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――そして僕らは明日を探す

 ( オリジナルなりきり )
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異能/脱走/救出/戦闘/絆/国家に対する告発 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

 ――わたしたちは生まれてからずっと、この空しか知らない。

 あの日から5年。
 彼らと別れたあの日、手を伸ばしても『扉』に届かなかったあの日、わたしたち被験者≠ェ脱走を図った真っ白な雪が降った夜。
 わたしたちは研究によって造られた異能者≠ナあったから外の世界を知らない。だからわたしたちは脱走という賭けをした。でも脱走できたのはたった5人。被験者の中でも一際強大な異能を持ったわたしたちの家族=B

――必ず助けに行くから

 壁に阻まれたそのとき、必死に叫んでくれた君の言葉をわたしは今も忘れられないでいる。

***

 ――俺はあの日からずっと、君を忘れられないでいる。

 君の手を取れなかったあの日、冷たい雪の降った真っ暗な夜。必ず迎えに来ると約束したときの君の涙に濡れた顔。
 俺たちに残された時間はあまりに短い。俺たちは確かに異能が完成されていたけれど、その代償は寿命だった。それに気付いたとき俺たちは最期の賭けをしようと決めた。自分の家族≠取り戻すために、自由を掴むために。最初で最後の賭けなのだ。
 だから待っていて欲しい。君たちの空は無限に広がっていると証明してみせるから。

***

 被験者が戻ってきたのだと、歓喜に満ちた声で研究者は言った。
 大罪人が戻ってきたのだと、恐怖心を露にして権力者は言った。
 いつかはそうなる気がしていたと、ある一人の治安部隊隊員は言った。
 ようやく運が巡ってきたのだと、ある監査部隊隊員は言った。

***

 ――さぁ、行こう。これより先は歴史に爪跡を残す脱走劇。それが喜劇になるか悲劇となるのかはあなた次第。
 それでもあなたは、明日(希望)を探し続ける覚悟はありますか?


【こんにちは、スレ主の遥です!
 物語は研究によって異能力を強化させられた子供たち(アルカナ)が脱走する話をメインとして、そしてあわよくば他組織と連携して六花国政府の非人道的な実験を告発しようとしたりするのもいいかなぁと。とりあえずやってみなけれな分からないので参加者さまとこのスレを進めながら考えようと思っています。興味があればぜひサブ記事をご覧下さい!】

【レス禁です!】

メモ2017/01/18 22:50 : スレ主☆1jppp41g33s @line★Android-cfmXtsuO1s

24個のいいねありがとうございます!これから頑張っていきたいと思います!


<<注意点>>

・本編に書き込む前にこちらをお読み下さい!

 各本拠地について、注意点↓

 【http://mb2.jp/_subnro/15481.html-94#a


<<キャラ表>>

 http://mb2.jp/_subnro/15481.html-144#a


<<募集状況(サブ記事レス番144時点)>>


*対六花政府組織監視部隊ペルソナ

 ・サブリーダー:1名

 ・幹部:2名

 ・構成員:無制限


*六花国政府直轄アルカナ守護部隊スペード

 ・構成員:無制限


*5年前に脱走を試み失敗したアルカナ【募集終了!ありがとうございます!】


*ジョーカー【募集終了!ありがとうございます!】


<<予約状況>>


*対六花政府組織監視部隊ペルソナ

 現在予約なし


*六花国政府直轄アルカナ守護部隊スペード

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妃翠 @azalea☆dszkmgEaqwdD ★BxEfezLEi0_EP8

【 薄花桜 紫翠 / アルカナ研究所 廊下 】




 聞きなれた声が聞こえ、紫翠は奇妙な歩き方をやめて後ろを振り返る。彼女の視界の先。コップを片手にこちらに駆け寄ってくるのは、明志波桃也その人だ。どことなく可愛らしい印象を受ける彼は、俗にいうイケメンの類いに入る。女子が偽造してでも手に入れたいぱっちりとした大きな目も、くっきりとした二重瞼も、周囲の人間を瞬時に和ませる癒しオーラまで兼ね備え、更に女子目線での会話もできるのだから、彼の前に敵はいない。明志波桃也という存在は、ハイエナ女子にとって恰好の獲物だろう。いつか捕食されてしまわないかと、紫翠は心配でならない。まるで子犬のように彼女の心配をする桃也を安心させるように笑顔を浮かべ、つい勢い余って背伸びをして彼の頭を撫でる。




「心配ありがとう。桃也。もう足の指先の感覚は無くなったから大丈夫よ。これで思う存分廊下を歩けるわ」




 他人からすれば全く大丈夫そうにないことを何の躊躇いもなく言い放ち、紫翠は改めて彼の整った顔を凝視する。思い出すのは、彼の秘密を知ってしまったあの日。正直なところを言うと、あの日彼女は女装した桃也のことを新しい被験者なのだと勘違いしていた。彼の声を聞かなかったならば、絶対に彼だと気づかなかった自信がある。それほどに彼の女装はクオリティが高く、美しかったのだ。美少女が彼だと気づいた時も、彼にそんな趣味があったのか! という驚きより、彼はこんなに美少女になれるのか! という感動の方が大きかった。桃也から彼が手にしていたカップに視線を移した紫翠は、ことんと首をかしげる。




「それより桃也、コップを洗いに行くの? 私、紅茶を淹れようと思っているから、よかったらついでに洗っておこうか?」




 コップを指差した彼女は、桃也を見上げて微笑んだ。




>>明志波桃也様、周辺All





【絡みありがとうございます!! 桃也くんが可愛すぎて可愛すぎて本体は吐血しそうです……。早速アホな発言をした紫翠ではありますが、どうぞよろしくお願いします!】

24日前 No.15

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【樹更朱希/研究学園都市銀花¢蜥ハり】

 朱希は歩きながら、ふいに空を見上げた。よく晴れ上がっているが、空気は冷えていて吹き過ぎる風にもう冬が来たのだと一人思う。この国は冬の到来が一際はやく、それゆえに雪国と呼ばれる。吐いた息が白い靄となって溶けていくのを見ながら、朱希はぼんやりとした表情で物思いに耽っていた。
 六花国直属の政府組織スペード≠ノ配属されてからそれなりに年月も経った。配属されたばかりの頃は自分の力の無さに無力感を感じることもあったけれど、今は幹部まで上り詰め、相棒と呼べる友人も出来た。信頼できる仲間もいる。頼りになる上司もいる。これが普通の部隊に所属している身であれば素直に喜ぶことはできた。しかし、朱希にはどうも引っ掛かることがあった。何年経っても、自分の中ではこの国の疑惑が晴れないのだ。それは子供を被験者にして非人道的な実験を行うシャルル計画≠秘密裏に遂行しているためだった。そして、それに耐え兼ねた5人のアルカナが脱走した。あれからもう、5年が経つが政府は実験を中止する気配が見えない。国家に疑惑や疑念を抱くのなら、政府直属組織であるスペードを辞めてしまえばいい話ではあるが、朱希はアルカナのことも放っておくことができずにいた。

「……ていうかホントさっむい!」

 吹き過ぎる風の冷たさに現実に返り、朱希は両手を擦り合わせた。生まれも育ちもこの雪国だが、この凍えるような寒さには毎年毎年身を震わせ「寒い」と口にしている気がする。途中で寒さに我慢できずに自販機でストレートティーを買い、両手で握り締めて暖を取る。
 すると、『まだ帰りたくないな!』という聞き慣れた声がして、朱希は「ん?」と顔を上げた。視線の先には赤みがかった黒髪をした少年の姿があった。その言葉から途方に暮れているようにも見えたし、しかし表情は非常に堂々としており人目など気にしていなさそうにも見受けられる。

「……雪鹿くん? どうしたの? あっ、これ飲む……ってミルクティー飲んだところだったか」

 買ったストレートティーを差し出してみるも、彼の手にはミルクティーの入った紙コップがあり、朱希はちょっとバツが悪そうに笑った。

>雪鹿、ALL

【朱希で絡みましたが大丈夫でしょうか……?もしよろしければお相手していただければ幸いです!】

23日前 No.16

ぎろ @bread10☆Zc30D26XEyF6 ★Android=HMxbkMDOIg

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23日前 No.17

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【茶切 雪鹿/研究学園都市銀花¢蜥ハり】

一頻り、大声を出した事もあって気持ちにもなんとなくだが、折り合いを付けられた気もする。昔ながらの原始的な方法と言えども、やはり効果は中々にあるようだ。先人の知恵というのは侮れないな。
と、一人勝手に爽快感を覚えて満足していると、不意に声を掛けられた。考える間もなく、声のした方向をつい反射的に振り向くとそこに立っていたのは、この季節に見られる紅葉によく似た色合いの髪を持った女性。その顔には酷く見覚えがあった。俺達“アルカナ”の護衛役である“スペード”という組織の幹部の一人、樹更 朱希。……護衛役とは言っているが、“アルカナ”自体は本来弱くはないので護衛役なんて要らない。つまり、彼等はお目付け役といったところだろうか?
そんな彼女は僕を見付けて話し掛けてきた。あろうことか、自ら買ったストレートティーを山車にして。
最も、それは僕がミルクティーを飲んでいた為にそれは徒労に終わってしまったが。

「あぁ、樹更か。ちょっとしたストレスの発散だよ。それすら許されない、と思想弾圧でもするかね?」

相手が確認出来れば、ふっ、と笑っては問いに答えて冗談っぽくにやりと笑っては悪戯っぽくそう言った。その様子はまだ子供らしさを感じさせるものであったが、それと同時に大人らしい余裕を感じさせる……まぁ、年相応に見えるような言動ではあった。

本来、彼女は性根も優しく、僕達の敵は政府であるので従うしかないスペードの彼女にこのような答え方をするのは本意では無い。ただ、今は少しばかりいつもよりもストレスの溜まっていた。要は八つ当たりに近いのかもしれない。
そこに思考が行き着けば、顔に手を当ててやれやれ、といった仕草をしながらため息をついた。
八つ当たりをした、という事実が自身の心に余裕が無いことがありありと浮き彫りとなる。それは自己嫌悪させるに十分なもので彼はほとほと自身に呆れ果てた。

「すまん、冗談だ。ところで、質問を返すようだが……君はここで何をしていたんだ?」

ふぅ、と深く息を吐けば、先程とうって変わって柔らかく微笑んではそう言えば、と相手の目を真っ直ぐに見据えては、ふと疑問に思った事を尋ねた。身長的な問題で少々見下ろすような形にはなってしまったが。

どうしてそんな質問をしたか、と聞かれれば、居ても不思議ではないものの、相手がどんな理由でここに居るのか、というのは少しばかり興味がある。どうせ、長い付き合いになるのだから相手の事を知っていても損はないだろう。なんていう半ば損得勘定のような理由が一つ。
スペードの中でも特筆出来るくらいに接しやすい彼女だからこそ、このように此方からも積極性をもってアクションを起こせる。実に貴重な存在だ、と改めてそう思った。

>樹更 朱希さん、all

【いえいえ、大丈夫ですよ!絡みありがとうございます!】

23日前 No.18

仔夢 @00000x ★iPhone=y44SZZaVfW

【紅小路莉子/研究学園都市銀花♂w周辺】


寒さに、まるで子羊のように震える律を見て、「アホじゃん」とけらけら笑う一瀬に軽く睨みをかまして「煩いッ」と毒を吐くことすらも、日常だ。どういうわけか弄られ体質に生まれた律は主に一瀬に馬鹿にされることが多いのだ。何かあるたびに男子中学生的なノリで弄ってくる。それにももう慣れた、というより無いと不安になる域までいっている気すらする。以前インフルエンザ、とかにかかって寝込んでいた時、五日間一瀬が弄ってこなかったのは衝撃的で、新鮮で、なんだか落ち着かなかった。でも風邪ひいたらみんな優しくしてくれるしそれはそれで良いかも、だけど心配かけちゃうのは申し訳ないな、なんて思考に浸りながら小さくくしゃみをする律に溜息をついてマフラーを巻く姿はまるで保護者のようだった。


「弁償はいいけど、風邪ひくんじゃねえぞ。みんな心配する」
「ん、そうですね。みんなに心配かけちゃうのは申し訳ないです……んぅ、これ一縷の匂いがする……」


今はポンチョとなったマフラーに顔を埋めて笑いながら一瀬の方を見ると、完全に親の顔だった。正確には律の妄想の中での親のイメージに過ぎないのだが。親の顔も声も、知らない。最後に呼ばれた「律ッ!」という声と、自らの持っていたぬいぐるみのタグに書かれた「こうあんじりつ」だけが自分の親を知る手がかりであり、自分自身の生い立ちを知る手がかりである。物心ついた頃には既に被験者となっていた、それは律だけに限らず隣にいる一瀬だって、未だ研究所で縛られた生活をしている大切な家族だって、殆どがそうだ。きちんとご飯は食べているのだろうか、風邪をひいていないだろうか、まだ律のことを覚えているのだろうか、一刻も早く助け出したいが、未だICチップの最深部は解読しきれていないのも事実であり、侵入経路だって暇さえあればこうして探しているにもかかわらず有力なルートが見つかっていないのもまた事実。五年前に手を離してしまったあの子は、ゆびきりをしたあの子は元気だろうか。アルカナのことを考えると申し訳なさでいっぱいになって仕方ない。自分たちだけが自由の身になってしまっていいのか、そもそも、アルカナの能力が一つであることに対し、ジョーカーの能力が二つであるということ、その違いも後々解明していかなければならないだろう。と、物思いに耽っていると、天真爛漫、明るげな声が聞こえてきた。


「やっほー、どうかした?頭領さん方お揃いで」
「あっ、澄利でしたか! えっとねー、一縷の身包み剥いでた!」


ふと声の方へ視線を向けると、それは仲間であり、家族である、月琉のものだった。濃いのか淡いのか色彩能力がそこまでない律にはよくわからないピンク色のボリューミーな髪を黒いリボンで天辺から結わえているのが特徴的だ。そういえば幼い頃から美しいほどに鮮やかな赤ピンクの髪を一つに結っている月琉と真っ白な髪を二つに結っている律は紅白だのなんだのと言われていたものだ。気づけば身包み剥いでた、と答えるのと同時に「莉子の追い剥ぎにあってた」と答える一縷。流石相棒。然しかなりシュールで少し笑ってしまった。


「――まあ、いうなら俺は探索ってとこだな。家で地図見てたらさあ、結構この辺り前と変わってんだよ。だから実際歩いてみてたの。お前は?」
「そうそう、りっちゃんはいつものスーパー方面の水道管のルート探ってきたんですよ! こんな寒い中薄着ですっごく遠出したのに結局駄目だった。それで、澄利はどうしたの?」


話の本筋を捉えようとする一瀬に乗っかって律も今までの経緯を伝えた。途中明らかに自業自得だろうというワードが入っているが、当の本人は全く気にしていない。


>科条一縷様、雪吹澄利様


【絡みありがとうございます!今更ながらにアルカナとジョーカー全部で男五人女五人だということに気づいてすごい運命感じました!(意味不明)】

23日前 No.19

ゆれる @ryyy ★Android=N09MVP28nU

【 雪吹澄利/研究学園都市銀花♂w周辺 】

どうやら律が一瀬のマフラーを剥いだ……というよりは、一瀬がマフラーをあげていたらしい。本当に仲が良いな、と熟思う。不思議な魅力を纏った律としっかり者だがふざける事も多い一瀬は、どこか安心感があり癒しの組み合わせだ。幼い頃から戯れたり話していたりしたところをよく見掛けたものだが、脱走したあの日からは更に深い信頼関係を築いた気がする。普段はジョーカーの、サブリーダーとして支え合っている2人だが、時折余りの親しさにもっと特別な関係なのではないかと疑ってみるほど。もし実際にそうなのだとしたら当事者たちが迷惑がるくらい祝福してみせるが、仲間内でカップルが成立するのは複雑だったりもするのだ。

「――まあ、いうなら俺は探索ってとこだな。家で地図見てたらさあ、結構この辺り前と変わってんだよ。だから実際歩いてみてたの。お前は?」
「そうそう、りっちゃんはいつものスーパー方面の水道管のルート探ってきたんですよ! こんな寒い中薄着ですっごく遠出したのに結局駄目だった。それで、澄利はどうしたの?」

さすがと言うべきか、2人ともアルカナ救出に向けての確認をしていたようだ。月琉も家族を助けたい気持ちは言葉に出来ないほど強いが、そのための行動を中々起こせずにいる。少々申し訳なさを感じながらも、それを表に出さないよう声の調子を整えた。常に明るくちゃらんぽん、何も考えていないのが雪吹澄利なのだから。愛瀬良月琉は――研究所に置いてきた、ただの弱虫だ。

「へえ、お疲れさま。皆に会えるかと思って、私はいつも通りぼんやりと歩いてたところ。で、じゃれ合ってる2人を見付けたの。相変わらず仲良いよねえ」

最後に相手をからかうのも忘れなかった。

「――ってか、今日ほんと寒い」
ふと木枯らしが吹いてきて、藍色のマフラーを正した。

 >> 科条一縷様、紅餡寺律様

【本当だすごい……!ただの運命ですね!一縷くんとりっちゃんがほのぼのしていてとても癒しです、可愛い。】

22日前 No.20

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【樹更朱希/研究学園都市銀花¢蜥ハり】

 思想弾圧でもするかね、と悪戯っぽく問いかけられると朱希はきょとんとした表情を浮かべたあとにすぐ、にっこりとした笑みを浮かべて「いいえ」と答えた。実際、彼の考えをあれこれ言うために声をかけたのではなく、珍しく声を荒げているのを見掛けて気になったから話しかけてみただけだ。
 彼は、シャルル計画の被験者であり『切り札』となっている『アルカナ』。自分の護衛対象者でもあるのだが、朱希は『無口なボディーガード』という立ち位置ではなく基本的にこうしてアルカナと話をしていることの方が多い。だから彼とこうして話すことも多々あり、その度に色んな話題で盛り上がる。彼は18歳にしては常に同年代の子供より余裕があり、大人びていた。話していても「へえ」と感嘆することも多く、中々に楽しいものだ。しかし、そんな彼が『ストレス発散していた』のだというのだから、実験に対するストレスは相当なものだろうと考える朱希である。
 もちろん、話好きな朱希であるがスペードとして周囲に怪しい者がいないか気を配ってはいるし、任務には忠実だ。しかし、それがただただ真面目に勤勉に働き、上からの命令だけを忠実に受け入れる機械人間ではないことは確かである。なぜなら朱希は、決して他言はしないが六花国政府に対する不信感を抱いているからである。

