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【ALL】End of Souls【冒険/バトロワ】

 ( なりきり掲示板(フリー) )
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絶望を焚べよ @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_iR4



 ――  人の時代が終わる時、すべての地は最果てに吹き溜まる。
  .   王の国も、乞食の地も、変わりなく ――



 その日、人々は天に黒い環を見出した。
 暗く翳る、無明の黒い穴。
 そこからすべてのデーモンは湧き出
 そこからすべての悲劇は始まった。

 かつて繁栄を誇った王国ポーレタリアは、一夜にして終末の道を辿った。
 黒い環を見出した王国は、まず濃霧に包まれ外界から遮断された。
 次にデーモンたちが出現し、虫食いのように領地を霧で侵食していった。
 世界の外側から来たデーモンたちは、遍く国に霧を撒く。霧は世界を歪ませて、己の世界に塗り替えていく。
 白亜の塔が立ち並ぶ、遥か時空のかなたの都市。
 見も知らぬ歴史をたどった太古の遺跡。
 人々から忘れ去られた、うろ底の谷。
 あらゆる世界がそこへ流れ着き、王国を蝕んでいく。
 やがて荒廃したポーレタリアは、数多の霧に蝕まれた混沌の亡国となり果てた。

 人々は願った。神に祈るように、この世界が救われることを。
 人々は願った。己一人でも生き残りたいと。
 或いはそれは、別の形で叶うこととなる。

 濃霧の影響か、或いは天に浮かぶ黒い環の影響か。異なる世界を受け入れたポーレタリアは、いつしか異なる世界との交信を可能としていた。
 神殿の要人たちは、長い時間と技術の研鑽、そして数多の犠牲を基に『異なる世界で死したものの魂』をこちら側に呼び出すことに成功する。
 楔の神殿に繋ぎ止め、この世界の守護者として呼び出すことで、諸悪の根源たるデーモンと、その元となる黒い環を祓わせようというのだ。

 神殿に舞い降りた霊たちに、要人は告げる。

『流れ着いた者よ。かつて世を救いしものの魂よ。
 デモンズソウルを求めよ。どうかこの世を救い給え。
 さすれば、汝らに一度きりの復活の機を授けよう』

 それは或いは、等価交換の一つでもあった。異なる世界で死した魂を、復活の機を与える代わりに世界を救わせる。
 己が生を勝ち取るための、最も過酷な戦いが課せられたのだ。
 望もうと、望むまいと。この世に呼び出された者たちは、その使命を背負うこととなる。
 此処に死者たちの、流れ着いた異空をめぐる巡礼の旅が始まろうとしていた。

 ――ああ、だが旅人たちはやがて知るだろう。
   『絶望を焚べよ』。その神託が意味することを。




 ―― 世界とは悲劇なのか。今、魂が試されようとしている ――




【クリックありがとうございます、当スレはALLキャラによる戦闘スレとなっております。興味がおありでしたらば、まずは一読くださると幸いです】
【開始の合図が出るまでレス投稿はお控えください】

メモ2018/05/20 21:07 : チェイス @ask2★iPhone-P9oxZSYDmV

  ――参加キャラ分布――

【特殊ロケーション】

●楔の神殿

 ・1Fエントランス

  ■脱走兵ホークウッド○レーヴァテイン

 ・2Fロビー

  ●リムステラ

 ・3F殿堂


【ロケーション】

●不死の闘技場

 ・雪の闘技場

 ・炎の闘技場

 ・風の闘技場


●塔のラトリア

 ・監獄区域

 ・邪神の祭壇

 ・生贄の沼地


●腐れ谷

 ・谷合の廃村

  〇クラウド・ストライフ ◎アサキム・ドーウィン

 ・腐り池沼

 ・死体溜まり


●嵐の祭祀場

 ・砕けた城塞跡

 ・生贄の祭祀場

 ・古竜の丘

…続きを読む(109行)

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ワーグナー @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

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4ヶ月前 No.90

削除済み @tukuyomi07 ★3aNoMW8gGM_zRF

【記事主より削除】 ( 2018/05/17 00:17 )

4ヶ月前 No.91

黒レヴァ(代理) @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_zRF

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4ヶ月前 No.92

万丈だ @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★sLdIAtRTAq_zRF

【 嵐の祭祀場/ウィンターホルン山の頂/万丈龍我(仮面ライダークローズマグマ) 】

「はんッ!真似でも何でもねぇ!これが俺の、仮面ライダーの力だ!」

レーヴァテインへと一際大きい怒りの感情を向けた後に此方へと向けられた言葉に、飛翔し拳を振りながら応える。
先の彼女の一撃にてへし折られた角を見て、心のうちでガッツポーズをする。

面ではなく、点。相手が分厚い装甲を持っているのであれば、一点を攻めるべき―――と、本人が考えていたわけではないのだが。

ともかく、これは勝利への兆しだった。
ラッシュの手を止めず、一発、一発と着実に叩き込んでいく。手応えがある。
着実に押し、このまま決めるべく<クローズマグマナックル>のイグナイターを起動させようとし、……竜が、飛翔する。

「げっ―――……なんて、言うかよ……!」

飛翔する竜に対し、起動しかけていた拳を収めてベルトに戻す。
クローズの瞳<CZMツインアイドラゴン>が、視界の端でレーヴァテインを捉えた。どういう絡繰りか、地ごと競り上がってワーグナーよりも上位の位置に昇っていっているようだ。
……いや、絡繰りは良いか。彼女だって、よく見たら変身しているように見える。
仮面ライダー、というわけではないんだろうが、それに近い力を持っているのは明白である。

「言ったろ、ドラゴン!もう誰にも止められねえ、って!」

飛翔しながら、三度レバーを回転させる。
<クローズマグマナックル>が発光し、警告音を鳴らしている。これより放たれるのは、マグマを秘めた龍の必殺。
それに先んじて迫るのは、竜の口より撃ち出される炎の帯。確かに、直撃を受ければ黒焦げでは済まないだろう。
だが、そうだ。此方は二人いて、何よりも、まだ諦めているわけでもない。

「今の俺はッ……」

《Ready Go!》

迫る炎から万丈を護るように、マグマ色の赤龍が集う。
一、二、三―――……都合、八体の龍が万丈の足へと吸い込まれ、万丈自身も、放たれた火炎に負けないほどの熱量を身に宿していく。

「負ける気が、しねぇええええッ!」

《ボルケニック・アァァァタック!!!アチャァァァーッ!!!》

落ちる戦姫とは逆に、その頭部ごと蹴り貫かんと下より迫る。ベルトがけたたましく叫ぶと同時に、その熱は臨界点に達した。
推進力は十分、威力だって十分だ。クローズマグマ自身を含んだ九頭竜の一蹴が、吹き荒れる炎熱に呑み込まれながらワーグナーに迫る。
蹴り砕く。もし叶わなかったとしても、此方は単独ではないのだ。体力が続く限り、打ち込んでやる……!

>ワーグナー、レーヴァテイン

【OS技:「ボルケニックアタック」発動!】

4ヶ月前 No.93

クラウド @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【腐れ谷/谷合の廃村/クラウド・ストライフ】

 黒い獄鳥越しに響くは放浪者のことば。
 歌うようなそれは壮麗さと邪さを兼ね備えた男の声。


「(勝手にやってろ………)」
「だとしたら、オレのやるべきことは決まっている」

 興味がなくとも関係ない。その言葉に、クラウドは内心で悪態すら吐きたい気分だった。
 だが―――それと同時に、青年にとってしてみれば、漸く理解の及ぶ言動が来た気分でもあった。この黒き獄鳥の真意はさておき、これを呪われた輪廻と称した彼の言葉は、現状を自分よりもより正確に理解しているという可能性をクラウドの頭の中で芽生えさせるには十分な内容だったと言えるからだ。

 ………彼の言葉が控えめに言って“詩的”であることは、先ほどから分かっていた事ではある。
 クラウドがそれを理解していなかったのかと言えば否、しかしその言動が示したいモノの意図を彼が正確に把握し切っていたのかと言われると、これまた答えは否だ。そもそも、それを精査している余裕があるでもない。
 アサキム・ドーウィンという青年が―――黒い獄鳥を駆る呪われし放浪者が、風の呼び声にたどり着くべく放浪を重ね、破界と再世を繰り返す我が身の永遠の消滅と虚無を望んでいることなど、まさか理解出来ようはずもない。アサキムの内情などクラウドにとっては知らないものであるし、クラウドの側はそもそも彼を理解する気はないからだ。

 それが、おまえなら自分を殺せるのか、という問いであることも。


「何度言ったら分かる………あんたの知的好奇心に答えてやるつもりはない!」

 ………そう、完全に理解するつもりはなかった。あるいは、拒んだのかもしれない。
    特に、獄鳥の“興味がある”と指し示したものは、自分の見る夢だというその言葉を。

  あまりにも痛烈で、あまりにも的を射た指摘ではあった。
  クラウド・ストライフは虚構の兵士だ。本人が、気付かぬ何処かで致命的なズレがある。

  口にする自分自身にすらほんの少しの疑いがある。
  自分はソルジャーで、多くの戦いを潜り抜けて来たはずだった。
  確かに“あの時”の記憶があるはずだった―――しかし、しかし。

  ―――それ以外の記憶が、探ろうともロクに見つからないのは如何なる理屈だろうか。
     何時も思っていたことを少し考え………。

 だが、クラウドは即座に思考と精査を放棄した。せざるを、得なかった。

 降り注ぐ流星。
 広範囲を打ちのめす必殺の一撃は、威力と範囲において相応のモノを持ち合わせている。
 回避、防御、ともに困難。そして“空にいる黒鎧の魔神を叩き落とせる数少ない手段”でもあった。

 ………だが。打ち下ろしと同時にそれを解き放ったクラウドは、思わず瞠目した。
    流星の間をすり抜ける、黒く瞬く星を目撃したが故に。


「なんだと―――」

 クラウド・ストライフとシュロウガには、ある一定のソウルの差がある。
 その隔たりは1枚分であるが、1枚あるだけでも十分な隔たりが存在する。
 クラウドの放つ『メテオレイン』の一撃を、一切取り合うことなく、すり抜けて近寄るだけの機動力―――そして、命中したとしてもその動きを阻害されることのない防御力というかたちで、その差は明確に現れている。
 些細な傷だ。彼方が断ずるように、これは些細な傷。
 クラウドがその場から距離を取ろうにも、流星を潜り抜けて来た獄鳥の牙を退ける猶予はない。星々の光を上回り、それを塗り潰す天獄より来る魔王―――大罪持つシュロウガの剣は、確実に初撃でクラウドを捉えた。

 斬撃、一閃。
 防ぐよりも、かわすよりも、斬撃の速度は素早い。
 振り抜かれた魔王剣ディスキャリバーの一閃に、態勢だけは崩さず。


「………っ、ぐ―――ぅ、ううう………ッ!」

 ―――しかし、それだけだ。

 返す刀で一撃を振るおうにも、そこに残るは獄鳥が残した黒い軌跡だけ。
 目で追えぬ、感覚で追えぬ。
 シュロウガが狩人であるというなら、クラウドは完全にこの状況で“獲物”だ。
 あらゆる角度から迫る刃の一撃が彼を討つ―――それでも、唯一クラウドに出来たのは心臓と頭、その急所に迫る攻撃を可能な限り防ぐこと。つまり、急所に迫る攻撃だけを逸らすという、追い込まれども敗北に繋がらぬためのか細い一手のみだった。戦闘不能になるほどの致命傷を防ぐためだけの立ち回り。クラウドは、一歩も動かない。

 左側面からの斬撃。

   ―――バスターソードを盾にして凌ぎ、続く一撃は許容する。

 右方上空からの切り抜け。

   ―――半歩引いて深々と傷跡を残すことだけを避ける。

 真正面からの払うような斬撃。

   ―――対抗するべく剣を振るい、しかし外す。


 何度目になるか。その剣が彼の身を穿ち貫き切り裂き続けた。
 しかしそれでも、“まだ動ける”。

 それは力量として上にある獄鳥が、本命である止めの一撃を撃っていないことの表れだ。
 故にクラウドはそれだけを待ち構えた。仕切り直すチャンスはそこしかない、と。

 であるに、ついに―――。

     、  ・・
「(来るか―――来い!)」


 やって来た背面狙いの突きに対して、クラウドは愚直な一手を選択した。
 クラウドは、背面狙いの一撃をかわさなかった。
 急所を避ける程度に留めて貫かれ、しかしその上で―――。



