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■§オスマン帝国〜栄光と陰謀〜§■参加者募集中

 ( オリジナルなりきり )
- アクセス(2182) - ●メイン記事(135) / サブ記事 (68) - いいね!(3)

15世紀〜16世紀 @makita ★Android=oiuxxae5O4

※これは、オスマン帝国を舞台としたフィクションです!※

**********


これは、昔の物語―――――




イスラム世界における大帝国が存在した。
先進的な文化を持ったその大帝国は、ヨーロッパの国々を、幾つもの戦争によって圧倒したという。

オスマン一世を始祖とする大帝国の名は≪オスマン帝国≫。


様々な戦いを勝ち抜き、領土を炎の如く拡大していったオスマン帝国であったが、その裏側では、常に土地を奪われ、大切なものを奪われ、苦しむものたちが多くいた。
彼らは、オスマン帝国によって奴隷として連れていかれた。

勿論、奴隷となって遠くへ売り飛ばされ惨めな生活を余儀無くされた者もいただろう。
だが、一部はそうではない。
世界の十字路イスタンブールの家奴隷として安定した生活を送れたり、兵士や官人として宮廷に仕えたりして立身出世できるものもいた。

彼らの道は閉ざされていない。
けれど、一部の奴隷はオスマン帝国に強い恨みを持ち、復讐を望むものもいた。


一方、オスマン帝国の中枢では、皇族同士の政権争い、大宰相の地位をめぐっての争いが起こっていた。
内部で各勢力が自分達が支持する者の為、陰謀をめぐらす。
特に皇族においては激しいものであった。
何故ならば、一人スルタン(皇帝)が決まれば、他の兄弟は"兄弟殺しの掟"によって抹殺されるかもしれないからだ。


オスマン帝国という大帝国で繰り広げられる陰謀、争い、恋愛、友情、裏切りなどの数々のドラマ。
それを紡ぐのは≪貴方≫だ――――


**********


【閲覧感謝します。要するに、15〜16世紀辺りのオスマン帝国の人になりきり、生活していくスレです。また恐れ入りますが、時代設定が曖昧なため歴史上人物は禁止とさせていただきます。詳細はサブ記事にて】

5年前 No.0
メモ2014/02/11 09:54 : @makita★Android-oiuxxae5O4

オスマン帝国なりきり目次

http://mb2.jp/_subnro/13539.html-58#a

 

○簡単説明

○ルール

○一般指定キャラ/テンプレ/特殊指定キャラ

切替: メイン記事(135) サブ記事 (68) ページ: 1 2


 
 
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ラーキス皇女☆11QFa6Kj2Co ★iwPqjvlE9Y_XaU

【イスタンブール/バザール】



兄とはほとんど共に過ごしはしなかった。
10も年が離れていたから、私がまだ幼いときにはもうハーレムを出てしまわれていた。
でも幼心なりに兄の事は慕っていた。美しく、賢く、強い兄。
彼はラーキスの憧れだったのだ。
だから自分が彼の立場に少なからず悪い影響を与えているということを知ったときは本当に辛かった。


『その件は私も協力しよう。我慢しているだけでは何にもならない。母上の方はどうしていらっしゃる?』
「母上様は……」

──汝の敵を愛しなさい。憎んだり怨んだりしたら……私達も彼女達と同じになってしまう。心配しないで、貴女もセリムも、等しくスルタンの血をひいていることは私が一番よくわかっているわ……。

「凛とふるまっていらっしゃいます。ワタクシも兄上様も等しくスルタンの子供であることは私が一番よくわかっている、と」

心ない言葉に屈することなく、母はハーレムで生きている。
どうすればああも強くいられるのだろう、ワタクシはどうしてこうも弱いのだろう……。
ラーキスは両手を胸の前で組み、「共に戦っていただけるのならとても心強いです……ありがとうございます」と兄に向かって囁いた。


>セリム皇子

>ALL様

5年前 No.86

メヌウト☆11QFa6Kj2Co ★iwPqjvlE9Y_XaU

【トプカプ宮殿/ハーレム】

「んー、いい天気だこと」

中庭に面する廊下にてその女性は伸びをしてそう漏らした。
しかしハーレムにいるにしては女性はもう年増ともいえる年代だった。
彼女は女官で、ハーレムに住まう妃たちの世話などを主につかさどっていた。
女官、とはいえ正式な結婚はなくともスルタンの寵愛を得て妃と同じように皇子や皇女の母となる大出世を果たす者もいたが彼女は決してそうではない。
厳密には密かにスルタンの寵愛を得たこともあったが……彼女は蔑称で表すと石女だった。
だから今はスルタンとの関係は無きに等しい、ただ宴などでは彼女は必ず駆り出される。
ラクス・シャルキー。ベリーダンスと後に呼ばれるようになる踊りの舞手でもあるのだ。
というなんとも微妙な立ち位置にいる彼女だがその年はもう四十を超え、ハーレムでの生活は実に三十年近い。
ハーレムの中でも古株であるゆえにさまざまな妃や皇子、皇女とも関わってきているため勢力争いについては自ら敬遠しているのだが……その中でも唯一事ある毎に気にかけている皇女のことに思いを馳せる。

――あの子、今日は城下にお忍びで行くとか言っていたけれど……大丈夫かしら。

>ALL様


【メヌウトを動かしてみる← その内勝手に宮殿飛び出したりするほどの自由人なので色んな人と絡みに行きたいと思っておりまする、法の許す範囲でw】

5年前 No.87

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/バザール】


 母上がハーレムでも問題なく過ごしていることを聞いたとき少し安心をした。自分が見えないところにいらっしゃることもあり、それだけ無事かどうかが気になっていたのだ。

「其をきいて安心した。だが、母上を支えることができるのは私達だけだ。特にお前はハーレムにいる。母上をよろしく頼める人間はお前くらいだ……」
 ラーキスの目を覗きこみながら、私は真剣な口調で相手に告げた。母上は、私が唯一信じることができる家族で、守りたい存在である。けれど自分はハーレムには入れないため、ラーキスに彼女の味方でいてくれることを頼んだのだ。

「スルタンが認めてくれないのは厄介だな。けどラーキス。心配はない。血の繋がりなど無意味な世界だ」
 皇位継承権争いとてスルタンと血が繋がったものたち同士の殺し合い。にも拘らず、決着はついてしまう。血の繋がりなどで甘えていれば痛い目に遭うのが落ちだ。誰が勝つかなどはっきりとは断定できないが自分を有利に導いたものが勝利の道を開くのでは無かろうか。
 私は言い終えるなり宮殿に向かって歩いていった。


>ラーキス

>ALL様

5年前 No.88

ヒュリヤ皇女 @genbu01☆WiTxS6F1.ho ★uocJs4OAPb_9wr

【イスタンブール/バザール】


「そう…………」
優位である、というのはあながち間違いではない。とりあえず、セリムお兄様や、妹であるラーキスよりは扱いが上であることは確かだ。でも、私自身としてはあまり関心がないし、皇子ではないのでそれほどでもないと思う、というのが本音だ。こんなことを言ってしまったらラーキスの立場がないから、今まで誰にも言ったことはないけれど。

「…………はぁ…… 別に覗いてもいいけれど、その前に衛兵に捕らえられてイェニチェリから除籍されるのは確実ね」
スルタンの后たちは、基本的に夫や子供以外の男性に顔を見られてはいけない。見られないためにたいてい一日ハーレムにこもっている。そんなところに忍び込もうものなら、即座に侍女が気付き、そして衛兵がやってきてあっという間にお縄である。
私は軽くイェニチェリ除籍といったが、それだけで済むかどうかはだいぶ疑問だ。

「あれほど女が多いハーレムを、スルタンの権力だけで統制できると思うほうがどうかしているとは思わないの?」
若干ではあるが興奮しているルドルフを、少々冷めた目で見つつ答える。裏の権力者、などというからおもしろく聞こえるのだろうが、実際スルタンの寵愛を受けているのはごく一部の女奴隷や后たちだけだ。それ以外の侍女や側室たちをまとめるには、やはり少々であってもスルタン以外の統制者がいたほうがよいのは明白だろう。

「そこまでする理由が見当たらないわ。あなたは軽く兄弟というけれど、腹違いの兄弟なんて何人もいる。そしてね、忘れているかもしれないけれど、お父様はスルタンよ。私だけにかまってくださるほどお暇ではいらっしゃらない」
力のこもったルドルフの言葉も、私には何の感慨も呼び起こさない。あまり気にしてこなかったが、私はどうも家族というものに対する感情をほとんど持ち合わせていないらしい。
兄のことだって今日会うまで気にもかけなかったし、ハーレムでたいてい顔を合わせているラーキスのことだって、目の端にとめる程度のことですらした覚えがあまりない。
父親であるスルタンのことも、一応血縁上は父親ではあるけれど、顔をみたことなど数えるほど。母親も、最後に会話を交わしたのはいつのことだったか。
そんな私に、他人であるルドルフが何をもとめているのか、さっぱりわからなかった。

>ルドルフ

>ALL様

【なんだかヒュリヤがどんどん淡白な子になっていく……】

5年前 No.89

ケマロウル=メスィフ=パシャ @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


『お疲れ様です、メスィフ様』

「此方こそ」

『今回はビザンツや他のイスラム諸国の問題が大きく取り上げられていましたが、イェニチェリの規律違反の件も長い目で見れば大きな問題でしょうね』

「ええ。彼らはこの国を支え拡げる精鋭部隊ですから。しかし、軍規の違反については複雑なところがあります。原因を洗いだし早急に処置をしましょう」

 会議が終わり、私は資料などを片手にトプカプ宮殿の中庭に面した廊下を、先程も会議に同席なされたイタリア人学者と会話しながら進んでいった。学者が話題に取り上げたのは、イェニチェリ・オジャク(軍団)に関してだ。近頃、デウシルメでの偽装などで数量認知が曖昧になったり、密かに商売を行うものが現れたりしているのである。また、噂ではあるが、イェニチェリの将校がハーレム勢力と通じているということも聞く。皇位継承権争いにまで絡んでくるなら、彼らにとって都合のいいスルタンが選ばれるということなのだろう。

