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第9区画治安維持部隊レスパーダ【参加募集/戦闘/異能

 ( オリジナルなりきり )
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監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_nas

「アドバースシティ」

それは周囲を高い壁に囲まれたこの世界一の科学力を誇る街

街並みは現代とあまり変わらずとも
その内部に存在するシステムは大きく発展を遂げている

そして…


それはアドバースシティ第9区画に存在する

アドバースシティ最強の治安部隊


「レスパーダ」


今日も彼らは街を駆け回る……

静かに影がうごめいていることなど知らず……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いつもと変わらない日常が流れていた中、突然その平穏は一気に切り崩された。アドバースシティ中に鳴り響くサイレン、続いてアナウンスが響く。ミッション開始の合図だ。男はアナウンスに耳を傾け、犯人とその居場所の情報を手に入れる。ここからそう遠くはない、走っていけばすぐに到着する距離だ。

「よし、俺達の出番だな。今日も気合いいれて行くか!」

男は周囲にいる自分と同じ立場の人間、レスパーダ隊員に向けて声をかけた。その男の言葉に、ある者は右手拳をあげ、ある者はにっこりと微笑み、ある者はぶつぶつと文句を言って、ある者は悪態をつく。しかし彼らが目指すべき場所、そしてなすべきことは同じ。彼らは一斉に同じ方向へと走り始めた。今日も彼らは街を駆け回る……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


男はモニターの光だけで照らされた薄暗い部屋で、椅子に全体重を預けて、ぼんやりと宙を眺めていた。モニターに次々流れていく生体データや分析データなど目もくれず、なにもない黒い空虚をぼんやりと眺めているだけだった。男の空っぽの頭の中に、過去の映像がフラッシュバックする。街へのあこがれ、決意、約束、空虚、そして絶望。次々と過去の記憶を思い出した男は強く目をつぶり、前のめりの姿勢になって背中を丸めた。先ほどまで空っぽだった男の頭には苦悩がいっぱいに詰め込まれ、男はその感情に支配さてその態勢から動くこともできない。男は自分の左手首につけられたシルバーのリングをちらりと見て、大きく息を吐いた。男が吐いた息が薄暗い部屋へ拡散していくのと同時に、男の足元では静かに影がうごめいていた…



【初めましてスレ主です。こちらは近未来+能力バトルのストーリー制スレとなります。
 興味を持たれましたら是非サブ記事へどうぞ】

メモ2017/02/22 00:57 : エステル @captain1★Android-UJhhnaQiDA

*現在の目的*

〇結界装置を止める

場所:第2区画 発電所横

   第6区画の9番街

備考:

二か所に設置された結界装置は『アドバースシティにいる全住民から能力情報を抜き取る=永遠の眠りにつかせる装置』だった

これが発動された時点でアドバースシティにいる人間すべての活動が止まってしまう

それぞれの結界装置のそばにはネオレスパーダ隊員が配置されており、

第2区画発電所横にはダン・ダルシア、第6区画9番街には八掛丈がいる

二人を打ち破り、結界装置を破壊する必要がある


〇バグ発生装置を止める

場所:能力開発研究所

カル・ギラムと協力してバグ発生装置を破壊する


〇トールが示したフェリスを止める方法

・バグ発生装置を止めろ。

詳しい場所はわからないがあれは大型の装置だ、まだ遠くへは移動できないはず。能力開発研究所の地下にある可能性が高い

・2つの結界装置を止めろ

詳細は省くがこれが起動すればこの街にいる人間すべてが永遠の眠りにつく。もうすぐフェリスがこの街のどこかに設置するはずだ。探して壊せ

・フェリスを止めろ

これからお前たちの身に何が起ころうと、どんな相手が立ちふさがろうと、フェリスを捕えろ


【NPCプロフまとめ】

http://sns.mb2.jp/captain1/d-1

(2月18日 ヘクター、カル・ギラムのプロフ更新)


【レスパーダ活動履歴】

http://sns.mb2.jp/captain1/d-2

(2月21日更新)

…続きを読む(45行)

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監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【剣型のボスバグ、剣型のバグ/第9区画 小学校校庭】

前屈みになった光一をみて、バグ達は一斉に光一へと襲いかかった。だが光一はボスバグに襲いかかろうとしたのではない、まずは現状を打破しようとしたのだ。上方へ飛んだ光一の下で、剣型のバグは勢い余ってお互いに体をぶつけ合う。それだけでバグ達はいとも簡単に青紫色の霧となって消えていった。さらに上空にいたバグ達には光一のサマーソルトキックが迫る。バグ達の刃は振り抜かれた光一の足を容赦なく傷つけたが、それでも勢いづいた足に競り負けてバグ達は青紫色の霧と化した。

そして回転攻撃をかわされたボスバグは光一が銃を構え攻撃の体勢に入っても、まだ回転の勢いを殺しきれずにいた。くるりと今だ回転する体を倒れないようにさせながら、ボスバグは目で光一を追う。こちらに電撃銃を向けていることに気がついた時には、あまりにも遅かった。ボスバグが鋭い目で光一を睨む。感情のない目のはずだったが、その目にはどことなく相手に敗北する悔しさがにじみ出ていた。直後、ボスバグの脳天をひとつの弾丸が駆け抜けた。次いで電撃がボスバグの体を覆う。ボスバグは漸く自身の回転を押さえたのか、その場に静かに立ち尽くしていた。銃弾が貫いた額からは青紫色の霧が流れ出ている。ボスバグは体が停止したように身動きひとつせず、表情の変化もない。まるで光一による最後の一太刀で自分が消滅するその時を静かに待っているようだった。

>>光一




【白樫 燐/第5区画 大通り】

周囲にいた人々によれば、それは一瞬の出来事だったという。剣型のボスバグとバグが現れ、人通りの多かった大通りはすぐにパニックに陥った。周囲のベンチを切り刻み、街路樹をなぎ倒すボスバグに対して、こんな言葉が投げ掛けられたという。

「植物を傷つけるとは、黙っておけませんねぇ」

その一言が合図だった。地面が揺らいだと思うと、視界に無数の木の幹が現れたのだ。それらは的確にボスバグとバグを狙ったもので、バグ達は次々に青紫色の霧となって消滅していった。致命傷は与えられなかったものの、ボスバグに対しては絶え間なく木の幹が下からその体を貫かんと攻撃が迫る。だがおそらく、ボスバグにとって最大の驚きは白樫の次の一手だっただろう。ボスバグの周囲にはいつの間にか無数の木が生えていた。それらの木々が突然体をうねらせ、ねじらせ、ボスバグの体を飲み込んだのである。下から突き出る攻撃に気をとられていたボスバグは瞬く間に木々の中へと消えていった。ぎゅるぎゅると木々が成長しながら中のものを締め付ける音が響いたその数秒後、木の幹から青紫色の霧が立ち上ったのである。それをみた白樫はパチンッとひとつ指を鳴らした。すると大通りに生えていた木々は地面へと引っ込んでいき、そこには何も残っていなかったという。直後響いたのは市民の歓声だった。

「これが初出動でしたが、うまくいったようですね。おっと、これはまだ言ってはいけないのでした」

白樫は誰に言うでもなくそう呟くと口元に林檎を持ってくる。その林檎の下でひっそりと笑みを浮かべていたのだった。

>>対象なし



【剣型のボスバグ、剣型のバグ、ダン・ダルシア/第6区画 中央公園】

ダンは下からの蹴りあげによって隙ができたボスバグの体に自身の鋭い爪を突き立てる。直後、まるで血が飛び散るようにボスバグの体から青紫色の霧が吹き出した。さらにダンは突き立てた爪をそのまま思いっきり左足方向へと振り抜く。ボスバグの体からはさらに青紫色の霧が飛び散り、ボスバグは苦痛に耐えかねたのか不気味な赤い目を細く尖らせていた。ボスバグは今だ自分の懐にとどまるダンに対して、しなやかな筋肉のバネを使って蹴りを叩き込む。さすがにこの距離では回避行動をとる間もなく、ダンはボスバグの蹴りをまともに腹にくらってしまった。

「きゃんっ!」

悲鳴も子犬さながらの声をあげ、ダンは蹴られた勢いを殺さず、そのまま後方へと飛ばされ、ボスバグから距離を取ったところに着地した。

深手を負ったボスバグは捨て身の攻撃にでる。左足を軸に、右足で体に勢いをつけると、ボスバグはその場で高速回転を始めた。十分に勢いづいたところで、そのまま秀作とダンの方へ高速で近づいてきたのである。さながら刃物を携えた独楽といったところか。ダンはまだ攻撃の構えをとることができていない。ボスバグの鋭い剣の指が秀作の目前に迫っていた。

>>秀作



【明後日に投稿する次のレスで今回のボスバグ戦は終了とさせていただきます。明後日までにディリム様からレスがない場合はダンに止めをささせます】
>>ALL本体様

1ヶ月前 No.528

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 小学校校庭】

雷光を纏った鉛弾はボスバグの眉間辺りに到達。その部分を潰し、抉り、奥へ奥へと突き進んでいく。やがて鉛弾は貫通、ボスバグの重要器官を完全に破壊した。

「っ……!」

逆立ちに近い姿勢から辛うじて着地に成功。能力を解除し、未だ戦意の衰えない視線を向ける。
剣型バグの布陣を突破する際に足を切られた……ように思えたが、実際にはズボンを傷つけられただけであってそこから出血などは一切していない。いくら咄嗟の行動とはいえ、切っ先の方に足をぶつけることも、突破の邪魔になる個体を仕留め損ねることもしない。

「はぁ……はぁ……」

疲労とダメージが重なり、肩で息をし始める。通常では考えられない程の大きな切り傷、一瞬とはいえ下半身の過度な酷使、録な休憩を挟まない能力使用、ここでガタが来るのも当然か。ボスバグの方は最早彫像のように動かなくなり、その佇まいは介錯を待つ切腹人を思わせた。

「…………」

やや鈍い足取りでボスバグへ歩み寄る。途中電撃銃を懐に仕舞い、ブレードを両手で握り締めた。

「いい加減、終わってくれ」

体を弓のごとく張り詰めさせ、高く上段に構える。隙だらけもいいところだが今そこを狙う者はいない。そろそろ肉体が限界だ、ここで消滅してくれないと流石に旗色が悪くなる。
精神統一もそこそこに、ブレードを降り下ろす。風を裂く音と共に迫る剣閃は、今度こそ頭頂から股下にかけて両断せんと猛然に煌めいた。

>>ボスバグ

1ヶ月前 No.529

犬吠埼 眼呂 ★rDy0MY1Cil_OFa


【犬吠埼 眼呂/レスパーダ本部 入口ロビー】

久しく帰っていなかった己の巣へ足踏み入れれば張り詰めていた緊張の糸が解ける様に嘆息を一つ。
科学技術が著しく発展した此の町の外へ組織の為の有益情報を求めて出向いていたが其の任も本日限り終了し漸く戻る事が出来た。
慣れない環境下で旅を続けた機械の肉体は疲労こそ知らないが様々な処にガタが来始めている、早急に自室でメンテナンスに取り掛かりたい。
しかし本部全体に流れる只ならぬ空気を見過ごす程鈍くは作られておらず、少年機械はお仕着せられている個室へ向かう足取りを止めた。

「……何だツて云ふンだらう、この、厭なかんじ。」

嗚呼、サイレンだ。
漸く自分の居所に帰って来た様な気がする。目の前に現れたゲートへ緩慢と足を踏み入れようか。
彼を動かすのは愛する街を守る、というプログラムを施された電子の脳であった。

>ALL


【新人です、こんにちは。物語も終盤に差し掛かっているとお聞きしましたが、どうぞ仲良くして下さると幸いに思います。】

1ヶ月前 No.530

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【剣型のボスバグ、ダン・ダルシア/第6区画 中央公園】

ボスバグの回転攻撃が秀作の目の前に迫る中、突然ボスバグと秀作の間に割り込む物体があった。秀作の視界いっぱいに黒い壁が広がる。だがそれは正確にいうと手だった。ただの手ではない、犬と同じ形をしている。その手が異様なのはその大きさだろうか。犬の手であるにも関わらず、手だけでも秀作の身長と同じくらいの大きさがある。大型犬どころではない、巨大犬の手が秀作の目の前に現れたのだった。

「わん!」

その手は間違いなくダンの腕につながっていて、ダンは通常の人間と同じサイズであるのに、手だけが巨大になっているようだった。巨大な手である以上爪も巨大になっており、巨大で鋭い爪が一気にボスバグの体を引き裂いた。ボスバグはいともたやすく青紫色の霧となって消えてしまう。

「あ、思わずつかっちゃった!秀作!今見たこと忘れろよ!それじゃ、また会えたらな!」

ダンは人差し指を口元に立てシーッといった後、にやりと口元をゆがませる。その笑みは今までの無邪気な笑みとはまた違う、どこか悪童のような悪意のある笑みであった。そして、なぜかミシェルの合図なくダンのそばにだけテレポートゲートが開かれる。ダンは意味深な言葉を残して、一人テレポートゲートに入っていき、そのテレポートゲートは即座に閉じられてしまうのだった。

>>秀作





【剣型のボスバグ/第9区画 小学校校庭】

ボスバグは光一がこちらに近づいてきても高くブレードを掲げても、一切動こうとしなかった。ただ感情のない目でじっと光一を見つめるだけで、生にしがみつこうとする行動は見せない。もしかすればもうすでに『見せることができない』という状態なのかもしれないが、残念ながらそれを確かめる手段はなさそうだ。光一の刃がボスバグの体を頭頂から股下へと駆け抜けていく。数秒静寂の時が続いた後、ボスバグの体はぱっくりと二つに割れ、左右へ静かに倒れていった。そのさなか、体は少しずつ青紫色の霧へと変化していき、最後にはその場になにも残っていなかった。

>>光一


【今回は春宮様とディリム様の時間軸調整のため短いレスとさせていただきます。大変もうしわけありません。次に投稿するレスで一気に場面転換いたします。本部ロビーにいる眼呂のほうで次の展開につながる描写をしておりますので、そちらもご確認ください。】
>>青崎光一本体様





【ロック・ランドルド、ミシェル、フェリス・ヨーシャンク、????/レスパーダ本部 入口ロビー】

眼呂が入口ロビーへと足を踏み入れた時、眼呂が感じた通りその場は緊張感で包まれていた。難しい顔をした男が一人、ロビーにたたずんでいる。彼の名はロック・ランドルド、レスパーダの隊長だ。普段はにこやかに笑っているかロビーでさぼってだらけているかをしている男だったが、街に異形の化け物であるバグが現れているこの非常事態には、数多の困難を乗り越えてきたことを思わせるような真剣な表情を顔に浮かべていた。

「やった!光一ちゃんもボスバグ倒したわよ!これでボスバグが現れた3か所全ての場所でバグを討伐できたわ!」

ロックと眼呂が携帯する通信端末、そして本部内に設置されたスピーカーから甲高い女性の声が聞こえてきた。耳鳴りがしそうなほど大きく高い声だったが、ロックはその報告を聞いてパッと明るい笑顔を浮かべる。一気に緊張感がほぐれたようだ。スピーカーから聞こえてきたのはレスパーダの活動をサポートするAIミシェルの声だ。実在はせずデータ上のみに存在し、レスパーダの任務遂行や情報収集までいろいろなサポートをしてくれるのがミシェルだ。どうやら先ほどまでアドバースシティの各地で行われていた戦闘ミッションが無事勝利に終わったようで、ロックは安堵の表情を浮かべている。一呼吸おいてロックは眼呂の存在に気が付いた。長らく顔を合わせられなかった隊員の帰還にロックは満面の笑みを浮かべる。

「眼呂!戻ったのか!長期の任務よく頑張ったな、会いたかったぞ。最近アドバースシティにバグっていう物騒な化け物が出てきたし、おまけに強くなってきてるしで人手が足りなかったんだ。戻ってきてくれてうれしいよ」

ロックは眼呂の肩を数回たたきながら歓迎ムードをこれでもかと前面に押し出す。再会の喜びとアドバースシティのかつてない危機に味方が増えたことの喜びがロックには同時に降りかかってきたようだ。ロックが続けて状況説明をしようとしたその時、本部の出入り口から二つの人影が入ってくる。一人は能力開発研究所の所長フェリス・ヨーシャンク。もう一人はロックも初めて会う人物だったが、彼はタナトスという武力集団に所属するカイという人物と顔が瓜二つだ。だが、カイと会ったことのない眼呂には今はわからない話だろう。

「やぁ、ロック隊長。ついにこの日が来たね!とても楽しみにしていたよ」

フェリスはくりっとした目をキラキラと輝かせながらまるでロックしか視界に入っていないといった様子で話しかける。一方でロックはフェリスが何を言っているのかわからないようで、不思議そうな顔を浮かべていた。フェリスは相も変わらずニコニコと笑みを浮かべロックへと近寄っていく。理由も告げずロックに近づくその姿はどこか不気味にも思えた。

「あのフェリスさん、俺心当たりがなくて…あと、その後ろの人はだ……」

ロックがフェリスに問いかけようとすると、フェリスはなんの断りもなくロックの額に手をかざした。それが何の意味か分からず、ロックは少したじろぎながらも特に抵抗することはない。ただ表情だけはますます意味が分からないと疑問の色が濃くにじみ出ていた。

