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【ALL】Chrono Apostle【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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異次元からの使者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

西暦7000年に起きた、時空防衛連盟と歴史是正機構の戦い。時空を巡る戦乱の果てにあった、時空断裂という最悪の結末。
史上最大とも称された危機を乗り越え、人類は更なる発展を重ねながら安寧の日々を過ごしていた。
民衆からの圧倒的な支持を受け、世界政府大統領に選出されたユーフォリア・インテグラーレは、就任と同時に数々の改革を実行する。
彼女の治世の元で、汚職にまみれていた世界政府はあるべき姿を取り戻し、社会問題となった経済格差にも改善の兆候が現れつつあった。
もはや、人類があのような危機に陥ることは、二度とないだろう。誰もがそう思っていた矢先、それは唐突に始まりを告げる。

新たなる大統領の誕生から丁度1年が経過したとある日、大統領直属の組織となっていた時空防衛連盟が、時空の歪みを観測した。
それが検知された場所は、リヒトルザーンから車で6時間ほどの距離にあるオラムフェルト上空。直後、空を割るようにして、異形の物体が出現する。
周辺一帯を覆い尽くす、無数の戦艦。どこからともなく現れた彼らは「並行世界管理協会」を名乗り、"調整"のためこの世界を訪れたのだということを明かす。
曰く、この世界の科学の発展は危険領域へと達しており、その先にある崩壊を防ぐために、協会の管理を受け入れることが必要であるというのだ。
しかしそれは、彼らの下に付くことも同然のこと。世界政府は拒否の姿勢を示すも、相手が返した答えは、武力による制圧であった―――

以前から存在が示唆され、半年前には実際に確認されていた並行世界。そんな、数ある並行世界の一つによる侵攻。それが現実となった瞬間であった。
オラムフェルトは一瞬の内に焼け野原へと変えられ、敵艦隊は世界政府首都、リヒトルザーンへと向けて進軍を開始する。
このまま何もしなければ、彼らによって世界は完全に滅ぼされることとなる。世界政府の命令を受け、抗戦のため次々と出撃していく時空防衛連盟と地球軍の面々。
ようやく訪れた平穏の時代を、破壊される訳にはいかない。美しき世界を護るため、時空防衛連盟は一月前に完成したばかりの"並行世界移動装置"を用い、境界線を超える。
その先に広がっていたのは、世界政府が汚職に染まっていた暗黒時代すらも軽く凌駕する、絶望の景色であった―――



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時空防衛連盟の存在するホームワールドと、並行世界管理協会の存在するアナザーワールドです。並行世界管理協会は、ホームワールドを支配下に置くべく、世界の境界を超えて戦争を仕掛けてきています。自らの世界を護ろうとする時空防衛連盟の面々と、そんな彼らを打ち倒して世界を支配しようとする並行世界管理協会、更にはその両組織の戦いに巻き込まれた人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2019/05/03 00:29 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_bhZ

―――現在は、最終章です―――


最終章:「神の裁き」

人民平和記念研究所、その地下にある制御装置管理施設の破壊に成功したことで、アナザーワールドの地盤は大きく揺らいだ。

これまで虐げられ、管理されてきた第三臣民が遂に解放され、並行世界管理協会に対して一斉蜂起を起こしたのである。

彼らを物理的に抑え込む術を失った協会。街の至るところから火が上がり、これまで自由の下に君臨してきた第一臣民や第二臣民が襲われる。

それはまさしく、世の中が覆る瞬間であった。第三臣民達が響かせる怒号は、協会にとっての死神のセレナーデ。

偉大な目的のためには犠牲が必要。そんな理を強要してきた協会が、その理によって犠牲になろうとしているとは、何たる皮肉だろうか。

驕り高ぶり、栄華を極めた果てに待ち受けていた末路。諸行無常、盛者必衰。下された神の裁きを前に、かつての貴族達が怯え、震える。

本来ならば、これは連盟が手を出すべき領域ではないのだろう。しかし、彼らには、最初に連盟を頼り、世界の命運を託した"彼女"の願いに応えなければならない使命がある。

戦いの先に待ち受けている光景は、安寧の日々か。それとも、何も変わらぬ地獄の日々か。ホームワールド、そしてアナザーワールドの未来のため、時空防衛連盟は今、全ての力を結集し、最後の決戦へと挑む。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-92#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-4#a

最終章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-339#a http://mb2.jp/_subni2/19796.html-340#a


・現在イベントのあるロケーション

・ミゼラブルパレス(A):最終決戦 ※時間帯は夜

・並行世界管理協会本部(A):最終決戦 ※時間帯は夜


※(H)はホームワールド、(A)はアナザーワールドを現す。

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惨劇の幕開け @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【時空防衛連盟本部/総統室/ユーフォリア・インテグラーレ】

―――それは、突然の出来事であった。
歴史是正機構との時空を巡る戦いから1年、世界は改革の途上にあった。新たに大統領に就任したユーフォリアの指示の下行われた、様々な改革。それらの改革により、世界にはあらゆる変化がもたらされていた。
動乱も過ぎ去り、このまま順調に復興の道を歩んでいくかに思われた世界。しかし、そんな日常は、突如として崩壊を告げる。時空防衛連盟本部にて、鳴り響く警報音。
それは、この世界の時空に乱れが観測されたという事実を示していた。反応があったのは、首都リヒトルザーンから車で6時間ほどの距離にある工業都市、オラムフェルトの上空。
歪みの数値は見る見る内に高まっていき、やがてそれが限界に達した時―――空を埋め尽くす、無数の戦艦が姿を現す。それは紛れもなく、異世界からの来訪者が、この世界に足を踏み入れた瞬間であった。

「並行世界管理協会」を名乗った彼らは、この世界……後にホームワールドと呼ばれ区別されることとなる世界を訪れたのは、"調整"のためであると述べる。
曰く、ホームワールドの技術は危険領域に発展しており、これ以上の領域に踏み込めば、世界そのものが崩壊しかねない。だから、自分達が上に立ち、それを管理するのだと。
こちらからしてみればあまりに無茶苦茶な要求を、はいそうですか、と受け入れる訳にはいかないだろう。当然、世界政府大統領のユーフォリアは、並行世界管理協会に対し拒絶の言葉を伝える。

結果としてそれが、惨劇の幕開けとなってしまったのだ。


―――――――――――――――――――――――――――――――


「状況はどうなっているの?」
『オラムフェルト支部、依然として通信が繋がりません』

慌ただしく情報が飛び交う、時空防衛連盟本部のオペレーションルーム。大統領でありながらも総統を兼任するユーフォリアは今、総統として、この場にいた。
彼女が並行世界管理協会の要求を拒否するやいなや、敵はオラムフェルトへと一斉攻撃を開始。市街地は瞬く間に火の海へと変わり、一瞬にして地獄絵図が作り上げられたのだ。
工業都市という性質上、オラムフェルトにはガスタンクなど多くの可燃性の物体が存在した。そのことが、火の回りを早くしてしまったのだろう。空撮で判明した現地の状況は、予想を遥かに凌駕する凄まじいものであった。
見渡す限りの火、火、火。もはや、そこに都市があったのかどうかすらも分からない。ただ猛々しく天へと登る火が、大地を覆っていた。生存者など、まず期待出来ないといっていい。

『敵はサクラゴスへも攻撃を開始しています。既に、潮力発電所と卸売市場が被害を受けた模様!』

並行世界管理協会が首都リヒトルザーンではなく、オラムフェルトとその隣町サクラゴスを狙った理由は、発電所の存在だ。オラムフェルトとサクラゴスには、近隣にとって非常に重要な役割を持つ発電所が複数存在している。
その一つが、サクラゴスにある潮力発電所だ。この発電所には二機の発電機が備わっているのだが、オペレーターの報告よれば、その内一つは既に稼働不可能な状態となってしまっているらしい。
そして、オラムフェルトにあった地熱発電所はというと……あの炎では、生き残っている方が不思議なくらいだ。一度に二つの発電所が被害を受けたことにより、現在リヒトルザーン周辺は、電力的に非常に不安定な状態にあった。

「イオン砲を動かすだけの電力はあるのかしら?」
『いいえ、現在リヒトルザーン及び近隣都市で大規模な停電が発生中。他の発電所から電力を融通するとしても、必要な電力を確保するために最低一時間を要する見込みです』

連盟本部こそ、非常電源でどうにかなっているとはいえ、これだけ大規模な停電が発生している中でイオン砲を稼働させるなど、無茶にも程があるだろう。
つまり今のリヒトルザーンは、敵に対する防衛設備を何ら持たない無防備な状態。そんな状況であの艦隊に近寄られてしまったら……何が起きるかなど、想像に難くない。

「可能な限り、敵の侵攻を遅らせるしかないわ。地球軍に通信を繋いでちょうだい」
「時空防衛連盟の全人員に告ぐ。戦闘可能な者は、今すぐサクラゴスへ急行すること。一人でも多くの市民を避難させるのよ」

ホームワールドにおいて、航空戦力を有しているのは現状、地球軍のみだ。あの高度にいる敵に対し、地上から攻撃を仕掛けるのは不可能。よって連盟は、サクラゴスの救援を行うべきだろう。
冷静かつ的確に指示を飛ばすユーフォリアであったが、不安や恐怖を一切感じていない訳ではない。何せ、あの規模の敵、それも異世界からやって来た者達を相手にするなど、当たり前ながら初めてのことだ。
軍事力においても、並行世界管理協会はホームワールドのはるか先を行っている。地球軍の助けを得たとしても、果たしてどれだけのことが出来るか……
それでも、希望を捨ててはならない。揺るがぬ意志を抱き続けたからこそ、この世界は時空断裂という未曾有の災厄から立ち直ることが出来たのだ。それに、指揮を執る自分が、諦めの言葉を発するなど言語道断。
絶望的な状況の中でも、ユーフォリアの瞳から光は消えていない。彼女は必死に思考を巡らせ、この試練を乗り越え、敵を打ち倒す術を模索しようとしていた。

>ALL

【お待たせいたしました。いよいよ書き込み解禁です!
 なお、第一章での戦闘用ロケーションはサクラゴスとプリンシパルとなります。それ以外のロケーションでの戦闘はお控え下さい。
 また、プリンシパルは外部を除いて、合図があるまで味方側は侵入をお控え下さい】

8ヶ月前 No.1

第一章:「侵略者襲来」 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

第一章:「侵略者襲来」
時空断裂による崩壊の危機を乗り越え、新たなる体制の元に復興と発展を続けてきたユーフォリア達の世界、ホームワールド。
しかし、そんな平穏は突如として崩れ去る。並行世界管理協会を名乗る者達からの攻撃……それが、アナザーワールドとの邂逅であった。
強力な艦隊による一斉攻撃により、一瞬の内に焼け野原に変えられたオラムフェルトとサクラゴス。
ホームワールドを恐怖のどん底へと突き落とした絶望の象徴は、次なる獲物を喰らわんと、首都リヒトルザーンへと進軍を開始する。
数多の試練を乗り越え、ようやく勝ち取った世界の平和。それを乱す者を、許す訳にはいかない。今ここに、時空防衛連盟の新たなる戦いが幕を開ける。

8ヶ月前 No.2

決死の革命 @sable ★YBxjZzuIqZ_keJ

【メイン記事解放おめでとうございます!

時系列が少し前後してすみません。事前に予定していたイベントのようなものなので、申し訳ありませんが乱入は控えていただけると助かります。
また両方の世界にいるキャラは紛らわしいので、アナザーの方だけ名前の後ろに(A)を付けさせていただきます】

【アナザーワールド/某所/ショコラ・ヴァンディール(A)】

 艦隊が錨を上げて間もない頃。若き政治家は大きな使命を帯び、温めに温めた計画に着手する。
 彼女は唯一の希望と言うべき情報を掴んでいた。この一年間、協会が探りを入れていた並行世界――ワールド10。
 その素性こそ彼女の知るところではないが、活気に満ち溢れた有力な組織があることは聞き及んでいた。
 時空防衛連盟だ。停滞の世に異を唱える若者が集い、三つの時代を救ってみせたという。
 彼らしかいない。ショコラは確信していた。この世界を変えてほしい。心の底から願っていた。

「時を越える勇者達……どうか力をお貸しください。この世界は邪悪な闇に呑まれ、私一人の力ではどうすることもできないのです」
「直接お迎えに上がるのが筋でしょうが、私のような者にその権限はありません」
「メッセージに添えた座標を追えば、この世界に辿り着くことができます。どうか……どうか……」

 艦艇へ忍ばせた発信装置にメッセージを吹き込む。これで連盟は並行世界の惨状を知り、立ち上がってくれるだろう。
 もちろんこんな行いは狂気の沙汰だ。自身が勤める組織を告発し、革命を起こそうなど。
 明るみに出ようが出まいが、待っているのは破滅のみ。明日なき身と知っているからこその賭けに他ならない。

「助けてください、時空防衛連盟。最後の希望です」

 もう引き返せない。反乱は始まってしまったのだ。自分は藁になれればいい。おが屑でもいい。
 やっと燻りかけた革命の火――絶やすわけにはいかない。英雄達が引き継ぐまで、この身に宿し守り抜く。

 決死の覚悟を込め、送信キーを押下した。

>>?????

8ヶ月前 No.3

使い捨てられる者 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【サクラゴス/灯台/エドガー・グリム】

――その日、港町は絶望に包まれていた。

突如として行われた『並行世界管理協会』による一方的な侵略。飛行戦艦による蹂躙により、サクラゴスは壊滅的な被害を受けた。
市街地には既に協会の戦力が入り込み、破壊と殺戮の限りを尽くしている。市街地から離れた岬に立つ灯台も例外ではなく、協会の戦闘員が押し寄せた。
圧倒的な戦力差に警備員達は為す術もなく惨殺され、運悪く居合わせた市民は多くが殺され、生きている者は皆捕虜にされ、灯台の中に閉じ込められてしまった。最早この近辺で生きて動いている者は、協会の戦闘員だけとなったのだ。

『プリンシパルより入電。灯台攻略班は捕虜を回収する輸送船の到着まで待機せよ。また、抵抗勢力が現れた場合は殲滅すべし』

通信役と思わしき協会の兵士が旗艦からの命令を部隊に伝達する。それを受けて兵士達は列を整え、それぞれの隊長の指揮に従い周辺の警戒を始める。
殆どの隊員が死んだような目をしている中、一人、強烈な憤怒を目に宿す男がいた。

「クソが……」

遠くに見えるのは火に包まれる町並み。此処からでも聞こえてくる、飛び交う怒声と悲鳴。目を背ければ視界に入るのは重油で汚染された海。サクラゴスが落ちるのは時間の問題だ。
さながら地獄とでも言うべき光景に、男は嫌でも在りし日のことを思い出す。その男の世界もまた、同じように侵略を受け、同じように蹂躙された。男は仲間達と共に必死に抵抗したが、まるで歯が立たなかった。そして、その世界の者達は皆第三臣民へと落とされたのだ。

第三臣民には人権はなく、協会にとっては使い切りの燃料と同程度の価値しかない。毎日重労働を課され、怪我も病気も診て貰えず、死ぬまで使い潰される道具に成り下がる。
兵士となった者もまた同じだ。戦争では真っ先に戦場に投入され、帰還を期待されない。死と隣り合わせの中、ひたすらに精神を磨耗させながら、彼等は戦わなければならない。

だが、何よりも残酷なのは、第三臣民は協会を裏切れないことだ。
彼等は脳に"チップ"を埋め込まれている。その活動は常に監視され、少しでも協会にとって都合の悪い存在と認識されたが最後、即座に処刑されるのだ。故に第三臣民は、協会を非難することも、協会から逃げ出すことも出来ない。
何時か必ず潰されることが分かっていながらも、現状を変えることも逃避することも許されない。だから、"やらなければならない"。かつて自分達がそうされたのと同じことを、自分達の手で。悲劇の連鎖を、その手で生むのだ。ただ、一日でも長く生きる為だけに。

「恨むんじゃねえぞ……こうしなきゃ、生きてけねえんだ……!」

協会には勝てない。逃げる事も敵わない。待遇の改善も望めない。故に、男の憤怒は、やり場の無い絶望に向けられている。

>>ALL

【メイン開始おめでとうございます〜!】

8ヶ月前 No.4

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【メイン開始おめでとうございます!】

【並行世界管理協会本部/司令部/シュルヴェステル・フルメヴァ―ラ】


攻撃が開始され、オペレーションルームでは多くの情報が行き交っていた。現状で侵攻に問題は存在せず、初動は完璧とも言える状態であった。既に目標の一つは陥落し、もう一つの目標も攻撃中だ。このまま順調に進めば目的は容易に達成できるだろう。
その事実を目の当たりにしても尚、この場において気が緩む事は無かった。ただでさえ情報と言う作戦行動において生命線を扱う以上当然であり、敵を侮るなど以ての外だろう。しかしこの瞬間だけは違う要因も含まれていた。
その体躯は一般的な成人男性を並べても大人と子供のようにしか思えない程に巨大、更には鋼の如き筋肉が纏う軍服を内側から押し上げるほど隆起していた。手に持つは自身よりも巨大なバルディッシュ、その威容は例え司令部の端であっても身が震える程だ。
陸軍において頂点に君臨する歯車王、その名を聞けば大半の人間が畏怖するか敬愛を示すほどの人物に最も長く仕え続け、協会の中で生身の人間としては最高齢層に位置するのがこの男。シュルヴェステル・フルメヴァ―ラだ。
齢90近くになろうと肉体に微塵の衰えも感じさせず、未だに最前線を退くことのない傑物。陸軍における矛を歯車王と据えるならば、盾はこの男と評することに協会の人間は異議を唱えないだろう、それだけの功績を積み重ねてきていたのだ。
今この男が前線に出ず、司令部にて陸軍指揮補佐を行っているのは単純な話だ。歯車王が戦場へと出ている、それだけのこと。歯車王が前線指揮を行い、この男が司令部からの情報を踏まえ補佐を行っているのだ。

「ふぅむ、消耗を抑える様に通達を飛ばせぇい!敵航空戦力の動向に注目し、対空戦闘の準備も怠るなともな!」

モニターと報告を幾度か見比べた後にオペレーターに指示を飛ばす、良く通る声は身が引き締まるものの、威圧感を感じさせぬ気分の良いものであった。この男の存在が陸軍司令部の士気上昇に一役買っているのは一目瞭然だった。
通達は陸軍全体に送られた、しかし指揮権の優先度は歯車王の方が上の為に撤回命令が出されれば其方が優先されるだろう。だが歯車王は蹂躙を好むこともこの男は理解している、恐らくは指揮を送らずとも問題ないと言う念が上回るとも。
さて、この男が指示を飛ばした理由は単純な事だ。勝ち戦に余計な消耗は必要なく、制空権を取られた相手が奪い返す算段を付けるのも当然の帰結。空軍の練度を信用していない訳ではない、だが何事にも万が一や予想外は起きるものだ。
もしもこの男自身がその場に居たならば何ら問題はなかったが、歯車王から留守を任される大役を担った以上は優先されるのは此方だ。万が一、本部が攻められた場合に対応できる人材が一定数必要だ。

「歯車王様が前線に出ている以上、陸への懸念はない。思考を巡らせるべきは空、だが儂の領分を超えておるなあ!」

仁王立ちで僅かに思案に耽ったかと思えば、豪快な笑い声を司令部に響かせる。そもそもの主戦力は空軍、戦艦を持ち出している以上は戦法の根幹を担っているだろう。であるならば陸軍の残る仕事は空軍の補佐だ。
何より、ここまで駆け上がってきた将校の晴れ舞台でもある。その場を整えたいと言う気持ちがあるのは当然だろう、歯車王もそのきらいはあるようで、前線に出た原因の一つではないかとも考えている。軍属は違えど、若き逸材は輝けるべきだ。
この男自身もただの凡愚が歯車王と言う仕えるべき主が居たか否かの違い、費やした年月の差があれど同じような経歴を持っている。立場上表立って背を押すことは出来ないが、花道を作る御膳立て程度は構わないだろう。
そして再度モニターに視線を移し、報告を聞きながらその都度指示を送っていく。大きな混乱もなく、陸軍の状況は極めて安定している。あとは目標の陥落を確認すれば作戦は終了を向かえるだろう。

>>ALL

8ヶ月前 No.5

決死の革命 @sable ★YBxjZzuIqZ_keJ

【プリンシパル/プリンシパル周囲/シフォン・ヴァンディール】

 今日は厄日だ。次期副総統を迎えに行ったら、町が丸ごと吹き飛んだ。
 空一面の鋼鉄、鋼鉄、鋼鉄――初となる並行世界との邂逅は、酷く血生臭いものになってしまった。
 それも歴史是正機構の様なテロ組織では済まされない。強大な空軍戦力を保持し、拒絶一つで大量虐殺。
 歯がゆい思いで胸が一杯だ。思うままに軍拡を進められていれば、こんな事態は未然に防げたかもしれない。
 今頃民衆は絶望の只中にあることだろう。無理もない。おびただしい数の敵艦隊に対し、虎の子たる地球軍航空隊の稼働機は、せいぜい100機前後しかない。
 だが諦めるにはまだ早いというもの。親友もああ言っているのだから。

「基地航空隊第三部隊・64戦隊、敵艦隊に触接中。間もなく攻撃を開始します」
「攻撃隊、準備出来次第発進急いで」

 圧倒的な大戦艦を前に、淡々と連絡を済ませていく。そう、シフォンは機上の人となっていた。
 万が一に備えて愛機を出して正解だった。単騎突撃など正気の沙汰ではないが、反攻作戦はスピードが命。
 艦を沈められる程の武装は降ろしてきてしまったが、主力部隊到達までの時間稼ぎなら出来ないことはない。
 ミサイルも積んでいないような軽戦闘機一機に出迎えられて、敵はさぞ困惑していることだろう。
 自嘲的な笑みを浮かべながら照準を調整し――突撃。息の詰まるような負荷が、却って生を実感させる。
 バイザーの下で光る狩人の目。狙いはプリンシパル艦上の対空火器。これを掃討せねば、連盟の突入隊にも甚大が被害が及ぶ。

 搭乗員しか聞き取ることの出来ない、トリガーが沈む音。走る光線、砕け散る砲塔。
 一つ……また一つ。破壊された砲塔から立ち昇る黒煙は、反撃の狼煙に他ならない。

>>(ロウェナ・ウィッケンバーグ)


【早速予定していた絡みに入らせていただきます】

8ヶ月前 No.6

大鎧 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【サクラゴス/港/歯車王】

『こちら陸軍直轄艦、チェイサー級プロフェット、まもなく降下ポイント。 ……到達、空挺部隊投下開始』

燃え盛る街に数隻の巨大な船が迫る、いや、本隊である空母艦隊に比べれば、それは矮小と言っても良い程の物であろう。
それでも、人々にとってそれはあまりにも巨大で、圧倒的であった。
それは戦艦でもなければ、空母でもない、大した対艦能力も持たない強襲揚陸艦と輸送艦だ。 彼らは高い対空能力を持つとは言え、ここまで入り込んでいると言う事実は、即ち戦況が極めて並行世界管理協会側に偏っていると断言しても良い。
彼らが行う事と言うのは酷く簡単だ、抵抗勢力を完全に消去するために、仕上げとばかりに空挺戦車を含む陸戦部隊を降下させ"ピリオド"を打ちに来ているのだ。

そう、サクラゴスは完全に抵抗能力を失った訳ではない、いくら爆撃によって大きな被害が出たとは言え、完全に全焼はしていない。
しかし、市民にとっては、どっちにせよ、結末は同じなのだとこれから思い知らされる。

幾つかの歩兵が地上に降り立つ、強襲揚陸艦の降下支援能力は高く、まともな火器を見つければ砲撃によって制圧し、ほとんど無傷で空挺部隊を地上に降ろした。

『我々が残飯処理ですか。 よろしいので?』

旗艦が"最後の機体"を投下する前に、その機体の搭乗者、いや、その機体そのものに通信を送る。
これはただの戦車や兵器ではない、自らの身を兵器とし、永劫の支配と権力を得た協会の将官、歯車王である。

「構わん、セレーナの奴やシフォンに良い顔をさせてやれ。 リコルヌの策と言うのは気に入らんが、まあ、セレーナの若造には戦艦を預けられてからの最初の勲章は派手で多いほうが良いだろうよ。 それに……抵抗できぬ虫けらを踏み潰すと言うのも楽しいぞ? ぐはははははははっ!!」

そう老人は笑う、彼の余裕の理由はただ一つ、必勝であるからだ。
並行世界管理協会が必勝だから? それももちろんある、だがそれ以上に、この"歯車王"こそが、必勝なのであるッ!!

化け物が投下された、それは火を受け付けず、ほとんどの火器を受け付けなかった。

「無駄」

人間の身体が機械の豪腕によって簡単に引き千切られ。

「無価値!」

気まぐれに放ったビームキャノンがトーチカを吹き飛ばす。

「無意味ィッ!!」

そして逃げ惑う市民を、戦車形態に変形してひき潰す。
そんな残酷で、圧倒的な殺戮者がそこには居た。
これを止める者など存在するのだろうか、そんな時だった、歯車王は一つの思い付きを実行する。 それは、この戦いであるセレーナに対する通信である。

「小娘、そちらの調子はどうか? すまんなあ、陸軍は諸々の都合で行軍に時間が掛かる。 まあ? 日ごろ貴様がワシに言っている事が事実とするならば、栄光ある陸軍不在の中、輝かしい勝利を収める事など、造作もなかろう? それとも、劣等人相手にべそかいて逃げ出すか? ぐははははははっ、精々健闘してみせろ!」

そう一方的に伝えて、歯車王は通信を切り、そして、すでに終わっている決着が半ば付いている戦場を見渡す。
行軍が遅くなる? ありえない、自分の陸軍は常に最強である、だが、陸軍不在の中にアレが勝利したとあれば、多少の箔も付くだろう。
歯車王が功績を焦らないのは、自分が最強と思っているからだ、最強である限り評価など簡単に付いて来る、 また、何れアレが知恵をつければ、陸軍がどれほどの存在かを理解する可能性もある、それこそ、リコルヌのような愚か者と違って。

故に、歯車王は死骸を踏み潰して笑う、勝利ではない、完全勝利を確信して。

>(セレーナ・バルダローム) ALL

8ヶ月前 No.7

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【サクラゴス/卸売市場・端部/ヴェロニカ・ディートリヒ】


ほんの僅か、時を遡れば多くの人々で賑わっていた事が容易に想像がつく市場であった場所。最早その賑わいは過去の物となり、周囲に響くは人々の煩わしいながらに安心できる喧騒ではなく、炎が弾ける音と炸裂音ばかりの恐怖の咆哮が慄き啼く。
不運にも逃げ遅れ、流れ弾が命中した人の形をしていたであろう物体、そこから流れ出す液体は朱い花を作っていた。その花ですらも時折炸裂する砲火や瓦礫に呑まれ花弁を焦がし、散らしていく。そんな光景が周囲を見渡せば幾らでも視界に入り込む。
そんな焔に沈む市場であった場所に駆ける影が一つ、息も絶え絶えながらに物陰から物陰へと移動する彼女はヴェロニカ・ディートリヒ。第三臣民の中でもさらに下の扱いを受ける魔族、その一人だ。
身に纏うは第三臣民を制御するための黒いボディースーツと膝元までの外套、防具や武具の支給などある筈もなく、ただその身一つで戦火の中を駆けていた。土埃に塗れた上に四肢の布地は所々千切れ、外套も端の方から焦げ付いている。
少なくとも協会側であり、攻める立場にいる彼女がこのような目に遭っているのは単に第三臣民であるからだ。第三臣民は代替えの利く消耗品だと言うのが一般的な認識だ、それは戦闘に駆り出された場合も変わりはない。
消耗品如きの為に照準をずらす労力がある筈もなく、第三臣民のみが投入されている戦場は砲火が無差別に降り注ぐことを意味していた。彼女だって部隊を指揮していた、だがまだ敵との接敵はしていない。そして彼女一人、それが意味する事はもう分かるだろう。

「クソッ!相変わらず容赦ねえな、畜生ッ!―――ッ!あっっっぶ、ねえ!!!」

残敵掃討、生存者の確認、そんな任務を受けた彼女達は全て味方の砲撃で命を散らしていた。現に今も彼女は物陰を軽く粉砕する爆撃から全力で飛び退き、その身を地に打ち付けて、建物の残骸に身体を叩きつけられていた。
最初に比べれば頻度は落ちて来たとは言えども、相変わらずにこの地帯への爆撃や砲火は止まない。倒れ伏して痛む身体に鞭を打って、立ち上がればまた駆けだす。その場で痛みに屈し、伏していればそのまま死することすら有り得る。
そうして物陰に身を隠しながら生存者を探す、もし発見したならば例え相手がどんな存在であっても命を奪わなければならない。第三臣民に昇級はない、特に魔族には功績すらない、あるのは処罰ばかり。これで成果すら無しならばどうなるかなど想像に容易い。
だが彼女だけならば逃げることは容易い、第三臣民を管理する多くは彼女にとってどうとでも抜け道が有るものだ。その気になればこの場所から亡命だとか、逃げ果せる事だって不可能ではない。しかし、そんなことを彼女が出来るはずもなかった。

「ちィッ!いい加減、破壊も終わったろう!俺達を殺す為にやってる訳じゃ――――――」

ふと、彼女の耳に届いたのは幼い泣き声であった。同時に小さく聞こえる呻き声と、慰めるような優しい声。表情に影を差しながらも、彼女はその声が聞こえた方に駆ける。これは仕事、これは任務、死なない為に、死なせない為に必要だからと。
逃げる途中に瓦礫の崩落に巻き込まれたのだろう、胴体だけが見える人間の女性とその腕に抱かれた幼い子供の姿がそこにあった。女性はもう長くないと彼女は容易く判断できた、それでも尚大丈夫だと子供をあやす姿は母そのものだ。
混乱の中、取り残されたのだろう。同情はする、不運だとも思う、だがそれだけだ、じゃなければ自分すらどうにもならないのだから。その女性が彼女を見た瞬間、瞳に希望が宿ったのを見て殊更にそう思うだろう。

―――この子、だけでもお願い……します

「……ああ、分かった。―――悪い」

幼子を受け取り、一言の謝罪の後、彼女の爪が宙に軌跡を描いた。この世界でなければ苦しませていただろうし、知らなくていいことも女性は知ってしまっただろう。だがこれも結局は自己満足でしかない事も、彼女は理解していた。
そっと、首の無くなった死体の腕の中に胸に孔の開いた物言わぬ幼子を抱かせた。僅かに視線を空へと向け、彼女は再び駆けだした。こうして何度も彼女は生存者を見つければ手に掛けていた、どれほど心苦しくとも。
彼女には理由があった、ただ己の全てを賭けてでも守りたいと思える存在の為と言う理由が。彼女が逃げぬ理由であり、どれだけの理不尽な任務を課せられ、処罰を受けようとも屈しぬ理由であり、他者の大切な存在を奪う理由であった。
それが正しくないことなど理解はしている、だがその理解が彼女が大切に想う少年を助ける事にはならないのだ。どれだけ間違っていようとも、少年が傷付かずに居れるのなら彼女はそれでいい。彼女は少年の現状など知らずに、利用されているのだとしても。
少年と彼女に交友があるのは件の事件で明るみになり、それ以降顔すら合わせず近況すら知り得ない。ただ、お前が従順ならば悪いようにはしないと告げられれば、従う以外にないのだ。嘘か真実かは別としても、従えば少なからず危険は及ばぬのだから。

「クスト、俺は―――――」

爆撃が収まり始めた市場を彼女はまた駆ける、成果を取り上げられただけならば己のみが傷付くだけで済む。だが成果がないならば少年にまで危害を与えると、そう言われた以上は従うしかないのだ。
彼女にとって、その少年は、クストと言う少年はそれだけの想いを抱く大切な、護りたい存在なのだから。

>>ALL

8ヶ月前 No.8

卑劣な軍団指導者 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【サクラゴス/卸売市場/南側/ユキア・ビコラン+レギオン】

「おーおー、派手にやるねえ。 まぁ派手にやってくれるだけこっちが楽になるから大歓迎なんだけどさ」

視界の奥に見える火の手を見て気楽そうに呟く女性が一人、もちろんこの状況下でのん気な事を喋っている時点で分かりきった事だが、彼女の名前はユキア・ビコラン。
並行世界管理協会から送り込まれた戦闘員の一人である。 とは言え、彼女は主戦場に向かうつもりは全くと言っていい程無かった。
はっきり言おう、彼女は危険と言うもの、さらには自分が労力を使う事が何よりも嫌いである。 しかし困ったことに、ある程度の戦果をあげておかないと、昇格はもちろん、今の立場すら消え去りかねないために、彼女はある方法を考えた、それが。

「おっ、来た来た。 はーい、検問です。 うーん、連盟っぽい、よって処刑!!」

ブロロロロと車のエンジンが聞こえてくると、ユキアはスキップしながら道の横に立って手を振る、そこで一瞬だけ速度が落ちた瞬間、近くの木の上や廃墟に隠れていた数人の鉄塊とすら言えるだろう鎧男が車に一斉に飛び乗って、急ブレーキとタイヤが地面に擦れる音と共に、容赦なくその鎧たちは手に持った槍で屋根や窓越しに中の人間を嬲り殺す。
響く悲鳴と肉が色々惨いことになっている音などユキアは気にも留めず、不自然なほど豪華で、神々しい鎧を身に纏った聖戦士"レギオン"の暴挙を見ていた。
まるでレギオンたちは人の心が無いように、既に乗っている人間は全員息もしていない上、さらに車も近くの廃墟にぶつかって停止していると言うのに、死体に向かって武器を振り下ろし続け、美しい白銀の鎧を血や肉片と言う赤色の塗料で染め上げていた。

スプラッターホラーさながらの光景をしばらく見た後、ユキアは「はいはい」と手を叩いてレギオンの注意を自分に向けさせた。

「そこまでそこまで。 こんなところ他の奴に見つかったらカモが来なくなる、車と死体そろそろ片付けて全員配置に戻ってねー」

そう彼女の考えた方法と言うのは、所謂避難誘導が行われているような大通り……つまり、警備部隊のようなある程度の戦力がある場所ではなく、滅多に人が通らない道に陣を張り、来た者を確実に嬲り殺しにすると言う物だった。 実際律儀に戦果を全て記録できる者などそうはいない、自分はただ、数個の首、は大きいから駄目としても、指を持ち帰ったりすれば、戦果の捏造など簡単に出来るのだ。
だから彼女は、一切まともな敵戦力と交戦せず、ただひたすらに無抵抗の市民を何人もレギオンに殺させていた。

止める者などいるはずがない、だってそうなるように狩場を選んだのだから。 皆が皆、幹部のように正面で派手に戦果を出せる訳ではない、だが、少し頭を使えばいくらでも楽が出来る。
中から死体を担ぎ出して隠蔽工作を始めるレギオンを見ながら、ユキアは内心笑っていた。


>ALL

8ヶ月前 No.9

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw


【時空防衛連盟/休憩室/グレイル・ザーラヴァ―】


私はアッシュ・レイウィン!時空防衛連盟所属のオペレーター!時空防衛連盟には地球軍からの左遷で送られました!何と上官にちょっとお話をしたら激怒されて飛ばされたのです!何とも悪意に満ちた方でしょうね!
それ以降はオペレーターとして連盟内で活動しています!目立った活躍はありませんが多くの優しい方に恵まれています!私嬉しいです!しかし現在は並行世界管理協会と言う組織に攻め入られてもう大変!今も数分の休憩を噛み締めています!
さてさて、こんなところですね。私と言う存在は今、この世界においてはそう映ります。一応お仕事なので役目はちゃんと果たしますとも、尤も成果らしい成果は無いんですけどね。これはグレイル悪い子です。
しかし文化や技術的な資料は提供されましたが、人的資源は私が集めたデータの方が正確性は高いようです。これは良い子なグレイルですね。そして要注意人物のリストは既に送信済み、本当は襲撃に乗じて帰還命令が出ているのですが……
なんとなんと!私は連盟でスパイを続行します!パチパチパチ!しかも襲撃まで情報を集め、送信しろとの命令なので何と情報を送信する義務もありません!これはグレイル天才では?天才ですね!
何故かと問われればお答えしましょう!私の好奇心以上の理由はありません!嘘です!単にグレイル善意探知機が此方を差しているだけです、そう……ここに居れば私は更に善を成し遂げられる、そんな予感がグレイルひしひしと感じます。
それに連盟の人達は個性的で面白い人たちも多いですね!協会の方も私の善意で愉しんでくれる方は多いのですが、怖い怖ーい人がいるんですよね。グレイル弱いので困っちゃうんですよね、まあ私の善意は止められないのですが。
そう、例えばこの休憩室の飲料に即効性の睡眠薬を混ぜておきました!協会の襲撃でお疲れなのでぐっすりと休んでまた備えられるように!勿論即効性の強力なので後を引く、更にゆっくり休めるんですよ!このグレイルは画期的でしょう!
まあ、先程怒られたのですが。なあなあで許してもらえる私の人徳が素晴らしいのでしょう、これは皆さん善意に満ち溢れれば同じようになれますよ。これを言ったら流石に殴られましたが、グレイルの頬は痛いのです。
そして休暇を取れた一人の方の看病を命じられました、多くの人が手を離せないそうなので私に任せるそうです。一先ずは定期的に水分を飲ませて安静にしています、一口飲んでお休みになられたので数時間で治りますよ。グレイルは知っていますから。

「ゆっくり休んでくださいねー、協会とやらが攻めてきたせいで大変ですからねー」

と、オペレーターの同僚の頬をつんつんと。流石にボロは出しません、一応諜報員としての評価は高いので。情報を集めたら直帰を命じられるほどに必要とされています、まあグレイルは優秀なので、当然です。
そうそう、よく戦闘に携わる方に白い目で見られるんですよね。勿論協会の方です、酷いですよね、私弱いのに。私が善意で行動しているのに何を企んでいるだとか、真面目にやりなさいだとか、グレイル理不尽に耐えています。
さて、ちょっと真面目なお話をしましょう。私、情報の送信は命じられていますが送られてきた情報をどうするかとかは何の命令もないのです。だから位置座標とかグレイル知らないのです、何で知ってるかと聞かれても知らないのです。
はい、真面目はお終いです。しばらくはアッシュ・レイウィンとして居るので五割増しで真面目なのですが、そんなのはどうでもいいのです。何とこの休憩室、ゲームがあるのです。皆が忙しい中でやると言う背徳感にグレイルは惹かれます。
惹かれるだけですけどね、あくまで諜報員としている以上おかしい行動は慎むべきですから。普段が幾ら真面目と言えどもね、緊急時に遊んでいるようなのは駄目ですね、グレイルは当然遊びませんとも。

