Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(608) >>

第9区画治安維持部隊レスパーダ【参加募集/戦闘/異能

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(6951) - ●メイン記事(608) / サブ記事 (318) - いいね!(21)

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_nas

「アドバースシティ」

それは周囲を高い壁に囲まれたこの世界一の科学力を誇る街

街並みは現代とあまり変わらずとも
その内部に存在するシステムは大きく発展を遂げている

そして…


それはアドバースシティ第9区画に存在する

アドバースシティ最強の治安部隊


「レスパーダ」


今日も彼らは街を駆け回る……

静かに影がうごめいていることなど知らず……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いつもと変わらない日常が流れていた中、突然その平穏は一気に切り崩された。アドバースシティ中に鳴り響くサイレン、続いてアナウンスが響く。ミッション開始の合図だ。男はアナウンスに耳を傾け、犯人とその居場所の情報を手に入れる。ここからそう遠くはない、走っていけばすぐに到着する距離だ。

「よし、俺達の出番だな。今日も気合いいれて行くか!」

男は周囲にいる自分と同じ立場の人間、レスパーダ隊員に向けて声をかけた。その男の言葉に、ある者は右手拳をあげ、ある者はにっこりと微笑み、ある者はぶつぶつと文句を言って、ある者は悪態をつく。しかし彼らが目指すべき場所、そしてなすべきことは同じ。彼らは一斉に同じ方向へと走り始めた。今日も彼らは街を駆け回る……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


男はモニターの光だけで照らされた薄暗い部屋で、椅子に全体重を預けて、ぼんやりと宙を眺めていた。モニターに次々流れていく生体データや分析データなど目もくれず、なにもない黒い空虚をぼんやりと眺めているだけだった。男の空っぽの頭の中に、過去の映像がフラッシュバックする。街へのあこがれ、決意、約束、空虚、そして絶望。次々と過去の記憶を思い出した男は強く目をつぶり、前のめりの姿勢になって背中を丸めた。先ほどまで空っぽだった男の頭には苦悩がいっぱいに詰め込まれ、男はその感情に支配さてその態勢から動くこともできない。男は自分の左手首につけられたシルバーのリングをちらりと見て、大きく息を吐いた。男が吐いた息が薄暗い部屋へ拡散していくのと同時に、男の足元では静かに影がうごめいていた…



【初めましてスレ主です。こちらは近未来+能力バトルのストーリー制スレとなります。
 興味を持たれましたら是非サブ記事へどうぞ】

メモ2017/03/14 06:35 : 監視システム @captain1★Android-UJhhnaQiDA

*現在の目的*

場所:第9区画 ネオレスパーダ本部 入口ロビー

対象:

ロック・ランドルドを倒す

フェリス・ヨーシャンクを捕まえる


〇トールが示したフェリスを止める方法

・バグ発生装置を止めろ。

詳しい場所はわからないがあれは大型の装置だ、まだ遠くへは移動できないはず。能力開発研究所の地下にある可能性が高い

・2つの結界装置を止めろ

詳細は省くがこれが起動すればこの街にいる人間すべてが永遠の眠りにつく。もうすぐフェリスがこの街のどこかに設置するはずだ。探して壊せ

・フェリスを止めろ

これからお前たちの身に何が起ころうと、どんな相手が立ちふさがろうと、フェリスを捕えろ


【NPCプロフまとめ】

http://sns.mb2.jp/captain1/d-1

(3月6日 八五郎のプロフ更新)


【レスパーダ活動履歴】

http://sns.mb2.jp/captain1/d-2

(3月6日更新)


【移動場所】

第1区画(政治区画)       :ブレイン、ブレイン内展望台 など

第2区画(収容所及び発電施設区画):第一発電所、収容所 など

第3・4区画(生産および工場区画):第一生産センター、第一加工センター、ビニールハウス前 など

第5区画(商業区画)       :ショッピングモール、本屋、ゲームセンター前、大通り、大門前 など

第6・7区画(居住区画)     :一番街、二番街 など

第8区画(研究所区画)      :医療技術研究センター、能力開発研究所 など

第9区画(中央区)        :レスパーダ本部、テレビ局、第一高等学校、図書館 など

…続きを読む(36行)

切替: メイン記事(608) サブ記事 (318) ページ: 1 2 3 4 5 6 7


 
 
↑前のページ (558件) | 最新ページ

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 南東の角→地下室】

勿論事前情報があるのとないのでは天地の差。しかしたとえ前者だとしても、その優位性をいいことに考えることを放棄しては、意外なところで足を掬われるものだ。しかしそれを口に出すことはしない。あの手の輩は恐らく何を言っても聞き入れはしないだろうから。

「迂闊な……」

眉をひそめ、ため息。
カルは敵の腸(はらわた)へ向かうにも関わらず、大して警戒する素振りも見せず先行してしまった。身内が捕らえられているので無理もないが、ミイラ取りがミイラになっては意味がない。これでは先が思いやられる。

「全く……」

仕方なしに光一も駆け出す。まだ周囲に人の気配はないが、いつ来るかわかったものではない。それに監視カメラで見られているという可能性もある。今のところここに留まるメリットはない。
周辺に気を配りながら陰鬱な雰囲気の階段をかけ下りると、培養槽?がずらりと並んだ空間に出る、その中の人間にはいくつか見知った顔もあった。が、奥には物々しい大型の装置が鎮座している。

「………………」

間違いない、これこそがあの思念具現化装置だ。今まで散々街に異形をばら蒔き、自分達の手を煩わせてくれた忌々しいガラクタ。こんな粗大ゴミはさっさとスクラップにしてやりたい所だが、その役目はカルに譲ることにする。

「おい、とっとと装置を止めるなり壊すなりして、身内を助け出してやれ」

言うが早いか、無防備な彼の後方をカバーする形で周りを警戒し始める。場所が場所だ、どこにバグやらガードロボやら警備兵やらがいるかわからないし、もう研究所の方は大騒ぎになっているかもしれない。たとえカルがここにセキュリティの類はないという情報をつかんでいたとしても、こういう状況で気を抜くのは命取りだ。

>>カル・ギラム

1ヶ月前 No.559

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【ヘクター、ソニア、八五郎/タナトスの隠れ家】

「ふざけてないでとっとと行ってこい」

ヘクター”殿”とわざわざ敬称をつけて呼ぶ秀作にヘクターは早速怒号を飛ばす。しかしヘクターの口は楽し気に歪んでいて、騒がしい秀作のことをヘクターはなかなかに気に入っているようだ。ポップポップうるさいカイ、狂人の死賭、パンクロックのソニア、彼らを怒号でまとめるヘクター……余談だが八五郎はかなりのカッコつけだ。タナトスで一番まともなのはカルかもしれない。

秀作は勢いよく動き出しそのまま扉を抜けるかと思われたが、向かった先は八五郎のもとだった。こちらにスピードを緩めず迫ってくる秀作に八五郎は「わわっ」と慌てた声を出すが、最終的には八五郎の目の前で跪いていて、八五郎は面食らう。だんだんと力のこもる秀作の言葉に八五郎は終始圧倒されっぱなしでただ頷くしかなかったが、だんだん自分に感謝の意を述べていることに気が付き、八五郎はそれに合わせて得意げにうなずき始めたのだった。

「そうだろそうだろ?俺の手にかかればハッキングも情報解析もお手のものよ。よーし、お前はタナトスの後輩だし、敬意をこめて俺のこと『エイト』って呼んでも……っていない!」

アシンメトリーになっている黒髪を気取った顔ではらりと払うと決め顔を作って『エイト』と名乗ったのだが…もうそこに秀作はいなかった。ちなみにエイトとは『八五郎』という名前をダサいと感じている本人が他人に強要する呼び名である。さらにいうとタナトスで八五郎のことをエイトと呼んでいる人間はいない。

ソニアは秀作から投げてよこされた鍵、そして霧月から手渡された鍵を大事にポケットにしまった。秀作には無言で了解の意を示す頷きをし、霧月にはお礼を言われたお返しに笑みを浮かべて同じく了解とうなずいた。秀作と霧月、二人が扉をくぐったあとを追うようにソニアは扉をくぐっていく。

「さぁクライマックスだぜ、フェリス……」

ヘクターは歯を見せてニカッと笑う。それに合わせて顔のひび割れから赤い光が漏れ出した。まるで悪の総統のような光景だが、ヘクターはまぎれもなく秀作と霧月の味方だった。

>>秀作、霧月




【ダン・ダルシア、死賭/第2区画 発電所横】

「ほらほら〜骨だぞー」

「だーかーらー僕は犬じゃないって言ってるだろ!」

第2区画の発電所横、そこはこれから死闘が繰り広げられるであろう場所だった。のだが、場の雰囲気はなんとも間の抜けたものになっていた。対峙するネオレスパーダ隊員ダン・ダルシアとタナトスの死賭……ダンの後ろには人間がなんとか抱えてもてそうな大きさの装置が置いてある。あれが秀作と死賭が破壊すべき結界装置なのだろう。役者も道具もそろっているのに、役者のせいで緊張感が台無しだ。おそらく前々からダンが犬といじられるのを嫌っていることを知っていた死賭は、どこから持ってきたのか肉を食べた後の骨をダンの前でぷらぷらと動かしている。死賭に犬扱いされたダンは真正面から死賭の挑発に乗って叫んでいるのである。ネオレスパーダになってもダンはダンのままらしい。秀作がくぐってきた扉はどうやら発電所に備え付けられているもので、本来ならば発電所の中から外へと通じる扉のようだ。扉から死賭とダンがいる場所まではそう遠く離れていない。ダンは秀作がこの場にやってきたのを見ると死賭を無視してにやりと笑った。まるで子供の頃にいたいじめっ子が浮かべていそうな、姑息で純粋な悪が詰め込まれたような笑みだ。

「あ、秀作だ!悪いなー僕だけネオレスパーダになって。でもしょうがないだろ?僕ってロックの親友だから。ほら見てよ、このシルバーのリング!これはロックとの親友の証なんだぞ!」

あまり謝る気がなさそうなトーンでダンは秀作に話しかける。そして左腕につけられたシルバーのリングをこれ見よがしに掲げ、右手でリングを指さした。ダンがロックとの友情の証と呼んだそのリングは、トールが身に着けていたものと同じリングだ。そしてトールは、ダンがシルバーのリングを身に着けていることについて激しい怒りをあらわにしていた。『あれはあいつのものじゃない』と……

「ねぇねぇ、秀作ってさトールに会いにいったんだろ?どうせそこでいろいろ洗いざらい言ったんだろうけど……僕のことどう言ってた?ねぇあいつさ、悔しがってた?」

ダンがキラキラと目を好奇心で輝かせながら秀作に問う。そしてニコニコと歯を見せながら笑っている。だがその笑みには純粋な悪意が見え隠れしていた。ただ相手を弄びたいという素直な心が見え隠れし、記憶堂でのトールの様子を秀作に問うのだった。ちなみにこの間死賭はダンに見せていた骨を投げたのだが、ダンはそれを全く無視し、死賭はぶーぶーと口で言いながら体から切り離した手で投げた骨を回収していたのだった。

>>秀作




【八掛 丈(やつかけ じょう)、カイ/第6区画 9番街】

第6区画にある9番街、それはこのアドバースシティの端っこだ。アドバースシティは街全体がぐるりと高い壁に囲われているが、この壁のすぐそばにあるのがこの9番街である。この時間帯、9番街は壁の影に隠れてしまうようで、あたり一面日の当たっている場所はない。そのためかタナトスの隠れ家よりも少し空気がひんやりとしていた。だがこの場の空気はひんやりしているのは日が当たらないのだけが原因ではない。

二人の男が向かい合って対峙していた。一人は青のシルクハットをかぶって、一人は灰色にところどころ紫が混じった髪を携えて。その二人の男は服装や髪の色は違えど、顔は全く同じだった。カイとリョウ……ついに双子は対面したのである。

「リョウ……やっと見つけた」

「俺は八掛丈だっつっただろ、そんな名前じゃねぇ」

カイの喉から絞り出したような声に対し、丈は冷たい一言を言い放つ。やはりフェリスはリョウの記憶を改ざんし、リョウを自分の意のままに動く『八掛丈』にしてしまったようだ。カイは明らかに体がこわばっている。うまく体が動かせるかは疑問だ。一方で、丈の背後には一人でなんとか持ち上げられる大きさほどの装置が設置されていて、どうやらあれが破壊対象の結界装置らしい。丈は装置を守るように装置の前に仁王立ちしてカイを……そして今しがたこの場に到着した霧月を気だるそうな目でにらむ。霧月がくぐってきた扉は近くの空き家の裏口扉のようで、霧月が今立つところから少し離れた場所にカイと丈が立っていた。

「リョウ!思い出してよ!僕らは双子で、君は僕の兄でしょ!」

「しつけぇな……」

カイの必死の声は丈に届かないらしい。丈がワントーン落とした低い声で唸るような声を出したかと思うと、丈の背中からうねうねと何かが生えてくる。それは海を支配する巨大な蛸の足で、紫色に照かりながらうごめく8本の足が丈の背中から生えてきているのだった。同時に丈の白目部分は黄色く、そして瞳が細くなる。それこそ蛸の目のように。丈の体内には化け物が潜んでいるのだ。海を力で支配する、クラーケンという名の化け物が。

「俺と同じ顔で気持ちわりぃこというんじゃねぇよ」

カイを蛸の目でにらみながら丈はねっとりとした口調で言う。その口調とは裏腹に、素早い動きで2本の蛸の足がカイへを襲い掛かる。カイはいまだ呼びかけてリョウを取り戻すことをあきらめていないのか、茫然としたまま迫る蛸の足を見つめることしかできなかった。


>>霧月




【カル・ギラム、白樫燐/能力開発研究所 地下室】

「荒事は僕より君のほうが得意だといったはずだが…まぁいい。もともと僕がやる予定だった」

カルはバグ生産装置へと足を進めながら、次々と隣をすぎていくカプセル型の装置に目をやった。様々な人間がこの中で眠っている。その中の一つの前でカルはふいに足を止めた。その中に自分が長年……そう子供の頃分かれた時からずっと探していた人物がいたからである。

「エミリー……!」

エミリー・ギラム、カルの妹だ。エミリーが誘拐されたのはカルとエミリーが子供のころ、カルはもう何年もエミリーの姿を見ていなかった。しかし、カプセルの中で眠るその顔をみた瞬間に、カルは確信したのだ、彼女がエミリーなのだと。フェリスに誘拐され、能力情報を抜かれてしまい永遠の眠りについたエミリー……しかもエミリーの能力はあろうことかバグ生産装置に組み込まれてしまい、結果的にバグをこの世に生み出す原因となってしまった。カルは思わず奥歯をかみしめる。奴さえいなければ…妹をさらい両親の記憶を改ざんしアドバースシティの外に引っ越させたフェリスがいなければ……今もエミリーは元気な顔をカルに見せてくれていたのに。早く終わらせなければいけない、そうすべてを。バグ生産装置もフェリスの暴走も、すべて……

カルは再びバグ生産装置のほうへと歩み始める。その間にカルが左腕を横へ振ると、腕からなにか金属が飛び出した。それはカルの肘から手を覆う丸い形の金属、いわゆるシールドだった。ただしただのシールドではない。淵部分にはブレード加工がなされており、いわば盾と剣、両方の使い方ができる代物なのだ。カルはこれをひねりなくブレードシールドと呼んでいる。そのブレードシールドを手にカルはバグ生産装置の前に立つと、シールドを思いっきり振りかぶった。そして腕に力をこめ、装置へとたたきつける。装置は無残にも破損する……はずだった。

「困りますねぇ、それを壊されては」

その声と同時、カルとバグ生産装置の間に木の幹が生えてきて、カルの懇親の一撃は木の幹に阻まれる。カルは素早く後ろへ飛びのき周囲を見回す。しばらくもしないうちに、バグ生産装置の後ろ側からひとつの人影が現れた。不気味に赤いラインが入ったロングコートをはためかせ、手にはコートと同じ真っ赤な色に染まった林檎が収められている。ネオレスパーダ隊員、白樫燐が光一とカルの前にはいた。

「ここは立ち入り禁止ですよ、青崎光一、そしてカル・ギラム。不法侵入者とあっては私はあなたたちを捕らえなければなりません、ネオレスパーダとして」

白樫燐が爽やかな笑顔を二人に向かって浮かべたとたん、光一とカルの周辺に木の幹が床を突き破って生えてくる。それらは不気味にうごめいたかと思うと、標的として光一とカルをとらえたようだ。木の幹は二人の体を拘束しようと、自らの体を二人の方向へと伸ばしたのだった。

>>光一

1ヶ月前 No.560

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 発電所横】

 ああ、そうだった……そうだったな……。
 軽い絶望を感じながら入ってきた扉にもたれて二日か三日ぶりかの煙草に火を点ける。そして、何年ぶりになるのか、味わうためではなく気分を落ち着けるために深く、深く紫煙を肺まで吸い込む。

「けふっけふっ……」

 久しぶり過ぎてむせた。
 膝を曲げ右の踵を扉に当て、もう一度深く煙を吸い込む。勢い良く吸い込むと煙の味が潰れて辛くなる上に舌を火傷するからそれには気をつける。
 左手で煙草を口から外し、右手で前髪をかき上げながら顔を上に向け、呆れたような表情で空に向けて煙を吹き出した。

