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――→ ハイティーン・スパークリング! ←――

 ( オリジナルなりきり )
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スレ主 @xxx39☆ac5xGKREVv. ★Android=4FveTfpVde



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 ―――→ チャンスはたった一度きり、後悔してもだめなんだから! ←―――









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(はじめまして!あけましておめでとうございます!
 こちらのスレッドは過去スレのリメイクになります。
 興味を持っていただけた方はぜひサブ記事へ!)

メモ2017/03/16 20:37 : にな☆ac5xGKREVv. @xxx39★lOuFx1AtBp_mgE

 ――→ 42いいねと3500アクセスありがとうございます!(⌒▽⌒)


 ――→ レイニーデイ(3/16〜3/31)

 概要→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-260,266#RES


 桜咲祭準備期間→>>1-59(1/14〜1/28)

 桜咲祭本番→>>60-134(1/29〜2/28)

 桜咲祭後夜祭→>>136-154(3/1〜3/14)

 レイニーデイ→>>155〜(3/16〜3/31)


 ――→ キャラクター!


 合田 姿風→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-213#RES

 浅倉 温→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-26#RES

 天津 祝→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-85#RES

 伊咲 深心音→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-58#RES

 石動 夏樹→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-78#RES

 稲葉 匡貴→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-95#RES

 今泉 巴→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-133#RES

 上野 貴衣子→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-224#RES

 卯月 月菜→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-86#RES

 花厳 由雨→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-171#RES

 狼谷 憐→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-98#RES

 桔梗 雫→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-219#RES

 君嶋 阿智→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-14#RES

 工藤 蓮華→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-71#RES

 日下部 律太→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-36#RES

 黒崎 歌→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-113#RES

 古郡 羽菜→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-41#RES

 東風 春兎→http://mb2.jp/_subnro/15496.html-16#RES

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あさしま @apology ★sjUAJ4OkeA_dB9

【上野貴衣子 / 中庭】

 貴衣子が何気なく放ったつもりの言葉は相手にはなかなか刺さってしまったようで、苦くゆがんだその表情に申し訳ないな、と思った。きれいに着こなした鼠色の浴衣から察するに一年生か二年生、下級生であることは間違いない。兄達が高校生のとき、貴衣子はまだ小学生で、そのころの記憶は輪郭がぼやけて曖昧になっているが、小学生の妹がいたからこそ兄達は子供をそつなくまとめられる性質になった、ということなのだろう。逆に貴衣子が誤って図星をついたこの猫耳くんは、そういった小さい子供に触れる機会がなかった、というだけの話で。

「まー、なんか……、気にすることでもないと思うけどな」

 なんか苦手そうなイメージあるけどね、君。
 脳に浮かんだ言葉を脊髄で口に出そうとするのは貴衣子の悪い癖だ。何とか思いとどまって話を逸らす。クッキーを食べ終えてひとまず落ち着いた様子の男の子にも、なあ、と同意を求めてみる。分からないという風に一度首を傾げたが、しかし頷いてくれた。どう育てりゃこんなに出来た子供になるんだよ、すごいなパパママ。
 貴衣子が子供に感心していると、猫耳くんは立ち上がっていた。助かりました、ありがとうございました、失礼します?

「おいおいおい猫耳くぅん。それはちょっとねえんじゃねーの?」

 遠ざかりかけた背中に語りかけ、ベンチから腰を浮かしてその肩に手を置いた。まだ出会ってから数分程度の仲だが、猫耳くんが子供が苦手なことは十分痛感した。苦手というよりコミュニケーションの取り方が分からないのかもしれない。貴衣子が話しかける前の、泣く子に何も話しかけられず目の前でおろおろと戸惑うだけだった様子からもそれが読み取れる。
 しかし、だからといって偶然行き会っただけの貴衣子にそのまま子供を預けて去るのは当然頂けない。貴衣子に任せておきたいという消極的な思考が貴衣子の癇に障った。

「お前が拾ったんだろ? 最後まで面倒見な。あたしも手伝うから」

>直くん、周辺ALLさま
【嬉しいお言葉ありがとうございます…!!;;; 直くんめちゃんこ生意気かわいいのでもう大変です(?) こちらも売り言葉に買い言葉?で引き続き失礼な描写が続くかと思いますがご不快でしたらいつでもお申し付けくださいませ〜〜〜!私は直くんの素直じゃないところがたくさん見たいです(???)】

1ヶ月前 No.114

にな @xxx39☆ac5xGKREVv. ★lOuFx1AtBp_mgE

【二千翔蛍/三階廊下】


 春のざわめきにかき消されそうなか細い声が、それでもどうにか蛍の耳に届いた。
 くるりと振り向いても、誰一人として目は合わない。廊下は在校生や一般客でごった返しているが、どうにも蛍に反応した様子はない。幻聴? 空耳? まさか……幽霊?! なんて一人でキョロキョロしてみるが、それらしいものは見当たらない。幽霊が見たいならワンフロア下にしかいないのだから。小首を傾げて、なんとはなしに俯くと、そこには少女――もとい女子小学生がいた。
 桜咲祭の名にぴったりの、桜が散りばめられた桃色の浴衣。浴衣と揃いの下駄は、きっと彼女が歩くとカランコロンと音を立てるのだろう。蛍よりもずっと下にある頭には、女児向けアニメのヒロインのお面。そういえば妹が見ていた……気がする。なんとも可愛らしい彼女は、双眸を真ん丸にさせてぱちくり瞬きしている。どうやらびっくりさせてしまったみたいだ。身長差を鑑みれば当然なのだが、すっかり蛍の視界には入っていなかった。ちびっ子を、それも女の子を威かしてしまった罪悪感が胸に募る。タッパのある大の男が、似合わないセーラー服で声を張り上げているのだから怖がるのも頷ける。文化祭という大義名分がなければ、とっくに通報されていてもおかしくない。なにせこちとら、歩いているだけで悲鳴を上げられるのだ。上背があるのも困り者だ。悪人面は尚更。
 蛍は向日葵のように、人懐い笑顔を見せる。なるだけ警戒心を解いてほしくて、桜咲祭を満喫してほしくて。目線を合わせようと、するりとしゃがみ込んだ。プリーツスカートの下のハーフパンツが丸見えだが、男の体操服が見えたところでどうということはない。

 「あれ、驚かせた? ごめんな! お兄ちゃん悪い人じゃないから許して〜! チビちゃんは迷子? いくつ? 俺は十八!」

 彼女の真ん丸の瞳を覗き込んでみると、自然と上目遣いになる。目を合わせると、顔の前で手を合わせてこてりと首を傾げてみた。蛍にはとてもじゃないけれど似合わない仕草が、かえってシュールだ。背格好が弟妹にそっくりだからだろうか。年上ぶった一人称は無意識だった。ついでに、失礼極まりない二人称も。

 「タマネギ食べれんの? スゲーね! 俺ニンジン食べれねーわ! ね、ね、食べたい? カレーライス! 美味いよ。俺の手作りだから」

 蛍ではなく蛍のクラスメイトの手作りだが、気にせずえへんと胸を張る。実はタマネギを切るのをお手伝いしただけなんて、教えてあげられそうにない。今なら飴ちゃんもついてくる! なんて冗談めかして、セーラー服のポケットから飴玉を差し出してみせる。ちょっぴり溶けたレモンキャンディは、昨日のヨーヨーすくいのおまけだ。手ぇ出して、と白い歯を見せて笑った。


 >>祝ちゃん、ALL様
 (絡んでくださりありがとうございます!せっかく絡んでもらったのに返事が遅れてすみません!遅れるどころの話じゃなくて本当に申し訳ないです…;;)

1ヶ月前 No.115

メロ @soofar☆vDjvdwlItTM ★iPhone=EiqahOBmV1

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1ヶ月前 No.116

ししくれ @kmnkha☆/pH2qpQf7L2 ★ieluDUuGrE_H50

【霜月 左京/中庭→校舎】


「うっそー、そんなことないやろ。俺ほんっと無理やもん」

 意外だという千里の言葉に、ないない、と顔の前で大げさに手を振る。言って回っているわけではないが、ホラー系統が苦手なのは結構みんな知っている。そういえば千里は時々授業を抜け出しているから、そういう類の話の時に俺が耳を塞いでいるのを知らないのかもしれない。

「んんっと、辛いのは無理! でも、それ以外はなんでもいいよ」

 クラスメイトだというのに知らないことばかりだな、と何となく寂しい気持ちになった。
 一歩校舎に踏み入れると、そこはもう、すごい賑わいようだった。中庭の喧騒にも負けない騒がしさが校舎という限られた空間で行われているものだから、いつもは不自由のないサイズのこの場所が途端に狭く感じられ、少しの窮屈感さえ感じる。

「喫茶店とか、行く?」

 ふと、思いついた催しを口にしてみる。コスプレとか男女逆転とか、なんだか凄く面白そうだったので、記憶に強く残っているのだ。


 >>地雷 千里様

1ヶ月前 No.117

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【月冠実果 / お化け屋敷出口】

>>ーーッ!! あ、そよ、その、つっ……!! あの、ぼっ僕そのくらい出来きゃら、近いのだめ、だよ

>>そのっ、月冠さんが嫌いとかじゃなくて! お友達として好きなんらけろ、その、ちかいと、ここがぎゅうってなるから、だ、だめなの


だめ。
髪を直そうとしたら、はっきりとそう言われた。もちろん最強鈍感女なので傷つくことはないし「あ、嫌なことだったんだ」程度にしか思わないのだが、何が嫌なことなのかはいまいち理解できないでいた。自分でできることをやってもらったのが子ども扱いみたいだったかな? 近いのだめ、ってどういうことだろ。みかんのことを嫌わないでくれるのは嬉しいけど、"友達として"好きってなんだろ。好きには色んな種類があるのだろうか。ここ――彼が両手で覆った胸のあたりを見る。ぎゅう、ってなんだろう? 恋愛ゲームやってるときも、画面の中の乙女やイケメンにこんな感じで言われた気がする。でもあんなのコンピューターで、現実にはないんじゃ…?
情けない足どりで数歩退いた彼をぼんやりを見つめる。もう一度言うが傷ついてはいない。ただわからないだけだ。だからこそ思考に全意識が向いてしまい、純の髪を直そうとして右手は不自然にあがったままで、背が足りないからとつま先立ちになった足はそのままで、かたまっていた。

>>でも、撫でられるの、……暖かかかったから、またやってほしいな……なんて

「……うん」

彼は何故か顔を赤く赤くしたまま、微笑んだ。顔を赤くするのは恥ずかしいときだ。なんで恥ずかしがってるんだろう。やっぱり何にもできない子ども扱いされたのは恥だったのだろうか。そんなことを考えながらつま先だけで全身のバランスをとっていた足のかかとも地面につけ、あげたままだった右手をゆっくりおろし、曖昧に頷いた。そして、俯く。他人から見ると、微笑をたたえられて恥ずかしくなったか、やはり「だめ」と言われたことが嫌で泣くのを我慢しているように見えるかもしれないが、決してそういうわけではない。ただ単に、彼の赤い顔を見ていては頭が働かないので、真っ白で冷たい空気の漂う床に視線を動かしただけだった。

「……獅子尾くんは、どうして真っ赤なの…?」

本人は口にしたつもりはないが、完全に漏れてしまっている。しかもいつもなら独り言で済むのに相手への疑問のようにしかなっていない。しかも俯いているから嫌われたと勘違いしたりなんだりの誤解を受けそうである。

>>獅子尾くん、周辺all

1ヶ月前 No.118

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★qxXpJAS7CZ_yoD

【 花三坂直 / 中庭 】

 初めてであってもなくても、きっと泣いている子どもを前にしての対応は今とそう変わらないだろう。つい意地を張るような言葉が出てきてしまうのは癖だ。悪癖。洗っても洗っても落ちない、昔から染みついてきたもの。人付き合いがへたくそで、愛想も悪ければ口も悪い、おまけに素直じゃないというこのフル装備。気にすることでもない、という言葉も、どことなく気を遣われているような気がして尚更申し訳なくなった。その子も可哀想だな、僕なんかにぶつかって――そう思っていると、彼女の言葉に呼応するかのように頷いている男の子がいる。あれ、何時の間にそんなに仲良くなったんだ……? もしかしてコミュニケーションおばけか何かなのか、この人。この短時間ですっかり落ち着いてくれたらしい男の子に安心しつつ、その隣に座る警察官ルックの彼女に畏敬の念を抱き始めていた。

 一応、申し訳ないとは、思っているんだけど。だって此処にいたってきっと役には立たないし。だがそんな言い訳が通用しそうな人ではない、とは何となく直感で感じ取っていた。掴まれた肩に、足を一歩踏み出した状態で静止する。う、と小さく声を洩らし、ゆっくりと振り返っては恨みがましそうな目で相手を見つめた。

「……猫耳くんって言うな、……花三坂です。言っておきますけど役には立ちませんよ」

 相手の言葉で猫耳カチューシャをつけたままだったということを思い出し、振り返り際にそれを乱暴に外す。じわじわと熱くなってくる顔、こういうとき顔色が出やすいのはかなりの弱点だと思う。羞恥を隠そうとして敬語が外れてしまったことにしまった、と一瞬目が泳ぎ、暫し黙った後にこちらから名乗った。花三坂直、と名前まで名乗らなかったのは単純に、この性格と正反対の名前が恥ずかしくて、皮肉に感じられるからだ。そこに悪意がないとしても、その名前を気に入ることはまだできそうになかった。呼ばれること自体はまあ、満更でもないというか、いやまあ、悪くはない、けれども。聞かれない限りこちらから言うことは殆どなかった。
 そうして観念したように体を向き直して、はあ、とあきらめたように息を吐いた。自分だけ逃げられるなんて甘い考えは捨てなければ。手伝ってくれるという言葉が救いだった。