「―――おおおおおおォォォォォォッ!!!」


 ・・・・・・・・・・・・・・・
 突き刺さった刃をそのままにすることで、相手の機動力を殺した。
 殺した上で、反転して振り返り―――苦痛ごと押し殺すように吼え猛り、その手に携えた大剣を思いきり薙ぐ。

 薙ぎ払いと同時に生じたそれは剣風によって編まれた竜巻。
 至近距離のシュロウガを、どちらかと言えば相手を“吹き飛ばす”ように打ち込まれた暴風と、近距離からの重量を乗せた回転斬りの二段構えによる攻撃―――もうこれ以上の手傷は負えない現状で、それでも相手の剣を自分の身体に押し留めたことによる、確実性を増した肉斬骨断の一撃だった。
 つまるところ、彼に出来るのはカウンターだ。乱舞により疲弊した身体に鞭打ち、確実な一撃を打ち込めるタイミングはそうした“相手が攻撃の締めを狙う瞬間”しかありえない。それだけの博打をせねば攻撃すらままならない。

 だが、出来るならばやって見せねばならない。
 そうするだけの力があってこその、ソルジャーだ。


 ―――朧げだが、あの時。かつて、ひとりの堕ちた英雄と戦った自分が。
    致命の一撃を受けながらも、無我夢中で反撃したあの時のように。

    だが、それに至るまでに何があったのだったか。
    そこに思い至らないことに関しては、少なくとも“今は”考える余地はなかった。


>アサキム・ドーウィン


【少々遅れました。申し訳ない!】

4ヶ月前 No.94

エミヤオルタ @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_zRF

【枯れた大樹/廃校/エミヤ[オルタ]】


「……なるほどな、足元という手があったか」

 どこか関心したような、しかし意味ありげな口ぶりで、歌野の判断を称賛する。
 事実先の連撃は、徹底して回避の手を潰しにかかった技だ。それを二次元的発想を超えて、三次元的発想でいなしたことは、彼女が伊達に諏訪で孤軍奮闘した強者ではないというこれ以上ない証明だった。
 そして、それのみならず奇襲の形で頸を断つつもりだった双剣の挟撃も失敗に終わる。シュピーネは確かに重くないダメージを受けていたが、生きているということが問題だ。
 現状はまずい。予想した通り、戦闘の構図は完全に歌野とシュピーネの挟撃を受ける形で落ち着いてしまった。

「……ああ、参った。どうやら多少遊びが過ぎたようだ。
 オレも少し驚いている。無能共というのは訂正しようか」

 獲物を前にしたように嗤う赤蜘蛛へ、ロストマンはニヒルに笑い返しながらも微かに冷や汗を禁じえなかった。
 奇襲の銃撃も、大技による一撃も、すべて躱された。
 そうなると今度は数の差と、状況による不利が一気に負荷となって襲い掛かってくる。純粋な位階(レベル)の差で劣る黒い男にとって、それはあってはならぬ事態だった。


 ……無論、ただの諧謔である。
 そもそもこの男は、奇襲に失敗したからと決め手に勝負をかけて、駄目ならそのまま敗走する……そのような三流の暗殺者などでは断じてない。


 セイギノミカタ ナリソコナイ   、   ・・・・・・・・・、・・・・・・・・・
 ■■切■の息■であるこの男が、確実に勝てる戦以外、姿を現すわけがない。


 2対1という状況は、確かに数だけ見れば不利だろう。あくまで状況だけ見れば。
 しかしそれはあくまで数の差の話。彼らは先の戦いですでに消耗している。
 白鳥は黒い男の襲来からOS技を連続で使用している。通常戦闘で使うより消耗しているだろう。
 シュピーネなどは、まさしく獲物を捕らえた捕食者の目をしていながらも、その実態はこの場で最も戦闘不能に近い存在だ。彼が確認できる限り、二度もクリーンヒットを受けている。
 それに対して、この暗殺者は今のところダメージは軽微で、OS技も控えている。
 今この状況も、己が死ぬ可能性は想定しても、死ぬことは想像もしていない。

 故に挟撃する二人の連撃に対しても、その対応は素早かった。
 右から歌野へ圧迫するシュピーネの糸。そして、左方からは大振りでこちらへ致命打を画して放たれる歌野の鞭がうなる。
 それに対して、ロストマンは左の手に意識を集中させ、携えた銃の構造を再投影。瞬時に調整を加える。
 口径拡張、50インチ。
 装填機構をショートリコイルからガスオペレーションに規格変更。
   、  ダブルカラム  シングルカラム
 弾倉拡充、二列弾倉から一列弾倉へ。
 スライド      バレル チャンバー
 遊底の耐衝撃強化。銃身・薬室の耐熱加工、および密封性確保。
 リコイルショックの方向の調整、ウェイトバランスの微調整。
    、    、  、  カースドアーマードピアシング
 装填弾をタングステン合金仕様の対物呪装徹甲弾に変更。
 一瞬で、手持ちの拳銃を対大型魔獣用の象打ち銃へ規格変化(モデルチェンジ)させる。本来ならばA.M小銃に相当する大口径の弾丸は、常人なら掠めただけで肉塊に爆ぜる破壊力の権化だ。
 反撃の一手としては申し分なく……

「墓穴を掘る、とはこういうことだな。
 足元注意だ」
     、    ・・・・
 それを男は、白鳥の足元の床へ連射した。
 弾倉に込めた七発、そのすべてを高速のバースト射撃で白鳥本人でなく、その足元に向けて撃ち尽くす。
 ……既に一度ならず二度までも、この床は損傷を受け続けている。
 なれば、"床を撃てば、そこが崩れるのは道理であった。"
 この部屋の構造を"解析"し、それを崩す。元は■■■■がその端緒として習得した魔術の一式だ。最初の襲撃もそうだが、あらかじめこの建物の大まかな構造は解析している。とくに戦闘となる場の構造は、念入りに調べてあった。
 故に対物規格の弾丸で基部を撃ち抜けば、脆い床なら容易く落ちる。

 敵の得物は鞭であり、遠心力をつけるためにわざわざ大振りに振るわれた。挟撃で逃げ場を潰せると考えての大振りだろうが、今回はそれが仇となった。
 必然、長物を振るうのには足場が必須であり、まして遠心力に任せる以上軸足の踏ん張りがなくなればそれだけで力は拡散する。
 本人が崩したこともあり、この床自体が限界を迎えつつあったことも幸いした。相手に与えるダメージこそ小さく、無きに等しいものだろうが、ここで必要なのは敵の足止めだ。

 自由落下する間。及びに、復帰するまでに、数秒の間双方を分断できる。
 数秒。しかし、数秒あれば戦の趨勢はあっけなく変転する。
 右方から迫る蜘蛛糸を。しかし男は避けもしない。ただ右の銃を棄て……それこそ、鬱陶しげに蜘蛛の糸を掻き分けるように、それへ徒手を伸ばして三束纏めて掴み取った。自分から飛んでくる糸を掴むことは、然程難しいことではなかった。手を伸ばせば、すぐに届く。


「よくぞ乗ってくれたな道化。そのささやかな覚悟に免じて、念入りに潰してやる」


 スキル『防弾加工』によって表面を加工した手は、斬撃性能に長けた蜘蛛糸と擦れ合ってガリガリと歪な金属音を立てる。しかし、それでも指が落ちることはない。
 寧ろ万力のように、キリキリとその蜘蛛糸を手放すまいと握りしめている。

 ……先の一合、二合のうちの敵の反応から、敵の武器の性質が一種の触覚であることは理解していた。或いは、己と連動して損傷を受ける類の代物だったのか。
 この糸は、"千切られればその反動が敵に襲い掛かる"いわば諸刃の剣なのだろう。
 なればこそ切断されぬよう、敢えて得意の斬撃特化の細い糸を使わず、束ねて鞭として使用したわけだ。『殺す』と、確かに殺意を込めて振るわれたのは、そうした理由があるのだろう。

 確かに破られにくいように、丹念に撓め、束ねたのだろう。靭性もなかなかのものだ。
 だが、知ったことではない。
 質量の差が違えば、小手先の工夫など取るに足らない。格の差と、『剣』の生成に長けた英霊という二つの要素は、力押しで強引に理不尽を実現させられる。
 寧ろ力を集中させた分、その反動のダメージはこれまでの非ではあるまい。
 元より視認しがたく細い糸だ。その糸は百本か? 千本か? それらが、同時に切断される反動。それは、想像を絶するはずだ。

「小娘が戻ってくるまで数秒。耐えてみるか?
 存外に意思を強く持てば、生き延びられるかもしれんぞ」

 これまで無表情だった男が、獰猛に嗤ってみせる。
 嗤いながら、男は蜘蛛糸に、左の白刃を突き立てた。
 キリ、キリキリ、キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ
 キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ
 キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ。
 歪な金音が響く。研ぎ澄まされた剣が、工具で荒縄を切り千切るようにゴリゴリと削られる。
 だが逃さない。強く強く、万力のように掴んだ右手が離さない。掴んだ手を切り落とすのも、防弾加工で対策済みだ。
 男に何の躊躇もない。歌野が戻ってくるまでに、この糸の悉くを、その腐った心根諸共捩じ切る。ただ冷徹に、圧力をかけ続けるプレス機のように、無情に束ねた糸を千切らんとギリギリと力を加え続ける。

>白鳥歌野、シュピーネ

4ヶ月前 No.95

獄鎌イガリマ @cube☆PjfbxfTdjqg ★NOqfHWEYJo_yoD

 【ファランの森/龍結晶の地/暁切歌】

 手応えはあった。
 相手の反応よりも速く、狙い通りの前足の部位へと大鎌のアームドギアによる一閃を刻みつけることができた……が、その一撃は体表に生えた棘を抉り取るだけに終わる。
 相手の死角からの奇襲で痛手を負わせられなかったのは大きい。
 案の定、かの龍は切歌の存在へと感づき、滅尽の咆哮を轟かせ、周囲の大気、地面を鳴動させる。

 「ッ……、……の、脳天まで揺さぶられる程ダイナミック、デース……ッ!」

 当然、一撃で仕留める気すらあった大振りの一撃を放ったため、回避行動へと移る余地など無く。
 その咆哮に切歌は思わず両手で耳を塞ぎ、気を抜けば意識ごと持っていかれそうになる程のそれを受けてしまう。
 更に反響を待たず、鉄槌の如く振り下ろされる滅尽龍の爪腕の影が、切歌を覆い尽くす――。

 常人ならば死へと直結する一撃。
 特異な能力を備えた古龍種の中で、ただ暴力という一点に特化した種。純然たる暴威を以て他を圧倒する。それこそ滅尽龍を脅威足らしめる所以。

 「けどッ!! なんのぉこれしきぃ……ッ!!」

 咆哮に気圧され、身体を動かすことすらままならないこの状況で、しかし彼女は己を奮い立たせる。
 軋みを挙げる身体を物ともせず、切歌は再びアームドギアを握り締める。

 大きく振り被って――そしてネルギガンテの一撃を受け止める。
 が、純粋な力比べでは圧倒的にあちらに分があり、受け止めた衝撃は華奢な少女の身体を遥か後方へと吹き飛ばすには十分な威力。
 だが、肩部のパッドから4つの鎖を地面へと突き立て、地面を踏み込むことで、切歌はその衝撃を正面から受け止めた。

 そして、今が好機と言わんばかりに反撃へと移る。


 「 警告メロディー 死神を呼ぶ  絶望の夢Death〜13♪ 」


 高らかに歌唱を紡ぎ上げ、フォニックゲインを高めることでギアの出力を上げていく。
 結晶の生い茂る地に聞こえてくるのは死神の歌。


 「 今すぐに just saw now 痛む間もなく〜切り刻んであげましょう♪ 」


 切歌は受け止めたその場で跳躍。ネルギガンテとの距離は目と鼻の先だ。
 頭頂から数m超えた高度まで飛べば、意趣返しとネルギガンテの頭上から大鎌を横薙ぎに振るう。

  《 切・呪りeッTぉ 》

 鎌の先端が分裂し、振るわれた勢いで分離された刃が旋風を成し――その巨大な角を打ち砕かんと殺到する。

>ネルギガンテ
【此方こそー、どうかお相手のほど宜しくおねがいします】

4ヶ月前 No.96

ダイヤの戦士 @genmwhite ★z1C7w6TMOe_ncl

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4ヶ月前 No.97

牛若丸☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

【炎上都市冬木/山寺/牛若丸】

>ベートーヴェン

 戦場に音楽の出る幕などない。
 それが牛若丸の常識だった。
 せいぜい士気をいくらか高めるだけ。
 角笛をやかましく吹き鳴らすのと何も変わらない。
 その認識は今も変わっていない。牛若丸に音楽の素晴らしさを理解するだけの情緒はない。
 祝いの席で聞くならばまだしも、あくまで娯楽は娯楽。
 そう素晴らしいと持て囃すものとは思えない。しょせんは祭り囃子だ。しかし――。

