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【ALL】Chrono Apostle【戦闘/シリアス】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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異次元からの使者 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

西暦7000年に起きた、時空防衛連盟と歴史是正機構の戦い。時空を巡る戦乱の果てにあった、時空断裂という最悪の結末。
史上最大とも称された危機を乗り越え、人類は更なる発展を重ねながら安寧の日々を過ごしていた。
民衆からの圧倒的な支持を受け、世界政府大統領に選出されたユーフォリア・インテグラーレは、就任と同時に数々の改革を実行する。
彼女の治世の元で、汚職にまみれていた世界政府はあるべき姿を取り戻し、社会問題となった経済格差にも改善の兆候が現れつつあった。
もはや、人類があのような危機に陥ることは、二度とないだろう。誰もがそう思っていた矢先、それは唐突に始まりを告げる。

新たなる大統領の誕生から丁度1年が経過したとある日、大統領直属の組織となっていた時空防衛連盟が、時空の歪みを観測した。
それが検知された場所は、リヒトルザーンから車で6時間ほどの距離にあるオラムフェルト上空。直後、空を割るようにして、異形の物体が出現する。
周辺一帯を覆い尽くす、無数の戦艦。どこからともなく現れた彼らは「並行世界管理協会」を名乗り、"調整"のためこの世界を訪れたのだということを明かす。
曰く、この世界の科学の発展は危険領域へと達しており、その先にある崩壊を防ぐために、協会の管理を受け入れることが必要であるというのだ。
しかしそれは、彼らの下に付くことも同然のこと。世界政府は拒否の姿勢を示すも、相手が返した答えは、武力による制圧であった―――

以前から存在が示唆され、半年前には実際に確認されていた並行世界。そんな、数ある並行世界の一つによる侵攻。それが現実となった瞬間であった。
オラムフェルトは一瞬の内に焼け野原へと変えられ、敵艦隊は世界政府首都、リヒトルザーンへと向けて進軍を開始する。
このまま何もしなければ、彼らによって世界は完全に滅ぼされることとなる。世界政府の命令を受け、抗戦のため次々と出撃していく時空防衛連盟と地球軍の面々。
ようやく訪れた平穏の時代を、破壊される訳にはいかない。美しき世界を護るため、時空防衛連盟は一月前に完成したばかりの"並行世界移動装置"を用い、境界線を超える。
その先に広がっていたのは、世界政府が汚職に染まっていた暗黒時代すらも軽く凌駕する、絶望の景色であった―――



【クリックありがとうございます。この物語の舞台は時空防衛連盟の存在するホームワールドと、並行世界管理協会の存在するアナザーワールドです。並行世界管理協会は、ホームワールドを支配下に置くべく、世界の境界を超えて戦争を仕掛けてきています。自らの世界を護ろうとする時空防衛連盟の面々と、そんな彼らを打ち倒して世界を支配しようとする並行世界管理協会、更にはその両組織の戦いに巻き込まれた人々の姿を描くのが、このスレッドの主な目的です。

オリキャラでの参加は勿論、版権作品をあまり知らないオリなり民の方も歓迎ですので、オリなり民の方も、どうぞご遠慮なくご参加下さい。
なりフリー民とオリなり民、互いに協力しあうことで、よりよきスレを目指しましょう。

なお、合図があるまで書き込みは禁止ですので、ご注意下さい。まずはじめに、サブ記事の方を確認頂くようにお願いします。】

8日前 No.0
メモ2019/01/11 23:15 : 第一章:「侵略者襲来」☆XQ6phrzcKMtR @infernus★F7MrHN45jw_Qi5

―――現在は、第一章です―――


第一章:「侵略者襲来」

時空断裂による崩壊の危機を乗り越え、新たなる体制の元に復興と発展を続けてきたユーフォリア達の世界、ホームワールド。

しかし、そんな平穏は突如として崩れ去る。並行世界管理協会を名乗る者達からの攻撃……それが、アナザーワールドとの邂逅であった。

強力な艦隊による一斉攻撃により、一瞬の内に焼け野原に変えられたオラムフェルトとサクラゴス。

ホームワールドを恐怖のどん底へと突き落とした絶望の象徴は、次なる獲物を喰らわんと、首都リヒトルザーンへと進軍を開始する。

数多の試練を乗り越え、ようやく勝ち取った世界の平和。それを乱す者を、許す訳にはいかない。今ここに、時空防衛連盟の新たなる戦いが幕を開ける。


ルール&プロフィール:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-1#a

役職一覧:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-2#a

世界観・用語解説:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-92#a

各陣営の目的:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-4#a

第一章のロケーション:http://mb2.jp/_subni2/19796.html-110#a http://mb2.jp/_subni2/19796.html-111#a


・現在イベントのあるロケーション

時空防衛連盟本部(H):味方陣営の顔合わせ

リヒトルザーン(H):味方陣営の顔合わせ

並行世界管理協会本部(A):敵陣営の顔合わせ

強制労働施設(A):第三臣民キャラクターの顔合わせ


サクラゴス(H):連盟と協会の陸上戦

プリンシパル(H):連盟と協会の空中戦


※(H)はホームワールド、(A)はアナザーワールドを現す。

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二重刀 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【ヘルメラ研究所/格納庫/Gigant】

「……フン、想像以上に早いお披露目となりそうだな。 防衛用ビットを出せ、僕の基地から視認できる距離に現れたのを後悔させてやる……! ザーシャ、は出かけていたか? 残念だ、ようやくコイツが飛ぶ所を見せられると言うのに」

この想定外の戦いに対して、一人だけこの地にもほとんど焦りを見せていなかった人間が居る。
その名はクラスター、過去に歴史是正機構の副将として戦い、またそれよりも過去に遡れば、十年に渡って世界政府と地球軍に混乱を撒き散らした狂気の科学者。 彼はあの戦いが終わってからずっと潜伏していた自他共に認めるテロリストである。
そう、彼にとって連盟軍が何時攻め込んで来ても良いように準備を進めていた、それは心構えもそうであるが、何よりも人員が無くても機能する無人兵器群だ、仮に相手が連盟より何倍の規模を誇る協会であろうとも、自分に危害を加えるつもりならば、彼は何時だって同じ手段を冷静に選択する事が出来る。

「――全滅させろ!! G(ジェネラル)システム起動、ClusterとE装備を発進させろ」

戦いが始まった後のその動きは早かった、おそらくどこよりも早く部隊を出撃させて、戦場には見覚えのある黒翼が舞っていたと言う噂だけが広がった、しかし。

「E装備はエネルギー切れ、Clusterに至っては被弾で後退。 やはりまだ未完成か、仕方があるまい、Gシステムでの無人操作には限度がある……もう良い、私がGigantで殲滅してくれる」

Gigant。 クラスターが熱心に開発している超大型機動兵器。 彼が思う最強を詰め込んだ機体だ。
しかし、その完成度は20%にも満たず、この出撃後、何と砲身が溶解し、右腕を切り離して敵戦闘機ごと爆破するなどの無茶な戦闘の結果として、Gigantは戦闘時間10分にも満たず、数十機の戦闘機を無数のビーム砲で殲滅してから墜落したと言う、周りから見れば幻のような事が起きた。

だが、その後もクラスターは、他の機体を使ってでも戦闘に参加しようとした、それは何故か。

「まだ使っていない機体があるな、さらに言うならばあれは完成品、そして先ほどの感覚からしてアレは連盟ではない、もっと優れた相手だ、だとするならば、ここでテストせずして何時テストするのか!!」

【→プリンシバル/第一機関室/Dual】

はっきり言うならば、20%しか組みあがっていないような機体よりも、こちらのほうが性能は良好だった、だが対戦闘機戦のデータを取りたかったため、砲身と右腕で済んだのならば安い物だ。
この機体の名前はDual、来る可能性の高い連盟のテロリスト殲滅作戦用に開発しておいた、Gigantの中継ぎとなる機体だったが、中々どうして使い勝手が良い。
少なくとも、敵の不明機と空中戦をしても、十分に戦える程だ。

などと言っていると、敵艦らしき物を捕捉、だがどうやら誰かが既にあの戦艦という蜂の巣を突いた後らしく、戦闘機が嫌になるほど沸いているのが確認できた。
足としてE装備のメガニカを拝借して来たが、流石にアレを潜り抜けつつあのデカブツを外から落としきるのは無茶だろう、故に……すれ違い様に機動性に優れる自分自身が戦艦に飛び移る!!

実際に彼はそれを行動に移し、炎が上がっている所からデュアルは敵戦艦内に侵入する。 当然、そんな登場をすれば、すぐに敵が寄って来る訳だが。

「雑魚は相応の相手と遊んでいろ」

そう言って彼はあらかじめ持って来ておいたソルジャービットコアを全機展開させ、敵のど真ん中に自軍集団を出現させる。
当然、持ち運びできるような兵器なのだから、戦闘能力はお察しだが、それらが戦っている間にデュアルは簡単にそこを離脱して、重要そうな区画まで移動する事が出来た。

結果として、デュアルはアリアとは別のドアでこの第一機関室に侵入した、当然、その間に斬り捨てた敵兵の数はとんでもない物で、折角の漆黒のボディが赤く染まっていた。

さて、ここでおそらく二人ともお互いを認識できるだろう、デュアルから見たアリアはともかく、アリアから見たデュアルと言うのは、恐ろしい返り血を浴びた鎧武者のような機械である、少なくともアリアが"色々と見慣れている"人間でなければ、一発で敵認定を食らうような見た目だ。 どうせ連盟のデータにもDualのことは一文字も乗っていない。

だがデュアルから見れば、おそらく彼女は連盟の者であるとは簡単に判断できる、だから、彼が取った行動は。
無言でアリアとは関係の無い方向にある多少重要そうな機械をガトリングで撃ち抜く事で、"自分もこれを破壊しに来た"と無言で伝える事だった。
いや、伝える必要すら無かったようだ、どう見ても彼女はここをぶっ壊そうとしていた、だとするならば。

「……なるほど、な。 助太刀しよう」

それだけ伝えて、デュアルもあの少女の攻撃と合わせて、背中の誘導爆雷を狙っているであろう場所に向けて発射する。

>アリア・イヴァンヒルト ALL


【絡みます! 一芝居の結果分かりづらくなっていたらごめんなさい!】

2日前 No.158

中二病はいつになく真剣 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【時空防衛連盟本部/オペレーションルーム/シエンタ・カムリ】

これまで悪い報告しか入らなかった時空防衛連盟の元に、ようやく一筋の光が差し込む。いち早く敵艦に接近し、交戦を開始していたシフォンが明確な戦果を挙げたのだ。
プリンシパルの砲台を無力化し、更に敵の主力戦闘機も戦闘不能に追い込むとは、さすが地球軍が誇るエースパイロットといったところか。彼女の活躍で、勝利の二文字がうっすらと浮かび上がってきた。
それでもまだ、状況は良いとはいえない。依然として連盟が劣勢であることに変わりはなく、リヒトルザーン到達前にあれを止めることが出来なければ、結局シフォンの活躍も無駄に終わる。
衝撃を与える以外に、ハッチを開く方法さえあれば……どうすればかの戦艦の指揮系統にアクセス出来るかと頭を悩ませていると、青年から先程の何気ない質問の答えが返ってくる。

「……? 何か名前を言えない事情でもあるのかい?」

自己紹介くらい、別に躊躇う必要はないというのに、サミュエルと名乗った青年は何やら自分の名前を口走ってしまったことに焦った様子であった。それを見てシエンタは、何か事情があるのかと問う。
例えば、元は歴史是正機構に所属していた、とか。そういう意味では彼女も同じ立場であるが、シエンタはまだ子供であったということもあってか、特に白い目で見られるようなことはなかった。別の意味では白い目を向けられていた気もするが。
世界政府や地球軍がどうかは知らないが、少なくとも時空防衛連盟に所属する者に、そんな人間はいないだろう。何せここは、あの歴史是正機構丞相の、ヘルガ・アポザンスキーですらをも受け入れる組織なのだから。
まあ、彼の事情は聞かないでおくとして……引き続き、プリンシパルに探りを入れるべく、モニターに目を向ける。と、次の瞬間、衝撃的な光景が映し出された。
一機の戦闘機が、プリンシパルの後方へと突っ込み、爆発四散したのである。まさか、本当に特攻を。このようなことを、総統のユーフォリアが指示するはずもない。だとしたら、誰が……

「どうやらハッチが開いたみたいだ。これで、あいつの中に侵入出来る」

シエンタはあまり深く考えないことにした。いくら天才ハッカーの名をほしいままにしているといっても、彼女はまだ14歳の少女だ。味方の特攻を目のあたりにするのは、刺激が強すぎたのだろう。
あの爆発では、まずパイロットは無事ではあるまい。これを美談にしてはならないが、その犠牲があったことによって、連盟は敵の懐へと忍び寄るチャンスを得た。
こうなってしまった以上、絶対にそれを無駄にしてはならない。シエンタは、後から自分で思い返しても不思議なくらいに、やけに冷静な声で淡々と報告を述べる。

>サミュエル・ベルナール(H)

2日前 No.159

影からの支え @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【サクラゴス/港/ヘルガ・アポザンスキー】

「……害虫駆除か。この世界にとっては、貴様らこそ害虫に相応しい存在だ」

無抵抗の一般市民を虐殺する行為を"害虫駆除"であると称した歯車王に対し、ヘルガは皮肉めいた口調でそう返す。彼らは本来、ここにいるべきではない存在なのだから、害虫扱いされても文句は言えないだろう。
ホームワールドは自分自身が引き起こしてしまった最悪の事態から復興し、ようやく新たなる時代の幕開けを迎えたところであった。彼らの襲撃がなければ、今後は大統領ユーフォリアの元、理想の世界が構築されていたことだろう。
しかし、空気の読めない侵略者の手によって、そんな日常は見るも無残に破壊されることとなる。その光景は、人の目を避けて暮らしていたヘルガを、表舞台に引き戻すに十分なものであった。
何事も起こらないのであれば、自分の力は不要だ。だが、理不尽な形で彼女達の歩みを妨害する者が現れたならば、こうして力を振るう。それが、あの場所で決意したことだから。

「ふん、御託だな。そう言っておきながら、疲弊した方を選ぶとは」

物陰から戦況を見つめていた男も、戦場へと降り立つ。彼は弱い者いじめは趣味ではないと語るも、ヘルガからしてみれは、それは単なる御託にしか聞こえなかった。
何故ならば、あのように偉そうなことを述べておきながら、彼が選んだのは、既に歯車王と戦闘して疲弊している清太郎の方であったからだ。言葉に従うならば、自分の相手をするべきであっただろう。
しかし、ある意味これは好都合であるとも言える。明らかに劣勢に立たされていた清太郎を、敵から引き離すことが出来るからだ。とはいえ、この男ならば清太郎が勝てるという保証もない。
俗に言う、戦闘フォルムへと変身を遂げた士が、行動を開始する。そして、こちらの放った攻撃は歯車王を止めるにはあまりに不十分すぎたらしく、そのまま清太郎へと向かう。
まずい、このままでは彼が袋叩きになってしまう。すぐに援護に向かいたいヘルガであったが、相手もそうなることは読んでいたのか、背中から緑色のレーザーを放ち、攻撃を仕掛けてくる。
十分な距離があったために、回避そのものは成功したが、そうこうしている内に清太郎は歯車王と分身した門矢士からの集中攻撃を喰らい、アスファルトへ強かに叩き付けられてしまった。
遅れてしまったが、直ぐ様両陣営の間へと入り込むヘルガ。双方の実力差から考えて、勝利は望めないかも知れない。しかし、相手を撤退に追い込む方法は、一つだけある。

「これが貴様らのやり方か。反吐が出る。弱ったこいつばかりを狙って、さぞかし気分がいいだろうな」

彼女はあからさまな嫌悪感を漂わせる表情でそう吐き捨てるで、両手に込めた魔力を天へと向ける。彼女の動きに呼応するかの如く、空の遥か彼方より呼び寄せられたのは、巨大な火球。
火球が地面へと激突する度に、大地が揺れ、辺り一帯が燃え盛る。敵を攻撃すると同時に、激しい振動と視界を覆う炎によって、行動も抑制するという技だ。
ヘルガは攻撃を終えるとすぐ、清太郎の前に張り付くようにして立ち、敵の反撃を警戒する。彼が満足に動けるようになるまで、傍を離れることは出来ない。
―――連盟の戦艦攻略は、果たしてどれだけ進んでいるのか。それ次第で、この作戦における自分達の負担は変わってくる。それでも、ヘルガは信じていた。彼らであれば、ユーフォリアであれば、必ず"それ"を成し遂げるだろう、と。

>歯車王、門矢士、橋川清太郎

2日前 No.160

世界の破壊者☆hWelpoTo9Ao ★XEmBtaY8sV_Qi5

【サクラゴス/港/門矢 士/ディケイド:通常形態⇒ディケイドクウガ マイティ⇒タイタン⇒ペガサス⇒ドラゴン】

>橋川 清太郎( >>134 ),歯車王,ヘルガ( >>160 )

 「……ん」

 声をかけても、どうにも反応が間に合わなかったらしいことに士はややあってから一瞬首を傾げ、蹴りの手応え――というよりも、足応えというべきか?――を確認してから、数歩退こうとした瞬間、異変に気づく。
 なにやらドローンや超小型飛行機などに類するものがいつの間にか射出されているようだった。
 さしもの不意打ちに、長い闘いの経験を持つ士であってもこれを完全に回避するのは土台無理な話であった。

 「ぐ……っ!」

 次々とパルス砲による連射を身に浴びて、頑強な装甲の役割も果たすディケイドの肩パーツディヴァインアーマーから幾重もの火花が散る。
 さすがにこのままでは押し切られると判断した士は、ライドブッカーから新たに二枚のカードを引き抜いた。
 同時に響くのは、ライドカードを用いる際に奏でられる駆動音。

 「なら……次はこいつだ」

 バックルが回転し、同時にそこに一枚、まずはカードが挿入される。
 そうこうしている間にも数え切れぬほどの攻撃を受けて、ダメージはみるみるうちに蓄積を始めていた。
 ゆえに手早く。無駄もなく。


    ―― KANEM-RIDE KUUGA! ――


 ディケイドの体を、幾度目になるかも判らない光が覆う。
 赤い光と共に高音がベルトから奏でられ、次なる姿へとそれは切り替わる。
 両手両足を黒く染め、仮面には赤い複眼と黄金の角を有し、胸部装甲は燃える炎が如し紅蓮の輝き。
 先程までのマゼンタの姿と共通しているところと言えば、ベルト部分のみであろうか。
 名を、ディケイドクウガ マイティフォーム。
 この場にいる誰もが知らぬことではあるが、ディケイドとは世界の旅人であり、幾度となく様々な姿を旅してきた者。
 『仮面ライダー』と呼ばれる戦士たちが存在する世界を何度も渡り歩き、稀に『戦隊』なる英雄たちが住まう世界にも訪れたことがある。
 その際に得た力のひとつ。『クウガ』と呼ばれる戦士の力を模倣するのが、このカメンライドと呼ばれる力の真髄であった。
 そんな、まさにこれから反撃を行わんとしていたところに、さらなる一幕の移り変わりが。
 一対一をメインに行動しようかと思ったのだが――どうやら歯車王からの追撃も懸念してか、ぴったりと張り付かれてしまった。
 あまつさえ周囲を焼き尽くさんとするほどの、超火力の火炎の嵐。それらを見て、さしもの士も仮面越しに顔をしかめた。
 ならば、二枚目のカードを使う意味もある。


  ―― FORM-RIDE! KUUGA-TITAN! ――


 二枚目のカードを、しかしそのクウガ――格闘戦に特化した姿で何かの行動を起こすことなく、挿入し、起動した。
 やがて光はディケイドクウガの姿を更なる別のものへと変えていった。
 メインとなるフォルムは一切変わることはなく、しかし複眼は紫となり、手甲や肩装はシルバーカラーとなり、紫色のラインによる装飾で縁取られた姿。
 ディケイドクウガ タイタンフォームと呼ばれるそれは、オリジナルのクウガ タイタンフォームと呼ばれるものの再現。
 ――“邪悪なるものあらば鋼の鎧を身に付け、地割れの如く邪悪を切り裂く戦士あり”。
 その伝承を持つ、古代戦士の力を模倣したのが、これだ。
 装甲はダイナマイトの爆発の直撃を受けても無傷と言われる、スピードこそディケイドや、クウガ マイティフォームにこそ劣るものの白兵戦による攻撃力と、防御力は他の追随を許さない。
 ディケイドや、マイティフォームであったころには何度も攻撃を受け続けてダメージが蓄積しているのが目に見えていたが、タイタンフォームに変化してからは一気に状況が変わった。
 悠々と弾幕の中を歩み、いつの間にか砲撃に押され続け距離を数メートルほど離していた橋川と、割り込んだヘルガに近づいて行く。
 状況は先程とまるで変わらない。橋川は歯車王の堅牢なる装甲に攻撃を無為と化され、攻めあぐねていたのだから。
 そこへ参入したディケイドがクウガ タイタンフォームの力を用いてしまえば、状況は一気に悪化の一途を辿ることだろう。無論、ヘルガの助成がなければ、という前提もつくが。
 ――が、


  ―― FORM-RIDE! KUUGA-PEGASUS! ――


 幾度目になるか、さらなる姿の変化を見せる。
 装甲によって弾道をある程度は予測、見切ることができるようになるまで攻撃を耐え続け、“ここぞ”といった瞬間に飛び込んでダイブロールを行いながら、さらなるカードの起動を行ったのだ。
 転がりながら変化した姿は、赤きマイティフォームの紅蓮色の箇所を全て緑にリペイントしたかのような姿。
 ――“邪悪なるものあらば、その姿を彼方より知りて疾風の如く邪悪を射抜く戦士あり”。
 あらゆる能力が他のクウガに劣るが、視力・聴力や第六感にいたるまで、ありとあらゆる感覚を強化することのできる姿だ。
 それは通常時の1000倍にまで加速する戦士と、同等の加速を見せた加速能力で移動する相手に、的確な射撃を見せるほどに。
 無論、弱点がないわけではない。
 全身の神経が極端に緊張状態と化し、六感に至るまで感覚を強化されてしまう都合、痛覚すらも倍増してしまう点にある。――わかりやすく言えば、ダメージを受けやすくなってしまう。
 装甲は防弾仕様であるために、並大抵の拳銃などの装備ならば無傷とすることもできるだろうが、メカニックを生業としている橋川の武装がそんな生半可な道理もなし。
 クウガの能力のひとつである、触れた武器を専用の武装へ変換するといった力を用い、銃のモードであったライドブッカーを黄金のペガサスボウガンと呼ばれる弩へと変形させた。