「おはよう、ロックくん」

その時だった。ロックの体が強く痙攣すると、それ以上何も動かなくなり、自重を支えられなくなった体は力なくその場に倒れていく。バタンと大きな音を立てながら、ロックは地面へと横たわった。その顔には先ほどまでのような生気はなく、まるで永遠に眠るのではないかと思うくらいに、表情というものは一切なくなっていた。それを満足げに見下ろしていたフェリスは素早く体を丸め、口元に手を当てる。そしてプルプルと体を震わせはじめた。

「ふふっ……は、ははっ!はははははははははははは!!あぁ、待っていたよロックくん!僕は、この時を!待っていた!!」

それは腹の底からぐらぐらと湧き上がってくる感情を爆発させたような笑い方だった。今までに溜めに溜めた感情を惜しみもなく巻き散らかすような笑い方。そばにいる眼呂のことなどお構いなしに、フェリスは高々に笑うのだった。

「さて、これで準備は整った。いや……まだだったな」

フェリスは体を丸めうつむいていた姿勢から顔だけをぐにゃりと動かし眼呂のほうを見据える。フェリスの瞳は狂気に侵されているようで、眼呂を見据える瞳がぐらぐらと揺らいでいるように見えた。

「丈!」

フェリスが連れ添ってきたもう一人の人間に声をかける。丈と呼ばれた男はところどころ色あせた黒紫色のスーツを着ていて、髪色はグレーだが一房だけが紫色に染められているのが特徴的だった。丈は眼呂に無言で近づいてくる。まるで目自身がが面倒だと語りだしそうなほどやる気のない半開きになった目だったが、その目にはどこか相手を威圧する空気も醸し出していた。

「部外者は立ち入り禁止っつーことで」

その一言と同時に、眼呂の体は急に後方へ思いっきり突き飛ばされた。なにかに体を押されたことは確かであるはずなのに、それが何かを視認できなかった、という具合か。そしてなぜか眼呂の後ろにはテレポートゲートが開かれている。テレポートゲートはレスパーダ隊員が使用できる瞬間移動が可能なもので、紫色の光の環でできたゲートだ。このゲートをくぐればまったく別の場所へ一瞬で移動することができる。眼呂の体がゲートを潜り抜けると、眼呂は第5区画の大通りに立っていた。眼呂にとっては、やっと長期の任務から帰ってきたと思うと能力開発研究所所長がロック隊長になにやら能力を施し、ついでに本部からつまみ出されたといったところか。大通りには特に何があるわけでもなく、街の人々が平穏に暮らしているだけだった。

>>眼呂


【改めまして、本編でもよろしくお願いします。そして初っ端から長文、そして確定ロルで申し訳ありません。状況説明とラストに向けての顛末を1レスに納めさせていただきました。急にフェリスが乗り込んできてなぜか本部から追い出されたぞ?という状況です。次に投稿するレスにてミシェルからのアナウンスがあり、その後NPCが別場所に誘導しますので、そちらのキャラについていっていただければと思います。】
>>犬吠埼 眼呂本体様

1ヶ月前 No.531

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 小学校校庭】

処刑の刃は異形人を頭(こうべ)から断ち切った。刃が地について一拍した後、異形人の体は太刀筋の通りに割れ、何一つ痕跡を残さず霧散した。

「手こずらせ、やがって……」

緊張の糸が切れ五体を地面へ投げ出しそうになる。しかし片膝をつきブレードを杖代わりにすることでどうにか堪えた。
深く、憑き物でも吐き出すようにため息をつく。体がひどく重い、まるで油の注されていない機械のように全身が動くことを拒絶する。

(情けないな……)

これから装置の破壊やら何やらしなければいけないのに、この体たらくではとても遂行できそうにない。

「ミシェル……医療班を呼んでくれ」

その言葉を最後に、ゆっくりと倒れこみ意識を手放した。

>>ミシェル

1ヶ月前 No.532

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【リッキー・ショーター/第9区画 小学校校庭】

光一は意識を失いその場に倒れた。普段ならばミシェルの甲高い声が通信機から聞こえてきて、光一の脳をガンガン揺さぶるだろう。だが、通信機からはミシェルの声が聞こえてこない。そのうえテレポートゲートが開く様子もなく、通信機はいたって静かな状態だった。そんな異様な静寂の中、光一に近づいてくるひとつの影があった。光一の容態を見て深くため息をついた後、光一のそばにしゃがみ込み、手のひらを光一へと向ける。すると光一の体の傷、疲労は一気に回復していき、最後には戦闘前と何ら変わらぬ体調になっていた。

「起きろ、寝てる場合じゃなさそうだぞ」

そう乱暴に光一に声をかけるのは、護送隊隊長リッキー・ショーターだった。どうやら電撃銃を回収しにきたついでに、彼の持つ治癒の能力で光一の傷を回復させたらしい。その代償としてリッキーの手は懐死したように青黒くなっていたが、それも時期に回復していくだろう。リッキーは光一の顔の目の前に自分の携帯端末を差し出した。その端末にはとあるニュース映像が映し出されている。それがなにかはっきりする前に、やっといつもの甲高い声が聞こえてきたのだった。

>>光一



【ミシェル/全隊員の通信機】

「ま、ちょ、待って!どうなってんの!ねぇ、どうなってんの!?」

ボスバグが3体現れたときもなかなかの取り乱しようだったが、今回はもはやミシェル自身も状況を一切把握できていないようで、なぜか通信機越しに隊員に呼びかけるような声を上げている。

「と、とりあえずこれ見て!これ、政府ブレインの公式会見って!!」

その言葉とともに通信機の画面には防衛大臣天雷神が映し出されていた。どうやら記者会見を開いているようで、記者団の前に登壇しつつ、重大な発表を行っているようだ。記者たちのざわめきが止まらないことからも、よっぽどのことが発表されているのだろう。

『…ですから先ほど発表しました通り、現在アドバースシティに存在する治安維持部隊レスパーダを廃止し、隊員はすべて除名とします。そして新たな治安維持部隊『ネオレスパーダ』を設立します。これは最近狂暴化してきたバグに対する対抗処置です』

防衛大臣天雷神から発せられたのは『レスパーダの廃止宣言』だった。現在の治安維持部隊を廃止し、新たに部隊を結成する……しかも、現隊員は全員が除名処分。治安維持部隊を一気に作り替えようという動きだろう。さらに天雷神は記者会見を続ける。

『それではネオレスパーダの隊員を発表させていただきます。隊長はレスパーダ時の隊長でもあるロック・ランドルド。その下にダン・ダルシア、白樫燐、八掛丈の3名が入り、まずはこの4人でネオレスパーダを始動させます。また、戦力強化顧問として能力開発研究所所長のフェリス・ヨーシャンク氏にご尽力いただきます』

天雷が名前を読み上げると同時に、天雷の隣にあるモニターにレオレスパーダ隊員の顔が映し出されていく。ネオレスパーダはロックとダンだけを残しその他の隊員は除名、代わりに白樫燐と八掛丈という人物を部隊に加えるようだ。八掛丈という名前は初めて聞く名前だが、その顔はレスパーダ隊員なら何度か見たことのある顔だろう。八掛丈の顔は、タナトスのカイに瓜二つだった。おそらく、彼が『元・リョウ』であり、能力開発失敗から目覚めた後催眠でフェリスに操られている人物だろう。さらに気にかかる点といえば、顧問という名目でネオレスパーダにフェリスがかかわっている点だろうか。八掛丈がフェリスの手中にあるならば、フェリスが八掛丈に支持を出しやすいようにネオレスパーダ内に食い込んでいるとも考えられるが……果たして、フェリスが催眠で操っているのは八掛丈だけなのだろうか。

「レスパーダがなくなるってどういうことよ!ネオレスパーダってなによ!ってかなんでフェリスが治安維持部隊にいるのよ!あいつバグ作って改造能力者作ってんのよ!ってかそれどころじゃないんだって!レスパーダの本部も大変なの!なんかいきなりフェリスとさっきテレビに映ってた八掛ってやつが本部に入ってきて、ロックに催眠かけたのよ?!あいつ絶対なんかする気だわ!って、なっ、なにすんの!」

ニュース映像が終わった瞬間、通信機からはミシェルの怒りの声が聞こえてくる。こんな理不尽があるだろうか。一方的に解雇を言い渡されたあげく、せっかくフェリスがバグを作りリョウをとらえている主犯だと分かったのに、これ以上それを調べる権限を失ってしまったのである。そしてさらに悪いことに、本部にはもうすでにフェリスの手が伸びているらしく、ロックはフェリスの能力にかかってしまったらしい。今すぐに助けに行きたいところだが、レスパーダ隊員はすでにテレポートゲートを使えない、歩いていったとしても本部に入る権限さえないのだ。その悪い状況に拍車をかけるように通信機からはミシェルの悲鳴が聞こえてくる。

「フェリス!私を消去する気!?ちょっと、私はミッションサポートするAIですけど的な?も、もしか…して…私のもってる情報ご、と消そ…うと!い、いや……や…め……あ!あんた!」

ミシェルの悲鳴が通信機から聞こえてくる。どうやら本部にいるフェリスがミシェルを消去しようとしているらしい。ミシェルは今までレスパーダ隊員が集めた様々な情報を持っている。もちろん記憶堂で行われたトールとのやり取りも記録済みだ。こんなものが世間に暴かれたら、失脚に時間はかからないだろう。それを恐れてミシェルを消しにかかったのだ。次第にミシェルの声がかすれ、ノイズ音が多くなっていく。そして声が消えかかろうとしたその時、ミシェルは再び声を上げたのだった。

「み…んなっ!しに…がみ……を、おいか……けて!」

ノイズ音の中からミシェルが必死に絞り出した言葉はとても短いものだった。そして、その声を最後に通信機からはノイズ音しか聞こえなくなる。この様子ではもう呼びかけても返事は帰ってこないだろう。かくして、レスパーダは消滅し、ミシェルさえも隊員の前から姿を消してしまったのであった。

>>レスパーダ全隊員

29日前 No.533

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【リッキー・ショーター、青崎光一?/第9区画 小学校校庭】

リッキーは一通りニュース映像を見せ、ミシェルの最後の言葉を聞き終えるとゆっくりと立ち上がった。そして傍に転がる電撃銃を手に取る。くるくると回転させ、照準を覗き、壊れている箇所がないかをチェックしているようだ。だがその動きはどちらかといえば、今まさに治安維持部隊を除名されたばかりの光一に対して、なんと声をかければいいのかわからないが故の、間をつなぐための行動だった。リッキーは背中に電撃銃を背負うと光一をじっと見据える。だが少しの間をおいて、リッキーの目線は別の場所へと移動していった。怪訝そうな顔を浮かべ、そちらの方向と光一とをかわるがわる見ている。

「おい、お前…青崎光一。お前、双子の兄弟はいるのか?」

いつも仏頂面で感情が表に出ないリッキーだが、この時ばかりは明らかに困惑している声色をしていた。それもそのはずだろう、リッキーの視界には二人の青崎光一がいたのだから。一人は地面に倒れている青崎光一、もう一人は校舎の出入り口からこちらをじっとみている青崎光一。リッキーは狐にも化かされたように眉を思いっきりひそめて状況をうかがっていた。

>>光一



【???/第6区画 中央公園】

ダンが去り、ミシェルの声が消えた後、公園には静寂だけが残っていた。ボスバグから避難するため人々は公園から消えており、公園に残っているのは今や秀作だけだ。崩壊した遊具が並ぶ公園、それだけでも異様な光景だが、さらに異様なものがこの公園には存在していた。それは人間の手だ。体も足も腕もない、手首から上の手だけがふわふわと宙に浮かんでいる。その手は秀作と少し離れた場所に浮かびながら、秀作を手招きする動作を見せた。どうやらこっちにこいと言っているらしい。宙に浮く手が招く先はどうやら城を模した大型のアスレチックの内部のようで、外からは内部の様子が見えない。どうやらこの中に入ってこいと言っているようだった。

>>秀作



【???/第5区画 大通り】

ボスバグが消えた大通り、そこはもうすでにいつも通りの光景が戻っていた。だが道ゆく人々は今しがたニュースで放映された『レスパーダ廃止、ネオレスパーダ設立』の話題で持ち切りのようで、ひそひそ声で話してはちらちらと霧月と眼呂のほうを見ている。人は他人の不幸に対しておそろしく残酷になれるものだ。ひそひそと小さな声で会話するだけで、二人に声をかけようとする人物はいない。そんな空気の中、ある物体が二人の足元に突然現れた。それは水で、霧月と眼呂の足元から水が湧き出したかと思うと、それはどんどんと地面を伝って流れていく。ただ、その流れ方も地面の傾斜に従ったものではなく、時折傾斜を登りながらなにか意思を持って、ある場所へと流れていっているようだ。湧き出した水はどうやら大通りから裏路地に続いていくようで、それは二人に道筋を示しているようにも見えた。

>>霧月、眼呂


【長くなってしまったので、レスを2つに分けました】
>>ALL本体様

29日前 No.534

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 小学校校庭】

「!」

不意討ち気味に来た違和感に、双瞼を大きく開いた。体中の、金属でもくくりつけたような重みは消え、その代わりに活気が溢れ出す。

「は……あ……っ!」

かけ声とも嗚咽ともつかぬ声を腹から捻り出し、緩慢な動作で立ち上がる。

「……フゥー…………」

静かに、かつ大きく深呼吸し改めて体の全快を確認した。
この短時間の間に状況は大幅に変化したようだ。ただ余りにも大幅過ぎるためいまいち実感が湧かず、却って冷静さを保つ結果となる。

「カル・ギラムだな? つまらん依頼ならもう受け付けんぞ。それとも何か、今ここで叩きのめされ、ネオレスパーダに突き出されたいか?」

いつかの焼き直しのように、自分の姿を模している人物に敵意を向ける。正直言うと問答無用で四肢を切り落とすなりしたいのだが、状況が状況であるためそこまで頭に血は上らず、警告を伝えるに留まった。

>>カル・ギラム

28日前 No.535

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第5区画 大通り】

「これは……一体?」

準備を終え、テレポートゲートを通った霧月の目に飛び込んできたのは、レスパーダ廃止と、ネオレスパーダ設立の報道。その中にはダルシアさんや、恐らくはリョウさんと思われる人物までいた。だが、

「私達隊員全員が除名にも関わらず隊長さんだけが引き続き隊長を……」

思考を急かすように状況は急転する。黒幕と思われたフェリス・ヨーシャンクがネオレスパーダの内部へ。加えて、これまでの自分達の任務遂行に欠かせなかったミシェルさんが、消えた。

「眼呂さん、帰っていたんですか」

だが、その声は状況を確認しただけのような、意味を持たない声だった。好奇の目に晒されるのは慣れている。だが、今の自分に何が出来るのか。

━━或いは、あの時のように壊し続ける事しか知らなかった霧月ならば、何かを成し得るのではないか。

「━━水?」

雨ではない。その水は時に坂を登り、道を曲がりながら裏路地へと伸びる。そんな事が出来るのは、この街で1人しかいない。

「私は行きます。私の過去が殺戮と惨劇に在るのなら、死神に頼るのもやぶさかではありませんし」

刀を袖の中へ器用に直して水の向く方へと歩いていく。

≫all

27日前 No.536

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【青崎光一(カル・ギラム)、リッキー・ショーター/第9区画 小学校校庭】

こちらに向かって敵意を惜しげもなくむき出しにする光一をみて、もう一人の青崎光一、もといカル・ギラムは小さく笑う。それは呆れの感情を含む笑い方で、光一の発言に肯定しかねる意を示すために肩をすくめた。

「なぜ俺がただの一般人のお前に仕事を依頼せねばならないんだ?俺はただ誘いに来ただけだ、『あいつを追い詰める材料は揃ってるのにこのまま何もできずに終わっていいのか?』とな」

カルは光一への変身を解かないまま光一の口調を真似て返事をする。「あいつ」とはフェリス・ヨーシャンクのことだろう。トールにどうやってフェリスを止めれば良いのか聞いておきながら、元レスパーダ隊員はそれを実行するのが難しい状況にある。レスパーダとしての権威もテレポートゲートもミシェルもいない。今のままではフェリスを止めるまえにタイムリミットが来てしまうだろう。

カルはそれ以上何も言わずに光一に背を向けると校舎の出入り口から一番近い位置にある扉のドアノブに手をかけた。そして最後にちらりと光一の方をみる。すると、カルの体が水彩絵の具が溶けるように揺らめき、その後本来のカルの姿がそこあったのだった。ニコリと笑みを浮かべたあとカルは扉の中へと入っていく。扉の上にはビーズ状の玉がぶら下げられていて、どうやらこの扉は「ドアトゥドア」の能力がかかった扉らしい。この扉を抜けた先は小学校ではないどこかだろう。

ミシェルの最後の言葉は「死神を追いかけて」だった。タナトスは死神の名だ。それがどういう行動を促す言葉なのか、その意味は明白だろう。

>>光一



【カイ/第5区画 裏路地】

不自然な流れをもつ水が入っていった裏路地には一人の男の姿があった。水色のシルクハットにアシンメトリーの水色ジャケット、そんななんとも奇妙で派手な格好をしているのはこの街でただ一人、カイだ。カイは霧月が裏路地にやってきたのを見ると軽く手をあげ挨拶がわりにする。

「やぁ!ごめんね、レスパーダ本部は変な空気になってたから脱獄しちゃった」

初っぱなからご機嫌な挨拶である。大方タナトスの八五郎という人物がつかう移動能力「ドアトゥドア」を使って脱出したのだろう。挨拶こそは軽く済ませたものの、カイの顔はあまり晴れやかとは言えない。カイも先程のニュースを観たのだろう。あそこに映っていた人物はここ最近カイが会いたがっていた人物リョウで間違いないが、なぜか八掛丈と違う名前で呼称されていた。それを奇妙に思っているのだろ。その晴れやかではない顔のままカイは真剣な表情をみせ、本題に入る。