「そうか――見事な信念だ。私が戦に生きたように、貴様は音に生きたのだな」

 “奏でる者”の生き様は侮れない。
 ベートーヴェンとの戦いを通じて牛若丸はひとつ学習した。
 致命傷を負って追い詰められても闘志を捨てないその姿を真似できる人間は戦場にもそういない。
 もう牛若丸はベートーヴェンを軽んじてはいなかった。
 分かり合えないポイントはあるが――彼という男の魂の気高さには敬意を払わねばならないだろう。

 足を掴まれ体幹を揺さぶられる。
 牛若丸はそれを払いのけようとはしなかった。
 揺られながらも目はベートーヴェンの流血した首を正確に見据えている。
 それから、牛若丸は薄緑を振り上げて――。

「――天晴れだルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。その名、覚えておこう」

 針の穴を縫うように正確な太刀筋で、ベートーヴェンの首筋へと振り下ろした。

4ヶ月前 No.98

ネルギガンテ☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

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4ヶ月前 No.99

ワーグナー @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【嵐の祭祀場/ウィンターホルン山の頂/ワーグナー】

天に座すワーグナーより放たれる火炎放射。
それはレーヴァテインを、万丈を焼き尽くす腹積もりで放ったはずであるのだが。

「神にも等しい我等に…死の屈辱を与えようというのか…!!」

飛翔したはずのワーグナーよりも高い位置にレーヴァテインはいた。大地が隆起し彼女をまるで天を突く山の頂に迎え入れるかのように大地はレーヴァテインの呼びかけに答えた。
レーヴァテインの得物より迸る雷撃がこの世界そのものを食らわんとするかの如く鳴動し、その刃はこちらに向けて跳躍したレーヴァテインと共にワーグナーへと迫り来る。

一方で万丈もまた天にいるワーグナーに迫る。こちらは文字通りワーグナーと同様に飛翔し、八つの溶岩で出来た龍を従えてワーグナーに襲いかかる。それらは万丈の足先へと収束して万丈の力となり、万丈に更なる力を与えて迫り来る。

上からはレーヴァテインの剣が、下からは万丈の蹴りが挟み撃ちの形でワーグナーの火炎を切り裂き抉りながら真っ直ぐにワーグナーへと迫った。

「ガッ…アアッ…!!」

剣と蹴りが、雷と溶岩がワーグナーを貫いた。ワーグナーの身体は力を失って大地に落下し、雪を盛大に巻き上げる。そんな中、ワーグナーは最期に残された力で眼を天の彼方に向けた。

「我が魂も…星座に帰る時か…」

ワーグナーの身体が光の粒子となって消滅する。ワーグナーという主を失った以上、じきにこのウィンターホルン山の頂も消滅するだろう。ここにデーモンは討ち果たされた。

THE DEMON WAS DESTROYED

【ワーグナー@オーディンスフィア レイヴスラシル、レーヴァテイン並びに万丈により討伐される】

>レーヴァテイン、万丈

【お相手ありがとうございましたー】

4ヶ月前 No.100

レーヴァテイン @tukuyomi07☆2nDyzvx51us ★3aNoMW8gGM_zRF

【 嵐の祭祀場→楔の神殿/ウィンターホルン山の頂→1Fエントランス/レーヴァテイン 】(SL:2→3)

 迸る稲妻、そして溢れ出す溶岩がついに魔竜を地に叩き落した。

「……ハァッ、ハァッ、……。……ふぅ」

 剣がワーグナーを穿つ。そして、万丈が放った蹴りがワーグナーへのトドメとなった。
 天墜し、雪を舞い上げ倒れ伏す。静かに天の彼方を見上げたワーグナーは、一言残し粒子となって消滅した。
 後に残るのは無色透明なソウルのみであった。

 それも、二人分。
 レーヴァテインと万丈への報酬となる。

「……」

 無言で一つを掴みあげる。
 そして、消えゆく雪山には興味もないと言わんばかりに後にしようとして、立ち止まった。

「……あんがと」

 顔を合わせることはしない。だが、その言葉には彼女なりの心からの感謝がこもっていた。
 同行者へ一言だけ礼を述べ、ソウルを捧げるべく神殿へと戻っていった。

>万丈 (ワーグナー)

【こちらこそ、お相手ありがとうございました〜】

※状況※
デーモンのソウルを使用(+2)
SL:2→3
Next:4

OS技
(変化なしのため省略)

4ヶ月前 No.101

アサキム・ドーウィン @genmwhite ★z1C7w6TMOe_ncl

【 腐れ谷/谷合の廃村/アサキム・ドーウィン 】

 「ならば──僕が君の嘘を暴こう!」

 アサキムは享笑する。
 黒神が唸る。
 かつて、彼の心の闇を覗いた知的好奇心は闇に飲まれた。アサキム・ドーウィンの抱える闇が、どれほどのものなのか。言うなれば、それは虚無と言っても差し支えないものだ。
 その虚無が生み出すのは、無限の牢獄。時を遅延させ、ゆっくりと生命体を滅ぼす混沌の海。深闇に沈んだ彼の心は、見るもの全てを虚ろにする、何もない暗黒が広がっている。
 その暗黒の中で、赤い双眸がただ、風が吹くのを待っているだけなのだ。

 「……!」

 乱舞の太刀を終わらせる一撃として放たれた、最後の突き。
 それがソルジャーに対して致命打となるか、ならないか。結果としては、ならなかった。だが、彼は貫かれた。
 そして、アサキムが貫かれた意味を理解したのに、時間は必要なかった。ソルジャーは愚直で、しかし確実な選択をした。この程度は、目的の為の致し方ない犠牲だと言わんばかりだ。肉を切らせて骨を断つ、か? いや、相手のダメージの量を考えれば、その逆かもしれない。
 いずれにせよ、ソルジャーの狙いと、判断が奏功したのは事実だ。

 黒神が止まる。止められた。
 ソルジャーの雄叫びが、黒鳥を響かせる。そして、彼の放った竜巻の如き暴風と、重さを上乗せした回転斬りはシュロウガを捉えた。
 見事、と言わんばかりに、シュロウガが吹き飛ばされる。アサキムは苦痛の声をあげなかったが、シュロウガの黒き装甲が切り裂かれ、血のようなものを吹き出させた。
 ……そう、血であった。

 ───最も長い一秒という空間が広がっていた。
 シュロウガの構えた魔王剣には、シュロウガ自身の血が刷り込まれている。血とは神秘の存在だ。生命体を生かし、存在させている、いわば動力とも言える血に、人は特別な感情を抱く。
 シュロウガが黒い神であり、そして堕落した存在ならば、人と同じくして血が流れているのだろう。その血を、魔王の剣に贄として捧げたのだ。ランブリング・ディスキャリバーは、確かに高速の剣技によって相手を追い詰める技だ。
 だが、それだけではない。剣に乗せた血を、乱舞の動きとともに相手の周囲に撒き散らし、魔法陣を形成する。攻撃と同時に仕掛けられた、ランブリング・ディスキャリバーの"締めの一撃"。
 血という命の源流を捧げた、黒き虚無の魔。現実と虚構が織り混ざった曖昧な存在たるシュロウガは、それを形成させた。

 吹き飛んだシュロウガは大地に強く叩きつけられる。だが、頭を擡げさせ、双眸はクラウドを見た。
 そして───手を、握りしめた。

 刹那。
 魔王剣ディスキャリバーによって、疾風の如く撒き散らされたシュロウガの"血"。それによって、クラウドを中心とするようにして構成された魔法陣が、妖艶な輝きを放った。
 巨大な二重円の内側の円に載る形で8つの小円が重なりながら並んでいるソレに流れる血が、産声をあげるように煌めいた。
 そして───

        ─────魔法陣が、輝きとともに魔力光の爆裂を生み出した。


 >クラウド・ストライフ

4ヶ月前 No.102

万丈だ @antinomie☆yzl4MFL1dRLB ★sLdIAtRTAq_zRF

【 嵐の祭祀場/ウィンターホルン山の頂→古竜の丘/万丈龍我(仮面ライダークローズマグマ→変身解除) 】

稲妻が落ち、ワーグナーを貫く。
突き上がる溶岩が、その顎ごと蹴り込んだ。

「ッ……しゃあっ!!!」

墜落するドラゴン。
力なく落ちるその姿は、この戦いの決着を意味しているように見えた。
地に伏し、雪を巻き上げる最期はその強大さを確かに示しており、万丈もまた己の推力を利用して地へと降りる。
視線を向ければ、天を射抜くように眼を上へ向けていたドラゴンは光の粒子となって消え去っていた。
まるで、最初からそこに居なかったように。いずれ崩れ去るであろう、雪山という痕跡と、世界を侵食するデーモンの強大なソウルのみを残して。

「……痛ぇ、……熱ッ!熱ッ……寒ぃ!!!」

クローズマグマの鎧を纏ったまま、確かに支配者であった竜のデモンズソウルを手中に収める。
と、同時。戦闘中のアドレナリンが切れたのか戦闘中に受けた傷と、その身に纏うマグマの熱を生身に感じ始めたようだ。わたわたと動き、慌てるままにベルトを外して変身を解除する。
すると、当然寒い。寒さを抑えるために動こうとすれば傷が痛み、悪循環だ。忙しなく動いている間に、少女は既にその場を後にしようとしている。

「てめっ、せめて名乗……」

去る背中に、いつもの調子で指を差しながら文句を口にしようとして、予想していなかった礼の言葉に思わず固まってしまう。
……改めて、いつか自分を導いたあの男や、別世界の戦士が言っていたことを思い出した。仮面ライダーの力は、自分のために使うのではないのだと。

「礼言うのはこっちだっつの。……まあ、こんな訳分かんねえ世界だ。また会うことくらいあるか」

倒れ込むように崩れ去ろうとしている世界の雪原に背を預け、ぼんやりと数秒だけ瞑目し、即座に起き上がる。
身体を休めるなら神殿にでも戻るべきだとも考えたが、それ以前の休息が欲しい。そう考えて、近場へと動きだした。

>(ワーグナー、レーヴァテイン)

【両名とも、お相手ありがとうございました〜】

※取得状況※
ソウル:『空の暴竜のソウル』(デモンズソウル)

4ヶ月前 No.103

乃木若葉 @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_BXv

【ソドム/Lobotomy Corporation/乃木若葉】

 大地に突き立った槍が床を崩す。チェイスの投擲が若葉へ向けられた槍を逸らした結果、彼女は辛うじて命冥加を得た。
 二度目にわたる崩落の中で、若葉は同盟者の男に信頼を寄せるよう笑みを浮かべる。

「ありがとう。貴方には助けられてばかりだ。
 そして……」

 じき、憑依した精霊の力が抜ける。元より限界を超えた力の酷使だ、限界が来るのも早い。
 しかし素の状態では若葉は言葉通り傷一つつけることができないだろう。そして敵の底はまだまだ知れない。

 必要となるのは二度目の精霊使役だ。
 精霊の行使に再度ソウルの力を発現させる必要がある。
 それも義経より強大な……神に匹敵する大魔縁となれば、その負担はすさまじいものとなる。
 そして身に宿したソウルが尽きかけ、使えるのは一合きり。一撃を放つのが精一杯だろう。それが終われば、もう指一本とて動かせなくなることは間違いない。
 使いどころは見極めなければならない。

