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第9区画治安維持部隊レスパーダ【参加募集/戦闘/異能

 ( オリジナルなりきり )
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監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_nas

「アドバースシティ」

それは周囲を高い壁に囲まれたこの世界一の科学力を誇る街

街並みは現代とあまり変わらずとも
その内部に存在するシステムは大きく発展を遂げている

そして…


それはアドバースシティ第9区画に存在する

アドバースシティ最強の治安部隊


「レスパーダ」


今日も彼らは街を駆け回る……

静かに影がうごめいていることなど知らず……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いつもと変わらない日常が流れていた中、突然その平穏は一気に切り崩された。アドバースシティ中に鳴り響くサイレン、続いてアナウンスが響く。ミッション開始の合図だ。男はアナウンスに耳を傾け、犯人とその居場所の情報を手に入れる。ここからそう遠くはない、走っていけばすぐに到着する距離だ。

「よし、俺達の出番だな。今日も気合いいれて行くか!」

男は周囲にいる自分と同じ立場の人間、レスパーダ隊員に向けて声をかけた。その男の言葉に、ある者は右手拳をあげ、ある者はにっこりと微笑み、ある者はぶつぶつと文句を言って、ある者は悪態をつく。しかし彼らが目指すべき場所、そしてなすべきことは同じ。彼らは一斉に同じ方向へと走り始めた。今日も彼らは街を駆け回る……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


男はモニターの光だけで照らされた薄暗い部屋で、椅子に全体重を預けて、ぼんやりと宙を眺めていた。モニターに次々流れていく生体データや分析データなど目もくれず、なにもない黒い空虚をぼんやりと眺めているだけだった。男の空っぽの頭の中に、過去の映像がフラッシュバックする。街へのあこがれ、決意、約束、空虚、そして絶望。次々と過去の記憶を思い出した男は強く目をつぶり、前のめりの姿勢になって背中を丸めた。先ほどまで空っぽだった男の頭には苦悩がいっぱいに詰め込まれ、男はその感情に支配さてその態勢から動くこともできない。男は自分の左手首につけられたシルバーのリングをちらりと見て、大きく息を吐いた。男が吐いた息が薄暗い部屋へ拡散していくのと同時に、男の足元では静かに影がうごめいていた…



【初めましてスレ主です。こちらは近未来+能力バトルのストーリー制スレとなります。
 興味を持たれましたら是非サブ記事へどうぞ】

メモ2017/01/10 23:10 : 監視システム @captain1★SDED1rj6G1_qxX

*ミッション発生中*

場所:

第5区画 大通り

第6区画 中央公園

第9区画 小学校校庭


対象:

ボスバグと大量のバグ


トールへの尋問まとめ:

 ○ カイの記憶映像を見せる

(済)リョウの行方を聞く

   →生きているが別人になっている

(済)「別人になっている」とはどういう意味か聞く  

   →能力開発に失敗して眠っている人間は他人の能力情報を脳に入れられると、

    能力を使うだけの暴走状態になってしまう

    そこでフェリスはその人物に別人格を与えることで、平静を保たせている

    リョウはフェリスにとって都合の良いような人格に変えられてしまっていると考えられる


 〇 石丸の記憶映像を見せる

(済)バグの生産方法を聞く

   →「思念具現化装置」を「バグ生産装置」に改造した

    装置が今どこにあるかは不明


(済)黒い靄の人物の正体を聞く

   →フェリス・ヨーシャンク


(済)なぜ盗聴されているのか聞く

   →人質を取られており裏切らないか見張られている


…続きを読む(63行)

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ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/留置所B→第9区 テレビ局前】

 まあ偶然じゃないと思う方が素直だろねぇ。偶然の可能性は捨てないけど。捨てられないけど。大まか言いたい事は光一君が言ってくれたんでヴィジョンさんへの応答は軽く頷くにとどめておく。
 二つの記憶とその接点。石丸って人の記憶の録画がなされているのか知らないが、どうせうちの優秀なミシェルなんだからやっているに決まっているだろうと、そんな投げやりな信頼で何も確認していない。一度ヴィジョンさんの記憶投影を記録し、その直後にもう一度。そりゃ人間だって反射的に同じ事できるでしょ。

「…お話を聞きに行こうかね」

 落ち着いて静かに。誰に言うでもなく、強いて言えば自分に言い聞かせるように独りごちる。
 やる事は尋問になるんだが、やりたい事はただ話を聞くだけ。映像を見てもらってこれについてどう思う、と。尋問ってなんか偉そうな態度取りそうで嫌なんだよね。特に初対面相手だと。
 死賭の刀でとんとんと肩を叩きながら録画をもう一度見返す。これ記憶から消されたとかじゃなくて本当に黒い靄みたいな身体してたら笑っちゃうな。
 さ、光一君が口説き落とすか振られるかしたらミシェルちゃん呼んでゲート開けてもらうかな。
 そんなことを思った矢先、いつもの喧しいアナウンスが…これアナウンスって言っていいのか? …まあいいか、ミシェルちゃんのアナウンスが光一君と自分の通信機から割れ響く。マイクが消耗するからもっと優しく喋ってあげてよ。

「おう、ミシェルちゃんそれマジ!?今からこっちはお話聞きに行きたかった的な? タイミング狙い澄まし過ぎ的な? 困っちゃう的な? 何者かによる意思を感じちゃう的な? てか泡とかヒロシ君のじゃね? 」

 なんてこったい奴らのお出ましだと。思わずミシェルちゃんの口調を真似てみてしまう。更には奴ら、何時もと違った様子らしく、なにやらデカイのがいるんだって! ミシェルちゃんはいつも通りうるさいのにね、不思議。

「でもヒロシ君のだったらチョンしたらドカン、で終わりな気がするんだよなぁ。んまぁいいや、ゲートサンクスミシェルちゃん」

 見えざる何者かもその辺は考えていると思うから、多分そう簡単には行かないのかもしれないが。ヒロシ君の能力じゃない可能性も微粒子ってレベルじゃなく存在しているし、慢心はよくない。ま。備えはしておこう。白衣から補填用の弾薬をジャラリと取り出し、しかと握る。考えるに銃で一つ一つ狙い撃つよりも、適当にばら撒いて勢いをつけてやり、面で攻撃してやった方が効率がいい。これじゃ射的じゃなくて豆まきだ。

「さぁ行こう」

 意識を切り替えるように言ってから化け物犇めく戦場へと繋がるゲートに飛び込んだ。

>>ミシェル、青崎 光一

1ヶ月前 No.472

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/レスパーダ本部 留置所A→第9区画 テレビ局前】

「そうか、助かる」

予想通り、報酬の上乗せを条件に快諾してくれた。支払う代金は経費として済ませられるので自分の懐は痛まない。とはいえ、法外な値段でなければ直接負担してもいいと考えているが。

「……どうしたミシェル、いつにも増して喧しいな」

突如として耳をつんざく声を出されても全く動じず、冷静に言葉を返す光一だが、次にミシェルの口から出た情報に絶句することになる。

(…………また、奴らか)

額を押さえ、深くため息をつく。もうアレの相手はうんざりだというのに、懲りもせずけしかけてくるとは。

「……………………………仕方ないか」

いつまでも項垂れているわけにはいかない、これは任務。基本的に最優先事項に定めるべき概念だ。個人の好き嫌いで揺るがしていいものではない。かろうじて気持ちを切り替え、しかし未だやる気の感じられない足取りでゲートを潜る。

―――――――――

「フン……」

ミシェルの狼狽えぶりからどんなものかと思えば、以前と変わらない数に物を言わせた雑兵ではないか。決定的な相違点は、体格の違うリーダー的な個体がいることか。

(なるほど、確かに泡の姿をとっているな……データベースにあった情報が本当なら、接近戦はほぼ完全に不可能か)

「少し削るぞ」

誰に聞かせるでもなく、光一は足元のアスファルトを高周波ブレードで斬り刻み始めた。その製造目的から、大型車両が幾ら上を通過しようともヒビ一つ入ることのない頑強さを誇っているが、高周波と持ち主の技量によって規格外の切れ味を得た刃はいとも容易く食い込み、瞬く間に何度も蹂躙していく。

「こんなものか」

数秒かけて拳大のサイズの物を十個程切り出したところで背中に納刀、おもむろに一つ拾い上げると、野球のピッチャーよろしく強烈な勢いで投げつけた。狙いは勿論壁に最も近い個体だ。人体でなるべく出せるだけの運動エネルギーを含有したアスファルト片は、目論み通り新型バグの一匹に命中、壁にたどり着く前に爆散した。

「よし」

間髪入れず二つ目を掴み取り、同じように壁へ迫っている個体を爆散させる。

(まるで玉入れかストラックアウトだな……)

一昔前のバラエティ番組等で流行った、数字の書かれた板にボールを当てるという競技をふと思い出した。

>>周辺all

1ヶ月前 No.473

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_Qc5

【ミシェル/レスパーダ本部 留置所A】

「ちょっと秀作ちゃん!私の口調真似しないでよ!でも秀作ちゃんのいうことも、もっともな気がするわね…狙いすましたようなタイミングって感じ。でもカイと石丸に尋問して、しかもトールに尋問しに行こうって話になったの、ついさっきなのよ?尋問の話はまだレスパーダの外に出てないのに…どうやって知ったのかしら…」

自分の口調を真似たことを、秀作にちょっと馬鹿にされたと思ったのか、ミシェルは少しだけむっとしたような声色を挙げる。しかし、秀作の言葉を聞き、ミシェルもこの状況に違和感を感じたようで、むむむと唸るような声をあげた。光一がトール・オルガヌスと接触した際も、光一がトールを追求しきる前にバグが現れ会話が中断されたことがあった。まるでレスパーダの動きをすべて把握しているかのようではないか。レスパーダの影を動く見えない何かに、ミシェルはただ唸り声をあげるしかなかった。

「ま、考えても仕方ないけどね!とにかく今はバグ討伐よ!」

ミシェルは長考が苦手らしい。未解決の問題は後回しにして、手を付けやすいものから取り掛かろうというのがミシェルの考えだった。

>>秀作



【泡型のボスバグ、泡型のバグ、ミシェル/第9区画 テレビ局前】

光一が投げたアスファルト片により、泡型のバグは青紫色の霧となり爆発四散した。同時に無数のバグ達の赤い眼が光一に向けられる。壁に向かっていたバグ達は進行するのをやめ、ふわふわと宙を浮きながらボスバグのもとへと帰っていく。いつもならば問答無用に敵に突っ込んでいくバグだが、いったん体制を整えるという統率ぶりを見せる。ボスバグはバグ達を指揮する役目を担っているようだ。

「ナイスピッチングね、光一ちゃん!それに光一ちゃんがあいつを倒してくれたおかげで分かったけど、秀作ちゃんのいう通り、たぶんあれシュドウヒロシと関係あるバグだわ。爆発する泡を発生させる犯人いたでしょ?あいつの能力と似た性質だし、さっき消えたバグの体に浮かんだ数字……あれ、シュドウヒロシの囚人番号と一緒よ」

ミシェルが通信機から解析結果を報告する。バグが消滅する際に浮かぶ英数字の羅列、それは石丸彰人の思念具現化装置のプログラムコードと一致するが、同時に囚人番号も浮かびあがることも分かっている。前回の大砲型のバグもそうだが、今回の泡型のバグも過去レスパーダが捉えた犯人の能力をベースに作られているようだ。つまり、あの泡型のバグはなんらかの物理的衝撃を加えれば爆発して勝手に消滅するということだ。

ボスバグが青崎を睨むように目を細める。同時にテレポートゲートからは浜田が現れた。ボスバグは自分と二人のレスパーダ隊員の間に壁を作るように全てのバグ達を移動させる。そして最前列にいる20匹ほどが、一斉に前進を始めた。それはいわば、爆発する壁が迫ってくるようなもので、ちょうど人間が走るくらいのスピードで、バグ達は青崎と浜田に向かって体当たりをしかけていく。そして、自分が消滅する際の爆破に二人を巻きこもうとしていた。

>>秀作、光一

1ヶ月前 No.474

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 テレビ局前】

「ああ、そいつのことならデータベースで既に調べてある」

詳細な性質もたった今目視で確認した。もうこちらにとって不確定要素は存在しない。

「さっさと来い」

バグ達が悠長にご隊列を整えている間、光一は先程と同様のアスファルト片を何十個と切り出し、幾つかに分けて積み上げていた。中途半端に知恵をつけたのが仇となったのだ。

「スピードはガタ落ちのようだな?」

犬科の姿をとっていた時と比べ、明らかに移動速度が低下している。これではせいぜい人間と同じくらいか。

「付け焼き刃の戦術じゃ……」

背中のブレードを鞘ごと外し、納刀したままの状態でバッティングフォームを取る。

「勝てねえよ!!」

そして背骨辺りを軸として振り下ろし、アスファルト片の小山を打ち抜いた。渾身の打撃で飛ばされたそれらは、さながら散弾の如くバグ達を纏めて迎撃していく。わらわらと迫ってきていたものの、目標に達することなく次々と散っていく様は爽快だ。
ざっと10匹ほど片付けられただろうか。残った個体との距離も然程縮まっていない。この分ならあと一手間で雑魚の方は処理できるだろう。あとは増援の類が来なければいいのだが……

>>周辺all

1ヶ月前 No.475

リスト @petit12 ★Android=hOmhArH32s

【エリカ・コルチカム/レスパーダ本部 入口ロビー】

「あははは。ごめんごめん。僕としても割りと予想外の事態だったからさ…」

 食い気味のミシェルに苦笑を返すと開かれたゲートへと入っていった。

◆◆◆

 光の先は見知った光景、というよりレスパーダ本部のロビーだった。エリカがそう頼んだのだから当然といえば当然だが、しかし相変わらずミシェルの仕事の速さには恐れ入る。

(流石はミシェル君だよね。でもまあ、彼女ならもっといい仕事先があると思うんだけどなぁ)

 これを言うと誰かに怒られそうなので口には出さないが。

 辺りを見渡すと、すぐに目的の人物を発見。なにやら小難しい顔をして端末を見ている様子だった。迷わず歩を進めて彼の前に立つと軽く挨拶をしながら端末を覗きこむ。

「やあ、隊長。昨日ぶりだね」

 そう言って覗きこんだ端末に映っていた映像は、

》ロック、周辺all


【こんな絡みで申し訳ないです…】

1ヶ月前 No.476

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_Qc5

【泡型のボスバグ、泡型のバグ、白樫 燐/第9区画 テレビ局前】

現在テレビ局前に発生しているバグは、泡をベースにしたバグである。この泡型のバグは、そもそもバグに耐久力のないところ、さらにその耐久力を捨て、代わりに爆発性を得ているようだ。だがそうなれば当然遠距離からの攻撃には弱いわけで、光一が放ったアスファルト片を避けることもなく、バグ達はその場で爆発を起こしながら消えていく。だがバグ達もこのままでは終わらないとばかりに次の一手をうつようだ。

ボスバグが唐突に体をぶるぶると震わせる。すると、ボスバグの周りに青紫色の霧が舞い、それが新たな泡型のバグへと変化したのだ。どうやらボスバグは周囲にいる泡型のバグを新たに生み出すことができるようで、レスパーダに消された端から新たにバグを生成しようという考えのようだ。つまり、いくら雑魚を片付けようと、大元締めであるボスバグを倒さなければこのミッションは終わらないということだ。

