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Warning Bell【募集中】

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(1289) - ●メイン記事(55) / サブ記事 (90) - いいね!(8)

ししくれ @kmnkha ★5ZJqsyRP6V_CBa



 苦しい。空気を吸えないことがこんなに苦しいものだとは思わなかった。死ぬってのは大変なことだ。……でも、それでも、生きることに比べたらよっぽどマシだ。私の心は砕け散った。もうなんにも残っていやしない。
 私を手にかけている君が今までのどんな時よりも愛おしく感じるよ。粉々になった無価値同然の私を愛し、そして終焉へと誘ってくれる君は、私の最初で最期の光だ。


『ありがとう』

 そう言ったつもりだったのに、耳に入ったのは掠れた呻き声だけ。でも最早それさえもどこか他人事で。最初はあんなに苦しかったのに、今ではどこか心地よささえ感じている。嗚呼、これが死か。
 意識は私の元を去り、遠く離れた場所で眠ろうとしている。自我が闇に溶け、堕ちていく。


“ Good-bye Hateful world. ”
“ Thank you for a wonderful time. ”

  ――さようなら、忌むべき世界。
  ――素敵な時間をありがとう。


 †


 永遠の眠りから目を覚ましたのなら、其処は箱庭。
 地獄よりも残酷な囚われの監獄。天国よりも甘美な最果ての楽園。
 生から見捨てられ、死から拒絶された者達の住まう屋敷。


“ I never am loved by anyone forever. ”

  ――私は誰からも愛されることはないの、永遠に。


 屍体は静かに言葉を紡ぎ、今日も鐘は鳴り響く。



【閲覧ありがとうございます。詳しくはサブ記事にて。ただし、当スレッドにはグロテスクな様子が含まれます。不快感を感じる方や苦手な方はプラウザバックしてください。閲覧、参加は自己責任でお願いします。メイン・サブ共にレス解禁を表記するまで書き込み禁止。】

メモ2016/12/13 19:18 : ししくれ☆/pH2qpQf7L2 @kmnkha★ieluDUuGrE_4CS

*女性

ディーネ・ロリポップカヌレ(http://mb2.jp/_subnro/15452.html-13#a

リュシー・ミィシェーレ(http://mb2.jp/_subnro/15452.html-23#a

ニーナ・オズモンド(http://mb2.jp/_subnro/15452.html-45#a

ハネカワ・ユヅル(http://mb2.jp/_subnro/15452.html-57#a


*男性

ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・ウスペンスキー(http://mb2.jp/_subnro/15452.html-17#a

ケンイチ・ヤナギハラ(http://mb2.jp/_subnro/15452.html-22#a

マーベル・F・オクロック(http://mb2.jp/_subnro/15452.html-29#a

ルカ・エリア=パガニーニ(http://mb2.jp/_subnro/15452.html-32#a

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妃翠 @azalea☆dszkmgEaqwdD ★BxEfezLEi0_EP8

【 リュシー・ミィシェーレ / テラス 】




 真夜中の冷たい風がリュシーの金色の髪を巻きあげる。図書室から持ち出してきた本と最近お気に入りのミルクティーを供に、静かなテラスに一人腰掛けていたリュシーは、乱れた髪を手櫛で整えながら、砂を振りまいたかのような夜空を見上げた。月の隠れた夜は、数多の星々が夜空の主役となる。月が旅人の道標となるように、美しい星空は旅人の歩みを止めて一時の休息を与える。暗くなって文字の見えなくなった本を閉じ、すっかり冷めきった紅茶をミルクティーに含む。
(……こんなに静かな夜、生きていたら絶対に過ごせなかっただろうな)
 だらりと行儀悪く背もたれにもたれかかり、リュシーは深いため息を落とす。死ぬまでの数年間。彼女は怒涛の時を過ごした。父親が違法の商売に手を染め、貴族の位は剥奪されて、生きるため家族の為にと性格を180度変えて兄と死ぬ気で働いたものの、稼いだ金は屑と呼ぶに相応しい父親に全て使われた挙句に、兄妹が一生働いても返せない借金を抱えて、何も言わずに自分はともかく母親も娼館に売り飛ばした際には、激しい怒りと殺意にどうにかなってしまいそうだった。当時のことを思い出して、リュシーは無意識に自身の拳を白くなるほど握り締める。もしも、自分が死から見捨てられず、この世の理に添っていたならば。もしもまだ、父親が生きていたならば。リュシーは、間違いなく父親を呪い殺していた。そう断言できる。握りしめた拳をそっと胸に押し当て、リュシーは何かをこらえる様にぐっと唇をかみしめる。いけない。ここに来てからはなるべく思いださないようにしていたのに。彼のことを思いだすたびに、どうしても感情が激しく揺れて"昔のリュシー"が顔を出しそうになる。気持ちを落ちつかせるためか、残ったミルクティーを豪快に飲みほし、彼女は無理やり笑みを浮かべる。



「――うん。大丈夫」



 自分に言い聞かせるためにぽつりと零したその言葉は、秋の夜の静寂に吸い込まれて消えて言った。



>>All様





【メイン解禁おめでとうございます! 絡みに行く勇気のないヘタレなので、こっそりAll文を投下させて頂きます。
暗くて絡みづらい駄文申し訳ないですが、何方か絡んでくださると嬉しいです】

1ヶ月前 No.6

毬藻 @shuchishin☆jHqXF0noOB6 ★Jj2DEjpvWx_m9i

【マーベル・F・オクロック/三階 個室→一階 エントランス】

 自室にて、一人の男性が鏡の前に佇んでいた。

 久しぶりに、睡眠をとった。理由は特にない。ただ、なんとなく。
 久しぶりだったからか眠る必要がなくなったからかは分からないが、寝たのに逆に疲れてしまった。

 鍛え上げられた上半身を晒し、顔を顰める。右手で触れた左胸の“それ”に指先が当たって、カツンと微かな音を立てた。
 時計が示している時刻は5時ちょっとすぎで止まっている。動いてはいない。ずっとその時刻で止まったままだ。
 彼の左胸に埋まっているその丸い置時計は、まるで彼自身を示しているようだった。

 彼、マーベル・F・オクロックは、世間体で言えば故人だ。この屋敷には彼のような死人があと数人いる。
 その中でも彼は特異の部類に入るであろう。何せ、生命活動を維持するための機関――心臓がないのだから。
 他にも体の一部を失っている死者がこの屋敷にいるが……自分はその中でも、異常な欠損者であろう。

「……ってまァ、こうして生きていること自体が一番異常なんだがな……」

 そう自嘲気味に呟き、ため息をつく。
 心臓がないまま平然と生きている自分。胸に穴が開いているからか、そこから感情とかいろんなものが零れ落ちてしまいそうで怖かった。だからそれを埋めるために今は時計を胸に押し込んでいる。最初は心音の代わりと思って心地よかった秒針の音は、今はもう聞こえない。死者なのに鼓動を刻み続けることが、だんだん煩わしく感じたからだ。

「(じゃあ、他の奴らは一体どうなんだ? あいつらの心臓は動いているのか?)」

 今更のような簡単な疑問がふと思い浮かんだが、すぐに首を横に軽く振ってその考えを打ち消す。動いているか、動いていないか。そんなことはもうどうでもいい。聞く気は起きないし、第一聞いたって答えたいと思う奴はいないだろう。死んだことなど、いちいち蒸し返したくもないだろうし。

 しかし世間では今騒ぎになったりしているのだろうか。ここの敷地から出ることは叶わないから、外の世界が今どうなっているかなんて分からない。死体が消えた、なんて話で盛り上がっていたりするのだろうか。何せ、奇妙なことほど人間の興味をそそるものはないだろうから。

 また小さくため息をつき、ベッドに放り投げていたTシャツを被る。上半身さえ隠れれば、マーベルの姿は生前と変わらない。
 このまま永遠に、何十年何百年と時を跨いでいくのだろうか。はたまた、ものの数ヶ月、いや数週間で朽ち果てて無くなるのだろうか……。


 自室から出て、エントランスへと降りる。近くの部屋――キッチンからだろうか――から女性の高い声が聞こえたので思わず身構えたが、よく聞くと幼さが残っていたので力を抜く。この声の主は、おそらくディーネだろう。女性が苦手なマーベルが肩の力を抜いて話せる、数少ない女性の一人だ。その声と共に、男性らしき声も聞こえる。扉のせいか、若干くぐもって聞こえるので、誰が話し相手なのかは分からない。

 今は特にキッチンへ行く用もない。暇なのでこの屋敷の黒猫、エルの相手でもしようかとエントランスをぐるりと見回すが、姿がない。そういえばさっき鐘が鳴ったっけ。ということは午前零時を過ぎたばかりか。となると、今の時間彼がここにいないのも納得だ。

「(図書室でも行くか……)」

 自室にある本は全て読み終えてしまっていたので、新たな本でもないかと思い、図書室へ向かおうと踵を返そうとした。するとキッチンとはまた別の方角から女性の声が聞こえ、思わずその方へ勢いよく振り返ってしまった。場所は……テラスからだ。

 テラスに誰か佇んでいる。あの華奢でいかにも女性らしい姿は……リュシー、だろうか。
 ディーネの声を聞いた時と違い、マーベルの体に若干力が入る。きっと、今眉間には皺が寄っている状態だろう。無二の愛情を注いだ恋人に殺されたときから、マーベルは女性が苦手になっていた。この世の全ての、というわけではなく、15歳よりも上の、少女から大人へと変わる年頃の女性が。

 だが、このまま女性嫌いのままであっては屋敷にいる女性陣に非常に失礼だろう。これは克服の一歩のために声をかけるべきか……いや、そっと一人にしておいた方がいいのだろうか……。
 そんな他の人にとってはどうでもいいことを頭の中でぐるぐると巡らせたまま、ただただエントランスのど真ん中に突っ立っているのだった。

>>ALL

【遅ればせながらメイン解禁おめでとうございます!! そしてエントランスで立ちんぼ状態……失礼;
 ぶきっちょな彼同様、ぶきっちょな本体ではありますが、よろしくお願いいたします!!
 あと文字色がスレ主様と被っていたため変更いたしました。】

1ヶ月前 No.7

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★GlHrknnK35_yFt

【ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・ウスペンスキー/1階エントランス】

――キィ、キィ……。

車輪と輪軸が擦れて、少々耳障りな音を立てた。
それこそが今のボクの足音に他ならない。
慈しむべき愛の後に、ボクへと与えられた新たな金属の足。
足というには少々不格好かもしれないが、何もないより便利なのだから我慢しよう。

今は、ただ目の前の友に声をかけたい。
ボクと同じく、愛故に死に至った友に。
ボクとは違い、その愛を受け入れられなかった友に。
同じく違う友に声を掛けたかった。

「『そうとも、余が見るにその君の中の葛藤こそが愛だ。君は彼女の事を慮り、また自分のエゴを成し遂げることを欲している。欲求と自己愛と尊重と道徳観の競り合い、そしてその懊悩こそが愛なのだよ。否、この世は須らく愛に満ちている。全て、ヒトは愛によって動かされ、愛によって生き、愛によって死ぬのだよ。だからこそ、人間は愛を否定してはならない。それは自分自身を否定することと同義なのだから』なんてことを、生前に書いたことが有ったけれど……」

なんて、今の彼にボクの遺作を語ったところで詮無いことか。

「まぁ、そんなことはおいておこう。先ほどからここに立って、テラスの彼女を見つめながら物思いにふけっている。それが他の男ならば一目惚れでもしたかと思うところだが、マーベル、他ならぬキミにおいてそれは現状あり得ないとボクは考えている。あ、気を悪くしないでおくれよ。ただ、女性に忌避感を覚えている節のある君が、何故、そうも熱心に彼女を見つめていたのか興味がわいたんだ」

それはどのような形をとった愛なのだろうか?
関心とは良かれ悪しかれ愛の発露だ。
それが嫌悪であっても、憎悪であっても、そういった形をとった愛の発露に他ならない。
では、彼の彼女に向けた愛とは何か?
それが、酷く気になって仕方がなかった。

>>マーベル様、周辺ALL

【絡ませていただきます。世界は愛で出来ていると断言する変人ですが、よろしくしていただければ幸いです(^^;】

1ヶ月前 No.8

ゆりめろ、 @lilymelody ★2FOBUlth9k_yoD



【 ディーネ・ロリポップカヌレ / キッチン 】


ありがと、とまるで少年のように純粋な感謝の言葉を発し、レモンタルト味のキャンディを口で少しずつ舐め溶かしていくルカを「 それ、初めて見たキャンディの味なんだけど……どうかしら、美味しい?目元が喜んでいるように私には見えるのだけれど 」と率直に問いかけた後、お菓子を食すのを少しばかり止めていた事を思い出したディーネは、今度は彼女から見て左奥にある、赤いリボンに結われた白い箱を手に取った。シュルシュルと微かに音を立ててリボンを外し、箱を開けてみる。そこには淡いピンクやこげ茶色、黄色や緑色に染められた数個のマカロンが、まるで気品のある貴婦人の如く、静かに陳列されていた。とりあえず端から食べていこうと迷わずピンクのマカロンを摘んで、一口齧ってみる。甘い、柔らかい等の単純で機械的な感想を脳内で並べていると、ルカに何が美味しかったのかと聞かれた。質問に答えようと小首を傾げて考えてみるものの、これは特別、絶品とかいうはりきった前向きな考えが浮かんでこない。

「 それが、私にもわからないのよね。もちろん美味しいとは感じるのよ、みーんなね。でもね、これは一番の味だとか、そういうお菓子には巡り会えていない気がするの。沢山食べてきたのに決まらないなんてちょっと可笑しいわよね、ふふふ。 」

右に視線を寄せると、其処には今この時間、彼女が食べてきたお菓子がかつて眠っていた包みや箱の数々が丸められ、並べられ、積み上げられていた。まるで小さな塔のようにも見える。こんなにも甘いものは存在しているのに、何故お友達が一人も居ないのかしらと、いつの間に食べ進めていたのか三つ目のマカロンを咀嚼しながら少しだけ思った。そしてルカに、宝石みたいだけど味は微塵にも想像できないと言われてクスクスと笑う。

「 あら、ルカもこのお菓子達の事を宝石だって思えるの?同じね、私もよ。味は想像できないというところにも共感できるわ。……私ね、お菓子と人間は似ていると思うの。見た目は愛らしくて綺麗でうっとりするものが多いけど、食べてみるまでは本当の姿と味はわからない。一口食べただけで甘さに溺れるかもしれないし、反対に外装が崩れて、ドロリとしたものが溢れてくるかもしれないし、ね?だから結局のところ、付き合う人間はよく選ばないといけないのよね。 」

そう言葉を続けながら黄色のマカロンを口元から離してみると、自然と口角が上がる。ディーネは「 これはどうやらハズレみたいね 」と呟き、ほら見て、とルカの方に手に持っているそれを向けてみる。淡く陽だまりのようにあたたかい印象のマカロンからは、毒々しいボルドー色のジャムが滴っていた。


>>ルカくん、周辺ALL

1ヶ月前 No.9

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/キッチン】

 タルト要素は無いけれど、それでも確かにタルトの中にぎっしりと詰まっているレモン生地のそれ――例えば、煮詰めた事によって生まれた甘みだとか、火の通った皮の独特な苦みだとか、レモン特有の酸味だとか――を宙仁津に再現していると言えるだろう。というのがルカの感想だった。けれど、相手が求めているのはそれではないだろうと考え、そしてへにゃりと笑う。「美味しいよぉ、すっごく」と。