 そうした中で、チェイスの提案は突破口になりうる手の一つだった。
 2秒。たったの2秒。しかし、この高速化した戦闘においては、数十合もの剣戟が飛び交うだろう、途方もなく長い2秒。
 その間、一人を欠いた状態で戦うということは、これまでギリギリのところで保っていた戦線を限りなく危険に晒す行いでもある。
 ――数秒あれば、戦線は容易く瓦解しうる。
 それを分からぬゲブラーでもない。次の迎撃は、それこそ嘘偽りなき殺し手に訴えてくるだろう。
 チェイスの提案は、ともすれば全滅のリスクと隣り合わせだった。
 だが……

「わかった。やれるだけのことはしてみせる
 ……異存はありませんか」

 ちらりとアルゴルへ視線を流し、同意を求める。
 今まで然して会話を挟むこともなかったが、ここからは二人での戦闘となる。最低でも方針のすり合わせぐらいは意思を疎通しておかねばならなかった。
 わずか2秒、されど2秒、その間隙を埋めるためには、確かな連携をとるのは必須条件だといえる。
 それに何より、己がすでにOS技の行使で消耗している以上、頼れるのはアルゴルだ。魔人めいて威圧感を誇る彼の魔剣/聖剣の力を借りる時が来た。

 そして若葉は正眼の構えでゲブラーに相対する。瓦礫の中から新たな武器を引き抜いて、今も尚たぎる殺意を振りまいてこちらへ嚇怒の視線を向けてくる。
 若葉は、彼女のことを知らない。壮絶な過去も負った業の深さも、若葉は何も知らない。
 それでも、彼女と向き合う意思が失われることはなかった。
 だってその姿を知っている。
 己はすべてをなくしたと、嘆きながら武器を奮った彼女のことを。
 誰より人間らしく、何度も争いになったあの少女を。
 嫌い、憎むのと同じぐらい憧れて、同じぐらい好きだったと、今際の際に言ってくれた、大切な友達のことを。

「ならば……その寝ぼけた目を叩き起こしてやる」

 説教するわけではない。寧ろ、ずっと人に教わってきた未熟者だ。他者に言説を垂れて、教えを説くことなど到底できやしない。
 だから、せめて正面から向き合う。
 放たれる殺意に、もう恐れはない。

「私が先陣を切ります、合わせてください!」

 アルゴルに一言告げ、若葉は正眼の構えから吶喊した。
 直線的な動きでは見切られる。だが、義経は剣技の妙を司る精霊。鬼一法眼に授かりし天狗の剣法、その技は対人戦闘において冴えを見せる。
 アルゴルの追撃をちらつかせる形で接近。牽制のフェイントをかけて、八艘飛びの剣戟を放つ。
 こちらの攻撃は敵の動きを止められないが、先の先の機をとることでアルゴルに向けての迎撃の一手を潰しにかかることができる。そして敢えてアルゴルより優先して此方へ攻めの手を向けてきた場合は、アルゴルに対して致命的に隙を露呈することとなる。
 一旦退いて回避に徹すれば、此方の攻撃が空ぶったとしてもチェイスの時間稼ぎという目的は達成できる。
 この戦術が通じるかどうかは、次のアルゴルの技にかかっているだろう。
>ゲブラー、チェイス、アルゴル

4ヶ月前 No.104

『闇、その向こう』 @akuta ★Android=8Sr3SxYeQ0

【炎上都市冬木/山寺/ベートーヴェン】

 バイオリンとピアノがけたたましく競い合う音色が聞こえた気がする。
 はじまりの奏鳴曲が相応しいであろうこの場面に、牛若丸の言葉に満足気そうに目を閉じて薄く口角を上げるベートーヴェン。
 結局。誓約は果たせなかったが、牛若丸の試練は打ち勝っただけはよしとしよう。
 それだけでも満足だ。
 楽聖の生まれ変わりと感じ取った同名の人造人間に、ギロチンが降ろされる。
 脳内に浮かぶのは、ぼんやりとベットに寝込む壮年の過去の己。
 何を言っているかはよくわからないが、懸命さだけは伝わってくる黒髪に近い焦げ茶のもじゃもじゃ頭の眼鏡を掛けた青年が、手を取り悲しそうに己を見ている映像が迸る。
(……シューベルト君にとって、本当に気の毒な最期だな)
 前も思ったが元の世界で、ベートーヴェンの死を一番悲しみそうなのは他でもない、歌曲の王フランツ・シューベルト。
 今頃、後追い自殺騒動で音羽館の皆に止められているのだろうか。
 先輩はここにはいないと、慟哭するに違いない。見舞いに来て死に別れた後、クラシカロイドとして再び巡り会えたのだから。
 皮肉なものだ、過去も現在も己が先立ってしまったのもシューベルトにとっては運命なのだろうか。
 ひゅん。
 沙羅双樹の花の色、無常とはこの事である。
 正確に捉えられた太刀筋で頭は宙を舞い飛び、赤い花を咲かせると残った体は炎に赤く包まれたソウルに変換される。
 ベートーヴェンの台詞通り、そのソウルの形は芸術の原動力として焚べるが如く赤く煌々(こうこう)と輝いていた。
 この町を焼き付かさんとする火焔と同化しそうなぐらい、燃えていた。
 私から俺に生まれ変わったソウルはきっと、旅人の道しるべになろう。

 "演奏は叶わずとも、曲を作り世に残す事ができる"

 実兄の政敵となり北へ逃亡し、非業の死を迎えた彼女に武運あれ。
>牛若丸
【短い間でしたがお相手感謝です。
……惜しい人物を亡くしてしまった】

4ヶ月前 No.105

チェイス @ask2 ★iPhone=P9oxZSYDmV

【アサイラム/学堂/ザック】

 >all

 重い扉を押し開けると同時、澱んだ空気が押し寄せてきた。湿り気を帯び、濁った空気だ。その澱みは妄執であり、その濁りは狂信であった。
 もはや慣れたものだった。死臭にも似たそれは、この世界のそこかしこに染みついていたからだ。
 周囲に視線を巡らせる。――アサイラム、学堂。黒板と教壇、部屋の奥に向かって椅子が並ぶ様は、大学の講義室を連想させた。
 事実、そういう用途のために建てられた施設なのだろう。ここに来るまでに物々しい本棚の列や実験器具らしきものが至る所に置かれているのをザックは目にしている。

「ソウルを求めよ……か。結局は自分が生き返るために他人を蹴落とせってことだよな……」

 教壇へ寄りかかりつつ、ぼやくように呟く。
 迷いはあった。だが同時に、いざとなれば自然と戦えるのだろうという確信もしていた。
 まだ死ねないという想いは当然あった。遺してきたものは惜しく、受け継いだものは重い。何より乗り越えた戦いの大きさが、挫ける余地をなくしていた。

「ま、なるようにしかならないか」

 ザックに許された選択肢は少なく、今はまだ状況に身を任せるしかない。敵が来れば迎え撃ち、困っている人がいれば助ける。
 どちらにせよ見つけなければ始まらないので、この建物から移動することも視野に入れつつ、しばしの小休止に移った。

4ヶ月前 No.106

シュピーネさん @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【枯れた大樹/廃校/ロート・シュピーネ】


「お褒めに与り恐縮ですねぇ」


 ………赤蜘蛛には、二つほど見落としがあった。

 ひとつは取り返しのつく見落とし。
 ひとつは致命的な、取り返しのつかない見落としだ。
 最悪を避け、状況を調整し、立ち回りに重心を乗せて来たシュピーネだが、しかしその実態として、“ジリ貧”という言葉が彼を取り巻く状況に最も当てはまるものであったことには疑いの余地はない。
 現れた“狂戦士”―――無銘の男、朽ちた歯車はそれこそシュピーネの計算を□き乱すジョーカーだったが、それと同時に袋小路に追い込まれた自分の状況を零に戻すという意味でのジョーカーでもあった。事実、シュピーネはこの場の人間すべての中で最も弱い。聖遺物の使徒として、魔人として、その類稀なる武力を行使し生殺与奪を握って来た赤蜘蛛が、しかしこの状況ではそんな前提などまるで役にも立ちはしていない。

 何故なら。

 ロート・シュピーネと他二名―――白鳥歌野とエミヤのオルタナティブには。
 ソウルという意味において、徹底的な格差がある。

 位階にして一つの隔たり。それだけだが、しかしそれほども、だ。
 シュピーネが最善でなくとも次善の立ち回りをしなければ即死もかくやの状況であり、彼は歌野という少女をこの時点で即座に見切って利用することを思いついていた。この期に及んで他者の命を気遣う彼女ならば、まず自分が死亡するという最悪のケースだけは避けることが出来たからだ。
 そして、事実そのようになった。あの狂戦士の猛攻を凌ぎ―――現状、最も大きなダメージを受けているのが他でもないシュピーネであるという状況でありながら、彼女は明確に行動のターゲットを彼方に移している。背にシュピーネが居るという状況で、此方への注意を一切払わない。

 綱渡りと言えば綱渡りだ。
 ・・・
 もしも歌野が振り向いて此方を攻撃すれば。
 彼女に余力があり、あの狂戦士への止めを邪魔するならば。
 彼女が戦闘終了後、此方の撃破を考慮するならば―――あの御しやすい善性が演技ならば。

 シュピーネの計画と行動はすべてが水泡に帰す。帰してしまう。
 薄氷を踏むが如く道を歩む中で、シュピーネが奈落に真っ逆さまとなっていないのは偏に彼の読みが的中しているからこそだ。あの狂戦士が諧謔を口にする余裕さえある中で、シュピーネにはそうするしか生存の手段がない。正確には、そうしなければこの場でソウルを独り占めし、漁夫の利を得る手段がないとも言えた。

 ………此処までは、良かった。

    戦争の基本はなにしろ数なのだ。
    その利と優位が自分の掌にある以上、シュピーネの足場は揺るがなかった。


 ―――問題は、次だ。
    相手の取った行動ひとつが、その揺るがない足場を完膚なきまでに粉砕した。

 そもそも。シュピーネがあそこまで露骨に大振りに出たのは、ただ一つの理由しかない。
 それは偏に、エミヤが持っている後退と跳躍の退路を消すためだ。
 前進し、比較するとそれなり以上にダメージを受けたシュピーネの元以外の逃げ道を無くす必要がある―――その上で、万が一のリスクを避けるために、彼は鋼線を束ねて運用した。ダメージのフィードバックだけは如何ともし難く、聖遺物は魂と密接に結合されているが故に破壊は即ち死をイコールとする。
 その上で、シュピーネは必殺の罠を貼っていた。………歌野に戦闘開始前に仕掛けたものと全く同じ仕込みだ。もちろん、一部の箇所に限り、山を張り。万が一があっても破壊されないような、十全な仕込みの元に捕縛用の罠を用意していた。捉えたのならば如何なる相手も脱出できない赤蜘蛛の牢獄、蜘蛛糸を手繰り寄せるための準備は万端だった。

  、 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・
 ―――シュピーネの失敗のひとつは、これだ。

 何故なら。
 白鳥歌野は確かに、騙し化かし、裏の読み合いと言った“対人”の性質はない。
 だから此処まで状況が嵌り、だから明らかに格上の彼女と対抗することが出来たのだ。

 ………だが。この狂戦士―――エミヤ・オルタに関して語るならば。
 彼はプロだ。淡々と作業機械のようにオーダーを完遂し、オートメーションで殺戮をやって退ける。シュピーネと違って獲物を嬲る経験こそなかろうが、そんな必要など最初からない。
 すなわち、戦いの場において彼方は完全にシュピーネより対人経験がある。
 それ自体はシュピーネも理解していたことだったのだ、だから気付くべきだった―――。


 ―――既に床が脆くなっていることを自分が見抜いていたのならば。

    それを、相手が気付かないという理屈などない。


「―――何ィ………ッ!?」


 そのツケが、此処で訪れた。
 床が破壊される。歌野の立つ部分だけが―――幸いにも“そこ”は自分がトラップを仕掛けた地点ではないが―――崩れ、彼女をほんの数秒だが戦場から離脱させる。あまりにも呆気なく、しかし造作もなく。
 たった数秒だ。だが、その数秒だけでも前衛《フォワード》に誘導していた彼女が消えたことにより、正面に立つのはシュピーネ一人………この向かい合う状況とは、即ち彼にとって明確な死線でもあった。思い描いていた流れは、あくまでも歌野の存在あってこそだ。虎の威を借らねば蜘蛛が虎を狩ることは出来ないのだから。