「んー、お水の時間ですね。咽たり気道に入ると危ないので、丁寧にやりましょうねー」

そう、ゲームで思い出しました。いやーびっくりしましたね、並行世界ってそんなこともあるんですねって感じです。見た目が似てるにしてもそっくりでしたね、何がとは言いませんけどね。グレイルの口は堅いのです。
協会の人間としては早めに対処をして、可能性を潰した方が賢明なのでしょうけど……彼女面白いんですよね。あと面白いです。なので要観察としました、グレイルは臨機応変に対応できるのです。えへん。
おっと、水差しを突っ込み過ぎた失敗失敗。序でに目を覚ましたようなので、彼には私が起こしに来たと思って貰いましょう。まあ私が寝かしつけたものなので怒られたのですが、グレイル悲しみに溢れます。
では、丁度誰も居なくなったので最後の報告を行いましょう。お伝えするのは簡単な一言です、でも協会にとっては意外と耳が痛いかもしれませんね。おっとグレイル失言、これはいけないいけない。

油断しないように、兵器の質ならまだしも人材では協会に劣らない、とね。
あ、宛先どこに向けたのか忘れましたね。これはグレイルうっかりです。

>>ALL

8ヶ月前 No.10

逆賊 @mgs56 ★kOwjtfzUku_keJ

【並行世界管理協会本部・レストラン/董卓】
並行世界を治める並行世界管理協会本部(アナザーワールド)の本拠地。通称はミゼラブルタワー。この建物内にあるレストランの食事と建物内から見える景色は目とを楽しませるには十分だ。そんな高級レストランにて、あまりにそぐわない者が一人いた。

「――――――肉と酒が足りんぞ!早う持ってこぬか!!」
『ヒ、ヒィ!た、ただいまお持ちいたします!!』

そう叫びウェイターに向けて酒瓶を投げつけ催促する。
テーブルに並べられているのは大量の点心に豚や鳥の丸焼きといった豪華な中華料理に、世界各地の酒。明らかに一人で食べる量ではない。しかしなおも足りぬと言う。暴飲暴食の主の名は董卓。字を仲穎。この時代から見て7000年近く前の中国を生きた男。帝を擁し、天下最強の武威を盾に専横を極めた稀代の逆賊。豚の如く丸々と太り、帝の如き冕冠を被る様は暴君としての表れだろう。

「フン、ノロノロとしおって。普段であれば即刻斬っておったところよ。」

威嚇とばかりにあらぬ方向へ酒瓶が投げられたこともあり、無傷で済んだウェイターは急いで厨房へと戻っていく。それを横目に董卓はそう吐き捨てた。人の考えぬ暴君は世界を違えど在り方は同じである。
しかしこう見えて彼は妙に上機嫌だ。理由は一つ。元の世界では自分に楯突く阿呆ばかりであった。しかしこの世界ではどうだ。少なくともこの組織の統治下において叛逆は決して許されず、仮に行ったとしても即座に位置を特定され始末される。つまりは誰も自分に逆らう者はいない。この状況こそまさに酒池肉林を体現する絶好の好機ではないか。もっともその「逆らうことは許されない」ことに関しては董卓とて例外ではないのだが。

「このワシに命令をする阿呆共は心底気に入らんが、これも絶好の好機よ。手柄を挙げて出世し…最後にはワシがこの世界の頂点に登り詰めてやるのじゃからな。ガッハッハッハッハ!!」

当時の中国には存在しなかった西洋式の葡萄酒を一息に呑み、誰が聞いているかもわからぬ中で、己が野心を口にした。

>>ALL


【スレ開始おめでとうございます。】

8ヶ月前 No.11

消えた故郷 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【サクラゴス/卸売市場/北側/ベアトリクス・ノアシェラン】

平和な日常が、よりにもよって異世界からの侵略者によって崩れ去ることなど、予想出来た者が果たしているだろうか。空を覆い尽くす戦艦は、ホームワールドに壊滅的な被害をもたらした。
特に、工業都市オラムフェルトの被害は甚大だ。街そのものが消え去るなど、いくら引火しやすい性質の建物が密集していたとはいえ、にわかには信じ難いことである。
オラムフェルトの隣にあるサクラゴスも、深刻な被害を受けた。街が消失するまでには至らなかったものの、多くの建物から火の手が上がり、沖合では避難船が爆撃機に襲われ燃え盛っている。
この二都市が狙われた理由は、大きな発電所を有していたからに他ならない。あらゆるものが電化され、電力と密接に関わった人間の生活は、一度それが失われた途端、簡単に破綻してしまう。
事実、リヒトルザーンやその近郊の都市では現在、大規模な停電が発生している。時空防衛連盟本部や地球軍本部といった要地は、非常用発電機でどうにかなっているものの、一般市民は突然の出来事で戸惑いながら、徐々に近付いてくる絶望の象徴に怯えるしかない。

「ふざけんなふざけんな、冗談じゃねえ、嘘だって言ってくれよ畜生!」

そんな中、サクラゴスの卸売市場で、必死に瓦礫を掘る背の小さな女性が一人。彼女の名前は、ベアトリクス・ノアシェラン。元地球軍所属で、現在は時空防衛連盟の司令官を務める人物だ。
ベアトリクスはオラムフェルトとサクラゴスが攻撃を受けたとの報せを受け、連盟から指示が飛ぶよりも早く、ここへやって来た。だが、彼女が到着した頃には時既に遅し。
街中から火の手が上がり、沖合に逃げた民間人は爆殺された後であった。それでも、陸路で逃げた人物は皆殺しになったという訳でもなく、実際に卸売市場に来るまでも、何人かの生存者とすれ違っている。
しかし、あの二人とは……行く宛のなかった自分を拾い育ててくれた老夫婦、ベアトリクス夫妻とは、何度電話を掛けても連絡が取れない。まさか、まさか、そんなことがあってたまるか。

「おい聞こえてるなら返事しろ! おい! 頼むから! オレはまだあんたらと話したいこと、沢山あんだよ!」

悲痛な声を響かせながら、血の滲んだ手で必死に瓦礫をどけるベアトリクス。されど、その思いが届くことはない。ベアトリクス夫妻は、この卸売市場で店を営んでいた。
そして、襲撃を受けたのはまだ二人が店で働いていたであろう昼間。建物全体が崩壊するだけの被害を受けているのだ。彼らが生きている可能性など、限りなく低いと言わざるを得ない。
それでも、諦めきれなかった。自らを絶望の淵から救い出してくれた、両親のような二人。この目で確かめるまでは、絶対に信じるものか。まだ二人は生きている、生きているんだ。そう己に言い聞かせながら、彼女はまた一つ、瓦礫をどける。

>ALL
【戦闘前提の配置です!】

8ヶ月前 No.12

リャノー・ミッシェル @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_Tbw

【 サクラゴス/潮力発電所/北部/リャノー・ミッシェル 】

 降伏勧告の棄却により、拮抗は破られた。
 それは、同時多発的に勃発する悪夢の幕開けに他ならない。

「Amazing grace――」

 光条、つんざくような高音。
 雨のように降り注ぐ輝きが、地上に怨嗟の叫びを齎してゆく。
 恐慌状態の新兵が逃げようとした矢先に撃ち抜かれ、状況を確認しようとした指揮官が砕けて爆せる。
 たった一人の異能者を相手に、陸戦に長けているはずの戦車部隊が壊滅しようとしていた。

「That saved a wretch like me……」

 その渦中にいるのは一人の修道女。
 慎ましやかな礼服に身を包み、とても前線にはいられないであろう痩身。
 その有様を形容するならば、神に祝福され、天使に召し上げられた殉教者。
 両手を組んで静かに歌う天使めいた出で立ちでありながら、しかし齎すのは徹底的な破壊。
 流血が大河と化して流れてもなお、邪気の無い微笑みを浮かべて死体を睥睨している。

 兵士達は武器を取り落し、思い出した。
 神とは崇拝されるべき対象だが、間違っても人間に寄り添える存在ではないと。
 生存本能に従い敵前逃亡を開始する彼らへ、女は静かに右手を振る――見送るかのように。
 彼らは見逃されたのか。無論、

 ――否である。

「I once was lost but now I am found」

 女の真横を、幾つもの光条が駆け抜け、兵士達を刺し貫いてゆく。
 百発百中。頭を潰し、光輝が呑み込んでゆけば、後に残されたのは焼け焦げた死体。

「また少し、世界が安らぎました」

 破壊し尽くした路上に、血の大河を流れさせた女。
 積み上がる数多の死体へと鎮魂の祈りを捧げる様は悔いているように見えるが、寧ろそうであったのならばあまりにも辻褄が合わない。
 皆殺しだ。一切の例外はなく、果ての果てまで降り注いだ光の槍が創り出した死体の地獄。
 本気で、そう信じている。自らの行いに一切の疑問を持っていないことが何よりの証明。
 世界平和、天下泰平。
 総じて安寧の世が実現されるなら、何人死のうがどうでもいい。殺しつくした者の顔を、修道女は覚えていない。

「平和へは程遠いですが、これも我が使命であるがゆえ――」

>ALL

【スレ開始おめでとうございます】

8ヶ月前 No.13

堕天使参上! @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【サクラゴス/卸売市場・端部/片翼の堕天使ルシファー】

火が、死が、どうしようも無い絶望が、直ぐ其処まで迫っている。それはさながら唸りを上げて押し寄せる津波のように、無慈悲に、跡形もなく、全てを呑み込んで行く。
昨日の平穏は掻き消え、救いを求める叫び声は一つまた一つと失われて行く。誰もが我先にと走り出し、迫り来る死から助かろうとひたすらに逃げ惑う。

――人々が戦禍から逃れようと行列を成して走る中に一つ、その流れを遡上するように駆け抜ける影があった。

『きゃっ!』

一人の少女が、人の波に押し倒され転倒する。少女を助ける者はいない。それどころか、倒れた少女を足蹴にしてまで人々は逃げようとしている。
全く当然の話だ。足を止めれば待つのはただ死のみ。自分以外のものを気に留める猶予など、此処には無い。
故に、脱落した者を救う者はおらず。そうして、火が、死が、絶望が、無慈悲にも少女に迫る。少女は目を瞑り、ただ震えてその瞬間を待つ――。


「うおおおおおおお!!
  ライトニングフォール
   【 神 雷 光 】  !!」


――――瞬間、曇天を切り裂いて、光の矢が降り注いだ。

少女に迫る絶望の火を、無数の光の矢がたちまちの間に打ち消して行く。火の熱さが、死の痛みが何時まで経っても訪れない事を妙に思った少女が目を開くと、其処には、一人の『救世主』が立っていた。

「無事か、少女よ! さあ立て! 此処は我が食い止める!」

それは、漆黒のローブで頭までを覆った、何処か幼さの残る、しかし不敵な表情と凛々しい眼差しが印象的な少女。明々と燃える火に照らされたその姿は、少女にはきっと英雄に見えたことだろう。
少女は礼を言って走り去る。それとほぼ同時に、人々にとっての災禍の権化とも言える者が訪れる。

駆け付け現れたのは、灰混じりの銀髪の少女。武装はしておらず一見一般市民にも見えるが、しかしその眼差しに秘めた意思は、明らかに常人のそれではない。

「来たな、異邦の侵略者(プレデター)よ! だが此処から先は通しはしない!」

少女の救世主は背負った大剣を抜き、両の手でそれをしかと構える。炎のように赤く燃える右の瞳と、海のように深く蒼い左の瞳が、目の前の侵略者をしかと捉えた。よく通る声は小さな体に見合わぬ気迫を放ち、並々ならぬ力強さを伴っていた。

「遠からん者は音に聞け!
  近くば寄って目にも見よ!
    我こそ聖なる光と邪なる闇を統べる者!
  悪逆の徒よ!
   我が名を以て冥府への手向けとするが良い!

 我が名は【ルシファー】!
  この荒廃せし時代に舞い降りた、最強無双の堕天使である!」


――此処に、堕天使伝説の幕が上がる。

>>ヴェロニカ、ALL
【宜しくお願いします〜。】

8ヶ月前 No.14

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【リヒトルザーン/総合病院/シビルナ・カストリス】


都市部にある最大の病院、加えて医療の最先端であるならば有事の際、最も人が押し掛ける場所だろう。一つの街が焼き払われ、現在も攻撃を受けている最中。断続的に避難民が訪れる中、忙しなく動く五番隊の姿があった。
避難民の誘導、傷の度合いによる振り分け、応急手当てで対処できる傷への処置、安否確認の問い合わせとその参照、病院側と連携して行ってるとは言え休む暇などない状況だ。隊長であるシビルナは能力を活かし、応急手当へと回っていた。
輸血液のパック片手に避難民の間を渡り歩き、血液を口に含んで吹きかける様は一種の宗教染みたような光景であった。避難民もその見た目からか嫌悪感を示すものも多くいた、しかし実際に効果があることに気付けば半数ほどは落ち着きを取り戻していた。
残った半数の対処は他の隊員に任せながら、彼女は病院側との意見交換を行っていた。緊急時であり、吃音による意思疎通の不可能が深刻視されるために筆談を使用していた。その結果、避難民が予想をはるかに下回る人数であると結論に至った。
病院側の試算でも、シビルナの目算でも更なる混雑と混乱が予想されていた。しかし結果は忙しいで収まってしまう程度、連盟側からの現場の情報が一切ないために断定は出来ないが……といった流れになってしまった。
そうして話を切り上げて再度手当へと戻った、先程よりも避難民は増えているが彼女の想定の半分も満たしてはいない。だが今はそんなことを考える場合じゃないと手当てに取り組んだ、美味しくもない血を口に含み吹きかけると言う行為を繰り返しながら。

「お、お、終わったあぁぁぁ……い、いや、いや、おお、終わるのが、おか、おかしいよね。」

彼女による手当は効率的であった、軽い傷であれば吹きかけるだけで治ってしまう医療と言う存在を脅かしかねない能力も有り、一時間足らずで押し掛けた避難民の軽傷者の手当ては完了した。残る重傷者の処置は病院側が基本的に行う事になっている。
基本的に、と言うのは彼女の今の状態を見れば分かるだろう。死なない程度に血を抜かれ、輸血されている状況だ。重症の度合いにもよるが体内に長時間存在した血液であれば、治療手段として有用、ならば使わない手はないだろう。
尤もこの手段は半日に一度できるかできないかであるために貴重ではある、それに彼女も一時間は動けなくなるため危険度も大きい。避難民は想定こそ少ないものの、想像以上に重傷者が多いための緊急の手段として使用したのだ。
隊員に輸血の経過を見て貰いながら、話しかける彼女の表情は疲労だけではなかった。吃音というものを除いても声色には不安が滲み出ている、動けるようになり次第前線に向かう事は最早彼女の中では決定事項のようなものであった。
何が起きているか、逃げ遅れた人々の救出、協会と言う敵の撃退、時間が経てば経つほど状況は悪化するだろう。彼女自身も動きたいのはやまやまではあったが、負傷者を優先するのが当然だと、そう言い聞かせていた。

「あ、ま、またひ、ひ避難してきた人たちが、来たみたい……あ、あの、肩、肩貸して……て、手当てしなきゃ。」

再び押し寄せた避難民の姿が見えれば彼女は傍らにいた隊員に声を掛け、肩を貸してもらおうとする。心配の視線を向けられるが、彼女は曲げるつもりはなく隊員もそれを理解していた。だから輸血針をしっかりと固定してから、肩を貸して立ち上がらせた。
また新たな輸血液のパックを片手に、今度は自身が輸血されながら訪れた避難民たちの軽傷者の手当てを行っていった。再度血を吹きかけられることに不快感を示す避難民も多くいたが、彼女のその姿を見て表立って不満を口にする者はいなかった。
そうして手当てをしながら避難民の数を確認して再度思うのであった、どう見ても少ないのだと。もしかすれば、その予想が当たってしまっている事を示すかのように。その事実を少しでも忘れようと、彼女は再び手当へと没頭するのであった。

>>ALL

8ヶ月前 No.15

黒薔薇 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【プリンシパル/プリンシパル周囲/ロウェナ・ウィッケンバーグ】

並行世界管理協会による、オラムフェルトとサクラゴスの攻撃。ワールド10への侵攻の第一弾として、生活において必須である電力の供給源を叩き、次なる布石とする。
その作戦は、完璧に遂行された。眼下に広がるのは一面の炎。もはや、そこに都市が存在した面影などない。恐らく生存者は零。あまりに完璧過ぎる結果である。
しかし、敵もただ黙って攻撃されるばかりではない。しばらくして、レーダーに敵機の反応があった。近付いてくるのは、軽戦闘機一機。……一機だと? まさかそんなはずは。これは、何かの罠か?
すぐデコイの可能性を疑ったものの、それ以外に別の敵が近付いてくる気配は微塵も考えられない。まさか、本当に一人だというのか。何を考えている、ただ死にに来たようなものではないか。

「私が出ます。他の皆さんはここで待機して下さい」
「ブラックロータス、発信します」

かつて協会にてナンバー2まで上り詰め、今でこそ引退したものの、有志として戦闘に参加し続ける功労者、ロウェナ・ウィッケンバーグ。彼女は、このたった一人の敵の掃討を買って出た。
余談ではあるが、ロウェナは現役時代、協会不動のエースとして君臨したほどのパイロット。その撃墜数は1000をも超えると言われ、数多の死線を潜り抜けてきた熟練者だ。
そんな彼女が出たのだから、当然協会は勝利ムードだ。一部隊を一人で壊滅させたこともあるくらいなのだから、まさかこんな単騎、それも軽戦闘機相手に負けるはずがない。

「単なる無謀か、それとも勝算あっての行動か……見極めさせて頂きましょう」

彼女はそう呟くと、一気に機体を加速させ、トップスピードで敵に接近する。その速度は通常であれば対Gスーツを着ていたとしても、まず間違いなく人間は即死するほどのもの。
しかし彼女は、普段の服装のままであるというにも関わらず、まるでただ椅子に座っているかの如く、余裕の表情だ。そう、ロウェナは、自らの能力を用い、自分へ作用するGをゼロにしているのだ。
愛機ブラックロータスも、無人機を無理矢理友人化した、彼女だけの特別仕様。こうして手に入れた異常な機動力で、ロウェナは無数の敵を封じ込めてきたのである。
すれ違いざまに敵機へ粒子バルカンを浴びせ、そのまま直角に近い軌道で上空へと離脱。まずは挨拶代わりの一発。これを躱すようであれば、その瞬間、激しいドッグファイトが幕を開ける事となるだろう。

>シフォン・ヴァンディール
【よろしくお願い致します】

8ヶ月前 No.16

雪夜の芸術家 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【レス開始おめでとうございます!モツは後から投下します!】

【リヒトルザーン(H)/繁華街/F.Fショパン】

(疲れた……)
 ぐったりとした表情の、黒衣と陰鬱を纏う痩躯の青年が趣あるカフェの一席で深く腰を掛ける。
 避難勧告が出されているせいか、最後の客になった男は、自身の身の上を整理する。
(とりあえず、この世界の説明と必要最低限な物は用意して貰ったが、どうも上層部のやり取りが苦手だ。こういう場合、フォンタナがいてくれたらな……)
 アンニュイに目を伏せて、雑用を押し付けていた学生時代の友人の名と顔を浮かべ、召喚された際契約内容のやり取りを自分でやるのが少々苦痛だったと振り替える。
 大勢の人との好奇な目に晒されるのが苦手で、あがってしまう男の正体は時空防衛連盟本部が召喚したサーヴァント、すなわち英霊である。
 英霊とは実在架空問わず、人々の信仰さえあればその死後外の世界にあるという「座」と呼ばれる物に登録される。
 霊長最強の魂であり、霊長を守護する兵器でもある。
 サーヴァントはそれの複製した使い魔に過ぎず、この男もその類なのだが……
(確かに、列強に討ち負かされ、異国に逃げ困窮に喘ぐ同胞がきっかけで、支援金や慈善演奏会にだけは出演した私だからこそ、この時勢は適任だが……この体は戦いが終わるまで持つか不安だ)
 厄介な事に召喚された全盛期の肉体は、結核に侵された肉体で尚且つ愛人の献身を受けていたという語りがつく為に、それすらも再現されてしまった肉体的脆さと。
(連盟に所属しない理由も、この体があるからだ。軍務に耐えきれないのは英霊に"されてから"も変わらずか……)
 内向的に傾倒している精神面は、とても高位な存在には見えなかった。
 静かに鬱屈そうに佇み、陰がかかった碧眼を窓の景色に向ける。
 繁華街をはもののけから、眺めては暇なので懐から手帳と鉛筆を取り出して、五線譜を引いて音楽を練り出し始める。
(しかし、世間で言うところの全盛期らしい肉体というのは有り難い、精神的にも落ち着いてこうして作品をまた練れるのだから)
 愛人と別れて脱け殻のようになり、精神を病んだ頃の自分ではないと、召喚された時もそう実感していた。
 とりあえず、頭に浮かんだ主旋律を即興曲として脳内で構成して、紙面に書き記している途中、店員が紅茶とオレンジケーキを持ってきたので、一旦作業を中止し、にこりと微笑むと店員は「あんたで最後だ、店を畳んで避難するよ」と伝票置く前に男は先に代金を店員に支払うと、店員はその場から立ち尽くした。
(……やっぱり疲れた体は、これに限るな)
 白い手袋を外して、ジャケットの胸ポケットにしまうと、細く白魚のような手でフォークを持つと、鮮やかなオレンジが敷き詰められた黄金色に焼かれたケーキに、優しくフォークで一口サイズに切ると、卵色の生地にはオレンジの果肉が散りばめていた。
 一口頬張ると、果肉も生地に混ぜたのもあってか柑橘類の甘酸っぱさが口に広がって男の鬱屈した表情は、解されていき、先程の憂いが嘘のようだと、朗らかな表情で甘味に酔いしれる。
(ああ……至福だ。このまま時が止まればいいが、引き受けてしまった以上。投げ出すわけにはいかない)
 ケーキ生地に染み込ませた果汁と、それを散りばめられた果肉に、感慨深く堪能した後紅茶を一口飲むと、丁寧に優しく一口大に切り分けケーキを食しつつも、内面は不安を抱えているが死地に赴く覚悟はし、完食をすると。ジャケットを羽織って白い手袋を嵌めると喫茶店を出て、繁華街へと乗り出した。

 この男の真名(な)はフレデリック・フランソワ・ショパン。
 人々の魂の詩情を示す「詩人」と謳われ、ピアノ表現を開拓した音響の設計家とも言われる英霊だった。

>ALL

8ヶ月前 No.17

Futo・Volde @nonoji2002 ★VgtmIqXF0o_qY9

【リヒトルザーン/繁華街/ハンバーガーショップ/Sans】

「オイラみたいなスケルトンが歩いていても気にも留めないんだな、ここのニンゲンは」

長く地下世界に閉じ込められ、地上に出た後、なんやかんやあって今ここに居るわけだが、こっちでも“モンスター”の存在ってのは認知されてるらしく、人通りの多いこの繁華街を歩いていてもオイラのようなスケルトンを誰も気にも留めない。
なんて言ったところで気に留められても困るというものなのだが。いちいち歩く度に有名人のように人だかりが出来て、まともな移動さえ困難なことになれば、仕事に支障が出るってもの。もっとも、今は仕事の気分じゃないし、トレーニングをするのも面倒。ここへは“見回り”という名目上の“サボタージュ”に来ているわけだ。

「さて、どこに入ろうか。腹が減ってるとどれも美味そうに見えてくるな」

この繁華街の飲食店は激戦区という表現がしっくりくるくらい、食べ物屋の隣に食べ物屋、というのが何軒も続いて居る。
時間は丁度昼時、ランチの時間と言うのもあって、各店舗こぞって、ランチメニューにランチ価格と客引きに必死だ。人気店舗やチェーン店らしきところには人たかりが出来ているし、そうでない店でも人はそこそこ入っている。目立つのは観光客らしき若者だが、それと同じくらい目に付くのはこの近辺で働いているであろう、ビジネスマンの姿。つくづく、そう言った人を目にするたびに、スーツ姿の自分の姿なんて想像もできない。

「よし、決めたぜ」

ラーメン、ハンバーグ、スシ、ステーキ、カレー……オーソドックスな物は勿論の事、聞いたことないような料理の専門店まで、幅広い国の幅広いジャンルの食べ物屋がここには乱立している。
敢えてそう言った、専門店的な、聞いたことも見たこともない料理を取り扱う店に入るのも悪くないが、今日の気分はハンバーガーとポテトフライ。選んだ店は極々普通のハンバーガーショップ。レジの前にはそこそこの人だかりがあるが、テイクアウトが多いのか、不思議と店内は埋まりこそしているが、そう混んではいない。

「……へえ、どれも美味そうだな。とりあえずこれとこれを頼むよ。ケチャップは多めでな?」

そのまま自分の番が回っては、レジにて女性店員に注文する。
頼んだのはオーソドックスなハンバーガーとポテトフライ。もちろんケチャップは多めだ。料金を払って番号札を受け取って、適当な窓際の席を見つけて腰かける。
どうせ座るなら窓際が良い。子供ってわけじゃないし、拘りがあるわけでもないが、少なくともこの街に居る間は窓際に座りたいと思える。なんたって、この街には興味を惹く物がたくさんある。窓から外を眺めれば、また新しい興味の対象が見つかる。外を眺めてるだけで時間つぶしになる。この街は当分の間は飽きることはなさそうだ。

>ALL


【スレ開始おめでとうございます!】

8ヶ月前 No.18

ライフィスト @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

 ―――男の話をしよう。

 男は仮面を付けていた。仮面を外した先にも、また仮面。
 人間そんなもの。幾つも仮面を被り、使い分けて生きている。
 笑っている顔。怒っている顔。媚び諂う顔。泣きわめく顔。憎んで恨む顔。
 どんな人間でも、本音という顔の上に、建前の仮面を使い分けて生きるのならば。
 仮面の下も仮面にしか見えないような、男の素顔は一体どんな顔なのだろうか?

 それを知っている人は、この世界には居なかった。
 それを知ろうとするほど、人々の心に隙間は無かった。
 だから良いのだ。男は、桃源郷にたどり着いた旅人のように、心を弾ませて笑っていた。
 此処は一握りの生き物が笑い、それ以外の全てが崩れ落ちる。
 一つの歯車を回す為に、九つの歯車を擦り切れるまで回す。

 男にとっては理想であったし、誰かにとっても理想であった。
 崩れる誰かにとっては、ああ当然理想などではないだろう。誰だって生存という欲がある。
 それを否定する気は、男には絶対になかった。理屈としては、無い方がむしろ可笑しい“欲”だからだ。

 ただ。
 知っているのと、掬ってやるのは、それはまた、別の話。



【アナザーワールド/某所/ライフィスト・ヒッチロート】



 誰かにとっての希望が芽吹く時があった。
 空を雄々しく駆け、蛮人の大地を蹂躙する、無慈悲にして冷酷なる正義の到来を前に。
 誰かにとっての、儚い希望がその産声を挙げようとしていた。
 たった一度のことだ。それを挙げようとしていたのは、ショコラ・ヴァンディールと呼ばれる一人の女性―――“この世界”において、ごくわずかな上位生命として君臨する第一臣民であり。その中でも更にごくわずかな例外として存在する、この世の混沌と狂気に飲まれずに生きて来たものだった。

 この世界は狂っている。
 誰の眼から見ても明らかなほどに、いびつな生命の歯車が出来上がっている。
 それを狂っていると糾するには、煮詰められた混沌はどうしようもなく深く広く。
 たった一人、たった数人、僅かな“正気”の人間が何を成すなど不可能と言って良かったのだ。

 ―――不可能と言いながら、それをやらずに文句だけを口にする卑怯者。
    そうした人間をこそ、最も卑劣と呼ぶべきものであるからこそ、彼女はそこに立っている。

 祝福された未来、約束された安寧、その全てを放り捨てて彼女はそこに在る。
 たった一度のメッセージを送るために―――これから侵攻される大地に、何かを伝えようとするために。

“この世界”の人間全てが彼女を蔑むだろう。けれど。
“この世界”にいないもの全てが、彼女を祝福するだろう。

 英断だ。何かが変わるかもしれない時、何かをするために動くことの出来る人間を、傍観者と呼んではいけない。
 ショコラ・ヴァンディールは紛れもなく、この時点では彼女にしか出来ないことがあり。
 それを、自分の立つ未来が崩れることを承知の上で、此処に成し遂げようとしていたのだ。


 それを………祝福するように、何かが笑った。
 ただし。誰もそれを祝福と感じ取ることはない。


『x@y<y、x@y<y! bk/Zpーd@fzt5ue9
 dyw@to6^@yg)4d94< 0qdkgoeud)ba'y!』


 その笑い声全てに。
 むせ返るほど濃密で、悍ましいほど苛烈な悪意が含まれているのだから当たり前。
     、   、   ・・・・・・・・・・・・
 その笑い声が響いたのは、たった今押そうとしたキーの方だから当たり前。
 入力しようとしたキーが、その場にある装置が、突然ぐにゃぐにゃと動きを立て、あざ笑うような声色の哄笑を浴びせかける。うねうねと動く鋼鉄は生き物のようで、しかし現実味のない変貌の仕方は、狂気を運ぶ顔のない者のよう。

 装置の全てが、その場にあるモノの全てが、狂乱したような声を挙げる。


『f! f! f! f!
 g@' f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f f ! ! ! 』


 ………たった一度だけ艦艇の方でもそれは聞こえ、すぐに小火のような爆発を起こして掻き消えた。
    これが何を意味するのかは、すぐに分かる。

    これがどういうことを意味するのかは、誰もがすぐに知る―――ただ、一人を除いて。
    そうとも、ショコラ・ヴァンディールだけは、いまワールド10で起きた出来事を知ることはない。

 理由?
 それは、笑い声の聞こえない方角を見れば―――今しがた、開いた扉の方を見れば分かる。
 話は都合よくいかない。ドラマや映画、本のように、命を引き換えにした悲劇が全て成功するわけではない。
 そして、成功してもどうなるかはショコラ自身が知っていたことなのだ。

 ならば………。


「―――残念、ですね」


 かつ、かつ。靴を鳴らす音と共に、入ってくる。
 脚運びから体幹に至るまで、まるで中世貴族のような優雅さと荘厳さを備えた何者か。
 穏やかな声色、微笑みを乗せた顔立ちはこれから冗談でも口にしながら茶会に勤しむような雰囲気さえあって、しかし、面と向かって対峙した勘の鋭い人間ならば、その吐き気のするほど欺瞞の籠った態度に先ずは目を背けるだろう。

 そいつは紛れもなく邪悪だった。
 赤い髪を靡かせ、その瞳を蛇のように細めて笑う。
 端正な男の顔立ちは、きっと嫉妬と羨望の両方を集めるだろうと断言出来るし。
 その立ち振る舞いは、彼もまた一握りの人間であると考えるには十分すぎるが。

 それ以外の全てが、物語っている。
 一年前に現れ、上級役員のポストを手に入れた、顔の見えないアンノウン。
 ライフィスト・ヒッチロートという男が、有り体に言って正気のまま狂気になじむ邪悪であることを。

「ああ、とても残念です。実に、嗚咽を零して涙枯れ果てるほどに………ワタシは。
 今日という日を楽しみにしていたワタシを、掻き毟ってバラバラにして差し上げたい………」

 男は、まるで芝居掛かった言い回しを含めながら。
 ゆっくりと、足音を立てて近づいて来る。本当にゆっくりと。

 ・・・・・・・・
 何かしてもいいぞと、まるで言外に口にしているかのように。

「いやしかし、考えましたね………。
 そうしてくれると………嗚呼! 思っていた。アナタだからこそ、今日この日にゴルゴダへ昇るのだと!」

 そしてショコラの対応がどうであれ、彼はくすりと口元を釣り上げて、言葉を再び紡ぎ始め。
 まるで歌劇の舞台であるかのような仰々しい言い回しが、朗々と男の声を以て語られていく。

 その言葉のすべてが、きっと欺瞞だ。
 建前から建前を使いこなし、どれが本音かも分からせやしない。
 笑っているのか。怒っているのか。悲しんでいるのか。喜んでいるのか。
 嘆いているのか。媚びているのか。狂っているのか。醒めて、いるのか。

「故にこそ、残念でならないのですよ。ワタシの勘が当たってしまった。笑い話にするつもりの、ワタシの勘が!
 だからワタシはアナタを………今日、此処で、嗚呼悲しいことに、自らの手で―――」

 どれだか分からない。
 表情と態度から、ライフィストという男を読ませない―――ただし、誰であっても分かることはある。
 片手を持ち上げ。まるで女神に直談判するような気障な態度で、彼はたった一つの真実を突きつける。


 そうだ。


「  殺  さ  な  く  て  は

     、    、    、     な  ら  な  い  の  で  す」



 成功、失敗を問わず、キミは知っていたはずだ。
 自分にとっての死神がやってくると。

 それが、彼だったというだけのことだ。


>ショコラ・ヴァンディール(A)



【事前相談と許可の上での行動になりますので、乱入はご遠慮ください〜】

8ヶ月前 No.19

雀蜂流忍者 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【サクラゴス/卸売市場・南側/グリゼルダ・ホーネット】

彼方此方で火の手が上がるサクラゴス。悲鳴と怒号が響飛び交い、その合間に激しい交戦音が響く中、建物の屋上から屋上を跳び移り、飛鳥のように駆ける少女がいた。
彼女の名はグリゼルダ。このホームワールドで生きる魔族の一人であり、『雀蜂流忍者』の末裔である。闇に生き悪を挫く正義の忍であり、この非常事態故、時空防衛連盟に協力しているのだ。

倒壊した建造物を跳び移りながら戦禍の中心へと急行していた彼女は、人気の無い路地から血の臭いを嗅ぎ付けて其方へ進路を変える。
人の声が聞こえるまでに近付いた彼女は、屋上から気付かれないように眼下を覗き込む。其処から見えたのは、血に染まった銀鎧の兵隊が死体を運ぶ姿だった。潰れた車両が近くに見える事を考えれば、恐らく車の中に居た人間だったろう。

「何と惨い……! おのれ、外道め……!」

ギリと歯を食い縛り、怒りの炎を燃やしながら、しかし努めて冷静に状況を分析する。彼女一人ではあの数の、それにあの重装甲を討ち倒す事は困難である。故に、何か有効な手立てが無いか、じっくりと周囲を見回す。
見れば、兵隊の指揮を執っているらしい少女がいる。そちらは特に装備を固めているようにも見えず、彼女でも十分戦える相手に見えた。

であれば事は早い方が良い。音も無く建物を降り、兵隊と指揮官らしき少女の死角を正確に縫って近寄って行く。
目標はただ一人、指揮官の首級。如何に武装した兵隊と言えど頭さえ失えばあとは烏合の衆、各個撃破も難しく無いだろう。

瓦礫の影に身を潜め、苦無を数本取り出す。息を潜め、少女が隙を見せるのを待つ。そして、視線が此方に向いていないその一瞬を狙い、素早く飛び出して苦無を投擲する――。

「天誅で御座る! 悪党め、お覚悟!」

威勢良い言葉と共に勢いよく投げ付けられた四本の苦無は、しかし、少女の服すら掠めはしなかった。それらは少女を囲むように地面に突き刺さる。外した――の、ではない。"囲んだ"のだ。

「――忍法、痺れ網の術!」

一言唱えたかと思えば、地面に突き刺さった苦無が発光し、バチバチと音を立て始める。苦無同士を繋ぐように蒼い光の線が走ったその直後、線の内側に強烈な電撃が迸った。まともに受ければ痺れて一時間はまともに動けない、強力な電撃だ。

正義を果たすため、罪無き人々を救うため、雀蜂の忍者が邪悪に立ち向かう。

>>ユキア

8ヶ月前 No.20

ハベル・アレッセル @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_Tbw

【 時空防衛連盟/レストラン/ハベル・アレッセル 】

 ――おかしいと思いませんかあなた。俺は本当ならこんなとこにいないはずなんですよ。

 よれたスーツでうなだれる男の背から漂う、強烈な悲哀と嘆き。
 妻に逃げられた亭主が居酒屋で自棄になって飲むときの姿のように、目の前のカツカレーをつつきながらボヤいている。
 有事にも開いてくれる、24時間営業食堂。腕利きのシェフを雇い、少ない資源ながらも、各国の要人を招いてもなんら恥ずかしくないようなとびきりの食材を使って作る数々のメニュー。
 そのような庶民の贅沢を、格安で提供してくれる。ああ、社員食堂万歳、お財布が薄くならずに済む――。

「はぁ……」

 鳴り響く非常ベル。例の奴らがやって来た。前線に立って血みどろの戦い――。

「行かなきゃダメ……ダメか……? ダメだよなぁ」

 誰に届けるまでもない自問自答。
 きっとここの人間達が聞けばお前の良心に任せると厳しくも優しい返答をくれそうだが、回答は求めていない。
 単に男は死にたくなかった。その上で、此度送られたダイオアデスの具現化のような非常事態に晒されてる。
 防衛任務など死ぬから行きたくないのだし、恐らく銃の玉一発も効かない格上がゴロゴロしているだろう。

 いいや絶対そうだね――カレーライスには福伸漬けからっきょうがついてくるのと同じくらいと言える。
 聞いた話だけでも、並行世界管理協会というのは物凄く崇高な価値観を持ったヤバい組織だというのは明らか。
 きっと死にもの狂いで、それこそ腹に爆弾巻き付けて特攻とかやるんだろう。いや、絶対やる。

「イヤだなぁ……」

 別に良心の呵責がないとかそういうわけではない。
 ただ、自分の命とそういったものを天秤で計ってみたら、自分の命を置いた方が地に付いた。
 だから行きたくないだけのこと。それでも後のことを考えれば、命令さえあればきっと行くのだろう。

「――行きたくないなぁ……」

 だから、ずっとボヤいている。

 ――優良企業に入ったと思ったらブラック企業で、事実上の徴兵にあった男の嘆き。

>ALL

8ヶ月前 No.21

I am Determination @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【リヒトルザーン/繁華街/ハンバーガーショップ/キャラ・ドリーマー】

「とんでもないことになってるようだね。だからこそ、人間は日常を求めるか」

今、この世界、ホームワールドでは恐ろしいことが起きている。なんでも、並行世界管理協会を名乗る連中が攻め込んできて、軽く都市が二つほど、焼け野原にされたそうだ。
当然その情報は首都であるここ、リヒトルザーンにも伝わり、道行く人々がビルに備え付けられた電光ディスプレイに釘付けになっている様子が見受けられる。
こんなことが起きたのだから、パニックを起こしている人間も中にはいるが……どうやら、日常というものはそう簡単に全て壊れることはないようだ。特に繁華街では、それが色濃く現れていた。
奇跡的に、この場所は停電を免れていたらしい。区画によって状況が違うのは当たり前のことだが、周りが停電で大混乱の中、ここだけある程度冷静さが保たれているというのもそれはそれで異様な光景だ。

