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【ALL】Euthanasia in the Asteroid U【冒険/戦闘】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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スレ主 @artemish☆8cfl5/j3VDw ★utloP7NDPP_3wf


 ――異星の錨は落ちた。楽園の光は地上に満ちた。

 それは突然の災害だった。
 瞬く間に失われていく自然の力、ヒトの営み。
 空の彼方より降り注いだ七つの光が大地を貫くと共に、世界は加速度的な終末の時を迎えた。
 惑星漂白。秩序は崩れ、生温い中庸は滅び、混沌すらも死に絶えた白の世界。

 宇宙からの星光は途絶え、地表は漂白され、地球はあらゆる関連から孤立した。
 ヒトの積み上げた歴史は見るも無残に棄却され、かつて未来と呼ばれた文明の灯は一つ残らず吹き消された。

 我々の宇宙は、未来は―――『礎』となった。
 歴史を見据える眼は既に無い、人を守護する英霊はもういない。
 すべては支配の檻に囚われ、進退も贖罪も赦されず枯死するのみ。

 だが、それを否定するなら、浅ましくも運命に抗い"生きたい"と願うのなら。
 旅立て、そして戦え。"まだ終わらない"と、"本当の闘いはこれからだ"と叫び続けろ。

 最期の希望は楽園の涯てに――――


【七つの"異聞星"を巡る、星を救う物語。詳しくはサブ記事まで。
 運営側役職『ドミネーター』のキャラクター以外はまだ本スレへのレスを禁止します】

メモ2020/01/23 22:23 : エースキラー☆wlNTvj.bQ62 @evil★Android-c1E0DIQTEq

改訂版ルール:http://mb2.jp/_subni2/19760.html-84#a

レイドイベント用ルール:http://mb2.jp/_subni2/19760.html-98#a


現行節あらすじ・概要:http://mb2.jp/_subni2/19805.html-100#ahttp://mb2.jp/_subni2/19805.html-101#a


◆アステロイド4“虹の彼方に”万命捕喰円環 アーク

 異聞深度:A


 その日に文明は終幕を迎えた。

 人類の生存圏は著しく減衰し、国家の全ては消滅した。

   、   、 アラガミ

 あらゆる全ては、荒神と呼ばれるようになった未確認生命体―――。

『考えて』捕食を行う“オラクル細胞”の集合体によって食い尽くされた。


 その日に文明は進化を迎えた。

 人類はそれに対抗するための牙を得た。滅ぼすための爪を得た。


 神殺しを為す唯一の方法は、アラガミ自身の細胞を人体に適合させ、兵器として利用すること。

 それは人体に、あるいは兵器に、あるいは、あるいは―――。

 あらゆる全てを以てして、人類はアラガミという名の敵対種との生存競争に身を投じていった。


 毒を以て毒を制すると言うように。

 アラガミ自身の牙で以て、アラガミという敵対種を殺す闘争が幕を開けた。


 舞台は今より遥か先の時代。

 進歩しつつも増え過ぎた人類が地球という揺り籠を脅かし始めていた2200年代。

 地球上に既存の生物と大きく異なり、生物、非生物を問わずありとあらゆるものを侵蝕し、『捕喰』することで進化・生態を変化させていく未確認生命体『アラガミ』が出現。

 これにより人類そのものがほぼ食い尽くされ、死滅の危機に瀕している―――という世界。


 地球人口の9割は死滅。異聞星の発生地域はアジア。

…続きを読む(79行)

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千翼 @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★AmPQPE9EE6_RLB

【エイジス島内部B/千翼】

『無限』を取り出す力、だという。
明かされた手の内は、千翼からすれば荒唐無稽の代物であることに変わりない。そもそもの理が千翼の知るものとは違うのだから、それも当然と言えるのかもしれないが。
ただ、素直に凄いとは思う。……アラガミの群れの協力者や、『フェンリル』の連中には、やはりそういった知らぬ力を抱えた存在が多かった。
『溶源性細胞』を抑え込む……あるいは、殺し尽くすなんてことが出来る奴だって、探せばいるのかもしれない。そう考えたことがないわけではない。
だが、それは悪手だ。今のように戦えるのだって、その細胞が関与しているのだから生きる上で捨てることは叶わない。

「っ、ははは……生き返ったこと、は、……ないけど、……!」

実際は、今回が初めてだ。
今までも死にかけたことはあれど、絶命まで行ったことなどほぼない。銃弾の雨に曝されたって生きてきた。
だが、この星に来る前だけは違った。あの時自分は、本当にちゃんと『死』を与えられたのだという確信がある。
ろくでもない確信だ。だが、それもまた千翼の生きたいという思いに拍車を掛けている、とも言えた。

滴り落ちる血と奔る激痛に装甲の下で表情を歪めながら、広がる術式を睨む。
無限を取り出すという、摩訶不思議な力。嘘ではないのが身を以て理解した。どうすれば突破できる。
力づくで止めるというのは不可能だ。装甲すら抉り抜いた力を、物理的手段で止めることは考えない方が良い。
器用に片腕でインジェクターを装填し、残った腕の装甲を再変化させる。

<Claw loading……>

現るのは鉤爪。所謂、フックショットというやつだ。
そのままインジェクターを操作し、そのままの流れで爪を五条へと向ける。

<Amazon Break!>

充填されるのは、殺意とそこに必要な力。
円を描くように世界を削っている『無限』とやらの隙間を射抜き、五条の身体目掛けて赤黒いオーラを纏った鉤爪が放たれた。
軸としようとしているのは、そこらの地面でもなんでもなく、対象五条本人だ。
避けなければ―――……何らかの策を講じるか、避けなければ。そのまま鉤は身を貫き、その動きを固定するだろう。

また、そうでなくとも。

「―――ゥ、ぉおっ!!!」

短い叫びと共に、鉤爪を装備した腕のヒレで以てその身を引き裂かんと飛び込み振るう。

>五条悟

6日前 No.1770

ザックス @phile☆fFByNj5QP5A ★6lZVB9LbYB_RLB

【エイジス党内部A/ザックス・フェア】

 駆ける──駆ける。

 離脱せざるを得なかった最深部へ再び駆け戻るために。
 セファールという名前の白い巨神は目覚めこそしていないが、それは臨界点に到達していたものが少しばかり巻き戻されただけであることに違いはなかった。……ラグナの捨て身の抗いによって。
 現状、それを知るのはザックスとれんだけだ。ただまわりの状況からして、他のトリズナーたちも状況に気づいているらしい。
 であれば──彼らと一緒に最奥までもう一度突き進むしかない。
 道中体に入った傷を申し訳程度の《ケアル》で癒しながら進むザックスの目前に、少女の姿が立ちふさがった。

「(──ランスロット!)」

 身の丈より大きな槍《チャージスピア》を握るゴッドイーターの少女。
 彼女が支部長、つまり夢美と手を組んだ男に心を傾けていたのは周知の事実だったし、この状況で彼女がここにいることに対して楽観視などはできなかった。
 彼女は間違いなく行く手をふさぐためにそこにいたし、使命にかける悲壮なまでの一途さ以外をまとってはいない。
 何かを決めてしまった戦士の決意の光。ザックスはそういうものを纏って戦ってきた戦士のことを山ほど見てきたし、そもそも自分自身に覚えだってあった。
 だからこそわかる。もうこの少女は、話し合いみたいな生易しいものをこの場に求めているわけじゃないことを。

「……どいてくれたりは──しないよな!」

 立ち止まりながらバスターソードを正眼に構える。
 確認するような呼びかけを、拒絶されることがわかりきっていながら問いかけずにはいられなかった。
 いつだって、一度は肩を並べた相手に剣を向けるのは簡単じゃない。
 通過儀礼と言うやつは必要だった。おたがいに。

>ランスロット

6日前 No.1771

カイ @phile☆fFByNj5QP5A ★6lZVB9LbYB_RLB

【エイジス島・最深部B/カイ=キスク】

 ついに相対したドミネーター、岡崎夢美は、こちらの言葉にさほど取り合うことをしなかった。
 自分の手繰り寄せる勝利に確信を抱いているからこその余裕か──もしくは勝利を諦めないからこそのぎらつきか?
 一度の邂逅だけでそれを掴めるわけもないが、女がその方舟の飛翔へかける情熱が少しも醒めていないことだけは明らかだった。

 自らの夢見たものへたどり着くために進むことをやめない、その変質的ともいえる情熱は──この状況においては、ただただ恐るべきものとしか映らない。
 カイはドミネーターが背にする巨神を一度だけ睥睨して、いま倒すべき相手に集中する。

「ただのひとりの欲望のために星そのものをくべるその強欲さ──糾弾することはしない」

 自分自身がそうだからだ。
 ランスロットとの戦いの時に味わったものを、もう一度とっくりと感じる暇はない。
 ここにあるのはその道の果てだ。目指すべきドミネーターの首がいま目の前にあるのであれば、それに対して剣を突き付けるときに邪念など必要はない!

「ええ──そう言うなら望み通り、この手で撃ち落としてみせよう!」

 吼えながら、カイは魔法陣を睨みすばやく法力を編み出す。
 ここまでカイを連れてきたラグナロクの白竜に内心でだけ礼を告げながらその背を蹴り、滑空の勢いを借りながら飛び出した。
 愛剣マグノリアエクレールへ雷撃を纏わせ、振り払いながらスタンエッジを打ち出す。
 雷の刃はこの地において最大のアドバンテージを持つ夢美の打ち出した光の蔓のそれに出力こそ及ばないが、カイに差し向けられたうちの一つを刺し貫き絡めとることでその軌道をそらすことはできる。
 先へ進むのであればいなすものは最小限で構わない。足へ法力を分散し踏み出す力を高めながら、更に手で円を描いた。
 吹き荒れる光子の嵐に抗うように、騎士の生み出した十字架の盾がその軌道を妨げる。
 そこへもう一方の拳を突き出し──法力を爆裂!

「セイクリッドエッジッ!」

 カイの呼び声とともに、盾は法力を増幅する砲台となった。
 打ち出したスタンエッジより一回り大きな剣は、砲台を通すことで雷速で突き進む光の大剣となり夢美の、その翠色に輝くクリスタルへ突き進む!

>ラグナロク、岡崎夢美

5日前 No.1772

防人 @recruit ★1tmmb02HRh_emY

【エイジス島内部D(未明領域)/楠芽吹】


>>1766


 ━━━お前のような奴にだけは言われたくのない言葉だ。


 説得力が欠片もない言葉に対し、胸中で吐き捨てる。
 殺しを生業としているのを隠す事無く自ら宣言し、躊躇なく標的の喉目掛けて刃を突き立てる人間が何を嘯くか。
 其れが挑発や普段通りの奴の態度でしかないと分かっていても、感情を波立たされる。

 とはいえ、それを口とする程、余裕がないのも現状だ。
 ふざけた台詞から間髪を置かずに放たれる無数の弾丸に対して、芽吹は一歩、一歩と後退しながら、銃剣で之を払う事。
 ただ振るい弾くのではなく、剣の切っ先で弾丸の軌道を逸らす事を優先。
 向こうが使っている弾丸とその威力が通常の物を容易く凌ぐ代物なのは先刻承知済み。
 まともに受け続ければ、得物はともかく腕が機能に支障をきたすのは見えている。

 弾丸は全て、戦衣を掠め、頬を裂き、紙一重を通貨して往く。
 ほんの僅かでも乱れることがあれば、死は免れない。
 それを可能としているのは芽吹自身の集中力と、これまでに重ねてきた研鑽。
 連戦に続きに身体は悲鳴を上げながら、だからこそより一層死から逃れんと極限の状態は続いている。

 そして、それだけではなく━━━。


「━━━御断りね。少なくとも、あんたに殺されるのだけは。絶対に」


 それらの動きが、一手目と似通っていたからこそ、対応が成立したと言えた。
 銃撃から次いで、追撃として肉薄しながらの手斧による斬撃は、同じ手順による攻撃だ。
 もしも異なる手段による攻撃が行われていれば危うくもあったが、芽吹には予感があった。
 相手は此方を甘く見ている。或いは、特別な手段を使わずとも単純な性能差で殺しきれる━━そう見ていると。

 まあ、そう推測したのは、腹立たしくも先程から此方へ投げられる言葉の節々から読み取ってのものだが。

 ともあれ、軽んじられるのは癪だが、ならば其れを利用して。

 次に来るのが接近しての一閃だと考え、男が間合いを詰めるようにして踏み込んだのを確認するよりも早く。
 半ば、先読み気味に大きく横へと跳び、回避を行いながら━━━。


「返すわよ!!」


 銃撃。
 一つ、二つ、三つと引き金を絞れば、殺し屋目掛けて飛翔する。

5日前 No.1773

相羽シンヤ @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島・最深部A/相羽シンヤ】

流石に、擦りもしないか。
だがシンヤはバイザーの中で同時に笑みを浮かべる。『そうでなくては面白くない』と。

「ほう、俺のことも把握済みか。それは光栄だ」

フロンタルはフェンリルの長だ。シンヤの事を知っていても何らおかしくはない。だからそれに対する驚きはない。シンヤはフロンタルの言葉を嗤う。

「そうさ、理の話じゃない。
俺は、俺がこうしたいから此処にいる…貴様を倒しになァ!!」

格、でいうならテッカマンエビルはイースレイやグラファイトよりも間違いなく劣るアラガミである。だから彼らに、アラガミの楽園を作る力はあったかもしれないがシンヤにそれを成す力は無いであろう。
だがそれでも、戦いを止めないのがテッカマンエビルというアラガミである。自分の本能に従うアラガミ、それがテッカマンエビルである。

シンヤは自身の傍に赤い球体を二つ発生させ、それをレーザーにして発射、シナンジュの放つビームライフル射撃を相殺する。そして続いてのビームサーベルの突き。

「フッ…流石に重いな…!!」

テッカマンの持つテックランサーを叩きつけて迎撃、火花が散るがシナンジュの驚異的な加速力にテッカマンエビルの身体が弾かれ吹き飛ばされる。

「トリズナー、この男は俺が押さえてやる。
だが紅蓮の錬金術師は貴様が倒せよ!!」

トリズナー、龍炎寺タスクにシンヤはそう声をかけながら遠ざかるシナンジュに向き直る。それをシンヤにはテッカマンのバーニアを吹かして追従、シナンジュに追い縋る。

「おおッ!!」

そしてシンヤはシナンジュの後方からテックランサーを振りかぶりテックランサーによるフルスイングの一撃をシナンジュに見舞う。

>フロンタル、キンブリー、タスク

5日前 No.1774

カリスモン @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島外周D/カリスモン】

結論から言えば、『戦いのやり方』というものがそもそもカリスモンよりリンドウの方が上手なのだ。スペックが上とはいえ人間を見下すカリスモンと人間以上の強さの怪物を何体も倒し、そのやり口を熟知したリンドウ。
それこそイースレイやグラファイトのような規格外か相手を決して侮らない精神があれば話は違ったかもしれないがそうでないなら結果は順当に見えていた。
だがそれをカリスモンは認めなかった。

「仕留め損ないましたか…!!」

今の『ゼーレゲヴァルト』は掠めたかもしれないがそれ以上の成果は期待できないだろう。だがリンドウが隠れた場所は見ている。
次はあそこに――
ビットで狙いを定めた時だ。

「いいでしょう…そんなに死にたいなら、望み通りにしてさしあげる!!」

あからさまなリンドウの挑発発言。だが今の冷静さを失ったカリスモンはこれがリンドウの挑発だと気付く事は出来なかった。

再度、カリスモンは右手を挙げてゼーレゲヴァルトの体勢に入る。加えて今度はビットによる包囲付きだ。

「死ねェッ!!」

ビットによる一斉射撃、更に先ほど放ったものと同じ目玉模様が刻まれたエネルギー球体『ゼーレゲヴァルト』。それらをカリスモンはリンドウの声がした場所に一気に叩き込む。

それが、リンドウの策とも知らずに。

>リンドウ

5日前 No.1775

雨宮リンドウ @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_RLB

【 エイジス島外周D/雨宮リンドウ 】

 タイミングは一瞬。遅れても早くてもいけない――解放状態が切れる前に、包囲網を潜り抜ける。
 加えて瞬時に此方を包囲した射撃機関の群れに、一斉に光が集う。こちらの挑発には見事に乗ってくれた。
 光子を充填する独特の音が、大気を弾けさせながら鳴り響く。ご丁寧にも、先ほど撃ち込んだ荷電粒子砲のオマケ付きだ。
 成功の見返りが大きくなった分、失敗すれば無様に消し飛ぶのはこちらの方だ。

 ――1、2の。

 砲撃が、ビットが、リンドウを串刺しにし灰に還さんと煌めく。

 ――3ッ!