「あーー、トールねぇ……んー、悔しがってたんじゃないの……」

 煙を吐き切り、もたげた頭をガクッと落として言う。煙草を戻しまた吸い込こんで、今度はため息のように一気に吐き出す。

「悔しがってたって言うか……アレは怒ってたんじゃないかなぁ」

 死賭の投げた骨を無視し、ニコニコと意地悪そうに、悪意がこもったような笑みを浮かべるダンを横目で見る。何かがキレた。

「お前はもっと、犬みたいな純真でいい奴だと思ったんだがな……なんだよその顔」

 右手で煙草をつまんでポイと捨てる。トールがどうだとか悔しがってたかどうだとかはどうだっていい。

「それじゃあまるで人だ」

 ホルスターから銃を引き抜き、出処の分からない、やり場のない苛立ちをぶつけるようにダンの背後の機械に向け壁にもたれたまま凶弾を放った。

>>ダン・ダルシア

1ヶ月前 No.561

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

ゲートをくぐった先は、暗い街並み。霧月は少し先にカイさんと、鏡合わせのように立つ男。

「あれがリョウさん……」

確かに瓜二つだ。何やら言葉を交わしているようだが、時を争う事態。ともかくあの破壊すべき装置を破壊してしまわなければならない。

そう思って2人に近づいていく。

「っ!?」

刹那、リョウさんの身体が変化を始める。危険を感じた霧月がカイさんの方へ駆け出した直後、二本の触腕がカイさんへ迫る。

「はっ!」

一切無駄無く抜刀し、そのまま居合の形で触腕を峰打ち。弾かれた触腕を返す刀で斬って捨てた。

「……狂錬」

2人の間に入った霧月がそう呟くと、霧月の身体に紅いオーラが可視化される。人呼んで「修羅の錬気」と言われるそれは目を妖しく光らせ、その視線を対峙する怪物へ向ける。

「今まで怪物モドキばっかりで退屈してたんだよ。八掛、貴様は本物か?その力が修羅に届くか?陸だから動けねぇなんて言わないよな?」

久々に手応えのありそうな獲物に出会ったからか、嬉々とした表情を浮かべる霧月。そして、くるり、とカイの方を向く。

「まだ俺が理性を持っている内に言っとく。リョウとの決着、お前がつけろ。ボサッとしてるな、然もなくば俺が殺すからな」

霧月がもう一段階踏み込めば限界を迎えるまで戻っては来ない。そして、霧月は集中する。修羅へ近づく事に霧月の中からあらゆる理性が少しずつ削られる。

そして、あと一息で修羅へ届くという所で、霧月は止まる。これが今の彼女の全力だ。

「ふうぅぅぅッ!嗚呼、久々だな、この感覚。燃える、燃える。血が燃えるッ……ただいま、オレ」

誰にその言葉は発されたのか。それを疑問に思う暇すら与えず、霧月の右腕が目視すら困難な速度で振るわれる。

ゴウッという音と共に大気が弾かれる。弾かれた大気は刀の形に飛翔し、リョウへと不可視の刃となって襲いかかる。

「破あぁぁぁッ!」

霧月が地を蹴る。差を一気に詰めた霧月は空気刃の直後というタイミングで大上段から刀を振るった。

≫八掛、カイ

1ヶ月前 No.562

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

光一は首を少し回してちらりとカルの動向を伺う。彼は暫く歩いたところでエミリーを見つけ、感極まった様子で彼女の名を呼ぶ。目を覚まさぬ妹、それを救わんとする兄。こう表現すればさぞかし悲劇の主役として絵になるだろう。だが光一は知っている、彼の狼藉を。下賎な偽の依頼で隊員達を騙し、あまつさえ自分の姿を許可もなく借り本部を襲撃したのだ。どうしてそんな奴の肩など持てようか。もっと言えば、彼の目的のためなら手段を選ばない姿勢はフェリスのそれと全く変わらない。同じ穴の狢と言っても過言ではないだろう。

(どうせ抜き取るならこいつの能力を抜き取ってくれりゃよかったのに)

もしそうであったなら、本部に侵入されるという失態を晒すことなど無かった筈だ。エミリーの能力がどれ程かにもよるが。
しかし、それでも――――――

「…………」

直接茶々を入れることはしなかった。紛れもない下郎とはいえ、泣き別れになった家族との再会を見届ける位の情けなら、かけてやってもいいのではないかと光一は思ったのだ。

(ほう)

カルの左腕から展開された装備を見て関心する。形状は標準的なラウンドタイプ、外周部分の加工跡を見るに斬撃武器としても使えると思われる。

(なかなか悪くない)

使い勝手のいい複合兵装(マルチウェポン)といったところか、更に携行性も見ての通りだ。

「っ!?」

いよいよカルが装置を破壊しようというところで、木の幹による妨害を受けた。あんなことが出来るのは一人しかいない。

「白樫、燐……!」

次の瞬間、幾つもの木の幹が飛び出しこちらに迫ってきた。確実に処理するためブレードでの応戦を選択する。

「ならレスパーダOBとして、後輩の醜行を叩き潰さなければならないな」

そう啖呵を切り、群がる木の幹を演武じみた動きで薙ぎ払っていく。この程度光一にとっては児戯に等しいが、どうせあちらも本気ではないのだろう、油断はできない。

>>周辺all

1ヶ月前 No.563

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

1ヶ月前 No.564

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

「お前らにとっての罪なら、喜んで犯すさ」

案の定燐の顔には未だ余裕の色がこびりついている、まるで自身の勝利を微塵も疑っていないかのように。だが事実として彼の能力は非常に優秀だ。汎用性が高く応用も効きやすい上に、使いすぎてスタミナ切れということも起こらない。明確な弱点が存在しないのだ。

(ツいてるぜ)

故に、ここで潰しておけばその分後が楽になる。如何に優れた能力であろうと無敵ではない、やり様はある筈。

「森の賢者、ね……じゃあ何か? 人類の森林伐採にいつも心を痛めてるとでも?」

なんと今度は自分の腕そのものを変化させ、上方からの攻撃を仕掛けてきた。更に自身も細身の剣を携え突きを繰り出す。

(エストック……いや、タックか?)

直接攻撃の敢行に少々面食らう。彼のようなタイプは延々と能力任せの行動ばかりするのが通例だが、彼はその定説に当てはまらないようだ。

(狙いは左肩……なら!)

迫る剣の刀身部分に、左腕を押し当てることで突きの軌道を逸らす。少林寺拳法の防御技術である上受けの応用だ。

「ぬぅん!」

それだけに留まらず、更に間合いを詰めてブレードで腹部への刺突を狙う。ここで下手に距離を開けるのは却って危険だ。それならばいっそ懐まで潜り込み賭けに出た方がいい。

(……勝負!)

鋼の刃が穿つか、賢者の叡智が阻むか、果たして――――

>>周辺all

1ヶ月前 No.565

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【白樫 燐、カル・ギラム/能力開発研究所 地下室】

「森林伐採に怒りを感じたことはありませんが……その気になればこの街すべてを森にしてしまうこともできますよ」

嘘か本当かわからない言葉を白樫は爽やかな笑顔を浮かべながら言う。真偽はどうあれ、こんなことを言えるほどに白樫は自分の能力と、そして自分自身に自信を持っているのだ。

白樫のエストックは光一の腕に沿いその軌道がそれた。光一は見事白樫の懐に潜り込み、反撃の一手を繰り出した。白樫のエストックはまっすぐ伸ばされたままでその刃は光一の体を追うことはない。光一のブレードは白樫の腹部に深々と突き刺さったのだった。ブレードから光一の手に刃が物体を裂く感覚が伝わっていく。だがそのさなかでひとつおかしな点があった。腹部から赤い血が流れてこないのである。ブレードがものを貫く感覚は確かにあるのに、それに伴って鮮血が出てこない……その理由はすぐに明らかになった。

「私は森だと、言いませんでしたか?」

その言葉と同時、ブレードが切り裂いた白樫の腹部から何本もの細い枝が一斉に飛び出した。そしてブレードを伝い光一の手をとらえようとする。白樫燐の能力、それは植物を操るものではない。彼自身が植物であるのだ。光一の手を枝が捉えようとすると同時、白樫はエストックを引き寄せ、自分の眼下にいる光一の背中めがけて一閃を放つ。だがその攻撃は光一に届かないまま終わった。なぜならば、光一の後方にいたカルがブレードシールドを白樫に投げつけ、白樫はそれに応戦してエストックでブレードシールドを弾いたからだ。

「想像以上に厄介だな……」

カルがそう呟きながら左腕を前につきだす。そうしてやれば、遠方にはじかれてしまったブレードシールドが宙を舞い、カルの手元に帰ってきた。だが光一の手に伸びる細い枝はその動きを止めていない。さらに腹部から漏れ出す枝は増えており、光一の手どころか、その体を飲み込まんとしていた。

>>光一

1ヶ月前 No.566

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 発電所横】

「っは、何が番人だ、面白くもない。てめぇの形をよく見てみろや。……お前の言う通りだな、どう贔屓目に見ても犬っころだ。それも躾のなってない」

 反動をつけて扉から跳ねるように身体を離し、コンクリートに熱を吸われ、消えかけているタバコを拾い上げ咥えようとし、また捨てる。

「で、中身は意地の悪いクソ餓鬼と来たもんだ、番犬ですらねぇ……あ、ひょっとして犬語じゃないとダメかな?キミ。ワンワン、ワーン」

 そこまで言って堪えきれずに口から笑いが溢れる。ダンはまたいつもみたいに怒るのだろう、この状況下でも。そう、いつものように。今初めて、ダンを罵倒するために犬と表現した、それはきっと良くない事なのだろう、だがそれは予想を遥かに超えて愉快な事だった、とてもとても愉快なことであったのだ。

「ふぅ……さ、来いよ黒いの」

 笑うのを早々に止め、見下したようににやけた顔で、見上げながらケルベロスに話しかける。
 生憎、俺はハデスではないし竪琴も持っていない。できることと言ったらこのデカブツを引きつけ、死賭か俺、どっちかが装置を壊す隙を作ることくらいだ。
 別に障害を倒す必要はない、装置が壊せればそれでいい。ならばこちらから変に手を出さずカウンター狙い、それに掛けようじゃないか。左手に銃を提げ、白衣のポケットに右手を突っ込み、左自然体に構える。

(間違えて装置踏んづけてくれたら楽なんだがなぁ)

>>ダン・ダルシア

1ヶ月前 No.567

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

全てを読み切ったかのように腹部に迫る一撃を少し遅れて視認した霧月は、特に何もしなかった。

刹那、ぐん、と不可視の力によって霧月の身体が宙に浮いたまま後退する。それにより、触手との距離が一瞬だけ空き、その触手を勢いの止まらない刀で両断する。

空気刃を飛ばしたことによって弾かれた空気が元に戻ろうと周囲を巻き込んだものの範囲にギリギリ入ることによって生み出された霧月の戦法。

機動力がどうしても劣ってしまう彼女にとって、人体を超えた立体機動は重宝するものなのだ。彼女が着物を来ているのも、空気抵抗を大きくして移動範囲を広げるため。

そして、すぐに霧月は距離をとる。至近距離にいられるのは一瞬。それを過ぎればあの手数に滅多打ちにされるのを待つのみとなってしまう。

「海の支配者とは笑わせるな。どんなに力が強くとも、人から見てその姿が醜ければ、禍々しければそれは紛れもない怪物だ。もっとも、今のお前は強くもないがな」

つまらない、と吐き捨てるように云う。霧月が期待したのは彼女の読みのその先だ。そこまで相手の手が伸びればこれ程嬉しいことは無いと言うのに。

「お前が出来損ないなら、次で終いだ。気合入れろよ」

冷酷にそう呟くと霧月の身体が再び前進する。と、同時に霧月の腕が陽炎のようにゆらめく。

肉薄していく中でそのゆらめきは継続される。そして、ある程度の距離で霧月は停止した。

「修羅道七突、壱ノ太刀『陽炎骸』。効果は身を以て知れよ?」

バァン、と空気が爆ぜる音。霧月の腕が揺らめいていたのは不可視の斬撃。

破裂音と同時に放たれたのが後方の装置を狙った8つの空気刺突という事に相手が気づくのは幾瞬後か。

そして、霧月の身体は前進する。刀を水平に構えた平突き。決して速くはないが、間合いに入った瞬間、敵を突き抜く疾やき突撃。

その霧月の目は試すように笑っていた。

≫八掛、カイ

1ヶ月前 No.568

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

(!?)

ブレードは間違いなく白樫の腹部に食い込んだ。しかしその手応えは人体を突き通した時のものではない。更に出血も一切していない、これは明らかに異常だ。

「ちぃっ!!」

直ぐ様ブレードを引き抜こうとするも、刀身が既に細い枝に絡まれており一瞬で済ませるのは不可能と悟る。それと同時に後ろから金属音が耳を打つ、恐らくエストックで刺されそうになった所をカルがブレードシールドで妨害したのだろう。

(余計なことを……と言いたいとこだが、今回ばかりは感謝するか)

心底気に食わないとはいえ、今の妨害がなければかなり危なかった。
こんな時、ロックのような能力があれば一気に形勢逆転できるのだが。

(無いものねだりをしても仕方ねえか)

枝はもう右手に届こうかという所まで迫っている。躊躇いが許されるタイミングではない。すかさずブレードから手を離し、拳を形作る。

「喝(カ)ッッッ!!!」

されど放つは唯の拳打に非ず。中国拳法が秘技、発勁(はっけい)。全身の間接などを駆使し、対象に絶大な衝撃を与える技法である。
もう枝はこちらの体そのものを包みこまんとしていた。他に打開策は考えつかない、これが最後の賭けだ。

>>周辺all

1ヶ月前 No.569

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【ダン・ダルシア、死賭、ソニア/第2区画 発電所横】

『なんで僕が犬なんだよ!いっただろ、僕はケロべロスだ!この世でただ一つ、僕だけがケロべロス!そこらへんにいる犬と一緒にするなっ!』

ダンは秀作の煽りにまんまと乗せられていつもの調子で怒りを露わにする。だがその姿はケロべロスなのだ、3つの頭が同時に話すことで声が三重に聞こえ、否定の言葉を叫ぶたびに相手をかみ殺そうとする鋭い牙が光った。グルルと3つの頭が唸り声をあげ秀作をにらむ。死賭は一本だけある刀を背中から抜き去りくるくるとまわして遊んでいた。

その時だった。秀作と死賭が通ってきた扉が突然音を立てて開かれる。そしてその扉から黒色の人影が飛び出てきた。いや、実際にその人は黒色をしていた。黒の人影は扉をくぐった直後その場に力尽きたかのように倒れる。扉の前で倒れていたのはタナトスの一人、ソニアだった。

「ソニアちゃん……?」

状況が分からず死賭が戸惑いの声を上げる。そして秀作もダンも無視して、死賭はソニアのもとへと駆け寄った。ソニアは全身をひどい火傷に覆われていて、服もそして皮膚も一部焼けただれている。ソニアは息をしていたものの、その調子は絶え絶えといったところで、相当なダメージを受けていることが分かった。

「ソニアちゃん!ソニアちゃんどうしたの!?誰にやられた?俺ちゃんが今すぐぶっ殺して……」

死賭は取り乱したように、そしてなぜか今のほうが真人間に見えるような慌てぶりでソニアのそばに座り込む。ソニアはその言葉を無視して手にもっていたものをゆっくりとした動作で地面に転がした。それらは秀作が本部に取ってくるよう頼んだ死賭の刀と替えの銃、そして弾丸だった。役目を終えたとばかりにソニアはゆっくりと深呼吸して、慎重に肺に酸素を取りこんだ。

「うるさい……隊長に、やられたの」

先ず口に出たのは死賭への牽制、その後にソニアの口から出たのは『隊長』という言葉だった。ネオレスパーダ本部にいる隊長となれば、それはたった一人しかいない。そしてその人物が持つ能力は『炎』だったはずだ。死賭はソニアが運んできた自分の刀をゆっくりと拾い上げる。そして刀の柄を強く握りしめるのだった。

『死にそうなやつみーっけ!』

ソニアと死賭、二人の間に流れる空気を壊す声があたりに響き渡る。巨大な体と力を持ったダンにとって、人間を殺すことなど玩具を壊すことと同義なのかもしれない。犬の顔に屈託のない笑みを浮かべながら、ケロべロスの体は地面を蹴り、ソニアと死賭の元へ向かう。

「こっち来るなよ犬!死賭ビ―――――ム!!」

もはや名前を呼ぶこともしない死賭はなぜの技名を叫びながら両手に持つ刀をケロべロスの正面の顔に向かって投げつける。ただしその柄部分には死賭の体から分断された両手がひっついていて、宙にういた刀は迷いなく正面の顔の両目に向かって飛んで行っていた。さて、ダンが死賭とソニアに襲い掛かったことによって、ダンは本来の目的を忘れている可能性がでてきた。ダンは守るべきはずの結界装置を離れ二人に襲い掛かったのである。しかし、死賭の放った刀二本でダンを止めることはできるのだろうか。ダンが二人にとびかかると同時、鋭い爪を死賭に向かって振るおうとしている。一方で、死賭の刀は正面の顔の両目に迫っていた。

>>秀作



【八掛 丈、カイ、八五郎/第6区画 9番街】

攻撃を外した丈は獲物を狙う静かな目で霧月をにらみつける。剣技とそれによってもたらされる物理法則を用いた想像を超えた戦法法は予測が難しい。丈の手が蛸の足を模すように、うねうねと動かされる。きっとこれが彼の癖なのだろう。

「醜いってのはお前の主観だろうが。それになぁ、支配者に姿形は関係ねぇ。力でねじ伏せ、相手の弱みを握り、絶対服従させる。そうされた奴は自然と俺を支配者と呼ぶんだよ」

丈は左手を言葉のリズムに合わせくるり、くるりと動かす。白い手をくねらせ動かしてみると、その手さえも蛸の足のように見えた。目を大きく見開いたり、逆に細めたりするたびに縦方向に伸びた瞳が霧月を捕らえていた。