「これ、頼むよ」

ハンバーガーショップに入ったキャラが注文したのは、三角チョコパイ。ハンバーガーショップに入ってきてこれだけ頼むというのもどうかと思うが、女子であれば珍しくはないことだろう。
そのまま彼女は、適当な席に座る。店の中に設置されたテレビでは、やはりというか例の襲撃のニュースが流れていた。時空防衛連盟が対応を開始しているようだが、果たしてどうなることか。
もしかすると、自分も協力者としての務めを果たさなければならなくなるかも知れない。ここでゆっくりしていられる時間も長くはなさそうだ……そんなことを考えながら、彼女は一口チョコパイをかじる。
ふと、横を見た。物凄く見覚えのある顔がそこにあった。嘘だろう? いやいやまさか、そんなことがあるはずが。でも、やっぱり何度見てもそっくり。というかそのまんま。
だが、なんというか……身にまとっている雰囲気が、少しだけ違っているような気がする。基本的なところは同じでも、こう……もっと自分に近い何かがあるというか、そんな感じ。

「なあ、君。君は私のこと知ってるかい?」

戸惑いつつも、声を掛けてみることにした。本当に自分の知っている人物であるという保証がなかったため、中途半端な形になってしまったが、どうなることやら。
返答が返ってくるまでの間に、もう一度テレビを見る。あまり事態は進展していない。世界がこんなことになっているというのに、自分は呑気にファストフードを食っているという事実に、少しだけ罪悪感を覚える。
もしかすると、横にいるこいつも、同じ立場か? だとしたら、自分はこいつを引っ張っていくという仕事も課せられることになるかも知れない。ああ、今日は災難だ。色々な意味で。

>Sans
【はいノルマ】

8ヶ月前 No.22

深淵 @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【こちらは非戦闘用ロケーションのため、絡みは受けられません。申し訳ない!
またやや自演が入ります】

【パラーデ/艦橋/シフォン・ヴァンディール(A)】

 完璧だ。作戦は完遂された。工業都市と発電所は大炎上。敵の防衛戦力も軒並みダウンする結果となった。
 命からがら空路海路へ逃げ出した生存者共も、今頃この空母パラーデから発艦した戦闘機隊の襲撃を受けていることだろう。
 まさに全てが想定通り――つい先刻までは。

「バルダローム。キャプテン・バルダローム。応答しろ」

 シフォンの表情は穏やかではなかった。部下を全員退室させ、険しい声を通信機器に投げかける。椅子にふんぞり返り、勝利に酔いしれていていいはずの彼女がだ。
 彼女をここまで苛立たせるもの。それは大戦果を挙げたプリンシパルの艦長、セレーナ・バルダロームの采配だった。
 本作戦の主眼は、ワールド10都市部のライフライン断絶。故にリヒトルザーン侵攻など予定にない。
 確かに大打撃こそ与えたものの、反攻勢力たる地球軍及び時空防衛連盟への被害は皆無。それらと真っ向勝負を繰り広げるには、この艦隊はやや戦力不足と見て間違いない。
 加えて現在プリンシパルは、二列縦陣の航行序列から突出しようとしている。敵前で打撃力と引き換えに防御力を捨てるなど、危険極まりない行為だ。

『敵機接近。シールドを展開し、突撃態勢です』
「軽戦闘機一機でか?正気じゃないな。

既にウィッケンバーグ機が向かっている」

 単騎で突っ込んできた自殺志願者などどうでもよい。シフォンの頭の中はプリンシパルのことで一杯だった。
 駆逐艦一隻ですら協会空軍の貴重な戦力であり、ひいてはミゼラブル会長の保有する兵器。国力なのだ。
 我々に求められているのは、白熱の試合展開でもなければ、窮地からの大逆転勝利でもない。ただ完全勝利あるのみ。
 撃破一隻、大破一隻出すわけにはいかない。撃沈など以ての外である。だというのに――

>>セレーナ・バルダローム

8ヶ月前 No.23

ライル @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【サクラゴス/灯台/ライル】


 煙が立ち込める。
 モノと、家屋と、魚と、ヒトと、後は良く分からないものをごっちゃにして混ぜた煙の臭い。
 断末魔と呪詛の声が多重に響くオーケストラは、その手の趣味でもないならただ不快なだけだ。
 そしてそんな趣味を持つ人間はめったにいない。つまり此処は、大部分の人間にとって不快なのだ。
 ではなぜそのような有様になっているのか―――分からないか。分からない。それが侵略から成るものであることは分かっているが、動機がとんと分からない。大多数の人間には、ある日いきなり戦略兵器がボカン、みたいなものでしかない。

 不幸な事故だ。
 でも、それで済まされる一般市民たちは溜まったもんじゃない。
      、      、     、     、    ・
 吹き飛ばされて凄い有様になった人間のようなかたちの肉塊に、僕は顔を顰める。
 思うに、アレだ。よくスプラッタ系の表現でそんなふうな言葉が出てくるのだが、
 冷静に見つめると酷くグロテスクだ。何かモノを喉に通している最中なら誰だって吐くだろう。
 そしてこれを生み出した元凶が居るはずで―――探してみれば、すぐに見つかった。当たり前だ、目立つ。

 何が目立つって。
 動くものがそいつらしかいないから、目立つ。
 特に目立つやつが一人。どいつもこいつも、そこらに転がってる死人みたいな面だが、そいつだけが“違う”と分かる。
 何が違うのかはこの際なので語らないが、兎に角………違う。いったいどういう理屈か知らないが、そいつの表情が少なくとも怒りに満ちていることだけは良く分かった。逆に怒りをぶつけられてもしょうがない方なのに、だ。


 アレか?
 噂に聞く大人の逆ギレというやつか。嫌だなゆとり教育。


 が、細かいことはさておき見つけた。
 ここからが僕の仕事だ。


「話をしよう。
 僕が得た教訓の話だ。ああ、口を挿まないでくれ勝手に喋るから」


 第一声。
 その辺に転がした通信機から、兵士たちへと挨拶。
 正しくは適当に拝借させて頂いた、管理協会とやらの兵士の持ち物だ。
 そこから声を発すること数度。コミュニケーションというより今日の気分。


「うむ、それでだ。馬鹿と煙は高いところが好きという話だ。
 僕は昔、高いところに昇ったことがあるんだが、たまたまそこが火事になってな、めっちゃケムかった。
 その日から煙の類はあまり好きじゃないんだ。煙草の類とかも嫌いだ。火災を起こす奴の気が知れない」


 発した声に、そろそろ兵士たちが放置を決め込むか。
 あるいは癇癪でも起こして踏みつける頃合いか。まあ、どっちでもいい。

「つまり何が言いたいかって言うと」

 兎に角重要なのは一つだ。
 その如何にもアレな通信機は、僕が話したいことを話すものであると同時に―――。



「煙草と火事は総じて悪だ。―――なので、お前ら。
 僕の基準に当てはめると悪だ。酌量の余地はないので、悪く思え」



 そいつは、僕が自分の魔法を通すための媒体にもなるということだ。
 並行世界の技術と言えど機械の類が電気で動くということに全く変わりはない。
 そして人間の身体が電気信号で動くということには、世の中がどれだけ進歩しても変わりはない。

 なので。
 ある方法で僕とは別の場所から放り投げさせた通信機に術式を刻んだ。
 それを媒体にその場の兵士を(通信機に近い奴ほど)纏めて巻き込み連鎖するように。
 そう、出来る限り踏みに来てくれたりしてると嬉しい。近い方が“巻き込みやすい”からだ。

 言うなれば地雷のよう。
 物陰から雑に転がり、言いたいこと言うだけ言わせて貰うための媒体になった通信機が勢いよく放電。
 兵士たちの装備へと明確な指向性を以て襲い掛かり、可能な限り通電させてショック死させにかかる。

 これで先ず、最低でも半分は“ト”ばす。
 残る半分はこの地形ならどうにでもなるだろう。と、いうわけで表に出ていく頃合いだ。

 ―――表に出た直後に、僕はふっと気になることがあったので表に出た。
    例の、怒りを宿した兵士の一人の前に。


「待てよ。
 今の台詞、『悪く思うな』の方が良かったか?」


 僕的にはめっちゃ大事なことだった。



>エドガー・グリム

8ヶ月前 No.24

卑劣な軍団指導者 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【サクラゴス/卸売市場・南側/ユキア・ビコラン+レギオン】

この屠殺にも等しい作業は何の滞りも無く進行していた、このペースならば言い訳が付くどころか、目に見える形の功績を言い張る事が出来るだろう。
ホクホク気分で、引っぺがされた貴金属だけはちゃっかりと懐に入れるユキアを尻目に、機械のようにレギオンたちは自分の役割を遂行する。
しかし、陣形が整うよりも先に想定外の事態という物は起こる物である。

さらに悪いことに、敵は奇襲に長けていた、そしてユキアという人物は、さほど優れた人物ではなかった。

「はぁっ!? 誰、ってかどこ狙ってんのバーカ!!」

彼女がその死角から迫る人物に気づいたのは、まさに敵対者が叫んだその瞬間であり、明らかにクナイに対応できるような物ではなかった。
そして状況も把握せず狙いの甘さを煽る彼女は、間違いなく無能のそれである、仕掛けられた策にも気づいていないのだから。 彼女だけ見るならば、グリゼルダの策は完璧に成功したように見える。
問題となるのはユキアの周囲に居たレギオンだった、彼らは確かに明後日の方向を向いていた、人間なら確実に気づかないような方向へ兜が向いていたのは確かだ、グリゼルダがこちらに向いているレギオンに気づかずにクナイを投擲した訳では断じて無い。

だが、彼らは即座に反応して、ユキアの周囲に集まってきたのだ。 それは、グリゼルダが声を出すよりも早く、まさに姿を現したその瞬間にだ。 まるでその動きは、背中に目があるようであった。
故に、発光したころにはユキアは詰みになっているはずであった、しかし、異常な感知能力を見せたレギオンたちが、その発光し始めたタイミングでクナイのうち二つに槍を突き立てて粉砕したのだ。
いくら主がユキアのような無能であっても、彼らは比較的有能なのである。

こうなってしまえば、奇襲は失敗に終わり、ユキアとレギオンたちの視線はグリゼルダに向けられる。

「ひ……ひひっ、た、多少は驚いたけど、何、偉そうなこと言ってただの魔族じゃない、劣等種のね。 ただ、虫、虫かあ……ラウラ様に持って帰ったら、階級上がるかなぁ」

明らかにビビっている口調のユキアであったが、すぐにその持ち前のメンタルで、魔族を露骨に見下した台詞を吐く。
その中で彼女は思った、これを持ち帰ってラウラと言う彼女の上司に当たる人間に献上すれば、多少は覚えがめでたくなるのではないかと、夢の第一臣民への道が開けるのではないかと。
もう正直、獣由来の奴は有り余っているが、虫の在庫はどうだったか、数が無いようなら、これをもって帰ればまさに上司のハートにクリティカルヒットと言う訳だ。

盾を構えて二人のレギオンがユキアの前に出て、それ以外が攻撃準備をする中、ユキアは結論を出した。

「決めた、あんたは私の出世のために持って帰らせて貰うわね。 知ってた? 私たちの世界では魔族ってのは……道具以下なのよ、だから、道具は道具らしく大人しくしてなさい、じゃないと、痛い目見るわねえ?」

その言葉と共に、盾を構える二人以外の、四人程度のレギオンが一斉にグリゼルダのほうへと向かってゆく。
レギオンは統率されているが、どこかぎこちなく、もしかしたら錬度が低いのかもしれない、と相手に思わせるような動きで接近し、二人が一斉に腕を狙って長い槍を使っての突き攻撃を行い、また後の二人が足を叩き折らんとかなりの力で鈍器の如く槍を振るった。

一方のユキアは、何をするでもなく、残りの二人に防御を固めさせて音頭を取っているだけであった。

>グリゼルダ・ホーネット

8ヶ月前 No.25

偉人、天才、だが迷惑 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【時空防衛連盟/休憩室/モーツァルト】

「早くあっちに行かせてよー!!」
 すいーっとピンクのローラーシューズでふてくされた表情で缶バッチをあしらったピンクのベレー帽に両手を組む、赤ピンク黄色を使った派手な衣服と半ズボンを着たピンクの三つ編み男が滑る。
 この青年はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトと名乗るクラシカロイドという存在だ。
 ひょんな事からここに連れられてきて、ある事柄に興味を持ち彼には珍しく、任を引き受けた。
 引き受けたのはいいが、開口一番に並行世界の第三臣に会いたいと上層部に宣言したのだが、反対されて抗議はしたが却下されて、行ける時が来たら好きなだけ行けと強制的に追い出され今に至る。
 彼が何故そんな事を言い出したのか、そのきっかけは時勢を知らされた時思い出した記憶に関係していた。
 浮かんだのは、貴族と民衆の映像と民衆が埋め尽くされた劇場と白いかつらを被った、黒塗りの青年だった。
 この記憶を思い出した時、一刻も並行世界へ行かなくては駄目だとモーツァルトは使命感を抱いていた。
「いつ行かせてくれるの! 僕だって早くあっちに行きたい!」
 そう一人で駄々をこねていると、休憩室に辿り着くと、白い衣装を纏った眼鏡の女性を目にすると、澄みきった水色の猫目を輝かせて、先程の不機嫌な顔はどこへやら、ローラーシューズをスピードアップし彼女の元へと駆け寄り、スケート選手ばりの滑りを見せつつも彼女の顔を覗き込む。
「ねえ! そこの君! 僕と話しない?」
 そうナンパである。モーツァルトは大の女好きで、こんな風に声をかけるのは日常茶飯事。
 彼女に屈託ない笑顔を向けるモーツァルト。
 残念だが、彼女は男である。
 遠目で女性だと認識してしまい、思わず駆け寄って話したいと行動に移したのが失敗だった。
>グレイル・ザーラヴァ―

8ヶ月前 No.26

獄炎 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

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8ヶ月前 No.27

硝酸に値する敵 @libragreen ★iPhone=LntI4QQSlu

── R E A D Y ? ──

【 サクラゴス/灯台/プレイグナイト 】

 これより繰り広げられるは、異次元から来たりし侵略者どもによる破壊と殺戮の生き地獄だ。
 奴らは歪んだ欲に塗れた覇道のままに、無辜の民の未来を、希望を、夢を、生命を、そして意志の全てを踏み躙る。
 この世界の連盟が侵略者どもに”管理”されるのを拒んだ結果、手始めに受けた洗礼は──ライフラインの根絶だった。
 あとは絶望と混乱のどさくさ紛れた、いくらでもスペアがある生きた屍に等しい兵士たちがいとも容易く、制圧にかかる。
 それは汚染されてしまった海の麓にある灯台付近でも変わりない事態であった。
 ──そこに。

「………ヒヒヒヒヒ! アーーッハッハッハッ! ドカーン!」

 血みどろの焼け野原に成り果てたサクラゴスに似つかわしくない、軽快かつ不気味な笑い声が突如として響き渡る。
 その矢先に起こるのは強力な爆発、からの複数に連続した爆発、またもや大爆発。
 空中制圧真っ只中である艦隊からの砲撃ではない、第三者──すなわち連盟の精鋭による攻撃が、兵士たちの肉体を瞬く間に吹き飛ばしたのだ。
 やがて大きな爆発を起こしながら空中に大きく飛び出し、兵士たちのリーダーを努めているであろう憤怒に満ちた男と先客らしき同じ精鋭の少年の前に揚々と降り立ったのは、騎士と呼ぶには些か奇天烈な……ボムと杖を携えるペストマスクの錬金術師であった。

 元いた世界の未開の地よりも遥かな未来、先進した技術や魔法があるこの世界は、彼──プレイグナイトにとって研究欲がとても唆られる場だ。
 しかし異次元に招かれて間もないこの日に来襲してきたのはプロペラナイトが所有するものと同じかそれ以上の規模を誇る無数の艦隊、仕えていた魔女よりも邪で恐ろしい支配の魔の手であった。
 連中のやってることは自身の所属していたボクメツ騎士団と変わりないにせよ、世界征服に微塵も興味ないプレイグナイトもこれには焦燥を禁じえない。
 連中の蛮行を許して歪んだ覇道を放ってしまえば、奴らは元いた世界である未開の地まで侵攻する可能性がある。
 やがて自身の居場所である爆発研究所およびポーション研究所にいる部下たちどころか『彼女』にも、その毒牙の餌食になるかもしれないからだ。

「…ヒ ヒ ヒ! これはこれは…。
 この世界において初めての、ワタシの実験台に相応しい人材がいるじゃあないか!
 名誉に思いたまえよ? きっとこれから役に立つハズだろうからな!」

 ボクメツ騎士団のモットーは、力こそ正義。
 なればこそ、先手をとられてしまった分きっちり奴らに力を示してやらねばならないだろう。
 それにしてもこの男は、かつて自分をスカウトした死神もどきのスペクターナイトにどことなく雰囲気が似ている。
 ……気のせいだろうか?

>>エドガー・グリム、ライル

8ヶ月前 No.28

グスタフ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【時空防衛連盟本部/作戦会議室/グスタフ・ホーエンハイム】

 その日。
 時空防衛連盟は、1年前よろしく慌しさを取り戻していた。
 有事の時にこそ行動する連盟が多忙を極めないに越したことはない。

 何故なら有事とは、阻止せねば多くの人命が失われ、秩序が崩壊する出来事を指す。
 嵐のように苛烈なそれを、災害と呼ばずしてなんと言う。
 平穏を貴ぶ市民からすれば、それはなんとも阻止せねばならない異常事態と言って良かった。
 ………なにしろ今入って来た情報が奇想天外かつ荒唐無稽だ。作戦会議室は慌しさに包まれていた。


 並行世界からの通達―――それも、事実上の従属命令。


 下らない与太話を疑う一文だろう。誰だってそう思う。
 そのような話を脅迫だと言わない理由が、何処にある。
 そうではないと備えをすることも出来たのだろうが、その先手を鈍らせるには十分なほど意味を図りかねる内容だ。技術の発展に合わせて世界が崩壊するという話も、だから管理するという理屈も、有り体に言って理解に苦しむとすら言えるからだ。

 ただし。どれほど有り得ないことであろうとも、それ以外の可能性が潰されているならば、どうだ。
 実際にオラムフェルトが崩壊した―――その事実を知った上で向き合うならば。どうだ、これは。

 もはや嵐は、過ぎ去った後ではないのだ。
 新しい嵐が、この世に訪れようとしていた。

 ・・・ ・・・・
「いずれ、嵐が来る。
 そうは思っていたが………成程、噂通り。総統殿は中々、嵐を呼び寄せる運命の下にあるようだ」


 その事実を前に、一人の男が声を発した。
 男は無精髭を蓄え、黒い髪を靡かせた威風堂々とした軍人だった。
 軍人、とは言ったが、外見だけでそれを判断したのは、この場に在りて尚鋭い眼光と、服の内側に仕込まれて尚わかる研鑽の証あってこそだ。彼が紛れもない戦闘者であることを示すには、十分すぎるほどだろう。

 そして、その男が椅子に付く会議室は静まり返っていた。
 良くも悪くも皆が恐慌している。この異常事態、急激な侵略に―――嵐の到来に。
 それは世の変わる変調だ。勝者を引き摺り下ろし、敗者が返り咲く、そんな色を持つ嵐。
 この場合の勝者とはいったいどちらなのか―――この世で考えるならば“此方”だが、禅問答にしかなりはしない。

「敵は徹底的な電撃作戦を仕掛けて来た。文字通り、初撃で此方を後がないほど追い詰める算段というわけだ………。
 その前提が正しいならば第三陣からは今更間に合わん、守りに回せ。長期戦の備えもしておくべきだ。それをするための足場が破壊されたも同然だが、短期戦略だけではそもそも持たん―――。
 敵は極めて高度な技術と、的確な戦闘ドクトリンを兼ね備えているものと考えるべきだからな」

「それから、攻め返す用意も。彼方に赴く方法を探す必要がある。
 総統殿にもすぐに打診するつもりだ、貴公らには、先ず―――」

 淡々と、必要なことだけを告げていく。
 精鋭第一陣、第二陣は可及的速やかに到着、急行した。
 だが、頭部であり手足でもあるのはこのリヒトルザーンだ。日和るわけではないが、後詰めが必要になる。

 難航する会議の中で、配下の部隊だけには話が纏まる前から先行して行動させている。
 長期戦略のための兵站確保―――困難であるが、予備電力の確保とこれ以上の発電施設の破壊阻止のための防衛。短期の対応は既に総統らが始めているのだから、自分が成すのは“こちら”だ。
 そして同時に攻め手………並行世界へ渡る術も。何より重要なのはそこだろうが、問題は見つかるかどうか。

「(一年。凪が終わり、嵐が来たか)」

 この嵐がどちらを滅ぼすものであろうと、構わない。
 これは―――試金石だ。男は誰に気取られるでもなく、そう感じ、そう理解した。


「(であれば。時代が、動くな―――。

  ユーフォリア・インテグラーレ。貴女は王に相応しいのか、どうか―――)」


>ALL

8ヶ月前 No.29

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【サクラゴス/卸売市場・端部/ヴェロニカ・ディートリヒ】


駆けた先に光の矢が降り注ぐのを見えた、この一帯には彼女以外には協会側は存在しない。それが意味するところは連盟とやらが送ってきた援軍が到着したこと、そしてあの先には任務として奪わなければならない存在が多くいる事だ。
その方面に向かえば聞こえるのは少女と言って差し支えない声、だがその声は力強くも気迫すら感じさせられるものであった。その声の主と対面した彼女は、一つの安堵と馬鹿らしさと、嫉妬を覚えた。
そこに居たのは幼い少女であった、魔族であることは理解したが恐らくは見た目相応の年齢だろう。覚えた安堵は単純だった、この世界は魔族の子供が馬鹿をやれるほどには暮らしやすいのだと、分かったから。
馬鹿らしさは単純だ、そんな環境に居ながら危険へと首を突っ込んで英雄ごっこに勤しむ具合に呆れすら感じた。それが幸せだと気付いているのか、はたまたは気付いた上でそんなことをしているのかまでは興味はなかったが。
そして、感じた嫉妬は単純だった。双眸は違う色で彼女を映しながらも凛々しいその瞳は、確かに英雄としての瞳だった。自分が持てぬ物、持てなかったもの、それを幼い少女が持ち得ていて、長き時を生きた彼女が持てない事実が妬ましかった。
ふざけた格好、時代錯誤の派手な鎧に外套にとってつけたような片翼、絵空事の詰め合わせのような姿をしながら、その在り方すら絵空事の英雄そのもので。それを英雄ごっこと評さなければ、負け犬の彼女は惨めなだけで。
こうでありたかった、少なくとも護りたい存在の前だけでも。だが彼女は英雄が守るものを襲う侵略者、これが絵空事であるならば無事に退治されてめでたしめでたし。そんなもの、認められるわけがなかった。彼女が他者へとそれを強いてきたとしても。

「良い名乗りだ、ルシファーちゃんよ。だが残念な事に侵略者(プレデター)は丁寧に名乗らねえ、んだよ!」

お約束をやるならばお約束を、返答の途中で瓦礫片を蹴り出して即席の散弾を発射する。人間ならば最低でも命中すれば行動阻害までの傷を負わせられるだろうが、魔族に加えて魔法まで扱えるならば効果は薄いと彼女はみていた。
ならばと、彼女が現状で唯一出来る攻撃手段である肉弾戦へと持ち込む。得物こそ持っているが大剣という取り回しの悪いものに加え、あの衣装は確実に動きにくい。であるならば、近付く以上の方法はない。
瓦礫片で視線誘導を兼ね、燃え盛る炎と煙を身を隠す壁としながら大きく側面へと回り込む。今は平均的な魔族の身体能力であり、全力を以って駆ける。そして大きく跳躍し、頭上を取る。狙うは一撃での決着、真面に戦うには少女は眩しすぎるのだ。

「最強無双の堕天使、なんだよなあ?冥府に送るんだよなあ?やってみろよぉ!?」

重力に身を任せたまま、煌めく爪が狙うは少女の首筋。寸分違わずに定められた斬撃は、容易くその首を落とすだけの切れ味を持っていた。しかしその軌道は速いものの愚直なほどに直線であった、対策など容易に出来るほどに。
同時に、それが現在の彼女の最大の攻撃手段であることも事実であった。

>>片翼の堕天使ルシファー

8ヶ月前 No.30

ブルー・ワン @sable ★YBxjZzuIqZ_keJ

【プリンシパル/プリンシパル周囲/シフォン・ヴァンディール】

 主力部隊突入のための布石。それは豪胆とも呼べぬ無謀な突撃だった。単騎で大戦艦を相手取り、対空火器を破壊する。
 敵の直掩戦闘機が出てくるまでが勝負だ。質も数も負けるようであれば、いよいよ勝ちの目は見えなくなる。
 そう覚悟し次々と砲塔を潰していくシフォンだったが、敵の対応は迅速だった。前方に黒塗りの大型機が現れる。人間の身体に余る豪 速――無人機と捉えるのが自然だ。
 しかし機体の中央には間違いなくコックピットが設けられており、そこには人間が乗り込んでいた。サイボーグでないなら、その手の能力者とみる他ないだろう。
 とにかく間違いないのは"面倒な奴に目を付けられた"ということである。

「敵機1接近。交戦します」

 操縦桿を握る手に、自然と力が入る。手のひらには汗がにじみ、白いパイロットグローブを曇らせる。
 わざわざ正面から来るということは、敵の狙いはすれ違いざまの機関砲掃射か。まともに喰らえばひとたまりもない。
 急遽シールドを前方に切り替え、万一の衝突を回避すべく距離を取る。果たして、敵は読み通りにバルカン砲をばら撒いて来た。
 エネルギー残量を考慮し、シールドで受ける分を最小限にして切り抜ける。この間、後方から押し寄せる対空砲火に対し、シフォン機 は何ら解答を持ち合わせていない。
 これが対空砲火の恐ろしさだ。他の脅威への対処を迫られた時、意識の外から飛来する砲弾というのは非常に厄介なものである。
 劣勢のシフォンが取った策は、プリンシパルの甲板スレスレを飛ぶことであった。激突の危険こそあれど、フレンドリーファイアの危 険性が生まれれば、敵も下手な真似は出来ないだろう。
 無数の光線が機体のすぐ横を通り抜ける。やはり肉薄することで対空砲火の熾烈さは軽減されるようだ。

「繰り返します。攻撃隊は準備出来次第発進してください」

 航空機を地下から上げるためのエレベーターも、電力不足で何基か停止していることだろう。
 それでも勝利には彼らの力が必要だ。再度の呼びかけを終えるなり、操縦桿を大きく傾けて敵機との距離を確保する。
 敵機は先制攻撃を決めて悠々と離脱していったが、焦ってこれを追いかけるようでは話にならない。そんな真似をすれば、対空砲火と の挟み撃ちに遭うのが関の山だ。
 不利な状況だからこそ大きく動くことはせず、あくまで砲塔の破壊に専念する。"追いかけてこないのなら仕事に戻るぞ"と揺さぶりを かけるわけだ。
 その上で後ろに張り付かれる事態だけは避けるよう、細心の注意を払って飛び続ける。耐えに耐え、攻守が逆転する瞬間を待ち望ん  で。

>>ロウェナ・ウィッケンバーグ

8ヶ月前 No.31

フィオレ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【並行世界管理協会本部/司令部/フィオレ・ラ・テッラ】

『ワールド10、工業都市オラムフェルトの攻略は九割完了、残存戦力の掃討に―――』

        、 『空挺部隊、サクラゴスに到達、陸軍の侵攻は極めて順調―――』

        、 『潮力発電所、制圧。残る一つの攻略も時間の―――』

    、『―――サクラゴスの残存勢力掃討80%に到達、生存者の捕獲は―――』


「………これでは戦争と呼ぶよりは、虐殺だな………」


 ひっきりなしに聞こえるオペレーターたちの声。
 それに応ずるべく、檄を飛ばす司令官。
 有り体に言ってモニターで表示された“世界間抗争”の結果には、どう贔屓目に見てもダブルスコアが付いていた。その事実に、司令室へと入室してきた者が小さく言葉を溢す。
 その声が司令室の熱気にかき消されるのは承知の上で、容赦ないものだ、と、淡々と呟いたわけだ。

 なにせ―――。

 継戦能力および切り札のための発電システム、壊滅。
 首都リヒトルザーンの防衛ラインとでも呼ぶべきオラムフェルトおよびサクラゴス、半壊。
 対抗の為に出撃した敵勢力は、主に航空部隊の点において“情報通り”と来たものだ。
 おまけに細部の情報ラインも確保されている通り―――好条件と呼ぶべき好条件がそろい切っている。これでは負ける方が難しい、あらゆる部分において優位に立った上での消化作業。
 ワールド10を巡る戦いの初動が、概ねそういうものであったから、彼女はそう口にしたのだ。

「(予想通り、ではあるが。飽きないものだな。
  形だけの通牒からの侵攻はこれで幾度目のものか)」

 鎧に身を包み、兜で顔を隠した武官。
 第一臣民の彼女が後詰めになったことを咎めるものはいない。
 武功を立てに行こうと思えば行けた戦いで、他の将校らや武官らを優先したことを咎めるものはいない。
 此処はそういう場所だからだ。上には諂い下を足蹴にする。此処は、そうだ、そういう場所だからこそ。彼女は今、攻略作戦において本土の防衛に回るという、功績二の次の選択をすることが出来ている。

 そして、それは―――今ここで、指揮を執る老将もまた同様ということだ。
 いや、ある意味では、彼こそがこの状況で最も貢献しているとも言えるのか―――陸軍指揮の補佐を務め、戦場を魔術師のように揺り動かす軍指揮官。詳しい評価は敢えて避けるが、“あの”歯車王に最も近い、老齢なる協会の盾。
 この男が指揮を執る以上、まず敗北はない。そう兵たちに思わせるだけのものがある。
 で、あるからこそ………。


「見事なものです―――趨勢はほぼ決した、と。
 流石は協会の盾………若造からの称賛は聞き飽きているでしょうが、そう呼ばせて頂きます」


 もう、若い将校に花道を作るような、“戦後の話”が始まっている。
 舌を巻くような想いだったが、彼女はその情勢を見届けるべく、何歩か歩み寄り、モニターへと目をやる。
 それでも、ほぼと前置いて、まだ完璧ではないと言い切ったのは―――幾つかの可能性があると踏んでいるからだ。

「とはいえ、まだ息の根はある様子。
 敵の指揮官が無能でないなら、戦線維持のための部隊と反攻の準備をすぐにでも整えるでしょう」

 発電施設は一つが生き残っているし、残存勢力はまだ残っている。
 敵の主力はほぼ無傷―――兵站を切り崩したことの大きさは語るでもないが、虫の息である以上まだ死んでいない。

 戦線の中心に立つセレーナ・バルダロームが何か“しくじる”ことがあれば損失も生まれる。
 それ以外にも、何かしらの異常事態が起きたのならば、相手に反撃の芽が吹く可能性も零ではあるまい。

 とはいえ。それも、長く持つかは分からない話だ。大した影響があるとも思えない。
 元々決定的な地力の違いがあるのだ。どうなるかは想像に難くない、というのがフィオレの感想だった。

「それにしても、フルメヴァーラ殿が司令部詰めというのは念を押した構えですね。
 後学の為という点では、私にとってありがたい話ですが………上からの指示でも?」

>シュルヴェステル・フルメヴァーラ

8ヶ月前 No.32

中二病はいつになく真剣 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【時空防衛連盟本部/オペレーションルーム/シエンタ・カムリ】

これはヤバい。何がヤバいって全てがヤバい。何もかもがマズい。危険度120%。寝て起きてゲームして寝るだけの日常が崩壊したどころの騒ぎじゃない。世界そのものがぶっ壊れかけている。ヤバさが極まっている。
シエンタは、いつになく真剣な表情をしていた。こんな状況でおふざけを挟むほど、彼女もアホではない。全身全霊で、文字通りの本気で臨まなければ、この事態は解決出来ないだろう。
高速のタイピング音が、オペレーションルームの片隅に響き渡る。画面に表示されているのは、俗に言うコマンドプロンプトと、一般人ではとても理解出来ないような文字の羅列。
彼女は今、あの空に浮かぶデカブツの通信回線にハッキングを仕掛け、敵の会話を盗み聞こうとしている。しかし、どうしたものか。やはり、世界が違えば、回線の構造もまるで異なるのだろう。
シエンタを持ってしても、それは容易なことではなかった。敵が姿を現してから、正確に言えば降伏勧告をし始めた時から解析を試みているものの、未だに成果は挙がらない。

「ああもう、これじゃあ埒が明かない。やっぱり別のルートを……ん?」

頭を抱えながら、悔しそうな表情を浮かべるシエンタ。苛立ちを抑えきれない彼女は、近くにあったコーラのペットボトルを鷲掴みにすると、その中に入った液体を口へ流し込む。
これまで試していた方法を諦め、別の方法を試そうかなどと考えていた矢先、シエンタは連盟の回線に、例の艦隊を経由して、得体の知れない場所から発せられた通信が届いていることに気付く。
本来であれば通信を送った座標が表示されるはずであるのだが、完全にバグってしまっており、そこにあるのは文字化けのような訳の分からない文章だ。当然、座標検索をしても、マッチする場所はない。
となると、この通信は一体どこから発せられたものなのか。これは推測であるが、アナザーワールドからのもの、という可能性が高い。少なくとも、この世界でないことは確実だ。
シエンタはイヤホンをしっかりと耳にはめると、その通信の内容を聞き取る。そこに吹き込まれていたのは、相手方の世界の現状を示唆する、悲痛な声であった。

『時を越える勇者達……どうか力をお貸しください。この世界は邪悪な闇に呑まれ、私一人の力ではどうすることもできないのです』
『直接お迎えに上がるのが筋でしょうが、私のような者にその権限はありません』
『メッセージに添えた座標を追えば、この世界に辿り着くことができます。どうか……どうか……』

『助けてください、時空防衛連盟。最後の希望です』

内容として認識出来るのはそこまで。通信が途切れる直前に、どう考えても無事ではなさそうな音が聞こえたような気もしたが……とにかくこれは、すぐにでも皆に伝えなければならない。
シエンタは一つ息を吐き、気持ちを落ち着かせると、インカムのスイッチを入れる。彼女が話すのに合わせ、各オペレーター、及び総統達が付けているイヤホンから声が響き渡る。

「聞こえているかい、あっちの世界からと思われる通信が入った。どうやら、ボク達の助けを必要としている人が向こうにいるらしい。今から流すよ」

彼女はそう告げると、先程受信した通信の内容を、全員に伝わるように本部に備え付けられたスピーカーから流す。その間にシエンタは、同時に添えられていた座標の解析を始める。
恐らくこれは、自分達のために、メッセージの送信主が用意した道標だ。この座標を辿った先に、あちら側の世界……アナザーワールドが存在しているのだろう。
きっと、一年前の自分ならば、こんなの馬鹿馬鹿しいと思って取り合わなかった。だが、今の自分は、時空防衛連盟の一員。それに、こんなところで死ぬのは真っ平御免だし、あの時と比べて死なせたくない奴の数が増えすぎた。
だからこそ、シエンタは真剣なのだ。自分の仕事をこなすことは、必ず連盟、ひいては世界の力になる。諦めないことの大切さを学んだ彼女の目に、曇りはなかった。

>ALL

8ヶ月前 No.33

鋼の"王" @zero45 ★pB1cyTl1jZ_Tbw


【サクラゴス/卸売市場/北側/サミュエル・ベルナール(AW/Durandal)】

 異世界からの侵略と言う未曽有の事態に平和な日常は崩れ去り、"ワールド10"の住人達は恐怖に呑まれながら、迫り来る空の大群より逃れようと必死にもがき続ける。既に消滅を迎えた工業都市オラムフェルト、そして隣接する港町サクラゴスの天空を刹那の内に支配し、地上へと死を振り撒いた鋼鉄の軍勢。"ワールド01"、彼らの呼称に従えば"アナザーワールド"が送り込んだ戦艦が今、10番目の世界を支配すべく進軍を続けていた。
 滞りなく侵攻が進めば、反撃の余裕を与える事なく都市部のライフラインを断つに至るだろう。空の八面六臂の活躍とは対照的に、地上の戦力に与えられる仕事と言えば、残りカスを排除する残党狩り程度の物でしかない。その現実を理解し、事実であると信じているからこそ、同じく残党狩りに従事していた一人の男はこう思う。この時代、陸軍は戦力として必要最低限の物しか求められていない、と。ある老人は日々、陸軍補強を主張しているが、この現況を鑑みれば、時代に取り残された者の思想である事に違いないのだ。

 だが、その"必要最低限"を実現する、と言う観点では陸軍補強もまた重要と言えよう。故に、彼はこの戦場に性能テストを兼ねて一つの戦力を投入していた。"Corpse Armor Exoskeleton"、通称"装甲屍兵"と称される、生ける死体。強化服の中に死した第三臣民の遺骸を詰め込み、AI制御で操られるがままに敵対勢力を掃討する、非人道的行為が罷り通る世界であるからこそ許される兵器。彼等は物言わぬままに武器を取り、そして逃げ惑う人々を次々と射殺、爆殺して行く。
 そんな光景を、男は無機質な瞳で見届けながら――それとは別の目標を遂行する為に、街の中を駆け抜ける。目に付いた残党を的確にアサルトライフルの光弾で撃ち抜き、ひたすらに前進。そうして辿り着いたのは、幾つもの瓦礫の山が広がる卸売市場。
 そこで彼が視認したのは、瓦礫の山から必死に何かを探し出そうとしている小柄な人物の後ろ姿。襲撃が行われたのは白昼、差し詰め彼女にとって大切な人物がここで働いていて、それを助け出そうと無我夢中になっていると言った所か。今の彼女の必死さは、その連想を掻き立てるに十分だった。

「弱き者から死に、強き者が生き残る」

 誰に言い聞かせるまでもなく、静かに呟きながら、鋼鉄の足で堂々と突き進み、彼女の背後へと男は立つ。鋼鉄の右手に握られたアサルトライフルの銃口をその背に向け、引き金へと指をかけ、射殺態勢へと移る。

「これがこの世界の新たな掟となる! 敗者となったが最期、未来の訪れない地獄の法が!」

 叫ぶ様にして、しかし無機質な声を出すと共に引金を引き、撃ち込むのは秒間20発の粒子弾の嵐。光が煌く毎に銃声を轟かせながら、男は後方へと下がる。不意打ち気味には放った一撃とは言え、敵の装いは紛れもない軍人。実力者の是非によっては躱される未来は容易に想像できる。だが、それは男にとってある意味で好都合な展開であるのは確かであった。