 余人ならば容易く消し飛ぶ集中砲火の雨をかいくぐるかのごとく、リンドウは壁を蹴って垂直に走った。
 重力に逆らい強引に包囲網を離脱。無理矢理突破した分、一部が体を掠めていくがそんなことはどうでもいい。
 カリスモンの死角を取るように、なおかつ登るように走り続ける。

 必要なのはこの後の結果だ――予想が正しければ、離脱したことすらアイツは気付かない。

 『ゼーレゲヴァルト』が着弾し、無数の光線が追い打ちをかけた地点に転がされていた幾つものスタングレネード。
 、       、   、 ・・・・・・・・
 熱線と衝撃は言うまでもなく、その場で爆発するにはあまりにも十分すぎた。

 何度も繰り返す激しい爆発音と同時、複数にわたって折り重なる音波が大気を震わせる。
 爆発音と同時に、白い光がいくつも開いた。聊か派手すぎるくらいに、眩い明かりが世界を染める。

 どちらかの考えにさえ至ればいい。
 慢心の塊であるならば、そうなると予測しているから。
 怒りによる活性化状態に陥ったアラガミに、長期戦を挑もうだなどという精神はリンドウにはなかったのだから。

 一つ――あそこまで激しい爆発では生きていないという慢心。
 一つ――激しすぎる明かりと鳴りやまぬ爆音に目を奪われ、そこ一点だけを注目する視界の狭さ。

「(引っ掛かってくれよ――ッ!)」

 バースト
 解放状態はもう途切れる。
 そうなる直前に、壁を蹴って思い切り飛び、眼下のカリスモンに奇襲を仕掛けた。

 破壊すべきは頭上。
 頭部に突き立てるようにして展開された神機より、獰猛な獣が出現し、牙を突き立て、呑み込まんと襲い掛かった。

 、  プレデター
 それは捕食者。
 この星における生存競争の原理そのものであり、弱い奴が喰われて死ぬという単純な理屈の具現化。
 この世の絶対法則であり――即死する可能性のある、生命力に満ち溢れた部分を貪り喰らわんとする。

>カリスモン

5日前 No.1776

赤頭巾 @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_RLB

【 エイジス島外周A/奴隷騎士ゲール 】

 魔術剣士の剣閃をこともなげに受けきり、召喚士の礫は触れる事すら叶わない。老騎士の弩に至っては、受けた上で平然と立っている。
 三者の連撃を圧倒する男は、決して洗練された動きでないにもかかわらず魔神の如き異能の暴力で以て、丁寧に一人一人こちらをねじ伏せにやってくる。
 無論、この老騎士に対しても例外ではなかった。

 間合いを一挙に詰め、飛ぶ拳打。
 単なる直進ではなく、速度に偏差を加えて間合いを騙している。
 いかな手練れの老騎士とて初段から弾き(パリィ)を狙えるものではない。

 結果、直撃。胴体を貫く奪命の拳打を受け、紙細工の如くに吹き飛ばされる。

 地面を数度転がり、もんどりうって倒れる。
 人の身なるものであれば即死は免れぬ、それほどの衝撃。直撃を受けて無事では済まないのが道理である。

 なれどその身は不死、死より見放された亡者なれば、この程度の痛みで斃れることは赦されない。
 むくり、と。糸で釣った人形のように老騎士は立ち上がる。

 痛みに身体髪膚が絶叫を上げる中、しかしゲールは醒めた思考で敵の言葉を反芻していた。
 不死と一言で語れども、その仕組みは様々だ。
 伝説の白竜は、不死の鱗の源たる原始結晶を研究することで完全な不死を成し得たという。
 それは朽ちても死ねぬ故の脆弱な不死と異なる、朽ちる事なき不死である。
 老騎士の体現する『不死』と、目の前の奪われたものの体現する『不死』とは、その関係に似ていた。
 要は敵の持つ命の容量が途方もなく巨大なのだ。それこそ、幾千もの時を生きる生命の大樹のように。

「それだけの命……錨を取り込んだ訳ではあるまい。
 より深く『神』と繋がっている故の恩恵か」

 弥勒の背後から神琴が攻めに入った隙を見て、老騎士は跪き、祈りを捧げながら思案する。
 真っ先に考え付くのが、異宙の錨との接続による尋常ならざるバックアップであろう。
 だが、彼とフェンリルとの関係が皆無である以上、横からくすねて錨の力を行使しているとは考えにくい。
 恐らくはこれも他の異聞星の奪われたものと同じ、『神』の加護、『神』の一端を享けている身故の優位である。彼の場合、元の実力と、より強力な加護を享けることで埒外の怪物へ変じているだけ。
 強さの理屈はその辺りであろうが、要するに分かり易い弱点などアレに存在しないということ。あったとしても突けるか否かは怪しい所だ。加えてアレは、恐らくだが叛逆者同様に星を渡ってくる可能性がある。出来るかはともかくして、無視して錨を先に破壊し、星ごと消し飛ばしてやり過ごすという対策が使えない。
 となると、これ以上絶望的な敵はいるまい。

「――」

 成程。小賢しい発想である。
 元よりこの旅は暗夜の中、薄氷の野を征くが如き修羅の道であった。無理や無茶をねじ伏せて、死中の活を探ってきた。
 ・・・・・・
 敵が強いだけな限り、突破できぬものはない。

 老騎士の詠唱が完成する。放つのは白教に古くより伝わる『中回復』の奇跡。
 周囲の戦士を含めて太陽の加護を振りまく回復奇跡。それは己を含め、絶えず重傷を受け続ける神琴やガイトとその従者に対して癒しを齎す。
 無尽蔵な命に抗うにはささやかな生命の加護だが、これほど隔絶した差を持つ相手に力押しは通じない。耐えて突破口を見いだす、その必要があった。

>天戯弥勒 アマテラス=姫 神琴 黒渦ガイト

5日前 No.1777

エースキラー @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島内部D(未明領域)/エースキラー】

「へえ、頑張るねえ。
コイツは地球の兵器より断然強力なダガレット製弾だってのに」

ハンドガンの弾丸を銃剣にて的確に弾く芽吹にエースキラーはそんな感想を漏らす。掠めてはいるがそれでは幾ら強力な弾丸とはいえ致命傷になるはずもない。
そうしてエースキラーの続いての一閃は――

「(躱しやがった?)」

エースキラーの一閃は躱されその背中に芽吹の放つ弾丸が突き刺さる。エースキラーは転びこそしなかったものの蹌踉めき膝を着きかける。

「ってーな…!!」

ギラリとスーツに包まれた内部からの眼光が芽吹を射抜く。エースキラーは、激情家である。そして、その激情に火が点けば止まらない面がある。

「しぶてえんだよクソガキが…!!
さっさとおっ死ね…!!」

怒りに火が点き始めたエースキラーが芽吹に襲い掛かる。続いては銃撃を行わずの身体能力を活かして肉薄、芽吹目掛けて蹴りを放つ。更に手斧による斬撃、肘による殴打と暴力に任せた乱打を怒りのままに繰り出していく。

>芽吹

5日前 No.1778

スレ主 @artemish☆8cfl5/j3VDw ★xQst1BEY9F_pjd

【エイジス島内部C(未明領域)/虞美人】

「そうね。尤も、随分前にそれも諦めたけれど」

 何分、他人の何千倍、何万倍という時間を生きている身だ。
 知的生命体の情動というのは得てしてどれも長続きしないものであり、終末を希う自分はふと気が付くと見えなくなっていた。
 かと言って永遠を謳歌しようと前向きに生きているわけでもなく、ただ時を揺蕩うばかりの毎日。
 虞が一時仕えていたあの"王"は、人の身であった頃に不老不死を追い求め、ありとあらゆる外法に手を出していたというが……生まれながらに不死を所持していた虞に言わせれば、とんだ物好きが居たものだと思う。

 どう生きて死のうが、いずれ安らぎを得られるという時点で虞に言わせればとんだ果報者だ。
 己は世界を知覚したその瞬間から、滅びの定めにすら見放されていた。
 揺蕩い、彷徨い、裏切られ、殺し、滅ぼし……或いは、看取り。
 そうやって生きてきた今日までの道程。読んで字の如くに波瀾万丈の生涯だ。そりゃ、こんな風にやさぐれたくもなろう。

「殺すことばかり巧い、不便な身体よ。
 大切な御方と添い遂げることも出来ない───とんだ出来損ない。お前も、悪いことは言わないから不死身なんて目指すものじゃないわ。"半端者"程度で我慢しておきなさい、先人からの忠告よ」

>れん

5日前 No.1779

防人 @recruit ★1tmmb02HRh_emY

【エイジス島内部D(未明領域)/楠芽吹】


>>1778


「生憎だけど、私の銃剣(これ)も特別製なのよ━━」


 曲りなりにも埒外の生命体である怪物(バーテックス)を相手取る為の武装。
 星屑程度であるのならば打倒し、未完成体でこそあるが、その肉を切り裂く事をも可能とする。
 即ち、これとて単なる武器の範疇に納まらない神の眷属と渡り合うべく作り出された道具なのだ。
 容易く打ち砕かれる道理はない。
 此処までも、荒ぶる龍神との戦闘以外で破損した事はなかったのだから。

      ・・・・・
 ━━然し、地球の兵器?


 まるで地球の外で製造された品であるような言い草。
 いや、まるでではなく、事実そうなのか。
 男がこの星に根差した存在なのか、或いは流れ着いた者なのか、それは分からないが━━
 どちらにしても、芽吹の知る範疇による武器とはまるで異なる技術を用いたものなのは疑いようがないだろう。

 同時に、その分だけ脅威としての度合いも増加する。
 未知ほど、恐ろしいものはない。


(堅い……! ━━━不味い。これじゃ、怒りを煽っただけか……!)


 そう考えれば、男が纏うスーツもまた未知の代物だと見るべきだ。
 弾丸は確かに命中したものの、装甲から下を貫くに到っていない。
 全くダメージが通っていない訳じゃないが、この程度では向こうの怒りに油を注いだだけだ。


「っ! づ、ぐ……ぁ!」


 其れを示すかのように、二度に渡って行ったパターンを棄て、
 明らかな苛立ちを隠そうともせず、男は間合いを詰めて蹴りを放つ。
 横跳びの後、まだ体勢を整い直しきれていない芽吹に痛烈な一撃が打ち込まれれば、鈍い音と呻きが洩れる。


「つ、ぅ"━━━ッ」


 間髪置かずして振るわれる刃、打ち下ろされる肘鉄による暴威。

 鋭利な鋼による一撃はそれだけで致命だ。
 何から身を守るべきなのかの判断は早く、銃剣は最優先で斬撃の迎撃へと移り、
 肉が裂かれるのを防ぎはするが、そうなれば当然他の箇所への防御は手薄となる。

 容赦のない殴打を浴びせられ、苦悶の表情と共に、その手から銃剣が落ち、よろめいた━━━瞬間。


「━━同じ事を何度も言わせるな。そう簡単にくたばれる身分じゃないのよ……御断り、だ……!」


 崩れる身体を脚で踏ん張れば、既に詰まっている距離を更に縮めるように、前方へと突進。
 互いの距離が零に為るほどの位置まで迫れば━━━。


「どれだけ硬かろうと……」


 その手には、先程痛みに耐えかねて取り落とした筈の銃剣が在るべき場所へと帰るかのように、"戻って"いた。


「━━━これだけ詰めているのならッ!!」


 そして、引き金は━━━絞られた。

4日前 No.1780

黒渦ガイト @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島外周A/黒渦ガイト】

三者三様の攻撃、直撃すれば手痛い損耗は免れない筈だ。ただしその前に、『相手が常人であるなら』という言葉が付くが。

「無傷だと…!?」

『馬鹿げている…!!』

否、無傷という表現は的確ではないかもしれない。ゲールの攻撃が弥勒に届いた時、肉の焼ける臭いがしたから。だがそんな事実すらなかったかのように弥勒は平然と立っている。
そして更に先の三倍はくだらない密度で弥勒の攻撃がガイトに迫る。

『ご武運を…!!』

そう言い残してレイディージーが特攻し、可能な限りの光枝を食い止め砕け散る。

「キャスト…!
『黒竜の盾』!!」

続いて出現するのは黒竜が描かれた巨大な盾だ。それを以てガイトは光枝を防ぎ、ガイトはアビゲールの背に乗り急速離脱する。
奴が不死身じみた肉体強度を誇るのは奴の言葉をそのまま信じるなら『死を遥かに上回るの命』を持つからであるという。

「つまりは、無数のライフか…!!」

『だが、無数ではあっても無限ではないはずだ…!!』

ならば攻める以外に道はない。ゲールの回復がガイトとアビゲールの身体に作用する。これなら多少の無茶は通せるはずだ。

「『黒き豪雨 ジークロン』をコール…!!
トリズナー達に続くぞ!!」

『我に祈りを捧げよ!!』

続いて現れたのは蛇のように長き身体を持つ黒竜だ。
ジークロンは叫びと共に敵の防御力を著しく下げる黒き霧を弥勒目掛けて吐きつける。それに続き、アビゲールの口から破壊光線が弥勒目掛けて砲撃が如く発射される。

>弥勒、神琴、ゲール

4日前 No.1781

カリスモン @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島外周D/カリスモン】

カリスモンの一斉攻撃が直撃する。大爆発と閃光が着弾点を覆い尽くす。
アレでは生きてはいないだろうとカリスモンは確信し――いや、待て。
いくらなんでも閃光が激しすぎる。カリスモンの技に、あそこまでの閃光を放つ力は無いはずだ。よくわかる、だって自分の技なのだから。

「まさか、スタングレネード…!?
複数個隠し持っていたのか…!?」

ならば、奴は恐らくあそこにいない。ならばどこにとカリスモンが周囲を確認しようとした時だ。

「雨宮リンドウ!!どこに――」

だが、それ以上をカリスモンが言うことはなかった。
リンドウの神機がカリスモンの頭を噛み千切ったからだ。頭を失ったカリスモンの身体が膝を付き、轟音と共に倒れる。

それは、アラガミとしてとてもありふれた最期だった。

【カリスモン@デジモンユニバース アプリモンスターズ、雨宮リンドウに討伐される】

>リンドウ

【これにてカリスモンは退場です。お相手ありがとうございましたーm(_ _)m】

4日前 No.1782

蒼穹の月 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_hYg

【エイジス島内部A/ランスロット】

「お久しぶりです。………と言うには、話した数も、肩を並べた数も足りませんが………。
 このような時にかけていい言葉を、私は多く知りません」

 対峙する男が正眼に構えたバスターソードの重い切っ先を向けるのに合わせて、
 彼女の手にした槍型の神機もまた、その矛を鋭く煌めかせた。
 ついこの間まで共闘し、同じ目的のために戦ってきたもの。
 そしてアラガミという存在の脅威度が減少したこの時、対峙せざるを得なくなったもの。
 敢えて正直に言うならば、ランスロット自身がこの展開を想定していたわけではなかった。

 彼女は本当に、この異聞星で生まれ、泡沫の中で生きていることを知らぬまま―――。
 ただ民のためにと願われて、そのように歩いて来た。
 世界を回す歯車のように生きたものも、しかしヒトの姿である以上望みがあって………。
 それを叶えたいと思い、その天秤が古巣に傾いた結果として、いまの状態がある。

「ですので、一つ。一つだけ」

 既に立ち止まり身を翻す猶予は過ぎていた。
 哀れまれようとも、否定されようとも。
 知ってか知らずか―――いいや、恐らくは前者だろう。
 でなければ、此処でただ一言「どいてくれるか」という言葉を臨戦態勢と兼ねてぶつけてくるはずはない。
 何故、とか。どうして、とか。
 一方的な理屈や説得をしないのは、恐らくそれが無意味だと知っているからかも知れないが。

 そしてそれだけに、彼女の方もとっくに決断を済ませている以上。
 同じく刃を向けたということが、通過儀礼として向けられた言葉に対する最大の解答だった。

「ここは通しません。
 私はこの星を………いいえ。大きなものを掲げて正当化するのは、この際です、やめておきましょう」

 英雄の名を冠した少女が―――『総意の器』に強く依存していることは周知の事実だ。
 そして彼女が、恐らくはそれを自分で自覚していることも。
 彼女がいま刃を向ける理由が、概ね“それ”に依ったものであることも。

 異聞星という世界の在り方を思えば、
 むしろこうした者が出て来なかっただけ、他の世界に生きるものは強かった。
 異聞星で生きる貴公子のように、あるいは花結いの勇者たちのように。
 ああした協力があったコトも、こうして異聞星の存在が敵に回ることも、コインの表裏のように巡っていき。


「私は私の大事なものを護りたい。私が見ることのできない理想を託したい。
 だから―――だから、あなた方の敵になる………!」


 もはや幾度となく繰り返し、これからも踏み越えることになるだろう生存競争の一幕が。
 どちらかの道を途絶えさせて進むための戦いの火蓋が、そこに切って落とされた。

 号砲―――それと共に凝縮され、爆発<ブラスト>を伴う冷気の波濤を以て。

 ランスロットが戦場における相棒とした神機は、
 俗にいうところの新型に当たる。
 遠距離ならば射撃兵装として、近距離ならば斬撃兵装として。
 戦場も距離も選ぶことのない汎用性は神機というカテゴリにおける一つの到達点と言ってもいい。
 それが本来向けられるべきアラガミではなく、人間に向けられたとしても。
 皮肉にも、嘗ての先達たちとの戦いを続けてきた彼女は、なんの違和感もズレもなく神機を取り回す。

