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【温泉出たよ】そんな世界の道しるべ!!【乾杯!!】

 ( オリジナルなりきり )
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ファンタジー @kofu32 ★4AGN4ZU9YR_yFt

私の前には道が在る。

荷馬車が行きかう大きな街道、商店街の石畳。

急勾配の山の坂道、人も通らぬ獣道。

街や森、砂漠や洞窟、数え上げたらキリがない。

だから、私は記してみせよう。そこに、道が在る限り。

これは、ここではない、世界の物語。

未知の世界を冒険する、とある『道しるべ』達の物語である。


〜 Prologue 〜

港町『ベル』に春が来た。待ちに待った春が来たのだ。
雪が解け、草木が芽吹き始める、この季節に街は大いに賑わいを見せる。
流氷や、厳しい冬の寒さといった障害が無くなり、船の往来が自由になるからだ。今年も暖かくなるにつれ、一艘、また一艘と、船が増えていく。やがて港は、様々な色彩や模様のマストによって、彩られる事になるのだ。その、光景も今年で5回目になる。

『新大陸』

現在でも、単刀直入な名称で呼ばれる、その大陸が発見されたのは、長い歴史から見ればここ最近のことだ。
決死の覚悟で、一か月以上未知の航路を進み、発見された新しい世界。その世界には、見たことも聞いたことも無い、動物、植物、資源で満ち溢れていた。
発見した冒険者達は、そこに拠点を造り、そこに自分達の女神の船首像の名前を付けた。
あれから五年、女神の名前を冠した、その拠点は街となり、世界中から冒険者が集まる新大陸の中心地となっている。

さて、この物語は、その『ベル』の街の片隅。人の多い石畳の商店街から三つばかり外れた、薄汚い路地から始まることになる。
『道しるべ』。そう書かれた、木製の吊り看板が、同じく吊り下げられている淡い光のカンテラと共に、港特有の海風で揺られていた。人も疎ら、建物に囲まれ昼でも薄暗い。


軋む扉を開けて中に入る。すると、カランカランという小気味の良いベルの音が迎えてくれる。
中は、外とは対照的である。カウンターや、テーブルは隅々まで磨かれ、清潔感が溢れている。店の中には、笑い声や美味しそうな料理の匂いで満たされていた。何よりも最大の特徴は壁である。そこには、『新大陸』の地図が、一面に張り出されている。地図と地図の間から、微かに木目が見えるという有様だった。

「いらっしゃいませ!!空いてるお席へどうぞ!!」

歯切れの良い挨拶の声がかかる。視線を向けると、トレイを片手に忙しなく料理を運ぶエプロンの少女の姿。

「食事ですか?お酒も各種、取り揃えてますよ。それとも……」

少女は、そこで言葉を区切る。そして、人懐っこい笑顔で、こう言うのだった。

「それとも、冒険の旅をお求めでしょうか!!」



そう、何時だって冒険は、新大陸の片隅にある、この小さな酒場から始まる。
未知の世界の、新たな道を切り開く冒険の旅が。
そして、旅を求める冒険者達は、今日もまた『道しるべ』に集うのであった。



【駄文申し訳ありません!!
これは、以前上げた物の、リメイクです。ファンタジーの冒険物語の予定です。
もし、よろしければ、サブ記事の方までいらして下さい】

メモ2017/05/11 23:37 : 古風 @kofu32★FZSDg7BMdN_yFt

〜あらすじ〜 


【第一章 イント村の焔振り(ほふり)の洞窟】


最近発見された新大陸。その大陸にある、港町『ベル』からこの物語は始まる。酒場『道しるべ』に集う団員達は、道に関するエキスパートである。

今回はイント村の村長ソーンによる依頼が舞い込む。地震によりイント村にある炭鉱から新たな道が発見され、その奥に宝石を採掘出来る地点があるという。しかし、その情報をもたらした工夫は、全身が焼け爛れており「近づくな」と言い息を引き取ってしまう。現在、村の炭鉱も枯渇しはじめたという。


【坑道の奥にある採掘地点の確認と、安全なルートの確保】


それを、団長であるルトに依頼するのであった。


その夜、契約をするため酒場へ訪れようとした村長を、エギル率いる強盗団が襲う。団長のルトが撃たれるというアクシデントはあったが、団員達は強盗団を軽く退治し自警団へとひき渡す事となった。そして、坑道内での陣形など団員で話し合い、契約を結ぶのだった。


数日後、団員達はベルの街を出発。レンタルした馬車で三日かけ、イント村へ到着する。

村長の家で、イント村で取れた芋料理をごちそうになるのだった 


そして、一行は坑道へと赴く。その途中、魔物による奇襲を受ける。フレイムスパイダーと呼ばれる種類の魔物だ。

道しるべVS炎蜘蛛軍団の戦いの火蓋が切って落とされる。

炎蜘蛛達を撃破した一行は、その場でキャンプを行い、体を休める。


翌日、ルビーの採掘地点を発見し、坑道の最深部へと到達する。

最深部で一行が見た物は、ルビーを鱗に持つドラゴンだった!!しかも、宝石はある程度の熱や衝撃を加えると、爆発する代物だった。

一行はルビードラゴンの猛攻をしのぎながら、爆発性のルビーが溢れる通路を駆けあがっていく。

ルビードラゴンの火球や、フレイムスパイダー、通路の宝石の爆発により傷つく一行。

宝石の通路を抜けようかという時、副団長であり盾役のイザベラがルトを庇い足に火傷を負ってしまう。

自分が囮になるから、皆に逃げろと言うイザベラ。しかしルトは、それを却下しルビードラゴンと戦う決断をする。

大部屋にルビードラゴンを誘い込む一行。堅い鱗を削り取り、ドラゴンの奥の手である鱗を全部飛ばし大爆発を起こす必殺技を何とか防御して、死闘を制するのだった。

本来の依頼である、宝石の場所の特定は出来なかったが、撃破時の大量のマナの放出により、温泉が湧くこととなり、イント村の未来に光明が見えることとなった。


そして、依頼の成功を祝し、酒場『道しるべ』で団員達の宴が催さるのだった。乾杯!!←今ココ

…続きを読む(47行)

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彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【レリカ・プラムティム/宝石通路】

薙ぎ払っても薙ぎ払っても湧き出て来るフレイムスパイダーに内心溜息を吐く。 仲間がわんさか倒されているのでそれを恨んでの事だろう、歯を無駄にカチカチと鳴らす個体さえいる始末だ。 種の保存本能だか何だかはよく分からないが、大人しく退いて欲しいと思う次第。 数を相手にするのも面倒だし、何より体液で景気良く煙を上げている私の身体や武器に大変よろしく無い。 昨夜とは異なり外装のマントが無いからその被害は色々と甚大である。 無論言葉には出さないが。

そんな事を考えながら道を開くべく武器を振るっていると、アリス嬢の言葉と共に天井がトランプで覆われる。 それに伴い天井に張り付いてた数体のフレイムスパイダーも落ちて来た。 一瞬天井の個体を叩き落とすのは任せろ、という意味なのかと考えたがよくよく考えれば落石に違いない事に気付いた。 何せ、叩き落とすだけなら覆う必要はない。 普段ならすぐ気付く事なのに違う方面に思考が飛んだのは、私自身の疲れ、何より甘味ゲージが少なくなっているからであろう。 頭を回転させる為に飴玉の一つでも口に含みたい所ではあるが、そんな余裕は無い。

天井から叩き落とされたフレイムスパイダーを左足の槍で刺し穿ち、突き穿つ。 左腕のナイフで飛びかかって来るフレイムスパイダーを爪の要領で突き刺し地面に捨てていると清流のおにーさんの言葉が聞こえて来た。 その言葉の直後に起こる大爆発。 思わず右腕に括り付けた大剣を盾代わりにして飛んで来る瓦礫や死体の欠片を避けると、後に残るのは大きく地面に開いた窪みとフレイムスパイダーの死体の欠片。 そして片膝を着いて肩で息をする清流のおにーさんの姿である。

前方の安全はほぼ確保された。 後は残っている残党を駆逐し、殿とその前でフォローしているジェームズ先生達と合流し逃げるだけである。

「やれる範囲で努力はしませう。 ほら、無理はしない主義なので、極力ですが」

そんな言葉を口にしつつ右腕の鎖を一部外す。 ジャラジャラと音を立てながら大剣とそれに付随する幾つかの武器が地面に落ちる。 それを鎖の一部を持ち、まるで投錨するかの如く回転させる。 充分な回転をした所で壁にいる残党目掛けて投擲。 それが壁に突き刺さる直前に鎖を引き、起動を変える。 そのまま自分の身体を回転させてトランプを齧ろうとしているフレイムスパイダーを壁のルビー擬きと一緒に斬り裂く。 肩に掛かるルビー擬きの欠片を手で払いながら、鎖えお引き大剣を手元に戻した。

>>アリス、清流、ALL

6ヶ月前 No.208

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【アリス・ウェスタ/宝石通路】

トランプに魔力を込めていたために両手をその方向に向けて耐えていたが、次第に押し返される。が、耐えられない程ではない。と、意気込んでいると不意に負荷が和らぐ。魔力の感じからしてジムがやってくれたということは十分に分かった。
ちらと後ろを振り返れば、火球をエネルギーに還元してフィールドを張り直したジムの姿があった。……あんなの、無茶だ。彼女がそう思うが早いか、ジムは膝をついてしまった。やっぱり、負担が大きい。何度も使える手じゃあ無さそうね。

「無茶して動けなくなったら本末転倒だよっ!【煉瓦の家】(リジェクション・トゥー・ウェアウルフ)!」

負担の和らいだ隙をついて片腕で補助魔法をかける。ジムの張り直したフィールドに狼の影絵が現れたと思えば、バツ印が浮かび上がり、フィールドを透明度の高い赤茶色に染めて強度を高めた。その上、そのフィールドに無断で干渉をさせないように魔力を固めて鍵をかけた。つまり、ジムの魔力を吸わせないようにしたのだ。
さっきから中級魔法以上を多用しているせいで、体力的にも少しキツかった。それでも、彼女は誰1人倒れることがないようにその魔法を振るうのだろう。それが、彼女なのだから。

「清流、まさか!?……任せてって言ったんだ!それくらい、耐えきってみせるんだから!」

再び両手を上に上げてスペードの10をを即座に追加して守りを固めた。そして、魔力を最大限に込めて強度を底上げする。清流の全力を迎え撃つには本来、これ位……あるいはこれ以上が必要なのだ。
そして、響く轟音。
爆撃によってフレイムスパイダーはもちろんの事、トランプにすら響く衝撃。それと同時にアリスの細腕の皮がピシッと一筋、裂けた。本気の爆撃が直撃でもないのにこの威力……。一枚がボロボロになり、使い物にならなくなってしまったのでそれを此方に戻してポケットに入れた。
つうっと血が腕を伝っていく。周りの三枚のトランプはどこか心配そうに彼女の周りをくるくると回っては表情を伺うようにちらちらと見ている。長年、存在しているそれは多少の感情を持っているのだろう。
しかし、今一番危ないのは私なんかではなく、清流だ。力を使い果たしたらしく、片膝をついて息を切らしている。

「私は大丈夫だから、清流を守って……!ロード・オブ・ワンダーランドっ!」

両手を腕に上げたまま、キング、クイーン、ジャックにそう告げれば、そのトランプ達は清流の方へと飛んで行き、清流の前で静止して万が一から守るために盾のように立ちはだかる。両手を使っている現状、鍵を使えないが故に新たなトランプを呼び出せない。自分の盾を擲つのは、仲間を信頼しているからこそだった。私の事は、大丈夫。レリカちゃんだって居るし、後ろを担ってる四人も居るのだから。

しかし、現状はもう何も出来ない。するとしたら、上で抑えの役割を果ているトランプを手元に戻せば出来るが、本末転倒になってしまう。正直、現状維持で精一杯だ。次の一手を考えなきゃ……!

>ジム様、清流様、レリカ様、all

6ヶ月前 No.209

そぼろ @snr2510☆yjBqeQuEvFAK ★Android=SAhLN2msbN

【フーリ・フォリア /宝石の通路】

ばさっという音と共に、もともと光源が遠く薄暗かった視界が完全に暗転した。霊山がなにか布をかけてくれたのだろう。目から入る情報は完全に絶たれたが、霊山の動きが先程までとは全く違っていること、またフレイムスパイダーの断末魔が聞こえることから、完全に攻めの姿勢に転向していることがわかる。 ……フーリを抱えたまま。
昨日からひしひしと感じていた後ろ暗い感情が、改めて胸のなかに沸き上がってくる。イザベラにウィルにサナ、まだ通路の下の方に残るメンバー、そして霊山。みんなきっと傷ついているはずだ。なのに、自分は小さな怪我に声を上げ、今ひとり庇護のもとにいる。……「てにもつみたい、」と小さく呟いた声は、喧騒の最中でフーリ自身の耳にも聞こえることなく消えた。
そういう作戦なのだと、頭では分かっている。自分がいないと、助かる仲間も助からなくなるということが分かってはいる。理解はしているけれど、納得したり割り切ったりすることがどうにもうまくできないのだ。この坑道に入る前でもちらっと「強さ」に憧れたことはあったけれど、そこから自分への劣等感に繋がったのは今回がはじめてだ。
落ち込んで、立ち直って、また落ち込む。それを繰り返すだけで疲れてしまったのだろうか。次第に「フーリがもっと強かったら」から、「フーリがフーリでなかったなら」へと思考がシフトしだす。
そんなとき、不意に先程の火傷の傷が痛んだ。瞬間、いつのまにやらどこか遠くなっていた周囲の音が急に戻ってきて、フーリは身をすくませる。岩盤に靴が当たる音、蜘蛛の出す音、霊山の息づかい。そして、遠く地鳴りのように聞こえるのは、ルトたちのほうの戦闘の音か、もしくはドラゴンの咆哮か。

フーリは軽く目を閉じてみた。どちみち視界の暗さには変わりないのだけれど、まぶたを下ろすことにより、霊山がいまどんな動きをしているのか、より敏感に感じとれる。普段の彼女のような奔放極まる自由な動きではないが、どこかからだの1ヶ所をかばっているとか、そういったものも感じられない。なにか支障があるほどの怪我はなさそうだった。ふたたび目を開くと、少しのくすみもない白い杖を握りしめる。
本来は、杖などなくても魔法を使うことはできる。ただフーリの場合、杖を使えば魔力のコントロールがうまくいくし狙いもつけやすい。そして、ある程度の魔力を杖に溜めておくこともできる。
間もなく暗いマントのなかで、杖が至極控えめに光りだした。はじめは根本の方から、そして少しずつ先端の方へと光はのぼっていく。
少しでも集中が切れればその光は失われてしまう。フーリは自分の身のことをすべて霊山に任せることにして、手元に意識を集中させた。これで、このあと何人かの怪我人の治療はスムーズになるはず。


>>霊山様、all様

6ヶ月前 No.210

古風 @kofu32 ★a00mQn4He6_yFt

【最終決戦へ】

「ちょっと無理しすぎた……、助かるぜアリス」

目の前の蜘蛛をあらかた吹き飛ばし、清流はアリスのトランプに守られながら肩で息をする。残りの残党はレリカが狩っている。
血が流れ意識が飛びかけるのを、かろうじて気力と根性でつなぎとめる。アリスもレリカも疲労の色が隠せないようだ。

後方からはルビードラゴンの咆哮が強くなってきた。イザベラ達が上手く殿を務めているようだ。その内ルトが息を切らせながら追いついてくる。
殿部隊の方も、状況は似たようなものだ、ジムもアリスの補助を得たとは言え、無理していた分が出ているようだ。

「皆、あとちょっとで危険な宝石のエリアを抜けるよ!!頑張って!!」

励ましの言葉をルトがかける。この坂道を抜ければ、爆発するルビーが無い分、洞窟の崩落は避けられる。もしかしたら逃げ切れるかもしれない。淡い期待が胸をよぎる。だが、そのほんの少しの油断が隙を作る。後方から飛んできた火球が、ルトの眼前に迫って来る。一瞬気づくのが遅れたルト。

しかし、そのルトを突き飛ばすようにイザベラが駆けつけてきた。走って来た勢いそのままに、背中をを突き飛ばすイザベラ。突き飛ばされたルトは、地面を回転し壁にぶつかって止まった。回転し地面、天井と視界が映り、定まった時に見えた物は、大やけどを負ったイザベラだった。
ルトは慌てたイザベラに駆け寄る。鎧は焦げ体も所々変色している。特に足が酷い。赤黒いその火傷にイザベラが顔をしかめた。

「私も焼きが回ったね……」

「イザベラ、ごめん……」

謝るルトを制し、立ち上がろうとする。しかし、足に激痛が走り崩れ落ちた。顔が苦悶の表情にゆがむ。思ったより足の損傷が酷く、立ち上がるのすら困難なようだ。イザベラは大きく息を吐いた。冒険者たるもの覚悟はできている。

「ここは、私が何とかするから皆逃げな!!」

イザベラは片膝をつきながらルビードラゴンの方角へ盾を構える。

「イザベラを置いて行ける訳ないじゃない!!」

「殿は私が勤めると言ったはずだよ!!ルトは団長だろ!!被害を最小限に食い止める方を選択すべきだ!!!」

イザベラは怒鳴るように大声でルトに言う。確かにここで、イザベラが食い止めてくれれば他のメンバーは助かるだろう。団長として被害を最小限に食い止める判断は必要かもしれない。だが、それではイザベラは確実に助からない。逆に足を怪我したイザベラを連れて行けば、必ず追いつかれる。全滅の可能性も高くなる。
考えている暇はなかった。

「イザベラ……。ごめん……」

ルトは俯き掠れるような声でイザベラに言う。

「そうだよ、それでいい……。さてと、もうひと頑張りするかね!!」

イザベラは気にするなとばかりに、ルトに笑顔を向ける。イザベラにとってルトは、団長という前に可愛い妹のような存在だった。それに皆を守って、倒れるなら悔いはない。それが自分の盾としての生き方である。

だが、次の瞬間にルトは顔を上げる。その瞳には強い決意が宿っていた。

「そのイザベラの案は聞けない!!」

強い口調でイザベラの案を否定する。そして、皆の方を振り向いた。

「皆、ルビードラゴンを迎え撃とう!!坂を上り切った左手側に、岩で隠れているけど大きな空間があるはずなの!!」

「お、おい!?ルト!!」

慌てるイザベラを制し、ルトは言葉を続けた。

「団長として、団員を犠牲にするという選択肢を取る訳にはいかない!!誰も道しるべの団員を欠けさせたりはしない!!危険は承知の上だけど、皆力を貸して!!」

そして、皆に訴えかけるのだった。そして、イザベラの前にセシルが現れる。

「ルトの言う通りだよ。ほら、肩かして。ルトは鎧のパーツとか、盾とか持ってくれる」

まだ、何か言いたげな、イザベラにセシルが話しかけると、肩を貸し立ち合がせる。少しでも軽くするために細かいパーツはルトに持ってもらう。
それに、イザベラはすっかり観念したようだ。

「すまない……。皆後は頼むよ……」

絞り込むような声で言うのだった。

【遅れてすみません!!分割します!!何で盾で防がず、突き飛ばしたの?というツッコミは無しの方向で……orz
ご都合主義って奴でございます(土下座)】

6ヶ月前 No.211

古風 @kofu32 ★a00mQn4He6_yFt

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6ヶ月前 No.212

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジム・グレイソン/坑道深部/転進中】

 「これはアリスの……よし、みんな、退け、退け! ここはしばらく持つ!」

 アリスの魔法のお陰でフィールドは十分な硬度を維持できる。その間に殿を受け持つ味方を少しずつ減らして本隊と合流させる。一番の消耗は現時点では本隊で清流、そして殿でイザベラだ。こちらは体力低下と疲労のみだ。ならば殿の負担はこちらで受け持つ。アリスの心配をよそに鉱脈に亀裂を入れて再び魔力を無理矢理吸収すると、指輪に収束させたレーザーを撃つ。ルビードラゴンの表皮は鉱物で覆われ、フィールドを通過して飛ぶ光の収束であるレーザーでは乱反射されてしまい、その熱量だけであの質量を焦がすのは不可能だった。ただ、それでもルビードラゴンに『貴様の相手は俺だ』と思わせて、味方の態勢がたてなおるのを待つことが出来る。だが、背後でイザベラがルトを庇って負傷した。
 イザベラは捨て身覚悟で撤退を援護するつもりらしい。ジムも急いで合流すると、イザベラを止めるべく……となる前に、我らが団長は決意を固めた。

 『皆、ルビードラゴンを迎え撃とう!!坂を上り切った左手側に、岩で隠れているけど大きな空間があるはずなの!!』

 『お、おい!?ルト!!』

 『団長として、団員を犠牲にするという選択肢を取る訳にはいかない!!誰も道しるべの団員を欠けさせたりはしない!!危険は承知の上だけど、皆力を貸して!!』

 「そうこなくっちゃな。ルト、殿は俺が引き受ける。とはいってもルビードラゴンの足を止めるくらいだから、頃合いを見て少しずつ下がるよ。だからみんなを引っ張って岩場の方へ向かってくれ。団長の命令には逆らわない。必ず追いつく」

 そろそろフィールドも限界か……向こうは力任せに破ろうとしているようだな。あの巨体でぶつかるのも、火球と同じくらい脅威なんだ。

 「さあて……もうひと踏ん張りだな。イザベラが守ったものは貴様に壊させやしないぞ」

 一番後ろで火球を防ぎながらゆっくりと、しかし確実に坂道を登ってゆく。容赦なく飛んでくる火球をフィールドで防ぎ、時には顔面を飛び道具で攻撃しながら注意を引き付ける。指輪の中にいるヴァニラはまだ安定している。決意を固めた時は、彼女は泣かない。ルトの選択を守る為に、彼女も誇りをもって力を授けてくれる。
 イザベラ達が坂を登りきるのを見届けると、ジムもいよいよスピードアップだが……振り向けば
フレイムスパイダーが少数ながらも「お前だけでも逃がさん」と言わんばかりに道をふさいだ。しかしジムも立ち止まれない。突貫は霊山や清流程じゃないが、出来なくもない。右手にエネルギーを溜めて、インパクトパームの一撃で真ん中から突き抜ける。しかし、撃ち漏らした一匹の糸が背後から体に覆いかぶさる。

 「eiyaaaaaaaaaaaa!!!」

 熱い、なんて言ってられるか! 巻き付いた糸にあちこち焼かれながら残ったフレイムスパイダーをレーザーで撃ち殺し、白煙を焚きながら地面を転がり、みんなと合流する。

 「……さあて、反撃開始かな?」

 男というものは己の限界を度外視する。
 清流に負けじとボロボロになりながら、ジムもまた沸騰するアドレナリンの中にいた。

 >>ALL様

6ヶ月前 No.213

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【レリカ・プラムティム/宝石通路→大部屋】

「…………」

イザベラの姉御がルトだんちょーを庇っての負傷。 その前に聞こえて来た清流のおにーさんの誘導の指示にどうするか考えていた。 攻撃役の私は速やかに新たな空間の方へ身を移し、少しでも体力を温存するのが正解である。 攻撃役の役目が出来るのは何人もいるがドラゴン相手ではこの面子でも不安が残るという物。 負けないと言葉にするのは簡単だが実現は困難であるのは、私が鍛冶屋だからか、それとも臆病であるが故か。

『皆、ルビードラゴンを迎え撃とう!!坂を上り切った左手側に、岩で隠れているけど大きな空間があるはずなの!!』

葛藤している中で聞こえて来る団長の声。 撤退ではなく討伐を目的とする、決意とも取れる言葉を大きな声で皆に伝える。 それだけでは終わらない。 イザベラの姉御の言葉を遮るかの如く、言葉を重ねる。

『団長として、団員を犠牲にするという選択肢を取る訳にはいかない!!誰も道しるべの団員を欠けさせたりはしない!!危険は承知の上だけど、皆力を貸して!!』

その言葉にやはりリーダーはこの人だな、と改めて実感しながら小さく了解、と呟いて皆より先に部屋の中へ入る。 無事だった荷物を漁り、ミニサイズのチョコレートバーを取り出す。 数としては14本、私が持って来た菓子もこれともう一種類で在庫が尽きる計算だ。 無論普段ならこの14本ももう一種類も私が全て食べる、だが今この状況下でそんな事が出来るほどマイペースではないつもりだ。