新たに現れたバグとボスバグの周りに待機していたバグが一斉に光一と秀作に向かって流れ込んだ。先ほどは爆発する壁だったが、今回は爆発する波が押し寄せてきたといったところか。最前列のバグを同様に散弾するアスファルト片で爆破させても、後ろのバグが二人を襲うだろう。

光一と秀作にバグの波が迫る中、突如として地面から何かが生えてきた。それは植物の幹で、波の一部をえぐるように生えた幹は数体のバグを貫き、体を貫かれ場バグは自身の体を貫いた幹とともに爆発四散した。

「外が騒がしいと思ったら随分とバグの数が多いですね。お手伝いしましょう」

二人の位置から左手にあたる、テレビ局の出入り口前に現れたのは、防衛大臣の専属SP、白樫燐だった。相変わらず手には林檎を持っており、それを顔の前に持ってきて、口元を隠すような位置に持ち上げている。白樫は余裕綽々といった様子で、二人に向かって爽やかな笑みを浮かべた。そして再度、バグの波の中から木の幹が現れ、数匹のバグが爆発して消える。どうやら白樫は二人に加勢するようで、地面から次々と木の幹を発生させ、バグを数匹ずつ爆破させていく。それでもバグの波は完全に消えることはない。光一と秀作の目の前でぐにゃりと首をもたげるように持ち上がったバグの波は、光一と秀作の頭上と正面から一気に二人を覆いつくし、二人を爆破に巻きこもうとしていた。

>>光一、秀作



【ロック・ランドルド/レスパーダ本部 入口ロビー】

真剣な表情で通信端末を見ていたところ、視界を遮るように誰かが画面をのぞき込んできた。ロックが驚いた様子で映像に割り込んできた人物を確認すると、さらにそのあと驚いた様子で声をあげる。

「エリカ!お前、もう大丈夫なのか?というより、お前、なんで自分を撃つなんてことを……心配したぞ」

まず最初に昨日の今日でエリカが本部に戻ってきたことに驚いたロックだったが、ここはアドバースシティ、病院には治癒系の能力者もいて体調という意味では問題ないだろう。そう結論に至ったロックは次に、エリカを気遣うように声をかける。現状能力で回復しているとはいえ一発の弾丸が腹を貫いているのだ。心配すると同時に軽く咎めておくのも隊長の仕事だろう。とはいえ、それ以上追求したところで過去のことは変わらない。今はこれからのことを考えるのが先だ。特にこの二つの映像に関して、だ。

「エリカ、お前も見といた方がいい。俺の知り合いに頼んでカイと石丸彰人の記憶を読み取ってもらったんだが…俺たちはこれからとんでもないところに踏み込んでいくかもしれない」

そういってロックはエリカに携帯端末に移る映像を見せた。そこにはカイと石丸の記憶映像が映し出されていて、どちらの舞台も能力開発研究所だ。さらに一般的に知られていない能力開発に失敗した人間の存在、それにかかわるトール・オルガヌスと黒い靄の人物……決して表ざたにはならない出来事が、二つの映像に映し出されていた。ロックはこの二つの映像について考えを巡らせていたのだった。

>>エリカ


【いえいえ、お気になさらないでください。カイと石丸の記憶映像については活動履歴および当該レスをご覧ください】

1ヶ月前 No.477

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第9区 テレビ局前】

「よっこらせ。おお、これはこれは」

 ゲートを抜ければ目の前には、ミシェルちゃんから聞いた通り紫色のでっかい泡と紫色のちっさい泡がぷかぷかと宙に浮かんでいるではないか。ちっさいと言っても奥のでかいやつと比べて相対的に見ればの話で、大きさそのものはサッカーボールくらいはあるか。紫色の球体に張り付けられたような紅い眼がこちらを睨む様子は滑稽なような気持ち悪いような不思議、いや、変な光景だ。
 ちらと後ろを見やる。なるほど、バブルボムで間違いないようだ。
 さて何をしてくれるのかと見ていると、小さい泡が隊伍を組んで方陣を布きこちらに壁となって向かってきた。ふーむ、一応指揮系統が生まれたわけね。

「いやにしてもよ、爆発物を纏めちゃダメでしょ」

 賢いのか間抜けなのか、前の方がまだ面倒だった気がする。爆発物を扱う時にはいろいろと気をつけるべき事があるが、一箇所に纏め置かない事はその一つだ。爆発物が敏感なら尚のこと。無論、誘爆を防ぐ為に。
 光一君が刀を振りかぶったのを見て握っていた弾を耳に軽く詰める。アスファルト片に撃ち抜かれ霧散した泡はごくごく短い拍を空けて爆発、そして付近の泡達も巻き込まれるように誘爆していく。

「ほらねぇ?あー、うるせ。ところで光一君よ、あのでかいのはどうしようか。自分から動きそうにはないしまさか白昼堂々街中で爆破させる訳にもいかないし」

 こいつが少しばかり厄介なのをつい先程気がついた。元から脆い上に泡という状態特性。壊し易く保持しにくい。雑魚でもそれなりの爆発力を備えていて大きさが増せば威力も増すと考えた方が筋が通っているだろう。となると、ただ倒すだけで、それだけで被害が発生しかねない。どれだけ威力に差があるのかはわからないがね。前言撤回、前とは違った方向で面倒くさい。

>>青崎 光一

1ヶ月前 No.478

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 テレビ局前】

「チッ……!!」

嫌な予感が当たった。あのデカブツ、その場で雑魚の生産ができるのか。なんて都合のいい機能だ。

「つまらねー時間稼ぎを……!」

一気に蓄積されるフラストレーションに耐え兼ね、能力を発動。溢れんばかりの神経伝達物質が駆け巡り、視覚を超常の域にまで鋭敏化させる。

「はああっ!」

既に積み上げておいたアスファルト片の小山を更に斬り刻む。
さっきよりも一個あたりを無駄なく、効率的に、それでいて威力を殺さないサイズに斬り直す。

「でぇいっ!!」

裁断を終えると即座に納刀、再びアスファルト片を打ち出す。この一連の動作も能力の恩恵によって無駄なく、迅速なものとなっていた。
先程以上に散弾めいたそれは、波となった正面のバグの群れを容易く一掃。頭上からきた群れも、別の小山を鞘で持ち上げるような形で打ち出すことで難なく迎撃できた。態々迂回して余計な時間を空けるからだ。もっとも、迂回しなかったとしても結果は変わらなかっただろうが。
突如として現れた燐だが、彼は今明らかにやる気がない。操る幹は市民ホールで披露したスピードと正確さを失ったように見える。その気になれば十秒と経たず全て片付けられるだろうに。
だからというわけではないが、光一は燐に対して口をきかないどころか視線すら合わせない。しかし一瞬にしてバグ達を薙ぎ払うことで『お前の助太刀など必要ない』と口頭で話すよりも雄弁に語った。
ふと秀作が話しかけてきたので、少しハッとした様子で相槌を返す。

「確かに……そのまま倒したら建築物への損害は無視できないものになるな」

「くそっ…………おい、燐。あんたの能力でアレを拘束できるか?」

このミッションを遂行するにあたって、燐の手助けは要らないという事実は変わらない。だがこのままでは周囲に大きな被害が出てしまう可能性がある。よって光一は渋々ながら彼に協力を申し出た。

>>周辺all

1ヶ月前 No.479

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【泡型のボスバグ、泡型のバグ、白樫燐/第9区画 テレビ局前】

「おや、お見事」

白樫は大げさに感嘆の声をあげる。青崎が次々と正確に、迅速に打ち出したアスファルト散弾は、二人を飲み込もうとしていたバグの波を打ち抜き、次々と泡型のバグを爆発させていく。勢いよく前進していた後方のバグ達は、前のバグが爆破された場所へと突っ込む形になり、次々と誘爆が起こった。だがそのまますべてのバグが爆破の中へと押し寄せたわけではない。状況をいち早く察したボスバグはバグ達の波をいったんひっこめ、誘爆を断ち切ったのだ。

「拘束ですか?もちろん、お安い御用ですよ」

最初は無視を決め込もうとした青崎だったが、浜田の助言によりこちらに話しかけてきたことに、クスクスとおかしそうに白樫は笑う。白樫が人差し指をくい、と動かすと、ボスバグの周りに一斉に木の幹が立ち上がり、ボスバグを包み込むようにうねった。瞬く間にボスバグは木の幹で作られた繭に閉じ込められた状態になる。そしてさらにその外側を木の幹で覆うことで、繭の壁を厚くしていった。これだけ厚い壁があれば、巨大なボスバグが爆発したとしても、周囲の建物に被害が及ぶことはないだろう。そして、木の幹の繭には一か所だけ直径10cmほどの穴が開いている。ここに向かって攻撃を打ち込めば中でボスバグが爆発し、消滅するという算段だ。木の幹の繭でボスバグを包み、そのまま白樫がボスバグに向かって木の幹を突き立てればボスバグは消滅するのだが、そのトドメの一撃を白樫は行わない。あくまでもこの場を治めるのはレスパーダの役目であるという考えだろうか。

だがバグ達も黙ってこの状況を見過ごすことはない。残った数十匹のバグ達は、今度は青崎と浜田を丸々覆うようにドーム状の陣形を取り始める。ボスバグが木の幹に囲まれているのなら、青崎と浜田はバグの繭に囲まれたといったところか。バグ達はじわじわとドームの大きさを縮め、二人へと迫ってくる。バグ達の距離は近い。一匹でも攻撃すればすべてのバグに誘爆し、バグを一層できるが、そうすれば二人には爆破の衝撃が四方八方から飛んでくるという図式になる。向こうも捨て身の作戦に出たというわけだ。このバグの繭さえ突破できればボスバグにトドメをさすことができるが、問題はバグの繭の突破方法だろう。二人を取り囲み、自分たちの爆破に巻きこもうと迫るバグ達をどうにかしなければ、ボスバグにたどり着くことはできない

>>秀作、光一

1ヶ月前 No.480

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第9区画 レスパーダ本部 入口ロビー】

カラン、と乾いた音が静かに響く。雪駄が鳴り、白い着物が翻る。

「式見霧月、出撃します……すみません、遅れてしまいました」

何をしていたのか既に現場にいる2人から大きく遅れてロビーに霧月は現れた。その手には、薙刀ではなく、普段通りの刀を持っている。

「どうやら……随分と派手に戦っているみたいですね。遅れて置いて提案というのも何ですが」

謙虚に前置きをして、霧月は切り出す。

「ミシェルさん、あの雑魚の壁、その外に私をワープさせることはできますか?」

無いなら無いで、何とか出来ないこともないが、基本的に霧月の戦闘スタイルと能力はあのバグ達には分が悪い。近接以外の戦い方が無い上に、それをカバーする身体能力か皆無、その上能力には物理的な防御力が無い。

ならば、霧月が出来ることは一つだ。

「あの穴に私の刀を投げ込みます。投擲に置いては問題ありません。少なくとも狂練でなんとか出来ます」

それはバグの繭、その外にゲートを開くのが前提となるが、最も簡単に事態を解決出来る。

≫ミシェルさん、all

【やっと戻ってこれた……今後ともよろしくお願いします!】

1ヶ月前 No.481

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 テレビ局前】

燐はこちらの申し出に対して快諾の意を示す。何時もの含み笑いは相変わらずだったが。

「協力感謝する……だが、ミッションの遂行そのものにお前は必要ない」

少しばかり草臥(くたび)れた顔で事実を指摘する。ただバグ達を殲滅するだけならば自分達だけで十分こと足りる。それでも協力を頼んだのはミッション遂行の過程で要らぬ被害が発生してしまう可能性があったからだ。自分達はレスパーダであり、軍ではない。基本的に市民の安全を守らなければならない立場を考慮し、より確実な手段を選んだに過ぎないのだ。
燐が操る木の幹は、あっという間にボスバグを捕縛した。やはり出し惜しみをしていたようだ。

「……っと、他人のこと気にしてる場合じゃねえか」

生き残ったバグの群れがこちらを囲うように並び始める。あちらも確実な手段をとってきたか。

「それなら……」

光一は今一度ブレードで足元のアスファルトを斬り刻む。だがそれは今までのような『切り出し』とは違う。より大振りで、より激しく、より大雑把で……つまるところ、『穴堀り』だった。

「ったく、俺はいつから道路工事のバイトに就いたんだ?」

ぼやきながらも手は緩めない。アスファルト片を乱雑に撒き散らしつつ穴を堀り進めていく。無論それらが秀作に当たらないよう注意しながら。
程なくして穴は完成、時間的にはなんとか間に合った。何しろ『人間と同じ速度』でこちらを『ドーム状に包囲』しようというのだから、猶予はかなりあったのだ。

(つくづく、詰めの甘い奴らだ)

「秀作、そっちも上手く凌げよ!」

早速穴に飛び込む。そして手頃なアスファルト片を上方のバグに投げつけると、即座にコートを脱いで蓋代わりにする。バグにアスファルト片が命中した瞬間、その個体を起爆剤として全ての雑魚バグが一掃されるだろう。

>>周辺all

1ヶ月前 No.482

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【ロック・ランドルド、ミシェル/レスパーダ本部 入口ロビー】

ロックは聞きなれた音に気が付くと、音を発する人物の方へと体を向けた。ロビーに響き渡る尻鉄の音がなんとも心地よい。ロックは歯を見せニカリと笑うと、遅れてやってきた人物に声をかけた。

「霧月!今日はゆったりとした出動だな」

ロックは少々茶化すようにそういうも、その表情には霧月がやってくるのを待ちわびていた、という感情が浮かんでいる。戦闘は終盤だが、光一と秀作はバグ達の最後の攻撃にさらされている状況だ。二人なら攻撃をしのいでくれると思うが、問題はボスバグの方だ。ボスバグに関しては不本意ながらレスパーダ隊員ではない白樫燐の手を借りている。白樫がボスバグをどうにかしてしまう前に、レスパーダの手で片を付けたいというのがロックの思いだった。

「バグの壁の外にテレポートゲート出すのね?お安い御用よ!あの白樫ってやつ、自分でも処理できるのにわざとあんなちっこい穴開けてさ!嫌がらせですか的な?自分の実力見せつけてるんですか的な?ってかレスパーダの実力試してるんですか的な?!?!とにかく、なんか挑発的じゃない?ムカつくわ、ほんと!霧月ちゃん!ゲートくぐって即刻あの穴に刀放り投げちゃって!」

ミシェルはロック以上に白樫のやり口が気に入らないようで、けちょんけちょんに言いながら霧月の前にテレポートゲートを開く。ゲートをくぐった先はバグの壁の外、そしてボスバグを捕えている木の幹の繭の目の前だ。霧月の手元が狂わなければ、あの小さな穴に刀を通すことができるだろう。