 中距離から地面に打ち付けるようにして炸裂するオラクルの塊が、
 冷気に変換され、爆発を起こして足を縫い留めるように広がると。
 そこに飛び込むようにして、変形した大槍を巧みに操ったランスロットが、息を吐かせぬ勢いで迫り。

 まずは、一撃。
 チャージ
 突撃から繰り出された重く鋭い槍の一撃は、初手の氷弾も交えた二段構え。

>ザックス・フェア

4日前 No.1783

蒼穹の月 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_hYg

【エイジス島・最深部A/フル・フロンタル】

「分かっていて“そう”ならば、やはり、ただの徒労だ」

 なにかを思い出すように。
 彼は、無機質な声で少年の叫びに応じた。
 ゾルフ・J・キンブリーがタスクという少年の感情にメスを入れ、
 生半可なものであるならばそれごと遠慮なく踏み潰そうとするならば、彼の対応は似て非なるものだ。

「誰が間違いではないと決める? 間違いとはなんだ? 正しさとはなんだ?
 そしてそれが、なんの慰めになる………?」

 赤い彗星の名を冠した男はそこに糾弾や批難の意を断じて持たせないが。
 しかし答えがどうだろうが躊躇いなく踏み潰すのがフル・フロンタルだ。
 言ってしまえば、好悪や個人の感情という私情と、公の目的が完全に分けられている。
 過ちを気に病まず、ただ認めて次の糧にする―――その割り切りこそが、彼の精神の強さ。
 あるいはその対応こそが、赤い彗星を―――『シャア』という器を無機質な王たらしめる。

 、  ・・・・・・・・・・・・・・・
「―――中年の絶望を押し付けられては困る、かね?」

 向けられた無数のミサイルの嵐は、
 シナンジュがテッカマンエビルに一撃離脱を狙い、
 しかしその刃を拮抗させて仕切り直すと同時に襲い掛かったが。
 しかし、その悉くを、器用にビームライフルの閃光が叩き落としていく。

 全てを落とすにはあまりにも火力が足りないが、無数に迫る爆発物という特徴が変わらないのであれば、密集箇所を撃ち抜くことで誘爆を狙い、またそこに隙間を作り出す程度のことは造作もない。
 それらは確かに命中するならば、シナンジュとその駆り手たる『シャア』に手傷を負わせるだけのものがあるだろうが………言うなればこういうことだ。


 当たらなければどうということはない―――。

 弾幕の中を掻い潜るなど日常の範疇でしかない機動兵器の駆り手に、射撃戦など無謀以外の何物でもなく。
 しかしその割には、『シャア』が向けるタスクへの評価は、存外にも高いものがあった。


「なるほど。きみも向こう見ずだとは思ったが、よくよく思い出すものがある………。
 合点が行った。確かに此処に来るものは数居れど、アルテラ・ラーヴァと『触れる』可能性を持っていたモノは、この異聞星を探してもきみしかいなかっただろうな、龍炎寺タスク」

 それは先ず『シャア』として見た戦力の評価………。
 コンバイラを落とし、イースレイの出陣まで『群れ』を追い詰め。
 実際にこの戦いを終わらせ、異聞星アークにおける最終段階まで駒を進めたという点。
 それも然ることながら、彼の言葉には、なにか既視感をタスクに感じたかのような素振りがあった。

 かつて似たような少年が居た。
 人間だけが宿す神を秘め、自らを下し、その果てに“納得”させたものが。
 それを思い出すように振る舞うのも、しかし一瞬―――。


「………ならば益々。此処で殺しておくことに損はないか。
 本懐を遂げるといい、ゾルフ・J・キンブリー」


 牽制射撃を行う判断を下す前に、迫って来る戦鬼に眼を向ける方が早く。
 彼を仕留めるという戦術目的は、部下であるキンブリーを主軸とせざるを得なくなった。

 とはいえ、普通の『アラガミ』程度ならば、よもやこの男が負ける道理はない。
 赤い彗星の技量、感知能力、反射速度を下すには、本能ありきの獣では荷が勝ちすぎるというものだ。



 もっとも………それは、テッカマンエビルをただの『アラガミ』と呼べるならば、の話だ。
 これに限って、まさかそのようなことはない。
 把握済みと口にしたのは『群れ』と『フェンリル』の均衡のためでもあるが、
 イースレイやグラファイトに及ばずとも、この存在は長く生き延びてきた類のアラガミである。
 その進化の果てが、棄民の王の喉笛を食い千切らないなどと………まさか口が裂けても言えはするまい。

 それに、相手の選択は一見すると無謀かつ直情的だが、
 その実、この状況を踏まえてみれば最も勝率の高い判断と言える。

 なにしろフロンタルとキンブリーは軍人同士、上司と部下だ。
 お互いのスタンスや目指すものを踏まえた場合、その程度の言葉では片付かないが。
 そういうものを抜きにして連携した行動を踏ませてしまえば、
 即席のタッグであり目的自体も完全には合致しないタスクとシンヤでは確実に分が悪い。

 つまり必要なものは、2対2の状況を作れば確実とはいかずとも、
 9割方敗北するという最悪を回避すること―――そう考えてみれば、その行動は如何にも都合がいい。

「臆することなく向かって来るか………!」

「(狙いは分断か………理に適う判断だな。
  本能に傾こうと、その経験は失われていないということか───)」

        テッカマン
 蒼穹を舞う紅の機人が彗星に追い縋る。
 エイジスの未明領域で繰り広げられるのは、人機一体のドッグファイト。

 その姿には一切の衰えというものを感じさせない。
 その貪欲なまでの執念は本当に“倒したい”だけで片付くものなのか………そこについて、フロンタルが考えを巡らせる意味はないし、相手が口にするとも思えない以上深い言及は避けておくが、その空をも自由自在に動く脚運びは、シナンジュを捉えるにあたっての絶対条件だ。この相手ならば“噛み合う”と言っても過言ではない。

 ミサイルを撃ち落とし、戦闘軌道を取り直した直後の紅星に迫る紅鬼。
 得物として携えたテックランサーの切っ先がシナンジュを串刺しにせんと猛威を振るうと、
 すぐさま身を翻したシナンジュがシールドを向け、咄嗟にその斬撃の威力を抑え込みに掛かる。

 結果、シールドには大きな斬撃跡が奔る。
 特徴的なエンブレムごと盾の前面に走る破損のあかしが、その威力の証明とも言えた。
 格闘戦のパワーにおいては確かなものがある―――そう認めざるを得ないところだが、しかし。

「―――ならば!」

 その隙を縫うように、此方もバーニアを稼働させ。
 急激な加速から繰り出されたのは腹部へのキック。
 弾き飛ばすような蹴撃は、テッカマンエビルの持つテックランサーの間合いから自らを外すためでもあり。
 同時に、命中したならば衝撃によって、そうでなくとも相手の対応を遅らせることこそが本命だ。
 命中せずとも、宙返りでもするかのように即座かつ急激な上昇軌道を取りつつ武装を放り投げたシナンジュが、間髪入れずに構えたのはロケットバズーカ。ライフルと連結したそれが、その大きな砲口をテッカマンエビルに向けた時には、もはや瞬きの猶予すらなく………。


 砲撃―――二発。高速の一射と、ディレイを掛けた二発目。


 ライフルから放たれるビームの閃光とはまた違った、
 高速で飛ぶ大口径かつ大質量の、爆風を伴う実体弾。
 撃ちおろすように放たれたそれは、テッカマンに着弾せずとも爆風を起こし、
 多少の回避や応対くらいならば構わず飲み込む威力と範囲を見せるだろう。
 流れ弾や爆風の類がタスクを襲う可能性もあるが、其処に関しては過剰な期待はしない。狙うとするならば、意図を持って仕掛けなければ殺せまいし、その辺りの裁量は“異端者”に任せていい範囲だ。
 理由や信念に配慮したというわけではなく。単に、そちらの方が効率が良い。


>相羽シンヤ、ゾルフ・J・キンブリー、龍炎寺タスク

4日前 No.1784

ラグナロク @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_RLB

【エイジス島・最深部B/ラグナロク】

 最早問答は無用と、得物を取るドミネーター。
 幻想と科学の融合、神秘と叡智の結晶が支配者の手へ抱かれる。
 たゆまぬ研鑽の日々と、無数のトライアンドエラーによって練られてきたそれは、夢に盲目な狂気の産物と侮ることはできない。

 ――そうだ。
 背の巨神も、手にした得物も。この状況に至るすべての要因を、彼女は己の都合のために取り寄せた。
 天才は車輪を再発明しない。科学の合理性を突き詰めれば、最終的にすべての力は外から取り寄せるのが一番だ。
 その発想と技術は、紛れもなく学者特有のものだろう。
 必要とあらば道理を捻じ曲げ、不要となれば母星すら捨て去る。夢を追う彼女には、最早彼方しか見えていない。
    、     、     、  ドミネーター
「ええ……最後まで付き合ってあげるわ、支配者。
 あなたの夢を踏み躙ってでも、私たちは進む。一瞬でも歩みを止めないために――!」

 この世界を護るために戦うランスロットに窮したラグナロクは、しかし彼女へ同じ思いを抱くことはなかった。
 なぜならこの戦は、元の世界で戦ってきたものと大差ない。
 この叛逆の御旗は、神への叛逆のために掲げられたもの。これまで荒ぶる神へと向けられていた矛先が、次は大本命の造物主(ドミネーター)へと向けられるだけのこと。
 そも、支配者を討つことこそが己に課せられた最大の使命である。フェンリルへの未練を断ち切った今、それに逡巡する理由は何処にもない。何より――どのような理由があれ、己が身を置いたすべての人々を利用し続けてきたような所業を、ラグナロクは赦せない。

「(みんな、力を貸して……!)」

 ラグナロクは、目を伏せ祈った。太古に神々に封印された、七人の同胞たちに向けて。
 是なるは紛う事なき最終決戦。出し惜しみは、一切なしだ。

 同じく飛竜から飛び降り、カイと共に竜の背から飛び立つ。白の古代竜は切り札である、時が来るまで巡航させるつもりだ。
 慣性で撃ち出されるようにして少女の体は跳び、道を遮る光の蔦を御旗で弾く。のみならず、弾かれた反動を生かしてカイの傍らに移動することで、彼の放った法力の盾の効果圏内に移動。
 法力の盾と、自らの持つ加護によって双方向から迫る礫を素早くかわしながら、反撃に移るべく右の直剣に蒼炎を灯した。

「はああぁぁッッ!!」

 カイの雷剣に合わせて、ラグナロクの直剣が一際蒼炎を滾らせる。咆哮と共に振り抜かれる渾身の魔力斬が、雷剣と交差する形で飛翔する。

>岡崎夢美、カイ=キスク

4日前 No.1785

エースキラー @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島内部D(未明領域)/エースキラー】

エースキラーの装備が地球の外で作られた対人暗殺用装備とするなら芽吹の装備は人に仇為す異界の存在を討つための装備だ。
片や人を護るための装備であり片や人を殺すための装備である。
事実、エースキラーの猛攻にも芽吹の装備は彼女に耐える力を与えていたと言えよう。
もっともそれがなおのことエースキラーの怒りを煽る事にもなっているのだが。

「ハッ、幾ら装備が良かろうが使い手がゴミカスじゃあ意味ねえだろうがよォ!!」

先の銃撃はエースキラーに対してダメージを与えられてないがそれでもエースキラーの怒りを買うのは充分だった。蹴撃、殴打、斬撃と続け様の乱打が芽吹を襲う。
このうち斬撃は防いでいるが他は芽吹の身体を打つ、打つ、打つ。

彼女の身体が蹌踉めき、銃剣を取り落としたかのように見えた、が――

「あ?」

芽吹は突如こちらに突進し互いの距離は密着と言えるほどの距離まで縮まった。そして銃声が響き、エースキラーの身体が吹き飛ぶ。胸からは血を流しながらエースキラーは倒れた。

「――殺す」

だがエースキラーはまだ生きていた。幽鬼のようにゆらりと立ち上がる。

「ご大層な理屈ペラペラ並べやがって、威張れる身分かよトリズナーのクソガキがァ…!!」

エースキラーは完全に『キレた』。最早彼は自分が殺されるまで止まらない。

「百万回ぶっ殺す!!!」

エースキラーが動いた。瞬間移動と見間違うような速さですれ違い様に芽吹目掛けて手斧で一閃、更にまた別方向から一閃、更にまた一閃。四方八方から一人ながらまるでリンチを思わせる手数で芽吹に手斧で斬り掛かる。

>芽吹

4日前 No.1786

スレ主 @artemish☆8cfl5/j3VDw ★xQst1BEY9F_pjd

【エイジス島外周A/天戯弥勒】

「ほう。流石に、それくらいは理解出来るか」

 そう───不死と言えど、弥勒のそれは完全ではない。
 あくまでも後天の不死。後付けによって得たものである以上は、必ず綻びが存在する。
 というより、厳密にはそもそも不死という形容自体が間違っている。
 彼は、あくまで燃料(ストック)が多いだけなのだ。定命の者達がいずれも等しく持ち合わせる、生命という活力の限度量。禍々しき光の大樹を通じて際限なく命を汲み上げ続けた弥勒は、今や生命エネルギーの塊のような状態となっているのだ。

 であれば、生命を枯らせばいい。満ち満ちた活力が消え去るまで、殺し尽くせばいい。
 一切鏖殺。天戯弥勒という個人の一切合切が消えてなくなるまで、只管に燃やし/穿ち/引き裂けばいい。
 無論……この神の如き力を振るう男が相手なのだ。それは口で言う程容易い芸当ではなかったが。

 押し寄せる紅蓮の波を、光樹の枝が喰らい破って押し広げる。
 残酷なまでの聖性が焔を引き裂く様は、宛ら問答無用の神罰をさえ思わせるが。
 アマテラスの女はこれだけでは終わらない。体重移動による隙の強制消去/其処から連続する、立て続けの大上段斬撃。
 紅蓮の炎を付与(エンチャント)された一閃の威力は凄まじく、姫神琴というトリズナーが如何にして此処までの旅路を勝ち進んできたのかを窺わせるものがあった。
 要するに、彼女は異常なまでに、火力に秀でているのだ。
 人外じみたタフネスから連打される業火爛漫───成程確かに、生半な敵では彼女の相手にすらなりはすまい。

「実際、生命の丘を崩すならばお前が適任だろう。
 その炎は、グラナ……俺の盟友に並ぶ熱を宿していると見える」

 生命の定義が燃料式ならば、より莫大な損害を与えた方がより効率良く残量を削り取れるのは自明の理。
 その点、姫神琴は"削り役"として間違いなくこの場で最も秀でたものを有していたが。

 それでも、天戯弥勒は常軌を逸していた。
 過去三体の《奪われた者》は、いずれも規格外の力を宿していた。
 退廃幻想のアリスは、時間の逆行。異聞星ミッドウェーを不滅の星たらしめていた少女帝国型永久機関。
 血鬼譚のバイロンは、権能の拡大。文字通り夜の支配者として君臨した陰陽の鬼は、死の瞬間まで世界を呪い続けた。
 妄執剣鬼の以蔵は、鏖殺の羅刹。自己を忌まわしき骸の剣豪に変生させ、致命傷を悉く跳ね返した。
 そして、四体目の生贄たる彼は───

「だが。当たらなければ、それもただの風車だ」

 確かな理知と、万能と見紛う程の手数を併せ持つオールラウンダー。
 地面から出現した光の蔓が、神琴の剣を絡め取っていた。
 命の総量に驕るでもなく、堅実に布石を打っていた───掌で、猿を踊らせるが如く。

「黒い雨……読んで字の如く、だな」

 しかし、神琴の突撃が無駄であったかと言えば、一概にそうとは言えない。
 彼女の一撃を隠れ蓑にする形で降り注いだのは、黒き暗霧であった。
 弥勒は咄嗟に放出(バースト)のPSIを用いて霧の大半を消し飛ばすが、それでも霧という性質上、幾らかは身体に浴びてしまう。
 これにより、弥勒の肉体防御力は格段に落ちた。強化(ライズ)でブーストしたとしても、以前程の堅牢さは見込めまい。

 迫る破壊の光を、《生命の樹》より伸びた枝や幹が複雑に交差して盾となり、強制的に屈折させる。
 何十もの枝の層を作り上げて威力を極限まで減衰させるその戦い方は、ある種無体とさえ呼べるようなものであったが……しかし、この場に於いて唯一"外様"ではない彼も、ただ侮られるばかりではない。
 交差した枝の盾を越え、光は弥勒の右腕へ直撃。
 大きな裂傷と熱傷を刻み込み、一定のダメージを与えることに成功した。
 キュア        .     .   .     .     .オカルティック
「治癒……いや、似て非なるものか。俺が知る回復よりも、随分と非科学的なようだ」