 そして『すまん、冗談だ』と返答が来ると「気にしてないわ」と一言、いつも通りの明るい声音で述べた。

「あたし? あたしはさっき時間をもらったから、その辺ぷらぷら歩いてただけよ。最近、根詰めて仕事ばっかして、PCや書類とにらめっこしてたからね。見兼ねて気を遣ってくれたみたい。だから今はちょっと息抜きってとこかしら。目的という目的もないわ」

 ふふっと笑って、肩を竦めてみる。逆に時間が空いたら何をしたらいいのか分からない質である。元々仕事人間であるのに最近は輪をかけて仕事に没頭していたのだ。特に不法入国者がいるとの知らせを受け、しかもそれが5年前に脱走したアルカナ、つまり『ジョーカー』であることが分かってから捜索はスペードに任務が回ってきた。シャルル計画を知っているのは研究者と一部の政府関係者、そしてスペードだからである。そうなると、最近、幹部である朱希はジョーカーに関する書類を読み裁くことも多かったのだった。「時間をもらってもあたしの場合、逆に何したらいいか分からないのよね」とも付け加え、ちょっとばかり苦笑して見せた。

>茶切雪鹿さま、ALL

【それは良かったです……!これからよろしくお願いします!(^^)】

22日前 No.21

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【科条一縷/研究学園都市銀花♂w周辺】

 みんなに心配かけるのは申し訳ないと言う律に、同意を示すように頷いた。律がインフルエンザで寝込んでいたときは、粥を作ろうとしたがいつもの雑さが災いして具材は大きかったり、味付けは濃すぎたりしたため途中から自分には不向きだと判断し、他の家族にバトンタッチしたこともあった。つまり、家族が病気にかかるとじっとしていられなくなる質であり、病気になった律をからかうこともしなかったわけである。
 そしてポンチョと化したマフラーに顔を埋めて『一縷の匂いがする』と言う律に、一瀬はすかさず「何してんじゃい」と彼女の鼻を軽くつまんだ。というのも、先ほどコンビニの前にいたとき、煙草を吸っている若者が集まっていてたまたまその場にいた自分にも、つまりマフラーにも軽く匂いが移っているような気がしたのである。最近の若者は、などと自分も若者であるにも関わらず、心の中で文句を垂らしながらその場を後にしたのはつい先ほどのことだった。

「これ以降、お前はちゃんと羽織り着てくること。これからは雪も降るだろうし、さらに寒くなるから」

 10月以降、この国は雪が降る季節となる。今日は晴天だったが、曇りの日は気温も下がり冷え込む。
 朝起きて窓を開けると、辺り一面真っ白な雪で覆われていることは珍しくない。そう言えば、小さい頃はアルカナ研究所の窓から雪が降っているのを見ると、すぐに自分の部屋を飛び出して一人一人家族のいる自室のドアをたたいては起こしたこともあった。特にこの二人とは、相棒と悪友という関係だったから、一番に起こしに行ってはドンドンと扉を叩いていたような気がする。全く昔から遠慮がない。

 そして律とちょいちょい言いたいことが被るのは思考回路が似てるからだろうかなどと思いつつも、澄利の言葉には一度咳払いをして気を取り直し。

「お前とだってちょいと思い立ってその辺ぷらぷら出歩いたり、ダーツしたりして遊んでんだろ。お前見るとどっか遊びに出掛けたくなるっつーか、ちょいとやんちゃしたくなるっつーか。あれと一緒よ、要は染み付いてんの。コイツが何か言うとツッコミ入れたくなんの」

 今は家族を捜しに街へ繰り出したり、セキュリティレベルをチェックしたりすることがあるが、それでも息抜きにゲームしたりダーツしたりボーリングしたりすることだって、ぷらぷら適当に出歩くことだってある。そんなときには悪友の澄利を誘って、遊びに行くこともある。そんなときは「澄利今ヒマ? どっかで遊ばね?」などと軽い口調で言って、悪戯っぽい笑みを浮かべるのが一瀬の常である。そして寒いと身震いする澄利に「どっか店に入るか?」と二人に提案してみるのだった。

>紅小路莉子さま、雪吹澄利さま、ALLさま

【すいません、帰省するのに新幹線乗り継いだりしていて遅れました。
 ほんまですね!!私もキャラ表作成してるときに気付いて、みなさんきっと男女比を考えてくれたんかなと。もう本編開始から連携ばっちりですね!(笑)】

22日前 No.22

仔夢 @00000x ★iPhone=y44SZZaVfW

【紅小路莉子/研究学園都市銀花♂w周辺】


寒さにマフラーに顔を埋めていると、『何してんじゃい』と容赦無く鼻をつままれた。いや、本当に容赦がない。「ぴぃっ! ひどいひどい!」と元から赤かったが更に赤みを増した鼻を押さえて喚くも、身長的に全く敵わない。無念だ。もういっそのこと今年もインフルエンザとやらになってやろうじゃないか。この時期マスクをせずに電車にでも乗ればすぐに発症することは以前の経験から把握済みだ。なんなら今すぐマフラーを返して遊びながらに帰れば風邪のひとつくらいひけるだろう。そうすれば、一瀬が自分に何もしてこないのはわかっている。確かあの日食べた粥は月琉が運んできたが故に、月琉が作ったものだと思っていたのだが均等に切ってある具とそうでない具にばらつきがあり、更に味付けが月琉にしては不安定であったことを見抜いて、恐らく不器用な誰かが作ったものを月琉がフォローしたのではないかという結論に至った。頭が回らなかったそのときは特に考えもしなかったが今考えるとあれだけ雑だと最初に作ったのは一瀬だったのだろう。いつもは料理なんてもっぱら任せきっているくせに。それはそれで自分がいる落ち着かないのだが、いつも言いくるめられてばかりだと子供扱い剥き出しな感じがして腑に落ちないのだ。然し口で勝てるわけがないというのは分かっている。なんなら我儘でも言ってみると良いのかもしれない。


「これ以降、お前はちゃんと羽織り着てくること。これからは雪も降るだろうし、さらに寒くなるから」
「嫌だぁ! あれ気に入ってないもん。雪降っても寒くてもりっちゃんは平気だもん! 絶対着ないもん! このマフラーも、なくても大丈夫だもん!」


直様胸元のボタンを外しマフラーをつっけんどんに差し出す。然し、コンマ五秒後には後悔で溢れていた。らしくないことするんじゃなかった、こういうツンデレ的キャラはやはり合わない。マフラーが無くなったことで一気に体温は低下し始め、数秒後には鼻も耳も真っ赤、目も当てられないような酷い姿へと変貌した。やはり冬は苦手だ。然し冬に降る雪は大好きだった。昔研究所の窓から見る景色がいきなり真っ白になった時は驚きを隠せず怯えていたものだ。確か朝は弱いにもかかわらず白いモンスターの襲撃で世界が破滅すると思い込み、早朝から布団を被ってベッドから降りてこなかった記憶がある。その後、激しいノック音に更に怯え、白いモンスターを迎え撃つためにドアを開けてすぐに下駄を投げ、暫くしてからぎゅっと瞑っていた目を開けるとそこには鼻を真っ赤にしてこちらを睨む一瀬の姿があったことも、覚えている。そういえばあの時の一瀬は今の律の顔とそう変わりなかったのではないだろうか。そんな思考に浸っている間にも、徐々に体温は奪われていく。然し今更やっぱり貸せとは言えない。流石にプライドが低い律でもそれは言えない。果てしなくアホくさい意地によって結局一番の被害者といえば律なわけで。正しくオウンゴールだ。そんな中、耳は二人の会話に傾けていた。


「へえ、お疲れさま。皆に会えるかと思って、私はいつも通りぼんやりと歩いてたところ。で、じゃれ合ってる2人を見付けたの。相変わらず仲良いよねえ」
「お前とだってちょいと思い立ってその辺ぷらぷら出歩いたり、ダーツしたりして遊んでんだろ。お前見るとどっか遊びに出掛けたくなるっつーか、ちょいとやんちゃしたくなるっつーか。あれと一緒よ、要は染み付いてんの。コイツが何か言うとツッコミ入れたくなんの」
「そうですよ……りっちゃんから見たら二人の方がいっぱい遊んでるし、仲良いんじゃないかな? あ、付き合ってたりしちゃう? しちゃう感じだね! 前からちょっと疑ってたりはしてたし! 青春っていいですね……あとで鎭樹と茜にも連絡してパーティーだね! りっちゃんは結構インドアですし、やんちゃして遊びたい相手かって言ったらそうじゃない部類ですし! あと最後の一言は物申す! 突っ込まれるようなこと言ってないですし! そんなこと染み付かれるなんて本当心外ッ!」


いつもより口数が多いのも、当たりが強いのも、どこかからかうような口調であるのも、全て寒さと一瀬に勝てない自分への苛立ちのせいだった。然し体は正直でかなり追い込まれていたのだが。寒い、と震える月琉と律は全くの同意見だった。それはもう店に入るどころではない。一刻も早く帰宅して部屋に閉じこもってしまいたかった。


>科条一縷様、雪吹澄利様

【風邪フラグ建てますよ!!!だって風邪描写書きたかったんです(我儘)あとたまには一瀬くんに歯向かう律を書きたかった(我儘)】

22日前 No.23

ゆきお @suzurinn☆Mr5oixGNY1Y ★JyFDodpAvJ_DIF



【明志波桃也/アルカナ研究所/廊下】


 桃也の情けない顔を見かねてか、紫翠は桃也を見てすぐ、安心させるように微笑んだ。一目見ただけでどんなにささくれ立った心でも癒してしまいそうな、優しい魔力が込められているかのような笑顔に、桃也は気持ちが落ち着いていくのを感じた。気丈でしっかり者の紫翠は、アルカナでもとりわけ姉、もしくは母のように思えて、ついつい頼ってしまう。容姿にも態度にも非の打ち所が見つからないのは、彼女が自分に厳しくあれと自身に課しているからだろう。
 そんな紫翠の手が突然頭に乗せられ、驚いて目を丸くする。だがその手が動いて癖の強い髪を優しく撫でられると、桃也はすぐに子供のように顔を綻ばせた。

「わ、……えへへ、紫翠の手って落ち着くね」

 お母さんみたいだ、という言葉は飲み込んで、されるがままに頭を撫でられる。桃也と同い年だというのに、紫翠は精神的な面では年上に思えてしまう。桃也は自身の母親のことをほとんど覚えていないが、母親とはきっと紫翠のように隣に居て心地よい人であり、少し言葉を交わすだけでも安心出来る存在なのだと勝手に想像している。しかし、昔学校の友人にそれを言ったところ夢を見すぎだと言われたため、それ以降誰かに言ったことはない。物心ついたときには既に研究所の被検体になっていた桃也は、自分の本当の母親については意識的に考えないようにしている。何故、どうして自分はここにいるのか、母や父の意思でここに渡されたのか――そういう考えは意識の片隅へと追いやっていた。それ故か、母親の理想が高くなっていったのかもしれない。

 しかし、と撫でられながら紫翠の顔を見つめる。片手でも掴めてしまいそうな小さな顔はこれでもかというほど整い、微笑んでいると一際可愛らしい。左目を隠すために流された髪も大人っぽく作用し、銀髪で色白の彼女をコバルトブルーの右目が美しく彩っている。お互い家族として思っているはずだが、十年以上近くにいた桃也でさえたまに本気で照れてしまうのだから、週に五日会う程度の間柄の異性が紫翠の母性や魅力に当てられたらすぐに惚れてしまうのではないかと思うと、どうしようもなく気にかかってしまう。
 桃也は寒さと気恥ずかしさで赤らんだ顔に照れ笑いを浮かべていたが、紫翠が言った先程桃也がかけた言葉に対する、もう問題はないという旨のあまりにも天然なあっけらかんとした物言いにきょとんとし、次いで肩を震わせて耐えきれずに笑う。ただ彼女は性格上大真面目にその言葉を言ったのだろうと考え、控えめに「多分問題はあると思うよ」とだけ、笑い混じりにそう言った。

 それ洗おうか、と紫翠が首を傾げながらコップを指差し提案してきた。そのとき桃也よりも背の低い彼女がこちらを見上げる形で微笑み、桃也も連られて無意識に笑顔になる。可愛い女の子というのは周りに幸福を与えてくれるのだと感心しながら、小さく首を振って言葉を返す。

「ううん、紫翠にはいつもお世話になってるしそれくらい自分でやるよ。……ああでも、紫翠の淹れた紅茶飲みたいなぁ」

 冷えた体はいつの間にかぽかぽかしていたが、それでも時折体に震えが走る。呑気に温かい紅茶を想像したのち、桃也ははっと顔を曇らせた。「これじゃ結局お世話になってるかな……うーん」そう呟いて、眉にしわが寄るほど真面目な顔で葛藤に唸り始めた。


【昨日返信すると言ったな……あれは嘘だ(白目) 紫翠ちゃんにママみ感じてあまりのオギャみに爆発しそうです……(?)】

>>薄花桜紫翠さま、周辺Allさま

21日前 No.24

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【茶切 雪鹿/研究学園都市銀花¢蜥ハり】

樹更は以前から話し相手として接していたが故に、此方の心情にも理解があるようで此方の悪戯にしては棘のある言葉に対してにこやかに笑みをうかべては即座にNOを返してくれた。
本来の役目から僕達に接すれば接するほどにやりづらいだろうに、彼女はそれらを覚悟して接しているというのだから我らとしても感心する。ただ、全く負の感情が無いか?と聞かれれば彼女と同じように答えはNOと言うしかない。聡明だろうと、人間は人間でしかないのだ。つまり、憎悪や苛立ちというのは喜び等と違ってよく頭に残る。なんとも難しいものだ。
……ただ、そうでない人間は少なからず居るだろう。“家族”の中にもそれは居るだろうし、多分……目の前のこの女性もそれに該当、あるいはそれに近しい性格であるだろう。棘のある言葉に返している時点でそう判断するのに無理はないだろう。むしろ、妥当といったところだろうか。

そんな分析を淡々と進めていれば、彼女は快くこちらの質問に答えては休みを貰ったが何をしたらいいのか、分からないなんていう世の中からしてみればある意味異常というか……まぁ、元々この人はこういう人だった。要は昔から仕事人間だったのだ。それはわざわざ僕に話し掛けてきた事からも十分に察せられるだろう。
話は変わるが、とにもかくにも良くは分からない。しかし、最近スペードも慌ただしく動いている姿を時折見掛ける。おおよそ、何かあったのだろうとは思っているが、それが何なのかまで教えてくれるような団体で無いことは昔から知っている。そして、大抵そういう事は知らない方がいいと相場が決まっているのだ。故に、僕は何もしていない。

「なるほど、あんたらしいな。息抜き……それなら別の街の方がいいと思うが、そんな時間は無い……いや、仕事のためにこの街は離れたくないのか?だったら、たまには女の子らしく買い物でもしたらどうだ。服とか菓子とか一応、この街でも無い訳じゃないだろ。」

口許にふと手を当てては相手の言葉に納得して思わず、くすりと笑ってしまった。仕事人間である彼女は仕事が生き甲斐といっと節があるのだろうか、事もあろうに休みの過ごし方が分からないだなんて、本当にこの人もおかしな人だ。とはいえ、人間は少なからず変なところがあるもので、それが普通なのだ。
こう言うと、普通とは何か?という定義に触れかねないので今後は控えておくことにしよう。哲学は下手に考えると鬱になるからな。

と、なにやら上から目線と言うか、さも自分は暇を持て余すことなんてないように言ってしまったが、正直自分にも適切な暇の潰し方など分かってはいないのが実情であった。
昔から、何かと言えば、個性などもてんでばらばらな“家族”が身近に居たが故に、暇になる機会などそうありはしなかった。仮にあったとしてもそれこそ落ち着いてゆっくり休むだとか、強いて言うなれば本を読んだ位だったろうか?