霧月と丈が言葉を交わす間に、先ほど霧月とカイが通ってきた扉が開かれ、ゆっくりと何かが扉から出てくる。それは車いすを押す八五郎で、手には霧月がソニアに本部に取りに行くよう頼んだ白布に包まれた薙刀があった。めったに外に出ることがない八五郎がこの場にいることにカイは驚いたのか、丈のことを霧月にまかせ八五郎のもとへと駆け寄った。

「どうして八五郎がここにいるの?ソニアは?」

「それが……まずいことになった。詳しいことは後で説明する。ただこれをあいつに渡すときに言っといてくれ『ネオレスパーダの隊長が誰か忘れるな』ってな」

八五郎は霧月の薙刀をカイに預けながら一緒に伝言を受け渡す。カイにはその言葉が意味することがよく理解できた。今までの情報を合わせれば、ネオレスパーダ隊長が誰で、そしてどんな状態になっているのか、想像に難くない。カイは八五郎が扉の中へ戻っていくのを見届けると、薙刀を手に再び戦場へと戻ってきた。


次で終いという霧月に丈は鼻を鳴らして笑った。霧月が刀を構えると同時、丈は両手を広げ、顎をあげる。見下すような形で霧月を見た後、口元に薄く笑みを作った。すると、丈の背中に生えていた8本の足がそれまでの何十倍にも膨れ上がった。1本が建物の高さほどある蛸の足が8本、うねりを上げる。だがそれが蛸の足であることには変わりない、霧月が放った空気刺突の経路上に8本の足が存在したが、攻撃は容易に障害を突破するだろう。なにせ、ただのたこ足なのだから。そう、それまれならば、ただのたこ足だったのだが。ガキンッと鈍い音を立てて、斬撃をはじく音が響き渡る。霧月の目の前に現れた巨大な蛸足、そのどれもにフジツボがびっしりと張り巡らされていた。先ほどの音は、フジツボに斬撃が当たった音だったのだ。今まで通り斬撃によって切れなくなったたこ足はぴんぴんしたまま宙をうねっている。そして丈本体に斬りかかってきた刀を丈は右手でつかむ。通常ならば肉が斬られ血があふれ出すが、またしてもガキンッと鈍い音が響きわたった。丈の手、腕、そして首、あらゆるところにフジツボが巣くっているのである。

「……終わりか?」

丈は刀を強く握りしめたまま、蛸の目で霧月を見る。その目は無感情で無慈悲で、容赦のない目だった。丈がもう片方の手で霧月の首を絞めようとその手を伸ばした時、横やりが入る。一本の水柱が丈の手と体半分とに激突したのだ。カイが水を操り丈の動きを止めたのである。

「霧月!」

カイは相手の名を呼んで、白布をとった薙刀を投げてよこしたのだった。

>>霧月



【白樫 燐、カル・ギラム/能力開発研究所 地下室】

白樫の体から這い出る木々に飲み込まれそうになっているブレードから手を放した光一を見て、白樫は楽し気に片眉を上げる。それでいいのかと暗に問うているようだった。武器を手放した光一に対し白樫は容赦なく攻撃を仕掛ける。素手でこちらに迫っているのだ、こちらからもエストックを突き出してやれば容易に攻撃が通る。そう考えて白樫は攻撃をしかけたのだが、またしてもそれを阻む人物がいた。カル・ギラムである。カルは腕に装着したままのブレードシールドで今度は白樫の首を斬りつけるようにシールドを振りぬいた。白樫はまたそれに応戦するようにエストックの刃をシールドにあてる。一瞬つば競り合ったが、すぐに両者は飛び退き距離をとる。白樫が飛びのくその瞬間に、光一の拳打がさく裂し、光一を覆うとしていた木々は一気にはじけた。白樫の体から光一のブレードが抜け落ち地面に転がる。だがその瞬間を白樫は見逃さない。

「私と戦っても無意味だとそろそろお気づきになりませんか?」

その言葉と同時、光一とカルの足元からまるで鋭いやりのような木の幹が次々とつきあがってくる。カルはブレードシールドで下から生えてくる木々をガードしながらその場を後退したが、一本の幹が右腕をかすり顔をしかめる。木の幹は断面が複雑だ、刀の切り傷とは違いその傷口はえぐられたような痕になる。カルは白樫を観察するように、じっと林檎を持つ男を見据えるのだった。

>>光一

1ヶ月前 No.570

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

「面倒なフジツボだなァおい!」

刀を受け止められた霧月はそう吐いた。その目はどことなく嬉しそうである。目の前の相手は全ての攻撃を防いだ上、自身の突撃を拘束した。

「期待ハズレでは無かったか。そいつはちょっと、嬉しいなァ」

首を締めようと迫る腕。彼の手にかかれば霧月の華奢な首は簡単に折れてしまうだろう。だが、霧月は笑みを浮かべる。

直後、水の奔流が丈の腕を止める。後ろを振り向くと、カイが薙刀を投げて寄越していた。

「ナイスだ!悪くないな!」

薙刀を受け取ると、刀から手を離す。両手で薙刀を構える。

「刀、返せよ」

修羅道七突、弐ノ太刀「荒草薙」。陽炎揺らめく高速の斬撃が大気と摩擦し、刃の先端が赤熱する。更に、電位差による放電も起こり、プラズマすら纏う。

触れる前に切り落とす刃が相手では、堅牢なフジツボも意味を成さないだろう。

≫八掛、カイ

29日前 No.571

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

またしてもエストックが迫るが、再びカルの助太刀により事なきを得る。そして発勁は見事に決まり、纏わりつこうとしていた枝を全て粉砕した。
……がそれだけだ。白樫は特に痛手を負った様子はなく、余裕の面持ちを崩さない。

(これも有効打にはならねえか)

決死の一撃は奇跡の勝利も無様な玉砕にもならず、戦いを引き延ばしただけだ。しかし命拾いしたのは事実、ここは運が良かったと解釈するべきだろう。全くもって規格外な存在だ、奴自身が言った通り『木を操る能力』という表現は相応しくない。『木を媒体として何でも出来る』と形容した方が適切か。

(刃物も殴打も駄目、となると……)

ふと、奴が持つ林檎に視線が移る。そういえば何時もあの林檎は肌身離さず手に持ったままだ、まるでそうせざるを得ないように。

(…………まさか、な…………)

己の中に生まれた憶測を瞬時に否定するも、それ以外の可能性は導き出せない。
――――やるか。
兎に角ブレードを回収しなければ。意を決し、ビリヤードの玉よろしく急発進で駆け出す。それとほぼ同時に出現した鋭利な木の幹は、靴を掠めるだけに留まった。続けて迫るものもこちらを捉えきれずすんでの所で虚空を貫くばかりだ。松風の如き速さで走り抜けみるみるうちに白樫との距離が縮まる。

「……っ……!!」

しかしブレードを拾い上げる際は流石に追い付かれ、左太股辺りを少し削られてしまう。致命的とまではいかないが皮一枚なんて生易しいものでもない。後々になって響かなければいいのだが。

「せあああああっ!!」

大きく踏み込み、気迫と共に横一閃に振り抜く。狙いは誇らしく見せびらかしているその林檎だ。

>>周辺all

29日前 No.572

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【八掛 丈、カイ/第6区画 9番街】

霧月は刀を手放し、カイが投げた薙刀を手にした。刀を返せという言葉にそう簡単に丈が応じるわけもなく、つかんだままの刀を自分より後方に投げすてた。霧月の刀はカランカランと音を立てて転がり、結界装置の近くに転がる。薙刀を手にした霧月はというと、なにやら能力によって薙刀に変化を起こし始めた。そんな状態の相手の近くに長居するはずもなく、丈は巨大な蛸足をうねらせながら後方へと移動した。同時に、先ほどまで丈がいた場所には進路を阻むようにたこ足が横たわった。このままでは丈は攻撃の範囲外に出てしまう。その時、霧月の真横で水柱が立ち上がり再び水柱は丈を襲う。正面からの攻撃、しかも相手は水を住まいとする蛸だ。カイの攻撃は意味をなさない……と思われたが。

「リョウ、帰ってきてよ!」

水柱が丈にあたった瞬間、水柱に電撃が走る。霧月の薙刀から漏れる放電を水柱が拾ったのだ。

「ぐっ、てめぇ……!!」

丈が思わず苦しみの声を上げる。水柱に流れた電撃は丈の動きを止めるのに十分だったようだ。

>>霧月



【白樫 燐、カル・ギラム/能力開発研究所 地下室】

白樫燐は光一とカルがこの地下室にきて以来ずっと爽やかな笑みを浮かべ続けていた。自身が戦う戦場にもかかわらず、まるで高みの見物を決め込むように、白樫は笑っていたのだ。

「また私に攻撃するのですか?どうぞどうぞ、お好きなだけ」

こちらに走ってくる光一を見て白樫はにこりと口角を上げる。余裕の態度を見せつけるためか、林檎を愛おしそうに撫でていた。その間に木の幹が光一の足をえぐれば、より一層人当たりがよさそうな、見てくれだけの笑みを浮かべていた。白樫は光一の攻撃から一切逃げることもなく、エストックを構えることもない。白樫はただ笑みを浮かべていた、光一の狙いが自身がもつ林檎だとわかるまでは。

「……っ!」

思わず息を詰まらせたような音を口から漏らしながら、白樫は腕を退き、間一髪のところで光一の刃から林檎を退避させた。同時に後方へ飛び光一をにらみつける。もう今まで見せていたような笑みはない。白樫に張り付いていた笑顔は剥がれ、冷酷な顔が姿を現していた。

「……あれは決まりだな」

カルが苦笑交じりにつぶやく。あれ、すなわち林檎。打撃も斬撃も一切の攻撃をもろともしない体を持つはずなのに、よりにもよって白樫は手にもつ林檎を光一の攻撃から遠ざけた。となるとあの林檎はただの林檎ではない。白樫が守るべきもの、それが林檎なのだ。なぜあの林檎を守らなければいけないのか現在は分からないが……あらかたの予想はつくものだ。

白樫は左手に林檎を持ち、右手を掲げる。すると右手が木の幹に変わりぐんぐんとその長さを伸ばしていった。そして、腕を下方へ移動させた後、横方向に思いっきり振りぬく。そうしてやれば白樫の腕から伸びた木の幹は全てのものをなぎ倒すように光一とカルへと迫る。白樫は木の幹によって一気に薙ぎ払いを仕掛けたのだった。

>>光一

28日前 No.573

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

白樫は標的が林檎だと理解した途端、目の色を変えて腕を引っ込め後退した。もうさっきまでの余裕はどこにもない。

「どうした、好きなだけ攻撃していいんじゃなかったのか?」

しかしこの前のボスバグといい、大した工夫もなくこちらの太刀筋を見切る対応力は驚愕に値する。正直言って武道家としての矜持が保てそうにない。
白樫は遊びは終わりだと言わんばかりに、腕を長大な枝に変化させ水平に振り抜く。随分と豪快な攻撃だ、小細工を弄する必要もないということか。

「……」

純粋な質量に任せた一撃、防ぐのも避けるのも一苦労なのは想像に難くない。無論直撃などもっての他だ、下手をすればそれだけでリタイアになってしまう。

「はっ!」

一瞬だけ屈み、全身のバネを使って高くサマーソルトを行う。空中で体が反転することにより『真上』を枝が通りすぎる

「であっ!」

――――前に、能力を発動し釘でも打つかの如く勢いでブレードを突き刺した。当然枝はその程度で減速などせず、凄まじい運動エネルギーでこちらを牽引する。

「くおお……っ……!」

直ぐに振り落とされそうになるも、十本全ての指に気力を込めどうにか堪えられた。すかさず振り終わり際の慣性を上手く利用してブレードを引き抜き、能力解除と同時に枝の上を駆け出す。

「今度は逃がさん!」

走りながら下段に構え、掬い上げるような剣閃を見舞う。狙いは言うまでもなく左手の林檎だ。

>>周辺all

27日前 No.574

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【白樫燐/能力開発研究所 地下室】

白樫は手に持つ林檎を狙われたことで、顔から一切の笑顔が消えた。ただ冷たく無慈悲な眼差しで光一とカルを睨み付ける。

「……そんなに私の本気がみたいのですか?」

薙ぎ払った腕を避けこちらに駆けてくる光一にむけ、白樫は静かに問いかける。返事は期待していない。代わりに、白樫の体に変化が起こった。白樫の体の表面がうねるように波打ち初めたかと思うと、体が大量の木の枝へと変化していく。同時にゆっくりと背丈が伸び、白樫は体長2.5m程の木の体を持つ人間、木人へと変化したのだった。そして、左手に持っていた林檎が木の体の中へと取り込まれていく。自分の弱点を相手の目に見えぬ体の中に隠してしまおうという魂胆だ。光一の攻撃は林檎が白樫の体内に取り込まれるのにわずかに間に合わず、白樫の木の腕を斬るだけに終わる。ブレードが木の腕を吹き飛ばし、斬られた腕は宙を舞って地面へ落ちた。そして、斬られた腕は黒く変色し、崩れさってしまう。その様子を見ていたカルはゆっくりと口角を上げた。

「青崎光一、僕とゲームをしよう。あいつの体の中にはあいつの核である林檎が入っている。おそらく林檎が入っている場所から腕や足を切り離されると、切り離された体は消滅する仕組みだ。林檎は体内でいろいな場所に移動できるだろうが……それなら奴の体のあらゆる部分を切り落とし、運よく林檎が入った部分を切り落とした方が勝ち……これでどうだ?」

カルは光一の方を見ないままゲームを持ちかける。体内のあらゆる場所を動き回っているであろう急所の林檎、白樫の体を切り刻み、体内から林檎を先に見つけ壊した方の勝ち、というシンプルなルールだ。木の幹と同等の固さと太さを持つ白樫の手足は一度に一本斬り落とすのが限界だろう。光一とカル、二人が常に2ヶ所を同時に攻撃し続ければあるいは弱点を見つけ出せるかもしれない。

「ゲームとは、随分余裕ですね」

白樫がカルの言葉を聞き付け、あきれるように言う。ただその目は笑っていない。どこまでも非情な目だ。白樫は木できた両手を挙げる。すると五本の指がまっすぐと長く太く伸び、一本ずつが木の幹サイズに成長する。そして、白樫はその木の幹でできた10本の指を光一とカルに降り下ろしたのだった。

>>光一

26日前 No.575

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

プラズマを纏った薙刀を丈に向ける。この力は長い時間持たない。具体的には5秒程度。

そして、目の前には放電を巻き込んだ水流で怯む丈。

「礼を言うぞカイ!良くオレを援護した!」

これは、霧月を知る者なら、誰もが言うであろう言葉。狂錬を発動した霧月は、その人の域を超えた動きを見せるため、援護するのが極めて難しい。
そもそも、剣士である彼女にとって、支援は存在しないなのだ。

薙刀が邪魔をする蛸足を切り裂く。霧月は1歩、前に出る。薙刀を構える。2歩。

そして、3歩目で、狙う先を変えた。

狙うのは丈ではなく、蛸足。ここを切り裂き、装置の方へ突破する。

「阿あぁぁぁぁ!」

下段に構え、無駄のない、洗練された、それでいて大胆な踏み込み。

そこから繰り出される切り上げの一撃がプラズマの残像を残して蛸足を切り裂かんと迫る。

避けるなら、そのまま突破。防ぐなら、最高の切れ味を誇る刃との勝負が待っている。

≫丈、カイ

26日前 No.576

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

「クソが……!」

またしても凌がれた、どうしてこうもあっさりと攻撃をスカされるのだ。身代わりと言わんばかりに斬り飛ばされた木の腕は、漆黒に染まったかと思えば砂のように崩れ落ちる。これまで切り捨てた枝にそんな現象は起こらなかった、林檎を取り込んだことに起因する変化であるのは明白だろう。
そんなことを考えていると、カルから提案を受ける。

「いいだろう」

吐き捨てるように短く答えた。規定はごく単純、少し変わった宝探しと思えばどうということはない。ただひたすら白樫を細切れにすることを考えればいいのだ。

「はあああああ!!!」

ブレードを水平に振り抜き、迫る枝を一閃のもとに斬り飛ばす。そして先程と同じように木の腕に乗り、駆け出した。こういうのは『早めに終わる』ということが殆どなく、理論的な限界ギリギリまで長引くのが相場である。故に手間取りすぎないよう、ここはハイペースで押し切るべきだと判断した。

「ふっ!」

一気に距離を詰め、ブレードを腰だめに構える。木の幹と同等の固さと太さを持つ白樫の手足は一度に一本斬り落とすのが限界だろう、通常ならば。
しかし生憎ここに居合わせているのは素人ではなく、剣術の心得を持った人間である。更にその得物も凡百の数打ちとは違う、鋼鉄をも叩き斬る高周波の刃なのだ。
手足を一本づつなどとケチくさいのは無しだ。虎殺しで首と腰を跳ねて三等分にしてやろう。

>>周辺all

25日前 No.577

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 発電所横】

「ふっひへっへっへっへっ」

 いつものように吠えるダンに、堪えていた笑いが再燃する。威嚇か宣戦布告か、剥き出される巨牙は悍ましくも醜い姿によく似合っていた。にやりと笑って、噛めよ、そう言わんばかりにカチカチと歯を鳴らす。とその時、すぐ後ろの扉が開かれた。

「ん?」

 抜けた声を出しながら油断に塗れて扉の方を振り向く。人間大の大きさならまだしも、ダンのあの巨体が相手なら見ていなくとも動き出すのは空気で分かる上に、その後の攻撃の流れも読みやすい。要はそんな警戒してないってことだ。
 扉から出てきたのはタナトスが一人、ソニアであった。その身体は黒く焼かれているが、見える限りの火傷の酷さにしてはまだなんとか生きてはいるようで、これは表面だけが焦げる瞬間的な高火力に曝されたと見た。まだ生きてはいると言え、放っておけば流石に死んでしまうだろう。のんびりと構えている暇は無くなってしまったらしい。

