Google
    
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▼レス(1424) >>
★この記事にはショッキングな内容が含まれます。もし記事に問題がある場合は違反報告してください。

【ALL】Chrono Eternity【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
- アクセス(5275) - ●メイン記事(1424) / サブ記事 (252) - いいね!(12)

夢見し者達 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★V3odiytBGi_o53

時は、西暦7003年。あの、世界を隔てた戦いが幕を閉じてから、二年の月日が流れようとしていた―――。

並行世界管理協会との死闘の末、犠牲を払いながらも勝利を掴み取った時空防衛連盟とホームワールド。
戦いが生み出した傷痕は決して小さなものではなかったが、ようやく訪れた平穏の日々に、人々は安堵の表情を浮かべていた。
協会に支配されていた無数の並行世界も解放され、彼らはホームワールドを中心とした、緩やかな連合を結成。
全ての世界は時空を超えて支え合いながら、二度と脅かされることのない平和の元で、更なる発展を遂げていくのだと、誰もが信じて疑わなかった。
―――世界の空を、青く輝く星雲が埋め尽くすまでは。

突如として現れたそれは、昼も夜も関係なく、空で変わらぬ輝きを放ち続けた。幻想的で、かつ危険な雰囲気を漂わせながら。
あまりにも異質。全ての人々の視線が星雲へと向けられる中、無数の来訪者達が、大地へと降り立つ。
彼らは、自らをこう称した。―――星雲の光、と。

星雲の光という名の意味するものは何か。彼らは何のためにこの世界へと現れたのか。そうした疑問を解き明かす暇もなく、悲劇は始まりを告げる。
有無を言わさず殺されていく民衆、一切の容赦なく破壊されていく街。その姿は紛れもない、時空の破壊者そのものであった。
一通り自らの力を誇示した後に、星雲の光は世界政府に対し、選択肢を与える。光の導きに従うか、破滅を選ぶかの二択を。
どちらを選んだところで待ち受ける運命が同じであるのは、火を見るより明らかであった。慈悲をかけるつもりなど、はじめからないのだろう。

世界政府が下した決断は、至極当然のものであった。このまま、滅びの運命を受け入れる訳にはいかない。彼らは星雲の光に対し、徹底抗戦を誓う。
今一度、時空防衛連盟と地球軍の面々は立ち上がる。遥か古より紡がれし時空の全てを、侵略者の手から護り抜くために。
星雲の光はそんな彼らを見て、その瞬間を待ち受けていたかのように侵攻を開始。時空の守護者と破壊者、対局に位置する者達が、ここに激突する。
夢と、現の境界。朽ちた想いが安らぎの地を求め、冥路を彷徨う。その先にあるのは希望か、絶望か。世界の命運を懸けた聖戦が、幕を開ける。



【クリックありがとうございます。この物語の舞台となるのは、時空防衛連盟のあるホームワールドと呼ばれる世界と、そのホームワールドと交流を持つ並行世界、アナザーワールド、そして突如空に現れた星雲、夢現星雲です。星雲の光の襲撃によって、世界は存亡の危機を迎えています。滅びの運命を避けるべく奮戦する両世界の人々と、そんな彼らに破滅を与えんとする星雲の光、更にはその戦いに巻き込まれた者達の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2020/03/01 20:04 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★uphpYSzC2b_Tf2

―――現在は、第四章です―――


第四章:「静寂の終焉」

アナザーワールドへの襲撃は、全て星雲の光によって仕組まれた罠であった。

あまりにも呆気ない形で勝利を手にした時空防衛連盟。彼らがリヒトルザーンへ帰還するとそこには、敵の大軍勢が展開していた。

星雲の光は東ラガルデール自治領、及びアナザーワールドでの戦いでこちらの戦力を削ぎ、万全の体制を整えた上で決戦を挑んできたのである。

首都への奇襲を受けた連盟は直ぐ様対応に当たるものの、陣形が整っていない中での戦闘となった以上、苦戦は必至。

そんな様子を嘲笑うかの如く、星雲の光は総力を結集して襲い掛かってくる。敵は何としてもここで、この時空に終焉をもたらすつもりなのだろう。

目の前に広がる、絶望的な光景。それでも、時空防衛連盟の面々の心は折れない。僅かに残された勝利の可能性を信じ、彼らは時空の破壊者達を迎え撃つ。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19822.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19822.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19822.html-3#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19822.html-4#a

第四章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19822.html-241#a http://mb2.jp/_subni2/19822.html-242#a


―現在イベントのあるロケーション―

・リヒトルザーン(H):リヒトルザーン防衛戦(味方) ホームワールド侵略(敵) 時間帯:夜

・時空防衛連盟本部(H):時空防衛連盟本部防衛(味方) 時空防衛連盟本部急襲(敵) 時間帯:夜


※(H)はホームワールド、(A)はアナザーワールド、(S)は星雲を表す。

切替: メイン記事(1424) サブ記事 (252) ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

 
 
↑前のページ (1374件) | 最新ページ

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★uphpYSzC2b_4TG

【時空防衛連盟本部/資料室/ユーフォリア・インテグラーレ】

敵の言葉を鵜呑みにする愚かしさは、ユーフォリアも当然理解している。こうした戦争において、敵対勢力よりもたらされた情報を単純に信じ込むのは、自殺行為にも等しい。
コズミックメイガスの語る言葉も、全てが真実だと言い切ることは出来ないだろう。相手を混乱させるため、意図的に偽報を流す可能性も十分にあるからだ。そして彼女は同時に、既に連盟も真相に手を掛けている頃合であるはずだと指摘する。
その推測は正しい。当初全てが未知の存在であった星雲の光であったが、二度の戦いと独自の解析を経て、徐々に彼らの性質も判明しつつある。死者が蘇るというのはにわかには信じ難い事実だが、それを裏付ける事象も起きているので、もはや疑いの余地はないだろう。

会話は長く続かず、始まりを告げる戦闘。ユーフォリアが生成した虹の剣を見て、コズミックメイガスは思わず感嘆の声を上げた。先程の態度からして、彼女は己の実力に相当な自信があるようだが、虹属性を扱うことは出来ないようだ。
基本となる属性とは全く異なる性質を持つ属性故に、魔法に長けた者であろうと誰しもが扱える訳ではない虹。その使い手を目の当たりにして、相手の表情に浮かんだのは驚愕であった。
評価をしてくれたことには素直に感謝を述べたいところではあるが、生憎彼女とは敵同士。戦いに熟練した者であれば、無駄な隙を晒そうものなら必ずそこを突いてくるだろう。勿論コズミックメイガスも、熟練者に値する人物だ。
だからこそ、ユーフォリアは表情を変えず、逆に相手の隙を窺うことに務める。しかし、この領域に到達するような存在が相手となっては大きな期待も出来ない。如何に敵の思惑を崩す戦略を組み立てていくかが、勝利への鍵となるだろう。

ミシャールと連携しての攻撃は、ユーフォリアが彼女の補助的な役割を担うことに留めたことが仇となり、防がれる。接近戦も不得手ではないとなれば、やはり地道に攻め手を探していくしかないか。
そして何よりも注目するべきは、足止めを目的として放った虹のレーザーへの対処だ。コズミックメイガスは意味深な言葉を述べたかと思うと、手で小さな円を描くだけで、その光線を完全に霧散させてしまった。
その原理を理解出来ぬほど、こちらも浅はかではない。あれは、魔力操作の一種だろう。敵は一度受けただけで攻撃の性質を理解し、ユーフォリアの持つ"属性"の一つを的確に封じてきたのである。
非常に厄介な能力ではあるが、打つ手がない訳でもない。いくつか候補となる道筋があるが、どれが正しいかは試してみなければ分からないだろう。次なる手を瞬時に導き出しつつ、彼女は敵の反撃への対処へと移る。

浮かび上がらせた大小様々な魔法陣より、はじめに降り注いだのは光の槍。断続して放たれるそれを止めるためには、発生源となっている魔法陣を破壊する以外の方法はないだろう。
次々と襲いかかるそれらの雨の中を掻い潜りながら飛翔したユーフォリアは、光の槍をもたらした魔法陣へと自らの魔力を注入、相手の魔力を"破壊"して支配権を奪った上でそれを消失させる。
魔力操作を得意とする相手への、意趣返しの意味も込めた対応だ。そう何度も使える手ではないが、敵の十八番が無敵ではないということを示すためには丁度いいだろう。
敵の攻撃がミシャールに集中していることを察し、味方の状況を横目で確認するが、サブアームを捨て去るほどの余裕を保っているのを見る辺り、彼女は大丈夫そうだ。虹の霧こそ魔力操作で消失させられてしまっているが、むしろここで下手に手出しをする方がペースを乱す原因となる。

「最初から、期待はしていない」

手加減を期待するな、というコズミックメイガスの言葉に短い返答を返すユーフォリア。生きるか死ぬかの戦場に立っている時点で、そのようなことには期待していない。
あのような台詞を吐ける辺り、相手もまだまだ余裕ということだろう。この余裕を打ち崩すためにも、攻勢を強めなくてはならない。とはいえ、単純に大火力の魔法を撃つだけでは無意味だ。それでは、先と同じく魔力を霧散させられてお終いだろう。
加えて、虹属性が"単純には"通用しないという状況を作られている以上は、その対策を打つ必要がある。コズミックメイガスの学習能力は脅威だが、突破の手立ては必ずあるはずだ。
既に二つほど方法が浮かんでいるが、まずはこちらを試す。これは簡単な策で、誰もが思いつくような代物だ。虹属性が封じられたのであれば、別属性を用いればよい。
とはいえ、こうなることくらいは敵も予想の範疇であろう。故に、ユーフォリアはその簡単な策に捻りを加える。最初に放たれるのは、追尾機能のついた虹のレーザー。これだけを見れば、忠告を聞かずに同じ属性を連発しているように思えることだろう。
しかし、それは囮だ。虹のレーザーが殺到する中でもう一度詠唱を行った彼女は、無数のレーザーの中に光属性のレーザーを混ぜ込むことによって、コズミックメイガスが魔力操作を行った際に"事故"が起きるよう仕向ける。
魔に通じる者である以上、属性の違い程度は一瞬で判断出来るだろうが、同時にミシャールが至近距離に迫っていることが状況をより困難なものとしていた。僅かな計算の狂いが命取りとなる中、敵は如何なる判断を下すのか。ユーフォリアは密かに防御のための魔力を充填しながら、攻撃の行く末を見守る。

>コズミックメイガス、ミシャール・ルクセン

14日前 No.1375

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_BaP

【リヒトルザーン/時空防衛連盟/応接間/モルディケイ・シグネス】


「……可能性?ああ、単純な事すら忘れ去っているのか。貴様らの目の前に居るのは死人だ、道無きものだ。
 私は死んだ、死んだ人間に先などない。可能性など存在しない、何時消えるかもわからぬ生者の影法師」

「哀れだろう?愚かだろう?だがな、私はそんな感傷など一切望んでなどいないッ!!!
 同情、憐憫、誰が望んだ!?私が望むは憎悪による復讐のみ!全てを死の淵へと突き落とすまで止まる事は無い!!!」

女性は死んだ。ここから遠く離れた場所で、今よりも遥か昔に死んだ。その死に様は呆気なくも、死に至るまでの道のりは凄惨としか言いようがないだ。本来ならばそれで終わってしまうだけのことであった。
だが、星雲の光として形をとってこの場に女性は居る。終わったはずの道が新たに出来た、訳ではない。星雲の光という存在はあくまで死人を基にした存在、その未練が強ければ強いほど未練に縛られるが道理。
しかし、強い未練を持たねば星雲の光になれる確率そのものが低くなる。その先に道を作るものも、その切っ掛けが出来るものも居ない訳ではない。だが、女性の道とは未練を下地に敷いた全てを憎む復讐の道だ。
憎悪に塗れていようと理性が無い訳ではない。女性はその道しか己が進めぬことを理解し、承諾し、可能性がない道を突き進むことを贄とする。その結果として、他全ての可能性を一切残さず潰す。

「この憎悪は!復讐の念は!私だけのもの!私だけが味わい、私だけがこの場に形を成している!
 共感や同情など形だけの衝動で、我が想いを理解しようとするな!理解できると思うなぁッ!!!」

「……ああ、だがな劣等、その生温く臭い立つような思想は恵まれているからこその言葉だ。
 愛した存在が奪われ、己が五感を失っていく感覚を味わい、自らの存在すら完膚なきまでに擦り潰され、死ぬ」

嵐のような激情と凪のような冷静さ、それを織り交ぜで女性は語る。以前のように己の精神性全てを逆撫でさせる様な相手ではなく、ただただ価値観が合わず知らぬものを知らぬままに語る相手だからこその状態。
理性を得たまま狂う、女性を表すには少しばかり言葉は足りないもののそうなるだけの境遇を経てきた。一切の区別がなくなるほど狂えたならば、狂うだけの出来事を抑え込めるだけの精神性があれば違ったのかもしれない。
しかし、そうではないのだ。女性は全て分かってやっている。分かった上で、己の正当性を語る。でなければ、女性を引き上げた星雲の光の源は残酷な事をしただろう。
その苦しみを長引かせるためだけに、女性に形を持たせたのだから。形さえなければ、ただの死人でしかなかったのに。

「貴様が、いや貴様らが味わったことがあるのか?ないだろう?ないからこそ、そう言える!
 味わったとしても、貴様らと私は違う!受けた痛みも感じる痛みも何もかもだ!!!」

「ああ、そうだ!貴様らが知るものを私が知らぬ事と何ら変わりはない!私が知るのは、私が知る事だけだ!
 人の価値観などそんなものでしかない!信念、正義、人同士のつながりなど容易く崩れることを身をもって味わうが良い!」

撒き散らした刀剣の刺突、猫の魔族元来の俊敏さで難なく回避し、二人の少女へと襲い掛かる触手もまた蒼雷の迎撃によって全てが吹き飛ばされる。されど、触手は千切れた箇所から再生を始めていた。
それでも再度その触手を襲い掛からせるには多少の間が空き、その隙を逃す相手ではなかった。迫る光の十字架、女性を悪しきものと決めつけるかのような、なんと傲慢な一撃だろうか。
その一撃を避けることもせず、数多の光の粒子が天に昇り消えども女性は気にも留める様子はない。変化していない胴体、黒い靄によって代替えの利く部分ではないはずだ。
その証拠と言うべきか、女性の動きは僅かながら鈍りが見え始めていた。それでも女性はその表情に憎悪を灯したまま、苦悶も苦痛にも歪ませる事は無い。言葉の通り、傷ですら復讐の糧にしようとしているのだろう。

「は、ははは!あははははっ!!!劣等、貴様の言葉は貴様にこそ相応しい!!!
 貴様こそ、私が気に入らないからこそ殺すんだろう!?気に入らないなど、殺意を抱く初歩の初歩だろう!?」

「ははっ!あははっ!貴様の痛みを知らぬ、知った気になっている言葉が憎悪と復讐を目的とするものを増やす!
 偽善だ!欺瞞だ!独善だ!痛みを知ったならば吐けぬ言葉だ!!!知った上で言えるならば、貴様は異常者でしかない!」

哄笑、嘲笑。猫の魔族の語るそれがあまりにも独り善がりな言葉であったからこそ、女性は嗤うのだ。これまでの言葉は全て、恵まれたものからの心情を考えない言葉だ。正しくはある、だがそれだけの言葉だ。
より正しいものもある、心に寄り添える言葉もある、どれもが女性には届きはしないが想いをとどまらせる者もいる。しかし、猫の魔族のそれは背中を押すだけにしかならない。
その言葉と共に、再度両腕を振るうべく変化した馬の下半身による移動を試みた時に地面から飛び出るは鎖だ。彼女を縛る様に追い縋る鎖だ、移動を開始する寸前であったからか速度が出る前にその鎖に囚われる結果になる。
だが、ただで動きを封じられる女性ではない。左腕の無数の刃が伸びることで、周囲一帯を貫かんと針の筵を作れば、右腕の触手は近付くものや飛来するものを叩き潰す為に周囲を薙ぎ払う。
その間に藻掻きはするも、鎖が鳴るのみで上半身のみならず馬の肉体すら縛られている女性は身動きを取れそうにない。されどもその表情に焦りも困惑もなく、ギラギラと飢える様な復讐者の顔がそこに在るだけだ。

>>ハリー・トライベッカ&ヴィクトーリア・ダールグリュン サシャ・ローゼンクランツ


【次かその次に、撤退もしくは退場を予定しております!】

14日前 No.1376

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_BaP

【リヒトルザーン/時空防衛連盟本部/資料室/コズミックメイガス】


片や物理攻撃に特化し、性質も攻めることを重視した乱入者。片や魔法攻撃に特化し、類稀なる才を以って攻撃から補助までこなす才あるもの。その連携を崩せるものは僅かなものだろう。
防ぐにしても耐えるにしても、苛烈な上に剛力な乱入者の斧に加えて才あるものの魔法攻撃すら飛んでくる。避けるにしても片や歴戦の戦士、片や才能の塊、そして互いの連携も息が合うを通り越すほどであれば至難を極める。
しかし、しかしだ。彼女に至っては片方を封じる術がある、なれば特色を潰された方への警戒は必要最低限で問題ない。単純な話だ、戦闘において相手の剣を一方的に折る技を扱えるならば、折らぬ道理がない。

「貴様へ向けた言葉ではないが……そうだな、魔法を扱わないことも手の内と言えよう。
 私様にとっては、その方が危険視しなければならないからな」

「ああ、それとな、才あるものよ。それは外れだ」

光の槍に対して雷によって防ぎ、それ以外を突撃で埋めると言う彼女にとっては相性として最悪の部類が近付くのを後目に、才あるものへと語り掛けていた。光の槍が射出されていた魔法陣を意趣返しのように破壊するも、光の槍は止まらない。
魔力を扱い、魔法陣を敷いたところでそれから魔法が放たれると言うのは一種の慣れだ。戦いに慣れるからこそそう思い込み、周囲の魔法陣も違う意図を以って描かれたものだと思い込む。
その結果が、才あるものが破壊した魔法陣だ。何らかの意図を込めた方法であったのだろうが、そもそも対象が見当違いであれば滑稽に過ぎない。加えて言えば、周囲の魔法陣もまた光の槍を発生させるものではない。
まだ周囲の魔法陣が生きている状況では判明しえぬ状況だが、そもそもの発生源が彼女自身だ。おかしいと思わなかったのだろうか、魔力を扱うのに指をくるりと回すだけで済む相手が、態々障壁如きに魔法陣を描いていたのを。
無論、それを敢えて判明させるほどの彼女ではない。未だ光の槍は射出されているが、それを途切れされる機も既に定めている。丁度、罠へと突っ込むようにしてくる存在が居るのだから。
そしてだ、彼女は本気と言ったのだ。手加減もしないと、そう言ったのだ。才あるものへと向かった僅かな魔力の蠢き、そしてこれこそが既に感じ取った事のあるもの。魔力操作、その術式だ。

「……ふぅむ?侮り、油断、慢心、そう言ったものは死を生む常だと思ったのだがなあ。
 私様は態々手加減はせんと、本気で行くと言ったのだが―――」

形作った虹の光線が僅かな間を挟むこともなく霧散していく、その中に混ぜ込まれた光の光線もまた同様に。彼女が語った希少さとはそういった意味ではない、他の属性使いだと思わせた上でならば希少さが武器になると言う意味だ。
虹に比べれば希少性の薄い光は彼女も扱える、扱えるならば属性としての魔力操作の方法も既に確立済みだ。そして何より、効率性とその魔力操作に長けている彼女が複合属性の操作程度で手間取る筈もない。
加えて言えば、それを長時間持続させる範囲魔法とすることもだ。そして、先程破壊された魔法陣への破壊のような芸当も意味を為さない。操作しようとする魔ですら、解析し、分解するのだから。
虹は既にみた、光のも既に手中にある。そもそも属性拘らず魔そのものを解きほぐしてしまえば、魔法を形成するにまで至らない。何より、封じれる方法があると言うのに封じない理由はない。
そしてだ、勘付けるだけの予兆がありながら彼女の本気を侮った。それが何よりの落ち度だろう。

「―――残念だ」

「そして、貴様もだ。魔を扱う物が近接戦を不得手とする割合は多い、その上で対策を取らぬと思ったか?」

態々魔法陣を片手間で描き、直下から襲い掛かる雷撃に対して岩混じりの土壁を生成する。物理的な雷故に属性相性の概念から外れ、効果は薄いものの単純な物理的防壁としては十分な役割を果たした。
そして頭上を取った乱入者からの華麗とも呼べる連撃が襲い掛かる。しかしここで問題なのは乱入者は自力で宙を自由に移動できない点だ。頭上を取って降下しながら振るえば、どうしても範囲に限界がある。
だからこそ彼女は慌てる様子もなく、宙を滑るように黒布を揺らしながら距離を取った。仮に、才あるものが彼女の罠を見抜き、応じた対処を彼女に放っていれば違う対応をしただろう。避けるだけの余裕があったのだから。
そして未だに光の槍が降り注ぐ中、乱入者が最後の魔力の蠢きを配置した場所に結果として近付いた。残る周囲の魔法陣を発光させ、光の槍が止んだかと思えば先程までの場所に発生するは重力場。体感として三倍ほどのものだ。
冥とも呼べる属性による魔法の一つ、その応用の魔法。迎撃用の魔法であれば避けられるか対処される、ならば広範囲な上に逃げる手段の限られる方法で行動を阻害した方が効果は高い。

「私様は貴様らを評価している。武技への知識は劣るが、人が作りし機械とやらもまた素晴らしいことは分かる。
 ……目の前で一つ破棄されたが、それは置いておこう」

「失望させてくれるな、私様の眼が曇ったとは思いたくはない」

宙に複数の魔方陣が描かれるのと同時に周囲に眩く輝くは魔力の閃光。反応できなければ周囲の二人の視覚を一時的に閉ざすと同時に、反応とは無関係に魔力の動きも認識できなくするものだ。
そして視界の有無とは何ら関係なく発生する六属性の魔法の数々、周囲を焼く炎、圧縮され全てを断つ水、不可視ながら切り刻む風、速度と共に灼き尽くす雷、床から突き上げるようにして貫く土。
数多の軌道を描いて、この室内を埋め尽くすように飛来し襲い掛かる魔法群。無論、彼女が先程才あるものへ展開した空間に入ろうとも霧散する事は無い。己の魔術で己に害するなど二流以下の技。
その中で彼女の方へ目を向ければ僅かに視認できる光の幕が存在した。そして薄っすらと見える、魔力によるナニカもまた彼女に寄り添うようにして存在していた。更に、この只中にも蠢く魔力が一つだけ存在していた。
魔法の嵐の中を掻い潜り、彼女を守るものを貫き、隠された一つに注意を払い、その上で手の空いている彼女からの対処すらも上回らなければいけない。
これこそが共に並ぶもの無き大魔道が、敗北を経て更なる強みを得たものだ。知らぬ未知を既知にし、魔の才を研ぎ澄ませてきたからだ。人の域ながら、人を逸脱した存在。
共に並ぶものは未だ居らず、その先を進む者が居ると定めど、彼女に手を伸ばすには生半可なものでは届きはしない。

>>ユーフォリア・インテグラーレ ミシャール・ルクセン

14日前 No.1377

アルテイア @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_4TG

【訓練施設B/アルテイア=ユーウェイン】

 アルテイアが叩き付けるようにして起動した無数の氷柱は、
 いま現在不自然なほどに狙いの集中した紅鎧の星雲、セイヴァーロだけを狙って襲い掛かる。
 それに対して彼方の動きは順当かつ正着。
 弾き飛ばされた直後でありながらよどみなく迎撃に移行し、また反撃のための算段を整える。

 氷柱を防いだのは盾―――先程と同じく光によって形成されたものであるが、
 ハルバードで抑え込まねばならなかったことから分かるように、あれはただの防御用の武具ではない。
 むしろ全体を光で編み込んだ防盾は触れたものを焼き焦がす熱を帯びており、
 太陽の如き熱量を伴うが故にルーンが作り出した停滞の冷気を受け止めるにはうってつけというもの。

 それで全て防げなかったのは、セイヴァーロの落ち度か、騎士の手練か?
 いいや………違う。
 防げなかったのではない。あれは『防がなかった』だ。
 騎士か、獅子か、どちらがそのように判断したのかは敢えて記さないが―――追撃を行おうと地面を踏みしめる騎士の前に、舞い踊るように獅子が飛び込みつつ、咄嗟に騎士から得物を一つひったくる。