「喫茶店やら公園やらでこのまま話しても構わんが、休みの一時に護衛対象と一緒だと休めんだろう?まぁ、君の時間だからな。好きにするといいさ。なんなら荷物持ち位にならなるよ。」

本来ならば、行動を共にしていれば帰宅時間が多少遅れても監視下にあった、ということに出来るのでそれもありだ、とは思ったものの、よくよく考えれば彼女の休息を奪ってしまう事になる。それは相手がスペードの幹部とはいえ、申し訳なく感じた。
それ故に選択を出来るだけ相手に委ねる形で任せることにした。ただ、それと同時に断りやすくする事は念頭に置くことは勿論大前提だったが。

>樹更 朱希様、all
【こちらこそ、宜しくお願いいたします!】

21日前 No.25

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【樹更朱希/研究学園都市銀花¢蜥ハり】

 さすがの洞察力というべきか、確かに雪鹿の言うように朱希は仕事人間であるがゆえ『この街は離れたくない』という思いが存在していた。雪鹿に見抜かれているのを知ると、朱希はただ驚きと関心で目を丸くする。「へえ! よく分かったわねぇ」と感嘆の言葉を上げた。彼女は任務の命令が下り次第、すぐに駆けつけたい質であるため、出来るなら学園都市にいたいのだ。それはもう六年にも渡りそうしてきたために身体に染み付いていて、逆に連休でもないのに学園都市を離れると不安で仕方がないのである。そして、彼のこの推察の鋭さを見て、朱希はもしかしたら雪鹿はスペードが今忙しい立場にあるのだというのも分かりきっているのではないかという考えが生まれた。つまり、ジョーカーの存在を知らずとも、身近にいるスペードの動きを見て『なにかが起こっている』と推測できる頭の良さがあると思ったのである。

「買い物かぁ……そうね、そう言えばしばらくショッピングしてなかったわ。買い物という買い物もスーパーくらいしか行ってなかったし」

 腕を組んで考えながら、朱希は彼の問いかけにそう答えた。仕事が忙しいと、やりたいことがあってもついつい私生活は最低限のことできなくなってしまう。しかし、時間が出来た今、そのやりたいことをやってしまうのもいいのかもしれない。そうすると何だかワクワクして無意識のうちに「ふふっ」と楽しそうに笑った。
 すると雪鹿から『荷物持ちくらいにならなる』と、つまりは買い物に付き合ってくれるのだという申し出があり、朱希は「ほんとに!?」と両手を胸の前で合わせて感動したように言った。

「あたしね、カフェ巡りにハマってるの。もはや趣味みたいなものね。それで最近……って行ってもここ一ヶ月くらい前なんだけど、駅近くにカフェが出来たみたいでね、ずっと行きたくてしょうがなかったのよ。結構おいしいって評判みたいだし! もしよかったらでいいんだけど雪鹿くんも行ってみない?」

 護衛対象といってもあまり朱希は気にしない質である。それだけ覚悟を決めているということでもある。同時に今はオフなのだから、一人よりも誰かといた方が楽しいだろうと思うのだ。何せ家にいると寂しくて、友人に電話をかけて家に呼ぶような人間である。だから、朱希はやや首を傾げて雪鹿に尋ねてみたのだった。

>茶切雪鹿さま、ALLさま

【あけましておめでとうございます!遅くなってすいません……!ひぃ、年明けから雪鹿くんの大人っぽいイケメン具合に吐血しそうです!!今年もよろしくお願いします(^^)】

20日前 No.26

よいのつづり @sasame031☆Drc4JVXJx7M ★iPhone=BBRldww317

【神楽野 鎮樹/研究学園都市銀花 広場】

 予想していた通りの結果で良かった、と鎮樹は思う。これで落し物をしたのが相手ではなく別の人物であったら、間違いなく鎮樹は恥ずかしい思いをすることになっただろう。その場に手袋を放り投げて逃げていたかもしれない。何はともあれ、受け取ってもらえたようで鎮樹としては一安心だった。

「いやぁ、君のでよかった。もし間違いでもしてたら、俺恥ずかしくて逃げてただろうから」

 あはは、と笑いながら相手を確認する。一度引っ込められた右手と、装飾品らしきものがある左手。まぁ今どき学生がオシャレで装飾品を身につけるのもなくはないか。自分の右手首にそっと触れながら、鎮樹は一人納得する。相手を疑ってかかるのはよくない行為だ。

「あ、そうだ。俺は神楽野鎮樹っていうんだ。この近くに家族で住んでる。また会ったら、その時はよろしく」

 被ったフードには触れずに、鎮樹は笑みを浮かべたまま相手に名前を名乗る。――よくない行為であるかもしれないが、まぁ何があってもその時はその時だ。名を名乗る行為を止めたかもしれない家族は今ここにいないのだから、気にする必要はない。ひらひら、と手を振って相手の反応を待った。

>>志白くん、他All


( 志白くんこそ素敵なキャラクターです、話している鎮樹が羨ましいです……。きっと鎮樹も、志白くんが自分の家族だなんて思いもしてないと思います(笑) )

20日前 No.27

ゆれる @ryyy ★Qsz9fYc5md_m9i

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20日前 No.28

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【茶切 雪鹿/研究学園都市銀花¢蜥ハり】

相手の表情を見据えれば、僕の洞察力に素直に感心しているといった風に取れたが、なにやら此方に対しての分析か何かをしているように感じた。……まぁ、構わない。分析されて困るほど幼稚でもなければ容易でもない。そう自負している。一筋縄でどうにかなるような者なんて賢人でも策略家でもなんでもない、ただの愚者だ。なんて、誰かが言っていたな。
だからこそ、平然とした態度で「君とは長い付き合いだからな、多少は分かる。」なんて、即席で考えたことを前から分かっていたみたいにふっ、と微笑んでは言葉を返した。
……しかし、警戒を強められているだろう。今後の“スペード”の動向はよりいっそう、ブラックボックスになるのだろうか……そうなれば、話は簡単だ。むしろ、そうなってくれないか、とも思ってしまう。

「ああ、本当だとも。いつも御世話になってるからな、その礼……といったところだ。」

予想以上にリアクションをしてくれた彼女を見ては此方も笑うしかなかった。ここまで喜ばれたら、此方としても中々に言った甲斐があると心から思った。女心なんてものは分からないが故に、不用意な発言をしていないか、などと考えていた。それは“家族”と接しているだけで重々理解できた。むしろ、“家族”はまだマシな方で同級生に関してを言えば、本当によく分からない。
特に、女子の『かわいい』。これは定義しようとすればするほどに頭が痛い。以前に一度だけそれをしようとして少し寝込んだ事もあった。そして、その時から自分には女心は分からないもの、としてそれについて考える事をやめた。

……ひとまず、今回の買い物で荷物が自分に持てる範囲であることを祈ろう。女性の買い物は量と時間が膨大だ。覚悟は勿論決めているし、なんなら楽しめそうなのでそこまで気に病んだりはしていないのだが。

「ああ、僕で良ければ是非とも同行させてくれ。喫茶店の雰囲気は嫌いじゃないし……君となら中々に楽しめそうだしな。」

ポケットに軽く手を突っ込んだままに喫茶店の情報を聞けば、紅茶の類いを好んでいる彼は少しばかり表情を明るくしてはゆったりと微かに微笑んだ。その表情は先程の緩やかな激情を感じさせないような極々自然なものであった。とは言っても、内心では他に考え事をしているだけで表情と然して変わらないので自然なものであることは当然と言えば、当然なのだが。
そして、珈琲にしろ、紅茶にしろ、喫茶店に足繁なく行っていると言うならば、相応に評論出来るだろう。尤も、彼女が勧めた店ならば不味い、ということも無いだろうし1ヶ月前に出来た、ということならば、少なからず客足も遠退き始める頃合いだ。混んでいて落ち着けない、ということは無さそうだ。

「さて、時は金なり、だ。何処から行く?」

色々と行きたいところは引き出せたが具体的な箇所としては駅付近のカフェのみであった上に、女子の買い物はよくわからない彼であったが故に再び相手へ質問として投げ掛ける。言葉のキャッチボール的には樹更がノックをしているような状態になりつつあったが……まぁ、仕方の無いこととして諦めてほしい。申し訳ない気持ちは……まぁ、ある。

何かいいものがあれば、“家族”にも買っていかねばなるまいな。一人だけ良い思いをするというのも何だか気まずい。そう言えば、紅茶は全員飲めたはずだよな。よし、茶葉でも買っていくとするか。多少は喜んでもらえるだろう。……それより、茶菓子の方が喜ばれそうな気もしなくは無いが。

>樹更 朱希様、all

【明けましておめでとうございます!
いえいえ、自分も遅いですし大丈夫ですよ!
お褒め頂いて小躍りしてます笑。あ、でも吐血は防がなくては……!
私もお姉さんなのに少しはしゃいでいる樹更さんかわいいなぁ、なんて思ってみたりしてますよ(*´∀`)
ええ、此方こそ本年も宜しくお願いいたします!】

20日前 No.29

妃翠 @azalea☆dszkmgEaqwdD ★BxEfezLEi0_EP8

【 薄花桜 紫翠 / アルカナ研究所 廊下 】





 無邪気の笑顔を浮かべて自分を受け入れてくれる桃也に、紫翠の口元は自然と綻ぶ。彼の頭に手を伸ばした後、実はと言うと紫翠は少し後悔した。というのも、彼女は数日前、ついつい"家族"と同じように同級生の男子に接してしまったことがある。思春期男子とは難しいもので、子供扱いするなと拗ねられてしまったのだが……。目の前の彼を見つめて、彼女はふっと微笑む。彼は優しいから、きっと紫翠に気を使って、自分が喜ぶ言葉をかけてくれたのだろう。良い子に育って、とまるで母親のように感慨に浸りながら、照れ隠しの為に紫翠は両手で桃也の頭をわしゃわしゃと撫でる。




「嬉しいコト言ってくれちゃって。お姉さんを泣かせるつもり?」



 悪い子ね、と冗談めかして笑い、ついでとばかりに彼の額をツンッとつつく。昔から背伸びして育ってきたせいか、紫翠は息をするように他人を子供扱いしてしまう。自分の悪い癖だと言うことは気づいているのだが、いつまでたってもやめられないのは自覚が足りないせいなのか。それとも、気づかないところで他人を馬鹿にしてしまっているのか。後者ならば今すぐに窓から飛び降りて死んでしまいたい。頭を抱えそうになった彼女は、視界の隅に映った桃也が肩を震わせていることに気づき、目を丸くする。何かおかしなことを言ってしまっただろうかと小首をかしげて自身の発言を振り返るも、笑ってしまうようなことは何一つとして見つけられない。足の感覚が無いコトは確かだし、何なら手の指先すら感覚を失いつつある。学校の友人からは「時々お前が生きてるのか心配になる」とさえ言われた彼女の手は、自分で言うのもなんだが死人並に冷たい。左手を右の袖の中に、右手を左の袖の中に突っ込んだ彼女は「問題、あるの……?」と不思議で仕方ないと言うように彼の綺麗な青い瞳を見つめた。
 結局自分の世話になっている、と真面目な顔で考え始めた桃也に、紫翠はクスクスと笑みを零す。紅茶を淹れることぐらい何てことはないのだが、それを伝えてもきっと彼は首を横に振るだろう。ならば、と彼女はパンッと手を叩くと「じゃあこうしましょう」と右手の人差し指を顔の横にピンッとたてた。



「私が紅茶を淹れるから、桃也は私の話し相手になってくれない? 今日は誰かと話していたい日なの」



 断られることを予測して、紫翠はおもむろに桃也の腕をがしっと掴むと、そのままキッチンに向けて廊下を走りだした。



>>明志波桃也様、周辺All



【 まだ年が明けてないので全く問題ないです! 桃也くんにそこはかとなく母性本能をくすぐられて、紫翠が桃也くんの母親ぶりそうで怖いです……。本体の感情を押さえるのに必死です。桃也くん可愛い 】

20日前 No.30

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【科条一縷/研究学園都市銀花♂w周辺】

 鼻をつまめば「ひどいひどい」と騒ぐ律。鼻がさらに赤くなってちょっとやり過ぎたかと思った。その姿を見て一瀬は幼い頃、雪の日に律の自室のドア を開けた直後下駄で鼻にぶつけられたことを思い出す。しかし、マフラーを突っぱねるように押しつけられるとは思っていなかったため、一瀬は面食らった。そして繰り出された幼子のような言葉にため息をつく。――本当は寒いくせに強がってんなよ。
 誰が見ても分かることだった。マフラーをとった律は薄着で、鼻も耳も真っ赤で見るからに寒そうだ。これでは自分から風邪を貰いにいこうとしているようなものだ。月流が律に向けて言葉を紡いでいるとき、一瀬は無愛想な表情でそっぽを向いていた。――寒さで風邪を引いて困るのは結局自分だろう。月流の話を聞きながら、観葉植物入れたれと冗談半分そう思った。

「お前寒そうだけどマジでいらねえんだな。俺は知らないからな」

 差し出されたマフラーを手に取って、自分の首に巻いた。小さくため息をつくと、吐いた息が白い靄になって流れていく。それを目で追いながら、なんで俺ら喧嘩みたいになってるんだろうかとそんなことを思った。昔から、一緒にいるせいか、ついつい言いたいことを言えてしまう分言い合いになることもあった。しかし、大抵はお互いに本気で喧嘩をしてるわけではなかった。じゃれあいみたいなものだと一瀬も分かっている。しかし、今は何となくじゃれあいでごまかして終わる気にはならなかった。

「はは……、兄妹かよ。あーでもまぁ、実際兄、妹ってのがよくわかんねぇけど。お前とは遊び仲間、悪友、ノリの良い同士って感じだわ。まぁ、またどっか行くなら誘ってくれや。落ち着いたら家族みんなでどこか行きたいなぁ」

 確かに律とは相棒という間柄の他にも、兄妹、もしくは親子みたいだと言われたことは何度かあったが、本当の家族が何なのか分からない一瀬にとってはこんな感じなのかとも時々思うのだ。今は律と言い合いになってしまっているため、そこまで考える余裕はないがちょっと嬉しく思ったこともあるのは事実だった。そして月流とどこか遊びに行くのも自分にとっては楽しかったし、そうすると家族みんなでその楽しさを共有したいと思う日もあった。

 そして律の口から次々に出てくる言葉の数々に、一瀬は逸らしていた視線を律にぶつけた。付き合っているだのなんだの言われると、とても馬鹿馬鹿しくなった。自分の中で何かがキレたような音がした。一瀬はひくりと眉をひそめて厳しい目を向けた。

「…………やってられるか。さっきだって寒そうにしてただろうが。人の好意を何だと思ってんだよ。付き合ってるだのなんだの適当に言いやがって。もう勝手にしろ」

 怒気を含んだ口調でストレートに言葉を、本心をぶつけてみる。相棒だからこそ、対等な立場で言葉をぶつけていた。兄のように上から目線でもなく、親のように叱るわけでもない。自分の嘘偽りない感情をそのままに言ってみる。

「んー……、俺はこのままその辺ぶらぶらしてこようかなぁ……。バイトまで時間あるし」

 そう言って、何となく周囲の景色をざっと見回した。

>紅小路莉子さま、雪吹澄利さま、ALLさま

【あけましておめでとうございます!
 考えて打ったつもりでも途中から文章崩壊してますすいません!アイヤー日本語ムズカシイ!()結構厳しいこと言ってますがこんな感じで大丈夫でしょうか……?一瀬が街に繰り出すより、家に行く方が良ければ遠慮なく言って下さいませ(^^)そして月流ちゃんは板挟み(?)ほんとにすいませんorzこの後別れてもまた絡める機会がありましたら絡んでやってくれるとありがたいです……!そしていつかこの具材もまともに切れない雑過ぎる一瀬に料理指導してやって下さい!なんて(笑)とにもかくにも、今年もよろしくお願いします!】

20日前 No.31

日恋 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★5N6QXG582d_m9i

【紫日恋/警察署、休憩室】

 今日はいつになく穏やかだと、日恋はいつものようにその胸に抱えていた、束ごとにまとめられた資料を自らのデスクへしまってから一角に併設されてある休憩室にて一息ついては、窓の外をぼんやりと見つめていた。膝の上にゆっくりとした動作でおろした、両手によって包み込むように支えられているのは、ほどよい甘さとコクのある味に最近気に入っているココアのはいった缶だ。まだ半分ほど残っている中身はまだ暖かく、若干暖房の弱い休憩室で少しでも暖を取ろうと掌に温もりを伝わせる。

「……あら、雪が降っているのね。うふふ、もうそんな時期なのねえ」

 雪国であるこの六花国が今の時期、雪をちらつかせることはそれほど珍しくはないし、日恋にとってももうそんな時期かと思って小さく微笑んでしまった。寒いはずねえ、と気の抜けるような独り言をつぶやきながら、掌を温めていたココアの缶の残りの中身をゆっくり飲み干して、「さて、研究所に顔を出してみようかしら」とゆっくり立ち上がった。


【たいっっっっへんな出遅れですが、皆さま初めまして。スペードのサブリーダーをさせていただいております日恋の本体でございます。皆さまの素敵なお子さんと文章に圧倒されながらも、ぜひぜひ絡んでやってくださると本当に泣いて喜びます…! 今現状警察署に居ますが、これから研究所のほうに移動するつもりですので、警察署または研究所にてお相手いただければと思います……! 何かとまだまだ至らぬところはありますが、どうぞ皆さまよろしくお願いいたします!】

≫皆さま

20日前 No.32

ぎろ @bread10☆Zc30D26XEyF6 ★Android=HMxbkMDOIg

【矢ヶ罪 志白/研究学園都市銀花 広場】


受け取った手袋を慣れた手つきで嵌めていく。寒さを遮断し僅かに圧迫される感覚は慣れ親しんだ落ち着きのあるものだった。
笑みを零してどこか安心したように笑う相手はやはり「人がいい」という言葉を具現化したような雰囲気を感じる。ここ最近の実験で荒んでいた心も体も解されていく心地の良さを覚えた。間違っていたならば逃げていただろうという冗談めかした言葉に志白はくつくつと笑みを漏らす。……逃げていたというのは冗談でも何でもないのかもしれないが。ともかく、志白にとってその言動の成否は重要ではない。

「(ああ、なんてことだ。どういうことか、今日という日がこんなにもおかしい)」

学校と研究所を行き来し、家族と励まし合い、時にはスペードと会話をする。そんなルーチンワークをこなしていた志白にとって今日の出会いはひどく面白可笑しく感じたのだ。
ほんの一時だけでも、自身の身持ちを忘れて外部の誰かと会話することが良い刺激になるとは思ってもみなかった。今日研究所に帰ったら家族達にでもこの話をしてみよう。志白にまた、ほんの小さい楽しみが増える。
この会話に心が踊るのは相手が外部の人間だからという理由だけでは説明がつかない気もしたが、生憎志白がその違和感に気付くことはなかった。
男――神楽野鎮樹と彼は名乗る。その文字の並びに聞き覚えはない。手を振る彼に応えるように、帽子を取って軽く頭を下げた。

「矢ヶ罪だ、こちらこそよろしく頼む」

特に深い意味もなく苗字のみを名乗る。そんな時、志白の眼前を何かが掠めた。

「……雪か。今年も、もうこんな時期なんだな。あんた……おっと、鎮樹、は冬は好きか?」

手のひらを出してみれば、ふわりと雪が舞い落ちる。黒の手袋に一瞬白を落としたあと、雪は消えてしまった。雪を見てやはり思い出すのは5年前のクリスマスである。先程鎮樹が口にした家族という言葉も合わさり、少しセンチメンタルな気分になる。それを打ち消すように他愛のない世間話を鎮樹に振ってみた。

>>鎮樹、all



【皆様あけましておめでとうございます、今年もスレの益々の発展をお祈り申し上げます!流石にフルネーム名乗るのはアルカナバレの可能性の点でマズいと思ったのでとりあえず苗字だけでも……!色々ぼんやりとした既視感や怪しい点はあるものの、それ以上には行かないこの絡みがとても楽しいです、お付き合い頂きありがとうございます。そして今絡めていない皆様も、今年もよろしくお願いします!!】