「……ありがとう、ございます。ええと、……お母さん? お父さんかな、どこを回ったんですか?」

 優しい警察官の彼女に小さく頭を下げた後、逡巡するかのように目を泳がせて、先程していたように膝を折る。目線を男の子よりも少し下から見るように合わせながら、軽く首を傾げて問いかけた。迷子探しなら回ったルートを辿っていくのがいいだろう。放送してもらってもいいけど、校内という限られたスペースなら探して見つけた方が良いはずだ。だって、全校放送で呼び出されるなんて恥ずかしい。自分の過去を振り返りつつ、面倒を見ろという彼女の言に従うべく、事情聴取を始めるのだった。

>>上野先輩、周辺ALL様

( 貴衣子ちゃんのはっきりとしたところを少しわけていただきたいです;;頼れるお姉さまありがとうございます本当に;▽; わーんもう本当すみません、可愛いなんてありがとうございますよかった…!;///; 直くんは素直じゃない、ラノベのタイトル?な感じですがどうぞ面倒見てやってください……貴衣子ちゃんからしたら子供がふたり……すみません……^▽^ )

1ヶ月前 No.119

千里 @matunogirl ★Android=W1VemU3zJF

【地雷千里/校舎】

校舎は蒸し蒸ししていて、暑い。千里は一度ブレザーを脱いで腰に巻き付けてから、左京に向き直る。こんなことをしていたらまた風紀員に怒られそうだが、折角の文化祭の日ぐらいは見逃してくれるだろうという希望を持ちながら。左京はどうやら、本当にホラーは無理らしい。男の子でも苦手なヤツはいるんだなーとか思いながら、「そっかー授業抜け出してっとわかんねぇ事あるもんだなー」と返事を返した。

好き嫌いの有無を尋ねると辛いものは苦手だ、ということを知らされる。千里はあまりクラスの人のことを知らなさすぎて、呆れてはいないかと一瞬不安になったが、すぐにその思いを断ち切る。「喫茶店とか、行く?」
その言葉にに千里は頷きながらパンフレットを開く。キラキラと目を光らせながら、口を開く。
「いいかもな!ほら、男女逆転喫茶とか、コスプレとか面白そうじゃね?俺もやるんだとしてら男女逆転喫茶とかやりてぇかも!」

千里は嬉々としながらそんなことを話す。
千里は今でも男装をしてみたかったりする。
「なぁ、ここってお客さんも男装させて貰えるかな?」

分かりもしないことを左京に聞くあたり楽しみなのだろう。わかりやすいとはこのことを言うのだろうか。

>>霜月 左京様、周辺all様

1ヶ月前 No.120

メロ @soofar☆vDjvdwlItTM ★iPhone=EiqahOBmV1

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1ヶ月前 No.121

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★iPad=BENrHRNU7h

[太刀川飛鳥/本校舎入口→一階廊下]

 この年齢になっても高校最後の全国大会に向けた冬の練習を思い出す。悴む指に息を吹きかけ、手を擦っては冷えきった竹刀を握っていた。
 実業団に入ってからは空調がしっかりとされた俗に言うトレーニングルームという部屋を多く使うようになった。その分、外気温と差がほとんどない剣道場にこもってひたすら竹刀を振っていた思い出が強く残っている。声を上げて、腕を振って、足を動かしていた。体が冷えてしまうことは運動をする上でメリットは少ない、と思うと同時に無意識のうちに抽象的でありながら死の予感を感じていたのだと思う。寒さを、冷たさを昔からあまり好きになれないのはそのような恐怖を連想してしまうからだろう。
 負けることが許されなかった。誰かに怒られるとか、そういったことではない。だが、太刀川家の、学校の、自身の誇りを背負っていることもその重さも高校生ながらに理解していた。誰にも頼れず、重みを感じているからと言ってその背筋を曲げることはしたくなかった。出来なかった。今になって分かるが、竹刀袋を肩にかけて剣道場に向かう途中によく見た雪にはしゃぐ子ども達は今頃高校生になっているのだろうとふと思う。
 恐怖や、重圧を感じながらも何か一つしか取り組んでこなかった自分だからこそ、生徒達に学生を楽しんでほしいと思う。守りたいと、教師になってからずっと内に秘めているこの感情には絶対嘘はつかないと決めている。

 だが、それでも起こしたこの行動はおかしなものだと思い返してしまう。そもそも相手の手の甲を自分の頬に当てるなんて自身で意味が分からない。何故あんなことをしてしまったのか自分で首を傾げてしまう。自分が感じたこの熱を分け合いたかったのか、誰かと共有したかったのか、それは彼女も分かっていなかった。だが、体が勝手に動いたのだ。そうしなければならないような気がしたのだ。
 掴んでいる手は予想を超える熱を持っていた。彼女のなのか、彼のか定かではないが正に血液は流れていることが分かるその熱さにまた少し顔が熱くなった気がした。静かに笑って相手を見ていたが、肝心の彼は心ここにあらずになっていた。こちらを見てはいるものの、それはどこか浮いていて見ているというよりは考え事をしているだけで、視界に入っているだけ、というのが正しいかもしれない。その動作に不思議と少しの不安を覚えて声を掛けようとしたが、それより早く彼が静かに反対側の手をポケットから抜くと自身の頬を摘んだ。一瞬、戸惑いも覚えたがこのような動作は古典的ではあるが夢か現実か分からない時にとる動作であろう。彼女の思考の答え合わせをするように彼はそっと呟いた。

『これは……これは夢か。先生が、でる、夢』

 この呟きに、綻んでいた三日月が上から潰れ、不満が滲んでいた。彼の気持ちには先程までは答えられていない。それを置いておくとしてしまったら、彼のこの発言に少しムッとしてしまう。ここにいる自分は現実だし、自分でも理由が分からなかったとはいえどあの行動を起こしたのは事実である。それを夢と少しでも思われるのはどこか悔しい。大人げないと、頭が硬いと言われるだろうか。それでもここは文句を言おうと口を開きかけた。

「おい、花厳――っん」

 当たっていた手の甲から感触が変わったことに驚き、小さく声を上げてしまった。女性とは違う、彼の風貌や普段の様子からは想像をしにくいしっかりとした指と手のひらが自分の顔を包むように沿って流れていた。白く、長いのにそれは力強さをどうしても意識させてくる。夢じゃない、と呟く彼に反論するために動こうしていた脳の一部も停止してしまった。一番驚いたのは彼女であり、するりと静かに、解けるように、物語が終わるように離れていったその指を見つめることしか出来なかった。このような声を上げてしまったこと、そして何より、彼の手のひらが触れた瞬間に心臓が跳ね上がった自分に何より恥ずかしくなってしまった。

「目の前で死なれるのは困る。一緒に回るのだろう」

 何とか平静を保ち、腰に手を当てたまま息を吐く相手の背中を軽く叩き少し歩いた。相手より先に玄関を潜り、入口で外部の受付をしている生徒から桜咲祭のパンフレットを一つ貰うとそっとそれを広げた。渡した生徒が言葉少なだったのはもう気にしないようにした。
 背中に彼の小さな要望を聞いた。たこ焼きを持ったまま器用に、そして少し嬉しそうに出店のページを開いた。

「……綿あめ、リンゴ飴まであるのか。……花厳はどこか行きたい場所あるか」

 前半は独り言だったのだろう。振り向くと潰れた半月は元に戻り、顔に少しかかる銀世界の合間から相手を見つめていた。

>花厳由雨様

1ヶ月前 No.122

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

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1ヶ月前 No.123

冬野 @sweetcatsx☆9GxCtIs.1LM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

《 二戸森迷 / 3B教室前廊下 》

  ニコくんのことをまじまじ見つめてくる女の子、何なんだろう。ニコくんが可愛すぎて息するのも忘れたかんじ? ニコくんちょー罪作りなかんじ? いやまあそんなことはどうでもいいんだけど。とにかくこの子がカレーでも食べて売り上げに貢献してくれたらニコくんも仕事をしたことになって、ついでにこの子のお腹も膨れてみんなハッピーじゃん、問題なし。

 しばらく彼女が喋り出すのを待ってたら急にあたふたし始めた。なんか勘違いしてるし、もしかしてニコくんがいじめたみたいに見えない? やばくない? ふう、と息を吐いてからにっこりと笑ってみせる。ニコくん笑うとめっちゃ可愛いと思うんだけど。

「ニコちゃんにお金払えって言ってるんじゃないよぉー? ニコちゃんのクラス、カレー売ってるからあんたが、カレー買って食べてくれたらいいよぉー、そしたらあんたもお腹いっぱいになるし、ニコちゃんは売上に貢献できるし二人とも幸せ、でしょぉー?」

 ね、って小首を傾けながら笑う。財布を出す女の子を見つめる。

>> 香織ちゃん、周辺おーるさま


(返信遅れてしまい申し訳ありません…! いやいや香織ちゃんすごく可愛いからお気になさらず!)
>> 香織ちゃん本体さま



《 天津祝 / 三年廊下 》

 セーラー服を身に纏った大きな人はどこからどう見ても男の人だ。なんなのこの人、こわい、こわすぎる。やっぱり一人で三年生の教室なんか来るんじゃなかったわ、ほふりはちょっぴり間違えてしまった、ほふりってばピンチだわ、絶対絶命だわ。こわくて泣いちゃいそう。ほふりは大人だから泣かないのよ、と自分に言い聞かせる。ほふりは強いんだから泣かない、泣かないけどやっぱり怖い。ちょっぴり涙で目が濡れてしまってるのを袖で拭いてからそっと顔をあげる。

 ほふりと目線を合わせるようにしゃがんでくれて、にっこり笑うセーラー服のお兄さん、その笑顔はまるで大輪の向日葵みたいで、きらきらしてて眩しくて、似合わないし変な格好だけど、本当に、とっても格好良かった。

「違っ、驚いてなんかっ…………ほふりは、ほふりは迷子なんかじゃないもの! ちびでもないわ! ほふりはね! これから大きくなるのよ! 立派なレディになるの! あ、えっと……ほふりは十二歳だけど立派なこの高校の一年生なのっ!」

 変なお兄さんは自分の顔の前で手を合わせて首を傾ける。全然似合わないけどそれでも良い人なのは分かった。でもほふりに対して失礼なことを言ってることは確かだ。む、としながらほふりは胸を張る、ほふりは確かに小さいし十二歳だけどもう立派な高校生なのだ。

「え……いや……その……に、人参食べれないなんてまだまだお子さまねっ、好き嫌いしちゃだめなのよっ! えっ……じゃあ食べてあげるわっ」

 ほふり本当は玉ねぎたべれないけどついごまかしてしまった。でもお兄さんは人参が食べれない、と素直に言えてほふりはすごいなって思った。ポケットから飴を取り出してほふりに渡してくれるこの変なお兄さんは、変だけど本当に優しいひとなんだなあ、と、きらきら輝いててちょっぴり眩しい。気がついたら涙はもう引っ込んでしまっていた。

>> 蛍くん、周辺おーるさま


(わわ、お気になさらずー! 変を連呼しまくってて申し訳ないです(;ω;))
>> 蛍くん本体さま

1ヶ月前 No.124

砂糖 @akkaricha ★iPhone=gzAST5FnB2


【 都祠李汰/1階廊下 】



「 2年生お化け屋敷やってま〜す。
あっ先生 、 怖いの好き ? 来ない ? 」



本来ならば 脅かす側 ≠セった。
淡い紺色の着物を身に纏って、血糊のついた包帯を額にぐるぐる巻にし頭から矢を生やているその姿は誰が見ても恐ろしいお化けそのものなのだが、脅かし方に覇気がないと怒られてしまい仕方なく宣伝する側に回ったのだ。


可愛らしいお化けにふきだしで『 楽しいよ ! 』と色とりどりのペンで書かれたプラカードを片手に大きな声で呼びかけてみるがなかなか客は捕まらない。 頼みの綱の教師でさえも 、困った顔を浮かべるだけで来てくれそうにはない。 何て薄情な。


「 んぐ〜。楽しいのになあ 、 みんな分かってないなあ …… あ〜苺ミルク飲みたい …。 」

咄嗟に呟いた願望は誰かに聞こえているわけでもなく、人混みと騒音に流されて消えた。 こんな時 、突如目の前に現れた可愛い女の子が「 都祠くん 、これどうぞ 」と可愛らしい笑顔で苺ミルクを差し出してくれたら ……… と、胸中で妄想するがこれまで一度も彼女ができたことがないのであまり現実感は無く、非リアにとっては虚しいだけで溜息を零しながら乾いた苦笑を浮かべた。


「誰か俺に彼女と苺ミルク恵んでくだあ〜い…。 お礼にお化け屋敷ご案内するからさあ 、 」


> おーるさま

1ヶ月前 No.125

メロ @soofar☆vDjvdwlItTM ★iPhone=EiqahOBmV1

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1ヶ月前 No.126

メロ @soofar☆vDjvdwlItTM ★iPhone=EiqahOBmV1

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1ヶ月前 No.127

ししくれ @kmnkha☆/pH2qpQf7L2 ★ieluDUuGrE_H50

【物部 葵/一階廊下】


 彼女のお礼の言葉に、気にしないで。と微笑みながら答える。
 あの子供は一体どこに走って行ったのだろうか。この人混みの中、保護者と離れ離れにならなければ良いな、と頭の片隅で思った。