「(ぬかった………!)」
「ですが―――!」

 なにより、もう振った鋼線は止められぬ。
 かくなる上はシュピーネがその鋼線でエミヤを捕らえるより他にない。
 これが寸断される可能性はない―――数本数本だけで仕掛けるならばいざ知らず、高速で動く束ねられたワイヤーはそう易々と両断も破壊もされない。シュピーネの聖遺物はそもそもからして捕縛に特化したものであり、この状況からでも人体一つ容易く繭のような物体に変えるだけの余地はある。


 ………これこそが、シュピーネの“取り返しのつかない”最大の慢心にしてミスだった。
    彼は自分の聖遺物が破壊されないように最大限の注意を払ったのだ。そこは間違いがない。

    間違いはないが、しかし―――。


「―――な」

    、  チェックメイト
 この瞬間に、彼の詰みは確定した。
 捕食者と被捕食者が、ほんの数秒を待つことなく逆転した。

 シュピーネの振るったワルシャワの絞殺縄。それが、素手で掴み取られた。
 張り付けられたかのように一切鋼線が動かない―――どころか、むしろ彼方が手放すまいとしているが故に、シュピーネがそれを手放したところでなんの意味も持たないだろうことはすぐに想像できた。
 ………想像できたからこそ、シュピーネの表情と“狩人”の表情は対照的なものだったのだ。

 その時に、赤蜘蛛は思い出した。

 獰猛なその表情、あざ笑うような目つき。
 そして、その奥底に込められた狂気とも呼べぬ何かを見た時に。
 ・・・・・・・・
 あの城の怪物たちに覚えていた感情を、ようやっと思い出した。


「(乗せられていたのは、私―――)」
「―――あ”ァッ、………! ぎ、がッ―――」

 ―――それが彼に与えられた残りの時間で。
    彼を激痛と崩壊が襲ったのは、それからすぐのことだった。


「―――ぎぃ、あああああああッ!」

 聖遺物を破壊されれば、その使い手も砕け散る。
 千々に断たれ始める鋼線に合わせて、彼の全身あらゆる個所から血が噴き出した。黒い軍服が真紅に染まるに数秒どころか1秒と掛からぬ、人体で考えるなら出血多量どころの騒ぎではない。

 ………そう。自分自身が、何より口にしていたことではないか。

    どう転ぶか分からないものをひっくり返すのが、戦略であり状況。
    厳然な実力差により均衡が掛け離れている場所で、そうしたものは意味を為さぬのだ、と。

 シュピーネの聖遺物は確かに堅牢だ。彼の性格通りに防御の型としては十分すぎる。
 しかし、

「どッ―――どうして、私の聖遺物が―――」

 少しずつだ。少しずつだが、突き立てられた白刃がその糸を切り捌いていく。
 それはソウルの格差という、無慈悲なれど覆せない事実によって産み落とされた結末だった。

 引き剥がそうとして、しかし動かない。
 もう片方の腕を堪らず振り翳そうとして、その鋼線はエミヤを狙う。
 今度は、もはやなりふり構わぬ切断のための細い糸だが―――しかし。
 そもそもエミヤの行動を理解したシュピーネの取った行動は、その処刑刀《ギロチン》から逃げ出さんとする逃亡だ。それを行うための糸も、仮に命中したところで彼の動きを止められたかは怪しい。

 ―――否、止められない。
    もう、既知の結末は変えられない。




  ―――まずは、一本。飛んで十本。

 「(バカな、何故だ―――)」

      、     、      、      、    「(また殺されるのか?)」

  ―――百を超えるに1秒と掛からぬ。
     そして、それが切り落とされる度にシュピーネの腕が、足が、身体が、痙攣する。

   、  、   、   、  「(見誤っていた? 彼女を狙うべきではなかった?)」



      、   、  「(こんなことがあってたまるものか!)」


        、     、   「(おのれ、許さんぞ―――狂人め、怪物め!)」


、  、「(嫌だ、死にたくない、私はこんなところで―――)」

  ―――束ねられた数千本、その半分が解体され始めた。
     噴き出す鮮血は床に血だまりを作り、崩落した床を伝って下の階へと浸透する。

   、   、  「(止まらない―――止まらない!)」



    、    、   、 「(嗚呼、何故、何故、何故何故何故)」


  ―――残り、百本。
     シュピーネの振った左腕が一気に弱弱しくなり、加速を失う。

    、   、    「(痛い、痛い、痛い)」
   、   「(どうして)」


    、   、   、   、  「(ああ、あああああァ―――)」


  ―――残り、一本。
     微かな蜘蛛の糸を護るべく、シュピーネはその力を振り絞って引き剥がそうとし。

     、  、 「(こっ、こんな損失―――)」
   「―――あ、が」



     、      、    、    、  「(こんな、―――取り返しが―――)」


   、   、  「(―――つかな、い―――)」


  ―――残り、零本。
     引っ張るように加えた力によって、糸がプツンと千切れた。

  ………蜘蛛の糸に縋る罪人が地獄に落ちるように。
     シュピーネの肉体は崩壊した。あっけなく、感慨もなく。
     聖遺物の完全破壊による肉体と魂の崩壊によって、彼はまずここで死を迎えた。



  そこには、赤蜘蛛の存在を証明するためのソウルがふわりと浮かんでいた。



>白鳥歌野、エミヤオルタ


【ルール通り『赤蜘蛛のソウル』をこの場に不法投棄します。
 歌野、エミヤ、どちらが取るのかは今後の流れにお任せします】

【ともかくお相手ありがとうございました、最後に時間が掛かって申し訳ないm(._.)m】

4ヶ月前 No.107

クラウド @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_8gk

【腐れ谷/谷合の廃村/クラウド・ストライフ】

 それはまさしく会心だった、とさえ言えるだろう。
 クラウド・ストライフが乾坤一擲の心境で臨んだカウンターの一撃は、外せばその時点で一気に敗北/死という結末に捻じ込まれる大博打でもあった。か細い糸を針穴に通すような勝負でもあった。
 それは戦いのカンというものではない。クラウドのそれは、決して自棄ではないが戦闘巧者の行うべきものではなかった。ソルジャーの身体能力とスペックであるならば、―――例えば《マテリア》を介した補助魔法などで状況を仕切り直す、跳躍しての白兵戦に持ち込み、前述したような一手二手の遅れを感じさせない高速で攻め立てる、そうした手段が幾らでもあったはずであるし。そもそも、このような劣勢の中で活路を見出すような戦いにはなっていない。

 彼の言葉は紛れもなく酔うようでいて、しかし確信を捉えていた。
 一流の戦士と呼ぶには、クラウドは紛れもなく、ちぐはぐで継ぎ接ぎだらけなのだ。
 その勝負どころで仕掛ける一手には確かに鋭さとしなやかさがあったが、しかし………それを発揮せざるを得ない状況を作っているのも彼だ。こればかりは相対する獄鳥の戦闘経験の豊富さと戦闘能力を引き合いに出すべきかも知れないが、ともかく、クラウドは肉斬骨断と呼ばざるを得ないような起死回生を狙うことでしか活路を見出せなかった。

 だからこそ、それは外さなかった。
 致命のみを避け、剣を振るう腕に力を籠めた渾身の一打。

 時間すら止まったかのような感覚さえも、そこにあった。

 まさしく直撃《クリティカルヒット》と呼ぶべき斬撃は、確かにアサキム・ドーウィンを捉えていた―――黒き装甲にとうとう傷どころか亀裂を生み出させ、その内側から良く知る赤い液体を放出させていた。

「(中身は、やはりヒトか)」

 ………それは、言の葉を編む時点で見なくとも分かっていたことだが。シュロウガという黒鎧の獄鳥の中身には、紛れもない人間がいるという事実でもあった。
 黒き獄鳥はそれでも退く様子を見せない。当然と言えば、当然ではある………クラウドは自分の視界を覆った血を一度ぬぐい、その両手に剣をしっかりと握りしめたまま、奥に居たそれを見据え―――。


 ―――違和感に、気が付いた。


「(おかしい、何を、待っている―――)」

 ・・・・・・・
 仕掛けてこない。
 あれだけの速度で先程斬撃を仕掛けて来たシュロウガが、この瞬間に至って何もしてこない。双眸だけが此方を眺め、モノもイロも宿さない鋼鉄のカメラアイが射貫くような視線だけを寄越してきている。
 そこに小さな違和感を覚えたクラウドは、瞬時にそれをカタチにした。
 鮮血を散らせたシュロウガの機体が、その掌を握りしめたその瞬間に? ―――違う。


「―――ッ!」

 自分を包囲するように、そこに魔法陣が刻まれていたことに気が付いた瞬間だった。
 天の獄が、捧げられた供物にそっくりの色合いをした赤い方陣が―――己を捉えていると気付いた瞬間、クラウドは即座に自身の保有していた《マテリア》を起動させた。時間が惜しいが故に、死の危険を訴える自分の直感にすべてをベットした。………その思いきりの良さは、不幸中の幸いであるとも言えた。

  クラウドが起動させたのは《敵の技》の《マテリア》だ。
  それは攻撃の用途ではなく、自身への複数に及ぶ多重防御として機能した。

 マイティガードと呼ばれる複合防御魔法。
 ―――自身の持つ中では最大の防御能力を持つその魔法を惜しげもなく行使し。
    魔王剣が示した失墜の未来への、最大限の抵抗を選び取った。


 光が、一瞬で収束し、拡散する。


「………づ、ォ………ッ!」

 その爆風に弾き飛ばされるようにして、クラウドは廃村の家屋の一つに激突する。
 対衝撃・対魔法・対熱量………大抵の攻撃に対する中和と防護機能を持つ魔法だが、それを以てしても、クラウドの身体にランブリング・ディスキャリバーの一撃は致命ギリギリの破壊力を叩き込んでいた。
 勘付いただけでも運がいい。クラウドは血の混じった痰を吐き捨てると、激突した家屋の空いた穴より手を翳し―――即座に他の《マテリア》を行使する。それはある種の、またしても“賭け”ではあった。


「(コイツが何を言っているのかは、もう分かる)」
「(とんだ輩に目をつけられたもんだ。………だが、だからこそ―――)」

  夢だの嘘だの、そうした部分までは分かったものじゃあないが。
  これが“旅人”というカテゴリに興味を抱き、刈ろうとしているのは事実だ。

  クラウドには、ひとつの疑問があった。
  その疑問を晴らすためにも、此処で死ぬことを許容することは出来なかった。

  ………執念深く、されど何処か飽いて乾いた黒焔の狩人を―――討たねばならなかった。


「(―――終われるか!)」
「………飛べ!」

 そのための、一点賭けだった。
 翳した掌から複数に別れた火球が飛ぶ―――炎を宿した《マテリア》を起動して行使し、そして放った上級炎魔法《ファイガ》の一撃だ。数にして9発の追尾する炎弾は、廃屋を一度焔の灯で照らすと、暗闇の中を切り裂くようにシュロウガへと襲い掛かるだろう………ただし、わざわざアサキムの頭上を取り、空に飛ぶのを阻害するかのようにして、だ。
 それを撃つと、クラウドは廃屋を飛び出し、即座に距離を取った。詰めるのではなく、距離を取ったのだ。先程までの開けていた場所から、来ていた細い道を戻るように。傷だらけの身体を動かして、一切の迷いもなく。

 あくまでもクラウドの火力はバスターソードありきのものだ。
 それが上位の魔法であると言っても、“それ”で仕留められるとは思っていない。
 そんなことは本人が、一番、誰よりもよく分かっている。

 ―――あとは、相手がこれをどう取るのか、だった。

>アサキム・ドーウィン

4ヶ月前 No.108

衛宮士郎 @trifas ★51ct67nR08_8gk

【深みの墓地街/ワルシャワ蜂起戦線】

>ヴィルヘルム・エーレンブルグ

どうやらこの世界は壊れている――――
俄には信じがたい話。いわゆる御伽噺の中にでも吸い込まれたような、異次元的な戦場が此処には放り込まれているようだ。
デモンズソウル。簡単に言えば魔物を打ち倒し、獲られる対価(たましい)を神殿に納める。それが今明確となっている目的。
己の魂を蘇らせる為に、否が応でも課せられた、目的であり試練だ。
あまり幸運なこととは言えないだろう。
        ・・・・・・・・・・
なぜならそれは、やらねばならないことだからだ。
それが嫌ならばただ自滅を待つ。自由など一切ない。はなから強制された内容。
正直呆れ果てたとも。諦観し、神殿で呆ける連中の気持ちもわからなくはない。