>>霧月




【泡型のボスバグ、泡型のバグ、白樫燐/第9区画 テレビ局前】

ボスバグは今や完全に白樫が創り出した木の繭の中に閉じ込めらえていた。ゆえに、ボスバグには外の様子を知るすべがない。つまり、ボスバグはバグ達に対して指示を与えられないのだ。指揮をとる大将を失ったバグ達は、もはやもとのバグと同じ、目に入ったものを壊すことだけを目的に動く生き物と化す。よって、青崎が防御態勢に入っても、バグ達はひたすらに前に進むことしかしなかったのだ。青崎の真上にアスファルト片が打ち上げられ、一匹のバグにその破片が迫る。バグにアスファルト片が到達するのは、もう間もなくのことだった。

ボスバグはというと、周囲を木の幹に囲まれ、完全に動けない状態になっていた。なにしろ下手に動いて木の幹に触れようものなら、その体は爆発四散してしまう。木の繭に捕らわれたボスバグは、なにか衝撃が加わり爆発したとしても、木々が吹き飛ぶだけで周囲に被害は及ばないだろう。厚く築かれた木の繭の中で、唯一外から中へと攻撃できる通り道は、直径10cmほどの小さな穴だけだった。

>>光一、周辺ALL


【戻ってきていただきありがとうございます。カイ移送後にカイと石丸彰人への尋問パートがありましたが、そちらの内容は活動履歴に記してありますので、お時間ある時にでも目を通していただければ幸いです。こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。】
>>春宮様



【霧月がやってくる時間と、秀作がなんらかの防御策を練る時間をとるため、今回は進展なしのレスとしました。申し訳ありません。もし、明日20時までにディリム様より投稿がない場合、秀作は光一が作った穴に一緒に入って攻撃をしのいだ、ということにしていただいてもよろしいでしょうか。また、その際には『すべてのバグが一掃された』という描写を入れていただいて構いません。あと、お節介ではありますが、今回のような場合、光一がバグに攻撃して爆破が迫るにも関わらず、秀作には防御手段がなく手の打ちようがない、という場合も考えられますので、「お前もここに入れ」など光一、秀作、二人ともが無事でいられるようなロルを回していただけると助かります】
>>青崎光一本体様


【次レスにて今回のミッションを終了としたいと思います。その後はすぐにトール・オルガヌスへの尋問パートへと移りたいと思いますので、ミッション後は皆さん一旦本部ロビーに帰るという流れでお願いします】
>>ALL本体様

29日前 No.483

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第9区 テレビ局前】

「んー、いいねぇ」

 いけ好かない林檎の男と同時に感嘆の声を発してしまったがその微妙な不快感を無視できるくらいには光一君のアスファルトの切り出しから狙撃までの流れは見事なものだった。あとはこのミシェルちゃんの放送よりも喧しい爆発音がどうにかなればコーヒーでも飲みながらぼーっと見ていたい作業になるんだけどね。
 して、バグの親玉の方も無闇に泡をぶち込んで来たりなどせず、泡の波を引っ込め誘爆の被害を抑える。知恵とはやはり武器である事を再確認。
 しばらくは手出しをする必要もなさそうなので、つま先に切っ先を、膝に鍔を当て、死賭の刀を脚に立て掛ける。そして白衣からスキットルを取り出し一口。

「あ麦茶だこれ」

 今朝足した時に色でウィスキーあたりと間違えたのだろうか。ただ、ウィスキーと麦茶じゃ元の容器は全く別物だからよっぽど寝ぼけていないと間違えないと思うが……よっぽど寝ぼけていたのだろう。まあいい。ちょうど今、林檎の男がデカ物を木の幹で囲んだところだ。これで周りへの被害を気にせずに奴を倒せるわけだ。いや、もうアレならあんたが倒しゃいいだろうに。

「おっと、それよかこっちの方が大変だ」

 見渡せば押し包むように迫り来る小さい方の泡達。既に四方を囲まれ脱出は至難。困った、通信機に刀、スキットルにタバコ、その他諸々の持ち物が駄目になってしまうじゃないか。限界まで寄せて包囲網の外に放り投げれば消失と爆発のタイムラグによりこれらの被害は多分なくなる。あとはこっちだが…。

「んー、大丈夫そうね」

スッパスッパと地面を切るようにしていや、実際切って穴を掘っている光一君を確認。あの調子なら間に合いそうだ。こっちは時期を見計らって壊れちゃ困るもの達を放り投げるとしよう。

「はいはい、どうにかしますよ」

 へらへらと光一君に返事をし、掴んでいた弾丸を地面に撒き捨て通信機を取り出す。

「そりゃ」

 右手で通信機、左手でスキットル、足で刀を真上に放り投げる。勢いのついた物体は幾つかの泡を貫き、それらが消失すると極々短い一拍を空けて爆発。それに合わせて身体の表面のエネルギーを全力で奪う。爆発の衝撃波は全て俺の平衡感覚の乱れと吐き気に還元された。最初の爆発に巻き込まれた他の泡達も誘爆して次々と熱と轟音を撒き散らした。束の間の爆発の連鎖が終わり小さい方のバグは全て消え去る。降ってきた刀とスキットル、通信機を能力で落下の勢いを殺して全てを回収する。

「うーむ、これは敵わんなぁ」

 これで小さい方のバグは全て消え去った。自身もちょっとした不調を除けば全く無事。でかいのも捉えられている。通信機もスキットルも刀も無事。だが、眼鏡が割れてしまった。通信機とスキットルを白衣にしまい、眼鏡を外す。

「おーい、大丈夫?」

 白衣で蓋でもしてあげればよかったかなと思いながら光一君の安否を確認。

>>青崎 光一

29日前 No.484

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第9区画 テレビ局前】

「ふふっ、頑張ります。行ってきますね」

ミシェルさんと隊長さんにそう言いつつ、目の前に現れたゲートを潜る。そこに広がっていた光景は━━━

「カオス、ですね」

目の前には何重にも重なった木の幹と、後方には泡バグの繭。あの中には浜田さんと青崎さんがいるらしいが、あっちはあっちで、何とかするだろう。

「貴方が白樫さんですか。その節はお世話になりました。今回もご協力ありがとうございます」

正直者の霧月にとっては歯の浮くような言葉だったが、礼儀正しく接する。ここで一悶着起こしてあの包囲を解かれては周りに被害が出るし、霧月にも実害が出る。

「では、貴方が望むように、私達レスパーダが決着を付けさせていただきます」

ぺこりと一礼。そして、鞘から獲物を抜き払う。任務に遅れてまで調整した刀は寸分の淀みも無く、鋭く光る。

「━━狂練」

刹那、紅い禍々しい雰囲気が霧月を包み込む。その体格上、あの穴まで刀を投げ込めない霧月だが、狂練は高速剣技の能力。つまり、疾く動く腕と、刀の扱いを併せて、穴まで飛ばす算段だ。

「━━さあて。久々に活躍するかァ」

荒くなった口調で刀を構える。切っ先を正確に穴へ合わせて、何の迷いもなく、投擲した。

「まあ、アイツが作った剣だ。柄は吹っ飛んでも、刀身ぐらいは残るだろ」

つまらなそうに真っ直ぐに飛ぶ刀の軌跡を眺めつつ、呟く。狂練霧月としては、あの幹ごとボスバグを両断したかったが、流石にそれは自粛。

「もう、いいだろ。手応えの無い仕事なんてやる価値もねえよ。俺は寝る」

そう言って、自ら能力を解除し、刀がボスバグに刺さったかなど気にする様子もなく、いや、刺さることも刀身が無事であることも彼女にとっては前提なのだ。

当たり前のことを当たり前にやったからこそ、狂練霧月は「手応えがない」などと言ったのだ。

発動時間が短かったからか、負担も少ないようで、霧月は能力を解除した瞬間、その場にゆっくりと倒れるに留まった。無論、意識は吹き飛ぶが。

≫周辺all

29日前 No.485

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 テレビ局前】

その瞬間だけ、一帯は轟音と爆炎に包まれた。まともな人間であれば確実に重傷を負ってしまうだろう。

「っ痛ぅぅ……っ!」

コートを持つ腕越しに凄まじい衝撃が伝わり全身を打ち付ける。しかし雑魚バグの陣形がドーム状であったことから、唯一警戒すべきである上方からの爆風はそこまで強烈なものではなかった。

「やってくれたぜ……だが、なんとか動ける」

口ではそう言いつつも、まるでダメージなど感じさせない程の身のこなしで穴から飛び出る。
損傷の激しいコートを投げ捨て、改めて体の調子を確認。コートを持っていた腕を始めとして全身が痛むが、戦闘に支障が出るようなものではないので、問題なく任務を続行できるだろう。

「といっても、あと少しで終わりそうだがな」

穴から出てまず視界に入ったのは、宙を舞う一振りの刀。それだけで全て理解した。
あれは霧月のものだ。恐らく自分達の後で出撃して、ボスバグへの攻撃役を買って出たのだろう。

>>周辺all

28日前 No.486

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【泡型のボスバグ、泡型のバグ、白樫燐、ミシェル/第9区画 テレビ局前】

白樫燐は楽し気に目の前で繰り広げられる光景を見ていた。ドーム型に並んだバグ達は、数匹のバグが攻撃されたことにより次々と誘爆し、その体を四散させていったが、大きな音が鳴り続けるだけで青崎と浜田の悲鳴や断末魔といったものは聞こえてこない。やがて誘爆は止まり、その場には地面に立つ浜田と、避難をした青崎の姿だけが残る。白樫はたった二人だけが残ったその風景を、鮮やかな赤色を放つ林檎をくるくると動かし、太陽光を反射させながら眺めていた。

「常人外の速度での退避スペースの確保と、能力を用いたエネルギー吸収ですか。なるほど、お二人ともお見事ですね」

白樫は興味深げにつぶやいた。本心でもそう思っているかは別にして、捨て身の攻撃を仕掛けられたあの場面を、二人ともほぼ無傷で突破したことに感心しているようだ。浜田と青崎は結局樫の手助けなしでバグ達を片付けたのだが、それに関して白樫は不満を持っている様子はなさそうで、むしろ喜んでいるようにも見えた。

「あなたとは初めましてですね、私は防衛大臣の専属SP白樫燐です。以後お見知りおきを」

式見に話しかけられた白樫はこれぞ様式美といった挨拶を返す。胸元に林檎と手を当てると頭を下げ、その後目を合わせてにこりとほほ笑んだ。自分が決着をつけるという式見に対し、どうぞと言わんばかりに白樫は手で木の繭を指し示す。能力を発動し、様子が変わった式見をまた楽し気に眺めた後、白樫は投擲された刀を目で追った。一切ぶれることなく真っすぐと飛んで行った刀は、木の幹をかすめることなく穴へと吸い込まれていった。それを確認し、白樫は素早く手を動かす。そうしてやることで、繭にわずかに開いていた穴も木の幹によってふさいだのだ。間髪入れずに、ぼんっと鈍く重い音があたりに響く。そして、白い煙が木の繭から立ち上った。次いで白樫がぱちんと指を鳴らすと、繭を形成していた木の幹が地面へと引っ込んでいく。やがてすべての木々がなくなると、そこには爆発によって地面がえぐられた跡だけが残っていて、ボスバグは影も形もなくなっていた。

バグ、そしてボスバグともに消滅したのを確認すると、テレビ局周辺に設置されたスピーカーから「あー、あー」ともったいぶった声が聞こえてくる。それはいつもの彼女、ミシェルの声だ。

「テレビ局周辺にお越しの皆様、ただいまこの近辺にバグが発生いたしましたが、レスパーダが、そう、レ・ス・パ・ー・ダが全て駆除しました。皆さま安心してこの後もお過ごしください。ってことでみんな!ミッションコンプリートよ!」

いつもとは違い、おしとやかな声でミシェルから周辺の市民に向けたアナウンスが行われる。だが、ミシェルは先日の記者会見襲撃の際の手柄を白樫に横取りされたのが相当気に入っていないらしく、途中から口調が変わり今回の事件はレスパーダが解決したことを強く主張していた。そして、最後にはいつもの調子でミッションの完了を宣言するのだった。

>>秀作、霧月、光一



【この後ですが、先日予告させていただきましたように、トール・オルガヌスとの対面となります。本部にいるヴィジョンより、『記憶堂(ヴィジョンの店)でトールと会わないか』という提案をさせていただきます。ので、上記レスに描写はありませんが、この後すぐにテレポートゲートを使って本部に帰っていただいてもかまいません。また、もし白樫と会話したい方が入れば短い時間になりますが話しかけてもらってもかまいません。その際はトールに会いに行くタイミングでミシェルから声をかけ、トールの元へとゲートを開きますのでご安心ください】
>>ALL本体様

27日前 No.487

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 テレビ局前→レスパーダ本部】

「片付いたみたいだな」

いつも以上によく働いてくれた相棒を背中に仕舞う。カチャ、と金属同士の軽くぶつかり合う音が光一の気分を任務から平時のそれへと戻す。
夥しく並んでいた雑魚も、我が物顔で鎮座していたボスもいなくなった。やはりこの街はただの都会である方がいい、悪趣味な剥製など不要だ。

「にしても、やりづらくて敵わなかったぜ」

結果的に殲滅できたからよかったものの、持ち前の白兵術を封じられるあの特性は非常に厄介だ。毎回地面やら何やらを削り出すわけにもいかない。

(機関銃でも支給されないもんかね)

所謂射撃の類は苦手だが、数で押し寄せて来るのを迎撃する分にはそう難しくないだろう。拳銃を携行している隊員もいるのだから、重機関銃とまではいかなくとも、自動小銃くらいは配給されてもいいのではないだろうか。
そんなことを考えていると、ミシェルが今回の手柄は自分達だということを主張する旨の放送を行った。こればかりは彼女に全面同意だ、これ以上レスパーダの力を誤認されるような事態は避けておきたい。

(しっかし、この分だと次に出てくるのはセトって奴の能力持ちか……頭痛くなってきた)

彼の能力は布の操作。つまり服を着ていると限りなく動きを制限された状態での戦いを余儀なくされる。

(それでも絶対にぶっ潰してやるがな)

逆に言えば、服を着ていなければ直接的な干渉はできないということだ。いいだろう、やってやろうじゃないか。その時がきたら一糸纏わぬ姿でも蹴散らしてくれる。どこかの地域の裸祭だと思えばどうということはない。

「それまでに、さっさと用件を済ませるか」

軽く悲鳴を上げる体を無理矢理動かし、ゲートへ進む。

>>周辺all

25日前 No.488

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第9区 テレビ局前】

 穴から飛び出してきた光一君。見る限りは大丈夫そうね。コートがボロボロだけど。
 割れた眼鏡を額に掛け直し、耳に詰め込んだ銃弾を右手で取り出す。それを内ポケットにしまい、死賭の刀を肩にあてながらしゃがみ込み地面に撒いた銃弾をひょいひょいと拾い集める。安全上の理由で捨てるしかないが、ここにポイ捨てするわけにもいかない。ミシェルちゃんの強い意志の感じられる放送を聴きながら、取り零しのないよう注意をする。