「それにさ、この混雑の中で子供が走ってきたって普通は避けられないだろうう? 誰が悪いわけでもないんだよ、君が不注意だったわけでもないさ」

 この状況で自らのことを不注意だったと言える彼女に好感を覚えた。しかし、差し出された手を見て、少し困ったような表情になる。

「いいよ。もうそろそろ教室に戻ろうと思ってたところだったし、ついでだから」

 別に教室に戻る予定はなかったが、そんな言葉が咄嗟に口から出た。なんとなく、女の子の手にゴミを乗せるというのが嫌だったのだ。それに事実、案外長いこと宣伝もしている。もうそろそろ教室に戻っても良い頃だろう。しかしそれにしてももう少しまともな言い訳はできなかったのだろうかと、言ったそばから自分の言葉に呆れ果てた。それと同時に、もしもこのまま譲り合いを続けていたら話が先に進まないから、自分が彼女に飴の欠けらを渡すべきなのか迷った。

「……それよりも、手、大丈夫? ベタついてない?」

 飴に触れた指先がなんだかベタついて感じた。俺だけかもしれないし、彼女もそうかもしれないと思い、尋ねる。もしかしたら捨てる捨てないの話から離れたい気持ちもあったのかもしれない。

 >>桔梗 雫様
【いえいえ、お気になさらずに! こちらこそお相手よろしくお願いいたします……!】


【霜月 左京/校舎】

「んん、どうなんやろ。でも、千里めっちゃ綺麗やし、男装なんかも似合いそうやな!」

 少し考えてみたが、本当のところどうなのかは分からなかった。
 しかし、男装をしたいと言う千里の話を聞いて、俺も千里の男装姿を見て見たいと、横に並んで歩く千里を見て素直にそう思った。

「……あっ。そうしたら俺も服着ないと、いかんかな?」

 自分が女の格好をしているところを想像して思わず笑ってしまう。身長もあるし、筋肉もそれなりにある。顔もバリバリ男だ。そんな俺が女の子の格好してるとか面白すぎた。でももしできたらそれはそれで面白いだろう。写真を撮って家族に送って見るのも良いかもしれない。
 あるかどうか分からないことだが、想像、否妄想をしてみるのは楽しかった。

「それじゃあ、逆転喫茶行こうか?」

 楽しそうやね、と付け加えながら、千里の返事を待った。

 >> 地雷 千里様

1ヶ月前 No.128

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【月冠実果 / お化け屋敷出口】

>>僕、月冠さんと友達になりたいなって、その、……思ってて。でも、おれは……女の子と話したことあんまり無いから…………

>>上がり症なのかも

>>だからだと思う……?


「……へ?」

突然声が降ってきて、顔を上げる。何故突然そんな話を…? 実果的には声に出した覚えはないので、心を読まれたような気持ちだった。
だがしかし…友達、か。女の子と話さない、というのは、確かに少し納得だ。純はみんなにかわいがられていそうだが、女の子に自分から話しかけにはいかないだろう。そんななか、上がり症だから真っ赤になってしまった、というわけか、なるほど。
納得して気分が晴れた。飴の詰まったカゴを持ち直し、クエスチョンマークをたくさん浮かべた純にまっすぐ向き合った。

「えへへー、教えてくれて、ありがとー。そっかー、友達かぁー……じゃあ、お友達になろっか」

友達になりたいと純は言った。ならば、なるのが妥当だろう。
だから、にっこり笑って純に手を差し伸べた。

>>獅子尾くん、周辺all

1ヶ月前 No.129

千里 @matunogirl ★Android=W1VemU3zJF

【地雷千里/校舎】

『んん、どうなんやろ。でも、千里めっちゃ綺麗やし、男装なんかも似合いそうやな!』
「き……れい?そんなの初めて言われたわ……。あ……!でも、男装似合いそうって言われたのは嬉しいなぁ。」

千里は、目をぱちくりとしながらオウムのように言葉を繰り返した後、にしし、と笑いながら嬉しい、と告げた。
『……あっ。そうしたら俺も服着ないと、いかんかな?』
「……かもね!でも左京君が着たら、すごい面白そう。」

千里は一度悩んだ後に隣を歩く左京の女装姿を想像してはプッと、吹き出しながら、口に出した。

『それじゃあ、逆転喫茶行こうか?』
「そうだね、早く行くぞー!」

左京の行こうか、という問いにたいし千里はぱぁと顔を綻ばせ、大きく頷いてから、1歩先に歩き始める。「早く早くー」そう言いながら。

>>霜月 左京様、周辺all様

1ヶ月前 No.130

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★iPad=BENrHRNU7h

[太刀川飛鳥/一階廊下]

 そもそも学校行事というものに深く関わるようになったのは教師になってからのようの感じる。学生時代は言わずもがな部活に打ち込んできた。最低限の手伝いを済ませ、行事があった放課後には道着に身を包んでいた。当時は特に何も思わず、体に鞭を打っていたが今思えば周囲に迷惑を掛けてしまっていたのだろうと気分が下がってしまう。座禅を組んで、心を落ち着かせている時に外から聞こえる楽しげな同級生の声を聞いては年相応の過ごし方なのだろう、と思った。こう思っている時点で自分は皆とは違うのだろうと落ち着いてしまう。孤立や孤独を感じたことがないかと言えばそれは嘘になる。もしの話を考えても仕方がないのは分かるが、年相応に自分も遊びに出ていたら今の自分とどう変わっていただろうか。
 後悔をしているわけではない。ただ、興味として気になるのだ。もし、あの時、していたら。自分の年齢と共に枝分かれを繰り返している。ふと思い立った時に派生したであろう未来と起きなかった過去を考えずにはいられない。
 振り向くと予想より近くにいた相手に一瞬だけ顔を引いてしまう。栗皮色をした髪が静かに揺れて玄関から差し込む光に申し訳なさそうに光っていた。一階の廊下は入口ということもあり、人が多い。だが決して紛れない。背の高さとか、身体的なそれだけではない。今日は彼と桜咲祭を回ると決まってから目が離せないのは確かである。そんな相手もリンゴ飴はいいかも知れない、と遠回しの言うので独り言を聞かれていたのかと少し恥ずかしい気持ちになる。相手に気を使わせてしまったのかと罪悪感と胸より少し低い位置で混ざり合い全身に巡っていく。正直、気持ちの良いものではなく体が重くなっていくのを実感してしまう。

 相手の提案に乗ろうとしていると、大きな声ながら焦りが混じった音が耳に響いてきた。

 声の主は取金龍菜。今年度春瀬高校に入学してきた女生徒であり、一年目でありながら演劇部でのエースと言われている。独特の雰囲気と怠惰な姿が目立ち、周囲もそう言っていることが多いが好きなことへの情熱は人一倍強いことを知っている。『めんどくさい』『やりたくない』なんて叫んでいる姿を見たことがあるが根は真面目な人なのだろう。練習で出来ないことが本番で出来ないことは部活一色の学生生活を送ってきた彼女には痛いほど分かる。語れるほど詳しくはないが、一発勝負の繰り返しである演技というものなら尚更だろう。丁寧に真面目に。誰にも見せずに、少し解けた包帯をなびかせて脳内にしっかり入っているため、閉じられた台本を持っている彼女というのは気高く、誇り高い。正にその姿は名前に、言動に恥じない『龍』なのだと感心してしまう。
 そんな彼女のことを心中で褒めていると、背を曲げて相手に声を掛ける花厳に少しではない驚きがあった。否、思い返してみれば、これが彼の本来の姿だったと思い出す。随分と慣れていると言うか、場数を踏んできたのだろう。見かけも、言動も近寄り難いものがあり、相手をさらに困らせてしまう太刀川からすれば花厳のような人がいるのはとても助かる。

「さくら飴か。悪くないな、買わせてもらおう」

 顎に手を添えて言うと、手首から下げていた着物と同柄の巾着を持ち上げた。

>花厳 由雨様 取金 龍菜様

28日前 No.131

にな @xxx39☆ac5xGKREVv. ★lOuFx1AtBp_mgE

【二千翔蛍/三年廊下】


 蛍の言葉に腹を立てたらしい彼女は、ムスッとむくれている。年相応なその振る舞いが愛らしくて、ついつい笑ってしまった。
 胸を張ってふんぞり返っても、ちっとも威圧感なんてない。いとけない彼女には似合わないはずなのに、どうしてどこかぴったりで。明りを灯したろうそくみたいに、左胸がふわふわとあたたかくなってゆく。こういうのを父性というのだろうか。なんて年不相応なことを思ってみたりして。
 彼女曰く、チビちゃんはやっぱり十二歳で、実は迷子じゃなくて、その上高校生らしい。次は蛍が目を丸くする番だった。

 「ごめんごめん! ……えっ? 高一なの? マジで? じゃあ俺の後輩だな! 何部? バレー好き? 俺はバレー大好き!」

 そういえば、飛び級で入学した生徒がいると、小耳に挟んだ気がする。随分懐かしいことだし(先月のことは、蛍にとっては一昨年のこと同然なのだ)、ゴシップにとことん疎い蛍はすっかり忘れていた。どうやらこの少女こそが、噂の天才女子高校生らしい。いけ好かないマセガキと噂されていた新入生は、くだらないレッテルよりずっと可憐な少女だった。もし彼女が町を歩いていても、天才児だなんて誰も気が付かないだろう。現に蛍だって、彼女が後輩だなんて予想だにしなかったのだから。もしかすると、この夏で十八歳になる蛍よりもずっと利口なのではないだろうか。十二歳だった蛍なんて、日がな一日バレーに明け暮れていた。高校三年生になった今でも、バレー三昧だ。
 小学六年生にも負ける俺って……。
 なんて憂鬱は二秒でさようなら。瞳をぱあと煌かせた蛍は、聞かれてもいないことをぺらぺら喋り出す。蛍の引き出しはバレーしかないし、バレーのことしか頭にないのだ。

 「大丈夫だって。そんなに頑張んなくても、もうちゃんとかわいいレディになってんだから! つーかほふりちゃんっていうの? 俺は蛍っていうの!」

 女の子とはすべからく可愛いのだと、教え込まれてきた蛍だからこそのセリフだった。女の子はやわらかくて、いい匂いがして、砂糖菓子みたいに可愛い。それでも可愛くなろうとする女の子は、もっと可愛い。だから可愛がらないといけないし、優しくしないといけない。それが母親の教えで口癖だった。
 ぽんと祝の小さな頭に、撫ぜるように手を乗せる。パーソナルエリアが狭いのが、蛍の取り柄であり欠点だった。それにしたって距離感が近いのは、ちょうど彼女が妹と同年代だからかもしれない。

 「うっ、後輩にお子さまって言われた……。……マジで? やったあ! じゃあ俺が、ほふりちゃんが食べれないの食べたげる!」

 後輩、それも六つも歳の離れた祝に、「お子さま」呼ばわりされてしまう。図星なだけにぐうの音も出なくて、蛍は口を尖らせた。拗ねてますという態度をとってみせて、でもあんまり気にしてなかったりする蛍は祝の言葉に、くるりと表情を一変させる。女子小学生ってヤサシイ。
 蛍の天敵はニンジンだけだ。ニンジンさえなければ、この世の食べ物という食べ物は平らげられると自負している。自負することでもないが。そうは言ったものの、祝は蛍とは違って好き嫌いなんてしないのかもしれない。たまねぎも食べられると言っていたし。じゃあ俺の出る幕はないってこと? それはそれで寂しいような。

 「よし、そうと決まれば今すぐ行こうぜ、カレー屋さん! 次は迷子になんないように、先輩が連れてってあげる」

 言うや否や、左手を取って立ち上がる。右手には祝の手、左手にはプラカード。やわらかくて真っ白な祝の手は、蛍の節くれだった手よりもずっとずっと小さかった。ほんの少し力を入れたら、折れてしまいそうだと思った。だからこそ、手放してはいけないと。
 桜咲祭真っ只中の廊下は、依然ごった返している。このままはぐれてしまったら、きっと見つけられないだろう。だって祝は蛍よりも、手も背も何もかも小さ過ぎるのだ。
 3Bに誘ったのは、打算じゃなくて本音だった。クラスの売り上げとか、成り行きとかじゃなくて。蛍は心の底から、彼女に桜咲祭を楽しんでほしかった。ちょっとでも、桜咲祭をいい思い出にしてほしくて。涙目の彼女に、笑顔になってほしくて。――3Bはカレー屋さんでもなければ、祝は迷子でもないのだが。
 ニーハイにセーラー服のまま少女の手を引く蛍は、いよいよもって不審者だった。このまま商店街でも歩けば、一も二もなく通報されたことだろう。問答無用で刑務所デビュー待ったなしだ。こればかりは文化祭の特権だろう。蛍のビジュアルでは、男子高校生ですなんて申し立ては通じないのだから。通報しないでね、マジで……とこっそり祈りながら。



 >祝ちゃん、ALL様
 (スローペースで申し訳ないです;;
  いえいえ!三百六十度どこからどう見ても不審者なので、むしろこっちが謝らなければ…!ごめんなさい!)