チョコレートバーを自分を除いた全員に向かって投げ渡す。 勿論食べる食べない、好き嫌いだとかはあるだろうから食べなくても無論構わない。

「意気込むのは良いですしアドレナリンだのペニシリンだのを捻り出すのも宜しいですが、今一度の深呼吸をお勧めするのはこの私でございます。 一部男性陣は特に。 それ、ヒッヒッフー」

そんな言葉と共に一旦は落ち着け、という訳ではないが危機的状況の一山を乗り越えたのでそこで頭はリセットするべきで。 明らかに深呼吸とは違う言葉を言いながら、食べるようなジェスチャーを全員に出す。 甘い物で脳の回転率を上げ、体力を微量でも回復し、心を一旦落ち着けてから全力を出す。 鉄だってずっと熱いまま叩き続ける訳ではない、一旦冷やして再度熱する事でより硬度が増す。 人間もそれと同じで一旦のリセットが必要なのである。

もう一種類の菓子、小さいプラスチックで出来たケースを取り出す。 それの中には薬の錠剤にも似た小粒が全部で30粒程入っているが、それを選ぶとか数個だけ取るとかせずに全部口に含み、噛み砕く。 ケース表面には“強烈タブレット ~阿鼻叫喚ミント味~”と書かれており、その記載に違わず拷問のような清涼感が口から、鼻から、目から入って来て抜けていく。 その感覚にゴヘッと無様な反応を示しながら、改めて武装をし直す。

「この火蜥蜴退治が終わったら大量の糖分を要求します、割と深刻に」

右腕に直刀を背中合わせに接続して鎖に巻き付けた片手半剣、右手に長槍、左手にハンドアックスを背中合わせに接続した両刃の斧、左足にナイフ二本を括り付けてルビードラゴンと相対する。 表面のルビーに似た鉱石は砕くのは容易いが、それがある限り私の大剣でも相手に攻撃は通り辛い。 それをどう攻略するか、そして何処まで相手の気が引けるか。 燃え上がる男性陣とは逆、先程食したミント菓子のように何処までも冷たく相手を見据えた。

>>ALL

6ヶ月前 No.214

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★Ywte4t2Nfq_Xgx

【 名古屋扇霊山 / 宝石通路 】

 襲い来るフレイムスパイダーたちをバッタバッタと薙ぎ倒し……というよりは、グッチャグッチャと蹴り潰して周囲に次々と屍の山を築いていく霊山。履いているブーツはもはや何液ともつかぬ赤やら緑やらの粘っこい汁で汚れまくっているが、このブーツも服と同じく自室クローゼットに予備の同じものがいくつも仕舞ってあるので気にはしない。それに外側が汚れたくらいなら水で濡らして洗剤にでも浸したタワシで思い切り擦ればまた乾かして履ける。なにせ靴屋ではなく武器屋で売っていたブーツ、素材は謎だが前にタワシで力強く洗った時にも傷一つ入らなかった。この世にここまで霊山に適したブーツも中々あるまい。勧めてくれた武器屋のお爺さんには深い感謝が沸くばかりだ。
 腕の中、マントにくるまれたままのフーリから感じる魔力の量が増えている気がする。もっとも、霊山は体術こそ優れておれど魔法に関しては一般人レベルなので、殺気や敵意はともかく魔力の察知に関してはあまり自信が無い。遠くから魔法で攻撃された時だって、あれは魔力を感じ取っているというよりは魔法攻撃を繰り出す際にどうしても放たれる殺気を感じ取って回避なり警戒なりしているのだ。そういう意味では、攻撃ではない魔法の気配を感知する能力では恐らく霊山は『道しるべ』最下位。なので“殺意無き魔法のための魔力”を溜めているフーリに関しては、魔力を溜めていることは分かってもどの程度の魔法が使えそうな量の魔力が溜まっているかなどの細かいことまでは察せなかった。
 だがしかし、フーリがフーリなりに己の役目を果たそうと力を蓄えていることが分かれば霊山にとってはそれで充分。霊山も霊山で、腕の中の小さく可憐な少女のように己にしかできないことをやるだけだ。


「霊山!! フーリ!! イザベラがやられた!! 足を怪我して歩けない!! この坂を上った所で迎え撃つぞ!!」

 怒涛の勢いで坂を駆け上ってきた清流の姿。そして彼が発した言葉に、霊山は回し飛び膝蹴りで近場のフレイムスパイダーを一体屠りながら大きく頷いた。負傷者が出たならば、今抱えている『道しるべ』が誇るヒーラー少女の出番。そして彼女を負傷したイザベラの元まで送り届けるなら、脚が速くて力のある霊山の出番だ。もっとも、こっちは最初から腕に抱えている以上、新しい出番というより引き続きで出場といった感じだが。
 脚力に任せて先行しようにも、清流が口にした『ルトに言われた、立ち回れるような広い場所』とやらの場所がわからないので、清流から二歩ほど下がった位置をとりあえず追走。そして数十秒の疾駆の後、清流の符術によって広い場所への出入り口が即興で開通された。近付いてくるルビードラゴンの咆哮と、中から他のメンバーを呼び込む清流の叫び声。近くにいた霊山はもちろんその中へとフーリを抱えたまま飛び込む。出来るだけ安全そうな位置にフーリを降ろしてマントを羽織り直し、さて、脚を負傷したイザベラを急いで回収しに行こうかと意気込んだが、やや遅れてセシルに肩を貸されたイザベラの姿が同じ空間に現れたので、その予定は脳内でキャンセル処理をしておく。火傷の影響で身体から白煙が出ている状態のジムやお菓子を食べているレリカなども合流してきて、いよいよ最終決戦の雰囲気に近付いてきた。ルビードラゴンが同じ空間に入って来れば、それが開戦の合図となるだろう。

「あ、レリカきゅんおおきに! ウチ今めっちゃ甘いもん欲しかってん!」

 投げ渡されたチョコレートバーを手ではなく歯でキャッチし、口内で器用に舌を使って外装を取り外しチョコレートバーだけを食べながらの台詞だ。たぶん口内に取り残されている外装のビニールは、機会があれば挑発がてらルビードラゴンの顔にでもツバと一緒にペッと吐き捨てる予定なのだろう。普段から決して上品ではないが、戦闘の最中ともなるといっそ粗野とも表現できるような振る舞いをするのもこの女の特徴の一つだ。
 皆がついに同じ空間に入って来たルビードラゴンをぐるっと円状に取り囲むよう配置についたので、霊山もとりあえずルビードラゴンの真ん前に陣取った。いざ戦闘が始まれば霊山はあっちに跳ねたりこっちに飛んだりと場所を目まぐるしく移動するだろうから、まあ初期位置はさして重要でもないのだが……このポジションを負傷者や脚に自信の無い者に任せるのはいくら何でも忍びない。さっそく吐き出された火球を跳躍で避けながらそんなことを考える。幸い、真後ろに人はいないから火球は真正面から受け止めなくても大丈夫だ。
 跳躍の勢いのまま背後の壁を蹴って弾丸のごとき速度で真正面へと飛び、すれ違い様、ルビードラゴンの身体に向かって唾液にまみれて生ぬるくなったチョコレートバーの袋をタバコのポイ捨てみたいに口から直に吐き捨てた。というか吐き掛けた。相手にどの程度の脳味噌や理性があるかは不明だが、仮にこれで霊山に怒って攻撃を集中させてくれれば御の字だ。威力は驚異的だが速度ではこちらが上回っている。下手に攻めようとせず避けることだけに集中すれば、周囲が攻撃できる隙やタイミングを増やすための良い囮になれるだろう。そうなってくれなかったところで、別に吐き捨てた側の霊山には何のダメージも無い。ルビードラゴンの真正面側から真後ろ側の地面へと着地して、いつでもその場から高速移動できるよう低く腰を落としたままで相手の反応を待つ。さあ、出来ることなら自分に怒り狂って狙い打ってくれ。フーリがイザベラを治療してやれる時間くらいは稼ぎたい。

>フーリ・フォリア様&漣清流様&レリカ・プラムティム様&ルビードラゴン様&ALL様

6ヶ月前 No.215

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【アリス・ウェスタ/宝石通路→大部屋】

イザベラが大火傷を負った。やっぱり、属性付与なんかじゃ守りきれない火力。本当なら今すぐ逃げたいくらい!だけど、私には仲間が居る。だから、イザベラの提案にも私は堂々とNOを突きつけた。

「流石、団長だね!私も同じ意見だよ!ひとまず……帰り道は確保しないと、ね。『母の縫い糸』(マザータスク)!」

山羊の紋様がトランプに浮かび上がれば、トランプの側面から糸が現れて天井に縫い付けられた。これで、ずっと微細なコントロールをしなくても良いのだが……ジムのサポートが無ければ、如何せん併用出来ないのだから仕方ない。
これで、コントロールから外れていつも通り五枚のトランプを操れる。持ちつ持たれつとは良く言ったものだよね。本当に!
四枚をポケットに戻せば、少々遅れて駆け出しながらも僅かに残ったフレイムスパイダーを見て空中に一瞬扉を作り、開ける。すると、即座に意気軒昂とダイヤのロイヤルストレートフラッシュが飛び出してフレイムスパイダーを切り伏せつつ、皆に続いて駆けて行く。

「役無しは大人しく伏せててよねっ!」

広間に駆け込んでサポートが全員に行き届き、尚且つフーリちゃんの近くへ行く。多分、この中で防御が出来るのは三人……相手が魔法攻撃なら私が適任……だよね!

突如、こちらに……と言うか、全員に飛んでくるチョコレートバー。心当たりが一つしか無いので、ふとそちらを見ればレリカが落ち着くようにそう言っていた。……確かに、そうかも。熱くなりすぎても視野が狭まってしまう。ふぅ、と息を吐けば、チョコレートバーをかじりながら周りに浮かぶダイヤのトランプを五枚確認して皆を確認した。

「チョコレートバーありがと!甘いものなら私にお任せ、だよ!」

グッと親指を立ててレリカちゃんにはそう返しておく。まだ、チョコレートパイやパンプキンパイ、アップルパイにブルーベリーパイ!色んなパイがあるし……ケーキは……ほら、大きくなっちゃうから。

そして、入ってきたルビードラゴンを見据える。流石に、もう綺麗だとか見とれそうだとか、イザベラが傷つけられた今はそんな事は思えない。というか、今は許せない気持ちでいっぱいなんだ。レリカちゃんのおかげで私は真っ赤なハートのように怒って、真っ黒なスペードのように落ち着けてるんだ!

「とっとと、終わらせちゃおう!時計兎の加護(ハリー・アップ)!」

既に切れてしまっていた加速魔法を全員に掛け直す。いつもの通り、真っ赤な時計と兎の横顔の影絵が皆の脚に浮かび上がった。今やれるのはこれ位……かな?
トランプ達を元のサイズのまま前方へ展開して、いつでも守れるようにしておく。イザベラも、今は護衛対象。私は防御専門じゃないから何処までやれるか分からないけれど……きっと、大丈夫。やってみせる!

>ルト様、清流様、イザベラ様、ジム様、レリカ様、霊山様

6ヶ月前 No.216

古風 @kofu32 ★a00mQn4He6_yFt

【漣清流/大部屋】

『……さあて、反撃開始かな?』

「ぶっ倒してやる!!覚悟をしとけよ!!」

静かに闘志を秘めるジムに対して、清流は分かりやすいまでに沸騰している。
ジムの姿もボロボロだった。先発組も苦労はしたが、殿組も危険だったのだろう。殿のイザベラにおいては、火傷により重症である。
今にも飛びかかろうという時、レリカから何かが飛んできた。それを、片手でキャッチする。それはチョコレートバーだった。

『意気込むのは良いですしアドレナリンだのペニシリンだのを捻り出すのも宜しいですが、今一度の深呼吸をお勧めするのはこの私でございます。 一部男性陣は特に。 それ、ヒッヒッフー』

その意見を聞いて我に返る。このまま怒りに任せて突っ込んだ所で、返り討ちに合うのが関の山だ。

「ありがとよ、レリカ!!助かった!!」

この助かったは二重の意味だ。一つはチョコレートバーを貰った事、もう一つは興奮状態から少し冷静になれた事。清流はレリカからチョコバーをもらうと、袋を開け丸ごと口に放り込む。そして、二、三回咀嚼すると、一気に喉の奥に流し込んだ。
どうすべきか、考えていると。自分の脇から霊山がルビードラゴンに突っ込んでいく。空中でチョコレートバーをキャッチし、その袋をルビードラゴンに吐き捨てた。
それに怒ったのか、それとも目の前で動く物体に反応したのか分からないが、ルビードラゴンの注意が、霊山の方へ逸れる。後方へと着地した霊山の方に体を向けて、再び火球を吐き出した。

「霊山、助かるぜ!!」

その行動に対して清流も即座に動く、姿勢を低く突っ込むと、その勢いのままルビードラゴンの胴体に水平に突きを入れた。

ガキン!!

金属が衝突するような激しい音が聞こえ、清流の槍は弾かれる。両手が痺れる。

「皆、気を付けけろ!!こいつ堅いぞ!!」

そして、ルビードラゴンから距離をとるのだった。

>>ジム、レリカ、霊山、ALL


【ルト/大部屋】

「イザベラ!!しっかりして!!」

大部屋の入り口付近で横になっているイザベラにルトは声を掛ける。火傷は酷いようで、ここまで来るのにも激痛が走っただろう。
リュックの中からタオルを取り出し、汗を拭きとる。

『意気込むのは良いですしアドレナリンだのペニシリンだのを捻り出すのも宜しいですが、今一度の深呼吸をお勧めするのはこの私でございます。 一部男性陣は特に。 それ、ヒッヒッフー』

レリカの声が聞こえ、チョコレートバーが飛んでくる。ルトはそれを手の上でバウンドさせ、落下するも地面スレスレで受け取った。
レリカのいう事は最もであり、焦りは禁物である。ルトはチョコレートーを頬張るのだった。疲れた体に甘さがありがたい。

「レリカ、ありがとう!!ただ、それは男性の深呼吸じゃなくて、女性の深呼吸法だよ!!」

冷静になったルトは律儀に(?)ラマーズ法に突っ込むのだった。

ふと横を見るとアリスがトランプを展開している。イザベラは怪我をしており、サナも先ほどの殿戦で力を使い果たしたらしい。元気な様子は影を潜め、岩に寄りかかり、激しい呼吸を繰り返している。

「アリス、イザベラが回復するまで守備の方をお願い!!きついかも知れないけど頑張って!!」

盾コンビが戦闘不能の今は、守備はアリスに頼みになる。アリスだって先ほどの逃走戦で魔力をかなり使用したはずだ。きついのは分かってても、頼らざるをえなかった。

「フーリ!!こっちよ!!イザベラをお願い!!」

そして、フーリに自分達の位置を知らせるべく、大きく手を振るのだった。

>>レリカ、アリス、フーリ、ALL

6ヶ月前 No.217

そぼろ @snr2510☆yjBqeQuEvFAK ★Android=SAhLN2msbN

【フーリ・フォリア/大部屋】

ほんの数分離れていただけなのに、やけに懐かしく聞こえる清流の声。しかし無事を安堵する暇はない。イザベラが負傷したという報告、そしてその後の清流が激しく咳き込む声は視界がなくたって聞こえる。今へたに返事をすると集中が切れてしまいそうだったので、杖をもっていないほうの手を軽くあげて応える。どちみち「せいりゅーくんもすぐ治すから、それまで無理しないで」とか言ったところで、その通りにしてくれるはずがないのは分かっていた。
やがて聞こえてくる轟音。清流がなにかしら護符を使ったのだろう。ひさびさに地に足が着く感覚がしたかと思うと、マントが取り払われ視界が晴れた……と言っても、薄暗いのには変わりないのだけれど。マントを羽織り直す霊山の体を確認する。フーリを抱えたまんま単騎で暴れまわったというのに、服の破れや汚れを除けば特別目立った異変は目につかない。

「りょーぜんちゃん、ごめんね、めいわくかけちゃったの」

光を保っている杖を胸の辺りで握りながら、フーリは霊山を見上げる。なにか一区切りついたような気分になってしまうが、実際はまだなにも終わっていないのだ。なので、「がんばってなの」と早口で付け加える。
マントの中は酸素が少し薄かったようで、少し息苦しさを感じたフーリは1度か2度深く呼吸をする。ここだって土埃やら何やらでたぶん体によくない空気なんだろうけれど、少しはすっきりした気分になった。そのうちに仲間たちが次々とこの大部屋のなかに走り込んでくる。誰も欠けていないと信じてはいるけれど、この状況で点呼なんかできるわけがない。
そのタイミングで、レリカからチョコレートバーを投げ渡される。なんとか片手でキャッチするが、袋は開けられそうにないのでお礼をいってポケットにしまっておいた。あとでお返しに飴ちゃんをあげよっと、と思いながら。

そして、とうとうルビードラゴンが咆哮とともに滑り込んできた。なぜだか臆する気持ちは無くなっている。レリカのおかげでさっきより落ち着いたからか、はたまた先程までの自己嫌悪から自暴自棄のような心理状態になったのかはフーリ自身全く判断がつかないし判断している場合じゃない。ドラゴンが火の玉を吐き出すのが目の端に見えたが、どうやらこちらには当たりそうにないとみたフーリは入口へと走る。目指す先にはおおきく手を振るルト、そして憔悴しきったイザベラにサナの姿。
アリスの補助魔法のおかげでまもなくイザベラの傍らに到着し、膝をつく。……ひどかった。まさか「あの」イザベラがここまでやられてしまうなんて。だけれど、この短期間に火傷の見た目やにおいに慣れたフーリは、すぐに杖を彼女の脚にかざす。

「イザベラちゃん、お疲れさまなの。でもごめんね、もうちょっとだけがんばってほしいの」

そう声をかけているうちにも、普段よりも見るからに早いスピードで傷口が塞がっていく。膿んだ傷口をたちまち瘡蓋が覆い、肌がその瘡蓋をじわじわ縮める。早送り映像を見ているかのようだ。フーリが杖を一旦離したとき、イザベラの脚には広範囲の赤い痕が今だ残ってはいたが、立ち回りには影響がないくらいまで回復していた。
しかし、脚ほどではないがやはり火傷を負った今のイザベラの腕では、肝心の大盾をすばやく構えることはできないだろう。さっき貯めたぶんの魔力が少しだが残っているし、あとほんのすこし時間を稼いでもらえればイザベラを前線に帰せる。残念ながら焦げた鎧は治せないが。

「アリスちゃんもごめんね、あとちょっとだけがんばって!
ルトちゃんも、いたいところあったら言ってなの。なおせるのはちょっと後になるかもだけど」


>>清流様、霊山様、レリカ様、イザベラ様、ルト様、アリス様、all様

6ヶ月前 No.218

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【レリカ・プラムティム/大部屋】

「うんうん、皆さん落ち着きを取り戻していただけたようで結構結構コケコッコ〜。 団長や、私は一応女なので問題無しでござんす」

ふざけた言葉を吐きながら、霊山の姉御を追って向きを回転させたルビードラゴンの尻尾を大剣を使って受け流す。 霊山の姉御が身体にチョコレートバーの袋を唾と一緒に吐き掛けるという人にやったら喧嘩勃発な事をやってくれたお陰でルビードラゴンはそちらに意識が行っている。 そして清流のおにーさんはそんなルビードラゴンの隙を見て突きを繰り出すが、思う戦果は挙げられていない。 鉱石として見ればルビー自体の硬度はそこまで高くない。 硬度と言っても色々な括りがあるので一概にそうだ、と言える物では無いのだが今回に置いてはルビーの靭性によって弾かれてしまったのだろう。 即ちただの突きでドラゴンに張り付いたルビーを崩すのは不可能という訳だ。

「……霊山の姉御や、もう少し惹きつけてて下さいな……」

ボソリと告げつつ音もなく地面を強く蹴り、ルビードラゴンの脚をすれ違いざまに斬り付ける。 狙いはルビーとルビーの間に生じている僅かな隙間、ルビードラゴンと言えど皮膚を全て覆うようなルビーの生成方法はしない。 故に必ずルビーとルビーの間に隙間が生じている。 胴体と脚の付け根を見て貰えば分かりやすいが、駆動部に当たる部分に置いてはルビー同士が干渉しないようにゆとりを持たせているのが見える。 それが指すのは絶対の防御壁では無く、極めて付け入る隙の小さい鎧を相手にしているような物だ。 それに対する手段は大まかに二つ。 一つは隙間を狙う事、もう一つは相手が宝石を纏っているからこその戦法だが打撃攻撃を行う事。

金剛石と呼ばれるダイヤモンドを思い浮かべて欲しい。 世界最高であり世界最硬の宝石と呼ばれるそれだが実は壊すのは容易い。 トンカチでもハンマーでも良い、それで叩けばダイヤモンドはガラス細工の如く割れてしまう。 これは鉱石に置けるモース硬度、ヌープ硬度というよく分からない単語で表される硬度の種類だが、所謂摩擦や引っ掻き傷に対しての硬度がずば抜けて高いだけなのである。 無論日光や薬品を相手にして変質しないという特性もあるが今回は関係ないのでスルー、要約すれば“宝石は打撃に弱い”という事実があるのみである。

ルビードラゴンの方を見て見れば私が斬り付けた箇所の宝石が少し欠けているのを確認出来た。 これを繰り返して宝石を削るのも悪くはないが燃料切れが先に来るのは目に見えている。 なのでそのままルビードラゴンから距離を取り、フーリ嬢の治療を受けているイザベラの姉御達の元へ駆ける。

「イザベラの姉御かサナ姉さんや、盾を貸しておくんなまし。 あのドラゴン相手だと私の武器だとジリ貧間違い無しでござんす。 どちらかの盾があれば宝石崩しが捗るので一生に一度では済まないレリカちゃんのお願いでゴンス」

頼み込む、というのにも関わらずふざけた態度は崩さない。 これは私が自分の中でスイッチを入れていないからであり、スイッチを入れるタイミングは今では無いからである。 ドラゴンの特性を察知してからが私の中で本番だからだ。 故にルビードラゴンの体表のルビーに打撃が効くのか試す意味合いも込めて、二人にお願いして見た。

>>ルト、霊山、清流、イザベラ、サナ、ALL

5ヶ月前 No.219

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【アリス・ウェスタ/大部屋】

霊山が引き付けてくれているおかげで、此方にあまり攻撃という攻撃は来ない。しかし、それでもルビードラゴンは此方の都合など気には止めない。
ちょっと移動するだけで岩が削れて飛んで来たりしてしまうし、火の粉だって多少は飛んでくる。それが今のイザベラにとっては、致命的になりかねない事は私にだって分かる。

「ええ、ちょっとなんてケチ臭い事は言わないわ!治癒が終わるまでは守ってみせるんだから!」

此方に気遣いながらも守備をお願いするルトの方をちらと見ては、にこりと微笑んでは、トランプを2mまで巨大化した。そして、降りかかる火の粉も岩の破片も防ぐ。そもそも爆発物の真の恐ろしさを持っているのは、その爆発物の破片や爆風なのだ。故に、今回も距離が多少保った状況でも警戒を怠ってはいけない。
しかし、ああ言ってしまったけれども……此方に注意が向いてしまったら守りきれる自信がない。既に魔力を半分以上消費している現段階で火球に耐えられるレベルに引き上げられるのは、感じ多く見積もって三回。それ以上は……分からない。
補助魔法をかけておけばいいのだけれど、それをしたら私が攻勢に回った時に不味いことになる。

戦況を少しずつ優位に進める前線組をトランプの合間から見れば、少しだけ安堵した。誰も大怪我はしていないみたい。どうか、最後までそうあって欲しい。

「大丈夫!ただ、焦ったら駄目だからね!」

ルトと同じく心配をしてくるフーリちゃんに対しても振り返って親指をぐっと立てて微笑みかける。彼女の性格を鑑みて、その上で不安をかけてしまうのは一番不味い事だと思った。
今は私の守護と霊山やレリカ、ジムの攻勢から、焦燥も不安も無いだろうけど……ここで崩れたら不味い。
避けた皮膚は既に血を止め始めた。これなら、あれを一度位使えるかもしれない。あのルビーの鎧をどうしたら良いのか……レリカが弱点に気付いたみたいだけど……私の魔法の中で通じるのは3つ位。それ以外は正直、ロード・オブ・ワンダーランド含めて通用する気がしないけれど、諦めないのが私の強みだからね。

「……サナ、イザベラ。大丈夫!だって、私が守るから。二人は相当に満身創痍でしょ?私もこの子達も、ちょっとやそっとじゃ倒れないから!」

レリカの申し出を聞けば、二人としても戦いたいだろうし、いざという場合に盾がないのは不安だろう。だから、ニカッと酒場に居る時と同じように少々悪戯っぽく笑えば、説得を試みた。レリカの口調はサナはともかくとして、イザベラにはマイナス効果になってしまいそうだ、と思ったこともあるが、私を理由に断られないようにするためでもあった。
もちろん、それは強がりでしか無い。現実的な問題として見れば、不安要素がたっぷりだ。しかし、今の自分に出来ることはこれだけ。だから、精一杯強がって笑うんだ!

