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月下のアスール【T】-『The God Delusion』

 ( オリジナルなりきり )
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語り部 @yuzuriha16 ★6kAHKhaN27_EP8

にぎわう夜の酒場で、あるいは街灯に照らされた石畳の上で、

はたまた夜風にさらされた荒野で、それとも木の爆ぜる音が響く焚き火の周りで、

まことしやかに囁かれるある一つの国家が存在した。

かの国家の名はアスール。

魔導具と呼ばれる未知の技術を用い、急速に発展する新興国家。

世界から疎まれた狭間の者達が築きあげたその国は、5人の建国者により均衡が保たれていた。



アミル・カーランドが統轄する娯楽区画ウォーティア

ディノアギスバルガエンズルドが統轄する流通区画エイルス

ヒルカ・ルドナルが統轄する工業区画アーティー

出雲 鶴羽が統轄する自然区画ガイアル

そして、アスール国家隊の総本山である中心区画ルナ。

水と遊戯を求める者はウォーティアに

空と発見を求める者はエイルスに

魔導具と情報を求める者はアーティーに

大地と交流を求める者はガイアルに



今日も様々な目的を持つ者達がこの国を訪れる。

純粋に他種族との調和を志す者、己が国を富ませんと仮面を被る密偵、

帰路に迷い流れ着いた者、はたまた想像もしえない願いを抱いた愚者。

そんな各々思惑でさえ、まるで取るに足らぬものと言いたげに、

かの国家は飲み込み、最初からそこに存在していたかのように彼らは国へ同化していく。

その渦中にあなたが飛び込んだ―――それがこの物語の幕開け。



【サブ記事にてルール説明、キャラ募集を行います。本編開始の合図はサブ記事にて行い、
本編は本スレ運営主の最初の書き込みを持ってスタートとさせていただきますので、ご了承願います】

2年前 No.0
メモ2018/08/12 20:52 : 語り部(スレ主) @yuzuriha16★MurpyimDs8_5qC
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エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_c1Z

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

「も、もちろんだ…視線?…な…何のことだ?」
スターチの問いにしどろもどろになりながらも返答してはいるが…その指摘通りだと言うのは火を見るよりも明らかであろう…よっぽどの鈍感でない限りは…
(し…視線が痛い…)
そして図星を突かれている事と、痛ましげな視線を向けられている事からか、どうにも居心地の悪さを感じ、余計にその傾向が強まっているのだが…
「あ、いや、そんなつもりじゃ無くてな…」
…そしてセキアの方もこちらがどうにかフォローしようとしている様子に、あまり賛同的ではないと言う事を気が付かれたようで…それはもう不機嫌そうに『分かってくれるのはレイだけ』と、吐き捨ててそっぽを向いてしまう。
(む…むぅ…)
連携が必要な場面だと言うのにこの空気は良くない…具体的には言い難いがどうにも良くない…これは敵の策略だったんだ!!…などと開き直って責任転嫁してしまえばある程度は軽減できたのかもしれないが流石にそこまでは知恵は回らず…
結局どうにも微妙な空気の中で渦中のセキアはこれまでになかった使い勝手を発揮したレイを振り回したりしながら自身の感覚を試し始めた。

(…確かに動き自体は良くなった…が)
そのままセキアがスターチに切りかかり、なし崩し的に再度戦闘が始まる。
…どうやら『加護』と言ってもいいのだろうか?…何かしらの強化が働いてセキアの身体能力自体は見違える程に向上し、先の経験からか、剣を受け止める事を極力避けようとするスターチの方針も相まって一応はせbん等をしているような状態にはなっている。
(だがやはり無茶か…経験が違い過ぎるな)
しかしそれはうわべで見ただけの物であり…実際の所スターチの方は軽くあしらう様にセキアの攻撃を捌き続け、斬り合いすらもさせてもらえてない…と言うのが正確な所だろう。
(…援護しようにも…こうも乱戦にもつれ込んでいると…な)
多少の乱戦であれば特定の『間』で割り込んで法撃を加える事もできるのだが…如何せんセキアの動きが不安定であり、下手な手出しをしては逆に妨害する結果になりかねない。
スターチがそれを狙っているのかは定かではないが…もう少し両者の動きを把握するまでは手出しを控えるべきだろう。

(今更そんな小細工が…いや、これは…)
…そう悠長に考えていた所で、状況に変化が訪れる。
一般的な下級魔術に属する火球…それ自体は珍しくも無い…だが…
(これほどの多重起動…法術もいける口か!!)
背後に多数の火球を従え、今まさに蹂躙せんとその矛先を振るわんとするスターチに関心に近い感情を浮かべつつも状況を冷静に見やる。
息をのむセキアに打ち出されんとする火球群は確かに強力かつ不可避の壁として立ちはだかってはいる…防御するにせよ回避するにせよ、今のセキアではただでは済まないだろう…だが…
「『集うは砲身、放つは魔弾。雲霞払いし我が砲域よ、ここに応じてその威を示さん!!』」
奇しくもセキアとスターチの距離は開き、誤射の懸念が無くなった所でこちらも同じく大技で相殺させんと『詠唱』する。
…本来大きな隙ができるのを嫌い、魔術の詠唱をあらゆる手段で省略しているのだが…こればかりはそうもいかず、極力省略しつつも詠唱を完了させる。
(…流石に…重いが…っ)
本来の規模からはかなり小規模にはなっているものの、それでも帰ってくる負荷は大きく、かなりの魔力を持っていかれたが構う事なく発動させんと、その指向性を定める最後の手順に取り掛かる。
それは奇しくも振り下ろす形の指示であったスターチとは対照的に、下されていた手で相手を指差するような形であり…それがピタリと定まるとほぼ同時、発動を決定づける最後の言葉が紡がれた。
「アーティレート…フルバレル!!」
直後、セキアの眼前より多数の魔力弾が生成され、襲い掛からんとしている多数の火球を迎撃せんと次々と打ち出されていった。

>スターチ セキア レイ ALL

9ヶ月前 No.428

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ソイエル遺跡】

剣になった私を前よりも使い慣れたように振り回セキアさん。きっとこれは、私の力だけじゃない。
セキアさんが私を信じてくれているから
でも、いくら波長が合っていても、力の差が歴然で、スターチさんの魔法に囲まれピンチになってしまった。

「セキアさん、私を天に掲げてください。うまくできるかわかりませんが、この魔力を刀身に吸収して見ます…。」

今、私は所有者であるセキアさんから魔力を少しずつ吸収している状況、だけど、今セキアさんからこの魔力を所有者として切り替えることでこの魔力を吸収できるはず。

≫セキア スターチ

【???:ソイエル遺跡上空】

「まったく、あいつら私の警告を聞くつもりはないのかねえ…。ここにあの子達を連れてくるなってあれほど……。
まあ、魔武器の方は本当の力に気づいていないみたいだし、あいつらもどーせ知らないだろうし、いいか。
しかしこれ以上この場所で暴れられるのも困り者だねえ…めんどくさいけど、ちゃっちゃと終わらせるか」

遺跡の上空を不自然に漂う雲の上に寝っ転がるながら水晶玉を覗く、一人の女性。ブツクサと文句を言うと、謎の言語で呪文を詠唱し始める。
すると終焉の間にいる全員に異変が起き始める。それは徐々に魔力が使えなくなっていると言うことだ。いま魔力同士がぶつかっている状況で、魔力切れのような現象が起これば争いは自然と収まるもの、腹が減っては、ではなく、魔力なければ戦はできぬ


≫終焉の間All

9ヶ月前 No.429

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★d660PdFGJk_qTF

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7ヶ月前 No.430

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_ly4

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

(そう…来ると…)
壁とも見まごう多数の魔力弾は、狙い道理に火球群を相殺し、大穴を穿つものの、紙一重で射線から退いたスターチからは『甘い』と一蹴される事となった…『想定していた通り』に。
(思っていた!!)
大技という物にはインターバルという物が付き物であり、当然ながら先の魔術も大技に分類されるものであった。
故に即座にこちらへの警戒度を下げ、眼前のセキア達へ再びの火球群を撃ち出さんと制御に集中し始めたのは真っ当な判断であろう。
…そしてその僅かな隙こそが残された最後の勝機であった。
(こいつで…決める…っ!!)
先の大技を囮に、隠蔽魔術を発動させた外套の下で密かに作り上げた一発の威力重視の魔力弾…とっておきの最後の切り札を切ろうとしたところで突如変化が訪れた。

「っ…なん…」
呻くように漏れ出たその声は最後まで紡ぐ事すらかなわず…状況を認識する間すらなく崩れ落ち、倒れ伏す。
(これも読まれて…いや、違う…こいつ…は…)
ただの一瞬で起こった状況の変化だが…それはクリティカルにささってしまったようで…その瞬間で視界を始めとした五感を即座に刈り取り、わずかに残された思考力でさえもそのショックでほとんどマヒしているような状態へと陥る事となった。

…今の本人に走る由もないだろうが…とうに限界を超え、酷使してきたその体は普通であれば動くことなど叶わないような状態であった。
にもかかわらずここまで動けたのは種族としての特性…無意識ながらも魔術による補正で無理矢理動かしていただけに過ぎず、相応の魔力を消耗し続けていたからなのだ。
…そしてその原動力である魔力であるが…これも度重なる魔力の放出により真っ当な術師であれば危険域と言える程に消耗している状態で、余裕などあるはずもなかった。
それでもなお動けていたのは…ひとえに遺跡に漂っていた魔力と、交戦の余波で消費しきれずに、拡散していった雑多な魔力を異能により吸収していたからであり…それが突如として消失した以上、こうなるのは必然としか言いようがない。

(クソッ…こんな…ところで…)
いくら毒づいたところで死に体となったその体は動くはずもなく…辛うじてできる事と言えば朦朧とした意識をどうにか繋ぎ止める程度であった。

>スターチ ALL

【いいですとも!!…と言っておきながらいきなり瀕死ですが!!…なんにせよコンゴトモヨロシク】

7ヶ月前 No.431

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ソエリス遺跡:終焉の間】

セキアさんが私の提案に賛同して剣を天に掲げた瞬間、私は周りにあったスターチさんの火球の魔力を吸い取り攻撃に転じようとした。

が、急に吸い取ったはずの魔力が消え、レイは強制的に人の姿に戻されてしまった。
あれ、失敗?と思っていると、スターチさんも次に放とうとした攻撃ができなくなり、エルトさんも他の人も、まるで、全員が同時に魔力切れをしたかのように、何もできなくなった。

「これはいったい…………っあの……いったい何が起きているのかわかりませんが、とりあえずここから出ませんか?
スターチさんたちも……これは魔武器としての勘ですが、ここでこれ以上暴れることは、スターチさんにとってもよくない事のような気がするんです。」

倒れかけているエルトさんの身体を支えながら、スターチさんに問いかける。お互い攻撃ができないのなら、一時休戦という形を取るしかない、レイはそう考えたのだ。もし断られたら、なんてことは、レイは考えてもいなかった。

≫スターチさん エルトさん all
(おおー……よかった。また…またお話を進めることができて私はとても嬉しいです。
これからもよろしくお願いします!!)

6ヶ月前 No.432

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★wSv7mWvkzK_xGQ

【レイニア&ノイ&セキア&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ソエリス遺跡/終極の間】

「あはは、レイさんの意見に賛成です。でもー、さすがにこのまま
というわけにはいきませんねぇ。ちょっと拘束させてもらいます。暴れないでくださいねぇ」

どこから取り出したのだろうか、手錠の輪っかに指を入れたレイニアは
それをクルクルと回しながらクラウズに迫る。
しかし、彼はそれを気に留めず懐から
煙草とマッチを取り出すと、ゆうゆうとそれをふかし始めた。

「なぁ、エブ記32章で唯一神フォルなんちゃらがなんて言ったか知ってるか?」

マイナーな聖典の一節を聞かれて、思わず足を止めるレイニア。
その瞬間を見越したかのようなタイミングで
クラウズの手から放たれた鉄球がころりと彼女の足元へ転がる。

「捕まってたまるかコノヤロウ、だよ」

してやったりと言わんばかりの獰猛な微笑みをクラウズが浮かべた刹那、それは炸裂した。

「のおっ!? なにこれっ…煙球!?」

灰煙。それも濃い一色が視界を埋め尽くす。
それはものの数秒と経たずにこの広間全体を覆い尽くすまでの広がりを見せた。
予想通りの反応を見せるセキア。煙の中に目を凝らすノイ、
思わず袖で口を覆う鶴羽、後ろ手にエルトをかばうシスメ。
一同が硬直した瞬間を見逃さず、クラウズはスターチの手を引いて走り出した。
だが、鶴羽はこれを逃さんとばかりに手に白い札を握る。

「カカ、魔術を無効化し、視界を奪った程度で
ワシから逃れられるとでも思っ――なんじゃ、レイニア。またお主か」

今まさに投げ放たれようとした白い札はレイニアの手によって制された。
怪訝そうな表情の鶴羽にレイニアは笑顔で手をヒラヒラと振る。

「あはは。はい、またです。しばらく泳がせましょう」

レイニアの意図を理解できない鶴羽は今だ眉を吊り上げたままだったが、
彼女の手のひらの上で赤く点滅するアイコンを表示させた端末を目にした途端
「なんじゃ、そういうことか」とふっと肩から力を抜いた。

「案内サンキュー、国家隊員の諸君! ここまで来りゃ出口まで一直線だぜ、あーばよー!」

十分な距離を置いたのを確認してクラウズは
最後の言葉を述べると、そのまま一目散に暗闇の中へと姿をくらましたのだった。
それを見送ること数十秒、ようやく煙が晴れてくる。

「まんまと古典的な手にひっかかりましたねー。いやはや煙球とは恐れ入りました」

わざとらしく肩をすくめるレイニア。
彼女の手の中ではいまだに赤いシグナルが点滅し続けていた。
こうして、けして小さくはない犠牲と、
大きな謎を残したまま波乱の幽霊退治は幕を閉じたのだった。

【長らくお待たせしてすみませんでした;
これにて遺跡探索イベントは終了となります。次レスよりフリータイムに入ります。
小イベント等なにか案ございましたらサブ記事にてご相談くださいませ】>レイ、エルト、ALL

5ヶ月前 No.433

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★BXMwGev4Ow_Fri

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5ヶ月前 No.434

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

あの遺跡から無事に脱出できた、あれから数日が経ち、休日をもらったレイは一人、自分が所有する庭園に来ていた。
この庭園はただの庭園ではなく、エルフやドワーフの庭園業者に作ってもらった、セキュリティ魔法が施された庭園。登録された人間以外は、入ることどころか、この庭園を見ることさえできず、ただのボロボロの空き家にしか見えていない。
そしてここに登録されているのは、所有者であるレイ本人と、セキアさん、エルトさん、鶴羽管理官、シスメさん、のレイが信用した人間の数名だけである。

庭園の薬草畑でいくつかの薬草を採取する。

「…………」

庭園の手入れをしながら、レイは、遺跡での、スターチさんとみたあの壁画について考えていた。もしあれが本当のことなら…
きっと例のあの人たちの目的は……。

>> All

5ヶ月前 No.435

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_FNM

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

物静かな…等と言うにはややあわただしく…時折『パタパタ』と小走りで急ぐかのような足音や、やや控えめな話声等が時折聞こえる一室にて、ベットから1つの意識が覚醒する。
「…ここは…病室…なのか?」
数秒の間を空けながらも、かつてよく見知った雰囲気や匂いなどからそう当たりをつけ、周囲を確認するためにも上体を起こそうとするが…
「…っ!?」
…どういう訳かそれは叶わず…軽く身じろぎした程度でそのままベッドの上で横たわったままと言う結果に終わる。
(…これは…ああ、そうか)
困惑しつつも原因を探ろうと考えた所で…ようやく働き始めた思考が以前の状況を思い出し、同時に現状に関してもおおよその事を察する。
(またやってしまった…か…)
…初任務である件の遺跡調査では少しばかり…実際にはかなりと言ってしまっていいのだが…無茶をしすぎたせいで身体の方がまともに動くのを拒んでいるようだ。
まぁ無理をすれば動けないと言う事もないのだろうが…そうしたとしても結局の所問題の先送りにしかならず、その時にツケを回してしまうととんでもない利子を払わされることになるため、無茶はせずにこのまま休んでしまうのが妥当な所だろう。
(…あの後どうなったのかは気になるが…こう暢気に休めてる以上緊急な事態にはなっていない…筈だ)
冷静にそう考え、ひとまずはもうしばらく体を休める事に決めた。
(…その、はず…なんだが…むぅ)
…決めたのだが…一度落ち着いてしまい、暇を持て余してしまうとどうにも先日の結果が気になってしまい…体はともかくとして頭の方はまるで休める気がしない。
(いや、休むのも仕事のうちだ…余計な事なんて考えずに…しかし…)
分かってはいても納得はしきれず…悶々とした感情を燻ぶらせながらもただ静かに時間を浪費していくのであった。

>ALL

5ヶ月前 No.436

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★vdRZGiUquJ_Fri

【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

ベッドの衣擦れの音から、ちょうど鶴羽の背後に
位置するベッドの者が目覚めを察知した鶴羽は
登頂に生えた狐の耳を小さく動かすと背後を振り返る。

「起きたようじゃな」

鶴羽の言葉に、ちょうどタロットカードに手を伸ばしかけていたシスメの肩が小さく跳ねる。
「ちいと失礼するぞ」とシスメに断りを入れた鶴羽は
カラカラと車椅子を移動させてベッドに近づくと「ワシじゃ、鶴羽じゃ。入るぞ」と
一声かけてからそこを覆うカーテンを軽く手で払い、囲いの中に入る。