「隊長……か。はー、あんたまでぶっ飛ばさなきゃならんのか、キッツ」

 息も絶え絶えな恋敵の零した『隊長』
の二文字をリフレインし、背後のケルベロスをなんとかした後にもまだまだ続くであろう長い道程を想像して苦い気持ちになる。痛いのとか怪我するのとかは平気なんだが疲れるのは勘弁してほしい。
 パキリと首の骨を鳴らし深呼吸。傷付いた女性の傍で双刀を握り締める狂人。シリアスな雰囲気を壊さぬよう努めて静かにしていたが、そんなのは御犬様には関係無いらしい。

「おいおい」

 振り返ればソニアに目標を定めたらしい三ツ頭の犬はこちらに向かって駆けてくる。いいのか後ろの機械ほったらかして。

「おいおい」

 先程からは一転して訳のわからない技を叫ぶ死賭に、ダンの時と同じ調子で呆れた声を出す。
 今すぐに装置を破壊しに行きたいがこっちには負傷者がいる。仕方ない、迎撃だ。となればまずは闘いやすい状況作り。くるりと振り向き倒れるソニアを引っ掛けるようにして足に乗せる。

「そぉい!」

 負傷者にはあんまりな仕打ちだとは思うが、能力も使って思い切り向こうまで蹴り飛ばし、迎撃が失敗した時の保険を掛ける。多分かなり痛いだろう。
 蹴った勢いで一回転、しながら拳銃のバレルを握り、振りかぶってダンの左前足、その付け根をめがけ思い切り投げつけ、その中ほどで全身全霊の能力で加速させる。その速度はおよそ音の2倍以上、当たればその衝撃により九分九厘足は千切れるだろう。止めたいが極力殺したくはない、そんな攻撃。

(あの巨体だ、かなりの出血が見込める。しばらくは悶絶しててくれるんじゃないかな。それこそ、10秒くらい)

 視界のほとんどが黒く染まり、平衡感覚を喪失した中、ぼんやりとそんな事を考えていた。


>>ソニア、ダン・ダルシア

24日前 No.578

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【八掛丈、カイ/第6区画 9番街】

カイが霧月が放った電撃を用いて丈の動きを止めた時、その体は震えていた。リョウを取り戻さなければいけない、だがそのためには実力行使でなければならない。カイは霧月の援助をするので精一杯だった。1対1で対峙していればきっと一方的に殴られて、そのままカイは意識を失っていただろう。自らここにくると望んでおいて、情けない話だと思う。しかし、カイが心から望んだことなのだから誰もカイを止めることはできなかっただろう。ヘクターもそれを分かっていてカイを送り出した。そしてこの戦闘のどこに勝算があるのかと言えば、霧月の存在だ。カイは丈に直接攻撃をすることはない、となれば丈を突破できるのは霧月だけなのだ。

「僕もやれることをやるよ!でも、リョウを殺しちゃダメだからね!」

カイは霧月の言葉に応える。ついでに忠告というかお願いの言葉も添えておいた。攻撃をできるのは霧月だけだが、丈を殺さないようにコントロールするのはカイの役目と言えるかもしれない。

体の痺れが退いてきた丈はこちらに迫る霧月に応戦しようと蛸足をうねらせた。霧月が切り裂こうとしている蛸足を諦め他の蛸足をもたげると、足先を丸めて蛸足で殴ろうと霧月を狙う。先ほど霧月が切り裂いた蛸足もあっという間に復活し、霧月を背後から狙おうとしていた。しかし、霧月の周りで体をもたげたのは蛸足だけではなかった。太い水柱が7本、霧月、丈、カイの周りに立ち上る。そしてそれぞれの水柱は蛸足に絡み付き、その動きを止めていた。

「霧月!そのまま突破して!」

カイが両手を広げながらそう叫ぶ。さすがにこの量の水を操るのは辛いのか、ぐっと歯を食い縛った表情を浮かべていた。

「チッ!小賢しいんだよ!」

丈が舌打ちと共に唇を片方あげヒクヒクと動かす。同じ顔の人間が自分の邪魔をすることに相当いらいらしているようだ。丈は一本の蛸足に力を込め、水柱の拘束を振り切った。そしてその蛸足は霧月の背後から霧月を叩き潰そうと迫る。霧月の目の前にある蛸足を切り裂けば装置にたどり着けるが、目の前の蛸足を処理しただけでは背後から迫る蛸足の攻撃から逃れることはできないだろう。

>>霧月




【白樫燐、カル・ギラム/能力開発研究所 地下室】

光一が放った二撃、白樫は腰を斬られることを選択した。腰への一撃は甘んじて受け、二撃目はエストックで受け止める。その間カルが投擲したブレードシールドはエストックを持たぬ左腕を切り離したが、腰も左腕も黒く変色して崩れさってしまう。どうやらどちらも外れらしい。残った白樫の体から木々が伸び、再び白樫は木人の形を取り戻す。

「全く、早く私に勝てないことに気がついてはいかがですか?」

白樫がはっきりと皮肉を帯びた口調で言う。そして次の瞬間、光一の前後で木々が動きだした。先ほど白樫が振り下ろしたのは10本の木の指。光一が一本処理したが、残り9本はまだ白樫の体と繋がっている。光一が乗る木の腕が唸り、光一の足を取り込んでその動きを拘束しようとする。同時に8本の指はうねりながら光一に迫り、その体に巻き付こうとした。そして残りの1本、残った1本はその先端を鋭く尖らせると光一の胸を貫こうと急加速して光一へと迫るのだった。

>>光一




【ダン・ダルシア、死賭、ソニア/第2区画 発電所横】

死賭が謎の掛け声と共にダンへと放った二本の刀はダンの牙に弾かれ明後日の方向に飛んでいってしまう。だがあの刀には死賭の『手』がついているのだ、宙であれ自由自在に動かせる。死賭の攻撃によって一瞬足を止めたダンに追撃を加えようとしたところに……死賭にとって斜め上どころではない、それこそ狂った世界が展開された。一瞬の間に宙を舞う愛しのソニアの体、そしてソニアの体を蹴りあげたのは同じく愛しの秀作だった。

「えええええええええーーーー!!!ちょっとダーリンなにやってんのおおおおおおおお!!」

高々と宙に舞うソニア、あれだけの傷を受けた体であのまま地面に落下すればソニアがどうなるかは想像にかたくない。死賭は腰部分で体を分断し、上半身だけを宙へと旅立たせた。ダンがそれを目でおい攻撃の機会を伺うが、その牙は死賭にもソニアにも届かない。死賭は上半身だけでソニアのもとにたどり着くと、手首から先がない両腕でソニアをキャッチした。

「あいつ……あとで殺す…………」

死賭の耳にソニアが必死になって絞り出した声が殺意の聞こえていた。

そんなコントのような事が上空で繰り広げられていて、ダンはそちらに目を奪われていた。この姿で負けるはずがないという自信がダンにはあったからだ。よってダンが目の前にいる秀作に目線を戻した時、秀作はすでに拳銃を投げつけたあとだった。だが、その様子を見てもダンの3つの顔はニヤニヤと笑顔を浮かべる。『拳銃は投げるんじゃなくて撃つものなんだぞー』などと言おうとしたその矢先、ダンの視界から拳銃が消えた。そして先にやってきたのは焼けるような痛み、それとコンマ数秒も置かない後に空気が弾けるような音が辺りに響いた。

『グアアアアアアアアッ!!』

周囲に地響きのような悶絶の叫びが響き渡る。秀作が能力によって超加速した拳銃はダンの足を貫き、大穴を空けたのだった。ダンは崩れ落ちるようにその場に突っ伏す。穴からはドクドクと鮮血が流れ出した。3つの頭は激しく呼吸をし、口からはダラダラと唾液が雪崩でていて、ダンはその痛みに激しく悶絶している。

『じゅうざぐうううう!』

しばらく間を置いた後、きちんとした言葉にならないままダンは地面をそのまま這うようにして秀作へと迫る。半狂乱のままダンは大口を開けその鋭い牙で秀作の体を砕こうとした。

「ダーリン!」

死賭が秀作を呼び、弾かれた二本の刀を操って一本を秀作の体の前に配置し、もう一本でダンの中央の頭にある片目を再度切りつけようとした。ダンは目の前にいる秀作を殺そうと必死で死賭の攻撃には気づいていない。片目を狙った攻撃はダンには当たるかもしれないが、それでも一瞬怯ませられる程度だろう。ダンの怒りの牙は刻一刻と秀作に迫っていた。

>>秀作

24日前 No.579

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

虎殺しによる二段斬り。一之太刀はほぼ理想的な形で白樫の腰を輪切りに出来たが、二之太刀はエストックで防がれる。流石にすんなりとはいかないようだ。カルの方も左腕の切断に成功したが、やはりはずれのようで林檎が存在する気配はない。おまけに再生も予想より遥かに早いときた。

(やっぱ、長引きそうだな)

挑発などまるで聞こえていないかのように一切気にかけず、反撃に備えて八方目で周囲を警戒する。直後、案の定複数の方向から攻撃を仕掛けてきた。

「カル、奴の首を狙え!」

そう叫ぶと同時に、今乗っている右腕を切り裂かんと屈みつつブレードを振るう。しかし刃先が弧を描いた正にその瞬間、尖鋭化した指が首を掠める。

「!!!」

しまった、と後悔するももう遅い、完全に回避できなかった指は左頸動脈を突き破っていた。先端が直接当たったわけではないが、それでも重傷であるのは変わりない。

(せめてこの一撃だけでも……!)

一瞬で血液が流れ出すのがわかる。だがなんとしても太刀筋を乱すまいと、気迫でブレードを保持。幸い食らったのは振り始めた後であったため、その切っ先には殆どブレなど見られない。

>>周辺all

23日前 No.580

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【白樫燐/能力開発研究所 地下室】

光一が白樫の右腕に放った一閃は木の腕を見事切り裂く。すると、光一を飲み込もうとしていた右腕から伸びた木々達は一瞬にして変色し、崩れさってしまった。だが右腕が崩れるということは白樫の本体である林檎は右腕の中になかったということである。白樫が鼻を鳴らせば、瞬く間に白樫の腕は元通りに成長した。

「あいつの首だな」

カルは光一の言葉に了解の返事をする。光一の攻撃の直後、カルはブレードシールドを投擲しようとするが、そこでカルの目に写る世界がスローモーションに動き始めた。同時にカルは思考を巡らせる。白樫の主な攻撃手段は手を振るって木々を急成長させつつ相手を貫こうとするものだ。となると、一番攻撃を受けやすいであろうそんな場所に自分の核である林檎を存在させるとは考えにくい。そして今光一はカルに首を切れと言い、カルもそれに応えた。はたしてこれを聞いた白樫が頭部分に林檎を置いておくだろうか。きっと別場所に移動させる。両腕ででもなく、頭でもない。となれば……

「なっ……!!」

白樫は驚きの声をあげる。なにせ頭を狙うと宣言したカルは白樫の左足を狙ったのだから。ブレードシールドが木の左足を切り裂き、胴体からそれを切り離す。左足は変色して崩れさってしまった、つまり左足に林檎はないということだ。そうなれば残りの可能性はひとつ。

「青崎!足だ!」

カルは光一に向かって叫んだ。白樫に近い位置にいる光一なら、林檎を他の箇所に移動させる前に白樫の右足を十分に狙える位置にある。白樫はカルの声をきき顔を歪ませると光一に攻撃させまいと5本の木の指を鋭利にし、光一の体を貫かんとその指を伸ばして攻撃をしかけたのだった。

>>光一



【各所の戦闘はこちらからあと1〜2レスを投稿した後終了とさせていただき、その後最終決戦へと移りたいと思います】
>>ALL本体様

22日前 No.581

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

プラズマの残影を残しながら目の前の蛸足を霧月の薙刀が切り裂く。同時に、纏ったプラズマは時間経過により、姿を消す。

後ろからカイの声が聞こえる。戦闘の中で正確に言葉を聞き取るのは難しいが、それでも意味だけは汲み取った。

(だから本体を狙わなかったんだよッ。クソが、オレとともあろうヤツが情けをかけやがって)

そう心の中で毒づくが、現状として霧月はカイの援護を受けている。アレが無ければ霧月は今頃満身創痍となって殺されていたかも知れない。

装置は目前。あと数歩踏み出し、薙刀を振り下ろせば任務完了。そこで霧月は僅かながらにも油断というものをしていたのかも知れない。

が、背後から殺気。それに霧月が気づき、振り向いたタイミングは最悪と言って良いものだった。

薙刀の間合いから外。だが、構えている時間は無い。足先を丸めた拳のような脚に突きは意味を成さないだろう。

霧月はとっさに迫る脚を薙刀の柄でいなす。メシャァッという音とともに薙刀の柄が悲鳴をあげ、折れる。
脚は肩を掠める。だが、それだけでも威力はかなりのもの。肩の部分の着物が千切れ、左肩の関節が外れる。

力を失った左手から薙刀の刃部分が離れ、カラン、と道の端に転がる。霧月の身体もバランスを崩し、ゆっくりと地面へ近づいていく。

これで終わりだ━━━恐らく誰もがそう思う状況。

だが、次の瞬間、霧月は全力で身体を反転させ、地に足を付けた。右手をついた場所には、丈の放り投げた刀。

「お前の敗因を教えてやるよ」

体勢を即座に整え、斬撃に映る途中、そう言った。

「オレの右腕が動いているから、だ」

低い姿勢から左足を踏み込み、目の前の装置へ横一閃を見舞おうと右腕を全力で奮った。

≫丈、カイ

22日前 No.582

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 発電所横】

 膝から力が抜けがくりと折れる。強かにコンクリートへ打ち付けた膝は、かなりの痛みの危険信号を脳へと送っているはずなのだが、その要の脳に血が通わず痛みと言うものを全く感じない。ただ、起き上がるのも癪だったので、そのついでにソニアが転がした替えの銃と予備の弾を拾う。
 位置が高くなり物理的に血が抜け、再びクラッとくる頭を軽く振る。前を見ればダンは巨体を揺らし、多量の血を流し、牙を剥き出しながらこちらに這い寄ってくる。犬の体は這うようには出来ていないというのに。あの損傷でご苦労なことだ。
 にしてもやべぇな。ここまで全力を出したのは久し振りだ。じわりじわりと視界に光が帰って来たが、どうにも逃げ切れるほどの力が込められそうにない。もしかしたらこのまま咬み殺されるかもしれん。まあ、確実にあの装置は破壊出来そうだし、取り敢えずはどうでもいいのだが。
 そろりそろりと足を後ろに運ぶも、遅々として進まない逃避行。ほっときゃ殆ど勝ちみたいなもんだし、さてどうしたもの……。

「おっ、死賭、握手しようぜ」

 目の前に現れたのは刀を持つ死賭の手。嬉しいような楽しような、こんな状況だってのに気分は高揚し、普段と変わらない口調で死賭の手に話しかけ、手を伸ばし、強く握る。

「さ、連れてってくれ、引きずってでいい」

 クイクイ、と二度手首を曲げる。合図としては十分だろう。手を放してしまわないように更に力を込めた。

>>死賭

21日前 No.583

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

どうにか右腕を切り落とすことに成功。取り敢えずは危機を回避できたものの、頸動脈から溢れる血は止まらない。堪らずその場で膝をつく。

「……!………っ!……」

コートがあっという間に深い赤に染まり意識も徐々に薄れてきた。このままでは十分と経たないうちに戦闘不能になってしまう。

(?)