『では私はこれにて』

「もう少し貴方とお話ししていたかったのですが、セリム殿下と御約束が?」

『その通りです。殿下もあなた様と同様、私の話をまるでメドレセの学生のように聞いてくださいますよ。感謝しています』

「どういたしまして。では、殿下とごゆっくり……」

 お互い軽く会釈し、私は学者から離れていく。まだ片付いていない仕事を終わらせようかと思ったのだ。


>ALL様

5年前 No.90

ルドルフ=アレクセーイェフ @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/バザール】


「そうですよね、覗けば除籍されますよね?」
 俺は覗こうと思ったりはしていないが、除籍という単語を聞くとどうもビクッとしてしまう。それだけ、俺に近いところにあるっていうことだろうか。
 イスラム圏の女性は宮殿のハーレムの女官達でなくとも、家の奥の女性専用ルームで生活し外出するときは誰が誰だか判断がなかなかつかないような格好をしている。顔や肌をさらすとなれば夫に対してくらいだろう。そんな彼女たちの姿を見たりという行為はモラルに関わる問題であろう。
「俺はモラルをわきまえていますし、そんなこと流石に出来ないですから、テヘヘ」
 苦笑いを浮かべつつ、頬を掻く。言えば言うほどますますおかしな感じがしてきたが、俺がハーレムを覗かないのは事実なんだからな。

「……」
 俺が熱くなって、家族仲良くしようとお嬢様に訴えていると、彼女の口からでた冷たい言葉で引き裂かれたような心地がした。一瞬固まり、何故か声もでなかった。大きなお世話だったか、と理性で慰めるも、悲しみと苛立ちは事実であった。
 けれど何時もの俺であったら一言言い返すような場面だが立場的に何も言えないまま、無理に笑顔を作り"ごめんなさい。此は俺の価値観であって……貴方にまで押し付けることではありませんでした"と謝った。


>お嬢様

>ALL様

5年前 No.91

ラーキス皇女☆11QFa6Kj2Co ★O1Ns3A7pZR_XaU

【イスタンブール/バザール】


『其をきいて安心した。だが、母上を支えることができるのは私達だけだ。特にお前はハーレムにいる。母上をよろしく頼める人間はお前くらいだ……』
「は、はい!ワタクシにできる限り、すべての力で母上様をお支えします!」

憧れの男性(※実の兄)が自らの目をまっすぐ覗き込んでくるという状況に、ただでさえ相手の目を見るのが苦手なラーキスは思わず肩を跳ね上げ、上ずった大きな声で答える。
母と兄はワタクシの大切な家族。
血の半分繋がった兄弟姉妹なら他にも居るが、彼らはラーキスを視界に入れようとはしない。
興味がない、とでもいった風に。
けれど母やわずかな女官はワタクシにごく普通に接してくれる。
そんな優しい人たちの力になれるのなら、ラーキスはどんなことでもやってのけるつもりだった。
もちろん、セリムの力にも、なりたい。

『スルタンが認めてくれないのは厄介だな。けどラーキス。心配はない。血の繋がりなど無意味な世界だ』
「あ……」

その言葉を皮切りに兄の瞳に浮んだ暗い暗い光に、ラーキスはそんな声を漏らす。
嗚呼そうだ、兄は……。
皇位継承権を持たないラーキスにはほとんど関係のない話だったが……セリム兄上様は次代のスルタンの座を他の皇子達と争っているのだという。
血の繋がり等無意味な世界。
それならラーキスとセリムに流れる両親を同じくする血も……無意味なモノなのだろうか。
新しいスルタンが立った時、古いスルタンの子供を宿す妃達はボスフォラス海峡に沈められてしまうというのは常識だが……ラーキスにはとても恐ろしく思われる。
やがてその思いを振り払い、歩き始めた兄を追ってラーキスも小走りに歩き始めた。

>セリム皇子様・ALL様

5年前 No.92

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


 元から人と接するのが苦手な為なのか、妹は声を上ずらせたりして実の兄に対してでさえ緊張しているようであったが、ヒュリヤよりは従順で動かしやすそうだ。
 とはいえ、ヒュリヤと信頼関係を結ぶのは諦めはしないつもりだ。彼女は正室の娘であり、ハーレム内では上位の地位である。皇女であるから、母親といる時間も多いだろう。ならば、少なくともヒュリヤと正室は繋がっている。ただ問題は、ヒュリヤが周囲に興味を示していないことだ。その場合、ヒュリヤと仲良くするのも補助程度にしかなるまい。では、確実な方法とは何か……。

 私は頭を悩ませながら、宮殿へとたどり着いた。ボスタンジィが庭を警備しているのなかを通過し、ゲートをくぐり中庭へと入ると立ち止まる。私の目の前に先生が現れたのだ。丁度会議も終わったのだろう。

「お疲れ様です、先生」

『殿下、お待たせしました。今日は天気がよろしいですからテラスでお勉強をしましょう』

「はい」

 私は先生に返事をした後今度はラーキスの方を向いて言った。

「ラーキス、頼みたいことがある。ハーレムにメヌウトという女官がいた筈だ。彼女に私が呼んでいるから此処に来てほしいと伝えてくれ。後、ハーレム内の情報を何度か私に報告してほしい。それと母上には、よろしくと……」


>ラーキス

5年前 No.93

削除済み ★CbubvewUDO_XaU

【記事主より削除】 ( 2013/11/18 20:47 )

5年前 No.94

ラーキス/メヌウト☆11QFa6Kj2Co ★7l5KxLcKOj_C2y

【イスタンブール/トプカプ宮殿→ハーレム内中庭】

兄についてゆくと父たるスルタンの座するトプカプ宮殿に着いた。その入り口の門を抜け、中庭に着くとそこには兄の師の姿。慌てて頭を下げ「ごきげんよう……」と挨拶をする。二人はこれからテラスでお勉強らしい。ワタクシは一体どうしよう。そんなことを思っていると兄がこちらを向いて口を開く。

『ラーキス、頼みたいことがある。ハーレムにメヌウトという女官がいた筈だ。彼女に私が呼んでいるから此処に来てほしいと伝えてくれ。後、ハーレム内の情報を何度か私に報告してほしい。それと母上には、よろしくと……』
「メヌウト……師に何の御用が……いえ、なんでもありません、わかりました。すぐにお伝えします。ハーレムの事、母上様の事も承りましたわ。では兄上様……お体にはお気をつけて」

なんだか二人の邪魔をしてはいけない気がしてラーキスはペコリと改めて頭を下げ直し、二人に背を向けて中庭を後にした。宮殿を横切るようにして後宮――ハーレムへ。冷たい目をしつつも形だけ頭を下げる女官達から逃げるように歩けばハーレム内の中庭のわきにいる師を見つけた。

「メヌウト様!」

黒髪翠瞳褐色肌の女性が肩までの髪を揺らしながらこちらを振り返り、年相応の落ち着いた声音で呼び掛けに応える。

「ああラーキス、城下探検はどうだった?ちゃんと歩けた?」

周りの目がないとき、彼女はこうしてラーキスを呼び捨てにして親しくしてくれている。まともな神経の女官や皇族なら卒倒する事だろうがラーキスはそれが酷く嬉しいことだった。

「歩けました!……十歩ほどだけ」
「充分な成果ね、立派な進歩じゃない」

もちろんメヌウトがラーキスに敬語を使わないのはラーキスがそう望んだからだ。「ワタクシのラクス・シャルキーの師となり、そうワタクシに接してください」と。周りの目がないときだけ、という条件付きの二人の不思議な関係だが、少なくともラーキスはそれで満足していた。と、ラーキスは目を輝かせて今日の出来事を師に話す。

「バザールにてセリム兄上様にお会いしましたの!ヒュリヤ姉様もいらしたように思いましたが……よくわかりませんでしたわ」
「セリム皇子にヒュリヤ皇女……皆様お忍びだったのかしら?城下でスルタンの血を引く方々が固まるなんて危なっかしいったらないわね」

メヌウトはクスリと笑って言葉だけはたしなめる。本人も女官の業務の合間に無断でハーレムを抜け出して城下を飛び回っているような自由な人だし、そもそも皇族がお忍びで城下に出ることは反対ではないからだ。

「それで兄上様と一緒に宮殿に戻ってきて兄上様の師にお会いして……そうだ!兄上様にメヌウト様をお呼びするよう頼まれていましたの」
「アタシ?なにかしら……城下で面倒事を起こしたわけでもないと思うけれど」

齢40を越えているとは思えない発言をぶっ放しつつ、「すぐにむかうわ」と言う。ラーキスも「そうするとよろしいと思います」と微笑んで答えた。ラーキスを彼女の母親たる側室の部屋まで送り届け、メヌウトはいったん自室に戻る。そうして外出のためにアバヤを纏ってハーレムの外へ。迷うことなく中庭を目指して宮殿を抜けていけば……「テラスで勉強する」と、ラーキスは言っていたっけ。目的の人物を見つけてメヌウトはそのわきに膝まづいて頭を垂れた。

「殿下がお呼びになっていると聞きまして参りました、メヌウトです……セリム殿下、ご機嫌麗しゅう」

>セリム殿下・ALL様

5年前 No.95

ウィル・ブラックフォード ★ArgPjcIqVW_4Wf

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


なぜか兵士の方が守られるんじゃないか、という位に街中で皇族の方々に出会いそのまま宮殿に行く事になった。この人数でも十分多いと思うのに、まだ居るんだろな。母が違うからだろうが、見た目も皆違う。

