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月下のアスール【T】-『The God Delusion』

 ( オリジナルなりきり )
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語り部 @yuzuriha16 ★6kAHKhaN27_EP8

にぎわう夜の酒場で、あるいは街灯に照らされた石畳の上で、

はたまた夜風にさらされた荒野で、それとも木の爆ぜる音が響く焚き火の周りで、

まことしやかに囁かれるある一つの国家が存在した。

かの国家の名はアスール。

魔導具と呼ばれる未知の技術を用い、急速に発展する新興国家。

世界から疎まれた狭間の者達が築きあげたその国は、5人の建国者により均衡が保たれていた。



アミル・カーランドが統轄する娯楽区画ウォーティア

ディノアギスバルガエンズルドが統轄する流通区画エイルス

ヒルカ・ルドナルが統轄する工業区画アーティー

出雲 鶴羽が統轄する自然区画ガイアル

そして、アスール国家隊の総本山である中心区画ルナ。

水と遊戯を求める者はウォーティアに

空と発見を求める者はエイルスに

魔導具と情報を求める者はアーティーに

大地と交流を求める者はガイアルに



今日も様々な目的を持つ者達がこの国を訪れる。

純粋に他種族との調和を志す者、己が国を富ませんと仮面を被る密偵、

帰路に迷い流れ着いた者、はたまた想像もしえない願いを抱いた愚者。

そんな各々思惑でさえ、まるで取るに足らぬものと言いたげに、

かの国家は飲み込み、最初からそこに存在していたかのように彼らは国へ同化していく。

その渦中にあなたが飛び込んだ―――それがこの物語の幕開け。



【サブ記事にてルール説明、キャラ募集を行います。本編開始の合図はサブ記事にて行い、
本編は本スレ運営主の最初の書き込みを持ってスタートとさせていただきますので、ご了承願います】

2年前 No.0
メモ2018/08/12 20:52 : 語り部(スレ主) @yuzuriha16★MurpyimDs8_5qC
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エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_FNM

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「それは…その…」
誤魔化したかった部分を的確に指摘され答えに詰まる。
この時点でほとんど白状しているような物なのだが…視界の端でなにやら慌てているようなシスメにまでそれを悟らせては余計な気づかいをさせてしまいそうなので、どうにか頭をフル回転させて上手くやり過ごすようなセリフを考えようとはしたものの…
(っ!?…これ…まず…)
…即座に襲い掛かった頭痛と視界が歪むような感覚を覚え、即座に思考を放棄…なけなしの根性と気力を総動員して外観上の平静を保つことに努める。

その間、何やら鶴羽は扇子をこちらの顎に滑り込ませ、こちらの顔色をさらに探るような事をしていたようだが…気が付いた時には既に表情を緩め、追及の手を緩ませたようだったが…
「そ…その…我々が居たのはなんと言いますか…外より隔離された環境だったので…」
一呼吸置く間もなく『そうとう特殊な出自』と言われた事について言い訳がましい事を口走る…別に追及されているわけでもないのだから適当に相槌でもうってればいいと考えなくともわかりそうなものなのだが…先の眩暈に日和った思考放棄と対人不足が合わさったなんとも情けない反応がこの有様である。

深く突っ込まれる前に、先ほどシスメが所持していた紙片…タロットカードに話が移ったところで、これ幸いとそちらの話題に無理矢理移行する…そんな事をしても問題の先送りにしかならないのだが。
「…う…占いは所詮占いだから…」
…その結果…結構容赦のない指摘をされ、意気消沈するシスメにそんな言葉をかけ、慰めようと試みたが…この短い付き合いでも思い当たる節があったのもあり、どうにもうまい言葉が出ない…恐らくは視線を合わされようものなら即座に明後日の方向に逸らしてしまうであろうと言うレベルだ。

「そ…それなら左から3枚目を…」
一応良くない流れだと察知する程度の感性はあったようで、どうにか話題を変えようと、鶴羽に提示されたタロットを口頭で示す。
少々強引すぎるかもしれないが…意気消沈した様子のシスメも暗い話題よりかは先のわからない新たな話題に気を向ける可能性が高い…かもしれないと信じて…

>鶴羽 シスメ ALL

6ヶ月前 No.442

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★png7KYI85v_DZn

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

ひんやりとした感触のレイの手に引かれて、レイニア・ベルダーは歩き出す。
テラスへの道中、甘い藤の香りが鼻をくすぐった。
感じた香りの総量と位置からいって、これは藤棚だろうか。
藤棚とは藤のつるをはわせて垂れ下がる花を観察できるようにしたものだ。
恐らく、頭上は淡い紫色のカーテンがかかったようになっているのだろう。
結構な年月を経た今となっては目が見えないことに
別段不自由を感じたことはなかったが、珍しく損をした気がしないでもなかった。
と、別の方向に意識を反らしてはみたのだが…

「あはは、すみません。
ノイちゃんがいればこんな面倒はかけなかったんですがー、ちょうど今、別の用事を頼んでまして」

申し訳なさからそんな言葉が口をついて出てしまう。
思えば、ノイ以外の誰かに手を引かれるという経験はそんなにない。
ガラにもなく、どことなく気恥ずかしいものを感じる。
そうこうしているうちに、藤棚のゾーンを抜けたのか独特な甘い花の香りが遠いていく。

「ありがとうございます。では、失礼しますねぇ」

さほど歩くことなく目的地に到着し、レイが椅子のところまで案内してくれたので、
一言断りを入れてからレイニアはそこへ腰掛ける。
ほどなくしてこぽこぽと何かが注がれる音が聞こえた。
恐らく、お茶の準備をしてくれているのだろう。
それならばと、こちらも準備をしておこうと持ってきたバスケットの蓋に手をかける。
ごそごそと目的のブツを探してバスケットの中をレイニアの手が移動し、
やがてお目当てのものに手が触れる。

ひんやりとした、鉄の感触。
レイがポットを置くのを待って、レイニアは音も立てず彼女の背後へ近づき、
引き金に指をかけると、そのままソレを彼女の無防備な背中へと突きつけた。

「そちらを向いたまま手を上げてください。
やー、実はちょっと貴方にいくつか聞きたいことがありまして」

能天気な声とは裏腹に、
そうレイに命令するレイニアの声から伝わる感情は完全に熱を失っていた。

>レイ



【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

彼の素性について触れようすると、彼らしからぬ…いや、これが恐らく素なのだろう
目に見えて狼狽した様子を見せた。嘘は得意としないタイプであるのはなんとなく理解していたが、
万全な状態の彼であればもう少し上手く取り繕うことが出来たはずだ。
口に出さずとも、明らかに何かありますよと明言しているようなものである。
しかし、タロットカードの話にすぐに食いついたあたり、
話題の転換を図ろうとしていることから、彼にとってこれは触れて欲しくないことなのだろう。
こちらとしても病床に伏している相手を捕まえて根掘り葉掘り聞くのはフェアではないと感じたのか、
それ以上の追求は控えた。
一通り彼の表情を確認した鶴羽は、エルトの宣言どおり、彼から見て左から三枚目のカードを抜き取る。

「ほぅ…面白いのが出たのぅ。じゃが…ふむ、そうか…」

即答できないほど悪い結果か、カードの解釈が難しいのか、はたまたその両方か。
再び神妙な面持ちで唸る鶴羽。先ほどの自分のこともあり、
何とか彼だけでも良い結果が出るようにと祈っていたのだが、どうやらその祈りは届かなかったようだ。
良くない流れは伝染する。

「な、何のカードが出たんですか…?」

こちらも先ほどと同じく恐る恐るといった様子で再び鶴羽に尋ねる。
鶴羽はまるで正解を発表する前のクイズ番組の司会者のような
表情で数秒の間を置いてから、鶴羽は手元のカードをくるりと反転させた。

「愚者の逆位置じゃな。意味は確か…愚考、失敗、陳腐、無謀じゃったかのぅ」

既にマイナスなワードが並んでいるあたり、
どんな結果か予想はつきそうなものだが、シスメは固唾を飲んで鶴羽の言葉を待つ。

「えと、逆位置ってことは……また嫌な予感がするんですけど…つまり?」

「指し示すところは…この場合そうじゃのぅ…
自分の気持ちや考えを主張することができず、周囲に呑まれて成り行きに任せてしまったりじゃな
状況の変化が怖く、思い切った行動が出来ずにタイミングを逃し
状況が悪化する……――といったことを指しておる。
つまりじゃ。もっと我を出したほうが、良い方向に進むということじゃろうな」

ここでちらりとエルトの顔を窺う鶴羽。
何か良からぬことでも企んでいるのか、
着物の袖先に隠された口の端が僅かに吊りあがるのが見えた。

「何か思い当たる節があるのではないか? のぅ、エルトや。否……」

手にした愚者のカードでエルトを指す示した鶴羽はしかし、しばし何事か考え込むようなしぐさを見せた。
やがて、エルトを指し示した愚者のカードを引っ込めると、それをすっとシスメの鼻先へと移動させる。
突然こちらに矛先が向いたことに驚いたのか、何事かとシスメは鶴羽の顔を見返す。

「これはお主にも当てはまることじゃのぅ、シスメ。
お主がさっきからそわそわしておるのはこやつに何かいいたいことがあるからじゃろ?」

「そ、それは……」

キョトンとした表情から一転、鶴羽の指摘が図星だったのか言葉に詰まるシスメ。
入室したときと全く同じ調子でやれやれと鶴羽は首を振ると、
いまだに無駄な足掻きを見せるシスメに質問を投げかける。

「違うのかや?」

「その…まぁ…そうですけど…うぅ、わかりました…言います、言いますから…」

ついに鶴羽の追求をかわしきれずシスメは陥落した。それにしてもひどい狼狽っぷりである。
彼女の嘘は見ていて痛々しさすら感じる、と思えるほどに。

>エルト

6ヶ月前 No.443

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRF

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「む…むぅ…」
鶴羽から示され、解説されたカード…愚者の逆位置について聞かされて思わずうなる。
(…み…耳が痛いな…これは)
確かに思い当たる節が無いわけでもない…と、言うよりも大いにあり…その自覚もあるのではあるが…『我を出した方が良い方向に進む』と、言われてもイマイチピンとこないと言うべきか…我を出す自分と言うのが想像できない。
考えている内にも追撃のように『思い当たる節があるのではないか?』と問われるが…まったくもってその通りなので反論のしようもなく、表情にわずかながら苦いものが混じる。

「…言いたい事?」
そうして少しの間考え込んでいたところで突如話題の矛先を変えた鶴羽のその言葉に反応する。
問われた本人は何やら渋るような素振りを見せているようで…なんだか無理にきくのも悪い様な気がしてしまい…
「あー…言いにくい事なら無理に聞こうとは思わないが…なんなら後日と言う事でも…」
などと鶴羽の焚き付けやシスメの観念を台無しにするような逃げ道を提示してしまう…本人に悪気はない…どころか善意ではあるのだが…

>鶴羽 シスメ ALL

6ヶ月前 No.444

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

「レイニアさんが来ていただいて良かったです。実は今日とてもいい紅茶を頂きまして、一人で飲むのも味気ないと思っていたところなんです。今お持ちします……ね?」

お茶をカップに注ぎ、さあ持っていこうと思ったその時、背中に何かが当たる。そしてレイニアさんの声がすぐ後ろから聞こえ、これもブラックジョーク?とも思ったが、違う。

魔武器だからわかる。背中に当てられているその冷たい鉄の銃口。レイニアさんの明るい声とは裏腹に伝わってくる緊迫感
レイはその場に固まり、言われた通りゆっくりと手をあげる

「あ、あの……聞きたいことがあるならちゃんと答えますから、その銃を降ろしていただけませんか?私は逃げません。
たとえ私がこの場で武器化したところで、お粗末なものにしかならないことは、レイニアさんもご存知のはずです」

いつも通りセキアさんやレイニアさんと話すようなトーンで、落ち着いて対応するレイ。実はこの手のことには慣れているレイ。
国家隊に入るまで、幾度もこの手のことにあってきた。

>>レイニアさん

6ヶ月前 No.445

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★F1lBuaz0NJ_DZn

【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

うなるエルト。その表情の中には苦みと疑問が同居している。
我という言葉がしっくりこないのだろうか。
確かに彼の性格上、それはすぐには難しいだろう。
いわば無茶ぶりに近い注文だ。キャラの崩壊とも言い変えていい。
思考を放棄するという選択肢には行き着かないのか、彼は苦々しい表情のままだ。
このままではどこぞの石像みたく考えるポーズで固まってしまいかねないと思った鶴羽は助け舟を出す。

「我とは言い換えれば欲じゃな。あまり業突く張りなのも
考えものじゃが、無欲すぎるのも人としてどうかと思うわけじゃ。
生きるのに最低限必要な欲以外にも、別の欲が人にはあって然るべきなのじゃ」

思わず、苦笑いが出る。
所詮は占いだからとシスメを慰めた彼も見事に占いの結果に囚われているように見えた。
これは彼の入隊志願書を見た鶴羽だから知っていることだが、
本当の歳相応にそこは純真なのかもしれない。

「お主にはあまりそれがないのではないか?
まぁ、とはいえワシもお主のことをとやかく言えるほど
お主について知っておるわけではないがのぅ」

そう言い終える頃、カーテンの隙間からひょこっと紫色の花弁が覗いた。
入隊試験のときと遺跡調査の際にもいた人花の少女だ。
見覚えのあるエルトの顔を見つけると「お勤めご苦労だがね」と言わんばかりにビシッと敬礼する。
どうやら鶴羽に用があるらしく彼女を手招きすると二人連れ立ってカーテンの向こう側へと消えた。
残されるシスメとエルト。
彼は話しにくいことなら言わなくていいと言ってくれたのだが、シスメは首を横に振ってそれを断る。
気まずさに少し視線をそらしたシスメはぼそぼそと切り出す。

「いえ、話させてください。
……その、どこからお話していいか分からないのですが」

そう早口に前置きしたシスメはぐっと拳を握り締め、反らした視線を元に戻す。
そのまま――

「すみませんでした」

エルトに深々と頭を下げた。

「あの遺跡での一件……私は、ちっぽけな自尊心を守ろうとして
結果、お二人に…エルトさんとデウスさんに無理をさせてしまいました」

頭を下げたまま、言葉を紡ぐほど出づらくなっていく声を絞り出す。
まだ、大丈夫。

「私は…人間です…ただの。もっと弱い自分を自覚して、
お二人と最初から協力してことに当たっていれば…こんなことにはならなかったかもしれません。
周りがすごい人ばかりで…いつの間にか、自分にも同じ力があると思い込んでいたんです。
本当は全然、そんなことあるはずないのに。勝手に一人で焦っていたんです」

ようやくここで頭を上げる。エルトの顔が視界に入ると、さらに声が出しづらくなるような気がした。
しかし、口はまだ動いてくれた。良かった、話せる。まだ、平気だ。

「だから…」

だが、ここまで来てもう駄目だった。押さえ切れなかった。
視界が滲む。ぼろぼろと目から涙が零れ落ちる。

「だから…この隊で…もう少し一緒に…頑張らせてもらってもいいですか?
今度はもう…あんな無茶はしませんから」

>エルト




【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

彼女は素直にこちらの要求に従い、手を上げてくれた。
そして、逃げるつもりはないから銃を降ろして欲しいと言う。
普段のレイニアなら、彼女を第七候補隊の候補官として接するなら
そうしたであろうが、今回は首を縦に振らなかった。

「あはは。何か勘違いしているようですねぇ。これは質問ではなく尋問です。
それに、銃を突きつけられて落ち着いていられる人ほど怖いものはありませんからねぇ
念には念をというやつです。私の性格は知っているでしょう? さて……」

語気は強めず、まるで昼下がりのティーパーティーで
日常会話でもするかのように、静かに捲くし立てるレイニア。
レイニアの言葉の通り、レイは緊張に身体を硬くしているようであったが、妙に冷静だった。
彼女の経歴は調査済みだ。
以前にも似たようなことがあったのだと、同じような場面に何度も遭遇しているのだと
想像し、同情し、共感もできるが、それが銃を下ろす理由にはならない。
そのまま続ける。

「貴方に、この間の事件への関与が疑われています」

銃を突きつけたまま、事務的な口調でレイニアは今回このような行動に出た理由を口にした。

「あの任務中、どうやら貴方は事件の首謀者である
神父風の男と修道女……――確かレヴァーンの異端審問官でしたっけ。
その二人組と長い時間行動を共にしていたらしいですね。それも妙に親しげだったとか」

遺跡内に残っていたもの。監視カメラは壊されて全滅していたが、
壁の中に埋め込んだ音声記録の魔法陣がその事実を明らかにしてくれた。

「加えて、もう一つ。そのバスケット、誰からの差し入れだと思います?
実はー、私の机の上に置いてあったんですよ。宛名が貴方の手紙つきで。
なにやら約束を守れなかったお詫びだとか何とか書いてありましたが……ま、そんなわけでして」

銃を背中から放したレイニアは時計回りに移動して
レイの側面へ身体を移動させると、彼女のこめかみに銃の照準を合わせた。

「捕縛命令が下りました。グレブスリー処断官から。
貴方を即刻自分のところにまで連れてくるようにと。発砲の許可も降りています」

そこまで言ってレイニアは引き金に込めた指の力を強くする。
なんの冗談か、結果 引き金は引き絞られ―――




ポンッという間の抜けた音と共に、銃口に鮮やかな赤色の花――ジニアが咲いた。

「――と、まぁ、これくらいのことしますよ、グーくんは」

ひょいと銃口からジニアの花束を抜いたレイニアは
レイにそれを握らせ、静かに椅子に座りなおす。

「すみませんねぇ、二番煎じなことをして。
でも、貴方には自らをとりまく状況を少し理解しておいてほしかったんですよ。
話す約束をしたじゃないですか。貴方と因縁のある軍服の男について」

そして、事も無げにそう言ったのだった。

>レイ

6ヶ月前 No.446

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

レイニアさんは銃を降ろさず、そのまま要件を言ってきた。この落ちつきは逆効果だった…と少し後悔しながら、相手の話を聞く。

要件は、この前の遺跡で、会ったクラウズさんとスターチさんとの繋がり、つまり二人の仲間ではないかという疑いであるとのこと。

「……調査の後、説明したと思いますが、あの二人とは偶然会ってあの時が初対面です、遺跡で遭難したとのことだったので、出口まで一緒に同行しただけです。」

と、こちらも事務的に会ったことを正直に話す。少し言い訳っぽく聞こえるかも知れないが、まぎれもない事実なので、こういう以外が浮かばなかったレイ。

そして、レイニアさんは、私に捕獲命令が出ているという。バスケットを送ってきた人、グレブスリー処断官が、私に出頭するように、と言っているらしい。
その名前を聞いた瞬間、あの仮面の少女に見せられた、会議の映像、そして、忌まわしい一族が滅ぼされ母を殺されたあの日の光景がフラッシュバックする。

もしここで拒めばきっと自分にとっても、そしてレイニアさんや他の人にとっても不利な状況になってしまうことは、考えるまでもなくわかる。しかしレイニアさんは私の隣に立ちコメカミに銃口を向け、発砲

それには冷静を保っていたレイも、驚き目を丸くする。しかし、銃口から放たれたのは弾丸ではなく、綺麗なジニアの花束。

未だに状況がつかめず、また目が点になるレイ。
そしてレイニアさんからの説明でなんとか理解した。とりあえず発砲許可などは、嘘なのだろう。ということは

「びっくりしました…発砲許可が出ているとは言え、それは抵抗したらのはず。レイニアさんは抵抗もしていない相手を撃つような方ではないと思っていたので……すごく綺麗なジニアですね。」

そして再び椅子に腰をかけた相手を見て安心して、今入れた紅茶をテーブルに置き、ジニアの花束をテーブル上の花瓶に入れた。

>>レイニア

6ヶ月前 No.447

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRF

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「欲があってしかるべき…か…」
年の功…などと言うのは大いに失礼なのかもしれないが…こちらの心情をほとんど正確に読み取ったその言葉に、思わずそう呟く。
…本人は見透かされている事に気が付いていないのだが…それでもかけられた言葉は衝撃的で、深く考えさせられることになりそうだ。
(確かにその通り…何だろうな…だが…)
確かに欲に従い過ぎ、破滅への道をまっしぐらに進むような愚か者もいるではあろうが…それでも人類がここまで発展したのには鶴羽の言う通り一種の欲から来る部分も大いにあったのだろう。
…変わろうとしないものが変わる事などそうそうあるはずもなく…『欲』という物は良くも悪くも変化を望む原動力としては十分になりえるだろう。
(俺に…そんな物が許されるわけが…)
思い返されるのはかつての記憶…主の計画が潰え…自身の役目もまた露へと消え果てた忌むべき記憶。
…その光景に一人、知らず布団に隠れていた拳をきつく握りしめつつも、鶴羽の話を聞いていた所で…