 弥勒をしても認めざるを得ない事実が、一つ。
 それは、この三人はなかなかどうしてしぶといということ。
 少なくとも、最初の《生命の樹》で死なず、剰え的確に持久戦の構えすら取り始めているのだから鋭いと言う他ない。
 流石に、これまでの星の中でもいっとう秩序がなく荒れ果てているこの柩(アーク)を生き抜いてきただけのことはあるか……と。
 そんな感心の念を抱きながら、弥勒は「ならば」と呟いた。


 そして、次の瞬間。
 感光を続けている《生命の樹》から、細かな"何か"が散布される。


 これが樹であることを思えば、正体の推測は容易だろう。
 その通り。今散布されたのは、《生命の樹》の種子である。
 生命を吸い取り糧とする大樹から撒き散らされた種子という時点で不吉だが、実際、これは余りにも致命的な性質を有している。

「ならば、生きながらに糧としてやる」

 これを植え付けられた人間/生物は、例外なく。
 種子が肉体に触れた時点で、天戯弥勒に従属するのだ。
 精神を操作して自在に動かすことも出来るし、今彼自身が言ったように、生命エネルギーを吸い上げて新たな《生命の樹》の苗床にする事も出来る。
 ある意味では死よりも最悪の末路を齎す種子散布───それをより不可避の終末にするべく、峻厳たる光樹は更に拡大を続ける。
 生命を自動探知して伸び、迫る、光枝。神琴、ゲール、ガイト、更にはその下僕共まで例外なく。
 すべての存在の心臓及び脳髄を狙って、聖なる樹木が捕食活動を開始していた。

>神琴、ゲール、ガイト

4日前 No.1787

ゾルフ・J・キンブリー @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_RLB

【 エイジス島・最深部A/ゾルフ・J・キンブリー 】

「イイ――」

 必然の命中だった。
 弾丸のごとく飛んできた龍の騎士が視界に入る頃には、既に踏み込まれ、腹部に砲弾のごとし拳が突き刺さり、キンブリーの肉体を後方まで吹き飛ばしていた。
 爆炎が止み、噴煙も戦闘の余波が吹き飛ばし、強引に突き抜けて飛んできた少年の姿が現れる。

「……ふむ」

 白いスーツを土埃と鮮血で穢しながらも、よろめきながら立ち上がる。
 撃てば死ぬ。穿てば死ぬ。タスクらとは違い、錬金術を扱えるという一点を除けばキンブリーは一般人だ。
 白龍の腕力を乗せた豪快な一撃は魔人達が多い戦場の中では効くのだし、ラグナとの激戦においてそれは証明されている。
 ただし――。

 、   、   、・・・・・・
「便利なものですね、オラクル細胞。
 生身で受けられないものを、こうまでとどめてくれるとは」

 ――既に、彼は余人の域からは外れていた。

 ラグナとの交戦にて重傷を負った彼が撤退した際に、神機との適合手術を終えた。
 応急的なものであり、時間も無かったはずだが。……喰われずに飼いならした彼は正真正銘のゴッドイーターと化していた。
 オラクルの意志が人体に行き渡り、馴染んでゆく。この感覚に、即座に適応を終えている――。


「――承知しました。いつも通りの仕事ですね」

 爆発を強引に突っ切って来たのだろう。
 決して無事とは言えない傷を負いそれでもなお立っているタスクの姿を見ながら、上司からの指示に是と返す。
 この星で幾度となく躱されてきたやり取りだが――内心のキンブリーは、興奮していた。
 強い意志を持つ可能性を秘めた人間が目の前にいる。
 世界の変わる様の中心にいる存在のもう一柱と、殺し合うことが出来る。
 なんという僥倖、なんという幸運。異端者の身にはあまるほどのもの。


「等価交換の法則はご存じですか?」

 当然のごとく、第二波として攻撃を放つ。
 紫電が咲き乱れ、周囲の物質が変換されてゆく。やがてタスクの立っている周囲で次々と爆撃の華が咲き乱れる。幾つもの音で以て奏でられる紅蓮と衝撃と破壊の嵐の中、恍惚と表情を歪めながらも、酷く冷淡な口調で続けた。

「……無から有を生ずること能わず。何かを得ようと欲すれば、必ず同等の対価を支払うものなり」

 諳んじる言葉はキンブリーらが扱う錬金術の法則故、タスクのいた未来都市において厳密に敷かれていたかは定かではない。
 だが噛み砕いて言えばこうだ――"何かを得るためには何かを失う、それが必然のことである"と。

「あなた達の旅の悲願を果たすためには、他の星を滅ぼさなければならない。
 三つの星を滅ぼした今ならば、身に染みて分かっているはずでしょう?」

 再度、両掌の錬成陣を併せ、接地。
 タスクの足下がひび割れ、そこより眩いばかりの"紅"が顔を覗かせる。
 たとえるならば門より何かが這い出てくる。滅ぼせ焼き尽くせ撃滅せよと意志を背負った、怪物が現れようとしている。

「あなた達が幸福と安寧を得るためには、他の星の幸福と安寧を切り捨てねばならない。
 そうしなければ、他の星の幸福と安寧のためにあなた達が切り捨てられる――」

 瞬間、大地が火を噴いた。
 もはや規格に当て嵌めることすら馬鹿馬鹿しくなるほどの熱量。
 肉を融かし骨を燃やす灼熱業火、掠めれば抉り取られる衝撃波、瞬時に"消費"され消滅する大気。
 明らかに一個人に用いるものではなく、戦略兵器という言葉がしっくりくるもの。
 そして――キンブリーだけの力では、否、等価交換の法則に照らし合わせれば明らかに不釣り合いな威力の攻撃。

 、     、    、  ・・・・
 ラグナとの戦いでも用いられた焼夷爆撃が少年と白龍に一気に降りかかる。

>龍炎寺タスク フル・フロンタル 相羽シンヤ

4日前 No.1788

アマテラス=姫 神琴 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_RLB

【 エイジス島外周A/アマテラス=姫 神琴 】

 、        、    、   、 ・・・・
 不死、というよりかは不死と錯覚するほどの命の総量を持つ。
 余人ならば百度死んでもありあまる状態に晒されようと、奇跡めいた生還を果たす弥勒の絡繰りだった。
 生命簒奪を攻撃に用いるならば、奪ったそれがどこに行き着くのかなど分かり切っていた。
 今までどれだけ吸い上げて来たのかは定かではないが、両手指で数えきれないどころか――それこそ以前本人の口から言及されたように、惑星<セカイ>を一つ丸ごと己の内に収めている可能性さえもありうる。

 ならば殺し尽くせばいい。
 、  、 ストック
 途方もない総量を徹底的に剥がし尽くし、本体に一太刀を入れればいい。
 どのくらいの時間がかかることなど知ったことではなく、まして――。

「そりゃ、どーも!」

 ――容易くダメージを入れられるような相手でなかったとしてもだ。

 火山噴火の如く、噴き出、流れる紅蓮を浴びせかけようとした矢先、地面より嗾けられた光の蔓が振るった剣閃に凄まじい力で以て絡みつく。引き剥がせはすれども、動きを縫い留められたことには変わらない。
 だが焦る理由はなかった。無理に動くまでもなく、炎獄瀑布を隠れ蓑にして降り注ぐ漆黒濃霧。
 蔓に宿っていた光に黒がまとわりつく。弥勒の注意が霧と破壊光線に逸れた隙に、脆くなったそれを焼き払い、離脱。追撃が飛んできても対応できる距離まで引き剥がす中、ゲールが唱えた治癒の輝きに包まれる。
 傷を負った肉体が泡立ち、塗り潰され、上書きされていく。悲鳴をあげていた痛覚が、僅かに落ち着いてくる。

 黒龍の破壊光線を受け止めた弥勒の腕は、裂傷と熱傷により黒ずみ、流血していた。
 確実にダメージは通っている。黒霧に晒された以上、超人的な防御能力も多少はマシとなっている。
 たとえあちらが常軌を逸する力を有していようとも。ゲールの回復はある。持久戦には十分に持ち込める。

 態勢は立て直した。
 絶え間なく攻め続けなければならないとはいえど、呼吸を整えることは出来た。
 そうして再び間合いを詰めようとしたとき、感光を続けている《生命の樹》より光が散布された。

 幻想的な光景だ。
 最も、それが掠めるだけで悪影響を齎す光樹によるものでさえなければ。

 生きながらにして糧となる。

 、   、   、  、 死  、   、 隷属
 その言葉が意味するものは直接的か、あるいは精神的か。
 ともすれば"種子"と形容するのが正しいそれは、触れれば終わり。そのことには何も変わりはない。
 更に前方から大挙して迫る樹枝の群れ。生きとし生けるものを皆殺しにすべく拡大を続ける光樹の暴威。

 どうあっても被弾は避けられない。
 だが光は絶対に浴びてはならないことだけは分かり切っている――迷いはない。

「――ッ」

 纏わりつくように宿り、身体を焼き続けている灼熱に更に火を注ぐ。轟々と燃えあがる体。燃えているのか、燃やされているのか、その境目すら曖昧に成り果ててくる。回復の術を浴びたからこそ通せる無茶。
 種子に触れれば即終わりだというのならば、体に触れる直前で焼きつくし灰に還せばいい。

 轟々と燃え盛る紅蓮に包まれた肉体。落ちる種子は、体に触れる前に焼失する。
 焼かれる激痛に苛まれながらただ前へと突っ込む。やることは変わらない。強引にでも攻撃を繰り返すことだ。
 魂を炉心とし、紅蓮を廻し続ける。
 自らを燃やす熱量を、剣より発する爆熱に変換。これを繰り返し、威力を更にあげていく。

 光枝の群れを切り払いながら無理矢理肉薄する。
 この密度を無傷で突っ切れるだなどとは思っていない。
 だが柔肌を裂かれ肉を裂かれ、噴血していようとも、即死しなければ構わない。

「ハァァァァアアアアッ!!!」

 咆哮と同時に連続して剣を放つ。
 蔓に絡めとられたとしても即座に灰に還し、強引に肉体に届くよう、一撃の重みを増幅させている。
 温度が増した炎の色は、真紅から白光へ。目が眩むほどの輝きの内に込められた熱量は、そこにあるだけで地面を鋳融かすほど。
 もはやそこにある剣は、白銀か、それとも揺らめく紅蓮か見分けがつかなくなっていた。

 胴体を二分する豪快な薙ぎ払い/付随して拡散する爆炎の津波。
 そこから遠心力に任せて一回転し、飛び掛かるようにして放つ袈裟掛け/真上から振り落ちる灼熱の滝。
 更に反動を強引に押しとどめるべく強く踏み込んで停止させ――トドメとばかりに地面に突き立て、爆炎を流し込む。

 大地が裂け、炎がほとばしる――爆発。弥勒の全身を呑みこむべく、極太の火柱があがった。

>天戯弥勒 黒渦ガイト 奴隷騎士ゲール

4日前 No.1789

五条悟☆4H2CCC.TU8ct ★Android=zbCXnRRWFb

【エイジス島内部B/五条悟】

>千翼

「──チッ!」

 そんなことまでできるのかと、五条は舌打ちをする。
 そして彼の体に、千翼が放った鈎爪が食い込んだ。
 当然出血──しかしその傷よりも問題なのは、これで自分の体がある程度固定されてしまったこと。
 自動防御がほぼ働いていないことを改めて不便に感じながら──五条は千翼を見る。
 すると──案の定。
 彼は動きを止めた自分を引き裂こうと、飛びかかってきている。

「おー、痛ってえな…!」

 五条は一瞬迷ったが、動かないことを選んだ。
 咄嗟に体を少し後ろに引いたが、脇腹をざっくりと切り裂かれてしまった。
 その痛みに毒づく彼だったが──もちろんやられっぱなしでは終わらない。

「肉を切らせて骨を断つ。人並みに学はあるみたいだし、意味わかるよな」

 五条は鈎爪に術式をまとわせた手で触れ、握って固定する。
 これで今度は千翼が固定される形となり──空いた方の拳を握り締めて。

「──ぶっ飛べ」

 彼の顔面を横殴りにせんと──鉄をも数枚単位で打ち抜く拳が振るわれる。

3日前 No.1790

五十鈴れん☆4H2CCC.TU8ct ★Android=zbCXnRRWFb

【エイジス島内部C(未明領域)/五十鈴れん】

>虞美人

 その忠告は──真に迫るものがあった。
 何せ本当の不死者が言っているのだ。
 本当に──厳しい日々を過ごしてきたのだろう。
 彼女は、死ねない。
 終わりがない。
 そんな無限に続く時間を──今この瞬間までずっと歩んできたのだ。
 ただひとりで…と。
 そこまで考えたところで、れんはふとあることに気がついた。

「──あれ?でも、あの。確か、「虞美人」って…」

 れんは勉強は真面目にやっていた方だ。
 だから、よく考えると彼女の名前には聞き覚えがあった。
 虞美人──それは確か、中華の。
 そして、歴史における彼女の最後は──…。

3日前 No.1791

防人 @recruit ★1tmmb02HRh_emY

【エイジス島内部D(未明領域)/楠芽吹】


>>1786


「口を開けば二言目には殺す殺すとのたまう奴に、言われる筋合いは━━━ない!」


 堅牢な鎧を撃ち抜く為には、鎧に存在している脆い部分を狙うか、より大きな威力を発揮する距離まで詰めるか。

 この薄暗さの中では、奴の着込んでいるスーツの弱点となる箇所を見抜くのは不可能。
 故に芽吹が選択したのは後者となる力付くによっての突破法。
 零に均しい距離まで自分と相手とを近づけ、弾丸を叩き込む。

 だが銃剣を手に取ったままでは向こうも懐に此方を入れるような真似はしない。
 その為に一度、銃剣を手放す必要があった。
 幸いと言うべきなのかどうか、此方が銃剣を落とす演技をする必要もなく、男の攻撃の重圧は芽吹の腕力による限界を上回っていた。

 自然と得物は一度地に。
 後は痛みに耐え、歯を食い縛りながら敵目掛けて突進し、システムを利用する形で銃剣を手元へ回収し━━━撃った。

 目論見は的中し、殺し屋は鎧の下にある生身を穿たれながら地へ伏した。

 ……が。


(まだ足りないか!)


 死を想起させるこの肌を貫くような感覚は未だ、残っている。
 屍がゆらりと立ち上がるかのように身を起こせば、傷付くよりも寧ろ一層濃くなった殺意。

 仮面の下を確認するまでもなく、完全に激昂した男に最早ブレーキはない━━━。


「! な、ぁ━━ッ!?」


 ━━━斬られた。


 そう気付いたのは、男が自分を通り過ぎた後だ。
 目で追う事が出来ない程の速度で以て、戦衣諸共肉が裂かれた。


「う、ぁ……づ、ぐ……ッ!」


 一撃では止まらず、何度となく行われるそれは、確実に芽吹の命を削り取って往く。
 流れる血は防人が持つ生命の総量。0になれば迎えるのは死、旅の終焉。

3日前 No.1792

ザックス @phile☆fFByNj5QP5A ★6lZVB9LbYB_RLB

【エイジス島内部A/ザックス・フェア】

 臨戦態勢となった神機の切っ先を煌めかせて、ランスロットはその問いかけに応じた。
 互いに決断を済ませている以上、多くの言葉はいらない。

「(もっと、別の道があればよかったんだけどな)」

 思わずそういう言葉が頭をかすめることを、ザックス自身止めることはしない。
 異聞星と基底宇宙、生き残るのはどれか一つだけだ。協力して脅威に立ち向かおうなんて綺麗ごとを許してくれるわけではないことは、これまでの戦いの中でしっかりと思い知らされてきた。
 眼前のランスロットは、間違いなくフェンリルの中でもっとも『シャア』に傾倒していた少女だ。
 それを間違っているだとか、おかしいだとか、言うことはできない。
 真実を知らされたうえでどう行動するかどうかはそいつの自由で、そして彼女はヒトとしてトリズナーに刃を向けることを選んだのだから。
 当然女の子に刃を向けるのは本意じゃない。本意じゃないが──

「……迷いがあるって顔はしてない! 今更なにを言ったって、下がってはくれないってわけだ! ただ──」

 ──そんな甘えたことを言っていられるほど、フェンリルのもっとも理想的なゴッドイーターは甘くない。

 神機という武装の特異性はその変形機構にある。
 銃と槍、ふたつの武装の機能を一本の武器にまとめることであらゆる状況に対応するだけの臨機応変さを得ているわけだ。
 アラガミという大型の敵に対応するだけあってそれは大ぶりだが、それが人相手に不足しているかと言われれば当然答えは否。

 戦いの号砲は、ランスロットの構えた神機の上げる爆発音。
 変形した神機の銃口が凍える冷気の波濤を吐き出した瞬間、ザックスはあえて踏み込んでいた。
 冷気──つまりはこちらの動きを縫い留めるための牽制だ。こちらの退路を塞ぐためのその爆裂は攻撃と同時に次撃のための準備を整える。

「それがこの星を守るなんて上等なものじゃないこと、知っててやってるんだろうな……!」

 吼えながら、ザックスは全身に力を込めて、跳んだ。
 地面に向けられた銃口を見てからの跳躍──当然すべての回避は間に合わない。
 足が急激に冷やされ感覚がなくなるのがわかるが、それを無視。
 こちらの胸へ正確に突き出された槍の一撃を押しのけるように大上段から振り下ろした刃は、ランスロットの神機とかち合った瞬間風の刃を吹き荒れさせる!