 咥えるようにして取り出したものはそう大きくない短刀とでも言うべき武器であり、
 それを放り投げたが早いか、短刀に込められた魔力が爆発を起こした。
 いわば武器に必要以上の魔力を貯蔵させ、行き場を失ったそれを暴走させることで衝撃を起こし、その衝撃で弾丸を弾こうと言うのだ。弾けずとも、あわよくば勢いを必要なだけ削る程度の威力はあった。

 そして順当に、短剣が爆発を引き起こし―――。
 それすらも突き破って走るフォトンカノンの弾丸がアルテイアに届こうと言う時。
 お互いに示し合わせたでもないのに、彼は既に斧槍を大弓へと変形させ矢を番えていた。

 爆風によって軌道を逸らし威力を弱めた光の弾丸を、
 再び金色の勇壮なるルーンを刻んだ豪矢が貫き―――相殺。
 衝撃が辺りのものを容赦なく弾き飛ばし、掻っ攫っていく。その中で………。


「そんなものは―――皆―――死んだ」

 騎士の理性が。
 どこまでも酷薄に、嘲るように、嘆くようにそれを発した。

 吼え猛るバーサーカーの零す声としては、あまりにも悲痛な色合いの籠ったそれが。
 フォーリエの言葉に対する、本来あってはならない返答の形だった。

 彼は銀獅子を認識していない。ああ、それは確かだ。
 一連の戦闘において、彼は阿吽の呼吸とさえ呼べるような連携を見せて来た。
 獅子の描くルーンの術式を最適な機会で使用し、
 また攻めに回ったならば獅子は彼の死角をこれ以上ない瞬間に埋めている。

 しかしそれは、そのすべてが、そもそも獅子の援護によるものであり。
 それをこの騎士が認識していないとなれば、事情は大きく違って来る。

 ………忘れてはならぬ。騎士は狂しているのだ。
 それが理性を伴った狂い方なのか、妄執にとらわれたが故の狂い方なのか、
 はたまた言葉を介さぬ獣の如き狂い方なのかは、判断の付け難いところがあるだろうが。

 彼の目に映る世界は、現実のそれとは酷く異なっている。
 獅子を連れた騎士にとっての世界に、
 騎士に寄り添うものなどいないのだ。いいや―――。

「友も愛した者も世界も―――在るモノの何もかもッ!
 奪っていったのだ―――貴様たちが奪っていったのだろう!」

 居てはならないのだ。

「オレに残るものは唯一―――この炎のような衝動のみ―――
 ヤツの首を獲る時まで―――決して安寧を許さぬ者達の感情だけだ………」

 彼を焦がす感情と言う名前の焔、その名を憎悪と名付けるのならば。
 彼の世界を狂わせ、永劫先に進ませない時の鎖をこそ未練と呼ぶならば。
 男の刻は何処かで止まり切っている。

 兜越しにありったけの憎悪を迸らせているそいつの世界は、
 その炎と鎖がどうしようもなくピントをずらしているから、この時代の人間など映ってはいない。
 どこかで孤独に戦い続けた時のまま止まっている―――。

 それが、そいつの“狂い方”の真実だ。


 ならばそこには、疑問の入る余地がある。
 ・・・・・・・・・
 あの獅子は何なのかという、当然の疑問だ。

「だから、邪魔を、………する、な―――。
 ―――必ず―――殺して、やるぞ―――その腐った笑い声を、止めてやる───」

 しかしそれを測り切るには、戦況は止まることを許してはくれなかった。
 ―――騎士は戦うことを止めはしない。
 その妄執が、言葉通り尽きるまでは。


 ・・・・・
「■■■■■―――――ッ!!!!!!!!!!!!」


 絶対に、セイヴァーロの名前ではない誰かの名前を。
 おそらくはこの世界にもう存在しないものの名前を。
 ………敢えて断言しておくと、連盟という存在に名を連ねたことすらないものの名前を。

 焼き付いて落とせない憎悪の形の儘に叫び散らして、その腕を振り抜いた。

 斧槍ではなく、腕元に備えた、まるで鎖<チェーン>を彷彿とさせる伸縮自在のムチ。
 それを垂直に伸ばしながら、セイヴァーロへと叩き付けんと振り抜きつつ………しかしその本命は、打撃ではない。ムチに命中しようものならば、そのムチはそのままアルテイアの元まで彼を引き寄せる。
 その場合、ムチによって引き寄せられた対象を、思いきり水平に振るわれたハルバードの薙ぎ払いが、本命の一撃としてセイヴァーロに叩き付けられるのは想像に難くなかった。

 しかしムチを回避したところで、続く攻撃の脅威は回避の挙動さえ飲み込むだろう。
 彼の膂力は先程のルーンによって少なからず強化を受けており、
 それに伴う豪速の薙ぎ払いは、彼の正面を薙ぎ払う遠当てのような真空の刃を作り出している。

 つまりはムチに直撃すればそのまま引き寄せてのハルバードの直撃が。
 ムチを躱したとしても、
 咄嗟に左右に避けたならば薙ぎ払いが生み出した真空波が彼を狙うという寸法だ。

>フォーリエ・サニューゲシア、セイヴァーロ

13日前 No.1378

星を探す者 @zero45 ★xNRIFb4euk_BaP

【時空防衛連盟本部/屋上/メシエ・シャルティエ】

 一縷の望みを見出して臨んだ賭けも、いよいよ結末を導くが為の重要な局面に達しようとしている。定めた目的の成就も、これから起こり得る未来も、総てはこの瞬間によって左右されると見ていい。
 だからこそ、決して間違いを犯す訳にはいかなかった。"彼女"を救い得るだけの資質の持ち主達に、事実救い出してくれるような状況へと導かんと、どうにかしなくてはならない。
 その為にも、先ずはクレハの語る話に耳を傾けさせる必要があった。一歩間違えれば、叛逆者と見做されるリスクを孕んだ一か八かの賭け。幸いにも、彼女のフォローの甲斐もあってか、状況は悲観的ではない方向へと進む。

「私もまた、同じ認識さ。ただ強いだけではない姿は、十分に見させて貰ったと思っている」

 外から連盟を見て来た者と、内から連盟を見て来た者。両者の見解と認識が一致したのであれば、それは紛れもない真実の証明と成り得る。そして、彼らはただ強いだけではなく、何かを救い得るだけの優しさも兼ね備えているとも認識していた。
 故に、彼女に返す反応は同意。自分も彼女も、確かに資質を見出していたという結論を肯定する。

「だが、念には念を、だ。何せ機会は一回切り、その結末に悔いがあってはならないとも思っているのでね……」

 しかし……それでも、総てが盤石と呼ぶ段階にはまだ早い。資質があっても、確かなる強さが其処に存在する事を彼女に証明できなければ、その一点は見込み違いであったという事になる。
 だから、次に彼女が取る行動もまた、当然の顛末であると予想がついた。吹き荒れる強烈な突風、一切の遮蔽物もない戦場に於いては、より一層の威勢を宿して自分達を襲う。一見、涼しい顔の儘に立ち続けている自分も、その裏ではある程度の対策を講じて耐えている。

「……君がそのつもりなら、私もそのつもりだ」

 ――開かれる本。露わとなる頁の紙面に刻まれた星の名は、"ゼピュロス"。常に激しく吹き荒れる烈風が支配するその星は、万物の悉くを彼方へと葬り去る。風に調和できるものは、風以外に在りはしない。

「始めよう、クレハ」

 刹那――具現するはその烈風をも押し返す、凄絶なる暴風。迫り来る風を正面から往なしながらも、同時に加護を授けるかの如くに自らの身体へと纏われば。本を虚空へと還し、支配下に置いた風を司り操る。
 手を振りかざすと共に放たれる、三方向からの風。彼女を囲むようにして呑み込まんとする暴風が、強襲を仕掛けて行く。

>クレハ・アステロイド 橋川清太郎


【見落としてました、申し訳ない……】

13日前 No.1379

次元の放浪者 @aaazzz123 ★Android=raodXHjAGO

【時空防衛連盟本部/訓練施設/詩夢るつみ】

相手の攻撃に対して強引に身体を動かして回避し、逆にこちらの攻撃は思ったように打ち込めない。
闘争心はあるが故に身体を思うように動かせないもどかしさがあった。
るつみ自身はこの程度では止まるつもりはないが、やはり身体はついてきてはくれない。
だがそれでも逃げるつもりも負けるつもりもない。

…反撃が来たであろうタイミングで一瞬この場の時間が止まったかのような静寂が訪れる。
何をしてくるかと思えば…メテオライトは右腕を後ろに回し、左腕のみで構える。

「…ああ、そう…。…別にいいけど」

右肩が砕けた自分と同じ条件でやりあうつもりだ。
別にいい、とは言ったが……どこか舐められているようで、しかし怒りは湧いてこず、ただ昂った心が急激に沈んでいくのを感じた。
しかし、それでいじけた子供のようにこの「決闘」を終えるのは失礼というものだ。

どうにか自分の心を戦う方向へと向けなければならない。
とにかく攻撃の一つ一つを捌いて、隙を見て反撃。これをこなしていけばいいはずだ。きっと闘争心は後からついてくるはずだ。

こちらの懐へと踏み込んできたメテオライトの最初の顔面への打撃は身体を軽く逸らすように避け、脇腹への打撃はこちらも左腕で弾くように防御する。
…が、ここで無理に闘争心を掻き立てる為に焦ったか、メテオライトの次の攻撃を予測せずに右脚で反撃をとろうと蹴りの構えを取ってしまった。
予測していなかった次のメテオライトの蹴りをまともに喰らいるつみの身体はバランスを大きく崩す。
そこにさらにメテオライトの回し蹴りが胴体へと見事に直撃してしまう。

「っ…が………」

回し蹴りをまともに食らったるつみの体は速度は無くとも吹っ飛び、場を取り囲んでいた炎の中へと放り込まれてしまった。

…………………


その数秒後、水蜘蛛のヒカリによって水泡を身にまとったるつみが炎の中からゆっくりと現れる。
発動が遅れたのか、るつみの身体のいたる部分に火傷の跡があり、明らかにさっきよりもダメージを受けた様子である。


「……………………ごめん………」


炎の中から生還して最初に呟いた言葉がそれだった。
ほんの少し前まであった闘志は今のるつみからは少しも感じられない。

「…私の右肩が砕けた時点で、私の負けだったわね」

素直に負けを認めるるつみ。
るつみの戦いは守る為に命をかけるものばかりだった。
しかし敵同士で出会いながら「決闘」という形になり、敵を認める戦いというのは初めてだった。
…故に、るつみの闘志は尽きてしまった。これ以上戦う理由も気力も無くなってしまったのだ。

「……貴方のように、最後まで戦う気になれなくて…ごめんなさい…」

もし、ただ単に敵との戦いであればこうもならなかっただろう。そもそもがこの世界を舐めてかかった相手への反抗が目的だった出撃、それがまさかこんな心境に陥ろうとは予想だにしていなかった。


>>メテオライト・ヴェルファイア

13日前 No.1380

ハニカム・ゴースト @grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★3so0FJmbDT_pzR

【武器庫/ヴィーネ】


「──イエス・マム、なんてね?」


 バイザーの下の目が悟られることは無い/表情が悟られることは無い/されど彼女は“微笑んでいた”。
 その我儘を聞き届ける代わりに/自分も我儘を言った/情勢を見れば星雲が部隊に加入しましたなんて決して公に出来ない事実だ。
 ましてやヴィーネは、元六番隊の隊長であり……その経歴にも一般人が知る由のない雲隠れした部分が存在する。
 そういうものは噂となって広まり、やがては汚点となっていくものだ……それを知らないでヴィーネが、アリア相手に自分を部下にしてくれ、と言うつもりは無かった。

 ……実際のところ、アリアについて少し知っただけでも、彼女の率いる隊は暗い所に足を突っ込んでいそうと思ったのは言うまでもなく。
 木を隠すには森の中、本人は不本意だそうなので悪いとは思うが、彼女の“立場”と顔を立てたうえでの提案だった。
 幸い──自分にはいくらでも顔を隠す手段がある。
 声も、仕草も、意識すれば全ての行動からヤロス・ハニービーという女の痕跡を消すことが出来るだろう。

 ……叶う事ならばそのままでいいのだ、彼女は生きていてほしいと言ったが、この世界ですでにヤロスは死んだままなのだ。
 だからここにいるのは──その女が抱いた小さな後悔から染み出た“余り物”。
 何処かの誰かが捏造した“ビーハイヴ”でもなければ、“ハニービー”でもない、違う道を歩みだした“ヴィーネ”。

 それが……彼女だ。


「……お互い腕一本ダメにしちゃったか。
 ごめんで済む話じゃあないよネ、取り合えず頑張って医務室行こうか」


 肩を竦めながら/腕一本ダメにしたねと腕を揺らす。
 星雲の生体に関しては……ヴィーネ自身も把握していないがために、この腕が動くのかどうかすらわからない。
 もしもこの後、アリアの部下として前線に出ることがあったとして──機能するかどうかも分からないのだから、代替手段を考えておく必要はありそうだ。

 このままここに居る訳にもいくまい──既にいくつかの戦火は収まりつつあるようだ。
 暫くは安全だろう、きっとそうだ、だから迅速に行動しなくっちゃあならないわけで。


「そう──だな。
 どうにかこうにか、あたし様を軽く縛って……捕虜ってことにしておけば体裁は良いかな?」


 なんてね? と首を傾げながら/片腕を支えに体を起こそうとする。
 此処から先がどうなるか、あたしにはわからない。
 あたし自身にも分からないし、きっとお前たちにも分からない事なんだ。

 だからお前たちは必死に生きればいいし、あたしも生きていく。
 いつか道が交わるかもしれないし、交わらないのかもしれない。

 ……今は、新しい上司の道を見守ることが、あたしの仕事らしいからさ。


>>アリア

【区切りも良さそうなのでこのあたりで絡みを終えられるようにと示してみました。
 お相手ありがとうございました! 中々面白い着地点になって、楽しかったです】

13日前 No.1381

アリア @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_4TG

【武器庫/アリア】

 仮面にはいくつもの意味がある。
 素顔を隠すため、意思を悟られないため、自分を守るため………。
 さて、この亡霊を名乗った女性はどんな意味で自分を隠す仮面を身に着けたのか。

 バイザー越しの瞳は決してわたしには測ることは出来ず、
 ただその感情を識るための材料は、冗談めかしたような彼女の言葉だけ。
 その言葉に、どのくらいの本音が混じっているのか、わたしには自信を持って答えを出せない。

 ………出せない、が。
 それでも、今ので十分だった。正確には、今までの言葉で。

 なにしろ、わたしが交わすべき話は、もう充分に交わしてあると思うから。

 少なくとも、今この段階で後悔しない選択肢は選んだ。
 だから次は、それが彼女にとっても“そう”であるように、自分が責任を伴って動く必要があった。
 そう、勝った負けたで話が終わるのは物語の中だけ。
 どれだけ順調だろうが、前途が多難だろうが、快適だろうが煩わしかろうが。
 生きている限り、次が来る。考える意識がある限り、次のことを見据えねばならなかった。

「どうにかなります。
 と、言っても。すぐにではないですけど」

「………それこそお互い様です」

 だらりと下がった腕の方を見る。
 見たところ繋がってはいるし、何処かが壊死したという様子もない。
 なにか誤作動<エラー>が見られるかどうかは今後次第だが、
 少なくとも治すこと自体は、この時代の技術と、なくとも自前でどうにかなる。
 彼女に対しての、だれか一人に対する我儘の代償としては、むしろ軽いくらいだ。

 だから、お互い様。
 ごめんで済むところはもう過ぎ去ったし、自分のそれは気にしなくていい。
 気にするならば、むしろ彼女の方の腕なわけだが、不都合なことに他にも気に掛ける事項はある。


「元より、身元不明の子供でも引き受けるようなのの集まりが此処です。
 ………と言っても、少しばかり状況が別ですけど」

 彼女の今後を考えるにあたって、
 星雲という特異なカテゴリに立つヴィーネの存在は、少なくとも決して大っぴらにはできない。

「その辺り、今の襲撃が落ち着くまでは、少しばかり窮屈にするかも知れませんが―――」

 面白くないが―――いや、自分の口で自分を“そう”呼ぶのは大変面白くないが。
 実体験として、出自不明の子供を出自不明の傭兵が医務室に連れて行き、
 どうにかなってしまう程度に、此処の警戒心というものは緩かったりするものだ。

 とはいえ、星雲と言う存在は、その気になれば区別が容易に出来る。
 その辺りの区分は、確りとしておかねばなるまい。あの子の時とは、事情と立場が違う。
 ともなれば、今のヴィーネが寄越した提案は概ね妥当なところと言えるだろう。
 捕虜にして、後は幸いにも―――あるいは皮肉にも―――自分が口にし、証拠として揃えた“あの子”の存在が役に立つわけだ。星雲が一枚岩ではないことの証明として、彼女の前例はこの非常時なら十分機能する。
 それこそ、ヴィーネという個人のパーソナリティを探らせる暇を与えない程度には。

 後はまあ、必要以上に波風を立てず………。
 彼女の立場と動ける状況を確保するのが自分のやることだ。
 これも皮肉な話だが、自分が“そうされていた”立場だった。
 ずいぶんと、奇妙な縁の繋がり方もあるものだと―――内心で嘆息一つ溢して。
 内外を隔てていた結界を外したら、彼女の様子を一瞥して、立てるかどうか意識を向ける。


 わざわざ此方としても根回しがしやすい選択をして来た理由は―――。
 いや、敢えてここで口にするつもりはなかった。きっと、口にするだけ野暮というものだろう。


「約束ですから。我儘の代価は、払いますよ」

 自分からそう申し出て来た意味―――彼女の、遭うことはないだろう未練との関わり方の意味。
 あの時込められた感情のカタチに、アリア=ホーエンハイムは全部を共感出来ないが。
 それでも、歩み寄ることは出来ると思ったから、こうしたのだから。


>ヴィーネ



―――

【では確かに区切りも良いところですので、
 お言葉に甘えまして。お相手ありがとうございました〜】

【大変振り回すようになってしまって申し訳ない。
 楽しかったと言って頂けるなら幸いです。そしてわたしも楽しかったです】

12日前 No.1382

天性の勝負師 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★uphpYSzC2b_4TG

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

12日前 No.1383

冥王 @grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★3so0FJmbDT_pzR

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

12日前 No.1384

勇者後継……かもしれない @zero45 ★xNRIFb4euk_4TG

【時空防衛連盟本部/休憩室/レーフェン・エーレンベルク】

 配慮の欠片も無しに地雷を連続して踏み抜いた罪に下る、裁きの雷。危うく感電死とまでは行かずとも、全身に奔り出す痺れの感覚に、思わず悲鳴染みた声を上げながら、自業自得の疲労を積み重ねて行く。
 こういう流れになってしまったのも、総てはこのバカのせい。なのだが、彼女も雷撃で傷付ける心算はなかったのか、動揺を覚えながら駆け寄り、一言謝罪の言葉を告げてくる。
 即座に大丈夫と返して落ち着かせようとするも、其処から先は互いに混乱してる状況もあり、言葉が出てこない。結果として続くのは暫くの沈黙、そして真っ先に口を開いたのは彼女の方だった。

「けど、このまま従ってても同じだよ。どっちにしたって、無駄死にさ」

 上からの命令に従うべきか否か迷い込む彼女に、無視してしまえばいいと語る――"面白味"を"面白あじ"と、わざとではなく素で誤読しながら。決してふざけている訳ではない、ふざけているようなものだが。
 それに対する彼女の返答からは、星雲という強大な集団に対して、叛旗を翻す事を恐れている様子が察せられた。下手に反抗すれば、無駄に命を散らす羽目になる。連盟とは比べものにもならない規模の大きさであるから、より確実に。
 そうしたリスクの大きさは事実であるし、否定はできない。だが、だからと言って従う事を選んでも、行き着く先は結局は同じ無駄死にだろう。何より、ただでさえ辛い事が、更に辛くなる事にも繋がる。
 どこまでも後味の悪い、終着点だ。

(……クレハ。それが、あの人の名前か……)

 鴉のような羽を持った女の人。名前を聞きそびれてしまったが為に、特徴だけを並べて示すしかなかったのだが、どうやら彼女も知っている人物であったらしい。改めて、クレハという名前をしっかりと頭で刻みながらも。
 同時に、蘇ったのなら、もっとしたい事をすべきなのだと言い切って見せる。が、依然としての彼女の表情には暗雲が立ち込めたままで、まだ此方の提案に乗ってくれそうにはない。

「へ、変態……いや、それは置いといて……そんな事はないよ! 今の俺と君は確かに敵同士だけど、君は悪い奴じゃない。それだけで、理由は十分なんだ。
 連盟の人たちも、それを解って受け入れてくれるハズだよ。星雲なら誰だろうが皆殺し、なんて極悪非道な連中じゃない事は、見て来たつもりだからさ。
 でも、もしもそうならなかったら……その時は、どんな手を使ってでも、最後まで責任は取るって約束する」

 どうやら彼女の認識によれば、自分は変態であるらしい。そのような宣告をされた事に、ガラスのハート……ほど脆くはないが、とっても心が傷付いた。まさか、少女であれば見境なく襲い掛かるような連中と一緒にされるとは思わなかったのだ。
 ……が、其処に対する反論はさて置き、連盟は彼女を受け入れてくれる筈だと説得する。
 少なからず、今まで自分が見て来た組織の印象からすれば、彼女が思っているほど悪しき側面を抱えたものでは無い事は確かだ。まだ明確に悪事を犯した事は一度もないのだから、星雲の善き存在として認めてくれる余地は十分にある。
 だから、心から訴えれば、其処に"居場所"は作れるだろう。

 そして、それでもしも……期待が裏切られるような結末となったのなら。その時は、こうして宣言した通り、最後まで責任を取って見せる。星雲のみならず、連盟を敵に回す事を躊躇わずに。

>キーラ・エネイブル


【バカの傷心】

12日前 No.1385

真の太陽 @kyouzin ★tdMurNVUON_4TG

【時空防衛連盟本部/時間遡行装置/エレバス・プラネット】

「ははははっ、これは手厳しい。 とはいえ、この言葉を語るには、私が居る場所があまりにも不釣り合いなのは確かだね」

アンジェロの強烈な拒絶の言葉に対して、エレバスは手を軽く顔に当てて笑って見せる。
それは空元気などではなく、自分自身も「違いない」と思ったからにほからない。 平和と博愛を語る星雲個体が未だ裏切ることも無く、裏切りというモノこそチラつかせるが、行動を共にしている現状は、到底信頼できるものではないだろう。
それが事実であるというのも、あくまでエレバス自身だけが知りうる情報、今の自分は敵から見て極めて危険なアンノウン。

ならば、実績を示す? それを示すには次元を捻じ曲げてゲートを展開する必要があるわけだが、多くの者から見てそれは拉致だとか、あるいは宇宙人のキャトルミューティレーションにしか見えず、また仮にそのまま危害を加えず家に帰しても、脳改造だとかを疑われて死ぬ事をエレバスは良く知っている。
という事で、ある程度の実力行使は致し方がない事、だから、笑うくらいしかできない。

そんな時だった、リキッドが激高するように言葉を発したのは。

「――本当に? 本当に君の言うように、この世界の全ての世界は幸せで満ちていたかい? 幸せを失ったモノがあったとして、それは我々の登場のせいだったのかな? ねえ、アナザーの人工物ちゃん?」

エレバスの笑みの性質が変わった。
二人の目の前に居る『これ』は先ほどと全く同じに見える笑顔を浮かべた、だが、どこか気味悪さを混じらせたように、口角を釣り上げてエレバスは笑っている。
そのまま彼女の目を覗き込んで、ニタりと笑いながら、彼女は言葉を紡いだ。

見透かしたように「アナザーの人工物」なんて言葉を使って。

サクリ、なんて音を立てて、バッサリとエレバス本体の肩が斬られた。
そう、彼女のクロスチョップが見事に炸裂したのだ。

「あぁ、自分の性格が悪い、ごめんね。 私のメナスという子供たちは、"眼"なんだ、そして、たまたま君の近くに居た人間に興味を持っていた、デクロムという人物を通して、あるいはパルメメの目を使って、いや、それどころか無数の目をもって君の世界を見ていたんだ。 さて、本当に、星雲という化け物が現れなくても、世界は、幸福だったかな? 幸福になれたかな?」

