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§■Apostolo〜堕天使の末裔〜■§【第二期開始】

 ( オリジナルなりきり )
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15世紀ルネサンス・ファンタジー @makita ★Android=oiuxxae5O4

 ――――ルネサンスの時代。

 イツァーナ国にルネサンスの黄金時代を築いた都市があった。文化の中心地、≪フィレンツィア共和国≫である。

 だが、そんな平和な街で事件は起こった。それは、一年前、フィレンツィア共和国の中流貴族令嬢アレッサンドラが居なくなったというもの 。人々は懸命に彼女を捜し出そうとしたが結局見つからぬまま。だがあれから半月後、アレッサンドラの無惨な遺体が路地裏で発見された。 死後数時間は経過している状態で、内臓の一部が取られていた。

 そして同様の事件は続いた。また被害者が名門メディシア家の傍系の家柄であるという事実から政敵の仕業ではと事態を重く見たメディシア家当主ピエディ・メディシアは、事件解決のため極秘に組織を結成。組織の名は≪アポストロ ―聖使徒―≫。

 組織アポストロはあらゆる身分、職業の者から構成された組織で、捜査員は一般人に紛れつつ怪奇事件の謎を解決していく。だが、その事件の裏に隠されていたのは、恐るべき事実、陰謀であった。

 謎のカルト教団と上流貴族ボルジェアーノ家との繋がり。この地に古より言い伝えられるネフィリム封印伝説との関連。事件に関わる鍵が一次元的に明らかになっていく。だが陰謀の魔の手は着実に平和な街に忍び寄ろうとしていた。しかも街の中にとどまらず、それはヴェニーチェやロマーナにまで及ぶことに。果たして、事件解決にはなるのか――――?


§■第一期のストーリー■§
 舞台は花の都≪フィレンツィア共和国≫。アルベルディ家子息アキーネは結局手遅れに終わる。手懸かりとなるは、被害者が貰ったという手紙の送り主、そして現場に残された白と黒の羽根――それはあらゆる場所で何らかの意図でもって贈られていた。その羽根が何かは鳥類学者ベッリーニ子爵さえも分からずじまいであったが、それをボルジェアーノ家が持っていたことが明らかに。
 また近頃噂となっていたボルジェアーノ家に出入りをする若い聖職者が背教者集団と密接な関係があり、一部の人間はシモーネ・ホルツァー大司教を疑い始めた。「まさか、彼が……」――そんな戸惑いを抱きながら……。
 背教者集団とボルジェアーノ家――その二つにはどの様な関わりがあるのか。背教者集団の目的とは? その答えは第二期の物語で明らかとなってくる。



§■第二期のストーリー■§
 舞台は変わって水の都≪ヴェニーチェ共和国≫。カルデローネ家を始めとする大商人に圧迫されるヴェニーチェ貴族ベルナルディ家が新しい事業を展開するためメディシア家に助力を要請。それに応えたメディシア家当主ピエディは家族を連れてヴェニーチェへと旅立つ。組織員の何名かも、相次いで続いた事件への対応に疲れはて、休暇のつもりでそこへ訪れた。
 美しいアドーレ海に面した商人達の都市ヴェニーチェで新しい出会いをしながら有意義な時間を過ごす。素晴らしい休暇だ。彼等がこのまま安楽な一時が続くと思っていたそんな矢先。例の背教者集団が此処ヴェニーチェでまで活動している痕跡を、彼らは見つけてしまったのだ。
 水の都でカルデローネ家の陰謀に捲き込まれながら、アポストロ組織員は背教者集団の目的を探るため奮闘する。


【本スレは、一度ルールに引っ掛かり削除された記事です。参加してくださった皆様には多大な迷惑をおかけし申し訳御座いません。今後一切此のようなことがないようスレ主としても頑張っていきます。尚、新規参加者も第一期、第二期とも募集しております。興味を持ったかたは是非いらしてくださいませ。お待ちしております】

3年前 No.0
メモ2014/12/29 19:29 : @makita★Android-QP7DgXg77L
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フランチェスコ・ボルジェアーノ ★AU=T2dhWYP1sj

【ロマーナ/教皇庁地区】
何の気なしに振り向いた先にいたアドリアーノ殿が近づいてきて挨拶してくれたので、私も「ええ、お久しぶりです。私もまさか会えるとは思っていませんでしたよ。会えて嬉しいです」と返した。
ロマーナで神学を学ぶという話は宴で聞いていたが、こんな早くに会えるとは思わなかった。腕に抱えているのは筆記用具だろうか。
ほんの少し立ち話をしていただけだが、騒動が一段落したので人々が動き始めたので道路の端の方へ寄る。
「今日来たばかりですが、なるほど、なかなか手厚い歓迎でした。…確かに通学路でこれは困りますね。これから大学へ向かう所ですか?よろしければ歩きながら話したいのですが」
挨拶回りに同行してくれた衛兵達から発せられる好奇心がそろそろはち切れんばかりになっているので、アドリアーノ殿を紹介する事にした。
「失礼、話し込んでしまって紹介が遅れましたね。こちらの彼は、私の友人のアドリアーノ殿です。故郷のフィレンツィア共和国で評判の、有名な若手画家ですよ。
彼が妹のとても素敵な肖像画を描いてくれたので知り合いました。本当に、どこに出会うきっかけがあるか分からないものですね。そういえば、ルクレツィアは元気ですか?」
最後に少々意地悪な問いかけをしてしまったが、友人のロレンツァ殿や彼の兄のジョウ゛ァンニ殿の心配を思えば、少しは許されるだろう。


>アドリアーノ殿
>ALL様

2年前 No.165

ジュリエッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ヴェニーチェ共和国/ヴェニーチェ東区/造船所】

 海賊について訪ねてきた男はダティーニと名乗ってきた。そのダティーニであるが、商人にとってはなかなか美味しい情報を提供したつもりであったにもかかわらず、相手はそれ程興味を示していないかのようなのだ。彼は商人ではないのか。
 尤も、彼の口から身分を聴いたわけではないから、その可能性とて大きいが、思わず商人だと決めつけてしまうほど、この都は商人、しかも羽振りのいい外の商人で溢れている。カルデローネ家は外の商人にも関税を掛けるが、金さえ払えばいい訳なので、自然に有力な港都市はそういった者が集まってくれるのだ。
「ほお、傭兵か。てっきり商人だと思っていたが……」
 あとから聴けば、彼はヴェニーチェで傭兵をやっていたという。いつの話かは分からないが、東方に近いということもあり、傭兵を雇い戦わせることはもう何年も続いている。大体は海賊相手だが、ダティーニの話す連中は異質なものだ。
「妙だな。海賊ならば、宝が詰まった船を沈めるなどというへまはしない。サルベージとてかなりの労力が必要。相当な馬鹿か、そもそも略奪が目的では無かったか……」
 相手の口からはどうもカルデローネ家を臭わすようなことがさり気なくこぼされた。わざわざ見ず知らずの自分にいうとは、先程の自分と船大工の会話に耳を傾けていたに違いない。どういう意図があるのか想像はできないが警戒して損はなかろう。それに没落するかしないかの貴族に「うらやましい」などという嫌みまでいうとは、やはりカルデローネ家の輩か?
「生憎だが力にはなれそうにない。ほかのものに訊いてくれ」
 実際、船を沈める行為は現在問題になっている海賊の類とは異なる。ダティーニには悪いが、私も答えられないだろう。
「では私達は用があるのでな……」


>ダティーニ

>All様

2年前 No.166

アドリアーノ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ロマーナ/教皇庁地区】


 知り合いがルクレツィアだけという状況で、しかも遅刻しているという事実で心が落ち込んでいるとき、ひょんなことで知り合いに出会えると何だか落ち着いた。
「ええ、そうしましょうシニョーレ」
 勿論フランチェスコ様の話しながら歩こうという誘いも断る理由はなく私は快く了承した。
「私のような好色が神学を学ぼうということを、神はお許しにならないのでしょうか? しかし、一部の聖職者とて女色に耽っています。聖職者が規律に従わないのと、俗人が摂理に従うのと、道徳的に許されるのはどちらだと思いますか」
 小声でおどけて見せたのは、通学路に妨害が入る現状を利用しての堕落した聖職者への皮肉だ。
 けれど忘れてはならないことが一つ。自分がいるところは教皇庁の支配地区であり、フランチェスコ様のそばにはまさに教皇の衛兵が侍っている。いくら小声とはいえ、不用心だったことは反省すべきだ。彼等に私のことを紹介するフランチェスコ様を見ながら、そんなことを冷や冷やと考える。
「いえ、評判で有名などと……私は、画家として独立していたとはいえ、それほどまでの評価は勿体ないです。それにもう絵筆を握ることは−−」
 絵を描かないと自分の中で誓っていたものの、心は私を引き留めようとするかのように、誓ったことを言葉ではっきり言うことはできなかった。私は自分のやるべきことが終わるまで画業は遠ざけておこうと思ったが、それは無理なのであろうか。

「−−え?」
 その時思い切り不意をつかれた。誰にも知られぬようにしたはずなのに、フランチェスコ様はルクレツィアの機嫌を私に訊いてきたのだ。私は鳩が豆鉄砲を食らったような表情を一瞬見せた後、紛らわすように「どうでしょうか……?」と目を宙に泳がせた。
 たとえフランチェスコ様とはいえ、ルクレツィアの実兄。勝手に妹をロマーナにさらっていった男をそのまま見逃してくれるわけがないだろう。それにボルジェアーノの当主は、ルクレツィアの自由を奪ってまで娘に神経質であったことを考えると、その怒りの矛先がフランチェスコ様に向けられたとしてもおかしくはない。
「とにかく急がなければいけないので!」
 私は逃げるように、早足で大学の門を潜っていった。ルクレツィアを奪われるきっかけは作ってはいけない。


>フランチェスコ様

>All様

2年前 No.167

ダティーニ ★883ctsip11_exV


 【ヴェニーチェ共和国/ヴェニーチェ東区/造船所】

 「そうか、シニョーレ。時間をとらせてわるかった。そっちのシ二ョーラも」
 私はいって、彼女らと離れた。
 珈琲商人になって一儲けするのもいい気がするが、自分には商売は向いていないだろう。私は造船所から離れ、街に向かった。
 ここはここで、相変わらすの流行の先端を行く服装や、商店が並ぶ。
 しばらく広場を散策して、事を考える。
 サルベージはやはり、諦めるべきか。
 しかし、あの時の仲間の事を思うと、そう簡単に吹っ切れないものがあった。
 途方にくれながら、鳩に餌をやる。
 鳩たちはどんどん集まって餌をついばむ。
 「さて、どうしたもんかねぇ」
 呟いた自分が歳をくったものだと思い、自嘲した。


 >ALL

2年前 No.168

チェーザレ・カルデローネ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ヴェニーチェ共和国/ヴェニーチェ南区/総督府】


 用事を済ませ総督府のゲートを潜ったとき、広場に集まっていた鳩が一斉に飛び立った。視線は天空に向けられ、日の光を反射する翼が映る。今日も良い天気だ。そしてヴェニーチェの繁栄を示すような賑やかさ。この素晴らしい景色をもたらしたのは紛れもなく我がカルデローネ家の一族だ。

