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魔女の【ヴァルトラウテ】

 ( オリジナルなりきり )
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Gothic×仄暗いファンタジー×剣と魔術の戦争 @nisemodoki ★hELxStGP5l_8ER

「 北東端の大地に魔女が巣食った日。200余年程前のあの夜。
 大魔術師の血が治める大地”ヴァルトラウテ"は呪われた戦線と化した。

 首都・主城内で突如発生した「始祖の魔女」は領主であった大魔術師を殺害。
 その後強大な悪魔を駆り、ヴァルトラウテの北東部に広がる都市”グリムローゼ”を焼却。壊滅したその地に常夜の深き森を生み、大悪魔と共に占領した。
 「始祖の魔女」は大悪魔との間に数多の子をもうけ、生まれた子達はグリムローゼの魔女となり、罪無きヴァルトラウテの民を喰らう。

 ーー”グリムローゼの暗き森”に近づいてはいけない。"ヴァルトラウテ"の民は魔女の贄、生命は全て魔女の物。ーー 」


 ヴァルトラウテとその周辺の地域に伝わる史実。「始祖の魔女」の現れた夜から数世代を経た、今に生きる民の持つ歴史。
全ての始まりである200余年前の夜。あの日あの夜から、魔女達は大魔術師の民を喰らい糧とし、眷属に貶める。大魔術師の子孫である領主は軍と魔術を用い、領民を喰らう悪い魔女を打ち倒す。
それがヴァルトラウテ、大魔術師の大地であったこの地で暮らす者の日常。魔女の支配する夜に怯え、呪われた永別を悼みながら、其れでも生きて朝を迎えられることを喜び合う人生。

領主たる王はいずれ「始祖の魔女」の住む北端の城を攻め落とし、呪われたグリムローゼの暗き森は焼き払われるだろう。
悪逆の「始祖の魔女」はヴァルトラウテによって滅ぼされる。……そんな未来が、勇者伝説に憧れるヴァルトラウテの子ども達、いや、領地に暮らす誰もが夢に見る幸せな結末。


だが、現実は違う。

真実のあの日は。魔女が生まれたあの夜は。

**


あの夜を、「始祖の魔女」の真実を知るのは唯ふたり。


**

語られぬあの夜の惨劇。主城のどこかに隠された、作者のない古びた書。

「 その”夜”までは、まだ一帯が全て大魔術師の支配下にあった。
 伝統的にヴァルトラウテの血縁の者達、特に貴族の間では、悪魔を召喚し使役する魔術の研究が行われていた。
 領主家である大魔術師XXXX・ヴァルトラウテの家も例外ではなく、彼は強力な魔術と膨大な魔力を駆使して、大悪魔XXXXXと呼ばれる高位の悪魔の召喚に成功する。
 大悪魔側から持ち掛けられた「領主家で次に生まれる”娘”が10歳の誕生日を迎えた際に悪魔に差し出す」ことを条件に、当時の領主でもあった大魔術師は大悪魔と契約し、長きに渡りこれを使い魔として使役した。

 その後大魔術師の家系はいくつかの代を数え、大悪魔との約束であった娘たる女の子が誕生し、10度目の誕生日を迎える。

 しかし、大悪魔との契約であるその夜、娘の引渡しは行われなかった。誕生日を祝う席の折、子孫を差し出すことを拒んだ大魔術師は、”娘”に手を出そうとした大悪魔をその魔術によって退け、強制的に大悪魔が元いた世界へ還してしまうことを試みる。怒った大悪魔は、娘の引渡しを拒否した裏切りの大魔術師を殺害、更に領主城にいた大魔術師の縁の者、招かれていた民すべてを惨殺する。

 そして誰もいなくなった城で、改めて大魔術師の血族の娘に襲い掛かり、彼女に呪いを掛け記憶を奪い、魔女に変えてしまった。
 大悪魔と魔女はグリムローゼを支配すると、その地の民を眷属に変え魔女を増やした。そして大魔術師の血族とヴァルトラウテの民に更なる報復を与える為、グリムローゼの魔女達に罪も無い領民を襲わせるようになった。

 大悪魔と魔女が去った後、ヴァルトラウテ主城に唯一人残されていたのはXXXXXXXXX 」 ーー(どこかの誰かの古い手記)


 あの夜に至るまでのこと、「始祖の魔女」の真実、あの夜の後領主として台頭した男の素姓、手記に遺された事実全ては隠された。

ヴァルトラウテは悪魔を使役する魔術によって繁栄した地であること。
大魔術師の裏切りによって悪魔に背反され、多くの者は魔術が使えなくなったこと。
グリムローゼの悪魔は、かつて大魔術師の同胞であったこと。魔女は全て、大魔術師の血を分けた娘達であること。

全ての答えの無い儘に。

或る者は魔女を殺した。或る者は魔女に祈った。また或る者は悪魔へ堕ちた。

“あの夜”を、主の思惑さえ、何一つ知り得ぬ儘に。



**


だが、人が知り得ぬのは過去のみに在らず。


**


亦同じく語られぬもう一つの頁。未来を記した過去からの遺物。


ーー「緋色の月が満ち、大地の全てを飲む夜。
数千の月日に唯一度訪れる魔の春。グリムローゼが迎える緋き黎明の日。

悪魔の祝宴の夜。
緋き月の力を得た六魔の呪いの手前、
魔術師の血”ヴァルトラウテ”でさえ、永久の宵闇と夜霧によって、全てを覆い尽くされるだろう」ーー(大魔術師の未来視による手記)


大悪魔が「始祖の魔女」と共に去りて後、ヴァルトラウテ城に遺された最期の紙片。
血で記された破滅の詩。その頁を詠む者は、あの夜を越えることが出来た彼の者ひとり。


**


緋色の月が満ちる夜、ヴァルトラウテは呪いに焼かれ、大地すら残さず夜に飲まれる。……男に残された時間はそう長くはない。


「悪魔の夜が来る前に、あの憎き……を……、そして愛しいあの娘を……。」



        ーー 緋の月が昇る夜まで後 五つ月









【あけましておめでとうございます。2017年もよろしくお願い致します。

 少し前のスレのリニューアル版です。魔女×人類の戦争、剣と魔術のファンタジーと退廃的な空気がメインのスレになるかと思います。なりたい。
 PC含むキャラクターの死、それに類するネタを含みます。好きな方、許容できる方のみ。
 あらすじその他詳細はサブ記事まで。とりあえず詳細説明が終わるまではレス禁でお願いします……。】

メモ2017/05/03 01:23 : 点呼中 @nisemodoki★hELxStGP5l_emT

進行中 緋の月の夜まで…

★あと四つ月(http://mb2.jp/_nro/15494.html-104#a

基本方針 ヴァルトラウテ>>108 グリムローゼ>>106

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沙穂 @persona ★iPhone=l8QroD8Fr4

【アラン・ショルチェネフ/ヴァルトラウテ城下街】

吹雪の中、近く存在に気づいたであろうこちらを向いた彼女のその顔を見て息を飲む。さきほど軽々しく美しいと言ってしまったが、それ以上の……言葉では形容することができないほどに美しい顔をしていた
が、しかし。こちらの問いを聞いた目の前の女性が表情を歪ませる。
恐らく笑っているのだろうが……しかしアランは彼女から自身に注がれる視線がいっそう鋭くなっている事を認識し、少しでも対応を間違えればそこいらの騎士の様に容易く殺されるであろうといった緊張感に支配されていた

「名乗らずにいた無礼にどうかお許しを、私はアラン・ショルチェネフ……ヴァルトラウテの民にして、魔女を崇拝せし教団に所属するものです」

敬意を示さなければならない、と頭を垂れて自身の身の上を明かすアランはこの吹雪の中、ツ……と背中を垂れる汗に若干の恐怖を感じていた

「私にはとある目的がございます、現世では倫理的に不可能だとされ、神などは聞き入れてもくれないであろう願いでございます。
ですから、私には魔女の秘術が必要なのです……その為ならば、倫理や理性を捨てることなどどうとも思いません」

まるで挑発するかのように色気のあるその体を見せつける目前の女性を、視界に入っていても見てはおらず
彼女の問いかけにも具体的に答えずにいるのは、やはり『死者を蘇らせる禁断の秘法』を求める事を知る人は少ない方がいいという判断だろうか

(いえいえ、こちらこそ大分遅筆ですみません!)

>>イヴ、ALL

2ヶ月前 No.94

募集中 @nisemodoki ★iPhone=6OBHeQDJR0

【ミシャエル/グリムローゼ境界】

結局気が付けば冷たい雪に抱かれて身体を横たえていた。ナイフで穿たれた傷は呼吸と鼓動の度に熱いような痛みを伴い、彼の下に敷かれた白い雪にじわじわと赤い血が拡がっている。全身から血の気が引いて、青白い顔をしているのが自分でも認識出来た。危機を感じる程の嫌な寒気も吹雪のせいだけではないだろう。
当たる箇所を調整出来た何本かのナイフはすぐにどうにかなる程の傷ではなかったが、魔女の手で背中に突き立てられたものは致命的だった。いっそ即死であったら魔女相手に雪の中に倒れるという無様な気持ちになることもなかっただろうが、どうやらそれは魔女の方も同じらしかった。お互い即死でなかった事が幸運だったにせよそうでないにしろ、このまま放っておかれたら極寒の中で力尽きるのは明白だ。

「…………。」

唐突に始まった魔女の語り、それに対する彼の反応は無かった。聞こえていないわけではない。既に口を開くのも憚られるほど弱っているだけだ。
実は内心では道連れが出来たと喜ぶ彼女に対して、此方はこんな所で魔女一人程度の伴侶にされたくはなかったと最悪な気分になっている。可能ならば雪の中に落ちている先程まで振るっていた剣を取り直して、つらつらと独り言のように言葉を並べる魔女に引導を渡していただろう。しかし雪原に斃れた身ではそれも許されない。

意識はあるのか、と言う彼女の問い掛けに対し、一応起き上がろうと試みるが、やはり上体がほんの少し浮いて被っていたフードがズレただけだった。最早伏して漸く呼吸と共に身体を上下させることしかできないが、夕陽色の髪は吹雪に激しく煽られている。
こんな様子では、「死にたくないなら協力しろ」などと言われても、選んでいる余裕などある訳がなかった。此処で彼女と共に朽ち果てるのが騎士の矜持であり、ヴァルトラウテの駒でありながら魔女に協力するというのがどれ程馬鹿げた行為であるか、それすら理解できないほど、既にまともな思考能力など残っていなかったのである。

死の淵にある恐怖と寒気、更に刺し違えなければならない程に追い詰められておきながら魔女を仕留め損ねたという未熟にとっくに心を折られていた彼は、返事が出来ない代わりに血で汚れた手甲に覆われた腕を彼女の方へ漸く伸ばす。血を失い過ぎた指先が、金属の手甲越しにも分かるほどに震えていた。

>ジュリアス
【大丈夫ですよー。】

1ヶ月前 No.95

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

【イヴ=ティフォン/ ヴァルトラウテ領 城下町】

猛吹雪は彼女らを中心に白濁と遍き尚、勢力を衰える事なく白の化粧で包んでいく。その凍える程の猛吹雪の中で、黄金の輝きのない双眸が鷹の如く鋭い眼差しに対し男は屈しこの寒さよりも恐怖が勝り汗を滴らさせる。男はイヴに対して最大限の敬意を表して己の名を名乗り頭を垂れる。
イヴは恐怖による緊張感に支配されながらも誠意を見せたその男の人間らしい様子をみて、鷹のような鋭い眼光と亀裂の笑みから、乾いた眼差しながらも穏やかな表情と元に戻して男の言葉に耳を傾ける。男の名はアラン、魔女達を崇拝する教団に所属し現世の倫理に反する願いを持つため、あるもわからない秘術とやらの存在を信じ、ただこのような殺戮などの倫理に反する行為を繰り返しているらしい。
イヴはその男の行為と願望による理由でこちらの接触を試み、絶対的な力の差をすぐさま理解する賢明さに対して、満足そうな表情をした後、先程とは考えられないような軽く慈しむようなしかしどこか見透かした目をしつつ穏やかな表情に変え、相手に近寄り頬に手を当て口を開く。

「…賢明な判断だ…そう…その素直さこそが人があるべき姿だ…。アラン…と言ったか?頭を垂れる必要はなし、汝の目的はあい判った…。…神々からの意に反し、倫理に背く程の願いとはさぞ重い願いなのであろう…。」

心地良い静かな穏やかな口調でゆっくりと誘惑するかのように話しかけ、男の頬に手を当て頬を撫で始め、顎を指でなぞると手を止めると、黄金の双眸で相手の顔を見つめた後、男の首から下げられてる小袋に眼差しを向けゆっくりと空気を吸うように呼吸をした後再び男の顔に視線を向け。


「…成る程…、倫理に背く程の願いか…。人智を超越し神々から賜った物は天の理り地の自明である…人の物とせしむのは烏滸がましい…と、…その様な現を抜かす現世ではさぞ叶えられぬわなあ…“死した愛しき者の蘇り”など…。…しかし魔女如きではそれは難しかろうな…だが汝は運がいい…。」


何もその様な発言していないのにも関わらず、輝きの無い乾いた黄金の双眸は相手の心中に悟りをかけるかの如く、慈しみの表情の奥深くに移る闇よりも深い暗黒がその全てを見透かし、男の願いを無下にする事はなく淡々と語っていくと、黒い霧が背中から充満する。


「…真名と正体を晒すのは我らが道理に反すが、汝の想いに応えよう…、…我が名はイヴ=ティフォン…。…この地の者らの脅威であり、我らが王始祖の魔女と共にある者と言えば…判るか…?」


己の名と正体晒すと同時に、黄金の眼差しを見開けば、充満した黒い霧は暴発し街でばら撒いた黒い霧の様に、城下町の各住宅に霧散していく。霧散させた黒い霧を眺めた後、笑みをこぼしながら再びその黄金の双眸で男を見つめていた。



>>アラン、ALL

1ヶ月前 No.96

沙穂 @persona ★iPhone=ivBmoGTXZF

【アラン・ショルチェネフ/ヴァルトラウテ城下街】

名を呼ばれて頭を上げたアランは、イヴと名乗った目の前の女性の表情が先刻見たモノとはまるで違っていることに気がついた。それは、聖母だと名乗られれば信じてしまいそうなほどに穏やかで
しかし、その瞳はアランの内に渦巻く闇よりも昏い闇を孕んでいて再び背筋を凍らせる。