"これ"は他の星雲とは違う。
唐突に出る名は今となっては錆び付いた協会幹部という肩書を持つデクロム・ディシダール。 彼女は彼の目や複数の目を借りて世界を見ていた。
だから、自分の事のようにアナザーの世界を思い返して、笑う。
その人外でなければ得れない「目の数」と釣り合うように、彼女のリキッドによって傷つけられた傷口は、生物のものと機械のものが混ざった奇怪なものをしていた。

アンジェロに斬りつけられたファントムが空気に溶けるように消える。

そして、即座に放たれる詠唱させない連続攻撃。
これに対してエレバスは。

――おや。

その瞬間、エレバスの左足に組み付いている最後の一匹の目が輝き、彼女の姿は……最初からそこにあったように、二人の背後から現れた。

「総統の報告が、無かったようだね? 愛しい子供の名前を呼ぶことに、戦闘との因果関係は無いんだ。 ふふふふふふっ、そう、そうだね、負けられないよ、私は勝ち取る腕も無いような人間のために、ここに在るのだから――このように」

このような場面に彼女は覚えがあった、ユーフォリアとも同じやり取りをしたな、と。
"愛しい子供の名前を呼ぶこと"に戦闘との因果関係は無い、つまり、詠唱など、最初から必要ない。
彼女はエレバス、星雲の上位個体が故に、それが可能だった。
だが……それでも、彼女が負った傷は嘘でも、上位個体だからどうにかなるものではない、リキッドの攻撃は確実に彼女を引き裂き、血を流し、エレバスという存在に大きなダメージを与えているのだ。

長続きはさせられない、彼女本人もそう思ったのか、氷の拳が左腕から作り出される、彼女はそれを地面に叩きつけて……絶対零度のような氷の波動を周囲に撒き散らして、凄まじい冷気でこの空間を凍り付かせようとした。

>アンジェロ・ピニンファリーナ リキッド・ピニンファリーナ


【次あたりで撤退させますー】

12日前 No.1386

次元の放浪者 @aaazzz123 ★Android=raodXHjAGO

【時空防衛連盟本部/訓練施設/詩夢るつみ】

相手の攻撃に対して強引に身体を動かして回避し、逆にこちらの攻撃は思ったように打ち込めない。
闘争心はあるが故に身体を思うように動かせないもどかしさがあった。
るつみ自身はこの程度では止まるつもりはないが、やはり身体はついてきてはくれない。
だがそれでも逃げるつもりも負けるつもりもない。

…反撃が来たであろうタイミングで一瞬この場の時間が止まったかのような静寂が訪れる。
何をしてくるかと思えば…メテオライトは右腕を後ろに回し、左腕のみで構える。
メテオライトは右腕が使えないるつみと同じ条件でやりあうつもりだ。
それを見たるつみは「はぁ…っ…」と少しうんざりしたようなため息を吐く。

「ったく、どうして何に関しても純粋な奴っていうのはこうも……言っとくけど、負けた時の言い訳にはしないで欲しいものね。あんたが手加減しようが、私は手を抜くつもりはない。…物理的には右手抜きだけど」

真っ直ぐで純粋な奴というのはそれがはっきりと垣間見えた時、すこしうんざりしてしまう。
しかし…そういう奴は嫌いじゃない。
いざとなれば右手だって使ってやるつもりだったが、そういう条件で来るならばこちらもそれに乗ってやるだけだ。

「少し待って」とメテオライトに告げ、ゲンマガを召喚し、ゲンマガの吐き出した粘糸によって右腕を背中に固定する。これで邪魔にはならない。

「それじゃあ…第2ラウンドね。あんたの勝手に乗らせてもらう事にした。これでこっちも対等」

厳密には「使わない」と「使えない」の関係。その時点で自分はある意味負けているのかもしれない。
だがメテオライトはこちらと対等な条件での勝利を望んでいる。
だったら右肩砕いた時点で普通ならただ単に戦略的アドバンテージを得たと考える。しかし右肩を砕いたら今度はそれに合わせて戦い方を変えてくる。
純粋に戦闘を楽しみ、絶対な勝利を得にくる戦いへの純粋さ。
心理的にも物理的にも熱い奴だ。

先に仕掛けたのはメテオライト、左腕による攻撃、つまり必然的にその攻撃はるつみから見て右側に寄る。
右腕が使えない以上、左腕による無理な防御はかえって悪手。多少おおげさになろうとも身体を逸らし、そしてステップを踏むようにメテオライトの最初の2撃を回避する。
そして上半身の半分が攻撃に使えないならば満足に攻撃に使えるのは下半身、つまり脚。るつみもさっきそうしたようにメテオライトは蹴りを2発、中段蹴りと回し蹴りで連撃を行ってくる。

中段蹴りもさっきと同じようにステップを踏むように回避する。
そして回し蹴りを仕掛けてきたタイミング、ここがチャンスだ。
メテオライトの脚を左手で掴んで防御し、そのまま脚を引っ張りメテオライトを一気に引き寄せる。
右腕は使えない、左手もこの瞬間は封じられている。脚は振りが大きく読まれやすい。となれば使える攻撃手段は…

「おらぁっ!!」

頭突き。引き寄せた勢いでそのままメテオライトに頭突きをぶちかます。
当たれば自分にも多少はダメージはあれど、メテオライトにも確実にダメージが通る。
外してもここまで距離が近くなればまずは距離をおかなければまともに攻撃に転じることができないはずだ。

>>メテオライト・ヴェルファイア


【内容変えて再投下です】

12日前 No.1387

名将の再来 @mgs56 ★kOwjtfzUku_pzR

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

11日前 No.1388

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_4TG

【リヒトルザーン/時空防衛連盟本部/訓練施設B/フォーリエ・サニューゲシア】


理性を伴った酷薄な声が、彼女の失言を示していた。頭に過った考えとは違う、されど思考を巡らせれば決して辿り着けない訳ではないその返答。騎士と共に戦う者は皆、死んだ。悲痛な嘆きが、耳を刺す。
戦闘の只中に聞こえたそれに込めた想いは幾何かも計り知れはしない、赤い鎧の言葉を借りるならば彼女はその苦しみを未だに知らない。感じ取れたのは、その憎悪に塗れた狂気が悲惨な出来事の末に生まれた事のみ。
氷の柱と赤い鎧の鬩ぎ合い、光弾と騎士と獅子の凌ぎ合い。短刀による爆発で勢いの落ちた弾を射抜く剛矢、その相殺の衝撃で地を転がりながらも確かに聞こえたその声の続き。
友も愛した存在も世界さえも、存在する何もかもを騎士から奪っていた何か。それがずっと騎士は見え続けているのだろう、時折見せる、戻った理性で彼女を認識していたことが稀有であったのだろう。
そう思えるだけの慟哭をあの騎士は発している。炎のような衝動、その先にあるのは仇であろう存在の首、そして奪われた者たちの未練を背負っている。だから止まらない、止まれない。
それだけの妄執を受けた彼女は、起き上がる事すら忘れるほどであった。騎士を救いたいと言った、でもそれが出来るのかと。彼女は騎士の背に、全てを奪われた者たちの無念と未練を感じてしまった。
それだけの思いを、執念を彼女がどうにか出来るのか?赤い鎧が守ると言ってくれた、嬉しかった、だけど不安ばかりが募る。自分の無念さを噛み締めた二年前のあの戦いが脳裏に浮かぶほどに。

「―――それでも」

「私の小さい手を守ってくれる人がいるなら、諦められません!」

あの騎士の思いを受け止められるか?騎士を憎悪の焔から解き放てるか?騎士に安寧の救いを齎すことが出来るか?それらは全て否だ、彼女にそれだけの力も経験も知恵もない。それでも、それでもだ。
それが何もしない理由にはならない、それが救おうとした手を引っ込める理由にはならない、それが逃げていい理由にはならない。無理だろう、怖い、死んでしまうかもしれない。それでも、彼女はもう逃げない。
何も出来なかったあの時と変わらないかもしれない。でも今は赤い鎧が助けてくれている、まだ彼女の心が折れかけていようとも折れてはいない。震える脚だって竦む身体だって動いてくれる。なら、進める。
進めるなら、救うために動く。その全てが無駄だとしても、騎士に一切届かなくとも構わない。救いたいと思ったのが自分で、それを助けてくれる人が居て、まだ動けるならば、やれるだけをやるだけ。

「ライ―――じゃありません!行きますよ!」

再び同じような失敗をしそうになれば咄嗟に口を噤み、急いで立ち上がって駆け寄るは獅子の方へ。騎士は獅子を認識していなかった、そこに間違いはなく、そこを騎士に問いただしても余計に苦しめてしまうだけだと。
そして、彼女が見てきたものが間違いでなければ獅子は騎士を守る様に戦う傍ら、騎士もまた獅子を傷付けられた赤い鎧を狙っていたように見える。見えていない、認識していない、でも何か思うところがある筈だ。
何より、騎士のあの言葉に一切の偽りを感じなかったこともあって一番不思議なのが獅子の存在だと彼女は判断した。しかし声に出せばまた騎士を苦しめてしまう結果になるかもしれない、だからこそ彼女は直接触れて問いただそうと駆けだしたのだ。
しかし人間の中でも小さく、身体能力に秀でている訳でもない彼女にただ走るだけで追いつける術はない。だからこそ手に持つは昨今珍しい投擲網、腕に付けた箱から引き出すは網の先端に錘が付いたものだ。
彼女が扱える以上はその錘も大した重さではなく、動きを阻害するが精一杯。それを彼女は獅子を捕まえるためではなく、何処かに引っ掛けて接触の機会を得るために使用する。
駆けながら投擲したそれは宙でバッと広がり、獅子に纏わり付くように降り注ぐ。網の強度はそれなりではあるが、獅子ならば破れるほどだろう。だから彼女は網を投げた後、その持ち手を離すことなく獅子に文字通り飛び込む。
網に引っ掛かってから逃げ出すならばその網に引き摺られるため、意に介さず留まるならばそのまま獅子へとダイブ。その前に避けられたならば床に突っ込むことになるだろう後先を考えない行動だ。
そう、後先を考えない行動だ。騎士が獅子を傷付けた赤い鎧を狙っていたことを知った上での行動だ。もしもこれが攻撃に該当するならば狙われるのは彼女になる事も覚悟しての行動だ。
命を捨てる気になった訳ではもちろんない、ただ自分から何か行動を起こさなければ騎士に言葉が届く気がせず、加えて安全圏からの言葉もまた届かないように思えたからこそ、無謀な行動を取ったのだ。
その無謀こそを決意と呼ぶものもいるだろう、しかし彼女はただ騎士を救うために必要だと思った純粋な想いのみでその身を危険に晒すのだ。恐怖も抱き、死の恐怖も知っているのに。
それより苦しいものを知っているから、だろうか。

>>アルテイア=ユーウェイン セイヴァーロ

11日前 No.1389

異端の星 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★uphpYSzC2b_4TG

【時空防衛連盟本部/屋上/クレハ・アステロイド】

メシエに視線を向け、彼の話に真剣に耳を傾けるクレハ。やはり、自分の見立ては間違っていなかったようだ。連盟には強さだけではない、"彼女"を救うための資質が十分に備わっている。
実際に組織の中で彼らを見つめてきた人物がそう語っているのだから、信用に値するといってよいだろう。彼も、自分と同じ目的を持つ者。ここで、必要のない嘘を吐くようなことはあり得ない。
その点に関しては完全に合格点に達していることを確認し、彼女は最後の行程へと移る。資質を持っているだけでは、我々の求めている場所へは辿り着けない。この先へ行くには、どんな強敵にも屈しない強さもまた、求められるのだから。

こちらに言葉に清太郎も応じ、クレハはそれでよいと言ったように頷きながら、攻撃へと移る。吹き荒れる烈風が敵である二人へと襲い掛かるが、清太郎の方はそれを置き去りにする形で突撃を図ってくる。
そしてメシエもまた、風と調和し逆に脅威を味方に付けてみせる。小手調べの段階から対応出来ないようでは先が思いやられるので、これは想定通りの展開だ。故に、彼女も焦りを見せることはない。
清太郎はスライディングの姿勢で空気抵抗を最小限にしながら突っ込んでくる。しかし、少しばかり動作が大きすぎだ。こちらへ接近しようとしているのが分かる以上、対応は容易。
クレハは相手が銃口を向けてくると同時に大地を蹴って飛翔、一気にトップスピードまで加速し、瞬時に攻撃範囲から離脱する。すぐにメシエが続くことを予想し、距離を取ったため、直後に迫る暴風の影響を受けることもなかった。

「私とて、簡単に道を譲るつもりはありません。全力の私を倒せるだけの実力を示すのです」

屋上という空間を最大限に活かし、連盟本部の周囲を飛び回るようにしながら攻撃の機会を窺うクレハ。その速度は音速にも匹敵するが故に、目で動きを追うのはほぼ不可能だろう。
空に輝く線の如き残像を描きながら縦横無尽に飛行していた彼女は、頃合と見るやいなや急旋回し、尋常ではない超高速で清太郎とメシエへ体当たりを仕掛ける。この速度がもたらす衝撃を受けようものなら、最悪の場合は弾かれ屋上より落ちる結果となるだろう。
たとえ攻撃を回避出来たとしても、すぐに安心してはいけない。大気を斬り裂くかのように進むクレハの周囲には、乱流によって近づくことすらもままならないほどの風の刃が纏わりついているからだ。
突進攻撃を終え、そのまま上空へと帰っていくクレハ。まずは彼女の速さを封じる手立てを考えなければ、まともに反撃を当てることも出来ない。だが、彼らであれば可能なはずだ。それが出来る実力を持っていると信じているが故に、手加減をするつもりは一切なかった。

>橋川清太郎、メシエ・シャルティエ

11日前 No.1390

Derp Fairy @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★uphpYSzC2b_4TG

【時空防衛連盟本部/休憩室/キーラ・エネイブル】

このままではどちらにせよ無駄死にだというレーフェンの言葉に、キーラは納得したような表情を見せた。何らかのアクションを見せなければ、現状が変わることもないだろう。
そのアクションというのは要するに裏切りなのだが、それをする勇気はまだ湧いてこない。こうして連盟が星雲に苦戦を強いられている姿を目の当たりにしているのだから、尚更だ。
どちらにせよ連盟にも居場所はないのではないか、という懸念を理由に選択を渋るキーラを見て、レーフェンは説得の言葉を口にする。彼女が悪い人物ではないというだけで、立場は保証されるはずであると。
世の中そんなに上手い話があるのだろうか、とこういう時にだけ無駄に慎重になってしまうが、キーラにとってより重要であったのは、その後に続いた彼の言葉の方だ。

レーフェンはもしも寝返ったキーラの身に何かあったら、責任は取るとまで言ってのけた。ここまで言われたというのに、彼の提案を受けなかったら自分が悪者みたいになってしまうではないか。困ったことになった。
いつになく真剣な表情で、首を傾げながら考えるキーラ。星雲を裏切ることのリスクと、今のままつまらない時間を過ごし続ける虚しさを天秤にかけること数分、彼女が下した結論は―――。

「分かった。そこまで言うなら、あたいはあんたを信じてみる。でも、嫌だと思ったら出ていくからね」

やっぱり、自分の正直な心に逆らうのは無理だ。キーラはレーフェンの言葉を信じ、一旦は連盟と共に歩んでみることを決意する。何だか随分と大事になってしまい、緊張しているが、きっと大丈夫だろう。
彼は何かあったら責任は取ると言ってくれたのだから。それだけでも、彼女の背中を押すには十分であった。因みに、変態認定に関しては撤回しない。少しは、乙女の気持ちも考えろというものだ。
もしも、思っていたのと違うようなことがあったら、その時はすぐに出ていくつもりであるということも伝える。とはいえ、こんなことをしでかした後にあちらへ戻るのは、最悪を超えた事態なので、出来ればなしでお願いしたいところだが。

「それで……これから先のことも考えてあるんでしょ。あたいを従わせたんだから、ちゃんと導いてよね!」

この後どうなるかに関しては、全く考えていない。レーフェンが既に決めてあることだろうと思い、しっかりと自分を導くようにとキーラは促す。……いやまさか、何も考えていないなんてことはないはずだ。うん、それは絶対にない。

>レーフェン・エーレンベルク

11日前 No.1391

ゾディアック @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_4TG

【爆心地/ゾディアック】


 目論見というには、それは少しばかり確実性に欠けるやり方だった。
 そもそも決着をつけるために必要な“もの”を揃えはしたが、
 実際にそれを使ってケリをつけるのは決して魔女の手に依るものではない。

 持ち得る限りの手段で気を引き。
 また同時に、決定的な一撃を回避の余地もない瞬間に叩き込ませる必要があった。
 それが出来たのが、ミカエラ・カンナバーロだったので、あちらをああ生かしたわけだ。
 位置が違っていたならば、またゾディアックは別のやり方を講じていただろうし、そのやり方とて確実に相手を詰ませるようなものではないだろう。上位の人間が下位の人間を押し潰し、完膚なきまで言い逃れの余地もなく試合を終わらせるような手段は、少なくともあの瞬間のゾディアックには取れなかった。

 ………つまりは、これは博打なのだ。
 それも、分の良し悪しで言えば、決して良くはない類の賭けだった。
 魔女の気分というか気性を加味すると、進んで行うのは御免被る類の行いだった。
 それをやった理由は、まあ、打算的なものもあるが、単に“それ”が勝ちの目の最も大きい手段だったから。そして実際に勝ちを拾ったとしても、彼女の表情は決して良いものにはならなかった。

 何なら先程からずっと不満寄りに感情の天秤が傾いているが、理由は言うまでもない。
 手古摺った上に世辞にも余裕とは言えないところまで好き放題され、
 それだけならばまだしも、肝心のモノはそのままだ。誰だってこんな顔をする。私もそうする。


「………ったく。
 最後まで好き勝手言いやがりますね、あの電波女………」

「呼んでないんだっての、お客様は神様なんて理屈は数世紀前に廃れましたよ、バーロー………」

 あと私の発言には触れるつもりなしか。
 良いだろう、その喧嘩買い過ぎた後に需給関係崩して価値を大暴落させてくれるわ、震えて眠れ。


 小さなぼやきもそこそこに、そっと身を地上に降ろす。
 地上と言っても、それはもう見事な焼け野原で、文字通り何もなくなってしまったわけだが………最低限は果たせた。少なくとも、アレを捨て置いているよりは、自分の目論見はこれでずっと上手くいくだろう。
 そのために支払った代償も、精々自分が集めて来た『本』が幾つか駄目になっただけだ。
 そこまで重くはない。精神的に癪なだけで、癪と思うだけの余裕があるのだから最悪ではないのだ。でも良いわけではないから、魔女はさっきから物凄い不満たらたらに空を顰めっ面で見つめているだけであって。

 ………逃がした魚の大きさを、   、    、   、   ・・・・・
 最も曖昧に、しかし最も的確に捉えていた彼女なりの、たいへんな勝ち惜しみだった。

 そう―――ぶっちゃけると、勝ちは勝ちなのだ。
 たいへんな被害を被ったし、万全とも言い難く、
 見た目10代半ばの少女はみごとズタボロになった衣服の煤を払いつつ、「クリーニング代払えー」とか空に向かって場違いな文句を溢していたりするが、それでも勝ちは勝ちだった。
 この場の“誰”にとっての勝ちなのか、勝ちの条件が何なのかはさておいて。

「(………あー最悪。もうちょっと手頃なやつ探せば良かった。
  ねえちょっと、あんな良く分かんないモン意図的に呼んだんですか? 此処に?)」

「(ケース二つ浮かびましたが、
  冤罪じゃないなら流石に怒りますよー知り合って1時間程の名前しか知らない子ー)」

 ついでに、魔女の価値観からしてみると、
 この場で“こう”状況が転んだからには、終わったことをぐちぐち言うことこそ悪手だった。
 実際に目の前で戦士―――この時代の人間ではないと思われる男だが―――の一人が離脱したのを追うつもりはないが、アレが再起不能に近しいことは良く分かっている。直すことは出来るかも知れないが、そのためにかかる手間は自分の目論見に必要な時間を圧迫し切ってしまうこともだ。

「さ、て………。
 本当は、あちらの彼も含めて話を回せるのが一番よかったんですけど」

「あれだけガタ来てる動き方だと、まともに今後動けそうもないですし、本人が分かってそうな顔なので、余韻もそこそこにサクっと本題を切り出しますか。
 あ、そうだ、おつかれさまでーす、ハイタッチしましょー」

 というわけで。
 負け惜しみに勝ち惜しみで応じる時間はコレで終わり。

 謎のフレンドリーさを発揮して「いえーい!」とかハイタッチしに指揮官と呼んだ女性のもとに向かう魔女が、そのハイタッチにミカエラが応じる応じないには特に関係なく、サクっと切り出そうとした話題こそ。
 あるいは、彼女が此処に降りてきた理由だった。

「それはそれとして」

 星雲の光―――侵略者としての名を持つものが、なぜか“似て非なる”ものに対して、これまで敵対していた相手と何のためらいもなく手を組んだことが、まさか気まぐれで終わるはずはない。
 たまに、そういうことがあるのがこの女ではあったが………今回は話が別だ。

「あの女の言葉を引用するのは、なんか14歳の妄言を補強するようでめっちゃ癪なんですが………。
 まあ、的を射ているか射ていないかで言うと、たぶん前者寄りなんです」

「なので身内………と呼ぶには距離感があるんで………うーん、そうだ。
 同じ船の乗組員的な間柄って感じの彼らに、何処も彼処も襲撃を受けているところ悪いのですが。私、いろいろと私情があって其方の話が通じそうな方を探していたんですよ」

 そもそも、なにか意図がなかったならば、
 彼女はあんな風に意図して被害を減らすために動きもしないし、
 そもそも箱舟としか見做していない星雲の動きに肘鉄を必要以上に入れたりもしない。

 つまりは此処からが本題。
 彼女が真っ先に、それなりに権力のある人間を探しに降り立ったことや、
 意図的に連盟の戦力を削らないように立ち回った原因は、概ね次の言葉に5割程度が含まれている。


「そんなこんなで、交渉しましょ☆
 私は其方に星雲<ホーム>の座標を払いますが、其方は私に何を支払う用意がありますか?」


 それは。

 魔女にとっての“したいコト”には、
  、   ヒーロー
 都合の良い第三勢力が必要だったからだ。


 こういう、交渉なのかも疑わしい言葉と前提条件を、さっさと切り出した彼女は、
 決して星雲の味方ではない。本人にそのつもりは特にない。
 ただし連盟の味方でもない。彼女には彼女なりに、その行動に“利益”があるのだ。


>ミカエラ・カンナバーロ、(タケミカヅチ、文鴦)


―――

【タケミカヅチ本体様、ならびに文鴦本体様、お相手ありがとうございました。】

【そしてお手数ですがミカエラ本体様、
 もうちょっとだけお話(妄言)にお付き合いくださいまし。】

11日前 No.1392

ハリー&ヴィクトーリア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★20zcTxMub0_fud

『時空防衛連盟本部/応接間/ハリー・トライベッカ&ヴィクトーリア・ダールグリュン』

相手の口から伝えられた情報。彼女はすでに死亡しているというもの。
ハリーは「マジかよ」と驚きの表情を見せ、
ヴィクトーリアは「ええ・・・。本当に愚かね・・・」と静かな怒りを見せる。
怒りの感情とは別に「他の生き方もあって、それも出来たでしょうに」とモヤモヤした感情も出てきてしまった。
星雲の光にはどうやら死亡時に人間の感情を大きく増長させるものがあるようだ。
ハリーはあまりわかっていないが、ヴィクトーリアはモルディケイが何故サシャに対して異常なまでに敵意を見せたのかを大方理解する。
もしかしたら彼女以外にも死者を蘇らせて、戦わされている者たちがいるかもしれない。
だとしたら救わなければならない。そしてこの世界で戦う意味もほぼ決まったようなものである。