19日前 No.33

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★zuLSncMp6z_ZFe

【樹更朱希/研究学園都市銀花¢蜥ハり】

「あははっ、お礼なんてたいしたことしてないわ。でもありがとう、素直に嬉しいわ! あたしの方こそ、感謝しなきゃね。誰かと遊びに行くなんて久しぶり」

 日頃のお礼と言ってくれる彼に、朱希は明るく笑いながらそう答えた。ジョーカーが六花国に侵入してきてからはさらにばたばたしていることが多かったため、朱希は久しぶりにカフェへ行けることに喜んでいた。たまには息抜きもしなければ、自分の場合は煮詰まっていたに違いないとも思う。それに前々から行きたくてうずうずしていた場所へ知人と一緒にいけるとなればワクワクしてくる。
 護衛はスペードの任務の一つ、朱希としてはお礼を言われるようなことは何一つしていないと思っている。逆に、自由のない生活をしているアルカナである彼に護衛をしている『スぺ―ド』の自分が関わり過ぎると、せっかく街で自由に歩いていたのに窮屈になってしまうのではないかとも心配していた。しかし、礼を言われると単純ではあるのだが、ちょっと安心した朱希だった。ほっと小さく胸を撫で下ろす。そう言う意味での感謝の言葉であるのかもしれない。

「ふふ、それは良かったわ。雪鹿くんは喫茶店が好きなのね。紅茶もよく飲むのかしら」

 僅かではあったが表情を明るくして答えた雪鹿に、朱希は喫茶店が好きなのだなあと単純にそんなことを思って笑みを浮かべた。自分もカフェ巡りが趣味みたいなものであったから、意外な共通点があったものだとも思う。

「ううーん、あたしも他に行きたい場所があるかって言ったらパッとは出てこないなあ。雪鹿くんは行きたいところある?」

 「どこから行く?」という問いかけに、朱希は考えながらそう答えた。いざとなったらパッと思いついてこない。何かに時間が束縛されて好きなことが出来ないときは「あれもやろう、これもやりたい」と休日の予定を頭の中で思い浮かべていたというのに、どういうわけか今は出てこなかった。しかし、朱希としては行きたかったカフェに行けることだけでも相当に嬉しい。その店の評判を噂を聞いてから、ずっと気になっていたのだ。そして、今度は逆に雪鹿に行きたい場所を尋ねてみて。あったらあったで付き合おうと思っていたし、なければこのまま直行でカフェでお茶をしてゆっくりとお喋りするのでも良かった。オフなのだから、たまにはこういうふうにどこかへ行くのもいいなと朱希は思うのだった。

>茶切 雪鹿さま、ALLさま
【ひい、そう言ってもらえてよかったです!気遣い上手な雪鹿くんに本体はすでに吐血済みですww朱希は久しぶりに遊びに行けてルンルンです(笑)】

19日前 No.34

仔夢 @00000x ★iPhone=y44SZZaVfW

【紅小路莉子/研究学園都市銀花♂w周辺】


ふるふると子鹿よろしく並みに震える律の右手にはグレーのマフラー、序でに律の震えに合わせるようにマフラーも震えている。指先も既に真っ赤で体温は冬景色にどんどん吸い込まれていく。それでも、今更引き返せないところまできているのはわかっていた。もう言ってしまえば仕方ない。全力で家まで帰って布団に潜り込めばなんとか風邪は免れるだろうか。と、そんな思考に浸っていると、月琉の呆れ半分な声が聞こえた。


「もう、ほんと子供っぽい。そんな薄着じゃ風邪引くに決まってるじゃん。まあ優しい優しい澄利さんが看病してあげるけど、もしお粥に観賞用の植物入ってても恨まないでね?」
「そんなことないっ……風邪引いても澄利のおいしいお粥食べれるからいいです……ええっ、澄利ぃ……嘘だよねぇ……? わたし観葉植物消化できるような体じゃないです……」


昔から人一倍寒がりだった律は毎年恒例のように風邪を引いていた。その度に看病してくれるのは大半がとことん万能でソツなくこなせる月琉であり、病人食だって栄養も食べやすさも考えた上で律の好きな薄味も意識してくれていた。その時一緒に作ってくれるスープだって、野菜も肉も沢山入っているのに、その全てが口の中に入れるとほろりと蕩けてしまうように柔らかく、どれだけ煮込んでくれたんだろうと申し訳ないような有難いような、不思議な感覚に陥っていたのもまた一年前の思い出だ。本人はたまに料理するくらい、だなんて言っているが彼女の作る料理はどれも芸術的とも言えるくらいに彩り豊かで美しいものだ。一つ下とは思えないほど大人っぽい節があり、天気は大荒れ、雷が彼方此方に落ちるように鳴ったあの夜、涙目で月琉のベッドに潜り込んで眠ったこともいい思い出だ。そんな彼女の粥を食べることができる風邪のシーズンは律にとって密かに嬉しく感じる季節だったり……したのだが、観葉植物発言には思わず目が潤んだ。次の言葉にはもっと。


「お前寒そうだけどマジでいらねえんだな。俺は知らないからな」
「寒くないって言ってるの。別に知らなくていいです。りっちゃんのお世話係なんて疲れたでしょ?」


じゃれあいだった筈が酷く滑稽なほどに強く当たってしまうのは幼い頃はよくしていた喧嘩の前兆。最近では殆どと言っていいほどに少なくなったそれだが幼い頃も確か律の強がりが主な原因だった。一瀬に一切のことを無視されるその状況が辛くて先に謝るのも、そのあと月琉の説教をくらうのも、殆どが律だ。今思えば懐かしかった。が、現在律はそんなことにかまっていられない。現在その喧嘩が進行中なのだ。このままいつものように何方かが折れてじゃれあいで済ますこともまだ間に合う。然し今回はどうも腹の虫が収まらない。言い出すと止まらないのも自らの悪い癖だ。とはわかっているものの、一瀬と言い合いになると律は折れることを知らなくなる。それは気を許している証でもあるのだが。

月琉と一瀬が会話している最中、律は静かに視線を下に向けていた。兄妹、幼い頃からよく言われるがそれは今も変わらない。いつも喚く律を宥める一瀬は第三者からそう見えるらしい。家族の暖かみを知らない律にとってそれは家族について考える手掛かりであり、少し嬉しいことでもあった。今はそんなことを考える余裕もないに等しいのだが。


「リーダーうるさい。私と一縷が付き合ってるとか盛り上がるだけ無駄だと思うけど、なんか面白いから私は否定しないでおこうかな。でも肯定もしない」
「いーや、お似合いだと思います。りっちゃんはね。否定しないなら、そうと捉えてもいいよってことですよね!」


「…………やってられるか。さっきだって寒そうにしてただろうが。人の好意を何だと思ってんだよ。付き合ってるだのなんだの適当に言いやがって。もう勝手にしろ」
「好意? どうせ莉子のことお子様だとでも思ってるんでしょ? そうね、あんた世話焼きだから小さい子には優しくしないとね。ただ下に見てるだけなら好意とは言わないと思うんですけど。それにいつも莉子のこと散々からかっといて、その言いぐさはないと思います。勝手に言ってるのはいつも一縷のほう。莉子がどれだけ我慢してると思ってるの。ええ、言われなくても勝手にしますよ。」


月琉と話すときの笑みを含んだいつもの通りの話し方とは一転、律のなかで何かが切れた。もう考えなくたって言いたいことはすらすらと言葉が口から発射されていく。まるでさっきの律はもういないとでも言わんばかりの鋭い目つきで、相も変わらず低い身長ももはや関係ないくらいに高圧的な態度で。
一言で全て言い終わると、一瀬の言葉には反応せずに、帰りたがる月琉と全くの同意見だったため、彼女の手を引いた。


「私はもう帰ろうかな、無駄に寒いし」
「りっちゃんも帰ります。澄利、久しぶりに二人でご飯作ろう?」


家の方向へ駆けていきながら、月琉へ向かって真っ赤な顔で微笑んだ。


>科条一縷様、雪吹澄利様

【あけましておめでとうございます!新年早々喧嘩ロルをまわします……喧嘩って難しいですね……りっちゃん結構当たり強めになっちゃいましたが気を悪くされたらごめんなさい本当はお世話係りとか思ってないです感謝してます……!了解です!これから月琉ちゃんと夜ご飯作らせたいですかわよい月琉ちゃんに看病されたいです!】

19日前 No.35

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【茶切 雪鹿/研究学園都市銀花¢蜥ハり→喫茶店】

大したことない、なんて明るく笑って答えてはこちらこそ、ありがとう、だなんてお礼まで言う礼節ある実に善人と言えよう彼女に人望が無いわけなかろうに。と、始めはそんな風に単調な思考に至った。それ故に、

「そうか。僕も暇であったから礼には及ばんよ。」

なんて返してはははっ、と笑った。しかしながら、思考を改めて見直してみれば彼女は善人過ぎても人は近寄りがたいだろうし善人である彼女は他人を気遣うあまり他人を誘う事すら出来ないのかもしれない。そんな不器用さが垣間見えた瞬間だったのだろうか。単に、僕の考えすぎといった可能性も否めないので此処は流しておく事にする。機会があれば、その時にでも言っておこうか……やれやれ、思考の回転が鈍いな。困ったものだ、こんなとこでは今いる“家族”だけではなく居なくなった“家族”にまで笑われてしまう。もっとしっかりしなくてはならないな!

「ああ、紅茶をよく飲むよ。というか、あれだな。紫翠の淹れ方も上手いし嫌いな奴は居ない……気がするな。もしかしたら僕が知らんだけかもしれんが……。」

相手の言動に深く頷いてふと家族の事を思い返せば自分が淹れることも一応はあったものの、紫翠という“家族”の一人がついでだから、なんて言って淹れてくれることも中々にあった。まぁ、その紅茶が中々のもので茶菓子にもよく合っていた。そう言えば、彼女も世話好きと言うか……眼前の女性と似通った部分が少なからずあるような気はしているが、本人達がどう思っているのか分からないのでこれもまた、胸中に秘めておこうと思う。

そして、普段からそれなりに和気あいあいと過ごしているせいか、飲み物の好みなんて知るよしもなかったが、なんとなく紅茶は好きな人が多かった気がしている。なにせ、各々好きなものを適当に飲んでいるためか、そういったことを気にしたことが無かったのだ。今度、機会があれば気にかけてみるとするか。

そんな事をううむ、と少し唸っては考え込んでいるとふと頭に冷たい物が触れた。何かあったか、と上を見れば、白濁とした雲から白いものがはらはらと降っていた。ああ、もう雪が降り始めるのか。道理でやけに冷え込むと思ったら……しまったな、もう少し暖かい格好をすべきだったろうか。いや、そんなことより、だな。

「そうか、僕もない。雪も降ってきた事だし、そのカフェとやらに行くとするか!」

相手が特に行きたいところはない、と言っていたので特筆して無かった僕はすぐさま踵を返して駅の方向へと歩き始めた。生憎、僕は傘の持ち合わせが無い。そんな時にわざわざ女性を連れて行くような御店など、知るよしも無いのだ。カフェについて、雪が積もるようならいくつか僕にも考えがある。かなりの制限を食らってしまったが、それでも能力は健在なのだから。
ああ、でも樹更も能力はあるのだから、そこまで気にかける必要性も無いか……。それでも、女性だから気にかけてしまうのだ。別にフェミニストというわけでは無いが、男性であるならば、この程度は一般的だろう。

ついぞ、先行して歩いてしまったのでちらりと振り返って樹更を待ってみる。先に行ったとて、僕には詳しい店の位置が分からない。それに、樹更の様子も気になった。

「あまり急がんでもいいからな?急がば回れ、とも言うしな。」

樹更の方を見ては相手を気遣う質であろう相手に自分のペースに合わせて無理をしないように少々分かりづらいかもしれないが、少し眉をひそめて微笑みながらそう伝えてみる。雪の日に急ぎすぎて足を挫いた、というのはよく聞く話であったが故に、ついつい心配をしてしまう。子供扱い……という程でも無いかもしれないが、それでも気をよくしない者も少なからず居るだろう。だからこそ、彼の気遣いは何時だって婉曲的であった。そもそも、気遣い自体を自覚することが無いゆえに、その悪癖とも取れるそれは治ることは未だ無かった。

>樹更 朱希様、all

【あぁ!誰か、お医者様はいらっしゃいませんか!笑
若干ながら雪鹿君も上機嫌です。ただし、目には見えないという…。
ルンルンしてる樹更さんの頭を撫でたい…!】

19日前 No.36

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★zuLSncMp6z_ZFe

【樹更朱希/研究学園都市銀花¢蜥ハり→喫茶店】

礼には及ばないと雪鹿から言われ、朱希はにっこりと笑った。アルカナとここまで打ち解けて話せることがあまりなかったためだろうか。話していたとしてもどこかお互い遠慮して浅い話になってしまうことが多かった。一緒に出掛けることはほとんどが「護衛」という役割があるからで、つまりどうしても任務であるためだと思われがちだ。深入りはするな、という昔の上司の言葉に縛られているような感覚があった。仕事上の付き合い、そう言った最低限の会話しかしない者もいる。所詮は監視だろうと言って、詮索してくるなという者もいた。
しかし、オフの日くらいは普通に話していてもいいだろう。

「ふふ、美味しいものね。あたしも紅茶は好きよ。あたしは詳しいわけじゃないけど一日二回、朝起きて飲んで、家帰ってから飲むのが習慣になっちゃったわ。……へえ、紫翠ちゃんの淹れる紅茶ってそんなにおいしいの。全然知らなかったわ。でも、なんか想像しただけでもおいしそうって言うか、似合ってるわね」

 自分の言葉に深く頷いて肯定の返事を述べる雪鹿に朱希は「美味しいものね」と同意した。朱希も紅茶を飲むのは好きだ。色んなカフェや喫茶店に行くと、とりあえずは紅茶を頼むことにしている。朱希にとってカフェ巡りはほっと息をつくひとときの時間で、その紅茶の香りに包まれていると幸せを感じるのである。うんうんと、肯定の意を込めて頷きながら雪鹿の話を聞いていた。そして「紫翠の淹れ方も上手い」という言葉を聞けば、朱希には初耳であるのに「ああ確かに」と呟いてしまいそうになる。紫翠は優しく、他のアルカナの面倒をよく見ていて良いお姉さん的存在だと朱希は思っている。よく気がつくということでもあり、何となく他人に紅茶を振る待っている姿が想像できる気がした。
 少し先を歩く雪鹿の後をついていくと、ちらとこちらを振り返ったので「朱希ナビにまっかせなさい!」と冗談ぽく言って明るく笑いながら、彼の横に並んだ。店を知っているのは自分であるので、そこまでナビのように案内しようというわけである。

「大丈夫大丈夫! あたし、高校生の頃は結構高いヒール履いても全力で走ってたくらいだから、バランス感覚はすっごいいいの!」

 つまり転ぶ心配はないということを言いたいらしい。こちらを見て、気遣う彼に朱希は少し前を歩いてくるりと後ろを振り返ると大丈夫だという旨の言葉を伝える。今は後ろ向きで歩いているので、それこそ転ぶ可能性が高くなるというものだがその表情はどこか楽しそうである。

>茶切 雪鹿さま、ALLさま

【雪鹿くんとは紅茶好き仲間ですね(`・ω・´)るんるんの朱希はカフェに着くとテンションがさらに上がりそうです(笑)】

18日前 No.37

@tom14ygo☆WnFCSuIj8g3e ★Android=agAsIzwiuP

【 御神木 丞 / スペード本部→休憩室 】


一体、どのくらいの時間デスクに向かっていたのだろうか。存在を忘れていた携帯が突如として鳴り響き、聞き慣れたその機械的なメロディにハッと我に返る。数秒で止まったそれは電話ではなくメールの着信を知らせるもので、差出人は古くからの友人だった。今は西都へ旅行中で、他愛ない一言と共に何枚もの写真が添付されている。多忙な生活のせいか旅行には縁が無く桜雪へ足を運んだのはこれまでの人生で一度だけだったが、歴史情緒溢れる街並みを歩くのはノスタルジックでとても感慨深かった記憶がある。一度行ってみたいと言っていた彼は存分に旅行を楽しんでいるようで、両手でピースサインを作り満面の笑みで写っている。その笑顔につられて自然と頬を緩ませると、送られて来た写真の中から景色だけが写ったものを保存し、返信を後に回して画面を閉じた。
 目の前には作成途中の資料、その脇には山積みの書類。部屋の時計を見上げればどうやら数時間の間仕事に集中していたようで、今日中に終わらせなければならない文書は既に出来上がり、気が付けば別な作業に取り掛かかっているところだった。守護部隊を謳っているとは言えアルカナの護衛だけがスペードの仕事ではなく、五年前に脱走したアルカナジョーカー≠連れ戻すことに加え、六花国に探りを入れているスパイの調査・排除を担っている。現場に出ている事がほとんどだが、政府へ報告書などを提出する為にこうした本部でのデスクワークも多い。再び文字を打ち始めようとキーボードに手を乗せるが、集中力が途切れなかなか思うように進まない。更には長い時間画面を見続けていたせいで目の疲れがひどく、思わず眉間を押さえてしまう。

「…………駄目だ、今日は終わりにしよう」

 そう呟いてパソコンの電源を落とすと、肩の荷が下りたように大きく溜息を吐いた。仕事は一段落したが、警察署――つまりは、職場を出るまでスイッチを切り替える気にはなれない。この場所がアルカナの住まう研究所と繋がっているせいもあるのか、なんとなく、まだ気を休める事が出来ないのだ。さっさと帰り支度を済ませてしまおうと書類を整え、椅子の背凭れに掛けていたジャケットを羽織り内側のポケットにボールペンと携帯をしまうと、まだ半分以上残っていたコーヒーを口へ運ぶ。それは完全に冷め切っていたが、暖房により乾燥した喉にはかえって心地良い。身体の芯まで潤いを満たしていくのを感じながら一気に飲み干してしまうと、空いた缶の行き場を探して休憩室へと向かった。
 そして、ドアが開かれた瞬間――真っ先に視界に捉えたのは、よく見知った女性の姿だった。

「お疲れ様。もう仕事は終わりか、紫」

 紫日恋――スペードのメンバーで、大切な部下。いや、部下では少し遠すぎるような気がする。彼女の場合仲間≠ニ表現した方が合っているだろうか。まさしく仕事の出来る女性で、提出される書類はいつも完璧なものばかりである。戦闘においても非常に優秀で、彼女の能力には何度も助けられていた。自分と同じくデスクに向かっていたとばかり思っていたが、どうやら気が付かないうちに仕事を終わらせて休憩室へ来ていたようだった。