「倫理など、妻が死んだ時に共に死んだのだろう……であれば、それに背いた罪の重さなどなんとも思いません」

頬に触れ、撫でるその指ひとつひとつに自然と意識を集中させてしまい、思わず秘匿していた心情を吐露してしまう
彼にとって妻こそが世界の全てであった。ならば、この罪こそが彼と妻を繋ぐ絆なのだと……そう言わんとするかのように断言する

「始祖の魔女に連なる存在……この国のお伽話にある『突如魔女を伴って現れた悪魔』でしょうか、それならば私の願いを知っているのも無理はないです」

自身の願望を言い当てられ、更に古くから親しんできたお伽話の存在が目の前に現れてなお、さして驚いた表情を見せないアラン。驚く間もなかったのだろうか

正体を明かしたイヴが発したであろう黒く深い霧の中で輝く金の瞳に、アランはまるで吸い込まれそうな感覚を覚えていた。

>>イヴ、ALL

1ヶ月前 No.97

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

【イヴ=ティフォン/ ヴァルトラウテ領 城下町】

白濁の嵐に呑まれた町は、闇に棲みつく者らには格好の狩場でもある、現に魔女達は今まさに騎士達に牙を向け、主の命により狩りを始めている。光に生きる者達にしてみれば、凍てつきや暗闇に潜む敵に視界を奪われ蹂躙される恐怖に怯えるが、騎士達は果敢にも諦めてはおらず、対策を練り撤退し、そしてヴァルトラウテの中に居るこの吹雪の元凶である悪魔を突き止め、神に報告しに行く。
ただし騎士達は、今まさに重大な事を見落としてしまうことになる。


近くの者ですら視界を遮る吹雪は、通路の真中にいる2人の男女の影を隠しており、轟音のおかげで何者にも悟られぬほどであった。
呪いを使うまでもなく、全てを見透かされ、逆らえぬ絶対的存在に畏怖しながらも、男は尚も冷静に言葉を選び包み隠さず目的を正直に話す。
その様子を見てイヴは満足そうに軽く笑みを零せば、慈愛に満ちた少し哀れんだ表情をして相手の耳元に顔を近づけると、優しく抱擁し囁くように口を開く。

「…嗚呼悲しかろうな、その愛しの者は汝に取って此の世の全てだったのであろう…。恐らく汝は愛しの者から現世で生きて欲しいと願われたのか…?それならば尚悲しかろうな…、此の世の全てであるその者が居らぬ生き地獄の日々を味わったのであろう。願わくばまた逢いたい…蘇ってほしい…ただそれだけを望んだのであろう…。だが神は力を有しても尚…傲慢にも汝の妻を返さず…人々は汝を倫理に背くと抜かしたのか…?…嗚呼…なんとも悲しかろうな。」

些細な希望を旨に生きゆく男に対し、ただ哀れみ優しく慈愛に満ちた女神の様に男を抱擁し、心地よい口調で言葉を巧みに操り、最大限の愛情で接した後、抱擁を解き男から離れれば、先程己の存在の質問に対して黄金の双眸で男を見つめ、白銀の髪を靡かせながら応える。


「…突如魔女を伴った悪魔…か…、クカカ…光に生ける者らは随分と都合の良い語りを作るのだな…。…おっと…すまない、それはどうでも良いことか…。…汝がどう思おうが汝次第だが、我は光ある物全てを闇に返す者…、そして神に捨てられし者達と共に理想を叶え創り上げる者だ…。…今一度問おう…悲しき者よ…、汝は闇に生ける我に何を望むか…?」


ただ先行く望みの薄い暗闇に行き彷徨う弱者をイヴは決して見落としはしない、不気味な黄金の双眸とは相反して慈愛に満ちた妖艶な表情で、男の望みを叶えようと言わんばかりに手を差し伸べる様な言い振る舞いをする。其れもその筈、手を差し伸べる者に対しては決して嘘を抜かすことはない、彼女には絶対的な自信があった。


【ちょっと見透かしすぎでやりにくいかなー…と思いましたら遠慮なく言ってくださいませ。】

>>アラン、ALL

1ヶ月前 No.98

スサ男くん @kodai4370 ★iPhone=oEFHNYSczy

【ジュリアス/グリムローゼ境界】


返事は…ないか、向こうはどれだけ強がろうとも所詮人間。常軌を逸する生命力を持つ魔女が少しおかしいだけだ。彼は間も無く死ぬ、それ以前に自身がようやく殺した魔女の手を借りて生き返るなんて騎士としてはまっぴらごめんなハズ、少なくともさっきまでの私なら死ぬことを選んでいただろう。

でも多少勢いを削げたし、少しぐらい贅沢してもバチは当たらないだろう? それに好奇心というやつか、ちょいとばかり興味が湧いた。その生き様を最後まで見届けてやりたい、精神がボロボロに朽ち果てる瞬間を嗤ってやりたいという「願い」と共に。それに私ばかりが助かってもフェアじゃない、人間だろうと魔女だろうと全てにおいて平等でなければならない。まぁ今考えた言い訳なんだがね。


「何か」が近くにあると感じ伏した彼向けて顔をゆっくりと回転させる。やっとこさ動かしているような震える手、やはり予想以上に衰弱している。

「協力…ということで……ハァ…受け取らせて……もらう……けど…その身なりじゃ…声すら…上げられそうも…ない…ね……ちょっと……計算が…狂った…わ」

口を開いた反動で口内からビシャァっという音と共に生暖かい血液が勢いよく飛び出し、顔面を覆うように降り注いできた。貫かれた胸傷からも盛大に血が吹き出し、あらぬ方向へと飛び散って行く。後少し、後ほんの数メートルだけでいい、を見向きもしない他の魔女達がこちらに近づいてくるだけでいい。


いや待て、まだあるではないか。原始的だがとっておきの方法が。しかしやれば大出血は免れない、痛みを感じないほど麻痺も強くなってきているし時間との勝負になるだろう。
だから頼む、誰か来てくれ!


「ウゥグッ…ハァ…ハァ……誰かァァ! 助けてェ!まだ生きてる兵士がいるわ!た、助けてェェェッ!…」


我ながら恥ずかしい、しかし雪を踏む足音がこちらへ向けて聞こえてくる。ナイフが丸ごと使い物にならなくなったこと、そして彼が予想以上に弱っていたようで多少戸惑ったが、ようやくツキが回ってきたぞ。

>ミシャエル、All

1ヶ月前 No.99

沙穂 @persona ★iPhone=ivBmoGTXZF

【アラン・ショルチェネフ/ヴァルトラウテ城下街】

「そうだ、私は悲しい……なぜ妻だけが死なねばいけなかったのか!なぜ!なぜ!……そんな私の疑問に応えてくれる者などおらず、ただ平凡に生きている他人を妬ましく思う日々でした」

まるで娘ほど若く見える女性に抱きしめられ、自身の本心を自覚するような事を話し始める
他人を妬み、世界を恨んだ男は……ただ妻を愛していただけだと
そうしてアランの短い独白が終わる。

話の流れがこの国特有の昔話へと移るとイヴの目つきが変わる。「都合良く話を作る」その発言から察するに、恐らく事実とは違うのだろう……出会って間もない為、真偽は不明であるが
などと考えていたが、その後に話された内容によって先程の考えなど浅慮であると思い知らされる
イヴは「神に捨てられし者達」と言った、複数形ということは。いるのだ、アランと同じく世界を恨む者が
それも複数、しかもなんと言っていた……?彼女は出来るのだ「理想を叶え創り上げる」事が。

「私は、死んだ妻を生き返らせたい……その為に、私は何をすればいい……?」

アランにとっては罪を被ってまで渇望したものが手に入るのだと、そう確信できた。それならば、迷う事など無い

【いえいえ、だいぶ助かっておりますー、むしろ結構滅茶苦茶な文章になってしまってすみません】

>>イヴ、ALL

1ヶ月前 No.100

募集中 @nisemodoki ★hELxStGP5l_k1j

【ミシャエル/グリムローゼ境界】


『その身なりじゃ…声すら…上げられそうも…ない…ね…』

 もうこんな様では悪足掻きするよりも、さっさと昏倒してしまった方が楽だ。心の底では薄々気が付いていた事実を、彼女に言われて漸く理解した。端から見ても、この有様はあまりに酷いのだと。たとえ幾らかの偶然で今この雪を生き延びたとして、主の居る城下まで戻ることは叶わないだろう。もはや雪中に骨となって埋もれるか、魔女の糧となるしか道はないらしい。

 騎士として撃合いで負けるのは悔しくないわけでもなかったが、かといって彼女を怨む気にもなれない。戦場に在っては殺害に罪などない。魔女であれ悪天であれ、何に身を滅ぼされようが仕方のないこと。時折現れるあの黒霧の傾城の殺戮を見ていれば、それだけは嫌でも理解していた。だがそれは魔女だけでなく騎士兵士であっても同じで、むしろ今まで斬り捨ててきた数に比べれば、彼一人の命など魔女達には軽過ぎるかもしれない。戦場に、此処に現れた時点で、心を決しておくべきだったのだ。

 ヴァルトラウテの血統に奉仕する誓いを立てたのはいつだったか。その頃には身命を賭することを覚えていたのに、いつの間にかヴァルトラウテの当主を、ジルベルトを訝しんだせいで忘れていた。何にしても、こうして斃死する淵になってから漸く思い出したところで遅過ぎる。

「…………。」

 とっくに混濁した不明瞭な思考の中にあってさえ、意識のあるうちでは目を閉じて暗い安息に落ちることも出来なかった。身体が動かなくとも、声が挙げられなくとも、まだ彼の目は機能している。
 燃えるように緋い色の月と、血の滲んだかの如き赤黒く濁った虚空、黒く澱んだ呪い沈む土地。何処の景色かはもう判らない。在りもしない幻想かもしれない。血が回らなくなって幻覚を見ていないとも言い切れない。

 だが夢のようなそれも、すぐ側で耳を劈く魔女の叫びと共に現実に帰され、不意に見えなくなってしまった。歩みと声を失い、身体の感覚を失くし、ついに視覚さえ暗闇に消えた。何もないところに傍らの魔女の大声と、誰かが雪を踏んで此方に近づく足音だけが響いていた。ほとんど声にならない声でふと呟いて、彼は動かなくなる。


「やっぱりちょっと、寒過ぎるな…………。」


 雪に顔を伏せた彼の体の上に、白い雪が溜まっていく。おそらく触れれば氷の如く冷たいだろう。


>ジュリアス【すみません、ちょっとリアルが多忙になるのもあって一旦回収します。そのまま転がしといても仕留めても、というか何してもいいのでお任せします。

 ありがとうございました。】

1ヶ月前 No.101

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【ミレーナ/グリムローゼ フライア川付近】

「流石ねゲーテ。残忍で猟奇的よ」

ミレーナのお願いに答えたゲーテへ恍惚の表情でそれを見る。ミレーナの一存で再び黒棘が蠢き、鞭のように近くの騎士を薙ぎ倒す。ミレーナの隣には一仕事終えたフギンとムニンが守護をする様に守っている。

そして、ゲーテは周囲の状況を鑑みてミレーナを帰すことを決めたようだ。だが、それにミレーナはご不満らしい。

「むー、まあ、いいわ。充分お外で遊んだし、フギンとムニンもいい運動になったでしょ?」

ミレーナの問に2匹は「わふ」と答える。主の行く先が自分達の行く先なので、拒否する理由はどこにも無かったりする。

「それじゃゲーテ、また遊びましょ?傷ついた子がいたら連れて帰ってあげてね?」

ムニンに跨ると、風のような速さで城の方へ走って行った。

≫ゲーテ

1ヶ月前 No.102

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

【イヴ=ティフォン/ ヴァルトラウテ領 城下町】


「この世は総じてそれが運命と言う…、己らの無力さを棚に上げ…汝のような悲しき者の心を抉るかのように…傲慢にも…偽善を振り翳すのであろう…さぞ憎かろうな…。嗚呼…できれば汝にはさらなる力を与えてやりたい…。」


男が己のうちに秘めている憎しみと本心を曝け出せば、その様子を見てイヴは憎悪と悲しみをもつその男の表情に対して慈愛に満ちた表情で崩さぬまま、男の願いを聞き入れると、吹雪により白銀の髪を靡かせながら再び口を開く。


「…我らは時期この地を闇へと誘う…、さすれば汝の願いも叶えられよう…。だが…平穏に入り浸るこの地の者共らに我の存在を知り、恐怖を与え、神の加護を奪わねばなるまい…、その為にも…我らに協力する光にも生きることが可能な人間が必要なのだ…。」

今は月光が際立ち、太陽の光が入らぬためここまで侵入する事は可能だが、昼になればこの地は光の加護が強くなり自分はまだしも闇で生きる他の魔女達だけではかなりの危険を被る事になる、その為にも昼にでも活動できる人間の協力者は必要なのである。
イヴはこの地の領民達に、大悪魔がこの地に顕現したという恐怖を与えるべく男にさらなる指示を与える。

「…汝はこの地に残れ…、これから光の者達の動向を伺い我らに知らせよ、無辜の民をこれからも派手に殺戮し…恐怖を与え我らの存在を知らしめよ…、または捕らえてフライヤ川で贄を捧げるのだ…」

そう男に命じれば、纏っていた黒い霧を各建物へと霧散させれば、男から背を向けて雪道をゆっくり歩み始めていく。

【取り敢えずここで別れるか付いてくるかは判断を任せますねー。】


>>アラン、ALL

1ヶ月前 No.103

あと四つ月 @nisemodoki ★iPhone=6OBHeQDJR0

雪解けと共に薄っすらと緑が顔を出す筈の初春の月。この年は未だ雪がヴァルトラウテの地を覆っている。

然して、それは名残の雪などではなく、魔女達が遺した傷痕に他ならない。グリムローゼから噴き付けた魔性の豪雪はヴァルトラウテの民を襲い、またその地の多くを深い雪景色へと変貌させた。いずれ全てが溶け行く頃には、雪原の下から多くの遺骸が顔を出すだろう。
多くの人命と尊厳を魔女に狩られたヴァルトラウテでは、民達の間に重く陰鬱な空気が漂っている。




……しかし、凍える夜の月は未だ白銀の色を保っていた。




 ーー 緋の月が昇る夜まで後 四つ月



【お待たせしました! 合宿中ですので簡潔に失礼致します;申し訳ございません。
作戦タイム(?)ですので前月と同じようにお願い致します。そろそろ本格的にぶつかっても良いかなと個人的には思います。
前月の分キリの良いところまで進める、は可です。後でリューシェのミネルヴァさん宛ぶん書いておきますね;】

1ヶ月前 No.104

スサ男くん @kodai4370 ★iPhone=oEFHNYSczy

【ジュリアス / グリムローゼ境界】

来た、近づいて来た。ノコノコと私を捨てた魔女が来た。雪の上を歩くこの足音と小幅、間違いなく1人だけ。そして今、私を軸とした射程範囲にソイツはゆっくりと突入してきた。