だが――なにがなんでもこの世界を守らねばならない。その為に手段など選んでいられるものか。
ある節自分勝手なその想いには、少なからずの正義を感じた。

だからこの男―――衛宮士郎は動くことを選ぶ。
己がかつて抱いた信念を、そして今ある信念を、確かめる為に。

「これはまた……」

そうして、最初に訪れた場所は墓地だ。
元は魂の納められる神聖であっただろう場所も、今は崩れ果て不吉な赤い月が空に浮かんでいる。
深い霧や砕けた瓦礫が宙を舞い、そこにあったほとんどが原型を保てていない。
その原因は――――まず間違いなく、アイツ。

「おい、そこのお前。」

少し見ればわかる。人間離れした体格に、人間離れした力。破壊に喜びさえ感じている姿。

        ・・
「お前が俺たちの宿敵ってことで―――いいんだよな?」

4ヶ月前 No.109

獄鎌イガリマ @cube☆PjfbxfTdjqg ★NOqfHWEYJo_yoD

 【ファランの森/龍結晶の地/暁切歌】

 すたん――と、地面へと着地。
 直ぐに後方へと跳躍し、ネルギガンテと距離を置く。

 頭上から放った大鎌の斬撃はネルギガンテの巨角へと命中したが――あの頑強さを崩すにはまだ威力が足りなかった。
 改めて、デーモンが如何に強大な存在であるかを理解させられる。
 しかし、相手は全く傷つけられない敵ではない。
 初撃で前足の棘を刳り、浅くとも血肉を切り裂くことはできた。
 着実にダメージは与えられていることを確信した切歌は、滾る殺意を向けるネルギガンテにも動じることなく、攻撃の手を緩めない。

 そして、その闘志に呼応するかのように――此処にまた新たに姿を現した乱入者が一直線にエネルギー弾を乱れ撃ち、牽制する。

 「だ、誰デスッ――!?」

 仮面ライダー。独特な装甲に身を包む戦士。
 敵か、味方か。そして何者なのか? 気になることが次々に思い浮かぶ最中。
 さも切歌を援護するように放たれたそれらは表面の棘を尽く粉砕していくが、忽ちに修復されていく。

 「―――って、直ぐに再生したデスよ!? なんなんデスか、アレ!! 卑怯デスッ!!」

 などと、乱入者たる仮面ライダーへ訴えかける。
 年頃の少女なだけに、緊迫した戦地であれ思うことはそのまま口する。
 が――、相手は破壊を齎すデーモンであり、暴威の体現者。
 そんな二人のやり取りなど意に介することなく、その周囲に棘を撒き散らし、仮面ライダーギャレン……橘目掛けて驀進する。

 「わわわわ……っ!! そっち来てるデスよ!! って、こっちにも棘が沢山……ッ!!」

 迫り来るは棘の豪雨。
 踏み込めば、大鎌を回転させ、前方へとそれを突き出し、自身に迫る棘を弾き飛ばしていく。


 「キラービートMAX ボリュームフルテン 脳髄の隅まで、……教えるDeat……h! 断頭の音階 背筋も凍る 冥府のマスカレード〜♪」


 歌唱を紡ぎ、出力を上げていく。
 それでも乱れ飛ぶ棘の破片が、切歌の肩部、足、腕の至る箇所へと切り傷を刻んでいく。
 痛みにも負けず、彼女は歌唱を続ける――。


 「交錯してく 刃の音が 何故か切ないラプソディーに♪ 籠の中から 救ってあげる 両断のクチヅケで♪」


 スラスターによる推力で一気に突進するネルギガンテへと距離を詰めていく。
 横合いから割り込むように大鎌を大きく振り被って、前回狙ったネルギガンテの前足へともう一度、同じ箇所目掛けて死神の一閃を見舞わせる。

>ネルギガンテ、橘朔也

4ヶ月前 No.110

牛若丸☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

【炎上都市冬木/山寺/牛若丸】

>ベートーヴェン

 額からこぼれた血を拭って牛若丸は薄緑を納刀する。
 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。最終的に勝ちはしたが侮れない相手だった――心の底からそう思う。
 この世界には多くの亡者がさ迷っている。
 牛若丸にとって彼らは“倒すべき敵”だが、“倒されるための敵”ではないと彼女の中の認識は改められた。
 皆が譲れない願いや思いを、ソウルを抱えて戦っている。だからこそ楽な戦いには期待できない。慢心すればいかに牛若丸とて未来はひとつだ。

「まずはひとつ。――まだまだ先は長いな」

 「デモンズソウル」と比べると一個の重みは小さいが一歩は一歩だ。
 あと、これを一体何度繰り返せばよいのか。
 戦の天才であり、人の心を持たない牛若丸でなければ考えただけで心が折れそうになることだろう。
 それほどまでに道のりは長い。だが、やらねばならない。自分の生まれた意味を果たすため、ソウルを集めねば――。

「……さらばだ」

 引導を渡した楽聖に一言そう手向け、牛若丸は山寺の前から姿を消した。

【いえいえこちらこそありがとうございました!偉大な楽聖と戦えて光栄でした。】
【ソウルをゲットしましたがレベルアップは出来なそうなので、今後レベルアップするときにまとめて記入させていただきます。】

4ヶ月前 No.111

スーパーキング @mistnack ★4m7sbU3c8n_ACu

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3ヶ月前 No.112

アサキム・ドーウィン @genmwhite ★z1C7w6TMOe_ncl

【 腐れ谷/谷合の廃村/アサキム・ドーウィン 】

 曰く、無限の力が世界には存在しているという。
 しばしば、"アカシックレコード"の名で語られ、知的生命体の意志集合体であるとともに、"運命"そのものでもあるとされてる。一つの世界を思いのままに操るのみならず、並行世界・異次元・異世界にさえも影響を及ぼす正真正銘の"神の力"。
 風を咏い、巨人の闇から混沌に満ちた世界を駆け抜けた機神。幾多の破界と再世を経て受け継がれる知的生命体の情報を取り込み、悪魔へと変貌した不死鳥。夢を見る十二の鍵に導かれ、その翼が、この深淵の世界に舞い降りたのは、果たして偶然か必然か。

 寧ろ。
 アカシックレコードへ接続できる機神にとって偶然は存在せず、全てが必然なのかもしれない。
 黒鳥の知識欲は夢を超越し、偽りを纏い、尽きぬ力を求め続ける。その内に存在する、黒き異邦者もまた、己が無限の獄に囚われた罪人であるとし、その死を求めんが故に進む。それが神の見る夢であるとも気づかず、異邦者は世界を蹂躙し続けてきた。ただ、己の消滅のためだけに───……。


 「──堕ちてみれば心地の良いものだけど、君は抵抗を選び取ったか」

 ランブリング・ディスキャリバーという一つの喜劇の終幕。血を捧げた闇の爆裂は、クラウドを完全に滅ぼすにまでは至らなかった。
 具体的には、彼が爆裂の瞬間に防護壁を展開したことにより、即死級であった爆裂を、死なない程度にまで軽減したのだ。堕落の運命に抵抗の意思を示し、そして無限力の指し示す未来は彼を生かす選択をとった。
 火花と血液が散り、黒い神は暫く動かないままだった。クラウドの血と、自らの血が付着し、混じり合った魔王の剣を振るい、その血を汚濁の大地へと流し込むようにして捨てる。新しい風は通り抜け、道がそこに生まれた。シュロウガの見つめるものは、クラウドの運命、夢、未来───その先を、垣間見た。
 その虚無を照らす光が、自身と相容れぬものであると知り、アサキム・ドーウィンは静かに目を閉じた。

 閃光(ひかり)放ち、暗黒(やみ)を切り裂いたものがあった。
 ……炎だ。クラウドの翳した掌から放たれた9発のソレ。さながらヒュドラのように迫る。
 だが、アサキムは神話の英雄ではない。その首を切り落とし、討ち取り、名声を獲得するわけでもない。紫電とともに解き放たれたトラジック・ジェノサイダーが螺旋を描きながら火球へと向かう。相殺するように直撃し、爆裂し、その身を散らしてゆく。渇望するようにシュロウガは浮き、クラウドを追跡せんとする。
 ……しかし、撃ち漏らした幾つかの火球はシュロウガを焼いていた。その一部が、クラウドが切り裂いた亀裂へと突っ込んでいった。

 激痛。
 だが、アサキムは笑った。虚無を焼く炎があるものかと。あるのだとすれば、それは自分の無限の罪を贖う煉獄の炎だけだと。次元の力の奔流の中でシュロウガが翼を羽ばたかせ、空を駆ける。逃さない。逃さない。逃がすつもりもない。正真正銘、これが最後の一撃。
 これで狩ることが出来なければ、素直に"この場"での狩猟を諦めるだけだ。自分を殺せる存在であるならば、それを恋い焦がれるように追い求める。

 「君の眼と心を射る……!」

 羽を燃え散らしながら、シュロウガがクラウドの背後から迫る。
 その額から放たれるのは、最初に放たれたものと同じ"邪眼の光"たるラスターエッジ。手負いの獣を殺すには、それだけで充分だと判断したのか、それとも。

 >クラウド・ストライフ
 【遅くなって申し訳ありません】

3ヶ月前 No.113

アルゴル @evil☆wlNTvj.bQ62 ★Android=c1E0DIQTEq

【ソドム/Lobotomy Corporation/アルゴル】

若葉、チェイス、そしてアルゴルの猛攻がデーモンを襲い、その身体を蹂躙する。デーモンの力は強大でこそあれ肉体の強度自体はさして特筆するほどでもないのかもしれない。

だがしかし、それでもデーモンは立ち上がる。アルゴルは構えを解かず、デーモンが如何なる行動を取っても問題ないよう備える。

デーモンは怒りと憎悪が込められた呪詛を吐き連ねる。そして、デーモンが攻撃に入る。アルゴルに投擲されるは先ほどまで使用していた大鎌。凄まじい速度と力。真っ向より受けるは愚の骨頂であろう。
故にアルゴルはソウルエッジとソウルキャリバーを添えるように、力に逆らわず受け流す。アルゴルはただ剛の力しか持たぬ脳筋にあらず、柔の力も持つが故の英雄王である。当初より仲間達を一切巻き込まない絶技からもそれは窺えよう。

「知らぬな。我等は貴様ではない。
人とは己以外にもなれぬのだ」

アルゴルはデーモンの言葉をそう一蹴する。元より、わかり合えるはずもないのだ。言葉は無意味かもしれないが。

しかし鋼の戦士はデーモンの攻撃に対応しきれず吹き飛ばされ、その変身が解除される。あれが彼の生身の姿なのだろう。

しかしそれでも彼は戦うことを止めず、先の剣を拾って新たにデーモンが召喚した槍を弾き飛ばす。それは若葉にもアルゴルにも命中しない位置に突き刺さる。
それによりかここまでの戦闘の影響によるものか床が崩落し、アルゴルは態勢を整えつつ着地する。
デーモンは今度は先の剣とは意匠が異なる剣と不気味な大槌を携えている。

チェイスが2秒、時間を稼いで欲しいとアルゴルと若葉頼み込み、若葉は乗り気だ。若葉はアルゴルに異存はないかと問うてくる。

「無い。今の余は人の上に立つ者に非ず、人と並び進む者であるが故にな」

若葉が、先陣を切りアルゴルが続く。アルゴルは腕を砲塔に変形させ、光弾を連射しつつ若葉の攻めを援護する。同時にソウルエッジとソウルキャリバーを形成しての両の剣で波状攻撃を仕掛ける。無論、これはあくまで足止めを主目的とした攻撃だ。だが手抜きの技では無い。考え無しに受ければ相応の損害は免れない。

>ゲブラー、チェイス、若葉

3ヶ月前 No.114

農業王 @aries ★DQNK0CuQfY_BXv

【枯れた大樹/廃校/白鳥歌野】

 「ふふん、もっと褒めて下さって結構ですよ!私褒められて伸びるタイプですの、で──!!」

 余裕の言葉を漏らしながらも、息遣いが荒くなる。

 身体に見える傷は少なくとも、利き腕への負担、OS技の酷使と、彼女は自らを蝕む形で体力を消費していた。
 それでも未だに戦えていたのは一度に多数を相手取るが故に、長期戦を余儀なくされ続けた環境にある。
 だがそれも、飽くまで有象無象を相手に一定のペースで戦う場合である。
 得体の知れない強者と二回連続で……二度目は一時的な共闘を獲得したといえど、相手のテクニカルな武器捌きで、明らかに普段のペースは崩れていた。
 だからこそ決めるならここと踏んでいたのだが─────

