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【ALL】Chrono Apostle【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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異次元からの使者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

西暦7000年に起きた、時空防衛連盟と歴史是正機構の戦い。時空を巡る戦乱の果てにあった、時空断裂という最悪の結末。
史上最大とも称された危機を乗り越え、人類は更なる発展を重ねながら安寧の日々を過ごしていた。
民衆からの圧倒的な支持を受け、世界政府大統領に選出されたユーフォリア・インテグラーレは、就任と同時に数々の改革を実行する。
彼女の治世の元で、汚職にまみれていた世界政府はあるべき姿を取り戻し、社会問題となった経済格差にも改善の兆候が現れつつあった。
もはや、人類があのような危機に陥ることは、二度とないだろう。誰もがそう思っていた矢先、それは唐突に始まりを告げる。

新たなる大統領の誕生から丁度1年が経過したとある日、大統領直属の組織となっていた時空防衛連盟が、時空の歪みを観測した。
それが検知された場所は、リヒトルザーンから車で6時間ほどの距離にあるオラムフェルト上空。直後、空を割るようにして、異形の物体が出現する。
周辺一帯を覆い尽くす、無数の戦艦。どこからともなく現れた彼らは「並行世界管理協会」を名乗り、"調整"のためこの世界を訪れたのだということを明かす。
曰く、この世界の科学の発展は危険領域へと達しており、その先にある崩壊を防ぐために、協会の管理を受け入れることが必要であるというのだ。
しかしそれは、彼らの下に付くことも同然のこと。世界政府は拒否の姿勢を示すも、相手が返した答えは、武力による制圧であった―――

以前から存在が示唆され、半年前には実際に確認されていた並行世界。そんな、数ある並行世界の一つによる侵攻。それが現実となった瞬間であった。
オラムフェルトは一瞬の内に焼け野原へと変えられ、敵艦隊は世界政府首都、リヒトルザーンへと向けて進軍を開始する。
このまま何もしなければ、彼らによって世界は完全に滅ぼされることとなる。世界政府の命令を受け、抗戦のため次々と出撃していく時空防衛連盟と地球軍の面々。
ようやく訪れた平穏の時代を、破壊される訳にはいかない。美しき世界を護るため、時空防衛連盟は一月前に完成したばかりの"並行世界移動装置"を用い、境界線を超える。
その先に広がっていたのは、世界政府が汚職に染まっていた暗黒時代すらも軽く凌駕する、絶望の景色であった―――



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時空防衛連盟の存在するホームワールドと、並行世界管理協会の存在するアナザーワールドです。並行世界管理協会は、ホームワールドを支配下に置くべく、世界の境界を超えて戦争を仕掛けてきています。自らの世界を護ろうとする時空防衛連盟の面々と、そんな彼らを打ち倒して世界を支配しようとする並行世界管理協会、更にはその両組織の戦いに巻き込まれた人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

メモ2019/05/03 00:29 : 風神少女☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_bhZ

―――現在は、最終章です―――


最終章:「神の裁き」

人民平和記念研究所、その地下にある制御装置管理施設の破壊に成功したことで、アナザーワールドの地盤は大きく揺らいだ。

これまで虐げられ、管理されてきた第三臣民が遂に解放され、並行世界管理協会に対して一斉蜂起を起こしたのである。

彼らを物理的に抑え込む術を失った協会。街の至るところから火が上がり、これまで自由の下に君臨してきた第一臣民や第二臣民が襲われる。

それはまさしく、世の中が覆る瞬間であった。第三臣民達が響かせる怒号は、協会にとっての死神のセレナーデ。

偉大な目的のためには犠牲が必要。そんな理を強要してきた協会が、その理によって犠牲になろうとしているとは、何たる皮肉だろうか。

驕り高ぶり、栄華を極めた果てに待ち受けていた末路。諸行無常、盛者必衰。下された神の裁きを前に、かつての貴族達が怯え、震える。

本来ならば、これは連盟が手を出すべき領域ではないのだろう。しかし、彼らには、最初に連盟を頼り、世界の命運を託した"彼女"の願いに応えなければならない使命がある。

戦いの先に待ち受けている光景は、安寧の日々か。それとも、何も変わらぬ地獄の日々か。ホームワールド、そしてアナザーワールドの未来のため、時空防衛連盟は今、全ての力を結集し、最後の決戦へと挑む。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-92#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-4#a

最終章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-339#a http://mb2.jp/_subni2/19796.html-340#a


・現在イベントのあるロケーション

・ミゼラブルパレス(A):最終決戦 ※時間帯は夜

・並行世界管理協会本部(A):最終決戦 ※時間帯は夜


※(H)はホームワールド、(A)はアナザーワールドを現す。

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グスタフ @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

 ヒトの世に須く、絶対は存在しない。

 人間という生き物は万能ではなく、不滅ではない。
 全てを見渡すことも出来なければ、その両手で世界を抱え込むことの出来る者などない。
 永遠の命を持つことなど以ての外、不確定なことを確定にし続けるなどは夢のまた夢だ。
 己は己でしかないなどと叫んで、自分だけの世界を確保するためのスペースなど用意はされないし。
 理想を理想のまま描けるようなキャンパスを、世界は絶対に作ってくれない。何事も儘ならないものだ。

 儘ならぬ命を抱えて生きるものがヒトである。
 あるいは、それはどのような生物であろうと変わることはない。

 儘ならないから、何処かで折り合いを付ける。
 それを妥協と呼ぶこともあるのならば、あるいは他者との共存を示すことでもある。
 儘ならないから、その願いを他の誰かに託す。
 それを諦めと呼ぶこともあるのならば、あるいは他者への繋がりを示すことにもなる。

 儘ならないから、“どう生きるか”を人は探るものだ。
 そしてその答えは誰にとっても違う。あらゆる人間に対して百となり得るものは存在しない。
 あらゆる人間が、永遠に安息を懐き続けることはない。
 それはヒトの歴史が示し続けて来た答えである。人間の価値観は永遠に流転する。

 しかしだからこそ、ヒトの歴史には点々と安寧の瞬間があった。

 その瞬間の中心に立つもの。
 世界という風車を回す風を、もっとも正しく導くものを王と呼ぶ。


 ………グスタフ・ホーエンハイムは、王を見届ける者だった。


 王の到来は戦いにしかない。紡がれてきた数十年の価値観が崩壊し、新しい『風』が吹く時でしかない。
 その時、その風を受けるもの全ての指標となり旗となるものこそが、グスタフにとっての王だ。ならば―――。


【会長室/グスタフ・ホーエンハイム】


 靴の音が静かに鳴った。
 戦いの時間からそう経過していないのだろう、このタワーの最上層に誰かが戸を開ける。
 この地がたった一人の王たる者だけのスペースであると主張していることを知りながら地より天へと男は昇った。

 息一つ切らすことなく、普段通りの立ち振る舞いで彼は大地に立つ。
 時空防衛連盟司令官にして地球軍大佐、グスタフ・ホーエンハイム―――。
 決戦の時に訪れた男の名。
 嘗てこの地に辿り着く前、この地を収める者を“王”と崇めた従者と矛を交えた者の名前だ。

「………ふむ―――驚いたな、これは。先客か?
 ああ、不躾な入室になったことは詫びようか。これで私は、事の終わりを待つほど気の長い男ではなくてね」

 先に来訪していた誰かを一瞥する荘厳な佇まいの男が、その黒い髪と衣を戦の風に揺らしている。
 扉を開けた彼が発した言葉は、小さな驚きだった。眉一つ動かしもしなかったが、
 たった今“王”を撃つために立ち上がったのだろう者へ視線を向け、それから“王”である女へと目を向ける。

 女は、確かに生まれついての支配者であり征服者だった。
 靡く銀色の髪は黄昏色に染まった空の光を浴びて瞬き、黒のドレスは鮮やかに彼女を彩っている。
 ヒトガタの宝石が闊歩しているような人間離れした美しさは、しかしそれを美しさとイコールで繋げはしない。
 相対的に見て、光の中に在る/在ったのだろう者が虫の息ならば、それは息一つさえ切らしてはいないものだ。

 なるほど―――内心でグスタフという男が、静かに同調する。
    、   ・
 この者は確かに王だ。
 在るだけで理解させる絶対的な力。それはまさしく、王と呼ぶにふさわしきもの。
 この世の秩序を我が手で紡ぎあげ、敷くものを王とするのならば、これ以上のものなどありはするまい。しかし………。

「噂はかねがね。『並行世界管理協会』が会長殿。
 御存知かと思うが、キングの貴女を守る駒は最早ない」

 王のもとに、臣下はいない。
 この王はあまりにも孤高であるが、それはイコールであまりにも孤独な存在だった。

 嘗て彼女を絶対と崇めた者はこの地にいない―――いいや、戦況にて報告されることさえなかった。
 嘗てこの地の歯車を回した戦士はこの地にいない―――その者はもう、既に命を落として久しい。
 あらゆる配下はもはや彼女の手元を離れた。王の座にあるのはただ一人だ。しかし………。

「いいや………最早必要としなかったということかな」

 王の座に在る彼女が、別にそれをどうでもいいと看做しているならば、それは当然の結末なのだ。
 手を入れ、磨くことを怠ったものはどのように輝く宝石でも朽ちていく。
 ましてやそれが、その者からただの石に見えているというならば尚の事。

 ………グスタフは、テロヨワ・アムリーベンという男を知らない。

 彼は他者の顔を認識しない。彼の眼に存在する区分は三つのみであり、
 テロヨワと言う人物がもしも“それ”でないのならば、グスタフは彼に声すら掛けなかっただろう。
 しかし視線を向け、一瞥し。それからたった今前座ないし余興を終えたものへと相対したグスタフは、静かに口を開く。それは彼が、そこに立ち、何かを望み、そして敗れようとしているものに、何かの意味を見出したに等しかった。

「貴公を王と呼び、絶対と定義したものがある」

 彼はそれを死地だと分かっている。
 そもそも男がこの戦いに見出した『王』は、たった一つと決まっている。
 それでも―――いいや、だからこそ。今彼はリコルヌ・エルヴェシウスの示した『王』と対峙するのだ。


 風は吹いた。風を示す旗印が立った。
 秩序の終わりは、新しい秩序の始まりであるから―――黄昏は無明を経て曙光へと変じていく。今がその時なのだ。


 穏やかな面持ちも、相手に合わせた物言いも、その根っこの部分を含めれば表面上の飾りに過ぎぬ。

 優雅にも見え、圧すらも感じさせる覇者のふるまいを以て、彼は一歩、二歩とあゆみ。

 目前にいる何者か―――ただ一つの、ただ一人しかいない世界の王者へとその瞳を向けていた。


「であるに、私が見定めるべきは一つだ。
 ―――お相手を願おう、ミゼラブル・ディスペラツィオ。貴公の器を拝見させて頂く」

 ・
「証無き王の器に………世界は収まらぬよ」


 ―――だれかが命を懸けた、証明のための戦いが終わろうとして。

 ―――古強者、グスタフ・ホーエンハイムの。

    あるいは、最後の“選定”が始まった。


>ミゼラブル・ディスペラツィオ、テロヨワ・アムリーベン


【ラスボス戦に参加させて頂きますm(._.)m】

1ヶ月前 No.1835

虚空への妄信 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qot

【並行世界管理協会本部/研究施設/ヒューマノイド研究区画/デクロム・ディシダール】

「逃げられてしまいますか、いやはや、自分の戦闘スキルの無さが忌々しいですね。 もっと貴方を楽しませられれば、良かったのですがね」

ニコリとデクロムが笑う。
一般的にこういう場面で彼が笑うということは、笑いとは本来攻撃の意味で云々かんぬんなどと解釈するべき所なのだが、恐ろしい事に彼は今までと一切心境を変化させていない。
ただただ、アリアと言う来客が望む"殺し合い"に対して、自分が大したものを提供出来ないことを嘆く言葉を呟いているだけだった。

仮に彼女が表情を歪めて、自分の手に握られているハサミによって出血が見られていても……彼にとっては死や生など、もうすぐ些細な事になってしまうのだから当然彼もそれに罪の意識を感じたりはしない。
さて、そのまま戦闘は継続される……と思いきや、相手は戦闘に集中するのではなく、何かこちらに向かって口を開こうとしていた。
その時、デクロムは追撃を掛けたりはしなかった、このような戦闘中の言葉を妨害するのは無粋かもしれないと思ったから。

アリアのその言葉を聞いたとき、デクロムはただ……「無理解」を告げるように首を傾げた。
笑顔から表情が離れるが、やはり敵意は無く、ただ子供の問いかけに真摯に考え込む大人の姿を映し出す、だが、その姿は酷く邪悪だった。

「変わっていない……? あぁ、なるほど、貴方は子供ですから、見た目の変化こそが進化であると、そう思っているのですか? 生まれ、育ち、やがて朽ちていく、確かにそういう意味では、貴方から見て私は、瞬間的に成長できるわけがない、身長が1cm足りとも変わらない私が成長を語るのはおかしなことのように聞こえるかもしれない」