>ランスロット

3日前 No.1793

エースキラー @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

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3日前 No.1794

蒼穹の月 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_hYg

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3日前 No.1795

スレ主 @artemish☆8cfl5/j3VDw ★xQst1BEY9F_pjd

【エイジス島内部C(未明領域)/虞美人】

「何、まさか気付いていなかったの? なんというか、お前は───まったく、察しが悪いわね」

 れんの呟いた言葉に、虞美人は眉根を寄せた。
 まさか、今そこに気付くとは思わなかったのだろう。
 ……というより、虞としてはもっと早くから気付いているものだとばかり思っていた。
 そう。この女は人間の在り方と性質を激しく忌み嫌っていながら、とある悲劇の女として歴史に名を残している。

 ───"虞美人"。
 それは、史記及び漢書にてごく断片的に語られる、知名度とは裏腹に謎に包まれた出自の寵姫だ。
 最期には自身の夫の死を儚んで、自らも後を追ったとされる、まさに悲劇の女。
 彼女がそれと同じ名を名乗っているのは、奇妙な偶然でもなければ趣味の悪い酔狂でもない。
 他でもないこの女こそが、れんも知るところの虞美人その人だ。尤も、彼女は天性の不死者。終わりを知らぬ者、もうひとつの真祖。
 なればこそ───後世にて語られるその末路だけは、紛い物に他ならないのだったが。


「そうよ、私こそが虞姫。
 雄大なる"あのお方"……項羽様の寵姫。
       ・・
 そして、彼を二度も死なせてしまった───愚かな女よ」


 既に物語は終わり、宙より下りた"やり直し"の機会も露と消えた。
 残っているのは、続けるか、諦めるかの分岐路のみだ。
 ひとえにこの仙女は、その途中。選択を選び取ることもなく、宙ぶらりんのままこの星に迷い込んだ身なのである。

>れん

3日前 No.1796

龍炎寺タスク @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★AmPQPE9EE6_RLB

【エイジス島/エイジス島最深部A/龍炎寺タスク】

剣星機を纏ったジャックナイフ・ドラゴンのミサイルが宙を舞う。
だが、相手方もバカではない。何より、似た手を既に掻い潜られているのを覚えている。
だが……それが、何かの役に立っているのだとしたら。赤い機体に肉薄せんとする、禍々しいもう一つの赤を見ながら目を細めた。
敵対者―――……『フェンリル』の。つまるところ、簡単に考察をすれば彼はアラガミということになる。
その事実に少しだけ不思議なものを感じながら、タスクは戦いの渦中へと身を投じ続けた。

「僕らの心の向く方が間違いかどうかを決めるのは、……少なくとも、貴方たちじゃない」

そしてそうなれば勿論、その逆も―――……と言われれば、否定できない。
彼らの行いが正しいかどうかは、自分たちが決められることではない。彼らの知る世界があって、自分たちの知る世界がある。
即ち、一線だ。……お互いのそれが譲れないからこそ戦いが起こるのだとタスクはもう知っている。
それが異聞星のような規模のものであれば、猶更。

『……何を』

ミサイルを切り崩していく『シャア・アズナブル』の口にした言葉に、まず相棒であるジャックが反応し。

「それも、あるかもしれませんね」

含みのある、男の言葉に同調するようにタスクは頷いた。
男が何を感じ、言葉を放っているのか。それは、タスクの知るところではなかった。
だが、その言葉の内には、確かにと思わせるものもあった。“中年”などと、人を指して言ったことはないけれど。

「貴方たちのような“大人”が居たから、僕は今のように進もうと決めたんだ!
 ……―――だから、勝ちます。勝って、止めます……!」

そうして。
赤い彗星へと飛び掛かった真紅の狙いが分断だということを理解し、彼の言葉に頷いて。
竜の力を帯びた一撃が白服の男に叩き込まれるまでに、そう時間は掛からなかった。
想定外と言えば、そうだ。今の一撃に、男―――……ゾルフ・J・キンブリーが何か特殊な動きをするような所作が見られなかったから。
本来の星では終ぞ感じることはなく、星を渡る旅においては嫌になる程感じてきた「人」を攻撃する感覚。

恐ろしいほど、すんなりと入ったことで嫌な焦燥感を覚えるも……それが、嫌な形で現実になる。
男は既に純粋な人とは言い難い。……そういうと、まるでとんでもないことをしてしまっているようにも思える。
要は、恐らくゴッドイーターになったのだ。理論上、そうなるのだろう。単純に考えて、より脅威となったのだろうが。

「っ、……キャスト!《スタージャック・ドッキング》!」

舞う紫電に乗せられて、周囲を囲うように爆発が起こる。
確かに、今は『シャア』の側を気にしている暇はなさそうだ。……彼を攻略する必要がある。
掲げたカードが光り、傍らに立つジャックに向けて竜装機―――……新たな武装が装備される。同時、タスクを避けるように爆風が裂けた。
曰く、『合体領域は不可侵領域』だ。何処の誰が言い始めたかは分からないが、このカードの効力の元になっているのはそういうものだ。

「……等価交換。
 貴方が今、こうやって居るのも当て嵌まるんですか?……っ、ぐ……!」

地が罅割れ、そこに確かな熱量を感じる。留まっていては、不味い。
タスクの闘気に呼応するように纏う氷雪が力を増す。……抑え切れるとは思えない。だから、此処は。

『タスク!……今だ、私を使え……!』

「……解放ッ!《未来への剣 ジャックナイフ“グランテーゼ”》ェッ!!!」

未来の自分の力を引き摺り出す異能、《フューチャーフォース》。
相棒との絆を極限に高めた結果生まれる竜の力、《ドラゴンフォース》。
その二つの同時発動により、ジャックの装甲は黄金色に輝いて―――……タスクを庇うように、覆うように、飛ぶ。
今や、タスクとジャックは一心同体だ。ジャックが如何に竜の鱗にものを言わせて守ろうが、タスクにその熱はリンクし伝わる。
だから、動く。タスクは、再び真っ直ぐ、キンブリー目掛けて。

「これが等価、って?……それなら、この状況の下手人は相当に性格が悪いと、思うけど……!」

地に叩き付けるように拳を突き出せば、意趣返しのように地を這うのは氷の槍の嵐。
キンブリーを囲うように奔るそれを追うように飛び、そのまま宙で回転。突き出すのは、拳ではなく足だ。
推進力にものを言わせた蹴撃は、それこそ並の相手であれば一撃で粉砕しかねないもの。
“グランテーゼ”の輝きで自身を守ることも忘れてはいけない。……ジャックの身を盾にするだけでは、もたない。
相手が爆発を使うのであれば、まずはその基準―――……最低限の攻撃くらいは、耐えられないと話にならない。

>フル・フロンタル、ゾルフ・J・キンブリ−、相羽シンヤ

3日前 No.1797

千翼 @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★AmPQPE9EE6_RLB

【エイジス島内部B/千翼】

鉤爪が、自身の持つ刃持つヒレが、五条の身体を引き裂いた。
流石に両断とはいかない。人を殺す、ということに抵抗があるのも間違いではないが……そこに関しては、今更だ。
悩み続けて死ぬのであれば、先に相手を殺している。ただ無気力に、死を待つだけだというのは嫌だった。
それに、それだけではない。五条悟という存在を、やや侮っていた。

「……な、っ」

人は痛みを嫌うものだ。
平常時でさえそうなのだから、戦場のような特殊な場においては余計にそうだろう。
消耗すればそれだけ死が近付く。無為に身体を傷付ければ、体力が減っていく。
それを避けようと行動するのは当然の原理と言えよう。だが、今目の前で取られた行動はその逆を行く。
彼の言うように、正しく『肉を切らせて骨を断つ』だ。むざむざ飛び込んだ自分は、あらゆる意味で相手の距離に誘い出されたと言っていい。

ステップを踏むように足を捌き、後退―――……しようとして、ピンと張った鉤爪のワイヤーロープが阻害する。
なるほど、どうやら捕まったらしい。舌打ちをするころには、もう遅い。
間近まで迫った拳が、千翼―――……アマゾンネオの『仮面』を、容易く打ち砕いた。

「ゥ、ぐ、ぁっ……」

砕け散ったマスクの半分から、少年の顔が覗く。
圧に耐え切れなかったのか、口や鼻からは血が溢れている。砕けた側の顔半分は、ほぼほぼ血の赤に染まっていた。
だが、一点。普通に過ごしている上で、ありえない色がそこには浮かんでいる。頸を伝い、頬を伝い、目元まで這った青黒い血管だった。
瞳が混濁している。理性が飛び掛けている。その状況で、千翼だからこそ起こり得る必然。

「あ、ァああああああああッ!!!」

所謂、“オリジナル”―――……『アラガミ』ではない、アマゾン生命体の新種の源としての覚醒。
アマゾンネオの装甲を内側から喰い破るようにして現れたのは、装甲の色と同じ銀と青の異形。
斬り落とされたはずの腕も含んで、左右三本ずつの腕。背より伸びる、無数の触手―――千の翼。
咆哮と共に口元に牙が覗き、無数の触手がその四肢を根こそぎ斬り落とさんと五条へ迫っていく。

>五条悟

3日前 No.1798

雨宮リンドウ @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★QI9yRdv7hS_fud

【 エイジス島外周D/雨宮リンドウ 】

 決着は一瞬にして、実にあっけないものだった。
 一瞬でも気がそれればいい。余韻に浸ってくれればいい。それだけで勝利は確定する。奇襲を仕掛け、その身を喰らい、痛みも苦しみも与えずに瞬時に終わらせる。
  、  、 、亡骸
 それが目の前の巨体だった。統括する器官を失った以上、細胞単位では生きていたとしてもアラガミとしては終わりだ、
 頭部を失い崩れ落ちた神を眺め――細胞単位での復活の芽を潰すべく、神機で喰らい始める。

「悪いな、お前みたいなのが最後まで本懐を遂げられると俺たちが困るんだ」

 今もなお、エイジスではそれぞれが、それぞれのために戦っている。
 旧型は旧型らしくそれを支援することでしかない。少なくとも、余計な連中には手出しはさせないように。

>カリスモン

【遅くなりましたがこちらこそお相手、ありがとうございました〜】

3日前 No.1799

防人 @recruit ★1tmmb02HRh_emY

【エイジス島内部D(未明領域)/楠芽吹】


>>1794


「……そ、う」


 絡繰は単純明快。
 目では追う事が出来ない程に純粋な速さ。
 激情に後押しされるかのような加速は、スーツの機能と男の技量との複合が編み出す領域。
 幾度と芽吹目掛けて振るわれる刃、本来ならばただの一太刀で殺す事も出来るだろうに、そうしないのは男が抱いた憤りを解消せんとしてか。

 だが弄るのも飽いたか、殺し屋はこれ以上引き伸ばすべくもないと防人の正面に現れ、斧を突き立て、締めに掛かった。

 最早秒も置かずして、刃は━━━━。


「……ただ速く動いてるだけで、善かったわ」


 ━━━━突き立てられこそすれど、心臓には届いていなかった。

 ・・・・
 白刃取り。
 斧の刃部分を両の手で挟み込み、受け止める。

 ・・
 単純ではあるが、タイミングを掴めていなくては成功しない防御。
 刃が戦衣を貫きつつも、然し仕留め切れていないのはこれが理由だった。
 男の動きの理由が瞬間移動のような能力であれば、刃を抑え込めるかどうかと言う話にすら成らない。

 だが、"高速移動"なら━━
 男の攻撃が手斧による攻撃に絞られ、その為に必ず自分へと接近しなければ成らないのなら━━

 後は、一か八か、奴が自分を殺す為に何処を狙うか読みに勝てば良かった。

 頸か、心臓か。


「あんたは相当の腕利き。
 殺しに関しては、プロって言っていい。
 半端じゃない……そんな奴が、相手を殺す時に、一度……失敗した場所を狙う可能性は、低い━━そう、思った」


 初手で芽吹を殺し損なった時、男が狙ったのは首だ。       ・・・・・
 あくまでも芽吹自身の推測でしかないが、激昂している事も踏まえ、しくじった場所を再度狙うような真似はしないのではないか。

 その読みに、自分の生死一切全てを託した━━━。

   ・・
「……三つ 。
 そうね、私達は既に三つも踏破している。        ・・・・・・・・
 だからこそ、そんな事言われなくても分かっているのよ! 二度も言わせるな━━」


 そして。
 塞がれた両手に代わり、防人が繰り出したのは残された脚。
 手から離れた銃剣を真っ直ぐ蹴り抜き、切っ先は防人の心を顕すかのように、迷いなく、惑いなく。


「お前に言われる筋合いは、ない!!」


 堅牢な鎧を纏う相手を崩す方法。
 たった今新たに生まれた綻びである、零距離での銃撃が砕いた箇所目掛けて━━刃が、突き進む。

2日前 No.1800

相羽シンヤ @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島・最深部A/相羽シンヤ】

仮にこの場でシンヤと共に戦う相方がシンヤに近い力量を持ち、尚且つ互いに手の内をよく知っていたならばこの場でキンブリーとフロンタルを共同して倒すことも視野にあったであろう。
だが現状はそうではない。シンヤはタスクの事をトリズナーであることしか知らず故に手の内も力量も知らない。

だから各個撃破の方がまだ勝算はあると踏んでシンヤはフロンタルを止めることを買って出た。もっとも『今の』テッカマンエビルでシナンジュを倒せるかと言えば高く見積もっても五分と五分だ。
おまけにこの男が『もしもの事態』を想定してないとはとても思えない。故にこちらの『奥の手』もギリギリまで温存しておく必要がある。

「臆して倒せる相手じゃないだろう、貴様は」

テッカマンエビルのテックランサーがシナンジュに振り抜かれるがシナンジュは手持ちの盾でそれを防ぐ。加えて――

「グオッ!?」

シナンジュの蹴りを腹部に受けたテッカマンエビルがたじろぎ間合いを離される。その間にもシナンジュは無駄のない動きで次の武装の準備をしていた。

「(ロケットバズーカか!!)」

直撃は勿論の事だが少し避けた位では爆風のダメージもある。ならば――

「《クラッシュイントルード》!!」

テッカマンエビルの身体が赤き光を放出し上空に舞い上がる。その際に発生した衝撃波がロケットバズーカの弾頭を押し留め、爆風も減衰させる。そうして赤き光を放つテッカマンエビルはまるで神話に伝わる神鳥、鳳凰が如く飛翔し衝撃波を放ちながらシナンジュに上空から突撃する。

>フロンタル、キンブリー、タスク

2日前 No.1801

エースキラー @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島内部D(未明領域)/エースキラー】

終わりだ。彼女はエースキラーの動きについて来られていない。このまま、心臓を貫いて終わりだとエースキラーは考えていた。
だがそうなると思っていたのはエースキラーだけだった。

「な、に…?」

エースキラーの手斧は芽吹による『白刃取り』で受け止められていた。皮肉なことにエースキラーが自慢気に語っていた能力が芽吹に対策を講じさせたのである。エースキラーが芽吹の心臓を狙い、芽吹がそこに網を張っていて更にそれが噛み合ったのは偶然に偶然を重ねた産物かもしれないが、それでも彼女がエースキラーの与えようとする死から逃れたのは事実だ。

「この――」

手斧が止められたなら次はハンドガンでとエースキラーは銃を芽吹の頭に向けようとしたがエースキラーが引き金を引くより速く、芽吹が蹴り出した銃剣がエースキラーの胸を貫いていた。

「ガァッ――」

それによりエースキラーは手斧を手から放してしまい、ハンドガンもエースキラーの手から滑り落ち、芽吹の足にぶつかり止まる。

「ふざけんなよ」

だが尚もエースキラーは立ち上がった。荒々しく胸に刺さった銃剣を抜いて放り投げる。

「クソガキが…いつまでも粘りやがって…いい加減くたばれってんだよォォォーッ!!」

丸腰になったエースキラーは尚も芽吹の命を諦めてはいなかった。手痛い傷を負い、先ほどよりも幾分速度は遅くなったが激情に任せて芽吹に突撃し力任せの鉄拳を放つ。

>芽吹

2日前 No.1802

赤頭巾 @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_RLB

【 エイジス島外周A/奴隷騎士ゲール 】
【エスト瓶使用/エスト残数2→1】


 神の威光を知らしめるかの如き、光の大樹が神々しい鱗粉を放つ。
 敵の語る言葉と重ねるまでもなく、あれが何者なのか想像するのは容易かった。
 ことにあの手の精神寄生虫の類は、旅路において幾度も見せられてきたものだ。決して当たるわけには行かない。