「気分はどうじゃ、エルトや」

相手の覚醒を再確認した後、小さく声をかける。
見たところ、顔色はここへ運び込まれた当初よりも
良くなっているとはいえ、その表情から濃い疲労が見て取れる。
彼の診断結果は急激な魔力の消耗と、循環の悪化による軽い衰弱であることが判明した。
軽度とはいえ、魔力循環の悪化は血液の流れが止まるのと同義だ。
もう少しあの遺跡が出るのが遅れていたら、手遅れになっていた可能性もある。
恐らく彼も、どうして目を覚まして最初に見たのが医務室の天井だったのか、
自分の身体のことだ、鶴羽よりも如実に理解していることだろう。
ここまで考えて さてと、と鶴羽はカーテン向こう側にいるだろう人物の影が
面白いくらいにおろおろと蠢いている様を見てため息をつくと、
カーテンの切れ目から手を突っ込み、彼女の手を掴むと強引にこちらへと引っ張り寄せる。

「これ、なに珍妙な影遊びをしておる、シスメ。お主もこっちにこんか」

「うえぇ!? あ……、ど、どうも…その…どうも…」

よほど慌てていたのか一枚のタロットカードを
手にした格好のまま、シスメはカーテンの隙間から顔を出す。
エルトと目が合いそうになると必死に視線を自分の足元へ反らした。
そんな彼女の様子をため息で見送った鶴羽は、
最初から隠す気もないのか、二人に見えるようにやれやれと首を振る。

「話せるくらいには回復しておるのじゃろう?
どうじゃ、ゆっくりとでいいから口を動かしてみい。それとも口がしびれて話せんか?」

>エルト、ALL



【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

月灯りが突如としてここに現れた庭園を闇夜にぼうっと浮かび上がらせていた。
いや、突如ではない、ちょっと語弊がある。
なんせこの庭園の増設には少しだけ自分も関わらせてもらった。
無論、候補教育官の立場から。本当にちょっとだけ。あくまで土地の使用許可くらい。
しかし、彼女の花に対するその行動力には正直、驚かされた。
僅か数日で、ここまで立派なものがルナ区画に出来てしまうとは。
モチーフとしては花の鳥篭だろうか、いや、花篭…?とレイニアはとりとめもなく考えた。
あるいは優しさだけを詰め込んだ宝箱、なのかもしれない。
少し歩けばどこぞの王国の姫様が奥でうたたねでもしていそうだ。
幻想的な雰囲気がそうさせてしまうのか、ガラにもなく乙女チックな感想を抱いてしまった。
ランタンがわりに傍に侍らせた、光の蝶が先導するかのように庭園の入り口を指し示す。
どこからとりだしたのか、真鍮製の小さなハンドベルをチリンチリンと鳴らして
来客の存在を彼女に知らせる。

「お邪魔しまーす」

妙に間延びした声で庭園へと踏み込むレイニア。
その手には小さなバスケットが握られていた。

「んー…? おかしいですねぇ…ここってこんなに広かったでしょうか」

花の匂いが亜人の嗅覚を惑わせ、方向感覚までも鈍らせる。
目が見えない代わり、ほぼ嗅覚と聴覚に頼って生活する日々だ。
日ごろから頼りとしている僅かな感覚器官の一つが無効化され、
ちょっと、どころか大幅に調子が狂う。
やはりお供にノイもつれてきたほうが良かったかもしれないと、
後悔するが、もはや後の祭りである。
白杖で周囲を探るのだが、どうにも鉢やら花やらに触れて傷つけてしまいそうで気が引ける。
新居にお邪魔する友人はこんな気持ちなのだろうかと、のほほんと思う傍ら、
このままいけば庭園で遭難してしまうのではという新たな懸念が首をもたげる。
とにかくレイニアは小さくハンドベルを揺らし続けた。
遭難云々はどうあれ、このバスケットの中の中身だけは彼女に届けなければならないのだから。

「わー、きゃー♪ 謎の食虫植物に襲われるー 助けてー レイさーん」

しかしその気の引き方はどうかと思うが。
もはや演技する気ないだろお前と言わんばかりの抑揚のない悲鳴が庭園中に響いた。

>レイ、ALL

5ヶ月前 No.437

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

薬草園の手入れをしていると遠くから、来客を知らせるベルが鳴った。誰だろうと思い、一度手を止め、入口のあるほうへと歩き出す。すると、聞き覚えのある助けを呼ぶ声が聞こえた。


「大丈夫ですか?!レイニアさん!!」

右手を刀に変化させて駆けつける。
そして気づいた、そういえばこの庭園に食虫植物は植えていないということに

「レイニア……さん?」

状況が読み込めず、ただ頭上にハテナを浮かばせ、佇むレイ。

≫レイニアさん
(絡みありがとうございますー」

4ヶ月前 No.438

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_FNM

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「…管理官?」
ベッドの上で悶々と気持ちを燻ぶらせていた所で、鶴羽に声をかけられたのに気が付いてそんなどこかとぼけた様な声が出てしまう。
それから間を開ける事無く鶴羽がカーテンを軽く払いながらもこちらにやってきた事を確認すると急激に意識が覚醒し、反射的に身体に魔力を巡らせて強化し、上体を起こして出迎える。
(むぅ…思いの外…きついな…)
なんと言う事のないたったそれだけの動作だったのだが、先日の消耗はやはり大きかったようで…一瞬だけ軽い眩暈のような物を感じながらも、表には出さぬよう努めてこちらの体調を訪ねてくる鶴羽に言葉を返すことにする。

「こちらはどうにか…少しばかり休んだ方が良いとは思いますが、大きな問題はないですよ」
…先日と口調が変わっているのを訝しまれそうな気はするが…なんだかんだで形式上は別の所属ではある物の上官に当たる人物である。
公共の場ではそれなりの対応という物をする必要がある…と、考えての事だ。

そんなやり取りをしていた所で、鶴羽が溜息を吐いた後、囲いの外から何か…どうやら同じ部屋に収容されていたのであろうシスメ…を引っ張り込み、会話に参加させようとし始めた。
「ああ…無事で何よりだ…ところでそれは?」
どこかしどろもどろな様子のシスメであったが…それよりも負傷の程度の方が気がかりだったのでさっくりと全身を見渡して、際立った者が無いのを確認し、安堵する。
…その途中露骨に視線をそらされたのにも気が付いたのだが…深く考えずに意識の外に追いやり、次いで手元で何かのカードに気が付き視線でそれを差しながらも問いかけてみた。

>鶴羽 シスメ ALL

4ヶ月前 No.439

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★QTG9lfjhkp_Fri

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

こちらの予測に反して、思ったよりも早く彼女は駆けつけてくれた。
ぱたぱたと不規則な足音をさせながら、植物の迷宮をかきわけてレイが姿を現す。
ひとまず庭園で遭難するという間抜けすぎる結末は回避できたようだ。
頭上にクエスチョンマークを表示させたまま硬直するレイに、
レイニアはいつもどおりの微笑を浮かべると、ひらひらと手を振る。

「あはは。どーも夜分遅くにすいません。それにしてもレイさん、ノリがいいですねぇ。
そういう人は大好きです。ディーくんにも見習って欲しいくらいですねぇ」

いまだ状況が把握できていない彼女に、
先ほどの三文芝居がブラックなジョークであったことを明かす。
しかし、レイニアはレイのリアクションが全くの素であることを知らない。
レイニアの小芝居にレイが合わせてくれたのだと勘違いをしたのか、ひどく満足げだった。
しかしこのままでは、静かな夜のひと時を邪魔したお騒がせな愉快犯で終わってしまう。
こちらの返答を待つかのように黙すレイに、
レイニアは左手のバスケットを小さく持ち上げてみせた。

「差し入れです。と言っても私からではないのですが〜、
その辺も踏まえてちょ〜っと話したいことがありますので、
ひとまず腰を落ち着けて話せるところにまで案内してもらえませんか?」

こういった庭園につきものであるテラス的な設備を期待したレイニアはレイに案内を請う。
というのも、実は彼女は、この庭園の完成披露には立ち会っていないのである。
いわば完全な初見…いや、レイニアの場合は初訪問であるからして、
この庭園に入って早々、道に迷うという失態を犯したのだ。

「あはは。申し訳ないのですがー…手、貸してもらえませんか?」

いまだ頭の中にこの庭園の全体図を描ききれていないレイニアは
杖を手首にひっかけると、その手をレイに向けて差し出した。

>レイ



【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

鶴羽の声に反応して。むくりと起き上がるエルト。
大きな問題はないと彼は口にしたものの、起きたばかりでそうなのかもしれないが、
普段よりこちらの声に対しての反応速度が芳しくないようにシスメは思えた。
知らず知らずのうちに袖を強く握り締めてしまう。瞳孔のチェックが済んだのか、
先ほどまで彼の顔を覗き込んでいた鶴羽が静かにベッドから身を引く。

「ふむ…嘘はついておらんようじゃな。
じゃが、無理いかんのぅ、エルトや。お主、今起き上がるのに魔力をつこうたじゃろう」

目ざとく体内の魔力の移動を感じた鶴羽は、
そう言って手にした扇で嗜めるように彼の顎を持ち上げる。
だが、すぐに表情を和らげた鶴羽は後ろで
あわあわするシスメの反応を密かに楽しんだ後、すっと彼の顎から扇を引く。

「まぁ良い、今日はここで夜を明かすが良いて。
しかしなんじゃな、お主もそうとう特殊な出自のようじゃな。
こんな身体構造の者など誰も診たことがないというもんじゃから、
診る前からどうなることかと思うたが…意識が戻って一安心じゃぞ」

ここで、ようやく鶴羽がここにいる理由が彼女の口から語られる。
ここはそれなりに医療の発達した国で、魔術の産物的な住人もいることから
それなりに魔術絡みの生物についての医学にも理解がある。
だが、自然発生したものや、一般的に普及している魔術により製作された者ならともかく
独自の身体構造、いわばオリジナル、希少な、もっと端的に言えば製作者の趣味全開な
身体構造をもつ者であればそうもいかない。
既存の大枠に当てはめた魔術生物の医療知識など何の役にも立たない。
であるからして、薬学の知識から過去にそういった特殊な種族の診察経験をもつ
自分が呼ばれたと言うわけだ。
と、いきさつを話す傍ら、エルトがシスメの手にあるカードに興味を示す。

「あ、これはその…」

「たろっとかーどじゃよ。皆の意識が回復するまでの間、暇じゃからのぅ。
これで占いをしとったんじゃ。どれ、シスメなにが出たんじゃ?」

若干、まだ己の内にためこんだ何かと葛藤しているシスメは
口が重いらしく仕方なくその言葉を鶴羽が引き継ぐ。
鶴羽が促してやるとシスメは裏向きのカードをこちらに見えるよう掲げた。

「えっと、これは……吊られた男?」

カードの表面に書かれた文字を読み上げるシスメ。
しかし、彼女の手の中にあるカードは反対の向きに握られていた。
途端に鶴羽の眉間に小さく皺が寄る。

「逆位置じゃのぅ。うむ…なんというか…あれじゃな」

「え? えっ、なんなんですか、その反応は…ど、どういう意味なんですか?」

言葉を濁した鶴羽に何かを感じ取ったシスメは恐る恐るといった様子で彼女に訪ねる。
どうやら嫌な予感は的中したらしく…

「吊られた男の逆位置の意味はのぅ。犠牲、無駄、盲目、失敗じゃ。
今まで重ねた努力や苦労が無駄になったり、
さらに抱えとる問題が大きくなることを暗示しておる。
つまり、同じ方向ばかりでなく別方向にも目を向けろと言うことじゃな。
普段のお主にも言えることじゃが…お主、一つのことに固執すると周りが見えなくなるじゃろ」

「うぐ…」

無意識なクリティカルヒット。いまだシスメの胸中に蠢く何かと関係があるのだろう。
カードの解説をする鶴羽の言葉は、鋭利な刃物となってシスメの心に
ざっくりと突き刺さったようだった。意気消沈するシスメをよそに、
鶴羽はシスメのカードを回収すると再び他のタロットカードと共に混ぜ始め、
扇子を広げるかのようにカードの表面を下向きにしてエルトの方へと差し出す。

「エルト、お主もどうじゃ? 確かお主、あるかないざぁとかいう武器を使っておったじゃろ。
何か不思議な縁というか、関連性を感じずにはおれぬ。なぁに軽いリハビリじゃよ。
もし手を動かすのがつらいなら右から何番目とか口で言うてくれれば、ワシが代わりに引くぞ」

>エルト、ALL

4ヶ月前 No.440

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

「ああ、そうだったのですね。とにかく無事でよかったです。」

相手の悲鳴がジョークだったと知り、ただ相手の安否にホッとした。
そして相手の差し入れだというバスケットを見ると嬉しそうに微笑み

「座れる場所ですね、でしたら、すぐ近くにあるのでご案内しますね!」

そういうとレイニアの手を取り、近くにあるテラスへと案内する。テラスへの道へは藤棚があり、とてもいい香りがする。

「レイニアさん、どうぞこちらに。今お茶いれますね」

レイニアさんを、テラスに置いてある白い椅子に案内して、座らせ、テラスに置いてある給仕セットでお茶を入れる

≫レイニア

4ヶ月前 No.441

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_FNM

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「それは…その…」
誤魔化したかった部分を的確に指摘され答えに詰まる。
この時点でほとんど白状しているような物なのだが…視界の端でなにやら慌てているようなシスメにまでそれを悟らせては余計な気づかいをさせてしまいそうなので、どうにか頭をフル回転させて上手くやり過ごすようなセリフを考えようとはしたものの…
(っ!?…これ…まず…)
…即座に襲い掛かった頭痛と視界が歪むような感覚を覚え、即座に思考を放棄…なけなしの根性と気力を総動員して外観上の平静を保つことに努める。

その間、何やら鶴羽は扇子をこちらの顎に滑り込ませ、こちらの顔色をさらに探るような事をしていたようだが…気が付いた時には既に表情を緩め、追及の手を緩ませたようだったが…
「そ…その…我々が居たのはなんと言いますか…外より隔離された環境だったので…」
一呼吸置く間もなく『そうとう特殊な出自』と言われた事について言い訳がましい事を口走る…別に追及されているわけでもないのだから適当に相槌でもうってればいいと考えなくともわかりそうなものなのだが…先の眩暈に日和った思考放棄と対人不足が合わさったなんとも情けない反応がこの有様である。

深く突っ込まれる前に、先ほどシスメが所持していた紙片…タロットカードに話が移ったところで、これ幸いとそちらの話題に無理矢理移行する…そんな事をしても問題の先送りにしかならないのだが。
「…う…占いは所詮占いだから…」
…その結果…結構容赦のない指摘をされ、意気消沈するシスメにそんな言葉をかけ、慰めようと試みたが…この短い付き合いでも思い当たる節があったのもあり、どうにもうまい言葉が出ない…恐らくは視線を合わされようものなら即座に明後日の方向に逸らしてしまうであろうと言うレベルだ。

「そ…それなら左から3枚目を…」
一応良くない流れだと察知する程度の感性はあったようで、どうにか話題を変えようと、鶴羽に提示されたタロットを口頭で示す。
少々強引すぎるかもしれないが…意気消沈した様子のシスメも暗い話題よりかは先のわからない新たな話題に気を向ける可能性が高い…かもしれないと信じて…

>鶴羽 シスメ ALL

4ヶ月前 No.442

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★png7KYI85v_DZn

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

ひんやりとした感触のレイの手に引かれて、レイニア・ベルダーは歩き出す。
テラスへの道中、甘い藤の香りが鼻をくすぐった。
感じた香りの総量と位置からいって、これは藤棚だろうか。
藤棚とは藤のつるをはわせて垂れ下がる花を観察できるようにしたものだ。
恐らく、頭上は淡い紫色のカーテンがかかったようになっているのだろう。
結構な年月を経た今となっては目が見えないことに
別段不自由を感じたことはなかったが、珍しく損をした気がしないでもなかった。
と、別の方向に意識を反らしてはみたのだが…

「あはは、すみません。
ノイちゃんがいればこんな面倒はかけなかったんですがー、ちょうど今、別の用事を頼んでまして」

申し訳なさからそんな言葉が口をついて出てしまう。
思えば、ノイ以外の誰かに手を引かれるという経験はそんなにない。
ガラにもなく、どことなく気恥ずかしいものを感じる。
そうこうしているうちに、藤棚のゾーンを抜けたのか独特な甘い花の香りが遠いていく。

「ありがとうございます。では、失礼しますねぇ」

さほど歩くことなく目的地に到着し、レイが椅子のところまで案内してくれたので、
一言断りを入れてからレイニアはそこへ腰掛ける。
ほどなくしてこぽこぽと何かが注がれる音が聞こえた。
恐らく、お茶の準備をしてくれているのだろう。
それならばと、こちらも準備をしておこうと持ってきたバスケットの蓋に手をかける。
ごそごそと目的のブツを探してバスケットの中をレイニアの手が移動し、
やがてお目当てのものに手が触れる。

ひんやりとした、鉄の感触。
レイがポットを置くのを待って、レイニアは音も立てず彼女の背後へ近づき、
引き金に指をかけると、そのままソレを彼女の無防備な背中へと突きつけた。