「あのさ、僕レスパーダが集めた情報を聞いたんだ。リョウが……別人になってるって話とかもさ。でもまだ止められるんだよね?だったらさ、僕ら手を組まない?」

そこまで一気にしゃべるとカイは裏路地にポツンと設置された扉の方に近寄る。その扉にはビーズ大の玉がぶら下げられていて、この扉がここではない別の場所に通じる扉、すなわちタナトスの八五郎の能力「ドアトゥドア」の能力が施されていることを示していた。

「僕らタナトスも……フェリスを止めたいんだ」

それは紛れもなくカイの心からの言葉で、口には出さないものの、「助けて」というメッセージが込められていた。カイは扉のドアノブを掴むと、ゆっくり扉をあける。そして霧月が扉をくぐるのをじっと待っていた。この扉を抜ければこの裏路地ではないどこかに繋がっているのだろう。

>>霧月

27日前 No.537

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第5区画 裏路地】

水を辿った先には、やはりカイさんが居た。複雑な表情をしているのは、彼もあのニュースを見たのだろう。危惧していた通り、リョウさんはフェリスに上手く利用されたのだろう。片手を上げて軽く挨拶したカイさんに対し、礼儀正しお辞儀をする。

「手を組む……ですか。不思議なものですね。つい最近まで憎しみ合い、自らの目的、使命の為に戦った私達が、今は目的を同じくしている。いえ、最初から私達は同じでした。この街を守りたい、それだけでしたね。ただ、立場と手段としがらみが違った」

我ながら皮肉なものだ、と苦笑するが、すぐにその顔を微笑みへ変える。カイさんは自分と近しい立場にあるが、同じ立場になってはならない。親しい人間が消え去った虚無感を味わって欲しくない。

「正直、職を失ったのなら故郷へ帰ろうかと思いましたが、やはりそうはさせてくれませんね。だって、私もここを守りたい、そう思えるようになりましたから」

タナトスが協力を持ちかけなくとも、霧月は本部へ行っただろう。だが、そうなった場合、恐らく霧月は能力を暴走させたかも知れない。あの日のように。

これも運命かもしれない、と霧月の顔は真剣なものへと変貌する。

「私はもはや一般人の身です。それでもいいと言うのなら━━この式見の剣、使ってくださいね」

ドアの向こうへ向かうその瞬間、ふと、カイさんの方を向いて、

「それに、私がレスパーダ隊員で無くなった時は、私、式見霧月個人として、貴方に協力したいと思っていましたから」

初めて、少女のように悪戯っぽい笑顔でそう言った。

≫カイ

27日前 No.538

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第6区 中央公園】

 ダンを攫いつつ、ろくに狙いもせず放った弾丸。それはあっさりと防がれた。ま、防御せにゃならん程度に飛んで行ってくれてむしろ運は良かったと考えるべきか。

「と、言うか防御するんだな」

 前回のボスバグは泡型だった為に確認できなかったが、そりゃあ指揮系統の頭を務めることができるなら確かに防御するくらいの知性はあって然るべきか。
 もそもそと脇に抱えたダンが抜け出し始めたので、腕を広げて解放する。

「らしいな」

 防御以外にもダンがボスバグの再生能力に気がつく。これもこの前の奴の特性からは確認できなかった事だが、このでっかいのは身体の一部を破壊してもその部位を再生できるようだ。少なくとも、ちょっと傷を付けられて霧になるなんてことにはならないらしい。にしても撃った方もどこに飛んで行ったのか分からない、狙いもしなかった弾丸をよく見切れたものだ。
 さて、どうしたものか。とりあえず、見切られたのかそれともただの偶然かを確かめる為にももう一発撃っておくかと銃口を奴に向け直したその時、ダンが威勢良く駆け出し、懐に潜り込んでやつの左腕を跳ね上げる。
 ガラ空きになったその脇に弾を打ち込もうかと考えたが再生能力があるのなら穴を穿つだけではおそらく効果は薄いだろう。予備の弾と交換すれば、それこそ、マグナムに換えればそれなりの損害を与えられるが、まず間に合わない。それに弾が逸れてダンに当たりでもしたら多分死ぬ。そんな弾を普段使いする訳にもいかず、事故を防ぐ目的でも基本的に使わないようにしている。
 こいつをぶっつけた方が幾分かマシだろうと、左手で握っていた銃の銃身を右手で掴み投げの姿勢を取るが、その間にダンが蹴り飛ばされてしまった。

「……痛みを感じない、気にしないってのはやっぱり強いんだよな」

 自己防衛反応、生き物は己が生命が危険に曝された時、無意識にそれを行い生き長らえようとする。片一方、あるいは両方の命が失われるまで闘争を行う珍しい生き物、人間でもそれは変わらず、いや増して下手な野生動物よりも強く現れ、闘争者同人は、お互いに痛みで相手が止まることをどこか期待している節がある。期待し、そう思い込む。故に痛みで止まらない相手の攻撃を許す。

「俺とかお前みたいなやつの攻撃をな」

 フィギュアスケートよろしく、奴は回転を始めそのまま突っ込んでくる。これもまた、命、いや存在を顧みない捨て身の攻撃だ。
 目には目を歯には歯を、捨て身には捨て身を。銃を右手だけで持ち直し、右足を引く。左手を伸ばし、奴の凶刃を受け止める為の構えをとった。指くらいは千切れるかもしれないが今更そんなことにビビっていたら倒せるものも倒せない。
 左腕に意識を寄せる。距離が詰まり体が裂かれるまであと一歩……その瞬間、目の前に……なんだこれは、犬の手?人の丈程の犬の……前脚だな、犬の前脚が現れた。巨大なこれが掌をこちらに向けていたら多少は警戒しただろうが視界に広がる手には肉球が見当たらない。そしてそれはあっさりと紫色の人もどきを切り裂き、霧へと還した。

「……ダン?」

 少しばかり思考が追っつかない。

「思わずって、おいおい」

 一人でに開くゲートの向こうに消えるダンを呆然と見送る。ダンが“これ”をやった、それは理解している。その後に続く“何故隠していたのか”“さっきのはなんなのか”様々な疑問が溢れ、解決に取り掛かることすら困難だ。
 もっともそんな思考の混濁なんてものはミシェルちゃんの喧しい叫びに呆気なく吹き飛ばされた。

「なになになによもううるさいなぁ」

 促されるままに通信機の画面を眺めた。
===============

「えー、レスパーダ廃止に俺ら除名?困るんですが?」

「え、なんで林檎とダンがいるの。で、これが……カイ君のお兄ちゃんか」

「フェリス……捕らえるべき……だった相手」

「え、ミシェルちゃんそれマジ?ロックが催眠て、それなんてエロ…おい、ミシェル?おい!」

「ちょっ……頑張れよ!なんとか出来んだろお前なら!なぁおい!」

「……待てよ…………嘘だろ……」

===============

 思考が追いつかない。

「殺す」

 ミシェルの死を前にして、口を突いて最初の言葉。

「殺す」

 二番目の言葉。

「殺す」

 三番目の言葉。

 何を考えているのか、これは怒りなのか悲しみなのか。何一つ分かることはなかったが、唯一つ、フェリス・ヨーシャンク、俺はこいつを殺さなければならない。それだけは確信していた。
 浅くなった呼吸に深呼吸を挟み込む。肩が大きく上がり、落ちる。軽く吸い、もう一度、ふぅ、と吐く。

「殺そう」

 思いは変わらない。ただ、決心のような理性めいたものが芽生えていた。落差のせいかかなり落ち着いている。落ち着いて殺そうとしている。それはきっといいことだ。
 通信機を棄て白衣からマグナム弾を取り出し、リボルバーに込める。もう何も気にする必要はない。ちょっとぐらい扱う武器の致死率が高くなっても誰も気に留めない。なにせ今の俺はレスパーダ隊員ではなく一般人なんだからな。
 フェリスに銃を向ける想像をしながら銃を構える。と、その照準の先によく見知った手が……そう浮いていた。荒んだ心に潤いが戻る。

「よお、死賭。これからレスパーダ本部を襲撃する。付き合わないか?」

 銃をしまい、つかつかと歩みを進めながらスキットルを取り出す。蓋を外して中身を一口飲み、城の中へと入っていった。

>>城の中の誰か

27日前 No.539

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 小学校校庭→第8区画 能力開発研究所】

「ふ……む」

カルはあたかも自分達の考案した方法でしか現状を打破できないと思っているようだが、光一は完全に手詰まりとは考えておらず、今から第8区画の能力開発研究所へ赴き、その地下に存在するであろうバグ発生装置を破壊すれば幾らか状況は好転すると踏んでいた。距離としてはそこまで離れていない上、入る口実も転職の為の下見だとなんだとどうにでも言い訳できる。仮に警備が厳重だったとしても、最悪単騎で討ち入るつもりだ。それにその方が装置の具体的な位置も逆算しやすい。つまるところ、ここでカルの後についていく必要性はそこまで高くないのである。更に言えば、この誘いは罠である可能性も十分にありうるのだ。

「だったらどうしてただの一般人なんか誘おうとするんだか」

そう一言残すと、踵を返して走り出した。リッキーとすれ違いざま、回復に感謝する、と走りながら礼を述べそのまま去っていった。

(さて……間に合うかね)

恐らくトールの言っていたタイムリミットまでそう長くないだろう。あまりモタモタしている暇はない。

>>周辺all

27日前 No.540

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【カイ、ヘクター、カル・ギラム/第5区画 裏路地→タナトスの隠れ家】

「まったくその通りだね、お互い戦ったこともあるのにさ。でも、昨日の敵は今日の友達ってポップな言葉もあるよね!」

霧月が笑みを浮かべるのを見て、ようやくカイの顔にも明るさが戻る。「ポップ」という謎の基準を口にしながら、霧月が自分と同じ意思を持っていることに喜んでいるようだ。扉へと入っていく霧月はカイに真剣な顔を向ける。これはカイと対峙したときに見たことのある顔だ。まさに彼女がもつ日本刀のように表情も、言葉も、心も、澱みなくまっすぐで、カイは純粋に霧月と共に戦えるようになってよかったと思った。だが次に霧月が見せた表情は所謂「女の子の笑顔」というもので、カイはドキリと心臓が跳ねるのを感じる。どんな男でも不意の笑顔というものには弱いのだ。

「あ、あぁ……ありがと」

カイは自分でもよくわからない焦燥感に駆られ、それを悟られないよう必死に口を真一文字に結んだ。結果口から出たのは無愛想な一言だけで、いつも陽気なカイとは違った印象の言葉だ。ぶるぶると頭を振り、気持ちを立て直すと、カイは霧月の後に続いて裏路地にある扉を潜り抜けた。

扉の先の世界はというと、一言でいえば薄暗い部屋だった。ギシギシと軋む床に、切れかけの蛍光灯が数個バラバラと並べられた天井、外の気温に比べどこか肌寒いこの場所はまさに隠れ家といった場所だ。薄暗い部屋の中で特徴的なものといえば、まずは壁にずらりと並べられた扉だろう。霧月が入ってきた扉の左右にいくつもの別の扉が並んでいる。タナトスの移動手段はまさにこの扉なのだ、これだけあればいつでもどこへでも行けるだろう。そして、ほかにこの部屋にあるものといえば、部屋の片隅に設けられた数台のパソコンとそれよりも多いモニターの数々だ。モニターに映し出されているのはアドバースシティの様々な場所の様子で、これらの映像は監視カメラのものらしい。ハッキングでもして街の様子をうかがっているのだろう。

最後に、この部屋で一番目立つものについて記さなければならない。部屋のど真ん中に仰々しくおかれた一つの椅子だ。クッション部分と背もたれに使われている生地は紅色、ひじ掛けや脚部分は金色、そんな「王様の椅子」と表されるであろう悪趣味な椅子に、一人の男が座っていた。男は黒の外套を羽織っていてフードを目深にかぶっている、故に表情は見えない。彼が座る椅子のまわりにはソニアとカル・ギラムが立っていて、何やら話しをしていたようだ。霧月の足音を聞きつけ、ソニアとカルが霧月のほうに目をやる。そして椅子に座る男は、霧月の来訪ににやりと口元をゆがませた。同時に外套の中がぼんやりと赤色に光る。その赤色の光は男の口元を照らし出し、不気味な雰囲気を演出していていた。そして歪んだ口元はそのまま声を伴い、会話を始めるのだった。

「遅いぞカイ、俺が待つのが嫌いなことは知ってんだろ?ま、そもそも連れて来れなかったマヌケもいるけどな!」

一言目から怒号かと思うほど大きく腹に響く声。男は口を開くだけで相手を威圧しそうな雰囲気だ。

「僕と彼は相性が悪いって言っただろ?」

男の悪態に答えたのはカル・ギラムだ。どうやらカルはカイが霧月を連れてきたように光一を連れてくる予定だったようだが、光一は扉をくぐっては来ないようだ。男はケッと一言でカルの言葉を切り捨てる。だがその様子にカルも、そしてソニアもカイも慣れっこのようで、またいつものが始まったという様子で外套の男を見ていた。

「あとは死賭だな。あいつまで一人で帰ってきたら腹に一発入れるか」

外套を羽織る男は物騒な言葉を言いながらクツクツと声をかみ殺して笑う。

「ごめんね、僕らのリーダーあんな感じなんだ。ちょっと我慢してね」

カイはフォローになっていない言葉を言いながら、両手を合わせて霧月に謝る。外套の男の様子は不良という言葉がよく似合いそうで、今もカイに怒号を飛ばしている。だがカイはケラケラと笑ってそれに取り合おうとしない。これがタナトスのいつもの光景なのだろう。光一はこちらに来ないようだが、秀作に関しては死賭が同じように彼を迎えに行っているようだ。秀作がこちらに来れば、あの外套の男の正体もわかるだろう。

>>霧月





【死賭/第6区画 中央公園】

体の一部を切り離し、それを自在に操る能力……そんな奇妙で珍妙な能力を持つのはこの男しかいない。

「はぁ〜ぃダァリンッ!うふふ、俺ちゃん……来ちゃった」

アスレチックの城の中に入ってきた秀作を出迎えるのはタナトスの死賭だ。口の前で両手を握って精一杯ぶりっ子のポーズをする。くねくねと腰を動かしているが、これを30代の男がやっていると思うと、冷静に考えなくても気持ちが悪い。死賭は記者会見場襲撃の後収容所に入ったはずだが、今は自由を満喫している。粗方タナトスのメンバーである八五郎の移動能力を使って脱獄したのだろう。ぶりっ子をしていた死賭だったが秀作の言葉を聞くと急に態度を変え、はぁーと大きくため息をつく。そして秀作に近づくと断りもせずに秀作と肩を組んだ。そして背中にある刀を一本抜き取ると、峯のほうで自分の肩をとんとんとたたきながら口を開く。

「俺ちゃんもさぁ、ダーリンとこのミシェルに情報聞いてさぁ、それが一番てっとり早いと思ったのよ。でもまずはつるっぱげフェリス野郎の作戦を潰すのが先ってヘクターにもカルにもミシェルにも言われちゃってさぁ。あれよ、バグ装置と結界装置?とかいう適当につけただろって名前のやつ?あれ壊すことになったんだけど……ダァリンも一緒にいかが?」

別にフェリスは禿ていないし、むしろ役職の割には若々しいはずだが、死賭は研究所所長というイメージからか、それとも元より適当なのか、フェリスの名前の前につるっぱげをわざわざつける。死賭の口ぶりからすると、どうやらミシェルはタナトスのもとにいるようだ。どういう経緯かはわからないが、ミシェルは完全に消去される前にタナトスのもとへと逃げのびた様子だ。

死賭は肩をたたいていた刀で秀作の目の前にある扉を指し示した。見た目はアスレチックに組み込まれた軽そうなプラスチックの扉だが、扉のノブにはビーズ大の玉が括り付けられている。どうやらあの扉はタナトスの移動手段である「ドアトゥドア」の能力が施された扉のようで、あの扉をぬければ中央公園ではないどこかにつながっているようだ。死賭は必要以上の距離に顔を近づけて秀作の返事を待つのだった。

>>秀作





【リッキー・ショーター/第9区画 小学校校庭】

自分とすれ違ってそのまま去っていこうとする光一を見て、リッキーは一瞬悩んだ。だが光一がこの場を去る前に、リッキーは護送車に近づくとパァンッとクラクションを一度鳴らす。光一に待てと言いたいようだ。

「……どこに行くのか知らないが、他の区画に歩いていくには数時間かかるぞ」

どこに行くのかわからないと言いながら、リッキーは光一がどこへ行こうとしているのか、わかるような気がした。リッキーは護送隊の隊長である。そしてその護送隊とは、収容所に所属する部隊だ。今までアドバースシティに発生したバグの中には、レスパーダが捕らえ収容所に収監した囚人の能力を持つものがいくつか存在した。おそらくその囚人たちは能力開発研究所に連れていかれ、フェリスの手にかかり、能力情報を抜き取られたはずだ。収容所に所属するリッキーならば、囚人たちがの能力開発研究所へ移動する様子をどこかのタイミングで見ていたのだろう。あの囚人はなぜ能力開発研究所に行くのだろうかと、リッキーは思っていたに違いない。そしてレスパーダの廃止とフェリスの台頭、光一の様子から、なんとなくリッキーは光一がフェリスの根城へと行こうとしていると勘づいたのだった。

