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月下のアスール【T】-『The God Delusion』

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(4830) - ●メイン記事(422) / サブ記事 (107) - いいね!(11)

語り部 @yuzuriha16 ★6kAHKhaN27_EP8

にぎわう夜の酒場で、あるいは街灯に照らされた石畳の上で、

はたまた夜風にさらされた荒野で、それとも木の爆ぜる音が響く焚き火の周りで、

まことしやかに囁かれるある一つの国家が存在した。

かの国家の名はアスール。

魔導具と呼ばれる未知の技術を用い、急速に発展する新興国家。

世界から疎まれた狭間の者達が築きあげたその国は、5人の建国者により均衡が保たれていた。



アミル・カーランドが統轄する娯楽区画ウォーティア

ディノアギスバルガエンズルドが統轄する流通区画エイルス

ヒルカ・ルドナルが統轄する工業区画アーティー

出雲 鶴羽が統轄する自然区画ガイアル

そして、アスール国家隊の総本山である中心区画ルナ。

水と遊戯を求める者はウォーティアに

空と発見を求める者はエイルスに

魔導具と情報を求める者はアーティーに

大地と交流を求める者はガイアルに



今日も様々な目的を持つ者達がこの国を訪れる。

純粋に他種族との調和を志す者、己が国を富ませんと仮面を被る密偵、

帰路に迷い流れ着いた者、はたまた想像もしえない願いを抱いた愚者。

そんな各々思惑でさえ、まるで取るに足らぬものと言いたげに、

かの国家は飲み込み、最初からそこに存在していたかのように彼らは国へ同化していく。

その渦中にあなたが飛び込んだ―――それがこの物語の幕開け。



【サブ記事にてルール説明、キャラ募集を行います。本編開始の合図はサブ記事にて行い、
本編は本スレ運営主の最初の書き込みを持ってスタートとさせていただきますので、ご了承願います】

1年前 No.0
メモ2017/11/02 07:45 : 語り部(スレ主) @yuzuriha16★Ez3l2WuYvu_jG9

〜簡易キャラ表(★はスレ主操作キャラ)〜


キャラ多すぎて分からねぇでございますよ、という方はこちらをご覧下さい。

なお、僭越ながらスレ主が参加者様の各キャラ紹介文を書かせていただきましたが、

自キャラの紹介文に納得がいかなければ、スレ主の承諾なしで変更追加していただいて

全然構いませんので、ご一考くださいませ。

なお、各キャラの詳しいプロフについてはサブ記事にてご確認願います。


【男性のみなさん】


○ジョージ・イワモト http://mb2.jp/_subnro/15277.html-15#a

29歳。黒髪、黒瞳。身長180cm体重78kg

義理人情に厚いが冷静沈着。そんな熱さと冷たさを兼ね備えた改造人間の青年。

4年前からアスールにて生活しており、ガイアル区画で森林保護活動などをしていた。

何らかの原因で過去のメモリーのほとんどを失っている。


○エルトライゼ http://mb2.jp/_subnro/15277.html-47#a

通称エルト。18歳(※外見&精神年齢。実働年数は約5年)

プラチナブロンドに近い白髪、薄緑の瞳。

穏やかだが、どこか達観した視点をもつクォーターエルフの青年。

魔法の最盛期につくられらたホムンクルスであり、それに類する知識を豊富に持つ。

『マスター』より与えられた新たな使命を果たすべく活動しているが、

使命の真意を計れず放浪の旅を経てアスールへとたどり着く。隠れ甘党。


★クラウズ・フォルマーカー http://mb2.jp/_subnro/15277.html-95#a 

25歳。銀髪、サファイアブルーの瞳。身長182cm体重56s

宗教国家レヴァーン フォルラーン教会所属の異端審問官である人間の青年。

素敵な神父さんを自称するが、昼間から酒をあおったり、

銃をぶっ放したり、自らが信仰する神の教えに

大幅なアレンジを加えて話したりするため、およそ神父らしくない。

…続きを読む(94行)

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隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡】

 「血液が途切れたというのなら、ここが血液を流した出発点と考えたほうがよさそうだ。俺の目には見えてるよ。ルミノール反応が奥へと続いてる。俺達の前に誰か入ったな。もっともこれじゃあ、何が起きたかを知るには至らずか……うーん……エルトの言う通り、これが応急処置の後ならいい。ただ、この先に続いてるということは……言い出しっぺながら気乗りしないが、前者の方がアタリかもな……」

 セキアにそう言いながらイワモトはルミノールライトを眼球から放ち、その後で再びセンサーで周囲を探る。構造をスキャニングし、トラップが周りにないか確認する。それにしても不自然に隙間の多い建物だ。その時、遠くから轟音の如く叫びが聞こえた。シスメがびっくりする中、イワモトは手首を展開してカートリッジを差し込み、戦闘アームV2をセットアップする。三連装22口径の銃身を下げながら前方と、そしてじっとしてくれないかもしれないセキアの動きに注意しながら、レイニアの指示通り陣形を整える。
 奥から出てきたのは、血だらけの少女だった。それだけではない。彼女の足元に転がる肉塊と、そして彼女自身についた弾痕。

 ...Target Scanning
 ...Type ALUCARD

 レイニアの言う通り、彼女はアルカード種族。始祖のヴァンパイア・ドラクルをアダム、花嫁のミナ・ドラキュリナをイヴとし、その血を受け継ぐ宵闇の住人。なるほど薄暗い遺跡には紫外線や赤外線といった太陽の力から逃れやすい。それにアルカディアン達は基本的に吸血衝動を抑えて生きている。彼女たちにとって吸血は究極の食事ということだけではない。その魂を吸い尽くす為に吸血対象者の血液を依代に、己の牙の魔術を使う。自ら悪魔、デビルサマナーの二つを演じることで、対象の純潔な血液を奪い、己の血族へと進化させる。その為、彼女達は生活のスタイルを他の種族に合わせ、個体数の管理をして生きながらえているのだ。それが時に人間とのいざこざにもつながる。
 イワモトのメモリーにもそうインプットされているのだが。
 怯えた状態でドアルカードの少女は、自分の身に何が起きているかわからない状態だった。
 イワモトは彼女のスキャンを続ける。ヴィジョンには確かに彼女のバイタルが急上昇しているのが確認できた。それも、まるで安全装置を外したように、計測はでたらめな結果を出す。

 「(まさか……!)」

 こんな数値、前にも見たことがある。そしてセキアが近づいた途端、ノイの叫びが全てを察した。
 デウスのガントレットが投げられ、エルトの魔力弾が放たれ、そしてイワモトはセキアの前に立ちふさがり、吸血鬼が宵闇に君臨した所以のひとつ……その怪力から放たれた一撃を機関砲と化した右腕を盾にして受け止めんとする。

 だが、事態はもうひとつ起きていた。
 レイが忽然と消えたことに、イワモトは気が付いていない。

>>セキア、レイ、エルト、デウス、ALL

6ヶ月前 No.373

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★K0RFIFu846_giC

【セキア&レイニア&ノイ&シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡】

爪が振るわれる刹那、セキアの目には
少女の体から硫黄に似た黄色いオーラが陽炎のように立ち上るのが見えていた。

「え、これ、この反応って、ひょっとしてレダール鉱石?」

イワモトも異変に気付いたらしく、表情の中にそれが見て取れる。
しかし、それを確認しあう暇もないほど、事態は切迫していた。

『セキア!離れろ!!』

やおら食い気味に、カキンと硬いものどうしが衝突する硬質な音がデウスの叫びを僅かに遮る。
彼女が何をしたのか確認する間もなく矢継ぎ早に火花が目の前に散る。
そして、突如目の前に現れたこの見覚えのある背中はイワモトだろうか。
僅かに向きを逸らされた鋭い爪が、今は機関砲と化している
イワモトの腕の表面をぎゃりぎゃりと撫でるのが見えた。
続いて、その攻防の合間を縫うように飛来した魔力の弾丸がアルカードの正面をとらえ、
堪らず少女は、セキアを狙って振るった腕を盾にしながらそれを受け止め、大きく後退する。
まさに秒間の出来事、だが、ようやく脳からの命令が体に伝わったセキアは
回避行動をとろうとしてよろめく。なんとか転倒だけは避けねばと
足を軽くつっぱって耐えるのだが、このとき、素直に尻餅をついていればよかったと
後悔するハメになろうとは、セキアは露ほども思っていなかった。
情けない悲鳴と共に大きく上半身をそらしたセキアには
後方に注意を払う暇など当然あるはずもなく――

「うひゃあ!?」

カチッ

「……………ん?」

この緊迫した雰囲気には似つかわしくない、
あまりにも間の抜けた作動音がセキアの足元から聞こえた。
だらだらと嫌な汗が体中から噴出する。恐る恐る足元を窺うと、
そこには案の定、セキアが今しがた踏みしめた床が正方形に沈み込んでいるのが見えた。
うわぁ、ベタだー!と叫びたい気持ちを堪えて、体を硬直させたまま、
ギギギという音が聞こえてきそうな固まった動作で顔だけ動かして皆のほうを向く。

「あの、ごめん……みんな、あたしなんか踏んじゃ―――」

と言いかけたそのとき、ゴゴゴゴと大地が鳴動し始めた。
そして、瞬間、足元に虚空が広がる。
今の状況を端的に説明するなら、観音開きだった。床が。

「あはは。私この遺跡から出たら結婚するんですよ〜、しませんけど」

「露骨に死亡高確率な旗を立てないでください!
不快で――うわぁああああおばかぁああああー!!」

「落下、降下、フォールアウツ、いえー。衝突、炸裂、ふぇすてぃぼー」

「ネガティブな歌禁止! こうなる原因つくったあたしがいうのも
なんだけど、まだ諦めるにははや――のおおおおおお!?」

かくして第七候補隊は遺跡の奈落へと飲み込まれていったのだった。


【レイニア&ノイ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

「食べ放題!」

落下の途中で気を失ってから数刻、意味不明な言葉と共にノイはむくりと起き上がる。
不思議なことにおせんべいの形態模倣をするはめにはならずに済んだ。
手に不思議な感触を感じて下を見ると、肉厚なマットが敷かれていた。
なるほど、これのおかげかと納得して、
ぺたぺたと体を触ってどこにも異常がないことを確認すると、ひょいとマットから飛び降りる。
なんでこんなところにマットが…?と考えていると、その疑問には闇が答えてくれた。

「あはは。もしものことを考えてー、安全対策にマットを敷いておいたんですよ〜。
やー、余計な費用かと思いましたが、用心しておくに越したことはありませんねぇ。
それにしても妙ですねぇ、どうして機能停止しているはずの罠が作動したんでしょうか…」

闇の中から浮かび上がるようにレイニアが現れる。
たまらず、ノイは駆け寄ってその手を掴んだ。良かった、幻じゃない。

「おやおや、照れますねー、そんなに手を強く握られると。
他の人の目もあるかもしれませんのに」

レイニアの一言が引き金となったのか、
おもしろいほどに慌てふためいた様子でノイがこちらの手を放す。
これは、あれだ。多感なお年頃なのだ。
今のは母親と仲良くしているところを同級生に見られて気まずい、的なアレだ。
その様子にレイニアは静かに微笑むと、闇に向かって呼びかけ始めた。

「みなさ〜ん、生きてますか〜?」

ゴゴゴゴ…と先ほどよりは控えめだが、
トラップの第二派的な音が聞こえているが気にしてはいけない。
今は何よりも仲間の無事の確認が最優先だ。

>ALL


【シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

「ぐうぅ…新形式の住居手配申請書類
記入見本の雛形はもう少し待って下さい…明日中には仕上げますから…ハッ!?」

ちょうどいい反発性でもう少しで夢の世界に旅立ってしまうところだった。
ん…? 反発性? と疑問に思って自分が落ちたところを触ってみると、
ふかふかとした感触が返ってきた。
脳裏にへらへらとした笑いを浮かべるエセ淑女の顔がよぎる。
なるほど、ほぼ間違いなくあの人が準備したものだ、これは。
用意周到すぎるというか何というか、軽く戦慄を覚えたところでふと気付く。

「レ、レイニアさーん…? あれ、候補官の皆さんは…いずこに…
ていうか、ど、どこですかここ!? ひょっとして私一人ですか!? 一人なんですね!?」

シスメの声に答える者はいない。
いや、あるいはまだ気絶ないし放心状態から回復していないだけであって、
まだ候補官の誰かがいるかもしれない。
そんな一縷の望みを抱いて、シスメは壁に手を伝いながら移動を開始する。
ひんやりとした壁がシスメの手から温度を僅かに奪う。
一時にパニックによって混乱した思考は、そうして現実へと引き戻された。

「………いっ……?」

右足首に違和感を感じてしゃがみこむ。
捻挫というほどではない。ちょっとひねった程度だ。
マットへ着地するときに足から着地したのか、触った箇所はすこし熱を持っていた。
幸い、歩く分には支障はない。ただ走るのは少し我慢したほうがよさそうだ。
淡々と怪我の分析を済ませたシスメは虚空に向かってか細い声で呼びかけた。

「だ、誰かいませんかー? い、いるなら、お化け以外でお願いしまーす…」

壁に置いた手をつたって、トラップの第二派的な微細な振動が伝わってくるが
気にしてはいけない。何においてもまずは、この心細い状態から開放されたい。
シスメは虚空へ向かって呼びかけ続けるのだった。

>ALL


【クラウズ&スタルチア/ガイアル区画/ソエリス遺跡/反魂の間】

第七候補隊の面々と離れ離れになってしまったレイに近づく二つの影があった。
一人はこの薄暗い遺跡に似つかわしくないサングラスに、
カソックにコートという出で立ちの男。
クセの強い銀髪がこの薄暗い遺跡内でもよく目立っていた。
もう一人は暗色の修道服に身を包み、ライラック色の長髪をもつ女。
それだけならまだ髪色が珍しいだけの普通の修道女で通っただろうが、
その背に担いだ巨大な大鋏が彼女の雰囲気を異様なものに変えていた。
男が無害を主張するように両手を上げてレイに近づく。

「おー、まだ人が残ってたんだな。サンキュー、唯一神フォルなんちゃら!
毎日お祈りをかかさない俺を天は見放さなかったってわけだ」

「フォルラーンでございます、主様」

「そうそう、そのフォルなんちゃらな!」

ようやく人に出会えた喜びからか、男は年齢相応の顔つきにしては
無邪気にはしゃいだ様子で隣の修道女に嬉々として語りかける。
こけた頬から何日もここを彷徨っていたことを察することができる疲れた微笑だった。
漫才のようなやりとりを続ける二人だったが、
やがてレイの顔が見える位置にまで近づくと修道女が男に注意を促した。

「主様、わたくし程度の者と会話していただけるのは光栄の極みにございますが、
あちらのマドモワゼルがぽかーんとしていらっしゃいます」

出会っていきなり一息に捲くし立てられれば誰だってそうなるだろう。
文字通りぽかんとしているであろうレイに
男はバツが悪そうに頭をバリバリと掻くと、朗々と話しはじめる。

「お、おお、わりぃわりぃ。
あんた、立ち入り禁止のここにいるってことは国家隊員だろ? たぶん。
ちょっと道に迷っちまってよ。出口まで案内してくれねーか。
俺はとある教会で神父をしてるクラウズ。クラウズ・フォルマーカー!
呼ぶときは神父様でいいぜ」

「スタルチアでございます。呼ぶときはスターチ、と」

相手の反応などおかまいなしに自己紹介をしはじめるクラウズなる男とスタルチアなる女。
3秒以上 深々と頭を下げるスタルチアが頭を上げるのを待ってクラウズは続ける。

「花の譲ちゃんもここのトラップに引っかかったってクチか?
ところで…ここにくるまでになんか変なボタンとか押してねぇよな、譲ちゃん?」

どうやら花の譲ちゃんとはレイのことを指しているらしい。
そして、引きつった顔で後ろを指差す。そこからは何か
トラップの第二派が発動したと思わしき重低音がゴゴゴゴと迫ってきているようだった。

【Information:サブ記事&メモ欄にて
「クラウズ・フォルマーカー」「スタルチア」の項目が追加されました】>レイ

6ヶ月前 No.374

狐鈴 @korin29 ★fkYX4WEGOM_jCr

【デウス/ガイアル区画/ソエリス遺跡】

吸血鬼の少女の動きは一切目では終えなかったが、飛び散る火花の軌跡を捉え何とか間に合ったのだと安心したのもつかの間
セキアの転倒と同時に聞こえたいやな機械音で顔面が蒼白になる

まったく考えたくはないがこういうとき先ほどと同じように悪い予感は当たるもので
いやな音とともに足の裏から一瞬で感覚がなくなる
下を見れば広がるのは底の見えない暗闇先ほどまであった岩の床はどこへやらなんて悠長に考えるまもなく体はその暗闇へと引っ張られる

一番近くにいたシスメに手を伸ばすがその手は空を切り先ほど手を離してしまったことをその一瞬で後悔し、悲鳴を上げるまもなく闇の中へと落ちていった



【デウス/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

誰かの声がうっすらと聞こえた気がした
朦朧とする意識の中暗闇の無効から何か声がする
どうやらシスメに手を伸ばした勢いで体が回り頭から落下したらしい…が死んでいないということは…

感覚が徐々にはっきりしてくると自分が横たわっているところがとてもやわらかい何かだということがわかる
こんな遺跡の中に自然にこんなものがあるわけがない…恐らくレイニアか誰かの仕業だろう、まったく抜け目ないものだと
頭はボーっとしているが原因探しをしようにも一人しか出てこなかった

『だ、誰かいませんかー?』

再び聞こえる声
いくらマットの上とはいえ高高度から落下し頭を打てば視界も揺らぎ思うように体が動かない
先ほど起こした貧血と合わさりまだ立てるような状態ではない上に
先ほどセキアを助けるため無意識に自身の全力以上の力でガントレットを放り投げた影響か力もいつも以上に入らない

さらに運の悪い事に落下の衝撃のせいかガントレットもグリーヴも電源が落ちてしまったように機能が停止し機能を使うことも出来ず
ガタガタの状態ではあるが今は誰かと合流をせねばと這うようにして動きながらそちらの声のほうへと進む

「テム…セージ……。弐位…書記官…殿?」

暗闇から聞こえた声はシスメのような気がして弱々しい声で声のほうへと必死に呼びかける
今出せるの全力の声ではあるが普段話してるときの声量よりやや小さいくらいしか出せずとてももどかしく感じる

気づいてくれと必死に呼び続けるが果たして…

>シスメ ALL

6ヶ月前 No.375

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡】

 そう、さっきから何か変だと思っていた。
 上がりまくるバイタル、そして失っていく理性と、体から放たれる光。

 『え、これ、この反応って、ひょっとしてレダール鉱石?』

 セキアの言葉が全てを一本の線でつなげた。

 ...Scanning__
...Lederle reaction
<レダール反応検知>

 「まさかここにも、あの親子を苦しめた悪魔がいるというのか! くっ!」

 恐らくシルバーブレットでないからこそ、その弾丸は少女の体内に宿っているのだろう。イワモトのヴィジョンがそれを検知したと同時に、少女の一撃をV2が受け止める。しかし、ギャリギャリと爪で撫でられた機関砲の銃身には爪痕が深く残った。試験における巨大折り鶴の爆発にも耐えた特殊合金で出来た右腕だからこそ、それが傷ついた事実は驚愕に値する。

 ...Damage Level3

 ただし、射撃システムには影響無し。これならまだ大丈夫だ。
 そう思っているとアルカードの少女はエルトの攻撃で距離を取った。だが、自分の背後でセキアがまさかのスイッチを押してしまうなど、夢にも思っていなかった。仲間と共に落ちていく。イワモトは悲鳴などあげない。ただ、アルカードの少女を何とか救ってやらねばという気持ちで落ちていき……

−脳裏に過った『13』の気配が背中から現れたのを感じた瞬間、イワモトの意識はシャットダウンした−



【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】


PlayBack

 味気ない表示と共に意識は戻っていく。いや、意識とはちょっと違う。まるで映写機を脳に直結され、見せられているかのような感じ。自分の記憶なのに、自分のものではないと思えてしまう記憶。
 薄暗い、殺風景ながら、様々な本や機械が乱雑する空間。そこに整然と組み上げられた20を超える同胞。
 自分は13番目。それがプレゼンス<創造主>から与えられた証。しかし、愛されるのはここにいないコリガン<従者>だけ。それは誰なのかわからないけど、プレゼンスの口調からその愛は容易に理解できる。

PlayBack

 まるでチャンネルを変えたように映像は切り替わる。
 古戦場などとは呼べぬ、戦いの後。煙の中には肉と機械が焼ける音。全ての同胞とコリガンが横たわる。自分は生きてしまったらしい。
 雨に打たれながら、ずっと同じ言葉を壊れた蓄音機のように繰り返す。

 −そうか、君は帰りたいんだな−

 一人の男が見下ろしてきた。

 −俺は間に合うことが出来なかった。こうなった原因を探りたいが、君にも手伝ってもらうよ−

 男の顔が近づいてくる。自らを目的達成の為に守らなければならない。左腕は無くなった。残った壊れかけの右腕を上げるも男に掴まれてしまう。

 −人と獣と機械が溶け合った出来損ないのボーグめ。抵抗は、無意味だ−

 映像にノイズがかかり、闇に全て溶け込んだ。


 『みなさ〜ん、生きてますか〜?』

 その声が半分の自分を目覚めさせた。
 青いターレットレンズが光り、暗闇の中でむくり、と起き上がる。
 機械的な動作で立ち上がり、レイニアとノイの許へ近づく。

 「ユニット13、異常なし。任務続行可能」

 感情のない、機械的なエコーのかかった声でレイニアに言葉を返す。

>>レイニア、ノイ、ALL

6ヶ月前 No.376

ますたあ @ritonetto ★Android=yDqhBiviYT

【白月レイ:ガイアル区画:ソエリス遺跡】

みんなと離ればなれになって歩いていると、ぼんやりと人の姿が見えた。しかし、それは私が知っている人たちではなくて、それでいてとても異質な存在に思えた。
こんな薄暗いのにサングラス?それにあの大鋏は……
あれ?この人たち…

「はい、私はこの遺跡を調査しに来た国家隊員…なのですが、ごめんなさい。新米な上にここに来るのは初めてで、私も今道に迷ってしまったんです。」

迷った一般人を助けたいのは山々だが、今の私はこの人たちと対して状況は変わらない。不甲斐なさすぎの国家隊員だなあ、私。

「あ、私、白月レイといいます。……どうやらそのようです。前を歩いていたはずの仲間ともはぐれて……え?変なもの…あ、スイッチかどうかはわかりませんが、さっき気になる壁画を見つけて、触れたらそれがひか……っ………」

後ろを指差すクラウズさんをみて嫌な予感がして振り返る。何か余計なものを触ってしまったかもしれません。

>クラウズさん スターチさん

6ヶ月前 No.377

エルト @absoryut ★j9FaXqIw4R_VuR

【ガイアル区画/ソエリス遺跡内部】

(間に合ったか!!)
少女の腕が振るわれるその刹那、イワモトがその間に割り込みその凶刃を受け止める。
次いでデウスの投擲したガントレットがと自身が放った魔力弾がアルカードへと殺到したが…それらは先程振るった腕で防ぎつつも後退していった。

(…どうにか凌いだが…もはや戦闘は避けられないか…しかしレダール鉱石…何の…ん?)
一連の攻防が終わり、膠着が見えた所で一度落ち着いて思考を走らせ…ようとした所で何かのスイッチ音が聞こえた。
「…何の音だ?」
…嫌な予感が…と言うよりも確信に近い思いを抱きながらも幻聴であったという一縷の望みにかけてそんなことをつい呟く。
そんなささやかな抵抗は当然ながら何の意味もある訳が無く…直後に申し訳なさそうなセキアがこちらに視線を送り…何かしらのスイッチを踏んでしまったと言う。
(…まぁ…あの状況では仕方ないよな)
諦観に似た思いを抱きながらもゴゴゴという動作音が響き…足元の地面が開いていく。
「…今日は厄日だな」
投槍にそんな事を呟きながら自身もまた階下へと落下していく…高さ次第ではただでは済まないと言うのもあり、全神経を集中させて身体能力を強化して着地の瞬間に備える。

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

『ボフン!!』
「っとぉ!?」
そしてたどり着いた穴の底では、想定したような衝撃とは全く別方向での感触が返ってきた。
「…ベッド?…いや、マットか…これはいったい?」
遺跡の中にこんなものがあると言うのは本来ありえないのだが…あるはずの無い物に少々困惑しつつも、答えは出るわけも無く…情報が無いかと周囲を見回すと一瞬光の反射を見たような気がしてそちらをみれば…
(…手甲…いやガントレットか…さっきデウスが投げた物か)
手に取り、軽く触ってみれば…見た目の割には少々軽く感じた…それでも女性が扱うには若干重い様な気がしなくはないが…今はそんな事はどうでもいい。
(…放置しても仕方ない…運よく合流出来たら返すとしようか)
そう考えて一度亜空間に収納して今後の事を考える…目に見える範囲ではこの場に落ちたのは自分一人と言う事になるが…
(…早めに合流した方が良いな…メンバーによるがアルカードと単独で出くわしたらまずいことになる)
全員がそれなりの戦闘力は持つものの、先ほどの場面を見る限り互角の勝負ができるかと言うと少々厳しい…そう考えて一刻も早く合流すべく行動を開始しようとしたところで声が聞こえた。