(…あれは…確か…?)
なんだかんだでしばしば見かけている人花の少女が敬礼し…鶴羽の方を手招きし、連れだってそのままどこかに行ってしまった。
(別の仕事が押してきていたのだろうか…?)
などと考えていた所で、視線を逸らしつつも、拳を握りなおし…
「え…っと…それはどういう…」
視線を戻しながらもすぐに頭を下げ謝罪するシスメに訳が分からず、戸惑いながらもそう問いかければ、先日起こった戦闘に関しての事であり…
頭を下げた状態であったため、直接は見えなかったが涙ながらに訴えているであろう事は間違いなく…顔を上げ、すべて言い終えた時にはその瞳からはボロボロと涙が溢れていた。
「あ…あの状況だったら仕方なかったんじゃないか…とは思う…んだけども…」
終わりよければすべてよし…と言うのは楽観が過ぎるかもしれないが…少なくとも全員ここで5体満足に帰還できたのだから、それでいいのではないか?…と、言うのが本人の考えではあるのだが…
(…そんな答えじゃ満足は…できないよな)
言い終えてから『そうではない』と言う事に気が付き、改めて考える。
(…そうは言っても…どういえばいいんだ…?)
…が、ここでも響くのがやはり対人経験の圧倒的な不足…鶴羽どころかまともに生きているシスメにも事実上劣っていると言うその不足は焼き付け場などでは到底補えるはずもなく…
(…な…何か…何かないのか!?…ええい、ままよ!!)
泣いているシスメにおろおろしながらも浮かび上がったヤケクソな答えではあるが…何も言わぬよりは進展があるはず…と、意を決して言葉を紡ぐ。

「…そう…だな…なら次はもっとこう…戦闘に関しては信用してほしい…かな」
…今回なぜシスメが無茶を押したのかと言うと…彼女が言う通りに自尊心や思い上がり…などがあったのかもしれない…だがそれでも、手を出すまでもないと思っていたのであればわざわざ危険な事に手を出すことはなかったのではなかろうか?
実際にはそうではないかもしれない…だが、少なくとも今回の件を踏まえた彼女であれば、次回はそうはならないだろう…そう何度も今回のような事件に発展されてはたまったものではないが…
「…えーと…だからそうだな…それ以外の部分ではむしろ頼らせてほしい…かな…少なくとも…ここでの俺は…戦いしか能がない人形だから」
考えがまとまり切らぬ間に、急いで言葉を紡いだゆえか微妙にピントがズレているような気はするが…無理矢理答えをもってきて、そう纏めてしまう。
言ったこと自体に間違いはない…無いはずで、遠回しにはなっているが『一緒に頑張らせてもらってもいいか?』と言う答えにもこたえているはず…
…等々思考の片隅では考えているようだが…相変わらずオロオロした様子で何かを…現在はハンカチやタオルであろうか?…を探している様子なのでイマイチ締まり切ってはいないようで…

>鶴羽 シスメ ALL

6ヶ月前 No.448

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★Du9V22l7t4_DZn

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

緊張が解けたのか、彼女の心音が落ち着いていく。
さて、どんな言葉が飛んでくるものかと内心身構えていたのだが、
以外にも彼女の反応はあっさりとしたものあった。

「あはは。さて、どうでしょう? もしノイちゃんを人質にとられて
その交換条件に貴方の始末を命じられていたら従ったかもしれませんよ? なんて」

悪ふざけを逸脱した行為を、彼女は驚いたの一言で済ませてくれた。
信頼関係の崩壊に繋がりかねないことをした自覚はある。
鶴羽やシスメならもっと穏便に済ませられただろうが、
これ以外に確証を得る方法が思いつかなかったのだから、
我ながらねじくれていると自嘲的な笑みがこぼれる。
レイへの警告というのも嘘ではないが、この行為にはもう一つ隠れた意図があったのだ。
うまくジニアへ視線を誘導できたため、藪から蛇が出ないうちに
「実は私も個人庭園を所有してまして」と微笑んでこの話題を切り上げる。

「貴方を取り囲む脅威は思った以上に強大です。
正直なところ私でも全容を掴みきれないほどに。
国家隊の庇護下にあるここは平気なのですがー、それでも絶対ではありません。
この前の馬車の一件もありますし……
単独での行動は控えてください。私から言えることはそれくらいです」

この前の馬車の一件とは、入隊初日に暴漢に追いかけられたことを言っているのだろう。
あのあと、ちょっとその一団を捕まえて
事情を話してくれるよう“お願い”したのだが、
残念ながら依頼主の顔は見ていないという情報以上のものを引き出すことはできなかった。
あたかも全員が依頼主の記憶だけを消されていたかのように。

「すみませんねぇ、暗い話しばかりで。でも、悪いニュースばかりでもないんですよ。
さっきも口にしましたが、このバスケットだれからだと思います?」

暗い気持ちを払拭するかのように手で一度パンと拍を打ったレイニアは
本来のサプライズはこちらが本命だと言わんばかりに、
ちょんちょんとバスケットの角をつつく。
レイが答えるよりも早くツーっと一枚の白い便箋が彼女の手元に滑り込む。
そこには

「じゃん、正解はレヴァーンのお二人からでした〜。
バスケットの中身は山菜をつかったサンドイッチだそうでーす」

かなり達筆な字体で“花の嬢ちゃんへ。敬虔で素敵な神父様と修道女より”と書かれていた。
続いてバスケットを開いたレイニアが小さな網籠に
入ったサンドイッチを取り出すとレイの目の前に置く。

「スターチの食事をふるまう約束を守れなかったお詫びだー、とのことですよ。
あれだけドンパチ敵対しておいてどういう風の吹き回しですかねぇ」

>レイ




【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

シスメ・テムセージは無力である。つまるところ、彼女の全てはそこからだった。
同じ隊の仲間が死んだ。
山岳地帯の救助任務だった。山の高所に住居をつくることで有名な希少種の救助。
その山は噴火が予想されていた。
予想よりも早く噴火は起き、火砕流はあっという間に山の斜面を滑り降りて村を覆おうとしていた。
間に合わないと手を引っ張る仲間の手を振り払ってシスメは駆け出した。
そして、転移魔術で村人を安全な場所へ転移させた。
自分を転移させるだけの魔力はもう残っていなかった。
そして、彼女は、大事な親友だった彼女は、自分を助けるためにその命を費やした。
手を振り払われた後も私の後を付いてきていた彼女は、私に転移魔術を行使した。
魔力適性もなく、剣の技量だけでここまで上り詰めてきた彼女が
一度の魔術行使のためにその命を燃やし尽くした。
目と口から血を垂れ流しながら安堵したように笑う彼女の姿が私が見た親友の最後の姿だった。

『あ…あの状況だったら仕方なかったんじゃないか…とは思う…んだけども…』

いつの間にかエルトの声が遠くなっていた。
そこでようやく気付く、うわずった声、そして、泳ぐ視線。
彼がとても困っているその事実に。
思わず過去にとらわれかけた頭を振って意識を再び現実へと引き戻す。

「あ、す、すみません。急に…その…ああもう……不快です。
少しは頼れる先輩になろうとしてるんですけど、
エルトさんにはなんだかかっこ悪いところばかり見られているような気がします」

苦笑いと言う形でだが、ここでようやくシスメの顔に笑顔が戻った。
病み上がりの人を相手に自分は何をしているのだろうか。
また視界が狭くなっていたかもしてない。
鶴羽が先に忠告したとおり、もう少し周りに目を向けるべきなのだろう。
こちらもこちらで徐々に恥ずかしさが込み上げてきたところで、彼は続ける。
もっと信用して欲しい、そして、頼らせてほしいと。

「……完敗です。どうしてこう後輩の子ばかり大人になっていくんですか」

途切れ途切れながらも紡がれたエルトの不器用な気遣いの言葉に心が晴れていく。
再び何かが込み上げてきそうになったが、
彼がさらに困る未来しか見えなかったので、何とか堪えた。

「あ、と、ところで!
その、身体はもう大丈夫なんですか? 食欲はどうですか?
あの、りんごっ…お見舞い、あ、ち、ちがっ その…
お見舞いの品にりんご持ってきてるんです、切ったの!
いらなければいいんですけど、食欲があるなら少しでもおなかに何かいれたほうがいいかと思って!」

ここでようやく我に返ったのだろう。
先ほどの失態を誤魔化すかのように、シスメは矢継ぎ早にエルトにそう捲くし立てた。

>エルト

6ヶ月前 No.449

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

『あはは。さて、どうでしょう? もしノイちゃんを人質にとられて
その交換条件に貴方の始末を命じられていたら従ったかもしれませんよ? なんて』

というレイニアさんに私は、少し紅茶を口にして、考えるそぶりを見せ
そのあと、全く警戒のない笑顔で

「その時は……レイニアさんの望むまま……レイニアさんが一番最善だと思うことをしてください。それで私がもし死んだとしても文句は言いません。それにノイさんが簡単に人質になるような方ではないでしょう?」

のんきと言われればそれまでだが
私ももし誰か大切な人が人質に取られてしまったとしたら、今回と同じことをするだろうから、文句は言えない。まあ死んでしまえば文句も言えないのだけれど


そして自分に向けられている脅威についてを聴くと少し複雑そうな顔をする。

「……正直なことをいうと、私はその件に関してあまり詳しくありません。先日の暴漢を差し向けたとされる人にしても……あの魔武器一族の村が一夜にしてなくなったあの日の事も……」

そうだ。私はあの事件のことでいまだにわからないことが多すぎる。あの軍服を着た男が言っていたこと、「異端の魔女が作った魔武器を全て排除しろ!」 「友好関係を築こうとしていた軍に攻撃をし反乱した」 私が知る限りでは前者が正しく後者は偽り……。しかし


そんなくらいムードを和らげようと、レイニアさんはバスケットの中身を見せてくれた。その中身はとても美味しそうなサンドイッチ。

そして、送り主の名前を聞いて驚く

「レヴァーンって…………クラウズさん…。」

やっぱり本当はいい人なのではないかと、またもや、人を信用しすぎるレイの欠点が出てしまい、ほくそ笑むレイ。

「これ食べても、規則違反とかになりませんよね?」

と、一応確認のため、許可を取る。
敵側の人間の差し入れを、喜んで食べるなど、この上ないほどの非常識極まりないこと。
でもこれは、許されるよね?と期待を持っていう。

>>レイニアさん

6ヶ月前 No.450

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRF



【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「かっこ悪いなんて…そんな事は…」
こちらがたどたどしくもどうにか言葉を紡いでいた所で、多少なりとも冷静になったらしいシスメが苦笑交じりに言った言葉を馬鹿正直に受け止め、擁護しようと試みるも…
(…むぅ…ど…どう言えばいいんだ!?)
本人としてはかっこ悪いと思ったりはしていなかったのだが…それを相手に納得させるための言葉は到底思い浮かばず、むしろ気まずい沈黙を生み出してしまったようで…

「か…買被りだよ、それは…俺なんてまだまだ未熟者だ」
そんな空気をよそに、自力で立ち直ったシスメが漏らした言葉に、なんとかそう返した所で捲し立てるかのような勢いでありながらも、次第にいつもの調子を取り戻してきたシスメから見舞いの品としてリンゴを進められる。
「あ…ああ、すまないな…それじゃあせっかくだし後でゆっくりと…」
なんだかんだで、終始酷使し続ける事となった頭はすっかりお疲れのようで…目覚めてからしきりに糖分を求めて頭痛を訴えてきてたりしていたのだ。
…次がどれほど先になるか分らない病院食を延々と待つ覚悟をしていたので実にありがたかったのだが…
(…流石に…まだ無理…だな)
…頭と同様、体も自身の調子には素直なようで…軽く腕を動かしてみようとするも、やはりほとんど動きはしないようで…残念ながらまだまだ食事にはありつけないようだ。
そういう訳なので差し入れをありがたく思いつつも、お預けを食らう形になったところで…
『グゥー…キュルルルルル…』
「…」
奇妙な効果音とともに訪れた再びの気まずい沈黙…どうやら素直だったのは頭と体だけではなく、腹の虫もだったようで…
確かにあれからどれほどの時間が経ったのかは不明だが…少なくとも先日の朝食以降、特に何も口にはしていなかった所からして自然な事ではあるのだろうが…
(…よりによって…このタイミングか)
気まずさを感じながらも、それで事態は好転などするはずもなく…ただ居た堪れない気持ちになりながらも沈黙する事となってしまったようだ…

>シスメ ALL

6ヶ月前 No.451

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★qDqvD9zS2C_VNB

【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

何故このような行動にでようと思ったのか自分でもよく分からない。
ただ、いい意味で達観しているというか
普段超然とした雰囲気のエルトが空腹にお腹を鳴らすその様が
いつもより妙に幼く感じたせいかもしれない。
気付いたときには竹串に刺したりんごを彼の口元へ差し出していた。

「あ、す、すみません。エルトさんがなんだか弟のように思えてしまって、
あ、いえっ 別に子供として見ているとかそういうことではなくてっ ですね!?
あ、やっぱり今の聞かなかったことにしてくださいっ 私が言いたいのはそういうことではなくて!」

頭を切り替えるため、ごほんと咳払いをする。
臆病風に吹かれることの多い自分が、我ながら思い切ったことをしたものだと
自身のなけなしの勇気と行動力に驚くが、顔には出さない。
意図せず彼の口を封じることに成功したシスメは、
彼へのわんこそばならぬ わんこりんご攻撃の傍ら、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。

「エルトさんはさっき自分は人形だからって言いましたけど」

さっきからずっと引っかかっていたことだ。
今までの一連の会話の中で一度だけ彼がぽつりと漏らした言葉。
普段の超然とした態度のエルトが相手だったら
読みきれなかっただろうが、その言葉からは言い知れぬ苦悩を感じた。
試験中に閲覧した彼の志願書。その中にある情報を知りえるのは
恐らく一部の区画統括管理官とシスメくらいだろう。
その情報を、偶然だが私は知ってしまった。
彼がどういう素性であるかを。そして、どういう存在であるかを。

「そんなことないです。現に入隊試験のときの気遣いも、
遺跡で私の無謀を諌めてくれたときも、
命を粗末にしようとした私よりもエルトさんはずっと人でした」

だが、それを知っていたところで、恐らく自分に出来ることなど何もないだろう。
しかしあるいは、だからこそ彼のその態度には少し思うところがあった。
彼が食べ終わったのを確認してから素早く次弾を装填し、再び彼の口元へ差し出す。
こうでもしなければ、彼はまた謙遜と気遣いから
こちらへの非を廃した言葉をかけてくれるだろうことは分かっていたからだ。

「ですので、お礼を言わせてください。ありがとうございました。
エルトさんがこの隊にいてくれてよかったです。いなかったら私は――」

そこまで言って、唐突に背後からカタッ…と音がした。
振り返ると床に落ちた扇を拾い上げようと
車椅子に乗ったまま前傾姿勢になる鶴羽と目が合う。

「ん? ワシのことなら気にせず続けるが良い」

いつからそこに居たのだろうか。まるでこれから食卓につく
家族のような気軽さで鶴羽は悪びれずシスメに言葉の先を促す。
シスメの時が止まったのは言うまでもない。

>エルト




【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

混乱の入り混じるレイの言葉にレイニアは緩慢な動作で目を伏せた。
当然だ。情報の収集も整理も満足にできず、
確証も得ていない状態で、仇敵はこいつだと言われても反応に困るだろう。
一度に多く話しすぎただろうか。少し性急すぎた気がしないでもない。
と、ここでレイニアは一度言葉を切った。
話の箸休めとばかりに出された紅茶に口をつける。
適度に清涼感のある落ち着いた香りが鼻に抜けていくのと同時に
気分が和らいでいく感じながら二の句を告げる。

「あなたを巡る一連の騒動の中心に居るのは、カザス・グレブスリー 壱位処断官です。
どうやらあなたの村への襲撃を先導したのは彼のようですねぇ。
ただ、これらは全て状況証拠から来る推論の域を出ません。
どうやら彼は相当上手く証拠を隠滅したようですからねぇ。
国家隊での職務態度も勤勉そのもの、禁酒家で浮いた話もなく、
叩いても塵一つ落ちません。普段の彼を知っている人からすれば疑う人なんていませんよ」

レイニアの言葉と共に机の上にばら撒かれる写真。
今は形骸化し誰も着るものが居なくなったアスール国家隊の旧制服――
すなわり詰襟の黒い軍服に身を包んだ――強面の男がそこには写されていた。

「処断官というのはいわばこの国家隊内部を見張る監査部隊のようなものです。
つまり、彼は貴方になにかとイチャモンをつけてしょっぴこうとしてくるわけです。
まぁ、そんなことは私がさせませんが」

写真の一つを指先でトントンと叩きながら、レイニアは長いため息をつく。
実は、かの遺跡調査の一件より少し前にグレブスリー処断官が
レイを秘密裏に自分の隊に引き抜こうと裏で画策していたなんてことがあったのを思い出す。
無論、そんな計画など真正面からぶっ潰させていただいたが。
おかげで彼からしたら自分には相当ヘイトが溜まっているに違いない。

「向こうが一方的に貴方の素性を知っているというのもフェアではありませんので、
これを渡しておきます。まぁ、あまり参考にはならないかもしれませんが」

彼に関するデータ――とどのつまりプロフィールの入った
ファイルをレイの手元にそっと滑らせる。
あまり参考にならないといったわけは、
彼が馬鹿正直にこれを記入したわけではないということを暗に言っているのだろう。

「なにかあったときは無理せず私を頼ってください、レイさん。
グーくんが何かしかけてきたときは、
しばらく地上の人ではなくなりかけるほどの嫌がらせを彼にしかけますので」

自慢できるほどのことではないし、
これでは嫌な人…というか実際嫌な人なのだが、
嫌がらせ、妨害、口八丁手八丁はレイニアの専門分野だ。
飛び切り性質の悪い笑顔を浮かべながら、レイニアは得意げに自分の胸を叩いた。
そこでレイからこれを食べることでお咎めはあるかと問われる。
少し懸念を含んだ声であったが、その表情から冗談であることが窺えたので
レイニアもくすくすと甘い笑い声で応じた。

「おや、そこ気にします?
ではー、敵のものと分かっていて、かつ危険なものかもしれないそれを
ロクに確認もせず国家隊の本部へ移送した私は共犯者ということになりますねぇ」

「あはは。そうなれば除隊はまぬがれませんねぇ。
そうなったら二人で花屋でも初めてみましょうか」と付け加えながら
冗談なのか本気なのか分からない口調と大げさな手振りでああ…っと顔を覆うレイニア。
いや冗談なのだろう。冗談に違いない。たぶん、恐らく、メイビー。

>レイ

【Information:サブ記事とメモ欄にてカザス・グレブスリーの情報が追加されました!】

6ヶ月前 No.452

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

レイニアさんは私に写真を見せてくれた。
この写真に写る男の人グレブスリー処断官、この人が魔武器の村の壊滅を支持した張本人。その古い軍服に、昔のトラウマが蘇る。

そしてこの人は今も、私のことをどうにかして捕まえようとしているらしい。それを聞いてレイの中で何かが決まり。

「なら……いっそのこと一度この人に合わせてください。
もちろん一人でというわけではありません。そこまで慎重な方なのであれば、公の場であれば、平然と振る舞うでしょうし、派手に攻撃をしてくることはないでしょう?。それに、国家隊にいる以上、遅かれ早かれ、会うことになるのですし」

こんなこと、他の誰かに言えばきっと、何をたわ言を、とか、やめておけ、というだろうけど、なんとなくレイニアさんは賛同してくれる気がした。
自分でも、ぶっ飛んだ考えだということはわかっている。でも、私は逃げも隠れもしないということを相手に示さなくては