 「射撃には、射撃だ。――ふんッ!」

 弾幕からある程度抜けて、次にターゲットロックをされるまでの僅かな間隙を縫いながら。
 クウガ ペガサスフォームの大技、『ブラストペガサス』をビットのように飛翔する四つの機体へと立て続けに放出。
 風切り音と共にエネルギーと風の入り混じった、1000倍の加速相当のスピードをも物ともせぬ超高精度射撃がAltair platoonや、残った炎幕を襲い、撃墜、ないし相殺にかかる。
 弾幕をこれでひとまず沈黙させ、タイタンフォームでも無傷ではいられないだろうと判断した敵の炎魔術の威力を減衰させることが主な目標である。


  ―― FORM-RIDE! KUUGA-DRAGON! ――


 最後。格闘の炎、耐久と重量の紫、感覚と射撃の緑と来て、新たな姿が展開された。
 その色彩は、蒼。
 海よりも深き青。
 ペガサスボウガンであったライドブッカーをドラゴンロッドと呼ばれる、如意棒のような銀色の武装へとさらに変化させ、『ブラストペガサス』の結果を見ることもなく、そのまま両者へと襲い掛かる。

 「俺はそいつが気に入って、用が出来た。お前でも悪くはないが……どうする?」

 ――“邪悪な者あらば、その技を無に帰し流水の如く邪悪を薙ぎ払う戦士あり”。
 パワーこそペガサスを除く他フォームに劣るものの、速度に特化したフォームである。
 時速180kmはあろう勢いで、飛翔にも似た勢いで跳躍する。ざっと上空15mほどにまで飛び上がれば、武装『ドラゴンロッド』にみるみるうちに光が集まっていく。
 ロッドの先端に光はやがて収束し、臨界点に達し――ドラゴンフォームの必殺奥義、『スプラッシュドラゴン』なる突き技を、自由落下の勢いも込めてヘルガを素通りし、清太郎へと叩き付けにかかった。

 ……どうにも。
 先程から歯車王の斬撃を結果的に逸らしてみたり、相性の悪いであろう橋川を歯車王から引き剥がしたりと。
 逆にせっかく二対一になった中を、事実上の一対一、転じて二対二になるなど、両陣営にとってほぼ平等に不利益になることばかりをしている。
 無論、それを誰が指摘するか、不思議に思うか、はたまた単にやる気がないと判断されるかは別として。
 ともかく、ディケイドの能力である『フォームライド』『カメンライド』を連打し、五つもの形態を披露して、攻撃と防御を休む間もなく行っているのは事実であった。

2日前 No.161

I am Determination @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【リヒトルザーン/繁華街/ハンバーガーショップ→プリンシパル/第6通路/キャラ・ドリーマー】

「ん、行くのかい。それじゃあまたね」

ショパンと別れ、この場に残ったのは二人。キャラとサンズだ。お互いに見覚えのある姿をしているが、どこか知人とは異なり、それでいて自らに似た性質を感じる二人組。
しばらくこの辺りを見回っている間に、どうやらあの戦艦について進展があったようだ。なんでも、地球軍の元帥が、敵のエースパイロットを撃退したらしい。
それだけではなく、突如戦艦の後部で起こった爆発によってハッチが開き、味方の侵入経路が生まれたとのこと。これによって徐々に形勢が変わりつつあり、勝利の目が見えてきた。
そろそろ、自分達も本格的に動くべき時かも知れない。敵の親玉がいるのは、どう考えても戦艦の中。連盟を勝利に導くのであれば、そいつを倒す以外の方法はないだろう。

ふと、近くの店へと入ったサンズを見やる。ああ、やはりか。彼は"ショートカット"で店の入口から入口へと、次々に移動して探索に掛かる時間を短縮している。
まさかここまで同じとは。あまりにも似すぎていて少し気味の悪さを感じるくらいだが、そうとなれば都合がいい。手間の掛かることをせずとも、あそこへたどり着けるからだ。

「なあ、サンズって言ったね。ちょっと私と一緒に出掛けないか。近道があるんだ」



それからしばらくして、キャラの姿はプリンシパルの艦内にあった。否、しばらくというのは語弊がある。正確に言えば、サンズに話を持ち掛けた直後であった。
彼女がどうやってここへやって来たのかは分からないが、恐らく特殊能力の部類だろう。キャラは間違っても、空を飛ぶことなんて出来やしないのだから。
相変わらず、両手をパーカーのポケットに突っ込んだまま、彼女は通路を探索する。そして、見つけた。コートをはためかせながら、ゆっくりと艦橋へ向かう敵の姿を。

「悪いんだけどさ、止まりなよ。私としては、君にそっちへ行かれると都合が悪くてね」

そう声を掛けるも、キャラはまだ動かない。わざと敵に先手を譲るつもりなのか、それとも話し合いで解決出来る可能性がなくなるまで、実力行使はしないのか。
いずれにしても、相手からすれば今の彼女は、ひどく無防備な状態に見えるだろう。確かに、傍から見れば、何も持たない少女が一人でこんなところに突っ立っているようにしか見えない。
いずれ追い付いてくるであろうサンズが横に立っていれば、随分違って見えるのだろうが。キャラはまるで自分は余裕だと言わんがばかりに、こんな状況にも関わらず、板チョコをポケットから取り出し食べてみせるのであった。

>ソリダー、サンズ、(F,Fショパン)

2日前 No.162

偉人、天才、だが迷惑 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【時空防衛連盟/休憩室/モーツァルト】

 話の途中で、同僚に首根っこ掴まれるグレイル。
「もしかして、休憩時間はとっくに終わってた?」
 同僚に殴られるグレイルを、きょとんとした顔で理由を聞いてみると迷惑かけるなという発言を聞いて、満面な笑みで浮かべる。
「迷惑? ぜんぜん、面白かったよ……って、あれ? もう行っちゃった」
 遠くに引きずられるグレイルを見て、きょとんとした表情を浮かべてその様子を眺める。
 そして、明るい顔で赤い腕輪をしている手を上げこう別れの言葉を紡いだ。
「じゃあね、また会おうねー」
 手を振って明るい子供のような仕草を相手が見えなくなるまですると、休憩室は空っぽになった。
「そうと決まれば。ここで待ってようっと」
 並行世界へと旅立つ合図が待つまで居座ろうと、三つ編みと上着を靡かせアイネクライネ・ナハトムジークを鼻で歌いながら、自販機へと滑走し、サイダーのボタンを押した。

 クラシカロイドは、最高の楽器として設計され、同名のクラシック音楽家のCDを聞かせて目覚めた人工生命体。
 偶然、発現した不思議な音楽の力「ムジーク」を持ち、この世界の危機を救え……
「あれ? そう言えばアッシュって何しているか聞き忘れちゃった。まあいいや、会ったら聞こう、ここにいる女の子だしね」
 るのか?
>グレイル・ザーラヴァ―

1日前 No.163

小さな小さな司令官 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【サクラゴス/卸売市場/北側/ベアトリクス・ノアシェラン】

戦闘を進める最中、ベアトリクスは敵が死を恐れていない理由を考えていた。ここまで見てきた限り、単に気が触れているという訳ではないだろう。もっと他の、大きな理由があるように感じる。
何度殺されようが蘇る、と断言しているのが最大のヒントだろうか。思い付くのは、彼は単なるクローンかそれに近い何かに過ぎず、本体は別に存在しているという説。
本当にそうであるとするならば、それがあるのはあちら、アナザーワールドだろう。故に、ここで彼との決着を付けることは出来ない、ということなる。もしかすると、今後も付きまとわれる可能性があるかも知れないと考えると、少し憂鬱だ。
そんなことを考えていると、こちらの言葉に対して相手が返答する。苛つく内容だ、とことんまでに自分の方が上であることを示さないと、気が済まないらしい。
このような言葉、誰が聞いても不快感を示すに違いないだろうが、ベアトリクスはサミュエルが発した言葉の、ある別の部分でも、苛立ちを募らせていた。

「さっきから矮小だの幼虫だの、テメェ私を何だと思ってやがる! いいか、小さいってことはなぁ、それだけ小回りが利くってことなんだよ!」

自分に対して"小さい"ことを連想させる言葉を吐かれることに、彼女は過剰に反応する傾向があるようだ。それほどまでに、自らの低身長にコンプレックスを持っているのだろう。
しかしベアトリクスは、逆にそれを利点とすることによって、今の戦闘スタイルを確立している。体格が小さく、的を絞られにくいという特性を活かし、機動力を重視した戦法を編み出したのだ。
今回の戦闘においては、もしも自分が動き回らないスタイルであったら、と考えるとぞっとする。敵は速度と攻撃範囲に優れている以上、苦戦は免れなかっただろう。

サミュエルは、EVIL-13によって展開された光の嵐を前にしても、至って冷静に対処を行う。だが、さすがにアサルトライフルでこれを処理するのは、無理がありすぎたようだ。
全ての攻撃が過ぎ去った後、彼の身体は既に半壊状態となっていた。左腕は完全に消失していることからも、そのダメージの大きさが窺える。それでも、敵は戦いをやめる気配がない。
アサルトライフルを連射しながら、こちらへ向かって突撃してくる敵。彼女は電磁式の簡易シールドを展開して弾丸を防ぎながらSUN FLOWERを連射し、相手の勢いを削ごうとする。
しかし、至近距離からの攻撃を持っても止め切るには至らず、サミュエルは最後の最後で自爆という荒業に出てきた。咄嗟に飛び退き直撃は避けたものの、爆風の勢いが、ベアトリクスの小さな身体を押し流す。

「おねんねするなら一人で勝手にしとけ、二度とお前と会うのはごめんだぜ」

しかし、持ち前の身のこなしでしっかり足から着地し、彼女は服の先端を少し焼かれるだけで済んだ。仮に地面に叩き付けられていたら、もっと大きな傷を負っていただろう。
誰もいなくなった戦場。それを理解した途端に、彼女は大きな落胆を覚える。死んだ。自分を絶望の淵から救い出してくれた人が。彼らはただ、日常を過ごしていただけだというのに。
がっくりと項垂れ、かつて夫妻の営む店があった場所に積み重なった瓦礫を見やるベアトリクス。仇は、必ず討ってみせる。無作法な侵略者には、死を以てこの件を償わせるのだ。

>サミュエル・ベルナール(A)
【確定ロルがOKとのことでしたので、最後は既にサミュエルがいなくなった体で書かせて頂きました】

1日前 No.164

イリス @infernity☆ABoQ4DiOf0I ★PSVita=3aypDZ0Vq6

『プリンシパル/格納庫/イリス』

「!」

格納庫内で待ち伏せしていると、扉が何者かにより破壊され、中に誰かが入って来た。
イリスは目付きを鋭くし、射撃タイプと近接タイプの群体イリスは無表情のままそれぞれ武器を侵入者に向けた。
相手の反応を見るに、本物はどのイリスなのか断定出来ていないようだ。
全て壊せば一緒、そんなの関係ないと言わんばかりに勧告無しで放たれた攻撃によって群体イリス達は攻撃する間もないまま破壊されてしまった。

「敵が来ることは予想していたけど、随分と派手な挨拶ね。連盟の人って意外とこういうの好きだったりするのかしら」

攻撃により出来た煙が晴れる頃には、
床一面にはスクラップ同然となった群体イリス達が散らばっている中、1人だけ無傷の人物が武器も持たずに立っている姿が確認出来る。
彼女はあの攻撃の中、自分だけうっすらとシールドを張って身を守ってたのである。
そして格納庫内に侵入した二人を前に冗談を交えつつ話し始めた橙色の髪をサイドテールにした少女こそ、
群体に指示を出していた人物であり、本物のイリスである。

「でもまあ、敵ならこれぐらいやってもらわないとね」
「あー、この分だと外に向かわせた”私達”も全て壊されてるわね」

冷静に落ち着いた口調でそう言いながらイリスは自身の近くにあった武器として使用出来なくなったビームライフル1丁(銃身は歪み、引き金も根本から折れている)を拾い上げ、それを見ながら話す。
自分自身でもある群体イリス達が破壊されるということは自分が殺されていると同意義なのだが、
イリスはその事について相手方に一切咎めることはしなかった。
何故なら「資源資材はたくさんある。また造れば良い」程度にしか思っていないからである。

>>ヤロス・ハニービー、ハベル・アレッセル

【絡み感謝。こちらこそよろしくお願いします】

1日前 No.165

人形 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【プリンシパル/第一機関室/ハートレス】

人間は心臓から血液を全身へと送り、生きている。いわばそれは、自動車や戦艦におけるエンジンだ。どんな生物だろうと、エンジンが止まってしまえば、確実に死に至る。
如何に巨大な戦艦であるといっても、動力源を失えば空を飛ぶことは出来ない。故に、時空防衛連盟の面々が、プリンシパルの機関室を狙うのは、至極当然の流れであったのだろう。
正しい判断だ。今回の連盟の勝利条件は、彼らを残らず駆逐することではなく、何らかの形で戦闘不能に追い込むことなのだから。どのような形であれ、それさえ実現出来れば、ホームワールドの安全は守られる。

だが、考えてみて欲しい。それほどまでに重要な場所に、並行世界管理協会ほど戦い慣れした組織が、一切の防衛を置かないなどということが、果たしてあり得るだろうか。


第一機関室に現れた二名の侵入者。彼らは真の心臓部である扉の奥へ侵入を果たす前に、その前の部屋にある動力源を根こそぎ破壊していく腹積もりのようだ。
しかし、彼らが攻撃を放つ直前、二体の人形がどこからともなく現れ、間に割り込んでくる。結果、両者の攻撃は人形を爆散させるだけに終わり、動力源に傷を付けることは出来なかった。
そして次の瞬間、二人は目にすることだろう。今まで誰もいなかった第一機関室に、いつの間にか無数の少女の人形が並び、それらが自分達を包囲しているという事実に。

「貴方の心はどこにあるの?」

どちらへ対するものかはっきりしない問いかけをしつつ現れたのは、上から下まで真っ白で統一された少女。ただ一つ、普通の人間と異なる点を挙げるとするならば……関節が球体関節であることだ。
彼女の声に呼応するかのように、アリアとデュアルを取り囲んでいた人形が、一斉に動き出す。攻撃そのものは単純で、飛び掛かり、突進といった類のもの。
相手が一人であれば、簡単に対処出来るものだろう。しかし、これだけの人数ともなれば、その全てを躱しきるというのは、非常に難しい作業となるに違いない。
下僕の人形に攻撃させている間に、人形達の女王、ハートレスと呼ばれる彼女は、ゆっくりと二人の元へと近付いていく。他の人形達とは異なり、やけになめらか、人間との差を感じさせない動きを見せ付けながら―――

>アリア=イヴァンヒルト、デュアル
【味方が来たらすぐ配置 〜狂気の風神少女〜】

1日前 No.166

マダム・ギロチン @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【並行世界管理協会本部/レストラン/キャロライン・ガーネット】

絶対的な階級社会の敷かれるアナザーワールド。そのアナザーワールドにおいても、特に恐れられている人物の中に、"マダム・ギロチン"の異名で呼ばれる女性がいる。
彼女の名前は、キャロライン・ガーネット。第三臣民という底辺から、頂点の第一臣民まで這い上がったという、この世界において異色もいいところである経歴を持つ人物だ。
協会に対して反抗的な思想を持つ者を探し出しては、ギロチンで見せしめに処刑する彼女の存在は、協会にとって反逆に対する大きな抑止力となっており、指揮官としての能力も相まって、現在キャロラインは、シフォンと並びナンバー3の地位にいると目されている。
第三臣民から引き上げられた直後も、暗殺者としてキャリアを積んでおり、その人生は"並行世界管理協会にとって都合の悪い存在を排除するため"にある、といっても過言ではない。
それほどの人間なのだから、今となっては彼女の姿を一目見ただけでも恐怖を感じる者がいるというくらいだ。しかし、協会な忠実な者に対しては温和な態度を示すらしく、部下からの信頼も厚かった。

そんな彼女は、此度のワールド10侵攻作戦には参加していない。というのも、自らの御座艦である重巡洋艦「エクセキューショナー」が、修繕修理を受けているためだ。
攻撃対象がオラムフェルトとサクラゴスという、対地攻撃が重要になる作戦であった以上、万全であれば、対地特化のエクセキューショナーが出動していたのは間違いない。
とはいえ、相手の戦力を考えれば、たとえエクセキューショナーが出れずとも、失敗することはまずあり得ない内容であるのは事実だ。キャロラインも勝利を確信していた人物の一人であるが……どうも何らかの問題があったらしく、戦況が悪化しているらしい。
レストランで食事をしながら、彼女はもどかしさを覚える。自分があの場にいれば……そんなことを考えていると、ふと、実に耳障りな声が聞こえてくる。あれは……最近になって現れた、異世界人の一人か。

「随分といい度胸をしているようね。こんな大勢の耳がある場所で、そんなことを言ってのけるなんて。……異世界人だからといって、どんな行いも許されるという訳ではないわよ?」

董卓に冷たい視線を突き刺すキャロライン。彼は今確かに、"最後にはワシがこの世界の頂点に登り詰めてやるのじゃ"と言った。それは、会長ミゼラブルに対する、反逆宣言であると捉えられても仕方がない。
もしも本気でそれを為そうとするつもりであれば、彼女は容赦しないだろう。これまで多くの反逆者を抹殺してきた恐怖の処刑人、マダム・ギロチンとしての役目を果たすのみである。
幸い、時間が飯時から少しずれていたこともあって、レストランにはそれほど多くの人は見られない。だが、よりにもよってキャロラインと鉢合わせてしまうとは、彼も運がなかった。
異世界人は基本的に、自由奔放だ。組織への忠誠心も、この世界出身の者ほどではない。中には、こうして自らの野心を口にする者もいる。それでも彼らが在籍を許されているのは、戦力となると組織が認めたからに他ならない。
その最低限すらも出来ないというならば、もはや彼は組織にとって不必要な存在となることだろう。だが、それにしてもあまりに目に余る態度であるため、キャロラインはこうして釘を差しに来たのだ。

>董卓

1日前 No.167

天雷 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_Tbw

【プリンシパル/プリンシパル周囲→艦橋/ヴィルヘルム・エーベルヴァイン】

 先行して単機で出撃していた元帥からの通信。大戦艦の対空兵装を掃討し、反撃の好機が到来した今、彼女の命令を合図に攻撃隊の出番が訪れる。大海原に波を逆立てる鋼鉄の鳥達、勇壮に烈風の如く駆け抜ける戦闘機の姿。その魁を務めるのは、編隊を組んで飛行する、都合10機に及ぶ"流星"。ひたすらに疾くある事に特化し、神速を体現するかの様な異次元の速度で駆け抜けるそれらの一つ、双つの白き流星が描かれた物にヴィルヘルムは搭乗していた。

「初の実戦でビビってなんかいないよな、お前ら。いつも通り"風"になるのを忘れんなよ……!」

 襲い掛かる強烈なGを物とせず、全然余裕と言った口振りで"流星"を駆り、敵の戦艦へと高速で接近していく彼。同じく"流星"を駆る者達、通称"流星隊"の面々もまた、彼と同じように通信で軽口を叩きながら追従して行き、艦を堕とすべく接敵して行く。
 戦局が優勢に傾いた所を一気に押し出し、この戦いで勝利を収める為に開始する攻撃。疾風となって戦艦の周囲を駆け巡りつつ、的確に艦へとレーザーを撃ち込み、損傷を与えて行く。そして隙を見計らって、プラットフォームへと突入すると、ヴィルヘルムは艦内へと侵入し、艦の攻略へと挑む。
 通路の道中、白の光を身に纏い、擦れ違い様に敵兵を剣で切り裂き、前へと突き進む。雑兵相手に掛かる手間は少ない、僅かな強化をかける程度で容易く蹴散らす事が出来る。勿論、強敵が相手となるならば話は別だ。そして、重要地点にいる敵も当然、こんな雑兵ではない事だろう。

「よう、お邪魔するぜ。このデカブツの艦長さん」

 思いっきり全力で蹴り破った扉の先。どうやら辿り着いた場所は艦橋、攻略重要度で言えば大当たり、差し詰めビンゴと言った所か。其処に居た赤髪の女に気さくな挨拶、しかし視線には確かな敵意を籠めながら、前へ出る。右手に構える紫刃の剣、刃に纏う紫雷。
 表向きの態度とは裏腹に、多くの人命を奪った侵略者に対する怒りは大きい。だが、彼にとっての"地雷"を踏み抜いていない現状は、それを露わにする理由もなかった。彼女がこれまで奪った命に対し、更なる侮蔑を与えない限り、彼の態度は変わらない。

「これ以上好き勝手暴れ回られたら困るんでね。悪いがここで止めさせて貰うぜ……!」

 先手を譲ってしまう前に先に動き出る。剣を切り払う動きと共に放つは、彼女を目掛けて迸る紫雷。そしてそれを合図に疾走を開始すると、その頭上を飛び越え背後に回り、振り向くと共にその背を狙った斬撃。そのまま勢いに委ね、畳みかけるようにして連続で斬撃を放って押し切らんとする。
 まずは本気の2割以下、どこまでやれるかの力量を図っていく。

>セレーナ・バルダローム

1日前 No.168

Ray @mgs56 ★kOwjtfzUku_keJ

【並行世界管理協会本部/レストラン/董卓】
気が付けばもう葡萄酒の瓶が底をついてしまっている。テーブルに置いている酒は全て呑み干してしまいもう酒は無い。この状況に明らかに不機嫌そうな顔をするがその直後に先ほどのウェイターが何本か新しい酒瓶を持って戻って来たではないか。酒が切れた直後に持って来るとはこいつは中々に気が利く奴だ。権力を握った暁には取り立ててやらんでもない。
そんなことを思いながら麦酒を開け、グラスに注ぎ始めると、どこかから声がする。声がする方に向くと黒いボブヘアに黒い軍服を着た女性。確か「マダム・ギロチン」などと呼ばれている奴か。先ほどの野望を聞き、恐らくは釘を刺したつもりなのだろう。

「フン、このワシに脅しをかけるか。じゃがそんな脅し如きでワシの酒池肉林の野望を止められるなどと思うな。」

反逆者共を粛清し続ける処刑人による警告などまるで意に介さない。そんな脅しに屈するようであれば元の世界において専横を極めるようなことはしなかったであろう。
食事中に邪魔をされるのは不快極まりないが、確かこの女は何人もの反逆者を粛清し名実ともに恐れられている存在。もしかすればあの呂布以上に使えるやも――――

「本来なら即刻斬っているところじゃが…確か貴様「マダム・ギロチン」であろう?」

この異世界にやってきて日は浅いが、「使えそうな」奴に関しては情報を収集してきた。己が野望を叶えるため、董卓は下卑た笑いを浮かべ彼女に語り掛ける。

>>キャロライン・ガーネット

1日前 No.169

大鎧 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【サクラゴス/港/歯車王】

「勘違いしない事だ。 ワシは一言も貴様らを愚か者と呼んだが、"弱者"と呼んだ覚えは無い。 ワシに油断があるなら隙もあるなどと生ぬるい事を考えるのなら後悔する事になるぞ」