「チェーザレ様」
「どうした」
 総督府の外に出たとき駆け寄ってきたのはカルデローネ家直属の衛兵。私は何事かといった表情で衛兵を見やると、彼は「はい!」といった後に用件を告げた。
「貴方にお会いしたいという方が。ギリシアの哲学者で錬金術師であると自称する、仮面を付けたフードの男です」
「仮面の哲学者とは……。名は?」
「エリアスと名乗っておりました。いかが致しましょう?」
 聞けば聞くほど怪しい人物であったが、目の前の衛兵もそう思っているに違いない。表情が不安げだ。しかし、このまま会わずにいるのは腑に落ちず、私はその男に会うだけ会ってみることを決意した。
「その哲学者にあわせてくれ」
「よろしいのですか?」
「構わない」
 商人の取り締まりで退屈していた頃だ。ちょうどいい気晴らしになるだろう。私は馬車に乗り込み、ソフィア宮へと向かった。


>All様

2年前 No.169

アドリアーノ @makita ★xukvgMSQik_ZFe

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2年前 No.170

クリスティーナ・コローナ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ロマーナ/中心街/街中】


 今日は夫のロドリゴ公爵の主催する展覧会がアポロン神殿遺跡で催される。ロドリゴがパトロンとして保護している芸術家や文学者、学者たち、更にロマーナの議員や貴族といった上級市民まで参加する一種のパーティーといったところだ。当然、ワインやちょっとしたお菓子が振る舞われる。
 私は侍女と共にそこへと向かっていたが、なかなか歩は進まなかった。貴族達は私達夫婦を見て影で噂する−−“背教者と異教徒の娼婦”だと。
 夫が背教者といわれる所以は、女色だけでなく宗教的に罪とされる男色を好み、異端的儀式を密かに行っているといった噂や教皇庁と対立している立場があるから。そして、私は賤しい仕事をすると蔑まれているユダヤ人でありながら、大貴族の奥方となったから。

 ……本当は、貴族の妻になどなりたくなかった。けれど自分より立場が上の者に逆らえるはずもなかったし、それに彼は今まで出会ってきた酷い異教徒達とは違った。私をひとりの人として迎え入れてくれたのだ。決して偏見もせず、私を見てくれた。偏見を持っていたのは私であったのだとも気付かされた。
 そんな優しい夫に、それ以上のことを求めることは我が儘であろうか−−。けれど彼は私には触れない。抱きしめてもくれない。私のことなどもう何とも思っていなくて、新しい愛人に今では夢中なのだろうか。

『ほお……噂通りじゃねえか?』
『ブロンドの麗しい貴婦人かと思えば、公爵お抱えの異教徒コルティジャーナかい』
 路地を曲がったとき、背後から突然男達三人に声をかけられた。男達は賊か何かのようで、私を見る表情からも言葉からも嫌な予感しかしない。
「御用は何かしら……?」
 侍女と私は後退りしたが、私はめげずに彼等に用件を訊ねた。私達の怯える姿が面白いのか、彼等は近付きながらニヤニヤとした顔で見下ろしている。
『俺たちと楽しもうじゃないの。何、誰も見てねえんだ。恥ずかしがることはない』
『あんな公爵ばかり悦ばせてないで俺達も悦ばせろよ』
「遠慮しておくわ。私はロマーナの公爵夫人……おかしなまねをしたらただでは済まさない! 後悔をするわよ?」
 どんどん接近していく相手からの異様な圧力を跳ね返すように、彼等を睨み付け言い放つ。すると相手は突然私の腕を強引に引っ張り、はごいじめにした。
『えらそうな口を。だがまあ、高飛車な女をヒイヒイ言わせるのも悪くないな。たっぷり堪能させてもらうぜ? 悪く思うなよ。これはとあるお偉方からの依頼でな』
「……何ですって!? いったいそれは誰? は、早く放して!」
 抗っても動けなかった。それにあるお偉方というのが気がかりで仕方がない。この様なことを依頼するなど、どうかしている。何がしたいのであろうか。
「誰か助けて!」


>All様

2年前 No.171

ジョヴァンニ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ヴェニーチェ共和国/大運河】


「いよいよ乗れますね、ロレンツァ様!」
 大運河の上に、発明した帆のないボートを浮かべ、最後の点検を終えた私はロレンツァ様に解禁の合図を送った。
「やっと退屈から解放されるな」
「ずっと挨拶や仕事の話ですからね。しかもカテリーナ様やエルネスト様はご不在でしたし」
 船に乗り込みながらロレンツァ様がベルナルディ邸での苦行に対する皮肉をこぼすのを聴き、彼を慰めるように声をかけた。もしもピエディ様がおそばにいるときそんな言葉をかければ色々とうるさいだろうが、今は私たちしかいない。
「では行きましょう!」
 ロレンツァ様が乗ったのを確認すればレバーを下ろし私は舵を握った。さて、うまく行ってくれるであろうか。すると……

「ジョヴァンニ! 進んでいるぞ!」
「これは大成功ですね。速度もいいです!」
「いい科学者に恵まれたようだ」
「お褒めの言葉、うれしい限りです」
 ボートは動き出し、運河を順調に進んでいった。だが帆をつければ更に速くなるだろう。まだまだ不十分だということだ。ロレンツァ様にほめられる傍ら、私はそんなことを感じていた。
「そういえば……」
「いかがしました?」
 先ほどとは違う声色に気付き、どうしたのかと訊ねる。
「アエタルという教祖は、このヴェニーチェで処刑されたと異端審問記録には載っていた。何故、フリシ・アヴギ教団はヴェニーチェにいたと考える?」
「ヴェニーチェに用があったからでは?」
「ヴェニーチェの歴史をもっと知る必要があるな……。それに疑問がまだある。私はいくつか異端審問記録に目を通したが、その後処罰された教団のリーダーは皆容姿が同じであることに気付いた。名前は様々だったが、眉目秀麗な青年男性であったことはアエタルから共通している。恰も同一人物が年齢さえ変えずに生きているような。けどそんなこと有り得るはずがない。彼らは皆処刑された、殺されたんだからな。それ以前に年をとらず生きる人間などいない」
 ロレンツァ様は真剣な口調でそう語り、一旦間をおけば再び口を開いた。
「――マルティーノの言葉も気掛かりで仕方がない。彼はあの日、自分が二百年前の異端審問に関与したといっていた。いや、それよりも気になったのはホルツァー大司教に対する態度だった」
「態度?」
「まるで求めていたものをようやく見つけ出したような感じだった。そういえば酒場でいっていた。ギリシアのある彫像に感銘を受けたと。私も実際、アエタル町で見たんだ……ホルツァー大司教に瓜二つの。現地では、シビュラ教の神として崇められていた」
 シビュラ教とはギリシアの町アエタルの古代からの信仰であり、有名な古代ロマーナの哲学者アエタルの出身地とも云われている。
 神話としては、都市国家アエタルの巫女に、神が双子を身ごもらせ、その内ひとりが不死なる存在だったというもので、その不死身なる子の子孫がネフィリム族だという見解を持つものもいる。

「マルティーノはネフィリム族の復活や、不老不死の研究といった怪しい言葉を並べていたが、どれも成功はしなかったらしい。それでも彼には理想とするものがあった」
「それが、ホルツァー大司教ということですか?」
「というよりもシビュラ教の神そのもの。ネフィリム族の父だ。ホルツァー大司教に反応したのは、神の彫像と彼がそっくりだった故だろう。それ以上に意味があるとは考えにくい」
 確かにそうである。ホルツァー大司教は神々しいほどの姿だが人間だ。
「とはいえ、ホルツァー大司教が背教者集団と無関係であることを証明はしない。そもそも別問題だからな。ボルジェアーノ家に出入りしていた真実、盗賊団タレスの長が伝えたメッセージから察してもそうだ。ホルツァー大司教は黒。背教者集団のひとりに違いはない。ホルツァー大司教を捕まえ宗教裁判にかけられればいいが、そう簡単には行きそうにない。きちんと証拠を見つけるんだ」
 考えれば考えるほど謎は深まる。アエタル、フリシ・アヴギ、背教者集団、ホルツァー大司教、マルティーノ――。


>all様

2年前 No.172

ダティーニ ★2YKjk3svrj_PPP

【ヴェニーチェ共和国/大運河】

 女性にさっさと言って仕舞われた私は、心持ち残念な気がしないまでもなかった。なにしろ、喜怒哀楽がはげしいのか、言葉に一々、表情が現れるのだ。
 仕事の話しでなら乗っただろうか。いや、完全に怪しんでいたので無理だろう。
 故郷のヴェニーチェは大した繁栄だった。
 だが、嫌悪感が消えない部分もある。貴族同士の争いなどがそうだ。得に傭兵などやっていれば、せっかくそっち側で立てた武勲もお雇いの貴族様の気がかわり、講和などに慣れば、無かったことになりかねない。
 とにかく、争いがその場の勢いということもあり得るし、傭兵としては、使えやすい相手を見極めなければならないことになる。
 広場にいることも飽きたので、大運河沿いをあるいていると、訊いたことのある声が耳にはいってきた。
 みれば、ロレンツァがもう一人の人物とともにボートに乗っているではないか。
 途中ではぐれたとはいえ、こんなところではしゃいでいたのか・・・・・・。

2年前 No.173

ジョヴァンニ @makita ★xukvgMSQik_ZFe

【ヴェニーチェ共和国/大運河】


 しばらくボートの舵をとって進んでいくと、ロレンツァ様が「あ!」と突然声を出した。気になってみてみると、彼は岸のほうに顔を向けている。その視線の先には一人の整った顔立ちの男性。ロレンツァ様のお知り合いなのだろうか。
「船を近づけますか?」
「そうしてくれ」
「了解です」
 私はロレンツァ様の言うとおりに船を岸によせた。すると、彼は男性に向かって声をかける。
「今までどこへいっていた? 故郷の街並みに気を取られはぐれたのか?」
 笑みを浮かべながら男性に語り掛けるロレンツァ様の横で私はその男性にお辞儀をした。それをロレンツァ様が一瞥したかと思えば、彼は続けざまに「彼はジョヴァンニ。メディシア家が保護している科学者だ。この船も彼の発明品」と私の紹介をはじめる。私もこのままぼーっとしているわけにはいくまいと、「はじめまして」と男性に簡単に挨拶お言葉をかける。

 そのすぐあと。
「ジョヴァンニ。彼はダティーニ・リンツォ。ヴェニーチェの傭兵で私の仲間。タレスのご神体を所持していたのも彼、しかもマルティーノとなんらかの繋がりのある少々怪しい男だ……」
 今度はその男性についての紹介を私に始めた。後半のほうは笑っていたので冗談も入っているのだろうが、どうやらマルティーノとの関係は冗談ではないことが次の発言で知ることとなる。ロレンツァ様は今度はまじめな表情に変わりダティーニという男性に「マルティーノについて話してくれないか」と尋ね始めたのだ。しかもボートに乗るよう目で指示している。