カルはこちらの指示に応じて白樫の首を狙うが、咄嗟の機転を利かせ左足を攻撃。林檎の位置を割り出す。あとはこちらが直接引導を渡すだけだ。しかし……

(結構、キツいな……)

出血による虚脱感が思いの外大きく、体に上手く力が入らない。あと少しで白樫に止めを刺せるというのに、こんなつまらない要因で終わってしまうのか。

「畜、しょ……が……!!」

ここぞという時に倒れかける己に呪詛を吐き、神経へ命令を下し、筋肉を躍動させる。信念、否執念の刃で賢者を討たんと両の足で立ち上がった。

「――――!!!」

声にならない怒号を上げ、能力を発動。迫り来る五本の指を纏めて一閃のもとに切り落とす。そして瞬きすら許さぬタイミングと速度で、二閃目を右足(ほんめい)目掛けて繰り出した。
この場で見せる最後の虎殺しだ、文字通りの出血大サービスを受け取って貰おうか。

>>周辺all

21日前 No.584

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【八掛丈、カイ/第6区画 9番街】

響き渡る武器の折れる音、そして足に伝わる人間の体が壊れる感触。丈はニヤリと口を歪ませ自分の攻撃が成功した事実に酔いしれた。霧月の手にもう武器はなく、怪我をした体ではまともな反撃もできない、となれば次の一撃で片がつく……丈はそう考えていた。霧月の言葉を聞くまでは。

「なっ、てめぇ!!」

霧月がたどり着いたその位置は結界装置前、そうそこには少し前に丈が弾き飛ばした霧月の刀があったのだ。霧月にばかり目を取られていた丈はカッと頭に血が昇るのを感じる。それはこの期に及んでも諦めない霧月と油断をした自分自身への怒りの感情だった。丈の行動は間に合わない。霧月が放った一閃は結界装置に届いたのだ。金属同士がぶつかり合う澄んだ音が響き渡ったあと、霧月の刃が及んだ範囲で煙が立ち上ぼり始める。しばし間を置いて、装置内のなにかが爆発する音が響いた。第6区画の結界装置は完全に破壊されたのである。なすすべもなく破壊された装置を丈はきつく睨み付け、その目を霧月へと向けた。丈の怒りに伴って水柱に抑え込まれていた蛸足がブルブルと震え始める。

「余計なことしてくれたじゃねぇか!あぁ?!その行動の代償はきっちり払ってもらうぜ!!」

怒号を挙げながら先ほど霧月に攻撃した蛸足が再び鎌首をもたげて霧月に狙いを定める。だが丈はもう一人気を使うべき人間を忘れていたのだ。自分と全く同じ顔を持つ、カイという男を。

「リョウ!これで最後だ!!」

丈が気がついた時、カイは丈の目の前にいた。水柱で自分を押し上げることでカイは蛸足を潜り抜け、丈に接近したのである。今霧月の目の前に広がる光景は8本の巨大な蛸足と、その蛸足に絡み付く8本の水柱、そしてその中心で額を付き合わせる全く同じ顔の男二人、カイと丈の姿だった。丈はこちらに飛び込んできたカイに驚いた様子だったが、冷静に場を読むと、カイの首をガシリと手で掴む。カイの気道は急激に狭くなり、カイは苦しそうに顔を歪めた。

「誰が終わりだって?あぁ?!」

丈が首を掴む手に力を込めながら凄む。だがカイこそ冷静だった。丈の体は蛸足を含め今や体全体がカイが操る水と接触している。カイは静かに背中にさすトンファーを取り出すと手元にあるスイッチを押した。

「僕、た……ちが、終わり……かな」

カイは途切れ途切れそう応えるとトンファーを自身が操る水の中に突き刺した。トンファーに仕込まれているのは電撃、トンファーが持ち得る最大出力で水へと放たれた電流は一気に丈を取り囲んだ。

「ぐあああああああああ!!!」

巨大な蛸足がもがくようにうねり、丈の悲鳴が響いた。だが電撃を浴びたのは丈だけではない。丈の至近距離にいたカイも、同様に電撃を受けたのだ。丈とカイが苦しそうな顔を浮かべる。二人と周囲に立ち上がる蛸足と水柱とが激しく明滅した。そして、ようやく電撃が収まると、蛸足と水柱とが崩れるようにしてその場に倒れていき、それらは次々と消滅していった。残ったのは同じ顔を持つ双子、カイと丈の二人だけだった。

霧月の前で二人が倒れた直後、丈の体がぼんやりと青紫色に光った。そしてまるで魂が抜け出ていくように、丈に灯った青紫色の光が宙へと舞い上がり風になびかれその姿を消す。おそらく丈に入れ込まれていた能力情報が抜け出していったのだろう。一方でカイの方はギリギリ意識を保っているようで、地面に倒れながらも小さく呻き声をあげていた。

>>霧月





【ダン・ダルシア、死賭/第2区画 発電所横】

ダンの心は怒りの感情に支配されていた。秀作はダンが長らく傍でみていた人物、彼の能力も性格も知っている。だからこそ、ダンは自分が負けるはずがないと確信していたのだ。いつもヘラヘラ笑っているこの男に、自分が負けるはずがないと、ダンは本気で思っていた。だがダンは残念なことに、秀作のことをまるで分かっていなかったのだ。笑顔を浮かべながら、自分の能力を生かして最良の一手をどう打つべきか、秀作が頭の中で素早く計算しているのを、ダンは分かっていなかった。ダンは直感で動き自分の気の向くままに力をふるう。そんなダンにとって物理法則とそれを超越する能力を計算によってフル活用する秀作は一番正反対にいる人間なのかもしれない。ダンの視界は霧がかっていて、もう秀作を捉えていない。ただ、先ほど目の前に秀作がいたからという理由だげて、ダンは前へと噛みついているだけだ。

ダンが秀作へと迫るなか、ダンの背後にある結界装置がビープ音を響かせた。おそらく、今のが起動開始の合図なのだろう。結界装置の中にあるモーターが作動する音が聞こえ始める。このままではもう間もなく結界装置が作動してしまうだろう。そうなれば、このアドバースシティの全ての住民の能力情報が抜き取られ、住民は皆等しく眠りについてしまう。それは避けなければいけない事態だ。

死賭が放った刀はダンの左目に確かに一閃を与えた。しかし、ダンは怯む様子はない。秀作の一撃のダメージが大きすぎてもうその他の痛みは感じないのだろう。死賭が次の攻撃をしかけようとしたその時、死賭の手に誰かの手の感触が伝わる。それは紛れもなく秀作が自分の手を握る感触で体を引っ張れと合図しているようだっだ。ダンはもう息も絶え絶えでこの攻撃を外せば秀作を追いかけるようなことはできないだろう。ならば狙うべきは起動を開始した結界装置だ。だが死賭の刀ではあの装置を破壊するには時間が足りない。結界装置を破壊するには絶対的な破壊力をもつ一撃が必要なのだ。死賭は秀作に合図を返すように強くその手を握る。そして秀作の手を掴んだままダンの進行方向から真横の方向へ秀作の体を引っ張ったのだった。

「だぁりん!俺ちゃんだぁりんの最高のイッパツで結界装置を止めて ほ・し・い!」

死賭はいつかのように猫なで声を出しながら秀作におねだりをした。最後には盛大にリップ音を響かせて投げキスをおくる。秀作が能力により満身創痍なのは承知、だが秀作でなければ一撃であの装置を破壊することはできないだろう。死賭は自分の祈りも込めて、秀作の手を引くのだった。

>>秀作




【白樫燐、カル・ギラム/能力開発研究所 地下室】

光一が木の指を切り裂いた瞬間、白樫の顔に浮かんでいたのは焦燥と絶望だった。血にまみれた光一の一閃を受ける無傷の白樫は、その瞬間敗北の恐怖に曝されたのである。その表情は白樫の右足に林檎、すなわち白樫の核が存在していることを証明していた。

「やめっ……!!」

続く光一の一閃が迫るなか、白樫が捻り出せた言葉がこれだった。なすすべもなくただ目の前に迫る刃を受けるしかない……白樫はそんな状況でやっと弱々しい言葉を吐いたのだ。光一がブレード振り抜いた後、白樫の体から何かがボトリと音を立てて落ちる。それは紛れなく白樫がずっと手に持っていた林檎で、光一のブレードにより林檎は真っ二つに割けていた。みるみる林檎は変色し、やがて崩れさってしまう。それに伴い、白樫の体は木から人間のものへと戻っていき、やがて白樫はがくりとその場で膝をついた。白樫の胸からは服の模様とは違う、赤い筋が一つ伸びていた。白樫は虚ろな目で地面を見つめていたが、やがてゆっくりと光一を見上げる。そしてまた、爽やかな笑みを浮かべて口を開いたのだった。

「そうですか……私の負け、ですね。せっかく目覚めたというのに」

白樫ももとは能力開発に失敗した人間だ。永遠の眠りにつく運命だったところにフェリスが能力情報を与え、催眠によって操られていたのである。白樫の敗北とは即ち、永遠の眠りへの逆戻りを意味していた。

「私はまた……眠るのですね」

その言葉を最後に白樫の体はゆっくりと倒れていった。地面にどさりと崩れ落ちる。そして突然白樫の体が青紫色に光始めた。その青紫色の光りは少しずつ宙へと拡散していき、やがて全てが消えてなくなってしまう。おそらく、白樫に入れ込まれていた能力情報が抜け出していったのだろう。光一の前には永眠する白樫と静かにそびえ立つバグ生産装置だけが残ったのだった。

>>光一

20日前 No.585

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室】

もはや何度目かも分からぬ斬撃、刃先が木に食い込み人外のそれと化している肉と骨を引き裂く。端から見れば無駄なことだと思うかもしれない、しかしこの一撃こそが起死回生の一手であることは、白樫の畏怖に染まった表情が証明していた。

「フン……」

朦朧とし始める意識の中、ごく僅かに、面と向かい合っても分かりづらい程小さく口角を上げた。
白樫とは特に長い付き合いではないが、これまで人を食ったような態度しか見てこなかったので、恐怖に顔を歪める様は極めて新鮮に感じられた。
ややあって、人に戻り人として終わりを迎えようとする白樫を見届ける。

「バカな計画に手を貸さなきゃ、もう少し長く生きられたかもな…………神話ごっこはもう終わりだ」

今までの様子からしてフェリスから記憶操作を受けたとは考えられない。その上で協力していたのならば同情の余地すらない、ただの小悪党だ。仮に操作されていたとしても、世に仇なす行いを企てるのでれば同じく小悪党として叩き潰すが。

「あとはこのガラクタか」

白樫の尽力により未だ健在のバグ生産装置を睨みつける。だがその白樫もたった今排除された。カルの方は特に何かするような素振りを見せないので、自分で壊すことにする。

「散々、手こずらせてくれやがって」

些か覚束無い足取りで装置へ向かい歩き出す。
積年の怨みを込めて、原型を留めないほど完全に破壊したいところだが、生憎コンディションはお世辞にも良いとは言えない。一太刀での機能停止で我慢するしかなさそうだ。
ブレードを上段に構え、一拍だけ置いた後気合いと共に振り下ろした。邪なる絡繰りに裁きの刃が迫る。

>>周辺all

19日前 No.586

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【カル・ギラム/能力開発研究所 地下室】

カル・ギラムは黙って光一の行動を見届けた。光一の一閃によって切り裂かれた林檎、そして倒れる白樫燐……今までレスパーダが集めた情報によれば、白樫は能力開発に失敗した人間らしい。能力開発の失敗、それは即ち永遠の眠りを意味する。だがフェリスの手によって白樫の体には他人の強力な能力情報が入れ込まれ、白樫は再び目を覚ましフェリスの催眠によって操られていた。白樫燐という人間はもとはどんな名前で、どんな人間で、どんな人生を歩んでいたのか、カルには分からない。そして能力開発に失敗した以上、その真実は永遠に眠りの中に閉じ込められるのだろう。ただひとつ分かるのは、白樫が自分が負けたその時に再び「永遠の眠りにつく」ことを知っていた点だ。白樫は『私はまた眠るのですね』と、最後に呟いていた。フェリスが白樫にどこまで事実を教えたのかは分からない。しかし、少なくとも彼には負けられない理由があった。白樫燐という人間の活動を止めたくないという理由が。この街全てと自分の妹エミリー・ギラムを犠牲にしようとした時点でカルには到底白樫のことは許せない。だが、白樫が最後に発した呟きに込められた生への執着に、カルは同情せざるを得なかった。

カルが動かなくなった白樫を眺めている間に光一のブレードがバグ生産装置を切り裂いていた。エラーを示す派手なビープ音を響かせながら装置から煙が上がる。飛びてたケーブルからは行き場をなくした電子達が火花となって飛散していた。

「これで僕たちの役割は終わりだ。後は……最後の砦を崩すだけだな」

バグ生産装置は止まった。霧月により結界装置がひとつ破壊され、残りひとつの結界装置は秀作が今まさに止めようとしている。フェリスの要であった3つの装置を止めた時、最後にすべきことはひとつ。フェリスを捕らえることだ。おそらくフェリスはレスパーダ本部、もといネオレスパーダ本部にいるはずだ。ミシェルが持つレスパーダがこれまでに集めた情報を世間に曝し、フェリスを捕らえれば全てに片がつくはずだ。

「僕はこのカプセルの中にいる人たち……おそらく能力情報を抜き取られた人たちを保護する。君はネオレスパーダ本部に行ってくれ」

カルはそういうと、ビーズ玉を光一に投げてよこす。これは八五郎の能力によって作り出されたもので、これを扉にくくりつければ第9区画のネオレスパーダ本部前にある扉に通じるようだ。

>>光一


【次にこちらから投稿するレスにて皆さんにネオレスパーダ本部前へと移動するよう八五郎から連絡をさせます。よって皆様が次に投稿するレスにて現在の場面は終了となります】
>>ALL本体様

17日前 No.587

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 発電所横】

 死賭の手を握った直後、回復したばかりの聴覚に結界装置から響く駆動音のようなものが刺激を与えてきた。多分動き始めたんだろう。まずいな、さっと壊さないと。本格的に作動されたら全部がおじゃんだ。一昨日届いたばかりの焙煎器、まだ使っていない。あれを使わずして死ねるものか。
 「死賭!」と、止めを頼むため呼び掛けようとした矢先、なんというか……当の本人に、丸投げ……そう、丸投げされた。

「え?マジで?それ本気で言ってる?俺ボロクソよ?」

 引きずられながら、それは本気か?と尋ねる。倒れるまで全力疾走した後にもう一本走れと言われているのと大差ない。
 実際この身体、かなりボロボロであり、死賭の手にだってほとんど気合いでしがみついているようなものだし、こうして誰かに届くほど声を張れているのも無茶をして絞り出しているのだ。多分相手が死賭じゃなかったらこんな声は出していられないぞ。だが人に残された最後の武器っつったら気合いだよなぁ。なら使わない訳にはいかないじゃない。もう使っているならもっと力を込めて、それこそ気合い入れてやろうじゃないか。

「まあお前がそう言うんなら?お兄さん頑張っちゃおうかな!スタッフの皆さん限界超えちゃってください的な!?」

 本当はリミッターが掛かっていて出せていない全力を気合いで無理やり発揮させようとしているんだから「限界を超えて」よりは「限界に到達して」の方が正しいんだがそんな事は置いておこう。
 ポイと銃を放り、懐からスキットルを取り出し、死賭の手を掴んでいる腕を伸ばすと、引きずられているため地面に対して斜めに立つ事になる。

「じゃあ行きまっせ!」

 手首から肩、肩から腰、腰から膝、膝から足首。上から下、末端から末端までを順に捻り、身体を一回転。その回転に乗せ勢いのついたスキットルを装置に向かって思い切りスローイング。横に引きずって貰えたおかげでとても狙いやすい。
 投げた流れで下を向いた手をビッ、と擬音が付くくらいに勢い良く伸ばし装置を指差す。そして、その忌々しい無機物の塊に向かってスキットルを思い切り飛ばした。
 ああ、また真っ暗だ。

>>死賭

16日前 No.588

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第6区画 9番街】

「ったく、兄弟喧嘩にオレを巻き込むなっての」

目の前で繰り広げられる激戦を興味無さげに、しかし、手を出さずに見守る霧月。任務が完了した以上、二人の問題に首を突っ込む気はさらさら無かった。

刀をアスファルトに突き刺し、右手で外れた左肩を戻す。多少の痛みは仕方が無い。砕けなかっただけ幸いというものだ。

だが、先の戦闘で手札を二枚も切ってしまった。それでいて、薙刀は使用不能だろう。路地の隅に転がった刃部分を手に取り、白布で丁寧に包む。そうして包んだものを、袖にしまう。

「………終わったか」

地面に刺した刀を引き抜いて、納刀。そうして地面に仲良く倒れている兄弟にそう告げた。

「して……これは死んだのか?」

そして、カイの横に倒れる丈を見て呟いた。

「まあ、作戦完了だ。だが、残念な事にオレは自力で帰れない。ボロボロになっているとこ悪いが、迎えが来るまで仲良くぶっ倒れてようぜ」

一息つくと、能力を解除する。同時に能力の反動が霧月に跳ね返って苦痛を与える。「痛………」と一瞬顔を歪めた後に霧月もまた、地面に倒れ伏す。

路地に、静寂が訪れた。

≫カイ、丈

16日前 No.589

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/能力開発研究所 地下室→ネオレスパーダ本部前】

スクラップと化した装置を一瞥し、ビーズ玉を片手で受けとる。これでひとまずは勝利だ、ここを制圧できたのは奴らにとって少なからず痛手になる。しかし……

(こっちも、嫌なのを貰っちまったな)

今回とった不覚は決して軽いものではない、早急に治療しなければそう遠くないうちに自滅する。これさえなければ問題なく戦えるというのに。或いは突入した先で高性能な医療ユニットでも使えれば……

(ありもしねえ事について考えてても埒が開かないな、今はやれる事をやるだけだ)

こうなったらどこまでも大暴れしてやる、それでフェリスを道連れにできれば儲けもんだろう。我ながら死を軽視するようになったものだ、だがこれは勇敢などという美辞麗句で締めくくっていいものではない。恐らくは単に感覚が麻痺しているだけだろう。
ふらつく体に鞭打ち、手近な扉へ向かった。

>>周辺all

16日前 No.590

監視システム @captain1 ★SDED1rj6G1_dB9

【死賭、ダン・ダルシア、護送隊隊員/第2区画 発電所横】

響き渡る駆動音、その音は間違いなくこの街の終わりへのカウントダウンの音だ。そんな死の宣告に近いような音が鳴り響くなか交わされる会話は、到底そんな重苦しいようなものでもなく、むしろ居酒屋の片隅で交わされているかのような軽快さを持つ。この場には倒れている巨大なケロべロスもいれば、能力を酷使してボロボロの秀作だっている。だが死賭も、さらには秀作も自分のペースを崩そうとしない。それはもう彼らがこんな場面でも一切動じない狂人だからとしか言いようがない。

「いやん、ダーリンありがとっ!俺ちゃん限界を超えた裏サービス的なこと大大大好き!」

死賭が再び猫なで声を出す。死賭の腕でぐったりしているソニアが「きもっ」と一言だけつぶやいた。秀作が体を回転するのに合わせ、死賭は宙に浮かせた自分の手をねじっていく。秀作の体が完全に倒れないよう引き上げながらも、秀作のスローイングをアシストした。空気を揺らす音が響いた後、秀作の能力がかかったスキットルはまっすぐと結界装置へと飛んで行った。キィンッと金属が擦れる音が響く。数秒間をおいてから、結界装置はドンッと派手に爆発音を響かせた。秀作が投げたスキットル、それは結界装置を貫き、装置の横っ腹に綺麗な穴をあけたのだ。スキットルが通った後の穴からは静かに煙が立ち上っていて、時折逃げ場を失った電子が音を立てて火花を散らしていた。