「この声は…シスメとデウスか」
やや大きく聞こえるのはシスメで間違いないだろうが…もう片方のやや小さい声はおそらくはデウスの物であろう。
…単純に距離の違いであれば問題はないのだが…どうにも弱弱しく感じる。
(…杞憂であればいいんだが)
幸いにも聞こえる方向は同じであるために考える時間も惜しいと声がする方へと足を進めつつ呼びかける。
「こっちは無事だ!!聞こえているなら下手に動かずに返事をしてくれ!!」
現状では返事は聞こえないが…何度も呼び掛けていれば近づくにつれて反応があるだろう…そう考えて耳を澄ませつつも歩を進める。

>シスメ デウス ALL

6ヶ月前 No.378

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★67qC88ufW9_giC

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6ヶ月前 No.379

ますたあ @ritonetto ★Android=yDqhBiviYT

【白月レイ:ガイアル区画:ソエリス遺跡、反魂の間】

落ち込んでいるとそれを励ましてくれるクラウズさん…大丈夫この人は危なくなさそう。でもなんだろう、スターチさんから感じるこの違和感。

「さっき私が見た壁画はその……」
あれは、魔女さまが使っていたと言われる魔方陣、魔女さまだけが使うことができたという魔方陣。なぜこんなところにあったのか疑問だった。私たちを作った魔女さまとこの遺跡は何か関係が…。
言えない

そうこうしていると、後ろから大きくてメタリックな蜘蛛がゾロゾロと現れた。これは侵入者を撃退するためのものなのでしょうか!
クラウズさんに鉄火場はいけるか聞かれ
「一応、護身術程度ならできますが……くっいまの状況じゃ能力を使えないんです。パートナーとなる人がいれば、なんとかなるのですが…。」

まただ、あの試験のときと同じ、自分一人ではなんとも無力で、誰かに頼らなければ戦えない。情けない。

>クラウズ スターチ

6ヶ月前 No.380

エルト @absoryut ★j9FaXqIw4R_VuR

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

「ああ、こっちは特に問題ない!!すぐに向かう!!」
シスメの返事を確認し、少し足を捻ったものの無事であると言う事に安堵しつつ、しっかりと聞こえるようにそう返事を返す。
(…周囲に敵意らしきものは無いが…好都合…とは一概には言えないか)
そんな中でも警戒しつつ、早急に合流するために足を進める。
(こっちはまだ余力があるが…他のメンバーも無事であればいいんだが…)
強制的に仕切りなおす事態にはなったが…それでも1対1であれば『このフィールドにおいて』大抵の相手と互角以上に渡り合えるという確信があった。
…そんな状況に進んでなってほしいなどとは思わなかったが…分断され、安否が取れない味方が襲撃を受けているかもしれないと言う事を考えると気が気ではなく、いっその事こちらに襲い掛かってもらった方が心情的にどれほど楽になれた事だろう。

そんな事を考えているうちに声の聞こえた場所で合流すれば…どうやら先に合流していた様子のシスメとデウスと遭遇する。
「無事…と言う訳にはいかないか…介抱の方は任せてもいいか?」
しかし、シスメはともかくとしてデウスの方は好調とは言い難く…先に合流したシスメに介抱されているようであった。
おそらくは落下のショックを殺しきれなかったのであろうが…この状況で敵に襲われていたらひとたまりもなかっただろう。
敵に襲われる前に合流できたのは不幸中の幸いだった…最も動けるようになるまでは予断は許されない状況である事に変わりはないのだが。
「警戒の方はこっちが請け負う…どのみち下手には動けないしな」
そう言って目を閉じ、静かに集中し…広域にわたるように、少しずつ魔力を放出する。
(消耗が大きい使い方だが…背に腹は代えられん)
そうして放出した魔力を敏感に感じ取り、一種のセンサーとして活用する…既存の探知の魔術の方がよほど効率はいいのだが、こちらは此方で精度が格段に優れる上に別方向でのメリットがある。
(さて、現状では何もないようだが…)
ある程度の範囲を確保し、特に異常が無い事を確認してひとまずは安堵しつつも決して油断する事無く警戒を続ける。

>シスメ デウス ALL

6ヶ月前 No.381

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

 イワモトと呼ばれていたサイボーグはレイニア達の方へ近づくと、その瞳が即座にレイニアの分析を始める。映像から得られる個体の特徴、センサーを介しての遺伝構造の鑑定、魔力数値の検知……イワモトが普段使わないようなシステムもフルに活用してひとつの結果を得たイワモトは、音声データを集めるべく彼女の話を聞いていた。
 光る蝶が示すもの……かつての凄惨な戦いの様子。それを見つめながら、イワモトのメモリーサーキットは当該項目を探す。イワモトの生体記憶には記されていない。書物における記録を覗いては。
 続いてユニットの電子頭脳。そこにも公的な記録しかない。そして電子頭脳はブラックボックスを開示する。イワモトが知らないブラックボックスの記憶を調べて出た答えは……

 「当該事項の記憶を持つ生体結合ガイノイド・ナンバー13の生体細胞は改造時に殆どアポトーシスをしているため、当該事項の記憶は断片的なものである。僅かながら一致している記憶が保管されている」

 『Rebirth Black Project、もしくはデザインライカンという言葉に聞き覚えは?』

 「私は有機体結合試作兵器『リ・ボーグ・ユニット13』。このユニットの素体に使われているのは機能停止寸前のRBP-13。生体ユニットにデザインライカンが使用されている。なお、ナンバー13にインプットされた命令は『RBP-29及びその協力者の抹殺』。標的を再確認。抵抗は、無意味だ」

 イワモトが右腕の機関砲をレイニアの胸元に向ける。しかし、銃口はそこに留まらず、あちらこちらへと向いてしまう。

 「指令4を確認。抹殺は、実行不可。当該指令は、RBP-13のコマンドが実行もしくはメモリーが検索された時のみ発動し、システムは一定時間後に再起動される。ユニット13の設計思想は、RBPシリーズの再現と生産にあるが、ユニット13はメモリーサーキットの基となるマン・マシン・インターフェースへの指令回路に特殊な設定が施してある。この力が人類に災厄を齎さぬよう、そして、その災厄で全ての亜人が悲しまぬよう。名前に月を忍ばせた亜人を娘と認めたプログラマーが、ユニット13の人格が現れた際、目の前の亜人に説明するよう設定した」

 機関砲を下げて、カートリッジが引き抜かれると、右腕はいつもの義手に戻っていく。
 しかし、レイニアの質問は終わらない。

 『貴方の中に“彼女”はいますか?』

 「彼女……私の使命は……守ること……亡霊になることではない」

 イワモトの、いや、ユニット13の言葉は歯切れを悪くし、ターレットレンズは点滅を始める。

 「もう一人の……自分は……帰りたいという。だけど……俺の中には……もうひとつ……声が聞こえてくる……」

 声からエコーが消えて、人格は徐々に再起動してイワモトが戻ってくる。

 「守ることこそ……その手に輝く……栄光……ハンズ……オブ……グローリー……うっ!」

 レイニアの眼前で跪いて、ついに機能を止めるイワモト。しかし、再起動はすぐに行われ、機械の頭脳から伝えれられるあまりの不快感に頭を抱えてしまう。

 「ミス・ベルダー……俺に何が起きた……?」

 今までを忘れてしまったのか、あるいは意図的に記憶が消されたのか……イワモトは混乱の中に佇んでいた。

>>レイニア、ノイ

6ヶ月前 No.382

狐鈴 @korin29 ★fkYX4WEGOM_jCr

【デウス/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

『ミレニア候補官!? しっかりして下さい!』

ボーっとする頭に響いたのはシスメの声だった
まだ視界ははっきりしないがだいぶ体は動くようにはなってきた

「情けない限りで申し訳ないです」

弱々しい声でシスメの言葉に答えつつ自分の体の様子を一通り見る
大きな外傷は無し、頭から落ちたせいでの脳震盪による一時的な視界の悪化と強い頭痛と吐き気…
これくらいなら大丈夫そうだと大きく深呼吸する

マットを引いといてくれたレイニアにはあとで感謝しなければいけないなと思う
沈めのほかにあともう一人見えるが名前がわからない
先ほど集まったときに自己紹介でもしておけばよかったかと
そんなことを考えられるくらいには余裕も出てきた

「めまいはまだ少ししますね…手足の痺れはないですがまだ少し立てそうにないです。首っというよりも後頭部がちょっと痛いです」

シスメに質問されたことに一通り答えつつ
先ほど罠でここで落ちたということはまだ罠がある可能性があるなと、いつまでも寝ている場合ではないと思い
再びこの場にいる人を一通り見回す

シスメは今の状況に少しまいっているようで恐らく細かいことには気がつかないだろう
もう一方のほう、エルトを見れば周囲を警戒してくれているようだ、つまるところこちらをしっかりは見られていないと判断すると
残っている左手のガントレットを指で軽くつつく

すると目を良く凝らさないと見えないほどのうっすらとした光を発する目で見るには困難なほど極小な何かが無数左腕を伝って体の周囲に這って行きそのうちいくつかは耳から中へ入る

「ふぅ…心配をかけてすいません、もう大丈夫ですテムセージ弐位書記官殿。他の人たちを探しに行きましょうか」

大きく息を吐くと飛び起きするように状態を起こし笑みを浮かべる、顔色は先ほどよりかなり良くなっているようで妙なほど元気になっていた

シスメが先ほどいっていたように今の状態で先ほどの吸血鬼に襲われれば間違いなく人たまりもない
それははぐれてしまった仲間も同じくそうであり
レダールとは何のことかはわからないが正気でないのであればなおのこと問題だ
一刻も早く合流を考えたほうがいいだろうと考え動く

>シスメ・エルト・ALL

6ヶ月前 No.383

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★qq8xNPEo0q_giC

【クラウズ&スタルチア/ガイアル区画/ソエリス遺跡/反魂の間】

「パートナー…?」

レイの言葉に喰いついたのは以外にもスタルチアだった。
その細腕に似合わない軽々とした動作で背中に背負った大鋏を振りかぶると
力任せに振り下ろす。ぐしゃりと嫌な音をさせてクモ5匹を纏めてその下敷きにした
スタルチアは、刃にべっとりとついた緑色のクモの体液を
鋏を振って掃い落としながらもレイをしげしげと見つめた。

「それじゃあれかい!?
花の嬢ちゃんはパートナーの力を借りる特殊な異能保持者ってわけかい!?」

バスバスッ!と外皮に比べて柔らかいクモの口の中に
銃弾を撃ち込みながらも、クラウズは銃声に負けないよう声を張り上げる。
疲労困憊というほどではないが、この遺跡内を彷徨ってから結構な時間がたつ。
同じような通路の繰り返しで精神的に参っているし、とっくに食料の備蓄も切れ空腹も今や最高潮だ。
歩きどおしだったせいで足が棒のようであり、早くもトリガーにかかる指先の感覚がなくなってきている。
加えて、倒せども倒せどもクモは一向に減らないどころかさっきより数を増している気がしてならない。
気がつけば周りをクモの壁に囲まれていた。
まるでこちらの反応を楽しむかのように、ギチギチと牙を鳴らしながら徐々に輪を狭めてくる。

「いけねぇな、いけねぇよ、このまんまじゃ。
おいおい、しっかりしろよフォルなんちゃら!
毎日お祈り捧げてんだろーが加護が足んねぇぞ! しゃあねぇ…スターチ!」

「ですが…いえ。はい、でございます」

何を了承したのかホルスターに銃をしまったクラウズの
呼びかけに応じたスタルチアは言葉と同時に差し出された彼の手を握る。

「花の嬢ちゃん、ちょっと頭下げといてくれ!」

そう矢継ぎ早に捲くし立てると、何かを振りかぶる動作。そして、一閃。
スタルチアの姿が消え、代わりに彼の手の中には黒塗りの大鋏が握られていた。
ハンマー投げの選手のように右足を軸に大きく鋏を一周させたその後には、
放射状に飛び散った緑色の液とクモの足を形作っていた銀板の残骸が舞う。
クラウズはそのままターンに失敗したスケート選手のように
回転の勢いを殺すことができず、背中から大の字に床へ倒れ込んだ。

「フ…祈りだけは捧げといてや――うごぉ!?
ああいってぇ…腕もすげー痺れやがるし…コレ絶対明日筋肉痛だな」

「無茶をするからでございます。ですが…さすがでございます主様」

消えたスタルチアの声は、何故かクラウズの手中にある黒塗りの大鋏から聞こえた。
格好をつけようとして見事に失敗したクラウズはバツの悪そうな顔で
ガリガリと頭を掻くと、立ち上がろうとしてよろめき、壁にもたれかかる。

「クモは…さすがにもういねぇな。
ぐおお…やべぇ…力配分ミスったかも…なんかすげぇ腹減った。
本来はこっちが施す立場なんだが…すまねぇ花の嬢ちゃんなんか食べるもんもってねーか?」

>レイ



【シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

「は、はい! お任せ下さい! 本職には負けますが、最善を尽くします」

思わず、じんときてしまう。誰かに頼られる、こんなに嬉しいことが他にあろうか。
社会の歯車の一部となってから幾数年。おおげさかもしれないが嬉しさに少し声が上ずってしまった。
そんなエルトの言葉に快く頷きかけたそのときだった。
ガントレットを指先で軽くつついたデウスが事も無げに立ち上がる。

「えっ…ええ!? ミレニア候補官本当にもう大丈夫なんですか!?」

控えめに言っても、デウスの状態はすぐに歩き出せるようなものでなかった。
それをこともあろうに、彼女はまるで何事もなかったかのように
突然立ち上がり、こちらに心配をかけまいと微笑む余裕すら見せている。

「え、あ、ま、待って下さい!
いくら軽度の脳震盪とは言っても、しばらくは安静にしてないと危険で―――」

それが空元気でも、やせ我慢をしているわけでもないのは分かったが、
急に動き出したデウスを呼び止めようと手を伸ばしかけたその直後、ふとおかしな点に気付いた。
先ほどまでトラップの第二波が発動する前触れかと思われた振動がぴたりと止まっている。
暗闇に目を凝らすと、先行したデウスの頭上に何か大きなものが覆いかぶさろうとしているのが見えた。
デウスがそれに気付いた様子はない。すかさず手に持った魔導書を開く。

「ダンタリオン!!」

デウスが転移の光に包まれかき消えた直後、腹の底に響くような振動が三人を襲った。
進路を阻むかのように、床にクレーターを穿ったソレは悠然と頭をもたげる。
示し合わせたかのように、天井から鍾乳石のように垂れ下がった明度の高い水晶に
一斉に光がともった。まぶしさに思わず目を細め、床に視線を落としたシスメの瞳はしかし、
その直後 驚愕に大きく見開かれることとなる。エルト、デウス、シスメを
覆うように落とされた影。それはその三人を飲み込んで余りある大きさをしていた。

「………」

その巨躯に言葉を失う。体長8mほどだろうか、ねずみ色に似た粘土の胴体に、
床につきそうなほど長い手、バケツを逆さに被せたような
のっぺりとした顔の中心には赤い水晶が埋め込まれている。
ずんぐりとした砲台のような胴体についた足は異様に短く、下に向かうほど太い。
歩くたびに響くズシンズシンという音が否応なく踏みつけられたときのダメージを連想させた。
なんとそんなものが天井から降ってきたのだ。エルトやデウスの無事を確認しているときは、
振動は遠く、第二のトラップ発動まで、まだ余裕があると判断したのだが、それが大きな間違いだった。
迂闊としか言いようがない。この第二のトラップは、文字通り三人との距離を“跳んで”詰めてきたのだ。
そして、迂闊といえばもう一つ。

「ぐ……い、た……っ……」

耐え切れずシスメは床に膝をついていた。未知の痛みが熱となって思考を塗りつぶす。
原因は明白。この右肩に刺さったガラスのような結晶片だ。
ゴーレムが床を踏み砕いたときの衝撃で飛来した床の破片が運悪く肩に突き刺ささったのだ。
転移に限らず、魔術の行使中、術者は否応なく無防備な状態となる。
同時転移で自分も場を離れれば良かったのだが、そこまで気をまわしている余裕はなかった。
自分に動物系亜人種のような肉体的強度や、竜種のような驚異的な傷の回復能力、
大きな損傷を負っても動き回れる機械人形(オートマタ)のような痛みへの耐性などがないことは熟知している。
人間の自分にコンティニューはない。
一度ヘマをすれば取り返しが付かなくなることは分かりきったことだった。
ここで下すべき決断は一つ。幸いというべきか、デウスをエルトの側へ転移させておいたので、
いま位置的に一番ゴーレムと距離が近いのは自分だ。痛む肩口を押さえて、ゴーレムの前に立ちはだかる。

「エルトさん……ミレニア候補官………退避して下さい」

>エルト、デウス



【レイニア&ノイ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

『生体細胞は改造時に殆どアポトーシスをしているため、当該事項の記憶は断片的なものである』

「(記憶が消去されている…? しかも部分一致、ですか。
彼の製作者にとってこの出会いは織り込み済みのもので、
彼がアレの写し身だという信憑性を持たせるためにわざと
RBPデザインライカンしか知りえない記憶を残していたのだとしたら……底が知れませんね)」

機械は嘘をつくことができない。その定説を覆す存在に過去 出会っていることで
彼…いや、彼女の言葉を丸まる鵜呑みにするようなことはしない。
ただ、少なくともレイニア個人としては、それが信憑にたるものだと感じていた。
しかし、だからこそ解せない部分もある。この状況ができすぎているというのもそうだが、
自らをリ・ボーグ・ユニット13と名乗った彼女は、
大破以上の損傷を受けた素体を基にしているにも関わらず、今もこうして動作している。
内部構造比は混合体のツギハギではあるものの彼女を復元できるほどの腕前の人物がいるその事実に驚いた。
そんなことが出来る人物なんて自分が知る限りでは…一人しかいない。

「やー、驚きましたねぇ。ということは〜、私たち同郷の姉妹ということになるじゃないですかー。
あはは、まさかこの年で生き別れの姉妹的存在の人に出会えるなんて、なんという幸運―――」

迷いも逡巡もない。レイニアの顔に笑顔が戻ったのもつかの間、
軽口はそのままに、予備動作なく行動に移る。ベガを左手で開くと同時に右手を突き出し――

「―――ブレードバース」

イワモトが機関砲をこちらに向けるのとほぼ同時に、
レイニアは半透明の防御壁で構成された剣の切っ先を彼の喉元へ突きつけていた。
防御魔術の応用にしか過ぎないこれに、肉を裂く刃はない。
ただ、切っ先は鋭利なため、このまま少し腕を前に押し出せば容易にイワモトの喉を貫通するであろう。
右目にノイと視覚情報を共有する白線の魔法陣を浮かび上がらせながらレイニアは低い声で続ける。

「あの計画は闇に葬りさられなければいけないんですよ。これ以上、同じ悲劇を生まないためにも。
そして、ひっそりと消えるべきなんです。貴方(13番目)も私(29番目)も。
だから、私と心中したいというなら止めはしませんよ」

カラカラと床に落ちた白杖の転がる音が二人の間に横たわる沈黙を埋めた。
そのまま永遠に続くと思われた膠着状態は、イワモトの銃口が不規則に揺れ動き始めることで終わる。
明滅するターレットレンズの光。電波状態の悪いラジオのように途切れる言葉。代わる一人称。
彼女の意識が彼の意識の中に沈み込む刹那、レイニアは無駄と分かりつつ問いかける。

「誰を……貴方が定めたその守るべき対象は誰なんですか?」

レイニアのその問いに返って来る答えはなかった。
ほどなくして分離していたイワモトの体と意識が繋がる。

「…………」

我に返った様子のイワモトの疑問には、レイニアの長いため息が応えた。
手から零れ落ちた刃は音もなく床で粉々に砕け、細かな魔力の粒子となって空気中へ溶け消える。

「貴方の中の――いえ、こんなところで話せる内容ではないですねぇ。
この話は任務を終えてからしましょうか、イワモトさん。ちょうどお客様も来たようですし」

そう言ってレイニアが振り返る先には、陸上競技に使う大玉をさらに
大きくしたような見た目の巨大な球形の岩が迫り来るのが見えた。

>イワモト

5ヶ月前 No.384

エルト @absoryut ★j9FaXqIw4R_VuR

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

「ああ、頼んだ」
こちらの言葉に快く返事を返し、どこか嬉々としたような様子で介抱に取り掛かろうとするシスメにそう返して自身の作業を続ける。
…当のシスメは久しぶりなのか頼られたという事実に舞い上がっていたりするのだが…極度の集中状態になりつつある彼にはそんな様子を感じ取れるでもなく…それにしても頼られただけでここまで感動してしまうとはどれほど扱いが悪いのであろうか?

(…範囲はこんなところか…『同調開始』)
周囲に拡散させた魔力が十分に行き渡ったことを確信し…それに意識を集中させれば、まるでそこにいるかのような感覚が返される。
(っ!!…少し…欲張りすぎたか?)
しかし、数秒後に還元された情報を処理し続けていた頭が急増し続ける負荷に、警告とばかりに鋭い痛みを返してくる。
(だが、この程度…?こいつは…?)
それでもまだ無視できる範囲と、頭痛を無視しながらも警戒を続けていると…突如騒がしくなった地点が出た事に気が付いてそちらの方の情報を集めるべく意識を向ける。
(物音が多い…多すぎるな…まだまだ俺たち以外の侵入者がいるのか?)
索敵範囲をそちら側に伸ばしていく最中、多すぎる物音に疑問を浮かべるが…生憎とまだまだ断定できるほどの情報は得られず…そうしている途中でデウスが立ち上がり、無事を主張し始めた事に気が付き、そちらにも意識を向ける。

「…思っていたほど重体じゃなかったなかったのは幸いだな」
先程、彼女の手から若干ながら不可解な力の発動を感じ取れたのもあり、何らかの回復手段を行使したのだろう、と当たりをつけるが…それが何なのかを今聞いているような余裕などありはしない。
何よりここに来るまででの道中でもどこか一線を引くような雰囲気の醸し出す彼女にとって、根掘り葉掘り聞くのはあまり歓迎されないだろう。
「この辺りはまだ安全なようだが…どうにも騒がしい場所があるみたいだ…できるだけ早く他の候補官たちと合流した方が良い」
と、安静にした方が良いと主張するシスメと大丈夫な様子のデウスに提案した所で、突如異変に気が付く。

(何…早…!?)
騒動の方を中心に意識を向け…回復したデウス達に安堵し、若干警戒が緩まった所で突如として巨大な何かが落下していることに気が付き、索敵の方に割いていた思考を即座に打ち切り、限られた時間の中で少しでも対抗策を取らんとする。
(くそっ!!まにあわ…!?)
しかしそれでもタッチの差で迎撃は間に合わず…次善策として、どうにか被害を減らすべく、防御に回ろうとしたところで、焦った様子のシスメの声が上がり…直後に落下音と轟音が響きわたった。

「…2人とも無事か!!」
轟音とともに、砂塵巻き上げられたが…突如天井の水晶から光が発せられ、視界がはっきりとした所で、安否を確認するべく周囲に声をかける。
…その間にもこの事態を引き起こした『巨大な何か』を認識するべく意識を向ければ…その無骨な全容があらわになる。
「っ…こいつは…ゴーレムだと!?」
それは8メートルほどの巨体を誇る圧倒的な質量の塊…古くから重要な物を守る役目を課せられる事の多い巨人の姿であった。
(…材質は…金属と言う訳じゃないのはありがたいが…3人がかりでも少々手に余るか?)
先程の様子からして敵対状態と認識されているのは間違いなく…決して倒せなくはないだろうが容易くとはいかないだろう。
…先日手合わせする事になったシスメはともかくとしてデウスの力量が分からないのは不安要素ではあるが…と、考えた所でうめき声が聞こえた事に気が付く。
「…シスメ?」
声が聞こえたならば無事である…そう考えた所でちらりと視線を向ければ…そこには負傷した肩口を押さえながらも、ゴーレムの前へと立ちはだかるシスメの姿があった。
(…何をやっている!?)
負傷したのであればすぐに下がるべきだ…だというのに彼女はあえて前に出て、あろうことかこちらに退避するように促してくる…それが意味する事と言うのは…考えた瞬間、こみ上げてきた怒りに任せて荒げた声を吐き出す。
「怪我人がでしゃばるんじゃない!!」
そう言って亜空間から夜宵を取り出し、即座に纏いながらもシスメよりも前に出て制するように左手で行く手を遮り…次いで自身の5倍近くは大きいゴーレムを見上げながらもさらなる言葉を紡ぐ。

「やってくれたじゃないか…お前にとっては命令を果たしただけの事に過ぎないんだろうがな…」
…言いつつ、全身に魔力を巡らせて、戦闘態勢を整える…碌に自我のないゴーレム相手にこんな言葉をかけても無駄でしかないのだが…それでも仲間を傷つけた存在に対し、言わなければ気が済まなかった。
「落とし前はつけさせてもらうぞ木偶の坊…相応の返礼をくれてやる!!」
今にも動き出さんとするゴーレムにそう言い捨て、右手に出現させたアルカナイザーを顔に当たる部分に突き付ける。