27日前 No.132

六花 @firefly11☆EKQhUiXcMD6 ★Android=cWNcKLuyUE

【桔梗 雫/一階廊下】


 雫が感謝の言葉を告げた時、彼は微笑み"気にしないで"と言って更に優しい言葉を掛けてくれた。この人はどこまでいい人なのだろうか、なんて考える。柔らかな雰囲気を纏っているな、と彼を見たときに思ったけれど本当にその通りで、見ず知らずの自分にも親切だ。

「いいよ。もうそろそろ教室に戻ろうと思ってたところだったし、ついでだから」

 ――教室。その言葉にそういえば、と思う。そうだ、こうして時間を取らせてしまっている訳だが彼だって仕事の最中か、もしくは休憩中だっただろう。更に申し訳の無さが募って、彼は雫の返答に困っているようだったけれど、ついでだと言っているのだから素直に任せれば良いのだろうけれど、やはり雫には彼に任せっきりにすることは出来なかった。こういった場面で意固地になってしまうのが雫の悪いところだ。頑固にも断りを入れようと「いえ、」と言い掛けたところで彼の方が先に口を開く。

「……それよりも、手、大丈夫? ベタついてない?」

「……あ……」

 彼の言葉に視線を落として両手を見てみる。欠片をつまみ上げていた片手の指先と、その欠片を集める器の役割を果たしているもう片方の掌。彼に言われるまであまり気に留めていなかったのだが、飴というものを触っていれば当然手は汚れるのだ。ましてやこれだけの人が往来する廊下に落ちたものを拾い集めていたのだから、細かな塵などが指先に付着していてもおかしくない。欠片をつまみ上げていた方の手の親指と人差し指をくっつけてみるとぴったり張り付いた。何となく意固地になっていた心が、風船が萎むように落ち着きを取り戻す。

「……変な意地を張ってしまったみたいですみません。そうですね、とりあえずは手を洗った方が良さそうです。そのついでにこれも捨ててしまいましょうか。結局、私は私の分だけ、先輩は先輩の分だけをそれぞれ捨てるのが一番良い方法みたいですね」

 小さなため息をついた雫は己の譲らなかった態度を謝罪した。先程の彼の困ったような表情を思い返す。自分が彼の申し出に素直に甘えられず、妙な意地を張ってしまったせいできっと酷く困らせてしまっただろう。相手に迷惑を掛けないつもりの行動がむしろ逆効果となってしまったことに雫は失敗した、と心の中で再度ため息をついた。いくら日頃人を困らせるのが好きだとは言っていても、こういった形で困らせるのは嫌なのだ。
 雫は一先ず汚れた手をどうにかしようという旨を彼に伝えると、"これ"と言う部分で飴の欠片を乗せた手を軽く持ち上げ、辿り着いた妥協案を口にして少し苦く笑った。きっとどちらに任せるのでもなく、それぞれが今手にしている分をそのままごみ箱まで持って行けば解決することなのだろう。
 そして屈み込んでいた体勢から立ち上がると、その場に立ったまま視線を動かして近くに手洗い場が無いかを探した。


>>物部 葵様、周辺ALL様

27日前 No.133

冬野 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

《 天津祝 / 三年廊下 》

 ほふりが子供なのは仕方がないとは分かっているのだがやはりむっとしてしまうのだ。こういうところがませている、と言われてしまう所以だろうか、えっへんと胸を張ったってどう考えても目の前のお兄さんの方が遥かに背が高いわけであまり意味はなさそうだとほふりはあまり気付いていない。何故か笑うセーラー服のお兄さんに、むっとほふりは頬を膨らませる。失礼な人だ、ほふりは面白いことなんて言ってないし至って真面目なのだ。

「ふふんっ、そうよ! ほふりは天才なのよっ! 天才だから高校一年生なの! ……ええっと、ほふり運動はあんまり……えっと、えっと、ほふりは茶道部……です」

 えっへん、飛び級で入学した生徒ということでわりと有名だとは自分でも思っていたが顔までは知られていなかったようだ。なんといっても十二歳、なんといっても小学六年生。あまり良くない印象を持たれたりちらちらひそひそとされたりもするがこのセーラー服のお兄さんはにこにこ笑ってくれて、ほふりはなんだか胸に温かいものを感じた。分かってはいたがやはり先輩。バレー部らしい先輩、だがしかしほふりは運動はいまいちなのだ、苦手、というのが恥ずかしくてそっと目を逸らした。

「えっ、あっ……うう……ありがとうございます……でも他の先輩みたいにもっとほふりは大人のレディーを目指すのよ……あっ、ええっと、そうなの、ほふりは天津祝って言うのよ、えっと……蛍先輩ね、ほふり覚えたわ!」

 あわわ、とほふりはあたふたとしながらもぺこりと頭を下げる。何気なく褒めてくれる先輩はすごいと思う、これが大人なのか、と内心ほふりは感動していた。そして、ほふりはまた戸惑うことになる。ぽん、と頭に乗せられた手にほふりは目をまん丸くして、頬に熱が集中していく、そんな気がして。だがしかし戸惑っていることを悟られるのは子供っぽくて恥ずかしい、だからほふりは落ち着いた様子で名前を名乗る、まあ既に頬は赤く目は泳いでしまっているため戸惑いは隠せないのだが。

「だって、だって、お子様なのよ、大人は好き嫌いなんてしないもの! ……なら仕方ないから先輩の人参とほふりの玉ねぎを交換してあげるわ、ほふりが玉ねぎが食べれないわけじゃないのよ、仕方ないから交換してあげるのっ」

 大人は好き嫌いはしない、それがほふりの思い浮かべる大人らしい。拗ねた様子の相手の姿に少し失礼だったかも、と眉を下げたほふりだがすぐに明るい表情に戻る相手に安堵したようにほふりも笑みを零した。
 人参を食べる、と言っただけで喜んでくれた、そんなに嫌いなんだなあとほふりな内心で思う。人参美味しいのになあとほふりは思いながらも名案だと言わんばかりに提案する。玉ねぎが嫌いなことは言わない。あくまで仕方なく、とほふりは繰り返した。

「えっ、ありがとうございます……えっ、えっ、えっ……!」

 握られた左手にほふりはまた目をまん丸くする、今度は顔全体が熱い、まるで火を吹いたかのように。頭の中はもうパニック状態で、上手く喋れない。繋がれた手が熱い、大人ってすごい、こんなにも簡単に手を繋げるなんて。ほふりより遥かに大きな手は頼もしくて、温かかった。廊下を歩くセーラー服を纏った先輩はどう考えても怪しい、周りからの視線も痛い。でもほふりの視界に映るのは先輩だけだった。

>> 蛍くん、周辺おーるさま


(いえいえ! イベントも終わりですがどうしても返信したく返信させていただきました! 蛍くんかっこよすぎて死にそうです……)
>> 蛍くん本体さま

25日前 No.134

削除済み @xxx39 ★lOuFx1AtBp_mgE

【記事主より削除】 ( 2017/03/01 21:50 )

24日前 No.135

にな @xxx39☆ac5xGKREVv. ★lOuFx1AtBp_mgE

【二千翔蛍/屋上】


 祭だ。祭とは、得てして手がかかる。文化祭なんてその典型例だ。教師からすれば、文化祭なんて厄介者以外の何者でもない。実行委員なんて名ばかりの雑用係で、生徒会だって例に漏れない。桜が咲く祭なんて言ったって、そもそもとっくに葉桜だし。
 それでも人類がやめられないのは、偏にそれが娯楽であるからだ。文化祭だって体育祭だって、夏祭りだって、楽しいからやるのだ。蛍はそう思う。そこにしかないものが、いつだってあるのだ。そこでしか聞こえない音。見えない世界。手に入らないもの。それがどんなに非生産的であろうとも。
 しかし、世の中には、やっていいことといけないことがあるだろう。
 スタンドミラーと睨めっこする蛍は、反射する修羅を見下ろしてそう思った。
 これは……ない。ないと言ったらない。なさ過ぎる。ノー。エヌジーだ。
 たおやかなセーラーで着飾られた蛍は、悪い意味で目の毒でしかなかった。クラスからめいっぱいブーイングされて然るべき愚行である。それもこれもどれもこれも、文化祭のせいなのだけれど。
 文化祭だからこそだ。それは大義名分なのだ。桜咲祭だからこそ、似合わない女装だって、悪戯だって間違いだって、みんな許してくれるのだから。……なんて思えていたのは、所謂賢者タイムだけで。
 放送委員会のアナウンスを合図に、蛍はものの二秒で着替えた。早着替えであの彼の右に出るティーンエイジャーなんていないと、クラスメイトは語る。
 さようならセーラー服! セーラーカラーもプリーツスカートも、演劇部に雁首揃えてオールリターン。スカーフも三つ折りにしておさらばだ。使い捨てのニーハイソックスは、教室のゴミ箱へゴールイン。剥がれかけの化けの皮は、ようやく引っぺがされた。ミントグリーンのクラスTシャツを頭から被って。男子高校生へのメタモルフォーゼを遂げた蛍は、しかし息ついてなんていられない。次は桜咲祭実行委員会の副委員長としててんやわんやする番だった。
 来場者が散らかしたゴミを片付けたり、置いてけぼりの迷子を帰してあげたり。
 売れ残った焼きそばをたらふく平らげたり、すれ違いざまに後輩に綿飴を押し付けられたり。……腹が減っては戦も出来ぬって言うだろ。

 蛍がようやく一息つけたのは、後夜祭目前だった。あっちこっちでずっと人に囲まれていたはずだったのに、気付けば一人ぼっちになっていた。さっきまであんなに気忙しかったのに、いざ手持ち無沙汰になると、それはそれで物足りないというか、もの寂しいというか。猫の手も借りたいなんて思っていたくせに。
 綿飴片手に手すりに肘をかけて、フェンスに凭れる。どうしたって綿飴と一緒では格好がつかない。割り箸にまとわりつくふわふわの綿飴を、ほとんど惰性で啄ばむ。ザラメを融解させた菓子なだけあって、ひどく甘ったるい。口当たりとは裏腹にしつこい甘さが、口内を支配していく。
 零れんばかりの星空に、無遠慮に花火が打ち上げられる。ひゅるりと気の抜けた音をたてて、爆発音。三秒間だけそれは主役になって、残滓はひそかに落ちていく。夜空がひたすら移ろいゆくのを、蛍は回らない頭のまま見つめていた。火薬は咲いては散り、咲いてはまた散ってゆく。ああ、これが噂のショギョウムジョウ……。
 蛍はネオンサインのようにピカピカと自己主張する天穹に向かって、腹の底の底から声を上げた。

 「たーまやー! ……って、違うか」

 たまやって? たまのお店? たまって……猫?
 ……花火と猫って、実は仲良しだったりして?


 >>ALL様
 (大変遅れてしまい申し訳ありません!これより後夜祭を開始させていただきます!!皆様後夜祭をお楽しみください!)

24日前 No.136

冬野 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

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22日前 No.137

六花 @firefly11☆EKQhUiXcMD6 ★Android=cWNcKLuyUE

【桔梗 雫/中庭→3-B教室】


 文化祭は楽しいけれど、準備と後片付けが大変だと雫は思う。一年生皆で縁日の出店やらを片付け、それが終わった後はそれぞれが後夜祭を楽しむべく解散したが、雫は特に約束も無かったためにこの後の予定をどうすべきかと悩んでいた。
 今の雫は白のクラスTシャツと制服のスカートといった格好に、片手には売れ残りのお好み焼きが入った袋を提げている。三日間同じ格好をしていたとはいえ、浴衣なんて一年に一度くらいしか着ないのだから(少なくとも雫にとっては)着慣れないもので、縁日が終わって浴衣姿である必要が無くなったのなら着替えたい、という意思によって着替えをしたのだ。髪だけは寮に帰るまで崩したくなくて、一つの三つ編みを肩から垂らした髪型のままだけれど。
 賑やかだった日中とは違って酷く開放的で、やけに物寂しく感じる中庭に佇みただ思うことは。

「……疲れたわ」

 その一言を呟いて、ふと、脳裏にある人物の姿が思い浮かぶ。そういえば、雫にとって上級生の中では一番仲が良いと思える先輩、二戸森迷はどうしているのだろうか。体力の無い雫が疲れを感じて"休みたい"と思っているのだから、あの無気力な先輩は桜咲祭が終了した瞬間にその場で眠りについていてもおかしくはない、と雫は考える。雫は迷のことをどこでも寝られる人だと認識していた。
 "疲れた"、"出来ればあまり動き回りたくはない"、などと雫は思っているし、何だかんだで大丈夫だろうとも思うものの、彼がもしも校内のどこかでエネルギー切れを起こしているとしたら、やはり放っておくことは出来ない。結局は世話焼きなのだ。
 せめて自分の教室にいてくれれば良い、とそんな願望を抱いて校舎へと入り、三年生の教室がある三階まで上る。窓の外からは花火を打ち上げているらしい音が聞こえた。
 そうして"3-B"と表記してある教室の扉からそっと中を覗いてみるが、しん、として誰もいない。しかし床に伏している可能性もあるので、よく探してみるべきだろう。

「ニコせんぱ……、……! …………先輩? いえ、死体……? ……ニコ先輩、生きていますか?」

 雫が教室内に足を踏み入れて数歩、教室の奥の方、机や椅子の陰に隠れてルーズソックスに包まれた足が見えた。読みは当たりだったのだろうか、雫は確認のためにゆっくりと近付く。目を引くビビットピンクの髪にセーラー服、どうやら探していた二戸森迷本人のようだ。雫は一度、桜咲祭の一日目に迷の女装を見に行ったことがあるので確実である。
 どう見ても死体にしか見えない迷の姿に少し心配になった雫は、彼の傍らに屈み込むと静かに声を掛けて顔を覗き込んだ。