>ルト様、フーリ様、レリカ様、イザベラ様、サナ様、all

5ヶ月前 No.220

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★Ywte4t2Nfq_Xgx

【 名古屋扇霊山 / 大部屋 】

 有難いことにまたしてもアリスが施してくれたらしい魔法のおかげで脚に力が増したのを感じた刹那、こちらも有難いことに霊山の行動に煽られてくれたらしいルビードラゴンが、狙いを霊山に絞って二度目の火球を吐き出してくれた。それを自慢の脚で右方に飛び退いて躱す。その隙を突いて清流が槍を片手にルビードラゴンの胴体へと突きを仕掛けたが、どうやらとんでもなく硬いらしい外装に阻まれて攻撃は弾かれてしまった。清流は即座にルビードラゴンから距離を取り、周囲にルビードラゴンの防御の硬さを注意喚起する。それは霊山にとってもかなり有益な情報だった。刃物がまともにぶつかっても傷一つ付かないほどの硬度なら、成功法ではなくもっと搦手を駆使して倒すことを考えたほうが良いかもしれない。例えば呼吸を防ぐとか、眼球から先に潰しにかかるとか。

「いや、眼球は下手に潰したらウチのこと狙ってくれへんようになるかもやしなー……」

 自分の発想に自分で却下の判断を繰り出しつつ、もう少し引き付けておいてくれというレリカの言葉に応えるかのように派手にマントを翻しながら大きく跳躍する。攻撃が通用しない相手とはいえ、触れられない相手ではないのだ。ならば存分に触れさせて頂くことで気を引き付け、こちらに苛立って頂くとしよう。壁とルビードラゴンの身体とを交互に、けれど目にも止まらぬ速さで蹴ってどんどん上へと登ってゆく霊山。そしてついにはルビードラゴンの頭の上へと乗っかることに成功した。残念ながらここも見事にルビーでコーディングされていて攻撃は通りそうにないが、しかしそれが目的でここまでやって来たわけではない。

「タップダーンス! イェーイッ!!」

 ルビードラゴンの頭上にて、まるでここは自分のためだけに用意された特設ステージだと言わんばかりに満面の笑みを浮かべていきなりそんなことを叫ぶ霊山。そして始まるのは宣言通りのタップダンス。リズミカルに足を踏み鳴らす音でミュージックを奏でるその動きは、ここが洞窟の奥深くで、今は戦闘中だということを忘れてしまいそうなほどの軽やかさだ。タタタッタッタタッタッタタッタ、タタタッタッタタッタッタタッタ、タタタッタッタタッタッタタッターン……見事な足さばきと鳴り響くテンポの良い足音、ばっさばっさと翻るワンピースの裾。きっと頭蓋にまで響くだろう怒涛のタップダンスは、物理的攻撃にこそなっておらずとも精神的攻撃にはなっているはずだ。自分が巨人になったつもりで想像してみるといい。いくら痛くも痒くもないからといって、自分の脳天でやたらとリズミカルな足音を延々と響かせて踊り狂う小人が居座れば大抵の者はその状態をストレスに感じるし嫌気がさす。そして周囲への注意力も散漫になるはず。そしてこれは希望的観測だが、他の敵よりも頭上の敵のほうが排除の優先順位は高くなる確率が高い。

「エントリーナンバー一番、名古屋扇霊山! 『天城越え』歌います!」

 ひょっとしてダンスだけではウザさが足りないかもしれないと妙な危惧が湧き上がったので、とりあえず歌のほうも足してみようかと再びそんな宣言をかます。『天城越え』は東方の国で出会ったなんか色っぽい着物姿のお姉さんが歌っていた曲だ。歌詞もリズムもうろ覚えだが、そこは持ち前の胆力で勝手にアレンジしたりアドリブを入れたり変なところでこぶしを効かせたりして気合で乗り切っていく。
 頭上で演歌を熱唱しながら無駄に上手いタップダンスを披露し続ける敵。そんな奴が頭の上に乗っかっているのだから他の誰でもなく霊山を狙ってくれると信じたいが、はてさて、ルビードラゴンに二度目の煽りは通用するのだろうか。

>レリカ・プラムティム様&漣清流様&ルビードラゴン様&ALL様

【頭の上に乗ったあたりが確定ロルです、すみません!】

5ヶ月前 No.221

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジム・グレイソン/坑道・大部屋】

 「……久しぶりに俺も燃えてきたよ、清流。今日は前に出させてもらおうか。It's clobberin time!」

 ジェームズ・グレイソンは道しるべの中では比較的新参である。現行メンバーがほぼ揃いきった頃に入ってきたジムだが、彼のポジションは必ず真ん中から後ろ寄り。一応、評価としては『目がよく行き届く。異常に気が付きやすい。気配りは上手い方。オールラウンド中距離寄り。ステゴロもいけるけど本職にはどうやっても勝てないのであしからず』といったところだ。年齢や貫禄から真ん中ではなく、普段の会計士的な仕事から、全体を見渡せるポジションにいる。地上最強のヒーローチームで言えば鋼鉄の社長と『ンーさん』のポジションを……というか前以外にも危険なところはあるから、ということである。だからこそ前については清流やレリカ、霊山といった正面の攻撃力が高い人間と、イザベラのようなファーストコンタクト対策に優れる者が担う。ジムが前に出るのは最終手段に近い時か、もしくは彼の言葉にある「お仕置きタイム」くらいだ。ムッシュムラムラではない。

 さて、ルビードラゴンはといえば、やはり表皮のルビーが原因で物理攻撃をはじいてくる。レリカの一撃が防がれたが、ルビーがかけているのを見ると、その防御力は無敵ではない。ジムも指輪のレーザーで攻撃するが、こちらは光の乱反射で威力が落ちる。そんな中、放たれた火球が霊山に迫る。大丈夫、彼女の纏う風には掠りもしない……が、ジムは咄嗟にトラクタービームで火球を二つ受け取ると、そのまま投げ返そうとして動きを止めた。なにせ霊山が無慈悲なストンピング……もとい華麗なタップダンスを披露しているのだから。

 「ブラボー、霊山!」

 火球をそのままに、レリカからもらったチョコバーを食べながら拍手すると、今度は霊山は『天城越え』を歌い始めた。合いの手を入れようと思ったが、ルビードラゴンはどう考えてもご立腹だろう。だが、奴さんが彼女に気を取られているうちがチャンスだ。

 「レリカ、ご馳走様。さあて、霊山、ライブにはサイリュームが必要だろ……これでどうかな!」

 火球は霊山の背後に飛ぶと、ジムの魔力を受けて変質し、細かい熱線となってルビードラゴンの背中に降り注ぐ。さながらそれは霊山の後ろでオレンジのサイリュームが交差しているような光景だった。熱線がドラゴンの表皮に届かなくても、熱を帯びたルビーがじわじわと苦しめていく。

 「ヴァニラ!」

 ジムの呼び声に応じて出てきた精霊はアリスの方へ行くと、そのまま自らの魔力を注いでいく。声を出せない精霊だが、口パクで「無理はしないで」と語りかけているようだ。

>>清流様、霊山様、レリカ様、アリス様、ALL様

5ヶ月前 No.222

古風 @kofu32 ★a00mQn4He6_yFt

【ルト、イザベラ、サナ/大部屋】

『ルトちゃんも、いたいところあったら言ってなの。なおせるのはちょっと後になるかもだけど』

「ありがとう、だけど私の事は気にしなくても大丈夫だよフーリ。私よりも皆を優先してあげて」

イザベラの汗をタオルで拭きながら、治療するフーリにルトは自分の事は後回しにするように伝える。フーリの術により、イザベラの傷が見る間に塞がっていく。やがて足はすっかり完治し、元通りになった。次いで、腕の治療に取り掛かる。前線では霊山、清流、レリカが立ち回りルビードラゴンの気を引いている。

「フーリ助かったよ。流石は道しるべで一番の回復役だね」

イザベラは感謝言葉を言うと、フーリの頭を撫でようとする。しかし、激痛が走り、腕を再び下ろした。苦痛の表情に顔をゆがめる。

『ええ、ちょっとなんてケチ臭い事は言わないわ!治癒が終わるまでは守ってみせるんだから!』

「ありがとうアリス!!頼りにしてる!!」

ルト達の前では、アリスがトランプを展開している。小さなアリスの背中が大きく見える。フーリにしろアリスにしろ、自分の仕事を的確にこなしている。
一瞬自分が情けないと頭をよぎる。だが、今はそんな事を考えている場合ではない。反省や後悔なら後からでも出来るのだ。今は皆で生き残る事を最優先で考えるべきだ。

『イザベラの姉御かサナ姉さんや、盾を貸しておくんなまし。 あのドラゴン相手だと私の武器だとジリ貧間違い無しでござんす。 どちらかの盾があれば宝石崩しが捗るので一生に一度では済まないレリカちゃんのお願いでゴンス』

そんな時に前線を離れ、レリカがこちらの方に向かってくる。そして、イザベラとサナに盾を貸してくれと要求した。

『……サナ、イザベラ。大丈夫!だって、私が守るから。二人は相当に満身創痍でしょ?私もこの子達も、ちょっとやそっとじゃ倒れないから!』

そこに、アリスの説得も入る。

その願いにサナが答える。壁に寄りかかり、息はまだ整っていない。やはり、回避盾のサナとしては、受けきるのに相当の体力と精神力を費やしたようだ。イザベラの離脱が、そこに拍車をかけた。

「私のを貸すよ、レリカ。イザベラ姉さんの、盾はあんたじゃ重すぎる。その点私の盾は軽いからさ……」

サナは、脇に置いてある、鱗を何枚も貼り付けている円形盾をレリカに投げて渡す。本来なら、霊山と共に囮役をやっている所だ。悔しさに唇を噛む。

「私代わりに相棒を使ってやってくれ、頼むよレリカ!!」

そして、俯いたまま、サムズアップするのだった。

>>フーリ、アリス、レリカ、ALL


【漣清流/大部屋】

ルビードラゴンは霊山を目で追い、首を振る。その間に清流は再度距離を詰め。槍で攻撃を仕掛ける。しかし、仕掛けるたびに弾かれる。

「本当に固ってえなぁ」

言っても始まらないが、怒気をはらんだ言葉を発する。
眼前では霊山が、気を引くためにあの手この手の方法でルビードラゴンに攻撃を仕掛けている。
頭上に乗り、タップダンスを踏む霊山。その衣装も相まって、その光景は華麗な少女が踊っているようだった。ステージがルビードラゴンの頭の上というのがあれだが。噛みつこうと何度も牙をむくも、それをひらりひらりと舞いかわす。

『エントリーナンバー一番、名古屋扇霊山! 『天城越え』歌います!』

ついには、歌い出す霊山。しばらくは攻撃が続く。

『……久しぶりに俺も燃えてきたよ、清流。今日は前に出させてもらおうか。It's clobberin time!』

そして、ジムまでも前線に躍り出ると、ルビードラゴンの火球を変質させ、攻撃する。ルビードラゴンの体のルビーが所々、熱によって爆発しルビーが剥がれ落ちる。

「ジム!!オッサンが前線に出てきて無理するんじゃねーぞ!!」

失礼な事を言う清流。

『清流、それは私に対する皮肉ですかな?』

すると、傍らでワイヤー攻撃をするビスからツッコミが入る。顔は笑っいるが、声が冷たい。清流は肩をすくめ説教を覚悟する。

しかし、ジムの攻撃に清流はヒントを得る。符による攻撃は熱攻撃の為効かないと思っていた。しかし、体表のルビーは熱により爆発するのだ。ルビーを剥いでしまえば、何とかなるかもしれない。清流も符を出すとルビードラゴンを攻撃する。所々ではあるが熱でルビーが剥がれていく。

しかし、自分の攻撃が当たらない事、相手の攻撃が自分にダメージを与えられない事に気づいた。歌の途中で、目線の方向が変わる。残念ながら、天城越えなかった。

目線の先には、人が最も集まっている場所。ルト達の方向である。
頭上を向いたまま、体の中で炎を生成する。そして、首を振り下ろすと。アリスのトランプの方へ火球を吐き出すのだった。

「アリス!!そっちにいったぞ!!」

そして清流は叫ぶのだった。

>>霊山、アリス、ジム、ALL

【大丈夫ですよ!!ただ、盛り上げる為に、ルト達の方向にも火球を撃ちます!!>>友禅様
今から仕事に行くんで、明日、明後日は、おそらく来れないのでよろしくお願いします〜!!】

5ヶ月前 No.223

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【アリス・ウェスタ/大部屋】

ルビードラゴンの上でタップダンスを踊って演歌を歌っている霊山を見れば、防御を展開しながらも堪えきれずにくすりと笑う。やっぱり、不思議でおかしい素敵な仲間達!私の目に狂いは無かったみたいね!
そんな風に笑っていれば、何かの気配がしたのでそちらを見れば、ジムの精霊の姿があった。彼女はどうやら私に魔力を与えてくれているらしく、これなら……と、ある考えに至った。

無理はしないで、と告げた精霊に「もちろんよ!」と微笑み返した。さて、ちょっと頑張ってみよっかな!無理はしないけど、努力は目一杯しちゃうんだから!

と、ルトにも頼られて気込んでいると突如耳を突き抜ける清流の叫び。前を改めて向き直せば、ルビードラゴンが火球を吐き出して一直線に此方へ飛んでくる。

「ロード・オブ・ワンダーランドっ!」

既に大きくなっていたそれは、たった一枚でその火球を受け止めた。……このままでは、【人魚姫の加護】(ティアードロップ・マーメイド)の掛かったトランプとは言え、高温で溶かされてしまう。出力を上げれば問題無いけど……やられっぱなしだと、ちょっと腹立っちゃうよね。だから、別の方法を取ることにした。

火球の周りをぐるりとトランプが左右前後を囲んだ。そして、その中でサッカーボールのようにぽん、ぽんと火球をパスしていく。これで、問題は解決した。いずれは消えるから。でも!これだけじゃ終わらないんだから!

「ちょっと危ないから気を付けて!さぁ、私を助けてちょうだい!『赤の女王の名の元に』(クイーン・オブ・ハート)!!」

一応、ルビードラゴンの近くで戦っている皆に届くようにそう告げれば、盾になっているトランプを一枚消してポケットに忍ばせていたハートの女王のトランプを火球にピッと投げる。ハートの女王は空気を切りながら火球に当たる寸前でそのトランプから、各所にハートのアレンジが施された真紅と漆黒の入り交じる派手なドレスに包まれている気高く妖艶な冠を被った女性が玉座と共にぼんやりと浮かび上がった。
しかし、火球はものともせずにその女王に襲い掛かる。その女王は不機嫌そうに少し眉間に皺を寄せた。

『この無礼者!奴の首を刎ねよっ!』

玉座に座ったまま、その女王はとびきり気高く激情に身を任せてルビードラゴンもろともに一喝した。その激情はその大部屋に響き渡る程によく通る声だった。
そして、その声と共に火球は潰れたように横に広がって鋼鉄の巨大で強大な刃となった。
それは、まるで罪人を裁く為のギロチンのように無情にもルビードラゴンの方へ飛んで行く。トランプはいつの間にやらアリスの元へ戻っていた。

しかし、ルビードラゴンはその恐怖も相成ってか、危険を十分に把握していたようで慌てて旋回する。それでも、僅かに間に合わない。無情にも体表を覆っていたルビーの一部をスパンッと切り取ってしまった。
それを見るとふんっ、と玉座で小気味良さげに笑えば、ギロチンの刃と共に女王は消えた。
今の私では1日一回しか使えない大魔法。トランプを媒介にしてコントロール性・恐怖の付与と……今回はエネルギーを物質に変換。んー……毎回思うんだけど、彼女の声って何処かで聞いたことあるんだよね。

「私だって、ただサポートするだけじゃないんだから!」

ふふん、とトランプも含めて誇らしげに勇ましく微笑んでいた。もっとも、先程以上の攻撃力を私は持ち合わせていない。しかも、あの一回限定。だからこそ、強気に振る舞った。またああなるかもしれない彼女の居る方へ攻撃をしようと思う者なんてそうは居ない。それに知性があろうと無かろうと、だ。

>ジム様、レリカ様、霊山様、清流様、ビス様、all

5ヶ月前 No.224

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★Ywte4t2Nfq_Xgx

【 名古屋扇霊山 / 大部屋 】

 一人だけ歌とダンスで勝手に盛り上がっている霊山のバックステージに、ジムの魔法でステージライトのような熱線が交差する。ブラボーの声援にはライブ中のアイドルよろしく手を振りながら「おおきにー!」と叫んでおいた。頭上でゲリラライブを開催されているルビードラゴンのストレス度数はお察しである。それがタップダンスに演歌という少しも合っていない組み合わせなら尚更だ。
 ルビードラゴンもやられてばかりではない。なんとか頭上の霊山を振り落としたり攻撃を当てようとしたり頑張っているが、頭上に乗っているのは魔法の腕前はクソでも肉弾戦では人外の疑いをかけられる脳筋だ。足場がどれだけ不安定になろうと合間合間にどんな妨害が入ろうとも、それら全てを跳躍したりバックステップしたりで回避し続けルビードラゴンの攻撃には一つも当たらない。
 が、残念ながらそれがいけなかったようだ。いくら攻撃しても当たらない頭上のストレス原を排除するのは一旦諦め、まずは狙いやすい集団をと目論んだのか、ルビードラゴンは霊山ではなくルトとフーリとアリスとイザベラのグループに火球を吐いた。向かう先にはアリスのトランプがある。が、はたしてイザベラの盾でさえ完全には防ぎきれなかったあの火球をアリスだけで凌ぐことは出来るだろうか。
 しかしそれは杞憂だった。アリスは何枚ものトランプを召喚すると火球を蹴鞠のごとくあっちにやったりこっちにやったりすることで一枚のトランプに負担がかかるのを防ぎきり、それだけでなく、火球に向かって投げたトランプから何やら玉座に座り華麗なドレスに身を包んだ女王様を召喚。召喚された真紅の女王陛下はとても不機嫌そうに火球を一喝したかと思えば、その怒声を受けた火球は瞬く間にギロチンへの刃と姿を変え、矛先をアリスたちのグループではなくルビードラゴンのほうへと進路変更した。
 どうやら喰らうまでもなく危険性を察知したらしいルビードラゴンが旋回してそれを躱そうとするが、しかし向かってくる刃のほうが速かった。強固な表皮、肌をびっしりと覆うルビーの一部がギロチンの刃によってばっさりと切り落とされ、断頭台の前に跪かされた罪人の生首のようにボトボトと落ちていく。清流の突きをまともに喰らって傷一つ付かなかったルビードラゴンの外装にこれだけのダメージを負わせるとなると、たぶんアリスの今の魔法は必殺技の類だろう。ひゅうっとよく通る口笛を吹きながらルビードラゴンの頭上を強く蹴り飛ばし、空中に勢い良く飛び出した状態でアリスたちのいるほうに向かって笑顔で叫ぶ。

「ようやってくれたで、アリス嬢! ウチは過激な女が大好きなんや!」

 地面に降りる前に落下しながらルビードラゴンの下顎を蹴り上げてほんの二、三秒の間だけ強制的に口を閉じさせたあと、その下顎を足場代わりにまた蹴り飛ばしてアリスが外装を剥いでくれた箇所付近へと高速落下。空中で体をひねりながらの右肘打ち右膝蹴り左膝蹴り左肘打ちという四連コンボを決めた後、これ以上はさすがにルビードラゴンからの迎撃回避に間に合わない可能性があると判断して攻撃を切り上げ地面に着地。
 立ち位置の影響を受けない魔法と違い、肉弾戦は空中での踏ん張りが効かずどうしても地上で戦ったほうが強い。ゆえに今の四連撃でどれだけのダメージを叩き込たかは不明だが、その威力不足を補うために四連撃も入れたのだ。多少は効いていると信じたい。

「やっぱウチ、戦うんやったら人型のほうがやり易ぅてええわー。ドラゴンやと関節の位置とか経穴の位置とか分かりづらくて技掛け辛いんやもん」

 東方の大国を訪れた際に仙人を名乗る謎の老人から教えられた八極拳の構えでルビードラゴンの出方を伺いつつ、そんな風に相手の形状に対して軽く愚痴をこぼす。しかし口振りの割に表情に嫌気が見えない辺り、やはりこの女は自分を手こずらせてくれるほどの強敵との戦いにこそ心を動かされるタイプのようだ。だからこその脳筋。だからこその肉体派。バーサーカーとまでは行かないが、基本的に徒手空拳での戦いを好む者などというのは手に汗握る戦いが大好きなのだ。

>アリス・ウェスタ様&ジム・グレイソン様&ルビードラゴン様&ALL様

5ヶ月前 No.225

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【レリカ・プラムティム/大部屋】

「……アリス嬢、サナ姉さん、恩にきますぜ!」

差し出された盾を受け取り、右手首のスナップを活かしてそれを上に放る。 盾が戻って来る前に左手のハンドアックス二組を合わせた斧を分解し、右手の大剣に合わせて左手を空にする。 回転しながら戻って来た盾を右手の大剣の上から右腕全体を使い、コロコロと転がして行く。 そして肩を伝って左腕に移動した時に左腕を徐に大きく上に高く振り上げる。 左腕で回転していた盾も当然ながらそのまま上に高く上がる。 そして左手の親指のみを曲げて示すのは、昨日フレイムスパイダー戦において使った戦法と同じ数字である。

「……第四戦術」

宙から帰って来た盾を左手に持ち、地面を強く蹴る。 アリス嬢の強化はまだ残っており、それを利用した加速は常日頃の加速を上回る速度でルビードラゴンに肉薄する。 高速に自分に迫る物体にルビードラゴンも気が付いたのか、動作を起こそうとしているが尚遅い。 その速度を殺す事なく、左手に持った盾を正面に構えてそのままルビードラゴンに衝突する。

………パリン!