「フフッ…フ……いま感じた…成長は、最終段階だ…わ…」

貫かれ、流血が治らなかったほどに深くえぐられていた胸傷がゆっくりと修復を開始する。一旦発動してしまえば自分に降りかかっていた怪我や呪いを吹き飛ばし、ほぼ全快で復活することができる。更に言えばあらゆる概念を「加速」させることで呪いだろうが加護だろうが問答無用で脆くしてしまう。だがここまで強大な力を発動させるためにはそれだけ多くの手順を踏むという想像に難しくないだろう。特に魔女が近くにいるという最大の条件は伊達ではなく、一騎打ちではまずこの状態に到達することすらないと言い切れるレベルだ。
丁度体温が戻ってくるのを感じた、拳を握れるぐらいの力も戻ってきている。そうして徐々に身体全体が再機能し始めた頃合いに上半身を起こし、隣にいた魔女を確認する。その渋い顔、どうやら嘘に騙されたと悟ったらしい。
そのままアイコンタクトを交わし、魔女が雪の中へ消えたことを確認し、動く気配のない“彼”の方向へと顔を動かした。そこにあったのは血さえ流れなくなり、冷たく固い“もの”だけだった。

「…道連れだ何だとか言ってたけど、結局見捨てる形になっちゃったわね…」

一度道連れと言い放った以上、彼も死にかけから助ける算段だった。始めは殺すつもりだったし、結果オーライとは言うが、情というのはここまで大きく作用するものだろうか。私には何もできない。

…2度と会うことはないけど、どこまでも諦めなかったその顔、覚えておくわ…さようなら。

そう思った瞬間には既に彼の姿が見えなくなるほど、グリムローゼ向けて遠ざかっていた。


>All様

【投稿が遅れてしまい申し訳ありません、一応ミシャエルさんには全く手を出しませんでした、時系列的には四つ月の手前辺りです】

1ヶ月前 No.105

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

【イヴ=ティフォン/ グリムローゼ城 庭】

白銀で覆われた雪が解け、白の化粧に覆われた緑も合わせて顔を出し、この大地では春の始まりが訪れる。心地よい暖かさと空気が風に乗って、動植物や人々に繁栄をもたらしていく季節である。
雪雲に覆われた街々も、季節の移り変わりにより雪雲が散在し、暖かさを含んだ天からの陽射しが雪の化粧で覆われた建物をゆっくりと露わにし、暖かい風を運んで来る。雪が吹き付けたため、ひっそり篭り続けたヴァルトラウテの人々は、これを期に盛んに活発に働き、働いて得た収入で食料を売り買いしたり物々交換をし、家族を養い、時には互いに支え合ってそれぞれの生きる道を歩んでいる。
そしてこのような平和を迎えられるのも、我らを闇から守ってくださる神と屈強な騎士達が居るからだと日々感謝をしつつ人々はそれを旨に平和に生き始める。
しかし、人々はいつしかその人類悪の脅威に対する恐怖心も、時が経つにつれお伽話の存在だと謳い、神に対する感謝はしつつも、盤石で厚い信仰心は次第に薄れつつもあるであろう。

ーーそれを深淵に潜む闇は見逃すことはなく、突如牙を向けた。

暖かい陽射しや風が運ばれ、緑を迎える筈のこの季節、未だ嘗て深雪の月にて観測されたことのないほどの豪雪により、緑や建物の屋根も顔を出すことなく真冬の雪景色を未だに象っている。
しかし、このような豪雪でも人々は異常気象だけで済ませ、前向きに生きて来られるはずであるが違っていた。真夜中に建物で身を潜めながら眠りについていた人々は、黒霧に呑まれ、恐ろしい悪夢を見た、うなされ恐怖した日が続いた。豪雪も弱まったその次の日、城下町の広場にて、多くの人々が青ざめ、虚ろな目であるものを見上げていた。
人間の所業とは思えないほど巨大な氷の棘に貫かれ、串刺しの状態の騎士達の骸がそこにあった。
建物の屋根の上で群がる鴉達はギャアギャア鳴き、さらなる不気味な光景を彩り、更にはフライヤ川付近にて魔女の群れが奇襲をかけ騎士達に損害が出たとの噂が耳に入り、人々は確信した上で絶望に近い恐怖を植え付けられていた。

ーー悪魔が壁を破り入ってきたと。

人々は騎士達の骸を虚ろな目で呆然と見上げてそのまま突っ伏していた。


ここは常闇の国、グリムローゼの北端に佇むグリムローゼ城、此方も街のように、否、それ以上に森林やこの城も、雪の化粧に覆われた大地が未だに真冬の景色として健在している。
その世界を白銀に照らす明るい月は、幻想的な風景を映し出している。
しかし、その幻想的な景色とは裏腹に、城内や森の中では生きたまま攫われた騎士達が叫び声を上げ、腹を空かせた魔女達により血を啜られ魔女の力の素となり、始祖の魔女への献上のための生贄として地下牢に閉じ込められていたりなど、多くの醜い混沌とした光景を映し出していた。

その中、グリムローゼの庭にて、以前ヴァルトラウテで一人の不思議な力を持った鍛冶屋の男によって顕現していた筈の大きなドーム状のかまくらが、この庭に佇んでいた。イヴの能力により、そのかまくらは此方にまで移動させたのであろう、そのドーム状のかまくらはグリムローゼの広い庭に顕現していた。
すると、ドーム状のかまくらの中から弦楽器を弾くような美しい音色がグリムローゼ城中に響き渡っている。
ドームの中は、月の光が氷の壁を通り抜け、宝石のように煌めいており、蒼穹の如き美しい太陽と雲のような彫刻が施された青空と、反対には満月と数多の星の光景が施された夜空の天井のある、心地よい月の光に包まれた神秘的な美しい空間にて、その光を吸収するかのように艶のある白銀の髪をした女性、大悪魔イヴが椅子に座った状態で目を閉じながらチェロを弾き、美しい音色を奏でていた。

「………。」

無言で弾き続け、暫くして美しい音色を奏でた後、演奏が終わったのかゆっくりと黄金の瞳を持つ眼を開き、光り輝く天井を見上げて口を開く。

「我の願いを聞き…そのまま命を絶った家族達よ…これはお前達のレクイエムだ…安らかに眠れ…。」

先程奏でていたのは、命を絶った魔女達に対する鎮魂歌であった。仲間の命を慈しみ、それを讃えるかのように捧げた後、テーブルにチェロを立てた状態で置き、ゆっくりと立ち上がれば再び目を閉じ空気をゆっくり吸い込み、ニタァと口角を上げ口を開く。

「……嗚呼、感じる…。愛する人間どもの恐怖と不安に包まれる陰鬱な空気を…。何れ訪れるかもしれぬ暗黒の脅威はうぬらの心を崩壊させゆくであろう…クククカカカ…さあ、どうする人間ども…?神の加護の不安から早とちりし、我らに襲撃をかけるか?…ならば応えよう…我らはその歯牙を報い盤石な態勢で迎え討とう…。それとも未だに恐怖と不安に包まれ弱まりつつある壁の中に篭り続けるか…?ならば応えよう…我が更に汝等の心を抉り…壁を駆逐してやろうぞ…。神よ…汝は人間の弱さに対する厄介さを甘く見過ぎていた…。」

その黄金の双眸は、ドームの美しい装飾ではなく、ドームの天井を透き通って見える月を見つめていた。


【新しい月を迎え、主様から先に書いておいてほしいとの事で、グリムローゼ側の方針として長ったらしい文を書かせていただきましたが、簡単に言えばヴァルトラウテの動きに応じて行動するという感じで行こうかと思います。時間に関しては、日が出ている時間帯で書いているようにも思えますが、あくまで大悪魔の存在を認識させるような書き方で書いたため、実質の時間帯はジルベルト様に委ねようと思います。では、よろしくお願いします。】


>>ALL

1ヶ月前 No.106

錆色の鍛冶師 @kaizelkai ★OoN6oNoyDt_mgE

【ヴァルカン・マエスティラ/フライヤ川付近の森】


 先月の魔女の襲撃から少しだけ時間が経った。本来なら暖かい春の季節を迎えるはずだったか、先の異常な豪雪によってその景色にはまだ雪化粧が残っていた。外気もまだ肌寒く、少しも春の訪れを感じられない。雪の白と森の緑が混じり合い、二つの色が交わる景色にもなっているが、少しも綺麗だとは思わなかった。あれから街の様子は酷く荒れていた。
眠りについていた人々は、黒霧に呑まれ、恐ろしい悪夢を見た、うなされ恐怖した日が続いたという話でもちきりで、騎士も串刺しという酷い殺され方だそうだ。

だがそれでも、鍛冶師の仕事に休みはない。皮肉ながら、それでも武器や防具は求められているのは事実である。お上からの仕事が入ってきた以上、鍛冶師としてその腕は振るわねばならない。今日もフライヤ川付近の森に入り、自分の魔術で樹木を木材に変えて、背中の編み籠へ入れていった。ふと歩いていると、何か鴉の鳴き声が聞こえる。気になったので、近くに寄ってみるとそこには魔女によって殺された騎士の死体と、騎士によって殺された魔女の死体が転がっていた。恐らくこの辺で戦闘があったのだろう。雪の冷たさが、腐食の進行が鈍い。だがそれでも辺りの腐臭が漂い、鼻が曲がりそうだ。周囲を見回す、近くには誰もいない事を確かめると愛用の金槌を手にし、戦闘が起きたと思われる端に向かった。


「 はぁ……面倒くせぇ。お代はタダでしてやる。―――そっちの魔女達もな。 」


 意識を集中し、迷いなく金槌を地面に叩きつける。周囲の地面が動き、魔女や騎士関係なく死体を飲み込むように埋まっていく。埋まっていた場所から、騎士の死体の上に、墓標のつもりで地面に刺さった剣が現れる。騎士達の武具で作り出した剣であるが、武器として使い道はない。魔女の方には石や鉄を混ぜて、薔薇のような造型花を添えた。小さく一息をつき、剣と花しかない光景を見回す。手を合わして、全ての死者達に祈った。


「 魔女が死んだら何を贈るのか知らないが、とりあえず花にした。まあ、皆死んだら同じだ。ゆっくり眠りな……―ー―さて、こいつをどうしたものか。 」


 祈り終わると、一枚のスカーフを取り出す。信じられない話だが、あの女が自分に巻いたのだろう。捨てるわけにもいかないし、こういうものは返すのが道理なのだが、あの魔女の国に行くという事になる。そう考えると更に面倒くさそうに表情が曇る。都合よく彼女に会えればいいのだが、偶然に信じるしかない。あとは他の魔女に頼んで、返してもらうかだが人間の話を聞く物分りの良い魔女は、そういないと確信する。


>>対象者無し


【遅くなりましたが、待機しますー】

1ヶ月前 No.107

Nero @nerokichi ★Android=hswo6GaRTv

【ジルベルト/ヴァルトラウテ城内】

深い冬が明けて初春へと姿を変える月が巡ってきた。本来ならば大地を覆う雪は孟春の齎す陽光により溶け消えて多少の緑が地色を彩る筈なのだが、視界に広がる領地は未だに白銀に覆われている。悪魔の吹雪による傷跡は今後暫く残りそうだ、民衆の気も澱んでいるだろう。そんな人間の苦悩など意にも介さず、常と変わることのない日輪が昇っていた。

昼中であるというのに日の高さを問わず薄暗い書斎の一角で本棚に書物を仕舞う一つの人影。それは踵を返し、人程ある大窓に近付いた。陰りの掛かった顔に外から漏れる光が差して薄い表情が現れる。慣れぬ光に若干目を細めながらその男、ジルベルト=ヴァルトラウテは冷淡な双眸で眼下に映る城下を見渡した。
随分と手酷くやられたものだと抑揚のない思考が流れる。帰還した兵によれば領域内での襲撃は単独、容姿また能力を含めて考慮すると大悪魔のみであった。魔女に関してはフライア川の境界だけ。相手が相手だがたったの一匹に随分狩られてしまったのだ。加えて暫く平穏に浸かっていた所を嘲笑うかのような襲撃に民からの不安の声は大きい。
だが時期としては悪くない頃合ではあった。今回の事で兵士民衆ともに殺気立っているだろう、闘志は十分だ。最近あちら側から手を出さない為に刺激となるような挙兵を良しとしない風潮が領地内で広がっていたのだ。所々声の大きい厄介な輩も騒いでいたがこれで大人しくなるだろう。これで何の障害もなく進軍する事が出来る。

「……今度こそ仕留めなければ」

誰に聞かれることもなく聞かせることもなく、唯々機械のような思い声が落ちた。先に蔓延る魔女の森の方向へと視線を向けて椅子へと静かに腰を下ろした。


>all


【何かと忙しく顔が出せませんでした…遅くなりすみません。こちらの方針はグリムローゼへと挙兵する、としました。認識としては先月の襲撃から時が経って怪我を負った兵士も大分復帰する時期だと捉えています。勘違いならばすみません。因みに時刻は昼頃とさせて頂きました】

1ヶ月前 No.108

新規募集中 @nisemodoki ★hELxStGP5l_k1j

【まさかの誤爆……はずかしい……。
 サブ記事  http://mb2.jp/_subnro/15494.html-108#a イヴさん(ミネルヴァさん)宛です。
 二重投稿になってしまって此方にレスし直せないのでリンクで失礼します……。】

1ヶ月前 No.109

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

【イヴ=ティフォン/ ヴァルトラウテ城下 /※前月の続きです】

白の濁流の如くヴァルトラウテの町中に、豪雪は相変わらず未だに建物をたたくように吹き付けている。その嵐とも言える大雪は悪魔によるもので、夜の暗闇の中で吹き付けるため、人々にさらなる不安を与えている。
その吹雪の元凶であるイヴは、先程の男と別れ、今のこの状況で不相応とも言える漆黒のゴシック製のドレス服の姿で雪片一つつける事なく1人で城に向かってゆく、本来の目的でもある神が現れぬなら直にこの町を己の黒炎で蹂躙するか…しかしただの破壊は詰まらぬ、ならば領主と相見えるのも悪くはない、直に今どのような反応をするのか想像するだけでも愉快である。
しかし、このヴァルトラウテに来て数刻程経ったのであろう、吹雪が吹き付ける中で見えていた光は月の光だけではなく、いつしか東の空が薄い青色の光を映し出し始める。その光に気付いたをイヴは顔を向け立ち止まると、先程の愉快そうな顔から一変し、何かを思い詰めるような表情で、その光から顔を逸らし考え込み始める。