>>紫 日恋様、ALL様


【あけましておめでとうございます!そして非常に遅れてしまいましたが、本編開始おめでとうございます。どこへ行こうか……と迷っていたところ、警察署にとても可愛いお嬢さんがいらっしゃったので早速絡ませて頂きました!研究所へ行かれるようでしたら、是非とも日恋ちゃんのお供をさせて下さい……!お願いします(土下座)】

18日前 No.38

日恋 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★5N6QXG582d_m9i

【紫日恋/スペード本部、休憩室】

 立ち上がった日恋が目指すのは、休憩室内に設置されている自動販売機の横に並ぶゴミ箱。手に持った飲み干したココアの缶をカンと分別された口へと投げ入れて、きちんとゴミを処理する。その際、少しずり落ちた肩に羽織るようにかけた大判のストールを手でたどりながら戻しつつ、休憩室をそろそろ後にして先ほど呟いた通りに研究所に顔を出そうかと脳内で再び呟きながら扉のほうへと歩み寄り、ノブに手をかけてゆっくりと開いた。その流れのままに歩みだそうとしたのだが、開けた扉の先、すぐ目の前に人影と直面してはぐっと脚を踏みとどまらせた。少しばかり驚いたような日恋だが、しかし目の前の人の顔を確認する前に低くそして心地よい聞き慣れた声色がゆっくりと降ってくるのである。

「まあまあ、丞くん。お疲れさま」

 漸く日恋は顔をあげて、改めて彼の存在を認識してはふわりといつものごとく微笑みを浮かべた。
 彼は自らが所属するこのスペードを束ねるリーダーであり、だが日恋にとってはスペードのリーダーというだけでなく、紛うことなき仲間の一人である。仕事においての姿勢やアルカナへの対応においてもすべてに誠実である彼のことを、日恋はとても尊敬し、そして敬愛している人物であることは間違いないために、日恋も日頃の恩をせめて仕事という目に見える形でももちろん返していこうと決めているのだ。彼への呼び方は、しかしながら相変わらず上司というのになれなれしいことこの上ないのだが、いつものことである。日恋は予期せず自分の身体でふさいでしまった扉を、二歩三歩と後退して「塞いでしまってごめんなさい、どうぞお入りなさって」と横によけた。これで彼も休憩室へと足を踏み入れることが出来るだろう。

「ええ、私のお仕事のほうは先ほど恙なく終わりました。帰宅する前に研究所へ寄ろうかとも思っておりますけれど、丞くんもお忙しくないようでしたらご一緒にいかがですか?」

 忙しくなければ、と前置きして誘ったものの、きっと彼は忙しいのだろう。彼が忙しくしていないところは、実を言うとあまり見たことがないのだが。しかし、そんな彼が少しでも息抜きが出来ればなと日恋は密やかに思うのであった。

≫御神木丞さま、ALLさま

【あけましておめでとうございます…!ひええっ、とてつもないイケメンさんと絡むことが出来てとてつもなくうれしいです!密やかにこれもう誰も絡んでもらえないのでは……と絶望感じてたところだったので本当に助かりました!うれしい!ありがとうございます!そしてお言葉に甘えまして早速研究所へのお誘いをしてしまいました!こちらこそお願いします(土下寝)(((】

17日前 No.39

一青瀬采都 @pm300 ★iPhone=psO1pC4dIH



【一青瀬采都 / 警察署地下】

「……予想通り……です」
そう呟いた彼女ーー一青瀬采都は、この日の仕事を少し早く終えて個人の調べ物をしようとアルカナ研究所へと繋がる通路のある警察署地下の端に位置している書庫へ入った。何が予想通りだったかというと、その荒れ果てた書庫の姿である。とはいえ、恐らく普段使っているであろう一角だけは整っており仕事に支障をきたすことはなさそうだが。それでもバラバラのバックナンバーからしてきっと長らく使われていないファイルもあることは明確だった。

ところで、彼女はスペードに配属されてまだ一年目の新米である。新米といえば雑用。雑用といえば新米。幸運なことに掃除が好きな采都ではあったがともすれば図書館を作れそうな書物の多さに一瞬ひるんでしまう。

「…………」
思わず押し黙ってそれらを見つめている自分に気がつき、気合いを入れ直して時計を確認する。針の示す時間はまだ五時四十分。心の中でよしっ!と言ってから腕まくりをして彼女は書庫の整理に取り掛かった。
とりあえず手元にあるファイルのナンバーを揃えてゆく最中、自分の上司の面々を浮かべて彼女は首を傾げていた。様々なキャラクターでありながら、仕事に関しては完璧な先輩たちが手をつけなかったここって一体......?
多少天然であるのかも分からない彼女は、無意識のうちに念糸を使って四方八方の書物を恐ろしいスピードと激しい物音を伴いつつ片付けながら考えるのであった。

【はじめまして、スペード新米幹部の一青瀬采都の本体です。オリジナルなりきりに数年ぶりに参加しているので至らない点も多いと思います......!どうか教えていただけるとありがたいです、采都共々よろしくお願いします】

>>ALL様

17日前 No.40

よいのつづり @sasame031☆Drc4JVXJx7M ★78Gp0ZKeUd_qxX

【神楽野鎮樹/研究学園都市銀花 広場】

 矢ヶ罪、と名乗った相手を見る。――聞き覚えがあるような、ないような。あったとしても、それが自分の家族のものであると断定するのは早計すぎるし、何より、鎮樹は相手の顔に見覚えはなかった。記憶力が悪いわけではないが、記憶力に自信があるわけではない。だから、目の前にいる彼の顔が記憶になくても、鎮樹は仕方がないと思う。

 ――雪が降ってきたらしい。視界に入ったそれは、すぐに消えていく。吐き出した息は白く、もう雪が降る季節なのだと実感する。寒さに弱い鎮樹は、この季節が好きではない。だが、まぁ。雪というもの自体は嫌いではなかった。ぬるくなり始めた缶コーヒーを両手で転がすように握りながら、鎮樹は矢ヶ罪の質問に答えを返すために口を開いた。

「雪、か。好きな方、だとは思うな。俺、寒いのは苦手だけど、雪を見るのは嫌いじゃないし」

 そう言って、鎮樹は曖昧な笑みを浮かべ、雪が降る空を見上げる。家族と共に逃げ出したあの日を思い出させるような寒さと雪に、鎮樹は知らないうちに、眉をひそめていた。

>>志白くん、ALL

( あけましておめでとうございます!(今さら) この絡みが楽しいと言っていただけて何よりです、こちらこそありがとうございます…! そして皆様、今年もよろしくお願いします )

17日前 No.41

ゆきお @suzurinn☆Mr5oixGNY1Y ★JyFDodpAvJ_DIF



【明志波桃也/アルカナ研究所/廊下】


 紫翠によってわしゃわしゃっと両手で乱された髪を桃也が直す間もなく、冗談めかした言葉を言いながら紫彼女が笑った。その言葉の「お姉さん」という部分は、紫翠と桃也が同い年である以上必ずしも適切ではないかもしれないが、面倒見が良く精神面でも大人びた紫翠のことは桃也も姉のように思ってきた。だからこそ女装という特異な趣味がバレてしまったことは少しショックなのだが、それさえも踏まえた上で今こうして笑い合えていることには感謝の気持ちしかない。それもこれも彼女の心の広さと口の硬さのおかげだろう。そして、どんなものであれ秘密の共有というものは人の絆を強固にする。とは言っても、アルカナは皆他の何にも代えられない大切な家族なのだ。その家族たちにさえ隠し事をしているという事実に、たまに少し胸が苦しくなることがある。個人的なことだからまだしも、これが家族の存亡に関するものだったら――ネガティブな思考は、いつだって自分を不安にさせる。だからといって女装趣味を他人に言えるわけないのだが、と悶々とした思いが堂々巡りを始めかけたとき、ツンッ、と指で軽く突かれた額の感覚に思考を遮られ、はっとして我に返る。

 問題はあると言った桃也にそのまま、問題はあるのかと不思議そうに聞き返した彼女は、いつの間にか自分の腕をそれぞれの袖口に突っ込んでいた。その姿はいつか本で見た、どこかの民族の妖怪のようにも見える。だが冷え性の彼女がその形を取るのは大して珍しいことではなく、その面白おかしいポーズよりもその行動に至ったことへの心配が勝る。先程の足の感覚がないという発言からしてアウトな気もするが、今は手先が冷えて寒いのだろうか。このまま手足の先から冷えていき、じきに身体中が震え出すのではないか。世話になっているなっていないの悩み事よりも事の重要性の高い事象に、一刻も早く火を扱えるキッチンに急ぐことを優先させた方が良いと気持ちが急く。だがそれを言い出すよりも早く、紫翠の手でパンッと快活な音が弾けた。突然のことに、考え込んでいた桃也は驚いて目をぱちくりさせてしまう。何やら名案を思いついたらしい紫翠が、可愛らしい仕草で人差し指を立てた。

 彼女は自分が紅茶を淹れる代わりに、桃也には話し相手になってほしいと言う。そんな簡単なことでいいのかと、彼は面食らった。頼まれていなくたってずっと話していたいほど、紫翠と話をするのは楽しい。部屋を出る前には多少胸に燻っていた、読みかけの本に対する読書欲も忘れるくらいに。だが桃也がイエスかノーかを答える前に、紫翠は桃也の腕を掴み、そのまま走り出してしまった。彼は一瞬何が起こったのかを理解出来ずに引きずられかけ、慌ててもつれそうな足を動かした。

「えっ、もちろんいくらでも話し相手にはなるけど、ええと……廊下は走ったら、危ないよ……!」

 混乱のあまり学校の風紀を重んじる教師のようなことを口走ってしまいながらも、口元は無意識に笑んでいた。人と手を繋ぎながら――というよりは腕を引っ張られる形ではあるが――走ることに、少し青春っぽいな、なんてことを思いながら。


【あけましておめでとうございます!(大遅刻)
  ンン……というか物凄く発展のない受け身のロルで申し訳ないです……!!
  桃也はあわあわしてるので適当にキッチンまで引っ張っていっちゃってください……!!!】

>>薄花桜紫翠さま、周辺Allさま

17日前 No.42

妃翠 @azalea☆dszkmgEaqwdD ★BxEfezLEi0_EP8

【 薄花桜 紫翠 / アルカナ研究所 廊下→キッチン 】




「そうね。だから桃也は無闇に走っちゃだめよー。誰かとぶつかって怪我したり、させちゃったりするからねぇ」



 混乱しているのか中々に真面目なことを言う彼に、紫翠は自分のことは棚に上げて足音にかき消されないように少し声を大きくする。豪邸の皮を被った研究所内に、紫翠と桃也の足音だけが響く。これほど騒がしくすれば誰かしらから苦情が来そうなものだが、少しも声がかからないところを見るとここにいるのは自分たち二人だけなのか。しかし、未だに桃也を巻き込んで走り続けている彼女は、すぐに否と首をふる。ここの地下では、今も幼い誰かが政府の餌食になっているのだろう。足を止めれば誰かの悲鳴が聞こえてきそうで、彼女は無意識に桃也の腕を掴む手に力を込める。
――こんな腐った国、いっそのこと滅んでしまえばいいのに。
 暗い思考に沈みかけた彼女は、寸でのところで我に返って……顔を引きつらせた。紫翠の目の前。額が触れるか触れないかと言う距離に、何と言うことだろう。キッチンの扉があった。このまま考え込んでいたらきっと自分は扉にぶつかっていた。もしものことを想像した彼女は、額が痛んだ気がして思わず手で押さえる。無言で扉を開けた彼女は、くるりと振り返って誤魔化すように笑いながらキッチンの電気をつけた。



「すぐに紅茶を淹れてくるわね」



 ちょっとだけ待ってて、と言い残し、紫翠は紅茶の準備にとりかかる。棚から精緻な細工の施された白磁のティーポットとカップを取り出し、鍋に水を淹れて沸騰させる。ネットで得た知識だと5円玉くらいの泡が出ている状態が目安と書いてあったが……。沸騰したお湯をじっと見つめた紫翠は、すぐに半眼になってお湯を止める。そんなもん分かるはずがない。ポットとカップにお湯を淹れて温め、温めたポットに先日購入したばかりのアッサムをティースプーン二杯ほど淹れて勢いよくお湯を注ぐ。蒸らしている間に何かお茶菓子になるようなものはないかと冷蔵庫を漁っていた彼女の視界に、二本のパウンドケーキが入る。ドライフルーツと木の実がぎっしりと入ったケーキが一本。プレーンのものが一本。誰か作ったのか、それとも買って来たのだろうかと首を捻った紫翠だったが、すぐに何かを思い出したように「あ……」と声をあげた。そう言えば、研究者への怒りを込めて昨夜何かを作った覚えがあったが、パウンドケーキを作っていたのか。桃也はどちらが好みだろうと首をかしげた紫翠は、二つを持ち上げるとパタパタと桃也の元へと駆けていく。



「ねぇ。こっちとこっちどっちが良い? あ、それとも、もう夕食も近いし、クッキーとかのほうがいいかしら?」



 二つを交互に見つめ、最後に桃也に視線を寄こし「クッキー……あったかなぁ」と首をかしげた。




>>明志波桃也様、周辺All




【 明けましておめでとうございます。いえいえ。全く大丈夫ですよ!
考えなしに変な行動する紫翠を心配してくれる桃也くん優しすぎて何だか申し訳ないです。
とりあえずキッチンに引っ張って行きましたが大丈夫でしょうか!】

15日前 No.43

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【茶切 雪鹿/研究学園都市銀花¢蜥ハり→喫茶店】

さてはて、うっかり……いや、元から僕は大して警戒もしていないが故に、ラフに話しすぎてしまったろうか。こういう風に他の“家族”が話している所を見たことがない。……残された“家族”はどちらかと言えば、少々内気であったり、歪んでしまっていたりしている部分が少なからずあるように感じる。もちろん、良いやつらである事には変わらんのだが……。
研究所であれば、絶対にこのように話すことは無いだろう。それは彼女にも原因はあるし、単純に“スペード”自体が僕にとって1つの憎むべき相手であることは確かなのだ。……さてはて、ついぞ喫茶店に浮かれきって忘れるところであった。なんとも情けない事よ。

「そうか……僕は飲む物は大概紅茶でな。まぁ、彼女は丁寧だからな。雑味も無いし透き通った味をしている。」

ふむ、と我が身を振り返れば、事あらば紅茶を無意識の内に用意して飲んでいてりいつの間にか、手元にあったり……とよくよく考えてみれば紅茶を以上な程に飲んでいるような……やめよう。こういう無意識に足を突っ込むと砂糖とかカロリーとか同級生と話題が合わないだとか闇に触れてしまいそうな気がする。思わず、頭をわしゃわしゃと掻いてそのまま忘れることにした。
多分、彼が敬遠される理由があるとすれば、こうやって思考の中で完結したことを唐突に現実に反映させてしまうという端から見たら一種の変人に違いは無いのだが、考えこんでしまうことが原因なので理解していても正せないし直せない。直近の悩みのひとつである。

「朱希ナビか、では案内をお任せするよ。」

相手の言動に少しばかり持っていたイメージとのズレからくすり、と笑っては先導を任せるように樹更に先を譲る。譲らなければ、自分が迷子に成り下がるだけなのでいずれにせよ譲らなくてはならないのだが。
にしても、意外な一面を垣間見た気がした。普段はなにやら仕事と割りきっているような雰囲気でとてもじゃないが、ここまで仲良く接することは叶わなかっただろう。……まぁ、今の彼女は仕事と私事で分けている節もあるのだろうな。でなければ、対応や反応にここまでの差異が出るわけない。

「ほう、中々に凄まじいな……僕も見習いたいものだ。ただ、用心に越したことはないぞ。」

相手の発言を聞いては驚きながらも感心した様子で聞けば、自分は平行感覚はあまり良い方ではないな、と思っては改めて感心する。というか、もう少し体力を付けなければなるまいな。なにせ、能力を使っている状態で動き回ると中々に疲労感が凄まじい。故にバランスだけでなく、体力を鍛えなくてはな。と、不意に思い知らされた。
そもそも、僕は研究材料に過ぎず、彼女は護衛者なのだ。相応に運動能力に差があるのは当然かもしれない。一応、研究の一環だったり自由時間に多少のトレーニングをしていたおかげで常人よりも運動神経は良い方だが……。

ちらほら、舞い始めた雪はそんな思考を消してしまうように肩に当たっては消えて頭に当たっては消えて、儚さを嫌でも思い知らされる程に儚すぎた。ただ、ここは雪国。恐らくだが、積もりかねない。

「そう言えば、帰りはどうする?タクシーでも使うか?」

シャリシャリとほんのわずかに積もった雪を踏み鳴らしながら思った事を相手にも尋ねては空を見上げた。先程とは違ってなにやら灰色一色で塗りつぶしたような空だった。……もう、星空は見えないのか。

>樹更 朱希様、all

【遅くなってすみませんでした!
うちのは紅茶を飲んで密かにテンションを上がってはそれを隠そうとしそう】

15日前 No.44

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★zuLSncMp6z_ZFe

【樹更朱希/研究学園都市銀花¢蜥ハり→喫茶店】

 雪鹿も紅茶が好きだという話を聞いて、朱希は「あら」と嬉しそうに笑った。

「あら、じゃああたしたち紅茶飲み仲間ってところかしら。ふふ、雪鹿くんも良いお店見つけたらあたしに紹介してね。――透き通った味……、きっとおいしいんでしょうね。いいなあ、あたしが淹れるといっつも濃いのよね」

 ふうと一つため息をついて、悩ましげにそんなことを呟いた。いわゆる紅茶のティーバッグを引き上げるのが遅いということなのであるが、朱希はなかなかタイミングを掴めないらしかった。しかし、お菓子作りや料理をするのは好きであるので、不器用と言うほどではないのだが未だにコツが掴めていないらしい。ひそかに、紫翠ちゃんに聞いてみようかしらと一人思う朱希であった。
 なにわともあれ、自分と同じく紅茶好き、しかも喫茶店巡りをよくしているという同じ趣味を持った人物と話ができて嬉しかった。今までは、一緒について来てくれる友達もいたのだがどうしても「付き合ってもらっている」という感覚があったために、どうも申し訳なく思うのである。相棒にはそこまで遠慮はなく、接することができるのだがそれ以外の友人には頻繁にカフェへ行くのは気が引けてしまう日もあった。
朱希ナビに任せるという旨の返事を聞くと「それでは、出発―!」と子供のように笑みを浮かべてくるりと正面を向いて歩きだした。