まるで硝子細工が割れるような音と共に、ルビードラゴンの左胴体に付着していたルビーが赤く煌めく粒子となって空中に霧散する。 流石に図体の大きさや骨格のそもそもの違いから態勢を崩すそれにはなり得ない。 だがその不快な衝撃はルビードラゴンに伝わったようで、ルビードラゴンが此方に身体を直そうとする。 その前に地面を再度蹴り、ルビードラゴンの右脚前に移動する。

その動きに合わせてルビードラゴンは右脚を振り上げ、こちらに下ろす。 それを退避する行為を行わず。 左脚の鎖を巻き付けたナイフを下ろしてスパイク代わりにするとその一撃を受け止める。 無論立ち位置そのままではなく後退りをしている状態……否、押し込まれている状態ではあるが通常なら吹き飛ばされても可笑しく無いそれを正面から受け止めてみせる。 第二撃を放とうと脚を引いた瞬間に、今まで正面で構えていた左腕を一旦下げ、右腕の大剣を振るう。

その一撃はルビードラゴンの爪と爪の間を正確に傷付ける。 ダメージとしてはそこまで大きく無いながらもルビーに覆われてない関節部、更に自分を傷付けたという事実から怒り狂ったそれが第二撃を薙ぎ払うように振るう。 その一撃を今度は正面から受け止めず地面を軽く蹴り空中に身を移す。 そして振るわれる第二撃を左腕の盾で敢えて受け、自分に回転を加える。 振るった腕は当然戻される物。 四足歩行の動物であれば尚更である。 元の位置に戻された右脚に向かって受けた回転もその一撃に加えるかの如く左腕の盾を叩き付ける。 またも硝子細工の割れるような音と共に右脚のルビーが煌めく粒子の如く霧散する。

イザベラが守備重視の不動要塞、サナが機動重視の機動要塞だとすれば今のレリカは攻撃重視の迎撃要塞のような物だろうか。 その防御は味方を守る為では無く自分を守る為に使われる。 但し受けた一撃さえも利用して相手に攻撃を続ける。 当然ながら相手はその攻撃を防ぐ、もしくはリスクを覚悟でこちらに突撃するしかない。 狙いを変えようとすればその瞬間に空いた隙で更に攻撃を加えられてしまう。 故に相手にし続けるしかない。 そして相手は自分の周囲にいる者以外を相手に取れなくなって来るだろう。 少しでも気を逸らせば飛んで来るのは侮辱的な言動、決して小さくは無い攻撃の数々。 それを無視し続ける事がこの相手に出来るかどうか。

盾を持ちながら振るわれるそれは守護では無く惹きつけ。 霊山と同じくデコイが強い物である。

>>アリス、サナ、ジム、清流、霊山、ALL
【ルビーを砕く辺りが確定ロルですね、申し訳ありません】

5ヶ月前 No.226

そぼろ @snr2510☆yjBqeQuEvFAK ★Android=SAhLN2msbN

【フーリ・フォリア/大部屋】

『私のことは気にしなくて大丈夫だよ』との返事を受けて、ざっとルトの様子を見る。元気はつらつとはいかないものの、無理をしているようでもないようだ。わかったの、と頷いたところでイザベラに優しい言葉をかけられれば、「ありがとなの」と目を伏せながらお礼を言う。そのまま彼女の手を軽く握り治療を続けた。
いちばん重傷の脚がどうにかなったので後は比較的簡単なものだ。間もなく他の部位の痛みも随分と緩和された。完治はしていないが、動くのに支障はないはずだ。

イザベラの処置の終了を報告しようと顔を上げたとき、なにか清流の大きな声が耳に入る。同時に、視界の端が急に明るくなった。振り向くと、巨大な火の玉がこちらに向かってきている!今から立ち上がり逃げたところで間に合わない、仮に逃げ切れたとしてイザベラちゃんたちは?…思考が回りきらず、ただ目を見開いて近付いてくる火の玉を見つめていると、アリスの朗々とした声が響いた。
アリスはあっさりとトランプでドラゴンの攻撃を受けとめたかと思うと、1枚のトランプからきれいな女性を召喚した。知らない女のひとだ、アリスちゃんのおともだちかな、などと考えているうちに、火球は女性により刃に変えられてドラゴンを襲う。ダイナミックな攻撃に、フーリは「すごいの…!」と声を上げた。そして改めて、

「イザベラちゃんのお怪我なおったの!いたいところあるひとは、こっちまできてほしーの!」

と、なるべく大きい声で叫ぶ。改めてドラゴンの姿をみると、一部ルビーの輝きがはがれている箇所がぽつぽつと見受けられるようになっていた。しかし前線も決して余裕があるわけではないはずだ。
フーリは立ち上がり、ドラゴンのそばで戦う仲間たちに杖を向けた。まずは先程の様子からそれなりに手負いだったはずの清流に。そして珍しくかなり前に出ているジム、着実にルビーを砕いていっているレリカ、空中で踊るように戦っている霊山。かなりの距離があり、ひとりひとりに当てられる時間はそう多くないので精密な治療は見込めないけれど、「なんかちょっと楽になったかもしれない」くらいの効果はあるはずだ。
もっときちんとした手当をするには距離を詰める必要があるが、こちらから前線に走っていくわけにもいかない。気休め程度のサポートはこの位置からでも適宜できるが、それ以上が必要なら一度こちらまで戻ってきてもらう必要がある。

>>ルト様、イザベラ様、アリス様、清流様、ジム様、レリカ様、霊山様、all様

5ヶ月前 No.227

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジム・グレイソン/坑道・大部屋】


 『ジム!!オッサンが前線に出てきて無理するんじゃねーぞ!!』

 「俺が前線は無理だなんていつ言ったんだい?」

 にっこり笑って返したら、案の定ビスが清流を睨んでいた。まあ、その……気持ちはわからんまでもないが……
 お説教はとりあえずあちらにまかせ、こちらは特設ステージの演出へと戻る。

 「ブラボー、霊山!」

 『おおきにー!』

 さて、ルビードラゴンの特設ステージで歌い踊る霊山を捕まえることが出来なかったルビードラゴンはあろうことにイザベラ達に火球を発射。こっちはエネルギーの放出が済んでいない為魔術をこれ以上を行使できない。一瞬の焦燥、しかし我が妖精ヴァニラの布石は功を奏した。アリスの呼び声に応じて現れた不機嫌な女王は斬首刑を命じる。火球はギロチンの刃に変わり、そのまま返されてルビードラゴンの装甲を削り落としていく。どうやらかなり広い範囲をそぎ落としたようだ。その間にレリカもタスク・マスターの戦術を披露せんと構え、ルビーの切り落としにかかる。そして霊山が剥き出しになったルビードラゴンの表面へ空中からの連撃にかかった。

 「ひゅう……」

 見事な連撃に思わず口笛が出る。その間にフーリがヒーラーとしての行動に移った。ジムもみるみる傷が癒えていく。痛みと出血を止めた体なら、さらに集中が出来る。ヴァニラもアリスの役に立てて満足したように指輪へと戻った。これならもう少し高度な技を使うことができる。攻撃用レーザーとトラクタービームでは芸がない。せっかくみんながルビーをはぎ取っているのに、何もできないままではまずい。相手の状態を見ながら、使うべき精霊魔術を考えていると、連撃を終えて地上に戻ってきた霊山がぼやいていた。

 『やっぱウチ、戦うんやったら人型のほうがやり易ぅてええわー。ドラゴンやと関節の位置とか経穴の位置とか分かりづらくて技掛け辛いんやもん』

 「……面と点、か……」

 彼女のぼやきを聞いて思った。確かに霊山の格闘やレリカの戦術は人間に近い大きさの敵には有効だ。ただ、レリカは武器を所持していることから、敵に裂傷と出血を誘うことができても、霊山の場合はいかにアイアンフィストであっても敵の質量や大きさによっては面への攻撃を点で行うことになってしまい、内部まで攻撃が届かないこともある。そうなれば生命力にあふれた巨大な敵はその質量で耐えきってしまうこともある。もちろん、連撃に持ち込めばダメージの蓄積で溺死を狙えるが、好戦的なルビードラゴンはそのサイズ自体が防御であり攻撃。つまりは、反応されたら人間は即座に離れないといけないのだから、決定打が与えにくいということだ。
 もちろん、これを名古屋扇霊山というファイターの弱点と思うなかれ。彼女はこの状況から勝つ為の算段を考えているのだろう。
 そしてレリカの戦術は彼女の『本職』が映える。膨大な記憶の『兵法』から最適な技を繰り出す彼女はまさに生きた『柳生新陰流秘伝之書』ともいえよう。戦えば必ず勝つ。之兵法の第一義なり。このでかぶつをズタズタにしていくまで、その動きは止まらない。決して後ろに下がることを知らない、彼女の必勝の戦術……それは決められたパターンを持たないのだ。
 そんな心強いフロントがいるのなら、今一度サポートの術を使うとしよう。両手からエメラルドの光を放ち、一方はレリカの武器と盾を、一方は霊山の全身を照らす。一時的な、風のマナによる魔力の加護を分け与えたのだ。

 「霊山には敵を穿つ竜巻の加護、レリカには突風の鎌鼬の加護を分けた。敵を一撃で……とは言えないが、霊山、君は打撃の手ごたえを感じやすくなってるはずだ。レリカは切断面が広がった。効果はさして長くは続かないが、よかったら役立ててくれ」

 そしてこちらも光の鞭を出し、敵の表面を打ち据えようと構える。

>>清流様、レリカ様、フーリ様、アリス様、霊山様、バルト様、ALL様

5ヶ月前 No.228

古風 @kofu32 ★a00mQn4He6_yFt

【ルビードラゴンの奥の手】

ジムの熱戦や、清流の炎符、アリスのギロチンやレリカの攻撃によって、ルビードラゴンの鱗が削がれていく。
ルビードラゴンは爪や牙で攻撃するも、霊山やレリカの素早い動きに翻弄され、その一撃は空を切る。
逆に、鱗が落ちた部分に霊山が連撃を決める。その一撃は確かに手ごたえがあり、叫び声と共にルビードラゴンは、絶叫を上げた。
身もだえるルビードラゴンは、大きな体を振り回しながら地団駄を踏む。その衝撃で地面が微妙に揺れる。

もう少しで倒せる。誰もがそう思った時だった。
ルビードラゴンの動きが止まり、耳を防ぎたくなるような大きな咆哮を上げる。その咆哮と共に、ルビー状の鱗が全部地面に落下した。
今までに削がれたルビーと、咆哮により落ちたルビー。それを巨大な体を回転させ、弾き上げた。
ルビーは地面を滑るように、また別のルビーは跳ね上げられ宙を舞う。
そして、宙を舞ったルビーが落下する前に、ルビードラゴンはそれに向かって火球を飛ばした。
火球に包まれ爆発を起こすルビー。爆発が爆発を呼び、大部屋中で、大爆発が起こる。
自らの体を巻き込む事をいとわない、火力耐性の高いルビードラゴンだから出来る芸当。一行はルビーの爆発に巻き込まれるのであった。


【漣清流/大部屋】

『ようやってくれたで、アリス嬢! ウチは過激な女が大好きなんや!』

「うへぇ、うちの女性陣はおっかねぇな、おい!!尻に敷かれねぇようにしなきゃな、ジム」

霊山の言葉に、清流は茶化すように感嘆の言葉を述べる。熱線で攻撃していたジムが霊山とレリカに補助魔法をかける。アリスのギロチンが、レリカの第四戦術が、ルビードラゴンの鱗を落とし、その空いた体表に霊山が連打を食らわせる。ルビードラゴンは先ほどと違って身もだえている。やはり鱗が無い部分に攻撃は通るようだ。清流も炎符を駆使し、鱗を剥ぎにかかる。
そう言えば心なしか体が軽い気がする。先ほどまで、頭から血を流し、邪魔だからと何度も拭っていたが、今はそれが無い。この様な事が出来るのは、心当たりは一人しかいない。見ると、イザベラの回復を終え、フーリがこちらに向かって、回復魔法をかけている。

「フーリ。助かったぜ!!見てろ、もうちょっとで終わるからな!!」

サムズアップで感謝の意を伝えるのだった。
だが、目の前のルビードラゴンは予期せぬ行動をとる。突然の咆哮に清流は思わず耳をふさぐ。
その咆哮と共に、ルビードラゴンの鱗がすべて剥がれ落ち、弾き飛ばされたルビーがこちらに向かってくる。
油断なく戦ってきたつもりだが、ダメージが与えられると分かり、慢心していたのかもしれない。単純な清流でさえも次の一手は予測できた。

「やべっ!!」

そこからは、考えるよりも体の方が先に動いた。眼前にルビーが迫る。ルビードラゴンを中心に、爆発が円状に広がっていく。
清流は懐に手を入れ、符を取り出すと、地面にたたきつける。ルビーの爆発に負けないぐらいの爆音、そして衝撃。爆発を爆発で相殺させる。
だが、完全に相殺する事は出来ない。自らの爆風に煽られ、後方に吹き飛ばされると壁に強い衝撃で叩きつけられる。

「せっかく回復してもらったのにな……」

全身に痣や火傷を作りながら、根性で意識をつなぎとめるのだった。

>>ジム、霊山、レリカ、フーリ、ALL


【ルト、イザベラ/大部屋】

迫りくる火球にルトは、目をつむり思わず顔を背けた。しかし、火球は何時までも到達しない。見ると、アリスが火球を受け止める?……と言うかトランプで弾き飛ばしている。その光景に唖然とする、ルト。

「アリス……、凄い……」

その褒め言葉は、驚きと共にボソリと口からでる。

「何やってんだいルト、冒険者が敵の攻撃から目を背けたらダメだろ!!」

すると、何時もの調子でイザベラから、指摘が入る。すでにイザベラは盾を構え戦況を見つめている。その指摘にちょっと、シュンとなる物の、純粋にイザベラの回復を喜ぶ。
戦況は、ややこちらが有利に見えた、皆で鱗を剥ぎ、その合間に一撃を加える。その一撃はルビードラゴンにも確かに通じているようだ。
霊山にしろ、レリカにしろ、前線で動き回り、ルビードラゴンの注意を引き付ける為、此方への攻撃は無くなってきている。
その状況にほっと胸を撫でおろす。頼りになる仲間達で本当に良かったと思う。

だが、そんな安心は長くは続かなかった。ルビードラゴンが咆哮を上げ、ルビーをこちらに飛ばしてくる。地面を滑る様なものもあれば、放物線を描いて飛んでくるものもある。危ないとは、思う物のルトは咄嗟に動けなかった。

「皆!!大きいのが来るよ!!」

皆分かっているだろうが、反射的にイザベラが大声ーで知らせる。
イザベラが大楯を構え衝撃を抑えるフィールドを張るのと、爆音が響くのはほぼ同時だった。直撃は免れたが、その爆風にルトは吹っ飛ばされて地面を転がる。急いでルトは立ち上がる。膝が痛い。見ると転がった時に出来たのか大きな擦り傷が出来ている。

その時、正面のイザベラが膝をついた。慌ててルトは駆け寄る。

「イザベラ!!」

「思ったよりも強かったね、今ので魔力を全部使っちまったよ……」

冷や汗をかき、途切れがちな言葉でイザベラは喋るのだった。

>>アリス、ALL

【ルビードラゴン最後の大技?を出しました。これを耐えて、とどめを刺して戦闘終了にしたいと思います!!結構、大き目の一撃ですが、何とか耐えて下さい。ルビードラゴンへの確定ロルについては気にしなくて大丈夫です!!私は結構いい加減なので、皆様のロルを見てから展開を作ったりしてます(汗)。まとめ投稿すみません!!】

5ヶ月前 No.229

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★Ywte4t2Nfq_Xgx

【 名古屋扇霊山 / 大部屋 】

 空中ということもあり威力が不安だった四連撃。けれど相手の装甲が剥がれていたこと、そして空中においても霊山の馬鹿力がある程度健在だったことが効いたようだ。ルビードラゴンが上げる絶叫と踏んだ地団駄のせいで、大部屋の地面ががたがたと地震のように揺れる。怪我が無いどころかフーリが飛ばしてくれた回復魔法のおかげで調子は良好、重ねてジムからの精霊魔法の加護も付いた。この状態なら多少の無茶をすることになっても大丈夫そうだ。野生の勘が、ルビードラゴンを追い詰めている状況といえど「このまま素直には終わらない」ことを感じ取っているのか、本人も無意識の内に無茶をしなければ切り抜けられないような出来事が起こることを前提にそんなことを考える。
 相手が身悶えている内にさらなる追撃を。東方の拳法の構えから素早く地面を蹴って再度の口撃に臨もうとすれば、出鼻を挫く形でルビードラゴンがとてつもない声量の咆哮を轟かせた。咄嗟に空中で片足を振って旋回、地面へと戻る。そして素早く両耳を手で塞いだ。霊山の身体能力が人並み外れているのは、何も体力や脚力や腕力に限った話ではない。聴力とて平均を大きく上回っているのだ。鼓膜の強度も同じくらい平均を上回っているから破れることはないが、それでもこの距離で他の誰よりも咆哮を五月蝿く感じてしまうことに変わりはない。思い切り耳を塞いだ状態ですら鬱陶しそうにしかめっ面をしているのがその証拠だ。

「うるさっ! 何やねんこのデカブツ、そんなに自分の声に自信でもあるんか!?」

 腹いせにこちらも大声で相手に文句を投げかけてみる。人間の言葉など恐らくドラゴンには通じないだろう。もちろん霊山にだってドラゴンの言葉は分からない。そうと分かった上で、文句を付けずにはいられないくらい大きい声だったのだ。隣の家に引っ越してきた家族がこんな叫び声を上げるペットを飼っていたなら、きっと霊山は三日の内に隣の家を素手で住人ごと破壊して更地に変えるはずだ。
 鱗のようにビッシリと表面に貼り付いていたルビーが咆哮と同時にバラバラと身体からこそげ落ち、地面に着いたそれらを、今までに落としたものと一緒くたにして巨躯を回転させることで巻き上げるルビードラゴン。その時点で嫌な予感がした霊山は、咄嗟にマントの紐を解いて身体の前へと一瞬で持ってくる。予感は当たった。巻き上げられたルビーの群れに向かって吐き出される火球、熱に反応して爆発の連鎖を発生させるルビー。その規模は程度こそ違えど部屋中に及んだ。それはつまり、霊山にも及んだということだ。

「ふーっ――――でやぁっ!」

 裂帛の叫びと共に瓦割りの要領で地面へと拳を叩きつける。瞬間、拳が叩き込まれた位置の半径3メートル以内にあった地面は瞬く間にクレーター状に大きく抉れた。そこに素早く飛び込んで、穴の中でマントの裾を脚で踏み上のほうを手で持った体勢になりやや身を屈める。こうすれば、正面のルビーは《白金の魔法使い》が色々と補助魔法を施してくれたこのマントが防いでくれるし、背後からのルビーが来たとしても穴の中なのでその数は平地にいるよりもぐんと減る。そして衣服のほうにも事前に魔法を掛けて貰っているから、こちらも当たったところで打撲は負っても火傷は負わない。
 がんがんと背中や腿裏にぶつかるルビーの衝撃に呻き声も漏らさず凛然と耐えきる。爆風に吹き飛ばされていないのは、負けじと靴の何割かを力尽くで地面へめり込ませ身体を固定した上、全身の筋肉を駆使することで上体が後ろに逸れないよう抗っているからだ。成人男性をも軽々と吹き飛ばしてしまいそうな爆風と正面からぶつかりあうのは、本音を言ってしまうと腹筋が攣りそうなくらいキツい。しかしキツいだけだ。出来ないとまでは思わない。

 ――『よう聞き霊山、ええこと教えたるわ。欠損以外は無傷と同じや。肉が抉れようが骨が抉れようが、そんなもんウチらやったら適当に喰っちゃ寝してる内に人の数倍早く治る。せやからダメージを怖がるな。相手の骨を叩き折れそうな場面で、自分の薄皮一枚守りたいがために引くようなやり方は――まあ、否定はせんけどウチら向きやあらへん。ダメ押し、ゴリ押し、力押し。単純なパワーでもスピードでも、ほんでもって持久力でも。ウチらに敵う生き物は中々おらへんねん。せやからフィジカルとタフネスに物言わせて……相手が先に集中力なり体力なり切らしたその瞬間、ドデカい一撃叩き込んだり!』

 かつて自分の身の丈を優に超えるクマを片手で締め上げその肉を素手で捌いている最中の母に言われた言葉が脳裏をよぎる。当時の己は六歳だったか。まだ年端もいかぬ娘に何て力技を教え込んでいるのだと、我が母ながら思い返すたびに口元が引き攣る思いだ。しかし母の言うことに間違いは無かった。言われたような戦い方こそが自分に一番似合っているのは、それから数年の旅路で身に染みてよく理解したから。
 爆風が止んだと同時、複数箇所の打撲による鈍痛を訴える身体を無視して即座に地面を蹴り上げる。吹き飛ばされないよう無理やり踏ん張ったせいできっと周りよりダメージは多いが、そのおかげで、自分のスピードならば確実に口撃が当てられると確信できる距離を保ったままでいることができた。上体を左に回し、左脚を大きく振り上げて右脚で踏み切る。同時に腕を振り上げて跳躍の補助の力とし、ジャンプしてから腰を引き上げ右脚を素早く蹴り上げる。跳躍力と回転力、そして純然たる脚力。それら全てを一体にして放つこの技は、東方のとある国で『旋風脚』と称されていた。

>ルビードラゴン様&ALL様

5ヶ月前 No.230

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【レリカ・プラムティム/大部屋】

幾ら盾で受け流し、攻撃に転じていようとその巨大な図体から繰り出される一撃は人体には重たい物である。 左腕の感覚が鈍り始め、右腕も疲労により速度を落としている最中。 その負担がフワリと軽くなる。 勿論全て忘れ去れる程の物ではないが幾分かマシになった気はする。 こんな芸当が出来るのは一人しかおらず。 該当者であるフーリ嬢に向かって左手でサムズアップを無言で出す。 流石に声を出せる程の余裕は無く、されどお礼をしない程に恩知らずでは無い。 それであるが故の無言サムズアップである。

さて、そこに更なる変化である。 簡単に言えば『なんか武器と盾が緑色に光り出した』としか言えない。 さてこれは何なのか、と言うか苔とか生えたりしないよな? と一瞬不安になるが、直後に解説の声。 ジェームズ先生である。 聞けば自分の武器に鎌鼬の加護を授けたとか何とか。 魔術的な話はよく分からないが、結局の所は“切断出来る範囲が広がった”の一点に尽きる。 浅い一撃でも深手を与え、深手の一撃は致命傷を呼べる物になったという訳だ。 そこまで時間的に持たないという事で、何としても相手に深手を打ち込みたい所だ。

「……的確な支援に感謝する」

そして差し出すサムズアップ。 言葉はフーリ嬢とジェームズ先生、そして言い損ねてしまったアリス嬢への物である。 無論普段であれば緩いと思われる言い方で返しているが生憎と今は寡黙な不退転の騎士として動いている。 そんな騎士に言葉を求められてもそこまで気の利いた発言は出来ない。

そして響く、ルビードラゴンの咆哮とイザベラの姉御の注意喚起の声。 その両者の叫びに短槍二本を左脚の鎖に括り付け、先程のナイフと合わせてスパイクを強化する。 ルビードラゴンが巨大な図体がを回転させて宙を舞うルビーを左腕の盾で弾く。 そしてドラゴンが口を開けた瞬間、左腕を前方に突き出し、左脚の武器をしっかりと地面に突き刺し、今出来る最大限の防御を行う。

「……ーー!」

声にならない悲鳴、叫びとはこの事か。 しっかりと突き刺した武器は途中で折れ、爆風によって身体は宙を舞う。 全身に受けたその痛みに地面に墜落した事による痛みが追加される。 恐らく食い縛った時に噛んだのであろう、口から漏れる血を地面に吐き捨て周辺を確認する。 清流のお兄さんはダメージこそ多いが無事、ルトだんちょー達もイザベラの姉御によって無事。 霊山の姉御は地面にクレーターを作りつつも無事。 ジェームズ先生も精霊を呼び戻していたから何とか無事だろう。

死傷者は無し、この事実があれば攻撃を続行出来る。 とは言え体力、精神的に次の一撃が最後である。 それが私にとってなのか、ルビードラゴンにとってかは不明だが。 霊山の姉御とは真反対、ルビードラゴンの背後の位置に陣取っている……というよりかは吹き飛ばされたのが幸いと言うべきか。 霊山の姉御に続くように攻撃を仕掛ける。 大剣に接続したハンドアックスを取り外し両手に構えると、それをルビードラゴンの上方に向けて投擲する。 自重で落下を始めるハンドアックスに合わせて今度は直刀二本を左右に分けて投擲する。 残る大剣を両手で構えると地面を強く蹴る。