「そちらを向いたまま手を上げてください。
やー、実はちょっと貴方にいくつか聞きたいことがありまして」

能天気な声とは裏腹に、
そうレイに命令するレイニアの声から伝わる感情は完全に熱を失っていた。

>レイ



【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

彼の素性について触れようすると、彼らしからぬ…いや、これが恐らく素なのだろう
目に見えて狼狽した様子を見せた。嘘は得意としないタイプであるのはなんとなく理解していたが、
万全な状態の彼であればもう少し上手く取り繕うことが出来たはずだ。
口に出さずとも、明らかに何かありますよと明言しているようなものである。
しかし、タロットカードの話にすぐに食いついたあたり、
話題の転換を図ろうとしていることから、彼にとってこれは触れて欲しくないことなのだろう。
こちらとしても病床に伏している相手を捕まえて根掘り葉掘り聞くのはフェアではないと感じたのか、
それ以上の追求は控えた。
一通り彼の表情を確認した鶴羽は、エルトの宣言どおり、彼から見て左から三枚目のカードを抜き取る。

「ほぅ…面白いのが出たのぅ。じゃが…ふむ、そうか…」

即答できないほど悪い結果か、カードの解釈が難しいのか、はたまたその両方か。
再び神妙な面持ちで唸る鶴羽。先ほどの自分のこともあり、
何とか彼だけでも良い結果が出るようにと祈っていたのだが、どうやらその祈りは届かなかったようだ。
良くない流れは伝染する。

「な、何のカードが出たんですか…?」

こちらも先ほどと同じく恐る恐るといった様子で再び鶴羽に尋ねる。
鶴羽はまるで正解を発表する前のクイズ番組の司会者のような
表情で数秒の間を置いてから、鶴羽は手元のカードをくるりと反転させた。

「愚者の逆位置じゃな。意味は確か…愚考、失敗、陳腐、無謀じゃったかのぅ」

既にマイナスなワードが並んでいるあたり、
どんな結果か予想はつきそうなものだが、シスメは固唾を飲んで鶴羽の言葉を待つ。

「えと、逆位置ってことは……また嫌な予感がするんですけど…つまり?」

「指し示すところは…この場合そうじゃのぅ…
自分の気持ちや考えを主張することができず、周囲に呑まれて成り行きに任せてしまったりじゃな
状況の変化が怖く、思い切った行動が出来ずにタイミングを逃し
状況が悪化する……――といったことを指しておる。
つまりじゃ。もっと我を出したほうが、良い方向に進むということじゃろうな」

ここでちらりとエルトの顔を窺う鶴羽。
何か良からぬことでも企んでいるのか、
着物の袖先に隠された口の端が僅かに吊りあがるのが見えた。

「何か思い当たる節があるのではないか? のぅ、エルトや。否……」

手にした愚者のカードでエルトを指す示した鶴羽はしかし、しばし何事か考え込むようなしぐさを見せた。
やがて、エルトを指し示した愚者のカードを引っ込めると、それをすっとシスメの鼻先へと移動させる。
突然こちらに矛先が向いたことに驚いたのか、何事かとシスメは鶴羽の顔を見返す。

「これはお主にも当てはまることじゃのぅ、シスメ。
お主がさっきからそわそわしておるのはこやつに何かいいたいことがあるからじゃろ?」

「そ、それは……」

キョトンとした表情から一転、鶴羽の指摘が図星だったのか言葉に詰まるシスメ。
入室したときと全く同じ調子でやれやれと鶴羽は首を振ると、
いまだに無駄な足掻きを見せるシスメに質問を投げかける。

「違うのかや?」

「その…まぁ…そうですけど…うぅ、わかりました…言います、言いますから…」

ついに鶴羽の追求をかわしきれずシスメは陥落した。それにしてもひどい狼狽っぷりである。
彼女の嘘は見ていて痛々しさすら感じる、と思えるほどに。

>エルト

4ヶ月前 No.443

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRF

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「む…むぅ…」
鶴羽から示され、解説されたカード…愚者の逆位置について聞かされて思わずうなる。
(…み…耳が痛いな…これは)
確かに思い当たる節が無いわけでもない…と、言うよりも大いにあり…その自覚もあるのではあるが…『我を出した方が良い方向に進む』と、言われてもイマイチピンとこないと言うべきか…我を出す自分と言うのが想像できない。
考えている内にも追撃のように『思い当たる節があるのではないか?』と問われるが…まったくもってその通りなので反論のしようもなく、表情にわずかながら苦いものが混じる。

「…言いたい事?」
そうして少しの間考え込んでいたところで突如話題の矛先を変えた鶴羽のその言葉に反応する。
問われた本人は何やら渋るような素振りを見せているようで…なんだか無理にきくのも悪い様な気がしてしまい…
「あー…言いにくい事なら無理に聞こうとは思わないが…なんなら後日と言う事でも…」
などと鶴羽の焚き付けやシスメの観念を台無しにするような逃げ道を提示してしまう…本人に悪気はない…どころか善意ではあるのだが…

>鶴羽 シスメ ALL

4ヶ月前 No.444

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

「レイニアさんが来ていただいて良かったです。実は今日とてもいい紅茶を頂きまして、一人で飲むのも味気ないと思っていたところなんです。今お持ちします……ね?」

お茶をカップに注ぎ、さあ持っていこうと思ったその時、背中に何かが当たる。そしてレイニアさんの声がすぐ後ろから聞こえ、これもブラックジョーク?とも思ったが、違う。

魔武器だからわかる。背中に当てられているその冷たい鉄の銃口。レイニアさんの明るい声とは裏腹に伝わってくる緊迫感
レイはその場に固まり、言われた通りゆっくりと手をあげる

「あ、あの……聞きたいことがあるならちゃんと答えますから、その銃を降ろしていただけませんか?私は逃げません。
たとえ私がこの場で武器化したところで、お粗末なものにしかならないことは、レイニアさんもご存知のはずです」

いつも通りセキアさんやレイニアさんと話すようなトーンで、落ち着いて対応するレイ。実はこの手のことには慣れているレイ。
国家隊に入るまで、幾度もこの手のことにあってきた。

>>レイニアさん

4ヶ月前 No.445

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★F1lBuaz0NJ_DZn

【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

うなるエルト。その表情の中には苦みと疑問が同居している。
我という言葉がしっくりこないのだろうか。
確かに彼の性格上、それはすぐには難しいだろう。
いわば無茶ぶりに近い注文だ。キャラの崩壊とも言い変えていい。
思考を放棄するという選択肢には行き着かないのか、彼は苦々しい表情のままだ。
このままではどこぞの石像みたく考えるポーズで固まってしまいかねないと思った鶴羽は助け舟を出す。

「我とは言い換えれば欲じゃな。あまり業突く張りなのも
考えものじゃが、無欲すぎるのも人としてどうかと思うわけじゃ。
生きるのに最低限必要な欲以外にも、別の欲が人にはあって然るべきなのじゃ」

思わず、苦笑いが出る。
所詮は占いだからとシスメを慰めた彼も見事に占いの結果に囚われているように見えた。
これは彼の入隊志願書を見た鶴羽だから知っていることだが、
本当の歳相応にそこは純真なのかもしれない。

「お主にはあまりそれがないのではないか?
まぁ、とはいえワシもお主のことをとやかく言えるほど
お主について知っておるわけではないがのぅ」

そう言い終える頃、カーテンの隙間からひょこっと紫色の花弁が覗いた。
入隊試験のときと遺跡調査の際にもいた人花の少女だ。
見覚えのあるエルトの顔を見つけると「お勤めご苦労だがね」と言わんばかりにビシッと敬礼する。
どうやら鶴羽に用があるらしく彼女を手招きすると二人連れ立ってカーテンの向こう側へと消えた。
残されるシスメとエルト。
彼は話しにくいことなら言わなくていいと言ってくれたのだが、シスメは首を横に振ってそれを断る。
気まずさに少し視線をそらしたシスメはぼそぼそと切り出す。

「いえ、話させてください。
……その、どこからお話していいか分からないのですが」

そう早口に前置きしたシスメはぐっと拳を握り締め、反らした視線を元に戻す。
そのまま――

「すみませんでした」

エルトに深々と頭を下げた。

「あの遺跡での一件……私は、ちっぽけな自尊心を守ろうとして
結果、お二人に…エルトさんとデウスさんに無理をさせてしまいました」

頭を下げたまま、言葉を紡ぐほど出づらくなっていく声を絞り出す。
まだ、大丈夫。

「私は…人間です…ただの。もっと弱い自分を自覚して、
お二人と最初から協力してことに当たっていれば…こんなことにはならなかったかもしれません。
周りがすごい人ばかりで…いつの間にか、自分にも同じ力があると思い込んでいたんです。
本当は全然、そんなことあるはずないのに。勝手に一人で焦っていたんです」

ようやくここで頭を上げる。エルトの顔が視界に入ると、さらに声が出しづらくなるような気がした。
しかし、口はまだ動いてくれた。良かった、話せる。まだ、平気だ。

「だから…」

だが、ここまで来てもう駄目だった。押さえ切れなかった。
視界が滲む。ぼろぼろと目から涙が零れ落ちる。

「だから…この隊で…もう少し一緒に…頑張らせてもらってもいいですか?
今度はもう…あんな無茶はしませんから」

>エルト




【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

彼女は素直にこちらの要求に従い、手を上げてくれた。
そして、逃げるつもりはないから銃を降ろして欲しいと言う。
普段のレイニアなら、彼女を第七候補隊の候補官として接するなら
そうしたであろうが、今回は首を縦に振らなかった。

「あはは。何か勘違いしているようですねぇ。これは質問ではなく尋問です。
それに、銃を突きつけられて落ち着いていられる人ほど怖いものはありませんからねぇ
念には念をというやつです。私の性格は知っているでしょう? さて……」

語気は強めず、まるで昼下がりのティーパーティーで
日常会話でもするかのように、静かに捲くし立てるレイニア。
レイニアの言葉の通り、レイは緊張に身体を硬くしているようであったが、妙に冷静だった。
彼女の経歴は調査済みだ。
以前にも似たようなことがあったのだと、同じような場面に何度も遭遇しているのだと
想像し、同情し、共感もできるが、それが銃を下ろす理由にはならない。
そのまま続ける。

「貴方に、この間の事件への関与が疑われています」

銃を突きつけたまま、事務的な口調でレイニアは今回このような行動に出た理由を口にした。

「あの任務中、どうやら貴方は事件の首謀者である
神父風の男と修道女……――確かレヴァーンの異端審問官でしたっけ。
その二人組と長い時間行動を共にしていたらしいですね。それも妙に親しげだったとか」

遺跡内に残っていたもの。監視カメラは壊されて全滅していたが、
壁の中に埋め込んだ音声記録の魔法陣がその事実を明らかにしてくれた。

「加えて、もう一つ。そのバスケット、誰からの差し入れだと思います?
実はー、私の机の上に置いてあったんですよ。宛名が貴方の手紙つきで。
なにやら約束を守れなかったお詫びだとか何とか書いてありましたが……ま、そんなわけでして」

銃を背中から放したレイニアは時計回りに移動して
レイの側面へ身体を移動させると、彼女のこめかみに銃の照準を合わせた。

「捕縛命令が下りました。グレブスリー処断官から。
貴方を即刻自分のところにまで連れてくるようにと。発砲の許可も降りています」

そこまで言ってレイニアは引き金に込めた指の力を強くする。
なんの冗談か、結果 引き金は引き絞られ―――




ポンッという間の抜けた音と共に、銃口に鮮やかな赤色の花――ジニアが咲いた。

「――と、まぁ、これくらいのことしますよ、グーくんは」

ひょいと銃口からジニアの花束を抜いたレイニアは
レイにそれを握らせ、静かに椅子に座りなおす。

「すみませんねぇ、二番煎じなことをして。
でも、貴方には自らをとりまく状況を少し理解しておいてほしかったんですよ。
話す約束をしたじゃないですか。貴方と因縁のある軍服の男について」

そして、事も無げにそう言ったのだった。

>レイ

4ヶ月前 No.446

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

レイニアさんは銃を降ろさず、そのまま要件を言ってきた。この落ちつきは逆効果だった…と少し後悔しながら、相手の話を聞く。

要件は、この前の遺跡で、会ったクラウズさんとスターチさんとの繋がり、つまり二人の仲間ではないかという疑いであるとのこと。

「……調査の後、説明したと思いますが、あの二人とは偶然会ってあの時が初対面です、遺跡で遭難したとのことだったので、出口まで一緒に同行しただけです。」

と、こちらも事務的に会ったことを正直に話す。少し言い訳っぽく聞こえるかも知れないが、まぎれもない事実なので、こういう以外が浮かばなかったレイ。

そして、レイニアさんは、私に捕獲命令が出ているという。バスケットを送ってきた人、グレブスリー処断官が、私に出頭するように、と言っているらしい。
その名前を聞いた瞬間、あの仮面の少女に見せられた、会議の映像、そして、忌まわしい一族が滅ぼされ母を殺されたあの日の光景がフラッシュバックする。

もしここで拒めばきっと自分にとっても、そしてレイニアさんや他の人にとっても不利な状況になってしまうことは、考えるまでもなくわかる。しかしレイニアさんは私の隣に立ちコメカミに銃口を向け、発砲

それには冷静を保っていたレイも、驚き目を丸くする。しかし、銃口から放たれたのは弾丸ではなく、綺麗なジニアの花束。

未だに状況がつかめず、また目が点になるレイ。
そしてレイニアさんからの説明でなんとか理解した。とりあえず発砲許可などは、嘘なのだろう。ということは

「びっくりしました…発砲許可が出ているとは言え、それは抵抗したらのはず。レイニアさんは抵抗もしていない相手を撃つような方ではないと思っていたので……すごく綺麗なジニアですね。」

そして再び椅子に腰をかけた相手を見て安心して、今入れた紅茶をテーブルに置き、ジニアの花束をテーブル上の花瓶に入れた。

>>レイニア

4ヶ月前 No.447

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRF

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「欲があってしかるべき…か…」
年の功…などと言うのは大いに失礼なのかもしれないが…こちらの心情をほとんど正確に読み取ったその言葉に、思わずそう呟く。
…本人は見透かされている事に気が付いていないのだが…それでもかけられた言葉は衝撃的で、深く考えさせられることになりそうだ。
(確かにその通り…何だろうな…だが…)
確かに欲に従い過ぎ、破滅への道をまっしぐらに進むような愚か者もいるではあろうが…それでも人類がここまで発展したのには鶴羽の言う通り一種の欲から来る部分も大いにあったのだろう。
…変わろうとしないものが変わる事などそうそうあるはずもなく…『欲』という物は良くも悪くも変化を望む原動力としては十分になりえるだろう。
(俺に…そんな物が許されるわけが…)
思い返されるのはかつての記憶…主の計画が潰え…自身の役目もまた露へと消え果てた忌むべき記憶。
…その光景に一人、知らず布団に隠れていた拳をきつく握りしめつつも、鶴羽の話を聞いていた所で…

(…あれは…確か…?)
なんだかんだでしばしば見かけている人花の少女が敬礼し…鶴羽の方を手招きし、連れだってそのままどこかに行ってしまった。
(別の仕事が押してきていたのだろうか…?)
などと考えていた所で、視線を逸らしつつも、拳を握りなおし…
「え…っと…それはどういう…」
視線を戻しながらもすぐに頭を下げ謝罪するシスメに訳が分からず、戸惑いながらもそう問いかければ、先日起こった戦闘に関しての事であり…
頭を下げた状態であったため、直接は見えなかったが涙ながらに訴えているであろう事は間違いなく…顔を上げ、すべて言い終えた時にはその瞳からはボロボロと涙が溢れていた。
「あ…あの状況だったら仕方なかったんじゃないか…とは思う…んだけども…」
終わりよければすべてよし…と言うのは楽観が過ぎるかもしれないが…少なくとも全員ここで5体満足に帰還できたのだから、それでいいのではないか?…と、言うのが本人の考えではあるのだが…
(…そんな答えじゃ満足は…できないよな)
言い終えてから『そうではない』と言う事に気が付き、改めて考える。
(…そうは言っても…どういえばいいんだ…?)
…が、ここでも響くのがやはり対人経験の圧倒的な不足…鶴羽どころかまともに生きているシスメにも事実上劣っていると言うその不足は焼き付け場などでは到底補えるはずもなく…
(…な…何か…何かないのか!?…ええい、ままよ!!)
泣いているシスメにおろおろしながらも浮かび上がったヤケクソな答えではあるが…何も言わぬよりは進展があるはず…と、意を決して言葉を紡ぐ。

「…そう…だな…なら次はもっとこう…戦闘に関しては信用してほしい…かな」
…今回なぜシスメが無茶を押したのかと言うと…彼女が言う通りに自尊心や思い上がり…などがあったのかもしれない…だがそれでも、手を出すまでもないと思っていたのであればわざわざ危険な事に手を出すことはなかったのではなかろうか?
実際にはそうではないかもしれない…だが、少なくとも今回の件を踏まえた彼女であれば、次回はそうはならないだろう…そう何度も今回のような事件に発展されてはたまったものではないが…
「…えーと…だからそうだな…それ以外の部分ではむしろ頼らせてほしい…かな…少なくとも…ここでの俺は…戦いしか能がない人形だから」
考えがまとまり切らぬ間に、急いで言葉を紡いだゆえか微妙にピントがズレているような気はするが…無理矢理答えをもってきて、そう纏めてしまう。
言ったこと自体に間違いはない…無いはずで、遠回しにはなっているが『一緒に頑張らせてもらってもいいか?』と言う答えにもこたえているはず…
…等々思考の片隅では考えているようだが…相変わらずオロオロした様子で何かを…現在はハンカチやタオルであろうか?…を探している様子なのでイマイチ締まり切ってはいないようで…