 そうしてお菓子を食べながら、それを友人関係に例える彼女の言葉を一通り聞いてルカはふむ、と考える。生前、心理学や哲学といった学問は学校に通っていたルカの専門だった。

「んんー……ディーネは、見目と中身が違うと、嫌なのかなぁ?」

 加えていた飴を棒を掴んで取り出し、それを月の光にかざしながら問い掛ける。――どのみち、答えを聞いているのかは怪しいが。

「味を知らなきゃ、見目だけで判断なんてできやしないんだし。それこそ、君が例えたお菓子で言えば……あー、何、チョコレートボンボン? とか何か、見た目だけでは中身だなんて想像できやしないでしょう。何より、僕が思うに“その人の本当のとこ”たるものは、ようはお菓子で言うところの材料や隠し味で合って、味そのものですらないんだ。それを甘いと思うのか、苦いと思うのかは結局食べた人間の――受け取り手の、問題なわけだし」

 気泡が封じ込まれたそれは、光すらも甘い黄色へと変化させる。ああ、やっぱり綺麗だ。宝石みたいで。割れたところで、その光も価値も主張し続ける、宝石みたいだ。

「付き合う人間を選別するのは、とっても大事な事さぁ。お菓子だって、アレルギーを考えて食べないと、死んじゃうんだし。でもねぇ、例えば、苦くて食べれないチョコレートを、ミルクと一緒に食べるとか、そういう努力だって必要なのさ。そして、何よりも」

 ちらり、とディーネの持つマカロンへと視線を向ける。毒々しいボルドーは、ルカの瞳には少しだけ時の経った血液のように映った。ああ、やっぱり、これも綺麗だ。何も隠す気の無い感じが、とっても。

「『それは初めからそういうモノだった』っていうのが大半の真理さ。そのお菓子だって、作り手にしてみれば最初からそれを挟み込んで作っていたのだから、意外でも何でもない。そういうモノなんだ。……人間だって、初めから知っている人にしてみれば『そういう人間』なんだ。意外、だなんて感想も、外れ、だなんて感想も、こと人間関係に於いてはお門違いの発言だ。……ああー、あとね、多少の好き嫌いや順位は無理くりにでも付けるべきだよ。そうでなけりゃ、なーんにも、産まれやしないんだから」

 また飴を口に含む。遠くに見える苦みが、頭にくる酸味が、その両者をつなぐ甘みが、唾液と混じりあって喉の奥へと流れていく。それにしても、そのお菓子、美味しそうだねぇ。とぼんやりとした発言を付け足すのも忘れなかった。

>>ディーネさん、周辺ALL

1ヶ月前 No.10

毬藻 @shuchishin☆jHqXF0noOB6 ★Jj2DEjpvWx_m9i

【マーベル・F・オクロック/一階 エントランス】

 一体、どれくらいそうしていたことだろう。
 ものの数秒だったかもしれないし、実は1、2分も経っていたかもしれない。

 どこかへと飛ばしていた彼の意識は、何かが軋むような音によって呼び戻された。それと同時に、誰かの声によって小説の一部らしきものが紡がれる。意外にも読書が趣味なマーベルは、この屋敷に来てからは生前手を出していなかったあるジャンルのものをたまに読んでいた。そういえば、どこかで聞いたことのある内容だ。最近読んだ気がする。

 そのジャンルとは恋愛話だが、それで愛読している作者はたった一人だけだ。あまり世界観が好みではないが、それでも風変わりな鎧の使用人に頼んでは取り寄せてもらっているので、今自室に置いてある本の約半分はそのジャンルが占めている。好みでもないのに読み続けているのは、自分にはないその作者の心理を知りたいからだろうか。


 その作者――もとい、ウラジーミルの話を聞いていたマーベルは、相手が話し終えてもなおテラスを見つめたまま、しばし黙っていた。
 少し思考したのち、ゆっくりと口を開きながら相手へと向き直る。

「別に……少し風にでも当たろうかと思ったら、先客がいただけだ。特に意図はねェ」

 首に手を当てつつ、視線を辺りに彷徨わせながら答える。本当は図書室に行くつもりだったが……熱心にと言われるほど長く見ていただろうか。

 美や愛に関して、人一倍興味を持つウラジール。彼からしてみれば、自分もいい作品材料の一人だったりするのだろうか。
 自分は、まるで彼が描いた世界観の登場人物のような最期を迎えたから。

「今の俺には“心”がねェからな。誰かを想う、なんて高等な真似はできねェよ」

 自嘲気味にそう言いながら、左胸の時計のある場所へと手を当てる。
 ここにまだ“心”があったなら、今テラスで佇んでいる彼女へ向ける想いも少しは違っていたのだろうか。

 そんなことを考えたが、直ぐに「いや、違うな」と言って打ち消した。

「俺の“心”はもう奪われちまったから、他の誰かを想うなんてできねェんだな」

 柄にもなく詩人のようなことを呟き、胸を鷲掴みする。
 唯一無二の愛を注いだ、たった一人の想い人。マーベルの“心”を奪ったその恋人の面影は、今はもう自分の中から跡形もなく消え去ってしまっていた。

「……用件はそれだけか? それとも、何か手伝うことでも?」

 当てていた手を下すと、もういいだろう、とでも言うように相手に話を振る。力仕事が得意なマーベルは、よく彼の生活のサポートをしていた。
 互いに愛を与えられて亡んだ者同士。何か親近感があるのだろう。彼のあの独特の恋愛観だけは共感できないが。

>>ウラジーミル様、周囲ALL

【絡みありがとございます! 意外と読書好きな奴なんで愛読者にさせていただきました。実際に彼の作品を読んでみたい……】

1ヶ月前 No.11

ゆりめろ、 @lilymelody ★2FOBUlth9k_yoD



【 ディーネ・ロリポップカヌレ / キッチン 】


「 そう、それは良かったわね 」と彼なりの味の感想を聞いてゆっくりと頷く。私も今度食べてみようかしらと微笑し、天井を仰いだ。淡い月のように光を発する、百合の形をした電球の数々が見える。まるで私達の会話を優しく見守っている気もしたし、小娘が何を馬鹿げたことを、と嘲笑しているようにも感じた。そうしているうちにルカの哲学的で、普段の彼からは想像もつかないような発言の数々がディーネの耳に飛び込んで来る。ふむ、と何かに思い耽りながら聞いた。人間関係においてはお門違いな発言とか、苦いチョコレートもミルクと一緒に口に運ぶ事も必要とかいう言葉が聞こえた気がする。ディーネは「 そうねえ 」と呟いた後、マカロンの詰められていた箱に結ばれていた赤いリボンを手に取り、弄び始める。

「 やっぱりそういうものなのかしらね、『 人間関係の築き方 』っていうのは。私、お友達が一人も居なかったからよくわからなくって。苦手な人とも付き合っていかなくちゃいけないなんて、大人って複雑で大変ね。苦いものはあまり好きじゃないけれど、私も大人になれば必要性がわかるかしらね。 」

いつもの口調と何ら変わらないまま、むしろ笑い声を上げながらそう口を開いた。十三歳、幼い少女でもなければ立派な大人でもない時期。ある意味多感だったのねと考えつつ、片膝を立てた右足の太腿に赤いリボンを結ぶ。彼女の一番好きな結い方である、蝶々結びで。そしてルカにマカロンが美味しそうだとルカに言われ、「 美味しかったわ、街の貴婦人が好みそうな味だった。ルカは哲学に関して詳しいのね 」と左目を閉じて片瞬きをした。


>>ルカくん、ALL

1ヶ月前 No.12

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/キッチン】

「好きだよ。哲学も、心理学も。だって、芸術以外は何も出来やしないと言われた家を、……誰も護ってはくれない自分を、護る術だもの」

 芸術は秀でているけれど、それ以外はてんで駄目ねぇ。だなんて家の陰口を言われた事は何度だってあった。対人関係を真面に築けない家に仕事をくれる人間はいないのだという事も、身をもって知っていた。そしてパガニーニ家には、それが出来る人間が決定的に居ないのだということも、知っていた。だから、家を守るには自分自身が利発な振る舞いをするしかない。だから、死ぬほど勉強したし、挑んで、扱けて、そうして覚えた。身に着けたのだ。

「でも、そうだなぁ……」

 目の前の少女は、何処までも純粋で真っ直ぐだ。好きなモノを好きだと言える、本当に純粋で真っ直ぐな子だ。それが徐々に受け入れてもらえなくなる年に近付いてしまったから、だからこそ、余計に避けられたのだろうとルカは憶測だけで常々考えていた。

「……大人になったら、素直は身を亡ぼす、んだと思う。分かんないけどね。それに……大人ってのは、僕には、生きた時の長さでは無いと思えるんだ。寧ろもっと、精神的なもので」

 13歳だった頃の自分は、何を考えていたのだろう。社交界に出てしまえば、寧ろ、外に一歩でも出てしまえば、その時点で子供とはみなしてはくれない事にショックを受けていた気もする。護ってくれていたのは貴族だった後ろ盾だけで、世間も、家族も、世話こそしてくれたけれど護ってくれてはいなかった事に気付いて、半笑いになっていた気もする。……あれも、今になって思えば「周りよりも大人だった」から「周りよりもそれに気付くのが早かった」だけの事だと、笑い話のように言えるけど。
 話が逸れた、と顔をあげふにゃりと笑う。ルカだって年下の面倒は見るけれど、それはディーネの年頃で限界だった。もっと下の子は、純粋過ぎてルカの首を絞めてくる様な感覚に囚われるから、苦手だ。自分がその年頃だった時には既に、子供の枠を超えていた事を自覚させられるから、……いつも使わない言葉で言えば、「大嫌い」だ。

「哲学や心理学で知りたい事があれば、僕に聞いていいよぉ? 僕、そういうの考えるのって、だーいすきだし。精神面でのごそーだんがあれば、このルカ・エリア=パガニーニせんせーにお任せあれー」

>>ディーネさん、周辺ALL

1ヶ月前 No.13

Nowhere @upto114 ★iPhone=evP62i3KRu


【ニーナ・オズモンド / 庭→テラス 】

As the deer panteth for the water
So my soul longeth after you
You alone are my heart's desire
And I long to worship you

鹿が谷川の水を慕いあえぐように
私の魂は汝を慕いあえぐ
汝こそが我が心の願い
汝を慕い崇めん

夜の庭に透明感のある声が響く。歌声が止まり、

「君たちはいっつも美しい…そしてけして僕を裏切らない。僕が君たちに惜しみなく愛を注ぐ限りね」

庭に咲き誇っている花々に声をかける修道服の少女…ニーナは一人で散歩をしていた。長いトゥニカが夜露に濡れるのも厭わず、少し小道を歩いては咲き誇る花々を愛おしげにそっと見つめる。ザクザクと小道を踏みしめる編み上げブーツはもう泥だらけだ。ふと歩みを止めた彼女はとある花壇のそばに座り込み、顔にかかったミルク色の髪をさらりと耳にかき上げて、一つため息。茎から折れてしまったキキョウの花を見つけたのだ。キキョウの花言葉…「永遠の愛」。昔、桔梗という名前の若い娘がいて、桔梗が恋人のために一生涯ただ待ち続けたという物語からきていると言われているらしい。

「永遠の愛が折れちゃったなぁ…」

小さく呟くと、目の端に悲しみを滲ませて、それでもラズベリー色の唇に甘やかな笑みを浮かべながらその花弁をそっと撫でた。彼女の頭に浮かんでいるのは彼のこと。彼女の自由さ、奔放さを理解した上で愛してくれた彼のこと。彼女は自分が思い出の波に呑まれていくのを感じ、ふるふると首を振った。思い出すだけで、自分の全てが崩れそうになるからだ。感覚がないはずの左腕が鈍く痛む。このままだと自分がダメになってしまいそうで、部屋に戻ろうと踵を返した。砂時計のような女っぽい曲線を描くくびれた腰に手を当てて、んー…と声を漏らしつつ思慮する。酒だ。こういう時はリキュールでも飲みたい。甘ったるいリキュールでも飲んで、その力で全てを忘れたように眠ってしまいたい。

ーまぁ、僕たちに永遠の眠りなんて訪れないけどー

と、小さく言って自嘲気味に笑った時、テラスに人影を見つけた。月夜で色が違って見えるがあのミントグリーンのドレスは…。体重を感じさせないふわりとした一歩でテラスに降り立ち、背中から抱きしめるように彼女の体躯を後ろから抱きしめる。シルクの柔らかな肌触りが手を通して伝わった。ニーナの全ての動きは思わせぶりで、本人には何の興味もないくせに、どこか色香を感じさせる。彼女の頬をするりと撫でて、耳元で囁いた。もちろん…ただリュシーを驚かせたいという悪趣味のために。

「リュシー、僕の愛する君。ねーぇ、何してるんだい?」

〉〉リュシーさん/ALL


【うっわぁぁ…呼ばれてないのにいきなり飛び出てダル絡みするシスター(概念)です…。みなさんご挨拶遅れて申し訳ございませんこんな宗教的ツッコミどころ多すぎなキャラを操る本体ですよろしくお願いいたします。そしてリュシーちゃん絡ませていただきます!】

1ヶ月前 No.14

夕邑三日月 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_Qc5

【ケンイチ・ヤナギハラ/自室→三階ベランダ】

 嗚呼、今日も午前零時の鐘が鳴る。
 はて、嘗ての自分はこの時間にはもう眠っていたのだろうか。日付が変わるレベルだ、次の日に授業があれば寝ていたし、レポートが終わっていなければ必死にパソコンのキーボードを叩いていただろう。流行のゲームがあればそれに熱中していたし、気に入った本があればそれを読んでいた。眠れない夜は軽く酒でも煽ってみるが、結局無駄だと布団を頭からかぶって大人しくしていただろう。
 ごろり、と白い寝台の上で体の向きを変えながら取り留めも無く健一は思う。特に予定もなく眠れないときはどうしたらいいか、と。

 死して尚、生前と変わらぬ意識とそれに合わせて動く体を引き摺って、彼は惰性のように食事と睡眠を繰り返している。そう、断っておくが明かりの消えた部屋でシーツに包まり、ボウと天井を見詰め溜め息の真似事をしているこの男は、もう死んでいるのである、多分。確かに一発の銃弾によって脳と心臓は活動を止め、彼の人生はあっけなく幕を下ろしたが、それでも大人しく三途の川を渡らせては貰えなかった。だから現状を何と形容すべきかは分からない。本人の意思に関わらず、彼は生きても死んでもいない状況に放り出されたのである。
 尤もそれは健一一人に限った話ではなかったので、この屋敷の住人――健一と同じ境遇に置かれた人物たちとっては既に全てが日常の一部と化しつつある。それを、はいそうですかと受け入れられない元人間が、此処に居るだけで。

 溺れる者が藁に縋る様に生前の慣習にしがみ付く彼は、夜は寝ること、朝は起きる事、そして三食きちんと食べることに強いこだわりを持っている。最早執着と呼んでも差し支えないそれは、部屋の外で誰が何をしていようが基本的には変わらない。そもそも死者に睡眠など必要ないのか夜間に活動している者も多いが、彼には関係ない……筈だった。
 妙に頭の冴えてしまった健一は、のそのそとベッドから起き上がり、窓の方へと歩いていく。少し夜風に当たって頭を(物理的に)冷やしたら直ぐに戻る筈だった。しかし彼の濁った瞳は久し振りに仕事をしてみたかったらしく、眼鏡越しで階下のテラスに人影を見付けてしまったのである。誰かまでは判別合付かなかったが、背格好や着ている服で何となく予想が出来ない事もない。