"誰がそんなことを聞いたのか"。
おそらく、誰もがそう思うような回答がデクロムの口から漏れる。

まるで特定の答えにプロテクトを掛けられたコンピューターのように、デクロムの口からは見当違いな発言と計算が流れ続ける。
そんな中で、デクロムは一つの言葉をアリアに向ける。

「成長とは、許容すること、変化を受け入れることです。 私は神を受け入れ、貢献し、この"コブラメナス"と言う成長を得たのです。 そう、このコブラメナスは、私の神が存在するという何よりもの証拠、誰もが私の神から送られたギフトを、当然の事であるかのようにお前が作っただけと言う、だが違う、私はただ彼らに体を与えているだけ、そこに降りて来たこれは、紛れも無く私の神の眷属なのです。 何の動力も組み込んでいないコブラメナスが自動で攻撃するはずが無いのです、それが分からない事のようにのたまう協会連中のなんと愚かなことか!!」

……それは答えではなかった。
まっすぐに相手の目を見つめながら、空虚な存在は実在するのだと熱弁しただけだ。

そして、アリアの叫びがデクロムに届けば。

「私が不完全など今に始まったことではないのです、パルメメもハートレスも私が作りましたが、それの構成物質の35%も私は知りはしない。 ですがそれは人間全てに言えること、だから、神気取りの人間ではなく、神が必要なのです、人間にはッ!!」

そんな言葉を放ちながらも、デクロムは当然のように大鋏を振るった。
それも、アリアが攻撃を放った直後に、人並み外れた反射速度で攻撃を放った。
あの演説を垂れ流しながら、彼は異常な戦闘スキルを見せている、幾ら異常者であっても、彼は上級役員と言う肩書きを持てるだけの存在なのだ。

だが、大鋏から放たれた「斬撃」はアリアのみを引き裂くもののようで、アリアが放った刃と接触することすらなく、まるで実体が無いように通り抜けて、まっすぐにアリアに向かっていく。

さらにアリアは、こちらの動きを止めるために、氷柱を自分の足元に着弾させ、地面ごとこちらを凍りつかせにかかる。
だが、デクロムはそれよりも敵からの攻撃を優先したのか、敵の蒼い刃を大鋏で往なそうとするが……その際に、血が飛び散った。

確かに刃はその鋏によって往なされたものの、足が上手く使えない状態では多少の弊害が出たらしい。

……デクロムからの攻撃は、先ほど放った斬撃のみ、さらにダメージを受けて、デクロムは足元の氷に何の対処もしていない。
次にアリアが攻撃すれば、確実に殺れるかもしれない、そんな状態のままであった。

>アリア・イヴァンヒルト

1ヶ月前 No.1836

繋げる想い @aaazzz123 ★Android=raodXHjAGO

【ミゼラブルパレス/記念広場/リキッド】

機械仕掛けの悪夢の体現のよう”だった”それは最後、穏やかに「お前を守るからな」と、オルガに声をかけ、その直後にアンジェロの風に乗ったヴィルヘルミナのナイフがモニターへと…両親へと直撃。

「子を守る親」「親を守る子」その2つと対峙していたリキッドは、オルガの両親だった残骸を前に、ただ泣き崩れてしまう。
「自分は一体何と戦っていたのか」と、自責の念にリキッドは苛まれ、嗚咽を挙げて、大粒の涙を零す。


「ごめん…なさい……っ!…ごめんなさい…っ……!!」


その言葉しか出なかった。
許されるとは思っていない、誰に許しを乞うわけではない。ただ、そう言わずにはいられなかった。

オルガから帰ってきた言葉は、「悪いのは全部自分」だと、リキッドの罪悪感を真っ向から否定するような言葉だった。


「違う…違う…っ…!貴方は悪く…っ……悪く…なんか…っ…!」


リキッドはただオルガのその言葉を否定した。
だが、それ以上は言えなかった。もしオルガと戦った自分を悪いと言えば、それは同じく戦っていたアンジェロやヴィルヘルミナまでも悪く言ってしまうようで、言葉を詰まらせた。

…オルガの心臓をナイフが静かに貫く。
………「悪夢」は終わりを告げた。それは特定の誰かへ向けられた言葉ではない、悪夢自身すら含む、この場の全てに向けられた「現実」であった。

リキッドはその現実に打ちひしがれ、もう限界だった。

「泣くな」という穏やかな声、リキッドはふと顔を上げる。
もう息をするので精一杯な程に重症を負ったヴィルヘルミナが、変わらぬ口調でリキッドへと語りかけてきていた。

「貴方は間違っていない」と、「胸を張れ」と。
「誰が悪かったかわからないなら、それはきっとどちらも間違ってはいないんだ」と。
だから、そういう時は「自分の守りたいものを守るんだ」、そして「それが自分だけだと思わないように」と。
「それでも、後悔することはたくさんあるけど」……と。

リキッドは涙を零しながらも、ヴィルヘルミナの言葉を頷きながら、黙って聞く。

「オルガの事を想うことがあったら、生きるのを投げ出すな」「生きてる内は胸を張って、笑う。その方が後悔しない」

…リキッドへと向けられた言葉は、それで全て。
……リキッドは自分が受けた傷の痛みを「簡単に無くしていいのか」と、回復する事を拒んだ。
だが、それは違う。
「この痛みを忘れぬように生きるんだ」と、リキッドはヴィルヘルミナの言葉で、ようやく前を向き、進む道を見つけたのだ。

「私……もう、迷わない…っ…!今度こそみんなを守る…っ……そして…生きる…っ…!!」

ヴィルヘルミナの言葉に、リキッドは涙声でそう答えた。
ヴィルヘルミナの言葉を胸に、自分を守ってくれたヴィルヘルミナの為にも。
「前を向いて」「胸を張って」「生きる」
リキッドは、そう決意した。


ヴィルヘルミナは最期、アンジェロに2つの事を託した。
「ケイトリン」という人物の事、そして……リキッドの事。

それを伝えたヴィルヘルミナの意識は、天へと昇って行ったのであった。


再び涙が溢れ出すリキッドの事を、アンジェロは優しく抱き締める。
アンジェロの言葉に、リキッドは強く頷きながら、アンジェロの事を抱きしめ返す。

…アンジェロの腕が解けた後、リキッドは自分の身体に空いた傷にそっと触れる。
リキッドはその痛みを噛み締めるようように目を閉じる。

……そして、液状化。すぐに肉体を再構築する。
身体の傷は初めから無かったかのように再生する。
だが、身体から傷が消えても、その傷の痛みを、信念を忘れる事は無い。


「………帰ろう、生きて」


アンジェロに、リキッドはそう静かに返した。

>>アンジェロ・ピニンファリーナ、ヴィルヘルミナ・レーヴェ、トリニティ=ナイトメアーズ



【絡みありがとうございました!とても楽しかったです!】

1ヶ月前 No.1837

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【並行世界管理協会本部/レストラン/橋川 清太郎】

レーダーに人間ひとり分の生体反応が出た事に気付く。わざわざこの地点へ現れるだなんて、普通の人物ではないだろう。まず敵と考えて良さそうだ。

(……!)

それもただの敵じゃなかった、この反応はログに一致するものがある。対象データは……一度目の歯車王との戦闘時に現れた男だ。ヘルガ・アポザンスキーと共闘し、その最中に敗れた苦い記憶が蘇る。
視線をその方角へ向けると当時と変わりない姿で、GAWND-Shoot packを写真に収めていた。

(?……戦うつもりじゃないのか?)

こちらを撮影したことなどまるで意に介さず、男の挙動に注意する。どうも今の彼からは闘志やら覇気やらが欠けているように思えた。あの時披露した戦闘形態へ変化する兆候もみられない。が、それでいて不敵な言動などはそのままなので強い違和感が胸中を覆う。一体何が目的なのだろうか、協会とは違う方針という可能性も十分考えられる。そんな考察を余所に男は自らのペースで話し続ける。

「答え……」

男の口から出た単語を無意識に復唱する。

『何故闘う』

『何故闘える』

脳裏に強く残っているその言葉への答えは、未だ出せていないに等しい。ただ、闘い続ける事に対して全く疑問は湧かない。いつだって自分自身の価値観を曲げずにやってきた。相手の事情を知った上でその屍を跨ぐこともあれば殺生を避けられたこともある。

「僕は……そう、だね。根本は子供じみた正義感だと思う」

答え、というよりは現在の自分の思想。そしてその奥底にあるものの吐露であった。
成人時には既に否定されて、磨り潰されて然るべき稚拙な思考パターン。だが自分はそれを捨てきれず、なまじ機械分野に秀でているせいで決定的な自己矛盾を指摘されず今に至る。否、指摘されたとしてもこの方針を変えることは無かったろう。そして今更変えるつもりもない。

気が付けばSpica needleを握る手は緩みきっており、下手をすれば取り落としそうになっていた。少なくともこのタイミングで戦闘することはないだろうと直感し格納スペースへ戻す。

「……君は一体何者なんだい? 素直に協会に従っているわけじゃないみたいだけど」

たった今破壊者・門矢 士と名乗ったが、この際本人から簡単な経歴などを聞いてみようと考えた。これまでの行動を鑑みるに、協会の忠実な兵士というわけではないようだが……

>>門矢 士

1ヶ月前 No.1838

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_dzt

【並行世界管理協会本部/会長室/テロヨワ・アムリーベン】


―――銀の銃弾は間違いなくミゼラブルを貫いた。

   たった一度きりの銃弾は生ける化け物を確実に屠る―――

   ……そう、相手が生を受けた化け物であるならば―――

男の策に何一つの抜けはなかった。それだけは間違いない。会長室に脚を踏み入れる瞬間にまで叛意を誰一人として悟らせなかった事、自身の異能を秘匿し続けそれを最大の切り札とした事、その切り札を最も有効に扱える手段さえ確実なものにした事。何処にも誤りはない。
風見鶏を演じ、子供たちの事を除けば目立ち過ぎない中立を維持し、思考の開示すら多く行わない。隠し続けた異能も、それを使わなければ子を知ることが出来なかった愛しい子供以外には露呈させない。そして何より、切り札を活かすことに余念もなかった。
そう、男は全ての前段階を最高と言える状態で終えていた。会長側にそれを探ろうなどという意図がなかったとはいえだ。一つ、たった一つの誤算があったとするならばそれは、ミゼラブルという存在があまりにも違い過ぎる事だろう。
男の瞳は人の形をした存在を文字通り人間にする。不定形の生物であろうと人の形を取れば人間として存在させ、不死であったとしても何の変哲のない人間とすることも出来る。例外として無機物である場合のみ、人型であっても人間とすることは出来ない。
言い換えれば、人の形をして生きる者を人間とする、が正しいだろう。だからこそ、機械である素振りもなく、人の形をしていたミゼラブルに対してこのような策を取った。いや、人の形をして生きている以上誰であろうとも屠る絶対の切り札を選択したのだ。
だからこそ、男は笑みを浮かべた。魔力全てを一瞬でも停止させ、瞳の異能を発動させたとき、間違いなくその肉体は人間になったと理解できたから。壊れいく身体に、消えゆく命を自覚しようとも、唯一にして絶対を叩きこんだのだから。
頭部と胸部、人間の急所である部位へと吸い込まれる弾丸。その反動によって身体が浮かび上がり、倒れゆく様を間違いなく男は瞳へと映していた。歓喜はしない、油断するにはまだ早い、そう思っていようとも達成された目的に心が沸き立ち始めた時―――

―――何事もなく、立ち上がるミゼラブルの姿がそこに在った。

「……あぁ、そうか。いや、ままならない、ものだ」

何故、そう問うことの無意味さを理解していた。結果は既に出ている。男の策は万全を期して発動し、それでもなおミゼラブルは生きている。ただそれだけのことである。それでも、男はその何故も見やれば既知へと収めることが出来た。己が異能を理解しているからこそ。
傷跡はない。されど、魔法に知識以上のものを持たない男でさえ知覚できる魔力が心臓部を流れていた。周囲の魔力すら吸収し、血液の如く体内を循環させるそれ。確証はない、だが即座に大まかな推測を立てられぬ程の材料が無い訳ではない。
言葉にしてしまえば簡単な話。ミゼラブルは生きてはいない、更に言えば心臓部にある何かこそがその核なのだろう。男の異能は生きているならば人間にする、事実動く身体の能力を封じていたのは確かだ。だが、生命活動に必要なものが外部にあるならば計画は容易く崩れる。
人間にした上で、頭部と胸部に傷を負えば生きてはいない。だが、そんなものが関係ない程の何かを後付で仕込んでいたのならば、この状況は有り得るのだ。加えてそれは無機物である、有機物であれば人体の一部としてこの異能はそれごと人間にしてしまう。
それが何故そうなったのかを分かったところで、それが何か、それを覆せるだけの何かを男は持っていない。時間が、力量が、何よりも命が足りない。魔力の暴風を身に受けた時点で既に虫の息と言っていい有様であった。
それに加えて、止めを刺す様にミゼラブルから放たれる閃光が男へと向けられている。数多の輝きが、一種の神々しさすら思わせる眩さが、男の全てを簒奪する最後の光であった。