>シスメ デウス

5ヶ月前 No.385

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

 ―誰だ、君は誰なんだ―

 眠る意識の中、イワモトは闇に浮かぶ少女に問いかける。見た目がまだ幼い少女は、身体的特徴からおそらく亜人であることはイワモトの知識でも判別出来た。ただ、不思議なことに、周りが闇のせいなのか、彼女の左半身は背景に溶け込んでしまっている。そんな彼女を見つめている自分はといえば、右半身が見えない。

 ―帰りたい。なのにみんな邪魔をしてきた。そして目の前の人は『もう一度』。そこに貴方も一緒になった。私の半分を奪って、邪魔をする―

 実に恨めしいという言葉が似合っているくらいに、彼女は悔しさと悲しさに身を奮わせる。不自然に鮮やかなマリンブルーの瞳は、同じく海色の涙に濡れていく。その姿にイワモトも心を痛めた。だが、イワモトは首を左右に振った。

 ―帰ったところで、君に居場所はあるのか? 俺すら自分が誰なのかわからない世界に溶け込んでしまっているのに、ここを離れて、君に居場所はあるのか?―

 その一言に少女は距離を詰める。左半身の闇がイワモトの右半身から中に入っていく。

 ―帰れば、貴方は自分が誰なのかわかる。だから連れていく……帰る場所まで連れていく……何もかも忘れて、約束を果たせない貴方を連れていく!―

 闇は何もかも覆いつくし、そして全てを海色に染めていく。だが、イワモトは最後まで首を縦に振らなかった。

 それは、電子の柩の中で見た夢か、幻か。ただ、イワモトはようやく理解したのだ。自分の中にいる『誰か』の悲しみに。それを踏み台にしてでも、自分はこの世界で生きていこうとしていることを。そしてイワモトは恨んだ。自分の記憶を奪い、哀れな少女とつなぎ合わせて、機械の檻に閉じ込めた開発者―クリエイター―の存在を。

 そんな感情が再び意識を呼び覚ます。気がつけば、自分はレイニアの前に跪いていたのだ。彼女への質問は、笑顔の彼女には珍しい溜息をついていた。
 イワモトはゆっくり立ち上がる。

 『貴方の中の――いえ、こんなところで話せる内容ではないですねぇ。
この話は任務を終えてからしましょうか、イワモトさん。ちょうどお客様も来たようですし』

 「……ええ、機械の身体は敵の接近を察知しています。笑っていない貴女を見たのは初めてだが……話はあとの方がよろしいでしょう。ノイ、バックアップを。俺が前に出るよ」

 迫る球体。
 戦闘回路が入ったイワモトの右腕は、カートリッジを装填してハニカム装甲の剛腕に変わる。

 「自分が定めた『誰か』なんて意識したことはない……しかし、この場においては貴女たちを守ることにします。三つの指令と、自分の生きる理由にかけて……命令を、指揮官―マスター―!」

 レイニアとノイを守るように、球体の前に立ちはだかる。

>>レイニア、ノイ

5ヶ月前 No.386

ますたあ @ritonetto ★N6ZPthUNsx_nHx

【白月レイ:ガイアル区画:ソエリス遺跡】

「はい、その通りです。私は魔武器。武器に変身し使用者に力を与えるのが私の能力。
パートナーになる人がいない今では…」

クラウズさんはもう武器を使ってるから私がでる出番はない。
国家隊の身でありながら、この人たちを守ることさえできないなんて
帰ったら訓練のし直しね
その時、スターチさんがなんと大鋏に変身しそれをクラウズさんが使い蜘蛛たちを薙ぎ払った。
私はとっさに頭をさげ、その様子をみた。私は驚いた。
あれはまさしく魔武器の力、でも、魔武器は私以外は全員…
クラウズさんが蜘蛛を全滅させた後、食べ物はないかと聞いてきた。
私は持ってきていたカバンををガサゴソと探り非常食に支給されていたパンと飲み物を取り出した。

「これをどうぞ…。あの、スターチさん…あなたはいったい
私と同じ魔武器かと思いましたが、少し違うみたいですね。」

スターチさんはさっき大鋏を自分で使っていた。魔武器にはそんな芸当はできない。
自分で自分を使おうとすれば武器は弱体化してしまうからだ。

≫スターチ クラウズ

5ヶ月前 No.387

狐鈴 @korin29 ★fkYX4WEGOM_jCr

【デウス/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

突然元気になり過ぎて不自然に見えたのかシスメとエルトから妙な視線を感じ
しまったなぁと少し汗ばむ

…がそんなことを考えているときシスメの『しばらくは安静にしてないと…』という言葉に返答をするまもなく視界が突如消えた
理解がまったく追いつかず最後に聞こえたのはダンタリオンという言葉のみ

しばらくの間の後視界が開けるとそこに見えるのは巨大な何か
無機質なその物体の大きさは町で見かける建造物のそれとほぼ変わらない
これまで何度もこのサイズの化け物…いやこれ以上のものも見てきたが
今この状況でこんなものと対峙していることがいかにまずいことなのかはすぐにわかる

どう切り抜けようかとまだはっきりとしない思考で考えてる最中聞こえてきた言葉

『退避して下さい』

直後飛び出していったエルトを見送ると数秒の間の後大きくため息をつく

「テムセージ弐位書記官殿、申し訳ありませんがその命令を聞き入れるわけには行きません」

そういうとかかとをコンコンと二度叩くと直後大きな爆発音とともにデウスの足の裏あたりが強く爆ぜその勢いに載せて一気にシスメの元に飛び込む
エルトがあの化け物に立ち向かっていくのを見送り自分はシスメのそばに駆け寄って話しかける

「貴官だけ残して逃げたらベルダー候補教育官殿になんと説明すればいいのですか。命令違反の処分は後で受けます」

そういうとシスメのそばで屈んで自分の背中をつんつんと叩く
シスメの足の様子に気がつきおんぶするという意味で行った意図が伝わるといいのだがとおもいつつ化け物の様子を見る

逃がしてくれそうにも無いがどの道先ほど振ってきた妙な氷柱のようなものがあるこの場で
歩くだけで地響き起こすようなあんなのと戦えば何が起こるかわからない
そもそも勝算がない上にこの場でむやみに時間を使えばあの吸血鬼が騒ぎを聞きつけて来る可能性だって大いにある

それ故にデウスとしての判断は逃げようというものだった

>シスメ・エルト

5ヶ月前 No.388

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★mEnOfkHz0o_giC

【レイニア&ノイ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

「おっと、いけませんねぇ。これではチャンスをとりこぼしてしまうかも。
あはは、でも、そんなときもありますよ。だって、笑えるはずがないじゃないですかー」

今自分が口にしたように、貼り付けた笑顔に彼女ほど前向きな理由はない。
しかし、笑顔がないことをイワモトに指摘されたレイニアは、
そううそぶいてから、もう一度笑顔の仮面を被りなおすと迫り来る脅威へ向きなおる。

(貴方がひょっとしたら―――かもしれないだなんて)

希望的観測に似たレイニアの内心を砂利を巻き込む乾いた音が断った。
戦闘用に仕上げた呼吸で獲物を待つ。
すると、右手に掲げたベガが少女のような声で詠い始めた。
同時にページの表面からふわりと黄金色の文字が実体を伴って浮かび上がる。
いずれも目の不自由なレイニアのために最適化されたもの。
幾重にも交わらせた黄金文字で魔法陣をくみ上げ、それを空いた左手へと纏わせる。

「ダガーバース」

指の間に挟まれる形であらわれたそれは全長20cmほどの小ぶりな刀剣類だった。
半透明の防御壁で構成された刀身に刃はない。
そもそもが切りつけるより、刺す、投げるという用途に向いた構造。
しかしてそれは構造通りの用法で使用された。閉じたベガを
腰のブックホルダーに固定すると指の間に挟んだダガー4本を上空へと投げはなった。
重力に引かれて落ちる小剣、その全ての柄頭をレイニアの指が押し撫でる。
レイニアの手を離れ直線的に放たれたそれらは、
そのうち3本が勢いよく転がり来る球形の岩の表面に食い込んだ。

「あはは。さすがにベルダー家 前当主のようにはいきませんねぇ。
形態変化(エミュレーション)―――ブラスト」

まるでダーツの的を外した子供が言い訳をするかのような
気軽さでレイニアはパチンと指を鳴らした。
8割思惑通りといったところか。そこそこ満足のいく成果だ。
球形の岩に突き刺さった3本のダガーが炸裂する。
煙が晴れると、体に無数の細かい裂傷を刻んだ岩が姿を現した。

「勢いを殺します。ノイちゃん、下」

「御意。起動せよ、災厄の枝。一撃、活殺、ウェルダンフレア!」

レイニアの脇を抜けて床を直撃したのは、ノイの放つ黒鉄の銃器から放たれたものだ。
床に大きなクレータを穿ち、そこへ嵌った岩を大きく空中へと跳ね上げる。
ひび割れた腹を無防備にさらす大岩。
転がるべき地面の空中で、それは完全に回転の動きを止めていた。
お膳立ては整ったとばかりにノイはサムズアップを、レイニアは片目を伏せてみせる。

「好機。イワモト、今! 鉄拳、粉砕!」

「はは、お姫様になったようでそういう呼ばれ方も案外悪くないかもですねー。
ではー、やっちゃってください、イワモトさん」

>イワモト



【クラウズ&スタルチア/ガイアル区画/ソエリス遺跡/反魂の間】

「サンキュな。天にまします我らが神よ…以下略! んじゃま、いただきまーす」

「ご寄進感謝いたします。
主様、きちんと手を拭いてからお召し上がりになってくださいませ」

レイからパンを受け取り、食事前のお祈りの文言を適当に済ませてから
パンにかぶりつくクラウズと、武器状態から人間体にもどり、
どこから取り出したのか、ナプキンを手に甲斐甲斐しく主人の補助にあたるスターチ。
なんとも対照的な二人だが、レイの疑問に二人は声を揃えて驚きの表情を見せた。

「魔武器だって…? 花の嬢ちゃんどこでその言葉を――」

「主様。少し口を挟ませていただいてよろしいでしょうか?」

普段は進んで前に出ることがないスターチがくい気味でクラウズの言葉を遮った。

「ん」

特に気を害した様子もなく二つ返事で
再びレイにもらったパンにクレーターを穿つ作業へ戻るクラウズ。
一口が大きいクラウズの咀嚼によって瞬く間に手の中のパンが小さくなっていく。

「魔武器と仰いましたね、身に覚えのある単語でしたので、
少し口を挟ませていただきました。
わたくしは識別コード NA-2764 Scissors of hysteria スタルチアと申します。
お許しをいただけましたので、歩きながらお話しさせていただきましょう」

ぽつぽつと自らの身の上について語り始めたスターチは
マットの引かれていた大広間の中心を通り過ぎ、壁際へと足を進める。
不意に立ち止まると、魔女装束の女と海色の瞳をもつ獣の向かい合う姿が描かれた
壁画を見上げる。2000年前の、当時起こった戦争の出来事を綴ったものだ。
向かい合う獣と魔女装束の女を中心に描かれた9つの武具。
斧、鎌、剣、槍、鋏、杭、盾、車輪、歯車のうちの鋏を指差す。

「まず最初にわたくしの正体でございますが…わたくしは『魔道具』でございます。
貴方様がよくご存知の『魔女様』と、
それとは違う別の魔女――西方の魔女クロノリヴィセンアルゴの手によって
作り出され、輪廻の輪から解き放たれた擬似生命――いいえ、人型魔導兵器でございます」

数ある記憶のうち、ひときわ赤黒く染まった記憶の一部を呼び起こす。

「2000年前の魔導大戦の折、当時最高峰の知恵を持つと謡われた
西方の魔女クロノリヴィセンアルゴの知識をもってしても、
魔道具の開発は困難を極めておりました」

詳細は彼女の必要としない知識であるため省くが、
当時、西と東は我こそが大陸の覇者たらんとふたつに分かたれていた。
西方の魔女、異界の海、禁忌の獣と呼び方は様々だが、
その当時、比類なき知性を活用し、強力な魔導兵器の開発を行っていた者がいた。

「そこに手を貸したのは、
貴方たち魔武器の祖であらせられる魔女様であったと言われております」

やがて禁忌の獣は一つの結論にたどり着く。
魔術とは、意思だ。意思の強さに比類して魔術はその効力を高める。
ならば、“魔力を媒体とする兵器自体に意思をもたせてしまえばいい”のではないかと。

「いうなれば貴方様とわたくしは歳の離れた異母姉妹ということになりますわね」

クラウズがミネラルウォーターを飲み干す音をBGMに、スターチはそう締めくくった。
精巧に作られているが、自分が人間ではないこと。紛れもない兵器であること。
そして、その兵器の作成に、彼女の祖が関わっていた事実を。

「この鋏はわたくしです。他のと同じに見えるかもしれませんがわたくしだけのものです。
この鋏なくしてわたくしはなく、この鋏なしにわたくしはない。
この鋏はわたくしの写し身のようなものと思っていただければ結構ですわ」

続いて、彼女の鋏をみる視線から察したのか、
魔武器と違い手持ちの武器が弱体化しない理由を端的に説明する。
もっとも、今の言葉だけ聞けば、魔武器の能力の上位互換と
受け取られるのだろうが、むしろその真逆だ。この大鋏はスターチと感覚を共有している。
鋏が傷つけば、スターチも傷負うし、その逆も然りだ。
故にこの鋏は明確な弱点にもなりうる。それを今口にする必要性がないくらいの
警戒心は持ち合わせているので、自分に不利となる情報は伏せたままにしておく。

>レイ



【シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

こうして立っているだけでも、痛みはじわじわと頭の中で支配圏を広げていく。
思考が飛び、視界が歪む。痛みのことしか考えられなくなっていく。
それでも即死を回避できただけ、これでも安上がりなほうなのだろう。
痛いには痛いが、死ぬほどではなかったのだから。
貫かれた肩を見る勇気はない。その分は既に立ち上がることに費やしてしまった。
とりとめもなくそんなことを考えていると、急に目の前のゴーレムの姿が途切れる。
不思議に思い、目を凝らすと見覚えのある背中が見えた。

「どうして…来てしまうんですか…でも…いえ、ありがとうございます。
本当に…損な性格ですね、お二人とも」

言い返す気力は既にない。
状況についていけず口をつぐんでいるとその蛮勇を戒められた。
続いて怒りの対象をゴーレムにシフトして気色ばむエルトとは対照的に、
厳しさを含んだ口調のデウスが自分の肩を指差す、
途端に熱に浮かされた頭の霧が晴れていくのを感じた。
二人して共倒れないようにしながらも、ほぼ倒れこむようにデウスの背におぶさる。
肩口から流れ出た血が、デウスの背を湿らせた。

「すみません…服を……汚してしまって…」

口を開くのさえ精一杯、いや、呼吸するのさえ億劫だ。
だが、これでも自分は上官なのだ。これ以上の無様はさらせないし、
こちらのミスで危険に巻き込んだ以上、状況の放棄は認められない。
再び地響きが三人を襲う。振り下ろされた拳が穿ったのはエルトではなく地面だった。
天井から降り注ぐ、鍾乳石のような石片を目視したシスメは
転移魔術で転移させて直撃を回避すると、
記録簿であり転移魔術専用の魔導書であるダンタリオンをゴーレムに向かって掲げた。

「来た以上は…手伝ってもらいます。
アンブラインドエネミーサーチ……ゴーレム」

何とか言葉を搾り出すと、自動的にダンタリオンのページが捲れはじめる。
背表紙からが放たれた一筋の光がゴーレムの足元から頭頂までをスキャンし、
解析を終えたダンタリオンはある項でぴたりとその動きを止めた。

「魔導大戦時代のゴーレム…型式はグノーシス…それも自律回路型…
なるほど博物館のものと同型…みたいですね。弱点が…っ……分かりました。
顔に埋め込まれた赤い石――エネルギー変異蓄積型の魔力結晶が弱点です。
あそこから周囲の光や微量な魔力を駆動エネルギーに変換しているようです。
そこを叩けば、あるいは…いえ、完全に機能停止に追い込むことが出来ると思います」

シスメが弱点について話している間にも、
ゴーレムは第二撃を放とうと、すでに拳を振り上げていた。

「ひとまず、退避を……この…先に、地下から上に上がれる階段が…ある…はずです。
そこの高低差を利用…し…て……頭部を…狙えば」

>エルト、デウス

5ヶ月前 No.389

狐鈴 @korin29 ★fkYX4WEGOM_jCr

【デウス/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

『損な性格ですね、お二人とも』
その言葉に苦笑いを浮かべながらも「お互い様ですよ」っと含み笑いを交えつつ答える
元々自分はこんなことしか芸のない人間だ
誰かを助けたい誰かのためになりたい…そして誰も失いたくない
そんなことを思って研究や開発をしていたら自分が国の厄介者になっていたと言うなんとも哀れな末路だ

でもそんなことがあっても人の性格とは早々変わらないもので今もこの有様である

背中に乗っかったシスメは思っていたよりも軽く立ち上がることも思いのほか容易であった

「そんなこと気にしないでください、それよりもかなり出血が多いです。これを」

背中の湿った感じから暗がりではよくわからなかったがかなり傷の具合は悪いようだ
腰の大き目のポシェットから大き目の布を取り出しシスメに手渡す

「緊急用に薬をしみこませた応急用のタオルです、それで止血してください」

応急用のタオルであることは事実ではあるが実は薬というのは大きな嘘
っというのも布の表面には先ほど自身の体を直したあの光る小さなものが広がっている
あれは独自で開発した超小型のナノマシンで傷の治療や栄養の供給を行い、作業が終われば本体は治癒者の細胞と同化するというもの

とはいっても自分用に調整しているため人間にしか今のところ効果はなく、さらに自分ではなく他人に使うと
体の構造に差異があるためやや治癒能力は落ちる
しかし自然治癒なんかと比べれば遥かに効果は高く、止血や雑菌などによる化膿を止めたりする効果には十分でありこのままよりは何とかなるだろうという考えである


それにしても人をおんぶするというのはかなり久しぶりで人の肌とはこれほど温かいものだったのかと
少々良くないときめきをしつつシスメの言葉を聴く

魔導大戦というのはわからないがおおよそロボットのような代物だということはわかった
専門的な言葉が多くこの国のことをまだほとんどわかっていない身としてはおおよそでしか理解は出来なかったが弱点くらいの把握はできた

やつが今にも振り下ろさんとする拳を見て退避の言葉が聞こえると同時に脚部の装備、グリーヴあたりのダイヤルをさらに回すとまるで強いエンジン音のようなものがしだし
脚部の装備に光の線のよな物が無数に走り光出す

「ちょっと荒っぽくなるのでしっかり掴っててくださいね。テムセージ弐位書記官殿」

そう言い終えると踵で強く床を叩く、すると脚部から煙が吹き上がりかなり大きくジャンプしたかのように数十メートル大きく前進しシスメに指示されたほうへと移動を始める
足の裏からジェットのような炎を上げ跳ぶように走る
しかし一度ナノマシンでの自分の治療にややエネルギーを消費してしまっている
どうにか逃げ切れればいいがと顔はゴーレムのほうを振り向きながらひたすら跳ぶ

>エルト・シスメ

5ヶ月前 No.390

ますたあ @ritonetto ★Android=yDqhBiviYT

【白月レイ:ガイアル区画:ソエリス遺跡】


私が魔武器のことを口にすると、その言葉に二人が反応し、スターチさんが語ってくれた。自分が魔道具であるということ、自分を作ったのは西の魔女で、その人に私達魔武器を作った魔女さまがてを貸したと。

「魔道兵器…その製作に魔女…ツキヨミさまが……。そうなると私達魔武器もやはり…」

魔女さまはいったい何が目的で私達を作ったのかずっと悩んでいたが、世界を滅ぼすために私達を作ったのか。
それとも…

「……ここで貴方たちと出会ったのは、魔女さまのお導きでしょうか。」

偶然にしては出来すぎているような気がするが
あの壁のトラップの先にあの紋章や魔方陣があったことといい、その先に私と同じ境遇の彼女がいたことといい
まるで誰かに仕組まれているみたいだ。

>スターチ クラウズ

5ヶ月前 No.391

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_yFt

【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

Detective:1 Save to Lycanthrope
Combat circuit ON
Target searcher is Green

R.B.P-13 System tuning
Battle Mode__

 ターレットレンズは『黒』のまま、すなわちイワモトの意志が指令1を呼び起こす。国家隊でいえば上官、先輩の二人の安全を確保する。それがイワモトに与えられた使命。二人に物理的被害が及ばないように前に出る。ターレットレンズに搭載された戦闘用レフレクター・サイトは暗視であっても敵を性格に視覚で補足する。そのままスキャンをして相手の正体を確かめる。物体を構成するのは岩石、しかし、球体の形状は伸縮によるもの。丸くなることで物体の密度を高めた物理攻撃を得意とすると見た。
 透き通った声が告げた魔法。ダガーバースの刃は全てとはいかないまでも敵に突き刺さり、レイニアの合図とともに爆発する。表面をえぐり取られた岩石はその動きを止める。しかし、敵にその先の展開など、小さな狙撃手が許さない。いつの間にか展開されていた『スルト』から放たれるウェルダンフレアは岩石の焼き焦がさんばかりに包み込む……ことはなかった。岩が鎮座した床を吹っ飛ばし、敵は舞い上がる。その瞬間をイワモトも見逃さない。岩にはないが、球体になった者には存在している、防御の薄い『腹』の存在を。

 肘を曲げて右手を引けば、握られた鉄の拳に力が入る。いや、ジェネレーターと機械の性能でしかないが、イワモトにとってそれが『力』なのだ。それを増幅することが人間同様に『力を込める』ことになる。

 『好機。イワモト、今! 鉄拳、粉砕!』

 『はは、お姫様になったようでそういう呼ばれ方も案外悪くないかもですねー。
ではー、やっちゃってください、イワモトさん』

 「了解……!」

 低い姿勢からのジャンプが、まるで弾丸のような加速を生み出して敵に突撃する。レフレクター・サイトが捉えた、ただ一点目がけて、イワモトは鉄の拳を叩き込む。

 「(そうさ、俺は人間でも亜人でもロボットでもないかもしれない。それでも人の形を持つ以上、自分の意志でこの世界にしがみついてやる!)」

 何もかも振り切るかのような速度で肉薄すると、鉄の拳は唸りを上げた―

>>レイニア、ノイ

5ヶ月前 No.392

エルト @absoryut ★j9FaXqIw4R_VuR

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

「そっちは頼む…あちらもおとなしくはしてくれないようだ」
背後でデウスがシスメを背負おうとしているのを気配だけで感じながら、振り向くことなくそう告げる。
…少々不作法ではあるのだが、不用意に振り向くような余裕が無いために容赦してもらうとしよう。
言い終わる直前に、ゴーレムが再びその巨碗を振り上げるのが見え…再び振り下ろされたそれは激しく地面にたたきつけられた。
(直接狙いよりかはマシと思いたいがっ!!)
それは再び激しい振動を起こし、再び多数の鍾乳石を降らしてくる。
面で制圧してこようとするそれはおそらくは牽制に過ぎないのだろう…回避に意識を向けすぎればおそらく次に襲い掛かってくるのはその圧倒的な質量を生かした強力無比な一撃が容赦なく襲ってくるのだろう。
「…たかが石ころごときで!!」
だがそんな物を意にも介せず言い放ち…周囲に多数の魔法弾を展開し、迎撃するようにうち放つ。
決して石ころなんて生易しい物ではない鍾乳石ではあったが…放たれた魔法弾は直撃コースであったそれらを尽く打ち抜き、相殺していく。
背後にもある程度の援護するつもりではあったが…そちらは既にシスメの転移とデウスのグリーブによる機動力を活かして早々に離脱していた。

そして離脱する最中、シスメから敵の弱点及び一時後退しての地の利を生かす方針が提案される。
「…なら先に行っててくれ…こっちは少し時間を稼ぐ!!」
その提案は理にかなったものではあるし…少なくとも正攻法で行くよりもよっぽど効率はいいだろう。
だが今すぐに、と言う訳にはいかない…なぜなら三度ゴーレムがその巨碗を振り上げ、先ほどのような攻撃を繰り出そうとしているのが明らかであったからだ。
(その出鼻…くじかせてもらおうか!!)
そうして左の拳を握りしめると同時に切り札たる自身の魔砲の引き金を解き放つ。
「アーティーカノン!!」
ゴーレムの足元より、突如として打ち上げられた魔力の奔流が、轟音と共に振り下ろされつつあったゴーレムの拳と真っ向からぶつかり合いその腕をも呑み込まんと猛威を振るう。
(体勢を崩せれば十全と言ったところだが…ある程度の相殺は出来たはずだ)
その成果を確認するでもなく、こちらも全力で後方へと飛び退り、合流地点を目指さんとする。
あまりにも効果が無いようであればさらなる追撃も考慮しなければならないだろうが…効果の程は果たして…?