「山を抜け岩を断ち、雨を裂き水を割る。 それを結びて此処で断つ!」

ハンドアックス、直刀が計算されていたかの如く同時に直撃しようとしているその時。 更に重ねる大剣による一閃。 その同時に直撃する事による威力はどの程度なのか。 言葉では説明出来ない。 何せ、こんな事をする者は誰も居ないのだから。 ハンドアックスはトマホークと違い投擲しない、直刀も右に同じ。 そんな事は誰にも定められて居ない。 故に投擲し、自分の斬撃と重ねて手数と威力を増やす。 幾多もの武人の模倣をして来て積み上げた技術より産み出した、その答えの一つがこれである。

「……なんちゃって」

とは言えその技に名前は無い。 何せ私は怠け者であるが故に。 そんな奥義の名前とかは勝手に他人が付けてくれるという他人任せであるからこそ。 また紛い物から生まれた技であるからこそ、付ける名前が無いというのもあるからか。

>>フーリ、ジム、ALL

5ヶ月前 No.231

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【アリス・ウェスタ/大部屋】

戦場に立つ者にも関わらず、褒められて少しばかり嬉しくなってしまった。……まぁ、ジムのサポートがあったからこそ出来た事だし、そもそも皆が注意を引いてくれたから出来た事なのだから、皆のおかげでもあるのだ。

「気に入ってくれたなら良かった!イザベラも元気になったみたいだし……さて、私も次の手を考えなきゃね。」

ふふっ、と微笑んでは次の一手を考えるが……先程の一撃でかなり魔力を消費してしまった分、出来ることは少ない。全体火力の底上げも考えたけど、それをしたら、トランプが維持できない。出来る事と言ったら……

しかし、彼女は次の一手を考える前に守りを固めるべきたった。ルビードラゴンは、体表のルビーを自発的に引き剥がして自身が回転することであちこちへ反射しながらルビーを散らばせる。そして、間髪いれずに火球。爆発による誘爆、誘爆による誘爆。連鎖的にそれが広がっていく。咄嗟に後ろを振り返って見れば、イザベラが全快していたようで私がなにもしなくてもルトとフーリ、サナは大丈夫そうであった。
しかし、彼女は一番前に立っていた。だから、自分の身を守るべきだったにも関わらず、咄嗟に仲間を心配してしまったが故に対応が出来ないーーーはずだった。

彼女の周りに浮かんでいたトランプはまるで意思を持った盾のように、一瞬で部屋となって周りを取り囲んだ。前後左右、そして上。トランプは彼女を護るために閉じ込めたのだった。
それでも、爆発の威力は凄まじく爆発が収束する頃にはトランプは焼失してしまっていた。中に居た彼女の服も所々焼けてしまっていて、爆風によって勢いよく飛んできた何らかの破片かいしころによって所々に傷もあった。

「ごめんね、私を守るために……本当は、この子達の仇も含めて私も一撃食らわせたい所だったけど……私の魔法は取っておいた方が良さそうみたいね。皆!後一息、頑張って!」

ちら、と全員を確認すれば、酷い怪我をしている者がちらほら居る。清流は特に酷い。レリカもボロボロだし……火傷は少ないけど、霊山も大分。となると、どう考えても人手が足りないのだ。イザベラはともかくとして……まさか、フーリちゃんやルトちゃんにだけ後処理をさせるのもなんだか気まずい。
それに……イザベラが魔力を使い果たして膝をついている。私もなまじ使いすぎたもんだから限界と言えば限界だけど、私はまだ、ルビードラゴンが隠しているかもしれない技に警戒をしなくてはならない。一応、一回くらいは……いけるかな。最悪、私の荷物を犠牲にすれば……いや、キツいかな。ともかく、一回は護れる。守って見せる。
懐に戻しておいた五枚のスペードを宙に浮かせては戦いの行く末を見つめて、ただ勝利を祈るだけだった。

>フーリ様、ルト様、イザベラ様、all様

5ヶ月前 No.232

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジム・グレイソン/坑道・大部屋】


 『うへぇ、うちの女性陣はおっかねぇな、おい!!尻に敷かれねぇようにしなきゃな、ジム』

 「強い、したたか、女の武器はそういうもんさ。清流もツケの代金でルトに頭が上がらないなんてことないようにな」

 怒号の攻撃が続く中、霊山やレリカにかけた精霊魔術の加護は二人に強い力を与えたようだ。早速レリカが飛び出した。ルビーの弾幕を切り払い、次の攻撃に備えて着地する。

 『皆!!大きいのが来るよ!!』

 DRRRRRRRRRRRRUUUUUUUUUU!!!!!!

 イザベラの注意通り、強烈な咆哮と、巨体を震わせて弾かれたルビー、そして火球が迫ってくる。

 「いかん!」

 咄嗟にフィールドを張ったものの、それはルビーの直撃でひび割れ、火球にやすやすと砕かれてしまう。その瞬間、指輪の中にいるヴァニラが悲鳴をあげたのがジムには聞こえた。転進中のルビーの魔力を吸収し続けたツケが回ってきたのだ。魔力を介したダメージはお互いに共有する。ジムの身体に入り込んだ魔力はヴァニラを傷つけ、そのダメージを溜め込んだヴァニラの苦痛がジムに押し返される。

 「KKKKAHHKKK!! AAAAOWWW!! HRUP!」

 言葉に言い表せない声を出して喀血と共に膝をついた瞬間、火球は着弾した。ルビーのいくつかは自分に命中したようで、額から血が流れ、腕や足にはルビーが深々と食い込んでいた。フーリの努力を無駄にしたようで申し訳なく思ったジムだが、命がある以上、まだ自分に敗北はないと感じたようで、膝をついて体を起こす。
 自分で防いだ霊山とイザベラ、そしてダメージを受けたレリカ。他の面々はイザベラの捨て身の仁王立ちが守ってくれた。こちらも爆心地付近から吹き飛び、地面を転がる。意識はまだあったのでマラッキアンに手をかざすと、指輪封じの魔法で一時的に武器を封じた。たとえ精霊の力を借りずとも、魔術師としてのスキルは決して低いものではない。最高の武器が使えなくなった以上、人間として最大の武器を使う時がきたのだ。
 杖の代わりに使うサバイバル用の銃剣を引き抜くと、余韻を残す火球の熱を集める。マラッキアンが使えない今、己の体力を最大限に使って、大がかりな魔法を放つ。熱は橙の光を放って銃剣の切っ先に集まり、それを振り上げたジムはさながら太陽を貫く剣士だ。
 この魔法を使えば、継続して体に強烈な負荷がかかる。だが、命を惜しまず助けてくれた副団長の誇り……そしてここまで来たルトの決断。年配組の者として、新参よりでもこの心を守る気持ちは、ジムにだってある。

 −精霊魔術は自然の力。人の痛みも自然の痛み。自然の摂理を忘れし飽食に、大自然は今、怒る。風を孕めば嵐を生み出し、水を得れば波浪が吠える。火を齎せば、輝き轟く太陽の一撃―

 「ゾンネ・フェーザー!!! いけぇっ!!!」

 熱と光が一筋のビームとなってルビードラゴンの首筋へ迫る。

>>ALL様

5ヶ月前 No.233

そぼろ @snr2510☆yjBqeQuEvFAK ★Android=SAhLN2msbN

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5ヶ月前 No.234

古風 @kofu32 ★a00mQn4He6_yFt

【ルビードラゴンの最期】

ルビードラゴンは勝利を確信していた。未だかつて、自分のこの捨て身の攻撃に耐えた者はいないのだから。
かつてない程の強敵だった。自らの体と共にプライドもズタズタに切り裂かれた思いだった。後は、自分の巣穴に戻って傷を癒すだけだ。時間が掛かるかもしれないが、完治できない程でもない。

ルビー放出による最大出力の攻撃は、大きな爆音と共に辺りの物を無作為に破壊する。壁や天井は所々崩れ、辺りには土煙が立ち込める。
ルビードラゴンは辺りを見回して、ほっと安堵した。

その時だった。
土煙が切り裂かれ中から、先ほど戦っていた冒険者達が姿を現した。

一人は空中で回転しながら、連続で蹴りを放つ者。

「山を抜け岩を断ち、雨を裂き水を割る。 それを結びて此処で断つ!」
その叫びと共に迫りくる無数の武器、そして同時に叩き込もうと地を蹴り大剣を構え突っ込んで来るもの。

「ゾンネ・フェーザー!!! いけぇっ!!!」
土煙の中から一筋の光と熱の光線が、此方に迫る。光の発生源にいる男は体にルビーが食い込み、それでもこちらの首筋を狙っていた。

そして……

「くらいやがれ!!」
壁際から爆音が響くと、突如として眼前に血まみれの男が現れる。その手には槍が握られていた。爆発を推進力に代え、高速の一撃が迫ってきた。

霊山の旋風脚が、ルビードラゴンの鱗が取れた柔肌を何度も蹴りつける。皮膚は瞬く間に色が変わり、抉れていく。

レリカが、投げる斧や直刀が、ルビードラゴンに迫る。そこへ自らをも武器と化し、同時に一ヶ所に直撃する。

ジムの渾身の一撃が、ルビードラゴンの首筋を照射する。ルビードラゴンは熱耐性があるにも関わらず、皮膚を焼きついには貫いた。あけられた風穴からは血が噴き出す。

そして、清流の捨て身の槍の一撃が、性格に眉間を貫いた。

ルビードラゴンは先ほどと同じ音量で、叫び声をあげる。だが、今回は最後の雄たけび。断末魔だ。
何故、自分の渾身の一撃が通用しなかったのか。ダメージを食らえば唯では済まないはずなのに。薄れゆく意識の中、ルビードラゴンは考える。

霞む視界で冒険者達を見ると、淡い光で包まれている。
別の方向に、目線を向けると、小さな子供が、魔法を飛ばしていた。
自分の渾身の一撃も、少女のトランプや、先ほど足を焼いた女により、完全に塞がれていた。

完全に自分の負けだ

一人を相手にするのならば、簡単に勝てたはずだった。しかし、冒険者達が上手く協力する事によって自分は破れたのだ。ルビードラゴンは妙に納得する。
そして、永遠に目を閉じるのだった。

>>ALL


【ルト、清流/大部屋】

倒れたルビードラゴンを槍で何度かつつく清流。反応が無い事を確認し、自分たちの勝利を確信する。

「よっしゃーーー!!」

先ほどのルビードラゴンに負けないぐらいの大声で、歓喜の声を上げる清流。だが、叫んだ瞬間、ふっと意識が飛びそうになる。血を失い過ぎたかもしれない。フーリの魔法で多少は回復したものの、自分の体を符で吹っ飛ばして突撃したのだ。捨て身技で回復はチャラである。案の定、清流の服の背中は破れ、火傷や出血が見られていた。

「あー、もう力残ってねーよ……」

そして、地面に仰向けに倒れ込むのだった。

ルトは、皆の攻撃を固唾を飲んで見守っていた。力を込めて両手を握る。
そして、全力の攻撃がルビードラゴンに直撃し、倒れたのを確認すると、安堵のため息を吐いた。その後に満面の笑みが浮かんでくる。

「やったー!!皆、お疲れ様!!」

子供の用に飛び跳ねはしゃぐルト。そんな、ルトの腰がカクッと落ちる。足に力が入らず震えている。

「安心したら、腰が抜けちゃった……」

よほど、強く握っていた為か、握った両手は固まり中々開くことが出来なかった。紙一重の戦いだった。命を失ってもおかしくは無かった。

「皆、本当にありがとう」

そして、震える声で皆に礼を言うのであった。

>>ALL

【レス遅れ申し訳ないです……orz。ルビードラゴン戦はこれにて終了になります!!勝利の余韻に浸ったら(?)酒場まで飛びます!!GW中は逆に忙しいのでレス遅くなるかもしれません(土下座)。よろしくお願いします!!】

5ヶ月前 No.235

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【レリカ・プラムティム/大部屋】

ルビードラゴンが私を含め、皆の攻撃をその身に受けて地面に倒れ伏す。 先程の攻撃からも読み取れる通り、知能のある相手なので大剣を両手に構えて身構える。 流石に体力的に限界なので逃げる殿を務めるぐらいしか出来ないが。 死んだふりをしているかもしれないので、最後の最後まで気は抜けない。 ジリジリと近寄り、大剣の先をルビードラゴンの顔に突き付けてみる。 それでも動かないので死んだと見做すべきだろう。

それを確認してから武器から手を離し地面に転がる。 もう身体は限界で悲鳴を上げており、精神的にも限界を迎えている。 具体的に言うのであれば糖分が欲しい。 それも割と大量に。 自分が持っている菓子類は全部食べ尽くしてしまったので帰るまで自分の手では補給出来ない。 補給出来ないまま最低でも三日間、下手したら四日、五日と延びてしまうだろう。 休息が必要なぐらいに皆が消耗しているのは嫌でも目に入るので理解出来る。 それで日数が延びればそれだけ糖分補給の間が延びてしまう。 そうなれば私は発狂して他の面子に齧り付くだろう、九十割という10回生まれ変わらないと避けられない確率の元に。

「……糖分……糖分……糖ぶん……とうぶん……」

最早ピクリとも動かず糖分を求める様は新手の妖怪である。 側から見なくても分かってしまう。 だって私がそれを妖怪の如く扱われているのを知っている為である。 それを知っておきながらそれを繰り返し行うのは私の本能に則っての行動であるからだろうか。 最早思考が纏まらない。

ゴロゴロと地面を転がってルビードラゴンの脚へと身体を転がす。 普段であれば骨とか皮とか剥いでいるのだが、今の私は普段と違って本能のままに動くモンスターである。 骨とか皮とかよりも自分が動く為に必要な物の為に動くのである。 そして何も考えていない頭でルビードラゴンの脚に噛み付いた。

「……甘くなーい……」

当然である。 したとしても塩味か土味のどちらかである。 サナに盾を返したり、武器を回収したりとしなければならない事が山積みになっている中、只管にルビードラゴンの脚を齧り続けている様は最早新手のモンスターだ。 妖怪脚齧りとかレッグイーターとかそんな感じで名前が付いても可笑しくはないだろう。 ドラゴンの脚に噛み付く人間という構図はただ只管異様である。

>>ALL

5ヶ月前 No.236

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【アリス・ウェスタ/大部屋】

数多の攻撃、震える空気、沈む真紅の巨体。それら全てが五感全てを刺激して、無意識の内にそれを理解させてつうっ、と涙を一筋流した。

「勝った……勝ったんだね!」

最初は小さく呟いて呆然としてる様子だったが、清流の大きな声を聞いてどうにか脳が追い付いたのか、嬉しそうに笑いながらも涙をポロポロとこぼす。今までは自分よりも年下の者が居たり、皆の士気を下げまいと堪えていたそれが、勝利という安心から一気に溢れ出た。
涙を手で拭いながらも、自然と足に力が入らなくなって座り込んでしまった。それほどまでの辛勝であったことは間違いないだろう。正直、誰か一人欠けてもおかしくなかった。どころか、全滅すらあり得たのかもしれない。
しかし、全員がフーリちゃんのお陰とはいえ、五体満足で生き残っているのだ。それが何より一番嬉しかった。

ふと、背後から震えている、聞きなれた声が聞こえた。

「こちらこそ、ありがとね!珍しい経験も出来たし、それに此処に誘い込むなんて……少なくとも、私は思い付かなかったわ!」

そちらを向けば、嬉しさやら何やらで震えた声になってしまっているルトに微笑みかけて、なんの意図もなく、純粋にお礼を返した。ルビードラゴンなんて、普通に生きていたら見ることは無かっただろうし、大切な仲間達も全員生きている。……もし、この大部屋の事が分からなければ、私達は殿を任せて退避するか、あの通路で応戦するしか無かった。……そうなれば、私達の勝ち目は薄かったと思う。
だから、ルトの判断のおかげで全員が生き残っているのだ。それを感謝せずして何に感謝すると言うのだろう?

ふと、恨めしそうな声が聞こえた。流石にその声の主はすぐに分かった。少し呆れがちになりながらも、その声の主に近付いていく。

「そこのドラゴンをイートしてる小粋なレリカちゃんにこんなプレゼントがあるけど……食べる?」

フーリちゃんのくれた飴玉を1つ口に含めば、アンティーク風な鍵で扉を作り出して開ければ中から、ハートの形をしたお皿に乗った蜂蜜と木苺のタルトを取り出してニコッ、と笑った。扉の向こうは時が止まっているらしく、そのタルトは作りたてかのようにその状態を保っていた。

……にしても、怪我が一番酷そうな清流は割りと元気よね。そういう性分ってのもあるんだろうし、良いことなんだけど、本当に無茶するんだから!見てるこっちがひやひやするもの……今回は相性が悪かったから仕方ないってのもあるのかな。

「何にしても、皆が生きててよかったわ。本当に!」

ふぅ、と嘆息をついて彼女はまだ落ち着かない自分の心を落ち着かせる為にも少しだけ強がるように笑ったのだった。

>ルト様、清流様、レリカ様、all

5ヶ月前 No.237

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★Ywte4t2Nfq_Xgx

【 名古屋扇霊山 / 大部屋 】

 かつて母親や父親が繰り出してみせたものと比べれば納得の出来る威力ではなかったが、それでも人間離れした霊山の脚力で叩き込まれた旋風脚は確実にルビードラゴンの命を装甲諸共に削った。他にも攻撃が出来るメンバーが次々と各自で『ルビードラゴンにダメージを与えられる』と判断した物理攻撃なり魔法攻撃なりを重ねていき、轟音のごとき断末魔を最期にその巨体は地に伏した。霊山はすたっと地面に着地を決め、身体に異常が無いか確認するべく肩だの手首だの回してみる。さっきまではドバドバ出まくっていたアドレナリンの影響で気付かなかったが、どうやら戦闘の最中にフーリが回復魔法を飛ばしてくれていたらしい。目に付く箇所にあったはずの打撲痕と擦過傷のいくつかが喪失していた。
 まったく、あの可愛らしい少女と来たら中身までいじらしくて二重に可愛らしい。先日は自分に戦う力が無いことを悩んでいる様子だったが、霊山に言わせてみれば『周囲を戦わせ続けられる力』は『自分で戦う力』と同じくらい、いや、場合によっては後者よりも優れたものだ。霊山は自分で勝手に頑張るのは得意でも、フーリのように仲間を頑張らせることは大して得意でもない。ゆえにあの少女には、霊山とは全く異なる魅力があり活躍がある。本人がどう思っているかは曖昧だが、霊山にしてみればフーリ・フォリアという少女への認識はそんな内容だ。

「やー、皆ホンマにお疲れさん! ウチもぶっちゃけ地面にダイブしてこのまんまお昼寝タイムとか始めてまいたい所やけど、体力自慢としては周りのサポートに回らざるを得えへんよね。っちゅーわけで、こっから歩いて『道しるべ』まで帰るんが無理っぽい子おったら手ー上げてー。二人までなら何とか運べそうや」

 ルビードラゴンの脚を齧るレリカや大の字で地面に転がる清流、地面にしゃがみこむルトや涙を流すアリスなど、思い思いの反応を見せるメンバーに視線を巡らせる。ぱっと見た感じでは、とりあえず清流辺りが一番重傷だろうか。しかし彼が大人しく女子に担ぎ上げられてくれるタマか。平時なら拒否する清流を力尽くで担ぎ上げてダッシュするくらいなんてことないのだが、今の状態でそれをしようとすると『力尽く』の部分が大変に感じそうだ。しかし霊山でさえそう思ってしまうくらいには疲労している状況なのだから、あれだけの手傷を負っている状態なら、清流も案外素直に担ぎ上げられてくれるかもしれない。というかそう思いたい。

「あ、でもウチもそれなりに流血してるから、運搬の最中に服に血ィ付いても文句言わんどいてなー。弁償もせえへんでー」

 ケラケラと笑いながら冗談半分の軽口。ここにいるメンバーの中で衣服が新品同然にまっさらな者など一人もいない。よって今さら多少の血が染みたところで文句を付ける人物などもいるはずが無いのだが、そんなことは承知の上での駄弁りだ。
 そういえば、さっきの爆風で頭に被っていた魔女帽子がただの黒とオレンジの布切れに成り果ててしまった。一応、拾い上げたそれを頭に乗っけてはみたものの、これでは被らないほうがまだ身なりがマシに見えるだろう。仕方がないのでチャームポイントを一つ切り捨てて帰宅することにする。悲しくはない。このチャームポイントだってやはり部屋のクローゼットに同じものが複数個並んでいるのだから。ビバ安売り。ビバ大量生産品。こんな際物を売れると確信してやたらと作りまくってくれたトチ狂った服屋のオヤジ殿に多大な感謝を。おかげで「この服お気に入りだったのにー」みたいな台詞を口から吐かずに済む。

>ALL様

5ヶ月前 No.238

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジム・グレイソン/坑道・大部屋】

 橙の光は消え、巨体が倒れ伏す轟音が聞こえてきた。爆炎と土煙がおさまり、ジムが見据えた先には消耗しきった仲間たちと、ついに絶命を迎えた飽食の魔竜。そう、我々は勝利したのだ。銃剣を下げて痛みを堪えながら歩く。今のジムには見えていた。ルビードラゴンの死体からマナが溢れだし、大地に鉱石の恵みを与えていくのを。これでここは普通の鉱山に戻り、マナの流出がおさまったこの村に再び作物の実りが蘇るだろう。

 「勝った……俺達は……確かに……」

 今こそ、傷ついた精霊を休ませるためにマラッキアンを外したその時だった。

 「うっ……!」

 膝をついて再び喀血すると、体に食い込んだルビーがマナに変化して傷口から抜け出たせいでそこからも出血してしまい、体の力が抜けてバランスを崩して倒れそうになり、銃剣を突き立てて体を支える。息が荒い。魔力をヴァニラの補助なしで使ったせいか、体が重く感じてしまい、一時的だが聴力も視力も霞んでくる。みんなが思い思いに何かしているのに、みんなの声が不鮮明なエコーをかけられたように聞こえてしまう。ルト、清流、霊山、アリス、レリカ、フーリ……全員の声が溶け合っているかのような音を感じる。視力も全体に靄がかかり、なんとか全員のシルエットは確認できるものの、表情まではわからない。
 憔悴しきった表情で地面に倒れ伏してしまいそうになるが腕を振るわせながら地面に突き立てた銃剣を支えに何とか保っている。

 「勝ったんだ……はやく……ここを出なきゃ……出口……出口……」

 思考もままならず、半ば血達磨のままついてに地面に倒れる。
 そう、これがハイリスクともいえる精霊魔術のツケである。盟約を交わした精霊が傷つけば自分にも苦痛が感じられてしまい、精霊抜きに大がかりな魔術や強大な力を使えば、その代償として体はボロボロになってしまう。最後は吐息だけ聞こえてくるような気がして、ジムの意識は徐々に閉じようとしていた。怪我以外はそのまま眠れば治るが、ジムは足手纏いになるものかと、意識が飛んでいかないように踏ん張っていた。

>>ALL様

5ヶ月前 No.239

そぼろ @snr2510☆yjBqeQuEvFAK ★Android=I5ma5hEYjg

【フーリ・フォリア/大部屋】

ドラゴンがその瞼を下ろしきり、レリカがその死を確認し終わるその瞬間まで、フーリは縫い付けられたようにドラゴンの顔を凝視していた。やがて部屋のあちこちで仲間たちが勝利の声を上げたり寝転がりはじめたとき、ようやくフーリは大きな息を吐き出してその場にぺたんと座り込む。

「あんなにおっきいの、たおしちゃったの……」

ドラゴンの遺体を視界の端っこにとらえながら呆けていると、達成感や安堵と共になにか心につっかかるものを感じた。昨日巨大なフレイムスパイダーを倒したあとは嫌悪や恨みのようなものを感じたものだが、それとは違うもの。……なにが違うんだろうか。蜘蛛もドラゴンも同じようにフーリの仲間を傷付けたし、むしろドラゴンによる被害のほうが大きかった。なのに、どうして昨日のような気分にはならないんだろうか。
うまく言葉にはできない。だけど、最期にこちらを向いたドラゴンと目が合ってしまったとき、その瞳のなかに感じたなにか穏やかなものが、妙にフーリの中に残り続けていた。
そんなふうにぼんやりしていると、背後から震えた声が聞こえてくる。振り返ると、声だけではなく全身が震えているルトの姿。