「さて、と。ミシェルちゃん、トールって人のとこにゲートよろしく」

 すべての弾を拾い切り、ミシェルちゃんにゲートの展開を求め、白樫の方に視線だけ送る。

「で、セキュリティポリスのお兄ちゃんはなんでここにいたのかな?」

 視線さえも外し、霧月ちゃんの刀を取りに向かいながら白樫に尋ねる。大臣がテレビに出演するだとか理由は考えられるが、いきなり登場してさも当然のようにレスパーダに力添えするとはSPの仕事とは思えない。だが、何かを疑った、というよりは単純に、何でこいつが?といった、ただ純粋な疑問だ。
 視線を送らないのはある意味で争うつもりがないことの意思表示だと思って貰えれば幸い。
 抉れた地面から霧月ちゃんの刀を拾い上げれば、死賭の刀と合わせて双刀状態。ちょっと強そう。死賭方は絶対に使うつもりはないが。

「あ、ミシェルちゃん、やっぱゲート本部にお願い。霧月ちゃんぶっ倒れてるの忘れてた」

 振り返れば白い着物の可憐な花が一輪倒れ咲いていた。

>>ミシェル、白樫 燐

25日前 No.489

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【ミシェル、白樫燐/第9区画 テレビ局前】

「私ですか?天雷大臣がこちらで公務、つまりテレビ出演があったので付き添いで来ていたのですが…外で戦闘行為が行われていると聞きまして、大臣の安全のためにも様子を見ようと思いましてね。すると貴方達がいたわけです。それで少々お力添えを」

こちらをちらりと見た後に、別作業をし始めた浜田だったが、白樫はその様子に怯むこともなく自分がここに現れた経緯を話す。浜田が考えた通り、白樫はテレビ出演する防衛大臣についてきてテレビ局にいたようだ。手助けをしにきたとの言い分だが、戦闘時の手の抜き方や余裕ぶりからして、力添えというよりかは冷やかしをしに来たと言った方が正しいかもしれない。ミシェルが今回の事件を解決したのはレスパーダだと強調しても嫌な顔一つ浮かべていないところを見ても、本格的に手を貸したとは思っていないようだ。

「本部へのゲートならさっき開けておいたわよ、秀作ちゃん!霧月ちゃんの能力って発動後に気絶しちゃうのが難点ね。悪いんだけど、秀作ちゃん霧月ちゃんのこと連れて帰ってきてくれない?」

秀作に呼びかけられたミシェルは通信機から返事をよこす。その場に倒れてしまった霧月を放っておくわけにはいかない。後からダンにお使いさせても良いのだが、その間女性を地面に寝転がしておくわけにもいかないだろう。

ミシェルが浜田に話しかけている間に、式見に近づく人影があった。もちろんそれは、白樫燐である。地面に倒れる式見の傍によるとその場でかがみ、片膝をついて式見の様子をうかがう。意識を確認するためか、白樫は右手に持っていた林檎を左手へと持ち替え、空いた右手を式見の頬へと添えた。

「なるほど、能力で一時的にブーストを使用した後は気絶してしまうのですか……このような場合、眠りに落ちてしまった姫は王子のキスによって目覚めさせるべきだと思いませんか?」

白樫は右手を式見の頬に添えたまま、目線を浜田へと向ける。そして手に持つ林檎へ静かに口づけた。白樫の口元は笑っていて、式見と浜田を茶化してこの状況を楽しんでいるかのようだ。おそらく、白樫にとってこれも戯れの一つなのだろう。

>>秀作、霧月



【ロック・ランドルド、ヴィジョン/レスパーダ本部 入口ロビー】

光一がテレポートゲートを使って本部へと帰ってきた時、ロビーではロックとヴィジョンが何やら話をしていた。どうやら出会い頭時に交わされた楽し気な会話ではないようで、ロックは真剣な表情を浮かべていた。ヴィジョンは自身のペースを崩さないのか、相変わらず薄く笑っていたのだが。光一が帰ってきたことに気が付くと、ロックとヴィジョンは会話を中断し、光一へと目を向ける。

「今回もよくやったな、光一。あんなでかいバグは初めてだったが、これからもあんな『バグを統率するバグ』が出てくるかもしれないな…」

ロックは光一にまず労いの言葉をかける。だが今回の任務は次に不安を残すものだった。今回の戦闘はバグの新たな戦闘法が披露されたもので、次回からも同じ陣形、つまりボスバグとバグがセットになった戦闘法をする可能性が高い。少しずつではあるが着実にバグ達は進化を遂げているのだ。ロックはそのことが気がかりのようだ。

「ロック、今は終わったことよりもこれからのことを話そう。光一君、端的に言うと、トールを僕の店、『記憶堂』に呼び出さないか?カイくんと石丸くんの記憶を見る限り、事は能力開発研究所で起こっている。十中八九黒い靄の人物も能力開発研究所の人間だ。敵の本丸で大きく動くのはまずい。そこで、僕の店の出番だ」

ヴィジョンはロックの話を遮るようにして話始める。どうやら先ほど二人が真剣に話していたのはこのことのようで、トールを能力開発研究所から引っ張り出そうという計画らしい。話が中断されたロックは少々不貞腐れるが、ヴィジョンの言う通り、これからのことを話したほうが有益だと考えたのか、ヴィジョンの後を引き継ぐように話を進める。

「レスパーダとしては『バグの発生に関わっている石丸の調査の一環』って名目でトールを呼び出せる。記憶堂なら余計な邪魔が入ることもないだろうから、そこであいつから二人の記憶映像のことを聞けばいい。ここに連れてくるのもいいが、石丸とトールが接触するのはまずいだろ?石丸もカイも、トールがバグとリョウの行方不明事件に関わっている事を証明する証人だからな。あまり近づけたくない。で、光一。お前トールがいる114番研究室直通の電話番号持ってるだろ?その番号に電話かけて、トールを直接呼び出そうって算段だ」

こちらから能力開発研究所に乗り込むのは簡単だが、研究所こそ今追う犯人の本拠地と言っていい。そこで大っぴらな動きをすれば妨害工作や隠ぺい工作など、相手のフィールドで好き勝手されてしまう。かといってレスパーダ本部には石丸とカイとがいるのだ、トールが記憶映像を見た後、この二人を野放しにするだろうか?そして白羽の矢が立ったのがヴィジョンの記憶堂というわけである。バグや行方不明事件に関係ない、能力開発研究所でも、レスパーダでもない場所だからこそじっくりトールの話を聞けるというものだ。研究所を通してトールを呼び出せば他の誰かにレスパーダがトールを呼び出したことがばれてしまう。それを防ぐためにも光一が持つ電話番号が必要なのだ。記憶堂があるのは第7区画の7番街、そこにトールを呼び出せばよいだろう。

>>光一

24日前 No.490

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/レスパーダ本部 入口ロビー→第9区画 テレビ局前】

(……あ)

しまった、と光一は自分がある過失を犯したことに気付く。霧月を現場に放置したままだったのだ。確か能力を使った後は気を失ってしまうはず。誰かが運び出してくれるとは思うが、意識がないのをいいことに下卑た真似を行う輩がいないとも言いきれない。直ぐにでも戻ろうと考えたが二人の労りと作戦構築を無下にするのは論外だろう。

「成る程……流石だな、隊長」

それに、元はといえばトールの逮捕に乗り出したのは紛れもなく自分である。
後ろ髪を引かれる思いで彼らの話を最後まで聞き、終わった途端踵を返す。

「番号の書かれたメモは部屋にしまってあったはずだ。直ぐに取ってくる……と言いたいところだが、済まない、その前に片付けておきたい野暮用がある」

そんな精神状態でも作戦内容をきっちり把握しているあたり、腐ってもレスパーダ隊員といったところか。
急ぎ足で再びゲートを潜り、霧月を探す。まさかこんな形で現場にとんぼ返りする羽目になろうとは。改めて己の間抜けさ具合いに辟易する。

「……そこか」

程なくして彼女は見つかった。幸いなことに周囲には燐と秀作以外誰もいないようだ。
慌て過ぎない程度の速度で駆け寄り、肩を貸そうと手を伸ばす。

>>霧月、周辺all

23日前 No.491

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【白樫 燐/第9区画 テレビ局前】

本部の入口ロビーにいたロックとヴィジョンは野暮用があるといって光一が再びゲートをくぐったあと、お互い顔を見合わせていた。ロックは本気で戸惑っているようだったが、ヴィジョンはそんなロックを含め茶化すように薄く笑顔を浮かべていた。

地面に横たわる式見の傍には、白樫燐がいた。式見の頬に手を添え、楽し気に彼女を見下ろしている。浜田の返事を待っていた白樫だったが、その前に青崎が白樫と式見のもとへとやってきた。何も言わないまま式見に手を伸ばす青崎に対し、ちらりと視線を送ったあと、おやおやと少々あきれるように首を振った。

「せっかく浜田周作さんとこの眠り姫の王子について話をしていたのに、貴方は不愛想ですねぇ。まぁいいでしょう。私もあまりここで油を売っている場合ではありませんし」

白樫は式見の頬に添えていた手をゆっくり撫でるようにしながら移動させ、手を頬から離した。そして、立ち上がると数歩後ろへと下がる。どうぞと言わんばかりに手をゆらりと差し出して、白樫は青崎に式見を連れ帰るように促すのだった。しかし、油を売っている時間はないといいながら、白樫はその場を去ろうとしない。自分から始めた戯れといえるこのやり取りの結末を、きちんと見届けてから帰るつもりらしかった。

>>光一、周辺ALL

23日前 No.492

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第9区 テレビ局前】

 ふーん、思った通り大臣さんがテレビに出演と。でもやっぱりSPが警護対象を離れるのは良くないことだと思うんだが、まあ、それで仕事やってけているんだから何も言うまい。元からきな臭い奴だ、まともな仕事ぶりを期待する方がおかしいのだろう。

「はいサンクスミシェルちゃん。そんで霧月ちゃん回収ね」

 ミシェルちゃんにゲートの礼を言いながら、頼まれた(頼まれなくてもだが)霧月ちゃんの回収に向かう。双刀を弄びながら歩み寄る間に、先に霧月ちゃんの側に寄った林檎コートが茶化してきた。よく考えればその格好もSPとしてどうなんだろうか。すぐに返事をするのも面倒だったので数秒の後に口を開く。

「この娘が白雪姫で林檎を持ってるあんたが嫉妬深い王妃様、残る俺が王子様ってか、やかましいわ。おっと、ちょうど適役の御登場じゃないか」

 こいつが王子役?それは考え付かないな。いばら姫だとしてもこいつは魔女役以外ありえない。
 面倒臭さがった割に元気よく1人漫才をやっているとゲートから光一君が引き返してきた。彼も霧月の回収に来たらしい、倒れる霧月ちゃんに手を差し伸べる。合わせるように白樫が大仰な振りで引き下がる。ちょうどいい、煙草臭い酒臭い俺に王子役なんてのは似つかわしくない。

「あとあれは眠ってるんじゃなくて失神、外部から刺激を与えても反応は無いぞ。…大元の童話の話をするとややこしくなるから止めておこう」

 ものすごーく省いた話をすると白雪姫が目を覚ました理由は王子の部下に殴られたからだ。ちなみに眠った理由は林檎が喉に詰まったからだそうだ。なんで林檎が詰まるんだよおかしいだろ、噛めよ。
 して、テレビ局前には女の子1人とそれを囲うように男が3人、構図的に色々とまずいので、白樫と同じ事をするのは癪だったが、二歩歩けば霧月ちゃんに手が届くところから更に二歩下がって、事の顛末を眺めることにした。

>>白樫 燐、青崎 光一

22日前 No.493

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【白樫燐、ミシェル/第9区画 テレビ局前】

「おや、私が悪役ですか。てっきり私は王子かと思っていました」

白樫と式見、そして自分自身のことを白雪姫になぞらえた浜田に、白樫はスッと口角をあげる。口では自分が王子だというが、心のうちでは逆のようで、自分が意図した内容に則した答えが浜田から返ってきたことに、白樫はなんとも満足気な様子だ。式見から離れた位置で林檎をくるくると回して弄びながら白樫は浜田の方をみる。

「物語だけでなく、現実はよりドラマティックでなけれは、そうでしょう?しかし、王子役が登場したのなら私は黙って去るまでです。なにせ、私はこの場でイレギュラーな存在ですから」

白樫は浜田とのやりとりでこの場に満足したのか、くるりと背を向けるとテレビ局の出入口へと進んでいった。扉の前にたどり着くと、くるりとまた体を翻し、林檎をもつ手を胸にあて、頭を下げる。

「それでは、またお会いしましょう」

その言葉だけ残すと、白樫はテレビ局内へと入っていった。


「ほんっと、最初から最後までいけすかない奴ね!なーにが王子よ!秀作ちゃんの言う通り、あんなやつ悪役がぴったりよ!あ、そうそういい忘れるとこだったわ!さっきね、トールと連絡がついたの」

通信機からミシェルのお怒りの声が聞こえてくる。やはりミシェルは白樫を気に入らないようで、彼女に顔があるとしたら、舌を出して相手を煽る勢いだ。そして、その勢いのまま、重要人物の名前をさらりと出す。

「ごめんね光一ちゃん、善は急げと思ってロックに電話番号探してもらって、連絡もしてもらったわ。さすがに石丸やバクの名前を出すと取り調べに応じたわよ!で、ヴィジョンちゃんの提案でヴィジョンちゃんのお店の「記憶堂」で取り調べすることになったわ!とりあえずそこから一旦本部に戻ってくれる?で、すぐ側に記憶堂行きのテレポートゲート開けとくからそっちに移動しちゃって!あ、もちろん霧月ちゃんは連れて帰ってきてよ?ヴィジョンちゃんは待ってられないって行って先いっちゃったから、向こう行けば会えるわ」

ミシェルは早口でこれからのことを説明する。ついに記憶映像を使ってトールを追い詰めることができるという事態にミシェルも興奮しているようだ。トールが記憶映像をみて、なんらかの暴走をしても石丸は本部に置いたままなので、石丸の安全も確保できている。これでトールの記憶を見ることができれば、より決定的な証拠を手に入れることができるかもしれない。テレビ局前にあるゲートをくぐれば、レスパーダ本部へと移動することができる。そのすぐ側にはもうひとつゲートがあり、それが記憶堂の前に繋がっているようだ。

>>秀作、周辺ALL


【すみません、本日私用があるため早めに投稿します。次レスにて、記憶堂まで移動をお願いします。光一は霧月を霧月の部屋まで運び、記憶堂へ向かうところまでお願いします。霧月は目を覚まし次第ミシェルが記憶堂に誘導しますね】
>>ALL本体様

21日前 No.494

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/テレビ局前→入口ロビー→記憶堂】

霧月を肩に抱え、彼女の部屋へと運ぶためゆっくりと歩き始める。ゲートへ向かう途中、取るに足らない戯れ言が聞こえてきたが光一は全く聴く耳を持たない。少なくとも今は付き合ってやる意味も義理もない。

「……?」

ゲートとの距離があと一歩というところで、ミシェルから通信が入った。どうやらトールの呼び出しはそっちでやってくれていたようだ。余計な手間をかけさせてしまった。

「了解だ、なるべく早めにそっちに行く」

―――――――――――

「よし」

霧月を部屋に運び終わり、一息つく。任務終了からほぼ休憩を挟まずの運動はなかなか堪える。霧月の体格が比較的小柄だったのが幸いだ。

(ようやく、か)