「乗っていくか?」

不愛想に、ぶっきらぼうに、そう一言だけ問う。リッキーは仕事人間だ。仕事にかかわらないことは決して行わない。だが、このアドバースシティの異様な空気、そして光一のただならぬ決意の表情を見て、リッキーは少々の間だけ仕事の手を休めることに決めた。ここは第9区画、能力開発研究所があるのは第8区画だ。歩いていくには遠すぎるし、なによりこの切羽つまった状況では時間がかかりすぎる。護送車のボディに手を置きながらリッキーは光一の返事を待った。

>>光一

26日前 No.541

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第9区画 小学校校庭】

もう少しで校庭から出られるというところで、後ろからクラクションが聞こえてきた。この場に停めてある車輌は一つしかない。

「リッキー……お前……!?」

思わず戸惑いの視線を向ける。幾ら目を凝らしても、分かるのは眼前の光景が幻覚でないという事実だけ。
どうして、と不粋な言葉を喉まで出かかったところで止め、瞬時に平静さを取り戻す。

「ああ、頼むぞ」

改めてその瞳に決意の光を宿らせ、来た道を戻った。そして護送車の元へたどり着くや否や、無遠慮にドアを開け助手席へと座る。

「お前になら話してもいいか……」

そう前置き、光一は記憶堂で手に入れた全ての情報を話した。

――――――――――――

「そういうわけで、フェリスのネオレスパーダ設立は完全なマッチポンプってことだ」

そこまで言い終わったところで、伝えるべき事柄は伝えたとばかりにひと息つく。正直言ってこのことを全部信じて貰えるとは思っていない。だがそれでも、誰かに話さなければこの胸のつっかえが取れなかっただろうと心のどこかで感じていた。

>>リッキー・ショーター

25日前 No.542

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【リッキー・ショーター/第9区画 小学校校庭→第8区画 能力開発研究所前】

光一が踵を返しこちらに帰ってくるのをを見ると、リッキーは護送車に乗り込む。エンジンをかけたところで光一が助手席に乗り込んできて、リッキーは何も言わずに車を発進させた。光一からはただ「頼む」としか言われなかったが、リッキーにとってはそれがありがたかった。ここでなぜ乗せてくれたのかだとか、乗せてくれてありがとうだとか、そんな会話をして時間を潰したくなかったからだ。光一の輸送はリッキーにとっては任務外の行動だ、自ら進んでやっていることだが、仕事のために手早く済ませたいと思っていた。

第8区画へと向かう車中で、リッキーは光一からこの街の、というよりはフェリスの裏側を垣間見る話を聞く。バグを作ったのもフェリス、改造能力者を操るのもフェリス、おまけにこの街の人間全員を永遠に眠りにつかせようとしているのもフェリス……今アドバースシティという街は一人の男によって大きくその存在を揺るがされていることになる。リッキーはまっすぐと前を見て運転しながらリアクション一つせず光一の話を聞いていた。リッキーは光一の話を聞きながら過去の出来事を思い出していたのだ。それを光一に話しておいた方がよいだろうと口を開く。

「……最近になって能力開発研究所から臨床試験のために囚人をこっちへ移送してくれという依頼が増えていた。そして研究所に移送した囚人は軒並み収容所に帰ってきていない。お前の話が本当ならば、フェリスに脳から能力情報を抜かれて、どこかで永遠の眠りについているのかもしれないな」

リッキーには光一が話したバグや能力情報と関係がありそうな心当たりがあったのだ。リッキーは光一の話を鵜呑みにする姿勢は見せなかったが、最近やたらと囚人を研究所に移送していた事実が光一の話と一致したことで、フェリスという存在を疑い始めていた。

しばらくしたところで車は能力開発研究所に到着する。ミシェルの最後の通信からすると、おそらくフェリスはまだレスパーダ本部もといネオレスパーダ本部にいることだろう。この間に能力開発研究所の地下にあるバグ生成装置を壊さなければならない。

>>光一

24日前 No.543

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第6区 中央公園】

「あー、んー、俺は本人をぶち転がすのが一番だと思うんだがなぁ……」

 外堀を埋めるのは重要だが、将を射たいなら将を射てしまえばいい、そっちの方が早く終わる。

「だがまぁ……」

 肩に死賭の腕の重みを感じながらスキットルを傾け、刀の退いた死賭肩に腕を掛けて元より近い顔をさらに近づけ、ごつ、と額をぶつける。

「うん、そうだな。よし、じゃあ俺もタナトスに入る事にしよう。手続きとかあったら面倒だが、少なくとも気持ちの上ではな」

 人とは往々にして群れる生き物であり、各コミュニティーを生成しそこで生活をする。群れなければ生きていけない生き物が群れから外れた場合……まぁなんだ、一人だと寂しいからまたどっかの群れに入るんだよ。

「となると俺は頭の言う事を聞かなきゃならないわけだ。となれば……」

 跳ねるように頭を離してスキットルの首を親指人差し指薬指で摘みながら扉を指差す。

「行こうぜ兄弟」

>>死賭

22日前 No.544

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/タナトスの隠れ家】

相変わらず謎基準なカイさんに「そうですね」と返しつつ、ドアの先へ。

ドアの向こうには、ドア、ドア、ドア…………ドアが沢山あった。一つ一つのドアの先がアドバースシティの各所に繋がっているなら、少数にも関わらず、タナトスの壊滅が難しかったことにも頷ける。

(ここはどこの区画でしょうか………)

これは単純な疑問。答えが帰ってくるのは期待していないが故の口に出さなかった事であり、答えが帰ってきたとしてもどうこうする気は無い。

そして、霧月の目が部屋の中で圧倒的な存在感(悪い方向で)を放つ椅子と、その上に座る悪趣味な男。タナトスのメンバーと頭の中で照らし合わせ、消去法で残ったヘクターであるらしいと判断する。

第一印象は高圧的な上司。人のウィークポイントを突いて来るタイプの人間で、敵対していたなら全力で斬りかかっていたかもしれないほど、霧月にとっては嫌いなタイプの人物。

「……何かの間違いで斬りかからないように気をつけます」

お淑やかなイメージの強い霧月だが、嫌な事はハッキリ嫌という性格であり、それに対して刀を抜く事も辞さない。もしかしたら霧月が全力で狂錬を使う相手はネオレスパーダでもフェリス・ヨーシャンクでも無くこの男になる可能性が高い。

青崎さんは来ない様だが、逆に彼らしいとも言える。間違っても敵対はしないだろう。だが、若しも敵対してしまったのなら、その時はその時だ。

能力の裏に修羅を飼う霧月。彼女の鞘が砕かれた時、どんな惨状になるかはわからない。それが良き方向に振るわれることをただ願うのみである。

「お腹空いた……」

気づけば朝から何も食べていない。生憎、何でも出てくる四次元袖(この呼び方気に入って来た)には救急箱や砥石などしか入っていない(逆に何でそれが袖に入るんだ)。フルーツバスケットでも入れてくれば良かったと思う霧月だった。

≫all

【相変わらず謎容量の霧月の袖ですが、何も入っていないように見えるヒラヒラの部分からごっつい救急箱が出てくる感じです。刀も器用にしまえる四次元袖。なぜにフルーツバスケットを入れようと思ったのか、何故にそれが入ってしまうのか。それは聞いてはいけない】

22日前 No.545

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/第8区画 能力開発研究所前→受付】

どうやらリッキーも研究所の動向を怪しんでいたようだ。普段の言動からして、てっきりエコノミックアニマルに近い性分だと思っていたが、それは完全なる勘違いであったらしい。
そうこうしている内に護送車は研究所へたどり着く。

「とてもじゃねえが、クソッタレ装置を稼働させてる施設とは思えねえな」

さっさと降車し、誰に聞かせるでもなく一人ごちる。
端から見ただけでは、その地下で街を揺るがしかねない生物兵器を製造しているなどとは判断できないだろう。

「まさか、本当にこうなるとはな……」

もう名前も忘れてしまったが、いつかの女性職員に案内された時の予想が真実になってしまった。だが今更止まる気はない、もし彼女達と相対するような事になったとしても、その時は躊躇わずに押し通るまでだ。
感傷に浸るのもそこそこに足を進めた。ややあって入り口を潜り受付に到着、担当者に入場の可否を尋ねる。

「レスパーダの……OBの青崎光一だ、ご存じの通りついさっき路頭に迷っちまってな、そこでここに就こうと思って、一度改めて見学したいんだ」

心にもないことをつらつらと並べ立てた。実際の胸中は、例え何も知らぬ末端職員であろうと、邪魔立てするならば叩きのめす腹づもりである。

>>周辺all

22日前 No.546

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

【カイ、ソニア/タナトスの隠れ家】

霧月の「斬りかからないように気を付けます」という言葉に、カイは口元を押さえてクスクスと笑う。それに対して外套を羽織る男は「何がおかしい!」と不機嫌に声を挙げているがカイはそれに応じることはなかった。

「斬っちゃわないように気を付けてね、僕らのリーダー怒ると手がつけられないからさ」

外套の男は暴力的で口の悪いまさに「悪の親玉」といった様相だ。今まで正義を行使してきたレスパーダにとって最も相容れない存在だろうとカイは思ったのだ。カイいわく今のように怒号を挙げたり、悪態をついているのは「怒っている」うちに入らないらしい。いつもの調子であんなカッカしているのだがら、外套の男が怒ったときにはどうなってしまうのだろうか。

お腹が空いたと呟く霧月だが、残念ながらこの隠れ家に食事が用意されている様子はない。だが霧月が呟いてから数秒して、霧月の視界にパンが入り込んでくる。パンをもつその手は、白熊化の能力を持つパンクロック少女ソニアのものだった。

「腹が減ってたら動けないよ」

淡々とした口調でソニアは告げる。ソニアは防衛大臣を襲撃しその後収容所にいたはずだが、脱獄してきたようだ。八五郎の扉を使った移動能力に加えカル・ギラムの変身能力で大抵のことはできてしまうのだろう。ソニアは霧月の手に無理矢理パンを押し込むと黙って壁際へと移動してしまった。ソニアは同世代の女の子に触れあうのが久しぶりなせいか、ぶっきらぼうな態度になってしまったようだった。

>>霧月




【死賭/第6区画 中央公園→タナトスの隠れ家】

額がゼロ距離になり、タナトスに入るという言葉を聞いた途端、死賭は顔を喜びで歪ませた。死賭の顔にはゴーグルと赤いスカーフが巻かれているので実際表情は見えないのだが、ゴーグルが笑顔の形に歪んだのではないかと錯覚するほどに死賭からは喜びの感情があふれでている。跳ねるようにして秀作の頭が外れる瞬間お互いの頭蓋骨がゴリッと音をたて、その音は死賭を余計に興奮させた。

「はぁ、ダーリン……俺ちゃんはこのままキスしちゃいたいくらい嬉しいぜ。ま、俺ちゃんはソニアちゃんのために一線はこえないけど」

死賭はとろけそうな顔で秀作を見つめていたところから急に真顔に戻る。ソニアというのは白熊化の能力を持つ少女のことだが、死賭はよっぽとソニアに入れ込んでいるらしい。ソニアが死賭をどう思っているかはまた別の話だが。

「いくか」

死賭は秀作の呼び掛けに答え、肩を組んだまま勢いよく走り秀作を引っ張る。そしてその勢いのままアスレチックに据え付けられた扉を潜り抜けたのだった。

>>秀作




【死賭、ヘクター、カル・ギラム/タナトスの隠れ家】

「皆さんおまた〜!」

突然隠れ家の壁に数多に並べられた扉のうちひとつが豪快な音をたて勢いよく開かれる。そしてその音に負けないくらいの大声を出しながら二つの人影が隠れ家へと入ってきた。ひとつは死賭、もうひとつは引っ張られるように入ってきた秀作だ。

「遅い!」

一人の男の怒号か飛ぶ。薄暗い隠れ家のなか、部屋の中央に据え付けられた「王様椅子」に座り、目深に外套のフードを被った男の声だ。男が叫ぶと同時に男の体がぼんやりと赤く光ったように見えた。

「まぁいい、これで全員だな。カル!お前は先に行っとけ!俺はこの二人と話をする」

外套の男が座る側に立っていたカル・ギラムは男の言葉を聞くやいなや、壁にずらりと並んだ扉の方へと歩きだす。そしてひとつの扉を潜り抜け、どこかへいってしまった。

カイは霧月を、死賭は秀作の背中を押し、外套を羽織る男の前に立たせる。元レスパーダ隊員が二人揃ったところで、男はにやりと笑った。

「ようやく揃ったか。ま、いないやつもいるがこの際それはどうでもいい。まずは自己紹介だ」

そういって男は目深に被っていたフードをぬぎ、その素顔を霧月と秀作にさらした。くすんだブロンドの髪を短くしていて、頭が丸っこい形をしている。目は性格に似合わずくるりと丸く、ついでに鼻も丸い、かなり愛嬌のある顔つきだ。そうここまでならば。その男の顔半分には無数の亀裂のようなものが入っていた。肌を行き交うヒビからは赤色の光が淡く漏れている。

「俺はヘクター、ここを根城にするタナトスのリーダーだ。さて、さっき無職になったお前らに俺が仕事をやる存在だ」

そういってヘクターは足元からノートパソコンを引っ張りあげる。パソコンを開き、モニター部を霧月と秀作の方に向ける。そこには何も写っていなかったが、そこに誰がいるのかは明白だった。

「霧月ちゃん!秀作ちゃん!無事だったのね!」

ノートパソコンからはいつもの甲高い声が聞こえてくる、ミシェルはヘクターのもつノートパソコンの中にいるようだ。

「本部で消去されそうになってるところをうちの八五郎が保護して今はこの中にお前らの仲間がいるってことだ。で、俺達はお前らがせっせと集めた情報を全ていただいたわけだ」

どうやらレスパーダの調査した情報をミシェルから聞いたらしい。死賭がトールとのやりとりまで把握していたところをみると、ミシェルは洗いざらいすべてタナトスに話したようだ。

「で、ここからが重要な話だが……お前ら、俺達タナトスと手を組む気はないか?トールって奴が言ってたバグ生産装置と2つの結界装置をぶっ壊してやろうじゃねぇか。どうだ?」

ヘクターはにやりと笑う。それと連動するようにヘクターの顔に走る無数の亀裂から、赤い光が漏れだしたのだった。

>>霧月、秀作




【受付係、春谷都/能力開発研究所 受付】

能力開発研究所に入ってきた光一をみて、受付係はすぐ事務的にニコリと笑みを浮かべた。元レスパーダだと名乗られると少々同情した顔つきになり、光一を気遣うようにより一層笑顔が輝いた。

「この度は大変でしたね。分かりましたそれではすぐにどなたかに案内を……」

すると受付前を丁度二人の人物が通りかかった。男女一人ずつの組み合わせでちょうど話を聞いていたのか、男の方がにやりと女の方をみた。女の方は、光一が先日出逢った春谷都で「隠された被験者」について噂をしていた人物だ。

「おい春谷、見学だってよ。お前暇だろ?案内してやれよ」

「な、勝手に決めないで下さい!私はこれから自分の研究が……」

「誰がお前の『能力者を無能力者にする』研究なんかに興味あるんだよ!そろそろ研究費も打ちきりだろうし、最後の仕事だと思って案内してやれよ!」

男女は大声で会話をしていたが、男が女の背中をどんっと押して、光一の方に追いやったことで会話の決着がついたようだ。自分の研究を馬鹿にされたことに傷ついたのか、春谷はがっくりと肩を落としながら光一の方へと近づいた。

「あー、すみませんお見苦しいところをおみせして……前にお会いしたかたですよね!春谷都です!それじゃあ、こちらへどうぞ」

春谷は気持ちを切り替え光一を案内することにしたようだ。春谷は光一がこちらち来るのを待つ間、光一に笑顔を向けていた。

>>光一

21日前 No.547

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 受付】

受付の者はあっさり騙され、案内役を探そうと考え始める。それに対し少しばかりの肩透かしと引け目を感じたところで、一組の男女が通りすがる形で現れた。男の方に面識はないが、女の方は見覚えのある顔だ。

(あいつは……)

確か以前ここを案内してくれた職員だったか、名前は記憶から消えているものの、大体の人物像はまだ覚えている。彼女は男に押し付けられるように案内役を務めることを決めたらしく、今一度名乗った。

「ああ、また宜しく頼む」

そうだ、春谷都だ。頭の中のモヤが一気に晴れるような感覚を覚える。が、それを表に出すことなく、装置破壊の為の過程を思案し続ける。

「そうだな……まず地下から案内してくれないか」

>>周辺all

20日前 No.548

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_qxX

【春谷都、研究員の男/能力開発研究所 受付】

春谷は光一が自分の存在を覚えていてくれたことがうれしかったのか、無邪気に年の割には幼い笑顔を浮かべる。何かに没頭できる人間は体内時計があまり進まずいつまでも若い見かけを保つという話もあるが、もしかすると春谷も研究に没頭して体が年を取っていない人間なのかもしれない。さて早速1階の研究室から……と意気揚々と足を進めようとしたところ、春谷は光一からの言葉を聞いて不思議そうな顔を浮かべる。