ヴィクトーリア「人同士の繋がり、確たる信念は何者にも壊せないわ!たとえ貴女の様な人にでもね!」

まるで見たことがある、見てきたことがあるかのような言い方で相手に返す。
それとは別にヴィクトーリア自身、特殊な出自故に幼少の時代に「どうして」と思ったことがあった。こんな風に生まれたくなかったと思ったことがあった。
しかし彼女は、先祖代々受け継いだ血と技を自分の誇りへと変え、それを負のものとせず、前へ、未来へ行くと決めた。
その結果、ヴィクトーリアは多くの大切な仲間たちに会えた。ムキになって喧嘩の出来る相手も出来た。
だけどあの時、もしもあの時、それが出来なかったのなら、程度は違えどもヴィクトーリアもモルディケイの様になっていたのかもしれない。
そしてもう一人、この場には居ないがヴィクトーリアの幼馴染も望まない力を持って生まれ、望まない破壊活動を行い、深く思い悩んでいた。
もしもあの時自分が出会っていなかったのなら、幼馴染も相手と同じように何もかも憎み、破壊していたのかもしれない。
もしかしたら今目の前にいるのは、有り得たかもしれない姿の自分、こうなる可能性があった自分の姿なのかもしれない。
ハリーが伸ばしていたレッドホークが相手にしっかりと絡みつき縛り上げること自体は成功はしたが、相手は攻撃の手を緩めない。
ハリーは今の姿勢そのままに地面に右手で触れる。すると赤い円形の大きい魔法陣が彼女の足下に展開される。
攻撃のためにではなく、防御のために高威力の噴射魔法である「ヴォルカニック・ブレイズ」を使用する。
すると地面から上へと伸びる1本の大きな炎の柱が、周囲一帯を貫こうと向かってくる相手の針の筵を遮るかのように発射する。
ハリーのレッドホークによって動けなくなっている相手を見て、ヴィクトーリアは何かを予見したかのように口を開く。

ヴィクトーリア「もっと早くに、貴女に会えていたら今とは違う世界・・・違う景色を一緒に見られたでしょうに・・・」
「・・・。貴女のお名前、聞かせていただいても?」

青白く光っていたヴィクトーリアの髪が先ほどよりも強く輝きはじめ、
自身の足下に「百式 「神雷」」を使った時よりもさらに巨大な青白い三角形の魔法陣を展開させると、相手に問いかける。
先の見えない未来。何が起こるかはわからない。誰にもわかりはしない。
もしかしたら本当に、人間と魔族が笑顔で手に手を取って分かり合えた姿も見ることが出来ただろうに。
彼女の身に起きた悲劇を忘れないために、繰り返させない為に、未来に伝える為に。ヴィクトーリアは彼女の名前を聞いたのだ。

>>モルディケイ・シグネス、サシャ・ローゼンクランツ


【了解です。こちらは次レスで最大技撃ちます】

10日前 No.1393

烈風のムードメーカー @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★uphpYSzC2b_4TG

【時空防衛連盟本部/時間遡行装置/アンジェロ・ピニンファリーナ】

意外にもあっさりと、エレバスは自らの分が悪いことを認めてみせた。アンジェロとしては少し驚きの反応ではあったが、恐らくはこれもまた、相手の信頼を得るための行動の一つに過ぎないのだろう。
論争等において譲歩を見せるというのは、自らの要求を押し通すための重要なファクターとなる。彼女が何を言おうとそれを受け入れるつもりはないが、過去にはこうしたやり方で上手く言い包められてしまった者もいたはずだ。
とにかく、話し合いをしたところで解決しない以上、あとは戦いで決着を付けるのみだとアンジェロが思考を切り替えようとした矢先、隣に立っていたリキッドが突如として声を荒げる。
彼女の気持ちも、大いに理解出来る。確かにこの世界の人々は、エレバスのような者の助けは必要としていなかった。全員が完全に幸せ、とまで言い切ることは出来なかったとしてもだ。
それよりもアンジェロにとって腹立たしかったのは、相手がリキッドのことを"アナザーの人工物"などという表現を用いて侮辱した点である。彼は鋭くなった目つきで敵を見据えると、ゆっくり切り出す。

「お前な……仮にもそういう看板掲げてるんだったら、手を差し伸べようとしている相手のことを侮辱するなよ」
「今の言葉で、間違いなくリキは傷付いた。人を幸福にしようとしてる奴が、他人を嫌な気持ちにさせてるようじゃ説得力の欠片もないぞ」

冷静ではあるものの、明らかな怒りを感じさせる声色でアンジェロはそう諭す。敵に説教をするような形となってしまっているが、これだけは言っておかなければ気が済まなかった。
少なくとも、彼の中ではこの時点でエレバスの評価は"紛い物"という一点に落ち着いた。リキッドの言う通り、こいつは他人のことなど一切考えていない。ただ、自分の勝手に定義した幸福を他人に押しつけて、悦に浸っているだけだ。

「これから先、アナザーがどうなっていくかは、正直俺にも分からない。だけど、本当の幸せってのは、誰かからもらうものなんかじゃないんだ。それだけは、自信を持って言える」

メナスという目を通してアナザーワールドを見つめていたと語るエレバス。彼女は、自分の手なくしてあの世界の人々が幸せになれたのかと問うが、その答えは永久に導き出せないだろう。
幸福の定義は、人それぞれ。本当に幸せになりたければ、自らの手で幸せを掴み取るしかない。エレバスのようなやり方で幸せを押しつけたとして、それで心の底から良かったと思う人間が、果たしてどれくらいいるのか。
結局、彼女を信じた者達が、彼女本人の自尊心を満たす道具でしかないというのなら、これ以上の犠牲者を出さないためにも、エレバスをここで終わらせなければならないだろう。

「ああ、その通りだな。行くぞ、リキ!」

リキッドの呼びかけに答え、加速するアンジェロ。彼女のクロスチョップによって肩を切り裂かれるも、エレバスは未だ健在。一方、アンジェロが斬りつけた方の分身は、空間に溶けるようにして消える。
あの傷口から除く"何か"。生物と機械の中間存在のような見た目に悍ましさを感じつつも、しかし怯むことはなく接近。相手の能力の発動条件となるであろう詠唱をさせまいと、二人は激しく攻め立てる。
ところが次の瞬間、相手の左足に組みついていた虫が輝きを放ったかと思うと、直後にはエレバスの姿がアンジェロとリキッドの背後にあった。詠唱をさせる時間は与えなかったはず。ならば何故、このような芸当が出来たのだ。

「総統が報告しないなんてあり得ない。要するに、これは俺のミスだ! 全く、何やってんだ俺! 挽回のチャンスがあるといいんだがな!」

エレバスの"詠唱"は戦闘と因果関係を持たない。そのことは、彼女と東ラガルデール自治領にて交戦したユーフォリアからの報告書にも、しっかりと記載されていた。だがアンジェロは、そのことをすっかり失念してしまっていたのだ。
やってはいけないようなミスを犯し、しまったという表情を浮かべると、自嘲気味に台詞を吐き捨てる。戦場においてこのような失策は常に命取り。どうにか状況を改善するべく、彼は奔走する。
氷を纏わせたエレバスの左手が振るわれ、それが地面に叩きつけられると同時に生じたのは、絶対零度を想起させる氷の波動。周囲一帯を完全に凍りつかせるような冷気が、二人へと一気に襲い掛かる。
これを強引に突破して攻撃を仕掛けるというのは、不可能に等しいだろう。だが、幸いなことに、自分には共に力を合わせて戦ってくれる心強い味方がいる。故にアンジェロは迷うこともなく一歩前に進み出ると、両手を広げ、自身の前方へ巨大な風の膜を作り出す。
風の膜に当たった冷気は威力を減衰させられると同時に拡散していくが、凄まじい破壊力であるがために、そう長くは持ち堪えられないだろう。必死の形相で額に汗を滲ませながら、彼は叫ぶ。

「決めろ! 俺のことは心配するな!」

リキッドが決着を付けてくれると信じ、ひたすらに耐えるアンジェロ。だが、とうとう限界が訪れ、彼は冷気に揉まれながら後方へと吹き飛ばされていく。死んではいないものの、すぐに反撃へ移ることは出来ないだろう。
エレバスを倒せるか否かは、全て彼女の手に掛かっているのだ。アンジェロは激しく床に打ちつけられながらも、何とか意識を繋ぎ止め、視線をリキッドの背中へと送る。強大な敵と対峙する彼女を、後押しするかのように。

>エレバス・プラネット、リキッド・ピニンファリーナ

10日前 No.1394

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【時空防衛連盟本部/屋上/橋川清太郎(GAWND装着)】

風が吹く。
この世界に生ける者達全てを試すように。
風が吹き乱れる。
資格なき者を門前払いとするべく。
風が吹き荒(すさ)ぶ。
砂漠から砂を吹き飛ばし、宝石の原石を探るが如く。

――――――

「なっ!?」

確かに捕捉(ロックオン)してから即座にトリガーを引いた筈。にも関わらず彼女へ掠り傷ひとつ付けられなかった。
手元が狂ったわけでも装備の不調でもない、もっと単純な話だ。
速すぎるのである。通常の射撃では対処出来ない程の速度で彼女は動けるのだ。

(限度ってものがあるよ……!)

もはや意味のなくなったスライディング姿勢から、ブレイクダンスじみた動きで跳び起き、射撃体勢に移る。
これまで戦った相手の中でも群を抜いて速い。普通のやり方では望み薄か。
メシエの攻撃も外れたらしく、女性の俊敏さを見せつけられる結果となった。

「うっ!」

碌な対抗策も思いつかないまま焦燥していると、一段と速度をつけての突進を繰り出してきた。
やはり速すぎる。防御用の装備で凌ごうにも、転送で呼び寄せ手に掴んだ時にはもう攻撃が当たっているだろう。
何もしないよりはマシと両腕を交差させての防御を図る。

「ぐぅううう!!」

直後、凄まじい衝撃が両腕を通じて全身を揺さぶった。大型機動兵器の主砲にすら匹敵する威力だ。これには流石のGAWNDも堪らず吹っ飛ぶ。
そのままフェンスやら何やらを突き破り屋上の外へ投げ出される。無論すぐにスラスターで体勢を立て直し、空中で一旦静止した。

(さて、どうするかな……)

目線は彼女から逸らさず、思考に耽(ふけ)る。GAWNDの性能のお陰で場外失格となる心配はないが、状況は全く好転していない。まずあの常軌を逸した敏捷性をどうにかしなければ。

「あまり手段を模索してる暇は、ないか」

超高精度偏差射撃FCS・Unblindを起動。
バイザー内のHUDに夥しい数の小ウインドウが一瞬だけ表示された後、HUD自体が専用のUIに切り替わる。
これはスーツのモーションプログラムとリンクした自動照準を行う機能だ。その性質上ひとつの目標だけを注視し続ける必要があり、時間差かつ死角からの攻撃が弱点となってしまう。まだ戦闘は始まったばかりで、彼女がほぼ手の内を見せていないこの段階で使うのは危険だが、他に手立てもない。
A・O・Sを使いマシンガン型武装Thunder leo Uを呼び寄せる。そしてすかさず掃射で弾幕を形成、一気に攻めへと転じた。
超高精度偏差射撃の名を冠する通り、瞬間多重演算による高度な未来予測に基づく射撃。それも先程以上の火力と物量を以て女性に襲いかかる。その間吐き出される多量の薬莢が、なす術なく地へと落下していった。
足を止めて乱射に集中するのは、不意打ちの類に弱いという点を助長してしまうが、かといってUnblindを起動したまま動き回ろうものなら、CPUにかかる負担がますます大きくなる。よってここは多少のリスクを飲み込んででも攻勢を維持するべきだと判断した。

>クレハ・アステロイド、メシエ・シャルティエ

10日前 No.1395

真の太陽 @kyouzin ★tdMurNVUON_4TG

【リヒトルザーン/時空防衛連盟本部/資料室/ミシャール・ルクセン】

「んっ? ……あぁ、そいつは、すまないな」

手の内を見せる事は云々に対して自分が吐き捨てた「誰が手の内を見せただと?」という買い言葉に対して、コズミックメイガスが呆れながらか、あるいは単に無表情で、お前に向けた言葉ではなかったと言われれば、ミシャールはぽりぽりと頬をかいて、少し恥ずかしさを覚えたか、短く謝罪の言葉を呟いた。
ひとまず、そう、ひとまず他の発言をくみ取っておくと、先ほどから攻撃がこちらに集中している事から薄々気づいていたが、アイツはユーフォリアよりもむしろこちらを脅威に感じているようだ、いや、脅威というよりは"面倒"であるとか、そっちの気がするが。

さて、戦況を見てみれば、良い物とは言えないだろう。
というのも、自分よりよほど遠距離攻撃においては秀でているユーフォリアの攻撃が無力化されている。
正直な所、彼女をどうにかできるなら、連盟の連中でまともに相手が出来る奴は居ないだろう、やはり、放置はできない存在だ。

さらに……

「ほぉ、防ぐかい。 コイツは想定外」

防がれた。
結構な力を込めて、さらに身軽にした上でこれでは、最悪だ。
間違いなく想定外、そう口にしながらも、ミシャールの口角は吊り上がったままで。

敵がべらべらと喋っている、その隙にミシャールは降下中、さらに"絶対に誰の目から見ても斧で攻撃できない位置"に来た時、急に、武器すら持っていないほうの腕を向ける。
奇遇な事に、相手と自分の思惑が一致する。 相手も目つぶしを狙い、その時、ミシャールも視界潰しのために無駄にツヴァイシューターから雷撃を撒き散らしていた。

だが……やはりその雷撃は見当違いの方向に飛ぶだけで、ミシャールは敵の攻撃前に攻撃を叩き込めないように見える。
しかし、極めて視認しづらい「針」が腕からコズミックメイガスに向けて発射される。

弾速に優れ、火力は極めて低い、しかし敵の動きを鈍らせる事には特化している狡猾極まりない本性が浮き彫りになったかのような「毒針」は魔法陣の間をすり抜けてコズミックメイガスの皮膚を貫かんと疾走する。

それを射出すると、ミシャールは閃光から逃れるため、あるいは攻撃から逃れるために踵を返して、まるで敵前逃亡するように格好悪く逃げて見せる。
しかし、その際に地面に突き刺しておいたツヴァイシューターの片方を回収し、即座に二つ揃ったツヴァイシューターを合体させ、大量の雷撃を放出して無理やり魔法を相殺しにかかる。

……とはいえ、それは無茶が過ぎるというのもまた事実で、特に地面から貫く上に、属性的な相性も悪い土の攻撃は相殺しきれず、義手の一部を土の棘が貫いて、まがい物の人工血液が飛ぶ。

それでもミシャールはもう一度合体したツヴァイシューターを振って、大量の雷撃を作り出して、それを飛ばす。
極めて陰湿な事に、雷撃に混ぜて、毒針を放ちながら。

>ユーフォリア・インテグラーレ コズミックメイガス

10日前 No.1396

燃え上がる魂 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★uphpYSzC2b_4TG

【時空防衛連盟本部/訓練施設/メテオライト・ヴェルファイア】

「安心しな。手を抜くつもりも、言い訳をするつもりもない。アタシも右手抜きなんだから、条件は同じさ」

るつみはメテオライトが右手を封印したことを敗北の言い訳にしないよう釘を刺すが、彼女には最初からその気はなかった。対等な勝負で負けた者が何を言ったところで、それは負け惜しみにしかならないだろう。
勿論、両手を使えば圧倒することも可能だが、敢えてはそうはしない。あくまでメテオライトが求めているのは、もしもの余地すらも一切残さない、完全な勝利なのだから。
使い物にならなくなったを、呼び出した使い魔の糸でしっかりと括りつけるるつみ。メテオライトも彼女の意図を汲み、不意打ちを仕掛けたりなどはせず、律儀にそれが終わるのを待っていた。

正直、こんな形での継戦を認めてくれるかどうかは半分半分といったところであったが、彼女はこちらの勝手に乗ってくれたようだ。その言葉を聞いたメテオライトは、貴族のお辞儀を返して敬意を示す。
直後に始まりを告げる戦い。左腕しか使ってこないことが分かっている以上、相手の対応も的確だ。あちらから見て左側から攻撃は基本的に飛んでこないの以上、そちらへ回避をするであろうことは予想の範疇。
だからこそ、足技も交えた攻撃手段を用いた訳だが、この状況で足を差し出すというのは、相応のリスクを伴う行動でもある。その懸念は現実のものとなり、回し蹴りを繰り出した足を引き寄せられ、体勢を崩すメテオライト。
とはいえ、るつみもあの姿勢からでは腕は使えないし、蹴りを繰り出すことも不可能だろう。すぐさま拘束から脱し、距離を取って仕切り直そうとするが、それよりも敵の攻撃が飛来するのが先であった。
身動きの出来ないところへ叩き込まれたのは、渾身の頭突きだ。引き寄せの勢いも相まって威力の増した一撃を喰らい、彼女は後方へと吹き飛ばされて尻餅をつく。確かに、合理的な判断だ。あそこから攻撃に転じるなら、それしかない。

実に見事であると感心すると同時に、一つの思いがメテオライトの胸中を駆け巡る。彼女ほど生命力に満ち溢れ、輝かしい未来を夢見ることの出来る若者の運命を、自分如きが奪ってしまってもよいのかと。
これほどに燃え上がる戦いなど、そうそう巡り会えるものではないし、永遠にこうしていたいとも思う。だが、仮に戦いの果て、るつみが命を落とすようなことがあったら……
所詮、自分は死ぬに死ねず、あの世とこの世の狭間を彷徨い続けている亡霊のような存在。るつみを高く評価しているからこそ、メテオライトは迷う。こんなところで、死なせる訳にはいかないと。

「……すまない、やめにしよう。こんなに楽しい戦いなんて、アタシにとっても初めてだったが……お前さんは、こんなところで終わっていい人間じゃない」
「本当に自分勝手ですまないねぇ。けど、もう終わった人間のアタシが、これからを生きる人間を殺してしまうなんて、そんなこと許されるはずがないだろう」

メテオライトは酷く落胆した声で、そう語る。もしも自分も生きている人間だったならば、心ゆくまでこの決闘を続けられたのだろうか。溢れんばかりの悔しさが、胸にこみ上げてくる。
勝負はどちらに転ぶか分からない。勿論、るつみが勝つ可能性も十二分にあるだろう。だが、本気を出して彼女を死なせてしまうかも知れないと思うと、途端に怖くなって、これ以上戦いを続ける気にはなれなかった。
今までそんなことはなかったのに、どうして今更こんな感情を抱いたのかは分からないが……真っ直ぐに挑みかかってくるるつみが、どことなく過去の自分と似ているように感じたのは、きっと気の所為ではないだろう。

「星雲の光ってのは、そんな終わった人間の集まりさ。そんな連中が、本当はまだ死ぬはずじゃなかった人達の未来を摘み取ってしまう。おかしな話だよ」

彼女は続けて、星雲の光というのがそうした終わった人間の集まり、つまりは死者の集団であるということを明かす。そのような者達によって、本来何事もなく平和な時代を過ごしているはずであったこの時空の人々が脅かされているのだ。
本当に、本当に下らない。こんな戦いを続けることに、意味などない。そんなこと、本心ではとうの昔に理解していたが、それでもメテオライトには、星雲の光を離れる訳にはいかない理由がある。

「アタシの負け、だな。お前さんとの戦い、楽しかった。アタシと真正面からやりあってくれたこと、感謝するよ」

憂いも含んだ笑顔を浮かべながらそう告げ、メテオライトは約束通りこの場を譲り渡すべく、光の粒子に姿を変えて立ち去ろうとする。しかし、るつみにとっては納得のいかない結末であることも事実だろう。もし、何か聞きたいことがあるならば、今ならまだ間に合うかも知れない。

>詩夢るつみ
【頃合と見ましたので撤退の形を取らせていただきましたが、会話展開を希望の場合は継続も可能な流れとしました】

9日前 No.1397

水の誓い @aaazzz123 ★Android=raodXHjAGO

【時空防衛連盟本部/時間遡行装置/リキッド・ピニンファリーナ】

世界の全てが幸せか、そう聞かれたら確かにそれは違うかもしれない。
だが、それは一方的な幸せを押し付ける理由にはならない。
そして、全ての不幸が星雲の光によるものではないとしても、その不幸すら加速させる要因がよくもそんな事言える。幸せという名の自己満足を押し付ける事が本当に幸せだと思っている奴が何を言った所で心に響くものはひとつも無い。

「この……っ…!黙れ!」

アナザーの人工物、その言葉にリキッドの怒りはさらに高まる。
バイオアンドロイドの肩書きは払拭できない呪いでもあり、同時に「存在しなかったはずの誕生」という誇りでもある。

ただ「見てた」だけの癖に、軽々しく呼ばれたその呼び名にさらに激昴するリキッドのクロスチョップはエレバスの肩を切り裂く。
ようやくまともな一撃が通った、と悦ぶ間もなく直後に目に入った切り裂かれた肩から見えたのは生物と機械の機構が合わさったような不気味な内部がはっきりと見えた。

「……世界の全てが幸せじゃ無かったとしても、それでも幸せを掴むためにもがいてる人はいる。それすらも踏みつけて幸せを奪った分際で…何を偉そうに!」

エレバスも今の攻撃でダメージを負ったはず、後は反撃ができない程に連続して2人で攻撃叩き込めば勝利も難しくはないはずだ。

…が、エレバスの左脚の虫が光ったかと思うと即座にエレバスの姿が視界から消える。
その直後、後方からエレバスの声が響いた。
何かの術か、詠唱はさせなかったはずだ。
だが「詠唱と能力の発現の因果関係はない」という事実を突きつけられる。

直後にエレバスは氷の拳を左腕で作り、それを地面に叩きつける事で周囲に絶対零度の波動を周囲へと撒き散らした。
これでは液状化させても殺傷力のある形へと変形させる前に凍ってしまう。リキッドは完全に無力化されたも同然である。

だがそれは1人だったらの話だ。

直後に前方に風の膜が作られ、冷気の勢いを減衰させる。
アンジェロの技だ。だがこの冷気を抑える程の風、そう長くは持たないはずだ。

アンジェロの言葉に強く頷き、リキッドは右腕を液状化させながらエレバスの元へと一気に距離を詰める。
アンジェロのお陰で液状化した右腕はなんとか刃の形で凍りつき、攻撃に使えるものとなった。

「お前なんか…っ…!!必要、ないのよっ!!」

冷気の中を突き進み、エレバスへと氷の刃を振り下ろす。
自分に「手を差し伸べてくれた」アンジェロの為にも、負けることはできない。

>>エレバス・プラネット、アンジェロ・ピニンファリーナ

9日前 No.1398

天性の勝負師 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★uphpYSzC2b_4TG

【リヒトルザーン/爆心地/ミカエラ・カンナバーロ】

己の命運を懸けた勝負に、ミカエラは打ち勝った。奇跡の刃はタケミカヅチの中枢を然と貫き、間髪入れずに降り注いだ星が、その巨躯を倒れ伏させる。空間を包み込む、眩い光。同時に響き渡るのは、無数の怨嗟の声。
かの巨人を構成したであろう無数の魂が天へと昇っていく様を見届け、彼女は視線をイザナミへと移す。残すは、彼女一人のみ。戦いを続けるつもりならば斬って捨てると覚悟を決めるが、実際にそれが起きることはなかった。
星雲の光を殺せ。そんな言葉を言い残し、去っていく冥王。これを"余興"などと称したことに関しては、もはや何も言うまい。脅威が去ったことを確認し、剣を消失させるミカエラ。

「言われなくても、最初からそのつもりですよ」

彼女に言われるまでもなく、時空防衛連盟ははじめから、星雲の光を打倒するべく戦っている。仮にこの戦いがなかったとしても、自分達がその考えを曲げることはなかっただろう。
人様の庭に堂々と上がり込んで勝手を働いているという意味では、奴らも冥王も何も変わらない。そんな不届き者を野放しにするなんて選択はあり得ないし、話しても分からないなら、戦いで決着をつける以外の方法はないのだ。
さて、被害は甚大であるが、少なくとも目の前で死者を出すことはなかった。文鴦は重傷を負って撤退することになってしまったものの、あの化け物相手にこの成果であれば、まずまずといったところか。
これだけの被害を出しておいてまずまず、と表現するのはよろしくないことだが、最悪の事態は回避出来たといえる。周囲の状況を確認し、端末で報告を行おうとするミカエラ。そこで聞こえてきたのは、乱入者の声だ。