>シスメ デウス ALL

5ヶ月前 No.393

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★PLdXGtglRD_giC

【シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

エルトの放った魔力の奔流がゴーレムの拳と衝突し、その腕を押し戻し始めた。
姿勢を崩され、たまらずよろめくゴーレム。設計の不備か、
はたまた耐久性を高めるためにあえてそうしたのか定かではないが、
このゴーレムに膝関節はない。足裏が幅広で構造が転倒を抑制したのだろう。
後ろに数歩よろめいたゴーレムは
黒板を引っかいたような甲高い音を立てながら、立ったまま壁に激突した。

「エルトさん……無茶は…しないでくださいね……あなたに何かあったら…
せっかく貰ったお団子が…不味くなってしまいます…
それに…初めて出来た……後輩…を、話し相手を……失いたくありません」

遺跡の壁に自分の体型の巨大なクレーターを穿ったゴーレムは
間接を軋ませながら壁から巨体を引き抜き始める。
心配するシスメの声をよそに景色は加速し、叫びだした風の音にシスメの声は飲み込まれた。
粘土製のゴーレムに感情を表すための表情筋はない
ただ、エルトの攻撃に押し負けたゴーレムは、ひどくプライドを傷つけらたといった風に、
床に拳を叩きつけると、その勢いで壁から体を引き抜きショルダータックルの構えを取る。
そのまま後退した分の距離を助走に使い、エルトに向かって
ドシンドシンと加速しながら迫った。一方その頃、シスメ達はというと

「ありがとう、ございます……ミレニア候補官。
この布は洗濯……では落ちそうにないですね…このお詫びは…別の形で…いずれ……」

移動しながら傷の手当にとりかかっていた。
シスメはデウスから布を受け取り、恐る恐る肩口に目を向ける。
鋭利な破片の先が深く肩に食い込んではいるものの、背中側まで貫通してはいない。
視認したことで痛みが強くなる。悲鳴が喉元まででかかったが、
それは歯を食いしばることで耐えた。
デウスを不安にさせないため、というのもあるが、理由の大半を占めるのは、意地だ。
屏風の虎ではもう誰も驚いてはくれない。せめて張子の虎くらいにはならなくては。
自分の能力の低さは自覚している。
上官という肩書きは自分の実力に見合わない飾りのようなものだが、
いくら裏がハリボテの急ごしらえでも、外見は豪奢なものでなければならない。
破片を抜くような愚は犯さず、傷口周りに布を押し付ける。

「あ、れ…?」

途端に頭の嫌な熱がとれていく。
狭まった視界が開け、そこでようやく自分がたくさん汗をかいていることに気が付いた。
頬が紅潮していくのを感じる。
居心地悪くデウスの背で姿勢を正したシスメは、かぶりを振ってそんな雑念を追い払った。
今はそんなことを気にしている場面でないことを思い出したからだ。
布を傷ついた肩に巻きつけて固定すると、魔導書ダンタリオンを開く。
すると、デウスの通った床の一部が矢印型の窪みにくり抜かれた。
後続のエルトが迷わないためのささやかな目印というわけだ。
遺物破損という違反行為になるが、緊急時のためこれくらいは勘弁してもらいたい。

「道筋を…案内します。
そこを…右です。次は真っ直ぐ。次から道に…凹凸が出始めます、注意を。
あと5mほどで上階への階段広間に出ます」

魔導書ダンタリオンは記録簿を兼ねる。それこそこの国はじまって以来、
歴代の書記官を務めた国家隊員が心血注いで掻き集めた情報が詰まっていると言っていい。
その中には当然のように、この遺跡の情報も書き込まれていた。
ページに記された経路図とにらめっこすること数分、
ようやく開けた場所に到着する。
縦にも横にも長い門を潜り抜けると、横幅の長い階段が二人を出迎えた。

「ここなら迎撃が可能なはずです!
私は適当なところで降ろしていただいていいので
ミレニア候補官はすぐに迎撃の準備を! エルトさんは!?」

門を振り返るも、そこには闇の帳が下りていてうまく確認できなかった。

>デウス、エルト



【レイニア&ノイ&仮面の女/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

低姿勢からのイワモトの跳躍は素人の目から見て見事なものだった。
体の一つのバネに見立てて跳ぶ。力が爪先から突き出した腕へと伝達され、拳に集中する。
それは周囲の風を巻き込み、砲弾と見まがうほどの一撃まで昇華され繰り出された。
バキン!という音。それがイワモトの拳からではなく、
継ぎ目がないと思われた岩のほうから聞こえることで、ようやく正体が露となる。
イワモトの拳が貫く先。継ぎ目のないものと思われた
その箇所が蛇腹状に割れていた。続いてパタパタと折りたたまれていた
短い手足が現れ、自重でイワモトの拳からずり落ちたそれは光を失った目で天井を仰ぐ。

「おや、どうやらこれも魔導大戦時代の兵器遺物の一つだったようですねぇ」

ノコギリ状の歯を露に大の字に倒れた無機生物を
杖先でちょんちょんと突きながら、レイニアは誰にいうでもなく一人ごちた。
兵器遺物全てに言えることだが、なんともえげつない構造をしている。
この狭い通路だ、ただの大岩だと侮って引きつけて避ければ、
たちまちベイでマイケルな瞬間変形を披露したこの無機生物に
頭からぱくりというわけだ。突然の連携に柔軟に対応できたイワモトの
判断力には驚かされたが、的確に腹を狙えたその正確さにも驚いた。

「さすが――」

レイニアがイワモトに賞賛の言葉を送ろうと口を動かしかけたその直後、

「さすが…正規品…このくらいの敵は驚異にすらならないってことね」

聞き覚えのない第三者の声と、マリンブルーの視線がそれを遮った。

「誰? 返答、要求!」

最初に反応したのはノイだった。反射的にスルトの銃口を介入者へ向け、色めきたつ。
それを手で制しながらレイニアはイワモトとノイを背に庇う形で前に出ると、
入れ替わる形でレイニアが息を呑む声が聞こえた。
ノイと視界を共有するための魔法陣が浮かんだ右目は驚愕に見開かれている。

「何者ですか?
どうやらお友達になりたくて声をかけたって感じではなさそうですねぇ」

レイニアの返答には低い忍ぶような笑い声が答えた。しわがれた老婆のような声。
ただ、歳をとっているにしては物音一つ立てず、しかもこちらに接近を悟られず
近づくだけの技量をもっているだけに帳面どおりに受け取るのは愚かというものだろう。
どこぞの諜報機関では弱い酸で喉を焼き、一時的に声を変える技術があると聞いたが、
これも同じようなものなのかもしれない。
ひとしきり体を震わせた後、壁の影から介入者が姿を現す。

「私は…叡智の搾りカス……ねぇ、教えて……キミが選ばれたわけを……」

そう自嘲するように名乗った介入者は、黒づくめの出で立ちをしていた。
唯一、小柄な体躯から女性であることが窺える。
顔にかぶった鏡の仮面、一切の経歴を断つ様に徹底して肌を見せないよう
あつらえられた服装。ただ、マリンブルーの眼差しが仮面の奥で怪しく光を放っていた。
女の真意を探ろうと、こちらが出方を窺っていると、
姿を見せた直後に踵を返した仮面の女は、それだけを言い通路の奥へと姿を消した。

「匂い、追跡、可能! 」

「追いましょう。今回の事件の関係者かもしれません。
ただし、一人では絶対に立ち向かわず、2人以上で対処すること。いいかね、ミスター?」

イワモトの了承の返事も待たずして、先行したノイの後についていくレイニア。
その表情はいつもどおりの笑顔を形作っていたが、珍しく動揺が透けて見えていた。

>イワモト



【クラウズ&スタルチア/ガイアル区画/ソエリス遺跡/反魂の間】

こちらの身の上を話し終えた後、返す言葉でレイの口が止まった。
やはり…の後に続く言葉は想像で補完するしかないものの、
だいたい彼女が何を口にしようとしていたのかは分かる。
決して前向きな言葉ではないと容易に想像できるほど彼女の表情が曇ったのだ。
身を乗り出したスターチはレイの両肩を掴んで引き寄せるとその目を覗き込んだ。

「作られた理由が人を傷つける目的のためのものだったとして、
あなた様はそれに準じるのでございますか?」

レイの態度に憤ったわけではなく、自分自身に言い聞かせるような口調。
人の生き方に口を挟めるほど高尚な生涯を送ってきたわけはない。
それでも、自分が半ばまで歩いてきた道と同じ道を彼女に辿らせるわけにはいかないのだ。
数年前の自分が今の言葉を聞いていれば、鼻を鳴らして笑っていただろう。
いや、まともに取り合わず唾棄していたかもしれない。

「わたくしはごめんこうむりますわ。
過去を作るために今を生きているわけではございませんもの」

言葉に熱が入る。
しかし、彼女の言葉はその頭に軽く手刀が振り下ろされることによって
スイッチを押された目覚まし時計のようにぴたりと口をつぐんだ。

「スターチ」

「も、申し訳ございません」

クラウズの一撃によって我に返ったスターチは、ようやく掴んでいた
レイの両肩を開放し、自らの行動を恥じ入るかのように
ペコペコと頭を下げ、いつもの定位置であるクラウズの右後方へと戻る。
結局、どう思うかは本人次第。第三者が口を挟んだところで進展はしない。
与えることが出来るとしたら、せいぜいきっかけくらいだ。
要は自分で整理して飲み込まない限りは、どうあがいても心の持ちようなど変わらないのだ。
そのことを身をもって理解していたスターチはそのまま押し黙る。

「おっ、あったあった上に上がるための階段が!
ここ作ったやつ相当性格ネジくれてやがるな。
クモがでてきたところがそのまま隠し通路になってやがる。
花の嬢ちゃんのおかげで体力も戻ったし、そろそろ移動しようぜ」

二人が話している間にクラウズは食事を終えたばかりか、
探索に時間を割く余裕さえ見せるほど回復していたらしい。
ちょいちょいとひと一人が通れそうな壁の穴を指差しつつ、レイを手招きしてみせる。
クラウズが横に体を避けると、上に続く長い階段が穴の先に見えた。

「ずっと平坦な道を歩いてたと思ったら、いつの間にか地下にいたみてぇだな。
いけねぇな、いけねぇよ…まるで狸に化かされたみてぇだ。さっさと上の階に戻ろうぜ」

先ほどよりも軽い足取りで階段に足をかけていく。
自然とレイを真ん中にして前方をクラウズ、
後方にスターチが陣取る隊列が出来上がっていた。

「聞かねぇんだな」

階段を上る道すがら、ふとクラウズが思い出したかのようにそう呟いた。
視線だけは上に向けたまま、レイのほうを振り返ることなく続ける。

「ああ、いや、俺たちが何者か、とか。ここで何してたか、とか」

>レイ

5ヶ月前 No.394

エルト @absoryut ★j9FaXqIw4R_VuR

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

「当然だ…俺にはまだやらなきゃならない事がある」
高速で離脱していこうとする最中に紡がれた、うめくようなその声は確かに届いていた。
多少聴力に自信のある程度の種族であっても聞き逃すような声量ではあったが…それでも相応の強化状態にある彼にとっては大した問題にはならなかった。
そうして少しだけ2人が去っていた方向に向けていた意識を眼前へと戻せば…先の攻防で転倒こそ免れたものの、壁に激突し、クレーターを作り上げる事となった巨体を起こしていた所であり…その際の軋むような音はまるで獣の唸り声であるかのように感じた。

(さて、これで一矢は報いたと言えるが…もう少し時間は稼ぐべきか?)
体勢を立て直しつつあったゴーレムをみれば……突如その拳を地面に叩きつけ、そのまま体前傾の構えを取っており…これから仕掛けてくるのだと言う事は明白であった。
(…少しばかり…突きすぎたか?…これ以上止めるのは難しいか)
その体勢から想像される攻撃はまさにその巨体を最大限に生かした単純かつ強力無比な行動であるのは疑う余地も無く…知らず、冷や汗が流れる事となり…遅滞戦法に切り替えて合流を優先する事にした矢先、轟音を響かせながら加ゴーレムがこちらにショルダータックルを仕掛けてきた。

「これは…流石に迫力が違うな!!」
内心で舌打ちしつつも迫るゴーレムから距離を取ろうと後退するが…その巨体からくる馬力には流石に勝てはせず、徐々に距離が詰まっていく。
(牽制程度にならんかもしれんが!!)
そうして一定の距離に詰められていたタイミングで振り向くことなく複数の魔力弾を展開し…放つと同時に夜宵のステルス効果を起動…先に放った魔力弾を着弾前に炸裂させ、目くらましにした所で近くの柱の一本にその身を隠す。
(流石に探知されはしないだろうが…まったく気が付かず突っ走ってくれるなよ?)
目論見道理であれば止まった所で頃合いを図り進路の逆に幻影を投影して時間を稼ぐところだが…はたしてどう出る?

>シスメ デウス ALL

5ヶ月前 No.395

ますたあ @ritonetto ★N6ZPthUNsx_nHx

【白月レイ:ガイラル区画:ソエリス遺跡:半魂の間】


「え?」

スターチさんの熱のこもった言葉に思わずあっけにとられる。
確かに、作った人がそういう目的で作ったなんて今の私には関係ない。
私は私、自分の目的を果たすだけ
両肩から手を放し、申し訳ございませんと謝るスターチに

「そんな、私はなんだかうれしいです。理由はよくわからないけどちょっとうれしいんです」

きっと同じような境遇の彼女が、ここまで自分の意思をもって自分の思うままに生きていると思うと
私もそう生きていいんだと希望が持てたからだろうが、私はこのとき、自分がうれしい理由がわからなかった。
話ながら歩いていると、ついにここからの出口がみつかった。さっきの蜘蛛が出てきたところが出口になっていたらしい。
その階段を進んでいると、クラウズさんが、自分たちについて聞かないのか?と言ってきた。
私は

「あ、そういえば…。でも悪い人じゃないんですよね?だって助けてくれましたし、スターチさんを見ているときっと使い手のあなたも決して悪い人じゃないってわかる気がします…から…っ……」

と、少し国家隊においてはあまり相応しくない答えかもしれない返事をした。もしエリートの国家隊ならばここで徹底的に追求し敵じゃないかどうか見定めるまでいくのだろうが、お人よしすぎるレイはただいい人そうという理由だけで、何者かなど気にならなかった
そして、最後まで言い終るまえに、何かの気配を感じその気配のほう(壁)をみる。

この気配というか嫌な感じ、どこかで…そうだ!この前の医務室に現れた謎の仮面少女と同じ気配。
もしかしたら、ここにあの少女がいるのかもしれない。誰かに接触しているのかもしれない。急がなければいけない、そんな気がした。

「急ぎましょう、なんだか嫌な予感がします」

≫クラウズさん スターチ

5ヶ月前 No.396

狐鈴 @korin29 ★fkYX4WEGOM_jCr

【デウス/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

その場をエルトに任せ逃げるような形になってしまったことは申し訳ないのだが
今この場ではシスメの言うようにここでは優位に戦うことは厳しい
自分もそう思いさらにショルダータックルの構えを見てなお急いで走る

「テムセージ弐位書記官、気にしないでください。もしお詫びをしていただけるのなら…そうですね傷を治して元気になってください」

にっこりと振り向きつつ笑みを浮かべ
しかしながら移動する足は止めない、こんな荒い走り方をすればこれほど深い傷のシスメだって辛いだろうし
それだけ厳しい思いをさせているのはわかるが今足を止めればやつに捕まる
そしてこの戦いを長引かせればもっと危ないやつが来る可能性も捨てきれない

あの吸血鬼が放った一撃、あの一瞬では何も見えなかった…やつとこんな場所で合間見えればと考えると背筋が寒くなる
エルトとの戦闘が続いているのか壁や床が大きく揺れ後ろのほうからは大きな音が響く
心配になりつつも今は自分のやらねば成らぬことを…と振り向くことはなかった


『道筋を…案内します。』

シスメの言葉に小さくうなずきその後指示に従い跳ぶ
道を曲がるときには壁をけるようにして、まっすぐ進むときは出来る限り低空でとび着地時に大きく前に飛び込むように
凸凹道ではまるで壁走りをするかのように左右の壁を警戒に飛び込むようにして脚部のブースターをふかし何とか跳ぶ

無論かなり無理な運動を行っているためか膝から下や股関節がものすごく痛い
こんなアクロバットなことをしたのは何十年ぶりかと思いつつその鍛えられていない体にはかなり堪える

そしてシスメの指示のとおり大きな階段のある大広間に着き高低差を生かすためある程度の高さまで階段を10段飛ばし位の高飛びで超えてゆく

ちょうどよさそうな高さと広さのあるところまで上るとシスメをゆっくりと下ろすとグリーヴからの発熱が止まり光を放っていたラインが消失する
どうやらオーバーヒートを起こしたらしく冷却のため停止したらしい、何とか間に合ってよかったとほっとするが
かなりの速さで走ってきたためか額には汗がにじみかなり息切れも起こしているが休んでいる余裕はない

「了解しました!」
迎撃の準備をという言葉に応じて今来た道へと向きを変える
あのゴーレムから見えるかはわからないが遺跡に入る前物資の中からくすねて来た照明弾を構え先ほど走ってきた闇の広がる道へと向けて放つ
無論ゴーレムをここに呼び込むためでもあるしエルトからやつの注意をそらす意味もある

「こんなところであまり使いたくはなかったんだけど・・・」

そう小さくつぶやくと腰から下げている脇差ほどの長さの筒状のものを手に取り何かボタンのようなものを押す
すると見る間にガチャガチャと機械的な音を立て大きくなり
最終的には巨大な砲塔とでも言えば良いのか、自身の背丈ほどもある大砲へと姿を変えそれを腰に抱えるような形で構える

室内であるため火力を出せば間違いなくいろいろと崩壊する
そのため火力は可能な限り下げるようにダイヤルを回し敵が現れるのを待ちチャージを開始する

威力を出来る限り下げたとはいえエネルギーの収束音とともに周囲はゴゴゴという地鳴りのようなゆれをはじめ
砲身のまわりの空気もバチバチと音を立て稲光のような電撃を放つ

発射の威力に備えるように両足のグリーヴの踵の辺りからスパイクが地面に突き刺さりしっかり足を固定する

>シスメ・エルト

5ヶ月前 No.397

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_PHR

【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

 イワモトの剛腕は球体となった者の両極の間をこじ開けるどこから文字通り粉砕すると、腹部にめり込んだ。一瞬、球体が震えるような感じを見せながらも、自重でイワモトの剛腕から残骸をぶちまけて床に落下する。その正体はアルマジロのような前面と上部を装甲に覆われたゴーレムのような存在だった。球体となって迫り、獲物が自らをかわせば体を展開して襲い掛かる……まさに侵入者を奇襲して排除するにはうってつけの存在だ。
 だがそれも、三人の連携でその役目を終える日を迎えた。
 そう、兵器がその役目を終えるのは平和か、破壊された時だ。
 イワモトの脳裏に僅かに過る、28の『同じ顔の者』と、それを破壊する者。
 共に兵器でありながら、かみ合うことのない歯車はどちらかが壊れるまで回ろうとする。それは戦う道具の運命であり、イワモトはそっと眼前の兵器から目を背けると、右腕を普通の義手に戻した。

 『彼女』の記憶(データ)を見ることはできない。しかし、イワモトの生きている脳は、記憶(メモリー)にそれを残していく。

 「そう、兵器さ……倒したこいつはまぎれもなく……」

 そうつぶやいたイワモトの背中に、賛辞を含めたであろうレイニアの「さすが」という声が聞こえてきたその時だった。

 『さすが…正規品…このくらいの敵は驚異にすらならないってことね』

 『誰? 返答、要求!』

 「誰だ!?」

 ノイのスルトにコンマ遅れでイワモトのベレッタが向けられる。暗がりに溶け込んだその存在は、レフレクター・サイトに捉えられた。しかし、二人の行動はレイニアによって制された。

 『私は…叡智の搾りカス……ねぇ、教えて……キミが選ばれたわけを……』

 相手は老婆のような声で尋ねればこちらを欺くように駆け出した。
 またしてもマリンブルーの瞳の者……その存在の追跡をノイが意見具申する。

 『追いましょう。今回の事件の関係者かもしれません。
 ただし、一人では絶対に立ち向かわず、2人以上で対処すること。いいかね、ミスター?』

 「一人じゃさすがに危険ですからね……正規品の身体とはいえ、無理はできないな」

 先に駆け出した二人を追いかけるイワモト。レイニアに追いつけば、その表情はどこか動揺が見えていた。マリンブルーの瞳が僅かに揺れているのをイワモトの機械の瞳が見逃さない。

 「……聞いてもいいですか。青い瞳の亜人というのは、貴女を覗けばこの国には何人いるのかわかりますか」

 青い瞳ターレットレンズを輝かせながら、イワモトは尋ねた。

>>レイニア、ノイ

5ヶ月前 No.398

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★10Hp6vMtbS_giC

【レイニア&ノイ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

「イワモト、平気? どこか、痛む?」

イワモトの内心を察してわざとしらを切ったか、
彼の痛みを堪えるような表情を見て、それを額面どおりに受け取ったかどうかは分からない。
あえて肉体的にか精神的にか、ぼかした質問をイワモトに投げかけた。
きっと彼のことだから、すぐに何でもない風を装って朗らかに微笑んでみせるのだろう。
本人は上手く隠せているつもりでも、第三者から見れば明らかに無利をしていると分かる顔で。

(似たもの同士…)

ノイは心の中で軽くそう毒づくと、どこか上の空なイワモトの横顔に
疑問を抱きながらも、それ以上は指摘せず顔に出すだけにとどめる。

「プロジェクトの生き残り…? それとも誰かが人為的に彼女を…?
いえ、そんなことは有り得ない…私より後に
――――は作られてはいないはず…そもそもあれは変装という可能性も…」

一方、レイニアもレイニアでどうもあの仮面の女を見てから様子がおかしい。
長年の付き合いであるノイにしてみれば
レイニアの表情の機微はほぼ熟知しているといっても過言ではない。
彼女のことを何でも見通していると豪語できるほど自惚れているわけではないが、
それでも、2番手、3番手くらいではあると自負している。
そんな彼女があろうことか普段は笑顔の奥に上手く隠せている動揺を、
会って間もないイワモトに見破られるほど顔に出してしまっている。
そんな彼女を見ていられず、それとなく袖を引っ張ってみるのだが、
ぶつぶつとうわ言のように独り言を繰り返すだけで何のリアクションも返ってこない。
さすがのノイも堪忍袋の尾が切れた。それはもうぶちぶちと。

「むう……」

ずっとイワモトとレイニアにしか分からないやりとりばかりで
蚊帳の外だったことに鬱憤がたまっていたというのもある。
ノイは「補助のため」という名目で繋いでいたレイニアの左手を
自らの目線の高さまで持ち上げると

「はぐっ!」

その手の甲に容赦なく犬歯をつきたてた。

「づっ……おおっと、なんでした?」

痛みによって強制的に現実に引き戻されるレイニア。
普段はどんな些細なこと(特に他人の恥ずかしい失敗談)も
聞き逃さないほど無駄に地獄耳なレイニアがイワモトの疑問を流してしまうほど
注意力散漫な状態を見て、ノイは頬を膨らませて遺憾の意を示すと、
歯形のくっきり残る主人の左手を開放しつつ、イワモトにも鋭い視線を向ける。

「任務、優先! 疑問、後! 次、上の空、したら、イワモトも、噛む。
質問、内容、青い瞳、アスール、亜人、人数」

髪に隠れて見えないはずのノイの瞳が、
前髪越しでも分かるほど怒りに染まっているのが分かった。
思わず、のけぞったレイニアに、ノイは普段より主張の増した声量で捲くし立てる。
その声に、がるるると獣の唸り声が重なったかのような錯覚を覚えた。
ともあれ閑話休題。ばつの悪そうな顔で頬をかいたレイニアは、
あははと曖昧に笑って場を仕切りなおすとイワモトに向き直る。

「あはは、青い瞳ならたくさんいますよー。確か1262人でしたか、そのくらい。
ただし、“マリンブルーの瞳”で“黒髪”かつ“黒狼の亜人”という
条件に絞るならこのアスールに…いえ、この世界に私一人だけです」

第三者の耳がある場所であることを考慮し、できるだけボカしてみたのだが、
この言葉に含まれる意図は正しくイワモトに伝わるだろうか、
レイニアのくすんだマリンブルーの視線の先には、
壁画の中で、空に向けて咆哮を上げる海色の瞳の獣の姿があった。
そうして話し込んでいるうち、前を探っていたレイニアの白杖がコツンと段差をつついて止まる。

「階段ですね」

曲がり角を曲がってすぐ、横長の階段が姿を現した。
ここまで一本道だったが、この通路の終点であるここにも仮面の女の姿はなかった。
階段に視線が移る。これも魔導大戦時代の技術によるものだろうか。
何の冗談か、クリスタル細工の板が何も固定するところのない空中で固定されて列を成し、
上階へと続いている。その様はまるでヒモのない縄梯子のようであった。

>イワモト



【シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

エルトの時間稼ぎが成功したか失敗に終わったか、どちらかで言うならそれは後者だった。
原因は二つ。
一つは、姿をくらましたエルトを一端 足を止めて探すという
思考を形成できるほど高度な知能を、このゴーレムが持っていなかったということ。
走り出す前に止まることを考えていなかったのだ、この石物は。
ただ目の前にいる敵を圧倒的重量をもって排除するという単純思考。
エルトを追えていたように見えたのはここまでが直線の通路だったからそう見えただけに過ぎない。
そして、もう一つは単純だ。
それは例え頭で分かっていたとしても、止まることができなかったということ。
ゴーレムは単純に勢いがつきすぎていた。
自重を最大限に生かした前傾姿勢による攻撃はゴーレムから旋回性を奪う。
なんとか人型をとっているとはいえ、そもそもが異形といっていいほど簡易化されたものだ。
膝関節がない時点で機動性など二の次に設計されていることが分かる。
エルトの策をあざ笑うかのごとく周囲に乱立する柱をなぎ倒し、
壁を破壊しながらゴーレムは突き進んでいく。やがて、それは―――

ドッゴォオオオオオオオオーーーーン!!