>鶴羽 シスメ ALL

4ヶ月前 No.448

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★Du9V22l7t4_DZn

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

緊張が解けたのか、彼女の心音が落ち着いていく。
さて、どんな言葉が飛んでくるものかと内心身構えていたのだが、
以外にも彼女の反応はあっさりとしたものあった。

「あはは。さて、どうでしょう? もしノイちゃんを人質にとられて
その交換条件に貴方の始末を命じられていたら従ったかもしれませんよ? なんて」

悪ふざけを逸脱した行為を、彼女は驚いたの一言で済ませてくれた。
信頼関係の崩壊に繋がりかねないことをした自覚はある。
鶴羽やシスメならもっと穏便に済ませられただろうが、
これ以外に確証を得る方法が思いつかなかったのだから、
我ながらねじくれていると自嘲的な笑みがこぼれる。
レイへの警告というのも嘘ではないが、この行為にはもう一つ隠れた意図があったのだ。
うまくジニアへ視線を誘導できたため、藪から蛇が出ないうちに
「実は私も個人庭園を所有してまして」と微笑んでこの話題を切り上げる。

「貴方を取り囲む脅威は思った以上に強大です。
正直なところ私でも全容を掴みきれないほどに。
国家隊の庇護下にあるここは平気なのですがー、それでも絶対ではありません。
この前の馬車の一件もありますし……
単独での行動は控えてください。私から言えることはそれくらいです」

この前の馬車の一件とは、入隊初日に暴漢に追いかけられたことを言っているのだろう。
あのあと、ちょっとその一団を捕まえて
事情を話してくれるよう“お願い”したのだが、
残念ながら依頼主の顔は見ていないという情報以上のものを引き出すことはできなかった。
あたかも全員が依頼主の記憶だけを消されていたかのように。

「すみませんねぇ、暗い話しばかりで。でも、悪いニュースばかりでもないんですよ。
さっきも口にしましたが、このバスケットだれからだと思います?」

暗い気持ちを払拭するかのように手で一度パンと拍を打ったレイニアは
本来のサプライズはこちらが本命だと言わんばかりに、
ちょんちょんとバスケットの角をつつく。
レイが答えるよりも早くツーっと一枚の白い便箋が彼女の手元に滑り込む。
そこには

「じゃん、正解はレヴァーンのお二人からでした〜。
バスケットの中身は山菜をつかったサンドイッチだそうでーす」

かなり達筆な字体で“花の嬢ちゃんへ。敬虔で素敵な神父様と修道女より”と書かれていた。
続いてバスケットを開いたレイニアが小さな網籠に
入ったサンドイッチを取り出すとレイの目の前に置く。

「スターチの食事をふるまう約束を守れなかったお詫びだー、とのことですよ。
あれだけドンパチ敵対しておいてどういう風の吹き回しですかねぇ」

>レイ




【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

シスメ・テムセージは無力である。つまるところ、彼女の全てはそこからだった。
同じ隊の仲間が死んだ。
山岳地帯の救助任務だった。山の高所に住居をつくることで有名な希少種の救助。
その山は噴火が予想されていた。
予想よりも早く噴火は起き、火砕流はあっという間に山の斜面を滑り降りて村を覆おうとしていた。
間に合わないと手を引っ張る仲間の手を振り払ってシスメは駆け出した。
そして、転移魔術で村人を安全な場所へ転移させた。
自分を転移させるだけの魔力はもう残っていなかった。
そして、彼女は、大事な親友だった彼女は、自分を助けるためにその命を費やした。
手を振り払われた後も私の後を付いてきていた彼女は、私に転移魔術を行使した。
魔力適性もなく、剣の技量だけでここまで上り詰めてきた彼女が
一度の魔術行使のためにその命を燃やし尽くした。
目と口から血を垂れ流しながら安堵したように笑う彼女の姿が私が見た親友の最後の姿だった。

『あ…あの状況だったら仕方なかったんじゃないか…とは思う…んだけども…』

いつの間にかエルトの声が遠くなっていた。
そこでようやく気付く、うわずった声、そして、泳ぐ視線。
彼がとても困っているその事実に。
思わず過去にとらわれかけた頭を振って意識を再び現実へと引き戻す。

「あ、す、すみません。急に…その…ああもう……不快です。
少しは頼れる先輩になろうとしてるんですけど、
エルトさんにはなんだかかっこ悪いところばかり見られているような気がします」

苦笑いと言う形でだが、ここでようやくシスメの顔に笑顔が戻った。
病み上がりの人を相手に自分は何をしているのだろうか。
また視界が狭くなっていたかもしてない。
鶴羽が先に忠告したとおり、もう少し周りに目を向けるべきなのだろう。
こちらもこちらで徐々に恥ずかしさが込み上げてきたところで、彼は続ける。
もっと信用して欲しい、そして、頼らせてほしいと。

「……完敗です。どうしてこう後輩の子ばかり大人になっていくんですか」

途切れ途切れながらも紡がれたエルトの不器用な気遣いの言葉に心が晴れていく。
再び何かが込み上げてきそうになったが、
彼がさらに困る未来しか見えなかったので、何とか堪えた。

「あ、と、ところで!
その、身体はもう大丈夫なんですか? 食欲はどうですか?
あの、りんごっ…お見舞い、あ、ち、ちがっ その…
お見舞いの品にりんご持ってきてるんです、切ったの!
いらなければいいんですけど、食欲があるなら少しでもおなかに何かいれたほうがいいかと思って!」

ここでようやく我に返ったのだろう。
先ほどの失態を誤魔化すかのように、シスメは矢継ぎ早にエルトにそう捲くし立てた。

>エルト

4ヶ月前 No.449

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

『あはは。さて、どうでしょう? もしノイちゃんを人質にとられて
その交換条件に貴方の始末を命じられていたら従ったかもしれませんよ? なんて』

というレイニアさんに私は、少し紅茶を口にして、考えるそぶりを見せ
そのあと、全く警戒のない笑顔で

「その時は……レイニアさんの望むまま……レイニアさんが一番最善だと思うことをしてください。それで私がもし死んだとしても文句は言いません。それにノイさんが簡単に人質になるような方ではないでしょう?」

のんきと言われればそれまでだが
私ももし誰か大切な人が人質に取られてしまったとしたら、今回と同じことをするだろうから、文句は言えない。まあ死んでしまえば文句も言えないのだけれど


そして自分に向けられている脅威についてを聴くと少し複雑そうな顔をする。

「……正直なことをいうと、私はその件に関してあまり詳しくありません。先日の暴漢を差し向けたとされる人にしても……あの魔武器一族の村が一夜にしてなくなったあの日の事も……」

そうだ。私はあの事件のことでいまだにわからないことが多すぎる。あの軍服を着た男が言っていたこと、「異端の魔女が作った魔武器を全て排除しろ!」 「友好関係を築こうとしていた軍に攻撃をし反乱した」 私が知る限りでは前者が正しく後者は偽り……。しかし


そんなくらいムードを和らげようと、レイニアさんはバスケットの中身を見せてくれた。その中身はとても美味しそうなサンドイッチ。

そして、送り主の名前を聞いて驚く

「レヴァーンって…………クラウズさん…。」

やっぱり本当はいい人なのではないかと、またもや、人を信用しすぎるレイの欠点が出てしまい、ほくそ笑むレイ。

「これ食べても、規則違反とかになりませんよね?」

と、一応確認のため、許可を取る。
敵側の人間の差し入れを、喜んで食べるなど、この上ないほどの非常識極まりないこと。
でもこれは、許されるよね?と期待を持っていう。

>>レイニアさん

4ヶ月前 No.450

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRF



【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「かっこ悪いなんて…そんな事は…」
こちらがたどたどしくもどうにか言葉を紡いでいた所で、多少なりとも冷静になったらしいシスメが苦笑交じりに言った言葉を馬鹿正直に受け止め、擁護しようと試みるも…
(…むぅ…ど…どう言えばいいんだ!?)
本人としてはかっこ悪いと思ったりはしていなかったのだが…それを相手に納得させるための言葉は到底思い浮かばず、むしろ気まずい沈黙を生み出してしまったようで…

「か…買被りだよ、それは…俺なんてまだまだ未熟者だ」
そんな空気をよそに、自力で立ち直ったシスメが漏らした言葉に、なんとかそう返した所で捲し立てるかのような勢いでありながらも、次第にいつもの調子を取り戻してきたシスメから見舞いの品としてリンゴを進められる。
「あ…ああ、すまないな…それじゃあせっかくだし後でゆっくりと…」
なんだかんだで、終始酷使し続ける事となった頭はすっかりお疲れのようで…目覚めてからしきりに糖分を求めて頭痛を訴えてきてたりしていたのだ。
…次がどれほど先になるか分らない病院食を延々と待つ覚悟をしていたので実にありがたかったのだが…
(…流石に…まだ無理…だな)
…頭と同様、体も自身の調子には素直なようで…軽く腕を動かしてみようとするも、やはりほとんど動きはしないようで…残念ながらまだまだ食事にはありつけないようだ。
そういう訳なので差し入れをありがたく思いつつも、お預けを食らう形になったところで…
『グゥー…キュルルルルル…』
「…」
奇妙な効果音とともに訪れた再びの気まずい沈黙…どうやら素直だったのは頭と体だけではなく、腹の虫もだったようで…
確かにあれからどれほどの時間が経ったのかは不明だが…少なくとも先日の朝食以降、特に何も口にはしていなかった所からして自然な事ではあるのだろうが…
(…よりによって…このタイミングか)
気まずさを感じながらも、それで事態は好転などするはずもなく…ただ居た堪れない気持ちになりながらも沈黙する事となってしまったようだ…

>シスメ ALL

4ヶ月前 No.451

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★qDqvD9zS2C_VNB

【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

何故このような行動にでようと思ったのか自分でもよく分からない。
ただ、いい意味で達観しているというか
普段超然とした雰囲気のエルトが空腹にお腹を鳴らすその様が
いつもより妙に幼く感じたせいかもしれない。
気付いたときには竹串に刺したりんごを彼の口元へ差し出していた。

「あ、す、すみません。エルトさんがなんだか弟のように思えてしまって、
あ、いえっ 別に子供として見ているとかそういうことではなくてっ ですね!?
あ、やっぱり今の聞かなかったことにしてくださいっ 私が言いたいのはそういうことではなくて!」

頭を切り替えるため、ごほんと咳払いをする。
臆病風に吹かれることの多い自分が、我ながら思い切ったことをしたものだと
自身のなけなしの勇気と行動力に驚くが、顔には出さない。
意図せず彼の口を封じることに成功したシスメは、
彼へのわんこそばならぬ わんこりんご攻撃の傍ら、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。

「エルトさんはさっき自分は人形だからって言いましたけど」

さっきからずっと引っかかっていたことだ。
今までの一連の会話の中で一度だけ彼がぽつりと漏らした言葉。
普段の超然とした態度のエルトが相手だったら
読みきれなかっただろうが、その言葉からは言い知れぬ苦悩を感じた。
試験中に閲覧した彼の志願書。その中にある情報を知りえるのは
恐らく一部の区画統括管理官とシスメくらいだろう。
その情報を、偶然だが私は知ってしまった。
彼がどういう素性であるかを。そして、どういう存在であるかを。

「そんなことないです。現に入隊試験のときの気遣いも、
遺跡で私の無謀を諌めてくれたときも、
命を粗末にしようとした私よりもエルトさんはずっと人でした」

だが、それを知っていたところで、恐らく自分に出来ることなど何もないだろう。
しかしあるいは、だからこそ彼のその態度には少し思うところがあった。
彼が食べ終わったのを確認してから素早く次弾を装填し、再び彼の口元へ差し出す。
こうでもしなければ、彼はまた謙遜と気遣いから
こちらへの非を廃した言葉をかけてくれるだろうことは分かっていたからだ。

「ですので、お礼を言わせてください。ありがとうございました。
エルトさんがこの隊にいてくれてよかったです。いなかったら私は――」

そこまで言って、唐突に背後からカタッ…と音がした。
振り返ると床に落ちた扇を拾い上げようと
車椅子に乗ったまま前傾姿勢になる鶴羽と目が合う。

「ん? ワシのことなら気にせず続けるが良い」

いつからそこに居たのだろうか。まるでこれから食卓につく
家族のような気軽さで鶴羽は悪びれずシスメに言葉の先を促す。
シスメの時が止まったのは言うまでもない。

>エルト




【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

混乱の入り混じるレイの言葉にレイニアは緩慢な動作で目を伏せた。
当然だ。情報の収集も整理も満足にできず、
確証も得ていない状態で、仇敵はこいつだと言われても反応に困るだろう。
一度に多く話しすぎただろうか。少し性急すぎた気がしないでもない。
と、ここでレイニアは一度言葉を切った。
話の箸休めとばかりに出された紅茶に口をつける。
適度に清涼感のある落ち着いた香りが鼻に抜けていくのと同時に
気分が和らいでいく感じながら二の句を告げる。

「あなたを巡る一連の騒動の中心に居るのは、カザス・グレブスリー 壱位処断官です。
どうやらあなたの村への襲撃を先導したのは彼のようですねぇ。
ただ、これらは全て状況証拠から来る推論の域を出ません。
どうやら彼は相当上手く証拠を隠滅したようですからねぇ。
国家隊での職務態度も勤勉そのもの、禁酒家で浮いた話もなく、
叩いても塵一つ落ちません。普段の彼を知っている人からすれば疑う人なんていませんよ」

レイニアの言葉と共に机の上にばら撒かれる写真。
今は形骸化し誰も着るものが居なくなったアスール国家隊の旧制服――
すなわり詰襟の黒い軍服に身を包んだ――強面の男がそこには写されていた。

「処断官というのはいわばこの国家隊内部を見張る監査部隊のようなものです。
つまり、彼は貴方になにかとイチャモンをつけてしょっぴこうとしてくるわけです。
まぁ、そんなことは私がさせませんが」

写真の一つを指先でトントンと叩きながら、レイニアは長いため息をつく。
実は、かの遺跡調査の一件より少し前にグレブスリー処断官が
レイを秘密裏に自分の隊に引き抜こうと裏で画策していたなんてことがあったのを思い出す。
無論、そんな計画など真正面からぶっ潰させていただいたが。
おかげで彼からしたら自分には相当ヘイトが溜まっているに違いない。

「向こうが一方的に貴方の素性を知っているというのもフェアではありませんので、
これを渡しておきます。まぁ、あまり参考にはならないかもしれませんが」

彼に関するデータ――とどのつまりプロフィールの入った
ファイルをレイの手元にそっと滑らせる。
あまり参考にならないといったわけは、
彼が馬鹿正直にこれを記入したわけではないということを暗に言っているのだろう。

「なにかあったときは無理せず私を頼ってください、レイさん。
グーくんが何かしかけてきたときは、
しばらく地上の人ではなくなりかけるほどの嫌がらせを彼にしかけますので」

自慢できるほどのことではないし、
これでは嫌な人…というか実際嫌な人なのだが、
嫌がらせ、妨害、口八丁手八丁はレイニアの専門分野だ。
飛び切り性質の悪い笑顔を浮かべながら、レイニアは得意げに自分の胸を叩いた。
そこでレイからこれを食べることでお咎めはあるかと問われる。
少し懸念を含んだ声であったが、その表情から冗談であることが窺えたので
レイニアもくすくすと甘い笑い声で応じた。

「おや、そこ気にします?
ではー、敵のものと分かっていて、かつ危険なものかもしれないそれを
ロクに確認もせず国家隊の本部へ移送した私は共犯者ということになりますねぇ」

「あはは。そうなれば除隊はまぬがれませんねぇ。
そうなったら二人で花屋でも初めてみましょうか」と付け加えながら
冗談なのか本気なのか分からない口調と大げさな手振りでああ…っと顔を覆うレイニア。
いや冗談なのだろう。冗談に違いない。たぶん、恐らく、メイビー。

>レイ

【Information:サブ記事とメモ欄にてカザス・グレブスリーの情報が追加されました!】

4ヶ月前 No.452

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

レイニアさんは私に写真を見せてくれた。
この写真に写る男の人グレブスリー処断官、この人が魔武器の村の壊滅を支持した張本人。その古い軍服に、昔のトラウマが蘇る。

そしてこの人は今も、私のことをどうにかして捕まえようとしているらしい。それを聞いてレイの中で何かが決まり。

「なら……いっそのこと一度この人に合わせてください。
もちろん一人でというわけではありません。そこまで慎重な方なのであれば、公の場であれば、平然と振る舞うでしょうし、派手に攻撃をしてくることはないでしょう?。それに、国家隊にいる以上、遅かれ早かれ、会うことになるのですし」

こんなこと、他の誰かに言えばきっと、何をたわ言を、とか、やめておけ、というだろうけど、なんとなくレイニアさんは賛同してくれる気がした。
自分でも、ぶっ飛んだ考えだということはわかっている。でも、私は逃げも隠れもしないということを相手に示さなくては