結界装置が破壊されたのとほぼ同時、巨大なケロべロスの体がゆっくりと収縮を始めた。やがてケロべロスがいた場所には一人の男が横たわっていて、手放しそうになる意識をなんとかとどめながら秀作と、そして結界装置のほうへと顔を向けた。ケロべロスから元の姿に戻ったダン・ダルシアは結界装置が破壊され自分が敗北したことを悟ると苦笑を浮かべるしかなかった。ダンの左目は切り裂かれ血があふれ出し、また右肩にも穴が開いていてとめどなく鮮血があふれている。この状態で意識を保っていることのほうが不思議だ。この耐久力もフェリスによって与えられた改造能力の恩恵なのかもしれない。

「ははっ、僕負けちゃった……勝てると思ったのにさ……」

ダンの視界が少しずつ闇に染まっていく。眠りの時は近かった。

「ねぇ秀作……僕とっても楽しかったよ……おやすみ…………」

ダンは秀作にそれだけ告げるとゆっくりと眼を閉じた。そして意識を手放す。すると突然ダンの体が青紫色に光始め、その青紫色の光りは少しずつ宙へと拡散していってしまう。やがて全ての光が失われた時、ダンは再び永遠の眠りについたのだった。フェリスに入れ込まれた能力情報が失われ能力開発に失敗した当時の状態に戻ったのである。

「高級ドックフード持ってきたらすぐに起きるんじゃないの?」

死賭は秀作のもとに宙に浮かせていた上半身、地面に残していた下半身、秀作をつかんでいないもう一つの手を集合させると、すべてのパーツをくっつける。もとの姿に戻った死賭はソニアを抱えたまま、ゆっくりと秀作を地面に寝かせる。次いでソニアを抱えたまま自分もどさりとその場に座り込んだのだった。結界装置は壊した。首尾よくいっていればもう一つの結界装置もバグ生産装置も今頃破壊されているはずである。これで残る砦はフェリスただひとつとなったのだ。

「さぁーて!実は無傷であんまり動いてなかった俺ちゃんがソニアちゃんとダーリンをタナトスの隠れ家に連れていくかなーまさに両手に花って感じ」

実際死賭はちょろちょろとダンに攻撃したり分断の能力を使ってはいたもの、攻撃も受けていなければ疲労度も少ない。疲労困憊の二人に対して死賭はぴんぴんしているのだ。宣言通り死賭がソニアを片腕に抱え、秀作を気合で持ち上げようとしたところ、突如3人のもとに護送車が到着する。そして中から二人の護送隊員が姿を現した。どうやら護送隊隊長であるリッキー・ショーターの姿はないらしい。

「浜田秀作さん、隊長がお呼びです」

一人の隊員が手短にそういうと、護送隊隊員は秀作の両脇に回り、二人で体を持ち上げ護送車へと引きずり込んでしまった。死賭はぽかんとした様子で手際の良い護送隊の動きを見ていた。

「はっ!?」

死賭が正気に戻ったとき、すでに護送車は発車した後で、死賭はもうその車を止める術はなかった。

「ちょっとおお!!俺ちゃんのダーリンをどこに連れてくんだよおお!」

死賭の叫びだけがむなしく響き、その後ソニアの「うるさい」という文句がその場に残ったのだった。秀作を乗せた車は街の中央へと向けて走る。たどり着く先は、ネオレスパーダ本部前だ。

>>秀作




【カイ、護送隊隊員/第6区画 9番街】

「ハハッ、そうだね。でもリョウと兄弟喧嘩なんて久しぶりだな。やっぱりポップだね」

静寂のなか響いてきた霧月の愚痴は、同意せざるを得ない内容でカイは力のない笑みを浮かべながらも、楽し気にそういった。この規模で命のやり取りが行われた戦闘なのだからとても兄弟喧嘩の範疇に収まるものではないのだが、それでもカイはリョウに再び巡り合えたことを喜んでいるようだった。

「ちょっと、縁起悪いこと言わないでよ!でも……リョウまた眠ったみたいだね。次に……起きるのは、いつかな……」

カイが不安を顔ににじませながら言葉を詰まらせる。そう、八掛丈は消滅し、ここにいるのは間違いなくカイの双子の兄リョウだ。しかし、リョウは能力開発に失敗して永遠に眠る身、それを解決しなければカイが本当の意味でリョウと再会できたことにはならないのだ。

仲良く倒れようといった霧月に一瞬カイは不思議そうな顔を浮かべるが、すぐにその言葉の意味を理解する。霧月も能力を使用していたのだ、そして今それを解除したのである。霧月が傍で倒れるのが見えた。あぁそういえば霧月に八五郎からの伝言を伝え忘れていた……『ネオレスパーダの隊長が誰か忘れるな』……きっとこの言葉は霧月にとってとても重要な言葉だろう。だがそれを伝える前に霧月は意識を手放してしまった。そして、カイも限界を迎える。大きく息を吐いた後、カイはゆっくりとしばしの眠りへといざなわれたのだった。

あまり間を置かない後、霧月、カイ、丈が倒れている場に護送車が到着する。素早い動きで護送車から降りてきた護送隊員は霧月を抱きかかえると護送車に乗せ、手早く護送車を発進させその場を離れた。霧月が知らぬまま、霧月の体は第9区画ネオレスパーダ本部前へと運ばれるのだった。

>>霧月




【リッキー・ショーター、ヘクター/第9区画 ネオレスパーダ本部前】

光一が扉を開けた先、そこは見慣れたレスパーダ本部、もといネオレスパーダ本部の真向かいにある建物の前だった。ネオレスパーダ本部前には二つの人影と一匹の犬の姿があった。ひとつは護送隊隊長のリッキー・ショーターだ。傍らに愛犬のレオを携え、光一の到着にも表情ひとつ変えない。レオがワン!と光一を呼ぶように吠えた。反してリッキーは血にまみれた光一の手と服を見てため息をつく。

「また怪我をしたのか……元気なやつだな」

仏頂面のままあきれたようにリッキーはそういう。リッキーも光一たちの苦労を知らないわけではない。ましてやフェリスの陰謀にも気づいている。この皮肉めいたリッキーの言葉は、感情を表に出さないリッキーが放った精一杯の「お疲れ様」だったのだ。

リッキーのほかにあったもう一つの人影、それはタナトスのリーダーであるヘクターのものだった。黒い外套を目深にかぶったまま品定めでもするように、にやにやと笑みを浮かべて光一を見ている。

「お前が青崎光一か。どうだ、カルは妹見つけて泣いてたか?」

ヘクターはあえて光一と相性が悪いカルの名前を出し光一の反応をうかがう。こちらはリッキーと違い光一への気遣いもへったくれもない。ただ初めて顔を突き合わせた相手がどんな人間なのか、軽く確かめようとしているだけだった。

>>光一


【八五郎からのアナウンスを入れる予定でしたが、秀作と霧月が思った以上にダメージ受けておりましたので、護送車で二人を運ぶ流れとしました。確定ロルで拉致ってしまい申し訳ないです……お二人は次のレス投稿時、ネオレスパーダ本部前に到着した描写を入れていただければと思います】
>>ALL本体様

15日前 No.591

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/ネオレスパーダ本部前】

扉を開け、まず目に入ったのは当然ネオレスパーダの本部だ。いつもと何ら変わらぬ外観に、このまま足を進めれば普段通り一隊員として迎えられるのではないかと錯覚してしまう程である。

(感傷に浸ってる場合じゃねえな)

遠目にこちらを見ている影が幾つか確認できる、呆けた姿を晒すのは止めた方がよさそうだ。影のうち二つはリッキーとレオに間違いない、だが残り一つには全く見覚えがなかった。

(誰だ、あいつは……?)

背丈は自分とほぼ同じで顔のパーツはことごとく丸い。体型にこれといった特徴はないが、顔の左半分に赤い亀裂?が走っていた。只者じゃないというのは風貌の時点で嫌というほど伝わってくる。しかし今はリッキーとの受け答えを行う。

「……ああ、すまんが能力での治療を頼めるか?」

決して焦りを悟らせない口調で要求した。リッキーの治癒能力は、使用すると彼自身に少なからず負担がかかるものだ。そして先刻ボスバグと戦った後に、一度満身創痍の状態から回復して貰っている。その時にかなり無理をさせた筈、よってここで強要するような口調は尚更使えない。
リッキーに返答した直後、亀裂の男から質問を投げかけられる。

「そこまでは知ったことじゃない……で、お前は何者だ?」

努めて冷静に答えた。
レスパーダ隊員であった自分の名前を知っている、タナトス構成員であるカル・ギラムの名を親しげに出した点から、どんな人間なのか大体予想できるが、確認の意味を込めて質問を返す。

>>周辺all

14日前 No.592

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【リッキー・ショーター、ヘクター/第9区画 ネオレスパーダ本部前】

光一は表情を変えずにレスパーダ本部を見て懐かしさを感じていた。よって、リッキーもヘクターも光一が何を思っていたかを察することはできない。ただ動物の勘というものか、リッキーの愛犬レオだけが光一の心境に気づいていた。こちらに歩み寄った光一のもとへレオは近づいていくと光一の左足に体を寄せた。レオは光一を慰めようとしているのだ。リッキーはレオが光一のもとにいったのをみて少し寂しそうな顔を浮かべたあと、顔をもとの仏頂面に戻し光一へと近寄る。

「俺がここにいるのはお前たちの治癒をするためだ……詳細は後で話すが、ここに浜田秀作と式見霧月もくる。それまで待て」

リッキーは光一の額に手をかざす。すると光一の怪我はみるみる治癒されていき、鮮血が流れ出すのもあっという間に止まった。体の疲労は完全に回復したわけではないが、動ける程度には元気になっただろう。

光一が治療されるのを眺めながら相変わらずヘクターは口をにやけさせていた。自分の問いに対する光一の反応をみて、これはカルと相容れないタイプだと確信したからだ。是非二人のやりとりを見たかったとヘクターは内心笑う。

「そりゃ残念だな。あいつが泣いてるとこなんてここ数年見てねぇし。俺はヘクターだ、タナトスのリーダーっていや分かりやすいだろ?」

ヘクターは外套のフードを外してから光一に名を名乗る。ヘクターがニヤリと笑うと、顔の亀裂から赤い光が溢れだしていた。

>>光一よ

13日前 No.593

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 発電所横→ネオレスパーダ本部】

 本日二度目、もしかしたら人生の中でも二度目かもしれない本気。
 再び平衡感覚を喪失し視界は黒一色に染まるが、視界がぐるぐる回る方の目眩でないだけまだましだ。
 気持ち悪いのも、疲れたのも、スキットルの中の酒を無駄にしたのも、銃を一つ駄目にしたのも、装置が壊せたからとりあえず全部良しとしよう。

「ぬあぁっ、死ぬっ死ぬっ死ぬっ死ぬっ」

 なんて戯言を紡げる内は人は死んだりなんかしない。今際の際にそんな当たり前の事を言っている余裕なんてないはずだからだ。
 つまりそんな虚言を言えるようだったらまだまだ命の灯火は消えない。だから自分の行先の生死に不安があるならそれを連呼する。死ぬという事は少なくとも今は生きているのだと自身に言い聞かせるが如く。
 吐きそうだ。一刻も早く横になりたい。硬いコンクリートの地面でもその願望を覆す事はできないだろう。はよ離せと腕を力なく揺さぶる。

「ああ、まだ……生きてたのか、根性あるじゃん」

 耳鳴りの向こうから懐かしいような子犬の声が聞こえ、それに息を切らしながら応える。状況を見ればこちらが言えた台詞ではないのだが。
 きっと助からないだろう。下手に苦しませてしまったらしい。こんな事ならやはり胸元をズドンと、一思いに殺してやった方が良かっただろう。

「バーカ、俺は変人で狂人だ……常人だと思ってかかるから……そうなる…………さようならだ、ダン・ダルシア」

 地面に横たえられながら辛うじて戻ってきた視細胞が光へ還ったダンであったものを捉える。青い光を眺めながら上体を起こしそちらへと這い寄る。狂気に弄ばれたその身体の終わりは、皮肉にも美しいものであった。

「高級ドッグフード、ねぇ……いや……こいつには、肉だよ」

 死賭の冗談に応えながら這い寄るよりも転がる方が早く速い事に気がつく。この際格好の良し悪しなど気にしている暇はない。ゴロゴロと転がり回り道中で捨てた拳銃を拾い、さっきまでダンがいた場所に仰向けに横たわる。

「こいつは、返してもらうぞ」

 頭の上のあたりを漁ると、あった。シルバーのリングを右手で摘み上げ、ふるふると腕を振り、はめた。
 ぼけっとしながら死賭のロマンス話を聞いていると、どこからか現れた二人の護送員に拉致される。

「ちょ、ちょっと待つんだよ、あそこに落ちてるえーと、箱!箱とって中にすんごい弾入ってるから!あれめっちゃ高……おぇえぇぇ」

 一息に喋り過ぎて収まったはずの嘔吐感がぶり返す。内容物をぶち撒ける自体は避けたが、あとが続かずそのまま連れ去られる他なかった。

===============

「らっしぇい!」

 停車した護送車から飛び降りる。

「誰かコカコーラを恵んで下さい、私はそれで生き返る」

 前方に右手をピンと伸ばし、銃を持った左手で髪をかき上げ、顔を上四十五度に傾けふらつきながらポーズを決め言う。適度なカロリーと糖分、そして液状と言う吸収しやすいその様。正直なところそっちの方がリッキーの旦那の治癒を受けるよりも治る気がした。

>>死賭、護送隊隊員、リッキー・ショーター

13日前 No.594

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/ネオレスパーダ本部前】

リッキーは快く治療を引き受け、善は急げと言わんばかりに早速能力を使用した。頸動脈から止めどなく溢れていた血液は栓でも閉めたかのように止まり、傷口もまたたく間に修復されていく。左脚も同様だ。

「ヘクター、か…………今リーダーだと言ったな、ということはアホらしい猫探しの依頼で、俺達を騙そうと考え出したのはお前か?」

「それとリッキー、本当に助かった。この埋め合わせはフェリスとの決着がついた時に………………!?」

彼に感謝の言葉を伝えようとした瞬間、近くの護送車から珍妙な掛け声と共に何かが飛び出してくる。その正体は秀作だと直ぐに分かった。彼はこれまた珍妙なポーズでコーラを要求する。

「……お前は芸人か何かか」

呆れとも困惑とも取れる表情を浮かべた。何時も通りと言えばそこまでなのだが、この状況でさえ戯(ざ)れることのできる胆力は称賛されるべきだろう。

>>周辺all

12日前 No.595

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/→第9区画 ネオレスパーダ本部前】

「ん……ここは……?」

車のエンジンによって揺さぶられた車内にて、霧月は目を覚ます。目の前には護送隊員。見知った顔も幾人かいる。

やがて車は停車し、霧月は降りる準備をする。自分を乗せたという事は、自分をどこかに運ぶ為で、ここはそのどこかなのだろうと判断。護送隊員に「ありがとうございます」と礼を言って、車から降りた。

「式見霧月到着しました……ここは、本部ですね」

霧月は車から降りてすぐに状況を察する。そして、周囲を見回し、青崎さんと、なにやら珍妙なポーズの浜田さんを見つける。どうやらタナトスの作戦は概ね成功したらしい。

「全く、浜田さんには緊張感というものがありませんね。私達がこれから挑むのはネオレスパーダ、フェリス・ヨーシャンクですよ」

そう言って袖から取り出し、浜田さんの手に渡したのは、白布に包まれた折れた薙刀だった。

「すみません、間違えました」

一瞬、「あ」と口を開けたが、すぐに無表情に戻り、速やかに薙刀を回収する。そして、再度取り出したのは、誰もが知るロゴマークの入った赤い缶だった。

「こかこーらというのはこれですか?自販機で押し間違えてしまって、炭酸飲料なので困ってたんですよ」

確かに、赤い缶には英語表記で「CocaCola」と書かれている。ちなみに、霧月は炭酸飲料が飲めない。素で薙刀を取り出したの辺りには触れない方が霧月の機嫌を損ねないかも知れない。

≫周囲all

12日前 No.596

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【リッキー・ショーター、ヘクター/第9区画 ネオレスパーダ本部前】

ヘクターは光一が『猫探し』という言葉を出した瞬間ピクリと片眉を動かした。それは明かに苛立ちを示す行動で、口元は笑っているもののヘクターの目だけがゆっくりと怒りで染められていく。

「あぁ、そうだ。カルの擬態の能力をうまく使っただろ?だがな……俺は猫の名前を『ヘクター』にしろとは言ってない。カルの野郎俺に見えないところで遊んでやがった。ちっ、思い出したらイライラしてきたぜ」

ヘクターは歯をギリッと噛んで怒りを露にする。それに呼応するようにヘクターの顔にあるひびから赤い光が漏れ出した。カルが探して欲しいと依頼した猫、その名前はヘクターだった。当時知るよしもなかったが、ヘクターとはタナトスのリーダーの名前だったのだ。カルはヘクターをからかうつもりで猫の名前がヘクターだと言ったのだろう。ヘクターは腕を組み乱暴に息を吐く。このままでは出会い頭にカルに殴りかかりそうだ。

