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月下のアスール【T】-『The God Delusion』

 ( オリジナルなりきり )
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語り部 @yuzuriha16 ★6kAHKhaN27_EP8

にぎわう夜の酒場で、あるいは街灯に照らされた石畳の上で、

はたまた夜風にさらされた荒野で、それとも木の爆ぜる音が響く焚き火の周りで、

まことしやかに囁かれるある一つの国家が存在した。

かの国家の名はアスール。

魔導具と呼ばれる未知の技術を用い、急速に発展する新興国家。

世界から疎まれた狭間の者達が築きあげたその国は、5人の建国者により均衡が保たれていた。



アミル・カーランドが統轄する娯楽区画ウォーティア

ディノアギスバルガエンズルドが統轄する流通区画エイルス

ヒルカ・ルドナルが統轄する工業区画アーティー

出雲 鶴羽が統轄する自然区画ガイアル

そして、アスール国家隊の総本山である中心区画ルナ。

水と遊戯を求める者はウォーティアに

空と発見を求める者はエイルスに

魔導具と情報を求める者はアーティーに

大地と交流を求める者はガイアルに



今日も様々な目的を持つ者達がこの国を訪れる。

純粋に他種族との調和を志す者、己が国を富ませんと仮面を被る密偵、

帰路に迷い流れ着いた者、はたまた想像もしえない願いを抱いた愚者。

そんな各々思惑でさえ、まるで取るに足らぬものと言いたげに、

かの国家は飲み込み、最初からそこに存在していたかのように彼らは国へ同化していく。

その渦中にあなたが飛び込んだ―――それがこの物語の幕開け。



【サブ記事にてルール説明、キャラ募集を行います。本編開始の合図はサブ記事にて行い、
本編は本スレ運営主の最初の書き込みを持ってスタートとさせていただきますので、ご了承願います】

3年前 No.0
メモ2019/03/10 14:53 : 語り部(スレ主) @yuzuriha16★2ZwUguvzCb_inN
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ますたぁ(参加者) @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:第七候補隊寮アレスタ】

自分の申し出にレイニアさんは、見学者という形でどうこうするのはどうだろうかと提案して来た。その言葉にレイは顔を伏せ頭を悩ませる。
どのみち同行しなくてはいけない現状は変わらないらしい。ならば普通に任務に出た方が、みんなの足を引っ張らないかも、でも

「……わかりました。私は今回見学者として皆さんに同行します。」

正直、今回の任務が怖い。でも怖いなんて口が裂けても言えず、戦うのも迷うレイ。結局見学者という立場に乗っかってしまった。


「今回任務の辞退をお願いしたのは、レダールに関わることは魔武器の里では良しとされていなかった……ような気がしたので……
ごめんなさい、幼い頃の記憶で確かではないのですが、父に聞かされた話にレダールに関する文献があったような気がするのですが、ハッキリ思い出せなくて。……ただ、関わるなと言われていた記憶があって……」

この前の遺跡は、あの遺跡がレダールに関わる遺跡だとは知らなかったがために巻き込まれてしまった、という形だが
今回は違う。レダールに関わることが目に見えているせいか気がひけたのだ。

「ですが、それは避けられないようなので今回は諦めます。」

≫レイニア セキア エルト

5ヶ月前 No.484

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★NvdGUbJVOm_aLu

【レイニア&セキア&シスメ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「では〜、話も纏まったということで、今回の任務に話を戻しましょうか。
どうやら誰も答えを出せなかったようなので、
ここは解説キャラのシスメちゃんに答えを発表してもらいましょう」

答えを出せなかった、とは先ほどレイニアがした質問
「今回の任務で移送してもらう証拠物品の正体とはなんぞや?」を指しているのだろう。
淀んだ空気を吹き飛ばすかのごとく、見計らったかのようにレイニアが切り出す。
シスメもその意図に気付いたのだろう。憎まれ口を叩きながらもそれに乗る。

「人に変なキャラクター性を押し付けないで下さい。不快です。
コホン…今回の任務で第七候補隊の皆さんに移送してもらうものは“フェリクス”です」

仕事スイッチでも入ったのだろうか、
先ほどまでのアッシュに対する萎縮ぶりが嘘のように、
きびきびと事務的な口調でシスメが今回の任務について説明を開始する。
しかし、セキアがその言葉の中に聞き捨てならない
単語を見つけたのか、すぐさまシスメの説明に割って入った。

「それって……レダール反応が検知された獣化作用のある…」

「今朝新聞でも取り上げられていた香水もどきですねぇ」

あまりの驚愕に尻すぼみになるセキアの言葉をレイニアが引き継ぐ。
体内に取り込んだものの理性を奪い獣へと堕とす
レダール鉱石の反応が大量に検知された劇薬フェリクス。
実際にまだ被害者は出ていないものの、
ひとたび服用すれば摂取した本人だけでなく、周囲への被害も計り知れないものとなるだろう。
事の重大性と緊張で自分でも気付かないうちにセキアは机の下で拳を強く握り締めていた。

「今回の任務は皆さんにそのフェリクスをエイルスから
国家隊本部であるここルナ区画まで移送…いいえ、護送していただきます」

移送ではなく護送。
言葉一つ変えるだけでものものしさに拍車がかかった気がした。
疑問はつきないが、とりあえず順番にいこうとセキアは意を決して
先ほどとは打って変わって控えめに挙手すると話し出す。

「んー…そんなに危険なものならシスメおねーさんの
転移魔術とかでぱぱっと転送できないの? そのほうが安全だと思うし」

「エイルスは流通区画です。そう安々と転移魔術が行使できたら不正し放題ですから
エイルスの要所には転移魔術専用の強力なアンチマジックフィールドが張られているんです。
今回私が任務に参加できないのは純粋に皆さんの力を見るというのも目的ですが、単純に戦力外なんです」

あらかじめセキアの言葉を予想していたかのようにシスメは淀みなくそう答えた。
エイルスは巨大な塔といくつもの浮遊大陸からなる区画だ。
その浮遊大陸に上るための巨大な地天間転移装置アマノハシを除いて、
区画全体に転移魔術専用のアンチマジックフィールドが展開されている。
単にこれは転移魔術による積荷の盗難を防止するためでもあるのだが、
外部から不正な積荷がアスールに運び込まれるのを阻止するためでもあった。
シスメは否定したが、レイニアが口にした解説キャラという彼女の評価は案外言いえて妙かもしれない。
しかし、それでも不安を払拭し切れなかったのか、さらに彼女は言葉を続ける。

「でも……この任務、一歩間違えたら大惨事だよね。
移送途中で誰かにフェリクスを奪われたりしたら……なんで候補官のあたしたちに話が回ってきたんだろ?」

最悪の結末を想定しておくのは悪いことではない。
いつぞやかレイニアが言った言葉だ。
セキアの視線を感じたのか、シスメにとって変わる様にレイニアが柔らかく微笑む。

「あはは、予防策はもちろんとってあります。
私達の他に3組の候補隊がダミーの移送役として証拠物品受け渡し場所から出発予定です。
それに、まさか候補官がそんな重要な証拠物品の護送に携わっているなんて誰も思わないでしょう?」

完全には納得した様子ではなかったが、それ以上セキアの口から新たな疑問が出ることはなかった。
やはりこれまでと違い、レイニアやシスメの協力がないというところが
大きな不安材料となっているのだろうか。もちろんイレギュラーな事態があった場合は
入隊試験の頃に戻ったと思えばそう思えなくないが、
今回は失敗の許されない本番だ。プレッシャーが段違いなのだろう。
候補官のみの実力での任務と聞いて最初にうっすらと感じた高揚感はどこへやら。
セキアはいつもの元気が嘘のように閉口してしまう。無論、今回は単にそれだけが原因ではないのだろうが。
セキアから返答がないことから彼女の疑問は出尽くしたと判断したのか、
レイニアは残る三人にそのくすんだ色の双眸を向けた。

「他に何か質問は?」

>アシュレイ、レイ、エルト、ALL

5ヶ月前 No.485

ますたぁ(参加者) @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月 レイ:ルナ区画第七候補隊寮アレスタ】

フィニクスの護送それが今回の任務。フェニクスはレダールの成分が検出された香水のようなもの、それを浴びた人が獣化し、凶暴化する。

毒を運べと言われているようなものじゃないか。と内心思いつつ、顔には出さずただ話を聞いていた。

「あの、フェニクスがどれだけ危険な代物なのかはいま熟知しました。そしてそのダミーを三つも作ってまでの今回の任務、護送ということですが……そのフェニクスを奪いにくる可能性がある人たちについて検討などはついているのでしょうか。」

大方、あの遺跡であったスターチさんやあの青い目の女の人たちも可能性もあるわけだけど、それでもここまでの厳重にする必要があるのだろうかと、疑問を浮かべる。

「それと万が一ですが、候補隊の中の誰かがフェニクスの影響を受け獣化した時の対処法などは例が出ているのですか?」

そこが一番重要だとレイの中ではそう思っている。

4ヶ月前 No.486

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_6UX

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「…そういう訳か」
…家訓…と言う訳ではないが…幼少からそう聞かせられてきたと言う事ならばそこには余人には分らぬ理由もあるのだろう。
深くはわからないが…そういう物だと納得できる程度には分らない話でもない。
…だがそれでも彼女は見学と言う形の妥協案を受け入れた…そこにどれほどの葛藤があったのかは知る由も無いが…その覚悟は褒められるべきものと言えよう。
「なら余計な世話なんだろうけど…何があっても前に出ないように…な」
だからこそこんな愚にもつかないちょっとした忠告を告げてしまう事となった。

>レイ ALL

そうしてちょっとした騒動に区切りがついたところで、再びレイニアが音頭取りとなって任務の説明を再開する…もっとも説明するのはシスメにぶん投げたようだが…
(答え…あー…そういえば…そんな話だった…ような…)
エフィニアと重大なやり取り…他者から見れば他愛無い雑談だったのだが…をしていた時に確かにそんな質問をしていた。
「それはさっきの…」
提示された単語にそう呟きかけた所で、先んじてセキアが今朝のやり取りから得られた情報を口にし…それを引き継いだレイニアからは、思っていた通りの言葉が発せられた。

そこからはシスメが『フェリクス』を護送する事が任務と言う旨を告げれば、セキアは2、3質問をし…レイニアやシスメがそれらに答えを返した所でセキアからの疑問は出尽くしたようで…
「ちなみにフェリクスの量はどれぐらい有るので?…少数で済むのなら考えがあるんだが…」
こちらからも質問を投げかける。
考えと言うのは自身が持っている魔術…亜空間収納…通称『ストレージ』で仕舞い込んでしまえば道中の憂いをほぼ無くして輸送できそうな物だが…
(…出来て片手で抱えられる程度か?…まぁ干渉して収納自体が出来ない可能性もあるが)
…先程使ったように料理の一皿ぐらいは苦も無く…それこそ数十枚は余裕でできるのだが…魔術的な加工がされているものだと、入口を通す事すらできないと言うケースが稀にあると聞いたことがある。
(実際目にしたことは無いが…おそらくいわくつきだろうしな…出来れば儲けものではあるが)
…質問しておきながら悪い推測しかできてないのは残念な事だが…試すだけならタダなのだ…そう辛うじてポジティブな意見をひねり出しつつ、質問の答えを待つことにする。

>レイニア セキア シスメ ALL

4ヶ月前 No.487

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_Onj

【ルナ区画 / 第七候補隊用寮アレスタ / 食堂 / アシュレイ・ツィー】


「僕のこともアッシュで構わないよ。改めてよろしく、エルト」

 エルトの「疑う心ここに在らず」といった言葉を受け、隊への緊張も幾許か解けたのか穏やかな笑顔を以て相槌を打つ。出会ってまだ数十分にも満たない間柄で、“ただ仲間だから”と宥和的な態度を向けてくれる者が一人でもいる現状は、アッシュにとっても偽りなく好ましい事実だ。
 自治国家アスール。前言でも少し思弁を這わせたが、古今東西出自を問わず来訪するすべてを等しく扱う国風あってこそ、この粋な市民性を構築出来ているのだろう。

 ――――とはいえ、彼らもまた人間である。エスパーなどでは断じてない。
 だからこそ交流は大事だと思うし、無知から生じた齟齬に命綱を掴み損ねれば本末転倒。道義は二の次、とは早々いかない。
 なのでそういった配慮を怠る輩は心底馬鹿だと思うし、目が曇っているという他ないと、思わざるを得ないのだ。
 一喜一憂もひとしお。食膳を前に座し、しばし談笑を続けていると、なにやら書面を見つめて小さく息をついていたレイニーが次なる段階へと駒を進めた。

 任務――ああ、そういえばそんな話だった。
 自ら切り出しておいて「いやそれはないだろ」と言いたいところだが、僕もあれは正直死に身に大炎上だったのだ。今の今まで頭からすっぽりと抜け落ちていたことは、我らが神に免じて目を瞑って頂きたい。
 さて、論点を戻すが……教官曰く、今回候補隊に舞い込んできた依頼は搬送任務。とどのつまりは運び屋の一員として働け、ということらしい。
 日時日程と照合し、重要な証拠と聞いて取り扱う物品におおよその当たりをつけるが……しかし僕はレイニーの言う「最初の話」の場に居合わせなかったので、軽率な回答は伏せることとする。みんな頑張れ。

 質問を質問で返すレイニアの悪戯に刹那の沈黙が訪れる。
 セキアの唸り声と時計の刻む針音に守られていた食堂の静寂はしかし、次の瞬間に引き裂かれる。

 はじめにその刃を振り下ろしたのは、怒りに震えるレイの嘆声。
 涙のうちに辞退を表明する彼女の決意は、不安、緊張、猜疑、憂愁――そういった負の感情を滲ませてのものだろう。
 宝石は見る者の心を映す。如何に僕が人情の機微に疎い非人間といえども、こうしたレイの哀訴を俯瞰し、理解することは出来るのだ。
 ゆえに彼女の言い分には一定の正当性があると思うし、否定出来ないが……それを判断するのはやはり、隊の指揮を預かるレイニー教官なわけで。

 そうして一連の顛末を見届ける中「魔武器」という一言を耳に挟み、ことここに来て漸く先ほどの黙考の答案に突き当たる。
 そうだとも、白月という名は“魔導具と生物の相関性”に関する古い研究資料で見聞したのだ。
 白月一門。なんの因果か、かの厄災の残滓たる彼らが干渉しているともなれば、この小隊の動向。ひいては彼らの行き着く先が、“聖王国(ぼくたち)”に不利益的に働かないなどとは確言出来ないし、警戒するのも殊更必定。もとより教国を牽制せよとのお達しではあったが、こちらも留意するべきだろう。

 かくして、思わぬ収穫があったところで話は纏まった。
 口火はレイニーからシスメへと引き継がれ、任務概要の説明は再開される。では、お待ちかねの答え合わせといこう。

 フェリクス。シスメの口から飛び出たこの単語の正体とは、今朝の朝刊にも載っていた例の劇薬の名だ。想定通りのその答案に、アッシュは小さく「やはり」と独白する。
 そしてそれは如何なる魔法か。芳香成分からは現状加工不可であるにも関わらず、吸引者に獣化作用を催促するレダールの反応が大量に検知されたという。有り体にいえば違法薬物である。
 にも関わらず、この「幸運」の名を冠した香水はその実態に反して“前向きな噂”がこれでもかと付き纏い、市井間に流布してしまっているのだ。
 わかりやすいところでは、嗅げば幸せになれる、夢が叶う、栄光到来に金運上昇、必勝祈願恋愛成就。過激なものでは不老不死、全能の獲得などなどと……。
 一体誰がこんなデマを吹聴し始めたのか。聞けばまだ被害者は出ていないというのに、適当に思いつく限りでこの有様。まったくわけがわからない。
 悪意か、あるいは逆に暴走した無辜の善意ゆえか。どちらにしても悪質で、結果恐ろしいことに変わりなく。
 まあ何はともあれ、こういった手合いに向けられる“あらぬ期待”や“理想像の一人歩き”は仕事柄よく目にする方だと自負しているが、そのどれもが百害あれど一利なしだった。

「――――僕からもひとつ。
 予防策とは各自三つのルートから護送を行うことを指すのでしょうか? であるなら、本命である我々候補隊が狙われるリスクは依然無くならないように思えますが……」

 まさか素人が重役を担うなどとは誰も考えつかない――成る程。それはもっともな策略だし、レイニアの勘考は確かに神算鬼謀のそれなのであろう。
 しかし一見定石を裏切るかのようにも思えるこの一手は、逆説的に語れば“その道を行く智恵者ならば誰しも簡単に考えつくこと”の証左に他ならない。
 名将は名将を知る。ゆえ己が良法を閃いたのならば、当然敵方も思いつく限りの好手を確実に打ってくる。要はあらかじめ、そういった不測の事態にも向き合えるように重ねて予防線を張っておくべきだと、アシュレイは具申したいわけだ。
 なにせ、こちらは新兵同然であり。加えて言うならアシュレイにとってもこれが候補隊としての初陣。ひとつ前にレイが問い出たように、敵の正体どころか影すらも判然としない闇雲の中、一本槍ではまず勝ち目がないと踏んだ上での懸念だが……。


>レイニー、セキア、シスメ、エルト、レイ、ALL

4ヶ月前 No.488

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★2anxDtqLIF_9Xi

【レイニア&ノイ&セキア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】】

セキアの質問に答えを返してすぐ、最初に疑問を呈したのはレイだった。

『フェリクスを奪いにくる可能性がある人たちについて検討などはついているのでしょうか』

「転移魔術無効化エリアであるエイルスで仕掛けてくるとは思えませんが〜、
もし、こちらを狙ってくるとしたら十中八九レヴァーンの異端審問官の人たちでしょうねぇ。
運び込んだならそれを中で売りさばくかバラまく、もしくは使用する人を潜伏させている可能性もありますし」

レイの問いにレイニアはやけに断定的な口調で襲撃者の名を語った。
遺跡調査任務で仮面の女が転移魔術らしきものを行使して消えたときのことを思い出す。
いくらアスールとレヴァーンの両国が地図上で近い位置にあるといえど、
レヴァーンへはアスールから馬を走らせても2週間ほどかかる。
そんな遠い距離をわざわざ何らかの移動手段を使って行き来しているとは考えにくいし、
この近くに潜伏場所を仮設しているとしても、転移魔術を使用してこのアスールへと侵入しているとみて恐らく間違いないだろう。
アスールの検問も無能ではない。その証拠に入国者のリストを洗ってみたのだが、その中にレヴァーンの関係者はいなかった。
つまり、エイルスへ踏み込むということは、彼らにとって退路を断たれるに等しいのだ。

『それと万が一ですが、候補隊の中の誰かがフェリクスの影響を受け獣化した時の対処法などは例が出ているのですか?』

「あはは。そうならないよう私がついているわけですが〜
万が一の可能性もありますからねぇ。もちろん用意しています。ノイちゃん、例のものを」

フェリクスの獣化作用の影響を受けた際の対処法はあるのかという
レイの疑問を受けたレイニアは横にいるノイに小さく目配せした。

「御意。エルト、レイ、アシュ、セキア、これ」

レイニアの声に頷いたノイは
魔導具の収納箱としていつも手にしているバイオリンケースの中から
筒状の何かを取り出すと、それを皆に配り始める。

「これは?」

試験菅ほどの大きさのあるプラスチック製の筒を
ノイから手渡されたセキアは説明を求めるようにレイニアの顔を見た。
筒の先端の片方だけが赤くなっており、中は透き通った青い液体で満たされている。
とてもこんな小さなものがレダールへの対抗手段になるとは思えない。
そんなことを考えながら、いろいろな角度からそれを眺めていたセキアだったが、
次にレイニアが発した言葉で、手の中のソレを思わず取り落としそうになった。

「アンチレダールです」

アンチ。反対、対抗を意味する言葉であるそれが付いている時点である程度察しがつくだろう。
手にするそれが明確なレダールに対する対抗手段であることに。

「アンチってことは……これを使えば、強制獣化を解除できる…?」

「はい。急増する強制獣化事件の脅威に対し、我々は何も指をくわえて見ていただけではありません。
毒には毒を。解毒剤が毒から作られるのと同じ原理です。
レダール被害者の体内から摘出したレダール弾の解析結果を元に
ヒルちゃんに頼んだら一晩で仕上げてくれました。
ただ問題なのは、用意できたのが今あなた達の手元にあるその4本だけだということです」

ヒルちゃん。つまるところこのアンチレダールの製作者は
アーティー区画統括管理官のヒルカ・ルドナルその人のことなのだが、今、重要なのはそこではない。
解毒剤と今レイニアが評したが、ある意味正しい表現といえるだろう。
それをつくるためには大量の毒、つまりは解毒剤の元が必要となる。
しかし、被害者の体から摘出したレダールでは量が圧倒的に足りないのだ。
今回、少数しか用意できなかったのもそのためだろう。そんな僅かなレダールへの対抗手段が、
レダールの被害者を救えるかもしれないそんな貴重なものが自分の手の中にある。
しかもレイニアは何といったのか、それが4本しかないと言ったのだ。
今もレダールの脅威の渦中にあるここアスール。いつ被害が出てもおかしくはない状況である。
使いどころは見極めなければないらないと、セキアは再び手元のソレに視線を落とした。

「使用方法は簡単です。先端が赤いほうを腕に押し付けて下さい」

それはよくある自動注射器と呼ばれるものだった。
衣服の上からでも注射できる優れもので、針の射出部を体に押し付けると
内部にしまわれていた針が飛び出し、バネの力で内溶液を体内へ注射できるというもの。
魔導具が多く普及しているここアスールでは随分とアナログな機構だが、
そこは魔術的な分野に詳しくない人を慮って考慮だろう。
片手だけで使用でき、使用方法、構造も単純なため民間でも広まっている代物だ。素人でも使用は簡単なほうだろう。
アンチレダールの使用方法をひととおり説明し終えたレイニアは続いてエルトの疑問に応じる。

『ちなみにフェリクスの量はどれぐらい有るので?…少数で済むのなら考えがあるんだが…』

「運び込まれたフェリクスの量ですか?
確かきっちり3ダースでしたねぇ。あはは、どうやってそんな数を見つからずに
正規便の荷の中に紛れ込ませることができたのやら。そこは敵ながらあっぱれというほかありませんねぇ」