 その光に対して真っ先に反応したのは、前線に立つ聖職の魔法剣士、神琴であった。その身を焼いて直進するという荒業は、これまで幾度となく彼女が酷使してきた手練の一つである。
 死なず、ならざる身であそこまで臆せず身を削る様に、多くの同胞は希望を見いだしたことだろう。
 まさしく英雄のソウルを持つ者……火を継ぐに値する器の持ち主であろう。

 そして……英雄ならざる身の老騎士は、その陰より賢しく立ち回る役回りと相場が決まっている。
 短い祈りを終えて同時に老兵の身に白い膜を展開する。
 第二の奇跡、『魔力防護』の奇跡。"岩のような"ハベルの用いた対魔法の加護を祖とする白教由来の物語だ。
 物理的手段に訴える敵には通じぬ以上、弥勒の種子攻撃を凌ぐことは出来ない。
 そも、老騎士にあれだけの範囲を攻撃する術に抗う術はなく、ならばこそ同胞を頼ることにしたのだ。

「……ヌ、グゥゥ……!」

 魔力防護で自身を防御したゲールは、劫火を纏い吶喊する神琴の炎の圏内へ飛び込んだ。
 神琴が放つ魔力の炎を、自らに灯して種子の侵入を焼き払うという腹積もりである。
 なれど白霊体でない以上、自軍といえど火に抱かれれば焼け焦げ消えるのが運命。己をも焼き滅ぼさんとする灼熱は容赦なく老騎士の朽ち果てた体を包み、焼き焦がしていく。
 常人であれば魂が焼き切れる、必滅の劫火。いかに残り火であろうとも抱かれて只で済むはずもない。
 そして老騎士は英雄ならぬ常人の身に過ぎず。
 全身を包む浄火は、不浄なる"死なず(アンデッド)"の体を荼毘に伏す如く焼いていく。
 肉は剥げ、臓腑は焼け落ち、骨すら焦げ始める灼熱の地獄。
 そこに殺到する聖樹の梢。枝別れしたそれは最早槍と変わらず、老騎士の頭部を抉り、胸元を打ち貫いていく。
 心の蔵に貯まった血潮が喉を逆流する。口から溢れ出る筈の鮮血は、脳を打ち砕かれたゆえか頭部からさえも噴出していた。
 絶叫を上げる間もない。息を継ぐことも出来ねば、そもそも喉が打ち穿たれていた故に。
 そして撒かれた脳漿は残らず浄火に抱かれ、跡形もなく焼滅する。
 常であれば人は聖邪を問わずに死に至る、致命傷。なれど。なれど。

 ――なれど、不死の身は動く。
        エ ス ト
 極論、身を動かす生命力が尽きぬ限りにおいて、老騎士は死を迎えることがない。
 肉は剥げ、臓腑は焼け落ち、骨すら焦げ付こうとも、その身に刻んだ底知れぬ黒い環の呪いが決して死を与えない。
 みすぼらしい老体が、遂に口錆びた骨と皮だけに成り果てようその寸前。
 矢庭に骨だけになった身で瓶を掴み、エストをたどたどしい手つきで流し込んだ。

 骨と化した肉体を再構築すると、その屍の身に炎を宿したまま老騎士は反撃に打って出る。
 先程、友軍が放った黒い霧は弱体化の魔術とみられる。これならば、こちらからの攻撃でも削ることはできるやもしれない。
 手にした粗布のタリスマンを用い、次は戦闘用の奇跡の詠唱。長旅で慣れ親しんだ『白教の輪』の物語を唱え、手に光の車輪を現出させる。
 放たれた光輪は、手元を離れたと同時に三つに分裂し、直進する一刃と左右から挟撃する二刃に分かれて弥勒へと襲い掛かる。
 縦しんば避けられたとしても、三つの車輪はそれぞれ放った後に自分の手元へ戻るようにして背後から切り刻む仕組みとなっている。
 先鋒を務める神琴の連撃と併せることで、この二段構えはより破り難くなるだろう。元々大した威力を持たないが、弱体化した今なら回避に意識を裂かせる程度の役割は果たせる筈だ。
>天戯弥勒 アマテラス=姫 神琴 黒渦ガイト

2日前 No.1803

カイ @phile☆fFByNj5QP5A ★6lZVB9LbYB_RLB

【エイジス島最深部B/カイ=キスク】

「ええ、あなたは王ではなく研究者だ──導き出される結論に対して、疑いを持つことはないのでしょうね」

 歓喜すら滲ませて標榜するその女との噛み合わなさを、実感として噛みしめる。
 人の紡いできたものを『素敵』ということは本当だ。その可能性に夢を見ていることもけっして嘘ではないだろう。
 だがあまりに違いすぎる。エイジス計画とは、この星に根付いてきたからこそ生まれたあらゆる文化を否定すると何も変わらない。
 イリュリア連王カイ=キスクは、この星と同じように滅びに瀕しながらも立ち上がった国の王は、その結論とあまりに太極にいた。
 思い出されたのは、自分の住む地において世界を混乱の渦へ陥れたひとりの女──女のかたちをした機構。星を回すために星に根付くものを不要と認識したものだ。

「だからこそ簡単なこと──やることは何も変わらない! ここでその夢を砕き、先へと進んでみせよう!」

 セイクリッドエッジの刃は──届かない。
 ドミネーターのかざした腕に呼応するように輝くクリスタルが励起したのは烈風の礫。
 圧縮された空気が雷を叩き、そして最初にこちらへ向かった光の蔓が刃の威力を十分減衰させていた。
 ついで振り払われた光の鞭を転がるように避けながら、騎士は歯噛みする。小柄な女のかたちをしているが、岡崎夢美は間違いなくこちらを簡単に潰すことのできるだけの規模を持った化け物だ。

 クロスレンジでの撃ち合いで勝てるはずはない。単純な法力の差において、人の身のカイがこの星の恵みを一身に受けるドリフターに劣るのは当然の理だ。
 とはいえあれだけの威力の法力あるいはそれに準ずる力を振るう彼女が、近接戦闘にそれを応用しないことなどありえない。つまりは
 だが間違いなく、カイとラグナロクが岡崎夢美を御するための手段は、どちらかがゼロレンジでの近接戦闘に持ち込めるかどうかにかかっている。
 胸に輝くクリスタルを明確に動力源にしていることがわかる以上、それを狙いにゆくのは当然であり──そしてそれをドミネーターが察知するのは当然だ。
 厳しい戦いでは、ある。

「(……近接戦闘に長けているとはとても思えない。とはいえ)」

「(ドミネーターとして得られる加護と、あの胸の水晶!
  増幅された力によって、力技で不得手の範囲を潰すと言うなら──)」

 だが──

「(……GEARとの戦闘と、何も変わらない)」

 カイは冷静に判断して、勝負を焦り無理に距離を詰めることを避けた。
 ドミネーターは文字通りの異端者だ。身に余るほどの力を人の身にして宿すのは、たとえばカイ自身よく知るひとと全く同じ。
 であれば機を探るしかない。間違いなく長期戦になるが──焦りをもてば、二人分の命などあっさりと摘み取られることはわかりきっていた。

 ラグナロクは指折りの力を持つドリフターだ、そして戦闘を、傷つくことを恐れない。
 それは強者との戦いにおいて得難い才能の一つであると知っているから、後方で閃いた光へ振り向くことはせずに剣を祈るように捧げ持った。

「──“父病める時、母その涙”」

 法術『ディヴァインゲイズ』。青く染め抜かれた魔法陣が展開し、カイ自身とラグナロクの身体を覆った。
 先ほどのランスロットとの戦闘で負った傷を癒しながら、身体そのものを法力で増強する術だ。
 自己増強の力が染み渡ったことを十分に確認して、騎士はもう一度大地を蹴り飛ばす。
 その剣には既に雷が纏われていた──僅かに跳躍し振り下ろす剣が、雷の残光とともに相手の動きを牽制するべく先陣を切る。

>ラグナロク、岡崎夢美

1日前 No.1804

防人 @recruit ★1tmmb02HRh_emY

【エイジス島内部D(未明領域)/楠芽吹】


>>1802



「ぐ━━━ぅ、っ……」


 刺さった刃を胸元から引き抜く。
 全身に生じた切り傷より大きな痛みを覚えながら、声を上げぬよう堪えるために力が篭る。
 息を一つ吐いて、打ち付けた刃の行き先を見据えれば、銃剣は確かに殺し屋に突き立てられていた。

 互いの性能差は明白。
 地球外(よそ)で製造された装備も武器も、殺し屋自身の技量も、どちらも自分より上だ。

 生き残っているのは、防人自身の生きようとする意志、絶対に殺される訳にはいかないという執念や、他にも偶然や運によって多々助けられたからだ。

 そうした要因の中には確実に、男が芽吹を侮っていた事も含まれている。
 つまり殺し屋の不手際もまた、この状況を作り出した原因と言えた。

 男の得物であった手斧と拳銃とは地面へ流れ、ようやく倒れ伏すかに見えた、が━━━━。


「………」


 執念、激情は、何も芽吹のみに限った話ではない。
 攻防の中で最大の傷を受けたであろう殺し屋も、銃剣を引き抜き、忌々しげに放り投げれば再び立ち上がった。

 肩で息をしながら━━━斧を、両手で構えた。

 迫り来る殺意。
 衰えるどころか、やはり増加する一方の重圧だが、それ以外に先ほどと異なる点があった。
 一つは得物が既に男の手元へとないと言うこと、もう一つは受けたダメージの影響か、捉えられない筈だったスピードに衰えが生じていること。

 深く息を吐き、集中。
 その手にあるのは普段の銃剣ではないが、武器を選んでいる余裕もない。

 目前へと迫る拳━━━ただ、其れに合わせるように。


 縦一文字、刃を、降ろした。

1日前 No.1805

五十鈴れん☆4H2CCC.TU8ct ★Android=zbCXnRRWFb

【エイジス島内部C(未明領域)/五十鈴れん】

>虞美人

「…やっぱり、そうだったんですね」

 確かに。
 永遠の命を持っている彼女であれば──ありえる話だ。
 れんはまだ、「死ねない」というのがどういうことなのかをよく分かっていなかった。
 だから此処まで気付かなかった──でも、今はなぜ気付かなかったんだろうとすら思う。
 虞美人。
 この人は、本当に「あの」虞美人なのだ。

「先輩は、前に“ドミネーター”のようなことをしてたって言ってましたよね…。じゃあ、それも──」

 一度守れなかった、死なせてしまった「彼」のためだったのか。
 「二度」死なせたと言った彼女にそれを聞くのは、少し酷なようにも思えたが…。

1日前 No.1806

黒渦ガイト @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島外周A/黒渦ガイト】

ジークロンの放った黒き霧は幾分かは弥勒の肉体を捉えた。それで十分、ジークロンの力は効力を発揮する。アビゲールの放った破壊光線が、弥勒の身体に手傷を負わせるがこれはまだほんの序の口に過ぎない。
彼を倒すにはまだまだ足りないという他ない。

続いての弥勒の攻撃はまるで種のようなナニカ。弥勒の言葉からそれの効力をガイトは察する。アレは、ともすれば最も受けてはならないモノだ。

ガイトは二枚のカードを掲げた。

「キャスト!!
『デビルスティグマ』!!
そして…進化せよ、アビゲール!!」

『任せろガイトォッ!!』

ジークロンの頭部に鎌が突き刺さりその身体が砕け散る。この魔法は自身のモンスターを犠牲にする代わりに力を増幅させる魔法だ。
更にアビゲールの姿が身体の各所に刃を備えたより攻撃的な姿である『覚醒の黒死竜 アビゲール』となる。

「更にキャスト!!『漆黒ノ風』!!」

そして巻き起こるは黒き旋風。それは光の種子を呑み込み、彼方へと吹き飛ばす。ガイト自身の力で種に対処し、アビゲールに攻撃を任せる。

『喰らえェェェーッ!!』

アビゲールの身体付近に浮遊する三つの黒き渦から放たれるは黒き雷撃だ。
アビゲールの放つ雷撃は神琴の炎、ゲールの光輪に引き続き弥勒に襲来する。

>弥勒、神琴、ゲール

1日前 No.1807

五条悟☆4H2CCC.TU8ct ★Android=zbCXnRRWFb

【エイジス島内部B/五条悟】

>千翼

「(…さすがに痛ぇな。いくら何でも無茶苦茶すぎたか)」

 呪術師は──イカれていなければ務まらない仕事だ。
 人間の社会の闇と直に向き合う職場なのだから、普通の人間よりもずっと多くの誰かの死を見ることになる。
 そんな場所で命を危険に晒しながら戦うのだから──まともな人間が生き残れるわけがない。
 この五条もまた──その一人。

「マジか」

 殴り飛ばしたまではいい。
 ただ。
 その仮面が割れた下から顕になった姿に──五条は危険を悟る。

「──いいね、らしくなってきたじゃねえか」

 あの「翼」は危険だ。
 自動防御が働いていない今の自分なら──特に。
 臨戦態勢を取って術式を展開。
 今度は順転させるのではなく──反転。
 「弾く」力を使って、迎え撃ちにかかる。

「出力、最大だ」

 進む力と弾く力が真正面からぶつかり合う。
 弾ききれなかった分は五条の体を削るが、術式は緩めないし解除しない。
 辺りの地上に衝撃を散らしながら──押し返すのを試みる。

1日前 No.1808

エースキラー @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【エイジス島内部D(未明領域)/エースキラー】

あり得ない、あり得ない。
エースキラーの内心はそれに支配されていた。力も速さも装備もあらゆる面で己は彼女を上回っていたはずだ。
なのに、この有様はなんだ?深手を負わされ丸腰になりこうして追い詰められている。
許さない、許さない。
コイツだけは、なにがなんでも殺してやる――!!

そうしてエースキラーは芽吹に突撃した。そこまでは、よかったのだが――

「――あっ?」

芽吹が先ほどエースキラーから奪った手斧がエースキラーの頭に叩きつけられていた。それによりエースキラーの身体は地面に叩きつけられ拳も空を斬る結果に終わる。

「ああ――参ったね、こりゃ」

その言葉を最期にエースキラーの手が力無く地に落ち頭から血が流れて血溜まりを作っていく。超一流の殺し屋の最期は自らの武器で殺されるという皮肉なものであった。

>芽吹

【エースキラー@ULTRAMAN、楠芽吹との戦闘により死亡】

1日前 No.1809

蒼穹の月 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_hYg



【エイジス島内部A/ランスロット】

 この星を守るなんて上等なものではない。
 それを否定することは、ランスロットがその気だったとしても土台無理な話だ。
 彼女は阿呆ではない―――与えられた知識と目線に偏りがあったとて、それはこの局面に至る前の話。
 実際に選ぶ機会が与えられ、その上で“そうした”ことを、彼女は忠信の一言で片づけるのかと言われれば………それは否だ。忠信に近い要素が最大部分を占めることは事実やもしれぬが、その上で彼女はそうする動機がある。

「それは───」

 そして。
 そも幾分か常識的な感性を持つ彼女が、最も悩んだ部分はそこだ。
 このアークという柩<はこ>に詰められたものは、ある男の絶望とある女の希望。
 その二つが指し示した道のために切り捨てるものは先ず星であり、そして同時に民だ。
 全ての人間を押し上げて、新たな大地に足を踏み入れられるのかと言われたら答えは否。フェンリルという組織のキャパシティを総動員しても、必ず取りこぼすものが出てしまう。身もふたもないことを言えば、これは可能な限り救うものを選ぶが、救えないものを見捨てるという選択肢でもある。

「………ええ、それは。正しい話です。
 この星はとっくの昔に詰んでいるのだと、誰に言われずとも分かっています。
 アラガミの発生源が“そういうもの”であるならば、尚のこと―――」

 それを選ぶことに迷いを示して“いた”ことに嘘はない。
 吼えると同時に飛び込むソルジャーの大太刀が槍とかち合い、競り合って。
 吹き荒れる風の刃を凌ぐために展開された神機の装甲<シールド>ごと突き破って身を切り裂くような痛みに声すら挙げず、ただ彼女は戦意を乗せた視線を交差させながら、神機を握る手に力を籠める。

 力比べにおける分の悪さは体格や持ち得るスペックの関係から承知の上。
 それでもその状況に持ち込んだのは―――。
 打ち合いにせざるを得ない程度にランスロットが後手に回ったということでも、あるが。
 それ以上に、この至近距離に飛び込ませたことに意味があるとも言えた。