弱いものいじめ、後ろから降り立った者もそのヘルガの言葉に同調するように「弱いものいじめは趣味じゃない」だが、敵が二人に増えたのだから手出しする。
そんな事を語っている異世界人の味方などほとんど眼中に無いかのように、ほとんど真逆の事を歯車王は口にする。

"弱者と呼んだ覚えは無い"。 そう、確かに彼は今まで一般市民やこの世界そのものを蔑視するような言葉は何度も吐いているが、直接的に橋川やヘルガの戦闘力を煽った事は無い。 もちろん、歯車王には実績もある、強さもあるため、自分が強いという認識は強くあり、協会の人間として、誰よりも自分の世界が優れていると言う態度は崩さない。
だからと言って、弱者と敵を侮り、それに足を掬われるような真似はありえない、もしそれを相手が狙っていると言うのならば「後悔する」とまで言い切って見せた。
歯車王と言うのは誰よりも第三臣民を使い捨てにし、殺害する将官であると同時に、一定の実力を見せて這い上がってきた者には、よほど態度が問題ない限り概ね寛大な態度で接する。
それは突然変異的に発生する、"無能な第三臣民の中で発生した有能な固体"と言う物の価値を高く買っているからだ、その彼が、異世界の"能力者"相手に油断するなどありえない、目を凝らせば見ればマダム・ギロチンのような者など幾らでも居るのだから。

もっとも、それはディケイドにしろ同じ認識なのかもしれないが。

「初見の武器に対応した事は褒めてやろう、だが本命で死ぬのならそれまでだ!!」

歯車王は、自分に向けられた攻撃ではなく、ヘルガに向けてかなり武器と分かりづらい歯車型のパーツから放たれたレーザー攻撃に初見で対応した事に賞賛を送りながらも、問答無用でその大剣を振り下ろす。
超重量超出力から放たれる一撃、普通ならただで済むはずが無い必殺の一撃だったが、その本命を相手は……受け止めた、回避ではなく、だ。

受け止めたところで、力をこめれば簡単に潰せると歯車王は少しずつ腕部に掛けるパワーを上げるが、それでも肉を断つには届かない。

「ぐはははははっ! 防ぐか、良かろう、ならば次は――えぇい勝手な真似を、ならば口だけの事はして見せろ」

そのまま歯車王は追撃に入ろうとしたが、ここで割って入ったのが味方だ。 彼は分身からの連続攻撃によって橋川を転倒させるが、最初から一人で二人を相手に出来ると考えていた歯車王にとってはあまり気分が良くない事だが、そこは一種の"大人の判断"で罵声を浴びせず、ただ色々と含みこそあるが、一応激励の言葉のみを送った。
さて、二人で一人を集中攻撃するという戦法は、やはり敵から見えてもさぞ卑劣なものに映ったようだ。

「……フン、好きに言うが良い、さあ、次だ、行くぞ!!」

内心は陸軍の栄光や、異世界人全般がリコルヌの命令で名誉を汚しにきているのではないか、と苛立つ歯車王だったが、少なくともそれを表に出す事は無く、再度武器を構えて戦闘を再開する。
そして、空から巨大な火球を無数に落とす敵対者だが……これに歯車王は驚くでもなく、ニヤりと笑う。

「こけおどしがァッ! 自分が巻き込まれるように広域攻撃を撃つ奴など居ない!」」

そう叫んで歯車王はヘルガが橋川の下に向かっていたのを見て、そこが"安置"だと確信する。
何せあの女はこの火球に巻き込まれてもどうにかなるかもしれないが、あの男はそうではない、つまり、二人が立っている場所だけが意図的に火球が降り注がぬようになっている事など明白。
故に必要なのは逃走でも防御でもない、そんな物を選択すればジリ貧になる、故に、攻撃、前進、突撃!!

再度キャラピラで土煙を巻き上げながら比較的高い機動力で二人に接近する歯車王、その前に降り注ぐ無数の火球に対しては、肩に搭載されているガトリングガンと、先ほども使用した六つのレーザー砲を使って迎撃する、その様はまさに動く対空陣地のようで、破片などが幾つか当たって、装甲が焦げ付いているものの、損傷は大きく無い。

そして、十分に接近すると、今度はしっかりとヘルガの方に照準を合わせ。

「そうまで言うならば次は小娘、お前だッ!!」

かなり近距離から両肩に搭載されているビームキャノンからは黄色の眩い死の光線、そしてガトリングガンからは嵐のような多数の弾丸がヘルガに向けて放たれる。
一方で橋川に対してはほとんど攻撃をしておらず、そちらは自分から「頂く」とまで言った異世界人に任せる構えだ。

>橋川清太郎 ヘルガ・アポザンスキー 門矢士

1日前 No.170

Futo・Volde @nonoji2002 ★VgtmIqXF0o_qY9

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1日前 No.171

使い捨てられる者 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【サクラゴス/灯台/エドガー・グリム】

地面から突如として飛び出した鉛の塊は、完全な死角からの不意討ちだった筈だのに、前に走る事でかわされる。
何らかの能力で気付いたのか、或いは超人的な反応速度で対応したのか、はたまた最初から走るつもりで回避出来たのはたまたまだったのか。何にせよ、不意討ちは失敗に終わった。鉛の塊は形をぐねぐねと変え、男の周囲へと集まっていく。

もう一方の襲撃者はと言えば、青年に声を掛けられてふらふらと近付いて行き、長々と喋りだした。全く戦場に似つかわしくない男だ――と、この場にいる誰もがそう思っただろう。だが、その評価は瞬く間に覆される事になる。

兵士達の一斉射撃を、男は爆風を利用して空中に飛び上がると言う曲芸でかわして見せた。兵士達が呆気に取られている間に、一定しない射線のせいで発生した誤射で次々と兵士が倒れて行く。
愉しげに嗤う男は、次の標的に向かって高速で飛行する。狙いは、後ろで油断しきっていた隊長とその直衛だ。
彼等が迎撃に出るよりも更に早く、男が投下したボムが炸裂する。爆発に加え強烈な電撃をも発生させるそれによって、殆どの隊員が身動きが取れなくなった。
男は無慈悲にも追撃を行う。動けなくなった兵士の元に誘導されたボムが爆発、小さな無数の爆発が重なりあって、やがて特級の大爆発を引き起こした。全ての兵士を吹き飛ばしてご満悦なのか、男は悪党のような高笑いをしていた。


――襲撃者が現れてから、僅か数分。五百超はいた兵士達は、たった一人の能力者を残して全滅した。

「クソがっ……どうなってやがる! このままじゃあ……クソッ!」

最後の一人となった男は、自分以外が全滅した事で苛立ちと焦りを募らせる。自分が負ける可能性を考慮し始める程に、男は追い詰められている。

「るせぇ! 黙ってやられてくれりゃ良いんだよ!」

ジョーク混じりで喋る青年に対し、男はみっともない程に余裕の無い応対をする。或いは、それだけ彼を追い詰めている"何か"があると言うことなのだろう。

相手は一気に間合いを詰め、鳩尾狙いの鋭い拳を繰り出して来る。先程の雷撃を鑑みるに、ただの徒手では無いだろうと推測出来る。
真っ直ぐ突き出された拳に、鈍い衝撃が走る。手応えはあるだろう。だが、その感覚は"人体のそれ"では無い。
男の胴体と青年の拳の間に割り込むように、鉛の塊が薄い壁のように展開されていた。鉛の壁は衝撃で凹んでいるが、拳は貫通していない。

それだけではない。青年を取り囲むように、大量の鉛が既に展開されている。
青年が迂闊にも飛び込んだのは、男が最も得意とする間合いだ。

「――死ねや!」

もう一人の襲撃者は此方に攻撃してくるそぶりはない。故に男は、今目の前に立つこの青年を倒す事に意識を傾けた。
上下左右全方位から、抉り貫く無数の鉛の槍が青年に襲い掛かる――。

>>ライル、プレイグナイト

1日前 No.172

マダム・ギロチン @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【並行世界管理協会本部/レストラン/キャロライン・ガーネット】

警告のつもりで発した言葉を、当の本人は意に介さない。この男、恐らく自らの世界では相応の地位にいたのだろう。中世風の出で立ちでありながら、醜く肥えた容姿が、それを象徴している。
度胸があるのは結構なことだが、あくまでここは公共の場だ。他の者も大勢やってくることもあるような場所で、専横を極められてしまっては、溜まったものではない。
さて、どうやって彼に退場願おうかと考えていると、それよりも早くあちらが質問を投げかけてくる。驚いたことに、彼は異世界人でありながら、自分のことを知っているようだ。
マダム・ギロチン。それはこの世界出身の者であれば誰もが知っていてもおかしくない呼び名であるが、まだここへ来て日が浅い異世界人にとっては、馴染みの薄い単語であるはず。
何故董卓が知っているのかはともかくとして、どうやら何らかの話を持ち掛けるつもりらしい。上から下まで野心で塗り固められたような男。一体何を望んでいるのかを聞いてみるのは、悪いことではないかも知れない。

「貴方がその名を知っているとはね。それで、私に何か言いたいことがあるのかしら?」

相手のペースにしないためにも威圧的な態度は崩さず、返答を行うキャロライン。実に汚い笑みだ。見ているだけでも嫌悪感を覚えてしまうが、ここはぐっと我慢する。
そして彼女は、相手に心を開かせ、より深い話を聞き出すためにと、丁度彼と相席になるように自ら座ってみせた。今までの見下す形ではなく、対等な形で話を聞こうという態度だ。
勿論、董卓の提案がろくでもないものであろうことは予測している。しかし、このような人物は抑え込むよりも、好き勝手にやらせた方が真価を発揮するということを、キャロラインは長年の経験で理解している。
だからこそ、彼女はこの者が何を目的とし、何を欲しているのかを探ろうとしているのだ。彼のような人物は、それをちらつかせることで、勢いよく食いついてくれるだろうから。

>董卓

1日前 No.173

悪の機械科学者 @aaazzz123 ★Android=24h0xNNNSS

【平行世界管理協会本部/研究施設/ネファリウス】

「フン!奴らめ…ワシの研究には資金をほとんど下ろそうとせんわい!ワシを誰だと思っとるんじゃ!」

研究施設の一角に老人の怒りの声がこだまする。
しかしその場所には人間と思われる者の姿はない。
いるのは全身が細身でブルーの金属でできており、頭部の脳にあたる部分が緑色のクリアパーツで覆われた「ロボット」である。
それと一緒に脚部が1足の車輪になっており、大きな1つ目が特徴の部下のロボット兵が着いて回っている。

「ドクター・ネファリウス、コノ世界デハ貴方ノ名ハ知レ渡ッテハイナイノデス。同時ニ貴方ハ今、悪ノ首領デモアリマセン」

「口を慎まんか!!それくらいわかっとるわい!!今度ふざけた事を言ったらお前をバラして掃除機に改造してやるから覚悟せい!!意識があるまま一生ゴミを吸う生活をさせてやるわい!!」

宥めようと部下のロボット兵が声をかけるがかえって激昴させてしまったようだ。
宥め方が下手にしてもこのロボット、相当短気なようだ。

彼はネファリウス、かつて悪の天才科学者として別の世界で名を馳せていた者だ。
しかしその名誉(?)もこの世界ではなんの意味も成していないようで、彼の研究には全くではないにしろ、ほとんど予算が降りないそうだ。
それもそのはず、ネファリウスの発明の技術は協会にとって未知数、大した腕じゃ無ければ資金を下ろす価値はない。逆に腕が立ちすぎるなら下手に資金を下ろすのは危険でもあるからだ。

「フン、名が知れ渡ってないのならば実力を示せばいいだけじゃわい!ワシを誰だと思っとるんじゃ?ドクター・ネファリウスじゃぞ!?銀河を幾度となく絶望に叩き落として来た天才じゃぞ!?グッフフフフフフ…」

「サ、サスガ…ドクター・ネファリウスハ、天才…」

怒ったり笑ったり、だいぶ気性が激しいようだ。
彼に付き合わされる部下はさぞ大変だろう。
だが下手に機嫌を損ねれば容赦なく破壊される為、ご機嫌でいてもらえるならそれはそれで安心である。

「まぁ…それでもこの協会とやらの愚痴は言い出せば尽きる事は無いが…実験台には困らんのは実に良い」

ネファリウスの背後には何やら怪しげな装置が繋げられた実験台に拘束され、恐怖のあまり声すら出なくなった第三臣民の男の姿があった。
装置は一言で言えば拘束した対象に至近距離でなにかレーザーのようなものを照射するような形である。

「懐かしいのう〜、バイオブリタレーターの初期の試作品じゃ」

バイオブリタレーターとはネファリウスがかつて作った巨大侵略兵器で、発せられる光に晒されるとどういった原理か有機生物がたちまち自我を無くしたロボットへと変貌してしまうという恐ろしいものだ。
今回制作されたのはそれの初期段階の試作品であり、拘束した対象一体のみをロボットゾンビ化させるものである。

「少ない資金をやりくりしつつ、廃棄されるはずのガラクタも使って即席で組み上げたものじゃが、大したもんじゃろう!!…こっそり拝借したパーツもあるがの。……さて」

ネファリウスは拘束された人間の元へ手を後ろへ組み胸を張り、脚を大きく上に上げては降ろしの一歩一歩偉そうな歩き方で歩み寄った。
彼が自信に満ち溢れている時はいつもこの歩き方である。

「喜べ!生ゴミの中でもさらに薄汚い生ゴミよ!お前はワガハイが大躍進する為の名誉ある最初の実験台に選ばれたのじゃ!……名誉ある生ゴミ?生ゴミに名誉なぞあるわけなかろう!」

1人で喋って1人でツッコミをいれる。なんとも自由な老人だ。これがネファリウスの平常運転である。
1人でコント紛いの喋りをしながらネファリウスは装置の起動レバーに手をかける。

「そうじゃ、最期に何か言い残す事はあるかのう?ワガハイが聞いてやろう」

何の情けか最後の言葉は無いかを突然穏やかな声で実験台となった男に問いかける。
男はガチガチと震えながら口を開き、何かを言いかける。
………が

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!うっそー!!!」

突然態度が豹変しゲラゲラと笑いながらネファリウスは一切の躊躇い無くレバーを勢いよく下げる。
最初から最期の言葉など聞く気は一切無かったのだ。
なら何故こんな事をしたか、理由は1つ。
「楽しいから」である。

起動した装置は怪しげな駆動音を唸らせ、バチバチと時々スパークさせながら照射口にエネルギーを充填していく。
バチバチと……バチバチと…………

「ゲァーッハッハッハッハッ!!………あん…?」

五月蝿いほどに大笑いしていたネファリウスだが、思った以上に発生するスパークに気付き、思わず笑うのを止めてしまう。
しかし気づくのが遅かったか、その直後にエネルギーは充填完了し、即座に照射が開始された。

…照射は秒とかからず一瞬で完了。傍から見れば閃光を放っただけにも見える。
実験台となった男の身体はどういったテクノロジーなのか、全身が金属となり、文字通りロボットへと変貌したのだ。

「サスガ、ドクター・ネファリウス。寄セ集メノガラクタデモココマデノ発明ヲ…」

「ええい……この元生ゴミをよく見てみい!!ピクリとも動きやせん!!死んでおるではないか!!!」

ネファリウスはロボへと変貌した実験台の頭を何度もカンカンと小突く。
本来ならロボゾンビとされた対象は命を落としたりする事はない。
つまり装置は失敗作だったと言う事だ。
ネファリウスは今度は装置の方に目をつけた。
1部は装置の熱量に耐えきれず溶けており、あちこちから黒煙が上がっている。
どうやらこの1回で壊れてしまったようだ。

「フン、薄々わかってはおったが…ガラクタで作るのはやはり無理があったかのう…オイ!この壊れたガラクタとその実験台を処分しておけ!」

ネファリウスは部下のロボット兵に壊れた装置と犠牲になった実験台の処分を命じ、そしてその直後にまともに資金を下ろさない協会に対する愚痴をブツブツと呟きながら辺りをウロウロと歩き回り始めた。


>>周辺all


【遅くなりましたがスレ開始おめでとうございます】

1日前 No.174

雀蜂流忍者 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【サクラゴス/卸売市場・南部/グリゼルダ・ホーネット】

彼女の想定通り、蟲達は火を恐れて散っていく。これで決まる――そう思った矢先だった。

「つっ!?」

指揮官の号令で、彼女の傍にいる蟲達が一斉に糸を吐いた。それも腕や胴ではなく、正確に足を狙って、だ。
後方からも同じように糸を吹き掛けられ、足を強制的に止めさせられる。更に、糸で動きを止められたところを、指揮官直々に足を槍で薙ぎ払われ、転倒してしまった。

「不味い……!」

即座にポーチから苦無を取り出して指揮官へ投げ付けるが、倒れ込む最中だった為か、全く見当違いの方向にそれは飛んでいった。
地面に叩き付けられて僅かに呻く。衝撃で小太刀も取り落としてしまった。拾おうと手を伸ばすが、ぎりぎりのところで届かない。更に、ここぞとばかりに蟲達がわらわらとグリゼルダに集り、先程彼女の足を封じたものと同じような糸を一斉に吹き掛ける。このままでは不味いと抵抗を試みるが、時既に遅かった。

「このグリゼルダ、一生の不覚に御座る……!」

敵が自由自在に操る蟲が、普通のそれと同じの筈が無い。少し考えれば分かる事だった。だと言うのに決着を焦り、敵の観察を怠ってしまった。だから今、こうして屈辱的な目に遭っているのだ。
勝ち誇ったような笑みを浮かべながら指揮官が近付き、自身の能力を悠々と解説しながら、思うがままに捕らえた獲物を辱しめる。

「ぐっ……これでは最早逃げられぬ。拙者の負けで御座る……」

全身を糸で雁字搦めにされ、出来る事と言えばもぞもぞとのたうち回る事だけ。動けば動く程に糸の拘束はきつくなり、もがけばもがく程に光明が見えなくなって行く。右腕の火も消えてしまって、拘束から抜け出す手段は無くなってしまった。
こうなってしまっては文字通り手も足も出ない。頼みの道具も腕を動かせないのだから取り出せず、仮に使えたとしてもこの状況を打破するのは不可能だ。指揮官が勝利を確信し高笑いをするのも当然の事だろう。グリゼルダは諦めたように顔を伏せ、もがくのを止める。

「……ところで、『自爆』と言う戦術はご存知で御座るか――?」

……高笑いに掻き消されてしまう程の小さな、しかしはっきりとした声で、彼女がそう呟いた。


「雀蜂流忍法、炸裂刺」


――次の瞬間。糸の拘束越しでも分かる位に彼女の胴体が発光したかと思えば、"グリゼルダの体が爆発した"。彼女の体が見えなくなる程の爆炎を放ち、周囲の蟲諸とも辺りを爆風で吹き飛ばす。黒煙が周囲に広がり、辺り一面を暗く塗りつぶす。

それは、敵の手に落ちて虜囚となり、尋問と辱しめを受ける位ならば死を選ぶ、影に生きる者の最期の意地――――



「――隙有り!」



――――等ではない。

今しがた、確かに自爆した筈の彼女は、どう言う訳か、唐突に指揮官の後ろに現れていた。衣服はぼろぼろになり、体中に火傷を負っているが、確かにグリゼルダ本人だ。
対処する暇など与えない。素早く指揮官に接近すると、無防備なその背中を、細くしなやかな右脚で蹴り飛ばす。遠心力を乗せた痛烈な回し蹴りが、指揮官の華奢な体躯を思い切り吹き飛ばした。

「代わり身の術。忍びの者であれば、この程度基本中の基本で御座る」

グリゼルダが自爆した筈の場所の中心には、焼け焦げた一本の苦無が落ちている。彼女は、自身と苦無の位置を入れ換える事で自爆しながらその爆発から逃れたのだ。
先程投げた苦無はこの為の布石だ。先んじて苦無を見当違いの所へ投擲しておく事で相手に外したと勘違いさせ、いざ入れ換えた時に即座に気付かれないようにしたのだ。
蟲の感知能力は侮れなかったが、あれだけ派手に爆発させておけば指揮官に肉薄するだけの時間は稼げるだろうと踏み、事実その通りになった。

蟲共に拘束されると言う屈辱を味わい、体もぼろぼろになってはいるが――最後に立っているのは、グリゼルダだ。

>>ユキア

1日前 No.175

究極一番星 @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【プリンシパル/艦橋/アルティメット・イアン】

 なんてこった。見渡す限り炭じゃねえか!人もモノも全部だ!炭炭炭!こんなに炭はいらねーよ!
 正直ビビった。やべー奴らが来ちまったなと思った。あんな冷たい汗は、盗み食いがバレた時にだって流したことはねえ。
 怖かったよ。次はこっちに来るだろうしな。でもいつだってビクビクよりイライラのがつえーんだ!腹立つんだ!ムカつくんだ!頭爆発すんだ!
 言いなりは嫌だろ。やられっぱなしは癪だろ!ハラワタグツグツ言わせながら土下座なんてまっぴらごめんだろ!

 「ひっでえ、あの戦艦沈めてえ……あくどい親玉殴りてえ!」

 コイツだけは許せないと思った野郎、思う存分ぶん殴ってやりたいよな。てなわけでオレ様が顔面ベッコンベッコンのベッチャンベッチャンになるまでやってくるわ!
 メラメラ焼かれた街に暫しの別れを告げ、アルティメットジャンプで究極大興奮!スカイダイビングは空に落っこちる時代だ!
 安全第一!カチコチの甲板踏みしめ大口かっぴらいて中世流突貫工事!魔帝軍仕込みの邪魔モノ全員風穴開通工事!
 悲鳴と血の匂いが混じりあう惨状にアルティメットイアン参上!反省すれば仏は許してくれるのさ!

「開けろ!一回だけしか言わねーぞ!」

 一回言ったのでブチ破る!三つの時代で鍛えられたアルティメットなパンチで、肉厚ブリブリガラスをボッコボコ!
 獣らしく四つん這いで飛び込むともう本能はギンギン!野獣らしく艦中染み渡るような雄叫びをブチかます!リサイタルってのはこういうもんさ!
 やりすぎじゃないかって?テメーらこれの究極倍やりすぎてんだよ!

 見ればドアも破られて風通しのいいこった!お船の風水が大変よろしくなったところでいよいよ喧嘩!
 そこの兄ちゃん、遠慮はいらねえ。お邪魔してきたのは奴らの方さ!靴を揃えないトイレは汚すおもちゃも壊す、そんな客には容赦してこなかったろう!
 でもその目はいいぜ。オレ様が担任ならつうしんぼに究極って書いてるぜ!未来が見えるよな!あのワル女が頭より赤い炎に呑まれるところ!

