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【ALL】End of Souls【冒険/バトロワ】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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絶望を焚べよ @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_iR4



 ――  人の時代が終わる時、すべての地は最果てに吹き溜まる。
  .   王の国も、乞食の地も、変わりなく ――



 その日、人々は天に黒い環を見出した。
 暗く翳る、無明の黒い穴。
 そこからすべてのデーモンは湧き出
 そこからすべての悲劇は始まった。

 かつて繁栄を誇った王国ポーレタリアは、一夜にして終末の道を辿った。
 黒い環を見出した王国は、まず濃霧に包まれ外界から遮断された。
 次にデーモンたちが出現し、虫食いのように領地を霧で侵食していった。
 世界の外側から来たデーモンたちは、遍く国に霧を撒く。霧は世界を歪ませて、己の世界に塗り替えていく。
 白亜の塔が立ち並ぶ、遥か時空のかなたの都市。
 見も知らぬ歴史をたどった太古の遺跡。
 人々から忘れ去られた、うろ底の谷。
 あらゆる世界がそこへ流れ着き、王国を蝕んでいく。
 やがて荒廃したポーレタリアは、数多の霧に蝕まれた混沌の亡国となり果てた。

 人々は願った。神に祈るように、この世界が救われることを。
 人々は願った。己一人でも生き残りたいと。
 或いはそれは、別の形で叶うこととなる。

 濃霧の影響か、或いは天に浮かぶ黒い環の影響か。異なる世界を受け入れたポーレタリアは、いつしか異なる世界との交信を可能としていた。
 神殿の要人たちは、長い時間と技術の研鑽、そして数多の犠牲を基に『異なる世界で死したものの魂』をこちら側に呼び出すことに成功する。
 楔の神殿に繋ぎ止め、この世界の守護者として呼び出すことで、諸悪の根源たるデーモンと、その元となる黒い環を祓わせようというのだ。

 神殿に舞い降りた霊たちに、要人は告げる。

『流れ着いた者よ。かつて世を救いしものの魂よ。
 デモンズソウルを求めよ。どうかこの世を救い給え。
 さすれば、汝らに一度きりの復活の機を授けよう』

 それは或いは、等価交換の一つでもあった。異なる世界で死した魂を、復活の機を与える代わりに世界を救わせる。
 己が生を勝ち取るための、最も過酷な戦いが課せられたのだ。
 望もうと、望むまいと。この世に呼び出された者たちは、その使命を背負うこととなる。
 此処に死者たちの、流れ着いた異空をめぐる巡礼の旅が始まろうとしていた。

 ――ああ、だが旅人たちはやがて知るだろう。
   『絶望を焚べよ』。その神託が意味することを。




 ―― 世界とは悲劇なのか。今、魂が試されようとしている ――




【クリックありがとうございます、当スレはALLキャラによる戦闘スレとなっております。興味がおありでしたらば、まずは一読くださると幸いです】
【開始の合図が出るまでレス投稿はお控えください】

メモ2018/05/20 21:07 : チェイス @ask2★iPhone-P9oxZSYDmV

  ――参加キャラ分布――

【特殊ロケーション】

●楔の神殿

 ・1Fエントランス

  ■脱走兵ホークウッド○レーヴァテイン

 ・2Fロビー

  ●リムステラ

 ・3F殿堂


【ロケーション】

●不死の闘技場

 ・雪の闘技場

 ・炎の闘技場

 ・風の闘技場


●塔のラトリア

 ・監獄区域

 ・邪神の祭壇

 ・生贄の沼地


●腐れ谷

 ・谷合の廃村

  〇クラウド・ストライフ ◎アサキム・ドーウィン

 ・腐り池沼

 ・死体溜まり


●嵐の祭祀場

 ・砕けた城塞跡

 ・生贄の祭祀場

 ・古竜の丘

…続きを読む(109行)

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『皇帝の美学』-ピアノ協奏曲第五番- @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【お気になさらず。こういう性格なので……】

【炎上都市冬木/山寺/ベートーヴェン】
 火蓋は切って落とされたという事かと、不敵な一笑を浮かべる。
「そうか。ならばひれ伏せ運命ーーーーっ!!」
 実力を推し量ろうと言われて己は力を貸す者ではなく、貸すに値するかどうか試されている挑戦者になったと解釈すると、ベートーヴェンは声を荒げて叫ぶと、タクトを炎に輝かせながら魂からくる雄叫びと共に振りかざした。
「さあ、音楽を奏でよう(Spielen wir unsere Musik.)ーーーー!!」
 高らかに鳴り響く電子音と幾数の楽器が重なった重低音が境内に満たす。
 光輝く様々な音符と五線譜は宙に舞わさせる。
 『ピアノ協奏曲第五番変ホ長調』
 また名を『皇帝』
 作曲当時はベートーヴェンが住んでいたウィーンにナポレオン一世が攻め込んだ時期でもあった。
 豪壮かつ威厳ある旋律と共に現れたのは、ムジークで形成された強面のコウテイペンギン軍団。
 我一番と勇敢な一羽が少女の頬をはたかんと飛びかからんとし、そして残ったペンギン達は列をタクトを振るうベートーヴェンの前で一軍目は3列をなし防衛を、二軍目は牛若丸と名乗った少女を囲わんと俊足で走り出す。
 ムジークはきちんと理論を把握していれば、科学による解析はできるし類似品にも同様のムジークを扱える代物なので、魔法や魔術の場合だと術理を読み取れる術さえあればなんの効果をもたらすのかが分かる代物だろう。
 だが本人から能力でムジークを奪い取っても、感情の発露さえあればいつでも発動できる力でもあった。
 ペンギン達を切りつけても血は出ず消滅するだけの存在だが、コウテイペンギンそのものの物理攻撃ができるという厄介な存在でもある。
 黒い翼から繰り出す、ビンタの威力は人骨を折るレベルである。
 これを食らえば一般人だったら人たまりもないだろう。
 タクトを振るうベートーヴェンの表情は瞳孔を開き眉を寄せて、厳格を纏った物となり鬼気に満ちていた。
>牛若丸

9日前 No.60

チェイス @ask2 ★iPhone=P9oxZSYDmV

【ソドム/Lobotomy Corporation/仮面ライダーチェイサー】

 >若葉、ゲブラー、アルゴル

 秘めたる力の一端を解放したのか、チェイスに続いてゲブラーへ斬りかかる若葉の動きは先ほどの比ではない。身軽にして重激。精霊から引き出した技巧の冴えを幾重にも束ね、閃かせる。
 さらにアルゴルが後に続く。偉躯から繰り出される蹴りと大剣の振り下ろしは、仲間ごと敵を打ち砕きかねない威圧と威力を伴って、しかし絶対に若葉とチェイスを巻き込むことがない。
 三者三様に全力で打ち込んだ攻撃は、狙い過たずデーモンを捉えていた。そう、紛れもなく三人の攻めは命中したのだ。
 にも関わらず──

「何、だと……!?」

 目の前のゲブラーは揺るぎもせず、ただの少しも後退してさえいなかった。踏ん張るでもなく、当たり前に立っているだけですべての衝撃を受け止めている。
 まるで地面に根を張っているかのよう。決して無傷ではなく、目に見える明確さでダメージを負っている。だが、事実としてチェイスが感じた手応えは、不動の大木に激突したかと思うほど堅牢で──しかし、続くゲブラーの動作は重厚さの対極にあった。
 流麗にして軽妙。舞うような優雅さで、八分音符の鎌を振りかざす。
 得物の大きさ、重さを感じさせないほどの振りは、そのくせ風切りの音ひとつ立てることもない。若葉へ向かって翻る刃はチェイスに割り込む暇を与えず、それよりも速く彼を斬り裂いた。
 だがしかし、一体どうしたことだろう。首、両手首、両足首、刃が触れたはずの要所はいずれも身体に繋がったままで……

「ガッ────」

 猜疑するより先、物理的に体感できない痛覚が彼のプログラムを蹂躙した。
 胸の内側で爪を立てられたような痛切。
 割れて砕けて戻れなくなりそうな絶望。
 無意味・無価値と自己否定を促す虚無。
 使命も意思も奪われ自我を失くす恐怖。
 救えず護れず何もなせずに果てる慙愧。
 痛みは冒涜であり、陵辱だった。幻肢痛にも似たそれは記憶を暴き、汚泥を塗りたくり、穴を穿った。
 守り、救った。共に戦い、使命を果たした。それらの記憶が反転し、激痛となってチェイスを襲う。

「あ、ぎッ……がああっ……」

 敵の眼前にもかかわらず、チェイスは頭を抱えてよろめいた。
 自己を見失いかねないほどの痛みにあてられ、心に亀裂が走っていく。静かなる調べ、形なき痛みは確実に彼を蝕んでいた。

「…………おおおおおおッッッ!」

 ──だが。
 たとえ理外の力だとしても……その最深、根幹までは犯せない。
 何故なら彼は仮面ライダー。誇り高き戦士の魂は、たとえ何者にも穢されることはない。
 咆哮と共に幻痛を振り払い、ゲブラー目掛けて拳を叩き込む。

 瞬間、激突。

 先刻のような優雅さなど欠片もない、ただ激情と膂力に任せて振るったゲブラーの一太刀と奮起にチェイスの燃える拳がかち合う。
 力の差はは明確。断絶は天地にも似て、万一にもゲブラーが押し負けることはないだろう。
 ……けれど、その拳は万に一つの可能性へ指をかけた。暴嵐めいた一撃は僅かながらも軌道がずれ、結果、直撃範囲からアルゴルと若葉が外される。チェイスもまた吹き飛ばされはしたが直撃を免れたおかげで、いまだ戦闘可能な状態にあった。
 衝撃を受け、後退したチェイスのすぐそばで戦斧……シンゴウアックスに緑の光が灯る。

《イッテイーヨ!》

 若葉ならば、あるいは聞き馴染みがあったかもしれない。横断歩道で歩行可能を知らせる例の音声が戦斧から流れていた。
 チェイスの足が先程の余波で抉れた床を蹴り、ゲブラーに最接近する。同時、振り上げたシンゴウアックスの刃が紫電を帯びた。

《フルスロットル!》

 必殺を合図する音声が流れ、チェイスが戦斧を振り抜く。縦に一度、横に一度。都合二回の斬撃は眼前に顕れた黒白の縞模様――横断歩道を象った幻影の上をなぞるように放たれた。

【お待たせして申し訳ありません。諸用で遅くなりました】

9日前 No.61

シュピーネさん @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【枯れた大樹/廃校/ロート・シュピーネ】


「………なるほど」
「(この程度では動じませんか。それとも、明確に“そう”と口にしていないから?)」

 まず第一に。
 シュピーネと、白鳥歌野は別の人種だ。
 それは生まれがどうこう、先天的に持つものがどうこうという話ではなく。人格、スタンス、そうした内面的部分において、決定的なほどの隔たりが存在するという事実に他ならない。
 初動の時点から察しはしていたことだ、ほぼ疑惑は確信に変わっている。
 赤蜘蛛が殺して来た者ならば、彼女は“倒して来た”者なのだ。それも相手からして違う、前者は人で、後者はそれとは異なる別種の存在。前者は嬲り奪う戦いで、後者は抗い挑む戦い………相違点など上げればキリがなく、どちらが真っ当であるかなど言うまでもない。この蜘蛛のような男を真っ当などと誰の口から口に出来ようものか。


「ですが、殺されるよりは殺す方がマシとも言う………。
 私の生を、誰にも邪魔されてたまるものか。もちろん、貴女にもね」

 さりとて、この世界の在り様自体から真っ当ではない。
 その点に関して“だけ”は、シュピーネが彼方に勝っている部分だ。先手の守勢、だからこそ取れる手法は多い。それこそ危機を感じたのならば仕切り直せば良いのだし、嬲るべき部分を見つけられたら徹底的に嬲ればいい。
 いざその時になってみなければ人間の地金など見えたものではない―――が、シュピーネからすればこの女は青い小娘だ。純真故に後手につき、純真ゆえに人の悪意というものを知らない。この女は間違いなくそういう手合いで、そんな甘さは致命的と言うよりほかにない。たとえ自分でなくとも突くことの出来る急所に等しいとさえ言えた。

 ただし。それは、逆に言えば―――。


「(それ以外の突くべき隙が無い)」
「(困りましたね。こういう時の突破力は如何ともし難い―――)」

 それ以外の全て………火力、機動力において、実のところシュピーネに打つところは乏しい。
 その事実を、遠回しに口にしているようなものだ。

 嬲るだけで片が付くなら初動でどうにかなっている。
 誘い込んだことを活かせるならば次手でどうにかなっている。
 搦め手、小細工、戦略、そうしたものはどう転ぶか分からない天秤を傾けるためのものだ。
 厳然なソウルという実力差が生まれた以上、化け蜘蛛は勇者に駆逐されるより他にないと言わざるを得ない。

 空間を隅々まで食い破るのは先ほども見せた鞭捌き。
 蛇のようにしなるワイヤーと衝突する―――その流れを今更振り下ろした状態では止められない。大抵は打ち払われて軌道を変えられ、束ねられていない部分に至ってはそのまま寸断される始末だ。
 聖遺物を破壊されればその使い手も砕け散る。すべて、ではないが、一部のワイヤーが粉砕されたシュピーネへのフィードバックは言うまでもない。明らかなパワー負け、おまけに周囲を薙ぎ払うソレはシュピーネが仕込んでいたトラップをもろとも幾つか粉砕している。………此処は、先ほど言った“スタンスの違い”が悪く働いた例だ。

 彼女の戦いは何時も一対多。
 であるに、纏めて対処を行えるような攻撃手段の一つや二つが無いはずがない。
 当然、それは自分にも襲い掛かってくる。攻撃と防御を兼ね備えた完璧な手法だ。

 ―――では出直すか? シュピーネの頭にそれが過ることはなかった。
    それは勝利を確信していたが故の不敵なものではない。


 彼は臆病な男だ。

 銃など向けられたら、どのような状況でも危機感が働く。


「ぐォ―――ッ!」


 一瞬の計算だった。
 シュピーネはわざとその鞭を自分に被弾させ、弾き飛ばされるようにして銃弾を避ける。
 崩落する天井から同一射線を狙い定めた集中射撃《フルバースト》。
 暗闇の中に連続で咲いた花は、命を効率よく奪うための人間の叡智だ。普段ならばどうもこうもない代物だが、あれは“そういう代物”ではないのだとすぐに分かる。
 であるに、シュピーネはすぐに逃亡を選んだ。一旦の後退、状況の判断。
 そのために受けたダメージは安くない。だが高くもない。むしろ第三者の登場は願ってもない、混乱状態ならば打つべき隙が出来る。………そう考えていたシュピーネの目には、すぐに期待を半ば裏切る鷹のごとき瞳を持つ男が映った。


「なんとまた………千客万来ですねェ」

 シュピーネという男は、存外に凡人である。
  、  、  ・・・・・・・
 だから分かる。この男はダメだ。

 明らかに螺子が外れている。狂戦士の誓約は、あらゆる全てを塵殺する文字通りの狂人の証だ。
 モノを潰すように人を殺す。そこに悦楽も憤怒も、嘆きも歓喜も、何もかも見受けられぬ。

 どれかがあるのならば、良かった。
 理解出来ずとも、そこを起点にシュピーネは蜘蛛糸を紡ぐことが出来たからだ。

 だがこれは違う、悍ましい怪物だ。人の形をして、人の皮を被っただけの同類だ。
 そして、その同類を自負するシュピーネをして、外見から異常と認識できるものを兼ね備えた魔物だ。


「まさに狂人だ。その誓約、耳にはしていましたが………本当に選ぶ輩が居たとは」
「ならば―――ええ、こうしましょう」

 あるいは―――錆びた、鉄か。
 形だけ残っていても、何か致命的な部分が朽ち果てた骸のような名残。

 これを理解した時点で、シュピーネは“共闘の申し立て”を即座に放棄した。
 あれは特に対象を問わない。人のかたちをした災害だと思えばいいのだ。

 ―――こうなってしまえば、どちらを利用するかは明白。
    幸いにも、あるいは不幸にも、この男ですら力の質は此方の上。

    自分は無視できる立ち位置にいる。
    そして同時に、望むなら始末される立ち位置にいる。

 危険な立ち回りだ。リスクが大きい。しかし………。


「(まだ―――狙えますねェ!)」

 十分、目は残っている。
 強くとも青い娘と、強くとも“この場全ての敵”である朽ちた男。
 それは、最悪には程遠い状況だ。

 退き時が近いが、まだそうではないと告げる感覚と欲望に従い、シュピーネの指は踊った。
 瓦礫が粉塵を撒く中、足元から突き上げ、巻き付き、態勢を崩させるように………蛇がその尾を絡み付けるようにして、左右から糸が伸びる。狙いは当然、歌野―――では、ない。

 現れたもう一人の亡者《ロストマン》だ。
 あれは既に狙いの時点で此方二人を定めてきている。であるに、今更協調を狙っても後が困る。
 ………もちろん、狙いはそれだけではないが―――。

 上手くいけば捉え、そのまま態勢を崩させる。
 最良となれば足を引き千切る。
 そうでなくとも、避けない、手を出さないと言う選択肢だけはあるまい。

>白鳥歌野、エミヤオルタ

9日前 No.62

クラウド @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk


【腐れ谷/谷合の廃村/クラウド・ストライフ】


「いちいち、やりづらいヤツだな………!」


 大剣が二度、空を切る。
 一度目は故意に剣圧を起こすために、二度目は本命を叩き当てるために。

 ………轟と音を立てるつるぎの重みは、しかし黒鎧を掠めるにも至らない。
    その事実に小さく舌打ちをし、緩慢に錯覚した状況の中で素早く身体を動かす。

    舌打ちしたのは、単に前後の言葉が明らかに不明瞭に過ぎるというのもある。
    虚像がどうだの、黄金の記憶がどうだの。酔っているのか、と苦言をぶつけてやりたいくらいだ。

     第一これがオレを指しているとして。
     ならば、尚更何が言いたい?