「ひぃ!? な、なんてところから…!」

デウスとシスメのいる階段広間の壁を突き破って二人の前に姿を現す。
正面の門から姿を現すと思い込み身構えていたシスメは完全に不意をつかれた形となる。
衝突の衝撃によってパラパラと細かい破片となった
クリスタルアートな材質の壁の一部がはじけとび、雨の様に二人の頭上へ降り注いだ。
あの宙に浮かんでいる破片すべてを転移魔術で消すことは至難の技と言える。
とっさに立ち上がろうと腰を上げたシスメだったが、これがいけなかった。
急に動いた反動か、ズキリと傷ついた右肩の痛みがぶり返す。

「あづっ!? え………? わっ!? あ、がぐ!?」

ゴーレムが起こした地響きによる振動と、痛みに気をとられて
バランスを崩したシスメは足を滑らせ、階段の中ほどまで転がり落ちてしまう。
周囲の色を混ぜた視界が定まってくるとすぐ目と鼻の先に
駆動エネルギーの中枢たる赤い魔力結晶が瞳のようにぎょろりとシスメを見返したように見えた。
口の中に鉄さび味を感じながらも焦りだけが大きくなっていく。
空から降り注ぐ鋭利な破片と、自分を覆うゴーレムの拳形に肥大化していく影。
ぺしゃんこか串刺しか。どちらも嫌だが、そうもいっていられない。
結局シスメは串刺しを避ける道を選んだ。

「っ…い…た……デ…デウスさん! 破片は消すので迎撃に集中を!」

思わず彼女のことを名前で呼んでしまうが、それを気にしていられるほどの余裕はない。
それだけを口にして体を引きずるようにして後ずさりつつ手に握ったダンタリオンを開く。
デウスの頭上へ降り注ぐはずだった破片を代わりにゴーレムの頭上へ転移させて
しこたま浴びさせてやったのだが、それをものともしないのかゴーレムの拳は止まらない。
加えてカバーできたのはデウスの頭上の破片だけだ、
依然として自分の頭上に降り注ぐ破片は健在のまま。もう転移も避けることも敵わない。
無駄と分かりつつ、思わずシスメは空いたほうの腕で自分の顔を覆った。

>デウス、エルト



【クラウズ&スタルチア/ガイアル区画/ソエリス遺跡/反魂の間】

実にあっけらかんとした言葉と面持ちでこちらを悪い人ではなさそうだと評したレイに対し、
きょとんというオノマトペがつきそうな顔で後ろを振り返るクラウズ。
だが、次の瞬間、彼ははじかれたように体を折ると盛大に破顔した。

「ぷ、く…っ…はははははは!!
いや…っ…すまねぇ…くくっ…別に花の嬢ちゃんのことを馬鹿にしてるわけじゃねぇんだ!
そうかそうか、悪い人じゃなさそうかい俺ぁ!
ははは! こいつぁいい! 嬢ちゃん間違いなく将来大物になるぜ! はははは!」

ひぃひぃとまるで今しがたトライアスロンを走り終えた選手のように
若干呼吸困難になりながらもそう弁解するクラウズ。
しかも笑うばかりでは飽き足らず、ばしばしと自分の腿を手で叩きはじめる始末。
他意はないと言うものの、身なり、態度、その他もろもろ含め、
相当胡散臭いいでたちの彼に、その言葉を裏付ける根拠や説得力は欠片もない。
そのこと常々不憫に思っていたスターチはレイの耳元に口を近づけ、ひそひそと補足する。

「(わたくしはたいそう気に入っているのでございますが、
主様は見た目や態度で損をすることが多く、
あなた様が先ほど口にしたような言葉をかけてもらえたためしがないのでございます)」

だから嫌わないでくださいましね。
と、言葉にはしなかったがそう言いたかったのだろう。
目端に涙を溜めたクラウズがようやく笑いを引っ込めたのか、
水分不足なのに大声をだしたことがたたり、
げほげほと咳き込みながらもレイに顔を寄せるスターチを見やる。

「ん? なんか言ったかスターチ」

「いえ、なんでもございません。
レイ様に今夜の献立のことを相談していたのでございます」

はんなりと微笑みつつクラウズの追求をかわしたスターチは、
ね? と同意を求めるかのようにレイにも小首を傾げてみせる。
このどさくさに紛れてレイを共犯関係に引き込もうというのか、なかなかしたたかだった。
見事に誤魔化されたクラウズはスターチの言葉につられたのか
ぼぉっと中空に視線を向けつつ今夜の献立に思いをはせ始める。

【クラウズ&スタルチア&仮面の女/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

「あー、そうだなぁ…久しぶりに茶漬けが食いてぇな茶漬け!
しゃけほぐしたのが入ってるやつ!
そうだ!ココ出たらよ、お礼に料理を振舞わせてくれよ花の嬢ちゃん。
身内の俺がいうのもあれだけどよ、スターチの料理は絶品なん…だぜ……?」

階段を上り終え、広間にでる。のほほんと今晩の夕食に思いをはせ、
そのまま夕食の話にもつれこうもうとしていたはずの
クラウズの言葉は、突然蛇口をひねったかのように途切れた。
何事かと後ろから覗き込むスターチの表情がソレを見た瞬間、硬いものに変わる。
見覚えのあるマリンブルーの瞳。
そこには鏡の仮面を被った黒づくめが3人を出迎えるように立ち尽くしていた。

「……死と隣り合わせの遺跡めぐりは………気に入ってもらえた…?」

「はっ、おかげさまで大満足だよ、くそったれ。
………よう、仮面の嬢ちゃん。こんなところで奇遇だな? 俺を笑いにでもきたのかい?」

>レイ

5ヶ月前 No.399

狐鈴 @korin29 ★fkYX4WEGOM_jCr

【デウス/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

轟音とともにその巨体が室内へと入ってくる
正直驚いてはいたがシスメほどではなくなんとなくではあるが奴がそうしてくるような気がしていた…
気がしていたというよりも以前にもこのような馬鹿でかい化け物に追い掛け回されたときの記憶というのか

驚きはしたが動揺はせずチャージを続ける
あの化け物を倒すには出力は抑えたとしても80%のチャージはほぼ必須ただじっくりとその様子を見ていたが
自分のすぐ隣を何かがお転げ落ちて行く
むしろそちらのほうに動揺した

チャージの構えになり体は動かせずシスメがお転がり落ちるのを見送るしか出来なかった
そして状況は最悪な方向に向かう
シスメのほうへはゴーレムの拳が、そして頭上からも無数の破片
もはや八方塞ではあったが突如自分の頭上に破片だけが消える
それに加えてシスメの「迎撃に集中を!」の掛け声が…

「あなたは本当に…」

変わらずシスメの頭上の破片は消えていない様子を見ると再び転移魔法を使ったのだろう、それも私のために
そしてその状況は自分は死んでも良いといってるようなものだ

急に強い怒りがこみ上げてきた…
シスメに一発がつんといってやらないときがすまないというそんな怒りで先ほどまでとの方針を切り替える
地面に突き刺していたスパイクを引き戻し脚部のブースターをふかしてゴーレムの拳の正面
シスメとゴーレムの間に入るように飛び出す
無論そのまま空中で振り下ろされるゴーレムの拳と空中で接触するが大砲から左手をはなしそのガントレットでその拳をじかに受ける
だが非力な人間ではそんな拳を受けきれるはずもなく鈍い何かが折れるような音とともに左腕全体から血しぶきが噴出す

が、デウスの表情は笑っていた

「出力臨界点突破…120%」
抑揚のない機械音声がその大砲から鳴り響く
本当であれば60%ほどの威力で撃つつもりであったが先ほど飛び出す瞬間に出力を前回に切り替えていた
最初の姿勢のまま前回の火力で撃てば遺跡全体を破壊することとなり下手すれば倒壊を招く可能性もありえる
しかし今発射する方向は真上

「了解」

かなり遅れてではあるがシスメの迎撃に集中という命令に返答をしその姿勢から右腕のみで大砲を支えゴーレムめがけその大砲を発射する
すさまじい閃光と共にその砲身には見合わないような巨大な光線が放たれその大きさは最初に自分たちがここに落下したときの床の穴に匹敵するほどの大きさだが
その反動はすさまじく発射と同時に空中であったためその勢いで床に叩きつけられ

さらに本来両手で支えなければいけない砲塔を右腕のみで持っていたためかこちらの腕も腕や指から血がにじみ
骨がぎりぎりと軋む音、筋肉が悲鳴を上げる痛みを歯を食いしばりこらえ体地面にめり込みながらもトリガーは絶対にはなさない

>シスメ・エルト

5ヶ月前 No.400

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_QoP

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

(まだ気づかれてはいないな…あとは…)
すぐ脇を猛烈な勢いで走り去っていくゴーレムを見て、目論見道理に事が運んだ物として次なる択に思考を走らせようとする。
(…妙だな…流石にそろそろ気が付いてもいい物だが…まさか!?)
だが考えようとしたところで、ふとまったくもって勢いが落ちていない事に気が付き…そこから考えてもいなかった事実に気が付くまで数秒と言う貴重な時間を浪費した所でようやく己の失策に気が付く事となる。
「…なんだと!?」
あろう事か、ゴーレムは此方を一顧だにする事無く突っ込んでいき…あらぬ地点より、待ち伏せていた部屋へと壁を壊して侵入していった。
(くそっ!!どこで間違った!?)
遅れを取り戻さんと、全力で駆けながらも内心で毒づく。
…先日の試験でもそうだったのだが、相手の力量をある程度推し量る事は出来ても、絶対的な経験の不足はいかんともしがたく…低く見積もる事こそない物の、やや過大評価になりがちであり、結果として読み違えると言う悪癖があるようだ…それを指摘するような人物などいなかったが故に矯正しうる機会が無かったと言う問題であったが。

(間に合え…間に合えよ!!)
手加減抜きの全力での強化は先のゴーレム以上の速度での疾走を可能としてはいるが…それでも確実に時間という物は過ぎ去る物であり、人の身での移動ではどう足掻こうとも一瞬とはいかず…やけにゆっくりと感じられる感覚の中で焦燥が募る。
そうしてようやくたどり着いた広間が見えた所で、突如シスメが階段の中ほどまで転がり落ち…それに拳を振り下ろさんとするゴーレムの腕が見えた。
(間に…合わない!?)
彼我の距離と速度…そして先に見た振り下ろすまでの速度…それらから導き出される答えは絶望的であると言う事だけしか返されず…最悪の事態が脳裏によぎった次の瞬間。
(デウス!?…いったい何を!?)
突如その振り下ろされる拳の位置に、人影が滑り込み…あろうことかその巨碗を、比べるのもおこがましい細さの左腕で受け止め、ほぼ同時に右手に持った大砲らしき砲の銃身をゴーレムに向け、トリガーを引き絞った。
…その砲身から吐き出された光束はゴーレムのその巨碗よりもさらに太く…その圧倒的な火力はゴーレムを押し返したかのように見えた。
(っ!!…無茶をする!!)
だが、それほどの砲を片手で撃った反動と言うのは相応の物であったようで、地面に叩きつけられるような勢いで地に伏せるような形となり…無理矢理に巨碗を受けた左手同様、砲を構えた右腕からも随所から血が滲むように出血していた。
…目の前の惨状を受けて、突如としてここではないどこかの景色が断続的に流れる…その光景の中にはいずれも傷つき、倒れた『親愛なる見知らぬ仲間達』が映り…理不尽な感情と共に怒りがわいてきた。
「もう誰も…死なせない…」
湧き起ったそれらの感情は理屈を置き去りにし、混ざり合って激情となり…余計な思考が削ぎ落され、ただ目的のために意図する間もなく、体が最適な行動を起こすべく自然と動き出す。
「死なせる…ものかぁ!!」
呟くような声音から一転、咆哮のような声と共に、手加減なしに遺跡に浸透していた魔力を吸収…否、それはもはや強奪とも言える程の勢いで収集し、即座に膨大な魔力をかき集める。
(アーティーカノン!!)
そうして得た魔力を一瞬で攻撃魔術に転換し、ゴーレムへと撃ち放つ…それは先の魔術とは段違いの威力をもってゴーレムを粉砕せんとばかりに迫りゆく。
(…まだだ!!)
更に、結果を確認する前に次なる行動に備え、足を前へと進める…直撃すればタダでは済まないであろうが、それでも止めまでさせるとは思っていない…弱点である頭部のコアをどうにかする必要があるはずで…同時にシスメやデウスも既に限界なはずだ…すぐにカバーできる距離にいる必要があるだろう。

>シスメ デウス

5ヶ月前 No.401

ますたあ @ritonetto ★N6ZPthUNsx_nHx

【白月レイ;ガイアル区画;ソエリス遺跡】

私の言葉を聞いた後、クラウズさんは一瞬きょとんとし、次の瞬間大声で笑い始めた。
私はそのようすに、ただただ目をまるくするだけだった。私おかしなこといったのかな
と思っていると、スターチさんが説明してくれた。

「え、えっと、あ、はい、今日の晩御飯なにがいいかなー、あは、あははは・・・」
ごまかすのがあまり得意ではないということが判明した瞬間だった。
そして、ここを出たら食事でもどうかと言われ、顔が明るくなった

「え?いいんですか?うれしい…です…?!」

食事の誘いにOKを出していると、雰囲気がわかった。階段を上がり終えると大きな広間に出て、そこには
あの、医務室にもいた仮面の少女が立っていた。仮面で表情は見えないが、きっとお面のうらは笑っている、そんな感じがした。
後のとき、深くは考えなかったけど、あの少女はいったい何を目的にしているんだろう。
というか、今ここにいることにも疑問です。

「あなたはあの時の…どうしてここにいるんですか?」

今回この遺跡にくることになったのは、あの幽霊騒動が発端で現場には真新しい血が
もしかして

他のメンバーなら犯人らしき少女を見ているのでこの言葉は出ないが、
レイはその少女に出会う前にみんなとはぐれてしまったので、目の前の仮面少女があの血と何らかの関係があると考えるのが妥当である。

≫クラウズさん スターチさん 仮面の少女

5ヶ月前 No.402

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_PHR

【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

 それは、追跡劇が始まるほんの少し前のこと。
 魔導兵器を倒したイワモトに小さな目線が注がれる。キャスケットからベールの如く垂らされた前髪の向こうに深紅の瞳を携えた一人の亜人……ノイの視線がそこにあった。彼を気遣ってかけられた言葉が、イワモトを思考の闇から現実に引き戻す。だが、機械の右腕を眺めれば、小さく笑みを浮かべた。そう、ノイの予想通りに。

 「大丈夫だよ……ただ、朽ち果てるというのは、機械にとっちゃ死ぬのと同じ意味だからね。少し、視線を外してみたくなっただけさ。もう大丈夫だ」

 笑顔とその言葉が、ノイの予想通りに放たれた。彼女がどんな思いでこちらを見ていたかを、イワモトは知らない。

 やがて戦いは静かに風雲急を告げる。マリンブルーの瞳を持つ人物が現れた。こちらを正規品と呼んだ『叡智の搾りかす』を自称する人物が駆け出す。薄暗い場所で黒服など着用されると、生体スキャナーが上手く働いてくれない。同じように長袖を着ているレイニアになら顔面が見えている以上、分析は可能だが向こうは顔すら見えない。ただ、自分と同じように青い瞳を輝かせている。

 「(改造人間……いや、同型のボーグ・ユニット……それとも、私と同じ……いや、俺達ではまだ基準にならない。もしかしたら……)」

 機械の身体に宿る三つの意志がこの疑問に対する答えを得ようとしている。『イワモト』はレイニアの方を見た。聡明な彼女もまた、この事態を飲み込めていないようだ。いや、寧ろこの事態を、自身の中にある『仮説』を否定したい気持ちが溢れているのがわかる。知合って間もないイワモトにさえ、その動揺が目に見える。気を逸らせてみようと思い、先の『質問』を投げかける。ノイもたまらずレイニアの袖を引っ張るが、彼女はそのままだ。そしてついにノイはあろうことに……

 『はぐっ!』

 主人の手を噛んだのだ。

 「お、おい、ノイ……」

 その一瞬、イワモトの思考は止まった。
 チャンネルを回すように映像が切り替わる。

 『はぐっ……』

 左手に痛みが走り、真っ白な少女がこちらを見上げる。

 『気持ちもわからなくはないですが、急いては事を仕損じます』

 そこで映像は途切れた。

 『任務、優先! 疑問、後! 次、上の空、したら、イワモトも、噛む。
質問、内容、青い瞳、アスール、亜人、人数』

 次の瞬間、ノイの剣幕がこちらへ向けられていた。どうやらレイニアと二人そろって上の空だったらしく、レイニアは苦笑いを、イワモトは深く息をついて「わかった」と返した。左手の痛みに違和感を覚えながらであるが。

 『あはは、青い瞳ならたくさんいますよー。確か1262人でしたか、そのくらい。
ただし、“マリンブルーの瞳”で“黒髪”かつ“黒狼の亜人”という
条件に絞るならこのアスールに…いえ、この世界に私一人だけです』

 「……最後の者と、裏切り者……時と場合によっては二人になっていたのかもしれない」

 壁画を見上げながら、機械の腕をかざす。

 「どうやら俺も、貴女告げなければならないことができたようだ。今追跡している存在と、アルカードに鉱石を撃ち込んだ犯人を逮捕して……それからお互いの手札を見せ合うとしましょうか」

 ただし、まだ合点がいくものが足りない。
 そう思いながらイワモトは階段の前で脚を止める。

 「赤いツナギの配管工よろしく、落ちる階段とか……ないよな……」

>>レイニア、ノイ

5ヶ月前 No.403

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★Hb176ibhZK_giC

【クラウズ&スタルチア&仮面の女/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

「レダールの…輝きの…成果を見に来た」

レイの問いに短く言葉を返した仮面の女は、
その一部始終を苦虫を噛み潰したかのような顔で見ていた
クラウズに何かを催促するように顎をしゃくる。女の言わんとしていることに気付いたクラウズは
先ほどまでのリラックスした態度とは一変して神妙な面持ちのまま
幾何学的な紋様の掘り込まれたサイコロサイズの結晶石を懐から取り出して仮面の女に近づいた。

「ちっ…分かったよ。お望みのもんはこれだろ。てめーが雇って使い捨てた
3人のうちの1人がもってたよ。ちなみに3人とも即死だった。
口封じは完璧ってワケだ…最高だな、おい。死んだ3人に対してなんかいうことはねぇのか、え?」

結晶石には、それの元持ち主が辿った末路を示すがごとく、べったりと血に塗れていた。
仮面の女は唯一感情を窺い知れる瞳になんの色も写さないままそれを受け取る。
クラウズの吐き捨てるような口調にも一切動じた様子なく、
結晶石を各部からじっくりと眺め、動作に支障がないことを確認すると

「……そう…始末する手間がはぶけた……」

心底どうでもよさそうな淡白な声でクラウズの言葉に応じた。
クラウズには予想できた反応だが、彼の内心を表すように床に唾棄する音が後に続く。
やがて彼女は手に持った結晶石を壁に向けて掲げると、中から一筋の光が照射された。
光は細分化され、徐々に色をつけ、その中に記録されたものを映像として壁に映し出す。

「レダールは…人ならざるものの獣性を高める…無明の石。
でもまだ完全じゃない…“アレ”を完全な形で…
再び世界に呼び戻すには…もっと純度の高いものが必要になる…」

幽霊騒動の真相が明らかとなる。
響く銃声と、悲鳴。1人の少女とそれを囲む風体の悪い3人の影。
硫黄色の弾道が吸血種(アルカード)の少女に向かって幾重にも尾を引き、
四肢を戒められた少女は銃弾を身に受けながらも、ろくな抵抗もできず苦しげに身を折る。
それは一方的なものに見えた。しかし、やがて事態は急転する。
なんの前触れもなく突如、拘束具を引きちぎり立ち上がるアルカードの少女。
体から立ち上る硫黄色のオーラ、血のように赤く染まった髪と、鋭く伸びた爪、充血した眼。
少女の変化を目の当たりにした3人の悲鳴が聞こえたところで、ぷっつりと映像は途切れた。

「4割型完成といったところね…ああ、楽しみ…
…これでまた一歩……世界を捨てることに近づいた。
キミが絶望したこの世界は……全部私が壊してあげるから」

仮面の女が語る「キミ」とはいったい誰のことを指していたのか、
レイに語りかけながらも、女の意識は別の方向を向いていた。
映像の内容に満足したのか仮面の内側に笑みが広がる。しかし、その笑みを別の笑い声が制した。

「あはは。そう簡単に世界を滅ぼされては困りますねぇ」

>レイ



【レイニア&ノイ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間】

「あはは。大丈夫みたいですよ、ほらこの通り。
それにしてもー、なんというかアレですよねぇ。
戦争遺跡にしては、空中階段なんて随分メルヘンというか少女趣味というか」

空白の目立つ階段を目の当たりにしたイワモトの懸念の声に、ようやくレイニアの顔にいつもの笑顔が戻る。
あえて言及はしないが、ここの作者について
ある程度面識のある彼女は、堪えきれず乾いた笑みを口から落とした。
これはあれなのかギャップというやつなのか。
いや、そもそもこの遺跡は魔導大戦時代のもののなかでも、早期に作られた部類のものだ。
当時の戦争の様子を綴った壁画などは後から描きいれられたものであることも調査で判明している。
随所に散りばめられたファンタジーな意向は、「彼女」がまともだった頃の感性によるものなのかもしれない。
とりとめなくそんなことを考えながら階段を上っていると、ふと聞き覚えのある声が上階から聞こえた。

「ちょっとストップです、二人とも。
女二人…いえ、三人…一人はレイさんと…さっきの彼女のようですねぇ。
あとは男の人が一人と……聞き覚えのない声ですねぇ」

後続の二人を手で制すると同時に、レイニアの頭頂に位置する獣の耳が音を拾う。
この優れた聴覚は、亜人特権のそれというのもあるが、
単純に鈍った目の代わりに感覚が発達したというのもある。
こういうときに役立ってくれるので、あながち盲目というのも損なことばかりではない。
即座に耳に届いた音声から人数を割り出したレイニアは、後ろにいる二人にひっそりと耳打ちする。

「ノイちゃんとイワモトさんは男のほうを牽制して下さい。
倒そうなどとは思わず、牽制にとどめること。いいですね?
私はあの仮面をつけた女の人をレイさんから引き離しますので、手が空いたら援護を。
それではいきますよー 3、2、1…――――」

打ち合わせも早々に、レイニアは階段を駆け上った。

【レイニア&ノイ&仮面の女&クラウズ&スターチ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

『…これでまた一歩……世界を捨てることに近づいた。
キミが絶望したこの世界は……全部私が壊してあげ――』

「あはは。そう簡単に世界を滅ぼされては困りますねぇ」

追いつかれることは予想の範囲内なのかさしたる驚きも見せず、こちらを振り返る仮面の女。
だが、反応が鈍い。この距離なら既にレイニアの射程範囲内だ。
声でこちらに注意を向けさせ、仮面の女に手が届く距離まで肉薄する。
ほぼ拮抗したタイミングで魔導書を開いた二人のマリンブルーの視線が空中で絡み合う。

「ベガ」「……デネブ」

「「ブレードバース」」

互いの魔導書が放つ光に包まれたのを合図に、二人の海色はまだ存在しない剣の柄を握り締める。
初動の踏み込みの差が勝負の明暗を分けた。
互いに半透明の防御壁で出来た剣を手につばぜりあうレイニアと仮面の女。
同じ魔術、僅差の体格、互角の反射神経。
いや、目が不自由な分、仮面の女よりレイニアの方が不利といっていい。
それでも、僅かに初動の早かったレイニアの方に軍配は上がった。
押し返された仮面の女は、床に靴底を擦り付けながら壁際まで後退する。

「はは、いきなり話も聞かずに不意打ちとは作法がなっちゃいねーな国家隊員さんよ。
唯一神フォルなんちゃらも言ってるだろ、不意打ちは泥棒のはじまりだってな」

「フォルラーンでございます、主様」

スターチと漫才チックな掛け合いをしながらも手にオートマチック拳銃の機兵と
リボルバーの神父を構えつつ仮面の女がいる壁際までクラウズは後退する。
レイとすれ違う間際、早く仲間のところまで逃げろとその瞳が告げていた。
その一瞬それた意識の隙間を縫うようにして、長大な炎線が二人の間に割って入る。

「一撃、必殺」

ノイの構えたスルトがクラウズに向けて熱線を放った。
レイとクラウズ、二人の間を分かつようにして放たれたそれに、クラウズは堪らず距離をとる。

「うおっ!? あぶねぇな――って、おいおい、なんの冗談だよこれは。
こんな年端もいかねぇ坊ちゃんまで戦わせてんのか、アスールは?」

まだ幼いノイを気遣うセリフは、状況が状況なら好印象を伴って受け入れらていただろう。
だが、この局面に限って言えばそれは逆効果でしかなかった。彼はとんでもない間違いを犯していたのだ。
それはもう砂糖と塩を間違ったとかいうレベルの間違いではなく、
塩と塩酸を間違った、くらいの致死レベルの間違いを。まぁ、要するにあれだ、禁句だったのだそれは。