「おうちに帰るまでがおしごと、なの。ルトちゃん、帰りのあんないもよろしくなの」

床に転がしていた杖を拾い上げながら、笑う。魔力はずいぶん消費してしまったが、まだ底はついていない。とはいえ、全員を元気にするほどの余力はないけれど。とりあえず村長のおじーちゃんたちのところまでみんなで戻ることができればちょっと療養の時間も取れるだろう。重傷人を霊山に任せっぱなしなのも申し訳ないし、そうでなくともここから入り口まではまた上り坂だ。少しでもみんなを回復してまわっておこう。
緩慢な動作で立ち上がったとき、誰かが咳き込む声が聞こえた。そちらのほうに顔を向けると、ちょうどジムが地面に倒れ伏す姿が目に入る。何度か蹴躓きそうになりつつそこまで走り寄ると、なにかうわ言のように呟くジムの声が耳に入る。かなり意識が朦朧としている様子だ。疲労による意識障害ならまだしも、貧血ならまずい。頭でも打ってしまっているのならもっとまずい。外傷は比較的すぐに塞げても、脳出血なんかだと今の魔力残量のフーリには治療しきれるかどうかわからないし、へたに動かすと危ないので霊山に運んでもらおうにも難しい。
一応ジムの髪をひととおり撫でるようにしながら確認して、頭部にあまり大きな傷が無いのは確認できた。

「ジムくん、だいじょーぶ?おへんじできる?」

とりあえず一息ついて、体の出血している箇所に杖をかざしながら、できるだけ耳元で大きい声を上げた。完全な止血は見込めないにしても、ある程度出血の勢いが弱まるくらいは期待できる。


>>ルト様、ジム様、all様

5ヶ月前 No.240

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【レリカ・プラムティム/大部屋】

もしゃもしゃと側から見たら危なすぎる光景を醸し出していると、呆れた表情と声を上げながらアリス嬢がこちらに向かって来る。 それに視線だけ向けながらもしゃもしゃと口を止めない。 そしてアリス嬢の言葉を頭の中で考えて見る。 イート→食べる、当然の意味合いだ。 小粋→今の私には理解できない。 恐れを知らない戦士のように振る舞い続ける必要さえありそうな雰囲気さえ感じる。 よく分からないけど。 プレゼント→私に対して何かくれる、という物。 そこまで分析してから視線をアリス嬢の手元に向ける。 木苺の上に蜂蜜でコーティングしたかの如く煌めくタルトが目に入った。 しかもそれを私に対してのプレゼントだとアリス嬢は言う。 今の私にその魅力的な誘いを断る事など出来はしなかった。

「下さい下さい下さい下さい下さいくださいくださいくださいくださいください」

髪を振り乱しながら四足歩行でアリスに向かうレリカ。 その様子、まるでと例えずともホラーである。 そして相手の返事を聞く事もなくタルトの乗った皿に顔面を押し付けて食べる様は最早人間の姿をしたモンスターである。 その様は野生動物が捕食する様子とはかけ離れたかの如く欲望に忠実、尚且つ邪念なく行われているので尚更怖いだろう、相手からしたら。 しかも蜂蜜をぐっちょぐっちょと音を上げながら食べているので聴覚的にも問題のある行動である。 色々な意味で子供の教育

〜少女捕食中〜

「いや〜、危機は脱しました。 レリカちゃんの武将忠誠度が100アップで御座います。 本当に感謝感激雨あられ、帰ったら全力で肩を揉ませて頂きまっせ」

……顔をタルトに押し付けて食べていたのにも関わらず口元にしか食べた痕跡が無く、他の部位に付いた痕跡すら無いのもある意味でホラーである。

改めて辺りを見渡すと……色々な意味で死屍累々である。 地面に突っ伏す清流のおにーさん、皆の安否確認を行う霊山の姉御。 清流のおにーさんと同じく地面に突っ伏すジェームズ先生、気が抜けたように地面に座り込むルトだんちょーとフーリ若様……うん、是非も無いよね。

「霊山の姉御ー、ジェームズ先生と清流のおにーさんが危うげでござんす。 手分けして運ぶってのも吝かじゃないけどどうします? 流石にフーリ若様も結構限界近いと思うんで、運び出すのが宜しいかと」

確認を終え、霊山の姉御に声を掛ける。 フーリ若様もまだ余力はあれど、2人を回復する程の余裕は無いように見える。 魔術関連は全く分からないので勘によるものだが、年齢的にそう無理は出来ないはずだ。 そして自然回復を待つ手もあるが主であるルビードラゴンを倒した今、この洞窟のヒエラルキーの変遷も当然起きる。 この状態でまたフレイムスパイダーとかその他諸々のモンスターと戦いたく無いのが本音だ。 此処は速やかに撤退、が正解に見えるので霊山の姉御に確認を取って見る。 今この場で二人を抱えて運べるのは限られて来るし。

>>アリス、霊山、ALL

5ヶ月前 No.241

古風 @kofu32 ★FZSDg7BMdN_yFt

【ルト/大部屋】

『勝った……勝ったんだね!』

ホロホロと涙を流すアリス。それにつられ、ルトの目にも涙が溢れてくる。

『こちらこそ、ありがとね!珍しい経験も出来たし、それに此処に誘い込むなんて……少なくとも、私は思い付かなかったわ!』

「ううん、お礼を言うのはこっち。皆が無事で本当に良かった……。アリスも本当にありがとう!!」

危険と分かっていてこの依頼を請けてしまった事、自分の判断でルビードラゴンと戦う選択をした事、そして傷ついてはいるが全員の命がある事。
後悔、責任、安堵、色んな感情が混ぜ合わさりそれが目から溢れる。

辺りを見回すと、皆が傷ついている。
脳が傷ついたのだろうか?レリカがルビードラゴンに噛みついていた。
すると、アリスがタルトを取り出す。それをレリカが凄い勢いで食べつくした。それを見て、ルトは笑みがこぼれた。どうやら、糖分が足りなかっただけの様で正常らしい。これを正常と判断するのもどうかと思うのだが……。

「レリカもお疲れ様!!助かったよ!!帰ったら、何か甘いものをご馳走するよ!!アリスに負けないように腕によりをかけるから!!」

そして微笑みかけるのだった。

『おうちに帰るまでがおしごと、なの。ルトちゃん、帰りのあんないもよろしくなの』

ルトに笑顔を向けるフーリ。そして、傷ついた皆をフーリが治療する。
戦闘要員は戦いが終われば、そこで仕事は終了だが、ヒーラーはそうはいかない。戦闘後も絶えず需要があるポジションだ。

「そうね、皆でお家に帰らないとね!!フーリもお疲れの所悪いけど皆を見てあげてね。帰ったら美味しいものを作ってあげるから!!もうひと頑張りお願いね!!」

自分に出来るのはそれくらいの事だけだ。そして、道しるべの小さなヒーラーに声を掛けるのだった。

>>アリス、レリカ、フーリ、ALL


【漣清流/大部屋】

『やー、皆ホンマにお疲れさん! ウチもぶっちゃけ地面にダイブしてこのまんまお昼寝タイムとか始めてまいたい所やけど、体力自慢としては周りのサポートに回らざるを得えへんよね。っちゅーわけで、こっから歩いて『道しるべ』まで帰るんが無理っぽい子おったら手ー上げてー。二人までなら何とか運べそうや』

霊山が皆を気遣って、運ぶ発言をしている。それを耳にした清流。本音を言えば頼りたい。正直もう疲れた。しかし、それは男のプライドが許さなかった。

「おう霊山!!俺は大丈夫だぜ!!任せとけ!!」

威勢よく声を上げる。ただ威勢のいいのは、声だけだった。任せとけの意味も分からない。
大の字になって寝ころんだまま言っても説得力は無かった。体の所々からは血が流れている。清流は、寝ころんだまま横の方を見る。すると、ジムが自分と同じか、それ以上傷ついているようだ。フーリが耳元で声を掛けている。

「おい、ジム、生きているか?霊山に運んで貰った方がいいんじゃねーか?」

若干、ブーメラン気味の言葉をジムにかけるのだった。

「清流、無理をするな」

そんな時、清流の背後から低い声が聞こえると、その体が宙に浮き抱えられる。その声の主はハイラムだった。
ハイラムも体中焼け焦げていた。そして、よく見ると左の手首が、何かあり得ない方向に曲がっている気がする。しかし、本人は痛がる素振りは全く見せなかった。

「いてててて!!おい、ハイラム!!もっと優しくだな……」

「大丈夫なんだろう?霊山も傷ついているようだ。俺が担ごう」

そう言い清流を肩に乗っけるのだった。

(ああ、もう!!どうするんだよ!!こんなに壊れちゃ修理するのに、いくらかかるか分かんないぞ!?)

ハイラムの中で、一人頭を抱える元ネズミの少年がいる事を道しるべのメンバーはまだ知らないのだった。

>>霊山、ジム、ハイラム、ALL



【戦い終わって……】

「けど、イント村にとっては残念な結果になっちゃたね……」

ルトは呟く。
宝石の正体はルビードラゴンの鱗であり、自分達がそれを倒してしまった。もちろん、自分たちに落ち度は無いが、それでも悪い気がしてくる。
ルビードラゴンを倒した事により、マナが回復して炭鉱が復活する事を祈るのみだ。しかし、炭鉱が復活しても、イント村の生活は変わらないかもしれない。

ゴゴゴゴゴゴ!!

そんな時、地鳴りと共に地面が大きく揺れる。そして、パキっと岩が割れる音が聞こえた。次の瞬間ルビードラゴンの亡骸の下から勢いよく水が噴射する。ルビードラゴンをも持ち上げるその水柱は、軽く天井まで届き、飛沫を上げている。皆が身構える中、その飛沫はハイラムに抱えられ一番高い位置にいた清流にかかる。

「熱っ!!おい、熱いって!!」

ハイラムの上でバタバタと暴れる清流。やがて、ハイラムの上から落下し体を打ち付ける。それを引きずり熱湯の届かない位置まで皆下がった。
水柱は収まる事無く、飛沫を上げ続けている。ルビードラゴンから流出した大量のマナは、炭鉱を回復し、有り余って何かを掘り当てたようだ。

「おい、これって温泉じゃねーのか?」

清流は国の文化で、人気のスポットの名前を呆然と呟くのだった。

【非アク申し訳ありませんでした!!GWが終わりようやく身動きが取れるようになりました。GWのGは『Go to hell』の略( ;∀;)】

5ヶ月前 No.242

古風 @kofu32 ★FZSDg7BMdN_yFt

【エピローグ】

「絶対に納得いかねぇ!!」

「まあまあ、いいじゃない清流。イント村の未来も見えたし、お金だって待てば入って来るんだしさ」

ここは酒場『道しるべ』である。といっても今日は店を開けてはいない。
今日は団員達で行う、依頼の成功と無事を祝う打ち上げである。いや、成功と言っていいものか……。

結局、宝石の採掘は叶わなかったという事で、収入は殆ど入ってこなかった。それでもイント村の村長は、坑道内の地図の料金の他に迷惑料を出すと言ってくれたが、それはルトが固辞している。その代わりに、お湯が湧いた事を伝える。

「宝石が無くなり、代わりにお湯か……」

露骨にがっかりする村長。

「じゃあ、温泉施設でも作ればいいんじゃねぇか?」

そんな、村長に何気なく清流は声をかけた。清流の国では温泉の存在はポピュラーだが、世界的に見ればそうでもないらしい。村長が温泉というものを知らないと言った発言に清流は驚いた。父と世界を回っていたルトは、その存在を知っていたが、団員達の中にも知らない物がいるらしい。そもそもお湯につかる習慣が無い者もいる。

そこから話が決まるのは速かった。ルトの伝手で興味ある商人に話を持ち掛けた所、意外なほどに乗り気であった。何しろ新大陸初の本格的な温泉なのである。こうして、お湯を引く為の業者が入り、噂を聞きつけた商人が入り、イント村は現在賑わいを見せる事となった。ルトは平面的な地図に、高さの値を書き加え提出した。傾斜などそれを参考にお湯を引くのだそうだ。

こうして、イント村は数年先、イント温泉として生まれ変わる事となるだろう。

収入も、イント温泉開業の月の収入の数パーセントをもらえる事を約束している。ルトも、成功を祈りサービスでベルの街から、イント村までの地図を描いて渡している。もちろん効率のいい旅の工程も記している特別製だ。

「俺が案を出したんだから、その分の料金をだな……」

「そんな、せこい事は言わないの!!イント村の財政はまだ厳しいんだから。それに、収入だって入って来たでしょ!!」

引き下がらない清流をルトはたしなめる。
今回の冒険では、思わぬ副収入があった。フレイムスパイダーとルビードラゴンについてである。新大陸の安全を守る為、自警団は魔物の情報を買い取っている。ルトは二種類の魔物の情報を自警団に話した所、どちらも未確認の魔物という事で、その情報料が出たのだ。特にルビードラゴンの方は、ドラゴン種である事と危険度が高いという点で、結構な額の報奨金が出たのであった。

不満そうな清流をしり目に、ルトはテーブルの上に色とりどりの料理を並べている。ルビードラゴンを倒した後に約束した甘いものや、イント村で取れた芋料理もならんでいる。

「じゃ、そろそろ始めようか!!」

ルトの合図で皆、酒やジュースなど、各自好きな物をグラスに注ぎ始める。そして、皆が注ぎ終わったのを確認してルトは前に出た。

「皆、今回はお疲れ様でした!!皆の頑張りのおかげで誰一人欠ける事無く帰って来れました。宝石の事は残念だったけど、温泉が出た事でイント村も賑わうと思います!!本当にありがとうございます!!」

ルトは深々と頭を下げた。団長として、今回の事に丁寧にお礼を言うのだった。
そして、ルトはジュースを注いだグラスを持った。何人かはもう飲みたそうに、グラスを見つめていた。

「では、イント村の未来と、私達の無事を祝って……」

ルトはグラスを掲げる。

「乾杯〜!!」

ルトの合図でグラスを合わせ、宴は始まるのだった。

>>ALL

【無事に酒場に戻って参りました!!飲めや歌えやの祝勝会にしましょう!!】

5ヶ月前 No.243

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★Ywte4t2Nfq_Xgx

【 名古屋扇霊山 / 道しるべ 】

 ルトからの乾杯の号令に合わせて霊山もグラスを鳴らす。酒の中に宿っているとされる悪魔を追い払うために音を鳴らすだとか、グラスを勢い良くぶつけることで互いの酒を混ぜ合わせて毒が入っていないことを証明するだとか。乾杯のルーツとされる説は色々あるが、まあ今はそんな細かい事はどうでも良いのだ。今から飲む酒が美味い。それだけが確かなら、他のことは全てが些事である。
 透明なグラスの中に注がれた、オレンジがかった濃いピンクの液体を一息に飲み干す。喉を滑っていくロゼワインの味と香り。急性アルコール中毒などという言葉は霊山の身体には存在しないから、飲むペースをセーブする気は全く無い。周囲だって今さら霊山に酒で体調を崩す心配はしないだろう。なにせつい先日もビールジョッキでワインなど足元にも及ばないほど度数の高い酒をまさしく浴びるように飲んでいた女だ。
 立て続けにワイングラスの中身を飲み干しては瓶から新しいロゼワインを注ぎ、まだ一杯目を飲み干していないメンバーもいる中で早々に丸ごと一瓶を空けきる。続いて手を伸ばしたのは白ワインの瓶。自分はたくさん飲むからと自腹で用意してきた何十本ものワインたちは、数を揃えるのを目的に買ったものばかりで味は二の次だったが、それでも『勝利の美酒』という意識があるおかげで上物のワインのように美味しく感じた。
 途中からはワイングラスにいちいち注ぐという行為が面倒臭くなり、どうせ自分で用意したものは自分で片付けるのだから良いだろうと瓶に直接唇を寄せてラッパ飲みに変更。この分だと、もう少し酒が進めば今度は「ワインのコルクをオープナーで抜くのが面倒臭い」と言い手刀で瓶を斜めにカットしだすに違いない。旅先で現地住民との宴会に混ぜて貰う時、披露すると必ず周りの酔っぱらいどもが盛り上がってくれる名古屋扇家の宴会芸レパートリーの一つだ。他には手刀ではなく足刀で瓶を切る宴会芸、片手でスイカを握り潰し目の前でスイカジュースを生搾りする宴会芸などもある。お察しの通り全て力技だ。名古屋扇の血族は全ての物事を大抵力技のみでどうにかしようとする節がある。

「しっかしまあ、まさかイント村に温泉が湧くとはなー。ウチ温泉わりと好きなんよ。傷の治りも早うなるし、ここら辺にも新しく温泉湧けへんかなあ」

 さすがに温泉に浸かるためだけに馬車で何日もかかるイント村まで行くのは手間暇と感じるらしい。テーブルの上にあった林檎のシブーストとアマンディーヌを交互に口の中へと放り込み咀嚼しながら、先日イント村で湧いた温泉について言及する。長らく旅人として色々な国や僻地を巡ってきた霊山だ。もちろん温泉についての知識は実際に浸かった経験も含めて存分にある。中にはフォーラーネグレリアなる、何でも人の脳味噌を溶かすというアメーバが住み着いている温泉にそうとは知らず浸かったこともあったが、幸い父も母も自分も脳味噌がドロッドロに溶解しておっ死ぬことは無かった。運が良かったのか、それとも人並み外れた頑丈さが幸いしたのか。なんにせよ、イント村の温泉はあのアメーバがいなさそうで一安心だ。
 三本目の赤ワインを飲み干し瓶をノールックで瓶専用のゴミ箱の中へと投げ込みながら、もう片方の手では新たにアーモンドフロランタンを摘まみ上げる。飲むにしろ喰うにしろとんでもないスピードだ。脳筋はえてして大食漢である。この場合は大食娘と表現したほうが適切だろうか。霊山の足元には酒と同じく、自分がついついテーブルの上のものを食べ過ぎて仲間の分が無くなるということにならないよう自分で食べるための店で買ってきたお弁当なども積み上がっている。さすがにこのペースでテーブル上のものを平らげ続けたら仲間から顰蹙を買いそうだから、この辺りで胃に収めるのは自分で買ってきたものに切り替えるつもりだ。

「せっかくやし、温泉だけやのうて名産品に温泉卵とか温泉饅頭とかこさえたらもっとええんちゃう? あとは温泉の効能にもよるけど、温泉の水を利用した化粧水とかハンドクリームとか作ってみるとか。一概には言われへんけど、ああいう観光地で金落とすんは男より女やからな。グルメと美容で狙い打ったら打率高いと思うで……って、これここで言うたかてあんま意味あらへんけど」

 商魂たくましい発想を口にしてはみたものの、ここにはイント村の村長も住人もいないので活かされる可能性は低い。しかし所詮はよそ者である自分たちが口出ししなかったところで、これからあの村の住人たちは自分たちの村にまさしく湧いて出てきた新たな希望を絶やさないようあれこれ工夫を凝らしさらに盛り上げようと努力することだろう。ならばただただ見守るというのが、一仕事終えた自分たちが取るべき態度の一つなのかもしれない。肉汁あふれるジューシーな唐揚げが山盛り乗っかった近所のお弁当屋さん自慢の逸品をハフハフ頬張りながら、霊山はそんなことを考えるのだった。
 ――勝利の美酒も美味いが、勝利の唐揚げもなかなか美味い。

>ALL様

5ヶ月前 No.244

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【レリカ・プラムティム/道しるべ】

ルトだんちょーの乾杯の号令に合わせてグラスを高く掲げる。 ノリでジーク・ハイルとかジーク・ルトとか言ってみようかと考えたけど色々と問題になりそうなので控えておくことにする。 意味もよくわかっていないし。 自分のグラスに注がれたブラッドオレンジのジュースを口元に運びながら、机の上に並べられた料理を眺めてみる。 肉料理にイント村でもゴチ……否、ご馳走になった芋料理。 そしてフルーツポンチなどのスイーツが皆に食べて欲しいと言わんばかりに存在感を放っている。 無論この後食い尽くされるのであろうが、見た目が麗しい事は悪い事ではない。 寧ろ食欲に直結する所なので大事である。

「レリカちゃんとしてはルビードラゴンの死体を没シュートされたので悲しみで胸が張り裂けそうで御座います。 ドラゴンの素材は良い装備の下地になると相場は決まっているんですフェルナンデスなので……」

フルーツポンチを底の深い皿にドサドサと盛り付けつつ、取り皿にスイートポテトをドサドサと盛り付けながら。 清流のおにーさんの嘆きの声に同調する。 結局温泉とやらで空中に舞い上げられたルビードラゴンの尻尾を回収したのだが、だんちょーさんが自警団に魔物の報告をした際に生態の調査の名目で取り上げられてしまった。 それに嫌々と拒否していたらイザベラの姉御の手刀を頭に受け、尚且つルトだんちょーにお説教を食らったのは記憶に新しい。 ……寧ろすぐ忘れたい記憶ではあるが。

「あー、温泉で思い出しましたが、極東は色々と独自の文化があるらしいですね。 謝罪の意を示す為に熱した鉄板の上で行うド・ゲーザという謝罪行為、浴槽に半身を沈めるというどう見ても苦行な半身浴とかその他諸々……レリカちゃんとしては三大名物のフジヤーマ、テンポーラ、メイド服街というのは見て見たい所ですねー。 後は長年続くニンジャという戦士とかも」

スイートポテトを貪りながら片手で“エキゾチック☆東洋の神秘”と書かれた本をパラパラと捲って見る。 上半身のみをお湯に浸ける為に浴槽で逆立ちをするという修行か何かの一環にしか見えない行動の半身浴、明らかに拷問にしか見えない1200度に熱された鉄板の上で何か謝っている行動らしき行いに見えるド・ゲーザ、そして街中でメイド服を着て客引きしているように見える街中など、色々と私には分からない物も多いがこれもその国独自の文化……なのだろうか? この本が本当だとすれば極東の人は随分と苦行が好きというか、自分を痛めつけるのが好きなようだ。 ……正直理解したくないレベルだが、だからこそ清流のおにーさんの何か凄い根性とか、霊山の姉御の凄い格闘術とか鍛えられているんだろうか……二人ともこの本によると極東系の名前らしいし。

※読んでいる本は外国人目線で纏められた本です。 色々と眉唾な情報やデマなどが載っています。

「普段シャワーでささっと済ませちゃう私としてはお湯に浸かるっていうのがピンと来ないので、確かに霊山の姉御の言う通りこの辺で湧いてくれたら体験出来るんですけどねー。 ただあんな熱さのお湯はノーサンキューでござんす。 あと温泉まんじゅう食べたいです温泉まんじゅう」

霊山の姉御にウンウンと頷きながら器一杯のフルーツポンチをスープの如く口の中に流し込む。 その様はフルーツポンチが飲み物のように見える食べ方だが、甘い物は何とかの理論で食べちゃうので気にする必要ナッシング。 フルーツポンチのお代わりを注ぎながら温泉なる物に思いを馳せた。

>>霊山、ALL
【GWのWは“Welcome to Underground”の略ですね、分かります(厨二病感)】

5ヶ月前 No.245

唐紅 @karakure ★6cse8x0sVG_M0e

【ビス・バルト/道しるべ】



 当初の依頼内容は『坑道の奥にある宝石の採掘地点の確認と、安全なルートの確保』、それ自体はルト様の言う通り実現できなかった。否、結果を知れば最初から無理だったのだ。採掘地点事態が龍の鱗などと誰が想像できようか。
 しかし、諦めない人を神は決して嗤わない。代わりにとばかりに燦々と降る温かい水を全身に浴び、そう――静かに思った。

「怪我の功名、と言ったら失礼でしょうか。イント村の方々は決して奪われないモノを得たのかも知れません」

 宝石と違い水は盗めたり、逃げたりしない。物は言いようかも知れないが、少なくとも自身はそう感じた。
 死んでいった工夫達も天国で笑ってくれるよう、イント村が栄える事を祈る。


―――――


「乾杯」

 ルト様の掛け声と共にグラスの音が空間を飛び交う。
 一口分グラスに注がれたアイスティーを啜った後、緩やかに立ち上がる。向かう先は厨房、その最中に釘を刺す様に清流殿の肩を軽く一度だけポンと叩き、無言で奥へと消えていく。