「こんばんは。こんな時間にそんな所に居ると風邪ひくよ」
 と言う訳で、健一は人影ふたつに声を掛けてみることにした。そもそも距離があるので聞こえているかどうかも疑わしいが、夜間に女性が出歩くのは危ないので止めるべきだろう、普通。しかしその三秒後に、彼はそんな普通などこの狭い世界の何処にも存在しないこと、そもそも死者に風邪をひくという概念が存在しないだろうことに気が付いて頭を抱えるのだった。

>リュシー様、ニーナ様、周辺ALL

【ひぃ、完全に出遅れましたが本編開始おめでとうございます……取り敢えず自室で寝かせたかったコイツは、三階からテラスに声を掛けるナンパ野郎になりました。遠隔で申し訳ありませんが適当にあしらってやって下さい。】

1ヶ月前 No.15

妃翠 @azalea☆dszkmgEaqwdD ★BxEfezLEi0_EP8

【 リュシー・ミィシェーレ / テラス 】




 冷たい夜風のおかげで、ぐちゃぐちゃになった頭の中は綺麗に整理出来たものの、本を読む気にも、紅茶を淹れなおす気にもなれず、リュシーはぼんやりと空を見上げていたリュシーは、どこからともなく聞こえて来た美しい歌声にハッと我に返ってあたりを見回す。彼女の脳裏に浮かぶのは、ミルク色の髪を持った男性用の修道服を着た女性の姿だ。時折屋根の上に登って歌っている姿を目撃しては、いつ足を滑らせて落ちてしまわないかと気が気ではなかったが、まさか今夜も登っているのではあるまいか。一抹の不安を覚えて外に身を乗り出した彼女は、夜の暗闇に目を凝らす。目を細めて顔の角度を変えて。たっぷりと時間を使った後、彼女の姿が屋根の上にないことを確認し、ほっと胸をなでおろす。いくら自分たちが死人で、痛覚が存在しないとはいえ、この身体は下手をすれば生きている時よりも厄介だ。生前では治っていたかすり傷などの小さな傷も、死体のこの身では一生ものの傷となる。彼女の美しい顔や、女性らしい身体に傷でもついたならば、リュシーは気絶しかけるかもしれない。一人で百面相をしていた彼女は、今まで響いていた美しい歌声がやんでいたことに気づいて、少々残念そうに目を伏せる。稀に聞こえてくるニーナのメゾソプラノの歌声を、実はかなり気に行っていた。静かな寂しい夜に、読書をしながら彼女の美しい歌声に耳を傾ける。これほどに素敵な夜があるのかと、ここに来た当初は涙を流すほどに感動したものだ。つい物思いに耽っていた彼女は、ニーナがテラスに来たことに気づかなかった。傍から見れば黄昏ているようにすら見えるリュシーは、不意に背後から抱きしめられてびくりと身をすくませた。男性とは思えない細い腕。ごつごつしていないしなやかな指は、妙に艶めかしくリュシーの頬を撫でる。身を固くしたままの彼女に囁きかける声には聞きおぼえがあり、リュシーはふっと微笑を零した。



「……ご機嫌はいかが? ニーナさん。美しい歌声に耳を澄ませていたら、まさかあなた本人が来てくれるなんて。今日はとても素敵な日ね」




 彼女が誰かを愛する君と呼ぶときは機嫌が良い時ではないと言うことは何となく気づいていたけれど。仕返しのつもりでニーナの手にそっと触れて、生前客にそうしたように。彼女の綺麗な手に頬をすりよせ、甘えた態度をとって見せる。イメージは飼い主に精一杯甘える猫。




「部屋の中に引きこもってるのも気が滅入るから、外で本を読んでいたんだけど……気づいたら夜になってたの。暗くて文字も見えないのに、私ったら何を読んでいたのかしら」




 手にしていた本を見つめて、リュシーは不思議で仕方ないと言うように首をかしげた。





>>ニーナ様/周辺All



【絡みありがとうございます! 文章からあふれ出るニーナちゃんの色気にドキドキして危うく惚れかけそうでした(単純)】

1ヶ月前 No.16

ゆりめろ、 @lilymelody ★Smart=1OeXcK11X6



【 ディーネ・ロリポップカヌレ / キッチン 】


彼の言葉の一つ一つが、まるで雨の雫が池に落ちた時のように広がって、心の底に浸透していく。護る術だと語った彼の心中は、一体どんな情景なのだろうか。普段は歩幅を一ミリたりとも乱さないような、兎に角自分の中に緩やかな軸がある彼。しかし最初からそう決めつけていたのかもしれないとディーネは考えた。彼自身の中にも、此の屋敷に住むまで様々な苦悩が纏わり付いていたのではないか____。そう思うと、この人はとても強いのだなと関心した。
片膝を立てるのをやめ、代わりに床に届かない脚をブラブラと躍らせる。

「 素直は身を滅ぼす……なんだか少しだけ寂しいわねえ。幼い時はきっと誰しもが好きなだけ泣いていたはずなのに。それが年を重ねると支障になる。お砂糖みたい。 」

お砂糖だって、ずーっと摂り続けると毒ですものね、とも付け加えて。この世の中で生きるためには、苦味も焦げたものも必要。それがひどくディーネの心に刺ささったのを隠すかのように、にこりと微笑してみる。そしてルカが自らの事を先生だと言うので「 貴方は私がこれまで見てきた中で最高の先生ね。私が教わってきた先生なんて、大人の本当の意味を教えてくれなかったもの! 」と頬杖をついて返した。そして目の前に重なるお菓子の山から、もう一本ロリポップキャンディを掴み、彼に差し出して言う。

「 ルカ先生、素敵な授業を有難う。授業料の代わりといっては何だけど 」

ディーネが持つそれは、先ほど彼にあげた三本とはまた違う味。酸っぱいラズベリーチーズケーキ味のものだった。


>>ルカくん、ALL

1ヶ月前 No.17

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/キッチン】

「わあっ、良いのー?」

 ディーネの感想に淡く笑んでいた彼は、お礼と称して渡されたロリポップキャンディに勢いよく体を起こす。チーズケーキの中でも、ブルーベリーとは違った酸味を出すラズベリーチーズケーキ。食べたことは無いけれど、ずっと気になってはいた――悲しいかな、Knightに頼んだところで常の二倍の量のブルーベリーチーズケーキ味が届いただけだった、というオチもある――が食べられずに居た代物だ。

「すっごい、嬉しい。ありがとう、ディーネ」

 先程までの知的な発言をかましていた彼は何処へやら。両手で大事そうにロリポップキャンディを持ったルカは今にも頬擦りしてしまいそうな勢いだ。好きな事をして、お礼を言われて、好きなモノを渡されるだなんて。すっごい幸せなことだぁね!! と彼の心は音楽を振られた時の如くクライマックスになっている。というか思考こそ辛うじてさっきまでの話題のままだが、気持ちの部分は末っ子モード全開である。

「ふふふ、僕や君みたいに狂ったように糖分を取ってたりゃ、ダァメなんだろうけど。でも、糖分だって一切取らないのも毒だし、苦みも取り過ぎるとただの毒さぁ。大事なのは、バランスよくとることー。同じ味を食べ過ぎたら、味を感じられなくなっちゃうって話、知ってる? それと一緒だよー、何もかも」

 そう妙ちくりんな口調で締めくくると、光の速さで咥えていた棒を引っ張り出し、ゴミの山に放り投げてラズベリーチーズケーキ味のそれのフィルムを引っぺがす。勢いのままに口に含むと、ほぅ、と小さく吐いた。これもこれで――ブルーベリーのあれほどではないけれど――彼のお気に入りのひとつに入ったらしい。

>>ディーネさん、周辺ALL

1ヶ月前 No.18

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★J1SGpZKeln_yFt

【ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・ウスペンスキー/一階エントランス】

その間は何なのか、そのように突っ込んで聞けば煙たがられるだろう。
気にはなるものの、迷惑をかけてまで聞き出すほどのことではないだろう。

「心、か……それは余りにも抽象的で、詩的だね。良い表現だよ。詩人の才能でもあるんじゃないかい?」

暗くなりかけた雰囲気を多少茶化してみる。
余り深刻に考える必要なんてない。
心がないというが、そんなことはまずもってあり得ない。
心が無い物は、自らそんな発言をする筈もないではないか。

「死を経験して、なおも僕は死が理解できない。僕は僕の死を愛だと感じているんだよ。無責任な他人は、そんなはずが無いだの、ふざけたとことを言うなだのと喚きたてるが、ボクにはその根拠がわからないんだ。僕の死は愛の結実、ただ、愛を得た証だ。少なくとも僕の主観においてそれは自明であり、僕の主観において、あの死は幸福を告げる福音以外の何物でもないというのに、周囲の俗人たちは愛ではないという。愛とは何だろう? 考えるまでもないのさ。愛とは愛だ。それ以上でも以下でもない。絶対的な主観の中にのみ存在し、客観的な判断など何一つ必要としない。他者に認められる必要など何もない。ただ一つ、自分と相手のみが愛を信じているならば、それは永劫不変に愛であり続ける。君は読書で愛を知ろうとしている節が有るが、ボクから言わせればナンセンスだ。こういっては何だが、愛とは理解できるものではないよ。それを理解しようとするには、人間は愚かが過ぎる。特に、他者の愛というものは理解が叶わないものの代表格だ。理解するのではなく、受け入れることにしたのが僕だ」

書物は、あくまでも書物でしかない。
それは知識を与え見識を増やす手伝いをするものの、経験を与えない。
敬虔の伴わない知識は、決して役に立つ事などない。
彼の中の愛は、僕の中の愛とは違う。
彼に僕の愛が理解できるとは思わないし、理解できると思って欲しいわけでもない。
彼の愛は、彼を愛した乙女とも、ボクを愛した愛しい人とも、そして、僕自身とも異なる形をしている。

それが当たり前なのだ。

「君は、君を殺した相手のことをどう思う?」

だからこそ、この世界は面白い。
愛と云うただ一つの単語に括られた、様々な人間の様々な思考が複雑に絡まり、千切れ、解け、或いは結び合い。

そうしてこの星は廻っている。
この世界は動かされている。



「まぁ、そんなことはくだらない雑談だよ。ボクは図書室にでも行ってみようかと思っていたんだが、良ければ連れて行ってもらえないかい?」

もしも、僕がかつてと異なる名義で著作を世に発表したならば、世の人々はどう感じるのだろうか?
驚愕するのか、歓喜するのか、恐怖するのか、悲嘆するのか、憤慨するのか、或いは全くの無関心を貫くのか……。

しかし、表に出す必要もないだろう。
僕は、すでに死んだ人間なのだから。
死人は死人同士、此処で好き勝手に暮らすのがお似合いだろうさ。

まずは、先人たちに習うとしよう。
その上で、筆を走らせるのもまた面白いだろう。

目の前の友は、僕の本をどのような顔で読んでいるだろうか?
中々に興味のそそられる話ではあったが、今は目的地へ急ぐとしよう。

>>マーベル様、周辺ALL

【おぉう、一文一節は次々に思いつくものの、総体を描きあげる技量が本体には不足しているもので、また機会が有ればアカウントの日記にでもそれっぽいものを書いてみるつもりではいますけどね(^^;】

1ヶ月前 No.19

ゆりめろ、 @lilymelody ★2FOBUlth9k_yoD



【 ディーネ・ロリポップカヌレ / キッチン 】


先ほどの知的な顔とは打って変わって、体を勢いよく起こしてキャンディに喜ぶその姿は、まるで『 白雪姫 』の小人みたいだとディーネは思った。小人達は白雪姫の作った料理と丁寧な掃除に感激し、時には歌い踊ったというその愛らしい性格はよくルカによく似ている気がした。けれどそれだけではない。声を荒げる事もなく穏やかに、けれど正確に哲学と心理を駆使していたルカは、地面に石を落とし、道に迷わぬようにと頭を働かせる努力をした『 ヘンゼルとグレーテル 』のヘンゼルでもあると感じた。まさか童話の人物が此処にいたなんて!と心が弾んだディーネは、近くに置いてあるチョコチップクッキーの入った銀色の缶を、自身の左手の人差し指でトントンと一定のリズムを刻んだまま、静かに叩きながら口を開いた。

「 ルカは本当に若者なの?なんだかずっとずーっと____まるで、五百年くらい時の中を走り続けた男の人みたいね。それに、分厚い本に潜む童話から出てきたみたい。 」


大切なのはバランスをよくとること。パパもママも、私にお菓子と本を与えてくれた大切な存在だし私をとっても愛してくれた。でもそんな言葉は何一つ投げかけてくれやしなかったわね。かといって嫌いになるかといったら勿論違うけれど。そんな事をぼんやりと考えながら、「 気に入ってくれたみたいで嬉しいわ 」と、目の前でキャンディを口に含むのんびり屋な先生を眺める。


>>ルカくん、周辺ALL

1ヶ月前 No.20

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/キッチン】

 ルカは本当に若者なの? ――だなんて問いかけは、初めてだった。しかも五百年の時を生きた人間のようだなんて、当然の如く言われた事が無かった。ふむ、と腕を組んで考える。生憎と死後何年ほど経っているのかは覚えていないけれど、死んだのは確かに――なんせ、20歳の成人の儀を迎える一週間前だったから――19歳だった。

「少なくとも、ディーネよりは若くないかなぁ。でも、他の皆とは……どうだろう?」

 そういえば見るからに年下であるディーネの年齢は知っているけれど、他の面々の年は聞いた事も無かった、と思い至る。まさか興味が無かったわけでは無い。無いけれど、何というか、この場での年齢は死因に直結するわけで、色々な意味でそれを聞くのは憚れていただけのことだった。
 かちり、と飴が歯にあたる。少しだけ砕けてしまった破片が舌に落ちるのを感じ取りながら、ゆるりと目を細めた。

「そんなに永い時を生きた気はしてないけど、そうだね。童話の登場人物に僕が似てるってんなら、その作者と僕が似ているんじゃないかなぁ」

 多分ね、と笑う。その拍子に飴がまた歯にあたって砕けてしまった。それを今度は咀嚼して飲み込む。やはりこの飴は一番ではないけれど、それでも二番目くらいに入るほどに美味しい。


>>ディーネさん、周辺ALL

1ヶ月前 No.21

Nowhere @upto114 ★iPhone=93f6gLtrAF

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1ヶ月前 No.22

毬藻 @shuchishin☆jHqXF0noOB6 ★Jj2DEjpvWx_m9i

【マーベル・F・オクロック/一階 エントランス】

「詩人、ねェ……ハッ、人気作家様にそう言ってもらえるたァ光栄なこって」

 ただ思ったままを口に出してみただけだったのだが、意外にも詩的な表現だったらしい。
 先ほどの発言を思い返せば、確かにそうだったかも。急に恥ずかしくなったのか、一瞬にして真顔になった顔を右手で覆った。

 それから彼はいつものように愛について語り始めた。話す内容はもちろん、いつものこと。聞けばウラジーミルは、ある女性の熱狂的な愛を受け入れて死に至った。胸を一突き、さらに両足を奪われ、それすら愛と豪語する。生前であれば馬鹿なんじゃないかと笑い飛ばしていたところだが、今はそうすることができない。それは多分、自分も同じような死を迎えたからだろうか。受け入れたか受け入れなかったかの違いはあるとしても、愛されていたことに変わりはないのだから。