「地下…?この研究所に地下はないですけど…」

春谷は困ったような笑顔を浮かべながら小さく首をかしげる。どうして光一が地下という言葉を口にしたのか、それを考えていると春谷はあることを思い出したのだった。

「あ、もしかして私が『隠された被験者』がいるって話したからですか?!もーあれはただの噂だって言ったじゃないですか」

春谷は前回光一と話した時のことを思い出し、慌てた様子で自分の体の前で手を振る。春谷のいう隠された被験者こそが能力開発に失敗した人々をさすのだが、春谷はそれを知らない。研究所に地下がありそこに隠された人々がいる…それを春谷はあくまでも七不思議程度にしか思っていなかったのだ。それがまぎれもない事実とは知らずに。気を取り直して春谷が最初の研究室に案内しようとしたところ、白衣を着た一人の男が光一と春谷のもとへと近づいてきた。光一の顔をみるなりパッと顔を明るくさせる。丸眼鏡をかけてひょろりと細長い印象を受けるその男はニコニコと笑顔を浮かべながら光一の傍により口を開いた。

「あぁ青崎さん、もういらしていたのですね。すみません遅れてしまって。春谷さん、青崎さんは僕が案内する約束をしてたんだ。ここからは僕が」

もちろんこの男と光一は出会ったことがない。しかし、研究員の男はまるで光一と研究所で会う約束でもしていたかのような口ぶりだ。春谷は「あぁそうなんですね、では」と短くいうと光一のもとを離れていく。もともと押し付けられた仕事なのだ、そこから解放されたとなればさっさと退場するのが普通だろう。

「それでは青崎さん、どうぞこちらへ」

研究員の男が廊下の先に招くように光一のほうへ手を差し出す。その手が一瞬だけ、文字通り揺らいだように見えた。

>>光一、

19日前 No.549

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/タナトスの隠れ家】

「あ、ありがとうございます……?」

音楽やファッションの知識に疎い霧月は唐突に押し付けられたパンをくれた人物を「パンクロック風」と認識する。

「ソニアさん、ですね。資料で見ました」

パンを食べながらカイさんへ話す。

「ともあれ、捕まった筈のタナトスが全員集合とは……レスパーダ本部ってそんなにザルでしたか?いえ、あの混乱の中では無理もないとは思いますけど」

現在敵と認識しているのは能力開発研究所の一部職員及び所長。そして、政府とも繋がっている事が確信できる。自分は一転して反乱軍である。

「式見家当主、式見霧月です。能力に関しては貴方達一は既に知っているでしょうから割愛します」

ヘクターの自己紹介を受け、自分も名乗る。レスパーダという肩書きはもう使えないのでとりあえず、そう名乗っておいた。

「ミシェルさん、無事だったんですか……はい、恐らく青崎さんも無事かと。ここにいないということは一足先に事態の収拾へ動いたと思われます」

ミシェルの生還に安堵しつつも、自体が一刻を争う事は変わらない。組織と争うならこちらも組織で当たる必要がある。フェリスの研究が成功してしまえば街そのものが敵となる。その前にネオレスパーダと能力開発研究所を叩く。それ以外に無い。

「私は、この街を好きにさせる気はありません。その為にタナトスに協力しましょう。それに、少しレスパーダに忘れ物をしてしまったので」

霧月の手には薙刀が握られていない。レスパーダに置いてきていたのだ。

「情報の共有はもう済んでいるようですね。これから何をすればいいですか?」

そうヘクターに問う。

≫all

17日前 No.550

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/タナトスの隠れ家】

「おまたー」

 死賭に引っ張られるようにして扉をくぐるとその向こうは……えーと、タナトスのアジトで、いいのかな、うん。
 扉に囲まれた薄暗い部屋、その中央に据えられた、なんだ、Web小説に出てきそうな……王様の座る……玉座?少し違う気もするが玉座でいいや。玉座に腰掛け外套を羽織るタナトスのリーダー格らしき人物、こいつがヘクターか。まさかリーダーを差し置いてこんな偉そうな態度を取る奴もいるまい。

「どぅえっ」

 死賭に背中を押され変な声が出る。
 そのままフードの男の前まで誘導されたところでその被りが暴かれる。わお、すんごい顔、つよそう。なんか光ってるし。あとヘクターで合ってた。
 ヘクターは足元からノーパソを引き上げ開き、こちらに向けるといつもの喧しい声が聞こえてきた。

「お゛あ゛あ゛あ゛い゛ミ゛シ゛ェ゛ー゛ル゛」

 全身の力が抜けるような安堵と、踊り狂いたいような喜びが綯い交ぜになって濁点に塗れた声が漏れる。身体は暴走と沈黙の綱引きで全身に力が入った状態で固まっている。
 そんなのをよそにヘクターは同じ目的を持つもの同士、協力を提案してくる。敵の敵は味方、そういうこった。

「ん゛ん゛ん゛ん゛ナイス!素晴らしい!お礼ではないが個人的になら幾らでも協力しよう!もとより俺、タナトスに入るつもりだったし」

 身悶えしながら霧月ちゃんに続いてそう答えた。

>>ヘクター

17日前 No.551

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【ミシェル、ヘクター、八五郎、カイ/タナトスの隠れ家】

半分のメンバーが確保されたはずのタナトスが全員自由に動いていることを霧月に指摘され、カイは苦笑いしながら頬を掻いた。今まで情報を盗んだり、襲撃をしたりと犯罪を重ねてはいたが、一応それぞれの行為に対して後ろめたさはあるらしい。

「僕らには八五郎がいるからね……僕らいつでも八五郎が作ったこの玉を持ち歩いてるんだ。これを扉にとりつければその扉がこの隠れ家に繋がるから、僕らを閉じ込めておくことはできないんだよね」

カイはポケットから数個のビーズ大の玉を取り出した。これは八五郎の『ドアトゥドア』の能力を発動するのに必要な道具だ。この玉を取り付けられた扉は別の扉と空間を飛び越えてつながる。つまりこの玉さえ持ち歩いておけば、どこへ行こうと手近な扉にこの玉を取り付けることで、八五郎の能力でこの隠れ家に帰ってくることができる、ということである。つまり実質タナトスを捕らえておくのは不可能ということだろう。八五郎を抑えることができればまた別の話だが。

玉座のような椅子に座ったヘクターは霧月と秀作の答えを聞いて満足げに笑みを浮かべる。レスパーダと協力することになるのを予想し、その通りにことが運んだことを喜んでいるようだ。ニカッと笑うヘクターの歯は暗い部屋の中で嫌に存在を主張していた。協力どころかタナトスに入るという秀作に、ヘクターの口角はますます上昇する。

「元レスパーダが俺たちの仲間か。面白いねぇ、歓迎するぜ。お前もなかなか狂人みたいだが、狂人が1人から2人に増えたところで問題はなさそうだな」

ヘクターは先ほどのミシェルに対して奇声を上げた秀作を「狂人」と評価したようだ。実力面に関してはタナトスとの戦闘で十分承知なのでヘクターは迷うことなく秀作を歓迎する。秀作の後ろで死賭は「狂人って誰のことかなー」ときょろきょろと人を探すしぐさをする。どう考えてももう一人の狂人は死賭であり、とぼけた動作をする死賭に対してソニアはうんざりといった様子で死賭から顔を背けていた。

「さて、それじゃあこれからの話をするか。お前らも知ってると思うがこれから俺たちがやるべきことはバグ発生装置と2つの結界装置の破壊だ。バグ発生装置のほうはお前らのとこの青崎と俺のカルが向かってる。式見、浜田、お前ら二人とカイと死賭、計4人で結界装置を破壊しろ。で、その結界装置だが……」

そこまで説明し終えたところで、ヘクターは先ほど手元に引き寄せたミシェルが入っているノートパソコンをバンバンとたたく。明らかに機械に対して加えてはいけない衝撃なのだが、ヘクターはそこらへんの力加減を知らないようだ。

「ちょっと!もっと大切に扱いなさいよ!じゃなくて、結界装置の説明ね!みんながボスバグと戦ってるときにトールのパソコンをハッキングしてみたんだけど……これがなんと障害なしでハッキングできちゃったのよね。わざと開けてましたよね的な?私たちに情報を渡すために開けてましたよね的な?まぁそのおかげでその結界装置の正体が分かったのよ!その結界装置はどでかい『能力情報強制採取装置』みたいなの!アドバースシティ全体に結界みたいなのを張ってこの街のすべての人の能力情報を抜き取れるって装置ね。能力情報を抜き取られたらどうなるか覚えてる?永遠の眠りについちゃいますけど的な?つまり結界装置が作動しちゃうとこの街全員が眠って倒れちゃいますよ的な?たぶん、フェリスは膨大な能力情報を手に入れて、膨大な種類のバグを作ったりリョウみたいな改造能力人間を作るつもりだわ。結界装置を作動されたら、この街は終わりよ」

ノートパソコンからいつもの調子でミシェルの声が響き渡る。だが内容は深刻だ。バグ発生装置も厄介な代物だが、結界装置のほうは作動させられた時点でこちらの負けが決まる。なんせ結界装置の効果範囲はアドバースシティ全域だ、逃げる場所がない。結界装置が作動した時点でアドバースシティに入れば能力情報が抜き取られ、そのまま永遠に目覚めぬ体になってしまうのだ。たとえ他人の能力情報を脳内に入れられ強力な能力をもった改造能力人間として目覚めたとしても、フェリスの催眠によってフェリスの操り人形と化してしまう。

「分かったか?バグ発生装置を止めるのもとっととやらなきゃいけねぇが、結界装置のほうはそれ以上に厄介だ。こっちのほうが時間がない。で、その結界装置がそろそろ…」

「ヘクター!動きがあったぞ!」

部屋の片隅、複数のモニターが並べられた場所の影から声が飛んでくる。続いてカラカラとタイヤが回る音が聞こえ、暗がりから一人の人物が姿を現した。その男は車いすに乗っていて、黒髪を左右アシンメトリーにしている。タナトスの最後のメンバー、八五郎だ。八五郎の声を聴き、ヘクターはまたニカリと歯を見せて笑う。決戦の時が近づき、ヘクターは高揚しているようだ。肌のひび割れから赤い光が漏れ出している。

「報告しろ、八五郎」

「第2区画の発電所横と第6区画の9番街に結界装置確認した。ネオレスパーダのやつらが設置作業中だ。第2区画にはダン・ダルシア、第6区画には八掛丈……じゃなくてリョウがいる」

八五郎は車いす生活を余儀なくされているようでタナトスでは監視カメラの確認係をしているようだ。タナトスのメンバーと通信機でやりとりをしていたのも八五郎だろう。もっともタナトスにとって一番重要なことは、八五郎が『ドアトゥドア』の能力を持つ人物だということだ。彼なしでは情報の盗みも脱獄もできなかったはずだ。その八五郎からの報告をうけたヘクターは大きく息を吐きながら背もたれに体重を預け、肘置きに腕をだらりと置く。そして肩を震わせて、笑い始めたのだった。どこを見るわけでもなく宙に視線を置きながら声を殺して笑う。

「さぁて、ついにこの時がきたな。お前を地獄の底に叩き落してやるぜ、フェリス……お前らやることは分かってるな?簡単だ、結界装置のところに行きネオレスパーダのやつをぶっ飛ばして結界装置をぶっ壊す、それだけだ。簡単だろ?死賭お前は第2区画にいけ。もうこそこそする必要はねぇ、奇声発しながらぶっ飛ばしてこい。カイ!お前は第6区画へ行け!どうせそこに行くってダダこねるんだ、仕方ねぇから聞いてやる。式見霧月、浜田秀作、お前らは好きなほうに行け!やることは同じだ…ぶっ飛ばしてこい」

霧月の何をすればよいか、の問いにヘクターは答えた。『ぶっ飛ばす』ただそれだけだ。結界装置が発動すれば自動的に負けなのである。ネオレスパーダに所属している限り、装置のそばにいる二人にはフェリスの息がかかっているだろう。そう、ダン・ダルシアでさえも。ダン・ダルシア、八掛丈、それぞれを打ち破り結界装置を破壊しなければならない。カイと死賭はヘクターからの命令を受けると、カイは緊張した面持ちで死賭は嬉々とした様子で、それぞれの場所へつながる扉を開け、現場へと飛び出していった。

「ソニア!お前はこいつらの忘れ物を取りに行く係だ。くれぐれも見つかるなよ?式見、浜田!ソニアにお前らの荷物を取りに行かせる。お前らはさきに結界装置のほうに行け。後からソニアが荷物を届ける」

事は一刻を争う事態だ、とにかく現場に行ったほうがよいだろう。ソニアが霧月と秀作の近くに駆け寄る。ソニアに本部へ取りに行ってほしいものを伝えた後、第2区画 発電所横か第6区画 9番街につながる扉をくぐりぬけ、結界装置のもとへ行けばよさそうだ。

>>霧月、秀作

17日前 No.552

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 受付】

春谷はこちらの地下に行きたいという欲求に対し、いまいち理解できないといった風の表情を見せる。しかしすぐに『噂を信じている』のだと早合点し、狼狽えるような仕草で『ただの噂』と断じた。

(本当にそうなら、どれだけよかったことか……)

ほんの少しだけ、たらればの念にかられる。もしフェリスの悪行もタナトスの蛮行も完全なガセであったなら、今頃自分達はさぞ平穏に近い日々を送っていたのだろう。

(……しかし参ったな)

一般の職員には地下の存在自体告知されていないようだ。この分だと自由に出入りてきるのは上層部どころかそれこそフェリス達のみというのも有り得る。だが落胆するにはまだ早い、おそらくこのからくりは『エレベーターの隠し階層』といった具合に比較的簡素な経路だと思われる。でなければ噂話などという形で情報が漏れるなど有り得ないからだ。よってエレベーターや階段など正規の手段で使えるものを隈なく調べていけば、何らかの手掛かりは掴めるだろう。

「そうか、じゃあ一階から……」

案内を頼む、と言おうとしたところで見知らぬ男が姿を現した。彼はこちらの顔見知りであるかのように振る舞い、春谷はここぞとばかりに去っていく。

(カル・ギラム……でなければ、酔狂な物好きか)

特に逆らう理由もないので、指示に従い足を進めた。

>>周辺all

16日前 No.553

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【研究員の男/能力開発研究所 受付→南東の角】

研究員の男は光一がこちらについてくるのを確認すると、光一を先導するように歩き始めた。本来研究所を紹介するならば、移動時間というこのタイミングでこの施設の概要や歴史を語るべきだろう。しかし、先導する男は光一と口をきくことなく、黙って歩き続けていた。研究所の入口から受付周辺は人通りが多かったが、そこから離れるにつれてだんだんと人影はまばらになっていった。研究員たちは各々の研究室にこもり、自身の研究を進めているのだろう。やがて廊下にある人影が光一と先導する男だけとになったとき、ようやく男は口を開いたのだった。

「君は1階からこの建物を当てもなく隅々まで調べる気だったのか?時間がないこの状況で」

あきれたような口調で話しながら振り返った男の顔は、カル・ギラムのものだった。光一の読み通り、といったところか。どうやらタナトスは能力開発研究所に潜入する手段も確立済みらしい。カルが能力開発研究所に潜入するときは先ほどの男になりすまして行動するのだろう。カルは目線を前に戻すと歩調を緩めないまま歩き続ける。時間がないのは事実なのだ、フェリスの計画はもう動き出そうとしている。フェリスが取返しのつかないことをしでかす前にバグ生産装置を破壊しなければならない。

「まったく、君が小学校で素直に僕についてくればこの組み合わせにならなかったものを……君と僕じゃ相性が悪い。でも僕もここに用がある。ここには僕の探している人がいるからね」

カルはため息をつきながら愚痴をこぼした。もとはといえばカルが光一になりすまして本部に潜入したことから始まった因縁であり、喧嘩を売ったのは間違いなくカルのほうからだが、カルはお互いに悪いと思っているようで、カルは光一の行動に納得がいっていないようだった。しかしカルも光一がいるからと引き下がるわけにはいかない。理由はエレミー・ギラムだ。フェリスに利用され、バグ生産装置と同じ場所に眠るエミリー・ギラム、彼女の存在を知るのは目の前にいるカル・ギラムだけだとトールは言っていた。何かしらカルと関係のある人物なのだろう。そしてカルはエミリーを探すついでにバグ生産装置を破壊しにきたのだ。本来は逆であるべきだが。

しばし歩いていると、研究所の南東の角にあたる部分にたどり着く。細い廊下の両側にびっしりと研究室が並べられているが、光一とカルが立つ目の前の壁部分には部屋がないようだ。周囲に扉も窓も見当たらない。

「この壁の向こうは地図上では配管スペースになっている。だが僕が調べたところどう考えてもこの壁の向こうに配管は通っていない。つまり……どういうことか、君にもわかるだろ?あぁそれとあともうひとつ言っておかないと。荒事は君のほうが得意だ」

カルは配管スペースがあるはずの壁をちらりと見やった後、光一へと視線を移す。そしてカルは一歩後ろに下がると「どうぞ」と言わんばかりに手を壁のほうへ差し出し、すました顔で光一を見た。配管スペースであるはずなのに、配管が通っていない空間。そこに本当はなにがあるのか、想像するのは容易だろう。本来ならば隠し扉か隠し通路を探すところだが今は時間がない。幸いにも周囲に人はおらず、少々派手なことをしても問題なさそうだ。そう例えば、壁を切ってしまうだとか。

>>光一

15日前 No.554

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 受付→南東の角】

予想は大当たり、男の正体はカル・ギラムだった。この様子だと日常的に偽装侵入していると見ていいだろう。

「当てならあるさ」

何の迷いもなくそう答えた。驕りや強がりなどではない、確固たる根拠に基づいた上での言葉である。

「階段やエレベーター辺りだ、完全な情報隠蔽が出来ず噂という形で漏洩してるのなら、通常の移動手段を調べた方がいい。不審な点を多角的に探っていけば、これからお前が御披露目しようとしてる場所も、直ぐに割り出せただろうぜ。少なくともお前が思っているより早くな」