「あの御方が示した道は、誰かを救うと同時に、誰かを捨てること。
 そんな真似をするくらいなら潔く滅ぶべきというのも、
 それが恐らくは方便で建前に過ぎないというのも、少なくとも間違いではないのでしょう………」

 英雄の名を冠した少女に課せられた役割は、読んで字の如く。
 彼女の役目は民を護り、世界を律することであり、そうであれと願って産まれたものだ。
 その彼女にとって、それは半ば自分の役目を放棄するということでもある。
 世界の護り手として牙を研ぐ狼たちが、その目的を最初から別の方向に向けていたとなれば、彼女は自分の存在意義を改めて定義するより他になかった。そこに、微かな天秤の傾きがあったことは否定しないし―――。

 それが、そもそもアークという星が異宙の錨を壊しても放置しても順当に終わりを迎えるという、
 伊達に最高位近くの異聞深度を誇る“詰み具合”であるというのを前提としたことも否定しない。

「私が、生きたいと思った世界。私が、存在することを赦される場所。
 その意味も価値も此処にしかなく、他に想いを馳せることも出来ぬと知れば」

 ただしそれらの前提によって、どれほど選択肢が少なくなったとしても。
 彼女が、自分のささやかな夢を託したのは、あくまでも“これまで”だった。
 その象徴のように、神機が唸りをあげ、競り合っていた青く壮麗な長槍からなにかが這い出る。

 此処とは異なる戦場で、切り札として使われてきたもの。
 ゴッドイーター
 神機使いにとって得物となる神機が持つ、“神”を喰らうための本来の形態。


「………私はせめて、この世界のユメが続く方へと進みたい。
 私が守り、託したものに僅かでも“これから”を残したい―――!」

.プレデターフォーム
 捕食形態―――その銘を持つ牙が、競り合うバスターソードの刃を潜り抜けるようにして。
 至近距離のザックスを丸ごと食い千切ろうと速やかに突き出されたのはすぐのこと。
 今まで、一切ヒトに向けられることのなかった神殺しの牙、あらゆるものを“喰らう”アラガミの牙と何ら変わらぬ必殺性を持つ神機の特性は、いま初めてヒトに向けられた。
 剣と槍の衝突という状況から突然と変貌する攻撃手段は、一度のみ覿面の効果を持つ強力な初見殺しだ。

>ザックス・フェア

1日前 No.1810

蒼穹の月 @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★PkiRdJ3yaR_hYg

【エイジス島・最深部A/フル・フロンタル】

「向こう見ずだな、危険なモノの見方だ。
 その若気の至りは、一過性のものでしかない―――」

 かくして―――。
 此方にとっては不本意ながら、彼方にとっては本意となる戦況が出来上がった。
 赤い彗星を追い、また追われる形となったのは、かつてこの星に在った戦士にして『アラガミ』たるもの。
 その衝突と並行して、異端者を名乗る錬金術師キンブリーと、星を滅ぼすトリズナーの一角が鎬を削り合う。
 事実上の分断、連携どうこうではない個人の意思と戦力値のぶつかり合い―――これで彼方にもいくらか分のある状況が出来たが、それでも根本的な性能においてフロンタル/シナンジュも、キンブリーも決して劣る要素はない。ましてや、どちらかが落ちればその時点で合流しゲームセットだ。勝ち目はある分綱渡りの状況は強まった、とも取れる。

 でなければそもそも、この男がそんな相手優位の状況に乗ろうとするはずはない。
 分断、一騎打ちの状況を作ることそのものには、
 この『シャア・アズナブル』にもそれ相応の利と呼べるものがあった。
 それに恐らくだが、キンブリーにとっても、トリズナーとの対峙は大きな興味を持つに違いない。


「………とはいえ。つくづく此方に関しては予想もしていなかったな。
  、   、   ・・・・・・・・・・・・
 きみは確かに強い。此処まで生き延びるだろうという推測自体が、現実的なものと認識できる程度に」


 それに―――。
 蹴りの直後に打ち込んだバズーカの弾頭、その結果を見届けるまでもなく。
 すぐさま回避運動のための挙動をシナンジュが取り始める中で、彼は冷たい声質のまま想定外を呟いた。

「だが、きみが此処でわたしを狙うだけならまだしも………。
 彼らに配慮しようとはな。きみが誤算の終わりなのか、それとも誤算の“始まり”なのか―――」

   アーク
 この異聞星における筋書きに必要なものは時間である。
 ほかの異聞星よりも長く時間を取り、ひとり勝ち逃げをするために必要な時間。
 この異聞星における筋書きに必要なものは人材である。
 ほかの異聞星よりも多くの戦闘、多くの情報、多くの存在が『特異点』を完成に導くための材料となる。
 それらが揃った今、あとは時間を稼ぐだけであるが。
 最終局面における阻害者は、此処までの長い闘争と消耗により身内やドリフターからは出辛い仕組みだ。


 つまり『シャア』/フロンタルにとって、目の前のアラガミとなった戦士は、
 確かに優秀で、生き残る可能性はありはしたが、ここで牙を剥く存在足り得る可能性は“ない”ものだった。

 ここにいるのが棄民の王ではなく探究者ならば、その不可思議とイレギュラーに歓喜と礼賛を持つだろうが。
 理では動かなかったシンヤを前にして彼が懐いたものは、先の通り“不理解”と納得のみ。
 大きな歯車の中に紛れ込んだ一粒の例外―――その発端がこの男であるとするならば。


「どちらであるにせよ………可能性に酔った王の誤算を清算するのは、わたしの役目か」

 この柩<はこ>を開くために廻る、大きな歯車の流れを護るためにも。
 かつて相羽シンヤだった、テッカマンエビルと言う名前の戦士は、此処で落とさねばならなかった。

 爆風をかき分けるように紅黒の機体が飛翔するのを乗機のカメラアイが捉えると、既に回避軌道を取りつつあるシナンジュはまず直撃を避けるための挙動を確保し―――機敏な回避動作に合わせて機体の加速が行われるのと同時に、悪魔がその牙を剥く。
 いいや、放出する紅光を翼のようにはためかせ、蒼穹を舞う姿はどちらかと言えば鳳凰とでも言うべきか。
 突撃するテッカマンエビルの挙動を、右方向にバレルロールしながら回避運動を取るシナンジュは架空の空に蒼炎の軌跡を残しつつも、その光の翼とでも呼ぶべき攻撃に機体の一部が被弾。一部の装甲が落ちて、真紅の残骸が舞い散る。

 突撃直後の反撃を仕掛けようにも、その光が邪魔をして効果的な一手は打てないだろう。
 バレルロールから即座に体制を立て直すのに並行して、再び二条の閃光がライフルから発射。
 ロングバレルの銃身から放たれ疾走するビームは、テッカマンエビルの進行先の頭を抑えるように一発、続いて右方向にズレるように発射され、逃げ道を塞ぐようにもう一発。さらに銃身の下部に装着されたグレネードもダメ押しのためにビームの影に隠しつつ発射することで、合計三発の波状攻撃を行いつつ逃げ道を塞ぐ。
 左右上下のうち、最も自分から遠ざかる右方向を塞げば、後は―――。

「―――おおォォォォッ!」

 左方向から回り込みつつ、得意の白兵戦と一撃離脱に持ち込める。
 手元に携えたビーム・ナギナタを回転させながら、棄民の王がアラガミを“狩る”べく動き出した。

 前面からの攻撃を防ぐ盾として、また触れるものを切り刻む竜巻の矛として。
 高速回転するビームの刃は触れるものを切り裂き、また半端な射撃ならばそのまま叩き落とすほどに速く鋭い。これを凌ごうとも、そもそも彼の強みはその一手を打つ速さと正確さ、それを可能とする基礎性能―――手数の多さという意味では“共犯者”に譲ろうが、一手の打ち合いという意味では、この星におけるフロンタルは紛れもない一番手である。

>相羽シンヤ、ゾルフ・J・キンブリー、龍炎寺タスク

1日前 No.1811

ゾルフ・J・キンブリー @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★TYt1qIBwHP_hYg

【 エイジス島/エイジス島最深部A/ゾルフ・J・キンブリー 】

「いい音だ」

 目の前で起きた大爆発を前に、恍惚とした表情でつぶやいた。眼前に掲げられた手は奏者の指揮がごとく、もっと、もっともっともっと――常にクレッシェンドを要求し続け、大地は応えるがごとく爆発を繰り返す。
 その先はフォルテか。フォルテッシモか。それともさらにそれを超えていくのか。
 意志と意志のぶつかり合いが生み出す極限の音色こそが、彼の美学にして欲するもの――。

「命という安寧を捨てて人類が手に入れた、神に突き立てる牙。
 されどヒトだという確固たる理性と自制でもって高めあげられる、ヒト以上の力……!」


 、   、   、  、  ゴッドイーター
「素晴らしい。実に素晴らしい、神喰らいの力!」

 ・・・・
 賢者の石とオラクル細胞による身体強化を合わせたことによる相乗効果は、単純な能力値の底上げだ。
 だがその単純さがキンブリーという男の"強さという絶対値"を押し上げていた。
 もはや単純な攻撃で彼を即死させることは困難に等しい。
 それは、彼が不得手としていた近接の間合いにおいても同じことが言えた。


 紅蓮降り注ぐ大爆発を、合身と同時に飛翔で切り抜けたタスクが繰り出す氷の槍。
 豪雨のごとく降り注ぐそれらを前にしても、最低限の動きでもって動ずることなく易々と対処する。
 冷静に、頭に被っている白いハットを抑えながらという余裕ぶりさえ見せながら。

「ええ、その通り。私がここであなた方を殺すのも同じことです。
 仕事をするに値する報酬をいただいたのですから、仕事は仕事として行う」

 業務としての殺意はある。なぜなら殺すためにここにいるのだから。
 だが個人としての殺意はなく、害意もなく、義憤も怨恨も義務感も、キンブリーにはない。
 殺すことに対する美学はある。信念はある。だが倫理はない。仕事は仕事として割り切るのだから。
 飛び回るタスクを目で追いかけながらも、大地に突き刺さった槍を見て、そして大地に両掌を接地した――。

「ある日空から飛来した理不尽が、星を食い尽くした。
 自分たちが選ばれるために、ほかの星を殺しつくさなければならない。いやと首を振れば、待っているのは絶滅です」

「漂白された人類にも、滅んだ星にも、滅ぼされる星にも、明確な違いは一切無かった。
 人理が定めた切除されるべきという仕組み自体、そして分け目となった要因ですら、違いは存在とは呼べなかった」

 だから次に口にする質問にも、大義とか大衆感情とか個人的な感情とか、一切存在しない。

「――あなたは自分の星を救うために、何を犠牲にしますか?」

 蹴撃が飛来するさなか、キンブリーと視線を交錯させたタスクに、ぞっとするような人でなしの目を向けていた。
 異端者を自称する通りに、ゾルフ・J・キンブリーという男の人間とは隔絶した内面が見えるようだった。

 構えた腕に、タスクの蹴りが直撃する。
 オラクル細胞で強化されているがゆえに、肉体が瞬時に粉砕されるとまではいかない。
 だが肉に与えた衝撃、血管に与えた傷、骨に与えたダメージ、――それらからして確実に手ごたえはあったというべきだろう。

 だがそれを感じる間も与えられなく、次の瞬間、大爆発がタスクを包み込むように前後左右四方八方から襲い掛かった。
 錬金術の触媒に用いられたのは、先ほど彼が降り注がせ、大地に突き刺さった無数の氷の槍。
 地中から発せられるものとはワケが異なり、兆候がまるで異なる。

 挟み込み、押しつぶし、捩じ切り、粉微塵にする爆熱と衝撃の饗宴。
 おまけに鋭い氷の破片が細かい刃となって踊り狂い、全身を切り刻まんとする。

>龍炎寺タスク 相羽シンヤ フル・フロンタル

1日前 No.1812

スレ主 @artemish☆8cfl5/j3VDw ★xQst1BEY9F_pjd

【エイジス島内部C(未明領域)/虞美人】

「一口に世界の敵(クリプター)って言っても、色んな奴が居たわ。
 見ていて憐れになるほど背伸びをしてる奴、同情の余地なんて微塵もないケダモノ。
 大真面目に大義を持って邁進する傑物───でも、私は世界の行く末なんてものに興味はなかった」

 或いは、世界をどうこうしようとするだけの野心があったならまだ彼女にとっては幸いだったろう。
 無限の時間と不滅の肉体を活かして大仰な計画を実行に移したならば、なかなか良い暇潰しになったかもしれない。
 だが、虞は生憎とそういうモノに興味はなかった。むしろその手の野心は、虞にとっては嫌悪の対象でさえあった。
 にも関わらず、そんな彼女がクリプターという公共の敵(パブリック・エネミー)に成り果ててまで、何を目指そうとしたのかと言えば。
 世界を変えるなんて大層な到達点ではない。過去に失い、二度と戻らない筈だった憧憬と───今度こそ最期まで添い遂げること。
 項羽の寵姫としての役割を果たし、最愛の彼と末路の瞬間まで共に時を過ごすこと。
 それを目的に、彼女は一つの《異聞帯》を制御した。永世の皇帝が統べる行き止まりの人類史を用いて、そのささやかな願いを叶えんと尽力した。

「で、結果はこのザマよ。お前も、胡散臭い奴が持ち掛けてくる甘い話には乗らないことね」

 とはいえ、その行き着いた先は敗北。
 彼女は望んだ時間を手にすることは叶わず、再び最愛の王を失う末路を辿った。
 それでも不死者である虞は死に切れぬまま、こうしてまた別な異聞の世界に迷い込んでいる。
 つくづく貧乏籤を連続で引かされているわねと、虞は自分で口にしておきながら少しずつ苛立ち始めていた。

「……ところで。
 念の為に聞いておくけど、まさか私のことを知っていて、項羽様のことはよく知らないなんてことはないでしょうね?
 だとしたら今からお前と、初めて会った時の焼き直しをすることになるのだけど」

 あと、この辺りは彼女にとって非常に、非常に重要なポイントであるらしい。
 大した逸話の残っていない自分のことを覚えるくらいなら、その容量を使って項羽(かれ)のことを覚えるのが当然の義務であるとばかりに、虞美人はずいっとれんに対して身を乗り出すのであった。
 何とも、面倒臭い女である。

>れん

1日前 No.1813

スレ主 @artemish☆8cfl5/j3VDw ★xQst1BEY9F_pjd

【エイジス島外周A/天戯弥勒】

 殺す気になれば、いつでも殺せる。
 それを大言壮語ではなく地で行く天戯弥勒の技の一つが、この種子散布である。
 人体に接触した《生命の樹》の種子はそのまま体内に潜伏し、対象を光樹の苗床へと変えるのだ。
 一度埋め込んでさえしまえば、弥勒の意のままに意識を操作して操ることも可能であるし、その場で種子を発芽させ、対象の肉体を土代わりに《生命の樹》を新たに顕現させてもいい。
 ある意味では光樹に巻き込まれて即死するよりも質の悪い最後を届ける広域攻撃だ。
 放出(バースト)のみならず感応(トランス)の側面も持つ天戯弥勒のPSIの、何と万能なことか。

「滅茶苦茶だな。俺などより余程不死身らしい」

 万一にでも接触を許せばその時点で死亡以上の結末が確定する広域散布を前に、奴隷騎士は神琴の焔を利用するという途轍もない一手に出た。
 これには、さしもの弥勒も驚きと苦笑を禁じ得ない。
 成否は別として、今までにも天戯弥勒に対抗するべく様々な知恵を絞って挑んでくる敵はごまんと居た。
 しかしまさか、自分の身体を焼き焦がすことによって種子の侵入を妨げるとは……幾ら何でも道理を外れ過ぎている。
 挙句、そこに殺到した聖樹の枝に貫かれながらも───不屈。不滅。肉体を再構築して何やら唱えれば、すぐさま弥勒に対する挟撃が放たれた。
 否、それだけではない。直進する一つの刃を置いた上で、更に逃げ場を削るが如く左右から迫ってくるのだ。なかなかどうして手の込んだ、慈悲も容赦も無い技である。
 戦いというよりは、狩り。そういうものに近いなと、弥勒は感じた。

「手下に任せるか、それもいい。
 だが、であれば俺も同じことをするだけだぞ」

 《生命の樹》が、ガイトの下僕の反応を感知するなり指向性を変える。
 元より生命を追い掛けて貫くホーミング機能を有した異能である。
 なればこそ、彼のように下僕を用立てて戦う相手に対しては相性が良いのだ。
 弥勒自身が意識を傾けずとも自動迎撃が完了する───光樹が雷撃を引き裂いて、竜体を串刺しにせんと十重二十重の梢を出現させながら殺到。
 生命を司る者は依然不動。彼はそのまま、煌々と猛る焔を宿して迫る剣士の方へと眦を向けた。