「お花やさんですか……それもいいかもしれませんね……」

自分の冗談に笑いながら「除隊処分になったら花屋でも開きますか」と冗談で返ってきた。しかしレイは、花屋にでもなればよかったかなと思い。
サンドイッチを一口食べる。みずみずしい山菜としっとりしたパンがいいハーモニーを醸し出している。


「ところで、レイニアさん……レイニアさんは疑問に思わないんですか?
国家隊に裏切られて村を壊滅されたにもかかわらず、何故私がこの国家隊に入隊したのか……とか……。グレブスリー処断官もきっとそこをついてくると思いますが」

≫レイニア

6ヶ月前 No.453

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_BXv

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

(…いったいなぜ、こんな事になっているんだ?)
絶妙なタイミングで次々と補充されるリンゴを平らげながらなすがままとなっている現状について自問する。
(いや、まぁ空腹だったのは間違いないんだが…これは…その…ちょっと…むむむ…)
あまり我が無いと評されてはいるものの、彼とてちょっぴりのプライド…と言うほど高尚な物ではないが…最低限の見栄ぐらいは取り繕っておきたいと言うぐらいの感覚は持っているようで…
その個人の範疇から考えれば何ともいいように扱われている現状はどうにも気恥ずかしい部分があるようだ。

そのまま計らずともこちらの口を封じる事に成功してしまったシスメの言葉を遮る事無く、静かに聞き手に回っていれば…
(っ…こいつは…口を滑らしたな…)
常であれば口走るはずのない言葉…『人形』と言う単語に瞬間的に硬直しかけたが…不幸中の幸いか、食への本能が勝り、リンゴを消費する事を優先して身体…と、言うよりも口は動き続けてくれたようだが…
(人に見えた…か…だが…所詮はまがい物だ…それに…)
シスメは此方を自身よりも『人らしい』と、評するが…こちらとしては、危うさこそあったものの、全力で事に当たろうとしていた彼女を何度も見ていたため、彼女の方こそ紛れもなく『人らしかった』と、言おうと口を開公としたのだが…
「…もぐもぐ」
…シスメのインターセプト!!追撃のリンゴにより、言葉は発する事無く黙殺される事となり…そのまま一言もしゃべる間もなく、話を聞く事となった。

…と思ったのだが…突如として老化の方に視線を向け、固まってしまったシスメから遅れる事数秒…差し出され続けたリンゴがなくなったことでようやく自由になった頭を、同じく廊下に見やれば…
「…つ…鶴羽…さん…?い…いつからそこに…?」
…管理官、ではなくさん付けで呼ぶ辺りかなり動揺しているようだが…当の本人にとってはそれどころでは無いようで…ぎこちない口調でそんな事を訪ねだした。

>シスメ 鶴羽 ALL

5ヶ月前 No.454

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★57XpIVePMn_VNB

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

レイの提案にレイニアは身体の動きを止めた。
じわりと布に広がる染みのようなぬるい空気が二人の間の沈黙を埋める。
やがて彼女はにっこりといつもの笑顔を取り戻すと

「はい、いいですよ。時期は――…そうですねぇ。
次の任務の後にでもセッティングしておきますがいいですかー?」

二つ返事で彼女の提案を受け入れたのだった。

「あはは。何だか急にふっ切れた気がしますねぇ、レイさん。
この隊に入ることで見える景色が変わったからでしょうか? いえ、それとも…」

先ほどの長い沈黙が嘘のように、彼女の舌は快調な滑り出しを見せる。
かと思えば、出された紅茶に口をつけたきり言葉を切ってしまった。
思わず思考が口をついて出てしまったのだろう。
それだけにレイニアが受けた衝撃は大きかった。
レイニアが言葉を捜してカップの淵を指でなぞっていると、レイからもう一つ質問が飛んでくる。
少し聞いたことがある。他人から自身の印象や行動原理を聞き、
自分では気付かない角度から自らの心情を浮き彫りにしていく手法。
恐らく無意識的に彼女もそうやって自身の心象を整理したかったのかもしれない。
ため息を飲み込んだレイニアはようやく重い口を開く。

「過去 自分達に対して弓を引いた組織への加入。確かに傍から見れば正気の沙汰ではありませんねぇ。
第三者から見て真っ先に思い浮かぶとしたら、復讐……と言いたいところですがー
そんなわけないですよねぇ、今までの感じだと。私が思うにレイさん、貴方は―――」

再び両者の視線が重なる。
くすんだマリンブルーの瞳には何も写ってはいない。
だが、視線を合わせる必要性があるとレイニアは判断したのだろう。
彼女の深緑色の瞳を見つめる。

「見極めたかったのではないですか?」

ずっと引っかかっていたことと言えば、
彼女は一度も復讐がしたいなどとは口にしなかったことだ。

「貴方の大切な人たちの命を奪うに至った相手の思惑、そこにある感情の移ろい…
理由のない悪意のはびこるこの世の中で、
貴方は悪意を向けた相手のことさえ理解しようとしている」

ただ憎い、ただ恨みがあるからそれを排する、なんてことは彼女はしないだろう。
ありきたりだが、善の反対は善という事例は往々にしてある。
何故そんなことをするに至ったか、理由を聞き、受け止めてから立ち向かう。
要するに復讐も何も彼女はまだ始まってすらいないのだろう。
それを甘さと断ずる人もいるかもしれないが、
レイニアはそれをただの甘さだと断ずることはできなかった。

「その考え方は危険です……危険、なのですがー、私個人的には大賛成です。
貴方のような考え方のできる人こそアスールにはふさわしいのかもしれませんねぇ」

しみじみとそう呟いたレイニアはひょいと椅子から腰を上げると立てかけた杖を手に取った。

「おいしいお茶ごちそうさまでした。
念のため監視をつけておきますので、安心して夜を過ごしてください」

そのまま話しは終わりとばかりにひらひらと手を振りながら歩き出すレイニア。
歩を進める傍ら小さく呟いた「応援してますよ」という言葉、
その呟きを聞いたのは彼女の頭上を彩る藤の花と少し欠けた月だけだった。
こうしてアスールの夜は今日も変わらず静かにふけていったのだった。

>レイ



【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

突然のことで許容範囲を超えたシスメの自我は、思考という下り坂を勢いよく転がり落ちる。
そのまま混乱という出口のない迷宮に突入し、
危うくオーバーヒート寸前までいったシスメの頭は、
現実逃避という名の安全装置を作動させることでひとまずの平静を保った。

「鶴羽管理官、いらしていたのなら一声かけてください。
あ、リンゴ剥いていたきたんですけど、良かったら鶴羽管理官も一緒に―――」

小さく弧を描いた口元、柔らかな物腰に、不自然に自然な口調。
あたかも最初から何もなかったかのような振る舞い。
気遣いのできる人ならば、シスメのこの態度を察して軽く流しただろうが、しかし今回は相手が悪かった。

「カカカ、まさかのぅ。
あのシスメがこんなことをやっとるとは、夢にも思わもんじゃのぅ。
長生きはしてみるもんじゃな。映像記録用の魔導具がないのが悔やまれるのぅ」

シスメの口上を遮って鶴羽は続ける。
何故彼女相手にこんな強引な手段で誤魔化しきれると思ったのだろうか、
それこそダイヤモンドの鎧を着た相手に爪楊枝の剣片手に挑むようなものだ。
ついには営業スマイルにだらだらと冷や汗の加わった青い表情でシスメは視線を彷徨わせ始める。

「あの、りんご、食べ――」

なおも無駄な抵抗を続けるシスメ。
だが、それももう抵抗と呼ぶには遠く、自ら傷口が広げるだけの自傷行為に近い。
彼女がそれに気付くのは何もかも終わった後だった。

「しかし…いつの間にそんな仲良うなったんじゃ?
ワシがちぃ〜っと留守にした間に“あーん”なぞという
いまどきの書物でも見かけんようになってきとる伝説的行為に及んどるとは」

かくして理性と言う名の防波堤は、鶴羽の一押しによってあっけなく瓦解したのだった。

「な、あ、が、なな、なうぉおおおおおおおああああ!? うああああぁ…ごめんなさいごめんなさい!
私のような地味人間がいまやもう漫画や小説の中でも
滅多に見られないような伝説的行為に及んでしまってごめんなさい!!
これは医療行為だから仕方ないとか思いつつも
ちょっと憧れていたシーンの再現が出来て役得だとか思っちゃってましたごめんなさい! 失礼します!」

襲いかかる現実がシスメの心を粉砕した。
“支離滅裂とは”をダイレクトに表現したらこうなる、と言わんばかりの狼狽っぷり。
そんな脳が下した命令は、一刻も早いこの場からの離脱だった。
律儀にりんごを入れていたタッパーに竹串を放り込み素早く蓋をしたシスメは
ベッドの脚にしたたか脛を打ち付けながらも脱兎のごとくカーテンを掻き分け猛進する。
やがてバタンとドアが閉まる音を最後に、医務室に静寂が戻った。

「あー…やりすぎたかのぅ?」

鶴羽もシスメの挙動不審ぶりに面食らった様子でエルトを見やる。
彼の呆れた視線が鶴羽への返答になるのは疑いようもない。
こうしてアスールの夜は騒がしくふけていったのだった。

>エルト

5ヶ月前 No.455

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

しばらくピリッとした沈黙が続いた。
レイはまっすぐとレイニアさんから顔をそらさず、相手の答えをまった。
そしてでてきた答えは、なんともあっさりしたもので、少し拍子抜けしキョトンとする。

「……吹っ切れた……とは少し違うのですが……」

入隊して仲間ができて、任務にも行ってなにかが変わったかと聞かれればYESなのだが、それは、仲間へ情が移った、と言えるものなのだろうか。

「……見極め……ですか。そうですね、私がそういうことをするのも痴がましいのですが、魔武器としてこの国を主人として相応しいか、見極める必要がある、そう思ったんです。」

そういうと、立ち上がり去ろうとするレイニアさんを少し支えてあげ、相手が道に迷わないか見送る。

そしてその後静かに、紅茶のセットを片付け、庭園の奥へと歩いて行く。

復讐……か,考えたことがないといえば嘘になる。世界を恨んだことだって何度もあった。
でも、そんな私が国家隊に入ったのは……敵の懐が一番安全だと思ったから…。
自分の身と……これを守る為

庭園の奥へと進んでいき、茂みに隠された地下室への入り口を見つめる。

>>レイニアさん all

5ヶ月前 No.456

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_BXv

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

(ま…まずい…いや、やましい事はない…無いはずだから不味くは…ない…無いはず…だ…だよな?)
誰に聞くわけでももなく、どこか凍り付いたような気まずい雰囲気の中、無駄に思考を走らせているようだが…当然ながら答えなど出るはずもなく、何となく気まずい雰囲気が漂う。
そんな中、口火を開いたのはシスメであり、意外にも至極真っ当かつ平常な様子で鶴羽に声をかける。
(…うん、そうだな…何もなかったんだから変に考える事無く普通に接すればよかっただけだったな)
その様子を見て、直前まで深く考えて狼狽えていたのが馬鹿らしく思え改めてこちらも鶴羽に声をかけようとしたところで…

「か…管理官?…戯れもその辺りで…」
どうやら先のシスメの態度は儚い抵抗という物だったようで…たった数秒と言う会話の中で容易くそのメッキを剥がれたシスメの様子を見て、僅かながらでも援護しようと試みたのであるが…どうやらまるで効果はなかったようで…
(あ…これはもう無理だな…)
こちらの言葉を言い終える間もなく、一気に決壊してしまったシスメは捲し立てるように一気に言葉を吐き出すと同時、あっという間に後始末を終え、走り去っていった。
…結構な勢いでベッドに脛を打ち付けていたが…大丈夫だったのだろうか?…あれだけ走れたならば問題はないのだと思うが…

「…管理官…あまり深く言う気はありませんが…感心しかねます」
先の態度から一転し、『やりすぎたか』と反省するような鶴羽に、言葉面は丁寧にそう返すが…その視線はいわゆるジト目という物であり、抗議の意味合いを感じるのは間違いないであろう。
…とはいえ…過ぎてしまったものは仕方ないと軽くため息をついて思考を切り替え、視線を窓から見える空へと戻せば、日はすっかり落ちきっており完全によると言ってしまっていい時間帯であった。
(今日の夕餉にはありつけなかったにたいだな…まぁ…差し入れがあっただけでも十分…か…まぁ明日には十分動けるようにはなるだろうし、それまでの辛抱か)
何処となく空腹感を感じて再びのため息をつきながらもそう分析し、すっかり静かになった医務室で再び横になり、英気を養う事にしたようだ。

>シスメ 鶴羽

5ヶ月前 No.457

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★ZtgptKrabd_vj0

【セキア・ルーヴ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/セキアの部屋】

セキア・ルーブは少し奇妙な感覚に支配されている。
泥と草の匂い。血の気の引いた自分の手のひらは赤く濡れ、耳の中をざらついた雨音が叩く。
頭が痛む。頭が痛い。痛みはどんどん強くなる。
こめかみに穴を開け、ミキサーでかき回されているかのような痛み。
いつもの映像だ。
あたしを見返すマリンブルーの瞳と、たぶんすごく大事な誰か。あれ―――見返す?
いや、違う。これは。これは■■のものではない。これはあたし自身の色だ。
向かいあった■■の瞳にあたしのマリンブルーの瞳が反射して写っているのだと
理解したあたしは―――

「うわぁああああ!? あっ! わっ、なぐぉ!? ぎゅみっ」

足がもつれた。
そして、そのままベッドから転がり落ちた。
足に引っかけたブランケットが宙を舞い、ばさりと視界を覆う。

「……うぅ…つぁー……いたい」

ジンジンと痛みを訴えかける頭頂部を抱え込みながら、しばし悶絶する。
とても嫌な夢をみていたような気がする。
夢で見たマリンブルーの瞳。
冷たい色であるはずのそれは、その中に燃え盛るような怒りを内包していた。
身に覚えのない悔悟と憤怒の残り火が、まだ身体の中で燻っているかのように錯覚する。
額に張り付いた前髪を払い、手に掬った水を顔に叩きつけると洗面所の鏡を覗き込む。

「ちょっと自己主張が強すぎるんじゃないかな」

起き立てのゆるみきった顔で最大限威圧的な表情を作ると、むっと鏡を睨みつける。
鏡に映るあたしの瞳の色はいつもと代わり映えのない赤褐色だった。
安堵に息を吐く。
夢に理由を求めてはいけない。たぶん先ほど見た映像も深い意味などないのだろう。
夢なんて不要となった記憶の寄せ集めだと前にどこかで聞いたことがある。
今回のたぶんそういう類のものだ。こういうのは早く忘れてしまうに限る。
先ほど見た夢――記憶の断片らしき映像にぶつくさと文句を言いながらも
セキアは朝食を食べるため手早く髪をとかし、いつもの服に着替えて廊下へと飛び出した。

「きょーうの、朝食はー」

即興のオリジナルソングを口ずさみつつ、幅の広い階段を下りる。
この第七候補官に当てられた寮は2階が男性、3階が女性と言う風な割り当てとなっている。
各階に一つずつ浴場と洗濯場が設けられ、
食堂や購買なんかが男女共用となっており、それらの施設は基本1階にある。
つまるところ今セキアは1階にある食堂目指して前進中というわけだ。

【お待たせいたしました。それでは新章開幕となります!】>ALL

【information:寮についての情報がサブ記事にて公開されました!】

5ヶ月前 No.458

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_a2e

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/エルトの部屋】

「…なんだか騒がしいな?」
自身に与えられた一室で、身体を軽くほぐすように動かしていた所で、突如上の方からドタバタと騒がしい気配がしたのを感じ取り、そちらに目を向けながらそう呟く。
…幸いにも、騒ぎの方はすぐに収まったようで…一度収まってからは再発するような事も無く、何処かすがすがしい朝の一時が舞い戻ってくる。
(…まぁこっちに実害はないからいいが…もう少し隣室に配慮した方が良いのではなかろうか?)
騒ぎの元であるセキアにしてみれば、これは不可抗力と言いたい所だろうが…理由など知る由もなく、ただ騒ぎを起こした人物に対して何処か呆れるように軽くため息をついた。

(まぁ…少なくとも誰かしらは起きてきたようだし、こちらもひとまずは移動してみるとするか)
つい先日まで病室送りとなっていたためか、十分に睡眠をとれたようで…少々早めに目が覚めてしまったものの、下手に出歩いて就寝中の隊員らを起こしてしまうのも悪いと思い、出歩くのを控えていたのだが…
先の騒動は別としても、それなりにいい時間になっており、起床するにもちょうどいいと判断し、下の階へと移動しようと扉を開け放てば…

『きょーうの、朝食はー…』
…階段の方からなんだか間の抜けた様な歌が聞こえ…そこから連想的に声の主と先の騒動がつながり、納得出来てしまったようで軽く脱力しかけてしまう。
(ああ…セキアか…なら仕方ない…と言う訳ではないんだが…)
軽く眩暈のような物を覚えつつも、そのまま廊下で立ち往生してるのも邪魔になるかと思い直し、自身も一呼吸おいてから下の階への階段を降り、食堂の方へと足を進める事にした。

>ALL

4ヶ月前 No.459

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★WumUm9x1xy_DMW

【セキア&エフィニア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

この場所には一つ、昔話がある。
自動調理補助人形こと私エフィニアは10年ほど前にここへ来た。
時代の波とは大きなもので、戦場に立つことを目的として作られた私は、
その荒波に揉まれ、ひっそりと終わりを迎えようとしていたところを拾われた。
かつて戦場で鉄の機械兵器を切り倒していた自分が今や調理場に立ち、
もっぱら食材ばかりを相手に腕をふるっているなど誰が予想できたであろうか。

「〜♪…〜♪」

第七候補官寮を任されてから、幾度となくこの朝を迎えてきた。
だが、今朝はちょっと特別だ。
今回私が受け持つのは、恩人である彼女が教官を担当する隊の隊員なのだから。
朝の仕込にもいつも以上に気合がはいってしまうというものだ。
どんな候補官の方々がいらっしゃるのかと首を長くして待つこと幾星霜。
落ち着いた足音と、その後を追いかけるようにパタパタと小走りに階段を駆け下りる足音が聞こえてくる。
食堂に先に顔を出したのは、落ち着いた足音の主、
薄緑色の瞳とプラチナブロンドに近い白髪が特徴の少年だった。

「おはようございまス。よく眠れましたカ?」

予め考えておいたセリフと共ににっこりと微笑む。
次に彼が思い浮かべることは分かっていたため、
彼が疑問を口にするよりも早くエフィニアは深々と腰を折る。

「お初にお目にかかりまス。
この食堂を任されておりまス。エフィニアと申しまス。
ご用命の際ハ、なんなりとお申し付けくださイ」

若干のノイズに語尾が震えたが、
何とかそう言い切ると、手で示しながら彼を席まで誘導していく。

「初めての任務かラ 大活躍だったと聞いておりますヨ。
とりあえズ、ココアを温めておきましたのデ、お飲み下さイ」

机の上に置かれた朝刊の一面――「第七候補隊、遺跡内部の闇を暴く!」の見出しをエフィニアは指差しながら
何故か自分のことのように嬉しそうに微笑んだ後、
エルトの前にココアの入ったマグカップを置き、朝食を運ぶために厨房の中へと消えていく。
先客だろうか、エルトの向かいには同じ新聞を広げる者がいた。
どうやらエルトの着席には気付いていないらしく、紙面とにらめっこしたまま、ぶつぶと小声で唸っている、

「またフェリクス……エイルスの検問が優秀だったから良かったものの…これは…
今週に入ってもう5回目…さすがにちょっと多すぎ…え? カハッァ――!?」

ちょうど新聞を降ろしてからココアに口をつけたのが運の尽き。
エルトの姿を視界に認めたシスメは盛大にむせ返った。

「えふっ、えほげほっ…! エ、エルトさん…い、い゛つからそこ゛に」

気管にダメージを負ったせいでシスメがなかなか思うように話せずにいると、
一足遅れて到着したセキアの能天気な声が二人の頭上から降りかかる。

「あ、エルトにシスメおねーさん、もーにん!
って、あれ? ふたりともどうかした?
うわ、しかもシスメおねーさんすごい顔の色だけど大丈夫? なにかあった?」

どんな受け取り方をしたのか、シスメは椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がると
まるで同じ動作を繰り返すそういう機械であるかのように、両手を自分の目の前でブンブンと振り始めた。