 「あ、ちょ……ノォォォォォォォォッ!!」

 今さっき自分が実践したことを、相手がしないわけが無い。落ちたのはまたしても自分だが。
 起死回生の大振り、その態勢ですぐに復帰するために再度鞭を使って同じ要領で戻れるわけもなく、仕方なく受け身を取り事なきを得る。
 懸念するとすれば、落ちた際に最初の不意打ち同様ワイヤートラップがあるかもしれなかったことだが、それも引っ込めたのか、それとも運よく無いところに落ちたのか、落下の衝撃以外は何も感じられない。
 しかしこれによる戦況の傾きは理解していた。攻撃と複数戦の回避を同時にやってのけられてしまったのだ。
 一対多であるならば、注視する場を減らすと同時に、多方面からの攻撃の機会を無くす、純粋な連携を阻止するためと、多くの理由で分断するか、一ヵ所に集めるように誘導することが最善となる。
 即興である分、連携こそ出来なかろうと、一方が注意を引き、もう一方が確実に攻めることができたのなら、それは互いを活かせていると言えただろう。
 そこを突かれた。復帰能力を見てか、先に戦闘不能にしやすい方を残したかはさておき、一刻も早く戻らなければならない。
 勇者の身体能力ならば、一階から二階への跳躍は容易ではある。

 苦悶の声が聞こえる。動悸が激しくなる。
 早く戻らねばと思う程、身体は上手く動いてはくれない。
 年季の入ったロボットの様にぎこちない動きで立ち上がり、落とされた穴へ向かって跳躍し、二階へと戻る。

 「……!!」

 ───が、遅かった。
 体勢を戻し、再び二階へと舞い戻るまでの僅かなインターバルで、既にシュピーネは事切れ、その形をソウルへと変貌させていた。
 沸き上がるのは怒りか、不甲斐なさから来る自責の念か。どちらも違うと言えば違う、が、それでも目の前で死なれるというのは何とも言い難いものがある。
 分かっていた。分かってはいるのだ。この世界はそういう場所で、善意に比べれば、悪意も悪人も、星の数ほど存在する。
 似たような光景はこれから先も見ることになる。

 いいや、次は我が身だ。

 逃げるとして、あの男が満身創痍の自分を逃がすだろうか。
 それは限りなく低いだろう。そして逃げおおせられるのかと問えば、相手の武器の射程を見ればそれもまた絶望的。
 しかし……逃げる算段など今はどうでも良かった。消去法で生き残る道を探らず、自棄になって突貫することもなく

 「その人のソウル……リターンしたいんで譲って頂けませんかね……!」

 鞭を構え、再びエミヤと対峙することを選ぶ。
 策は無い。練らずとも勝てる等という余裕がないのは誰の目にも明らかだろう。
 だがそれでもだ。それでも譲れない。

 私利私欲の為に、人の命の具現でもあるソウルを、この場で奪わせることを是としてはならないと、他の誰でもない、歌野自身のソウルが訴えていた。

>ロート・シュピーネ、エミヤ[オルタ]

【お相手感謝です!】>ロート・シュピーネ様

3ヶ月前 No.115

ダイヤの戦士 @genmwhite ★z1C7w6TMOe_Fi1

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3ヶ月前 No.116

ヴィルヘルム @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★0w2hUnjmki_mgE

【深みの墓地街/ワルシャワ蜂起戦線/ヴィルヘルム・エーレンブルグ】

「ハハッハハハハ、ハハッ……ハ……あぁ?」

はたと笑声が消え、白貌の瞳に理性の光が戻る。
白貌、ヴィルヘルム・エーレンブルグは血と闘争を是とした畜生だが、それでも理から外れた魔物ではない。衝動のままに破壊をばら撒き挙げ句の果てに自らが破滅する、物語にあるような必滅を定められた怪物では断じてない。
分際を知り引き際を知る。曰く「鼻が効く」「勘が働く」。残虐極まる蛮性とは相反するような危機察知能力が同居しているこの男の性質は大型の肉食動物に近い。
ならば獲物を貪る野獣が食事を中断し我に返る程に食指が動かされるものとは何か。それは「縄張りを土足で踏み荒らす外敵」か、もしくは「眼前の餌よりもさらに上等な馳走」か。

『おい、そこのお前。』

亡者の残骸が散らばった街頭、殺意に歪んだ灼眼が捉えたのは一人の青年。纏うは襤褸、未だ少年のあどけなさすら残している風貌、しかしその眼光の鋭さがそれを差し引いて尚険しく見せる。その瞳から大体察する、あぁコイツはきっと此方側の存在なのだ、と。
実際手に掛けた数はそう多くはないのだろう。こういうものを量で計るのも無粋だが、幾千もの人間を手に掛け、その魂を貪り喰らった自身と比するに経験でいえば文字通り桁が違う。それでもこの青年は譲れぬ何かの為ならば一切の躊躇なくその手を他者の血に染めるのだろう。周囲からの批判など気にも留めずに己が目的の為だけに力を行使する、確固たる渇望がコイツの中にも存在している。

「敵か味方か……なんてくだらねぇ質問が出てこなかったのはまぁ及第点だ。そこそこに隙もねぇ、俺好みといったところだがよぉ……」

果たしてこの青年は前者か後者か。端的に言ってしまえばこの白貌は現状に飽いている。ここ最近は碌なソウルも持ち合わせていない半死人の如き連中を嬲るのにも正直辟易していたところだ。故に実力は未知数とはいえ遊び相手が手に入ったのは僥倖だ。今後何時手に入るかもわからない玩具を前に性急に過ぎるというのは考え物だが、出し惜しんで不完全燃焼というのも味気が無い、本末転倒な結果である。
相手からすればたまったものではない破綻した思考も逡巡する間もなく殺意と戦意に呑み込まれていく。ああ、面倒だ。真っ当な教育を受けたでも無し、元々頭の出来も良い方ではない。ならばあれこれと思案する前に己が本能に委ねよう。殺し、侵し、犯し、奪え。簒奪こそが吸血鬼の本質であるが故に。

「テメェが、東洋の猿が、劣等風情がフカシこいてんじゃねぇ!テメェが敵足り得るかどうかは俺が決める事だろうがぁ!!!」

常人ならば向けられただけで卒倒するような殺気の奔流が怒気とともに爆発、指向性をもって青年に襲い掛かる。翳される吸血鬼の右腕、黒衣を突き破り顕れた血染めの杭が闖入者を突き穿たんと十重の弾幕となって射出される。

>衛宮士朗、ALL

【絡み感謝いたします!!併せて返信が遅くなったこと、チンピラキャラ故に不快表現を多用していることを謝罪いたします。平にご容赦くださいませ】

3ヶ月前 No.117

クラウド @aroundight☆SdjaOljKHtOm ★msJh1WzJ3A_keJ


【腐れ谷/谷合の廃村/クラウド・ストライフ】


 先ず前提として、クラウドと獄鳥シュロウガには確固たる力の差がある。

 狩るのは彼方で、狩られるのは此方。
 それは言うまでもなく、分かり切った現状分析………バスターソードを持ち上げる腕に滴る血が、クラウドの内心を微かに責め立て始める焦燥が、この状況をこれでもかと分かりやすく語っていたようにも思える。
 なにしろクラウドに先方の意図を読み切るつもりはなかったし、そんな余裕も最初から在りはしない。その喜劇を唄い、舞い踊って見せた次元より来る烈風が、しかし誰よりも醒め切った瞳で世界を俯瞰していることなど当然分からない―――そして、その傍観者はあまりにも適切な言葉でクラウド・ストライフの歪みを捉えていたことにも気付かない。

 あるいは、気付こうとしなかったのか。
 気付いてしまうことは、識ることとは、虚構の仮面を剥がすも同然であるから。
 クラウドにとっての幸運は、違和感を覚えた程度にそれを留めた事なのかも知れない。


 ………もちろん、それはあの獄鳥を撃退出来るのならば、の話だ。

 もしも死んでしまったならば、“たら”も“れば”も所詮は空想上のものでしかなく。
 彼はまだ死ねない理由があったはずだと自分の心に問うていたから、その状況において切実なほどに必死だった。偶発的なこの遭遇戦が、どれだけ綱渡りのようなものになっているかなど言うまでもなく、だからこそ。

 炎弾がシュロウガを捉える。
 それそのものは《マテリア》が齎す上級魔法による攻撃であり、並の相手ならば構わず消し炭にするだけの威力と弾速を秘めていたが………あくまでも、それは並の相手ならば、の話だ。
 そのことを思えば、クラウドの放ったファイガの弾丸が撃ち漏らしの数発と言えども命中し、しかも仮にダメージが通るならその部分しかないだろうと判断出来る亀裂に通っていたことは幸運にも等しい事態だった―――最も、そこで欲をかくわけにはいかない。チャンスは一度だけ、引き金を引けるのも一度だけだ。


 ………炎の中を突っ切って、獄鳥が物も言わずに吠え立てる。
    自分のソウルを刈り取るべく迫るソレを、死神と呼ばずしてなんと言う。


 だが―――。
 そうとも、この瞬間―――。


「死ねるか」
「何も分からず、死ねるものか………!」


 シュロウガは、降りて来た。

 ………半分の誤算を言うならば、降りた相手が放ったものが遠距離射撃に過ぎなかったことか。
    これが彼の魔王剣を用いた一撃であるならば、クラウドの完全な読み勝ちだった。

 しかしクラウドは知らないことだが。
 獄鳥がその機能を完全に開放していれば、クラウドはそれだけで完全な詰みだった。
 もちろん、この兵士《ソルジャー》にとって、見えていない“もしも”など語っても毒にも薬にもならぬというもの。彼がやるべきことは、たった一つだ。引き金を引く瞬間は、後にはもう残されていない。
 だからその瞬間。背後から迫る、以前と同じ邪眼より放たれる翠光を前に………。


「―――おおおおおおォォォォォォァァァァッ!!!」


 逆に、弾くように飛び込んだ。
 バスターソードを前面に構え、ありったけの防御強化魔法を掛けての突撃。
 突きの構えで突進し、ラスターエッジの直撃を受けて喀血しながらも、尚突進は緩めない。
 外せば最後だ、待つのは順当なる死だけ。だから―――掴み取るべきは、それ以外の結末。

 わざわざ時間を取れる後方の家屋に逃げ込んだのは、相手に攻め込ませる状況を作らせるため。
 狭い場所で、大剣の一撃を確実にねじ込むためだ。

 疾駆して放つ刺突、続いて跳躍と同時の打ち下ろし。
 最大の本命は此方にある―――クラウド・ストライフが振り放つ渾身の斬撃は、シュロウガであれば、しかし十分に回避できる範囲だ。………だが、木造建築、それも老朽化した建物である以上、ソルジャーの肉体から放たれる一撃を、この腐れ谷の廃屋程度が耐える理屈はない。
 間違いなくこれは支柱を砕かれ、倒壊し、周囲を木屑と砂埃で埋めることだろう。


 ―――そう、少なくとも五感での把握は困難になる。
    撤退の隙が出来るということだ。

 少なくとも、これがクラウドに出来る限界点だったと言って良い。
 勝つための手段が砂粒にも満たぬというなら、せめて“死なない”ために力を振り絞る。

>アサキム・ドーウィン


【いえいえ、お気になさらず! それにこちらも遅れに遅れましたから。(】

3ヶ月前 No.118

衛宮士郎 @trifas ★51ct67nR08_8gk

【深みの墓地街/ワルシャワ蜂起戦線】

>ヴィルヘルム・エーレンブルグ

――――返答がどうであれ男がデーモンである以上、斬り捨てることに変わりはなかったが。
デーモンとはここまで好戦的な連中なのか。何か目的があるわけでもあるまい、ようは殺人に飢えている、といったところだろう。
やれやれと肩を竦ませて、改めて目の前の男を倒すべき敵として視認する。