>ダティーニさん

【ようやく落ち着いたので復帰します。遅くなってしまい申し訳ございませんでした!】

2年前 No.174

ダティーニ ★ysgs8PIFiS_tDF

【ヴェニーチェ共和国/大運河】

 おや、ジョバンニとやら、弟さんかとおもったら。しかも若いのに科学者とは驚きだ。私は挨拶して、彼の造ったボートに下りた。
 「マルティーノの話しかい」
 私はロレンツァを見ながら、軽く水面に手をやった。
 「あのペテン師は人生に絶望してるんだよ。ペテン師といっても、錬金術の腕は確かだ。それで、堕天した天使の話をいつもしていたよ。憧れるようにな。異端審問では、その天使が堕天した手がかりをもとめて、関わりが無いか調べ、東方では彼の話を集めていたらしい。そのとき、あの剣を見つけたそうだ。本人談、再発見だけどね。ネフィルムも、復活できないなら、自分で造るとか言い出したり。その結果が俺らしいが・・・・・・。ちなみに、奴の所持品は全部、海に沈んだよ。のこったのが、剣だけだったんだが、それもあいつの元から無くなった。しばらくしたら、たぶん、金ずるを見つけて、ネフィルムの研究でもするんじゃないか?」
 私は、ゆっくりと、言った。
 「私はあいつとは、二度と関わりたくないね。はっきり言って、支離滅裂もいいとこだからな。ちょっとつついてやれば、とんでもないことも平気でやりかねないしね」
 ついでに付け加えた。

 >ALL様

2年前 No.175

バルダッサーレ・アリプランディ @sunred☆Y/DwIWbMyak ★oxxprCAUoz_6st

【フィレンツィア共和国/フィレンツィア西メディシア地区/メディシア家別邸/宴会場】

「あぁ、いや、私が酒などあおっていたからです。……それほど有名なら嬉しい限りですね。」

賛辞には本当に慣れておらず、僅かに顔を赤くして、言葉の語尾が弱くなっていった。アルコールの酔いを醒ますように冷えた手で頬などに触れて体勢を立て直す。
いつもの肌色に戻しながら、そんなに有名であるなら頭の具合が可笑しい奴だということも有名なんだろうかと考えた。きっと他の作家が目ざとく批判していることだろうと考え至ると、自然と赤らんだ顔はいつもの様に色をなくしてゆく。

次の予想しなかった言葉に、これだから上流階級は嫌いだと心の中で悪態をついた。勿論心の中で、だ。思い込みが激しく、書く言葉の口調が強いバルダッサーレだが、現実にいては心身ともに非力な男だ。本人に言うほど態度もでかくないし、顔に感情が出せる程勇敢でもない。
作家に対しては殺し文句だと思われることを易々と言ってのけるのが目の前にいるような人種なんだろう。始めは大司教からの依頼とはいえどうしてああいう階級と仲良くしなくちゃいけないんだと思ってはいたが、実際言われてみると嬉しいものだ。
出来ることなら哲学者として言われたかったな、などと思いながら少しの間黙っていた。

異端者、狂人、精神異常者と一部では散々に言われているのを知っている。
作家としての作品を批判する者は年々減っているが、それと比例するように哲学者として書いていた頃の文章が注目されて頭がおかしいと言われることが増えた。おそらく目の前の男もそれを知っているだろう。
ただ、宗教信者という意味ではなく、何らかの病を精神上で発症させたという理由から異端と呼ばれているので弾圧はされないだろうと思う。思うのだが、この男はそれを支援したいなどと言っているのだろうか?

「そういって頂けるとは、正直全く予測していませんでした。いえ、嫌という意味ではなく、私で良いのだろうかと……。」

妄想癖があるせいか、実際に褒められ誘われるとどうも及び腰になる。
尤も、この態度のせいで優男だとか言われて興味もない女性にからかわれているので本人としても自己嫌悪している。

「申し訳ありません。どうにも私は不安定でして、自分の思うように話せないことがあるのです。貴方の様な方が支援して下さるならそれは本当に、おそらく私の人生の中で最も良い出来事です。ですので、私の作品を選んで下さると言うなら是非。」

弱い口調を平常時のような口調へと立て直しながら、自分の癖を謝罪し、申し出を引き受けたいと返す。
元々断る気はない。大司教の言葉がなければそもそも此処には来なかったが、いくら神に関して被害妄想が強いとはいえ他人から褒められることは嫌いではないのだ。

>ピエディ/周囲all

【遅れて申し訳ありません。文章を書くのがやや難しくなっていました。
話の流れが変わってきているようですが、上手く追えていないので前回の返事を書かせて頂きました。
今後もふらりと消えるかもしれませんが、何とか来ますので今後とも宜しくお願い致します。】

2年前 No.176

バルダッサーレ・アリプランディ @sunred☆Y/DwIWbMyak ★oxxprCAUoz_6st

【ヴェニーチェ共和国/西区商人町・フェリーチェ大橋】
愛の告白をすると末長くいられるという噂を商店の主から聞き、何か感じることはないかと先程から橋の上にいた。
支援の申し出を受けてから何か本を書く参考になることはないかと、此処では人で賑わう商店街によく出入りするようになっていた。
ペン先が割れてしまったのでその代えを買いに来たところで店主から言われたのがそれだった。

「あるはずもない感情を探しに、か……。特に愛おしくもないくせによく此処に来たなぁ私は。」

周囲は男女のペアが比較的多く、どうにも自分は場違いだ。
服装もいつもの左右非対称の色をしたもので、ペンと紙を持っている姿は作家というよりも画家だ。
確かに今手持無沙汰で橋の絵を手元の紙に描いているのは事実だし、そこらの人々よりも絵は上手だ。だが、絵の中に人が登場したことはなく、いつも写実的で無機質な絵になる。今も金具が冷たく輝く様を陰影で描いたところだ。


「火の中に乙女を見た王はその美女を探す為に彼女の似顔絵を国中にばらまき、彼女がどれほど優しく清らかな乙女で自分の心を癒したかを学者に語り、彼女の心身の美しさを表すように彫刻家を諭しました。数年後、その国ではその乙女を女神として「あの方はこういう方だ、だから我々はこうしなくてはならない」といった教えが数多く生まれました。」

始めは小さく呟くように、次第に話す程度の声量に変わり、近くの人が此方に目を向けるようになってようやく、自分が物語を語っていたことに気がついた。
乙女は勿論神のことだ。だが、王の想像からきた清らかな恋の物語だと認識した人々は何処か嬉しそうに此方を見ていた。きっと、恋人を待つ芸術家か何かだと思ったのだろう。急にいたためれなくなり、橋を描いていた紙を伏せて商店街の方へと顔を向けた。
これからどうしようか、周囲の視線から気をそらすために用事や文の構成に思考を追いやった。


>all

2年前 No.177

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★xukvgMSQik_ZFe

【ヴェニーチェ共和国/大運河】


 若くして科学者であることを褒められ、少々嬉しそうにするジョヴァンニが『いえいえ』と照れ笑いをしている。
 その表情のまま彼はダティーニに『弟のアドリアーノをご存知でしたか。弟は今ロマーナ大学の神学部に……』と、あの好色な画家の意外な状況を話し始めた。アドリアーノが聖職者を養成する神学部に在籍するとは、今でも信じがたい。私は夢でもみているのだろうか。

 とりあえず二人の挨拶が終わると、ダティーニはマルティーノの話にうつった。先ほどとは打って変わって、ダティーニは真剣な面持ちだ。口調もゆっくりである。けれど内容は、その真逆であった。
「堕天使か……」
 少々呆れたようにつぶやくのも無理もない。やはりマルティーノは人生に絶望し気が狂っただけなのだろうか。堕天使……。
 その時ふと、ギリシアの都市アエタルの神殿でみた、ホルツァー大司教に、そしてダティーニに似ている神像の姿が脳裏をよぎる。宵闇の中、月明かりで白く輝く青年神の像。
「以前ギリシアで見たシビュラ教の神だが、あれをマルティーノは堕天使だと思ったのか? いったいマルティーノのいう堕天使とはなんなんだ? 本当におまえはダティーニによって作られた人間なのか? 正直言うと、私は混乱していて何が何だか」
 そもそも人間をつくることなど可能なのだろうか。それに堕天使と神とでは雲泥の差である。どういった理屈でその両者が繋がることとなったのか些か疑問だ。
「ただ、教団が剣を狙っていたことを考えてみても、マルティーノと教団はなんらかの関連を持っているのだろう。マルティーノの所持品を調べることができるといいが、海の底だからな……。サルベージは目立ちすぎる」
 そう呟くと、ジョヴァンニが何か閃いたのか、こちらを見つめてこう言ってきた。
『なら、潜ればいいのですよ。潜水の為の道具をつくれるはずです!』
「そんなものをつくれるのか?」
『やってみなきゃわかりません。私にお任せを』


>ダティーニ、ALL様

2年前 No.178

ダティーニ ★RFv9H9MGJN_ZI4

【ヴェニーチェ共和国/大運河】

 「弟さんは、神学部にいったのかぁ。それは、また敬虔なことだなぁ」
 私が答えると、ジョバンニが陽気に潜水服の事を言って、私は内心喜び、多少の不安ももった。
 潜水服など、本当にできるのだろうか?
 それに、サルベージした中に、なにか、とんでもないものでも入ってないか。
 とはいえ、船の荷物は引き上げは、長年の希望であることに代わりはない。
 「人間を造ると言っても、俺の場合、整形手術と、暗い部屋に閉じこめられて俺の人生を悉く否定されたところに、マルティーノのから新しい人生経験を吹き込まれただけだがね」
 わたしはロレンツァに向かって、つづけた。
 「堕天使が焼かれた日、彼も焼かれたとか何とか言ってた気もがするなぁ。奴の思いこみでさえなければだが。たしか、焼かれた堕天使の名前をいっていたが、わすれちまった・・・・・・」

 >ロレンツァ、ALL様

2年前 No.179

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ヴェニーチェ共和国/大運河】


 科学者というものは何処か得体の知れないことをする者として捉えられがちだが、マルティーノは本当におかしい奴だと断定できる。ダティーニは彼の身勝手な実験に巻き込まれたのではないだろうか。
 私はぼんやりとダティーニの言葉を聞きながらそんなことを考えていたが、すぐに疑問を抱いた。
「整形? ……つまりお前の顔は、作られたものだということか?」
 ダティーニの顔は以前からホルツァー大司教に似ているような気がしていたのだが、それはマルティーノにそのようにされたからだったというのか。
 確かに教皇庁別邸の書物庫に入ったあの日、マルティーノはホルツァー大司教の姿を、感動の眼差しで見つめていた。