その光を目の当たりにして、霞む視界に流れる時が酷く緩慢になるのを感じながら、男は一つの感情を懐いていた。
後悔、そう呼べるほど大層なものでもない悔しさと呼べるものであった。何に対してか、そう問われれば全てだと答えを返すもの。

―――悔しいのだ。青年との約束を果たせない事が。
己が放棄した責任の重さを知る為にもう一度殴られて、名を聞いて、しっかりと礼を言いたかった。
もし、関係が続くようなことがあれば、子供たちを紹介したいと思っていた。助けてくれた人だと、そう教えたかった。

―――悔しいのだ。大人としての責任を終ぞ、果たせなかったことが。
この歪な世界を許容したケジメを、この世界の大人の誰かが付けなければならなかった。特に、受け流し続けてきた自分のような大人が。
決着をつけて、これまでにしてきたことの清算を行って、新たな世界を作らなければならないのは、他でもないこの世界の住人であるから。

―――悔しいのだ。親であろうとして、親になれたと思って、結局親の役目を果たせなかったことが。
亡き妻と目指した、子供が確かな愛情を受けて過ごす世界。そうなればいいと思い、親になろうとしてきた。
愛していた、大切だった、代えがたい存在であった。命に代えてでも護りたいと思っていた。
不安を覚えさせたくなかった、笑っていて欲しかった、年を重ねて成長する姿が何よりも嬉しかった。
最初はどうしようもないエゴだった、そのエゴで子も妻も失ってしまった、それでも、それだからこそ己の子供のように愛していた。
これからもずっとずっと、愛したかった。己が捧げられるだけの愛を、全ての子供たちに受け取って欲しかった。
それが、ここで途切れるのがどうしようもなく悔しい。自分の死で、子供たちを悲しませることが何よりも苦しい。

―――悔しいのだ。その先を、見ることが出来ない事が。
再び会った青年がどんな顔をして迎えるのか。変わったこの世界がどんな景色になるのか。
成長して、巣立っていく子供たちの姿を、最早見ることは叶わない。
死を覚悟していた少し前は、割り切れていた。仕方のない事だと、命を賭けなければ成し遂げられないとそう思っていた。
だが、堪らなく悔しいのだ。ここで終わってしまう己の不甲斐なさが、どうしようもなく。

それでも、男はその悔しさを死まで引き摺りはしない。もしがあれば、時間が巻き戻せれば、そう考えてはしまう。しかし、それでは駄目なのだ。悔いて死ぬことだけは許せはしなかった。間違いもあった、過ちもあった、だが男は一点において悔む事はない。
それは子供たちを愛せた事、それだけを悔いることはならなかった。死の間際だ、弱気にもなる、これまでを振り返り、こうであればと思う事もある。だが、子供たちを愛したことに何ら悔いはない。己が人生を悔いたまま終えれば、その愛さえ悔むことになる。
だから、男は迫り来る光を目の前にしても尚、微笑みを浮かべる。悔しさはある、生きたいと思う心もある、抗えるならば抗いたい、だが最早それは叶わないのだ。だから男は子供たちを愛せた己を誇って、最期を迎える。

決して胸を張れるような親ではなかっただろう。今だって、親という前に立つべき背中を失わせることになる。
最早こんな事を思う資格はない、だがこれだけが己が生涯において唯一誇れる点であるからこそ、心に刻みつけて終わりを迎えようと。
―――――子供たちよ。私は何よりも、誰よりも、愛していた、と。


「―――――――」


男の口が、何かの言葉を形作ると同時に煌めきの閃光が男を幾度も貫いた。貫く度に男の白衣は加速度的に朱に染まり、その肉を焼き焦がしていく。いつ、事切れたのか分からぬ程に集い喰らい付く光、それが晴れる頃には一つの亡骸が壁へと凭れ掛っていた。
その肉体の状況はあまりにも悲惨、熱線が幾度も貫いた身体は原形をとどめるどころか、焼け爛れた後も併せて変形とも呼べる有様であった。しかし、それだけの攻撃を受けたはずの表情は笑みを浮かべたまま終わりを迎えていた。

その微笑みは、約束を果たせない事に不誠実だと笑うようで、何かを託した安堵のようで、あまりにも生きた男の笑みにそっくりであった。

テロヨワ・アムリーベンという名の男はここで命の灯火が潰えた。大勢から見れば無謀にも挑み、敗れたようにも思える愚かな男と言えるだろう。
だが、男は大切なものだけは守り通していた。己の命よりも大切な存在の安全を確保していた。その事実を知るのは、恐らくはもう一人だけだ。
本人は否定するだろう、だが男は紛れもなく親であった。それを否定できるものは、誰も居ない。

【テロヨワ・アムリーベン@オリジナル 切り札を放つも効果はなく、その真実の一端を掴むも言葉に出来ず、閃光に貫かれ命を落とす。その表情はあまりにも自然な笑みであったという。】

―――そして、男の果たせなかった事を為す者たちがここに集う。

>>ミゼラブル・ディスペラツィオ (グスタフ・ホーエンハイム)


【これでテロヨワは退場とさせていただきます!前哨戦という形で、お付き合いいただけたことを嬉しく思います!
お相手、ありがとうございました!書ける事を全て書き切ったので満足です!】

1ヶ月前 No.1839

アリア @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【ヒューマノイド研究区画/アリア=イヴァンヒルト】

 それにしたって、全く表情が変わらない。
 刃を振り下ろすその直前、交差した視線の中で、わたしが変わらず思い続けたことがそれだ。
 なんの動揺も見せる様子さえなければ、ことばに対して憤激する様子すらない。怒りも嘆きも悲しみもない―――それには本当の意味で善意以外がないと分かっているから、この男はどうしようもなく悍ましい。
 なんで悍ましい、と思うかさえも、分かってしまうのがどうしようもなく“痛いの”を感じさせる―――だって喋っている自分が、届くわけがないと薄々分かっている。閉じた箱庭を作った男が外に興味を示しても、それは“外の世界が気になる”という意味ではないのだと、わたし自身が良く理解しているから、この会話が一方通行になるのは当然だった。

 わたしがいま、この男の言葉を聞いて思いたい/信じたいことがあるのに。
 どうしても、心の中に突き刺さるような楔が抜けてくれない。

 そのきもちわるさは、アレが一言二言、自分の言葉に同じような塩梅の乱反射を繰り返す度に増していくのが分かる。
 だってそうだ。誰も、成長と変化の定義について話せなどと言った覚えはない。
 背丈は変わらない、見た目は変わらない。そんなことは見ればわかっているし、それは成長であっても変化ではない。
 この男はただの一度だって、出会った時から自閉症のような態度に違いを見せた覚えもない。だから彼方の返す言葉は、わたしの言葉の表面<テクスチャ>を掬って、自分の在るように解釈して、以前と変わらない言葉を繰り返してくる。

「………違うッ」

 以前と変わらない。そう―――このデクロム・ディシダールは、きっと何も許容していない。
 なにも変化していない。
 最初にわたしが、この男を“ダメだ”と思ったのと同じように、ヒトですらないモノよりもっと理解出来ない。

 影の中を蠢く蛇を誇らしげに語り、ますます人間離れした挙動を取る男に、
 わたしは刀を振り下ろす直前、絞り出すような悲鳴じみた声を上げてそう返した。
 それは違う―――それだけは、言えるようにならないといけなかった。そんな“りくつ”の話なんかしてない。

 アレに言わせてしまえば“わたしが神を知らないから”なんてことになるのだろうけど、そんなのは知りたくもない。
 そう思って、違うを繰り返すわたしは、恐らくではなく確実にムキになっているのが分かって。そのムキになる理由も、彼の閉じた環が、どうしても嫌いになってしまったコトを思い出すのが分かっているからだ。


「―――違うッ!」

 ―――蒼が堕ちるのよりも早く、鋏の白刃が閃く。


 氷柱が突き刺さるのに合わせて、立て続けざまに自分の手元から解き放たれた光輝が天より地を襲う。
 手元に携えた蒼光から伸びた刀身は、そのまま行けば氷柱ごと脚を止めたデクロムを切り裂ける。
 大鋏が振り抜かれると同時に、光の向こう側に現れた白刃との衝突に合わせて手元に力を入れ、空を舞う自分の身体を制御しながら視線を交差させる―――衝突まで1秒と満たない僅かなラグの中、スローになった時間でワルツを踊る。

「わたしはおまえの言う神なんか知らない………。
 おまえの言う神が、何処にいるかだって知らない―――何をやって、何を望むのかも」

 上から下へ、自分の視線が男を映していた。
 下から上へ、向けられた視線と“眼”の中に自分が映る。

「おまえも同じ―――知りもしないなら!
 自分の“つくりもの”のことくらい、なんで知ろうともしないッ!」

「あの人形が『心』を知りたがってた―――どうして“知らない”で片付けるッ!」

 その最中でさえ、真っ直ぐに見つめてくるそいつの視線が、自分の心を音を立てて削って来る。
 知りたいこと以外を知ろうとしない男にわたしが向けた視線が、怒り以外にもあるとそいつの瞳が映していたから。

 だからわたしは、少し逃げるように―――けれども間違いない本気の感情で、さっきの話を蒸し返す。
 構成物質がどうとか、躰の作りがどうとかではない。
 あの腕のやつと、人形のやつ。後者は怪しいけれど、前者は生きていて、望みがあった。
 正直に言うなら思い出したくないけれど、その連中を作って、そう“命”を与え、戦う場所に駆り出したのはこの男だ。正確にはこの男ではないのかも知れないけれど、それを止めたり、ヒトガタにしておきながらヒトのことを教えなかったのもこの男だ。
 それは少なくとも、わたしがこれを認めたくない理由の一つだ。幾つも理由が出来るくらい、わたしはデクロムという個を認めるつもりになれない。………なれないけれど、断と向かって否定出来なかった。


 狂った男のように自分にしか見えないものを喚き散らすその様が理解出来ない。
  /けれど。

 筋道立てて理屈を語っているようで、それが自分の中で完結する様を理解したくない。
  /けれど。


 けれど………。
 その蠢く影に潜んだ蛇を“贈り物”だと語り、神の実在を謳う歪んだ狂信者まがいの語る言葉が。
 すべてウソには思えないのだ。だから神が必要だ、とか、そんな話に共感したわけじゃない。

 あの黒い異形は確実に存在する。
 そもそもの大前提として“アレ”は今までデクロムという男が見せていたどんな力ともケースが違う。

 それにどんな感情を向けて良いのかは知らない。
 ただそれ以上に―――神が必要だと、自分の中の熱を全て注ぎ込むようにして吼えたデクロム・ディシダールの言葉が嘘ではないと分かった時。それが男の『知りたいこと』であるというのだけが分かってしまう。


 違う、と言いたい。
  /わたしとこの男は絶対に違うって、そう言いたい。

 けれども、言えない。
  /だってわたしだって、今まで『知りたいこと』のためだけに生きて来たから。


 ―――そうして思考への潜航と躰の動きを両立させていた自分が、不意に現実に引っ張り上げられる。


「(すり抜けた―――!?)」


 刃と刃が交差し、お互いがお互いの命を狩るべく突き進んでいく。
 望ましい状況に蒼光が奔ったというのに、わたしは真逆の心持ちでその状況に眼を見開いた。

 触れられない―――。
 衝突の感覚はあったはずで、あれが間違いなく今まで使っていた“斬撃”だというのは分かっているはず。
 これがぶつかって此方が押し負ける、ならまだいい。望ましくないが理解は出来るからだ。けれど触れたはずの刃は、実体のない亡霊<ゴースト>を思わせるように真っ直ぐ自分の方へと向かっていく。

 よりにもよって、自分が剣を振り抜いた直前/直後に、その隙を逃さないと言わんばかりにだ。
 デクロムという男が、ただ夢想と現実を混合するだけの男ならよかった。
 でも違う、これは手練れだ―――自分が今まで殺して来たもの、戦ってきたものの中で何よりも。

 迂闊―――そんなこと分かっていただろうに。
 歯噛みするより先に身体を動かす。

 先程と同じように片方の腕を宙に突き出す。咄嗟だから形にはこだわらない。
 マナを押し出すようにして開いた掌から蒼光が伸びて、拡散するように障壁を造り出す。
 むりやりのガードだ。片方の手元に刀剣のイメージを持たせた上で、もう片方の腕で防壁の空想をするというのは、あたまが二つあるわけでもないから存外難しい―――出来ないわけでもないけれど、そう平然とやれるようなことじゃない。
 何より刀の方から意識を手放すわけにはいかない。飛び散った血と刃から伝わる手応えに構うことなく、右の手で振った刀剣のベクトルをそのままにしておきながら、わたしはもう片方の“かたち”を速やかに作り上げようとする。

 問題は―――。

「(防げない………!)」

 そんな取ってつけたような防御の仕方で防げるなら、苦労しないということだ。



 ―――パリン。硝子の割れる音に近いような響きと一緒に、視界が明滅した。



「づ………ァ、あッ―――!」



 飛んできた斬撃が身体を切り裂く感触に、押し殺すような声が上がる。
 衣に広がった鮮やかな赤は勢いよく広がりを見せながらも、一瞬意識を持って行きかけた。

 断絶しかけた思考と、態勢を崩して空から地面に失墜する身体―――まだ死んでいない/まだ死にたくない。
 その中でもう一度見えた視線が、彼方の脚がまだ攻撃の時点から留まっていることを再認識させる。