「…朝を迎えるか…。この地にて幾年ぶりの朝の陽射しを眺めるのも悪くはあるまい。万象に愛されし我が身とも、あの美しさは我が手の内にあらずか…。」

光を持たぬ黄金の双眸は見惚れるような、または羨ましそうに吹雪で霞む日が昇る前の白んでくる空の遥か彼方へを見つめようとするーーーすると。

『漸く姿が見られましたね……! 探しましたとも、森の妖婆!』

思いつめていたイヴだが、先程目を逸らした方向から突如可愛らしい元気な少女の声が響きわたる。己とした事が、敵地真っ只中であるこの地にて空に見惚れ、少しとも言えど目的を忘れ隙を見せるとは、とそう思いながらも特に驚いた表情を見せず、白銀の髪を靡かせ無表情のまま背後にいる彼女に対面するよう上品にゆっくりと身体を向ければ、黄金の瞳を向ければ淡く神々しい光の粒子が降り注ぐ光輪の冠を頭上に浮かべる可憐な少女がその場に顕現していた。この少女こそ、目的としていたヴァルトラウテを護る神であるが、表情を崩す事なく淡々とした状態で口を開く。

「…これはこれは…可憐な神よ、見た目の通りの荒肝で感窮まる。…そのまま我を屠れば良かったろうに…。」

聖杖を携えるリューシェとは裏腹に、リューシェの祝福の光により、体から黒い霧が霧散していくように漏れ出しているのにも関わらず、手ぶらで何も構えずに悠々とした態度で対面し吹雪で靡く白銀の髪を手櫛で一度整えて振り払った後、クスリと笑みをこぼしながら、冷たい眼差しで口を開く。

「可愛い可愛い愛しの坊っちゃんは…元気かえ…?」

と、領主の様子を伺うような口ぶりで話すが、その表情と発せられた言葉の抑揚は、この凍てつく吹雪よりも冷たい感情と憎悪に捻じ曲げられた感情そのものであった。

【誤爆した時のどうしようもない心境…わかります…!(ぁ
お忙しいのにわざわざありがとうございます、成る可く短く早く終わらせるつもりですが、よろしくお願いします。】

>>リューシェ

1ヶ月前 No.110

点呼中 @nisemodoki ★hELxStGP5l_k1j

【リューシェ/ヴァルトラウテ城下 /※前月の続きです】


 彼女の言葉にはたと思う。小賢しく狡猾な彼女が事もあろうに、陽を見つめて惚けていた。それは不意打ちで一撃くらい食らわせられそうな程の油断だったようだ。そのまま屠ればよかった、と悪魔は言うが、既に声を掛けてしまっているのだから元も子もない。

「うむ……そうですね。貴方が相手であれば奇襲に徹する外道が私にも必要でしょうか……。」

 残念そうな表情を浮かべる愚直な神だった。そもそも正面切って堂々と対峙しようが痛い目を見たことがないのだから当然と言えば当然だ。実際顔と口ではしょんぼりしたような空気を醸しているが内心では全く反省などしていなかった。わざわざ背後を取らずとも、決闘ならば後れを取ることはない。普段ならば小癪な悪魔が正攻法で挑んでくる訳はないのだが、此処は既に早朝のヴァルトラウテ。奴にとっては悪計も謀略もない敵陣の筈で、ならばこの陽光の神に怖れる必要などありはしなかった。

 彼女の威勢を示すように、橙の輪から放たれた光が、呪いに塗れていた城下の街に爆風のように広がり輝く。浄化の光は呪いを照らし、朝日と共に吹雪の夜を消し去った。

「我が領主様ならば貴方に案じられる必要もないくらい元気ですとも!……しかし可愛げはありませんね……。」

 大悪魔の狙いはやはり領主なのか、彼の身を案じるようなイヴに向かって大真面目にそう応えた。

>イヴ

【今度は誤爆らなかった……筈……。
 大丈夫です!人こなさそうなのでもう一人悪魔でもやろうかと思ってるぐらいです……。】

1ヶ月前 No.111

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

【イヴ=ティフォン/ ヴァルトラウテ城下 /※前月の続きです】

白の濁流は朝日を迎えると同時に、目前に顕現せしむ可憐な神の、橙に光り輝く美しき光輪の爆風の如く光り輝く極光により、終わりを告げる。その極光は、先程眠りつく人々に不安と恐怖を与え続けていた猛吹雪をかき消しただけではなく、劣悪に塗れた呪いを孕む微量の黒霧をもかき消した。剰え、朝日は顔を出し、白む空から溢れ出す陽光により、焼くようにイヴの身体から白い煙が溢れ出し、消散するように黒い霧も溢れ出す。
そして可憐な神は力を駆使しつつも勝ち誇った様子で、悪魔の領主に対する身の案じの問いに対し素直に応える。それもそうだ、もはやこの光の地に佇む巨悪は最早誰から見ても、籠の中の鳥にしか見えない。

しかし、身体から焼けるように白い煙と消散して黒霧が溢れ、力を奪われ行く筈のイヴは尚も無表情で悠々とした状態で佇み、そして愉快そうな笑顔で神の眼差しを黄金の双眸で見つめ口を開く。

「人はそれを慢心と言う、愚直な神よ…。我は知っている…、陰の泥濘に塗れ…無我の淵に陥った愚者を…。…まあ良い…さあ神よ、…我を滅ぼしに来たのであろ…?…ならばその美しき光を以って我を貫いて見せよ…。」

極光により呪いが振り払われ、白色に染まる空から朝陽が溢れ身を焼かれ最早相手の怖れる物は無いと言う結果になりつつも尚、相手の攻撃を煽るかのようにイヴは笑い腕を広げ、輝きのない黄金の双眸で彼女を見つめていた。

【と、リューシェちゃんの次の行動次第で次回のイヴの先月分の絡みが終わりになるかもしれません(ぁ】

>>リューシェ

1ヶ月前 No.112

点呼中 @nisemodoki ★hELxStGP5l_k1j

【リューシェ/ ヴァルトラウテ城下 /※前月の続きです】

「ハ、慢心しているのはどちらだか……此方の懐まで侵入し、この朝の光に私と会い見えてあの陰鬱な森に逃げ帰ることが出来るとでも?」

 太陽の光と、リューシェの祝福の光。両者に灼かれ、大悪魔の体から黒い靄のような呪いが浄されていく。既に眩いその光の中に溶けゆく黒い靄が異様な光景だった。この状況は悪魔にとっては四面楚歌どころか、その身の孕んだ呪いさえ霧散し、力を奪われ続ける筈なのに、彼女は妙に余裕ありげな不気味な笑顔を溢している。
 あの悪魔が敵陣に丸腰で入り込むような無謀で単純な女でないことはリューシェとて重々承知している。狡猾で悪辣だからこそ、かのジルベルトさえ時には翻弄され何年と攻めあぐねているのだ。此処で易々と灯りに消し去られるつもりなど更々ないだろう。しかしそれを判って尚も、リューシェの方も横柄な堂々たる態度を崩さなかった。

 片腕で杖を地に突き、仁王立ちのまま悪魔の視線に答えるようにニヤッとした笑いを浮かべる。煽るように両腕を広げた悪魔としばらく睨み合ったが、やがて彼女の挑発に応えて吠えたて、十字の杖を天に掲げた。

「うむ!良いでしょう、貴方が此処で無鉄砲にも死ぬなどと驕った訳ではありませんが、その扇動に応えましょう!」

 真っ白の長髪が光に晒され、陽光色に輝いた。と同時に朝日の青空に黄金に輝く聖剣の刀身が無数に煌めく。虚構の聖剣はそのままイヴに射掛けられ、槍の雨のように城下の地に降り注いだ。

>イヴさん

【とりあえず攻撃してみましたが……】

1ヶ月前 No.113

点呼中 @nisemodoki ★iPhone=6OBHeQDJR0

【魔女食らい/ヴァルトラウテ内グリムローゼ付近の街】


名残の雪が白く煌めくヴァルトラウテ北部の街。いつもならば季節は初春を迎えようとする時期であるが、この年は先月の異常な豪雪の為に、未だに花は顔を出せずにいた。
尤も、今は地べたを這う草木に目を落とす者など全く居ない。誰も彼もが串刺しされ天に縫い付けられたまま腐った遺骸の森を仰ぎ、憔悴した顔で虚ろな視線を何もない虚空に向けている。グリムローゼに近いこの街では大雪と共に現れた大悪魔の蹂躙を簡単に許し、住む者達は呪いを貰い、更に夜明けと一緒にこの串刺しの惨状を見せ付けられる絶望を与えられていた。既に住民の多くは街から逃げ出してしまっただろうか。残ったのは最早逃げ出す気も削がれた無気力な人間達と、葬送されずに腐った早贄、更にそれに群がる無数のカラス達。
荒廃し切ったこの土地に最早街としての機能は無く、あれだけ領民を護っていた騎士の数も少なくなった。ヴァルトラウテは昼下りと言えど、こんな状態の場所では、例え魔女や悪魔が壁を越えやって来ても侵入を遮るものは、暫くは現れないだろう。

……そう考えた訳ではない。その獣に其れ程の狡猾は無い。唯この地に与えられた黒い霧の香りを嗅ぎ付け、その呪いに惹かれてやって来たに過ぎない。
それでも実際に彼は何の障害もなく、ヴァルトラウテの街の広場まで堂々と地を歩いて来た。土と混ざった黒い雪を踏み荒らす、四本の脚が泥を蹴る足音が辺りに響く。その音はゆっくりと街の広場まで近付いて来て、群れていたカラスが一斉に飛び立つ羽音が、より一層不穏な気配を漂わせた。ようやく足音に気が付いた住民達の幾らかが、慌てて腰を上げ、蜘蛛の子を散らすように広場の端へと走り出す。

しかし既に遅過ぎた。
もう間近まで迫っていたそれは、その場に立ち止まったかと思えばその鼻先を天に向けて不気味な遠吠えを一つ挙げる。グリムローゼはおろかそれなりに距離のあるヴァルトラウテの城にいる者にまで届きそうなそれは、生身の人間にとっては耳を塞ぎたくなるような不愉快な悲鳴にも似た咆哮だった。声はその場を逃げ出した者達の思考を恐怖で満たし、その身体さえ精神の錘のように支配する。

再びへたり込み動けなくなった住民の一人に、その獣はやはり堂々とした緩慢な動作で、彼の前まで歩いていく。恐怖に震えるくらいしか許されないヴァルトラウテの憐れな子らは、蛇に睨まれた蛙に陥って、初めてその不気味な咆哮の主の姿を見た。首元まで裂けた赤い口の、黒い大きな犬の顔を。

だがそれも一瞬。次の瞬間には眼前に迫った、生え揃って並んだ凶悪な鋭い牙が、彼の頭部を噛み潰した。そしてそのまま残った首から下をも一口で食らってから、同じように次々と、広場で恐怖に拘束された民達を一人一人丁寧に平らげた。

最後の一人を飲み下した犬はとりあえず満足したのか血に濡れた口を開け大きな欠伸を一つ漏らすと、広場の真ん中を陣取って、四本の脚を投げ出しだらしなく横になる。
いつの間にか群れたカラスはどこかに逃げ去り、広場に残ったのはそこに居た筈の住民達を骨一つ残らず腹の中に収めた巨大な獣だけだった。

>all(待機します)


【月変わってからちょっと時間が経ってしまってすみません。ヴァルトラウテもグリムローゼも大丈夫です、お二方ありがとうございました。
ヴァルトラウテ主導のようですが、問題はどうやら今のところヴァルトラウテ側で動けそうなキャラがジルベルトさんとリューシェしかいないことでしょうか……。ちょっとやり難いですが、先月あまり動いてないですしジルベルトさんにガンガン動いて貰うしかないかと思うので大丈夫でしたらよろしくお願いします……リューシェも出来るだけ頑張ります故……。
ヴァルトラウテ側で動いてる方が殆どいないので待機はヴァルトラウテ内でやりました。絡みたい方いましたらよろしくお願いします。

あとなんだか使ってる端末からだと改行ができない(のかな?)みたいで読み辛くて申し訳ないです。】

30日前 No.114

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

【イヴ=ティフォン/ ヴァルトラウテ城下→フライヤ川 →グリムローゼの森 /※前月の続きです】

朝の陽射しが顔を出す、その陽射しはヴァルトラウテを闇の脅威から護る神聖な光の祖とも言えよう、邪悪な気をも討ち払わん…可憐な神はその光を以ってして祝福の光にて闇の邪な気を消し去り行く。しかし、その邪な気の中心である筈の黄金の瞳を持つ悪魔は、身を焼かれながらも尚も不気味な笑顔で、そして髪を煽るかのように腕を広げて貫いて見せよと抜かす。
だが神は、例え悪魔が何を企もうがイヴの不可解な行動と態度に警戒の意志を解かなかったが、それらは恵まれた力により恐るる事は断じてないと判断したのか、そのままイヴの言動に対して望み通りの応えに応じる。
可憐な神は白く輝く髪を美しい陽光色に染め、朝日の青空と共に黄金色と輝く剣が無数の流星の用に光り輝く槍の雨の如く地に降り注ごうとする。

しかし、その力が顕現する中消散する黒い霧も早まると同時にイヴは亀裂の入ったような笑みを零す。そして、フライヤ川の方面から大気がキィィィッ…と振動するかのように街を通過する。すると二人の近くを取り囲む各住宅の扉が勢いよく開き始める。
ーーその各住宅の中からは、居るはずの領民達ではなく白銀の髪と黒いドレス、そして黄金色の双眸の特徴であるイヴが、朝日により身を焼きながら各建物から二人を眺めるかのように佇んでいた。
そして、可憐な神と対面しているイヴは腕を広げたまま無数に降り注ぐ光の雨を受け入れるかのように腕を広げ眼を閉じると口を開く。

「…娘よ、身の内で願う汝の願いは此処で叶えられたり…良かったな…汝の信ずる神からの手で汝は救われた…クカカ…汝の死を以ってな。」

強力な極光を纏う光の雨が近付くにつれ、神に対面するイヴは消散する黒い霧に包まれると光の雨が降り注ぐ、そして離れた位置にある住宅から覗くイヴ達も光の雨が降り注ぐと同時に黒い霧となり消散し始める。
すると、黒い霧が消散しきるとその中からは虚ろな眼をした領民達が姿を現した。祝福の光により領民達は目の輝きを取り戻すと光の雨が突如降り注ぐのを目撃すれば唖然とした表情でそれを眼に焼き付ける。

