君を愛してくれるの?

 暗闇に響く楓の声は、責め立てるようにアルバートに降り注ぐ。暗に誰もお前のことを認めない、愛さないという表現を用いながら。

>>周辺ALL

4ヶ月前 No.101

三文タコス @skycat774 ★0Ubf6LcRSR_yFt

【ヒロト・オルグレン/市街地】

「……だとしても、同じ穴の貉になる気はねえよ」

戦いに勝利しても貴方達の生きる場所はない。そんな魔女の言葉に淡々と短い言葉を返す。
彼女の言葉はある意味では間違っていない。そもそも魔王の軍勢を打倒した英雄であるはずの彼女達がこのような凶行に走るようになったきっかけを考えてみても、それは心無い、あるいは自分の生存本能に正直な民衆からの迫害を受けた事だ。自分達を生み出した星にまで見捨てられたというのもあるのかもしれないが、やはり一番の原因は人だろう。
そしてその民衆は新たな脅威が去ったのなら再び、今度は自分達に牙を剥くかもしれない。いや、十中八九剥くだろう。人間は同じ過ちを繰り返すまいとする賢さも持ってはいるが、同時に自分以上の力を持つ者を恐れる性も持ち合わせているのだから。
しかしだからといって、彼女達と同じ道を辿るつもりはない。仮にそうしたところで、星はまたなけなしの力を使ってそれい対抗する戦士を作り出すだけだろう。誰も得をしない負の連鎖だけは引き起こす訳にはいかない。

(まずいっ!!)

と、次の瞬間。今まで一本の大樹のように成長を続けていた茨に変化が起きた。魔女の口が死刑宣告を思わせる言葉を紡いだのとほぼ同時にまるで巨大な檻のように変貌し、さらにその空を覆う茨の一部分がまるで豪雨のようにこちらへ降り注いでくる。
何とか急加速で初撃こそ回避する事はできたものの、破壊を伴った茨の雨はまるで自分達を葬り去るまで終わらないと言わんばかりに降り続けている。気を抜けばすぐに致命傷を受けかねない。

「ここは逃げに徹し……にぃ!?」

あの茨が何百本あるのかは知らないが、回避に専念し続ければいずれ好機は訪れるだろう。そう考えヒロトはにぃの方へ向かおうとするが、その時には彼女は既に彼とは別の方法でこの雨を凌ごうとしていた。茨による破壊で発生する瓦礫を材料にした甲殻だ。
確かに茨が勝手に瓦礫を作る今の状況なら、その瓦礫で甲羅を作るというのは悪くない判断かもしれない。無論茨が直撃した分は破壊されるが、それも新しく発生した瓦礫で補う事が可能。その意味では完璧な防御手段のようにも思える。
だが瓦礫にも重量がある事、そしてその重量を支える支柱が魔法少女とはいえ12歳の少女である事を考えれば話は別。にぃは茨の直撃による衝撃だけでなく、瓦礫の総重量にも耐えなければならないのだ。まだ始まったばかりの今は何ともないが、このまま根競べになろうものなら彼女の方が先に限界を迎えるのは火を見るよりも明らか。
何とかして助けようにも、あの状態になったにぃをどうにかするのはかなり難しい。何とかして茨を逸らそうにも、空を封じられているに等しい現状では跳ぶ事さえままならない。瓦礫は大量に転がっているが、投げて妨害するには腕が不足している。……となればできる事はただ一つ。

「ララさん、できればでいいからにぃを頼む!」

すぐ近くにいた紅玉の魔法少女に半ば叫ぶようにしてそう告げると、近くに転がっていた瓦礫をひっつかみ魔女に向けて走り出す。
黒い茨は変わらず地面に落ち続けているが、それでも何とかならない事はない。常人の幾数倍にまで加速された判断能力と身体速度を活かしつつ、
まだ次の茨が落ちてこない場所を見極め、駆け抜ける。
彼がやろうとしているのは先ほどまでと同じ魔女のかく乱。彼女はこの雨で敵を滅しきるつもりらしいが、それでも敵の一人が突出し肉薄しようものならそちらに幾分か注意を向けねばならないだろう。そうすればこの雨も多少は……それこそ気休め程度にはマシになるかもしれない。

「俺達がお前の視界から消えるんじゃない―――お前の視界を消してやる」

僅かに回避が遅れた茨が左肩をかすめる。それだけの事で彼の戦闘服の部位はあっけなくやぶれ、痕は血が滲みだす。
茨の雨の密度は凄まじい。直撃こそしてはいないものの、その余波でヒロトは少しずつ、しかし確実に傷を負い始めていた。