「……焼かれた?」
 次に出てきた内容は聞き覚えのあるようなものであった。それは異端審問記録に綴られた内容である。
「私は前にフランチェスコと教皇庁別邸の書物庫に入った。ボルジェアーノ枢機卿の許可の元、異端審問記録を見るために。理由は過去に背教者集団が活動していたか、その存在を確認するためにだったが、そこにマルティーノが現れたんだ」
 これはダティーニに伝えるべきだと判断した私はこう続ける。
「私とフランチェスコはその時、200年前の記録を読んでいた。アエタルという若い教祖が裁判にかけられ、ついには火刑に処されるまでの……。それに対してマルティーノは、自分がそれに関わっていたと言っていた。だとすれば、その堕天使というのはアエタルと関係している……いや……アエタルは堕天使なのか? その堕天使というのは何なんだ? 何者だ? 聖アドリアーノ伝説に登場するネフィリムを率いたあの堕天使のことか?」
 つい質問責めになっていた私は身を乗り出すようにダティーニをじっと見つめていた。アドリアーノ伝説を持ち出したのは、今回の事件にそれが関わっているからである。
 それにしても何かが繋がるような、そんな気がしてならない。そしてもう一つ訊ねた。
「その堕天使というのは、どんな姿をしている?」


>ダティーニ

1年前 No.180

ダティーニ @datt10 ★ztXiKCBbhr_551

【ヴェニーチェ共和国/大運河】

 ロレンッアの剣幕は、私の諧謔精神を吹き飛ばした。
 そして、鋭く記憶を浮き彫りにする。
 「そういえば、マルティーノから聞いた話を合わせると、アタエルの神殿で見た、像そっくりだったといま、思い出したよ」
 私は、短く答えて、彼の反応を待った。

 >ロレンッアさま ALLさま

1年前 No.181

フランチェスコ・ボルジェアーノ ★AU=T2dhWYP1sj

【ロマーナ/教皇庁地区】
私の不意討ちに目が泳いだアドリアーノ殿は、まるで逃げるように大学の構内へ入ってしまった。…どうやら怯えさせてしまったようだ。
「…参ったな」
あの様子では、私が母に命令されてルクレツィアを連れ戻しに来たかと思ったのかもしれない。今度また会えたら、私がロマーナに来た理由を説明しなければ。


【ロマーナ/中心街/街中】
無事に挨拶回りも終わり、一緒に回ってくれた衛兵達に礼を言った。
「ありがとうございました。1人では道も分からず、到底回りきれないかと思っていました」
『いえいえ、これも仕事ですから。しかし、本当にここで大丈夫ですか?』
「ええ、さすがに帰りまで一緒では私も気が引けまして。それに、色々と興味深い地なので少し辺りを見て回りたいんです」
衛兵達は顔を見合わせたが、それ以上は追求してこなかった。

街中をぶらぶら歩いていると、近くの路地から声が聞こえた気がした。
路地に入ると、羽交い締めにされた身なりのいい女性と侍女の2人が助けを求めている。
相手は男3人。…1人か2人は話を聞く為に生かして捕らえたい。
剣を抜いて駆けつけると、やっと男達は女性を離して剣に手をかけている。
1人目が抜こうとした手に切りつけ、動きが止まった所へ鼻を鍔で殴りつけて倒す。
2人目の振り下ろした剣の軌道から僅かに身を捩って避けると、逃げられないように膝の周辺を狙って切りつける。
3人目は真っ向から剣を打ち合わせ、力任せに体重をかけてきた。
私の背後には女性2人。ここで下手に避ければ彼女達が危ない。
片手を柄から離して短剣を素早く抜き、男の胸を刺した。

胸を刺した男はすぐに事切れ、鼻を殴って気絶させた男と切られた膝を押さえている男を縛ってから、女性達に声をかけた。
「危なかったですね。お怪我はありませんか?」

【大変遅くなりました!随分久しぶりなので不安です…】

>ALL様
>クリスティーナ・コローナ様

1年前 No.182

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ヴェニーチェ共和国/大運河】


「像そっくり……」
 私はダティーニの言葉で、その時確信した。そして一つずつ集めたピースを並べていく。「堕天使」、「アエタル神殿本尊」、「ダティーニの整形後の顔」、「マルティーノの求める者」、「ネフィリム」、「ネフィリムの帝国ロマーナ」、「哲学者アエタル」、「教祖アエタル」、「ホルツァー大司教」、「背教者集団」、「聖アドリアーノ子孫を狙った殺人」、「聖アドリアーノの剣」、「ネフィリムを唯一倒せる剣」、「パラケルススの剣」、「賢者の石」、「永遠の命」……。
 堕天使、アエタル神殿本尊、教祖アエタル、ホルツァー大司教には何らかの関係があるに違いない。顔が似ているということは、ホルツァー大司教が、アエタル、さらにギリシアで神として祭り上げられた英雄の先祖である可能性もなきにしもあらずだ。
 堕天使に関しては、キリスト教国教化に伴って異教の神が悪魔のようなものに落とされた可能性を踏まえれば、シビュラ教の神も同じような目に遭わされ堕天使とも言われるようになったと考えれば納得がいく。
 さらにシビュラ教の神(神格化された英雄か)の子孫であるアエタルやホルツァー大司教が同じ様に異端的な活動を行っていることを考えると、先祖代々その活動は受け継ぐものなのだろうと思われる。アエタルと名乗る教祖たちは異端審問記録をみる限り容姿が似通っており思想も似ている。その思想はネフィリムの帝国ロマーナの哲学者アエタルから来ている。
 ただし哲学者アエタルが教祖アエタルたちと直接的繋がりがあるという根拠は無く、事実は不明。ホルツァー大司教の先祖が、哲学者アエタルの思想に感銘を受けて、自らをアエタルと自称するようになった可能性とて十分あり得るからだ。
 だが何れにせよ、哲学者アエタルはネフィリムの社会の中で生きてきた。ネフィリムにとって哲学者アエタルはどのような存在で、哲学者アエタルにとってネフィリムはどのような存在であったのか色々と考えさせられる。少なくともネフィリムは彼を自分達と対等な存在として見ていた。哲学者アエタルが人間であるなら信じられないことである。そう、人間であるなら。
 ふと、哲学者アエタルが人間ではなくネフィリムなのではないかという疑惑が浮かんだ。

「聖アドリアーノ伝説の堕天使……?」

 ネフィリム族を率いた彼らの父祖。いや、待て。ネフィリム族の父祖……つまり、シビュラ教の神ではないのか。ダティーニによれば、マルティーノはシビュラ教の神を堕天使と似ていると言っていたのだ。
「ダティーニ。もしかして、哲学者アエタルとシビュラ教の神と聖アドリアーノに登場する堕天使は同一人物じゃないのか? フリシ・アヴギ教団の教祖たちと、背教者集団の教祖ホルツァー大司教は、顔が似ていることからも、その子孫かもしれない。彼等は変わらぬ意志をずっと昔から後世へ伝えてきたんだ」


>ダティーニ

>all

1年前 No.183

ダティーニ ★PyzGMnWb5Q_MXH


【ヴェニーチェ共和国/大運河】

 ロレンツァの言う事に、私は内心、しばし唖然としていた。
 ならば、わたしは、マルティ―ノの被害者ではなく、関係者となる。
 冗談ではない。お小遣いほしさに、下らない詐欺師の真似もしてきたが。
 哲学者アタエルと、聖アドリアーノ伝説の堕天使が同一人物というのは、残念ながら否定出来ないようだ。
 私の変わってしまった顔が全てを語っている。
 「あんたの言うとおりかもしれんな・・・・・・。で、そのホルツァー大司教ってのに会えないか?」
 急に湧いてきた殺意を押さえ、わたしはできるだけ感情を消して冷静に言った。
 「それとも、マルティーノの奴をもう一度捕まえて、全て吐かせ、そのあと永遠に消えてもらうか・・・・・・」
 言っておきながら不快感を味わった。

 >ロレンツァ様
 >ALL様

1年前 No.184

クリスティーナ・コローナ @makita ★Android=QP7DgXg77L

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1年前 No.185

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ヴェニーチェ共和国/大運河】


 馬鹿にされそうな推理を始めてしまったと内心感じていたが、ダティーニは私の考えに一理あるといった様子であった。そして少し安心していると、彼の次の言葉で驚く。ホルツァー大司教に会えないかというのだ。
「生憎、ホルツァー大司教はフィレンツィアだ。ヴェニーチェにはいない。それに下手に接触すれば何をされるか分からないんだぞ? 安全な国に今いるというのに、自分から危険に飛び込んでどうするつもりだ……」
 ダティーニがどんな男かは今でも分からないのだが、何だか本気でホルツァー大司教に会いに行きそうな気がして不安になった。私はやめるように促したが、その次の発言も結構凄いものである。
「彼を……マルティーノを殺すのか……?」
 ダティーニがマルティーノにされてきた行いは彼としても許し難い行為なのだろうが、尋問して殺すとなれば、指名手配され社会の光の部分では生きられなくなることをも意味している。
「それもやめておいた方がいい。それに私達が今問題としているのはフィレンツィアで起こっていた連続誘拐殺人事件だ。マルティーノはその犯罪集団とは関わりがないように感じる……。教皇庁別邸の書物庫でそれは明らかだったからな」
 マルティーノは確かに謎も多く意味深な発言をしているとはいえ、例の事件とは無関係だ。関係があるならホルツァー大司教のことを、恰も宝物を発見した冒険家さながら、あの様に見るだろうか。

『ロレンツァ様……』
 ダティーニと話すことに集中していたとき、横からジョヴァンニの妙な声が聞こえてきた。
「どうかしたのか? それに海に出ているじゃないか」
『ロレンツァ様……船が言うことをきかなくて。助けて下さいよ!』
 話に夢中になっていたせいか気づけないでいたのだが、私達はアドーレ海に出てきてしまっていた。近くにはなかなか大きな船も見える。このままだとあの船にぶつかってしまいそうだ。
「そんなこと言われてもっ!」
『ぶつかります!』

『「わぁああああああああああああああ!」』
 私達はもうだめだと思ったとき、腹の底から悲鳴をあげてしまった。目をつぶってこれから起こる災難に対する覚悟を決めていたが。

「あれ?」
 何も起こっていない。物凄い衝撃がくることを覚悟していたのだが、幸運にも何も起こっていない。だが不思議に思って目をゆっくり開いてみると、船はとまっていた。助かったという安堵と同時に込み上げる友人への怒り。
「溺れて死ぬところだったじゃないか!」
『そう言われても……』
 ジョヴァンニがしょぼんとした顔で此方を見てくる。確かに彼が悪いわけではないから、あまり強くはいえない。少し気まずくなってジョヴァンニから顔をそらすと、目の前の船に目をやった。
 商船にしては様子がおかしいが、この胸騒ぎは何なのだろうか。
「この船……なんか様子がおかしい……」
 その時私は気付いていなかった。目の前の船が、アドーレ海の商船を狙う海賊船であるという事実を。