>ベアトリクス・ノアシェラン


【メイン開始おめでとうございます(寝起き)】

8ヶ月前 No.34

負け犬 @adrasteia ★qa9glxeVZq_uLX

【サクラゴス/路地/レイン・ウォルクオーク】


 刹那――沖天する鉄火。
 銀閃を振るい、巡回する兵の首を背後より刎ね飛ばしたのは、今ひとつ覇気というものを感じさせない町民の如き男だった。
 黒い頭髪に灰のマフラー、一般市井と何ら変わらぬ特徴のない出で立ち。ナイフで武装しているという点を除けば、特別脅威の欠片も見出せぬような青年であった。そしてそれはやはり、大方容貌通りの人間で――ああ、ゆえに。

「……悪い。あんたの分も生きるからさ」

 だから死んでくれ。だから許してくれ――――、と。

 事実、そう語る彼に大義はなかった。
   インテグラーレ    .      .        .        .       ノアシェラン
 無論、英雄のように世界を救うだの何だのと大それた事を述べるような度量もなければ、古朋輩のように雄々しく戦えるような力も誉も当然ない。
 要は減る腹を満たして、とにかく今日を生き延びれればそれでいいと。つまるところ、そうした“光”の概念とは無縁の人物――レイン・ウォルクオークという只人は、そういう男だった。

「気張って復職志願してみりゃこの始末か。まったくわけがわからねえ」

 燃え上がる市街地を眺め、小物特有の嘆きをこれでもかと籠めて吐き捨てる。
 男に与えられた任務は、云わば露払いだ。時空防衛連盟が誇る精鋭たちが後顧の憂いなく戦えるよう安全な進路/退路を確保することである。
 雑兵処理、人命救助。どちらにしても地味で、結果難儀な仕事に変わりないが……そこはまあ、適材適所というやつだろう。比較的矢面に立つことを不得手とするレインにとって、この役回りは好みこそすれ厭うことのない配置に他ならなかった。
        .        .     .      エーテル
 短刀を逆手に持ち直して、息を潜める。追加で用いるのは第五元素による索敵技能。
 可能ならばこのまま誰ともかち合うところなく、事を済ませたいのだが――――さて。


>ALL

【遅ればせながら、本編開始おめでとうございますー!】

8ヶ月前 No.35

深淵 @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【パラーデ/艦橋/シフォン・ヴァンディール(A)】

 セレーナ・バルダロームとの意見の食い違い。今日この日まで、シフォンはそれを当然のものだと思ってきた。
 そもそも水雷屋と母艦経験者で思想が合致するはずもない。事実、堅実さばかりを追い求めるシフォンの指揮に、多くの駆逐艦乗りが難色を示してきた。そしてその逆もまた然り。
 それでもワールド09に代表される激戦の数々を潜り抜け、互いに高い地位を確立したのだから、どちらが正しいかなどという問いは無粋でしかない。
 だがこの作戦計画を逸脱した追撃戦だけは、絶対に首を縦に触れるものではなかったのだ。

「艦艇はない。艦艇は、な」
「しかし航空隊が控えている。そして飛行場は不沈空母だ。我々はそれらを叩けていないではないか」
「可能な限り援護する。だが肝に銘じておけ。戦場は不確定要素の掃き溜めに他ならない」

 確かに敵は艦艇こそ保有していないが、大きな脅威と成り得る基地航空隊戦力を忘れてはならない。飛行場を潰せていない状態で突撃すれば、精強な空母部隊に迎え撃たれるも同じだ。
 セレーナがそのリスクを承知の上ならいいのだが、今の彼女は目先の戦果に目が眩んでいるように見える。目的を見失えば、以降の判断が鈍ることは避けられない。
 また戦いに確実など有り得ないし、勝機を見出す目が曇っていてはどうにもならない。そこに陥れば"セオリー"とやらも意味をなさなくなる。
 言い終えるなり現状を再確認し、周囲の艦艇に手早く指示を出す。全艦最大戦速。突出したプリンシパルの左右及び前方に回り込み、対空警戒を厳とした輪形の航行序列を形成せよ。
 さらに陣形の再構築が間に合わない場合に備え、全戦闘機発進を命じる。小型の護衛空母故に搭載数は少ないが、敵の攻撃隊を食い止めるにはこれしかない。

 逃した魚は大きい。だが網を食い破られれば元も子もない。

>>セレーナ・バルダローム

8ヶ月前 No.36

雪夜の芸術家 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【乱入失礼致します。同じロケーションだからつい……】

【リヒトルザーン/繁華街・ハンバーガーショップ/F.Fショパン】

 電気系統が消された町並み。
 それに大混乱する、多種族の波。
 革命により、戦火から逃げる人々を思い出す。
 自身が赴いた喫茶店の区画では避難勧告が出ており、ものけの空だったがこちらの区画はまだ人がいたらしい、ショパンはふと人々の悲鳴を聞いていた。
 いつ侵攻されるか分からない、不安定な情勢。
 ロシア帝国の圧政に立ち向かった、ポーランド公国の出身であるショパンは、混乱する人々にひどく共感していた。
 仕事の時間だと、こうして歩いているとまだ電気が通っていたハンバーガーショップに目にすると、窓越しにはラフな格好をしたスケルトンと茶髪の人物らしき少女を見かける。
「?」
 まだいたのかと、怪訝な表情を浮かべると、一応警告だけはしておくかと思い、入店する。
 ジャンクフード特有の匂いが店内を漂うが、こういう系統の食品は体に合わないので、食欲が全く沸いて来なかった。
 職員にサーヴァントの仕組みを聞かれた際、肉体を持つ幽霊だと答えてきたショパン。
 目立たぬよう時代に合わせた服装を纏った、受肉された細い体を二人に見せて遠慮がちに声をかける。
「……話を遮る形で申し訳ないけど、僕がいた区画では避難勧告が発令したらしい、ここも安全ではなくなると思うよ」
 まだ連盟の事は最低限しか知らない為に、メンバーの顔は覚えていないので、一般人だと思い避難を促す。
「もし、連盟の者だったら。もうそろそろ、出向いた方がいいんじゃないかな?」
 一部の地域で、交戦状態なので自分も今から向かう所だという意味と仕事の時間だと報せに来た事を孕ませた台詞を、たおやかな口調で紡いだ。
 ゴーストとスケルトンとヒューマン、まるでホラー映画のような組み合わせが成立していた。

>Sans キャラ・ドリーマ

8ヶ月前 No.37

@grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★dxkzXfPWBG_Tbw

【時空防衛連盟/レストラン/ヤロス・ハニービー】



 食事。それは、人類、あるいは生物がごく当たり前のように行う日常的実践活動。
 美味なる物を食すということは、人にとっては一種の幸福と言えるだろう。
 どんな時でも、心を幸福で満たすことが良いことであるならば。このレストランは、まさしくそれを満たす場所と言える。
 人間にとっての幸福のある場所。そして、そこに生まれている認識というのが、食事を作った者への敬愛である。

 今、まさに。
 この有事の時に。その幸福の提供を無視し、体を労わらない女がいた。
 耳を伝わり、頭の中ではじけて、ギザギザとした緑色の光を想起させるベルの音。
 それを聞いて、しかし、顔色を変えることなく、目の前の食事にありつき──なんとも体に悪そうな色をした清涼飲料水を口に流し込む。


「………あー」


 舌の上でピリピリと走る醍醐味と、喉を通るときに過剰なまでに刺激する炭酸。
 食道を掻っ切るように落ちてゆく冷たさが、全身を震わした。
 夢と現の間をぼんやりとさまよいかけていた意識が、はっきりと光を得て世界を広げてゆく。
 その光景が、六番隊に身を置く人間ならば「エネルギーチャージ」とでも表現したのだろう。

 小麦色の肌をした女が、皿を片付け、ぐっ、と背伸びをする。
 まるでリンゴを齧るくらい大きく開けた口からは欠伸が漏れ出、人差し指で右目をこすり、目やにをふき取ってゆく。


「そろそろ……行かなくちゃ……」


 それが第一声。
 非常ベルの音を聞いて、女──ヤロス・ハニービーは何が起こったのかを悟った。
 何しろ、突然の出来事だったのだ。棚から牡丹餅だったなら良かったけれど、現実はそう生易しいものではなし。
 最悪だったのは、攻撃目標となった地点の場所が場所であったからだ。
、   、   、   、   インベーダー
 やり口が合理的で、威圧的で──侵略者だな、というコメントをあたしは残した。いや、当然だけど。
 大統領兼、総帥殿であるユーフォリアから下された指令は一つ。サクラゴスへ急行し、一人でも多く非難させること。
 烏滸がましいことだが……あたしはこれを、滅茶苦茶に褒めちぎりたかった。

 とか言いながら、結局は体を起こすのにこれほどの時間をかけてしまった。
 遅れた分を取り戻さなくっちゃあならないのと──何より、隊の連中が心配であった。
 これでも、ヤロスは隊長の責任を背負っているのだから。

 そして、そう。今まさに。まさに今! “女王蜂”が走らんとしていた時に。

 彼女には……目についてしまった。くたびれた様子で、ぶつぶつとネガティヴな言葉をぼやき続けるスーツの男を。
 次の瞬間、ヤロスの頭には電撃が走った。覚醒するかのように目を覚まさせた。そして彼女は、あろうことか声をかけてしまうのである──行きたくないとボヤく、彼に。


「……なァ──にブツブツ独り言をしてるンすか」


 ずいぃ、っと。男の背後──正確には右斜め後ろあたりから、彼の目の前にまで顔を持っていくヤロス。
 寝不足気味の目は、下にクマを作っている。どう見ても健康的とは言えないような褐色の顔が、ボヤく男……ハベルの顔を見つめる。
 おまけに、今しがた彼女が浴びるように飲んでいたエナジードリンクの匂いが漂っている。

 一目でわかる。面倒な人物だと。
 そして、ヤロスはそれを自覚していなかった。彼女の名誉のためにいうのであれば、非常事態宣言というのは承知の上だ。
 そのうえで、「行きたくない」とブツブツつぶやいているのだから、見過ごすわけにはいかない。
 目の前の男がどういう人物で、どういう境遇なのかとか、そういうことを訪ねている暇はナシ! ないったらない。
 だからこそ、ヤロスは彼に話しかけた。そして、あわよくば引きずってでもやるべきことをやってもらおうと考えていたのだった。

 最悪のファースト・コンタクト──こんなことをやっている場合ではないのだが、彼女は。


>ハベル・アレッセル

【本篇開始、おめでとうございます……!】

【早速になりますが絡ませて頂きたく…よろしくお願いします…!】

8ヶ月前 No.38

黒薔薇 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【プリンシパル/プリンシパル周囲/ロウェナ・ウィッケンバーグ】

挨拶代わりの粒子バルカンを、敵は難なく回避してみせた。あの動きからして、恐らく読んでいたのだろう。これだけでも、相手がただの素人ではないということが分かる。
直ぐ様旋回し、敵のやや後方上空から様子を窺うロウェナ。すると敵は、プリンシパルの甲板すれすれへと移動していった。なるほど、考えたものである。
ああすることによってフレンドリーファイアの危険を嫌でも認識され、こちらの攻撃を躊躇させる作戦なのだろう。言葉にするならば簡単であるが、それを実行するのは極めて難易度が高い。
何せ、あれだけ戦艦に近付いているのだから、艦砲に撃ち抜かれるリスクは当然高まるし、少しでも操作を誤れば自ら艦体に突っ込んで、自爆する羽目になるかも知れない。
この切迫した状況であんなことが出来る度胸と技術。もしかすると、自分は敵のエース級を引いたのかも知れない。となれば、単騎で突撃したのは、やはり勝算あってのことであったのか。

「単なる無謀ではないことは確かなようですね」

静かに攻撃の機械を窺うロウェナであったが、いつまでもぼーっと眺めている訳にもいかない。どうやら、敵の狙いはプリンシパルの砲塔を破壊することにあるようだ。
敵戦闘機がいる状況で反撃に移ってこないのが不気味ではあるが、これも策あっての行動なのだろう。こうなるとこちらは、攻撃したければ同じように甲板近くまで下がっていかなければならない。
あの距離まで味方に接近して戦うこととなれば、まず間違いなくいくつかの武装は封印せざるを得なくなる。ロングレンジレーザーは艦体を撃ち抜く可能性が非常に高いため却下、プラズマミサイルなど以ての外だ。
そうなると、ブラックロータスに搭載されている武装で使用可能なものは、必然的に粒子バルカンのみとなる。単発の攻撃力は低く、何度も敵を被弾させなければならないが、仕方がない。

「しかし、逃がしはしません」

そう呟くとロウェナは一気に速度を上げ、敵へと近付いていく。今自分がすべきことは、激しい攻撃を浴びせることで敵をプリンシパルから引き剥がし、ドッグファイトへ持ち込むことだ。
可能な限り、味方から遠ざけることを意識して。フレンドリーファイアの危険性さえなくなれば、こちらは残りの武装を開放することが出来る。そうなれば、俄然有利な状況を作り出すことが出来るだろう。
急降下しながら、彼女は粒子バルカンを敵機へ向けて浴びせる。そしてそのまま速度を維持し、後方に張り付くことを狙う。この後敵がどのように動くかだが……どんなことをされようとも、反応出来る自信はある。
何せ、このブラックロータスは、無人機並の機動力を持っているのだ。通常の戦闘機が速度で勝ることなど、出来るはずがない。

>シフォン・ヴァンディール

8ヶ月前 No.39

無垢な捕食者 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【並行世界管理協会本部/研究施設/パルメメ・ポブルティーク+デクロム・ディシダール】

ぱちりと、目が覚める……いや、正確には自分に目は無いので、意識が覚醒する、と言ったほうが良いだろうか。
ゆらりと起き上がる、相変わらず腕は湿っていて、垂れる粘液が服にこびりついている。 一般的に見て、これは"不快"に当たるのだろうが、少なくとも、私にとってはそうではない。

ぐちゃぐちゃと不快な音を立ててベットから起き上がった金髪で、目を包帯で塞がれている少女、彼女の名前はパルメメ・ポブルティーク、現在の時刻は、戦いが始まる少し前。
彼女はただちらりと横目で見るだけでも、その見た目には異常な点がある、それは人間の腕が存在せず、その代わりに、巨大で不気味な口を持ったミミズのような、触手とも言い難いモノを生やしている事だ。 そう、彼女は既に純粋な人間とは言い難い存在、上級役員デクロム・ディシダールによって改造された、元人間の「生体兵器」なのである。

しかし、彼女は第二臣民相当の扱いをされていると言う一点において、他の生体兵器と明確に異なっている。 何故そうなったかと言えば単純、彼女はデクロムの作品の中でも成功した作品とみなされているからだ。
そして、そのデクロムが特徴的な服装を靡かせて彼女の前に姿を現した。

「おはようパルメメ、早速だが、今、戦いが始まろうとしている、これは我が神に一見貢献できない事柄のように見えるかもしれない、しかし異世界即ち並行世界における生物の多様性と言うのは着目する必要が存在し、また君のような優れた生体兵器のベースとなる少年少女が眠っている可能性はひっじょうに高い、故に君が今、唯一、私と私の神に貢献できること、それは戦う事だ、戦ってよさげなものを持ち帰ること、これこそが何よりも優先するべき君の使命!!」

相変わらずの早口と、宗教くささと科学くささが混じった奇怪な思考、発言を見せびらかすように言ってくるパルメメの主であるが、パルメメはそれにリアクションする事もなく、ただ無言でぽけーっと口を開けてあくびなどを挟みつつ聞いていた、何せデクロムは前々から「使命」と言った部分が最終的に最重要で、最悪それだけ覚えていてくれれば良いから、と言っていたからである。
そして、肝心の使命部分は、戦って、良いものを見つけたら持って帰る事だった。 それ以外は、おそらく聞いても聞かなくても変わらない、それは他の人が「妄想」と断言し、自分にはおそらく理解が及ばない「事実」であろうから。

パルメメはこくりと頷き、そしてまだ何かを喋り続けているデクロムに対して一言。

「いってきます」

「故に異次元との交信技術には――あぁ、いってらっしゃい」


そして、現在。

【サクラゴス/路地/パルメメ・ポブルティーク】

ふしゅー、ふしゅーと不気味な声が聞こえる、それは当然少女から発せられる物ではなく、両手の巨大な口から吐き出される物である。
不気味な少女は、ゆらゆらと人間を見つけては近づき、そして。

「居た」

驚異的な跳躍力で一気に距離を詰めて標的となった哀れな人間に飛び掛り、そのまま巨大な口を使って食らいつく。
その口には牙と言える物が付いていない、故に噛み殺される事は無いのだが、それ以上に抵抗できない程に獲物を締め付けて、それでも暴れようとするならば、パルメメは荒々しく地面に触手を叩きつけて、さらに締め付ける力を強くして骨をへし折る。
大人しくなれば、ゆっくりと不気味に咀嚼音を響かせて……食事に多少の時間を掛けてから、暗がりをまた彼女は歩き始めた。

場所に似合わない素足のぺた、ぺたと言う足を響かせながら、彼女が歩いていると、また人間の臭いを感じ取った。

彼女には目と呼べる器官は強化手術の際に取り除かれた、だがその代わりにそれ以外の感覚がずば抜けて優れており、大体の敵の位置、性質を把握する事が出来る。

「おにーさん、逃げないの? ……殺しに来るほうの人?」

ぎらりと人間側の歯を見せるようにパルメメは笑ってレインに問いかける。
逃げないのか、だとするならば、自分を殺しに来るほうの人、つまり軍属の人間なのかと。

しかし、その回答はパルメメにとってそう重要な所ではない、どっちにしろ捕食するだけだ、この年の人間はデクロムは好んでいない。
もしもあえてここを通そうとしてくれるなら、そのときはまた、一般市民を狩るまで。

一瞬のうちにパルメメは先ほど同じように跳躍し、そして、腕に付いている巨大な口をゴムのようにがばっと広げてレインに食らい付こうとする。

>レイン・ウォルクオーク

8ヶ月前 No.40

虚空 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_Tbw

【時空防衛連盟本部/オペレーションルーム/サミュエル・ベルナール(HW)】

 これまで懸念されていた並行世界からの侵略が現実の物となり世界が混乱する中、父親から非戦闘員として連盟への協力を行うように命じられ、サミュエルはひとり連盟本部へと赴き、オペレーションルームへと続く道のりを進んでいた。その表情はこの緊急事態には似つかわしくない、冷静沈着を体現するかのような落ち着いた物であり、傍から見れば一種の風格を匂わせる、或いは著しく人間味に欠けているなど、様々な印象を与える事だろう。
 だが、彼の思考は普段よりも加速して巡らされている。その足取りもまた、一早く目的地に辿り着こうと素早く。感情を表情で表さずとも、彼もまたこの世界が壊される事を未然に防ぐ為に必死であるのは、解り難くとも確かであるのだ。

 通路と一室を隔てる扉を越え、室内へと足を踏み入れる。丁度その頃、スピーカーから流される言葉。それは、侵略者達の世界に住まう、現状を憂う者がこの世界へと送り込んだメッセージ。邪悪に支配され、狂ってしまった世界の中で生きる者が危険を冒してまで、救いを求めて来た。
 其処に込められていたのはきっと、希望へと縋る願い。オラムフェルトやサクラゴスの惨状を見れば、世界間同士の戦力は正直に言って絶望的なまでに天と地の差がある。技術面以上の問題として物量差が凄まじく、こちらに勝ち目が無いも同然なのは明確。それを知ってか知らずか、それでもその送り主はこの世界を最後の希望と信じて願いを伝えた。狂った世界に終止符を打つ為に、一つの道標となる鍵を遺して。
 彼には共感と呼べる感情が著しく欠けている。だが、希望と縋られて無碍に出来る程に冷酷でもなかった。

 室内を見渡す中で注視した先、少女の目の前に映し出されていたのは、文字化けしたかのような解読不能の文章。それが特定の座標を示している物なのは、先のメッセージが示した通りだろう。あれを解析しない限り、埒が明く事はない。此方にとっての最後の希望と言うべき物が、"それ"なのだ。

「手伝うよ、その文章のデータを送ってくれないか?」

 事態は一刻を争う、自己紹介に割くだけの余裕はない。少女の近くへと移動するなり、開幕一言で手伝うと告げると、片手に提げていた鞄を床に置き、収蔵されていたノートPCを取り出し起動する。今は一人でも多くの人員を駆って、この状況に立ち向かって行かねばならない。文章を解析して"座標"を突き止めるのが先か、敵方の攻撃によってこの世界が滅びるのが先か。その命運は委ねられていると言っても過言ではない。

>シエンタ・カムリ

8ヶ月前 No.41

永世無極召喚士 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_Ssw

【サクラゴス 潮力発電所 北部/17代目葛葉ライドウ】

「狂信者か、殺し尽して平和になると思っているのか? あと一歩のところで間に合わなかったか」

風に揺らめく黒マント、黒い帽子に黒い髪、黒ずくめの青年が現れる。
忌々し気に舌打ちしながら現れた青年は修道女の前に立つ、傍に従えているのは青い帽子を被った雪ダルマのジャックフロスト。
あの光による攻撃でほとんどの仲間が即死した、だが致命傷を負いながらもまだ息がある者はいる、自分では彼らは救えない。

「ジャックフロスト、広域回復魔法を。彼らはもう救えないがせめて苦痛だけでも無くしてやれ」

『了解ホー”メディア”』

ジャックフロストと呼ばれた”悪魔”は血の海に沈んだ仲間たちに回復魔法を掛ける。
この行為に大した意味はない、ただ死にゆく彼らの苦痛を取る程度の効果しかない、今ライドウが仲間のために出来ることはこの程度だ。
ライドウは必要とあらばいくらでも心を冷たくして戦えるが、仲間に対しても心を凍てつかせる非人間ではない。
やがて彼らの命の気配が消える、死後の世界のことはライドウにも分からないが、願わくば彼らにはやすらいだ世界であることを願う。さて――。

「貴様は彼らと同じ場所へは行かせない、人殺しが落ちる先は等しく地獄だ、貴様も俺もな」

左腰に差した日本刀、真打・秘剣ヒノカグツチを鞘からスラリと引き抜くと修道女、リャノーに向ける。
この女はメシア教徒の過激派と似たような気配を感じる、救いのために殺す、殺した相手は救われるかもしれないし救われないかも知れない。だが殺す。
そう言う手合いだ、そしてこの手の輩は往々にして救えない、だから俺が殺す、このような犠牲を減らすためにも。
己の死後に安息はなくとも、義を重んじ、人々の平穏を守るために力を振るう。それが葛葉ライドウの名を受け継ぎし我が心意気也。

「来い、”アマテラス”、これより侵略者を排除する、手を貸せ」

『了解しました、サマナー様』

『オイラもやるホ!』

ライドウが懐から取り出した緑色に光る金属製の管、”封魔管”、そこから呼び出されるは日本神話の女神、透明な羽衣を纏った天女だ。
天女はライドウの声に応え、ジャックフロストもやる気を見せている。
ライドウの目つきが刃のように鋭くなる、此処が落ちれば味方の被害は計り知れない、それにこの女の思想は危険だ、説得は無意味で不可能。故に排除する。

「我が名はライドウ、17代目葛葉ライドウ。この名を地獄への渡し賃にするがいい」

それだけ言うと、左手の手の平を相手に向けて右手に持った刀を弓のように引き絞る。
そして地面を強く踏みしめて一気に間合いを詰めて力を込めた刀で心臓を貫かんとする。葛葉一刀流剣術奥義”的殺(てきさつ)”
更に後ろから追従するジャックフロストが腕をぐるぐると回しながら跳躍し、リャノーの真上から拳を振るう。
ジャックフロストの見た目と攻撃の前動作の愛らしさを侮るなかれ、その力は大悪魔に匹敵し容易く人体を血飛沫に変える力を秘めている。
力を貸す、と言ったはずのアマテラスはライドウの後ろに控える、彼女の”光”に対応するためだが、果たして通じるか否か。

>リャノー・ミッシェル、ALL

【スレ開始おめでとうございます】

8ヶ月前 No.42

負け犬 @adrasteia ★qa9glxeVZq_uLX

【サクラゴス/路地/レイン・ウォルクオーク】


「――――、」

 ――――声が届く。
 女……いや、少女の声だ。
 凛と、血腥い戦場には凡そ似つかわしくない響きを以てレインに振りかけられたそれはしかし、生存者のものであるのとイコールでは決してない。
 あれほど懸念した後で、よもや見つかってしまったという事実に内心舌を打ちつつも声の主へと視線を向けると、そこに立っていたのは未だ年端も行かない少女の影――――ではなかった。

 より正確には、かつてそうあったものだ。
    .       ・・
 まず、目についたのはこの世界では見慣れぬ服装。
 次いで、無機質な光沢を湛える黄金の頭髪。
 そして――包帯によって秘された双眸。

 これだけでも十分に異様だが、何より特筆すべきはやはり、大きな口腔を開けた異形の両腕だ。……理性的に考えるまでもなく、これが味方などということは断じてあるまい。
 そもそもこんなもの在るだけで悍ましいし、第一素人であるレインが贔屓目に見たとて、ホームワールドの及べる発想域にないのは文字通り一目して瞭然だった。

「知るかよ。それを問いたいのはむしろこっちだっての。
 ――で、おたくは俺の敵か? それとも味方か? ……ってまあ、その態度見りゃわかるか」

 判定――――、帰結。プレデター
 よってそれは、眼前の捕食者が敵手であると認めて証明を完了する。

 すなわち問答に応対するレインの前方、一対の脅威を以て上空より飛来するのは異形の少女――パルメメ。
 機先を制されたとあって、躊躇している余裕はもはやない。レインもまた得物である鋼刃を振り抜き、触腕の間隙を潜り抜けて突貫する。
 狙うは一点。人体共通の急所、首だ。頸動脈を裂くだけに留めるなどという危険牌は取らない。先の雑兵にしたのと同様に一撃で首を斬り飛ばし、一瞬で片をつける。――そう、それで終われば一番楽なのだから。


>パルメメ

8ヶ月前 No.43

Futo・Volde @nonoji2002 ★VgtmIqXF0o_qY9

【リヒトルザーン/繁華街/ハンバーガーショップ/Sans】

平穏が崩れる瞬間、というのはいつもあっという間か。
呑気すぎたか? なんて考える余裕もなく、窓の外からゆっくりと伝わる人の恐怖。ニンゲンもモンスターも恐怖は感じる。そして恐怖は伝播する。

外部からの侵略者。どうやらサボタージュをしている間に自体は急変し、非常事態になっていたらしい。もっとも、繁華街は影響も少なく、その事実にこの場で気づいているのはテレビを観ている者か、携帯のSNSやネットニュースをチェックしている者に限られるだろう。だが、それもこれも時間の問題。

「……いいや、オイラはアンタを知らない」

それよりも自分にとっての問題はそんな外部の侵略者ではなく、今目の前に、隣に座っているコイツだ。どう見てもこの少女の姿は――。
だが、どこか雰囲気が違う。あの時、“審判の間”に居た彼女とは違う。むしろ、自分に近い何かを感じる。

「だが、お前とよく似た奴なら知ってるぜ」

嘘はついていない。彼女はおそらく――オイラの居た世界とは別の世界線の“アイツ”だろう。ラッキーなのはこいつがアイツとは違う、中身の持ち主だと言う事。

丁度店員がバーガーとポテトフライを持って来て、番号札を回収しては一言“避難勧告が出てますので――”と。
悠長に食べてる余裕などないも同然だが、暫しの食事を楽しみながらコイツとの会話を楽しんでみるのも悪くないだろう。なんて思っていた矢先。

「Heh, もう時間ってわけか。もう少しゆっくり喰いたかったんだけどな」

一人の痩せ見の青年が声を掛けてくる。そこまで避難は始まっていると。オイラは肩を竦める。そしてケチャップたっぷりのハンバーガーとポテトフライを口に放り込んでは、仕方なしに席を立つ。

「それで……オイラ達はどこへ行けば良いんだ?」

サボタージュはこれまで。忘れかけて居たが、これでも連盟の協力者だ。仕事をしないわけにはいかない。とりあえず、忌まわしき“アイツ”とよく似たコイツをツレとして連れて行くとしよう。

>キャラ・ドリーマー、FFショパン

8ヶ月前 No.44

決死の革命 @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【アナザーワールド/某所/ショコラ・ヴァンディール(A)】

 覚悟していた。初めからそのつもりでいた。自分はただ、反乱の火種になれればいい。この使命を全うした先に待つものを、甘んじて受け入れるつもりだった。
 受け止める。密室を満たす狂笑を。耳を覆いたくなるような喧噪の一切を。波打つ無機物を見つめる目は冷たく、向けられた背中にも動揺の色は見られない。
 やることをやっていたら、来るものが来た。それだけだ。

「至って晴れやかな気分です」

 命がけの使命を果たして、残念がる者がどこにいようか。声は届けられた。反乱の狼煙は天を穿った。一度昇り始めた煙は、焚火を踏みにじったところで消えはしない。
 この激突は至極当然だ。正義を執行すれば邪悪が群がる。当然の理である。それを嘆き狼狽えるほど、ショコラの心構えは甘くなかった。
 片や、公の場で本心を語る者。片や、常に仮面を被り闇に生きる者。真逆の対峙。講和も引き分けも許されない殺し合いだ。

「私を排除したければ好きになさい」

 欺瞞に欺瞞を重ねる男も、たった一つだけ真実を語っている。それはショコラを闇に葬るということ。
 殺意を向けられるや否やレーザー銃を抜き取り、振り向き様に乱射。7、8発の光弾が窮屈な空間を駆け巡る。

>>ライフィスト・ヒッチローク


【よろしくお願いします〜】

8ヶ月前 No.45

削除済み @x5mas ★iPhone=9w2Szmhjim

【記事主より削除】 ( 2019/01/12 13:07 )

8ヶ月前 No.46

ブルー・ワン @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【プリンシパル/プリンシパル周囲/シフォン・ヴァンディール】

 手に汗握る苛烈なドッグファイト。敵と敵に挟まれた孤独な戦いが幕を開ける。状況を整理すればするほど、彼我の戦力差は大きなものとわかる。
 そもそも機体の性能からして水をあけられているのが現状だ。敵機は無人機さながらの重武装と機動を誇るのに対し、こちらは極めて一般的な戦闘機。
 そのハンディキャップを埋め塞ぐにあたって、戦艦に肉薄することは必須と言ってよかった。戦闘機の猛攻を浴びせかけられるよりかは、大振りで狙いの荒い艦砲に突っ込んでいく方が幾分マシというもの。
 加えてこの突撃の狙いは対空火器の破壊にあり、敵機に追いすがる必要は皆無。

「くっ……」

 流石に見抜かれたか、敵は増速すると同時に後ろを取ろうと試みる。それは最も避けるべき事態だ。不利な交戦形態では、バルカン砲の乱射すら脅威となる。
 前方の脅威は回避しつつ、後方の脅威にはシールドで対応。だがこの構えもそう長くはもたない。疲労や被弾による対応力の低下で撃ちぬかれてしまうかもしれない。
 そうでなくともシールド用のエネルギーを使い切った瞬間にゲームエンドだ。極めて絶望的な状況だが――策はまだある。

「これでどうかしら……!」

 無数の粒子弾が機体の脇を通り抜けていく。内一発は左翼端を掠め、僅かな損傷を与えた。あれがもう少し右下に寄っていたら、エンジンを貫いて致命傷になっていただろう。
 逆手に取るべきは敵の速度と狙い。左右に振って振り切ろうしているように見せかけ、急に速度を落として機体を翻す。そのまま追い抜かせて立場を入れ替える狙いだ。
 機体が宙を舞い強烈な負荷がかかる中でも、画面を睨み砲塔に狙いを定める。再度甲板に肉薄するより早く、トリガーを押し込みレーザー砲を連射。また一つ砲塔を破壊した。
 同じ手は何度も通用しないだろう。数少ない勝機を逃すなど言語道断。続けざまに敵機に照準を合わせ、砲塔を狙った時より濃密な射撃を浴びせる。

>>ロウェナ・ウィッケンバーグ

8ヶ月前 No.47

リャノー・ミッシェル @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_Tbw

【 サクラゴス/潮力発電所/北部/リャノー・ミッシェル 】

「あら」

 男が立っていた。
 隠しきれない怒気を孕ませ、今しがた大量殺戮を繰り広げてみせた修道女を睨みつけている。
 一分の隙もなく着こなした学生服に軍帽。東方の国が未だ軍事国家であったころの面影の衣装は、鍛え上げられた鋼を思わせる肉体と見事に調和していた。

「あらあら……」

 修道女の周囲で輝く光子の矛先が、外敵を認知したと同時に一斉に彼らへと向く。
 デフォルメされた雪だるまめいた生物が治癒の光を降り注がせるには目もくれず、視線を注ぐは向けられた切っ先。
 研ぎ澄まされた殺意、怒気、男の出で立ちを何倍にも見せる感情の波を受け取っても、修道女は相変わらず笑っていた。

「――従わなかった。並行世界の統治に否の判断を下した。
 それだけで、審判の光が彼らを救いあげるには十分でございます」

 そして男の見立てはこの上ないくらいに一致していた。
 表向きも、話している言葉も、真に迫り、真っ当なことを口にしているように見せかけても。
 たとえどれほど歪んだ環境からくる言葉だということを抜きにしても、そのすべてが相手へ向けて届けられていない。

 浮かべる微笑みも、諭すような言葉も、あらゆる全てが己の内に閉じ、延々と同じ場所を廻り続けるのみ。
 最初から完成され切った狂人<求道者>に、慈悲は持つことすら危うい。

「そして、あなたがたもそれを受ける資格がある」

 衝突。鋼と打撃――そして、光の障壁。
 光子が瞬時に配列についた――迫るジャックフロストの打撃と心臓一点を狙い剛弓の一矢として放たれたライドウの刺突を受け止めたのは、物質化した光子により組み立てられた障壁。
 物理法則の一切を無視した、未知なる粒子による現象。
 そしてそこに、マナは一切介入していない。
 魔術とは似て非なる魂由来の異能<デュナミス>は、先の大戦を潜り抜けたライドウはいやというほど対峙させられている。

 だがその正体を考察させてくれる暇など、修道女が与えてくれるはずもない。
 バックステップで距離を取るのと同時、左手を振り払えば、黒衣の内より撒き散らされるは光子。
 潮力発電所を支配する光輝の濃度が更に上昇してゆく。

「《Shekinah》!」

 修道女が左手を振るったのを合図に、統制下に置かれた空間が反逆者に牙を剥いた。
 ライドウ、ジャックフロスト、アマテラス、それぞれの死角に突如出現した無数の光の矢が、頭部を破砕すべく強襲する。

 挨拶代わりに軍勢を瞬時に鏖にしてみせた、裁きの矢に他ならなかった。

>17代目葛葉ライドウ

8ヶ月前 No.48

学浜八拳聖 @indosai ★buqOEkmWT5_Tbw

【時空防衛連盟本部/エントランス → 一部移動/黒野卓志、白石泪、大道寺重蔵、佐久間菊丸、愛染翼、立花誠、須藤茂、風見錬 → 大道寺重蔵、佐久間菊丸、愛染翼】


それは妙な集団である。
いきなりこの言葉を言うのもあれだが、そういわざるを得ない。エントランスの休憩所のソファを一か所、服の上からでもわかる筋骨隆々の巨漢やリーゼントパーマの時代遅れもいいところな姿をした長身の偉丈夫、それに比べればまるで小学生かと思うような小さな少年、細身の体をした美男子と言ったイロモノ以外の表現が出来ないような集団が陣取って屯していた。
その集団の名は『学浜八拳聖』と言い、学生格闘界の総本山『学館浜隆高校』に通う未来の格闘家たちであり、学浜周辺地区に攻め込む外敵を相手に専守防衛と実践トレーニングという名の元に暴力を振るうため、日ごろ付き合いの合る友人で結成された即興チームである。即興であるが、既に学生格闘界の頂点に君臨する者たちで組まれたため、8人という少数精鋭でありながら、100を超える人数の集団を退かせる伝説を持っていた。
此処に来るまでの過程は長くなるので省略するが、何の因果なのやら8人そろってこの世界に表れてどうするでもなく、この場に留まっていた。

「はてさて厄介なことに巻き込まれたなオイ。どうなるかわかりゃしねぇ。」
「空気が思い切り殺伐としとるけぇ。暇はしなさそうじゃがのぉ。」
「現に今暇じゃないすか番長。つってもまぁ・・・しょうがないんかねぇ。」

白とオレンジのボーダーを着た筋骨隆々の巨漢・黒野とリーゼントパーマの偉丈夫・重蔵の二人がまず口を開いた。他愛もない会話である。
彼らはここにきてからの事態そのものは既に聞いていた。が、あまりにもスケールが大きすぎた。年齢の事情もあるものの、今まで一つの地区という狭い世界で生きてきた彼らにとってこの世界はあまりにも広く、事態も自分らで解決してきた範疇を超えていた。
用は彼らにとってあまりにもピンとこなかった為に無意味に此処にいたのであった。

「どうするよお前ら。此処にいても事態が変わらねぇ。それ以前にまず暇。相棒、お前その辺どう思うよ?」
「それもそうだと思うよ。僕らもさっさと行動しなきゃお払い箱にされる可能性あるからね。流石にそれは避けたいから考えさせてもらったよ。」

黒野の発言を切っ掛けに彼の隣に座っていた、クリーム色の髪で目を隠していた少年・白石が口を開く。

「流石だ相棒。お前、何考えた?」
「簡単な話。どうせ8人でいても人材持て余すだけだし、多すぎてダレるだけ。それなら分かれて動いた方が選択肢増える分まだ現状よりマシになるさ。」
「それなら俺様は相棒と・・・それに立花!」

黒野が叫ぶと、立花と呼ばれたとても小さな・・・それこそ小学生くらいの体格をした少年が黒野のもとへと駆け寄る。

「俺様はこいつらと組むぜ。」
「ほいたら、ワシもいつも通りじゃ。翼、菊丸。おんしら、ワシについてこい」

重蔵の言葉と共に、その名を呼ばれた二人組は重蔵の背後へと即座に移動し、待機をする。

「OK。これで2つには分かれた……あとお前らだが、どうするよ。」

そう言って黒野たちが目を向けたのは2人の男である。その名、片や角刈りに険しい表情をした如何にもストイックそうな雰囲気を醸し出す男が須藤茂、片やクールで近寄りがたい雰囲気を放つ男が風見錬と言い、ハッキリ言ってこのイロモノ集団の中で見た感じはまともそうな2人組である。