 袖をたくし上げて、次に出す料理の準備を行う。今でも数多の料理がこれでもかとテーブルに並んでいるが、大食間が多い面子だからこそ準備は怠らない。幸いイント村経由のたくさんの芋が厨房に眠っている。芋料理の選択肢は多い。甘いものから塩辛いものまで。ポテトサラダとフライドポテトと腹に溜まりそうなものを思いつき、動き始める。芋を乱雑に切り、もう一方で丸ごと芋を蒸し器に入れる。

 芋を揚げながら、少し考え込む。

 坑道にてフレイムスパイダー相手には少しは抵抗できたものの、ルビードラゴンには自分の術技はまるで通用しなかった。
 その中で一切の怯み無く駆けて己の剣を振るっていった仲間にして若人たち。勇往邁進、彼らに相応しい言葉に他ならない。
 少し微笑を零してしまう。それは自嘲ではなく、唯純粋な自分勝手な嬉しさ。
 ――と、揚げた芋を上げ油を切り塩を振りまく。蒸し上がった芋を潰しマヨネーズと刻んだハムとキュウリを混ぜてポテトサラダにし、それを皿に盛り付け両手に持ち再び宴会のテーブルへと。

「さぁ、皆さん。料理はまだまだあります、お酒も自身の許容を理解して嗜んで下さい」


【お久しぶりです! 何もやってないけど宴会には参加させて下さい!】

5ヶ月前 No.246

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジム・グレイソン/病院→道しるべ】

 「お世話になりました」

 海辺に近いサナトリウムを意識して建設された病院の玄関で一礼すると、ジムは海岸沿いの通りを歩いて道しるべへ向かう。
 ……一体何をしていたのかといえば、あの戦いでハイラムにドナドナされて坑道を出たのはいいが、怪我どころか済まない状態のジムはフーリの消耗がひどいこともあり、イント村の診療所に一時的に預けられ、その後ルトの報告で調査にやってきたギルドに街の総合病院まで運ばれていたのだった。ただ、ジムとしてはずっと昏睡しており、最後に聞いた声はフーリとレリカの声だった。
 街の病院に戻ってからは村長が見舞いに来てくれたし、道しるべの仲間もひやかしにきたりお見舞いにきたりだったが、怪我よりもジムとしてはヴァニラの回復が気がかりだった。指輪をずっとつけぬまま、とうとう病院から出てしまい、ひとり右腕にギプスをハメたまま道しるべの前まで戻ってきたのだ。
 茶色い鞄を持った左手でぎこちなくドアを開ければ、仲間は最初の乾杯を終えた後だった。給仕よろしく料理を出すムッシュ・バルトにもっと儲けが欲しかったとうなだれる清流。どう考えても怪しい雑誌が……たぶん『無有(むー)』という雑誌からの知識を集めて霊山と温泉トークを繰り広げるレリカと、から揚げイーターになりながら相槌を打っているであろう霊山と、思い思いに食べて飲んで騒ぐ仲間たち。そして一番楽しそうなルトを見れば、生きててよかったと僅かばかりの破廉恥おセンチと感情がぐるぐる回る。

 「えーと……ただいま戻りました……さっきムッシュ・チョウが退院祝いと、温泉の鉱脈を当ててくれたお礼としてこれを渡してくれたよ……よっと」

 左手の鞄を置いて、少しぎこちなく開くと、そこには全員分のルビーのブローチがあった。

 「マナの純度がまだまだ高いルビーさ。リハビリがてらにちょいと魔法を使っておいたから、大地の忍耐と再生の加護がついてる。疲れにくくなるタリズマンといったところかな。俺に仕上げてもらうことを前提にしてたみたいだけど、村長さん、完成したら是非みんなに使ってくれ、ってさ」

 椅子に座って一息つくと、ウイスキーの瓶を取ってコップに注ぐ。ここは無礼講のストレートで頂こう。

 「遅れちゃったけど、成功に乾杯。すぐに怪我を治すから、また仕事させてくれよ?」

>>ALL様

5ヶ月前 No.247

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★MpRc3BcAKQ_xKY

【セシル・クラーク=ウェストウィック/道しるべ】

「温泉、かぁ……そういえば、入ったことないなあ」

 皆の会話から数テンポ遅れ、セシルは少し感慨深げに声をあげた。彼の国では温泉――というか、湯の張られた浴槽――といえば、王家の者だけが使えるプライベート・バスか、庶民が身を寄せ合い使う大衆浴場のどちらかしか存在しない。王家でも庶民でもない貴族たちは、魔力を持つ召使たちに魔法の力で(そうでなければ俗にいう“濡れタオル”で)己の身を浄めさせていたものだ。本人すら忘れがちだがウェストウィック伯爵の次男坊であるセシルも、大衆浴場でもプライベート・バスでもなく、そういった召使たちの魔力で身を浄めていた。

「ハンシンヨクって、あれでしょ。女性が痩せて綺麗になるためにやるっていう……」

 痩せることと綺麗になる事がイコールで繋がるというのが如何にも理解できないけど。
 ある種、身も蓋も無い感想を付けたしながらレリカの言葉に反応する。温泉そのものへの興味はさして――しいていうならば、お湯につかると疲れが溶けるだのという話が本当なのか、くらいで――ないものの、噂や話だけは十二分に入ってくる。わざわざ自分で動かなくても汗をかけるから良いのよねえ。とかなんとか。多少は動く努力をすればいいのに、と思わなくもない。ついでにいえば、『道しるべ』の女性陣には多種多様な意味合いで不必要な話だな、とも。
 言うだけ言って温泉への興味が薄れたのか、次にセシルが意識を向けたのはルビーのブローチだった。氷の名を冠むる色をした自分の瞳とは正反対の、猛火のような真紅のルビー。しげしげと眺め、そっと人差し指と親指でつまみ電球へと掲げる。猛火、と表現こそしたものの攻撃的な雰囲気は感じられない。暫くジッとそれを見詰め何やら思案していたが、胸元の飾りの傍らへそっとそれを添えた。セシルとは対照的な色だからこそなのか、それは初めからそうであったかのようにしっくりとハマっていた。

「……うん、ありがとう」

 知らず口角が上がる。やはり、自分自身への思いが込められたプレゼントというものは、例えどんな形を模していても一定以上は嬉しいものだ。いつも共に居る面々ならばすぐに分かるレベルで機嫌が良くなっていく。

「にしても、これで漸うギルドらしい“おそろい”が出来たわけだね」

 肩を竦めて茶化すように告げる。照れ隠し……というよりは寧ろ、他の誰かを照れさせてやりたい的なノリの強い物言いだった。

>>レリカ様、ジム様、ALL様

5ヶ月前 No.248

そぼろ @snr2510☆yjBqeQuEvFAK ★Android=ewMEr9sO3x

【フーリ・フォリア/道しるべ】

「みんなおつかれさまなのー!」

ルトの音頭に続き、フーリはその小さな手に持ったグラスを掲げた。テーブルに身を乗り出して、隣や向かいやはす向かいの仲間たちと乾杯する。お祝いっぽい雰囲気を出したいという理由だけでワイングラスを用意してもらっているが、注がれているのは林檎の果汁。ごくりと音をならしながら一口飲むと、にへらと気の抜けた笑みを浮かべる。色んなことがあった今回の旅だったけれど、今はとてもしあわせな気分だった。

□「お湯があんなにいっぱいでてきて……びっくりしたの!いつかみんなで遊びにいけたらいいの」

野菜サラダにフォークを突き立てながら、上機嫌にそう口にする。「せんせい」といたころはもっぱら川の水で体を清めていたし、湯船に入るという習慣も新大陸に渡ってから知ったくらいだ。温泉なんてものには全く馴染みがなかったフーリは、イント村でその説明を聞いて感心したのだった。帰りの馬車ではハムスター並みに眠っていたことで移動時間の長さを感じなかったこともあり、やはりあの村にまたみんなで足を運ぶ機会があれば素敵だとうっとりしながら足を揺らす。

「きょくとー、にはオンセンがいっぱいあるの?いつか行ってみたいの…。でも、ちゃんとおぎょうぎ良くしとかなきゃいけなさそうなの」

レリカによる極東豆知識を聞いて、前半はうきうきと後半は思わず声を潜めてそう言う。滞在中ちょっとでも悪いことをしたら、どげーざとかいう恐ろしすぎることをしなければならないかもしれない。熱いのはもうこりごりだった。温泉を知っていたせいりゅーくんなら、もしかしたらどげーざとかの経験もあったりするのかもしれないと、ビスの運んできてくれた料理にさっそく手をつけながらひっそり清流に視線を送ってみる。

ふと聞こえた扉の開く音に目をそちらに移す。少し動き辛そうに入ってきた人物の姿を認めると、ぴょんと椅子から降りてそちらに駆け寄った。

「ジムくん、お帰りなさいなの!たいいんおめでとう、間にあってよかったの」

他の団員たちにくっついてお見舞いには行っていたが、元気に歩く彼を見るのはちょっと久しぶりだ。片腕の彼を気遣い、ビスくんのお料理もおいしいからたべてね、とか言いながらポテトサラダをジムの取り皿にひょいひょい乗せていったり、仲間の帰還に一層きゃっきゃとはしゃぐ10歳だったが、ジムが出したブローチを見た瞬間に口をつぐんだ。
ブローチのひとつをそっと手に取り、見つめる。その宝石は坑道内でのいいことも悪いことも思い出させた。しばらく表面を撫でたり照明にかざしてみたりといった動作を無言で行ったあと、つと顔を上げてセシルのことばに応える。

「……うん!みんなとおそろいなの。フーリのたからものにするの」

セシルの真似をして胸のあたりまでブローチを持ち上げると、お気に入りの赤い服にその輝きは同化してしまったけれど。それでも、これを持っていることで、自分は確かに「道しるべ」の一員なのだと改めて感じることができる気がして、心の底から嬉しそうな笑みを浮かべるのだった。


>>レリカ様、ジム様、セシル様、all様

5ヶ月前 No.249

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【アリス・ウェスタ/道しるべ】

あの後、レリカちゃんによる軽い恐怖体験を間近で見て一人、衝撃を受けていたけれど、その後の温泉騒ぎで一気に持ってかれた。ぶっちゃけてしまうと、清流がお湯に当てられてハイラムから落ちた辺りで笑いを堪えていたのだけれども。

まぁ、そんなこんなあって……私達は無事に帰ってこれた。そして、今に至っては祝勝会ーーーという名目の宴真っ最中だ


「かんぱーい!」

お高めのミルクティーを注いだグラスでグラス同士で合わせてそう言う彼女は、色々な意味で妙に写るだろう。何故、ミルクティーをそのお酒のグラスに入れたんだ……と方々から言われそうだが、彼女自身は紅茶をよく好んで飲んでいる。
では、紅茶を飲めばいい?残念ながら、紅茶は食事中に飲むと貧血を起こしてしまうらしい。因みに実体験なので、ほぼ確実だと思う……にしても、こんなに紅茶が好きだなんて……私のお家は茶葉を栽培していたのかしら?

「温泉ねぇ……私としてはちょっとよく分かんないかな。あ、でも温泉まんじゅうは食べてみたい!卵は……いいや。なんか、私……割る度に謎の罪悪感に襲われるのよね。」

うーん、と温泉を伝聞だけで成立させようとしてみるが、あんまり感覚としては分からなかった。何分、入ったことは無いので、当然と言えば当然と言えるのだが……故に、彼女の好奇心はスイーツの方へ向いた。温泉まんじゅうも当然の事ながら食べたことがない、彼女にとってはどのようなものか、俄然興味の対象なのだ。
卵は、失われた記憶が関係しているかもしれないけど、真偽は不明。ただ、スイーツ作りをするには、乗り越えないといけない壁だし、ちょびっとの罪悪感なものだから、最近は普通に割るけど。
なんて、ビスの作ったポテトサラダを口に運びながら、そう思っていた。……ポテトサラダって、美味しいけれどサラダの感覚で食べるの難しいね。

「それと、多分なんだけどド・ゲーザはやらないと思うわ……謝罪どころか即死じゃない……そうだよね?」

レリカの言葉をまともに信じてしまっているフーリ達の話を聞けば、苦笑いしながら、そこだけは訂正してそこら辺を知っていそうな清流に確認してみる。……まぁ、あっちに行くことは滅多に無いんでしょうけど……流石に風評被害もあったもんじゃないわ。そんな後味の悪い謝罪なんて……どこの悪趣味な金持ちが喜ぶってのよ。

「ジム!お帰りなさい!……ルビー、か。チョウさんも律儀な人ね。んー……流石にこの服に合わせるには、ちょっと綺麗な赤過ぎるわ……じゃあ、こうしてみよっかな!」

ジムの帰還を嬉しく思って微笑みかけるが、ブローチを見ては、流石にこんなに真っ赤だと私の服に合わないかな……そう思った彼女は、ルビーのブローチに魔法をかけてそれを平たく延ばしては、その中からハートとダイヤの形を切り取った。そして、それを同時に細工を施しておいた懐中時計の蓋へステンドグラスのように接合してみた。無論、余ったのでそれは元のブローチの形状に戻してポケットにしまった。
前々から少し懐中時計は質素だと思ってたし……これなら、ルビーも不自然では無いでしょ?皆とお揃い……は微妙かもしれないけれど、そう言うことならずっと付けておきたいじゃない?

「私的には報酬、結構満足のいく量だったけどな〜。だって、予備の服買い直してお菓子の材料を買ってもお釣りがきたもの!」

基本的にそういった欲の無い彼女はお金に関して節約することはあれど、不足を感じることは無いので、清流を見てはおかしげに笑った。しかし、彼女の服はどう見ても安いものでは無いので、気に入った物を衝動買いする事はある。まぁ、それも女子としてはなんらおかしい事でもないのだけれど。

>all様

5ヶ月前 No.250

古風 @kofu32 ★FZSDg7BMdN_yFt

【ルト/道しるべ】

「料理を手伝ってくれてありがとう!!ビスさんも、ある程度作ったら休憩してくださいね!!皆結構食べるから、作ってばかりだと、休む暇も無くなっちゃう」

ルトは調理場で、同じく料理を作るビスに礼の声をかける。流石に執事と言うだけあって料理の腕は確かだ。味見させて貰った、芋料理もどれも美味しかった。ただ戦いならいざ知らず、料理の腕はルトだって負けてはいない。今、オーブンの中ではチキンを焼いている。チリチリと焦げ目が出来ていき、美味しそうな匂いが充満する。乾杯したあとルトは調理場に戻り、料理を作っている。坑道内で美味しいものを作ると約束したからだ。それを抜きにしても、皆には頑張った分の労いをしてあげたいと思っている。何時も通りのエプロン姿で調理場の中を、動き回る。

やがて、チキンが焼けると厚手の手袋を身に着けて取り出し、大皿に盛り付ける。そして、それを酒場の方に持っていく。

「皆〜、チキンも焼けたよ〜」

テーブルの上にはビスが作った芋料理や、ローストビーフなどがギッシリと並んでいる。ルトは空になった皿を重ねると、空いたスペースにチキンの大皿を置いた。

店内を見回すと皆、思い思いに楽しんでいるようだ。
霊山の方を見れば、すでに空のボトルがいくつも転がっている。テーブルの方の料理は次々に胃袋に消えて行った。
聞き耳を立てると、温泉について話しているようだ。

『せっかくやし、温泉だけやのうて名産品に温泉卵とか温泉饅頭とかこさえたらもっとええんちゃう? あとは温泉の効能にもよるけど、温泉の水を利用した化粧水とかハンドクリームとか作ってみるとか。一概には言われへんけど、ああいう観光地で金落とすんは男より女やからな。グルメと美容で狙い打ったら打率高いと思うで……って、これここで言うたかてあんま意味あらへんけど』

霊山の発言にルトも納得する。

「確かにそうだね。温泉はもちろんいいけど、プラスアルファで何かあればもっと賑わうかもね!!それに、美容効果を期待する、女の人が簡単に行き来できる道を整備するのも大切かも。でこぼこ道じゃなくて、少なくとも美容に興味あるご婦人方が、快適に行ける道が欲しいかなぁ……。もしかしたら、イント村までの道の整備計画の依頼とかくるかもよ。今度村長さんに手紙を書いてみるよ」

ルトも商人の娘である。利には敏感である。しかし、利よりも情が勝るのが、難点だろう。

『ハンシンヨクって、あれでしょ。女性が痩せて綺麗になるためにやるっていう……』

するとポツリと、声が聞こえた。セシルである。美容には興味が無いルトであったが、セシルの姿を見るとルトも考えてしまう。
別に綺麗でなくてもいいけど、流石に男性に負けるのは、ちょっと悔しい。コップを傾けるセシルの姿もどこか色っぽい。セシルだけではなく、ウィルやルーチェあたりも化粧すれば化けるかもしれない。ルトは自分の体を見る。ペターンという効果音が聞こえてきそうだった。

「私も、温泉が出来たら行ってみようかな……」

ため息をつき、呟くのだった。

その時、扉が開く音が聞こえジムが入って来る。

『えーと……ただいま戻りました……さっきムッシュ・チョウが退院祝いと、温泉の鉱脈を当ててくれたお礼としてこれを渡してくれたよ……よっと』

その姿を見るとルトは満面の笑顔で近づいていく。

「おかえりなさい、ジム!!」

そして、ルトの手には、ルビーのブローチが渡される。

「わぁ……、綺麗……」

ため息が出るような美しいブローチ。それを、ルトは胸につけてみる。何時もは、装飾品などつけていないが、これは特別だ。何度も繰り返しブローチを見つめる。

『にしても、これで漸うギルドらしい“おそろい”が出来たわけだね』

『……うん!みんなとおそろいなの。フーリのたからものにするの』

「そうだね、皆の絆の証だね!!ありがとう、ジム!!大切にする!!」

皆に渡すと、椅子に座るジム。

『遅れちゃったけど、成功に乾杯。すぐに怪我を治すから、また仕事させてくれよ?』

そこにルトも自分のコップを持って近づく。

「もちろん!!こちらこそよろしくね!!ジム!!」

そして、自分のコップを合わせるのだった。

>>ビス、霊山、セシル、フーリ、ジム、ALL

5ヶ月前 No.251

古風 @kofu32 ★FZSDg7BMdN_yFt

【漣清流/道しるべ】

「分かってるよ、冗談だって!!」

ビスに肩を叩かれて、清流は慌てて報酬の件を冗談と否定する。イザベラにガミガミ言われるのも苦手だが、ビスの様に無言で圧力をかけられるのも苦手である。清流は乾杯したコップのお酒を一気にあおる。中身は東洋のお酒で、ニホン酒という種類の物だ。ニホンという国で製造されている清流のお気に入りである。

「あ〜、うめぇ!!やっぱり勝利の後の酒は格別だな!!」

清流はコップを御猪口に持ち替え、徳利のニホン酒を手酌で注ぎ、ちびちびと口にする。もの凄い勢いでビンを開けていく霊山とは対象的である。一口一口じっくり味わう清流。口の中で存分に楽しみ喉の奥に流し込む。性格とは真逆で酒を味わう時の清流はゆっくりペースになる。味合わないと、杜氏と呼ばれる作り手に申し訳ないとは、本人の弁だ。だが、それは半分は建前である。実は酒は好きだが、そこまで強くはなかった。その為ハイペースで飲むと、すぐにダウンしてしまう。それにお金の問題も大きかった。

今日は勝利のお祝いという事で、少し奮発して高い酒を買って来たのだ。
ルトやビスの料理を肴に、実に美味しそうに杯を明ける。すでに顔は真っ赤である。

『あー、温泉で思い出しましたが、極東は色々と独自の文化があるらしいですね。 謝罪の意を示す為に熱した鉄板の上で行うド・ゲーザという謝罪行為、浴槽に半身を沈めるというどう見ても苦行な半身浴とかその他諸々……レリカちゃんとしては三大名物のフジヤーマ、テンポーラ、メイド服街というのは見て見たい所ですねー。 後は長年続くニンジャという戦士とかも』

すると、聞こえてきたレリカ流の極東の紹介が耳に入り、思わずむせてしまう。肺の方に流れて行った酒が胸を焼くように熱い。

「いやいや!!俺の国はどんな修羅の国だよ!?」

自分の国がヒャッハー系の人がぞろぞろ居そうな国に、なっている。清流はツッコミを入れた。

『それと、多分なんだけどド・ゲーザはやらないと思うわ……謝罪どころか即死じゃない……そうだよね?』

苦笑いしながら訪ねてくるアリスに、清流は全面同意し、不安そうな顔をするフーリにも説明する。

「アリスの言う通りだぜ!!フーリも信じるんじゃねーぞ!!土下座はあるけど鉄板は敷かねーよ。半身浴は逆だっつーの!!下半身を沈めて、長時間温泉に入るの!!霊山は修行でやってそうな気がするが、そんな文化はねぇ!!三大名物は、富士山と天ぷらは知ってるな。メイド街も、霊山の格好を見る限りあるかもしれねーな。ただ忍者は多分いる!!」

清流の酒は陽気な酒である。ツッコミを入れたあと、ケタケタと笑いながら説明をしていく。

『きょくとー、にはオンセンがいっぱいあるの?いつか行ってみたいの…。でも、ちゃんとおぎょうぎ良くしとかなきゃいけなさそうなの』

「おう、俺の故郷に来ることがあったら連れて行ってやるぜ!!ただ、イント温泉の方が先かもな?出来たら皆で行こうぜ!!風呂にも作法があってな、まずは体を綺麗にしてから入浴するんだぞ!!それと、タオルは湯船の中には入れちゃいけないんだ!!」

そして、フーリに入浴の作法を説明し、温泉に行く提案をするのだった。

『えーと……ただいま戻りました……さっきムッシュ・チョウが退院祝いと、温泉の鉱脈を当ててくれたお礼としてこれを渡してくれたよ……よっと』

すると、ジムが無事に復帰し道しるべに戻って来た。清流もブローチをジムから受け取る。

「思ったよりも回復早かったな、ジム!!まぁ、お互いにこれぐらいでは、くたばんねぇか!!」

ジムに負けじと清流も重症だった。ハイラムに運ばれている最中も、何度も意識が飛び、その度にフーリのお世話になっている。重症だった清流とジムも、命を失わず復帰出来た事に清流は素直に喜ぶ。清流はブローチを繁々と眺める。美しく輝くルビーは、角度や光の加減によって様々な紅を演出する。

「坑道内では、二度と見たくはないと思ったが、こうしてみると、やっぱり綺麗なもんだな!!ありがとよ、ジム!!俺には似合わないが、お守りがわりに大切に持っておくぜ!!」

そしてジムに礼を言うと、乾杯とばかりに盃を上げるのだった。

隣を見るとアリスがブローチを加工して、懐中時計に貼り付けている。中々器用な事をすると感心する。

『私的には報酬、結構満足のいく量だったけどな〜。だって、予備の服買い直してお菓子の材料を買ってもお釣りがきたもの!』

そんなアリスに清流は報酬について言われる。さっきの報酬の話を聞いていたのだろう。
清流はその質問にカクッと肩を落とす。

「額だけで行くと、そこそこだけど、宝石だから期待してたんだよな……。まさに一攫千金ってかんじでさ……。この額だと退院したジムにつけの分をほとんど持っていかれちまう……」

そこは、自業自得である。まぁ、稼いだ資金を外貨として故郷に仕送りもしているので同情すべき点が無いとは言えないが……。

「ええい、細かいこと考えるのはやめだ!!楽しもうぜ!!」

だが、思考をすぐに切り替え、笑顔になるのだった。



>>ジム、レリカ、アリス、フーリ、ジム、ALL

5ヶ月前 No.252

友禅 @yuuzenn☆fXqsD0VZIxk ★Ywte4t2Nfq_jCr

【 名古屋扇霊山 / 道しるべ 】

 極東について何やらヤベェ誤認知識を植え付けられてらっしゃるレリカの話や、それに対する清流やアリスの反応などを聞いて「うん、似たような修行やったでー」と事もなさげにケラケラ笑ってみる。正確には人間が耐えられるはずのラインをちょっと超えちゃっている暑さのサウナみたいな空間で家族仲良く(?)我慢比べとか、家族の中で誰が一番長く逆立ちした状態で息を止めていられるかを湖の底で競い合ったりだとか、修行というよりイかれた脳筋ファミリーどものファンキーでキンキーなお遊びだ。霊山一人だけやらされていたら虐待だが、家族ぐるみでそれをやっていたとあればもはやただの頭のおかしい集団でしかない。そんな色々と半端無い両親の元で育ったおかげで、今となってはこんなに頑丈で大雑把な旅向き戦向きの生き物に育つことができた。そう考えればあの子育て方法も間違ってはいなかったのかもしれない――そんなことを思っている霊山だが、それが両親や己の人並外れた強靭な肉体あってこその話だとまでは思い至らない。