レイニアの弁から3ダース
つまり1ダースが12本だからその3倍。合計36本が現在エイルスにあるということが分かる。
エルトが予想していたのがどれほどの量かは分からないが、
恐らく想像していたよりも多い量だったのではないだろうか。
護送の際は、運びやすいようケース類か何かに纏められているのだろうが、
それでも人ひとりの行動を制限するには十分な量であることは想像に難くないだろう。
そこまでひとしきり答えたレイニアは、一息つくためにすっかり冷めてしまったココアへ口をつける。
どうやら大多数が見えない脅威に対し、少しでも不安要素を取り除かんと
しているらしく一人ひとりから質問を受ける。
一人ずつに答えを返していると、ほどなくしてその中にアッシュも加わった。

『――――僕からもひとつ。
 予防策とは各自三つのルートから護送を行うことを指すのでしょうか?
であるなら、本命である我々候補隊が狙われるリスクは依然無くならないように思えますが……』

「あはは、さすがはアッシュさん。いいところをついてきますねぇ。
もちろん予防策はそれだけではありません。今回は秘密のルートを通ることにしています」

さて、どうしたものかとレイニアはアッシュに言葉を返す傍ら、頭の中で思考を巡らせる。
実際のところこの任務にはもう一つ隠された“裏”の目的がある。
分の悪い賭けに近いし、当たってくれれば御の字くらいのものだが、試してみる価値はあるとレイニアが判断したものだ。
アッシュの指摘のとおり、無論、そのくらいのことは敵側も予想して動くだろう。
いや、今回に限っていえば“そうであってくれなければ困る”のだが、
彼の言葉と声の抑揚から判断するに、まだ彼も裏の目的には気付いていないようだ。
騙すようで悪いが、こちら側には良い意味でも悪い意味でも純粋な性質の者が多い。
だからこそこの裏の目的を知る者は少ないほうが好ましい。
後で恨み言を言われるくらいで済むなら、それくらいの泥をかぶるだけの価値はあると、
レイニアは正直者筆頭である彼女に見えないはずの瞳をちらと向けた。

「………?」

いきなり視線を向けられて何事かと首を傾げるセキアの疑問を黙殺してレイニアは続ける。

「今回の任務では使われなくなった旧下水道を使います。
エイルス区画のトップシークレットの一つなので他言はしないでくださいねぇ」

冗談めかした口調で人差し指を口にあてながら釘を刺すレイニアだが、
そんなお茶らけた仕草に反して、目が笑っていないところを見るに
トップシークレットというのはあながち嘘というわけではないらしい。
ひととおり質問が終わり、レイニアは再び皆へ向き直る。

「今回の任務は護送が最終目的ではありません。
さらなるアンチレダール増産のため、レダール成分が多く含まれるフェリクスを
サンプルとして研究、解析するためでもあります。持ち帰ったフェリクスの量によっては
今後のアスールの未来を左右する可能性が大いにあります。気を引き締めてかかってくださいねぇ」

普段の能天気な態度はどこへやら。
レイニアの目がスッと細められたと思いきや、すぐにいつもの軽い口調へと戻る。

「あはは。それではそろそろエイルス区画のフェリクス受取場所まで移動しましょうか〜。
今回エイルスには初めて入る人もいるでしょうし、はぐれないよう付いてきてくださいねぇ」

>レイ、エルト、アシュレイ、ALL

4ヶ月前 No.489

ますたぁ(参加者) @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画第七候補用寮アレスタ 食堂】

レヴァーン
その名を耳にした時、レイの脳裏にはあの二人の顔がよぎっていた。先日のサンドウィッチは美味しかったけど、あの二人はこの国にとって反逆…いえ国家隊の敵。いずれ戦わなければならない者同士。
できれば戦いたくない。特にスターチさんとは…
いやきっと似たような境遇のスターチさんに心が仲間意識的なものを錯覚させてしまっただけかもしれない、でもなんだろう。戦うのが嫌というより、戦っちゃいけないと何かが私に訴えかけてくる。

アンチレダールたるものを手渡される。
これはレダールの影響で獣化した人を治すことができる解毒薬らしい。残念ながら現段階では今ここにある四つしか作れていないらしい。


「…これを使わないで済むことを祈ります」

そういうとアンチレダールが入った瓶を自分の任務用ポシェットへとしまう。
私がフェリクスの影響を受けてしまうということは町を一つ壊滅させる可能性があるということ。そんなことにはならないようにしたい。

とはいえ私は今回の任務では見学者という形で戦闘などはできない。
最悪の事態は、ないと思いたい。

「セキアさん……今回は私は見学者…戦闘は極力避けますが、いざという時は私を使ってください。」

レイニアや他の隊員には聞こえない声で言う。もし聞かれたら怒られるだろうから。

4ヶ月前 No.490

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_pcO

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

「ならそうさせてもらうよ…こちらこそよろしく頼む、アッシュ」
自身の方も呼び捨てで構わない、と言うアッシュの言葉を受け、こちらもそれに習い、そう返し…
(…ひとまずは無難な対応は出来た…はず…だよな?)
少なくとも表面上はそれなりに友好的な反応を返されているように見え、ひっそりと内心で安堵する。
…なんだかんだで世渡り経験が豊富でない彼にとっては、先刻のような絶妙な状況と言うのはちょっとした冷や汗ものなのだ。
一応、知識としては人並み…どころではないが…持っているため対応自体は出来るのだが、注意深い人物であればその挙動に何処とないぎこちなさを垣間見た事だろう。
幸い、こちらに意識を向けている人物はほとんどいなかったようではあるが…
(…慣れない事は…難しいな)
再び内心でそう安堵した所で、レイニーが候補生たちへの返答を開始した様なので、再びそちらに意識を向ける事にする。

>アッシュ ALL

「…アンチレダール…そういうものがあるのか」
フェリクスの影響を懸念したレイの質問に対し、ノイに指示を出して候補官達に筒状の容器を手渡させ説明補開始した。
それを聞いて思わずそんな言葉が漏れる事となったわけだが…
(以前からの研究成果もあるんだろうが…一晩で仕上げるか…やはりここの技術は侮れないな…)
何気なく『一晩で仕上げてくれました』と、言う言葉に感心しつつ、その容器を慎重に観察していた所で…聞こえてきた使用法の説明と、注入用の針をタイミングよく目撃してしまい、ほんの少しだけ青ざめる。
(…注射式か…あまり世話には…なりたくない…な)
なるほど、確かにこういった物は信頼性の高く、確実な投与方法が必要になるのは十分に理解できる話だ…話だが、自ら進んでこんな痛い事が分かり切っている手段に頼るというのは当然ながら御免こうむりたいものだ。
…それでも非常時ともなれば迷わず…少しぐらいの躊躇はするかもしれないが…使わざるおえないのだろう。

…そんな割とどうでもいいような事を考えていた所で、自身の発した『フェリクス』の量に関しての答えが返されたため、それに意識を向ける。
「…確かに少し多いな」
3ダース、と言う数を聞き唸るようにそう呟く。
どういった形で渡されるのかは不明だが…輸送中の破損などを考慮すればそれなりの梱包がなされるであろうし…どうしてもかさばってしまうだろう。
(ストレージに入れば楽なんだが…仮とはいえ『転送』と判断されたら無理だろうな)
恐らくは、そういった抜け道的な手段を考え、実行した者はそれなりにいるであろうし…今回は正攻法で行かざるおえないか。

>レイニア ALL

4ヶ月前 No.491

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★AkGMCuEuMo_ef5

【ディノア/エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

いかにも几帳面と頑固を絵に描いたような服装に身を包んだ
頬に大きな傷のある男が、巨大な椅子にピンと背筋を伸ばしながら腰掛け、
巨大なマボガニーの執務机に手をかけて、ペンを走らせ書類を処理している。
新しい書類に手を伸ばしかけたところで、男はふぅと小さく息をついた。

「よりにもよって候補教育官か……先が思いやられる」

それは一体、誰に対しての当てつけだろうか。
呟きとともに作られた眉間の皺を指で揉みほぐす。
仕事に一区切りつけた男は、ペンを置いて時計を睨んだ。

「そろそろ着く頃だな、うむ……それにしても、貴官も運がなかったな。
配属先を決めたのは私ではない、私を恨んでくれるなよ」

ぺしぺしと手に持った書類に添付された少年の写真を
軽く指の背で叩きながら、苦労と同情のこもったため息を吐きかける。
当然のことながら写真の少年から言葉が返ってくることはない。
ひとしきり確認を終えたディノアは――ディノアギズバルガエンズルド区画統括管理官は、
これから第七候補隊に配属となる少年を迎えるべく、
また、これから任務のためここを訪れる第七候補隊の面々を出迎えるべく、執務室のドアを開けて外へ出た。

聞けば、彼はここへ来る途中の飛空便のエンジントラブルにあって到着が大幅に遅れることとなったらしい。
今回の配属先の不運も彼元来の運勢に直結する出来事なのであれば納得だが、当然予期していたものではないだろう。
既にこちら専属の飛行郵便屋を使って、例のエンジントラブルを起こした飛空挺にいる彼に
集合場所の変更と今回の任務へ参加する旨は伝えてある。
そうこうしている内に、会議室に利用している部屋の前まで着く。
さて、時間通りなら既にこちらの指定した場所までたどり着いているはずだが、
とディノアは指定した部屋の前まで来ると、ドアを開け放った。

「失礼する。今期任務より入隊予定のベリオ=アルスター候補官はいるか?」

【大変お待たせ致しました! これからよろしくお願い致します^^】>ベリオ

【information:ディノアギスバルガエンズルドのプロフがサブ記事に追加されました!】




【セキア&レイニア&シスメ&ノイ/エイルス区画/第一浮遊島/区画本部前】

「すっごーい……!」

抜けるような青空の下、感嘆の声が響く。
ウロボロス特急に揺られること数刻。
セキアたち第七候補隊は、今回の任務地であるエイルス区画まで足を運んでいた。
着いて早々にセキアが感嘆の声を漏らすのも無理からぬことだ。
ここエイルス区画は別名、浮遊都市区画とも呼ばれている。
書いて字のごとく、今も飛空挺の部品にも使われている
特殊な浮力を有する大陸サイズの石の大地が空に浮かんでいるのだ。
その雄大さもさることながら、その隙間を這うように飛び回るここに住まう者達が、さらなる彩をこの区画に添えていた。
その視覚効果も手伝って、今セキアの目にはこの区画が縦に長く映っていることだろう。

「エイルス区画は流通区画の名の通り、外部の商人や諸国との貿易が盛んな区画なんです。
そして、あのディノア区画統括管理官が統括している区画でもあるんですよ」

何故か候補隊の面々に向かって解説を始めるシスメ。
その声は心なしか弾んでいて、自分のことでもないのに誇らしげであった。
とまぁ、その理由というのも

「シスメちゃん、ディーくんのファンですもんねぇ」

にやり、というオノマトペが聞こえてきそうなほど
口をゆがめたレイニアがからかうように肘でうりうりとシスメの二の腕をつき始める。
途端にシスメは手元の魔導書を誤魔化すように高速で捲り始めた。

「ち、違います! 一人の国家隊員として尊敬できるというか…その…私の目標というかですね…」

「あ、そろそろ着きますよ〜」

「そちらからふっておいてスルーしないでください! もう!」

シスメの抗議の声をばっさりと聞き流して、レイニアはある一点を指差した。
この区画でも一際目を引く巨大な尖塔。
この場所こそが、このエイルス区画の本部たる第一浮遊島 国際飛空便空輸監督所ウェンティの
そのまた中にある中枢、すなわちエイルス区画統括管理官のいる区画本部である。

「ここに呼び出されたということは、受け渡し人というのは十中八九、あの人ですよねぇ…」

レイニアの声に珍しく憂鬱そうな響きが交じる。
何事かと首を傾げる候補官の面々を、気にしなくても良いとばかりにノイの手がやわやわと押した。

「セキア、レイ、エルト、アシュ、いこ」

何故か逃走を図ろうとするレイニアの腕を掴んで
建物の中へと引きずり始めたシスメの姿を横目に、ノイは冷めた声でそう促すのだった。

【それではメインストーリーのほう開始していきます! レス蹴り申し訳ございません;】>レイ、エルト、アシュレイ、ALL

3ヶ月前 No.492

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【ベリオ/エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

「…はぁ…」

一体、神は自分に何を求めているのだろうか。
そんなことを考えながら、一人きり待機する部屋の席に着きつつ、ベリオは本日何度目かの溜息を吐いた。実際、そうするに値する災難を最近被ったばかりなのである。
士官学校を卒業し、学業や軍事訓練を共にした友人ら、数年間指導を続けて下さった恩師に見送られ、意気揚々と飛行便に乗ったのはいいものの、直後にエンジントラブルがあり、乗っていた飛行艇の再整備のために足止めを食らってしまった。お陰で予定していたアスール国家隊入隊試験を受けるどころかアスール現地にさえ辿り着くことが出来ないという憂き目を見てしまったのだ。
一応関係者に連絡はしたが、盛大に笑われるわ逆に苦笑されるわ無理に慰められるわ何故か泣かれるわで、結果ベリオの自尊心はガタガタになってしまった。

「全く……何故エンジントラブルなんかが……乗客の安全を守りつつ、無事に目的地へ送り届けるのが飛行便の役目だろう?それなのに整備に不備を起こすなど…整備士は一体何をしていたんだ?…はぁ…」

ブツブツと件の飛行便及びそれのメンテナンスを行ったであろう整備士への不平不満を漏らしつつ、再び溜息を吐く。自分は翼があるので飛行艇が墜落することになっても問題ないが、翼も空を飛ぶ魔法も使えない人々はそうもいかない。そんな最悪の事態に晒される危険性があったことも、ベリオの不満に含まれているのだ。
…しかし、そこでへこたれる程度の不運にしか遭っていない訳ではない。そのような間抜けな運命には過去に何度も巡り合ってきた。それに肝心なタイミングで受難を受けやすい星に生まれた程度、特に問題は無い。自身にとって最も致命的な不運といえば、そう__。

「…まぁ、自分の素性知られるよりはマシだわなぁ…」

待ち合わせの部屋に誰もいないことをいいことに、テーブルに置かれた友人からのプレゼントの一つであるパナマ帽を眺めながら、ベリオは普段人と話す時よりも若干砕けた口調で独りごちる。
…そう、彼は自分の出身や隠したい体質を周囲に知られることを何よりも恐れている。今回の受難も、足止めを喰らい待機させられている時にとある区画の郵便屋から集合場所の変更、そしてこれから始まるという任務へ参加するように、という報告を受け、ようやくエンジンを持ち直した飛行艇によって現地へ辿り着き、待ち合わせ場所に指定された区画本部の一室にて、こうして待機しているのである。
場所が場所なだけあり、到着直後は緊張で溜息を吐く余裕すら無かったが、一人になった途端これである。ようやく到着出来たことと、任務に参加するという形で追加で試験を受けられるという安心感から心に余裕が生まれたことが原因だろう。

「…そういえば…そろそろ管理官殿が見える時間だな…。やっべ、緊張してきた……あ、そうだ」

徐に部屋の壁に掛けてある時計に目をやると、そろそろ集合時間だ。今まで不平不満やら溜息やらを漏らしまくっていたが、改めて区画統括管理官の立場にある人物と今から対面するのだと思うと、再び緊張してしまう。
第一印象は大事だ。もし会って早々間抜けを演じてしまえば、その人物の中で自分のイメージは最悪なものになってしまう。図らずも可笑しな言動を取ることを避けるには、一旦落ち着いてしっかりとした言動を取る必要がある。これは士官学校時代に学んだことである。
では、ベリオはどのように落ち着くのか?挨拶の時の言葉の練習?余計緊張する。好きな本を読む?彼は小説も漫画を持っていない。ではどうするかというと。
徐に席を立ち、腰に吊ってある左右のホルスターのうち右側のものから、拳銃を一丁抜き取る。それは冷たい青色に氷塊のような模様が入った銃であった。ベリオはそれを一通り眺めると、安全装置を付けたまま、引き金に指を掛けないよう右手の人差し指をピンと伸ばした状態で構えてみる。次に一度ホルスターに収めると、素早く抜き取って壁の向こうに照準に合わせるかのように構えた。それを何度か繰り返し、完全にホルスターの中に収めると、今度は左の拳銃に手を伸ばし__。

『失礼する。今期任務より入隊予定のベリオ=アルスター候補官はいるか?』

集合時間ぴったりのタイミングで部屋の扉が開け放たれ、そこから軍服のような服装に身を包み頬に傷のあるたくましい男性が現れる。席に座っていたベリオはその声と姿に気付くと、「はい!」という返事と共にスッと素早く立ち上がり、気をつけの姿勢で相手に向き直ると、これまた几帳面にピシッとした敬礼のポーズを取りつつ、前々より練習していた文句を口にする。

「自分、貴国の国家隊入隊候補官のベリオ=アルスターであります!本日、貴国家隊の任務に同行出来ることを、たいへん喜ばしく思っております!今回は何卒、宜しくお願い致します!」

__決まった。ベリオはそこまで言うと、真剣な面持ちで敬礼を続けたまま、相手の返事を待つ。そして同時に、顔には出さないが内心ではこんなことを思っていた。

(__あっっっぶねえええええ!!今管理官殿の足音が聞こえてたから取り繕えたものの、あのまま抜き打ちの振りを続けてたら完全にアウトだった…!ありがとう俺の耳!!)

そう、拳銃の構えを練習していたあの時、突然壁の向こうから足音がフェードインしてくるのが聞こえたのである。超音波を感知出来る程の耳の良い蝙蝠の亜人として生まれてきたことに感謝しつつ、物音を立てないよう席に座り直したところで、先程の一連に続いたのである。
やはり顔には決して出さないが、当時の彼の背中は冷や汗が止まらなかったとか、そうでもなかったとか…。

>ディノア【メインストーリーに参戦できて嬉しいです!此方こそ宜しくお願いします!】


【初めまして、レーリンと申します!文才はあまり無い方だと思いますが、皆様と共に物語を紡いでいけたらいいなと思っております!
どうぞ宜しくお願い致します】
>ALL参加者様

3ヶ月前 No.493

ますたぁ ★iPhone=oVdQpL6VUk

【白月レイ:エイルす区画/第一浮遊島/区画本部前】

「ここがエイルス…話で聞いていた以上の場所ですね。制御装置を持ってきてよかったです」

そうと腕にはめた金属製のブレスレッドを触る。


任務の場所を聞いて、急いでこの魔道具を取りに行ってよかった。ここは空中に浮いた島。どう言う原理かは詳しくはないけれど、少なからず多くの魔道具が動いているに違いない。
そんな場所に、人間と魔道具のハーフみたいな魔武器が行くと、魔道具同士で誤作動を起こしてしまう可能性がある。
このブレスレッドはそれを防ぐためのものなのだ。

「……あくまで私は見学者ですが、みなさんの足を引っ張らないようにしなければ……」

それでもやはり、どこか乗り気にはなれないでいたレイ。今回の任務はレダールの成分が含まれた香水もどきフェリクスを証拠品として本部へ運ぶこと。
レダール……その意思の影響を受けるとどんな種族も野生化し凶暴になり暴れ出す。それだけでも恐ろしい代物だが
あのレヴァーンと名乗る人たちはレダールを使ってなにかをしようとしている。私たちはそれを阻止しなければいけない。
ただ、私がここにいることもなにか嫌な予感がしてならなかった。


≧エルト アシュレイ セキア レイニア ノイ

3ヶ月前 No.494

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_TJc

【エイルス区画/第一浮遊島/区画本部前】

「ここは…相変わらずにぎやかだな」
感嘆の声をあげるセキアや何処か安堵したような声を出すレイ等に続き、前者と比べると大分落ち着いた口調で呟きながら、歩を進める。
(…まぁ数か月やそこらで様変わりしてるはずもないか)
なんだかんだで国家隊の候補者と言う立場に落ち着いてはいるが…その数週間前にはざっくりとではあるが各地の主要な場所には足を運んで調査していたこともあり、眼前の光景は予想道理というところではある。
(しかしまぁ…流通区画として考えれば合理的ではあるんだが…もう少し立地はどうにかならないものだろうか…)
…前途の落ち着いた口調と言うのは実際の所、若干の気疲れから来ているものであったりする。
(慣れればそうではないんだろうが…どうにも落ち着かないな…)
と、言うのも…原因は移動途中にあった…こうして浮島に足をつけていると実感は湧かないのだが…ここはいわば空なのである。
高所恐怖症と言う訳ではないのだが、一般的にはこのような高度で生活する機会などあるはずもなく…うっかりと列車の窓から外の風景…もっと言ってしまえば眼下の建築物から高度を推察してしまってからは『万が一』の自体を想定してしまい、気が気ではなかった。

「ん…ああ、もう付いたのか」
結果、シスメやレイニー達のやり取りをぼんやりと聞き流していた所で、ノイの呼びかけに気が付いたところで、そう返して後に続くとする。

>ALL

3ヶ月前 No.495

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★p4z0LSfGXf_OYu

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3ヶ月前 No.496

ますたぁ @usagishi59 ★iPhone=oVdQpL6VUk

(訳あってアカウントが違いますが、ますたぁです。これからはこのアカウントで参加します。なりすましとかではないです。)

【白月レイ:エイルす区画:第一浮遊島:区画本部】

なんだろう、この島は落ち着かない。
早くこの任務を終わらせたい。こんなことを思うなんて、今日の私なんだか変ですね。

そうこうしている間に、エレベーターに乗りエイルスの区画本部へとやってきた。
シスメさんやノイさんの様子を見るからにこれから会う人は、どうやら相当目上の方らしい。
自分も身だしなみや、おかしな挙動をしていないかと、チェックし、開いた扉にゴクリと唾を飲み込んだ。

その方は、ディノアギスバルガエンズルド区画総括管理官さんと言うらしい。肩書きを抜いたとしても、とても長い名前だ。とてもじゃないけど覚えられそうにない……と思っていることに申し訳ない気持ちでいっぱいになっレイだった。

「第七候補隊白月レイです。あの一応国家隊なのですが、今回は訳あって見学者という扱いになってます。種族は…魔武器です」

ディノアさんとベリオさんに軽く自己紹介をして会釈をする。そしてわざとここで自分の種族のことを口にして、相手型の反応を見る。おもにディノア区画総括管理官の反応を…

なんだかあの人から、というよあの人が持つ剣から妙な気配を感じる。恐らく魔道具の一種なのだろうけど、なんだか懐かしい気持ちがした。もしかしたら、魔武器の生き残りかもと思わせるほどに