「お前ら二人どうするよ?俺たちに混ざって4:4で行くか?」
「4人でも多すぎるだろう。俺と須藤とで2人で行かせてもらおう。」
「2人で大丈夫なのかおい?」
「これでも過ぎた戦力だ。」

黒野の問いかけに対し、錬は一方的に須藤と組むと提案。須藤は特に意見することが無いのを見る限り、既に同意しているのであろう。

「よしっ、これでまず分けられたな。お前ら、なんだかよくわからねぇところに来ちまったが・・・どうせぶっ飛ばすって事だけは俺たちの元居た世界とは多分変わりゃしねぇだろうよ。そしたらやる事は一つよ。ぶっ飛ばして且つ生きて帰ろうぜ。よくわかんねぇけど、それだけは守れよ。」
「おぅ、まかせんかい。」
「各々足引っ張ってくれるなよ。」

かくして8人は急遽チームを分け、お互いの生存を誓い合う。彼らにとってこの世界の事は基本的にどうでも良いが、格闘家として喧嘩師として血生臭い闘争が何よりも好物である。故に面倒事とはいえ、彼らにとってはまたと無い面白い機会。無意味に此処にいた者の、白石の班分けの提案で闘争心に一気に火が付いたのだろう。

「……さて、俺達は腹減ったし暇だしなんで、とりあえず外行って飯でも食ってくらぁな。」
「早速のんきな事言ってくれちゃってねぇ。大丈夫なのかい?」
「飯くらいは自由に食わせてくれよ。んじゃ各自解散って事で。」

班分け早々、黒野率いる3人は腹ごしらえと称し、早速外へと向かっていく。

「行動が早いもんじゃのぉ。錬、おんしはどうする?」
「やる事と組む人間が決まったなら、此処にいる理由はない。俺たちもとっとと行かせてもらおう。」

重蔵の問いかけに、錬は答えると須藤と共に彼らもその場から去っていった。

「残ったのはワシら三人か……まっ、状況見てから行くかのぉ。」

重蔵たちは周囲が去ったため、広々としたソファを大きく陣取り、天井を見上げる。もうそれぞれの組で好きな場所へ行き、エントランスのソファを陣取っているのはガラの悪い3人組となっていった。

>>ALL


【スレッド設立おめでとうございます&よろしくお願いします。導入って難しいデスネ・・・。】

8ヶ月前 No.49

ハベル・アレッセル @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_Tbw

【 時空防衛連盟/レストラン/ハベル・アレッセル 】

 生存本能を売りにしていると豪語して生きるのであれば、こうした直感も研ぎ澄まさねばならないはずなのだが。

「うわッ」

 今、自分の顔を見ることが出来ていたなら、露骨に顔をしかめていただろう。
 健康の象徴であるはずの小麦色の肌にもかかわらず、目の下に酷い隈を作った女の顔がこちらを覗き込んでいる。

 この時だけは、最悪の手合いに絡まれたと声だけで理解した。
 ついでに言うなら薬臭い――いや、薬物とかそういうものではなくて。
 ハベルにとっては縁も所縁もないと信じたいエナジードリンク系の匂い。
 薬に申し訳程度につくった科学の甘味が放つ刺激臭めいた芳香を、自分はどうにも好きになれない。

 それはそれとして、その姿に見覚えがあった。
 人員多し、精鋭多し、ついでにいうならこの世の常識が通じない連中も多し。
 この三多がそろい踏みの中ではあるものの、どう見ても人間をやめていたり、魔族の外見をしておらず、その上で両腕にガンドレッドを装着――外付け機構<アタッチメント>に長けている女は一人しか該当しない。

「……あー、ヤロスさん、じゃない、ヤロス隊長でしたっけ。
 俺に何か御用で? 今ご飯食べてるところなんですが……」

 クイーンビー
 "女王蜂"ヤロス・ハニービー。
 一年前の大戦にはいなかった新参の隊長。あの後、ユーフォリア・インテグラーレによる人事再編の際に加えられた軍人。
   、    、  ハイヴ
 彼女が率いる部隊は"蜂の巣"のコードで呼称され、最前線に立つ陸戦部隊では目覚ましい戦果を挙げたとかなんとか。

 頼むから目を付けないでどっか行ってくれないかなぁ――しなしなになったカツを口に放り込みながら眺める。

>ヤロス・ハニービー

8ヶ月前 No.50

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【時空防衛連盟/休憩室/グレイル・ザーラヴァ―】


さてさて、やるべきことは済ませてしまいました。これで任務達成率は完璧なままですよ、少しばかりの善意で報告していない事もありますが協会が慢心しなければ問題ないですね、グレイルは組織を信用しているのです。
いい加減オペレーターとして戻らなければまた怒られてしまいます、怒られるならまだしも痛いのは嫌ですね。私は痛いのを好むような人間ではありませんので、グレイルは至ってノーマル的なんですよ?
そういうわけで休憩室を後にした矢先に聞こえてきたのは滑車音、室内で聞こえるにしては不思議ですがそういう事もありますね。まあ此方へと近付いてきているのですが、おっとグレイルピンチですか?
なんて考えていたら唐突に覗き込まれる顔、いきなり積極的ですね、私でなければ驚いて腰を抜かしていたかもしれませんね。まあ?私は優秀な諜報員なので?グレイルに動揺の文字はないのですよ?
瞬間的にちょっとだけ観察タイム、私に似て中性的ですがやや男性よりでしょうか。しかし人間を模すなんて面白い事をしますね、人間と相違ないのが素晴らしい。グレイルちょっと感動しました。
……おっと、猫目ですか。猫はちょーっと苦手なんですよね、何故かなんて問われても答えませんけど、弱点を態々言ってしまうのは諜報員として失格なのですよ?グレイルはその点完璧、褒めたたえても良いのです。
そう言えば女性と勘違いしているみたいですね、だってこれナンパって奴でしょう!いやー、私初めてされましたね!女性として入り込むこともあるのでそういう自信はありますが!初体験にグレイル興味津々です。
ともかく、男性と知ってがっかりさせるのも悪いですので、この場だけでも私を女性と認識できるようにしておきましょう。アッシュ・レイウィンは男性ですけどそのデータも知らないようですし。グレイルは優しいのです。

「ええ、構いませんよ。私はアッシュ・レイウィンですよー、よろしくお願いしますー。」

まずは自己紹介、ワールド10に存在する人材の情報は送ったのですが別世界からの来訪者までは調査不足です。いきなり来るものを調べて管理しろとは理不尽そのものです、連盟側も協力者として纏めていますがグレイルも手に負えません。
詰まる所これも諜報活動なのですよ、もう情報を送るつもりはありませんけどね。ただ私の善意感知器がそうしろと叫んでいるのです、役に立つかだとかそんなのはどうでもいいのです。グレイルの善意に境界はないのですよ。
屈託のない笑みを浮かべてお話しに誘われる、経験自体はありますが女性の立場で誘われる側というのは初めてですね。情報を集めるならアプローチをかける方なので、新鮮味は善意のスパイスと思うグレイルですよ。

「お話し、と言っても私から何を話せばいいのか……そうですね、貴方の事を聞いてみたいです。」

相手に興味がある風に見せる、これ大事です。特に相手から近付いてきたなら有効ですね、勿論当て嵌まらない場合もありますけれども。俗にいう振り向かない事に興味を持つタイプですね、グレイルはどちらかと言えば好奇心で動きますけど。
取り合えずこの場にこの異常事態時に来る以上は、使命感よりも本能で生きていそうですね。休憩室に入る前の動作がやや不満げのように聞こえたので、私のように何かを咎められたのでしょうか。グレイル親近感を感じます。
ちなみにオペレーターは私一人が居なくとも問題なく回るのですよ、一人欠けて動かぬ組織は欠陥だらけですから当然です。なので同僚が怒り心頭で探しに来るまでは楽しみましょう、グレイル的にもこの人は興味がありますからね。

>>ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト


【絡みありがとうございますー!】

8ヶ月前 No.51

ライフィスト @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【アナザーワールド/某所/ライフィスト・ヒッチロート】


「ええ。ええ。ええッ。
 そう言ってくれると、心の底から思っていました、言わなければむしろアナタではない。
 ねえ? だって此処で命乞いをするショコラ・ヴァンディールをワタシは知りませんので―――してきたら別人名義で葬儀を始めようと思っていたところです」


 ゆっくりと歩み寄る。
 処刑台に昇った者の首を狩る処刑人が、勿体ぶって処刑の時間を引き伸ばすような悪辣さ。
 これからおまえは死ぬと、誰の眼にも明らかなようにして鮮明に姿を現す程度の邪悪さ。

 たった一つだけ、全く彼が隠していない要素があるとするならば、それはその部分だ。
 それは明確な敵意や悪意から来るものではない。殺意があるとも言えないし、そもそもあったとしてそれが本当の顔なのかさえ読ませない。あるいは親し気にショコラという人物の性格を語るその態度こそが、実は本音なのかも知れない。
 いやいや、ひょっとしたら何も考えていないのかも知れないし。なんとも思っていないのかも知れない。

 ただ重要なことは一つだけ。
 どういう感情を懐いていようと、此処に来る結末は一つだ。
 そして―――ボタンを押すにあたって、彼がどうしても阻止出来なかったことは一つある。
 この場所を通じて、ワールド10に何らかの事実がとっくに伝わった―――今更破壊したとて遅い、花は咲いた、嘲弄と凌辱は一手遅れということだ。未だに芽は残っているということだからだ。

 ………だが、しかし、それでも。

「しかし。しかし? 晴れやかな気分、ですか。
 いや何。お気持ちは分かりますとも。アナタは確信している、己が助けを求めた相手が必ずや報いを与えてくれると!」

 もちろん、その点を踏まえて失敗だと言ったのだ。
 最も肝心な伝えるべき部分に関しては途中で潰した。
 理想は何も寄越さずにおくことだったけれど、そこはしょうがない。
 終わったことは嘆かないのがライフィストの性根だ。
 過去になったものに目を向けない。死んだヒトはただのタンパク質で言葉も思いも発しない。屍に価値と権利はない―――それをどう利用するかは、結局のところ現在に立つ人間だ。
 彼女の言葉を、伝わった彼方側がどう使うかは、正直に言って彼方側次第ということだ。


 ………ライフィスト・ヒッチロートは、それを知っている。


 何を知っている、と聞かれたのならば、ワールド10に存在するものを知っている。
 だからひと欠片の情報とて出来ることなら与えたくなかったが、これはこれだ。
 突破口を与えてしまったことはミスでも、逆に利用の価値があり、リカバリの権利が自らの掌中にある。

「うん、うん、麗しい自己犠牲」

 そして―――。

「ですがね、ワタシ。割とそういうのキライなんですよ。
 アナタがたは自分が正しいとでも言いたげに、自分の理論を披露する………」

 重要なことを、忘れているぞと。
 また一歩、距離を詰めた。
 振り向きざまに放たれる光を前にして、無防備に、芝居がかった立ち振る舞いでそれを受け止めた。
 片手に握った何かを、ぱらりと放り上げて―――。

「その為ならば自分の命すらも惜しまない。大義、大義、大義、大義………ああ、虚しい美しさだ!
 他人の為と言っておきながら、それはとどのつまり自らの為。自らの感情の為。
 幸福を求めることに、感情に衝き動かされることには我々と大して変わらないというのに、我々の歴史だけが悪であると、自分の物差しでモノを言う! 人様の欲求など、他人が分かるものでもないでしょうにねえ」

 受け止めた、というか―――防がせた、が正解だ。
 撃たれた場所は七、八箇所。足から腕、即死の部分で話せば心臓と喉。
 その部分全てを覆うように、いま放り上げた砂の粒がかたちを変えた。
 砂、というか、何処から持ち出したのか砂金の粒。それは勢いよく形を変え、黄金の塊になって頭と心臓へと飛来する光を防ぐ。そして残るは普通に彼の肉体を射貫き、普通に身体の風通しを良くしてしまい、同時に飛び散る血で回りを汚した。

「何故此処まで言えるのか? そうとは限らない? 少なくともこの世界は腐敗している?
 アナタはそう言いたげだ」

「何故ならその強欲さを知っているのですよ、ワタシは。
 アナタのことも良く知っていますし、アナタが託した誰かのことも、よぉく、ね。だから言えるのです。
 知っていることだからこそ詳しく言えるし、言うだけの資格があると。ええ、まあそういうことですね」

 しかし。
 しかし、しかしだ。
 微笑むライフィストの表情は、たった一度も変わらない。

「民を信じる清廉さ。他人に関心を持ち必ず救うとでも言いたげなその傲慢さ。
 アナタがたはどういうわけか、それさえあれば必ず道が開かれるかのような顔をして、前しか見ることはない」

 何故か? そんなものは決まっている。死神は二つの結末を選ばせたからだ。
 しみ込んだ血は床に触れながら目覚ましい速度で拡散していき―――。


「―――アナタがた。だから、足元を掬われるのです」


 そのしみ込んだ床が、形を突然と変えて無数の鋭利な槍へと変形し。
 ショコラ・ヴァンディールを串刺しに掛かる―――より、少し前に。
 そのパフォーマンスを見せ、実際に殺しに掛かろうとする僅か前に。

 背後で嗤う、悍ましいモノと化した無機物が。
 そのノイズを発していた部分から無数の牙を生やし。
 異常なほど肥大化させた口を以て、彼女の上半身を食いちぎろうとその顎を開き。牙を突き立て食いちぎらんとする。


 ………未来を見て進むものの末路は、置き去りにしたものに食い尽くされるのがお似合いだ。
    あるいは、彼がそう口にしたかのように。二つに一つの処刑法が姿を現した。


>ショコラ・ヴァンディール(A)

8ヶ月前 No.52

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【サクラゴス/港/橋川 清太郎】

戦火に包まれた港町を、青と灰の重装甲を纏った男が噴射炎の軌跡を残しながら駆け抜ける。

「くそっ! 何だってこんなことに……!」

頭部装甲とバイザーの下で、惨状に悪態をつく。突如として始まった大規模侵攻に、まだ適応しきれていない。ただ、偶然この町で物資輸送の護衛依頼を受けていたため、装備していたShoot packで即座に応戦出来たのは不幸中の幸いか。

「お願いだから退いてくれよ!」

また一人、敵戦闘員をマシンガン型武装Thunder leo Uで撃ち抜く。直前にこちらも何発か銃弾を浴びたが、GAWNDとArcherの装甲には傷一つつけられない。完全に沈黙したことを確認し、一呼吸。
今ので十数人目だろうか、市民を何人か守ることには成功したが、やはりそれ以上に守れなかった割合の方が多い。
その事実に歯噛みしていると、大きなエネルギー反応と、悲鳴と思われる声紋パターンをキャッチした。
直ぐ様バーニアを吹かして反応があった地点へ向かうと、市民が戦車らしき車輌に蹂躙されているのが見えた。簡易解析を見る限りでは自分と同じパワードスーツ系統の機動兵器と思われる。

(これは……)

巨大な鉄塊、一番初めに抱いた感想がそれである。重厚で無駄な飾り気のない装甲、群がる敵を例外なく地へ沈めそうな重武装の数々、無骨という概念を体現したかのような存在だ。

「や、やめろぉぉぉ!!」

そんな兵器が好き勝手暴れ回っているのを見過ごせる程、今の清太郎は大人しくなかった。
バーニア出力を上げて加速、戦車と市民達の間に数秒で割り込む。片手と両足をアスファルトに擦りつけて強引に減速。そして力士よろしく戦車を両腕で受け止めた。

「こいつ……なんてパワーだよ!」

こちらも重装備ゆえパワーには結構自信があったのだが、現実はこれである。完全に停止させることは出来ず、GAWNDの足裏で少しづつアスファルトを削るばかりだ。それでも、市民達が逃げる時間は稼げる筈。

>>歯車王

8ヶ月前 No.53

@grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★dxkzXfPWBG_Tbw

【時空防衛連盟/レストラン/ヤロス・ハニービー】


 女──ヤロスに出会うことが幸か不幸か。
 この一時において言うのであれば、1・1の不幸。賽の目は完全に運命に見放されている。
 さりとて、賽の目はすでに振られているのだから、このまま時間を進めるしかない……。


「そりゃあ、見ればわかりますケド」

「非常ベル、まさか聞こえてないってわけじゃあないでしょ? 悠長に飯食ってる場合じゃないですって」


 綺麗な放物線を描いて、ヤロスの首が飛びかけた。

 山腹の草原のように満たされていたルーを吸ったのか、
 それとも、本人の「よくないもの」と出会ったしまった時の不幸を体現しているのか。
 今まさにハベルの口に放り込まれたカツは、象徴のようなものだ。

 カレーライスにすればよかったかな……なんて思っている場合じゃあない。
 質問に答えあぐねたあたしがすることは一つ、まずは相手の素性を思い出すこと。
 少なくとも、目立った人物は頭に叩き込んでおいたはずなのだ。まさか忘れるわけもないだろうし……と高をくくっていたのだが。
 ついぞさっきまでハベルの事を思い出せなかった。

 はて、しかし……そういえばこの男は確か、出向してきたハズだ。
 精鋭達と立場を同じくして戦線に出ていたはずだが、風のうわさでは前線に立つことに消極的だったようにも……。


「……ああ、行きたくないンです?」


 女は盗塁確認もせずにど真ん中のストレートを投げる。
 左手のガジェットタイプの情報端末でおおよその時間を把握しながら、ヤロスは目の前の男を追及していた。
 自部隊が心配だが、アレでも彼らは「蜂の巣」であるのだし……あたしがそうなのだから、「生き残る」ことに関しては必死だ。

 それはそうと……この目の前の男を見過ごしたら、それはそれで何かシコリが残るようで嫌だ。
 敵前逃亡を断固として許さない、とか圧迫するわけではないのだけれども……、戦えるのに戦わないとはどういう了見なのかを知っておきたい。
 大体、戦いが嫌ならば出向も拒否すれば……とヤロスは思っていたのだが、彼女はとにかく知らない。
 どうやら彼が出向「した」のではなく「させられた」ということを……だ。


「仮にそうだとして──アレです? 死にたくないとか?」


 ……大体戦いを嫌がる者は、そうあることが多い。気がした。多分。


>ハベル・アレッセル

8ヶ月前 No.54

ラスティアラ・フーズヤーズ @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_Tbw

【 リヒトルザーン/総合病院/ラスティアラ・フーズヤーズ 】

 未曾有の災厄、予想以上に搬送される人数が少ない。
 ――ある意味では寧ろ此処の対処にあたっている総合病院、そしてシビルナ・カストリスにとっては管轄外の状況が長く続く現在。
 リヒトルザーンの病院に、狙いすましたかの如く何者かが回復魔法をかけてまわっているという噂話が流れだす。

     、      、       、    、  ・・・
 流浪の旅人。時を越え、世界を越え、次元を越えて旅をする冒険者。
 ただそれだけを名乗って回復魔法をかけて去ってゆく幻想的で、何処かヒト離れした少女の噂。
 重傷者の収監施設に押しかけて、輝きの魔法を塗布しては嵐のように去ってゆく者。
 医療を否定したのが特異体質の暴力であったなら、トドメをさしたのは才能の暴力だった。

「ねぇっ!」

 ひょこ――そんな擬音が似合うくらいの勢いで、無邪気な声と共にシビルナの前にその元凶は現れる。
 白銀が流れているかのような輝く色の長髪に、人形にも再現が出来そうにない整った顔立ち。
 彼女の瞳を覗き込む黄金の瞳は、恐ろしいほどに幻想的で――。

「面白いスキルだね! さしずめ、血に記録された異能ってところ……かな?」

 こんなの滅多に見れないよ、とはしゃぐ少女。
 しかし次の瞬間には目を細め、ほぉ、ふむ、ふむと独り言を呟いた上で彼女に手をかざす。

「でも使いすぎかな、体力が少なくなってるよ。……ちょっとじっとしててくれる?」

 ――などと感想を持つ間も与えさせず、彼女は好き放題に振舞う。

 周囲の隊員の警戒の視線を振り切った少女は笑顔を作って、魔法を詠唱しはじめた。

「『撫でる陽光に謡え』 『梳く水は幻に、還らずの血』 『天と地を翳せ』――」

 ふわふわと純白の光が少女の手から溢れ出し、シビルナの体を包み込んでゆく。
 度重なる採血により起きた失血に伴う倦怠感と、長期の労務が重なった疲労が、光と共に癒されてゆく。
 ・・・・・
 この世界で伝わっているものとは全く類型が異なる魔法――ホームワールドでは光魔法に分類される、回復魔法。

「――《キュアフール》。はいっ、終わり。気分はどう?」

 少女は光の噴出を終わらせ、シビルナに笑顔を向けた。

>シビルナ・カストリス

8ヶ月前 No.55

偉人、天才、だが迷惑 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【CV梶裕貴が、言う台詞?】

【時空防衛連盟/休憩室/モーツァルト】

 自己紹介されて、少し首を傾げるモーツァルト。
「? 女の子にしては声低いよね」
 まるで男の声のようだと一瞬疑ったが、そういう声質なのかとあっさりと受け入れる。
 人格基盤になった存在が、そういう世界に生きていたのもあるかも知れない。
 自分の事を言ってと問われたので、帽子を取って胸に当てると、目を閉じて貴族の男性風に会釈をしこう名乗った。
「僕はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。モツでいいよ、よろしくねアッシュ」
 編み込みされたピンクの頭に帽子を被って気品ある挨拶を終えると、元の少年のようなモーツァルトに戻ると自分の事を聞かれたので、自分の事が知りたいと聞かれて軽薄な態度でこう身の上を明かす。
「外に出ていたら、シューくんみたいにいつの間にこっちに辿り着いて、帰りたいんだけど、あっちの世界の第三臣の人達の事を聞いたらよく分からないけど、なんか無性に行きたくなってそれを言ったら、行かせてくれないって言ってきたんだよ」
 最後辺りの台詞になると不服そうな顔で不満を漏らすと、人間にはない、円形レンズのような模様がある澄んだ水色の目はどこか遠くを見るような色に変わり、ぽつりと呟く。
「……僕は、第三臣のみんなを楽しませたいだけなんだけどな」
 貴族民衆入り乱れの劇場を思い出しつつも、ぐるんと大きな目玉はグレイルを再び映し出す。
「これでおしまい。次は君の番だよ。君は何をしてるの?」
 興味津々ですという表情で、じっと見据えつつも嬉しそうに問いかけるモーツァルト。
 まるで犬が尻尾を千切れんばかりに振り続けるような態度だった。
>グレイル・ザーラヴァ―

8ヶ月前 No.56

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【並行世界管理協会本部/司令部/シュルヴェステル・フルメヴァ―ラ】


状況に大きな変化はない、司令部にいる以上その情報は報告という形でしか上がっては来ないが即座に対応すべき事項は未だに訪れない。歯車王と同格であったロウェナの出撃は良い意味で驚愕を全体に与えた、勝利を確実にするものという意味でだ。
対抗する敵航空戦力が一機、それに対して単騎で出撃しているという懸念は当然ある。出撃を確認しただけでそれだけの影響力を与える存在、仮に損傷でもすれば同じだけの動揺を与えるもの。実力に関して疑う余地はない、だが司令部にいる以上は最悪を想定せねばなるまい。
とは言えども大勢を見れば何ら問題は生じていない、陸軍は特に歯車王自ら出陣していることもあり士気は最高潮、戦線も大きく押し上げて行っている。戦闘行動が散発的に確認され始めたが、現状敗走の知らせもない。
再度の通達は必要なく、状況を見る限りでは敵航空戦力も現れる気配もない。だからこそこの男は些細な報告にも目を凝らす、情報戦でも技術力でも勝っている、なら勝利ではなく損傷のない完全勝利こそ望むべく物であるからだ。
そうするこの男に声を掛ける存在が居た、報告するオペレーターとは違う騎士の様相そのもの。蒼銀の鎧と兜を纏い、純白の外套で身を包む武官。その可憐な声はこの男への称賛を向けたものであった。しかしこの男が耳を傾けたのはその後に続く言葉。
敵に止めを差したわけではない、ならば何らかの抵抗があるのは常。その事を理解せずにただ賞賛を投げかけていたならば、大口を開けて笑いながら諭していただろう。そうだとも、優勢であって勝利はしていないのだから。

「おお、フィオレ嬢か。よく見て、考えておるな。確かに我が協会は優勢、歯車王様を含め多くの豪傑が戦場を支配している。

だが!何が起こるかなど誰にも分からん、万が一に将校が討たれることがないと誰も言い切れん。妄信と信頼や忠誠は違う物故な。」

その万が一を減らす為にも司令部に儂がおるのだがな、と最後に笑いながら付け足す。戦場に限らず絶対は有り得ない、特に並行世界には協会にも知り得ぬものがある可能性など幾らでもある。それが優勢を覆すことだってある。
少々慎重すぎると揶揄されることもある、だがこの男の防衛戦における堅牢さは通常の比ではない。予想外を予想の内に留め、奇策すら凡策に押し込める、協会の盾という称賛に偽りはない。尤も、決まって歯車王の為と口にするのだが。
一通り語った後にふと思い出したかのようにぽんぽんと、老人の腕とは思えぬ剛腕で騎士の兜を叩き撫でる。子や孫にやるように優し気に行う、それでも膂力の強さゆえかやや粗暴に感じるのは仕方ないだろう。

「それと若造だからと謙遜せんで良いわ、称賛に誰からなど関係はない。そも儂が若造などと言い出したら殆どが若造になってしまうわ!」

優しき翁のような微笑みを浮かべたかと思えば、何時もの如く笑い飛ばした。事実、気を使っての言葉だろうが、心からの称賛だろうが、機嫌取りや取り入りだろうがこの男は区別しない。その言葉を口にしたことが重要であるから。
勿論心からの称賛の方が嬉しいのは確かだ、だからこそ今回の称賛の言葉を受けて明らかに上機嫌であることを醸し出している。皴で萎びた口元には確かに弧が描かれている、その猛々しい瞳もやや穏やかに見えるだろう。
一頻り兜を撫でた後、再びモニターに視線を戻す。見やればセレーナが陣形を崩し、突出している報告が上がっていた。緩んでいた顔をやや顰める、セレーナの能力を踏まえれば更なる戦功を挙げられるだろう事は想像に容易い。
だが、現在指揮しているのは戦艦であってこれまでの駆逐艦ではない。管轄違い故に戦略の差など専門的なものは理解が浅いこの男、だが兵器の運用において機動力と大きさが違うものを同様に扱えばどうなるかは想像に容易い。
しかし陸軍による突撃支援は出来ない、理由は二つ。行軍速度の明確な差と面子の問題だ。前者は物理的に不可能だ、どれだけ行軍速度を挙げても追いつけない。再回収からの行軍は戦力の分散に加え、やはり追いつけはしないだろう。
後者は単純だ、空軍の始末を陸軍が付ければただでさえ対立気味な現状を煽ることになる。歯車王直々の指示ならまだしも、この男が指示を出すならば余計な問題を起きる。だがそもそも、空軍のみで片を付けられるならばそれに越した事は無い。
こればかりは空軍の対応に委ねるしかない、そう判断を下した。何も起きなければ花道がさらに華やかになる、何か起きてしまえば……どうなるかは想像もしたくない。だが、こういった悪い予感は常に当たるものでもある。
やや思案に耽っていると再度騎士から声が掛かる、今度は単純な疑問であった。何故後方での指揮を、という問い。後学の為、有難いとはまた嬉しい事を言ってくれるなどと思いながら口を開く。

「歯車王様が出陣し、儂が留守を任された……フィオレ嬢の予想の通りよ。椅子を温めるだけというのはどうにも性に合わん、こうして司令部に居る方が儂らしいわ!」

本来将校は政治にも関われる権限を持つが、この男は軍部を逸脱した権限は使用していない。あくまで歯車王の部下であり、陸軍の将の一人であるとしている。椅子に座っての会議などは軍議でなければむず痒いなど冗談で言うほどには。
快活に笑い飛ばし、普段通りの様子である様に見せるこの男。仮にもこの場において最も地位を持つこの男が、動揺とまでいかずとも渋い顔をすれば要らぬ不安を与えることを理解しているからこそ、何時もの様に豪放と笑っている。
その視線がモニターの情勢を逐一追っているのに気付くのは、周囲にいる騎士であろう。それを理解しているからこそ、僅かに目線を送り動揺をするなという意を込めてその瞳を見つめた。
傍から見れば、将校と武官の平穏な会話にしか見えぬように。

>>フィオレ・ラ・テッラ

8ヶ月前 No.57

使い捨てられる者 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【サクラゴス/灯台/エドガー・グリム】

侵略者である兵士達が周囲を警戒していると、突然何者かによる通信が入った。それも伝令向けではなく、この場にいる全員に向けて、だ。
意図の見えない、決して友好的とは思えない謎の通信を、多く兵士達は怪訝そうな顔をしながら、しかし特に何をするでもなく聞いていた。――が、その特に価値の無い演説が終わったその瞬間だった。

何処からともなく転がって来た通信機が突如爆発的に放電、付近の兵士を一瞬にして感電死させた。不幸な事に――或いは、術者にとっては幸運な事に、兵士達は行儀良く整列しており、感電した兵士を伝って別の兵士へ、更にその兵士からまた別の兵士へ、と連鎖的に電撃が広まって行く。
結果、瞬く間に全体の半数近くが死亡、或いは戦闘不能になった。響動めきは一瞬で広まり、襲撃者の姿を探そうと生き残った兵士が周囲警戒を始める。が、更に、その直後のこと。
何者かの笑い声が響いたかと思えば、突如として大きな爆発が発生する。それも一度や二度ではない。何度となく連続で爆発が発生し、最後に一際強力な大爆発が巻き起こる。巻き込まれた兵士は何が起こったか理解する間も無く爆死し、被害はより一層甚大なものとなった。

『襲撃!? 能力者か!? 何をしている、急いで被害を確認しろ!』

隊長格と思わしき男が怒声混じりに指示を飛ばす。先程までの余裕ぶった雰囲気から一転して、場は混乱に包まれた。
生き残った兵士は数分前の20%ほど、と言ったところか。如何に能力者による襲撃だったとは言え、兵隊としては致命的な損耗と言えるだろう。

兵士達が陣形を整えるか、それより僅かに早く、襲撃者達が姿を現す。その数、たった二人。
一人は如何にもと言った風体の若者。口を開けば、先程の無価値な演説を垂れ流していた人物と同一だと分かる。
もう一人は、奇っ怪な装いの人物。先程の襲撃に関連するのであれば、爆発を引き起こした張本人だろう。

『敵だ! "第三のクズども"! 出番が来たぞぉ、とっとと片付けろ!』

そう隊長が指示を出せば、たちまちの内に未だ百近くは残る兵士達が列を整え、自動小銃を構えて襲撃者二人を取り囲む。奇襲には成功したが、この数相手は未だ優勢と言えないだろう。
一方の隊長は、命令を飛ばしはするものの、前には出ようとしない。いいや、それだけでなく、幾人かの兵が同じように、奇妙な事に離れた場所から見ているだけだ。

良く観察すれば、隊長とその兵士達の装いは他の兵士とは違う。襲撃者を囲んで戦闘態勢を取る兵士達の格好は何処かみずぼらしく、構える銃器も形落ちのものだ。それに対し、隊長達の装備は小綺麗で、得物も最新式の光線銃。
それが一体どういう理由か、襲撃者達はそれを知る由も無いだろう。一つだけ確かなのは、この兵隊には明確な上下関係――上官と部下である以上の――が存在すると言うことだけだ。

目の前に悠々と立たれ、不遜な態度でものを言う青年に対し、"その"男は明確な敵意を孕んだ眼差しを向ける。

「てめぇ……ふざけやがって!」

青年は、きっと何らかの意図を持って持ってその男の前に現れたのだろう。でなければ、わざわざ挑発する理由がない。それは、ある種の意趣返しだったか、それとも単なる興味本位なのか……どちらにせよ、その行動は、男を苛立たせるのに十分過ぎただろう。

「べちゃくちゃ喋りやがって……! 黙って俺の為に死んでくれ!」

挑発を受けた男は、一目散に目の前の青年に向かって駆け出した。と、それに合わせるように、他の兵士達が、もう一人の襲撃者である異装の人物に向けて、一斉に射撃を行う。男一人とそれ以外が別々の対象を狙う――その意図は、火を見るよりも明らかだろう。即ち、その男もまた、異能を持つ者なのだ、と。

特に魔法を使う素振りも、銃器を使う素振りも無いまま、男は真っ直ぐ青年目掛けて走る。そして、両者の間が約3mと言ったところまで接近した次の瞬間、男が急に足を止めたかと思えば、"青年の足元"を突き破って、"鉄拳が如き巨大な鉛の塊"が飛び出した。
敵を注視していれば必ずや死角になる、自身の足元の地面からの奇襲。その上、その攻撃は、余程頑丈な相手で無ければ、当たれば確実に仕留められる破壊力だ。
文字通りの速攻、全くの容赦の無さ。初見故の対応の難しさも相俟って、それは必殺の一撃と呼ぶに相応しい。それは男の殺意を表しているようにも、――或いは、男の余裕の無さを表しているようにも見えた。

>>ライル、プレイグナイト

【宜しくお願いします〜。】

8ヶ月前 No.58

小さな小さな司令官 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【サクラゴス/卸売市場/北側/ベアトリクス・ノアシェラン】

あれからどれほどの時間が経っただろうか。必死に瓦礫を除去し続けていたベアトリクスの背後に、不意に殺気が走る。彼女がそれに気付いて振り返るよりも早く、その主は口を開いた。
叫び、されど無機質な声が放たれると同時に、アサルトライフルから放たれた銃弾が彼女の身体を……射抜くことはなく、そのまま瓦礫の山へと突き刺さって役目を終える。
ベアトリクスの経験から来るであろう反応速度もさることながら、特筆すべきはその動きであった。彼女はこの不安定な瓦礫の上で、片手だけを使って側転し攻撃を回避してみせたのである。
更に、そのままの勢いで着地と同時に前方宙返りをしながら、ベアトリクスは平らな地面へと降り立つ。小柄というハンディキャップを、逆に長所へと変える機動力の片鱗が、そこにはあった。

「はっ、それがお前達のルールってか」

機械兵士。そう形容するしかない容姿の……恐らく男が語った言葉。弱肉強食の掟。自然界ではごくありふれたことであり、ホームワールドも遠い昔はそうであった。
相手方の世界、アナザーワールドでは、今もそのような理が蔓延っているのだろう。そして彼らはそれに従い、要求に従わなかったこちらを蹂躙しに掛かったのである。
なんとも傍迷惑なことだ。される側からすればたまったものではないが、向こうからすれば当然のことなのだから、いくら話し合おうとしたところでその溝は埋められないだろう。
怒りの籠もった表情で、彼女は敵の姿を見据える。一人か。どうやら敵は陸軍を軽視しているらしく、サクラゴスへは掃討役の部隊しか送り込んでいないらしい。
それは、空軍の迫り来るリヒトルザーンが、想像を絶する脅威に晒されかけているということの裏返しでもあるのだが。許せない。これだけの数の一般市民達を嬲り殺しにしてもなお満足せず、次なる獲物を求める。
こいつらを、生かしておく訳にはいかない。自分達がここで奴らを食い止めなければ、今後も被害者の数はねずみ算式に増えていくことになる。ようやく訪れようとしていた新たなる時代を、ぶち壊しにされてたまるものか。

「そんなルール、オレ達の世界には必要ねえんだよ! くたばりやがれ!」

愛しき人を奪われ、心に深い傷を負いながらもベアトリクスは立ち向かう。それが、自分の、時空防衛連盟司令官としての務めであるということを理解していたから。
素早い動きで敵へと接近した彼女は、並行世界移動装置の技術を応用して作られた"武器転送装置"のスイッチを起動し、自らの愛銃を呼び出す。SUN FLOWER。ベアトリクスの特注で開発された、高威力のソードオフショットガンだ。
そしてそのままそれを真正面から撃ち込む……ように見せ掛け、くるりと身を屈めながら敵の頭上を飛び越すと、相手の方を振り返らずに銃だけを後ろへ突き出し、引き金を引く。
凄まじい反動を受けるこの銃を、このような姿勢で撃てば腕へは相当な負担が掛かる。が、ベアトリクスの小柄ながらも鍛え抜かれた身体は、そのデメリットを見事に打ち消していた。
まるで咲き誇る花の如く襲い掛かる、無数の粒子弾。これだけの至近距離で発射された以上、回避は難しいが、まともに喰らえば文字通り蜂の巣となって息絶えることになるだろう。こんなクズ共相手に、容赦など必要はない。

>サミュエル・ベルナール(A)

8ヶ月前 No.59

中二病はいつになく真剣 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【時空防衛連盟本部/オペレーションルーム/シエンタ・カムリ】

座標の解析など普段ならお手の物、赤子の手を捻るに等しいのだが、並行世界のものとなると勝手が違いすぎる。まずは、バラバラになってしまった情報を繋ぎ合わせなければならない。
他のオペレーター達は、迫り来る艦隊の動向を探るのに忙しいだろう。必死になっている彼らを、このようなことに付き合わせる訳にはいかないと、彼女は孤軍奮闘を続ける。
再び、シエンタのPCの画面に無数のコマンドプロンプトが表示される。彼女が何らかのコマンドを打ち込むと、計算が始まり、物凄い勢いで速度で二進数が書き込まれていく。
取り敢えず解析は開始したが、結果が出るまではもうしばらく時間が掛かる。その間に可能であれば、戦艦の弱点でも探ってみよう……などと考えていたところで、不意に声を掛けられた。

「君、こんなところにいても大丈夫なのかい? 手伝いは歓迎するけどさ」

協力を申し出た一人の青年に、シエンタはそう返答する。彼が手伝ってくれるというならば、こちらがそれを断る理由などないが、別の仕事があるのではないかと彼女は心配していたのだ。
まあ、本当に別の仕事があったら、わざわざ自分のところへやってくる余裕すらもないか。シエンタは回答が来るよりも早く、自分で結論を下して、再度作業へと戻る。
そうだ、彼はデータを送信してくれと言っていた。こうした作業において、どれだけの腕前を持っているかは未知数であるが、猫の手も借りたい状況だ、今は頼らせてもらおう。

「ボクは解析待ちの間にデカブツの弱点を探してみる。何か変化があったら教えるんだ」

シエンタはサミュエルにそう告げると、足元からもう一台のノートPCを取り出し、更に隣の空席になっているPCも起動して、敵艦隊の情報へのアクセスを試みる。
メッセージの解析を始める前に行っていた作業と同じだ。はっきり言ってしまうが、今の地球軍と連盟の軍事力で、あの大きさの戦艦を外から落とすというのは難易度があまりにも高い。
となれば、残る方法は唯一つ。直接内部に乗り込んで、破壊するしかないだろう。そもそもどうやって侵入するのか、接近するためにはどうすればいいのか、などの問題があるが、まずは入り口だけでも探し出さなければ。