>>エミリー ララ にぃ 周辺ALL

4ヶ月前 No.102

TDN @arayashi ★gmOEYwYGFh_AkG

【市街地 / ララ・ランドローバー】

人間の闇を一身に受けたであろう魔女エミリーの憎悪は、厚く、深く、根強く、固い。一体、どれほどの苦痛と絶望を味わえば、ここまで憎悪を育て上げる事ができるのか。ララには到底理解することはできなかった。そしてその憎しみの大きさを体現するかの如く、エミリーを中心として唸りを上げる茨の大樹。辺り一帯が影に呑まれる。それは枝葉を伸ばすかの如く、澄み切った青空を漆黒に染め上げる。その光景は、まるで魔女の憎しみに世界が覆われてゆく様に思えた。圧倒的な殺意が肌身を刺す。

『……お願いが、あります。私の視界から、消えて下さい』

その言葉を合図として、大空を覆い隠していた茨の群れが、一斉にその殺意に指向性を持たせる。穂先をこちらに向け、一面に豪雨の如く降り注ぐ。それは先ほどララに放ったものと同じだが、物量が圧倒的に違っていた。空が見えるこの市街地に盾になるものなど、ありはしない。ビルの中へ逃げ込んだとして、コンクリートの壁さえ紙の如く食い破ってくるだろう。この暴虐の嵐に対し、一方的に防戦を強いられる。まずは降ってくる茨をブレードを振りかざし断ち切る。そしてさらなる追撃の茨と茨の僅かな間隙に身体を滑り込ませ、掻い潜る。しかし掠めただけで皮膚を切り裂かれ、次第に茨は密度が増し、退路を塞いでいく。

視線をヒロトとにぃ、二人に走らせる。ヒロトはその加速の力を以て、魔女に一矢報いろうと突き進む。対し一帯の瓦礫を寄せ集め、甲羅の如き盾を形成するにぃ。茨の雨で粉砕されたアスファルトを次々に吸収し、その堅牢さを高めると同時に動き事すらままならなくなっていた。頑強な盾に対し担い手が小さすぎたのだ。あのままでは、茨の圧勢と甲羅の自重で押しつぶされてしまう。

「ッ!……すぐ行く!!!」

ヒロトの叫びに言葉なく応える。身を低く構え、両足に力を込める。地面を蹴っ飛ばし、地表すれすれを這うように赤い軌跡を残し疾駆する。次々に降り注ぐ茨の雨の間隙を縫うように走り抜け、茨が身体を掠める度に皮膚が引き裂かれ、血潮が舞う。小麦色の両腕が真っ赤に染まった頃、にぃの姿は目前だった。

「少し我慢してねッ……!」

唇を噛み締め、再び地面を目いっぱい蹴る。さらなる加速。甲羅の下敷きになりかけているにぃの身体をすれ違い様、その右腕に抱きかかえる。およそ人間の体温ではないララの身体は、少し火傷を負ってしまうかもしれないが、今は堪えてもらう他ない。そして支えを失った甲羅が茨の攻勢に押しつぶされ、元の瓦礫に成り果てるのを尻目に置き、さらに駆ける。
しかしにぃを救い出した先に待ち受けていたのは、密度を増した茨の雨。もはや二人分の退路は残されておらず、横合いから茨が迫る。にぃを抱えた手負いのララでは茨に対し、身を呈してにぃを守る事しかできなかった。

「い゛ッッ!?!?」

血飛沫と共に激痛が迸る。身を竦めた瞬間、茨が脇腹を抉っていった。想像を絶する痛みに体勢を保っている事すらままならず、足がもつれるとララの身体がアスファルトに跳ねる。流れる血と汗がアスファルトを染める。そして弛緩した両腕から、にぃの身体が転げ落ちる。地面に倒れ伏したララは、息が絶え絶えになり、失血と魔力の消費によって途切れそうなる意識をなんとか繋ぎとめる。
しかし最後の踏ん張りが利いたのか、辛うじて茨の雨の圏外に二人は転がっていた。そしてララの口元が僅かに動く。