いつもの如く一人考え事をしながら皆について行った。途中、悪いとは思いながらも好奇心に負け、周りの会話に聞き耳を立てたりもした。

殿下とルドルフさんの言っていることが正反対で不謹慎ながら面白いと思ってしまった。皇族と一般市民の意見みたいな。そういう僕はもちろん、ルドルフさんに賛成ではあるが、殿下の意見もわからなくはない。

スルタンの妃だけでも多いのにその子供達にまで気を配るのは一人では無理だろうし、言っちゃ悪いがスルタンは妃に子を産んでもらって、自分の子だったら後を継ぐのは誰でも良いのだろう。

淡々と考えながら歩いていると、殿下のもとに女性がやってきた。さっき呼んでほしいと頼んでいたメヌウトという方だろう。


>ALL様
【書き込み遅れてすみません】

5年前 No.96

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


 妹のラーキスに、ラクス・シャルキーの舞手メヌウトを此処へ呼んでくるよう頼んだとき、相手は疑問に思ったのかその理由を訊ねようとしてきた。メヌウトといえば踊り関係だとすぐに分かるだろうから、質問する方が珍しい。ラーキスも、それが理由かは不明だが、すぐに質問を中断していた。ただ、そんなことよりラーキスが案外すんなりとハーレムの情報提供に応じてくれたのは、こちらとしても嬉しいことだ。問題は、下手に動いて目をつけられないか、だが……。

『さて殿下、始めましょうか?』

「よろしくお願いします」

 先生は、ラテン語で"法治論"と題された一冊の本を取り出せば私に手渡した。内容によると、道徳や宗教から離れた法による支配の理論、そしてメリットとデメリット、また神権政治との比較を通して吟味していくというものであった。だが、私は勉強に入る前に先生に質問をした。今回行った会議についてである。

『今日はビザンツ問題と、イェニチェリの規律違反に関することを話し合っていました。イェニチェリに於いてはメスィフ・パシャ様が管理体制の改変案を出しており、デウシルメ執行官の再編成も考えているだとか。スルタンも、それで了解していたようですが一部のイェニチェリがどう思っているか……』

「イェニチェリ幹部の意見は?」

『この件に関しては複雑なところがあり、オジャク内の状況を改めて整理してから考えると仰っていました。それでパシャ様が調査委員を作ることを決定しております』

「軍事力の弱体化を防ぐ上でも大宰相の決断は正しかったとは思いますが……。ビザンツだけでなく、西ヨーロッパ、イスラム勢力が徐々に帝国を脅かそうとしている今、迅速に改善していくことを願うばかりです」

 先生と何時ものように会話をしていると、此方にアバヤを纏った女性が跪き頭を垂らしてきた。彼女がメヌウトである。アバヤ姿で顔はよく見えなかったが、年は離れているが最低でも憧れの女性である彼女の声や眼差しを忘れるわけはなかった。彼女に会うのは久し振りで、何だか嬉しい気持ちに包まれる。けれどその感情は表に出さず、言葉を淡々と出していった。

「此方こそ。……久し振りだな、メヌウト。私が貴方を呼んだのは他でもない。今宵私の邸で宴を開くんだが、そこでラクス・シャルキーを踊ってもらいたいと思っている。宴の主役は彼、ウィル・ブラックフォードだ――――」

 私はブラックフォードの方を横目で見た。多分メヌウトは彼とは初対面であろう。そして、今度はブラックフォードに"彼女はハーレムの女官でラクス・シャルキーの舞手だ"と軽く紹介した。


>メヌウト

>ブラックフォード

>ALL様

5年前 No.97

メヌウト☆11QFa6Kj2Co ★jqbZk4l64F_XaU

【イスタンブール/トプカプ宮殿にて】

「ハーレムを出てもう何年になりましょう……ご立派になられて、喜ばしい限りのことでございます」

もちろん本心だ。ハーレムで過ごしておられたころ無邪気に慕ってくれていた彼のことはちゃんと覚えている。
言葉は少しばかり淡々としているが、きっと後継者争いですれてしまったのだろう……と勝手な推測を巡らせつつ。

「光栄なことでございます……心をこめて舞わせていただきましょう」

自分の舞を認めて宴に呼んでもらえる。
何歳になろうが何回であろうが、そのことはとてもうれしい。
目元をやさしく笑ませて、メヌウトはセリムに礼をする。

「ウィル・ブラックフォード様……ですね。アタシはメヌウトです。今後どうぞお見知りおきを」

社交辞令に過ぎない言葉を口に出す。ただしくは「言葉そのまま」の意味で言っただけだが。
もう10年20年若ければ……もしかしたらもっと意味のある言葉だったのかもしれないが、生憎アタシはもう若くはない。
権力や名声で男を選ぶことにはもともと興味がなかったけれど、と心の中で苦笑する。
だから、“そういう意味”ではなく、普通に名前を頭のどこかに置いておいてくれればそれでいい。

>セリム皇子・ウィル様・ALL様

5年前 No.98

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


「貴方はあのときから変わっていないな――――」

 メヌウトは今は40代前半くらいだろう。にもかかわらず、彼女は美しいままだ。私はいつの間にか彼女のエメラルド色の瞳を見つめていた。見ていたのはほんの短い間であったが、一瞬時が止まっていたような気がする。私はいけないと、すぐに目を逸らした。
 自分の気持ちをわかってほしいという思いがある半面、悟られることの恐怖もあったからだろう。

「期待している」

 優しい笑みを浮かべ礼をする彼女に短く返す。再びメヌウトの舞を見ることができるのだ。決してその短い言葉に思いが無かったわけではない。ブラックフォードも彼女の舞を見れば、その魅力に惹かれるに違いない。

「夕方、私の邸に来てくれ。宮殿に遣いの者を送り案内させる。スルタンに許可も取っておこうと思う」


>メヌウト

>ブラックフォード


【区切りがついたら一旦レスげりして、宴のところから始めようと思いますがよろしいですか?】

5年前 No.99

メヌウト☆11QFa6Kj2Co ★5fOAGJdZnV_XaU

【イスタンブール/トプカプ宮殿】

『貴方はあのときから変わっていないな――――』
「ふふ、御冗談を……あの時はもう少し若くございましたわ、今はもうお見せするのに少々恥ずかしい思いをするようになりました……」

クスクスと手を口元に当てて上品に笑う。
もちろん本心だ。
私に会う人会う人、私は年をとりませんね、いつまでもお美しいままで、とお世辞を言ってくれる。
けれど、見た目の年齢云々ではないが自分自身が一番自分の身の老いを感じている。
少しずつ、少しずつ、自分の体が死に向かって進んでいるのを感じている。
もちろん、行き着くのはまだまだずっと先だろう。
それでも、もう今まで生きてきたほどを生きることはできないだろう。
与えられた寿命の半分を使い切っただろうという確信があった。
セリム皇子の青い瞳がこちらを見ている。
思慮深そうな、静かな瞳。
私のような奴隷階級にもちゃんと目を合わせるだけの人格を身につけてくださっているのだと、ありがたく思いながらその瞳を見返せばすぐに視線を逸らされた。
その一瞬前に、彼の瞳に何か強い感情が見えた気がしたが……わからない。
わかってはいけない、そんな直感があった。

『期待している』
「ありがとうございます、期待に添えられるよう微力を尽くしますわ」

そんなことを言いながら、宴ではどのような演目と衣装を使おうか頭で考える。
軍人の方が主役なのならターキッシュスタイルの方がいい、あれの方が激しい動きも多いしダイナミック……きっと気に入ってもらえるだろう。
衣装はそれに合わせて情熱的な緋色にしよう、最近ハーレム付の職人に頼んでいたものが届いたところだし。
わくわくする。踊るのは久しぶりだから。皇子の顔に泥を塗らないためにも、心をこめて舞わなければ。

『夕方、私の邸に来てくれ。宮殿に遣いの者を送り案内させる。スルタンに許可も取っておこうと思う』
「わかりましたわ、お優しい心遣いに重ね重ねお礼を申し上げます、殿下」

>セリム皇子・ウィル様

【了解です!】

5年前 No.100

ヒュリヤ皇女 @genbu01☆WiTxS6F1.ho ★uocJs4OAPb_9wr

【イスタンブール/バザール→トプカプ宮殿→ハーレム付近】

「わかっているなら別にいいのよ」
 ビクリと身を震わせたのを目の端に見て、かるく息をつきつつ内心安堵する。
 そもそもの話、そんな危険をおかしてまで覗きたいとか思っていないだろうし、何度も否定しているので追求する必要もないだろう、と判断をして前を見る。

「…………きつく言い過ぎたわ。ごめんなさい」
 明らかに無理をした笑顔のルドルフを見て、硬直する。
 私が柄にもなく自分の思ったことを言いすぎたせいで、人を傷つけた。そう気がついて、体に震えが走った。だから、自分の意見を口に出すのは嫌いだ。こうやって誰かを傷つけるから。
「ごめんなさい。さっきのことは、忘れてちょうだい」
 自分のせいなのに、忘れて、なんて相手に言う自分がいやになって、ため息をついた。


 兄一行になんとなくついていっていたら、いつの間にやらハーレムの近くまで来てしまっていた。
今朝方見かけた、兄の師が向こうから歩いてくる。一応、軽く挨拶はしたほうがいいだろうと思って、「ごきげんよう」と言っておいた。

『ラーキス、頼みたいことがある。ハーレムにメヌウトという女官がいた筈だ。彼女に私が呼んでいるから此処に来てほしいと伝えてくれ。後、ハーレム内の情報を何度か私に報告してほしい。それと母上には、よろしくと……』
兄がラーキスに言った言葉に、やっぱり、と軽く息をつく。
もう大体確証があったのでさほど驚きはしないが、それがさらに真実味を増したというところだろうか。

兄が師を伴ってテラスに行ってしまい、ラーキスもハーレム内に戻っていったのを見て、ルドルフのほうを振り返って問うた。
「私は買った本を読みたいから、庭の辺りにでもいるつもりなのだけど…… あなたはどうするの、何か予定はあって?」