悪魔の言う"娘"と言う言伝は神に対してではない、その宣言を表すかのように神と対面していたイヴを包み込んだ黒い霧が消散する、その中から姿を現したのはーーイヴを最初に目撃し、イヴの餌食になった工場街に住んでいる若い娘であった。
長い間イヴの黒い霧に取り込まれ、高濃度の呪いを纏ったその娘は、無数の極光の光の槍の雨に貫かれる。光の槍が降り注ぎ終わると、娘は目を大きく見開いたまま佇む。濃い深淵の闇から神聖な極光のその僅差の波は激しく、その反動により娘の衣から血が大量に滲み出ると、娘は深淵の闇から解放され安堵した様子で神に対して感謝の眼差しを向け、膝をつきそのまま雪道に倒れこむ。
その一部始終の様子を領民達は凍える程の寒さをも忘れ呆然と眺めると、領民達の脳内からは掠れるようにイヴの妖艶な囁き声が領民達の思考と錯覚するかのように響き始めると、少量の黒い霧が消散しきる。

『あの無辜の民に手を掛けた光は…誰ぞ…?あの神々しく…慈愛に満ちた光は…?』
ーーと。



ここはヴァルトラウテとグリムローゼの境目のフライヤ川、川は凍える吹雪の気温により凍り付き白い大地を模しているが、神により吹雪は抹消され騎士達と魔女達が奮闘していた。
朝日と吹雪が抹消され生きた手負いの騎士の脚を掴み引き摺るかのように森へと撤退し始める魔女達。
そして、このような酷く無惨な蹂躙により怒りが頂点になった騎士達は朝日に苦しみ逃げ遅れた魔女、怪我をしている魔女達を斬り付けていた。また同じように1人の騎士が怪我をし朝日に苦しむ幼い魔女を怒りにより斬り付けようとするが、後方から他の騎士達が悲鳴を上げる。
その騎士は後方の悲鳴に振り向くと、そこには黒のドレスと騎士達の脚を跡形もなく焼き払った黒い獄炎を身に纏い、白銀の髪を靡かせ、輝きのない黄金の双眸をしたイヴが漆黒の細身の剣を抜いた状態で歩み寄っていたのを目にすると、黄金の双眸はこちらを向く、騎士も恐怖ながらも剣を向けるがイヴは黒い霧状になり瞬時に騎士の後方に現れ漆黒の細身の剣、ダーインスレイヴで騎士の両脚を布を切り裂くかの如く切断する。
その騎士は同じく悲鳴を上げ、地面に倒れこむとイヴは騎士に眼もくれず怪我と朝日に苦しむ幼い魔女を黒い霧で霧散させて優しく包み込みながら、優しく抱き上げる。
そして黄金の眼を見開き手負いで歩けない生きている魔女達を1人残らず足元に降り積もった雪をベッド状にして魔女達は森へと流れるように運ばれていくと、生存している手負いの騎士達には身動きを取れぬよう雪を固めて包み込み、魔女達と同じく森へと流して行く、騎士達は恐怖による悲鳴をあげながら森奥へと連れて行かれてしまった。
イヴは幼い魔女を朝日から護りながら、体で影となり優しく抱え込み頭を撫で、撫でられイヴの愛情に幸せそうな幼い魔女は心地よさそうな顔をしてそのまま眠ってしまう、イヴはその様子を見て口を開く。

「さて、帰ろうか…グリムローゼの子達よ…」

イヴは幼い魔女を慈愛に満ちた表情をしてグリムローゼへと歩みを進めグリムローゼの森奥へと姿を消していった。
先程まで阿鼻叫喚の戦場と化していたフライヤ川は騎士と魔女達の骸を残し、耳が痛くなるほど静かになり、朝日はその無惨な荒廃した大地を照らしていた。

【大変遅くなった上長ったらしい文で申し訳ありません…。因みに悪魔の狙いは、神が住民に手を掛けるように仕向けるために領民を呪いや悪夢以外の力を振るえない分身で包み込んで、他の民達にその状況を目に焼き付ける感じで力を振るえる本体は騎士や領民達を蹂躙して攫っていく感じです、わかりにくかったらすみません…。先月の分を終わらせるため駆け足で終わらせる形になっちゃいましたが、お相手ありがとうございました。】

>>リューシェ、All

30日前 No.115

シャムの瞳 @kitten☆DcIyrGCyXF5j ★t7k5JuSYRN_Xgx

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27日前 No.116

点呼中 @nisemodoki ★hELxStGP5l_emT

【リューシェ/ヴァルトラウテ城下 /※前月の続きです】

「チッ……女狐……そうか、ぶっ殺されてえか……。」


 他の誰にも聞こえない、小さく呟いた彼女の呟きは先程までの可憐さとは打って変わって底の知れない凄みを持った声音だった。

 雨のように降り視界を覆う閃光の突如放り出された、領民の娘。大悪魔が投げたその存在に気付いたリューシェは、その体が衝撃でまだ宙にあった一息の間に彼女の傍まで寄り、片腕で抱き止めると貫かれたその身を修復しようと暖かな光で彼女を包む。
 だがともすれば大悪魔を滅ぼさんとするその極光の刀身に、しかも無数ともなればそれに穿たれた人類の柔な身など一溜まりもなく、救済の余地さえなく彼女の身体はその機能を止めてしまっていた。それは誰にも理解できる程一瞬の死。理解できるが故に領民達の脳裏に響いた大悪魔の置き土産の言葉は重く、彼らの視線に疑念が満ちるのも無理はない。娘の亡骸と共に広場に一人佇むリューシェの表情が、いつに無くこれ以上ないほどに死んでいた。

 娘に気を取られている間に、目の前に対峙していた筈の大悪魔の姿はなくなっていた。先程の彼女は主たる個体ではなかったのだろう。無限に増えるとか全く意味がわからないが、問題は今のところこちら側に見分ける術が無いということか。しかし、大悪魔の忌々しさなど今更誰に教えられずとも、ヴァルトラウテの民であれば充分に承知している。そんなことより彼女が腹に据えかねたのは領民を枷として戦わなければならないという実態だった。
 本来ならばリューシェの目的は大悪魔の殺害で、人類のちっぽけな刹那の時間続くか続かないかという王朝の死活になど全くもって興味はなかった。領民の被害を省みずにヴァルトラウテの領地ごと魔女を殲滅するという荒業も出来ないわけでもない。土地と民の主ジルベルトと契約している以上、領民を無下に扱うわけにもいかない。
 彼らに信心と共にリューシェに付き従う気があるのであれば尚更。……そこまで考えて、彼女の顔にふといつもの可憐な笑みが戻る。

「いや、いや、いいえ……むしろその方が望ましい……。神を、畏れを忘るる民など最早庇い立てる必要などありません……。鈍い羊などどうせ他にも雲霞のようにいるのですから、少しばかり巻き込んでも誤差というものでしょう……。」

 広場には他に誰の姿もない。誰も聴いていないのを理解し独り言ちてそう納得すると、いつものように主城へ続く道を軽い足取りで戻っていった。

>ミネルヴァ




【ありがとうございました。
 これで前月は一旦終わりです。】

24日前 No.117

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22日前 No.118

Nero @nerokichi ★Android=hswo6GaRTv

【ヤクト/ヴァルトラウテ内グリムローゼ付近】


「思ってたよりひっでーな」

白銀の下から掘り起こされた事切れた兵士達に軽い声が落ちる。別に軽んじている訳では無い。こういう性分なのだ。だからそのような侮蔑の様な面倒な視線を向けて来られても仕方がない。いつもの、自身の受け持つ部隊であればもはや慣れたものでスルーしてくれるのだが現在行っているのは先月襲来した大悪魔の爪痕の具合と修復といえる任務であり、進軍時とは違った編成がなされるのだ。それ故突き刺さる非難の目線をまるで居ないものと扱うかの様に完璧な無視を決め込んで足元の雪を払う。
この正義感の強そうな若い兵士……いや自分より年上ではある男はどうやらまだ戦争というものを知らないらしい。この様子だとまだ兵士になりたてかグリムローゼ襲撃には参加することのなかった温室育ちなのかもしれないと心の中で溜め息を吐く。死とお友達だなんて冗談じゃなくなる状況になれば雪の下に寝てる死体なんぞ歯牙にもかけなくなるだろうに。まあでも、そう思うとそんな平和な思考は貴重なのかもしれない。
そんな皮肉を内に秘めたまま懐に忍ばせていたスコッチの蓋を捻って指で弾き、雪に埋もれる彼等にかける。自分が出来る最もらしい弔い方だ。

「安もんなのは勘弁してくれ、これしか家になかったんだわ。次は上等なヤツにしてやっから今はこれで我慢しろよな」

一瞬でカラになった酒瓶を懐にしまい直し、彼等に目を落として軽く笑っていると鼻先に血と獣の臭いが微かに掠めた。思わず眉を潜め、その元の方角へと目線を向ける。タイミングよく慌てた様子でこちらに駆けてくる騎士達の姿が視界に入った。
どうやら退屈な任務にはならないらしい。少し不謹慎ではあるとは思うが、何度も言ってやる。こういう性分なのだ。とりあえずあのバタバタとこちらに向かってくる騎士達の話を聞かなければならないと、足元に沈む死体を先程の正義感溢れる兵士に任せて歩き出した。

>all



【ヤクトを置いてきます。この時点で別の方がいればそちらに突撃したいと思うのですが無ければ魔女喰らいさんとイリクスさんのところへ飛び込んでいかせていただきたいです…迷惑ならば申し訳ない】

22日前 No.119

シャムの瞳 @kitten☆DcIyrGCyXF5j ★kYIkHPKvza_wL2

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20日前 No.120

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【魔女食らい/ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】


直ぐ近くで聴こえた力強く駆け出す蹄の足音に、身体ごと振り返る。いつもならば敵対して来たヴァルトラウテの騎士など気紛れに遇らうか食い殺してしまうのだが、今回はそうもいかないことを、その姿を見るや否や一瞬で悟った。

馬を駆り遣って来たのは、やたらと目映い騎士だった。全身から光を放つ黄金の鎧は太陽の如きそれで、おまけにその騎馬さえ陽光のように輝いている。
いつの間にか視認できる程接近して来たとは言え、その全てが光り輝く騎士、更にヴァルトラウテの太陽の下にある悪魔の両眼にはあまりにも痛過ぎた。人間よりも遥かに目の効く獣には尚の事で、振り返って見た彼の目には強い光の塊が徐々に迫って来るようにしか見えず、駆け出してこちらにやって来るその騎士の輪郭線さえ捉えられない。それどころかあまりの眩しさに思わず身体ごと地に伏せて眼を大きな両手で覆ってしまわずに居られなかった。例え目を開けていたとしても、疾る馬に乗り接近してくる騎士が男なのか女なのか、彼か彼女が何を携え何をしようとしているのかなど全くわからなかっただろう。
咄嗟に地に伏せた彼の頭上を、騎士の剣が空を切る音がかすめて行った。黒く靡いた鬣の何本かが儚く宙に散り、輝く騎士の剣の一振りを運良く躱したことに気が付く。しかし躱したから何だと言うのか、どういう魔術なのか全く理解出来ないが、彼だか彼女だかが発光しているうちはまともな戦いにはならないだろう。グリムローゼの暗き呪いの森の中であればともかく、ヴァルトラウテの陽の下ではその輝きがこれ以上に鈍るかどうかさえ不明である。

隙を見て逃げたい。

脚力ならばヴァルトラウテにあろうと馬にも劣らない獣が一瞬で思い付いたのは、随分慎重に保守に徹した、グリムローゼの粗暴な獣らしからぬ撤退の選択だった。当然視力を殺してその鋭敏な鼻と耳に頼れば互角程度にはなるかもしれないが、それ程危険を冒して殺したいような相手にも見えなかったのである。呪いに染まらず光を纏う存在など食ったところでこの上なく不味いに違いない。今のところ腹は減っていない彼にとって、あの騎士を食らうのは騎士が呪いを与えられてからでも遅くはないし、それを与えるのは今この時では無いようだ。
わざわざ陽光の下で戦わずとも、此処で討ち倒されずに森に戻れば再び対峙する機会もあろう。彼の家たる森を照らしてピカピカ光る騎士などそれはそれで御免だが、魔女や凡骨だろうと獣達のいるそちらの方が幾らか上手く仕留められるというものだ。

そういう訳で不戦を選んだ獣は、どうにかしてあの騎士の隙を作ることを考え始めていた。全身を地に伏せ、両腕で眼を覆ったまま頭上で手を組み、祈るような格好を作る。巨体の恐ろしい獣には似合わぬ全力の命乞いの体勢だったが、それで見逃してくれるならば全く構わなかったし、そうでなくとも騎士道精神も出来上がった者ならば無抵抗の犬を殺さない思案くらいはしてくれるのではなかろうか。狡猾ではなく半ば本心からピカピカ光る騎士に慄く獣は、犬に有りがちな甘えた甲高い鳴き声を発し、輝く騎馬兵に祈り始めている。

>イリクス

【強そうだなんてそんなことはなさそうですがヤクトさん来られるならこちらも歓迎します。】

18日前 No.121

Nero @nerokichi ★Android=hswo6GaRTv

【ヤクト/ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】


恐ろしい咆哮を耳にしたと彼等から伝えられた。
同じロイヤルガードである部隊長イリクスはそのまま元凶へと向かったらしい。両部隊に撤退を命じ、己は猟犬へと姿を変えて騎士達の駆けてきた道を辿った。未だ雪に覆われた地面は少々走りにくいが、犬の体というものはそのような地形でも難無く熟して走るものだから良く出来た機能だと感心する。

(確かにこの方向から血の匂いがすんな。イリクスは…まあさっさと殺られる奴じゃねぇし大丈夫だろ)

暫く駆け続け、一つの街に辿り着く。境界内ではあるのだがグリムローゼ辺境の地、唯でさえ兵の多くないヴァルトラウテではこのまでの範囲を管轄下にする事は出来ないらしい。寂れた街に違和感無く、先日の戦死者と思われる多くの死体が串刺しの鳥葬となっていた。仕方が無いとは言え、実際現状を見ると良い気分では無い。かといってヴァルトラウテの状況を理解してない訳ではないので領主に直談判するつもりもない。ふと先程の正義感の強い若気な兵士ならそうしてしまいそうだと感じたが、では尚更ここに連れてこなくて良かった。この世界じゃ無知である事だけでも罪になり得るだろうから。

そうして思考をさ迷わせている内に臭いの元凶へと辿り着いたようだ。見慣れた突き刺さる程光り輝いている存在から目を逸らしつつ先に蹲るデカイ犬へと視線を向ける。恐らく悪魔…だろうが、お前の気持ちはよく分かるぞデカ犬。と心の中で同情した。