「……相変わらずそれに関しては口が回るな。別に知ろうと思わねェし知りたいとも思わねェよ。
 第一、面白くもないものを取り寄せ続ける意味なんてねェし」

 ふい、とそっぽを向きながら反論らしき言葉を口にする。つんけんした言い方だが、逆に言えば、面白いから取り寄せ続けているんだと言っているようなものだ。マーベルにとって愛だのなんだのというのは二の次で、一番大切なのは話の内容だったりする。面白いか面白くないか、ただそれだけ。
 実際、ウラジーミルの話は面白い。こうして愛について語っている時でさえもだ。最初はすぐに飽きるだろうと思っていたが、今ではもう何冊読んだか分からない。表に出して言ったことはないが、是非とも推理小説も書いてほしいという願望もある。彼の書いた推理小説なら、例え幾ら積まれても買いたいものだ―――。


『君は、君を殺した相手のことをどう思う?』

 急に問い掛けられ、ハッとする。また、どこかに意識を飛ばしていたらしい。考えすぎるといつもこうだ。やはり、自分に討論は合わない。
 軽く頭を振り、思い返す。さて、質問はなんだったっけ……ああ、自分を殺した相手のことについてか。

「どう、って……」

 そりゃあ恐ろしいに決まっているだろう。だって、自分を殺したのだから。お前のように心臓一突きじゃない。抉り出されたんだ。しかもそれを目の前で食われたんだぞ? どんなに苦しくて辛かったか……。

(悍ましかった……けど……)

「……分からん。何とも言えん」

 “恐ろしい”の一言では、片づけられなかった。だって――それでも愛していたから。
 だから分からない。なぜ、あのような発想に至ったのか。なぜ、あのような行動に出たのか。その原因は、もしかしたら自分にあったのではないか。

「俺は……」

 どうしたらよかったのだろう?
 そう問いかけるには、もう時が経ちすぎてしまっただろう。誰にも答えられないだろう疑問は、口から出ることはなかった。


 何か手伝うことでも? と問いかければ、図書室へと答えられた。
 図書室は四階だ。今の彼の足では到底辿り着けない。

「おう、奇遇だな。実は俺も行こうかと思っていたんだ。行こうぜ」

 元々図書室には行くつもりだったので、ついでに何か物色するかと考える。まずは、ウラジーミルを図書室へ案内せねば。
 マーベルはこの屋敷の中で1、2を争う力強さの持ち主だが、流石に車椅子ごと彼を持ち上げることはできない。先に彼を連れて行こうか。

>>ウラジーミル様、周囲ALL

【ここで図書室へ向かう描写入れましょうか? となると、先にウラジーミルさんを抱えて、そのあと車椅子を持って行こうかと考えているのですが……】

1ヶ月前 No.23

雨上がり @koshou0602 ★iPad=PJvYzvE0AC

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1ヶ月前 No.24

ゆりめろ、 @lilymelody ★2FOBUlth9k_yoD



【 ディーネ・ロリポップカヌレ / キッチン 】


ディーネよりは若くないかなあ、とキャンディを咀嚼する彼をまじまじと見る。ええとつまり、私は十三歳の誕生日に死んだから____。十五歳よりは上なのかしら。そう考えた後、「 この屋敷の男の人達の中だと、ルカが一番若く見えるわねえ 」と歌うように言った。それぞれ事情があるから皆年齢を言わないだけで、ならばこちらも余計な詮索はしないと決めているけれど。生白い肌と艶やかな銀髪の、いかにも若そうな彼を見るとついそう言いたくなってしまう。クッキーの缶を指先で叩くのを止め、ちょうどその横にあった小ぶりな薄茶色の包みを開ける。ああ、これは確かマシュマロね。数えられるくらいしか食べたことが無いけれど。そろりとソレに手を伸ばし、そのまま口に放り込む。バニラの風味が鼻にしつこくない程度に纏わりつき、舌の上で優しく踊るソレにひどくディーネは癒された。

「 作者に似ているのかもしれない_____。きっとそんな事を言う人は、この屋敷の中では貴方だけかもしれないわね。ルカ・エリア=パガニーニ。 」

 童話から出てきたみたいと言った自分の言葉に対し、ルカは『 その作者に似ているのかもね 』と答えた。斬新で、なんて素敵な思考なのかしら。ディーネの中の好奇心が僅かに疼いた。


>>ルカくん、ALL

1ヶ月前 No.25

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★J1SGpZKeln_yFt

【ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・ウスペンスキー/一階エントランス】

「ハハハ、褒めても何も出せないけどね」

世の人間は須らく、愛という物を誤解している。
彼らは考える事も無く、愛という物を無条件に肯定する。
そして、同じ愛を無条件に否定する。

彼らの愛に対する価値観は宗教なのだ。
非寛容であり、教義に縛られており、異端を審問せねば保つことすらできない。

愛と云う感情に付加価値を付けた時、それは愛ではなくなり、ただの崇拝対象へと成り果てた。

「他ならぬキミが、楽しんでくれているなら身に余る光栄だよ」

一度死んだ僕が、それでも消えずに、此処に存在している。
ここで思考している。

Cogito, ergo sum(我思う故に我在り)
ならば、私は何故ここに居るのだろうか?
考え思い悩んでも、結果は変わらない。
だからと言って、思考を止めてしまえば、それは人では無くてただの葦だ。

「フフ、他人の言葉に惑わされてはいけないよ。誰が何といっても、君が思い続ける限りその愛は永遠だ。僕にとって愛とは惜しみなく与えるか、限りなく奪うかの二択ともいえる。その点において僕たちは究極的な手段でもって愛されて、ここに居る。熱烈で嬉しい事だよ」

と、そんなことを言っていると、突然彼に後ろから抱き付いた少女がいる。
彼女も、また僕の読者の一人だ。

「結弦ちゃん、こんばんわ。良い子は寝ている時間だよ? 遅くまで起きていると、ブギーマンにさらわれちゃうぞ? まぁ、斯く言う僕も君くらいの年頃には夜更かしして物語を書いていたわけだけど……」

何と言う説得力のない言葉だ、と苦笑が思わず漏れる。
友愛、親愛、恋愛、情愛、狂愛、偏愛、博愛、全ての愛は愛としてこの世界に存在している。
現に、僕がマーベルを愛しているかと言われれば、答えは間違いなく肯定だ。

友人として、仲間として、愛している。

そして、結弦の事を愛しているかという質問に対しても、返答は間違いなく肯定だ。

友人として、読者として、愛している。

愛するという単語の意味を、人間は縛り付けている。
感情を好意と悪意に大別し、さらにそれらを細分化して、全てを別物と捉えているのがいい例だ。

そもそも、其処に差異はない。
須らく感情は愛から来る。

「なに、ただ彼と愛というものについて話し合っていただけだよ……。ふむ、同性愛というのもなかなかに興味深い題材だとは思うけれど、描こうとしても筆が走ってくれなくてね。読みたければ特別に掌編程度は書くけれど、恐らくは詰まらないものに成るだろうね」


と、そんなことはどうでも良い。
今はそれよりも図書室に向かおう。
この不便さえなければ、この愛の証をさらに愛おしめるのだけれど。
こればかりはどうしようもない事か。

其処まで考えた後、先ほどの結弦の発言を思い出しほんのわずかな悪戯心が顔をのぞかせる。

「それじゃあ友よ、抱っこしてもらえるかな?」

自分の容姿は見ようによっては少女とも取れることを知っているが故に。
少しばかり、茶目っ気を出してしまうのも仕方のない事だろう。
上目遣いに、両手を目の前の友めがけて差し出してみる。

>>マーベル様、結弦様、周辺ALL様

【なんというか、うん、悪乗りが過ぎた気がしますが、おそらく気のせいでしょう(^^;】

1ヶ月前 No.26

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/キッチン】

「――、そう?」

 ディーネの発言に、ルカの動きが一瞬だけ止まった。やはり、僕のこの思考はかなり異質なのだろうか。そう一瞬だけ考えがトリップする。
 ぼんやりと窓の外へと視線を向ける。まだ夜明けまでは程遠そうだ。もうひと眠りするには、あまりにも近いのだろうけれど。ふー、と小さく息を吐くと視線を動かさず、ディーネは、と口を開く。

「ディーネは、そういうの、考えたりしないの? 友達が欲しいって、いつも言っているけれど。そういう、……心理学的な、距離感とか、自分の思考とか」

 なんだか思考回路がぼんやりとして、不明瞭だ。頭が良い人間と会話をすると、度々そういう事が起こる。そんな人物との会話に乗じて自分の本質を知ろうとして、結局のところ不発に終わるのが大体の原因だ。……まあ、単純に頭を巡らせすぎただけかも知れないけれど。

>>ディーネさん、周辺ALL

1ヶ月前 No.27

雨上がり @koshou0602 ★iPad=PJvYzvE0AC

【ハネカワ ユヅル/一階エントランス】

「こんばんは、ウラジミールさん。ブギーマン……?あぁ、日本でいうナマハゲみたいなものですか。確か悪い子を誘拐するんでしたっけ?ここから連れ出してくれるロミオに早変わりです……それなら皆で一緒に誘拐してもらいましょう!」

我ながら頭の悪い発想だとは思うが、こんな死人の私を連れ出してくれるならブギーマンもナマハゲもドンと来いです。ちなみにシェイクスピアは大好きです。

お二人のお話の内容は、愛だそうだ。全く、難しい内容を語り合うものです。
愛。
私にも恋の一つや二つはしたことがありますが、恋愛相談をした友達に「おかしい」と言われてからというもの、誰にも相談できなくなってしまいました。
愛してはいけない相手がいるのでしょうか。

「同性愛、ですか。……それは、ハッピーエンドになりますか?それなら是非、読みたいものです。
あ、男性同士なら尚良しですよ。」

どうせなら、私にはできなかったハッピーエンドを。
あと言っておくが別に腐っているわけではありません。もう一度言いましょう。腐女子ではありません!!
……いや、「きらきらひかる」を読んで腐らない人がいたら教えてほしいものです。

ウラジミールさんがマーベルさんに抱っこしてもらおうとしている。
いえ、別に腐女子ではないので何も思いませんよ?えぇ、何も。断じて何もありません。

「……そういえば、好きの反対は無関心ってよく言いますけど、どう思いますか?」

理屈は分かります。憎しみの感情は愛と似ています。何処までも似ていて、ですがきっと何処までも反対なのでしょう。
表と裏。表裏一体。
だから、愛しすぎて殺してしまうこともきっと、あるのでしょう。
だって、憎しみと愛は同じようなものだから。

【別に腐女子ではありません多分きっと】

1ヶ月前 No.28

毬藻 @shuchishin☆jHqXF0noOB6 ★Android=ohN7zExUq4

【マーベル・F・オクロック/一階 エントランス】

「……ぅをっ?!」

 二人で話し込んでいると、突然背後から何かがぶつかってきた。反射的に左胸の時計を押さえつつ、なんとか倒れないように踏ん張る。
 ぶつかってきたそれは、跳ねるような声で話しかけてきた。

「……っぶねェな……時計嵌め込むの結構大変なんだぞ。
 つか、この時間に起きているなんて珍しいな、ユヅル」

 そう言いながら、マーベルはぶつかってきた相手、ユヅルもとい羽川結弦の頭をくしゃっと撫でてやった。
 彼女とはこの屋敷の中でも特に仲がいい。こんな厳ついマーベルによくなついてくるのだ。マーベルも彼女に対しては何故か庇護欲が沸き、妹のように可愛がっている。特に、何事も直球に話す、その裏表のない無邪気なところが気に入っていた。たまに突拍子もないところに話が飛んだりするが……まぁそれはご愛嬌というところか。

 そして今回も彼女の素直さは発揮され……我々を見るなり、秘密の話し合いだの密会だの、さらにはそういう関係かなどなど言って盛り上がっている。
 まぁそこまではいつもどおりなのでスルーしていたが、ウラジーミルまでそれに乗り出したものだからちょっと面食らってしまった。上目遣いで両手を伸ばす相手に、思わず「お前なァ……」と呆れた顔をしてしまう。

 そっちがそうならこっちも悪乗りするまでだ。ニヤリと笑みを浮かべると、「我が儘な奴だな」とわざとらしく呆れたように言った後、抱えあげて横抱きにした。所謂、お姫様抱っこだ。

「おし、しっかり捕まってろよ……ユヅル、悪いが車椅子頼めるか?」

 落とさないように抱え直すと、彼女に車椅子を託す。しかし、車椅子もそこそこ重い筈だ。結弦一人でも大丈夫だろうか。顔だけ彼女に向け、心配そうに見つめる。

>>ウラジーミル様、結弦様、周囲ALL

【遅くなってしまい申し訳ない……そしていきなりお姫様抱っことか申し訳ない……
 PCが充電切れなのに充電器が見つからないという非常事態が我が家で発生しましたゆえ……なかなか書き込めず……文章おかしかったらすいません。スマホ書き込みづらい(´:ω;`)】

1ヶ月前 No.29

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★J1SGpZKeln_yFt

【ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・ウスペンスキー/1階エントランス】

「『あぁロメオ、どうしてあなたはロメオなの? バラはバラと呼ばれなくても、その香りも美しさも陰りはしないのに』だったかな?」

あぁ、だがそれは違うのだ。
彼は、彼のままで彼女を愛さねばならなかった。
彼以外として彼女を愛そうとしたからこそ、悲劇が起きてしまうのだ。
愛は、当人同士のものでなくてはならない。
そこを違えれば、取り返しのつかない間違いを招く。

「死人は、死人であるべきだろう。此処の外に出たところで、私たちはジュリエットの二の舞を演じるだけかもしれないのだから。真面な暮らしなど望めはしないさ。僕は僕の死について一切の悲観はないんだ。何故かって、かねてから憧れていた一言を、憧れていたシチュエーションの下で呟けるなんて、冥利に尽きるってものだよ。『止まれ、汝はかくも美しい』ってね」

シェイクスピアも良いが、ゲーテも素晴らしい。
デウスエクスマキナを利用して、それでなお名作と語り継がれるものを残すというのは素晴らしいと思うのだ。
何よりも、彼らの作品は愛に満ちている。

次の彼女の発言には少しばかり面食らったのだが。

「おや、今更何を。僕は今の今まで、ハッピーエンドしか描いたことがないんだよ? 僕の主観の中で、僕の描いた作品はすべてがハッピーエンドなのさ。まぁ、それを読んだ読者様がどう思うかは、残念ながら予想が出来ないけれどね」

その通り、全てがハッピーエンドなのだ。
僕の人生も、そのすべては幸福であったと言い切れる。
愛に生き、愛に死ぬ。
人として、これ以上は望めない満ち足りた人生だった。
ここでの蛇足も悪くはないが、蛇足以上の何物でもないだろう。

だからこそ、こんな蛇足の中だからこそ、彼女の問いにもこたえるべきだと思ってしまうのだ。
嘗ての僕であれば、一つ鼻で笑って流したかもしれないが。
今となっては時間は余ってしまっている。

「『好きの対義語は無関心である』はある意味において真だが、その逆は成り立たないんだ。僕が思うに『無関心とは愛の対義語』なのさ。だからこそそれは悲しい事だ。愛の反対は無関心、無関心の反対こそが愛なのさ」