そんなやりとりをしていると、本部の前に護送車が2台やってきた。その車からはそれぞれ秀作と霧月が降りてくる。疲労困憊のはずなのに元気よく場に似合わぬ挨拶を放つ秀作にヘクターは歯を見せて小さく笑う。つくづく死賭と似ている奴だとヘクターは思ったのだ。秀作と死賭とカルを一室に閉じ込めたら数分もしないうちにカルが限界を迎えるだろう。リッキーはというと、コーラを所望し霧月からコーラを差し出されていても、無言で秀作に近づき、少々乱暴にあたまに手をのせた。そして秀作の傷とある程度の疲労を回復させる。リッキーは秀作と関わると面倒だと思ったのか、素早く秀作のもとを離れるとまた無言のまま霧月のもとへ近づく。やることは同じだ、霧月の頭に手をかざし霧月の傷を癒していった。こうして3人の治療を終えたあと、リッキーの右腕はもう肩辺りまで紫色に変色していた。今日はもうリッキーの治癒を使うことはできないだろう。

こうして元レスパーダの3人が揃い、思い思いに会話をしていた途中、ヘクターがハッ!と馬鹿にするように鼻で笑った。

「お前ら、これから戦う相手が本当にフェリスだと思ってんのか?あのなかにはフェリスだけか?ん?」

ヘクターは「これから『フェリス』と戦う」という言葉が気にくわなかったらしい。3人をわざわざ煽るような口調で言いながら親指で本部の方を指す。ネオレスパーダは白樫燐も、ダン・ダルシアも八掛丈も倒れた。では、ネオレスパーダのなかで残っている人物とは誰だろうか。

「ここからは俺が説明する……」

ヘクターの大きな声を遮ってリッキーが口を動かした。愛犬のレオがリッキーの隣でお行儀よくお座りをしている。それだけこれからリッキーが話すことが大事な話であると、レオも理解しているのだ。

「俺たち護送隊はもともと……お前たちを捕らえるように命令を出された。ネオレスパーダの隊員が全員倒されたから、と。だが……俺はお前たちが無意味なことをするとは思えない。それでここに来たらこの男と会った……大体の事態は把握した」

リッキーは紫色に変色した右腕をだらりとぶら下げたまま、ここに護送隊がいる経緯を説明した。本来であれば3人を捕らえるために出動したようだが、リッキーは部隊は違えど今まで共に治安維持に勤めてきたレスパーダを黙って捕まえることができなかったようだ。事実リッキーを含めた護送隊の隊員全員が武器を手にしていない。そしてリッキーは今アドバースシティに迫る危機について、フェリスについて知ったのだ。バグ生産装置も結界装置も破壊した。だがフェリスはネオレスパーダ特別顧問という地位を得ていて、いつ同じような装置を作り直すか分からない。その前に事態を把握しているタナトス、護送隊、そして元レスパーダの青崎光一、浜田秀作、式見霧月でフェリス・サンディーロを捕らえなければならない。

「だが問題がある。おそらくネオレスパーダ本部に乗り込んでもフェリスは捕まえられないだろう。ネオレスパーダには隊長が残っている。おそらく彼がフェリスを護衛している」

ネオレスパーダの隊長、それは誰だったろうか。光一、秀作、霧月は覚悟を決めなければならない。この先対峙する人物はおそらくフェリスの催眠にかかっていて容赦なく3人に襲いかかるだろう。そう、過去どのような関係であったとしてもだ。ヘクターがニヤリと口を歪ませる。3人の覚悟のほどを見極めてやろうという構えだった。

>>周辺ALL

11日前 No.597

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/ネオレスパーダ本部前】

「律儀だな、霧月」

一度間違えこそしたものの、彼女は健気にコーラを差し出す。能力を使っていない時は本当に穏やかそのものだ。

「おい、リッキー……」

そんなことを考えていると、彼が二人に対して能力での治療を始めた。元々そのつもりだと本人が言っていたので止めるのは筋違いだが、やはりその特性上つい反動を危惧してしまうのだ。そして案の定彼の腕は見るも無惨に変色、遠目からでもかなり痛々しい。
ふと藪から棒にヘクターが口を挟み、リッキーが補足する。
あのロック・ランドルドがフェリスに与している、自分達を仲間と思わず何の遠慮もなしに排除しようとしてくる、かつて全幅の信頼を寄せた上司が牙を剥いてくる。





――――だから何だ。

「邪魔立てするなら誰だろうが斬り伏せる、そしてフェリス達の後はお前達タナトスだ」

自分でも少し疑問に思う程その心に迷いはなかった。恐らくはロックを強く仲間として意識する故、外道に墜ちた彼が許せないのだろう。それこそ全ての臓器をくりぬくのも躊躇わない程には。

>>周辺all

10日前 No.598

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 ネオレスパーダ本部前】

「何を言うかね!」

 右足を前に出し踵を軸にして体を左へ向け、左膝を屈ませ右足はしっかりと伸ばす。足を伸ばしたせいで上体も自然と前に傾く。左手はそのままに、前に伸ばした右手は背中側に伸ばし新たなポーズへと移行。ロックンローラーがマイクスタンドを倒して熱唱するアレに似ている。ちなみに右手のひらは上に向けてある。

「私はものすごく頭のおかしい普通の人間さ!」

 芸人発言に異議を唱えながら跳ね上がるようにして両足を揃えつつ、顔を下に向けたまま後ろに回した手を胴に引きつけまたビシリと擬音が聞こえるくらいの勢いで前に伸ばす。腕輪が少し重く感じられた。

「特に一昨日見かけたカラスが小銭を咥えてコン……ん?」

 続けて話をしようとすると誰かから手にコカ・コ……なんだこ…薙刀じゃないか!霧月ちゃんか。
 霧月ちゃんから間違えて渡されたであろう薙刀はそそくさと回収され代わりに待ち望んだコカコーラが……こ、これは。

「かっ……」

 霧月ちゃんからの好意と恩義を全く無視し、お礼を言うよりも先に「缶じゃねぇかぁぁああああ!」と叫ぼうとする口を食い縛ることにより暴言を封じ込める。いくら自分がペットボトルか瓶のコカコーラしか認めていないと言ってもさすがにそれを叫ぶのは酷すぎる。
 落ち着け俺、いいか、缶のコカコーラだってこの世には存在するんだ、だって必要とされているんだから。具体例を挙げるなら瓶やペットボトルと違って容器のまま積むことが出来て運送時の梱包コストが低いんだ。

(それでもあの変な風味は耐え難い)

 耐え難くとも取り敢えず能天気なアホを取り繕おう、何かに文句を言うなんてそれは秀作じゃないってやつだし、ペットボトルのコカコーラが当たり前だと思っていた俺が悪い。咳払いをしてと。おや、なんか体が軽い、ああ、缶にたじろいでいる合間に旦那に治療されたのか。

「……そうそう、これこれ。やーありがとね霧月ちゃん」

 笑いながら言い、炭酸飲料はたまに噴水になるからそれを警戒してゆーっくりとタブを持ち上げる。炭酸と窒素ガスを抜いてからパキャリ、と口を開け切って黒々とした弾ける液体を口内に……温い!違和感に思わず眉根が持ち上がり驚きで少々吹き戻す。慌てて口元を拭う。
 温い、正確に言えば冷たくない。ついでに大して弾けない……そりゃそうだ!ここに来る直前に買ったとしてもそれなりの時間は経過しているし、それに保存されていたのも袖の中、多少体温が移っていてもおかしい話ではない。手に持った瞬間になんとなく分かっていたけれども!

(や待てよ、体温?女の子の体温が移ったコカコーラ……女の子の?体温が?身体の中に!?)

 この連想ゲームが顔をにやつかせることは分かりきっていたので口元を隠しながら視線を上方に逸らし、明後日の方を見つめる。

「んっくくくくっ……」

 駄目だ笑けてきてしまった。白衣を着た丸眼鏡の変人がそっぽ見つめながら赤い缶を片手に肩を揺らしているという訳のわからない……なんだいつも通りじゃないか。
 やましい想像のお陰で今ならこの世の全てを心の底から許せそうな気がする。そう、我らが隊長が相手だろうとも。と言うか、そもそもダンを殺した俺が何を今更って話だ。一人も二人も大差ない。右手の腕輪をそっと撫でる。

「そそ、幾ら隊長が相手だって言ってもこれからの俺たちのコーヒータイムを奪うのは許されざる大罪な訳、わかる?」

 光一君の最後のセリフが気にかかったのでタナトス入りは黙っておくことにした。ヘクター殿も黙っていてくれるのを願うばかり。

>>青崎 光一、式見 霧月、ヘクター、リッキー・ショーター

10日前 No.599

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【ヘクター、リッキー・ショーター/第9区画 ネオレスパーダ本部前→ネオレスパーダ本部】

リッキーの変色した右腕はどうやらリッキーの意思では動かせないようで、ブラブラとまるで物体のようにリッキーの肩からぶら下がっていた。こちらを心配したのか声をかけてきた光一にリッキーは静かに首を降る。

「これが俺の仕事だ……」

愛犬のレオがリッキーを心配するように左足に前足をつき、顔をできるだけリッキーに近づけようと高くあげる。リッキーは黙ってレオの頭を撫でるのだった。

一方でヘクターは満足気に口をニヤつかせていた。これから戦う相手が誰か自覚しても退く気はないらしい。そうこなくては。そんな中、光一から宣戦布告ともとられる言葉を投げられた。面白いことを言うものだと秀作を見てみれば、今しがた笑いながらコーラを飲むのを終えたところのようで、相変わらずこの場に似合わぬ行動をする秀作に、今度はヘクターが笑いはじめてしまった。くつくつと喉を鳴らすような笑い声をあげ、最後にはハッ!と大きく叫び笑い声を発散する。

「能力開発研究所に不法侵入して治安維持部隊の隊員を力でねじ伏せた一般人が面白いこと言うじゃねぇか。俺とお前は今同じ立場なんだよ。始める前に聞いとくがお前は何のために戦う?こっからは義務でもなけりゃ戦う責任もない、ただ自分の譲れないもののために戦う場だ。秀作のコーヒータイムみたいにな。俺はタナトスのために戦う。お前はどうだ?正義とかいう抽象的なもののためか?大衆とかいう抽象的なもののためか?」

現在の光一は治安維持部隊でもない一般人、それは紛れもない事実だ。なんの権利ももたないこの状態で、今から挑むのはこの街を飲み込もうとするほどの悪意。これからの戦いでその身がどうなってしまうのか、想像するのは難しくない。はっきり言ってしまえば、逃げだしてしまう方が楽だろう。アドバースシティの外に出てしまえばフェリスの力は及ばないのだ。だが自身の保身をかなぐり捨ててでも守るものがあるのか、譲れないものがあるのか、ヘクターはそう問うているのだ。この先に待ち構えるのは強力な能力を携えたかつての仲間、その壁を越えてでも貫きたいものがあるか、それがヘクターの問いかけだった。最後の言葉のあとに秀作がタナトスに加入していること、霧月がタナトスと協力関係を結んだことが口をついてでそうになるが、ヘクターはこれ以上本部に突入するのに時間をかけたくないのか、余計なことは言わないようにしたのだった。

ヘクターは光一に言葉を投げつけるだけ投げた後、ゆっくりとした足取りでネオレスパーダ本部の正面扉の前に立った。現在その扉は閉ざされていて簡単には開きそうにない。ヘクターは正面扉を背にして側にいる面々の方へと振り返った。

「覚悟は決まったようだな。それならこれから突入するぞ。やることは単純、俺がこの扉を"壊したら"お前たちは中に入れ。で、フェリスを捕まえたら終わりだ。そんな単純にいくとは思えねぇけどな」

ヘクターは手短に恐ろしく簡潔な作戦を述べる。ようは正面突破して出たとこ勝負をしろと言っているのだ。中で待ち構えているのはフェリスと隊長だけとはいえ、無策にも程がある。だがここで作戦を練るなど無駄に時間を割くわけにもいかないのだ。フェリスが次の手を思い付く前にここで一気に畳み掛ける必要がある。

ヘクターは改めて扉の方を向いた。そして右足を一歩退き、顔の高さで右手で拳をつくる。すると、ヘクターの顔にあるひび割れから一斉に赤い光が強く漏れだした。同時に白い蒸気のようかものがひび割れから吹き出す。まるで噴火寸前の火山のようだった。

「楽しもうぜ?」

ちらりとだけ後ろを振り返り、光一、秀作、霧月にそう一言告げる。次の瞬間、振りかぶられたヘクターの右拳は思いっきりネオレスパーダ本部の正面扉に叩きつけられた。最初に響いたのは爆発音のような音、その後ガラガラと正面扉部分にあった壁が瓦礫となっていく音が響く。ヘクターが放ったパンチ一発で本部の扉は壁ごとぶっ飛んでしまったのだ。初めてタナトスがレスパーダ本部に侵入してきた時正面扉が爆破されたように破壊されていたが、おそらく今回と同じようにヘクターの能力「絶対破壊」の拳によって砕かれたものなのだろう。

「いけ!」

ヘクターは叫ぶ。もう後戻りはできない。瓦礫を越えネオレスパーダ本部へと入り込んだ先には全ての元凶フェリス・ヨーシャンクとネオレスパーダ隊長ロック・ランドルドが静かに佇んでいた。

>>周辺ALL

9日前 No.600

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/ネオレスパーダ本部前】

ヘクターは再び大きく笑い飛ばすと、今一度こちらの覚悟を問うた。

「愚問だな、両方に決まってる」

凡夫ならば暫く沈黙するような内容の質問だが、自分は生憎そう簡単に揺らぐ価値観は持ち合わせていない。己の戦う理由、その根源は平和への望みと闘争への望みが同居した精神状態にある。レスパーダへ志願したのはこの矛盾する感情を二つとも満たすためだ。そこで働き争いを起こす者達を排除し続け、最終的には闘争心も忘れる程永い平穏を作るのが目的である。故に正義と大衆のために戦うことが自分の望みに繋がるのだ。

「もっとも、さっきまでは完全に玉砕覚悟だったがな」

リッキーがいてくれなければ、ロック辺りと心中していた可能性が高い。
また、今まで戦ってきた相手は全てこちらの説得を聞くような人物、状態ではなかった。無論白樫も例外ではない。よって街を守るという点に関しては(フェリスという元凶を認知できなかったとはいえ)一貫しているといえるだろう。それに比べてタナトスときたらどうだ、フェリスやその重要施設を直接狙うことは数える程しかなく、筋違いも甚だしい行動ばかりではないか。もしこの体たらくでダークヒーローでも気取っているとしたらとんだお笑いである。

「……………………そうだな、始めるか」

しかしこの手の連中に矛盾を突き付け出すとキリがないので思考を切り替える。
ブレードを軽く横薙ぎ気味に振り抜き、闘志を全身に入れ直す。そして疾風の如き速さで駆け出し――――




――――ヘクターの右腕にブレードを降り下ろした。

(首を狙ってもよかったんだがな)

それではいささか筋が通らない。確かに自分は彼らのやり方を認める気はないが、今彼から攻撃を仕掛けることはなかったし本部への侵入を手伝ってくれた(ブレードを使えば確実にどうにかなっただろうが)ので誠意を無下にする上『フェリス達の後はお前達タナトス』という自らの発言を覆すのは気が引けた。よって折衷案として今見せた能力の要であろう右腕を切り落とすだけに留めようという結論に至ったのだ。

(もしこれで『実は右腕だけじゃなく全身で使える』ってオチだったら締まらねえな……)

>>周辺all

9日前 No.601

春宮 @12122404 ★Tablet=4fg2rbSSgp

【式見霧月/第9区画 ネオレスパーダ本部前】

「ありがとうございます」

リッキーさんにお礼を言いつつ、何だかおかしなことになっててやっぱりいつも通りな浜田さんを見やる。
だが、ヘクターの言葉に表情を暗くする。

「身内殺しはもうやりたくありませんが、多分、狂錬の方は気にしないんでしょうね。止まらなくなった時は、よろしくお願いします」

万が一にも霧月が隊長を手にかける事があれば、今まで封じていたタガが外れるかも知れない。まさに凄惨な身内殺しがあったあの時の様に、市民を殺して回るかも知れない。そうなれば霧月は殺されなければならない存在となるし、よしんば生きていたとしてもこの街には居られないだろう。そうなれば故郷に帰ることも出来なくなる。そういった意味では霧月2のとっても大事な戦いとなる。

ヘクターの能力によって扉が破壊される。元々人数の少ない新旧レスパーダだ。短期決戦が予想される。それに合わせ、霧月は狂錬を発動した。

「楽しめるかどうかは━━━隊長のヤロウにかかってるわな、これは」

凶暴な微笑みで瓦礫の先に居るであろうフェリスとロックを睨みつける。

ちなみに、光一がヘクターに刀を振り下ろしたのは、元々ヘクターが気に入らなかったのもあって、無視しておいた。

≫all

8日前 No.602

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【ヘクター、カル・ギラム、死賭、カイ/第9区画 ネオレスパーダ本部前】

崩壊したネオレスパーダ本部の壁の前に立つヘクターがまず感じたのは、昔馴染みの気配だった。そして狂人にポップ野郎、それぞれやるべきことを終えてヘクターのところへ来たというところか。そして次に感じたのは自分へと迫る殺気、ヘクターは呆れるようにため息を吐いた。殺気は感じているのに、ヘクターは何もしようとしない。右腕へと迫る刃をまるで意に介していない。なぜか。ヘクターは自分がその攻撃に対処する必要がないことを知っていたからだ。光一がヘクターの右腕に降り下ろした刃は、ヘクターの背後から飛んできた何かによって弾き飛ばされた。ガキンッという鈍い音と共に、光一のブレードを弾いた何かは宙を舞う。宙を舞っていたのはブレードシールド、カル・ギラムの武器だ。そして宙を舞うブレードシールドを同じく宙を舞う手首がキャッチし、その武器を持ち主の方へと投げる。ブレードシールドが飛んだ先、そこにいたのはカル・ギラム、死賭、カイの3人だった。ヘクターはニヤリと口を緩ませながら三人の方へ体を向ける。近くに光一がいるにも関わらず、だ。