「ようイリクス、相変わらず輝かしいが…遂に悪魔にも信仰されちまったのか?すげぇなお前」

軽口を叩きながら彼女の横に所謂お座りをして、横目に差し込んでくる太陽よりも鋭い光を片方の前足で目を抑えつつ欠伸を一つ。
状況を楽しんでいる様子は見せているがその目にはしっかりと悪魔周辺の血溜りを確認しており、警戒心を切らさぬまま目の前の悪魔を捉えた。


>魔女喰らい、イリクス



【ありがとうございます…参加させていただきます。とりあえず横に座らせておきますね】

18日前 No.122

シャムの瞳 @kitten☆DcIyrGCyXF5j ★kYIkHPKvza_wL2

【イリクス・エヴィニス / ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】

初撃を直前で躱され、反撃がくるかと身構えたが、獣はその場を動く気配を見せなかった。イリクスは突進の勢いのまま距離を取ると馬体を振り返らせ、剣を掲げて再びの突撃に備える。しかし、巨体の悪魔はやはり動かない。それどころか全身で地に伏し、祈るかのように手を組み合わせている。それは、明らかに不戦と命乞いの意志を示していた。

「なっ……」

今にも飛び出さんと地を掻いていた軍馬の蹄が、しばらくして途方に暮れたように動きを止める。イリクスは悪魔のまったく予想もしなかった反応に戸惑っていた。異形の獣は尚も動かず、鼻にかかった甲高い鳴き声を上げる。まるで飼い主に捨てられ、哀れを誘う犬のようだ。反撃してこない相手を更に攻撃することに、躊躇する。命のやり取りを躊躇う余地などない込み入った戦場ならいざ知らず、一対一のこの状況で無抵抗の獣を切り捨てる――それは道理に外れた行いに思える。
だが、あれは悪魔だ。「無抵抗な弱者」どころか、つい今しがた幾人もの領民を食い殺したばかりの凶獣だ。武器を持たぬ弱者を一方的に殺しておいて、今度は自分が弱者として振る舞うなど、そんなことを許して良いのだろうか?
剣を振り上げ、馬に跨り突っ立ったまま、一体どうしたものかと思案する。その短い膠着を破ったのは、一匹のジャーマンシェパードだった。無論、ただの犬ではなく、その正体はイリクスと同じロイヤルガードであるヤクトだ。残してきた部下たちから上手く報告が行ったらしい。戦力の面で言えば、非常に心強い援軍だった。

「……ヤクト殿か。妙なことを。悪魔が信仰心など持つものか。それに、“にも”? 私はこれまでも一度も誰かに信仰されたような覚えはないが」

平常通りのヤクトの軽口に、イリクスもまたいつも通り真正面から反論する。軽口の前半は聞かなかったことにした。よく部下たちからも苦情を受けるが、彼女とて好きで光っているわけではないのだ。
しかし、彼は相も変わらず危険な状況を楽しんでいるような態度が伺える。彼の戦場での実力は認めるし、その年齢でそれ程の技量を身につけるまでの過程を思えば尊敬もできるが、その姿勢がロイヤルガードにふさわしいかと問われると手放しで肯定は出来ない。
ちらりと横目で見れば、犬の姿で腰を下ろしたヤクトは器用にも犬の前足で片目を覆っていた。犬に身をやつすなど、イリクスの考える騎士のあるべき姿からかけ離れ過ぎた魔術だ。……もちろん、彼の変化中の姿が可愛いなどとは思っていない。断じて。

正面の犬へと視線を戻す。徐々に、だが、イリクスの纏う光が薄れていた。単独での悪魔との戦いという状況に、気負って力を入れ過ぎたのかもしれない。一人の戦いではなくなった以上、同じ強度で強化しなおすのもやや躊躇われる。
ふと、思いついた。この獣は、獣である以前にまず悪魔だった。ならば人語を解す知能くらいはあるのかもしれない。

「おい、貴様。大悪魔に与する者だな……?」

数歩前に出て、馬上から伏した獣に呼びかける。まさか自分が悪魔と会話を試みることになるとは夢にも思わなかったが、少なくともあの完全無抵抗姿勢でいられるうちは、攻撃のきっかけを掴めそうになかったのだ。

>>魔女喰らい、ヤクト

17日前 No.123

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17日前 No.124

Nero @nerokichi ★Android=hswo6GaRTv

【ヤクト/ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】


ジョークの効かない同僚の安定した堅物返事を受け流しながら心の中でから笑いを零す。どうやら何もかも狙った通りに伝わる事は無かったようだ。その証拠に彼女は自身の発言に一言一句訂正を入れ始めている。いつもの事なのだが毎度顔が引き攣ってしまうのは仕方の無い事だと思う。ふと犬の顔が引き攣るという光景はなかなか見られないのではないだろうか、と客観的な考えが過ぎったがすぐに思考の隅に消える。

「あー、うん。そうだな。いや、お前は部下には好かれてるし、まあそういう事だ。なんて言えばいい……そうだ、人望があるんだよ。良かったな」

殆ど返事になってない、歯切れの悪い取り繕いをしながら幾つか視線をさ迷わせた。我ながらこの生真面目イリクスに正面からジョークを投げるなど無茶な事をしてしまったと珍しく反省している。そんなコント紛いのやり取りをしている内に警告にも聞こえる彼女の言葉が悪魔に掛けられた。

確信した問いかけ。これからお前を討伐すると宣言しているのと変わりない。出会い頭から弱々しい姿を見せつけている悪魔がこの状況をどう切り抜けてくるのか、目を細めて観察する。そして当人は徐に立ち上がり、

(っ、やらせっかよ!)

糸引いた眼光が残像として残るほどの驚異的な速さで犬の悪魔が肉薄する。命乞いをしてきた奴とは思えない躊躇の無さだ。二重人格か何かかよ、とぼやきつつイリクスの斜め左横に躍り出た。瞬間、ヤクトの体がブラウン管に映る砂嵐の如くぶれてシェパードから人間の姿へと様変わりし、背にかけた長剣を素早く引き抜いていた。

「かっ飛ばしてやるぜワンちゃん!!」

突然の行動に思わず後手に回ってしまったが、ここは一旦形勢を戻す事に徹する事とする。敵側に戦う意欲があったと分かっただけでも収穫だ。
楽しそうだが威嚇の様な猛り声を上げ、横に進んだ勢いを付けたまま向かってくる犬に向かって剣を横凪に振るう。当たればそれでいい、というかそれが一番良い。最低でもイリクスへの特攻を防げれば上出来と言えよう。全力で剣を扱う体とは裏腹に、ヤクトの頭は酷く冷静だった。

>魔女喰らい、イリクス

17日前 No.125

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

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16日前 No.126

シャムの瞳 @kitten☆DcIyrGCyXF5j ★kYIkHPKvza_wL2

【イリクス・エヴィニス / ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】

ヤクトからは随分と要領を得ない返事が戻ってきた。不思議に思って見れば、普通の犬がしそうにない、微妙な表情をしているように見える。おかしな態度と歯切れの悪さに首をかしげるも、しかしそれが自分のせいなどとは思いもしない。悪印象ではないが変わった奴だ、と相手にして見れば理不尽としか言いようのない評価を心中で下した。

「成程、人望か。どうだろうな、貴殿ほど部下に親しまれてはいないが。……さて」

大悪魔の名を出して悪魔に呼びかける。すると望み通り、ようやく獣が動きを見せた。組まれていた腕の下から、獣の不気味に光る目が露わになる。けれども人間らしい情感や知性の感じられないその光が視界に入った瞬間、イリクスは、再び己の選択を後悔した。
悪魔は体を起こした勢いのまま、その巨体からは想像しがたい俊敏さで真っ直ぐに突っ込んでくる。イリクスというよりは彼女の跨る馬を目がけ、目を青緑色に光らせて異形の獣が迫った。ヤクトが素早く前方に飛び出し、姿を変えるのが視界の端に見える。流石の反応だったが、悠長に感心している暇はない。
獣のあの服従の姿勢はまったくの演技だったというわけだ。もっとも、純粋な「演技」というよりは、あの状況下で生存に一番効果的な態度を自然と選択したのだろう。人間の理屈や後ろめたさなどに縛られない、獣の生存本能とは厄介なものだ。だが、イリクスにそれを認めることなどできない。

「貴様っ!!」

裏切られたと感じ、怒りの声を上げる。とはいえ獣、しかも悪魔に騎士道精神を順守せよと求める方がそもそも無理な話だ。
イリクスは迫る獣を迎え撃つため、抜かれたままだった右手の剣を振り上げる。防御よりは攻撃。悪辣な本性を現した悪魔を攻撃することに最早躊躇いはない。しかしそれとほぼ同時に、彼女の跨る軍馬が後ろ足で立ち上がっていた。怯えて棹立ちになったわけではなく、真正面に迫る敵を前足で蹴りつけようとした動きだったのだが。前足が着地するまで次の行動はとれない、それならば。ヤクトがこちらを振り返らないことを願いつつ、ありったけの魔力を使って再び全身から光を放った。

>>魔女喰らい、ヤクト

16日前 No.127

点呼中 @nisemodoki ★iPhone=6OBHeQDJR0

【魔女食らい/ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】


四本の脚で地を蹴って突進し、その勢いと共に騎士の駆る馬体にぶつからんとした時だった。視界の端から、先程まで犬だった筈の男が飛び出して来るのが映る。小さな犬は突如人間に、騎士の姿に転じたかと思えば、最早彼の得物らしい長剣さえ引き抜いて、正確に此方を狙ってその銀色の塊を振り切っていた。馬の鼻先に此方が到達するまで、ほんの一瞬だった筈だ。彼の反射神経と、咄嗟に剣を抜く身体の俊敏さに驚いて、残光の輝く目を見開く。余程鍛錬を積んだか、斬り合いの才能に恵まれたのだろう。全くヴァルトラウテの主は、彼ら程の騎士達を揃えておいて、先の襲撃では何をしていたと言うのか……、しかし今はそんなことはどうでもよい。
本人に自負があるかどうかはさておき、此方の悪魔も、獣とは思えぬ程の正確性を持って彼の大振りを回避した。直前で走る脚を止め、その足で地を擦りながら急激に速度を落として、此方の体が間合いに入る前に騎士の長剣を振り切らせたのだ。大きな剣が空を切る、羽音のような嫌な音が鼻先で響いた。
そしてそのまま振り終わりのガラ空きになった隙を突いて、彼を逆に吹き飛ばそうと、顔を斜め下に向け、頭から一歩踏み込む。駆けて来た時に比べ全く勢いは無くなっているが仕方ない。それに巨大な体躯はぶつかるだけでも人間の体にはそれなりに堪えるだろう。特にそう考えた訳でもなく、一瞬の隙を見て本能のうちに身体がそう動いただけに過ぎないのだが。

それ故、犬騎士の背後、先程突撃に失敗した光する騎馬兵の発する陽光色の輝きを、再びもろに受けてしまい小さく悲鳴のように鼻を鳴らした。しかも今度は先程のそれよりも気合を入れた発光で、僅かに目に溢れただけでも眩むほどの強い光。それは唯の灯りに過ぎぬと言えどもグリムローゼの暗がりに棲む悪魔にしてみれば眼球を焼かれるようで、その熱さと眩しさに晒されることに対しては嫌悪しか湧かないのだ。迷惑そうに目を瞑ったまま彼女から顔を背けて、距離を取ろうとゆっくりと後ろに退いた。
それに先程からずっと騎士の光に、更にヴァルトラウテの太陽に否応無く当てられ、悪魔である彼の身体の魔力は容赦無く削られている。少しばかり彼等と戯れただけだというのに、彼の喉は既に次の血肉を求めて渇き切っていた。首を裂くように開かれた顎が鋭く並んだ牙と共に上下して、 熱を逃がそうとする犬のように浅い呼吸を繰り返す。傍からはちょっと休んでいるようにしか見えないが、その鼻先は既に次の獲物の匂いを探し当て、広場の淵の物陰に隠れている人間までどうやって迫るか考え始めていた。

>イリクス、ヤクト

16日前 No.128

Nero @nerokichi ★Android=hswo6GaRTv

【ヤクト/ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】

イリクスの前に飛び出しデカ犬に剣を振るうその瞬間、悪魔が取るであろう行動の候補を二つ置いていた。一つは斬撃をイリクスごと跳び越して回避する事。オーソドックスであるが勢いを殺さぬまま簡易的に攻撃を躱す手段として間を許さない判断が求められるこの状況では最も選びやすい。
もう一つはあの強靭そうな牙で受け止められるか。運が悪ければ致命傷が免れないレベルの綱渡りだが衝突の反動で軌道変更の可能な追撃の一手。正直その綱を渡りきられると対応出来ない丸腰の状態のまま強烈な一撃を貰いそうだと懸念してはいたのだが、ここまで全て杞憂に終わってしまった。悪い方向で、だが。

自惚れる気は無いが、自身の反応速度はそこそこ早かったと思う。相手方は立ち上がる前傾の勢いに任せて突っ込んできた状態であり速度のコントロールをつけるのは至難の筈、そう結論付けて減速という選択肢を予測に含めなかった。だがどうやら自分は目の前の相手を侮っていたようだ。爆発的な速度からコチラの振るった剣を掠めもさせない程度までスピードを急減させるとは、どんな身体能力を保有していれば出来る芸当なのか。
しかし思考は未だにクリアだった。振り抜いた剣の威力に身を任せて、イリクスから背けるように体の角度を変える。恐らく背後から発されるであろう威光に巻き込まれないようにする為に。敵に背を向ける危険な行為であったが予測と信頼を優先した結果だった。そうしてこの賭けには勝ったようで、後方からでもわかる強い光が視界の端を刺し、危惧した衝撃は訪れなかった。

光に背を向けたまま長剣を振り上げて肩に乗せる。ちらりと悪魔を見やれば、心底苦しそうに短い呼吸を繰り返していた。相変わらず半端の無い光量だ、自身は悪魔ではないとはいえあの光を直接目に当てられれば当分正常な状態には戻らないだろう。
だがあの犬が飛び付いてきてからここまでほんの数秒だったとはいえ、ここまで彼女が後手に回ってしまっていたのは、本気であの犬に攻撃の意志が無かったものと取っていたのだろう。でなければここまで間を置いた行動の遅れは取っていない。ロイヤルガードとしての実力こそ一級品であるが、その戦術といい意思といい少々堅すぎる。素早い判断力と思考の柔軟性が求められる戦場では枷になる性格な筈だ。だがこういう性分の彼女を気に入っていない訳ではない。寧ろ精神の荒むヴァルトラウテの状況でこの存在は天然記念物並と言える。