「……そんなわけないか……っ」
レイは脳裏に、あの遺跡で見た壁画を思い出していた。

≫エルと ベリオ レイニア ノイ ディノア

3ヶ月前 No.497

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【ベリオ/エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

目の前に対峙する人物はエイルス区画の管理官殿で間違いないようだ。ベリオよりも数倍は逞しく見える体躯や、傷のある強面の顔等から、一見厳しい性格なのかと思いきや、口を開けば穏やかな物腰を感じさせるお方である。
そうかしこまらなくてもいい、と管理官殿から言われると、ベリオは「はっ!」と軍人らしい返事をしつつ敬礼を解いた。

「(あっ……いかんいかん、折角の管理官殿からの言葉を無視するかのような態度を取ってしまった…。肩の力を抜こうにも、士官学校での生活が染み付いてしまってなかなか上手くいかん…)…えっ、あっ、は、はい!恐れ入ります…」

直前の自らの堅い言動に対し内心で反省していると、テーブルの、ベリオのちょうどそばに当たる位置にコーヒーを淹れたマグカップが一つ置かれ、ちょうど向かい合う席にもう一つ置かれた。管理官殿の言葉に即座に反応するように、若干慌てて「恐れ入ります」と言い、彼に続いて席に着いた。
よく磨かれたマグカップの中に、黒々としたコーヒーがベリオの表情を映し出している。それで自らの顔が僅かに強張っているのに気付き、頭を下向きに傾けて片手で顔を覆うと、小さく深呼吸をして気分を落ち着かせようとする。
その後落ち着いてきたところで、まだ湯気を立てているマグカップの取っ手を掴み、「頂きます」と一言添えた上で一口、口に含む。勿論ブラックだ。
良い豆を使っているのだろう、上質な香りと酸味の少ない味わいが口一杯に広がり、今まで保持し続けていた悪い緊張をほぐしてくれるようだ。甘党らしい友人の一人はコーヒーに角砂糖やらミルクやらを多めに入れて飲んでいたが、それではコーヒー良さが全く分からなくなってしまう、勿体ないな、とベリオは思った。

『貴官も災難だったな。よもや飛空艇のエンジントラブルとは私も久々に聞いたよ』
「…はい。試験官方に多大なご迷惑をお掛けしてしまい、とても申し訳なく思っております。こうして、管理官殿の貴重なお時間を割いて頂いている訳ですし」

一息ついたところで、早速本題として、ベリオの今回の災難について言葉をかけられる。彼自身、この程度の受難には慣れているつもりだが、こうして公の事情に絡んだ不運が降り掛かると、持ち前の生真面目さから罪悪感が込み上げてくる。
管理官殿は決して怒っている様子ではない(むしろ此方に同情している)が、エンジントラブルで試験に遅れることが無ければ、彼は今頃自分の仕事に専念出来ていた筈である。彼の台詞からして、エンジントラブルの事例は滅多にないようであるから尚更申し訳なく思った。

『さて、貴官には手紙でも案内したとおり、今回の任務から第七候補隊へ配属してもらうことになる。
今回の任務が貴官の国家隊入隊の合否を判断する材料とさせてもらうことは手紙に書いたとおりだ』
「はい、存じております。今回の任務が俺……いや、私の試験代わりとはいえ、重要な任務なのですから、足を引っ張らないよう、存分に尽くしていく所存です」

例の不運により立ち往生していた時に貰った手紙は、この区画本部へ来るまでに何度も目を通しておいた。大まかな内容は2、3回読み返した際に既に頭に入っていたが、見落としている箇所は無いか、意味を履き違えていないかと何度も何度も読み返していたため、現在は手紙の内容を宛名から送り主の名前まで暗唱出来る__筈。
話している最中にふと管理官殿の表情が険しくなった気がするが、敢えて気にしないようにしておこう。
その後の管理官殿からの話の最中に扉からノックの音が響き、管理官殿が一旦席を外した。一体誰が来たのだろうかと気にしながら、緊張を完全に無くすつもりで残ったコーヒーをグイと飲み干す。このような場で一気に飲み干すのは失礼かもしれないが、この後用事が出来て残したまま席を立つのも何だか勿体ないからである。

「……?」

管理官殿の背中が、開けられた扉の出入り口を半ば塞ぐようにして見えている。その向こうには複数の人の姿が見えたが、よく判別出来なかった。
管理官殿の苦々しい言動と、見知らぬ女性らしきヘラヘラとした声が聞こえたかと思うと、見知らぬ人間や亜人が複数人、ぞろぞろと部屋の中へ入ってきた。ベリオもそれに伴い、姿勢を正してすっくと立ち上がり、彼ら(女性の方が多い様子だが)の方に向き直る。
管理官殿__ディノアギスバルガエンズルド区画統括管理官の自己紹介の後に、ベリオの簡単な紹介も新たな来客たちにされたところで、自主的に短い敬礼を済ませ、自らも名乗り出る。

「今回から候補官としてお世話になります、ベリオ・アルスターです。本隊の恥となりませぬよう、死力を尽くして貢献していきます。どうぞ、宜しくお願い致します!」

言い終えたタイミングで、新たな来客たちの自己紹介が始まる。
恐らく、同じ候補官と思われる元気少女、セキア・ルーブ。霞んだマリン・ブルーと貼り付けたような笑みが印象的な亜人の女性、レイニア・ベルダー候補教育官。この中では一番真面目というか、苦労人になっていそうな女性、シスメ・テムセージ弐位書記官。カタコトな口調が特徴的な亜人の女性、ノイ教官補佐。それに続き、ベリオと同じく第七候補隊の白月レイという魔武器の少女が自己紹介をしてくれた。亜人は士官学校で、人間は故郷を飛び出した後に住み着いていた町で飽きる程見てきたが、魔武器とは初めて聞く種族である。……魔武器?

「……白月レイとやら。魔武器…だったか?そのような種族は初めてきくが、具体的にはどのような種族なんだ?…いや、気に障ったならばすまない、俺はこのような国に来てからまだ数年しか経っていなくてな……知らないことはまだ沢山あるんだ。出来る範囲で教えてくれると助かる」

自分でも悪い癖だと自覚してはいるが、レイという少女に対する言動は、心なしか堅く取っつきにくいものになってしまった気がする。しかし、誠意をもってきいてみたつもりだ。W魔武器Wというワードに驚かなかったのは彼自身の無知さの自覚もあるが、自分の種族ほど怖がられるものは無いと自覚している理由もある。もし仮にレイ自身からなんらかの説明を受けても、「世界は広いんだなぁ」というくらいにしか思わないだろう。
現在聞いた自己紹介を一通り終えた直後、最初に元気よく自己紹介をしたセキアが真っ先に此方に向かってきた。内心ビクッとしかけたが、舐められてはならないと思い、表面上は平静を保つフリをする。

「……何だ?」

いきなり近付いてきたかと思えば彼の周りを観察するようにぐるりと一周するセキア。そう言えば、先程から此方を興味津々に見つめていたが……そんなに自分は珍しいのだろうか?
彼女が観察している最中に畳んでいる翼を広げて脅かしてみようかとも一瞬考えたが、ベリオはその考えをすぐに捨て、怪訝そうな目で一言口にするだけに留めた。自分はそういうキャラではないからだ。
一通り観察し終えたらしい彼女は、何やら興奮しているような雰囲気を出しつつ、『力になれることがあったら何でも言って!』とベリオに手を差し出してくる。早々に先輩らしい振る舞いをしたいのか、とベリオは思ったが、こうも屈託の無い笑みを向けられると応えざるを得ない。

「…ああ、宜しく。セキア・ルーブ…だったか。お前はもう少し落ち着きというものをだな__ゴホンッ!いや、何でもない。忘れてくれ」

つい癖で思わず説教じみた言葉を口にしそうになり、わざと大きく咳払いを一つすると、気を取り直して差し出された手を握り返す。あのまま自分で止めなかったら、あのまま本当に説教モードに突入していたかもしれない。初対面早々に顰蹙を買うのは御免だ。

>ディノア、セキア、レイ、レイニア、シスメ、ノイ、ALL

3ヶ月前 No.498

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_Onj

【エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内/アシュレイ・ツィー】

 人が存在する限り物資の流通は必ず生まれる――社会を存続させる商業は自治国家においても変わらず、必然として他国との関係性を築いていた。
 アスールが国策として力を入れている分野は、機工、鉄鋼、兵器に娯楽に生物工学などなどと大分して尚多岐に渡っている。
 あとは魔導具の製造技術が頭一つ秀でてはいるものの、当然これらから割り出されるのは長所に隠れた欠点だ。
 早い話が器用貧乏、無個性なのである。酪農を始めとした第一次産業もそうだが、総じてどの分野にもその道に長けた他国が存在する。
 ……至極当たり前のことなのだが、流通が国の発展に大きく根差している以上、この蒼き国は当然それらに遅れを取っていると言わざるを得ない状況だった。
 まあ、つまりはどれだけ魔導技術が凄まじくとも腹が減っては生きていけないというわけで……必然、国と国との間では古くから輸入業が行われていたのだろう。

 無論、我が国や東の教国もまた別ベクトルに先鋭化しなければならなかったという背景がある以上、奇妙な形であっても、それぞれが相手国を必要とする関係性が構築されたのだ。これもまた、先の魔導大戦が生み出した因果のひとつと言っていい。
 古の魔女が遺した異界の知識は荒廃した世界で唯一不変にして普遍の価値。極論、命綱である。それを頼りに発展してきた結果、獲得した技術の種類が各国それぞれの特徴や傾向を大きく決定づけてしまったということは、もはや疑う方が馬鹿馬鹿しい事実だ。
 そんなわけで、自国にはアレがあるけどソレが足らん。しかし他国はその逆で、という風な持ちつ持たれつの物流関係から、その辺りのインフラはどこの国においても厳重な検査機関が設置されているものなのだ。――少なくとも、聖王国ではそうである。

 ……が、そこに「みんなで仲良く分け合おうぜ」と爆弾を投げつけたのが、この自治国家アスールであった。
 なにせ、聖王国のみならず様々な国家が他国のそうしたテクノロジーを狙っているのだ。
 荷物に紛れて間者が一人、僕のように身分を扮してまた一人、なんてことも当然あるのだから、厳正なチェックを怠ってはならない筈である。
 であるのにも関わらず、今回のように不正ルートを通って流通する品が検挙される始末。これに目をつけず便乗しない愚かな国がどこにあろうか。
 余計な血が流れず懐も痛まない。仮に何かあれば全て自治国家の所為にして自国はシラを切り通すことすら可能なのだから。ゆえに。

「だからこその国家隊、か……」

 斯くして、一行は任務を遂行するべく浮島へと降り立った。
 ここまでの道程を反芻すること数瞬。今朝のブリーフィングにてアンチレダールなるものを受け取り、レイニーに追従する形でウロボロスへ乗車。
 ややあって目的地である区画本部へと到達したわけだが……どうにも着いたからといって「はい、じゃあ開始ね」とは早々いかないらしい。というのも――――。

 ドアノブに手をかけようとしたレイニーの前方。
 ほろ苦い香りを纏って扉の向こうより姿を現したのは、僕と同様に黒白の頭髪を弁えた偉丈夫だった。
 ディーくん――すなわち、ディノアと呼ばれた男に目を遣られて、会釈を返すや否や一行は部屋に通される。
 華美ではなくとも精微に整えられた室内。そこにはマグカップの据えられた長机が配置されている。
 先に椅子へ腰掛けていたのは見知らぬ青年だった。これについてはディノア区画統括管理官から直々に紹介があり――ああ、つまり。
 説明されると納得だった。

 灰髪金眼の先客。ベリオ=アルスターと名乗った白磁は、如何にもといった体で言葉を紡いでいく。
 ゆえに――小気味好い。まるで古い鏡か幼き日の映像でも見ているかのように、くすりと綻びを見せる嫋やかな微笑み。

「僕はアシュレイ、アシュレイ・ツィー」

 セキアに続いたレイを音頭に、まずは一言。
 ふふっ、と物腰穏やかな表情を浮かべて。アシュレイは小さく挙手をして開口する。

「アッシュで構わないよ。よろしく、ベリオさん」


>ベリオ、セキア、レイ、ALL

3ヶ月前 No.499

ますたぁ @usagishi59 ★iPhone=oVdQpL6VUk

【白月レイ:エイルス区画:第一浮遊島:区画本部】

ベリオさんから『魔武器とはどういう種族なのか』という質問をされたので、少し考えてから

「魔武器というのは、かつてこの地にいたと言われる東の魔女、ツキヨミさまが、人間と魔道具を融合させ作った、種族です。魔武器はさまざまな武器に姿を変えることができ、持ち主となる人使ってもらうことで、持ち主の能力と自身の能力を向上させることできるんです。」

と、まるでどこかの辞典から引用してきたのかと言わんばかりの、端的な説明をする。これで相手は理解できたかな。少し心配だけど、多分大丈夫。

他にも、持ち主がいないとろくに戦えないこととかも説明しようと思ったが、セキアさんが割って入ったので、それ以上を説明することができなくなってしまった。

そしてレイはディノア区画総括管理官のほうへと向き直す。
ここ居心地が悪い。早くこの任務を終わらせて自分の庭園へ行きたい。
とレイは思っていた。

≫セキア ディノア レイニア ベリオ アッシュ エルト

【東の魔女ツキヨミ:ルナ企画:中央本部】

「あーここにくるのは久しぶりだなあ……まったくあの連中ときたら。ここなら安全だと思ってアレを預けたのに
わざとあれらと関わらせようとしているのがみえみえだにゃー……。」

黒猫の姿で中央本部の通気口?の中をテクテクと歩いていく。この黒猫こそ何を隠そう、レイたち魔武器を作った張本人、ツキヨミである。世間では死んでいることになっており、「東の魔女が生きているらしい』都市伝説は流れてはいるものも、事実生きていることを知っているものは数少ない
くろねこは若干怒りながら通気口(?)の中を進んでいく。

・>>All

3ヶ月前 No.500

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★2d1sNJyPSG_lXe

【ディノア&セキア&レイニア&シスメ&ノイ/エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

握手は快く交わされた。だがしかし、ベリオの怪訝な表情は変わらない。
確かに、翼を隠している今の彼に外見的に注目すべきところは見当たらない。
セキアが彼のどこにそんなに興味を引かれたのかというと、その答えはすぐに明らかとなる。

『…ああ、宜しく。セキア・ルーブ…だったか。お前はもう少し落ち着きというものをだな__』

「あー! 誰かに似てると思ったら、
エルトにそっくりなんだ! 雰囲気とゆーか、空気とゆーか」

ベリオの忠告の言葉を半ば遮るような形で、セキアは納得に声を上げる。
今は誤解が解けているのだが、どうもエルトも最初は人を寄せ付けないような雰囲気があった。
そんな会ったばかりの頃のエルトとなんとなく雰囲気が似ている気がして、
必要以上に注目してしまったのかもしれない。
その他にもこうしたことで注意を受けるのもエルトからがほとんどだった気がしないでもない。
そして、彼と同じくその忠告はセキアに聞き流される運命にあった。
常にテンションがMAX方向に全振りなそんなセキアに振り回されるベリオを哀れに思ったのか、
ノイがのそのそと横から現れて口を挟む。

「ベリオ、平気? 第七、候補隊、常時、こんな風。
特に、ひどい、とき、強力、ツッコミ、可」

心なしか旅の疲れに、対人疲れが重なった気がしないでもないベリオに同情するような声色で尋ねる。
これから任務もあるというのに、ここで心労を募らせても大変だ。
ブレーキ役の少ないこの隊に、彼のような存在は本当に貴重なのだ。
シスメのブレーキはレイニアによってもはや使い物にならないほど擦り切れているし、
エルトのブレーキはまだ隊に入って間もないこともあり制止力に欠ける。
自分もレイニアには強く出ることが出来るが、他の人が相手だとあまり強くいけない。
この隊はいつもこんな感じだと、ノイは助けを求めるかのように
半ば何かを悟ったような視線をベリオに送った。
と、そんな中、ふとアシュレイの表情が気になったノイは軽く彼の袖を引く。

「アシュ、大丈夫? さっき、から、表情、変。
レイニー、も、同様、顔、するとき、ある。
そういう、とき、いつも、思いつめる、様子、ある。だから…」

いつもより多い言葉数で言葉を紡ぐも、
ちょっと矢継ぎ早に話しすぎたため自分の思っていることがちゃんと相手に伝わっているかどうか自信がない。
過去を懐かしむような表情だったが、その中には良い感情ばかりとはいかないような
何かが混ざっているような気がして、考えるよりも早く思わず声をかけてしまっていた。

そんな二人の様子をレイニアは黙してまま見送り、
次いでぽつぽつと騒がしくなり始めたところ―――ディノアとレイに視線を戻す。

(先ほどから妙にディーくんのことを意識しているような、ああ、なるほどディーくんの服装のせいですか)

口を挟んでもよかったのだが、黙っていたほうがよさそうだと傍観を決め込んだ
レイニアは小さく腕を組んで二人の声に耳をそばだてる。先に口を開いたのはディノアだった。

「白月レイ候補官。配慮が足りなかったことは詫びよう。
この服を着ると身が引き締まるから、こうして国家隊員として仕事をする際はいつもこうしている。
いわばこれが普段着のようなもので定着しているのだ。今は目をつぶってくれるとありがたい」

鶴羽やレイニアが言っていた話は本当だったのだな。
レイの反応を見て、ディノアはそう確信する。何故だか彼女は軍服に過剰な反応を示す。
本人は上手く隠せているつもりなのだろうが、長年この位についてから飽きるほど隊員の顔は見てきた。
自分でも分かるほどの強面だ。特に怯えの感情とは付き合いが長い。
彼女の見せた感情はまさしくそれだった。そして、それ以上に信じられない。
処断官で生真面一本なあの男が、よもや過去にそんな大それたことをしていたなど
レイニアから話を聞かなければ一笑に伏していただろう。
だからというわけではないが、この騒動の渦中にいるこのレイという少女には、申し訳なさを感じた。
次いで魔武器という単語にディノアは静かに反応を示す。

「……そうか。先の一件、こちらの配慮が足りんばかりに苦労をかけたな。
鶴羽とレイニアから話は聞いている。私も立場上キミだけを特別視するようなことはできない。
ただ、個人の範疇で可能なことがあれば、私を頼ってほしい。」

先の一件とは以前、暴漢に追いかけられたことを言っているのだろう。
明らかに自分の顔を見て怖がっているわけではないのだと
確信したディノアは、そういってレイに皺の多い笑顔を向けた。
それにどうもこう年端も行かない少女に警戒されているというこの状況に居心地の悪さを感じたというのもある。
なんにせよ、これで少しでも肩の力を抜いてくれると良いのだが…
横でこの状況を楽しんでいるかのようににやにやと笑うレイニアを鋭い視線で黙らせ、皆の方へ向き直る。

「自己紹介は済んだようだな。正式な国家隊員になる間まで
同じ隊の仲間として各自助け合いながら任務に当たってほしい」

パンと手で小さく拍を打って自分に視線を集めたディノアは、話題の転換を図る。

「さて、今回の移送品と貴官らの任務地について説明する。ノイ、すまないがあれを頼めるか」

「承知」

言うが早いか、ノイがディノアの言葉を受けて部屋を出てすぐ
数分もたたないうちに取っ手のついた強化樹脂製の黒いケースを三つ持って戻ってくる。
机の上に並べられたそのケースの一つを開けると中には豪華な装飾のついた透明なビンが並べられていた。

「今回の任務では、このケースに入れたフェリクスを持ってエイルス区画の旧下水道を通ってもらうことになる。
シスメ書記官。ダンタリオンにあらかじめ地図データは送ってあるはずだが目は通してもらえているかな?」

「は、はいっ! ばっちりと!」

「結構。下水道までの案内はこの私がする。
これは区画統括管理官の言葉として聞いてもらいたいのだが、
くれぐれも旧下水道の存在とそこに至るルートの件は内密に頼む」

あらかじめ言葉を考えていたのかすらすらと説明するディノアだったが、唐突に言葉を切った。
二三度何かを窺うように視線を移動させた後、彼は口を開き――

「それと今回の作戦、貴官らには――――」

「ディーくん」

今まで聞いたこともないような底冷えのする声がそれを遮った。
思わず隣を見る。
セキアの視線の先には、見えないはずのくすんだマリンブルーの瞳でディノアに鋭く視線を送るレイニアの姿があった。

「だがしかし、この件は……」

レイニアの視線を受け、言いよどむディノア。一介の候補教育官であるにも関わらず、
この区画の最高位であるディノアを黙らせるだけの何かがその瞳の奥にはあった。
ディノアに完璧に言葉を飲み込ませることに成功したレイニアは淡々と続ける。

「“どちらが本当の自分か”きちんと見えてます?
心の中に仕切りを作りすぎて、自分が元いた場所がどこなのか分からなくなっていませんか?」

口を挟むことすらままならない空気が二人の間に横たわる。
そんな沈黙を先に打ち破ったのはレイニアの笑顔だった。途端に、部屋の温度が暖かいものへ戻っていく。

「頭、冷えました?」

にっこりといつもの口調で微笑むレイニア。対してディノアの顔は渋いままだった。

「……………貴様は、本当に嫌なやつだな」

盛大にため息を吐き出したディノアの顔はさらに何歳か老け込んだかのように見えた。

「あはは。よく言われます。それこそすごく今更ですねぇ」

気を取り直してとばかりに襟元を正したディノアは咳払いをひとつして皆へと向き直る。

「失礼した。話は以上だ。現場へ移動後すぐ任務にあたってくれ」

>レイ、ベリオ、アシュレイ、ALL

3ヶ月前 No.501

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

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2ヶ月前 No.502

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_Tbw

【エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

建物の中に入り、数分ほどの移動時間を経て会議室と思わしき部屋の扉を開けた所で…先頭にいたレイニアが扉に手を伸ばしたタイミングで、中から一人の強面の男が扉を開け、そのまま正面衝突してしまった…体格差から惨事にはならなかったのだが。
「きょ…教官!?」
…それだけならばよかったのだが…当の本人たちにとっては馴染みのやり取りだったのかもしれないが、初見であるこちらとしてはそんな事が分かる訳もなく…ディノアの強面を気分を害した故にと判断してしまい、思わずレイニアを呼び止める。
結局は『候補官の手前』と、いったん置いておくことにしたディノアに促されるまま、部屋へ入室すれば…先客であろう人物がおり…何者かと考える前に、ディノアから新たに候補官に配属されるものだとの説明がなされた。