「なにもしてません!! 誓ってっ、何もっ、してませんっ!」

「えっ、な、なにがですかな!?」

彼女の混乱が伝染したのか、
シスメの文脈を無視した突然の釈明の言葉にセキアも若干変な口調になりながら返答する。
そんな二人の間に割ってはいるようにして人数分のベーコンエッグの乗ったトレイが置かれる。
そこには顔に暗い影を落としながらも細い目で微笑むエフィニアが立っていた。

「にぎやかなのは結構ですガ、
まだ寝ている人もいますのデ、食堂でハ、もう少シ、お静かニ、願いますネ」

ジュウジュウとまだ余熱の残るフライパンを片手に
低い声でそう諭すエフィニアを見て、二人揃って「すみません…」と小さくなる。
とりあえず残る疑問は後にして二人は静かに椅子へと腰を落ち着けた。

「えっと…朝から騒がしくしてごめん。二人はその、怪我とかもう大丈夫なの?」

先の話題をこれ以上広げても良い方向には転ばないと
野生的な第六感で理解したセキアは無理やり話題の方向修正にとりかかった。

>エルト、ALL

【Information:サブ記事とメモ欄にてエフィニアの情報が追加されました!】

4ヶ月前 No.460

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_a2e

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

(…ふむ…食堂はあっちの方か)
1階に降りるなり、良い意味で香ばしい匂いが漂ってきたのを感じとり、そちらを見やれば…少しはなれば場所に一回り大き目な扉が有り、ある種の活気のような物を感じ取れた。
そのまま扉に手をかけ、中に足を踏み入れれば、予想道理にそこは食堂であったようで…食卓であろう机の一席には既に先客がおり、熱心に新聞を広げているようだ。

「今日から世話になるエルトだ…これからよろしく頼む」
厨房から何処かイントネーションがズレ気味なこえで挨拶され、そちらを振り向けば…絶妙なタイミングで続けざまに名乗られたので、こちらも挨拶を返す。
(…何だ?…気配に違和感が…不調は引きずってはいない…はず…なんだが…?)
口調の方は訛りの一言で片付くが…ふと意識を向けてみれば、エフィニアと名乗ったその女性からは生物特有のそれがイマイチ感じ取れず…どうにも違和感がぬぐえなかった。

「あ…ああ、すまない…ありがたくいただくよ」
などと考察していた所で、いつの間にか空席の一つを指し示されており、少々遅れながらも着席し、程よく温められたココアを受け取り、のんびりと味わう。
(…ふむ…いい腕だな…個人的にはもう少し甘目であればなお良かったが…いや、それだと一般的には甘すぎるか)
ほんのりと広がる独特の苦味と、それとは対照的にじんわりと広がるような程よい甘みと温かさを堪能しつつもそんな事を考えていた所で…向いの先客が新聞を下しつつも、机上に置かれたココアに一口すすったところで…
「っ!?」
突如爆発…ではなく、盛大にむせ返った様子で…思わず取り落としそうになったコップを机に置きつつもそう尋ねる。
(なんだか穏やかな話題ではないと思えば…シスメだったか…)
何やら厄介事と思わしき口調で呟いていたが…出てきた単語から推測して領域侵犯の類であろうか?

「こっちは今きたばかりだが…それよりも大丈夫か?」
そんな事を考えつつもシスメが落ち着くのを待っていた所で…何とか回復したらしいシスメの問いにそう返しつつ、返答を待っていた所で…セキアがやってきた。

「ああ、おはよう…別に何かしていたと言う訳じゃ…っ!?」
と、セキアに挨拶を返した所で…ふと、セキア達の後方からなんとも形容しがたい気配を滲ませつつ割って入る気配に気が付き、言葉を詰まらせる。
(…これは…戦闘型の機械人形!?なんでこんなことろに!?)
先程までまるで感じなかったその気配に戦慄し、同時に即座に臨戦態勢に入ろうとしたその刹那…その気配の主が発した言葉は…なんというか、思った以上に平和なセリフであった。
「え?…あ、いや…その…悪かった…」
…敵襲かと身構えたのだが…そこにいたのは先程挨拶したばかりのエフィニアで…ただ単に、騒動が過ぎる事に釘をさしたかっただけのようであり、一瞬にして毒気を抜かれる。
ついでになぜか悪くないはずなのに謝罪までしてしまうのだが…一気に変化した状況について行き切らなかったため仕方のない事だろう。

「…あー…ま…まぁそうだな…怪我の方は大したことはなかったようだ」
そうして一呼吸置き、落ち着いたところでセキアに体調の方を尋ねられたのでそう返す。
…実際の所精神的、および魔力的な消耗が主であったため、言うほど重症ではなかったのだ。
(まぁ…それでも抜け出そうとしたらえらい目にあったんだが…)
…実は先の事件の結果を確認する事無く病室送りにされてしまったため、こっそりと経過を聞きに行こうとしたのだが…途中で関係者に見つかり、連れ戻されると言う些細な事件が有ったりしたのだ。
…その時の関係者はおこ、どころか激おこ状態でその日はほとんど非難の視線にさらされる事となり…正直、下手な罰則よりも大分堪えたのはここだけの話である。
「ま…まぁ先日みたいな事件がそう何度も起きるとは思わないがもう一度やれと言われても問題はないさ」
…妙な事を思い出してしまい、若干ながら背筋が寒くなったが…それを振り払うように何とかそう返し、再び湯気を立てるココアを堪能する事にしたようだ。

>エフィニア シスメ セキア ALL

4ヶ月前 No.461

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

[白月レイ:ルナ区画:第七候補隊用寮アレスタ:屋上庭園>食堂]

「…ん、あれ…ああ私としたことが……またここで寝てしまいました。」

庭園の花畑で目を覚ましたレイは、フラッと立ち上がり、屋上からみえる朝日をボーッと見る。
遺跡であったあの青い目の少女、彼女の目的と、グレブスリー処断官の目的がもしも一緒であるならば、私は今グレブスリー処断官に捕まるわけには行かない。でも、今はまだ彼らの目的がはっきりとわからない以上下手に行動するのは、危険……かな

レイニアさんがグレブスリー処断官との謁見を取り付けてくれるとのことだったが、実際のところ、どうなるのかは今のレイには分からなかった。


考えていても仕方がないので、とりあえず朝食を取ろうと、手を洗い、庭園を後にする。

「みなさん、おはようございま……す?」

階段から降りて来て食堂へとやってきたレイはその場にいた人に挨拶をしようとするが、なぜかシスメさんが、新聞片手にむせ返っており、周りは騒然となっていた。

それにあの機械人形はいったい

「……あの、大丈夫ですか?」

恐る恐る尋ねるが、どう考えても大丈夫ではない。そしてセキアさんのほうへいき

「セキアさん、おはようございます。その先日は、ありがとうございました。……それで折り入ってご相談があるので、また時間のある時に、お話ししていただけますか?」

と、セキアさんにぺこりと頭を下げ、遺跡で助けてもらったことにお礼を言い、周りには聞こえないような小さな声で約束取り付けようとする。

>>エフィニア シスメ セキア エルト

4ヶ月前 No.462

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★DUZ7mWgN6A_DMW

【セキア&シスメ&レイニア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

セキアが二人の身体の安否について訪ねると、すぐに二者二様の答えが帰ってきた。

『…あー…ま…まぁそうだな…怪我の方は大したことはなかったようだ』

「あ、はい、私も…っ すぐに治癒魔術で傷を治してもらったので平気です…けほっ」

苦味の抜けきらない表情のエルト。
彼の医務室からの逃走劇の一部始終を知らないセキアは、
エルトの反応にぽかんと疑問符を浮かべるも、二人の無事に気持ちが流れる。

「そっか、良かった。いや、なんか言ってもしょうがないんだけど
あたしがもう少し早くみんなに合流できてたら
もっと違う結果になってたかもしれないのかなー…なんて」

ほっと安堵の息をついたものの
少しは呵責を感じているのだろうか、セキアは小さく苦笑いを浮かべる。
いくつもの偶然が重なったとはいえ、あの遺跡で隊が分断される原因を作ったのは
他ならぬ自分なのだから…などと珍しくその足りない頭で考えたらしい。
落ち着きなくキャスケット帽のふちに手をやりながらちらちら二人の顔を見比べる。

「なんていうかハプニング? 事件? の遭遇率高いよね、あたし達。
まだ候補官なのに任務の内容が
すごくハードというか…まるで、何かが引き寄せてるみたいに…」

エルトの発言にセキアもまた背筋が寒くなるのを感じていた。
二度あることは三度あるというが、こうも嫌な予感ばかり当たってしまうと
次の任務も恐らく、なんてのっけから邪推してかかってしまう。
特にことレダール鉱石関連というか、獣化騒動に度々縁があるなんてちょっと笑えない。
そういった危険も承知で飛び込んだものの、生身の人間であるセキアからしたら
そうそう何度も命を天秤にかける場面には遭遇したくないものだ。
亜人と純粋なとっくみあいをしたら、負けるのは人間であるセキアの方なのだから。
と、ここで見知った顔から声がかかった。

「っ…大丈夫です…っ…もう落ち着きまじたがら」

今だダメージの残る気管をかばいながらも何とかレイに返すシスメ。
何をそんなに隠したいのだろうかと、さすがのセキアも苦笑いを隠せなかった。

「あ、レイもモーニン! レイも今から? だったら一緒に食べ―――」

先ほどの似合わないネガティブを払拭せんとばかりに
席から腰を浮かし、オーバーなリアクションで手を振りかけたセキアだったが、
こちらに近寄る傍ら小さく口にしたレイの声に動きを止めた。

『折り入ってご相談があるので、また時間のある時に、お話ししていただけますか?』

「(あたしでよければいつでも。じゃあ、この任務の後、レイの庭園でどう?)」

感情がすぐ顔に出る性格であることは認めたくないが、
第三者曰くそうらしいので、ばれないよう手短に言葉を返しておく。
同じ卓についているエルトとシスメの気をそらすためにも、話題の転換を図る。

「ところで、シスメおねーさんさっき何見てたの?」

「さっき? え、あ、これです」

てんぱってはいたが、何とか新聞だけは死守したらしい。
ココアとベーコンエッグの皿をよけながら朝刊を皆に見えるよう机の上に広げる。
そこにはでかでかと『またもフェリクス 内部の犯行か?』の見出しが躍っていた。

「フェリクス?」

「……香水の名を騙った劇薬です。中から大量のレダール反応が検知されたとか…
アスールと古くからやり取りのある信頼筋の空輸便の荷物の中にいつの間にか紛れていたそうです。
幸い、市場に出回る前にエイルスの検問で止まったから良かったものの、
こんなものが誰かの手に渡っていたかと思うと…」

知らず、シスメは下唇を強く噛みしめていた。
何よりも許せないのは、これが無差別的に行われていることだ。
老若男女、種族関係なく自我を狂わせ、人を獣へ堕とす。
レダールによる強制的な獣化は、自分はもちろん周囲に消えない傷を残す。
自分にその気がなくても加害者を作り出してしまう。
そんなものがここアスールで流入していることに強い憤りを覚えた。
そのまま深い思案の底に沈もうとしていたシスメはしかし、唐突に思考を中断させられる。

「フェリクス(幸運)を冠するなんてすごい皮肉ですよねぇ」

いきなり肩に置かれた手にぎょっと後ろを振り返るシスメ。
先に声をあげたのはセキアだった。

「レイニー教官!?」

「あはは。おはようございます皆さん。
なかなかタイムリーな話題だったので、ちょっと口を挟ませてもらいました。
ちょうど良い機会なので、朝食ついでにここでミーティングをしましょうか」

悪戯っぽい表情で、マリンブルーの瞳を片方伏せたレイニアがそこにいた。
杖先でコンコンとリズムを取りつつ、
唖然としているであろう第七候補隊の面々の反応をしばし楽しむ。

「次の新しい任務について」

そして、そのまま流れるように前置きなく話の主導権を奪った。

>エルト、レイ、ALL

4ヶ月前 No.463

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月 レイ:ルナ区画/第七候補隊寮アレスタ/食堂】

シスメさんはなんとか大丈夫そうに返事を返してくれて、ほっと胸をなでおろす。あの機械人形さんのことは気になるけど今は、それは気にしていられない。

そして私のお願いを素直に聞き入れ了承し、この任務の後に庭園でと約束してくれたセキアさんに、私はそれに静かに頷く。

そして周りの注意をそらせるためにセキアさんは、シスメさんが読んでいる新聞について尋ねた。

「レダール……そういえば、あの遺跡にいた人たちが何やらそれを使って……古代神フォルラーンを復活させるのが目的だって言ってました。この事件と何か関係があるのでしょうか。」

とシスメさんの新聞を見ながら、遺跡でのことを思い出した。種族を一切問わず人を獣へと変貌させることができる劇薬。魔導具と人とが合わさった魔武器である私はどうなるんだろう。

と、不安を覚えていると、そこへ知っている顔がやってきたので、考えるのをやめ、その2人を見上げる。


「えっと、ちょうどいいということは、今回の任務はこの事件に関係することということでしょうか。」

私はこの任務に同行してもいいのだろうか。ただでさえこの前の一件に関与しているのではという疑いを持たれてしまっている状態で今回の任務はアウェイな状況と言えるような気がしている。

>>寮食堂All

4ヶ月前 No.464

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_a2e

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「…あ…ああ、レイか…おはよう…朝から騒がしくてすまないね」
ドタバタと喜劇めいた状況に飲まれていたが…ふと、声をかけられたことに気が付き、そちらを見やればレイが食堂に入ってきたようだ。
…騒動に関しては自身が原因の一端である自覚は有るため、騒がしくなった事に謝罪しつつもそう挨拶を返す。

(…む?…何かあるのか…?)
どうにか騒動にひと段落がついてきた所で、何やらレイがセキアに小声で話しかけていたのに目敏く気が付き、少々の疑問を持ったが…
(…余計な詮索をするのも悪いか)
…内容の方はほとんど聞き取れず…主観ではあるがレイとセキアは組む機会が多かった分それなりの信頼関係があるのだろう。
そんな二人が内密に相談していると言うのならば、それを無遠慮に暴くと言うのは無遠慮が過ぎるという物だろう。
そう考え、先ほど見た光景はひとまず頭の片隅に追いやってしまう事にした。

>レイ

「…それは結果論に過ぎないよ」
『もっと早く合流出来たら』、とぼやくセキアにたしなめるようにそう言う。
「経過はどうであれ、皆無事に戻れたのを良しとしないと…高望みのしすぎは足元をすくわれかねない」
諭すような口調ではあるが…言葉面は少々厳しく、咎めてると言えなくもない内容で…どうにも誤解を与えかねない内容になってしまっているようだ…本人には悪気はないのだが…

「…まさかな…流石に偶然だろう」
セキアが背筋を寒くするのと同様…こちらもついつい騒動が続くことを想像してしまい、内心で軽く身震いしてしまう。
(そうだ…偶然に過ぎない…筈…だが…)
生憎と、自身が参加した事件に関しては、候補者試験と先の遺跡調査の2件だけだが…聞いた話ではそれとは別に、セキア達はそれ以前にも何かしらのハプニングに巻き込まれていたらしく…それを踏まえると確かに短期間にしては出来過ぎている。
(人為的なもの…と言うのは…流石に発想が飛躍しすぎているか…駄目だな、推測するにも材料がなさすぎる)
突飛な答えを出しそうになり内心で自嘲しつつも、深みに嵌りそうになっていた思考を引き戻せば…いつの間にやら話題の方は移り変わっており、出遅れた分を把握しようと聞き手に回る事にした。

「…それがさっき言ってた事件か」
セキアが『フェリクス』と言う単語に疑問を持ったところで、すかさずシスメから解説が入った。
それを便乗して聞いたところで、シスメが下唇を噛みしめているのに気が付く。
「劇薬なんだからロクな物ではないんだろうが…のさばらせるわけにはいかないな」
『フェリクス』がどれほどの効能を発揮するのかはわからないが…これほど問題になると言う事は相応の効果があるのであろう。
そう判断して言葉を発していた所で…突如するりとレイニアが話題に加わってきた。

「教官…いつの間に?」
セキアに次いでそんな声をあげるもののレイニアの勢いは止まらず…『ちょうどいい』と言う言葉から今回の任務についてレイが問いかけていようで…
(…そうだとすれば…どうやら今回も荒事になりそうだな)
レイニアの返答が来る僅かな間にそう考えてひっそりと内心でため息を漏らすのであった。

>セキア シスメ レイニア 食堂ALL

3ヶ月前 No.465

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★hxURCRs9R6_DMW

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3ヶ月前 No.466

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_GKj

【ルナ区画 / 第七候補隊用寮アレスタ / 食堂前廊下 / アシュレイ・ツィー】


「えーっと、確か……こっちかな―――わっ」

 角を曲がり、目的地を眼前にした刹那。訪れたるは廊窓より吹き渡る、一陣のせせらぎ。
 などと称するには、些か以上に強烈すぎる突風であった。
 絶対安全圏であるアスールの寮の屋内にあって、ある種キリングレシピ地味た攻撃を受け、ハトが豆鉄砲を喰らったかのような素っ頓狂な声を発してしまったものの見事、案内書は死守した。褒めてくれ。
 しかしながら被害はそれだけに留まらず。厄介なことだが、今の天の息吹には気紛れな風精がいたらしい。
 これを運命の悪戯と呼ぶには余りにも陳腐だろうが……まあともかくそんなものを連想させるように、彼の足元にはどこからか攫われてきた灰色の帽子が転がっていた。

 顔を上げると、その更に数メートル先にはピンと張った狼耳を頭頂部に備える紅顔の少女が一人。
 ―――……成る程。帽子(かれ)は僕のように遠路遥々、旅をしてきた訳ではないようだ。
 いや確かに、あのようにして彼女がそういう明らかな面持ちをしている以上、この帽子はやはり彼女の持ち物なのだろう。
 彼はそれを自前の人助け精神から拾い上げると穏やかな表情で一瞥し、その持ち主であると目される亜人の少女―――ノイのもとへと歩み寄った。

 僅かな無言(しじま)。東雲の陽光を纏う、麗らかな朝風だけが二人の頬を撫でる。
 露になった少女の双眸を見据え、少し驚いた様子の後に開口した。
 無邪気な子供が一度飲み干した感動を反芻するように、青年は心のまま感じた事を述べる。

「―――綺麗な色をしているね」

 そこに他意などあろうものか―――彼の言葉は聴く者にそう思わせるほど愚直に、純真に、そして素直であった。
 その眼差しはまるで大地へとその光を等量に降り注がせる、あの太陽のようだと。
 また或いは、雪解けを待つ一輪の節分草のように清澄だと……語るその口に、裏表嘘偽一切なく。
 淡々とした、然れど曇りのない声色は、より真摯な心情を当然のように吐露していく。
 そして優しく微笑みかけ、片膝をつき、どこか伏し目がちな彼女に配慮して目線の高さを合わせると、その白髪碧眼の青年―――アシュレイ・ツィーは、手に取ったキャスケット帽を差し出した。

「僕はアッシュ、アシュレイ・ツィー。
 君の名前を教えてくれるかな、素敵な瞳のレディー」


>>ノイ、ALL

【開幕早々、爆撃を開始するアッシュくん。ノイちゃんのコンプレックスを褒めちぎるの巻。
 しっかりしているとはいえ、まだ幼いノイちゃんには“聖王国騎士流・女性に対する礼儀作法”はちょっと早かったかもしれないですが……ま、何事も諦めが肝心だもんな(デジャヴ)

 では皆様、お手柔らかにお願いします〜!
 時間がなくて冒頭文を省いた、なんて事は口が裂けたので言っておくぜ……】

3ヶ月前 No.467

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★UqoZKivfnl_DMW

【ノイ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂前廊下】

帽子は意外な人物に拾われた。
志願書で見たものと同じ、グラデーションのかかった黒髪、碧眼。
意図せずして意中の人物に出会えたことに驚いていると、向こうも小さな驚きをもってノイを出迎えた。

