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月下のアスール【T】-『The God Delusion』

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(5744) - ●メイン記事(464) / サブ記事 (114) - いいね!(12)

語り部 @yuzuriha16 ★6kAHKhaN27_EP8

にぎわう夜の酒場で、あるいは街灯に照らされた石畳の上で、

はたまた夜風にさらされた荒野で、それとも木の爆ぜる音が響く焚き火の周りで、

まことしやかに囁かれるある一つの国家が存在した。

かの国家の名はアスール。

魔導具と呼ばれる未知の技術を用い、急速に発展する新興国家。

世界から疎まれた狭間の者達が築きあげたその国は、5人の建国者により均衡が保たれていた。



アミル・カーランドが統轄する娯楽区画ウォーティア

ディノアギスバルガエンズルドが統轄する流通区画エイルス

ヒルカ・ルドナルが統轄する工業区画アーティー

出雲 鶴羽が統轄する自然区画ガイアル

そして、アスール国家隊の総本山である中心区画ルナ。

水と遊戯を求める者はウォーティアに

空と発見を求める者はエイルスに

魔導具と情報を求める者はアーティーに

大地と交流を求める者はガイアルに



今日も様々な目的を持つ者達がこの国を訪れる。

純粋に他種族との調和を志す者、己が国を富ませんと仮面を被る密偵、

帰路に迷い流れ着いた者、はたまた想像もしえない願いを抱いた愚者。

そんな各々思惑でさえ、まるで取るに足らぬものと言いたげに、

かの国家は飲み込み、最初からそこに存在していたかのように彼らは国へ同化していく。

その渦中にあなたが飛び込んだ―――それがこの物語の幕開け。



【サブ記事にてルール説明、キャラ募集を行います。本編開始の合図はサブ記事にて行い、
本編は本スレ運営主の最初の書き込みを持ってスタートとさせていただきますので、ご了承願います】

2年前 No.0
メモ2018/07/02 05:23 : 語り部(スレ主) @yuzuriha16★WumUm9x1xy_DMW

〜簡易キャラ表(★はスレ主操作キャラ)〜


キャラ多すぎて分からねぇでございますよ、という方はこちらをご覧下さい。

なお、僭越ながらスレ主が参加者様の各キャラ紹介文を書かせていただきましたが、

自キャラの紹介文に納得がいかなければ、スレ主の承諾なしで変更追加していただいて

全然構いませんので、ご一考くださいませ。

なお、各キャラの詳しいプロフについてはサブ記事にてご確認願います。


【男性のみなさん】


○ジョージ・イワモト http://mb2.jp/_subnro/15277.html-15#a

29歳。黒髪、黒瞳。身長180cm体重78kg

義理人情に厚いが冷静沈着。そんな熱さと冷たさを兼ね備えた改造人間の青年。

4年前からアスールにて生活しており、ガイアル区画で森林保護活動などをしていた。

何らかの原因で過去のメモリーのほとんどを失っている。


○エルトライゼ http://mb2.jp/_subnro/15277.html-47#a

通称エルト。18歳(※外見&精神年齢。実働年数は約5年)

プラチナブロンドに近い白髪、薄緑の瞳。

穏やかだが、どこか達観した視点をもつクォーターエルフの青年。

魔法の最盛期につくられらたホムンクルスであり、それに類する知識を豊富に持つ。

『マスター』より与えられた新たな使命を果たすべく活動しているが、

使命の真意を計れず放浪の旅を経てアスールへとたどり着く。隠れ甘党。


★クラウズ・フォルマーカー http://mb2.jp/_subnro/15277.html-95#a 

25歳。銀髪、サファイアブルーの瞳。身長182cm体重56s

宗教国家レヴァーン フォルラーン教会所属の異端審問官である人間の青年。

素敵な神父さんを自称するが、昼間から酒をあおったり、

銃をぶっ放したり、自らが信仰する神の教えに

大幅なアレンジを加えて話したりするため、およそ神父らしくない。

…続きを読む(105行)

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ますたあ @ritonetto ★N6ZPthUNsx_nHx

【白月レイ:ソエリス遺跡】

スターチさんの言葉を聞いてわかった、生まれは似ていても、しかしそれだけでは相容れない
私たちは敵同士になってしまうのだと。レイはただ悲しかった。
でも、悲しんでいる暇なんてなかった。
クラウドさんが、この遺跡でしていたことや、あの仮面の少女の目的などを話してくれた。
フォルラーンの復活、なぜだかわからないけど、それは止めなくてはいけない気がした。
というより、なんだろう、この壁画、どこかで見たことがある。

「……スターチさんの気持ちはわかりました。私も、魔武器に生まれたものとして、主が一番という気持ちはわからないわけではありません。
あなたたちが、私たちの敵だというのなら、私は国家隊員として、あなたたちを止めなくてはいけないのですし、仕方がありません。
……ただ、さきほどの約束は、果たしたかったですね…」

泣きそうなのを必死にこらえながら、イワモトさんのそばまで歩いていき、腕を銃の引き金へと変化させ、イワモトさんの前へ差し出すように腕を上げる。

ーそうだ!ココ出たらよ、お礼に料理を振舞わせてくれよ花の嬢ちゃんー

その言葉が、レイの頭の中をめぐった。
本当は、心の底から楽しみだと思ったのだ。まるで仲間が、友達ができたような気がしたからさん

「イワモトさん、私があの人たちのことを友達だといったこと、聞かなかったことにしてください、私も言わなかったことにしますので…」

イワモトさんの耳にささやくように、震える声でいった。

≫イワモト ノイ スターチ クラウド

11ヶ月前 No.415

仲之人 @absoryut ★lbN0U8PuMJ_Vx8

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

「…そう…だな…そうすべきだろう」
瀕死の状態であったデウスに対しての最低限の処置を終えたようで、立ち上がりながらもはぐれてしまった候補生達との合流を目指して移動するべきだという意見に同意する。
…控えめに言って満身創痍と言った有様の現状ではちょっとやそっとの時間で回復を測ると言うのは相当な賭けだ。
件の吸血鬼やらここまでに遭遇したトラップなどの懸念材料がある事も考えればリスクの割に合わないと言わざるおえないだろう。
そう考えてこちらもまた立ち上がろうとしたその時、『ガシャリ』と、いう重低音が響き渡り…その瞬間、跳ねるような勢いで飛び出し、シスメやデウスの前に立ちはだかり、音の主を警戒する体制に入る。

(よりにもよってこんな時に…か…)
どうやら懸念が当たってしまったようで…招かれざる何者かがこちらの存在に気が付いてしまったのだろう。
…これが金属のような重低音でなければ候補生達が来たかもしれないと言う希望を持てたのかもしれないが…生憎とこのような音を出し得るのはイワモトぐらいしか心当たりは出てこず…同時に今聞こえた音は彼の物とは少々違っており、必然的に最悪のケースであると判断せざるおえないのであった。
「…二人とも…すぐに逃げる準備を」
ゆっくりと近づいてくる物音から、2,3言葉を交わす程度の猶予はある、と判断して辛うじて聞き取れる程度の声量でそう促す。
…この状況はもはや積みだ…おおよそ勝利と言えるような結果など取れるはずも無く、いかにして『上手く負けるか』と言う方向で考えるしかないだろう。
ベストな選択としては誰かが囮となってどうにか時間を稼ぎ…残る2人が運よく他の候補者と合流する…という物だろう。
…希望的観測と、取られるかもしれないが…実際の所それぐらいの巡り合わせに期待しなければ手の打ちようがない…そんなレベルの危機なのだ。
(…こちらはそう長い事動けんだろうしな)
先ほど無理を押して飛び出したものの…実際に動いてみればそれだけで無視できない程度には体中から痛覚が返され…それを魔力による強化で無理矢理押さえつけ、どうにか動けている…そんな状態なのだ…いざ戦闘となれば5分も持ちはしないだろう。
(それでも…やるしかない)
悲壮な決意を固め、いよいよ近づいてきた足跡にいつでも仕掛けられるように迎え撃つ覚悟を決める。

…だがしかし、次の瞬間待っていたのは予想だにしえない光景につながることとなる。
「…は?」
聞き覚えのある声にそんな間抜けな声を漏らせば…シスメがこちらが立ち直るよりも早く軽口を言われたことに反論しはじめており…よくよく見れば脅威であったはずの吸血鬼と思わしき少女が鶴羽の傍らの武者鎧に抱えられており…
「は…はは…はぁぁぁぁぁ…」
先の覚悟はなんだったのやら…考えるのも何処かばかばかしいと気を抜いた瞬間、一気に疲労感が襲い掛かり…ため息のような声と共にゆっくりと後ろに倒れ込む。
(どうにか助かってしまった…そういう事か)
それだけ理解してしまえば酷使し続けた体は『テコでも動くものか!!』とばかりに極度の疲労を訴えかけ…一度緩んでしまった意識の方も『過剰労働だ!!臨時休暇を所望する!!』とばかりに思考に靄のような物をかけて思考を放棄させようと妨害を仕掛けてくる。
…流石に気力の方もとっくに限界だったためにそれらに逆らう事も無く、シスメやデウスと会話する鶴羽の声をぼんやりと聞き流していた所でふと、頭上に影が出来た事に気が付きそちらに意識を向ければ…

「いや、大丈b…」
流石に負傷したシスメに負担をかけるほどではない…と断りかけた所で…遠慮は傷つくと宣言した通りに、その表情が変化し掛けたのにいち早く気が付き即座に言葉を飲み込まされ、訂正せざるおえない状況へと追い込まれる。
「あー…いや…なんだ…実は立つのもつらい…」
あっさりと言動を翻して差し出されたその手を握り、助力を受け入れる事にする。
そうして助け起こされようとする中、突如鶴羽に呼び出された2人(2輪?)の救護班の人花族と目が合い、それが試験の時の個体であると言う事に気が付く。
(…まぁ…何はともあれ一安心…かね)
彼女らの腕は確かな物であると言うのが分かっているため、これでデウスの方も完治とはいかなくとも十分な治療を受ける事が出来るだろう。
「ふぅ…あっちは任せておけばよさそうだな」
不思議な歌声と共に治療に取り掛かる鶴羽や人花族たちの後ろ姿に本当の意味でようやく安堵のため息をつきつつも、先に言われたとおりに静かに周囲の警戒に取り掛かる事にしたようだ。

>シスメ デウス 鶴羽

【お疲れ様です!!…書類の山は…まずい…ともあれ無理しない範囲でまたよろしくお願いしますー】

11ヶ月前 No.416

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★Ez3l2WuYvu_jG9

【鶴羽&シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間→終極の間】

脱力するエルトに以下同文なシスメ。
二者同一の反応に袖先で口を隠した鶴羽は静かに笑いを零すと、
満身創痍といった面持ちのエルトに軽口を飛ばす。

「かかか、とんだ“びぎなぁずらっく”じゃったの、エルトや。
首も繋がっておるようで一安心じゃわ」

そう笑う鶴羽の顔に巨大な武者鎧の影が落ちる。
何かを警告するかのようにひとしきり身重な体を揺すらせた異形は、
鶴羽が目配せすると、再びガシャガシャと体を揺すらせながら列の後方へと後退していった。
何事もなかったように鶴羽は続ける。

「お主、試験のときもそうじゃったが、真っ先にワシにむかってこようとしたじゃろ。
見かけによらずきちんと男子(おのこ)しておるようじゃの。のぅ、シスメ?」

「な、なんで私に振るんですか! それよりどうして鶴羽管理官がここに?」

好々婆と笑う鶴羽の意味ありげな視線に思わず、反論しかけたシスメだったが、
私情に流されかけたところを踏みとどまり、返す刀でそう鶴羽に切り込んだ。
区画統括管理官という立場を置いておいても、いきなりの登場に対する説明が
全くなされていない事実にふと我に返った鶴羽は手に持った煙管型魔道具
告乃嘶鬼をくゆらせながら、ふむと一息置いた後、話しはじめる。
自分では落ち着いているつもりが、不測の事態ばかりで意外に焦っていたのかもしれない。

「ここはわしの管轄しておる区画じゃからの。
異変があれば逐一わしの耳に入るようになっておる。それにじゃ」

当然といえば当然。至極最もな説明に、はぁと相槌を打ちかけたシスメだったが、
唐突に言葉を切った鶴羽がカン!と車椅子に煙管を打ちつける音で、
びくりと少し飛び上がってしまい、思いのほか強い力でエルトの腕にしがみついてしまった。
急いで肩を貸しているエルトを振り返るも時既に遅し、小さな声で「すみません」と呟き、
こちらにニマニマとした笑みを向ける鶴羽に恨みがましく視線を向けておく。
傷に響いてないといいのだが…。

「昨日、国家隊本部へ侵入を謀った者と同じ魔力を感知した。
であれば、わしが出向かぬわけにはいかぬじゃろ?
つまり、この遺跡での一件はお主らの任務の範疇を超えておるということじゃ、
後のことはわしに任せい」

先ほどとはうってかわって神妙な面持ちになる鶴羽に、シスメも表情を強張らせる。
凶暴化したアルカードの少女に、機能を停止しているはずの遺跡の異変、
明らかに何者か介入があったと考えるのが自然だが、バラバラだった疑問が一本の線になった気がした。
こちらの意図を察してか、鶴羽も静かに頷く。

「一体、なにが起こっているんですか…?」

「それはわしよりもこやつらに聞いたほうが良さそうじゃ。
のぅ? レヴァーンの尖兵ども」

話し込んでいるうちに、いつの間にか上の階へと続く階段を上りきっていたらしい。
開けた場所には巨大な鋏を手にした修道服の女と、二丁の銃を手にする神父服の男がいた。
鶴羽の問いに神父装束の男が銃に落としていた視線をゆっくりとこちらへ向ける。

【大変お待たせ致しました; 今後のストーリー展開など考えておりましたら
返信が遅くなってしまいました。申し訳ございません;ストーリー進行のため場所を
移動させていただきました。これにてはぐれていたメンバーと合流となります】>エルト、ALL



【レイニア&ノイ&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

『それはわしよりもこやつらに聞いたほうが良さそうじゃ。のぅ? レヴァーンの尖兵ども』

「おや、あれは…」

ふと声のするほうに耳を傾けると、聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。
ここに入るときにはいなかったはずの鶴羽の声に驚きよりも、ああと納得の感情を先に抱いた。
これだけドンパチやったのだ。区画統括官の耳に届いたところでなんら不思議はない。
気配から察するに、離れ離れになったエルトとデウス、シスメだろう。
いまだに姿のないセキアのことが気にかかったが、
案外、うまく生き延びているに違いないという奇妙な確信があった。
クラウズも異変に気付いてか、銃の引き金にかけていた指の力を抜いて思いもよらぬ乱入者の方を見やる。

「おっと…耳が早いねぇ、もう援軍のお出ましかい?
シラけるねぇ。集団でかかるなんてヤボはよそうぜ。
唯一神フォルなんちゃらも言ってるだろ、弱者を前に徒党を組むは悪事の始まりってな」

「かかか、それなら心配いらぬ。
大きいのから小さいのまで悪事にならもう何度も手を染めておるよ」

「ちっ、あんたみたいなのが一番苦手だ。
スターチ! もう武器化は使えねぇ! そっちは頼むぜ!」

「はい、でございます!」

鶴羽に向けて得物の大鋏を構えたことが交戦の合図となったかのように、
鶴羽も手にしていた煙管をスターチにつきつける。
しかし、そんないつ戦闘に発展しても不思議ではない一触即発となった空気に水をさす者がいた。

「さて、わしの区画で狼藉を働いたことどう後悔させてや――」

「はーい、ストップです。鶴ちゃん」

「なんじゃ、レイニー。いいところじゃというのに」

「ちょーっとここは私たち第七候補隊に任せてもらえませんかねぇ?」

目の前でおもちゃを取り上げられた子供のように、
ぶすっとした表情をする鶴羽の首に腕を回しながら耳元でレイニアが囁く。

「わしに意見するとは随分と偉くなったものじゃな?」

「あはは。そんな意地悪言う鶴ちゃんなんて嫌いです」

「何故じゃ!? あ、否、今のはもちろん冗談じゃからな! 本当じゃぞ!
ほ、ほれ、他の隊員の目もある故、少し言葉がきつくなってしもうただけなのじゃ!
翻訳するとあぶないから下がっておれ、とそう言いたかったのじゃ! 本当じゃぞ!
謝る、すまんかった! 飴ちゃんやるから! 嫌わんでくれ後生じゃ!」

「まー、そんなわけですので、きついとは思いますがー、
ちゃっちゃとやっつけちゃってください、その人たち。まだ任務は続行中ですよ?」

まとわり付く鶴羽をべりべりと体から引き剥がしながら、
ひらひらと手を振るレイニー。どうやらこれも任務の一環だと言いたいらしい。

「はっ。俺たちも随分と低く見積もられたものだグボォ!?」

なんだかんだとこちらのつまらないやりとりが終わるまで律儀に手を出してこなかったクラウズも
さすがに我慢の限界だとばかりに、再び狙いをつけようと銃口を上げたその時だった。
唐突にクラウズの言葉が途切れた。彼の言葉を遮った者、それは何者なりや?
端的に説明するならそれは足だった。
几帳面に揃えられた両足…いや、ブーツの底がクラウズの横顔を正確に射抜いていた。
体をぴんと伸ばした姿勢のまま、ズザァァァ…と顔で床をこすりながら壁に激突するクラウズ。
舞い上がる砂埃。停止する時間。その中に、ぼうっと浮かび上がる一つの影があった。
しかしてその正体とは―――

「銀河を逆流する――以下略! 究極勇者セキア参上!!」

首に巻かれたたなびくマフラー、頭上に輝くキャスケット帽、
勝気な笑顔を形作る口元は大きく横に広がり、規則正しく並んだ歯をこれでもかと見せつけている。
その影の正体とは――勇者志望の馬鹿(セキア)だった。

「ふふ、真の勇者は遅れて参上するってね。まさにセオリーどおり! レイ! お待たせ!」

【大変ながらくお待たせ致しました。何度かサブ記事にてお言葉をいただいておりましたが、
返信できず申し訳ございません。そこまでこのスレを思っていただきありがとうございます。
遅筆ながら今後も返信させていただきますのでよろしくお願い致します】>レイ、ALL

8ヶ月前 No.417

仲之人 @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRM

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間〜終極の間】

「…まったくだ…こんなギリギリの状況なんて御免こうむりたいんだけどな」
ビギナーズラック、と軽口をたたく鶴羽にため息交じりにそう返す。
…初心者によく見られる類稀な運気の事を指す言葉ではあるが…今回に至っては良くも悪くも有難いとは言い難い方向であったと言わざるおえない。
そもそも良い方向に発動していたのであればここまで危険な状況になる前に発動してくれればよかったのだ…悪い方であったら言わずもがなである。
…まぁ己の運気に不満を持ったところで仕方のない事ではあるのだが。

そんな益体もない事をぼんやりと考えていると再び口を開いた鶴羽から賛辞ともとれる言葉が投げかけられ、どこかバツが悪そうに返す。
「あの時はそれが最善だと判断しただけだ…もっとも結果はご覧の有様、と言った所だったが…」
好機と見て強引に切り込んだものの、軽くいなされ手痛い一撃を返されたあの一連の攻防は紛れもなく苦い経験となった。
…それも鶴羽の方としては相当に手加減しての一撃だったのだろう…本気であったのならば恐らくは今でも病院送りの憂き目にあっていてもおかしくはなかった。
(まだまだ…だな…っと!?)
ぼんやりとした思考の中で鶴羽とシスメの会話を聞き流しつつ、内心で反省しかけていた所でふと腕に違和感を感じると…担がれる形で預けていた腕にしがみつかれており、同時に一の腕辺りに何やら柔らかい感触を感じ取る。
(これは…っ!?)
意識しなければ何の問題もない些細な事故…で済んだのだろうが…察してしまったからにはそう言う訳にはいかない。
(お…おお落ち着け!!こういう時は素数を数えるんだ!!…1,2,4,8,16…)
そう、何とは言わないが…『無くはないです』どころか『人並みにはある』とある部分が当たっていたのである…それもまあ数秒と言う短い時間であり、ただの倍算をしている頃にはとうに離れていたのだが…