「ふふ、そうね、凄まじい女の子だったわ。はしゃぎ過ぎっていうかお転婆っていうかね、高校のときはホントに元気で、ノーテンキだったわね、あたし。こういう警察関係の仕事は疑ってかかるのが筋なんていうけど、まさかこういうお堅い仕事に就くとは思っても見なかったでしょうね」

 クスクスとおかしそうに笑っていると、はらりと自分の目の前に白い雪が落ちてきて、朱希はそれをキャッチするように掌に乗せた。雪、もうそんな季節になったのかとふいに空を見上げる。先ほどはあかるいと思っていた空もいつの間にか曇っていて、心なしか先ほどよりも気温が低くなり、空気が冷たくなっているように感じた。自分の吐いた白い息も、煙のように濃い。

「そうね、確かに積もるかもしれないわね。雪国は馬鹿にできないもんね。帰りはタクシーの方が良いかもしれないわね。……と、見えてきたわ。あのお店よ」

 朱希は顔を上げ、くるりと雪鹿の方を向くとカフェを指差した。その表情は嬉しそうな笑みが浮かんでいて、ワクワクと楽しみにしていることがうかがえる。

>茶切 雪鹿さま

【全然大丈夫ですよー!(^^)
 雪鹿くんはポーカーフェイスですね!朱希は「ん〜おいしい!!」と恐らく表情にそのまま出るのでなんだか二人はそういう面では対照的で面白いですね(笑)】

15日前 No.45

仔夢 @00000x ★iPhone=y44SZZaVfW

【紅小路莉子/研究学園都市銀花℃ゥ宅】


ふと、どんなことがあっても帰るのが研究所だった頃が懐かしくなった。十二歳、世間ではまだまだ小学生と呼ばれる頃までは、自宅が研究所であることに慣れきってしまっていたが、今は、そんな無機質な研究所ではなく、暖かみのあるこの家で仲間と暮らせていることが途端に嬉しくなった。今まで、「家事なんて知らない」と洗濯も風呂掃除も何一つ手をつけず他の者に任せ、自分一人で地下に篭って割れるような頭痛に耐えきれなくなるまでPCと睨めっこして調査係をかって出ていた律が、初めて行った家事は、確かこの家の掃除だった。未だ研究所にいる仲間を迎え入れるこの家は綺麗でなくてはいけない、という意識がどこからか芽生えていたのだ。そんな家の戸を小気味のいい音を立てて開けると、現在家には誰もいない様子だった。そもそも律が家を出た時にいたメンバーもいなかったメンバーも完全に把握してはいないのだが、少なくとも全員外出したらしく、家内に人気はなかった。冷え切った外から室内に入ると何処と無くフローリングからの暖かみが足に染みた。これは誰か床暖房切り忘れたな、電気代かかるからやめろと口を酸っぱくして言っているのに、という文句が頭をよぎった。然し、いつもは頬を膨らまして夕食時に家族会議を行うところだが、今は各種暖房器具が効き始めるまでの時間が省け、大助かりだったため仕方なくそれは取り止めた。いつも通り、ダイニングテーブルに乱雑に置いてあったエアコンのリモコンを手に取り、実はこの家で節約のため禁止されている二十八度に設定した。床暖房もあってか、これで凍え死ぬという事態は免れそうだ。

これ以上外出もしないだろうし、何より帰り道で降り出した雪のせいで着物はぐっしょりと濡れている。一度自室に戻り、部屋着に着替えてから久しぶりに夕飯の準備でもしておこうとキッチンへ足を進めた。我らながらかなり広めのキッチンはきちんと整頓され、五人分の食料を保存するパントリーまであるのは中々だろう。一般家庭を知らない律でもこの時代の一般家庭にそう馴染み深い部屋ではないということはなんとなく理解できているほどだ。薄暗く肌寒いパントリーに足を踏み入れると、思ったより食料はあるようだった。そこから徐ろに玉ねぎと人参を掴み、炊飯器から常に誰かが前日の夜朝炊きで一升分炊いているご飯を大体茶碗五つ分と少し、よそった。炊飯器の中のご飯は約一人分しか減っておらず、パントリーに常備された食パンは一枚しか無くなっていないことから、今朝家で確実に朝食を摂ったものは二人だろうということも想像がついた。


「昨日余った鶏肉って冷蔵庫にあったっけ……お、やっぱりありましたね。ささみ、むね肉、もも肉? チキンライスってどれを使うのが正解なんですかね……いいや、全部入れちゃえ。」


少量ずつ余っていた鶏肉の類を全て適当にきざみ、玉ねぎと人参も少し大きい気はするもののそれとなく切った。小皿に移して、下準備といえる下準備は完了だろう。
その頃には部屋も随分と暖まってきていた、筈だったが急に体が冷えていく感覚が襲った。着用しているのは冬用の部屋着でかなり暖かい素材である筈なのだが、それも今の律には通用していないように感じた。足元はふらつき、ソファに倒れ込んだところで、今までなんともなかった頭は痛み出し、視界が霞み、黒く染まっていくのを感じた。


>ALL様

【これALL様扱いでよかったんでしょうか!行動描写多くなってしまいましたがごめんなさい!】

14日前 No.46

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【科条一縷/研究学園都市銀花%ケ中→自宅】

 ふと頭上を見上げると、いつの間にか厚い雲が空を覆っていた。緩やかな風に乗って白雪が降りてくるのをぼんやりと見ながら、一瀬はこの凍てついた気候だけは昔と変わっていないなと思った。昔からこの時期は雪が降り始め、辺り一面を真っ白に染めた幽玄の地へと変化する。その様が面白くて、昔は律とよく二人で飽きずに、部屋の張出窓から雪が降り積もっていく様を眺めていた。律は昔から風邪を引きやすかったから、外に出る変わりにこうして雪を見ていることが多かった気がする。少しずつ、広い中庭や屋根など辺り一面が白くなっていくのは子供の自分にとってとても幻想的に映った。夜になれば雪はやや青みを増して見えるのも面白かった。少しの間だけ中庭に出て、一緒に雪に足跡をつけに行ったこともあった。そのときだけはアルカナとしてではなく、ただの一人の子供でいられた。それは自分にとっての救いでもあった。
 一瀬はふっと息をついた。そんなことを考えていると自然と思考も落ち着いてくる。
 ――言い過ぎたかな……。
 結局あれから喧嘩別れになってしまい、一瀬は一人雪降る街を歩いていた。雪は少しずつ、頭上からひらひらと舞っては簡単に風に流されていく。一瞬、桜の花びらを連想したがそれを手のひらに乗せてみると確かに冷たかった。雪はじんわりと溶けてすぐに水になる。

「帰るか」

 バイトもなかったし。いやまぁ、シフト見間違えた自分が悪いんだけど。
 そうして雪が降り積もらないうちに一瀬はくるりと来た道を引き返して、自宅へ帰ることにした。



「ただいまー」

 そう言って、家の中に入ると見慣れた靴が一足、玄関にあるのを目にした。先ほど喧嘩別れした律の靴だった。雪も降ってきたしさすがに帰って来たのだろう。そう思いながらも顔を合わすのは今もバツが悪くて「う〜ん」と考えてしまう。しかし、このまま二階の自室に駆け込んでも何の解決にもならない。結局は自分もムキになっていたのだろうとも思った。一瀬は手を洗いながら、そんなことを考えて、しかし結局リビングのドアを開けるに至ったのだった。
 部屋の中は暖房がよく効いていて、暖かかった。しかし、ソファの上で横になっている律を目にすると一瀬は最初は自分と顔を合わせづらくてそうしているのだと思った。ソファに横になる律の目線になるように屈んで、一瀬は小さく息を吸った。

「悪かった。俺ムキになってたよ。お前がそんなふうに思ってるって知らなかったんだ」

 そうは言ってみるもしかし、どうも律はいつもの精彩さに欠けていると感じた。熱に浮かされたように顔色が良くない。様子がいつもと違うことに気付いて一瀬は「律、お前熱あるんじゃないか……?」と様子を伺うように声をかけた。

>紅小路莉子さま、ALLさま

【ALL扱いで全然大丈夫です!どなたか戻ってきたら一緒に看病するのも全然ありだと思ってます(笑)】

14日前 No.47

日恋 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★RjFBAM7hbf_m9i

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10日前 No.48

仔夢 @00000x ★iPhone=y44SZZaVfW

【紅小路莉子/研究学園都市銀花℃ゥ宅】


意識が戻るか、途切れるかのぎりぎりのところを浮いているとしか形容できない不思議な感覚に包まれていた。寒気も気怠さも変わっていなかったが、横になったことで頭痛は軽くなった気がする。結局のところ疲れが溜まったんだろうと判断し、他の家族が帰ってくるまではこのままで居させてもらおうと本格的に眠りに就こうとしたその時だった。ドアの開く音が響いたのは。ただいま、と言っているのはわかったが頭がぼんやりと働かず誰の声なのかまで考える余裕がない。二、三歩歩く音がしたかと思えば、足音は止まり、また少しして洗面所、キッチンを通る足音は聞こえるものの、それが誰のものなのかは相も変わらずわからない。気怠さは相変わらずだったが、せっかく家族が帰ってきたというのにクッションに顔を埋めて横たわったままだというのは気がひける。手を支えに起き上がろうとするも、瞬間的に二日酔いの朝にガンガンとお玉とフライパンで叩き起こされるような頭痛がぶり返し、手にも力が入らず震える。そうしているうちにふっと力が抜け、思わずソファに倒れこんだ。と、足音がこちらへ近づき、自分の側に屈んだような風が頬を撫でた。


「悪かった。俺ムキになってたよ。お前がそんなふうに思ってるって知らなかったんだ」
「ん、わたしも悪かった。一瀬に身長負けてるから悔しくって……あんなこと思ってないから、大丈夫……」


帰ってきたのも声の主も喧嘩別れした一瀬で、あのあと互いに雪で頭が冷えたのか散々喧嘩した挙句仲直りはこれでもかというほどすんなりとしたものだった。半分は、頭がまわらない律の殆ど条件反射で返した言葉なのだが、律はそもそもそこまで意地をはるつもりは無かったわけで、結果的にこの件は収束という形になった。本来なら嬉しいはずだが一瀬の顔が上手くとらえられない、目眩がする、涙が出そうなほどに頭痛は酷くなり、凍え死んでしまうのではないかというほどに寒い。然し、何より心配はかけられない。最後の力と言わんばかりに立ち上がると、一瀬の「熱あるんじゃないか」という言葉に体がはねる。昔から毎年そうだ。だから今年こそ風邪はひかないと仲間に宣言していた。が、熱ははかっていないが、この調子だと微熱だろうとなんだろうと兎に角あるのだろう。然し、下手に心配をかけるのも悪いし、仲直りしたての相棒は尚更だ。
立ち上がりかけたところでぐっと手首に力を込めれば、頭痛は酷くなり立ち眩みがしたがなんとか立ち上がれそうだ。いや、(恐らく)風邪ごときで立ち上がれないなんて紅餡寺家の恥だ。親の名も知らぬ律だが。


「熱は、ないから安心して? ちょっと最近疲れてるみたいです。お部屋で休んできます。」


かなり振り絞ったような不自然なものになっているであろう微笑みを返して、部屋を後にした。


>科条一縷様、ALL様

10日前 No.49

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

【茶切 雪鹿/研究学園都市銀花¢蜥ハり→喫茶店】

紅茶仲間……確かにそうかもしれない。好きというか、そもそもそれと水しか飲まないので自分でもどうかと思うが……。
ただ、“家族”以外の繋がりは実に久しいことで、どうにも慣れないものだった。学校ですら、生まれ持った性格か、あるいは慣れない環境に置かれたが故の雰囲気のせいか、中々馴染めない。……まぁ、そもそも馴染むつもりも無かったが。

「濃いならミルクティーにするといい。多分だが、そちらの方が美味しいだろう。」

相手の話を聞いていれば、以前喫茶店の店主に聞いていた紅茶の淹れ方やらを思い出してはその中の一節「ミルクティーの時は濃い目に淹れる」を思い出した。牛乳の香りや味に負けないようにするために、ということらしい。まぁ、だとしたら濃い目になってしまう癖のある彼女の場合にもそれは適用されるだろう。……そういうことではない、と言われてしまいそうな気もしないでもないが。
にしても、まさかこのように話が合うとは思わなかった。なにかと、話し相手に事欠く僕は幼少の頃から本と家族∴ハしか話したことが無かった。今となっては、近寄りがたい雰囲気も合間ってるのだが、元々はいわゆるコミュ障だとか、人見知りだとか言われる部類の人間であった。それ故に、このように話をしていること自体がかなり嬉しい。

出発ー!なんて嬉しそうに笑ってる彼女の姿はとても普段接していたあの姿とどうにも結び付かず、まるで別人と接しているかと勘違いすらしてしまいそうだ。

「成る程、合点がいった。まぁ、でもあまり印象に囚われない方がいい。何事にも例外はある……つまり、お堅くしなくてもいい、と僕は思うがね。」

少し真剣味を帯びた顔色で相手の発言をマジマジと聞いていれば、まるで二人いるかのような勘違いの原因に納得ができた。お堅い職についた、それ自体の印象が彼女の中で仕事の時の彼女を作り上げている。根本的には同じだが、印象としてはそれなりに違うところはそこが起因となっているのだろう。
ただ、周りが原因なのだろうが、という言葉を飲み込んでは溜め息をつく。彼女達がそもそも警護にあたっているのは僕達なのだ。あまり不用意な言葉を紡ぐわけにもいかんだろう。

「後で手配しなくてはな……む、彼処か。」

ふぅ、と嘆息をついては面倒だ、といったような語調でそう言っては、樹更の指差した先にある喫茶店を見ては表情こそ変わらないものの、雰囲気はどこか楽しげで少しばかり歩くペースも上がっていく。それは寒さによっての行動でもあったが、それよりも本当に楽しみだったのだろう。

そうして、着けば思わず先に入って客足も雪のお陰か、そこまでではなかったようなのでいらっしゃいませ、という店員の声を聞き流して適当な席に座ってはメニュー表を一度確認する。彼の中では既に決まっているようなものなのだから本来、見る必要も大して無いのだが。

「僕はもう決まっているのだが、君はどうだね?」

一応、相手の方にも見えるようにメニュー表を広げて樹更に決まっているかを尋ねる。新たな味を発見できることに対しての喜びが彼の少し異常に見える無言無表情のはしゃぎをなし得ていた。

>樹更 朱希様、all

【ある意味反対な二人なんですね。でも、なんだかんだ似てるところもありそうです!】

10日前 No.50

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【科条一縷/研究学園都市銀花℃ゥ宅】

 謝罪をすると律の方も謝り、あんなことを思ってないと言われると一瀬は小さく笑みを浮かべて「そっか、良かった」と穏やかに返答した。そして強がってしまった理由を聞くとどこか彼女らしい気がしたのだった。しかし、同時にやはり律の顔色が優れないことや、ぐったりとした様子が気になっているのも確かだった。苦しそうに呼吸を繰り返し、声色もいつもの元気良さがない。弱っているように見えて、一瀬は心配になった。発熱しているのではないか、頭痛や寒気があって辛いのではないだろうかと。
 彼女は毎年、この雪の降る季節になると風邪を引くことが多かった。だからふいに風邪を引いてしまったのではないかと思ったのだ。そして実際に熱があるのではないかという問いかけに、律はぴくりと身動ぎした。図星だったのだろうか。そんなことを考えていると、律はふいにゆっくりと立ち上がった。一瀬は心配そうに律を見上げる。

「熱は、ないから安心して? ちょっと最近疲れてるみたいです。お部屋で休んできます。」

 振り絞ったような弱々しい声音で律はそう言った。苦しそうにしながらも浮かべた笑みを見て、一瀬は大丈夫だという意味が込められているのかもしれないとも思った。しかし、律はふらふらとした覚束ない足取りで歩みを進めていく。一瀬は何だかひやひやした。そして思わず立ち上がり、彼女の側まで近づくと声をかけていた。

「いいよ、俺相手に気を遣わなくても。そのための相棒だろう?」

 顔色を伺うように少しだけ、屈んで目線を合わせては頭の上に軽く手を置いてみる。そのまま一瀬は「な?」と小さく首を傾げて確認するようにそう言った。
 相棒なのだから頼って欲しい。心配かけまいとしているのだとしても、きっと放っておくことは出来ないだろうと思った。それは他の家族もきっと同じことだろうと思うし、相棒なら尚更だった。

>紅小路莉子さま、ALLさま

【ひぃ、短くてすいません!最近忙しくて投稿ペースがやや落ち気味になるかもしれませんが、極力顔出しに来ますね……!】
>仔夢さま

【今日はここまでが限界なので、また後日朱希の方は投稿させていただきますね!恐らく、喫茶店で日恋さんと偶然隣のテーブルに座った感じの絡みで行こうかなと考えていますが、何かあれば何なりとおっしゃって下さいませ!】
>雪鹿くん本体さま、日恋さん本体さま

9日前 No.51

ゆきお @suzurinn☆Mr5oixGNY1Y ★JyFDodpAvJ_DIF



【明志波桃也/アルカナ研究所/キッチン】


 進行形で館内を爆走しながら、それを注意喚起するような紫翠の言葉。大変突っ込みたいところがあるが、引っ張られる体勢では走りづらく、桃也は出かかった言葉をすんでのところで飲み込んだ。靴下に包まれた足の裏が冷たい床を打つたびにドタドタと足音が立つ。館の豪華さから言って、下の階にいる人間に迷惑はかからないだろう。それに、『下』にいる人間にいくら迷惑がかかろうと知ったことではない。下げかけた視線を意識的に上げると、走るたびに揺れる、紫翠の綺麗な銀髪が視界に広がった。家族が近くにいると思うと、いつだって心が落ち着く。だがほっとしたのも束の間、紫翠が突然立ち止まったことによって心臓が跳ねる。あまり前の見えていなかった桃也は驚きながらも、かろうじて紫翠にぶつかることなく立ち止まった。驚きからの動悸と、事故を起こさなかったことへの安心感が混ぜこぜになって早鐘を打つ胸に手を当て、短く息を吐いた。紫翠はというと、キッチンの扉を開けてくるっと身を翻して笑い、「紅茶を淹れてくるね」と言った。桃也は短い返事を返しながら、もし二人して閉まったままのキッチンの扉に激突していたら、と考え、どこのコメディホームドラマだろうかと、込み上げた可笑しさに苦笑した。