そもそも、彼女がどうして自分達に味方することを選んだのか。それをまだ聞いていない。今後共に戦ってくれるにしても、そこははっきりさせておかなければ他の味方にも説明が出来ないだろう。
一度取り出していた端末をしまい、ゾディアックの言葉に耳を傾けようとするミカエラ。思えば、この二人は不思議な関係だ。味方でもなければ、敵でもない。単に同じ船に乗り合わせて、同じ方角を目指しているだけの他人同士、とでもいうべきか。
敵はいなくなったし用は済んだので斬り捨てます、なんてことをするつもりはないが、未だに謎が多く、信用に値する人物かどうかは不明。果たして、彼女を味方として引き入れるべきなのか。その判断を下そうと考えていると、放たれたのは意外な言葉。
なんとゾディアックは交渉と称し、星雲の光の本拠地の座標をこちらに教えるというのだ。勿論、ただでという訳にはいかず、相応の対価を求めてはいるが……これが本当ならば、願ってもないチャンスだ。
連盟はここまで敵へ反撃を仕掛けられず、完全に防戦一方となっているが、それは敵の所在地が全く以て分からないという点に起因する。空に浮かぶ星雲がそうであることは判明していても、どうすればその内部へ侵入を果たせるのかが皆目検討もつかないのだ。
故に、彼女が本拠地の座標をもたらしてくれるというのであれば、食いつかないはずがない。とはいえ、手放しで喜ぶのはまだ早い。交渉が決裂すれば全ては無駄になるし、最悪の場合は罠であるという可能性もある。だからまずは、慎重に話を進めなければ。

「貴方の安全の保証とか、立場の保証くらいは出来ると思いますけど、妙なものを用意しろといわれても無理ですよ。精々、貴方が不自由なく暮らせるように便宜を図る程度のことしか、私にはしてあげられません。欲しいものがあるなら、努力はしますけど」

相手が一体どんなものを求めているのかも分からないが、ひとまず安全の保証及び不自由ない暮らしの提供は可能だということを説明する。こんなもので満足してくれるような人物には思えないが、これは必要最低限のことだ。
その上で、もし何か要求があるのであれば、それが現実のものとなるよう尽力する用意は整っていると伝える。あくまで努力するだけであって、実際に成し遂げられる保証はないが、最初から拒否を突き付けるよりは増しな選択であるはず。
言葉の節々にやや刺々しさがあるのは、まだミカエラがゾディアックに対して一定の警戒心を抱いているからだろう。つまり、彼女が連盟の"協力者"として認められるか、単なる第三勢力として認識されるかは、全てこの話し合いに掛かっているという訳だ。

>ゾディアック、(タケミカヅチ)、(文鴦)
【お相手ありがとうございました。そしてゾディアック本体様、よろしくお願いします】

9日前 No.1399

ゾディアック @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_4TG

【爆心地/ゾディアック】


 ―――あ、こいつ未確認の相手とのハイタッチは拒否するタイプでしたか………。


 そっとハイタッチの構えをスルーされた書斎の魔女が、
 心なしかしょんぼりとしたことは全くの余談であるからさておくとして。
 彼女がミカエラ・カンナバーロに要求したことというのは、実に単純だ。

 交渉の体を装ってはいる。実際にミカエラに対して提供するものは連盟にとって必要なものだろう。
 このままじり貧で迎撃だけを続けるより、本陣の乾坤一擲に賭けた方が、
 遥かに勝率が高いのは明らかだ。相手がそれを想定していない可能性の方が高いのだから当たり前。
 何より、彼らの戦力は無尽蔵ではない。逐次投入による波状攻撃は連盟に疲弊を強いたが、結果だけ見れば撃退に次ぐ撃退を繰り返しているのは連盟の方………戦力を含めたアドバンテージは、状況次第では簡単に引っ繰り返されねないものになりつつあるのだから。

 とはいえ、だ。
 目の前にいるそいつが得体の知れないものであるという考えは至極尤も。
 そんな女の言葉を受け止め、真に受けるには、時間と信用というものは幾らあっても足りるまい。

「いや真面目か。真面目ですか。
 引くほど面白くない答えですが、わりと素直な応対に免じましょう」

「まあ大きな組織相手に吹っ掛けてみたりとか久々にしたかったんですが、
 正直吹っ掛けて手に入りそうなものなら間に合ってるんで………こっちの話をしますね」

 ………そう。
 その上で、冗談もそこそこに本題に移るゾディアックが、
 そんなことを分かっていないはずはないのだ。にも拘らず、彼女はこういう交渉を続けた。


「星雲<ホーム>の座標、それから侵入の仕方。
 転移の出先は手薄になるだろう場所に仕掛けておいてあります。連中は大半気まぐれかつ好き勝手なんで………手薄かどうかの保障はしませんが、少なくとも出てきた瞬間袋叩きにはならないでしょう」

「………ああ、後。勘ですが、着くころには面倒なひと騒ぎが起きそうです。
 あ、これどーぞ」


 そもそも魔女が此処に降り立って来る時点で、彼女は自分の乗った船に、
 それ相応の仕込みを終えてある。
 その証明のように、一冊の書をひょい、と投げ渡したことは、
 なんでもないことのように本拠地の情報を投げ売るようなものだった。

 ばら撒いた自分の『書斎』にある頁を起点とした転移術式―――元より行動が読めないものとして放置されてきた魔女がしたものならば、一つ二つは気取られるかも知れないが全ては気取られることもない。
 その書自体には、概ねの夢現星雲の座標と詳細な地形図が記されており、
 同時に転移先のビーコンを仕込んだ場所も記してある。
 少なくとも何処から、どうやって、どのように―――細やかな戦略面まで口に出すつもりは(面倒だから)ないが、攻め込む分に当たっては連盟が最初で最後の完全な先手を打てるというわけだ。

「んで、不安なら到着まではお付き合いしますというか、
 付き合わないと転移どころか即死になりかねないケースがあるので、不安じゃなくても到着までは働かせて貰いますよ。もちろん………そちらが『YES』と言えるならですけど」

 加えて、今となっては怪我の功名というより最悪の中の最善程度とはいえ………。
 アレを逃がしたことが役に立つかもしれない。そんなことは口にする必要性もないが。

「それから、ちゃんと答えは出しておきましょうか。要りません。
 私は其方がこの取引にYESと発言し、
 そちらが星雲と『戦う』と決めたその時点で、貰うものをちゃんと貰っています。
 不自由なく生きたいだけなら、そもそも私、誰かに頼る必要性が微塵もありませんからね」

「付け加えるなら―――罠に嵌める気なら、もうちょっと利巧なやり方があると思いません?」

 ………それに。此処まで親切に対処をする理由が、
 まさか改心だとかそういう類のものであるはずもない。
 魔女はなんでもないことのように、言葉を繋げ、にこやかに笑ってみせた。

 騙すつもりがあるなら、そんなことを考えさせる暇もなくやる………と。
 その言葉は相手に対する彼女なりの誠意とも取れたが、
 同時に彼女が決して友好的に立ち振る舞う気のない人物であることの証でもあった。

「なので。改めて聞くんですが」

 何故ならそれは、遠回しの宣誓であり。
 改めてその言葉の意味を提示することで、彼女は二つに一つの博打を打とうとしていた。
 それは勝算こそあるが、確実とは言い切れないこと。
 得体の知れない星雲の一部である彼女の出した『決戦』への招待状を、彼方が受け取るかどうか。

 もっと言い換えるならば―――。


 ・・・・・・
「私を利用する度胸がありますか?
 このまま真綿で首を絞められるよりは、其方にとっても悪い話じゃないと思いますよ?」

 連盟を、この世界を、自分の“したいこと”に利用する気があると公言した女を、
 逆に利用するだけの度胸があるのか、という話だ。


>ミカエラ・カンナバーロ、ALL

8日前 No.1400

暁光 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★uphpYSzC2b_4TG

【時空防衛連盟本部/応接間/サシャ・ローゼンクランツ】

この戦いが始まる前、サシャはアリアから星雲の光が既に死した者達の集まりであるということを聞いていた。そんなこと普通はあり得ないし、最初は嘘だとしか思えなかったが、確固たる証拠がある以上は信じざるを得ないというものだ。
その情報は既に彼女を通して連盟、及び世界政府、地球軍といった組織に属する者全員に伝えられているが……モルディケイも自らこう語っているのを見る限り、それは正しいことであったのだろう。
共感や同情を必要とせず、ただ復讐のみを求めて生きる者を説得する術はない。いくらこちらが手を差し伸べようとも、その手を受け取ってくれないのであれば、どうしようもないのだ。
殺し合わずに解決出来る方法があるならば、そうする。しかし、ここで彼女を野放しにしてしまえば、自分の大切な人達にも危害が及ぶのは確実だ。そうなることだけは、絶対に避けなければならなかった。

もはや、劣等という言葉を連呼されることには、何も感じなくなりつつある。はじめこそは怒りもしたが、何度も繰り返されればそれしか言うことがないという思考にも至るものだ。
モルディケイが味わった痛みは、当然サシャには分からない。かつて、中世の時代において人間が魔族に対してしていた迫害を経験したことはあるが、それとは全く異なるものだろう。
信念、正義、人同士の繋がりなど簡単に崩れる。果たして、本当にそうだろうか。人間と魔族は、手を取り合うことが出来た。どんなに憎しみ合っていた相手だろうと、それぞれの過ちを認め、共に歩むことが出来る。
彼女の主張が正しいだなんて、これっぽっちも思わない。だって自分は、この目で確かめたから。お互いが歩み寄ろうとする心を持ってさえいれば、憎悪すらも乗り越え、新たな信頼関係を築けるのだということを。

敵の攻撃を躱しつつ突撃したサシャの放つ光の十字架が、モルディケイへと突き刺さる。傍らで味方の蒼雷に弾き飛ばされた触手は、既にこの時には再生を開始していた。
恐ろしい生命力だ。もう相当なダメージを受けているのは間違いないのに、未だに敵は止まる気配を見せない。痛みを感じていないのではと疑ってしまうが、徐々にではあるがその動きには陰りが見え始めている。
このまま押し切れれば、勝てるはずだ。彼女はぐっと拳を握り締め、改めて覚悟を決める。いくら罵詈雑言を吐かれても、決意が揺らぐことはない。ここで惑わされて、自分の信念を疑っては駄目だ。

「あなたがあたし達の手を取ってくれれば、こうするつもりはなかったよ……けど、どうしても復讐をやめられないのなら、戦うしかない」
「あなたを見逃したら、あたしの大切な人達が傷ついちゃう。そんなことになるのは、嫌だから」

サシャは単純にモルディケイが気に入らないから殺そうとしているのではなく、あくまで大切な人々を守るための防衛行動であるということを説明する。こんなことを言ったところで、恐らく相手は聞く耳を持たないだろうが……
仮に、彼女が呼びかけに応えて復讐をやめる方向に傾いていたのなら、戦いが起きることもなかっただろう。しかし、モルディケイはそれを拒んだ。ならばもう、大切な人々を守るには、こうする他ないのだ。

鎖に捕らわれ身動きを封じられながらも、左腕から無数の刃を伸ばし、更に右腕の触手による薙ぎ払いで攻撃を仕掛けてくる敵。針はハリーの展開した炎に防がれたが、触手は遮られず、真っ直ぐサシャの方へと向かってくる。
咄嗟に回避を試みたものの、僅かに反応が遅れ、彼女は横腹からそれに叩きつけられた。全身を痛みが駆け巡ると同時に、口からは血が吹き出すが、すぐに体勢を立て直し前へ。歯を縛りながらも、反撃へ転じる。
光を宿した両手から放たれるのは、合計五回に及ぶ爪の斬撃。流麗な身のこなしから繰り出される連撃を全て見切るのは困難。鎖に捕らわれている今の彼女では、回避もままならないだろう。
いずれ敵は、あの鎖から解き放たれるはず。そうなる前に出来る限り攻撃回数を稼ごうと、彼女は締めに貫通性能の高い光のレーザーを無数に放ち、相手の視界を遮りつつ、安全を期して距離を取るのであった。

>モルディケイ・シグネス、ハリー・トライベッカ、ヴィクトーリア・ダールグリュン

8日前 No.1401

次元の放浪者 @aaazzz123 ★Android=raodXHjAGO

【時空防衛連盟本部/訓練施設/詩夢るつみ】

真っ当に行けば外れる要素はひとつも無い頭突きがメテオライトにクリーンヒットし、メテオライトを軽く吹っ飛ばし尻餅をつかせる。
しかし勢いのついた一撃が故にるつみも一瞬よろけてしまった。
だがまだまだここから…と思った矢先、メテオライトの方を見やると憂いを帯びた目をしており、まるで戦意を感じられなかった。

「終わった人間…って……それって、つまり…」

メテオライトの言った「終わった人間」という言葉。きっと意味はその文字の通りだろう。
つまり星雲の光とは既にこの世に存在しないはずの者の集まり、そういう事となる。
メテオライトはそれを告げると、るつみに勝利とこの場を譲り、光の粒子となって立ち去ろうとする。

「………嫌なら答えなくてもいい。あなたが戦う理由はなんなの?本気の勝負が好きだって言うのはすごく伝わってきた、でも貴方ほど純粋な人がただそれだけで星雲の光に加担してるとは思えない」

「貴方の戦う理由は…そして、星雲の光は一体、何が目的なの?亡者が亡者を作り出すなんて、悲しみが永遠に連鎖するだけよ」

メテオライトの戦う理由、そして星雲の光の本当の目的。光の粒子となり立ち去ろうとするメテオライトが消える前に、るつみはその2つを聞き出そうとする。
この戦いのなにもかもが腑に落ちない。せめて何か、納得できないとしても答えが知りたい。

>>メテオライト・ヴェルファイア


【では会話の方向でお願いします】

8日前 No.1402

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★uphpYSzC2b_4TG

【時空防衛連盟本部/資料室/ユーフォリア・インテグラーレ】

魔法陣を乗っ取り自らの支配下に置くことでの対応を図ったユーフォリアであったが、どうやらそれは外れであったようだ。指を回すだけで魔力操作を行える者にとっては、このようなものなど最初から必要なかったのだろう。
ならばこの光はどこが発生源なのかという疑問が浮上するが、検討はつく。コズミックメイガス自身が、この攻撃の媒介となっていると考えれば、全て辻褄が合うからだ。要するに、彼女を撃破しない限り、攻撃を止めることは出来ないということか。
それならばそれで、別の対策を練るだけである。未知の部分が多い相手との戦闘においては、時として手探りの時間が長くなることもあるが、ここで焦ってはならない。無理に攻めに転じようとすれば、余計な窮地を招くだけだ。

決して、慢心していた訳ではない。しかし、敵にとってこちらの行動は侮りの類に見えたらしく、その言葉を証明するかの如く、ユーフォリアの放った虹と光のレーザーは、発生直後に霧散させられる結果となる。
先程から感じ取っていた魔力の気配は、彼女を中心とした魔力操作の場を作り出すためのものであったということか。やはり、単純に属性を切り替えるだけでは通用しないらしい。
ある程度、こうなることは予測が付いていた。故に、ユーフォリアにも動揺の色は見られない。冷静に術式の範囲から離脱を図り、次なる手を模索する。魔法を主体とする彼女にとって、魔力操作は天敵と言っても過言ではない。
まずはこれを封じない限りは、敵に傷を与えることも出来ないだろう。簡単に成せることではないが、既にいくつか活路は見出だせている。あとはそれが実際に好結果と結びつくか、一つずつ試すだけだ。

ミシャールが重力波をもろともせず進んでいく様子を眺めながら、ユーフォリアは自身の肉体に魔力を循環させる。如何に魔力操作に特化していたとしても、実際にその魔力に触れることが出来なければ、為す術がないだろう。
擬似的な身体強化を得た彼女は、先程よりも更に高い速度で、敵の狙いを絞らせないよう常に動き回りながら隙を窺う。閃光が場を覆う中、即座に闇を展開することで目潰しを阻止しながら前へ。
そこで彼女は六属性の魔法と遭遇することになるが、室内を埋め尽くすようにして放たれるそれらを潜り抜けながら、遂にユーフォリアは敵へと肉薄する。代償がなかった訳ではなく、彼女の身には無数の傷が刻まれているが、虚を突くにはここしかなかった。
これだけの規模の魔法を放たれれば、普通は防御か回避に徹するのが鉄則だ。だからこそ、ユーフォリアは敢えて鉄則を無視し、無謀とも言える突撃を選択した。重要なのは、とにかく敵に余裕を与えないこと。あちらの思惑通りに戦いを進められれば、勝ち目はない。

コズミックメイガスを視界の中央に捉えつつ、急接近を果たすユーフォリア。敵を覆う淡い光の膜。意図をすぐに察することは不可能だが、何らかの目的を持って展開されたものであることは確実。
ただ攻撃を仕掛けたところで、先と同じ結末が待ち受けているだけだろう。彼女は踏み込みと同時にクリスタルの刃を振るいながら、無詠唱で術式を展開。敵の左右、漂う"何か"の範囲から外れるぎりぎりの場所に、透明の"場"が構築される。
それは、魔力を吸収する性質を持った小型の魔法陣だ。激しい五連斬の中で唐突に現れた罠に相手が気付かなければ、光の膜や周囲を漂う魔力は全て、これに吸い取られて無力化されることになる。吸収の際、魔力の持つ特性を分解するようにも仕組んだので、単純な魔力操作は通じない。
加えて、敵の後方から迫るは、これまた密かに展開されていた都合十二本の虹の槍。コズミックメイガスの瞳には今、怒涛の勢いで攻撃を繰り出すユーフォリアと、ミシャールの毒針、雷撃が映っているはず。
つまり、必然的に敵の意識はそちらへ引き寄せられるという訳だ。彼女が余裕を持った対処を行える限り、こちらの攻撃が届かないのであれば、その余裕をなくさせるだけ。敵の思考の先の先を行き、裏の裏をかくように、二人が包囲網を形成する。

>コズミックメイガス、ミシャール・ルクセン

7日前 No.1403

救済者 @kyouzin ★tdMurNVUON_4TG

【リヒトルザーン/時空防衛連盟本部/訓練施設B/セイヴァーロ】

やはり……獅子のほうがネックか。
普通の敵であったのならば、反撃として放たれたフォトンカノンの勢いを削るためには多少の無理が必要だっただろうし、間違いなく大弓に変形させるのは間に合わなかっただろう。
そして、勢いを殺されたフォトンカノンごと貫くように矢が放たれる。

その二つがぶつかり合う衝撃が周囲の全てを吹き飛ばす。
だが所詮は衝撃波の類でしかなく、盾を展開しているセイヴァーロに届くものではない。

それほどの力と連携を見せておきながら、敵は周りの全てを認識できていないかのように見当違いな言葉を並べ続ける。
彼とフォーリエの会話にもならぬ会話にセイヴァーロが干渉する事は無かった。

「……もしも、お前がアレをどうにかしたいと思うのなら、急げ」

だが、セイヴァーロは目をフォーリエのほうへと向けて、確かにそう呟いた。
何故かと問いかければ、普通に考えれば自分が持ちこたえられないから、明らかに敵の攻撃は激化しているから、などの理由が思い浮かぶだろう。

事実、セイヴァーロの消耗は目に見えており、フォーリエに急げと言うのも仕方がないように思える。
しかし、次に彼が発した言葉というのは。

「単純な破壊による解決、それはお前の望む所ではないだろう」

ぎらりと赤い目が輝いて、盾はその形を失い、残った二つの柄を合体させて、巨大な両手剣を形作る。
敵から来る鞭の攻撃、これをセイヴァーロは好機と見た。

どうせ二段構えの攻撃なのは明白、だとするならば、その引き寄せるための攻撃に乗ってやる。
セイヴァーロがする動作というのは、せいぜい手足を封じ込まれないように立ち位置を軽く調整したのみ。

後は、相手のご厚意に甘えて一気に敵に接近し、その翼は巨大な爪を備えた腕へと変貌する。

「もしも彼女が失敗した時、その時は私がお前を救う≪滅する≫まで」

その腕が振るわれたハルバードに思いっきり掴みかかる。
もちろん、勢いが殺しきれるはずもない、しかし、掴みかかった光の腕も、全てを蒸発させるエネルギーの塊だ、ガラスが砕けるような音を鳴り響かせ、体積を大きく減らしながらも……その両手剣をセイヴァーロが振り上げるまでの時間は稼ぐ。

彼が語った「単純な破壊」を行動で示すような、今まで以上に輝く光の剣を、叩きつけるようにセイヴァーロは振り下ろす。
それはただの切断目的で振り下ろされたものではあらず、過剰なほどに圧縮された光のエネルギーは、敵に触れた瞬間、爆弾のように爆発するだろう。

もちろん、上手くいかなければ、ただフォトンスティックという防御手段を失った状態で、光の腕の妨害を突破したハルバードが簡単に直撃し……致命傷を負う事になるだろう。
だが、そんな賭けに出るだけあって、十分な破壊力がそこには備わっていた。

>アルテイア=ユーウェイン フォーリエ・サニューゲシア

6日前 No.1404

天性の勝負師 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★NjAEbaU9zT_4TG

【リヒトルザーン/爆心地/ミカエラ・カンナバーロ】

極めて普遍的なミカエラの返答は、決してゾディアックの興味をそそるような内容ではなかったものの、相手はその素直さに免じて交渉を受けてくれるようだ。ひとまず、第一関門突破といったところか。
結局、彼女が何を求めているのかは不明のまま。実に一方的な形で話が進んでいるが、下手に機嫌を損ねるのも良くはないとの判断で、まずは聞き手に回ることに専念するミカエラ。
冗談も交えつつゾディアックが語るのは、星雲の本拠地への"仕込み"を既に終えているという話だ。しかもご丁寧に、敵が手薄になるであろう場所にこちらが転移出来るよう調整をしたらしい。
どこまで本当なのかは分からず、連盟を油断させるための虚言であるという可能性も考慮しなければならないが、もしも本当ならばこれほどありがたいことはない。そして彼女は、己の言葉の証明とばかりに、一冊の本を投げ渡してくる。

宙を舞う本を掴み取り、早速中身を確認するミカエラ。そこに記されていたのは、星雲本拠地の座標と、内部の詳細な地形図であった。加えて、先程語られた転移先となる場所にも、チェックが入れられている。
これを活用すれば、連盟は星雲に対して非常に有利に立ち回ることが出来るだろう。戦略を練るにあたって、これほど価値のある資料もなかなかお目に掛かれるものではない。
ゾディアックはこちらの返答に関わらず、到着までは働くつもりであるという。そこまで言うならば、彼女を信じるべきかも知れないが……最後の一押しが欲しい。そんなミカエラの心中を察したかのように、相手は続ける。

あちらが求める見返りは、この取引に応じ、星雲と戦うことを決意した時点で手に入れられるものであるらしい。それが何を意味するかは分からないが、少なくとも彼女は安全の保証等は必要としていないということだ。
そして、罠に嵌めようとしているのであれば、もっと別のやり方があるのではないかという指摘もご尤も。最初からその気があるなら、こんな回りくどいことはしないだろう。
会話の中で分かったことだが、ゾディアックは連盟と共闘するつもりはあっても、完全な味方として数えられる人物ではない。この交渉も、自分の利益のために持ちかけてきたものだろう。
つまるところ、それを受けるということは、彼女に時空防衛連盟という組織が利用させるも同然のこと。何をしでかすか分からない相手故に、リスクのある選択ではあるが、同時に連盟も相応の利益を得ることが出来る。
私を利用する度胸はあるか、と問いかけるゾディアック。ミカエラは交渉を受け入れた場合のメリットとデメリットを天秤にかけ、数秒の思案を挟んだ後、相手を見つめながら口を開く。

「このまま突破口を掴めず消耗するだけよりは、その方がずっといいでしょう。私達に牙を剥いたらその時は容赦しませんが、同じ方向に進んでいる間は、思う存分利用させてもらいますよ」

ミカエラの示した答えは、「YES」であった。ここで、彼女の提案を突っぱねて連盟は連盟だけで戦う選択をしたとしよう。それでは何も進展はないし、星雲への道筋も閉ざされて反撃に出ることもままならず、最悪の場合じわじわと体力を削り取られて死に至るだけ。
ならば、多少のリスクを背負ってでも、より望ましい結末を迎えられる可能性が高い方を選ぼう。交渉を受けたからと言って状況が改善する訳でもないが、攻めに転じさえすれば、奇跡を呼ぶことも出来るかも知れない。
もう、一方的に攻撃されるだけの戦いは、終わりにしなくてはならない。守りに徹しているだけでは、永遠に勝利を掴むことも出来ないのだから。