 なら、その機を逃してたまるか。
 手元から乱暴に蒼光の刃を手放して消滅させると、すぐに次を組み上げる。
 突き抜けるように出現したままの氷柱は自分の“射程”の中、意識を其方に持って行き―――。


「逃が、さない………ッ!」

    、   、 トリガー
 吼えるようにして、術式を弾く。


 デクロムの足元を凍て付かせた氷柱とそれによって広がる冷気。
 それ自体はそのままに、凍て付く性質を伴うマナが増幅され、幾つもの氷槍に姿を変えて地から突き出た。

 喩えるなら串刺しにでもするように、幾つも枝分かれして。
 多少足元から逃げたくらいなら、逃げた先ごと貫くように、何本も氷槍が飛び出る。飛び出ると同時に足元を凍て付かせたそれは、自分ならば干渉して変えられるが、彼方の脚を奪う範囲をより広げるための真似だ。

 その上で、地面へと身体をしたたかに打った痛さを感じながらも、振り向きざまに片腕を振り抜く。
 振り抜いたと同時、足元を薙ぎ払うように蒼い光糸が斬撃の性質を伴ってデクロムのもとへと飛んだ。
 辺りにある研究器具やらなにやら、大事そうにされたモニターまでは無理だが、それ以外の間にあったものを纏めて切り裂くように振り抜かれたそれは、氷柱とだけは干渉し合わない―――要は意趣返し。そう“形成”した代わりに少し威力を落とした以上、これの真の狙いは足払いだ。さっきの刃で切り裂けなかった以上、彼をこれで易々と切れるとは思っていない。


 距離を取り、片手を突いてよろめくのを抑えながら立ち上がる。
 もう片方の手を傷口に当てて、手元にマナを広げるようにしてその傷に“修復”のイメージを突きつける。

 一発でどうにかなるわけじゃない。傷を塞いで、致命傷をどうにか致命傷ではなくする程度だ。
 時間があるなら元通りに出来たが、時間があるわけじゃない―――手にこびりつく血の感覚に億劫になりながらも、冷たさを感じさせる空気の向こう側にいるだろうデクロム・ディシダールをもう一度見据える。


「(どう、なった―――)」

 どうなった。今ので、あの変わりもしない狂信者の笑顔は変化を見せた?
 それとも、いいや分かっている、生きているならきっと―――。

>デクロム・ディシダール

1ヶ月前 No.1840

世界の破壊者☆hWelpoTo9Ao ★XEmBtaY8sV_Qot

【並行世界管理協会本部/レストラン/門矢 士】

>橋川清太郎( >>1838 ) (>ミゼラブル、グスタフ、テロヨワ)

 改めて出くわした者と対面するが──なんというか、やはりお互いがお互い、戦闘中でもなければ以前ほど剣呑な空気にはならなかった。これが敵と判断すれば容赦のない──と、士は印象を受けた──ヘルガであればそうはいかなかったであろうが、元々『シャレ』をある程度好む士と、元々の気質が穏やかである清太郎であれば、そうはならなかった、ということだろう。
 士は硬い靴音を鳴らしながら、彼へ悠然と歩み寄る。
 そうこうしている間にも橋川清太郎という、元来の性質が生真面目なのであろう男は、士の問いに真剣に悩み始めた。

「そうだ。お前がこの闘いに身を投じる、理由を聞いているんだ」

 あの時に問いかけて。
 しかし水弾を浴びて気を失わせてしまったゆえに、聞き取ることのできなかった彼の真意。
 それにこそ、門矢 士は興味を抱いている。
 ゆえに近づき、目と鼻の先の距離で立つ今もなお、特に行動を起こすことなく、橋川の言葉を待ち続けているのだ。

 ──しばしの、静寂が流れる。
 だがその間隙は、長くは続かず、男は迷うことなく答えを口にした。

 子供じみた正義感だ、と。少年であれば誰しもが一度は抱くであろう、正義の味方、というものに対する憧憬に近いものだろう。
 英雄。勇者。ヒーローとも言い換えることのできるもの。
 誰しもが一度は胸に抱き。
 しかし時が経つにつれて、そんなものは存在しないのだ、と。もし存在しても、それは決して自分の役目ではないのだろうと、諦めてしまう尊く、熱く、されど儚き願い。
 そんなありきたりで、だからこそ輝ける願いを、彼は恥ずかしげもなく口にしたのだ。

「……お前も──“奴ら”と同じ、というわけか」

 士は満足そうに口角を吊り上げて──眼まではあまり笑っているようには見えない、悪人ヅラと言われても文句は言えないのだが──橋川を見つめる。
 やがて次に、彼は士に逆に問いかけてくる。彼は何者なのか──、裏返せば、何が目的で、果たして何がしたいのか……と。
 門矢士とは。
 仮面ライダーディケイドとは。
 はたして何者なのか……? 今まで多くの世界を渡り歩く中で、彼が投げかけられた言葉。もちろん、だからこそ、対する言葉は持ち合わせていた。

 ・・・・・・・・・・・・・
「通りすがりの、仮面ライダーだ。──世界の、破壊者」

 そのまま彼は橋川に背を向け、今にも崩れ去らんとしているミゼラブルパレスから見下ろす光景へと眼を向ける。
 大きな窓から世界を眼下へと下ろし、マゼンタのカメラを片手に、両腕を広げて彼は言う。

「俺は多くの世界を渡り歩き、世界を、あるいは世界を蝕む病巣を『破壊』し──あるいは、全てを“繋いで”来た」

 本来ならばありえぬ、並行世界同士を渡り歩き、出会うはずのない英雄達を繋ぎ合わせ。
 またあるときは通りすがるだけで世界を滅亡に追い込む者と迫害され。
 ──だとしても、なお、彼は“旅”を続けてきた。
 果てに、彼はこのアナザーワールドとホームワールドによる争いが引き起こされた、『この物語』という世界へと現れたのだ……と、解釈していい。
 士は景色を目を細めて見つめ続け、言葉を紡ぎ続けた。

「この世界か、それともお前達のホームワールドか。真に破壊すべきはどちらの世界であるかを見極めるために、俺はこのくだらない組織に潜り込んでいた。
 もしもの場合は、お前のような奴が踏み込んできて、“あいつ”を玉座から引き摺り下ろす時に邪魔が入ったら、それは興醒めだろう?」

 彼は、言った。破壊すべきモノは既に見定め終えたのだ、と。加えて橋川に対しては、こうして友好的に近い中立的態度を取っている。
 ここまでの発言と、橋川やヘルガを試すような物言いや、まともな致命打を与えようともせずに闘っていた理由や、橋川が知る由もないが、逃げ遅れた避難民を誘導していた理由、その全てがここに□がってくる。
 つまるところ彼は、『世界の破壊者』としての使命をまっとうすべく、真に倒すべき敵はどちらであるかを見極めんとして、この組織に潜り込んでいた。
 敵を騙すなら、まずは味方から。
 橋川がそうだし、万丈がそうだし、プリエールがそうだ。彼の眼に留まった、世界を“救う”に相応しい者を見定め、手を貸すために──こうして長い間、敵側に潜り込み、スパイ活動を行っていた、と解釈することもできるだろう。

「“あの世界”にいる連中は、少なからず、お前と同じような俺の納得する『解答』を聞かせてくれた。なら、もう言うことはない」
「──行くんだろう? この世界の、腐りきった秩序を、叩き壊すためにな」

 振り返り、門矢 士はようやく穏やかな笑みを彼へと向けた。

「道なら開いてやるよ」

 ──最後の闘いへ赴くならば、全力を貸そう。
 ──邪魔などすまい。
 ──俺はお前の答えに納得し、気に入ったのだ、と。

 言外にそう告げ、軽く手を振るう。その先に見えるのは、前回の闘いでも彼が撤退する際に見せた、灰色のオーロラのような光であった。
 光の向こう側には、今まさに闘いが始まろうとしているグスタフとミゼラブルの姿が映し出されていた。
 この時点では向こう側の面々にはこちらを知覚することはできまいが──、彼が嘘をひとつとして吐いていないことは、もはや明らかであろう。

 ……士の視界の隅に、いままさに消える命が映り込む。
 一瞬だけ顔を顰め──、彼は橋川の答えを待つ。

【門矢士、橋川清太郎をラスボス部屋ツアーへご案内致します】

1ヶ月前 No.1841

裁定者 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_dzt

【ミゼラブルパレス/闘技場/ダグラス・マクファーデン】

 土俵へと誘い込まんとする策が、悉くに下策に終わる。傲慢かつ尊大な態度とは裏腹に、敵は冷静な判断を下せる様子で、仕掛けられた挑発を意に介さず、此方の連携を前にしても取り乱さずに往なし切って見せて来た。
 それは次なる反撃も例外ではない。不規則性を持たせた軌道で放たれるレーザーを襲わせながらも距離を詰め、挑む接近戦にて拳と蹴りを交えた連撃猛打で、後に続く流星への対処を鈍らせる。本命への一撃に対して、自らはそれのサポートに徹する。実に解り易い図式だ。
 だが、それ故に仇となる。それなりに頭が働き、尚且つ切り抜けるだけの実力がある手合いとなれば、鼻から見え透いている罠になど掛かりはしないのだ。

 繰り出した殴打の一撃を逆に利用され、此方の連打が届く範囲から逃れた敵は、何の枷を掛けられる事無く降り注ぐ炎と向かい合う。そして、四肢に力を籠め、溢れる闘気を押し留めて、一気に解き放てば――大気を、大地を、星を震動させるが如き衝撃。
 禍々しい紫電に煌く闘気を纏い、その体躯は先よりも威容を増し。筋骨隆々な身体の強靭さを強めるが如く、その上体の白をより鎧らしき形へと変じさせる。変容の最後には、口元を白いマスクで覆えば――圧倒的恐怖、それを知らしめるべく動き始める。
 一発の弾丸となりて直線を描き、突撃を仕掛けるその勢いには戦々恐々せずにはいられない。唯でさえ此方を追い込むだけの力が、更なる桁違いの暴力として襲い来る。炎熱の塊を突き抜ければ、刹那の内にヘルガへと肉薄して蹴りを仕掛け、次の一瞬にはもう此方の眼前に現れ出でる。
 碌な判断も出来ないまま、半ば本能に身を委ねて横に飛び直撃を躱すが、伴う気の接触と衝撃が肉体を襲い、いとも容易く身体を吹き飛ばされる。彼方へと飛ばされ行く身体はやがて壁へと打ち付けられ、口から多くの血を吐き出す。内臓に傷を負うのは勿論、どこかの骨にも罅が入った、そう予見せずにはいられない程の激痛。

「……ああ、力を出し切るしか無さそうだな……!」

 必死の様相を浮かべながらも、ここで折れまいと闘志を燃やして、ヘルガの意見に同意する。策を弄したならば、その策を叩き壊してくるような輩を相手に、小細工は当然通用しない。力には力を、それが最善の手段となるのだ。
 両手を左右に広げれば、その手元へと掻き集めるは光と闇。収束して収縮し、凝縮された魔力が大きな球状となれば、両手を前に突き出し重ね、反する属性を融和させる。そして、次の瞬間に解放。膨れ上がる混濁した白と黒の輝きは、巨大なレーザーとなって放たれ、クウラを消し飛ばさんと仕向けられる。
 ありったけの力を込めて挑む、パワー対パワーの勝負。その先の結果を気に留めず、ただひたすらに全力を尽くしに行く。

>クウラ ヘルガ・アポザンスキー

1ヶ月前 No.1842

恐怖の圧迫 @grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★dxkzXfPWBG_dzt

【ミゼラブルパレス/闘技場/クウラ(最終形態)】


 クウラという男はある種、暴力を体現したカリスマ性のある男だ。
 支配者としての尊厳を持ち合わせる彼にとって、このアナザーワールドというのは観察の対象だった。
 奴隷のように虐げられる下等な存在と、それを踏み台にして優雅な暮らしを営んでいる人間たち。クウラからすれば、それは一種の支配の一つとして見ていた。
 最も見かけ通りの世界など興味はない。最終的に己が手にするものだと相場が決まっている以上、そこを統治する支配者に対してクウラは視線を向けていた。

 ──そして、俺が下した審判はくだらない結末に終わっていた。

 精神を破壊された隷属。
 その身を殉じて滅びた王。
 そのどちらを見ても、あの支配者が向けたものは無関心だ。それがただ、残念で仕方がない。
 最も俺が残念と感じていたのは、この世界を裏から支配する価値はないという事だ。自分以外の存在を知覚しない、そもそも王の器ですらない者が支配する世界など興味がない。
 そんな世界など存在する勝ちすらない。滅んでしまえとすら思う。