>>二戸森 迷様、周辺ALL様



【絡ませて頂きます!ニコくんに対してだいぶ失礼なことを考えている奴で申し訳ありません…!よろしくお願い致します!】
>>ニコくん本体様



【短い間でしたがお話してくださり、ありがとうございました!あの後の雫は教室に戻る葵くんについて行って、コスプレ喫茶の売り上げに貢献した、ということにしておいてください(*´∀`)
またお話する機会がありましたらよろしくお願い致します!】
>>葵くん本体様

22日前 No.138

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★iPad=BENrHRNU7h

[太刀川飛鳥/グラウンド]

 桜咲祭も大詰めを迎え、いたるところで満ちていた青春に静かに幕を下りていく。それを目を細めて嬉しそうに眺める彼女は小さく息を吐いた。立ち入りを制限しているグラウンドの中を下駄で砂を踏みしめながら歩いていく。砂が擦れ、ぶつかる音が耳に届いてくる。
 いつもの友人と出店を回っていたあの子達は楽しく桜咲祭を終えることが出来ただろうか。異性の腕を掴んでお化け屋敷に入った二人の距離は一歩でも近づいただろうか。彼氏彼女の仲の良さを見せつけて歩いていた人達は妬みという名の褒美を得ることは出来ただろうか。青春と友人に背中を押されて先輩に声を掛けていた新入生はどうなっただろうか。玄関でそれぞれが踏み出した、紡いだ物語の先を考えると自然と頬が緩んでしまう。結果を知らないだけに暖かい気持ちになるのだろう。

「さて、私も最後の仕事とするか」

 自分の頬を軽く叩き、気合を入れるとグラウンドの中心に行き着いた。先にいた一人の御老人と数人の男性に挨拶をし、桜咲祭の仕上げの準備に取り掛かった。


『たーまやー!』

 校舎を始めとする学校の様々な場所から大きな声が聞こえてくる。彼女もほぼ真下からそれを眺める。昼頃と変わらず雲ひとつなく、星が輝いて広がる空に花火を打ち上げる。下から上げているはずのそれは、まるで逆に星が落ちてきて弾けたようになり一瞬だけ輝きと音を放つ。こんなに至近距離で花火を見る機会なんて滅多にないことである。少しばかり無理と我儘を言って正解だったと心中で頷いていた。
 花火を打ち上げている職人の皆さんとそれを見上げ、ハイタッチをする。やはりいくつになっても何かを完成させる達成感というものは素晴らしい。これが自分にとっての青春だろうか、と思いかけたところで年齢を考えて止めることにした。これほど近くに数多の青春と物語があるというのにそこに入るのは失礼と思ったのだろう。自虐気味に笑ってはグラウンドの隅に移動した職人達と再び空を見上げた。

>皆様


[絡んでくださり本当にありがとうございました。また機会がありましたら(この文章にでも……汗)絡めたらと考えています。本当にありがとうございました!]
>花厳 由雨様 取金 龍菜様

20日前 No.139

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=W1VemU3zJF

【地雷千里/グラウンド】

千里がグラウンドの隅で寝転びながら満天の星空を眺めていると、不意に花火が打ち上がる。それを見ると、懐かしい気持ちになる。まだ、父と母が生きていた頃。小3以来久々に見た花火だ。なぜだか少し寂しい気持ちになる。小3以降、父と母を亡くした影響で荒んでいた時期には空すら見上げなかったし、色んな意味で、見上げる暇などなかった。唯一見た空といえば、曇天で厚い雲が覆っていた空だった覚えがあるし、綺麗な空といえば、青空しか見ていなかった。と言っても、屋上でねそべって見上げた空なのだが。

学園のあちらこちらかは『たーまや』という声が聞こえ、千里は人知れず口元を綻ばせながら、起き上がり、立ち上がる。軽く制服についた草を払いながら、真ん中の方のグラウンドを見ていると太刀川という教師がやってくるのが目に入った。

太刀川先生には千里自身、たくさんお世話になっていた。まずは剣道部顧問なので、剣道部に所属している千里はたまに話をしている。さらに太刀川先生は風紀委員顧問。常に制服の着崩し、廊下の走行、その他諸々でよくお世話になってはいけない案件でお世話になっている。なので、かなり話をしていた。先生の中で何気に一番話しているだろう。と言っても話すと言っても説教を受けるか、指導を受けているかのどちらかだが。

「あ、太刀川先生だ。こんばんは。後夜祭、豪勢ですね。」

ちなみに千里の今の格好は普段よりも確実に悪化していて、ブレザーは腰にまいて、スカートは履かずに教室においていて、ワイシャツに普段よりも緩めに占められたネクタイ。確実に怒られるだろう。それでも減らりと笑いながら話しかける彼女は勇者なのだろう。そして花火職人には「お疲れ様ですー。」と軽く頭を下げながら声をかける。

「俺、花火なんて久々に見ましたよ、先生。小3以来です。綺麗だなぁ……。」

千里は一度、太刀川に駆け寄り、にっと笑いながら目線を合わせた後に、空に再び目を向ける。空に打ち上がった花火は打ち上がった直後にキラキラと光りながらまるで星が降っているようで、綺麗だ、と素直に思った。千里からすれば、花火は本当に久々に見るのだ。
「先生も思いませんか?花火、綺麗ですよね。」

そう笑いながら話しかけ、すぐに空に目を向けたのだった────。

>>太刀川飛鳥先生様

【問題児の千里が絡ませて頂きます((よろしくお願いしますね】

>>太刀川飛鳥先生様本体様


【絡みありがとうございました!!また絡める日を楽しみにしています】

>>霜月左京様本体様

20日前 No.140

にな @xxx39☆ac5xGKREVv. ★lOuFx1AtBp_mgE

【二千翔蛍/屋上】

 そっちを見たのは、なんとなくだった。ざわめきの中で扉の音が、かすかに蛍の耳に届いた気がした。不意に目を向けたそこには、息を切らした少女。見覚えのある、春爛漫の桜色の浴衣にお揃いの下駄。何よりも、日曜日の女児向けアニメのヒロインのお面。そこにいたのは、つい今し方出会った少女――祝だった。目下セーラー服で宣伝中の蛍が声をかけた、迷子の女子小学生もとい後輩だ。すったもんだあって、カレーライスを半分こしちゃったりして、しばらく一緒にいたのだが……そういえば、彼女の苗字さえ蛍は知らない。
 ぜえはあと肩で息をする彼女は、どうやらご機嫌ななめみたいだった。花火に負けじと声を上げる祝に、身に覚えのない蛍はぱちくりと瞬きを繰り返す。びしりと彼女に指差された蛍は、えっ、俺? と素っ頓狂な声を上げた。間違いなく、祝の人差し指は蛍を指している。目を丸くした蛍は、鸚鵡返しみたいに自分で自分を指差した。

 「ほふりちゃん、久しぶりだな! どうしたの? 俺はこんなところにいたぜ〜」

 林檎飴片手の彼女は、やっぱり夏祭り真っ只中の女児にしか見えない。後夜祭の彼女を見てようやく蛍は、祝が春瀬に通う一女子高校生であることを飲み込んだのだった。
 どうやら祝は蛍と違って、まだ着替えていないみたいだ。蛍は無意識に祝と目を合わせようとしゃがみ込んだ。さっきみたいに、スカートの中なんて気にしなくていい。祝がさっきまで走り回っていたことも、自分を見つけた経緯(いきさつ)なんてちっとも知らない蛍は、へとへとの祝に首を傾げる。

 「ほふりちゃんも花火を見にきたの? きれいだよなぁ! あ、わたあめ食べる? 美味いよ!」

 屋上は知る人ぞ知る、ちょっとした穴場だった。祝にまた出会えたことが嬉しい蛍は、ニパッと相好を崩す。その笑顔は、まるで花火が打ち上げられるみたいで。蛍はさっきと同じ口ぶりで、綿飴を差し出した。


 >>ほふりちゃん、ALL様
 (絡んでくださりありがとうございます!後夜祭でも引き続きよろしくおねがいします〜!)

19日前 No.141

砂糖 @akkaricha ★iPhone=dOFmwWPuRu



【 都祀李汰 / 中庭 】


花火はあまり好きじゃなかった。かと言って花火に直接嫌な思い出ある訳でも無く、寧ろ夜空一面に咲き誇る花火はとても綺麗で目を奪われる程の迫力で見ていてあっぱれだと感じる。 自分の花火への苦手意識は恐らく花火が消えたあとの気持ちにあるのだと思う。

ーーああ、消えちゃったなあ…って感覚が苦手で、だんだん寂しくなって憂鬱となってくる、この気持ち。


『たーまやー!』 とあちらこちらから聞こえてくる他の生徒達の歓声に、思わず口元を綻ばせながら先ほど1年生のフロアで購入したりんご飴を片手に花火を見上げる。 そういえば異性とこの後夜祭の花火を一緒に見ると恋が成就するとかなんとかという噂を耳にしたことがあった。

「ジンクス、ってロマンチックだよね。」

そう独り言を呟きながらふと視線を落とし、誰も座っていないベンチの隣をただぼんやりと眺めた。


>おーる様

19日前 No.142

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★iPad=BENrHRNU7h

[太刀川飛鳥/グラウンド]

 息を潜め、じっと空を見上げていると声を掛けられた。誰かと思い、そちらを見ると本人の性格のように縛られることなくあちらこちらへと飛び出しているさらさらした黒髪。太刀川のように女性にしてはスラリと身長に見てわかるスポーツマンの体。高い鼻筋に、なにより大きな瞳と目が合うと溜めていた息を勢いよく吐き出してしまった。

「千里じゃないか。春瀬高校の目玉イベントだからな、これくらい豪勢でもバチはあたらないだろう」

 声の主は地雷千里。何かと太刀川と縁のある生徒の一人である。彼女が字のごとく、現在に至るまで人生を捧げている剣道部の生徒であることがまず挙げられる。部活、以外でもあまり関係なく話しかけてくれる数少ない生徒である。人相から判断されがちな太刀川からすればとても嬉しいことである。次に、あまり褒められたことではないが『風紀委員担当教師』として彼女に接することもある。それは少ない回数かと聞かれれば首を縦に降ることは出来ないのが正直な所であった。彼女もここ春瀬高校の一員であり、短く儚い学園生活を謳歌してもらいたいのは本心であり、太刀川の何よりの夢でもある。
 だが、しかし。それと決まりを破っていいかどうかは話が別である。ブレザーは腰に巻いてあるし、スカートは見当たらないし、緩く巻かれたネクタイが否が応でも視界に入る。百点満点とすれば明らかに逆パーフェクトで120点でもあげたいほどであった。花火職人の皆さんに挨拶をしたことは素晴らしいが、それを差し引いてもここは怒らざるを得ない。例え、お祭りの最中だとしても。

「おい、千里――」
『俺、花火なんて久々に見ましたよ、先生。小3以来です。綺麗だなぁ……』

 いつもはきつく結ばれた口からそんな言葉が聞こえてくるものだから彼女の方が口を閉じることになってしまった。行き場をなくした怒りの言葉は外に出ることなく彼女の腹部へと戻っていった。
 彼女が、地雷千里がこれまでどれほどの苦労をしてきたか。それはきっと太刀川が予想している何倍も大きく、否、きっと数字では表せないし表してはいけないものだと思う。太刀川は家に帰れば世話焼きな両親に、兄夫婦もいる。そのような立場の自分がこの問題に関しては触れていいものではない。それでも、美しく、強かに毎日を過ごす彼女はとても素晴らしく目に映る。太刀川よりも先に道場で素振りをしているときも、朝早く寮玄関を掃除している時に『ちょっと走ってきます』と挨拶をしてくれることも、人に話したくない過去があることも。時間がある時に自分がいる孤児院の話をすることも、彼女を作っているすべてが輝いて見えるのだ。決して、雲一つない夜空で花火が上がっているからではない。寧ろ、花火にだって負けてはいない。それほど、地雷千里という人物に太刀川は頭が上がらない。

「あぁ……綺麗だな。花火というか、千里。君もな」

 言葉少なに、空を見上げる相手を切れ長の目を綻ばせて見つめながらそう返した。今日ぐらいは見逃したって悪いことではない。折角の時間なのだ。そこに水を指すというほうが悪いことではないだろうか。

>地雷千里様(絡んでくださりありがとうございます。太刀川視点で地雷様のことをつらつらと(ほとんどセクハラ)書いてしまい申し訳ありません汗 気分を害されましたらすぐに言ってくださると助かります)

18日前 No.143

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=W1VemU3zJF

【地雷千里/グラウンド】

千里が太刀川に声をかけると、大きく息を吐かれる。
『千里じゃないか。春瀬高校の目玉イベントだからな、これくらい豪勢でもバチはあたらないだろう』
「そうっすねえ……、俺も、こういうの好きっすよ。あ、ところで先生驚かせちゃいました?さっき盛大なため息?みたいなの出てましたけど」

苦笑を零しながら、自分よりもかなり高い太刀川の顔をしたから見上げる。その見上げた先にある顔は怖い、とみんな太刀川のことを言うが千里はそんなことはないと思っていた。確かに怒らせたら怖い。しかし、怒らせなければ、綺麗なのになぁと千里は密かに思っている。というか一番怒られているのは千里本人なのだが。本人にその自覚はこれといってない。

『俺、花火なんて久々に見ましたよ、先生。小3以来です。綺麗だなぁ……』

その言葉で、太刀川の言葉は遮られてしまい、千里は『おい、千里――』その先に続く言葉を分かっている。というか、知っている。"きちんと制服を着てほしい"的な内容だろう。なぜなら、今の千里の格好は本当に校則なんて丸無視をしたカッコつなのだから。しかひ、そんなことを言われたからとて、直す千里ではないし、直すつもりだっては一ミリもない。そもそもの話この格好が何よりも楽なのだ。ネクタイも締めると苦しい。リボンなんて自分には似合わないと思っているので、絶対につけたくないと思っている。