      、   、  、 ―――無論、その問いへの回答は無く。


 降り下ろしの一閃が明確な効果を齎した現状はない。
 より正確に言うのならば、獄鳥の名実ともに鋼で編まれた体躯へと傷をつけるより前に、それを阻む障害があっただけだ。細身の刃、クラウドが振るうバスターソードの一振りと比べれば大きさも形状も遥か見劣りする一振りだ。
 それが、しかし僅かに切っ先を逸らした。一度散った火花がそれを証明する。本当にわずかな、刹那の間の衝突だ。すわ鍔競り合いか、と予見させたが、その梯子を外すように魔王の刃はふらりと刀身を傾けていた。
 まともに打ち合うつもりが最初からなかったのか、剣と剣が衝突したのは本当にわずかな間だ。それともなければ、あちらの速度が速いから“僅か”と錯覚しているのか。側面へと回り込む挙動は、獄鳥の重厚な駆動音とアーマーの堅牢さからは一切想像もさせない敏捷さを発揮していた。さながら幻影、あるいは彼の言葉通りに狼のようなものか。

 獲物を追い詰め、喰らい、破る爪と牙を持つ者。
 嬲るようにも見えるその狩りは、至極理に適った最適解の殺害手段だ。

 狼というより、この我の強さと掴みにくさは、まるで烈風のようでもある。
 黒い風―――そう錯覚させるような敏捷さで振り抜かれたカウンターの斬撃は、まず躱す。着地と同時に振りかぶって一刀を見舞い、あちらがやったように剣の一振りを弾くことで難を逃れる。

 それだけならば出来る。ただ、そこからは続かない。
 そこは単に、クラウドの技量不足というよりは、彼方が手慣れているが故だ。


「―――ち、ッ!」

 貫手がクラウドの身体を射貫いた。被害は剣ほどではない。
 剣ほどではないが、獄鳥の黒いアーマーと質量は言うに及ばない。
 その手傷は十分に過ぎる―――とはいえ致命傷というには程遠い。むしろ、この程度で済ませられたというだけでも“まだ”僥倖だ。
 このレベルの小さな手傷ならば、まだ持ち合わせのマテリアがある。処置は可能だろう。
 臆している暇もなければ、痛がっている時間もない。ぐっと堪えて、その碧眼が敵手を見据える。

 その上で、近距離に近づいてきたというこの状態を見逃すわけにも行かない。
 二度も三度も距離を引き剥がされてはたまったものではない。
 ―――貫手が自分を射貫いた直後、後退しようとするだろうシュロウガの機体を逃がすまいと、クラウドは今度は横に一回転しながらバスターソードの刀身を存分に振りまわした。所謂回転斬りという奴になる。
 先程のように側面を回ってという攻撃はしてくるまい。ならば次、あちらの手段は二つに限られる。

 ………退いてくれるならば、ある意味有難いが、そうも行くまい。
    ならば―――。

>アサキム・ドーウィン

9日前 No.63

牛若丸☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

【炎上都市冬木/山寺/牛若丸】

>ベートーヴェン

 叫びと共に響き渡った音楽は牛若丸の時代に演奏されていたものとはまるで違う音色のものだった。
 彼女の死後に遠い異国で作られた楽器の数々。
 歴史に名を残した大音楽家の一曲だ。初めて聞いたなら耳を奪われ、怯んでしまってもおかしくはないが――。

「その祭囃子に何か意味があるのか?教えてほしいものだな」

 しかしそこは牛若丸。
 人の心が分からない彼女には、音楽のよさなど当然伝わらない。
 理解はできてもそれが戦の舞台とあらば話は別だ。
 見えるのは敵の首だけ。それ以外はすべて耳触りな雑音(ノイズ)でしかない。
 愛らしいペンギンをわずかな躊躇いもなく一刀両断して葬り、地面一蹴りで牛若丸が風になる。

「首を出せ。落としてやる」

 すれ違いざま、目にも留まらぬ速さで数回の斬撃をベートーヴェンに向けて放つ。
 狙っているのはそれぞれ目、首、胸、両足、両腕だ。
 どこに当たってもただでは済まない非情な連撃。かわし損ねれば――魂(いのち)を落とす。

8日前 No.64

楽聖 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【炎上都市冬木/山寺/ベートーヴェン】
 光の塵と化す特攻したペンギン。
 そして、二軍は囲うのを間に合わず駆ける稲妻を必死に追うペンギン達。
「……っ!」
 盾の役目で出現させた、第三軍が組体操の様に、ベートーヴェンを守るために、艶やかな黒髪を揺らし非情な斬撃を繰り出す少女の前に立ち塞がるが、順番に切り崩されて行き、がら空きになったところに両足両腕を切りつけられ、鮮やかな鮮血が吹き出し、タクトを落としそうになるが歯を食い縛り退かなかった。
 格好は眼のやり場に困るがそれでも武将の少女だ、見事な太刀捌きは確かに本物だった。
 だが己は魂を削り心血注いで作り上げた作品を祭り囃子と一蹴した、牛若丸の発言が気に食わなかった。
 だから易々と倒れている場合かとざっと革靴を踏ん張り、流血を流しながらも一歩、目の前に現れた牛若丸に向かって前進した。
「俺の作品に意味だと? ならば、無意味と嘲笑った貴様に存分に理解させてやろう、俺の音楽(ムジーク)を!!」
 痛みに顔をしかめるが、強気の表情は変えずに芸術家として一番の屈辱を味わったと強調する言葉を放って、タクトを振るいさらに相手に一歩前進する。
 牛若丸の背後からかのフランス皇帝を彷彿させる身なりをした巨大なコウテイペンギン「ボナパルト」が凛々しく牛若丸を静かに見下ろさせ、牛若丸を囲うとしたペンギン達は足止めになろうと追っていく。
 己は屈辱したお前を逃がさないと執念深く睨み付けると、耳がつんざくほどの声量で声を荒げる。
「今は同盟者の役目を成し遂げるまでは、貴様に俺の首をやらん!」
 そしてベートーヴェンは牛若丸の黒髪目掛けて勢いよく倒れて、頭突きを食らわさんと一撃、そして背後にはボナパルトの一撃。
 合わせて前後攻撃を繰り出さんとして。
 牛若丸もとい源義経は生涯の非業さのあまり「判官贔屓」の語源を生む程の武芸の天才。
 ベートーヴェンもといルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは難聴を患った事により演奏家の道を絶ち作曲家としての生涯を送り「楽聖」と呼ばれる程の音楽の天才。
 煙火の下(もと)二人の天才の主義という剣(つるぎ)が今ここで、火花を散らして剣劇を繰り広げられていた。
>牛若丸

8日前 No.65

乃木若葉 @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_zRF

【ソドム/Lobotomy Corporation/乃木若葉】

 こちらの攻撃などものともせず、ゲブラーは双手に掴んだ二対の得物を振りぬく。速度と技巧の鎌と、重量と破壊力の大剣。
 そのうち梅雨払いに鎌の大刃が若葉へ迫る。躱せぬ速度ではない。少なくとも、この義経の速度ならチェイスを狙う一閃を見切って刃圏から逃れることができた。
 しかし……

「く……、眩暈が……!」

 最悪のタイミングで反動が襲ってくる。精霊の使用は元来からリスクを伴う。ソウルの酷使という影響以前に、そもそもが人間に耐えられる力ではないのだ精霊とは。
 精霊の使用は肉体と精神の双方へ負荷をかけ続ける。このように唐突に意識を手放しかけることも起こりうることであり、同時に鎌による刃を身に受けてしまった。
 精神を削る鎌の一撃と、精霊のケガレによる精神汚染。その双方が、若葉を襲った。

「か、は――……っ!」

 ぶつん、と意識が/暗転/した。




 目の前には、茫々と広がる瀬戸内海、その先の世界。喪ったモノの象徴。
 その中で、かつて亡くしたものの虚像が沸々と浮かびあがる。
 己の手から零れ落ち、己の無力故に喪ったすべてが、目の前に広がる。
 瀬戸内海を超えて見える世界。そこで暮らす人々、己の故郷。殺された人々。そして――かけがえのない、友達。あの丸亀城の学堂、六人だけの教室の残影が蘇る。

 友奈。いつも明るく、周りを気遣い、どっれほど彼女に助けられたかわからない。
 球子。騒がしくて、いつも張り合ってきて、どれほど彼女に元気づけられてきたかわからない。
 杏。大人しくて戦いに向かない性格なのに、何時もがんばっていた。前向きな姿が眩しかった。
 千景。ケンカもした。争いもした。だが、若葉は人間らしい彼女のことが嫌いではなかった。

 けれど。
 そのすべては、過去の肖像だ。
 永久に喪われたものだ。

 ならば己一人、蘇ってどうするという?
 死に損なったならばもう一度死に直せ。こんな終わった世界に、なぜ拘泥する。
 そもそもが、この世界に一度でも生きた人間を見たことがあったか? 既に滅んでいると、何度となく思い知らされただろう。
 此処にいる己だって、元を糺せば死んで流れ着いた亡霊でしかないだろうに。
 目を閉ざせ。首を出せば、すぐにでも楽になれよう。今度こそ、彼女たちのもとへ逝こう。






「いや」

 その心の声を、キッパリと若葉は拒絶した。ごく短い言葉で、はっきりと己の意識を取り戻した。
 それは"もう乗り越えた痛み"だ。ならばそれで屈する道理などある筈もない。
 揺らぎ、震えた瞳が据わる。澄み渡り、静謐な目で若葉は口にする。

「私は、今を生きるもののために戦う。そのように生き、そう死んだ」

 だから、たとえ己が死して、二度目の生のため彷徨うことになったとしても。
 その生き様を変える気はない。
 それはもう乗り越えた痛み。何度襲い掛かったとしても、もう涙は流すまいと誓った痛みだ。
 まず初めに、目の前でクラスメイトを殺された。
 次に、まだ見ぬ生存者たちも己の手の届く前に殺された。
 白鳥さんも、己の手が間に合うことなく殺された。
 球子も。杏も。千景も。友奈も。
 終末戦争で多くのものを失った。
 たとえ牙を抜かれ、飼いならされたとしても……託されたバトンを手放すことだけは、決してしない。

「あの時から決めている。いなくなった者でなく、傍に残ったものに目を向けていくと」

 若葉の心は、一転して落ち着いていた。心の傷をえぐる鎌は、かえって若葉に己の進む道をはっきりと示してくれた。
 それは暗夜にこそ、微かな明かりを見出せるように。
 激闘の最中にありながら。

「貴女は、どうなんだ」

 言葉が通じるか。分からない。けれど、若葉は静かに問いを投げる。

「本当に守りたいものが、見えているのか。
 その手に残ったものが、見えているのか」

 若葉にはゲブラーの抱えたものなど分からない。そもそも彼女の名前さえ知らない。
 徒に怒りを買うだけかもしれない。だが、若葉は語り掛ける。
 その無差別な怒りは、どこかで見たことがあるような気がしたから。

「守りたいものさえ判然としない、そんな未熟者が――
 乃木若葉を、勇者を、獲れると思うなッ!!」

 相手の挑発を返すかのように啖呵を切り、若葉は進む。太刀に手を添え、走る。
 大剣の一閃は、前に陣取るチェイスがはじいたおかげで回避することは容易だった。渡されたバトンは、確かに引き継ぐ。
 チェイスが盾、アルゴルが剣ならば、若葉は僅かな隙を穿つダガー。一撃一撃は迅く鋭いが重みがなく、敵をそれだけで殺すには不十分だ。
 しかし、それでいい。己は一人で戦っているのではないのだから。
 衝撃で砕け散った瓦礫が宙を舞う。それを見咎めた若葉は、すかさずそこに跳躍した。
 まるで己以外がスローに動いているような感覚。それを感じながら、砕けた瓦礫を足場して跳躍し、斬りつける。
 さらに砕けた瓦礫に飛び移り、そこを足場に跳躍。死角を見咎めて強襲し、更なる足場へ。
 瓦礫から瓦礫へ、飛び移る度に速度を増し、もはや目視できぬほどの速度へと達していく。

 これぞ音に聞く八艘飛び。
 九朗判官義経の代名詞と謳われた、入神の絶技。
 それは純粋な速さだけではない。
 超加速しながらも、若葉は味方の攻撃を正確に躱して行動を阻害しないよう速度と軌道を制御しきっている。
 そうして加速し、狙うのは鎌による牽制を潰すことだ。振りが早い鎌で牽制し、大味な大剣で受けたダメージをリカバーする……敵の戦術は概ねそうしたところがある。
 そして格が違う以上、牽制の鎌ですら致命打になりうる。ならばスピードに劣る二人を補佐するには、速さに勝る若葉が鎌を封じる他はない。
 すべてはバトンを託す、そのための吶喊だ。
>チェイサー、アルゴル、ゲブラー

8日前 No.66

農業王 @aries ★DQNK0CuQfY_zRF

【枯れた大樹/廃校/白鳥歌野】

 「ご安心を!どちらもする気はありませ─────ワッツ!?」

 攻める、攻める、攻め立てる。

 迫りくるワイヤー以外にも、いくつかの仕掛けに命中する手ごたえを感じながら、何度も何度も打ち払いを行う。
 横薙ぎに、袈裟切りの要領で、そして振り下ろすように。
 エンターテインメントとは言えないが、それでも教室一帯をパイナップルで染め上げていく中、遠回しに殺すつもりはないと豪語する。
 互いの在り方が水と油であり、永遠に平行線を辿ろうとも、それは彼女にとって自分をスタンスを曲げる理由足りえない。
 無論それは、自分に諦めて死を選ぶ、などという選択肢もありませんと言ってるのと同義だ。
 平行線であるのなら、向こうが折れるまでやり通す。その一点だけは譲らないとばかりに、自然と鞭に力が加わる。

 が、ここで恐れていたことが発生した。
 先の一撃で開けた天上の穴を広げ、その黒い暴風は姿を現す。
 視界の隅で鈍く輝く得物は銃器。そんなものを向けられれば流石に理解したのか、キッと眼が鋭くなる。
 シュピーネに藤蔓が当たった、重みのある感触を感じつつもすぐさま鞭の伸縮を最小にし、鞭による乱舞を自分の周囲のみに限定する代わりに打ち払う速度を上げる。

 「ッ……!ハアァァァァァッ!!」

 いくら範囲を狭め自衛に専念しようと、やはり線の防御。流れるように撃ち込まれていく銃弾の中で、致命的となるものを中心に弾いていく代わりに、徐々に掠り、僅かに肉が抉れていく。
 痛みで鈍りかける腕を気合で振り続け、男が着地し、弾倉を取り換える時になってようやっと一息つく。
 軽傷とは言い難いが、まだやれる。とはいえ歌野視点では二人は如何にもな面子であり、意気投合でもしないだろうかと危惧していたが─────
 ふと耳にするシュピーネの言葉。成程、乱入してきた彼は似て非なるもの。今までの勝負が、作物で言う害虫や害獣であるならば、彼は災害そのもとのいうべきか。
 で、あるなら、問題はこの状況での自分の立ち回りだ。彼と一時休戦して眼前の嵐に立ち向かうか……まさか二人を相手取って戦うなどと言う選択を取る訳にもいかない。

 では逃げるのは?それこそナンセンスだ。
 ここで退いたとして、万が一逃げおおせたとしても、自分は殺し合いから目を背け、どちらかを見捨てることになる。
 自分の命も大事だが、勇者としての心意気も忘れてはいけない。
 第一優先は自分の命ではあるが、最悪、今は"一度までなら"替えが効く。

 「というか元気ですね!?クリーンヒットしたと思ったのに!……兎に角!その武器はコンフィスケイション!没収です!」

 やる気満々でワイヤーを操り、黒ずくめの男へと仕掛けていくのを横目に、素直に驚く。
 が、自分も呆然とはしていられない。
 赤蜘蛛の男と違い、目に見える武器は今の所二丁のみ。であれば、あれさえ奪ってしまえばまだ容易に戦闘力は大きく削げるはずだと踏み込み、藤蔓を得物へ向けて伸ばす。
 当たれば絡めとり、そのまま引っ張って奪う算段だった。ワイヤーの方が気になるが、仮にトドメを刺すつもりならその時点で庇いにいくことも視野に入れて。

 しかしこれは、彼の武器が二丁であればの話。
 失念しているとすれば─────勇者の中にも、無数に武器を生成出来た人物がいたことだろうか。

>ロート・シュピーネ、エミヤ[オルタ]

8日前 No.67

アサキム・ドーウィン @genmwhite ★z1C7w6TMOe_ncl

【 腐れ谷/谷合の廃村/アサキム・ドーウィン 】

 「君が”罪人”か、それとも"只人"か。
  この輪廻の中で君がどういう選択をして、どういう道を歩むのか……それを"知りたい"という欲に駆られそうになるよ。
  けれど、僕は"狩人"であって、"破壊者"だ。

  ────だから、君の魂は僕が狩る」

 異邦人の言葉に意味があるか、ないか。
 実際のところ、彼が見ている次元は常人では理解できない底無しの闇であり、紡がれる言葉を真に受けられることもなければ、それに対して明確な返答が来ることは滅多にない。
 故に、ソルジャーが抱いている気持ちは至極当然の思考だ。但し、それが戦闘中における集中力などといった、咄嗟の判断に繋がるものに対して影響を与えることはある。無論、アサキム・ドーウィンという人物が、それを狙っているかと言われれば、そうとも答えづらい。
 ──当然、彼の言葉を聞いて惑わされるようなことがあれば、それがその者の最後であるのは言うまでもないが。

 「……!」

 魔王剣ディスキャリバーを用いる関係上、シュロウガは得意とするのは近接戦闘だ。加えるならば、持ち前の機動性を活かした高速機動戦。故に、このソルジャー相手に近距離での接戦状態を維持したのは、アサキムの失策だった。
 咄嗟に魔王剣を構えて防御の姿勢へと移る。

 だが、逃すまいとして振るわれたバスターソードの刀身は魔王剣ごとシュロウガの側面へと強く叩きつけられる。歪な金属音を鳴らしながら、シュロウガは地面に亀裂を残すように後ずさる。
 いくらシュロウガという存在が無限輪廻の呪いによって再生能力を有していたとしても、この威力は桁違いだ。完全な再生までは時間がかかる。
 あの手の武器の質量とダメージの量は言わずもがな。貫手を受けてなお、すぐに"それ"を振り回せるだけの体力と力を持っていることは想定外であった。

 「……やるね。
  中々楽しい"狩り"になってきた」

 獄鳥の仮面の奥底で不敵に微笑みながら、アサキムは呟いた。
 此方も相手も、致命傷とまではいかないとはいえ、手傷を負った。少々舐めていたのは事実だが、これからはそうはいくまい。臆することなく剣を振るってきたその勇猛さに一応の賞賛を送りながら、次なる行動へと身を動かす。
 闇を抱き、光を砕く獄鳥は背中の黒翼を羽ばたかせながら、暗黒の空へと躍り出る。黒神形態においても当然、シュロウガは空を飛ぶことができる。自在に飛ぶことができるかどうかは、戦いにおいての戦術的優位性を決定づける一因でもあり、ソルジャーはこれから、真の意味で烈風の黒神を相手することになる。

 「舞え! トラジック・ジェノサイダー!」

 暗黒の空に浮かんだシュロウガは、両腕に紫電を発生させる。それに共鳴するようにして、四肢に存在する球体状のパーツが三つ並んでいる部分が妖しげな光を放ち出す。
 そこから生み出されるのは、小さな黒き獄鳥と見られるもの。シュロウガが発生させた紫電のエネルギーによって、その姿は明確に視認できない状態にある。だが、二つの翼を躍動させながら飛び回るのは、正しく鳥と言えるだろう。

 「魂魄を穿て……!」

 シュロウガが指示を飛ばす。同時に飛び立った黒き獄鳥は、見る者を惑わすようなジグザグの軌道を描き、ソルジャーの周囲を旋回し出す。取り囲むようにして飛び回る獄鳥の一つ一つがソルジャーに狙いを定める。
 そして、それぞれが不定のタイミングで飛び出し、回転しながらソルジャーへと突っ込んでいく。宛らドリル。それも一つではなく、四つ。
 紫電を纏った獄鳥は四方からソルジャーを追い詰めんとする。
 そして、その様を見下ろすように、シュロウガが双眸を煌めかせた。

 >クラウド・ストライフ
 【トラジック・ジェノサイダーは普通に撃墜して構いません】

8日前 No.68

削除済み @wakame3 ★2RykzmoSz4_zRF

【記事主より削除】 ( 2018/05/13 02:31 )

8日前 No.69

エミヤオルタ @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_zRF

【枯れた大樹/廃校/エミヤ[オルタ]】


「仕留め損ねたか。随分と粘るじゃないか、蜘蛛の名は伊達ではないと見える」

 あからさまな侮蔑を込めて、粉塵の晴れた先に未だ存命していた男に向けて言葉を投げかける。
 やはりというべきか、先の奇襲では殺しきれなかったようすだ。先に戦闘で疲弊していたにもかかわらずこの反応とは、見立て違いだったかもしれない。
 だが、さりとてここですぐ撤退するつもりはない。寧ろ、盤面が落ち着くまでの間は己の領分だ。混乱している間に、早々に決め技で蹴りをつけにかかる。

 故に当然、下方から迫るシュピーネの攻撃にも素早く対応していた。最低限の動きでステップを踏み、下からの攻撃を回避する。
 しかしシュピーネに対する反応で、白鳥の攻撃に手が回らない。そうなると、必然的に彼女の攻撃は受けに回らざるを得ない。
 手元を掠め取るような、蔓蔦の強かな一打は、己の両手を打った。
 手から滑り落ちた一対の銃は、そのまま巻き上げられた蔓蔦に引き寄せられ白鳥の元へ戻っていく。