あぁ、いつもの感覚だ。
執筆しているときに、いつも現れるのだ。
筆が滑るともいえる、やけに饒舌になる瞬間。
制御を離れて、自己投影した登場人物が勝手に動き始める瞬間。
その高揚感にもよく似た、そんな感覚。
僕の舌はその高揚感を得て滑らかに言葉を紡ぎ続けていく。

「好きも嫌いも、全ては愛さ。憎しみすらも愛さ。他人に何らかの感情を持って接することはすべてが愛なのさ。だからこそ、僕は胸の傷も、足の傷も、どちらも愛しいと思うんだ。これは愛の証、彼女からボクへの純粋無垢な愛情の証、そしてこの身が朽ちて消えるまで残り続ける永遠の愛の証なのだからね。そうだとも、『止まれ! 汝はかくも美しい!』……な〜んてね。続きは僕の本を買ってくださいな」

っと、この辺りで止めておこう。
さすがに、これ以上を語ることは憚られる。
ここから先は、僕にとっての福音でも、他者にとっては毒物らしいから。
まぁ、永久不変な死者が、他人の影響で変わると考えるのも、少々滑稽ではあるけれど。


さて、悪ふざけのつもりが本当に抱えあげられるとは思っていなかった。
少しばかり恥ずかしい気もするが、ふむ、横抱きにされる感覚というのはこういうものか。
そこで、一つの疑問が頭をよぎる。
疑問に思ったなら問うべきだと、頭の中で自分がささやく。

「悪ふざけのつもりだったのだけどね……。というよりも、膝のない相手を横抱きは難しくないのかい? 正直に教えてくれ、今後の創作に役立つかもしれない」

僕のこれは、はたして職業病と呼べるのだろうか?
少なくともずれているとは自覚しているが……。

「肉体労働は『騎士殿(マーベル)』にお任せするよ。『お姫様(ボク)』は今から暫くペンより重たいものは持たない主義になるつもりでね。まぁそれになんだ。男としては小柄だし他の連中より肉とか骨が足りてない分、羽根の様とまでは言わずとも多少は軽いはずだよ。それに最悪はKnightを呼んで車椅子を運んでもらうというのもありだしね」

どうも、最近は興が乗ってしまう傾向にある。
まぁ、どうせ蛇足なのだから、わき道にそれねば面白くもないだろうさ。

>>マーベル様、結弦様、周辺ALL

【そろそろ、図書室に向かいますか?(^^; いえいえ、結構素直に乗って下さるのは有り難い事です(^^♪】

1ヶ月前 No.30

妃翠 @azalea☆dszkmgEaqwdD ★BxEfezLEi0_EP8

【 リュシー・ミィシェーレ / テラス 】




 自分の行動に何かを感じ取ってしまったのか。はたまた、媚を売るような行動が自分の意思をしっかりと持っている彼女には気にくわなかったのか。ニーナの眉間に寄せられた皺に気づき、リュシーはそれにそっと触れた。



「あらあら。そんなところに皺を寄せたら、せっかくの綺麗な顔が台無しよ。せっかくの綺麗な夜なんだもの。どうせなら、難しいコトは忘れて、一緒に楽しいことを考えましょうよ。……そうねぇ。例えば、お酒のこととか」



 ね? と小首をかしげて、リュシーは彼女の瞳を覗き込む。ニーナが何を考えていたのか、当然のことながらリュシーには分からない。けれど、眉根を寄せるぐらいなのだから、楽しいことでないことは明らかだ。「どうしたの?」と問うことはいつでもできるけれど、無意識のうちに他人に干渉することを苦手とする彼女は、自分でも気付かないうちにその言葉を飲み込んでいた。代わりについて出た、優しさとも無関心ともとれる空虚な言葉に彼女は自分自身に失望した。怒りと情けなさを押し殺し、今夜はご機嫌だと言う彼女に、満面の笑みを浮かべて見せた。



「邪魔だなんてとんでもない。むしろあなたの歌声を聞いていると、普段よりも本に集中できるの。私ね、あなたの歌声がとても好きよ。叶うなら、ずっと聞いていたいぐらい」



 リュシーがまだ令嬢だったころ。立派なレディになるには音楽の知識をつけることも大切だと、聖歌からオペラまで一時期うんざりするほど多くの歌を聞いたことがあった。当時は美しいとは思えど、彼女に才能が無かったのか。それとも興味が無かったせいなのか。それ以上の感情を抱くことはなかったのだが、ニーナの歌声はそんな彼女でも涙を流すほどに素晴らしい。ニーナが体重を感じさせない軽やかにステップを踏むのを見つめ、彼女の行動に釣られて上を見上げる。そこに認めた者の姿に、リュシーは意外そうに目を瞬いた。三階のベランダ。そこには、この時間帯なら眠っているはずのケンイチの姿があったからだ。普通であることに固執し、生きていた時と何ら変わりない生活を送る。そんな彼が、普通でない自分たちに囲まれて生活をすることは苦痛ではないだろうかと、リュシーは密かに心配をしていた。もちろん、これは口に出したことは一度もない。リュシーは少し考えるそぶりを見せると、ケンイチにひらひらと手を振った。




「ごきげんよう。ケンイチさん。ニーナさんが小夜曲を歌うなら……そうね。私はホットミルクを作ろうかしら。ちなみに私のお勧めはたっぷりの蜂蜜入りよ」



 ニーナの腕には気づかないフリをして、彼女は何故か延々と蜂蜜入りホットミルクのよさを語り続けた。



>>ニーナ様、ケンイチ様、周辺All





【まずはレス被り申し訳ございませんでした! 頭抱えるケンイチくん可愛い……】

1ヶ月前 No.31

雨上がり @koshou0602 ★iPad=PJvYzvE0AC

【ハネカワ ユヅル/一階エントランス】

「マーベルさん、こんばんは。あ、時計をはめてるんでしたっけ。失礼。……はい、今日は少し本を読んで夜更かししてしまったので。」

そう言うと頭を撫でてくれるマーベルさん。子供扱いをしないでください、と言いたくてもどうも嬉しくて止めて欲しくない。矛盾している感情、これが思春期というやつなのでしょうか。

ロミオの話を出すとウラジミールさんがジュリエットの名言を吐く。

「そうですそうです!まぁロミオとジュリエットってどちらかというとただのすれ違い?ですので四大悲劇には入らないんでしたっけ」

流石はウラジミールさん。ノリが良くて大好きです!
死人は死人であるべき、という彼の発言は少し悲しいけれど。

「『人の命は歩き回る影法師、哀れな役者に過ぎない。出番のときだけ舞台の上で見栄を切ったりわめいたり。それが終われば消えてなくなる。』ですもんね。私達はとっくに幕が閉じられている、というわけですか……アンコールも千秋楽もないままとは、ほとほと閉口してしまいますねぇ。」

私の愛の反対について質問をすると、ウラジミールさんが予想もしてなかったほど饒舌に語り出してくれました。
あぁ!全くどうしてこんなにすらすらと言葉が出てくるんでしょう?私にはまるで音楽のような芸術作品のように感じる。本当に羨ましい限り……いえ、私などが羨ましがるのもおこがましいほど完成された作品。

「他人に何らかの感情を持って接することは、愛……うぅ、ウラジミールさんのような思慮の深い方が私のような浅はかな人間と会話するのは大変ではないですか?……もっと、勉強します。いえ、ウラジミールさんのお話が勉強になります!これからもよしなに。」

さて、そろそろ図書館に行こうとしましょう。
誰も乗っていない車椅子を畳み、持ち上げる。
……意外と重いですね、これ……。持てないことはありませんがこれを持って階段を上がると考えると億劫になります。エレベーターが欲しいとこりです。致し方ない、ここは割り切り筋力トレーニングと考えましょう。死んでから筋肉って発達するんでしょうか……。

「では私は恋のキューピッドにでもなりましょうか!この可愛さと純粋さは天使になるに等しいでしょう!!……冗談です。実際はゾンビですよ、はい。
車椅子は私でお持ちしますので、図書館に出発しましょう!」

【遅くなってすいません……。図書館に行きます!】

1ヶ月前 No.32

夕邑三日月 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_qxX

【ケンイチ・ヤナギハラ/三階ベランダ】

 風邪発言を取り消すか否かで健一が悩んでいると、階下から返答が来た。まぁ、健一が声を掛けたのだからそれが当然な訳で、さて何と言おうかと再びベランダから顔を覗かせる。
「はは、生憎と今日は寝つきが悪くてね。偶に意味も無く星空を眺めてみるのも、いっぱしの元大学生として悪い趣味じゃないだろう? そんなロマンチスト擬きだからこそ、寒空の下のレディ二人に声を掛けずにはいられなかったのさ」
 何となく背格好でそうではないかと思っていたのだが、案の定テラスに居たのは芝居がかった台詞回しが特徴的なニーナ・オズモンドと、それこそ深窓の令嬢と言った佇まいのリュシー・ミィシェーレの二人であった。揃いも揃って健一が眠っていないことを不審そうに――或いは心配か――指摘してくるので、彼の方も苦笑いめいた表情を浮かべる。実を言えば、レディーキラーと称された瞬間に「どちらかと言えば君たちのようなレディに殺されたいね」と物騒なことを呟きかけたのだが、何とかそれを押し留める程度の理性は、死して尚残っていたらしい。因みに、後半の台詞はニーナに合わせたため、半ばやけくそである。

 適当なことを嘯いてから、健一はテラスに頬杖をついて改めてテラスの二人を見下ろす。ニーナにしろリュシーにしろ此方に手を伸ばしたり振ったりしているのが視界に入ったので、健一も軽く右手を振った。ニーナが伸ばした手をすぐに引っ込めたことは一応理解したが、元来目の悪い健一には詳細までは見えていないので、寒かったのか何かだろうとと勝手に解釈しておくことにする。
「セレナーデにホットミルクか。それは確かによく眠れそうだね、今度試してみることにするよ。素晴らしいアドバイスをくれたお二人に僕が返せることなんて殆ど無いけれど……どうする、眠れないついでに温かい紅茶でも淹れに行こうか? まぁ、僕らに体を温める意味なんてないだろうけれどね」
 これ以上テラスとベランダでお互いに声を張っているのも疲れそうなので、健一は自分が下りるか寝るかしようと試みた。

>ニーナ様、リュシー様、周辺ALL様


【此方こそレディ二人の女子会によく分からん野郎を突っ込んで申し訳ないです……絡み有難うございます。是非弄ってやって下さい】

1ヶ月前 No.33

毬藻 @shuchishin☆jHqXF0noOB6 ★JM41Wsh7BS_M0e

【マーベル・F・オクロック/一階 エントランス→四階 図書室】

「ああ。ぴったり嵌るが、その分入れるのが大変でな……なんなら、外したところ見るか? 子供にはちっとアレだがな」

 ニヤリと人の悪い笑みを浮かべると、左胸をコンコンと軽く叩く。これを外すと、その空洞からマーベル自身の臓腑が見えるのだ。自分は何度も見ているのでもう慣れてしまったが、初めてお目にかかる人にとってはなかなかグロテスクだろう。

 さて、どうも彼女は本を読んで夜更かししていたらしい。そういえば、生前聞いたところによると、日本人とは時間にかなり厳しいのではなかっただろうか。目の前にいる結弦やもう一人の日本人、健一が未だに規則正しい生活をしているのを見て、昔聞いたことは本当だったんだなと感心していたが……。「へェ、日本人でも夜更かしってするんだな……」とどこか意外そうに呟いた。

「ま、ほどほどにしておけよ。一気に読んじまったら先の楽しみが無くなるからな」

 そう言って、彼女の頭を軽くぽんと撫でた。永遠とまではいかないかもしれないが、今の自分達には有り余るほどの時間があるのだ。早々に楽しみを潰していってしまうのは勿体無い。あっという間にこの世のありとあらゆる本を全て読んでしまって、あとは死にたくとも死ねない長く暇な時間残ってしまうかもしれないから。


 こちらも悪戯心を覗かせて彼をお姫様抱っこしたら、膝のない相手に横抱きは難しくないのかと興味津々に聞いてきた。てっきり、らしくないとか言って恥ずかしがるものだと思ったのだが……しかも今後の創作の参考にするらしい。

「いや、別に難しくもない……まァそれは俺だからだろうな。力のない奴がやったら難しいかもしれん。
 それに、横抱きとはいえ方法はいくらでもあるからな」

 少し考えてからそう答えると、膝を支えていた右手を彼の腰へと回し、腕で輪を作ってそこに乗せる。まるで赤子を抱きかかえるような体勢だが、これならばウラジーミルを下に落とすことはないだろう。
 しかし、人ひとり運ぶというものはかなりの力が必要となる。死してなおマーベルがこうして人を抱き上げることができるのも、生前の鍛錬の成果により、筋肉がより発達していたからだ。それに加え、腐敗がそんなに進んでいなかったというのもある。防腐処理されていたのか、はたまた死んで間もなく蘇ったのが……。

 結弦に車椅子を任せると、やはり少女の力では重かったらしい。表情から見て取るに、少々苦戦しているようだ。自分ならば片手で持ち上げられるが、男性と女性では力の差は歴然だ。無理をして腕がもげたりしないだろうか、心配になってしまう。

「本当に大丈夫か? あまり無茶するなよ。いざとなったら両方持てるからな」

 彼女にそう声をかけると、ウラジーミルに「念の為俺の首に手ェ回しとけ」と言ってから、図書室へと向かうべく階段へ一歩踏み出した。



 図書室へ入れば、書物独特の香りが一行を包み込む。
 毎度毎度思うが、やはりこの香りは落ち着くし好きだ。眠気を感じないはずなのに、ここへ来ると何故かひと眠りしたくなってしまう。落ち着いて、リラックスできるからだろうか。まぁ寝てしまってはここに来た意味はないのでいつも読書に没頭するのだが。

「うし、お疲れさん。疲れてないか、ウラジーミル」

 多少行儀が悪いが、両手が塞がっているので仕方ない。足で椅子を引っ張り出すと、そこへ彼をそっと降ろした。別に疲れを感じる身体ではないが、運び方によっては抱きかかえられている側が疲れてしまうときもある。今回はいつもと違った方法で彼を手伝ったので、疲れていないか問うてみた。

「ユヅル、大丈夫か? 俺はもう大丈夫だから、あとは俺がやろうか」

 それから結弦の方へと向かい、苦戦していたであろう彼女に声をかける。
 何せ一階から四階へだ。少女の力ではかなり大変だったであろう。もう手は空いたので、代わりに持とうかと尋ねた。

>>ウラジーミル様、結弦様、周囲ALL

【勝手に図書室まですっ飛ばしてしまいました。もし強引でしたら申し訳ない……;】

1ヶ月前 No.34

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★J1SGpZKeln_yFt

【ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・ウスペンスキー/四階 図書室】

「心配いらないさ。ボクは考え続ける限り書き続ける。生きていても死んでいても、それだけは変わらない」

愉しみが尽きるなんてことはあり得ないのさ。
人間は永遠に生きている限り、何かを考え、何かを知り、何かを作り続ける。

「マクベスの一節だね。虚無的で寂しいものだが、ある面から見た人生を端的に表現してある。リア王も似たようなことを言っている『人が泣きながら生まれてくるのは、この愚か者だらけの舞台に引き出されるのが耐えがたい苦痛だからだ』とね」

マクベスの一節を引き合いに出した相手に、リア王の似たようなことを返す。

「ならば、ボクたちは誰よりも哀れで、滑稽な道化だ。退場の途中で転び、そのまま背景の一部としてこの世界という舞台に取り残されているのだから」

既に役者(生者)ではなく、演じることなど何もないにもかかわらず、退場すら許されない。
何とも救えない喜劇だ。

「心配する必要はないさ。僕たちは考え続ける限りにおいて人間であり続ける。たとえ僕たちの全てが試験官に浮かぶ脳髄だったとしても、思考し続け、自我を保ち続ける限り、僕たちは人間だ」