千里の過去はとても人に話せるような内容ではない。重いので、その過去まで人に話す気はなかった。たとえ仲の良い友達がいたとしても、そんなのを着せるつもりは無い。自分だけで十分だと思っていた。
それに太刀川は千里の一番お世話になる先生。寮長でもあるので早朝とかに走り込みに行く時によく見かけるので軽く挨拶を交わす。その度に『行ってらっしゃい』と声をかけてくれたり。たまに生徒に料理を振舞っているのも目にしている。千里は自炊をしているので、食べたことはないが、噂ではとても美味しいらしい。今度1度食べてみたいと思っているのも嘘ではない。
千里は太刀川の言葉はいい先生だと、思っていた。しかし、それを口にするのは些か恥ずかしい。普段こんなふうに反抗をしているので、なかなか本音で話せなくなっているのだ。

花火を見ていると、不意に隣に立っている太刀川がまた口を開いた。
『あぁ……綺麗だな。花火というか、千里。君もな』

その言葉で千里は視線を空から、太刀川へと向ける。発言の意図がいまいち掴めなかったからだ。
「先生も綺麗だと思いますよ?……俺は、綺麗なんかじゃありませんよ。結構荒んでいた時代がありますから。あ!でも子供の時の写真……親の形見ですけど、その時は本当にちっちゃいので、可愛いですよー、自分で言うのもあれですけど……」

千里は目を丸くしながら、自分の言葉で、自分の思いをたどたどしく伝える。うまく伝わる自信がなくて、不安だが、それでもたどたどしくなりながらも口を開いた。
「……うん、やっぱり花火は綺麗だな……。」

太刀川の隙間から見える花火は綺麗だ。そう思いながら、昔のことを考え、少し寂しくなった千里は軽く頭を降って再び上を向くのだった。

>>太刀川飛鳥様

【いえいえ、とても嬉しかったので平気ですよ((こちらも太刀川先生に思っていることを書かせていただきました((】

18日前 No.144

天傘つゆり。 @crescentxx☆QV1MU4LkMvc ★iPhone=NdVjjr1sXT



【 梅花空木白々 / 食堂 】


 祭りはほんの一瞬の間だった。白々は自分の職業でもある司書としての仕事の全容をノートパソコンに打ち込み終えた時には、辺りはすっかり静かになってしまっていて何処と無く寂しさを覚える。ここまで時間が掛かってしまうのなら先に片付けてしまえば良かったものをどうにも溜め込んでしまう癖が抜けず、ぎりぎりになって他人に指摘されないとやる気が起きないところは自分でもどうにかしないと、とは思っているわりに直る見込みは未だ無いのだけれど。悪い癖ほど、直りにくいものだ。大人になってもそれは変わることなく受け継がれていることに少しだけ反省しながら普段は仕事時しか着けていない眼鏡を外して、背もたれに身体を預けてふう、と息を吐く。


「せっかく着てみたけど、無駄だったかなあ」


 窓の外にぼんやりと浮かぶ大輪の花火に手を伸ばす。当然窓越しだし、その前に空に浮かぶものだから触れられないということは言わずと知れているけれど、何故か触れてみたくなって伸ばした腕が視界に入ると白々は笑い混じりにそんなことを呟いた。
 去年ある人に買ってもらったばかりの真新しい浴衣は白色で足元には赤や青、黄色などが淡い彩の輪を重ねているシンプルなデザインのもので足元には下駄、髪もついでに左側の耳の下あたりでお団子に結ってみたものの終わりを迎えようとしている祭りを前に、ここまできっちりと夏を纏った白々は何処か物悲しそうに腕を下ろす。

 色んな感情を持ちながら、夜の空を彩る魔法のように鮮やかな火の花を眺める白々は「嗚呼とってもきれいねぇ」ふふ、なんて微笑みを浮かべた。




( 大遅刻申し訳ありません……! 花火と聞いたら飛び付きそうなししろですが初回はシリアスで行こうかなーっておもいます、よかったら絡んでもらえると嬉しいですー! )

>>おーるさま

17日前 No.145

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★qxXpJAS7CZ_yoD

【 花三坂直 / 中庭→校舎裏 】


 慣れない接客業に不自然すぎる猫耳カチューシャ、それに加えて迷子案内。無事あの男の子の母親が見つかったから良かったものの、一人ではどうなっていたかわからない。祭りの後片付けも終盤になってきたところで、ふと今日一日に起こった出来事を頭の中で振り返ってみる。思い返すだけでげんなりとして手が止まってしまいそうだけれど、早く終わらせたいのは皆同じなのだから、自分だけがサボるわけにはいかない。いくらか疲れた顔つきで、花三坂直はひとり黙々と作業に取り掛かっていた。
 だから、少しだけ油断していたのかもしれない。祭りの後、つまり後夜祭で、まさかそんなことがあるわけがないだろうと。たかだか高校の学園祭くらいで、そんな――花火なんてものが、上がるはずがないのだ、と。

 直の予想を裏切って、轟音が響く。それは、その音の正体を知っている者には何らおかしいところもない、驚くこともないような、ただの花火が打ちあがる音ではあったのだが。直はびくりと大きく肩を震わせ、思わず持っていた看板を取り落とした。ひっ、と引き攣れたような声まで洩れる。どくどくとけたたましく動き始める心臓、それに追い打ちをかけるような花火の追撃。肉体に直接響くようなそれに耐えられず、後片付けも放って一目散にその場を離れた。おい、と呼び止める同級生の声も聞こえない。ただ今聞こえているのは、続々と打ちあがる花火の音――すなわち、直が苦手とする大きな音、それだけであった。

「……っ、は、嘘だろ、なん……っ! なんで、学園祭で花火なんか……っ、ひ!」

 花火が打ちあがるということで集まり始めるグラウンドから離れるように、人気のない方向へと駆ける。花火の音が響くたびに息を詰まらせ、時折悲鳴を上げつつ、それでも足は止めない。少しでも身構えて居られたなら、此処まで取り乱すことはなかった。何かに追い立てられるかのように、直は薄暗く誰もいない場所へと向かっていく。前すらも見る余裕はなかった。
 やがて校舎の裏に辿り着き、壁に背中をくっつけてそのまましゃがみこむ。両手で両耳を覆い、隅っこで縮こまって小さく震えた。耳を塞いでも伝わってくる振動すらも怖くて、ぎゅうと固く目を瞑る。ああもう、泣きたい。そもそも男子高校生にもなって大きな音が苦手だなんてみっともなさすぎるだろ。でも、こればかりは仕方がなかった。克服しようにも、ひとりでは到底無理な話だ。花火は、何時頃終わるのだろう。結局後片付け、サボっちゃったな。様々な思いが去来する中、直は耳をふさいだまま、はあ、と深く溜息を吐くのだった。


>>ALL様

( 大幅に遅れてしまってすみません……! あと数日ですしかなり面倒臭い状況になっておりますが、宜しければ絡んでやってくださいませ。よろしくお願いいたします! )


( 桜咲祭では絡んでいただきありがとうございました! 迷子は無事母を見つけて帰ったということにさせていただきますね……また機会がありましたら是非! よろしくお願いします^^ )

>>あさしま様

17日前 No.146

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【取金龍菜 / 校舎裏】

ドォーン!

轟音が、校舎ごと慄すように鳴り響いた。後夜祭名物(?)打ち上げ花火だ。
1年生の取金龍菜は何をしているかというと、後片付けを「めんどくさい」といういつもの理由でサボっていた。人の多さを使い、人の喋り声と花火の大きな音に紛れてグラウンドを離れたのだ。少しずつ、少しずつ、1歩1歩バレないように後ろへ下がっていき、ある程度距離をとってから走って逃げた。龍菜に仲の良いクラスメイトがいないからこそできた技だ。もし龍菜を止めてくれる友人がいれば、きっと今頃その友人と話しながら後片付けをさせられていただろう。

「ふっふっふ…この逃走劇も、リュウナだからこそ、ドラゴンだからこそ成せた技なの! …っと、あんまり大きな声を出すと、面倒な人間にバレちゃうじゃないの…」

グラウンドから死角となる校舎の影にひとまず隠れ、ポーズをとってから、包帯をした手で口を覆う。今のが誰にも聞かれていないことを願って、数秒間その場で固まっていたが、誰も気付いていないしこちらへ来ていないようだ。龍菜はほっと息を吐き、気がつかれてしまう前に、と校舎裏へ駆け出す。できるだけ足音も砂埃も起きないように、それでも最速を意識して走り、途中で転がっていた缶を蹴りそうになって飛び越えて立ち止まる。缶を拾ってまだ片付けられていない桜咲祭開催期間限定で設置してあるゴミ箱に向かって思いっきり投げる。缶は綺麗な曲を描いて見事にゴミ箱へ入った。投げたものは百発百中。ドッヂボール名人の龍菜が誇る特技である。シュートを決めれたことに少しドヤ顔をしていたが、すぐに自分はサボりをバレないように逃げていたことに気付き、急いでダッシュして後者裏まで行った――が、そこには先客がいた。
耳を塞いで、目をかたくかたく閉じた、男子生徒。

「そこの人間…何をやっているの?」

>>花三坂直さま【突然ですが絡ませていただきました!】


>>メロさま、神波さま

【絡んでくれてありがとうございましたー!】

16日前 No.147

冬野 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

《 二戸森迷 / 3-B 》

 ――――なんだか良い匂いがする、ような気がした。
ぐったりと地面に突っ伏したまま二戸森はぴくりともしない。指先すら動かさない、瞼を閉じて二戸森はふわふわとした微睡みの世界にいた。しん、とした教室の中、二戸森はただただ地面にへばりついて空腹と睡魔に負けていた、いやいつものことなのだが。


 ふと、誰かの声が聞こえたような気がした。

「――――……んん……死体、じゃねえし…………生きて……はない……つかれた……ぁ……」

 顔すらあげないまま、聞こえてきた声にぼそぼそと答える、眠い、しぬ、おなかすいた、二戸森の頭の中はそれしかなかった。だがしかし声と何やら良い匂いにゆっくりと瞼を開ける。眠そうに目を細めていればひょこり、と何かが二戸森を覗き込む。ぱちくりぱきくり、見覚えのあるその顔に二戸森は幾度か目を瞬かせた。そしてゆっくりと唇を開き、自分を覗き込んだその少女の名前を呼んだ。

「…………あれ……しーちゃん……?」

>> 雫ちゃん、周辺おーる


(いえいえ!事実ですので!! よろしくお願いしますー(*´ω`*) )
>> 雫ちゃん本体さま



《 天津祝 / 屋上 》

 乱れた息をゆっくり深呼吸しながら整える。ふう、と息を吐き出すと祝はこちらを振り向いた蛍の方へと歩みを進める。やっと見つけた、内心ほっとした祝だが慌てすぎてつい指を指してしまった。これは失礼だったな、と反省をしつつ、握り締めた林檎飴をずい、と蛍の方へ向けた。

「えっと……えっと……ほふりはせんぱいを探していたのよ! あっちこっち探したの! やっと、やっと見つけたのよ!」

 慌てすぎて要件を言い忘れたことには気づかないまま、探していたことを告げる。まさかこんなところにいたなんて、ほふりがそう思っていれば蛍はまるで目を合わせるかのようにしゃがんでくれて、優しいなあとほふりは安堵した笑みを零した。

「へっ……花火? あっ……まあ綺麗だわ……わたあめ? わたあめ……たべるわっ!」

 きょとん、とした顔を浮かべる、そして頭上を見上げれば空には大輪の花。あまりの綺麗さにぱあ、といわは表情を明るくした。そして差し出されたわたあめには幾度か目を瞬かせる、少し悩んだ様子を見せたが誘惑に負けたのか大きく頷いた。

 やっぱり要件は忘れてしまったまま。

>> 蛍くん、おーるさま


(こちらこそよろしくお願いしますー!)
>> 蛍くん本体さま

15日前 No.148

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

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15日前 No.149

神波 @thousand00☆hyqkMkn9Rthi ★iPad=BENrHRNU7h

[太刀川飛鳥/グラウンド]

 自然と下がる視線で相手を見ていた。本当に彼女は出来た生徒なのだと唸ってしまう。思考を巡らせ、自分の中だけで収めるはずだった言葉を発してしまった。正直にピンとこない言葉を受けたというのに、意図を掴めないであろう言葉を貰ったというのに不思議ながらもしっかりと言葉を返してくれたのだ。自分の後先考えない言葉を発したことに後悔すると共に彼女の対応の早さに頭が上がらない。
 こちらを目を丸くしながら見つめる彼女と視線がぶつかった。たどたどしくも自分の考えをしっかりと語ってくれた彼女の顔が色づいた光に照らされた。自分の後ろで花火が上がったのだと分かった。彼女の口から『形見』という言葉を聞いて急に背筋が冷えるのが自分で分かった。彼女からすれば『普通』になりつつあるその環境に、彼女のその対応に太刀川は目を少し開いた。綺麗じゃないと言葉を返した彼女は確かに荒れている時期もあったと聞いたことが噂程度ではあるが少しだけ聞いたことがある。寧ろ、年端もいかない時にと考えただけで彼女の心の強さと言うべきか太さと言うべきか。自身の半分ほどしか生きていない彼女に学ぶことはたくさんある。