「男、違う!」

ノイの怒りを代弁するかのように、スルトの砲身が赤熱する。
クラウズの無礼に憤ったノイの感情を薪に、より威力を増した火線が再びクラウズを襲った。

>イワモト、ALL



【シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

振り下ろされる石の拳。このままいけば痛みを感じる暇もないほど一瞬にして死が訪れるだろう。
それでも怖いものは怖い。
最善は尽くした。冷静な自分がそう告げる。
まだ死にたくない。わがままな自分がそうこぼす。
既にゴーレムが落とした拳の影はシスメの上半身を飲み込むほどに肥大化している。
死を覚悟したそのとき、遠くにいるはずの人物の声がすぐ耳元で聞こえた気がした。

『あなたは本当に…』

その声には呆れよりも怒りが多く含まれているように感じた。
轟音が迫り、やがてそれは信じがたいことにシスメのすぐ頭上で鈍い音を立てて止まった。
恐怖につぶった目をおそるおそる開けてみる。
そこには、左手からおびただしい量の血を流したデウスの姿があった。

「え……? あ…」

一瞬、何が起きたのか理解できなかった。眼鏡に滴り落ちた鮮血がシスメの視界を僅かに奪う。
次いで耳をつんざく音と、フラッシュを幾重にも焚いたような光が
シスメの五感を根こそぎ奪った。遅れてその発生源がデウスであることに気づく。
思わず、肩の痛みも忘れて、床に叩きつけられた彼女の元に駆け寄る。

「ミレニア候補官!? なにをしているんですか!?」

ようやく理解が追いつく。
なんてことはない。ただ彼女は“受け止めて” “反撃した”のだ。
このように書き出せば容易なことに思えるかもしれない。
ただそれは人の枠で成しえるには大きすぎる無茶だ。
その代償として、彼女の腕から少なくない量の血が溢れ出している。
骨も折れているだろう。

(血が…こんなにたくさん…こんなに……私が…私を……かばったせいで……)

どうしてこんなことになっているのか理由は明白。
裏目に出たのだ、自分の行動が。だが、そんな罪悪感が浸る間もなく事態は急を告げる。

『死なせる…ものかぁ!!』

側面から割り込むように放たれたエルトの攻撃はゴーレムの腕を突きぬけ、その余波で天井を割り砕いた。
彼の一撃を受け、ゴーレムの上体が大きく傾く。
そして、そのままドスンと尻餅をつく形で床に倒れこんだ。
立ち上がろうと床に腕を突っ張るものの、蓄積されたダメージは大きく、
形を維持できなくなったのか、結合の解けた腕がさらさらと砂化しはじめている。
ボディにも大小さまざまな亀裂が走り、
体の一部と思わしき破片がぼろぼろと床に撒き散らされていた。

「私が…! あ…」

絶好のチャンスに思わずダンタリオンを開きかけた
シスメだったが、何かを思い出したように顔を伏せた。
自分に攻撃系の魔術は使えない。
加えて非力な自分では弱点である顔の結晶を砕くことさえ叶わないだろう。
唇を噛み締めたシスメは結局

「エルトさん!!」

情けなくも他力に縋るより他なかった。

>デウス、エルト

5ヶ月前 No.404

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_QoP

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

「うぉぉぉっ!!」
先に放った魔砲は、デウスの砲より放たれた光線と競り合っていたゴーレムに横合いから刺さり、貫き、余波をもってその巨体を地へと引きずり倒した。
その最大の好機を逃す理由はない…咆哮と共に進める足にさらなる力を込め、一気に肉薄せんとする。
その途中でシスメがこちらを呼ぶ声が聞こえ、一瞬だけそちらと目配せをしつつ、これまで出番のなかったアルカナイザーの柄に懐から取り出した鉄片を投入…発動させるための準備を完了させる。

(曲がりなりにも古代技術の核…タダの鉄塊では傷すらつかないだろうが…)
そうしている内に倒れ、一部が砂化しつつあるゴーレムの至近距離にたどり着き…その眼前にたどり着く直前に、勢いをつけてその腕を突き出さんと半身を捻る…無手であるはずのその左手を。
(ぐ…ぬぅ…!!)
そうして発動させたのは先に発動させた物と同等の『魔力の強奪』…いかなる魔導具であっても、その強度を維持するためには魔力を使うのは多少の例外はあれど、共通の事であり…ましてやこのゴーレムは核を通じて外部の魔力を供給される類の物だ。
…周囲の魔力が枯渇、無いし急激に減少などしようものなら不具合の1つや2つ出てもおかしくはないはずだ。
しかし、短時間での連発ともなるとその負荷は大きかったようで…体中の血管がまるで沸騰したかのような熱を持ち、暴れ回るっているかのような痛みが走り、意識が一瞬飛びかけた。
「でやぁ!!」
だが、ここでそんな悠長な事が出来るわけも無く…気力で強引にそれを無視し、吸収した魔力をアルカナイザーにつぎ込み、刀身を構成させてその赤い結晶体に全力で突きを放つ。
…直接その核からの魔力を吸い取れれば最上の結果ではあったがそこまでの期待はしていない…何らかの防護措置が無いとも限らないし、第一ここまで強引な異能行使は初体験であり、未知数な部分がある。
それでも、少なくともこの数秒の内に奴に魔力を供給する方法はないはずだ…ならば全力であれば押し切れる可能性は十分にある。

>シスメ デウス

5ヶ月前 No.405

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_PHR

【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡/開戦の間―終極の間】

 「……今のメモリーじゃこの階段に仕掛けがあるのかと疑うけど……昔はきっと、もっと違う眼で見ていたのかな……」

 レイニアの笑顔に安心しつつ、どこか懐かしむように階段をあがるイワモト。足取りは軽く、しかし手にしたベレッタはいつでも撃てるように左手でくるくるとガンスピンが繰り返される。楽しみながらもどこか警戒して、そして少しばかり震える機械の右肩がほんの僅かな恐怖を訴えていた。しかし、運命はそこで待ったをかけてくれない。

 「ここを作った誰かさんは……独りでこんなばかでかい要塞を拵えてまで何を求めていたんだろうか……独りは嫌だというのを知っていたはずなのに。殻を作ったところで、満たされる何も……」

 『ちょっとストップです、二人とも。
女二人…いえ、三人…一人はレイさんと…さっきの彼女のようですねぇ。
あとは男の人が一人と……聞き覚えのない声ですねぇ』

 「……聞こえる」

 イワモトのヴィジョンに3つの波状音声グラフが表示される。レイの声は『Ray』、先ほどのマリンブルーの女は『Bogy(幽霊)』、男の声は『J.D.(John Doe=正体不明の男)』に分類されている。

 <ちっ…分かったよ。お望みのもんはこれだろ。てめーが雇って使い捨てた
3人のうちの1人がもってたよ。ちなみに3人とも即死だった。
口封じは完璧ってワケだ…最高だな、おい。死んだ3人に対してなんかいうことはねぇのか、え?>

 <レダールは…人ならざるものの獣性を高める…無明の石。
でもまだ完全じゃない…“アレ”を完全な形で…
再び世界に呼び戻すには…もっと純度の高いものが必要になる…>

 イワモトの音声メモリーに録音されていく会話。
 役者は揃った。まさかレイの前に犯人と黒幕と思わしき人物がいる。目的はわからないが、亜人を、そしてアルカードの少女をあんな目に遭わせた連中を許しておくわけにはしかない。もしもに備えて全裸……もとい黒の強化軟質繊維のボディ、すなわちモーフィング解除形態になると、カートリッジを一つだけ義手に差し込み、残りは右大腿のチャンバーに収納した。

 『ノイちゃんとイワモトさんは男のほうを牽制して下さい。
倒そうなどとは思わず、牽制にとどめること。いいですね?
私はあの仮面をつけた女の人をレイさんから引き離しますので、手が空いたら援護を。
それではいきますよー 3、2、1…――――』

 小さく頷いて、音もなく跳躍する。

 最初に仕掛けたのはレイニア。マリンブルーの女を引き離し、壁際に追い詰めた。

 『はは、いきなり話も聞かずに不意打ちとは作法がなっちゃいねーな国家隊員さんよ。
唯一神フォルなんちゃらも言ってるだろ、不意打ちは泥棒のはじまりだってな』

 男の毒づきを意に介さず、レイと男の間を攻撃するノイ。イワモトはレイの背後から彼女を引っ張り射線から離れさせる。

 「レイ、無事かい? 遅くなってゴメン」

 とりあえずレイを気遣うが、『男の子』と言われて激情したようで、ノイの第二射が男を狙い……

 「ノイ、ダメだ!!」

 咄嗟に義手を飛ばし、男に直撃しないように盾になる。やがて熱線を照射されて真っ赤に変色した義手はイワモトに戻り、イワモトは再び跳躍して男とノイの間に入れば、その男……クラウズにベレッタを向ける。

 「生憎だが尋問の予定があったのさ。会話は聞かせてもらった。キサマらが何の罪もないアルカードの少女にレダールを撃ち込んだのは録音してあるぞ。ここで降伏しろ。抵抗は、無意味だ」

 こちらも透き通ったコバルトブルーのターレットレンズを向けながら、クラウズに呼びかける。

>>レイニア、ノイ、レイ、クラウズ、スターチ、ALL

5ヶ月前 No.406

ますたあ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ガイアル区画:ソエイル遺跡】

仮面の少女は私の問いに答えてくれた。だがその内容は決していいものではなかった

「人ならざる者の獣性を高める?それってどういう…」

私が全てを言い終える前に、少女はまた何かを取り出した、それは壁に映像を映し出した。そこには残虐で恐ろしい光景が映し出されていた

私は俯き、こぶしをぎゅっにぎり

「レダール、それが何なのか私にはわかりませんが、それを取るためにさっきの人たちを雇いこの遺跡が危険であると知りながらこんな…人の命を何だと思ってるんですか!?」

と私が声を荒げるとそこへレイニアさんとノイさんが来てくれました、ですがなぜかクラウズさんにまで敵意を向けている

「まってください!その人たちは!」

私が止めようとすると今度は後ろからイワモトさんが私の手を引き、声をかけてきた。
「い、イワモトさん、ち違うんです。あの人たちは私を助けてくれて、それにあの鋏の方は、私のお友達なんです!!」

>>イワモト クラウズ ノイ レイニア 仮面の少女

5ヶ月前 No.407

狐鈴 @korin29 ★fkYX4WEGOM_jCr

【デウス/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

意識は遠のきあの巨大な化け物はどうなったのかはわからない
正直自分が生きているかどうなのか、それすらはっきりしていない

今わかるのは左の腕、肩から先の感覚がまったくないことと右腕が激痛なのか痺れなのかまるで動かないこと
周囲の音もどこか遠く聞こえ自分が放った攻撃により天井に開いた穴を見上げることしか出来なかった

体は深く地面にめり込みその発射の反動と衝撃を物語る、左腕については目も当てられない有様だ
一応形状は保っているが骨が折れてるというよりは砕けているのだろう一部間接ではない部分がゆがんでやや曲がっているが
ゴーレムの攻撃を受け止めたときの腕への付加で破裂した血管により腕全体が真っ赤に染まっていてその衝撃の激しさが伺える

右腕のほうはと言うと腕の骨などは無事のようではあるが発射の衝撃の圧力でこちらも一部血管が破裂しているがそれ以上に発射されたときの熱で大火傷をしたかのように焼け爛れていた
ガントレットをはめていなかったせいか生身の腕にはあれほどの砲撃の熱量はかなり厳しいものがあったらしい
大砲のほうも無事ではなく黒い煙を噴き上げ銃身は溶解してとても使い物になりそうにない

また地面に衝突したときにに負った傷か周囲の地面にも赤黒い血痕が残り服をじわじわと赤く染める


自分の行ったことは間違いなく最善策ではなかっただろう
もっと上手くできたのではないかと…しかし後悔はまったくない

こうして2人は何とか生き残れたのだ、結果として考えればデウスにとってそれだけで十分であった


片腕のガントレットはあの吸血鬼に投げつけ紛失してしまい、もう片方のガントレットは先ほどゴーレムの攻撃を受けたとき粉々になってしまった
脚部のグリーヴもエネルギーをすべて武器に送ってしまったためエネルギーはすっからかん、ナノマシンを稼動させることも出来なくなりまさに八方塞である

自分ではまるでどうすることも出来ず情けない話ではあるが2人に任せるほかない
静かに目を閉じ弱々しくかすかな呼吸をしてデウスはその戦いの行く末を待った

>エルト・シスメ

5ヶ月前 No.408

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★OrKVl26wxx_giC

【レイニア&ノイ&仮面の女&クラウズ&スターチ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

幾度となく交わる黒と黒。
防御壁で構成された刃同士が打ち鳴らされる度に、仮面の女の頭の中に記憶が浮かんでは消える。
私は知恵をもっている。それは単に記憶力や頭の回転速度の話ではなく、
太古に失われた技術、現代では知りえない記憶の数々を、ある経緯から私は手に入れた。
ただ、包丁が使い方を誤れば凶器となるように、
知恵が常に授ける側の意図通りに伝わるとは限らない。
最初は誰もが感謝の言葉を口にした。こちらが与える知恵に感謝し、
こちらが望む望まざるに関わらず頭を垂れ、しまいには救世主だともてはやした。
だが、人というものはやがて順応し可能性を追求していく生き物だ。
それ自体が悪いことではない、と当時は考えもしたが、発端は善意に溢れたものでも、
最終的に人の手が加わることで事態は決まって悪い方向へと転がった。
娯楽のない集落へ提供した車の玩具のモーターが軍用車に転用され、幾多の人と家を轢き潰した。
飢餓の大地に根付いた村へ提供した農薬が毒薬に改良され、
大陸中に消えることのない毒を撒き散らした。果てには、花の蜜を集めて作った
香油の成分が改良、濃縮され、老若男女問わず嗅いだ者の精神を焼いた。
そして、最後には皆、決まってこう言うのだ。
「おまえのせいだ」と。
その身勝手さに憤ったわけではない。その傲慢さに呆れたわけでもない。
自分が得たのは喪失感だけだった。その瞬間から何かが自分の中から消えうせた。
今は、その失った何かがどんな感情だったのかさえ覚えていない。
その虚無を反映したマリンブルー瞳がレイの姿を写す。

『人の命を何だと思ってるんですか!?』

「世界には何十億という人種がいて、今も数を増やし続けている。
その内の数パーセントが息絶えたところで何が問題なの?」

心底理解できないといった風に仮面の女は首をかしげた。
レイの敵愾心を煽るためにわざとこうした言葉を選んだわけではなく、
それは純粋な疑問として出た言葉だった。
仮面の女はレイの怒りを、そこに至るまでの感情の流れを全く理解できなかったのだ。
どうやら彼女の倫理観は善悪の区別が付かない幼子のような危うさの上に形成されているようだった。

「何者なんですかねぇ、貴方。 どうして禁忌の獣の姿を騙るんですかー?」

彼女の感情はレイにとって害にしかならない。
見るに見かねたレイニアは彼女の口上を遮るように返す刃で右肩を強打する。
たまらず打たれた肩をかばいながら、さらに壁際へと後退する仮面の女。
ダメージを受けたにも関わらず、仮面の裏側にはさらなる笑みが広がっていた。

「……私は、キミが辿るかもしれなかった…道の一つだよ……」

「あはは、答えになっていませんね〜。これだから思春期の病こじらせ系は」

しばらく鏡写しの動作でレイニアと刃を交えていた仮面の女だったが、
何度か打ち合って適当なところで身を引いた瞬間、唐突にその姿が掻き消えた。
一人取り残されたクラウズは重い空気に耐えかねたかのように、ぽりぽりと指で頬をかく。
こちらに銃口を向けるイワモトと、必死に庇いたてるレイ、
防御壁の刃を手に神妙な顔つきのまま微動だにしないレイニア、
煙の尾を引く銃口をこちらに向けながらもイワモトを撃ってしまいわたわたするノイを
しばらく目を細めて窺うクラウズだったが、
やがて観念したかのように魂まで吐き出すような長いため息をつくと、ぽつぽつと語りだした。

「(友達、か……ああくそ、顔がにやけやがる。やりにくいったらねぇな)
いけねぇなぁ、いけねぇよ…花の嬢ちゃん。簡単に人を信用するなって教わらなかったか?
敵か味方かで言うなら…敵だよ、俺達は。
これだから疑うことを知らねぇあまちゃんは騙しやすくて助か――」

我ながら今年の主演男優賞を狙えるくらいの名演だったと思う。
顔に浮かべた獰猛な笑み、憎たらしさ満載の声音、おおげさすぎない身振り。
しかし、それも失敗に終わる。他ならぬ隣のパートナー殿によって。

「主様」

咎めるような口調なのに、今にも泣き出しそうな表情なのはどうしてなのか。
しかし、古来より男は女のなんとやらには弱い生き物なのである。
そんな顔をされては幕を下ろすよりほかなかった。
完全に出鼻をくじかれたクラウズは、隣のスターチことスタルチアにひっそり耳打ちする。

「(いいんだよ、スターチ。これで。
傷つけられた側からしてみりゃ、こっちの都合なんざ知らねぇよって話になるわな。
どんな事情があれ、人を傷つけた免罪符にはなりゃしねぇよ)」

ごほんと咳払いをして息を整えるとクラウズは続ける。

「それに戦う理由なら花の嬢ちゃんになくても、
そっちの義手のにいちゃんやそこの狼の嬢ちゃんにはあるんじゃねぇか? 例えば…」

一呼吸置いたクラウズはおどけた仕草で両手を挙げた降参のポーズを取ると、
オートマチックハンドガンの機兵だけを腰のホルスターに戻し、
手元に残ったリボルバーの神父のシリンダーのみを外してイワモトの足元に放ってみせた。
カラカラと音を立てて転がったシリンダーは、ほどなくしてイワモトの爪先で止まる。

「もし俺が入隊試験前日に起こったシアンスロープ獣化騒動の主犯だと言ったらどうする?」

過去に規格のない構造とオリジナルのエングレーブ。
この二つの特徴に見覚えはないだろうか。そう、それはまごうことなく入隊試験の前日、
獣化騒動のあった現場でセキアが発見したものと瓜二つだった。
もはや言い逃れようもない。
その凶行に使用された証拠の品は、イワモトの下で確かに光を反射していた。
表情の死んだ顔で転がるシリンダーを見送ったクラウズは
おもむろにタバコを取り出すと、口にくわえるだけに留めてイワモトの顔を見やる。

「はは、勇ましいねぇ、義手のにいちゃん。
降伏はしねぇが尋問は受けてやるよ。ちょうど邪魔者もいねぇことだしな。
これ以上の腹の探りあいは気持ち悪くていけねぇや。なにが聞きたい?」

きょろきょろと周囲を見渡して仮面の女の姿が
どこにも見当たらないことを確認したクラウズは、何故かそんな提案を口にした。

>レイ、イワモト



【シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

エルトの放った一撃は狂いなくゴーレムの中枢部の中心を捕らえた。
だが、それだけでゴーレムの動きは止まらない。
両手のひらを指をそろえたパーの形にしたゴーレムはエルトをその中へ押し込まんとする。
いわゆる即席のプレス機といったところか。動きの鈍い単純な攻撃だが、
アルカナイザーを深く突き刺している今なら逃れようがないと
そのバケツ頭で思考したのか、単純に必中の攻撃方法だった。

「エルトさん! 逃げ―――」

『でやぁ!!』

シスメの心配の声をよそに突如、狂月のごとき赤い輝きを放っていた魔力結晶から
色が抜け落ちていき、エルトを狙って幅を狭めていた手が
彼の眼前で指先から黄砂となってさらさらと崩れ落ちていく。

「終わっ…た……?」

やがて、体の大半を砂と化したゴーレムは、
エルトのアルカナイザーの刀身に輝きを失った赤い宝玉のみを残して完全に沈黙した。
何が起きたのだろうか。エルトが何かをしたというのは明らかだが、その内容までは分からない。
明後日の方向へ逸れかけた思考が、いや、とそこでストップをかけた。
疑問の解決よりも先にしなければならないことがある。

「デウスさ……う………」

意識の混濁した彼女に語りかけようとしたのだが、その出血量の多さに言葉を失う。
素人目に見ても、彼女の怪我はひどいものだった。
左腕は、良くて複雑骨折。最悪の場合、失血の影響で後遺症が残るかもしれない。
右腕のほうはというと、肌のほとんどが焼け爛れていて、無事な部分を探すほうが難しいという有様だ。
加えて、こうしている間にも血だまりの面積は増え続けている。
思考がゆっくりと冷えて停止していく。
彼女が完璧に意識を取り戻したとき、どんな顔で彼女と向き合えばいいのか、
なんて言葉をかければいいのか。怪我の具合によっては彼女の夢を奪うことになる。
そこまで思考が飛びかけたシスメだったが、

「………っ!」

パンッ!と両頬を叩いて雑念を強制的に追い払った。
頬に大きな紅葉を二つ咲かせたシスメは、
おもむろにコートを脱ぎ捨てると躊躇なくソレを細かく裂き始めた。

「エルトさん、なにか当て木になりそうなものを!
こちらは止血に専念したいので、なんとか見つけてきてもらえませんか!」

この際なので無礼を承知で戦闘を終えたばかりのエルトに声をかける。
当て木を探すよう彼に指示したシスメはデウスの処置へと移った。
下手に動かすと傷が開きかねないので、まず目視で確認できる出血のひどい部分だけを
転移魔術を駆使しながら今は布片となった上着で止血していく。
巻くそばから赤く染まっていくので、流れ落ちた血は転移魔術で体内へ少しずつ転移させていく。
針に糸を通すような作業が続く。さすがのシスメもこんな緻密な転移を行使した経験は過去にない。
転移魔術の効果範囲が狭いため魔力消費は微々たる物だが、
肩の怪我で消耗した精神が、がりがりと音を立てて削られていく。
だが、やるしかないのだ。顔面蒼白になりながらも残る魔力を振り絞って応急処置を続ける。

「不快です…絶対に死なせませんよ。貴方には今の件で言いたいことが山ほどありますし、
ようやく、ようやく、私にも後輩ができたんです。
まだ…苦労話や愚痴の一つも聞いて…っ…もらってないのに…」

冗談めかすことでのりきろうとしたのだが、上手くいかなかった。
そこまで言って堪え切れなかった涙がぼろぼろとみっともなく零れ落ちた。
真に泣きたいのはデウスのほうだろうに。眼鏡の下から乱雑に袖を使ってそれを拭うと、
ぐずぐずと鼻をすすりながらも手だけは止めない。ただ無心に処置を進めていく。

>エルト、デウス

4ヶ月前 No.409

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_QoP

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4ヶ月前 No.410

隊長機モルガン @type14 ★BUzhF4mm8n_PHR

【ジョージ・イワモト/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

 『い、イワモトさん、ち違うんです。あの人たちは私を助けてくれて、それにあの鋏の方は、私のお友達なんです!!』

 「……撃ちはしない。今はね」

 レイの思わぬ言葉に『人間的に』動揺しかけたイワモト。短く返すも胸中は穏やかでない。レイは真っ正直な少女だ。純真な心には嘘ややましいことなど生まれてすらこない。経緯はわからないし、クラウズとスターチがどのような接触をレイと果たしたか不明である以上、レイの言葉を信じるしかない。
 一方で仮面の女の方はといえば、レイニアと魔法の刃で切り結んでいた。その姿にイワモトもメモリーをよぎるものがある。

 『……私は、キミが辿るかもしれなかった…道の一つだよ……』

 その言葉に、イワモトの中の何かが確信する。
 そう、彼女もまた、プレゼンスによって創られたものなのかもしれない、と。

 やがて仮面の女は去り、残るはクラウズとスターチだけになった。降伏は勧告した。少なくとも戦闘続行可能な国家隊員が三人。数の上でも、地の利でもこちらが有利だ。しかし、クラウズは笑っていた。
 ―本心かどうかは、機械の目はとうに見破ってはいたが……

 『敵か味方かで言うなら…敵だよ、俺達は。
これだから疑うことを知らねぇあまちゃんは騙しやすくて助か――』

 その言葉も、スターチなる従者の言葉に遮られた。僅かな沈黙が、クラウズに芝居をやめさせる勇気を与えたらしい。武器をしまった彼がこちらに放り投げたのは、あの忌まわしき銃のパーツ……

 『それに戦う理由なら花の嬢ちゃんになくても、
そっちの義手のにいちゃんやそこの狼の嬢ちゃんにはあるんじゃねぇか? 例えば……もし俺が入隊試験前日に起こったシアンスロープ獣化騒動の主犯だと言ったらどうする?』

 「……実行犯だと言ったら、自供を信じたな」

 シリンダーを手にしてベレッタを左大腿を開いて出てくるホルスターに納める。

 『はは、勇ましいねぇ、義手のにいちゃん。
 降伏はしねぇが尋問は受けてやるよ。ちょうど邪魔者もいねぇことだしな。
 これ以上の腹の探りあいは気持ち悪くていけねぇや。なにが聞きたい?』

 「ロボットに恐れはない。まあいい……尋問に付き合ってもらえるなら、俺からは三つ聞きたい。レダール・バレットを撃ち込んだ理由、事件の黒幕、そして……君たちが加担した理由だ。返答は唯一神の御導きという理由だったら受け付けない。神ではなく人の教えだが、ひとかどの悪党を名乗るのなら、悪党らしくここいらで普通の人間の心に立ち返っても悪いことではないと思う。せっかくうちの仲間が『友達』と言ってくれてるんだからな」