「……?」

綺麗な色。その言葉の指し示す対象に自身の瞳が入っているなどノイは思いもつかない。
彼の言葉が一体何を指してのものなのか少し理解が遅れた。
順当に考えて、この朝日のことを言っているのだろうか。
ちらと曇りのない澄んだ陽光を横目に見る。
確かに今日はとても良い日和だ。洗濯物もよく乾くことだろう。
つまりこれは世間話では常套句の「今日はいい天気ですね」的なニュアンスなのだろうか。
しかし、彼の視線は先ほどからずっとこちらを向いている。
返す言葉に困っていると彼はすぐに二の句を告げた。
そこでようやく理解する。彼が綺麗だと評したのは、
他ならぬ自身の、忌み子の象徴である、この瞳であることに。

「そんなこと、ない。綺麗な色、そっち。でも、感謝。
帽子も、ありがと。これ、とても、大事」

切った貼ったの単語形成文で、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
この目に対する負い目からでも謙遜でもなんでもなく、単にノイは青色が好きだった。
膝を突いて同じ目線となったアッシュの目を興味深げに覗きこむ。
見事な碧眼だ。レイニーのような深みのある青ではなく、透き通った青。
レイニーが海なら、アッシュのその色は空を連想させた。
それからどれだけの時間注視していただろうか、自己紹介の声にハッと我に返ったノイは
彼の手からキャスケット帽を受け取り、目深に被りなおす。

「名前、ノイ。本名、長い。だから、ノイで、いい」

彼に倣ってこちらも短い自己紹介を終えると、
時折詰まりながらも小さい声で何度か彼の名前を復唱する。
やがて何事か考える仕草をした後、唐突な提案を口にした。

「アシュって、呼ぶ。良い?」

促音を挟んだ名前が言いづらいのか、それとも愛称の意味を込めてか、
はたまた瞳を褒められたことに気を良くしてか、ノイはアッシュに訪ねる。
と、ここで本来の目的を思い出したノイは彼の袖を控えめに引っ張った。

「こっち。来る、要求。あとの、流れ、レイニー……教官、説明、する」

そう言うが早いか、食堂の扉に手をかけたノイは、そのまま彼と連れ立って廊下をあとにした。


【セキア&シスメ&レイニア&エフィニア&ノイ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

食堂を見渡すと、既に自分達以外の第七候補隊は全員集合しているようだった。
彼の袖を引いて、ひときわ人の多いテーブルへと足を進める。

「レイニー、連れて、きた。遅くなった、謝罪」

ノイの足音に気付いてか、後ろを振り返りかけたレイニーに言葉を投げかける。
待っていましたとばかりに頭頂の耳を小さく動かしたレイニアは微笑をもってノイの声に答える。

「お、噂をすれば、ですねぇ。はいはーい、みなさーん。ごちゅうもーく」

待ち人の登場に騒がしさを増す食堂。視線は自然とアシュレイへ集中する。
パンパンと手で拍を打ち、視線を自分に集めたレイニアは
素早く立ち上がると、アシュレイの横に立って彼を手で指し示す。

「今日から第七候補隊のメンバーに新しく加わることになりました〜
アシュレイ・ツィーさんでーす。はい、拍手〜」

【ようこそ、アスールへ! 廊下から食堂へ移動させていただきました。
こちらこそ至らぬ部分も多いかと思いますが、よろしくお願い致します】>アシュレイ、ALL

※警告に同意して書きこまれました (個人情報)
3ヶ月前 No.468

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_EjY

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「!!…いや、そう…だな…その通りだ」
セキアの『まるで先回りされている』と言う発言を聞き思わず動揺しかけるが…どうにか持ち直し、キリがない言うセキアの言葉を肯定する。
(まさか…セキアもそう考えていたとは…いずれにせよ根拠のない推論にしかならないが…)
…能天k…もとい、楽天家なセキアでさえも作為的な物を感じ取っている様子だ…となれば…ほかの関係者にも一度意見を聞く価値はあるかもしれない。
それで事態が動く…というわけではないが情報を共有すればちょっとしたきっかけ程度にはなるかもしれない。
(…まぁ…期待は出来ないが…それよりも…だ)

現れるなり会話の主導権を持って行ったレイニアが、レイからの質問を肯定しつつもそれとは別の話がある、と軽めに制止した所で…
(…エフィメア?)
食堂の賑やかさに紛れていつの間にか駆け寄っていたエフィメアに気が付いたが…こちらが何かしらの言葉を発する間もなく、彼女はそのままレイニアの声に割り込み新たな入隊者の存在と、ノイがそれを迎えに行っている、と発言した。
「…了解しました…ならもう少し待つことにしましょう」
今説明し、新人の方にもまた説明するのであれば二度手間になってしまう。
急ぎであれば移動中などの時間に掻い摘んで説明するのも有りではあるが…そうでないならば一緒に説明をするのが効率的だろう。
そう考え、先の言葉を返したのだが…直前に2、3言葉を交わしただけでレイニアから離れたエフィメアがどうにも悲しげな表情をしているのがどうにも気にかかった。
当人は既に元の表情に戻り、厨房での仕事に戻っているようであったが…
(何か…あったんだろうな…だが…)
そうは思えど…おそらくは当人たちしか立ち入れないようなデリケートな問題なのだろうと言うのは容易に察する事が出来た。
出来てしまったがために直接訪ねる事などできるはずがない…大いに気にはかかるのだが…
(…赤の他人…と言う程ではないんだが…流石に出しゃばりすぎるか)
そう考え、今は忘れ…る事は出来そうにないが…一度棚上げにすることにして件の新人が来るのを待つことにする。

…そうして数分後、ノイに連れられて一人の青年…『アシュレイ・ツィー』がやってきた。
そのまま流れるようにレイニアが軽く彼の名を紹介すると共に拍手を要求してきたため、こちらも拍手で迎えてやるとする。
(身のこなしからして剣士…だろうか?)

>セキア レイニア エフィメア アシュレイ

【新人だー!!囲めー!!(コラ…と、まぁ何はともあれこれからどうぞよろしくお願いします】

3ヶ月前 No.469

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:第七候補隊用寮アレスタ:食堂】

あの事件と関係がある案件、その調査と言ったところでしょうか。その事を聞いたレイの目が少し曇ったことは誰も気づかないだろうか。
今回の任務、果たして自分が出るべきなのか、少し悩むレイ。

敵の目的がはっきりわからないが、レダール、フォルラーン、何か、それに関連した話をお母様から聞いたことがあるような気がする。しかし、はっきりと思い出せない。嫌な予感が止まらない。
だからといって予感だけで任務を拒否することはできない。責務は果たさなければ行けないし、今の私の状況で拒否すればそれこそ、あの方に怪しまれてしまう。

「新しい方がいらっしゃるんですね!楽しみです!あ、でもどうしましょう。私何も準備してません、何かえっとー…クッキーは昨日切らしちゃいましたし...」

新しい新入隊員が来るということで、少し気分が上がり、何かお近づきの印としてあげられるものがないかと模索するも何もなくて本気で悩みはじめるレイ。

しかし何かを思いつく前に、新しい新入隊員であるアシュレイ・ツィーさんがやってきてしまった。

「は、初めまして。私、白月レイと言います。......っ」

急なことでワタワタしながら自己紹介をするレイ。しかしそのあと妙に背筋に寒気感じ、無意識にアシュレイさんから距離をおいてしまった。
なんだろう、この人から感じる違和感は、恐怖とかではなく、何か...共鳴に近いもの、この人が持っているあの武器?もしかして魔武器なのでしょうか、でもそんな感じはしないし…
でも引き寄せられる何かがあるようなそんな感じがしてその謎の感覚に恐怖を覚えるレイなのであった。

>>レイニア セキア エルと アッシュ ノイ

(新人さんですねー!よろしくお願いします!!!
さっそく勝手ではございますが、シリウスと共鳴っぽいことしてみました。
魔武器として魔道兵器と共鳴した方が面白いという感覚になりました

3ヶ月前 No.470

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_Vzx

【ルナ区画 / 第七候補隊用寮アレスタ / 食堂前廊下⇒食堂 / アシュレイ・ツィー】

 ――――ところで諸君は、ZONYという魔導具ブランドをご存知だろうか?
 アスールではあまり認知されていないようなので手短に説明すると、我々俗人には欠かせない娯楽アイテムを提供している電機メーカーの一つだ。
 元々はテレビやラジオ等の電子機器類を筆頭にした、生活に便利な魔導具の開発に注力していた中小企業だったのだが、昨年、同社により公開された『PF』なる商品が業界に革命の嵐を巻き起こした。
 なんでも仮想現実に自身のアバターを作成し、専用のソフトを購入することでアバターを駆使した様々なゲームをプレイできる『端末型魔導遊具』なのだとか……。
 結果、事業は見事に大成功。人類の可能性を世間に広く知らしめたこの新たな試みは、老若男女問わず様々な人種より根強い支持を獲得し、今や聖王国でも大変人気の高級ブランドへと急成長を果たした。
 取り分け、その技術と特性を存分に活かして制作される『RPG』と呼ばれるゲームジャンルには住み着くユーザーも多く、そしてそんなユーザーの中には、行き着いた村や街の住人に“とりあえず片っ端から話しかける”プレイヤーも、ごまんと居る事だろう。
 必然、そんなプレイスタイルを続けていると、思いがけない所にいる思いも寄らない人物が「実はメインシナリオ進行フラグでした」等という殺人的なトラップに引っかかる頻度も決して少ないとは言えず……ああ、つまり。何がいいたいかと言うと――――今がまさに、それだ。

「? あ、ああ……うん、僕の事は好きに呼んでくれて構わないよ。
 では、お言葉に甘えて―――隣を歩く光栄に最大の感謝を、リトルプリンセス・ノイ」

 …………参ったな、これは一本取られた。
 レイニー。少女が口にしたその名前には確かな覚えがあった。
 なぜならこの案内書を自分宛てに寄越し、ここに呼び立てたのは他でもない『レイニー教官』その人なのだから。
 であれば、このノイと名乗った半狼の少女は差し詰め、案内役と言ったところか。
 ――――成る程、確かに。アッシュを滞りなく隊へ引き入れるには、この無垢な少女を配置するのが最も適任だろう。
 仮に応対を担当したのが他の女性職員だった場合、下手をすればアッシュを打っていたかもしれないし、また或いは絆されていたかもしれない。
 よって、彼女は正しい選択をした訳だが……これが恣意的な配置であったのなら、レイニア・ベルダーという女性は大した慧眼の持ち主だ。
 なにせまだ顔も合わせてすらいないのだから、書面だけで彼という人物を見抜いたという事になる。たかだか一個小隊程度を預かる者の器としては、余りある資質と言えよう。
 ともすれば、こちらの素性や思惑も既に看破しているのかもしれないが――――無論、アシュレイ・ツィーという男にはそれを知るだけの術を持ち合わせていない。
 かといって、当の本人にそれとなく真偽を問うても、精々煙に撒かれるのが関の山だろう。

「全く、食えないお女性(ひと)だ……」

 やれやれと言った仕草で軽く肩を竦める。
 この隔たりの向こうには、自身がたった今「食えない女」と評した聡明な女性と、それに付き従う兵(つわもの)たちが集っているのだろう。
 第七候補隊―――先日もソエリスで活躍したという期待の星。朝刊の一面を飾るくらいには大達周りだったと聞くが……果たして、どのような無理難題が待ち受けているのか。
 国家隊と謳うくらいなのだから、想像するに騎士団の入隊式みたく粛々とした場で隊章授与を行い、その後は別命あるまで食堂で親睦を深め合うのだろうか? とにもかくにも、意を決して拓いた扉から蒼き国の旗下へと踏み入ったのだが―――。

 そんな決意はどこ吹く風。彼を出迎えたのは万来の――というには些か大げさだが――拍手喝采。
 まあ結論から述べると、歓迎された訳だが――――なんだこれは、罠か?
 いや疑いたくもなるだろうさ。僕の辿ってきたこれまでは、いつだって直角90度の坂道だったのだから。
 閑話休題。ノイに袖を引かれるまま歩く内に、やがてレイニーが横へ並び立つと、ここに来て漸く我に帰った。
 まるで聴かされていなかった展開に多少拍子抜けするも、しかしアッシュは気後れする事なく言葉を紡ぎ始める。

「本日付で配属となりました、アシュレイ・ツィーです。
 不肖、若輩者ゆえ至らぬ点も多くございますが、ご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願いします」

 直立から低頭へ。腰を折り、深々と頭を下げてのお辞儀。
 古来より骨法に勝るものなし。社会的に長生きしたければ繁文縟礼も止むなしだと、スラム時代に良くしてくれた爺さんも言っていた。
 だから僕も常に正しく在りたいと思う―――コンコルディアの騎士として。

 ひと呼吸置いてから面を上げ、総員の反応を伺う。第一印象、良好。手応えはあった。
 刹那の静寂の後、まず最初に訪れたのは薄紫色の頭髪と翡翠の瞳を弁える、どこか優しい雰囲気を纏う少女の一声だった。
 まさしく“白百合”と称えるに相応しい花弁のような容貌を持つその少女は、落ち着きない調子で自己紹介を開始する。
 白月レイ―――この辺りでは耳慣れない特徴的な苗字形態からして、異国の民だろうか。シラツキ・レイ、レイ・シラツキ――――シラツキ?
 いや待て、どこかで聞き及んだ事のある名だ。しかしそれが何だったかまでは……駄目だ、明確に思い出せない。

 なんとも忸怩たる思いだが、このまま追思に耽るのも失礼なので一先ず微笑みを以てこれに会釈すると、見目麗しいその少女は一歩後退る。
 …………はて、なにか不愉快な想いをさせてしまったのだろうか? 僅か数秒とはいえ、見つめていた事に気を悪くしたのならば謝罪しよう。
 だが不可抗力だ。視線はともかく意識は明後日の方角を向いていたし、釈明の余地はそれなりに要求する。


 脳内で勝手に繰り広げられるコンコルディアジョークもそこそこに。斯くして、この白騎士の物語は幕を開ける。
 過去も未来も、希望も絶望も。あらゆる絆を薪と焼べ、願う真を胸に男は果てなく征くのだ。
 例えいつか、燃え尽きてしまう蝋翼であろうとも――――。

>ALL


【Q,聖王国の騎士って、皆こんなキザ野郎なんスか?
 A,(一部を除いて)そうだよ(タメ口)

 皆様、ご丁寧にどうもありがとうございます〜! (人間関係的な意味で)なんてホワイトな職場だ、アスール国家隊……。
 ちなみにアッシュくんの持つシリウスは、一口に魔導兵器とはいっても現時点では「単に出力の高い魔導具」程度の扱いなので、実はそれほど大した代物でもないかもしれないです……。
 まあ、レブランカの『天才の真似事をした、才能のない阿呆ども』が生み出した“意思持つ魔導具の模倣品”という側面もあったりなかったりしますし、シリウスが生み出された経緯に魔武器一族との間にも密接した、“人智を超えたナニカ”があったのかもしれませんね……!! むしろそういうの面白そう!(軽率)

 というか『白月』の読み方、これで合っていたのだろうか……。
 間違えていたら拙者、切腹します(豪語)】

2ヶ月前 No.471

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★3sbWh86ZJj_5qC

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2ヶ月前 No.472

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ】

今回の任務に参加するべきか悩んでいると、セキアさんに大丈夫?と声をかけてもらい、一瞬でも自分の世界に入っていた私を、現実の世界に連れ戻してもらった。

「あ、えっと...その...今回の任務いつにも増して嫌な予感がしたというか、あまり乗り気ではなくて...
ダメですね、こんなことで任務を投げ出しては...国家隊として全力を尽くさないと」

自分でもわかる薄っぺらい上辺だけでものを言った。国家隊として...か。私がここにいるのは国家隊のため?否、違う。私は


「セキアさん...ありがとうございます...詳しいことは今回の任務のあと、お話します。だけど今は...ごめんなさい」

今の私にはこんなことしか言えなかった。セキアさんがせっかく手を差し伸べてくれたのに、私はそれに応えられているのだろうか。きっと足りない。

「今回の任務に、アシュレイさんも同行するのですか?」

恐る恐る訪ねてみた。初めて会う人に対してこんな態度をとるのはいささか失礼ではあるが、彼から感じる悪寒は、無視出来ない。身体が、心が、血が...そう訴えてくる。

>>アシュレイ セキア エルト

2ヶ月前 No.473

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_gaI

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

穏やかな…と言うにはほんの少し騒がしいかもしれないが…それでも概ね歓迎なムードで挨拶を交わしていく隊員たち。
このまま何事も無く顔合わせの方も終了…とはいかなかったようで…
(レイ?…何かあったのか?)
緊張からか、少々詰まりはしたものの、挨拶を済ませたようではあったが…終わるなりやや早足にアシュレイから距離をおいてしまっていた。
(何かあったのか?…しかし…)
短い付き合いではあるが、理由もなくこんな態度をとるような少女ではない…はずだ。

…などと考えていると、同じくレイの様子に気が付いたセキアが話しかけるのが目に入った。
(…セキアに任せっぱなしと言うのは情けない話だが…任せるしかないか)
内心でため息をつきつつ、そう結論づける。
…彼女等の様子からデリケートな問題なのだろうと言うことぐらいは察せられ…これまで必要最低限の会話ぐらいしか交わした事が無い彼女に対し、踏み込むのは大いに躊躇われた。
(しかし…いつまでもこのまま、と言う訳にはいかないか)
今後の事を考えればすぐにでも話を聞くべきだろう…だが…
(…この場で問い質すのは問題だな)
経験不足とは言えどもそれぐらいの理解はある…決して尻込みしているわけではない、決して。
…などと言い訳じみた事を考 えながらも、流れを変えるべく自身もアシュレイへの挨拶と自己紹介を済ませるために行動を起こすことにした。

「…エルトだ。エルトライゼ…これからよろしく頼む」
…流れを変えるどころか微妙な空気をむしろ加速させかねないほどに無機質な文面ではあったが…握手を求めるように右手を差し出している事から歓迎の意思は辛うじて伝わるであろう。
「あー…なんだ…彼女も少し緊張してるみたいでな…悪く思わないでやってくれ」
次いで、近場にいるアシュレイに辛うじて聞き取れるであろう程度の声で密かにフォローを入れる。

>レイ アシュレイ ALL

ふと、こちらに向けられた視線に気が付き、そちらを見やれば…視線の主のエフィメアと目が合う。
(…な…なんだ?)
そのまま値踏みされるかのようにじーっと観察されてると心当たりはないはずなのに何か後ろめたい様な気分になってしまい…内心で少々困惑していた所で、当のエフィメアが何やらこちらに何処か控えめながらも芳醇な香りを漂わせる一枚の皿が置かれる。
(む!?…これは…イイモノだ…だがしかしなぜ!?)
それ…ふかふかのパンケーキは視覚だけでも実に甘美な味わいであると見受けられ…続くエフィメアの言葉からなぜ自分にそれが回ってきたのかと言う疑問にも回答がなされる。
(…なん…だと…?…あの数秒で…見透かされた!?)
…別に悪い事ではないのだろうが…知りえた一般常識の中では男性が喜んで甘味を食すのは一般的ではない、と言う程度の知識を持っている事から、なるべく隠しておきたい事柄であった。
(ま…まずい…何とか切り返しを…)
内心でそう焦ってはいたが…幸いにも周囲の喧騒からか誰も事態には気が付いていないようで…いってしまえば絶好の好機だ。
(…だ、大丈夫だ…バレてない…今ならいける…何よりせっかく出されたものを突っ返すなんて失礼だ、ナンセンスだ、冒涜だ!!)
…そう思ってしまったが故、あとから次々と行為を正当化する理由が湧き出て…断ると言う選択肢などあっという間に忘却の彼方へと吹っ飛んですぃまった。
「せ…せっかくだしな、うん。たまには…そう、たまーには甘いものを食べたくなるかもしれないからこれからもよろしく頼む」
…いつになく饒舌になりながらも密かに夜宵を一部分だけ召喚し、驚くほどの早業でその影に皿毎忍ばせて亜空間へと仕舞い込む…先のセリフを言い終えてからこの間、無駄に精錬された無駄に高度な動きはコンマ単位と言う実に非常識な速度で証拠を隠滅を可能としたようだ…
(さて、これで後は空き時間にこっそりと堪能できるな…うむ)
そうしてまんまと完全犯罪…もとい、目論見を達成したのであった。