 紫翠は鍋とにらめっこを始め、桃也は水道の蛇口を捻り、持ってきた珈琲のカップに水道水を注いだ。カップから珈琲の色が落ち、取り切れなかった汚れは洗剤を付けたスポンジで拭う。濡れたカップは食器籠に伏せて置く。振り返ると、既に紅茶のいい香りが鼻孔をくすぐった。そして彼女が紅茶を淹れる、その手際の良さを見て感心する。桃也は紅茶も珈琲も特に好き嫌いせず一通り好んでおり、普段から自分でも淹れて飲んでいる。だがそれは専ら手っ取り早いインスタント。紅茶ならティーパックを、珈琲ならインスタント粉末を用意してお湯を注ぐだけだ。感心している桃也をよそに、紫翠はテキパキと事を進めていく。一段落したのか、紅茶を置いて冷蔵庫の方へ行く紫翠を自然に目で追ってしまうが、はっとして布巾を手に取り、洗ったばかりのカップの水気を拭う。自分には人の行動を観察してしまう癖がある。それだけ聞くと自分でもとてつもなく気色悪い。自嘲気味に小さくため息を吐きながら、誰かが洗ったのか元からあった食器もついでに拭いてしまう。

 不意に、紫翠が小さく声をあげる。人とふたりきりでいるときは、どんなに小さな変化でも自然と気にかかってしまうものだ。ほぼ反射的に「どうしたの?」と返しながら紫翠の方を向く。彼女は両手に異なるケーキを乗せてこちらにやってきた。片方はシンプルなパウンドケーキ。そしてもう片方はドライフルーツが乗せられた、食物繊維がたっぷり入っていそうなパウンドケーキ。

「どっちも美味しそう……って、それもしかして紫翠が作ったの? 流石だね、料理も上手いなんて……良いお嫁さんになるね」

 思わず本心を声に出しながら微笑む。どちらが好きかという問いに、「僕はフルーツのケーキより普通のケーキの方が好きかなぁ……」と思案顔で漏らし、むむっと何かに気づいて眉を顰める。

「僕だけ紫翠のケーキ食べさせてもらうのはなんか皆に悪いな。……紫翠の言う通り夕飯前だし、ケーキは皆が揃ってからまた食べよう? 今は……そうだね、クッキーがあれば話は早いんだけど……」

 何処かへ出かけているのか、姿の見えない三人の顔を思い浮かべながらそう答えた。拭き終わった食器を食器棚にしまってから、しゃがんでその下の戸棚を開けて中を覗き込む。特にめぼしいものは見つからず、更にその隣の戸棚も開けてみる。軽く目を通し、ある箱を見つけて「あっ」と声を漏らした。茶色の包装紙に包まれた四角形の箱を取り出し、紫翠に見えるように軽く掲げる。「これどうかな、クラスメイトが旅行のお土産にってくれたんだけど……忘れてたよ」製造シールの名称にクッキーと書かれているのを確認し、立ち上がる。そのままテーブルの方へ歩いていき、テーブルにクッキーの箱を置いた。


【待ってくれとは言ったものの超絶お待たせしてしまった……申し訳ない!
そして果たして今後アルカナのティーパーティーはあるのか……?】


>>薄花桜紫翠さま、Allさま

9日前 No.52

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★zuLSncMp6z_ZFe

【樹更朱希/研究学園都市銀花¢蜥ハり→喫茶店】

 濃いならミルクティーにするとよいというアドバイスをもらい、なるほどと朱希は頷いた。確かにいくつもストレートティが濃くなる自分にはぴったりである。ミルクティも好きなので、それは嬉しいアドバイスを聞いたと朱希は嬉しそうに笑う。本当に紅茶が好きなのだ。

「ふふ、そうね。もっと自分を出してもいいって意味ではそうかもしれないわ。これでもオンオフはかなり使い分けてるからね。でもこの部署に来た後悔はないのよ? うちには優秀で頼れる上司も相棒も仲間もいるし、可愛いあなたたちもいるんですもの」

 そう言って、お茶目に軽くウインクをして見せる。飲み会に行ったり、歓迎会をしたりと案外一緒に仕事をしているメンバーは気の置ける仲間が多い。主にとやかく言うのは部外者であったり、研究者のお偉いさんであったりするものだ。相棒とは飲みに行っては恋愛相談したり失恋したらしたで愚痴を聞いてもらっていたり。リーダーは頼りがいがあって尊敬できる人だ。護衛対象のアルカナだって中には煙たがる者もいるが、普通に接してくれる者もいる。人には恵まれていると自負していた。

 そして、店内に入ると暖かい照明と落ち着いた音楽が出迎えてくれる。店内をぐるっと見渡すと雪のせいかあまり客もいないようだった。良いコーヒーの香りがして、朱希はその空気を吸い込んだ。落ち着いた良い雰囲気の店だと感じた。そうしていると、雪鹿が先に歩みを進めるのを見て、朱希も後に続いて席に着いた。コートを脱いで椅子の背にかけると、メニュー表を雪鹿が見せてくれたので、ありがとうと言って受け取った。

「うーん、そうね。ミルクティと……フレンチトーストにするわ。ふふ、実はどこ行っても最初はあたし、ミルクティかストレートティ飲むことに決めてるの」

 メニューを見ながら、即座にミルクティを選択していたのは、いつもカフェに来るときはミルクティを頼むからである。そして少し小腹がすいていたため、フレンチトーストを選択した。女性らしく甘いものも好きだ。「良い雰囲気よね」と周囲を見回して言うと、ふいに近くのカウンター席に日恋の後ろ姿を見掛け「あら、日恋じゃない?」と嬉しそうに声をかけてみる。

「ふふ、その恰好だと仕事帰りって感じね。もしよかったらこっちに来て三人でお話しない?」

 と朱希は首を傾げて、尋ねてみる。

【こんばんは!ちょっと無理矢理感が否めないですが、日恋さんにもお声掛けさせていただきました。もしよろしければ絡んでやってくださいませ!(^^)よろしくお願いします!】
>日恋さん本体様

【前半が外のときの会話を描写してしまったので、そこは次レスではカットしていただいても構いません!本体さまにお任せします!いつも絡みありがとうございます!】
>雪鹿くん本体さま

8日前 No.53

仔夢 @00000x ★iPhone=y44SZZaVfW

【紅小路莉子/研究学園都市銀花℃ゥ宅】


「よかった」と軽く微笑む一瀬に対して律も、いつも通りの笑顔を返した。一瀬の顔を見た途端自分も言い過ぎたなと自責の念が律の良心を覆い尽くすが、そうも言っていられないほどに体調は悪化していく。なんとかみんなが帰ってくる前には治さなくては下手に心配をかけてしまう。自室に行く前にキッチンの前の戸棚にある常備薬を貰っていこうと足を進めていたその時、後ろから静かに響く足音が聞こえたかと思いふと自らの足を止めれば、暖かい手のひらが頭の上に軽く乗せられ、もう一度瞬きをした後には目の前に一瀬の顔があった。一瀬の動きが猛烈に速くなったというよりは律の瞬きさえも遅くなったという方が正解だろう。


「いいよ、俺相手に気を遣わなくても。そのための相棒だろう?」
「ごめん……ごめんなさい、いっちゃん……ほんとは、泣きそうになるくらい、頭、痛くて……寒くて……辛い……」


一瀬の言葉を聞いた途端、律の大きな瞳からはどこから出てきたんだと言わんばかりの大粒の涙がぽろぽろと零れ落ち、目の前の体にぎゅっと抱きついて、息を荒げて只管に泣いた。頭痛によるものなのか、安心感からなのか自分でも分からないが、熱を出した赤子をあやすような口調や態度は律を落ち着かせるのに立派な役割を果たしていただろう。身長差で一瀬の心臓かその下辺りに顔を埋めていた律からは心音と呼吸音がよく聞こえ、ふと、胎児というのはこんな音を毎日ずっと聞いているんだと思った。自分にこの音を聞かせてくれていた母親に会いたいと思った。でも、今はもう少し先でもいいとも思った。自分にとっての今の家族と暮らすことが幸せだから、そして、親より長い時を共有してきた家族を救出するために。
一瀬の体温のおかげか寒気は随分と引いたが、頭痛も倦怠感も治まらず、泣いたことによって更に体力を失ったのかもう喘ぎを零す余裕もなかった。律の瞳からは頬に涙が伝うだけでどことも知らないどこかをぼーっと見つめていた。ただ、不意に上を見上げると一瀬と目が合って、「ありがとう、ごめんね、だいすき」という単語だけ伝えた。それを文にする元気もなかった。だが、相棒だったら、気持ちを汲み取ってくれることだろう。そう信じて、力を抜いた。


>科条一縷様


【こちらこそ低レベル&短文申し訳ありません!こちらこそ、私事なのですが用事が立て込んでおりまして、少し出現率が低下するかもれません!】
>主様

7日前 No.54

妃翠 @azalea☆dszkmgEaqwdD ★crwiZQvj4E_EP8

【 薄花桜 紫翠 / アルカナ研究所 キッチン 】




 隣で慣れた手つきでコップを洗う桃也をちらりと盗み見て、紫翠は密かに笑みを零す。近頃は家事の出来る男性がモテると聞いたことがあるが、桃也なら何の心配をいらなさそうだ。いつか――もしかしたら既にいるのかもしれないが――彼に彼女が出来たならば、きっとその女性は彼の家庭的な面を見て惚れ直すに違いない。うちの桃也はただ容姿がいいだけではないのだ、と何故か紫翠が誇らしそうにうんうんと頷き、その視線を紅茶に落とす。
(でも、そうか……)
ここから出ることが出来たとして。自分たちはいつまでも一緒にいられるわけではない。いつかはきっと、皆誰かしらと結婚して家庭も持つことになるのだろう。……もちろん、紫翠自身も。自分が誰かと結婚することを想像して、紫翠はため息を零す。誰かを好きになったことすらない自分が、その先を考えるだけ無駄と言うものだ。恋愛なんて、自分にはまだ早すぎる。恋に憧れる年頃の少女とは思えない結論に至り、彼女は気持ちを切り替えるためにぺチぺチと自分の頬を軽く叩いた。

 手放しで紫翠を褒める桃也に照れくさそうに笑っていた彼女は、彼の最後の言葉に瞬く間に顔を真っ赤にさせた。きっと彼にとってはなんてことはない言葉なんだろうけれど。そんな風に言われると恥ずかしいことこの上ない。


「ただ混ぜて焼くだけの簡単なものだから、そんな風に言われるほど大層なものじゃないわ」


 どういう顔をしていいか分からず曖昧に微笑み、思案顔をする桃也に気づかれないように両掌で頬を抑える。自分の冷たい手は火照った顔を冷やすのには十分だ。まさかこう言う時に役に立つとは思わなかった。他の三人のことまで考える彼に、紫翠は彼の優しさに微笑む。


「桃也は本当に優しいわね。じゃあ、これは夕食後のデザートにでもしましょうか」


 皆の口にあえばいいのだけれど、とぽつりと呟きながら桃也を真似てもう一度冷蔵庫を開けて何かしらはないかと探し始める。最悪牛乳と卵でもあればプリンでも作れるのだけれど……、と考えていた紫翠は桃也の言葉に反射的に彼のほうへ向く。茶色の包装紙に包まれた四角い箱を手にした彼に、彼女は「あら」と零して微笑んだ。


「流石は桃也! でも、それ、私も食べて良いの……?」


 彼の友人は桃也にと買ってきてくれたものなのに。全く関係のない自分が口にしてもいいものだろうかと、考え込んだ。


>>明志波桃也様、周辺All



【いえいえー。全然大丈夫ですよ! アルカナパーティ……想像するだけで楽しそうですね。やりたい……】

7日前 No.55

日恋 @tokiwa☆keIKSoWF8Tc ★RjFBAM7hbf_m9i

【紫日恋/研究学園都市銀花°i茶店】

 BGMとして掛かっている控えめで優美な音楽が店内を華やかにさせ、コーヒーの香りに包まれながらコーヒーを楽しむというなんとも静かな時間が、束の間の安らぎとなって日恋の肩の力が少しばかりか抜けていく。このまま眠ってしまうのではないかというほどゆったりとしたこの空間が、なんとも心地よい。店の中には客もそれほど賑わっているというわけでもなく、皆それぞれのティータイムを楽しんでいるようにも感じられた。そんな中、ちりんちりんという先ほど自分も耳にした、来客を知らせるドアのベルが鳴ったということは新しくまた客が来たのだろう。それでも日恋はいちいち来客の姿を気にするわけでもなく、開いた扉から吹き込んできた冷たい風が無遠慮に背中を撫でてくるそれに、少し身震いするくらいだ。すぐに閉まったのだから問題はないのだが、ふいに何やら聞き覚えのあるような声が二つ、耳をかすめてふいに意識をそちらへと向ける。と、同時に背後から名を呼ばれたのだからこれはもう確定だ。ゆっくりと振り返って、聞き覚えのありすぎる声の主を視線で探すと、案外すぐに見つけることが出来た。相棒の朱希だ。

「あらあらまあまあ、朱希ちゃん、雪鹿くん。こんにちは。ふふ、ええ、朱希ちゃんの言う通りお仕事帰りよ。……あら、朱希ちゃんに誘っていただけてうれしいわ。雪鹿くんはどうかしら、ご一緒して平気?」

 相変わらず元気な朱希を見るとなんだかこちらまで元気をもらえたようでなんだか嬉しい。朱希の向かい側には雪鹿が居て、二人でお茶をしにきたのだろうか。朱希はああいってくれているが、相伴にあずかるにはやはり彼の同意ももちろん必要だろう。そうして静かに首を傾げて、彼にも静かに問いかけた。

≫朱希さま、雪鹿さま

【わー!こんばんは!いえいえそんなことありませんっ、絡んでいただけて本当にうれしいです!(*´▽`*)ありがとうございます!せっかくですので場所表記も喫茶店と変更させていただきました!こちらこそよろしくおねがいいたします!】

≫朱希ちゃん本体様

7日前 No.56

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【科条一縷/研究学園都市銀花℃ゥ宅】

「ごめん……ごめんなさい、いっちゃん……ほんとは、泣きそうになるくらい、頭、痛くて……寒くて……辛い……」

 緊張の糸が切れたように彼女の瞳から涙が次々と溢れてくる。「いっちゃん」と言われたためか、「リィ」と一瀬は心配そうにしながらも無意識に昔の呼び名を口にして、頬から滑り落ちる涙を指で拭った。声をあげて泣く律に、一瀬は何も言わずに落ち着かせるように彼女の背中をさする。するとふいに兄妹というのはこういうものなのだろうかという問いが頭を掠めた。同時に「辛い」と素直に口にするあたり、きっと彼女は身体の怠さや頭痛などでいっぱいいっぱいになっているのだろうと思った。その証拠に彼女は堰をきったように泣いている。
 昔から怒るときは怒り、笑うときは太陽のような明るい笑みを見せ、悲しいときはその瞳から涙を流す。喜怒哀楽が素直に表情に出て、彼女はいつも打てば響くような反応を返してくれる。感受性が自分よりも豊かで、人間味のある性格だった。少なくとも一瀬はそう思っていた。そして相棒が泣くことにはいつも滅法弱く、体調が悪いこともあって、こういうときはいつものように茶化すこともしなかったし出来なかった。

 そしてしばらくすると、律の嗚咽が聞こえなくなっていった。少しずつ落ち着いてきたのだろうかと少し視線を下げて様子をうかがうと、顔を上げた律のグレーの瞳と目が合う。「ありがとう、ごめんね、だいすき」。その言葉を耳にすると普段そう言った会話をしてこなかった分の反動もあって、気恥ずかしさに顔が熱くなった気がしてやや視線を逸らした。しかし、喧嘩の後だったので余計にほっとした自分もいたし、今は彼女は弱っていることもあって、そういうことも口にするのだろうとも思った。脱力させる律と同時に、一瞬緊張した自分も力を抜いた。相棒なのだから嫌いなわけはない。「俺もだよ」と静かに呟いて、背中をとんとんと二回控えめに叩いた。そして額に手を当てて、フィーリングであるが熱を測ってみる。

「……やっぱ熱いなぁ。部屋行って休んだ方が良いかもな。薬や体温計は俺が後で持ってくけど、お前歩けるか?」

 脱力している律に、一瀬は様子を伺うように首を傾げてそう聞いてみた。

>紅小路莉子さま、ALLさま

【低レベルなんてとんでもない!そしてご連絡ありがとうございます、了解しました(^^)私も来週は実習なので、お返事遅れてしまうこともあるかもしれませんorzよろしくお願いします……!】

6日前 No.57

ぎろ @bread10☆Zc30D26XEyF6 ★Android=HMxbkMDOIg

【矢ヶ罪 志白/研究学園都市銀花 広場】


触れては消えてゆく花弁のようだった。そんな詩的な言葉は口に出しこそしなかったものの、正にそう言いたくなる景色が目の前に在る。花弁は志白の見る世界をみるみる白へと塗り替えてゆき、吐く息の白さが雪と同調して益々寒さを強調させた。
鎮樹は、缶コーヒーを遊ばせつつ志白の問いに答えてくれる。雪自体は嫌いではないと応答する彼の顔が何処かくしゃりと歪んだ気がした。……興味本位で大袈裟に突っ込まれたくはないだろう。

「そうか。俺も雪は嫌いではないな。……少し切なくはなるが」
雪に纒わり付いてまわる凍てつく寒さは5年前で止まってしまった志白の時を実感させ、思い出させるようだった。何時か時の融解を求む、求む。ふと脳裏に過ぎった眩い彼女にそう縋り付いてしまう自分に自嘲気味な笑みを吐き捨てたくもなる。そんな影のある笑みを誤魔化し被せるようにゆるやかな笑みを浮かべた。
だが、今日の雪は嫌いではない。それは本当だ。鎮樹の人柄がそうさせるのか、どういう訳かひどく穏やかな気持ちで降り落ちる雪を眺めることが出来た。