なんて何様かのつもりでイリクスを評しながら、光に目を眩ますデカ犬の次なる行動を警戒を解かずに眺めた。

>魔女喰らい、イリクス



【ちょっとゴタゴタしていますが落ち着いたら領主で行こうかと思います。その前に神様が駆けつけるやも知れません】

>アシュレイさん

15日前 No.129

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【イリクス・エヴィニス / ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】

しかし、この巨獣は何という悪魔なのか。一瞬のうちに目の前で繰り広げられた獣とヤクトの交錯に、イリクスは身震いするような悪寒を覚える。目の前で見ていなければとても信じられないようなその動きの一つ一つが、悪魔の驚異的な運動能力を物語っている。それからすればヴァルトラウテの領民など、いかにも鈍重な獲物に見えたことだろう。
しかしその悪魔は今、悪魔どころか尋常の人間の目すら冒すだろう強烈な光に怯み、たじたじと数歩後退していた。エヴィニス家の始祖たる騎士が作り出した、この魔術の本分はまさにこの点にある。かつて始祖の騎士はグリムローゼの常夜の森においてもまさに昼の太陽のごとき光を放ち、それ故に戦友と並び立つことは殆どなかった――と、それは彼が志半ばにして果てた理由としてエヴィニス家には伝わっているが。

ちらりと、前方に立つヤクトを見る。光を避けてこちらに向けられる、その広い背中が殊更に眩しく見える。
彼の取った動きは、イリクスにとって良い意味で予想外だった。敵に向かって背中を晒すという、普通に考えれば自殺行為としか言えないそれは、自身の予測と、イリクスへの信頼に賭けての動きだったのだろう。その行動に対する謝意と共に、彼自身に対する畏怖の念が湧き上がる。戦場の極限下で彼が見せる、まるで恐怖という感情を知らないかのような冴えた判断は、側で見ていると時折寒気すら感じるほどだ。
長剣を肩に担ぎ、後退する悪魔を見やるヤクト。そのような姿勢であっても、彼は一瞬たりとも油断してなどいないのだろう。自分が騎士として目指す姿と違ってはいるが、こと戦場におけるヤクトという存在は、戦士としての一つの理想像であるとさえイリクスは思った。今の獣の突進にしても、彼の素早く的確な牽制がなければ光によって防ぐことも出来なかっただろう。

異形の獣はその巨大な身体から見てもなお巨大な顎を開き、走った後の犬のように激しく息をしている。それは疲労困憊し、休息を求める姿のようにも見えたが、最早まったくもって油断はできない。先ほどは己の心の隙を突かれ、完全に遅れをとったが、二度三度と騙されるほどにお人好しでは流石にない。
下手に前に出れば必然的にヤクトの悪魔に向けた視界に入ってしまうため、真っ先に斬りかかるのは得策ではないと考える。また視覚を一時的に失っているとはいえ、獣の聴覚、嗅覚は侮らない方が良いだろう。再び牙を向けてくるか、尻尾を巻いて逃げ出すか。獣がどちらを選ぶにせよ、この悪魔を討つという決意に変わりはない。

魔術の光が弱まり始めるまで、恐らくはあと十秒前後。表面に施された細工模様が潰れるほどに剣の柄を握りしめて、獣の次の動きを注視する。こちらに向かってくるようならばヤクトの出方に合わせて動き、離脱を選ぶならば強化されている軍馬の機動を活かして進路を阻もう、と決めた。

14日前 No.130

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13日前 No.131

Nero @nerokichi ★Android=hswo6GaRTv

【ヤクト/ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】


悪魔の出方を伺っているが、正直に言うと奴の本心は見えない。命乞いをする様に懇願したかと思えば次の瞬間には飛びかかってきた。敵意ある声に反応して仕方なく牙を向いたのか、元々油断した所に急襲をかけるつもりだったのかは知らない。どちらにしろ自身の背後で輝く彼女の光を間近で食らった今は目潰しと同等なダメージは負っているようだ。こちらが先程より警戒している事は当たり前であるし、背を向けようともイリクスの使役する軍馬と張り合って今の万全で無い状態のデカ犬に逃げられる気がしない。一か八かでもう一度張り合ったとしても二の舞になる姿が目に浮かぶ。
次の手は何が来る。もう単純な力量勝負を挑んでくる事は無いだろうが、問題は魔術だ。人間と違い魔女や悪魔の類は確実に異能を持ち合わせている。もしかすれば自身と同じく犬の姿になることこそが奴の魔術なのかもしれないが、その線と身体能力向上系の可能性を除けば力量は未知数である。奇襲を仕掛ける辺り一撃必殺になりうる武器は持ち合わせていないようだが…。

ふとデカ犬の荒い息が止まる。仕掛けてくる合図かと身構えた途端に悪寒が走った。まだ相手は何もしていないが、とても嫌な感覚がする。恐怖と呼ぶよりもひたすら嫌悪感が湧き上がる感覚。恐らく本能からの警告だろうが遅かったのだ。次の瞬間には奴の口から耳を劈くような断末魔が轟き上がっていた。
その声を耳にした途端這いずり回るような悪寒と不快感が全身駆け巡り、反射で構えを取ろうとしたが、剣を持つ腕が動かない。

何だ、原因は今の咆哮だろうがその性質がわからない。魔術なのか関係の無い悪魔の特性なのか。自分の身体は動かなくなっているらしいがイリクスはどうなのか。首さえ満足に動かせない今彼女の行動を確認する事は出来ない。歯痒い感覚。
しかし目の前の悪魔はこのまま追撃をしてくるかと思いきや、徐に体の方向を変える。まるで自身らの存在など認識していないかの様な行動。だがおかしい、奴の向いているのはこのまま逃走を図るような方向ではない。建物の密集した道とは言えない向きで───まさか。

ここまで考えて悪魔の脚元に飛び散る血溜まりに視線が移る。余り敵意が見られない癖にかなりの数の人間を屠った形跡があるというのは違和感だった。つまりアレはこちらを足止めしといて更なる獲物に牙を向ける気なのだ。あくまで予測の一角であるとしても、最早考えている暇はない。この視認不可な拘束の元が魔術な事に賭けた。瞼を固く閉じて呟く、

"一騎当千"

バチンと、纏わり付いていた何かが弾け飛んだ気がした。間も開けず肩に置いていた剣を勢いよく振り下ろし、少し地面の削った剣先を見て口角を上げる。賭けには勝った、次だ。

「追え、イリクス!!」

原理は自身にかかった魔術を解いたのではなく目の前のデカ犬の魔術を使用不可にする拘束術を掛けた事になる。恐らくはイリクスに掛かった魔術も解けたと考えるべきかもしれない。自身の考えに過信があれば、「猟犬」を使えない今、使えたとしても地の利を得ない平坦な道では身体のリーチの違いすぎるあの悪魔に追い付けやしないだろう。つまり目の前で領民を殺される最悪な状況となる。それだけは絶対に避けたかった。
ならば自身よりも機動力のあるイリクスに頼るしか道が無い。相手との距離は少々間があるが幸いデカ犬はまだ方向を変えただけだ、まだ届く。

魔術が解けた、または魔術に掛かっていない事を祈りつつ、イリクスの進行の邪魔とならぬよう十分な位置まで飛び退きながら自身も後姿を晒す悪魔に向けて一気に駆けた。

>魔女喰らい、イリクス


【すみません勝手に解きました…問題があれば改善いたします。イリクスさんの方の魔術も解けているかどうかはお二人に任せますのでお願いします】

12日前 No.132

Nero @nerokichi ★Android=hswo6GaRTv

【ジルベルト/ヴァルトラウテ城内】


兵士の方向を聞き相槌を打って下がらせる。防壁の境に近い領内で奇妙な断末魔を聞いたそうだ。その場にいた兵士によれば大変恐怖を煽るものだったそうで蒼白の色に染めた顔を向けていた。現在はロイヤルガードであるイリクス、ヤクトの二人が向かっているとの事。だがイリクスの能力を考えると寧ろ援護を向かわせる方が彼女の邪魔になりそうだった為、彼女達が向かった地点の近くで数人の兵士を待機させる命令を下して終わった。

現在ヴァルトラウテ大半の騎士達には、先月の悪魔による襲撃で命を落とした者達の対応をさせているところだ。気候が温暖になるにつれて溶けた白銀の下から、徐々に傷跡が顕になってきている。氷塊に貫かれた死体は何よりも領民の心を抉っただろう。だがジルベルトからすれば只管に面倒な事だった。
死体をわかり易く残していくのはあの悪魔のよくやりそうな嫌がらせだ。大方こちらの恐怖心を煽りたかったのか、単に裏切り者の血を惨殺したかったの辺りだろうが無闇に神の防壁に入り込み暴れるだけ暴れて帰るなどまるで癇癪を起こした子供のようだ。その腕力は小児と称するには余りにも可愛げのないものだが。
それに態々領内に入り込んだかと思えば城に近づく気配さえなかった。どうやらリューシェと交戦したようだが結局は途中でグリムローゼへと戻ったらしい。本当に意図が理解出来ないが、悪魔の思慮を推し量る等不可能に近い。考えるのも時間の無駄か。
今のヴァルトラウテに起きてしまった事柄を考える余裕がある訳では無いのだから。

最早このだだっ広い廊下に突っ立っている理由も無くなり、いつも通り自室に戻る方向へと足を向けようとして動きが止まる。

「……アシュレイ=ミドガルド、貴様には賜暇を許した筈だが」

視線の先には見慣れた黒髪がいる。自身の記憶している通りならば彼女は現在帰省中の身である筈だが、と己の記憶の相違に疑問を覚え、もう聞いた方が早いと他の家僕達に指示を出すアシュレイに声をかけた。

>アシュレイ



【領主を動かしました、絡ませていただきます。無愛想な男ですが申し訳ない…】

12日前 No.133

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

【アシュレイ=ミドガルド/ ヴァルトラウテ城内】

「キッチンは騎士隊施設の各シェフの補佐に尽力し多くの糧食の確保を。パーラーはお客様の応対よりキッチンと連携し給仕に専念してください、接客その他人員の確保は私がなんとかします。ハウスとランドリーは私と同行し空き部屋を活用し衛生管理に徹底し、仮の医務室を作りま…ぁっ!……コホン、申し訳ありません。では指示通りに、ハウスとランドリーの皆様は先にお願い致します、私も後ほど向かいますので。」

大きく開けた廊下にて、家政婦として使用人達にそれぞれの指示を出し自身も仕事に取り掛かろうとする。すると指示を出す最中、後方から自身に対して声掛ける者が現れる。
開けた廊下であるため、響き渡るその声はとても聞き覚えのある。眼帯越しで視界認識が多少疎かになるとはいえ、そして何よりも自分が仕える主である領主のジルベルトであるためか、家政婦として堂々と毅然たる態度で使用人に指示を出している最中に主に突如と声をかけられ、小柄な身体と肩がぴくりと上下し声にもならない高く小さな声を上げる。家政婦のアシュレイが聞き慣れない声を上げたため一同目をぱちくりと瞬きをし、一瞬時が止まってしまうがアシュレイが気を取り直して咳払いをして指示を出すと、使用人達は領主に向かってお辞儀をすればそそくさとこの場を後にし、自分達の仕事に取り掛かる。
使用人達を見送った後、背後から呼びかけて来たジルベルトに正対するようにゆっくりと身体を向ければ、穏やかな表情で頭を下げてお辞儀をする。

「アシュレイ、ただいま戻りました。特別に帰省のお許しを頂きありがとうございました。そして折角のお許しを頂いたのにも関わらず戻って来た事並びに、言伝とはいえ有事の際にも関わらず直ぐに駆け付けることができなかったことを深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。」

誠意と理由を込めて謝辞を述べ、深々と頭を下げると口角を和らげて多少微笑むような穏やかな表情に戻れば再びジルベルトに対して口を開く。

「不躾で差し出がましいですが、お許しいただけるのであらば、何なりとお申し付けくださいませ…ジルベルト=ヴァルトラウテ様。」

感情の乏しいジルベルトを苦手とする者は少なくはない上、好感を持てる者は少数か若しくはいないのかもしれないが、アシュレイは多くの使用人や騎士達を抱える我が主のジルベルトから先程氏名で呼ばれた事が嬉しかったのか、主の氏名を口出していた。



>>ジルベルト


【領主様直々に…絡んでいただけるとは…!こちらこそよろしくお願いします。】

11日前 No.134

シャムの瞳 @kitten☆DcIyrGCyXF5j ★wNhhjUo8Vs_NFR

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11日前 No.135

Nero @nerokichi ★Android=hswo6GaRTv

【ジルベルト/ヴァルトラウテ城内】


ジルベルトが言えた事では無いのだが、見事に手本の様な返答である。
小さく頭を下げながら持ち場に就こうとしているのだろう使用人達の姿を横目で見ながら、先程まで彼らに指示を出していたアシュレイに目を向けた。どうやら先月の有事を聞きつけて休暇を返上してまで戻ってきたらしい。見上げた正義感だが、ジルベルトにとってはこの様な緊張した時期に自ら志願して戻ってくる彼女を見て、内心不可解としか言いようがなかった。無謀な愚か者なのか危機管理能力が働いていないのか、彼女が単なる善意で行動しているのは理解してはいるが共感する事は叶わなかったようだ。

「構わん、襲撃自体予期できるものではなかった。そもそも大悪魔に城下街近くまで侵入を許したと報告を受けている。あの時点で野外に居たとすれば襲撃の被害を受けていた可能性が高かった。結果的に夜明けの中に撤退したとはいえ"直ぐに駆けつける"というのは賢明な判断ではないだろう」

彼女の謝罪に対し淡々と告げる。啖呵とは言えないが明るくもないその声は傍から見ればアシュレイを攻めているような悪印象を受けるだろうが、ジルベルト自身にその気は無い。全て本心であり事実なのだ。実際あの晩、大悪魔の探索を命じた部隊の一つが最悪としていた予想通りに襲撃を受け一瞬で貫き殺されている。もしアシュレイがすぐさま城内に戻ろうと行動していたとしたら、その死体の一つになっていた可能性も低く無い。等と物騒な事を考えながら小さく息をつく。

「……では家事と並行して前月怪我をした兵士を衛生兵と共に治せ。使者としての時間を削れとも、魔力が尽きるほどやれとは言わない。片手間で軽く手を貸してやるだけでいい」

悪意のない微笑みを浮かべる彼女の顔を見やる。城内において自身にこの様な表情を向けられる者が限られているというのは自身でも理解しているつもりではあるが、正直アシュレイはそのその少数派の中でもかなり厄介な存在であった。リューシェの身の回りの世話を命令しているのは確かだが自分に干渉しろとは言っていない。しかし彼女は構わずやれ食事が睡眠がと何かしらの指摘を投げかけてくるのだ。ここまでくると肝が据わり過ぎているというどころでは無い。何度か追い払うような言動は試みた筈だが未だに効果は確認出来ていない。有能な分余計に対処に困ると、軽く目を伏せて心の中で溜息を付いた。