…そんなふとしたハプニングから間もなく、突如変化した雰囲気に気が付き、意識を即座に切り替えれば…鶴羽から語られた言葉は重々しくもどこか納得ができる内容であった。
「なるほど…確かに新人には荷が重い状況だとは思ったが…」
恐らくは今語られた侵入者とやらの仕業でここまでの状況に発展してしまったのだろう…目的の方ははっきりとはわからないが…
「…わざわざ本部を嗅ぎまわるような真似をしなければもう少し水面下で動けただろうに」
何かしらの目的があっての侵入だったのかもしれないが…それで藪を突いてしまった侵入者に若干の呆れを混ぜながらそう呟いた。

>鶴羽 シスメ デウス ALL

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

そうしている内に階段を上がり切ったようで…鶴羽の言葉と視線に従いそちらに目を向ければ、分断されていたメンバーらと対峙している見知らぬ男女が目に入った。
「こいつらが今回の首謀者とみていいんだな?」
そう認識するやいなや、肩を貸りていたシスメから離れ戦闘状態へと意識を切り替えるが…
(…流石に…思い通りには動けんか)
ここまでに多少の回復が出来たとはいえ…やはり無理を押した代償かどうにも帰ってくる反応に違和感が付きまとうが…上手く立ち回ればやれなくもないはずだ。
冷静に状態を分析している最中にも状況は動き始めたようで…何やらレイニアと鶴羽が相談をしていた…と思いきや…
(え…えーと…な…なんだこれは…?)
突如始まった茶番劇に呆気にとられる…あの孫に縋りつく老人のような人物が先程までの鶴羽とどうにも一致せず思考がフリーズしかけた。
(っと、いかんな…いつ仕掛けられるかわからないってのに…)
それでも何とか気を取り直して目の前の敵…スターチと呼ばれた異形の得物を持つ修道女に意識を戻そうとしたところで再び起きた異変に思わずそちらを見やれば…

「…真面目に…いや、やってるんだろうな…ああ」
神父の横面にドロップキック(推定)をかましたその人物…セキアは登場するなり何やら口上のような物をあげ、乱入してきた。
(…無事…なのは確かなんだが…大丈夫かアレ?)
視線の更に先にはもくもくと上がる粉塵…先に吹き飛ばされた神父は今はまだ動くそぶりを見せてないようだが…気が付いたならば怒り狂って逆襲してくるであろう事は想像するまでもない。
(少し…かなり心配なんだが…)
出来れば援護してやりたい処なのだが…こちらにも決して余裕はなく、どうにかなる事を祈るほかない。
「あー…まぁ…ゴホンッ!!一応聞くが…大人しくするつもりは…?」
わざとらしい咳払いで無理矢理微妙になった空気を払拭しようと試みつつも目の前の修道女…スターチにそう勧告する。

>スターチ ALL

【了解ですよー。相変わらずの駄文家ですがコンゴトモヨロシクなのです!!】

8ヶ月前 No.418

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★2SEN0eAjxq_IZy

【レイニア&ノイ&セキア&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ソエリス遺跡/終極の間】

「あ、エルト! デウスにイワモトのおにーさん、それにレイニー教官も!
あれ、鶴羽のおねーさんまでいる! やっほー!」

ここへ来るまでに紆余曲折あったのか、鼻についた汚れを拭いつつ、
ようやくレイ以外にもこの場に国家隊員がいることに気付いたのか、
ぶんぶんと手を振って呆れ交じりのエルトの呟きに応じる。
身なりはひどい有様だが、元気は有り余っている様子だ。
その場違いまでの元気ハツラツさは、
この場に生真面目なリアリストがいたら胃がねじ切れていたに違いない。
そんな常時脳内お日様マークのセキアの登場など意にも介さず、
彼女とは正反対に嵐の前の静けさのような、恐ろしく表情のない顔で、
今しがた吹き飛ばされた主を見やる者がいた。
硬直を引きずっていたスターチだったが、エルトの問いにようやくピクリと眉を動かす。

「おとなしくするつもり…でございますか?」

瞬間、ゆらりとスターチの姿が陽炎のように揺らめいた。

「敵対する関係ではありますが、貴方たちいい人ですもの。
少しは手加減するつもりでございましたのに…」

手にした大鋏の切っ先がざりざりと地面をこする耳障りな音をさせながら、
ゆっくりとエルトの方に向き直るスターチ。
その顔からは…

「今のでその気持ちも完全に消え失せましたわ」

完全に表情が消えうせていた。

「この異常な濃さの魔力濃度…まさか」

酔いそうなほどスターチの体から漏れ出た余剰魔力に反応したのか、
露骨に眉をひそめたレイニーの呟きから数秒、
セキアの横顔を巨大な鋏の切っ先が掠める。

「主様になにしてくれとんじゃわれぇえええええ!
ブチコロですわ!! ちみどろですわぁ!!」

比喩などではなく、今まさにスターチの怒髪が
頭に被っていたフードを跳ね飛ばし、天をついていた。
セキアに突きつけた鋏を引いた後、まるでハエ叩きでも
振り回しているかのような身軽さで大鋏を大きく頭上に掲げる。

「えっと…あれ、ひょっとして、あたしまたなんか余計なことした? うわっ!?」

「ブレードバース!」

のんきに状況解説をしているセキアに、
素早く間に割って入ったレイニアが足払いをかけると同時に
剣状に形成した魔術防壁で振り下ろされたスターチの鋏を受け止める。

「あはは、とんだ馬鹿力…ですねぇ…っ…修道女をやめて…
プロレスラーにでもなったら……どうですか?」

「ムカつきますわ、その顔、その声……この際、貴方が何故
我らが創造主様と同じ顔をしているのかについては問いただしませんわ。
だって、どうせ跡形もなくぶちのめすんですもの!!」

スターチの攻撃を何とか受け止め軽口を叩くものの、
ぎりぎりと押し負け始め、ついには吹き飛ばされてしまうレイニア。
透明な剣の破片を散らしながら、受身を取る間のなく
そのまま壁に激突すると思われたそのとき、ふわりと黒い異物がレイニアの体を受け止めた。
違和感を感じて背後に注意を向けると、いつの間にか天井から床に至るまでの
壁という壁が黒い粘度のある煙に覆われていた。悪戯っぽく片目をつぶった鶴羽が口を開く。

「このくらいは許容範囲じゃろ? 忘れておらぬとは思うが…
ココ、我が区画の重要文化財じゃし。ワシにはこの遺跡を守る義務がある」

そううそぶく鶴羽に軽く頷いたレイニアは返事も返さずに、
腰のブックホルダーに仕舞っていた魔導書を取り出して開くと、声を張り上げた。

「各自散開!! まともにやりあわないで下さい! 並大抵の膂力で張り合える相手ではないです!」

「了解! こんにゃろ喰らえ!! アメイジングブラスターフレア!!」

セキアが投げた飴が次々と炸裂し、その暴風ごとスターチの大鋏が薙ぎ払う。
ドンパチをシンプルに体現すればこうなると言わんばかりの攻防が
目の前で展開されるも、互角の見えていたその均衡もいとも容易く崩れ去る。

「効きませんわ」

煙ごと爆発を切り裂いた大鋏の一閃がセキアの胴をとらえる。
そのままセキアの胴を捉えた鋏は一周し、彼女を床へと叩きつけた。
いくら鶴羽の術で床や壁への衝撃が緩和されているとはいえ、一瞬だけ呼吸が止まる。
呻きながら床を転がるセキアの体を乗り越えたスターチは
鋏を構えなおし、次なる標的へと視線を移す。

「これでひとまず主様への狼藉の件はチャラにしてげますわ。
でも、まだ怒りが治まりませんの。次は…そこの貴方、相手してくださいます?」

エルトの返事を待たずして上段からの大振りが彼を襲う。
しかし、その大鋏は何故か先ほどより細身になっているかのように見えた。

「させると思い――」

「おっと、あんたの相手はこっちだぜ、狼の嬢ちゃん」

エルトへの攻撃を見咎めたレイニアが援護に入ろうとするも、
いつの間にか立ち上がったクラウズの弾丸に阻まれる。こうして戦局は二分化された。

>エルト、ALL

8ヶ月前 No.419

仲之人 @absoryut ★lbN0U8PuMJ_c1Z

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

「元気そうだな…まぁそれはいいんだが…」
こっちに元気よく手を振ってくるセキアの様子にそう口にするも…
(無事だったのは喜ばしい事だ…うん、それは間違いない…間違いないんだが…)
…なんと言うか…感動と言うかなんというか…感慨のようなものがまったく浮かばないのはどういう事だろうか?
人によっては『心配させておきながら!!』等と憤慨するのであろうが…根底は善人寄りであったためかそこまでの思いには至らなかったようで…

「っ!?」
暢気にそんな事を考えていた所で『ゆらり』と、いったような幽鬼を思わせるような動作でこちらに振り返った修道女…スターチの方に意識を戻せば、漏れ出ていた魔力に当てられ思わずひるみそうになり…
「う…おぉ!?」
直後に爆発した怒髪天を突いたスターチの勢いに押され思わず夜宵でその余波を受け流そうとし…結果的に完全に後の一連の流れから取り残される事となる。

どうにか体勢と志気を立て直して戦闘に復帰した頃には…容易くセキアを下したスターチがこちらを指名しつつ飛び込んできていた。
「くっ…これ以上はやらせん!!」
ようやくと切り替える事が出来た意識で冷静に現状を分析すれば…
(シスメもデウスも消耗が酷く、戦える状態じゃない…鶴羽はフィールドの維持してもらってるだけで御の字…セキアもしばらくは行動不能…大した状況じゃないか…!!)
先程『まともにやりあうな』とレイニアの指示があったが…ここで下手な捌き方をしようものなら他のメンバー等にその矛先が向かうのは必至である。
(確かに馬鹿げた威力なんだろうが…やりようはある!!)
先と比べ幾分か細まった得物…おそらく魔導具の一種だと仮定して…それが細くなったと言う事は魔力の消耗によるものなのだろう。
それが短時間で起こったのだ…おそらくスターチの燃費はあまりよろしくないと想定でき…持久戦になれば勝機が見えるはずだ。
覚悟を決め、牽制代わりに数発の魔力弾を撃ち込みつつ、アルカナイザーを起動し、相手と同じく上段に構える。
(振り下ろしか…なら地面に流す…持ってくれよ!!)
相手と比べると随分と頼りない自身の体とアルカナイザーにそう願いつつ、来るべき一撃に全神経を集中させる。

>セキア スターチ ALL

8ヶ月前 No.420

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★gn4KYkgL19_IZy

【レイニア&ノイ&セキア&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ソエリス遺跡/終極の間】

続けざまに発射される銃弾の2発目をかわしたところで
無手での回避行動に限界が来たレイニアは手にした魔導書に魔力を注ぎ込んだ。

「スピアバース!」

右足と腹部めがけて飛び込んできた銃弾を
右手に出現した半透明の槍が弧を描いて弾く。
山なりに飛んだ銃弾はゆるやかな速度でレイニアの頭上を舞い、
まるで玉投げの競技のカゴのごとく差し出された彼女の手の中へと落ちた。

「全く、堪らねぇよな亜人種は…どんな反射神経してやがる。
槍は銃弾を弾くもんじゃねぇって教科書で教わらなかったのかい?」

「あはは。あいにくとこの目では字が読めませんので」

「そうかよぉ…じゃあ、これならどうだい!!」

レイニアの曲芸じみた回避行動に若干頬を引きつらせたクラウズは
今手にしているリボルバーだけでは分が悪いと判断したのか
腰の後ろに装備したハンドガンを引き抜き、2丁拳銃で応戦する。

「それはさすがに無理ですねぇ。
では、力技で。スピアバース、形態変化(エミュレーション)――アックス」

すかさずレイニアも手にした槍を刃の大きい斧に変化させて
受け止めるという攻防がエルトらの後方では繰り広げられていた。


一方、実質エルト一人の達候補隊組はというと、
状況はあまり好転してはいないようだった。
アルカナイザーを上に構え防御の姿勢に入るエルトに対し、
それを予想していたかのように、スターチの鋭い叱責が飛ぶ。

「わたくしも甘く見られたものですわね。
貴方達の力ではまだわたくしに勝つことはできません」

そうスターチが口にすると、唐突に振り下ろされた鋏の速度が落ちた。
キン…と静かにスターチの大鋏とアルカナイザーの触れ合う音が響く。
衝撃に備えていたエルトにはなんとも拍子抜けした一撃だったことだろう。
だが、

「運命と不条理を今のうちに嫌というほど体感しておくことでございます。
そうすれば…いずれくる大きな波にも抗えることでございましょう。
まぁ…ここを無事に生き残れたらの話ですけど」

途端にアルカナイザーに押し当てている鋏に力がこもる。
まるでそのままエルトを腕力のみで押しつぶそうとしているかように
ぎりぎりと音をさせて上から腕に体重をかける。
しかし、彼女の目論見はそれだけでは終わらなかった。

「脇がッ、がら空きでございますわよ!!」

エルトの頭部へ振り下ろしたものとは別の黒い物体が彼の右わき腹を狙って繰り出された。
鋏は構造上、2枚の刃を要という1本のネジで止めたものからなる。
つまり要の構造さえ取り外しが出来るように細工しておけば2枚の刃に分離できるのである。
そう、最初に繰り出された得物が妙に細く見えたのは、
2枚の刃に分離していた鋏の片方だったからだ。いつの間に分離させていたのだろうか、
頭に血が上ったと見せかけて相手の虚をついた妙に冷静な一撃だった。

>エルト、ALL

7ヶ月前 No.421

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_c1Z

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

「…っ!!」
乗せられた…そう気が付いたときには手遅れであり…鋭い叱責でそれに気が付かされたものの、今更受ける以外の選択肢はもはや皆無であった。
「そんな事…いわれるまでも…ないっ!!」
そうして鍔迫り合いにすらならず、単純な膂力勝負の押し合いと言う状況に持ち込まれていた所で、諭すような言葉をかけられ、思わずそう反論する。
…運命など信じる気は無いが理不尽や不条理と言ったものはそこら中に転がっており…大して珍しいという物ではない。
何より、それらが皆無と言えるほどに少ないやさしい世界であったのであれば…自分はもっと別の場所におり、悩む事も無く使命に準じていた事だろう。
…そう考えるも、今は戦闘中であり、相手の言葉に耳を傾ける事などするべきではなかった…ましてや格上相手に余計な考え事をするなどと言うのは論外であった。
その愚かさの代償は次の瞬間、不可避の痛撃と言う形となって返される事になる。
(2刀流だと…!?)
寸前になって気が付いたもう一本の得物…それを振りかざす姿により、ようやくここまでの読みが尽く外れていたことに気がつく。
(駄目だ!!避けられ…)
そうしてまともな対抗策など取る暇も無く無防備であった脇腹に叩きつけられる。
「ぐぁっ!!」
なんと言う事も無いただの一撃…それだけでなすすべも無く吹っ飛ばされ、壁面に叩きつけられる。
不幸中の幸いと言うべきか、直前とは言えどうにか気がつけたために夜宵に魔力を込めた防御が間に合い、鶴羽が壁面を黒煙で覆ってた影響もあり、幾分か衝撃が軽減されたおかげか何とか意識を手放さずには済んだようだ。
「…が…げほっげほっ」
…が、それでも受けたダメージは大きく…朦朧とした意識の中で咳き込み、膝をつく形となる。
(強い…な…流石に…経験値が桁で違うか…)
一連の攻防の最中、ロクな行動も取れなかった事実に戦慄しながらも呼吸を整える。
…身体能力に関して劣るのは予想通りではあったが…戦闘の流れにおいても1枚も2枚も上回られたのだ…格上であると認めざるおえないだろう。
先のゴーレムの方が性能だけで言えば優れていたかもしれないが…戦闘力で言えば彼女の方が圧倒的に上回っているであろう。
(…それでも…こんなものじゃ…終われない!!)
未だ思考は回復しきれず、自身の状態すらまともに把握できていない…それでも、多少ふらつきながらも立ち上がりスターチがいる場所を見据える。
身体が動かずとも意志は折れず、魔力も十分に残っている…吹き飛ばされたときにアルカナイザーは取り落としてしまったようだが…流石に今のコンディションで使おうとは思わないため問題はない。

>スターチ ALL

7ヶ月前 No.422

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ガイアル区画:ソイエル遺跡、終焉の間】

スターチさんたちと戦う覚悟ができたのはいいが、今の私に肝心なパートナーになってくれる人がいなく、相手の攻撃も始まりそうだというその時、試験の時いた鶴羽さんたちが駆けつけてきた。
それでもあの人たちには既に武器があるし、私の力は必要ない。何かできないかと考えていると、今度はセキアさんが勢いよく登場した。

「セキアさん!!…!!」
しかし無情にもセキアさんに振り下ろされる鋏
。それはレイニアさんの魔法で吹き飛ばされた。なんとか無事な仲間たちに安堵し、セキアさんに駆け寄る。

「セキアさん、私はあの鋏の彼女スターチさんを止めたいのです。お願いです。私に力を貸してください。」

そういうと体を神々しく光らせ、セキアに手を差し出す。その時、レイの魔力に反応したのか、終焉の間に描かれていた壁画が、フンワリと薄紫色に光った。

≫鶴羽さん エルトさん セキアさん 終焉の間all
(復活おめでとうございます。あれだけ言っていたのに、メインの復活に気づくのに遅れてすいません。これからまたお願いいたします。
えっと、レイが能力を使いセキアに手を差し伸べているので、その手を取ると同時にレイが変身するのですが、なんの武器に変身するかは、語り部さまに任せます。
また、レイの魔力に反応して遺跡が光った、という描写がありますが、今すぐ何かが起こるわけではありません。ただ今後、何かのフラグにと光らせてみただけです。その何かはまだ決まってませんが…)

7ヶ月前 No.423

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★j9eVO3Uxpi_IZy

【レイニア&ノイ&セキア&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ソエリス遺跡/終極の間】

その目覚めはこれまで体験した中でいちばん最悪だった。
口の中は濃厚な鉄さび味。身じろぎするたびに体の骨中がきしみ、
体中冷え切っているというのに、痛打を受けたあばら骨と背中だけがじくじくと熱い。
頭には奇妙な酩酊感が漂い、視界は厚い霧がかかったかのようにぼやけている。
そんなセキアのぼんやりとした思考を鉄塊の風切り音がかき消す。

『…が…げほっげほっ』

ちょうどスターチの一撃を受けたエルトが膝をつくところが目に入った。
無事とは言いがたい状態で痛打を受けてなお、彼は倒れることを良しとしなかった。
何故、自分はこうも容易く意識を手放したというのに、
彼は立ち上がることが出来たのか。
身体能力の差が明暗をわけたわけでないことは頭の足りないセキアにも分かっていた。
それはいわば

(覚悟の、差……)