「よかったぁ……」

にぃを救い出す事ができて安堵したのか、声のかすれた呟きと笑みを零した。


 >エミリー、にぃ、ヒロト、周辺ALL


【遅れてごめんなさい!】

4ヶ月前 No.103

魔道の獄炎 @sable ★KMxItQnK9M_yFt

【市街地-路地裏-/エネトラクト・ブレイム】

口の中に広がる血の味。向こうからすれば小手調べといった所だろうが、まともに正面から喰らえばそれなりのダメージは入る。だがこれでいい。魔女に身を堕とした今、自分にとっての原動力は憎しみ、痛み、恨み。それだけで十分だ。愛だの正義だので燃えていた昔とは違う。そんなくだらない子供騙しより、よっぽど敵を叩き潰す気になれるものを見つけた。
今更引き返すことは出来ないのだから、行くところまで行ってしまえばいい。どうせ地獄に落ちるなら、命尽きるその時まで人間共に復讐してやる。相手が後輩だろうと関係ない。そんな己の命すら顧みないエネトラクトの暴走具合は、まさに破滅願望と呼ぶに相応しかった。

「そうだ。あたしを殺す気でかかってこい!

そうでなきゃ死ぬのはお前なんだからなァ!」

振り下ろした長剣に微かな手ごたえを感じる。僅かに頬とベールを切っただけだが、小手調べの一発にしては上々だ。傷というのは不思議なもので、例え小さくとも思わぬところで効いてくる。この調子でガンガン叩き込んで、自分の様な魔物になってしまう前に天国に送ってやろう。狂った笑みを浮かべながら舌なめずりする。

しかし、彼女の笑みは崩れ去った。次の少女の一撃を目にした途端に。

「は〜ん…どうやらまだわかってねぇようだな」

得物に向かって一発だけ飛んできた光弾を、腹立たしいと言わんばかりの様相で切り捨てる。なんだこの攻撃は。敵を叩きのめすのだという闘志が全く伝わってこない。それに武装解除を目的とするなら、他にもっとやり方があるはず。対応しきれないように手数を増やしたり、武器だけでなく手元や手首も狙ったりと、工夫しようと思えば幾らでも出来るのだ。あの聡明な少女にとって不可能なことではないだろう。
では何故そういった仕込みをしないのか?答えは一つ。真剣じゃないからだ。もちろん彼女からすれば真剣そのものなのだろうが…今一度、自分がどういう立場に置かれているか、再認識してもらう必要がありそうだ。

「『獄炎刃』!」

とても序盤とは思えないほど、激しく猛烈なペースで攻め込む。接近してから間髪入れず、炎を纏わせた剣による連続攻撃『獄炎刃』が炸裂する。近距離ならば焼かれる痛みと切られる痛みを同時に味わわされ、遠距離ならば三日月形に飛ぶ炎の斬撃で狙い撃ちされる恐怖の技だ。炎の熱に臆そうものなら、その後に続く刃に身を断ち切られ、刃の対処ばかりに気を取られていれば、より広範囲な炎に身を焼かれる。
ただ基本的戦法なうえに大味なため、恐れずに見切ってしまえば回避は容易。地獄の炎と真正面から向き合えるか、それがこの技を攻略するための課題だ。全ては少女の本気を引き出し、全力で自分にかかって来させるため。そうでなければ、この勝負に勝っても負けても、何の意味もない。

>>ルミエール


【お気になさらず!お待ちしていますよ〜】

4ヶ月前 No.104

夜夢 @avenger777☆YA66qjCGyUE ★WULpmTDwll_lU1

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4ヶ月前 No.105

yyyn @nickker8 ★iPhone=WfgWuCwu6h

【市街地/ウォール・ロックハート】

立ち直ったウォールの眼に移った橘楓の涙。
そしてその後に見せた冷たい表情。余裕の笑みを浮かべていた先程までとは違い、そこからは憎しみや怒りと言った感情を感じ取る事が出来た。これが彼女の素顔なのだろう。自分やウォールと同様、彼女の心にも大きな闇が存在している。それは自分達に向けられたものなのか、迫害を行なった人間達へのものなのか、それとも星そのものへの怒りなのか。
元は彼女達もこの星を守る魔法少女だった。望んでもいないのに勝手に星から力を授かって魔王と戦い勝利したにも関わらず、待っていたのはその守った人間達からの理不尽な迫害。考えるだけでも心が痛い話だ。彼女達が心に闇を抱え、魔女へと変貌を遂げてしまったのも理解出来ない訳ではない。彼女達の代には魔法騎士という存在は無かった。もしそういった存在がいれば運命は変わっていたのだろうか。