「ちぃ……!」

 武器を奪われた。黒い男は、思わず舌打ちを零す。男はその他に何も得物を持ち合わせている様子はない。
 如何に地力に差があろうと、得意とする得物がなければ戦力が大きく落ちるのは自明の理。そうなれば現状、2対1という構図になりつつある己に勝ち目はない。
 確かに、このままでは順当な結末を迎えるのみ。奇襲に賭けた一発屋は、ここで退場というわけだ。

 だが。

    ・・・・・・・・・
 故に、それ自体が大きな罠だということに気づかない。
    、    、  ディスアーム
 長い射程を持つ軟鞭での武装解除。銃を持つ相手には、ある種定石の一手。
   、   、 プレデター
 だからこそ悪辣な狩猟者は、それ自体に罠を仕掛ける。



    " 体は剣で出来ている "
「――〈I am the born of my sword〉――」


 静かに詠唱の一節を口にする。生成し慣れた武器の形は、一工程(シングルアクション)どころか無詠唱で投影可能だ。
 次の瞬間には、何事もなかったかのように二つ目の銃『干将・莫邪』がその両手に握られていた。
 投影魔術……正確には自らの固有結界に内包した武器を出力する大魔術のひとつ。

 この手を使うのも久々だ。尤も、昨日のことさえ覚えていない身だが。
 そう心の中で憫笑しながら、しかし淀みなく必殺の一手を実行に移す。
 この技は即興だ。本来の形とは、大きく変化しているものだ。
 だが体が覚えている。すべてを喪っても……皮肉にも殺しの技だけは、何一つとして欠けることなく、身に染みて覚えていた。

 しんぎ、むけつにしてばんじゃく
『鶴翼、欠落ヲ不ラズ――――』

 そう。
 どれだけ改造を施しても、この拳銃の原型となっているのは中国の伝承に伝わる夫婦剣『干将・莫邪』のもの。
 元を糺せばそれらは一対の夫婦剣であることに変わりはない。
        ・・・・・・・・
 その本来の性質、互いに引かれ合うという性質も、また――

 先に生成した両の銃を発砲すると思いきや、こともあろうに男はそれを左右へ投げ捨てた。
 さながらブーメランのように回転の加えられた銃剣は、しかしまるで何かに引かれるように速度を落とすことなく鋭い軌道を描いて旋回する。


 "―――心技、泰山ニ至リ"


 同時に男は射程の空いた白鳥へ駆け出した。続く詠唱では、三式目の銃剣『干将・莫邪』が生成され、手元に握られている。
 手に携え持った白黒の銃、その用心金(トリガーガード)に指をかけて高速の回転(ガンスピン)をかける。
 手の上で踊るように回転し、備えた銃剣は丸鋸のように触れたものを両断せんとする。のみならず……如何なる絶技か、回転する銃口(マズル)からは回転と同時に何発もの弾丸が発射されていた。
 銃撃と斬撃のコンビネーションを、押し付けるように白鳥へ向けて放つ。

 一見して乱雑に放たれた弾丸だが、それらはすべて計算づくで射出されている。
 白鳥に向かった弾丸は間違いなく彼女を狙ったものだが、彼女へ着弾しない斜め上方向へ飛んだ弾の射線上には"投擲された干将・莫邪"がある。
 するとどうなるか。


 "心技 黄河ヲ渡ル―――"


 最初に奪われた干将・莫邪は、あくまで布石。
 第二の干将・莫邪は、最初に奪われた干将・莫邪へ向けて飛んでいくよう仕向けている。
 さらに手元に生成した、第三の干将・莫邪から放たれた銃撃と斬撃は、あくまでブラフに過ぎない。
 白鳥への銃撃の流れ弾は、空中に飛来する第二の干将・莫邪で跳弾し、後ろ方向から白鳥へ向けて帰ってくる。
 さらに反射鏡として撃ち抜かれた第二の干将・莫邪は弾かれた反動で軌道を変えても、第一の干将・莫邪と引かれ合う性質から別の角度でやってくる。
 そうなった場合、本来一直線で白鳥の手元に向かうはずの短剣は大きく迂回してシュピーネの方……それも丁度、首を跳ねる形で飛来することとなる。
 双方引かれ合う、という性質を理解していたならいざ知らず、そうでなければ十分に致死を狙える不意打ちとして機能するだろう。

 即ち……
 フェイントを交えて擲った干将・莫邪を左右からシュピーネへ。
 異常な角度から反射された弾丸は、背後から十字砲火の形で白鳥へ向けて飛来。
 さらに短剣の射程まで距離を詰め、回転する銃剣の洗礼が前方から放たれる。
 正面からの剣戟と銃撃。
 背後からの射撃。
 遠方の相手に対しての不意を打つ刎頸の一斬。
 それら多方面からののべつ幕なしの多方面・同時連携攻撃。

 それは生前の昔、まだ正気があったころに練り上げた技の一つ。
 鶴翼三連、その亜種とも呼ぶべきものだった。
 大きく使用法は変質し、咄嗟の機転によるもの故か、練度は従来のものと比べて大きく落ちている。本来、一人に向けて放つ技を多方面に拡散している以上、質の低下は避けられないことだが、戦場とは本来そう言う場所だ。
 完全な形での技などより、質が落ちても使える技。
 誇りも何も失った亡者(ロストマン)になり果てた男だからこそできる、場に適応した即興技。
 しかしその本質はどこまでも基本に忠実に練られた、奥義の一手である。
 疾風怒濤というばかりの虚実入り乱れた熟練の殺しの技。それをこの場でいきなり切ってきたということは、それだけ彼が勝負を急いでいる証拠でもある。凌げれば、或いは反撃の機会もあるだろう。
 悪辣に仕組まれた悪意の連撃、善悪問わず只無情に刈り取る連撃が二人に襲い掛かる。
>白鳥歌野、シュピーネ

【推敲途中で投下してしまったため、前レスを削除しました。失礼いたしました】

8日前 No.70

牛若丸☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

【炎上都市冬木/山寺/牛若丸】

>ベートーヴェン

 牛若丸の時代にも音楽の概念はあった。
 しかし彼女がそこに興味を示したことがあるかというと首を横に振るしかない。
 その手のものを愛する感性が牛若丸にあったなら――彼女の最期はもっと穏やかなものになっていたはずだ。

「ぐ………!」

 前と後ろの両方からタイミングを同じくしてやってくる攻撃。
 牛若丸はベートーヴェンの頭突きをそのまま受けてわずかによろめく。
 が、それは計算の内。戦闘の天才である牛若丸がより危険と判断した攻撃は巨大ペンギン「ボナパルト」の方だった。
 そっちを確実にかわすために頭突きを食らうことは妥協して、すぐに真上に跳んでボナパルトの一撃を無事空振りさせる。
 それから足止めになろうと向かってきたペンギンたちを足場に、ひょいひょいと身軽に跳び回る。
 八艘飛びというほど大袈裟な技術ではないが――、牛若丸の戦い方には常識というものが通用しない。

「遮那王流離譚が五景外伝―――“喜見城・氷柱削り”ッ!」

 ペンギンたちを踏みしめながら独楽のように回転し、ベートーヴェンへかなりの速度で接近していく牛若丸。
 その一方で回転の外縁部分を担う刀がペンギンの群れにも攻撃を加えていき――まっすぐに敵の首を目指す。
 ぎゅるんと獰猛な音を立てて、鬼の炎をも切り裂く斬撃がベートーヴェンの喉元を狙い放たれた。

7日前 No.71

ヴィルヘルム @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★0w2hUnjmki_mgE

【深みの墓地街/ワルシャワ蜂起戦線/ヴィルヘルム・エーレンブルグ】

高い木々に阻まれた陽光、暗く湿った森の合間にその建物群は在った。旧い礼拝堂と最早文字すら読めない程に摩耗した墓石。元々この世界に在ったのか、将又違う世界より流れ着いたのか。誰も名も故も知らぬその場所を、人は「深みの聖堂」と呼んだ。
打ち捨てられたこの聖堂に巣食うはソウルを奪われ、それ故にソウルを求める亡者の群れ。ただの襤褸を纏ったもの、騎士の鎧に身を包むもの、あるいは清貧な法衣の信徒のなれの果て。その全てが理性を失い生者に惹かれ群がる獣と化した。真っ当な精神の持ち主なら決して近づくことのない死地に、それでも求めるものがあるとすればそこには世界を蝕む孔が存在することだろう。
世界を拡散させる無色の霧、その向こうに座するデーモン。理性を喪って尚、いや無我であるからこその本能か、亡者すら近づかぬその霧は獲物の到来を待ち望むかのように揺らぎ佇んでいる。


無色の霧を抜けた向こう側、其処は正に地獄の体現だった。

無惨に崩壊した街並み、地に伏しされど死にきれずに悶える亡者の群れ。それは廃墟ではあったが先の聖堂と比すればその性質は自ずと異なる。未だ炎燻る街並みと爆風により散乱した生活用品が、息絶える屍の拵えが此処が凄惨極まる虐殺場だと雄弁に物語る。苔生し朽ちた墓所とでは纏う死の気配が桁で違ってくる。
しかし人は慣れる生き物である。常人ならば見るだけで精神を軋ませる光景にも、戦に慣れ親しんだ戦士であればさして憶することは無いだろう。それならば此処はそういった常の戦場と相違ないのか?
否、断じて否。
何故ならば此処は串刺し公の領土、魂を貪り血に酔いしれる鬼の狩場に他ならない。赤い紅い月が暗い翳を落とすこの戦場では人はもとより草木から羽虫に至るまでがその生命を流出させていた。夜の化生による吸精の業、まるで世界そのものがソウルを搾取するかのような抗いきれない絶対法則。諸共すべて枯れ落ちろ、我が新生の糧となれ。それは
他者を喰らい貪り簒奪する薔薇の夜の顕現。

「カッ、フハハッ、アハハッハハハッハハハ!枯れろ枯れろォ、枯れて朽ち果て燃え尽きろォッ!!!」

哄笑、焦土の中心地で猛るはこの夜の主、即ちデーモン。纏う黒衣と腕章は軍属であることを示す証左だが、その攻撃に理性的な分別は欠片も残されてはいなかった。焼け焦げた瓦礫から、軍靴が踏みしめた地面から、あるいは吼える主の身体を食い破り突き出た杭が周囲の全てを蹂躙していく。亡者と生者、有機と無機、そして敵と味方の見境も無しに殺意の棘は刺し貫く。
ヴィルヘルム・エーレンブルグ。串刺し公(カズィクル・ベイ)の魔名を担う獣の爪牙。かつて第三帝国に在った超常の魔人。黄金に見出され、水銀により魔道を授かった正真正銘の闇の住人。

死と鮮血が散華する薔薇の夜、耽美と破壊に吸血鬼は酔い踊る


>ALL

【非常に遅くなりましたが、本スレ始動おめでとうございます。宜しくして頂ければ幸いです】

7日前 No.72

楽聖 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【炎上都市冬木/山寺/ベートーヴェン】
 ぐらりと体をよろめかせて、ベートーヴェンは立つと、ペンギン達の上を兎のように跳ねる業を見て、賛美を送る。
 それでもベートーヴェンは妥協しない、小学生相手に本気でドッチボールを挑んだこの男は周りを見ずに全力投球する悪癖があった。
 後ろに飛んで相手の退くと「ボナパルト」は静かに前進し、牛若丸に近寄っていく。
 そして足止め担当のペンギン達は消滅させながら回転させながらこちらに近寄っていく。
 真っ直ぐと飛ぶ回転する攻撃を横に躱そうとしたが、武将と芸術家の差が顕著に出た。
 喉元を抉られて、血を吹き出しベートーヴェンは体を倒れさせていく。
 だが、少女はこの男の強靭な精神力を知らない。
 息はまだしている。
 両腕はズタズタだがまだ動かせる。
 まだ、演奏は終わっていない。
「……まだだーーーー!」
 最早、ここまで来ると常軌を逸していた。
 見出だした信念の為なら例え権力者であろうとも頑として貫く。
 その在り方が、後世からの音楽家達から英雄視される所以なのだろうか。
 タクトを振るうと、五線譜と共に空中からペンギン軍団が戦闘機のように牛若丸に突っ込む、そして切り捨てられていない「ボナパルト」が攻撃を終えた隙を狙って牛若丸にもう一度、翼を振りかざして叩きつけようとする。
 空を仰ぐとどす黒い何かが浮かんでいた。
 タクトを剣代わりに使えばよかったのではという言葉が聞こえてきそうだが、この黒いタクトはムジークを象徴する物でもあり奏でる物でもあった。
 ある時は銃に変形してムジークを打ち合ったり、ある時は楽器に変形したり。
 それを傷つける事はできないと、無意識に思っているのだろう。
 ベートーヴェンは残念そうな顔で、ここまでなのは俺の運命なのかとぽつりと呟いて、後は贄にされる時を静かに待って。
>牛若丸

7日前 No.73

アルゴル @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【ソドム/Lobotomy Corporation/アルゴル】

三者の猛撃が鉄仮面のデーモンの身体に食らい付いていく。デーモンの肉が裂け、血が噴き出して痛ましい有様になっていくもその威容は未だに陰りを見せず。

こちらの攻撃など知ったことかとばかりに振るわれる。
まず先に振るわれたの鎌。決して軽くはないはずの重量が宿っているであろうその鎌はまるで重さを感じさせない軽やかさで以て振るわれる。

それを迎撃しようとしたアルゴルの前には別の景色があった。

今は自分が使役する邪剣ソウルエッジを手にして彼の前に倒れているのは他でも無い、アルゴルの息子だ。
アルゴルの息子は愚かだった。アルゴルは乱世を平定した偉大な英雄王であるが彼の息子はそんな器ではなかった。
ソウルエッジを手にしたアルゴルの息子はソウルエッジの下僕に成り下がり、アルゴルはソウルエッジを砕いたが同時に己の息子の命まで奪ってしまった。
肉親殺し、それがアルゴルのかつて犯してしまった罪。それを償うため、世の平穏を守るため、彼は霊剣を作ろうとしたのだ。

「過去を振り返ってはならぬ…」

だがそう、これは過去。既に起こってしまった変えようのない結果である。

「それは全ての者の上に立つ者の、義務なのだ…!!」

アルゴルがかつての回想から目覚める。だがその時にはデーモンの剣が唸りを上げており、アルゴルは痛打を覚悟したが鋼の戦士が割って入った。おかげで、直撃の範囲から外れアルゴルは素早く攻撃範囲を見極め完全に回避可能な位置に全力で移動する。

そこで何やら軽快な音声がアルゴルの耳に木霊した。それは先に鋼の戦士が地面に突き立てた斧だ。どうやらあの斧は真の力を使うには幾分か時間がかかるようであり今その力が行使できるようになったようだ。
紫の雷を纏う鋼の戦士の斧がデーモンに向けて放たれ更に巫女が瓦礫を飛び移りながら突貫する。

そしてアルゴルもまた地面を滑るように疾駆しながらソウルエッジとソウルキャリバーによる切り抜けるように放つ剣戟をデーモンに放つ。だがアルゴルの攻めはそれで終わらない。

「受けよ!!我が魂の刃!!」

切り抜けると同時に、アルゴルの背中から翼のように幾つもの刃が一斉に飛び出しデーモンに襲い掛かった。アルゴルの武器は何も手に形成するソウルエッジとソウルキャリバーだけではない。アルゴルはあらゆる身体の部分を刃と変える事が可能だ。
すなわち、その全身が武器である。

>ゲブラー、チェイス、若葉

7日前 No.74

謎の生物 @vtyjf ★4gCE4td3c0_4lg

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6日前 No.75

赤い霧 @vtyjf ★4gCE4td3c0_4lg

【ソドム/Lobotomy Corporation/ゲブラー】

>>仮面ライダーチェイサー、乃木若葉、アルゴル

私は自分が正義の道を歩んできたとは思わない。
私の生まれは『裏路地』で、あそこは正義とか、道徳とか、そんなものが必要のない場所だった。
弱い赤子は『掃除屋』達に喰われて何も残らなかった。弱く、飢えたものが次の日を生きられる保証などありはしなかった。
私があそこで学んだのは、泥をすすってでも惨めに生き残る方法だけだった。

――私は、私が生き抜くためだけにこの力を手に入れた。

私は、学がないから複雑な計算が出来ない。言葉を論理的に纏めて、文章を書くことも出来ない。
私が出来る唯一のことは、邪魔者を排除し、叩き潰すことだけだ。

自分が生き残るためだけに手に入れた私の力が、誰かを守る力となると知ったときに、初めて自分自身に誇りを感じた。

だからこそ、『彼女』も、彼らも、結局誰も守れなかったという事実があまりにも苦しかった。

――そして私は、怒り、狂っていった。

――――――――――

これまで満ちていた怒りが、空間を満たしていた溢れんばかりの激情が、消える。
動きを止め、武器を下ろす。放たれた言葉、それこそが致命傷だったかのように。

問いかけに答える声よりも早く、溜め放たれた二撃が、神速の絶刀が、無数の魂の刃が、容赦なくゲブラーの身体を切り刻む。どれだけソウルの格に差があろうと、どれだけ存在として上位に位置していようと、無防備に攻撃されれば無事でいられるはずがない。

事実、吹き飛ばされ、切り刻まれ、全身から血を滴らせたその姿は満身創痍と呼ぶに相応しい。いっそあっけないほどに全ての攻撃を防御も回避もせずに喰らう姿は、諦念に呑まれたのだと思われるかもしれない。

心折られ、戦意を喪失したか――あるいは、

「貴様に、何が分かる――」

全てを自失するほどの、大きすぎる感情の爆発の前触れか。

「全てを失った私に、何が残る」

空気が変わる。重圧のようにこの場全てを押しつぶそうとするそれは、彼女の怒りに他ならない。

「毒のような憎悪は私を消滅させ、再び目覚めさせる――この怒りは決して忘れない」

吹き飛ばされ、血に塗れながら立ち上がる姿は、しかし弱っていると見て取る者はいないだろう。

「もう私に守るものなど存在しない――私に残ったのは、どれだけ時間が経とうと冷めないこの怒りだけだ」

両手の武器に力が籠もる。それは技術に裏打ちされたものではない、怒りによって引き出された純粋な力による無造作なもの。

投擲。そう呼ぶにはあまりにも暴力的な二つの刃はそれぞれ、赤の大剣を斧の男に、黒と白の鎌を剣の男へと放たれた。単純な力によって放たれたそれは、音を遥か彼方に置き去りにし、弾丸と呼ぶことすら生ぬるい絶速で飛来する。躊躇する時間も、備える時間も与えない、瞬きでもしようものなら己が刃に貫かれたことにすら気づかないであろう必殺の速度。

そして、浮かび上がる黒の魔法陣によって喚び起こされるは一振りの槍。二又の、黒く、簡素な槍。だが、決してこの槍から目を離してはいけない。旧い、旧い神が広げた翼の一端であったこの槍は、瞬きすら許さない。意識を逸しても、集中を緩めても、それは即ち死を意味する。

跳び上がり、少女に向けて先の二つと同じように投擲しようと構え――それは既に中央本部の床へと着弾していた。
少女は疾い。それこそ速度だけならば格上であるはずのゲブラーを超えるかもしれないほどに、だが、この槍は別次元だ。神速すら超えて、少女を貫かんと放たれた槍はそのまま床を貫通し――樹木が枝を広げるように、大樹が地に根を張るように、中央本部の床を侵食する。
もしも、生物がこの槍に貫かれたならば、肉の内側から枝を伸ばす奇妙な樹木のオブジェに成り果てることは間違いない。

そして、侵食は破壊へと繋がる。、内側を食い荒らされ、先の斬撃の余波と併せて限界が訪れた中央本部の床が崩れる。焼き直しのように崩落していくその先には、中央本部の二階層目が広がり、そして――