「偉いヤツが言った!目には目潰しを!歯には牙を!

その偉いヤツってのはオレ様だがなァ!」

 先制攻撃ってのはいいもんだ!兄ちゃんに遅れまいと飛び掛かって引っかき引っかきマジミンチ!
 でもってクジラよりデケー口でガブリ!人を食う趣味は無いが一応狼なんだぜ!ケダモノなんだぜ。
 どうやら兄ちゃん技巧派っぽいから、オレ様はサル山ドン引きのマダガスカル式!密林拳法大乱舞!
 こんな絶叫ネイチャー系暴走機関車の一番隊隊長でよかったら、いくらでも働いてやる!

>>セレーナ・バルダローム、ヴィルヘルム・エーベルヴァイン

1日前 No.176

Ray @mgs56 ★kOwjtfzUku_keJ

【並行世界管理協会本部/レストラン/董卓】
相手はかなり警戒している。当然だ。組織に忠誠など微塵も持たぬ者を信頼する方がおかしいのだ。――――――だが、人間とは欲に弱いもの。何か目的を果たすためであれば手段など選ばぬものだ。

「グッフフフフフ…そう身構えずともよい。――――貴様、これからはワシの側に付け。何、貴様にとっても悪い話ではあるまい?」

醜く下卑た笑みを崩さず、下品な笑い声を溢し目的を伝える。それはこれからは董卓の配下…とはいかずとも協力者として行動を取れ。それはすなわちこの下卑た野望を見逃し、忠誠心の高い組織のメンバーには知らぬ態度を取れ。ということ。
しかし、彼女にも理はある。と董卓は告げる。

「要求を呑むのならば、ワシが権力を握った後この世界に住む全ての人間共の事を一任しようではないか。――――それに、ワシには分かるぞ。貴様の中に渦巻く強い欲望が!」

見返りとして、アナザーワールド内に住む全ての人間の生殺与奪の権限を与える。董卓にとって酒池肉林の世が訪れるのならば他者のことなどどうでもよい。民草の生活が破綻しようがそれは全く関係の無いことだしその過程でどれほどの命が失われようと関係は無いのだ。
それあの戦闘の事しか頭にない養子と異なり、その真意を見抜くには至らないがこの女は何かの為に動いている。欲望の権化である董卓には分かるのだ。

>>キャロライン・ガーネット

1日前 No.177

堕天使参上! @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【サクラゴス/卸売市場・端部/片翼の堕天使ルシファー】

確かに一度は恐怖した。戦意を失いかけ、後退りまでした。だが、それが何だと言うのか。
人は恐れを感じる生き物だ。魔族であっても例外はない。大事なのは恐怖を取り去る事ではなく、自らの意思で、恐怖を克服する事だ。
相手はただその一点を誤った。恐怖を塗り替える勇気の存在を認めなかった。その結果が、手痛い反撃となって表れた。

「フッ……! 我が魂の輝きを侮ったな、それでは我は倒せん! 否、我を倒す事など不可能なのだ!」

満足げにニヒルな笑みを浮かべ、強かに勝ち誇りながら、吹き飛ばした相手を目で追う。相手は瓦礫の山に突っ込んだようで、盛大に砂埃を巻き上げて周辺の残骸を崩壊させていた。

これで決着かと思いきや、相手は未だ立ち上がる。その目に宿るのは、明確な憎悪の炎だった。或いは、自分が勝てない理由を認められない、子供の我が儘に似た感情なのだろうか――何であれ、最早勝負は誰の目にも明らかだ。

「まだ来るか――その意気に敬意を表し、我も最高の一撃で迎え撃とう!

 我が闘争は無限の闇と共に! 誇り高き兄弟よ、今こそ仇敵を討ち果たせ!」

再び大剣を両手で握り、天へ向けて力強く掲げる。すると、彼女の体から漆黒の魔力が沸き上がる。それらは星屑のような煌めきを伴いながら、掲げられた剣へと集合していく。
その魔力は、彼女が身に宿す全力。本来ならば然程多くはない筈の魔力保有量だった彼女は、しかし、底知れない勇気と意志により、信じられない程の魔力を手にしている。
象るのは闇の刃。今度のそれは先程とは比較にならない大きさであり、さながら天を衝く巨塔が如しだった。

「我が闘争を奏でよ――サン・ダル・フォン! でやあああああッッ!!」

空も、大地をも切り裂かんばかりの勢いで、全力で踏み込んでくる相手へ向け、超巨大化した闇の大剣を真っ直ぐに振り下ろす――。

>>ヴェロニカ

1日前 No.178

水刃 @hal0406 ★Android=FuD56rsS9O

【プリンシパル/倉庫/ツバキ・オオトリ】

「骨がない」

倉庫の制圧はあっと言う間に終わった。如何に武装した兵士の集団と言えど、大津波を前にしては打つ手が無かったようで、結局与えられたのは掠り傷一つだった。
一頻り周囲を確認すると、雑魚以外の敵がいない事を理解して彼女はため息を吐く。無論、隊長としては強敵が来ないまま片が付くのは願っても無い話ではある。だがしかし、彼女は、"こんな事"の為に虎穴に飛び込んだのでは無い。
求めるものは、喉を灼くような死線だけ。それ以外、何も必要としない。それが、彼女と言う人間だ。そして、"それ"は、彼女が探しに赴くまでも無く訪れた。


音も無く、背後から死が忍び寄る。それはさながら嵐が如くであり、しかし無音のまま差し迫るその姿は、或いは無慈悲な死神のようでもあった。

「――漸くか」

迫る刃が彼女の身を引き裂かんとしたその瞬間、ツバキは身を翻して全てを避ける――否、全ては避け切れず、服の端や腕を浅く切られている。尤も、死神からすれば、死を贈り損なった時点で失敗も良いところだろう。
彼女は、"それ"が居た事に直前まで気付いていなかった。だが、暴風のような斬撃を往なして見せた。何故か?

「良い相手だ。雑魚はもう要らん」

その答えは、死神の身から溢れ出んばかりの殺意だ。全く道理は不明だが、どうやら彼奴は彼女を殺害したくて堪らないらしい。隠しきれないそれが、無数の死線を斬り捨てて来た彼女に死神の存在を教えてしまった訳だ。

「遊びは不要だ、そうだろう」

……ほんの僅かに、彼女は口角を上げた。

>>アマツ

1日前 No.179

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【プリンシパル/第6通路/ソリダー】


艦橋へと向かう彼女の背に声が掛かる、その声の主は少女と骸骨。何らかの気配が追ってきていることは認識していたが、この状況で菓子を頬張るような少女とニヤケ面の骸骨がまさか敵のつもりで立つとは思いもしない。
特に、無機質な彼女の顔は骸骨を視界に入れた瞬間に僅かに驚愕の色が浮かんでいた。死体を動かすだとか、比較的人の形をしていることが多い魔族だとか、その類ではない事が見た目だけでも理解できるからだ。
されども脅威とは判断しなかった、どうやって艦内に侵入したなどはどうでも良く、引き留め、任務の妨害をするのであれば其即ち排除対象。例え少女と奇怪な骸骨であってもそれに変わりはない、敵として立ち塞がる以上は。

「さて、運に見放されたのはどちらか。私としても、艦内を闊歩されるのは都合が悪い。」

くるりと振り返りながら、人と会話をする為の喋り方で以て対応する。動くたびに髪やマフラーが連動するようにはねる可愛らしさを、その無機質で平坦な冷たい口調で無に帰していく。表情も変わりなく無のまま。
発する雰囲気に警戒と敵意が満ちるものの、視認して分かるほどの特徴は現れず、漂う殺気として少女と骸骨を差すだろう。尤も、相対する二人にこういった威圧が意味のなさない事は態度で分かっているのだが。
故に、怯えや恐れを期待できない多少の面倒はあるが、速やかに排除することに変わりはない。会話を続けるかのような素振りを見せたまま、彼女は戦いの始まりを告げる文言を言い放った。

「―――『Articulacion』」

瞬間、彼女の姿はその場から忽然と消え失せた。だが少女と骸骨は探す必要もなく発見できるだろう、それは少女の眼前にいた。まるで瞬間移動したかのように現れ、宙返りの様相で振り下ろされる踵が、頭部を砕かんと迫る直前だ。
しかし、それは本命ではない。数度、廊下に響いた靴音が機関駆動音に掻き消されなければ気付くことも出来るだろう。音の主は骸骨の方へと向かい、視認による察知を不可能とした状態で、後ろ回し蹴りをその大きな頭蓋へと叩きこもうとしていた。
種は至って単純だ、彼女は視認している虚像と実体を切り離した。だから少女を攻撃するように見える彼女の幻影が、この場の三人には見えている。そしてこの瞬間に限って、彼女自身も己の姿は見えていない。
骸骨を優先したのは脅威度が高いと判断したから、少女の見た目で侮る訳ではないが得体の知れなさと言う点では数段劣る。故に、見抜ける手段の極めて少ないこの方法で確実に致命傷を与える。
だが、彼女にとっては小手調べに過ぎない。無論、相手の手の内を微塵も知らないが故にやや警戒した物にはなった。しかしそれだけだ、例え相手がどんな異能を扱おうともそれを上回れるだけの強さが、彼女にはあった。

>>キャラ・ドリーマー Sans


【絡みありがとうございます!】

1日前 No.180

獄炎 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【プリンシパル/艦橋/セレーナ・バルダローム】

ジュビアが出撃してからしばらくして、セレーナは徐々に自分が劣勢となりつつあることを自覚しつつあった。同時に、その原因が、自らの犯した致命的なミスであるということも。
それだけならばまだ良かったが、既にプリンシパルは敵の艦内侵入を許してしまっている。発端となったのは、つい先刻報告された、機体後部で起こった爆発だろう。
周囲の艦からの報告によれば、味方の機が突撃し、自爆したとのこと。恐らく、不時着機を盗まれたと見るべきで、未確認ながらパイロットがハッチをよじ登るのを見たという情報もある。
いずれにせよ、ここから形勢を逆転するのは非常に難しく、普通であればリヒトルザーンの攻略を諦め、即時撤退するべきなのだろう。だが、セレーナには、今更そうすることも出来ない事情があった。
何せ、これは作戦を無視し、彼女が突撃を指示したからこそ起きた事態。無傷で済むはずの戦いを滅茶苦茶にしてしまった以上、その判断が正しかったと証明するには、明確な戦果を挙げるしかない状況なのだ。

「来たようね」

そして、遂にその時は訪れてしまった。蹴破られる艦橋のドア。現れる敵。艦内に侵入した敵が、とうとうこのプリンシパルの中心部、艦橋にも到達したのだ。
ゆっくりと振り返るセレーナ。赤色の三白眼が、敵対者を射抜く。それと同時に、あろうことかガラスもぶち破られ、もう一人の敵が姿を現す。魔族か、アナザーワールドでは下等な存在と認識されているが、その力は侮れない。
二人の敵は会話を交わしている暇などないと、見敵必殺の攻撃を仕掛けてくる。まず眼前の男、ヴィルヘルムの放つ雷撃を躱し、背後から切り掛かってくる敵の攻撃も、紙一重で回避していく。
まだまだ相手も本気を出していないだろう。こちらも余裕であるということを証明するかの如く、セレーナはまだ得物を抜いていない。この程度の攻撃、武器を出すまでもないということだろうか。
続くアルティメット・イアンの引っかき攻撃からの連撃も、同じように対処。結局彼女は、愛用の刀に触れることなく、全ての攻撃を凌ぎ切り、後方へと飛び退く。艦長を務めるだけあって、その実力に疑いの余地はないようだ。

「協会に歯向かうことの意味、ここで教えてあげるわ。私達に目を付けられた時点で、あなた達に未来はないのよ」

静かにそう告げたセレーナは、ここに来てようやく刀を鞘から抜く。同時にその刀身には竜巻のような炎がまとわりつき、周囲の温度を一気に上昇させた。
本来、艦橋で火を扱うというのは厳禁であるが、敵がいる状況でそのようなことを気にしてはいられない。それに、熟練したセレーナの腕であれば、機器に影響を与えないように制御することも容易いだろう。
彼女が炎の灯った刀を振るうと、それに合わせ、バスケットボール大の無数の炎弾が放たれ、それがヴィルヘルムとアルティメット・イアンの元へと殺到する。
間髪入れずにセレーナが大きく刀を水平に薙ぐと、二人をまとめて焼き払う巨大な炎の衝撃波が出現し、一気に敵へ襲い掛かっていく。まだ本気を出してはいないが、容赦はしない。目の前にいるのが敵対者であるならば、当然のことだ。

今ここに、ホームワールドの命運を決める戦いの幕が切って落とされた。勝つのは常勝無敗、無敵の協会艦隊か、それとも―――。

>ヴィルヘルム・エーベルヴァイン、アルティメット・イアン

1日前 No.181

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【サクラゴス/卸売市場・端部→撤退/ヴェロニカ・ディートリヒ】


―――彼女の眼前に夜天が広がった。
比喩ではない、少女が掲げた大剣に集う漆黒の魔力が宇宙を形作り、それに呼応するように煌めく星屑が瞬く。それはまさしく天に至る剣、生来の魔力を勇気と言う名の輝きで覆し、文字通り天裂き、地割る絶剣。
少女にとっては心外だろうが、彼女には馬鹿にした口上を聞く余裕すら失われていた。憤怒によるものではない、虐げられ続けた果ての危機察知能力が酷く警鐘を鳴らしているのだ。この瞬間、本当の意味で彼女は負けていた。
本能から蝕まれる恐怖がそれを意味していた、膂力に身を任せた突撃は勢いを失っていき、空を貫く闇の塔の眼前には既にただ見上げるだけとなっていた。立ち竦み、呆然として見上げる彼女に先程までの威勢は残っていなかった。
その表情には何時もの様に諂うような笑みを浮かべながら、眼前の少女に、いや堕天使ルシファーから一歩、また一歩と後ずさる。時折頭を振りながら否定するような様は、痛々しさすら感じるだろう。

「あり、えねえ……ふざけるな、ふざけるな……!クソ、クソが……!」

言葉だけの否定、勝てないと心の何処かで感じてしまっているからこそであった。だが、それで折れていれば、諦めていればヴェロニカ・ディートリヒと言う魔族は既に従属の道を選んでいただろう。
歯を砕きかねないほどに噛み締め、渇を入れる。勝てない、それだからどうした。勝てなくても負けなければ良い、究極を言えば死ななければいいのだ。竦む身体に力を振り絞り、どうにかして動く。
それと、超大な闇の刃が振り下ろされるのはほぼ同時であった。

「ちっっっく、しょうがああぁぁぁああ!!!」

全力の跳躍、外聞など気にする余裕のない頭から地面へと滑り込む有様。しかしその甲斐もあってか寸前で回避に成功する、すぐさまに立ち上がり少女から逃走を図る。外套と肢体を更なる土埃に塗れさせても変わりはない。
だがこのまま逃走するのは割に合わないと踏んだのか、逃げる直前に少女へと振り返り言葉を発する。これを負け犬の遠吠えだとか、負け惜しみだとか認識できないのが彼女の三下たる由縁だろう。

「ハッ!ルシファーちゃんよ、今回は負けにしておいてやる。だが、次もこう上手くいくとは思うんじゃあねえぞ!」

そう言い残せば残骸を踏み越え、炎の中すらものともせず駆け抜けていく。瞬く間に彼女の姿は炎から燃え立つ煙の中へと消えていった、向かう先は回収地点、運が良ければ回収はされるはずだ。
戦果は大したものではなく、部隊は己以外全滅、戦闘用スーツすら放棄した彼女には間違いなく相応の罰が下るだろう。牢獄内に入れられることは確実、死ににくいが故に脱出の機会はあれど何時の話になるかすら分からない。
そうなればあの少年とも会えなくなるだろう、だがそれはそれで良い方向に向かうだろうと彼女は考えている。今回の件での罰が少年に下らない事が前提ならば、彼女との関係は途切れ、良くも悪くも第三臣民としては暮らせる。
無論、そんな状況から救い出すことが目的ではあるし、投獄されたとしても諦めるつもりもない、だが少なくともすぐさま何かが起きる可能性は減るのだと、そう言い聞かせる。何故か?そんなもの当然だ、不安だからに決まっている。
第三臣民の扱いなど身をもって知っている、本人は指摘されるのを嫌っていたが少年の身体は決して屈強ではない。過酷な環境に居てどうなるかなど想像に容易く、だからこそ彼女はどうにかして助け出したいと考えていたのだ。
しかし、彼女は失態を犯した。これは己の責任であることは自覚している、だがそれを呑み込まなければ次へと進めないのだ。第三臣民の魔族としてではなく、投獄された魔族として今度は助け出す術を見つけなければならない。

「……クスト、悪い。俺が不甲斐ないばかりに……必ず、助けるからな―――」

そう呟き、彼女は意を決する。少年を助けるためならばどんなものでも耐えよう、例えどれだけ力不足な自分であっても耐えることは出来る、諦めないことは出来る、絶対に折れるつもりもない。
だから、もう少しだけ待っててくれ。そう、願いを込める。

その後、彼女が回収地点ですら罰と言う名の憂さ晴らしを受け、牢獄内ではそれ以上の事を身に受けたのは想像に容易いだろう。

>>片翼の堕天使ルシファー


【これにて撤退します、絡みありがとうございましたー!】

1日前 No.182

マダム・ギロチン @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【並行世界管理協会本部/レストラン/キャロライン・ガーネット】

相手が切り出した内容は、なんと自分に付けという内容のものであった。彼は恐れを知らないとは思ったが、まさかここまでであるとは。驚きを通り越し、その度胸に賛辞すら送りたくなる。
董卓はキャロラインがマダム・ギロチンという異名で呼ばれていることを知っていた。であれば当然、彼女が協会内でどのような地位にいるかも理解していることだろう。
勿論、本当に知らなかったという可能性もなくはないのだが、そうであるとしたら、今やっていることの凄まじさが際立つだろう。単なる異世界人が、協会ナンバー3を"自分の派閥"に入れようとしているのだから。
キャロラインがそれに従うつもりは、当然ない。しかし、異世界人の扱いは難しく、機嫌を損ねてしまえば平気で敵方に寝返る可能性もある以上、回答には細心の注意を払わなければならない。

「私はまだ貴方の実力を知らない。それに、元の世界でどんな暮らしをしていたか知らないけど、ここでは少し立場を弁えた方がいいわよ。私が何もしなくとも、他の誰かが貴方を亡き者にしようとするかも知れないわ」

冷徹、かつ平坦な声で彼女はそう告げる。むざむざここで騒ぎを起こすつもりはないが、相手が異世界人でなければ、即捕まえてギロチンへ送っていたところだ。
それに、協会の者は皆キャロラインのように冷静である訳ではない。中には、自分を下に見られる、協会を批判されるなどするだけで激昂し、襲い掛かる者もいるだろう。
彼の性格からして、そのようなことを恐れてはいないだろうが、一応忠告しておく。協会は実力者揃いだ。たとえ、元の世界で栄華を極めた者であったとしても、足を掬われかねない。

「私の望みが分かるとでも? 私が処刑するのはあくまで、協会に歯向かう者だけよ」

―――貴方のようなね。そう付け加えながら、キャロラインは董卓を注視し続ける。この男はとにかく、全ての頂点に立ちたいという欲が強い。その気になれば、味方を殺すことも躊躇わないだろう。
そして、懸念されるのは、一時的な地位を求める者が彼の派閥に入るような事態だ。アナザーワールドは弱肉強食の世界。第一臣民であろうと、力がないと見做されれば問答無用で蹴落とされる。
だからこそ、董卓に従いさえすれば生活が保証される、と考える者が出てきてもおかしくないのだ。それを野放しにし続ければ、やがて戦力を蓄えたこの男は、協会にとって害をなす存在となる。
自分がやらなければならないことは決まった。彼を監視し、派閥の形勢を妨害することだ。確かに"ある意味"で、キャロラインと董卓は同じ思想を持っている、といえるかも知れないが、今の段階で邪魔をされるのは困るのである。

>董卓

1日前 No.183

カリー @karikari10 ★Android=GZn0EZmRVy

【サクラゴス/港/橋川 清太郎】

咄嗟の思い付きである奇策は、どうやら功を奏したようだ。仮面の男はAltair platoonの一斉射撃で大きくたじろいでいる。が、それも束の間。男は何やらカードらしき物を使い形態変化を行う。

「! 何て魔力だ……」

急激に増大した魔力反応に目を向けると、ヘルガが隕石のような威力と熱量の魔法を使っていた。地響き及び広範囲燃焼で敵の行動を妨害してくれているようだ。それだけでなく、護衛のような形で援護までやってくれた。

(く……まるでおんぶに抱っこだな……)

情けない、これでは紛うことなき足手まといだ。英雄の一人として、連盟の一人として立つ瀬がない。

「ん……ぐぅあ……っ!!」

回し蹴りのせいで未だにふらつく頭に鞭打ち、無理矢理立ち上がる。しつこく残る嘔吐感を気迫で押し潰し、今一度己を奮い立たせた。
仮面の男を見れば、瞬く間に形態変化を繰り返しAltair platoonに対処している。そして今正に、クロスボウに類似した武器で4機共射抜こうとする直前であった。あれの威力がどれ程かは不明だが、あの装備は特別頑丈というわけではない、わざわざ被弾させるのは愚策だ。

(させない!)