「───ほう」

 その面影を槍衾に変えんと拡大する《生命の樹》。
 防御用に展開した枝は、しかし神琴の火力の前に容易く消し飛ばされる。
 此処に来て作用したのが、先程ガイトの下僕に向けさせた光樹のリソースであった。
 アレを迎撃しつつ蹴散らす為に費やした分の余力を此方へ回せれば、ともすると食い止められたかも知れない。

 爆炎の波を喰い破り、斬撃の大半を近接戦にて凌ぐ。
 卓越した肉体強化(ライズ)による舞いは叛逆者の武芸に何ら劣らぬものであるが、流石に強度の落ちた肉体で行うには過重の負荷である。
 熱と負荷で末端から自壊を始めてしまうのは避けられない。更に其処に押し掛けたゲールの刃が、弥勒の両腕を切り飛ばした。
 最後に───極大の火柱が、男の総身を呑み込む。未だ攻撃の成否は明らかとなっていないが、此処で手を緩めるのが愚策であるのは間違いないだろう。

>神琴、ゲール、ガイト

1日前 No.1814

千翼 @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★AmPQPE9EE6_RLB

【エイジス島内部B/千翼】

声にならぬ咆哮を挙げ、原種は翼を伸ばし続ける。
触れるものをただ壊し、殺すだけの触手。皮肉にも、千翼という名に相応しいおびただしい数のソレ。
理性の獣性の狭間で、千翼は立ち向かう敵の姿を見据える。

伸び続ける触手を押し留めようと、先ほどと同じ力場が働いた。
否、逆手だ。原理の程は未だに判らないが、自分を苛んできた攻撃―――術式と、逆廻りらしい。
無数とも言える翼を前には心許ない……とも、言い切れない。
ぶつかり合う力で、触手たちは血を噴き出して潰れていく。出力の差が見え隠れしていた。
だがそれでも拮抗しているように見えるのは、これまたお互いに明確な差があったからだろう。

千翼―――……“オリジナル”の、異常とも言える再生能力と生産量。
それがこの場の停滞の原因だ。だが、それも長く続くわけではない。同じ手が通じないと分かれば、千翼が意識せずとも獣の本能が対応をしてしまう。

「……ッ、ォォオオ……」

絞り出すような唸り声は、バケモノらしいものではなくヒトのもの。
無数の触手が動きを止める。千翼が、六本の腕を広げる。
その内一本、右手が、変容する前の身体の名残であるベルトへと近付けられていく。

その一方で、背より広がっていた翼は寄り集まっていく。
計四本。極太の束となった翼が、前後左右の四方向から五条へと襲い掛かる。
一本一本が人体を容易く切断できるほどの脅威だ。それを、相手の「弾き」の上から圧し潰すように解き放っていく。

「―――お、れ」

……でも、それは望むところではない。
これでは、自分が忌み嫌う化け物と何ら変わりない。このままどう決着がつこうが、千翼にとっては遺恨でしかない。
意識を取り戻すように、呟く。自身の願いの原点を、絞り出すように。

それでも、殺意は変わらず降り掛かる。
目の前の脅威を排するために、必死に。

>五条悟

21時間前 No.1815

アマテラス=姫 神琴 @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★TYt1qIBwHP_hYg

【 エイジス島外周A/アマテラス=姫 神琴 】

 浄化の御心たる火が全身を包む。
 熱量をさらなる業火に変えて、剣の切っ先より吐き出し続ける。
 燃え続けている限りは魔力が生み出され続けるという己の身を焼くことを代償とした、半永久機関。
 されど短期決戦だ。精神と肉体に感応するうえに、回避不能の広域散布――事実上の即死攻撃から逃れるための荒業を続けていれば、いずれは限界が訪れる。
 迷わず、迷っている暇はないが瞬時にしてそれを選べたのは、光樹を押し切る火力を欲していたというのもあったから。

 それゆえに、自分の炎に飲み込まれたゲールを視界にとらえた。
 意図は分かる、理屈も分かる。だが自分とは違い打算ありきで飛び込んだ。
 だからこそ振り返ってはならない。前へと進み続け、剣の目的を果たすことこそ自分の使命であると感じた。

 ゆえに――。

「はぁぁぁああああああ――ッ!!!」

 ――弥勒が降り注ぐ旋風と雷撃の対処にリソースを割いたところへ、怒涛の勢いで攻め込みにかかった。

 地より這い出、あるいは前方より迫る枝のすべてを灼熱で消し飛ばし間合いに入った。
 紅蓮の波を突き破り、神のごとし威光が姿を現すのにも怯むことなく、畳みかけるようにして攻撃を繰り返す。
 ガイトの使役龍による弱化もあり、負荷をかけ続け、熱を浴びせかけ続けた相手の体には少しずつであるが罅が入ってきている。
 黒く炭化し始めたその腕を、猟犬のごとく飛来するゲールの光輪が切り飛ばすと同時に、地より吹き上がる火柱に呑み込んだ。


 余人ならばこれで死んでいる。
 常人に向けるには、あまりにも過剰極まる火力だ。
 攻撃の成否は紅蓮の中とはいえ誰もがそう確信する苛烈な光景だが、一切気を緩めることなく神琴は叫んだ。

「ま、だァッ!!!」

 魂を炉心とし、吐き出され続ける業火に包まれた《草薙剣》。
 手を休めることなく、むしろ炎熱を取り込んだことによる身体能力強化が作用したことで、さらに速度、制度、威力の高まった斬撃を繰り出し続ける。
 大上段の一刀両断。滑り込むような、半身二分の薙ぎ払い。深く食い込むような袈裟懸け。
 いつ種子が飛来しても焼けるよう、骨の髄まで灰に還すほどの炎を自分に付加し続けることで、無理矢理に近い能力上昇状態を作り出し続けている。

 その生命リソースを余すことなく削りきるために。

「燃え、ろ――ッ!」

 相も変わらず、しかし愚直で真っ直ぐな牙突。
 認識されていたならば失笑ものだが、今放ったものは剣激の範疇に収めることは能わず。

 摂氏数千度の刀身は言うまでもなく、貫けば内側から命を焼き尽くすほどに荒ぶっている。
 加えて、今度は逃がさないと言わんばかりに剣より発せられる灼熱が、文字通り押し寄せる勢いで炎柱の内いる弥勒の全身を焦がし、灰に還し、吹き飛ばすべく喰らいつきにかかった。

 シフト
「 換装 ――《八尺瓊勾玉》ァッ!」

 さらにダメ押しと言わんばかりに自分を焼いて生成した魔力をつぎ込み、至近距離から弾幕とも呼べる密度の火炎弾を浴びせかける。

>天戯弥勒 奴隷騎士ゲール 黒渦ガイト

17時間前 No.1816

龍炎寺タスク @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★AmPQPE9EE6_RLB

【エイジス島/エイジス島最深部A/龍炎寺タスク】

……―――正直、助かった。
見知らぬ乱入者であるアラガミ、……あのタイプは、神機兵と言うのだったか。
いずれにせよ、『フェンリル』に多少なり縁のある存在なことに違いはない。そんな彼が、この場で手を貸してくれている。
回収したダークネスドラゴンWのデッキが収められたコア・デッキケースを一瞥する。
パープルオーブで自身の分身を生み、それぞれで違うデッキを操るという手自体は、数の有利を覆すには十分なものだっただろう。
だが、所詮は二人に対しての一人。中身は同じであるのだから、そう上手くはいかなかった。

永遠の少年、と揶揄された龍炎寺タスクのみが持つ力の掛け合わせによる攻撃は、すんでの所でキンブリーに届かない。
駆け抜ける氷の槍は、余裕さえ窺える動作で以て無力化された。対称的に、此方の傷は既にレッドゾーンに近い。
今は“グランテーゼ”の輝きがあるが、通常ヒトの身体は爆発に耐えられるようには出来ていない。当然だ。

「……今更、そうやって生きてる人を非難する気はないけれど―――……。
 それ、なら……猶更、僕には戦う理由が、ある。……貴方の仕事も、此処で打ち止めだ……!」

警察として、戦士として。
星を砕こうという自分たちがそれを言うのは、随分虫のいい……矛盾じみたモノを感じてしまうが。
此処でそんなことを感じて無防備になってしまえば、それこそ冒涜だ。これまで通過してきた、全てに対しての。

「何を、っ―――……!」

放った蹴撃は爆風に妨げられるようなことはなく、男が盾として構えた腕へと飛び込んだ。
確かな手応えがある。その最中であっても、男から向けられた問いと視線に表情を曇らせて。

答えを出すよりも早く、耳に届くのは破裂音。
自身が放った氷槍が、彼方の術の触媒と化し襲い掛かる。砕ける氷の音と共に、飛礫となって迫り来る自身の力。
逃げる場所などありはしない。立ち昇る紅蓮からタスクを守っていたジャックは、タスクに襲い掛かる全てからやや離れた位置にいる。

「キャスト、《限界知らずのバディファイター》―――……っ、ぁああッ!」

即座に防衛策となる魔法を発動しようとデッキに手を伸ばし―――……一瞬、思案。
結果発動させたのは、自身の守りを固めるための魔法ではない。自身の体力を回復しながら、迫る攻撃の威力を削ぐ……咄嗟に引き抜いた、知らぬ絵柄のカード。
それで防げるのであれば苦労はしない。“グランテーゼ”の加護と、自身の機動。発動する魔法で、致命傷を避けるように動き回る。
が、当然限界は来る。迫る飛礫は肩を穿ち、腹を掠め、足に突き刺さる。同時に来る熱波は、身体を苛むには十分だ。だが。

「……犠、牲……だって?そんな、もの……」

傷を塞ぐように凍結させ、それでも溢れるものは無視をする。
一瞬だけ目配せをすれば、空を舞っていたジャックがその頸をキンブリーへと向け、装甲を展開させた。
頭部の刃が変形し、その切っ先を男へと向ける。装甲に接続されているジェットが火を噴き、一瞬にして最大速度へ到達した竜から放たれるのはミサイルの雨で。
そのまま、頭部の刃で以て地を掬い上げ、キンブリーを吹き飛ばさんと飛び込むジャック。そして、それを確認したタスクは、一枚のカードを掴む。

「そんなもの、ずっと払ってきた……!
 僕たちが越えてきた星が、そこに居た人たちが……星の中で欲しがっていた未来が、払われ続けている犠牲だ……!」

「《雷星竜 ジャックナイフ“オーバーキル”》……『逆―――……」

カードを、流すように振るう。描かれる文字はたったの二文字。

「―――天』ッ!!!……コール!《ジャックナイフ“オーバーライト”》!」

『ぉおおおおおおおおおおおおおッ!!!』

その二文字が、友との絆―――……『雷帝軍』という軍勢を従える、数少ない親友との絆。『逆天』の力だ。
《雷星竜 ジャックナイフ“オーバーキル”》の持つ『逆転』の能力は、自身に重ねる形で別の装備を纏うことによる変容。
その変容に伴う、速攻の連撃だ。装いを新たに、天を衝くように伸びた頭部の剣と力強く伸ばした右手より放たれるのは、四つの光。
光線となったジャックの『ソウル』が、真っ直ぐキンブリーへと襲い掛かる。

>フル・フロンタル、ゾルフ・J・キンブリ−、相羽シンヤ

16時間前 No.1817

ラグナロク @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_hYg

【エイジス島最深部B/ラグナロク】

「それが……
 それが、己が魂の還る場所を護るため戦ってきた皆に対する言葉なの」

 暖簾に腕押しと分かっていても、堪え切れず彼女は震える声で口にした。せずにはいられなかった。
 彼女にはカイのような、王としての広い視野は持っていない。なれど、胸に抱いた義心の激情は、彼に勝っていたやもしれない。
 或いは、この激情は裏切りに対する憤慨であったやもしれない。彼女はほんの数時間前まで、フェンリルとして戦ってきた一人なのだから。

 立場が違っていたとしても、少なからず共に戦ってきたラグナロクには分かる。
 フェンリルも、或いはアラガミたちも。彼らは望んで犠牲になるために戦っていたのではなかった。
 この世界で戦った者は皆、自らの生存と故郷を護るために戦い続けてきた。
 ……ただ一人、この碩学を除いて。
 理想理想と、積み上げた糧を一顧だにせず彼方へ手を伸ばす様は、到底彼女の容認しうるものではない。
 人の理解の及ばぬ域で、誰も求めぬものへ手を伸ばす。その様は『完全なる世界』などという高邁な理想を掲げて人々を家畜とした神々と大差ない。

 ――負けられない。
 決して負けるわけには行かない。

 とはいえ……  ドミネーター
 数で勝れど相手は支配者、それもこの星に生まれ、流れ着いたすべてを我が物にせんとした強欲の支配者である。
 自ら戦闘要員でなく、緊急時の護身用の備えであったとしても、常識外れなまでの手数がある。
 烈風の礫と光蔦、次いで自ら携え持つ大楯。宛ら要塞の如く十重二十重に防御陣が敷かれ、こちらの攻撃は彼方には届かない。
 やはり数で勝るといえど、魔法剣士の魔弾程度では到底打ち崩せない。
 のみならず、地面に着地したとほぼ同時に、下方から突き上げる形で十字の紅光が槍衾のように放たれる。

「ッ!? っくぅ……!」

 それを寸前で回避することが出来たのは、彼女の加護故か、直感の成せる業か。飛び跳ねるようにすかさず後ろ飛びに跳ねて直撃を避け、地面を転がって追撃の手から逃れる。
 致命傷を避ける事には成功したものの、足と言わず腕と言わず無視できない裂傷が刻まれていた。
 彼女は別段、優れた装甲を持つ訳ではない。直感と速度、そして加護による回避能力を以て強敵と立ち回ってきた。故にこそ、耐久力でどうしても劣ってしまう。

 しかし……取るべき手は見えた。
 あれだけの能力を用いていながら、距離を離そうと弾幕を張るのは、接近戦に不得手な証拠だ。
 敵の主戦法はアウトレンジからの弾幕展開にあると考えて良い。
 要は弾幕を掻い潜って、その懐……とりわけ、あの胸部の推奨めがけて剣を振り下ろせばいいのだ。難しいことはない。
 理詰めで動く科学者であるならば、敢えて懐に罠を張って飛び道具で釣るなどというリスクを伴う手は使わない筈だ。
 勝算が見えているだけ、無理をする価値は十二分にある。

 そのためには……
 共闘する旅人、カイの眼にも同じ結論が出ていたのだろう。カイの法力がラグナロクの体を包む。
 磔刑の槍衾を受けて傷付いた少女の体が癒え、体が賦活される。これならば、少しは無茶をしても戦闘を継続できる。

「ありがとう、旅人の人……
 この御旗の下に、必ず勝利を呼び込んでみせるわ――!」

 告げて、長旗と直剣を二刀で構えて大きく踏み込んだ。
 宛ら光の如く、蒼炎の残滓を残して疾走し、先鋒を司るカイと連携する形で接近。
 吶喊の勢いをそのまま載せて、蒼炎を纏った聖旗による刺突を試みる。狙うは無論、その胸元に飾られた増強具たる水晶である。

>カイ=キスク、岡崎夢美

13時間前 No.1818

防人 @recruit ★1tmmb02HRh_emY

【エイジス島内部D(未明領域)/楠芽吹】


>>1809


 拳は━━━届くことはなく。

 それよりも速く、芽吹が振るう。
 疲労の中に在りつつも、恐らくはこの戦いで一番の勢いを以て打ち下ろされた渾身の一撃が、男を捉えた。
 銃撃でも貫く事が出来ない頑強な鎧の真上から砕く事ができたのは、或いは奴の使っていた手斧の切れ味がためか。

 両の腕に伝わる確かな手応え。
 返り血が頬に滴跡を作り、刃金が朱色へと染まる。
 それでも目の前で雪崩れるようにして伏した男の姿に、暫くは緊張の糸を解くことは出来ない。
 死んだように見せ掛けて、ふとして生じた隙を突く手を使って来ないとも限らない。
 そう思わせる程、この男は油断がならないと防人は感じていた。


 ……やがて。


 そのあっさりとした言葉が、奴が遺した最期のものであると確信すれば、ようやく重たい荷を降ろすようにして両肩を落とした。


「……返すわよ、これ」


 手斧を離せば、からんという乾いた音と共に血だまりの中に沈んでいく。
 これまで多くの標的の命を奪ってきた得物が、最後に切り裂いたのが自らの主と言うのは━━━応報めいた皮肉さもあるように感じられる。

 もう、この刃が誰かの命を絶つことはないだろう。
 この場所で主と一緒に、静かに眠らせておこうと芽吹は決めた。


「……っ、あんまり悠長にしている暇もないっていうのに……」


 戦いが終わると同時に、押し寄せるのは受けた損耗による大きなダメージ。
 全身に生じた切り傷や胸を穿たれた跡による影響が、波のように芽吹を打ち付ける。
 ぐらつく身体をどうにか保ち、短いながら息を整える。


 ……まだ終わった訳じゃない。


 ぎ、と口元を真一文字に結び━━━銃剣を手にし、前へと進みはじめた。


【お相手ありがとうございましたー!】

5時間前 No.1819
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