>サミュエル・ベルナール(H)
【サミュエルへの返信を書いたと思ったら、サミュエルの返信を書いていた。何を言っているのかわからねーと思うが……(((】

8ヶ月前 No.60

雪夜の芸術家 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【リヒトルザーン/繁華街・ハンバーガーショップ/F.Fショパン】

 まずはスケルトンは、ハンバーガーとポテトフライを頬張り食事を済ませると、どこへ向かえばいいと聞かれたので、連盟側のスケルトンだとショパンは理解する。
「サクラゴスとプリンシパル。サクラゴスは陸上戦、プリンシパルは空中戦みたいだ。僕は、サクラゴスに向かう予定だよ」
 空中戦は不得意なので、陸上戦の方へと選らんだショパン。
 奏者ないし作者と聴衆によって築き上げた絆。
 「ピアノの詩人」という、歩く魔術基盤でもある英雄(えいれい)は、それが最大の武器だった。
 作品に対して丹精であると同時に潔癖な男が、そのような力を受け入れている理由は取り返しがつかない事だという諦めと、聴衆が感じた事をすべて否定はしたくなかったの二つだった。
「スケルトンは行くと言っているけど、君はどうするんだい?」
 茶髪の少女に影がかった碧眼を見下ろして、厳かさを感じさせる真面目な顔で問いかけてみる。
「行く場所が同じなら、僕で良ければ手助けしても構わないよ」
 ここで力になってもいいと、淡々と主張する。
 その言葉はどこまで行けるかは知らないが、自分ができる事があるなら手伝う思いがあった。
 あの時みたいに、何もできなかった事を悔やみたくない。
 その後悔があるからこそ、英霊になったショパンのある苦悩を生み出しているのだが、ここではまだ語る必要はないし、ショパンも然り誰にも苦悩を明かすつもりはなかった。
>Sans キャラ・ドリーマー

8ヶ月前 No.61

フィオレ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【並行世界管理協会本部/司令部/フィオレ・ラ・テッラ】

「まさか。フルメヴァーラ殿も―――否、戦線に出た将校の方々も思い至ってはいたことでしょう」

 謙遜のように首を横に振るが、事実。
 これは遜ったのでもなんでもなく、実際にこの男なら二手三手は先を考え得るという評価あってのこと。
 それどころか、ある程度先見のある者なら、実際に戦場に立つ人間ならばすぐにでも考えられる懸念事項だ。

「ワールド10の侵攻自体、元々彼方の技術力を懸念しての判断であると耳に挟んでおります。
 既に時間を渡る術を持っている以上、何かの拍子で此方に渡る術を持ったとしてもおかしくない。そうでなくとも、慢心が足を掬うのは常套句です。敵が知能のない動物ならまだしも」

 現にワールド10と名付けられた世界の技術は、これ以上時間を掛ければその時点で成長の兆しがある。
 潜入した会長秘書が持ち帰った情報に曰く、彼方は時空を渡る術を持っているというのだから。
 Xの軸を動く術を得たのならば、Yの軸を渡る方法などそう難しくもない。その危険性がある以上、一撃で根を断つことが不可能でも、一撃で余力を可能な限り削ごうとする戦略は理に適う。相手は別に、野山に住む野蛮な猿でもなんでもない。

 あくまでも世界と思考が違うだけの人間だ。
 そういう発想を出来るものがどれくらいいるかは、分かったものではないが。

 それに追い詰められたネズミが猫を噛むこともある。そこから命が続くとは思えないが、本領への侵攻は警戒するべきだと思っている。そうした事情がある以上、この地に手が伸びることだけは避けたいと思っている。
 罷り間違っても、そうしたどちらかが死ぬまでの抗争は避けたい―――実を言うなら、本音はそこだ。
 此処が歪なことは分かっていても、それを流血による崩壊として齎すわけには行かない。

「当初の目的が達成されたのは十分に見て取れます。
 である以上、戦略的な勝利が揺らがないことは事実ですが、その余力を断つまでが上策と―――、」

 ………それは間違いだと、そう思っている。

 だから。
 願わくば一撃で、と、後詰めの方に回りながらも考えているのだが。

「む」

 それを遮る物理的アクション。
 粗暴なのかあやすようなものかも分からない腕の存在が、そこで思考を遮った。
 兜越しでありながら実際に頭をなでられたような感覚。
 そうした接し方をしてくる大人はさほど多くないだけに、慣れていると言えばうそになるか。
 表情は兜に隠れて分からないが、その兜よろしく肩肘張った声が、ほんの少し当惑したような節を見せる。

「いえ、謙遜などでは」

 誰の腕かなど言うまでもない。現在その段階まで話していた老将、シュルヴェステル・フルメヴァーラ………呵々大笑しながら、齢20にも満たないいっぱしの武官に対しても、気さくかつ上機嫌にモノを言い、笑って見せる。

 豪胆な御仁だ、とは思う。
 将校の方々は三分の一が気難しく、残り三分の二は基本的に温和な傾向にある。
 その中でも、気難しい方の極地に到達するような男の側近が、温和な好々爺のような素振りを見せると来た。
 その点では、なんというか、不思議な御仁だ。
 当惑した表情が露呈しないような、兜越しの接触で良かったような気はするが、さておき―――。

「聞き及んではいましたが………彼が、ですか。
 戦功を今更焦るような地位ではありますまい。となれば、彼女の―――バルダローム殿の?」

 珍しいこともある、というのが正直な意見だった。
 陸軍の中枢に立つ歯車王と呼ばれる男は、極めて評価を難しくさせる人物ではある。

 よく言えば伝統的でバランス感覚を持つ、“安定した土台を作る”者だ。
 悪く言えば―――融通が利かない古典的で保守的な人物、という印象がある。あまり面識はないというより、好評悪評、それと極端なものが入り混じった話を聞いている以上、あまり深い接触をしない程度の距離を保っていることもあるが。

 そうした人物だから、自分から戦線に出て暴れ回るという印象が正直に言ってない。
 名が体を表すとでも言うかのような歯車王の鎧の精強さは耳に挟んでいるが、それにしても。

「(それにしては、わざと進軍を緩めたな………。
  であるなら、後は本当に彼女の度量に委ねられるが………しかし、同じ軍同士が面子の話、か)」

 ………その進軍をわざと緩めた所為は、軍の対立ゆえのものか。
 ………あるいは別の理由でもあるのか。いずれにせよ、本音を言えば、少々のいびつさが見て取れた。

>シュルヴェステル・フルメヴァーラ

8ヶ月前 No.62

永世無極召喚士 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_Ssw

【サクラゴス 潮力発電所 北部/17代目葛葉ライドウ】

「フン、くだらん世迷言だな」

悪意は感じられない分狂気が乗ったその言葉をライドウは一言で斬り捨てる。
要は侵略者のディストピア思想の押し付けに過ぎない、実力主義とそれに伴う混沌を良しとするガイア教団の方がまだマシだ。
ライドウの懐に収められた合計36の封魔管の半数以上が共鳴する。まるでライドウの言葉を是とするように。
的殺は防がれ、続くジャックフロストの拳も光の壁に防がれた、この光という性質は厄介だ、文字通り光速で迫るのかそうでないのか、先の一撃を見ても判別がつかなかった。
彼女がバックステップで距離を取るのとほぼ同じ瞬間にライドウもバックステップを踏んだ、ただ”刀の届く間合い”だけがライドウの間合いではない故に。
これは、探りと思索が必要だ。

「貴様のような世迷言は――」

ライドウが台詞を続ける間に修道女は左手を振るう、懐に手を触れてジャックフロストを送還して別の悪魔を召喚する、がまだ姿は見えない。
如何なる異能か知らないが、イメージを固定させるためのワンアクション必要と推測する。ライドウの死角より攻撃が迫るのを常人外れの直感で察知するが、動かない、
ジャックフロストに放たれた光の矢は空を切り、ライドウとアマテラスに放たれた光の矢は『爆発』し、周囲は土煙に包まれる。
先にやられた者たちは光が当たっても爆発はしなかった、これにはアマテラスを敢えて動かさなかったことが起因する。

「――耳が腐るほど聞いてきた。感触はどうだ、アマテラス?」

『やはり魔法や魔術とは違う系統かと、マカラカーンをすり抜けましたが、万魔の障壁は有効ですね』

土煙の中からライドウとアマテラスの声がする、一陣の風が吹き煙が晴れる、ライドウもアマテラスも無事だ。爆発したのは光の矢を障壁で相殺した際のものだ。
アマテラスが行ったのはマカラカーンと万魔の障壁の同時展開、最初に何もしなかったのはその前準備のため、そこいらの悪魔では真似も出来ない高度な技術だ、だがその分マグネタイトを倍以上消費する。
万魔の障壁は先のグレートメイガスとの戦いの後に開発した燃費を度外視した万能属性防御魔法だ、アマテラスの生命エネルギーであるマグネタイトはこの一瞬で二分の一まで減少した。
だが生きている、ライドウは一手読み違えれば即座に死ぬ”死ななければ安い”戦いを数多く経験してきた、死にさえしなければ腕が千切れようが回復魔法でいくらでも戦えるし、諦めなければ光を掴める。
とはいえ、このまま万魔の障壁を多用するような戦いをすればジリ貧のち破滅だ、恐らく5分持てば良い方だろう、だから手を変え品を変え、さらに状況を強引に抉じ開けてでもライドウは前に進む。

「出番だ”マタドール”」

『ご機嫌ようお嬢さん。私めはマタドール、生きている間はお見知りおきを』

その瞬間、世界の色が反転するような怖気が周囲に撒き散らされる。本能に直接訴えかけてくる恐怖だ。
一筋の雷と共に現れたのは、カポーテと呼ばれる赤い布とレイピアを構えた華美な装飾の服装の闘牛士。
だが、目があるべきところに目がなく、鼻もなく、耳もない。その闘牛士は髑髏だった。
それは”魔人”、サマナー界では『出会ったこと自体が不運』、『遭遇したらあらゆる命乞いをしてでも生き延びろ』と言われるカテゴリー。ライドウはそれを実力で打ち破って従えている。

「二人とも手筈は分かっているな? やれ」

『仰せのままに。”マハ・エイガ・オン”』

『いつものですね? ”マハ・コウハ”』

マタドールがレイピアを振ると漆黒の剣が無数に浮かび上がり、リャノーを串刺しにせんと迫り、アマテラスの魔法により殺傷力のない強烈な閃光が視界を埋める。その隙にライドウは拳銃を抜く。
光波(コウハ)で視界を一時的に阻害している間に影牙・陰(エイガ・オン)にて貫く、シンプルな組み合わせだ。
だがシンプルゆえに使い勝手も燃費も良い。ライドウが今探りたい情報は『光の壁は自動で発動するのか』、『自動発動する場合はどの程度を防げるのか』というもの。攻撃属性を闇にしているのは光と相反するものだからだ。

「狗の餌にしては高くつくぞ? 味わって食らえ」

信仰のために個人の思考・意志を売り渡した彼女を狗と皮肉ると、一発の弾丸を放つ。
それは戦艦の装甲をも抉る”暴威弾”。弾丸1ダースで数十万するが、ライドウはその使用を躊躇わない。
永世無極召喚士の称号は伊達や酔狂で与えられるものではない、彼女が敵に回しているのは百鬼夜行を統べる主だ。
奢りはなく、恐怖もない。油断せずに詰将棋のように一手一手を丁寧に打ち、場合によっては盤面を強引に引っくり返してでも殺すだけだ。

>リャノー・ミッシェル、ALL

8ヶ月前 No.63

ハベル・アレッセル @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_Tbw

【 時空防衛連盟/レストラン/ハベル・アレッセル 】

「いやぁ、腹は減るものでして……」

 何故行かないか――言外に籠められた言葉を見なかったことにして流すハベル。
 ハベル・アレッセルは元々時空防衛連盟に属してはおらず、極端な話をすれば単なるサラリーマン。
 そして断っておくと――出向を拒否できるのであれば、すぐにでもやっていた。
 出来なかったのは、まず上司……それどころか、C.E.O命令という逆らえば死が待つような赤紙であったこと。

 もう一つ。
 一年前の大戦において、ハベルが所属しているバビロンカンパニーは"致命的なやらかし"によって弱みを握られた状態となっていること。
 かつて時空防衛連盟をお払い箱に追いやり、リヒトルザーン近郊をはじめとする各国の政治の腐敗の一角を担っていた世界政府の一角。
 実情は腐敗などという言葉が生温く聞こえるほどにやりたい放題、傍若無人な振る舞いを繰り返していたのだし。
 裏金疑惑などというこそこそとした見えない範囲ではなく、実際に表に見えるレベルで壊滅的な被害をたたき出した末に"三人の魔人"の一人だなどと呼ばれていたらしいのだが。

(……結局全員行方知れずらしいけどねぇ。世界政府の中核達)

 大統領はクーデターの巻き添えを食う形で死亡。

 リコルヌ・エルヴェシウス。
 世界政府の議員であった女――行方知れず。

 ストライフ・ロスチャイルド。
 経済を一手に握っていた魔人と目される女――同上。

 ダン・マッケーニ=バビロン。
 ハベルをはじめとする社員たち割を食わされる形となった遠因を作った先代C.E.O。
 軍事や政治体制へ介入を続け、現総統ユーフォリアをかつて陥れたという噂もある男<バカ>――以下略。
 ただし彼に限っては遺体はないものの、殺害したとの報告があったため死亡しているのは明らか。

(あとの奴らは、落ちぶれたか、寝返ったか、それとも死んだか。
 何れにせよ俺達は"やっちまった"側ではあるんですけどねぇ)

 一年前の大戦を経て、歴史是正機構によるクーデターと、時空防衛連盟の活躍もあって世界政府の旧体制は完全に解体される。
 その後、やや急進的過ぎるという声もありながら改革を進めていった結果……今では旧体制一派にそこまでの力が残っているか怪しい。
 ユーフォリア・インテグラーレ自身は制裁措置以上の内容を下すことはしなかったが、その周囲は話は別だ。
 ここ最近の入隊したヤロス・ハニービーがそれを知っているかはさておき、要望があれば事実上逆らうことの出来ない立場にあった。
 事情が事情ではあるとはいえ、つい最近入社したハベルはとばっちりだが――ここは敗者の悲しい性。

「まぁ、そんなところです。
 知ってるでしょ? 旧体制派の連中も先の大戦以降では組み込まれてるけど、国に忠誠誓ってるか怪しい奴らがいないわけじゃない」
「俺もその一人ですよ」

 カレーを一口――水を飲む。
 やや前のめり気味に追及してくるヤロスを、何処か吹く風で流す。
 そして、核心を突く予測……最後のカツを口に入れ、水で喉奥に流し込んだ。

「そして、それもそうです。ぶっちゃけ俺はそっちが本音なんですがね」

 ハベルは何てことないように言った。
 言い訳もごまかすこともなかった。こういうやつを相手にするときはヘタなことは言わないに限る。

「で、――行かなくていいんです? ヤロス隊長。
 各地で結構な被害が出てるっては聞きますよ。幾らあなたの部隊でも、目を離しておける状況ではないと思うんですが」

>ヤロス・ハニービー

8ヶ月前 No.64

I am Determination @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【リヒトルザーン/繁華街/ハンバーガーショップ/キャラ・ドリーマー】

声を掛けたスケルトンの表情が、一瞬だけ変わりかけたことにキャラは気付いていた。やはりというか、自分もよく知っている笑顔を崩すことはなかったが、何かこちらの姿に関して思うことがあったようだ。
まあ、あまり深くは追求しないでおこう。相手にとっては聞かれたくないことかも知れない。自分もそうだが、誰しもそうしたものの一つや二つは持っていて当然である。
それにしても、自分とよく似た奴、か。その点についてはお互い様、というところだろう。このスケルトンはあの椅子を温めるのが仕事の王様とは違う存在であるらしい。

「奇遇だね。私も、君によく似た奴を知ってる。ひょっとして君さ、サンズって名前だろう。多分君も、私の名前知ってるんじゃないかな」

そんなちょっと踏み込んだ質問を投げ掛けながらチョコパイをもう一口頬張ろうとした時、痩せ身の青年に声を掛けられた。とうとうここもか。そりゃそうだ、こんな状況で悠長に飯を食っている余裕なんてない。
にしても、あれを一口で食うか。随分大きな口をしている。いやまあ、見た目からして分かるが。というか、スケルトンって骨のはず。一体これらの食べ物は、どこへ消えているのやら。

「そうだね、私も行かなくちゃならない。といってもだな、君、私達が空を飛べるように見えるかい?」

サクラゴスというのは今となってはただの炎になったオラムフェルトの隣にある、静かな港町の名前だ。そこにはまだ生き残りの民間人がいるらしく、連盟の隊員が救援へ向かっている。
そしてプリンシパルっていうのは、例の戦艦のことだろう。常識的に考えてみて欲しい。見た目からして羽も生えていない自分達が、あんな空に浮かぶ物体に乗り込むなんて芸当、果たして出来るだろうか?
キャラは皮肉めいた口調で、青年、ショパンにそう返答してみせる。まあ実のところ、無理って訳ではなかったりするのだが、それはまた別の話。今はそれを話すべき時じゃない。

「自己紹介がまだだったね。私はキャラ・ドリーマー。呼び方は好きにしていいよ」

パーカーのポケットに両手を突っ込みながら、店の外の壁にもたれかかってキャラはそう言う。いつの間にかチョコパイは食べ終えていたらしく、跡形もなくなっていた。
入ってくる情報を見る限り、もうサクラゴスには十分な数の仲間がいるようにも思える。となれば、自分達はプリンシパルに行くのがバランス的には理想なんだろうが、多分今向かったところで無駄だろう。
実のところ、まだ自分の端末に司令は飛んできていない。協力者にまで情報を伝達している余裕がない、なんてお粗末なことは、きっとこの組織はしないだろう。
今司令が下っていないのは、恐らく何らかの考えがあってのことだ。よって自分達は、しばらくは動かず、様子見に徹するのが正解と言えるかも知れない。

>Sans、F.F.ショパン

8ヶ月前 No.65

ライル @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【サクラゴス/灯台/ライル】

 さて。
 半分は飛ばしたつもりだったが、それでも随分数が多い。
 だが、僕の言いたいことは別にそういう話ではない。そういう戦力計算とか後でも出来る。だるい。
 別に人様の事情を気にするほど僕は剛毅でもない。
 なんだか思っているより連中の装備は型落ちで、さっき手を挙げて釣り餌の素材へ三分クッキングしたヤツのそれとは見る影もないほどみずぼらしい、というか、意図的に欠陥品だけで揃えたような装備品が目についたが、そういうのも置いておく。

 ああつまり、ぼくの言いたいことは一つ。
 分かるか。一つだ。


「そこの。あ、いやお前じゃない横に退け。邪魔。邪魔っつってんだろイワすぞ。

 そう。そこの爆風のお前―――良い度胸だ後で職務質問ね。
 お蔭で僕のインパクトが完璧に薄れただろうが、どうしてくれる?」


 一人マジで立ち位置が被って邪魔だったので、そいつには先制してその辺でくすねた光線銃で処す。
 まあ頭に当たってないから運がいいなら死なないだろう。悪かったら知らんけど。

 閑話休題。モノ申したいのはいきなり現れ爆風と共に高笑いを届けて来たそいつだ。
 びし、と指を差して挨拶。

 そうだお前だよ、僕が仕掛けるよりはるかに大仰なコトしでかしてくれた何方様かも分からないお前。
 お求めは実験台と来た。イヤこいつの方が言動的に悪党だが、何より初動のインパクトが強い。
 負けた気分になった。ド許せぬ。僕の頭の中の脳内裁判で異議の余地も再審の余地もなかった。
 だってこの場の登場アイツの方がどう見ても派手だもん。やだ僕ったら三流、次からもうちょっと演出凝るね。

 しかし勝負は9回裏まで終わらないと世の中の言葉にはある。
 いまもう7回くらいまで入った気がするが、そういうことを言いたいのではない。つまり巻き返しの余地ありだ。

「それともアレか。類は友を呼ぶというやつか? 嫌だな、僕は馬鹿になった覚えなど一ミリもないのだが。
 あるいはやはり煙草と放火魔はセットのようなものと考えるべきなのか、参考になった」

「参考になったからアレだ、適当に暴れて好きにしろ。合わせてやる。
 何処のどいつか知らんが、お前指図されるのは嫌いなタイプだろう?」

 とりあえず文句は言い終えたので、後は適当に放逐することにしよう。
 こういうやつには覚えがある。良く分からんが狙いが僕の方ではないらしいので、好き勝手してもらうことにする。
 何より―――まあ、そろそろ喋るのは後にしておいた方が良さそうだ。

「で」

 向き直る。
 一斉に射撃が行われるが、その狙いが自分じゃないと見るのは容易い。
 よく見ると後ろの連中は全く射撃をしていないが、動く時があるなら狙われた時だけだろう、あの分ならば。

 その他、眼の動き方、視線の向き方、それが集まる個所は明らかにこっちじゃない。
 となると―――良いところに眼を付けてくれた。纏めての処理は出来ないこともないが時間がかかるのだ。
 もういっそのこと、あの後ろでふんぞり返ってる奴ごと始末を任せてしまおう。何より真っ向から突撃してきたそいつの方は、最初に眼を向けていた怒りを持った男のようであるし。

「ふざけているだと? 何を言っている、分からんな。もう少し難しい言語で頼む」

 などと考えながら、逆に此方も踏み込む―――真っ直ぐ突っ込んでくるそいつと直線状になるように。
 武器の保有なし、魔法の素振りなし。
 では後は、どこに視線が向いているのか、何処で何をする算段なのか。淡々と思考を回す。
 何もないなら何もないなりに殺す手立てを打つ。表情は怒りを作ったものではない、紛れもない現実の怒りだ。

 足を止めた瞬間に再加速。
 結論を見出すと、脚の止まった瞬間に急激な勢いで踏み込んだ。
 自身に微細な電流を纏わせて、神経を加速させての反射速度と身体活性。
 まだ序盤も序盤なら、やることは“とりあえず”で良い。とりあえず踏み込み、とりあえず仕掛ける。

 突き破るように現れたモノが、敵手の能力であるのは確からしい。
 鉛の塊という点から悪用はし難いだろう。これは思考からさっと消す。

「それと―――」

 間合いに入り、懐に飛び込んだならば。


「解答はどうした? ユーモアのないやつだな。
 それとも会話より、直の暴力が好みか? 悪いが僕にそのケはないぞ………!」


 先ずは鳩尾を殴る。基本中の基本だ。
 殴りつけると同時、当てたならばそのまま内側へと雷を通す。

 バカスカ放出するような使い方より、直接当てて伝導させた方が早いというわけだ。
 狙いは神経系。その辺りの電気信号を麻痺させることだが、通用せず打撃が入っただけでもそれで構わない。
 あの鉛の使い方を思うに“ただ出現させる”以外も出来るんだろうし―――ここでサクっと多様性を断ってやる。

>エドガー・グリム、プレイグナイト

8ヶ月前 No.66

無垢な捕食者 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【サクラゴス/路地/パルメメ・ポブルティーク】

やはり逃げない、自分のように目がなく、また感覚器官すらない訳でも、ましてや今の今まで気づいていなかった馬鹿と言う訳でも無い。
つまりは"殺しに来る側"なのは確定した、この時点でパルメメは相手に対して「一定の警戒」を持った。
ただ逃げ惑うだけの子羊を狩るのと、こちらに向かってくる猛獣を狩るのは全く別の事柄だ、さらに言うならば自分はデクロムより、幾億の有象無象よりも価値がある、故に死ぬような事があってはならず、また、傷つけられるような事もまた然りであると厳命されている。

そして、戦闘開始直前に彼は問いに対して答える「知るか、問いたいのはこっちだ」と。
続く言葉、それによって戦闘は始まりを告げた。

その跳躍力を生かした先制攻撃、普通ならばこれだけで獲物を仕留める事が出来る程の、単純ながら有効な作戦を使った、何せ普通の人間は反応が追いつかないからだ。
だが、相手は反応し得物を振りぬいてこちらに向ける。 しかしそれは「弾く」のを目的とした物ではない、触手の隙間を潜り抜けて、食らい付かれようとも首を落とす、そういった物だ。

「やめてよ。 こんなところで死んだら主様が悲しむから」

命の危機に瀕した言葉としては不気味なほどに冷静さを保った口調で、パルメメは捕食のために伸ばしていた触手を、まるで掃除機のコードが引っ込むように自分の元に戻して、その触手を使って首元を狙った一撃を弾いてみせる。 そう、触手はゴムのような何とも頼りない質感をしているが、強度に関しては折り紙つきなのである。
これによって、パルメメも一撃を加える余力は無くなったかと思われる、しかし距離をつめた以上は、他の手段で攻撃ができる。

「やっ」

敵の着地した瞬間を狙ってパルメメは回し蹴りを叩き込む。 それは外れるかもしれないし、当たったとしても少女の見た目からは威力があるとは到底思えない、しかし、その両腕以外にも彼女は肉体改造を受けており破壊力は十分な物があるのだ。
そして、命中したか否かは関係なく、パルメメはそのまま両腕をバネのように扱って相手を飛び越えて背後に回るように跳躍した。

このとき、もしも相手の耳が良ければ、両腕の口から今までとは異なる、ぐちゃぐちゃという不快な粘液のような音が聞こえた事だろう。

「もう死んじゃう? それでもまだやる? 私にとっては、どっちでも」

その言葉と共に、パルメメは着地した瞬間に、両腕の口から「唾液」のような物をレインに向かって吐きかける。
だが、それはただの唾液ではなく、敵の動きを封じる事が出来る粘着液、いわば拘束具なのである。 もしも見た目に油断して絡められれば、そのときは、まさに彼女の言うところの「死んじゃう状況」になるだろう。

>レイン・ウォルクオーク

8ヶ月前 No.67

リャノー・ミッシェル @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_Tbw

【 サクラゴス/潮力発電所/北部/リャノー・ミッシェル 】

「ふふ……」

 空間内に漂う光の粒は、決してヒトを護るためのものではない。
 逆賊を狩り、地上を浄化するための撃滅の輝き。殺せと命じれば、ものみな全てが処刑の一刃となって踊り狂う。
 軍勢を鏖にし、ライドウ達の死角を突いて放った矢はその一端にしか過ぎない。
 光の性質はおろか、物理法則を無視して構築され、自由自在に飛び回る死の乱舞。

 修道女は微笑みながらも、展開する光子の動きは止めていない。

「慈悲は、さしあげたつもりなのですけど」

 爆発を伴う煙の向こうより、無傷のアマテラスとライドウが現れる。
 あの一瞬で、矢に耐えうる防壁を構築したことが問題なのではない。
 驚嘆すべきことだが、極限の状況下であるにも関わらず彼らは実験と検証を繰り返していた。
 光子の法則<ルール>、威力、属性――総じてこちらの異能<デュナミス>の正体を探るために。

、  サモナー
(……召喚師ですか。厄介ではありますが――)

 そして雪だるまと入れ替わるようにして顕現するは、髑髏の闘牛士。
 あれを見てはならない。あれに触れてはならない。生物の本能に訴えかける直感。
 死に最も近い属性を持つ、冷気染みた闘気が戦場に解き放たれた。
 生物の本能的な怖気を放つ高位存在を従えている以上、契約主もそれ相応の実力を持つことを証明している。
 高位の召喚師は一にして軍勢。それが彼らに共通する脅威にして、強みであった。

 ライドウ達が彼らに命ずるのと、リャノーが宣告するのはほぼ同時。

「《Virtues》」

 アマテラスが視界を焼きつぶす閃光を放ち、マタドールが闇の剣を抜き放った瞬間、ライドウ達の周囲を漂っていた殺戮の光子が一際強く発光し爆裂した。
 衝撃と熱の暴威が闇の剣を撃ち消す中、光を突き破って飛来する暴威弾が修道女の肩口を射抜き叩き壊す。
 だが止まらない――即座に右腕を振り抜けば、放つは反撃の雨霰。

「《Shekinah》」

 中空に形成するは百を越す光の矢。
 それらが一斉に、ライドウ達へと向けて降り注ぐ――光子の豪雨。

>17代目葛葉ライドウ

8ヶ月前 No.68

黒薔薇 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【プリンシパル/プリンシパル周囲/ロウェナ・ウィッケンバーグ】

状況は膠着状態、されど圧倒的に有利なのはこちら。機体の性能で勝っているという状況は、"勝って当然"という別の意味でのプレッシャーがのしかかる。だからこそ、焦ってはいけない。
敵は前方の脅威に集中し、後方からの攻撃……つまりブラックロータスが放ったバルカンに対しては、シールドで対処するという対応に出る。なるほど、徹底してこちらを相手にするつもりはないようだ。
真正面からの戦いに持ち込まれれば、まず勝ち目がないと分かっているからこその行動だろう。自ら死地に飛び込むことはせず、目的に専念する堅実さ。かの将校の姿勢を彷彿とさせる。
一発の弾丸が、敵の左翼を掠めていった。やはり威力が小さいからか、これだけでは致命的なダメージには至らない。継続して被害を与えていかなければ、勝利には結びつかないだろう。

左右に機体を振り、攻撃範囲からの脱出を試みる相手。しかし、より小回りの利くブラックロータスの射程から逃れることは出来ない。ロウェナが敵を正面に捉え、万全の態勢でトリガーを引こうとしたその瞬間―――
敵が、視界から消えた。間違っても、隠されていた超性能を引き出した訳ではない。では、敵機はどこへ行ったのか。レーダーへ目をやるロウェナ。そこに表示された反応は、敵が自機の後ろにいることを示していた。
あの一瞬、相手は意表を突いて急減速することで、トップスピードに達したこちらと位置を入れ替えたのだろう。結果として、今度は自分が追われる立場となった。
勿論、ブラックロータスの性能をフルに発揮すれば、ここから逃れることなど容易い。しかし、それでは敵の思いのままに砲台を破壊されることとなってしまう。ならばとロウェナは、真剣な目つきで操縦桿を握る手に力を込める。

「そちらが意表を突いてくるのなら……こちらも意趣返しと行きましょう」

小さくそう呟いた彼女は、渾身の力で操縦桿を引き、機体を急上昇させる。それだけには留まらず、そのまま宙返りをした機体は、あろうことか敵機の真後ろへと戻ってきたのだ。
普通であればGで身体が潰れるであろう、超小回りの宙返り。無人機並の機動力を持つブラックロータスと、重力を操る能力の持つロウェナが合わさって初めて成立する、極限の技であった。
こうして再び後ろを取り返した彼女は、正面の敵へ向かって粒子バルカンを連射する。機体の性能に頼り切りになるのではなく、それを十全以上に引き出す。エースと呼ばれる所以が、そこにあった。

>シフォン・ヴァンディール

8ヶ月前 No.69

西の魔女王 @libragreen ★iPhone=LntI4QQSlu

The Shadow Remains Cast…
 影は、魔女は不滅なり

【 リヒトルザーン/総合病院/ヘカテー・V・トリヴィアム 】

 その日──都・オラムフェルトに住まう人々の日常は、並行世界管理協会とい名の侵略軍がもたらしたメギドの炎により跡形もなく失われた。

 未曾有の災厄に巻き込まれた老若男女、負傷の軽さ重さを問わず僅かながらの生き残りである患者あらため避難民が、慌ただしく都市部に位置する総合病院へと搬送されて溢れかえる。
 ある者は次元と類型が全く異なる輝かしい光魔法を行使して、またある者は血に刻まれた異能を吹きつけて殺到する彼らの負傷を癒してゆく。
 病院の職員と連盟より派遣されたそれぞれの人員がただ出来ることをしようと躍起に治療を行なっている最中、いつのまにかその活動に紛れ込んだ麗しき魔女の王がいた。

 淡い金髪と袖に通した羽織が動きにあわせてたなびき、銀の義足が短調なリズムで床の上を忙しなく踊る。
 魔女王はただひたすらに、治癒作用のあるエキスが含まれた秘薬を避難民に欠かさず投与し、自身の肉体を解いた糸で傷口を縫合して修復し続ける。

「今のお前たちにあたしの声が届くか分からないけど──どうか、生きるのを諦めないで」

 ささやかな祈りを込め終えた魔女王──ヘカテーはほんの一瞬だけ、義憤のこもった鋭い眼差しで空の彼方を見いやる。
 その先に青空を塗り潰し、オラムフェルト跡地や戦火広がるサクラゴスの上空を牛耳る無数の艦隊、侵略軍の輩がいるだろうと狙いをつけて。

 しばらく音沙汰がなかった息子──ボルヴェルクからの救援届を鍵として、自らの使い手であるヘカテーの闘志を汲み取った〈バジリオンズ〉が、隠された力を解放して異次元宇宙への道を開いて彼女をこのホームワールドまで導いてくれた。

 一年前の時空を巡る戦乱を乗り越えた無辜の人民が、平穏なる未来をたしかに形作ろうと務めていた矢先にこの凄惨なる始末。
 …“たった”少ない人数の民“しか”残らなかったのではなく、不幸中の幸いとしてこれだけ“もの”人数の民が生き残ってくれたのだ。
 しかし死んでいないからといって、それが必ずしも幸福とは限らない。
 悲痛と絶望に喘ぎ、悶え苦しむしかない避難民には本来ならば各々の日常があったはずだ。
 それがいとも簡単に、向こう側の身勝手な都合で呆気なさすぎる終わりを迎えた。
 故に、ここまでやらかしてくれた侵略者どもには、それ相応の責め苦を味わわせなければ気が済まない。

(…まずいわね。 あたしの体、想像以上に減っているかも…)

 次にもまた殺到して来るであろう患者たちに備え、再び動こうとしたヘカテーはふらりと立ちくらみを起こす。
 改めて自分の体調を確認したところ、ヘカテーもいつのまにか疲労困憊の身で両腕や顔面、全身の所々に空洞を作っていたのがわかる。
 それ程までに自らの体積を糸に切り替え、避難民のために費やすことに集中していたのだと彼女は自覚した。
 だけれどまだ命に関わる程じゃあないし、もう少しだけ無茶をして限界まで治癒に専念しよう、休憩がてらにそう思ったところ……。

──『撫でる陽光に謡え』
──『梳く水は幻に、還らずの血』
──『天と地を翳せ』

 聞き慣れない詠唱を紡ぎ、吃音持ちの半魔の女性──シビルナを光魔法で癒す、白銀の美少女の声を耳にした。
 この病院の職員ではないあの二人は恐らく、息子の救援届に書かれていた件の味方組織──すなわち連盟に連なる者に違いない。

「へぇ、すごい魔法じゃないの! よかったらあたしにも、その魔法をかけてくれないかしら? 大分無茶やらかしちゃって…」

 シビルナが半魔の類であることは割と早い段階で、彼女から感じ取った魔力の質から察せられた。
 彼女を癒した張本人である白銀の美少女は、儚い出で立ちをしていてどこか人形を思わせるほどに──人形?

(この娘──人型をした、魔力を宿している宝石なの?)

 よくよく観察すると美少女の魔力の質は人造悪魔である息子のそれに酷似していた。
 それにしては血肉や魔法の残滓がよく匂うのも気がかりだったけれど、これ以上の詮索は彼女のプライバシーを侵害するはずなのでやめておこう。
 あくまでヘカテーは、この美少女──ラスティアラに疲れや体の損失を癒すのをお願いするだけなのだから。

>>シビルナ・カストリス、ラスティアラ・フーズヤーズ

8ヶ月前 No.70

永世無極召喚士 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_Ssw

【サクラゴス 潮力発電所 北部/17代目葛葉ライドウ】

「まず一手先取りだ」

喜びも興奮もない平坦な声でライドウは呟く、一撃入れた程度で死ぬとは最初から考えてはいない。
仲間や仲魔には優しさや温情を見せるが、敵に対しては頭冷たくし、心を凍てつかせるのがこの男の流儀。
得た情報はいくつかある、まず光という不定形な物を使うためにはやはりイメージを定着させるために”名前がある”。
次に暴威弾が通った所を見ると自動防御ではない、あるいは自動防御はあれども不意打ち気味の暴威弾を防げるほどの力はない。
これら一つ一つは小さな情報かも知れないが、束になれば大いなる武器となる、その武器の重要性をライドウは理解している。
ならば次は、”強度”を試そう。

「もう一度だ、アマテラス」

『了解です』

ライドウは戦闘中の指示は言葉数が少ない、何故ならそれで”充分伝わる”からだ。
以心伝心、ただの使い魔と使役者という間柄ではなく、一蓮托生の仲魔だからこその信頼関係がここにある。
周囲に光が、粒子が強く発光した瞬間、アマテラスは指示通りに”もう一度万魔の障壁を展開”する、アマテラスのマグネタイトが再び急激に減る。
先の防御魔法の二重展開に合わせての高速展開だ、これ以上万魔の障壁は使えないし、使える仲魔も居ない。
防御の切り札を一枚使い切った、だがライドウの切り札は一枚や二枚ではない、デビルサマナーを単独で相手取るというのはこういうことだ。
とはいえ、手札にも優先順位がある。いきなり上物を使いまくれば対策を練られて将来の自分の首を絞める羽目になる。
だからといって手は抜けない、手札を切り間違えたら破滅だ、それが現在か未来かは神でも分からない。

「マタドール、少し持たせろ」

『了解です、”マハ・エイハ・オン”』

上空に放たれる光の矢、それは雨となりてライドウたちに降り注ぐ、ライドウは淡々とマタドールに指示を出してアマテラスを封魔管に送還する。
影波・陰(エイハ・オン)、それは読んで字の如く影の波、闇属性の広範囲上級魔法。闇の波動は光の矢を次々に打ち消していく。だが拮抗する時間は長くなく、次第に数の暴力に押され始める。
だがライドウからすれば充分過ぎる時間だ、懐の封魔管を二本引き抜き、片手で印を切りながらもう一体召喚する。

「来い、”ホワイトライダー”押し返せ」

『クカカカカ、”マハ・エイハ・オン”』

呼び出されるのは、冠を被ってローブを着た白馬の騎弓兵、その顔はマタドールと同じように髑髏だった。
黙示録の四騎士が一人”ホワイトライダー”、もう一度魔人が召喚されたのだ。周囲に取り巻く”死”の気配はさらに濃くなる。
並の人間なら本能が防衛で意識を手放すことを選択する程だ、だが彼女が並ではないことはもう理解している。
闇属性のエキスパートの連続召喚で”ライドウの得意とする属性は闇”だと誤解してくれれば尚良い。
もう一つの封魔管は予備のマグネタイトを注入したもので、マタドールの使用したマグネタイトを補給したところだ。
相乗効果を以て放たれた闇の波動は、光の矢を食い尽くしても尚止まらない。

「加減などいらん、やれ」

その声は平坦で冷たかった、まるで命を何とも思っていないような背筋を凍らせる冷たさだ。二人の魔人は周囲を闇の波動で飲み込もうとしている。
とはいえ、発電所諸共吹き飛ばすわけにはいかない。そこまで頭は熱くなっていないし目的はあくまで防衛だ。
拳銃をホルスターに収め、刀を抜く。今度は真打・秘剣ヒノカグツチを通してライドウ自身のマグネタイトを使って闇の波動にある程度指向性を持たせようと試みる。
闇の波動はゆっくりと、しかし確実に、堅牢な強度を以て修道女に迫る、堅牢かつ強力な面攻撃にどう対応するか、見せてもらおう。
このライドウの冷酷かつ余裕すら見える態度は半分は演技である、魔人二体の本気を完全に制御するのはライドウでも難しいし時間が限られる。闇の波動を制御しながら維持できるのは全力でおおよそ2分程度だ。
奥の手はまだまだ他にもあるが、”今はまだ”手札は温存するべきか、悩ましいところだ。単なる力比べになったら後に響く可能性すらあるのだから。

>リャノー・ミッシェル、ALL

8ヶ月前 No.71

雀蜂流忍者 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【サクラゴス/卸売市場・南側/グリゼルダ・ホーネット】

どうやら指揮官らしき少女は場馴れしていない――と言うよりも、戦闘者ではないらしい。突然の奇襲に対する反応も遅く、更には"敢えて"外した事にも気付かない。
であれば楽勝、これで終わりだ――と、思ったのだが、事はそう容易くは運ばなかった。

(――ちいっ。指揮官は予想通りで御座るが、あの鎧――あれは、中身は人間では御座らんな)

異様だったのは、鎧の兵隊の反応の速さだった。確かに大声を挙げて飛び出したのは事実だが、彼等はそれよりも更に早く……まるで、"グリゼルダが飛び出した瞬間に"反応したかのように見えた。
結果、指揮官は間一髪で難を逃れ、グリゼルダは逆に奇襲と言う絶好のチャンスを逃してしまった。状況は一転して不利だ。
鎧の兵隊の視線がグリゼルダに向けられる。――いや、視線と言って良いのだろうか。彼女は、兜の向こうから、何か別の、より悪辣で薄ら寒いものを感じていた。

指揮官の少女は、露骨に魔族を見下したような言葉と共に下卑た笑みを浮かべる。出世の為と言うが――どうやらあの指揮官の上役は、魔族を好んで飼い慣らしているらしい。無論、グリゼルダには、奴の思うがままになるつもりはない。一方的な蹂躙に屈するほど、彼女は柔では無いのだから。

「其方ではそうだとしても、此方ではそうではないので御座る! 大人しくするのは、其方の方!」

四体の鎧が眼前に迫るが、彼女は冷静に敵を観察する。鎧は真っ直ぐにグリゼルダに向かって来るが、その動作はぎこちなく、明らかに人が入っている動きをしていない。狙いも直線的で、少しでも戦いの経験がある者ならば絶対にしない動きだ。

(見た目こそ屈強でも、動きは緩慢。連携もまるで取れていないで御座る。ならば突破は容易!)