>エフィメア ALL

2ヶ月前 No.474

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/???】

「あーあ、アイツら好き勝手にしてくれちゃってー。アタシが特別な許可を出したおかげで、実験やらなんやらできるようになったっていうのに。
魔武器の嬢ちゃんまでこの遺跡に連れてくるなんて、やることが露骨というか直球すぎるにもほどがあるねぇ」

遺跡の中を慣れた様子で進んでいく。あの戦闘などで破壊された遺跡を魔法で修復させていく。床についた大量の血も、水で洗い流す。でもこれは、データとして貰っておこうかな。
洗い流した血を、試験管に入れニヤリと笑う。

「やはりあの連中に、あの子を預けておくのは、愚かだった……返してもらわないと」

遺跡の外に出ると、遺跡を結界で囲み、その姿が誰にも見えないように消してしまった。
そしてどこから飛んできた杖に腰をかけ空へと飛び去った。

>> All

2ヶ月前 No.475

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★NbTgTHOZiK_5qC

【エフィニア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

突然差し出されたホットケーキに彼はその薄緑の瞳に驚愕をいっぱいに広げた。
あたふたしている。まだまだ感情への理解は深まっていないと
自負するエフィニアであっても彼の感情の移り変わりが目に見えて分かる。
驚愕から狼狽、葛藤、そして妥協へとコロコロと変わる彼の内情に
気付かれないよう笑いをこらえていると、彼は控えめな言葉と共にそれを受け取った。

「はイ。たまーには良いかもしれませんネ! たまーにハ、ふふフ…
お菓子作りハ、趣味の一環ですのデ、
またたまーに作るかもしれませン。その時は味見をお願いしますネ!」

彼の言葉を真似するかのように、なんどもたまーにという言葉を繰り返しながら
エフイニアは料理を受け取ってもらえて満足げだった。
贅沢を言うなら本当は胃袋を握りたかったのだが、結果として弱みを強く握る結果となってしまった。
閑話休題。さてどう切り出そうかと言語データから
適切な言葉を検索していると、突然、エフィニアの目の前でホットケーキが消失した。
僅かな魔力の揺らぎから一瞬だけエフィニアの目が魔力糸の反応を検知する。

(魔導具? いエ、これはこの国の魔導具とは別系統…むしろ構造的に別物といいますカ…)

トランプを消して見せるマジシャンもかくやという早業にぱちくりと目を瞬かせる。
エルトについてまだよく知らないエフィニアは
あのクロークは異次元にでも通じているのだろうかと、好奇に目を輝かせた。
そこまでしてハッと気付く。彼の狼狽はこんな自分の態度にも問題があったのではないかと。
初対面の人に対してグイグイいきすぎたのではないかと。やはりまだ感情データの収集が不完全だ。
我に返ったエフィニアは慌てて言葉を継ぎ足していく。

「すみませン。系統は違えド、エフィと同じようニ
誰かに作られた者が第七候補隊にいると聞いテ、少しテンションがオーバーフロー気味になってしまいましタ」

エフィニアとレイニアが旧知の仲であることは、彼も先ほどのやりとりから既に察しがついていることだろう。
彼女がこれまで学び取った性格の基盤となる部分には、
無論レイニアとのやりとりがフィードバックされたものも多く含まれている。
その結果、彼女の良くない部分も見事に吸収してしまったらしい。
からかうつもりはなかったのだが、エフィニアは先ほどの非礼を詫びるかのように申し訳なさげに微笑む。

「改めましテ、ここの寮長兼、食堂を任されておりまス、エフィニアと申しまス。
炊事、洗濯、裁縫、簡易なバイタルチェックかラ、チャカの扱いまデ、ご用命の際ハ何でも言ってくださイ。
これから長い付き合いになると思いますのデ、今後ともよろしくお願いしますネ!」

深々と腰を折るエフィニア。
家事できますよアピールに加えて、何やらそれらと並べて扱うには
不穏なものまで混ざった気がしないでもないが、
遠回り過ぎる遠回りを経て、エフィニアは本来の目的を終えたのだった。

>エルト、ALL



【セキア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

いつもに比べて覇気がない…というより、
考え事に気をとられすぎてどこか上の空なレイの呟きを見送った後、
しばしセキアは顎に手を当てたまま考えるそぶりを見せた。
たぶんセキアの声は言葉として聞こえてはいるものの、
そこに込められたものが彼女に伝わっていないのだろう。

「んー…」

言葉が薄い、というよりも強い言葉で感情を無理やり上書きしていくような、
まるで自分自身に自分自身で暗示をかけるかのような物言い。
何故だかはわからないが彼女が“国家隊”という言葉を使うときに限って言葉と感情のズレを感じるのだ。
思考の迷宮に迷い込みそうになりかけた頭を振る。
そうして、セキアはようやく普段の自分に戻れた気がした。
レイにああは言ったものの、セキアも今朝見たあの夢に引きずられていたのかもしれない。
この件に関しては後で話すと声を潜めるレイに
幾分か落ち着いた口調へ戻ったセキアは、なおも言葉を投げかけた。

「夜眠れないときはさ、散歩でもして気分をリフレッシュさせたほうが良いんだって。
無理に寝ようとすると逆に良くないって」

いきなりなんの話か。唐突に始まった雑学披露に恐らく彼女は首を傾げることだろう。
セキアは続ける。

「つまりそれと同じだよ。つらいときはつらいって打ち明けてくれたほうが嬉しいかな。
そのほうがほら、なんていうか……うん、仲間だーってかんじするでしょ?」

つまりは無理に平静を装わなくても良いと言いたいらしく、
そう一息に言い切ったセキアは、白い歯をにっと見せるあまり上品ではない笑顔を向ける。
長年一人旅を続けてきたおかげか、照れなく仲間という言葉は案外すんなりと口を出てくれた。

「つらいときはあたしが――って言っても普段レイに助けてもらってばかりの
あたしが言うのもあれなんだけど……一度乗りかかった船だし、二人で乗り越えていこう」

「最近レイとの連携もどんどん上手くなっていってる感じがするし!」と
最近、第七候補隊に脳みそ糖蜜漬けな候補官がいるらしいと揶揄され始めてきたセキアらしい
能天気さに溢れたセリフを恥ずかしげもなく言い切った彼女は、
肩を付き合わせるようにレイに身を寄せると、にひにひと微笑んだ。
実は連携が上がったわけの一つとして、最近隠れて軽く素振りを始めた
という話しがあるのだが、それはまた別のお話。
ふと、話題を切り上げようとアシュレイに話を振ったレイにセキアも追従する形で話しに加わる。

「あ、そういえば、自己紹介がまだだったよね。
あたしはセキア。セキア・ルーブ! ふむふむ…あたしの観察眼によると…
おにーさんって騎士っぽいよね。ひょっとしてどこか騎士団に所属してる人!?
なんかマントとかすごい似合いそう!」

自己紹介の波に乗り遅れたセキアはまるで
自分の存在をアピールするかのようにアッシュに向かってハイハイと大きく挙手する。
そして、唐突に始まるセキア劇場。
ファンタジーな書物に毒された勇者脳からいつもの常套句が垂れ流される。
謀らずもどこか柔らかな物腰。そして、気品ある容姿を持つアッシュは、すかさずセキアにロックオンされた。

>レイ、アシュレイ、ALL

2ヶ月前 No.476

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

セキアさんはなお私に言葉を投げかけ、辛い時は打ち明けたほうがいいよ、と言ってくれた。私は、チラリとレイニアさんの方を見た。
レイニアさんはエフィニアさんと話している。『誰かに作られた人が第七候補隊の中にいる』それはおそらくイワモトさんのことだと思うが、今の私にもその言葉が胸に刺さる。

「私は、私たち魔武器は、どうやらこの国にとって…あまり良くないもののようで
私はここにいるのが間違いなのではないかって思ってしまって……」

誰にも聞こえないように、セキアさんの前でこっそりと話す。こんなこと今言うべきではないのに、でもセキアさんにはなんだか何でも話せそうな、そんな気がしたのは不思議だった。

「セキアさん、お願いがあります。
いろんな武器に姿を変えられる私が、レダールの影響で理性を失った時は、迷わず、私を殺してください。」

真剣な目で静かにセキアさんへ訴える。
そのことも考えていた。魔武器とてレダールの影響を受けないとは言い切れない。
そしてもし、爆発物にでもなったりすれば、街一つを吹き飛ばしかねない。

あの殲滅の夜も、村を守ろうと爆弾になり自爆した者もいた。その時はパートナーもいなかったのに凄まじい破壊力を見せた。
もしレダールの影響を受け理性を失ったりしたら

>セキア 食堂オール

2ヶ月前 No.477

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_Vzx

【ルナ区画 / 第七候補隊用寮アレスタ / 食堂 / アシュレイ・ツィー】


 のべつ幕無しに繰り出されるレイニーの弁舌に苦笑いを呈しつつも拝聴していると、先刻から後方でこちらの様子を伺っていた少女が立ち上がり、やおらアシュレイの防弾チョッキとして機能する。
 年の頃は僕より一、二歳ほど下だろうか? それにしては、随分としっかりした性根を持ち合わせているようにも見える。それこそ彼女の一挙一動、物事への隙のない対応力は、その道を征く練達の士であるアシュレイの目から見ても舌を巻くほどだ。
 ともすれば、戦士としての資質もあるのだろうが……後に残る問題はやはり、気が狂いそうなほどの殺意の乱気流に晒された瞬間の精神性の有無だろう。これに関してはもちろん慣れや経験もあるが、戦場とは得てして生と死の境界が曖昧になる場所である。
 それゆえ向かってくる敵手に対し、臆するところなく常に最善手を打ち続けなければ、余程の強運に恵まれていない限り生き残ることは絶対に不可能と言えるわけだが――――まあ、何にせよレイニーのマシンガントークを適切なタイミングで止めてみせた手腕は見事なものだった。

 然しそれでもなお、マイペースな調子を崩さないレイニーの言動に足元を取られてか。しどろもどろになりながらも自己紹介を終了したその女性の名は、シスメ・テムセージという。
 レイニーがアスール国家を「サラダボール」と比喩したように、十人十色と様々な髪色があるこの国では逆に珍しいものとなった黒髪を有する少女の言葉を受けて、眉目秀麗な自由騎士はこう答えた。

「ええ、こちらこそ―――誠心誠意尽くさせて頂きます、レディー」

 颯爽とチェスターコートの裾を翻し、まるで漫画か紙芝居のワンシーンを切り取りでもしたかのようなソフィスティケーションで跪く動作を完了するや否や、ノイにしたのと同じく今度はシスメの御手を拝借する。
 今は爵位を捨てた身の上。レディーの手の甲にキスを……などと出過ぎた真似はしないが、これに代わり暖かな微笑みを手向ける。
 成る程、確かに。超絶温和そう、というレイニアの評価は強ち間違えてはいない。さながら日溜まりの庭園に飾られた純白のアスチルベの如く、彼のたおやかな在り方は本来、そう見えて然るべきなのだろう。

 素性はともかく、一目で身分を看破され兼ねないであろうこれら洗練された所作の数々。満ち溢れる気品の多寡。
 特別な見識を持ち合わせていなくとも、年頃の少女ならば“白馬の王子様”を夢に見た事くらいはあるはずだ。
 よって、当てずっぽう。或は「そのように見えた」と論ずるだけで、必然、彼の本来の地位を見抜いてしまう事になる訳だが……果たして。

 ――――と、ここでどこか甘い香りを漂わせる青年が声をかけてきた。
 妙な気配を放つ。エルトライゼと名乗りを上げたこの男は、如何にも、といった出で立ちだった。
 白髪に、パライバトルマリンの緑を彷彿とさせる透明感のある瞳。彼も自身と似た境遇なのか、肌で感じられるほどの膨大な魔力量。
 これだけでも人間ではないのだと判断できる。しかしだからといってエルトの友好を拒む理由も、この旭日の騎士には無かった。

「ああ、よろしく頼みます。エルトライゼさん。――――貴方とは、色々と馬が合いそうだ」

 礼には礼で応えるべく立ち上がり、差し伸べられた手を優しく握り返したアッシュは、何やら含みのある言い方で語末を付け加える。
 というのも文字通りに色々、諸々と相性が良さそうだというだけの話で、そこに他意などは介在しない。
 無論、「合体だァッ!」などとのたまうことも理性的に考えた上でない。――――そう、甘党に悪い人はいないのだ。

 そして今ひとつ、彼への問答が寄せられる。
 控えめに発せられた柔らかい声音は、先程身を引っ込めた白百合の少女、レイのものだった。

「うーん、どうなんだろう……」

 彼女の「次の任務に貴方も同行するのか」という質疑に唸るのも束の間。
 転じて矢継ぎ早に向けられるアシュレイへの興味は未だ衰えるところを知らずに、
 案の定、懸念していた事態が次の瞬間には起こってしまった。
 それも前言、目安に付けたような“年頃の少女”の手によって。

「え? あ、ああ……まあ―――大体そんな感じ、かな」

 ひょっとしてどこかの騎士なのか、と問う件の少女―――セキア・ルーブの鋭い発言に、少々虚をつかれたといった調子で返答する。
 むしろなぜ、あそこまでして「バレない」と思っていたのか甚だ疑問ではあるのだが……しかしそれがアシュレイという男の性なのだろう。
 そして尚も始末に負えないのが、彼は何か隠し事をする時、決まって顎を触ってしまうという昔からの悪癖がある点。
 大局の趨勢に影響を与える事はまずないが、実際、小規模なものでも度重なる失態の結果を二十年もの間目の当たりにして来ると、我が事ながら同僚に「アッシュは嘘をつくのが壊滅的に下手なんだから」と言われるのも、流石に理解できる……気がする。

 さて、いつまで誤魔化しが利くのだろうか。早くも任務失敗の予感がしてならない。
 このままでは長く保たないと直感した彼は、先程のレイの質問を反芻して、レイニアへ手頃な話題を振りかける事にする。

「――――あ、教官。
 そういえば僕はまだ、正規の入隊試験を受けていませんよね? 書面上の手続きを終わらせただけで。
 もしかして彼女の言う“次の任務”というのが、僕の実技試験を兼ねているとか……?」


>シスメ、レイニア、エルト、レイ、セキア

【大変長らくお待たせして申し訳ない……。
 リアルの時間の間隙を縫い、やっとこさ書き上げたので投下します……!!
 アッシュくんへのレスは全部拾ったつもりですが、もし拾えていない箇所がございましたらモウシワケナイ……。

 ……その出自から鉱石の類を媒体に特殊な自然魔力を生成できるアッシュと、万象の魔力を吸収できるエルトくんのコンビって実は最強なのでは。
 隠れ甘党とオープン甘党の絡み。戦闘非戦闘時限らず、これからが非常に楽しみです……!!】

1ヶ月前 No.478

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_sxd

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「そ…そうだな、たまには…な」
エフィニアの『分かっていますよ』と、いう態度に何処か後ろめたい物を感じ、ついつい視線が明後日の方へと逸れる。
こんなあからさまな対応をされているのだから全てお見通しになっているのだというのに気が付いてもいいのだろうが…本人はどうにか誤魔化せたと思っているようで…
(…これから世話になるわけだしな…恩返しもかねて味見に協力するのは極めて真っ当な理由だな…うむ)
挙句、今後に備えた言い訳じみた事を考え、密かに自信を納得させているのであった…もし、この一部始終を正確に把握するものが居たならば『実に残念な人物』と、評したことだろう。

一連の流れの中、ホットケーキを『夜宵』を介して亜空間へと収納していた所で、ふとエフィニアの様子が変わったことに気が付きふと動きが止まる。
(…これは…まさかやってしまったか!?)
何やら少し驚いた様子のエフィニアに、何か悟られたのかと一瞬警戒するもすぐに復帰したエフィニアから何気なく発せられた言葉は不意打ちと言うにはあまりにも衝撃的な単語が含まれており。
(つく…られた…!?)
エフィニアから自身と同じく『誰かに作られた者』と言う発言を聞き、辛うじて内心で驚愕する。
(一体どこでバレ…いや…落ち着け…そうだと決めつけるのはまだ早い…)
『辛うじて内心で』という状態で済んだのは窮地に対する咄嗟の本能が働いてくれたからなのではあるが…それがエフィニアに通用したかどうかは当人のみぞ知ると言ったところだ。
(…ほかのメンバーにもそういった人材はいたからな…ボロを出すわけにはいかない)
そうして理性を総動員し、もっとも妥当であろう結論を出して思考を落ち着けていた所で、申し訳なさげに微笑んで自己紹介をしていたエフィニアもひと段落がついたようだ。

「ああ、改めてよろしく頼む」
(管理を任されるだけ有ってそちらの技能には自信があるみたいだな…ん?)
一通りの家事などはお任せ…と言ったエフィニアであったが…最後の単語に何か違和感を感じたようで、内心で首をかしげる。
(…チャカっていうと…拳銃の一種だったか?…聞き違い…だよな?)
まさか自己紹介でそんな事を言われるとは思っておらず…若干何を聞き違えたのかと頭の片隅で考え込むのであった。

>エフィニア ALL

【スレ主殿、1つだけ相談と言うか割とどうでもいい細かい事が…キャラ的にはうちの子馬鹿正直に種族欄とか特殊に書かない気がするので志願書(プロフ)の方には普通に『人間』と、書いた体でお願いしたく…ただ受理直後にアスール脅威の調査力やらこちら側のとあるおせっかいがリークした情報により国家隊の資料としては今まで通りと言う感じで特に影響はない感じで何卒…】

「エルトと、呼び捨てでかまわないさ…少々呼びにくいだろう?」
丁寧にさん付けで返してきたアッシュに苦笑交じりにそう返す。
(…ふむ…振る舞いから見てそれなりの教育…ではないな…訓練を受けた人物なのは間違いなさそうだな…恐らくはそれなりの騎士団所属か)
長いとは言えない時間の中で言葉を交わしながらもアッシュを注意深く見ているとその挙動の一つ一つにそれらしき精錬されたものが見え隠れし、そう当たりをつける。
(ならばこそ、連携と言ったものに対する理解はあるだろうし…いざというときには大いに頼れそうだ)
「そうだな…これからいわばチームを組むことになるんだ…長い付き合いであってほしい所だな、アシュレイ」
そうして思考を纏めていた所で、馬が合いそうだと言うセリフにも同意しそう返答するのであった。

>アシュレイ ALL

【そこに気づくとは…やはり天才…と、冗談は置いておときまして…アッシュ君から魔力を受け取って色々やったりできるのは間違いなく相性はいいはず!!…でも外部の魔力に頼りすぎるとやっぱり副作用は出るのでご利用は計画的にする予定です。ナニハトモアレコンゴトモヨロシク】

1ヶ月前 No.479

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★jlCwjdMlDL_aLu

【エフィニア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

エルトの視線が明後日の方向へそれる。
昨今ではパフェのような甘味を好む男性も多いと聞く、というか
そういった注文飛び交う戦場もとい厨房にいた当事者である自分にとってはよく体験したことだった。
実際に男性隊員に何度かパフェをつくってくれないかと注文を持ちかけられたこともある。
何もそんなに隠し立てすることでもないでしょうにとも思ったが、
自分が甘党とであるという事実は彼にとって
トップシークレットかつ、あまり触れてほしくない話題のようだ。
相手が伏したままでいたいことをことさらに吹聴する
趣味はエフィニアにはなかったため人差し指を口に当てた彼女は大丈夫だといわんばかりに微笑んだ。

「次に渡すときハ、もう少し配慮させていただきますネ」

慌ててホットケーキをしまい隠したエルトを見て、申し訳なさそうにそう言った。
最悪、甘味好きであることを見抜いたエフィニアにそれが勘違いであることを伝え、
ホットケーキを受けとらないという選択肢もあったはずだ。
しかし、それをせず受け取ってくれたことに彼の性格というか人となりが感じられた。

(秘密がばれてしまうリスクがあったのニ、
食べ物を粗末しないよう受け取ってくださるとハ…やはり甘味好きの人に悪い人はいませんネ)