「お花やさんですか……それもいいかもしれませんね……」

自分の冗談に笑いながら「除隊処分になったら花屋でも開きますか」と冗談で返ってきた。しかしレイは、花屋にでもなればよかったかなと思い。
サンドイッチを一口食べる。みずみずしい山菜としっとりしたパンがいいハーモニーを醸し出している。


「ところで、レイニアさん……レイニアさんは疑問に思わないんですか?
国家隊に裏切られて村を壊滅されたにもかかわらず、何故私がこの国家隊に入隊したのか……とか……。グレブスリー処断官もきっとそこをついてくると思いますが」

≫レイニア

4ヶ月前 No.453

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_BXv

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

(…いったいなぜ、こんな事になっているんだ?)
絶妙なタイミングで次々と補充されるリンゴを平らげながらなすがままとなっている現状について自問する。
(いや、まぁ空腹だったのは間違いないんだが…これは…その…ちょっと…むむむ…)
あまり我が無いと評されてはいるものの、彼とてちょっぴりのプライド…と言うほど高尚な物ではないが…最低限の見栄ぐらいは取り繕っておきたいと言うぐらいの感覚は持っているようで…
その個人の範疇から考えれば何ともいいように扱われている現状はどうにも気恥ずかしい部分があるようだ。

そのまま計らずともこちらの口を封じる事に成功してしまったシスメの言葉を遮る事無く、静かに聞き手に回っていれば…
(っ…こいつは…口を滑らしたな…)
常であれば口走るはずのない言葉…『人形』と言う単語に瞬間的に硬直しかけたが…不幸中の幸いか、食への本能が勝り、リンゴを消費する事を優先して身体…と、言うよりも口は動き続けてくれたようだが…
(人に見えた…か…だが…所詮はまがい物だ…それに…)
シスメは此方を自身よりも『人らしい』と、評するが…こちらとしては、危うさこそあったものの、全力で事に当たろうとしていた彼女を何度も見ていたため、彼女の方こそ紛れもなく『人らしかった』と、言おうと口を開公としたのだが…
「…もぐもぐ」
…シスメのインターセプト!!追撃のリンゴにより、言葉は発する事無く黙殺される事となり…そのまま一言もしゃべる間もなく、話を聞く事となった。

…と思ったのだが…突如として老化の方に視線を向け、固まってしまったシスメから遅れる事数秒…差し出され続けたリンゴがなくなったことでようやく自由になった頭を、同じく廊下に見やれば…
「…つ…鶴羽…さん…?い…いつからそこに…?」
…管理官、ではなくさん付けで呼ぶ辺りかなり動揺しているようだが…当の本人にとってはそれどころでは無いようで…ぎこちない口調でそんな事を訪ねだした。

>シスメ 鶴羽 ALL

3ヶ月前 No.454

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★57XpIVePMn_VNB

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

レイの提案にレイニアは身体の動きを止めた。
じわりと布に広がる染みのようなぬるい空気が二人の間の沈黙を埋める。
やがて彼女はにっこりといつもの笑顔を取り戻すと

「はい、いいですよ。時期は――…そうですねぇ。
次の任務の後にでもセッティングしておきますがいいですかー?」

二つ返事で彼女の提案を受け入れたのだった。

「あはは。何だか急にふっ切れた気がしますねぇ、レイさん。
この隊に入ることで見える景色が変わったからでしょうか? いえ、それとも…」

先ほどの長い沈黙が嘘のように、彼女の舌は快調な滑り出しを見せる。
かと思えば、出された紅茶に口をつけたきり言葉を切ってしまった。
思わず思考が口をついて出てしまったのだろう。
それだけにレイニアが受けた衝撃は大きかった。
レイニアが言葉を捜してカップの淵を指でなぞっていると、レイからもう一つ質問が飛んでくる。
少し聞いたことがある。他人から自身の印象や行動原理を聞き、
自分では気付かない角度から自らの心情を浮き彫りにしていく手法。
恐らく無意識的に彼女もそうやって自身の心象を整理したかったのかもしれない。
ため息を飲み込んだレイニアはようやく重い口を開く。

「過去 自分達に対して弓を引いた組織への加入。確かに傍から見れば正気の沙汰ではありませんねぇ。
第三者から見て真っ先に思い浮かぶとしたら、復讐……と言いたいところですがー
そんなわけないですよねぇ、今までの感じだと。私が思うにレイさん、貴方は―――」

再び両者の視線が重なる。
くすんだマリンブルーの瞳には何も写ってはいない。
だが、視線を合わせる必要性があるとレイニアは判断したのだろう。
彼女の深緑色の瞳を見つめる。

「見極めたかったのではないですか?」

ずっと引っかかっていたことと言えば、
彼女は一度も復讐がしたいなどとは口にしなかったことだ。

「貴方の大切な人たちの命を奪うに至った相手の思惑、そこにある感情の移ろい…
理由のない悪意のはびこるこの世の中で、
貴方は悪意を向けた相手のことさえ理解しようとしている」

ただ憎い、ただ恨みがあるからそれを排する、なんてことは彼女はしないだろう。
ありきたりだが、善の反対は善という事例は往々にしてある。
何故そんなことをするに至ったか、理由を聞き、受け止めてから立ち向かう。
要するに復讐も何も彼女はまだ始まってすらいないのだろう。
それを甘さと断ずる人もいるかもしれないが、
レイニアはそれをただの甘さだと断ずることはできなかった。

「その考え方は危険です……危険、なのですがー、私個人的には大賛成です。
貴方のような考え方のできる人こそアスールにはふさわしいのかもしれませんねぇ」

しみじみとそう呟いたレイニアはひょいと椅子から腰を上げると立てかけた杖を手に取った。

「おいしいお茶ごちそうさまでした。
念のため監視をつけておきますので、安心して夜を過ごしてください」

そのまま話しは終わりとばかりにひらひらと手を振りながら歩き出すレイニア。
歩を進める傍ら小さく呟いた「応援してますよ」という言葉、
その呟きを聞いたのは彼女の頭上を彩る藤の花と少し欠けた月だけだった。
こうしてアスールの夜は今日も変わらず静かにふけていったのだった。

>レイ



【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

突然のことで許容範囲を超えたシスメの自我は、思考という下り坂を勢いよく転がり落ちる。
そのまま混乱という出口のない迷宮に突入し、
危うくオーバーヒート寸前までいったシスメの頭は、
現実逃避という名の安全装置を作動させることでひとまずの平静を保った。

「鶴羽管理官、いらしていたのなら一声かけてください。
あ、リンゴ剥いていたきたんですけど、良かったら鶴羽管理官も一緒に―――」

小さく弧を描いた口元、柔らかな物腰に、不自然に自然な口調。
あたかも最初から何もなかったかのような振る舞い。
気遣いのできる人ならば、シスメのこの態度を察して軽く流しただろうが、しかし今回は相手が悪かった。

「カカカ、まさかのぅ。
あのシスメがこんなことをやっとるとは、夢にも思わもんじゃのぅ。
長生きはしてみるもんじゃな。映像記録用の魔導具がないのが悔やまれるのぅ」

シスメの口上を遮って鶴羽は続ける。
何故彼女相手にこんな強引な手段で誤魔化しきれると思ったのだろうか、
それこそダイヤモンドの鎧を着た相手に爪楊枝の剣片手に挑むようなものだ。
ついには営業スマイルにだらだらと冷や汗の加わった青い表情でシスメは視線を彷徨わせ始める。

「あの、りんご、食べ――」

なおも無駄な抵抗を続けるシスメ。
だが、それももう抵抗と呼ぶには遠く、自ら傷口が広げるだけの自傷行為に近い。
彼女がそれに気付くのは何もかも終わった後だった。

「しかし…いつの間にそんな仲良うなったんじゃ?
ワシがちぃ〜っと留守にした間に“あーん”なぞという
いまどきの書物でも見かけんようになってきとる伝説的行為に及んどるとは」

かくして理性と言う名の防波堤は、鶴羽の一押しによってあっけなく瓦解したのだった。

「な、あ、が、なな、なうぉおおおおおおおああああ!? うああああぁ…ごめんなさいごめんなさい!
私のような地味人間がいまやもう漫画や小説の中でも
滅多に見られないような伝説的行為に及んでしまってごめんなさい!!
これは医療行為だから仕方ないとか思いつつも
ちょっと憧れていたシーンの再現が出来て役得だとか思っちゃってましたごめんなさい! 失礼します!」

襲いかかる現実がシスメの心を粉砕した。
“支離滅裂とは”をダイレクトに表現したらこうなる、と言わんばかりの狼狽っぷり。
そんな脳が下した命令は、一刻も早いこの場からの離脱だった。
律儀にりんごを入れていたタッパーに竹串を放り込み素早く蓋をしたシスメは
ベッドの脚にしたたか脛を打ち付けながらも脱兎のごとくカーテンを掻き分け猛進する。
やがてバタンとドアが閉まる音を最後に、医務室に静寂が戻った。

「あー…やりすぎたかのぅ?」

鶴羽もシスメの挙動不審ぶりに面食らった様子でエルトを見やる。
彼の呆れた視線が鶴羽への返答になるのは疑いようもない。
こうしてアスールの夜は騒がしくふけていったのだった。

>エルト

3ヶ月前 No.455

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

しばらくピリッとした沈黙が続いた。
レイはまっすぐとレイニアさんから顔をそらさず、相手の答えをまった。
そしてでてきた答えは、なんともあっさりしたもので、少し拍子抜けしキョトンとする。

「……吹っ切れた……とは少し違うのですが……」

入隊して仲間ができて、任務にも行ってなにかが変わったかと聞かれればYESなのだが、それは、仲間へ情が移った、と言えるものなのだろうか。

「……見極め……ですか。そうですね、私がそういうことをするのも痴がましいのですが、魔武器としてこの国を主人として相応しいか、見極める必要がある、そう思ったんです。」

そういうと、立ち上がり去ろうとするレイニアさんを少し支えてあげ、相手が道に迷わないか見送る。

そしてその後静かに、紅茶のセットを片付け、庭園の奥へと歩いて行く。

復讐……か,考えたことがないといえば嘘になる。世界を恨んだことだって何度もあった。
でも、そんな私が国家隊に入ったのは……敵の懐が一番安全だと思ったから…。
自分の身と……これを守る為

庭園の奥へと進んでいき、茂みに隠された地下室への入り口を見つめる。

>>レイニアさん all

3ヶ月前 No.456

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_BXv

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

(ま…まずい…いや、やましい事はない…無いはずだから不味くは…ない…無いはず…だ…だよな?)
誰に聞くわけでももなく、どこか凍り付いたような気まずい雰囲気の中、無駄に思考を走らせているようだが…当然ながら答えなど出るはずもなく、何となく気まずい雰囲気が漂う。
そんな中、口火を開いたのはシスメであり、意外にも至極真っ当かつ平常な様子で鶴羽に声をかける。
(…うん、そうだな…何もなかったんだから変に考える事無く普通に接すればよかっただけだったな)
その様子を見て、直前まで深く考えて狼狽えていたのが馬鹿らしく思え改めてこちらも鶴羽に声をかけようとしたところで…

「か…管理官?…戯れもその辺りで…」
どうやら先のシスメの態度は儚い抵抗という物だったようで…たった数秒と言う会話の中で容易くそのメッキを剥がれたシスメの様子を見て、僅かながらでも援護しようと試みたのであるが…どうやらまるで効果はなかったようで…
(あ…これはもう無理だな…)
こちらの言葉を言い終える間もなく、一気に決壊してしまったシスメは捲し立てるように一気に言葉を吐き出すと同時、あっという間に後始末を終え、走り去っていった。
…結構な勢いでベッドに脛を打ち付けていたが…大丈夫だったのだろうか?…あれだけ走れたならば問題はないのだと思うが…

「…管理官…あまり深く言う気はありませんが…感心しかねます」
先の態度から一転し、『やりすぎたか』と反省するような鶴羽に、言葉面は丁寧にそう返すが…その視線はいわゆるジト目という物であり、抗議の意味合いを感じるのは間違いないであろう。
…とはいえ…過ぎてしまったものは仕方ないと軽くため息をついて思考を切り替え、視線を窓から見える空へと戻せば、日はすっかり落ちきっており完全によると言ってしまっていい時間帯であった。
(今日の夕餉にはありつけなかったにたいだな…まぁ…差し入れがあっただけでも十分…か…まぁ明日には十分動けるようにはなるだろうし、それまでの辛抱か)
何処となく空腹感を感じて再びのため息をつきながらもそう分析し、すっかり静かになった医務室で再び横になり、英気を養う事にしたようだ。

>シスメ 鶴羽

3ヶ月前 No.457

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★ZtgptKrabd_vj0

【セキア・ルーヴ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/セキアの部屋】

セキア・ルーブは少し奇妙な感覚に支配されている。
泥と草の匂い。血の気の引いた自分の手のひらは赤く濡れ、耳の中をざらついた雨音が叩く。
頭が痛む。頭が痛い。痛みはどんどん強くなる。
こめかみに穴を開け、ミキサーでかき回されているかのような痛み。
いつもの映像だ。
あたしを見返すマリンブルーの瞳と、たぶんすごく大事な誰か。あれ―――見返す?
いや、違う。これは。これは■■のものではない。これはあたし自身の色だ。
向かいあった■■の瞳にあたしのマリンブルーの瞳が反射して写っているのだと
理解したあたしは―――

「うわぁああああ!? あっ! わっ、なぐぉ!? ぎゅみっ」

足がもつれた。
そして、そのままベッドから転がり落ちた。
足に引っかけたブランケットが宙を舞い、ばさりと視界を覆う。

「……うぅ…つぁー……いたい」

ジンジンと痛みを訴えかける頭頂部を抱え込みながら、しばし悶絶する。
とても嫌な夢をみていたような気がする。
夢で見たマリンブルーの瞳。
冷たい色であるはずのそれは、その中に燃え盛るような怒りを内包していた。
身に覚えのない悔悟と憤怒の残り火が、まだ身体の中で燻っているかのように錯覚する。
額に張り付いた前髪を払い、手に掬った水を顔に叩きつけると洗面所の鏡を覗き込む。

「ちょっと自己主張が強すぎるんじゃないかな」

起き立てのゆるみきった顔で最大限威圧的な表情を作ると、むっと鏡を睨みつける。
鏡に映るあたしの瞳の色はいつもと代わり映えのない赤褐色だった。
安堵に息を吐く。
夢に理由を求めてはいけない。たぶん先ほど見た映像も深い意味などないのだろう。
夢なんて不要となった記憶の寄せ集めだと前にどこかで聞いたことがある。
今回のたぶんそういう類のものだ。こういうのは早く忘れてしまうに限る。
先ほど見た夢――記憶の断片らしき映像にぶつくさと文句を言いながらも
セキアは朝食を食べるため手早く髪をとかし、いつもの服に着替えて廊下へと飛び出した。

「きょーうの、朝食はー」

即興のオリジナルソングを口ずさみつつ、幅の広い階段を下りる。
この第七候補官に当てられた寮は2階が男性、3階が女性と言う風な割り当てとなっている。
各階に一つずつ浴場と洗濯場が設けられ、
食堂や購買なんかが男女共用となっており、それらの施設は基本1階にある。
つまるところ今セキアは1階にある食堂目指して前進中というわけだ。

【お待たせいたしました。それでは新章開幕となります!】>ALL

【information:寮についての情報がサブ記事にて公開されました!】

3ヶ月前 No.458

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_a2e

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/エルトの部屋】

「…なんだか騒がしいな?」
自身に与えられた一室で、身体を軽くほぐすように動かしていた所で、突如上の方からドタバタと騒がしい気配がしたのを感じ取り、そちらに目を向けながらそう呟く。
…幸いにも、騒ぎの方はすぐに収まったようで…一度収まってからは再発するような事も無く、何処かすがすがしい朝の一時が舞い戻ってくる。
(…まぁこっちに実害はないからいいが…もう少し隣室に配慮した方が良いのではなかろうか?)
騒ぎの元であるセキアにしてみれば、これは不可抗力と言いたい所だろうが…理由など知る由もなく、ただ騒ぎを起こした人物に対して何処か呆れるように軽くため息をついた。

(まぁ…少なくとも誰かしらは起きてきたようだし、こちらもひとまずは移動してみるとするか)
つい先日まで病室送りとなっていたためか、十分に睡眠をとれたようで…少々早めに目が覚めてしまったものの、下手に出歩いて就寝中の隊員らを起こしてしまうのも悪いと思い、出歩くのを控えていたのだが…
先の騒動は別としても、それなりにいい時間になっており、起床するにもちょうどいいと判断し、下の階へと移動しようと扉を開け放てば…

『きょーうの、朝食はー…』
…階段の方からなんだか間の抜けた様な歌が聞こえ…そこから連想的に声の主と先の騒動がつながり、納得出来てしまったようで軽く脱力しかけてしまう。
(ああ…セキアか…なら仕方ない…と言う訳ではないんだが…)
軽く眩暈のような物を覚えつつも、そのまま廊下で立ち往生してるのも邪魔になるかと思い直し、自身も一呼吸おいてから下の階への階段を降り、食堂の方へと足を進める事にした。