>レイニア ALL

他の候補官の面々が、新たな候補官『ベリオ・アルスター』とあいさつを交わしている中、一足遅れつつも自身も名乗ろうかと言った所で…いつものセキアの暴走…もとい、好奇心が発揮されてベリオを周囲から伺うような挙動をしているのに気が付いた。
(…まったく…先日行ったばかりだろうに)
と、内心でため息をつきつつも放置するわけにもいかず、セキアを制しようとしたところで…当の本人たるベリオの方から窘めるような言葉がセキアに向けられた。
(…ふむ…こういった経験は以前からあったってことだろうか?)
後半の言葉こそ呑み込んだものの、見事にセキアを止める事に成功していた…かに見えた。

「セキア…いい加減にしなさい」
なおも止まらず、捲し立てる勢いでベリオに詰め寄り、喋り続けるセキアの後方から首根っこ…を直に摘み上げるのは流石にやりすぎと考え、衣服の首裏の辺りから摘み上げ、軽く後方へと下がらせた所で開放する。
「エルトだ…セキアも悪気があるわけではないんだがな…まぁよろしく頼む」
そうして簡潔に名乗るだけ名乗ったところで他の候補官同様、手を差し出し握手を求める。

>ベリオ セキア ALL

そうやってひとまずの挨拶にひと段落がついたところで、何やらレイやディノア、レイニア達が別件で密かにやり取りをしていたようだが…それもまた一段落ついたようで、さっそくとばかりに任務への説明がなされる。
そこで何やらディノアから補足がなされようとしたところで…レイニアがそれを制し、窘めるような事を言い、話を打ち切らせる。
(…ただ物ではない…と言うのはわかっていたつもりだが…彼ほどの立場にも影響を及ぼすか)
それは数分にも満たない、僅かなやり取りであったが…それでも十二分なインパクトを感じさせるに足ることであった。
…それに対し少し考察しようかと思いかけた所で…咳払いをしたディノアが、さっそく任務に掛かるようにと告げ、解散の雰囲気が一室に行き渡る。
(…今は任務に集中すべき…か)
脱線しそうになった思考を引き戻し、任務のためにと思考を切り替える事にした。

>ALL

2ヶ月前 No.503

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★0ktEkum2SA_lXe

【セキア/エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

「なはは、ごめん。仲間が増えるのが嬉しくて変なテンションになっちゃった。
それに話ならちゃんと聞いて…うわとと」

ベリオの言葉で気付いたのか、咄嗟に大きくなりすぎた声のボリュームを落とすセキア。
うん、まぁ、そう。今しがた口にしている彼女の言葉どおり、聞いてはいるのだ聞いては。
ただそれがきちんと反省材料として生かされていないだけで。
ベリオの鋭いツッコミに動じた様子もなく、にへらと能天気に微笑んだセキアは
めげずに会話を再開させようとして、後ろから加わった力に思わずたたらを踏んだ。
何が起こったのか理由は明白、襟の後ろを予告なしに摘まれたのである。
後ろ向きに倒れかけたセキアは、意図せずして
そのまま首根っこを掴んでいる手の主の体にぽすんと受け止められる。
何事かと振り向いた先には、案の定というべきか疲れと呆れを濃くした表情のエルトの顔があった。

「あ、エルト。へへ、エルトにも怒られちゃった。
前々からうすうす思ってたんだけど、エルトってなんかお父さんっぽいよね」

エルトの心情を知ってか知らずか、まるで謀ったかのような彼の登場のタイミングに、
注意を受けているというのをそっちのけでセキアは嬉しそうに笑う。
話の脱線はセキアのお家芸だ。が、彼女の話題はさらなる飛躍を始める。
山を駆け上ったセキア特急は早くも空へと進行を開始し始めた。

「そうだ。だったら、特にこれに気をつけてほしいとか
これダメとか、そういうのあったら
任務の後とか合間の時間のあるときでいいから徐々に教えていってほしいかな」

いくら種族間の壁がうすいアスールといえど、まったく溝や壁がないというわけではない。
どうしても体質や食糧事情、倫理観の違いがあるから、
例外はあれど区画ごとに明確な種族の偏りができているのだ。
今日まで目立った軋轢や衝突がなくこれたのも、ひとえにそこに住む者が
正しくアスールの理念を理解していることと、先達の国家隊員たちの働きによるところが大きい。
国家隊に所属している以上、そういった問題に立ち会うこともあるかもしれない。
それを理解しての発言なのかそうでないのかはその能天気な顔からは判別できないが、
今回ばかりはエルトとベリオの言葉をきちんと受け取ったらしく二人の顔を交互に見比べながらそう言った。

>エルト、ベリオ、ALL



【ディノア&セキア&レイニア&シスメ&ノイ/エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

ディノアが説明を締めくくったのを皮切りに、
レイニアはパンパンと手を叩いて注目を自分に集めると指示し始める。

「はいはーい、ではそろそろ移動しましょ〜。シスメちゃん。ちょっと誘導をお願いできます?」

レイニアの声を受けたシスメはキョトンと目を丸くした。

「え? あ、はい。地図データがあるので大丈夫ですけど…その、このままトンズラとかやめてくださいね」

「あはは。ちょくちょく失礼ですよねぇ、シスメちゃんって。
品行方正かつ真面目一本だと近所でも評判の私がそんなことするわけないじゃないですか〜」

じとりとしたシスメの視線を軽く受け流したレイニアは、
全員が退室するのを待って、椅子の上で神妙な雰囲気を漂わせるディノアに言葉をかける。

「で、なんですか? さっき机を指で三回コンコンしましたよねぇ」

先ほどこちらにしか分からないような音量で送られた
今やもう形骸化したと思い込んでいた合図を彼が覚えていることに
素直に驚きつつも、それ以上に話の内容が気になったレイニアは単刀直入に訪ねる。
はて、候補官の手前だと言ってさっき遠慮したお小言とやらの続きでも言われるのだろうか。
しかし、レイニアの予想は大きく外れた。

「レイニア」

「はい?」

「その、だな………体のほうはいいのか?」

ああ、なるほど、と顔には出さず一人ごちる。
なんとも形容しがたい気持ちに僅かに目を伏せたレイニアはいつもの微笑を顔に浮かべる。
だが、その笑顔はいつもに比べて誰が見ても作り笑いと分かるほどに下手糞だった。

「あは。まさか天下の区画統括管理官殿からセクでハラな質問を受けるとは思いませんでしたねぇ」

「真面目な話だ。鶴羽も心配していたんだぞ……アミルも、ヒルカもだ」

本人にバラしたらてめぇに火床の煮汁をすすらせてやるですよと
顔を真っ赤にしていたヒルカの言葉を都合よく無視してディノアは続ける。
対してレイニアは珍しく気まずそうに顔をそらした。

「…………あはは。そんな声ださないでくださいよ、ディーくん。
大丈夫です。そのための候補隊ですし。きちんと見極めたら早々に隠居させてもらう予定です」

「あの少年少女らが器だと?」

「はい。今はまだ、ですけど。それまではサポートをお願いしますねぇ」

「ふん。この借りは高くつくぞ?」

「えー、それ作ってあげたじゃないですか。ディノア区画統括管理官殿」

ディノアの腰にある刀を指差すレイニア。
ああ、このやりとりも久々だな、とディノアも応じる。

「貴様に格闘と剣術を教えたのは誰だったか忘れたか? レイニア・ベルダー候補教育官殿?」

いつもの言葉を締めくくりとして、二人の会話は終わりを告げる。
目が不自由なことを忘れるほどの素早い動作で
ドアを開けて出て行く元部下の姿を竜族の男は深いため息と共に見送った。




【ディノア&セキア&レイニア&シスメ&ノイ/エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

【セキア&レイニア&シスメ&ノイ/区画本部内/旧下水道入口前】

一方その頃。

「そ、その…あの二人は一体どんな話しをしているのでしょうか。
レイニアさんがあんなにディノア区画統括管理官と親密だったなんて知らなかったですよぅ…」

「二人、いつも、ナイショ、話、多い。
私も、ときどき、蚊帳の、外、ある。納得、いかない、じぇらじぇら、する」

眉尻を寄せるシスメと、腕組みをしたままふんすと息をつくノイ。
見事な対比を描く二人と第七候補隊の面々は、
この区画本部の地下、巨大な石造りの扉の前で目的の人物が到着するのをいまかいまかと待ちわびていた。

「「むぅ………」」

共鳴する二人の唸り声。
そこに無神経にも脳みそゆるふわな少女によって特大の爆弾が投下された。

「応援していたアイドルに女の影が忍び寄って動揺を隠せないファンの心境?」

「ち、ちちちがいます! ちがいますよぉ! 本当にそんなわけじゃ―――」

誤魔化すように高速で手元の記録用魔導具のページをめくりはじめたシスメの声を遮ぎるように
レイニアの声が差し込まれたのはそんなときだった。

「やーやー、お待たせしました皆さん。それではちゃきちゃき運んでしまいましょうか〜」

ぱたぱたと小走りに駆け寄ってくるレイニア。
どこか剣呑なノイとシスメ両名の視線を受けたレイニアは小さく首を傾げる。

「おや、どうしました?」

「…………いえ、なんでもないです」

何故か疲労の色の濃いシスメの声に疑問を隠せない様子のレイニアだったが、
すぐに皆へと向き直り、ノイの手の中にある三つの黒いケースを指さす。

「では〜、誰がケースを担当するか。
旧下水道に入る前に決めてしまいましょう。立候補したい人とかいます?」

どうやら今回は観察役に徹するといったとおり、レイニアはケースの運搬に手を貸さないようだ。
含みのある笑顔で立候補者の手が上がるのを待った。

【遅ればせながら祝! 500レス!
ここまで来られたのもひとえに丁寧にロルを回していただいている参加者様のおかげです!
いろいろと不足のあるスレ主ですが、これからもよろしくお願い致します^^】>ALL

2ヶ月前 No.504

ますたぁ @usagishi59 ★iPhone=oVdQpL6VUk

【白月レイ:エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

ディノア管理官は私の複雑な事情を知っているらしく、軍服を着ていることや先の一件のことについて謝罪をしてきた。

「いえ、そんな……私自身の問題ですし、ディノア管理官がお気に病むことでありません。」

それは偽りでもなく、まぎれもない事実だ。軍服をきた大男に関して恐怖心を持ってしまっている私の精神的な弱さのせいでディノア管理官に気を使わせてしまったし
先の暴漢に関しては、本当にディノア管理官にはなんの責任もない。

なんとなくディノア管理官に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。

そうこうしているうちに、任務の話が進んだ。
旧下水道を使って例のフェニクスを運ぶらしい。旧下水道の存在に関しては機密事項らしいので、そのことにコクリと頷いた。

≫ディノア管理官 レイニア エルト ベリオ アシュレイ

【白月レイ:エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

『…すまん。えー、今の俺には、魔武器の事情を深くまでは理解出来ない。しかし…もし何か自分の周りで困難なことが起こったなら、俺にも頼ってくれ。出来る範囲でなら、お前のことも援護出来る筈だ』


そう言われて、レイは少し驚いた顔をした後優しく微笑み

「ありがとうございます。」

と言ってと返すことしかできなかった。
初対面だったと言うこともあるだろうけど
誰かに自分の問題を負担させたくはないという思いの表れだった。


ベリオ

2ヶ月前 No.505

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【ベリオ/エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

初っ端から相手のテンションに振り回される羽目になってしまったが、そんな彼に救いの手を差し伸べるかのように、『エルト』と名乗る少年が能天気に笑う相手__基セキアの服の襟を摘むようにして強制に下がらせる。
そうされたことで漸く落ち着いたのか、セキアによる一方的(?)マシンガントークが始まらずに済み、ベリオは僅かにホッと安堵の溜息を漏らした。当の彼女は反省しているのかしていないのか、エルトに対し「お父さんっぽい」と言い始める。もし彼女がベリオの通っていた学校の学生だったら、担当の教官から拳骨を食らっていただろう。それだけ態度と私語に厳しい学校だったのだから。

「こいつを落ち着かせてくれて感謝する…。改めて、俺の名はベリオ・アルスター。此方こそ宜しく頼む」

一言感謝の言葉を口にし、エルトから差し出された右手を自らの右手で握り、握手をする。
ちょうどその時、現在の状況の中心にいるセキアから、特に気を付けて欲しいことや駄目なことがあったら時々教えて欲しい、という要望の声が上がった。気を付けて欲しい、というなら、先程のように自身の話を優先してしゃべくるなと言いたいところだが、それを今言うのは野暮というものだ。彼女の性格からしてどうせ無理な要求であることはベリオにも分かる。
彼女の表情や口ぶりからして、恐らく種族的な部分の話をしているのだろう。人間と亜人の間には決定的な違いがある。それ故に亜人等の種族は普通の人間と比べ劣勢的な立場を強いられ、逆に人間は亜人種を必要以上に恐れる傾向にあると、幼少の頃に知った。全種族平等を謳うアスールであれど、潜在的な差別意識によりお互いを傷付けることだってあるかもしれない。
第一印象の所為であまり落ち着きのない少女にしか見えない彼女だが、そういう注意を払おうと出来るところは感心するなとベリオは思ったが、口にすればまた何かしらうるさくなりそうなので思うだけである。

「…そうか。なら丁度いい……色々言いたいことはあるが、時間が無いから一つだけ言うぞ。亜人には人間とは違う文化や身体的特徴なんかを持っていることは知っているだろう?そうしたことに対して突然あれこれ問いただすことは遠慮して欲しい。そうされることで傷付く奴もいるからな…」

__俺のように。という末尾の台詞を飲み込み、そう告げる。今は、今はまだ自分の素性を勘繰らせるような言葉は言わない方がいい。せめて将来相手の人柄を深く知ることが出来てから、自身の体質を受け入れることの出来る者であると分かってから、そういう台詞を口に出せるようになろう。もしこんな時期にバレれば、何もかも終わりだ。

>エルト、セキア


『ありがとうございます。』

そう言ってレイは微笑みを返した。それを聞いて少し安心したが、半ばの不安もベリオにはあった。
先程僅かに視界に入ったが、ディノアの服装に恐れのような感情を抱いている表情を浮かべたことや、魔武器という人為的に生み出された種族の出身であることが、その理由だった。
今回は任務に参加しないということだが、それでも彼女の身の安全が保障された訳ではない。任務の遂行は積極的にするつもりだが、同時に同じ候補隊員らを守れるだけの対策もしておかねば、と改めて身を引き締める。

>レイ


【ベリオ/区画本部内/旧下水道入口前】

ディノアの話が終わった直後、レイニアから移動の合図が入り、他の候補隊員らと共に部屋から出ていく。通路を歩いている途中でレイニアの姿が無いことに気付き、キョロキョロと辺りを見回すが、すぐに止めた。先程のディノアのレイニアの会話姿を思い出し、きっと二人きりじゃないと話せないことでもあるのだろう、と考えたからである。
その後、この区画の旧下水道の入り口だという巨大な石造りの扉の前で、自分なりの戦闘態勢の一つとして、額に掛かる前髪を上げるようにして愛用のバンダナを巻き、その上から帽子を被り直していた。こうした方が射撃や暗所での行動に都合が良いのである。
その背後にて女性陣数人による女子トークが繰り広げられていたが……そこは紳士らしく、耳を伏せる等して聞かないようにしておいた。

『やーやー、お待たせしました皆さん。それではちゃきちゃき運んでしまいましょうか〜』

扉とは反対方向__つまり自分たちが歩いてきた道の向こう側から、お待ちかねの人物が登場した。
その人物基レイニアは早速ケースの運搬役候補を決めようと提案してくる。自分は運搬役にならないというような口ぶりだが、彼女は目が不自由なようなので仕方ないのだろう。
誰も我こそがと名乗り出ていない頃、ベリオはスッと真っ直ぐに手を挙げ、名乗り出る。

「…その役目、自分が立候補します。暗がりは自分の庭のようなものですし、いざという時にはケースを安全な場所へ退避させるために動くことも出来るでしょう。…ですが、その立候補者を完全に決定する前に、皆の特技や能力の把握をさせて頂いても良いでしょうか?」

ケースの運搬役として立候補する理由を並べた後、それだけでは無く任務に参加する候補隊員の能力も把握したいと申し出る。ベリオはあくまで正規の試験に遅れる形で参加しているのだ。実戦での仲間の戦闘スタイルをこの目で見ることが叶わなかったため、安全にケースを運ぶためにも、必要ならば仲間に適切な指示を出すためにも、それは知っておきたい。

「…因みに、俺は超音波を使って暗闇の中のものを把握することが出来る。所謂反響定位(エコーロケーション)という奴だ。夜行性の蝙蝠系の亜人なら誰でも持っているような能力だな…。亜人には超音波も認識出来るようだし、何度も使うとうるさいらしいから、連発は出来ないがな…」

言い出しっぺの法則ということで、まず最初にベリオの能力の一端を明かしておく。普通の人間は認識出来ないという超音波を使っての行動は、幼少期より用い続けてきた。暗所をW自分の庭Wと称したのはそれが理由だったりする。
他にも翼を使っての飛行も可能だが、それは開放的でない下水道の中では困難だろうから、敢えて伝えない。蝙蝠系と言った時点で察する相手は多いだろうし。

>ALL


【おおう……500到達は視認していたのに理解していませんでした…!(((
改めて500レス到達おめでとうございます!次は1000レス行けるように頑張ります!】

2ヶ月前 No.506

ますたぁ @usagishi59 ★iPhone=oVdQpL6VUk


【東の魔女ツキヨミ:ルナ企画:国家隊本部】

中央本部の通気口内を余裕綽々で歩いている黒猫が一匹。

「えーっと…鶴ちゃんの部屋はどこだったかにゃー……」

まるで昔からの顔馴染みのように、この国家隊でそれなりにえらい人の名を口にしながら
その猫は迷わずその部屋へと歩いていく。
通気口の中なので、誰かに見つかる心配はないが、それでも緊張感のカケラもないのは、自分の能力に自信があるからに他ならない。

「このあたりだったかなー……よっと……」

お目当ての部屋を見つけ、通気口からヒョコッと出てきて、あたりを見渡す。
ここで間違いない様子だけど、当の本人はいないみたいなので、あくびと伸びをした。するとみるみるうちに人の姿に戻り、偉い人が座りそうな黒い椅子に遠慮のかけらもなくどっさりと座り

「なーんだいないんだ……まあいいか。まっていれば、そのうちくるよね……。」
椅子に座りながらクルクルと回る。


≫ルナ区画国家隊本部

2ヶ月前 No.507

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_Onj

【エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内⇒旧下水道入口前/アシュレイ・ツィー】


「ん……ああ、いや――大丈夫だよ」

 袖を掴み、拙い公用語で男――アシュレイを慮るノイの頭を撫でて、「ありがとう」と一言謝意を述べる。
 察するに彼女の忖度は、何か良くない過去でも思い出したのか、という体での心配だろう。
 その憂色は、ともすれば的を射ているが……しかし今回のそれは決して悪性ではなかった。
 むしろその逆。愉快にさえ感じた現状に、旭日の騎士は二の句を紡ぐ。

「ただちょっと、彼の態度が初めてこの隊に来たときの僕と重なってね。それが可笑しくて」

 その面映ゆさに張り詰めた表情は幾分か和らぐ。第七候補隊の面々には、当時の僕もこんな風に見えていたのだろうか?
 人差し指で頬をポリポリと掻き、遅れて訪れた羞恥は苦笑を交じえて口外へと通過した。
 ……思えば入隊したのはつい数時間前だというのに、早くも順応してしまっている自分に軽い驚きを覚える。
 成る程、自治国家アスール。多種族異文化さんざめくこの国の最大の武器とは魔導技術などでは断じてなく、文字通りすべてを受け容れる懐の広さなのだろう。

 閑話休題。
 やがて滞りなく――とは些か言い難いが――一通り任務概要を把握したところで、一行は当初の目的地である旧下水道入口前へと到達していた。
 ベリオやエルトらと共にレディー三名の談話を尻目に待機していると、ややあってレイニアが参着する。

 言うが早いか、誰がケースを持つのかというレイニーの弁に逸早く反応したベリオの提案に、アッシュもまた頷きを以て回答する。

「それについては僕も賛同します。なにせ僕にとっても初陣ですから」

 ――というのも、彼もまたベリオ同様に正規の隊員ではない。
 つまりは今回の任務をクリアすることで漸く、正式な国家隊員として認められる……そういう契約だ。
 ゆえに彼の異能、不鮮明だったその真骨頂もこれにて明らかとなるのだろう。ならば――――。

「ああ、僕は―――、」
       .      ・・・・・・・・
 だが。否、当然の如く。そうなるべくして彼は言い淀む。
 よって、その質疑応答は燦然世界に相応しからず。
 星の塵芥は目覚めぬまま、白灰色の灯火は未だその蝋翼を融かさないでいた。

「……媒体なしに宝石魔術が使えるのと、あとは剣が多少使えるくらいかな」

 判定――――、不適格。
 顎に手を添えて、どこか誤魔化すような声色でアシュレイは言葉を結んだ。


>レイニア、ベリオ、エルト、ALL

【500レス突破&あけましておめでとうございますー!
 いやー、僕は筆を執り初めてまだ数レスの滞在ですが、早いことに随分長い間このスレで皆さんと関わっているような気分になっております。
 馳せる感情に反して語れる想いの丈、そして言葉は未だ少ないですが、アッシュくん共々本年度もよろしくお願いします……!!】