「極東ゆうても、色んな国がひしめき合っとるからなあ。富士山とか天ぷらが三大名物なんは……ええっと、あの国の“本”の字の発音って“ほん”か“っぽん”のどっちやったか……」

 至極どうでも良いことで悩みながらから揚げ弁当をペロリと平らげ、衣と油の付いた指先を舌で舐め取る。お次に取り掛かるのは幕の内弁当。いっぱい買ったので店のおじさんがアジフライを一枚おまけしてくれた。それを尻尾ごと一口で胃袋に収める。それだけでは飽き足らず、幕の内弁当の隣に極厚ハンバーグ弁当も置いて右手と左手に割り箸を一本ずつの二刀流ならぬ二箸流。名古屋扇霊山は両利きだ。二組の箸でよどみなく弁当に手を伸ばし同時に食事を進め、周囲に米粒一つ、衣の欠片一つも落とさず綺麗に、かつハイスピードで主菜副菜主食を口に放り込んでゆく。フードファイターの食事は汚いことが多いが、霊山のそれは速さにこそ驚くものの皿やテーブルの上におかずを散らしたり口の周りを食べ物で汚したりもしない。
 それからしばらく温泉トークに花を咲かせていれば、途中で入院していたジムが帰ってきて何やら加護が付いているらしいルビーをくれたので、それを受け取りながら「おおきにー」の一言と共に相手に和風ローストビーフ御膳を渡す。お礼のつもりだ。大根おろしとポン酢を使ったあっさりめのソースがローストビーフや艶々といかにも美味しそうな白米によく合う珠玉の逸品。店の親父のお勧めだ。足りなければ他にも買ってきたお弁当はたくさんあるが、ジムは霊山ほどの大喰らいではないのだ。あまり渡し過ぎれば今度は嫌がらせに転じてしまう。とりあえずルビーのブローチは胸元の黒いリボンタイの結び目の上に付けておいた。黒いシャツと黒いリボンの上に真っ赤なルビーは良いアクセントになる。

「工事関係の力仕事やったら任せとき! ウチ、そこら辺の男五十人分くらいはチャキチャキ働くで!」

 ルトの言葉を聞いて、肘を直角に曲げ二の腕の部分をもう片方の手のひらでバンッと叩くジェスチャーをしながら朗らかに笑う。実際、道しるべに依頼がない時は力仕事のアルバイトで稼いでいる霊山だ。体力腕力脚力のことを考えれば、本人の宣言通りそのくらいの働きは見せることだろう。やろうと思えば鉄骨を担ぎ上げている親父をさらに担ぎ上げて運ぶことも可能だ。それをやって何の意味があるんだという話だが。

>レリカ・プラムティム様&源清流様&ルト・ラルベル様&ALL様

5ヶ月前 No.253

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジム・グレイソン/道しるべ】

 実際、このギルド加入してジムもヴァニラも思っていたのは、「帰る場所」のありがたみだった。もちろん、道しるべの面々の中には清流やルトのように一人前を目指して親元を離れた者も、霊山のように独自の人生を歩むために旅をしている者も、フーリやアリスのように天涯孤独の身の上を持つ者もいる。若いうちは家庭を持つ幸せよりも、家という空間から離れて、自分の目で精一杯見られる世界という未知へ挑戦したいという気持ちの方が強いという言葉がある。
 だが、そんな人間でも、この世界に暮らしている以上、自分の帰る場所というものを心の中に求めている。いや、寂しいということではない。人と繋がるということは、互いの心は互いのセントエルモの火となり、荒波の如くこの世界において平穏と安らぎを得る存在となる。それが『帰る場所』ではなかろうか。
 ジムもそれはアイリッシュのベケットの如く、故郷フーンマルクにアイデンティティを過剰に持っていたこともある。しかし、道しるべの仲間といるうちにルトの店はジムにとっても帰る場所であり、そしてメンバーとしてのアイデンティティこそ、フーンマルク人であることと同じように、大切な誇りなのだ。

 −ただいま、という言葉がこんなに尊いとはね−

 もちろん、自身の退院を労うという意味もあって、周りはお帰り、と言ってくれる。それがなにより嬉しかった。だから、ジムも自然と笑みが浮かんでくるのだ。

 「戻ったぜ、清流。そりゃくたばれないぞ。俺がいなきゃみんなの酒代を計算する人間がいなくなるんだからな。あ、今日のは会計から省いてるからうるさく言わないぞ。酒に失礼だからな!
 フーリもアリスもただいま。さすがに俺も腕が治ればすぐに仕事さ。おお……ありがとう、フーリ。悪いね」

 吊ってる腕のことを考えてくれたのか、フーリはポテトサラダをよそってくれた。作ったのは、ムッシュ・バルト。彼はあの村での料理に舌鼓を打ちながらいつか再現したいと言っていたが、まさか本当にやってくれたとは。清流を気遣ってか、きゅうりが入っていないと思われるが、それでも一口食べればかつては人に尽くしていた真心を感じる味だ。さすがなもんだ。
 こちらもポテトサラダをはじめ、様々な料理に手を出す……はずがどうやらこちらの怪我人スタイルがよほど気になるのか、みんなさりげなくこちらの皿にも料理を置いていく。なんだかイザベラあたりの視線が「アンタ、はしゃぎすぎるんじゃないよ」と言わんばかりだ。しかし、ジムは腕の拘束を外すと、スプーンとフォークを重ねてトングのように扱い、自分で料理を取る。
 さて、こちらが持ち帰ったルビーはかなり評判が良かった。ルビードラゴンが表皮に精製していたルビーは、ドラグーン系の鱗にしてはある意味希少なものである。普通、鱗の価値はドラグーンよりロン(龍)の方が高い。ただ、自然現象における真理を司り、人と違い神と同等の扱いを受けるロンからの略奪は自殺行為もいいところで、普段は万にひとつ、億にひとつの確率でその鱗が剥がれてくるのを拾うのが当たり前。逆にトカゲになり損ねた恐竜などが進化したドラグーンやワイバーンは爬虫類の領域を出ない為、キバやツノの方が価値をつけられやすい。
 ただ、今回の鱗は魔力で精製した純度の高いルビー。ドラグーンのものとはいえ、ルビーそのものの価値がべらぼうに高いのだ。とはいえあちらの村長としては、戦いにおける危険手当のつもりでこちらに託したのであろう。意図は伝わらなくても、こうして喜んでいるみんなを見ていれば村長も満足してくれるはずだ。

 「セシル、似合ってるな。アリスは……凄いな。やっぱり魔法使いにはこのルビーをより自由に扱えるってもんだ」

 お洒落なセシルはそのまま、アリスはその魔力を駆使して自分の服に合うようカスタマイズをしている。清流は着飾らないのか、タリズマンとして使うようだ。

 「質入れにはするなよ? 乾杯、清流」

 ウイスキーを注いだグラスを傾けて形式の乾杯をする。霊山は元々外装がシックなこともあり、ルビーで飾るにもちょうどよかったようだ。おおきに、とお礼を言いながらこちらにローストビーフ御前を渡してくれた。

 「肉体派の霊山にはぴったりだな。何せ怪我の治りが早くなる。それに、使い方次第じゃ魔法攻撃にある程度耐えられるようにはなる。さて、こちらも頂きます!」

 普段、ローストビーフはグレービーで食べるのだが、この大根おろしもなかなか乙なもの。霊山にこりゃ美味い、と返しながら、今度はルビーをまじまじと見つめるフーリの頭をそっと撫でる。

 「フーリ、ルビードラゴンとの戦いは大変だったけど、みんなで頑張ったんだ。フーリだった頑張ってた。これは、大地の精霊からのお礼なんだよ。もうこのルビーが誰かを傷つけるわけじゃないから、優しいみんなに持ってて欲しいんだ。それが精霊が君にも願ったこと。みんなで頑張った証だよ」

 優しくて純粋無垢なフーリだからこそ、家族同然の道しるべの役に立ちたいという気持ちは強い。でもみんな知っている。彼女の強さと優しさを。

 最後にルトがキッチンから戻ってきた。彼女もまた、ルビーをまじまじと真剣に見つめている。

 そう、セシルの言う通り、このルビーが、いや、みんなで何かをやり遂げて、そして無事に帰ってきたという『道しるべ』の証……心のセントエルモが灯ったことが、改めて感じられた瞬間だった。フーリもお揃いなのを喜んでルビーを手にしている。

 そしてルトがこちらにやってきた。
 可憐な店主にして我らが団長のグラスは、こちらのグラスに重ねられた。

 ウイスキーの水面にうつる彼女の笑顔のおかげか、琥珀色がより鮮やかに見えたのは、錯覚などではあるまい。

>>ALL様

5ヶ月前 No.254

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【アリス・ウェスタ/道しるべ】

極東に対する偏見……と言うか、誤解に片っ端かツッコミを入れていく清流。しかし、その要所要所で同じく極東方面出身の霊山ちゃんが例外だとか引き合いで出てくると若干の不信感が……。その上、霊山ちゃんも認めてしまったので極東に結局魔境的な印象が……ともかく、文化の違いがあることは分かった。むしろ、それ以外分かんなかったけど!

「霊山ちゃんの話聞いてると一抹の不安を感じるけども、極東は私も行ってみたいな!えーと、ショウギとかハナフダも魅力的だし、ユカタも綺麗だよね!そして、ニンジャと握手!……ごめんなさいね、発音は私も分からないわ。私的にはニホンって言う方が好きかな。」

極東に関しては、服のカタログで見たりしていたので興味のある分野に偏っているとは言え、多少の知識はあった。因みに彼女は浴衣以外は写真でも殆ど見たことがない。過去に見たのかもしれないけど、覚えてないもんだから……まぁ、記憶が戻ってくるきっかけもあるかもしれないし、行ってみたい事に変わりないわね!あっちでは、カジノの事をとばくばって言うらしいし、ちょっと不思議な発音で難しいなー。因みに、ニンジャとサムライは極東名物だと聞いた覚えがある。因みに研鑽の国とも黄金の国とも言われているらしい。ただ、あそこはジパングだったりジャパンだったりニホンだったりニッポンだったり……でも、ニッポンを聞き間違えたのがジパングとかジャパンっていう話は聞いたことあるわ。それでも、ニッポンよりかはニホンの方がイメージがらしいというか……。
その後は、フーリちゃんに温泉マナーを教えていたが、結果として全員でイント村へ温泉旅行に行くことになったらしい。個人的には、タオルをお風呂の中に持っていく感覚が分からないのだけれど……温泉……中々不思議。

ちら、と周りを見てると真っ先に目に入るのは、霊山ちゃんが両利きをフルに活かして掃除機のようにその口へ食べ物を運んでいく。……前々から思ってたけど、あれって何処に入ってるのかしら?スイーツに関してを言えば、レリカちゃんもそうだけど、凄いよね。こう、軽く圧倒されるくらいには。 あの坑道であんな食べられ方をするとは……軽くホラーだったわ。

「そうね、魔力が軸になってる物なら、ある程度!んー……多分、私の魔力の質っていうのかな?それが、粗方の魔力と中和しやすいんだって。その分、流れ出やすい……とかなんとか、小難しくてあんまり覚えてないんだけどね!」

ルビーの細工をしていると、ジムに褒められたりして少しばかり照れながら笑えば、ちょっと悩んでふわっと魔力の解説をしてみた。まぁ、彼女の記憶というのは覚えている部分とそうでない部分の境目が曖昧なので、この記憶すら定かではない。しかしながら、この説明はなんだかとってもしっくりきたのだ。魔力自体も膨大な私がそんな性質を持っているとしたら、作ったお菓子があぁなるのも理解が出来る。私の作った補助魔法にしたって、対象に自分の魔力にある程度の指向性を付けて中和する。そして、その魔力を元に紋様を描いて性質を発揮、といった手順を踏んでる。だからこそ、他人の魔法にすら干渉出来るのだ。
尤も、彼女のやり方であって他のやり方ならその辺のややこしいあれを取っ払えるものもあるのだろう。魔法使いというのは、全員同じ事を結果として出してもやり方は全く違うなんていうのは、その実よくある話だと私は思ってる。

「ふふっ、清流らしいね!私も楽しい方が大好きよ!」

肩を落として落ち込む清流を見ては、不味いことしたかな、と若干の焦りを感じたが、切り替えの早い清流はすぐに明るい笑顔になった。つられて同じく明るく笑いながら彼女も今日も今日とて今を楽しむ。
過去を振り返っても仕方ない。未来を見つめても分からない。なら、今を精一杯楽しむ事がなにより一番大事!それが私のポリシーなんだから!

>all様

5ヶ月前 No.255

彼岸花 @tragedy☆ceTjr.OtlhiK ★iPad=txBUCiCVZB

【レリカ・プラムティム/道しるべ】

「おージェームズ先生お帰りなさーい。 ご飯にする? お酒にする? それともお・か・し? あ、看護婦さんに怒られて持ち帰った新商品“人類悪菓子セット”の一部はまだ残っているので欲しければどぞー。 まだ原罪のTとV、それぞれ“憐憫キャンディ”と“快楽マカロン”は手付かずなので」

扉を開け、少し気恥ずかしそうに入って来たジェームズ先生にいつもの如くアホな事を言ってみる。 と言っても本人は最初からお酒を飲むと決めていたようで早々にウイスキーの瓶を手に取りガラスに注いでいる。 そして彼の横にある鞄からは全員分のルビーのブローチが出て来た。 手に取って見てないので詳しい事は言わないが、結構上物なルビーを使った物に見える。 ジェームズ先生の話はいつもの如く分からなかったが、要約すると疲れにくくなるらしい。

ブローチを手に取って見てみるとだんちょーやフーリ若様、アリス嬢のような世間一般でいう『女の子らしい女の子』に似合いそうに見えるし、セシルのおにーさんやMr.ビスのような大人の男性に似合いそうな形でもある。 正直アクセサリーにはそこまで興味が無いので私では持て余すだろう。

ふと思いつきで隅に纏めていた自分の荷物の一部を紐解く。 そこから出てくるのは部品の如く整えられた鉄棒数本とバックラーサイズの盾、そして柄のない片手半剣、所謂刀身と言われる部分である。 それを腰に付けた工具を纏めてある袋から工具、そしてボルトを用いてささっと組み立てていく。 バックラーの表面部分に工具を使ってブローチを取り付けて見ると、ワンポイントとしては悪くないが正直実用性に欠けるしただ取り付けただけなのでそのうち落ちてしまう、と考えてブローチを外した。 後に残った可変式のカタールとも片手半剣にも似つかない武器はまた布を掛けてしまっておく事にした。

「ブローチは私の手には余りますねー。 後で新調する槍にでも取り付けておきます、ジェームズ先生とそんちょー村長には感謝を」

コロリと自分の手の中でブローチを転がし、ジェームズ先生とこの場にはいないそんちょー村長に感謝の意を述べる。 そして自分のガラスに手を伸ばして中身を飲み干した。

「極東にはフーリ若様ぐらいの年齢を狙うシシマイって怪物もいるぐらいに神秘に溢れているそうな。 悪い子だとオレサマ・オマエ・マルカジリで頭を食べられるけど良い子だと頭が良くなるそうな。 先ほどのド・ゲーザと合わせて良い子ちゃんでいれば良いだけのことです、うんうん」

フーリ若様の興味半分、恐怖半分の顔にうんうんと頷きながら述べる。 なんか目出度い時にしか出ないという情報もあったようなないような? まぁ私は極東出身じゃないから全く分からないけど。 そんな事を話していたらアリス嬢から否定の言葉は飛んで来た。 確かに状況だけ考えれば処刑にしか聞こえないが、謝罪の方法と言っているので生還は出来るのだろう。 この本にも少し書いてあるし。

「一応生還は出来るみたいですけど、どうしてもやらない輩に謝罪を促す為の器具が存在するっぽいです。 協会にある十字架みたいな。 それで無駄に暴れて大火傷はあれど、死亡者はいないとかなんとか。 時間制限とかあるんじゃないんすか?」

本のページをペラペラと捲りながらアリス嬢の言葉に反論する。 ベルトの付いた十字架となんかガラスの床みたいなのが付いているがよく分からない。 機会があれば見て見たいとも思うが人肉の焼ける臭いは嗅ぎたくないのでやはりノーサンキューかな、と考えていたら清流のおにーさんが咳き込んでいた。 変な所にでも入ったか、と思っていたら自分に対して強い否定の言葉で帰って来た。

「ほら、こんな謝罪方法があるんだからそりゃ棘の付いた肩パッドを付けて火炎放射器持ち歩いているモヒカンとか、ピラミッドに似た自分の墓を建てる聖帝とかが闊歩しているんじゃないんですかね? で、それに対して仮面で顔を隠しバイクを駆る正義の味方がいたりとかでカオス此処に極まる、みたいな」

最早愛で空が落ちて来そうな勢いである。 アトミックなフレイムで全てが焼き尽くされたりとかもされていそうな気もする。 取り敢えず私が知っているのは胸に7つの傷を持った男から攻撃を受けると悲鳴を上げながら爆発四散するという話ぐらいだ。

「おーう……色々過激な部分は無さそうな感じなんですね……あ、でもニンジャはいるんですか。 なんか普段は忍びつつも両手に水の入ったバケツを持って修行したり、ダイミョーって言う敵の団長的な何かを爆弾で暗殺する事に長けた戦士と聞いてまする。 また礼儀正しく敵と言えども挨拶は欠かさず、トドメを刺す相手に辞世の句を読む時間を与え、自分が散る時も現世へ全ての感謝を込めて『サヨナラー!』と叫んで爆発四散したりと凄まじい戦士であるとも」

この話だと殺し方が忍んでない気がするし、爆弾を使うのに腕を鍛える修行をするのがよく分からない。 しかもこの話には続きがある。

「最近だとニンジャなれども忍ばないがトレンディとかで赤、青、黄、桃、白の5色の全身タイツっぽいスーツみたいな装束に身を包み5人組が10mは軽く超える巨大なロボットで戦うとも聞いてます。 やはり時代と共にニンジャも変わるんですかね〜?」

というかそんな巨大なロボットを使わなければならない時点で、極東のその敵がこっちに来たら国の2つや3つは滅びそうな気もする。 私の母国は確実に滅ぶだろう。 そんな敵もいるとは、極東は悉くがハードモードな地域である、人生の難易度的な意味で。 似たような修行をしたという霊山の姉御の言葉もあるのできっと真実なのだろう。 極東地域に生まれなくて良かったとかなり久々に親へ感謝の気持ちを持った。

「うーん、レリカちゃんには極東は難易度高いっすわー……甘い物とか無さそうですもん」

フルーツポンチのお代わりを器にボトボトと入れながら呟く。 アリス嬢の言う娯楽的な響きのアイテムも結局は知育玩具みたいな響きが聞こえるので、人生常修行の気風とか全く合わない私には煉獄よりも恐ろしい物になりそうだ。

>>ジム、フーリ、アリス、清流、霊山、ALL

5ヶ月前 No.256

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジム・グレイソン/道しるべ】


 どうやらルビーを加工したブローチを持ち帰ったのは正解のようで、仲間意識が強いメンバーとしては、この道しるべに新しいシンボルが出来たと思っているようだ……というのはちょっとオーバーかもしれない。元々保守的なギルドでもないし、ジムの事情で言えばお尋ね者すら受け入れてくれるというのは美徳としか言いようがない。
 お揃いのブローチなど、それは見た目だけの問題だ。道しるべの結束というのは、一緒に歩く仲間が多いということ。それだけで十分なんだ。
 霊山からのローストビーフ御前と、フーリがよそってくれたポテトサラダを肴に、デュワーズのジンジャーハイボールで一杯やっていれば、ガールズトークに花を咲かせていたレリカもこちらに気が付いたようだ。

 『おージェームズ先生お帰りなさーい。 ご飯にする? お酒にする? それともお・か・し? あ、看護婦さんに怒られて持ち帰った新商品“人類悪菓子セット”の一部はまだ残っているので欲しければどぞー。 まだ原罪のTとV、それぞれ“憐憫キャンディ”と“快楽マカロン”は手付かずなので』

 「ご飯もお酒も頂いてるんでね、じゃあ、お菓子を……と言いたいがあれまだ残ってたのかよ。味はいいけど凄く大変な目に遭うんだがな、あれ」

 ご飯お風呂あたしのデレデレトリオよりもこんな言い方をしてくれるのは実にレリカらしい。実はふざけてるようで間違ってないのだ。この場にはお酒と食事とスイーツ……ルトやイザベラ、そしてビスが心を尽くして用意してくれたものばかり。かしこまったことしてないで早くありつきなよ、という意味なのだろう。丁度こちらも堪能していたところだが、人類悪菓子セットだけはどうしても受け入れがたいものがある。
 彼女の言う通り、お見舞いに来てくれた時にあの凄いお菓子を渡されたのだが、原罪シリーズはさておき、憐憫キャンディは何気にちょっとした洒落っ気があった。もちろん、漢字の文化など全く縁のないフーンマルク人なので、後に見舞いに来た霊山に『憐憫』の意味を聞いてわかったことなのだが、ある意味での『現状に哀れんでいます』というメッセージ……と解釈していた。ちなみに『快楽』の方は清流に聞いてみたが、何を想像したのか『ジムの場合はどんなことで……』を繰り返していた。意味はわかっていたのだが。

 なお、この二つの効果が凄かったのは、憐憫キャンディーは本当に自分のしてきたことすら省みたくなるくらいにナーバスになるのだ。それを見ていたナースに傷ついた戦士の表情でマカロンをすすめてしまったのが運のつき。快楽マカロンを食べたナースは仕事に自信を持っていたせいか、『最高にもほどがありすぎる看護』を執行、ジムがそれに喜ぶ姿を見て自分の快楽を満たそうとしたのだが……ジムとそのナースの名誉にかけて具体的なことは伏せておきましょう、うん。
 レリカもあまりお洒落をしないタイプなのか、ブローチを武器や防具につけていた。結局はどうするかは今後よう検討らしい。

 『ブローチは私の手には余りますねー。 後で新調する槍にでも取り付けておきます、ジェームズ先生とそんちょー村長には感謝を』

 「好きに使ってくれ。俺もみんなとの再会に感謝を」

 グラスを少し振る。レリカはこの後ガールズトークに戻った。代わりにアリスが褒められたことに対して返してくれた。

 『そうね、魔力が軸になってる物なら、ある程度!んー……多分、私の魔力の質っていうのかな?それが、粗方の魔力と中和しやすいんだって。その分、流れ出やすい……とかなんとか、小難しくてあんまり覚えてないんだけどね!』

 「中和というより、調和だろうね。君がブローチを加工してる時に見えたが、君のマナはルビーと同じ色をしていた。普段はその服装同様に水色のマナが見えるんだけどね」

 以前の不思議の国すぎるスイーツパーティーの事件もそうだが、アリスが魔法で珍事を起こす時は何かしらのテーマがつく。それはつまり、彼女の魔力は対象との調和を生み、自分の理想的な形にフィットさせることが出来るというもの。それはつまり、彼女は万能の力を秘めており、その全容を引き出す記憶があるのなら、間違いなくソーサラー・スプリームの素質があるだろう。調和の力を使えば万象、万物を操ることなど容易い。

 「俺も魔術師であることは変わりないから、実はアリスの力は結構興味あるよ。精霊のヴァニラも興味津々だったからね」

 形を変えたルビーを見ながら思う。やはり見事なものだ。

>>レリカ様、アリス様、ALL様

5ヶ月前 No.257
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