>ルドルフ

>ALL様


【長期間来られずごめんなさい!なんだったらもうレス蹴ってくださってかまわないです><】

5年前 No.101

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/セリム邸】


 太陽が西に沈む頃、小さな庭と建物があるだけの邸では宴の準備が始められていた。白いタイルと芝生に囲まれた四角形の浅い睡蓮の浮かぶ池が中央に位置する中庭に面するテラスで、ソファとテーブルが置かれている。しかし他には全く装飾が施されていない質素な宴だ。その中で彩っているものと言えばテーブルの上に並ぶ豪勢なトルコ料理。そして、楽士たちの音楽に合わせてメヌウトのラクス・シャルキーが宴を更に盛り上げてくれるだろう。

 今回の主役は私の助力者となってくれるイェニチェリ、ウィル・ブラックフォード。彼の知能の高さを見込み、私は彼をそばに置くことを選んだが、それも私が優位になっていくための一歩としてである。イェニチェリが皇族の皇位継承に干渉してくるという事実があるなら、私は自分からイェニチェリと関係をつくり味方につけるまでだ。しかし彼らに頼りきってはならない。彼らにも影響を及ぼせる存在にならなければ向こうに支配されるのが落ちである。
 私はソファに腰掛けて、ゆったりとした絹の上着を地面に垂らした。そしてもたれ掛かったときに、来てもらった楽士たちが一人一人此方に仰々しく挨拶をしてくる。私は、彼らに挨拶を返していきながら、今宵の宴をよいものにしてほしいと励ました。


>ALL様

5年前 No.102

ルドルフ=アレクセーイェフ @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/バザール→トプカプ宮殿/ハーレム付近】


「……」

 俺は謝ってきたお嬢様を意外な目で見た。彼女がここで謝るとは思っても見なかったからだ。一瞬固まって、相手には失礼な態度だったかもしれないが、どう対応すればいいか戸惑ったところもあったのだ。

「いえ、別に謝ることではありませんよ! ただビビっただけですから。俺ってよく色んな人に怒られるんですよね。しっかりしていないっていうのもありますし、特に先輩からは苛められているような気がします。確かに落ち込みますが、よく考えると自分が出来てないせいだなって分かるんで。だから、お嬢様は気にしないでください!」

 今度は満面の笑みを浮かべた。お嬢様から謝られて、なんだか逆に許されたような気持ちになったからだ。けれど、この違和感は何であろうか。まだ苛立ちが残っている……そんな感じだ。お嬢様と俺の価値観の違いにたいしてなのか?
 俺はその疑問を胸に抱えたまま、お嬢様についていき、トプカプ宮殿へたどり着いた。やはり宮殿は綺麗で大きい。偉い人はこういうところで何時も働けるんだろうな。羨ましい。

「え? 予定、ですか?」

 突然お嬢様から訊ねられたので取り乱して上擦った声を出してしまった、恥ずかしい。だがそこは俺だ。何時も恥ずかしいことには慣れているから平気平気。

「一応、宮殿周辺の警備を任されていました。ですが、今日はヒュリヤお嬢様の護衛を続けさせていただきます! スルタンの大事な大事な皇女様を守るのだってイェニチェリとしての仕事ですよ。安心して読書をなさってください」


>ヒュリヤお嬢様

>ALL様

5年前 No.103

メヌウト☆11QFa6Kj2Co ★7l5KxLcKOj_C2y

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5年前 No.104

ウィル・ブラックフォード ★Android=pIcZAnWYfZ

【イスタンブール/トプカプ宮殿(セリム邸)】

メヌウトさんか…。若くはないが、大人の女性特有の色っぽさを兼ね備えている。こんな素晴らしい方が宴で舞ってくれるなんて!

彼女の挨拶を僕は無難に返しておいた。どうにも、女性と話すのは慣れない。殿下の昔からの知り合いっぽいし、色々話してみたいが今は(今からは)忙しいだろう。

持ち前の好奇心から、宮殿の中を探検したくなった。もちろん、部屋には入らない。すでに、ここまで来るだけでも、美術品らしきものなど飾ってあったりして面白かったし。

僕は殿下に一声掛けると冒険心にまかせ歩きだした。


>殿下、all様

5年前 No.105

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

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5年前 No.106

ウィル・ブラックフォード ★ArgPjcIqVW_XoM

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


宮殿探索に殿下が同行したいとおっしゃってきたが、断った。悪いとは思ったが今日は一気に色々ありすぎたので、少し一人になりたい。

そういや最初、宮殿の警備を任されてたんだっけ…。結局、庭の警備はどうなったのだろう?うまいこと連絡がいってたら代わりの人が来てるかもー。そんなことを考えていると、自然に庭の方へ向かっていた。

『皇女をナンパってよくやったもんだよ』

庭の方からヒソヒソ話し声が聞こえる。…もしかしなくてもルドルフさんのことですね、ハイ。

僕は思わず柱の陰に身を隠した。

『だが、その度胸を買われたのか皇族に気に入られて、直属の部下になるそうだ』

『なんだそれ?!俺もナンパしようかな』

『やめとけ、下手しなくても死ぬぞ。上官も恐ろしい位怒ってたしな。今回は皇族に気に入られたから良かったものの、次、皇族関連で問題起こしたら問答無用で死刑になるんじゃね?』

『上官方もスルタンの不満言ってたりしてるのにな。』

『…ぶっちゃけ俺達もだろ。あと、愚痴とナンパじゃ次元が違うだろ。いいから黙れ。』

……どうしてこうも悪い噂ってのは早く広がるんだ!もう嫌!



>ALL様

5年前 No.107

ケマロウル=メスィフ=パシャ @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


 一通り仕事も終え、特に用事も無かったので今回の会議で議論したことをまとめた資料を見直しながら宮殿の庭園の中を歩いていた。日は既に地中海の水平線に沈み、辺りは徐々に暗くなっていく。影の存在も曖昧になってきていた。虫の囁き声も響いてくる。

「……?」

 しかし、虫の囁き声に混じって人の声も聞こえてきた。私は足を止めてその声に耳を傾けた。

『やめとけ、下手しなくても死ぬぞ。上官も恐ろしい位怒ってたしな。今回は皇族に気に入られたから良かったものの、次、皇族関連で問題起こしたら問答無用で死刑になるんじゃね?』

 ああ、例のイェニチェリ隊員のことか。顔は見たことがないが、ルドルフ=アレクセーイェフとウィル=ブラックフォードの二名だと記録している。私は問題を起こしたという二人の名前が記されたリストに視線を落としながら、イェニチェリ=アーシ(親衛隊長官)が苛立ちを見せていたのを思い出した。
 無理もない。イェニチェリの軍旗違反が問題になり始めた現在、彼らもピリピリしているのだ。そんなときに、隊員が皇族に畏れ多い行動をとれば尚更である。

『上官方もスルタンの不満言ってたりしてるのにな。』

『…ぶっちゃけ俺達もだろ。あと、愚痴とナンパじゃ次元が違うだろ。いいから黙れ。』

 聞いてよかったのかは分からない。だが大宰相として目を背けてはならない事実だ。スルタンがイェニチェリたちの不満をかっている。統治のため、君主に刃向かう不穏因子を搾取する話は知っているが、私はそれが妥当な策とは考えられない。イェニチェリが不満を抱えているのはちゃんとした理由があると考えた方がいい。
 アフメト陛下は、正直にいってしまえば優柔不断で何かと腰が低い傾向にある。政務も殆ど人に任せているといっても過言ではない。ビザンツ、西欧州、イスラム諸王朝が圧力をかけんとしている状況で軍隊を動かそうともしないのだ。軍人のイェニチェリからすれば、不満の一つや二つも出ることだろう。

「……御苦労」

『パシャ様! ……ご苦労様です』
『ご苦労様です』

 番兵が噂話を中断してしばらくしたあと、私はついさっき現れたかのように彼らの前に出ていくと軽く挨拶をした。彼らも私を見るなり慌てて脇の方へいき頭を下げている。


>ウィル=ブラックフォード

>ALL様

5年前 No.108

メヌウト @0thhorizon☆11QFa6Kj2Co ★1YzLYUDHyQ_XaU

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5年前 No.109

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

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5年前 No.110

ヒュリヤ皇女 @genbu01☆WiTxS6F1.ho ★uocJs4OAPb_SPX

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5年前 No.111

ルドルフ=アレクセーイェフ @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿/ハーレム付近】


 扇の影からこちらを覗いたお嬢様は、俺が気にしていないと言ったことについてホッとしたようだ。けれど、お嬢様内心俺の方を責めてるとかないよね? お嬢様には嫌われたくないからな。しっかりしないとな、俺。
 けれど静かなことが多いお嬢様が話し掛けてくれるわけだし、そこまで責めてるわけじゃないのかな。それにさっきの反応だって俺の態度や気持ちを気にしているみたいだった。それじゃあ、お嬢様は案外他人のことを考えられる優しい人なのかもしれない。まあ雰囲気は怖いけどね。怖さもセリム殿下に負けてないよ。

「分かりました! ビザンツがどうのこうの言いますしね。宮殿に忍び込むやつもいるかも……」

 護衛をすることの許可をもらい、俺は早速周囲を見渡す。辺りは赤く夕焼けに染まっており、あのときから大分時間が経ったのだと実感させられた。
 俺は真面目なのだが、はたからみると護衛しているのか疑われるほどキョロキョロしていた。するとその時、お嬢様は前言を撤回したのだ。俺じゃ頼りにならないと思ったのか、それとも読書の邪魔と思ったのか。だがどちらでもなかった。

「……いえ、私は護衛をするのも仕事ですし……」

 お嬢様が俺にまで気を配ってきたのだ。そんな喜ばしいこと今まであっただろうか。俺は驚いて呆然とした。
 だがどうしよう。お嬢様がつまらないと思うことをさせちゃったら悪いし……。ああ、そうだ!