2ヶ月前 No.508

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_Tbw

【エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内】

「おとっ!?…あー…いや、まぁ進んで交流を図ろうとすること自体は悪いとは言わないが…」
『お父さんっぽい』と、言う予想だにしない言葉に不意を突かれ、ペースを乱されつつも何とか持ち直し…別に不快だったという訳ではないようだが…
「…どこまで許容できるかというのをよく見極めるように…最初は難しいだろうがな」
ベリオからも『身体的特徴や文化』などを無遠慮に問い詰める事は遠慮して欲しい、というアドバイスを受けるセキアにそう助言する。
…幾多の種族が集うこのアスールと言う国において、彼女のように物怖じせず交流を図ることができる、というのは長所と言えるだろう。
これからの事を考えれば、その長所を伸ばしておく事は国家隊としての活動に役立てることができるはずだ。
(…まぁ…もう少し自制が聞けばとの但し書きは付くが)
故にあくまでもやんわりと…どちらかと言えば呆れ気味と言った様子でそう助言をするにとどめる事にしたようだ。

>セキア ALL

「何、大したことじゃない」
礼を言いつつ握手を交わしたベリオにそう言って、ひとまずの顔合わせを終える。
(…表面上は何もない…つもりなんだろうが)
だが、先のセキアとの会話の中でどこか違和感を感じ…実際に接してみるとその違和感の正体に思い当たる。
(何か後ろめたい物がある…という感じだな…)
何処となく、雰囲気に硬さのような物を感じ…それが緊張によるものだけではなく…隠し事をする子供などと言えば少々言葉が悪いが…によく似た物と感じ取れた。
(まぁ亜人種にはそう珍しい事でもない…らしいが…)
とは言え、その後ろめたい雰囲気も悪意から来るものではないようで…それを無理に聞き出すのは少々無遠慮に過ぎる。
「まぁ…ここの空気に馴染むのも結構骨が折れるだろうからな…何かあれば遠慮なく相談してくれ」
故に、他愛無い言葉としてそう締めくくる事にしたようだ。

>ベリオ ALL


【エイルス区画/旧下水道入口前】

任務に関しての説明が終わり、いざ移動…と言うところでレイニアがシスメに先導を促し隊員たちを移動させようとする。
(…ふむ…何かあるのか?)
先の任務の説明の最中、ヒヤリとするような部分があったが…それを蒸し返すような雰囲気はまるで無いため、大した事ではないと思うが…
…少し気になる所ではあるが…わざわざ人払いをする程なのだし、説明するつもりはないのだろう。
(間違いなく煙に巻かれるだろうしな…それも複数を巻き込んで茶化すように…)
…そう長くはない付き合いだが…多少はレイニアの事を学習したようで、何も言わず引き下がることにする。

「…親密と言うには少し違う気がするが…まぁ教官も上役同士でしかできない話と言うのもあるだろうさ」
レイニアとディノアの関係に対し、どうにも思うところがある様子の2人をなだめるようにそう言う。
(…親密…まぁ間違ってはないんだろうが…どちらかと言えば…『戦友』…と言った方がしっくりくるな)
あいさつ代わりに憎まれ口をたたき合うあの2人は死線をくぐり抜けた兵士のやり取りを想起させ…それが事実だとすれば先の考えも腑に落ちる。
(まぁ…有ってたとしてもだからどうしたと言う話ではあるが…)

…そんな事を考えていたところで、いつの間にかレイニアが戻ってきており…件の荷物を誰が運ぶかで立候補者を募り始めた。
(順当に考えれば後衛の俺が持つべきだろうが…)
と、考えて名乗りをあげようとしていた所で、ベリオから各員の戦力的な情報を共有すべきと言う意見が出た。
「…そうだな…俺は基本的な魔術での火力支援がメインだが…多少ならこいつで前に出れない事も無い」
そう言って、刃のない剣の柄…『アルカナイザー』を取り出し、一般的な長剣ほどの刃を出現させる。
「ただ…出来なくはないと言うレベルだからな…手練れと真っ向から撃ち合えるとは思わないでくれ」
他の候補官達同様、簡単にそう説明し役目は終わったとばかりにアルカナイザーの刃を消失させ、言葉を続ける。
「そういう訳だ…フリーな前衛は欲しい所だし、候補がいないなら俺が運ぼうと思うんだが…」
しかし、先ほどのベリオの話から、この環境において運搬役としては彼の方が有用ではある…が、同時に護衛としての戦力としても当てにできるだろうしどちらが良いかは悩みどころだ。

>ノイ シスメ ベリオ アシュレイ ALL

【あけましておめでとうございました…大変お待たせしましたが、500レス突破おめでとうございます!!これからも燃え尽きるまで付き合っていきたい所存なのでどうぞよろしくお願いします!!】

>ALL

2ヶ月前 No.509

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★cKuyENUdPP_lXe

【セキア&レイニア&シスメ&ノイ/区画本部内/旧下水道入口前】

「あはは、エルトすごい声。おとっ!?ってあはは!」

エルトの反応がよほどツボに入ったらしく、ケタケタと笑い出すセキア。
先ほどベリオに注意されたばかりなので、声量は抑え気味だったが、
とうとう耐え切れなくなったのか、ひぃひぃと過呼吸になりかけながらおなかを押さえ始める。
が、続くエルトの言葉で我に返ったセキアは目尻の涙を拭いつつ、ベリオへと向き直った。

「うん、分かった。気をつける」

時間がないというベリオの言葉に倣うかのように、
短い言葉とともに、いつものケタケタとした笑い声を潜めてベリオに静かに微笑を返す。
次いで、話題に上がった各々の能力の把握というベリオの提案に対し、
セキアはいのいちばんに嬉々として説明を開始する――かと思いきや、
手にした魔導書に視線を落としたままの姿勢で固まってしまっていた。

「?」

ふと襲い来る違和感。
セキア自身もその正体が判然としないようだったが、
空いているほうの手に視線を落とした瞬間、
その正体に気付いたのか、小さく息をのむ音が聞こえた。

「あたしは――」

ふと、隣を見る。だが、そこに彼女――レイの姿はない。
いつからそう錯覚していたのだろうか。これまでの勝利が、全て自分の力によるものだと。
傲慢にも、そう思いこんで、思いかけていた。あのときも、あのときも、あのときだって、
私はこの国に来てから自分自身の力で何かを切り開いてきたことなんか一度もない。
目の前に差し出された彼女の手に、その優しさに、ただ縋りついていただけだ。
至極当然の事実。当たり前を再認識する。ああ、なんだそういうことか。

(あたしって弱かったんだ)

ベリオ、アッシュ、エルトの口から語られていく明確な自分との力量差。
努力を怠ってきたわけではなかった。気持ちで負けたつもりもなかった。
それでも、この国に来るまでに嫌というほど体感した現実に、
ふっと自分の足元だけが崩れて落ちていくような喪失感を覚えた。
あたしは、弱い。使える魔術はお菓子を爆発に変えるシュガーバーストだけ。
身体能力は人間基準、加えてその人間の中でもズバ抜けているというわけではない。
何ということはない、元の自分に戻っただけ。なのに、なんで

(あれ、あたしの手ってこんなに冷たかったっけ……?)

どうしてこんなに不安になるのだろうか。
悟られないよう、ぐっとキャスケット帽のつばを掴んで深く被りなおしたセキアは
ベリオ、アッシュ、エルトに続いて自身の能力について説明を開始する。

「3人ともすごいね。あたしはこういうお菓子とかを爆発に変える
熱変換系の魔術が使える…というかこれしか使えないんだけど…。どっちかというと後方支援向きかな」

なんとか急ごしらえの笑顔を取り戻したセキアは、
水玉模様の包み紙にくるまれたキャンディーを
手の中でころころと転がしながら、簡潔に説明を締めくくった。

>ベリオ、エルト、ALL




ノイの憂慮はどうやら杞憂に終わりそうだった。
その証拠に、こちらを見返す旭日の騎士の青い瞳に陰りはない。
頭に感じる手の重みを目を細めて受け入れたノイは、
どこか照れくさそうに頬を掻くアッシュに微笑みを返した。

「その顔、好き。アシュ、いつも顔、変……変?
訂正、いつも笑顔、違和感、ある。今の顔、自然、良い。
……陳謝。言葉、下手、上手く、言えない」

こちらの拙い単語形成文をアッシュが上手く受け取ってくれたことに安心したのか、
いつもより多い言葉数で必死に言葉を紡ごうとしたものの、
上手く自身の心を表現する言葉が見つからないのか、しばし考え込むノイ。
やがて、先の言葉を弁明するかのように、ぽつりぽつりといつもより早口で言葉を紡いだ。
どうやら、ときどき無理に笑顔を作る人が常日頃から近くにいるせいか、
彼の笑顔は正しくその人と同じにノイの目には映ったらしい。
ほどなくしてアッシュの袖を離したノイは、今上がっている各隊員の能力についての話題へと加わる。

「最後の、ケース、立候補者、皆無、なら、私、挙手」

ベリオとエルトがケースの運搬に名乗りをあげ、残るケースは一つ。
はたして自分が名乗り出たところでケースを守りきれるかどうか、
自信喪失中だったことも手伝ってセキアがどうしようか悩んでいると、突然ノイが名乗りを上げる。

「え、ノイちゃんもこの任務に参加するの?」

思えば、ノイの戦闘シーンを今までほとんど見たことがなかったセキアは、急き込んで彼女に尋ねる。
どうもこのちんまい少女が前線に出るという光景を
想像できなかったというのもあるが、その心配はすぐに杞憂となった。

「肯定。能力、披露。私、これ」

そう言うが早いか、ノイはいつも持ち歩いている
ヴァイオリンケースの留め金を外すと、それを大きく空へと振り上げた。

「スルト」

ケース内からバラまかれる黒鉄の部品群。
それぞれが明らかな重量物と分かる速度でノイの頭上へと降りかかったその時、
彼女の言葉が合図となり、バラバラだった部品群は空中でより集り、一瞬で巨大な長銃へと姿を変える。

「長距離、精密射撃、可。広範囲、一定時間、掃射も、可能」

空から降ってきたそれを危なげなくキャッチしたノイは、
銃身を下に向けた姿勢で小脇に抱え、淡々と自分に出来ることを説明し終えると、
同じくケース担当に立候補したエルトとベリオにノイはつかつかと歩み寄る。

「ベリオ、エルト。これ、進呈」

そう言うと、フェリクスの入ったケースと一緒に、
両端に金属製のフックのついた黒い合成繊維製のバンドを二人に向けて差し出した。

「これなら、両手、使用、可。ただ、過信、禁物」

手本をしめすかのようにケースの両脇についたリングに
フックを通した後、バンドをたすきがけにした彼女は、
確かめるように何度かバンドを引っ張ってみせ、
強度はばっちりとばかりに二人に小さくサムズアップした。
ベリオとエルト、ノイが立候補し、それぞれケースの担当が決まったところで
唐突にレイニアがすすっとレイとの距離を詰めたかと思うと、その手を取る。

「レーイさん」

いきなり何事かと目を見開くシスメを尻目に、レイニアはマイペースに言葉を続ける。
その見えないはずのくすんだマリンブルーの瞳は、
なぜかこちらをちらちらと窺うセキアのほうを向いていた。

「レイさんレイさん。また手をお借りしてもいいですか?」

セキアから視線を外したレイニアはレイに小さく首をかしげてみせる。
普段はノイがすぐ傍についてこちらから催促せずとも手を貸してくれるのだが、
今回の任務に加わるため、補助は期待できない。
加えて、今回の任務はアッシュとベリオの入隊試験も兼ねているため
シスメも任務の記録に集中しなければならず、
ともなれば、レイニアはレイに頼るよりほかないわけなのである。
普段歩きなれている場所なら問題ないのだが、今回は極秘中の極秘ともされる旧地下水道のため
当然のようにレイニアも足を踏み入れたことはない。
まぁ、それを差し引いたとしても、以前レイの庭園を訪れた際の彼女の補助が初めてとは思えないほど
とても丁寧だったので、もう一度それに預かりたかったというのが正直なところだ。

「あはは、というわけでー、見学組同士、仲良くしましょうかレイさん。
今回は皆さんが慌てふためく様を面白おかしく観察しながら高みの見物と行きましょう〜」

「そういうことは思っていても口にしないものですよ、もう……」

なぜか始まる前から疲労困憊といった様子のシスメの声が低く旧下水道入口前の広場にこだました。

>アッシュ、レイ、ベリオ、エルト、ALL

2ヶ月前 No.510

希石の皇子 @adrasteia ★qa9glxeVZq_uLX

【エイルス区画/第一浮遊島/区画本部内・旧下水道入口前/アシュレイ・ツィー】


「ははは……参ったな。
 レディーにそのような心遣いをさせてしまったのは、エコー以来かな」

 絶星のエコー。詳細は割合するが、彼の幼馴染に当たる少女の名だ。加えて語るならば、彼の嘘を「壊滅的」と評した件の同僚も彼女である。そんなエコーと比肩したノイの言い分とはとどのつまり、贋物は不要という旨の顧慮であった。
 ……たしかに。ノイのその指摘に誤りは一切なく、真実アシュレイの浮かべる笑顔のほとんどは感情の模倣に過ぎないのだろう。
 無論アシュレイとて底抜けの愚者ではない。その行為が偽善であることは否定しないし、己がどうしようもない破綻者なのだとも自覚している。
      、     、     、     、     、      、      、      、      ・・・・・・
 しかし彼にとってそれは、誰もが笑って暮らせる世界を望んで奮い立った男の願いであり――――ああ、つまり。要はこの男、憑かれているのだ。

 閑話休題。
 作戦決行を前に苦虫を一ダースほど頬張ったかのような何とも言えない表情をしていた彼は、三人の言葉を受けて正当を切り出した。

「ならば僕が近衛を務めよう。……どうやらこの中で最も白兵に手馴れているのは僕みたいだしね、いざというときは壁くらいにはなれるさ。
 ――――それじゃあ、行こうか」

 真実は未だ霧の中。
 虎穴の底にて仄めく悪意が今、訪れる生贄を待っている。


>ノイ、エルト、ベリオ、セキア、ALL

2ヶ月前 No.511

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【ベリオ/区画本部内/旧下水道入口前】

『それについては僕も賛同します。なにせ僕にとっても初陣ですから』

今回の任務の参加者らの能力を把握したいというベリオの提案に、アシュレイも頷いて賛同してくれた。そして、彼の言葉により、彼もまた、ベリオと同じく初めてアスール国家隊候補としての任務に携わるということが分かった。現地へ到着した日時や、経路が違うのもあるだろうが、アシュレイの雰囲気的に実戦が初めてではなさそうなのに__実際のところ、そうではないようだが、ベリオ自身、彼の出自を知らないのもあって__W初陣Wであるということは、ベリオにとって驚くべきことだった。
しかしそこは置いておくことにする。相手への偏見が相手を傷付けるということは、自身がよく分かっていることなのだ。幼少期に里を出て、一人冒険したあの頃、自分と違う出自の者と出会わなければ、あのような真実を突き付けられなければ、今頃は__。
閑話休題。そんなある意味ベリオと同期であるアシュレイの特技及び能力は、媒体無しで用いる宝石魔術、そして剣術であった。宝石魔術という魔術なんて聞いたことが無いが、W媒体無しWということは、本来はそれなりの対価を支払って発動させるものなのだろう。とはれば実は彼は凄い才能を持っているのではないか?説明の直前に何やら言いにくそうにしていたのが気になるが…。

「成程…把握した。説明、感謝する。その宝石魔術というのはよく分からないが、何だか強そう、ということは分かる。剣術も得意となれば前衛向けかな…」

アシュレイの能力について短い感想を述べる__後半はやや独り言のようだったが__。彼はケースの運搬役を買って出る様子は無かったことと、任務開始前に彼自身が語ったポジションにより、周囲や前衛で防衛に入って貰うことになりそうだ。高身長であるし、剣の腕も立ちそうなのが頼もしいところである。

>アシュレイ、ALL


自らの言葉によって短い動揺を見せる同僚の反応に、セキアは腹を抱えてケタケタと笑い出す。それでも先程言われたベリオからのツッコミによってか、その声は多少抑え気味であったが。
そんな姿を見て、自らの学生時代に先輩にからかわれて笑われた苦いエピソードを思い返し、心なしか苦い表情を浮かべながらそれを眺めていたベリオだが、彼女が漸く落ち着いてきたところで再び真面目な顔に戻った。
『どこまで許容できるかというのをよく見極めるように』という、ベリオの忠告に添えるように付け加えられたエルトの助言も併せて聞き受けたようで、『気をつける』と微笑みつつ返すセキアに対し、少しは安心したのか、ベリオも穏やかな笑みを浮かべ、こう返事をする。

「気をつけてくれるならいい。まぁ、余程気を遣えという訳でもないし、そうした上で仲良くしてくれるなら嬉しい」

その後、旧下水道前において、任務の参加者の能力を知りたいというベリオの提案に、皆が快く(一部実演もしてみせつつ)紹介してくれた。その中でも、エルトは彼と同じくケースの運搬役に立候補した上、更に『基本的な魔術での火力支援』及び『アルカナイザー』という特殊な武器を用いての援護ができるという。しかし『出来なくもない』というレベルの実力であるとも同時に語られた。

「そうか、説明感謝する。ならばお前は安全な立ち位置で運搬に専念しつつ、周囲が危険に晒された場合に魔法や武器で援護する…という方が向いているだろうな。……あ、こういうことを候補隊員が言うのはおかしいか?」

彼へ説明の感謝の言葉を口にしつつ、本任務での彼のポジションについても提案気味に語る。しかしそういうことは上司が言った方が良いのかと不安になり、チラリとレイニアたち監察官等の方を見る。機嫌を損ねていなければいいが、と持ち前の真面目さによる余計な心配をするベリオであった。
一方、セキアも意気揚々と能力の説明をしようとしてか、魔導書のようなものを取り出してみせ__彼女のみの時が止まったかのように一時停止した。

(セキア……?)

彼女の異変に怪訝そうに眉を顰め、何か声を掛けてやるべきかと思案していると、突然彼女の時が再び動き出したように、そこにはいつも通りの彼女の姿が。……否、その笑顔と口調には少しだけ違和感があった。

『3人ともすごいね。あたしはこういうお菓子とかを爆発に変える
熱変換系の魔術が使える…というかこれしか使えないんだけど…。どっちかというと後方支援向きかな』

そう短い説明で締めくくる。先程分かった彼女の人柄上、ベリオとしてはもっと長い説明が彼女の口から語られると思っていたのだが、そんなことは無かった。故に、彼女から感じた違和感が強くなる。

(気のせい?だが、さっきの彼女の行動は……。能力は割と優れている方だと思うのだが……)

セキアの顔と魔導書を交互に見つめ、思案する中で、ベリオは一つの結論に至る。

(……まさかこいつ、自分の実力に自信が無いのか?それとも、今までは平気だったのに、それを今勘付いたとか…)

自らの推測力のみで導いた解釈。自信が無いのは彼自身も同様なのだが、彼女の場合は彼のそれとは違うように感じた。初対面から振り回される程の明るさを持つ彼女からは底抜けの自信のようなものを感じていたし、自身の能力についても、欠点こそあれ、十分強いと考えていたからこその態度だったのではないか__と、今更ながらに思った。
この解釈は違うかもしれない。しかし、今の彼女は無理をしていそうな節がある。そう考え、それを表に出さないようにしつつ、彼女を少しでも安心させようと、自らの素直な感想を交えた言葉を口にする。

「凄いじゃないか。熱変換の魔法というのは、並の魔法使いでも制御が難しいと聞く。まあ、それはお前が持っている魔導書のおかげかもしれないが……糖分を瞬時に熱に変える、のか?体内における消化過程でも時間が掛かることが出来るのは、十分強力な技だと思う。後方支援向けとは言え、使い方次第では周囲に現れた敵への牽制や直接攻撃にも使えるだろう。その技を使いつつ、援護の方も頼むぞ」

彼女が見せた手のひらの上のキャンディを見ての感想も交え、そう言い終えた後で「…少し喋り過ぎたな」と付け加え、苦笑する。これでは露骨に励ましているとバレてしまうのではないか?彼女は少し明る過ぎるところがあるが察しは良い方だと思うので、そういう意図を読まれてしまいそうではあるが。
それでも、何も言わずに相手を傷付けてしまうくらいなら、何か言って励ましてやる方が性に合っている、とベリオは思うのだ。

>エルト、セキア、ALL


自分とエルトが立候補した後、最後の一つを運搬する役を担おうと名乗り出る人物はなかなか出てこない。そう思った瞬間、メンバーの中から上がる手が一つ。それはレイニアの補佐役であるノイのものだった。

「の、ノイ教官補佐殿が…!?あ、いや、自分は構わないのですが、我々候補官が担うべき任務に上官殿まで巻き込んでしまうのは…」

候補官メンバーではない人物が立候補したことに驚き、思わずそんなことを口走ってしまう。決して彼女の実力を侮っているとか、背丈からして戦いにくそうとか、そういったことを考えている訳ではなく__現に、ベリオの友人の一人の小柄な青年は強かった__、純粋に上司に危険を冒すようなポジションに立たせてしまうようなことをさせまいとしているだけだ。
しかし彼女はセキアの質問に肯定すると同時に、持っていたヴァイオリンケースの中身から何かの部品のようなものをばら撒き、『スルト』と唱える。瞬間、ばら撒かれた武器は瞬く間に集結し、一つの巨大な長銃へと姿を変えた。どう見ても特殊な構造の銃__性能が違えど、似たようなものなら、ベリオにも何処か心当たりがある。現に身に付けている武器のうち二つが、そういう物理的法則には当てはまらない能力を持っているからだ。

「…その銃…もしかして、自分が持っているものと似たようなものかもしれませんね…。ですが、大きな銃をケースを持ったままで使用するのは些か厳しいのでは?」

形成された長銃を危なげなく抱えるノイに対し、先程とは別の意味で驚いた表情を見せつつも自らの懸念を述べる。しかしそれを質問するより早く、ノイから金属フック付きの黒いバンドを手渡される。彼女の説明及び実演してみせる姿によれば、両手が塞がるのを防ぐ程度には役立つ道具のようだ。過信は禁物ということなので、いつまでもバンド頼りにする訳にはいかないだろう。
早速ノイがやってみせた通りにフックをケース両脇のリングに通してたすき掛けすれば、此方に向かい親指を立てる彼女に小さく苦笑し、「ありがとうございます、これな武器を持つのに便利ですね」と返した。
__ふと、ある重要なことに気づく。メンバーの殆どが武器のことも説明しているにも関わらず、ベリオ自身はケースの運搬という大役にばかり気を取られてか、武器については一切説明していない。やってしまった、とばかりに片手で帽子ごと頭を抱え、俯いてみせると、一応の挙手をしてから再び自身について説明する。