>アシュレイ


【二つ揃って返信をとちょっと思いましたが先にアシュレイ宛てを落とさせてもらいますね…】

9日前 No.136

点呼中 @nisemodoki ★hELxStGP5l_emT

【魔女食らい/ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】


 絶叫を浴びせ騎士二人を無力化し、彼らに背を向けて駆け出そうと前脚を踏み出した時だった。背後に聴こえたのは、今にも此方に追い迫ろうとする力強い乾いた足音。完全に硬直したと思っていたあの騎馬兵が、目の覚めるような勢いで馬を駆けて突撃してくる。厄介なことにはいつの間にかその足音の数は増え、目に見るまでもなく、二頭の軍馬が間も無く突っ込んで来ようとしている。足音だけで今の状況を判別した犬はそれでも大きく動かなかったが、両耳を背後に倒し、驚いているようだ。というより、神速で迫るそれ相手には振り返って向き直る動きさえ遅過ぎよう。
 あの馬が此方に届くまでの僅かな時間、どうしたものか考える。最早何故拘束が効かなかったのか、どうして彼らに呪いが打ち破れたのか悩んでいる隙など無かった。品と威勢のある軍馬ですら彼よりも小さな身体とは言え、それに衝突されれば唯では済まない神速だ。まるで矢のように疾る馬を防御で受け切れる筈は無く、一刻も早くその射程から逃れようとするくらいしか出来ることはない。

 物陰に向かって走り出した脚を一瞬止めた。勢い余って滑る身体を何とか御してそのまま石畳を蹴ると、次の瞬間にはその向きを急激に転回する。長い尻尾が真横に振られて、鞭の走るような振動が空気を鳴らした。彼が向かったのは領民の居住する、多くの部屋が連なった大きな家屋。少し広場を出てしまえば建造物の並ぶ領地の街、そこに到達するまでにそれほど時間は掛からない。

 別に急激な心変わりで狙った獲物を変更した訳ではない。その中に入り込んでしまえば、もし追い縋られても大きな馬と長い剣を振り回す彼らは狭い家を囲む壁に行動を阻まれる。彼らは二人、強引に得物を振り回して同士を傷付けるような真似は避けなければならない。思うような身動きは取れない筈だ。更に屋根の下ならば心ばかり悪魔たちが苦手な陽光も凌げよう。
 走る勢いに任せて一軒の壁をぶち破り、建屋の崩れる大きな音と土煙の中に巨大な体が転がり込む。中に居た家主を瓦礫と共に踏ん付けたが全く気にも止めず、たった今開いた大穴の方へ頭を向けた。土煙に邪魔され日の入らなくなった薄暗い部屋に、獣の目が光るのが見える。


>イリクス、ヤクト

【すみませんちょっと遅れました;】

9日前 No.137

Nero @nerokichi ★Android=hswo6GaRTv

【ヤクト/ヴァルトラウテ・グリムローゼ付近の街】


自身の叫びとほぼ同時、いやそれより早いタイミングでイリクスが飛び出したのを確認してあのデカ犬の魔術の影響を受けていない事に一つ息を吐いた。
しかしお互い人間の身で恐らく彼女もあの訳の分からない咆哮に硬直を強いられていた筈だが、そうするとイリクスは拘束が解かれる前に馬を走らせていた事となる。落馬するか、辿り着いたとしても悪魔に一発食らうかもしれないという状況で恐ろしい決断力と勇気だと、矢のような速さで駆け出した彼女の後ろを走りながら賞賛し、蛮勇と批判する者もいるだろうが少なくともヤクトはイリクスに領民の求める誇り高き騎士としての理想の影を見た。やろうと思っても出来るものではない。恐ろしい度胸である。

自身の予想通りイリクスの軍馬はまさに神速で、多少なりとも開いていた悪魔との距離を一瞬の内に縮めた。蹄が地面を叩く音に驚愕したのかデカ犬は犬特有に耳をピンと立てたスタイルでほんの一瞬だけ硬直を余儀なくされたようだ。彼女が追いつくのは時間の問題だろうといつでも追撃が行えるよう距離を詰める。だが続く悪魔の行動に思わず眉を釣り上げた。

絶叫に負けない轟音が響き渡る。家屋から押し出されるように瓦礫が、土煙が散らばった。標的を変えたのかと嫌な感覚が過ぎったが食らうつもりならあの様な乱暴な侵入はないだろう。どちらにしろ家主が居たとすれば被害は等しく訪れている筈だが防ぎようがない。戦闘が続いている今、結果に目をくれている瞬間などなかった。

「ったく思い切りがよすぎだろ…!」

厄介な行動だった。あの狭い屋内で二人の人間が剣を振るうというのはかなり危険である上機動力が圧倒的に低下するのは確実だ。勿論対象に攻撃を加えるチャンスも増えるだろうが、巨大な犬に回転でもされれば尻尾やら爪やらが問答無用に襲いかかる事を考えると危険すぎる。勿論二対一という不利な状況を逆手に取っての対応だろうがよく頭の働く犬だ。厄介この上ない。しかしイリクスとデカ犬に目が覚めるような行動力を見せつけられ、少しだけヤクトの闘争心に火がついた。
恐らくだがイリクスはデカ犬が突っ込んだ方にそのまま攻撃を仕掛けるだろう。自身も同時にそちらに行けば衝突は必須である。ヤクトはデカ犬が突っ込んだ方より少し斜めに方向転換し、窓から侵入して悪魔の隙を窺う為に再び脚を動かした。


>魔女喰らい、イリクス


【自分も遅めなので…(´-`)】

7日前 No.138

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

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7日前 No.139

点呼中 @nisemodoki ★hELxStGP5l_emT

【ミシャエル/ ヴァルトラウテ城内・廊下】

 豪雪の夜の奇襲からひと月程。城下の街では未だ死体の収容と葬送に追われ、森の傍では相も変わらぬ騎士達と悪魔との抗争が行われているというのに、重厚な壁に覆われた主城の内、人手を取られた廊下は往来する者も少なく静穏な時間が流れている。開けた通路を往く者といえば、このところなぜか普段以上に働く使用人達が時折忙しなく過ぎ去っていくくらい。いつもならば城内を巡回する衛兵も、吹雪の夜に戻らなかった者、城下の火消しに奔走する者と今日は少なく、襲撃の直後では客人も見えない。
 既に先月にもなる悪魔の爪痕に領民達も消沈し、どこか閑散とした城下街。しかし虚脱ばかりではない。彼らの知らぬ間に刻々と、静かに月は魔性に塗れようと変わらず太陽は昇り、グリムローゼとの膠着の安穏に浸っていた市民も報復の為の鋭気を増しているようにも見える。とはいえ当然、あの夜から悄然としたままの輩もいるのだが。

 豪奢な窓から暖かで明るい午前の陽が入る主城の廊下、陽に照らされた出窓の傍で動かない者がある。ヴァルトラウテ城下の暖かな季節には過剰な筈の防寒具、深々と被されたフードの奥に見える夕陽色の髪。その緋の髪の生える白い顔。平時ならば城に居ない筈のその騎士の容貌を知る者も城下には少なく、使用人達も”ミシャエル”との名を聴くばかりで誰もこんなところで惰眠を極めている彼がまさかそれだとは思いもしない。そもそも彼と共に職務によく励んだ前線の騎士達は先の一敗地に塗れ殆ど居なくなってしまった。
 長くヴァルトラウテの領地から姿を消しそれは同僚達に危惧の念を与えたというのに、今日の姿はまるで吹雪の夜のまま。幾つもの穴を穿たれ傷の光る鈍色の鎧、返り血に濡れて破れ解れた外套と泥雪に汚れた黒革の靴。流石に肌に流れた血は拭ったようだが、全体的に赤黒く塗れた装備が、当時の苛烈な戦場を静かに語っている。ちなみに実のところ彼の時間はその夜のまま止まってしまっているのだが。

 悪く言えば小汚い痛々しい有様とは裏腹に、当人は漸く安息を得たという顔で穏やかに熟睡していた。それも巨大な出窓に背を預けて、天板に腰掛け脚を投げ出したまま。
 しかし彼とて好きでここを安眠の地に選んだ訳ではない。あの夜死の淵に意識と記憶を失くした彼はグリムローゼの森に目覚め、漸くその暗黒の森を攻略し今朝方ヴァルトラウテまで戻ってきた。先の吹雪の襲撃について領主様へ遅過ぎる報告に行き掛けたものの、結局は疲弊に力尽きてこんなところで眠っている。彼の変貌を知る者があればそれが唯の衰弱ではなく、陽光に当てられて弱っている邪悪な正体が看破できたかもしれないが、生憎本人すら知らぬそれを見抜く者はそうそう居なかった。
 赤黒く濡れ血の匂いをさせる、おどろおどろしいフードの男にわざわざ近付く奇特な人間もここにはおらず、彼の方も忙しく過ぎ去る足音が回廊に響いたところで目を覚ましもしない。放っておかれればこのまま陽の落ちる辺りまで寝ているだろう。


>ALL

【進軍前にミシャエルを戻しておきたかっただけのレスです。寝てますが絡みあれば歓迎します。
 それにしても最近セリフを全然書いてないような……。】

7日前 No.140

Nero @nerokichi ★Android=QL7cZQAikG

【ジルベルト/ヴァルトラウテ城内】


大悪魔の襲撃であったことを確認して落ち込んだ様子を見せていたが、自身が負傷兵の治癒をと命令すれば普段通りの表情を見せた。良い意味で切り替えが早いのだろう。それこそ魔女との交戦と戦死者の絶えないヴァルトラウテで感受性の高く切り替え下手な者がいるとすれば精神的な部分で挫折しそうな気もするが。

先程アシュレイから指示を受けた使用人達のように彼女も踵を返し、言葉によれば直ぐに兵士の治癒を行うと報告して歩みを進める。あまり思考を読めるタイプの人間とは思えないが、その内にあるのは遜色無く一貫した正義感と意思なのだろう。見立ては精神力の強靭な風に見せてはいるが、そこまで頑丈な気概の持ち主と思い込み過ぎるのも良くないのかもしれない。あの狡猾な大悪魔辺りにならばすぐさま精神的に崩壊されてしまいそうだと彼女を評す。流石にそれは相手が悪すぎるのも否定出来ないが。
等と彼女の背中から目を離そうとしたが、アシュレイが再びこちらを振り向いたことによって中断される。ふと嫌な予感がしたが、他人の言葉を遮るような行動が力ずく以外には思いつかずいつも通りの決まり文句が飛んできてしまった。こちらの面倒な雰囲気を感じとったのか妙に満足そうな雰囲気である。自身に領主としての畏怖など微塵も感じていないだろう肝の据わった成は何となく、あの立場と態度の伴った不遜の神リューシェを思い出させた。

「……………………。」

背を向けて医務室へと向かう姿に何も言えぬまま、見えなくなった後も暫くその先を見据える。現状とはまた別の厄介事が追加されたような錯覚を覚え、心做しか眉間に刻まれた皺がいつもよりも深くなっていた。そんな相変わらずのやり取りを終え予定より自室に戻る時間が遅くなったと、アシュレイとは真逆の方向へ脚を向けて帰路を進み始めた。

>アシュレイ


【明日返すと言いつつ遅くなりました…。お相手ありがとうございました】

5日前 No.141

ミネルヴァ @metropia23☆rhQo82JcU2ig ★iPhone=hpAHaaYwlW

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2日前 No.142

点呼中 @nisemodoki ★iPhone=6OBHeQDJR0

【ミシャエル/ヴァルトラウテ城 廊下】

不意に誰かが肩を掴んだ温かな掌の温度と、瞼に差し込む眩しい光に、匂い立つ血の男ミシャエルはぼんやりと目を開いた。しかしそれは目覚めと言うにはあまりに曖昧なものだった。何故なら彼の目の前にあったのは肩を揺らした何者かのの姿ではなく、射抜かんばかりの光の洪水だけ。温かな暗闇で眠っていた筈が突如として何も認識出来ない真っ白い世界に意識だけを飛ばされたような錯覚に、左右違う色の目を開けたまま硬直する。肩を叩いた何者かの「聞こえますか?」との呼び声にも、その声の正体は目の前にいると言うのに何処か遠くに聴こえ、妙に上の空の返事を返した。

「う……ああ……今度こそ死んだのか……。」

覚醒しない曖昧な世界を死の世界と錯覚したのか、静かに口を付いたのは全く見当違いな言葉。死の淵であれば、真っ白い何もないだけの空間の広がる光景にも納得できよう、一瞬でそう感じ溢れた言葉だったのだ。だが彼には自分が肉体の滅びた魂だけの哀れな幽霊だとはとても信じ難い、此処まで引き摺ってきた身体の痛みと違和感がある。疲弊と衰弱による全身の倦怠感は、休息を取ったはずの寝起きでも重くハッキリと感じられ、そこが死後の楽園でないことを嫌でも確認させられた。更に徐々に強い光に目が慣れてくれば、目の前に立つ温かい手の主の顔も、その後ろに広がる廊下の壁が目に入り、今居るのが死の世界などではなく、そういえばヴァルトラウテの城にまで死にものぐるいで帰ってきたという経緯さえも思い出す。どうやらいつの間にか眠りこけてしまったところをこの女性に起こされたようだ。

目の前に立っている、徐々に輪郭をはっきりと捉えられるようになった彼女。不自然な程の漆黒の髪、血色の良い唇。使用人の質素な衣装には不釣り合いな程に目立つ右目を覆う眼帯。特徴のあるその容貌に覚えがない訳ではないが、城に居着かない彼が、使用人の素性まで逐一覚えている筈がない。
そうは言ってもこんなところで居眠りしていたところを見られたという事実はそれなりに恥ずかしかったようで、此方を見る彼女から視線を逸らしつつ、知らぬ間に暴かれていたフードをまたも深めに被り直した。同じく開帳されていた外套も留め具を嵌め直し、口元を覆う厚い布を定位置まで戻しながら、布の奥に隠れる口を再び開き、くぐもった声で呟いた。

「…………キミ、ありがとう。まさか此処まで来ておいて寝ちゃうとはなあ……。」

これは領主様に怒られるぞう、と一人で続けながら、身体を預けていた天板から立ち上がる。疲労か怪我のせいか一度だけ身体ごとぐらりと揺れたがそれも一瞬、全てを外套に覆われた姿で陽に照らされて事もなげに、使用人の彼女の前立っていた。

>アシュレイ

【こちらこそよろしくお願いします。】

10時間前 No.143
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