4機にプログラム命令を入力し、それぞれの回避機動を取らせる。向かってきた空圧弾をすんでの所で躱す。特に損傷がないことを確認し、背部の専用カタパルトコンテナに収容させた。

「!」

仮面の男はすかさずこちらにも攻撃、棒型の武器で流星の如き一撃を繰り出そうとしていた。

(駄目だ、あいつの切り替えが早すぎる。射撃の結果も見ずに突っ込んでくるなんて)

恐ろしく思い切りのいい戦術だ、自分の実力ではまるで太刀打ち出来ない。
やむを得ずハンドガン型武装Strike dog Uを盾にすることでその場を凌ぐ。落石程度では比較にならないレベルの衝撃が腕部装甲全体に伝わる。

「うっ!……流石に……」

頑強さがウリのStrike dog Uであるが、こんな使い方ではひとたまりもなく無残に拉(ひしゃ)げてしまった。
些か後ろ髪を引かれる思いでそれを投げ捨て、反撃に移るためバーニアで一度距離を取る。足裏がアスファルトとの摩擦で火花を上げるのも構わず、武装を選択する。
次に使うのはHeavy beetle U。これは手持ち武器ではなく、全身に装備してあるタイプの多連装ミサイルランチャーだ。今回のような対複数戦にはお誂え向きといえる。
直ぐ様ロックオンを済ませ、仮面の男と歯車王の両方にミサイルを乱射。白い噴射煙で複雑な軌道を描きつつ、多方向から目標に群がっていく。

>>歯車王、門矢 士、ヘルガ・アポザンスキー

1日前 No.184

卑劣な軍団指導者 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【サクラゴス/卸売市場/南側/ユキア・ビコラン+レギオン】

「あっはっは、不覚? もう後悔しても遅いわ、さあてどう料理しましょうか」

全て、そう全てが上手く行った。
一応ほとんどの戦闘では鎧のレギオンだけで敵を片付ける、というのが基本であったが、それでも奥の手を隠し持っており、またあくまで目に見えた形で殺しに行くのではなく、無力化手段を隠し持っていた自分の勝利に終わった。 少なくともユキアはそう確信して笑う。
そして、さらに挑発するかのようにユキアは糸でぐるぐる巻きにされた相手の身体を踏みつけてわざとらしく首をかしげて見せる。

もちろんそれに攻撃の意図は無く、ただ勝利者が敗北者を玩ぶのとまったく同じ物で、ユキアという人間の人格がよく現れているような行動であった。
ただし、やはり定期的に視線は外しているし、レギオンもそばに付いている一体を除いて監視体制を敷いていなかった……とは言え、これからの事を考えると、監視していたところでどうにかなったかと言うと別問題ではあったが。

「苦しい? でも負けを認めるのね、じゃあちょっとは優しく扱ってあげようかしら!」

相手が策を考えている間にも、ユキアはただ無駄に時間を浪費していく、負けを認めたように見せかけているだけの相手の態度に満足しきっている。
もぞもぞと無様に動き、そして最後には諦めたように顔を伏せてもがくのをやめた相手を見て、面白い、なんなら自分が飼おうか、なんて考えているユキアだったが。

次の瞬間発せられた言葉で、目の色を変えてグリゼルダの方を向いた。
しかし、もはや遅い。

「へ、自爆――うっぎゃああ!!」

次の瞬間には、糸越しでも分かるほどに相手の身体が発光し……そして、爆発を引き起こす。
そう、まさにこれは自爆だ、自爆ではあるが、蟲を殺せはせども、自分や鎧の中に居る蟲は吹き飛ばす事は出来ても、殺せるほどの火薬量が人間が携行できる訳が無い。
本当に、ただの自殺の類、そう思った時だった。

「がっ……い……っ。 がほっ、げほっ、お、お前ぇ……」

自爆したはずの敵が自分の真後ろに立っていた、それが確かにユキアに対して蹴りを叩き込んだのだ。
それを受けてユキアは無様に転倒、変わり身の単語などもはや頭に入っていないのか、ただユキアは振り返って忌々しそうに相手を睨む。

そしてそれで問題が出るのが、別の固体のようで実際には「彼女の能力」であるレギオンだ、これ以上のダメージを受ければ、彼らの制御が出来なくなる。
そうなればどうなるか、簡単に敗北し、恥を晒し、さらには相手に捕まる羽目になる、そんなのはごめんだ。

「お、覚えておきなさい、次は泣かす!!」

そんなありふれた台詞を吐き捨てて、ユキアは残存のレギオンに自分の退路を確保させながらではあるが一目散に逃げ出した。
ある程度の時間が経てば、レギオンたちは砂のように消えて、少し離れた場所でユキアが使っていたであろう輸送機が飛び立ち、この戦場からいち早く逃げ出した。

>グリゼルダ・ホーネット


【お相手ありがとうございました!】

1日前 No.185

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【並行世界管理協会/重役会議室/テロヨワ・アムリーベン】


「おや、エルヴェシス会長秘書殿。ここにいたか、先程空軍中心の補給要項を纏めたものを送信しておいた、確認をお願いするよ」

重役会議室に入り、何処かへと通信を行っていたリコルヌに声を掛けたのは白衣を羽織った男。片手に紅茶のポットを持ち、もう片方の手に盆を持ち、その上にカップや茶菓子、その他用具を乗せた場にややそぐわぬ彼はテロヨワ・アムリーベン。
上級役員の一人であり、やや古参に位置するこの男の管轄は補給。此度の作戦においては補給を必要としない為、迅速かつ緻密に練られた策と聞き及んでいるのみ。それを実現するために要した時間も、また膨大であるとも。
それだけの作戦を実行しているというのに、幾ら表情の変化に乏しいとはいえ喜色の気配すら感じられない。それもそうだろう、この男も作戦立案に携わっていないとはいえ状況は知っている、作戦自体は完了しつつあるが危うい状況であると。
そもそも被害が零であることが当然の戦闘であり、作戦もそれを基本として立てていた。それが今崩壊している、既に艦隊への被害は甚大、戦闘機の撃墜数もかなりのもの、さて、責任の所在は何処へと向けるべきなのか。
そんなことを考えながらも、その気配を一切表面に出さずに紅茶を温められたカップへと注ぎ始める。リコルヌに対して飲むかい?と聞いたものの、返答を待たずに用意し、重役会議室の机上に二つのカップとお茶請けの焼き菓子が盛られた皿が並べられた。

「趣味の範疇だが味はそれなりと自負している、それとその焼き菓子は子供たちが作った物だ。良ければ感想を貰いたい、会長秘書殿からともなれば子供たちも喜ぶだろう」

そう告げれば椅子に深く座りながら紅茶に口を付ける、その後に忘れていたと言いながら砂糖とミルクの入った容器を並べる。リコルヌが使うのであれば、と言う気遣いでもある。彼は基本的に何も入れずに飲むことが多い。
彼が話に出した焼き菓子は見た目こそ不揃いではあるが味はテロヨワ自身が食し、確かめている。口に合うかどうかはともかく、不味いと言える味ではない事は保証できる。こればかりは親の色眼鏡は含んでいない。
これで少しは落ち着けると良いのだが、等と要らないお節介を考えながら紅茶を半分ほど飲み進めた辺りでカップを皿へと戻し、口を開く。お茶会も目的の一つだが、本題は別にある。

「さて、まずは作戦成功おめでとう。若くして会長秘書に選抜されるだけの手腕だ、私のような者には真似できない」

心からの祝福と本心を語る、例え戦力差があると言えどあれほどまで鮮やかに遂行できたのは軍拡された空軍の力あってこそだろう。空軍を主力に据えリコルヌ、そして優秀な空軍将校達の成果と言えよう。
しかし、現在の状況は芳しくない。あのプリンシパルに何かあれば場合によっては、これまでの功績を見ても足りぬ可能性すらある。こればかりは会長の裁量故に彼が介入できるわけではない、では目的と言うのは―――

「だが現在をどう見る?プリンシパルが墜ちなければ幸い、と言うレベルだ。そうなれば歯車王からの反発は強まるだろう、会長秘書殿が良ければ助け船を出そうとも思うのだが―――」

一つ、この提案には本心と同等の企みが存在する。彼はリコルヌを選抜した会長に疑念を持っている、有体に言えばその意図が理解できないからだ。相応しい人物は他に居る、その中で何故リコルヌ・エルヴェシスなのか、と。
目立った失敗を見せなかった彼女が初めてとも言える大きな損失、責任の取り方、会長を始めとする協会上位層への対応を含め、探る価値があると彼は判断した。この提案もその一つだ。
賢い、そう断定するのは良くはないが良いやり方としては歯車王との協調だ、組織全体を見ても良い面の方が多い。だが現状はそうではない、だからこそこの機会にどう出るかと言う一つの試金石でもある。
提案を受けるならば、意図はどうであれ取り持つ気はある。受けないにしても色々あるが、受けずに反発するならば余計に会長への疑念は強まる。それも彼の想定する限り悪い方向へと。
さて、どうでるのか。やや無表情で彼女を見つめるテロヨワ、その瞳は言い逃れを許さないように思えた。

>>リコルヌ・エルヴェシス

1日前 No.186

天雷 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_Tbw

【プリンシパル/艦橋/ヴィルヘルム・エーベルヴァイン】

 虚空を一閃すると共に迸る雷光。紫の輝きが煌いたのを合図に疾走を始め、背後へと回り込んで放つ連閃。実力の大半を出さずに繰り出したそれらの一撃がいずれも躱され、この場に乱入して来た究極の銀狼による爪攻撃もまた、紙一重で避けられたという事実が、敵の強さを証明する。ヴィルヘルムが本来得手とする徒手空拳を解放していない様に、彼女もまた得物であろう刀を引き抜かず、身体の動きだけで往なして見せた点でも、かなりの手馴れである事が窺える。
 協会に目を付けられた時点で、我々に未来はない。そう彼女は静かに宣告すると、抜刀と同時に刀身へと竜巻の如き炎を纏わせる。それと同時に、急速な勢いで熱せられて行く周囲。機器を狂わす危険を孕んでいながらも、それを懸念せずに扱うだけの気概。余程、自信があるという事だろう。

「未来がなければ、切り開くまでだ。そんな訳でアルティメットなオオカミさん、手伝ってくれよ!」

 だが、未来はないと言われて、はいそうですかと潔く諦める様なヴィルヘルムではない。希望が見えている限りは、例えどんなに無様でみっともない姿を曝け出してでも、往生際悪く抗い抜いて見せるのが、彼の在り方だ。最期を迎えるその時までは、どれほど嘲笑われようとも、誇りを胸に抱いて戦い抜く事を誓った身だ。それこそが、誇り高き"エーベルヴァイン"の名を継ぐ者である事の証明である。
 敵の一閃に合わせて放たれる炎弾。殺到する群を前にして、彼もまた剣を振るい、それに合わせて雷撃を迸らせて総てを相殺して見せる。間髪入れずに飛んでくる巨大な炎の衝撃波、二人ごと纏めて焼き払う心算と言った所だろうが、そうはいかない。
 振り抜く動作から間髪入れずに剣を掲げると、そのまま魔力を籠めて振り下ろし、地面から天井まで届く雷の刃を飛ばす。衝撃波を断つと共にその間へと疾走して飛び込み、彼女の眼前に立つその瞬間に地面を蹴って跳躍すると、空いた片手から真下の敵を目掛けて雷弾を飛ばし、直後にその後方へと着地した。

「さあ、どうする艦長さんよ! 躱そうものなら、この艦は制御不能のポンコツになるぞ! それとも、みんな仲良く道連れにして墜落でもしてみるか!」

 即座に敵へと振り向き、左手を添わせて正面に剣を構えながら魔力を充填すると、続けて剣を下に向けて虚空へと振り上げる。同時に出現したのは、先の雷刃よりも更に幅広くなった巨刃。彼女は決してこれを避けようとする事はできない、ヴィルヘルムはそう確信を覚える。何故ならば、巨刃が向かう先に密集しているのは艦を動かす装置群。直撃したが最期、この艦が制御不能となるのは確実。それだけは敵も避けたい筈だ。
 そして余念を欠くつもりはない。巨刃へと真っ向から対処している隙を突いて破壊する為に、左手から発射する二つの雷弾。其々が左右の壁際に沿いながら、装置へと向かって進んで行く。
 これらに対して、果たして敵はどう動くか。未だ明らかとはならない彼女の実力に警戒しながらも、神経を研ぎ澄まして備える。

>セレナー・バルダローム アルティメット・イアン

1日前 No.187

@grimsky☆J1OzOaAlqIDo ★dxkzXfPWBG_Tbw

【プリンシパル/格納庫/ヤロス・ハニービー】


 光学式ライフルの銃口から橙色の光が炸裂し、一つずつが弾丸の形となって、まるで蛍のように疎らに散らばってゆく。
 その一つ一つずつが容易に人間を殺害できるほどの「力」を持っている。
 指を引けば「それ」が無数に発射される。人類の戦いを一変させた革命の主導者だ。
 そして、ハベルが投げ込んだ一つの小さな物体を見て、ヤロスは咄嗟に体を回転させて後ろへと飛びのく。

、  、グレネード
 それは手榴弾。
 短い腕の動作で行われる、人類の叡智が生み出した殺戮兵器に他ならない。
 手のひらサイズの爆弾として名高い手榴弾は、投げ込むタイミングと状況が完璧ならば小隊すら殲滅することのできる兵器。、 、 、 フラグ
 爆発の影響を受けないために床に這いつくばり、物陰に飛び込んだため、それがどのような種別であったかは定かではないが、おそらくは破片型、だろうか。
 ともあれ、あのような密集陣形の集団を一掃するには打ってつけのモノだ。
 事実、敵陣はほぼほぼ壊滅状態。周りを囲んでいた量産型≠ヘ跡形もなく全滅していた。
 ヤロスはハンドサインでハベルに対してサムズアップを送る。これで、敵の中で最も警戒するべき人物を割り出すこともできたのだから。
 どういう理屈か──薄い膜によってそれまでの攻撃を防いでいる。
 ああいうのって、確かエネルギーフィールドのようなものなんだろうか……?
 ……最も警戒するべきなのは、光学式の銃や手榴弾程度の兵器では傷一つ与えられないという事実が今、明らかになってしまったのだ。
 あの膜を展開されれば、あたしたちの手段は限られてくる。

 こんなところで奥の手を使うわけにもいくまい──けれど、腹をくくる必要はありそうだ。
 ローソクを吹き消したような焦げ付く異臭が鼻をつく。おそらく、手榴弾で破裂に用いられた火薬だろうが……。
 何か、何かだけど、嫌な予感がする。
 敵はそもそも、周りの味方が殲滅されても顔色一つ変えやしないのだ。
 むろん、発言から考えて、それらが代替の効く都合のいい兵士、というのは、聞いても明らかだ。

 だから、それがとんでもなく恐ろしい。
 そういう使い捨ての道具が使われる、最も効率的な手段など、古の時代から決まっている。
 ヤロスは、ただ、それを恐れている。


「そっちはそっちで、随分と余裕なことで……ご安心をー」
、 、 インベーダー
「……侵略者≠ノは、ニコニコと話し合う余裕はないのデス」

、ぼうりょく
 派手な挨拶──確かに、褒められたやり方とは言い難い、かもしれない。
 だが、自分たちの立場をはき違えてもらっては困る。
 お前たちは、単なる侵略者にすぎん。和平で解決する道もあるのだろうが、今はそれに収束することはありえない。
 侵略者に対し、自らの安息の場を守ろうとするのは生物として当然の本能だ。
 ならば、倒すだけだ。そうしなければ、われらの安息は約束されないというのならば。

 それが戦いの火ぶたを切って落とした瞬間であった。
 無造作にヤロスの右足が輝きだす。白い光は蛍光灯のような明るさを与える。
 それは──魔法が苦手なあたしが唯一、自信をもって得意と胸を張れる魔法。
、バ ッ ファ ー
 身体強化魔法……、純粋かつ野性的。
 白い光は、その発動の印である。
 つまり、光が通った部分──右足は、常人よりもはるかに強化されたことを意味している。


「ちょせいッ!」


 右足で踏み込む。
 発光箇所が足の伸縮と同時にばねの様に連動し、徐々に足先へと集中してゆく。
 掛け声とともにヤロスの体は、床を蹴った反動で上昇する。
 魔法行使後の右足によって蹴られ、その反動は通常時よりも倍化──ヤロスの体はみるみる天井に、磁石の様に引き寄せられていく。
 直撃する前に手を用いて身を抑え、すぐさま下を向いてイリスの位置を視認。

 そのまま、光が残留している右足を用いて天井を蹴る。
 やったことは、天井へ飛びあがったことの真逆。そのまま、落下していく。
 落下速度は、やはり引力に引き寄せられて降りるのとはまた違う。倍化された速度は重さを生んでいる。
 そのまま突進するというわけではなく、ヤロスは不安定な空中でイリスから視線を外すことはなかった。

 右手にはメインウェポンである光学式ライフルが。
 それを、彼女はしっかりとイリスへと照準を定める。
 グリップを握る手にも白い光がある。銃の反動というものは洒落にならない。ましてや空中だ、この状態で発砲すれば衝撃など容易に想像がつくだろう。
 だから、その衝撃を確実に殺すために、腕に力を込めている。
 魔法によって強化された力は、間違いなく空中での衝撃すら受け止めてしまうだろう。

 そのまま、先ほどの乱射と同じように銃口から橙色の光が、まるで雹の雨の様にイリスへと降り注いでいくのだ。
 ヤロスは軌道を変えることはない。
 このままでは衝突するのみだが──彼女が握っている光学式ライフルの先端をよく見れば、その先にはアタッチメントが取り付けられている。
 やや強引に嵌め込まれたそれは、黒光りする光沢の刃を、これでもかというくらい冷徹な殺意を乗せて前に突き出している。
 近接戦闘用のナイフ。それを、先端に括り付けていた。

 この銃は、ただの銃ではなく、銃剣なのだ。
 硬化と同時に銃弾を吐き出したのは、あくまで牽制の一手に過ぎない。
 そこで決め手となるのが、ナイフだ。当然、銃を握る手は、魔法による強化が施されている。
 それが一体何を意味するのか──戦いに熟知したものならば、その意図を推し量ることは可能だろう。


>>ハベル・アレッセル、イリス

1日前 No.188

I am Determination @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【プリンシパル/第6通路/キャラ・ドリーマー】

「私も薄々気付いてたよ。君が"似た者同士"ってこと」

予想通り、キャラとサンズは同じ能力の持ち主であった。同じ部分は恐らくショートカットだけで、攻撃方法などはさすがに違うのだろうが、それでも十分似ている言えるだろう。
それにしても、心強い味方が出来たものだ。能力の性質が似ているということは、それだけ連携も取りやすいということ。それは、今後の戦いにおいて大きなアドバンテージとなるはずだ。
協力者としての勤めを果たすためにやって来たプリンシパルで、早速出会した敵。なんとも重苦しい雰囲気を漂わせる少女だが、ちゃんと食べているのだろうか?
腹が減っては戦は出来ぬとやら、既に戦闘が始まる一歩手前であるというのに、呑気にチョコレートを頬張るキャラ。サンズにも「これいるかい?」などと聞いている辺り、余裕といったところか。

無表情のまま相手が振り返ると同時に、僅かにだが増した殺気。しかし、キャラはこうしたものを向けられることに慣れているため、特にそれを意に介すことはない。
もう少しお話が続くのか、とも思っていが、唐突に戦いは始まりを告げる。呪文のような言葉を言い放つと同時に加速する敵、次の瞬間にはキャラの眼前に姿を現していた。
振り下ろされる踵が直撃する前に"ショートカット"で攻撃を回避するが、どうやれこれはフェイントだったらしい。奴にとっての本命の狙いは、サンズの方であったようだ。
助太刀することも可能だったが、彼ならばそうするまでもなく、躱してみせるだろう。自分と同じであるならば、ほとんどの攻撃を見切れるだけの力があるはずだ。

「君も似た者同士ってか。つくづく面倒くさそうな相手だ」

残像を置き去りにして移動した敵の位置を、音だけで探り出し、予測した方向へと反撃を行うキャラ。血のような赤色に染まったナイフが、透明者(インビジブル)向けて放たれる。
丁度この立ち位置からならば、サンズと挟み撃ちに出来そうだ。彼女はそれを悟ってか、彼へ向けてウインクで合図を送ってみせる。どうせ相手は透明だ、見えないなんてことはないだろう。
さて、細部は違うだろうが、相手もショートカットじみた瞬間移動、しかも透明化を伴うものを使えるとなると、これは非常に厄介だ。ずっと集中して音に耳を傾けていなければ、敵を見失ってしまう。
しかも機械の多い艦内では、ちょっとしたことで音が掻き消されてしまう可能性もある。他に透明化を無効に出来る手段があればいいのだが……今のところ、それは見つかりそうになかった。

>ソリダー、サンズ

1日前 No.189

影からの支え @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【サクラゴス/港/ヘルガ・アポザンスキー】

「心配するな。貴様が隙を曝してくれるような奴でないことは承知済みだ」

歯車王が釘を刺すように言い放った言葉に対し、ヘルガは強気の口調でそう返す。彼がそのような生温い相手でないことは、ここまでの戦い振りで十分に理解している。
まして、敵にそのようなことを期待している時点で、負けているようなものだろう。極限の戦いにおいては、相手のミス待ちという後ろ向きな思考自体が、自滅への第一歩なのだから。
しかし敵の二人は、先程からどうも連携がちぐはぐであるように見える。いや、どちらかというと、門矢士の方が、場を掻き乱していると表現するべきであろうか。
一体何が目的なのかは分からないが、後にこれは突くべき弱点として露呈するかも知れない。今は時間を稼ぐことに集中しつつも、ヘルガはそれを"プランC"として記憶しておくのであった。

さて、ヘルガは流星を呼び寄せた後、清太郎と重なるような位置に移動した。一人であれば違ったかも知れないが、満足に身動きの取れる仲間がいる状況で、その周囲に攻撃を降り注がせるようなことをするだろうか?
答えは勿論、否である。歯車王もそれを見抜いていたのか、激しい火炎を前にしても後退することなく前進し、二人に接近することで攻撃へ対処しようとする。
彼の選択は間違いなく正解であると言えるだろう。下手に躊躇するよりも潔く行動することで、窮地を切り抜けた歯車王。しかし、それは、相手がこの事態を想定していなかった場合における話。

「来ると思っていたぞ。死地へ自ら足を踏み入れたようだな」

ヘルガは、彼がこうするであろうことを予測していたのだ。故に敵の攻撃もしっかりと見切り、躱しきれないものに関しては青炎で焼き尽くすことによって対処していく。
僅かに弾丸が肩を掠めていき、血が滲み出すものの、彼女はそれを意に介さず前進する。自らこちらの間合いに敵が飛び込んでくれるという好機、絶対に逃す訳にはいかない。
走るヘルガの両手両足に、猛々しく燃え盛る青い炎が宿る。そのまま歯車王へと飛び掛かった彼女が放つはジャブ、ストレート、フック、更には回し蹴り、踵落とし、蹴り上げなどを織り交ぜた格闘技による連撃。
流れるような動作で繰り出されるそれらを、至近距離で全て回避するのは難しい。だが、一発でも喰らおうものならそこから体勢を崩され、やがては超高温の業火によってその身を焼かれる結果となるだろう。

「……っ。受け取れ!」

連撃を終え、再度歯車王と間合いを取る直前、清太郎が相変わらず門矢士の前に劣勢を強いられているのを目撃した彼女は、右手に炎を呼び出し、それを彼へと向け送る。
清太郎の周囲を飛び回った炎は、やがて炎魔の形を取り、彼を護る守護霊として機能し始めた。迫りくる攻撃のいくつかを炎魔が受け止めることで、多少は余裕が生まれることはずだ。
恐らく、敵方の組織においても屈指の実力を持つ敵二人。連携に問題があったとしても、力でのごり押しを可能とするほどの強さに圧倒され、状況は一向に好転しない。それでも、ヘルガは戦う。空の彼方に浮かぶ戦艦での、味方の奮闘を信じて。