「……急に変な事を言ってすまない」

 目を伏せて相手に頭を下げた。静かに顔を上げて再度相手を見据える。相手が頭を振ってから再び上を向いた。その視線を追うように彼女も空を見た。未だに途切れることなく空が輝きで満ちていた。空を見る前の彼女がどこか寂しそうな顔をしていたのは見て見ぬふりをした。誰にだって触れてほしくない過去や、知られたくない自分、踏み込んで欲しくない領域というものがある。彼女は、まるでそんなものは無いと言わんばかりに自由で縛られ知らずなのだ。決まりを守らせる側に立つ彼女をどこか苦手に思っていることもあるだろう。それでも、こうやって話しかけてくれる。決まった枠に収まらない彼女だからこそ出来ることなのかもしれない。太刀川が思うような常識の外から飛び込んできては思いもよらない行動を取る。彼女自身がどこまで考えているかは彼女のみぞ知ることであるし、実際はそこまで考えていないのかもしれない。それならば尚更素晴らしいことである。
 一つの考えたに縛られず、自由でいて誰よりも自身のルールを守っている。規則を守らせることに躍起になっている太刀川の目にはそれが大きく映っているのかもしれない。決して口にすることはないであろうが。

「校舎の方ではジンクスだなんだと騒いでいるらしいが……。一緒に見る相手が私で申し訳ない」

>地雷千里様

14日前 No.150

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=W1VemU3zJF

【地雷千里/グラウンド】

千里は、久々に見あげた花火は父と母にも見せたい、と考えていた。それに千里自身がそれなりにだいぶ吹っ切れているので気にすることでもないが、そこは千里の意地悪な、イタズラ心が勝ってしまい、それを口にしなかった。
こんな時でも常に楽しむことしか考えていない。
荒んでいた時はこうして人とも話さなかったので、本当に自分は変わったな、と思うと、自然と苦笑が零れた。苦笑をこぼした時。隣からしゃざいの言葉が聞こえ、視線を再び太刀川へと戻す。
『……急に変な事を言ってすまない』
「やだな、先生。俺は別に謝られるようなことされたと思っていないですよ。でも、そうですね。悪い、と思っているなら、今度先生の料理、食べてみたいですね。誘って欲しいです。」

千里は太刀川の謝罪を聞くと、さも不思議そうに口を開く。しかしその後にぽかんとしていた顔は、ニヤリ、とイタズラを考えついた時の顔へと変化を遂げる。今度、奢ってもらうつもりだ。そもそもの話、毎日スーパーに行くのだってタイムセールに間に合うかどうか分からない。そんな中、人に作ってもらう、というのは楽な話だ。
何となく太刀川の謝る理由は分かっている。おそらく先ほどの形見についての話だ。それなら、自分から口に出したことなので、気にしなくてもいいとは思っていたし、そもそもの話、気には止めていなかったというのもある。たしかに人づてに聞く親の話などは正直羨ましいとは思うし、出来ることなら、親に会いたい。けれど、それは無理な話だ。なので、そこについてはあまり深く考えることをやめている。

自由に縛られないでいきているのは、そんな悲しいことを忘れるための憂さ晴らしの為でもあった。そんな事を話しても仕方が無いので、敢えて口は開かずに、ただただ、自分の今までの行動を振り返る。今思えば、荒んでいた時は売られる喧嘩を買っていただけだな、とかしか浮かばない。
そんな時だった。
『校舎の方ではジンクスだなんだと騒いでいるらしいが……。一緒に見る相手が私で申し訳ない』

「ははっ、そしたら太刀川先生はもしかしたら俺の運命の先生だったのかもしれないですね。それに俺には好きな人ってのはいないですし、そもそもの話、そんな感情が分からないんで……。なので、別に誰とでもよかったんですよね。」

華の高校生とは思えない、恋が分からない。という発言。それもそのはずだ。千里にはそんなことをする暇がなかったし、そんな感情を知らないままここまで来たからだ。
「ですから初恋もまだなんですよ。恋ってよくわかりませんねぇ……。」
苦笑をしながら先生に問いかけるように口を再び開いた
「先生は俺でよかったんですか?一緒に見る相手。誰か見たかった相手とかいますか?」

>>太刀川飛鳥様、周辺all様

14日前 No.151

六花 @firefly11☆EKQhUiXcMD6 ★Android=cWNcKLuyUE

【桔梗 雫/3-B教室】


 まるで死体のような先輩に声を掛ける雫へと、ぼそぼそと小さな声量ではあるが返答が戻ってくる。どうやら意識はある様子、まあ本当に死んでいると思っていた訳ではないのだが、何故だか安堵を覚えてしまう。しかし身体は未だ動かないままであり、本人は死体ではないと言うけれど説得力は皆無である。
 雫が顔を覗き込んだ時、丁度相手の瞼も開いていたらしく眠そうに細められた目が見えた。何度か瞬きをした後にゆっくり開いた口から零れた自分の名に、雫はふ、と笑って返事をする。

「はい、おはようございます。私からはどう見ても死体にしか見えなかったので驚きましたよ……私も疲れました、もう動きたくないです」

 雫は困ったような呆れたような表情で相手を発見した時の感想を告げると、相手の顔を覗き込んでいた頭を戻す。そうしてため息混じりに相手と同じく疲れたと口にしながら肩を竦め、教室の床に腰を下ろして体育座りをした。そこで先程屈み込んだ際に脇へ置いた袋の存在を思い出す。

「先輩、お腹は空いていませんか? もし空いているのでしたら、ここに売れ残りのお好み焼きがあるので良ければどうぞ」

 目の前の彼が此処で死んだように突っ伏していたのは疲れと、もしかしたら空腹の所為もあるのではないかと雫は想定して、ソースの香り豊かな食べ物の存在を伝えてみる。後でお腹が空いた時に誰かと分け合おうと思って二膳の割り箸と共に貰ったものだが、今の雫は別に空腹ではないため、相手が空腹なら一つ丸ごと差し出そうと考えていた。


>>二戸森 迷様、周辺ALL様


【後夜祭も終わりですが一応お返ししますね!続くような感じになってしまいましたが気にしないでください…!
短い間でしたがお話してくださり、ありがとうございました!また機会があればよろしくお願い致します…!!】
>>ニコくん本体様

12日前 No.152

にな @xxx39☆ac5xGKREVv. ★lOuFx1AtBp_mgE

【二千翔蛍/屋上】


 「俺を? ああ、けっこううろちょろしてたからなあ……。ごめんなー? それで、どうしたの?」

 言われてみれば、ずっと落ち着かなかった気がする。中庭に音楽室、職員室に体育館、エトセトラ……。古今東西、今日だけで春瀬に踏んでいない床はないように思える。バレーで扱かれたスタミナを自負する蛍も、そろそろへとへとだ。どうやら祝は、そんな蛍をずっと探し回ってくれていたらしい。それであんなにくたびれていたのかと、蛍は一人頷いた。あんなにあちこち動き回っていたら、見つかりっこないに決まっている。それだけてんてこ舞いだっただけなのだが、どうしたって罪悪感にチクリと胸が痛む。
 それにしたって、そんなになってまで、どうして自分を。目を丸くした蛍は、こてりと小首を傾げた。あどけないその仕草は、蛍には似合わないはずなのに。しっくりきてしまうのは、その笑顔が人懐こいからか。

 「だろー。せっかくだし、一緒に見ようぜ。ほら、わたあめあげるからさ?」

 綿飴で祝を餌付けする蛍は、間違いなく誘拐犯だった。おまけに彼女は十二歳。情状酌量の余地もない。禁固刑五年分の台詞は無意識だった。高校生活最後の桜咲祭のクライマックスに、一人ぼっちも切ないし。地べたなことも気にせず、蛍は相好を崩してアスファルトの上で胡坐をかいた。ただでさえ流行遅れの蛍は、件のキュートなジンクスなんて与り知らない。だからそこに、他意なんてなかった。ただ、祝と一緒に花火を見たいと。このたおやかな時間を祝と共有したいと、そう思っただけなのだ。あーんして、と差し出した食べかけの綿飴に、下心なんてない。八重歯を見せて蛍は、大輪の花火みたいに笑った。

 >>ほふりちゃん、ALLさま

12日前 No.153

天傘つゆり。 @crescentxx☆QV1MU4LkMvc ★iPhone=NdVjjr1sXT

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10日前 No.154

にな @xxx39☆ac5xGKREVv. ★lOuFx1AtBp_mgE

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9日前 No.155

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=W1VemU3zJF

【地雷千里/武道館→コンビニ】

千里はテスト期間で、部活が原則として禁止されているにも関わらず、毎日欠かさず行っている素振りをしていた。

気がつけば、十七時になっており、千里は慌てて帰る用意を済ませ、ふと自分のルームメイトである雫のことを思い出した。今頃どこで何やってんだろう、と思いつつも今はなにせテスト期間。勉強を一緒にやった後、勉強のあとのブドウ糖をとるために甘いものを食べたいな、と思ったが早い。
千里はコンビニへと足を向ける。すると外は大雨で、折りたたみ傘はあるが、乾かすのが面倒だという理由で教室に置き傘をしてあるので、それを持っていってからコンビニへと走っていくのだった。

「……あれ。」
コンビニ前につくと、千里の目に入ったのは傘がなくて困っている人。それもよく見れば、自分の通っている学校の制服を着ていた。千里だって鬼ではない。手早く買い物を済ませると、同じ学校に通う生徒である蛍に声をかけた。

「……どうかしました?……もしかして、傘がなかったりします?……だとすれば、良かったらこれ。使ってください。」

千里はカバンから折りたたみ傘を取り出すと困っている相手の目前に差し出す。
「あ、俺、1年の地雷です。えっと……?」

そういえば名乗っていなかった、ということを思い出し、千里は相手に名前を問いかけるかのように首を傾げた。
「……お名前、教えていただけますか?」

千里は困ったな、という顔をしながら相手に名前を問うのだった────。

千里はスマホを取り出すと、雫に"後で一緒に勉強しない?……甘いものも結構買ってきたから。後で一緒に食おうぜ。"と入れると、再び視線を蛍へと戻すのだった。

>>二千翔蛍様、(桔梗雫様)、周辺all様

9日前 No.156

あさしま @apology ★sjUAJ4OkeA_dB9

【 上野貴衣子 / 自宅→青葉市内 】

 降ってきちゃったな、という父親のぼやきにつられて、貴衣子は工場の窓を見上げた。まさしく大雨と呼ぶに相応しい、四角く切り取られたその風景は貴衣子の肩を落とさせるには十分だった。
 今日は週に二度あるアルバイトの日だ。アルバイトといっても要は実家の手伝いだけれど。兄二人は自動車にはとんと疎く、その代わりに貴衣子は幼い頃から工場で父親や従業員が作業をしているところを見るのが好きだった。高校に入学した頃から実際に車に触らせてもらえるようになり、今ではほぼ従業員の一人として扱われ、良い小遣い稼ぎにもなっている。貴衣子も折角高校にまで行かせてもらったのに、と申し訳なく思いつつも、勉強より自動車整備の方が断然に好きだった。そしてそれは、本来ならば勉強に邁進しなければならないテスト期間中であっても変わることはない。留年さえしなけりゃいいという方針を持つ父親に頼み込んで許可をもらい、部活停止にかこつけてほぼ毎日工場に顔を出しては作業をこなしていた。今年で三年目である。
 馴染み客の車を一通り点検し終えて、リフトの下から這い出る。お次はタイヤ交換だと意気込んでツナギの袖をまくったところで、父親から声がかかった。曰く、これ以上酷く降り出す前に帰れ、と。実の娘だからと大目に見られているのはすぐに分かった。しかし、貴衣子にとってはその言葉は甘言ではなく悪魔の宣告に等しく聞こえた。帰ったら自室で待ち受けるのは教科書と参考書の山である。つまり勉強しなければならない。これ程までに嫌なこともそうそう存在しないだろうが、父親に言われれば逆らえない。
 たまには真面目に勉強してみようではないか。実際にできるかどうかは別としても。
 分かったよ、と返してビニール傘を借り、従業員に声をかけて工場を出る。濡れたアスファルトを辿る足取りも、タオルとペンケースくらいしか入っていないトートバッグも、ツナギと同じ鼠色に塗りつぶされた雲居も、すべてが重く感ぜられた。

「やーだなあ……」

 ポケットから取り出したスマートフォンは「17:03」を大きく表示していた。まだ5時か、と思うと同時に、無意識の独り言がぽろりと零れ落ちた。ビニールを突き破りそうな勢いで傘を穿つ雨音が耳殻の周りを占領する。握った傘の柄が、先ほどまで使っていたスパナを思い出させる。腹減ったな、と急に空腹を訴えてきた脳のせいでまた気分が重くなる。溜息を吐いても湿った不快な空気が肺腑の奥に届くだけで、憂鬱などさっぱり晴れやしない。雨の日は出歩かないに限る、と貴衣子は心からそう思った。

>ALLさま
【結局後夜祭に参加できずじまいでしたので今度こそはちゃっかり参加してやるぞ〜〜!と意気込んでお邪魔します!現在地が曖昧ですがとにかく寮に向かって歩いてはいますのでどうにか絡んでいただけたらな〜〜〜〜と……思います…(他力本願)】

9日前 No.157

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【月冠実果 / 渡り廊下】

「……図書委員会の仕事、みんなもうちょっと手伝ってくれてもいいのに…」

雨降る六月の放課後。
図書委員である月冠実果は、図書室の要らない本を、様々な教室へ、新しい学級文庫の本として運んでいた。本の数は、女子高生のか弱い腕で持つこと自体は容易でも、階段を降りたり廊下を進むには視界が広くないといけないから、そんなにたくさんは持てない。だから人手が必要なのだが、誰も手伝ってくれない。そうして、今週が当番の実果がやるはめになっているのだ。図書室で放課後の番をしながら寝たかった。
はぁ、とため息をついて、次に本を追加する教室がある方へ、廊下を歩む。渡り廊下に出たところで、くしゃみが聞こえた。

「お? 誰かいるのー?」

人影らしきものを端に発見。人影はしゃがみこんでいる模様。
それを確認すると、本を抱えたままとてとてと渡り廊下を歩いて人影につき見下ろす。

「……司ちゃん?」

野良猫と思われる白猫を抱きかかえ、びしょぬれになった小刀称司ちゃんだった。
小刀称司。実果のゆるゆるとした雰囲気が嫌いなのか、よく思われていないようで、フルネームで名前を呼ばれてしまっている。実果は別に嫌っているつもりではないのだが。

「どうしたの、その猫ちゃん」

>>小刀称司ちゃん(勝手に絡ませていただきました!)