さて、わずかに感じられる気恥ずかしさを紛らわせようとそんな雑談を交わしているうちに、図書室についていた。
正直に言えば少々恥ずかしいのだが、それを面に出すのは負けな気がしてならない。
何と戦っているのかはわからないが。

「大丈夫だよ。少なくとも結弦ちゃんに比べればね」

苦笑をこぼしながら疲れていないかと問いかける友にそういう。
さて、ここに来たのは他でもなく、先人に学ぶため、そして新たに書き記すためでもある。

「さて、じゃあ始めるとしようかな」

万年筆と紙束を懐から引っ張り出す。
これらが無くては、僕は僕足りえない。
ゲーテはこう言った「出来ること、成し遂げたいことを今すぐ始めなさい。その向こう見ずこそが才能で有り、力で有り、魔法なのだ」と。
僕は、その言葉に憧れて作家として歩き始めた。
彼の作品ではなく、彼の人生観に憧れて歩き続けた。
考えるだけではだめだ、行動しなくてはあらゆる考えは意味がない。

まずは始まりの一文を書き始めなくては、どのような文章も形にはならないのだから。
考えを筆に乗せて、私は書き始める。

『汝に余の全てを与えよう。いついかなる時も余は汝に幸あれと願い、その願いを叶えるために動こう。たとえその先が余の死であったとしても、汝の望むがままに全てを叶えよう。汝の為に捧げる、余という名の贄。この献身をこそ愛と呼ぶならば、嗚呼、愛とはいかに悍ましく、また心地よいのだろう』
『余に汝の全てを以て報いておくれ。汝の薄桃色の唇も、白魚の如き指も、愛らしく艶やかな紺碧の瞳も、流麗で宝物の如き黄金の髪も。その汝の全てを余は欲しよう。余にしか見せぬ汝を、余の為に生み出しておくれ。余の望みを叶えておくれ。この胸に燻る情欲すらも愛であるというならば、嗚呼、愛とはいかに汚らわしく、また甘美なのだろう』

>>結弦様、マーベル様、周辺ALL様


【いえいえ、図書室への場面転換ありがとうございました。さて、見切り発車で書き始めてしまった(^^; 一応掌編として自分なりに書くつもりのお話を多少変えてぶつ切りにして時々こうやって描写できればなぁ、と。ノリノリで演じていきたいと思います(笑)】

1ヶ月前 No.35

ししくれ @kmnkha☆/pH2qpQf7L2 ★ieluDUuGrE_ELg

 本日二度目の鐘が鳴った。
 屋敷の外に位置するテラスには、かすかではあるもののその音が届いた。ベランダにいる者の耳にもそれは聞こえただろう。
 だが、どうやら普段よりも数段小さい音であったために、屋敷の中までは届かなかったようだ。
 午前零時を知らせる鐘はつい先程鳴ったばかりである。一体この鐘は何を意味するのか。
 鐘塔へ赴けば、その疑問を少しは解決することができるかもしれない。

 (>>リュシー、ニーナ、ケンイチ)


 Knightによって整頓された図書室。入ってすぐの本棚に置かれていた魔法について書かれた厚い本。
 専門的な用語や複雑な公式の連ねられたページをパラパラとめくっていく。
 最後の章へといくと、そこには魔導師が決して侵してはならないルールが記されていた。
 特に、『死者の蘇生』への警告は念入りだ。
 その魔法に手を出すことの重大さに危険さ、それによって問われる罪や罰などが、数十ページに及んで長々と書かれている。
 それを見ただけで死者の蘇生という術がどれだけ恐ろしいものなのか察することはできただろう。
 さて、その術を身体に施された者はそれを見てどう思うのだろうか。

 (>>ユヅル、ウラジーミル、マーベル)


 ロビーの掃除をしていたKnightの動きが、一時止まった。この屋敷に来て今まで、一度たりとも休むことなく働いていたKnightの停止。
 その光景をキッチンにいる二人は確かに目にした。
 それは外で鐘の鳴った時間でもあったが、屋敷の中にいる人がそれを知る手立てはない。
 ただ、働き者のKnightが活動を停止するという不可解な状況があるだけだ。
 ふいに、猫の鳴き声がした。いつのまにか二人の足元にはエルがいた。ごろごろと喉を鳴らしてすり寄ってくる。
 エルに視線を奪われていた間に、Knightはもう何事もなかったかのように動き始めていた。
 しかし見たものが消えるわけではない。
 何かしら、思うところがあるだろう。

 (>>ルカ、ディーネ)

1ヶ月前 No.36

Nowhere @upto114 ★iPhone=evP62i3KRu



【 ニーナ・オズモンド/テラス 】


リュシーはホットミルクの良さを語り続けている。左手を引き、何気なくトゥニカの上から手でその部分を覆い…

さっ、と血の気が引いた。
血の通わない僕らがそんな表現を使うと可笑しいだろうが、義手と繋がる部分が見えた瞬間驚くほど自分でも動揺したのがわかった。もちろん幻覚だとはわかっている。わかっているのに…今継ぎ目から大量に腐敗した花びらが零れ落ちたような…何かを、見た気がしたのだ。もちろん、この義手は精巧に造られているからあからさまに作り物感はない。なのに…今の映像は…。

疲れているのだろうか。それとも今過去の片鱗に触れたことが自分を揺さぶったのか。

(そんな、僕らしくもない。いつだって大胆不敵で唯我独尊、なににも縛られないのが僕じゃないか。)

「そうだね…今夜はよく歩いたからね、酒でも飲みたいんだけどな、甘っっっったるくてそのまま眠りに落ちそうなリキュールとか。ただ生憎Knight達にお使いで買ってきてもらった分は僕が全部飲んじゃったんだよ。ケンイチに紅茶でも入れて貰おうかなぁ…」

自らの思考に自分がはまり込んでしまう前に、唇を動かした。さっきのリュシーの質問に答えるには遅いが、何か他のことを考えて己を保っていたかったのだ。今は1人じゃない、目の前に誰かがいる。そのことがニーナの意識をここに繋ぎ止めた。話すうちに…蝋のように真っ白だった頬に徐々に生気が…生気と呼んでよいのかはひとまず置いておき…生気が戻ってくる。リュシーの横顔を見つめて、ケンイチに甘えた口調で紅茶を頼む姿は、少し疲れてはいるもののほぼいつも通りのニーナだった。

ニーナは誰よりも…誰よりもこの屋敷から出たかった。皆の意思を確認したことはないが…たぶん、明確に、そう。少なくとも、柵の外に手を伸ばしたら気を失うということは分かっていても何度か実行するくらいには。ニーナの意思、それは「ここから出て、死にたい」そして同じくらい強く、「還れるのなら、生き還って彼に会いたい」というものだ。少なくとも、こんな場所に永遠に留まり続けるなんて、彼女にとっては耐え難い苦痛だった。どこでもない(No/where)この場所に、今存在している(Now/here)ということ。眠れない、お腹も空かない、ここからは出られない、なのに、死ぬこともできない…。花を育てる以外の楽しみを見出すことはできなかった。

初めてかもしれない、「誰かがいてよかった」と思うことは。
2人がいたからこそ、今確実にニーナは正気を保てた。2人に自覚はなくとも。それはニーナにとってここに来て初めてとも言える…感謝に似た何かだった。蜂蜜色の瞳の端をほんの少し…緩ませ、悪戯っぽい口調でケンイチに言いなおす。

「それとも体を温めるなら…ふふん、人と寄り添うっていうのも一つの手だと思うけど」

君も混ざらない?とケンイチに問いかけながらリュシーに触れようとしたとき



 本日二度目の鐘が鳴った。



いや、鳴るはずがない。だってさっき庭を散歩していたときに、確かに鐘はなったのだから。毎日12時丁度に鳴る時計。月下美人の香りもした…確実に12時は過ぎている。気づけば、満天の星空は曇っていた。雲に覆われ尽くされた空の中、ぽっかりと雲の切れ間が見える。その下にあったのは…鐘塔だった。嫌な予感がする。第六感に似たものを感じて…ニーナは2人に、そっと問いかけた。

「ね、今何か聞こえなかった?」

僕の聞き間違いだといい、そう念じながら。

>リュシー様、ケンイチ様、周辺ALL

1ヶ月前 No.37

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/キッチン⇒ロビー】

 Knightが止まった――気がした。断言するにはあまりにも一瞬で、エルの鳴き声に反応して見下ろした時には既に何らいつもと変わりの無い様子だった。
 ――Knightって、止まるのかな。そんなの、見たことも無いけど。
 とはいえ、常日頃から隙あらば寝ているようなタイプであるルカにはそれを証明する術は無いけれど。それでも、そんな話があれば耳には入るだろう。何せ、ここでは思っている以上に情報が回りやすいから。隠し事が多い割にあれやこれやと話す同居人達のおかげで、何だかんだと様々な情報を入手する事は少なくなかった。

「……エル、ねえ。Knightが止まったの、見た?」

 足元に擦り寄っていたエルを抱き上げて、そう問い掛ける。自分と同じように小首を傾げたエルに小さく溜息を吐くと、どうしようか、と考える。見間違え、だなんて答えは端からルカには存在しない。見間違いだなんてものは、一度見たことがある光景でしか起きようがない。ならば見たことの無い「Knightの停止」だなんて事象は実際に存在していなければルカの眼には映らないのだ。

 ――誰かに聞いてみようかな。……でも、この時間に起きてるのって、誰だっけ? 起きてたとしても、誰が何処に居るんだろう?

 暫し考えて、そして放棄する。しょうがない。分からない物は考えたって分からない。取り敢えず残った飴をポケットの中に突っ込んで、エルを抱き直して外に出る。ロビーにまで行けば、少なくとも誰かに会えるんじゃないだろうか。という期待も込めて。

 せっかく手に入れた、信用できる場所。それを早々に手放しやる気など、信用した瞬間から存在していなかった。

>>周辺ALL

30日前 No.38

雨上がり @koshou0602 ★iPad=PJvYzvE0AC

【ハネカワ ユヅル/一階エントランス】

「マーベルさんが嫌でなければ是非見てみたいです!その前にマーベルさんの裸体に興味があります」

確か心臓部分がくり抜かれているのでしたっけ。そんなアニメが確かあったなぁとか思いつつマーベルさんの筋肉を見てみたいという好奇心が湧く。力持ちなので腹筋が割れているのでしょうか?今流行りの細マッチョというやつですね。

「日本人でも夜更かしする方は多いですよ。むしろブラックと呼ばれる企業がたくさんありまして、それによる問題も比例してたくさんあるほどです。……というか私、一度本を読み始めると止まらないんですよ……。面白くて手が止まらないというか……なのでいつもはお昼頃から読み始めるようにしているのですが、今日は失敗しました」

まさか車輪の下があんなに面白いとは。最後いい感じに死んでいてとても好きです。

「マクベス、読んでもあまり意味が分からないんですよね……。未熟なだけでしょうが……。リア王の方が分かりやすいです」

ウラジミールさんのお話を聞きつつ、お二人が図書室に着く。……のだが、私はといえばとても遅れを取っていて2人の姿が見えない。
そこにマーベルさんが現れ、手伝ってくれようとしてくれるがここまで来て最後までやり遂げないのも癪なので、「結構です!」と言いつつ力を振り絞り図書室まで駆け上がる。
息も絶え絶え着いたところで車椅子を広げウラジミールさんに座ってもらう。

「……はぁ、はぁ……。ど、どうぞウラジミールさん……お座りくださいませ……、つ、かれた……」

息を整えるとウラジミールさんが何かを書き出していたので、自分は明日読む本を探すとする。

「……この本棚はあまり見てなかったですね、いつもは奥の方に行くので……。どれどれ。
……魔法とかオカルト系でしょうか」

手前にあった本を手に取り、読み上げる。

「魔法の呪文、魔法陣……数字とか難しい用語がいっぱいですね……。……あれ」

魔術師が侵してはいけないルール、とかかれた章。
青い鳥文庫の魔女のお話的には、黒死呪文とかありましたが、現実では如何なものでしょうか。
ちなみに独り言が多くなるのは気にしないで頂きたいです。

「……『死者の蘇生』」

その魔法の罪、使うことによる罰。数十ページに及んで語られている、「私達」にかけられた魔法。
眠気もない、お腹も空かない、二度と成長しない身体。そんな幽霊の私に誰かが使った魔法。

「『彼は眠りを殺した!眠りはないぞ!』……あぁ、成る程。彼も、魔法をかけられていたんでしょう。
……死者の蘇生なぞ誰が好んで。かけられた方は……幽霊なる私達は、どうすればいいんですか……!」

いつの間にか叫んでいた自分の声と、手から滑り落ちた本の衝動が静かな図書室にこだました。

【遅れてしまい申し訳ありませぬ……。結弦的には死者の蘇生を行われたことに対して少し苛立っている感じです。その魔法が違法なのを知らなかったため、かけられた自分にも罪があるように感じた、ってところです。意味わかりませんね、死にます】

>>ウラジミール様、マーベル様

27日前 No.39

妃翠 @azalea☆dszkmgEaqwdD ★BxEfezLEi0_EP8

【 リュシー・ミィシェーレ / テラス 】



 なかなかにキザな物言いをするケンイチに、どことなくニーナに似ているところを感じて、リュシーは密かに笑みを零す。口が上手いのね、と口を開こうとした時、リュシーはふと二人には気づかれないようにそっと自身の腕を一瞥した。彼女は少し、男性からのキザっぽい甘い言葉があまり得意ではなかったりする。原因は彼女を殺した人間にあるのだが、何せ最近それに気づいたものだから、どれぐらいの言葉に彼女の身体が拒絶反応をおこすのか未だに掴めていない。死人らしい血のめぐりの感じられない真っ白な腕に鳥肌がたっていないことを確認して、なるほどと一人で納得する。先ほどの言葉程のものなら受け入れることが出来るらしい。自身の腕から意識を逸らすと、どこか顔色の悪いニーナが視界に入る。そのことに触れるべきかと一瞬思案したものの、彼女はすぐさま首を振った。やめておこう。人には一つや二つぐらい触れられたくないことがあるはずだ。……ここにいる者たちなら尚更。心配そうな表情を笑みの形に変えて、ケ名案を思いついたとでも言うようにパンッと手を叩き、ケンイチとにーナを交互に見た。



「それじゃあ、三人でお茶会なんてどうかしら。たまには真夜中にするのも、中々風情があるものじゃない? 私ね、誰かと紅茶とクッキーやスコーンをおともにお茶会をすることが夢だったの」