>ゾディアック

6日前 No.1405

星を探す者 @zero45 ★xNRIFb4euk_4TG

【時空防衛連盟本部/屋上/メシエ・シャルティエ】

 我々が求める物二つ、その内の一つである資質は十分であると見込んだ。残すは力量、例えどれだけの優しさがあろうとも、その行く手を阻む者達を越えられないようでは、至るべき場所へと辿りつく前に滅び去る運命にある。
 故にそれを見極めるべくして、その戦いは始まった。戦場へと吹き荒れる強烈なる風。其処に同じく猛烈なる風をぶつけ、向かい風を乗り越え追い風を受けて突き進む。彼女へと襲わせる烈風、しかしその"器"と背負う"肩書き"は伊達ではなく、生半可は通用しない。
 味方との連携を、無傷の儘に乗り切った彼女は広大なる空間を活かすようにして、自在に天空を駆け回る。視認を困難とさせる程の速度で縦横無尽に動き回る彼女を、的確に射止めるのは不可能に近い。此処で徹するのは、刹那に曝されるであろう、隙の一瞬を見極める事のみ。
 それまでは静かに、ただひたすらに耐え抜く。

「……衰えてはいないようだね。流石、と言うべきか」

 周囲を飛び交っているのみであった彼女が、瞬時に挙動を変え、急加速しながら此方へと接近をして来る。その凄烈極まる勢いと言い、久々に目の当たりにしている彼女の力量に、一切の衰えは感じさせない。寧ろ、今まで以上の凄まじさと言っても過言ではないだろう。
 ともあれ、真面に受ければどうなるかは一目瞭然。激突の際に生じる衝撃の強さによって弾かれ、この高層から地上への急速落下を体験する羽目になる。最悪の場合、態勢さえ整える間もなく地表との激突も考え得る。
 それを未然に防ぐためにも、その手に司る風の勢いを強めるなり、彼女の真横から吹かせて強引にその軌道を変え、自らは後退する事によって回避をする。纏わりついていた風の刃による攻撃も、今回は問題なく躱せた。

「力を証明する相手として、不足はない」

 彼女の力量を賞賛しながらも、同時に感じるのは、これ程に力を示すに相応しい相手はそういないと言う事実。彼女には、純粋かつ的確に見極めるだけの観察眼が備わっているからこそ、敵から見た自分達の力も存分に計り知れる。
 他に相応しい相手がいるとすれば、それこそメテオライト位だろうか。それ以外の星雲は、総じて望み薄の有様だろう。

 風を再び操り始め、上空へと再び移動した彼女の身動きを封じ込める為にも、全方位から一点を目掛けて吹き荒れる風を巻き起こす。そして其処へと何度も撃ち込む、風の弾丸。風の内から外への脱出を困難としながらも、外から内へは、その速度を助長させる。
 さて、果たして彼女はこれと、味方の攻撃をどう凌ぐか――

>クレハ・アステロイド 橋川清太郎

6日前 No.1406

燃え上がる魂 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★NjAEbaU9zT_4TG

【時空防衛連盟本部/訓練施設/メテオライト・ヴェルファイア】

光の粒子となり、この場を立ち去ろうと瞬間、るつみが二つの質問を投げ掛けてくる。これはまた、なかなか答えるのが難しいことを聞かれたものだ。はぐらかすことも出来るが、恐らくそれでは彼女は納得しないだろう。
それに、あれほどまでに良い戦いを演じてくれた相手にそんなことをするのは、極めて失礼な行為。少し考えた後、メテオライトはるつみに対し、真実を話すことを決意する。

「お前さんにも、友達はいるだろう? 勿論、アタシにもいる。そういうことだ」

拍子抜けしてしまうほど単純な理由に思うかも知れないが、嘘は吐いていない。星雲の光も完全な一枚岩ではないが故に、人によっては別の目的を持つ者もいるが、少なくともメテオライトが戦う理由はそれだ。

「アタシ達はさっきも言った通り、終わった人間さ。けど、そのアタシ達にこうしてもう一度機会をくれた奴がいてね。そいつの願いを聞き届けるために、星雲の連中は戦ってる」

死者の集団である星雲の光。そんな星雲の光の生誕に関わった人物の存在を示唆しながら、彼女は語る。星雲の光が目的としているのは、その者の願いを叶えることであることを。
その詳細については……語る必要はないだろう。きっと言ったところで、余計な感情をるつみに抱かせてしまうだけだろうから。せっかく、楽しい形で戦いが幕を閉じたというのに、水を差したくはない。
しかし、先のメテオライトとの言葉を合わせて考えれば、真相が見えてくることだろう。彼女は、この戦いを"おかしな話"であると断じた。仮にこれが友人のためであると信じているならば、絶対に出てくるはずもない言葉だ。

「それともう一人、理想も求めるものもバラバラなアタシ達を何とかまとめ上げてくれてる奴がいるんだが、そいつもそいつで苦労してるみたいでね。どうしても、放っておけないのさ」

メテオライトはそれとは別にもう一人、面倒を見なければならない友人がいるということを説明する。曰く、その人物は星雲の光のまとめ役。もしかしたら、るつみも戦場で目にしたことがあるかも知れない。
実際のところ、彼女の星雲内の評判は良いとは言い難いのだが、だからといって見捨てる、という訳にもいかないだろう。たったそれだけで今までの友情も帳消し、というのはあまりにも薄情すぎる。

「まあ、そんな感じという訳さ。人と人との繋がりは、お前さん達が思っているよりもとても強い。あの世とこの世、身は離れようとも、絆が消えることは永遠にないんだ」

最後にそう言い残し、今度こそメテオライトは光の粒子となり姿を消した。人と人とを結ぶ、絆の力。星雲の光の者達には死してなお、その絆が生きていたのだ。
それは誠に尊いことであるが、時として絆が枷となることもある。友情という名の鎖に繋がれ、己の行いが間違いであると気付きながらも立ち止まることが出来ない。何と、皮肉な運命なのだろうか。
だが、るつみの視点から見れば、違った感想も浮かび上がってくることだろう。綺麗事を言ってはいるものの、結局のところメテオライトは同情を理由に、友人の間違いを正すことを諦めてしまっているに過ぎないのだから。

>詩夢るつみ
【第四章も終わりに近づいていますので、ここで絡みを切らせていただきます。お相手、ありがとうございました】

6日前 No.1407

ゾディアック @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_4TG

【爆心地/ゾディアック】

「―――では成立、と。
 いやいや、二の足を踏むことすらせずに承諾ですか」

「まあ此方としても、わざわざ柄にもないことしたんです。
 そこで引き籠られたらショックで明日の天気が流星雨になるところでしたが」

 交渉成立。
 と、にこやかに笑ってはみたが………彼女からすれば、なんの意外性もない結論だ。
 順当に正着手を打って、可能性の高い筋を通って。
 いま行動を起こすべき瞬間に、適切な行動を起こすだけの機を作り出した。
 確実ではないにせよ、少し考えればわかる―――この取引が確実ではない博打の性を持っていることは否定しないが、しかしこれは9割方勝てる博打だった。最初の応対の時点で、既に彼女はそれを結論付けている。

 何しろ―――魔女として見れば、内心これはほぼ出来レースのようなもの。
 これは取引という言葉を使っただけの、此方からの押し売りだ。
 連盟という組織にとって今本当に欲しいものが好機であり、また同時に本土の攻撃を続けられることそのものが彼らの不利となる以上、攻め手に出たい彼方は、しかし攻めるべき場所を見つけ出せない八方塞がりだ。

 そこにこの手の情報を持ち込めばどうなるか―――。
 当然。9割方は疑う。そんな虫の良い話があるはずはないと、現実的な思考を出す。
 むろんゾディアックとてそれは知っている。伊達に彼女は“書斎の魔女”ではないのだから。

 ………となれば、その虫の良い話を信じさせる材料が必要だった。
 それなりに都合良く、尚且つ確実に連盟にとっての『脅威』となるものを退け、
 またその過程でこちらのスタンスを理解させ、同時に相手に必要なものを理解する。

 取引に必要なものは相互理解だが、
 相手を“動かす”のに必要なものは、何を示せば相手が動くかだ。
 その点―――。

 魔女の行動がどの一点に結び付くのか、
 その部分以外の意図は概ね開示したし。
 此処までの対話と、即物的なものへの興味の薄さは、
 求めるものの得体の知れなさを、種の違う生物を視る時の納得に近しい感情で容認させる。
 そしてそこに、彼女らの目的と噛み合う要素が付いて来たのだ。
 理屈としては『利用する価値はある』という立場に、今のゾディアックは収まることが出来る。

 唯一の問題があるとするならば、そこはそれ、

 単純に個人としての精神的な相性の違い―――つまりは私情の話になるわけだが。
 それも、有り得ない。

「(ま、断りませんよね。
  虫の良い話“だけ”の印象に終わらせないための状況は全部出した)」

「(本当はもう一個鬼門があったんですが―――。
  そこは貴女、最初の解答でちゃんと示してくれる素直な方で良かったですよ)」

 最初の解答が、全てだったのだ。あの時の応答は共闘への承諾であり、
 それはイコールで得体の知れない相手を、利用するという発想があるモノ………。
 少なくとも、戦場において私情を優先しないということの証だったのだから。

 つまるところ、これは賭けであり、取引であり。
 しかし勝算そのものは最初から整っていた、ただの仕込みに過ぎなかったというわけだ。


「良いでしょう。それじゃ、お互いにとってお互いが必要なくなるまで………。
 楽しく悪だくみしたりされたりしましょうね?」


 であるならば、これ以上の話は不要だろう。

「ではそっちの連盟本部? あの辺りに勝手にお邪魔しますから、用意が出来たら呼んでくださいね。
 こっちで色々手を加えておかないと、星雲<ホーム>に飛ぶのって絶対安全にはなりませんし」

 あとは業務的な話だけ。
 転移の助力はするが、その時に呼ばないと色んな意味で安心安全は保障しかねるとか、
 用意が出来たら呼んでくれれば取引通りのことはしようと、それ以上のことは口にしない。

 魔女はそれなりにお喋り好きな女だったし、表面上の声色は良くコロコロ変わるクチだが、
 この時ばかりはさっさと会話を切り上げた。
 理屈的なものは特にない。強いて言うならば、それは互いに深く踏み込まない、
 面倒なものを認識し合わないというビジネスライクなものの考え方があるように見えたが、それは違う。


 それは単純な話だ。
 いまの魔女の興味が何処に向いているのか、
 彼女は交渉相手に興味を持つことが出来たのかどうか、という、ただそれだけの内容だから。


>ミカエラ・カンナバーロ、ALL

6日前 No.1408

獅子を連れた騎士 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_4TG

この投稿はフィルタされています。表示するにはアカウントにログインして下さい。

6日前 No.1409

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_4TG

【リヒトルザーン/時空防衛連盟/応接間/モルディケイ・シグネス】


「……壊せるさ、私を滅ぼそうとする貴様らがいる限り、正しいだけの言葉を振り翳す貴様らがいる限り。
 もし、そうでないと言えるだけの根拠があるならば!その恵まれた出自では届かぬ言葉もあると知れ!」

「手を取る?確かに正しいだろうなあ?だがそれは、感情の押さえつけでしかない、解決したように見えるだけのまやかしだ!
 手を取ったならば分かるだろう?恨みを抱いた人物が一方を貶めようとしなかったか?
 憎しみのまま行動に出た事は無かったか?そしてそれらを、既に終わったと言う理由だけで潰してこなかったか?」

繰り返すが、女性は理性こそは保っている。魔族や人、世界に対する憎悪こそ滾らせてはいるがそれが齎す意味と言うものも正しく理解し、その上で見る必要のないものを拒絶し、復讐の先を歩むもの。
その復讐に意味があるのかと問われれば、間違いなくないと答えるだろう。女性が望む復讐を終えることには文字通り何も残らない、女性自身も含めて存在する全てを無にする事こそが復讐である限り。
だが、女性の行動に意味があるのかと問われればあると答えよう。何故ならば、彼女が存在する事こそがその意味であるから。己が未練を果たすだけの形を手に入れられたことこそが、最大の意味であるからだ。
そして、それを踏まえた上で猫の魔族の言葉を受け入れることは出来ない。手を取ることも出来なくはない、そうした方が意味があるものが生まれるとも理解している。しかし、それをすれば己が存在の意味がなくなる。
女性が語ることは何も複雑なものではない。終わったものもいれば、終わっていないものもいる、終わらせたくないものもいるだけの話だ。女性は間違いなく後者二つではあるが、それをただ潰すだけで手を取ったと言うならばなんと都合の良い事だろう。
しかしそんなものは居なかったと、猫の魔族は答えるだろう。そんなもの当然だ、それらを負ったものに忍耐を強いる所業だと言う事を背負わせる側が気付く訳がない。善い面しか見れなければ、裏にあるものなど見えはしないのだから。

「なあ、猫の魔族。手を取ったとして、私の憎悪は、失った命は、あの惨状の記憶はどうなる?ずっと私の中で燻ったままだ。
 それは平穏で癒えるものではなく、平穏だからこそ疼く深い傷でしかない。貴様はそれを理解してもなお、そう吐いたのか?」

「それにな?私は大切なものなんざ全て奪われたあとなんだよ、私には何も残ってはいないんだよ。
 手を取ってくれれば?それは傲慢だ、貴様はその為に何をした?
 理解も示さず、解決策も示さず、恵まれた場所から一方的に吐き捨てただけだ。だからこそ、貴様に倣ってこう言ってやろう」

「私の大切な存在意義である憎悪と復讐の為に死ねよぉ!!!!!」

その言葉と共に黒い靄が新たに女性を包み込む。その憎悪に呼応するように、例えそれらの言葉を掛けても一切を拒絶する様な光を呑み込む黒い靄が、その復讐心の具現となる。
砕ける音と共に身を封じていた鎖が弾け飛べば、広げられるは大翼。床を打ち、その罅を刻むは靭尾。これまで変化の見られなかった胴にまで眩さすら吸い込む黒鱗が生え揃い、その手足には大きく鋭利な爪が生え揃う。
その様相はまるで龍、魔族としての龍族のようであった。翼竜の如き見た目をしているが、変わらずに歪なままであった。その顔にまで龍と化した女性に纏わり付く黒い靄は、未だに活性化していた。
骨が砕け、肉が裂ける音と共に変貌していく黒龍。その翼は途中で枝分かれするようにその枚数を歪に増やしていき、その胴体には顔についているものとは異なる巨大な咢が獲物を待ち構えている。
その尾は別の魔族が交じり合ったかのように尾の先に顔面を形作り、その本数もまた増やしていた。辛うじて変化の少ない手足と顔も、人型であった面影は殆どないままに龍へと変貌していた。
女性のこの能力は、生前に魔族として扱われたからこそ得たものだ。しかし、それによって変貌するものの意味はまた違うものだ。これは恐れだ、記憶の中で脅威に思い心震わせた存在が憎悪に比例して具現化していた。
だからこそ、その極致に至るは天地統べる龍族の他なし。

「―――やはり、生温いなあ?もしもなど存在せず、私が私である以上視界全てが憎悪の中!何も変わりはしない!」

「はははっ!最早名前のない影法師に名など訊ねようとは、ならば敢えてこう答えてやろう!!!」

   、  モルディケイ・シグネス
「我が名は『腐り堕ちた白鳥』!幾度も憎悪のままに!復讐のままに全てを潰してやろう!」


その言葉を合図に幾重にも重なった歪んだ翼を広げれば、その翼膜から黒い靄が泥のように幾つも射出される。最早形を成す場すら失った憎悪の塊、それが物質となって猫の魔族と二人の少女目掛けて降り注ぐ。
しかし、それらに目を奪われれば二つの咢から漏れ出る黒い焔への対処はどうしても遅れることになるだろう。迫り来る五つの斬撃も光の光線すらも飲み込む復讐の焔は部屋を飲み込まんと溢れ出していく。
そうだとも、質量を遥かに増して巨大になった女性であった黒龍が放つ攻撃はどれもが規格外。この室内を埋め尽くさんとする黒い靄の射出と黒い焔、逃げ場などなく防ぎ切るには膨大過ぎる物量。
加えて、近付けば間違いなくあの黒龍はその巨体を生かして妨害もしてくるはずだ。単純な質量さと言うものは、単純故に防ぎにくい。回避を主としていても、攻撃の瞬間に合わせれば反撃を喰らうに留まってしまう。
しかしだ、間違いなく消耗は積み重なっている。黒龍が放つ一切を貫けるだけの、その憎悪も復讐すらも砕けるだけの何かを持つならば続く連鎖を止めることだって出来るだろう。


肉は剥がれ、その翼すら汚泥に塗れた醜い白鳥は幾度も復讐の空を目指す。
その姿ですら、誰かに形を与えられたことを知ってもだ。憎悪を止める術など知らぬが故に。


>>ハリー・トライベッカ&ヴィクトーリア・ダールグリュン サシャ・ローゼンクランツ


【次でしっかりと締めたいと思います!】

6日前 No.1410

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_4TG

【リヒトルザーン/時空防衛連盟本部/資料室/コズミックメイガス】


「……こう、素直に謝られると私様であっても困惑するのだが」

互いに意図していない発言が飛んできたせいもあってか、至って普通の謝罪が飛んできたことに彼女もまたばつが悪そうな苦笑を見せる。余裕の表れでもあるが、困惑している事実は変わりないこともまた気付くことが出来るだろう。
言い換えてしまえば、それを表に出すことが何ら障害になりえないからこそだ。才あるもの、乱入者共に彼女に驚愕を与える場面はなく、僅かな思考の乱れが致命的になる状況下でもない。
走駆する閃光は二度瞬く。一つは彼女自身が発生させたものであり、視界と魔力探査を阻む魔力によるもの。もう一つは、乱入者が発生させた雷光によるもの。僅かに見えた表情が浮かべた笑みは何を意味するか、彼女には見当つかずだ。
されども、その企みはふいとなる。それを放つには一つ手段を飛ばしてしまっていたのだ、乱入者が重力場に耐えられようと射出されたものは重力に引かれ地に落ちる。重力場、発生元の魔力さえ断ち切られていないならば存続するは当然。
金属音を立てて落ちるそれに一瞬だけ視線を向ければ、彼女はその口元に乱入者と同じように口角を吊り上げていた。仮に重力場が対処されていようが防ぐ手立てはあった、しかし間違いなく彼女が認識できていなかったものだ。
やはりというべきか、現時点で彼女が警戒すべきは乱入者の方だろう。戦闘による経験値の差が彼女の才を上回る場面が、今まさに起きたのだから。魔力を基にしない攻撃、それへの知覚はどうしても前準備が必要になるからこそ。

「……ククッ、今のは私様ですら気付けなかったなあ?ふむ、私様の眼に狂いはやはりないようだな」

「だがな、まだそんなものではないだろう?才あるもの、特に貴様はな!」

以前として発生し続けたままの重力場、六属性による魔法乱舞、決して小さくない傷を負ってでもそれらを越えて攻めに転じる才あるものと乱入者。その様に、思わず笑いが零れ、抱く期待に比例するように言葉に喜色が混じり始める。
片や接近、片や距離を取る。同じ場に居れば一網打尽になり、息を合わせねば攻撃が届く事すらない。攻撃の合間を縫い、あるいは攻撃に真っ向からぶつかり合い、その好機は間もなく訪れるのだろう。
しかし、しかしだ。たかがこの程度で傷を受ける様な存在が、共に並ぶものがないなどと大言を吐くはずがない。

「―――いいぞ」

接近し、振るわれる水晶の剣。身に滾らせる魔力から分かる通り、身体強化をした上での猛攻。
されどその五連撃は黒布に阻まれる。己が一部かのように動くそれは、的確にその煌めく剣を弾き、防ぐもの。

「いいぞ―――」

同時に発生した不可視の魔力塊、同時に襲い掛かる雷撃。そして再度気付かぬその針の群れが彼女へと襲い掛かる。
しかし、魔力を操る彼女に探知など初歩中の初歩。己が身体に魔力を通し、透明の魔法陣の脆弱な部分を両腕で突き壊す。
その性質をある程度予測し、最優先の対処としたことで既に仕掛けていたそれらに損傷はなない。

「いいぞ、いいぞ!だが、私様に届かせるには足りん!」

防御を剥ぐことが叶わなかった以上は雷撃、毒針共に彼女に寄り添うナニカの闇の腕によって振り払われる。
そして、そのナニカは振り払った勢いのままに背後から迫る虹の槍すらもその腕で振り払えば、彼女に届かせる事は無い。

「……ふぅむ、魔力の吸収に性質の解除か。考えたものよ、確かに私様にも有効な手だ。褒めてやろう」

僅かな間、破壊した魔法陣の残滓からその意図を読み取れば感嘆の言葉を示す。その表情には微笑みが浮かんでいた。されども、彼女が言葉を紡ぐ間にも破壊されていないそれらは効力を及ぼし続けている。
以前として彼女の周囲に展開されている重力場、今この瞬間でさえも発射されている六属性の魔法。そして彼女の側に存在するナニカも光の幕でさえもだ。唯一霧散したのは魔力の蠢きのみ、ブラフの為に仕掛けられたそれだけだ。
彼女は確かに魔法陣を展開せずとも魔を扱える、しかしそれは魔法陣を用いらないことと同じではない。彼女に対してこの手段であればこうであるなどと言う決めつけは、己が不利を呼び込むだけなのだから。

「あと数度、それだけ試せば私様に傷を付けられるかも知れぬなあ。その時まで、崩れてくれるなよ?
 糸口は見つけ、手札もそろっている、貴様ら二人ならば私様を討つ事も不可能ではないとも」

「だが、それを易々と為されては私様が廃るというもの!」

その声に応じて新たな魔法陣を経て現れ出でたるは三種の巨人であった。極大な魔法陣から溢れ出る熱量と瘴気と神々しさ、全身であればこの部屋の天井はおろか建物すらも突き抜けそうなそれらが、胸部より上のみをその場へと顕現させていた。
周囲を徐々に溶かし始め、辺り一帯を炎の海にしかねないほどの熱量と焔を湛えた顔のない巨人。眩き物へと手を伸ばそうとする六つ目の闇を纏いし巨人。
そして、あらゆる極光を束ねたかのような輝きを放つ、胸部に深紅の核を抱いた光の巨人。それらを詠唱もなく、魔法陣のみを用いて瞬間的に召喚した。一部だけという限定的な召喚ではあるが、巨人の威容に翳りはない。
顔のない巨人は乱入者へと灼熱を撒き散らしながらその腕を振るい、六つ目の巨人はまるで才あるものに縋るかのようにその巨碗で握り潰さんと掴みかかる。その中で光の巨人のみが、彼女の傍で睥睨するかの如く佇むばかり。
彼女の手段を潰さねば手数を増やすばかり、されど巨人は先程までの魔法陣の破壊のみで済むようなものではない召喚物だ。役目を果たすか、姿を保てなくなるまでその存在を現世に刻み続けるもの。
そして気付くだろう、いやもう気付いていたのかもしれない。彼女は攻撃の際に必ず防御手段も同時に展開していることに。これは数の利を覆す為であり、それが出来るだけの効率化が既に為されていることの証左だ。
ならばそれを超えるには、更に上回るだけの攻撃手段、もしくは彼女に気付かれない仕込みを行うべきだろう。彼女は乱入者の針に気付けぬと断言し、才あるものの魔力吸収を有効な手段と認めたのだから。
細くとも、勝ち筋が潰えている訳ではないのだ。

>>ユーフォリア・インテグラーレ ミシャール・ルクセン

5日前 No.1411

次元の放浪者 @aaazzz123 ★Android=raodXHjAGO

【時空防衛連盟本部/訓練施設/詩夢るつみ】

るつみの問いかけに、メテオライトは簡単だがはっきりとした答えを言った。「友達のため」と。
友のために戦う、その心はるつみにも十分に理解できる言葉であり、るつみ自身もそうだ。
だが、メテオライトはこの戦いを「おかしな事」とも言った。

「友の為の戦いがおかしな戦いなのか?」とは思いはしたが、メテオライトはそんな矛盾を理解できないまま戦うような人間じゃない筈だ。わかり切った疑問を投げかけるのは野暮というものだろう。
この事に関してはるつみは何も言わずに話を聞いた。

次に話に上がったのは自分達のまとめ役となっている者のこと。
思想や理想の違うもの達をまとめる存在というのは、いつでもどんな奴でも、そしてどの世界でも共通して苦労しているものだ。

「苦労してるまとめ役、ね……」

苦労しているまとめ役というのは、るつみもそう言った者を目にしたことがある。なんなら、別の世界での話にはなるがるつみはそう言った存在の部下だった事もある。

「そうね…………そういう奴って、こっちからじゃ想像もつかないくらい重いものを背負ってるもの、放っておけないの、少しわかるわ…」

るつみも自分の知る「まとめ役」を言葉に重ね、メテオライトの言葉に同調する。
そして、全てを背負った先の末路を…ふと思い出す。

……少し考えた後に、決心を決めたようにるつみは口を開いた。

「言わない方がいいかとは思ったんだけどさ………………もし大切な人が間違った事をしてるって気がついてるなら、間違いを正してあげるべき。もちろん、それくらいわかってるとは思う。それが簡単な事じゃ無いってことも。でも……放っておいたら、誰の為にもならない最悪の悲劇が訪れるかもしれない」