 弟ならばあの手この手で支配者が見捨てた者達を拾い上げて軍勢を作っていたのだろうが、俺はあくまで少数精鋭だ。
 それを拾い上げる気もしないし、野垂れ死のうが俺の人生には一切かかわりのない事だ。
 それが宇宙の帝王としてのプライド。そのプライドの前にはすべての生命体がひれ伏すことになるのだ。


「……フン!」


、   ・・・・・・
 だから容赦をしない。

 見上げた空を埋め尽くす赤色の炎と、反発する属性を融和させた光の道。
 それを見てもなお、油断をすることなどなく。そして全力をもって叩き潰すという事がどういうことなのかを身をもって教えてくれる。
 伸ばした掌に光が灯った。赤い目が細まり、炎と光を前にして全力の気が放出されていく。

 エネルギーの扱いには心得というものがある。
 弟の生み出す球体エネルギーが生成に時間を要する以上、それは相手に隙を与えるという事に他ならないのだ。
 そして、その隙は帝王を玉座から引きずり下ろす決定的な要因となりうる。
 それを潰すためにも、エネルギーというものは急速にチャージして放つ必要がある。

 それは二つの技に使う。もう片方は、本当の奥の手。もう一つは──


「今更理解したところで……遅いッ!」


 放出される紫電のエネルギー。一直線に放たれるそれは、今までの気功術とは大きく異なるもの。
 その質量、威力共に桁違い。放たれた光と炎を纏めて相手取り、迸るほどにエネルギーの衝突を見せていく。
 斥力が地面を震わし、既に半壊状態である闘技場をさらに破壊してゆく。既に見る影もないこの地は、更地にすらなろうという勢いと言えるだろう。

 臨界点を突破したエネルギー同士のぶつかり合いは、ついに破壊という現象を生み出した。
 相殺されたエネルギーは拡散し、尋常ではない被害をもたらしていく。自身の体に傷が生まれていくのを感じ、耐えがたい屈辱というものを感じる。
 それはもちろん、彼らにも混ざり合って生まれたエネルギーが降り注ぐことを意味する。
 純粋な力の衝突というのはそういうものだ。ぶつかり合えば互いに被害を及ぼす純粋な破壊という現象と化す。

 ゆえに。
 俺は感じた直感をそのまま行動へ移すことにした。
 つまり──これで戦いを終わらせるという意味に他ならない!


「どんな気分だ? ……さあ足掻いて見せろ、それでも貴様たちは滅びるのだ!」


 天高く飛び上がり、手を天へ向ける。その手から小さな火球が生み出されたかと思えば、それは瞬時に膨張。
 まるで小さな星を思わすほどの大きさへ一瞬で膨張していった。
 それは、俺が残している力をすべて注ぎ込んだも同然だ。……つまり、奴らをを一定の敵として認めつつ、確実に殺すことを決意したからだ。

 それを掲げて。
 唸り声を上げながら腕を振り下ろす。その動きに合わせて、天体のように浮かんでいた超新星の如き炎が二人へと飛来する。
 それを防げるかどうか。それを前にした二人は、全力をもってそれを迎え撃たなくてはならない。
 余すことなく力を注ぎ込み、この超新星を打ち壊さなければ──未来は、ない。


>>ヘルガ・アポザンスキー、ダグラス・マクファーデン

1ヶ月前 No.1843

黒き破壊者 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_dzt

【ミゼラブルパレス/処刑場/サミュエル・ベルナール(AW)】

 意識の中へと入り込んで届けられた声の主は、何よりも大切であった人の物。だが、荒れ狂う心は本望とは裏腹に真実を遠ざけてしまう。覆水盆に返らず、喪われたならば返る筈も無く、聞こえたそれは幻であるのだと。
 憎しみの焔は未だ勢いを衰えさせず、駆り立てる破壊の衝動は引金を引かせる。揺らぐ感情の矛先は照準を合わさせず、疎らに散る閃光の殆どは少女を過ぎ去ってあらぬ箇所を撃ち抜いて行くが、数が数なだけに一部は彼女を捉える物もあった。
 無論、それを避けるのは彼女にとって容易な事。斬撃が襲って来た時のようにして、身体を電子に作り変えて避ければ良いだけの話だ。

 しかし、敢えて少女はそれを選択しない。狂える心を見透かして理解しようと、無防備の儘に真正面から受け止めようとしたのだ。碌な対処をせずに撃たれたとなれば、相応の傷を負うのは自然の道理。腹部からは血を流し、呻き声をあげて一度は地面に手を着くが、倒れまいとして執念を胸にして立ち上がる。
 そんな彼女の姿を前にして、男の心は信じようと、俄かにではあるが突き動かされ始めていた。語る事も為す事も全てが嘘と断じられても、こうして立ち上がって真摯を崩さず、必死に引き留めようと訴える。
 口元からも流れ落ちる血から見ても解るように、二度目も撃たれるならば、命を失う危険性もある。それにも関わらず、その瞳が向ける視線はひたすらに真直ぐで、威圧を与える程に力強い。

 渾身の叫びが木霊する。それと共に襲い来る雷撃を前にして判断は間に合わず、避けられずに直撃を受ける。致命傷には至らないが、それでも威力は高く、自身の身体を構築する幾つかの部品が壊れる寸前にまで追い込まれた。
 そして、これも一つの証拠の提示であった。周囲には機械の類は一切なく、かと言って雷撃が魔力の類に属している訳でもない。それだけの威力を導き出す答えは、今の彼女の性質にあった。電子を自ら生成する能力。これもまた、GOD-AIと同じ力である。

「……幻じゃないなら、俺にどうしろと言うんだ」

 次々と提示されていく証拠の数々を前にして、彼も遂に幻ではないと認める。だが、同時に幻ではないとすれば、自分はどうすればいいのかと疑問を抱く。彼女の想いが自分に何を求めているのか、どう応えれば良いのかが解らない。
 銃を下ろして戦いを止めれば良いのか、それともまだしなければならない事があるのか。その答えを、掴むことができない。

「失ってないのなら……俺はどうすればいい。 どう、彼女に応えればいいんだ」

 だから、その答えを求めるようにして少女に問い掛ける。
 どうしようもない馬鹿には、その答えを導けないから。

>シエンタ・カムリ

1ヶ月前 No.1844

魔法使いウィルベルさん @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【並行世界管理協会本部/会長室/ウィルベル=フォル・エルスリート】

並行世界管理協会を統べる"王"、ミゼラブル・ディスペラツィオ。それと一番に対峙する、グスタフ・ホーエンハイム。その傍で倒れ伏している男の亡骸が語るのは、ミゼラブルの異常性。心も、体も、ミゼラブルは人から逸脱し過ぎている。ならば、それは生きているだけで災厄に他ならない。今此処で討ち果たさなければ、犠牲は増えるばかりだ。

一触即発の雰囲気の中、会長室の豪奢な窓を突き破って一人の女が飛び入って来た。つばの広いとんがり帽子を被り、年季の入った箒に跨がって空を自在に飛ぶ者――魔女だ。

「頭の上から失礼〜! どうやらあたしが一番乗り――じゃ、ないみたいね。意識が高くて結構! で、そこのあんたが協会の親玉ってわけね! こー見えて結構迷惑してるの、さっさと終わらせて帰らせて貰うわ!」

会長室へ二番に姿を現したのは、ウィルベル=フォル・エルスリート。異世界から呼びつけられ、元の世界に帰るためこの戦いに身を投じた魔法使いだ。元より激しい性格の人物ではあったが、終わりの見えなかったこの戦争もいよいよ終着が近いとあって、彼女の意志は一層激しく燃えていた。

ウィルベルはミゼラブルとグスタフの頭上を飛び回りながら両者を眺め、人ならざる威風を放つ女を敵と認識するや否やグスタフのすぐ後ろに着地する。そしてグスタフの肩越しにミゼラブルを睨み付ける。その視界の隅に入るのは、王たる存在に反逆を企てながらも、志半ばで敗れた者。その男は、どんな理由にせよミゼラブルに反旗を翻し、しかし願い叶うことも無く散っていった。
彼だけではない。協会の思想を否定し、ミゼラブルの元から離反した多くの者達が、此処まで辿り着く事も出来ずに力尽きている。協会の理不尽な体制に従い続け、今も戦う者達もまた、被害者に他ならない。ならば、今日までに散っていった者達に報いる為にも、必ず協会を、ミゼラブルと言う女を打倒しなければならないだろう。

「言っとくけど、手加減なんてしないから! ――炎の精霊よ!」

恐ろしいまでに冷徹不動なグスタフとは対照的に、ウィルベルは真っ先にミゼラブルへ攻撃を試みる。声高に宣言して召喚するのは、赤々と燃える精霊達。それらはは猛烈な火炎を作り出すと、容赦なくミゼラブルへと向けてそれを射出した。避けなければ、地獄の業火で身を焼かれるだろう。
無論、こんなもので倒せるとは思っていない。これはほんの小手調べだ。仲間達が集い、力を合わせなければ、ミゼラブルは倒せないのだから。

>>ミゼラブル

1ヶ月前 No.1845

イリス @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=quPR1fQ1Cf

『ミゼラブルパレス/ミゼラブル通り/イリス』

「…!?」

イリスが撃った攻撃は相手の足を掠めるにとどまり、
直後に回避もままならないイリスは相手が放った銃弾をその身に受ける事となる。
悲鳴を上げる間もなく銃から放たれた弾丸が確実にイリスの身体を貫いていく。
それによって重傷を負い、戦闘を続けるどころか立つことすら出来なくなり、イリスは仰向けに倒れる。
虫の息に等しい状態にも関わらず「まだ…まだよ…!まだ…終わら…ない…!」とイリスは言う。
戦闘の継続が出来ない程傷だらけで瀕死の重傷であり手当てを受けてもかなり厳しい状態である。このまま放っておいてもイリスは何れ死ぬ。
この場での戦闘は決着したと同然だが、”今の”イリスは戦闘を続行は出来ないってだけである。
しかし、”次は”違う。その為にイリスは行動に移る。
まともに動かなくなりつつある身体をイリスは無理矢理動かす。
片手銃を持っていた右手を自身のこめかみにまで動かして向ける。
引き金を弾く直前「1分か…2分後に…また会いましょう…」と言い、引き金を弾いて自らの命を絶とうとした。

>>アベリィ・シルバラード

1ヶ月前 No.1846

時空の守護者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_cBi

【ミゼラブルパレス/重役会議室/ユーフォリア・インテグラーレ】

今更、講話の話をするために呼び出すはずがない……ヨハンは、開口一番にそう語ってみせる。当然だろう。彼らがそれを望んでいたのであれば、もっと早い段階で何かしらの手を打っている。
もはや戦いは避けられないことは確実である以上、ユーフォリアは警戒を強めるが……そのような彼女とは裏腹に、相手はすぐに戦闘態勢に移行することはなく、淡々と言葉を紡ぎ続ける。
意外であったのは、協会の中でも中枢に位置しているであろう彼が、その協会の策を批判するような口振りを見せたことだ。他の者達が徹底的にホームワールドを蹂躙することを狙ったのに対し、ヨハンは何としてでも時空防衛連盟を味方につけるべきであった、と考えているらしい。
とはいえ、こちらへの侵略自体が間違いであったとは感じていないようだ。つまるところ、彼の中での最善は、ホームワールドを隷属させた上で味方にする、という筋書きであったのだろう。

ヨハンは、並行世界管理協会の現状を理解している。今や、彼らは風前の灯。多くの将校と上級役員を失った以上、ここから逆転を果たす目など、万に一つもない。
しかし、相手の狙いはそれとは別の所にあった。彼はこの時を待っていたのだ。古き協会の体制を一掃し、新たなる時代の幕開けを告げる瞬間を。―――ユーフォリアの命と引き換えに、それを成し遂げる瞬間を。

「貴方は時空防衛連盟を過小評価している。私がいなくとも、彼らは自力で正しい判断を下し、進むべき道を見付けることが出来る」

ユーフォリアさえ亡き者にしてしまえば、時空防衛連盟は烏合の衆となると語るヨハンに、彼女は反論の言葉を返す。その程度で瓦解するほど、軟な組織ではないのだという主張で。
敵が小槌を取り出したのを見て、彼女は両手に魔力を込める。既に歯車王との戦闘で疲弊している状況、相手のペースに持ち込まれれば、一気に押し切られてしまう可能性もある。
故に、彼女は確実に先手を取るために動いた。空気を圧縮するほどの速度で疾駆し、敵の眼前へと肉薄したユーフォリアは、そのまま右手を正面へと突き出し、虹色の魔力の波動を放つ。
勿論、これだけではヨハンを倒すにはあまりにも不十分。速度を保ったまま、相手の頭上を飛び越える形で背後へと回り込み、彼女は左手を大地へと付いた。すると、彼の足元に、巨大な虹色の魔法陣が描き出されていく。
次第に輝きを強めていったそれは、ユーフォリアが右手を振るうと同時に、天へ向けて巨大な虹の光の柱を立ち昇らせた。初撃とするには、些か過剰とも言える威力であるが、ヨハンはそれに値する相手だ。
加えて、今のユーフォリアは、長期戦に徹するほどの余裕を持ち合わせていない。相手のエンジンが掛かる前に攻め立て、勝利を手にすることこそが、此度の一騎打ちにおける、彼女の作戦であった。