 生前は優雅なお茶会には無縁だった彼女は、無邪気ともとれるほどにキラキラと目を輝かせる。我ながら子供っぽいとは思わなくはなかったが、仕方ないじゃないか。何せ、やりたいことをやれないまま死んでしまったのだから。綺麗に整えられた庭に視線を寄こし、リュシーはすっと目を細める。生きている時よりも、死んだ後の方が彼女の人生は明らかに充実している。父親をこの手にかけられなかったのは残念だったが、やりたくないことを無理強いされることもなく、理不尽に苦しむこともない。少し歪んではいるけれど、"普通"がこんなにも楽しいのだと感じられたのは、死が自分を拒絶してくれたおかげだった。リュシーは、自分にこうしてまた違う生き方を与えてくれた誰かに感謝している。もし会えるのなら、会って直接お礼を言いたいものだ。などと、つらつらと考えていたリュシーは、ふと周りの雰囲気が違うことを感じて視線をあげた。刹那。
 ――鳴るはずのない二度目の鐘が、静かに鳴り響いた。
 その音を聞いた瞬間、リュシーの全身から血の気がさっと引いた。いや、もう死んでいるのだからその表現もおかしいのだけれど、とにかく嫌な感じがしたのだ。聞いてはいけないものを聞いてしまったような。"日常"が終わってしまうような。リュシーの背中に、冷や汗が伝う。気のせいだと思いたかったけれど、ニーナの問いかけにそれは現実だったのだとつきつけられる。引きつったような笑みを浮かべた彼女は、まるでブリキの人形のようにぎくしゃくと彼女の方に首を向け、震える唇で言葉を紡ぐ。





「……した、ね。二回目の……鐘が、」




 その先は、もう怖くて言えなかった。


>>ニーナ様、ケンイチ様、周辺All

26日前 No.40

毬藻 @shuchishin☆jHqXF0noOB6 ★Android=inf6RIzTMS

【マーベル・F・オクロック/四階 図書室】

「……お前は嫌じゃないんかい」

 情けない声と共に、心底呆れたような顔をする。怖がるかと思いきや、予想していた返答は斜め上を通り越し、裸体を見たいまでに至った。流石に少女にはキツかろうと思ったのだが……ウラジーミルの影響を受けすぎたのか、興味津々に返されるとは思いもしなかった。
 他人ながら、ちょっと彼女の将来が心配になってきた。いや、今の我々にはもう未来などないのだが。


 さて、図書室へ到着すると、それぞれ自分のやりたいことを始める。
 ウラジーミルは早速執筆活動に取り掛かったようだ。今度はどのような作品を描いているのだろう。そういえばこの屋敷に来て随分経つが、未だに新作を出版し続けているのだろうか。今まで読んだのは彼が生きている頃に執筆したものばかりなので、死んでから執筆したものはまだ読めていない。

 結弦は先程の疲れはどこへやら、既に熱心に本を読み始めていた。しかもなかなかに分厚いものを。時々何かぶつぶつと独り言を呟いている。そういえば、今彼女が手にしている書物は見掛けていないものだった。いつの間に追加されていたのだろう。少し興味がある。空いたら読んでみようか。

 ゆっくりと室内を歩きながら本の背表紙をじっくり眺めていく。この辺りは大体読破したものばかりだ。そもそも好んで読むジャンルがかなり片寄っているので、本棚によっては全く手をつけていない本がずらりと揃っている箇所もあったりする。今日はそこから始めてみようか。
 題名から面白そうなものを手に取り、本棚に凭れたままパラパラと読んでいく。本に集中してくると、だんだん周りの音が聞こえなくなってくるのだがその瞬間も好きだ。ふむ、この本もなかなか面白い―――。


『――は……幽霊なる私達は、どうすればいいんですか……!』

 突如、ドサリ、と重いものが落ちた音が響く。と同時に悲痛な叫びが、マーベルを現実世界へと引き戻した。この声は……結弦?

「オイ! ユヅル、どうした?!!」

 慌てて彼女の元へ駆けつければ、足元にあの本が落ちていた。
 まさか、そんなにもショッキングな内容の物語だったのだろうか。自分のグロテスクな脅し(?)にも屈しない彼女にも、そんなものが……?

 本を拾い上げ、開いていたページを見る。そこには、魔導士が犯してはならない三大禁忌について書かれていた。特に、“死者の蘇生”に関する内容は、数十ページにも及んでいる。魔導士の禁忌については生前うっすらと耳にした程度だが、こんなにもがっつりと書かれているものがあるとは。

「(……そうだ)」

 忘れていた。日常になりつつあるこの屋敷での生活は、とてつもなく異常なことなのだと。今こうして誰かと語り合ったりするのは、本来では有り得ないことなのだということを。

 有り得ない力を、禁忌の魔術を施された自分達。ならば何故、禁忌を犯してでも魔導士は我々にその術を施したのか。

「……俺たちの意思を無視して、そいつはなにがやりたかったんだ……?」

 半ば呆然とした自分の呟きもまた、静かな図書室の中へ消えていった。

>>ウラジーミル様、結弦様

【マーベルは何故蘇生術を施されたのか気になるようですね。魔導士に会ったらまず問い詰めるかと。それか拳で語るとか?(おい】

25日前 No.41

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★1xB5EQogHM_yFt

【ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・ウスペンスキー/図書室】

「禁忌にこそ触れたくなる。人間の本質だよ。エデンの園を追放された頃から何一つ変わらない。人をよみがえらせることが禁忌だなんて当然のことさ。死を克服するなどあってはならない。死があるからこそ、終わりがあるからこそ人間は生きられるのだから」

二人の様子が変わったあたりで足下の本へと目を落とした。
それはそうだ。
魔道師とて人間だ。
人間は神の領域を侵すことをすべきではない。
生命とは神の御業に他ならない。
それを好奇心から侵すのは、愚か者の所行だ。

「終わりのない物語など何の意味がある? どこにたどり着くこともない永遠の道に何の意味がある? それと同じことだ。死という結末を失ったならば、その存在に何の意味があるというのか? 永遠の過程、永遠の物語、永遠の道程。それに見合う罪を生前の僕らは犯していただろうか? でなければ、単なる魔道師の暇つぶしか、好奇心か、まぁその程度の理由だろうさ」

私にとってはどうでもいい。
一度意味を得た。
ならば、意味のない二度目に苦痛はない。

「惜しみなく二度目の生を与える。そこに愛はあったのだろうか? 否、おそらくはないのだろう。彼か彼女か知らないが、魔道師殿は生前の僕らに一切の関心などないのだろう。おそらく、死後の僕らにしか感心などないのさ。あぁ、なんとおぞましいのだろう。愛を持たずに他人に関わるなんて恐ろしいにもほどがある。ましてや、その行動で他人を変えてしまうなどとは……」

何もないのか、僕たちの二度目の生は両親の愛から生まれた訳でも、魔道師の愛から生まれたわけでも。
いな、そこに愛があったとして、私にすら受け入れられないような愛だったなら。
その魔道師は、人といえるのだろうか?

>>マーベル様、結弦様

【ウラジーミルはその蘇生に愛があったのかを気にしています。後は蘇生そのものについて否定的であり冒涜的だと考えています】

24日前 No.42

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/ロビー⇒テラス】

 期待を込めて出たところで、悲しいかなそこにはKnightも含めて人っ子一人居やしなかった。

 ――いや、まあ、大方の予想は付いていたんだけどね。

 思わず溜息を吐く。却って耳鳴りがしてしまいそうな程に静かなロビーの中央で、ルカはギュッと固く目を瞑る。こういう空間は嫌いだ。例え無機質な時計の音でも、自分に向けられていない笑い声でも良いから、何かが聞こえていないと頭がおかしくなりそうだ。遠い記憶の中に閉じ込められてしまいそうな空気感に背中が冷えていく感覚が響く。足が竦んでしまいそうで、小さく何度も何度も深呼吸を繰り返す。
 不意に、エルがルカの腕からするりと抜け出す感覚が伝わってきた。反射的に目を開けば、まぁお、と甘い鳴き声をひとつ洩らしたエルが顔だけをこちらに向けて優雅に立っていた。ゆらりふらりと尻尾を揺らしながら、猫はルカに構う事なくテラスの方角へと歩き出す。

「……って、エル。……待って」

 かちあった双眸にスッと息を飲んだルカは弾かれる様に一歩、また一歩と足を踏み出した。ぼんやりと霞む思考の中で、エルを追い掛けなければと何かが命を下す。追い掛けないと、エルを、追い掛けなければ……。


 そうしてテラスに出たルカは、先程とは違う意味で息を飲んだ。テラスに居る二人の女性が、それぞれに顔を青ざめさせたり唇を震わせながら立ち竦んでいる。まるで幽霊に――いや、ルカも含めて皆がある意味そういう存在なのだが――に出会ったような、有り得ざる何かを認めたような様子の二人に微かに眉を寄せた。

「……どうしたの、二人とも。何かあった?」

 エルの姿は闇にとけて見えなかった。代わりに月明かりに照らされた二人に、ルカは静かな声で、けれどいつもよりも幾分か穏やかな声色で、そう問い掛けた。

>>周辺ALL
【一応、合流させていただきました。諸々間違っていたら何なりとお申し付けください】

24日前 No.43

夕邑三日月 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_qxX

【ケンイチ・ヤナギハラ/三階ベランダ→テラス】

 階下の二人とロミオとジュリエットのような――立場的にどう考えても逆だが――やり取りをしている間に、物理的に頭を冷やすと言う健一の当初の目的は十分に果たされた。その時から既に彼の止まった筈の頭は、今後の展開はレディ二人に任せよう、という何とも無責任な思考に支配されている。
 だから、ニーナの君も混ざらない? という問いかけにもリュシーの真夜中のお茶会をしようと言う提案にも、一も二も無く頷いた。前者に関しては多少曲解した部分もあるが、しがない文系大学生だった健一には、夜通し酒を酌み交わして騒ぎ倒したり、カラオケに一晩中籠っていた経験もある。だから、一度や二度真夜中のお茶会に興じてみるのは、異常でも何でもない。その筈だった。
「じゃぁ、今からそっちに……」
 降りるよ、という健一の言葉は、最後まで紡がれることはない。こんな時間になる筈のない鐘が彼の声を掻き消した瞬間に、振り向きかけた体ごと健一の動きの全てを止めた。

 おかしい。自分は午前零時の鐘で目を覚まして此処に居るのだ、こんな短時間で二度目の鐘が鳴る訳がない。死んで体内時計の感覚が狂っている? だからって外に居る人間が三人も三人、一時間も気付かずに居る訳がない。そもそも喋っていたのはほんの二言三言だ、そんなに時間を消費できるとは思えない。ならば外の世界の鐘か? いや……そんなものが、此処に届く訳がない。

 泡沫のように次々と浮かんでくる仮定は、この事象を否定したいから。それなのに健一はわざわざ一つ一つの可能性を潰して行く。一縷の望みに縋って見下ろしたテラスでは、遠目からでもニーナとリュシーが蒼褪めているのが見て取れる。
 きっと自分も同じような顔をしているのだろう、死人のくせに。そう思った健一は、これでもかというくらい強く唇を噛んだ。血が滲むくらい、という表現を使えないのがもどかしい程、血色の悪いそれは白く白く染まっていく。
「止めてくれ……やっと、少しは慣れてきたところなんだ……此処での‘日常’まで、壊すんじゃない……!」
 恐怖を通り越して怒りにも似た感情が沸き上がって来た健一は、今度こそ踵を返し、一気にベランダから自室を突っ切る。扉を閉めたかどうか確認することさえ忘れて、バタバタと階段を駆け下りた。その道中に誰の姿も見かけないことが、更に彼の胸中をざわめかせる。
 全力疾走するようにテラスまでやって来た健一は、相変らずそこで呆然としている二人と、その間に増えていた人影に声を掛けた。

「……改めて今晩は、ニーナにリュシー、それとルカも。みんな聞いたよね、今鐘が鳴ったの……ちょっと、塔まで確認しに行ってみないかい? ただ風が強かっただけかも知れないけど、エルが悪戯して降りられなくなってたら……後は、泥棒でも入ってたら大変だ……」
 上がる息もないまま淡々と告げる健一だが、その心中は此処に居る者達と同じく、不安と絶望に彩られていた。

>テラスALL様

24日前 No.44

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/テラス】

 血相を変えてテラスに飛び込んできた(外なのだから“飛び出した”のだろうけれど)ケンイチに思わず身を引いたルカ。けれど、彼の息も切れ切れな言葉にただ一人、小首を傾げて見せる。

「こんばんは、ケンイチ。今日はまだ起きていたんだね。……でも、ねえ、鐘が鳴ったからって、どうしたの。12時の鐘が鳴るだなんて、ここではいつもの――君の大好きな“普通”の事でしょう? 風はこの通りだし、エルはさっきまで僕と一緒にキッチンに居たよ。このテラスに来るまで僕の腕の中に居たんだもの、エルが二匹いるのなら話は別だけど、エルは確かに一匹だけなんだからそれだって違いないよ。何より……僕たちが出られない屋敷に、どうやって赤の他人が入り込めるというの」

 一人、異常を知らない――気付いてはいるのかもしれない。しかし、二度目の鐘という正確な証拠を知らないルカは、ケンイチ以上に淡々と己の知る事を並べていく。無情なわけでも、非常なわけでもなく、不安げな人々に告げる言葉は結局のところ己の知りうる真実が一番なのだと言う経験則故の行動だ。ある意味リアリストを極めているのかもしれない。
 彼にしては饒舌に口を回していたルカはふと口をつぐむ。三人の血相は相変わらずで、死人であるという事を抜きにしても心なしか悪かった。

「……ああ、じゃあ、分かった。僕も確認しに行くよ。どうにも、君達三人じゃあ不安だから」

 片手をあげ、そう頭を振りながら告げる。
 ――三人とも、何処かすぐに壊れてしまいそう。そんなの、許せないもの


>>テラスALL


【期限が迫ってそうなので、取り敢えず投下します】

17日前 No.45

雨上がり @koshou0602 ★iPhone=z9EyZtvMx9

【ハネカワ ユヅル/一階エントランス】

「……すいません、私としたことがつい感情的になってしまいました……煩かったですよね、ごめんなさい」

近くに来てくださったマーベルさん、何かを口に出しているウラジーミルさん。頭がぼんやりして、言葉は頭に入ってこない。それでも、2人がこの「死者の蘇生」を使った魔導師について頭を悩ませているのはわかる。

ラッキーだと思っていた。
また本が読めると思っていた。
死んでいることを無視して、この屋敷の居心地の良さに甘えて目を瞑っていた色々なことが、ガツンと頭を殴られたように急に入ってきた。
自分は、どうしたって幽霊に変わりないのだ、と。

口が乾いて、目の焦点が合わない。
こんな時まで生きている人間のように動揺する自分に腹が立つ。
死んでいるのに。この身体は偽物なのに。

ーーならば、いっそのこと、もう一回死んだらどうなるのだろう?