>歯車王、門矢士、橋川清太郎

1日前 No.190

協会の頭脳 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【並行世界管理協会本部/重役会議室/リコルヌ・エルヴェシウス】

あちらの戦況は、通信などに頭を割いていられるような状況ではないようだ。完全に制空権は喪失しており、戦況もとうとう、敵方の優勢へと傾いてしまっている。
リコルヌから出来ることは、もはや何もないといっても過言ではない。完璧であるはずの作戦の筋書きは崩れ、アナザーワールドに居残った彼女は、現地の人員の奮闘を信じて待つことしか出来ない。
あの聡明なセレーナが、何故あのような行動に出たのか。前々から野心の強さはあったものの、空軍基地が存在するリヒトルザーンへ侵攻するリスクを、彼女が理解していないはずがないのだ。
まさかとは思うが、あまりに完璧な、筋書き通りの結果に気が大きくなったのだろうか……リコルヌは考え込んだ様子で、如何にも未来といった様相の、空中に描き出されたディスプレイを見つめていた。

これからどうするべきかと考えていると、重役会議室に一人の男が入ってくる。テロヨワ・アムリーベン。古くから協会に所属する人物で、権力争いとは無縁のキャリアを歩んできたという経歴を持つ。
そんな彼がここに現れたのは、ごくごく事務的な内容によるものであった。空軍中心の補給要項をまとめて、送信していたらしい。リコルヌはそれを聞き、一言「感謝します」と声を掛け、その資料に目を通す。
この一瞬だけを切り取れば、何らいつもと変わりない並行世界管理協会の光景。しかし、アナザーワールドに何ら問題はなくても、ホームワールドに向かった仲間達の間で大問題が発生している。
自然と表情が険しくなってしまうが、どうやらテロヨワはお茶の時間をご所望のようだ。今、例の問題について出来ることは少ない。不本意ではあるが、彼女はそれに従うことにした。
彼が持ってきた菓子と紅茶に、リコルヌは手を付ける。因みに菓子については、子供達が作ったとのことだ。それを一口食べ、紅茶にミルクと砂糖を入れながら、彼女は感想を口にする。

「見た目はともあれ、味は問題ありません。子供達の温かさを感じます」

非常に堅苦しい口調ではあるが、とにかく不味いとは言っていない。ここに子供達に伝えるためのフィルターを通すと、"会長秘書も美味しいと言っていた"ということになるのだろう。
さて、話は本題へと入る。テロヨワはまず、作戦の成功に賞賛を送ってきた。この状況においては嫌味のようにも聞こえるが、恐らくそのようなつもりではないだろう。
たとえそうだとしても、リコルヌもここで怒りを顕にしたりはしない。特にそれについて何か言葉を返すことはせず、小さく頭を下げ、賞賛に対する感謝を示すのみに留めた。

「今回の作戦に帯同する人員を選抜したのは私です。この事態を招いたのは、現場の者だけの責任ではありません。私も、監督責任を問われることとなるのは覚悟しています」

テロヨワからすれば、意外な回答であるかも知れない。アナザーワールドにおける出世レースは熾烈であり、失敗を犯した際に部下に責任を押し付けるのは、割と常識であるところがあるからだ。
しかし、リコルヌは自分にも責任はあると語ってみせる。この件に関しては言い逃れをするつもりはないようで、彼女は会長に此度の事態をどのように説明するべきかを模索しているようであった。

「私を会長秘書という立場に選んで下さったのは、他でもない会長自身です。私は結果として、その会長の顔に泥を塗るようなことをしてしまった。ゴードヴェンからの反発を受けることになるのは必然でしょう。仮に会長が、私がこの地位に相応しくないと判断し、別の者を据えるのであれば、私はそれに従う他ありません」

彼女の言葉から分かるのは、リコルヌが心配しているのは自分の立場よりも、会長の名誉であるということが窺い知れる。このような結果を招いた以上、会長から見放されるようなこととなったとしても、その覚悟は出来ているようだ。
そして、歯車王とも無駄な対立を起こすつもりはないようだ。普段、彼に対し陸軍の軍縮を求めているのは、単純に採算性が取れないからであり、歯車王本人を嫌っている、という訳ではないらしい。逆も同じであるとは限らないが。
リコルヌが考えているのは、協会、ひいては現会長のために全身全霊を尽くすこと、ただそれだけ。それが出来るのであれば、たとえ今の地位を失うことになろうとも構わない。彼女がテロヨワに示したのは、そのような献身的姿勢であった。

>テロヨワ・アムリーベン
【リコルヌのキャラの掘り下げが出来て嬉しい……嬉しい……】

23時間前 No.191

Ray @mgs56 ★kOwjtfzUku_keJ

【並行世界管理協会本部/レストラン/董卓】
「ほう。このワシに面と向かい要求を拒否するとはな。その胆力だけは認めてやろう。」

相手の答えは否。そして新たな警告。確かに協会への叛逆を口にし、彼女のように冷静な対応を行う者だけではないだろう。中には彼の傲岸不遜な態度や組織に狂信にも近いほどに忠誠ある者は彼の話を聞いただけで彼に襲撃を掛けてくるだろう。元の世界であれば実際に彼の命を奪わんと宮城に乗り込んだ阿呆は極僅かであったが…。だが、心配するほどの事でもあるまい。

「フン、ワシを討つじゃと?そのような阿呆にワシが討たれるはずもあるまい。逆に返り討ちにし、二度とワシに逆らう奴が出ないよう八つ裂きにしてくれるわ。」

確かにこの組織には元の世界にはない魔法とかいう異能の持ち主や近接戦闘においても一級品の敵に回すと非常に厄介な実力者揃い。されど「絶対に死なない」と、彼はそう豪語する。元の世界にように天下無双の豪傑が側にいないにも関わらず。だ。その自信の現れは幾度となく窮地に陥りながらも切り抜けてきた悪運の強さ故か。いずれにしろ、組織の反逆者を粛清し続ける処刑人にとって董仲穎という男が十分すぎる程に危険であると認識させる言葉であった。

そして董卓も理解した。この女はある意味で同類ながら目的へ至るための過程はかけ離れている。組織内における絶大な名声を持った彼女を取り込み手っ取り早く組織を乗っ取りたかったが、元の世界のようには上手くはいかないか。――――ならば、この世界は完全なる実力主義。弱肉強食の世界。少しでも上にのし上がらんとしている連中を取り込み、徐々に力をつけていくしかないと。

>>キャロライン・ガーネット

19時間前 No.192

ハベル・アレッセル @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_Tbw

【 プリンシパル/格納庫/ハベル・アレッセル 】

 一通り弾幕を張り、即座に物陰へと退避――カツン。
 鳴り響く硬質。大気がはじけ、音が消し飛び熱がバラまかれるまでには一秒もいらない。
 花開く殺戮に群体は巻き込まれ、その痩躯は悉く千切れ消し飛び、残った血肉を破片が喰らい尽くす。
   、    スプリンクラー
 火器厳禁と叫ぶ消火装置。放熱を浴びて断末魔のように、放水を開始。
 フラググレネード
 破片手榴弾――後期になり開発された、M67をモデルとした仕様。
 安全性のみを求めるハベルにとってはうってつけの装備。
 爆発を確認したのちにもう一個取り出し、いつでもピンを外せよう手を添えて待機。
      、      、        、      サムズアップ
 同じく滑り込んだヤロス――視線を覆う赤外線装置で確認し、親指を立てた。

(あんだけ固まってればカモですよカモ。さて、問題は――)

 硝煙。焦げ付く香り。走る火花。全滅完了。
 バースト   、    なごり
 炸薬が咲かせた放火の花びら。揺れる大気の向こう、残骸<スクラップ>の中に悠然と立つ影が一つ。
 純粋を通り越して無機質にすら見える紅い目、皮肉を込めて笑ううっすらとした桃色の唇。
 煙が、橙色の髪を揺らす彼女の周りだけを避けるように立ち込めている――爆炎と彼女を隔てるように。

 異常 現実
 敵 と味方を隔てる違和感に、それはよく似ている。

(対衝撃反応エネルギー装甲とかその辺の類ですか。あーやだやだ。
 しかもなんですかあの態度。よっぽど自分に自信があるんですかねぇ)

 愚痴、愚痴、愚痴。民兵として恥ずかしくないのかという考察。
 想定しうる危険――自分がやられて死ねることとすれば、自爆特攻とかその辺。
 人命を軽視して資源だけで考えれば、一人一殺、高いコストを払って確実に一人殺せるやり方をアレはやれる。

「――三流」

 呼気を整えるように吐き出した。

「俺と同じだ、敵を前にペラペラしゃべる。
 自分が上だと思っていて、いつでも殺せるからと舐め腐っている。
 ああやだなぁ。俺そういうのにあたると本気で殺されるんですよ。惨めな死に方じゃないですか」

 魔法を行使、淡い翡翠の光が零れる。
 ヤロスが飛ぶのと同時、マシンピストルの銃口がイリスへとその照準<殺意>を向けた。

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
 咲き乱れるマズルフラッシュの花。吐き出される鉛玉の嵐。息継ぎ無しで降り注ぐ死。

 ――反動を無視した精密性を維持して、イリスへと無数の弾丸が殺到。

 ともすればその場に縫い付けるような射撃をヤロス・ハニービーへの支援と思ってくれれば僥倖。
 幕で覆った手札を仕込むは、後ろ手に隠した右手。
 小声で何事かを紡ぎ、大気を震わせると同時に右手で宙へ向けてデコピンを放った。

   、    、 ・・・・・・・・
 何か巨大な、彼方へ弾き飛ばすような不可視の衝撃――現象発生。
 イリスを背後から吹き飛ばすような指向性を持った現象が、彼女へ向けて襲い掛かる。

>イリス ヤロス・ハニービー

11時間前 No.193

負け犬 @adrasteia ★qa9glxeVZq_uLX

【サクラゴス/大通り/レイン・ウォルクオーク】


 弱者が強者に土をつける。鼠が猫を噛み殺す。そうした展開は極めて稀で、現実ではまず起こりえないからこそ誰もが夢見憧れ――そして当然、十中八九かなわない。
 自然界において小は小、弱者は餌だ。大が小を圧倒し、より優れたものが順当に勝つという子供にでも分かるその方程式に例外はなく、無論この瞬間においてもそれは純然たる事実として存在した。ゆえに――

「ぐッ、――――が、ぁ」

 瞬間、毒蛇のように靭る少女の触腕がレインを弾き飛ばし、背後の壁面へと打ち付ける。
 能力使用による反動に加えて、この攻撃。腕を犠牲にして体よく致命を逃れたはいいが、直撃は直撃。四肢がバラけてしまうのではないかというほどの衝撃が総身を襲う。
 人体の許容範疇を明らかに逸脱しているであろう膂力の一撃を受けて、尚もレインが生存を許されているのは偏に、彼もまた異能者であるがゆえ。迸る激痛を頼りに機能を停止しようとする脳髄を必至に覚醒へと保つが――しかし、彼の手指に刃を握る余力は既に残っていなかった。

「ゲホッ、ゲホッ」

 霞む視界の先には血反吐をはいて紅く染め上げられた路面と、拉げた左腕。そこに内臓も幾つかやられたとあっては、いよいよもって重傷というものだろう。――痛すぎて、気がどうにかなりそうだ。
 端的に言って満身創痍、進退ここに極まっていた。

       、   、  ヒューマノイド
 あとは文字通り、赫怒に猛る人間兵器の腕によってその生涯を終えるのみだ。


>パルメメ、(ボルヴェルク)

【そろそろ撤退したい(願望)】

11時間前 No.194

アリア @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【プリンシバル/第一機関室/アリア=イヴァンヒルト】

 斬り裂こう―――として、目に何かが入る。
 何か、と言わざるを得なかったのは、それが視界の片隅に入る程度でも異質だったからだ。
 そのやって来た何某に対して少しばかりの怪訝さを認めたことに関しては、己の常識とすり合わせても可笑しい話ではない。行動の直前でなければ早速手を止めてそちらに警戒を寄越していたかも知れない。そう思う程度に、そいつは異様だ。

 第一印象、血塗れの兵器。
 兵器というよりは鎧の方が近いだろう。光も差さない夜ならばその風景の中に溶け込めるのではないか、と思える黒い装甲が、顔に当たる赤い瞳よりも更に鮮烈な赤色の血化粧に彩られている。
 その原材料が何処かは語るまでもない。有り体に言ってそこを追求する必要性はない。

 即ち。重要な部分はこれが敵か味方か、その一点だ。
 元々立場として自分がグレーの位置に立っている以上、あまり大っぴらに活動している面々だと今後の活動に支障が出るし、その部分に関しては事前に頭に入れているつもりだ。嘗て全く記憶にすら入れていない(教えられてもいない)是正機構の面々とは違い、名のある面子の顔ぶれ程度は、記憶の中に留めることにしている。

「(認識している限り、政府にこんな技術系統の兵器はない………。
  可能性があるとするなら、二つ―――)」

 している、のだが。その上で、これは異質なのだ。

 このようなスプラッタな有様を張り付けてやってくる機動兵器など全く記憶にない。
 あまつさえ―――嘗て“彼女”の傍らに居た時、この辺りの兵器は概要とはいえ資料で目を通してあるつもりだが、こんなケースに発展したタイプは見たことがない。二足歩行の駆動兵が絶無というわけではないが、見た印象からして違う。


 そして全くの余談だが。
 その人物ないし機動兵器は、極めて彼女の立場からすると複雑な相関図の上に立っているのだが、それに気づくことはまだなかった。何しろ間接的関わりのある人物との接点は全くなく、彼方側からすると決定的地雷としか言いようのない“ある要素”に関しては、双方ともに知り得ないのだ。
 ………知っているとして彼方くらいのものだろう。兎に角、此処での遭遇は偶発的、かつ初対面同士だ。


「(侵入を嗅ぎ付けられたのか、それともなければグレーな立場なのか。
  前者ならわたしのミス、後者なら………考えるまでもないか)」

 閑話休題。
 順当に装いや技術的特徴から考えたならば、これは件の侵略者の尖兵と言うことになるわけだが。
 もう一つ、可能性がある―――その血化粧が、アリアにもう一つの可能性を指し示していた。

 この場でそんな浴びるように血をまき散らす方法は、当然軍勢を薙ぎ払う以外の手段はない。
 多数を一人で打ち倒すような真似でもしない限り、そんな絵面にはならない。
 アリアが手を止めなかった理由は三つ。うち一つは、このくろがねが大方敵ではないとする証拠を見つけたから。もう一つは、そのくろがねが自分からコンタクトを取って来たこと。つまりは最初の疑惑を彼方から確信に代えてくれたこと。

「立場は知りませんけど、意図は分かりました。
 お互いそれでイーブンですし十分です。最も」

 そして、最後の一つは―――。

「それでさようなら、にはなりそうもないですけど―――」


 最後の一つは、爆散した人影にある。
 断じてあの所属不明機ではなく、割り込んで来た人形の方だ。

「(………間の悪い)」

 勘付かれたというより、元々居たのが正しいか。
 手元に伝わった感触は人の肉や骨というより、爆発が示した通り明確な無機物。
 デザインと性質こそ違うが、所謂“人形”―――カタチが同じだけの、ヒトではないヒトガタ。
 一際目立つのは中央の少女。球体関節の四肢と出来の良い彫刻のような顔立ちに無機質な瞳を湛えさせたそいつ以外は、言葉も喋らなければ並びも均一。ただ中枢の女王が鶴の一声で以て応ずるのを待つだけのようにすら見える。
 この時点でただの兵士と呼ぶにはあまりにも歪だが、少女趣味の着せ替え人形というには少々剣呑な空気を纏っていた。

「さあ」

 少なくとも、そいつの言葉通りに会話をしようと考えるほど、能天気にはなれそうもない。
 それに―――。


「知りませんし、そんな簡単に分かったら苦労しないんじゃないですか」


 言葉通りに会話をしようにも、その意味を感じない。
 少なくとも、わたしは。

 カタチもなければ定義も不明の言葉を、解明する手段があるなら誰しもとっくにやっている。
 いっそのこと、そんな言葉を口にするくらいなら自分の胴でも抉って確かめて見ればいいのだ。

 やったら本当の間抜けだけど。兎に角―――対応は分かり切っている。
 今までと何も変わらない。唯一違うところがあるとするなら、それは一つくらいか。

「正面、巻き込みます」

 念のため“突っ込まないで欲しい”と前置きをしてから、振り下ろしたばかりの青光を引き戻す。
 続いて両の腕を切り開くようにして振り払い、指に付属するように舞う光糸を広げるように展開。

 正面から視界に入るぎりぎり百八十度、それこぞ女王のようにゆっくりと歩く自動人形諸共兵隊を纏めて切り裂くように放たれるその青白い光の糸は、見た目通りの光というわけではなく、自らが体内の魔力を用いて形成した領域だ。
 最大射程は半径にして20m、悟らせるつもりもないので伸ばした距離は10m辺り。
 そこまでの距離に限り、この場はわたしがモノを想える箱庭になる―――前から変わらず、モノを壊すための手段として。自らの敵を殺傷するための道具になる。

 だから、ただの細い一筋の光ではなく。
 実際に触れたならば、文字通り一面焼き払い、押し退け、切り裂くような現象が巻き起こる。
 そのように自分が性質を持たせたから、そのカタチの強度が勝る限りは平然と空想が現実を侵食する。

 あの一体だけ違う要素の輩ならさておいて、ほかならば文字通り鎧袖一触―――避けねば先程のように両断するし。
 そもそも、あの動きの緩慢さなら避けさせるつもりもない。

 正面の百八十度を薙ぎ払うようにそれを振るったら、次は跳躍。
 空に身を委ねるようにしつつ、万が一代わりに突っ込んでくる人形が居た時に備える。
 つまり、余計な行動はせず最初の一撃で視界を薙ぎ払った後は様子見に回るわけだ。

 より、正確に言うなら―――。

「(アレだけ動きが正確………さっきので解体出来る程度なら楽だけど)」


 正直なところ、測り兼ねているのかも知れない。
 あの人形を、ではない―――知るつもりは少なくともないから、そちらに意識は割いていない。

 では何を測り兼ねるというなら。それはあのくろがねの間合いの取り方にある。
 少なくとも出会ったばかりの赤の他人、配慮する意味などあまりないはずだが。強いて言うなら何となくだ。


>Dual、ハートレス

8時間前 No.195

世界の破壊者☆hWelpoTo9Ao ★XEmBtaY8sV_Qi5

【サクラゴス/港/門矢 士/ディケイドクウガ ドラゴン⇒ディケイドキバ キバフォーム⇒ガルル⇒ドッガ⇒バッシャー】

>歯車王( >>170 ),橋川 清太郎( >>184 ),ヘルガ・アポザンスキー( >>190 )

 歯車王の言葉には、ディケイドはクウガ ドラゴンフォームの鎧を軽く鳴らしながら肩を竦めるだけだった。元より張り合いがあるかないか、といったところに価値を見出すことあれど、闘いそのものを目的にするかのように“興じる”感性を有さない士からすれば、歯車王からの扱いもまったく意に介していなかった。
 無論言わんとしていることはわかる。せっかくの“強者”との闘いに乱入してきた、味方とも敵とも知れぬ存在が、好き放題暴れているともあらば、さすがに気分の良いものではないだろう。
 もっとも、それでもなお、知ったことではない、とこの態度を取っているわけだが。
 少しばかり手を貸してやろうか、とも考えて、歯車王へと視線を向ける。
 棒術による一撃を振るう中、ちらり、と一瞬だけ見るも、どうやらそれは不要だったようだ。真っ向から炎の中に飛び込み、さらに苛烈にして熾烈なる闘いを新たなる参入者と繰り広げていた。

 「手は……ふ、必要なさそうだな」

 『ブラストペガサス』による撃墜が失敗したことを改めて確認し。
 クウガ ドラゴンフォームによる追撃を見事に防ぎ、距離を取り直してみせた橋川に改めて視線を向けた。
 両手を軽く打ち鳴らし、ただただ、拍手を相手に送った。
 挑発をしているわけでもなく。
 ましてや先程のように皮肉を込めているわけでもない。
 タイタンフォームによる攻防に特化した姿でなければ防ぎきれなかったであろう連続攻撃の火力。
 ペガサスフォームによる狙撃を回避せしめる判断力。
 ドラゴンフォームによる加速と技巧でなければ、防がせることもできなかっただろう技巧。
 どれを取っても、なるほど世界を守る者の一人に相応しい。

 「なかなかやるな。……ひとつ聞こうか」

 遥か後方へと飛翔する橋川と。
 さらに付け足すならば、新たに現れ、歯車王と火花を散らすヘルガにも刹那、眼を向けながら、彼は距離を取る橋川へ追撃をすることもなく言葉を生み出す。

 「誰に頼まれたわけでもなく、誰に感謝されるわけでもない。
  俺はお前達のように、何度傷つき、倒れようと立ち上がってきた者を何人も知っている。……その中には、死んでしまった者もいる」

 それを、非難しているわけではなかった。
 死んでしまってはどうにもならない、と思わないでもない。
 されど士自身が言えた義理でもない。なにせ自分もかつて、一度自らの命を投げ出したのだから。
 ゆえに投げかけられる言葉は、ただ単純な、問いだ。

 「何故闘う? お前達は何故闘える? ――お前達も、俺の知っている“あいつら”と同じ、ということか」

 まるで何かを試すかのようにすら聞こえてくる。
 橋川の周囲を漂うようになった炎魔を眼にしても、やはり大きな行動を取ることはしない。
 ようやく橋川が全身からミサイルを出現させ、攻撃に出ようとしたところで動きを見せるほどに――その問いは、士にとって大切なものだったのかもしれない。
 バックルが自発的に九十度回転し、勢いよく中空に跳ね上がり、“クウガ”の力が宿されたカードはホログラムのように解けて消えて行く。
 駆動音を奏でながら姿を見せるのは、蝙蝠や吸血鬼を模した仮面を持つ新たな戦士の札。


 ―― KAMEN-RIDE! KIVA! ――


 魔笛を吹くようなおどろおどろしい音が響く中、クウガの姿は一瞬だけディケイドのモノへと戻り、しかし灰色の銀幕がその姿を覆い始める。
 一瞬にして硝子細工が砕け散るようにして中から生み出されるのは、ここまで五つもの姿を披露してきたディケイドの新たな姿。血のように暗い赤の装甲を持つ、皇にしてヴァンパイアの力を持つ戦士。
 名を、仮面ライダーキバ。
 クウガに次いで付き合いの長いモノ。ある意味では、よく使い込んでいる、慣れているとも言える“ジョーカー”の一枚をとうとう切ったと言える。
 されどそのままミサイルに突っ込んで行けば、爆風に呑まれ、刹那のうちに爆ぜ死ぬが道理。
 であれば――?