「ならば……。お嬢様、俺に何かお話ししてください。貴方が好きな物語とか。……構いませんか?」


>お嬢様(ヒュリヤ皇女)

5年前 No.112

凛音 @0thhorizon☆11QFa6Kj2Co ★JNqM8YuScU_XaU

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5年前 No.113

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/セリム邸】


 母に関して訊ねると、予想通り、だが悲しい現実が知らされた。ラーキスが言ったことと同じものであったが、他の妃から嫌がらせを受けていると聞き、よりいっそう深刻さが増した。難しい表情をし、小さくため息をつく。

「母を助けられない私が悔しい……。唯一母を救えるとしたら、あの巣窟から出すことだろう――」

 ハレムに入れない、干渉できない私が直接母上を救うことなどできないだろう。ではハレムから出せば? いや、その様なことをすれば皇位継承権で争っている私にとって不利になりかねない。

(……最も確実なのは私が皇位継承権争いに勝つことだ)

 だが争いはいつまであるのか定かではない。せめてその間ずっと会っていない母に励ましの言葉はかけられないだろうか。

「母に……一度会って話をしてみたい……」

 そう呟けば小さく笑みを浮かべジュースを口に含んだ。私が継承権争い以外のことを考えるとは、自分でも驚きである。

 訊いてよかったのかどうかは分からない。スルタンのことをどう思うか……。自分の父親とはいえ皇帝である以上、政治的なことに関与しないわけにはいかない。個人的に好き嫌いなど言えば、どう思われるであろう。それに彼女は常に中立の立場をとろうとしていただろう。そんなことをメヌウトに訊ねてしまった私は酷い人間だ。
 しかし、メヌウトは小さな声で私に語るのである。自分がかつてスルタンの寵愛を受け、また彼女も……父を愛していたということ――。少し妙な感覚になるのは何故だろうか。

 しかししばらく聞いていると、彼女はもうかつての自分の愛していた人ではスルタンは無くなっていたと告げた。
 そして、父はスルタンに相応しくないとはっきりと述べたのである。
 私は相手が仮にもスルタンの息子である私にはっきりと言ったことに動揺を隠せなかった。だがしかし、彼女は本気でそう思っているのだろう。なら……彼女が愛していたスルタンはどんな感じだったのだろうか。

「――かつては、父はどんな人だったんだ? 何が父を変えてしまった?」

 興味本意といえばそうなのだろう。私はメヌウトが愛した存在がどの様なものなのか気になったのである。


>メヌウト

5年前 No.114

ケマロウル=メスィフ=パシャ @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


 色々と考えを廻らせ、そして夜明けが訪れた。考えていたのは、昨日の番兵たちの会話のことである。スルタンがイェニチェリに不満を抱かれている――厄介な話だ。

 私は近々"大鍋がひっくり返される"のではと恐ろしく思いつつ、取り敢えずイェニチェリのことをアフメト陛下に伝えるべきだと、早歩きで陛下の部屋へと向かった。
 こちらで様々考えても、陛下自身の問題となってくれば、彼にまず状況を知ってもらうことが必要である。

 廊下を歩いていると、私はセリム殿下の姿を見かけた。隣には例のイタリア人学者もいる。勉強熱心なお方だと思いながら、私は殿下と学者に「おはようございます」と挨拶した。

『おはようございます、メスィフ』
『おはようございます、パシャ様』

 いつものように彼らが挨拶を返すが、この時は殿下が私に『イェニチェリ・アーシはどちらに?』と訊ねてきた。殿下がイェニチェリ長官にどういった用事があるのか疑問に思いつつも「執務室にいらっしゃるでしょう」と答えておいた。

『そうですか……ありがとう』

 殿下が教えてくれたことに礼を述べてきたが、私は何故長官にあいたいのか気がかりに思い理由を訊いてみることにした。

「イェニチェリ長官にどの様なご用件で? 何でしたらわたくしが代わりに報告いたしますが?」
『――いえ、結構です。大した用事でもありませんので』

 私の提案を殿下は大した用事でもないと断ったが、私は眉を顰め相手を見据えた。あとで長官に訊いてみるか――。


>ALL様

5年前 No.115

スルタン ★Nhe9KwjaW3_M0e


【イスタンブール/トプカプ宮殿】

――あれは…セリムとメスィフ?

廊下を歩いていると声が聞こえてきた。挨拶を交わしているようだ。
気になったが、約束した政務書類を書いていない事を思い出し、私は直ぐにその場から離れ足早に少し遠回りの廊下から私室に戻った。

私室の机に向かい、ペンを動かし始めると、ノックがかかった。
『陛下。メスィフです』
『どうぞ』

>メスィフ

5年前 No.116

ケマロウル=メスィフ=パシャ @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


『失礼します』

 陛下の私室のドアの向こうから、『どうぞ』という許可の言葉が聞こえてくるなり、私は中へとそっと足を踏み入れた。見慣れた風景が目に映る。そして、陛下の姿も――。
 彼の前には政務書類がひろげてあり、ペンが細かく動いている。仕事中に入ってきてしまったことを申し訳なく思いつつ、「お仕事中すみません」と口添えて用件を知らせるため改めて口を開いた。

「――イェニチェリの軍規違反の件なのですが、それは長官と相談し管理体制の改変の案を出したのでチェックをお願い出来ますか。それと言いにくいのですが……」

 陛下に例のことをいうのはどうなのだろう。しかし、イェニチェリが陛下に対して不満を抱いているのは問題だ。私は、難しい表情になると、心のなかで溜め息をついた。

「……軍規違反との関連性があるかは不明ですが、近頃、イェニチェリが不満を抱いているようです。彼らは、帝国を脅かさんとする勢力に対する危機感を常に感じていますから」

 少し濁したが陛下自身が察知してくれるだろう。私は最後に「どうしますか?」と訊ねた。


>アフメト陛下

>ALL様

5年前 No.117

サディク @nogamin56 ★9EK0Caqnh7_C1f

【イスタンブール/トプカプ宮】
心地の良い朝だというのに、何やら空気が不穏だ。
廊下を歩きながらボンヤリとそんな事を考える。特に大きな異変では無いのだろうが、このままにしておくと少し大きな事が起こるかもしれない。
…それは、僕にとって転機になり得るのだろうか。そう思うと、自然と笑みがこぼれてくる。

「…ん?あれは…」
特に宛てもなく廊下を歩いていると、ふと見慣れた人物が目に留まった。異国の学者であろう人物と話し込んでいる、セリムの兄上だ。
「…兄上、おはようございます。朝から精が出ますね」
兄上の方に近寄って、微笑みながら声を掛ける。朝から勉強なんて、面白いものなのだろうか。

>セリムの兄上、ALL様

【PL:お久しぶりです!何ともさらに劣化したレスになってしまいましたが、またよろしくしていただけたらと思います;】

4年前 No.118

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


 イェニチェリ長官の執務室から戻る途中のことだ。突然若者の声で話し掛けられた。異母弟のサディクだ。私は学者と共に目を父親似の弟に向ければ「サディクか。おはよう」と短く挨拶し「私は皇族の中では立場が危ういゆえ、せめてウラマーになって役に立ちたいと思っているからな……」などと思ってもないことを躊躇い無く述べた。

 そして今度は観察するような目で相手を見る。裏表の無いようなその雰囲気に、普通ならば警戒を解いてしまうだろうが、弟というからには皇位継承のライヴァル――気は抜けない。

「そうだ……これから暇か? たまには年の近いものと楽しみたい。そういえば競技場遺跡で軍楽隊の演奏会があるらしいが……」

 執務室にはイェニチェリ長官が不在であったが、どうも軍楽隊の演奏会に出席しているとのこと。長官と話をつけるのとサディクの様子を窺うついでに、演奏会へ足を伸ばしてみよう。露店やちょっとした催しものもあるらしく、多くの人で賑わうという。


>サディク

>ALL様

【久し振りですw】

4年前 No.119

サディク @nogamin56 ★9EK0Caqnh7_itx

【イスタンブール/トプカプ宮殿】

「ウラマーに?兄上のような賢明な方ほどスルタンにふさわしいと僕は思いますがね」
兄上の発言に、僕は少し驚いたような表情を作る。勿論、兄上の作戦なのだろうと思いつつも、その躊躇ない口調には驚いてしまった。
その後の兄上の値踏みをするような視線に気付き、思わず苦笑を漏らしそうになりながら、僕は微笑みを浮かべて兄上にそう告げた。
…どうやら、兄上をやり込めるには少々手間が掛かりそうだが、こうでなきゃ後継者争いも面白くないだろう。

「軍楽隊の演奏会に?楽しそうですね、是非ともご一緒したいです」
兄上からの誘いに、僕は嬉しそうに頷いて言葉を返した。兄上の意図は分からないが、こうやって親睦を深めるフリをして信頼を得るのも手だと思い、僕は兄上の言葉に快諾して兄上の動向を待った。

>セリムの兄上、ALL様

4年前 No.120

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


 “兄上のような賢明な方ほどスルタンに相応しい”――この言葉は今目の前にいる皇位継承のライバルの異母弟の口から発されたものだ。それだけに、私を動揺させるには十分なものである。
 とはいえ、それに対して黙っておくわけにはいかず「そうか。ありがとう」とだけ返しておいた。
 そして軍楽隊の演奏会の件を持ち出すと、相手は快く了承、なんとかサディクとの関係も作れると一先ず安心である。しかし相手とてこちらを警戒しているとも捉えられるため、あまりおかしな行動は慎まなければならないだろう。
 私はいつものように護衛をつけないまま、軍楽隊演奏会の開かれるローマ帝国の遺跡へと足を運ぶのであった。