>ALL

2ヶ月前 No.459

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★WumUm9x1xy_DMW

【セキア&エフィニア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

この場所には一つ、昔話がある。
自動調理補助人形こと私エフィニアは10年ほど前にここへ来た。
時代の波とは大きなもので、戦場に立つことを目的として作られた私は、
その荒波に揉まれ、ひっそりと終わりを迎えようとしていたところを拾われた。
かつて戦場で鉄の機械兵器を切り倒していた自分が今や調理場に立ち、
もっぱら食材ばかりを相手に腕をふるっているなど誰が予想できたであろうか。

「〜♪…〜♪」

第七候補官寮を任されてから、幾度となくこの朝を迎えてきた。
だが、今朝はちょっと特別だ。
今回私が受け持つのは、恩人である彼女が教官を担当する隊の隊員なのだから。
朝の仕込にもいつも以上に気合がはいってしまうというものだ。
どんな候補官の方々がいらっしゃるのかと首を長くして待つこと幾星霜。
落ち着いた足音と、その後を追いかけるようにパタパタと小走りに階段を駆け下りる足音が聞こえてくる。
食堂に先に顔を出したのは、落ち着いた足音の主、
薄緑色の瞳とプラチナブロンドに近い白髪が特徴の少年だった。

「おはようございまス。よく眠れましたカ?」

予め考えておいたセリフと共ににっこりと微笑む。
次に彼が思い浮かべることは分かっていたため、
彼が疑問を口にするよりも早くエフィニアは深々と腰を折る。

「お初にお目にかかりまス。
この食堂を任されておりまス。エフィニアと申しまス。
ご用命の際ハ、なんなりとお申し付けくださイ」

若干のノイズに語尾が震えたが、
何とかそう言い切ると、手で示しながら彼を席まで誘導していく。

「初めての任務かラ 大活躍だったと聞いておりますヨ。
とりあえズ、ココアを温めておきましたのデ、お飲み下さイ」

机の上に置かれた朝刊の一面――「第七候補隊、遺跡内部の闇を暴く!」の見出しをエフィニアは指差しながら
何故か自分のことのように嬉しそうに微笑んだ後、
エルトの前にココアの入ったマグカップを置き、朝食を運ぶために厨房の中へと消えていく。
先客だろうか、エルトの向かいには同じ新聞を広げる者がいた。
どうやらエルトの着席には気付いていないらしく、紙面とにらめっこしたまま、ぶつぶと小声で唸っている、

「またフェリクス……エイルスの検問が優秀だったから良かったものの…これは…
今週に入ってもう5回目…さすがにちょっと多すぎ…え? カハッァ――!?」

ちょうど新聞を降ろしてからココアに口をつけたのが運の尽き。
エルトの姿を視界に認めたシスメは盛大にむせ返った。

「えふっ、えほげほっ…! エ、エルトさん…い、い゛つからそこ゛に」

気管にダメージを負ったせいでシスメがなかなか思うように話せずにいると、
一足遅れて到着したセキアの能天気な声が二人の頭上から降りかかる。

「あ、エルトにシスメおねーさん、もーにん!
って、あれ? ふたりともどうかした?
うわ、しかもシスメおねーさんすごい顔の色だけど大丈夫? なにかあった?」

どんな受け取り方をしたのか、シスメは椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がると
まるで同じ動作を繰り返すそういう機械であるかのように、両手を自分の目の前でブンブンと振り始めた。

「なにもしてません!! 誓ってっ、何もっ、してませんっ!」

「えっ、な、なにがですかな!?」

彼女の混乱が伝染したのか、
シスメの文脈を無視した突然の釈明の言葉にセキアも若干変な口調になりながら返答する。
そんな二人の間に割ってはいるようにして人数分のベーコンエッグの乗ったトレイが置かれる。
そこには顔に暗い影を落としながらも細い目で微笑むエフィニアが立っていた。

「にぎやかなのは結構ですガ、
まだ寝ている人もいますのデ、食堂でハ、もう少シ、お静かニ、願いますネ」

ジュウジュウとまだ余熱の残るフライパンを片手に
低い声でそう諭すエフィニアを見て、二人揃って「すみません…」と小さくなる。
とりあえず残る疑問は後にして二人は静かに椅子へと腰を落ち着けた。

「えっと…朝から騒がしくしてごめん。二人はその、怪我とかもう大丈夫なの?」

先の話題をこれ以上広げても良い方向には転ばないと
野生的な第六感で理解したセキアは無理やり話題の方向修正にとりかかった。

>エルト、ALL

【Information:サブ記事とメモ欄にてエフィニアの情報が追加されました!】

2ヶ月前 No.460

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_a2e

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

(…ふむ…食堂はあっちの方か)
1階に降りるなり、良い意味で香ばしい匂いが漂ってきたのを感じとり、そちらを見やれば…少しはなれば場所に一回り大き目な扉が有り、ある種の活気のような物を感じ取れた。
そのまま扉に手をかけ、中に足を踏み入れれば、予想道理にそこは食堂であったようで…食卓であろう机の一席には既に先客がおり、熱心に新聞を広げているようだ。

「今日から世話になるエルトだ…これからよろしく頼む」
厨房から何処かイントネーションがズレ気味なこえで挨拶され、そちらを振り向けば…絶妙なタイミングで続けざまに名乗られたので、こちらも挨拶を返す。
(…何だ?…気配に違和感が…不調は引きずってはいない…はず…なんだが…?)
口調の方は訛りの一言で片付くが…ふと意識を向けてみれば、エフィニアと名乗ったその女性からは生物特有のそれがイマイチ感じ取れず…どうにも違和感がぬぐえなかった。

「あ…ああ、すまない…ありがたくいただくよ」
などと考察していた所で、いつの間にか空席の一つを指し示されており、少々遅れながらも着席し、程よく温められたココアを受け取り、のんびりと味わう。
(…ふむ…いい腕だな…個人的にはもう少し甘目であればなお良かったが…いや、それだと一般的には甘すぎるか)
ほんのりと広がる独特の苦味と、それとは対照的にじんわりと広がるような程よい甘みと温かさを堪能しつつもそんな事を考えていた所で…向いの先客が新聞を下しつつも、机上に置かれたココアに一口すすったところで…
「っ!?」
突如爆発…ではなく、盛大にむせ返った様子で…思わず取り落としそうになったコップを机に置きつつもそう尋ねる。
(なんだか穏やかな話題ではないと思えば…シスメだったか…)
何やら厄介事と思わしき口調で呟いていたが…出てきた単語から推測して領域侵犯の類であろうか?

「こっちは今きたばかりだが…それよりも大丈夫か?」
そんな事を考えつつもシスメが落ち着くのを待っていた所で…何とか回復したらしいシスメの問いにそう返しつつ、返答を待っていた所で…セキアがやってきた。

「ああ、おはよう…別に何かしていたと言う訳じゃ…っ!?」
と、セキアに挨拶を返した所で…ふと、セキア達の後方からなんとも形容しがたい気配を滲ませつつ割って入る気配に気が付き、言葉を詰まらせる。
(…これは…戦闘型の機械人形!?なんでこんなことろに!?)
先程までまるで感じなかったその気配に戦慄し、同時に即座に臨戦態勢に入ろうとしたその刹那…その気配の主が発した言葉は…なんというか、思った以上に平和なセリフであった。
「え?…あ、いや…その…悪かった…」
…敵襲かと身構えたのだが…そこにいたのは先程挨拶したばかりのエフィニアで…ただ単に、騒動が過ぎる事に釘をさしたかっただけのようであり、一瞬にして毒気を抜かれる。
ついでになぜか悪くないはずなのに謝罪までしてしまうのだが…一気に変化した状況について行き切らなかったため仕方のない事だろう。

「…あー…ま…まぁそうだな…怪我の方は大したことはなかったようだ」
そうして一呼吸置き、落ち着いたところでセキアに体調の方を尋ねられたのでそう返す。
…実際の所精神的、および魔力的な消耗が主であったため、言うほど重症ではなかったのだ。
(まぁ…それでも抜け出そうとしたらえらい目にあったんだが…)
…実は先の事件の結果を確認する事無く病室送りにされてしまったため、こっそりと経過を聞きに行こうとしたのだが…途中で関係者に見つかり、連れ戻されると言う些細な事件が有ったりしたのだ。
…その時の関係者はおこ、どころか激おこ状態でその日はほとんど非難の視線にさらされる事となり…正直、下手な罰則よりも大分堪えたのはここだけの話である。
「ま…まぁ先日みたいな事件がそう何度も起きるとは思わないがもう一度やれと言われても問題はないさ」
…妙な事を思い出してしまい、若干ながら背筋が寒くなったが…それを振り払うように何とかそう返し、再び湯気を立てるココアを堪能する事にしたようだ。

>エフィニア シスメ セキア ALL

2ヶ月前 No.461

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

[白月レイ:ルナ区画:第七候補隊用寮アレスタ:屋上庭園>食堂]

「…ん、あれ…ああ私としたことが……またここで寝てしまいました。」

庭園の花畑で目を覚ましたレイは、フラッと立ち上がり、屋上からみえる朝日をボーッと見る。
遺跡であったあの青い目の少女、彼女の目的と、グレブスリー処断官の目的がもしも一緒であるならば、私は今グレブスリー処断官に捕まるわけには行かない。でも、今はまだ彼らの目的がはっきりとわからない以上下手に行動するのは、危険……かな

レイニアさんがグレブスリー処断官との謁見を取り付けてくれるとのことだったが、実際のところ、どうなるのかは今のレイには分からなかった。


考えていても仕方がないので、とりあえず朝食を取ろうと、手を洗い、庭園を後にする。

「みなさん、おはようございま……す?」

階段から降りて来て食堂へとやってきたレイはその場にいた人に挨拶をしようとするが、なぜかシスメさんが、新聞片手にむせ返っており、周りは騒然となっていた。

それにあの機械人形はいったい

「……あの、大丈夫ですか?」

恐る恐る尋ねるが、どう考えても大丈夫ではない。そしてセキアさんのほうへいき

「セキアさん、おはようございます。その先日は、ありがとうございました。……それで折り入ってご相談があるので、また時間のある時に、お話ししていただけますか?」

と、セキアさんにぺこりと頭を下げ、遺跡で助けてもらったことにお礼を言い、周りには聞こえないような小さな声で約束取り付けようとする。

>>エフィニア シスメ セキア エルト

2ヶ月前 No.462

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★DUZ7mWgN6A_DMW

【セキア&シスメ&レイニア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

セキアが二人の身体の安否について訪ねると、すぐに二者二様の答えが帰ってきた。

『…あー…ま…まぁそうだな…怪我の方は大したことはなかったようだ』

「あ、はい、私も…っ すぐに治癒魔術で傷を治してもらったので平気です…けほっ」

苦味の抜けきらない表情のエルト。
彼の医務室からの逃走劇の一部始終を知らないセキアは、
エルトの反応にぽかんと疑問符を浮かべるも、二人の無事に気持ちが流れる。

「そっか、良かった。いや、なんか言ってもしょうがないんだけど
あたしがもう少し早くみんなに合流できてたら
もっと違う結果になってたかもしれないのかなー…なんて」

ほっと安堵の息をついたものの
少しは呵責を感じているのだろうか、セキアは小さく苦笑いを浮かべる。
いくつもの偶然が重なったとはいえ、あの遺跡で隊が分断される原因を作ったのは
他ならぬ自分なのだから…などと珍しくその足りない頭で考えたらしい。
落ち着きなくキャスケット帽のふちに手をやりながらちらちら二人の顔を見比べる。

「なんていうかハプニング? 事件? の遭遇率高いよね、あたし達。
まだ候補官なのに任務の内容が
すごくハードというか…まるで、何かが引き寄せてるみたいに…」

エルトの発言にセキアもまた背筋が寒くなるのを感じていた。
二度あることは三度あるというが、こうも嫌な予感ばかり当たってしまうと
次の任務も恐らく、なんてのっけから邪推してかかってしまう。
特にことレダール鉱石関連というか、獣化騒動に度々縁があるなんてちょっと笑えない。
そういった危険も承知で飛び込んだものの、生身の人間であるセキアからしたら
そうそう何度も命を天秤にかける場面には遭遇したくないものだ。
亜人と純粋なとっくみあいをしたら、負けるのは人間であるセキアの方なのだから。
と、ここで見知った顔から声がかかった。

「っ…大丈夫です…っ…もう落ち着きまじたがら」

今だダメージの残る気管をかばいながらも何とかレイに返すシスメ。
何をそんなに隠したいのだろうかと、さすがのセキアも苦笑いを隠せなかった。

「あ、レイもモーニン! レイも今から? だったら一緒に食べ―――」

先ほどの似合わないネガティブを払拭せんとばかりに
席から腰を浮かし、オーバーなリアクションで手を振りかけたセキアだったが、
こちらに近寄る傍ら小さく口にしたレイの声に動きを止めた。

『折り入ってご相談があるので、また時間のある時に、お話ししていただけますか?』

「(あたしでよければいつでも。じゃあ、この任務の後、レイの庭園でどう?)」

感情がすぐ顔に出る性格であることは認めたくないが、
第三者曰くそうらしいので、ばれないよう手短に言葉を返しておく。
同じ卓についているエルトとシスメの気をそらすためにも、話題の転換を図る。

「ところで、シスメおねーさんさっき何見てたの?」

「さっき? え、あ、これです」

てんぱってはいたが、何とか新聞だけは死守したらしい。
ココアとベーコンエッグの皿をよけながら朝刊を皆に見えるよう机の上に広げる。
そこにはでかでかと『またもフェリクス 内部の犯行か?』の見出しが躍っていた。

「フェリクス?」

「……香水の名を騙った劇薬です。中から大量のレダール反応が検知されたとか…
アスールと古くからやり取りのある信頼筋の空輸便の荷物の中にいつの間にか紛れていたそうです。
幸い、市場に出回る前にエイルスの検問で止まったから良かったものの、
こんなものが誰かの手に渡っていたかと思うと…」

知らず、シスメは下唇を強く噛みしめていた。
何よりも許せないのは、これが無差別的に行われていることだ。
老若男女、種族関係なく自我を狂わせ、人を獣へ堕とす。
レダールによる強制的な獣化は、自分はもちろん周囲に消えない傷を残す。
自分にその気がなくても加害者を作り出してしまう。
そんなものがここアスールで流入していることに強い憤りを覚えた。
そのまま深い思案の底に沈もうとしていたシスメはしかし、唐突に思考を中断させられる。

「フェリクス(幸運)を冠するなんてすごい皮肉ですよねぇ」

いきなり肩に置かれた手にぎょっと後ろを振り返るシスメ。
先に声をあげたのはセキアだった。

「レイニー教官!?」

「あはは。おはようございます皆さん。
なかなかタイムリーな話題だったので、ちょっと口を挟ませてもらいました。
ちょうど良い機会なので、朝食ついでにここでミーティングをしましょうか」

悪戯っぽい表情で、マリンブルーの瞳を片方伏せたレイニアがそこにいた。
杖先でコンコンとリズムを取りつつ、
唖然としているであろう第七候補隊の面々の反応をしばし楽しむ。

「次の新しい任務について」

そして、そのまま流れるように前置きなく話の主導権を奪った。

>エルト、レイ、ALL

2ヶ月前 No.463

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月 レイ:ルナ区画/第七候補隊寮アレスタ/食堂】

シスメさんはなんとか大丈夫そうに返事を返してくれて、ほっと胸をなでおろす。あの機械人形さんのことは気になるけど今は、それは気にしていられない。

そして私のお願いを素直に聞き入れ了承し、この任務の後に庭園でと約束してくれたセキアさんに、私はそれに静かに頷く。

そして周りの注意をそらせるためにセキアさんは、シスメさんが読んでいる新聞について尋ねた。

「レダール……そういえば、あの遺跡にいた人たちが何やらそれを使って……古代神フォルラーンを復活させるのが目的だって言ってました。この事件と何か関係があるのでしょうか。」

とシスメさんの新聞を見ながら、遺跡でのことを思い出した。種族を一切問わず人を獣へと変貌させることができる劇薬。魔導具と人とが合わさった魔武器である私はどうなるんだろう。

と、不安を覚えていると、そこへ知っている顔がやってきたので、考えるのをやめ、その2人を見上げる。


「えっと、ちょうどいいということは、今回の任務はこの事件に関係することということでしょうか。」

私はこの任務に同行してもいいのだろうか。ただでさえこの前の一件に関与しているのではという疑いを持たれてしまっている状態で今回の任務はアウェイな状況と言えるような気がしている。

>>寮食堂All

2ヶ月前 No.464

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_a2e

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「…あ…ああ、レイか…おはよう…朝から騒がしくてすまないね」
ドタバタと喜劇めいた状況に飲まれていたが…ふと、声をかけられたことに気が付き、そちらを見やればレイが食堂に入ってきたようだ。
…騒動に関しては自身が原因の一端である自覚は有るため、騒がしくなった事に謝罪しつつもそう挨拶を返す。

(…む?…何かあるのか…?)
どうにか騒動にひと段落がついてきた所で、何やらレイがセキアに小声で話しかけていたのに目敏く気が付き、少々の疑問を持ったが…
(…余計な詮索をするのも悪いか)
…内容の方はほとんど聞き取れず…主観ではあるがレイとセキアは組む機会が多かった分それなりの信頼関係があるのだろう。
そんな二人が内密に相談していると言うのならば、それを無遠慮に暴くと言うのは無遠慮が過ぎるという物だろう。
そう考え、先ほど見た光景はひとまず頭の片隅に追いやってしまう事にした。