たとえ行き当たりばったりだろうと、その場で状況を把握し次に打つべき一手を瞬時に構想する。それは今回のような事態だけでなく、人生におけるほぼあらゆる場面で役立つものだ。

「何を勘違いしてるか知らんが、お前に従う義理は一切ないんだぞ? ただ逆らう理由もないだけでな。更に言うなら今ここで屠っても俺の良心は全く痛まない」

移動を開始してから少し経ち、研究室が多数並んだ廊下へ行き着く。だが眼前は単なる壁面であり、扉や窓の類いは見当たらない。隠し部屋でも設けるにはうってつけだ。
そんなことを考えていると、カルがここの構造上での矛盾を説明する。

「今度は地面じゃなく壁を掘ることになるとはな……」

壁面の前に立ち、背中からブレードを引き抜く。そしてゆっくりと下段に構えて一拍置き、壁を切り刻み始めた。乱れ舞う処刑刃は欺瞞の罪盾をまたたく間に切り崩す。

>>カル・ギラム

14日前 No.555

監視システム @captain1 ★Android=tdjdXA69bB

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12日前 No.556

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/タナトスの隠れ家】

「了解ヘクター殿!」

 ぶっ飛ばしてこいとヘクターに言われ、認識の意を表して、右手の人差し指を額に、ビシッと敬礼をする。被り物をしてないから別に普通の敬礼でもいいが、こっちの方が格好がつく。

「でもその前にと」

 恋敵にちょっと待ってね、とハンドサインを送って八五郎と呼ばれた車椅子の男に向かって全力で駆け出し、急ブレーキを掛け滑りながら跪いて、ミシェルを助けて貰った礼を言う。

「君が八五郎君か、いや本当にありがとう。これからもミシェルの喧しいアナウンスを聴けるのは君のおかげだもう……ね、ありがとう!」

 一言一言礼を言う度に感謝の念が増して行って最後の方は言葉が詰まってしまった。よし、ミシェルの無事を再度認識、これで心置きなくフェリスをぶち転がせるってものだ。にしても、死賭は火傷に八五郎君は車椅子か能力開発怖すぎんだろ。
 すくっと立ち上がり白衣から取り出した部屋の鍵をソニアちゃんに投げ渡す。多分部屋にも入れるとは思うが、扉を破られるなんて事になったらたまらない。

「部屋の机の下に死賭の刀が置いてある、ついでいいがテレビの下の棚にアホみたいな威力の弾と替の銃があるからそれも持ってきてくれると助かるかな」

 ビシッと指差しをし、早口で捲し立て踵を返して八五郎君の時よりも速く、第2区画に繋がる扉へ駆け出す。

「待てよ死賭!待ってろよダン!」

 死賭にダン、この2人がいる第2区画。向かわない道理がない。一度ダンとも闘ってみたかったんだよな。
 公園の事件で見たダンの異常性、あの大きな犬の手を思い出しながら、期待感で胸を膨らませ扉を開いた。

>>ヘクター、八五郎、ソニア

12日前 No.557

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/タナトスの隠れ家→第6区画】

「分かりました。それでは私は━━必然的に第6区画ですね。行きましょうカイさん」

元より第6区画へ身を投じるつもりだったが、それより早く浜田さんが第2区画へと駆け出して行った為、まあ、助かったとも言える。

「くちゅんっ」

唐突に霧月のくしゃみ。誰かから噂でもされているのかもしれない。全くここに関係無いが、カルの問いに答えるとする。浜田さんが狂人ならば、霧月は殺戮そのものだろう。それが彼女に息づく修羅であり、彼女本来の姿なのだ。

「ソニアさん。私も自室の鍵を。白布に包まれた長い得物。それだけ持ってきて頂けると。それと……パン、ありがとうございます。美味しかったです」

ソニアさんにぺこりとお辞儀をすると、第6区画へ繋がる扉へと進む。

例え何が相手でも、斬って進むだけ。レスパーダという縛りも存在しない今こそが久々に「剣士・式見霧月」であれる時間なのかも知れない。

「式見の剣は修羅の業。一線を超えれば全てを切り捨てるまで戻っては来られない━━」

刀を右手に持つ。

全ての剣士の対極に在る無練の剣士は花の如き優美さで扉を開けた。

≫all

12日前 No.558

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 南東の角→地下室】

勿論事前情報があるのとないのでは天地の差。しかしたとえ前者だとしても、その優位性をいいことに考えることを放棄しては、意外なところで足を掬われるものだ。しかしそれを口に出すことはしない。あの手の輩は恐らく何を言っても聞き入れはしないだろうから。

「迂闊な……」

眉をひそめ、ため息。
カルは敵の腸(はらわた)へ向かうにも関わらず、大して警戒する素振りも見せず先行してしまった。身内が捕らえられているので無理もないが、ミイラ取りがミイラになっては意味がない。これでは先が思いやられる。

「全く……」

仕方なしに光一も駆け出す。まだ周囲に人の気配はないが、いつ来るかわかったものではない。それに監視カメラで見られているという可能性もある。今のところここに留まるメリットはない。
周辺に気を配りながら陰鬱な雰囲気の階段をかけ下りると、培養槽?がずらりと並んだ空間に出る、その中の人間にはいくつか見知った顔もあった。が、奥には物々しい大型の装置が鎮座している。

「………………」

間違いない、これこそがあの思念具現化装置だ。今まで散々街に異形をばら蒔き、自分達の手を煩わせてくれた忌々しいガラクタ。こんな粗大ゴミはさっさとスクラップにしてやりたい所だが、その役目はカルに譲ることにする。

「おい、とっとと装置を止めるなり壊すなりして、身内を助け出してやれ」

言うが早いか、無防備な彼の後方をカバーする形で周りを警戒し始める。場所が場所だ、どこにバグやらガードロボやら警備兵やらがいるかわからないし、もう研究所の方は大騒ぎになっているかもしれない。たとえカルがここにセキュリティの類はないという情報をつかんでいたとしても、こういう状況で気を抜くのは命取りだ。

>>カル・ギラム

11日前 No.559

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【ヘクター、ソニア、八五郎/タナトスの隠れ家】

「ふざけてないでとっとと行ってこい」

ヘクター”殿”とわざわざ敬称をつけて呼ぶ秀作にヘクターは早速怒号を飛ばす。しかしヘクターの口は楽し気に歪んでいて、騒がしい秀作のことをヘクターはなかなかに気に入っているようだ。ポップポップうるさいカイ、狂人の死賭、パンクロックのソニア、彼らを怒号でまとめるヘクター……余談だが八五郎はかなりのカッコつけだ。タナトスで一番まともなのはカルかもしれない。

秀作は勢いよく動き出しそのまま扉を抜けるかと思われたが、向かった先は八五郎のもとだった。こちらにスピードを緩めず迫ってくる秀作に八五郎は「わわっ」と慌てた声を出すが、最終的には八五郎の目の前で跪いていて、八五郎は面食らう。だんだんと力のこもる秀作の言葉に八五郎は終始圧倒されっぱなしでただ頷くしかなかったが、だんだん自分に感謝の意を述べていることに気が付き、八五郎はそれに合わせて得意げにうなずき始めたのだった。

「そうだろそうだろ?俺の手にかかればハッキングも情報解析もお手のものよ。よーし、お前はタナトスの後輩だし、敬意をこめて俺のこと『エイト』って呼んでも……っていない!」

アシンメトリーになっている黒髪を気取った顔ではらりと払うと決め顔を作って『エイト』と名乗ったのだが…もうそこに秀作はいなかった。ちなみにエイトとは『八五郎』という名前をダサいと感じている本人が他人に強要する呼び名である。さらにいうとタナトスで八五郎のことをエイトと呼んでいる人間はいない。

ソニアは秀作から投げてよこされた鍵、そして霧月から手渡された鍵を大事にポケットにしまった。秀作には無言で了解の意を示す頷きをし、霧月にはお礼を言われたお返しに笑みを浮かべて同じく了解とうなずいた。秀作と霧月、二人が扉をくぐったあとを追うようにソニアは扉をくぐっていく。

「さぁクライマックスだぜ、フェリス……」

ヘクターは歯を見せてニカッと笑う。それに合わせて顔のひび割れから赤い光が漏れ出した。まるで悪の総統のような光景だが、ヘクターはまぎれもなく秀作と霧月の味方だった。

>>秀作、霧月




【ダン・ダルシア、死賭/第2区画 発電所横】

「ほらほら〜骨だぞー」

「だーかーらー僕は犬じゃないって言ってるだろ!」

第2区画の発電所横、そこはこれから死闘が繰り広げられるであろう場所だった。のだが、場の雰囲気はなんとも間の抜けたものになっていた。対峙するネオレスパーダ隊員ダン・ダルシアとタナトスの死賭……ダンの後ろには人間がなんとか抱えてもてそうな大きさの装置が置いてある。あれが秀作と死賭が破壊すべき結界装置なのだろう。役者も道具もそろっているのに、役者のせいで緊張感が台無しだ。おそらく前々からダンが犬といじられるのを嫌っていることを知っていた死賭は、どこから持ってきたのか肉を食べた後の骨をダンの前でぷらぷらと動かしている。死賭に犬扱いされたダンは真正面から死賭の挑発に乗って叫んでいるのである。ネオレスパーダになってもダンはダンのままらしい。秀作がくぐってきた扉はどうやら発電所に備え付けられているもので、本来ならば発電所の中から外へと通じる扉のようだ。扉から死賭とダンがいる場所まではそう遠く離れていない。ダンは秀作がこの場にやってきたのを見ると死賭を無視してにやりと笑った。まるで子供の頃にいたいじめっ子が浮かべていそうな、姑息で純粋な悪が詰め込まれたような笑みだ。

「あ、秀作だ!悪いなー僕だけネオレスパーダになって。でもしょうがないだろ?僕ってロックの親友だから。ほら見てよ、このシルバーのリング!これはロックとの親友の証なんだぞ!」

あまり謝る気がなさそうなトーンでダンは秀作に話しかける。そして左腕につけられたシルバーのリングをこれ見よがしに掲げ、右手でリングを指さした。ダンがロックとの友情の証と呼んだそのリングは、トールが身に着けていたものと同じリングだ。そしてトールは、ダンがシルバーのリングを身に着けていることについて激しい怒りをあらわにしていた。『あれはあいつのものじゃない』と……

「ねぇねぇ、秀作ってさトールに会いにいったんだろ?どうせそこでいろいろ洗いざらい言ったんだろうけど……僕のことどう言ってた?ねぇあいつさ、悔しがってた?」

ダンがキラキラと目を好奇心で輝かせながら秀作に問う。そしてニコニコと歯を見せながら笑っている。だがその笑みには純粋な悪意が見え隠れしていた。ただ相手を弄びたいという素直な心が見え隠れし、記憶堂でのトールの様子を秀作に問うのだった。ちなみにこの間死賭はダンに見せていた骨を投げたのだが、ダンはそれを全く無視し、死賭はぶーぶーと口で言いながら体から切り離した手で投げた骨を回収していたのだった。

>>秀作




【八掛 丈(やつかけ じょう)、カイ/第6区画 9番街】

第6区画にある9番街、それはこのアドバースシティの端っこだ。アドバースシティは街全体がぐるりと高い壁に囲われているが、この壁のすぐそばにあるのがこの9番街である。この時間帯、9番街は壁の影に隠れてしまうようで、あたり一面日の当たっている場所はない。そのためかタナトスの隠れ家よりも少し空気がひんやりとしていた。だがこの場の空気はひんやりしているのは日が当たらないのだけが原因ではない。

二人の男が向かい合って対峙していた。一人は青のシルクハットをかぶって、一人は灰色にところどころ紫が混じった髪を携えて。その二人の男は服装や髪の色は違えど、顔は全く同じだった。カイとリョウ……ついに双子は対面したのである。

「リョウ……やっと見つけた」

「俺は八掛丈だっつっただろ、そんな名前じゃねぇ」

カイの喉から絞り出したような声に対し、丈は冷たい一言を言い放つ。やはりフェリスはリョウの記憶を改ざんし、リョウを自分の意のままに動く『八掛丈』にしてしまったようだ。カイは明らかに体がこわばっている。うまく体が動かせるかは疑問だ。一方で、丈の背後には一人でなんとか持ち上げられる大きさほどの装置が設置されていて、どうやらあれが破壊対象の結界装置らしい。丈は装置を守るように装置の前に仁王立ちしてカイを……そして今しがたこの場に到着した霧月を気だるそうな目でにらむ。霧月がくぐってきた扉は近くの空き家の裏口扉のようで、霧月が今立つところから少し離れた場所にカイと丈が立っていた。

「リョウ!思い出してよ!僕らは双子で、君は僕の兄でしょ!」

「しつけぇな……」

カイの必死の声は丈に届かないらしい。丈がワントーン落とした低い声で唸るような声を出したかと思うと、丈の背中からうねうねと何かが生えてくる。それは海を支配する巨大な蛸の足で、紫色に照かりながらうごめく8本の足が丈の背中から生えてきているのだった。同時に丈の白目部分は黄色く、そして瞳が細くなる。それこそ蛸の目のように。丈の体内には化け物が潜んでいるのだ。海を力で支配する、クラーケンという名の化け物が。

「俺と同じ顔で気持ちわりぃこというんじゃねぇよ」

カイを蛸の目でにらみながら丈はねっとりとした口調で言う。その口調とは裏腹に、素早い動きで2本の蛸の足がカイへを襲い掛かる。カイはいまだ呼びかけてリョウを取り戻すことをあきらめていないのか、茫然としたまま迫る蛸の足を見つめることしかできなかった。


>>霧月




【カル・ギラム、白樫燐/能力開発研究所 地下室】

「荒事は僕より君のほうが得意だといったはずだが…まぁいい。もともと僕がやる予定だった」

カルはバグ生産装置へと足を進めながら、次々と隣をすぎていくカプセル型の装置に目をやった。様々な人間がこの中で眠っている。その中の一つの前でカルはふいに足を止めた。その中に自分が長年……そう子供の頃分かれた時からずっと探していた人物がいたからである。

「エミリー……!」

エミリー・ギラム、カルの妹だ。エミリーが誘拐されたのはカルとエミリーが子供のころ、カルはもう何年もエミリーの姿を見ていなかった。しかし、カプセルの中で眠るその顔をみた瞬間に、カルは確信したのだ、彼女がエミリーなのだと。フェリスに誘拐され、能力情報を抜かれてしまい永遠の眠りについたエミリー……しかもエミリーの能力はあろうことかバグ生産装置に組み込まれてしまい、結果的にバグをこの世に生み出す原因となってしまった。カルは思わず奥歯をかみしめる。奴さえいなければ…妹をさらい両親の記憶を改ざんしアドバースシティの外に引っ越させたフェリスがいなければ……今もエミリーは元気な顔をカルに見せてくれていたのに。早く終わらせなければいけない、そうすべてを。バグ生産装置もフェリスの暴走も、すべて……

カルは再びバグ生産装置のほうへと歩み始める。その間にカルが左腕を横へ振ると、腕からなにか金属が飛び出した。それはカルの肘から手を覆う丸い形の金属、いわゆるシールドだった。ただしただのシールドではない。淵部分にはブレード加工がなされており、いわば盾と剣、両方の使い方ができる代物なのだ。カルはこれをひねりなくブレードシールドと呼んでいる。そのブレードシールドを手にカルはバグ生産装置の前に立つと、シールドを思いっきり振りかぶった。そして腕に力をこめ、装置へとたたきつける。装置は無残にも破損する……はずだった。

「困りますねぇ、それを壊されては」

その声と同時、カルとバグ生産装置の間に木の幹が生えてきて、カルの懇親の一撃は木の幹に阻まれる。カルは素早く後ろへ飛びのき周囲を見回す。しばらくもしないうちに、バグ生産装置の後ろ側からひとつの人影が現れた。不気味に赤いラインが入ったロングコートをはためかせ、手にはコートと同じ真っ赤な色に染まった林檎が収められている。ネオレスパーダ隊員、白樫燐が光一とカルの前にはいた。

「ここは立ち入り禁止ですよ、青崎光一、そしてカル・ギラム。不法侵入者とあっては私はあなたたちを捕らえなければなりません、ネオレスパーダとして」

白樫燐が爽やかな笑顔を二人に向かって浮かべたとたん、光一とカルの周辺に木の幹が床を突き破って生えてくる。それらは不気味にうごめいたかと思うと、標的として光一とカルをとらえたようだ。木の幹は二人の体を拘束しようと、自らの体を二人の方向へと伸ばしたのだった。

>>光一

11日前 No.560

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 発電所横】

 ああ、そうだった……そうだったな……。
 軽い絶望を感じながら入ってきた扉にもたれて二日か三日ぶりかの煙草に火を点ける。そして、何年ぶりになるのか、味わうためではなく気分を落ち着けるために深く、深く紫煙を肺まで吸い込む。

「けふっけふっ……」

 久しぶり過ぎてむせた。
 膝を曲げ右の踵を扉に当て、もう一度深く煙を吸い込む。勢い良く吸い込むと煙の味が潰れて辛くなる上に舌を火傷するからそれには気をつける。
 左手で煙草を口から外し、右手で前髪をかき上げながら顔を上に向け、呆れたような表情で空に向けて煙を吹き出した。