>>レイ、レイニア、ノイ、クラウズ、スターチ

4ヶ月前 No.411

ますたあ @ritonetto ★iPhone=gWqlrtM9V5

【白月レイ:ガイアル区画:ソエリス遺跡:終焉の間】

『世界には何十億という人種がいて、今も数を増やし続けている。
その内の数パーセントが生き絶えたところで何が問題なの?』

そう語る仮面の少女の言葉に身を震わせ、俯く。彼女はそう命の尊さという言葉がわからないようだった。言い返そうと思ったが、レイニアさんに止められて、何も言えず彼女は姿を消した。




そして、私がクラウズさんたちを庇い友達だというとクラウズさんが急にさっきまでとは変わった雰囲気で語り出す。

「え、それって…そんな。スターチさん嘘ですよね。だって私嬉しかったんです。
作られた目的がどうであれ自分が何をするのか大事だって言ってくれて、存在していいのか悩んでた私も救われたんです。それにもっと知りたいあなたのことも、あなたをつくった魔女さまのことも」

クラウズさんではなくスターチさんに語りかける。種族は違うけど、同じ境遇のスターチさんと仲良くなれて嬉しかったのに、どうして

>>クラウズ スターチ イワモト レイニア

4ヶ月前 No.412

狐鈴 @korin29 ★iPhone=qvjA9NxDRw

【デウス/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

大きなものが崩れる音が聞こえ、自分たちにかかっていた大きな影が消えるのがわかった
おそらくエルトとシスメがあの巨人を倒してくれたのだろうと
というのも失血が酷すぎることでもはや視界がはっきりせず意識も安定しない

しかしながら駆け寄ってきてくれた影があるのはわかった
そして処置をしてくれている

これほどの大きな怪我を負ったのは何十年ぶりだろうかと思う
以前は自分の数を見て死んだかもう助からないと判断されたのかそのまま置き去りにされたが…
今は違うようだ、いや仮に助からないとしてもここの仲間達には関係ないのかもしれない

歪んだ視界の先に見えるシスメと新たな姿
そちらに話しかけようと口を開いた瞬間

「がはっ…」

口から吐き出されたのは言葉でなく多量の血
想定外だった反動で地面に叩きつけられた時かなり内臓へもダメージが入っているらしく
頭部をぶつけた時の衝撃で体の痛覚が麻痺しているのか自分の内部のダメージに気がつかなかった

だが痛覚が止まっているはある意味正解か
こんな怪我ではおそらく痛みですぐに意識が飛んでいるか悲鳴をあげていたかもしれない

できる限り余計な心配をかけさせないために次に吐き出しかけた血を歯を食いしばり無理やり飲み込みシスメに向かい弱々しい声で一言

「ご…めん…な…さ…い…」

これを発するだけで精一杯だった

エルトも治療をしてくれるのか不思議な術で宙から様々動画が降ってくる
その中に先ほど吸血鬼に向かって投げつけたガントレットがあることに気がづき
動かない手を必死に伸ばす

まだあれならナノマシンが残っているかもしれないと考え装着しようとするが
手を伸ばすどころか指すら動かない

情けないがどうやら今の自分はこの二人に任せるしかないようだ…
助けてもらえたらこの手厚い看護への感謝と謝罪をしないといけないなと感じつつ改めて自分の無力さを実感した

【いえいえー!むしろここまで持ってきていただいて嬉しい限りです】

>シスメ・エルト

4ヶ月前 No.413

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★Yf86hDZeCR_OzI

【レイニア&ノイ&クラウズ&スターチ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

レイの言葉をスターチはただ俯いたまま黙って聞いていた。
何かを堪えるように彼女の手が隣に立つクラウズのコートの袖を掴む。
黙したまま何も言葉を返さないスターチを見て、彼女の心中を察したのか、
ぼりぼりと頭を掻いたクラウズは彼女の言を促すかのように厚い布に覆われた肩に手を置く。

「…だとよ、スターチ。ほら、その、あれだ。
唯一神フォルなんちゃらも言ってるだろ。
どこに住むかより誰と住むかってな。その、なんだ…お前さえよければ無理に俺と来――」

やおら口を出かけたクラウズの提案はしかし――

「それから先を口にしたら例え主様といえど容赦いたしませんわ」

ズドォン!と巨大な大鋏が彼の爪先ぎりぎりに振り下ろされることで止まった。
スターチの体から立ち上る濃度の高い余剰魔力のオーラに、思わずひきつった顔で後ずさるクラウズ。
ここ最近は穏やかな様子の彼女ばかり見ていたので忘れていたが、
彼女には踏みこんではいけないラインがある。いや、この場合は地雷原というべきか。
空気を入れすぎた風船のように。あるいは吹き零れる寸前の大鍋のように。
何かの拍子に均衡を崩せば、彼女は鬼神のごとく荒れ狂うのだ。
割と比喩では済まされないレベルで。修羅を彼女の瞳の中に垣間見たクラウズは静かに口をつぐむ。

「先ほど貴方にかけたわたくしの言葉に嘘偽りはございません。ですが…」

平静を取り戻したスターチは真っ向からレイの視線を受け止めると、
自身の言葉を確かめように一言一言ゆっくり話し出す。

「何か勘違いしているようですわね。誰に命じられたわけでもない、
わたくしはわたくしの意思でここにいるのでございます。他の誰でもないわたくし自身の意思で」

自らの言葉に偽りはないと言いたげにそう言い放った。
レイの言葉がまるで心に響かなかったといえば嘘になる。
少しだけ出会う順番が違っていれば、この先ずっと彼女の隣で笑っている、
そんな未来も有り得たかもしれない。ただ、少し違いがあるとすれば――

「未来永劫お供いたします。例えそれが地獄へ続く道だとしても。
わたくしの一番は主様、貴方ですので」

その目は再び、隣にいる主(マスター)と定めた者の姿をその中に納める。
申し訳なさとは違う、どこか諦観を滲ませた笑顔がスターチの視線を受け止める。
汚れた手は誰も触れたがらない。そんなつまらない固定概念を打ち壊してくれた、
あの日、こちらに手を差し伸べてくれた少年の今も変わらない笑顔を
今、目の前にいる青年の中に垣間見たスターチは確信する。少しの違いだが、大きな違い。
だからこそ彼を優先する理由は、それだけで十分なのだ。
そんな二人のやり取りの後、イワモトからこれまでの事件について説明を求められる。
ロボットに恐れはないと豪語するイワモトに、
隣にいるスターチを一瞥しながら軽く鼻を鳴らすと、順を追って事の全容を話し出した。
実験というには荒唐無稽すぎるその計画の一端を。

「恐れはない…ねぇ。本当にそうかい? まぁいい……一つずついこうや。
俺は教都レヴァーン、フォルラーン教会所属。異端審問官のクラウズ・フォルマーカー。
こっちは補佐のスターチ。レダールバレットを撃ち込んだ目的は、実験だよ」

砂を噛みながら話しているかのような据わりの悪さを感じながらクラウズは続ける。

「レダールは大なり小なり獣の因子を持ってる奴の理性を奪い、
強制的に獣化させる効果をもってる。だが、この世界じゃもう亜人種の数は極端に減っちまった。
実験しようにも実験体がいないんじゃ話にならねぇ。それでここが選ばれた。
右も左も亜人だらけのこの国はレダールの実験にうってつけだったってわけだ」

話を進めていく間にも心底気に入らないという様子で言葉の端々に棘が混じる。
気を落ち着けようと咥えたまま放置していた煙草にライターで火をつけると、
その鬱憤を全て吐き出すかのように歯の間から紫煙をふかした。

「次にこの事件の黒幕についてだが、十中八九あの女だろうよ」

いまいち歯切れの悪い物言いは、まだ彼も事の全容を掴みきれていないことを表していた。
下っ端ゆえに機密情報の一切が遮断されているのか、
それとも意図的な情報操作がされているのか不明だが、
断定に至るまでの裏づけはあるらしく、確信のある物言いだった。

「元々、俺らビルガリスの民は国から国へと渡り歩き、神の教えを広めて回る流浪の民だった。
旅の行脚僧と言われれば聞こえはいいが、どうにも世間様の風当たりは冷たくてよ。
日々、食うにも寝るにも困る有様だ。俺らの信奉するフォルラーン教も、さる王国じゃ邪教扱いだ。
そんな中、あいつはいきなり俺らの前に現れてこう言いやがったんだ『敗者の歴史を変えてあげる』ってな。
あの女の口添えと助力の甲斐あってか、おかげで俺らビルガリスの民は飢えることも病めることもなく
とんとん拍子で信者も大量獲得。この短期間で国を構えるまでに至ったって経緯だ」

しばらく煙草をくゆらせていたクラウズだったが、
まだ半分以上残っている煙草を取り出した携帯灰皿に押し付けて消し
突然スイッチを切ったかのように虚ろな目と低い声になる。

「だが、あの女は何も博愛精神から俺らを助けたわけじゃねぇ。
前教区長が不治の病に倒れ、その娘が現教区長の座についたあたりから、
俺らビルガリスの民は、だいぶ変わっちまった。
なにを勘違いしたかしらねぇがドォン――枢機卿殿が調子に乗って裏で国を牛耳るようになってよ。
無論、手を貸してるのはあの仮面の女だ。要するにまだ歳の若い現教区長は
お飾りの人形に仕立て上げられちまってるってわけだ。
乗っ取られたんだよ、レヴァーンは。あの女とドォンの野郎にな」

それからは徴収という名の強奪、異教徒断罪という名の一方的な虐殺、
神への生贄という体裁での人体実験、なんでもござれだ。
こりゃいい、人生のワースト コンプリートじゃねぇかと
クラウズは乾いた笑い声で締めくくると、おおげさに肩をすくめてみせる。

「で、ここで最初の話に戻る。俺たちの…いや、ドォンの野郎の最終目的はレダールを使った神様の復活だよ。
2000年前の魔導大戦の折、西の黒い獣ソピアートルムに敗れ、無残に散った東の白い獣、フォルラーンのな。
レダール鉱石はそのための鍵だ。ドォンの野郎が神様復活させて
なにがしてぇのかまではしらねぇけどよ。まず間違いなくロクでもねぇことってのは分かるぜ」

ちら、とクラウズの視線が一瞬、壁画に描かれた海色の瞳を持つ黒い獣と
それと向かい合うように屹立する蒼玉色の瞳を持つ白い獣に移る。
そこまで話して、これで話は終わりだとばかりに、広げた手のひらをひらひらと振る彼に、
ここまで黙って話しを聞いていたノイが静かに割って入った。

「最後の、質問、回答、まだ」

「ああ? 俺らがなんでこんな計画に加担してるかってか? それはな…」

カチャリと撃鉄を起こす音が一切の逡巡を阻んだ。
理解する間もなく、反射的にノイの腕が動き、その手が握る長銃型魔導具スルトと
クラウズがもつ45口径リボルバー『神父』の銃口が両者の鼻先に突きつけられる。

「おめぇさんたちの実力を見てみねぇことには何とも言えねぇな。
心は見せてもらった。次は力だ。わりぃがちょっと過激なミサに付き合ってもらおうかい!!」

スルトの銃口を突きつけられてなお動じた様子もなく
再び軽薄な笑いを口に浮かべたクラウズは躊躇うことなく神父の引き金を絞った。
両者の決裂を示すかのように、神父のマズルフラッシュが遺跡内を瞬く間に朱に染め上げた。

>イワモト、レイ



【シスメ&鶴羽/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

自分の心音が大きくなっていくのが分かる。誰が見ても最悪な状況だ。全員が怪我を負い、
消耗し、もはや次の襲撃があった際、戦力となれる者はいない。
もし、ここで第二の敵に遭遇なんてすれば、完全に詰みだ。
経験不足、机上の知識の限界、こうなった理由は色々ある。
だが、今はそんなことを考えている余裕すらない。恐れを態度に出してはならない。
涙を拭おうともせず、シスメは立ち上がると二人に呼びかけた。

「と、とりあえず! 早くここを離脱しましょう。
戦闘の音を聞きつけて“あの子”が現れてもおかしくないはずです。
この上に行けば第七候補体の誰かと合流できるかもしれません」

吸血種(アルカード)の襲来を恐れたシスメの杞憂は、
ガシャリ…ガシャリ…と重いものが揺れ動くような重低音が遮った。
まず、有機的な生物が出せる音ではない。その事実に、シスメの背中がぞわりと粟立つ。

「あ、新手!? こ、こんなときに…っ…もう全員戦えるような状態じゃ…」

しかし、そんな懸念も束の間。その音に続く形で、ひょっこりと見覚えのある顔が姿を見せた。
しわがれた老婆のような年季のある声に反して、
にやりと横に広がったその口の中には子供のように小さな白い歯が並び、
小さな体に反して、天に向かって伸びた先の尖った耳と、長大な尾のシルエットが暗闇の中に浮かび上がる。

「おお、おったおった。ようやく見知った顔に出会えたわ。入隊試験以来じゃのぅ、エルトや。
む、お主もおったか。どうやら壮健――というにはひどい怪我じゃな。
それにしてもひどい顔じゃのぅ、シスメ」

鮮やかな紅葉色の髪が薄暗闇の中で揺れる。
先ほど聞こえた重低音に掻き消されて気付かなかったが、
後を追うようにカラカラと車輪の回る音が聞こえた。
そこにいたのは

「つ、鶴羽管理官!? む…その、ひどい顔は余計です」

この遺跡が属している区画、すなわちガイアル区画のトップに立つ区画統括管理官 出雲 鶴羽その人だった。
今も目じりに溜まったままの涙が見せた幻影かと、シスメは急いで目を拭うが、
彼女の姿は疑いようもなく、現実のものとしてそこにあった。
荒地用にあつらえたものだろうか、普段の車椅子よりもタイヤの太い車椅子に座り、
いつもより少し簡素な浴衣のような紫陽花色の着物に身を包んでいる。
しかし、何よりもシスメの目を引いたのは彼女の隣。
彼女の魔導具によって形作られた、恐らく中身はがらんどうであろう黒銅色の武者鎧。
その武者鎧の腕の中にある、ぐったりと気を失ったアルカードの少女の姿だった。
こちらの疑問の視線を無視して鶴羽は続ける。

「デウスじゃったか。よう頑張ったのぅ。やはりお主をこの隊に入れたのは正解じゃった。
今回の働きは上層部へも報告せねばのぅ。これでお主に対する“ちょっとした噂”や
“懸念の声”も封殺できるというもの。胸を張るが良い、さきほどのお主は立派に国家隊員の顔しておったぞ」

鶴羽は傷に響かないよう注意しながら、
器用に車椅子の中で身をかがめ、ぽむぽむと軽くデウスの頭に触れる。
どうやら彼女達にしか分からない話をしているらしく、シスメは首を傾げるのみだった。
無事なほうの肩にトンと軽い衝撃が来て、現実に引き戻される。

「つもる話は後じゃ。ほれほれ、デウスはワシに任せてシスメはエルトに肩を貸してやらんか。
その様子じゃと、もうだいぶ肩の痛みも和らいできたはずじゃ。
話は歩きながらでもできるであろ?」

口の中に溢れかえっている疑問の数々を鶴羽に無理やり嚥下させられたシスメは、
ひとまず彼女の言葉に従うことを決めたようだった。

「……ということですのでその、はい。
遠慮なんてしないで下さい。今はそのほうが傷つきますから」

鶴羽に急かされる形でシスメはなるべくエルトの顔を見ないようにしながら彼に手を差し出す。
免疫がない故の気恥ずかしさとか、その他諸々は
肩の鈍い痛みが削いでくれている今がチャンスだ。
この際、体の汚れがどうとか、臭いがどうとか気にしている余裕はない。
そんなシスメの葛藤をよそに、鶴羽も体制を整えにかかる。

「武曲、その吸血鬼娘をワシの膝へ。お主はデウスを運ぶのじゃ。
なるべく揺らさず、慎重にな。エルトとシスメは可能な限り周囲の警戒に当たれ。
“ワシら”は移動しながらデウスの治療に専念する。
さて……クノン! キアラ! どうせついてきておるのじゃろ?」

見覚えのある花弁が二つ、ゴーレムの開けた大穴からひょっこりと突き出ていた。
鶴羽の呼びかけに驚いたかのように、一度びくりと花が身を震わせると、
救護班の対象である白地に赤い牡鹿のマークの入った腕章をつけた二人の人花族の少女が姿を現す。
いそいそと重そうな救護カバンを引きずりながら鶴羽の前まで進みでた彼女達は
まるでいたずらがバレた子供のように無言でぺこぺこと頭を下げると、
「がってんじゃー」「まかしんさい」とばかりに敬礼の姿勢をとった後、
一目散にデウスの元へと駆けていった。その最中エルトの姿を横目に捉えた彼女達は
「おひさー」「やっとかめだなもー」とでも言いたげに彼に軽く手を振りながら。
そんな二人の姿を見送った鶴羽はここに至った経緯をかいつまんで話しはじめる。

「さて、どこから話したものやら…
知らせがあっての。お主ら第七候補隊が遺跡に入っていくのを見てから時間が経ちすぎておる、とのぅ。
歳を取ると耳が遠くなるはずなんじゃが、そこは亜人に生まれて感謝といったところじゃな」

〜♪ 〜♪♪

「歌…?」

「人花族(アルラウネ)の歌唱術じゃな。
治癒魔術の一種じゃよ、人花の声には不思議な力が宿る…聞いたことくらいあるじゃろ?」

どうやら鶴羽についてきた人花族の少女二人は早くもデウスの治療に取り掛かったらしく、
先導する鶴羽の後ろからガシャリ…ガシャリ…と鎧武者が歩を進める音が聞こえ、
同時に治癒魔術の淡い緑色の光が背中を照らしはじめていた。

>エルト、デウス


【お待たせしてしまい申し訳ございません;
ようやく書類の山から開放されましたので、ストーリーのほう再開させていただきます】

3ヶ月前 No.414

ますたあ @ritonetto ★N6ZPthUNsx_nHx

【白月レイ:ソエリス遺跡】

スターチさんの言葉を聞いてわかった、生まれは似ていても、しかしそれだけでは相容れない
私たちは敵同士になってしまうのだと。レイはただ悲しかった。
でも、悲しんでいる暇なんてなかった。
クラウドさんが、この遺跡でしていたことや、あの仮面の少女の目的などを話してくれた。
フォルラーンの復活、なぜだかわからないけど、それは止めなくてはいけない気がした。
というより、なんだろう、この壁画、どこかで見たことがある。

「……スターチさんの気持ちはわかりました。私も、魔武器に生まれたものとして、主が一番という気持ちはわからないわけではありません。
あなたたちが、私たちの敵だというのなら、私は国家隊員として、あなたたちを止めなくてはいけないのですし、仕方がありません。
……ただ、さきほどの約束は、果たしたかったですね…」

泣きそうなのを必死にこらえながら、イワモトさんのそばまで歩いていき、腕を銃の引き金へと変化させ、イワモトさんの前へ差し出すように腕を上げる。

ーそうだ!ココ出たらよ、お礼に料理を振舞わせてくれよ花の嬢ちゃんー

その言葉が、レイの頭の中をめぐった。
本当は、心の底から楽しみだと思ったのだ。まるで仲間が、友達ができたような気がしたからさん

「イワモトさん、私があの人たちのことを友達だといったこと、聞かなかったことにしてください、私も言わなかったことにしますので…」

イワモトさんの耳にささやくように、震える声でいった。

≫イワモト ノイ スターチ クラウド

3ヶ月前 No.415

仲之人 @absoryut ★lbN0U8PuMJ_Vx8

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間】

「…そう…だな…そうすべきだろう」
瀕死の状態であったデウスに対しての最低限の処置を終えたようで、立ち上がりながらもはぐれてしまった候補生達との合流を目指して移動するべきだという意見に同意する。
…控えめに言って満身創痍と言った有様の現状ではちょっとやそっとの時間で回復を測ると言うのは相当な賭けだ。
件の吸血鬼やらここまでに遭遇したトラップなどの懸念材料がある事も考えればリスクの割に合わないと言わざるおえないだろう。
そう考えてこちらもまた立ち上がろうとしたその時、『ガシャリ』と、いう重低音が響き渡り…その瞬間、跳ねるような勢いで飛び出し、シスメやデウスの前に立ちはだかり、音の主を警戒する体制に入る。

(よりにもよってこんな時に…か…)
どうやら懸念が当たってしまったようで…招かれざる何者かがこちらの存在に気が付いてしまったのだろう。
…これが金属のような重低音でなければ候補生達が来たかもしれないと言う希望を持てたのかもしれないが…生憎とこのような音を出し得るのはイワモトぐらいしか心当たりは出てこず…同時に今聞こえた音は彼の物とは少々違っており、必然的に最悪のケースであると判断せざるおえないのであった。
「…二人とも…すぐに逃げる準備を」
ゆっくりと近づいてくる物音から、2,3言葉を交わす程度の猶予はある、と判断して辛うじて聞き取れる程度の声量でそう促す。
…この状況はもはや積みだ…おおよそ勝利と言えるような結果など取れるはずも無く、いかにして『上手く負けるか』と言う方向で考えるしかないだろう。
ベストな選択としては誰かが囮となってどうにか時間を稼ぎ…残る2人が運よく他の候補者と合流する…という物だろう。
…希望的観測と、取られるかもしれないが…実際の所それぐらいの巡り合わせに期待しなければ手の打ちようがない…そんなレベルの危機なのだ。
(…こちらはそう長い事動けんだろうしな)
先ほど無理を押して飛び出したものの…実際に動いてみればそれだけで無視できない程度には体中から痛覚が返され…それを魔力による強化で無理矢理押さえつけ、どうにか動けている…そんな状態なのだ…いざ戦闘となれば5分も持ちはしないだろう。
(それでも…やるしかない)
悲壮な決意を固め、いよいよ近づいてきた足跡にいつでも仕掛けられるように迎え撃つ覚悟を決める。

…だがしかし、次の瞬間待っていたのは予想だにしえない光景につながることとなる。
「…は?」
聞き覚えのある声にそんな間抜けな声を漏らせば…シスメがこちらが立ち直るよりも早く軽口を言われたことに反論しはじめており…よくよく見れば脅威であったはずの吸血鬼と思わしき少女が鶴羽の傍らの武者鎧に抱えられており…
「は…はは…はぁぁぁぁぁ…」
先の覚悟はなんだったのやら…考えるのも何処かばかばかしいと気を抜いた瞬間、一気に疲労感が襲い掛かり…ため息のような声と共にゆっくりと後ろに倒れ込む。
(どうにか助かってしまった…そういう事か)
それだけ理解してしまえば酷使し続けた体は『テコでも動くものか!!』とばかりに極度の疲労を訴えかけ…一度緩んでしまった意識の方も『過剰労働だ!!臨時休暇を所望する!!』とばかりに思考に靄のような物をかけて思考を放棄させようと妨害を仕掛けてくる。
…流石に気力の方もとっくに限界だったためにそれらに逆らう事も無く、シスメやデウスと会話する鶴羽の声をぼんやりと聞き流していた所でふと、頭上に影が出来た事に気が付きそちらに意識を向ければ…

「いや、大丈b…」
流石に負傷したシスメに負担をかけるほどではない…と断りかけた所で…遠慮は傷つくと宣言した通りに、その表情が変化し掛けたのにいち早く気が付き即座に言葉を飲み込まされ、訂正せざるおえない状況へと追い込まれる。
「あー…いや…なんだ…実は立つのもつらい…」
あっさりと言動を翻して差し出されたその手を握り、助力を受け入れる事にする。
そうして助け起こされようとする中、突如鶴羽に呼び出された2人(2輪?)の救護班の人花族と目が合い、それが試験の時の個体であると言う事に気が付く。
(…まぁ…何はともあれ一安心…かね)
彼女らの腕は確かな物であると言うのが分かっているため、これでデウスの方も完治とはいかなくとも十分な治療を受ける事が出来るだろう。
「ふぅ…あっちは任せておけばよさそうだな」
不思議な歌声と共に治療に取り掛かる鶴羽や人花族たちの後ろ姿に本当の意味でようやく安堵のため息をつきつつも、先に言われたとおりに静かに周囲の警戒に取り掛かる事にしたようだ。

>シスメ デウス 鶴羽

【お疲れ様です!!…書類の山は…まずい…ともあれ無理しない範囲でまたよろしくお願いしますー】

3ヶ月前 No.416

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★Ez3l2WuYvu_jG9

【鶴羽&シスメ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間→終極の間】

脱力するエルトに以下同文なシスメ。
二者同一の反応に袖先で口を隠した鶴羽は静かに笑いを零すと、
満身創痍といった面持ちのエルトに軽口を飛ばす。

「かかか、とんだ“びぎなぁずらっく”じゃったの、エルトや。
首も繋がっておるようで一安心じゃわ」

そう笑う鶴羽の顔に巨大な武者鎧の影が落ちる。
何かを警告するかのようにひとしきり身重な体を揺すらせた異形は、
鶴羽が目配せすると、再びガシャガシャと体を揺すらせながら列の後方へと後退していった。
何事もなかったように鶴羽は続ける。