>レイ

「…それは結果論に過ぎないよ」
『もっと早く合流出来たら』、とぼやくセキアにたしなめるようにそう言う。
「経過はどうであれ、皆無事に戻れたのを良しとしないと…高望みのしすぎは足元をすくわれかねない」
諭すような口調ではあるが…言葉面は少々厳しく、咎めてると言えなくもない内容で…どうにも誤解を与えかねない内容になってしまっているようだ…本人には悪気はないのだが…

「…まさかな…流石に偶然だろう」
セキアが背筋を寒くするのと同様…こちらもついつい騒動が続くことを想像してしまい、内心で軽く身震いしてしまう。
(そうだ…偶然に過ぎない…筈…だが…)
生憎と、自身が参加した事件に関しては、候補者試験と先の遺跡調査の2件だけだが…聞いた話ではそれとは別に、セキア達はそれ以前にも何かしらのハプニングに巻き込まれていたらしく…それを踏まえると確かに短期間にしては出来過ぎている。
(人為的なもの…と言うのは…流石に発想が飛躍しすぎているか…駄目だな、推測するにも材料がなさすぎる)
突飛な答えを出しそうになり内心で自嘲しつつも、深みに嵌りそうになっていた思考を引き戻せば…いつの間にやら話題の方は移り変わっており、出遅れた分を把握しようと聞き手に回る事にした。

「…それがさっき言ってた事件か」
セキアが『フェリクス』と言う単語に疑問を持ったところで、すかさずシスメから解説が入った。
それを便乗して聞いたところで、シスメが下唇を噛みしめているのに気が付く。
「劇薬なんだからロクな物ではないんだろうが…のさばらせるわけにはいかないな」
『フェリクス』がどれほどの効能を発揮するのかはわからないが…これほど問題になると言う事は相応の効果があるのであろう。
そう判断して言葉を発していた所で…突如するりとレイニアが話題に加わってきた。

「教官…いつの間に?」
セキアに次いでそんな声をあげるもののレイニアの勢いは止まらず…『ちょうどいい』と言う言葉から今回の任務についてレイが問いかけていようで…
(…そうだとすれば…どうやら今回も荒事になりそうだな)
レイニアの返答が来る僅かな間にそう考えてひっそりと内心でため息を漏らすのであった。

>セキア シスメ レイニア 食堂ALL

2ヶ月前 No.465

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★hxURCRs9R6_DMW

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1ヶ月前 No.466

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_GKj

【ルナ区画 / 第七候補隊用寮アレスタ / 食堂前廊下 / アシュレイ・ツィー】


「えーっと、確か……こっちかな―――わっ」

 角を曲がり、目的地を眼前にした刹那。訪れたるは廊窓より吹き渡る、一陣のせせらぎ。
 などと称するには、些か以上に強烈すぎる突風であった。
 絶対安全圏であるアスールの寮の屋内にあって、ある種キリングレシピ地味た攻撃を受け、ハトが豆鉄砲を喰らったかのような素っ頓狂な声を発してしまったものの見事、案内書は死守した。褒めてくれ。
 しかしながら被害はそれだけに留まらず。厄介なことだが、今の天の息吹には気紛れな風精がいたらしい。
 これを運命の悪戯と呼ぶには余りにも陳腐だろうが……まあともかくそんなものを連想させるように、彼の足元にはどこからか攫われてきた灰色の帽子が転がっていた。

 顔を上げると、その更に数メートル先にはピンと張った狼耳を頭頂部に備える紅顔の少女が一人。
 ―――……成る程。帽子(かれ)は僕のように遠路遥々、旅をしてきた訳ではないようだ。
 いや確かに、あのようにして彼女がそういう明らかな面持ちをしている以上、この帽子はやはり彼女の持ち物なのだろう。
 彼はそれを自前の人助け精神から拾い上げると穏やかな表情で一瞥し、その持ち主であると目される亜人の少女―――ノイのもとへと歩み寄った。

 僅かな無言(しじま)。東雲の陽光を纏う、麗らかな朝風だけが二人の頬を撫でる。
 露になった少女の双眸を見据え、少し驚いた様子の後に開口した。
 無邪気な子供が一度飲み干した感動を反芻するように、青年は心のまま感じた事を述べる。

「―――綺麗な色をしているね」

 そこに他意などあろうものか―――彼の言葉は聴く者にそう思わせるほど愚直に、純真に、そして素直であった。
 その眼差しはまるで大地へとその光を等量に降り注がせる、あの太陽のようだと。
 また或いは、雪解けを待つ一輪の節分草のように清澄だと……語るその口に、裏表嘘偽一切なく。
 淡々とした、然れど曇りのない声色は、より真摯な心情を当然のように吐露していく。
 そして優しく微笑みかけ、片膝をつき、どこか伏し目がちな彼女に配慮して目線の高さを合わせると、その白髪碧眼の青年―――アシュレイ・ツィーは、手に取ったキャスケット帽を差し出した。

「僕はアッシュ、アシュレイ・ツィー。
 君の名前を教えてくれるかな、素敵な瞳のレディー」


>>ノイ、ALL

【開幕早々、爆撃を開始するアッシュくん。ノイちゃんのコンプレックスを褒めちぎるの巻。
 しっかりしているとはいえ、まだ幼いノイちゃんには“聖王国騎士流・女性に対する礼儀作法”はちょっと早かったかもしれないですが……ま、何事も諦めが肝心だもんな(デジャヴ)

 では皆様、お手柔らかにお願いします〜!
 時間がなくて冒頭文を省いた、なんて事は口が裂けたので言っておくぜ……】

1ヶ月前 No.467

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★UqoZKivfnl_DMW

【ノイ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂前廊下】

帽子は意外な人物に拾われた。
志願書で見たものと同じ、グラデーションのかかった黒髪、碧眼。
意図せずして意中の人物に出会えたことに驚いていると、向こうも小さな驚きをもってノイを出迎えた。

「……?」

綺麗な色。その言葉の指し示す対象に自身の瞳が入っているなどノイは思いもつかない。
彼の言葉が一体何を指してのものなのか少し理解が遅れた。
順当に考えて、この朝日のことを言っているのだろうか。
ちらと曇りのない澄んだ陽光を横目に見る。
確かに今日はとても良い日和だ。洗濯物もよく乾くことだろう。
つまりこれは世間話では常套句の「今日はいい天気ですね」的なニュアンスなのだろうか。
しかし、彼の視線は先ほどからずっとこちらを向いている。
返す言葉に困っていると彼はすぐに二の句を告げた。
そこでようやく理解する。彼が綺麗だと評したのは、
他ならぬ自身の、忌み子の象徴である、この瞳であることに。

「そんなこと、ない。綺麗な色、そっち。でも、感謝。
帽子も、ありがと。これ、とても、大事」

切った貼ったの単語形成文で、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
この目に対する負い目からでも謙遜でもなんでもなく、単にノイは青色が好きだった。
膝を突いて同じ目線となったアッシュの目を興味深げに覗きこむ。
見事な碧眼だ。レイニーのような深みのある青ではなく、透き通った青。
レイニーが海なら、アッシュのその色は空を連想させた。
それからどれだけの時間注視していただろうか、自己紹介の声にハッと我に返ったノイは
彼の手からキャスケット帽を受け取り、目深に被りなおす。

「名前、ノイ。本名、長い。だから、ノイで、いい」

彼に倣ってこちらも短い自己紹介を終えると、
時折詰まりながらも小さい声で何度か彼の名前を復唱する。
やがて何事か考える仕草をした後、唐突な提案を口にした。

「アシュって、呼ぶ。良い?」

促音を挟んだ名前が言いづらいのか、それとも愛称の意味を込めてか、
はたまた瞳を褒められたことに気を良くしてか、ノイはアッシュに訪ねる。
と、ここで本来の目的を思い出したノイは彼の袖を控えめに引っ張った。

「こっち。来る、要求。あとの、流れ、レイニー……教官、説明、する」

そう言うが早いか、食堂の扉に手をかけたノイは、そのまま彼と連れ立って廊下をあとにした。


【セキア&シスメ&レイニア&エフィニア&ノイ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

食堂を見渡すと、既に自分達以外の第七候補隊は全員集合しているようだった。
彼の袖を引いて、ひときわ人の多いテーブルへと足を進める。

「レイニー、連れて、きた。遅くなった、謝罪」

ノイの足音に気付いてか、後ろを振り返りかけたレイニーに言葉を投げかける。
待っていましたとばかりに頭頂の耳を小さく動かしたレイニアは微笑をもってノイの声に答える。

「お、噂をすれば、ですねぇ。はいはーい、みなさーん。ごちゅうもーく」

待ち人の登場に騒がしさを増す食堂。視線は自然とアシュレイへ集中する。
パンパンと手で拍を打ち、視線を自分に集めたレイニアは
素早く立ち上がると、アシュレイの横に立って彼を手で指し示す。

「今日から第七候補隊のメンバーに新しく加わることになりました〜
アシュレイ・ツィーさんでーす。はい、拍手〜」

【ようこそ、アスールへ! 廊下から食堂へ移動させていただきました。
こちらこそ至らぬ部分も多いかと思いますが、よろしくお願い致します】>アシュレイ、ALL

※警告に同意して書きこまれました (個人情報)
1ヶ月前 No.468

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_EjY

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「!!…いや、そう…だな…その通りだ」
セキアの『まるで先回りされている』と言う発言を聞き思わず動揺しかけるが…どうにか持ち直し、キリがない言うセキアの言葉を肯定する。
(まさか…セキアもそう考えていたとは…いずれにせよ根拠のない推論にしかならないが…)
…能天k…もとい、楽天家なセキアでさえも作為的な物を感じ取っている様子だ…となれば…ほかの関係者にも一度意見を聞く価値はあるかもしれない。
それで事態が動く…というわけではないが情報を共有すればちょっとしたきっかけ程度にはなるかもしれない。
(…まぁ…期待は出来ないが…それよりも…だ)

現れるなり会話の主導権を持って行ったレイニアが、レイからの質問を肯定しつつもそれとは別の話がある、と軽めに制止した所で…
(…エフィメア?)
食堂の賑やかさに紛れていつの間にか駆け寄っていたエフィメアに気が付いたが…こちらが何かしらの言葉を発する間もなく、彼女はそのままレイニアの声に割り込み新たな入隊者の存在と、ノイがそれを迎えに行っている、と発言した。
「…了解しました…ならもう少し待つことにしましょう」
今説明し、新人の方にもまた説明するのであれば二度手間になってしまう。
急ぎであれば移動中などの時間に掻い摘んで説明するのも有りではあるが…そうでないならば一緒に説明をするのが効率的だろう。
そう考え、先の言葉を返したのだが…直前に2、3言葉を交わしただけでレイニアから離れたエフィメアがどうにも悲しげな表情をしているのがどうにも気にかかった。
当人は既に元の表情に戻り、厨房での仕事に戻っているようであったが…
(何か…あったんだろうな…だが…)
そうは思えど…おそらくは当人たちしか立ち入れないようなデリケートな問題なのだろうと言うのは容易に察する事が出来た。
出来てしまったがために直接訪ねる事などできるはずがない…大いに気にはかかるのだが…
(…赤の他人…と言う程ではないんだが…流石に出しゃばりすぎるか)
そう考え、今は忘れ…る事は出来そうにないが…一度棚上げにすることにして件の新人が来るのを待つことにする。

…そうして数分後、ノイに連れられて一人の青年…『アシュレイ・ツィー』がやってきた。
そのまま流れるようにレイニアが軽く彼の名を紹介すると共に拍手を要求してきたため、こちらも拍手で迎えてやるとする。
(身のこなしからして剣士…だろうか?)

>セキア レイニア エフィメア アシュレイ

【新人だー!!囲めー!!(コラ…と、まぁ何はともあれこれからどうぞよろしくお願いします】

1ヶ月前 No.469

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:第七候補隊用寮アレスタ:食堂】

あの事件と関係がある案件、その調査と言ったところでしょうか。その事を聞いたレイの目が少し曇ったことは誰も気づかないだろうか。
今回の任務、果たして自分が出るべきなのか、少し悩むレイ。

敵の目的がはっきりわからないが、レダール、フォルラーン、何か、それに関連した話をお母様から聞いたことがあるような気がする。しかし、はっきりと思い出せない。嫌な予感が止まらない。
だからといって予感だけで任務を拒否することはできない。責務は果たさなければ行けないし、今の私の状況で拒否すればそれこそ、あの方に怪しまれてしまう。

「新しい方がいらっしゃるんですね!楽しみです!あ、でもどうしましょう。私何も準備してません、何かえっとー…クッキーは昨日切らしちゃいましたし...」

新しい新入隊員が来るということで、少し気分が上がり、何かお近づきの印としてあげられるものがないかと模索するも何もなくて本気で悩みはじめるレイ。

しかし何かを思いつく前に、新しい新入隊員であるアシュレイ・ツィーさんがやってきてしまった。

「は、初めまして。私、白月レイと言います。......っ」

急なことでワタワタしながら自己紹介をするレイ。しかしそのあと妙に背筋に寒気感じ、無意識にアシュレイさんから距離をおいてしまった。
なんだろう、この人から感じる違和感は、恐怖とかではなく、何か...共鳴に近いもの、この人が持っているあの武器?もしかして魔武器なのでしょうか、でもそんな感じはしないし…
でも引き寄せられる何かがあるようなそんな感じがしてその謎の感覚に恐怖を覚えるレイなのであった。

>>レイニア セキア エルと アッシュ ノイ

(新人さんですねー!よろしくお願いします!!!
さっそく勝手ではございますが、シリウスと共鳴っぽいことしてみました。
魔武器として魔道兵器と共鳴した方が面白いという感覚になりました

1ヶ月前 No.470

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_Vzx

【ルナ区画 / 第七候補隊用寮アレスタ / 食堂前廊下⇒食堂 / アシュレイ・ツィー】

 ――――ところで諸君は、ZONYという魔導具ブランドをご存知だろうか?
 アスールではあまり認知されていないようなので手短に説明すると、我々俗人には欠かせない娯楽アイテムを提供している電機メーカーの一つだ。
 元々はテレビやラジオ等の電子機器類を筆頭にした、生活に便利な魔導具の開発に注力していた中小企業だったのだが、昨年、同社により公開された『PF』なる商品が業界に革命の嵐を巻き起こした。
 なんでも仮想現実に自身のアバターを作成し、専用のソフトを購入することでアバターを駆使した様々なゲームをプレイできる『端末型魔導遊具』なのだとか……。
 結果、事業は見事に大成功。人類の可能性を世間に広く知らしめたこの新たな試みは、老若男女問わず様々な人種より根強い支持を獲得し、今や聖王国でも大変人気の高級ブランドへと急成長を果たした。
 取り分け、その技術と特性を存分に活かして制作される『RPG』と呼ばれるゲームジャンルには住み着くユーザーも多く、そしてそんなユーザーの中には、行き着いた村や街の住人に“とりあえず片っ端から話しかける”プレイヤーも、ごまんと居る事だろう。
 必然、そんなプレイスタイルを続けていると、思いがけない所にいる思いも寄らない人物が「実はメインシナリオ進行フラグでした」等という殺人的なトラップに引っかかる頻度も決して少ないとは言えず……ああ、つまり。何がいいたいかと言うと――――今がまさに、それだ。

「? あ、ああ……うん、僕の事は好きに呼んでくれて構わないよ。
 では、お言葉に甘えて―――隣を歩く光栄に最大の感謝を、リトルプリンセス・ノイ」

 …………参ったな、これは一本取られた。
 レイニー。少女が口にしたその名前には確かな覚えがあった。
 なぜならこの案内書を自分宛てに寄越し、ここに呼び立てたのは他でもない『レイニー教官』その人なのだから。
 であれば、このノイと名乗った半狼の少女は差し詰め、案内役と言ったところか。
 ――――成る程、確かに。アッシュを滞りなく隊へ引き入れるには、この無垢な少女を配置するのが最も適任だろう。
 仮に応対を担当したのが他の女性職員だった場合、下手をすればアッシュを打っていたかもしれないし、また或いは絆されていたかもしれない。
 よって、彼女は正しい選択をした訳だが……これが恣意的な配置であったのなら、レイニア・ベルダーという女性は大した慧眼の持ち主だ。
 なにせまだ顔も合わせてすらいないのだから、書面だけで彼という人物を見抜いたという事になる。たかだか一個小隊程度を預かる者の器としては、余りある資質と言えよう。
 ともすれば、こちらの素性や思惑も既に看破しているのかもしれないが――――無論、アシュレイ・ツィーという男にはそれを知るだけの術を持ち合わせていない。
 かといって、当の本人にそれとなく真偽を問うても、精々煙に撒かれるのが関の山だろう。

「全く、食えないお女性(ひと)だ……」

 やれやれと言った仕草で軽く肩を竦める。
 この隔たりの向こうには、自身がたった今「食えない女」と評した聡明な女性と、それに付き従う兵(つわもの)たちが集っているのだろう。
 第七候補隊―――先日もソエリスで活躍したという期待の星。朝刊の一面を飾るくらいには大達周りだったと聞くが……果たして、どのような無理難題が待ち受けているのか。
 国家隊と謳うくらいなのだから、想像するに騎士団の入隊式みたく粛々とした場で隊章授与を行い、その後は別命あるまで食堂で親睦を深め合うのだろうか? とにもかくにも、意を決して拓いた扉から蒼き国の旗下へと踏み入ったのだが―――。