「報告しろ」

ヘクターは手短にそう一言だけ口にする。今は時間がない、早めに終わらせろと言外で三人に伝えた。

「能力開発研究所地下に能力開発に失敗した人間が大量に眠っていた。データを八五郎とミシェルに渡して解析中だ」

「俺ちゃんの愛しのソニアちゃんを病院に送ってきた」

「リョウを八五郎のとこに運んだよ。フェリスとは違うやり方で目覚めさせれないかミシェルと調べてる」

カル、死賭、カイが次々とヘクターに伝えるべきことを伝える。死賭の報告はそれはそれとし、カルとカイの報告は興味深い。八五郎とミシェルの力を合わせればフェリスに成し得なかったことができるかもしれないということか。ヘクターは満足げに笑みを浮かべる。

「よし、よくやった。俺はこの中にいる隊長をねじ伏せてくる。カル!こいつはロック・ランドルドとの戦闘にだけ集中できると誓わせてから入れろ。それまでは通すな」

ヘクターは光一の方を一切見ないまま、カルに対して一方的に用件を投げつけると、そのままネオレスパーダ本部へと入っていった。用件を投げつけられたカルはというと、はぁ、とヘクターと同じようにため息を吐くと、瓦礫と化したネオレスパーダ本部入り口付近へと近づき、光一の前に立つ。

「君はここでヘクターと戦って、その間にフェリスがロックを使ってこの街を終わらせる結末を選択するのか?無駄な体力を使うな。ロックを倒し、フェリスを捕らえることだけに集中しろ」

カルは光一から目をそらさぬまま言う。このまま光一がヘクターへの攻撃を続けるならば、それはロックを打ち破るための戦力を浪費するだけになってしまう。それを避けるためにヘクターは光一に応戦しなかった。フェリスが次の手をうつまでのこの時間、今こそフェリスをとらえる絶好のチャンスだ。ここで戦力も時間も浪費している場合ではない。

>>光一、周辺ALL






【フェリス・ヨーシャンク、ロック・ランドルド、ヘクター/ネオレスパーダ本部 入口ロビー】

入り口が破壊され、外気が簡単に入り込むようになった入口ロビー。入口ロビーはつい最近と、具体的にはレスパーダ本部だったころと、寸分も変わらない様相を呈していた。いつもと変わらない、いつもの光景……その中でいつもと違う点をあげるならば、入り口が破壊されていることと、ロックがいつもだらけながら座っている来客用のソファにフェリス・ヨーシャンクが座っていること、そしてそのソファの側にまるで感情をなくしたような顔でロック・ランドルドが立っていることだろうか。来客用の椅子に足を組み、静かに壊された入り口を見据えるフェリスはどこか不気味な雰囲気を漂わせている。だが入口ロビーへと入ってきた霧月とヘクターを見ると、フェリスはクスリと小さく笑みをこぼした。

「やぁ、君は式見霧月君だったね、"元"レスパーダの。もうここは君たちの本部じゃないわけだけど何しに来たのかな?」

フェリスはあくまでもいつものように、人当たりの良い笑みと親しみ易い口調で霧月に語りかける。だが指先は一定のリズムでソファの縁を叩いていて、フェリスが内心苛立っているのが見てとれた。ソファを叩く指先が段々と早いリズムを刻み始める。まるでフェリスの感情の昂りと呼応しているようだった。

「ダン・ダルシア、白樫燐、バグ生産装置に結界装置……私が作った実験成果を次々と……ことごとく潰し……私の計画を台無しにしようとする君達が……何をしに来た!!」

目をつり上げ、犬歯をむき出しにしてフェリスは叫んだ。額には青筋が浮かび、拳は強く握られている。フェリスの叫びは入口ロビーの空気をビリビリと揺らした。ヘクターは分かりやすく怒りを露にするフェリスを鼻で笑うと武器であるパイプを手に持ち構える。ロック・ランドルドは未だ静かにフェリスの横で佇んでいる。さぁ、奴はいつ動く?

>>霧月、周辺ALL

7日前 No.603

ディリム @dilem ★iPhone=HSR9qzDFft

【浜田 秀作/第2区画 ネオレスパーダ本部前】

 缶を揺らすようにし、中身が空っぽであることを確認する。その側をベコベコと凹ませたり戻したりしながらヘクター殿の小学生でも思いつく単純明快にして現状もっとも効果的であろう作戦を受け、鼻だけで笑った。勢いに乗っている時はそれが衰えるかそれに振り落とされるかするまで全力で突っ走った方がいいのは言うまでもなかろう。
 空になったはずの缶を口にもって行き、上に向ければ当然口には何も流れてこなかった。ワープ装置を応用すれば延々と飲み物が飲める缶類ができそうなもんだがどうなんだろうね。
 「楽しもうぜ」その言葉の後に入り口が気持ちがいいくらいに破壊され、隔たりの向こうにいた知っている一人と知らない一人を視界に捉えた。空き缶を放り上げ、ロビーのソファーに座る男を目掛け缶を吹き飛ばそうとした瞬間、光一君が討つべき者とは異なる相手を目掛け駆け出す。おいおい、そっちじゃ無かろうに。
 即座に能力の対象を自身へ。物理的に不可能な加速、そして光一君の視線と全身の動きから太刀筋を読む。速い動作だ、下手にフェイントを盛り込んだりするよりも相手が反応出来ない速度で狙った場所を正確に、威力の高い武器で斬り落とすのが道理。で、あるならば素直に邪魔をしよう。
 予想される刃の軌跡に潜り込み今度は物理的に不可能な急停止。能力で固定された耳の横まで上げられた右手の拳と右肩周りで光一君の刀を受け止める。物が切れるのは刃から外側への引っ張りの応力を受け、物理的な結合が千切れることによるものである。つまり、能力で固定された有機物たちはその外側への応力を受けず、切れない。

「……怪我はありませんかね?隊長さん」

 眼鏡を外し、右手の代わりに刀に添え立ち上がる。固めるのが遅かったかね、手の甲が深めに切れてしまっている。そして何より身体は移動させることは出来ても、肺の中の空気やさっき飲んだばかりのコカコーラまで動かすというわけにはいかない。内臓はある程度固定すれば問題ないのだが、止まった瞬間に暴れた内容物が喉的までこみ上げて来て嚥下するのが手間だった。

「前も似たようなことあったねぇ」

 レスパーダ本部にカル・ギラムが侵入した際、光一君は彼を切り捨てようとし、俺はそれの邪魔をした。そんな昔の出来事では無いのだが、今思えばもはや懐かしい。
 腰を引きながら白衣のポケットに手を突っ込んで後ずさりで入り口前まで移動する。

「光一君よぉ、タナトスは打倒フェリスの為の集団なんだからさぁ……フェリス倒しちゃえばいーじゃん!そうすりゃタナトスは取り敢えずは何もしないんだから!もーー、刀が壊されるにしても手が切り落とされるにしてもどっちしにろかなりの戦力ダウンよ?ましてや共倒れなんかされたら目も当てられないってのに……今は“内輪揉め”してる場合じゃないの、ほらこっちこっち。タナトスは後なんでしょ?じゃあもう中途半端に手出ししない。タスク管理はしっかりしないと、マルチタスクは効率が悪いってよく言うだろ?」

 あくまで軽く、なるべく感情的な理由は廃して効率と因果の話を主体にし、フェリスと戦うよう促すため、光一君を手招きした。

>>ヘクター、青崎 光一

5日前 No.604

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/ネオレスパーダ本部前→入口ロビー】

「…………」

義理を通す為に放った一閃は、他でもない秀作の介入によって止められる。しかし僅かにタイミングが悪かったのか、手の甲から血が滲み出ていた。

「お前……」

流石に少し戸惑い、刃先を下げる。それと同時に脳裏によぎるのはいつかの襲撃、偽りの依頼で自分達が無様にも謀られた時だ。

「分かった、お前がそこまで言うのなら」

刀身を伝う小さな赤に負い目を感じ、矛を収める。『これから何もしない』ではなく『これまでに何をしたか』が重要なのだが、まあ今だけは目を瞑ってやろう。ここまで体を張った行動を示されて、無言で突っぱねるのはポリシーに反する。
いいだろう、執行猶予を与えてやる。神の名を騙るうつけ者共に仮初の安寧を恵むのも一興か。

「じゃ、いくか」

方針修正もそこそこに、今度こそ下郎共を討たんと駆け出す。もしタナトスの連中が足を引っ張るようなことがあれば、遠慮なく捨て駒として利用するまでだ。

>>周辺all

5日前 No.605

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【ヘクター/第9区画 ネオレスパーダ本部前→入口ロビー】

ネオレスパーダ本部をぶち抜いた右腕を未だ真っ直ぐ伸ばしたままだったヘクターは背後に自身に迫る殺気を感知した。こんな状況で自分を狙う人物は一人しか思い浮かばない。先程正義と大衆のために戦うと言ってのけた光一がヘクターを狙ったのだろう。確かに能力を使用した直後のこの状態はヘクターが一番強い弱体化している瞬間だ。そこを狙うのは対ヘクター戦であれば正しい選択なのかもしれない。しかし今向かうべき相手は違う人物だ、そのことを分からせてやらなければならない。ヘクターは自身の武器を取ろうとした。しかし直後、その動作をやめる。光一とは違う人物がこちらに向かって、人間の域を越えたスピードで迫るのを感じた。ヘクターはレスパーダ全員の能力を把握している。監視カメラの映像をハッキングしてレスパーダの戦い方も熟知していた。こんなことをできるのは一人しかいない。

「よくやった、秀作」

光一とヘクターの間に入っている秀作に向かい、ヘクターは秀作にだけ聞こえる声量で小さく声をかける。そして口を楽しげに歪ませた。秀作は光一にまだタナトスの一員であることを明かす気はないようで、光一には勘づかれないように、しかしヘクターにはタナトスを裏切らぬことを示すように言葉を選ぶ。この一瞬で大したものだ。その頭の回転の早さがなければ、運動エネルギーを使った能力を使いこなすことなどできないだろうが。

「こいつの言う通り、俺達タナトスの目的はフェリスを潰すことだ。フェリスが潰れてあいつのしでかした事が世に知れれば、それを隠蔽してた政府ブレインにも非難の目がいく。あいつらは変わらざるを得なくなる、そうすりゃ俺達の目的は達成だ。そのために俺は今からこの中に入ってロックを倒し、フェリスを捕らえる。フェリスを捕まえるまでは……仲良くやろうぜ?」

ヘクターは秀作の補足をするように改めてタナトスの目的を話す。最終目的こそ異なるものの、フェリスを捕らえることは同じなのだ。フェリスの側にいるのは改造能力者、それもレスパーダ隊長を勤めた男だ。簡単に突破できるはずがない。ここで共倒れするよりも、共闘した方がはるかに良いというわけだ。

入口ロビーへ駆け出した光一を見やった後、ヘクターは隣にいる秀作に目を向ける。

「治癒してもらった直後にそれじゃ世話ねぇな。さて……いくぞ、秀作」

乱暴にかけられたヘクターの言葉は『ありがとう』の意味なのだが、その本心はなかなか相手には伝わらない。ヘクターは秀作に声をかけたあと、手に武器である鉄パイプを握る。そして本部内へと足を進めたのだった。

>>秀作、光一




【フェリス・ヨーシャンク、ロック・ランドルド、ヘクター/ネオレスパーダ本部 入口ロビー】

入り口が破壊され、外気が簡単に入り込むようになった入口ロビー。入口ロビーはつい最近と、具体的にはレスパーダ本部だったころと、まだ寸分も変わらない様相を呈していた。いつもと変わらない、いつもの光景……その中でいつもと違う点をあげるならば、入り口が破壊されていることと、ロックがいつもだらけながら座っている来客用のソファにフェリス・ヨーシャンクが座っていること、そしてそのソファの側にまるで感情をなくしたような顔でロック・ランドルドが立っていることだろうか。来客用の椅子に足を組み、静かに壊された入り口を見据えるフェリスはどこか不気味な雰囲気を漂わせている。だが入口ロビーへと入ってきた元レスパーダの面々とヘクターを見ると、フェリスはクスリと小さく笑みをこぼした。

「やぁ、"元"レスパーダ諸君。もうここは君たちの本部じゃないわけだけど何しに来たのかな?」

フェリスはあくまでもいつものように、人当たりの良い笑みと親しみ易い口調で霧月に語りかける。だが指先は一定のリズムでソファの縁を叩いていて、フェリスが内心苛立っているのが見てとれた。ソファを叩く指先が段々と早いリズムを刻み始める。まるでフェリスの感情の昂りと呼応しているようだった。

「ダン・ダルシア、白樫燐、バグ生産装置に結界装置……私が作った実験成果を次々と……ことごとく潰し……私の計画を台無しにしようとする君達が……何をしに来た!!」

目をつり上げ、犬歯をむき出しにしてフェリスは叫んだ。額には青筋が浮かび、拳は強く握られている。フェリスの叫びは入口ロビーの空気をビリビリと揺らした。ヘクターは分かりやすく怒りを露にするフェリスを鼻で笑うと武器であるパイプを手に持ち構える。ロック・ランドルドは未だ静かにフェリスの横で佇んでいた。

「まぁいい。君達はこのネオレスパーダ本部に強襲をかけている紛れもない犯罪者だ。そういう輩は取り締まらないと……隊長、やれ」

人びとを襲うバグを作り出し、能力開発に失敗した人間を使って強力な改造能力者を作り出して手駒にし、あげくにはこの街全員の能力情報を抜き取って市民全員を永遠の眠りにつかせようとした人間が『犯罪者』などという言葉を使う権利はとうてい持ち合わせていないのだが、フェリスは怒りの感情で支配された目で光一、秀作、霧月を睨みながらそう言いはなったのだった。命令をうけたロックはゆっくりとした動作でバスターソードを構える。通常両手でもつはずのそれを、ロックは片手で軽々ともって見せた。そして手のひらから炎が立ち上ぼり、刃を覆っていく。全てを焼き尽くす熱量を伴った刃を携え、ロックは床をけり駆け出した。そしてレスパーダの面々に向けバスターソードを薙ぐ。バスターソードの刃とそれに纏った炎がおそいかかってきた。

>>周辺ALL

5日前 No.606

青崎 光一 @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【青崎 光一/ネオレスパーダ本部 入口ロビー】

ロックは巨大な炎を刃に纏わせ、こちらに向かって疾走する。火災現場でなければあり得ない程の火力だ、下手を打てばあっという間に丸焦げになってしまう。これだけ大規模な炎ならスプリンクラーが作動しそうなものだが……フェリスのことだ、事前に防災システムにも手を加えてあるんだろう。

「…………」

互いに走って近づくことによりほぼ一瞬で距離が詰まる。当然地獄の業火もすぐそこだ。しかし恐怖は感じない、むしろどこか憎しみにさえ呑まれている。自分が信頼している人物のガワを被った、眼前のクソ野郎をぶちのめせと魂が叫んでいた。無論こいつは正真正銘ロック・ランドルドだという事実は承知している。だが、否だからこそこの現状に我慢がならなかった。

「オオォオッ!!」

ブレードをかざし灼熱の剣を受け止める。轟音、衝撃、そして焦熱が刀身越しに襲ってきた。

「ち……っ!」

全身を使って運動エネルギーを殺しつつその場に踏みとどまる。ブレードの峰側の先端を左腕で押し込む形でバスターソードをいなし、床へ押さえ付けた。

「――セァアッ!!」

その際起こる体勢の変化を利用し、勢いが乗った回し蹴りでロックの顔面を狙う。

>>周辺all

2日前 No.607

監視システム @captain1 ★Android=UJhhnaQiDA

【ロック・ランドルド、ヘクター、フェリス・ヨーシャンク/ネオレスパーダ本部 入口ロビー】

ロックが片手でソードを持つのに対して光一は両手を使用、競り合いで押しきれることはなく、バスターソードの切っ先は地面へと向いた。そして間髪入れず飛んでくる光一の蹴り、それに合わせヘクターはロックの左脇を駆け抜け、横っ腹に鉄パイプの一撃を加えた。しかし……

「……」

ロックはまるで石像の如く微動だにしなかった。感情のない目が光一を見据える。光一の足には硬質な何かの感触が伝わり、ヘクターが放った鉄パイプはキンッと固いもの同士がぶつかる音を響かせた。ヘクターは怪訝そうに眉を潜め、ロックの方を睨んだ。

「あ?なんだ今の?こいつの能力は炎じゃねぇのか?どうやって攻撃を弾きやがった」

ヘクターは思ったことがすぐ口に出る。誰もが疑問に思ったことを即座にまくしたてるように言った。元レスパーダの人間ならばロックの能力について知っているのではと思って口にした問いかけだったが、はたしてそれを答えることができる隊員がいるのだろか。

「いいね、いい攻撃だ。本気できてもらわないと困る。君達が本気でロックを殺そうとすればするほど、君達を捕まえる大義名分ができるからね」

フェリスはさも愉快だと言わんばかりにソファーに腰かけたまま一連のやり取りをみて笑みを浮かべた。だが瞳の中にはいまだ怒りが宿っている。自分の計画を邪魔する輩を早く消したいと願っているのだ。

ロックはバスターソードの切っ先をあげると、その場で大きくソードを薙いだ。大きく振るわれたソードは纏っていた炎を斬撃の如く打ち出し、近くにいる人間を焼き殺そうと襲いかかった。

>>周辺ALL

1日前 No.608
切替: メイン記事(608) サブ記事 (318) ページ: 1 2 3 4 5 6 7

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…進行相談・設定はサブ記事をご利用ください(テスト中)。