だが、彼女が考えている内容をみるに、やはりまだ感情データの収集が不十分なようだった。
しばらく話し込んでいると、いつの間にかアッシュが今回の任務についてレイニアに切り出し、
いつの間にか任務の話になったため、エフィニアはエルトに小さく一礼するとそっと壁際へと下がっていった。

【おおおお; 配慮が足りず申し訳ありませんでした;
今後種族に関連する描写をする際にはその体で描写いたしますので何卒…!】>エルト



【セキア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

追いすがるように言葉をかけていると、
レイは少しずつだが、その胸のうちにある感情を明かしてくれた。
だが、口を挟まず静かに耳を傾けていると、信じられない言葉がレイの口から飛び出した。

『レダールの影響で理性を失った時は、迷わず、私を殺してください』

セキアが言葉を失ったのは、言うまでもない。
レイを、殺す。
その可能性を考えたことがない、といえば嘘になる。
この第七候補隊の誰かが、レダールの凶弾の前に倒れ、
意識を引き戻せる段階を超えて理性を失い暴走したとして
そのとき自分はどうすべきなのだろうか、と。
結論を先延ばしにしすぎた結果、結局頭の隅に追いやったそれを再び目の前に突きつけられたような気がした。
気付けば、考えるよりも先に言葉が口をついて出ていた。

「やだ」

こんなことを言われて安請け合いなど出来るはずもなかった。
いっそ清々しいと言えるほどきっぱりとレイの頼みを断ったセキアはそのまま続ける。

「なんかやだ、そういうの。絶対やだ。
あたし以外の全員がもうレイのこと助けられないってなっても、あたしは絶対にレイのこと諦めたりしないから」

セキアが年甲斐もなく英雄譚にうつつを抜かし、憧れるのは、
ひとえにこの世に蔓延る理不尽に対する反抗心のようなものだった。
短い人生ながらも見てきたのだ、そういう場面を何度も、そもそもが日常風景の一部として。
得がたい教訓を得たこともあった、多少なりとも人生観が変わる出来事もあった、
だがしかし旅はいいことばかりを教えてくれるわけではない。
アスール国家隊に入隊を希望したのはなにも人探しのためだけではなく、力のない自分を鍛えるためでもあった。
理不尽に立ち向かおうとしたとき、いつも自分には力がないことに気付く。
ないものねだりをしても仕方ない。だから今ないものは仕方ないとして、
気持ちでは屈しないと今日まで自分を振るい立たせてきたのだ。
レイの頼みを受けいれれば、それは理不尽に屈したことになる。いわばセキアのアイデンティティの崩壊だ。
だから、セキアは決して首を縦には振らなかった。

>レイ


【レイニア&ノイ&シスメ&セキア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

セキアとレイの間に微妙な沈黙が流れる中、各々がアッシュへの自己紹介を終え、
和やかな雰囲気に包まれる中、ふとアッシュが今回の任務について切り出す。
興味を引くだけ引いておいて、一連のやり取りが終わるまで任務のことには一切触れなかったレイニア。
むしろアッシュから切り出してくれたのは僥倖であったという他ない。
廊下のほうにいるノイに意識を向けながらも、そろそろいい頃合かと口を開く。

「おや、察しが良いですねアッシュさん。
入隊してすぐ任務というプレッシャー、まだ完全には各隊員の実力を把握しきれていない中、
その力量を見極めながら一緒に事を進めなければならないというハンデ。
自身の些細なミスが、あるいは意図せず誘発させてしまった仲間のミスが、任務の失敗に直結する…
その中でアッシュさんがどれほどの連携力を発揮できるか…そこを見させてもらう予定です。
今回の任務は私が試験監督官も兼任していますので、皆さんと一緒に頑張ってくださいねぇ」

エールを送ってはいるものの、手心を加えるつもりはないとその表情が語っていた。
わざと不安を煽るような口ぶりだが、他意はない。
いや、他意はあるのだろうが、いたずらにアッシュの不安を掻きたて
増長させようとする悪意からではないのだろう。
その証拠にそう語ったレイニアの口ぶりには彼を試すような響きがあった。

「え? じゃあ、レイニー教官は……」

先ほどのレイニアとアッシュのやりとりを聞いて
何かに気付いたセキアの言葉に対し、レイニアは小さく頷きを返す。

「はい。今回は私は皆さんにただついていくだけです、
この任務中、私のことは生きたナビ機能付きの監視カメラとでも思って下さい。
今回はアッシュさんの試験も兼ねてますので、
私が手を貸せば不正とみなされ、その時点でアッシュさんは不合格となります」

何かを言おうと口を開きかけたシスメの言葉の先を封じるように
「無論、記録係である書記官のシスメちゃんもですからね」とにっこり微笑んで釘を刺すレイニア。
要するに今回は純粋に第七候補隊の候補官の力のみでこの任務をクリアしなければならないということらしい。
まだ任務の内容を聞かされていないため、その任務の難易度を推し量ることはできないのだが、
なんだろうか、現役の国家隊員の助力を期待できない、それだけでじっとりとした緊張感が漂う。
自己紹介もひととおり終わり、各々が自分の朝食に手をつけ始めた頃、
ひょこっと見覚えのある灰色のキャスケット帽が食堂の入り口に現れた。
その主であるノイはキィ…と控えな音をさせてゆっくりと食堂の扉を開けるとレイニアの元へ足早に近づく。
ノイの足音に気付いたレイニアが振り返るも、なにやら訝しげな表情で彼女を出迎えた。

「おや、ノイちゃん一人だけですか?」

「肯定。さっき、通達、入った」

ペラ…とノイの手から渡された報告書らしき紙に指を滑らせるレイニア。
その表面には文字が一切書かれておらず、針先で突いたような小さな凹凸が無数に羅列されている。
なにかの暗号文だろうかとセキアが考えを巡らせていると、
やがてレイニアは何か納得したかのように小さく息を吐いた。
すでに卓につき無限食パンイーターと化したノイを尻目に書類をしまうとこちらに向き直る。

「まーいいでしょう。それじゃ全員揃ったということで
今回の任務について軽く説明しましょうか」

気を取り直して、とばかりにレイニアが笑顔を取り戻したのを見て、
セキアはいましがたベーコンエッグに突き刺したばかりのフォークを静かに置いた。
いかに能天気がデフォルトなセキアとて学習能力はあるのだ。
思い込みと忠告を聞かずに軽率な行動をした結果、窮地に陥ることはあの遺跡での調査任務で身にしみていた。
だからこそ人の話はきちんと最後まで聞こう、とそんな結論に至ったらしい。
両手を膝の上に置くという徹底振りで普段の騒がしさが嘘のように畏まってレイニアの言葉を待った。

「今回はエイルス区画ですごーく大事な証拠物品の移送をしてもらいます。
早い話が“運び屋の一組として”皆さんには活躍してもらおうというわけですね」

人差し指を立てたレイニアは落ち着いた口調で語りだす。
どうやら、抽象的な話から入るのが彼女の定石らしい。
軽く、と前置きをしたとおり、なんともざっくばらんとした説明だった。
想像力を働かせる余地を残しているのは無論意図あってのことなのだが、
その真意は貼り付けた笑みの中に沈み込んでいる。最初に疑問を口にしたのはセキアだった。

「はいはーい、任務の内容は分かったけどその運ぶものって?」

もっともな疑問である。証拠物品、という言葉からなにやらものものしい雰囲気を感じる、
この前の遺跡調査もとい幽霊騒動しかり、得体の知れないものというのはそれだけで
必要以上に想像力と不安を掻き立てる。今回の任務を進める上で、是非とも共有しておきたい情報だった。

「あはは、そこで最初の話に繋がるわけです。さて、なんだと思います?」

しかし、レイニアはとぼけるように両手を広げた。
正式な国家隊員になるには、推理と洞察力、
それ以前に記憶力は優れたものを持ち合わせていただかなくてはならない。
皆の成長を確かめる意味合いも込めてあえて質問に質問で返したらしい。
一転して静まり返った食堂内に、うんうんと記憶を遡り始めたセキアの唸り声だけが響いた。

>アシュレイ、ALL

1ヶ月前 No.480

ますたぁ(参加者) @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:第七候補隊用寮アレスタ:食堂】

自分の願いはあっさり断られた。なぜ、なぜこの人は、レイはなんとも言えない怒りのようなものを覚えた。

「何故です、私は魔武器なんですよ、理性を失えば無差別に人を殺す、兵器になってしまう!私はそれが嫌なんです。理性なく誰かを殺すなんて、そんなことをするくらいなら……いっそのこと……!」

その先を言おうとしたが、口からその言葉が出てこない。喉が震え呼吸が乱れうまく喋れない。このもどかしさに涙が出そうになる。

そして少し心を落ち着かせ、レイニアさんの元へと歩いて行く。

「申しわけございません。今回の任務……私は辞退させてください。」

この任務に私は参加するべきではないと、こんな安定しない精神状態で、今回の任務に出ればきっと足を引っ張ってしまうと、意を決して辞退を志願する。

≫セキアさん レイニアさん エルト アッシュさん

1ヶ月前 No.481

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★8gybAtx6Qr_aLu

【レイニア&ノイ&セキア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

レイの声からうっすらと怒りを感じた。
なんの感情の摩擦もなしに人と付き合っていけるとはセキアも思ってはいない。
だが、ショックが大きかったのは言うまでもない。すぐに言葉を返すことができなかった。
セキアが言いあぐねている間にも時間だけが過ぎていく。
そうこうしているうちにレイはレイニアに任務の辞退を告げてしまっていた。

「何故って、それは……あたしがレイに―――!」

感情のままに口にしようとしたセキアの言葉はしかし

「はーい、そこけんかしなーい」

突然割って入ったレイニアによって止められた。
第三者の介入によって頭の中にくすぶっていた熱と焦りがすっと引いていく。

「レイニー教官……」

そのくすんだ海色の瞳からは依然として何も読み取ることができない。
思えば、レイニアはまだ何もレイに言葉を返していない。
セキアは縋るような気持ちで彼女を見た。

「そーですねぇ、それでは……」

二人の間に漂う微妙な空気を意に介さず、マイペースにレイニアは首を捻る。
やがて小さく頷いた彼女はレイへ向き直ると、ある提案を彼女に出した。

「レイさんは今回、見学という形で任務に同行するということでどうですか?
今回の任務に関わらない見学者ということなら私も手出しはできます。
いざというときレイさんの身の安全を保証できますし…どうです?」

折衷案、というよりも隊への同行が最低の許容ラインらしい。
ノイの耳うち報告によれば、彼女は体調が悪いわけでもなく、顔色も良好とのことだ。
元気なものを医務室へ向かわせるわけにもいかない。だから、こうして隊への同行を願い出たわけだ。
逆に見学者であるほうがレイが懸念する不慮の事態にも対応しやすいとのことだろう。
何か言いたげにセキアが視線を彷徨わせていたが、
レイニアは我関せずといった様子でレイへと片目を伏せてみせる。

「レイニー、策謀、悪趣味」

「あはは。人聞きが悪いですねぇ、そんなことないですよ〜」

レイニアの口元に浮かぶ笑みから何かを悟ったのか、
それを隣で見守っていたノイから 何故かじっとりと湿りのある視線を向けられる。
レイニアは非難するようなノイの声に妙に空とぼけた態度をとった。

>レイ、ALL

1ヶ月前 No.482

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_sxd

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「…その…なんだ…よろしく頼む」
『次はもう少し配慮する』と、少し申し訳なさそうにいうエフィニアに、ささやくような声量でそう言う。
(あ…待てよ?これだと催促してるように取られかねないんじゃないか…?)
冷静であれば先と同じく誤魔化し…と言うよりも言い訳気味な肯定をしていたのだろうが…やり取りの間に気が緩んだのか、ストレートにそう返してしまったようで…
考え直せども既に出てしまった言葉は撤回などできるはずもなく…急いで言い訳…もとい、訂正の言葉を考えていた所で、レイたちの方から聞き捨てならぬ言葉が聞こえ、そちらに意識を取られる事になる。

>エフィニア ALL

【いえいえ…そもそも自分が分かるようにプロフ書けって話ですし些細なこだわりと言うか大筋には関係ない事なので…一応ストーリー上でもそれっぽい祖語は出てないですし次回プロフの改定した時ににでも便乗して修正させてもらいますよー】

「…理由を聞かせてもらってもいいか?」
突如任務への参加を辞退したいと言うレイに対しそう質問を投げかける。
(ただの気まぐれ…なんて事はないだろうし…何かしらの事情があるんだろうが…)
それでも、突如として身勝手と思われるようなその意見を無条件で認めてしまうのは、部隊として…ましてや国家に所属するものとしては到底看過できない事だろう。
直前まで話していたセキアの方も少々熱くなってしまいかけているようで、感情のままにレイに何かしらの反論をしようとしたところで…絶妙なタイミングでそれらを制したレイニアがレイに提案をする。

…その提案は見学者として同行させるという物であったが…果たしてどのような反応を見せるのだろうか?

>レイ セキア レイニア ALL

1ヶ月前 No.483

ますたぁ(参加者) @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:第七候補隊寮アレスタ】

自分の申し出にレイニアさんは、見学者という形でどうこうするのはどうだろうかと提案して来た。その言葉にレイは顔を伏せ頭を悩ませる。
どのみち同行しなくてはいけない現状は変わらないらしい。ならば普通に任務に出た方が、みんなの足を引っ張らないかも、でも

「……わかりました。私は今回見学者として皆さんに同行します。」

正直、今回の任務が怖い。でも怖いなんて口が裂けても言えず、戦うのも迷うレイ。結局見学者という立場に乗っかってしまった。


「今回任務の辞退をお願いしたのは、レダールに関わることは魔武器の里では良しとされていなかった……ような気がしたので……
ごめんなさい、幼い頃の記憶で確かではないのですが、父に聞かされた話にレダールに関する文献があったような気がするのですが、ハッキリ思い出せなくて。……ただ、関わるなと言われていた記憶があって……」

この前の遺跡は、あの遺跡がレダールに関わる遺跡だとは知らなかったがために巻き込まれてしまった、という形だが
今回は違う。レダールに関わることが目に見えているせいか気がひけたのだ。

「ですが、それは避けられないようなので今回は諦めます。」

≫レイニア セキア エルト

1ヶ月前 No.484

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★NvdGUbJVOm_aLu

【レイニア&セキア&シスメ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「では〜、話も纏まったということで、今回の任務に話を戻しましょうか。
どうやら誰も答えを出せなかったようなので、
ここは解説キャラのシスメちゃんに答えを発表してもらいましょう」

答えを出せなかった、とは先ほどレイニアがした質問
「今回の任務で移送してもらう証拠物品の正体とはなんぞや?」を指しているのだろう。
淀んだ空気を吹き飛ばすかのごとく、見計らったかのようにレイニアが切り出す。
シスメもその意図に気付いたのだろう。憎まれ口を叩きながらもそれに乗る。

「人に変なキャラクター性を押し付けないで下さい。不快です。
コホン…今回の任務で第七候補隊の皆さんに移送してもらうものは“フェリクス”です」

仕事スイッチでも入ったのだろうか、
先ほどまでのアッシュに対する萎縮ぶりが嘘のように、
きびきびと事務的な口調でシスメが今回の任務について説明を開始する。
しかし、セキアがその言葉の中に聞き捨てならない
単語を見つけたのか、すぐさまシスメの説明に割って入った。

「それって……レダール反応が検知された獣化作用のある…」

「今朝新聞でも取り上げられていた香水もどきですねぇ」

あまりの驚愕に尻すぼみになるセキアの言葉をレイニアが引き継ぐ。
体内に取り込んだものの理性を奪い獣へと堕とす
レダール鉱石の反応が大量に検知された劇薬フェリクス。
実際にまだ被害者は出ていないものの、
ひとたび服用すれば摂取した本人だけでなく、周囲への被害も計り知れないものとなるだろう。
事の重大性と緊張で自分でも気付かないうちにセキアは机の下で拳を強く握り締めていた。

「今回の任務は皆さんにそのフェリクスをエイルスから
国家隊本部であるここルナ区画まで移送…いいえ、護送していただきます」

移送ではなく護送。
言葉一つ変えるだけでものものしさに拍車がかかった気がした。
疑問はつきないが、とりあえず順番にいこうとセキアは意を決して
先ほどとは打って変わって控えめに挙手すると話し出す。

「んー…そんなに危険なものならシスメおねーさんの
転移魔術とかでぱぱっと転送できないの? そのほうが安全だと思うし」

「エイルスは流通区画です。そう安々と転移魔術が行使できたら不正し放題ですから
エイルスの要所には転移魔術専用の強力なアンチマジックフィールドが張られているんです。
今回私が任務に参加できないのは純粋に皆さんの力を見るというのも目的ですが、単純に戦力外なんです」

あらかじめセキアの言葉を予想していたかのようにシスメは淀みなくそう答えた。
エイルスは巨大な塔といくつもの浮遊大陸からなる区画だ。
その浮遊大陸に上るための巨大な地天間転移装置アマノハシを除いて、
区画全体に転移魔術専用のアンチマジックフィールドが展開されている。
単にこれは転移魔術による積荷の盗難を防止するためでもあるのだが、
外部から不正な積荷がアスールに運び込まれるのを阻止するためでもあった。
シスメは否定したが、レイニアが口にした解説キャラという彼女の評価は案外言いえて妙かもしれない。
しかし、それでも不安を払拭し切れなかったのか、さらに彼女は言葉を続ける。

「でも……この任務、一歩間違えたら大惨事だよね。
移送途中で誰かにフェリクスを奪われたりしたら……なんで候補官のあたしたちに話が回ってきたんだろ?」

最悪の結末を想定しておくのは悪いことではない。
いつぞやかレイニアが言った言葉だ。
セキアの視線を感じたのか、シスメにとって変わる様にレイニアが柔らかく微笑む。

「あはは、予防策はもちろんとってあります。
私達の他に3組の候補隊がダミーの移送役として証拠物品受け渡し場所から出発予定です。
それに、まさか候補官がそんな重要な証拠物品の護送に携わっているなんて誰も思わないでしょう?」

完全には納得した様子ではなかったが、それ以上セキアの口から新たな疑問が出ることはなかった。
やはりこれまでと違い、レイニアやシスメの協力がないというところが
大きな不安材料となっているのだろうか。もちろんイレギュラーな事態があった場合は
入隊試験の頃に戻ったと思えばそう思えなくないが、
今回は失敗の許されない本番だ。プレッシャーが段違いなのだろう。
候補官のみの実力での任務と聞いて最初にうっすらと感じた高揚感はどこへやら。
セキアはいつもの元気が嘘のように閉口してしまう。無論、今回は単にそれだけが原因ではないのだろうが。
セキアから返答がないことから彼女の疑問は出尽くしたと判断したのか、
レイニアは残る三人にそのくすんだ色の双眸を向けた。

「他に何か質問は?」

>アシュレイ、レイ、エルト、ALL

1ヶ月前 No.485

ますたぁ(参加者) @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月 レイ:ルナ区画第七候補隊寮アレスタ】

フィニクスの護送それが今回の任務。フェニクスはレダールの成分が検出された香水のようなもの、それを浴びた人が獣化し、凶暴化する。

毒を運べと言われているようなものじゃないか。と内心思いつつ、顔には出さずただ話を聞いていた。

「あの、フェニクスがどれだけ危険な代物なのかはいま熟知しました。そしてそのダミーを三つも作ってまでの今回の任務、護送ということですが……そのフェニクスを奪いにくる可能性がある人たちについて検討などはついているのでしょうか。」

大方、あの遺跡であったスターチさんやあの青い目の女の人たちも可能性もあるわけだけど、それでもここまでの厳重にする必要があるのだろうかと、疑問を浮かべる。

「それと万が一ですが、候補隊の中の誰かがフェニクスの影響を受け獣化した時の対処法などは例が出ているのですか?」

そこが一番重要だとレイの中ではそう思っている。

1ヶ月前 No.486

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_6UX

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「…そういう訳か」
…家訓…と言う訳ではないが…幼少からそう聞かせられてきたと言う事ならばそこには余人には分らぬ理由もあるのだろう。
深くはわからないが…そういう物だと納得できる程度には分らない話でもない。
…だがそれでも彼女は見学と言う形の妥協案を受け入れた…そこにどれほどの葛藤があったのかは知る由も無いが…その覚悟は褒められるべきものと言えよう。
「なら余計な世話なんだろうけど…何があっても前に出ないように…な」
だからこそこんな愚にもつかないちょっとした忠告を告げてしまう事となった。