「私は…気づいた時にはもう、遅かったから……」

言うのを躊躇っていた言葉を、るつみはメテオライトに伝えた。
野暮な事である事は重々承知している。だが、言わずには居られなかった。
遅かったと言うるつみの顔は、非常に悲痛な表情…深い後悔の顔をしていた。

…最後の言葉を言い、光の粒子となって去ったメテオライトを見送る。
絆は消えない、その言葉をるつみは胸に手を当てて噛み締める。


「……次は平和な世界で、敵としてじゃなく…友達として出会いたいものね」


空へ向けてそう言葉を残し、るつみはこの場を跡にした。

>>(メテオライト・ヴェルファイア)


【絡みありがとうございました】

5日前 No.1412

異端の星 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★NjAEbaU9zT_4TG

【時空防衛連盟本部/屋上/クレハ・アステロイド】

初めてクレハの圧倒的な速度を目の当たりにした者が驚くのは、極めて自然な反応だ。生半可な実力であれば、驚愕も消え去らぬ内に蹴散らされるのが関の山だが、かの二人においてそのような事態はあり得ない。
既にこちらの能力を把握しているメシエが的確な対応を取れるのは当然だが、清太郎も回避は出来ずともダメージを最小限に抑える選択を、一瞬の内に編み出している。この段階ならば、十分合格点だ。
さすがに衝撃を殺し切れはせず、彼は後方へ吹き飛ばされ、屋上の外へと押し出されてしまうが、そこでスラスターを使うことで体勢を立て直してみせた。あの突撃を受けて空の彼方まで飛んでいかなかったのだ。よく耐えた方だろう。
あわよくばメシエにも打撃を与えられればよかったのだが、彼には戦い方を完全に読まれているのが辛いところ。激突の寸前、不意に横から吹いた強風によって彼女は軌道を逸らされ、上空へと舞い戻らされることになる。

「来たるべき時に備え、修練を積んだ成果です」

衰えてはいない、というメシエの言葉にそう返すクレハ。彼女はこの時が来るのを、もう何年も待ち望んでいた。いつ訪れるか分からない審判の時のため、一日たりとも修行を怠った日はない。
そんな人物が全力を出しているとなれば、相手も苦戦は必至であろう。無論、だからといって気を抜くことは出来ない。僅かでも慢心を抱けば、彼らは確実にそこを突いてくるのだから。
圧倒的なアドバンテージは、必ずしも有利な展開へと直結しない。これだけの差を見せつけられれば、あちらが敵の強みとなるであろう部分、つまり今回の場合は速度を封じる策を講じてくるのは確実であるからだ。

清太郎は高度なシステムを用い、偏差射撃を行うことによって銃弾を命中させようとしてくる。高速で動く者は急な進路変更が出来ないと考えたのだろう。多重演算処理による正確な予測は、彼女にとっても十分な脅威だ。
とはいえ、相手もそれなりのリスクを背負う行動であることは間違いないらしく、ちらりと横目で敵の様子を窺ってみれば、清太郎は完全に足を止めた状態となっていた。ここで反撃に転じることが出来れば、大きな痛手を負わせることも容易いだろうが、現実はそう上手くはいかない。
彼が形成した弾幕は火力、量共に申し分なく、更にその隙を埋めるようにして放たれるメシエの風がより状況を難しくする。急停止での回避は可能だが、それでは二人の思う壺だろう。
今の速度を維持したまま切り抜ける方法はないか。目を細めたクレハが、瞬時に最適解を導き出す。刹那、振るわれる翼。それによって生じた風が、全方位より迫りくる逆風を押し留め、無力化していく。
なおも止まることのない風は、彼女の身体を貫かんと飛来していた銃弾の勢いをも失わせ、尽く地面へ叩き落としてしまった。たった一度の羽ばたきで、これほどの強風を起こすことが出来る。クレハが上位個体と、帷幄の光と呼ばれる所以を、二人は思い知らされたことだろう。

「見事な判断ですが、まだ私を落とすには足りませんね」

彼女は眼下の敵対者達に称賛の言葉を送りつつも、未だ自分の領域には及ばぬと指摘。確かに彼らの戦略は、これ以上ないものであった。だが、それだけでは不十分。
どれほど緻密に練られた策であろうとも、壮絶な力の前には全て無意味なものとなってしまう。クレハはそれを教えるべく、敢えて力押しのような対応を取ってみせたのだ。
今と同等の戦略を維持した上で、更に攻撃の出力を上げなければ、彼女に勝つことは不可能。決して簡単な道ではないだろうが、彼らならば出来るはずだ。星雲を相手に二度の勝利を掴んでみせた、連盟の者達ならば。

敵の攻撃が止んだことを察知し、即座に反撃へと移行するクレハ。急降下と共に両手より解き放たれたのは、超速で迫る無数の鎌鼬。非常に鋭いそれは、僅かに掠っただけでも深手となりかねない、危険な一撃だ。
そのまま先程と似たような軌道で接近した彼女は、清太郎とメシエの眼前に迫ったところで急上昇し、視界から消える。彼らが目線を上げた頃に視界に飛び込むのは、両の翼を振るい、衝撃波の如き圧を伴う風を呼び起こすクレハの姿だ。
風は屋上の床に反射することで予想の難しい複雑な軌道へと変化し、ありとあらゆる方向から二人へと襲い掛かる。しっかりと足に力を入れなければ、一瞬の内に舞い上げられ星となるであろうほどの風圧だが、彼らはその中で同時に飛び交う鎌鼬を処理しなければならない。
険しく高い、壁。しかし、案ずることはない。彼らが"相応しき者"であるならば、如何なる困難が立ち塞がろうとも、それを乗り越える手段を必ず見つけ出してみせるだろうから。

>橋川清太郎、メシエ・シャルティエ

5日前 No.1413

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_4TG

【リヒトルザーン/時空防衛連盟本部/訓練施設B/フォーリエ・サニューゲシア】


―――ふわり

飛び込んだ彼女を迎えたのは、柔らかな銀色の海であった。その海に無粋な網などない、あるのは思いやりの感じる姿勢を低くした獅子の姿。抵抗する様子はなく、寧ろ迎え入れているようにすら思える温かさが彼女を包み込んでいた。
飛び込む瞬間、まるで人の表情ならば苦笑を浮かべるようにして座り込んだ姿を彼女も見逃してはいなかった。意図が通じた、ならばその後に見えた申し訳なさを感じる首の傾けは、きっとそういう事なのだろうと彼女は感じた。
なら、尚更。彼女はその柔らかな感触に顔を埋め、その優しさを感じ取ったからこそ決意を固める。その憎悪を少しでも和らげる、その為に騎士に伝えなければならない。貴方は、一人ではないのだと。
そして、響き渡る叫びは、絶叫は彼女の決意を肯定するものだ。奪われたものの怒りが、憎しみが、殺意が彼女にも向けられる。奪うのか、そう問いかけられた瞬間に背筋に冷たいものが走る。それでも彼女は、怯まない、怯んではいけない。
赤い鎧は彼女が見ても分かるほどに消耗している、拮抗の瞬間が傾いたとは言えどもその言葉から余裕がある訳ではないことも分かる。それなのに、彼女の救い方を尊重してくれている。赤い鎧が是としていた救いを止めてくれている。
彼女にだって分からないはずがない。ここで赤い鎧に任せてしまえば終わらせることが出来る、彼女が動くために長引かせた分だけ赤い鎧が傷付いていくことが分かる。それでも、それでも彼女は殺してしまうだけではない救い方を選びたかった。

「……ごめんなさい、もう少しだけ待っていてください。あと少し、あと少しなんです……!」

赤い鎧へ向けて酷く申し訳なさそうに、しかしその瞳には確信を抱いて返答をする。それはそれだけの消耗をしながらも、更に強いるものであった。一人じゃできもしない、それでも此処に紅い鎧がいるからこその救い方に手が届きそうな今だから。
あれだけの惨状を引き起こした赤い鎧がこれだけ傷付いている事実が、己がどれだけの負担をかけているかを表している。申し訳ないと思う、謝っても許される事ではないと思う、その上でまだ耐えて欲しいと言える自分はきっとおかしいのだろうと。
もっと強ければ、あの時感じた無力感が再び這い上がってこようと彼女へと纏わり付く。しかし、それに引き摺られる事は無い。今この場で彼女は強くない、強くないからこそ出来る事をやるとそう決めたのだから。
砕けた兜の残骸から覗く紫の瞳、遮るものなく落ちた銀の髪、その顔は女性のものであった。しかし明確な殺気を放つ眼光は、憎悪を露にした言葉は、その姿にあまりにも似合わないと思える違和感があった。
だが、彼女が意識をしたのはその姿だけではない。その憎悪の矛先を向ける名を騎士は呼んだ。それは実際の面識などなく、資料やデータでしか見たことのない名前でしかない存在のものを確かに呼んだのだ。

『ミゼラブル』
アナザーワールドと呼ばれた地で、かつての並行世界管理協会の会長の座を欲しいままにしていた人物。
彼女が直前に得ていた資料の幾つかに、その名前と顛末が記載されていた。

また一つ、手を伸ばせる。しかし、彼女は躊躇する。彼女は騎士ほどに憎悪を滾らせる人物と出会った事がない、ないからこそその憎悪がどのようなものか知る由がない。
騎士の憎悪の矛先、ミゼラブル・ディスペラツィオは既に居ない。協会が崩壊し、人民共同体という組織がアナザーワールドに設立されていることからも分かる。時空防衛連盟によって討たれたのだと。
憎悪を向ける先は既に居ないと知れば、そして彼女が伝えなければと決意を固めた傍にいる存在が居る事を知れば、どうなるかなど分かりはしない。彼女は人を憎むとは無縁であり、その感情がどういったものすらも分からない。
奪われた存在が既に居ないと知り、溢れた憎悪は何処へ向くのか。既に居ないと信じ切った存在が居たと知り、滾らせていた憎悪がどうなるのか。彼女には何も分からなかった。
それでも、彼女を見据えて向けられたその憎悪へ嘘を返すことだけはしてはいけないと思った。騎士から見れば、大切なものを奪おうとした存在に彼女はなった。それを否定するにも、言葉を伝えるにも、嘘で塗り固めた言葉だけは伝えてはならない。
柔らかい温かさがそっと離れる。憎悪と憤怒を宿した矢はやはり獅子を狙わず、結果として彼女にも降り注ぐ事は無い。獅子が離れればその限りではないはずだが、その獅子こそが何かの術式を描いていた。
離れていく獅子の周辺、そして獅子が描いた術式の傍には赤き落涙に濡れる事は無かった。騎士の下に歩く獅子の意図全てが分かるはずがない、何故そうしたのかも分からない。
ただ何となく、あの獅子は女性を、騎士を最後まで寄り添いながら守ろうとするのだろうと改めて思った。思ったからこそ、彼女は最早躊躇いを振り切った。
騎士に届くかは分からない、それでも騎士を助けたいと思ったから。そして、寄り添う獅子に気付いて欲しかったから彼女は言葉を発する。

「―――奪いません!私は鎧さんから、貴方から何も奪いません!」

「……でも、貴方が望む人はもう、居ません。どこにも、居ません。でも……ッ!」

降り注ぐ矢が唯一振らぬ場所から彼女は叫び、奪わないことを伝える。そして、その奪った張本人が居ないことも偽らずに伝える。
そして彼女は、正気を疑われる行動に迷い無く出た。それは獅子が描いた術式の傍から飛び出したのだ。死の因果振りまく、矢雨の只中へと。
時が経つごとに、貫く痛みは増える。走れていたのはほんの一瞬だけで、最早転がる途中に無理矢理蹴り出すことでどうにか前に進む有様。
獅子の元へ、あるいは騎士の元へ辿り着くに数秒。その間のみで最早虫の息とも呼べる重傷を負い、倒れ伏す様に獅子の周囲の矢の降らぬ場所へ転がり込む。
全身には無数の傷、己の血で塗れた状態で地を這うようにしながらも言葉を絞り出す。己が内から溢れ出そうな、死にたくないという想いを只管に抑え込みながら。
こうでもしなければ、いやこうしてでも届かないのかもしれない。だからこそ、だ。

「こ、ここに、居ます……!貴方の、大切……な人、はここ、に……!」

「ず……っと、そば、で……守っ、て―――」

震える手で、満足に伸ばすことすら辛い腕で獅子に触れようと全力を振り絞る。
騎士は獅子を認識していない、それは間違いない。しかし、それでいて先程の矢は獅子を明確に避けていた、獅子に触れたことを理解していた。
それが獅子が術式を描いた可能性だってある、騎士にとってはまた違うものに見えていた可能性もある、だが彼女はそれが心の奥底では分かっているからだと思いたかった。
憎む対象がいないことを伝えて、傍に寄り添う人がいることを伝える。彼女が思い付いたのは結局はそれだけだった、それで憎悪が晴れるなんて分からないけれど、騎士の救いを考えた時に大切な人が近くに居る事だと思ってしまった。
それを示す為に、彼女は跳び出した。言葉を投げかけても、変わらないならばもう一度彼女自身が触れてそうであると見て貰うしかないと考えた。そして何より安全な場所で、与えられた場所で投げかける言葉が騎士に届くと思えなかった。
正直、怖い。死んでしまうだろうと思った、今息があることが奇跡だと思っている。無謀なんてのは自分自身が一番分かってる。でも彼女は、また何も出来ずに居るのが、手が届きそうなのに届かなかったことが堪らなく嫌だった。
そうしたら、身体が動いていたのだから仕方がない。後悔は、感じる痛みで少ししている。それでもこれで騎士が獅子に気付いてくれるなら、良かったと思えるかもしれない。
ああ、でも。もしもこれで届かなかったら、どうしようか。朦朧とし始める意識の中で、彼女は獅子と騎士を眺めていた。
願わくば、届いて欲しいと。騎士に寄り添う獅子が居ると、気付いて欲しい。そう、想いながら。

>>アルテイア=ユーウェイン セイヴァーロ

4日前 No.1414

天性の勝負師 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★NjAEbaU9zT_4TG

【リヒトルザーン/爆心地→移動開始/ミカエラ・カンナバーロ】

二の足を踏むことなく承諾をしたことについて、少しだけゾディアックが皮肉めいた台詞を吐き捨てるが、これに関しては踏みたくても踏むことが出来ないというのが現実だ。
もっと連盟に余裕があれば相手の真意もより深く考えるべきなのだろうが、ここまで追い詰められた状況において、決断を遅らせるというのは正直なところ愚策でしかない。
リスクは当然ある。しかし、このタイミングで敵の本拠地を掴めるというのは、それを補って余りある対価であった。防戦一方の状況を打破出来ることがどれほど戦略的に重要な意味を持つかを、理解出来ぬほど愚鈍ではない。
勿論だからといって、ただいきなり現れて先の条件を突き付けられるだけであったならば、交渉が成立することはなかっただろう。だが、ゾディアックはタケミカヅチとの戦いにおいて、少なくともこちらに牙を剥くことはなかった。
それが、大きな判断材料となったのは言うまでもない。まさか、最初からあちらが計算づくで行動しているなど思いもしないが、かくして連盟は奇跡への"鍵"を手中に収めたのである。

「私の方から貴方についてのことは連絡しておきます。ですが、出来れば他の方に迷惑を掛けるようなことはしないで下さい。そういうことをされると、私でも庇いきれなくなりますので」

本題は終わった。業務的な話もすぐに終わり、ミカエラは次なる戦場へ赴く。一応、変なことはしないようにと釘は差しておいたものの、彼女相手にどこまでの効力があるものか。
取り敢えず、星雲に攻撃を仕掛ける前に、まずはこのリヒトルザーンに展開している彼らの軍勢を退けることを考えなくてはならない。戦況は当初と比べて遥かに改善しているようではあるものの、未だ予断は許さぬ状況だ。
せっかく転がり込んできたチャンスを無駄にする訳にはいかないと、ミカエラは覚悟を決める。最後にゾディアックに一度だけ視線を送った後、彼女は夜の帳が下りた市街地へと消えていくのであった。

>ゾディアック
【頃合と見ましたので、ここで会話を切り上げる展開とさせて頂きました。お相手ありがとうございました】

3日前 No.1415

真の太陽 @kyouzin ★tdMurNVUON_4TG

【時空防衛連盟本部/時間遡行装置/エレバス・プラネット】

「おや? 私が? 侮辱した? 君が人工物という肩書きを侮辱だと思っているだけじゃあないかな? 人工物にも人間にも大差はないと思っている、素晴らしいじゃないか、人の手でここまで完成された人格を形成できるのは。 そう思うから君もそこまで親しくなれた、違うかい?」

少しだけエレバスの表情が崩れた、それは図星を突かれたという訳ではない。
ただ、理想の自分とはかけ離れた「侮辱の言葉」を自分が想定していなかったとはいえ吐いてしまった事に対する焦りに過ぎない。
しかし思っている事を話せばそれでいいとでも考えたのか、人工物と人に大差は無く、むしろリキッドのあり方を、ここまで徹底的に否定されていながら「素晴らしい」と語る。

その素晴らしさ故に、君も道具としてではなく、一人の対等な人間として親しくなれたのだろう? と問いかけた。
さらに言葉を続けるアンジェロや、リキッドに対して。

「いや違うね、不幸になるくらいなら、人から与えられたものでも、他人が幾ら偽物と吐き捨てようと、本人が望むなら幸せになるべきさ。 それに"私"は奪っていないと何度言えば、まぁ、仕方がないことか」

幸せは誰かに与えられるものではない、それに対してエレバスは今までと違ってかなり強い語気でそう反論した。
特に、今までは問いかけという形で諭すように言葉を選んでいたのに「違うね」と断定した事などは分かりやすく彼女の「核」となっている部分に触れた結果だろう。

一方で……こちらの攻撃自体は確かに、一瞬だけ止められた。
しかし、その一瞬が命取りになる事を彼女は良く分かっている。

だからこそ、彼女の右足に組み付いている蟲が彼女の体内に戻っていき、また別の蟲が彼女の体から這い出そうとしている。
それが意味するところは一つ、能力の組み合わせを変えて、また敵にとって初見の攻撃を繰り出すという事だ。

このお互いに消耗した状態で、そういった技を繰り出すという事は、大きく戦況を彼女に傾ける事になるだろう。

だが……二人が想定した詠唱という隙こそ実際は存在しないものだったが、本当の隙がここに来て露呈する、蟲が這い出るまでのタイムラグだ。
この状態であれば、左腕のアイスは使っている、左足のワープは使った、しかし右足のシャドウは引っ込んだ所……となれば、リキッドに対して彼女の使える手は限られる。

「無茶かな……? ただこれじゃあね、ごめんね」

右腕をかざしてその腕の中に巨大な盾を生成する、それを咄嗟にリキッドの攻撃に対して向けるが。
……咄嗟に作り出したものはまだ硬度を完全に形成できておらず、あっさりと引き裂かれたかと思えば、構えていたエレバスの右腕を切り落とした。

右腕に取り付いていた蟲が悲鳴の如く喚き、即座に飛び上がってエレバスの傷口に潜り込み、地面に落ちた腕だったモノは即座に粒子となって消えた。

「……必要ない、か。 だが、我々はそう言われた私と、私のような必要ない者を救わなくては……とはいえ、これ以上は無理攻めというものかな。 お騒がせしたね、二人とも、この辺りでお暇させて貰うよ」

リキッドの言葉を軽く復唱したかと思えば、複数の声が混ざったような気持ち悪い声で決意染みた言葉をエレバスは吐いた。
しかし、それも一瞬の事、彼女はいつもの表情を作り直して、腕が切り落とされた事など気にしていないかのように笑顔のままに、その場から姿を掻き消した。
無論、後ろに控えていた時空の裂け目にしろ、ダール虫の残骸も、また同じように。

>アンジェロ・ピニンファリーナ リキッド・ピニンファリーナ


【お相手ありがとうございましたー】

3日前 No.1416

烈風のムードメーカー @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★NjAEbaU9zT_4TG

【時空防衛連盟本部/時間遡行装置/アンジェロ・ピニンファリーナ】

吹き飛ばされたアンジェロがエレバスへの反撃を行う余裕はなく、あとはリキッドがしっかりと決めてくれることを祈るしかなかったのだが、彼女は見事その期待に応えてみせた。
結局、とどめを刺すまでには至らなかったものの、敵は右腕を切り落とされたことで形勢不利と見たのか、撤退を選びこの場から姿を消した。先程までの騒乱が嘘であったかの如く、静寂に包まれる時間遡行装置前。
だが、そんな静寂も一瞬で、すぐにまた二人の耳は連盟本部中から聞こえてくる喧騒で支配されることとなる。思いの外損害が大きくなってしまったが、ひとまず厄介な相手を一人排除出来たことは、よしとしよう。
幸いなことに、装置にも何ら影響はないようだ。ふぅっ、と一つ息を吐きながら立ち上がるアンジェロ。服についた汚れをポンポンと手で払いながら、既にいない彼女が残した言葉への返答を返す。

「リキはそう言われることを嫌がってるんだ。お前の価値観じゃそうなのかも知れないが、俺やリキにとっては立派な侮辱さ」
「俺達がお前の助けを必要としてないことくらい、見れば分かるだろ。なのにそうやって押し売りするから、こんなトラブルを起こすんだよ」

エレバスは本当に人工物と呼ぶことを卑下だと思っていなかったのかも知れないが、それならそれで、もっと相手の気持ちを考えて発言するようにするべきであると、アンジェロは思う。
そもそもこうした自分達の態度を見ていれば、ホームワールドが彼女の手助けを望んでいないことは明らかだろう。にも関わらず、エレバスはこちらの話を聞くこともなく、一方的に幸福を押し付けようとするばかり。
これでは、上手くいかないのも当たり前だろう。今、不幸を味わっている者が、全員他人から与えられた幸福を求めているとは限らない。まして幸福を与える理由が、己の自己満足のためであるなら、尚更だ。

「俺の所為で、無理させちゃったな。大丈夫か?」

と、これ以上あいつのことを考えていても仕方がない。思考を切り替えたアンジェロはすぐ様リキッドへと駆け寄り、結果的に無理をさせる形となってしまった彼女のことを気遣う。
本来ならばこのまま別の場所の救援へ向かうところであったのだが、リキッドの状態次第で対応を変えなければならないだろう。もし戦えないならば、先に救護班を要請しておかなければならない。
……下手に強がられると困るので、出来れば素直に答えて欲しくはあるのだが……どちらにせよ、自分もすぐには動けそうにもない。場合によっては、敵のいない安全地帯で身体を休めるという選択が必要となりそうだ。

>リキッド・ピニンファリーナ、(エレバス・プラネット)
【お相手ありがとうございました】

3日前 No.1417

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【時空防衛連盟本部/屋上/橋川清太郎(GAWND装着)】

(これは……包囲攻撃……?)

射撃行動を継続したまま、メシエが放ったであろう魔法に注目する。
激しい魔力と気流が入り乱れる様から、風魔法の類か。
渦を描くような風向き、そしてその中心部に幾度も撃たれる風弾。
目には目を……なのかは分からないが成る程これは有効だろう。彼女の飛行手段が翼(と思われる)ならば、空力方面に影響を与える風魔法が対抗策になるのは納得出来る。
そこへこちらの鉛玉吹雪。幾ら彼女といえどこの連携攻撃を躱しきるのは至難の業だろう。

――そう、思われた。

「……っ、くそ!」

女性が一瞬だけ翼をはためかせたかと思うと、なんとメシエの風を押し返すばかりか此方の銃弾まで防いでみせた。
これが星雲の光……その上位個体の力というのか。まるで格が違う、普通のやり方では刃が立たない。

「ぐ……」

底が知れない、それが率直な感想だった。自分は決して任務への備えや戦闘で手抜きなどしていない。にも関わらず彼女はこちらを一枚も二枚も上回ってくる。これで気圧されるなという方が無理な話である。

……が、それでも

「負けられない!」

なけなしの度胸と連盟としての誇りが己を奮い立たせる。ここで怯んで隙を晒してはそれこそ敗色濃厚となり、悪循環だ。
CPUへの過負荷を避ける為一度Unblindを切り、次の攻撃に備えた。
先と同じ超高速でこちらへ接近してくる。また体当たりを仕掛ける気か。

「っ!?」

しかしそうではなく、目と鼻の先という距離で急上昇した。衝突時に白兵武装のひとつでも刺し違えてやろうと身構えていたので、完全に虚を突かれる。
実際に繰り出してきたのは初手のような豪風。それも一方向からではない多方面によるものである。
GAWNDのパワーを以てしても、腰を据えて踏ん張らなければ飛ばされてしまいそうだ。
更には強烈な真空波まで無数に迫ってきた。これでは撃ち落とすどころではない。

「ま、まずい!」

鎌鼬に対し為す術なく装甲を切り刻まれていく。回避や防御をしようにも、この嵐が凝縮されたような烈風の中では不可能に近い。
どうにかしなければ、だがどうする。力押しで解決出来る状況じゃない。

(悪足掻きでも、やってみなきゃ……!)