「お主、試験のときもそうじゃったが、真っ先にワシにむかってこようとしたじゃろ。
見かけによらずきちんと男子(おのこ)しておるようじゃの。のぅ、シスメ?」

「な、なんで私に振るんですか! それよりどうして鶴羽管理官がここに?」

好々婆と笑う鶴羽の意味ありげな視線に思わず、反論しかけたシスメだったが、
私情に流されかけたところを踏みとどまり、返す刀でそう鶴羽に切り込んだ。
区画統括管理官という立場を置いておいても、いきなりの登場に対する説明が
全くなされていない事実にふと我に返った鶴羽は手に持った煙管型魔道具
告乃嘶鬼をくゆらせながら、ふむと一息置いた後、話しはじめる。
自分では落ち着いているつもりが、不測の事態ばかりで意外に焦っていたのかもしれない。

「ここはわしの管轄しておる区画じゃからの。
異変があれば逐一わしの耳に入るようになっておる。それにじゃ」

当然といえば当然。至極最もな説明に、はぁと相槌を打ちかけたシスメだったが、
唐突に言葉を切った鶴羽がカン!と車椅子に煙管を打ちつける音で、
びくりと少し飛び上がってしまい、思いのほか強い力でエルトの腕にしがみついてしまった。
急いで肩を貸しているエルトを振り返るも時既に遅し、小さな声で「すみません」と呟き、
こちらにニマニマとした笑みを向ける鶴羽に恨みがましく視線を向けておく。
傷に響いてないといいのだが…。

「昨日、国家隊本部へ侵入を謀った者と同じ魔力を感知した。
であれば、わしが出向かぬわけにはいかぬじゃろ?
つまり、この遺跡での一件はお主らの任務の範疇を超えておるということじゃ、
後のことはわしに任せい」

先ほどとはうってかわって神妙な面持ちになる鶴羽に、シスメも表情を強張らせる。
凶暴化したアルカードの少女に、機能を停止しているはずの遺跡の異変、
明らかに何者か介入があったと考えるのが自然だが、バラバラだった疑問が一本の線になった気がした。
こちらの意図を察してか、鶴羽も静かに頷く。

「一体、なにが起こっているんですか…?」

「それはわしよりもこやつらに聞いたほうが良さそうじゃ。
のぅ? レヴァーンの尖兵ども」

話し込んでいるうちに、いつの間にか上の階へと続く階段を上りきっていたらしい。
開けた場所には巨大な鋏を手にした修道服の女と、二丁の銃を手にする神父服の男がいた。
鶴羽の問いに神父装束の男が銃に落としていた視線をゆっくりとこちらへ向ける。

【大変お待たせ致しました; 今後のストーリー展開など考えておりましたら
返信が遅くなってしまいました。申し訳ございません;ストーリー進行のため場所を
移動させていただきました。これにてはぐれていたメンバーと合流となります】>エルト、ALL



【レイニア&ノイ&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

『それはわしよりもこやつらに聞いたほうが良さそうじゃ。のぅ? レヴァーンの尖兵ども』

「おや、あれは…」

ふと声のするほうに耳を傾けると、聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。
ここに入るときにはいなかったはずの鶴羽の声に驚きよりも、ああと納得の感情を先に抱いた。
これだけドンパチやったのだ。区画統括官の耳に届いたところでなんら不思議はない。
気配から察するに、離れ離れになったエルトとデウス、シスメだろう。
いまだに姿のないセキアのことが気にかかったが、
案外、うまく生き延びているに違いないという奇妙な確信があった。
クラウズも異変に気付いてか、銃の引き金にかけていた指の力を抜いて思いもよらぬ乱入者の方を見やる。

「おっと…耳が早いねぇ、もう援軍のお出ましかい?
シラけるねぇ。集団でかかるなんてヤボはよそうぜ。
唯一神フォルなんちゃらも言ってるだろ、弱者を前に徒党を組むは悪事の始まりってな」

「かかか、それなら心配いらぬ。
大きいのから小さいのまで悪事にならもう何度も手を染めておるよ」

「ちっ、あんたみたいなのが一番苦手だ。
スターチ! もう武器化は使えねぇ! そっちは頼むぜ!」

「はい、でございます!」

鶴羽に向けて得物の大鋏を構えたことが交戦の合図となったかのように、
鶴羽も手にしていた煙管をスターチにつきつける。
しかし、そんないつ戦闘に発展しても不思議ではない一触即発となった空気に水をさす者がいた。

「さて、わしの区画で狼藉を働いたことどう後悔させてや――」

「はーい、ストップです。鶴ちゃん」

「なんじゃ、レイニー。いいところじゃというのに」

「ちょーっとここは私たち第七候補隊に任せてもらえませんかねぇ?」

目の前でおもちゃを取り上げられた子供のように、
ぶすっとした表情をする鶴羽の首に腕を回しながら耳元でレイニアが囁く。

「わしに意見するとは随分と偉くなったものじゃな?」

「あはは。そんな意地悪言う鶴ちゃんなんて嫌いです」

「何故じゃ!? あ、否、今のはもちろん冗談じゃからな! 本当じゃぞ!
ほ、ほれ、他の隊員の目もある故、少し言葉がきつくなってしもうただけなのじゃ!
翻訳するとあぶないから下がっておれ、とそう言いたかったのじゃ! 本当じゃぞ!
謝る、すまんかった! 飴ちゃんやるから! 嫌わんでくれ後生じゃ!」

「まー、そんなわけですので、きついとは思いますがー、
ちゃっちゃとやっつけちゃってください、その人たち。まだ任務は続行中ですよ?」

まとわり付く鶴羽をべりべりと体から引き剥がしながら、
ひらひらと手を振るレイニー。どうやらこれも任務の一環だと言いたいらしい。

「はっ。俺たちも随分と低く見積もられたものだグボォ!?」

なんだかんだとこちらのつまらないやりとりが終わるまで律儀に手を出してこなかったクラウズも
さすがに我慢の限界だとばかりに、再び狙いをつけようと銃口を上げたその時だった。
唐突にクラウズの言葉が途切れた。彼の言葉を遮った者、それは何者なりや?
端的に説明するならそれは足だった。
几帳面に揃えられた両足…いや、ブーツの底がクラウズの横顔を正確に射抜いていた。
体をぴんと伸ばした姿勢のまま、ズザァァァ…と顔で床をこすりながら壁に激突するクラウズ。
舞い上がる砂埃。停止する時間。その中に、ぼうっと浮かび上がる一つの影があった。
しかしてその正体とは―――

「銀河を逆流する――以下略! 究極勇者セキア参上!!」

首に巻かれたたなびくマフラー、頭上に輝くキャスケット帽、
勝気な笑顔を形作る口元は大きく横に広がり、規則正しく並んだ歯をこれでもかと見せつけている。
その影の正体とは――勇者志望の馬鹿(セキア)だった。

「ふふ、真の勇者は遅れて参上するってね。まさにセオリーどおり! レイ! お待たせ!」

【大変ながらくお待たせ致しました。何度かサブ記事にてお言葉をいただいておりましたが、
返信できず申し訳ございません。そこまでこのスレを思っていただきありがとうございます。
遅筆ながら今後も返信させていただきますのでよろしくお願い致します】>レイ、ALL

22日前 No.417

仲之人 @absoryut ★lbN0U8PuMJ_zRM

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終戦の間〜終極の間】

「…まったくだ…こんなギリギリの状況なんて御免こうむりたいんだけどな」
ビギナーズラック、と軽口をたたく鶴羽にため息交じりにそう返す。
…初心者によく見られる類稀な運気の事を指す言葉ではあるが…今回に至っては良くも悪くも有難いとは言い難い方向であったと言わざるおえない。
そもそも良い方向に発動していたのであればここまで危険な状況になる前に発動してくれればよかったのだ…悪い方であったら言わずもがなである。
…まぁ己の運気に不満を持ったところで仕方のない事ではあるのだが。

そんな益体もない事をぼんやりと考えていると再び口を開いた鶴羽から賛辞ともとれる言葉が投げかけられ、どこかバツが悪そうに返す。
「あの時はそれが最善だと判断しただけだ…もっとも結果はご覧の有様、と言った所だったが…」
好機と見て強引に切り込んだものの、軽くいなされ手痛い一撃を返されたあの一連の攻防は紛れもなく苦い経験となった。
…それも鶴羽の方としては相当に手加減しての一撃だったのだろう…本気であったのならば恐らくは今でも病院送りの憂き目にあっていてもおかしくはなかった。
(まだまだ…だな…っと!?)
ぼんやりとした思考の中で鶴羽とシスメの会話を聞き流しつつ、内心で反省しかけていた所でふと腕に違和感を感じると…担がれる形で預けていた腕にしがみつかれており、同時に一の腕辺りに何やら柔らかい感触を感じ取る。
(これは…っ!?)
意識しなければ何の問題もない些細な事故…で済んだのだろうが…察してしまったからにはそう言う訳にはいかない。
(お…おお落ち着け!!こういう時は素数を数えるんだ!!…1,2,4,8,16…)
そう、何とは言わないが…『無くはないです』どころか『人並みにはある』とある部分が当たっていたのである…それもまあ数秒と言う短い時間であり、ただの倍算をしている頃にはとうに離れていたのだが…

…そんなふとしたハプニングから間もなく、突如変化した雰囲気に気が付き、意識を即座に切り替えれば…鶴羽から語られた言葉は重々しくもどこか納得ができる内容であった。
「なるほど…確かに新人には荷が重い状況だとは思ったが…」
恐らくは今語られた侵入者とやらの仕業でここまでの状況に発展してしまったのだろう…目的の方ははっきりとはわからないが…
「…わざわざ本部を嗅ぎまわるような真似をしなければもう少し水面下で動けただろうに」
何かしらの目的があっての侵入だったのかもしれないが…それで藪を突いてしまった侵入者に若干の呆れを混ぜながらそう呟いた。

>鶴羽 シスメ デウス ALL

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

そうしている内に階段を上がり切ったようで…鶴羽の言葉と視線に従いそちらに目を向ければ、分断されていたメンバーらと対峙している見知らぬ男女が目に入った。
「こいつらが今回の首謀者とみていいんだな?」
そう認識するやいなや、肩を貸りていたシスメから離れ戦闘状態へと意識を切り替えるが…
(…流石に…思い通りには動けんか)
ここまでに多少の回復が出来たとはいえ…やはり無理を押した代償かどうにも帰ってくる反応に違和感が付きまとうが…上手く立ち回ればやれなくもないはずだ。
冷静に状態を分析している最中にも状況は動き始めたようで…何やらレイニアと鶴羽が相談をしていた…と思いきや…
(え…えーと…な…なんだこれは…?)
突如始まった茶番劇に呆気にとられる…あの孫に縋りつく老人のような人物が先程までの鶴羽とどうにも一致せず思考がフリーズしかけた。
(っと、いかんな…いつ仕掛けられるかわからないってのに…)
それでも何とか気を取り直して目の前の敵…スターチと呼ばれた異形の得物を持つ修道女に意識を戻そうとしたところで再び起きた異変に思わずそちらを見やれば…

「…真面目に…いや、やってるんだろうな…ああ」
神父の横面にドロップキック(推定)をかましたその人物…セキアは登場するなり何やら口上のような物をあげ、乱入してきた。
(…無事…なのは確かなんだが…大丈夫かアレ?)
視線の更に先にはもくもくと上がる粉塵…先に吹き飛ばされた神父は今はまだ動くそぶりを見せてないようだが…気が付いたならば怒り狂って逆襲してくるであろう事は想像するまでもない。
(少し…かなり心配なんだが…)
出来れば援護してやりたい処なのだが…こちらにも決して余裕はなく、どうにかなる事を祈るほかない。
「あー…まぁ…ゴホンッ!!一応聞くが…大人しくするつもりは…?」
わざとらしい咳払いで無理矢理微妙になった空気を払拭しようと試みつつも目の前の修道女…スターチにそう勧告する。

>スターチ ALL

【了解ですよー。相変わらずの駄文家ですがコンゴトモヨロシクなのです!!】

19日前 No.418

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★2SEN0eAjxq_IZy

【レイニア&ノイ&セキア&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ソエリス遺跡/終極の間】

「あ、エルト! デウスにイワモトのおにーさん、それにレイニー教官も!
あれ、鶴羽のおねーさんまでいる! やっほー!」

ここへ来るまでに紆余曲折あったのか、鼻についた汚れを拭いつつ、
ようやくレイ以外にもこの場に国家隊員がいることに気付いたのか、
ぶんぶんと手を振って呆れ交じりのエルトの呟きに応じる。
身なりはひどい有様だが、元気は有り余っている様子だ。
その場違いまでの元気ハツラツさは、
この場に生真面目なリアリストがいたら胃がねじ切れていたに違いない。
そんな常時脳内お日様マークのセキアの登場など意にも介さず、
彼女とは正反対に嵐の前の静けさのような、恐ろしく表情のない顔で、
今しがた吹き飛ばされた主を見やる者がいた。
硬直を引きずっていたスターチだったが、エルトの問いにようやくピクリと眉を動かす。

「おとなしくするつもり…でございますか?」

瞬間、ゆらりとスターチの姿が陽炎のように揺らめいた。

「敵対する関係ではありますが、貴方たちいい人ですもの。
少しは手加減するつもりでございましたのに…」

手にした大鋏の切っ先がざりざりと地面をこする耳障りな音をさせながら、
ゆっくりとエルトの方に向き直るスターチ。
その顔からは…

「今のでその気持ちも完全に消え失せましたわ」

完全に表情が消えうせていた。

「この異常な濃さの魔力濃度…まさか」

酔いそうなほどスターチの体から漏れ出た余剰魔力に反応したのか、
露骨に眉をひそめたレイニーの呟きから数秒、
セキアの横顔を巨大な鋏の切っ先が掠める。

「主様になにしてくれとんじゃわれぇえええええ!
ブチコロですわ!! ちみどろですわぁ!!」

比喩などではなく、今まさにスターチの怒髪が
頭に被っていたフードを跳ね飛ばし、天をついていた。
セキアに突きつけた鋏を引いた後、まるでハエ叩きでも
振り回しているかのような身軽さで大鋏を大きく頭上に掲げる。

「えっと…あれ、ひょっとして、あたしまたなんか余計なことした? うわっ!?」

「ブレードバース!」

のんきに状況解説をしているセキアに、
素早く間に割って入ったレイニアが足払いをかけると同時に
剣状に形成した魔術防壁で振り下ろされたスターチの鋏を受け止める。

「あはは、とんだ馬鹿力…ですねぇ…っ…修道女をやめて…
プロレスラーにでもなったら……どうですか?」

「ムカつきますわ、その顔、その声……この際、貴方が何故
我らが創造主様と同じ顔をしているのかについては問いただしませんわ。
だって、どうせ跡形もなくぶちのめすんですもの!!」

スターチの攻撃を何とか受け止め軽口を叩くものの、
ぎりぎりと押し負け始め、ついには吹き飛ばされてしまうレイニア。
透明な剣の破片を散らしながら、受身を取る間のなく
そのまま壁に激突すると思われたそのとき、ふわりと黒い異物がレイニアの体を受け止めた。
違和感を感じて背後に注意を向けると、いつの間にか天井から床に至るまでの
壁という壁が黒い粘度のある煙に覆われていた。悪戯っぽく片目をつぶった鶴羽が口を開く。

「このくらいは許容範囲じゃろ? 忘れておらぬとは思うが…
ココ、我が区画の重要文化財じゃし。ワシにはこの遺跡を守る義務がある」

そううそぶく鶴羽に軽く頷いたレイニアは返事も返さずに、
腰のブックホルダーに仕舞っていた魔導書を取り出して開くと、声を張り上げた。

「各自散開!! まともにやりあわないで下さい! 並大抵の膂力で張り合える相手ではないです!」

「了解! こんにゃろ喰らえ!! アメイジングブラスターフレア!!」

セキアが投げた飴が次々と炸裂し、その暴風ごとスターチの大鋏が薙ぎ払う。
ドンパチをシンプルに体現すればこうなると言わんばかりの攻防が
目の前で展開されるも、互角の見えていたその均衡もいとも容易く崩れ去る。

「効きませんわ」

煙ごと爆発を切り裂いた大鋏の一閃がセキアの胴をとらえる。
そのままセキアの胴を捉えた鋏は一周し、彼女を床へと叩きつけた。
いくら鶴羽の術で床や壁への衝撃が緩和されているとはいえ、一瞬だけ呼吸が止まる。
呻きながら床を転がるセキアの体を乗り越えたスターチは
鋏を構えなおし、次なる標的へと視線を移す。

「これでひとまず主様への狼藉の件はチャラにしてげますわ。
でも、まだ怒りが治まりませんの。次は…そこの貴方、相手してくださいます?」

エルトの返事を待たずして上段からの大振りが彼を襲う。
しかし、その大鋏は何故か先ほどより細身になっているかのように見えた。

「させると思い――」

「おっと、あんたの相手はこっちだぜ、狼の嬢ちゃん」

エルトへの攻撃を見咎めたレイニアが援護に入ろうとするも、
いつの間にか立ち上がったクラウズの弾丸に阻まれる。こうして戦局は二分化された。

>エルト、ALL

7日前 No.419

仲之人 @absoryut ★lbN0U8PuMJ_c1Z

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

「元気そうだな…まぁそれはいいんだが…」
こっちに元気よく手を振ってくるセキアの様子にそう口にするも…
(無事だったのは喜ばしい事だ…うん、それは間違いない…間違いないんだが…)
…なんと言うか…感動と言うかなんというか…感慨のようなものがまったく浮かばないのはどういう事だろうか?
人によっては『心配させておきながら!!』等と憤慨するのであろうが…根底は善人寄りであったためかそこまでの思いには至らなかったようで…

「っ!?」
暢気にそんな事を考えていた所で『ゆらり』と、いったような幽鬼を思わせるような動作でこちらに振り返った修道女…スターチの方に意識を戻せば、漏れ出ていた魔力に当てられ思わずひるみそうになり…
「う…おぉ!?」
直後に爆発した怒髪天を突いたスターチの勢いに押され思わず夜宵でその余波を受け流そうとし…結果的に完全に後の一連の流れから取り残される事となる。

どうにか体勢と志気を立て直して戦闘に復帰した頃には…容易くセキアを下したスターチがこちらを指名しつつ飛び込んできていた。
「くっ…これ以上はやらせん!!」
ようやくと切り替える事が出来た意識で冷静に現状を分析すれば…
(シスメもデウスも消耗が酷く、戦える状態じゃない…鶴羽はフィールドの維持してもらってるだけで御の字…セキアもしばらくは行動不能…大した状況じゃないか…!!)
先程『まともにやりあうな』とレイニアの指示があったが…ここで下手な捌き方をしようものなら他のメンバー等にその矛先が向かうのは必至である。
(確かに馬鹿げた威力なんだろうが…やりようはある!!)
先と比べ幾分か細まった得物…おそらく魔導具の一種だと仮定して…それが細くなったと言う事は魔力の消耗によるものなのだろう。
それが短時間で起こったのだ…おそらくスターチの燃費はあまりよろしくないと想定でき…持久戦になれば勝機が見えるはずだ。
覚悟を決め、牽制代わりに数発の魔力弾を撃ち込みつつ、アルカナイザーを起動し、相手と同じく上段に構える。
(振り下ろしか…なら地面に流す…持ってくれよ!!)
相手と比べると随分と頼りない自身の体とアルカナイザーにそう願いつつ、来るべき一撃に全神経を集中させる。

>セキア スターチ ALL

5日前 No.420

語り部(スレ主) @yuzuriha16 ★gn4KYkgL19_IZy

【レイニア&ノイ&セキア&鶴羽&シスメ&クラウズ&スターチ/ソエリス遺跡/終極の間】

続けざまに発射される銃弾の2発目をかわしたところで
無手での回避行動に限界が来たレイニアは手にした魔導書に魔力を注ぎ込んだ。

「スピアバース!」

右足と腹部めがけて飛び込んできた銃弾を
右手に出現した半透明の槍が弧を描いて弾く。
山なりに飛んだ銃弾はゆるやかな速度でレイニアの頭上を舞い、
まるで玉投げの競技のカゴのごとく差し出された彼女の手の中へと落ちた。

「全く、堪らねぇよな亜人種は…どんな反射神経してやがる。
槍は銃弾を弾くもんじゃねぇって教科書で教わらなかったのかい?」

「あはは。あいにくとこの目では字が読めませんので」

「そうかよぉ…じゃあ、これならどうだい!!」

レイニアの曲芸じみた回避行動に若干頬を引きつらせたクラウズは
今手にしているリボルバーだけでは分が悪いと判断したのか
腰の後ろに装備したハンドガンを引き抜き、2丁拳銃で応戦する。

「それはさすがに無理ですねぇ。
では、力技で。スピアバース、形態変化(エミュレーション)――アックス」

すかさずレイニアも手にした槍を刃の大きい斧に変化させて
受け止めるという攻防がエルトらの後方では繰り広げられていた。


一方、実質エルト一人の達候補隊組はというと、
状況はあまり好転してはいないようだった。
アルカナイザーを上に構え防御の姿勢に入るエルトに対し、
それを予想していたかのように、スターチの鋭い叱責が飛ぶ。

「わたくしも甘く見られたものですわね。
貴方達の力ではまだわたくしに勝つことはできません」

そうスターチが口にすると、唐突に振り下ろされた鋏の速度が落ちた。
キン…と静かにスターチの大鋏とアルカナイザーの触れ合う音が響く。
衝撃に備えていたエルトにはなんとも拍子抜けした一撃だったことだろう。
だが、

「運命と不条理を今のうちに嫌というほど体感しておくことでございます。
そうすれば…いずれくる大きな波にも抗えることでございましょう。
まぁ…ここを無事に生き残れたらの話ですけど」

途端にアルカナイザーに押し当てている鋏に力がこもる。
まるでそのままエルトを腕力のみで押しつぶそうとしているかように
ぎりぎりと音をさせて上から腕に体重をかける。
しかし、彼女の目論見はそれだけでは終わらなかった。

「脇がッ、がら空きでございますわよ!!」

エルトの頭部へ振り下ろしたものとは別の黒い物体が彼の右わき腹を狙って繰り出された。
鋏は構造上、2枚の刃を要という1本のネジで止めたものからなる。
つまり要の構造さえ取り外しが出来るように細工しておけば2枚の刃に分離できるのである。
そう、最初に繰り出された得物が妙に細く見えたのは、
2枚の刃に分離していた鋏の片方だったからだ。いつの間に分離させていたのだろうか、
頭に血が上ったと見せかけて相手の虚をついた妙に冷静な一撃だった。

>エルト、ALL

4日前 No.421

エルト @absoryut ★lbN0U8PuMJ_c1Z

【ガイアル区画/ソエリス遺跡/終極の間】

「…っ!!」
乗せられた…そう気が付いたときには手遅れであり…鋭い叱責でそれに気が付かされたものの、今更受ける以外の選択肢はもはや皆無であった。
「そんな事…いわれるまでも…ないっ!!」
そうして鍔迫り合いにすらならず、単純な膂力勝負の押し合いと言う状況に持ち込まれていた所で、諭すような言葉をかけられ、思わずそう反論する。
…運命など信じる気は無いが理不尽や不条理と言ったものはそこら中に転がっており…大して珍しいという物ではない。
何より、それらが皆無と言えるほどに少ないやさしい世界であったのであれば…自分はもっと別の場所におり、悩む事も無く使命に準じていた事だろう。
…そう考えるも、今は戦闘中であり、相手の言葉に耳を傾ける事などするべきではなかった…ましてや格上相手に余計な考え事をするなどと言うのは論外であった。
その愚かさの代償は次の瞬間、不可避の痛撃と言う形となって返される事になる。
(2刀流だと…!?)
寸前になって気が付いたもう一本の得物…それを振りかざす姿により、ようやくここまでの読みが尽く外れていたことに気がつく。
(駄目だ!!避けられ…)
そうしてまともな対抗策など取る暇も無く無防備であった脇腹に叩きつけられる。
「ぐぁっ!!」
なんと言う事も無いただの一撃…それだけでなすすべも無く吹っ飛ばされ、壁面に叩きつけられる。
不幸中の幸いと言うべきか、直前とは言えどうにか気がつけたために夜宵に魔力を込めた防御が間に合い、鶴羽が壁面を黒煙で覆ってた影響もあり、幾分か衝撃が軽減されたおかげか何とか意識を手放さずには済んだようだ。
「…が…げほっげほっ」
…が、それでも受けたダメージは大きく…朦朧とした意識の中で咳き込み、膝をつく形となる。
(強い…な…流石に…経験値が桁で違うか…)
一連の攻防の最中、ロクな行動も取れなかった事実に戦慄しながらも呼吸を整える。
…身体能力に関して劣るのは予想通りではあったが…戦闘の流れにおいても1枚も2枚も上回られたのだ…格上であると認めざるおえないだろう。
先のゴーレムの方が性能だけで言えば優れていたかもしれないが…戦闘力で言えば彼女の方が圧倒的に上回っているであろう。
(…それでも…こんなものじゃ…終われない!!)
未だ思考は回復しきれず、自身の状態すらまともに把握できていない…それでも、多少ふらつきながらも立ち上がりスターチがいる場所を見据える。
身体が動かずとも意志は折れず、魔力も十分に残っている…吹き飛ばされたときにアルカナイザーは取り落としてしまったようだが…流石に今のコンディションで使おうとは思わないため問題はない。

>スターチ ALL

18時間前 No.422
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