【取金龍菜 / 青葉市内】

「蕭々と降り続く雨よ、ドラゴンリュウナの名を元に止みたまえぇ! ……はぁ、やっぱり人間に化けたままじゃあ駄目なの…?」

校門を出たところで、雨が強くなった。
家でゲームをしながら、たまたま寮部屋にあったポテトチップスを食べていたのだが、意外においしく、パクパクと食べていたら無くなってしまったので、雨は小降りだから、と買いに行こうと思ったのだが…雨が強くなってしまった。
傘をさして、どんどん強くなっていく雨に向けて呪文を唱えてみたのだが、全く効き目は無し。
人間界で使うわけにもいかないの、と諦めて、包帯が濡れないように傘を持ち直して、走り出す。ぱっぱと済ませてしまった方がよいだろう。

「……っ…雨、強すぎる、のぉっ…」

タッタッタッとひたすら走っていると、がしゃーんっ、と、龍菜が今来た方へ歩いていく人のさす傘と龍菜の持つ傘がぶつかってしまった。「あっ」と思ったときには遅かった。そのまま傘が相手の傘に引っかかってしまい、手が柄を離してしまい、濡れた地面に落ちる。ザァァァッと降る雨に、龍菜の髪が、髪飾りが、肌が、制服が、包帯が、ぐっしょりと濡れていく。包帯が濡れたこともショックだが、相手に傘をぶつけてしまったことにたいする焦りの方がやばかった。何しろ相手の背が高い、本当に怖い、やばいやばい。

「あっ、あぁあっ、ご、ごめんなさい、なのっ……」

焦った表情で、傘を落としたまま、深々と頭を下げた。

>>上野貴衣子さん(勝手に絡ませていただきました!)

8日前 No.158

冬野 @sweetcatsx☆e0aRNqDUyEM ★iPhone=VHGaT7ZbKj

《 二戸森迷 / 駄菓子屋→コンビニ 》


 ざあざあと雨音が鼓膜を震わせる。そんな中、日曜の朝にやっている女児向けアニメの主題歌を口ずさみながら歩く人影が一つ。

 緑色のレインコート、しっかりと被ったフードには可愛らしい耳と瞳が描かれたそれはどこからどう見ても蛙だった。足元には赤と白の水玉模様のレインブーツ、そして左腕にはてんとう虫模様の雨傘を差し、右腕には駄菓子が沢山入ったビニール袋を引っかけながら歩くその姿は小学生の少女のようだ。

「ふんふふーん、あとはあー、今週発売のアイス買えば完璧だよねえー」

 身長百六十八センチの小学生女児――――もとい、高校生、しかも留年生であり十九歳、二戸森迷である。なんとも人目を引く格好でてっくらてっくら歩く二戸森の行く先は、二戸森達が暮らす春瀬寮から徒歩三分、みんな大好きコンビニエンスストアだ、そして二戸森のバイト先でもある。

「――――あれ、ちいと…………だれだろ」

 コンビニまで辿り着いたその時、見知った姿に二戸森は数度瞬きを繰り出す。よく分からないがとりあえず行ってみよう、そう思った二戸森は二人の方へ歩み寄っていく、何をしているんだろう、そんなことを考えながら。


(なんとも馬鹿みたいな格好のやつですが絡んでやってください!よろしくお願いします…!)

>> 蛍くん、千里ちゃん、周辺おーるさま

8日前 No.159

独楽 @sbluexxx☆rx3sEFPR6z6 ★qxXpJAS7CZ_yoD

【 花三坂直 / 1-A教室→一階廊下 】

 ざあざあ、地面や壁を殴る雨が落ちる音をBGMにして、花三坂直は淡々と、着実にノートを埋めていく。人がまばらな教室内では数人の生徒たちの話し声が聞こえているが、最早気にはならなかった。そもそもどこで勉強するかは人の勝手で、どこで喋るか、いつ勉強するのか、なんていうのも当人の都合上の問題であるのだから、こちらが口出しするような権利はないのだとわかっている。……少しくらい気を遣え、と言いたいところではあるけれども。
 机上に広がるは数学Aの教科書。即ち、直の苦手科目である。他の教科に比べて理解したり慣れたりするのに時間がかかるため、日頃の勉強時間の大半は数学に持っていかれてしまっていた。元々計算が得意ではないというのも関係しているのかもしれない。人には言わないけれど、暗算が苦手なのだ。こっそり指折り計算してしまいそうになるときもあるが、みっともないからやめてこっそりノートの端に筆算して。答えが合っていれば、そして時間が足りるならば、どう解いてもいい。それこそ、泥臭くて、みっともなくても、トップが獲れるのなら。言い訳のように心の中で呟きながら、シャープペンシルを動かす。

 ぽき、と芯が折れたのは、全くの偶然だった。別に力を込めすぎたわけではない。偶然前のページに消しゴムのカスが挟まっていて、それに細いペン先が捕らわれてしまっただけの話。けれども、その小さく軽快な音は、直の集中力を断ち切るのには十分であった。

「……あ」

 そういえば、と。何となく窓の外に視線をやった直は、そこで傘を持ってきていなかったことに気が付く。学校から寮までは僅かな距離ではあるが、されどこの雨の降り方だ。ずぶ濡れで寮に戻って、寮長に怒られるのは面倒だな、と思わなくもない。苦手科目の勉強にもうひとつ憂鬱な出来事が加わって、いよいよテンションが急降下してしまいそうだった。
 おもむろにシャープペンシルを置いて、席を立つ。がたん、と思ったよりも大きな音がなってしまって、教室の後ろの方から聞こえていた声が一瞬驚いたように、怯えたように止まるが、直が怒ったわけではないと気付いて会話が再開された。ちらりとその輪を見てしまったのは別に、羨ましいとか、そういうわけではない。決して。
 鞄から財布を取り出して、そのまま廊下に出る。向かう先は購買。どうにかして、この憂鬱な気分を払拭してしまわなければならないという気持ちがあった。どうしてもこの天気だと、マイナスな方向に思考が向かっていってしまっていけない。ペンが思ったように進まないのも、もしかするとそれが原因なのかもしれなかった。飲み物か、甘いものか。何を買おうか、とぼんやり考えながら、購買に向かう道を歩いていた。

>>ALL様

( 後夜祭は思ったように参加できずすみませんでした……! 今度は時間がとれそうなので、宜しければ絡んでやってくださいませ! )

5日前 No.160

千里 @matunogirl☆JygYpuYd4vU ★Android=W1VemU3zJF

【地雷千里/コンビニ→153号室】

「あ……えっと……、すいません、この傘、この先輩に渡しておいてください。俺、急いでるんで……。あ、あとこの連絡先も。」

千里は、カバンから小さな何も書かれていないメモ帳を取り出すと、連絡先を走り書き、それでも他人に読める字で書き、それをそこに現れた先輩へと手渡す。

「宜しくお願いしますねー!」

そういうが早いか、傘をさして、千里は雨の中雫が待っているであろう寮へと向かった。その途中、人とすれ違ったが、ペコリと挨拶をしてから再び走って寮へと向かった。

寮へつくなり千里は部屋へと走って向かう。恐らくこれが後夜祭で話した太刀川に見られたら、恐らく後で呼び出され、怒られる結果でしかないだろう。部屋の前つくと、部屋を開けながら、千里は声をかけた。

「たっだいまー!雫ー、帰ってるー?」

>>コンビニall、桔梗雫様

【失礼ながら、先に離脱させていただきますね……。桔梗雫様の本体には許可はとってあります。】

5日前 No.161

あさしま @apology ★sjUAJ4OkeA_dB9

【上野貴衣子 / 青葉市内】

 帰ったら何しよう、と歩いている内に当初の目的をすっかり忘れた貴衣子は、半ば無意識的に帰路を辿っていた。
 同じクラスで仲の良い奴らと遊ぶのもいいかもしれない。部活動禁止中にもかかわらず勝手に体育館を開放していたりするかもしれないから、体育館も見に行ってみるか。いなかったら大方寮かコンビニあたりにでもいるんだろう。あいつらのことだから勉強なんかろくすっぽやってないだろうし、誘ったらレースゲームでもトランプでもバスケでも何でも付き合ってくれるんじゃないか? とりあえず連絡入れてみるか。
 そうと決まれば行動あるのみだ。貴衣子はツナギのポケットからスマートフォンを取り出して、未だ使い慣れぬSNSアプリのアイコンをタップした。どこを押せばトーク画面が開くんだっけ、と初歩の初歩段階から早速指をさまよわせる。
 貴衣子が文章の打ち込みに必死になっていると、前方から思わぬ衝撃。予想だにしていなかった展開に貴衣子の身体は大きくのけぞった。うお、と声が零れる。
 傘同士がぶつかるにしては大袈裟な音がこだまして、貴衣子は後ろにいくらかたたらを踏んだ。その拍子に踵が突っ込んだ水たまりを撥ねさせて裾を濡らしてしまったようで、あの不快な冷たさが足首にまとわりついてきた。
 貴衣子が体勢を戻したときには、既に相手は頭も肩も胴も足も全てを雨露に晒していた。にも関わらず深く深く頭を下げ続けるので、思わず目を剥いた。

「いやいやいや謝るのとかいいから! ずぶ濡れじゃんか!」

 反射的に自分のさしていた傘を傾けて、貴衣子より頭一つ分ほど低いその少女から雨粒を遮る。雨の薄曇りに溶けてしまいそうな色の髪からは絶え間なく雫が落ちて地を穿っている。

「前見てなかった私が悪いんだ、ごめんな。よかったらこれ」

 使ってくれ、とトートバッグからタオルを取り出して差し出した。端に実家の工場の名前が印刷されている、色気や可愛さの欠片もない代物だが、水分を拭き取るのに色気や可愛さは必要あるまい。それに、貴衣子だってこんな作業用のタオルを誰かに差し出すようなことが起こるなんて思ってもみなかったのだ。

>龍菜ちゃん、周辺allさま

【絡みありがとうございます〜〜〜!】

2日前 No.162

@purple3ru ★iPad=o1RdeKbLL2

【取金龍菜 / 青葉市内】

>>いやいやいや謝るのとかいいから! ずぶ濡れじゃんか!

>>前見てなかった私が悪いんだ、ごめんな。よかったらこれ


焦った声とともに、自分の上に降る雨が消える。えっ、と顔を空へ向けると、水滴のついたビニールが視界いっぱいに広がっている。自分が相手に助けてもらったことを理解して顔を正面へ戻すと、シンプルなタオルが龍菜の方へ出される。
どうやら、背は高いが怖い人ではないようだ。差し出されたこの厚手の絹織物からもわかるように、飾らない人のようだ。とりあえず恐怖心は和らいだ。
そして、人間の常識に合わせた行動と思考を行なっていることに気付き、慌ててドラゴンモードへスイッチを切り替える。表情とポーズと雰囲気が微妙にキリッとした。

「ふ、ふんっ。傘、ありがとうなの。これが余裕も誤解を解く気もない奴だったらお前はもうこの世にいなかったの。リュウナは下等生物である人間にだって、感謝を言える良いドラゴンなの、感謝するといいの!それと、このタオルもありがたく使わせてもらうの……リュウナも走ることに集中していて周りを見てやれなかったの……ごめんなさい、なの」

偉そうに腕を組んで睨むように相手を見、奪うようにタオルを右手で取り、目を伏せながら申し訳なさそうに謝った。表情のコロコロ変わる奴である。
気まずそうに地面を見つめながら、1番に腕の包帯についた水滴を丁寧に拭きとり、「…あとで巻き直さなきゃ」と小さくぼそりと呟き、角のような髪飾りにもタオルを当ててから、長い髪を軽くぽんぽんと最低限雫が落ちない程度に挟み、包帯の無い方の腕も拭き、服や脚も軽くタオルで揉み、数分かけて拭き終えた。
そして、軽く湿ってしまったタオルを申し訳なさそうに両手に乗せ、自分が相手と相合傘状態であることに気付き、慌ててひっくり返った自分の傘を拾って中に溜まった水を落とし、無意識に左手でタオルを握りしめ、

「じゃ、じゃあリュウナは急いでるのっ…タオル、洗って返すので!」

傘についた水滴でまた体を軽く濡らしながら、リュウナは走っていった。

>>上野さん、周辺all

【追いかけてやってもいいですし、「あ、うん…」みたいな感じで別れてもいいです!】

1日前 No.163
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