 ―― FORM-RIDE! KIVA-GARULU! ――


 次に響くのは、魔狼を思わせる甲高い咆哮であった。深い蒼の鎧と、同じく蒼の複眼を持つキバの力。
 一瞬にして、その体がブレた。
 ミサイルの雨霰の中を縫うようにして、それこそ狼が如し勢いで駆け回る。
 ガルルセイバーと呼ばれる双剣から、時折音波とも、衝撃波とも呼べる斬撃を用いて、的確にミサイルを撃ち落し、爆ぜさせ、対処をしていく。
 しかしそのミサイルが、とうとう士――ディケイドキバへと追いつかんとした中で、再び光が視界を覆う。


 ―― FORM-RIDE! KIVA-DOGGA! ――


 筋骨隆々とでも言うべきか、上半身が盛り上がり、より硬く、より分厚い装甲に覆われた紫のキバ。
 腕には巨大なハンマーを手にして、まるで風車のようにそれを回転させた。
 撃ち落せないというのなら、再び分厚い装甲に覆われて防げば良いだけの話。
 無論、先程までの機関銃――言ってみれば威力も申し分はないが、どちらかと言えば牽制用の攻撃――とはわけが違う。火力に特化した爆薬を完全に防ぎきれるわけもなく、少しずつ、少しずつだがガルルフォームで詰めた距離を再び離されていくではないか。

 「…………」

 ならば止むを得まい。
 キバの最後の姿を用いるのならば、今、まさにこの瞬間だ。


 ―― FORM-RIDE! KIVA-BASSHAR! ――


 最後にその姿を見せるのは、碧。
 先程のクウガ ペガサスフォームにも似通う配色をした、エメラルドグリーンの色彩に包まれた四つ目のキバの姿だ。
 基本フォームの赤。
 速度と技巧の青。
 重量と防御の紫。とすれば、残る緑は――、

 「ふんッ! はぁッ!」

 取り出した『バッシャーマグナム』と呼ばれる、黄金色の拳銃にプロペラのようなパーツが備え付けられた特異な形状の銃でミサイルへ再度射撃を行った。
 腰に下げられた『ライドブッカー』をガンモードへ切り替え、二丁拳銃の要領で次々とミサイルを撃ち落して行く。
 ふとここで、この場にいる誰もが気付くことだろう。
 『ライドブッカー』が放つのはエネルギー弾。とあればただ爆発を生み出すだけになるだろう。
 だが、ミサイルを撃ち落したり、撃ち抜いたりしたバッシャーマグナムの弾丸は、空中で威力を失い、やがて濃霧のように戦場を覆い始めた。
 そもそも、仮にも拳銃程度の大きさしか持たず、貫通力にこそ優れているが、拳銃如きで本来ならば小型核にも等しいミサイルの雨を防ぎ、凌げるわけもないのだ。
 ならばなぜ、このように射撃同士の闘いが拮抗しているのか。

 ――水、だ。

 バッシャーフォームの専用武装、『バッシャーマグナム』は魔海の二つ名を持つ。
 その真髄は大気中の水分を凝縮し、超水圧の弾丸――『アクアバレット』へ変える能力。
 彼らにとっての不幸か、それとも士にとっての幸いか。ここは海に面した港であり、普段より膨大な量の水分――海水を攻撃に用いることができる。
 やがて士の足元や、橋川の足元には水溜りが生まれるほどに大量の水が散布されるようになるほど、その水分量は尋常ではなかった。
 無論霧を起こした程度で、ヘルガの蒼炎が衰えるなどと考えているわけではない。
 びちゃり、ばしゃり、ざば、と。
 何度も音を立てて、水の塊が地面に撒き散らされ続ける。
 ミサイルと、ライドブッカーとバッシャーマグナムの撃ちあいが拮抗し続ける限り、これが止むことはないだろう。
 時折、橋川を的確に穿たんと、普段よりも上乗せされた威力を持つアクアバレットが襲い掛かることになるが。
 それも十中八九、ヘルガの用意した炎魔により凌がれることだろう。もしやともすれば、その炎魔に多少のダメージを与えることができるかもしれないが。
 連射。連射。連射。連射。
 連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射。
 文字通り雨霰と化した弾丸と爆撃飛び交う戦場を支配する海水により生み出された霧は、この場にいる者たちの肌や装甲を濡らさんと、少しずつ広がり始めていた。

 「さあ。次はどう来る?」

 水溜りを強く踏みしめながら、ディケイド――門矢 士は橋川とヘルガへと問いかけた。
 先程までの『アタックライド』による波状攻撃や、『クウガ』の力を用いた連続動作のように、劇的な変化があったわけではない。
 ましてや士はヘルガには一切の攻撃を行っておらず――もしかしたら。本当にもしかしたら、ややこの大気中に満ちた湿気が妨害になるやもしれないが、まったくその程度であり――橋川に向かって飛翔するのも、炎魔に防がれ、せいぜいが水飛沫を彼へかけるのが精一杯であろうバッシャーマグナムの連射のみ。
 だというのに、士は余裕の態度を、一切崩すことはしなかった。

7時間前 No.196

ライル @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ

【サクラゴス/灯台/ライル】


「素晴らしい、お前ひょっとしてレベルの高い馬鹿だな? 爆発大変結構だが、マナーは守れよマナーは。
 夜遅くの打ち上げ花火は近隣住民に迷惑だから嫌がらせ行為以外ではやめろとお母さん何時も言ってるでしょう。

 それと、あまり持ち上げてくれるなよ。僕は自覚がある程度につまらん人間だ、今までもこれからも」


 断っておくと。
 爆弾魔の騎士、風変わりな研究者であるプレイグナイトと会話している時の彼は………否、それに限らず、言葉を発している時の彼は終始真顔だった。怒りもせず笑いもせず、嘆きもせず喜びもしない。表情だけ見るなら終始真面目な応対だったというわけだ。
 それは醒めているというわけではないし、相手の対応に対して何かしら気分を害したわけでもない。

 要はそれが彼の平常なのだ。冗談でモノを言っているというより、それを真面目な顔で言い切っている。
 最初の台詞から今のこの瞬間に至るまで、彼は自分のことを“つまらない人間”と自負しているし、先程の決め台詞の審議を真剣に考えていたことになるし、真面目に目の前の兵士たちを悪だと定義していたことになる。
 それが何によって定義されるのか―――当然、ライルという少年の自我<エゴ>によってのみ定義されるものであるが、それを口にすることはほぼない。というより、口にしたとてこの場の人間の我の強さと余裕の無さを思えば意味はない。

 したがって彼は、得体の知れない良く分からない兵士と化すわけだ。
 そして―――その良く分からない兵士が、戦術の思考を定めれば後はフルスロットル。


―――


「(思った通り。いや言い過ぎだな、7割思った通りか)」


 ある意味予想通りに兵士を一掃してくれた爆弾魔の行動予想と、
 たった今打撃を打ち込もうとした相手の対応に対して、概ねの結論を出す。ぶっちゃけた話が悪くはない。

 むしろ、最初の行動が中々自己顕示欲入った爆撃であることから、前者は完璧に予想通り。
 あと、攻撃の範囲がいちいち派手なところまで予想通り。典型的ながら重宝する火力タイプと見る。
 それを多人数で相手取ろうとしたのは、彼方の指揮官の采配ミスとすら言える。というか、僕があの鉛使いに狙われていなければ適当に爆風を誘導していたところだ。
 始末に少しばかり時間がかかると踏んでいた敵は御覧の通りに殲滅され、多少の余裕が出来た。
 というか―――。

「(エラい簡単に始末されたな、あの指揮官っぽい面したモブ子。いやモブ男? モブ男か。
  単純な戦力指数ならあからさまにこの鉛使いの方が上、さて“どういう理由”か………)」

 残っているのがコイツだけだ。
 最初見た時から、妙な怒りを瞳に灯していた男。
 いまのところ此方の話に付き合う気力ゼロの男。
 なんだ、僕の話など聞きたくないと良心が申しているのか? 徹底していいから死ねの一点張りだ。

 おかしなものだ。そう思う。

 兵力の8割方どころかコイツ以外が倒されたのに、何故全く退く気配を見せない?
 自爆特攻? 東洋で言うカミカゼというやつか? うわ迷惑。偉いヒトはだいたいそんな気持ちだったんだな。

 強いてこれを何かと紐づけるなら、それはこいつを含めた大半の装備が型落ちなことだ。
 退くことすら出来ないと―――今の段階では、そう結論付けるを得ないわけで。考えるのが面倒になったので一旦停止。

「とんだ強盗どころか蛮賊の台詞だな。髪型が整えば完璧に核の炎に包まれてユーはショックだ。
 そもそも殺されるようなことをした覚えもないし、僕がお前を殺す理由は全くない。正当防衛にもなりはしないし、そこまで怒りの籠った視線で見つめられるような間柄でもない。
 ひょっとして初対面の人間に因縁をつける癖でもあるのか? 何処の極道だ、絶滅危惧種の真似はやめろ」

 続いて拳の方。防ぐならどう出るかは大体読んでいた通り。
 あの鉛はただ振り回すだけの道具ではない。伸縮自在の千変万化だ。

 だからこうして壁のようにも使えるというわけか。攻防一体という意味でも、つぶしが利くという意味でも良い能力だ。
 少なくとも僕の火力では突破に時間がかかるし、その間にあの男が何もしない理由がない。
 というか今しがたやって来ている。近距離の間合いから容赦なくトドメを刺そうとする全方位攻撃―――いちいち防いでいる暇がない以上、普通にやっていると中々手ひどい殺し技になりかねないようなものだ。

 まともにやっていたらジリ貧だろう。
 彼方が1発殴る前に僕が3発殴らなくてはつり合いが取れない不平等な取引だ。

「まあ、どれでも構わない。
 殺す理由はないと言ったが、殴る理由がないとは一言も言っていないからな。そして」

 前提として長期戦をやってはいけないのに、こいつの能力は短期決戦の穴を塞ぐことに特化している。
 イヤな相性の悪さだ。………だが。


 リテイク
「やり直しだ」


 だが。
 それは、僕がただ壁に向かって体当たりをする単細胞のような立ち振る舞いをしていればの話だ。

 条件は全て揃っている。
 これを出すには少し早いが、出し渋って死ぬ阿呆になるよかマシだ。
 起動の言葉を口にした時、僕の時間が巻き戻る―――無数に迫る鉛の槍は、何もない空気と線対称の鉛を貫く。

「目的もなく歩く最中に分かれ道を見た時。
 人は『右に曲がる』のか『左に曲がる』のかを考える………」

 そして僕は、突進して打撃を仕掛けようとしたポイントに自分を再配置する。
 これはそういう能力だ。

 左に曲がった後に、右になにかあったのではないか。
 右に曲がっておけば素晴らしいものと出会えたのではないか。
 あの時ああいうことをしておけば、この時になって酷い目には遭わなかったのではないか。

 そんな餓鬼の妄想を現実にする『能力』………。

「だが、どちらを選んでも後悔するだろう? 実際にしかけるところだった。
 だから『今のはナシ』だ。これにめげることなく努力して欲しい、今後の更なるご活躍をお祈り申し上げます、ということで」

 派手さはヤツ以上になく、利便性もヤツ以上にない。
 だが、しかしこの状況で―――回避不能の攻撃を“回避する”という点において、局地的に己は無敵になる。

 リピート
「もう一度。

 僕の殴る手が痛くなる前に退くか、僕の手に嫌がらせをした対価が再起不能か………よく考えて選べ?」


 そして、この状況で、飽きもせずもう一回飛び込む。
 無数に出現した鉛の槍がわざわざ展開されている場所ではなく、右側面から回り込むように。
 斜め右に吹っ飛ぶようにジャンプした後、その軌道を修正するように腕から術式として決まった型になる前の稲妻のような魔力を勢いよく解き放つ―――要するに燃費の悪い噴射だ。
 もたもたと回り込んでいる時間より、今は殴りに行く時間が欲しい。

 だからこその空中歩行。
 その急接近で勢いよく近付いたら、いま雷を放出した方の腕で殴りつけるように、斜め右上方から男の顎を狙う。
 顎を狙うべく無造作に振るった腕から、その燃費の悪い噴射の余波とでも言うべき放電現象<スパーク>が散弾のようにして兵士を襲撃する。要するに、上方向からの打撃と雷のショットガン、その寄せ集めから来るハッピーセットだ。

 打撃の威力は変わらない。序でに言うなら、雷とて範囲を取っただけだ。


 こういう時にあの爆弾魔がどう動いて、

 こういう時にこの鉛使いがどうするか、僕の読み通りなら次で詰められる。


>エドガー・グリム、プレイグナイト

7時間前 No.197

無限刃 @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【プリンシパル/倉庫/アマツ】

 仕留めそこなった。心底驚いた。不敵な笑みを見せる女。釣られて笑った。眉一つ動かさずに、心が驚いた。大笑いした。
 全てが初めての体験。他人に生かされ、与えられ、命じられてきた自分が、自ら何かを為そうとしている。
 これは命令違反だ。本来なら要人の暗殺に徹する立場。上が進撃を決めたとあらば、神妙に待っているべきだった。
 暗闇に根を張り、外界から切り離されたままでいるはずだった。ここまで自分を惑わせた存在に、刀一つ振るわないわけにはいかない。

「無論」

 そんなものでは満たされない。一滴の水に狂う餓鬼にでもなりかねない。知ったが最後二度と雑魚狩りには戻れぬ禁断の果実。
 書籍の中の存在と思っていたそれが、今目の前にたわわに実っている。これを切り落とさない人間がどこにいるか。
 齧り付き喉を潤したいと思わずして何が殺し屋か。故に刃を突き立てる。最奥を満たされるその時まで。

 再び閃く、途切れることのない剣技。鋼鉄が迸る。紛れもなく全身へ、芸術性すら感じさせるリズムで。
 風になびく天女の衣のように。水面を侵す波紋のように。最早鼓動も同じだ。
 どちらかが命尽きるまで鳴りやまない。故に呼称される――無限刃と。

「この渇きを終わらせよう」

 ただ振り下ろし、切り刻むだけが剣術ではない。間もなく殺人の舞は変貌し、眉間を的確に狙った突きを織り交ぜるようになった。
 命を刈り取る死神の鎌。肉塊を突き崩す神の槍。ただの一人として、逃げおおせた者はいない。

>>ツバキ・オオトリ

6時間前 No.198

リインカーネーション @genomirai ★jhfTwDC05p_Tbw

【並行世界管理協会/重役会議室/テロヨワ・アムリーベン】


「感謝するよ、会長秘書殿。戯れとは言えど付き合ってくれるのは有難い、子供の喜ぶ顔は見る側も心温まるものだからね」

子供たちが菓子作りに精を出し始めたら、またこうしてお茶会に誘うかもしれないな。と微笑みを浮かべながら冗談交じりに語る、彼自身としては本気と言えども、リコルヌは立場上おいそれと暇を作れる立場ではない。
勿論、余裕を持つことの重要さなど語る必要もないだろう。更に言えばこの瞬間にそれを口にすればあらぬ誤解も生むだろう、少なくともリコルヌにとっては焦るに値するだけの事態が起きているのだから。
先の言葉に別の意図を見出さないほどには落ち着いているとはいえだ、例えその言葉自体がそう捉えられると理解しながら放ったものであっても。深く関わることは少なかったが、感謝を示せる以上噂通りの冷静沈着さではある様だ、と。

「―――ふむ」

しかし、これより先の言動はテロヨワにとって良いと思えるものと、危惧すべき事態であるものの二つに分かれていた。前者はリコルヌ個人に対して、後者は会長への疑念へのものと言う違いはあれども。
まず前者、これは協会内では珍しく、更に言えばこの地位まで登れることが稀有な性格の人間であると判明したこと。基本的な協会の人間と言うものは、話題の渦中にあるセレーナのような野心に加え、手段を選ばないような者の事を言うだろう。
功績を貪欲に欲し、不名誉を遠ざけ、協会への忠誠心か自己保身の為に万進する者が大半。功績の中には部下が得たものを己のものにすることもあれば、不名誉を部下へと押し付けて責任の所在は自身以外にする、これらが一般的だ。
現在の主だった将校や上級役員、武官や役員にはそうでないものもみられる。しかしそのような存在は周囲からのそれを跳ね除けるだけの力を持つか、そのような上司に恵まれたか、はたまたは隠し続けているかのいずれかだろう。
会長に次ぐ立場のリコルヌがそう言った性格であることは組織にも影響を与える、上を目指す人間は総じて上の人間を観察し、糧とするもの。協会という組織が健全な状態へと向かう可能性すらある、これが彼が良いと判断した部分である。

「余計な気を利かせてしまったようだ、どうも歳を取ると余計なものにまで気を回してしまう。しかし会長秘書殿はまだ若い、何かあれば私などで良ければ手を貸すとも。これも先達の役目だ」

再度紅茶を口へと運び、皿へと戻せば老いを隠せない手の甲を触る様にして言葉を紡ぐ。恐らくはリコルヌがそうしないであろうとも理解した上でだ、これが危惧すべき事態として認識したもの。会長への妄信、心酔、そして傀儡。
彼が抱く疑念は先に述べた通り、歯車王と言う相応しい存在が居るにもかかわらずリコルヌを会長秘書へと据えた会長へのものであった。だが今回の問答において限りなく確証に近いものを得られた、リコルヌの行動原理には会長しかない。
協会であればまだ良かった、それは現在の協会に忠誠を誓っている以上は仮に会長が暴走しようとも拒絶できるからだ。だがそうではない、会長個人への忠誠となれば話は違う。協会がどうなろうとも、会長には忠誠を誓えるのだ。
将校、もしくは上級役員以下であれば個人への忠誠は問題はない。将校内にも序列はあり、上級役員も同様であるから。しかし会長秘書が会長へと妄信に近い忠誠を抱けば、止めるものなど居ない。
良い例が空軍の軍拡だろう、会長秘書の決定が最古参であり功績も膨大な歯車王の意向を押しのけている。周囲の賛成、時勢も確かに有った。だがそれらを除いてもそれだけの決定権を会長秘書が持っている。
そして、その会長秘書自身が会長へ心酔しているならば協会など会長の思うがままでしかない。更に言えばリコルヌ自身が語ったように、彼女をその地位に選んだのは会長だ。だからテロヨワは傀儡と言う言葉を選んだのだ。
何故ならば、会長の意向一つで協会そのものをどうとでも作り変えられる、現状はその布石に他ならないからだ。彼自身も妻を失ってからやや疑念を強く感じることは自覚している、子供たちを守る為に過敏になっていることも認める。
しかし、危惧していた全てが繋がってしまうのだ。リコルヌの失態、そこからの対応を判断材料とするべきがこうも繋がるとは思いもしていなかった。同時に、これは己以外に気付いていないだろうという事も。

「それにだ、一度の失敗も許容できない会長ではないだろう。確かに現在でもその失態は大きい、ならばそれ以上の功績を以って協会への補填とすると良い。尤も、会長秘書殿には要らない助言かもしれないがね」

子供たちに語る様に優しく、安心させるようにリコルヌへと言葉を投げかける。心中がどうであれその言動に一切の予兆を見せない辺り、彼が長年風見鶏として意見をひた隠しに出来ていた才の一つだろう。
言葉に嘘は混ぜない、彼の語る言葉はある意味では本心ばかりだ。一度の失敗で切り捨てるなら会長はより良い人物を見出す、そしてこれまでから導き出した会長像からは自身へ貢献ある限りはリコルヌに何かしらの危害を与えないとも。
無論、彼が導き出した故の会長像が間違いである可能性は高い。寧ろ誤りであって欲しいとすら願うほど、しかし散らばった要素を積み重ねれば最低でも己の為に協会を使うような人物だと判断できてしまう。
だからこそ、テロヨワにとってリコルヌは最早得体の知れない会長秘書ではない。ある意味純粋と言える程の献身を持つ、会長とそれに伴う協会に対して真摯に動く人物と。そして、哀れとも言える傀儡と。

さて、どの機を見て会長が動くか分からない以上は現段階で侵攻までしたワールド10をどうにかしなければならない。仮に彼自身が動くとしても戦争状態で内乱を起こせば協会そのものが崩れる、子供たちがいる以上それは避けなければならない。
更に言えば、会長が彼の危惧すべき人物であった兆候が見えたとしても味方は作れない。僅かな数など協会そのものには意味を為さず、説得の手間すらつけ込む隙に成り得る。為すならば、己一人だと。
隠し通すことは慣れている、そしてソリダーにしか明かしていない伏せ札も持ち合わせている。味方は居らず、周囲は全て敵になりえる。しかし、子供たちの未来の為には、協会の為にはやらねばならないのだ。
妻の愛した子供たちと協会の為に。

>>リコルヌ・エルヴェシス


【テロヨワの掘り下げが出来て私も嬉しい……嬉しい……】

5時間前 No.199

究極一番星 @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【プリンシパル/艦橋/アルティメット・イアン】

 もう我慢ならねえ、コイツぶん殴りたい!艦橋で発狂!戦闘中にイライラした究極隊長が四つん這いのまま赤髪ワル女にバッコリ殴りかかる!
 部屋中に響くボーボーと暑苦しい音!敵ながら惚れ惚れする灼熱に野獣クオリティの歓声!脇なんか熱い汗冷たい汗ゴッチャゴチャでグッチャグチャだ!
 バスケットファイアー大歓迎、熱狂コートでオレ様の脳天にダンダンダンクキメてこいや!
 結局のところ炎弾と衝撃波は兄ちゃんが潰してくれた。ちょっと粋すぎやしないか!いい意味でムカつくし。ライバル感じるし。
 超野生オオカミの脳内は"ムカつく=暴力タイム"。兄ちゃんと一緒に襲い掛かる!

「いいねえ、ちょっと狡いのも好きさ!」

 兄ちゃんの狙いはワル女だけじゃない。周りの高そうな装置も巻き込もうとしていやがる。
 壁沿いにいくピカピカの弾はそういうことだよな?なんだかよくわからないが、話を聞いてみれば合点がいった。
 なんでもこの部屋は……なんだ、船の脳ミソみたいなもんなのか?なるほどなあ、そりゃビリビリされたらクルクルパーだ!
 真似しようかと思ったが危ねえ危ねえ、オレ様は自他ともに認める"一番星"。二番煎じは失格退場だ。
 ここはワル女が対処できないようにちょっかいを出してやるんだ。ヒュー!粋だね!ライバル感じていいんだぜ。

「オレ様を怒らせることの意味も教えてやろうか。オレ様に殴りてえと思わせた時点で、次の飯にはありつけなくなるんだぜ!」

 疾走、振りかぶる剛爪!何もないところで振り下ろせば、空間が歪むような真空波がすっとんでいく。まともに喰らえば三枚おろし……いいやお造りだ!
 でもって勢いのままに究極ダッシュからのアルティメットタックル!毎日トラックに轢かれて鍛えなきゃ死んじまうぜ!
 さらにさらにさらに!こんなもんじゃ終わらないのが究極流よ!〆は顔面一直線のハイキック!入れば首がもげちまう!
 これが疾走サバンナ系一番隊隊長の、究極時空防衛術ってヤツなのさ!