いつにない意気込みで指示されたゲートを潜る。
あのトールをここまで追い詰めることができた、もう実質詰みに近い状態だろう。任務前に見た通り奴を豚箱へブチ込むための証拠は既に揃っている、あの映像を見た時の顔が楽しみだ。そしてヴィジョンの能力は記憶を読み取ることであり、それの改竄などは出来ない。もし奴がでっち上げだのなんだのと喚きだしたら即座に鉄拳制裁を下してやろう。

>>周辺all

20日前 No.495

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【ヴィジョン/第7区画 記憶堂】

記憶堂、それはアドバースシティ第7区画7番街にあるとても小さな店だ。店内は個人経営のパン屋ほどの大きさで、その内装はシンプルだか、異様だ。記憶堂は薄暗く、ネズミ色の大理石の床がその僅かな光で不気味な色を反射させている。床の中央にポツンと木製の長方形テーブルが置かれていて、机の上にはなにも乗っていない。壁はというと夜空のような藍色のようだった。「ようだった」と表現したのは、その壁がほとんど見えていないからだ。部屋の壁にはところ狭しとありとあらゆる種類の時計が取り付けられていて、壁を埋めつくしている。鳩時計、デジタル時計、振り子時計、デザインも丸、三角、六角形のものもある。それぞれの時計が刻む時間はバラバラで、振り子や歯車の様々な時間を刻む音が部屋に鳴り響いていた。

本部ロビーにあるゲートはどうやら記憶堂の中に直接繋がっているようで、ゲートをくぐり抜けた先はすぐ、前述のような異様な光景になっていた。部屋の中央に寂しく置かれた机の回りには椅子が4つ用意されていて、そのうちのひとつにヴィジョンは座っている。暗がりの中でみるヴィジョンは顔の陰影がよりはっきりして、明るい場所でみるよりも一層不気味に見えた。

「おや、君が最初か。さっきはいい忘れたけど、バグ討伐ご苦労様だったね。疲れているかもしれないけど、これからお楽しみが待っていると思うと疲れも吹き飛ぶんじゃないかな」

ヴィジョンはゲートをくぐってきた光一をこちらに手招きすると、椅子に座るよう促す。トールへの尋問はレスパーダ隊員にとっては仕事だが、ヴィジョンにとってはあくまでも道楽にすぎない。ヴィジョンは気楽なものだ。普通ならばレスパーダ隊員を気遣うか、仕事だからと信念を燃やすものだが、ヴィジョンにその気はないらしい。

ロックがトールを呼び足したのはつい先ほどだが、車を使えばもう間もなく記憶堂に到着するはずだ。ヴィジョンは口角をあげ、記憶堂の入り口扉を楽しげに見つめているのだった。

>>光一、周辺ALL


【申し訳ありません、本日も予定があるため早めに投稿させていただきます。次レスでトール到着予定です。また、年内の投稿はこちらが最後となります。本年はお世話になりました。皆様よいお年を】
>>ALL本体様

19日前 No.496

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第7区画 記憶堂】

転送が終わると、若冠癖がある彩りの部屋に辿り着く。これといった照明はなく、壁面にはびっしりと時計が飾られている。秒針の音が些か気になるが、概ね物静かな雰囲気といえるだろう。

「ああ……悪くはない」

手近な椅子に腰掛け、腕と脚を組む。疲れが吹き飛ぶ……とまではいかなくとも、幾らか心が安らいだのは確かだ。仕事でなければ羽根を伸ばして寛ぎたいところである。更に言うなら、ヴィジョンはどこか、ほんの少しだけおばあちゃん染みた所があるのもそれに拍車をかけている。

「しかし、一つ屋根の下で薄暗い部屋に男女で二人きりか……何か間違いが起こるかもな」

無表情で、無神経に、無遠慮に言い放った。
とても女性に対してかけるような台詞じゃない。だが光一は別に錯乱をきたしたわけではなく、ただロック達が来るまでの間に何をしようかと考えていた所、ふとした好奇心でトールよりも先にヴィジョンの表情を崩してみようと思い付いた次第である。その証拠に声色はとても言質として使えるようなものではなかった。

>>周辺all

18日前 No.497

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第9区画 自室→入口ロビー】

「ん……」

霧月が目を覚ましたのは自室だった。目を開けた場所が病院やらあの世やらではない事を見るに、どうやら任務は成功したらしく、道路の上でない事から誰かが霧月をここまで運んで来た事が取れる。

「後でお礼を言わないと、ですね」

能力発動時間が短かった為、身体への負担も小さく、比較的短い時間で復活できたのは僥倖。
するすると来ていた着物を脱ぎ、新しい着物を身に纏う。帯を締め、刀を見るが

「やはり、柄は吹き飛んでますね。このままでは戦えません」

後で柄を取り付けようと思い、何も持たずに(袖の中には何かと入れているが)部屋を出てロビーへ向かう。

「すみません、数分で寝たり起きたりと……現在刀は使えないので戦闘以外で何かありますか?いえ、戦闘の可能性があるなら、薙刀を持って行きますが」

両手が開くのに違和感があるらしく、手をぷらぷらさせながらロビーの方へ話しかけた。

≫all

18日前 No.498

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第9区 テレビ局前→記憶堂】

 光一君は何をするでもなくただ普通に霧月ちゃんを抱え上げる。だが決して残念ではない。俺くらいになるとティーンの男女が何かをするというだけで色々と満足できるのだ。

「はいはい帰んな帰んな」

 仰々しく礼をする白樫を見送る。また会おうなんて言って来たが出来れば暫く会いたくないね。うげぇ、と顔を歪めてため息を一つ吐くとミシェルちゃんから例の出来事に関しての連絡が入ってきた。ヴィジョンさんのお店にトールなる人物を呼び出してそこで取り調べをする予定らしい。まあ、自陣に相手を呼び込むのは基本だろう。どうもヴィジョンさんは中立というか何処にも属していない気はするが。

「おっと、こいつを忘れていた」

 さぁ、行こう、と思ったが右手の刀を見て思いとどまる。あのデカ物の爆発に当てられて柄が吹き飛んでしまった霧月ちゃんの刀。死賭の刀と違って物々交換をしたわけでもないし、彼女もこれが後々必要にもなるだろう。なにより、これ以上両手が塞がり続けるのはちょっと勘弁。

「了解ミシェルちゃん。刀戻してからヴィジョンさんのとこ行く」

 てなことで光一君の入った本部に繋がる方のゲートに飛び込んだ。

===============

「さーて、部屋は、上だったかな」

 ロビーから外に出て、霧月ちゃんの部屋があるはずの階まで飛び上がり、窓の鍵を弄って本部内に再侵入する。廊下を歩きながらどこだったかなと記憶を探る。

「んーと、あ、ここだここ」

 ある部屋の前に来た時にピンと来る物があった。たぶんここだ。さっさと返そうとドアを開けようとしたが一つの可能性を危惧し、手を引っ込める。
 男女が同じ部屋の中で二人きり、もしそんな状態だったら何か間違いがあってもおかしくない、むしろあって欲しい。間違いよ、あれ。

「………」

 気配を殺しながら壁に耳をつけて中の様子を伺う、が嬌声どころか物音一つ聞こえない。間違いはなかったか……まあそれならそれでいい。コン、と一度、大き目にノックするが反応は帰ってこない。まだ寝ているのか。

「入るよ〜」

 と、なるたけ気の抜けた声になるように心掛けてドアを開け部屋に入る。起きていた場合こう気の抜けた声の方が向こうも緊張しなくて済むだろう。

「ぬ、やっぱり寝てたか」

 シンプルな部屋の中、ぐでっと横たわる霧月ちゃんが目に止まった。無防備な異性においたをしようと伸びる右手を「やめなさい」と死賭の刀の背で叩く一人芝居をし、柄の吹き飛んだ刀を鞘に戻す。目が覚めたら鞘の余りがないか聞いておこう。
 さて、何か間違いが起きる前にさっさと退散。

===============

 刀を戻したら店に向かうと言ったな。

「あれは嘘だ」

 自室へ戻り、スキットルの中の麦茶を全て飲み干して一度濯ぎ、ウィスキーに詰め直す。麦茶も悪くなかったがやはりいつもの状態じゃないとなんとなく収まりが悪いのでね。ギュッと栓をする。よし、今度こそ行くぞ。

===============

 ロビーまで駆け戻ると霧月ちゃんがもう起きていた。いや、こっちがノロノロしていただけかな。

「寝顔可愛かったぞ」

 この後の予定の説明をすっ飛ばし、からかうだけからかって開きっぱなしのゲートに飛び込む。

===============

 テレビ局前へ繋がるゲートから全力でターンをし、今度はヴィジョンさんの店「記憶堂」に繋がるゲートに飛び込んだ。

>>周辺ALL、式見 霧月

18日前 No.499

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【ロック・ランドルド/レスパーダ本部
 入口ロビー】

光一が記憶堂へ繋がるゲートをくぐり抜け姿を消した後、ロビーに現れたのは霧月だった。珍しく手が空いていて、その状況になれないのか、霧月はぷらぷらと手を振っている。その様子にロビーにいたロックは小さく笑い、霧月の質問に答えるため口を開いた。

「良かった、目を覚ましたんだな。後で光一に礼を言っておけよ?お前を運んだのは光一だからな。あとお前の刀を持ってきたのは……」

質問に答える前にまずは状況説明を始めたロックだったが、その言葉は秀作の登場によって一時中断した。てっきり刀を部屋に置いた旨を伝えるのかと思ったが、秀作の口から出てきたのはからかいの言葉で、ロックは今度は声をあげて笑った。

「まぁまぁ、許してやれ。お前の刀を持ってきたのは秀作だ。それに、寝顔なら光一と、あと俺も見てるぞ」

霧月が先ほどの一言にどんなリアクションを取るのかは分からないが、ロックは一応なだめるようにそう言う。もっとも、自分も寝顔を見たという一言は余計な言葉だろうが。光一が霧月を運んでいる際に彼女の寝顔を見たので間近で見たわけではないが、それでも他人に寝顔をみられるのは恥ずかしいことだろう。

「さて、本題だがな。俺たちが今やるべきことはひとつ、『トール・オルガヌスへの尋問』だ。カイと石丸の記憶映像から、トールが『能力開発に失敗した人間の失踪』と『バグの発生』に関与していることははっきりしている。だがら、トールに記憶映像を見せて、奴から失踪した人間とバグについての情報を聞き出すんだ。記憶を読み取る能力を持ってるヴィジョンに協力してもらって、ヴィジョンの店「記憶堂」でトールの尋問を行うことになってる。で、さっき秀作がくぐったゲートの先が記憶堂だ。お前にもそこに行って、尋問に加わってほしい。記憶映像はお前の端末に送ってあるからチェックしておいてくれ」

ロックは今の状況を手短に説明した。現在はいよいよトールを追い詰めようという局面である。トールを追い詰める証拠を揃えたのだ、今こそトールの仏頂面を暴くとき。入口ロビーにはひとつのテレポートゲートが存在していて、そこから記憶堂の店内へと移動できるようだ。

>>霧月


【記憶映像の内容については、メモから「活動履歴」をご参照下さい】
>>春宮様



【ヴィジョン、トール・オルガヌス/第7区画 記憶堂】

ヴィジョンは人をからかうのが好きな人間だ。そして、そのような人間は自分がいつもからかう側なので、からかわれると弱い、というパターンがある。だが、ヴィジョンの場合それは当てはまらない。ヴィジョンはこちらに向けたからかいに対し、さらにからかいを重ねる人間なのだ。

「嬉しいな、君が僕の想いに気付いてくれて。じゃあもう言葉は入らないね、さぁ君はどんなタイプが好きかな?」

ヴィジョンは官能的な吐息を吐きながら、机の上に手を滑らせ、やがて光一の腕、肩、首、そして顎へと移動させる。光一の顎を人差し指で軽く持ち上げるようにしながら、にこりと微笑むヴィジョンの顔は、やはり彫刻像に感じる人外の美しさが漂っていた。だが次の言葉を放つタイミングで、ゲートから秀作が店にやってくる。

「やぁ、秀作くん。トールがくるまで君も遊ばないか?」

秀作の目の前に広がるのはヴィジョンが光一の顎に指を添えているという光景だ。暗がりの中男女二人が「遊んで」いるとなると、怪しげな雰囲気も漂うが、実際ヴィジョンにとっては遊んでいるにすぎない。ヴィジョンがいくら20代のように若々しく見えようとも、彼女は齡48である。17の光一との男女の営みなど考えることもしないだろう。

さて、そんな暇潰しに興じていると、記憶堂の表から、車が停車する音が聞こえてきた。ほどなくして、エンジンが止まり、そして扉が開閉する音が聞こえた。車から降りた人物は店の前にやってくると、金属が軋む音を発しながら木製の扉を開けた。店内が暗いせいか、店の外が余計に明るく見える。その明るい世界から一歩暗い店内へと踏み出したその人物は、扉をゆっくりと閉めながら、机の回りに集まる人間を呆れるような目付きでながめた。

「呼び出されてここに来たが、お前たちはお遊びで忙しいようだな。私は研究で忙しい。帰らせてもらっても?」

黒髪をオールバックにした仏頂面の男、トール・オルガヌスから開口一番皮肉が飛び出す。今だ光一の顎に指を添えたままだったヴィジョンだったが、トールの皮肉など気にする様子もなくにこりとトールに向かって微笑んだ。そして、トールの方へゆっくり近づく。

「ようこそ記憶堂へ。あれはちょっとした余興だよ、気にしなくていい。さぁ、どうぞこちらへ」

ヴィジョンはトールをまるでエスコートするように、腰に手を回し光一と秀作が待つ机へと誘う。トールは大人しくそれに従うも、光一と秀作を牽制するように鋭い目を向けていた。トールは机へとたどり着くと、持参したビジネスバッグを床へと置く。そしてトールは光一と秀作を順に見た後腕組み足組みをし、大きくため息をついてなら口を開いた。

「それで?私に何を聞きたい?」

その口調からはさっさとこの場を終わらせたいという感情が滲み出ていた。

>>光一、秀作、周辺ALL

17日前 No.500

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第7区画 記憶堂】

この手の人間はいざ自分がおちょくられると、途端に弱さを曝け出すのが相場である。しかしヴィジョンは数少ない例外であるらしく、光一の予想を完全に裏切る行動に出た。

「……?!」

面食らったとはこのことか。てっきり強い口調で拒絶するかと思っていたが、まさかこんな反応を返すとは。

「え、あ、ちょ……」

彼女の愛撫染みた動きに、平常心を際限なく揺さぶられる。流石に正面きって艶っぽい仕草で迫られたら顔に赤みがさすというものだ。ここまで取り乱してしまうのは何年ぶりだろうか。