自分が倒れたら後がない、と彼は必死に今にも途切れそうな意識をつなぎとめているのだ。
後ろで控える傷ついた第七候補隊の面々と、無防備に倒れた自分をかばうために。

(あ…なんかこれ…似たような…ことが…前にも)

頭が強制的なフラッシュバックを起こす。
降っていないはずの雨音が耳を塞ぐ。
一面の赤の記憶。
■■の背中に回した手に滴る赤の生暖かさまでもが鮮明に脳裏に蘇る。
このまま、あのときと同じようにあたしはまた取りこぼすのだろうか。

「取り…こぼす…? 何…を…?」

突然降って湧いた感情に理解が追いつかない。本当にこれは自分の記憶なのだろうか、
自分の感情なのだろうか、いつ、誰に抱いた感情なのだろうか。
ただ、これだけは分かる。
今のままでは、同じだ。また同じ気分を味わうことになる。
それは嫌だ。でも、生身ではスターチには敵わない。それならどうする。
セキアの目は突然光を放ちはじめた壁画、
その中央位置する剣を掲げた一人の女勇者のほうを向く。

「武器、武器が…いる…」

いまだ熱のこもった頭に翻弄されながらも床の上をありもしない剣の柄を求めて手が滑る。

「勇者の物語にでてくるような強い武器が…」

「この壁画の勇者がもってるような強い武器が…」

「もうこんな想いをしなくてもいいような…強い武器が…!」

■■が呟く「ごめん、ボクはキミの――――――にはなれなかった」
焼け付くような記憶の本流の中、手を伸ばす。

「違う。剣をとるのは――」

その手は剣の柄と呼ぶにはいささか柔らかすぎる手のひらに触れた。




「あの一撃を受けて意識を失わないなんて……懺悔いたします、
貴方のことを少し侮っていたようですわね。その意地だけは認めないこともないですわ」

戦況はスターチの奇襲により、彼女の側へ傾き始めていた。
だが、一瞬たりとも彼から気をそらすようなことはしない。
崖においつめたつもりが、逆にこちらの背後も崖になっていたような
少しでも気を抜けば、逆転を許してしまいそうな緊張感がスターチの頭を支配する。
そのいいようのない気持ち悪さを振り払うかのようにスターチは再び上段に鋏を構える。

「祈りの言葉は必要ないですわね。
その意地に免じて、命はとらないまでも再起不能になっていただきます」

振り上げた鋏は、ちょうどエルトの頭の真上にくる位置に掲げられた。
彼の覚悟を見て、いくら体にダメージを与えたところで意味がないと悟ったのだろう。
より原始的かつ単純な方法で意識を刈りにきた。
一気に距離をつめたスターチは音もなく鋏を振り下ろす。
その刹那、鉄と鉄どうしを打ち合わせたような快音が二人の間に割って入った。

「―――勇者になるのはあたしだ」

「なにをごちゃごちゃと―――っ!?」

スターチの大鋏を今にもぽきりと折れてしまいそうな
細身の赤い刀身をもつ小剣が受け止めた刹那、刀身に触れた鋏が大きな爆発を起こした。
そこへすかさずノイの手にする巨大ライフル型魔導具スルトの熱線が撃ち込まれる。
爆風の勢いに押され、堪らずスターチは距離をとる。

「刀身の触れたところが爆発した…? 魔武器…の力…? いえ、これは…」

「どうやらレイさん本来の力に、セキアさんの熱変換系魔力がうまく同調したようですねぇ」

驚愕を隠し切れず中腰になるスターチに、どこまで見えているのか、
いまだクラウズと交戦中のレイニアのどこか楽しげな声が加わる。

「ありがと、エルト。もう一人で戦わなくても大丈夫。あたしも一緒に戦うから。
レイも、またあたしの無茶に付き合わせることになるけど、力貸して!」

セキアは背後を振り返りながらエルトににっと歯を見せる微笑をみせたのち、
その赤い刀身の小剣となったレイを肩に担ぐと、正面のスターチを見据えた。

「いったい、なんなのでございますか、貴方は……」

先の攻撃でやけどをおった右腕の押さえつつ、スターチがセキアを睨み返す。
せっかくの勝負を邪魔された鬱憤と、傷を負わされるとは思っていなかった
自分の油断を恥じているのが表情からうかがい知れた。
一方、セキアはスターチの問いかけに待ってましたとばかりに声を張り上げる。

「あたしは…銀河を逆流する猛き綺羅星!
勇者志望! 第七候補隊所属 候補官セキア・ルーブ!!
さっきは勇者の登場をよくも出オチにしてくれたわね! こっからが本番だぁ!!」

突如始まったセキア劇場が再び空気を凍りつかせる。
それはスターチさえも例外ではなく、目を点にして彼女を伺いみること数秒…

「その、失礼を承知で聞きますけど…貴方のお仲間、頭大丈夫ですの?」

割と本気でセキアの脳内構造を心配するような声を出した。

>エルト、レイ、ALL

【お待たせして申し訳ございませんでした;こちらこそ
今後ともよろしくお願い致します。武器化の描写の件了解しました!
壁画の描写についても問題ありませんよー】>ますたあ様

7ヶ月前 No.424

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_c1Z

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

「…そう簡単にやられるわけにはいかないんでね」
優位な状況である事を認識してか、即座の追撃をかけるでもなく言葉を投げかけるスターチにそう返す。
…こちらとしては僅かなりとも回復の時間が稼げてありがたいのではあるが…先程受けた痛撃の痛みはまるで引く様子はなく、鈍い痛みを絶え間なく訴えてくる。
(警戒してくれるのならば儲けものだが…っ!!)
そう考えかけた所で現実は非常であり…再度の宣告と共に鋏を振り上げて一気に間合いを詰めてきた。
(…そこまで甘くはないか…ならどうせもう満足には動けないんだ)
覚悟を決め、再度迎撃すべく魔力を集中させ…生み出すは圧縮された魔力の嵐…取るべき対象は敵対者であるスターチ…『ではなく』自身の直下…地面めがけて、である。
無論、そんな事をすれば自身も間違いなく巻き添えを食らうのだが…そもそものスペックはともかくとして…接近戦は完全に相手の土俵だ…勝負になど到底なりえはしまい…なればこそ奇策を用いて無理矢理にでも違う土俵に引きずり込む必要がある。
そのためならばリスクを背負ってでも主導権を取りに行く必要がある…またもや賭け、と言う形になっているのは決して褒めるべき状態ではないが…
(ギリギリまで引き付ける…今度は見逃さない…!!)

しかして、その一撃は放たれる事は無く…突如割り込んできた一人の人物により、迫る鉄塊は受け止められる事となる。
「…セキア…レイ!?何を!?」
割り込んだその人物…赤い刀身の小剣となったレイを掲げ、迫る刃を迎え撃たんとするセキア達に思わず声を荒げる。
(そんな刀身じゃ無茶だ!!)
小剣とは取り回しに優れた速度重視の武器だ…ある程度ならばともかく、先のような重い一撃を真っ向から受け止める使い方などでは勢いのまま叩き折られても不思議ではない。
…急いで引かせようとするも時すでに遅く…舌打ちする間もなく無情にもはさみは振り下ろされ…
「なっ!?」
次の瞬間起こった事態に思わず驚愕の声を上げる…衝突の瞬間に刀身より爆発が起こり…間を開ける事無く横合いから一条の熱線が突き刺さり、溜まらずスターチがその場から離脱する。

(い…いったい何が…?)
一連の攻防に手を出せず、傍観する形となっていたが…スターチの後退により、考える間が出来た事でひとまず落ち着いて試行を巡らせようとしたところでセキアから声がかけられた。
「確かに助かったが…あまり無理をする物じゃない」
勝算があっての行動ならばともかく…彼女の場合考え無しに飛び込んできた可能性の方が高い…と言うより十中八九そうであろう。
…そんな事を繰り返すのが常習となっては命がいくつあっても足りない…そう思えば戦闘中だと言うのについつい小言を口にしてしまう。
まぁ第三者から見ればその言葉はブーメランなんじゃないかなどと突っ込みそうなものだが…人間自分の事などわからないものなので仕方のない事である。
「…来てしまったものは仕方ないが…無理に突っ込んだり踏みとどまろうとは考えないように…援護は此方で受け持つ」
…とはいえ彼女が参戦し、スターチを一時的に押し返せる事が出来たのは僥倖である…使えるものは最大限活用出来ねば到底打開しえぬ事態なのだし彼女を信じてみようではないか。

「その…なんだ…人と言うのは…そう…時として口上で自身を鼓舞する必要がだな…」
…と、先ほどまでの真面目な考察はどこへやら…突如上げたよくわからない口上に面食らったスターチがとても…とてもとても心配そうな声をかけてきたのでそう返す。
(うん、そうだ…きっとそのはずだ…うん…)
自信なさそうにそういった後、内心でもそう納得しようとしてはいるものの…いつの間にかスターチに向けられていた視線は明後日の方向へと流れていくのであった。

>スターチ セキア レイ ALL

7ヶ月前 No.425

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ガイアル区画:ソイエル遺跡、終焉の間】

セキアさんが私の手を取り、私は赤い刀身の小さな刀になった。その小さな刀で相手の攻撃を受け止めた瞬間に刀身が爆発した。

「…魔武器は使い手の力を吸収しそれを増大させ別の力に変える…これが本来の、魔武器の力です」

それにしてもなんだろう、試験の時も思ったけど、セキアさんに使われているとき、ものすごくしっくりくる感じがしていたのだ。まるでお互いのことを理解し合えているかのような、初めてあったもの同士の二人三脚の息が合いすぎているような、そんな言い知れぬしっくり感を感じていたのだ。

そんななかセキアさんが、何やら決めポーズ的な何にかをして名前を名乗った。まるで主人公の決め台詞のような。
私は素直に「おー!」と感心していたのだが、なぜ周りの空気が凍りついたかのように停止した。

「?」

私はただただ戸惑うだけであった。

≫セキア エルト レイニア スターチ all

7ヶ月前 No.426

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★qS8dzbvcQ8_IZy

【レイニア&ノイ&セキア&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ソエリス遺跡/終極の間】

『その…なんだ…人と言うのは…そう…時として口上で自身を鼓舞する必要がだな…』

「貴方…本気でそう思ってますの? 何故目をそらすのでございますか?」

簡単な嘘もつけないタイプですわね、と冷静にエルトを観察しながら
セキアの醜態を必死にフォローしようとする彼にスターチは痛ましげな視線を送る。
それほどまでに彼の様子は健気で見るに忍びなかった。
そんなにあからさまに取り繕った態度をとって後でどうなっても知りませんわよ、と
視線で会話しながら続けざまに槍玉にあがっているセキアに視線を移すと、
案の定というべきか、彼女は自身の内から噴出した不機嫌オーラにまみれていた。

「ふんだ、なんだいなんだいエルトまで。
分かってくれるのはレイだけだよ。それにしたって――これ」

エルトの苦し紛れの援護射撃に、セキアは機嫌を損ねたらしく
腕組みをして分かりやすく不機嫌をアピールするものの、
すぐに彼女の興味は自分の手の中に鎮座する赤い刃の剣と化したレイへと移った。
とんとんと爪先で床を叩いた後、その場でふわりと飛び上がってみせる。
軽い力で床を蹴ったのにも関わらず、セキアは自身の身長を越す跳躍を見せた。
試しに素振りしてみると、耳に残る風切り音を立てて剣は直線を描き、
自らの望んだ位置で音もなくぴたりと静止する。剣の構えや足運びなどは素人丸出しなのだが、
先ほどまでの自分では考えられなかった技のキレだ。

「なんかすごい体かるい! それに前より振りやすくなってるし!
これってレイの力!? 今のあたしなら生身の人間以上の力が出せそうな気がする!」

嬉々として自身の変化にはしゃぐセキア。
知能が低い者にほど大きな力を持たせてはいけないといういい例である。
しかし、今回の彼女は一味違った。
いつもならこのあと調子に乗って力押し一辺倒の戦闘に持ち込んでいたであろう彼女だが、
先ほど腹部に受けた一撃がよほど強烈だったのだろう一気に懐へ潜り込むような愚は犯さず、
じりじりと間合いを計るようにスターチとの距離を詰めていく。
そして、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる戦法もとい、手数で攻めた。

「うりゃっ、うりゃうりゃうりゃあ!! このっ、くっ、当たらない!! なんで!?
あーもう、新技披露してんのにちょこまかと!
空気読んで一発くらいは当たっ――くっ、だりゃあ!!」

ぶんぶんと風切り音だけを残して、何度もセキアの振るった剣が空を切る。
何故か鋏でいなそうとせず、剣となったレイを振るうセキアの攻撃をかわすことに
徹するスターチ。爆発による防御不能の攻撃を恐れたのか、
蹴りを入れたセキアの足を受け止め、大きく後ろへと跳躍する。

「素人の剣さばきがわたくしに通用するとお思いでございますか?」

涼しげな表情とは裏腹に先ほど右手に受けた火傷をかばうように
スターチは左手に鋏を持ち替え、追いすがるセキアの鼻先へ鋏を突き出す。
慌ててたたらを踏むセキアだったが、勢いを殺しきれず
スターチの足元へスライディングをきめ、同時に剣を上へと振り放つ。
既に背後へ回避行動を開始していたスターチの鋏と
剣と化したレイの切っ先同士がチンと僅かに触れ合う刹那、
火花と見まがうほど小さな爆発が触れ合った鋏と剣の間で炸裂する。
無茶なスライディングの代償か、ダメージジーンズならぬ
ダメージスカートとなった裾に切れ目の入ったスカートを払ってセキアは立ち上がる。

「惜しい! もうちょっとで懐に潜り込めたのに!」

その悔しがる姿に苛立ちを感じなかったかといわれれば嘘になる。
ただ、それ以上にスターチは背筋をつうっと冷たいものが流れ落ちていくような恐怖を感じた。

(この良くない流れ…これ以上の持久戦はこちらが不利ですわね)

初めは自分が追い詰めていたはずだった。
今もこちらが比較的有利な状況であることは変わりない。
だが、なんだろうかこの感じは。ちょっと向こうの力を量るつもりが、
気を抜けば手痛いしっぺ返しをくらいそうな緊張感というか、底が見えない。

「失礼を詫びます。どうやら侮っていたのはこちらのほうでしたわ。
こちらも今使える全魔力をもって応えさせていただきます」

そういうが早いかスターチは手のひらの上に小さな火球を出現させた。
拍子抜けした呟きが思わずノイの口から漏れる。

「ファイヤー、ボール?」

ファイヤーボール。
火炎系魔術の基礎中の基礎とも呼べる下級の攻撃魔術。
魔術を極めたものであれば、天より落ちる飛来物のごとき厄災を
この地上に再現出来るというがその火球は切り札というにはあまりにも小さすぎた。
迎撃の姿勢を取ったセキアも思わず剣と化したレイを握る手を緩めて状況を見守る。
だが、それが狙いだったとも言いたげに鋏の修道女は口角を吊り上げた。

「侮りましたわね。腐ってもわたくしは人型魔導兵器。
2000年の時を生きる兵器遺物NAシリーズが一体。
下級の魔術でも、極めればこういうことも出来ますわ」

いつの間にか、彼女の背後に赤の群像が大挙していた。
その圧倒的物量に思わず息を呑む。

「嘘…あれ全部ファイヤーボールだって言うの!?」

鳥の群れが空を黒く覆い尽くすがごとく、
あるいは突然変異が招いた作物を食い荒らす蝗害のごとく
スターチの背後では赤の軍勢が発射のときをいまかいまかと待ちわびていた。
そしてそれは無常にも、天高くあげた手をスターチが振り下ろす合図とともに撒き散らされた。

「………っ」

視界を煮えたぎる赤が覆い尽くす。
横向きの絨毯爆撃ともいえる攻撃に、もはや避ける隙間などない。
剣と化したレイを構えるものの、この状況を覆す有効打をセキアは見出すことができなかった。

>レイ、エルト、ALL

7ヶ月前 No.427

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_c1Z

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

「も、もちろんだ…視線?…な…何のことだ?」
スターチの問いにしどろもどろになりながらも返答してはいるが…その指摘通りだと言うのは火を見るよりも明らかであろう…よっぽどの鈍感でない限りは…
(し…視線が痛い…)
そして図星を突かれている事と、痛ましげな視線を向けられている事からか、どうにも居心地の悪さを感じ、余計にその傾向が強まっているのだが…
「あ、いや、そんなつもりじゃ無くてな…」
…そしてセキアの方もこちらがどうにかフォローしようとしている様子に、あまり賛同的ではないと言う事を気が付かれたようで…それはもう不機嫌そうに『分かってくれるのはレイだけ』と、吐き捨ててそっぽを向いてしまう。
(む…むぅ…)
連携が必要な場面だと言うのにこの空気は良くない…具体的には言い難いがどうにも良くない…これは敵の策略だったんだ!!…などと開き直って責任転嫁してしまえばある程度は軽減できたのかもしれないが流石にそこまでは知恵は回らず…
結局どうにも微妙な空気の中で渦中のセキアはこれまでになかった使い勝手を発揮したレイを振り回したりしながら自身の感覚を試し始めた。

(…確かに動き自体は良くなった…が)
そのままセキアがスターチに切りかかり、なし崩し的に再度戦闘が始まる。
…どうやら『加護』と言ってもいいのだろうか?…何かしらの強化が働いてセキアの身体能力自体は見違える程に向上し、先の経験からか、剣を受け止める事を極力避けようとするスターチの方針も相まって一応はせbん等をしているような状態にはなっている。
(だがやはり無茶か…経験が違い過ぎるな)
しかしそれはうわべで見ただけの物であり…実際の所スターチの方は軽くあしらう様にセキアの攻撃を捌き続け、斬り合いすらもさせてもらえてない…と言うのが正確な所だろう。
(…援護しようにも…こうも乱戦にもつれ込んでいると…な)
多少の乱戦であれば特定の『間』で割り込んで法撃を加える事もできるのだが…如何せんセキアの動きが不安定であり、下手な手出しをしては逆に妨害する結果になりかねない。
スターチがそれを狙っているのかは定かではないが…もう少し両者の動きを把握するまでは手出しを控えるべきだろう。

(今更そんな小細工が…いや、これは…)
…そう悠長に考えていた所で、状況に変化が訪れる。
一般的な下級魔術に属する火球…それ自体は珍しくも無い…だが…
(これほどの多重起動…法術もいける口か!!)
背後に多数の火球を従え、今まさに蹂躙せんとその矛先を振るわんとするスターチに関心に近い感情を浮かべつつも状況を冷静に見やる。
息をのむセキアに打ち出されんとする火球群は確かに強力かつ不可避の壁として立ちはだかってはいる…防御するにせよ回避するにせよ、今のセキアではただでは済まないだろう…だが…
「『集うは砲身、放つは魔弾。雲霞払いし我が砲域よ、ここに応じてその威を示さん!!』」
奇しくもセキアとスターチの距離は開き、誤射の懸念が無くなった所でこちらも同じく大技で相殺させんと『詠唱』する。
…本来大きな隙ができるのを嫌い、魔術の詠唱をあらゆる手段で省略しているのだが…こればかりはそうもいかず、極力省略しつつも詠唱を完了させる。
(…流石に…重いが…っ)
本来の規模からはかなり小規模にはなっているものの、それでも帰ってくる負荷は大きく、かなりの魔力を持っていかれたが構う事なく発動させんと、その指向性を定める最後の手順に取り掛かる。
それは奇しくも振り下ろす形の指示であったスターチとは対照的に、下されていた手で相手を指差するような形であり…それがピタリと定まるとほぼ同時、発動を決定づける最後の言葉が紡がれた。
「アーティレート…フルバレル!!」
直後、セキアの眼前より多数の魔力弾が生成され、襲い掛からんとしている多数の火球を迎撃せんと次々と打ち出されていった。