「雀蜂流の身のこなし、舐めて貰っては困るで御座る!」

直後、急所ではなく四肢を狙った、全く悪趣味な攻撃が繰り出される。四体掛かりの同時攻撃――は、しかし、虚しく空を切った。
槍穂がその身に届くよりも先に、彼女は地を蹴り高々と跳躍していた。建物の壁の僅かに張り出した縁に掴まり、指揮官の頭上から戦場を俯瞰する。

指揮官の傍には二体の鎧が控えている。あのままでは、今の手持ちの道具で指揮官の首を取ることは難しい。何とかしてあの鎧の兵隊を突破する手段を見付けるか、或いは指揮官から奴等を引き剥がす手段を見付けなければならない。

(……ならば)

次の策を練り終えると、彼女は壁を蹴って跳躍する。ポーチから二つの仕掛け玉を取り出すと、片手でそれを指揮官目掛けて投擲した。
それは何かに当たれば割れて、仕込んだ忍術が発動する忍の道具だ。勿論最善は直撃だが、今回に限って言えば指揮官に当たらなくとも良い。

(拙者の予想が正しければ――)

あの指揮官はこれをかわせない。否、かわさない。先程の様子と言い、今と言い、戦闘を完全に鎧の兵隊に依存している。その上、戦場にいる者としては不用意な程に大胆だ。裏を返せばそれはそれに全幅の信頼を置いている事の証明であり、それを傍に侍らせている今、『この程度』の攻撃など取るに足らないものと見て鎧に処理させるだろう。そして、どのような手段であれ、その仕掛け玉に衝撃が加わった瞬間――。

「雀蜂流忍法、視聴嚇し!」

――バアン、と鼓膜が破れそうになる程の爆音を放ってそれが炸裂する。更に、炸裂と共に催涙性の白煙が広がる。
本来は追手を撒く為に使う虚仮威しだが、相手が未熟者ならば話は別。間違いなくあの爆音で指揮官は怯むだろうし、白煙を危険と感じて離れなければ暫くまともに目も開けられなくなる事だろう。

「ラウラ様、と言ったで御座るな。それがお前達の大将で御座るか――いいや、答えなくても良いで御座る。お前を捕らえてから尋問するまでのこと!」

着地と同時に白煙へ視線を向ける。果たして、この策はどうか――。

>>ユキア

8ヶ月前 No.72

犠牲 @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【アナザーワールド/某所/ショコラ・ヴァンディール(A)】

 歩み寄る処刑人に向ける、気高く冷ややかな眼差し。例え命を奪われようと、無意味に惨めには死なない。
 一点の嘘偽りもなければ、予防線を張ることもしない。その口から紡がれる全てが真意であり、伝えるには公の場を用いてきた。
 余りに無防備で、誰の目にも危うく愚かな行為だ。こんなことは長くは続かない。いずれ誰かしらの怒りに触れ、闇に葬られてしまう。
 この度の告発は、彼女にとって最初で最後のチャンスだったのだ。その命懸けの試みの成否は、彼女の知るところではないが。

「虚しさ結構、傲慢結構。貴方には一生かけてもわからない」

 距離を詰め致命傷を避けた男は、また笑みを崩さぬまま語り始めた。そうとも、ショコラ・ヴァンディールは傲慢だ。虚しい人間だ。
 自らも第一臣民――支配層の一員でありながら、その制度を根本から覆せと叫んでいる。信念の訴えるがままに動いている。
 正気じゃない。普通じゃない。だが革命家とは常にそうあるものだ。幸福を求め、理想に生き、矢尽き刀折れるその瞬間まで吠え続ける。
 数少ない同胞以外に理解されることはなく、革命を成功させたところで歴史にその名が刻まれることもない。
 究極の平等、究極の平和、究極の幸福。そんなものは存在しないと知ってなお、夢を追わずにはいられない。
 そんなある意味"狂った"存在だからこそ、時代を塗り替えることがある。理解できないからこそ、押さえつける者達にとっての脅威足りうる。

 だが。この場に於いては、彼女の運命は覆しようのないものになっていた。
 示された道は死と死の二択。清く正しくとは、裏を返せば脆く危うくということだ。彼女はそこを"突き崩された"。
 背後に渦巻く悪意。瞬時の銃撃は間違いなくその脅威を退けたが――結末は男の述べた通りであった。
 別の事象に気を取られ、無防備な肉体に襲い掛かる無数の槍。貫く。瞳を。喉を。肩を。胸を。腹を。脆弱性の証明であるかのように、徹底的に。
 おびただしい量の鮮血。男が敢えて流させたそれとは何もかもが違う、"人が死ぬこと"を意味する終焉の真紅。

 それでもショコラは――脆く危うく隙だらけで、強く気高く燃え滾る革命家は、微塵も表情を変えなかった。

「偉大な目的のために、犠牲は……必要……」

 赤黒く飛び散る言の葉。死神の外套が彼女の半身を覆った。もう心臓は止まっているかもしれない。残された片方の目には、何も映っていないのかもしれない。
 それでも彼女には見えていた。反乱が。革命が。虐げられてきた者達の、雄々しく奮い立つ勇姿が。役目は果たした。一度燻り出した火は、"彼ら"がいる限り消えることなどありはしない。

「貴方も迎える……私と……同じ……」

 永久の静寂が彼女を連れ去った。残されたのは、物言わぬ骨と肉の塊。だがその魂は――決して砕けぬ金剛石の信念は、時空を超え、勇者達の胸で燃え続ける。
 彼女は犠牲になった。偉大な目的のための、尊くも誰にも称えられることのない犠牲者に。

>>ライフィスト・ヒッチローク


【ショコラ・ヴァンディール(A)(Chrono Apostle)@世界を変えるべく奮闘したが、遂に命運尽きる。死に瀕してなお揺れない志は、時の彼方の勇者達にしかと受け継がれた。】

【これにてアナザーワールドのショコラは退場です。非常に短い絡みでしたが、お付き合いいただきありがとうございました!】

8ヶ月前 No.73

大鎧 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

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8ヶ月前 No.74

リャノー・ミッシェル @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_Tbw

【 サクラゴス/潮力発電所/北部/リャノー・ミッシェル 】

 肩口を抉られたものの、リャノーにとってはさしたる傷ではない。
 事実、彼女の右腕は未だに動いており、手繰り寄せた光子が傷口を焼いたことで出血も収まっていた。

 こうした召喚師――アクマ使いにせよ、精霊術師にせよ、一つ念頭に置かなければならないことがある。
 それは、相手が何と契約しているか、何を召喚し、何を使うことが出来るか。
 術者の基本的なスペックにそれらは依存し、強大であればあるほど手札は広がる。

 リャノーの思考はライドウの誘導を回避した。
 ……小手先の細工は、ギャンブラーの心理のようには上手くはいかない。

 そして、行使の際の負担を捻じ伏せられるほど、彼らを使役することは甘くはない。
 基本はヒトとは違う、格上の存在。協力関係はあれど、契約の呪縛は容赦なく襲い掛かるのが常。

「仲間に恵まれているようで」

 もう一つ――召喚に応じる者がいかに強大であれ、相手は維持のために何らかの通貨を支払っているとみるべきだろう。
 光子の爆発を防がせたアマテラスを引っ込めたのがその証拠だ。
 どういう原理かは知る由もないが、現世への招来の際に必要なエネルギーを使い切れば、相手は引っ込まざるを得ない。
 隙があるとするならばその二点であり、リャノーが仕掛けるは必然的に持久戦。

 濃密な死の気配が更に増大する。
 入れ替わるようにして出て来た、髑髏の騎士が放つそれを全身で浴びているにもかかわらず、修道女は何処か吹く風。
 面で放つ光の雨が、展開された影の波動に蝕まれて消える。
 二体の魔人による、同種の魔法の同時起動が、影波の威力を何倍にも増幅させていた。

 防ぐことは考えた。そして、リャノーにとっては不可能ではない。
 だが、それを繰り返されればジリ貧に陥るのはこちらの方。

「これはいかがでしょう――《Longinus》」

 左手を振ったのを合図に、散らばっていた大量の光子が集結を開始する。
 やがて、顕現したのは破城槌。範囲殲滅に長けているのが光の矢ならば、こちらは一点突破に特化済み。
 もう一度左手を抜きはらうのを合図に、それは射出され――いともたやすく影に穴を穿つ。
 そのまま真っ直ぐに、ライドウ達を吹き飛ばすべく直進を続ける破城槌。

「『トビトカゲの翼よ』!」

 確認するのと同時――脚力強化魔法を起動。破城槌に追い縋り、槌が開けた穴を潜り抜けた。
 その後に右手を払って合図。極小の光子を弾丸として放ち、ライドウ達に風穴を開けんとする。

>17代目葛葉ライドウ

8ヶ月前 No.75

Charlott @kirieru ★Android=ryLO8WYMEG

【時空防衛連盟本部/訓練所>エントランス 霊犀 唯香】

異世界転生と言うのはweb小説やライトノベルだけの話かと思った。
でも違ったのだ何処か知らない世界にある日、突然に飛ばされるというファンタジー染みた出来ごとが現実に起こったのだから。

ここは時空防衛連盟と呼ばれる防衛組織の施設内にある訓練所。
その訓練所の一室にある道場で一人の少女が拳と蹴りの乱舞を繰り出していた。
恐らく戦闘相手を想定して戦うイメージトレーニングのつもりだろう。
力強くともそのキレのある動きは見る人を魅了するだろう。
一通りそれを行った後、少女は休憩の為に道場の隅に座りそこにあったスポーツ飲料の入ったペットボトルを手に取りそれを飲み干す。

「むぅ.....VR訓練の方がまだ手応えあるけどな......」

さっきやっていていたイメージトレーニングが気に入らなかったのか少女...【霊犀 唯香】は不満げな表情を浮かべると鍛練で出た汗を流す為にそのままシャワー室へと向かった。
汗を一通りシャワーで洗い流すと唯香は鍛練用のインナーとズボンから半袖のセーラー服に着替えそのまま訓練所を後にした。

「アイス食べたいな......確か休憩室に売ってあったっけ?」

シャワー後に何か冷たい物が食べたくなったのか休憩室に販売しているアイスの自販機を思い出す。
この先のエントランスを通れば休憩室には早く着く距離なので唯香は早足でエントランスへと向かう。

通りがかったエントランスには来客を待たせる為のソファが設置してあるがそのソファには如何にもガラの悪い三人がソファを陣取っていた。

(えっと......この人達って時空防衛に居たのかな......)

思わず歩みを止めてその三人の方をつい見つめてしまう唯香。
ガラの悪いのは勿論だが唯香にはひとつ気になる事があった。
その雰囲気と体つきから判断出来る。
この三人は自分と同じかそれ以上の武道の手練だと。


>>黒野卓志、白石泪、大道寺重蔵、佐久間菊丸、愛染翼、立花誠、須藤茂、風見錬、大道寺重蔵、佐久間菊丸、愛染翼


絡ませて頂きます

8ヶ月前 No.76

鋼の"王" @zero45 ★pB1cyTl1jZ_Tbw

【サクラゴス/卸売市場/北側/サミュエル・ベルナール(AW)】

 瓦礫の除去に執心していた敵の背後を目掛けての乱射。けたたましい銃声と共に放たれる光弾の群が殺到していく中、標的は不安定な瓦礫の上で器用にも片手だけで側転して躱して見せ、更に勢いを衰えさせる事なく前方へと宙返りをして、平面の地表へと降り立って見せた。小柄な体格を逆に長所へと変えてのける機動力、それはタフネスやパワーと言った面で劣る部分を帳消しにして有り余る程のものだ。単純な力押しでは通用しないが故に、厄介な事この上ない。
 "ワールド01"、即ち我々の世界にて敷かれる弱肉強食の掟。侵略が完了を迎えたその暁、"ワールド09"もまたその法に服従させられる宿命を迎える。その時、弱き者は明日を生きる事を許されず、強き者は終わりのなき戦いの地獄へと堕とされるのだ。ただ強く在るが為に努力を重ね、時には他者から蹴落とされず、逆に蹴落とし返す。頂点に立ち続ける為の戦に、安息などと言う物は存在しない。それが、終わりなき地獄たる所以である。
 怒りを籠めた表情で此方を見据える女。罪のない人々を嬲り殺して尚も殺し続ける存在を許すまじとして、強く義憤を抱く彼女の姿。それを見飽きたと言わんばかりに、冷ややかに見据え返す。

「そうだ――だが、勘違いはするな。いずれはその掟も覆される時が来る。"神"……否、"王"となるべき者の手によって」

 機動力を存分に活かし、素早い動きで接近して来る敵。彼女の世界が開発したと言う、並行世界移動装置とやらの技術を応用した産物か、虚空から一つの武装を出現させ、その手に収める。その造形には何かしらの既視感を覚えるが、果たしてこれが"ワールド09"に於ける"わが社"が関与しているか否かは不明だ。いずれにせよ、調査で得た情報を鑑みれば注意するに越した事はない。
 正面から撃ち込むと見せかけ、身を屈めながら頭上を飛び越える敵の一連の動作を、一瞬たりとも見逃さず。必ず背後を目掛けて撃ち込んで来る物と判断すると、アサルトライフル"Glint-6"を構えたまま片手だけで側転して、鮮やかな烈光の煌きを躱して見せる。刹那の内に視認した、先程まで己がいた地点の地面が粒子弾によって大きく抉れる様、真面に喰らえばスクラップは免れたとしても激しい損傷を負う事は確か。

「死の果てに待ち受ける地獄で見届けるといい、世界が変わり行く様を!」

 真に頂点に立つ者は、断じてミゼラブルなどではない。その胸に宿した野心と叛意を匂わせながら、側転からの着地を経てから後方へと跳躍して退きつつ、右手に構えた"Glint-6"で忙しなく光弾を撃ち込んで行く。その間、左手の掌から"R-Slasher"を出現させる準備を完了させ、反撃に備える。二度も同じ動きを通用させる心算はない。仮にこの上を飛び越えようものならば、そのままその身体を真っ二つに両断して見せよう。

>ベアトリクス・ノアシェラン

8ヶ月前 No.77

世界の破壊者☆hWelpoTo9Ao ★XEmBtaY8sV_Qi5

【サクラゴス/港/門矢 士】

>歯車王( >>74 ),橋川 清太郎( >>53 )


 世界の破壊者、ディケイド。幾つもの世界を渡り歩き、
 新たな世界へと辿り着く。その瞳に、何を見る――?


 黒いスーツに赤い私服シャツを着用した、茶髪の男がその惨状を見下ろしている。
 錆付いたコンテナに悠々と腰を下ろし、実につまらなさそうに辺り一面を見回していた。
 虐殺。
 暴虐。
 襲撃。
 およそ戦争というよりも、もはや一方的な“暴力”、“圧制”に近しい状況を、彼、門矢 士は繰り返すことになるが、実に退屈そうな表情で見つめている。
 時の王者との闘いにおいて自分には、ある計画があった。
 ある程度までタイムジャッカーらに協力をして、自分にとっても都合が良いように引っ掻き回し、適当に世界を旅していたら、なにやら妙な世界へ紛れ込んだらしい。
 並行世界に攻め入る軍勢と。
 自ららが平和をもたらした世界を守る者達。
 わかりやすく、まったくもって理解しやすい状況と言える。
 硝煙の匂いと、逃げ惑う人々の怒声と、泣き叫ぶ子供達の声。
 決して士はそれらを楽しんでいるわけではなく、むしろ不快にすら思っていた。若干釣りあがった眉と、顰められた表情で、彼が如何に不機嫌であるかは容易に汲み取れることだろう。

 だが自分には世界を渡るたびに、何がしかの“役割”が与えられていた。
 それが世界を脅かす大組織の首魁であろうと。
 それが並行世界の英雄達を虐殺する破壊者であろうと。
 士は今まで、それを着々とこなしてきたのだ。ならばこの世界でやるべきことも、やはり果たすのが道理だろう。

 「……なるほど、だいたいわかった」

 自分の置かれた状況に納得はしないが、理解は及んだ。
 ならば境遇に、いちいち文句も言うまい。

 「……」

 次に目を向けたのは、なにやらたったひとりで機械の軍勢を相手にしている者と。
 “勇気有る愚か者”に対して狂笑とも言えるほどの叫び声をあげて、挑発を繰り返す機械の王。
 対峙する双方を見て、士はややあって、口元をゆっくりと緩めた。
 いつも通り自分の首から提げられたマゼンタカラーのカメラを、対峙する双方に向けると――、



  ―――― か し ゃ っ 、



 特に危害を加えるでもなく、
 特に加勢をすることもなく、
 特に口を挟むわけでもなく。
 対峙する一対の戦士をカメラに収めて、以後は沈黙し、そこに座り込むだけ。
 闘いに巻き込まれぬほどの適度に遠い場所から眺めている士に、はたして彼らが気づくのかどうかは別として。
 というよりも、気づかれようと気づかれまいとどうでもいい、と言わんばかりの様子だ。彼は笑みを崩すことなく、ただただ、そこに居座って見物を始めた。
 文字通り、高みの見物、というやつだ。

8ヶ月前 No.78

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【リヒトルザーン/総合病院/シビルナ・カストリス】


輸血を行いながら避難民の手当てを変わらずに行う彼女に、奇妙な報告が二つほど寄せられていた。起こっている事態は止めるものではない、寧ろ結果としては手当てが行われている為に有難い事ではある。
そう、重傷者という病院の内部深くとこの場の二つで彼女たち以外の手によって、避難民の手当てが行われたという物だった。恐らくは協力者の面々、隊長としては戦場へとも思ったが手が回らなくなり始めていたことから素直にありがたい。
そもそも五番隊がこの場に居るのは前隊長が復興支援において功績を挙げた事、そして現隊長が治療に適した異能を持っている事が主だ。決して五番隊そのものが治療に適している訳ではない、だからこそ限界だってあるのだ。
今はそんなときじゃないけれども、労うのだって隊長の仕事だからと手当てを続けながら思案していると突然眼前に少女の顔が出現した。白銀の髪、黄金の瞳、人間味が薄いというよりも人形のようなある種作られたような顔の少女であった。

「ひぇっ!?あああの、あの?スス、スキルじゃ、なくてい、い、異能だけど血に記録、いいいや、いや厳密には、ちち違くて……え、えええ?じっと?は、はい。」

珍しさにはしゃぐ少女にたじろぐ彼女。興味津々に見つめられた彼女は知らない相手という事もあり、普段以上に言葉を詰まらせている。わたわたと手を振りながら、その顔には焦りと動揺と困惑を混ぜ込んだ奇妙な調和をした表情を浮かべていた。
一応ながらに警戒する周囲の隊員にギリギリの状況で視線を送る、警戒の必要はないとだけ。反論する暇も、何かを伝える暇もない程に矢継ぎ早に話す少女に押されっぱなしの彼女ではあるが、敵意だとか悪意を感じない事だけは理解できていた。
精巧に、美しく作られた人形が意思を持って笑ったならば、こんな端麗な笑みを浮かべるのだろうと思いながら彼女はされるがままになっていた。唱えられた魔法は聞き覚えのない物、傾向は治癒魔法に似ている、報告の片割れはこの少女の事だろう。
真白い光に彼女の身体が包まれる、疲労感や倦怠感が身体の外に溶け出す様に消えていく。癒しの力に身を委ねながらも、使用された魔法がこの世界の体系とは違う事は察知できた。恐らくは協力者の、異世界のものだろうと。

「ら、楽になりました。けけ、け結構……い、いやかなり疲れてたけど、ま、まだ、うう、動け、そそそ、そう……あ、ありがとうございます。」

深く頭を下げて礼を言う、件の報告の関係者かはともかく助けて貰ったのは事実。連盟の隊長としても、一人の人間としても礼を言うのは当然の事だ。笑顔を見せるもやや歪になってしまうのは彼女の性格によるものだろう。
そうしている内に横から声が掛かる、大人の女性と形容できるようなやや血の気の薄い女性がそこに居た。無茶をやらかした、そういう女性は身体に孔を空けていた。すぐさま彼女は血の準備を始めようとしたが、少女の方が適役だろうと気付く。
実際女性の方も指名したのは少女の方、少女が答えるかどうかにもよるが彼女は一度身を引く。そしてこの女性が報告のもう一つだろうとも、なんとなく予想がついた。戦闘から戻るには早く、それ以外で無茶と言えばこの場での何かだろう。
恐らく、身体を見る限り彼女と似た、または同系統能力を持つのだろう。自分の身を使用するか、自身を媒介とするか、代償が自身の身体か、何であれこの場の三人が居るならば避難民の手当ては早急に済むだろう。断続的に避難民が来たとしてもだ。

「そ、その……ふ、ふふ二人は避難民の方たちの、ち、治療を、もしかして……し、していただいたの、でしょうか?」

念の為の事実確認だけは行っておく、報告として挙げるならば誰が何をしたのかは明確にするべきだ。緊急時とは言えども出来る事ならば彼女はする、文体で伝えるならば意思疎通の問題も起こり得ない。
それにだ、二人がここでまだ治療を続けて貰えるならば、任せるのは申し訳ないが彼女が前線に向かうことだって考慮に入る。何分今は手が足りない、戦線維持、戦況対処、避難民の保護、やるべきことは山積みなのだ。

>>ラスティアラ・フーズヤーズ ヘカテー・V・トリヴィアム


【絡みありがとうございます!】

8ヶ月前 No.79

Futo・Volde @nonoji2002 ★VgtmIqXF0o_qY9

【リヒトルザーン/繁華街/ハンバーガーショップ/Sans】

「その通り、オイラはサンズ。ただのスケルトンさ。そしてアンタの言う通り、オイラはアンタの名前を知ってる」

アイツはオイラの名前を知っていた。これが意味するのはやはりアイツが別の世界線のアイツということなのだろう。あまり考えたくはないが。
しかし、不思議とアイツから感じたような不快感をコイツからは感じない。むしろ、実の弟のパピルスから感じる様な、あるいは鏡を見たときに感じる様な感覚に近い。

「力になってくれるのは嬉しいが……コイツの言う通り、空も飛べないオイラ達が今から向かっても遅いかもしれないぜ?」

青年によれば、作戦が遂行されているという場所は2つ。
1つ、サクラゴス。確かここは静かな港町だったか。写真と地図を見ただけであまり詳しくはない。
2つ、プリンシパル。これは連盟が保有する空中戦艦……だっただろうか。こっちも詳しくは知らないが、今はこの二か所で作戦が遂行されているらしい。
だが今から向かったところで向こうに着く頃には事態は収束している事だろう。ましてや、プリンシパルは空中戦艦。空中に居る以上、近づく事さえ難しいと言える。それに協力者であるこっちに通達が来ていないと言うことはおそらく今の時点で人手が足りていることの裏返しかもしれない。
――もっとも、“ショートカット”を使えば空中だろうと、遠い大陸だろうと一瞬なのだが。

「ここはひとつ、住民の避難を完了させながら、指示を待つのも手じゃないか?」

今、すべきことは十分人手は足りているであろう、戦地へ向かうよりも避難勧告の出されているリヒトルザーンの住人の避難を完了させながら、通達を待つことではないだろうか。ここはひとつ、“キャラ”の考えにのってみるとしよう。

>キャラ・ドリーマー、FFショパン

8ヶ月前 No.80

小さな小さな司令官 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【サクラゴス/卸売市場/北側/ベアトリクス・ノアシェラン】

相手はこちらの言葉に対し、肯定をしつつもいずれそれが別の者の手によって塗り潰されると語ってみせる。大方それは、こいつ自身であるといったところだろうか。
しかし、何故神ではなく王でなければならないのか。そこをわざわざ訂正する意味合いは感じられないし、何なら神と称しておいた方がより上位の存在らしくすらある。
まあ、そんなことをいちいち気にしていたところで仕方ないだろう。今は戦いに集中すべきである。敵を惑わせようと機動力を最大限活かした戦術を取ったベアトリクスだが、最初の一撃は読まれていたようだ。
さすがにこれは動きが単純であったため、仕方ないかも知れない。相手が機械であることを考えれば、動体視力は人間のそれを遥かに上回っていると推察出来るし、このような小細工は通用しないと見るべきか。
それにしても、あの敵の動き―――偶然であると思うが、先程自分が取った回避と、非常によく似ていたように感じる。だが、もしこれが偶然でなかったとしたら……自分は相当厄介な敵と対峙していることになる。

「誰が死ぬだって? オレはこんなところでくたばるつもりなんかねえぞ!」

直後に始まった敵の反撃から逃れるべく、スライディングしながら物陰へと滑り込むベアトリクス。幸い、ここには遮蔽物が多い。これを利用しない手はないだろう。
安全地帯で敵の攻撃をやり過ごしながら、ベアトリクスは反撃の一手を模索する。奴が左手に出現させた武器は、恐らく接近戦向きのもの。先程と同じように、頭上を飛び越えようものなら、その瞬間ゲームオーバーだ。
かといって、今の両手に握っているこのSUN FLOWERでは、近付かなければ満足な威力を発揮することが出来ない。リスクを背負って前に出ていくべきか、それとも違うアプローチを試してみるべきか。
そこで彼女は、ここが閉所、室内であることを思い出す。ということは"あれ"を使えば、相手の視界内に飛び出さずとも、攻撃をすることが可能。折角武器の強みが生かされるシチュエーションが目の前にあるのだから、素直にそれに従うべきだろう。

「オレらの世界の心配より、お前の命の心配でもしてろ!」

彼女は姿を現すことなくそう言い放つと、そのまま壁に向かってSUN FLOWERの代わりに取り出した武装、BULLET MAZEを連射する。普通であれば、単なる無駄撃ち。意味のない行動だ。
だが、この武器に限っては違う。その答えは、しっかりと弾丸の軌道を見据えていれば分かるだろう。何と、壁に接触した弾丸は、そのまま反射し、縦横無尽に卸売市場内を駆け巡り始めたではないか。
自滅の危険性が高く、更に射程の限界以上弾丸を飛ばせないという欠点こそあるものの、このような壁に囲まれた空間においては、これ以上ない威力を発揮する特注兵器だ。
その名を象徴するかの如く作り出された、"弾丸の迷宮"。どこへいようが攻撃に晒され続ける状況に陥った敵が、次にどのような行動を起こすのか。ベアトリクスは自らの安全を確保したまま、それを注視する。

>サミュエル・ベルナール(A)

8ヶ月前 No.81

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

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8ヶ月前 No.82

永世無極召喚士 @5121☆stkO0KxpThU ★ztEbdaugmt_Ssw

【サクラゴス 潮力発電所 北部/17代目葛葉ライドウ】

フム、とライドウは何かを納得したように頷いた、彼女の本質に少し近づいた気がする。
彼女は生粋の戦士という風でもない、だがこの濃密な死の気配に微塵も揺らがないというのは少しおかしい。
だとすれば、最初にライドウが言ったように”彼女は狂っている”ということになる。
生存本能を刺激する死の気配を受け流すということはそこが欠落しているということにはならないだろうか?
だとすれば、どういう風にそこを突けばあの女を倒せるか、思索に沈みかけながらも戦闘行動は止めない。

「フン、神に仕える身で神殺しの槍とは、中々皮肉が聞いているな」

さて、相手が粒子を集結させている時点で一点突破の構えを見て取り、闇の波動の制御を止めて、左手を上げて二体の魔人にマハ・エイハ・オンを止めさせる。
こう言っては何だが、これから行う攻撃の方がライドウとしては”楽で済む”のだ。
高度な術式の維持と単発の強い攻撃、術者の資質によるがライドウには後者が向いている、何せ自分のマグネタイトは使わずに済む。

「矢を番えろ、カポーテを振れ、カーテンコールは存外近いかもしれないぞ?”マハ・ヒートライザ”」

ライドウは自ら編み出した全体強化魔法を自分と仲魔に行使する。
ライドウの言葉に反応した二人の魔人は歓声を上げるようにカタカタと笑った。
これから行うのは魔人たちによる”ユニークスキル”の行使だ、奥の手といえば奥の手に当たるが、この二体の存在を明かした時点で割り切っていた。
光の破城槌がライドウたちに迫る、だが”矢は番えられ、カポーテは振られている”。

「”賽は投げられた”、撃て」

≪ゴ ッ ド ア ロ ー!≫

≪血 の ア ン ダ ル シ ア!≫

魔人たちは嬉々として各々の技を放つ、ホワイトライダーが番えた矢は万魔貫く”神威の矢”、ただ貫くことに特化した何の属性にも属さない一筋の閃光。
マタドールから放たれるは次元すら捻じ曲がる錯覚を覚える”究極の連続点攻撃”、こちらは神威の矢に見劣りするも破格の燃費を誇る連続刺突。
ゴッドアローは破城槌を食い破らんと正面から衝突し、神速の連続突きはライドウたちに迫る極小の光子を一つ一つ丁寧に相殺していく。
この時魔人たちは確かに笑っていた、命と命のぶつかり合いこそが彼らの娯楽、ライドウに付けばいくらでもそれらが味わえて、しかも”自分より強い”とくる、従わない理由がない。
破城槌に追従してこちらに接近してきた修道女にライドウは初めて口の端を吊り上げて笑う、遠距離から撃ち合っていれば彼女はまだ楽に戦えたかもしれない。

「馬鹿め」

そもそもデビルサマナーとは弱肉強食を是とする悪魔と戦う者、悪魔に勝てぬサマナーが悪魔を従えられる道理はない。例外はいくつかある、供物を捧げたり利害が一致したり、ごく限られた状況下ではあるが”協力”を得る機会がある。
だがライドウの仲魔たちはたったひとりを除き全てライドウに”服従”を誓っている。ほぼ全て力で捻じ伏せて従えているのだ。
そのライドウの本領である近接戦、距離を詰めるということは、敵に塩を送るでは済まない行為だ。

「俺自身ががコイツらより弱いとでも?」

消えた、と見紛う速度で接近し、白く輝く真打・秘剣ヒノカグツチで神速の居合斬りを放つ。
剣術に身を捧げ極致に至った達人が使う”縮地”と呼ばれる歩法、それを身体強化を加えた体で再現した。
刀身が白く輝いているのはマグネタイトをノコギリ状にして運動させて日光が反射した結果輝いて見えている、攻撃力は先程の”的殺”よりも高い。
剣の極致に至り、マグネタイトを精密に運動させつつ接近戦を行う、17代目葛葉ライドウは既に人間を超えた”超人”の領域に足を踏み入れている。人間であることを辞めず、ヒトとしてヒトの限界を超えた者が彼である。

常に修道女を正面に捉えて離さない独特の歩法に加えライドウの斬撃の乱舞、更にホワイトライダーは二つ目の矢を番えて、マタドールはカポーテを振っている。
この魔人の動きが意味することは、もう一度あの攻撃を放つ前兆だ。

>リャノー・ミッシェル、ALL

【輝く刀身は某究極生命体のアレの再現】

8ヶ月前 No.83

学浜八拳聖 @indosai ★buqOEkmWT5_Tbw

【エントランス/大道寺重蔵、佐久間菊丸、愛染翼】

「さてどうしたもんかのぉ……」

黒野の組と風見の組がそれぞれ適当に理由を付けて行動に移すなか、重蔵率いる学浜応援団の三人組はまだエントランスでくつろいでいた。
彼らとてのんびりとしていられる程の状況でもないし、本人たちもそんな気質ではないのは確か。なのだが無計画に突っ込んでいけば彼らとて、ひとたまりもない状況だ。今回の戦争では経歴が異質なので、元いた世界での集団戦はそもそも不可能。三度の飯よりも好きなタイマンもなかなかその状況に持ち込むのが難しい。出張って行きたいものの、なかなか現状では厳しいといえる。

「色々調べた情報によれば『サクラゴス』と呼ばれる場所が主戦場になっているとのことです。どうもボクたちの故郷に似た港町という話ですが……。」

重蔵に色々と口を開くのは、何かしらの加工を施さずにキチンと着用した学ラン、それと対照的にボロボロに加工された学生帽、普通なら男性の着こなしであるにも拘わらずとても男に見えない中性的な顔立ちの少年・・・否、紛うことなく女性である。その名は愛染翼。学浜八拳聖の紅一点にして応援団における唯一の運営役。応援団にとって居なければ相当困るほどのポジションに当たる人物。この場においても的確に状況を把握した彼女が、重蔵に対して説明を行う。

「おぉ、翼。こいつは助かるぜよ。港町か。」
「故郷と似た環境ってわけでしょ?それこそ俺っち等にうってつけの舞台ってわけじゃん。」

翼と重蔵に割って入るのは、ポニーテールを結ったいかにも軽そうな雰囲気の男、佐久間菊丸。翼と共に応援団副団長を務める重蔵の片腕。些か目立ちたがり屋が過ぎるのが球にキズだが、実力人望共に高い、応援団きっての曲者である。

「大将、決めるなら今じゃないの?置いてけぼり食らうとまずいぜ?」
「そうじゃのぉ……どうするか……んっ?」
「あん?大将、どしたの?」

重蔵は少し悩み、顔を上げると何かに気づいたように視線を天井でも2人でもない方向に向ける。どこ見てるのかと菊丸もその方向へと向いた。
彼らが目にしたのは、自分たちと同じく此処では場違いであろうセーラー服の少女が自分たちに向けて視線を向けていた。
それもそうだ。翼と菊丸の二人はともかく、リーゼントにサラシの上から直接長ランというあまりにも時代遅れもいいところな服装だけでなく軽く2mを超える身長の重蔵だ。寧ろ注目しない方がおかしいだろう。

        タイプ
(人を見る目には自信あるけど……あの子、見る限り俺っち等と同じ格闘家かな……)

長らく格闘家と戦ってきた菊丸は、その少女を見るや否や即座に分析する。人を殴って生きてきた彼にとって、長年の経験によって一目見ただけで大まかに『殴れる人間かどうか』の判断がわかってしまう。一見するとなんて事の無い女学生だが、この少女は一般的な人物ではないことは一瞬で見破っていた。

「おぅ、お前さんどうした?ワシらの顔になんか付いとるかのぉ?」
「オイオイ大将。その服装と顔じゃ誰でも見つめちまうよ。ってか普通に怖いよ。」
「あぁん? 菊丸、流石にその言葉はしばかなアカンぞ?」
「まぁまぁ落ち着いて。こういうのは俺っちに任せとけって。」

そそくさと菊丸は重蔵のもとから離れると、自分たちに視線を見つめていたセーラー服の少女に対して近づき、軽妙な笑顔で話しかける。

「やぁどうも。俺っちは菊丸。嬢ちゃん、あんたは?」

忍術の心得を持つ彼にとって人の心に近づくことは朝飯前。恐れることなく少女に陽気に振る舞い、警戒心を解こうとする。

>>霊犀 唯香

8ヶ月前 No.84

@grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★dxkzXfPWBG_Tbw

【時空防衛連盟/レストラン/ヤロス・ハニービー】


 ……流したな。

 人材を纏め上げる立場にいる以上、個人を深く知る手段は多くある。
 そして、対面し言葉を交わせば、人となりというのはおおよその理解が及ぶというものだ。
 それは直感による推測に近いものだったが──誤魔化しをした。それだけの気概があると、前向きにはそう判断しておきたい。

 最も……、本人の口から境遇を語らないのであれば、あたしは彼を理解することはできない。
 何か理由あって──それも納得いくもので──行きたくないとボヤくならばいいのだが。
 どうにも……声色から、何かを隠すような、しかしそう重大でもなさそうな雰囲気を漂わせるのだから、気になって仕方がない。