「黒い笑顔」

右手、のっぺりとした人の顔が張り付き、何かを喰らおうとするかのように大きく口を開けたハンマーを。

「ジャスティティア」

左手、その内にある何かを押し隠すように包帯を巻かれた、正義の名を冠する剣を。


――第三ラウンドが幕を開ける。

6日前 No.76

レーヴァテイン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_zRF

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6日前 No.77

シュピーネさん @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【枯れた大樹/廃校/ロート・シュピーネ】


「私、けっこう臆病ですのでね。
 銃などというものを向けられたのならば、身体が勝手に反応するだけのこと」

 不測の事態―――ただし、此処までは読み勝ち。
 飄々とした態度を装い、シュピーネは軽口一つで応じながら自身の攻撃の行く末と“彼女”の行動を見守り、そう判断した。シュピーネの攻撃はあくまでも牽制、あるいは布石。精々うまく行けば引っ掛かる程度のものだ。
 しかしそれが掛からないことなど重々承知。あの容赦のなさ、躊躇いのなさ、どうあれこれは精神的な怪物そのものだ―――鉄心の傭兵に関してそのように判断を下したシュピーネは“だからこそ”牽制に回った。単独での打ち合いなど何の勝機も見い出せないが、蜘蛛は何も能動的に狩りを行うわけではない。
 巣を張り、網をかけ、掛かった相手を受動的に喰らい穿つ。………それこそが、蜘蛛だ。
 であるにシュピーネは、この場で背後を向けた歌野白鳥を狙うことをしなかった。どころか、不確定な彼女のアシスト/追撃を大前提とした戦略を組んだ。何故と言われたのなら、それは彼女の性格をシュピーネが把握したからだ。

 手を組むのならば正反対の人間である方が望ましい。
 この状況可における最大の勝ち筋はそれだ。赤蜘蛛にとっての彼女は強いが青い小娘。
 先程まで………そう、先ほどまで自分と交戦していた勇者の少女が重要なファクターとなる。

 ―――この期に及んで、此方に一筋の情けを掛ける人種だ。
    この場で自分が一切手を出そうとしなければ、狙いはあの狂戦士に集中する。

 誓約が“そう”である以上、あの男は必然ある一面においては狂っている。
 狂っているからこそ、このシチュエーションは利用できるのだ―――シュピーネからすればこの状況はまさに渡りに船、正面衝突で行けば一切の勝機が無い故に、駆け引きという状況を作るに越したことはない。


「其方こそ、此処で仕掛けたのはあまりにも―――」

 そして、それはうまく成立した。
 定石と言えば定石、戦力を削ぐ一手としてはこれ以上は無い。
 武装解除に成功した以上、あの男は目に見える範囲ではただの丸腰。
 こうなればソウルの質がたとえ上であろうとも、逃亡さえしなければ有利に戦える。

 ………戦える、が。
 ならば、と。シュピーネがその指先にワイヤーを躍らせた時。


「(詠唱?)」

      ・・・・・・・・
 その手に、全く同じ形の拳銃が握られていることに、運よく気付いた。
 確かにその形状の武器は絡め捕られたというにも関わらず、だ。


「む………!」
「(罠―――ッ)」

 これは不味い―――シュピーネは即座に自分の方へと張った鋼線の陣を引き戻す。
 攻撃など考えてはいられない。後手に回ること大前提の自己防衛。
 この場で撤退を考えず、むしろ乱戦故の速攻を狙ってきたことへの―――これまた、シュピーネという男を体現したような受身かつ受動的アクション。

 即座に発砲された銃弾の狙いは恐らく此方ではない、ないが………万が一の可能性がある。

 何故なら、この場で最も弱いのは自分だ。シュピーネは戦士ではない。
 何よりも、彼は自分が戦闘向けのタイプではないことをよく自覚している。
 例えば、罷り間違って銃弾がこちらに向いた場合―――あるいは、そこまで計算ずくだった場合。普段ならばいざ知らず、一歩でも反応が遅れたのなら一撃でシュピーネは死亡する可能性がある。

 ………瞬時に警鐘を鳴らした危機感に従った防御の陣。
    結論から言えば、それは半分正解で半分ほど間違いだ。
    彼が不甲斐ないというより、これは侵入者の悪辣かつ怒涛の展開を賞賛すべきだろう。

 シュピーネが警戒したのは、あの武装の生成速度から来る銃弾であって。

  ―――その武器が持っている、“引かれ合う”特異な性質のことではない。

 つまり、どう手を打とうが銃弾十数発ならば抑え込める程度に防御陣を組んでいたシュピーネだが。
 それが左右から舞う双剣ともなれば、話は別だ。


「―――がァッ………!」

 幾重にも編まれた鋼線の防壁を、左右より投擲され、回転された銃剣がもろとも引き裂く。
 首元を狙い、大きく挙動を変えて迂回してきた短剣はさながらギロチンの如く。
 引き裂かれた鋼線―――彼の聖遺物を一部とはいえ多大に寸断されたフィードバックで血を噴き散らしながらも、その痛みを以て反射的にシュピーネが後退する。
 シュピーネが幸運だったのは、銃器を作り出した“瞬間”に防勢を選択したこと。
 此処で反撃など考慮して居ようものなら、彼は問答無用で即死していたことだろう。


「(しかし―――)」

「これは、これは………焦っているのではありませんか」
「さぞかし、今ので殺しておきたかったところでしょう。正直を言えば肝を冷やしましたがね」

 ………後退のし過ぎで立ち位置は窓の近く。
 明らかに戦線の中央ラインから外れた立ち位置を確保しつつも、シュピーネは“してやられた”とその状況を認めるに至った。もちろん、顔には出しもしないが。
 しかし同時に、その怒涛のラッシュは“状況を速やかに片づけたい”ことの裏返しだ。
 自分でもそうする。奇襲は相手が疲弊している以上最良の手だが、それは失敗した場合に関するならば脅威と言う名前の注目度を自分に集中させ、ヘイトを稼いでしまう博打の手だ。
 現に―――シュピーネが意図的にそうセッティングしたとはいえ、2対1の状況が出来ている。
 それをよく思わないのであれば、なるべく少ない手で、かつ、対応し難い必殺を捻じ込むというのは必然とも言えた。………事実、今のは肝を冷やしたところだ。他に何の仕込みをしているのか分かったものではない。


 であるに、尚更―――。

「まあ、此方としても………今は貴方に死んで頂きたいのですが、ねェッ!」

.Yetzirah  Sieg heil viktoria
「形成―――我に勝利を与えたまえ」

 ・・・・・
 此処で殺す。
 シュピーネの防衛本能が導き出した結論は、自衛のために畳み掛けることだ。

 シュピーネを覆うワイヤーがより強く顕在化する。
 首括りの紐、ワルシャワの絞殺縄。
 数限りない捕虜を縊り殺した処刑器具。
 先程のように何度もワイヤーを切られてはもうたまったものではない―――幾重にも束ねたそれは硬度重視、斬られぬことの方に重点と保険を掛けた飛び道具だ。

 王手を掛けるべく、彼の指先がまた踊る。
 掛け網のように面を取るべく、いくつもいくつも―――時間を掛けて、逃げ場を塞ぐように三発。右の腕だけを小器用に操って、なるべく白鳥がいる左側に逃げ込ませるように、薙ぎ、払い、投げ、叩き付ける。
 彼女を序でに巻き込もうとしても良かったが、そうなった場合は彼方も反撃に出てくる。殴って殴り返さない聖人君子ではないのだろうから、此処では細心の注意を払う。少なくとも“今はまだ”。

 すべて破壊されようものならシュピーネの先は暗い。だが………。


 この位置まで追い込まれた。それが何よりも重要で、生死を分ける狭間になった。
 もしも完璧に読み通りならば―――あの男が、こちらを“邪魔だ”と思うならば。

 蜘蛛糸は張ったのだ。後は成るか否か。


>歌野白鳥、エミヤオルタ

5日前 No.78

シュピーネさん @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【投稿直後に宛先ミスを確認したので修正させていただきます。うっかりしていました】

×

>歌野白鳥、エミヤオルタ


>白鳥歌野、エミヤオルタ


【正しくはこうなります。まことに申し訳ございませんm(._.)m】

5日前 No.79

クラウド @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【腐れ谷/谷合の廃村/クラウド・ストライフ】


 獲った。
 確信すら伺わせるほどのクリーンヒットだが、力量差を考えると奇跡だ。
 バスターソードを振るうクラウド・ストライフは近距離戦に限って言えば、彼の獄鳥が振るう武器よりも若干とはいえリーチが長い。その重量が生み出す破壊力は言わずもがなであり、それを振り回すことの難易度も語るでもない。威力と速度を両立できるような武器ではなく、仮にソルジャーであるクラウドがそれを出来る身体能力の持ち主だったとしても、相手はそれ以上―――黒鎧の防御力、そこに見合わぬ機動力と火力を兼ね備えた、一段階上の怪物だ。

 つまり。
 仕掛ける場合は必然として、出の早い攻撃で隙を作るか、カウンターを掛けるのが定石になる。
 この速度を持つシュロウガに対して、クリーンヒットなど狙ったところで上手くいくわけでもない………それが成功したのは、彼方が此方のリーチを見誤っていたからか。あるいはそれこそ“敢えて”なのか。
 それはこの戦いを“狩り”と謳うこの獄鳥に、此方を嬲る趣味があるならば、の話になるが。
 判断材料をクラウドは持ち合わせておらず、しかし命中時に残した傷跡がある事実を証明する。即ち、手傷は与えられるという部分だ。命中さえさせられるならば、後は倒すことも不可能ではない。


「(させられる、ならな)」

「興味ないね。あんたが何を思っていようが、これから何をしようが………」
「途中下車は出来ないんだ。あんたも、分かってるだろ」

 しかし、それは出来るならば、だ。
 飛翔する黒翼を見上げながら、腐れ谷の大空を支配する獄鳥へと言葉を零す。
 大空に刃を届かせるには幾つもの工程を踏まねばならないからだ。
 地上に足を付けている状態ではまず届かない。
 跳躍して刃を振るうにしたって軌道をコントロールする必要がある。
 まして、それを許容してくれるほど、あの黒い獄鳥は甘い相手ではない―――増大した困難を前に、ひそかな冷や汗が走る。それをこの程度という、彼の記憶に照らし合わせた上での強がりが中和しつつ。
 不敵な表情を連想させる喜悦の台詞を、受け流すようにそう口にして大剣を構え直した。

 途中下車は出来ない―――そうとも。ソウルをめぐるこの旅と戦いに、今更“止めた”はない。生存をめぐる戦いであるというなら尚更のことだし、その覚悟は決めている。
 多少どころではなく厳しい任務だが、やり遂げなければ勝ち取れないものがある。
 それは彼方も恐らくは同様のはずだった。アサキム・ドーウィンという男の虚無に触れるにはあまりにも遠すぎるし、そもそも彼は自分の虚無をひけらかすタイプではない。であるに、クラウドから見た獄鳥とはあくまでも“狩人”であり、障害だ。そこに言葉を交わす余地は本来ならばない。
 クラウドの言葉は、だからこその“宣誓”であるのかもしれなかった。


    ―――それが、英雄《ソルジャー》らしい振る舞いであるから、かもしれないが。


 地を踏みしめ、いざ跳躍と出向く前に。
 烈風の如く駆ける獄鳥が、此処で先んじて動きを見せる。

 紫電を伴う極小の黒鳥が取り囲むようにして此方を襲う。
 なるほど、定石であり常套句とも言えるだろう。
 遠距離からの攻撃だ。その位置をキープしたまま嬲るように攻撃を続けていれば、それだけでクラウドには打つべき手がない。四方から回転して襲い掛かるそれを、彼は大剣を構えたまま迎撃しにかかった。

 再び回転して、剣を振り回す。
 一体、二体、三体―――撃墜し、撃ち落とし、しかし、

「ち―――ィッ………!」

 四体目を取り逃す。
 右方から削岩機もかくやの勢いで襲い掛かるその咢が、彼を打つ。突き抜かれた箇所から血が飛び、クラウド自身もたまらず一歩態勢を崩しかけるが、土壇場で地面を踏みしめ、空のそいつを見据えて剣を持ち上げる。

 ………先程、剣を当てるには複数の工程が必要とは言った。
    それは事実だ。であるに―――。

「星よ―――」

 ・・・・・・
 剣でなければ、此処からでも攻撃は届く。


   、  、  「―――降り注げッ!」


 瞬間。
 暗黒の蒼穹を高く舞う獄鳥のさらに頭上より襲来するものがある。
 巨きな熱量を持つそれは、流星だ。
 本物のそれとは遠く及ばずとも、熱を帯びて降り注ぐ質量弾であるならば、それは流星と形容するべきものだろう。複数、クラウドの前方とその上空を一掃するように打ち込まれて降り注ぐものだ。

 ―――自分の頭上より落ちてくるそれを嫌って降りてくるか、あるいは。

>アサキム・ドーウィン

5日前 No.80

アサキム・ドーウィン @genmwhite ★z1C7w6TMOe_ncl

【 腐れ谷/谷合の廃村/アサキム・ドーウィン 】

 飛び交う蝿を叩き落とすように薙ぎ払われた獄鳥達は腐った大地に羽を□がれ、激しい紫電の中にその存在を散らしてゆく。
 黒神はその様子を見下ろしながら、獲物の動きを記憶していく。
 身の丈ほどもある、飾り気のない片刃両手剣。剣の大きさや重量を見るに、本来は"斬る"、というよりも、"防具ごと叩き潰す"というのが正しい用法だ。シュロウガの装甲こそ叩き潰さなかったものの、鎧が壊れなければ装着者に直接ダメージが伝導するようで、アサキムも少なからずのダメージを受けていると思われる。
 見立て通り、ディスキャリバーで打ち合えばこちらの武器が機能不全に陥る可能性は非常に高い。
 だからこそ、まともな斬り合いを避け、トラジック・ジェノサイダーによる遠隔攻撃にシフトした。

 魔装を持つシュロウガの遠隔操作による小型兵器は、確かにはたき落とされた。だが、その内の一機はクラウドの体を啄んでいった。
 血に塗れた獄鳥が紫電に包まれながらシュロウガへと舞い戻り、そのままエネルギーとなって射出された箇所へと戻ってゆく。

 「フフ……そう。この呪われた無限の輪廻から逃れることはできない。
  それこそが烙印(スティグマ)を刻まれた異邦者達の罰であり、罪であり、贖罪だからさ。
  究極の幻想……君自身が興味なくても、僕は君の見る夢に興味がある……」

 黒神の双眸が妖しく輝き、黒き異邦者アサキムの言葉は続く。

 「僕は呪われし者……。過去に大罪を犯し、無限獄へ堕落した。そして、魂と翼を闇黒に染め、因果の鎖に囚われてしまったのさ。
  僕は探さなければならない。『鍵』と……かつての僕に近しい存在を。
  全てをやり直す者よ、君の力を見せてくれ。そうすれば、見つかるかも知れない。僕が失った因子を持つ者が……」

 黒く染まった「翼」───シュロウガが両腕を広げ、穢れた大地と歪んだ空の狭間で、その虚無を広げた。
 どうあろうと不滅の枷から抜けだせない存在であるがゆえに、彼は自らの完全抹消を求めている。言うなれば、彼はクラウドに期待しているのだ。彼は自分を消せる存在なのだろうか、と。
 クラウドが興味を示さずとも、アサキムは夢見る双魚のように思いを馳せ、知りたがる山羊のようにその知的好奇心を曝け出す。
 故に───。

 「星は空高く……。
  ならば……僕とシュロウガは、暗黒の闇を抱き、その星の光をも砕く……!

  ────魔王の剣……疾風の如く!」

 降り注ぐは星。
 流星。
 この歪んだ世界に似つかわしくない、星々の光。
 シュロウガはクラウドと距離を開けた。だが、彼は、その距離を縮めるだけの攻撃方法を持っていた。
 ある程度の方法を有していることは想定済みだったが、流星とは恐れ入る。だからこそ、それを素直に受けるつもりもない。
 右手に招雷した魔王剣ディスキャリバーを、シュロウガの左手握りしめる。鮮血の彩が為された剣が、黒き神の掌に一筋の傷を作る。その傷が滴り落ち、魔王の剣に獄炎の波動が注がれてゆく。
 黒き翼が天を向いた。双眸を輝かせた黒神が更に浮き上がる。そして、それは空を駆けた。
 空を焦がす流星の合間を縫うように潜り抜けながら、魔王の剣を右手に、黒神がソルジャーを捉える。その漆黒の機体は、星の炎に包まれた質量弾を完全に避けきることはできず、所々ダメージが見受けられた。
 だが、それは些細な傷だと言わんばかりにシュロウガは加速を強めていく。ソウルに刻まれた記録は、アカシックレコードと接続を行うシュロウガに、数々の並行世界で用いた秘剣・乱舞の太刀を発動させた。

 「さあ、至福の悲鳴をあげろ!
  苦しみ! もがき! そして、堕ちるんだ!」

 急加速したシュロウガがクラウドの懐に潜り込むようにして、胴を狙った斬りあげを繰り出す。
 当たる当たらないは関係なく、シュロウガは直ぐにその殺人的な加速を持って離れ、また別の方向から急加速し、魔王の剣を振り抜いていく。
 そして、また別の方向から黒神が魔王の剣を構えて斬撃を繰り出す。

 即ち、今、クラウドに。
 まるで乱舞を行うように、あらゆる方向からシュロウガが迫り、その獄炎に包まれた剣を振るっている。
 そして──その乱舞の終わりを示すように、最大限にまで加速したシュロウガがクラウドの背後を狙い、超速の魔王剣を突き立てる。

 そして、左手から滴り落ちる血が、シュロウガが加速するたびに撒き散らされ、クラウドの周囲に魔法陣を描きつつあり───。

 >クラウド・ストライフ
 【OS技発動:ランブリング・ディスキャリバー(レベル3)】

5日前 No.81

万丈だ @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★sLdIAtRTAq_zRF

【 嵐の祭祀場/ウィンターホルン山の頂/万丈龍我(仮面ライダークローズ→クローズマグマ) 】

竜が怯む姿が、仮面の下から確認できる。
様子を見て喜ぶのを隠さない。感覚が失われつつある右手でガッツポーズを作り、明るく「よっしゃあ!」と声を荒げる。
その横目で、共に戦う少女の姿を確認するが―――……やたら、反応が冷めている。

「無視すんじゃね、……ッ!!?」

轟、と音が響く。
散った吹雪ごと人二人を薙ぎ払うように動くのは、ワーグナーの巨体だった。
怒号と共に放たれたそれは、直撃を受ければ間違いなく死が見えるものだ。スケールが違うとは考えたが、想像以上。
……などと、感心してる場合じゃない。凍える手で、今一度ベルトのレバーを回転させる。

《Ready Go!》

咄嗟に放つのは、先ほどと同じ蒼炎の龍を纏う必殺技、《ドラゴニックフィニッシュ》。これを、威力を殺させるべく放つのだ。
今度は全身に纏うのではなく、右腕に龍を取り込む。その右腕を、薙ぎ払う尾に向けて振り抜いて―――炸裂。
蒼い爆発を引き起こしながら、クローズ……の、変身を解除された万丈が吹き飛ばされる。

「ぐ、ッ、……ぁあ、……!」

最悪だ。
ベルトから弾き飛ばされた<クローズドラゴン>が、後方で降り積もった雪に落ちるのが分かる。
自分も同様だ。地面に打ち付けられた背中がずきずきと痛み、勢いを削ぐために使った右腕は凍傷でボロボロ。救いがあるとすれば、やはり『仮面ライダー』の鎧に守られていたことだ。
だからこそ、もう一方が気にかかる。気にしている場合じゃない、と言われればそうなのだが。

「く、ゥッ……あり得ねえ、一緒に戦ってる奴も満足に助けられねえで何が仮面ライダー……って、……お、わっ!?」

視界すら霞む中、此方へと飛んできたのは先ほど自分が頼み込んでいた<ビートクローザー>。
……これが今飛んでくる、ということは。まだ動けるのだろうか、彼方も。残念ながら、傷を癒すようなものを持ち合わせているわけではない、が。

「……はッ、まだ……まだ、負けてねえ。こっちだって、あったまってきたばっかりだ!!!」

《ボトル・バァァァァァンッ!!!クローズ・マグマ!!!》

<ビートクローザー>から黒いボトルを引き抜いて、左手に握り締めたままだった拳状の武器に装填。
それを勢いよくボトル装填部へと押し込めば、拳が開く。そのままレバーを回し、ベルトから響く声は、先ほどまでより熱量が籠ったものになる。

《Are You ready?》

……変身を強制的に解除された後の再変身は危険だ、という言がある。当然だと思う。
変身状態を解除させられるほどの一撃というのは、それだけで致死に近い。変身解除は、ある意味では身を護るための安全装置とも言えるはずだ。
だが、それが常識だろうが何だろうが。此処で死ぬよりは、絶対に良い!