>サディク

>ALL様


【会場の様子や情景などは好きなように描写してください!】

4年前 No.121

セリム皇子 @makita ★Android=oiuxxae5O4

【イスタンブール/円形競技場遺跡/軍楽隊演奏会場】


 バザールから然程離れていないところに演奏会場はあるが、普段よりもいっそう賑わいを見せている。演奏するイェニチェリは勿論、その他の多くの市民でごった返していた。周辺には屋台が立ち並び、胡散臭そうなアラブ人商人の姿も見える。いったい何を売っているんだ。些かがらくたにしか見えない「骨董品」を横目で見ると、私は怪訝そうな表情になった。

『俺の晴れ姿見てよ、イブラヒムおじさん!』

 屋台が立ち並ぶ場所を歩いていると、聞き慣れた声が聞こえてきた。見るとルドルフ・アレクセーイェフが、『ガラータ骨董屋特別セール』と書かれた屋台の前で、そこの店主の男に話し掛けている。ターバンを巻き黒い口ひげをはやした目付きの悪い男だが、親しげに話し掛けるルドルフの姿を見ると、案外社交的な人間なのでは――と思ったがルドルフは相手にされていないようだ。
 そんなアレクセーイェフに、ちょうどいいのでイェニチェリ長官の居場所を訊こうと近付いていった。

「アレクセーイェフ」
『え? セリム殿下では御座いませんか! もしかして俺の晴れ姿……』
「イェニチェリ長官はどこにいるか分かるか? 彼に用事がある」

 アレクセーイェフが言葉を言い切る前に訊ねると、彼は少し残念そうに顔を下に向けた。分かりやすいイェニチェリだ。

『長官なら、控え室のテントにいらっしゃいますよ』
「そうかありがとう。後、お前の演奏、期待している。失敗は許さないぞ?」
『あ……はい』

 僅かに微笑んで見せたあと、私は弟に「先に観客席へいっておいてくれ」と言えばその場をあとにし、イェニチェリ長官のいるという控え室のテントへと足を運んだ。
 だがどうも妙である。気のせいだといいがと思っていたが、どうやら勘は当たっていたらしい。控え室付近のイェニチェリ隊員が異様に慌てているのだ。

「いったい何があった?」
『セリム殿下! ……大変です! ちょ、長官がっ!?』
「長官がどうした?」

 イェニチェリは慌てているためか、言葉が出てこないようであったが、長官になにかが起こったことは理解ができた。私はそのあとすぐに長官がいると思われるテントへ走っていくと、テントに集まっている隊員を掻き分けて中を覗く。

「そんな……まさか――!?」

 変わり果てたイェニチェリ長官の姿がそこにはあった。私は息を飲んで「安全を確保しろ、すぐさま会場含めた付近の人間の調査にかかれ。まだ刺客は遠くへはいっていないはずだ!」と呼び掛けると、イェニチェリ隊員はすぐに実行にうつった。

『毒物です。飲み物に入れたようですね……』
「誰が飲み物を?」
『分かりませんが……』
「そうか。まだ調べる必要はあるが、長官と少しでも関与したものを集めてほしい、分かったな?」
『はい!』


>ALL様

4年前 No.122

イェニチェリ隊員(刺客) @makita ★xukvgMSQik_ZFe

【イスタンブール/円形競技場遺跡/軍楽隊演奏会場】


 暗殺はうまくいった。しかもセリムは私を疑ってはいない。刺客がイェニチェリに変装していることなど全く視野にいれていないとは愚かなやつだ。あの馬鹿さ加減は父親のアフメトに似たのであろうか。考えているだけで笑いがこみあげてくる。
 長官、悪く思わないでくれよ。貴様はセリムを支持しようとしたから消された。それは当然のことだ。次期皇位継承者はアッラーが唯一の神であるがごとく、この世でたった一人と決まっている。セリムはそれに相応しくはないのだ。
 さて……この報告をまずハレムにいるあのお方にしなければならない。きっとお喜びになられるだろう。
 そして時がきたら再び私の出番。アフメトを始末し、新たな時代の到来を待つのだ。

 私は人ごみをかき分けて、あわただしい雰囲気の会場から立ち去って行った。当然尾行者がいないか確認をしながら――。


>ALL様

【物語が全く進んでいないので久しぶりにイベント系キャラ投下。新しい参加者様も募集中です!というか是非きてください!歴史とは関係ないのでイスラム系ファンタジー感覚できてくだされば】

4年前 No.123

凛音 @0thhorizon☆11QFa6Kj2Co ★iPhone=ijYGHxfiOX

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4年前 No.124

セリム皇子 @makita ★Android=QP7DgXg77L

【イスタンブール/円形競技場遺跡/軍楽隊演奏会場】


 突然入ってきた報せで、私は軍楽隊演奏会場へと飛んでいった。そこで先に目に飛び込んだのはぐったりとし、全く動かなくなった父の姿である。
「父上……?」
 私の体は気がつけば、冷たくなった父の元へと駆け寄って、周囲の人間と同様に戸惑いを隠せず、ただ呆然とその死に顔を眺めていた。決して安らかとはいえぬ顔に少しの哀れみを感じつつも、今の私にあったのは、父の死に対する子としての悲しみではなく、オスマン帝国のスルタンがイェニチェリ長官の死に引き続き何者かに暗殺されたという事実に対する恐怖に他ならなかった。
 誰かが政治をわがものにせんと企んでいるとなれば、此方とて同じ運命を辿ることになるかもしれない。同情する余裕など正直無かった。

「皇帝を殺すなど、いったい誰が?」
『殿下。幸い暗殺者は捕らえられております。先程会場を』
「なんだって?」
 顎に手を添え考えを巡らしていると、現れた兵士がそう告げてきた。驚くべき事実に眉を顰める。けれど私は重要な事柄を尋ねることを忘れはしなかった。
「その暗殺者は誰だ?」
『女官長メヌウトにございます』
「……!?」
 そんな馬鹿な。彼女がその様なことをするはずがない。何かの陰謀だ。
「女官長と直接話をしたい!」
『あ、お待ちください殿下!』
 兵士は引き留めようとしたが、私はそれを無視し、連行されていくメヌウトを人をかき分け、時にはとばし追い掛けた。こんなに人を信じたのは何年ぶりであろうか。こんなにも思ったのは。
 途中で繋がれていた馬にまたがり、私は彼女が牢獄につながれてしまう前に会って話をしようと走らせた。そのかいあってか、私はメヌウトと連行する兵士たちの一団に追い付く。
「メヌウト! あなたが長官とスルタンを暗殺したのか? 本当の事を教えてくれ」
 私のその声色は、明らかに尋問のそれではなかった。メヌウトの潔白を信じたい。そう訴えるような眼差しで馬上から彼女を見つめた。


>メヌウト

>All様

【とても素晴らしいレス嬉しいです!ありがとうございます!】

4年前 No.125

メヌウト @0thhorizon☆11QFa6Kj2Co ★iPhone=ijYGHxfiOX

【イスタンブール/円形競技場遺跡/軍楽隊演奏会場からトプカプ宮殿への道中】

両手首には縄をかけられ、引きずられるように歩いていた。
少しでも歩みが乱れれば突き飛ばされ、明らかに自らの歩調と合わない速度で歩かされる。
メヌウトは今、罪人だ。その扱いは仕方ない。
彼女は小走りで歩きながら必死に思考を巡らせていた。
私は、何者かによる陰謀に巻き込まれたということは痛いほどわかっている。
その者の目的として最も考えうるのはセリム殿下を後継者争いから引きずり下ろすことだろう。
だから、殿下の親族であるラーキスやその母君が呼ばれたこの時を狙われたに違いない。


(毒は葡萄酒には入っていなかったはず……)


ラーキスの母君が手に持っていた葡萄酒の瓶は事前に毒見がされていたはずだ。
ならば恐らく、毒はメヌウトの持つゴブレットの内側に塗られていたと考えるのが妥当だ。となると……。


『ああそうだ、こちらで洗浄と点検は済んでいますのでなにもしないで結構です。演奏会の際に葡萄酒を注いでくださればそれでよろしい』
『側妃様が葡萄酒をその聖杯に注ぎ、貴女が陛下に奉りなさい。何度も言いますが、聖杯には触れないように』


今まで長く女官を務め、采女も随分昔であるものの度々こなした。だが聖杯に触れるななど、言われたのは今回がはじめてだった。
毎回あれだけ念押しをされていたなら、忘れる筈がない。
そういえばあの文官……あまり見かけない顔だった。

メヌウト!と叫ぶ呼び声が聞こえたのは、彼女の思考がその文官に及んだ頃だった。
振り返ると並足で走る馬に跨ったセリム殿下の姿があった。
彼は息を乱しており、相当焦ってやってきたのが伺えた。


『メヌウト! あなたが長官とスルタンを暗殺したのか? 本当の事を教えてくれ』


彼の瞳はただただメヌウトを案じていた。
ハレムにいた頃、未来のスルタンとして心を込めてお育てして差し上げた皇子。
もちろんその時は他に皇子が生まれていなかったということが大きいが、寵愛を失って久しかった上に子供を授からなかったメヌウトにとって、得られなかった子供に向けるに近い想いだったのかもしれない。


「殿下……」
「セリム殿下、この者は皇帝陛下弑虐の罪人です、危険です!」


兵士が慌てて制止の為に声を上げる。
メヌウトは言葉に詰まって答えられなかった。
涙が堰を切ってこぼれ落ちる。
殿下は私を信じてくれていた。
それだけでもう、メヌウトには充分だったのだ。
彼女は必死に嗚咽を抑えて、馬上の殿下を見上げて声を張り上げた。


「セリム殿下!必ずや、必ずやアフメト陛下の無念を……!」


そして立派な皇帝陛下となってください。
それは言葉に出せなかった。
もし叫んでいたら、きっとセリム殿下の派閥であることが露見し、彼を窮地に追い込んでいただろうから。
メヌウトは僅かに口を動かしてその言葉を形作るにとどめ、柔らかい微笑みを彼に返した。
再び突き飛ばされる。
陛下の無念を。
そう伝えるのが彼女の精一杯だった。