>ヨハン・デ・ヴァール

1ヶ月前 No.1847

削除済み ★iPhone=PNni3O8Laa

【記事主より削除】 ( 2019/05/22 20:34 )

1ヶ月前 No.1848

ちゃお ★iPhone=PNni3O8Laa

なろう系言われたのが悔しくて消しちゃったw

1ヶ月前 No.1849

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【並行世界管理協会本部/レストラン→会長室/橋川 清太郎】

通りすがりの、仮面ライダー。
仮面ライダーなるものがどういう存在か。例が目の前の一人しか確認できないので予測を立てるのは厳しいが、きっと皆誇り高く雄々しいものだと、どういうわけか確信した。

世界を渡り歩き、時にはその病巣を【破壊】し、時には全てを[繋いで]来た――
言葉のあやかも知れないが、自分達連盟と割りかし似たような方針で動いていたことに少し驚く。

「……なるほど」

ホームワールドとアナザーワールド、裁きの手を下すのはどちらにするのかを決断するため協会に入っていたという。また今回のように協会側のトップを討ち取る際、自分達による横槍を防ぐ側面もあったとのこと。

「うん」

行くんだろう?という問いに混じり気のない自信をもって頷く。打ち倒すための目標が恐ろしく強大であろうことは容易く予想できるが、それがなんだというのだ。こっちだって古代魔族やら神格やらを相手取った経験がある、生半可な強さでは怖気づいてはやれない。

「えっ……え!?」

さて早速全フロアを捜索しようとスラスターを起動する直前、如何なるからくりか彼単独の力で連盟の用いるゲートと同質のものが出現した。だが今更彼の大道芸について細かく聴くのも野暮というものだろう。
ゲートの向こう側には紳士服の壮年男性と、黒いロングドレスの女性が見えた。
前者は連盟司令官のグスタフ・ホーエンハイムであり、後者は……恐らく協会のトップだ。どうやら一足遅れたらしい。といってもメインイベントはまだ始まっていないので、慌てる必要はなさそうである。

ーー或いは、既に誰かが散った後かーー

脳裏に一瞬嫌な考えがこびりつく。それは何の遠慮もなく胸中へと粘りつき瞬く間に染み込み、黒く暗く満たしてゆく。

(けど、立ち止まっちゃ駄目だ!)

直ぐ様振り払い、振り切る。例え今の予感が当たっていたとしても、それを理由に歩みを止めてはならない。その間にも下手人達は好き勝手に、野放しで跋扈するのだ。

「……ありがとう、恩に着るよ」

心の泥を押し殺しつつ、士に感謝の意を述べる。沈んだ表情も装甲で覆い隠してくれるGAWNDの存在が、本当に有り難かった。
気を取り直し今一度ゲートを見据える、向こうではいつの間にか桃髪の魔女?が戦闘を仕掛けていた。
では、今度こそ進もう。協会の首領を倒しアナザーワールドを変革する為の、きっかけを作らなければ。
改めてスラスター点火し更にマッスルモーターに任せて床を蹴る。圧倒的な運動エネルギーを得た機体は何の障害もなくゲートを通過、会長室に突如として流星のごとく現れる形となる。
流星の名はGAWND、弓兵の名を冠した蒼重装甲を全身に纏い遠距離戦に重きを置いた銃火の権化。

GAWND-Shootpack装備型、ここに見参。

>>門矢 士、会長室ALL

1ヶ月前 No.1850

慎重で臆病な上位種 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qot

【並行世界管理協会本部/ロビー/フランネル・サザンル】

「……もっと直球で言わないとわかんない子なのかな、ボクの眠りを妨げるような真似だけはよしてくれって事だよ」

燃え尽きるのは自分たちだけだから、大丈夫だと返答する彼女に対して、フランネルはむっとした表情を浮かべて、最大限オブラートではなく、失礼であるとか皮肉で包んだ言葉を彼女に向けた。
忠告が駄目なら、もっと直球に。
味方が意味不明な理論振りかざした挙句に死んだ、そんな内容で自分の安眠を妨害するな、と。

だが、フランネルがその時言ったのはそこまでだった。
実際のところ、自分だって人にあぁだこうだと説教を言われるのは嫌いだ、自分は自分のやりたいようにやりたい。
これ以上彼女に尤もらしいことを言っていても……馬鹿らしくなるだけだろう、と。

さて、敵対者の方に視線を向けてみれば。
これはこれで、何とも言いがたい状態になっているようで、さっきの奴ほどではないが、自分が苦手な感じの状態だ。

自分は気づけなかった、ホームに育っていれば。 普通なら言い訳としてフランネルは取り合わないだろうし、エレインのように無慈悲に死を下してやろうとしていた。
していたのだが。

敵は味方と自分の攻撃を食らって死屍累々、そして「その言葉」を口にすれば、味方が激怒する。
まぁ、何と言うか、それに対して横槍を入れるつもりは、フランネルには無かった、ただ、それに対して思う所もあったのは事実である。 かといって、敵地で議論をする趣味も無い。
手持ち無沙汰な様子にメテオブラスターを弄るフランネル、そして、彼女の話が終われば。

「はぁ、さっきから聞いてれば、理想ばっかりもう。 元の生活なんて残ってるわけないし、敵対したところで即射殺が良いところ、生きたいって思っても、人間一人が生き残れるとは思えないけどね?」

ため息混じりにフランネルは少しずつ二人の方へと近寄る。
そして、彼女の提示した選択肢に皮肉交じりに解説を入れつつ。

――お前も、後々こう言うつもりだったかもしれないけどさ、まあ、どっちにしろ、格好いいところはボクがもらうよ。

「あぁ、殺すかどうかだけどさ。 ボクは敵を自殺に追い込むぐらい性格悪いらしいからさー? 死ぬの望んでる子を殺したりしないよね。 残念でした」

そんな言葉の後に、フランネルはメテオブラスターの銃口をレムルマに向けた。
明らかに今までの言動と、そして味方の意志とは異なるもの。

「知ってる? 無抵抗な非戦闘員に銃口向けると結構問題なんだよね、ボク的には黙っててほしいし、黙っててくれるなら、多少の額は払うつもり。 君があくまで戦闘員として振舞うなら、まあ、撃つよね、組織人として」

まぁ、ボクはどうでもいいんだけど。
そんな風にフランネルはふぁぁ、とわざとらしくあくびをする。
結局、彼女は味方よりも、よっぽど甘っちょろい性格をしていた。

>レムルマ・グリンデルワルド 椿姫=ノイアラート・バビロン

1ヶ月前 No.1851

削除済み ★iPhone=PNni3O8Laa

【この投稿は”ポンデリング”削除されました】 削除者: あうら☆マスター ( 2019/05/29 09:05 )  削除理由: その他の違反

1ヶ月前 No.1852

けろりら ★iPhone=E8Gi7rXDmZ

うおおおおおおおおおおおおおおおいけめんだああああああああああああ

1ヶ月前 No.1853

けろりら ★iPhone=E8Gi7rXDmZ

よくわからんが働けよお前ら

1ヶ月前 No.1854

けろりら ★iPhone=E8Gi7rXDmZ

息してるぅ???????

1ヶ月前 No.1855

親の七光り ★iPhone=E8Gi7rXDmZ

パクっ
むむむこれは…親のコシヒカリ!?(テッテレ-

1ヶ月前 No.1856

ちゃお ★iPhone=PNni3O8Laa

ワイトってシャドバだと思ってたw

1ヶ月前 No.1857

無邪気の化身 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_cBi

【ミゼラブルパレス/記念公園/ニコル・シーザリオ】

自らの不甲斐なさに奮起し、覚醒を果たしたニコル。完全に流れは味方に傾いているように思えたが、そんな状況にも関わらず、ネファは余裕の態度を崩さなかった。
焦るどころか、相手が格好いい方が殺し甲斐があると言ってのけたのだ。それは、敵を煽るために考えたような言葉ではなく、本心からの発言であったのだろう。
凄まじい勢いでの体当たりが、ジェノサイドビットに炸裂する。ネファは敢えて回避行動を取らず、正面からそれを受け止める構えに出た。当然、ビットは耐え切れず、体勢を崩す。
これで倒し切れたのならばよかったのだが、たった一撃で沈んでくれるほど、相手も軟ではない。結果として危機に陥るのは、接近戦に打って出たニコルの方であった。

ダメージを受けつつも立ち上がったジェノサイドビットは、直後に視界を覆い尽くすほどの毒ガスを放つ。敵の傷口を焼く性質を持つそれは、まだ傷を受けていないニコルにとっては無害なものだが、マイケルからすれば、非常に厄介な代物だ。
突然の出来事に驚いたこともあり、ニコルの反応は少し遅れた。気付いた時には、眼前に大鋸が迫っており、彼女は為す術もなく首を切り落とされることになると思ったその時―――
咄嗟に飛び出したマイケルが、襲い掛かる凶刃を受け止め、弾き返した。あれだけの深手を負っておきながら、どこにこのような力が残っているというのか。思わずニコルは、その凄まじさに固まってしまうほどであった。

「マイク中将! 私は大丈夫です! ガスを水に吸わせるんですね! はい、了解いたしました!」

しばらく静止していた彼女であったが、マイケルの声を聞いたことで再び動き始め、彼から受けた司令通り、ジェノサイドビットが噴出させたガスを水で包み込み、無力化していく。
これで、彼は格段に動きやすくなることだろう。元々、このガスでじわじわと相手を追い詰める戦法を得意とする敵にとっては、強みが一つ失われたということにもなる。
勝利は目前。だからこそ、油断してはならない。たとえガスがなかろうとも、手強い相手であることに変わりはないのだから。ネファに対する皮肉を吐き捨てながら突っ込んでいった上官に合わせ、ニコルも攻撃へ打って出る。

「本当に正しい人は、自分でそれを証明しようとしなくても、周りが自然に認めてくれるような人なんです!」

ユーフォリアやミシャールは、ネファのように己を証明しようとはしていない。それでも、彼女達は正当な評価を受けている。故に、本当に正しい人物は、自然と周りから認められるものなのだと、ニコルは叫ぶ。
同時に振り下ろされたのは、極限まで水圧を高められた水。鋭利な刃物も同然の状態となった水は、丁度マイケルが放った渾身の一撃と十字を描くような角度で、ネファへと襲い掛かるのであった。

>マイケル・クラウザー、ネファ・ルクセン

1ヶ月前 No.1858

けろりら ★iPhone=E8Gi7rXDmZ

本当に正しい人は周りが自然と認めてくれる…あっ(察し)

1ヶ月前 No.1859

CROSS-Z @grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★dxkzXfPWBG_dzt

【並行世界管理協会本部/会長室/万丈龍我】


 雲一つない空に飛び回る鳥の群れ。それが見られないほどに終末を迎えている自由のない世界。
 平和など訪れない。未来は描けず、聳え立つ壁は閉ざされた心を映し出している。まるで救いを求めているように飢えた世界だ。
 体に不安の波が駆け巡った。俺の中で沸き立つようにして、この戦いに出向くことへの拭いきれない感覚が残っている。そのざわつくものを振り払いながら、世界のトンネルを潜る。
 そうして。一人の男が散ったその部屋で。相対する冷徹な男と炎の魔女と機械仕掛けの男。そこに乱入するようにして転がり込んだ、青のスカジャンの男。どこかバカっぽそうな雰囲気を出した男は、状況をよく理解していない顔だった。
 けれども、その目、その表情は倒すべきを見定めたものであった。反応を示したはずのあの男がいないのは気になったが、鎧の男の背後に浮かぶ灰色のオーロラを見て確信する。
 ……万丈がこの場に直接現れたのは、ある手段を用いたから。魔法のように生み出されたイレギュラーな転送ゲートを通ったのだ。男は、指輪の魔法使いと名乗っていた。
 彼は知っているという。万丈がここへ着くしるしとなった男──《ディケイド》を。
 それはピンポイントに。ビルドのカードが引き寄せるようにして万丈をここへ送り届けた。

 静かな熱がミゼラブルを見定める。

 覚悟を決めた俺は、言葉を吹っ掛けるまでもなくベルトを腰に押し当てる。
 拡張、伸縮されたベルトが腰に巻き付く。まるで小さなドラゴンのようなガジェットに蒼いボトルを装填し、それをベルトに突き刺す。


 《ウェイクアップ! クローズドラゴン!》


 ベルト横のレバーを掴み回転。同時にボトルの成分が放出され、ベルトからプラモデルのようなビルダーが形成されていく。
 万丈の周囲を囲んだそれは、次第に成分を鎧へと変質させていく。ディケイドとウィザード、この世界に現れた二人のライダーとは異なる三人目のライダー。
 スタイルを取った万丈は、ミゼラブルという諸悪の根源を見ながら叫ぶ。それは奇しくも、ベルトから発せられた問いに答えるように。