>スターチ セキア レイ ALL

7ヶ月前 No.428

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ソイエル遺跡】

剣になった私を前よりも使い慣れたように振り回セキアさん。きっとこれは、私の力だけじゃない。
セキアさんが私を信じてくれているから
でも、いくら波長が合っていても、力の差が歴然で、スターチさんの魔法に囲まれピンチになってしまった。

「セキアさん、私を天に掲げてください。うまくできるかわかりませんが、この魔力を刀身に吸収して見ます…。」

今、私は所有者であるセキアさんから魔力を少しずつ吸収している状況、だけど、今セキアさんからこの魔力を所有者として切り替えることでこの魔力を吸収できるはず。

≫セキア スターチ

【???:ソイエル遺跡上空】

「まったく、あいつら私の警告を聞くつもりはないのかねえ…。ここにあの子達を連れてくるなってあれほど……。
まあ、魔武器の方は本当の力に気づいていないみたいだし、あいつらもどーせ知らないだろうし、いいか。
しかしこれ以上この場所で暴れられるのも困り者だねえ…めんどくさいけど、ちゃっちゃと終わらせるか」

遺跡の上空を不自然に漂う雲の上に寝っ転がるながら水晶玉を覗く、一人の女性。ブツクサと文句を言うと、謎の言語で呪文を詠唱し始める。
すると終焉の間にいる全員に異変が起き始める。それは徐々に魔力が使えなくなっていると言うことだ。いま魔力同士がぶつかっている状況で、魔力切れのような現象が起これば争いは自然と収まるもの、腹が減っては、ではなく、魔力なければ戦はできぬ


≫終焉の間All

7ヶ月前 No.429

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★d660PdFGJk_qTF

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5ヶ月前 No.430

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_ly4

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

(そう…来ると…)
壁とも見まごう多数の魔力弾は、狙い道理に火球群を相殺し、大穴を穿つものの、紙一重で射線から退いたスターチからは『甘い』と一蹴される事となった…『想定していた通り』に。
(思っていた!!)
大技という物にはインターバルという物が付き物であり、当然ながら先の魔術も大技に分類されるものであった。
故に即座にこちらへの警戒度を下げ、眼前のセキア達へ再びの火球群を撃ち出さんと制御に集中し始めたのは真っ当な判断であろう。
…そしてその僅かな隙こそが残された最後の勝機であった。
(こいつで…決める…っ!!)
先の大技を囮に、隠蔽魔術を発動させた外套の下で密かに作り上げた一発の威力重視の魔力弾…とっておきの最後の切り札を切ろうとしたところで突如変化が訪れた。

「っ…なん…」
呻くように漏れ出たその声は最後まで紡ぐ事すらかなわず…状況を認識する間すらなく崩れ落ち、倒れ伏す。
(これも読まれて…いや、違う…こいつ…は…)
ただの一瞬で起こった状況の変化だが…それはクリティカルにささってしまったようで…その瞬間で視界を始めとした五感を即座に刈り取り、わずかに残された思考力でさえもそのショックでほとんどマヒしているような状態へと陥る事となった。

…今の本人に走る由もないだろうが…とうに限界を超え、酷使してきたその体は普通であれば動くことなど叶わないような状態であった。
にもかかわらずここまで動けたのは種族としての特性…無意識ながらも魔術による補正で無理矢理動かしていただけに過ぎず、相応の魔力を消耗し続けていたからなのだ。
…そしてその原動力である魔力であるが…これも度重なる魔力の放出により真っ当な術師であれば危険域と言える程に消耗している状態で、余裕などあるはずもなかった。
それでもなお動けていたのは…ひとえに遺跡に漂っていた魔力と、交戦の余波で消費しきれずに、拡散していった雑多な魔力を異能により吸収していたからであり…それが突如として消失した以上、こうなるのは必然としか言いようがない。

(クソッ…こんな…ところで…)
いくら毒づいたところで死に体となったその体は動くはずもなく…辛うじてできる事と言えば朦朧とした意識をどうにか繋ぎ止める程度であった。

>スターチ ALL

【いいですとも!!…と言っておきながらいきなり瀕死ですが!!…なんにせよコンゴトモヨロシク】

5ヶ月前 No.431

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ソエリス遺跡:終焉の間】

セキアさんが私の提案に賛同して剣を天に掲げた瞬間、私は周りにあったスターチさんの火球の魔力を吸い取り攻撃に転じようとした。

が、急に吸い取ったはずの魔力が消え、レイは強制的に人の姿に戻されてしまった。
あれ、失敗?と思っていると、スターチさんも次に放とうとした攻撃ができなくなり、エルトさんも他の人も、まるで、全員が同時に魔力切れをしたかのように、何もできなくなった。

「これはいったい…………っあの……いったい何が起きているのかわかりませんが、とりあえずここから出ませんか?
スターチさんたちも……これは魔武器としての勘ですが、ここでこれ以上暴れることは、スターチさんにとってもよくない事のような気がするんです。」

倒れかけているエルトさんの身体を支えながら、スターチさんに問いかける。お互い攻撃ができないのなら、一時休戦という形を取るしかない、レイはそう考えたのだ。もし断られたら、なんてことは、レイは考えてもいなかった。

≫スターチさん エルトさん all
(おおー……よかった。また…またお話を進めることができて私はとても嬉しいです。
これからもよろしくお願いします!!)

4ヶ月前 No.432

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★wSv7mWvkzK_xGQ

【レイニア&ノイ&セキア&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ソエリス遺跡/終極の間】

「あはは、レイさんの意見に賛成です。でもー、さすがにこのまま
というわけにはいきませんねぇ。ちょっと拘束させてもらいます。暴れないでくださいねぇ」

どこから取り出したのだろうか、手錠の輪っかに指を入れたレイニアは
それをクルクルと回しながらクラウズに迫る。
しかし、彼はそれを気に留めず懐から
煙草とマッチを取り出すと、ゆうゆうとそれをふかし始めた。

「なぁ、エブ記32章で唯一神フォルなんちゃらがなんて言ったか知ってるか?」

マイナーな聖典の一節を聞かれて、思わず足を止めるレイニア。
その瞬間を見越したかのようなタイミングで
クラウズの手から放たれた鉄球がころりと彼女の足元へ転がる。

「捕まってたまるかコノヤロウ、だよ」

してやったりと言わんばかりの獰猛な微笑みをクラウズが浮かべた刹那、それは炸裂した。

「のおっ!? なにこれっ…煙球!?」

灰煙。それも濃い一色が視界を埋め尽くす。
それはものの数秒と経たずにこの広間全体を覆い尽くすまでの広がりを見せた。
予想通りの反応を見せるセキア。煙の中に目を凝らすノイ、
思わず袖で口を覆う鶴羽、後ろ手にエルトをかばうシスメ。
一同が硬直した瞬間を見逃さず、クラウズはスターチの手を引いて走り出した。
だが、鶴羽はこれを逃さんとばかりに手に白い札を握る。

「カカ、魔術を無効化し、視界を奪った程度で
ワシから逃れられるとでも思っ――なんじゃ、レイニア。またお主か」

今まさに投げ放たれようとした白い札はレイニアの手によって制された。
怪訝そうな表情の鶴羽にレイニアは笑顔で手をヒラヒラと振る。

「あはは。はい、またです。しばらく泳がせましょう」

レイニアの意図を理解できない鶴羽は今だ眉を吊り上げたままだったが、
彼女の手のひらの上で赤く点滅するアイコンを表示させた端末を目にした途端
「なんじゃ、そういうことか」とふっと肩から力を抜いた。

「案内サンキュー、国家隊員の諸君! ここまで来りゃ出口まで一直線だぜ、あーばよー!」

十分な距離を置いたのを確認してクラウズは
最後の言葉を述べると、そのまま一目散に暗闇の中へと姿をくらましたのだった。
それを見送ること数十秒、ようやく煙が晴れてくる。

「まんまと古典的な手にひっかかりましたねー。いやはや煙球とは恐れ入りました」

わざとらしく肩をすくめるレイニア。
彼女の手の中ではいまだに赤いシグナルが点滅し続けていた。
こうして、けして小さくはない犠牲と、
大きな謎を残したまま波乱の幽霊退治は幕を閉じたのだった。

【長らくお待たせしてすみませんでした;
これにて遺跡探索イベントは終了となります。次レスよりフリータイムに入ります。
小イベント等なにか案ございましたらサブ記事にてご相談くださいませ】>レイ、エルト、ALL

3ヶ月前 No.433

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★BXMwGev4Ow_Fri

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3ヶ月前 No.434

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

あの遺跡から無事に脱出できた、あれから数日が経ち、休日をもらったレイは一人、自分が所有する庭園に来ていた。
この庭園はただの庭園ではなく、エルフやドワーフの庭園業者に作ってもらった、セキュリティ魔法が施された庭園。登録された人間以外は、入ることどころか、この庭園を見ることさえできず、ただのボロボロの空き家にしか見えていない。
そしてここに登録されているのは、所有者であるレイ本人と、セキアさん、エルトさん、鶴羽管理官、シスメさん、のレイが信用した人間の数名だけである。

庭園の薬草畑でいくつかの薬草を採取する。

「…………」

庭園の手入れをしながら、レイは、遺跡での、スターチさんとみたあの壁画について考えていた。もしあれが本当のことなら…
きっと例のあの人たちの目的は……。

>> All

2ヶ月前 No.435

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_FNM

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

物静かな…等と言うにはややあわただしく…時折『パタパタ』と小走りで急ぐかのような足音や、やや控えめな話声等が時折聞こえる一室にて、ベットから1つの意識が覚醒する。
「…ここは…病室…なのか?」
数秒の間を空けながらも、かつてよく見知った雰囲気や匂いなどからそう当たりをつけ、周囲を確認するためにも上体を起こそうとするが…
「…っ!?」
…どういう訳かそれは叶わず…軽く身じろぎした程度でそのままベッドの上で横たわったままと言う結果に終わる。
(…これは…ああ、そうか)
困惑しつつも原因を探ろうと考えた所で…ようやく働き始めた思考が以前の状況を思い出し、同時に現状に関してもおおよその事を察する。
(またやってしまった…か…)
…初任務である件の遺跡調査では少しばかり…実際にはかなりと言ってしまっていいのだが…無茶をしすぎたせいで身体の方がまともに動くのを拒んでいるようだ。
まぁ無理をすれば動けないと言う事もないのだろうが…そうしたとしても結局の所問題の先送りにしかならず、その時にツケを回してしまうととんでもない利子を払わされることになるため、無茶はせずにこのまま休んでしまうのが妥当な所だろう。
(…あの後どうなったのかは気になるが…こう暢気に休めてる以上緊急な事態にはなっていない…筈だ)
冷静にそう考え、ひとまずはもうしばらく体を休める事に決めた。
(…その、はず…なんだが…むぅ)
…決めたのだが…一度落ち着いてしまい、暇を持て余してしまうとどうにも先日の結果が気になってしまい…体はともかくとして頭の方はまるで休める気がしない。
(いや、休むのも仕事のうちだ…余計な事なんて考えずに…しかし…)
分かってはいても納得はしきれず…悶々とした感情を燻ぶらせながらもただ静かに時間を浪費していくのであった。

>ALL

2ヶ月前 No.436

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★vdRZGiUquJ_Fri

【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

ベッドの衣擦れの音から、ちょうど鶴羽の背後に
位置するベッドの者が目覚めを察知した鶴羽は
登頂に生えた狐の耳を小さく動かすと背後を振り返る。

「起きたようじゃな」

鶴羽の言葉に、ちょうどタロットカードに手を伸ばしかけていたシスメの肩が小さく跳ねる。
「ちいと失礼するぞ」とシスメに断りを入れた鶴羽は
カラカラと車椅子を移動させてベッドに近づくと「ワシじゃ、鶴羽じゃ。入るぞ」と
一声かけてからそこを覆うカーテンを軽く手で払い、囲いの中に入る。

「気分はどうじゃ、エルトや」

相手の覚醒を再確認した後、小さく声をかける。
見たところ、顔色はここへ運び込まれた当初よりも
良くなっているとはいえ、その表情から濃い疲労が見て取れる。
彼の診断結果は急激な魔力の消耗と、循環の悪化による軽い衰弱であることが判明した。
軽度とはいえ、魔力循環の悪化は血液の流れが止まるのと同義だ。
もう少しあの遺跡が出るのが遅れていたら、手遅れになっていた可能性もある。
恐らく彼も、どうして目を覚まして最初に見たのが医務室の天井だったのか、
自分の身体のことだ、鶴羽よりも如実に理解していることだろう。
ここまで考えて さてと、と鶴羽はカーテン向こう側にいるだろう人物の影が
面白いくらいにおろおろと蠢いている様を見てため息をつくと、
カーテンの切れ目から手を突っ込み、彼女の手を掴むと強引にこちらへと引っ張り寄せる。

「これ、なに珍妙な影遊びをしておる、シスメ。お主もこっちにこんか」

「うえぇ!? あ……、ど、どうも…その…どうも…」

よほど慌てていたのか一枚のタロットカードを
手にした格好のまま、シスメはカーテンの隙間から顔を出す。
エルトと目が合いそうになると必死に視線を自分の足元へ反らした。
そんな彼女の様子をため息で見送った鶴羽は、
最初から隠す気もないのか、二人に見えるようにやれやれと首を振る。

「話せるくらいには回復しておるのじゃろう?
どうじゃ、ゆっくりとでいいから口を動かしてみい。それとも口がしびれて話せんか?」

>エルト、ALL



【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

月灯りが突如としてここに現れた庭園を闇夜にぼうっと浮かび上がらせていた。
いや、突如ではない、ちょっと語弊がある。
なんせこの庭園の増設には少しだけ自分も関わらせてもらった。
無論、候補教育官の立場から。本当にちょっとだけ。あくまで土地の使用許可くらい。
しかし、彼女の花に対するその行動力には正直、驚かされた。
僅か数日で、ここまで立派なものがルナ区画に出来てしまうとは。
モチーフとしては花の鳥篭だろうか、いや、花篭…?とレイニアはとりとめもなく考えた。
あるいは優しさだけを詰め込んだ宝箱、なのかもしれない。
少し歩けばどこぞの王国の姫様が奥でうたたねでもしていそうだ。
幻想的な雰囲気がそうさせてしまうのか、ガラにもなく乙女チックな感想を抱いてしまった。
ランタンがわりに傍に侍らせた、光の蝶が先導するかのように庭園の入り口を指し示す。
どこからとりだしたのか、真鍮製の小さなハンドベルをチリンチリンと鳴らして
来客の存在を彼女に知らせる。

「お邪魔しまーす」

妙に間延びした声で庭園へと踏み込むレイニア。
その手には小さなバスケットが握られていた。

「んー…? おかしいですねぇ…ここってこんなに広かったでしょうか」

花の匂いが亜人の嗅覚を惑わせ、方向感覚までも鈍らせる。
目が見えない代わり、ほぼ嗅覚と聴覚に頼って生活する日々だ。
日ごろから頼りとしている僅かな感覚器官の一つが無効化され、
ちょっと、どころか大幅に調子が狂う。
やはりお供にノイもつれてきたほうが良かったかもしれないと、
後悔するが、もはや後の祭りである。
白杖で周囲を探るのだが、どうにも鉢やら花やらに触れて傷つけてしまいそうで気が引ける。
新居にお邪魔する友人はこんな気持ちなのだろうかと、のほほんと思う傍ら、
このままいけば庭園で遭難してしまうのではという新たな懸念が首をもたげる。
とにかくレイニアは小さくハンドベルを揺らし続けた。
遭難云々はどうあれ、このバスケットの中の中身だけは彼女に届けなければならないのだから。

「わー、きゃー♪ 謎の食虫植物に襲われるー 助けてー レイさーん」

しかしその気の引き方はどうかと思うが。
もはや演技する気ないだろお前と言わんばかりの抑揚のない悲鳴が庭園中に響いた。

>レイ、ALL

2ヶ月前 No.437

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

薬草園の手入れをしていると遠くから、来客を知らせるベルが鳴った。誰だろうと思い、一度手を止め、入口のあるほうへと歩き出す。すると、聞き覚えのある助けを呼ぶ声が聞こえた。


「大丈夫ですか?!レイニアさん!!」

右手を刀に変化させて駆けつける。
そして気づいた、そういえばこの庭園に食虫植物は植えていないということに

「レイニア……さん?」

状況が読み込めず、ただ頭上にハテナを浮かばせ、佇むレイ。

≫レイニアさん
(絡みありがとうございますー」

2ヶ月前 No.438

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_FNM

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「…管理官?」
ベッドの上で悶々と気持ちを燻ぶらせていた所で、鶴羽に声をかけられたのに気が付いてそんなどこかとぼけた様な声が出てしまう。
それから間を開ける事無く鶴羽がカーテンを軽く払いながらもこちらにやってきた事を確認すると急激に意識が覚醒し、反射的に身体に魔力を巡らせて強化し、上体を起こして出迎える。
(むぅ…思いの外…きついな…)
なんと言う事のないたったそれだけの動作だったのだが、先日の消耗はやはり大きかったようで…一瞬だけ軽い眩暈のような物を感じながらも、表には出さぬよう努めてこちらの体調を訪ねてくる鶴羽に言葉を返すことにする。

「こちらはどうにか…少しばかり休んだ方が良いとは思いますが、大きな問題はないですよ」
…先日と口調が変わっているのを訝しまれそうな気はするが…なんだかんだで形式上は別の所属ではある物の上官に当たる人物である。
公共の場ではそれなりの対応という物をする必要がある…と、考えての事だ。

そんなやり取りをしていた所で、鶴羽が溜息を吐いた後、囲いの外から何か…どうやら同じ部屋に収容されていたのであろうシスメ…を引っ張り込み、会話に参加させようとし始めた。
「ああ…無事で何よりだ…ところでそれは?」
どこかしどろもどろな様子のシスメであったが…それよりも負傷の程度の方が気がかりだったのでさっくりと全身を見渡して、際立った者が無いのを確認し、安堵する。
…その途中露骨に視線をそらされたのにも気が付いたのだが…深く考えずに意識の外に追いやり、次いで手元で何かのカードに気が付き視線でそれを差しながらも問いかけてみた。

>鶴羽 シスメ ALL

2ヶ月前 No.439

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★QTG9lfjhkp_Fri

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

こちらの予測に反して、思ったよりも早く彼女は駆けつけてくれた。
ぱたぱたと不規則な足音をさせながら、植物の迷宮をかきわけてレイが姿を現す。
ひとまず庭園で遭難するという間抜けすぎる結末は回避できたようだ。
頭上にクエスチョンマークを表示させたまま硬直するレイに、
レイニアはいつもどおりの微笑を浮かべると、ひらひらと手を振る。

「あはは。どーも夜分遅くにすいません。それにしてもレイさん、ノリがいいですねぇ。
そういう人は大好きです。ディーくんにも見習って欲しいくらいですねぇ」

いまだ状況が把握できていない彼女に、
先ほどの三文芝居がブラックなジョークであったことを明かす。
しかし、レイニアはレイのリアクションが全くの素であることを知らない。
レイニアの小芝居にレイが合わせてくれたのだと勘違いをしたのか、ひどく満足げだった。
しかしこのままでは、静かな夜のひと時を邪魔したお騒がせな愉快犯で終わってしまう。
こちらの返答を待つかのように黙すレイに、
レイニアは左手のバスケットを小さく持ち上げてみせた。