>ダティーニ

1年前 No.186

ダティーニ ★Lrov4kU4VX_yqs


【ヴェニーチェ共和国/アドーレ海】

 ジョバンニの船の言うことが効かないというのはきになるが。
 海賊はガレー船のようだった。
 懐かしいではないか、元相棒よ。
 「ロレンツァ、海賊は金目当てだ。買収するか?それとも、俺がどうにかするか?」
 殺気だっていた私は、言った。
 「どうにかするなら、出来るだけ船尾につけてほしいところだが、船は動かないか」
 それでも、奇襲なら勝機がある。
 近寄って来るなら、大歓迎だ。海賊から逆にぼったくってやりたい。
 私は、腰の剣をなで、唇を舐めた。

 >ロレンツァ様
 >ALL様

1年前 No.187

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ヴェニーチェ共和国/アドーレ海】


「いや……」
 どうも様子がおかしい。自分達には気がついていないようだが、何処からともなく話し声が聞こえる。船は碇をおろして海上で停まっている。
 耳を澄ましていると「カルデローネ」と聞こえてきたのだ。カルデローネといえば、ヴェニーチェ共和国の大商人、支配者だ。
「運がいいことに此方に気づいていない。それに何を話しているのか気になるだろ?」
 つまりこっそりと忍び込み盗聴しようということだ。私はそう提案するなり、早速船を登り始めた。


>ダティーニ

1年前 No.188

チェーザレ・カルデローネ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【ヴェニーチェ共和国/北区/商人町/ソフィア宮】


 自邸に到着し馬車から降りると、護衛たちが出迎えた。その中の一人が、例のギリシア人哲学者兼錬金術師だと名乗る怪しげな人物が待つ応接間へと私を案内する。
「ごくろう」
 そう礼を言って応接間に入ると、異様な雰囲気がイヤでも漂っていることが分かった。

「……!」
「……」
 無表情な仮面が私へと向けられる。それだけでも異様だったのだが、何か凄まじいものを前にしているようなそんな感覚が襲う。
「お初にお目にかかります」
 だが、そんな相手から聞こえてきたのは若い男の穏やかな声であった。声の雰囲気からは、その仮面の下に美しい顔を隠しているに違いないと思わせるものがある。
「エリナンと申します。ギリシアで錬金術と哲学を」
「話は護衛の者から伺っている。私はチェーザレ・カルデローネ、商人だ。しかし何故、錬金術師が私に? まあ私も“カネ”の作り方を心得ている者だがな」
 半ば冗談を交えながら疑いを秘めた眼差しをエリナンに向けた。それを悟ってか、彼はすぐに返事を返す。
「あなたに頼みがあって参りました。実は、私はある宝のありかを示した地図を探しているのです。それはヴェニーチェのどこかに隠されています。その一つを、カルデローネ家が所有していると」
 耳を疑った。宝の地図? そのようなものをカルデローネ家は持っていたであろうか。

「聖女ヴェニーチェの末裔であるカルデローネ家は持っているはずです」
 相手の口から聖女ヴェニーチェのことが語られて思い当たったのは、カルデローネ家に代々伝わる宝、聖女ヴェニーチェの聖遺物といわれた代物であった。
「まさか、あの聖遺物のことでは無かろうな?」
「聖遺物?」
「あれは巻子本の形状をしているが、どういうわけか中を覗くことが不可能だ……特殊な鍵が掛けられているか、或いははずしかたがあるのか……。ところで−−」
 その宝がいったいどの様なものかを訊ねても問題はあるまい。それに錬金術師が私に頼んでまで探したいものなら、きっと面白いものだろう。私は芸術や学問が好きでパトロンをしてきたのだが宝探しも興味深い。
「それも聖遺物のようなものです。ネフィリムを封印した聖人アドリアーノ……彼が持っていたとされる伝説の聖剣が地図の指し示す場所に」
「なる程。面白そうだ……」
「しかしあなた方にやっていただくのはパトロンの仕事ではなく、目くらましです。実は私は不老不死の研究をしておりまして、その聖剣がそれを握る鍵なのですよ。ただ、それを狙う勢力が存在します」
「……?」
「メディシア家の勢力の者です……。ベルナルディ家の新規事業の支援のため今ヴェニーチェにいるようですが。聴いたところによりますと、カルデローネ家はベルナルディ家と仲がよろしくないようで。メディシア家に此方の動きが悟られるのは問題だと、是非協力していただきたい。勿論、貴方にも相応のものを約束しましょう。私ばかりが守られているのは何分不公平ですから」

1年前 No.189

ダティーニ ★bHhFOZUUec_lGC

 【ヴェニーチェ共和国/アドーレ海】

 聞こえてくる、カロデローネとは、ヴェニーチェの豪商の名前だが、昔随分とお世話になった名前である。
 船員をしていた頃、主な仕事は、カロデローネ家から来たものだった。
 ロレンツァが、船に乗り込み出したので、私も跡を続いた。
 甲板の物陰に隠れて様子を見てみると、船員に見知った顔がちらほらと見えた。
 「ちょっと、まってろ」
 わたしは、ロレンツァに言って、何気ない風で、忙しそうにしている、船員の中に紛れ込んだ。
 「よう、久しぶり」
 知り合いの男に、手を振りながら笑顔で話しかけると、相手は驚いた顔をしてから、硬い笑みを浮かべた。
 「ダティーニっ!? おまえもいたのかっ!」
 「あー、会計係で、船長のとこに缶詰だったよ」
 私は適当に言った。
 「おまえ、帳簿つけれたっけ?」
 相手はからかい半分の怪しい笑みを浮かべた。
 「まあ、会計係という、個人的護衛だ。といっても、缶詰には変わらない。なにしろ、やること無いからな」
 「なんだその、楽な仕事は・・・・・・おれなんて、ここ一週間汗水たらして、大変だったんだぜ?」
 「し・る・か!」
 「ひでぇ・・・」
 難なく船員とうち解けた私を、ロレンツァは影にかくれて観ていた。

 >ロレンツァ様
 >ALL

1年前 No.190

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★ZJRP3Qa0EH_iYt

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】


 ダティーニがいうにはこの船は海賊船ということだが、確かに、甲板の陰から見える船員たちの様子は明らかに商人たちのそれとは違う。そんな彼らが何故カルデローネ家の話をしているのか不思議であった。尤も、この船に乗り込んだのはそれが理由だが。
 このまま盗聴を続けるつもりであったが、突然動き出したダティーニに唖然として、それどころではなくなった。甲板にいる船員たちに大胆にも近づいていくではないか。
「ダティーニ。……いったい何のつもりだ……!?」
 小声でダティーニの突飛な行動を制するように声をかけるもダティーニは聴いていない。冷や冷やしながらその行動を見守っていると、どうもそこまで不安になる必要はなかったようだ。船員たちはダティーニの知り合いらしく、皆親しそうである。
 彼は確かヴェニーチェの傭兵であるときいていたが、まさかとは思うが海賊だったのだろうか。ふとそんなことを思うも、このままぼさっとしていくわけにはいかない。ダティーニが船員たちの気を引いている間、私はこっそり船倉へと忍び込んだ。カルデローネ家について話しているのは甲板の船員たちではなく、この中にいる人間である。

 倉の中はぼんやりと暗く、僅かに蝋燭の灯や窓からさしこむ光があるだけである。そして独特な香りが鼻を刺した。この香りは知っている。
「これは……」
 倉の中には沢山の荷が積まれていたが、この中からするようだ。まさかと思い確認してみると、案の定それは香辛料である。東方からの交易品だ。箱や樽の種類がバラバラなところをみると、きっとこれは商船から略奪した品。海賊であるし略奪は不自然なことでは無いが、驚きと恐怖を隠せなかった。自分がいま本当に海賊船の中にいるのだという実感である。

『――彼らのおかげでぼろ儲けさ。カルデローネ家とつながりを持ってさえいれば、ヴェニーチェでは咎められない』
『ヴェニーチェ商人はいいカモだな。香辛料がこんなにも!』
『とはいえこのうちの何割かはとられちまうけど……』
『仕方がないだろ』

 奥からきこえる二人の話し声。耳を欹てて聴いてみれば、驚くべき事実。この界隈の海賊は、あの豪商に買収されているというのか!?


>ダティーニ

>ALL

1年前 No.191

ダティーニ ★RP9aH94QSp_0em

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】

 「ところで、今度は随分と儲かったようだなぁ」
 船の様子は、特に沈んだところが無く、乗員も機嫌がいい。
 「ああ、二、三襲ったが、海賊業なんて、ここの海じゃ争いになることはないからな。楽なもだよな、ほんと」
 カマをかけてみたが、どうやら予想は当たっているらしい。
 ついでに、鼻歌を歌いながら、自然に船内をぶらついてみたが、明らかに傭兵業からあぶれた連中をちらほらと見かける。
 ベェニーチェという海運国の事を考えれば、さした不思議な風景でもない。
 みれば、船員たちは、傭兵どもが多いうえに、随分と風紀が乱れている。
 ここで、ちょっとばかり、悪戯心が動いた。だが、あのロレンツァには、刺激が強すぎるだろうか。
 勝手に事を運ぶ前に、ちょっとばかり伝えておいたほうがよかろう。
 彼が侵入した跡をたどり、船倉の奧へと入った。
 予想どおり、二人が物陰に隠れているのが影でわかった。何かを覗いているらしい。
 私は驚かさないように、彼の服の袖を軽くひっぱって、気付かせそっと耳打ちした。
 「どうだ、この船、乗っ取ってみないか?」

 >ロレンツァ
 >ALL

1年前 No.192

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★ZJRP3Qa0EH_iYt

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】


 重大な事実を知ってしまったことに私はぽかんと口を開いたままだ。
 なるほど、立場の弱い海賊たちを利用して収入を得て、さらに他の商人たちを抑え込み自らの権力を確実なものにしているのだ。汚い奴らだ。そんな奴らがヴェニーチェ共和国を支配しているとはゾッとする。道理で、現地の商人たちの元気がないと思ったわけだ。
 これは父上やベルナルディ家のご当主に報告すべきかもしれない。

 私が考え耽っていると、突然誰かに衣服を引っ張られ振り返った。初めこそ肩が跳ね上がったものの、その誰かがダティーニであることに気づくと「どうかしたのか?」という表情で相手を見やった。
『どうだ、この船、乗っ取ってみないか?』
「なんだって……!?」
 何事かと思えば、船を乗っ取る!? 冗談じゃない。そんなことをすれば海賊、さらにカルデローネ家に目をつけられかねないではないか。
「私はそのような問題ごとは起こしたくはない。そんなことをしてどんな利があるというんだ?」
 眉間にしわを寄せた顔でダティーニに小声で返す。そもそも待機しているジョヴァンニを含めた、たった三人で、何ができるというのだろうか。この近くに宝島でもあって、それを餌に海賊を動かすとかそういうことだろうか。突拍子もない仲間の提案には恐れしか感じられなかった。