「馬鹿っやめ……秀さ、が……!」

最悪のタイミングで秀作が来てしまった。無意識的に『先の展開』を予想していたせいか、更に顔を真っ赤にして猛抗議を試みる。

「っはあ……っ!!」

トールも来たことでようやく彼女から解放され、一息つく。自分でも心臓の鼓動が激しくなっているのが理解できた。

「わ、わざわざご足労頂き感謝する……何、心配しなくても直ぐに済むさ」

未だ興奮したままの気魂を無理矢理、極めて強引に押さえ込む。話し始めこそぎこちなかったが、一拍置くことでほぼ完全に平静を取り戻す。

「まずこれを見て貰いたい」

携帯端末を取り出し、予め用意しておいた動画の再生を始める。先の任務前に送られてきたカイの記憶映像だ。

>>周辺all

16日前 No.501

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第7区 記憶堂】

 ゲートに飛び込めば当然周囲の状況は大きく変わる。真っ先に注意を向けるべきは足元だろう。へぇ、ヴィジョンさんの店の床は大理石なのか。一体おいくら万円したのか気になるところ。
 足が地に着いたのを確認して顔を上げれば…なるほど、間違いはこちらで起きていたか。できれば『ティーン×ティーン』の絡み合いが希望なのだがもういっそ誰かと誰か、いや、何かと何かの絡み合いでも十分だ。

(この前見た某菓子と箸がチョメチョメする上級者向け漫画、エロスを通り越してもはや笑いを取りに来てたな)

 緊張感というか、事に及ぶ寸前の重苦しいような格式ばったような雰囲気を醸しながらいちいち緩急をつけた動きで椅子に座り、シンプルな机に両肘をついて両手を組み合わせ口元を隠す。

「私は結構。さあ、続きを」

 興味を惹かれた物を品定めするように目を細め、慌てふためく光一君と幼気な少年を弄ぶヴィジョンさんを軽く睨みながら、眉根を寄せてそう言う。
 自身、何事においても当事者よりは傍観者を気取る方が好きだ。
 壁中に掛けられた時計の秒針や振り子が少しうるさい。と、エンジン音がカチコチとなる歯車達の音を掻き消して耳に届いた。

「…チッ」

 どうしようもなく空気を読めないタイミングでトールが到着した。逆光を浴びさらに目を細めながら舌打ちをする。舌打ちをしながら、しょうがない、と浜田秀作からレスパーダ隊員の一人へとゆっくりスイッチを切り替えて行く。辛抱堪らず糞が、と心の内で毒突いた。
 本当に帰らないものだろうか、そう思いながら詰め替えられたスキットルを白衣のポケットから抜き取って、左手の親指と人差し指の間で挟み込み先程と同じように手を組み口元を隠して光一君の端末で再生される例の動画が流れ終わるのを待っていた。

>>周辺ALL

16日前 No.502

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【トール・オルガヌス、ヴィジョン/第7区画 記憶堂】

ヴィジョンは心底残念な気持ちでいた。ヴィジョンはまだ光一と会って間もないが、これまでのやりとりで光一は常に冷静沈着でクールな姿勢を崩さないことは理解できている。そして早くもその姿勢を崩す術を見つけたのだ。先ほどの光一の反応は大変初々しく、また貴重なものに思えた。秀作という観客も増えますますヴィジョンのやる気もみなぎるというものだ。だが、次の行動に移ろうというところでトールが来てしまったのだ。ヴィジョンは秀作からなんとなく自分と同じような「他人をからかうことが好き」な雰囲気を感じ取っていたので、二人ががりでやればもっと光一を崩すことができただろう。あぁ、勿体ないことをしたと、ヴィジョンは軽く息を吐いた。

そんな呑気なことを考えているヴィジョンを他所に、トールは光一にカイの記憶映像を見せられても相変わらず仏頂面を保っていた。リョウが能力開発失敗と判断され、トールの研究のためにとリョウを連れていく、そして傍らには黒い靄の人物……言い逃れできない証拠映像を見せられたというのに、トールは一切態度を崩さなかった。映像を見終わったトールは暫く何も言わず、映像が止まったままになっている画面をじっも見続けてる。なにか考えを巡らせているのだろう。少し間を置いて、ようやくトールは口を開いた。

「それで?この映像はどうやって作ったんだ?」

トールは体をのけ反らせ、まるで光一と秀作を見下ろすような姿勢をとる。だが同時に、トールは別の動きを見せた。手のひらを先程床に置いたビジネスバッグへとかざし、手をくいと上へ動かす。すると、ビジネスバッグから一枚の紙がひらひらと舞いながら飛び出し、机の上に静かに着地する。トールの能力は紙を操るものだ、それを使ったのだろう。トールは紙が机の上にくると同時に胸ポケットからペンを取り出した。そして静かにペンを走らせ何か書いた後、それを光一と秀作の方へと押しやった。

『銀の腕輪で盗聴されている。話を合わせろ』

紙にはそう書かれていた。

「言いがかりはやめてもらおう」

トールは紙を自分の方へ引き寄せ、ペンを走らせる。そして再び二人の方へ紙を押しやった。

『あの映像は全て事実だ』

トールは紙の上に静かにペンを置く。この映像のことは口ではなく紙面上で会話をしろという意味だろう。

>>光一、秀作、周辺ALL

15日前 No.503

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第7区画 記憶堂】

トールは映像を見終わると暫し考え込むような仕草を見せた。恐らく決定的な証拠を突き付けられたことで動揺し、咄嗟にどんな言い訳をすべきか頭を捻っているのだろう。

(何を言い出すかと思えば、どうやって作った、だと?)

失笑が漏れそうになるのを必死に堪える。今の映像はヴィジョンが記憶から抜き出したのを電子データとして複製したものだ。つまりでっち上げの要素は何ひとつない、完全なる真実ということである。

(ま、こうなるのは半ば確信してたけどな……)

思考の海で、トールをどのようにして地に伏せるか算段を立て始めた。しかし次の瞬間、光一は驚愕することになる。

(……!?)

さっさと証拠を見せつけてお縄にかけてやろうと意気込んでいた矢先、予想を覆す行動に息を飲んだ。

「……………」

視線をトールの腕輪に移す。まさかあれが盗聴機だったとは。となるとどうしてダンにも付いているのか余計気になる所だが、まだそれを追及するには少し早いだろう。

(今の行動から察するに、盗聴はされていても監視はされていないと考えるのが妥当か)

ペンを掴み、筆談に応じる。どういう風の吹き回しか知らないが、情報を得られるのなら利用するまでだ。

「しらばっくれる気か? “タレコミとはいえ、あんな怪しい動画が遊びで流れるものかよ”」

『あの黒い靄の男は誰だ?』

念のため、秀作とヴィジョンが要らぬ発言をしてしまわないよう二人に目配せしておく。前者は何の心配もいらないだろうが、後者は少し……否、かなり不安だ。

>>トール・オルガヌス、周辺all

13日前 No.504

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第9区画 レスパーダ本部入口ロビー→第7区画 記憶堂】

「━━か、かわっ!?……浜田さんは意地悪です」

浜田さんのからかいに一瞬顔を真っ赤に染め、驚愕するも、隊長さんの言葉に平静を取り戻す。どうやらまた、他人のお世話になってしまった様だ。

「後でお礼を言っておかなければなりませんね」

隊長さんからこれからの事を聞き、とりあえず端末を操作し、その記憶映像を見る。

(記憶を観るとは、すごい能力ですね……)

内心ヴィジョンなる人物に感服しながらも、映像が終わると、端末を袖にしまい、ゲートへと歩いていく。

ヴィジョンの能力ならば、もしかしたら、自分が思い出せない、あの時の殺戮の真実が明らかになるかもしれない。そんな、淡く、手を振れば消える程度の期待を抱きながら霧月はゲートをくぐった。

「式見霧月、遅れました」

記憶堂の内装に行こうとする目を抑え、オルガヌスさんを見やる。現在は証拠となる記憶映像を見せて、尋問中なのだろうか。

(いえ、違いますね。あれは……筆談?)

状況を理解した霧月は、すぐさま周囲に従う。戦闘用の武器の一つが使用不能で、尚且つ現在丸腰である事が敵に割れるのは避けたいと思い、沈黙する。

その代わり、端末のメール作成を開き、何やら打ち込んでから、浜田さんと、恐らくはヴィジョンであろう女性へ向ける。

『どうやら、盗聴されているので、ここからは筆談になる様です。オルガヌスさんに話を合わせて下さい』

霧月の端末にはそう書いてあった。

≫周辺all

13日前 No.505

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【トール・オルガヌス、ヴィジョン/第7区画 記憶堂】

今回の尋問において、ヴィジョンは極力口を挟まず、傍観者を全うしようという心構えだった。自分の店で行われているやり取りであるとはいえ、これは自分の仕事ではない。レスパーダ隊員に指示された時にだけ自分の力を使う、それだけがこの案件における自分の仕事だった。だからこそ、このやりとりを第三者の目線で見ているからこそ、ヴィジョンは目の前で繰り広げられたやり取りに興奮を覚えていた。自分が想定していた展開とは違う予想外の一手、その時に背中に走るゾクリとした感触……まるで目隠しをしてジェットコースターに乗っているような気分だ。この行先のわからぬジェットコースターにヴィジョンもぜひ乗り込みたいと思うところだが、そこはぐっと我慢する。これから行われるやり取りは、レスパーダだけでなくこの街全体に影響を及ぼすような、そんな重要なものである……ヴィジョンはそう感じていた。そんな場で発する言葉、あるいは筆談する言葉がどれほど重いものか……とてもヴィジョンが責任を負えるものではないだろう。よってヴィジョンは静観を続けることにしたのである。こちらに目を向ける光一には心配するなとニコリと微笑み、端末の画面で話しかけてきた霧月に対しても、承知していると一つうなずいたのだった。

トールは光一の言葉を聞いて、安堵するように息を吐いた。こちらの意思がきちんと伝わり、光一が記憶映像に胡散臭い説明をわざとつけたことにとりあえず安心しているようだ。だが光一の書いた文字の方を見ると、トールは再びしばしの間沈黙する。当然トールは黒い靄の人物が誰か知っているだろうが、それを教えるべきかどうかを迷っているようだった。トールは険しい顔つきのまま光一、秀作、霧月を順に見て、最後に目の前にある紙へと目線を戻す。そして目を閉じて、再び目を開けた時には、その瞳には強い決意が映し出されていた。

「タレコミ?ほぉ、治安維持部隊レスパーダは他人が持ち込んだ怪しい映像を本物だと信じるのか?」

口ではいつもの冷たい口調を保ちながら、トールはさらさらと一人の人物の名前を紙面上に書いた。

『フェリス・ヨーシャンク』

そう、それが黒い靄の人物の正体。能力開発研究所の所長、フェリス・ヨーシャンクが、二つの記憶映像に映し出されていた黒い靄の人物だった。

>>光一、霧月、周辺ALL


【メモにて今回の尋問について聞くべきことなどを記しておきます。皆様紙面上でトールに質問し、どんどん情報を聞き出してください。(『ペンは自前で持っていた』としていただいて構いません)情報は随時メモにて更新していきます】
>>ALL本体様

12日前 No.506

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第7区 記憶堂】

 端末の動画の再生が終わったのを見て、組んだ手を崩し右手でスキットルの蓋を開けウィスキーを一口呑む。動画のトールの表情を見る限りあまり楽しそうではなかったし、此奴自身ああいった事には抵抗があったのかもしれない。
 筆談というなんだか面倒なことになっているから話は光一君に進めてもらうとしよう。自分は適宜その時に応じて動くとするのがいいだろう。

「………」

 もっともこの状況ではやる事がない。
 尋問は横槍を入れなければ個対個の狭いやり取りの場であるし、筆談は一対一向けのコミュニケーション方法だ。筆談は情報の発信までに時間が掛かる故に、第三者が割り込む余地なぞない。
 ついでに言えば俺がアレやったら書き間違えるか言い間違えるか、どっちかやらかしそうだ。
 やる事もないので業務と全く関係のないメッセージを霧月ちゃんの端末に送る。

『そげな事はさて置いて、霧月ちゃんよ。余っている鞘とかないかい?』

 ちらりと紙面を覗くが…誰だフェリスって。ふーむ、今度からはちゃんと資料読まなきゃかなぁ。

>>式見 霧月

12日前 No.507

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第7区画 記憶堂】

ヴィジョンはこちらの意図を察してくれたのか柔らかな微笑みを返す。どうやら不安は杞憂に終わったようだ。

(まずは一安心か)

トールの方も今の言葉で胸を撫で下ろす。しかし紙に書かれた文字を見た瞬間、少しばかり躊躇った後、何かを吹っ切ったような面持ちで返答する。

(やはりな)

トールや石丸と頻繁に会い、かつその二人に命令できる程の権限を持つ人物となるとかなり限られてくる。そして決定的なのは石丸を連行した時の流れだ。彼が騒ぎ出すと奴はわざわざ自ら出向いてそれを鎮静化させた。記憶が改竄されたのも恐らくこのタイミングだろう。

「そうだ、怪しい。怪しすぎるんだよ。それに今の一つだけじゃないぞ」

言うが早いか、今度は石丸の記憶映像を再生した。勿論筆談も忘れない。

『エミリー・ギラムは何者か、リョウも含めて今は生きているのか』

『バグの製造方法及びそれを事前に防ぐ術は』

『ダン・ダルシアというレスパーダ隊員にも腕輪が付いているのはなぜか』

『そもそもどうして今盗聴されているのか』

少しだけ能力を使い、とりあえずこの場で聞いておきたい事柄を片っ端から羅列した。あまり冗長にやっていると二人を長く待たせることになってしまう。

>>トール・オルガヌス、周辺all

12日前 No.508

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【トール・オルガヌス、ヴィジョン/第7区画 記憶堂】

トールは一つ目の記憶映像と同じく、石丸の記憶映像を見ても特にリアクションはせず、仏頂面のまま流れる映像を見ていた。そして、光一が紙に書き連ねていく文字列を眺める。しばし間を置いたあと、トールは人差し指で何かを招くような動作をした。すると自前のビジネスバックからするするとまた紙がはい出てきて、一枚はトールの前に、さらにその横に何枚かの紙が重ねられるようにして置かれた。筆談をしたければこの紙を自由に使えということらしい。もっとも携帯端末をもつレスパーダ隊員ならばそちらを使った方が早いかもしれないが。

「わざわざ二つも捏造動画を用意してご苦労なことだ。その動画を作った奴は私に相当恨みがあるらしい。尤も、私には覚えがないが」

口ではわざと光一を煽るような言葉を言いながらトールはまたペンを走らせていく。

『順に説明する。

リョウとバグに関しては、まず私の研究の話をしなければならない。私は研究を進める中で人間がそれぞれ個々人に『能力情報』を脳内に持つことを発見した。この能力情報が活性化していれば能力者だ。この街の外の人間も能力情報を脳内に持っているが、不活性状態だから能力が使えない。不活性の能力情報を無理やり活性化させるのが「能力開発」。そして、私はこの能力情報をデータ化して取り出し、デジタルデータとして扱うことに成功した。そこまではよかったが、フェリスに目をつけられた。

前々から能力開発に失敗し、永遠に眠るだけになった人間の存在を能力開発研究所は隠していたが、能力開発に失敗した人間の”再利用方法”をフェリスが思いついた。能力開発失敗によって壊れた能力情報を、外部から補完する方法だ。『私の研究によって取り出し可能となった能力情報を、能力開発に失敗した人間に補完することによりその人間を目覚めさせる』それがやつの考えだ。開発に失敗した人間に入れ込む能力情報はこちらで選択できるし、データを改良してから入れ込むこともできる。つまり、あらかじめ決められた能力を持った能力者を作ることができる。強力な力を持つ能力者を作ることも容易だ。それに使われたのがリョウ。彼は生きている。ただし、カイとは会わせない方がいい、もう彼は別人だ。