「変身ッ!」

ベルトから光が放たれる。今度は挟み込むようにではなく、万丈の背後へ。
巨大な拳型のるつぼが背後に現れ、その中身……極限まで熱量を高めた『マグマ』を、頭上から万丈へとぶちまけていく。
徐々に黒く、固まっていくマグマ。地面に垂れ流された熱が、白銀の世界を侵食し、其処から赤褐色の龍が八つの頭を出した。
そして、その全てが黒に染まったとき。後ろのるつぼが、万丈の背を殴ることでマグマを砕き、中の龍拳士が姿を現す。

《極・熱・筋・肉ゥ!クローズ・マグマッ!!!アァチャチャチャチャチャチャチャ、アチャァァァッ!!!》

「力が漲る……!」

黒と橙の、龍。そういった印象を与える仮面ライダーが、そこに立つ。
周囲を脅かすほどのマグマと熱気を以て、まずは跳躍。

「魂が燃える!」

ベルトから拳……<クローズマグマナックル>を引き抜いて、再び拳状へと収めて右手に持つ。
その中央部にあるイグナイターは、押さない。背から噴射されるマグマの熱と、自身が持つ腕力。ただそれを以て、その顔面へと迫り。

「俺のマグマが、迸るッ!もう誰にも……ッ、止められねぇええええええええッ!!!」

正面突破、ストレート。それを傷のある頭部に、横っ面に、顎先に。連続して繰り出す。
飛行を可能にしたクローズの勢いは、言葉の通り簡単に止まるものではなかった。

>ワーグナー、レーヴァテイン

5日前 No.82

牛若丸☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

【炎上都市冬木/山寺/牛若丸】

>ベートーヴェン

「……貴様、まだ」

 牛若丸としては――戦いはもう終わったつもりだった。
 格付けは済んだ。これしきならこのまま糧にしてしまった方が早いと。
 そう思っていたのだったが、しかし当のベートーヴェンはまだ終わってなどいなかった。
 叫びとともに振るわれるタクト。牛若丸の知る音楽には登場しない楽器が何度となくいなされたペンギンたちを再び特攻させてくる。
 その気勢は牛若丸でさえ驚きを浮かべてしまうほどのもの。
 まだ終わっていない。それどころか、ここからの数秒間が自分にとっての分水嶺になると牛若丸は確信する。

「ち――!」

 突っ込んでくるペンギンを一匹また一匹と斬り伏せる。
 数は多いが無限ではない。ならば――。
 そう思っていた牛若丸を襲ったのは、一度はいなしたはずの巨大ペンギンの翼だった。

「ぬ……!」

 サーヴァントである彼女の筋力をも上回る重さで隙を突かれたことで、空中の牛若丸が地面に叩き落とされる。
 なんとか受け身を取りつつ立ち上がったが、鈍い痛みが体に残っていた。
 土埃を払い、覚悟を決めた様子のベートーヴェンを見やる。そして――。

「何故続けない?まだ指揮棒(それ)を振るうことは出来るだろう。それとも貴様にとっては、命よりも楽聖としての誇りが大切なのか?」

5日前 No.83

ネルギガンテ☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

【ファランの森/龍結晶の地/ネルギガンテ】

>ALL

 龍結晶の地――。

 地面や岩肌から突き出たおびただしい数の結晶はそのすべてが濃厚な龍のエネルギーを蓄えている。
 それが動植物にも影響を与えているのか、このエリアの生態系はひときわ厳しい。
 弱者が立ち入れば命がどれだけ保つか分からない――そんな恐ろしい場所。

 その一角に、見るからに異常な姿を持った龍があった。
 触れるもの皆傷つけるとはまさにこのことだろう。
 鋭い棘をハリネズミのように全身に生やした巨大な龍。
 人はかつてこれを滅尽龍と呼び――恐れた。
 そして今再び、龍は人から恐れを買うこととなる。

 人の手で滅ぼされた滅尽龍は蘇り、怪物(モンスター)から悪魔(デーモン)に進化した。
 デモンズソウルを持つ龍を倒すのは元の世界に帰るための近道だが――しかし龍は目にしたすべてを破壊する。

 龍の名は滅尽龍ネルギガンテ。
 ファランの森は龍結晶の地にて待つ、歴戦の古龍(デーモン)である。

5日前 No.84

農業王 @aries ★DQNK0CuQfY_zRF

【枯れた大樹/廃校/白鳥歌野】

 先ずは無力化と称して放った一手。それは奇しくも、出会ってから今の今まで戦っていたシュピーネに追随する形で成功する。
 変幻自在の軌道を描くという意味では似通った二つの武器。それを以て無事に撃退することが出来そうだと安堵する、が─────

 「なんと、マジック!……なんて言ってる場合じゃないわね!」

 男の口にする言葉に、一度は首を傾げるも、次の瞬間に現れた新しい得物に目を見開く。
 絡めとった武器は未だに此方にある。しかし目の前の男の両手には、確かに全く同じモノが握られていた。
 この時点で、且つて見た紅蓮の勇者の獲物もまた、いくつも複製可能であったのを漸く思い出すに至る。
 仮に複製の上限がほぼ無尽とするのなら、形状はともかくとして、撃つ以外にも短剣宜しく投擲することも可能だろう。
 しかし弾丸に比べて速度はそう早くない筈。いくら切断面積が広がろうと早々そんな手は使って来ないと踏み、迎撃の構えを取る。

 「早速スローイング!?」

 しかし予想に反して早速の投擲……ではあるものの、それは明後日の方向へと投げ捨てられる。
 生成にする際に粗悪品でも出来たのか、と頭を過ぎるが、あっという間にその可能性も捨て去られる。
 投げ捨てられたかのように投擲された銃剣は、そのまま壁に刺さること無く、旋回する。
 曲芸を見せられている気分になるものの、まだアクションを起こせる人物─────投擲した本人が残っている。
 そして案の定か、否か、両腕に視線を戻せばその手には先と同じ銃剣が再び握られていた。

 繰り出されるのは銃剣を最大限に生かした近〜中距離への突貫。
 武芸として見るのであれば、感嘆の声をあげていただろう。目まぐるしく披露される技は、整理できる量をとうに超えている。
 だが、自分はその最中に放り込まれている。否、自分で飛び込んだのだ。
 諦めるのも、自棄になるのもまだ早い。

 鋭い金属音が響く。

 視界の外で何が起きているのか、迫ってくる男から目を背けられない彼女にはまだ理解が出来ない。
 一寸先に自分がどうなるか。
 撃たれるか?切り裂かれるか?突かれるか?もっと違う何かかもしれない。
 あらゆる可能性は思考を覆いつくす。具体的な打開策も、この先の反撃のプランもまるで有りはしない。
 それでもまだ、生き残る道があるのなら

 「(こっちに賭ける─────!)せぇいっ!!」

 絡めとった銃剣を放棄し、振るったばかりのパイナポーボムを、今度は自分の直下──床に向けてのみ放つ。
 元々廃校状態で放置され、なおかつ続く戦闘で割るのは比較的容易だった。
 飛び散る残骸を、銃弾に対する即席の遮蔽物とし、そのまま一階へと落ちていく。
 全て処理するためのプランを直ぐに用意できないのなら、多少強引にでもこの一手でやり過ごす他無かった。

 右も左も、視界に見える範囲が全て安全で無いのなら、土竜の様に地に潜み、やり過ごす。
 ただし、飽くまでも退くという選択肢は未だ存在せず。
 シュピーネの様に綺麗に切り取った訳ではない壊された床は、鉄筋が露わとなる。
 そこへ藤蔓を巻きつかせ、逆バンジーの要領で再び二階へと舞い戻ってくる。

 「ぃっ……!」

 しかしその戻り方が不味かったのか、藤蔓を掴んでいた右腕の方が、二度も全体重を支えたために悲鳴を上げる。
 破天荒な対処が、此処に来て彼女を祟り出した。

 「(あっちのスパイダーさんも大きく出たし……)
  貴方のお望み通り、ショーもフィナーレとしましょうか!」

 それでもまだ戦える。そう自分に鼓舞し、二度目の反撃へと動き出す。
 左手に藤蔓を持ち替え、くるりと一度だけ軸回転。腕で振るう力を補うために、身体全体で鞭をぶん回し、横一文字にエミヤへと振るう。
 鞭の勢いこそあるとはいえ明らかにモーションは大きく、予備動作から見切ることは容易だろう。
 しかし、だ。再度になるが、今戦っているのは自分だけではない。
 彼の紡ぐワイヤーの網が、足を止めれば当たるものだとするのなら、こちらは跳躍を余儀なくさせる一撃を対抗側から放つ。
 無論、それは飽くまで彼女の思いつくだけの回避手段であり、奇襲を是としてかかってきた男が次に何をしてみせるのかは予測の範疇にはない。

 その場その場での対応と、反撃。フィナーレを口にした彼女の身体も、次第に限界が近づきつつあった。

>ロート・シュピーネ、エミヤ[オルタ]

5日前 No.85

獄鎌イガリマ @cube☆PjfbxfTdjqg ★NOqfHWEYJo_yoD

 其れは偶然か、必然か。
 導かれるままに一人の戦歌を紡ぎし少女もまた、この荒廃した世界へと降り立った。
 何処からともなく告げられる神託を聞いた、彼女も自ずと己の成すべきことを見定めたようで――。

 「…………、誰かを踏み台にしてまで、アタシは……」

 魂(ソウル)を奪い合い、勝者ただ一人の無常の闘争。
 悪魔の蔓延る荒廃した国で、亡者たちが剣を握り、銃を携え、魔術や異能を使役する。
 ”自分は元の世界で死に、この世界へと召喚された”――例えいくら悲しみに暮れても、夢であると逃避しても、その事実は受け入れなければならない。

 苦楽を共にし、互いに支え合い、前に進んできた掛け替えのないあの子を置いてけぼりにしてしまった。
 変えたくないといえば嘘になるし、本当はこんな運命、否定したかった。
 けど、眼の前に広がるものが”それ”だ。

 だから彼女――暁切歌は、決心した。
 この世界で今も、己の成すべきことを成さんとするために戦う人たちがいる。
 そんな人たちを蔑ろに、踏み台にしてまで、己の運命を変えることなどできなかった。

 ――――――――
 ――――――
 ――

 【ファランの森/龍結晶の地/暁切歌】

 足の進むままに歩んでいけば、鬱蒼とした森林へと辿り着いた。
 尤も、此処に限らずどこもかしこも嫌な予感を過ぎらせるものばかりであり――。

 魔なる瘴気を超え、目の前に広がるのは龍結晶の地。
 気がつけば、切歌は悪魔の領域へと踏み込んでしまった。

        ・・・・・・
 「およ、これはもしかしなくても、そういうことデス……?」

 焦燥の色が顕になる。
 ”デーモン”……この世界を蝕む邪悪の権化。此処は、その支配領域だ。
 そして、夥しい数の結晶に囲まれたこの地に君臨する一つの巨大な影を、切歌は目の当たりにした。

 「…………だったらッ! やるしかないってことデスねッ!!」

 滅尽龍ネルギガンテ。
 獰猛な外見に相応した暴威を備える古龍種。
 此方に気がつくのはもはや時間の問題だろう。――相手は対話の余地などない悪魔であり、打倒すべき厄災だ。

 首元のネックレスを手に取り、切歌は静かに起動聖詠を紡ぎ出す。

 「Zeios igalima raizen tron――♪」

 その姿は忽ちに転身――。
 シンフォギアを装着。アームドギアと呼ばれる特殊兵装である「大鎌」を構えれば、切歌はイガリマを纏い戦闘態勢へと移る。
 そして、間髪を入れずに、肩部のブースターが火を吹き、その出力でネルギガンテへと一気に距離を詰めていけば。

 「先手……必勝デェェスッ!!!」

 ブゥン――風を切る音を伴い大鎌を薙ぎ払うように、先ずはネルギガンテの前右足へと振るう――!!


 >ネルギガンテ

5日前 No.86

チェイス @ask2 ★iPhone=P9oxZSYDmV

【ソドム/Lobotomy Corporation/仮面ライダーチェイサー】

 >若葉、ゲブラー、アルゴル


 今を生きる者のために戦う。それはチェイスにも通じるものがあった。彼もそのために戦い、果てた。
 ならばこそ、この強靭(つよ)い少女を──乃木若葉を守るために力を尽くそうと、斧を握る手に力を込め、誓う。
 その戦斧は彼が再び人間のために戦うと決めたとき、与えられたものだ。人間によって作られた、人間を護る力。この力と共に死後の生を齎されたことに意味があるのだとするなら、この戦いのためだとチェイスは確信した。

 デーモンが言葉を発する。今までにも何事か口にしていたが、それとは違う。初めて明確な意思を持って、敵であるチェイスらに対して発言したのだ。

「……!」

 悔恨と喪失、そして怒り。それは赤熱して、冷めることを知らない嚇怒。
 怒りに狂った女がゆらりと立ち上がる。
 血にまみれ、傷を負っている。必殺の二撃、神速の一刀、幾重の魂刃……そのすべてを余さず受けたのだから、無傷であるほうが難しいだろう。
 だが、手負いと言うにはあまりに平静。蹶起でもなく、死力でもなく、ただ怒りに任せて反撃に移る。
 予備動作なく行われた投擲に、チェイスは反応できなかった。何の衒いもない投擲。規格外の膂力によって放たれた大剣は、弾丸を追い越してなお余りある速度を伴って、その質量以上の衝撃をチェイスに叩きつける。

「ぐああああああ……!!!!」

 真正面から直撃、吹き飛ばされる。立ちこめる白煙の奥で、《オツカーレ!》と場違いなほど軽快な音声がした。
 そこに倒れ伏しているのは白銀の装甲を纏った戦士ではなく、紫の衣服に身を包んだ青年だった。
 過剰ダメージによる強制的な変身解除──それが彼が今ひととき武装を失った原因だ。

「づゥッ……」

 苦痛に歪む顔と声。鉄筋の剥き出しになった床に這いつくばりなりながら、すぐにも立ち上がろうと手をついている。
 一分一秒とて無駄にはできない。あのデーモンの前では、たったそれだけの間が致命傷に繋がる。
 それを証明するように、敵は今まさに新たな武装を召喚していた。
 赤く、黒く、螺旋状に絡みあった穂先の長槍を、ゲブラーはやはり使い捨てるように投擲した。
 ──まずい。
 基幹、本能が告げている。目を逸らしてはならないという直感、触れてはならないという予感。
 庇うにしろ、受けるにしろ、生身ではだめだ。しかし変身している暇はない。

「……お前の力を貸してもらうぞ!」

 先刻チェイスを変身解除に追いやった武器……ゲブラーの大剣へ手をかける。
 肉に覆われた刀身。蠢く眼球。ぎょろりとした視線がチェイスを見上げていた。
 ……この選択の正誤は彼にはわからない。あの槍を直接受けるよりも悪い選択であったかもしれない。だが迷うにはあまりに時間も判断材料もなく、ゆえに直感を信じた。何より、乃木若葉という人間を……己の命を捧げてでも生かすに足る存在だと、そう確信していたがために。
 神域の膂力で擲たれる槍へ追いすがり、大剣を振り抜く。打ち砕くには足りず、打ち落とすには至る。槍は若葉もチェイスも、アルゴルにも届かない場所へ突き刺さり──しかしと言うべきか、やはりと言うべきか、それだけでは止まらなかった。
 槍が刺さった箇所を基点に侵食が広がる。内側から枝葉が伸び、堅牢な建築材を食い荒らし、再び床を崩落させた。
 それは数刻前の焼き直しめいて、ゆえにチェイスが取った行動も変わらなかった。若葉の着地を補助し、自らも接地する。
 再び距離の離れたゲブラーを見ると、また見たことのない武器を新たに構えていた。
 一つは幾つもの死面が貼りつけられ、反対側には血に汚れた歯を覗かせる大口を持った大槌。
 一つは黄金の柄と黒の刀身。大剣に巻かれた包帯は何かを抑圧しているように堅く、厳重だった。

「5……いや、2秒でいい。時間を稼いでくれ」

 ……ドライバーを構え、若葉とアルゴルに告げる。変身の際に生じる隙を補ってほしいという要請を、淡々と、静かな信頼を込めて。

4日前 No.87

ネルギガンテ☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

【ファランの森/龍結晶の地/ネルギガンテ】

>切歌

 長らく無人でただ動植物が繁栄しているだけだった龍結晶の地に突然人の声が響く。
 それは歌だった。甲高いが決して耳触りではない少女の歌声だった。
 普通なら歌と攻撃はまったく別な意味を持つ言葉で、結びつくなどありえないが――しかしネルギガンテは知っていた。
 旋律を奏でながら向かってきて、自分自身を強化しながら戦う。
 そんな奇妙な戦法を取る生物を――笛使い(ハンター)を知っていた。

 だからネルギガンテは呆気に取られない。
 瞬時に敵が現れたのだと理解して臨戦態勢に移る。
 しかしそれでも先手を取ったのは同盟者の少女――暁切歌の方。

 前足の片方を目がけて振るわれた鎌がネルギガンテの肉を切り裂き、結果龍の体が飛沫をあげる。
 これで首尾よく切り落とせたなら最高だったが、それを期待するのは古龍をナメすぎというものだ。
 鎌はネルギガンテの肉をいくらか抉って体表の棘を壊しただけに留まり、そして龍のアギトが大きく開かれる。

「グォオオオオオオオオオオオオオオオオ―――――!!!」

 規格外のサイズから繰り出される咆哮(バインドボイス)が龍結晶の地をビリビリと揺らす。
 特殊な加工をした耳栓を付けていなければ、どんな猛者でも棒立ちを晒してしまうこの声は開戦の合図だ。
 音の反響が消えるのも待たずにネルギガンテの前足が、切歌の切り裂いた右前足が持ち上げられる。
 そしてネルギガンテはそれを切歌の頭上へとハンマーで杭を打つように振り下ろした。
 すべての生物、すべての古龍の中でも上位に食い込む攻撃力はデーモンになっても健在。
 さあ、受け止められるか――否か?