>ダティーニ

【ロレンツァのいうことはきかなくて大丈夫ですよ! 本体は海賊船乗っ取ってみたいのでw】

1年前 No.193

ダティーニ ★rzCCUwv90y_7Mf

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】

 「利?さてなぁ。様子を見てみていたら、随分と悪度そうな船長どもじゃないか。不満もってやる奴らが多いし、ちょうどいいから、かな?」
 私は適当な提案理由を造り上げた。
 はっきりいえば、昔、海軍で働いていたときに酷い目にカルデローネ家への個人的な復讐心というやつである。
 恐れ不安がるロレンツァをなだめすかし、私は上尾甲板に戻った。
 おもった通りに、旧知の男に言う。
 「で、報酬はどれぐらいになる? かなり儲けたから、分配率からいって一端帰れば、しばらく豪遊でもできるだろう?」
 「とんでもねぇよ。報酬は、そんなにいかない。せいぜいが10日ぐらい遊べる程度だ」
 予想通りの不満顔な返事だった。
 おれは、わざと驚いた顔をした。
 「馬鹿いえ、たったそんなもんな収穫じゃないぞ?」
 「なんだって?」
 「おかしいな。海賊といったら、大抵は船長や甲板長が多めにとるが、あとは皆で平均的に分配されるはずじゃないか」
 「そんなに、儲けたのか?」
 「無論だ」
 「ちょっと、周りに言って確認してくる」
 噂は、すぐに広まり、続々と乗員たちは無断で船倉や、船長室に押しかけた。
 「なんだよ、これは!?」
 「おい、ふざけんなよ!?」
 「俺たちは、傭船義務で海賊してた訳じゃないんだぞ!!」
 口々に怒りの声があがった。
 「おーし、じゃあ、新しい船長に変えて、今の船長は、解任だな」
 私は脇から大声で同調するように叫んだ。
 「そうだ、解任だ。やっちまえ」
 「やろうぜ、俺たちをだましやがって!」
 船の上も中も大混乱におちいった。
 私はその様子を、面白おかしく見守っていた。

 >ロレンツァ
 >ALL

1年前 No.194

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★ZJRP3Qa0EH_iYt

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】


 開いた口が塞がらないまま、たった今ここで展開されていることを私は見守っていた。海賊だの船だのそういうことには全く以て無知な私には協力どころか下手に動くことさえできず甲板に戻るダティーニを追ってやり取りを聞いていた。
 話によれば、船長たち船の偉い人間(多分、カルデローネ家の息のかかった海賊)がかなりの儲けを出したのにも関わらず雇っている船員に十分な分け前を与えなかったという。ダティーニはそのことを利用し船員たちを扇動。苛立ちや焦りを窺える船員たちはすぐさま噂を船内に広げ、船長たちのいる部屋へと押しかけていった。不満を爆発させる船員たちに流石の船長たちも動揺を隠せずにおり、落ち着くように彼らを宥めるもそのようなことは命がけで航海をする気性の荒い海の男たちには通用しない。そして巻き起こる船上での大混乱。それを面白そうに眺めるダティーニの隣で私は唖然としていた。これが船の乗っ取りなのか。あまりの手際の良さに対する一種の感動と恐ろしさが相成って変な笑みがこぼれた。

「さ、最高だな……」

 何故だか面白おかしくて笑い出しそうになっていた。怖いことを経験した後に押し寄せる変な快感だ。気が付けば私は大声で笑いだしていた。その後ある程度落ち着けばダティーニの方に向き直り「で、海賊船を乗っ取った後何をする気なんだ……?」と真面目に問いかける。流石に海賊行為などは言語道断。まさか海賊のふりをしてカルデローネの人間と接触でもするつもりなのだろうか――?



>ダティーニ

1年前 No.195

ダティーニ ★adFJXljuJk_nrV

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】

 『で、海賊船を乗っ取った後何をする気なんだ……?』
 ロレンツアが聞いてきた。
 こちらは、カルデローネ家に対する、単なる嫌がらせ程度に思っていたので、さてと何か考えるべきなのだろうか?
 「この船をつかって、他にいるであろう、カルデローネ家関係の船を襲うってのはどうだい?
あんたが、怖いなら船長は俺になるが、船長になる気はないか?」
 私は、この後で起こるであろう、船長及び、甲板長の人選についてきいてみた。
 「すくなくとも、おれ自身はここの甲板長ぐらいにはなれると、踏んでるがねぇ」
 喧騒の中を眺めつつ、気楽な様子を見せつけて、言った。
 「それとも、これを証拠物件として、ヴェネーチェの法廷に持っていくか? おぼっちゃんなおまえには、そっちのほうが、性にあってそうだが、おれは暴れてもみたい。どっちにしろ、おまえ次第だ」
 私は無責任丸出しで、隣の青年に訊いた。

 >ロレンツァ
 >ALL

1年前 No.196

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★ZJRP3Qa0EH_iYt

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】


「私が海賊船の船長!?」
 突拍子もない提案に思わず驚きの声をあげる。
「でも私は一度も船を動かしたことが無い。船に関しては無知すぎる。うちが交易商ならともなく銀行業だからな……。それにお前が船長となってカルデローネ家関係の船を襲い大商人で且つヴェニーチェの支配者である彼らを怒らせたらその後どうなるか……そこは慎重に考えるべきだ」
 とにかく初めてのことばかりで好奇心よりも恐怖がかっていた私はそう無茶なことをしでかそうとする相手を宥めようと説得するが、「お坊ちゃん」と相手にいわれなんだか悔しくなってきたのか怪訝そうな表情を見せ始める。そして私はダティーニに言った。
「ふっ。相手はカルデローネ家だ! 法廷に出したところで結果は目に見えている。それこそ無謀な行為だろう」
 つまり裁判官さえカルデローネ家の息がかかっており、訴えも無意味なものになるどころか今後彼らから警戒され必然的に不利な立場になることを不安視したのだ。それならば私にも考えはある。賢い選択があるはずだ。
「……そうだな。カルデローネ家管轄下の船を狙えば確かに問題かもしれない。だがただのカルデローネ家に買収された海賊船を討伐するという名目ならば、彼らとてあからさまに文句は言えまい。きっとヴェニーチェ商人たちはカルデローネ家に相当な恨みを抱いているはずだ。彼らに接近するにも彼らの味方をして信用を得よう。――決めた。ではダティーニ、お前の提案をのむことにする!」
 意を決して私はダティーニにそう返事をかえした。この言葉に嘘偽りはない。


>ダティーニ

>ALL

1年前 No.197

ダティニ ★9AW4p4qzHZ_nrV

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】

 手段の為なら味方にも刺激を与える。
 お坊ちゃん呼ばわりしたのがきいたようで、本人はすっかりやる気だ。
 話は決まった。
 私は、旧知の男に知らせて荷を船員達に解放させ、これを知らせて解放するようにいったのはロレンツアという青年だという、噂をばらまいた。
 船長以下、海賊船の幹部はすでに船員達によって、狭い船倉に放り困れて、後の裁断を待たされているとことだった。
 私は遠慮なく幹部等をたたき出し、ロレンツァの名の下に、海の中に放り込んだ。
 つぎは、指導者をどうしようかというところだった。
 だが騒動が私の話やロレンツアという青年の処理と皆に話が伝わり、圧倒多数で船長ロレンツア、甲板長私という、新体制が支持された。
 話の次ぎに、現実が決まった。
 「船長、みんなに一言、やってくれるかね?
 私は、新たなる船長に、言った。

 >ロレンツア
 >ALL

1年前 No.198

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】


 私がダティーニの提案を承諾後、ことは彼の元で順調に決まりダティーニは甲板長、私が船長のポジションに就くこととなる。元幹部達が海へと投げ込まれ、その騒ぎを聞きつけジョヴァンニも船に乗り込んだので乗組員は全員揃った。

『船長、みんなに一言、やってくれるかね?』

 甲板の上で佇んでいると、隣にいた新甲板長ダティーニが私にそう促した。船長に就いたからには責任を持って行動しなければ。そう決意し気を改めると船員達に向き直り言った。

「我々はもう海賊では無い! 不正を行うものを討伐する。不正を行う者とは誰か! アドーレ海の海賊は全て豪商カルデローネの傘下にあることは周知の通りだ。奴らはヴェニーチェ商人達の船を襲い彼らの力を奪っている。結果、カルデローネ家は自分の地位を築き海賊が奪ったもので私腹を肥やしているのだ! その様な行為は決して許されはしない!」
 いつもより張り上げた声が船上で響く。
「虐げられている我々に、そしてヴェニーチェ商人達に希望を、そして自由を。ヴェニーチェの真の平和と繁栄のために!」
 言い終えた後、今度はダティーニに船を進ませるように指示を出した。操舵に関してはダティーニの方が詳しいだろう。
「よろしく頼む」
 ダティーニの肩に軽く手を置いた。


>ダティーニ

1年前 No.199

錬金術師エリアス @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 ヴェニーチェ共和国/ヴェニーチェ南区/聖女の広場 】


 此処で多くの者が異端の罪で殺された−−あれから二百年経ち私は再びこの地に訪れる。あの日のことは決して忘れはしない。あの日は曇りだった……。



 二百年程前、六月二十六日水曜日。

『あれがアエタル……』
『火炙りにされるそうだよ』
『教団の人間だと疑われたらいっかんの終わりだぜ』

 人々は皆聖女の広場の中央に視線を向けていた。薪が何重にもくべられて、その中で縛られている青年の姿を隠していく。その青年こそアエタル。二百年前の私。

『今神に許しをこうならば助けてやろう』
「……」

 私の審問に携わった異端審問官はそう言ったが私は口を開くことは無かった。私の思いは揺らぎはしない。負けてたまるものか。

『火をつけろ!』

 その合図で周りがざわめいたが、同時に薪に火がつけられ瞬く間に燃え広がっていった。このまま死の苦しみを生きながらにして味わうことになるのだろうかという考えが、焼けるような痛みに気管支や諸々の粘膜が苛まれながらふと浮かんできた。
 だが私は苦しむことはなかった。気付けば私の身体は消えていた。ただ意識だけがそこにある……。