「……そうだ、温くなってしまっただろう?それ。良かったら喫茶店か何処かででも何か奢らせてくれ。手袋の礼と、コーヒーのお詫びと、それと、話に付き合ってくれた礼だ」

>>鎮樹、All



【返信が遅れて申し訳ございません。お詫びとお礼に奢るというロルを回させて頂きましたが、これに応じて頂いて場所を移動し絡みを続けても、申し出を断って頂いて絡みを完結させても私はどちらでも構いません!よいのつづり様のご判断にお任せしますので、好きな方をお選びくださいませ!】

6日前 No.58

雪鹿 @salt9140 ★Android=42zyboh5vZ

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6日前 No.59

仔夢 @00000x ★iPhone=y44SZZaVfW

【紅小路莉子/研究学園都市銀花℃ゥ宅】


頬を伝う雫を掬い取るように伸ばされた細い指先は酷く冷たかった。それは己の体温が高いせいなのか、それとも本当に一瀬の手が冷たいせいなのかは分からなかったが、律の火照った体が頬からじんわりと鎮められていく気がして心地よかった。自らの嗚咽に掻き消されて上手くは聞き取れなかったが微かに「りぃ」と昔の呼び名で呼ばれた気がしたのは、それが事実であれ聞き違いであれ、多少なりとも嬉しかった。こんなこと本人には照れくさくて言えないな、なんて考えを巡らせる余裕も出てきた頃、背中をリズム良くさすられていることに気付き、これも昔から変わらないな、と笑ってしまった。仲間内で圧倒的に律が多かったとはいえ、勿論他の仲間だって体調が優れないこともあるし、風邪をひくこともある。そんな時、研究所の職員を他の仲間が呼びに行っている間、その子の側でずっと背中をさすっていた記憶が鮮明に蘇った。昔から変わらず面倒見が良く、気配りができる。だからこそ、数は片手に収まるほどしかないものの一瀬が体調を崩した時はこれでもかというほど心配したものだ。そもそもの自己管理がしっかりしている一瀬が体調不良に陥ることなど殆ど無かったのだが。一つ印象的だった出来事は律が八歳の頃、今日のように寒い日に他の仲間と外で遊び尽くしてきた後、一瀬は咳を繰り返していた。風邪ではないかと問うと「お前じゃないんだから風邪じゃねーよ」といつものように笑っていたが、後で聞いた話その時にはもう喋る元気も無かったらしくその後数分でぶっ倒れた記憶がある。一瀬が風邪をひくことなど初めてで死んでしまうのではないかとすら思って、ベッドの側でずっと一瀬の頭を撫でていた。勿論今回の喧嘩の原因である身長差で抱きしめることも背中をさすることも出来なかったから、少しでも落ち着かせる術をそれしか知らなかったのだ。一瀬の綺麗な白銀の髪は律の白髪とよく似ていて、それに気づいた頃には呼吸も落ち着いていたからいつしか撫でるついでに髪を弄り遊ぶようにもなった。しかし一瀬の髪質は非常に柔らかく、律が弄り遊んだ後の癖がしっかりめに残っていたため、回復したあとは癖と同じくらいしっかりめに説教されたのもいい思い出だ。

単語だけの律なりに細やかながらの感謝は伝わったのか伝わっていないのか、一瀬の透き通った青い瞳は律のグレーではないものを映した。鬱陶しいと思われたかと心配したのも束の間、最後の単語は異性としてではなくて仲間として、相棒としてであるという補足を入れなければそっちの意味で捉えられてしまうかもしれないということを思い出した。そしてよくよく考えれてみればかなり恥ずかしい台詞ではないかと突然の羞恥心が襲い、説明を補わなければと口を開きかけたその時、いつの間にやら一瀬はこちらに視線を戻して、かなり小さめの声で「俺もだよ」と言った。心なしか顔が赤いのは風邪をうつしてしまったのか、それとも羞恥によるものなのかわからないが、できれば後者であってほしい。自分のせいで一瀬まで風邪を引いてしまうのは申し訳ない。自分で発した言葉なのにどう返せばいいか分からなくて戸惑い、結局は澄み切った青い瞳に全て見据えられた気がして、熱で赤い頬は更に火照った気がして、恥ずかしくなって目を逸らしてしまった。

そのあと、控えめに背をトントンと叩かれたかと思えば、律より一回りか二回り大きな手の平が額にあてがわれた。そのあまりの冷たさにきゅっと目を瞑って「冷たっ」という言葉が口をついてしまう。しかしあくまで熱いのが律であって一瀬の体温は平常なのだろう。そして、脱力した律の背中に手を当ててさりげなく支えてくれながらも、まるで立ち上がるのをサポートするかのように抱き上げるような体制をとった。


「……やっぱ熱いなぁ。部屋行って休んだ方が良いかもな。薬や体温計は俺が後で持ってくけど、お前歩けるか?」
「ん、部屋くらいまでなら多分大丈夫。えっと、その……上着着てなかったしマフラーしなかったからだよね。わたしのせいだよね。ごめんなさい……」


貸してもらったマフラーを突っ返したことによる風邪だというのは明確だ。その上貸してくれた本人に看病されるのは些か気がひける。一歳差とは思えない体力の違いや精神年齢の違いを見せつけられてきたのだ。そう考えると矢張り今回も相棒に心配をかけてしまうのは申し訳なかった。


>科条一縷様

【遅れるどころか意外に早くかけました!この子たち美味しすぎるんですよはぁ可愛い】
>主様

5日前 No.60

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【樹更朱希/研究学園都市銀花°i茶店】

 後悔はないなら何も言うことはないなと、雪鹿から言われると朱希はにっこりと頷いた。スペードに所属していることに後悔はない。なぜなら自分の周りには大切だと思える人がたくさんいるからだ。仲間であれ、アルカナであれ守りたいと思う気持ちは入隊当初から変わらず存在している。国がどういう策謀を企てているのかは今のところ朱希は察することはできても確信できるはずもなく、ただ純粋にそう思うのだ。そしてきっと国にとっては自分というちっぽけな存在は、ただの歯車であることも理解している。しかし、そうだとしても朱希はただただ自分の守りたい者を守りたかった。仲間がここにいて誰かが自分を必要としてくれる限り、自分の居場所はここであるのだとも思っている。

 そして朱希がミルクティーを選択すると、きょとんとした表情を浮かべる雪鹿にどうしたのだろうと首を傾げる。しかし、その後の発言でなるほどと朱希も納得した。自分と同じく、カフェに来たときはミルクティーを頼むと決めているのだと言う。朱希はその言葉を聞いてニコニコと明るい笑顔を浮かべた。

「ふふ、ほんと奇遇ね。あたし、飲むのはもちろんなんだけどミルクティーの香りが好きなのよ。ストレートティーも好きなんだけど、ミルクティーはまろやかでなんかほっとするのよね」

 メニューを見ながらうっとりとそんなことを言っては、クスクスと楽しそうに笑った。「まさかこんな近くに喫茶店が好きな人がいるなんて知らなかったから、こういう話が出来て嬉しいわ。ありがとう」と付け足して、注文を頼み終えた雪鹿を見た。彼が紅茶好きだということは、日頃からよく嗜んでいるのを目にしていたため何となく紅茶好きなのだろうとは思っていたが、自分と同じく喫茶店にも通ったり、一番最初に紅茶を頼むことに決めていたりとこだわりを持っている点まで似ていると、何だか面白くてしかしその面白さが楽しいとも感じたのだった。

 そして、日恋が雪鹿に同席の許可を求めるのを聞くと、相変わらず彼女の話し方は上品で柔らかな印象を受けるのだった。スペードに入隊した当初は自分と身分が違うのではないかとさえ思ったことがあったが、日恋のその柔らかで落ち着いた物腰に今では居心地の良さを感じるし安心することもしばしばある。戦闘をすることがあれば背中を預け合ったこともあり、今ではすっかり信頼のおける相棒である。そして雪鹿が日恋の言葉に肯定するのを聞いて、朱希は日恋に向かって明るく笑いかけて手招きした。

「ふふ、お仕事お疲れ様。明日からはあたしも出勤だからバリバリ働くわよ。……――それにしても偶然ね。日恋はいつここに来たの? 来たばっかりなら何か頼む?」

 メニュー表を仕舞おうとした手を止めて、朱希は日恋を見た。そうしているうちに、雪鹿のものと一緒にミルクティーが運ばれて、朱希はそれを受け取った。

>茶切雪鹿さま、紫日恋さま、ALLさま

【場所合わせていただいてありがとうございます!!そして今実習中なので、ちょっとお返事が遅れると思いますがよろしくお願いします!三日返事がなければ私を飛ばしていただいても構いません!】

4日前 No.61

スレ主 @line☆1jppp41g33s ★Android=cfmXtsuO1s

【科条一縷/研究学園都市銀花℃ゥ宅】

 背中を擦るのは一瀬なりの相手への気遣いだった。昔も、風邪を引いた相手に研究所の職員が来るまでこうして背中を擦っていたこともあった。料理も出来ない分、自分の出来ることといったら相手のそばにいて寄り添うことくらいだった。しかし、逆に自分が弱っているときは気付かれないように普段と同じように振る舞うようにしているのだが、相棒には通用しないらしくたいてい最初に心配してくれたのも今目の前にいる律だった。何だかんだで彼女はよく人のことをよく見ている。

 俺もだよと肯定の言葉を返すと、ふと彼女は顔を逸らした。律は徐々に自分の言った言葉の意味を理解したのか、頬に熱とは違う赤みがさしているように思えた。その反応を見ていると自分も気恥ずかくなって、そっぽを向く。なんというか調子が狂う。不意打ちを喰らった気分だと思いながら、表情を隠すように片手で顔を覆った。自分がどんな表情をしているのかよく分からなかったからだ。相棒としての『好き』だと知って言っているのだが、真正面から言われるとは思ってもみず、何よりお互いにこんな反応をするとも思わなかったのである。

「あ〜、アレだ。今のはその……『相棒として』って意味だろ? 大丈夫、分かってっから」

 と、先程と変わらず視線を逸らしながら一瀬にしてはたどたどしくそう言った。自分もらしくないことを言ったものだと思った。
 そして彼女の額に手を当てると反射のように『冷たっ』と言うので、一瀬は「お前が熱いんだよ」と特に皮肉を込めているわけではなくさらっと返答した。どうやら律には自分の手が冷たく感じるらしいと分かって一瀬は額から手を離した。

『ん、部屋くらいまでなら多分大丈夫。えっと、その……上着着てなかったしマフラーしなかったからだよね。わたしのせいだよね。ごめんなさい……』
「もう怒ってないし気にしてないって。それに俺も言い過ぎたとこあったし……。お前が元気になってくれればそれで十分だよ、俺は。気ぃ遣わなくていいって言ったろ?」

 律の声音や表情は言葉通りどこか申し訳なさそうで、一瀬はふっと表情を緩めて穏やかに言った。風邪を引いた原因は確かに律が薄着であったことが一因になっていると思われるが、本人も引きたくて風邪を引いたわけではないだろう。強がってしまったのも一瀬が言い過ぎた面もあったからだろう。今は家に誰にもいないため自分しか看病できる人がいないが、別段嫌々やっているわけではないし、看ていなかったらいなかったで何かと心配になるのは自分の性格から分かっている。だから一瀬は気にしなくていいという意味を込めてそう言った。

>紅小路莉子さま、ALLさま

3日前 No.62

よいのつづり @sasame031☆Drc4JVXJx7M ★78Gp0ZKeUd_qxX

【神楽野鎮樹/研究学園都市銀花 広場】

 志白の言葉にほんの少しの違和感は感じるけれど、鎮樹はそれを言葉にはしなかった。それが個人の感想であるからかもしれないし、何か踏み込んではいけないと思ったからなのかもしれない。――それはともかく。すっかり温くなった缶コーヒーを手で弄んでいれば、志白が声を掛けてきた。
 奢らせてくれ、というその言葉に、鎮樹は一瞬目を輝かせる。が、すぐに申し訳なさそうに眉を下げて笑った。

「でも、奢ってもらうっていうのはなんだか申し訳ないなぁ……。手袋を拾ったのも偶然だし、別にコーヒーも気にしなくていいのに」

 寒いからちょうど良さそうな缶コーヒーを買っただけなのだ。――ぶるり。背中に這うような悪寒に体を震わせる。コートの下に着たカーディガンの袖をほんの少し引き上げると、手に息を吐いて暖を取る。これは素直に志白の好意に甘えてもいい、ということなのかもしれない。ほんの少しの申し訳なさを感じながら、鎮樹は志白へと声を掛ける。

「会ったばかりの人に奢ってもらうなんて、本当に申し訳ないんだけど、……うん。折角の出会いだし、好意に甘えるのもいいよね。というか、俺寒いの苦手だったから、店に入ってもらえると、ちょっと嬉しかったり」

 照れたように笑いながら、鎮樹は志白に向かってそう言った。寒いのは本当だ、どこか店に入って暖を取りたいのも本当だ。嘘をつくのはよくない、と鎮樹は密かに頷いた。

>>志白くん、その他ALL

( 私も返信が遅れてしまったので、ここはおあいこということで一つ…!そして、せっかくなので甘えさせてもらうことにしました!もう少しかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします…! )

2日前 No.63

仔夢 @00000x ★iPhone=y44SZZaVfW

【紅小路莉子/研究学園都市銀花℃ゥ宅】


摩られるリズムとほんのりと冷たさの残る一瀬の手の感触は心地よく、律の心を落ち着けることに貢献していた。昔から人肌に触れること、人の温度を感じることが好きなのは自分も変わってないなと思うと、容姿も、性格も、名前だって変わった自分達の変わっていないところというのは貴重に思えて、少しだけ嬉しかった。

その言葉の意味に互いが気付いた時には勿論目を合わせることは無かった。此の期に及んで相手の瞳孔を直視するわけがなかったし、できるわけがなかった。熱を抜きにしても顔が熱い。元よりインドア派だった律の生活の賜物である真っ白な肌はまるで桃色のクレヨンを塗りたくったかのような鮮やかな朱に染まり、律までいかずとも常人より若干白いであろう一瀬の肌も負けじと赤くなっていた。なんて爆弾発言を仕出かしたんだと激しい後悔が襲うが考えてみればもう十数年前から互いに好きだ好きだと言い合う関係でもあったし、家族として、仲間として、相棒としての好きを異性の壁で隔ててしまうのは非常によろしくないだろう。仮にこれが同性だったのならこんな恥じらい必要なかった筈だ。一応言っておくが別に同性同士の恋愛を否定しているわけではない。ただ、同性同士の好きは世間一般的に見て、友情の好きとなるのは明確だろう。体感にして数時間、実時間にして何秒か目を逸らしあう時間が続いたあとの沈黙を破ったのは一瀬だった。


「あ〜、アレだ。今のはその……『相棒として』って意味だろ? 大丈夫、分かってっから」
「あっ、うん、そうそう。べ、別に付き合いたいとか、そんなんじゃ……」


一瀬は相変わらず目を合わせることなく片手で顔を覆ってそう言った。角度的に表情を伺うことは出来ないが、それに構っている余裕がないほどに律の羞恥は強くなっていた。これが世に言う年頃とかいうやつなのか。年頃といえば、思い出すのは研究所にいた頃の話。それまで律は性別関係なくいろんな仲間のベッドに潜り込んで一緒に眠ったり、時に夜更かししたりすることが好きだったが、ある日を境に職員が異性のベッドに潜り込むことを禁止した。「年頃だから」というその意味は全く持ってわからなかったため猛反発し、挙げ句の果てに一ヶ月自分のベッドで眠らなかった覚えがあるが高校に通い始めた今ではその真意がよくわかる。高校に入って、家族以外での同世代と関わり、友達が増えてからは自分の世間知らずな一面を多く見るようになり、少し嫌気さえさしていたところだった。
「冷たっ」と反射で返した律の言葉を一瀬はさらっと「お前が熱いんだよ」と言って掬った。それに対抗するように律は「冷たいよ。死ぬんじゃないの。あ、そっか、そんなことしなくても私達近いうちに死んじゃうもんね」と軽い冗談も含んで言った。その目は少しだけ悲しげだった。ジョーカーは、大人になりきれずに死ぬことは自らの調査で知った。能力を二つ持っていることで、使わなくてもそれだけで体に大きな負担をかけているのだ。そんな律ももう十七歳で、一般的な大人まではあと三年しかない。研究所の言う「大人」の定義はいまいちだが、少なくとも長生きはしないのだ。しかし律はそれを知った頃から死ぬことに恐怖を感じていなかった。元より死は誰もが通る道なのだからそれが人より早いだけだと言って笑うのだ。昔から体が弱い自分はジョーカーじゃなくてもきっと早死にしてたよと言って。だからこうして話のネタにして挟むことも多かった。だが、生きたいと願う仲間には長生きしてほしいというのが律の願いだった。そんなことを仲間に言ったこともなければ表現したこともないが。兎に角、いつものように口喧嘩のような日常会話ができる程度には回復していた。


「もう怒ってないし気にしてないって。それに俺も言い過ぎたとこあったし……。お前が元気になってくれればそれで十分だよ、俺は。気ぃ遣わなくていいって言ったろ?」
「ありがと。ごめんね、こんなことしか言えなくて。でも、もう結構しんどいかも。やっぱり少しでも動けるうちに部屋に行っとくね。流石に運ばれるのは……ほら、プライドってものがあるし」


少し喋ったからなのかまたもや息を荒くする律は一瀬から離れ、少し微笑んで淡い桃色のルームウェアの袖を引っ張った。細い指が羊よろしくと言わんばかりのもこもことしたルームウェアの奥に引っ込み、見る人によってはシュールだ。これからベッドに入るのだからと白い蝶の髪留めを外し、ダイニングテーブルの上に置いた。一箇所を除いてストレートで癖もつきにくい白髪は重力に逆らわずストンと落ち、踵に届きそうなほどの長さになった。そんなボリュームのある髪でもこもこのクォーターパンツから伸びる素足を隠し、さらりと揺らしながら階段へ向かった。


>科条一縷様

【遅れてしまって申し訳ありません!はい、インフルですよインフル!お熱です。りっちゃんとおそろいになりました(笑)あ、私学生なんですけれども学校内で最初のインフルエンザになりましたおめでとうございます!(お祝いするとは言ってない)】

3時間前 No.64
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