【絡み感謝です!】

4日前 No.88

楽聖 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【英雄と悲愴ムジークになんないかな】

【炎上都市冬木/山寺/ベートーヴェン】

「……当たり前だ。俺にとっての音楽は魂を削り、それが尽きれば俺は死ぬ」
 掠れた声だがベートーヴェンは自分の音楽観を交えて静かに答えた。
 楽聖としての誇り、つまり芸術家としての矜持。
 闇、その向こうに行けたのも、芸術家として生まれた天命を考えていたからこそ抗う為の剣(つるぎ)を手中にできた。
 己(私)が生まれ死に、そして己(俺)今の俺が響吾によって生まれ変わった世界に悔い改める事はない。けれども滞留者の誓約は結ばなかった、否そちらに目を向ける事はなかった。
 音楽(ムジーク)は鳴り止み、パチパチと爆ぜる音だけになり、元の革ジャン姿に戻る。
「首元を抉れてしまったようだな。長くは持たん」
 赤い水溜まりを横目に見て、人型兵器ではなく人型楽器であるベートーヴェンは人間と同じ脆さで造られているので、人間と同じ急所である事を把握している
「芸術家としての矜持もあるが、小娘の言う通り"まだ"俺は運命に屈しないぞ」
 今の現状、命も誇りも天秤は水平なベートーヴェンは体をごろんと仰向けにさせて、牛若丸の足首を掴んで倒れさせようとズタズタになった芸術家にしては逞しい両腕が襲いかからんとして。
 ここまで体がぼろぼろだと、ムジークを出す余裕はないがまだ体は動ける。
 『ベートーヴェン』は癇癪持ちであり、メイドに向かってよく物を投げたり暴力沙汰になる事が多く、その為か思い出した難聴に苦悩した過去の記憶も自室は物が散らばっており、カーテンもぼろ雑巾のようになっていた。
 牛若丸に頭突きを食らわせた以前に元の世界でも暴力で物事進めたり、嫌がらせを受けた時は制裁したりとそういう側面も継承された行動であった。
>牛若丸

4日前 No.89

ワーグナー @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

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4日前 No.90

削除済み @tukuyomi07 ★3aNoMW8gGM_zRF

【記事主より削除】 ( 2018/05/17 00:17 )

4日前 No.91

黒レヴァ(代理) @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_zRF

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4日前 No.92

万丈だ @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★sLdIAtRTAq_zRF

【 嵐の祭祀場/ウィンターホルン山の頂/万丈龍我(仮面ライダークローズマグマ) 】

「はんッ!真似でも何でもねぇ!これが俺の、仮面ライダーの力だ!」

レーヴァテインへと一際大きい怒りの感情を向けた後に此方へと向けられた言葉に、飛翔し拳を振りながら応える。
先の彼女の一撃にてへし折られた角を見て、心のうちでガッツポーズをする。

面ではなく、点。相手が分厚い装甲を持っているのであれば、一点を攻めるべき―――と、本人が考えていたわけではないのだが。

ともかく、これは勝利への兆しだった。
ラッシュの手を止めず、一発、一発と着実に叩き込んでいく。手応えがある。
着実に押し、このまま決めるべく<クローズマグマナックル>のイグナイターを起動させようとし、……竜が、飛翔する。

「げっ―――……なんて、言うかよ……!」

飛翔する竜に対し、起動しかけていた拳を収めてベルトに戻す。
クローズの瞳<CZMツインアイドラゴン>が、視界の端でレーヴァテインを捉えた。どういう絡繰りか、地ごと競り上がってワーグナーよりも上位の位置に昇っていっているようだ。
……いや、絡繰りは良いか。彼女だって、よく見たら変身しているように見える。
仮面ライダー、というわけではないんだろうが、それに近い力を持っているのは明白である。

「言ったろ、ドラゴン!もう誰にも止められねえ、って!」

飛翔しながら、三度レバーを回転させる。
<クローズマグマナックル>が発光し、警告音を鳴らしている。これより放たれるのは、マグマを秘めた龍の必殺。
それに先んじて迫るのは、竜の口より撃ち出される炎の帯。確かに、直撃を受ければ黒焦げでは済まないだろう。
だが、そうだ。此方は二人いて、何よりも、まだ諦めているわけでもない。

「今の俺はッ……」

《Ready Go!》

迫る炎から万丈を護るように、マグマ色の赤龍が集う。
一、二、三―――……都合、八体の龍が万丈の足へと吸い込まれ、万丈自身も、放たれた火炎に負けないほどの熱量を身に宿していく。

「負ける気が、しねぇええええッ!」

《ボルケニック・アァァァタック!!!アチャァァァーッ!!!》

落ちる戦姫とは逆に、その頭部ごと蹴り貫かんと下より迫る。ベルトがけたたましく叫ぶと同時に、その熱は臨界点に達した。
推進力は十分、威力だって十分だ。クローズマグマ自身を含んだ九頭竜の一蹴が、吹き荒れる炎熱に呑み込まれながらワーグナーに迫る。
蹴り砕く。もし叶わなかったとしても、此方は単独ではないのだ。体力が続く限り、打ち込んでやる……!

>ワーグナー、レーヴァテイン

【OS技:「ボルケニックアタック」発動!】

3日前 No.93

クラウド @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【腐れ谷/谷合の廃村/クラウド・ストライフ】

 黒い獄鳥越しに響くは放浪者のことば。
 歌うようなそれは壮麗さと邪さを兼ね備えた男の声。


「(勝手にやってろ………)」
「だとしたら、オレのやるべきことは決まっている」

 興味がなくとも関係ない。その言葉に、クラウドは内心で悪態すら吐きたい気分だった。
 だが―――それと同時に、青年にとってしてみれば、漸く理解の及ぶ言動が来た気分でもあった。この黒き獄鳥の真意はさておき、これを呪われた輪廻と称した彼の言葉は、現状を自分よりもより正確に理解しているという可能性をクラウドの頭の中で芽生えさせるには十分な内容だったと言えるからだ。

 ………彼の言葉が控えめに言って“詩的”であることは、先ほどから分かっていた事ではある。
 クラウドがそれを理解していなかったのかと言えば否、しかしその言動が示したいモノの意図を彼が正確に把握し切っていたのかと言われると、これまた答えは否だ。そもそも、それを精査している余裕があるでもない。
 アサキム・ドーウィンという青年が―――黒い獄鳥を駆る呪われし放浪者が、風の呼び声にたどり着くべく放浪を重ね、破界と再世を繰り返す我が身の永遠の消滅と虚無を望んでいることなど、まさか理解出来ようはずもない。アサキムの内情などクラウドにとっては知らないものであるし、クラウドの側はそもそも彼を理解する気はないからだ。

 それが、おまえなら自分を殺せるのか、という問いであることも。


「何度言ったら分かる………あんたの知的好奇心に答えてやるつもりはない!」

 ………そう、完全に理解するつもりはなかった。あるいは、拒んだのかもしれない。
    特に、獄鳥の“興味がある”と指し示したものは、自分の見る夢だというその言葉を。

  あまりにも痛烈で、あまりにも的を射た指摘ではあった。
  クラウド・ストライフは虚構の兵士だ。本人が、気付かぬ何処かで致命的なズレがある。

  口にする自分自身にすらほんの少しの疑いがある。
  自分はソルジャーで、多くの戦いを潜り抜けて来たはずだった。
  確かに“あの時”の記憶があるはずだった―――しかし、しかし。

  ―――それ以外の記憶が、探ろうともロクに見つからないのは如何なる理屈だろうか。
     何時も思っていたことを少し考え………。

 だが、クラウドは即座に思考と精査を放棄した。せざるを、得なかった。

 降り注ぐ流星。
 広範囲を打ちのめす必殺の一撃は、威力と範囲において相応のモノを持ち合わせている。
 回避、防御、ともに困難。そして“空にいる黒鎧の魔神を叩き落とせる数少ない手段”でもあった。

 ………だが。打ち下ろしと同時にそれを解き放ったクラウドは、思わず瞠目した。
    流星の間をすり抜ける、黒く瞬く星を目撃したが故に。


「なんだと―――」

 クラウド・ストライフとシュロウガには、ある一定のソウルの差がある。
 その隔たりは1枚分であるが、1枚あるだけでも十分な隔たりが存在する。
 クラウドの放つ『メテオレイン』の一撃を、一切取り合うことなく、すり抜けて近寄るだけの機動力―――そして、命中したとしてもその動きを阻害されることのない防御力というかたちで、その差は明確に現れている。
 些細な傷だ。彼方が断ずるように、これは些細な傷。
 クラウドがその場から距離を取ろうにも、流星を潜り抜けて来た獄鳥の牙を退ける猶予はない。星々の光を上回り、それを塗り潰す天獄より来る魔王―――大罪持つシュロウガの剣は、確実に初撃でクラウドを捉えた。

 斬撃、一閃。
 防ぐよりも、かわすよりも、斬撃の速度は素早い。
 振り抜かれた魔王剣ディスキャリバーの一閃に、態勢だけは崩さず。


「………っ、ぐ―――ぅ、ううう………ッ!」

 ―――しかし、それだけだ。

 返す刀で一撃を振るおうにも、そこに残るは獄鳥が残した黒い軌跡だけ。
 目で追えぬ、感覚で追えぬ。
 シュロウガが狩人であるというなら、クラウドは完全にこの状況で“獲物”だ。
 あらゆる角度から迫る刃の一撃が彼を討つ―――それでも、唯一クラウドに出来たのは心臓と頭、その急所に迫る攻撃を可能な限り防ぐこと。つまり、急所に迫る攻撃だけを逸らすという、追い込まれども敗北に繋がらぬためのか細い一手のみだった。戦闘不能になるほどの致命傷を防ぐためだけの立ち回り。クラウドは、一歩も動かない。

 左側面からの斬撃。

   ―――バスターソードを盾にして凌ぎ、続く一撃は許容する。

 右方上空からの切り抜け。

   ―――半歩引いて深々と傷跡を残すことだけを避ける。

 真正面からの払うような斬撃。

   ―――対抗するべく剣を振るい、しかし外す。


 何度目になるか。その剣が彼の身を穿ち貫き切り裂き続けた。
 しかしそれでも、“まだ動ける”。

 それは力量として上にある獄鳥が、本命である止めの一撃を撃っていないことの表れだ。
 故にクラウドはそれだけを待ち構えた。仕切り直すチャンスはそこしかない、と。

 であるに、ついに―――。

     、  ・・
「(来るか―――来い!)」


 やって来た背面狙いの突きに対して、クラウドは愚直な一手を選択した。
 クラウドは、背面狙いの一撃をかわさなかった。
 急所を避ける程度に留めて貫かれ、しかしその上で―――。



「―――おおおおおおォォォォォォッ!!!」


 ・・・・・・・・・・・・・・・
 突き刺さった刃をそのままにすることで、相手の機動力を殺した。
 殺した上で、反転して振り返り―――苦痛ごと押し殺すように吼え猛り、その手に携えた大剣を思いきり薙ぐ。

 薙ぎ払いと同時に生じたそれは剣風によって編まれた竜巻。
 至近距離のシュロウガを、どちらかと言えば相手を“吹き飛ばす”ように打ち込まれた暴風と、近距離からの重量を乗せた回転斬りの二段構えによる攻撃―――もうこれ以上の手傷は負えない現状で、それでも相手の剣を自分の身体に押し留めたことによる、確実性を増した肉斬骨断の一撃だった。
 つまるところ、彼に出来るのはカウンターだ。乱舞により疲弊した身体に鞭打ち、確実な一撃を打ち込めるタイミングはそうした“相手が攻撃の締めを狙う瞬間”しかありえない。それだけの博打をせねば攻撃すらままならない。

 だが、出来るならばやって見せねばならない。
 そうするだけの力があってこその、ソルジャーだ。


 ―――朧げだが、あの時。かつて、ひとりの堕ちた英雄と戦った自分が。
    致命の一撃を受けながらも、無我夢中で反撃したあの時のように。

    だが、それに至るまでに何があったのだったか。
    そこに思い至らないことに関しては、少なくとも“今は”考える余地はなかった。


>アサキム・ドーウィン


【少々遅れました。申し訳ない!】

3日前 No.94

エミヤオルタ @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_zRF

【枯れた大樹/廃校/エミヤ[オルタ]】


「……なるほどな、足元という手があったか」

 どこか関心したような、しかし意味ありげな口ぶりで、歌野の判断を称賛する。
 事実先の連撃は、徹底して回避の手を潰しにかかった技だ。それを二次元的発想を超えて、三次元的発想でいなしたことは、彼女が伊達に諏訪で孤軍奮闘した強者ではないというこれ以上ない証明だった。
 そして、それのみならず奇襲の形で頸を断つつもりだった双剣の挟撃も失敗に終わる。シュピーネは確かに重くないダメージを受けていたが、生きているということが問題だ。
 現状はまずい。予想した通り、戦闘の構図は完全に歌野とシュピーネの挟撃を受ける形で落ち着いてしまった。

「……ああ、参った。どうやら多少遊びが過ぎたようだ。
 オレも少し驚いている。無能共というのは訂正しようか」

 獲物を前にしたように嗤う赤蜘蛛へ、ロストマンはニヒルに笑い返しながらも微かに冷や汗を禁じえなかった。
 奇襲の銃撃も、大技による一撃も、すべて躱された。
 そうなると今度は数の差と、状況による不利が一気に負荷となって襲い掛かってくる。純粋な位階(レベル)の差で劣る黒い男にとって、それはあってはならぬ事態だった。


 ……無論、ただの諧謔である。
 そもそもこの男は、奇襲に失敗したからと決め手に勝負をかけて、駄目ならそのまま敗走する……そのような三流の暗殺者などでは断じてない。


 セイギノミカタ ナリソコナイ   、   ・・・・・・・・・、・・・・・・・・・
 ■■切■の息■であるこの男が、確実に勝てる戦以外、姿を現すわけがない。


 2対1という状況は、確かに数だけ見れば不利だろう。あくまで状況だけ見れば。
 しかしそれはあくまで数の差の話。彼らは先の戦いですでに消耗している。
 白鳥は黒い男の襲来からOS技を連続で使用している。通常戦闘で使うより消耗しているだろう。
 シュピーネなどは、まさしく獲物を捕らえた捕食者の目をしていながらも、その実態はこの場で最も戦闘不能に近い存在だ。彼が確認できる限り、二度もクリーンヒットを受けている。
 それに対して、この暗殺者は今のところダメージは軽微で、OS技も控えている。
 今この状況も、己が死ぬ可能性は想定しても、死ぬことは想像もしていない。

 故に挟撃する二人の連撃に対しても、その対応は素早かった。
 右から歌野へ圧迫するシュピーネの糸。そして、左方からは大振りでこちらへ致命打を画して放たれる歌野の鞭がうなる。
 それに対して、ロストマンは左の手に意識を集中させ、携えた銃の構造を再投影。瞬時に調整を加える。
 口径拡張、50インチ。
 装填機構をショートリコイルからガスオペレーションに規格変更。
   、  ダブルカラム  シングルカラム
 弾倉拡充、二列弾倉から一列弾倉へ。
 スライド      バレル チャンバー
 遊底の耐衝撃強化。銃身・薬室の耐熱加工、および密封性確保。
 リコイルショックの方向の調整、ウェイトバランスの微調整。
    、    、  、  カースドアーマードピアシング
 装填弾をタングステン合金仕様の対物呪装徹甲弾に変更。
 一瞬で、手持ちの拳銃を対大型魔獣用の象打ち銃へ規格変化(モデルチェンジ)させる。本来ならばA.M小銃に相当する大口径の弾丸は、常人なら掠めただけで肉塊に爆ぜる破壊力の権化だ。
 反撃の一手としては申し分なく……

「墓穴を掘る、とはこういうことだな。
 足元注意だ」
     、    ・・・・
 それを男は、白鳥の足元の床へ連射した。
 弾倉に込めた七発、そのすべてを高速のバースト射撃で白鳥本人でなく、その足元に向けて撃ち尽くす。
 ……既に一度ならず二度までも、この床は損傷を受け続けている。
 なれば、"床を撃てば、そこが崩れるのは道理であった。"
 この部屋の構造を"解析"し、それを崩す。元は■■■■がその端緒として習得した魔術の一式だ。最初の襲撃もそうだが、あらかじめこの建物の大まかな構造は解析している。とくに戦闘となる場の構造は、念入りに調べてあった。
 故に対物規格の弾丸で基部を撃ち抜けば、脆い床なら容易く落ちる。

 敵の得物は鞭であり、遠心力をつけるためにわざわざ大振りに振るわれた。挟撃で逃げ場を潰せると考えての大振りだろうが、今回はそれが仇となった。
 必然、長物を振るうのには足場が必須であり、まして遠心力に任せる以上軸足の踏ん張りがなくなればそれだけで力は拡散する。
 本人が崩したこともあり、この床自体が限界を迎えつつあったことも幸いした。相手に与えるダメージこそ小さく、無きに等しいものだろうが、ここで必要なのは敵の足止めだ。

 自由落下する間。及びに、復帰するまでに、数秒の間双方を分断できる。
 数秒。しかし、数秒あれば戦の趨勢はあっけなく変転する。
 右方から迫る蜘蛛糸を。しかし男は避けもしない。ただ右の銃を棄て……それこそ、鬱陶しげに蜘蛛の糸を掻き分けるように、それへ徒手を伸ばして三束纏めて掴み取った。自分から飛んでくる糸を掴むことは、然程難しいことではなかった。手を伸ばせば、すぐに届く。


「よくぞ乗ってくれたな道化。そのささやかな覚悟に免じて、念入りに潰してやる」


 スキル『防弾加工』によって表面を加工した手は、斬撃性能に長けた蜘蛛糸と擦れ合ってガリガリと歪な金属音を立てる。しかし、それでも指が落ちることはない。
 寧ろ万力のように、キリキリとその蜘蛛糸を手放すまいと握りしめている。

 ……先の一合、二合のうちの敵の反応から、敵の武器の性質が一種の触覚であることは理解していた。或いは、己と連動して損傷を受ける類の代物だったのか。
 この糸は、"千切られればその反動が敵に襲い掛かる"いわば諸刃の剣なのだろう。
 なればこそ切断されぬよう、敢えて得意の斬撃特化の細い糸を使わず、束ねて鞭として使用したわけだ。『殺す』と、確かに殺意を込めて振るわれたのは、そうした理由があるのだろう。

 確かに破られにくいように、丹念に撓め、束ねたのだろう。靭性もなかなかのものだ。
 だが、知ったことではない。
 質量の差が違えば、小手先の工夫など取るに足らない。格の差と、『剣』の生成に長けた英霊という二つの要素は、力押しで強引に理不尽を実現させられる。
 寧ろ力を集中させた分、その反動のダメージはこれまでの非ではあるまい。
 元より視認しがたく細い糸だ。その糸は百本か? 千本か? それらが、同時に切断される反動。それは、想像を絶するはずだ。

「小娘が戻ってくるまで数秒。耐えてみるか?
 存外に意思を強く持てば、生き延びられるかもしれんぞ」

 これまで無表情だった男が、獰猛に嗤ってみせる。
 嗤いながら、男は蜘蛛糸に、左の白刃を突き立てた。
 キリ、キリキリ、キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ
 キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ
 キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ。
 歪な金音が響く。研ぎ澄まされた剣が、工具で荒縄を切り千切るようにゴリゴリと削られる。
 だが逃さない。強く強く、万力のように掴んだ右手が離さない。掴んだ手を切り落とすのも、防弾加工で対策済みだ。
 男に何の躊躇もない。歌野が戻ってくるまでに、この糸の悉くを、その腐った心根諸共捩じ切る。ただ冷徹に、圧力をかけ続けるプレス機のように、無情に束ねた糸を千切らんとギリギリと力を加え続ける。

>白鳥歌野、シュピーネ

3日前 No.95

獄鎌イガリマ @cube☆PjfbxfTdjqg ★NOqfHWEYJo_yoD

 【ファランの森/龍結晶の地/暁切歌】

 手応えはあった。
 相手の反応よりも速く、狙い通りの前足の部位へと大鎌のアームドギアによる一閃を刻みつけることができた……が、その一撃は体表に生えた棘を抉り取るだけに終わる。
 相手の死角からの奇襲で痛手を負わせられなかったのは大きい。
 案の定、かの龍は切歌の存在へと感づき、滅尽の咆哮を轟かせ、周囲の大気、地面を鳴動させる。