 私は人間ではない。死ぬことはないのだ。決して。



 昔のことを回想し終え、再び現代の賑やかな広場に目を向ける。あの日とは全く違う景色がそこにあった。



>ヴェニーチェAll

1年前 No.200

ダティーニ ★IQEyHZgRky_Gbh


【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】

 任されてしまってはしかたがない。とか言いつつ、その地位を望んだのは私だが。
 大型のガレーで、食糧も水もしばらく持つようだった。
 サファイヤを散りばめたような海原をすすみながら、旧友に交易航路を聞く。
 「すぐに向かってくれ」
 それと気になることがある。
 「おまえ、ヴェニーチェの軍用航路を知ってるな?金貨やるから教えてくれ」
 安全対策でもあり、知っていて損はない。
 「ああ、極秘だぞ」
 「当然」
 私は彼に金貨を三枚わたした。
 これで、あとは、補給基地を探すだけだが、順調に海賊行為が行われても、船員の疲労というものがある。
 しばらく交易航路で潜んでいると、明らかに、カルデローネ家のものと思われるガレーが水平線に現れた。
 同じカルデローネ家の旗を一瞬マストに挙げて、接触を試みる。
 オールが水面に波打ち、両方の船は近づいてきた。
 「信号、いい酒が入ったから、同業者同士、飲もう」
 船員が伝えると、こちらは肉と胡椒がある。用意させるから、宴会とするか。だそうです」
 「すぐに準備するよう伝えておいてくれ。酒はあるが、食糧がないのでなと。こちらから行くので、始めてけっこうだ」
 私は彼にそういうと、第一甲板で朗々とした声を上げた。
 「全員、戦闘体制用意っ!」
 私はあえてロレンツァの方を見ないようにした。
 馬鹿正直に煙を上げた海賊船が近づき、カッターで行き来できる距離になったが、私はそのまま接舷を命令した。
 ガレーがそれこそ目と鼻の先に来たとき、一斉にフックで両船を固定した。
 「かかれっ!!」
 私は大音響で命令した。
 我々の水夫たちは、勢い込んで相手の船に乗り込んでいった。
 奇襲により、戦いは一方的だった。
 酔って、調理室からもってきた肉を持っていた相手海賊など、もののうちに入らなかった。
 15分もかからない内に、相手の船長を捕えたと、船員が後ろ手に彼を縛り、連れてきた。
 「肉と胡椒、ありがとう。悪いが頂いていくぜ?」
 私が皮肉気にいうと、船長は薄笑いをした。
 「裏切り者か……言っておくが、こんな事をしてしまった以上、長くはないぞ?」
 「海賊稼業は世知辛いからねぇ」
 答えると、どうやら相手の表情は、私の言葉を小馬鹿にしたようだった。
 「俺の船は、三日後、隠れ街の港に入る事になっている。荷も報告済みだ。おまえたちは、強引ささえあれば海賊業をできるとおもっているようだが、うちの積荷をさばけば、すぐに足がつくぞ?」
 そう言って船長はわらった。
 「その隠れ港ってのは、どこにある?」
 私は聞いた。
 「知ってどうするんだ?俺と同じ立ち場の船が、補給基地に使っているんだぞ」
 「お前らの荷はおれたちのものだ。そこに行けば、さばけるだろ?」
 「教えるとおもうか?」
 「いくらほしい?」
 「なに?」
 私は後甲板までゆき、ロレンッアを連れてまた、海賊船船長の元にもどってきた。そして、ロレンッアの腰から、ごく自然に金貨の入った袋を盗み取り、そのまま、甲板上に金貨をばらまいた。
 「ほしいだけもって行け。その代り、話がおわってからだ」
 船長の態度が急にそわそわしだした。
 「いいのか? 全部もらうぞ?」
 「どうぞ?」
 鷹揚に気前よく言う。だいたい、私の金ではない。
 私とロレンッアが事細かに尋ねたりするなかを、船長は、隠れ港のことを話し出した。
 「それで、全部だな?」
 確認をすれば、船長はうなづいた。もう、視線は金貨から離れない。
 「そうとわかれば、十分だ」
 私は剣を抜いた勢いで上段に構えると、そのまま相手を袈裟斬りにした。

 >ロレンツァ
 >ALL

1年前 No.201

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★ZJRP3Qa0EH_iYt

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】


 ダティーニの策略によって必然的に勃発した白兵戦。合図をするダティーニの声が響き渡り、こちら側の船員たちは油断しているカルデローネ家配下の海賊船に乗り込み攻撃を仕掛ける。戦い慣れしているであろうダティーニや他の船員たちは勿論、私やジョヴァンニも煙幕弾などを使い素人なりに戦いを優位な方に持って行った。その甲斐あってか圧倒的勝利にいたった私たちは相手側の船長を捕えることに成功、面白い情報を聞き出せることに期待したがどうも船長の様子が妙である。
 傍から船長の様子を窺っていたが囚われの身であるにも関わらず何処か余裕な笑みを浮かべているのだ。何か万が一の場合の切り札でも隠し持っているのではとやや警戒気味にダティーニとのやり取りに耳を傾けることにした。

『俺の船は、三日後、隠れ街の港に入る事になっている。荷も報告済みだ。おまえたちは、強引ささえあれば海賊業をできるとおもっているようだが、うちの積荷をさばけば、すぐに足がつくぞ?』

 余裕な態度はそういうことか。私は船長の言葉をきいて一人頷いた。つまりその隠れ港さえ聞き出せればうまくいくというわけだがダティーニはどう出てくれるであろうか。彼のことだ。上手くやってくれるに違いない。しかし船長の方は口を割ろうとする雰囲気はなかった。
 するとダティーニが突然こちらへやってきたかと思えば私を船長の傍に連れ出す。いったい何であろうかと困惑する私を差し置きダティーニが次にとった行動は「金」であった。そんな大金を隠し持っていたのかと驚きながら甲板にばら撒かれた金貨を眺めていたのだが、それを見た船長は動揺している素振りを見せている。面白いことにそのかたく閉ざされていた口はぺらぺらと隠れ港のことを話し始めたではないか。効果は絶大だったようだ。

「ダティーニ?」

 これで終わり、そう思って居た私たちであったがダティーニはまだ船長に何か用があるのか彼に近づいたかと思いきや突然剣を抜き船長を殺したのである。仲間が目の前で人殺しをした光景を目の当たりにし思わず固唾をのんだ。だが冷静に考えれば彼の行為は仕方のないことであっただろう。そう割り切った私は一つため息をつけば「早速その港へ急ごう」とダティーニに声をかける。さらに遺体の方は水葬しておくように告げた。
 そうして船室へ戻ろうとした矢先、何やら体が軽いことに気づく。まさかと思い腰を叩いてみたのだが、無い! 金貨の入った財布が見当たらないのだ。あれは私の財産だ。あれがなければ飲み物さえ買えなくなる。

「ダティーニ! あれは私の金貨だよな!?」

 先ほど甲板にばら撒かれたそれ。あれが私の持っていたものだと考えると納得がいく。



>ダティーニ

>ALL

1年前 No.202

ジュリエッタ @makita ★ZJRP3Qa0EH_iYt

【 ヴェニーチェ共和国/西区商人町/娯楽通り/酒場 】


 仕事終わりは酒が一番だな。ベルナルディの御子息を家に送った後一人で入っていったのは行きつけの酒場であった。店内は真昼間であるというのに客でにぎわっており男の客が連れ込んだ娼婦の姿まで目立っている。
「お盛んだね……」
 やや皮肉気に呟きながら、喧嘩を始めてしまっている酔っ払いの怒声が響き渡る店内を進みいつものカウンター席に座った。するとよく見知ったマスターがにこにこしながら話しかけてくる。
「やあジュリエッタ。久しぶり」
「ああ、しばらく船で出ていたからな」
 酒はいつものやつでという合図を送りマスターに微笑みかけた。それをみてすぐに準備に取り掛かる彼は「商売の方はうまくいっているのかい?」と陽気に尋ねてきた。うまくいっているといえばうまくいっているのだろうか。安定して収入は入ってきているし、今日は結構な儲けを出したのだ。
「まあまあだな……」
 マスターが用意してくれた酒を一口飲む。
「そんなことより……カルデローネ家のことだが、どうもまたヴェニーチェ交易商たちに色々規制をかけてくるようだ。取り締まりも強化される。裏交易所の存在がばれたら厄介だぞ。しかも海賊船もよく出没するようになった。このままではまともに商売などできそうにない」
 周囲には聞こえないようにマスターに愚痴をこぼしていた。どうにかしなければならない問題であるがどうすればよいか良い案が浮かんでこない。これまで奴らと対抗するため商人同士で共同体をつくって商売を行ってきたが上からの規制や武力行使は厄介である。ただでさえ経済力も政治力もない底辺商人の集まりなのだ。戦うにしても武器だって高価である。どうすればよいというのだ。
「カルデローネの連中は国内の交易商を嫌っているからな。例の噂が証明されたら奴らとて穏やかではいられないだろうが」
「例の噂? 海賊とひそかに関係を結んでいるという? 実は船大工の親方から噂はきいていてな――」
「そうだったか」
「……」
「まさか証拠集めでもするんじゃないだろうな。一人でやるつもりか? おいおいやめておけよ」
「流石に一人では難しいことくらい分かっている。それに味方もそれなりに財力や権威のある人間が必要だろうな……カルデローネの息がかかった法廷に証拠を持って行ったところで何になる? 寧ろ危険すぎだろ。その前に勘付かれて殺される可能性とてあり得る」
 それをきいたマスターは少しホッとした様にため息をついた。
「そういやカルデローネ家といえばカルデローネの自邸ソフィア宮に謎の仮面のやつが入っていったのを見た客がいてな。見るからに怪しげな奴だったとよ」
「仮面?」
「ああそうさ。声からすると若い男だろうという話だぜ。いったいどんな用事があるのか不明だが、近頃は物騒だ。気を付けろよ」


>ヴェニーチェALL

1年前 No.203

ダティーニ ★x8onPdUpxq_7Bn


 【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】

 『ダティーニ! あれは私の金貨だよな!?』
 ロレンツァは血相を変えて、声を上げていた。
 それが? 冷静に答えたくなるのを堪え、少し誤魔化したような苦笑いを浮かべる。
 「まあ、ちょっと預かってただけだよ、そんなに怒るな」
 言ってから、金貨の詰まった袋をしっかりと自分のものにしようとしていた私は、諦めて腰の裏からヒモをはずして、彼に差し出した。
 彼がそれを確認している間、少し船員に指示を出して置いた。
 そして、改めて言う。
 「でだ。問題は、その港を聞き出したはいいが、俺たちだけで乗り込むなんてのは、ちょっと正気の沙汰じゃない。潜入したとしても、脱出が相当派手になりかねない」
 真剣な口調でつづける。
 「どうする? ちょっとどこかの手を借りるか? それともやっぱり俺たちだけで行くか? なら何か相当な計画を立てなければならないが・・・・・・?」
 私は船長としての彼の誇りを立てて、尋ねた。

 >ロレンツァ
 >ALL

1年前 No.204

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】


 ダティーニから財布を返され、少し安心する私であったが、財布云々よりも重要な問題が他でもないダティーニによって指摘された。
 カルデローネ配下と思われる海賊船長から聞き出した隠れ港。私はそこに乗り込むことで何か分かるであろうと踏んだのだが、ダティーニの言うとおり何も準備無しで行くのは、相手の情報を一切把握していない今の状況では困難に思えた。

「確かに……だが」
 どこかの手を借りるかという提案には納得がいったものの、それではこのヴェニーチェに手を貸してくれるような組織など存在しているだろうかという問題点も浮かび上がる。
「味方勢力になれそうな組織の目星はついているのか? ヴェニーチェ出身のお前なら私よりかはこの都に理解がありそうだが」
 この水の都はフィレンツィア出身の私にとって何もかもが新しく分からないことも多い。だが目の前にはヴェニーチェ出身で傭兵であった男がいるのだ。その彼に確認をとらずしては何も進まないだろうと私は訊ねた。