 《Are you ready?》

 「……変身!!」

 《Wake Up Burning!! Get CROSS-Z DRAGON!!》

 《Yeah!!!》


 燃え上がるような蒼炎が吹き上がった。
 仮面ライダークローズ。龍の如く舞い、その手に熱い希望を宿す仮面ライダー。人のために戦い、人のために傷つく英雄が降り立ち、悪魔のような女を蒼い仮面が睨んだ。
 彼はこの戦いに深く関わったわけではない。だがそれでも彼がこの場に現れ戦う理由は定まっている。
 愛と平和のために戦う四人の仮面ライダー。その一人である彼にとって。この世界は地獄で、あってはならない秩序に支配されている。
 それを生み出し、そしてそれが破壊されてなお、まるで快楽主義者のように笑うそいつが許せない。

 万丈龍我という男にとって戦う理由はそれでいい。許せぬ悪を倒すという義憤。その行いが間違っていたとしても、だ。
 何より。ここで戦いに出ないのは、俺を信じてくれたプリエールという戦士に悪いから。少しでも首を突っ込んだ以上、見て見ぬふりなど出来ない。


「よう、ずいぶんと調子良さそうだな」


 感情的に籠った声が響いた。それは怒りという感情だ。
 転送の魔法に包まれる中で、彼は一人の男の死を見た。そして、それに下す女の声を聴いた。人間を見下した、傲慢な一言。
 それはまるで──自分を生み出した地球外生命体を彷彿とさせる傲慢さだった。そのタチの悪さも通じるものがある。どこか、他人ごとではない怒りがあった。
 それはすぐに現象として現れている。ライダーシステムは感情によって強化される。それが戦いのエネルギーの基点であって、重要な核となり得るもの。
、    、    、 エボルト
 俺にとって。あの女は、あいつと同じだ。
 倒すべき敵。倒さなくてはならない敵。……在ってはならない存在だと、強く感情が訴えかけている。それはたぶんきっと、相棒も同じことを言ったかもしれないからだ。


「悪いがテメェのような奴の言葉を聞く気はねぇ……!! 一気にぶっ飛ばしてやるっ!!」

 《ヒッパレー!》

 相棒から借り受けたまま持っていた黄色のフルボトル──ロック(鍵)フルボトルを手にした剣ことビートクローザーに装填。
 グリップエンドを二回引き、クローズの装甲から蒼炎が迸る。それは右腕を伝い、右手を伝い、手にしたビートクローザーの刀身にまとわりついていく。
 強振すると同時にそれが燃え上がった。三回引いた場合とは一段階下がるものの、それでも威力は充分。あいさつ代わりにしてはもったいないくらいの一撃だ。
 何より今はハザードレベルが上昇している段階──クローズが渾身の力を込めて振るった。そして、振るわれたビートクローザーからは蒼炎の火炎弾が無数に飛来していく。
 それは竜の裁きを思わす、流星のようだった。


>>ミゼラブル・ディスペラツィオ、会長室ALL

【サブ記事での宣告通り参戦させていただきます!】

1ヶ月前 No.1860

私のもの @kyouzin ★XC6leNwSoH_cBi

【ミゼラブルパレス/記念公園/ネファ・ルクセン】

「――いいや、殺るねえ!!」

やらせるか。
お決まりとも言っていいような、彼女曰く"格好いい台詞"を発するマイク、そして彼は実際に有言実行する形で大斧を使ってニコルに向けて振り下ろされた必殺の一撃を弾いて見せた。
だが、その言葉に対して売り言葉に買い言葉と言った風にネファは力強く叫び、もう片方の腕を使ってマイケルを刺し殺そうとする。

しかし……脚部が動かない。
その程度でなんになるとばかりに、ジェノサイドビットは火炎投擲弾を取り出して、それを投げつけようとするが……そこで腕部にバチリと電流が走ったかと思えば、まるで投げつける力が無くなったかのように、ぼとりと地面に落ちて、マイクとニコルではなく、ジェノサイドビット自身を焼き払うかのごとく火炎を撒き散らした。

敵の間抜けな会話が聞こえる、ガスの無力化手段を相手が察知したのだろう。
一方でこちらの状況は悪い、脚部は氷で動きを封じられた所に火炎を食らって大破なんて言葉では生ぬるいダメージを負っている、また腕の動作も極めて不安定だ。

そんな状況を見透かしたかのように、マイクは「どんな気分だ?」と問いかけてくる。
ニタりとネファが笑い、彼に返した言葉は。

「勝った気分になって、獲物を前にイチャつきと煽りと説教? あのロートルは本当に脳が腐ってそんなコトを後輩に教育したのかな? "私が尊敬したミシャールなら"、お前を見てきっとこう言ったよ、『仕留める時はさっさとやれ、シロウト』」

マイクが放ったものよりも、よほど痛烈な煽りによる反撃だ。
ルクセン家の誇りで、腐った連中を皆殺しにした、ネファが尊敬する人間ならば、きっとそんなマイクの姿を見て「さっさとやれ」と一喝しただろう、などと吐き捨てた。

実際にそうなるかどうかは、結局のところ分からないが。
少なくとも……火炎投擲弾で自身を焼くことによって、足を封じる氷は既に溶けた。

「来いよ、その首を私に差し出しにッ!!」

故に、最後の時にも、ジェノサイドビットは武器を構えて……接近する二人の敵対者に対して、オオノコギリを叩き付けた。
……しかし、そのオオノコギリが、マイクの戦斧によって、ニコルの高圧水流によって、脆くも崩れた。

そこで、ネファは終わらせるつもりだった。
だが、相手の攻撃が何れもコクピット狙いの一撃であることを見抜くと、彼女は機体を破壊する勢いで駆動系を全力稼動させて、その体をそらした。
そこから起死回生の一手を撃てるわけではない、むしろ、確実に彼女を即死させるはずだった攻撃を、中途半端に往なし、確実に取り返しが付かない状態になるだろうに、あえて苦痛を伴う死を選択するような愚行だ。

ぐしゃりと嫌な音が鳴り響いた、コクピット内のパーツが崩れ、そもそも二人の攻撃を完全に往なせるはずがなく、ネファの足やら手だった物が周囲に散乱する。
意味の無い回避、それさえしなければ、崩れる自分の身体も、機体すらも、認識しなかっただろうに。

少なくとも、戦闘不能になったことを示すように、ジェノサイドビットはそれを最後にその場に崩れ落ちた。

「ははは、負けた負けた、負けた、間違ってた、それは良いんだけどさ、コクピット破壊って決め手は、私、イヤだったもんだからさ。 ごめんね、綺麗に首吹っ飛ばされて、勝者を勝利の美酒に浸らせてやれなくて」

その時、ネファは笑っていた、まるで"負け逃げ"でもするかのような清清しい表情で。

「一度だけあったよ、自然に周りに認められたこと、私は。 強い兵器を作って、ミシャールにもユーフォリアにも褒められるって思ってた。 でも、非人道的だとか理屈こねて、そのクセ私の機体を認めて、勝手に心臓に手を加えて"平和利用"だの謳いやがったに違いない。 ……その二人をもう一度、今度は生首を地面に叩き付けて認めさせるのは、もう叶わないけどさ」

ニコルの言葉に返答するように、ネファは一度だけそんなコトが自分にもあったと呟く。
そして、半分死体のような状態でありながら、ネファはかちかちとパネルを操作して……機体から「アラート」を鳴り響かせた。

「最強じゃなかった。 強さだけ見ても"間違ってた"けど、これは私のもの、だからさ、もう誰にも渡さないよ、これは私が作った、私のものだから」

機密保持プログラム起動。
その無機質な機械音が鳴り響いた後、ジェノサイドビットから光が漏れ出し……そして。

凄まじい音を立てて、爆発した。
……後には何も残らない、そう、ネファ・ルクセンと言う人間も、ジェノサイドビットも、それに使われていた技術も、何もかもが、そこから消えた。

>マイケル・クラウザー ニコル・シーザリオ


【ネファ・ルクセン@敵との激闘の後、敵の手に掛かるのではなく、自分の手での自爆を選択し、死亡。 と言うことで、お相手ありがとうございました!!】

1ヶ月前 No.1861

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【記事主より削除】 ( 2019/05/28 00:18 )

1ヶ月前 No.1862

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【記事主より削除】 ( 2019/05/28 00:18 )

1ヶ月前 No.1863

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【記事主より削除】 ( 2019/05/28 00:18 )

1ヶ月前 No.1864

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【記事主より削除】 ( 2019/05/28 00:18 )

1ヶ月前 No.1865

影からの支え @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_cBi

【ミゼラブルパレス/闘技場/ヘルガ・アポザンスキー】

究極の力と力のぶつかり合い。一切の小細工なしに、純粋な出力のみの勝負が繰り広げられる現状。この場において勝敗を左右するのは、至極簡単な理だ。
より大きな力を出した方が勝つ。当たり前の話だろう。しかし、クウラ相手にそれを成し遂げるのかがどれほど難しいことであるのかは、想像に難くない。
ここまでヘルガとダグラスは多彩な攻め手を用いてきたが、今の所敵にまともな傷を追わせることも出来ていないのが、残酷なまでの実力差を物語っているといえる。
炎と光が、これでもかという勢いを持って相手へ降り注いでいく。お互い、加減など一切していないほぼ全力の攻撃だが、クウラはそれに対し、力での真っ向勝負を挑んでくる。

膨大なエネルギー同士の衝突がもたらしたのは、未曾有の大破壊であった。凄まじいまでの奔流が辺り一帯へと解き放たれ、闘技場という存在を無に帰していく。
それはクウラに確かなダメージを与えたが、当然余波が二人へも襲い掛かってくる。咄嗟に、自身の周囲を囲むようにして炎壁を展開し、被害を最小限に食い止めようするヘルガ。
完全に受けとめるには至らなかったものの、致命傷だけは避けることが出来た。まだ四肢が動くことを確認し、彼女は再度前を見る。奴を葬り去るためにも、ここで引き下がる訳にはいかない。

「……いい気分だ。貴様とて、無敵ではないことが分かったのだからな」

クウラの高圧的な質問に対し、表情を崩さずそう答えてみせたヘルガ。こちらを殺すべく放たれるは、超新星の如き激烈な火炎。有り余る力を結集した、渾身の一撃が、二人へ差し向けられる。
それを目にしたヘルガは、回避を行わず、真っ直ぐに炎へ向かって疾駆。旗から見れば自殺行為にしか見えないが、彼女には秘策と、勝利への確信があった。

「私の炎に、燃やせぬものなどない。たとえそれが、同じ炎であろうとも!」

両手を広げ、天を仰ぐヘルガ。解き放たれた魔力に反応し、彼女の頭上には太陽の如き巨大な一つの火球が形成される。特筆すべきは、その火球が赤色ではなく、青色の輝きを放っていることだろう。
青い炎は即ち、通常の炎を超える超高温で燃え盛っていることを意味する。そのまま上空へと飛翔したヘルガは、相手の攻撃を迎え撃つように、火球をオーバーヘッドキックで蹴り出した。
大火球と超新星が激突し、闘技場全体へ熱気が飛び散る。互いに全ての力を駆けた激突。だが、自分は一人ではない。極限状態において、最後の一押しとなるであろうダグラスの存在が、勝負の決め手となるはずだ。

>ダグラス・マクファーデン、クウラ

1ヶ月前 No.1866

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【記事主より削除】 ( 2019/05/28 00:18 )

1ヶ月前 No.1867

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【記事主より削除】 ( 2019/05/28 17:46 )

1ヶ月前 No.1868

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【記事主より削除】 ( 2019/05/28 20:21 )

1ヶ月前 No.1869

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【記事主より削除】 ( 2019/05/28 21:39 )

1ヶ月前 No.1870

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【記事主より削除】 ( 2019/05/29 00:36 )

1ヶ月前 No.1871

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【記事主より削除】 ( 2019/05/30 19:29 )

1ヶ月前 No.1872

アミティエ・フローリアン @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=quPR1fQ1Cf

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1ヶ月前 No.1873

紫煌 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_l7r

 もう一人の彼女から託された形見を手渡せば、簡潔ながら出来事を語り、そして足早に背を向けてその場を去り行く。瞬間に想う事を伝えず、心を直隠しにしたのは、一刻でさえも言葉を交わす時間が、耐え難い苦痛であるかのように感じたからだ。
 遠い記憶が切実に訴え掛ける。目の前で喪われた242の命。自分が生き残る代わりとして、犠牲となった彼等への償い。
 それを背負うからには、暖かな居場所を持つ資格は無い人間。凍える雪の如き険しき旅路を歩む以外の道を選ぶ事など、烏滸がましいにも程があると、今の関係を保とうとする"迷い"を抱く自己に対する嫌悪を抱かせた。
 せめて悟られまいと。平静を装いながら、為すべき事を為せば。この苦痛から逃れるかのようにして、或いは"迷い"に対する答えを導き出すかのようにして、戦場へと足を進める。