「…皆の能力や武器について大体把握できた、感謝する。だがすまない、俺としたことが、武器について説明していなかったな。…まだ扱いには慣れていないのだが、魔力を糧に銃弾に熱を付与させる拳銃二丁と、護身用程度だがナイフを持っている。拳銃については、理由は不明だが、俺が通っていた学校の教官から譲り受けた。有事の際には、これで援護することもできるだろう」

そこまで言うと、ケースを背負ったまま腰のホルスターから二丁の拳銃__真紅の『ディーテ』と氷青の『コキュートス』を両手で一丁ずつ抜き、全員に見えるように持ち説明を続ける。

「こっちの赤いのがディーテ。安全装置を外し、体内の魔力を供給することで最高でも触れた物が熔ける程の熱を銃弾に付与させることができる。で、こっちの青いのがコキュートス。性能はディーテと真逆だな…。最低で触れた物を凍結させたり凍傷にしたりする程の冷気を銃弾に付与させられる。つまり、熱いのか冷たいのかで判断してくれればいい」

その後引き金の部分を指に引っ掛け、クルクルと回すと素早くホルスターに戻した。実演はしない。できるだけ魔力は温存しておきたかったし、スタート地点から進んでいない時点で思いがけない事故を起こすことは避けたいことが理由である。

「……と、また話が長くなってしまったな…。皆の準備が整っているなら、すぐにでも出発しよう。長居は禁物な気もするしな…」

未だ、仲間も自分も大なり小なり秘密を抱えている中、ベリオは下水道の向こうの暗闇をじっと見つめる。
これから一体何が起こるのか、自分にもわからない。教官が自分に拳銃を授けた理由も、レダールを使った香水を、誰がどんな目的で製造したのかも、まだ知らない。しかし、きっとこれから知っていくのだ。それがどんな結果を生もうとも。
きっとそれこそ、生まれてからW業の深い行為Wに及んでいた(と本人は思い込んでいる)ベリオに与えられた使命なのだ。

>ノイ、ALL

2ヶ月前 No.512

ますたぁ @usagishi59 ★iPhone=oVdQpL6VUk

【白月レイ:第1浮遊島/旧下水道入り口前】

今回の任務、私は何もできない。そう思っていると不意にレイニアさんに話しかけられた。
私に補助を頼みたいとのことだった。この前の庭園のこともあるし、頼りにされている、そう考えていいのかな


「わかりました。私でお役に立つなら……面白おかしく…は見ることはできませんが……」

苦笑いをしながら、相手の申し出を受け入れる。
そんな時とても不安そうにみんなのことを褒めるセキアさんが目に入り、すぐに真面目そうな顔になり

「セキアさん……忘れているかもしれませんが、私は魔武器です。誰かがいないと戦えない、誰かが私を武器として使ってくれないと何もできないんです。
入隊試験のとき、セキアさんが私に声をかけてくれなかったら…武器として手にとってくれなかったら、私はいまここにいないんですよ。
それにあの時にあれだけの力を出せたのは、セキアさんの力が強かったからなんですよ?」


その言葉に偽りはなく、レイは全て事実だった。あの時、確実に役に立たない状態だったレイの手を真っ先にとってくれたのは、セキアさんだった。それは、否定しようもない事実。
そして、魔武器は所有者の魔力を吸収しそれを増幅させることができる。
第一次実技試験であれほどの風を起こすことができたのは、セキアさんの魔力がもとから強かったからに他ならない。

「セキアさんは弱くなんかないです……」

レイニアさんの手を握りながら、
少し微笑み、セキアさんを落ち着かせようとする。
そもそも、今回に至ってはなんの役にも立たないのは、私の方だ。レダールを使ったとされるフェリクスに近づくことさえできない。
魔武器の昔からある掟……というか言い伝え。
何かきっと良くないことがある。念入りにお母様やお父様に言われていたことを思い出す。

元は魔道具だったからだろうか。
他の魔道具との共鳴反応とかも起きやすい体質だし、魔武器がレダールに触れたら……どうなるのかな


>>レイニア セキア ノイ エルト ベリオ アシュレイ

2ヶ月前 No.513

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★qTj8aF9SFW_lXe

【セキア&レイニア&シスメ&ノイ/区画本部内/旧下水道入口前】

顔は帽子で隠したはずなのに、いや、それがかえって仇となったのか、俯くこちらに声がかかる。
やっぱりエルトと似たところがある、と感じるのは少し失礼なのだろうが、
声をかけてくれたのは、どことなくぶっきらぼうな第一印象だったベリオと、
いざというときは力を貸すから声をかけて欲しいと、去り際に言ってくれたレイだった。

『凄いじゃないか。熱変換の魔法というのは、並の魔法使いでも制御が難しいと聞く。
使い方次第では周囲に現れた敵への牽制や直接攻撃にも使えるだろう。その技を使いつつ、援護の方も頼むぞ』

『セキアさんは弱くなんかないです……』

ぽかんというオノマトペがこうもマッチする表情というのも珍しい。
セキアは開きっぱなしの口を隠そうともせず、二人を交互に見やる。
やがて驚きの感情は、瞬く間に真っ赤な羞恥へと変わった。

「えっ、あ、え…あ、ありがと、二人とも…うえへへ。
なんかベリオもレイもエスパーみたい。そんなに顔に出やすいかな、あたし」

驚いた、なんてものではない。なんせ自分の考えがほぼ相手に筒抜けとなっているのだから。
人よりも感情が表に出がちだという自覚はある。だが、こうも自身の内情をはっきり見抜かれるとは思っていなかった。
二人が読心術の異能持ちだと今言ったら、セキアは疑いもなく信じただろう。
そして、雨あられと降り注ぐ励ましの言葉。無論、黙して受け取れるほどこの少女は器用ではなかった。
要するにこのセキアという少女、褒められ慣れていないのだ。
行き場を失った感情は、ぽりぽりと後頭部をかくことで霧散させる。
しばし言いようのない感情に視線を彷徨わせていたセキアだったが、
やがて羞恥を飲み込んだセキアはレイをまっすぐに見つめたかと思うと、彼女の正面へと距離を詰めた。

「レイがそう言ってくれるのは嬉しいけど、あたしは弱いよ。
どれだけみんながあたしのことを認めてくれたとしても、
これは自分自身が納得しないと意味がないことだと思うから。だから…」

まっすぐに向けられたセキアの赤褐色の瞳がレイの深緑の瞳をその中に映す。
そこに普段の陽気さは微塵も感じられない。
瞬きもせずにレイへ視線を送り続けるセキアは一度言葉を切り、さらに一歩レイへと距離を縮めた。

「あたしのこと見てて。
助けてもらうばかりじゃなくて、ちゃんとあたしもレイの助けになりたい。
今回の任務で証明する、私とレイは対等なんだってことを。そしたらレイに言いたいことがあるんだ」

あの言葉を聞いてからずっと考えていたこと。
いや、これは入隊試験で彼女と出会ってからずっと考えていたことだ。
殺してほしい、なんて並大抵の覚悟で言えるような言葉ではないのだろう。
その言葉はなによりも彼女の諦観というか、この世界への絶望に満ちていて、
あのときのあたしには受け止めきれるものじゃなかったというもあるけど。
それでも、あたしはそれを拒絶した。理由も分からないまま。
でも、こうして励ましてくれる彼女の顔を見て、ようやく少し分かったような気がする。あたしは、ただ―――

レイ、ベリオ、ALL



「エコー? アシュ、友達? 親友、会う、ない、寂しい。気持ち、分かる」

どこかもう戻れない昔を懐かしむかのように、声に素の感情が混ざるアッシュ。
いや、これはどちらかといえば苦い思い出を思い出しているときの顔だ。
こちらの言動がアッシュの記憶にある誰かと重なったのだろうか。
いまだ会って間もないノイには、彼の内情の全てを推し量ることはできない。
だが、零れ出た感情の断片だけは何とか拾うことが出来た。
そんな彼に何を思ったのか、ノイは懐から小さな銀紙包まれた
何かを取り出し、パキンと二つに折るとその片方を彼へ向けて差し出した。

「レイニー、言ってた。お菓子、分け合ったら、友達。これで、少し、寂しさ、和らぐ?」

いつもどおりの足りない言葉で、何とかノイは言葉を紡ぐ。
要するに、このアスールで友達が出来れば
少しはアッシュの寂しさも和らぐかもしれないと思っての行動らしい。
何とも気遣いの方向が大いにズレているというか、
清々しいまでの持論の展開に、はたして彼はどう反応するのだろうか。

「エコー、私、代わり、なれない。でも、新しい、友達、なれる。
楽しい、は、寂しい、忘れる、唯一、特効薬」

一生懸命言葉を紡ぐあまり相手への忖度を
うっかり失念していることに気付いたノイは、大慌てで言葉を付け足した。

>アッシュ、ALL



ノイのいきなりの参入に驚愕を露にするベリオ。
そんな彼にノイは大丈夫だといわんばかりにサムズアップを続ける。

「ときどき、最高の、実力、発揮、必要。時間、経過、ともに、腕、鈍る、必至」

要するにノイが言わんとしていることは、
「どんな達人でも何もしなければ時間とともに腕が鈍っていくもの」ということらしい。
実のところ、この教官補佐という役職についてから、
遠方からの狙撃による援護や、隠密行動もどきな情報収集など裏方に回ることのほうが多くなった。
そのことに対して別に不満はない。
ただ、唯一の長所ともいうべき射撃の腕が鈍るのはノイとしても好ましくないところだ。
そこへ舞い込んできたのが、今回のフェリクス移送任務。
ちょうど見学者が一人出たので、ノイ自ら今回の任務への参加を
駄目もとでレイニアに進言してみたのだが、今回それが通ったというわけである。
だが、思わぬ戦力の増強に息をつくセキアの姿を目にしたノイは候補官全員に向かって静かな声で諭すように呟く。

「主役、そっち。私、あくまで、補助」

今回の任務はアッシュとベリオの入隊試験を兼ねていることを
忘れないように、とでも言いたげにぽすぽすと自身の胸を軽く叩くノイ。
そんな諸々の事情をベリオに話す傍ら、ふと彼の視線がこちらの長銃へと向けられていることに気付く。
ノイの視線も自然と彼の手の中にある銃へと吸い寄せられた。

「良い、銃。大事に、されてる、分かる。
二丁、拳銃、難易度、高。でも、格好良い。できる、ベリオ、すごい。尊敬の、極み」

うむうむと玄人っぽく頷くノイ。
そう、二丁拳銃は浪漫なのである。かくいうノイもその魅力に取り付かれた一人で、
そのスタイルを自分の戦闘技術に取り入れようとしたのだが、まぁ、その、結果的に言うとダメだった。
どうも照準を合わせる対象が増えると、集中力が続かず、弾がバラけてしまう。
まぁ、有体にいうなら不器用だったのである。
その結果、今の狙撃スタイルに落ち着いたというわけなのだが、
かといって二丁拳銃への憧れが全くなくなったというわけではない。
ディーテとコキュートスでくるくるとガンスピンを披露するベリオを見るノイの目は、
完全におもちゃ屋のショーウィンドウに張り付く子供そのものだった。

>ベリオ、ALL



レイとセキアのやりとりに、どこか怪しげな微笑みを向けながらただ黙して聞いていたレイニアは、
急にいつもの笑顔を取り戻し、空いていたもう片方の手で
横で無防備に佇んでいたシスメの手をむんずと掴んだかと思うと、二人を手をゆっくりと引きながら歩き出した。

「ではではー、お手てつないでいくとしましょうか〜。皆さんも送れずついてきてくださいねぇ
あ、シスメちゃんそういえば、ちょうどこういう暗くてじめっとしたところにおあつらえむきの怪談が―――」

「おばかですか! おばかなんですね!? やめてくださいよ、本当に!
ここも前の遺跡に負けず劣らず何か出そうな雰囲気だなぁとか思いかけてたのを必死に忘れようとしていたのに!」

「えー、レイさんは聞きたいですよねぇ?」

「馬鹿なこと言ってないで任務に集中して下さい、もうっ! 不快です…ああ……」

床にぽっかりと空いた旧下水道の入り口を目の前にしてうなだれるシスメ。
そんな彼女のことなどお構いなしに、こっちこっちとばかりに微笑みながら候補官の皆を手招きするレイニア。
任務前にしては緊張感のないそんな空気を纏いながら第七候補隊は闇の中へと身を投じるのだった。



【セキア&レイニア&シスメ&ノイ/エイルス区画/旧下水道・前道】

したたる水の音はなく、かといってそんな下水道特有の悪臭が全くしないかといえばそうでもなく、
つんと鼻の先をくすぐるような水道の内側にびっしりとしげった苔の臭いと、
乾いた土の臭いがそこには充満していた。
混ざった汚物が乾いて固まった土くれか、それとも原型をなくした小動物の死骸にも見える
細かな破片を踏みつけながら、第七候補隊はそこへと降り立った。
周囲を窺うかのようにレイニアは頭頂の狼の耳を動かし、異変がないのを確認すると、小さな声で唱えた。

「永久の灯の持ち手よ、ここに……フェアリーライト」

途端にレイニアの手のひらから数匹の光の蝶が飛び出し、闇一色の世界を照らしていく。
そこでシスメようやく安心したかのように小さく息を吐き出した。

「すごいところですね。その…なんというかいろいろな意味で。特に臭いというか…うぅ」

早くも臭いに慣れてきたのか鼻から手を離し、きょろきょろと興味深げに辺りを見回すセキアを筆頭に、
レイニア、シスメと順番に若干顔をしかめつつも周りに気を配るだけの余裕が出てきた見学組一行。
そんな中、一人だけノイが何もないはずの下水道の奥に広がる闇に目を凝らしていた。

「………?」

「おや、どうしました?」

そんなノイの様子の変化にいちはやく気付いたレイニアは、彼女に問いかける。だが、

「何か、視認……陳謝、気のせい」

ノイは疑問符を浮かべた後、ふるふると首を振ったのだった。
そんな思わせぶりな彼女の言葉に、当然のごとくというか、電光石火の勢いで真っ先にシスメが反応する。

「ななななななにが見えたんですかぁっ!? 嘘ですよね、嘘っ、嘘……ですよね。
ああもうやだなにこれ有り得ない有り得ない有り得ない…もうやだぁ、おうち帰る……」

サァーっと顔から血の気の引いていくシスメ。対して、

「あはは。このまま立ち止まっててもしょうがないですし、
シスメちゃんの精神が崩壊する前に、さくさくと歩いていきましょうか〜」

輝きを増した笑顔でずるずるとシスメを引っ張りながらレイと連れ立って歩くレイニア。
こうして、ざくざくと乾いた土くれを踏みしめる音に
半べそのシスメの鼻をすする音を加えて第七候補隊の新たな任務は幕を開けるのだった。

>ALL

1ヶ月前 No.514

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

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1ヶ月前 No.515

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_Tbw

【エイルス区画/旧下水道入口前】

「…ほっといてくれ」
先の反応に笑い転げ…は流石にしていないようだが…受け具合に、ぶっきらぼうに答える。
…流石に腹を立てる程ではないが…ここまで笑われる当人としては面白いわけがない。
(確かにこちらの落ち度ではあるが…むむむ…)
と、どこか釈然としない気持ちを抱いていた所で、隊員たちが互いの戦闘力を説明しあっている中、セキアから何処か沈んだような雰囲気を感じ取る。

何事かと思った所で、すぐにその原因はセキアの申告によりすぐに思い至る。
(…確かに…戦力と言う点ではどうにも言えないか)
そうではない、と否定してやりたい反面…それは気休めでしかないと、本人に思われてしまっては逆効果であるし…なればせめて具体礼を上げ、そこからフォローするしかあるまい。
…だが、そんな事を考える最中、周囲のメンバーらが既に各々の視点からの意見を出しており、セキアの方もすっかり持ち直していたようで…
(なんだ…そう、深く考えるまでも無かったか…)
一周回ってドツボに嵌りかけていた自身にため息をつきつつ、再開された各員との会話に意識を向ける事にした。

>セキア ALL

「なるほど…ひとまずの戦力はこれで出そろったか」
宝石魔術と剣が使えるアシュレイ…本人は多少と言っているがおそらくは結構な腕前だろう。
熱に関し相反した性能を持つ双銃とナイフに通常の拳銃のベリオ…エコーロケーションを利用しての状況の把握もできるとあって頼りになりそうだ。
魔術による法撃とアルカナイザーによる剣戟のエルト…とは言え上記の2人よりも接近戦での総合力は劣るだろう。
ここにレイとノイの2人が後方支援に入る形での5人パーティーが今回の任務になるようだ。

っと、改めて戦力を分析した所で…こちらに歩み寄ってきたノイから何かベルトのような物を手渡された。
…直後ノイ自身がそれを身に着けて説明したことにより、こちらも意図を察する。
「ああ、そういう事なら有難く使わせてもらうとしよう」
そうして自身もそのバンドを身に着け、運ぶべき荷物を固定し、地下水道へと入っていくのであった。

【非常に遅くなって申し訳ねぇ…場面的にも上記のレス群は蹴っちゃってくだせえ!!】

>ノイ アシュレイ ベリオ レイ ALL

【エイルス区画/旧下水道・前道】

地下水道に入ってすぐ…独特の悪臭やら死骸らしきものの小さなオブジェ群と言った洗礼を受けながらさらに歩を進めていた所で、レイニアが魔術により周囲を照らし出した。
(…むぅ…分けってはいたが…あまり環境は良くないな)
無視できる程度とは言え…それなりに感じる不快感に思わず眉を寄せつつも、周囲に異常がないか軽く見渡してみる。
…特に変わったものは見えなかったが…ノイが何か見つけたのか、レイニアが声をかけていた。
「そっちには何か…」
と、問いかけようとした所でノイの肩をがくがくと揺らしに行きかねないようなシスメが、次の瞬間には一瞬で真っ青になり…そのままずるずるとレイニアに引っ張られていく。
(流石にあのまま…と言うのは気の毒だな)
そう思い、シスメに声をかける事にする。

「ベリオもああいってるし…仮に何かしらの霊が出ても対策はあるからそう怖がらなくても大丈夫だ」
と、声をかけてベリオらの後に続く…今の所、なんら変わり映えのない通路が続くが…

>ノイ シスメ アシュレイ ALL

1ヶ月前 No.516

ますたぁ @usagishi59 ★iPhone=oVdQpL6VUk

【白月レイ:エイルス区画/旧下水道入り口】

エスパー?という言葉にレイは、ハッとした。
あれ?なぜ私は、セキアさんが自分の弱さを責めているなんて思ったのか。セキアさんは一言もそんなこと言っていないのに。
きっと、セキアさんの中に私と同じなにかを感じたから。
それともこの前の試験で、一時的にシンクロしたことによって、共鳴でも起きているのかな。

といろいろ考えていると、セキアさんは私の目をまっすぐ見て、自分を見ていてほしい、
と、お互いの立場は対等だと証明する、と言った。

対等…その言葉がレイにとってどれだけ大きな影響を与えたか、きっとセキアさんにはわからないかもしれない。
魔武器の私が、それ以外の種族と対等だと言われたことがこれほどまでに心を潤わせたことか。

「はい、レイはセキアさんを信じています。」

ニッコリと微笑んだ。

≫セキア ベリオ

レイニアさんは私の手を取り歩きながら、いかにも何か出そうな道に御誂え向きだと、怪談を話したそうだった。
聞きたいですよね?という質問にレイは

「え、えっと……き、聞きたいのは山々なのですが、シスメさんが気の毒ですし……また今度ということでいいですか?」

実際はレイも怖いものは怖いので、聞きたくないというのが本音なのだが、だからといって上司の話に「聞きたくない」なんて言えるわけもなく、シスメさんへの配慮ということで断ることにした。

そんなとき、ノイさんが何か気配を感じるという言葉にシスメさんが悲鳴をあげる。

と、ほぼ同時にレイも「ひっ!?」と控えめな悲鳴をあげる。
そんなレイに御構い無しにズンズンと前へ進むレイニアさんに引きずられながら、涙目のレイは渋々歩く。

あ、そういえば…
いざという時はこれ……使えるかな

と、自分のポシェットの中に手を入れ、ガサゴソと探り、アル物を手に取った。
本当ならコレの存在は忘れていたいところだった。レイにとってこれは悪魔のブツだから

これを使わないですむことを祈る


≫レイニア ノイ シスメ エルト All

1ヶ月前 No.517

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★i5EXnS27tc_lXe

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1ヶ月前 No.518

ますたぁ @usagi59 ★iPhone=yO2Kb2AguU

【白月レイ:旧下水道・中道】

レイニアさんの怪談を回避したと思ったレイだったが、後日恐怖映像なるものを見せる約束をされてしまった。 失敗したと思った時にはすでに遅くシスメさんが涙目でぐずっていた。

「ごめんなさい。レイニアさんもなんだか話したそうでしたし、無下にするのもどうかと思って……」

苦笑いしながら、ぐずっているシスメさんを宥めるレイは、レイニアさんと歩幅を合わせ奥へと進んでいく。
その間も二人の会話を苦笑いしながら聞くのであった。
そうこうしていると、セキアさんが何やら謎の紙、本の切れ端を見つけかけ戻ってきた。その紙には、とある小説の一節が書かれていた。
レイはその紙を見て、あることを思い出していた。それはソエリス遺跡の調査に行った時、スターチさんと見たあの壁画…。
でもあの壁画に描かれていた魔導兵器は九つ、ここに書かれている八つの武具は関係ない……のかな。一つ足りないし…。

と考えを巡らせていると、奥から異様な気配がしたと思えば、目の前には、イカのような魔物とネズミのような魔物が待ち構えていた。

「な!なんで空中都市の下水道にこんな魔物がいるんですか?!」

巨大イカのような魔物をみて、困惑しながら声を上げる。どうしよう。とにかく今は、レイニアさんを守らないと…。
緊急事態だし、いざとなれば戦闘もやむおえない……。護身用に持ってきた「アノ」アイテムも使えるかもしれない。