 そんな決意はどこ吹く風。彼を出迎えたのは万来の――というには些か大げさだが――拍手喝采。
 まあ結論から述べると、歓迎された訳だが――――なんだこれは、罠か?
 いや疑いたくもなるだろうさ。僕の辿ってきたこれまでは、いつだって直角90度の坂道だったのだから。
 閑話休題。ノイに袖を引かれるまま歩く内に、やがてレイニーが横へ並び立つと、ここに来て漸く我に帰った。
 まるで聴かされていなかった展開に多少拍子抜けするも、しかしアッシュは気後れする事なく言葉を紡ぎ始める。

「本日付で配属となりました、アシュレイ・ツィーです。
 不肖、若輩者ゆえ至らぬ点も多くございますが、ご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願いします」

 直立から低頭へ。腰を折り、深々と頭を下げてのお辞儀。
 古来より骨法に勝るものなし。社会的に長生きしたければ繁文縟礼も止むなしだと、スラム時代に良くしてくれた爺さんも言っていた。
 だから僕も常に正しく在りたいと思う―――コンコルディアの騎士として。

 ひと呼吸置いてから面を上げ、総員の反応を伺う。第一印象、良好。手応えはあった。
 刹那の静寂の後、まず最初に訪れたのは薄紫色の頭髪と翡翠の瞳を弁える、どこか優しい雰囲気を纏う少女の一声だった。
 まさしく“白百合”と称えるに相応しい花弁のような容貌を持つその少女は、落ち着きない調子で自己紹介を開始する。
 白月レイ―――この辺りでは耳慣れない特徴的な苗字形態からして、異国の民だろうか。シラツキ・レイ、レイ・シラツキ――――シラツキ?
 いや待て、どこかで聞き及んだ事のある名だ。しかしそれが何だったかまでは……駄目だ、明確に思い出せない。

 なんとも忸怩たる思いだが、このまま追思に耽るのも失礼なので一先ず微笑みを以てこれに会釈すると、見目麗しいその少女は一歩後退る。
 …………はて、なにか不愉快な想いをさせてしまったのだろうか? 僅か数秒とはいえ、見つめていた事に気を悪くしたのならば謝罪しよう。
 だが不可抗力だ。視線はともかく意識は明後日の方角を向いていたし、釈明の余地はそれなりに要求する。


 脳内で勝手に繰り広げられるコンコルディアジョークもそこそこに。斯くして、この白騎士の物語は幕を開ける。
 過去も未来も、希望も絶望も。あらゆる絆を薪と焼べ、願う真を胸に男は果てなく征くのだ。
 例えいつか、燃え尽きてしまう蝋翼であろうとも――――。

>ALL


【Q,聖王国の騎士って、皆こんなキザ野郎なんスか?
 A,(一部を除いて)そうだよ(タメ口)

 皆様、ご丁寧にどうもありがとうございます〜! (人間関係的な意味で)なんてホワイトな職場だ、アスール国家隊……。
 ちなみにアッシュくんの持つシリウスは、一口に魔導兵器とはいっても現時点では「単に出力の高い魔導具」程度の扱いなので、実はそれほど大した代物でもないかもしれないです……。
 まあ、レブランカの『天才の真似事をした、才能のない阿呆ども』が生み出した“意思持つ魔導具の模倣品”という側面もあったりなかったりしますし、シリウスが生み出された経緯に魔武器一族との間にも密接した、“人智を超えたナニカ”があったのかもしれませんね……!! むしろそういうの面白そう!(軽率)

 というか『白月』の読み方、これで合っていたのだろうか……。
 間違えていたら拙者、切腹します(豪語)】

1ヶ月前 No.471

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★3sbWh86ZJj_5qC

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24日前 No.472

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ】

今回の任務に参加するべきか悩んでいると、セキアさんに大丈夫?と声をかけてもらい、一瞬でも自分の世界に入っていた私を、現実の世界に連れ戻してもらった。

「あ、えっと...その...今回の任務いつにも増して嫌な予感がしたというか、あまり乗り気ではなくて...
ダメですね、こんなことで任務を投げ出しては...国家隊として全力を尽くさないと」

自分でもわかる薄っぺらい上辺だけでものを言った。国家隊として...か。私がここにいるのは国家隊のため?否、違う。私は


「セキアさん...ありがとうございます...詳しいことは今回の任務のあと、お話します。だけど今は...ごめんなさい」

今の私にはこんなことしか言えなかった。セキアさんがせっかく手を差し伸べてくれたのに、私はそれに応えられているのだろうか。きっと足りない。

「今回の任務に、アシュレイさんも同行するのですか?」

恐る恐る訪ねてみた。初めて会う人に対してこんな態度をとるのはいささか失礼ではあるが、彼から感じる悪寒は、無視出来ない。身体が、心が、血が...そう訴えてくる。

>>アシュレイ セキア エルト

22日前 No.473

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_gaI

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

穏やかな…と言うにはほんの少し騒がしいかもしれないが…それでも概ね歓迎なムードで挨拶を交わしていく隊員たち。
このまま何事も無く顔合わせの方も終了…とはいかなかったようで…
(レイ?…何かあったのか?)
緊張からか、少々詰まりはしたものの、挨拶を済ませたようではあったが…終わるなりやや早足にアシュレイから距離をおいてしまっていた。
(何かあったのか?…しかし…)
短い付き合いではあるが、理由もなくこんな態度をとるような少女ではない…はずだ。

…などと考えていると、同じくレイの様子に気が付いたセキアが話しかけるのが目に入った。
(…セキアに任せっぱなしと言うのは情けない話だが…任せるしかないか)
内心でため息をつきつつ、そう結論づける。
…彼女等の様子からデリケートな問題なのだろうと言うことぐらいは察せられ…これまで必要最低限の会話ぐらいしか交わした事が無い彼女に対し、踏み込むのは大いに躊躇われた。
(しかし…いつまでもこのまま、と言う訳にはいかないか)
今後の事を考えればすぐにでも話を聞くべきだろう…だが…
(…この場で問い質すのは問題だな)
経験不足とは言えどもそれぐらいの理解はある…決して尻込みしているわけではない、決して。
…などと言い訳じみた事を考 えながらも、流れを変えるべく自身もアシュレイへの挨拶と自己紹介を済ませるために行動を起こすことにした。

「…エルトだ。エルトライゼ…これからよろしく頼む」
…流れを変えるどころか微妙な空気をむしろ加速させかねないほどに無機質な文面ではあったが…握手を求めるように右手を差し出している事から歓迎の意思は辛うじて伝わるであろう。
「あー…なんだ…彼女も少し緊張してるみたいでな…悪く思わないでやってくれ」
次いで、近場にいるアシュレイに辛うじて聞き取れるであろう程度の声で密かにフォローを入れる。

>レイ アシュレイ ALL

ふと、こちらに向けられた視線に気が付き、そちらを見やれば…視線の主のエフィメアと目が合う。
(…な…なんだ?)
そのまま値踏みされるかのようにじーっと観察されてると心当たりはないはずなのに何か後ろめたい様な気分になってしまい…内心で少々困惑していた所で、当のエフィメアが何やらこちらに何処か控えめながらも芳醇な香りを漂わせる一枚の皿が置かれる。
(む!?…これは…イイモノだ…だがしかしなぜ!?)
それ…ふかふかのパンケーキは視覚だけでも実に甘美な味わいであると見受けられ…続くエフィメアの言葉からなぜ自分にそれが回ってきたのかと言う疑問にも回答がなされる。
(…なん…だと…?…あの数秒で…見透かされた!?)
…別に悪い事ではないのだろうが…知りえた一般常識の中では男性が喜んで甘味を食すのは一般的ではない、と言う程度の知識を持っている事から、なるべく隠しておきたい事柄であった。
(ま…まずい…何とか切り返しを…)
内心でそう焦ってはいたが…幸いにも周囲の喧騒からか誰も事態には気が付いていないようで…いってしまえば絶好の好機だ。
(…だ、大丈夫だ…バレてない…今ならいける…何よりせっかく出されたものを突っ返すなんて失礼だ、ナンセンスだ、冒涜だ!!)
…そう思ってしまったが故、あとから次々と行為を正当化する理由が湧き出て…断ると言う選択肢などあっという間に忘却の彼方へと吹っ飛んですぃまった。
「せ…せっかくだしな、うん。たまには…そう、たまーには甘いものを食べたくなるかもしれないからこれからもよろしく頼む」
…いつになく饒舌になりながらも密かに夜宵を一部分だけ召喚し、驚くほどの早業でその影に皿毎忍ばせて亜空間へと仕舞い込む…先のセリフを言い終えてからこの間、無駄に精錬された無駄に高度な動きはコンマ単位と言う実に非常識な速度で証拠を隠滅を可能としたようだ…
(さて、これで後は空き時間にこっそりと堪能できるな…うむ)
そうしてまんまと完全犯罪…もとい、目論見を達成したのであった。

>エフィメア ALL

13日前 No.474

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/???】

「あーあ、アイツら好き勝手にしてくれちゃってー。アタシが特別な許可を出したおかげで、実験やらなんやらできるようになったっていうのに。
魔武器の嬢ちゃんまでこの遺跡に連れてくるなんて、やることが露骨というか直球すぎるにもほどがあるねぇ」

遺跡の中を慣れた様子で進んでいく。あの戦闘などで破壊された遺跡を魔法で修復させていく。床についた大量の血も、水で洗い流す。でもこれは、データとして貰っておこうかな。
洗い流した血を、試験管に入れニヤリと笑う。

「やはりあの連中に、あの子を預けておくのは、愚かだった……返してもらわないと」

遺跡の外に出ると、遺跡を結界で囲み、その姿が誰にも見えないように消してしまった。
そしてどこから飛んできた杖に腰をかけ空へと飛び去った。

>> All

11日前 No.475

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★NbTgTHOZiK_5qC

【エフィニア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

突然差し出されたホットケーキに彼はその薄緑の瞳に驚愕をいっぱいに広げた。
あたふたしている。まだまだ感情への理解は深まっていないと
自負するエフィニアであっても彼の感情の移り変わりが目に見えて分かる。
驚愕から狼狽、葛藤、そして妥協へとコロコロと変わる彼の内情に
気付かれないよう笑いをこらえていると、彼は控えめな言葉と共にそれを受け取った。

「はイ。たまーには良いかもしれませんネ! たまーにハ、ふふフ…
お菓子作りハ、趣味の一環ですのデ、
またたまーに作るかもしれませン。その時は味見をお願いしますネ!」

彼の言葉を真似するかのように、なんどもたまーにという言葉を繰り返しながら
エフイニアは料理を受け取ってもらえて満足げだった。
贅沢を言うなら本当は胃袋を握りたかったのだが、結果として弱みを強く握る結果となってしまった。
閑話休題。さてどう切り出そうかと言語データから
適切な言葉を検索していると、突然、エフィニアの目の前でホットケーキが消失した。
僅かな魔力の揺らぎから一瞬だけエフィニアの目が魔力糸の反応を検知する。

(魔導具? いエ、これはこの国の魔導具とは別系統…むしろ構造的に別物といいますカ…)

トランプを消して見せるマジシャンもかくやという早業にぱちくりと目を瞬かせる。
エルトについてまだよく知らないエフィニアは
あのクロークは異次元にでも通じているのだろうかと、好奇に目を輝かせた。
そこまでしてハッと気付く。彼の狼狽はこんな自分の態度にも問題があったのではないかと。
初対面の人に対してグイグイいきすぎたのではないかと。やはりまだ感情データの収集が不完全だ。
我に返ったエフィニアは慌てて言葉を継ぎ足していく。

「すみませン。系統は違えド、エフィと同じようニ
誰かに作られた者が第七候補隊にいると聞いテ、少しテンションがオーバーフロー気味になってしまいましタ」

エフィニアとレイニアが旧知の仲であることは、彼も先ほどのやりとりから既に察しがついていることだろう。
彼女がこれまで学び取った性格の基盤となる部分には、
無論レイニアとのやりとりがフィードバックされたものも多く含まれている。
その結果、彼女の良くない部分も見事に吸収してしまったらしい。
からかうつもりはなかったのだが、エフィニアは先ほどの非礼を詫びるかのように申し訳なさげに微笑む。

「改めましテ、ここの寮長兼、食堂を任されておりまス、エフィニアと申しまス。
炊事、洗濯、裁縫、簡易なバイタルチェックかラ、チャカの扱いまデ、ご用命の際ハ何でも言ってくださイ。
これから長い付き合いになると思いますのデ、今後ともよろしくお願いしますネ!」

深々と腰を折るエフィニア。
家事できますよアピールに加えて、何やらそれらと並べて扱うには
不穏なものまで混ざった気がしないでもないが、
遠回り過ぎる遠回りを経て、エフィニアは本来の目的を終えたのだった。

>エルト、ALL



【セキア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

いつもに比べて覇気がない…というより、
考え事に気をとられすぎてどこか上の空なレイの呟きを見送った後、
しばしセキアは顎に手を当てたまま考えるそぶりを見せた。
たぶんセキアの声は言葉として聞こえてはいるものの、
そこに込められたものが彼女に伝わっていないのだろう。

「んー…」

言葉が薄い、というよりも強い言葉で感情を無理やり上書きしていくような、
まるで自分自身に自分自身で暗示をかけるかのような物言い。
何故だかはわからないが彼女が“国家隊”という言葉を使うときに限って言葉と感情のズレを感じるのだ。
思考の迷宮に迷い込みそうになりかけた頭を振る。
そうして、セキアはようやく普段の自分に戻れた気がした。
レイにああは言ったものの、セキアも今朝見たあの夢に引きずられていたのかもしれない。
この件に関しては後で話すと声を潜めるレイに
幾分か落ち着いた口調へ戻ったセキアは、なおも言葉を投げかけた。

「夜眠れないときはさ、散歩でもして気分をリフレッシュさせたほうが良いんだって。
無理に寝ようとすると逆に良くないって」

いきなりなんの話か。唐突に始まった雑学披露に恐らく彼女は首を傾げることだろう。
セキアは続ける。

「つまりそれと同じだよ。つらいときはつらいって打ち明けてくれたほうが嬉しいかな。
そのほうがほら、なんていうか……うん、仲間だーってかんじするでしょ?」

つまりは無理に平静を装わなくても良いと言いたいらしく、
そう一息に言い切ったセキアは、白い歯をにっと見せるあまり上品ではない笑顔を向ける。
長年一人旅を続けてきたおかげか、照れなく仲間という言葉は案外すんなりと口を出てくれた。

「つらいときはあたしが――って言っても普段レイに助けてもらってばかりの
あたしが言うのもあれなんだけど……一度乗りかかった船だし、二人で乗り越えていこう」

「最近レイとの連携もどんどん上手くなっていってる感じがするし!」と
最近、第七候補隊に脳みそ糖蜜漬けな候補官がいるらしいと揶揄され始めてきたセキアらしい
能天気さに溢れたセリフを恥ずかしげもなく言い切った彼女は、
肩を付き合わせるようにレイに身を寄せると、にひにひと微笑んだ。
実は連携が上がったわけの一つとして、最近隠れて軽く素振りを始めた
という話しがあるのだが、それはまた別のお話。
ふと、話題を切り上げようとアシュレイに話を振ったレイにセキアも追従する形で話しに加わる。

「あ、そういえば、自己紹介がまだだったよね。
あたしはセキア。セキア・ルーブ! ふむふむ…あたしの観察眼によると…
おにーさんって騎士っぽいよね。ひょっとしてどこか騎士団に所属してる人!?
なんかマントとかすごい似合いそう!」

自己紹介の波に乗り遅れたセキアはまるで
自分の存在をアピールするかのようにアッシュに向かってハイハイと大きく挙手する。
そして、唐突に始まるセキア劇場。
ファンタジーな書物に毒された勇者脳からいつもの常套句が垂れ流される。
謀らずもどこか柔らかな物腰。そして、気品ある容姿を持つアッシュは、すかさずセキアにロックオンされた。

>レイ、アシュレイ、ALL

5日前 No.476

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

セキアさんはなお私に言葉を投げかけ、辛い時は打ち明けたほうがいいよ、と言ってくれた。私は、チラリとレイニアさんの方を見た。
レイニアさんはエフィニアさんと話している。『誰かに作られた人が第七候補隊の中にいる』それはおそらくイワモトさんのことだと思うが、今の私にもその言葉が胸に刺さる。

「私は、私たち魔武器は、どうやらこの国にとって…あまり良くないもののようで
私はここにいるのが間違いなのではないかって思ってしまって……」

誰にも聞こえないように、セキアさんの前でこっそりと話す。こんなこと今言うべきではないのに、でもセキアさんにはなんだか何でも話せそうな、そんな気がしたのは不思議だった。

「セキアさん、お願いがあります。
いろんな武器に姿を変えられる私が、レダールの影響で理性を失った時は、迷わず、私を殺してください。」

真剣な目で静かにセキアさんへ訴える。
そのことも考えていた。魔武器とてレダールの影響を受けないとは言い切れない。
そしてもし、爆発物にでもなったりすれば、街一つを吹き飛ばしかねない。

あの殲滅の夜も、村を守ろうと爆弾になり自爆した者もいた。その時はパートナーもいなかったのに凄まじい破壊力を見せた。
もしレダールの影響を受け理性を失ったりしたら

>セキア 食堂オール

4日前 No.477
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