>>セリム殿下

>>ALL

4年前 No.126

ケマロウル・メスィフ・パシャ @makita ★Android=QP7DgXg77L

【イスタンブール/トプカプ宮殿】


 イェニチェリ長官と、今までずっとおそばに仕えていたアフメト陛下が、軍楽隊演奏会場で暗殺された。そのことはトプカプ宮殿に残り仕事に取り組んでいた私の部屋に突然、緊急報告という形で入ってきた。そして、女官長が実行犯だということも。

「これはまずいことになりましたね……」
 書類をたたみ、溜め息混じりに零す。何せ、次代スルタン候補が決まらないうちに、スルタンは殺されたのだから。こうなると皇子の後継者争いが激化し国内の状勢が不安定になる可能性があるのだ。いや、もう既に不穏な動きはある。
 ビザンツ残党などによるものと考えてみたが、暗殺者がメヌウトとなれば、内部による陰謀と考えた方が妥当だ。さては、これはハレムの女たちの一派閥が企んだ後継者争いと関わりがあることなのか。ならばメヌウトはどの皇子を支持していたのだろうか。逆に消されてしまった陛下や長官は誰を。サディク殿下か、それともセリム殿下――。まだ私にはわからない。
「牢獄にいる女官長に会わせて下さい。彼女と話がしたいのです」
 メヌウトと話をすれば何かがわかるかもしれない。そうして私は、メヌウトのいる牢へと足をのばした。




【牢獄】


 宮殿と違い、此処はなんと陰湿な雰囲気を醸し出すところであろうか。区切られた牢の中には過去に罪を犯したりした者、他国のスパイなどが閉じ込められている。囚人は私の姿を見て脅える者も、毒ずく者もおり、牢番は後者に対して怒声をあげて鎮めていた。
「ご苦労」
「いえ。閣下に楯突く愚か者たちを鎮めるのも我々の役目でございます」
「女官長の牢は――」
「此方です。しかし……女官長がスルタンを暗殺とは。あの方はハレムでも中立を守っていた方でしたから」
 牢番の背を追いながら廊下を歩いていると、彼はそうメヌウトを評価した。
「それに……」
「……?」
「人殺しをするような人間には見えません。陛下を愛していましたし。ただ、子どもが授からず特別な地位を得ることは叶わなかったのですよ。彼女自身それは十分分かっていたのではないでしょうか。だからこそ皇女殿下や皇子殿下達を我が子のように育てることができたのです。他の女官達と違い野心といったものも窺えません」
 彼の話を聴いていると、私は女官長が無実ではないかと感じてきた。尤も証拠が何よりも必要だが。

「女官長。大宰相閣下がお見えになられましたよ」
 どうやら彼女のいる牢までたどり着いたようで、牢番は牢の中に向かってそう話し掛けた。そして私も中の様子を見ようと近付いていくと、女官長の姿をそこで捉える。
「……メヌウト女官長。貴方におききしたいことがあります。スルタンが暗殺される前のことを詳しく教えてほしいのです。私はスルタンに代わって貴方に処分を下すこととなるでしょう。それがどれほど重いことか分かるからこそ、取り調べを慎重にしていきたいのです」
 空位の今、責任は大宰相である私にある。そして事件の真相を探ることも重要なことだろう。本来なら別のものに任せているが、今回ばかりはわけが違うのだ。メヌウトが話してくれることを願って、牢の向こうを見た。


>メヌウト女官長

4年前 No.127

セリム皇子 @makita ★Android=QP7DgXg77L

【イスタンブール/セリム自邸】


 精神はある一点に集中していた。張りつめた空気、微かに震える腕、真っ直ぐ的を見る視線。照準が定まったとき、矢は弓に弾かれ力強く目標へと射られた。そして木製の板に刺さる音。
『惜しいですね殿下』
 そうルドルフにいわれる前に察しはついていた。放った矢は、私の思っていた場所からはずれた位置に刺さったのだ。
「いや、いつもであれば中央は確実だった。私も腕が落ちたらしい……」
 それは否定できない事実だ。私は弓を降ろすと元気のない口調で答えた。
『きっとあのようなことがあり殿下もお疲れになっているんですよ。すぐに感覚は取り戻します』
「そうだな……。ところでルドルフ」
『何でございましょう?』
「お前はあの時の状況のことは憶えているか?」
『……』
「イェニチェリ長官と父上が暗殺された日の事だ」

 ルドルフは考えるような仕草をしながらしばらく黙っていた。その後、思い当たることがあったか顔をあげる。
『そういえば……俺、会場をぬけていく影を見たんです。服装からしてイェニチェリでした。確か長官のテントの方角からやってきた感じでしたが』
「イェニチェリ?」
『何処へ向かっていたかは分かりません』
「後で隊長から確認をとろう。勝手に行動することは無いからな。実は今日、長官に接触した者を各部隊の隊長たちに特別に連れてくるよう頼んである」
『え!? じゃあ俺はいないっていっといて下さい!』
「何故だ……?」
 どうせしょうもないことであろうと呆れたような表情で訊ねる。
『サボってるって思われます!』
「……。……大丈夫だ。私が保証する」
『ありがとうございますセリム殿下!』
 彼も彼なりに苦労があるのだろうと深くは考えず置いといた。

『しかしセリム殿下。何故あなたがこの事件を調査しようとこんなに……?』
 そうきかれたとき、矢を取ろうとする手が止まる。
「……そのままにはしておけないからだ。何かの陰謀ではないかという疑問が頭から離れない。私はそんな不安を抱いたままこの帝国の皇族として生きていける自信がない。だからこそ、真相を明らかにし犯人に対して相応の処罰を与える。内部の混乱は、早く鎮めなければ」
 なぜならこういうときこそビザンツや他の敵対勢力が狙ってくるからだ。私としてはこれは解決したいところの問題だ。そしてもう一つ……私の脳裏に焼き付き離れない光景があった。

 スルタンを殺した容疑を着せられ連れて行かれるメヌウトの姿。亡き父上の無念を晴らしてくれと、そして立派な皇帝になってくれと……。
 最後は言葉には出さなかったが、口の動きを見たとき私はわかった。彼女が私を次期皇帝になるよう認めてくれたのは嬉しいことである。ただ私にはメヌウトの目に父上の姿があるような気がしてならなかった。
 彼女は父上を今でも愛しており、それゆえに私にそう託したのだろう。そうだ。私はメヌウトに思ってほしかった。身分や地位を越え私にとって彼女は手の届かない場所にいることは自覚していたが、それでも私はこの秘めた思いを棄てることは絶対にできない。私はメヌウトの無実を証明してみせる。それが私の出きることならば。

『殿下。参られたようです』
「そうか。此処に通せ」
『はい』
 侍従がイェニチェリ隊長と長官に接触した者が来たことを伝えにやってくると、早速此処に通すよう頼んだ。


>All様

4年前 No.128

メヌウト @0thhorizon☆11QFa6Kj2Co ★iPhone=ijYGHxfiOX

【メヌウト/牢獄】

遠くで怨嗟の超えが際限なく続いている。
その数を数える気も起きず、どこか遠い世界にいるような感覚で聞いていた。
今、メヌウトは重罪人としてこの牢獄の最奥に囚われていた。
罪状は、スルタンの弑虐。
アフメトはメヌウトの腕の中で死んだ……やはり毒は葡萄酒ではなく聖杯の内側に塗られていたと聞かされた。
だからこそ余計にメヌウトへの疑いが強まったのだ。

情けない、と一人心の中でごちた。

あれだけ勢力争いの中で中立を保ち生きてきたのに、こんな形で巻き込まれてしまうなんて。

なぜ、私だったの?

ふと、疑問に思った。
私は長らく中立の女官長としてハレムの女官達を統率してきた、そのことについてはハレムはもちろん宮殿の中でも有名なことだろう。
勢力争いによる暗殺ならば、目障りな派閥の人間に濡れ衣を着せるはず。
そういう意味ではメヌウトに被せられたことはかなり奇妙……。何故なら彼女が囚われることで窮地に陥る派閥はどこにもない。

……いや、待てよ。

派閥に属していたわけではないが、彼女が傾倒する人間はいる。

疑惑の皇女、ラーキス。

彼女はメヌウトの弟子であり最もかわいがっている皇女、加えてスルタンの長子である皇子セリムの実の妹である。
そういう意味ではメヌウトとセリムが周囲から強い結び付きを持ってるように見なされても不思議ではない。
こじつけな気もするが。

だが連行される時にメヌウトは無意識ながら口を動かしていた。

どうか立派なスルタンに、と。

「あ……」

なんてこと、なんて浅ましい女。
あんな言葉で皇子の気をひこうなんて、どうしてあんなことを。
これで私は完全にセリム皇子の派閥の人間だ。

消えてしまいたい。

口元を抑えてメヌウトは呻いた。


「こんな年になっても、私はダメね……」

まだ情愛を捨てきれずにいる。
そうだ、これは情愛だ。そうに決まっている。
無理に自分に言い聞かせる。そうでもしないと余計なことに気づいてしまいそうだった。

『女官長。大宰相閣下がお見えになられましたよ』

人が近づいてることにすら気づいていなかったためにメヌウトは顔を跳ね上げた。
そんな、まさか。
顔を上げればそこには確かにパシャ閣下。

用件はわかっているが、それでも心臓が早鐘をうち、無意識に呼吸が乱れる。


『……メヌウト女官長。貴方におききしたいことがあります。スルタンが暗殺される前のことを詳しく教えてほしいのです。私はスルタンに代わって貴方に処分を下すこととなるでしょう。それがどれほど重いことか分かるからこそ、取り調べを慎重にしていきたいのです』


ああ、話も聞かずに処刑されるわけではないのかと何故か一度安堵した。
だが大宰相閣下までもが動くほどの事態だ、下手に動けば危ない。

そもそも大宰相閣下はどこかの派閥に属していないという確証もない。
私を厄介払いしようとしている派閥の人間だった場合、喋りすぎればそれこそ口封じに処刑されるだろう。