 「ッ……、……の、脳天まで揺さぶられる程ダイナミック、デース……ッ!」

 当然、一撃で仕留める気すらあった大振りの一撃を放ったため、回避行動へと移る余地など無く。
 その咆哮に切歌は思わず両手で耳を塞ぎ、気を抜けば意識ごと持っていかれそうになる程のそれを受けてしまう。
 更に反響を待たず、鉄槌の如く振り下ろされる滅尽龍の爪腕の影が、切歌を覆い尽くす――。

 常人ならば死へと直結する一撃。
 特異な能力を備えた古龍種の中で、ただ暴力という一点に特化した種。純然たる暴威を以て他を圧倒する。それこそ滅尽龍を脅威足らしめる所以。

 「けどッ!! なんのぉこれしきぃ……ッ!!」

 咆哮に気圧され、身体を動かすことすらままならないこの状況で、しかし彼女は己を奮い立たせる。
 軋みを挙げる身体を物ともせず、切歌は再びアームドギアを握り締める。

 大きく振り被って――そしてネルギガンテの一撃を受け止める。
 が、純粋な力比べでは圧倒的にあちらに分があり、受け止めた衝撃は華奢な少女の身体を遥か後方へと吹き飛ばすには十分な威力。
 だが、肩部のパッドから4つの鎖を地面へと突き立て、地面を踏み込むことで、切歌はその衝撃を正面から受け止めた。

 そして、今が好機と言わんばかりに反撃へと移る。


 「 警告メロディー 死神を呼ぶ  絶望の夢Death〜13♪ 」


 高らかに歌唱を紡ぎ上げ、フォニックゲインを高めることでギアの出力を上げていく。
 結晶の生い茂る地に聞こえてくるのは死神の歌。


 「 今すぐに just saw now 痛む間もなく〜切り刻んであげましょう♪ 」


 切歌は受け止めたその場で跳躍。ネルギガンテとの距離は目と鼻の先だ。
 頭頂から数m超えた高度まで飛べば、意趣返しとネルギガンテの頭上から大鎌を横薙ぎに振るう。

  《 切・呪りeッTぉ 》

 鎌の先端が分裂し、振るわれた勢いで分離された刃が旋風を成し――その巨大な角を打ち砕かんと殺到する。

>ネルギガンテ
【此方こそー、どうかお相手のほど宜しくおねがいします】

3日前 No.96

ダイヤの戦士 @genmwhite ★z1C7w6TMOe_ncl

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3日前 No.97

牛若丸☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

【炎上都市冬木/山寺/牛若丸】

>ベートーヴェン

 戦場に音楽の出る幕などない。
 それが牛若丸の常識だった。
 せいぜい士気をいくらか高めるだけ。
 角笛をやかましく吹き鳴らすのと何も変わらない。
 その認識は今も変わっていない。牛若丸に音楽の素晴らしさを理解するだけの情緒はない。
 祝いの席で聞くならばまだしも、あくまで娯楽は娯楽。
 そう素晴らしいと持て囃すものとは思えない。しょせんは祭り囃子だ。しかし――。

「そうか――見事な信念だ。私が戦に生きたように、貴様は音に生きたのだな」

 “奏でる者”の生き様は侮れない。
 ベートーヴェンとの戦いを通じて牛若丸はひとつ学習した。
 致命傷を負って追い詰められても闘志を捨てないその姿を真似できる人間は戦場にもそういない。
 もう牛若丸はベートーヴェンを軽んじてはいなかった。
 分かり合えないポイントはあるが――彼という男の魂の気高さには敬意を払わねばならないだろう。

 足を掴まれ体幹を揺さぶられる。
 牛若丸はそれを払いのけようとはしなかった。
 揺られながらも目はベートーヴェンの流血した首を正確に見据えている。
 それから、牛若丸は薄緑を振り上げて――。

「――天晴れだルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。その名、覚えておこう」

 針の穴を縫うように正確な太刀筋で、ベートーヴェンの首筋へと振り下ろした。

2日前 No.98

ネルギガンテ☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

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2日前 No.99

ワーグナー @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【嵐の祭祀場/ウィンターホルン山の頂/ワーグナー】

天に座すワーグナーより放たれる火炎放射。
それはレーヴァテインを、万丈を焼き尽くす腹積もりで放ったはずであるのだが。

「神にも等しい我等に…死の屈辱を与えようというのか…!!」

飛翔したはずのワーグナーよりも高い位置にレーヴァテインはいた。大地が隆起し彼女をまるで天を突く山の頂に迎え入れるかのように大地はレーヴァテインの呼びかけに答えた。
レーヴァテインの得物より迸る雷撃がこの世界そのものを食らわんとするかの如く鳴動し、その刃はこちらに向けて跳躍したレーヴァテインと共にワーグナーへと迫り来る。

一方で万丈もまた天にいるワーグナーに迫る。こちらは文字通りワーグナーと同様に飛翔し、八つの溶岩で出来た龍を従えてワーグナーに襲いかかる。それらは万丈の足先へと収束して万丈の力となり、万丈に更なる力を与えて迫り来る。

上からはレーヴァテインの剣が、下からは万丈の蹴りが挟み撃ちの形でワーグナーの火炎を切り裂き抉りながら真っ直ぐにワーグナーへと迫った。

「ガッ…アアッ…!!」

剣と蹴りが、雷と溶岩がワーグナーを貫いた。ワーグナーの身体は力を失って大地に落下し、雪を盛大に巻き上げる。そんな中、ワーグナーは最期に残された力で眼を天の彼方に向けた。

「我が魂も…星座に帰る時か…」

ワーグナーの身体が光の粒子となって消滅する。ワーグナーという主を失った以上、じきにこのウィンターホルン山の頂も消滅するだろう。ここにデーモンは討ち果たされた。

THE DEMON WAS DESTROYED

【ワーグナー@オーディンスフィア レイヴスラシル、レーヴァテイン並びに万丈により討伐される】

>レーヴァテイン、万丈

【お相手ありがとうございましたー】

2日前 No.100

レーヴァテイン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_zRF

【 嵐の祭祀場→楔の神殿/ウィンターホルン山の頂→1Fエントランス/レーヴァテイン 】(SL:2→3)

 迸る稲妻、そして溢れ出す溶岩がついに魔竜を地に叩き落した。

「……ハァッ、ハァッ、……。……ふぅ」

 剣がワーグナーを穿つ。そして、万丈が放った蹴りがワーグナーへのトドメとなった。
 天墜し、雪を舞い上げ倒れ伏す。静かに天の彼方を見上げたワーグナーは、一言残し粒子となって消滅した。
 後に残るのは無色透明なソウルのみであった。

 それも、二人分。
 レーヴァテインと万丈への報酬となる。

「……」

 無言で一つを掴みあげる。
 そして、消えゆく雪山には興味もないと言わんばかりに後にしようとして、立ち止まった。

「……あんがと」

 顔を合わせることはしない。だが、その言葉には彼女なりの心からの感謝がこもっていた。
 同行者へ一言だけ礼を述べ、ソウルを捧げるべく神殿へと戻っていった。

>万丈 (ワーグナー)

【こちらこそ、お相手ありがとうございました〜】

※状況※
デーモンのソウルを使用(+2)
SL:2→3
Next:4

OS技
(変化なしのため省略)

2日前 No.101

アサキム・ドーウィン @genmwhite ★z1C7w6TMOe_ncl

【 腐れ谷/谷合の廃村/アサキム・ドーウィン 】

 「ならば──僕が君の嘘を暴こう!」

 アサキムは享笑する。
 黒神が唸る。
 かつて、彼の心の闇を覗いた知的好奇心は闇に飲まれた。アサキム・ドーウィンの抱える闇が、どれほどのものなのか。言うなれば、それは虚無と言っても差し支えないものだ。
 その虚無が生み出すのは、無限の牢獄。時を遅延させ、ゆっくりと生命体を滅ぼす混沌の海。深闇に沈んだ彼の心は、見るもの全てを虚ろにする、何もない暗黒が広がっている。
 その暗黒の中で、赤い双眸がただ、風が吹くのを待っているだけなのだ。

 「……!」

 乱舞の太刀を終わらせる一撃として放たれた、最後の突き。
 それがソルジャーに対して致命打となるか、ならないか。結果としては、ならなかった。だが、彼は貫かれた。
 そして、アサキムが貫かれた意味を理解したのに、時間は必要なかった。ソルジャーは愚直で、しかし確実な選択をした。この程度は、目的の為の致し方ない犠牲だと言わんばかりだ。肉を切らせて骨を断つ、か? いや、相手のダメージの量を考えれば、その逆かもしれない。
 いずれにせよ、ソルジャーの狙いと、判断が奏功したのは事実だ。

 黒神が止まる。止められた。
 ソルジャーの雄叫びが、黒鳥を響かせる。そして、彼の放った竜巻の如き暴風と、重さを上乗せした回転斬りはシュロウガを捉えた。
 見事、と言わんばかりに、シュロウガが吹き飛ばされる。アサキムは苦痛の声をあげなかったが、シュロウガの黒き装甲が切り裂かれ、血のようなものを吹き出させた。
 ……そう、血であった。

 ───最も長い一秒という空間が広がっていた。
 シュロウガの構えた魔王剣には、シュロウガ自身の血が刷り込まれている。血とは神秘の存在だ。生命体を生かし、存在させている、いわば動力とも言える血に、人は特別な感情を抱く。
 シュロウガが黒い神であり、そして堕落した存在ならば、人と同じくして血が流れているのだろう。その血を、魔王の剣に贄として捧げたのだ。ランブリング・ディスキャリバーは、確かに高速の剣技によって相手を追い詰める技だ。
 だが、それだけではない。剣に乗せた血を、乱舞の動きとともに相手の周囲に撒き散らし、魔法陣を形成する。攻撃と同時に仕掛けられた、ランブリング・ディスキャリバーの"締めの一撃"。
 血という命の源流を捧げた、黒き虚無の魔。現実と虚構が織り混ざった曖昧な存在たるシュロウガは、それを形成させた。

 吹き飛んだシュロウガは大地に強く叩きつけられる。だが、頭を擡げさせ、双眸はクラウドを見た。
 そして───手を、握りしめた。

 刹那。
 魔王剣ディスキャリバーによって、疾風の如く撒き散らされたシュロウガの"血"。それによって、クラウドを中心とするようにして構成された魔法陣が、妖艶な輝きを放った。
 巨大な二重円の内側の円に載る形で8つの小円が重なりながら並んでいるソレに流れる血が、産声をあげるように煌めいた。
 そして───

        ─────魔法陣が、輝きとともに魔力光の爆裂を生み出した。


 >クラウド・ストライフ

2日前 No.102

万丈だ @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★sLdIAtRTAq_zRF

【 嵐の祭祀場/ウィンターホルン山の頂→古竜の丘/万丈龍我(仮面ライダークローズマグマ→変身解除) 】

稲妻が落ち、ワーグナーを貫く。
突き上がる溶岩が、その顎ごと蹴り込んだ。

「ッ……しゃあっ!!!」

墜落するドラゴン。
力なく落ちるその姿は、この戦いの決着を意味しているように見えた。
地に伏し、雪を巻き上げる最期はその強大さを確かに示しており、万丈もまた己の推力を利用して地へと降りる。
視線を向ければ、天を射抜くように眼を上へ向けていたドラゴンは光の粒子となって消え去っていた。
まるで、最初からそこに居なかったように。いずれ崩れ去るであろう、雪山という痕跡と、世界を侵食するデーモンの強大なソウルのみを残して。

「……痛ぇ、……熱ッ!熱ッ……寒ぃ!!!」

クローズマグマの鎧を纏ったまま、確かに支配者であった竜のデモンズソウルを手中に収める。
と、同時。戦闘中のアドレナリンが切れたのか戦闘中に受けた傷と、その身に纏うマグマの熱を生身に感じ始めたようだ。わたわたと動き、慌てるままにベルトを外して変身を解除する。
すると、当然寒い。寒さを抑えるために動こうとすれば傷が痛み、悪循環だ。忙しなく動いている間に、少女は既にその場を後にしようとしている。

「てめっ、せめて名乗……」

去る背中に、いつもの調子で指を差しながら文句を口にしようとして、予想していなかった礼の言葉に思わず固まってしまう。
……改めて、いつか自分を導いたあの男や、別世界の戦士が言っていたことを思い出した。仮面ライダーの力は、自分のために使うのではないのだと。

「礼言うのはこっちだっつの。……まあ、こんな訳分かんねえ世界だ。また会うことくらいあるか」

倒れ込むように崩れ去ろうとしている世界の雪原に背を預け、ぼんやりと数秒だけ瞑目し、即座に起き上がる。
身体を休めるなら神殿にでも戻るべきだとも考えたが、それ以前の休息が欲しい。そう考えて、近場へと動きだした。

>(ワーグナー、レーヴァテイン)

【両名とも、お相手ありがとうございました〜】

※取得状況※
ソウル:『空の暴竜のソウル』(デモンズソウル)

2日前 No.103

乃木若葉 @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_BXv

【ソドム/Lobotomy Corporation/乃木若葉】

 大地に突き立った槍が床を崩す。チェイスの投擲が若葉へ向けられた槍を逸らした結果、彼女は辛うじて命冥加を得た。
 二度目にわたる崩落の中で、若葉は同盟者の男に信頼を寄せるよう笑みを浮かべる。

「ありがとう。貴方には助けられてばかりだ。
 そして……」

 じき、憑依した精霊の力が抜ける。元より限界を超えた力の酷使だ、限界が来るのも早い。
 しかし素の状態では若葉は言葉通り傷一つつけることができないだろう。そして敵の底はまだまだ知れない。

 必要となるのは二度目の精霊使役だ。
 精霊の行使に再度ソウルの力を発現させる必要がある。
 それも義経より強大な……神に匹敵する大魔縁となれば、その負担はすさまじいものとなる。
 そして身に宿したソウルが尽きかけ、使えるのは一合きり。一撃を放つのが精一杯だろう。それが終われば、もう指一本とて動かせなくなることは間違いない。
 使いどころは見極めなければならない。

 そうした中で、チェイスの提案は突破口になりうる手の一つだった。
 2秒。たったの2秒。しかし、この高速化した戦闘においては、数十合もの剣戟が飛び交うだろう、途方もなく長い2秒。
 その間、一人を欠いた状態で戦うということは、これまでギリギリのところで保っていた戦線を限りなく危険に晒す行いでもある。
 ――数秒あれば、戦線は容易く瓦解しうる。
 それを分からぬゲブラーでもない。次の迎撃は、それこそ嘘偽りなき殺し手に訴えてくるだろう。
 チェイスの提案は、ともすれば全滅のリスクと隣り合わせだった。
 だが……

「わかった。やれるだけのことはしてみせる
 ……異存はありませんか」

 ちらりとアルゴルへ視線を流し、同意を求める。
 今まで然して会話を挟むこともなかったが、ここからは二人での戦闘となる。最低でも方針のすり合わせぐらいは意思を疎通しておかねばならなかった。
 わずか2秒、されど2秒、その間隙を埋めるためには、確かな連携をとるのは必須条件だといえる。
 それに何より、己がすでにOS技の行使で消耗している以上、頼れるのはアルゴルだ。魔人めいて威圧感を誇る彼の魔剣/聖剣の力を借りる時が来た。

 そして若葉は正眼の構えでゲブラーに相対する。瓦礫の中から新たな武器を引き抜いて、今も尚たぎる殺意を振りまいてこちらへ嚇怒の視線を向けてくる。
 若葉は、彼女のことを知らない。壮絶な過去も負った業の深さも、若葉は何も知らない。
 それでも、彼女と向き合う意思が失われることはなかった。
 だってその姿を知っている。
 己はすべてをなくしたと、嘆きながら武器を奮った彼女のことを。
 誰より人間らしく、何度も争いになったあの少女を。
 嫌い、憎むのと同じぐらい憧れて、同じぐらい好きだったと、今際の際に言ってくれた、大切な友達のことを。

「ならば……その寝ぼけた目を叩き起こしてやる」

 説教するわけではない。寧ろ、ずっと人に教わってきた未熟者だ。他者に言説を垂れて、教えを説くことなど到底できやしない。
 だから、せめて正面から向き合う。
 放たれる殺意に、もう恐れはない。

「私が先陣を切ります、合わせてください!」

 アルゴルに一言告げ、若葉は正眼の構えから吶喊した。
 直線的な動きでは見切られる。だが、義経は剣技の妙を司る精霊。鬼一法眼に授かりし天狗の剣法、その技は対人戦闘において冴えを見せる。
 アルゴルの追撃をちらつかせる形で接近。牽制のフェイントをかけて、八艘飛びの剣戟を放つ。
 こちらの攻撃は敵の動きを止められないが、先の先の機をとることでアルゴルに向けての迎撃の一手を潰しにかかることができる。そして敢えてアルゴルより優先して此方へ攻めの手を向けてきた場合は、アルゴルに対して致命的に隙を露呈することとなる。
 一旦退いて回避に徹すれば、此方の攻撃が空ぶったとしてもチェイスの時間稼ぎという目的は達成できる。
 この戦術が通じるかどうかは、次のアルゴルの技にかかっているだろう。
>ゲブラー、チェイス、アルゴル

1日前 No.104

『闇、その向こう』 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【炎上都市冬木/山寺/ベートーヴェン】

 バイオリンとピアノがけたたましく競い合う音色が聞こえた気がする。
 はじまりの奏鳴曲が相応しいであろうこの場面に、牛若丸の言葉に満足気そうに目を閉じて薄く口角を上げるベートーヴェン。
 結局。誓約は果たせなかったが、牛若丸の試練は打ち勝っただけはよしとしよう。
 それだけでも満足だ。
 楽聖の生まれ変わりと感じ取った同名の人造人間に、ギロチンが降ろされる。
 脳内に浮かぶのは、ぼんやりとベットに寝込む壮年の過去の己。
 何を言っているかはよくわからないが、懸命さだけは伝わってくる黒髪に近い焦げ茶のもじゃもじゃ頭の眼鏡を掛けた青年が、手を取り悲しそうに己を見ている映像が迸る。
(……シューベルト君にとって、本当に気の毒な最期だな)
 前も思ったが元の世界で、ベートーヴェンの死を一番悲しみそうなのは他でもない、歌曲の王フランツ・シューベルト。
 今頃、後追い自殺騒動で音羽館の皆に止められているのだろうか。
 先輩はここにはいないと、慟哭するに違いない。見舞いに来て死に別れた後、クラシカロイドとして再び巡り会えたのだから。
 皮肉なものだ、過去も現在も己が先立ってしまったのもシューベルトにとっては運命なのだろうか。
 ひゅん。
 沙羅双樹の花の色、無常とはこの事である。
 正確に捉えられた太刀筋で頭は宙を舞い飛び、赤い花を咲かせると残った体は炎に赤く包まれたソウルに変換される。
 ベートーヴェンの台詞通り、そのソウルの形は芸術の原動力として焚べるが如く赤く煌々(こうこう)と輝いていた。
 この町を焼き付かさんとする火焔と同化しそうなぐらい、燃えていた。
 私から俺に生まれ変わったソウルはきっと、旅人の道しるべになろう。

 "演奏は叶わずとも、曲を作り世に残す事ができる"

 実兄の政敵となり北へ逃亡し、非業の死を迎えた彼女に武運あれ。
>牛若丸
【短い間でしたがお相手感謝です。
……惜しい人物を亡くしてしまった】

1日前 No.105

チェイス @ask2 ★iPhone=P9oxZSYDmV

【アサイラム/学堂/ザック】

 >all

 重い扉を押し開けると同時、澱んだ空気が押し寄せてきた。湿り気を帯び、濁った空気だ。その澱みは妄執であり、その濁りは狂信であった。
 もはや慣れたものだった。死臭にも似たそれは、この世界のそこかしこに染みついていたからだ。
 周囲に視線を巡らせる。――アサイラム、学堂。黒板と教壇、部屋の奥に向かって椅子が並ぶ様は、大学の講義室を連想させた。
 事実、そういう用途のために建てられた施設なのだろう。ここに来るまでに物々しい本棚の列や実験器具らしきものが至る所に置かれているのをザックは目にしている。