「差し入れです。と言っても私からではないのですが〜、
その辺も踏まえてちょ〜っと話したいことがありますので、
ひとまず腰を落ち着けて話せるところにまで案内してもらえませんか?」

こういった庭園につきものであるテラス的な設備を期待したレイニアはレイに案内を請う。
というのも、実は彼女は、この庭園の完成披露には立ち会っていないのである。
いわば完全な初見…いや、レイニアの場合は初訪問であるからして、
この庭園に入って早々、道に迷うという失態を犯したのだ。

「あはは。申し訳ないのですがー…手、貸してもらえませんか?」

いまだ頭の中にこの庭園の全体図を描ききれていないレイニアは
杖を手首にひっかけると、その手をレイに向けて差し出した。

>レイ



【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

鶴羽の声に反応して。むくりと起き上がるエルト。
大きな問題はないと彼は口にしたものの、起きたばかりでそうなのかもしれないが、
普段よりこちらの声に対しての反応速度が芳しくないようにシスメは思えた。
知らず知らずのうちに袖を強く握り締めてしまう。瞳孔のチェックが済んだのか、
先ほどまで彼の顔を覗き込んでいた鶴羽が静かにベッドから身を引く。

「ふむ…嘘はついておらんようじゃな。
じゃが、無理いかんのぅ、エルトや。お主、今起き上がるのに魔力をつこうたじゃろう」

目ざとく体内の魔力の移動を感じた鶴羽は、
そう言って手にした扇で嗜めるように彼の顎を持ち上げる。
だが、すぐに表情を和らげた鶴羽は後ろで
あわあわするシスメの反応を密かに楽しんだ後、すっと彼の顎から扇を引く。

「まぁ良い、今日はここで夜を明かすが良いて。
しかしなんじゃな、お主もそうとう特殊な出自のようじゃな。
こんな身体構造の者など誰も診たことがないというもんじゃから、
診る前からどうなることかと思うたが…意識が戻って一安心じゃぞ」

ここで、ようやく鶴羽がここにいる理由が彼女の口から語られる。
ここはそれなりに医療の発達した国で、魔術の産物的な住人もいることから
それなりに魔術絡みの生物についての医学にも理解がある。
だが、自然発生したものや、一般的に普及している魔術により製作された者ならともかく
独自の身体構造、いわばオリジナル、希少な、もっと端的に言えば製作者の趣味全開な
身体構造をもつ者であればそうもいかない。
既存の大枠に当てはめた魔術生物の医療知識など何の役にも立たない。
であるからして、薬学の知識から過去にそういった特殊な種族の診察経験をもつ
自分が呼ばれたと言うわけだ。
と、いきさつを話す傍ら、エルトがシスメの手にあるカードに興味を示す。

「あ、これはその…」

「たろっとかーどじゃよ。皆の意識が回復するまでの間、暇じゃからのぅ。
これで占いをしとったんじゃ。どれ、シスメなにが出たんじゃ?」

若干、まだ己の内にためこんだ何かと葛藤しているシスメは
口が重いらしく仕方なくその言葉を鶴羽が引き継ぐ。
鶴羽が促してやるとシスメは裏向きのカードをこちらに見えるよう掲げた。

「えっと、これは……吊られた男?」

カードの表面に書かれた文字を読み上げるシスメ。
しかし、彼女の手の中にあるカードは反対の向きに握られていた。
途端に鶴羽の眉間に小さく皺が寄る。

「逆位置じゃのぅ。うむ…なんというか…あれじゃな」

「え? えっ、なんなんですか、その反応は…ど、どういう意味なんですか?」

言葉を濁した鶴羽に何かを感じ取ったシスメは恐る恐るといった様子で彼女に訪ねる。
どうやら嫌な予感は的中したらしく…

「吊られた男の逆位置の意味はのぅ。犠牲、無駄、盲目、失敗じゃ。
今まで重ねた努力や苦労が無駄になったり、
さらに抱えとる問題が大きくなることを暗示しておる。
つまり、同じ方向ばかりでなく別方向にも目を向けろと言うことじゃな。
普段のお主にも言えることじゃが…お主、一つのことに固執すると周りが見えなくなるじゃろ」

「うぐ…」

無意識なクリティカルヒット。いまだシスメの胸中に蠢く何かと関係があるのだろう。
カードの解説をする鶴羽の言葉は、鋭利な刃物となってシスメの心に
ざっくりと突き刺さったようだった。意気消沈するシスメをよそに、
鶴羽はシスメのカードを回収すると再び他のタロットカードと共に混ぜ始め、
扇子を広げるかのようにカードの表面を下向きにしてエルトの方へと差し出す。

「エルト、お主もどうじゃ? 確かお主、あるかないざぁとかいう武器を使っておったじゃろ。
何か不思議な縁というか、関連性を感じずにはおれぬ。なぁに軽いリハビリじゃよ。
もし手を動かすのがつらいなら右から何番目とか口で言うてくれれば、ワシが代わりに引くぞ」

>エルト、ALL

2ヶ月前 No.440

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

「ああ、そうだったのですね。とにかく無事でよかったです。」

相手の悲鳴がジョークだったと知り、ただ相手の安否にホッとした。
そして相手の差し入れだというバスケットを見ると嬉しそうに微笑み

「座れる場所ですね、でしたら、すぐ近くにあるのでご案内しますね!」

そういうとレイニアの手を取り、近くにあるテラスへと案内する。テラスへの道へは藤棚があり、とてもいい香りがする。

「レイニアさん、どうぞこちらに。今お茶いれますね」

レイニアさんを、テラスに置いてある白い椅子に案内して、座らせ、テラスに置いてある給仕セットでお茶を入れる

≫レイニア

2ヶ月前 No.441

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_FNM

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「それは…その…」
誤魔化したかった部分を的確に指摘され答えに詰まる。
この時点でほとんど白状しているような物なのだが…視界の端でなにやら慌てているようなシスメにまでそれを悟らせては余計な気づかいをさせてしまいそうなので、どうにか頭をフル回転させて上手くやり過ごすようなセリフを考えようとはしたものの…
(っ!?…これ…まず…)
…即座に襲い掛かった頭痛と視界が歪むような感覚を覚え、即座に思考を放棄…なけなしの根性と気力を総動員して外観上の平静を保つことに努める。

その間、何やら鶴羽は扇子をこちらの顎に滑り込ませ、こちらの顔色をさらに探るような事をしていたようだが…気が付いた時には既に表情を緩め、追及の手を緩ませたようだったが…
「そ…その…我々が居たのはなんと言いますか…外より隔離された環境だったので…」
一呼吸置く間もなく『そうとう特殊な出自』と言われた事について言い訳がましい事を口走る…別に追及されているわけでもないのだから適当に相槌でもうってればいいと考えなくともわかりそうなものなのだが…先の眩暈に日和った思考放棄と対人不足が合わさったなんとも情けない反応がこの有様である。

深く突っ込まれる前に、先ほどシスメが所持していた紙片…タロットカードに話が移ったところで、これ幸いとそちらの話題に無理矢理移行する…そんな事をしても問題の先送りにしかならないのだが。
「…う…占いは所詮占いだから…」
…その結果…結構容赦のない指摘をされ、意気消沈するシスメにそんな言葉をかけ、慰めようと試みたが…この短い付き合いでも思い当たる節があったのもあり、どうにもうまい言葉が出ない…恐らくは視線を合わされようものなら即座に明後日の方向に逸らしてしまうであろうと言うレベルだ。

「そ…それなら左から3枚目を…」
一応良くない流れだと察知する程度の感性はあったようで、どうにか話題を変えようと、鶴羽に提示されたタロットを口頭で示す。
少々強引すぎるかもしれないが…意気消沈した様子のシスメも暗い話題よりかは先のわからない新たな話題に気を向ける可能性が高い…かもしれないと信じて…

>鶴羽 シスメ ALL

2ヶ月前 No.442

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★png7KYI85v_DZn

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

ひんやりとした感触のレイの手に引かれて、レイニア・ベルダーは歩き出す。
テラスへの道中、甘い藤の香りが鼻をくすぐった。
感じた香りの総量と位置からいって、これは藤棚だろうか。
藤棚とは藤のつるをはわせて垂れ下がる花を観察できるようにしたものだ。
恐らく、頭上は淡い紫色のカーテンがかかったようになっているのだろう。
結構な年月を経た今となっては目が見えないことに
別段不自由を感じたことはなかったが、珍しく損をした気がしないでもなかった。
と、別の方向に意識を反らしてはみたのだが…

「あはは、すみません。
ノイちゃんがいればこんな面倒はかけなかったんですがー、ちょうど今、別の用事を頼んでまして」

申し訳なさからそんな言葉が口をついて出てしまう。
思えば、ノイ以外の誰かに手を引かれるという経験はそんなにない。
ガラにもなく、どことなく気恥ずかしいものを感じる。
そうこうしているうちに、藤棚のゾーンを抜けたのか独特な甘い花の香りが遠いていく。

「ありがとうございます。では、失礼しますねぇ」

さほど歩くことなく目的地に到着し、レイが椅子のところまで案内してくれたので、
一言断りを入れてからレイニアはそこへ腰掛ける。
ほどなくしてこぽこぽと何かが注がれる音が聞こえた。
恐らく、お茶の準備をしてくれているのだろう。
それならばと、こちらも準備をしておこうと持ってきたバスケットの蓋に手をかける。
ごそごそと目的のブツを探してバスケットの中をレイニアの手が移動し、
やがてお目当てのものに手が触れる。

ひんやりとした、鉄の感触。
レイがポットを置くのを待って、レイニアは音も立てず彼女の背後へ近づき、
引き金に指をかけると、そのままソレを彼女の無防備な背中へと突きつけた。

「そちらを向いたまま手を上げてください。
やー、実はちょっと貴方にいくつか聞きたいことがありまして」

能天気な声とは裏腹に、
そうレイに命令するレイニアの声から伝わる感情は完全に熱を失っていた。

>レイ



【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

彼の素性について触れようすると、彼らしからぬ…いや、これが恐らく素なのだろう
目に見えて狼狽した様子を見せた。嘘は得意としないタイプであるのはなんとなく理解していたが、
万全な状態の彼であればもう少し上手く取り繕うことが出来たはずだ。
口に出さずとも、明らかに何かありますよと明言しているようなものである。
しかし、タロットカードの話にすぐに食いついたあたり、
話題の転換を図ろうとしていることから、彼にとってこれは触れて欲しくないことなのだろう。
こちらとしても病床に伏している相手を捕まえて根掘り葉掘り聞くのはフェアではないと感じたのか、
それ以上の追求は控えた。
一通り彼の表情を確認した鶴羽は、エルトの宣言どおり、彼から見て左から三枚目のカードを抜き取る。

「ほぅ…面白いのが出たのぅ。じゃが…ふむ、そうか…」

即答できないほど悪い結果か、カードの解釈が難しいのか、はたまたその両方か。
再び神妙な面持ちで唸る鶴羽。先ほどの自分のこともあり、
何とか彼だけでも良い結果が出るようにと祈っていたのだが、どうやらその祈りは届かなかったようだ。
良くない流れは伝染する。

「な、何のカードが出たんですか…?」

こちらも先ほどと同じく恐る恐るといった様子で再び鶴羽に尋ねる。
鶴羽はまるで正解を発表する前のクイズ番組の司会者のような
表情で数秒の間を置いてから、鶴羽は手元のカードをくるりと反転させた。

「愚者の逆位置じゃな。意味は確か…愚考、失敗、陳腐、無謀じゃったかのぅ」

既にマイナスなワードが並んでいるあたり、
どんな結果か予想はつきそうなものだが、シスメは固唾を飲んで鶴羽の言葉を待つ。

「えと、逆位置ってことは……また嫌な予感がするんですけど…つまり?」

「指し示すところは…この場合そうじゃのぅ…
自分の気持ちや考えを主張することができず、周囲に呑まれて成り行きに任せてしまったりじゃな
状況の変化が怖く、思い切った行動が出来ずにタイミングを逃し
状況が悪化する……――といったことを指しておる。
つまりじゃ。もっと我を出したほうが、良い方向に進むということじゃろうな」

ここでちらりとエルトの顔を窺う鶴羽。
何か良からぬことでも企んでいるのか、
着物の袖先に隠された口の端が僅かに吊りあがるのが見えた。

「何か思い当たる節があるのではないか? のぅ、エルトや。否……」

手にした愚者のカードでエルトを指す示した鶴羽はしかし、しばし何事か考え込むようなしぐさを見せた。
やがて、エルトを指し示した愚者のカードを引っ込めると、それをすっとシスメの鼻先へと移動させる。
突然こちらに矛先が向いたことに驚いたのか、何事かとシスメは鶴羽の顔を見返す。

「これはお主にも当てはまることじゃのぅ、シスメ。
お主がさっきからそわそわしておるのはこやつに何かいいたいことがあるからじゃろ?」

「そ、それは……」

キョトンとした表情から一転、鶴羽の指摘が図星だったのか言葉に詰まるシスメ。
入室したときと全く同じ調子でやれやれと鶴羽は首を振ると、
いまだに無駄な足掻きを見せるシスメに質問を投げかける。

「違うのかや?」

「その…まぁ…そうですけど…うぅ、わかりました…言います、言いますから…」

ついに鶴羽の追求をかわしきれずシスメは陥落した。それにしてもひどい狼狽っぷりである。
彼女の嘘は見ていて痛々しさすら感じる、と思えるほどに。

>エルト

2ヶ月前 No.443

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRF

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「む…むぅ…」
鶴羽から示され、解説されたカード…愚者の逆位置について聞かされて思わずうなる。
(…み…耳が痛いな…これは)
確かに思い当たる節が無いわけでもない…と、言うよりも大いにあり…その自覚もあるのではあるが…『我を出した方が良い方向に進む』と、言われてもイマイチピンとこないと言うべきか…我を出す自分と言うのが想像できない。
考えている内にも追撃のように『思い当たる節があるのではないか?』と問われるが…まったくもってその通りなので反論のしようもなく、表情にわずかながら苦いものが混じる。

「…言いたい事?」
そうして少しの間考え込んでいたところで突如話題の矛先を変えた鶴羽のその言葉に反応する。
問われた本人は何やら渋るような素振りを見せているようで…なんだか無理にきくのも悪い様な気がしてしまい…
「あー…言いにくい事なら無理に聞こうとは思わないが…なんなら後日と言う事でも…」
などと鶴羽の焚き付けやシスメの観念を台無しにするような逃げ道を提示してしまう…本人に悪気はない…どころか善意ではあるのだが…

>鶴羽 シスメ ALL

2ヶ月前 No.444

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

「レイニアさんが来ていただいて良かったです。実は今日とてもいい紅茶を頂きまして、一人で飲むのも味気ないと思っていたところなんです。今お持ちします……ね?」

お茶をカップに注ぎ、さあ持っていこうと思ったその時、背中に何かが当たる。そしてレイニアさんの声がすぐ後ろから聞こえ、これもブラックジョーク?とも思ったが、違う。

魔武器だからわかる。背中に当てられているその冷たい鉄の銃口。レイニアさんの明るい声とは裏腹に伝わってくる緊迫感
レイはその場に固まり、言われた通りゆっくりと手をあげる

「あ、あの……聞きたいことがあるならちゃんと答えますから、その銃を降ろしていただけませんか?私は逃げません。
たとえ私がこの場で武器化したところで、お粗末なものにしかならないことは、レイニアさんもご存知のはずです」

いつも通りセキアさんやレイニアさんと話すようなトーンで、落ち着いて対応するレイ。実はこの手のことには慣れているレイ。
国家隊に入るまで、幾度もこの手のことにあってきた。

>>レイニアさん

2ヶ月前 No.445

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★F1lBuaz0NJ_DZn

【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

うなるエルト。その表情の中には苦みと疑問が同居している。
我という言葉がしっくりこないのだろうか。
確かに彼の性格上、それはすぐには難しいだろう。
いわば無茶ぶりに近い注文だ。キャラの崩壊とも言い変えていい。
思考を放棄するという選択肢には行き着かないのか、彼は苦々しい表情のままだ。
このままではどこぞの石像みたく考えるポーズで固まってしまいかねないと思った鶴羽は助け舟を出す。

「我とは言い換えれば欲じゃな。あまり業突く張りなのも
考えものじゃが、無欲すぎるのも人としてどうかと思うわけじゃ。
生きるのに最低限必要な欲以外にも、別の欲が人にはあって然るべきなのじゃ」

思わず、苦笑いが出る。
所詮は占いだからとシスメを慰めた彼も見事に占いの結果に囚われているように見えた。
これは彼の入隊志願書を見た鶴羽だから知っていることだが、
本当の歳相応にそこは純真なのかもしれない。

「お主にはあまりそれがないのではないか?
まぁ、とはいえワシもお主のことをとやかく言えるほど
お主について知っておるわけではないがのぅ」

そう言い終える頃、カーテンの隙間からひょこっと紫色の花弁が覗いた。
入隊試験のときと遺跡調査の際にもいた人花の少女だ。
見覚えのあるエルトの顔を見つけると「お勤めご苦労だがね」と言わんばかりにビシッと敬礼する。
どうやら鶴羽に用があるらしく彼女を手招きすると二人連れ立ってカーテンの向こう側へと消えた。
残されるシスメとエルト。
彼は話しにくいことなら言わなくていいと言ってくれたのだが、シスメは首を横に振ってそれを断る。
気まずさに少し視線をそらしたシスメはぼそぼそと切り出す。

「いえ、話させてください。
……その、どこからお話していいか分からないのですが」

そう早口に前置きしたシスメはぐっと拳を握り締め、反らした視線を元に戻す。
そのまま――

「すみませんでした」

エルトに深々と頭を下げた。

「あの遺跡での一件……私は、ちっぽけな自尊心を守ろうとして
結果、お二人に…エルトさんとデウスさんに無理をさせてしまいました」

頭を下げたまま、言葉を紡ぐほど出づらくなっていく声を絞り出す。
まだ、大丈夫。

「私は…人間です…ただの。もっと弱い自分を自覚して、
お二人と最初から協力してことに当たっていれば…こんなことにはならなかったかもしれません。
周りがすごい人ばかりで…いつの間にか、自分にも同じ力があると思い込んでいたんです。
本当は全然、そんなことあるはずないのに。勝手に一人で焦っていたんです」

ようやくここで頭を上げる。エルトの顔が視界に入ると、さらに声が出しづらくなるような気がした。
しかし、口はまだ動いてくれた。良かった、話せる。まだ、平気だ。

「だから…」

だが、ここまで来てもう駄目だった。押さえ切れなかった。
視界が滲む。ぼろぼろと目から涙が零れ落ちる。

「だから…この隊で…もう少し一緒に…頑張らせてもらってもいいですか?
今度はもう…あんな無茶はしませんから」

>エルト




【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

彼女は素直にこちらの要求に従い、手を上げてくれた。
そして、逃げるつもりはないから銃を降ろして欲しいと言う。
普段のレイニアなら、彼女を第七候補隊の候補官として接するなら
そうしたであろうが、今回は首を縦に振らなかった。

「あはは。何か勘違いしているようですねぇ。これは質問ではなく尋問です。
それに、銃を突きつけられて落ち着いていられる人ほど怖いものはありませんからねぇ
念には念をというやつです。私の性格は知っているでしょう? さて……」