さあ、どうする。

メヌウトは大宰相を見上げた。

どちらにしたって真犯人が見つからなければメヌウトは処刑されるのだ。
ならばもう派閥など関係ない、すべてを話そう。


「私が采女を務めたこと自体、随分久しぶりのことでございました。その時点で私は不審だと感じていたのです」


恐れで喉が震えた。格子越しに恐れ多くも大宰相閣下に目を合わせ、メヌウトはここにいる間整理していた内容を吐き出すように話していく。


「私が長らく女官長としてハレムに篭っている間に制度が変わったのかもしれません、ですが……今回の事は不審な事態が多過ぎました。そこに気づいていながら対処せずにいた……私の責任です」


必死に羅列していく。

聖杯の洗浄や接触を固く禁じられたこと。
国宝庫で聖杯を渡してきたのは見慣れない文官であったこと。
そしてメヌウトと同じく長い間寵愛に恵まれなかったラーキスとその母がスルタンに呼び出されたこと。

もしかしたら、と。
可能性の領域を出なかったがその可能性もメヌウトには口にする義務があった。



「以上のことから……この軍楽隊演奏会で、スルタンは自分の正式な後継者を名指ししてはっきりと決めるつもりでいらしたのではないかと……恐らく」


恐らくの後は口にできなかった。
恐ろしかった。

恐らく、セリム皇子を。

そんなことを、憶測の範囲も出ないのに口には出せなかった。

そして、セリム皇子を正式な跡継ぎに決めた後……スルタンは一体何をするつもりだったのか。

もう、その答えを知るものはどこにもいない。


「───国宝庫。国宝庫の入出者を確認してください」


見慣れない文官。
彼がきっと、何かを握っているはずだから。



>>大宰相閣下

3年前 No.129

ケマロウル・メスィフ・パシャ @makita ★xukvgMSQik_ZFe

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3年前 No.130

セリム皇子 @makita ★Android=QP7DgXg77L

【 イスタンブール/セリム自邸 】


 自邸にはあの日(軍楽隊演奏会)に出席していたイェニチェリ達が呼び集められていた。スルタン・アフメト暗殺事件から僅か数日後のことで、皆緊張した面持ちだ。中には私に対し疑惑の目を向けている者までいる。
 この一件の容疑者として女官長メヌウトが挙げられ国内で知られているが、協力者がいることは明白であり、関与した人間から私がそうでないかと疑われるのも決して不思議な話ではなかった。

「こんな時に皆集まってくれたこと、感謝したい」
『……』
 沈黙。彼らのしばしの沈黙がいつもより重たい。
「我が父スルタン・アフメトとイェニチェリ長官が暗殺された事件に私も皆と同様、強く心を痛めている。そして何としてでも真の犯人を見つけ出し国内の不安を解消したい。だからこそ協力してほしいのだ」
 そうイェニチェリに訴えると、途中で隊長の一人が口を開いた。
『長官と接触していたのはイェニチェリ隊員のみでした。長官は毒殺されていましたが、杯に毒が塗られていたのです。そして我々はその杯を運んでいた者を目撃しております』
「……!?」
『新人隊員として紹介された男でした……きっと雇われた暗殺者に違いありません。その男を見つけ出せば何か分かるかと』
 新人隊員、事件当日逃げるように去っていったイェニチェリ隊員の存在、それが同一人物であるなら、隊長の言うことは当然だといえる。
「それで紹介したのは誰なのか分かるのか?」
『ええ、宮廷に仕える官吏でデヴリムという男です。長官とは長い付き合いがあったようですが』
「長官と知り合いだということか……。分かった。ありがとう……」
 もしもデヴリムが黒幕であるとして、彼は長官との間で何があったのだろう。それも調べる価値がありそうだ。明日トプカプ宮へ向かうとしよう。


>ALL

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2年前 No.131

メヌウト @0thhorizon☆11QFa6Kj2Co ★XuxYoHnJwy_a2e

 【牢獄】

『分かりました。早急に調べます。そして殿下たちにも気を配ることにいたしましょう。この件は、後継者争いとが関係しているという線で捜査していきます。あなたには解決するまでそこにいただくこととなりますが……』
「問題ありません、どうぞ亡き皇帝の無念を……もし、早急な解決が難しいようであればこの命もお使いください」

 なんとなく知っていた。国内では既に自分が皇帝殺しの反逆者として扱われていること、そうでなくてもその場に居合わせた人間としてラーキスやその母君が疑惑の対象になり、更にそれで皇子の立場がさらに弱まっていること。
 もし間に合うのなら。まだ間に合うのなら。まだ私が中立の人間としてのイメージを保つことができているのなら。
 私が痴情の縺れで皇帝を殺し、その容疑を皇子やその陣営に擦り付けたということで収束することはできるはずだ。その為の死なら、甘んじて受けよう。

 長く生きてきた。私自身が老いているかは別として……充分に生きられた。どうせ死ぬのであれば……この疑惑が張らせないものとなるならば、セリム皇子が私を助けようとしてしまう前にこの命を終えたい。

 メヌウトはただ、一筋の涙だけを添えて再び頭を垂れるのだった。

>大宰相閣下・ALL


【もはや何年振りかもわかりませんが……恥を忍んで戻ってまいりました。】

9ヶ月前 No.132

ケマロウル・メスィフ・パシャ @makita ★Android=1ZJoxJicBJ

【牢獄】

 女官長の覚悟に私は思わず黙ってしまった。何よりも帝国の安定を護らなければならない立場として止むを得ない事態が出て来ることとて否定はできない。それでも、真相がわからぬままこの目の前の女を都合だけで殺すことは果たしてアッラー(唯一神)はお喜びになるだろうか。

「貴女のその覚悟は尊重しつつ、しかし私は貴女の無実を信じるものとして、そのような事態にならぬよう全力を尽くします」

 女官長が流した一筋の涙を見つめながら、私は自分が述べた言葉の重みを噛み締める。
 長く後宮で仕え、だが妃たちの派閥争いにも荷担せず、中立を保ちつつも弱きものの友となった彼女が(もしも無実なら)どうして貶められる必要があったのだろうか。私も長く官僚として仕えていた身であるから、メヌウトがどの様な人柄か知っている。人殺しを画策するような人間でもないことを。

「…ふと思ったのですが、セリム殿下もその母君様も後ろ盾など無いようなもの……。仮に殿下が即位なさっても、イェニチェリ長官や陛下を暗殺するようなリスクを犯してまで、阻止するほどのものであったのかが疑問なのです。不都合であったとしても、立場が脅かされるほどの不都合があるとは思えない」

 セリム殿下が即位することが不満でも、あまりにも事を大きくしてはいないだろうか、もしかして暗殺者の意図はもっと別のところにあるのではないかと私はメヌウトにそれとなく尋ねた。


>女官長

【またよろしくお願いします!】

9ヶ月前 No.133

凛音 @0thhorizon☆11QFa6Kj2Co ★XuxYoHnJwy_a2e

【牢獄】

 大宰相がふと、それとなく零した疑問に彼女は少しだけ首をもたげた。
セリム皇子。彼はアフメトの長子だが様々な要因で陣営としてはそれほど強い場所に居ないのが事実だ。
 彼の母君は白人奴隷の出身で、その美しさからスルタンの目に留まり寵愛を受け、そしてトントン拍子で妊娠・出産を経て側室まで上り詰めた人物。故に夫人としての立場は、正室ギュルソイルを始めとする『他国の姫君』に比べて大きく劣る。だからこそスルタンの長子を得たという意味で目の敵にされているわけではあるが、それでもその姫君にしてみれば有象無象の格下でしかないはず。スルタンがセリム皇子を正式な後継者として指名したとしても……巻き返しの手段はある。他の皇子や、妊娠した妻達が殺されるのは飽くまでセリム皇子が新たなスルタンとして立つことができた時だ。

「確かに、スルタン・アフメト元陛下の血を引く皇子はそれほど数も多くありませんし、自分の子を殺されることを恐れた他の側室様や陣営の方々と考えたとしてもここまで大それたことができそうな方というのは……私の知る限りでは一人もおりません」

 この国で最も尊い存在であるスルタンの弑逆。それを成し遂げられる人物という括りでも随分絞られるというのに、それが後継者争いまで手を伸ばせるとなれば該当者はゼロだ。最もやりそうな人間、第一夫人ギュルソイルに至ってはそもそも息子がいない。非常に過激な人物ではあるが、土俵に立てていない状態で戦いを挑んでくるタイプではないと思っていたのだが……だとすれば……。

「確信はありませんが……もしかしたら敵はこの国の中にはいないのかもしれません」

 オスマン帝国はその国土に比例するように他国にも敵が多い。可能性としてはむしろそちらの方が考えられうるのではないかと、戯言程度の感覚で答えた。


>大宰相閣下

8ヶ月前 No.134

ケマロウル・メスィフ・パシャ @makita ★Android=1ZJoxJicBJ

【牢獄】


 スルタン暗殺事件で浮上した不可解な部分。その不可解さは下手すれば見過ごしてしまうかもしれない、そんな僅かな疑問――――けれど、それによって導き出される真実もあるのかもしれない。
 首をもたげ思案する女官長の最後に出てきた推測に、私は思わず顔をしかめた。

「敵が国内にはいない……?」

 詳細を聞き出そうと女官長の言葉を繰り返す。彼女は戯れ言の感覚で述べたようだが、私はその言葉が妙に引っかかったのだ。そして彼女のいう“ここまで大それたことができそうな方”という人物が何者なのか気にかかる。

「……ところで、その思い当たる人物とは――――?」

 女官長はその人物を考えた後に件の推測をした。もしかしたら、敵は国内にはいないこととその人物が関係があるのではと続けて訊ねた。


>女官長

2ヶ月前 No.135
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