【並行世界管理協会/監視室/サミュエル・ベルナール(HW)】

 相対する敵の動きを瞬時に見切り、最大効率を求めて的確に始末を行う。培った記憶などない技術を、身体は覚えていて、一挙一動の総てが、迫り来る雑兵の命を容易く刈り取って見せる。遭遇した集団を掃討するのに、二十秒も掛からない。切り裂き、穿ち貫き、撃ち殺す。そうして辺りには死体の山が築かれるのみだ。
 眠れる力を目覚め起こして以来、自らに生じた変化に対して恐怖を強く感じていた。凡そ人間らしい戦い方ではなく、さながら機械的に命を刈り取る殺戮兵器。存在を敵と認識したその瞬間から、思考を戦いだけが塗り潰して行く。それ以外の事など、考えられはしない。
 どうにか呑まれまいと、自制を敷くように努める。それと同時に、一つの疑念が脳裏に浮かび上がる。だが、深く考えたくはないと、頭の隅へと追いやりながら――

 ――扉の前にて立ち止まる。一枚の隔たり越しに肌で感じさせられる冷気。異質で不可解な現象に、強い警戒心を抱けば、扉を切り裂き真っ二つにしてから、片方を蹴って中へと侵入を果たす。
 一層寒さは強烈となり、自らを苛む。視線を動かして、現象の正体を掴もうとすれば、射貫いた先には白い煙。より注視すれば、其処には鎧のように氷を纏った屈強な男が、その剛い見た目とは裏腹に、恐怖の様相を浮かべて鎮座していた。
 一体、彼は何に怯えているのか。そんな疑問が浮かび上がるよりも早く、視線は遂にその手に握られていた一振りの大剣へと突き刺さる。夥しい血痕が付着している事は、多くの人命を殺めた事の証拠。周囲に転がる死体は、紛れもなく彼が殺したものだろう。

「……この死体。やったのは貴方か」

 この冷気も、纏う氷の鎧も、総ては自衛の為か。彼が抱く恐怖は、恐らく殺される事に対するもの。善意的に解釈すれば、殺されまいと不可抗力で彼等を殺めた形となるが。

「……死にたくなければ降伏しろ。戦場とはいえ、無用な殺しをしたくはない」

 その解釈が罷り通る人物であるかどうかはわからない。であるからこそ、先ずは降伏勧告を通してそれを確かめる。

>マルテーロ

1ヶ月前 No.1874

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【記事主より削除】 ( 2019/06/02 17:23 )

1ヶ月前 No.1875

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【記事主より削除】 ( 2019/06/02 17:23 )

1ヶ月前 No.1876

死にたくない病 @grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★dxkzXfPWBG_l7r

【並行世界管理協会/監視室/マルテーロ】



 人は“恐怖”する生き物である。
 そもそも、生物というのは元来恐怖を感じずにはいられない愚かな物体だ。
 理解できないだけで、生物には感情がある。その感情の根底に生物のとしての本能がある限り、滅びというものを恐れないはずがない。
 死を恐れないのは狂気に身を落とした生物だけだ。浅かろうが深かろうが、自分という存在の消失を恐れない生物がどこにいるというのか。

 恐怖は自己を防衛させる。生きることに欲深くなり、生きるためならばなんでもするようになる。
 心は閉ざされ、死という絶対の恐怖から逃れ得るべくして要塞を築き上げていく。経歴、戦果……あらゆる情報を利用した強固な壁こそ、己を守るのだ。
 男が行っていたのはそういうことだ。すべてが建前。自分の命を最も優先し、そのためならば戦場に出るし出ない。
 殺しは許される行為だ。人が人を殺すことは悪だと謳う主義者たちがいるが、そんなものは人が定めたルールに過ぎない。
 生物の本質は闘争であり、命の防衛である。
 命を護るために、自らを攻撃してくる他者の命を奪うことは、決して裁かれるものではないと彼は信じている。

 それこそ、凍てつく心の生み出した結論だ。

   ・・・・・・・・
「……死にたくなければ?」

 ・・・・・・・
 一番嫌いな言葉を聞いて、マルテーロという名前だった男はわずかな反応を示した。
 死にたくなければ──そう、最も嫌いな言葉だ。死にたくなければ、というのは方便に過ぎない。敵兵に一時でも安息を与えるための。
 死んだほうがマシだと思えるくらいの拷問などこの世にはいくらでも存在する。
 目の前の人間が悪魔に見えている。死にたくなければ?ああ死にたくないとも。だが、降伏することが果たして死なないことに繋がるのか?

 極度の人間不信と恐怖心というものは、正常な思考を生み出さないものだ。
 しかし《不滅なる男》にとってそれが正常の思考であるべきものだ。
 無用な殺しをしたくない、そんな詭弁が通じると思うなよ。その言葉の裏には、俺を殺すという絶対的な殺意を感じてならないんだッ。


「とぼけるなよ……そんな言葉を吐きながら死よりも恐ろしい苦痛を与えてくる奴らはごまんといる!」

「お前がそうでない証拠がどこにあるっ!?」


 《不滅なる男》の表情が強張った。
 完全に覆い尽くされた絶氷の鎧の奥から見える僅かな表情は、怒りに苛まれたものだった。
 恐怖は怒りの感情を促進させる。自己の防衛という生物的本能が、感情によって引き出される力を目当てに怒らせている。
 冷気が震えていた。監視室全体を包み込んでいた冷たい殺気が、鋭いものへと変わってサミュエル・ベルナールという男へ痛烈に向いている。
 全身を串刺しにしてやるぞという強い意識と、自己防衛から発生する感情的な声色の震え。

 つまり──手遅れだ。戦いを避けることなど出来ない。

 ・・・・・・・・・・・・・・・
「殺しをしたくないなんて言葉ほど信用できないものはない!」

「今! 俺の! 目の前にいるもの! それは全て俺の命を脅かす外敵だ! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる!」

「俺が生きるためにぃぃぃぃ……!!」


 ツヴァイヘンダーが──唸った。
 怒号は大気を震わし、その丸太のような巨腕は大剣を軽々しく振り上げた。
 鎧が躍動するたびに冷気が放たれ、肌を突き刺すような凍てつく痛みが齎される。
 獣の如き生への執着を吐き出した《不滅なる男》は渾身の力を込めてツヴァイヘンダーを振り下ろした。
 その一撃はもはや剣に留まることを知らず、質量から生み出されるのはただの破壊だ。


>>サミュエル・ベルナール(HW)

1ヶ月前 No.1877

裁定者 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_l7r

【ミゼラブルパレス/闘技場/ダグラス・マクファーデン】

 一切の小細工を交えない、純粋な力の衝突。鎬を削り合った末に勝つのは、ぶつけた力が上回る方という簡単な理屈。だが、眼前の強者を相手にして、勝利を掴み取る事はそう容易い事ではない。これまでに尽くして来た攻撃の数々が示す、相手の強大さ。絶望の現実へと突き落とさんばかりに、それは物語られる。
 それでも男は屈さずに立ち向かう。彼が嫌うのは、全力を尽くす以前に不可能と決め付け、諦める愚行。例え無理難題に直面しているとしても、一縷の可能性を見出し続ける限りは、心を折れさせはしない。
 光と闇を重ね合わせ、解き放つは烈光。龍の息吹の如くに舞い踊る炎の波と共に、怒涛の勢いで強襲を仕掛け、正面から叩き潰そうとすれば、敵もまた真っ向からの勝負に応じる。
 紫電のエネルギーが迸れば、迫る膨大なエネルギーと激突し合い、相殺の中で戦場へと破壊を撒き散らす。半壊同然の闘技場を完全に消し飛ばす程の余波が拡散し始めたと同時、瞬時の判断で球状に覆うバリアを張り巡らせれば、己が身が死へと追い詰められるのを未然に防ぐ。

 その最中で見たのは、希望。此方を襲う一方で、余波は敵にも当然のようにして襲い掛かる。確かに刻まれていく傷、これまでの無敵という認識に亀裂が走り、勝利への可能性へと近づかせる。
 嵐が過ぎ去った直後、男は不敵に笑った。そして、高圧的な態度を崩さない敵の質問を前にして、ただ一言。

「とても愉快な気分だ」

 その一言と共に、荒れ狂う黒い風をその身に纏う。最大限の身体能力を発揮させる極限の強化を施し、更に盤石へと近づかせるべくして我が身に施す風の加護。周囲を烈しく大気を揺らぎ、切り裂く力と共に、地を蹴って動き出せば。堕ちる超新星を避け、超加速によって疾風となる。
 疾風は、空間を刹那に駆ける。僅かな一瞬を更に細やかに切り刻み、その一つを捉えねば認識さえ許しはしない速度を以て。地上を疾駆し、空中を舞い上がる。重い負荷を代償に実現させた超速度による移動で果たすは、敵の背後へと現れ出でる事。

「……太陽に、堕ちろ!」

 全身全霊。その言葉が似合う様に、膨大な魔力を突き出した両手から放出し、暴虐な一筋の烈光として解き放つ。だが、本当の全身全霊を込めた一撃は此処からだと、合図を告げるように雄叫びを上げれば。
 男の身体から眩い輝きが放たれると共に、光は更に膨れ上がる。両手のみならず、文字通り全身からも放出される光輝の波は、敵を呑み込み、蒼炎の太陽へと押し飛ばして、灰すらも残さずに焼き尽くさんとして一直線に奔る。

 ここで勝負を決める。今までは通用しなかったが、今度こそ連携は確実に実を結ぶという確信と共に、総力を叩き付けに行った。

>クウラ ヘルガ・アポザンスキー

1ヶ月前 No.1878

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【記事主より削除】 ( 2019/06/06 22:18 )

1ヶ月前 No.1879

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【記事主より削除】 ( 2019/06/07 03:29 )

1ヶ月前 No.1880

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【記事主より削除】 ( 2019/06/07 16:14 )

1ヶ月前 No.1881

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【記事主より削除】 ( 2019/06/07 16:14 )

1ヶ月前 No.1882

影からの支え ★iPhone=MGGDJfwPQt

前歯前歯前歯前歯前歯前歯前歯

1ヶ月前 No.1883

紫煌 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_l7r

【並行世界管理協会本部/監視室/サミュエル・ベルナール(HW)】

 恐怖。それは人間が抱える感情の一つであり、降り掛かる危険に対して自己防衛へと繋げる役割を果たすものだ。恐怖を通じて危機感を抱くからこそ、率先して対処に乗り出て、理性的な判断の下に危機の回避を可能とする。正常な状態にある人間であれば、誰しもが共通する事項だ。
 しかし、異常な状態。例えば、恐怖が希薄、或いは過剰である時、その効果は真逆を為すだろう。
 恐怖を感じないならば、危機に気付けず、傍から見て無謀とも言える行動に出る事がある。逆に敏感であれば、直面した危機に心が折れ、恐慌に陥る事もあれば、正常かつ理性的に非ざる判断の下に動く可能性もあるだろう。当然、本人にとってそれは防衛には成り得ない物だ。

 であれば、眼前の男はどうだ。今にも命の喪失に怯え、目に付く外敵を惨殺して、生き延びようとしている。彼にとってはそれが最善の選択であるのだと、盲目と言える程に己の理に従いながら、其処にいるのだ。
 その選択が返って外敵の呼び水たらしめる行いである事には、恐らく気付くまい。多くの人間を惨殺して来た存在に与える肩書きなど、それこそ真っ先に排除すべしと定める、危険物の烙印でしかないのだから。

 事実には未だ気付かず、恐怖の反動に基づく惨殺と信じ込むサミュエルの降伏勧告は、男の怒りを強く促す。人間不信を基本とする世界に生きて来た者にとって、その一言は更なる絶望へと貶める為の方便としか捉えられない。
 生き永らえた末に待ち構える先が、死ぬよりも悍ましき地獄であると疑わないのだ。
 嘘ではないと反論を返そうとする言葉が出るよりも早く、男の激憤に呼応した冷気が突き刺さる。全身を貫かんばかりの強い殺気が死への恐怖を促進させ、同時に抵抗の為の殺意の発露を促して行く。

「証拠はない。だが、連盟はお前の言うような惨い連中じゃない事は確かだ。 これ以上誰も殺さなければ、死の恐怖に怯える必要も無くなる!」

 大気を震わせ、唸りを上げる大剣。確かな重みを宿した質量の塊を前にして、紫の輝く粒をその手に集め、光の剣によって受け止めに掛かる。鍛え上げられた巨腕の持ち主と、それには程遠い身体の持ち主。力を上回るのが誰であるかなど、それこそ明確であった。
 今にも押し潰されそうな衝撃に身体が悲鳴を上げ、放たれる冷気が肌を突き刺し追い打ちをかける。終ぞ生身の力では耐え切れないと判断すれば、瞬間的にエネルギーを放出する事で勢い付け、一撃を押し返した後に距離を取る。

「もう一度言う、武器を捨てろ……捨てるんだ!」

 命を喪失しかねない危機を前にして、本能は殺せと自らに命じ続ける。抑え込まなければ、すぐにでも身体は自ずと動き出し、眼前の男を仕留めるべく攻撃を仕掛け出すだろう。
 だから、これは一縷の望みを賭けた最後の説得。これで徒労に終われば、諦めに徹し、この膨れ上がる殺意に身を委ねよう。

>マルテーロ

1ヶ月前 No.1884
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