>>セレーナ・バルダローム、ヴィルヘルム・エーベルヴァイン

5時間前 No.200

大鎧 @kyouzin ★XC6leNwSoH_Qi5

【サクラゴス/港/歯車王】

「ほうそれなりには出来る様だな」

友軍と敵対者の戦闘を、自分の戦闘に支障が出ない程度、つまり横目程度に見ていても分かる、この戦況、押しているのは明らかにこちら側の異世界人だ。
どうやら、実力に関しては口調と態度に見合っただけの物があるようだった、少なくとも歯車王にとっては異世界人など戦う機械、その戦う機械としての性能が出せるのならば、それ以上の文句を言うつもりは無かった。 無論、機械として命令違反などは咎めるが、今は関係の無い話だ。
そして、それに対処する敵対者のほうも自律兵器を操りながらも良く動くと感心する。 だが、所詮はワンオフの物だ、この世界が劣っていると言う評価に変わりは無い。

さて、自分に食って掛かってきた女のほうに目を向ければ随分と強気な口調で言葉を返してくる。 だとするならば、このまま踏み潰せる相手では無いだろう。

"死地へ自ら足を踏み入れたようだな"
それ見たことか、対抗策を持っていない者があんな事を言う訳が無い、しかし。

「こちらの両腕はフリーだぞ小娘ェッ!!」

的確に青い炎を使ってこちらが放つ大量のビーム弾を迎撃しきってしまうのは見事と言えよう、だが、使ってくるのは接近戦では。
いや、それも仕方が無い、砲撃戦をすればこちらが射程で圧倒し、射撃戦をすれば装甲と火力の差で粉砕し、こうやって格闘戦をすれば、肩に搭載した火器を撃ちながら両腕を使える自分に利がある……そう、最初から敵対者に勝ち目など存在していないのだ、相手の選択を責める訳には行かないだろう。

しかし、そんな考えとは裏腹に、相手の動きは非常に機敏な物で、最初の数発は歯車王も受ける事になった。
だが……恐ろしく堅い、そんな感覚が相手を支配した事だろう、ある一部分を除いて、一撃一撃が軽い物理攻撃は歯車王にほとんど効果を見せていなかった。
そんな事もあり、余裕を持って対処しようとする歯車王だったが、その「一部分」となる"足の関節部"に攻撃が当たると、大きなダメージには見えないが、明らかに一瞬だけ言葉を詰まらせた。

「チィッ、小賢しい!!」

そう叫び、歯車王は出力を瞬間的に引き上げて、ギアソードを振るう。
もちろん、それを想定していないヘルガではない、彼女はその前に間合いを取る。 だが、歯車王のあまりにも強烈な一撃は相手の体勢を崩すほどの凄まじい暴風を発生させる。
相手は暴風に対応する前に味方に対して支援を飛ばしたようで、また、その味方は大量のミサイルを発射して来る。

「楽をさせて貰うぞ」

これに対してディケイドがある程度対応できると見ると、歯車王は戦車形態に変形して後退、ミサイルがディケイドに集中し、自分からはミサイルを捕捉しやすいような位置取りをしつつも、ビームガトリングガンでしっかりと自分に飛んできた少数のミサイルとディケイドに飛ぶミサイルのうち、彼のハンドガンの射程外と判断した物を優先して叩き落す。
そして、水の弾丸と言う攻撃手段を選択したディケイドに対して、歯車王も巻き込まれてはたまらないと、その少し離れた位置からの砲撃を選択する。

……どちらかと言うと、間接部という弱点を防御できる戦車形態を取り、その戦車形態の小回りの効かなさが気にならない砲撃戦に持ち込もうとしているようにも見えるが、気づかれなければ何の問題も無い。

「消し飛ぶが良い!!」

そして放たれる、レッグロケット、ビームガトリングガン、ビームキャノンを総動員した一斉射撃、自分より巨大な兵器すら粉砕しかねない大火力投射だ。
だが、確かにそれらは一見絨毯爆撃のように敵対者二人のうちどちらにも降り注ぐ攻撃に見えるが、破壊力の高いビームキャノンだけは明らかにヘルガを狙った物であった、それはやはり、僅かに見せた無敵の歯車王の無敵とは言えぬ部分に感づかれている可能性を考慮した物と言えるだろう。

>橋川清太郎 ヘルガ・アポザンスキー 門矢士


【敵役職らしく、それをやった結果無双っぽくなっていたら申し訳ないです!】

4時間前 No.201

新副総統 @sable ★c1PKWYVyQN_Tbw

【時空防衛連盟本文/エントランス/外部/オスカー・ソレイユ・ルヴァン】

 今にも息絶えそうな、だとか……棺桶に片足突っ込んでいる、だとか。そんな悲壮感漂う表現は、全てこの男のためにある。
 オスカー・ソレイユ・ルヴァン。次期連盟副総統に任命された壮年の男性。大柄で屈強な肉体を持ち、非常に存在感漂う風貌のはずだが……まるで覇気が感じられない。
 それもそのはず、彼こそが連盟オラムフェルト支部のリーダーなのだ。非常時には街を、市民の命を守る義務があった。
 だが結果は見るも無残な焼け野原。喪ったのは街だけではない。輸送機と客船を駆使して市民を避難させるも、ほとんとが敵機の餌食となってしまった。
 オスカー自らも輸送機に乗り込んだが、殿を務める彼の機には、シールド用のエネルギーが特別多く搭載されていたのだ。
 意図しないこととはいえ、市民を救えずにおめおめと生きながらえてしまったという事実が、彼の心を責め苛む。
 悲劇はまだ続く。暮らしを共にしていた7人の弟妹――かけがえのない家族。彼らは、オスカーの計らいによって、いの一番に輸送機に乗せられていた。
 一番機の通信は"敵機多数"を最後に途切れている。何度も呼び掛けたが、一番機そのものが既に存在していないらしい。

「俺は……俺は……」

 墜落寸前の輸送機。不時着の衝撃でハッチが破損し、乗員数名が外に投げ出された。アナウンスの一つもないことが、パイロットの消耗具合を語っている。
 フラりと立ち上がり、幽霊のように行進。だが入り口に辿り着くだけの気力もなく、すぐに膝をついてしまった。
 全てを失った。自分には何もない。果たすべき使命を一つも果たせず、数えきれない犠牲の上に立っている。
 頭がどうにかなりそうだった。今すぐにでも家族の元へ行きたかった、

「人として失格だ……」

 >>(ユーフォリア・インテグラーレ)

2時間前 No.202

虚空 @zero45 ★pB1cyTl1jZ_Tbw

【時空防衛連盟本部/オペレーションルーム/サミュエル・ベルナール】

 プリンシパルの周囲では、地球軍元帥シフォン・ヴァンディールの活躍によって敵艦の対空兵装が無力化され、防戦一方であった戦いに光明が差し込み始めようとしていた頃。自分のやるべき仕事は滞りなく遂行させつつも、思いもよらないミスで抱える羽目になった個人的な問題を前に、サミュエルは悩む。
 名乗った直後に焦る素振りを見せてしまった事で、相手は疑問を抱いたのだろう。何か名前を言ってはならない事情でもあったのか、そう少女は自分に問い掛けて来たのだ。実際に彼女がどのように想像しているかは解らないが、別に大してやましい事情、例えるならば元歴史是正機構の一員だったり、政府の腐敗官僚の息子でした、等と言った物はこれっぽっちもなく、経歴は正真正銘の清廉潔白、そう言った方面で躊躇う理由は一つもない。
 焦ってしまったのは、彼女の前では正体を隠せなくなり、想定していた計画が台無しになってしまう、そう思ったから。しかし、この程度で崩れてしまったのだから、相当杜撰な計画であったのだろう。いずれにせよ、杜撰なのだからバレるのがオチ、そう考えれば焦る必要はない。

 そのように結論を出すと、"何でもない"と返して話を逸らす。彼女の方も、深くは詮索はしてこなかったようで、モニターに映し出されるプリンシパルへと目を向けると、再び後部ハッチを開かせる方法を探り始めようとしていた。自分もまた、文章の解析を行うと共にダメージを与える手段を考え始めながら、モニターの方を見やる。
 この瞬間、其処に映し出されていたのは、一機の戦闘機が戦艦の後方へと突撃を仕掛け、そして自爆特攻を敢行して見せた場面であった。あの爆発の規模では、パイロットが脱出してでもいない限りは、確実に死んでいる。きっと、それは誰からの命令でもなく、自分の意志でやらねばならないと思っての行動だろう。だが決して美談にはならない、一つの命を犠牲にしてしまった事を、悔いねばならない。

「あ、ああ……そのようだね……」

 勇敢なる者の行動は確かに実を結んで見せた。少女の言葉通り、爆発の衝撃によってハッチは開かれたからだ。間もなくして、連盟の戦闘員達が直接艦内へと乗り込んで行き、制圧の為に戦い始める事だろう。一人の尊い犠牲の下に、我々は次なる一歩を踏み出したのだ。
 だが、この時。少女はこの事を深く考えないことにした一方で、サミュエルは名も知れぬパイロットの生死の事を強く意識して考えていた。辛うじて少女の言葉に相槌を打ててはいても、その視線はモニターへと注がれており、その実、彼が見つめているのはひたすらに虚空。呆然としているのだ。

「……一つ、聞かせて貰ってもいいかい?」

 それから暫く無言が続くと、彼は急に我を取り戻したかのように少女へと視線を向け、口を開いた。

「これは例えばの話だ。君にとって一番大切な物を失ったとして、もしもそれを取り戻せる方法があるとするなら。
 例えそれが禁忌とされている方法であっても、君はそれを取り戻そうとするのか、取り戻さないのか……少し、気になってね」

 今までの態度とは一転して饒舌となって、サミュエルは問い掛ける。傍からすれば、まるで別人のように豹変したように見えるかもしれないだろう。

>シエンタ・カムリ

2時間前 No.203

西の魔女王 @libragreen ★iPhone=LntI4QQSlu

【 リヒトルザーン/総合病院/ヘカテー・V・トリヴィアム 】

 自らがお願いした、糸化の代償によるバッドステータス『欠落』の治療をラスティアラは快く引き受けてくれた。
 しかし魔の物と密接な繋がりを持つヘカテーは、癒しの魔法が神聖の類に属するものだと感知してしまう。
 ほんの一瞬だけ居心地悪そうに身じろぐも、ラスティアラの謳(ウタ)により発動した淡い光はどこか、綺羅星のように仄かで心地よいものだった。
 体を安静に落ち着けて彼女の癒しに身を任せれば、全身の数箇所に浮き彫りになっていた空洞があっという間に埋まる形で完治した。

「ふふ…ありがとう、あたしと同じマレビトさん! 何となく肌ツヤがよくなった気がするわ」

 おぉ、と感嘆の声を漏らしながら自らの顔に優しく触れ、元気良く調子を取り戻せたのをヘカテーは嬉しく実感する。
 ほんのささやかなお礼として、ヘカテーはラスティアラに秘薬用キャンディを一粒プレゼント。
 この紫色で蝶型の飴──パープルバタフライは覚醒作用のあるエキスを配合した、魔力を回復するアイテムなので、持っておいて損はないはず。

 これで心置きなく避難民および患者の手当てを続けられるだろう。
 そう思った矢先に、連盟員たちの敬意ある接し方から上司の中でもとっつきやすそうな隊長格だと見て取れる半魔の女性──シビルナから、若干伝わりにくい言動であるものの確認をとられた。
 普通よりも長く重みのある人生経験から、人は誰しも大なり小なり心に影をおとす者が多いことを、西の魔女王は痛感している。
 シビルナも何かしら訳ありの過去と魔族なりの苦悩を持ち、このような口調になってしまったのならばそれを責めることなどできやない。

「えぇその通り。 敵の連中を叩くことだけが、戦いだけじゃないでしょ?
 あたしもこの娘と同様、別の世界からやってきた助っ人という訳」

「ヘカテー、それがあたしの名前よ。
 一応フルネームも教えておいた方がいいかしら」

 そういって近くにあったメモとペンを取り、自身の名字であるV(ヴォルヴァ)・トリヴィアムも含めた正式な氏名を達筆で書いておく。
 文通をとろうと励むシビルナに素早くその紙を手渡しておいた際、目線を隠した桃紫と金の前髪から垣間見える雰囲気から何かを察する。
 彼女たちがこれからどのような行動をとるのかは、こちらが決めつけずにしっかりと尊重しておきたい。

「…半魔の、あんたは避難民の手当と別にやりたいことがありそうね。
 だったらここはあたしに任せて、奴らと彼らの元に征くのも悪くないはずよ」

>>シビルナ・カストリス、ラスティアラ・フーズヤーズ

2時間前 No.204

獄炎 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【プリンシパル/艦橋/セレーナ・バルダローム】

今まで協会艦隊と戦闘した者達は、誰であろうと皆その圧倒的な力の前にひれ伏してきた。中にはこの世界よりも強大な軍事力を誇る世界もあったが、それらも全て、だ。
赤き並行世界管理協会の旗は、常勝無敗の証。どんなことが起きようとも、どんな相手が立ち塞がろうとも勝利を収める。それこそが、彼らの誉れ高き栄光の歴史なのである。
時空防衛連盟は、事前の情報によれば航空戦力は僅か3桁程度の戦闘機しか持たない存在。その程度の相手に負けることが、あろうはずもない。あってはならない。
しかし、現実はどうだ。今やプリンシパルは敵に侵入を許し、このまま行けば遅かれ早かれ撃墜されるのは必然。状況の挽回は、極めて難しいものになりつつある。
それでも、セレーナは引くことはない。これは、頂点へ這い上がるために通らなくてはならない、試練の道。窮地の先に待ち受ける栄華に、彼女は縋り付く。

「躱す必要なんてないわ。この艦を落とさせるつもりはない。無敵の協会艦隊に、敗北などあり得ないのよ」

小手調べでしかない最初の一撃で死んでくれるほど、敵も軟な存在ではなかった。二人を同時に攻撃することを狙った炎弾と衝撃波は、いずれもヴィルヘルムの手によって防がれ、その役目を終える。
直後に放たれた相手の反撃は、非常に狡猾なものであった。正面から巨大な雷刃を飛ばすことによってこちらの身動きを封じ、その隙に横から迂回させた雷弾で操縦装置を破壊するという魂胆だ。
当然、これに回避で対処しようものなら、プリンシパルを制御する術がなくなってしまう以上、セレーナは動かない。だが、彼女はそれでも、余裕の表情を崩さなかった。
もう一人の銀狼に対する警戒も怠らず、彼女はまず眼前の雷刃を魔力を込めた刀の振り下ろしによって一刀両断すると、直ぐ様その刀を振り上げる。その動作に呼応して呼び出されたのは、小型の炎の竜巻。
竜巻は装置を中心とし、絶妙に当たらない距離を旋回することによって、左右から迫りくる雷弾を無効化してみせた。こうして遂に自由を得たセレーナは、空間を歪めるほどの勢いで迫る爪を、刀の刀身で受け止める。
続けざまに放たれたタックル、そしてハイキックも、一撃目は刀の鞘を引き上げることで威力を相殺、二撃目は大きくのけぞって空振りさせることで、無傷で切り抜けてみせた。

「次の飯にありつけないのは、一体どちらになるのやら。今日の夕飯は狼鍋かしら!」

実に強気なイアンの言葉に、セレーナは挑発めいた口調で返しながら、豪炎を宿した刀を艦橋の床へと叩き付ける。すると、刀が触れた場所が起点となる形で、爆炎の衝撃波が辺りへ撒き散らされた。
視界を覆い尽くすほどの炎で敵を怯ませている間に、彼女は左手に炎を宿らせ、それを丁度相手の足元に着弾する形で放つ。これに対処しなければ、炎は着弾と同時に爆発し、その身に甚大な被害を及ぼすだろう。
油断も隙も見せる様子のないセレーナ。だが、彼女は確実に焦りを感じている。序盤からハイペースで攻撃を重ねているのは、それだけ早く決着を付けたいという心理の表れといえるだろう。
何せ、ここでセレーナが敵と戦っている間、プリンシパルの指揮を取る人間はいない、ということになるのだから。

>ヴィルヘルム・エーベルヴァイン、アルティメット・イアン

1時間前 No.205

Futo・Volde @nonoji2002 ★VgtmIqXF0o_qY9

【プリンシパル/第6通路/Sans】

「似た者同士、仲良くしようぜ」

チョコレートはいるか、と尋ねるキャラに“いんや、腹いっぱいだから遠慮しておくぜ”と返しながら、ふと思う。これだけ心強く感じたのはいつ以来だろうか、と。
ただ単に自分と全く同じとも言える能力者で、自分とよく似通った雰囲気というだけで心強く感じるとは、自分以外の奴に仮面を付けて生きてきたわけだが、自分もまだまだ“お人好し”って奴なのかもしれない。

「大人しく通してくれたら……おっと」

こんなことを言ったところで易々と通してくれるなんて思っちゃいないが、物は試しと言う奴だ。だが、こちらがそれを言い切るより先に少女は何か呪文のような物を唱えたかと思えば、姿を消す。そして次の瞬間には背後にその存在があった。

そのまま突っ立って居れば、危うく蹴りを頭に受けるところだった。もっとも、伊達に修羅場を通ってきたわけじゃない。得意のショートカットでその蹴りを躱しては相手の存在を探す。
が、その姿は確認こそ出来るが、明らかに遅れている。姿は確かにあるが、もはやそれは残像と呼ぶに相応しく、肝心の本体はその“像”より先に行動している。
わかりやすく例えるなら、対戦型のオンラインゲームで回線が悪い時にラグが生じ、瞬間移動している敵プレイヤーってところか。

「Heh, まさかオイラ達以外にも似た能力を使える奴が居るなんてな」

一人どころか二人も、自身の能力とよく似た奴が居るとは。もっとも、この少女のショートカットと自分達が使うショートカットとは特性が異なるようだが。それに、この少女の場合はキャラとは真逆で、殺気立って居る。

さてさて。今、ここで頼れるのは自身の勘と耳と、そしてキャラだけ。
しかし、後部が吹き飛び、なおかつ戦闘員も多いだろうこの艦内ではその音がかき消されるリスクは高い。下手に動けばリスクになるが、動かなくともリスクはある。では何をすべきか。

――その答えは決まっている。
キャラが血の色に染まったナイフを少女が居るであろう方向に放つと共にこちらにウィンクして合図を出した。なるほど。その作戦に乗るとしよう。

白色の大きい骨をいくつも繰り出して、キャラの投げたナイフと対になる形で放つ。挟み撃ちになる格好で。いくら姿が見えずとも、攻撃が無力化されるわけではないだろう。

とはいえ、透明な姿というのは厄介だ。透明人間相手では、こちらが不利なのは目に見えてわかる。相手の姿は見えないが。早い段階で対策を打ち出しておきたいのだが……。

>キャラ・ドリーマー、ソリダー

1時間前 No.206

協会の頭脳 @infernus☆XQ6phrzcKMtR ★F7MrHN45jw_Qi5

【徐々に第二章へ向けての展開を始めていこうと思います】

【並行世界管理協会本部/重役会議室/リコルヌ・エルヴェシウス】

「感謝します。貴方の力が必要となった際は、こちらから連絡させていただきます」

実に事務的な言葉ではあるが、少なくとも感謝の気持ちは本心だろう。リコルヌからしても、現在抱えている問題の解決に協力してくれる人材が増えることは、紛うことなきプラス要素であるからだ。
相変わらず、頭の中は会長になんと説明するべきか、という考えで一杯であった。自分自身がどのような辱めを受けようが構わないが、会長がそのような事態に巻き込まれるのだけは避けたい。
同時に、作戦成功のために献身してくれた部下達に責任を負わせることになるのも避けるべきだ。上司が部下に責任を押し付けるのが常識となっては、組織全体が萎縮し、結果として後のマイナスに繋がる可能性が高い。
彼女は並行世界管理協会でナンバー2の地位を得ているのが、不思議であると思えるほどの人材だ。仮にリコルヌが思想だけで実力の伴わない存在であったならば、今頃とっくに第三臣民に落ちていたことだろう。
それだけ、リコルヌの思想というのはこのアナザーワールドの理に合致していない。確かに彼女も第三臣民を資源扱いするなど、それらしい一面は持っているのだが、このような構造の組織で失敗の責任を進んで負うなど、前代未聞といえる。

「ええ。そうであることを願っています。私は、会長の判断を尊重し、それに従うつもりです」

リコルヌの思考における優先事項の最上位には、必ず会長の意向というものが存在している。如何なる場合においても、それが最優先されるべきことであり、自らの意見や考えを反映するのはその次なのだ。
会長秘書という立場にいる者が、そのような姿勢であることの危険性は、テロヨワが思い浮かべている通り。会長はリコルヌを通じることで、組織を思いのままに操ることが可能となってしまう。
とはいえ今の所、そのような傾向はないため、彼が感じていることは杞憂に終わるかも知れない。それでも、懸念しておくべき事項であることに間違いはなく、仮に協会の構造そのものに影響を及ぼすようであれば……真剣に議論する必要が生じてくるだろう。

「恐らく、敵は"例のメッセージ"に従い、こちらに攻め込んでくることでしょう。既に策は練ってあります。ここは、彼女の行動を"釣り餌"とするのが理想かと」

彼女はテロヨワにそう語ると、彼の眼前に作戦の概要が映し出されたディスプレイを表示する。これが、リコルヌなりに考えた、名誉挽回の策ということなのだろう。
簡単に説明するならばこうだ。先刻、愚かな裏切り者ショコラ・ヴァンディールによって、ワールド10の時空防衛連盟に向けて救援を求めるメッセージが発せられた。
それ自体は既に当人の暗殺、及びこちらへの影響を最小限に留める工作によって済んでいるが、あの組織の性質からして、彼らがメッセージに従い侵攻を掛けてくるのは確実だ。
ならば、それを利用してしまおうというのがリコルヌの作戦。連盟に向け、わざと誘引地点となる場所の座標を送ることによって敵を引き付け、一網打尽にするのだ。
出来ることならば、彼らの食い付きが良い場所……例えば、第三臣民の強制労働施設などが、今回の作戦には適任だろう。一つ、労働施設を犠牲にしたところで、第三臣民は無数にいる。実質的に、並行世界管理協会には何の損失も出ない作戦であった。

>テロヨワ・アムリーベン
【協会キャラの第二章へ向けての絡みでは、既にこの作戦内容が通知されたことにしてしまって大丈夫です】

40分前 No.207
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