語気は強めず、まるで昼下がりのティーパーティーで
日常会話でもするかのように、静かに捲くし立てるレイニア。
レイニアの言葉の通り、レイは緊張に身体を硬くしているようであったが、妙に冷静だった。
彼女の経歴は調査済みだ。
以前にも似たようなことがあったのだと、同じような場面に何度も遭遇しているのだと
想像し、同情し、共感もできるが、それが銃を下ろす理由にはならない。
そのまま続ける。

「貴方に、この間の事件への関与が疑われています」

銃を突きつけたまま、事務的な口調でレイニアは今回このような行動に出た理由を口にした。

「あの任務中、どうやら貴方は事件の首謀者である
神父風の男と修道女……――確かレヴァーンの異端審問官でしたっけ。
その二人組と長い時間行動を共にしていたらしいですね。それも妙に親しげだったとか」

遺跡内に残っていたもの。監視カメラは壊されて全滅していたが、
壁の中に埋め込んだ音声記録の魔法陣がその事実を明らかにしてくれた。

「加えて、もう一つ。そのバスケット、誰からの差し入れだと思います?
実はー、私の机の上に置いてあったんですよ。宛名が貴方の手紙つきで。
なにやら約束を守れなかったお詫びだとか何とか書いてありましたが……ま、そんなわけでして」

銃を背中から放したレイニアは時計回りに移動して
レイの側面へ身体を移動させると、彼女のこめかみに銃の照準を合わせた。

「捕縛命令が下りました。グレブスリー処断官から。
貴方を即刻自分のところにまで連れてくるようにと。発砲の許可も降りています」

そこまで言ってレイニアは引き金に込めた指の力を強くする。
なんの冗談か、結果 引き金は引き絞られ―――




ポンッという間の抜けた音と共に、銃口に鮮やかな赤色の花――ジニアが咲いた。

「――と、まぁ、これくらいのことしますよ、グーくんは」

ひょいと銃口からジニアの花束を抜いたレイニアは
レイにそれを握らせ、静かに椅子に座りなおす。

「すみませんねぇ、二番煎じなことをして。
でも、貴方には自らをとりまく状況を少し理解しておいてほしかったんですよ。
話す約束をしたじゃないですか。貴方と因縁のある軍服の男について」

そして、事も無げにそう言ったのだった。

>レイ

2ヶ月前 No.446

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

レイニアさんは銃を降ろさず、そのまま要件を言ってきた。この落ちつきは逆効果だった…と少し後悔しながら、相手の話を聞く。

要件は、この前の遺跡で、会ったクラウズさんとスターチさんとの繋がり、つまり二人の仲間ではないかという疑いであるとのこと。

「……調査の後、説明したと思いますが、あの二人とは偶然会ってあの時が初対面です、遺跡で遭難したとのことだったので、出口まで一緒に同行しただけです。」

と、こちらも事務的に会ったことを正直に話す。少し言い訳っぽく聞こえるかも知れないが、まぎれもない事実なので、こういう以外が浮かばなかったレイ。

そして、レイニアさんは、私に捕獲命令が出ているという。バスケットを送ってきた人、グレブスリー処断官が、私に出頭するように、と言っているらしい。
その名前を聞いた瞬間、あの仮面の少女に見せられた、会議の映像、そして、忌まわしい一族が滅ぼされ母を殺されたあの日の光景がフラッシュバックする。

もしここで拒めばきっと自分にとっても、そしてレイニアさんや他の人にとっても不利な状況になってしまうことは、考えるまでもなくわかる。しかしレイニアさんは私の隣に立ちコメカミに銃口を向け、発砲

それには冷静を保っていたレイも、驚き目を丸くする。しかし、銃口から放たれたのは弾丸ではなく、綺麗なジニアの花束。

未だに状況がつかめず、また目が点になるレイ。
そしてレイニアさんからの説明でなんとか理解した。とりあえず発砲許可などは、嘘なのだろう。ということは

「びっくりしました…発砲許可が出ているとは言え、それは抵抗したらのはず。レイニアさんは抵抗もしていない相手を撃つような方ではないと思っていたので……すごく綺麗なジニアですね。」

そして再び椅子に腰をかけた相手を見て安心して、今入れた紅茶をテーブルに置き、ジニアの花束をテーブル上の花瓶に入れた。

>>レイニア

2ヶ月前 No.447

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRF

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「欲があってしかるべき…か…」
年の功…などと言うのは大いに失礼なのかもしれないが…こちらの心情をほとんど正確に読み取ったその言葉に、思わずそう呟く。
…本人は見透かされている事に気が付いていないのだが…それでもかけられた言葉は衝撃的で、深く考えさせられることになりそうだ。
(確かにその通り…何だろうな…だが…)
確かに欲に従い過ぎ、破滅への道をまっしぐらに進むような愚か者もいるではあろうが…それでも人類がここまで発展したのには鶴羽の言う通り一種の欲から来る部分も大いにあったのだろう。
…変わろうとしないものが変わる事などそうそうあるはずもなく…『欲』という物は良くも悪くも変化を望む原動力としては十分になりえるだろう。
(俺に…そんな物が許されるわけが…)
思い返されるのはかつての記憶…主の計画が潰え…自身の役目もまた露へと消え果てた忌むべき記憶。
…その光景に一人、知らず布団に隠れていた拳をきつく握りしめつつも、鶴羽の話を聞いていた所で…

(…あれは…確か…?)
なんだかんだでしばしば見かけている人花の少女が敬礼し…鶴羽の方を手招きし、連れだってそのままどこかに行ってしまった。
(別の仕事が押してきていたのだろうか…?)
などと考えていた所で、視線を逸らしつつも、拳を握りなおし…
「え…っと…それはどういう…」
視線を戻しながらもすぐに頭を下げ謝罪するシスメに訳が分からず、戸惑いながらもそう問いかければ、先日起こった戦闘に関しての事であり…
頭を下げた状態であったため、直接は見えなかったが涙ながらに訴えているであろう事は間違いなく…顔を上げ、すべて言い終えた時にはその瞳からはボロボロと涙が溢れていた。
「あ…あの状況だったら仕方なかったんじゃないか…とは思う…んだけども…」
終わりよければすべてよし…と言うのは楽観が過ぎるかもしれないが…少なくとも全員ここで5体満足に帰還できたのだから、それでいいのではないか?…と、言うのが本人の考えではあるのだが…
(…そんな答えじゃ満足は…できないよな)
言い終えてから『そうではない』と言う事に気が付き、改めて考える。
(…そうは言っても…どういえばいいんだ…?)
…が、ここでも響くのがやはり対人経験の圧倒的な不足…鶴羽どころかまともに生きているシスメにも事実上劣っていると言うその不足は焼き付け場などでは到底補えるはずもなく…
(…な…何か…何かないのか!?…ええい、ままよ!!)
泣いているシスメにおろおろしながらも浮かび上がったヤケクソな答えではあるが…何も言わぬよりは進展があるはず…と、意を決して言葉を紡ぐ。

「…そう…だな…なら次はもっとこう…戦闘に関しては信用してほしい…かな」
…今回なぜシスメが無茶を押したのかと言うと…彼女が言う通りに自尊心や思い上がり…などがあったのかもしれない…だがそれでも、手を出すまでもないと思っていたのであればわざわざ危険な事に手を出すことはなかったのではなかろうか?
実際にはそうではないかもしれない…だが、少なくとも今回の件を踏まえた彼女であれば、次回はそうはならないだろう…そう何度も今回のような事件に発展されてはたまったものではないが…
「…えーと…だからそうだな…それ以外の部分ではむしろ頼らせてほしい…かな…少なくとも…ここでの俺は…戦いしか能がない人形だから」
考えがまとまり切らぬ間に、急いで言葉を紡いだゆえか微妙にピントがズレているような気はするが…無理矢理答えをもってきて、そう纏めてしまう。
言ったこと自体に間違いはない…無いはずで、遠回しにはなっているが『一緒に頑張らせてもらってもいいか?』と言う答えにもこたえているはず…
…等々思考の片隅では考えているようだが…相変わらずオロオロした様子で何かを…現在はハンカチやタオルであろうか?…を探している様子なのでイマイチ締まり切ってはいないようで…

>鶴羽 シスメ ALL

2ヶ月前 No.448

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★Du9V22l7t4_DZn

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

緊張が解けたのか、彼女の心音が落ち着いていく。
さて、どんな言葉が飛んでくるものかと内心身構えていたのだが、
以外にも彼女の反応はあっさりとしたものあった。

「あはは。さて、どうでしょう? もしノイちゃんを人質にとられて
その交換条件に貴方の始末を命じられていたら従ったかもしれませんよ? なんて」

悪ふざけを逸脱した行為を、彼女は驚いたの一言で済ませてくれた。
信頼関係の崩壊に繋がりかねないことをした自覚はある。
鶴羽やシスメならもっと穏便に済ませられただろうが、
これ以外に確証を得る方法が思いつかなかったのだから、
我ながらねじくれていると自嘲的な笑みがこぼれる。
レイへの警告というのも嘘ではないが、この行為にはもう一つ隠れた意図があったのだ。
うまくジニアへ視線を誘導できたため、藪から蛇が出ないうちに
「実は私も個人庭園を所有してまして」と微笑んでこの話題を切り上げる。

「貴方を取り囲む脅威は思った以上に強大です。
正直なところ私でも全容を掴みきれないほどに。
国家隊の庇護下にあるここは平気なのですがー、それでも絶対ではありません。
この前の馬車の一件もありますし……
単独での行動は控えてください。私から言えることはそれくらいです」

この前の馬車の一件とは、入隊初日に暴漢に追いかけられたことを言っているのだろう。
あのあと、ちょっとその一団を捕まえて
事情を話してくれるよう“お願い”したのだが、
残念ながら依頼主の顔は見ていないという情報以上のものを引き出すことはできなかった。
あたかも全員が依頼主の記憶だけを消されていたかのように。

「すみませんねぇ、暗い話しばかりで。でも、悪いニュースばかりでもないんですよ。
さっきも口にしましたが、このバスケットだれからだと思います?」

暗い気持ちを払拭するかのように手で一度パンと拍を打ったレイニアは
本来のサプライズはこちらが本命だと言わんばかりに、
ちょんちょんとバスケットの角をつつく。
レイが答えるよりも早くツーっと一枚の白い便箋が彼女の手元に滑り込む。
そこには

「じゃん、正解はレヴァーンのお二人からでした〜。
バスケットの中身は山菜をつかったサンドイッチだそうでーす」

かなり達筆な字体で“花の嬢ちゃんへ。敬虔で素敵な神父様と修道女より”と書かれていた。
続いてバスケットを開いたレイニアが小さな網籠に
入ったサンドイッチを取り出すとレイの目の前に置く。

「スターチの食事をふるまう約束を守れなかったお詫びだー、とのことですよ。
あれだけドンパチ敵対しておいてどういう風の吹き回しですかねぇ」

>レイ




【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

シスメ・テムセージは無力である。つまるところ、彼女の全てはそこからだった。
同じ隊の仲間が死んだ。
山岳地帯の救助任務だった。山の高所に住居をつくることで有名な希少種の救助。
その山は噴火が予想されていた。
予想よりも早く噴火は起き、火砕流はあっという間に山の斜面を滑り降りて村を覆おうとしていた。
間に合わないと手を引っ張る仲間の手を振り払ってシスメは駆け出した。
そして、転移魔術で村人を安全な場所へ転移させた。
自分を転移させるだけの魔力はもう残っていなかった。
そして、彼女は、大事な親友だった彼女は、自分を助けるためにその命を費やした。
手を振り払われた後も私の後を付いてきていた彼女は、私に転移魔術を行使した。
魔力適性もなく、剣の技量だけでここまで上り詰めてきた彼女が
一度の魔術行使のためにその命を燃やし尽くした。
目と口から血を垂れ流しながら安堵したように笑う彼女の姿が私が見た親友の最後の姿だった。

『あ…あの状況だったら仕方なかったんじゃないか…とは思う…んだけども…』

いつの間にかエルトの声が遠くなっていた。
そこでようやく気付く、うわずった声、そして、泳ぐ視線。
彼がとても困っているその事実に。
思わず過去にとらわれかけた頭を振って意識を再び現実へと引き戻す。

「あ、す、すみません。急に…その…ああもう……不快です。
少しは頼れる先輩になろうとしてるんですけど、
エルトさんにはなんだかかっこ悪いところばかり見られているような気がします」

苦笑いと言う形でだが、ここでようやくシスメの顔に笑顔が戻った。
病み上がりの人を相手に自分は何をしているのだろうか。
また視界が狭くなっていたかもしてない。
鶴羽が先に忠告したとおり、もう少し周りに目を向けるべきなのだろう。
こちらもこちらで徐々に恥ずかしさが込み上げてきたところで、彼は続ける。
もっと信用して欲しい、そして、頼らせてほしいと。

「……完敗です。どうしてこう後輩の子ばかり大人になっていくんですか」

途切れ途切れながらも紡がれたエルトの不器用な気遣いの言葉に心が晴れていく。
再び何かが込み上げてきそうになったが、
彼がさらに困る未来しか見えなかったので、何とか堪えた。

「あ、と、ところで!
その、身体はもう大丈夫なんですか? 食欲はどうですか?
あの、りんごっ…お見舞い、あ、ち、ちがっ その…
お見舞いの品にりんご持ってきてるんです、切ったの!
いらなければいいんですけど、食欲があるなら少しでもおなかに何かいれたほうがいいかと思って!」

ここでようやく我に返ったのだろう。
先ほどの失態を誤魔化すかのように、シスメは矢継ぎ早にエルトにそう捲くし立てた。

>エルト

2ヶ月前 No.449

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

『あはは。さて、どうでしょう? もしノイちゃんを人質にとられて
その交換条件に貴方の始末を命じられていたら従ったかもしれませんよ? なんて』

というレイニアさんに私は、少し紅茶を口にして、考えるそぶりを見せ
そのあと、全く警戒のない笑顔で

「その時は……レイニアさんの望むまま……レイニアさんが一番最善だと思うことをしてください。それで私がもし死んだとしても文句は言いません。それにノイさんが簡単に人質になるような方ではないでしょう?」

のんきと言われればそれまでだが
私ももし誰か大切な人が人質に取られてしまったとしたら、今回と同じことをするだろうから、文句は言えない。まあ死んでしまえば文句も言えないのだけれど


そして自分に向けられている脅威についてを聴くと少し複雑そうな顔をする。

「……正直なことをいうと、私はその件に関してあまり詳しくありません。先日の暴漢を差し向けたとされる人にしても……あの魔武器一族の村が一夜にしてなくなったあの日の事も……」

そうだ。私はあの事件のことでいまだにわからないことが多すぎる。あの軍服を着た男が言っていたこと、「異端の魔女が作った魔武器を全て排除しろ!」 「友好関係を築こうとしていた軍に攻撃をし反乱した」 私が知る限りでは前者が正しく後者は偽り……。しかし


そんなくらいムードを和らげようと、レイニアさんはバスケットの中身を見せてくれた。その中身はとても美味しそうなサンドイッチ。

そして、送り主の名前を聞いて驚く

「レヴァーンって…………クラウズさん…。」

やっぱり本当はいい人なのではないかと、またもや、人を信用しすぎるレイの欠点が出てしまい、ほくそ笑むレイ。

「これ食べても、規則違反とかになりませんよね?」

と、一応確認のため、許可を取る。
敵側の人間の差し入れを、喜んで食べるなど、この上ないほどの非常識極まりないこと。
でもこれは、許されるよね?と期待を持っていう。

>>レイニアさん

2ヶ月前 No.450

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRF



【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

「かっこ悪いなんて…そんな事は…」
こちらがたどたどしくもどうにか言葉を紡いでいた所で、多少なりとも冷静になったらしいシスメが苦笑交じりに言った言葉を馬鹿正直に受け止め、擁護しようと試みるも…
(…むぅ…ど…どう言えばいいんだ!?)
本人としてはかっこ悪いと思ったりはしていなかったのだが…それを相手に納得させるための言葉は到底思い浮かばず、むしろ気まずい沈黙を生み出してしまったようで…

「か…買被りだよ、それは…俺なんてまだまだ未熟者だ」
そんな空気をよそに、自力で立ち直ったシスメが漏らした言葉に、なんとかそう返した所で捲し立てるかのような勢いでありながらも、次第にいつもの調子を取り戻してきたシスメから見舞いの品としてリンゴを進められる。
「あ…ああ、すまないな…それじゃあせっかくだし後でゆっくりと…」
なんだかんだで、終始酷使し続ける事となった頭はすっかりお疲れのようで…目覚めてからしきりに糖分を求めて頭痛を訴えてきてたりしていたのだ。
…次がどれほど先になるか分らない病院食を延々と待つ覚悟をしていたので実にありがたかったのだが…
(…流石に…まだ無理…だな)
…頭と同様、体も自身の調子には素直なようで…軽く腕を動かしてみようとするも、やはりほとんど動きはしないようで…残念ながらまだまだ食事にはありつけないようだ。
そういう訳なので差し入れをありがたく思いつつも、お預けを食らう形になったところで…
『グゥー…キュルルルルル…』
「…」
奇妙な効果音とともに訪れた再びの気まずい沈黙…どうやら素直だったのは頭と体だけではなく、腹の虫もだったようで…
確かにあれからどれほどの時間が経ったのかは不明だが…少なくとも先日の朝食以降、特に何も口にはしていなかった所からして自然な事ではあるのだろうが…
(…よりによって…このタイミングか)
気まずさを感じながらも、それで事態は好転などするはずもなく…ただ居た堪れない気持ちになりながらも沈黙する事となってしまったようだ…

>シスメ ALL

2ヶ月前 No.451

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★qDqvD9zS2C_VNB

【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

何故このような行動にでようと思ったのか自分でもよく分からない。
ただ、いい意味で達観しているというか
普段超然とした雰囲気のエルトが空腹にお腹を鳴らすその様が
いつもより妙に幼く感じたせいかもしれない。
気付いたときには竹串に刺したりんごを彼の口元へ差し出していた。

「あ、す、すみません。エルトさんがなんだか弟のように思えてしまって、
あ、いえっ 別に子供として見ているとかそういうことではなくてっ ですね!?
あ、やっぱり今の聞かなかったことにしてくださいっ 私が言いたいのはそういうことではなくて!」

頭を切り替えるため、ごほんと咳払いをする。
臆病風に吹かれることの多い自分が、我ながら思い切ったことをしたものだと
自身のなけなしの勇気と行動力に驚くが、顔には出さない。
意図せず彼の口を封じることに成功したシスメは、
彼へのわんこそばならぬ わんこりんご攻撃の傍ら、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。

「エルトさんはさっき自分は人形だからって言いましたけど」

さっきからずっと引っかかっていたことだ。
今までの一連の会話の中で一度だけ彼がぽつりと漏らした言葉。
普段の超然とした態度のエルトが相手だったら
読みきれなかっただろうが、その言葉からは言い知れぬ苦悩を感じた。
試験中に閲覧した彼の志願書。その中にある情報を知りえるのは
恐らく一部の区画統括管理官とシスメくらいだろう。
その情報を、偶然だが私は知ってしまった。
彼がどういう素性であるかを。そして、どういう存在であるかを。

「そんなことないです。現に入隊試験のときの気遣いも、
遺跡で私の無謀を諌めてくれたときも、
命を粗末にしようとした私よりもエルトさんはずっと人でした」

だが、それを知っていたところで、恐らく自分に出来ることなど何もないだろう。
しかしあるいは、だからこそ彼のその態度には少し思うところがあった。
彼が食べ終わったのを確認してから素早く次弾を装填し、再び彼の口元へ差し出す。
こうでもしなければ、彼はまた謙遜と気遣いから
こちらへの非を廃した言葉をかけてくれるだろうことは分かっていたからだ。