レイニアさんを守るように前へ立ち、自分の服のポケットに手を入れ、とある紙に手をかけるのだった

≫レイニア セキア シスメ ベリオ アッシュ

【イザヨイ:ガイアル区画 中央本部 出雲鶴羽の部屋】

イザヨイ「鶴ちゃんの部屋久々に来たなー」
鶴羽の部屋に図々しく入ってくる、黒猫のように真っ黒な女性が入っていた。
セキュリティなどほぼほぼ無視して、まるで関係者のように入ってきたが、立派な侵入者である。
どうしてここに来るまで誰にも見つからないのかといえば、目くらましの魔法をかけているからである。これをかけていれば、誰かにぶつからない限り、見つかることはない。

イザヨイ「鶴ちゃーんお邪魔しまーす」

≫鶴羽
(時を同じくして、みたいな感じで絡みます)

1ヶ月前 No.519

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

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1ヶ月前 No.520

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★FuF2nnuMyn_o01

【鶴羽/ガイアル区画/中央本部/出雲鶴羽の部屋】

そこは中央に囲炉裏の設けられた和室だった。
壁に墨絵の掛け軸がかけられている以外には、木製の平机に座布団の敷かれたひざ掛け椅子があるだけの
質素な部屋だが、やたらとだだっ広く感じるのは、しかれている畳の枚数が原因だろう。
その数30畳。畳も消耗品だ。取り替える作業を考えるだけでも気が遠くなりそうな枚数である。
その中央にどこからともなくふわりと舞い降りる一つの影があった。

『鶴ちゃんの部屋久々に来たなー』

それは黒装束の女だった。
障子をあける音すらなく、まるで半紙に一つ墨を落としたかのごとく突然現れた彼女は、我が物顔で部屋の中を練り歩く。
和室の中に待ち人はいない。やたらだだっ広い和室の中心。人によってはまるで世界に自分ひとりが取り残されたかと錯覚するほどの静けさ。
だが、その静寂も長くは続かなかった。突然、彼女の背中ポンと叩く音がしてあたりに声が響き渡る。

「カカカ、こりゃまた随分といたずら好きな猫が来たもんじゃ。
我が物顔で入ってきおって、一応ここは重鎮の部屋じゃぞ。
今回のは自信作だったのじゃが…七重に張った結界がまるで役に立っておらんし、なんなんじゃほんとにお主は。
まぁ、良い。ようきたのぅ、好きにくつろいでくれ」

黒装束の女に手をかけた彼女は不思議な風体をしていた。
和室にいるというのに、重そうな車椅子の上に腰掛け、その頭頂には人ならざるものの証、狐の耳がある。
見た目は30代ほどだが、老体のようにしわがれた声でその狐耳の女は彼女に声をかけた。
彼女こそ出雲 鶴羽(いずも つるは)。このガイアル区画の統括管理官である。
車椅子の肘掛に頬杖をついた彼女は、どこからか取り出した煙管に口をつけるとぽつぽつと言葉を続ける。

「まぁ、なんじゃ。せっかく来てくれたのじゃから茶くらい出そう。
えすぷれっそと れもんてぃ、ほうじ茶とあるがどれが良い?」

そう言うが早いか、がしゃがしゃと音がしたかと思うと
一体の鎧武者が急須と茶菓子の乗った盆を手に障子を開けて入ってくる。
鶴羽は器用にそのデカイ手を動かして茶の準備をし始める鎧を一瞥すると、黒装束の女に声をかけた。

「――して、こんなところまで何用じゃ? ただ茶飲み話をしにきたわけでもあるまい。
今、ワシらが手を焼いておるレヴァーンのことで何か話しか? それとも…愛娘(レイ)のことでも気になったか?」

【突発的なイベントということで当方の把握不足な点もあり、
ますたぁ様の望む返レスになっているか不安ですが、こんな感じで問題ないでしょうか?
レスを見る限り鶴羽とイザヨイ様は旧知の仲のようですが、対応を間違えておりましたら申し訳ございません。
せっかく素敵な設定ですので、
次回からこういったイベントを起こす際は一声かけてくださると助かります^^】>イザヨイ



【セキア&レイニア&シスメ&ノイ/
イカの魔物? & ネズミの魔物?/区画本部内/旧下水道・中道】

『な!なんで空中都市の下水道にこんな魔物がいるんですか?!』

『っ!?敵襲か!?』

「いったいどこから……ああ、なるほど上ですか」

魔物の突然の襲撃に色めきたつ、候補官一向。しかし、レイニアは我関せずといった様子で、その見えない瞳を上に向けた。
一口に下水道と言っても、各家庭の排水の流れ道で支流となる排水管と、
そんな各所から流れ込んだ排水を集めて流す本流となる本管、構造的には大まかにその二つに分けられる。
第七候補隊が今通路として使用しているここが本管。ならば魔物侵入経路など自然と一つに絞られる。
誰も魔物の接近に気付かなかったところから察するに、あらかじめ排水管に潜んでいたと考えるのが妥当だろう。
彼女の視線の先には今しがた現れた魔物の胴ほどの直径のある大きさの菅がぽっかりと空いていた。
小さく息をついたレイニアは、何を思ったか今まさに服のポケットに手を入れかけたレイを
突然抱きしめたかと思うと、シスメを伴ってそのまま大きく後ろへと跳躍する。

「あはは、駄目ですよー。まだ、まだです。レイさん。
今、貴方から何かよくないものを感じました。もちろん根拠はありませんがー、
何かレイさん自身に重い代償を要求するか、身体に大きな負担を強いるものを今、使おうとしませんでしたか?」

「レイニアさん今は――」

「非常事態、ですか? もちろん知ってます」

「では、何故―――」

「何故? おかしなことを聞きますねぇ。見学者に自ら立候補したのはあなた達じゃないですか〜。
まぁまぁ、少し見守ろうではありませんかー。大丈夫ですよ、あの子達なら、ほら」

レイの耳元で小さく囁いたレイニアは、おどけるように彼女の背中に回した手をぱっと横に広げて拘束を解く。
意図しない魔物との遭遇。明らかに非常事態と分かりそうなものなのに、何故かレイニアはレイの行く手を阻み、シスメの言葉を制した。
この後、疑問符を浮かべるであろう彼女に、レイニアはちょいちょいと手で前を示したかと思えば、そのとなりを一筋の熱線が通り抜けていった。

「GGYI!?」

今まさに振り上げようとしていた触腕からもうもうと煙を立ちのぼらせたイカの魔物から苦しげな悲鳴が上がる。
その魔物の感情のない瞳は、はるか後方で黒鉄の銃器を構える一人の少女を捕らえていた。

「心配、無用。冷静、対処、すれば、勝利、確実」

腹ばいになりながら黒鉄の銃器を支えるノイが淡々と告げる。
その赤熱した銃身からは一筋の白い煙が天へ向かって伸びていた。
何をしたかは明瞭。彼女は単純に振り上げられた触腕の先へ向けて、ピンポイントでスルトの熱線を撃ち込んだのだ。
次いで、ベリオが放った氷弾が地面にヒットしたかと思えば、
勢い余って突撃したネズミの魔物が凍りついた地面に足を取られて体を横たえながら激しく転倒した。
それを見たセキアが、この機を逃さんとばかりに指の間に挟みこんだ棒付キャンディを素早く投擲する。

「チャーンス! こんにゃろ喰らえ! ビクトリーファイヤーボム!」

相変わらずなネーミングセンスを遺憾なく発揮しながらも、
威力は申し分なかったようで、彼女が放った4本の棒付キャンディは瞬く間に光に包まれ爆裂する。
もうもうと立ち込める煙から目を離さず、サムズアップした手だけを後ろに向けながら、
セキアは嬉々として次弾を指の間に装填し始める、が―――

「よっし! ナイス連携、ベリオ! ノイちゃん! これならなんとかなりそ―――」

「……ィ…CHAAA…GA…タィ…」

「………? 今、何か聞こえ―――っ! うぉう!?」

何故か動きを止めたその瞬間、煙を割いて飛び出した鉤爪のついた尾に驚いて尻餅をつく。
彼女の動きに遅れた髪が数本切り裂かれて宙を舞った。
だが、一向に彼女は立ち上がろうとせず晴れていく煙の中の魔物2体を見つめたまま、微動だにしない。
やがて、魔物の体から立ち上った硫黄色にも似た濃黄のオーラに小さく息を呑む音が聞こえた。

「まさか……そんな……え? うそ…だよね……?
あれって…レダール反応………まさか、あれも………レダールを投与された……亜人種だっていうの…?」

>ベリオ、レイ、エルト、ALL

29日前 No.521

ますたぁ @usagi59 ★iPhone=yO2Kb2AguU

【イザヨイ:ガイアル区画:中央本部:出雲鶴羽の部屋】

意外と早く鶴ちゃんは部屋に戻ってきて、イザヨイの肩に手を置いた。いろいろと小言を言われたが、ほとんどを流し

「あんな結界、私からすれば知恵の輪を解くよりも簡単だったよー。
にしてもこの部屋はいいねー、落ち着くよ。私の家もこんな風にしようかなー…なーんてね、アハハハ」

畳に大の字で寝転がり、思いっきりくつろぐ。
イザヨイの髪は畳に広がった。くつろげとは言われたが、ここまで大胆にくつろぐものはそうそういないだろう。

「あーじゃあ、レモンティーちょうだーい。
…まあ、なんの問題もなければ、ただここでお茶を飲んで帰るだけで済んだし、私も世間じゃ死んだことになってるしゆっくりと老後を楽しむこともできたんだけどねぇ。
国家隊がわざとレイをレヴァーンに近づけさせてるんじゃないかと思ってね。」

さっきまでおちゃらけていた魔女は急に真剣な声のトーンで話し出し、起き上がる。

「お化け調査だとかいって遺跡に行かせたり、今回もレダールの入った香水の護送について行かせたり……。
私の勘違いならいいんだけど……まさかアンタたちも、私らが苦労して封印したあの化け物を復活させようとしてるんじゃないだろうねえ……」

そういうと魔女はその手に炎球を三つほど魔法で作り出し、その火の玉でお手玉をし始めた。
答えによっちゃこの中央本部を破壊してもいいんだぞ?という意味である。

≫鶴羽
(ありがとうございます。
そうですね、旧知の仲という設定で大丈夫です。)

【白月レイ:区画本部内:旧下水道・中道】

ポケットに入っているものを使おうとしたその時、突然背後から抱きしめられ、体を後ろへと持っていかれた。レイを抱き後ろに飛んだのはレイニアさんだった。

「レ、レイニアさん?」

突然の出来事に困惑していると、それを使うのはよくないと言われた。ポケットから出そうとしたのは、遺跡の調査のときに配布された、あの恐ろしいお札だった。たしかに他の人が使う場合はそこまで代償も高くは無いのだが、レイが使う場合はそうも行かないのは事実だった。

それでももしもの時は使う覚悟はできていた。

レイニアさんの言葉に、セキアさんたちの戦闘を見守ることにした。ベリオさん、ノイさん、セキアさん、それぞれの力で魔物を牽制していた。
しかし、その攻撃を受けた魔物が意思のある悲鳴をあげた。

「あれが……レダール反応……。じゃああの魔物は……人?!どうにかして助けないと……
でも、どうすれば……あ……」

レイは、出発直前に渡されたアンチレダールのことを思い出した。レダールの解毒薬。
あれを使えばこの二人を助けることができるかもしれない。レイは自分が持っているアンチレダールを取り出して

「セキアさん!これを!!」

アンチレダールをセキアさんがいる方向へと思いっきり投げた。貴重なものだということだが、助けるにはこれを使うしかない。そう思ったのだ。

>レイニア シスメ ノイ ベリオ セキア

29日前 No.522

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【ベリオ/区画本部内/旧下水道・中道】


突然現れた魔物二体。そんな奴らから先制攻撃を食らいかけた一行が黙っている訳が無く。
再び振り上げられたイカ魔物(?)の触腕はノイの寸分の狂いも無い狙撃によって撃ち抜かれ、ネズミ魔物(?)もベリオの放った氷弾によって凍り付いた地面に体勢を崩された。そこをすかさずセキアがまんまなネーミングの技と共に棒付きキャンディを彼らに向かって投げ付け、爆撃する。
こんな空間に少数で待ち構えていたのだ、これくらいでくたばるような相手ではないだろうが、一定のダメージは与えられただろう。

「お前も良くやった、セキア。…さて……被害が出る前に、ディーテの熱でBBQにでもしてやろうか__」

安全な地点に着地し、此方に『ナイス連携』と言ってくれたセキアにも褒め言葉を返すと、濛々と立ち込める煙の向こうにいるであろう魔物共を追撃せんと、『コキュートス』を持つ手もは反対の手で未だホルスターに収まっている『ディーテ』を引き抜き、ゆっくりとその安全装置を手の親指で下げながら物騒な言葉を呟く。その最中、異変らしき出来事は起こった。

『……ィ…CHAAA…GA…タィ…』
「……は?痛い…?」

煙の中から、先程の鳴き声とは違う、意味を持つ人的な言葉が聞こえ、ベリオは安全装置を下げる親指をピタリと停止させる。
不意打ちでセキアが攻撃されかけた直後、晴れた煙の中から現れた魔物二体の身体から黄色のオーラが立ち上る。
ベリオはこの現象を聞いたことがある。__Wレダール反応W。

「……おいおい……なら、この魔物共は亜人種だと…?ぐっ……これは嫌がらせか何かか?」

周囲の仲間たちが衝撃的な可能性に慄く中、ベリオも同様の反応を見せ、更に、悔しげに奥歯を噛みしめる。
目の前に立ち塞がる敵は撃破しなくてはならない。しかし、もしその連中が自分の意志に反して暴走させられているのだとしたら?しかもそれが、自分と同じ亜人種で、自分がその無理矢理戦わされている亜人種を討たされる状況にあるなら……それはお互いにとって屈辱的なことだと彼は考えている。それ故の悔しさだった。
その時、レイがセキアに向けて何か筒状のものを投げた。あれが恐らく、魔物(?)を鎮めるためのアイテムか何かなのだろう。だとすれば、あれを敵に奪わせる訳にはいかない。
ベリオは両手に蒼紅の拳銃を握ると、敵の妨害を更に妨害すべく、あくまでW思わず手を引っ込める冷たさ/熱さWに設定した銃口を、目の前に立ちはだかる二体に向け、構える。

>魔物(?)×2、セキア、レイ、ALL

25日前 No.523

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_8Ou

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25日前 No.524

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★mk4kBp3pI6_HkS

【鶴羽/ガイアル区画/中央本部/出雲鶴羽の部屋】

まるで躊躇いもなく畳の上にごろんと寝転がる
大胆不敵な珍客もとい、ぬらりひょんの形態模倣者もとい、魔女のイザヨイ。
こちらがいくら作法について話しても彼女が聞く耳を持たないのは
いつものことなので、鶴羽は仕方がないのぅとでも言いたげに小さく息をつくだけに留めた。
彼女のリラックスモードから一見、和やかに見えた二人の会話だが、徐々に暗雲が立ち込め始めた。
だが、彼女の反応に反して、鶴羽はというと何故だか車椅子の上で体を折り曲げたかと思うと小刻みに震えだす。
そして、それは数秒を数える間もなく炸裂した。

「っ……ぬははははは! 否…っ…すまぬ…くふふ……お主を馬鹿にしておるわけではないのじゃ。
子煩悩、か……よもやこうした形で自覚させられるとはのぅ。
否々、こちらの話じゃ、すまんすまん。
何故だか鏡を見せられておる気分になってのぅ。類は友を呼ぶとはよく言ったものじゃ」

袖先に口元を隠した鶴羽は笑い出す。
一食触発といったイザヨイの姿の中にいったい何を見たのか、
自分にしか分からないような言葉で鶴羽は勝手に自己完結した言葉を並べ立てたかと思いきや、
重い体を揺らしながら戻ってきた鎧武者の手の中にある紅茶の入ったカップをイザヨイに向けて差し出し、
自分は湯のみに注がれたほうじ茶に口をつけると、
ようやく笑いが引っ込んだのか再びゆっくりとした口調で話しだした。

「分かった分かった。ヨミちゃんだけ仲間はずれにしておったことは謝るから、その物騒なものをしまえ。
ちゃんと事情を話すから。しかしのぅ、お主にも非はあるのじゃぞ?
お主にはこちらから会おうと思っても会えぬことがほとんどじゃろう。
今回は報告が遅れただけ、ということで大目にみてはくれぬか?」

ガシャガシャと鎧武者の歩く音が下かと思えば、
まるでお詫びとでも言うようにケーキスタンドに乗った洋菓子の塔がイザヨイの前に置かれる。
次いで鶴羽は自分の前に置かれた和菓子の中から金平糖を一つつまむと
自分の口の中に放り込み、しばしその甘みを堪能するかのように瞳を伏せる。
イザヨイが洋菓子に口をつけるのを待って、鶴羽は意を決したようにその重い口を開いた。

「さて、さっきの質問への答えじゃが……半分正解で半分不正解といったところかのぅ。
先に断っておくが、ワシや他の区画統括管理官、ひいてはこの国の総意としては
誰もお主が言うところの“化け物”の復活など望んでおらんよ。
加えて申すならレヴァーンの尖兵どもとの遭遇率が高いのも偶然じゃ。
否、むしろ向こうから意図して近づいてきておるといったほうが良いか」

ふむふむと自身の考察も交えて話しだす鶴羽。
やがて彼女は手の中に数粒の金平糖を握りこんだかと思うとそれを弄びながら、
片方の眉を上げてイザヨイの方を向く。

「こほん。話を戻すが、半分正解と言ったのはのぅ。“わざと”の部分じゃ。
わざと過酷な任務に向かわせておる理由じゃな。
これは別にレイだけではなく他の候補官にも当てはまることなのじゃが………ふむ。
唐突じゃが、イザヨイや。この国に足りぬものはいったいなんじゃと思う?」

>イザヨイ



【セキア&レイニア&シスメ&ノイ/
イカの魔物? & ネズミの魔物?/区画本部内/旧下水道・中道】

この隙を逃さないとばかりに指の間にキャンディを挟みこんだセキアよろしく
他の第七候補隊の面々もすぐに第二撃を放とうと次の動作へ入ろうとしていた。

『お前も良くやった、セキア。…さて……被害が出る前に、ディーテの熱でBBQにでもしてやろうか__』

彼の言葉にいつもなら「見た目イカっぽいけど、魔物って食べられるのかな?」などと見当違いな
発言をしていただろうが、凍りついた思考の中ではもはや、そんなことを考える余裕はなかった。
一度生じた躊躇いは、後悔の念へと変わってセキアの指の感覚を鈍らせる。
だが、そんな彼女の停止した思考を指先に当たる固い感触が僅かに現実へと引き戻した。

『セキアさん!これを!!』

見覚えのある筒状の物体。中が赤い液体で満たされたソレは
今朝、寮内にある食堂でのミーティング中に配られたものだった。
アンチレダール。レダールを受け理性を失い暴走した者の体と心を正常に戻す解毒剤のようなものである。
混乱の最中にあったセキアの意識はレイの声で完全に現実へと戻った。

「レイ………よっし! 逆境タイム終了! 見てて、レイ! ここからが逆転タイムだぁ!」

強烈な平手を自身の両頬に食らわせる。
なにをしているのだろうか、自分は。これならいつもと同じ弱いままの自分ではないか。
あたしはレイになんていった? 見ててって言ったのに。これ以上、無様な姿は見せられない。
だったら、やることは一つ。セキアは手の中にある自動注射型のソレを握り締めると、すぐさま立ち上がった。

『下がれ!!そのままだと的にされるぞ!!』

「下がらない! 援護して! ベリオ、エルト、ノイちゃん! あとで何か奢るから!
なんとかあたしが間合いに入って、二人とも元の“人”に戻す!」

すでにイカの魔物とネズミの魔物は先ほどのダメージから回復し、体勢を整え始めていた。
セキアは今レイから受け取った一本と、事前に自分にも配られていた
もう一本のアンチレダールを右手の指の間に挟みこむと迫り来る触腕と鉤爪のついた尻尾に目を凝らした。

(大丈夫。ちゃんと目を凝らしてれば、人間のあたしにもちゃんと見える。
目の前のイカの足とネズミの尻尾の動きにだけ集中してれば、あとはみんながなんとかしてくれる)

前傾姿勢からエルトの静止の声を振り切って全速力で走り出す。

「GGGGGGUYI!!!!」「GYYYYAAALLLL!!!」

「……っ」

だが、そこは人間の動体視力。
雨あられと降り注ぐ鉤爪の嵐の中、避け損ねた鉤爪の一つがセキアの頬を浅く切り裂いた。
それでも構わずセキアは指先の動きだけで手の中の甘味を弾き爆撃に変えて牽制しつつ、前へ前へと進んでいく。
だが、彼女は知らない。積もった地面の土の中を通って
彼女の背後へと移動した一本の触腕が彼女を串刺しにしようと迫っている事実に。

>レイ、ベリオ、エルト、ALL


【仲之人さんのマイページプロフ欄を見てあっ…となった本体です。
ご自分のペースで投稿いただければ大丈夫ですので、
無理だけはなさらないよう、くれぐれもご自愛ください】>仲之人 様

24日前 No.525

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【ベリオ/区画本部内/旧下水道・中道】


突然旧下水道に現れた、W亜人かもしれないW二体の魔物。自分含め、殆どの候補官メンバーは目の前の敵を打ち破る決心が付かないでいた。しかしその中で、エルトだけは武器を構え、敵を制圧する覚悟を固める姿勢で前線に立つ。

(…やはりそうする方が、軍人として正しい姿なのだろうな…。しかし…)

彼の後ろ姿を視界に収め、ベリオは心の中でそう呟き、自身の今の情けなさを恥じる。しかし、今後のリスクを考えれば、可能性を捨てられない相手を撃ち捨てる覚悟を固められないことも事実である。
もしも相手の行動が過激になってくるであろう事態になったら、そうなる前に妨害する手立てくらいは考えておいた方が良いだろう、もし、コレが役に立つのなら__と、ベリオは自らが羽織っているコートの懐部分にチラリと目をやる。
コレさえ敵にぶつければ、きっと目潰し程度にはなるだろう。本当にやるとすれば、今後が賭けとなる訳だが…。
今はとにかく、牽制と防衛のみに集中すべき、と考え直した矢先、セキアが前へ駆け出した。
エルトの制止の声を振り切り、此方側へ援護を要請し、ただ真っ直ぐに、W救うWべき二体の生物を目指して突っ走る。
当然、魔物はその鉤爪を雨霰の如く彼女に伸ばしてゆく。例え傷を負っても止まらない彼女のその姿は、無謀にも、勇敢にも見えた。