頭に浮かんだ妙案。
そうだ、この状態で身体を殺せば、その魔導師はどうするのだろう。
悪戯を思いついた気分だ。魔導師を困らせることができるかもしれない。

思い立ったが、だ。少し元気を取り戻した私は2人に声をかける。

「お二人様、いいことを思いついたので部屋に帰りますね!」

>>ウラジーミル様、マーベル様

【めちゃくちゃな感じになってる……もうやけくそやん……】

14日前 No.46

ししくれ @kmnkha☆/pH2qpQf7L2 ★ieluDUuGrE_ELg


 鐘の音に誘われるように、鐘塔へと訪れた。
 住人たちは、塔の一番上、鐘のある場所まで上ってみたが、そこに人はおらず、見る限り人がいた形跡もない。

 ーーその時。
 カラン、と小さな音が鳴った。視線を下へ落とすと、鐘の真下に鍵が落ちていた。
 手のひらに収まるような、なんの変哲も無い、銀色の鍵。
 しかし、それは来た時には存在しなかった。突如そこに現れたそれが、魔法であることは誰の目にも明らかだった。
 けれど、それが何のための物なのか。何故このタイミングで鍵が現れたのか。それを知る由はない。


 (>>リュシー・ニーナ・ケンイチ・ルカ)

14日前 No.47

妃翠 @azalea☆dszkmgEaqwdD ★crwiZQvj4E_EP8

【 リュシー・ミィシェーレ / 鐘塔 】




 真夜中の鐘塔内部は肌寒く、ブランケットでも持ってくればよかったとリュシーは少し後悔する。両腕をさすりながら、彼女はあたりをぐるりと見渡す。不自然な鐘の音が気にかかり、偶然居合わせた四人がここにたどり着いたのはつい数分前のこと。長く続く階段には多少……いやかなり難儀し、最上階にたどり着いた時には肩で息をしていた彼女だったが、今では幾分か落ちつき、酸欠で鈍っていた思考回路もゆっくりと動きはじめる。内部には、まぁ予想通りと言うか、自分たち以外の人影は見当たらない。どこかに隠れているのかと、うろうろと動き回り、木箱の中などを覗き込んだりもしてみたが、当然ながら中は空っぽ。Knightが掃除しているのか妙に綺麗なそこに人がいた形跡を特には見当たらず、リュシーは両腕を掴む手に力を込める。


「誰もいない、か……」



 いたらいたで怖いけれど、いなかったらいなかったで不気味さが増す。まるで何かにじわじわと甚振られているような感覚にリュシーは無意識に表情を引きつらせた。……多分。他の三人がいなければ、自分は今すぐに卒倒していた自信がある。ホラー系は、あまり得意ではないのだ。死人の身で怪奇現象諸々を怖がるのもおかしな話だが、こればっかりはどうしようもない。ともすれば誰かの腕にしがみつきたい衝動を必死に押さえていたリュシーは、カランと地面に何かが転がる音を耳にして「ひっ」という短い悲鳴をあげて身体を強張らせる。ギギギッとブリキの人形のように音のした方へ首を向けたリュシーは、地面に転がる銀色の鍵を見つけて目を瞬かせた。
(銀色の、鍵……?)
 おかしい。さっき見たときは、あの場所に何もなかったのに。一瞬考え込み、彼女の脳裏にある一つの予想が生まれる。それは彼女の想像でしか過ぎないけれど、もしかしたら――……。




「魔導士さん、そこにいらっしゃるの……?」



 誰もいない空間に向けて、リュシーは言葉を投げかける。生前、自分の運命に絶望し、結局は父親の駒であり続けた自分。彼への憎悪だけを糧に生きていた自分に、また違う生き方を教えてくれた、リュシーにとっては誰よりも感謝している人。そこにいるのならばお礼だけでも言いたい。そんな思いで、彼女は虚空をじっと見つめ続けた。



>>All様




【長らく顔を見せず申し訳ございません。順番を気にしないで良いと言うことで投稿させて頂きました!】

14日前 No.48

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/鐘塔】

 欠伸を噛みながら辺りを見渡す。気紛れに登っては見下ろす風景と何ら変わりのない様子に、眠気(死んでいるので錯覚のような物だろうが)がぶり返してきたからだ。普段から欠伸が多く寝ている事の多い彼だが思いの外体力があるのか、疲れた様子も息の上がった様子も見られない。
 新しい住人でも無い限り、知りうる以外の何かがあるわけがない。……とはいえ、新しい住人が此処に居るのもかなり変だけれど。それにそもそも三人と合流した原因であるKnightの事も言いそびれてしまった。
 そこまでグルグルと考え、最終的に「まあ、いっかぁ」と投げ捨てる。この状況下で更に不安を煽りかねない言葉は控えるべきだ。何か既に追い打ちを掛けていた様な気もするけれど、まあ、うん、取り敢えずは聞かれてもいない事を言うつもりはない。

「んー?」

 金属と石畳がぶつかるような音と短い悲鳴に振り返る。蒼褪めているリュシーの視線の先を辿り、そこで漸く彼は銀色の鍵の存在を認めた。

「なぁに、これぇ」

 拾いあげて月明かりにかざす。恐怖というモノはあまり感じなかった。元よりそちら方面に鈍い、というのもあるのだがそれ以上に興味が勝ったからだ。見た感じにも持った感じにも何ら普通の物と変わりない“それ”はひんやりと冷たく、誰の手にも触れていないようだった。

 ――「魔導士さん、そこにいらっしゃるの……?」

 そんなリュシーの言葉に思わず緩く頭を振った。勘ではあったけれど、ルカには魔導士が其処に居ないと思ったのだ。
 ……居たのかもしれないけど……多分、現在進行形では居ないよねぇ。僕なら、とうの昔に姿を消しているもの。第一……こんな箱庭に死人を閉じ込めるような人間が……態々、“フィールド”に降りてくるだなんて……。

>>ALL

13日前 No.49

夕邑三日月 @mistydark☆NIljAHmRyhk ★R3lMq2ye0U_qxX

【ケンイチ・ヤナギハラ/鐘塔】

 何やかんやあって鐘塔までやってきた四人――彼等を、健一を此処まで突き動かした原動力は、紛れもなく不安という感情である。しかし幸か不幸か、辿り着いた鐘塔の最上階には何もない。健一の感じた恐怖を現実にするモノが存在していない代わりに、不安を拭い去る真実もそこには無い。きっと普段通りの、何の変哲もないよく手入れされた鐘が一つぶら下がっているだけだ。
 早い話此処に来るのは無駄足で手詰まりな訳だが、何故かさっさと戻ろうとは言えなかった。何か痕跡が残っていないかとリュシーは調べて回っているようだが、健一はそれ以上動く気力もなく彼女の動きを瞳で追うだけだった。
 そうして彼は、突然現れた鍵を目にすることになる。ルカの手によって月明かりに晒された銀色の鍵は、それこそ何の変哲もなかったが……突然その場に現れたというだけで、異常であることは間違いない。まさか鐘の中に鍵が引っ掛かっていて、そのせいで二度目の鐘が鳴ったなどということが起こり得る筈も無い。

 もう沢山だ、こんな事なら布団の中で大人しく眠っていればよかった……!

 そんな後悔など後の祭り、物凄く長い溜め息の真似事をして、健一はこの事象に対する感想を述べた。
「……鍵は閉まっている扉を開けるためのものだよ、普通。まさかknightが掃除して鍵を落として行った訳でもないだろうし……探せってことじゃないかな、この鍵のはまる場所」
 それはリュシーの言う通り、もしかしたら此処に居た魔導士が置いて行ったものなのかも知れない。だとしたら箱庭の中の健一たちは、この鍵を無視することなどきっと許されないのだろう。

>鐘塔ALL様

12日前 No.50

毬藻 @shuchishin☆jHqXF0noOB6 ★asO8xmBiXn_M0e

【マーベル・F・オクロック/四階 図書室】

 彼女の傍に駆け付ければ、つい感情的になってしまったと話して謝ってきた。

「いや、別に煩くはねェ。ちっとビックリしただけだ……もう、大丈夫か?」

 死んでからこんなことを言うのもあれだが、なんだか先程よりも顔色が悪いような気がする。大丈夫じゃなさそうなその表情に不安を覚え、とにかく落ち着けるようにと彼女の背を何度も優しく撫でた。

 そんなことをしているといつの間にかウラジーミルが傍に来ていた。自分の呟きが聞こえていたのか、禁忌にこそ触れたくなるのが、人間の本質なのだと話してきた。確かにそうだ。人間というのは、やるなと言われると何故かどうしてもやりたくなってしまう。いけないと理解していながら、手を染めたくなってしまう。
 だからと言って死者を蘇らすのは如何なものだろうか。古びた道具を新品同様に蘇らすのとは訳が違う。我々には意思がある。それが生き返りたいと強く願っていたのなら話は別だが、少なくともマーベルはそうではない。蘇ったところで何になる? 自分を殺した恋人を心底驚かせるくらいではなかろうか。否、それとももう一度殺されるだけか……。

「というか、俺らって死ねるのか?」

 不意にふっと沸いた疑問。既に死を迎えた我々は、果たしてもう一度死ねるのか。体温を感じないことから、血が通っていないのは一目瞭然。恐らく心臓も動いていないだろう。というか、蘇生に関して心臓はあまり関係ないような気がする。現に心臓のない自分が平然と生きているから、それが証明となるだろう。

 そんなことを考えていると、結弦がいいことを思いついたから部屋に戻ると言い出した。さて、何か妙案でも浮かんだのだろうか。

「は? いいことって、何だ? まさか魔導師の奴を探し出すとかじゃねェだろうな……」

 思わず彼女に問いかけ、はっとする。そういえば、この屋敷で暮らし始めて魔導師なる人物に遭遇したことがあっただろうか。初めてここで目を覚ました時、自分に蘇生術を施したものだと紹介を受けたことがあるだろうか。

 屋敷に来ておよそ10ヶ月。そろそろ時期が来たのかもしれない。

「魔導師を探す……か。そろそろ俺らも、覚悟を決めてかかった方が良さそうだな」

 ざっと内容に目を通してから本を閉じる。この本は後々に役に立つかもしれない、手元に置いておいた方がいいだろう。

「一度みんなに本の内容を伝えよう。何故魔導師は禁忌を犯したのか、何故蘇生術を施すに当たって俺らを選んだのか……いろいろ調べてェ。そもそも俺らの死に方に統一性がねェんだ。そこが気になる……」

 珍しく口が回るマーベル。きっと、心の奥深く底では、この運命と対峙しなくてはならないという思いが燻っていたのだろう。しかしこの謎を解くということは、この非日常ながらも居心地のいい空間を手放すことになるかもしれないというリスクも伴っている。この屋敷で出会った面々は個性的ながらもいい人達ばかりだ。知らないうちに、ずっとこのまま彼らと永遠に暮らしていたいという願いが生まれていて、今の今まで目を逸らしていたのかもしれない。

 事故や殺人……様々な方法を以て死に、我々はここにいる。蘇らせた後、魔導師は何をしているのだろうか。ただただ普通に生活する様子を見たかったわけでではあるまい……いや、本当にそうだった場合は何発か拳をお見舞いしてやろうか。

「とにかく、こんなとこに閉じ込めてまで何がしたかったのか、俺は調べてみてェな……例え、二度死ぬことになったとしても」

 二度目の蘇生などありはしないだろう。どうやって死ぬかは分からないが、二度目の死こそ本当の最期だ。まだどこかで戸惑っている自分がいるが、そろそろ前を向かなくてはならない。その先にどんな結末が待ち受けていようとも。

>>ウラジーミル様、結弦様

【なんか勝手に方向性決めてきちゃってすいません……何か問題がありましたらご指摘してください;】

10日前 No.51

似非紳士 @baccano☆/.lpbIA2P7M ★J1SGpZKeln_yFt

【ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・ウスペンスキー/図書室】

「さてね、死ねるのか死ねないのかは大した問題ではないよ。まぁ、冷静に考えれば『心臓を失った』君が生きて動いているのだから、まず間違いなく、真っ当な方法では死ぬことは能わないだろうね」

肩をすくめながらそれだけを返事しておく。
当たらずも遠からずな解答だろうと自分では考えているのだが。

「故に、どういう方法で為そうというのかはわからないが、恐らく無駄であると結弦嬢には回答しておこう」

あの顔は何度か見たことが有る。
死に対して、何かの希望を見出した顔だ。
ファンの中にもいくらかそんな連中がいた。
死を愛している顔だったのだ。
故に、彼女は何故かわからないが自らに引導を渡すつもりだったのだろう。

まあ、十中八九嫌がらせのたぐいだろう。


「頭を砕いても、心臓を抉っても、恐らくだが火だるまになっても死ぬことは無いと思うぞ。首を括るのも意味はないだろう。そもそも、それで死ぬならマーベルはそもそも生きていない。本当に今更の疑問だけれど、マーベル、君はどうやって生きているのだろうね?」

心臓という生命の根幹にかかわるものが書けているというのに、その肉体は何故か動いている。
魂のようなものが、肉体を動かしているのだろうか?

だとすれば、私たちにとってこの体とは牢獄だ。
牢獄の中に居る限り、外部から教われることは無い。
しかし、牢獄の中に居る限り、外と関わることもできない。
開放とは死だ。

「調べるといっても、如何するんだい? まさか、魔導士様を探し出して、直接尋ねでもする気かい?」

少しお道化ながらそう言ってみる。
別に、今更ショックなど特にはない。
このくらいのことで傷つくような軟ではない。

「ここを用意したのは十中八九件の魔導士様だろうさ。なら、彼は何故図書室にこの書物を残しておいた? こうして見かけた死人がどのように反応するのかを見たかったのだろうさ。なるほど、高尚な趣味をお持ちだ。さぞかしポップコーンが美味い事だろう。クフフ」

>>マーベル様、結弦様

8日前 No.52

ししくれ @kmnkha☆/pH2qpQf7L2 ★ieluDUuGrE_ELg



 屋敷に異変が起きていた。
 一日に二度鐘が鳴り、それと同時にKnightが動きを止めた。鐘塔に向かうとタイミングを見計らったかの様に鍵が現れた。
 図書室では、普通だと手に入れることができないような専門書が見つかった。そこには、死者の蘇生は魔道士の禁忌だと記されていた。
 皆様々な感情を抱えながら、ロビーへと足を運んだ。
 ーーさて、住人の行く末は如何に?


 >>ALL


【イベント開始時は簡素ながらナレーションのようなものを入れさせて頂きます。お伝えしてなくてすいません。では、これから第二イベント開始となります。素敵なお話が紡がれることを楽しみしておりますね!】

4日前 No.53

千羽 @hina0126☆cC6IJvcXXi01 ★yYM4klxEWP_xKY

【ルカ・エリア=パガニーニ/ロビー】

「……ねーぇ、皆さぁ、本当に大丈夫なのぉー?」

 蒼褪めすぎて意識を保てているのか一目には分からない者、変な方向に興奮して逆に赤くなっている者、何を考え込んでいるのか分からないがそもそも皆が揃っているのか気付いているのかすら怪しい者――何にしても誰も喋らない空間に耐えかねたルカは珍しくも自分からそう切り出した。何だってこうも、お葬式会場さながらの空気が産まれているのだろうか。この場に居る全員が死んでいるのだから洒落になりやしない。
 鐘塔で拾った鍵は、塔を降りようという流れの時点で既にルカの上着に付いたポケットに(お菓子と共に)収まっていた。だって鍵って常に手で掴んで動き回る物じゃないでしょう? あと何だか他の面々に預けるのが不穏な状況だったというのも理由ではある。余談ではあるがあれやこれやと思いつくままにくだらない話を振ってみたが、いまいち反応が宜しくなかった。そうして降りて屋敷まで戻ってきたら、これである。何でだか誰も立ち去ろうともしないし、かといって話を切り出す様子もない。一瞬、先に帰って寝てしまおうかと思ったが、立ち去るのも億劫になってしまった。そうして、冒頭の台詞に戻る。

 なんだか今日は色々と災難だ。妙なモノを見てしまったし、何処に行っても“同居人”の顔色が揃って宜しくない。今から始まるであろう“話し合い”の内容も含めて、本当に今日は面白くない。

 こういった空気を好く方ではないルカは知らず突き出る唇に先程貰ったロリポップを近付けながら、もう一度、問い掛けた。

「だいじょーぶ?」

>>ALL

【繋ぎも兼ねて投下です! 間の出来事を若干、勝手に作っていますが悪しからず……】

3日前 No.54

ディーター @nerokichi ★Android=dW04Pqrh6J

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2日前 No.55
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