「なっ……!」


楓の悲痛に満ちた叫びを聞くと、ウォールは無言で楓とアルバートの元へと駆け出す。アルバートに対して何か仕掛けるのが推測出来たからだ。自分の二の舞にしてはならないと行動を開始したウォールだったがその決断は一瞬遅く。
瞬間、突如地面から現れた細長い布が楓とアルバートの2人を包んでいく。その布は幾層にも重なり巨大な繭のようなものを形成した。その内部で楓が何をするかは大体想像がつく。恐らく自分の時と同じようにアルバートの心の闇に付け込み、支配する気なのだろう。このままではまずい。繭を切り裂こうと双剣から斬撃を放つが、その攻撃は完璧に弾かれてしまった。


「アルバート!!気をしっかり持て!楓の言葉に耳を貸すな!」


楓の強かな性格からして、恐らくこの繭は強大な防御力を備えている。ウォールの魔法と剣術では破れそうにない。中にいるアルバートへ向けて声を張り上げるが、この声も届いていない可能性が高い。もしアルバートが楓の手に落ちたら戦局は最悪になってしまう。そしてもしアルバートが楓の言葉に耳を傾けてしまえば、十中八九ウォールの読み通りになるだろう。楓の攻撃で一度潰されかけているだけに、彼女の攻撃の恐ろしさはよく分かっている。ウォールの脳裏には最悪のシナリオが徐々に浮かび始めていた。


>>周辺ALL

4ヶ月前 No.106

エメラルドのそよ風 @sable ★KMxItQnK9M_yFt

【市街地/リリー・ピーアニー】

強大な魔力を持つ魔女を相手に、リリー達四人は善戦しているように見えた。精神的なダメージを喰らいつつもその都度立ち直り、何度か攻撃を命中させることに成功している。もちろん敵もまだ未知の力を秘めているはずなので気は抜けないが、とっておきならこっちにだってある。まだまだ勝負はこれからだ。

ウォールが立ち直ったことで俄然勢いづくかと思われたが、リリーの表情は曇っていく。アルバートだ。自分の気持ちが伝わらなかったどころか、あの女にのめりこんでいくばかり。楓なら自分を理解し、強さを認めてくれると思い込んでいる。
魔女が100%の善意の元に動くはずがない。ヤツの狙いは一つ。アルバートの心を支配し、自分のものにしてしまうことだ。一度自分を受け入れてもらう喜びを知った人間は、理解者を失うことを何よりも恐れる。ずっと孤独に喘いできた彼がまさにそうだ。

「目を覚ましてください!心を奪われてはなりません!」

必死に呼びかけようとするが、彼の目には自分の姿が映っていなかった。声も届かない。心にも触れられない。余りのショックに足が動かなくなったその一瞬で、楓とアルバートは布の繭の中に消えてしまった。きっとあの中には、彼を飲み込まんとして、更なる誘惑と苦痛が渦巻いているのだろう。

涙が零れた。彼を理解し、側で見守ってきたのも、必死に訴えかけたのも、全て無駄だったのだ。彼が心を開くのをいつまでも待とう、そう心に決めてきたのに、あの女はいとも簡単にそれを成し遂げてしまった。それも酷く捻じ曲がり、歪んだ手段で。そしてアルバートはそれに応えてしまった。愛を以て接してきた自分を差し置いて。

こみあがる怒り。これまで必死に押さえつけてきた感情の爆発に、リリーは暫しの間心の中で葛藤したが、彼のためにもやらねばなるまいと決意する。今ここで諦めてしまえば、永遠に彼を取り戻せなくなるかもしれないのだから。

「アルバートさんに…アルバートさんに…!

近づくなッ!」

自分でもこんなに激しい言葉が出るとは思わなかった。握り締めていた黄金の杖を、帯刀するようにして腰のベルトに差し込む。そして体を軽く捻った状態で前傾姿勢になると、杖の先端部分を掴んで腕を振るった。
誰もがこの行為の意味を理解しかねるだろうが、その疑問は杖から出てくるものに注目すれば解消されるはず。刃だ。リリーの杖は持ち手の部分が鞘、そして先端が柄になっており、その下には細身の刀身を隠しているのだ。訓練がほとんどで、実戦に用いたことは無かったが、今こそこれを使う時。抜刀術の様にして放たれた斬撃が、緑の風を纏い、繭を目掛けて真っすぐに突き進んでいく。

楓のことだから、あの繭を構成する布一枚一枚に、並大抵の攻撃じゃ破れない耐久性を与えているはず。本来強力なはずのウォールの斬撃が、まるで意味を成さなかったのが何よりの証拠。故にこの攻撃も打ち消されてしまうかもしれない。それでも何もせずにはいられなかった。

>>周辺all

4ヶ月前 No.107
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