「ですので、お礼を言わせてください。ありがとうございました。
エルトさんがこの隊にいてくれてよかったです。いなかったら私は――」

そこまで言って、唐突に背後からカタッ…と音がした。
振り返ると床に落ちた扇を拾い上げようと
車椅子に乗ったまま前傾姿勢になる鶴羽と目が合う。

「ん? ワシのことなら気にせず続けるが良い」

いつからそこに居たのだろうか。まるでこれから食卓につく
家族のような気軽さで鶴羽は悪びれずシスメに言葉の先を促す。
シスメの時が止まったのは言うまでもない。

>エルト




【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

混乱の入り混じるレイの言葉にレイニアは緩慢な動作で目を伏せた。
当然だ。情報の収集も整理も満足にできず、
確証も得ていない状態で、仇敵はこいつだと言われても反応に困るだろう。
一度に多く話しすぎただろうか。少し性急すぎた気がしないでもない。
と、ここでレイニアは一度言葉を切った。
話の箸休めとばかりに出された紅茶に口をつける。
適度に清涼感のある落ち着いた香りが鼻に抜けていくのと同時に
気分が和らいでいく感じながら二の句を告げる。

「あなたを巡る一連の騒動の中心に居るのは、カザス・グレブスリー 壱位処断官です。
どうやらあなたの村への襲撃を先導したのは彼のようですねぇ。
ただ、これらは全て状況証拠から来る推論の域を出ません。
どうやら彼は相当上手く証拠を隠滅したようですからねぇ。
国家隊での職務態度も勤勉そのもの、禁酒家で浮いた話もなく、
叩いても塵一つ落ちません。普段の彼を知っている人からすれば疑う人なんていませんよ」

レイニアの言葉と共に机の上にばら撒かれる写真。
今は形骸化し誰も着るものが居なくなったアスール国家隊の旧制服――
すなわり詰襟の黒い軍服に身を包んだ――強面の男がそこには写されていた。

「処断官というのはいわばこの国家隊内部を見張る監査部隊のようなものです。
つまり、彼は貴方になにかとイチャモンをつけてしょっぴこうとしてくるわけです。
まぁ、そんなことは私がさせませんが」

写真の一つを指先でトントンと叩きながら、レイニアは長いため息をつく。
実は、かの遺跡調査の一件より少し前にグレブスリー処断官が
レイを秘密裏に自分の隊に引き抜こうと裏で画策していたなんてことがあったのを思い出す。
無論、そんな計画など真正面からぶっ潰させていただいたが。
おかげで彼からしたら自分には相当ヘイトが溜まっているに違いない。

「向こうが一方的に貴方の素性を知っているというのもフェアではありませんので、
これを渡しておきます。まぁ、あまり参考にはならないかもしれませんが」

彼に関するデータ――とどのつまりプロフィールの入った
ファイルをレイの手元にそっと滑らせる。
あまり参考にならないといったわけは、
彼が馬鹿正直にこれを記入したわけではないということを暗に言っているのだろう。

「なにかあったときは無理せず私を頼ってください、レイさん。
グーくんが何かしかけてきたときは、
しばらく地上の人ではなくなりかけるほどの嫌がらせを彼にしかけますので」

自慢できるほどのことではないし、
これでは嫌な人…というか実際嫌な人なのだが、
嫌がらせ、妨害、口八丁手八丁はレイニアの専門分野だ。
飛び切り性質の悪い笑顔を浮かべながら、レイニアは得意げに自分の胸を叩いた。
そこでレイからこれを食べることでお咎めはあるかと問われる。
少し懸念を含んだ声であったが、その表情から冗談であることが窺えたので
レイニアもくすくすと甘い笑い声で応じた。

「おや、そこ気にします?
ではー、敵のものと分かっていて、かつ危険なものかもしれないそれを
ロクに確認もせず国家隊の本部へ移送した私は共犯者ということになりますねぇ」

「あはは。そうなれば除隊はまぬがれませんねぇ。
そうなったら二人で花屋でも初めてみましょうか」と付け加えながら
冗談なのか本気なのか分からない口調と大げさな手振りでああ…っと顔を覆うレイニア。
いや冗談なのだろう。冗談に違いない。たぶん、恐らく、メイビー。

>レイ

【Information:サブ記事とメモ欄にてカザス・グレブスリーの情報が追加されました!】

1ヶ月前 No.452

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

レイニアさんは私に写真を見せてくれた。
この写真に写る男の人グレブスリー処断官、この人が魔武器の村の壊滅を支持した張本人。その古い軍服に、昔のトラウマが蘇る。

そしてこの人は今も、私のことをどうにかして捕まえようとしているらしい。それを聞いてレイの中で何かが決まり。

「なら……いっそのこと一度この人に合わせてください。
もちろん一人でというわけではありません。そこまで慎重な方なのであれば、公の場であれば、平然と振る舞うでしょうし、派手に攻撃をしてくることはないでしょう?。それに、国家隊にいる以上、遅かれ早かれ、会うことになるのですし」

こんなこと、他の誰かに言えばきっと、何をたわ言を、とか、やめておけ、というだろうけど、なんとなくレイニアさんは賛同してくれる気がした。
自分でも、ぶっ飛んだ考えだということはわかっている。でも、私は逃げも隠れもしないということを相手に示さなくては


「お花やさんですか……それもいいかもしれませんね……」

自分の冗談に笑いながら「除隊処分になったら花屋でも開きますか」と冗談で返ってきた。しかしレイは、花屋にでもなればよかったかなと思い。
サンドイッチを一口食べる。みずみずしい山菜としっとりしたパンがいいハーモニーを醸し出している。


「ところで、レイニアさん……レイニアさんは疑問に思わないんですか?
国家隊に裏切られて村を壊滅されたにもかかわらず、何故私がこの国家隊に入隊したのか……とか……。グレブスリー処断官もきっとそこをついてくると思いますが」

≫レイニア

1ヶ月前 No.453

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_BXv

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

(…いったいなぜ、こんな事になっているんだ?)
絶妙なタイミングで次々と補充されるリンゴを平らげながらなすがままとなっている現状について自問する。
(いや、まぁ空腹だったのは間違いないんだが…これは…その…ちょっと…むむむ…)
あまり我が無いと評されてはいるものの、彼とてちょっぴりのプライド…と言うほど高尚な物ではないが…最低限の見栄ぐらいは取り繕っておきたいと言うぐらいの感覚は持っているようで…
その個人の範疇から考えれば何ともいいように扱われている現状はどうにも気恥ずかしい部分があるようだ。

そのまま計らずともこちらの口を封じる事に成功してしまったシスメの言葉を遮る事無く、静かに聞き手に回っていれば…
(っ…こいつは…口を滑らしたな…)
常であれば口走るはずのない言葉…『人形』と言う単語に瞬間的に硬直しかけたが…不幸中の幸いか、食への本能が勝り、リンゴを消費する事を優先して身体…と、言うよりも口は動き続けてくれたようだが…
(人に見えた…か…だが…所詮はまがい物だ…それに…)
シスメは此方を自身よりも『人らしい』と、評するが…こちらとしては、危うさこそあったものの、全力で事に当たろうとしていた彼女を何度も見ていたため、彼女の方こそ紛れもなく『人らしかった』と、言おうと口を開公としたのだが…
「…もぐもぐ」
…シスメのインターセプト!!追撃のリンゴにより、言葉は発する事無く黙殺される事となり…そのまま一言もしゃべる間もなく、話を聞く事となった。

…と思ったのだが…突如として老化の方に視線を向け、固まってしまったシスメから遅れる事数秒…差し出され続けたリンゴがなくなったことでようやく自由になった頭を、同じく廊下に見やれば…
「…つ…鶴羽…さん…?い…いつからそこに…?」
…管理官、ではなくさん付けで呼ぶ辺りかなり動揺しているようだが…当の本人にとってはそれどころでは無いようで…ぎこちない口調でそんな事を訪ねだした。

>シスメ 鶴羽 ALL

1ヶ月前 No.454

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★57XpIVePMn_VNB

【レイニア/ルナ区画/レイ所有庭園】

レイの提案にレイニアは身体の動きを止めた。
じわりと布に広がる染みのようなぬるい空気が二人の間の沈黙を埋める。
やがて彼女はにっこりといつもの笑顔を取り戻すと

「はい、いいですよ。時期は――…そうですねぇ。
次の任務の後にでもセッティングしておきますがいいですかー?」

二つ返事で彼女の提案を受け入れたのだった。

「あはは。何だか急にふっ切れた気がしますねぇ、レイさん。
この隊に入ることで見える景色が変わったからでしょうか? いえ、それとも…」

先ほどの長い沈黙が嘘のように、彼女の舌は快調な滑り出しを見せる。
かと思えば、出された紅茶に口をつけたきり言葉を切ってしまった。
思わず思考が口をついて出てしまったのだろう。
それだけにレイニアが受けた衝撃は大きかった。
レイニアが言葉を捜してカップの淵を指でなぞっていると、レイからもう一つ質問が飛んでくる。
少し聞いたことがある。他人から自身の印象や行動原理を聞き、
自分では気付かない角度から自らの心情を浮き彫りにしていく手法。
恐らく無意識的に彼女もそうやって自身の心象を整理したかったのかもしれない。
ため息を飲み込んだレイニアはようやく重い口を開く。

「過去 自分達に対して弓を引いた組織への加入。確かに傍から見れば正気の沙汰ではありませんねぇ。
第三者から見て真っ先に思い浮かぶとしたら、復讐……と言いたいところですがー
そんなわけないですよねぇ、今までの感じだと。私が思うにレイさん、貴方は―――」

再び両者の視線が重なる。
くすんだマリンブルーの瞳には何も写ってはいない。
だが、視線を合わせる必要性があるとレイニアは判断したのだろう。
彼女の深緑色の瞳を見つめる。

「見極めたかったのではないですか?」

ずっと引っかかっていたことと言えば、
彼女は一度も復讐がしたいなどとは口にしなかったことだ。

「貴方の大切な人たちの命を奪うに至った相手の思惑、そこにある感情の移ろい…
理由のない悪意のはびこるこの世の中で、
貴方は悪意を向けた相手のことさえ理解しようとしている」

ただ憎い、ただ恨みがあるからそれを排する、なんてことは彼女はしないだろう。
ありきたりだが、善の反対は善という事例は往々にしてある。
何故そんなことをするに至ったか、理由を聞き、受け止めてから立ち向かう。
要するに復讐も何も彼女はまだ始まってすらいないのだろう。
それを甘さと断ずる人もいるかもしれないが、
レイニアはそれをただの甘さだと断ずることはできなかった。

「その考え方は危険です……危険、なのですがー、私個人的には大賛成です。
貴方のような考え方のできる人こそアスールにはふさわしいのかもしれませんねぇ」

しみじみとそう呟いたレイニアはひょいと椅子から腰を上げると立てかけた杖を手に取った。

「おいしいお茶ごちそうさまでした。
念のため監視をつけておきますので、安心して夜を過ごしてください」

そのまま話しは終わりとばかりにひらひらと手を振りながら歩き出すレイニア。
歩を進める傍ら小さく呟いた「応援してますよ」という言葉、
その呟きを聞いたのは彼女の頭上を彩る藤の花と少し欠けた月だけだった。
こうしてアスールの夜は今日も変わらず静かにふけていったのだった。

>レイ



【鶴羽&シスメ/ルナ区画/国家隊本部/第三医務室】

突然のことで許容範囲を超えたシスメの自我は、思考という下り坂を勢いよく転がり落ちる。
そのまま混乱という出口のない迷宮に突入し、
危うくオーバーヒート寸前までいったシスメの頭は、
現実逃避という名の安全装置を作動させることでひとまずの平静を保った。

「鶴羽管理官、いらしていたのなら一声かけてください。
あ、リンゴ剥いていたきたんですけど、良かったら鶴羽管理官も一緒に―――」

小さく弧を描いた口元、柔らかな物腰に、不自然に自然な口調。
あたかも最初から何もなかったかのような振る舞い。
気遣いのできる人ならば、シスメのこの態度を察して軽く流しただろうが、しかし今回は相手が悪かった。

「カカカ、まさかのぅ。
あのシスメがこんなことをやっとるとは、夢にも思わもんじゃのぅ。
長生きはしてみるもんじゃな。映像記録用の魔導具がないのが悔やまれるのぅ」

シスメの口上を遮って鶴羽は続ける。
何故彼女相手にこんな強引な手段で誤魔化しきれると思ったのだろうか、
それこそダイヤモンドの鎧を着た相手に爪楊枝の剣片手に挑むようなものだ。
ついには営業スマイルにだらだらと冷や汗の加わった青い表情でシスメは視線を彷徨わせ始める。

「あの、りんご、食べ――」

なおも無駄な抵抗を続けるシスメ。
だが、それももう抵抗と呼ぶには遠く、自ら傷口が広げるだけの自傷行為に近い。
彼女がそれに気付くのは何もかも終わった後だった。

「しかし…いつの間にそんな仲良うなったんじゃ?
ワシがちぃ〜っと留守にした間に“あーん”なぞという
いまどきの書物でも見かけんようになってきとる伝説的行為に及んどるとは」

かくして理性と言う名の防波堤は、鶴羽の一押しによってあっけなく瓦解したのだった。

「な、あ、が、なな、なうぉおおおおおおおああああ!? うああああぁ…ごめんなさいごめんなさい!
私のような地味人間がいまやもう漫画や小説の中でも
滅多に見られないような伝説的行為に及んでしまってごめんなさい!!
これは医療行為だから仕方ないとか思いつつも
ちょっと憧れていたシーンの再現が出来て役得だとか思っちゃってましたごめんなさい! 失礼します!」

襲いかかる現実がシスメの心を粉砕した。
“支離滅裂とは”をダイレクトに表現したらこうなる、と言わんばかりの狼狽っぷり。
そんな脳が下した命令は、一刻も早いこの場からの離脱だった。
律儀にりんごを入れていたタッパーに竹串を放り込み素早く蓋をしたシスメは
ベッドの脚にしたたか脛を打ち付けながらも脱兎のごとくカーテンを掻き分け猛進する。
やがてバタンとドアが閉まる音を最後に、医務室に静寂が戻った。

「あー…やりすぎたかのぅ?」

鶴羽もシスメの挙動不審ぶりに面食らった様子でエルトを見やる。
彼の呆れた視線が鶴羽への返答になるのは疑いようもない。
こうしてアスールの夜は騒がしくふけていったのだった。

>エルト

1ヶ月前 No.455

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ルナ区画:レイ所有庭園】

しばらくピリッとした沈黙が続いた。
レイはまっすぐとレイニアさんから顔をそらさず、相手の答えをまった。
そしてでてきた答えは、なんともあっさりしたもので、少し拍子抜けしキョトンとする。

「……吹っ切れた……とは少し違うのですが……」

入隊して仲間ができて、任務にも行ってなにかが変わったかと聞かれればYESなのだが、それは、仲間へ情が移った、と言えるものなのだろうか。

「……見極め……ですか。そうですね、私がそういうことをするのも痴がましいのですが、魔武器としてこの国を主人として相応しいか、見極める必要がある、そう思ったんです。」

そういうと、立ち上がり去ろうとするレイニアさんを少し支えてあげ、相手が道に迷わないか見送る。

そしてその後静かに、紅茶のセットを片付け、庭園の奥へと歩いて行く。

復讐……か,考えたことがないといえば嘘になる。世界を恨んだことだって何度もあった。
でも、そんな私が国家隊に入ったのは……敵の懐が一番安全だと思ったから…。
自分の身と……これを守る為

庭園の奥へと進んでいき、茂みに隠された地下室への入り口を見つめる。

>>レイニアさん all

1ヶ月前 No.456

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_BXv

【ルナ区画/国家隊本部/医務室】

(ま…まずい…いや、やましい事はない…無いはずだから不味くは…ない…無いはず…だ…だよな?)
誰に聞くわけでももなく、どこか凍り付いたような気まずい雰囲気の中、無駄に思考を走らせているようだが…当然ながら答えなど出るはずもなく、何となく気まずい雰囲気が漂う。
そんな中、口火を開いたのはシスメであり、意外にも至極真っ当かつ平常な様子で鶴羽に声をかける。
(…うん、そうだな…何もなかったんだから変に考える事無く普通に接すればよかっただけだったな)
その様子を見て、直前まで深く考えて狼狽えていたのが馬鹿らしく思え改めてこちらも鶴羽に声をかけようとしたところで…

「か…管理官?…戯れもその辺りで…」
どうやら先のシスメの態度は儚い抵抗という物だったようで…たった数秒と言う会話の中で容易くそのメッキを剥がれたシスメの様子を見て、僅かながらでも援護しようと試みたのであるが…どうやらまるで効果はなかったようで…
(あ…これはもう無理だな…)
こちらの言葉を言い終える間もなく、一気に決壊してしまったシスメは捲し立てるように一気に言葉を吐き出すと同時、あっという間に後始末を終え、走り去っていった。
…結構な勢いでベッドに脛を打ち付けていたが…大丈夫だったのだろうか?…あれだけ走れたならば問題はないのだと思うが…

「…管理官…あまり深く言う気はありませんが…感心しかねます」
先の態度から一転し、『やりすぎたか』と反省するような鶴羽に、言葉面は丁寧にそう返すが…その視線はいわゆるジト目という物であり、抗議の意味合いを感じるのは間違いないであろう。
…とはいえ…過ぎてしまったものは仕方ないと軽くため息をついて思考を切り替え、視線を窓から見える空へと戻せば、日はすっかり落ちきっており完全によると言ってしまっていい時間帯であった。
(今日の夕餉にはありつけなかったにたいだな…まぁ…差し入れがあっただけでも十分…か…まぁ明日には十分動けるようにはなるだろうし、それまでの辛抱か)
何処となく空腹感を感じて再びのため息をつきながらもそう分析し、すっかり静かになった医務室で再び横になり、英気を養う事にしたようだ。

>シスメ 鶴羽

1ヶ月前 No.457

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★ZtgptKrabd_vj0

【セキア・ルーヴ/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/セキアの部屋】

セキア・ルーブは少し奇妙な感覚に支配されている。
泥と草の匂い。血の気の引いた自分の手のひらは赤く濡れ、耳の中をざらついた雨音が叩く。
頭が痛む。頭が痛い。痛みはどんどん強くなる。
こめかみに穴を開け、ミキサーでかき回されているかのような痛み。
いつもの映像だ。
あたしを見返すマリンブルーの瞳と、たぶんすごく大事な誰か。あれ―――見返す?
いや、違う。これは。これは■■のものではない。これはあたし自身の色だ。
向かいあった■■の瞳にあたしのマリンブルーの瞳が反射して写っているのだと
理解したあたしは―――

「うわぁああああ!? あっ! わっ、なぐぉ!? ぎゅみっ」

足がもつれた。
そして、そのままベッドから転がり落ちた。
足に引っかけたブランケットが宙を舞い、ばさりと視界を覆う。

「……うぅ…つぁー……いたい」

ジンジンと痛みを訴えかける頭頂部を抱え込みながら、しばし悶絶する。
とても嫌な夢をみていたような気がする。
夢で見たマリンブルーの瞳。
冷たい色であるはずのそれは、その中に燃え盛るような怒りを内包していた。
身に覚えのない悔悟と憤怒の残り火が、まだ身体の中で燻っているかのように錯覚する。
額に張り付いた前髪を払い、手に掬った水を顔に叩きつけると洗面所の鏡を覗き込む。