>ダティーニ

1年前 No.205

ダティーニ ★jvfpJpo0Dy_91p

 【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】

 『味方勢力になれそうな組織の目星はついているのか? ヴェニーチェ出身のお前なら私よりかはこの都に理解がありそうだが』
 ロレンッアが訊ねてくる。
 「ネズミを捕らないない猫もいれば、ネズミを捕る猫もいるもんでねぇ」
 私は軽い調子を作った。
 「海賊退治といえば、それは役目は決まっているだろう?」
 勿体付けて言う。
 「例えば私掠船だが、これは心もとない上に、ほぼカルデローネ家に支配されている。軍艦もだ」
 いったん、ワザと間をおいて、私は続けた。
 「だが、財宝目当ての軍艦も中にあってねぇ。バレなきゃ惚けながらあわよくばって艦長もいたりする。そいつらに手伝ってもらおうかと考えてるんだがなぁ」
 言って、ロレンッアの反応を待った。

 >ロレンッア
 >ALL

1年前 No.206

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 ヴェニーチェ共和国/アドーレ海/海賊船 】


 勿体ぶった話し方をするダティーニに、結論から先に言ったらどうだと訴えるような眼差しを向けつつ彼の話を最後まで聞いていると、財宝目当ての軍艦の艦長の存在を私に教えてきた。その言い方からするとダティーニの古くからの知り合いなのかもしれない。
「なる程……」
 財宝目当ての艦長ならば海賊が略奪した金銀財宝にも興味関心があるであろうし、ダティーニの願いであるサルベージに関しても協力的に違いない。答えを述べる前に少し考える仕草をした後、私は「なら任せよう」とダティーニの肩を軽くたたく。
「それでは例の港へ向かうのは三日後。今はダティーニ、その艦長との接触をよろしく頼んだ。私はヴェニーチェ商人たちを味方につけようと考えている。彼らはカルデローネに虐げられている連中だ。きっとよき協力者となってくれるだろう」

 気付けば日は傾き、ヴェニーチェの港が色とりどりの灯りで美しく輝き始めていた。商人たちも飲み屋に集まって情報交換なりをしているであろう。
 その飲み屋が集まっている娯楽通りと言われる地域は貧民や彼らを相手にするような娼婦たちの住む場所であり、柄の悪い者も多く集まり、反社会的組織の輩も拠点を構えているときく。貴族や大商人は先ず近寄らないような場所だ。少し怖くもあるが、怖い思いなら散々してきた。大丈夫だろう。そう言い聞かせながら決心を固めていった。


>ダティーニ

【一旦レス蹴りますね】

11ヶ月前 No.207

ダティーニ ★ThPobFxNwt_1zu


 【 ヴェニーチェ共和国/軍港付近 】


 私は軍港近くの酒場を訪れた。
 すえた匂いとアルコールの香りに満ちた薄暗い中で、一人の男に逢う。
 歳は既に壮年と言ってよく、片腕と片足が義肢で、髭は白かった。
 ヴェニーチェ海軍の生き字引と呼ばれる男だ。
 私は彼に二三の名前を訊き、今どこにいるか尋ねる。
 答えはすぐに返ってきた。運が良いことに探している男達のウチの一人は、寄港中で積み荷を下ろしているところだという。
 私はすぐにその船に向かった。
 通例通りに小銭を艀に払って乗船すると、忙しそうにしている船上を横切り、艦長室に向かう。
 中には明らかにアルコールにすでに浸かっている男が、机に突っ伏していた。
 「おい、起きろ」
 薄い目を開いて、男はこちらを観る。それが、急に見開かれた。
 「ダティーニじゃねぇか、生きていたのかよっ?」
 「そっくりそのまま返してやるよ」
 訊けば、海賊退治の一仕事を終えたばかりだと言う。
 「いい話があるんだがな。おまえとあと二隻ほど、手を貸して欲しい」
 「ほう。儲け話か?」
 伝統あるヴェニーチェ海軍の艦長とは思えない物欲にまみれた表情になる。それもそうだろう、元海賊から私略船船長になり、コネでヴェニーチェ海軍に入った男だ。
 私は隠れ港の事と、襲撃計画の二つを話した。
 彼は興味深げに聴き、ニヤリと笑った。
 「良いだろう。取り分は半分だ。荷を降ろして食料物資を積んだら、いつでも出港できるぜ」
 男はそう、私に約束した。

 >ロレンツァ

10ヶ月前 No.208

ジュリエッタ @makita ★Android=QP7DgXg77L

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10ヶ月前 No.209

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 ヴェニーチェ共和国/西区商人街/娯楽通り/酒場/一室 】


 私はヴェニーチェ商人達を束ねる女ジュリエッタに協力を求めるため、他人に聴かれないような部屋に移動するなり、“商船を狙った海賊行為を行っている連中がカルデローネ家の指示のもと援助のもと動いている”という事について、さらに“それら海賊の一船長が吐いた“隠れ港”の存在”について、現時点で知っていること全てを彼女に語った。

『なる程……』
「ベルナルディ家に敵対する存在はメディシア家の敵でもある。カルデローネ家の勝手にはさせたくない」
『ふーん……私は貴族とか権力者の勢力争いにあまり関与したくないが、状況も状況だ。カルデローネ家の不正を白昼のもと晒せるというなら、これ以上にいいチャンスはなかなか転がってはいないだろうな』

 ジュリエッタの心が動き始めていたのは彼女の様子からでも分かった。だがそこは商人の統率者だけあって、慎重さも忘れてはいない。
『――――――とはいえ、手段はあるのか?』
「知り合いの男が海賊上がりのヴェニーチェ海軍艦長を説得して海賊討伐と隠れ港の捜査に協力させる手筈になっている」
 そう言ったときであった。ジュリエッタの表情が変わったのである。不味いことでも言ってしまっただろうかと一瞬冷やっとしたが、すぐに満面の笑みを浮かべた相手を見てそういうわけではないことを悟った。
『ヴェニーチェ海軍……ああ知っているぞ、あの海賊上がりの男! それを早く言え。私も奴と古い付き合いだ。あの男なら信用できる。色々借りもあったし、それを返すためにも協力するしかないだろう。さて、決行はいつになっている?』
「今日からだ」
『そう来なくてはな。行くぞ』


>ダティーニ

【ジュリエッタと艦長は知り合い設定でお願いできますか? あと次のレスからロレンツァ達は艦長のいる場所までやってきたという設定で】

6ヶ月前 No.210

ダティー二 ★QGEYbrZUYP_qxX

【 ヴェニーチェ共和国/軍港 】

 いつものように波は静かだ。
 軍港に入った私は、多数停泊しているガレーを見た。
 潮風に煽られながらあれらが、邪魔しなければいいがと思った。
 とにかく私は、三人の提督に連絡を入れて貰い、今、艦長達を待っているところだった。
 同じく、ロレンツァの姿も捜している。
 約束の日は来た。
 しばらく、適当な鼻歌を歌っていると、艦長達がゆらゆらとした余裕を持った動作で姿を現す。
 「ようダティーニ、久しぶりだな」
 艦長の一人が気安げに私に声をかけてくる。
 「おまえまた、妙なことに首を突っ込んだようだな」
 「俺は旅人。難事これあれかし、てね」
 「何だそれ?まあ、俺らはジュリエッタが勧めるから来たようなもんで、じゃなきゃ幾らなんでも今度のはお遊びが過ぎるぞ」
 最初に協力を申しでてきた艦長は、ニヤニヤと笑っている。
 「あー、わかったわかった。報酬は弾む。ならいいんだろう? めんどくさい駆け引きはやめにしろ」
 私は面倒くさげに手を縦に振った。
 「ばれてたか。貰う物は、たっぷり持って来させてもらうぜ?」
 「好きなだけもってけよ、この物欲の固まりどもが」
 「おまえだって人のこと言えるのかよ。サルベージがうまくいけば、多分、一生遊んで暮らせるだけの価値のものが積んであるぜ?」
 私は苦い思いを味わった。
 「いいんだよ、そんなことまであんた等に関われなくとも」
 そう言った時、港に見知った青年の姿が現れた。

 >ロレンツァ

6ヶ月前 No.211

ロレンツァ・デ・メディシア @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 ヴェニーチェ共和国/軍港 】


 ガレーが停泊する軍港に何人かの影が見えた。その一人は協力者ダティーニであり、近くにいるのがヴェニーチェ海軍の艦長達であることがその服装や立派な体躯からでも窺える。海賊上がりと聞いていたが、確かに真っ当な人間とは違う何かをどことなく漂わせていた。

 私に同行した商人ジュリエッタは、そんな面子に一切の警戒を覚える様子もなく、馴染みのある友人に見せる態度で『久し振りだな。交易で海に何ヶ月も出ていたから会えなくて寂しかったぞ』と近付いていく。
 私もそれに続き「はじめまして、フィレンツィアから参りました、メディシア家のロレンツァという者です」とこれから世話になる艦長達に簡単に自己紹介を始めた。するとジュリエッタが軽く私の肩を叩いて『此処にいるシニョーレが、私達に転機を齎すチャンスをくれた、そう、カルデローネ家の独占支配を揺らがせるまたとないチャンスをな…………。目先の金も大事だが、金を増やす土台を築かなければ幾らあってもすぐ無くなる』と真剣な表情を見せる。

「ダティーニ、ありがとう。商人の統率者と話はつけておいた。これでヴェニーチェ商人達も我々の味方となってくれた」
 海軍に協力を要請したダティーニに感謝しつつ、此方の報告もしておいた。するとその時、ダティーニの方へ意識を向けたジュリエッタが、少々驚いた表情を見せる。

『お前はあの時の……。造船所で出会ったのは覚えているか? まさかフィレンツィア貴族の御友人だったとは』
「知り合いなのか?」
『いや、つい最近造船所で知り合っただけだ。殆ど初対面だな』
 ジュリエッタはしばらくダティーニの姿を眺め『よく見ると男前じゃないか』といたずらに笑っていた。


>ダティーニ

>艦長

6ヶ月前 No.212

ロマーナ区司教 @makita ★Android=QP7DgXg77L

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6ヶ月前 No.213

ダティーニ ★8ahbwLotxm_6h7


 【 ヴェニーチェ共和国/軍港 】


 『よく見ると男前じゃないか』
 ジュリエッタの事は良く覚えている。だが、これといって好悪の感情は持っていなかった。
 艦長達が、はやし立てる中、私は小さく口笛を吹いて彼らを制した。
 「これはおひさしぶりですね、シニョーラ。ご機嫌はいかがです?」
 冷たいようだが、通り一辺倒の挨拶をする。
 『おい、女好きのダティーニがまた一人口説きにかかるぞ』
 例の酔っぱらい艦長が、制止も聞かずにおだちだす。
 「無理だわ。さっきまでお前らは、私のことを笑っていたじゃないか」
 何しろ今私は、ヴェニーチェ海軍に関わると言うのにランツクネヒト同然に黄色と白のストライプの衣装と鉄兜を被っているのだ。
 道化。その方が目立つし、艦長達を相手にも威張った印象を与えなくて済むと思ったからだ。
 だが、実質指揮を執るのは私なのである。
 見事、ロレンッアは相手にされないですんでいた。
 彼に関心がいったなら海賊同然の不良艦長どもが、どんな無理難題を吹っかけてくるかわかったものではない。

 >ALL

4ヶ月前 No.214
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