「ソウルを求めよ……か。結局は自分が生き返るために他人を蹴落とせってことだよな……」

 教壇へ寄りかかりつつ、ぼやくように呟く。
 迷いはあった。だが同時に、いざとなれば自然と戦えるのだろうという確信もしていた。
 まだ死ねないという想いは当然あった。遺してきたものは惜しく、受け継いだものは重い。何より乗り越えた戦いの大きさが、挫ける余地をなくしていた。

「ま、なるようにしかならないか」

 ザックに許された選択肢は少なく、今はまだ状況に身を任せるしかない。敵が来れば迎え撃ち、困っている人がいれば助ける。
 どちらにせよ見つけなければ始まらないので、この建物から移動することも視野に入れつつ、しばしの小休止に移った。

1日前 No.106

シュピーネさん @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【枯れた大樹/廃校/ロート・シュピーネ】


「お褒めに与り恐縮ですねぇ」


 ………赤蜘蛛には、二つほど見落としがあった。

 ひとつは取り返しのつく見落とし。
 ひとつは致命的な、取り返しのつかない見落としだ。
 最悪を避け、状況を調整し、立ち回りに重心を乗せて来たシュピーネだが、しかしその実態として、“ジリ貧”という言葉が彼を取り巻く状況に最も当てはまるものであったことには疑いの余地はない。
 現れた“狂戦士”―――無銘の男、朽ちた歯車はそれこそシュピーネの計算を□き乱すジョーカーだったが、それと同時に袋小路に追い込まれた自分の状況を零に戻すという意味でのジョーカーでもあった。事実、シュピーネはこの場の人間すべての中で最も弱い。聖遺物の使徒として、魔人として、その類稀なる武力を行使し生殺与奪を握って来た赤蜘蛛が、しかしこの状況ではそんな前提などまるで役にも立ちはしていない。

 何故なら。

 ロート・シュピーネと他二名―――白鳥歌野とエミヤのオルタナティブには。
 ソウルという意味において、徹底的な格差がある。

 位階にして一つの隔たり。それだけだが、しかしそれほども、だ。
 シュピーネが最善でなくとも次善の立ち回りをしなければ即死もかくやの状況であり、彼は歌野という少女をこの時点で即座に見切って利用することを思いついていた。この期に及んで他者の命を気遣う彼女ならば、まず自分が死亡するという最悪のケースだけは避けることが出来たからだ。
 そして、事実そのようになった。あの狂戦士の猛攻を凌ぎ―――現状、最も大きなダメージを受けているのが他でもないシュピーネであるという状況でありながら、彼女は明確に行動のターゲットを彼方に移している。背にシュピーネが居るという状況で、此方への注意を一切払わない。

 綱渡りと言えば綱渡りだ。
 ・・・
 もしも歌野が振り向いて此方を攻撃すれば。
 彼女に余力があり、あの狂戦士への止めを邪魔するならば。
 彼女が戦闘終了後、此方の撃破を考慮するならば―――あの御しやすい善性が演技ならば。

 シュピーネの計画と行動はすべてが水泡に帰す。帰してしまう。
 薄氷を踏むが如く道を歩む中で、シュピーネが奈落に真っ逆さまとなっていないのは偏に彼の読みが的中しているからこそだ。あの狂戦士が諧謔を口にする余裕さえある中で、シュピーネにはそうするしか生存の手段がない。正確には、そうしなければこの場でソウルを独り占めし、漁夫の利を得る手段がないとも言えた。

 ………此処までは、良かった。

    戦争の基本はなにしろ数なのだ。
    その利と優位が自分の掌にある以上、シュピーネの足場は揺るがなかった。


 ―――問題は、次だ。
    相手の取った行動ひとつが、その揺るがない足場を完膚なきまでに粉砕した。

 そもそも。シュピーネがあそこまで露骨に大振りに出たのは、ただ一つの理由しかない。
 それは偏に、エミヤが持っている後退と跳躍の退路を消すためだ。
 前進し、比較するとそれなり以上にダメージを受けたシュピーネの元以外の逃げ道を無くす必要がある―――その上で、万が一のリスクを避けるために、彼は鋼線を束ねて運用した。ダメージのフィードバックだけは如何ともし難く、聖遺物は魂と密接に結合されているが故に破壊は即ち死をイコールとする。
 その上で、シュピーネは必殺の罠を貼っていた。………歌野に戦闘開始前に仕掛けたものと全く同じ仕込みだ。もちろん、一部の箇所に限り、山を張り。万が一があっても破壊されないような、十全な仕込みの元に捕縛用の罠を用意していた。捉えたのならば如何なる相手も脱出できない赤蜘蛛の牢獄、蜘蛛糸を手繰り寄せるための準備は万端だった。

  、 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・
 ―――シュピーネの失敗のひとつは、これだ。

 何故なら。
 白鳥歌野は確かに、騙し化かし、裏の読み合いと言った“対人”の性質はない。
 だから此処まで状況が嵌り、だから明らかに格上の彼女と対抗することが出来たのだ。

 ………だが。この狂戦士―――エミヤ・オルタに関して語るならば。
 彼はプロだ。淡々と作業機械のようにオーダーを完遂し、オートメーションで殺戮をやって退ける。シュピーネと違って獲物を嬲る経験こそなかろうが、そんな必要など最初からない。
 すなわち、戦いの場において彼方は完全にシュピーネより対人経験がある。
 それ自体はシュピーネも理解していたことだったのだ、だから気付くべきだった―――。


 ―――既に床が脆くなっていることを自分が見抜いていたのならば。

    それを、相手が気付かないという理屈などない。


「―――何ィ………ッ!?」


 そのツケが、此処で訪れた。
 床が破壊される。歌野の立つ部分だけが―――幸いにも“そこ”は自分がトラップを仕掛けた地点ではないが―――崩れ、彼女をほんの数秒だが戦場から離脱させる。あまりにも呆気なく、しかし造作もなく。
 たった数秒だ。だが、その数秒だけでも前衛《フォワード》に誘導していた彼女が消えたことにより、正面に立つのはシュピーネ一人………この向かい合う状況とは、即ち彼にとって明確な死線でもあった。思い描いていた流れは、あくまでも歌野の存在あってこそだ。虎の威を借らねば蜘蛛が虎を狩ることは出来ないのだから。


「(ぬかった………!)」
「ですが―――!」

 なにより、もう振った鋼線は止められぬ。
 かくなる上はシュピーネがその鋼線でエミヤを捕らえるより他にない。
 これが寸断される可能性はない―――数本数本だけで仕掛けるならばいざ知らず、高速で動く束ねられたワイヤーはそう易々と両断も破壊もされない。シュピーネの聖遺物はそもそもからして捕縛に特化したものであり、この状況からでも人体一つ容易く繭のような物体に変えるだけの余地はある。


 ………これこそが、シュピーネの“取り返しのつかない”最大の慢心にしてミスだった。
    彼は自分の聖遺物が破壊されないように最大限の注意を払ったのだ。そこは間違いがない。

    間違いはないが、しかし―――。


「―――な」

    、  チェックメイト
 この瞬間に、彼の詰みは確定した。
 捕食者と被捕食者が、ほんの数秒を待つことなく逆転した。

 シュピーネの振るったワルシャワの絞殺縄。それが、素手で掴み取られた。
 張り付けられたかのように一切鋼線が動かない―――どころか、むしろ彼方が手放すまいとしているが故に、シュピーネがそれを手放したところでなんの意味も持たないだろうことはすぐに想像できた。
 ………想像できたからこそ、シュピーネの表情と“狩人”の表情は対照的なものだったのだ。

 その時に、赤蜘蛛は思い出した。

 獰猛なその表情、あざ笑うような目つき。
 そして、その奥底に込められた狂気とも呼べぬ何かを見た時に。
 ・・・・・・・・
 あの城の怪物たちに覚えていた感情を、ようやっと思い出した。


「(乗せられていたのは、私―――)」
「―――あ”ァッ、………! ぎ、がッ―――」

 ―――それが彼に与えられた残りの時間で。
    彼を激痛と崩壊が襲ったのは、それからすぐのことだった。


「―――ぎぃ、あああああああッ!」

 聖遺物を破壊されれば、その使い手も砕け散る。
 千々に断たれ始める鋼線に合わせて、彼の全身あらゆる個所から血が噴き出した。黒い軍服が真紅に染まるに数秒どころか1秒と掛からぬ、人体で考えるなら出血多量どころの騒ぎではない。

 ………そう。自分自身が、何より口にしていたことではないか。

    どう転ぶか分からないものをひっくり返すのが、戦略であり状況。
    厳然な実力差により均衡が掛け離れている場所で、そうしたものは意味を為さぬのだ、と。

 シュピーネの聖遺物は確かに堅牢だ。彼の性格通りに防御の型としては十分すぎる。
 しかし、

「どッ―――どうして、私の聖遺物が―――」

 少しずつだ。少しずつだが、突き立てられた白刃がその糸を切り捌いていく。
 それはソウルの格差という、無慈悲なれど覆せない事実によって産み落とされた結末だった。

 引き剥がそうとして、しかし動かない。
 もう片方の腕を堪らず振り翳そうとして、その鋼線はエミヤを狙う。
 今度は、もはやなりふり構わぬ切断のための細い糸だが―――しかし。
 そもそもエミヤの行動を理解したシュピーネの取った行動は、その処刑刀《ギロチン》から逃げ出さんとする逃亡だ。それを行うための糸も、仮に命中したところで彼の動きを止められたかは怪しい。

 ―――否、止められない。
    もう、既知の結末は変えられない。




  ―――まずは、一本。飛んで十本。

 「(バカな、何故だ―――)」

      、     、      、      、    「(また殺されるのか?)」

  ―――百を超えるに1秒と掛からぬ。
     そして、それが切り落とされる度にシュピーネの腕が、足が、身体が、痙攣する。

   、  、   、   、  「(見誤っていた? 彼女を狙うべきではなかった?)」



      、   、  「(こんなことがあってたまるものか!)」


        、     、   「(おのれ、許さんぞ―――狂人め、怪物め!)」


、  、「(嫌だ、死にたくない、私はこんなところで―――)」

  ―――束ねられた数千本、その半分が解体され始めた。
     噴き出す鮮血は床に血だまりを作り、崩落した床を伝って下の階へと浸透する。

   、   、  「(止まらない―――止まらない!)」



    、    、   、 「(嗚呼、何故、何故、何故何故何故)」


  ―――残り、百本。
     シュピーネの振った左腕が一気に弱弱しくなり、加速を失う。

    、   、    「(痛い、痛い、痛い)」
   、   「(どうして)」


    、   、   、   、  「(ああ、あああああァ―――)」


  ―――残り、一本。
     微かな蜘蛛の糸を護るべく、シュピーネはその力を振り絞って引き剥がそうとし。

     、  、 「(こっ、こんな損失―――)」
   「―――あ、が」



     、      、    、    、  「(こんな、―――取り返しが―――)」


   、   、  「(―――つかな、い―――)」


  ―――残り、零本。
     引っ張るように加えた力によって、糸がプツンと千切れた。

  ………蜘蛛の糸に縋る罪人が地獄に落ちるように。
     シュピーネの肉体は崩壊した。あっけなく、感慨もなく。
     聖遺物の完全破壊による肉体と魂の崩壊によって、彼はまずここで死を迎えた。



  そこには、赤蜘蛛の存在を証明するためのソウルがふわりと浮かんでいた。



>白鳥歌野、エミヤオルタ


【ルール通り『赤蜘蛛のソウル』をこの場に不法投棄します。
 歌野、エミヤ、どちらが取るのかは今後の流れにお任せします】

【ともかくお相手ありがとうございました、最後に時間が掛かって申し訳ないm(._.)m】

15時間前 No.107

クラウド @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【腐れ谷/谷合の廃村/クラウド・ストライフ】

 それはまさしく会心だった、とさえ言えるだろう。
 クラウド・ストライフが乾坤一擲の心境で臨んだカウンターの一撃は、外せばその時点で一気に敗北/死という結末に捻じ込まれる大博打でもあった。か細い糸を針穴に通すような勝負でもあった。
 それは戦いのカンというものではない。クラウドのそれは、決して自棄ではないが戦闘巧者の行うべきものではなかった。ソルジャーの身体能力とスペックであるならば、―――例えば《マテリア》を介した補助魔法などで状況を仕切り直す、跳躍しての白兵戦に持ち込み、前述したような一手二手の遅れを感じさせない高速で攻め立てる、そうした手段が幾らでもあったはずであるし。そもそも、このような劣勢の中で活路を見出すような戦いにはなっていない。

 彼の言葉は紛れもなく酔うようでいて、しかし確信を捉えていた。
 一流の戦士と呼ぶには、クラウドは紛れもなく、ちぐはぐで継ぎ接ぎだらけなのだ。
 その勝負どころで仕掛ける一手には確かに鋭さとしなやかさがあったが、しかし………それを発揮せざるを得ない状況を作っているのも彼だ。こればかりは相対する獄鳥の戦闘経験の豊富さと戦闘能力を引き合いに出すべきかも知れないが、ともかく、クラウドは肉斬骨断と呼ばざるを得ないような起死回生を狙うことでしか活路を見出せなかった。

 だからこそ、それは外さなかった。
 致命のみを避け、剣を振るう腕に力を籠めた渾身の一打。

 時間すら止まったかのような感覚さえも、そこにあった。

 まさしく直撃《クリティカルヒット》と呼ぶべき斬撃は、確かにアサキム・ドーウィンを捉えていた―――黒き装甲にとうとう傷どころか亀裂を生み出させ、その内側から良く知る赤い液体を放出させていた。

「(中身は、やはりヒトか)」

 ………それは、言の葉を編む時点で見なくとも分かっていたことだが。シュロウガという黒鎧の獄鳥の中身には、紛れもない人間がいるという事実でもあった。
 黒き獄鳥はそれでも退く様子を見せない。当然と言えば、当然ではある………クラウドは自分の視界を覆った血を一度ぬぐい、その両手に剣をしっかりと握りしめたまま、奥に居たそれを見据え―――。


 ―――違和感に、気が付いた。


「(おかしい、何を、待っている―――)」

 ・・・・・・・
 仕掛けてこない。
 あれだけの速度で先程斬撃を仕掛けて来たシュロウガが、この瞬間に至って何もしてこない。双眸だけが此方を眺め、モノもイロも宿さない鋼鉄のカメラアイが射貫くような視線だけを寄越してきている。
 そこに小さな違和感を覚えたクラウドは、瞬時にそれをカタチにした。
 鮮血を散らせたシュロウガの機体が、その掌を握りしめたその瞬間に? ―――違う。


「―――ッ!」

 自分を包囲するように、そこに魔法陣が刻まれていたことに気が付いた瞬間だった。
 天の獄が、捧げられた供物にそっくりの色合いをした赤い方陣が―――己を捉えていると気付いた瞬間、クラウドは即座に自身の保有していた《マテリア》を起動させた。時間が惜しいが故に、死の危険を訴える自分の直感にすべてをベットした。………その思いきりの良さは、不幸中の幸いであるとも言えた。

  クラウドが起動させたのは《敵の技》の《マテリア》だ。
  それは攻撃の用途ではなく、自身への複数に及ぶ多重防御として機能した。

 マイティガードと呼ばれる複合防御魔法。
 ―――自身の持つ中では最大の防御能力を持つその魔法を惜しげもなく行使し。
    魔王剣が示した失墜の未来への、最大限の抵抗を選び取った。


 光が、一瞬で収束し、拡散する。


「………づ、ォ………ッ!」

 その爆風に弾き飛ばされるようにして、クラウドは廃村の家屋の一つに激突する。
 対衝撃・対魔法・対熱量………大抵の攻撃に対する中和と防護機能を持つ魔法だが、それを以てしても、クラウドの身体にランブリング・ディスキャリバーの一撃は致命ギリギリの破壊力を叩き込んでいた。
 勘付いただけでも運がいい。クラウドは血の混じった痰を吐き捨てると、激突した家屋の空いた穴より手を翳し―――即座に他の《マテリア》を行使する。それはある種の、またしても“賭け”ではあった。


「(コイツが何を言っているのかは、もう分かる)」
「(とんだ輩に目をつけられたもんだ。………だが、だからこそ―――)」

  夢だの嘘だの、そうした部分までは分かったものじゃあないが。
  これが“旅人”というカテゴリに興味を抱き、刈ろうとしているのは事実だ。

  クラウドには、ひとつの疑問があった。
  その疑問を晴らすためにも、此処で死ぬことを許容することは出来なかった。

  ………執念深く、されど何処か飽いて乾いた黒焔の狩人を―――討たねばならなかった。


「(―――終われるか!)」
「………飛べ!」

 そのための、一点賭けだった。
 翳した掌から複数に別れた火球が飛ぶ―――炎を宿した《マテリア》を起動して行使し、そして放った上級炎魔法《ファイガ》の一撃だ。数にして9発の追尾する炎弾は、廃屋を一度焔の灯で照らすと、暗闇の中を切り裂くようにシュロウガへと襲い掛かるだろう………ただし、わざわざアサキムの頭上を取り、空に飛ぶのを阻害するかのようにして、だ。
 それを撃つと、クラウドは廃屋を飛び出し、即座に距離を取った。詰めるのではなく、距離を取ったのだ。先程までの開けていた場所から、来ていた細い道を戻るように。傷だらけの身体を動かして、一切の迷いもなく。

 あくまでもクラウドの火力はバスターソードありきのものだ。
 それが上位の魔法であると言っても、“それ”で仕留められるとは思っていない。
 そんなことは本人が、一番、誰よりもよく分かっている。

 ―――あとは、相手がこれをどう取るのか、だった。

>アサキム・ドーウィン

15時間前 No.108

衛宮士郎 @trifas ★51ct67nR08_8gk

【深みの墓地街/ワルシャワ蜂起戦線】

>ヴィルヘルム・エーレンブルグ

どうやらこの世界は壊れている――――
俄には信じがたい話。いわゆる御伽噺の中にでも吸い込まれたような、異次元的な戦場が此処には放り込まれているようだ。
デモンズソウル。簡単に言えば魔物を打ち倒し、獲られる対価(たましい)を神殿に納める。それが今明確となっている目的。
己の魂を蘇らせる為に、否が応でも課せられた、目的であり試練だ。
あまり幸運なこととは言えないだろう。
        ・・・・・・・・・・
なぜならそれは、やらねばならないことだからだ。
それが嫌ならばただ自滅を待つ。自由など一切ない。はなから強制された内容。
正直呆れ果てたとも。諦観し、神殿で呆ける連中の気持ちもわからなくはない。

だが――なにがなんでもこの世界を守らねばならない。その為に手段など選んでいられるものか。
ある節自分勝手なその想いには、少なからずの正義を感じた。

だからこの男―――衛宮士郎は動くことを選ぶ。
己がかつて抱いた信念を、そして今ある信念を、確かめる為に。

「これはまた……」

そうして、最初に訪れた場所は墓地だ。
元は魂の納められる神聖であっただろう場所も、今は崩れ果て不吉な赤い月が空に浮かんでいる。
深い霧や砕けた瓦礫が宙を舞い、そこにあったほとんどが原型を保てていない。
その原因は――――まず間違いなく、アイツ。

「おい、そこのお前。」

少し見ればわかる。人間離れした体格に、人間離れした力。破壊に喜びさえ感じている姿。

        ・・
「お前が俺たちの宿敵ってことで―――いいんだよな?」

8分前 No.109
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