「ちょっと自己主張が強すぎるんじゃないかな」

起き立てのゆるみきった顔で最大限威圧的な表情を作ると、むっと鏡を睨みつける。
鏡に映るあたしの瞳の色はいつもと代わり映えのない赤褐色だった。
安堵に息を吐く。
夢に理由を求めてはいけない。たぶん先ほど見た映像も深い意味などないのだろう。
夢なんて不要となった記憶の寄せ集めだと前にどこかで聞いたことがある。
今回のたぶんそういう類のものだ。こういうのは早く忘れてしまうに限る。
先ほど見た夢――記憶の断片らしき映像にぶつくさと文句を言いながらも
セキアは朝食を食べるため手早く髪をとかし、いつもの服に着替えて廊下へと飛び出した。

「きょーうの、朝食はー」

即興のオリジナルソングを口ずさみつつ、幅の広い階段を下りる。
この第七候補官に当てられた寮は2階が男性、3階が女性と言う風な割り当てとなっている。
各階に一つずつ浴場と洗濯場が設けられ、
食堂や購買なんかが男女共用となっており、それらの施設は基本1階にある。
つまるところ今セキアは1階にある食堂目指して前進中というわけだ。

【お待たせいたしました。それでは新章開幕となります!】>ALL

【information:寮についての情報がサブ記事にて公開されました!】

30日前 No.458

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_a2e

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/エルトの部屋】

「…なんだか騒がしいな?」
自身に与えられた一室で、身体を軽くほぐすように動かしていた所で、突如上の方からドタバタと騒がしい気配がしたのを感じ取り、そちらに目を向けながらそう呟く。
…幸いにも、騒ぎの方はすぐに収まったようで…一度収まってからは再発するような事も無く、何処かすがすがしい朝の一時が舞い戻ってくる。
(…まぁこっちに実害はないからいいが…もう少し隣室に配慮した方が良いのではなかろうか?)
騒ぎの元であるセキアにしてみれば、これは不可抗力と言いたい所だろうが…理由など知る由もなく、ただ騒ぎを起こした人物に対して何処か呆れるように軽くため息をついた。

(まぁ…少なくとも誰かしらは起きてきたようだし、こちらもひとまずは移動してみるとするか)
つい先日まで病室送りとなっていたためか、十分に睡眠をとれたようで…少々早めに目が覚めてしまったものの、下手に出歩いて就寝中の隊員らを起こしてしまうのも悪いと思い、出歩くのを控えていたのだが…
先の騒動は別としても、それなりにいい時間になっており、起床するにもちょうどいいと判断し、下の階へと移動しようと扉を開け放てば…

『きょーうの、朝食はー…』
…階段の方からなんだか間の抜けた様な歌が聞こえ…そこから連想的に声の主と先の騒動がつながり、納得出来てしまったようで軽く脱力しかけてしまう。
(ああ…セキアか…なら仕方ない…と言う訳ではないんだが…)
軽く眩暈のような物を覚えつつも、そのまま廊下で立ち往生してるのも邪魔になるかと思い直し、自身も一呼吸おいてから下の階への階段を降り、食堂の方へと足を進める事にした。

>ALL

19日前 No.459

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★WumUm9x1xy_DMW

【セキア&エフィニア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

この場所には一つ、昔話がある。
自動調理補助人形こと私エフィニアは10年ほど前にここへ来た。
時代の波とは大きなもので、戦場に立つことを目的として作られた私は、
その荒波に揉まれ、ひっそりと終わりを迎えようとしていたところを拾われた。
かつて戦場で鉄の機械兵器を切り倒していた自分が今や調理場に立ち、
もっぱら食材ばかりを相手に腕をふるっているなど誰が予想できたであろうか。

「〜♪…〜♪」

第七候補官寮を任されてから、幾度となくこの朝を迎えてきた。
だが、今朝はちょっと特別だ。
今回私が受け持つのは、恩人である彼女が教官を担当する隊の隊員なのだから。
朝の仕込にもいつも以上に気合がはいってしまうというものだ。
どんな候補官の方々がいらっしゃるのかと首を長くして待つこと幾星霜。
落ち着いた足音と、その後を追いかけるようにパタパタと小走りに階段を駆け下りる足音が聞こえてくる。
食堂に先に顔を出したのは、落ち着いた足音の主、
薄緑色の瞳とプラチナブロンドに近い白髪が特徴の少年だった。

「おはようございまス。よく眠れましたカ?」

予め考えておいたセリフと共ににっこりと微笑む。
次に彼が思い浮かべることは分かっていたため、
彼が疑問を口にするよりも早くエフィニアは深々と腰を折る。

「お初にお目にかかりまス。
この食堂を任されておりまス。エフィニアと申しまス。
ご用命の際ハ、なんなりとお申し付けくださイ」

若干のノイズに語尾が震えたが、
何とかそう言い切ると、手で示しながら彼を席まで誘導していく。

「初めての任務かラ 大活躍だったと聞いておりますヨ。
とりあえズ、ココアを温めておきましたのデ、お飲み下さイ」

机の上に置かれた朝刊の一面――「第七候補隊、遺跡内部の闇を暴く!」の見出しをエフィニアは指差しながら
何故か自分のことのように嬉しそうに微笑んだ後、
エルトの前にココアの入ったマグカップを置き、朝食を運ぶために厨房の中へと消えていく。
先客だろうか、エルトの向かいには同じ新聞を広げる者がいた。
どうやらエルトの着席には気付いていないらしく、紙面とにらめっこしたまま、ぶつぶと小声で唸っている、

「またフェリクス……エイルスの検問が優秀だったから良かったものの…これは…
今週に入ってもう5回目…さすがにちょっと多すぎ…え? カハッァ――!?」

ちょうど新聞を降ろしてからココアに口をつけたのが運の尽き。
エルトの姿を視界に認めたシスメは盛大にむせ返った。

「えふっ、えほげほっ…! エ、エルトさん…い、い゛つからそこ゛に」

気管にダメージを負ったせいでシスメがなかなか思うように話せずにいると、
一足遅れて到着したセキアの能天気な声が二人の頭上から降りかかる。

「あ、エルトにシスメおねーさん、もーにん!
って、あれ? ふたりともどうかした?
うわ、しかもシスメおねーさんすごい顔の色だけど大丈夫? なにかあった?」

どんな受け取り方をしたのか、シスメは椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がると
まるで同じ動作を繰り返すそういう機械であるかのように、両手を自分の目の前でブンブンと振り始めた。

「なにもしてません!! 誓ってっ、何もっ、してませんっ!」

「えっ、な、なにがですかな!?」

彼女の混乱が伝染したのか、
シスメの文脈を無視した突然の釈明の言葉にセキアも若干変な口調になりながら返答する。
そんな二人の間に割ってはいるようにして人数分のベーコンエッグの乗ったトレイが置かれる。
そこには顔に暗い影を落としながらも細い目で微笑むエフィニアが立っていた。

「にぎやかなのは結構ですガ、
まだ寝ている人もいますのデ、食堂でハ、もう少シ、お静かニ、願いますネ」

ジュウジュウとまだ余熱の残るフライパンを片手に
低い声でそう諭すエフィニアを見て、二人揃って「すみません…」と小さくなる。
とりあえず残る疑問は後にして二人は静かに椅子へと腰を落ち着けた。

「えっと…朝から騒がしくしてごめん。二人はその、怪我とかもう大丈夫なの?」

先の話題をこれ以上広げても良い方向には転ばないと
野生的な第六感で理解したセキアは無理やり話題の方向修正にとりかかった。

>エルト、ALL

【Information:サブ記事とメモ欄にてエフィニアの情報が追加されました!】

18日前 No.460

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_a2e

【ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

(…ふむ…食堂はあっちの方か)
1階に降りるなり、良い意味で香ばしい匂いが漂ってきたのを感じとり、そちらを見やれば…少しはなれば場所に一回り大き目な扉が有り、ある種の活気のような物を感じ取れた。
そのまま扉に手をかけ、中に足を踏み入れれば、予想道理にそこは食堂であったようで…食卓であろう机の一席には既に先客がおり、熱心に新聞を広げているようだ。

「今日から世話になるエルトだ…これからよろしく頼む」
厨房から何処かイントネーションがズレ気味なこえで挨拶され、そちらを振り向けば…絶妙なタイミングで続けざまに名乗られたので、こちらも挨拶を返す。
(…何だ?…気配に違和感が…不調は引きずってはいない…はず…なんだが…?)
口調の方は訛りの一言で片付くが…ふと意識を向けてみれば、エフィニアと名乗ったその女性からは生物特有のそれがイマイチ感じ取れず…どうにも違和感がぬぐえなかった。

「あ…ああ、すまない…ありがたくいただくよ」
などと考察していた所で、いつの間にか空席の一つを指し示されており、少々遅れながらも着席し、程よく温められたココアを受け取り、のんびりと味わう。
(…ふむ…いい腕だな…個人的にはもう少し甘目であればなお良かったが…いや、それだと一般的には甘すぎるか)
ほんのりと広がる独特の苦味と、それとは対照的にじんわりと広がるような程よい甘みと温かさを堪能しつつもそんな事を考えていた所で…向いの先客が新聞を下しつつも、机上に置かれたココアに一口すすったところで…
「っ!?」
突如爆発…ではなく、盛大にむせ返った様子で…思わず取り落としそうになったコップを机に置きつつもそう尋ねる。
(なんだか穏やかな話題ではないと思えば…シスメだったか…)
何やら厄介事と思わしき口調で呟いていたが…出てきた単語から推測して領域侵犯の類であろうか?

「こっちは今きたばかりだが…それよりも大丈夫か?」
そんな事を考えつつもシスメが落ち着くのを待っていた所で…何とか回復したらしいシスメの問いにそう返しつつ、返答を待っていた所で…セキアがやってきた。

「ああ、おはよう…別に何かしていたと言う訳じゃ…っ!?」
と、セキアに挨拶を返した所で…ふと、セキア達の後方からなんとも形容しがたい気配を滲ませつつ割って入る気配に気が付き、言葉を詰まらせる。
(…これは…戦闘型の機械人形!?なんでこんなことろに!?)
先程までまるで感じなかったその気配に戦慄し、同時に即座に臨戦態勢に入ろうとしたその刹那…その気配の主が発した言葉は…なんというか、思った以上に平和なセリフであった。
「え?…あ、いや…その…悪かった…」
…敵襲かと身構えたのだが…そこにいたのは先程挨拶したばかりのエフィニアで…ただ単に、騒動が過ぎる事に釘をさしたかっただけのようであり、一瞬にして毒気を抜かれる。
ついでになぜか悪くないはずなのに謝罪までしてしまうのだが…一気に変化した状況について行き切らなかったため仕方のない事だろう。

「…あー…ま…まぁそうだな…怪我の方は大したことはなかったようだ」
そうして一呼吸置き、落ち着いたところでセキアに体調の方を尋ねられたのでそう返す。
…実際の所精神的、および魔力的な消耗が主であったため、言うほど重症ではなかったのだ。
(まぁ…それでも抜け出そうとしたらえらい目にあったんだが…)
…実は先の事件の結果を確認する事無く病室送りにされてしまったため、こっそりと経過を聞きに行こうとしたのだが…途中で関係者に見つかり、連れ戻されると言う些細な事件が有ったりしたのだ。
…その時の関係者はおこ、どころか激おこ状態でその日はほとんど非難の視線にさらされる事となり…正直、下手な罰則よりも大分堪えたのはここだけの話である。
「ま…まぁ先日みたいな事件がそう何度も起きるとは思わないがもう一度やれと言われても問題はないさ」
…妙な事を思い出してしまい、若干ながら背筋が寒くなったが…それを振り払うように何とかそう返し、再び湯気を立てるココアを堪能する事にしたようだ。

>エフィニア シスメ セキア ALL

16日前 No.461

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

[白月レイ:ルナ区画:第七候補隊用寮アレスタ:屋上庭園>食堂]

「…ん、あれ…ああ私としたことが……またここで寝てしまいました。」

庭園の花畑で目を覚ましたレイは、フラッと立ち上がり、屋上からみえる朝日をボーッと見る。
遺跡であったあの青い目の少女、彼女の目的と、グレブスリー処断官の目的がもしも一緒であるならば、私は今グレブスリー処断官に捕まるわけには行かない。でも、今はまだ彼らの目的がはっきりとわからない以上下手に行動するのは、危険……かな

レイニアさんがグレブスリー処断官との謁見を取り付けてくれるとのことだったが、実際のところ、どうなるのかは今のレイには分からなかった。


考えていても仕方がないので、とりあえず朝食を取ろうと、手を洗い、庭園を後にする。

「みなさん、おはようございま……す?」

階段から降りて来て食堂へとやってきたレイはその場にいた人に挨拶をしようとするが、なぜかシスメさんが、新聞片手にむせ返っており、周りは騒然となっていた。

それにあの機械人形はいったい

「……あの、大丈夫ですか?」

恐る恐る尋ねるが、どう考えても大丈夫ではない。そしてセキアさんのほうへいき

「セキアさん、おはようございます。その先日は、ありがとうございました。……それで折り入ってご相談があるので、また時間のある時に、お話ししていただけますか?」

と、セキアさんにぺこりと頭を下げ、遺跡で助けてもらったことにお礼を言い、周りには聞こえないような小さな声で約束取り付けようとする。

>>エフィニア シスメ セキア エルト

11日前 No.462

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★DUZ7mWgN6A_DMW

【セキア&シスメ&レイニア/ルナ区画/第七候補隊用寮アレスタ/食堂】

セキアが二人の身体の安否について訪ねると、すぐに二者二様の答えが帰ってきた。

『…あー…ま…まぁそうだな…怪我の方は大したことはなかったようだ』

「あ、はい、私も…っ すぐに治癒魔術で傷を治してもらったので平気です…けほっ」

苦味の抜けきらない表情のエルト。
彼の医務室からの逃走劇の一部始終を知らないセキアは、
エルトの反応にぽかんと疑問符を浮かべるも、二人の無事に気持ちが流れる。

「そっか、良かった。いや、なんか言ってもしょうがないんだけど
あたしがもう少し早くみんなに合流できてたら
もっと違う結果になってたかもしれないのかなー…なんて」

ほっと安堵の息をついたものの
少しは呵責を感じているのだろうか、セキアは小さく苦笑いを浮かべる。
いくつもの偶然が重なったとはいえ、あの遺跡で隊が分断される原因を作ったのは
他ならぬ自分なのだから…などと珍しくその足りない頭で考えたらしい。
落ち着きなくキャスケット帽のふちに手をやりながらちらちら二人の顔を見比べる。

「なんていうかハプニング? 事件? の遭遇率高いよね、あたし達。
まだ候補官なのに任務の内容が
すごくハードというか…まるで、何かが引き寄せてるみたいに…」

エルトの発言にセキアもまた背筋が寒くなるのを感じていた。
二度あることは三度あるというが、こうも嫌な予感ばかり当たってしまうと
次の任務も恐らく、なんてのっけから邪推してかかってしまう。
特にことレダール鉱石関連というか、獣化騒動に度々縁があるなんてちょっと笑えない。
そういった危険も承知で飛び込んだものの、生身の人間であるセキアからしたら
そうそう何度も命を天秤にかける場面には遭遇したくないものだ。
亜人と純粋なとっくみあいをしたら、負けるのは人間であるセキアの方なのだから。
と、ここで見知った顔から声がかかった。

「っ…大丈夫です…っ…もう落ち着きまじたがら」

今だダメージの残る気管をかばいながらも何とかレイに返すシスメ。
何をそんなに隠したいのだろうかと、さすがのセキアも苦笑いを隠せなかった。

「あ、レイもモーニン! レイも今から? だったら一緒に食べ―――」

先ほどの似合わないネガティブを払拭せんとばかりに
席から腰を浮かし、オーバーなリアクションで手を振りかけたセキアだったが、
こちらに近寄る傍ら小さく口にしたレイの声に動きを止めた。

『折り入ってご相談があるので、また時間のある時に、お話ししていただけますか?』

「(あたしでよければいつでも。じゃあ、この任務の後、レイの庭園でどう?)」

感情がすぐ顔に出る性格であることは認めたくないが、
第三者曰くそうらしいので、ばれないよう手短に言葉を返しておく。
同じ卓についているエルトとシスメの気をそらすためにも、話題の転換を図る。

「ところで、シスメおねーさんさっき何見てたの?」

「さっき? え、あ、これです」

てんぱってはいたが、何とか新聞だけは死守したらしい。
ココアとベーコンエッグの皿をよけながら朝刊を皆に見えるよう机の上に広げる。
そこにはでかでかと『またもフェリクス 内部の犯行か?』の見出しが躍っていた。

「フェリクス?」

「……香水の名を騙った劇薬です。中から大量のレダール反応が検知されたとか…
アスールと古くからやり取りのある信頼筋の空輸便の荷物の中にいつの間にか紛れていたそうです。
幸い、市場に出回る前にエイルスの検問で止まったから良かったものの、
こんなものが誰かの手に渡っていたかと思うと…」

知らず、シスメは下唇を強く噛みしめていた。
何よりも許せないのは、これが無差別的に行われていることだ。
老若男女、種族関係なく自我を狂わせ、人を獣へ堕とす。
レダールによる強制的な獣化は、自分はもちろん周囲に消えない傷を残す。
自分にその気がなくても加害者を作り出してしまう。
そんなものがここアスールで流入していることに強い憤りを覚えた。
そのまま深い思案の底に沈もうとしていたシスメはしかし、唐突に思考を中断させられる。

「フェリクス(幸運)を冠するなんてすごい皮肉ですよねぇ」

いきなり肩に置かれた手にぎょっと後ろを振り返るシスメ。
先に声をあげたのはセキアだった。

「レイニー教官!?」

「あはは。おはようございます皆さん。
なかなかタイムリーな話題だったので、ちょっと口を挟ませてもらいました。
ちょうど良い機会なので、朝食ついでにここでミーティングをしましょうか」

悪戯っぽい表情で、マリンブルーの瞳を片方伏せたレイニアがそこにいた。
杖先でコンコンとリズムを取りつつ、
唖然としているであろう第七候補隊の面々の反応をしばし楽しむ。

「次の新しい任務について」

そして、そのまま流れるように前置きなく話の主導権を奪った。

>エルト、レイ、ALL

2日前 No.463

ますたぁ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月 レイ:ルナ区画/第七候補隊寮アレスタ/食堂】

シスメさんはなんとか大丈夫そうに返事を返してくれて、ほっと胸をなでおろす。あの機械人形さんのことは気になるけど今は、それは気にしていられない。

そして私のお願いを素直に聞き入れ了承し、この任務の後に庭園でと約束してくれたセキアさんに、私はそれに静かに頷く。

そして周りの注意をそらせるためにセキアさんは、シスメさんが読んでいる新聞について尋ねた。

「レダール……そういえば、あの遺跡にいた人たちが何やらそれを使って……古代神フォルラーンを復活させるのが目的だって言ってました。この事件と何か関係があるのでしょうか。」

とシスメさんの新聞を見ながら、遺跡でのことを思い出した。種族を一切問わず人を獣へと変貌させることができる劇薬。魔導具と人とが合わさった魔武器である私はどうなるんだろう。

と、不安を覚えていると、そこへ知っている顔がやってきたので、考えるのをやめ、その2人を見上げる。


「えっと、ちょうどいいということは、今回の任務はこの事件に関係することということでしょうか。」

私はこの任務に同行してもいいのだろうか。ただでさえこの前の一件に関与しているのではという疑いを持たれてしまっている状態で今回の任務はアウェイな状況と言えるような気がしている。

>>寮食堂All

2日前 No.464
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