 すまん、部下たち。もうちょっと待ってくれ。


「べーつに忠誠を誓う、誓わないは個人で決めることだから、あたしは何も言いやしません」


 きっとそれは、飲み込んだ水と同じ流すための材料。
 あたしからすれば、そう関わりのないことだ。過去は過去。今は今。過去にとらわれ続けている者たちについて……知ったことではない。
 だから、それは理由にならない。だから戦わないというのは、繋がらないから。
 結局のところ、目の前の彼の本心は、ヤロスが言い当てたことに繋がっていくのだ。


「ははあ……うん、まあ、そりゃあそうだ。それが普通です。死ぬ事は、怖いですよネ」


 死──命の終わり。灯された炎が消える瞬間。
 自我を持つ生命ならば死というものは、避けられない己の消失だ。とても、耐えられたものではない。
 だからそれに恐怖心を抱くというのは、至極当然のことだ。多くの哲学者がそれを論じてきたように、死と恐怖は密接に繋がっている。

 誰もが持っていて当然の感情を、ただ本音として吐き出しているだけ。
 けれど──悪いが、それも理由にはならない。
 結局……ここでガタガタと震えていても死の恐怖というものは消え去らない。心に安寧を生ませるには、勝つしかないのだから。

 ぽん──と、手を叩いてヤロスは名案を思い付く。そしてそれは、ただいま突き付けられた彼の言葉への返答にもなるのだ。


「ああ、もちろん行きますよ。全員には「生きる」ことを優先させてますケド、さすがに厳しいでしょう」
「それで──どうです? このまま、ここで震えていても、『もしも』の可能性があるかもしれません」


 確信と、決意。それは、不健康な顔からは想像もつかない、前向きな言葉。力強く心のこもった言葉。
 たとえ怖くても、それでも戦わなくてはいけないのだから、戦おうじゃないか。
 みんな、何かと戦っている。それが、痛みを伴うものでなくても。
 それを知っていないとは思えない。だから……きっと、という、一種の願望のようなものを込めて。

、      、     、     、    、    、  ・・・・・・・
「──どうせ戦場に駆り出されるのなら、あたしについてきませんか。生き残れますよ」


>ハベル・アレッセル

8ヶ月前 No.85

卑劣な軍団指導者 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【サクラゴス/卸売市場/南側/ユキア・ビコラン+レギオン】

「はぁ、それにしてもそのダッサい口調どうにかなんないのかしら。 ま、少なくとも貴方に私は倒せっこ無いけどね!!」

魔族と言うのはアナザーワールドにおいて奴隷や道具に過ぎない、そんな言葉に対して此方ではそうではないと語る魔族、相手の言葉は真剣そのものだが、ユキアは話半分にしか聞いておらず、適当にあしらうように「口調」を嘲笑するような台詞を吐いて、さらに自分を倒せっこ無いと断言して見せた。
実際のところ、彼女単体では絶対に負けるのだが、そこを埋めてお釣りが来るのがレギオン、グリゼルダの読みは当たっているが、ユキアをただ狙えば倒せると言う簡単な戦いでもないのだ。

四人のレギオンが一斉に攻撃を仕掛ける、それでも相手は、その時代遅れで先ほどユキアが「ださい」と表現した口調通り、身軽さに関しては優れているようで空高く跳躍して攻撃を回避し、さらに壁を蹴って完全に此方の上を取った。 だが、その程度でどうにかなるほどではない、仮にあそこから射撃攻撃や急降下攻撃をしてきたとしても、レギオンによって阻まれるのは明白なのだ。
そして、相手は何かをこちらに向かって投擲してきた、射撃攻撃を使うならば。

「叩き落せ!!」

そういうと、先ほどまでは緩慢な動きだったレギオンのうち一人が鎧を纏っていると言うのに、奇妙な羽音に近い音を響かせて跳躍、そのまま玉を突き刺した。
その瞬間耳を覆いたくなるような爆音と、白い煙が撒き散らされる。 それは遠くに待機していたユキアですら耳を塞いでその場に塞ぎこむ。
特に強烈に作用したのは跳躍して玉を突き刺しに行ったレギオンで、まるで気絶でもしたかのように着地すらまともに出来ずに力なく地面に倒れて停止した。

さらに、塞ぎこんだ間に、煙と言うのは広がっている、とは言え、レギオンの一人がかなり初期の段階で迎撃したためグリゼルダが狙っていたような完全無効化には程遠かったが、多少は効き目があったようで。

「へっ、げほっげほっ、え、うぇぇ……なにこ、えふっ」

何度もユキアは咳き込み、目を覆って煙から距離を取る、先ほどレギオンの片方が停止したため、今彼女の守りを固めるのは一人、陣形に大きな穴が空いたと言ってもいいだろう。
そして、催涙性の白煙の中とは行かなくても、多少なりとも影響を受けるはずの位置にいる四人のレギオンだったが、音には驚いた様子を見せたものの、煙にはあまり反応せず立ち止まっていた。

隙をさらしてしまったユキアだが、視界が潰れているなりに指示だけは下す、そうしないと万が一が起こされかねない。

「攻撃、攻撃ぃ! 防御担当の二人以外アイツを叩き潰せ!」

防御担当の片方が停止しているのも見えていないことを伺わせる指示を下すユキアであったが、レギオンは不気味なほどにそんな指揮官に従って攻撃を再開する。

「捕らえるたって蜂がどうやって私の防衛陣突破して尋問できるわけ!? 捕まるのはお前!!」

そして、レギオンのうち二人が一斉に槍をグリゼルダに向けて投擲する、その狙いは、先ほどの緩慢な動きと違って比較的正確さがある。
さらに、もしそこで隙を晒そうものならそのときこそ足を串刺しにしてやらんとばかりに、残ったレギオンがグリゼルダの着地地点にある程度の目星をつけて、槍を構えて攻撃準備を整えていた。

一方で、ユキアは……奥の手を使ってでも潰さなくては、そう考えつつあった、もはや、なりふり構っている暇はないのかもしれない、と。

>グリゼルダ・ホーネット

8ヶ月前 No.86

ブルー・ワン @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【プリンシパル/プリンシパル周囲/シフォン・ヴァンディール】

 戦力的な不利を技術と奇襲で覆す戦い。重いプレッシャーがのしかかる。役目を果たす前に撃墜されようものなら、攻撃隊と連盟に甚大な被害が出る。
 敵機の猛攻と対空砲火、そして責任感がのしかかる。空中戦の負荷などどうでもよくなるほどにだ。
 埋めようのない性能差を逆手に取った策も、あくまでその場しのぎ。二度は通じない、使い切りの騙し討ちだ。
 熟練と見える敵がそう簡単に嵌まり込むはずもなく、命中弾は与えられなかった。

(それでも構わない。目標はあくまで、砲塔を破壊すること……)

 敵の後ろを取ったものの、一応反撃を警戒してシールドを前方に集中させる。二兎を追う者は……というが、今なら敵機も砲塔も一網打尽に出来る位置取りだ。
 これは好機と見る他ない。六基のレーザー機関砲全てでロックオンし、指をトリガーにかけた。
 が、敵機が急上昇し視界から消える。負荷を受けない、もしくは軽減できるのなら当然の手法だろう。この手の誘いに乗れば返り討ちに遭うこと間違いない。
 あれだけの機動をすれば、再度後ろに付くまでそれなりの猶予があるはず。そう踏んで遠方の砲塔に狙いを定めた――その瞬間。

「!」

 狭い機内を満たすアラーム音。敵機にロックオンされた警告音に他ならない。一体どこから?新たな敵影はなかったはずだ。
 強烈な衝撃が無慈悲に答えを突き付ける。被弾した。それも機体後部のエンジン付近にだ。
 急上昇したばかりの敵機が後ろにつき、攻撃してきた。現実とは思えない出来事の連続に、動揺の色が隠せない。
 だが砲塔までの距離を知らせる通知音のおかげで、なんとか冷静さを保つことができた。再びシールドを後方に張り直し、狂ってしまった照準を――

「どうして……!」

 直せない。計器もレーダーの画面も、全て青色の砂嵐で何も映らない。操縦桿のトリガーを連打しても、光線一発すら出やしない。
 思い当たる節と言えば、あのエンジン付近に一撃もらったことしかない。恐らく武器系統をやられてしまったのだ。
 このままでは砲塔の破壊はおろか、弾幕展開による牽制も出来やしない。そうなれば生き延びたところで、攻撃隊の全滅は免れない。

 武器を封じられた自分に残された手は――アレだけだ。すぐさま思考を切り替え、覚悟を固めたシフォンは、退避することなく砲塔目掛けて突き進んでいく。

>>ロウェナ・ウィッケンバーグ

8ヶ月前 No.87

堕天使参上! @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

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8ヶ月前 No.88

虚空 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_Tbw

【時空防衛連盟本部/オペレーションルーム/サミュエル・ベルナール(HW)】

 手伝うと協力を申し出た言葉に、少女は一つの疑問を添えつつも許諾という形で返答をして来る。その返答に含まれていたニュアンスは、他にやるべき仕事があるのではないか、というものだ。
 確かに連盟への協力者としての立場にいる以上、それに何かしらの仕事が存在しているものと見られるのは至極当然の事だろう。しかし、結論から言ってしまうと、現状仕事と呼べるものは無かった。戦闘員として戦列に加わろうとするであろう事を父親は予め見越していたのか、"非戦闘員としての協力"という名目の下に連盟へと送り出し、自身の開発した兵器と遮断する事で、戦争への関与を未然のままに終わらせようとしていたのだ。言うなれば、安全の為の退避をさせられた、と言った風か。
 だからと言って、そのまま黙って見ている心算はなく、既に手は打ってある。滞りなく進んでいれば、今頃は連盟の武器庫へと例の装備一式の輸送が完了している事だろう。

「あいにくと本来の仕事を出鼻から挫かれたんだ。おかげで何の仕事もなかった」

 鞄からノートPCを取り出して起動するまでの一連の動作の内に、疑問に対する返答を行い、そして画面を注視する中で先程要求した文章のデータが送られて来た事を確認すると、早速それの解析を並行して開始する。こういった作業はどちらかと言えば専門外だが、知識に関してはある方だと自負できる。
 そうして解読不能となった座標の解析結果が出るのを待ちつつも、戦艦の脆弱な部分を探る為に敵艦隊の情報へのアクセスを試み始めた少女の考えを察し、今日までに碌な軍備拡張が為せれなかった事を歯痒く思う。これまでの1年の間に竣工できた戦艦の数は皆無、配備まで漕ぎ着けられたのは百数十程度の戦闘機のみ。
 そんな現状からも見て解る通り、今の軍事力では、真面に戦艦一隻を堕とす事さえ厳しい有様。外からの攻撃では到底通用する筈もなく、結果として唯一の手段として内部から破壊する以外の選択がないのだ。侵入口を開く為の弱点を探す事になるのは、必然の成り行きと言うべきだろう。

「わかった。何か変化が見えたら、すぐに教える」

 解析結果が出次第、教える事を承諾しながらも、画面と睨めっこし続ける事を継続する。その片手間で、一つの"偽名"を考えながら。

>シエンタ・カムリ

8ヶ月前 No.89

協会の頭脳 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【並行世界管理協会/重役会議室/リコルヌ・エルヴェシウス】

1年前、自らが調査のために訪れたワールド10。離脱する際、彼らは丁度未曾有の危機に見舞われていたところであったが、どうやらそれは上手く乗り切ったようだ。
以降もリコルヌ達並行世界管理協会の面々は監視のために度々調査員を派遣していたのだが、侵攻を決意する切っ掛けとなったのは、半年前にかの世界にもたらされたある技術であった。
彼らがその技術を用いて生み出した装置に付けた名前は、「並行世界移動装置」。文字通り、次元の違う世界観を移動することの出来る代物で、それはワールド10が将来的に、協会の脅威となり得ることを示していた。
当時のワールド10の技術力は、並行世界管理協会には遠く及ばないものであったが、将来的な不安要素は可能な限り、早めに除去しておくに限る。そうしてリコルヌ達は数ヶ月の綿密な打ち合わせを経て、今回の侵攻へ至ったのである。

正直にいって、失敗する方が難しい任務だ。オラムフェルトとサクラゴスを速攻で焼き払うだけであれば、恐らく誰が艦長を務めていたとしても成功させられるだろう。
何せ、あの二つの都市には防衛設備もなければ、空軍基地もない。よって、空にいる限りこちらが攻撃を受ける可能性は皆無に等しく、一方的に蹂躙することが可能なのだ。
しかし、様子がおかしい。とうに目的は果たされたはずであるというのに、一向に艦隊が帰還してくる様子がない。それどころか、旗艦のプリンシパルが突出し、リヒトルザーンに進軍を開始する始末。
これには、協会本部にて戦況を見つめていたリコルヌも黙ってはいられなかった。直ぐ様通信回線を開くが、セレーナからは応答がない。そこで彼女は、あの場における第二の責任者であるシフォンに通信を飛ばす。

「何があったのですか、シフォン。既に作戦は完了したはずです」

あくまで状況確認が目的であるため、声色はいつもと何ら変わりなかったが、長い時間彼女と接してきたであろうシフォンであれば、その微妙な変化を感じ取ることが出来るだろう。
リコルヌもまた、シフォンと同じく、想定外の事態に焦りを感じているのだということに。協会艦隊に求められているのは、非の打ち所のない完全勝利。相手が格下で、しかも此度の作戦内容であれば、艦に傷一つであろうと付けてはならない。
そもそもこれは、数ヶ月もの時間を掛け、教義に協議を重ねて決定された作戦。だというのに、どこで手違いが発生したというのだ。予定されていない行動を取れば、それが最悪の事態に繋がりかねないことなど、セレーナも重々承知しているはずであるのに。
リコルヌはそれでも取り乱す様子を見せず、静かに座してあちらからの返答を待つ。まずは現状を理解し、この想定外を切り抜ける方法を模索しなければならないだろう。

>シフォン・ヴァンディール(A)

8ヶ月前 No.90

黒薔薇 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【プリンシパル/プリンシパル周囲/ロウェナ・ウィッケンバーグ】

さすがの敵もブラックロータスの為せるこの挙動は予測が出来なかったらしい。仕方のないことだ。世界中どこを探したとしても、これほどの動きをする有人機などこれ以外に存在しないのだから。
被弾した敵機は撃墜こそしなかったものの、その衝撃によるダメージで武器系統が破壊されたのか、射撃も出来ないままただ飛び続けている。こうなってしまったら、もう為す術はないだろう。
悲しいことであるが、これは戦争だ。敵もこの状況は理解しているだろうから、攻撃が不可能となった時点でプリンシパルからは離れてくれるだろう。そう思いロウェナは、しばらく追撃を行わずに様子を窺う。
有無を言わさず撃墜するべきだ、と思うかも知れないがそれは出来ない。何故なら、この至近距離では、制御を失った敵がプリンシパルに激突しない、とも限らないからだ。
だが、敵は一向に離れる様子を見せない。あの状況で果たして何が出来るのだ、とも思ったが、悪足掻きとばかりに特攻されれば、それこそ甚大な被害を避けられなくなる。

「往生際の悪いことを……」

確かに、そうでもしなければホームワールドが挽回を果たすことなど不可能だ。哀れであると思うが、許す訳にはいかない。繰り返しになるが、これは戦争。生きるか死ぬかの戦いなのだから。
ぴったりと後ろに張り付いたロウェナは、再びトリガーを引き、大量の粒子バルカンを撃ち込む。今度こそ、これでおしまいだ。確実に被害が出る状況に陥るよりかはいい。
しかし、ここまで厄介な相手とやり合ったのは久々だ。敵も協会の一員であったならば、エースと呼ばれるに相応しい人材となっていたことだろう。生まれた世界の差で、こうも運命が変わるとは、残酷なものである。

>シフォン・ヴァンディール
【短くなってしまい、申し訳ない……!】

8ヶ月前 No.91

雪夜の芸術家 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

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8ヶ月前 No.92

若き老兵 @x5mas☆sECYEVcUXiI ★iPhone=gc2vUBCz2V

【時空防衛連盟本部/時間遡行装置/奇術師 ヴェイス】

――奇術師というものは、騙しを生業とする生き物だ。彼らはたった10本の指先で偽りの奇跡を創り上げ、感動と疑惑の峡谷へ、魂をトンと突き落す。その有様の奇妙な故に、はじめて彼らの術法は人々を魅了しうるものとなる。

 そうであるから、奇術師は白痴では居られない。彼らは凡ゆる物事に対し、舞台を囲う聴衆よりも優れた有識者でなくてはならない。奇跡を謳うとするならば、そこに横たわる現実を。人々を魅せるというならば、その根底にある心情を。世界を騙してしまうなら、その世の中の誰よりも、己の世界を知っていなければならない。

 その点に於いて、ヴェイスは誰よりも『奇術師』がお似合いだった。
 少なくとも経験則の範囲では、『世界』を身体で知っていることで、この男の右に出る者はいまい。だからこそ、【リプレイサー】は……かつてのヴェイスは自らを『奇術師』と名乗った。世界に二たびの夕凪を齎し、己が洛陽を迎えてもなお、それは少しも変わらない。

――いや、それは“変えられない”ことなのだろうか。

 浮かんだ疑問符を振り払うように、ヴェイスは首を横に振る。今さら何を問うたとしても、そこに答えなどないことを、誰よりも奇術師自身が知っていた。
 それでもやはり、手に入らないと知っているからこそ、その朧げな残影を追いたくもなるのだろう。廊下を行く奇術師の脚は、『一年前の象徴』の前ではたりと止まった。

「……また、始まったんだな。」

 深い溜息。誰へともない声が漏れる。
 開戦を静かに嘆く、ほんの些細な独り言だ。
 ……独り言だが、或いはそれは、時の旅路に待っていた“いつかの邂逅”に向けられたモノなのか。たった一年の夕凪を呪う、幽愁の発露だったのか。それすらも今の自分には分からない。今はただ、“並行世界の侵攻”という一つの事実を淡々と受け入れた自分が居るだけだ。


 並行世界の存在と脅威性。それが本格的に議場のテーブルに乗り出したのは、今からおよそ半年ほど前の話になる。当初こそマトモに取り合わない者も多数居たが、そもそも『異界』の存在が確認されたこの世界だ、ほぼ全面的に実在が受容されるまでにそう時間は必要なかった。
 奇術師ヴェイスは、今でこそ喪われてしまったが、かつては『世界』を渡り歩く超常を有していた。《千里眼》の力を併せれば、情報提供者としての最低限の条件は満たしていたことになる。ここ半年の間は研究者たちと共に《観測》を敢行しつつ、連盟の各所にも掛け合って、並行世界について知りうる限りの情報を自由気ままに伝え回っていた。
その頃には、半ば冗談めかして“攻め入られたら大変だ”などと言っていたものだが……まさか、あの薄気味悪い戯言が、こんな最悪の形で成就することになろうとは。

「あーあ……。願わくば、もっともっと長い休暇が欲しかったもんだが……。一度起きちまったモンは、詮方なしってモンだよな……。」

 ヴェイスは無人の機械に向けて、気怠そうにそう零す。脳裏に浮かびあがるのは、意気揚々とゲートの中に乗り込んだ、ちょうど一年前の己の姿。今この世界を支配している空気のは、一年前とまるで同じだ。不安と混迷が渦を巻く、あの頃の痺れるような感覚を、皮膚はいまだに憶えている。
 皮肉なものだ。『世界を救う』旅路を行こうとすれば、奇術師はいつの間にやら『世界の危機』にも慣れ切ってしまったらしい。“並行世界の軍勢”――不穏なワードが響くとも、その理解はあくまで脳内だけのもの。危機感、焦燥、狼狽――どれもこれも、無味乾燥な現実(リアル)としての域を出ない。それを盲目の極みと取るか、立派な勲章と取るか。そんなことは、コインの表裏を決める議論とそう大差は無いのだろう。

「でも、まあーーーーーーー」

 それでも仮に、楽観的にもこの状況を『後者』と捉えるとするならば――

「安心してろって。一度受けた仕事なら、きっと最後まで果たすとも。
 ――たとえば、たった一つの道標が、コレっぽっちの孔ひとつだとしても……
『どんな苦境の中にでも、道は必ず開かれる。望む者には、必ずな。』」

――一歩引いてみたならば、新たに“視える”こともある。それこそが、奇術師たる者の《本領》というわけだ。


『時を越える勇者達……どうか力をお貸しください。この世界は邪悪な闇に呑まれ、私一人の力ではどうすることもできないのです。直接お迎えに――……』

 本部内に響き渡る、大いなる“革命”への狼煙。奇術師は直近のスピーカーに目を遣った。その双眸は鋭角に、口角は不敵な笑みを浮かべ――

「それに、コイツはご指名つきの依頼ときた。嬉しいねぇ……。そりゃあもう、到底投げ出してやるわけにゃ行かないワケさ。」

――そして飄々軽薄の奥底には、揺らめく義憤の炎を宿す。彼方より継ぎし灯火を、決して絶やすことの無いように。
 侵入者達よ、せいぜい踏み躙ってくれるがいい。如何程の策を弄せども、覆水は盆に帰らない。窮鼠は猫をも噛み砕く。臥せる薪が多いほど焔は燃え広がるということを、“お前たち”はよく知っているだろう?

 そんな当然の道理など、此方も痛いほど知っている。だからこそ、こうして奇術師は戦場に赴かなかった。一刻でも早く救援を、そう逸る心を押しとどめ、敢えて連盟の内に留まる道を選んだ。
 ――そして、それを選んだ理由は一つ。ああ、そうだとも。この連盟本部内には、時空遡行装置とは別に『もう一つのカラクリ』がある。“たった一つの情報”を辿り、遥か地平の彼方へまでも、勇士達を運ぶ宙船だ。ソイツがいつどんなタイミングで動くことになろうとも。己が成し得る最大限の働きを、確実に実行へと移すべく。

「……さあて、そろそろ“頃合い”か。待ってなって。世界の命運引っ提げて、『弔い合戦』と洒落込もうじゃねぇか。」

 想定外、予想外、それすら作戦の範囲内? そんなら試してみるがいい。“No.1”を騙るその倨傲、果たしていつまで保つものか。
 楽しみに待っていろ。あと数刻も経ったなら、トリックスターの気概というヤツを、嫌というほど味わわせてやろうとも。
 奇術師はただ静かに笑い、来るべき時の訪れを待つ。

――夜明け前は、いつだって暗いものだ。

>>対象なし(ALL)

【遅れながら、スレ開設おめでとうございます。一章も終盤になってから、ようやく奇術師の投下です!】

8ヶ月前 No.93

中二病はいつになく真剣 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【時空防衛連盟本部/オペレーションルーム/シエンタ・カムリ】

彼がここにいる理由。それは、本来の仕事を出鼻から挫かれたからだという。まあ、この状況ではそういう事態が発生するのも仕方のないことか。その仕事については、聞かないでおいた方がよさそうだ。
文章の解析は彼を信頼して任せつつ、プリンシパルの解析を進めるシエンタ。最新鋭の技術によってそのサイズと防衛機構が判明したが、何とまあこれは、突破するのが難しそうな構造だ。
先程から度々外部より煙が上がっているが、何故だろうか。まさか、味方の戦闘機があの近くにいるのだろうか? だとしたら、完全なる自殺行為。少なくとも、一人で制圧出来るような相手ではない。
とはいえ、自分はそれを止める権限を持たない。その辺りのことは総統に任せておくしかないだろう。物凄い速度で演算を行うPC。そして彼女は、ある事実に辿り着いた。

「後部ハッチをどうにかして開けられれば、そこから中に入ることは出来そうだね……」

X線スキャンによって判明した内部構造により、シエンタは後部ハッチの先にプリンシパルの各部へと続いている通路があることを発見した。つまり、何らかの方法でそれを開けることが出来れば、艦内に攻め込むことが可能という訳だ。
その他にも侵入経路がないか探ってみたものの、今の所有力な候補は見つからない。外壁を突破するのにはかなりの時間を要するだろうし、やはりハッチからの侵入に懸けるしかないだろう。
となれば問題は、如何にしてハッチを開くか。当然ここにも強固な装甲が貼られているだろうし、武力で突破するというのは現実的ではない。かといって、ハッキングは未だ成功していない以上、こちらから操作することも出来ない。

「ああっ……もう。どうにかしてあのデカブツの後部に衝撃を与えられないのか!」

特に精密機械にありがちなことだが、そうしたものは外部からダメージを受けた際に動作が狂うことが多い。シエンタは、それを利用してハッチをこじ開けられないか、と考えたのだ。
だが、そこまでのダメージを与える方法となると、戦闘機による自爆特攻しか思い付かない。そんなことは絶対総統は認めないだろうし、自分だって味方に死んでこいというのは嫌だ。
頭を抱えながら、思わず出てきた本音を言い放つシエンタ。普段気取っている彼女が、ここまで追い詰められている姿を見た経験がある者は、ほとんどいないことだろう。
それは、自らの十八番ともいえるハッキングが成果を挙げていないことも影響しているのかも知れない。得意分野で相手に抵抗出来ないとなれば、苛立ちが募るのも当然のことなのだ。

「そうだ、君。名前なんていうんだい?」

ストレスを紛らわす程度の意味で、さり気なく本名を尋ねるシエンタ。この場においてはそれが相手にとっての地雷であるということなど、彼女が知る由もない。

>サミュエル・ベルナール(H)

8ヶ月前 No.94

負け犬 @adrasteia ★qa9glxeVZq_uLX

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8ヶ月前 No.95

I am Determination @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【リヒトルザーン/繁華街/ハンバーガーショップ/キャラ・ドリーマー】

キャラの予想した通り、このスケルトンの名前はサンズであった。といっても、彼女が知っている"サンズ"とは別の存在であるのだが。そしてやはり、相手もこちらの名前を知っているらしい。
これらのことから分かるのは、お互いが別世界でそれぞれお互いに会っている、ということだ。向こうの自分がどんな奴であったのかを聞いてみたくなるが、何か嫌な予感がしたのでやめておいた。
多分、彼もこっちの自分が怠け者と評判の王様だと聞いたらショックだろう。人間、知らない方がいいことだってある。いや、彼は人間ではなく、スケルトンであったか。
それはさておき、これからどうするべきだろうか。相変わらず司令は飛んでこないし、戦場に向かったところで今からじゃ間に合わない。壁にもたれ掛かりながら考えていると、サンズが一つの提案を出してきた。

「ああ、それがいいだろうね。私達は平気だけど、中にはそうじゃない人だっている。そう、あんな風に」

キャラが見つめる方角にいたのは、避難勧告と目に飛び込んできた戦艦の映像でパニックを起こしている一人の市民の姿だ。幸い、周りの人に支えられて何とかなったようだが。
これから情報が拡散されていくに従って、あのような反応を示す者の数も、必然的に増えていくことだろう。そうした市民の支えとなるのも、連盟の仕事であるといえる。
そして、こうした仕事は得意であると、青年、ショパンは語る。彼は率先して、この仕事をやりたいと述べてきた。自ら役目を買って出た彼の気持ちを無駄にする意味は、どこにもない。

「構わないよ。それじゃあ私は、逃げ遅れた奴がいないかもう一度中を見てみることにしようか」

そう言いながらキャラは、取れかかっていたパーカーのフードを被り直すと再び店内へと入っていく。さすがに、まだ悠長に中で食事をしている馬鹿はいないようだ。
既に店員もいなくなっていることからして、逃げ遅れた人間はいないと見るのが自然か。一応二階も確認してみたが、それらしい人影は確認出来なかった。
……そういえば、サンズ。彼から漂う雰囲気が、どうも自分に似ているように感じるというのは、先程も話した通り。今頭の中で組み立てた仮説が正しいとするならば、もしかすると。
彼女はそれを証明するべく、ある行動に走る。とはいえ、別段不思議なことはない。二階から一階の入り口の陰へ、ショートカットで移動するというだけの話だ。
この店の扉は自動ドアになっているため、二人からは内部の探索を終えた自分が、普通に店の中から出てきたようにしか見えないだろう。だが、仮に彼が"同じ能力"の持ち主だとしたら、自分のしたことに気付くかも知れない。

>サンズ、F.Fショパン

8ヶ月前 No.96

生き地獄 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【強制労働施設/個室/カレン・シャン】

時刻は深夜23時。普通の人間であれば、大抵は寝ているか、寝る直前の余暇を過ごしていることだろう。しかし、アナザーワールドにおいては、そうではない者が大勢いる。
第三臣民。端的にいうならば、第一臣民と第二臣民に楽をさせるための歯車。機械と同等かそれ以下の存在。同じ人間でありながら、人間として見做されない、社会の最底辺。
そんな彼らは、各地にある強制労働施設において、朝5時に叩き起こされ、僅かな休憩を除いて15時間以上働かせ続けられるという、地獄のような生活を送っている。
しかもその15時間というのは最悪の場合ではなく、最良の場合だというのだから驚きだ。労働時間の延長など当たり前で、彼らが開放されるのは毎日、日付が変わる直前である。
こうした労働施設には第一臣民や第二臣民の監督官がいるのだが、当然彼らは定時で帰っていく。では、それ以降第三臣民は何に監視されているのかというと……機械である。
第三臣民は出生時、もしくはその地位に落ちた際に、体内に管理用のチップを埋め込まれる。このチップによって彼らは、全ての行動を監視し続けられているのである。
施設から逃げ出そうなどとしてもすぐに感知され、駆け付けた警備員や監督官に取り押さえられる。仮にそれらと出会わなかったとしても、逸脱した行動を取り続ければチップが爆発、爆死に至る。
もはやそこにあるのは夢も希望もない、ただ管理されるだけの生活。そのような生活に神経をすり減らし、毎年数千万人以上の第三臣民が命を落としているが、誰も悲しむ者はいない。
何故なら、彼らは人間ではなくパーツなのだから。世界を動かすための歯車は、壊れたら捨てられるだけ。たとえ壊れようとも、代わりはいくらでもいるのだから。

「……ま゛だルベツ゛と゛ヨ゛ラ゛ン゛ダは帰゛っ゛て来゛てな゛い゛の゛ね゛……」

カレン・シャン。アンゲルレリトンの強制労働施設に収容されている魔族の第三臣民。彼女は1年ほど前から思い気管支炎を患っており、今となっては声が完全に枯れてしまっている。
普通、そのような状態になればすぐにでも病院に行くものだが、彼らにその権利はない。何せ、第三臣民はパーツなのだから。病気だろうが怪我だろうが、動かなくなるまで使い潰すだけの存在である。
一応、本当に一応ある休日を利用して外出の許可を得、病院に掛かることも可能だ。実際、カレンも最初はそうした。しかし、すぐにそれが無意味であることを知ってしまったのだ。
朝一番で病院へやってきたにも関わらず、後からやってきた第一臣民や第二臣民の診察が優先され、自分の番が回ってきたのはそれから10時間以上が経過し、他の患者が誰一人としていなくなった頃。
ようやく入った診察室で、彼女は扉を開けるやいなや「風邪ですね安静にしていて下さい以上です」と言い放たれ、そのまま追い出された。10時間も待って、結局まともな診察を受けることすら出来なかったのである。
それ以降、カレンは病気を治すことを諦め、それを放置したまま労働し続けている。しかし、体調は日に日に悪化の一途を辿っており、このままでは持って数ヶ月というところだろう。

部屋数が足りないため、何人かが相部屋となっている、第三臣民の個室。カレンの使っている部屋で共同生活をしているのは、ルベツ・キリガとヨランダ・オストバウトの2人だ。
そのいずれもが、まだ部屋に戻ってきていないことを確認したカレンは、義足の影響でおぼつかない足取りで壁を伝いながら、片隅に設置された粗末なベッドへ向かう。たった一枚の布を羽織るだけでも、だいぶ寒さは和らいだ。
支給された夕食は、全員が揃ってから食べることにしよう。とはいえ、食の楽しみなどない。味気ない合成肉やカロリーブロックで構成されたそれは、もはやただの栄養剤と何ら変わりはないからだ。
それでいて、朝食や昼食は一定時間内に食べきらないと残りを没取される。唯一、時間制限が設けられていない夕食ですらも、もはや楽しむ気力など残っていなかった。
救いとなる嗜好品も、第三臣民向けの売店では法外な値段で販売されている。申し訳程度の給料しか得られないカレン達が、それらを買うのは並大抵のことではない。
腹が満たされるまでそれらを手に入れようとすれば、この程度の給料など一瞬で尽きてしまう。たった一箱のチョコレートを、細かく細かく食べて、一ヶ月を乗り切る生活。当然そんな食べ方では、嗜好品だろうとストレス解消に繋がるはずもないのである。

>(ルベツ・キリガ)
【これが第三臣民の生活です】

8ヶ月前 No.97

Charlott @kirieru ★Android=ryLO8WYMEG

【時空防衛連盟本部/エントランス 霊犀 唯香】

「あっ!ごめんなさいジロジロと見てしまって」

唯香は菊丸と名乗った自分と同じ年頃でポニーテールの男子学生風の男性に声をかけられた事により三人に向けて謝罪の言葉を述べた。
三人の雰囲気の悪さに怖気づいてつい謝ったと言うよりジロジロと他人を見てしまった事の方が意味合いは強いと思われるが。

「私の名前は霊犀唯香です、ここの時空防衛連盟の精鋭部隊というのに所属しています」

菊丸が自身の名前を名乗った事でそれを返す様に唯香は自身の名と素姓を明かす。
そして菊丸の後ろにいる二人の学生、身長が2メートルを超す一昔の不良風の男子学生と整った顔立ちだが唯香と同じ女性であろう女子学生に近づいて笑顔を見せる。
その笑顔は決して作り物の笑顔ではなく相手に対して友好に接しようとする自然な笑顔だ。
それを近寄り難い強面の男に向けるのだから彼女も相当な度胸がある。

「いやぁ~貴方達の事、時空防衛連盟の中で見たこと無かった物で.....新しく配属された人達なのかな~と思って」

唯香はどうして三人をじっと見てしまったのかその理由を告げる。
彼女の所属している部隊にも防衛関係者にもあの三人の事を見かけなかったのだから恐らくこの組織に配属されて間もない人達なのだろう唯香はそれが気になっていたのだ。
そして唯香は三人に対して最も気になっていることを三人に問いただした。

「あのーちょっと尋ねたい事があるんですけど貴方達ってこの世界の人間じゃないですよね?私と同じある日、突然に異世界に飛ばされたんですよね?」


>>大道寺重蔵、佐久間菊丸、愛染翼

8ヶ月前 No.98

ブルー・ワン @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【プリンシパル/プリンシパル周囲/シフォン・ヴァンディール】

 物言わぬレーザー機関砲。トリガーを押し込んだところで血が通うはずもない。一切の攻撃手段を失ったシフォン機は、吸い込まれるように砲塔へ向かっていく。
 時間稼ぎか。自爆か。相手にとってみればそのどちらかしか有り得ないだろう。
 事実、通常ならその程度の選択肢しか残されていない。システムの復旧は間に合わないし、他の兵器を搭載しているわけでもない。
 だがシフォンは能力者だ。幅広い属性魔法を操り、噛み合いさえすれば戦局を覆す。ドッグファイトに持ち込むのは無粋かもしれないが。これは戦争。
 生きるか死ぬかの戦いに、王道も邪道もあったものではない。

(チャンスは一度きり。やるか……やられるか!)

 再度の警告音。今に敵機から光弾が放たれ、互いの運命を分けようという、言わば神の時間。そこにシフォンは唾を吐きかけた。
 翳される手、閃く燐光。巨大な砲塔を跡形もなく吹き飛ばす大爆発。あろうことか彼女は、爆破魔法を叩きつけるという荒業に打って出たのだ。
 シールド出力最大。可変翼を小さく畳み、抵抗を殺して爆風の中に滑り込む。青空も戦艦も全て消え、視界が黄金に染まる。
 身体をコックピットの壁に押し付けることで負荷に備え、操縦桿を折れんばかりに倒して急旋回。
 粒子砲を凌ぎ敵機の右前方に躍り出るや、再度可変翼を展開し機動力を確保。丁度復旧したシステムで以て敵機を捉え、六基の機関砲全てで光線を浴びせかけた。
 そのまま戦艦の後方へ飛び出し、敵機と十分な距離を開けたことを確認。すぐさま通信をかける。

「対空火器、掃討完了!攻撃隊を!」

 連盟本部及び地球軍全航空隊に当てた、反撃開始の合図。待ってましたとばかりの大歓声が彼女を労う。
 サクラゴスで戦う兵士は、敵味方を問わず目にすることだろう。港の向こう――大海原に逆立つ荒波を。
 自然現象などではない。烈風の如く駆ける戦闘機隊が、海面を巻き上げ肉薄しているのだ。

>>ロウェナ・ウィッケンバーグ

8ヶ月前 No.99

偉人、天才、だが迷惑 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【時空防衛連盟/休憩室/モーツァルト】
「そっか。一番高い声出せる女の子を見つけるのも大変だけど、一番低い声を出せる女の子を見つけるのも大変なんだよね」
 ハスキーボイスなんだと、相手が明かして来たので、素直に信じると、最初聞いた時、あまり気にしなかった理由を楽しげな表情と弾む口調で答えた。
 モーツァルトが話しているのは、オペラ歌手の話だ。
 現代でもアルト音域まで歌える人間は少ないので、恐らく現代よりも乳児死亡率が高く、医療技術が未熟だった18世紀の時代では、宝石の如く貴重な存在だったのだろう。
「他には? 例えばさ、アッシュが好きな物とか」
 相手の話を聞き終わると、おかわりと言わんばかりの態度で話していくモーツァルト。
 自分本位かつ積極的過ぎるのが、モーツァルトの難点、とりあえず無難な話題で切り出してみようと試みたら、あっちの世界の情報が入ったとの話を持ちかけられたので、目を輝かせながら見開く。
「本当に!?」
 興奮気味な声色でそう聞き返す。
「分かった。僕達の秘密だね」
 秘密だよというグレイルの仕草に、ニンマリといたずらっ子が浮かべるような笑みで返すと、早く早くという態度で示しだした。

 第三臣民の事を聞いたモーツァルトはまず思い出した記憶は、18世紀ウィーン。音楽家はかつらを被り、宮廷で仕えていた時代。
 貴族と聖職者と市民がはっきりと分かれていた時代、前に思い出した記憶によるとモーツァルトは「自分の為に音楽を捧げろ」と大司教や貴族に言われた事がある。
 もうひとつは、オペラをやった劇場。
 オペラはチケットさえ買えれば、身分関係なく観賞できる娯楽だった。
 二つの『彼』の記憶に揺さぶられて、モーツァルトはムジークと言われる不思議な音楽の力を使って、第三臣民を楽しませたいと体がうずいていた。
 きっと、昔のように市民の立場に値する人々も喜ぶ筈、つらい境遇にあっていれば尚更だとモーツァルトはそうあちらの世界について感じ取っていた。
>グレイル・ザーラヴァ―

8ヶ月前 No.100


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