そしてバグ。これも私の研究によって生み出された。正確には「私が取り出した能力情報」、「石丸の思念具現化装置」そして「エミリー・ギラムの能力」によってバグが生み出されている。エミリー・ギラムは「想像したものを創造する」能力を持っていた。空想のものを現実に召喚する。その能力を私の研究によってデータ化し取り出した。そしてそのデータを思念具現化装置に入れ込み、「バグ生産装置」を完成させた。バグ生産装置は今やどこにあるのか私にもわからない。知っているのはフェリスだけだろう。バグ生産装置を壊さない限りバグの発生は止まらず、事前に防ぐ方法もない。そしてエミリー・ギラムも同じところに幽閉されているだろう。彼女の存在を知るのはカル・ギラムという男だけらしく、フェリスはやつを殺したがっている。』

ここまで書いたところで、トールは一息ついた。一気に文章を書き上げたところで手が疲れてしまったのか、しばし休息といったところか。残る二つの質問にをこたえようと、トールはペン先を紙に当てる。しかし、すぐに書き出すことはせず、しばらく銀の腕輪を眺めていた。その顔には今までに見たことのないような、寂しさのようなものが浮かんでいた。

『私はリョウの件にも、バグの件にもかかわっているが、進んで協力したわけではない。私は脅されている。私が裏切らないか見張るために盗聴されている。私は大切な友人を人質に取られている。そいつが生きていくために、私はフェリスに協力せざるを得ない。』

これで残る質問はダンがなぜトールと同じ腕輪を持っているのか、という質問のみになった。その答えを書き出すまえに、今度はトールの顔に激しい怒りの感情が浮かんだ。唇をかんだわけでも、顔をゆがめたわけでもないが、トールの瞳には確かに憎悪の感情が浮かんでいた。

『あの腕輪はあいつのものじゃない』

その一言だけ書くと、トールはペンを置いた。それ以上のことを答える気はないようだ。

>>光一、周辺ALL

11日前 No.509

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第7区画 記憶堂】

捏造、という言葉を聞いて思わず吹き出しそうになる。しかしそれを気力で堪え、辛うじて無表情を貫いた。嘘だとわかっていても事実と余りに差違のある発言は、時として抱腹絶倒しかねないものだ。

(……危なかった、もっと集中しねえと)

己を戒め直し、紙面へ意識を注ぐ。

(バグ発生装置、ね……)

頬杖をつき、深くため息。
大体のメカニズムは今の説明でわかったが、肝心の所在が不明とあっては対処のしようがない。何らかの手段で位置が判明するまで、延々と後手に回るしかないと考えると気が重くなってくる。

(エミリー・ギラム辺りの経緯がどうもキナ臭いな)

他の事項もそうだがとりわけこの辺が怪しい。エミリー、というのは明らかに女性名だ。そして女性が人体実験に使われた……とくれば、その内容は『女性としての尊厳』を『意図的に蹂躙』するものであることは想像に難くない。まだ確実にそうだとはいえないが、それならばカル・ギラムがあれほどの行動力を持つのも納得だ。

(だが、それで罪が帳消しになるなんてのは有り得ねえ)

彼の行った狼藉が消滅、などと虫のいい屁理屈は通用しない。情状酌量の範囲もたかが知れている。最低でも歯の一本ぐらいヘシ折らなければ筋は通らないだろう。トールについても同様だ。

(……女々しいな)

純粋に、心から、そう思った。
無論フェリスは正真正銘のクズだ。しかし脅迫されている者達は違うかというとそうでもないらしい。友人諸諸より、何としても責任から逃れようとする魂胆が透けて見える。案外、フェリス達の集まりも類は友を呼んだ結果なのかも知れない。
とはいえ、一応は『仲間を守る為に仕方なく悪事をしている悲劇のヒーロー』という体裁をどうにか保っているので、今ここで断罪するのは止めておこう。それにまだ情報面での価値もある。

「……む?」

急にトールの表情が変わる。否、視覚的な変化は少ないのだが、『怒気』とでもいうべきものが溢れだしているように感じられた。

「火のない所に煙は立たねえ。いちいち完全に信頼できる情報ばかり構ってたら犯罪率は減らせん」

『リョウが別人になっているとはどういうことか』

具体的にどのような状態になっているのだろうか。石丸にやったものを、より大規模かつ深刻にしたものと思われるが……

>>トール・オルガヌス、周辺all

8日前 No.510

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【トール・オルガヌス/第7区画 記憶堂】

ダンのシルバーのリングについて触れられ一瞬怒りの感情を見せたトールだったが、今は先ほどと同様冷たい目線をレスパーダ隊員へと向けていた。これまでもそうして自身の感情を押し殺してきたのかもしれない。

「そうか、その勤労ぶりには感服する。だが残念ながら、今回のそれは外れだ」

光一の質問に対しトールは再びペンを取った。

『フェリスは能力開発に失敗した人間を再利用することを考えそれを実行したが、一つ誤算があった。他人の能力情報を脳に入れ込むとその人間は能力をただ使い続けるだけの暴走状態になってしまう。そこでフェリスは自分の『催眠』能力を使って別人格を与えた。記憶をリセットし別人にすることで正気を保たせたというわけだ。リョウは他人の能力情報を埋め込まれ、暴走状態から逃れるためにフェリスの催眠によって別人格を与えられている。だからある意味ではこの世にもうリョウはいない』

トールによればフェリスの能力は『催眠』であるらしい。カイの記憶からリョウが消えていたのも催眠の能力によるものだろう。フェリスの催眠によって与えられた人格ならば、当然フェリスに従順な性格になっていることが予想される。意図的に強化された能力情報を埋め込まれた人間が、フェリスの意のままに動く……つまりフェリスは能力開発に失敗した人間を使って、強力かつ従順な兵を手に入れることができるというわけだ。リョウもそのうちの一人になっているのだろう。

トールはちらりと時計を見る。そして小さく息を吐いた。それはこの尋問の場にタイムリミットがやってきたことを意味する。

「悪いが時間切れだ。往訪の予定があるので私は失礼する」

何かが始まる時間が迫っているらしいのか、トールはペンを持つと先ほどよりも早いスピードで文字を書いていく。

『フェリスはこの街にいる全ての人間の命を使って自分の目的を成し遂げようとしている。そしてそのための段取りは既に終わり、もう誰にも奴を止められない。だが、奇跡的にフェリスを止めることができるとしたら、それはお前たちレスパーダだけだ。たとえ勝率が天文学的な数字だとしても、私はお前たちに賭ける』

文字を書き終えるとトールは横に置いてあった新しい紙を手元に引き寄せる。そこにはリスト形式で言葉が記されていた。


・バグ発生装置を止めろ。
詳しい場所はわからないがあれは大型の装置だ、まだ遠くへは移動できないはず。能力開発研究所の地下にある可能性が高い
・2つの結界装置を止めろ
詳細は省くがこれが起動すればこの街にいる人間すべてが永遠の眠りにつく。もうすぐフェリスがこの街のどこかに設置するはずだ。探して壊せ
・フェリスを止めろ
これからお前たちの身に何が起ころうと、どんな相手が立ちふさがろうと、フェリスを捕えろ


どうやらトールはレスパーダの「勝ち筋」を示してくれたようだ。バグ発生装置も結界装置も場所ははっきりしないが、これらの機器はフェリスにとって重要なものらしい。これを破壊できればフェリスの計画を止めることができるはずだ。フェリスの計画がどのようなものかトールは記さなかったが、この街にいるすべての人間の命を巻き込む計画であることは間違いない。フェリスの計画が実行されれば、それはこの街の終わりを意味するだろう。

トールは立ち上がると机の脚に立てかけておいたビジネスバッグを持ち、記憶堂の出口へと歩いて行った。そして扉に手をかけ、顔だけを後ろに向け目線をレスパーダ隊員へと向ける。

「これからの活躍に期待している」

今までの『会話』だけを聞いていたのなら、これは暗に「無駄骨ご苦労様」という言葉を込めた皮肉になっただろう。だが、筆談の内容を含めるならば、先ほどの言葉は真にレスパーダへ希望を込めた言葉だった。そして返事を待たぬまま記憶堂を出ていく。記憶堂には冷たく静寂な空気がしばらく流れたのだった。



【ミシェル/全隊員の通信機】

静寂を破るのはいつでもミシェルである。それも仕方がないことだ、なにせトラブルというものはいつでも前触れなしにやってくる。その第一報を知らせるミシェルは静寂を破らざるを得ないのだ。

「ちょちょちょちょちょちょ!大変大変大変大変たーいーへーん!!やばいマジやばいって!空前絶後のやばさなんですけど?」

最近ミシェルの声のテンションはうなぎのぼりだ。ボスバグの時の焦りようもなかなかのものだったが、今回はまたそれを上回る焦りようと叫びようだ。レスパーダ隊員が持つ通信機はミシェルの金切り声に耐えられないのか、時々キーンと雑音を発している。

「やばいって!さっき出たボスバグとバグ達みたいなのいたじゃん?あれがさ、同時に3か所も出てんの!「第5区画 大通り」と「第6区画 中央公園」と「第9区画 小学校校庭」!マジ意味わかんないんですけど!あのボスバグとバグの組み合わせわりと厄介なのに同時に3か所って……とにかく早くやっつけないといけない的な?ってか一か所につき一人ずついかないと間に合いません的な?どこも市民がいっぱいいるとこだし、もぉとりあえずなんとかして!ゲート3つ開けるから!!とにかくミッションスタート!!」

ミシェルは相当パニックになっているのかいつものようにカウントダウンをせずにミッションの開始を宣言する。すると、記憶堂の中には3つのテレポートゲートが現れた。どうやらアドバースシティの3か所にボスバグと大量のバグが現れているようだ。戦力を分散させる作戦だろうか。いずれの地点も人が多い場所なので一つずつ対処していくのでは被害が大きくなってしまうだろう。ここは一か所につき一人ずつ向かい、一人でボスバグとバグを処理するしかない。3つのゲートはそれぞれ「第5区画 大通り」、「第6区画 中央公園」、「第9区画 小学校校庭」に通じている。どの場所にどんなバグが待ち受けているのかは、行ってみなければわからないだろう。

>>ALL本体様

7日前 No.511

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第7区画 記憶堂】

「外れ……? フン、どうだか」

(リョウが本来の人格を取り戻す見込みはなさそうだな)

説明を見る限り、改竄前の状態に戻すことは絶望的と見ていいだろう。それならばいっそさっさと始末し、カイにはリョウが実験の過程で死亡したと伝えるべきか。

(『催眠』能力の使用に、特にリスクがないなら奴の兵士は無数にいると考えた方がいいな)

トールは視線を時計へと移し、ため息を一つ。どうやら予定が詰まっているらしい。ペンを走らせるのもこれで最後になるだろう。

(既に段取りは終わっているだと……?)

思っていたよりも事態は予断を許さないようだ。急に知らされた危機に対し、さしもの光一も内心で焦る。しかし動揺する暇すらなく次の紙が目の前に現れた。

(これは……)

後半二つよりも一つ目の要項に釘付けとなった。バグ発生装置の具体的な場所、確定でないとはいえ、こういった情報は大いに助かる。本来ならば結界装置とやらについて注目すべきなのだが、恐らくこれが先程書かれた『段取り』の内容である上、具体的な場所は判明していないので一旦無視してもいいだろう。

(捕らえろ……か、言われなくともそのつもりさ)

これらの情報は存分に有効活用させて貰おう。これ以上の情報提供は望めないが、道標となるものはあった。今のままでも十分に豪壮といえる。

「俺達の活躍はお前達の逮捕に繋がるだろうがな」

トールが去っていったのを皮切りに、その場に暫しの静けさが訪れる。
これといった運動はしていないが、些か疲れた。ミシェルに報告するのは少し休憩してからにしようと考えたところで、当の彼女が突然騒ぎ出した。

「どうしたんだ……というか、お前いつも似たようなこと言ってないか?」

そんな軽口を叩くも、次の言に絶句することとなる。

「………………………………ホントに、どこまでも鬱陶しい連中だ」

ため息と共に、あらん限りの憎悪と憂鬱が入り混じった呪詛を吐く。しかし直ぐに何時もの調子を取り戻し思考を任務のそれに切り替える。

「……俺は第9区画の方に行かせて貰う」

緊急事態なのはどの区域も変わらないが、やはり子供が多数いるであろう小学校の方が優先されるべきだ。

「その前にミシェル、本当に新しく武器とかは支給されないもんなのか?」

もし現場にいるのが泡型バグだった場合、早急な殲滅は難しくなる。いちいち地面を掘り起こすわけにもいかないだろう。だが機関銃類と十分な弾薬があれば幾らか容易になる筈。

>>周辺all

6日前 No.512

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【ミシェル/全隊員の通信機】

「今回はいつもとテンション違うわよ、多分!だって同時多発的な?テロですか的な?とにかくミシェル的にはいつもよりかなり焦ってるって!!」

いつも同じことを言っていると光一に言われ、ミシェルはいちいちその言葉に言い返す。今回は特別に「ヤバイ」というところを強調したいようだ。そして光一から新たに武器がないかと聞かれ、ミシェルはうーんと唸り声をスピーカーから響かせる。


「今からよね?うーん、護送隊の電撃銃ならすぐに貸してもらえるかも。でもさ、さっき各地に現れたバグ確認したんだけど……第9区画にいるこいつ、銃効くのかな?」

その言葉と共に、ミシェルは光一の端末に一枚の画像を送った。それは監視カメラの映像を切り取った写真で、校庭の真ん中に青紫色の物体が複数みえる。一番大きな物体がボスバグなのだろうが、今までのバグとは決定的に違う点があった。その青紫色の物体は人の形をしているのである。今まで動物、物体の形だったのに対し、写真に写るのは二本の足があり胴があり、頭がある姿だった。正確にいえば、頭は狐の形で手の指が刃物のように細く鋭く尖っているので完全に人間の形ではないが、それでもこれまでよりもより人間に近い存在になったことは明らかだった。ボスバグの周囲には、1m程の両手剣に赤い眼が浮かんだ剣型のバグが無数に浮遊していて、前回同様ボスバグがこれらのバグを操っているのだろう。前回の泡型のバグは刺激を与えれば爆発する特性を持っていたからこそ銃での攻撃が有効だったが、このバグに同様の特性があるだろうか。

「電撃銃いるなら光一ちゃんが移動した先に送るけど、どうする?」

護衛隊隊長のリッキーにミシェルから連絡すれば銃を貸してもらえる。今は一刻を争う事態だ、ミシェルが連絡するのと、光一が移動するのは同時にやった方がいいだろう。

>>光一、周辺ALL

6日前 No.513

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第7区画 記憶堂】

(フェリス・ヨーシャンク……私達が最初にオルガヌスさんと接触した時に会いましたね)

オルガヌスさんの話を黙って聞きながら、記憶を巡る。そして、それより何より。

(本当の敵は、タナトスでは無い?)