>レイ ALL

そうしてちょっとした騒動に区切りがついたところで、再びレイニアが音頭取りとなって任務の説明を再開する…もっとも説明するのはシスメにぶん投げたようだが…
(答え…あー…そういえば…そんな話だった…ような…)
エフィニアと重大なやり取り…他者から見れば他愛無い雑談だったのだが…をしていた時に確かにそんな質問をしていた。
「それはさっきの…」
提示された単語にそう呟きかけた所で、先んじてセキアが今朝のやり取りから得られた情報を口にし…それを引き継いだレイニアからは、思っていた通りの言葉が発せられた。

そこからはシスメが『フェリクス』を護送する事が任務と言う旨を告げれば、セキアは2、3質問をし…レイニアやシスメがそれらに答えを返した所でセキアからの疑問は出尽くしたようで…
「ちなみにフェリクスの量はどれぐらい有るので?…少数で済むのなら考えがあるんだが…」
こちらからも質問を投げかける。
考えと言うのは自身が持っている魔術…亜空間収納…通称『ストレージ』で仕舞い込んでしまえば道中の憂いをほぼ無くして輸送できそうな物だが…
(…出来て片手で抱えられる程度か?…まぁ干渉して収納自体が出来ない可能性もあるが)
…先程使ったように料理の一皿ぐらいは苦も無く…それこそ数十枚は余裕でできるのだが…魔術的な加工がされているものだと、入口を通す事すらできないと言うケースが稀にあると聞いたことがある。
(実際目にしたことは無いが…おそらくいわくつきだろうしな…出来れば儲けものではあるが)
…質問しておきながら悪い推測しかできてないのは残念な事だが…試すだけならタダなのだ…そう辛うじてポジティブな意見をひねり出しつつ、質問の答えを待つことにする。

>レイニア セキア シスメ ALL

30日前 No.487

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_Onj

【ルナ区画 / 第七候補隊用寮アレスタ / 食堂 / アシュレイ・ツィー】


「僕のこともアッシュで構わないよ。改めてよろしく、エルト」

 エルトの「疑う心ここに在らず」といった言葉を受け、隊への緊張も幾許か解けたのか穏やかな笑顔を以て相槌を打つ。出会ってまだ数十分にも満たない間柄で、“ただ仲間だから”と宥和的な態度を向けてくれる者が一人でもいる現状は、アッシュにとっても偽りなく好ましい事実だ。
 自治国家アスール。前言でも少し思弁を這わせたが、古今東西出自を問わず来訪するすべてを等しく扱う国風あってこそ、この粋な市民性を構築出来ているのだろう。

 ――――とはいえ、彼らもまた人間である。エスパーなどでは断じてない。
 だからこそ交流は大事だと思うし、無知から生じた齟齬に命綱を掴み損ねれば本末転倒。道義は二の次、とは早々いかない。
 なのでそういった配慮を怠る輩は心底馬鹿だと思うし、目が曇っているという他ないと、思わざるを得ないのだ。
 一喜一憂もひとしお。食膳を前に座し、しばし談笑を続けていると、なにやら書面を見つめて小さく息をついていたレイニーが次なる段階へと駒を進めた。

 任務――ああ、そういえばそんな話だった。
 自ら切り出しておいて「いやそれはないだろ」と言いたいところだが、僕もあれは正直死に身に大炎上だったのだ。今の今まで頭からすっぽりと抜け落ちていたことは、我らが神に免じて目を瞑って頂きたい。
 さて、論点を戻すが……教官曰く、今回候補隊に舞い込んできた依頼は搬送任務。とどのつまりは運び屋の一員として働け、ということらしい。
 日時日程と照合し、重要な証拠と聞いて取り扱う物品におおよその当たりをつけるが……しかし僕はレイニーの言う「最初の話」の場に居合わせなかったので、軽率な回答は伏せることとする。みんな頑張れ。

 質問を質問で返すレイニアの悪戯に刹那の沈黙が訪れる。
 セキアの唸り声と時計の刻む針音に守られていた食堂の静寂はしかし、次の瞬間に引き裂かれる。

 はじめにその刃を振り下ろしたのは、怒りに震えるレイの嘆声。
 涙のうちに辞退を表明する彼女の決意は、不安、緊張、猜疑、憂愁――そういった負の感情を滲ませてのものだろう。
 宝石は見る者の心を映す。如何に僕が人情の機微に疎い非人間といえども、こうしたレイの哀訴を俯瞰し、理解することは出来るのだ。
 ゆえに彼女の言い分には一定の正当性があると思うし、否定出来ないが……それを判断するのはやはり、隊の指揮を預かるレイニー教官なわけで。

 そうして一連の顛末を見届ける中「魔武器」という一言を耳に挟み、ことここに来て漸く先ほどの黙考の答案に突き当たる。
 そうだとも、白月という名は“魔導具と生物の相関性”に関する古い研究資料で見聞したのだ。
 白月一門。なんの因果か、かの厄災の残滓たる彼らが干渉しているともなれば、この小隊の動向。ひいては彼らの行き着く先が、“聖王国(ぼくたち)”に不利益的に働かないなどとは確言出来ないし、警戒するのも殊更必定。もとより教国を牽制せよとのお達しではあったが、こちらも留意するべきだろう。

 かくして、思わぬ収穫があったところで話は纏まった。
 口火はレイニーからシスメへと引き継がれ、任務概要の説明は再開される。では、お待ちかねの答え合わせといこう。

 フェリクス。シスメの口から飛び出たこの単語の正体とは、今朝の朝刊にも載っていた例の劇薬の名だ。想定通りのその答案に、アッシュは小さく「やはり」と独白する。
 そしてそれは如何なる魔法か。芳香成分からは現状加工不可であるにも関わらず、吸引者に獣化作用を催促するレダールの反応が大量に検知されたという。有り体にいえば違法薬物である。
 にも関わらず、この「幸運」の名を冠した香水はその実態に反して“前向きな噂”がこれでもかと付き纏い、市井間に流布してしまっているのだ。
 わかりやすいところでは、嗅げば幸せになれる、夢が叶う、栄光到来に金運上昇、必勝祈願恋愛成就。過激なものでは不老不死、全能の獲得などなどと……。
 一体誰がこんなデマを吹聴し始めたのか。聞けばまだ被害者は出ていないというのに、適当に思いつく限りでこの有様。まったくわけがわからない。
 悪意か、あるいは逆に暴走した無辜の善意ゆえか。どちらにしても悪質で、結果恐ろしいことに変わりなく。
 まあ何はともあれ、こういった手合いに向けられる“あらぬ期待”や“理想像の一人歩き”は仕事柄よく目にする方だと自負しているが、そのどれもが百害あれど一利なしだった。

「――――僕からもひとつ。
 予防策とは各自三つのルートから護送を行うことを指すのでしょうか? であるなら、本命である我々候補隊が狙われるリスクは依然無くならないように思えますが……」

 まさか素人が重役を担うなどとは誰も考えつかない――成る程。それはもっともな策略だし、レイニアの勘考は確かに神算鬼謀のそれなのであろう。
 しかし一見定石を裏切るかのようにも思えるこの一手は、逆説的に語れば“その道を行く智恵者ならば誰しも簡単に考えつくこと”の証左に他ならない。
 名将は名将を知る。ゆえ己が良法を閃いたのならば、当然敵方も思いつく限りの好手を確実に打ってくる。要はあらかじめ、そういった不測の事態にも向き合えるように重ねて予防線を張っておくべきだと、アシュレイは具申したいわけだ。
 なにせ、こちらは新兵同然であり。加えて言うならアシュレイにとってもこれが候補隊としての初陣。ひとつ前にレイが問い出たように、敵の正体どころか影すらも判然としない闇雲の中、一本槍ではまず勝ち目がないと踏んだ上での懸念だが……。


>レイニー、セキア、シスメ、エルト、レイ、ALL

16日前 No.488

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★2anxDtqLIF_9Xi

【レイニア&ノイ&セキア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】】

セキアの質問に答えを返してすぐ、最初に疑問を呈したのはレイだった。

『フェリクスを奪いにくる可能性がある人たちについて検討などはついているのでしょうか』

「転移魔術無効化エリアであるエイルスで仕掛けてくるとは思えませんが〜、
もし、こちらを狙ってくるとしたら十中八九レヴァーンの異端審問官の人たちでしょうねぇ。
運び込んだならそれを中で売りさばくかバラまく、もしくは使用する人を潜伏させている可能性もありますし」

レイの問いにレイニアはやけに断定的な口調で襲撃者の名を語った。
遺跡調査任務で仮面の女が転移魔術らしきものを行使して消えたときのことを思い出す。
いくらアスールとレヴァーンの両国が地図上で近い位置にあるといえど、
レヴァーンへはアスールから馬を走らせても2週間ほどかかる。
そんな遠い距離をわざわざ何らかの移動手段を使って行き来しているとは考えにくいし、
この近くに潜伏場所を仮設しているとしても、転移魔術を使用してこのアスールへと侵入しているとみて恐らく間違いないだろう。
アスールの検問も無能ではない。その証拠に入国者のリストを洗ってみたのだが、その中にレヴァーンの関係者はいなかった。
つまり、エイルスへ踏み込むということは、彼らにとって退路を断たれるに等しいのだ。

『それと万が一ですが、候補隊の中の誰かがフェリクスの影響を受け獣化した時の対処法などは例が出ているのですか?』

「あはは。そうならないよう私がついているわけですが〜
万が一の可能性もありますからねぇ。もちろん用意しています。ノイちゃん、例のものを」

フェリクスの獣化作用の影響を受けた際の対処法はあるのかという
レイの疑問を受けたレイニアは横にいるノイに小さく目配せした。

「御意。エルト、レイ、アシュ、セキア、これ」

レイニアの声に頷いたノイは
魔導具の収納箱としていつも手にしているバイオリンケースの中から
筒状の何かを取り出すと、それを皆に配り始める。

「これは?」

試験菅ほどの大きさのあるプラスチック製の筒を
ノイから手渡されたセキアは説明を求めるようにレイニアの顔を見た。
筒の先端の片方だけが赤くなっており、中は透き通った青い液体で満たされている。
とてもこんな小さなものがレダールへの対抗手段になるとは思えない。
そんなことを考えながら、いろいろな角度からそれを眺めていたセキアだったが、
次にレイニアが発した言葉で、手の中のソレを思わず取り落としそうになった。

「アンチレダールです」

アンチ。反対、対抗を意味する言葉であるそれが付いている時点である程度察しがつくだろう。
手にするそれが明確なレダールに対する対抗手段であることに。

「アンチってことは……これを使えば、強制獣化を解除できる…?」

「はい。急増する強制獣化事件の脅威に対し、我々は何も指をくわえて見ていただけではありません。
毒には毒を。解毒剤が毒から作られるのと同じ原理です。
レダール被害者の体内から摘出したレダール弾の解析結果を元に
ヒルちゃんに頼んだら一晩で仕上げてくれました。
ただ問題なのは、用意できたのが今あなた達の手元にあるその4本だけだということです」

ヒルちゃん。つまるところこのアンチレダールの製作者は
アーティー区画統括管理官のヒルカ・ルドナルその人のことなのだが、今、重要なのはそこではない。
解毒剤と今レイニアが評したが、ある意味正しい表現といえるだろう。
それをつくるためには大量の毒、つまりは解毒剤の元が必要となる。
しかし、被害者の体から摘出したレダールでは量が圧倒的に足りないのだ。
今回、少数しか用意できなかったのもそのためだろう。そんな僅かなレダールへの対抗手段が、
レダールの被害者を救えるかもしれないそんな貴重なものが自分の手の中にある。
しかもレイニアは何といったのか、それが4本しかないと言ったのだ。
今もレダールの脅威の渦中にあるここアスール。いつ被害が出てもおかしくはない状況である。
使いどころは見極めなければないらないと、セキアは再び手元のソレに視線を落とした。

「使用方法は簡単です。先端が赤いほうを腕に押し付けて下さい」

それはよくある自動注射器と呼ばれるものだった。
衣服の上からでも注射できる優れもので、針の射出部を体に押し付けると
内部にしまわれていた針が飛び出し、バネの力で内溶液を体内へ注射できるというもの。
魔導具が多く普及しているここアスールでは随分とアナログな機構だが、
そこは魔術的な分野に詳しくない人を慮って考慮だろう。
片手だけで使用でき、使用方法、構造も単純なため民間でも広まっている代物だ。素人でも使用は簡単なほうだろう。
アンチレダールの使用方法をひととおり説明し終えたレイニアは続いてエルトの疑問に応じる。

『ちなみにフェリクスの量はどれぐらい有るので?…少数で済むのなら考えがあるんだが…』

「運び込まれたフェリクスの量ですか?
確かきっちり3ダースでしたねぇ。あはは、どうやってそんな数を見つからずに
正規便の荷の中に紛れ込ませることができたのやら。そこは敵ながらあっぱれというほかありませんねぇ」

レイニアの弁から3ダース
つまり1ダースが12本だからその3倍。合計36本が現在エイルスにあるということが分かる。
エルトが予想していたのがどれほどの量かは分からないが、
恐らく想像していたよりも多い量だったのではないだろうか。
護送の際は、運びやすいようケース類か何かに纏められているのだろうが、
それでも人ひとりの行動を制限するには十分な量であることは想像に難くないだろう。
そこまでひとしきり答えたレイニアは、一息つくためにすっかり冷めてしまったココアへ口をつける。
どうやら大多数が見えない脅威に対し、少しでも不安要素を取り除かんと
しているらしく一人ひとりから質問を受ける。
一人ずつに答えを返していると、ほどなくしてその中にアッシュも加わった。

『――――僕からもひとつ。
 予防策とは各自三つのルートから護送を行うことを指すのでしょうか?
であるなら、本命である我々候補隊が狙われるリスクは依然無くならないように思えますが……』

「あはは、さすがはアッシュさん。いいところをついてきますねぇ。
もちろん予防策はそれだけではありません。今回は秘密のルートを通ることにしています」

さて、どうしたものかとレイニアはアッシュに言葉を返す傍ら、頭の中で思考を巡らせる。
実際のところこの任務にはもう一つ隠された“裏”の目的がある。
分の悪い賭けに近いし、当たってくれれば御の字くらいのものだが、試してみる価値はあるとレイニアが判断したものだ。
アッシュの指摘のとおり、無論、そのくらいのことは敵側も予想して動くだろう。
いや、今回に限っていえば“そうであってくれなければ困る”のだが、
彼の言葉と声の抑揚から判断するに、まだ彼も裏の目的には気付いていないようだ。
騙すようで悪いが、こちら側には良い意味でも悪い意味でも純粋な性質の者が多い。
だからこそこの裏の目的を知る者は少ないほうが好ましい。
後で恨み言を言われるくらいで済むなら、それくらいの泥をかぶるだけの価値はあると、
レイニアは正直者筆頭である彼女に見えないはずの瞳をちらと向けた。

「………?」

いきなり視線を向けられて何事かと首を傾げるセキアの疑問を黙殺してレイニアは続ける。

「今回の任務では使われなくなった旧下水道を使います。
エイルス区画のトップシークレットの一つなので他言はしないでくださいねぇ」

冗談めかした口調で人差し指を口にあてながら釘を刺すレイニアだが、
そんなお茶らけた仕草に反して、目が笑っていないところを見るに
トップシークレットというのはあながち嘘というわけではないらしい。
ひととおり質問が終わり、レイニアは再び皆へ向き直る。

「今回の任務は護送が最終目的ではありません。
さらなるアンチレダール増産のため、レダール成分が多く含まれるフェリクスを
サンプルとして研究、解析するためでもあります。持ち帰ったフェリクスの量によっては
今後のアスールの未来を左右する可能性が大いにあります。気を引き締めてかかってくださいねぇ」

普段の能天気な態度はどこへやら。
レイニアの目がスッと細められたと思いきや、すぐにいつもの軽い口調へと戻る。

「あはは。それではそろそろエイルス区画のフェリクス受取場所まで移動しましょうか〜。
今回エイルスには初めて入る人もいるでしょうし、はぐれないよう付いてきてくださいねぇ」

>レイ、エルト、アシュレイ、ALL

15日前 No.489

ますたぁ(参加者) @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画第七候補用寮アレスタ 食堂】

レヴァーン
その名を耳にした時、レイの脳裏にはあの二人の顔がよぎっていた。先日のサンドウィッチは美味しかったけど、あの二人はこの国にとって反逆…いえ国家隊の敵。いずれ戦わなければならない者同士。
できれば戦いたくない。特にスターチさんとは…
いやきっと似たような境遇のスターチさんに心が仲間意識的なものを錯覚させてしまっただけかもしれない、でもなんだろう。戦うのが嫌というより、戦っちゃいけないと何かが私に訴えかけてくる。

アンチレダールたるものを手渡される。
これはレダールの影響で獣化した人を治すことができる解毒薬らしい。残念ながら現段階では今ここにある四つしか作れていないらしい。


「…これを使わないで済むことを祈ります」

そういうとアンチレダールが入った瓶を自分の任務用ポシェットへとしまう。
私がフェリクスの影響を受けてしまうということは町を一つ壊滅させる可能性があるということ。そんなことにはならないようにしたい。

とはいえ私は今回の任務では見学者という形で戦闘などはできない。
最悪の事態は、ないと思いたい。

「セキアさん……今回は私は見学者…戦闘は極力避けますが、いざという時は私を使ってください。」

レイニアや他の隊員には聞こえない声で言う。もし聞かれたら怒られるだろうから。

12日前 No.490

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_pcO

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「ならそうさせてもらうよ…こちらこそよろしく頼む、アッシュ」
自身の方も呼び捨てで構わない、と言うアッシュの言葉を受け、こちらもそれに習い、そう返し…
(…ひとまずは無難な対応は出来た…はず…だよな?)
少なくとも表面上はそれなりに友好的な反応を返されているように見え、ひっそりと内心で安堵する。
…なんだかんだで世渡り経験が豊富でない彼にとっては、先刻のような絶妙な状況と言うのはちょっとした冷や汗ものなのだ。
一応、知識としては人並み…どころではないが…持っているため対応自体は出来るのだが、注意深い人物であればその挙動に何処とないぎこちなさを垣間見た事だろう。
幸い、こちらに意識を向けている人物はほとんどいなかったようではあるが…
(…慣れない事は…難しいな)
再び内心でそう安堵した所で、レイニーが候補生たちへの返答を開始した様なので、再びそちらに意識を向ける事にする。

>アッシュ ALL

「…アンチレダール…そういうものがあるのか」
フェリクスの影響を懸念したレイの質問に対し、ノイに指示を出して候補官達に筒状の容器を手渡させ説明補開始した。
それを聞いて思わずそんな言葉が漏れる事となったわけだが…
(以前からの研究成果もあるんだろうが…一晩で仕上げるか…やはりここの技術は侮れないな…)
何気なく『一晩で仕上げてくれました』と、言う言葉に感心しつつ、その容器を慎重に観察していた所で…聞こえてきた使用法の説明と、注入用の針をタイミングよく目撃してしまい、ほんの少しだけ青ざめる。
(…注射式か…あまり世話には…なりたくない…な)
なるほど、確かにこういった物は信頼性の高く、確実な投与方法が必要になるのは十分に理解できる話だ…話だが、自ら進んでこんな痛い事が分かり切っている手段に頼るというのは当然ながら御免こうむりたいものだ。
…それでも非常時ともなれば迷わず…少しぐらいの躊躇はするかもしれないが…使わざるおえないのだろう。

…そんな割とどうでもいいような事を考えていた所で、自身の発した『フェリクス』の量に関しての答えが返されたため、それに意識を向ける。
「…確かに少し多いな」
3ダース、と言う数を聞き唸るようにそう呟く。
どういった形で渡されるのかは不明だが…輸送中の破損などを考慮すればそれなりの梱包がなされるであろうし…どうしてもかさばってしまうだろう。
(ストレージに入れば楽なんだが…仮とはいえ『転送』と判断されたら無理だろうな)
恐らくは、そういった抜け道的な手段を考え、実行した者はそれなりにいるであろうし…今回は正攻法で行かざるおえないか。

>レイニア ALL

6日前 No.491
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