「…ったく、本っ当に世話の焼ける奴だな、お前は!…仕方ないな、俺も援護する」

徐々に遠くなってゆくセキアの後ろ姿に、多少の呆れの色を含んだ言葉を呟くと、両手の拳銃に注ぐ魔力を上げ、エルトの隣に並ぶ。
そして、セキアが捌き切れていない鉤爪や触腕等に照準を合わせ、次々と発砲して弾き、弾切れになっては空のマガジンを捨て、ストックしてあるマガジンを再装填し、再び発砲し、リロード、発砲を繰り返してゆく。
…だが、流石は魔物と言うべきか、セキアが到達するまでの道のりでの怒涛の攻撃は治まることをしらない。予め持っていたマガジンの数や自身の魔力の残量も、なんとか持ち堪えてくれるかどうか不安なところまで、既にきていた。

(速く撃ち過ぎたか…?だが、まだ敵の攻撃が止む様子は無いし……止めるためには、やはり……)
「……って、クソッ!また弾切れか…!」

セキアを援護する中で、敵への妨害策を講じんとする時、『コキュートス』が何度目かの弾切れを起こす。『ディーテ』の方も、恐らく二発くらいしか残っていないだろう。
リロードしようと『コキュートス』の空のマガジンを捨てた時、異変に気付いた。

「!?っ、セキア!!伏せろ!!」

セキアの背後に位置する地面から生えている一本の細長い物体。ベリオが気付く頃には、その物体基イカ魔物の触腕は、彼女を背中から串刺しにせんとばかりに迫ってきていた。
思わず彼女に大声で叫んだ後は、もう迷ってはいられなかった。『ディーテ』の銃弾を一発、仲間を狙う触腕へ撃ち込まんと発砲。その直後に『コキュートス』を地面に置き、空いた手で懐からWあるものWを掴み出すと、野球の球を遠くへ投げ付けるように、魔物の頭上目掛け、全力でぶん投げた。

「オラァッ!!!」

ベリオが思い切り投げたもの__赤い液体の詰まった透明の点滴容器に似た袋は、放物線を描いて魔物のいる場所へ飛んでいく。
そして魔物の頭上近くまできた瞬間、魔物の攻撃がくる前に、高熱を帯びた銃弾がその袋を貫いた。

>セキア、エルト、魔物×2、ALL


【イカっぽい魔物の触腕が既に地表に出ているつもりで書きました(>_<;)意図と違っておりましたらすみません…】
>スレ主様

21日前 No.526

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★2ZwUguvzCb_inN

【セキア&レイニア&シスメ&ノイ/
イカの魔物? & ネズミの魔物?/区画本部内/旧下水道・中道】

『!?っ、セキア!!伏せろ!!』

「伏せろって―――うわっ!?」

ベリオの言葉に条件反射的に伏せたセキアの頭上を何か赤くてぶよぶよとした物体が
すごい速さで通り過ぎたかと思いきや、次いで炸裂した銃声が彼女の声を掻き消した。
まずは背後で一つ、そして、今まさに向かわんとしている魔物の頭上で一つ。
彼女が気付いたときにはもう魔物の頭上に赤い花が咲いていた。
そのまま重力に逆らわず落下したその赤い液体はバシャリと魔物2体の視界を覆う。

『GLUY!?』『GYYUO!?』

突然視界を奪われた魔物2体は、ひるんだ様子を見せながらも滅茶苦茶に触腕をふりまわす。
だが、狙って繰り出されたものでないそれらは
人間のセキアにも容易にくぐりぬけることができるものへと変わっていた。

「ナーイス! ベリオ! これだけ近づければ―――っ!」

頭上に向けて振るわれた触腕を屈んでかわし、次いで胴を貫こうとした尾を
くるりとターンして受け流したセキアは待っていましたとばかりに
白い歯をむき出しにして微笑みながら地を蹴って駆ける。
足元へ向けて放たれた触腕の一本を大きく跳躍しながら避けつつ、一気に魔物の本体へと距離を詰めた彼女は
その両手に1本ずつ握りしめられた赤い液体の満たされた筒を大きく振りかぶり―――

「おりゃあ!!」

二体の獣の表皮へと押し当てた。
セキアは筒の中の赤い液体がこぽこぽと音を立てて流し込まれていくのを見届ける。
――――が、次の瞬間、彼女の視界は唐突に黒一色に染まった。

「やった! 手ごたえあ―――のおっ!?
えっほ! けほっ!? なにこれ煙幕……っていうか墨ぃ!?」

苦しげに暴れだした魔物の力に抗えず、放り出されたセキアは、
今度は何とか尻餅をつかずにたたらを踏みながらも着地に成功する。
イカっぽい外見のとおりというか、その身体構造も見た目のそれに準じるらしい。
イカの魔物が吐き出した墨が晴れる頃には、二体の魔物は姿かたちもなくその場から消えうせていた。

「逃げられちゃった。どうしよう…追ったほうがいいよね?」

唐突に旧下水道が元の静けさを取り戻す。
ネズミの魔物が残したと思わしき点々と奥に続く足跡を指差しながら、
セキアは右頬から流れ出す血を手の甲で拭い、ベリオが投げはなち炸裂させた
血液パックの中身とおぼしき赤い飛沫と墨の飛び散った
服の汚れを気にするように確認した後、小さく首をかしげてみせた。

【大丈夫ですよー】>ベリオ、ALL

【Information:イベント終了条件クリア! これにて戦闘イベントを終了します。
お付き合いいただき、ありがとうございました^^】

11日前 No.527

ますたぁ @usagi59 ★iPhone=yO2Kb2AguU

【イザヨイ:ガイアル区画:中央本部:出雲鶴羽の部屋】

この建物ごとを燃やしかねない火力の火の玉を前にして、イザヨイの質問に対し、半分肯定半分否定の答えを出した鶴羽。
その答えにため息を一つはくと、火の玉を消して、立ち上がった。

「そーかい、まあ本当にそうならいいんだけどねー……。魔武器が完全に全滅することと、あの化け物共が復活することだけは避けたいからねえ……。レイが生き残ってくれたのは不幸中の幸としか言えない」

鶴羽が言っていることは本当だろう。少なくとも鶴羽の中では…。
この国の国家隊の奥はもっと闇が深いのかも知れない。イザヨイはその考えを顔には出さず、出されたお茶を一口飲んだ。

「この国に足りないもの……か……それを私が答えたところで国が変わるかい?
言っておくが私はすでに存在しないことになっている人間だ。存在しないものに意見を聞こうとするのは間違っているよ。
でもまあこれはあくまで私の独り言だけど…この国は…平和だと錯覚して暮らしている民が多すぎる……徐々に近づきつつある危険に気づくことなく明日のことを考えている民を見ると虚しくなるよ。」

最初はケラケラと笑いながら相手の揚げ足をとるような発言をしたかと思えば、窓の方へ歩いていくと、ボソリと呟いた。
レヴァーンの脅威を民は知らなすぎる。

≫鶴羽

【白月レイ:区画本部内:旧下水道中道】

私が投げたアンチレダールを上手くイカの魔物に指すことに成功したセキアさんをみてレイはやった!と思わずガッツポーズをして喜んだ。だが次の瞬間セキアさんはイカの魔物に黒い墨をかけられ、真っ黒になってしまった。

イカはその隙にどこかへ行ってしまったようだった。跡を追ったほうがいいというセキアさん。

「セキアさん、あの……今回の任務はあくまでアレを届けることなので……無闇に追いかける必要はないかと……。
それより、急いでこの道を抜けることが最優先では……」

レイニアさんを守るような形で前に立ちながら、フェニクスを指差し自信なさげに意見を言ってみるレイ。
今回見学者としてこの場にいるレイはその発言をする権利はないのかも知れないが、セキアさんが深追いをして怪我でもしたら大変、その思いで発言をした。

≫セキア レイニア シスメ ノイ ベリオ エルト

10日前 No.528

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【ベリオ/区画本部内/旧下水道・中道】


ベリオの渾身の一発が見事に容器に命中し、中の真っ赤な液体は標的である魔物二体の顔に降りかかった。
液体によって視界を奪われた二体はがむしゃらに自らの触腕や尾を振り回す。しかし先程のような精密さは無く、大きくなった隙を掻い潜るようにセキアがダッシュで前進していく。
魔物たちの塞がれた視界、そしてセキアの大胆不敵とも言える突撃により、勝負は決した。セキアの持つアンチ・フェリクスは魔物二体の体に突き立てられたのである。
しかしその直後、セキアや一行の目前を覆い隠すように、ドス黒い煙幕…ではなく墨が放たれた。

「なっ……まだ戦う気か!?」

墨を攻撃と受け取り、背に回したケースを庇いつつコキュートスを拾い上げ、(弾切れのため)威嚇のつもりで双銃の銃口を魔物たちのいた方向へ向ける。
しかし、それ以上の動きは見られず、墨が晴れる頃には、服を墨や赤い液体の飛沫で汚したセキア以外、そこには誰もいなかった。

『逃げられちゃった。どうしよう…追ったほうがいいよね?』
『今回の任務はあくまでアレを届けることなので……無闇に追いかける必要はないかと……。それより、急いでこの道を抜けることが最優先では……』
「…確かに、レイの言う通りだ。奴らを追跡するのは任務を遂行してからでもできる。進路次第では、再び相見える可能性もあるからな」

逃亡したらしい魔物二体を追跡したい様子のセキアに、自分たちが優先すべきはフェリクスの護送であるとレイが嗜める。それに続く形でベリオも任務を優先させる意見を言う。

「…それと…」

拳銃を二丁ともホルスターに収め、頭に被ったパナマ帽の鍔で顔を隠すように押さえると、やや早足でセキアに近寄る。
そして彼女の顔を見下ろせる距離で立ち止まると、スッ…と片手を軽く挙げ、そして__

「お前はもう少し慎重になれ、馬鹿者!」

彼女の頭上目掛けて手刀を振り下ろした。

>セキア、レイ、ALL


【今回は此処までで…。
手刀確定ロルになっていたらすみません…】

8日前 No.529

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_sNF

【エイルス区画/旧下水道・中道】

(見た目通りとは限らんが…多少の耐性が有ろうと!!)
ネズミの方はともかくとして…イカ風の魔物の方は如何にも、といった風貌で…電撃の耐性はあまり高くなさそうだ。
(…表面は何らかの対策があるだろうが…それを抜ければ十二分に効果はあるはずだ)
故に狙うは一点突破…そう考え駆けだそうとしたところで…
「なっ!?…無茶な!?」
当のセキアからの返答は強行するとの一点張りで…持ち前の思い切りの良さを生かし、ある程度の迎撃を成功させながらも、肉薄する事に成功している。
(っ…ええい、今からではやらせた方がマシか!!)
そう判断し、数発の魔力弾を撃ち込みながら接近して注意を引き、こちらに向けられた触腕などを切り払いつつ援護する。

「セキアッ!?」
そうして、ベリオ達の援護を受けつつ、2体の魔物に件のアンチレダールを撃ち込むことに成功した所で…イカ風の魔物が煙幕代わりに黒い気体…墨を吐き出し、周囲を覆ってしまう。
…幸いにもセキアはすぐにその範囲から放り出されたが…それが晴れるころには既に魔物の姿はなく…足跡が点在するにとどまっていた。
「…逃げられたか」
そう呟き、足跡が続く方角を見やる。
(…いや…してやられた…か?)
同時に、会敵時からの疑問に対してそう推測する…確証とまではいかないのが残念な所ではあるが…ともあれ、今は先にすべきことが有るのでそちらを先にかたずけてしまうべきだろう。

「…ベリオの言うとおりだ…援護が間に合わなかったらどうするつもりだったんだ」
小言を言われているセキアにこちらも近づきながらそう言い、ストレージからガーゼと消毒液を取り出しつつ、手当の前に頬に走った傷を注意深く観察する。
(…傷自体はそう深くは無いようだが…この環境は不衛生にも程がある)
などと考えながら、小言を言われているセキアに簡単な手当てを施す…本来であれば無茶を窘めるのだが…
(この状態から更にから小言を言うのも…な…あながち間違った判断とも断言はできんしな…)
…実際の所、最初に小言を言っているのだが…それ以上の言及はひとまずは保留にしておくことにしたようだ。

「…奴らがどうなったのかは気になる所だが…生憎と任務を疎かにするわけにもいかないだろう?」
セキアの意見に対し、レイやベリオ同様の意見を返す。
確かに気になる部分はあるのではあるが…今は任務が最優先だ…優先順位を違えてしまっては本末転倒だろう。
(…もう少し人数が居れば…無いものをねだっても仕方ないか)
奥へと消えた足跡に、一度だけ視線をやりながらもすぐにそれを元に戻し…未練を振り切るかのように進むべき方角の通路の法衣向き直る。

>セキア ベリオ レイ ALL

【申し訳ねぇ…そう言っていただけるとありがたいです…ひとまず失踪だけはしないように努力させてもらいます】
>スレ主様

4日前 No.530

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★WfIyPon05B_sE3

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3日前 No.531

ますたぁ @usagi59 ★iPhone=yO2Kb2AguU

【イザヨイ:ガイアル区画:中央本部:出雲鶴羽の部屋】

鶴羽から帰ってきたのは、次代を担う者という答えだった。イザヨイは少し不機嫌そうに振り返り

「次代を担う者……ねえ。まあ私から言えることは、国家隊はこれ以上自分たちで使える手駒を減らさないようにしろよってことだけかなー……ただでさへ、魔武器がほぼ壊滅したおかげで……いやこれ以上はよしておこう……。」

魔武器が壊滅したのはイザヨイにとっても誤算だった。いずれくる厄災のために作った魔武器、皆が知らぬ歴史の真実、それを明かすのはまだ早すぎるか……。
無論、この鶴羽ですら知り得ぬことを


「次代を担うものを育てたいなら、任務をやたらむやみに与えるより、訓練場で特訓なり修行なりさせたほうがいいんじゃないの?
あの子達は、まだ未熟だ、未熟のまま任務に行かせて死なれたら、それこそただの無駄骨ってやつじゃないか。
私も、レイのことで気になることがあるから確かめたいところでもあるしねえ……」

魔法で水晶玉を取り出し、今現在任務に赴いているレイやセキアたちの動向を映し出し、鶴羽に水晶を見せつけ、不満そうな顔をする。
そして裏切り者がいるということに関して

「裏切り者なんて国家隊には何十人といるだろ……何を今更……」

呆れた顔でため息を吐いた。

・>>出雲鶴羽

【白月レイ:区画本部:旧下水道□中道】

任務最優先という提案に、セキアさんは落ち着きを取り戻し、受け入れてくれた。
だが次の瞬間、セキアさんの頭にベリオさんのチョップが炸裂した。

「セ、セキアさん大丈夫ですか?!」

慌てた顔で、セキアさんの心配をする。
ああ痛そうだな、何か湿布薬とかなかったかな、ガサゴソと鞄の中を探るがそれらしいものはなかったのでしょんぼりする。

「ご、ごめんなさい、私何もできなくて……」

もどかしい、見学者という立場に自分でなったというのに、セキアさんたちの役に立てないなんて、もどかしくて、自分にイラつきを覚える。

「………」
セキアさんたちが亜人たちの話をしている間、レイはさっき落ちていた紙のことや、レダールが使われ完全に獣化してしまった亜人たち、もしこれにスターチさんたちレヴァーンが関わっているなら、もしかしてあの人たちの目的は……
と自分の中で考えながら、レイニアの手を取りセキアたちの後に続き歩いていくのだった。

「あの遺跡に書かれていたことと関係があるのかももしれませんね」

ボソリと小さな声で呟いた。

≫セキア シスメ レイニア ベリオ エルト

2日前 No.532

レーリン @reirin16☆iFOiR2juBrUr ★iPhone=t2Gdx8uNU5

【ベリオ/区画本部内/旧下水道・中道】


任務を優先すべき、という皆の意見を聞き入れ、素直に考えを変えた様子のセキア。
しかし、彼女に与えられた苦難(?)はまだ終わっていないようで。

『ふぐぁ!?』

此方に近付いてきたベリオの振り上げられた片手をハイタッチの合図と考え、明るい笑顔でそれに応えようと挙げられた彼女の手は、しかし合わさることは無く。
それどころか、ベリオの掌は手刀と化し、鉄槌の如く彼女の頭に一撃を喰らわせたのだから。

『セ、セキアさん大丈夫ですか?!』
『うぐぐ……未来の勇者の頭脳がぁ……』

手加減をしたとはいえ、突然の痛みと衝撃によってか、そのまま他に倒れ臥すセキア。
慌てた様子でそんな彼女に駆け寄るレイを横目に、ベリオは自らの精悍な顔がただの強面と化す程眉間に皺を寄せ、痛そうに頭を押さえるセキアを見下ろす。
打った際に痛くなったのか、今し方セキアの頭に振り下ろした方の手を前後左右に振りながら。
しかしそんな強面も、彼女の口から謝罪の言葉が漏れてからは幾分か緩み、心底呆れたように腹の底からの深い溜息を吐く。

「はぁ〜……全く。次無茶したら、拳骨だからな?」

そう言うと、痛みの引いた片手で軽く握り拳を作り、軽く下に振る動作をして見せる。
だが彼女の突撃が一先ずの決着を生んだことも事実、流石に強くやり過ぎただろうか、と考え始めたところで、後からやって来て手当用のガーゼや消毒液を手にセキアに近付くエルトも一言、セキアを嗜める。
セキアもセキアで反省しているようであるが、後から自身を擁護するような言葉を口に出し…あ、やっぱり足りなかったかもしれない、とベリオの僅かな罪悪感を霧散させてしまうのだった。

『でもでも、そんなに言うほど無茶はしてないと思うけどなぁ
ほら、ほっぺちょっと切っただけだし、服汚れただけだし――』
「どうやらもう一発食らいたいようだな?」

低い声でそう言うや、片手を固く握り締めるベリオ。帽子の鍔で影になった目元からは冷たい眼光がギラリと覗く。
確かに大怪我も不意打ちによる致命傷も受けていないし、思い切って突っ切らなければ撃退に時間が掛かっていただろう。だがそうじゃない、俺が言いたいのはそう言うことじゃない。
お前からすれば今の一言は理不尽に聞こえるかもしれないが、こっちは怒っているんだ。こっちの肝が冷えるからもうあんな特攻じみた行動を単独で行うんじゃない!
__と、再び説教をしてやろうかと考えたところで、セキアが思い出したように此方に視線を向けてくる。

『さっきは助けてくれてありがと。この赤いのってベリオの私物だよね?
これってなに? なんかどっかで嗅いだことがある匂いのような…』
「…は?あ、あぁ…別に、お前が気にすることでは……俺がああするべきだと考えたからそうしただけで…。
……そ、それは……」

セキアがベリオに聞いたこと。それは先程彼が懐から取り出し、魔物の頭上まで投げて炸裂させた物体についてだった。
それを聞いた途端、先程までの厳しい態度から一転、しどろもどろな態度となるベリオ。あれは何だったのか、という問いには視線を泳がせ、頬に一筋の汗を垂らしつつ、どう答えるべきかと悩み始める。
不味い。WアレWは自分に必要なもので、自分や自分のW体質Wを知る者以外には絶対に知られてはいけないものだ。
今までだって人目に触れないようにしてきたのに、あの時は任務中に補給できるようにと半分解凍して人肌で保温するために懐に忍ばせていたWアレWを、俺は、つい居ても立っても居られなくて…。
__言えない。絶対に悟らせる訳にはいかない。
考えろ、考えるんだ俺…!!

『これって……弁償したほうがいいよね?』
「__へっ?!あ、いや、えーと……」

何か上手い誤魔化し方は無いものかと、帽子を益々下に押さえ込みながら、一瞬の内に必死に自らの頭脳をフル回転させていると、目の前の彼女の別の一言が耳に入り、目の前のことに集中できていなかったことが原因で、思わず間の抜けた声を上げてしまった。
そのことに一抹の羞恥を覚えつつ、例の物体について弁償した方がいいか、と問うセキアへの答えを先のことより慎重に頭の中で構築する。

「……いや、別にいいよ。あれ、一つで1万以上するからな。子ども一人で用意できるような額じゃないだろ?」

押さえていた帽子から手を離し、WアレWの金額について教えつつ弁償はいいと断りを入れる。
アルバイトでもしていれば苦労することなく用意できる額ではあるが、何しろ単価が高い。目の前にいる年若い仲間(とはいえ、候補隊員の殆どが若いのだが)に1万以上もする金額を弁償させることはどうにも気が引けた。
その後、セキアの服に付いた赤いシミや、背後の魔物たちがいた地点に散乱している大きな赤い痕跡、そして所々に散らばる大小様々な透明容器の破片を見遣り、嗚呼、勿体ない、と密かに思う。

__直後、視界が僅かに揺れたような気がした。

(…っ!)

一瞬、全身が強張るのを感じる。
嗚呼、こんなに運の悪いことがあるだろうか。仲間の前では自分を保っていたいと思った直後にこれだ。だがこれは、迎撃のために魔力を多用したことと、少しだけ香る液体の匂いを嗅いだことが、Wあの状態Wに陥るまでのカウントダウンを早めたのだろう。
否、まだ不味い状態ではない、まだ大丈夫、とベリオは内心で自己暗示をする。あの感覚については何度も体験済みであり、どの段階が一番不味いのかも知っていることもあるが、何よりこの不測の事態にいち早く心を落ち着けたいことが最たる理由であった。

『では〜、時間もおしてますので行きましょうか〜。できるだけ早く、警戒は怠らないよう慎重に』

ふいに、レイニアが前進の言葉を全員に掛けるのが聞こえ、再び我に帰る。
そうだ、今は任務の真っ最中。これから例の感覚が深刻化しないよう、自分はケースの防衛に専念すれば良い。魔力の消費を抑えるためには拳銃も使えないが…足手まといにならぬように動けば良い。
前へ歩き出す一行に続いて、身に付けている黒ケースを改めて視界に入れ、気合いを入れ直して歩き出すのだった。

>セキア、レイ、エルト、レイニア、ALL

2日前 No.533
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