能力開発研究所、タナトス、そしてレスパーダ。能力的武装組織がこの街には3つあったのだ。そして、オルガヌスさんの話が本当なら、それこそタナトスを相手取っている場合ではない。

(ん?メッセージ……)

端末を見ると、浜田さんから届いていた。内容は、恐らく死賭から結果として奪ってきた細身の刀の事だろう。こんな状況でも一切ブレない浜田さんに尊敬と呆れの入り交じった溜息をつき、浜田さんの方へ微笑みつつ、端末へ文章を打ち込む。

『自室のクローゼットの中に幾つか趣味で集めたものがあります。刀を見せていただければ、合う物も見つかるかもしれません』

霧月の自室は至って簡素なものだが、タンスには白い着物がびっしりと並んでおり、クローゼットには彼女の刀の鞘などの刀関連の道具が詰まっている。

「オルガヌスさん、何度となく協力ありがとうございました」

去っていくオルガヌスさんに礼儀正しくお礼を述べつつ、盗聴器から距離を置けたのを確認して、

「フェリスさんが黒幕なのだとしたら、随分と厄介ですね。如何せん、私達には物量というものが圧倒的に足りていませんから━━」

言葉を続けようとした時、いつも通りのミシェルさんの声。また任務か、と思ったが、その内容を聞いて霧月の表情が強ばる。

「早速物量戦術ですね。私は第5区画へ向かいますが、その前に、残念ながら得物が手元に無いため、一時自室へ行きますね。あ、浜田さんも来ますか?鞘が必要なんですよね?」

そして、バグの特徴を聞き、霧月の眼はレスパーダ隊員のそれから、稀代の剣豪と言っても遜色のないものへと変わる。

「剣、刃物ですか。尚のこと負けられませんね。フェリスさん、いえ、フェリス・ヨーシャンクには手勢を使い分ける能力が無いと見えます。式見家の跡継ぎとして、全力で切り伏せます」

何気にスイッチが入っている霧月だった。

≫all

6日前 No.514

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第7区画 記憶堂】

「?」

ミシェルの言と共に送られた画像を確認し、眉間に皺を寄せる。また新しいタイプ、それも今度は人型か。とりあえず退屈はせずに済みそうだ。

(おかしい……石丸による戦闘データの解析、フィードバックは出来ない状態の筈なのに)

どうしてこうも多数の派生型が生産され続けている? 単純に彼以外の手駒にやらせていたのだろうか。或いはバリエーションの増加は戦闘データなど関係なしに行えるものなのか。

(今はそれを考えても仕方ねえな)

余計な思考を振り払い、今度こそ心意気を任務のものに変える。

「電撃銃か……一応、手配を頼む」

贅沢を言えばアサルトライフルやサブマシンガンなどが良かったのだが、この際それは野暮というものだ。それに今回は接触と同時に爆発するタイプではないと思われるので、銃を持つアドバンテージは『ないよりはマシ』程度になるだろう。

(霧月は第5区画か)

彼女もまた、面持ちを戦士のものに変化させ、戦場に赴かんとする。

「そっちも気を付けろよ」

白花の剣客に短く言い残すと、恐慌状態に陥っているであろう校庭へ向かうべく、ゲートへ足を進めた。

>>周辺all

5日前 No.515

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第7区 記憶堂→第6区 中央公園】

 霧月ちゃん曰く、鞘の余りがあるとのメッセージを確認し、脳内を空っぽにしながら水面下の対談が終わるのをぼーっと待つ。本当に脳味噌が詰まってないんじゃないかと錯覚しかけたところでトールと光一君の対談は終わりを告げた。
 店からトールが出て行くのを黙って見送り、組んでいた手を解いて対話に使われた紙たちに手を伸ばし、ダン、と机に手を打ち付け、それらを引き寄せる。
 順番に並べ、ざっと目を通して内容を改める。一通り頭に入れ、紙を摘んでいた指を離せば紙は滑るように机の上を流れていった。
 スキットルの蓋を外しウィスキーを一口飲む。それと同時にミシェルちゃんからのいつもより一回り慌ただしいアナウンスがなされた。うん、うるさい。
 また一口飲んで椅子から立ち上がり体を捻ってバキバキと背骨を鳴らしながら霧月ちゃんの鞘探しの提案にに応える。

「いや、あの変なのが沸いてるならそっちを優先したいかな。武器は…」

 腰のホルスターと白衣の弾薬を確認する。浜田秀作でもレスパーダ隊員でも、理由は異なれど同じように俺は奴らの殲滅を優先するだろう。

「うん、武器は万全だから戻らなくても大丈夫そうだ。さて、私は残りの公園に向かいますかね」

 座りっぱなしで凝り固まった体をほぐすように、ストレッチをしながら中央公園に繋がるゲートに飛び込んだ。

>>式見 霧月

5日前 No.516

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【ミシェル/全隊員の通信機】

「オッケ!それなら光一ちゃんがいく小学校校庭にはすぐに電撃銃を送ってもらうよう手配するわ。で、霧月ちゃんは自室ね!ここからすぐに霧月ちゃんの部屋にいけるゲートを開くわ!」

全員の会話を聞き終えたミシェルは自分がやるべきことを確認するように、これから行うことを口にした。霧月の背後にひとつテレポートゲートが現れる。そのゲートは直接霧月の部屋へと繋がっているようだ。ついで、ミシェルは霧月の部屋にもう一つ別のテレポートゲートを出現させる。このゲートは第5区画 大通りへと繋がるもののようで、部屋で準備を済ませた後すぐに現場へと直行できるようになっていた。

>>レスパーダ全隊員ALL



【剣型のボスバグ、剣型のバグ、ミシェル/第9区画 小学校校庭】

小学校の校庭というものは大人になってみればそれほど広いものではない。子供にとって無限の可能性が広がる遊び場だったそこは、大人になってきてみればそれほどたいそうなものには見えなくなる。それを成長と喜ぶのか、子供心が失われたと嘆くかは人次第だ。さてその校庭はというと、現在異常な空気に包まれていた。地面が数か所えぐられ、校舎の壁にも斬撃の跡が残っている。校舎からは生徒と教師の逃げ惑う声が聞こえてきていて、まだ全員が避難していないことを示していた。その異様な空気の中、校庭の中心には大きな青紫色の物体が一つ鎮座していた。体長は2mほどで、肌の質感は今まで通りゴムのような人工的なものだったが、最大の特徴は人型という点だろう。筋肉質な体に狐の顔がついており、足はスプリントが効きそうなしなやかな肉付きだ。腕もしなやかだが、手の部分は人間のそれとは異なっていて、指の先がまっすぐ伸びており、5本の指一本一本が両刃剣のように鋭くとがっていた。周囲に浮かぶバグたちは剣の形そのものをしていて、青紫色の体にお馴染みのの赤い目を浮かべ、近くに来た人間を切り裂こうと宙にふわふわと浮いていた。

光一がゲートをくぐって来ると、すぐさまボスバグが光一の存在に気が付く。それを受け、周囲にいたバグたちも一斉に光一へとその切っ先を向けた。つかの間硬直状態の時間が流れたが、それを乱すものが現れる。現状を崩すのはいつも彼女なのだ。

「おっまたせ光一ちゃん!超特急便でお届けよ!リッキーが『壊すなよ』だってさ!」

ミシェルは通信機越しに護送隊隊長のリッキーの言葉を伝える。だが電撃銃は実戦に、しかも強力な敵であるボスバグに対して使われるのだ。リッキーも無事に電撃銃が返ってくるとは思っていないだろう。壊すなよ、には半分諦めの感情が混じっていたに違いない。ミシェルの声と共に光一の頭上にテレポートゲートが開き、そこから電撃銃が落ちてくる。だがそれを合図にバグたちは攻撃を開始したのだ。

ボスバグが5本の剣がぶら下がる手を光一へゆらりと向けると、剣型のバグたちはいっせいに光一のほうへ投げナイフよろしく飛んで行った。その数は20匹ほどだが、すべて光一の正面から飛んでくる攻撃だった。まずは腕試しといったところだろう。

>>光一




【剣型のボスバグ、剣型のバグ、ダン・ダルシア/第6区画 中央公園】

第6区画は居住地区だ。その居住地区にある比較的大きな公園であるこの中央公園には、様々な人間が出入りする。子連れの奥様方や定年退職して杖をつく老人、はたまた仕事をさぼるサラリーマンなどそのメンツは多様だ。だがその多様な人々の口からは現在叫び声が発せられていて、周囲の空気を異様なものにしている。公園の地面はところどころ斬撃のようなものでえぐられていて、子供に人気の滑り台はものの見事に真っ二つにされている。遊具がめちゃくちゃにされた公園の中央にたたずんでいたのは、体長2mほどの大きなバグだった。肌の質感は今まで通りゴムのような人工的なものだったが、最大の特徴は人型という点だろう。筋肉質な体に狐の顔がついており、足はスプリントが効きそうなしなやかな肉付きだ。腕もしなやかだが、手の部分は人間のそれとは異なっていて、指の先がまっすぐ伸びており、5本の指一本一本が両刃剣のように鋭くとがっていた。周囲に浮かぶバグたちは剣の形そのものをしていて、青紫色の体にお馴染みのの赤い目を浮かべ、近くに来た人間を切り裂こうと宙にふわふわと浮いていた。

さて公園に居座ろうとする物体はボスバグとバグたちのほかにもう一つあった。レスパーダ隊員ダン・ダルシアだ。ダンは一足先に公園にたどり着いていたようで、ボスバグと正面からにらみ合う態勢で公園に立っている。だがテレポートゲートが開き、誰かが公園に到着する音を聞きつけると、ダンは不用意にもそちらのほうを振り返ったのだ。

「あ、秀作!もーおっそいぞ!」

あろうことかダンはボスバグから目を離し、きらっきらの笑顔で秀作に話しかける。当然ボスバグもそのチャンスを見逃さない。ボスバグが赤い目をきらりと光らせると、それを合図にボスバグの周囲に浮いていた剣型のバグたちが一斉に秀作とダンへと襲い掛かった。質感はゴムのようでも、バグは能力をベースに作られているのだ、あの切っ先は実物の剣と同じ切れ味を持っているだろう。秀作から見て正面から10匹、斜め上方向から10匹ほどが二人を切り裂こうと飛んできている。ボスバグは静かにその様子を眺めているだけだった。

>>秀作

3日前 No.517

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第7区画 記憶堂→第9区画 小学校校庭】

「助かる」

ゲートへ入る直前、ミシェルの快諾を聞き感謝の意を示す。そして転移を開始、視界が急激に変化していく。

「まだ手遅れというわけじゃなさそうだな」

見たところ市民がバグ達の手にかかった様子はない。混乱が広まっているものの、流血、血飛沫などは見当たらない。不幸中の幸いといったところか。

「……さて、随分と工夫を凝らしたようだが、それも無駄だということを教えてやる」

無表情のまま、伝わるかどうかもわからぬ挑発を行う。それは驕りや慢心などでは決してなかった。

「善処しておく」

ミシェルの通信に短く答え、落下する電撃銃をキャッチ。それと同時にボスバグの号令で剣型バグが一斉に突撃してきた。

「遅いぜ……!」

次々と飛来する異形の刃を、その側面に打撃を加えることで残さず打ち落とす。相手の攻撃を、力の方向をずらすように受け流す『捌き』という技術の応用だ。刃は本懐を遂げることなく、憐れな羽虫よろしく地へと叩き落とされる。

(この程度か)

見掛け通りの攻撃、しかも遠距離から一直線に。日頃から不意打ちやフェイントを想定している武術家にとって、これ程対処しやすいものはない。この分ならまだ能力を使わなくてよさそうだ。

>>周辺all

2日前 No.518

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【剣型のボスバグ、剣型のバグ/第9区画 小学校校庭】

ただただ一直線に突進するだけの攻撃は次々と青崎の剣術によって受け流され、その体は地面へと叩きつけられる。それだけの攻撃でバグ達はいとも簡単に青紫色の霧となって消えてしまうのだった。しかし、これはある種罠だったと言える。攻撃を指示しただけに見えたボスバグだったが、剣型のバグが青崎へと飛んでいった直後、ボスバグも青崎のもとへと走りよっていたのだ。人型でありながらその足は獣のようにしなやかで、人間とは思えぬスピードでボスバグは青崎に近寄る。青崎にしてみれば、次々と飛んできたバグを処理して視界が開けた矢先、突然目の前にボスバグが現れた形になるだろう。ボスバグは青崎の目の前にたどり着くと、鈍く光る赤い目で青崎を無機質にみつめる。そして五本の指、すなわち五本の剣を一斉に青崎へと降り下ろし、その体を切りつけようとしたのだった。

>>光一

1日前 No.519

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 小学校校庭】

(こいつらは何時もの奴らと同じか)

今しがた叩き落としたバグ達は、これまで相手どってきたタイプと根本では同じようだ。

「……お前はどうなんだ?」

眉ひとつ動かさず、降り下ろされる五本の剣をブレードで苦もなく受け止めた。一瞬だけ金属音が耳を打つ。
武術家は日頃から不意打ちやフェイントを想定している。同時に仕掛けたわけではない、後ろに回り込んだわけでもない、ただ間髪入れず斬りつけるだけの攻撃で仕留められるほど、光一は間抜けではなかった。

「まあ、及第点ってところだな」

それでも、以前と比べれば恐るべき進化といえる。これまで戦術のせの字もなかった集団が、連携行動を取るようになったのは紛れもなく脅威だ。

「はあっ!」

剣を押し留めているブレードを、滑らせる形で押出しボスバグの腕を切り落とそうと試みる。火花と共に剣の下を走る切っ先は、その向こうにある柔らかな肉に食らいつかんと獰猛に輝く。

>>ボスバグ

19時間前 No.520

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【剣型のボスバグ、剣型のバグ/第9区画 小学校校庭】

ボスバグは自身の攻撃を光一に受け止められても、表情ひとつ変えなかった。見た目は人型で顔は狐だが、感情の類いは持ち合わせていないらしい。バグのベースになっているのがただの能力情報というデータだからだろうか。それとも獣のような行動をするようプログラムされているからだろうか。何れにしろ、ボスバグは無機質に、しかし的確に光一の命を狙ってくるようだ。

ボスバグの指の下を光一の刃が走り火花が散る。しかしその様子をみてもボスバグは後ろに退こうとしない。その代わりにある行動を起こした。光一の刃が走っていた指をわざわざ少しだけ降ろしたのである。すると、光一の刃は腕に届く前に5本の指のつけね、即ち剣の形になっている終わり部分を通過することになった。当然のごとく、光一の刃に触れた5本の指は綺麗に吹き飛んだ。だが、無論この行動にも意味がある。切り飛ばされ宙に舞った5本の剣型の指は、光一の真横でクルクルと無惨に回転する。だがその過程で、剣には赤い目が宿ったのだ。どうやら、ボスバグの指部分を切り落とすことで、剣型のバグが生まれるようだ。光一の真横でまさに今生まれた5体のバグはすかさず光一の体を貫かんと切っ先を向けて突っ込んでいく。そしてボスバグもこのタイミングを逃しはしない。ボスバグは追撃として、左手の鋭い5本指で光一の体の右脚から左肩にかけて、切り上げるような攻撃をしかけたのだった。

>>光一

2時間前 No.521
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