「あーー、トールねぇ……んー、悔しがってたんじゃないの……」

 煙を吐き切り、もたげた頭をガクッと落として言う。煙草を戻しまた吸い込こんで、今度はため息のように一気に吐き出す。

「悔しがってたって言うか……アレは怒ってたんじゃないかなぁ」

 死賭の投げた骨を無視し、ニコニコと意地悪そうに、悪意がこもったような笑みを浮かべるダンを横目で見る。何かがキレた。

「お前はもっと、犬みたいな純真でいい奴だと思ったんだがな……なんだよその顔」

 右手で煙草をつまんでポイと捨てる。トールがどうだとか悔しがってたかどうだとかはどうだっていい。

「それじゃあまるで人だ」

 ホルスターから銃を引き抜き、出処の分からない、やり場のない苛立ちをぶつけるようにダンの背後の機械に向け壁にもたれたまま凶弾を放った。

>>ダン・ダルシア

10日前 No.561

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

ゲートをくぐった先は、暗い街並み。霧月は少し先にカイさんと、鏡合わせのように立つ男。

「あれがリョウさん……」

確かに瓜二つだ。何やら言葉を交わしているようだが、時を争う事態。ともかくあの破壊すべき装置を破壊してしまわなければならない。

そう思って2人に近づいていく。

「っ!?」

刹那、リョウさんの身体が変化を始める。危険を感じた霧月がカイさんの方へ駆け出した直後、二本の触腕がカイさんへ迫る。

「はっ!」

一切無駄無く抜刀し、そのまま居合の形で触腕を峰打ち。弾かれた触腕を返す刀で斬って捨てた。

「……狂錬」

2人の間に入った霧月がそう呟くと、霧月の身体に紅いオーラが可視化される。人呼んで「修羅の錬気」と言われるそれは目を妖しく光らせ、その視線を対峙する怪物へ向ける。

「今まで怪物モドキばっかりで退屈してたんだよ。八掛、貴様は本物か?その力が修羅に届くか?陸だから動けねぇなんて言わないよな?」

久々に手応えのありそうな獲物に出会ったからか、嬉々とした表情を浮かべる霧月。そして、くるり、とカイの方を向く。

「まだ俺が理性を持っている内に言っとく。リョウとの決着、お前がつけろ。ボサッとしてるな、然もなくば俺が殺すからな」

霧月がもう一段階踏み込めば限界を迎えるまで戻っては来ない。そして、霧月は集中する。修羅へ近づく事に霧月の中からあらゆる理性が少しずつ削られる。

そして、あと一息で修羅へ届くという所で、霧月は止まる。これが今の彼女の全力だ。

「ふうぅぅぅッ!嗚呼、久々だな、この感覚。燃える、燃える。血が燃えるッ……ただいま、オレ」

誰にその言葉は発されたのか。それを疑問に思う暇すら与えず、霧月の右腕が目視すら困難な速度で振るわれる。

ゴウッという音と共に大気が弾かれる。弾かれた大気は刀の形に飛翔し、リョウへと不可視の刃となって襲いかかる。

「破あぁぁぁッ!」

霧月が地を蹴る。差を一気に詰めた霧月は空気刃の直後というタイミングで大上段から刀を振るった。

≫八掛、カイ

10日前 No.562

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

光一は首を少し回してちらりとカルの動向を伺う。彼は暫く歩いたところでエミリーを見つけ、感極まった様子で彼女の名を呼ぶ。目を覚まさぬ妹、それを救わんとする兄。こう表現すればさぞかし悲劇の主役として絵になるだろう。だが光一は知っている、彼の狼藉を。下賎な偽の依頼で隊員達を騙し、あまつさえ自分の姿を許可もなく借り本部を襲撃したのだ。どうしてそんな奴の肩など持てようか。もっと言えば、彼の目的のためなら手段を選ばない姿勢はフェリスのそれと全く変わらない。同じ穴の狢と言っても過言ではないだろう。

(どうせ抜き取るならこいつの能力を抜き取ってくれりゃよかったのに)

もしそうであったなら、本部に侵入されるという失態を晒すことなど無かった筈だ。エミリーの能力がどれ程かにもよるが。
しかし、それでも――――――

「…………」

直接茶々を入れることはしなかった。紛れもない下郎とはいえ、泣き別れになった家族との再会を見届ける位の情けなら、かけてやってもいいのではないかと光一は思ったのだ。

(ほう)

カルの左腕から展開された装備を見て関心する。形状は標準的なラウンドタイプ、外周部分の加工跡を見るに斬撃武器としても使えると思われる。

(なかなか悪くない)

使い勝手のいい複合兵装(マルチウェポン)といったところか、更に携行性も見ての通りだ。

「っ!?」

いよいよカルが装置を破壊しようというところで、木の幹による妨害を受けた。あんなことが出来るのは一人しかいない。

「白樫、燐……!」

次の瞬間、幾つもの木の幹が飛び出しこちらに迫ってきた。確実に処理するためブレードでの応戦を選択する。

「ならレスパーダOBとして、後輩の醜行を叩き潰さなければならないな」

そう啖呵を切り、群がる木の幹を演武じみた動きで薙ぎ払っていく。この程度光一にとっては児戯に等しいが、どうせあちらも本気ではないのだろう、油断はできない。

>>周辺all

10日前 No.563

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

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9日前 No.564

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

「お前らにとっての罪なら、喜んで犯すさ」

案の定燐の顔には未だ余裕の色がこびりついている、まるで自身の勝利を微塵も疑っていないかのように。だが事実として彼の能力は非常に優秀だ。汎用性が高く応用も効きやすい上に、使いすぎてスタミナ切れということも起こらない。明確な弱点が存在しないのだ。

(ツいてるぜ)

故に、ここで潰しておけばその分後が楽になる。如何に優れた能力であろうと無敵ではない、やり様はある筈。

「森の賢者、ね……じゃあ何か? 人類の森林伐採にいつも心を痛めてるとでも?」

なんと今度は自分の腕そのものを変化させ、上方からの攻撃を仕掛けてきた。更に自身も細身の剣を携え突きを繰り出す。

(エストック……いや、タックか?)

直接攻撃の敢行に少々面食らう。彼のようなタイプは延々と能力任せの行動ばかりするのが通例だが、彼はその定説に当てはまらないようだ。

(狙いは左肩……なら!)

迫る剣の刀身部分に、左腕を押し当てることで突きの軌道を逸らす。少林寺拳法の防御技術である上受けの応用だ。

「ぬぅん!」

それだけに留まらず、更に間合いを詰めてブレードで腹部への刺突を狙う。ここで下手に距離を開けるのは却って危険だ。それならばいっそ懐まで潜り込み賭けに出た方がいい。

(……勝負!)

鋼の刃が穿つか、賢者の叡智が阻むか、果たして――――

>>周辺all

7日前 No.565

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【白樫 燐、カル・ギラム/能力開発研究所 地下室】

「森林伐採に怒りを感じたことはありませんが……その気になればこの街すべてを森にしてしまうこともできますよ」

嘘か本当かわからない言葉を白樫は爽やかな笑顔を浮かべながら言う。真偽はどうあれ、こんなことを言えるほどに白樫は自分の能力と、そして自分自身に自信を持っているのだ。

白樫のエストックは光一の腕に沿いその軌道がそれた。光一は見事白樫の懐に潜り込み、反撃の一手を繰り出した。白樫のエストックはまっすぐ伸ばされたままでその刃は光一の体を追うことはない。光一のブレードは白樫の腹部に深々と突き刺さったのだった。ブレードから光一の手に刃が物体を裂く感覚が伝わっていく。だがそのさなかでひとつおかしな点があった。腹部から赤い血が流れてこないのである。ブレードがものを貫く感覚は確かにあるのに、それに伴って鮮血が出てこない……その理由はすぐに明らかになった。

「私は森だと、言いませんでしたか?」

その言葉と同時、ブレードが切り裂いた白樫の腹部から何本もの細い枝が一斉に飛び出した。そしてブレードを伝い光一の手をとらえようとする。白樫燐の能力、それは植物を操るものではない。彼自身が植物であるのだ。光一の手を枝が捉えようとすると同時、白樫はエストックを引き寄せ、自分の眼下にいる光一の背中めがけて一閃を放つ。だがその攻撃は光一に届かないまま終わった。なぜならば、光一の後方にいたカルがブレードシールドを白樫に投げつけ、白樫はそれに応戦してエストックでブレードシールドを弾いたからだ。

「想像以上に厄介だな……」

カルがそう呟きながら左腕を前につきだす。そうしてやれば、遠方にはじかれてしまったブレードシールドが宙を舞い、カルの手元に帰ってきた。だが光一の手に伸びる細い枝はその動きを止めていない。さらに腹部から漏れ出す枝は増えており、光一の手どころか、その体を飲み込まんとしていた。

>>光一

7日前 No.566

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 発電所横】

「っは、何が番人だ、面白くもない。てめぇの形をよく見てみろや。……お前の言う通りだな、どう贔屓目に見ても犬っころだ。それも躾のなってない」

 反動をつけて扉から跳ねるように身体を離し、コンクリートに熱を吸われ、消えかけているタバコを拾い上げ咥えようとし、また捨てる。

「で、中身は意地の悪いクソ餓鬼と来たもんだ、番犬ですらねぇ……あ、ひょっとして犬語じゃないとダメかな?キミ。ワンワン、ワーン」

 そこまで言って堪えきれずに口から笑いが溢れる。ダンはまたいつもみたいに怒るのだろう、この状況下でも。そう、いつものように。今初めて、ダンを罵倒するために犬と表現した、それはきっと良くない事なのだろう、だがそれは予想を遥かに超えて愉快な事だった、とてもとても愉快なことであったのだ。

「ふぅ……さ、来いよ黒いの」

 笑うのを早々に止め、見下したようににやけた顔で、見上げながらケルベロスに話しかける。
 生憎、俺はハデスではないし竪琴も持っていない。できることと言ったらこのデカブツを引きつけ、死賭か俺、どっちかが装置を壊す隙を作ることくらいだ。
 別に障害を倒す必要はない、装置が壊せればそれでいい。ならばこちらから変に手を出さずカウンター狙い、それに掛けようじゃないか。左手に銃を提げ、白衣のポケットに右手を突っ込み、左自然体に構える。

(間違えて装置踏んづけてくれたら楽なんだがなぁ)

>>ダン・ダルシア

7日前 No.567

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

全てを読み切ったかのように腹部に迫る一撃を少し遅れて視認した霧月は、特に何もしなかった。

刹那、ぐん、と不可視の力によって霧月の身体が宙に浮いたまま後退する。それにより、触手との距離が一瞬だけ空き、その触手を勢いの止まらない刀で両断する。

空気刃を飛ばしたことによって弾かれた空気が元に戻ろうと周囲を巻き込んだものの範囲にギリギリ入ることによって生み出された霧月の戦法。

機動力がどうしても劣ってしまう彼女にとって、人体を超えた立体機動は重宝するものなのだ。彼女が着物を来ているのも、空気抵抗を大きくして移動範囲を広げるため。

そして、すぐに霧月は距離をとる。至近距離にいられるのは一瞬。それを過ぎればあの手数に滅多打ちにされるのを待つのみとなってしまう。

「海の支配者とは笑わせるな。どんなに力が強くとも、人から見てその姿が醜ければ、禍々しければそれは紛れもない怪物だ。もっとも、今のお前は強くもないがな」

つまらない、と吐き捨てるように云う。霧月が期待したのは彼女の読みのその先だ。そこまで相手の手が伸びればこれ程嬉しいことは無いと言うのに。

「お前が出来損ないなら、次で終いだ。気合入れろよ」

冷酷にそう呟くと霧月の身体が再び前進する。と、同時に霧月の腕が陽炎のようにゆらめく。

肉薄していく中でそのゆらめきは継続される。そして、ある程度の距離で霧月は停止した。

「修羅道七突、壱ノ太刀『陽炎骸』。効果は身を以て知れよ?」

バァン、と空気が爆ぜる音。霧月の腕が揺らめいていたのは不可視の斬撃。

破裂音と同時に放たれたのが後方の装置を狙った8つの空気刺突という事に相手が気づくのは幾瞬後か。

そして、霧月の身体は前進する。刀を水平に構えた平突き。決して速くはないが、間合いに入った瞬間、敵を突き抜く疾やき突撃。

その霧月の目は試すように笑っていた。

≫八掛、カイ

7日前 No.568

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

(!?)

ブレードは間違いなく白樫の腹部に食い込んだ。しかしその手応えは人体を突き通した時のものではない。更に出血も一切していない、これは明らかに異常だ。

「ちぃっ!!」

直ぐ様ブレードを引き抜こうとするも、刀身が既に細い枝に絡まれており一瞬で済ませるのは不可能と悟る。それと同時に後ろから金属音が耳を打つ、恐らくエストックで刺されそうになった所をカルがブレードシールドで妨害したのだろう。

(余計なことを……と言いたいとこだが、今回ばかりは感謝するか)

心底気に食わないとはいえ、今の妨害がなければかなり危なかった。
こんな時、ロックのような能力があれば一気に形勢逆転できるのだが。

(無いものねだりをしても仕方ねえか)

枝はもう右手に届こうかという所まで迫っている。躊躇いが許されるタイミングではない。すかさずブレードから手を離し、拳を形作る。

「喝(カ)ッッッ!!!」

されど放つは唯の拳打に非ず。中国拳法が秘技、発勁(はっけい)。全身の間接などを駆使し、対象に絶大な衝撃を与える技法である。
もう枝はこちらの体そのものを包みこまんとしていた。他に打開策は考えつかない、これが最後の賭けだ。

>>周辺all

6日前 No.569

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【ダン・ダルシア、死賭、ソニア/第2区画 発電所横】

『なんで僕が犬なんだよ!いっただろ、僕はケロべロスだ!この世でただ一つ、僕だけがケロべロス!そこらへんにいる犬と一緒にするなっ!』

ダンは秀作の煽りにまんまと乗せられていつもの調子で怒りを露わにする。だがその姿はケロべロスなのだ、3つの頭が同時に話すことで声が三重に聞こえ、否定の言葉を叫ぶたびに相手をかみ殺そうとする鋭い牙が光った。グルルと3つの頭が唸り声をあげ秀作をにらむ。死賭は一本だけある刀を背中から抜き去りくるくるとまわして遊んでいた。

その時だった。秀作と死賭が通ってきた扉が突然音を立てて開かれる。そしてその扉から黒色の人影が飛び出てきた。いや、実際にその人は黒色をしていた。黒の人影は扉をくぐった直後その場に力尽きたかのように倒れる。扉の前で倒れていたのはタナトスの一人、ソニアだった。

「ソニアちゃん……?」

状況が分からず死賭が戸惑いの声を上げる。そして秀作もダンも無視して、死賭はソニアのもとへと駆け寄った。ソニアは全身をひどい火傷に覆われていて、服もそして皮膚も一部焼けただれている。ソニアは息をしていたものの、その調子は絶え絶えといったところで、相当なダメージを受けていることが分かった。

「ソニアちゃん!ソニアちゃんどうしたの!?誰にやられた?俺ちゃんが今すぐぶっ殺して……」

死賭は取り乱したように、そしてなぜか今のほうが真人間に見えるような慌てぶりでソニアのそばに座り込む。ソニアはその言葉を無視して手にもっていたものをゆっくりとした動作で地面に転がした。それらは秀作が本部に取ってくるよう頼んだ死賭の刀と替えの銃、そして弾丸だった。役目を終えたとばかりにソニアはゆっくりと深呼吸して、慎重に肺に酸素を取りこんだ。

「うるさい……隊長に、やられたの」

先ず口に出たのは死賭への牽制、その後にソニアの口から出たのは『隊長』という言葉だった。ネオレスパーダ本部にいる隊長となれば、それはたった一人しかいない。そしてその人物が持つ能力は『炎』だったはずだ。死賭はソニアが運んできた自分の刀をゆっくりと拾い上げる。そして刀の柄を強く握りしめるのだった。

『死にそうなやつみーっけ!』

ソニアと死賭、二人の間に流れる空気を壊す声があたりに響き渡る。巨大な体と力を持ったダンにとって、人間を殺すことなど玩具を壊すことと同義なのかもしれない。犬の顔に屈託のない笑みを浮かべながら、ケロべロスの体は地面を蹴り、ソニアと死賭の元へ向かう。

「こっち来るなよ犬!死賭ビ―――――ム!!」

もはや名前を呼ぶこともしない死賭はなぜの技名を叫びながら両手に持つ刀をケロべロスの正面の顔に向かって投げつける。ただしその柄部分には死賭の体から分断された両手がひっついていて、宙にういた刀は迷いなく正面の顔の両目に向かって飛んで行っていた。さて、ダンが死賭とソニアに襲い掛かったことによって、ダンは本来の目的を忘れている可能性がでてきた。ダンは守るべきはずの結界装置を離れ二人に襲い掛かったのである。しかし、死賭の放った刀二本でダンを止めることはできるのだろうか。ダンが二人にとびかかると同時、鋭い爪を死賭に向かって振るおうとしている。一方で、死賭の刀は正面の顔の両目に迫っていた。

>>秀作



【八掛 丈、カイ、八五郎/第6区画 9番街】

攻撃を外した丈は獲物を狙う静かな目で霧月をにらみつける。剣技とそれによってもたらされる物理法則を用いた想像を超えた戦法法は予測が難しい。丈の手が蛸の足を模すように、うねうねと動かされる。きっとこれが彼の癖なのだろう。