僅かな可能性に賭けA・O・Sを起動、フライングボード型支援ユニットArmor hawkを呼び出す。
直ぐ様乗り込み、女性に向けて急加速した。
だが、足りない。これだけでは女性に辿り着くどころか鎌鼬を振り切れるかも怪しい。

よって、

「液体金属――展開っ!!」

MirageBlowとMirageAttackの機能をフル活用することにした。これらはナノマシン制御式液体金属の刀身を持つ近接武装であり、その部分を自在に変形させられる。
そしてこの場で使うのは、傘型。Armor hawkの後部を中心として巨大なボウル状に展開し、戦闘機などで使われるブレーキ用パラシュートと逆の要領で揚力を獲得、こちらを舞い上げようとする風を逆手に取った形となる。

「いけぇぇえええ!!!」

風力が風力なため得られた推進力は凄まじく、ほぼ一瞬のうちに女性の至近距離まで迫る。
競技用投擲槍の100倍はあろうかという勢いで、山吹色の道着ごと貫かんと肉薄した。

>クレハ・アステロイド、メシエ・シャルティエ

2日前 No.1418

ハリー&ヴィクトーリア @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★20zcTxMub0_fud

『時空防衛連盟本部/応接間/ハリー・トライベッカ&ヴィクトーリア・ダールグリュン』

ハリー「ヴィクターが言ったろ?お前じゃ無理だってさ。
届かねぇって言うんなら届くまでやるってもんだろうが」

「本当にそういうのしか見てきてねぇんだなお前は」
「オレにはねぇよそんなもん。それはオレよりヴィクターの方が関りがあるけどよ、
お前みたいに恨み言を垂れ流しはしてねぇし、お前とは違うもん見てんだよ」
「みっともなく決めつけてんじゃねえよ」

ヴィクトーリアが話そうとした瞬間、投げやり気味にハリーが代わりに答えた。
「ちょっと!勝手に答えないでくれません?!」とヴィクトーリアは言うが、ハリーは「はいはい」と聞かなかった。
ヴィクトーリア側の方にも、先祖たちが生きていた時代の中に戦乱の時代があった。
奪い合い、殺しあう戦争する時代があった。それゆえ憎しみの眼と心を敵に向ける者は多かった。
しかしそれでも友と共に笑顔でする者もいた。だが、それを無慈悲に引き裂く出来事も勿論あった。
現代を生きる自分たちが何をするべきか。先人たちと同じ道を歩くのか。いいや違う。
ヴィクトーリアはそれらをしっかりと理解して前に行くと決めた。未来へ繋げると決めた。過去のことだからと、終わったことだからと潰してはいない。
周囲の関係者も過去のことも含めて各々の思いを胸に未来へ繋いでいこうということも知っている。
ハリーはヴィクトーリアの方を見つつも、相手にそう返す。


黒い靄が包み込むと相手の姿が変化する。
砕ける音と同時にハリーが伸ばしていたレッドホークの鎖が弾け飛んだ。
変化した相手の姿は黒い鱗を持ち、ドラゴンを思わせる姿をしていた。

ヴィクトーリア「それが・・・貴女のお名前・・・」

彼女の名は「モルディケイ・シグネス」。
相手の名前を聞き、忘れないようにしっかりと刻み込む。
モルディケイの名と、彼女の身に起きた悲劇、それに未来に伝えるために生きる。
彼女のために。誰にも邪魔はさせない。未来への道を潰させない。
ハリーが先に動く。彼女のデバイスはまだ伸ばすことはできるのだが、
「憎しみ・復讐に縛られている相手をこれ以上縛ってはいけない」と思い、物理的にも縛って拘束することはしなかった。
彼女の足下に先ほど使用した「ヴォルカニック・ブレイズ」よりも大きな円形の魔法陣が展開されると、
とある世界に行って以降習得した強化版である「真・ヴォルカニック・ブレイズ」を使用する。
自分たちに向かって放たれた攻撃の行く手を阻むかのように、1本の巨大な炎の柱が地面から吹き上がる。
妨害のために動いたハリーと入れ替わりでヴィクトーリアが行動する。

ヴィクトーリア「貴女のこと、忘れません。未来へ伝え、繋いでいきます・・・」

「・・・さあ、受けてみなさい! 私の、ヴィクトーリア・ダールグリュンの一撃を!」

「百一式! 「豪雷神撃・神雷」!!」

今の彼女が持つ最強の攻撃魔法。ヴィクトーリアは一呼吸整え、その魔法名を叫び、唱える。
今もなおデバイスの非殺傷設定を解除していない。そのため魔法は凶器化しておらず、ヴィクトーリアがモルディケイを殺すという事象は発生しない。
かつて、遠き世界で起きた戦いに巻き込まれた際に出来た覚悟の象徴である魔法を、
モルディケイ・シグネスという一人の人間を縛る憎しみの闇から救い出すために使う。
これ以上彼女を血塗られた道を歩かせない。憎しみの闇とは無縁の道を彼女に。憎しみと悲しみの連鎖を断ち切るために。
1本の青白い巨大な雷の柱がモルディケイの頭上から降り注ごうとした。

>>モルディケイ・シグネス、サシャ・ローゼンクランツ

2日前 No.1419

獅子を連れた騎士 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_4TG

【訓練施設B/アルテイア=ユーウェイン】

 ―――それは特に珍しくもない話だ。

 かつてあるところに、男がいた。
 男はおよそ非凡なものを持たず、普通に生きて、普通に笑い、悲しみ、怒り、喜ぶ人間だった。
 彼が普通で居られなくなったのは………。
 その穏やかな生活の土台を、誰かが直せないほどに叩き割ったからだ。
 満たされることを知らぬ女の我欲に巻き込まれ彼は世界を失った。小さな世界と、大きな世界だ。

 それから彼は、戦士となった。もう奪われないように、奪われる誰かが生まれないように。
 奪われて尚“そう”考えられる男は、凡そ善人だったのだろう。
 だから彼についていくものはたくさんいた。同じ思いを抱えた人間が、何人もいた。
 彼はそれらの友と、仲間と、共に進んでいくことが、きっと己の未来を切り開くのだと信じた。

 ………己の行いに感情移入したがばかりに、失う羽目になった女がいて。
 その女が、真っ黒な炎を灯し始めたことに気付くまでは。



「何が違う―――何故そう言える―――!
 奪っておいて―――詫びもせず―――!」

 豪雨のように烈しく、血に染まったかのような紅色の怒濤は落涙のように。
 狂騎士の叫びと共に撃ち抜かれた矢が大地を貫き地面を焦がし、
 因果を以て数多の存在を崩壊させるのに時間は掛からなかった。
 一発目は何の威力もなかろうが、二発目からその矢は単純な計算で倍以上に威力を跳ね上げる。

 撃たれた、という前提と、傷を負うという過程を、因果の符号で何乗にも結び付けた………。
 かつてとある男に誰かが撃ち込み、不発に終わった一本の矢がそれだった。
 その矢が烈しく雨のように音を鳴らしていく中で、獅子だけがゆったりと動き出す。
 その獅子のいた場所を断じて矢の雨は狙わず、その獅子が動く周囲とは安全地帯と同義だ。

 そして、そいつが描いたはずのルーン術式に守られるはずだったフォーリエも。
 そのままならば、矢に打たれずに済んでいるはずだった。



 ―――それは特に珍しくもない話だ。

 かつてあるところにいる男は、かつてあるところにいた女の変貌を嘆いた。
 女は自分と同じようにすべてを失って、炎に焦がれるように動き出し。
 そこに自分の責任があることを知っていたから、彼は罪悪感ありきの行動に出た。
 せめて、せめて………その女を、自分が救わねばならないと。
 そう決めたとき、彼は今まで背負っていた英雄の看板の使いどころとその重さを思い知った。

 そして彼は、それがもしも叶わぬと分かった時………。
 せめても、その何処か聡明で臆病な女が生き延びられるように、祝福<のろい>を遺した。

 おまえはオレの代わりに生きろと。
 オレに出来なかったことを、おまえがやってくれと、ただそれだけを言い残して。
 凡庸な義賊の命は潰えた。



「貴様に殺された―――友の、仲間の怒りを知れ―――!
 貴様の我欲で狂い果てた者に―――彼女に詫びながら死んでいけ―――!」

 そいつは盲目だった。
 降り注ぐ矢の中に掻き消されるはずの足音も、
 恐らくは何らかの行動を起こしている“はず”の赤き星雲の存在も、
 矢を撃ち放った直後のアルテイアは、我を忘れたかのように失念していた。

 言葉が通じていたかは怪しい。彼の時は止まっている。
 いま彼の目に映るのは、もうこの世にはいないはずの残滓でしかなく。
 いま彼の目に移る存在は、名前も素性も知らない“あの女の狗”でしかなかったのだから。

 だが、そいつが飛び出したことだけは分かった。
 矢の雨に打たれながら、何事か喚いて、此方に性懲りもなく何かを言いかけている事だけは。
 それがつまるところ、己の懐に飛び込み、
 何事かしでかそうとしていることだと認識したのは、彼からすれば当然のことだった。
 狂気の位相<チャンネル>に無自覚で共通するものに触れたフォーリエを、
 彼は雑音ではなく敵と認識していたから―――ああ。これは、結論から言うと紙一重だったのだ。



 そして彼は、命途絶えた後、何処で識る権利を得た。
 それは大変な外法だったが、彼は鎖に繋がれた何かとして、世界を見ていた。

 女はその命を朽ち果てさせたのだと。
 英雄は錆び付いて、渡したバトンは何処で零れ落ちたのだと。
 ………思い知ったその日に、彼の中にあった黒い感情が爆発するように表に出た。

 それが、獅子を連れた騎士の持つ………最初で最後、最大の未練の在り方だ。
 あまたの希望を塗り潰した女を殺さねばならない、と。
 もはや狂気に等しい怨念を伴って、彼は得体の知れぬ何かの導きを以て星雲に流れ着いた。

 これはそれだけの。
 ああ、それだけの。さほど珍しくもない話だった。



「それすら出来んのならば―――
 オレが、此処で―――殺してやる―――」

 だから順当に。
 アルテイアは、性懲りもなく踏み込んで来た素人を殺すべく、
 矢の降り注ぐ中でハルバードを構え直した。
 何事か言い切る女の言葉を、その女もろとも消してやるべく、実際に斧を振り下ろそうとした。



 ………だが奇妙な話として、彼はその憎悪以外の形を覚えていなかった。
 憎悪の輪郭だけが鮮明となり、精神がその炎で研ぎ澄まされることと引き換えに、
 彼は己の肉体をとっくのとうに失っていた。正しく言うならば、肉体の記憶とでも言うものを。

 では彼がアルテイアになった時。
 その器になったものはなんだったのか。
 ………もう少し言い換えるならば。そいつに身体を貸したものは、いったい何だったのか。


「―――!」

 振り下ろしたハルバードが、フォーリエに届くことはなかった。

 大上段に持ち上げた刀身が、自ら因果の矢雨に撃ち抜かれて重傷を負うものを殺そうとした時。
 転がり込んだフォーリエは、振り下ろそうとする斧の範囲内に獅子を同居させることに成功した。


「――――――。………」

 ………そう。
 意識の位相<チャンネル>がいくら過去に留まっていようが、彼は戦士だった。
 戦士に、ならなければならない男だった。
 ああつまり、振り下ろそうとする先にいるものが“何か”を無意識のうちに区分けする判断は狂っていようが出来るというわけで………それは致命的なエラーの引金だった。

 アルテイア=ユーウェインが、
 その時初めて、振り下ろす斧の範囲にいないはずの“なにか”を視界にとらえた。
 あるいは、居るはずなのに見えぬ何者かが、自分の近くにいたことを認識した。

 獅子は傷だらけの少女の頭を、そっと、まるで礼でもするように撫でてから………。
 騎士の正面へ、何かを誇るように立つ。

 その瞬間に、からり………と。
 手元から、斧槍が零れ落ちた。




「………ああ………。
 なんだ、そこに………いたのか………」

「………いつもそうだが………気付くのは、今回も遅かったな………ルミナ………」




 斧槍は騎士の隣、何も残らぬ地面へと突き刺さり。
 彼/彼女の瞳が、はじめて、その目の前にいるものを正確に映し出した。


 それは狂騎士の位相<チャンネル>が、
 はじめて過去から、いま現在へと追い付いた本当に、数少ない瞬間であり。
 アルテイア=ユーウェインが―――獅子を連れた騎士が。完全に戦意を喪失した瞬間だった。

 彼は狂人としても、非凡ではなかった。つまり、まだ“まし”な方だったのだ。


>フォーリエ・サニューゲシア、セイヴァーロ



―――

【本体様からの連絡で返信順を少しずらしております】

【一旦戦闘そのものは此処で中断とさせていただきます。
 まずはお相手ありがとうございました。たいへんお世話になりました。
 この後どうするかは(最初からそうだけど)流れで決めさせて下さいまし。m(._.)m】

2日前 No.1420

水の誓い @aaazzz123 ★Android=raodXHjAGO

【時空防衛連盟本部/時間遡行装置/リキッド・ピニンファリーナ】

振りかぶった氷の刃に対して、エレバスは大盾で防御の構えを取った。
しかしリキッドの一撃は大盾ごとエレバスの右腕を切り裂いた。
致命傷とまではいかなかったかもしれないが、相手からすれば相当不利に傾いた事は確かだ。エレバスは撤退という形で姿を消した。

「手を差し伸べる事はいい事かもしれない…でも、チャンスは与えるもの。押し付けるものじゃない」

エレバスが消えた後、そう呟いた。
リキッド自身、チャンスを与えられた存在だが、それを生かしたのは自分の意思である。
自らの意思で道を決める事と、決めた道を行かせること。
最初から思想の違いもあり、相入れる存在ではなかったことは確かだった。

「………ダメね、私の力だけじゃもうこれは戻せない……」

アンジェロの問いかけに、リキッドは首を降って答える。
氷の刃となって形状を変化させる事が不可能となった右腕を戻す術が無いのである。
氷が溶けても既に液状化から8秒過ぎており、元に戻すこともできない。
リキッドの右腕は氷の刃のままである。
また、氷の刃もそう長く今の形状を維持することは出来ないだろう。

「博士に頼めば治してくれるとは思う…私よりも、アンジェロの方が大丈夫なの?」

リキッドの腕は後に直せるとして、リキッドは自分のことよりアンジェロの身を按じる。
冷気をもろに食らい吹き飛んだ事もあり、リキッドよりもダメージを負っているはずだ。

>>アンジェロ・ピニンファリーナ(エレバス・プラネット)


【絡みありがとうございました□】

2日前 No.1421

暁光 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★NjAEbaU9zT_4TG

【時空防衛連盟本部/応接間/サシャ・ローゼンクランツ】

モルディケイの言葉を聞き、以前同じように手を差し伸べた人達のことを思い出すサシャ。確かに彼女の言う通り、ある一方を貶めようとした者はいた。だが、あくまでそんなことをしたのは一部の者達だけだ。
全員が全員、その方向へ進んだという訳ではない。和解を受け入れ、今は平和に暮らしている者だっている。故にサシャは、相手の意見を一定量は受け入れつつも、完全に同意を示すことは出来なかった。
手を取れるのに取らないのには、それなりの理由があるのだろう。過去に受けてきた迫害や差別に関しては同情するが、だからといってこうした手段に頼ることは認められない。

「辛い記憶をすぐに消すなんてことは出来ないよ。でも、それを思い出さずに済むくらい幸せな記憶を沢山作ることは出来る」
「貴方が大切にしていたものはもうなくても、新しく大切なものを見つけることも出来たはずだよ。あなたがこんなことさえしてなければ、あたしも……」

少し悲しそうな表情を浮かべつつ、そう語るサシャ。一度味わった記憶、特に嫌な記憶というのを消すことは並大抵のことではないだろう。脳は、そうした本人にとっての悪い事象を、より鮮明に記憶する傾向があるからだ。
記憶処理なんてやり方を推奨する者もいるだろうが、それは根本的な解決にならない。ならばどうすればよいか、という話になってくるのだが、彼女は嫌な記憶を薄れさせるくらい、幸せな記憶を作ればいいと提唱する。
勿論それも決して簡単なことではないが、少なくとも復讐に囚われているよりはきっといいことだと、サシャは確信している。本人にその気がない以上はどうしようもないが、手を取ってくれたのならば、サシャがモルディケイにとっての新しい"大切な存在"となる覚悟があった。
しかし、もはや言葉が通じることはない。相手が望んでいるものは、己の視界に入ったもの全てを等しく破壊することのみ。こうなった以上はサシャも、"今ある大切なもの"を守るため、力を振るうしかなかった。

憎悪の言葉と共に肉体を変貌させ、龍の如き姿へと変貌していくモルディケイ。しかし、それは実際の龍族を見たことのあるサシャからしてみれば、歪であるとしか言いようのない外見をしていた。
中でも特に胴体に形成された顎、尾の先に形成された顔は際立って異質だ。聞きたくもなかった骨の砕ける音、肉の裂ける音が耳に入り、彼女は思わず苦悶の表情を浮かべる。だが、ここで逃げる訳にはいかない。
本名であるかも分からぬ彼女の名が語られた後、広げられた翼より噴出する黒い靄。同時に二つの口から放たれる、黒炎。もはや憎悪そのものに成り果てた存在が繰り出す一撃は、全てが激烈の一言であった。
逃げ場はない。かといって、防ぎ切るのも難しい。それでも彼女は、決意と共に祈りを捧げる。膨大な質量が迫りくる中で、ハリーやヴィクトーリアの前に進み出るサシャ。真っ直ぐな瞳が、モルディケイのそれと交差する。

「もう、誰も恨まなくていい。どうしても恨むなら、あたしだけを恨んで! あなたのしたいことを邪魔をした、あたしだけを!」

力強い叫びが木霊すると同時に解き放たれた、眩い光。それはサシャと二人の仲間を包み込むようにして展開されていき、降り注ぐ数多の脅威を退ける防壁として機能する。
膨大な質量を前にしているにも関わらず、彼女の表情は実に穏やかなものであった。魔族でありながら、魔ならぬ心を持つ聖女の祈りが、憎しみや恨みといった負の感情を受け入れ、浄化していく。
漆黒の憎悪の勢いは留まることを知らず、白き守護に捕らわれてもなお荒れ狂い、サシャへ迫る。ここで決着が付かなければ、彼女は為す術もなく闇に呑み込まれることになるだろう。全ては、ヴィクトーリアの一撃に懸かっている。

>モルディケイ・シグネス、ハリー・トライベッカ、ヴィクトーリア・ダールグリュン

1日前 No.1422

首狩りヴァルキリー @kyouzin ★tdMurNVUON_4TG

【リヒトルザーン/時空防衛連盟本部/資料室/ミシャール・ルクセン】

「あー……仕切りなおすか、キッチリな」

勘違いから来る謝罪、これに対する困惑。
当然のように発生してしまった何となく気まずい感じ、互いの苦笑。
こういう時は無理に言葉を重ねてしまうとダメだと、ミシャールは少々の沈黙があった後「キッチリ仕切りなおす」と宣言する。 どうにも、戦場から離れている時期が長いと、戦場に居ない時の自分が前面に出てきてしまう、戦士はやはりしばらく離れていると弊害があるな、などと思いながらも、仕切りなおすという言葉通りに、シリアスモードに戻る。

で、だ。

「おいおい、一発限りの不意打ち攻撃、受け取って貰えないとは……いやあ、困るね、本当に」

まずミシャールの口から出たのはそんな悪態だった。
彼女が怪力を生かした斧よりも得意な仕込み武器を使った不意打ちは「同じ使い方」をするなら、基本的に一発限り。
使う場面というのは必中が求められるのだが、まぁ、結果はこれだ。

軽口を叩いているようだが、困るというのは紛れもなく真実。
だが、それは敗北を意味するものではない、バレた仕込みも使いようだ。

それでも良いぞ、なんて言葉を並べて自分だけではなくユーフォリアの攻撃も防がれたのは正直な所厳しい。

で、反撃はその分ショボくなれば儲けものなのだが、デカブツの召喚というまぁ派手な事をしてくれるわけで。

「やるだけやるかね」

そんな風にため息をついた後、ミシャールは二つの大斧を重ね合わせるように合体させる。
元よりツヴァイシューターは一対の武器であると同時に、合体武器でもある、この形態をとる事で、手数は減るが雷撃の威力などは大幅に向上するのだ。

それを軽く振るって見せれば、飛び散るは火の輝きも、光の眩さも掻き消さんばかりの雷。
その破壊力は、振りかざされた火の粉を払うのにも、闇の巨人の動きを鈍らせ、ユーフォリアがある程度無視するにも十分な威力を発揮するだろう。

前準備はここまで。
そのままミシャールはより巨大になった斧を抱えて、敵に接近し、光の巨人を蹴り上げるように足場として使い跳躍、そのまま、先ほどのように両手を前に向けて毒針を乱射する。
だが、これは既に「見せた手」だ、大した意味は無い。

本命はその時間を使ってエネルギーをリチャージしているツヴァイシューターの一撃。

毒針をある程度撃った後、リチャージを知らせる轟音がツヴァイシューターから響き、仮に巨人がコズミックメイガスを守ろうともそれごと貫くような大出力の雷をまとった一撃をミシャールは振り下ろす。

>ユーフォリア・インテグラーレ コズミックメイガス

1日前 No.1423

烈風のムードメーカー @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★NjAEbaU9zT_4TG

【時空防衛連盟本部/時間遡行装置→移動開始/アンジェロ・ピニンファリーナ】

どうやら、リキッドはこれ以上戦うことは不可能なようだ。確かに、この腕を見ればそれが間違いないことが分かる。エレバスによって水に変化したまま凍結させられた結果、液状化時間の限界を超えてしまったのだろう。
こうなってしまえば、もはや普通の救護班に任せたところで彼女を治すことは出来ない。バイオアンドロイドの専門家に見せる必要があるのだが、幸いその専門家は連盟本部にいる。
少し悪い言い方にはあるが、世間一般的に見れば"変人"に入るような人であり、度々よくない噂も聞いたりするのだが……少なくとも、アンジェロは彼女のことを信頼している。連盟に敵対している訳ではないし、何より最愛の妻の、母のような存在でもあるから。

「それなら、早くレツハ博士のところへ行こう。俺は大丈夫だから」

リキッドの頭を撫でながら、彼女を安心させるようにアンジェロはそう答える。彼自身も決して小さくはない傷を負ってはいるのだが、心配は掛けまいと気丈に振る舞う。
さて、ここからレツハの元へ向かう訳だが、安全は保証されないだろう。何せまだ連盟本部内には、星雲の光の軍勢が展開している。目的地へ辿り着くまでに、それらとの戦いがないとも言い切れない。
加えてリキッドが戦闘不能の状況。迫りくる敵は、全て自らの手で跳ね除けなければならない。しかし、動じることはない。最愛の人に降り掛かる危険を払うのは、夫としての責務だ。
慎重に時間遡行装置が設置されている部屋から出たアンジェロは、そのままリキッドの手を引いてレツハの元を目指し始める。通信端末で応援も要請しつつ、彼は二重三重の警戒を持って廊下を進んでいくのであった。

>リキッド・ピニンファリーナ
【ここで絡みを切るか継続するかはお任せします】

18時間前 No.1424
切替: メイン記事(1424) サブ記事 (252) ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

 
 
<< TOPページ 掲示板TOP 記事データ お知らせメール ▲ページ上 >>
★必ず ローカルルールメビウスリングのルール をご覧ください。
 ▼スタンプ▲スタンプ
※スタンプはいちどに 3個 まで使えます  ×閉じる
注…進行相談・設定はサブ記事をご利用ください(テスト中)。