「醜いってのはお前の主観だろうが。それになぁ、支配者に姿形は関係ねぇ。力でねじ伏せ、相手の弱みを握り、絶対服従させる。そうされた奴は自然と俺を支配者と呼ぶんだよ」

丈は左手を言葉のリズムに合わせくるり、くるりと動かす。白い手をくねらせ動かしてみると、その手さえも蛸の足のように見えた。目を大きく見開いたり、逆に細めたりするたびに縦方向に伸びた瞳が霧月を捕らえていた。


霧月と丈が言葉を交わす間に、先ほど霧月とカイが通ってきた扉が開かれ、ゆっくりと何かが扉から出てくる。それは車いすを押す八五郎で、手には霧月がソニアに本部に取りに行くよう頼んだ白布に包まれた薙刀があった。めったに外に出ることがない八五郎がこの場にいることにカイは驚いたのか、丈のことを霧月にまかせ八五郎のもとへと駆け寄った。

「どうして八五郎がここにいるの?ソニアは?」

「それが……まずいことになった。詳しいことは後で説明する。ただこれをあいつに渡すときに言っといてくれ『ネオレスパーダの隊長が誰か忘れるな』ってな」

八五郎は霧月の薙刀をカイに預けながら一緒に伝言を受け渡す。カイにはその言葉が意味することがよく理解できた。今までの情報を合わせれば、ネオレスパーダ隊長が誰で、そしてどんな状態になっているのか、想像に難くない。カイは八五郎が扉の中へ戻っていくのを見届けると、薙刀を手に再び戦場へと戻ってきた。


次で終いという霧月に丈は鼻を鳴らして笑った。霧月が刀を構えると同時、丈は両手を広げ、顎をあげる。見下すような形で霧月を見た後、口元に薄く笑みを作った。すると、丈の背中に生えていた8本の足がそれまでの何十倍にも膨れ上がった。1本が建物の高さほどある蛸の足が8本、うねりを上げる。だがそれが蛸の足であることには変わりない、霧月が放った空気刺突の経路上に8本の足が存在したが、攻撃は容易に障害を突破するだろう。なにせ、ただのたこ足なのだから。そう、それまれならば、ただのたこ足だったのだが。ガキンッと鈍い音を立てて、斬撃をはじく音が響き渡る。霧月の目の前に現れた巨大な蛸足、そのどれもにフジツボがびっしりと張り巡らされていた。先ほどの音は、フジツボに斬撃が当たった音だったのだ。今まで通り斬撃によって切れなくなったたこ足はぴんぴんしたまま宙をうねっている。そして丈本体に斬りかかってきた刀を丈は右手でつかむ。通常ならば肉が斬られ血があふれ出すが、またしてもガキンッと鈍い音が響きわたった。丈の手、腕、そして首、あらゆるところにフジツボが巣くっているのである。

「……終わりか?」

丈は刀を強く握りしめたまま、蛸の目で霧月を見る。その目は無感情で無慈悲で、容赦のない目だった。丈がもう片方の手で霧月の首を絞めようとその手を伸ばした時、横やりが入る。一本の水柱が丈の手と体半分とに激突したのだ。カイが水を操り丈の動きを止めたのである。

「霧月!」

カイは相手の名を呼んで、白布をとった薙刀を投げてよこしたのだった。

>>霧月



【白樫 燐、カル・ギラム/能力開発研究所 地下室】

白樫の体から這い出る木々に飲み込まれそうになっているブレードから手を放した光一を見て、白樫は楽し気に片眉を上げる。それでいいのかと暗に問うているようだった。武器を手放した光一に対し白樫は容赦なく攻撃を仕掛ける。素手でこちらに迫っているのだ、こちらからもエストックを突き出してやれば容易に攻撃が通る。そう考えて白樫は攻撃をしかけたのだが、またしてもそれを阻む人物がいた。カル・ギラムである。カルは腕に装着したままのブレードシールドで今度は白樫の首を斬りつけるようにシールドを振りぬいた。白樫はまたそれに応戦するようにエストックの刃をシールドにあてる。一瞬つば競り合ったが、すぐに両者は飛び退き距離をとる。白樫が飛びのくその瞬間に、光一の拳打がさく裂し、光一を覆うとしていた木々は一気にはじけた。白樫の体から光一のブレードが抜け落ち地面に転がる。だがその瞬間を白樫は見逃さない。

「私と戦っても無意味だとそろそろお気づきになりませんか?」

その言葉と同時、光一とカルの足元からまるで鋭いやりのような木の幹が次々とつきあがってくる。カルはブレードシールドで下から生えてくる木々をガードしながらその場を後退したが、一本の幹が右腕をかすり顔をしかめる。木の幹は断面が複雑だ、刀の切り傷とは違いその傷口はえぐられたような痕になる。カルは白樫を観察するように、じっと林檎を持つ男を見据えるのだった。

>>光一

5日前 No.570

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

「面倒なフジツボだなァおい!」

刀を受け止められた霧月はそう吐いた。その目はどことなく嬉しそうである。目の前の相手は全ての攻撃を防いだ上、自身の突撃を拘束した。

「期待ハズレでは無かったか。そいつはちょっと、嬉しいなァ」

首を締めようと迫る腕。彼の手にかかれば霧月の華奢な首は簡単に折れてしまうだろう。だが、霧月は笑みを浮かべる。

直後、水の奔流が丈の腕を止める。後ろを振り向くと、カイが薙刀を投げて寄越していた。

「ナイスだ!悪くないな!」

薙刀を受け取ると、刀から手を離す。両手で薙刀を構える。

「刀、返せよ」

修羅道七突、弐ノ太刀「荒草薙」。陽炎揺らめく高速の斬撃が大気と摩擦し、刃の先端が赤熱する。更に、電位差による放電も起こり、プラズマすら纏う。

触れる前に切り落とす刃が相手では、堅牢なフジツボも意味を成さないだろう。

≫八掛、カイ

4日前 No.571

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

またしてもエストックが迫るが、再びカルの助太刀により事なきを得る。そして発勁は見事に決まり、纏わりつこうとしていた枝を全て粉砕した。
……がそれだけだ。白樫は特に痛手を負った様子はなく、余裕の面持ちを崩さない。

(これも有効打にはならねえか)

決死の一撃は奇跡の勝利も無様な玉砕にもならず、戦いを引き延ばしただけだ。しかし命拾いしたのは事実、ここは運が良かったと解釈するべきだろう。全くもって規格外な存在だ、奴自身が言った通り『木を操る能力』という表現は相応しくない。『木を媒体として何でも出来る』と形容した方が適切か。

(刃物も殴打も駄目、となると……)

ふと、奴が持つ林檎に視線が移る。そういえば何時もあの林檎は肌身離さず手に持ったままだ、まるでそうせざるを得ないように。

(…………まさか、な…………)

己の中に生まれた憶測を瞬時に否定するも、それ以外の可能性は導き出せない。
――――やるか。
兎に角ブレードを回収しなければ。意を決し、ビリヤードの玉よろしく急発進で駆け出す。それとほぼ同時に出現した鋭利な木の幹は、靴を掠めるだけに留まった。続けて迫るものもこちらを捉えきれずすんでの所で虚空を貫くばかりだ。松風の如き速さで走り抜けみるみるうちに白樫との距離が縮まる。

「……っ……!!」

しかしブレードを拾い上げる際は流石に追い付かれ、左太股辺りを少し削られてしまう。致命的とまではいかないが皮一枚なんて生易しいものでもない。後々になって響かなければいいのだが。

「せあああああっ!!」

大きく踏み込み、気迫と共に横一閃に振り抜く。狙いは誇らしく見せびらかしているその林檎だ。

>>周辺all

3日前 No.572

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【八掛 丈、カイ/第6区画 9番街】

霧月は刀を手放し、カイが投げた薙刀を手にした。刀を返せという言葉にそう簡単に丈が応じるわけもなく、つかんだままの刀を自分より後方に投げすてた。霧月の刀はカランカランと音を立てて転がり、結界装置の近くに転がる。薙刀を手にした霧月はというと、なにやら能力によって薙刀に変化を起こし始めた。そんな状態の相手の近くに長居するはずもなく、丈は巨大な蛸足をうねらせながら後方へと移動した。同時に、先ほどまで丈がいた場所には進路を阻むようにたこ足が横たわった。このままでは丈は攻撃の範囲外に出てしまう。その時、霧月の真横で水柱が立ち上がり再び水柱は丈を襲う。正面からの攻撃、しかも相手は水を住まいとする蛸だ。カイの攻撃は意味をなさない……と思われたが。

「リョウ、帰ってきてよ!」

水柱が丈にあたった瞬間、水柱に電撃が走る。霧月の薙刀から漏れる放電を水柱が拾ったのだ。

「ぐっ、てめぇ……!!」

丈が思わず苦しみの声を上げる。水柱に流れた電撃は丈の動きを止めるのに十分だったようだ。

>>霧月



【白樫 燐、カル・ギラム/能力開発研究所 地下室】

白樫燐は光一とカルがこの地下室にきて以来ずっと爽やかな笑みを浮かべ続けていた。自身が戦う戦場にもかかわらず、まるで高みの見物を決め込むように、白樫は笑っていたのだ。

「また私に攻撃するのですか?どうぞどうぞ、お好きなだけ」

こちらに走ってくる光一を見て白樫はにこりと口角を上げる。余裕の態度を見せつけるためか、林檎を愛おしそうに撫でていた。その間に木の幹が光一の足をえぐれば、より一層人当たりがよさそうな、見てくれだけの笑みを浮かべていた。白樫は光一の攻撃から一切逃げることもなく、エストックを構えることもない。白樫はただ笑みを浮かべていた、光一の狙いが自身がもつ林檎だとわかるまでは。

「……っ!」

思わず息を詰まらせたような音を口から漏らしながら、白樫は腕を退き、間一髪のところで光一の刃から林檎を退避させた。同時に後方へ飛び光一をにらみつける。もう今まで見せていたような笑みはない。白樫に張り付いていた笑顔は剥がれ、冷酷な顔が姿を現していた。

「……あれは決まりだな」

カルが苦笑交じりにつぶやく。あれ、すなわち林檎。打撃も斬撃も一切の攻撃をもろともしない体を持つはずなのに、よりにもよって白樫は手にもつ林檎を光一の攻撃から遠ざけた。となるとあの林檎はただの林檎ではない。白樫が守るべきもの、それが林檎なのだ。なぜあの林檎を守らなければいけないのか現在は分からないが……あらかたの予想はつくものだ。

白樫は左手に林檎を持ち、右手を掲げる。すると右手が木の幹に変わりぐんぐんとその長さを伸ばしていった。そして、腕を下方へ移動させた後、横方向に思いっきり振りぬく。そうしてやれば白樫の腕から伸びた木の幹は全てのものをなぎ倒すように光一とカルへと迫る。白樫は木の幹によって一気に薙ぎ払いを仕掛けたのだった。

>>光一

3日前 No.573

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

白樫は標的が林檎だと理解した途端、目の色を変えて腕を引っ込め後退した。もうさっきまでの余裕はどこにもない。

「どうした、好きなだけ攻撃していいんじゃなかったのか?」

しかしこの前のボスバグといい、大した工夫もなくこちらの太刀筋を見切る対応力は驚愕に値する。正直言って武道家としての矜持が保てそうにない。
白樫は遊びは終わりだと言わんばかりに、腕を長大な枝に変化させ水平に振り抜く。随分と豪快な攻撃だ、小細工を弄する必要もないということか。

「……」

純粋な質量に任せた一撃、防ぐのも避けるのも一苦労なのは想像に難くない。無論直撃などもっての他だ、下手をすればそれだけでリタイアになってしまう。

「はっ!」

一瞬だけ屈み、全身のバネを使って高くサマーソルトを行う。空中で体が反転することにより『真上』を枝が通りすぎる

「であっ!」

――――前に、能力を発動し釘でも打つかの如く勢いでブレードを突き刺した。当然枝はその程度で減速などせず、凄まじい運動エネルギーでこちらを牽引する。

「くおお……っ……!」

直ぐに振り落とされそうになるも、十本全ての指に気力を込めどうにか堪えられた。すかさず振り終わり際の慣性を上手く利用してブレードを引き抜き、能力解除と同時に枝の上を駆け出す。

「今度は逃がさん!」

走りながら下段に構え、掬い上げるような剣閃を見舞う。狙いは言うまでもなく左手の林檎だ。

>>周辺all

2日前 No.574

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【白樫燐/能力開発研究所 地下室】

白樫は手に持つ林檎を狙われたことで、顔から一切の笑顔が消えた。ただ冷たく無慈悲な眼差しで光一とカルを睨み付ける。

「……そんなに私の本気がみたいのですか?」

薙ぎ払った腕を避けこちらに駆けてくる光一にむけ、白樫は静かに問いかける。返事は期待していない。代わりに、白樫の体に変化が起こった。白樫の体の表面がうねるように波打ち初めたかと思うと、体が大量の木の枝へと変化していく。同時にゆっくりと背丈が伸び、白樫は体長2.5m程の木の体を持つ人間、木人へと変化したのだった。そして、左手に持っていた林檎が木の体の中へと取り込まれていく。自分の弱点を相手の目に見えぬ体の中に隠してしまおうという魂胆だ。光一の攻撃は林檎が白樫の体内に取り込まれるのにわずかに間に合わず、白樫の木の腕を斬るだけに終わる。ブレードが木の腕を吹き飛ばし、斬られた腕は宙を舞って地面へ落ちた。そして、斬られた腕は黒く変色し、崩れさってしまう。その様子を見ていたカルはゆっくりと口角を上げた。

「青崎光一、僕とゲームをしよう。あいつの体の中にはあいつの核である林檎が入っている。おそらく林檎が入っている場所から腕や足を切り離されると、切り離された体は消滅する仕組みだ。林檎は体内でいろいな場所に移動できるだろうが……それなら奴の体のあらゆる部分を切り落とし、運よく林檎が入った部分を切り落とした方が勝ち……これでどうだ?」

カルは光一の方を見ないままゲームを持ちかける。体内のあらゆる場所を動き回っているであろう急所の林檎、白樫の体を切り刻み、体内から林檎を先に見つけ壊した方の勝ち、というシンプルなルールだ。木の幹と同等の固さと太さを持つ白樫の手足は一度に一本斬り落とすのが限界だろう。光一とカル、二人が常に2ヶ所を同時に攻撃し続ければあるいは弱点を見つけ出せるかもしれない。

「ゲームとは、随分余裕ですね」

白樫がカルの言葉を聞き付け、あきれるように言う。ただその目は笑っていない。どこまでも非情な目だ。白樫は木できた両手を挙げる。すると五本の指がまっすぐと長く太く伸び、一本ずつが木の幹サイズに成長する。そして、白樫はその木の幹でできた10本の指を光一とカルに降り下ろしたのだった。

>>光一

1日前 No.575

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

プラズマを纏った薙刀を丈に向ける。この力は長い時間持たない。具体的には5秒程度。

そして、目の前には放電を巻き込んだ水流で怯む丈。

「礼を言うぞカイ!良くオレを援護した!」

これは、霧月を知る者なら、誰もが言うであろう言葉。狂錬を発動した霧月は、その人の域を超えた動きを見せるため、援護するのが極めて難しい。
そもそも、剣士である彼女にとって、支援は存在しないなのだ。

薙刀が邪魔をする蛸足を切り裂く。霧月は1歩、前に出る。薙刀を構える。2歩。

そして、3歩目で、狙う先を変えた。

狙うのは丈ではなく、蛸足。ここを切り裂き、装置の方へ突破する。

「阿あぁぁぁぁ!」

下段に構え、無駄のない、洗練された、それでいて大胆な踏み込み。

そこから繰り出される切り上げの一撃がプラズマの残像を残して蛸足を切り裂かんと迫る。

避けるなら、そのまま突破。防ぐなら、最高の切れ味を誇る刃との勝負が待っている。

≫丈、カイ

1日前 No.576

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

「クソが……!」

またしても凌がれた、どうしてこうもあっさりと攻撃をスカされるのだ。身代わりと言わんばかりに斬り飛ばされた木の腕は、漆黒に染まったかと思えば砂のように崩れ落ちる。これまで切り捨てた枝にそんな現象は起こらなかった、林檎を取り込んだことに起因する変化であるのは明白だろう。
そんなことを考えていると、カルから提案を受ける。

「いいだろう」

吐き捨てるように短く答えた。規定はごく単純、少し変わった宝探しと思えばどうということはない。ただひたすら白樫を細切れにすることを考えればいいのだ。

「はあああああ!!!」

ブレードを水平に振り抜き、迫る枝を一閃のもとに斬り飛ばす。そして先程と同じように木の腕に乗り、駆け出した。こういうのは『早めに終わる』ということが殆どなく、理論的な限界ギリギリまで長引くのが相場である。故に手間取りすぎないよう、ここはハイペースで押し切るべきだと判断した。

「ふっ!」

一気に距離を詰め、ブレードを腰だめに構える。木の幹と同等の固さと太さを持つ白樫の手足は一度に一本斬り落とすのが限界だろう、通常ならば。
しかし生憎ここに居合わせているのは素人ではなく、剣術の心得を持った人間である。更にその得物も凡百の数打ちとは違う、鋼鉄をも叩き斬る高周波の刃なのだ。
手足を一本づつなどとケチくさいのは無しだ。虎殺しで首と腰を跳ねて三等分にしてやろう。

>>周辺all

11時間前 No.577
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