「ち―――」

溢れんばかりの殺気を体感した頃には、目の前は奴の武器に満ちていた。
慌てて身を逸らし、地面に転がるようにしてその場を抜け出すが、少し反応が遅かったか――いや、相手の攻撃が速すぎるのだ。腕が杭に抉られ、血を流してしまっている。

「少しお喋りがすぎるんじゃないか。弱い奴ほどよく吠えるって言うぜ」

だがそんなことは気にも留めず立ち上がり、目も合わせずのんきに土埃を払って、言葉を返す。
衛宮士郎という男は歳にすればまだ十代の青臭い子供だ。劣等風情などと言われて黙っていられるほど大人ではない。もっとも怒りを感じているかどうかは別だが。

――とはいえ、相手はまず間違いなく格上だ。いつまでも大人しくこうしていれば、命がいくつあっても足りない。

「正直お前みたいなのが敵で助かった。
 ――――その方が俺もやりやすい。」

手を開き、戦う為の魔術を唱えよう。

   トレース・オン
「――――投影、開始」

この男唯一であり、あの男唯一。両手に創造される、握り締められた剣は、雌雄一対の双剣。雄剣を<干将>、雌剣を<莫耶>。
最も使い慣れたこの武器であるならば、あるいはあの杭に太刀打ちする程度のことは叶うだろう。
瞬間、駆ける。そして跳躍。
頭上から斬って掛かろうと重力の力も乗せて、二刀の剣を振り翳す。
間合いを取られては防戦一方。最悪そのまま殺されてしまう可能性だってゼロではない。ならば早々に懐に忍び込む必要があるだろうと判断しての、一撃。


【此方こそ、ありがとうございます。言葉遣いは人のことが言えないので……】
【お相手よろしくお願いします。】

3ヶ月前 No.119

アサキム・ドーウィン @genmwhite ★z1C7w6TMOe_Fi1

【 腐れ谷/谷合の廃村/アサキム・ドーウィン 】

 生への執着は、時として思わぬ力を生む。
 時としてそれは力となって、霊子…即ち無限力へと干渉し、定められた運命のレールを外すことがある。定められた事象に上書きし、自身の"生きたい"という、生物の至極当然な欲求と願望が、固定された概念を書き換えることがある。
 アサキム・ドーウィンはそれを今、垣間見た。無論、クラウドの"生への執着"が、運命を書き換えたかどうかは定かではない。だが、彼が起こした行動は、意味があるものだった。そこに意味があると信じたか、それとも、部の悪い賭けに勝ったか。
 邪眼の光を受けてなお退くことなく、クラウドは飛び込んだ。至高の一撃を当てるために。
 異邦人は錯覚した。立ち向かうことなく、哀れな犬のまま死すであろうという、かりそめの未来を。しかし、その投影は打ち砕かれ、目の前のソルジャーは生きる意思を見せ、そして、抗い、"死なない"ための行動をとる。
 刺突こそ受け、黒い装甲に穿たれたような傷が生まれる。そこからの振り下ろしは、シュロウガの噴射口からバーニアを焚くことで、直撃を避ける。しかし、亀裂をさらに生み出す一撃であったそれは、烈風に無視できない傷を与える。

 「……ッハハハ!
  生きようと抗うか、生への執着をそこまで見せるか───……!!」

 アサキムの中に生まれたのは、幾千と巡った輪廻の中で出会った、傷だらけの獅子との戦いだった。彼は自分を理解し、そして、自分もまた、彼との決着をつけるには惜しいと感じる部分があった。目の前のクラウドは、その獅子とは似ても似つかぬ存在であったが、まるで回想録のようにそれを思い出したということは……。
 クラウドの目論見は、見事に狩人を騙すことに成功する。
 バスターソードという規格外の兵装、それを用いるクラウド本人の腕力。そして、倒壊寸前にまで朽ち果てたこの廃屋という、限定的だが、しかし確実に場を乱すことができる条件が、揃っている。つまり、シュロウガが直撃を避けたこと自体が完全な仇となった。

 ───烈風がその事実に気づいた時はもう遅く。
 廃屋は倒壊し、辺りは木屑と砂埃、少々の土に満たされた。黒神の視界も、完全に覆われた。それこそ、相手にセンサーのような類の物がない限り、捉えることができない。つまるところ、もともと機動兵器であるシュロウガは、対機動兵器との戦いが想定されている。
 当然の話だが、そのような兵器が存在する世界では、大抵のモノが、人間に対するレーダーなど積んでいない。それは、シュロウガもある種同様の物だと言える。つまり、この有様になってしまえば、幾ら狩人といえども迂闊に動くことができない。

 同時に、シュロウガの中で笑っていたアサキムが、動きを止めていたというのもある。
 回想録のごとく巻き戻される記憶の中で、アサキムは彼への執着を認めた。狩人の残忍な牙を、持ち前の技術と力で折ったように。それが偽りの仮面であったとしても、アサキムにとって、やはり興味を抱かせるには、容易であった。
 おそらく撤退しているであろうクラウドへ、声を投げかける。行動を起こせない、或いは起こさない…シュロウガは鎮座し、そして黒き異邦者は、紡ぐ。

 「……君との戦いを終わらせるには惜しい。
  僕には時間は無限にある。それこそ宇宙が終わる時まで……また会おう、名も無き兵士(ソルジャー)。その時こそ君の命を貰う」

 クラウドからは見えず、わからないことであろうが、この時アサキムは笑っていた。純真な笑顔であった。
 アサキムが死を求める不死者であることを考えると、今の言葉は、痛烈な自身への皮肉だ。それを知ってなお、その言葉を投げかけるというのは……それこそ、アサキムが心底彼を気に入ったという理由に他ならない。
 その真意は、未だ虚無の中だ。

 然りとて、アサキムは言った。また、会おうと。その時こそ狩る、と───。

 >クラウド・ストライフ
 【いえいえ…! と、云いながら、この戦いにおけるアサキムのレスは、これで〆とさせていただきます。
  お相手ありがとうございました!】

3ヶ月前 No.120

謎の生物 @vtyjf ★4gCE4td3c0_BXv

【こちらもサブ記事を見逃していたのでおあいこに……どうか、どうか>>スーパーキング様】

【王城城下/大石橋/藤原妹紅】

>>ランス

警戒はそのままに、身体から力を抜く。とりあえずは目の前の男も話に耳を傾けてくれるのならばいつまでも臨戦態勢でいても仕方がない。とはいえ、交渉が決裂した場合は即座に逃走に移れるようにこっそりと術式を発動させる準備だけはしておく。

「まず第一に、デーモンの居場所を教えてやる――これは襲ったことの詫びだとでも思ってくれれば良い」

一つ、と、掲げていた手を下ろして眼前で人差し指を立てる。胸元の風通しが良いのが少し気になるが、そこに関しては軽く縛るなりで補修するほかないだろう。

「第二に、良ければ私と組まないか」

二つ、と、中指を立ててVサイン。旅人と破壊者の同盟なんて聞いたこともないが、それ故に他者を欺ける。

「あんたと私ががいれば他の旅人や同盟者を釣れる、後は分かるだろ?」

好みの女であれば二人がかりで捕らえればいい、そうでなければソウルを奪えば良い。少なくとも破壊者に襲われている旅人を助けに来た同盟者や他の旅人であれば、背中からグサリといけば簡単に無力化出来る。

「三つ目――こっちはとりあえずデーモンを狩るまでの同盟だ」

立てた指は三本に。お互いの立ち回りもざっくりとだが理解できた今ならば、即興的な共闘くらいならば出来るだろう――ならば、一人では狩れない強大な力を持つ敵を狩れる可能性も存在するわけだ。

「四つ目、は、まあ、このまま続行だな……とはいえ、そうなったら私はさっさと逃げさせてもらうが」

この世界はもはや長くない、現在は言うなれば最期の晩餐のような、最後の最後の大盤振る舞いだ。先は長くない、ならば出来るだけお楽しんでから世界と心中したいのが本音のところだ。ここで燃え尽きるまで戦ってもいいが、出来るならば他の奴らも味わってみたいと思うのは仕方ないだろう。

「あんたからも提案があるなら考えさせてもらうが、とりあえずは選んでくれ」

二つ目か三つ目なら、そのうち抱かせてやっても良い、と付け加えながら。いや、実際は抱かれる気などさらさらないが、こういっておけば釣れる可能性が少しは上がりそうだ。

3ヶ月前 No.121

赤い霧 @vtyjf ★4gCE4td3c0_BXv

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3ヶ月前 No.122

エミヤオルタ @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_BXv

【枯れた大樹/廃校/エミヤ[オルタ]】
【@赤蜘蛛のソウル取得 所有ソウル数:1→2】

 勝負は一瞬のうちに決着がついた。いや、元より戦いの帰趨とは一瞬の判断で決まるもの。今回はそれがシュピーネにとって致命的なものとなったというだけだ。
 臆病な相手の攻め気を引き出したこと、それが勝因といえた。

「人生終了。ご苦労様。
 ……いや、既に死んだものが、ひとたび神殿に還っただけか」

 こちらの負った傷も決して少なくない。死に際の足掻きとばかりに振り乱した糸は体の節々に切り傷を刻んでいた。
 しかし頓着しない。所詮は、既に朽ちた身だ。体力は減耗したが、体の幹部は無事だ。
 シュピーネは消滅した。いや、正確にはソウルのみを落として神殿に蘇生した。
 この世界の『死』とは、一度の死ではない。維持する力に限界が来た場合、その核となるソウルを残して、ソウルの器は神殿へ流れ着く。
 結果、ソウルの核がある場合に死亡したとしても、消滅したソウルの器は神殿で復活する。
 機会があれば、ソウルを求める復讐霊のように再度戦うこともあるだろう。尤も……一度殺された相手に顔を晒すほど、男の肝が据わっていればの話だが。

「ふん。案の定持っているソウルは一つきりか」

 掌の上に赤いソウルを転がし、自らの内側へ取り込む。同時に、男の素性の一端が自らのうちに去来する。
 惨殺を楽しみとし、ただ一方的に嬲ることを好みとした下種。どこまでも性根が小物であり、それ故に大過を及ぼさない……どこにでもいる小悪党。
 ただ一点、何かにおびえていたような部分が気になるが、元居た世界の事情を詮索することはないだろう。何のかかわりもないことだ。
 そうした中で教室の穴から少女の姿が舞い戻る。そのまま逃げてしまえば良いものを、歌野は■■■の前に立ち塞がる。
 男の目は醒め切っていた。おまえは馬鹿か? と、ある種の呆れさえ混ざっていた。

「随分と日和ったことを言うな。奴はおまえを殺そうとした筈だが。それとも、まだ死に触れる実感がなかったか?
 それは度し難い傲慢だ。屑にも等しい生命体が、至高の芸術を容易く破壊するのが戦場だ。今からおまえがオレに殺されるように」

 右の銃のスライドを引く。静寂の夜闇が包む教室に、カチリ、と背筋も凍える撃鉄の金音が響く。
 この男はやる気だ。呵責なく相手を撃ち殺すつもりでいる。老若男女、女子供であれ例外なく。

「いずれにせよ答えは変わらん。まして、本人に返す気なら猶更な。こいつを手放す気はない。
 オレの目的はソウルを集めることそのものにあるんでね。この世界で生きるにしろ、この世界を救うにしろ……モノを言うのは純粋な力(エネルギー)だ。
 そしてそれはおまえも変わらん。誰を相手にどう振る舞おうが、この身は最早魂を食らい命を繋ぐ一介の亡霊に過ぎん。そういうモノになったのさ、オレもおまえも」

 右の銃の照準を敵影に合わせる。お互い疲弊してはいるが、それでも状況はこちらに分がある。このまま戦闘が始まれば、順当に事が運べば順当な勝利が得られる。
 だがそれはこのまま戦闘が始まれば、の話。相手が意を翻して撤退すれば、状況が変わってくる。疲弊した現状、逃げれば追うだけの体力を消耗する。再び神殿で休息するにしても、その間に別の敵と接敵する可能性も捨てきれない。
 だからこそ、心理的に自分から逃げる意思を棄てて貰う。その必要があった。

>シュピーネ、歌野

【お相手ありがとうございましたー。では流れとしてソウルはエミヤが奪取させていただきます】
>シュピーネ本体様

3ヶ月前 No.123

ネルギガンテ☆4H2CCC.TU8ct ★Android=bH29VCQuKA

【ファランの森/龍結晶の地/ネルギガンテ】

>切歌、橘

「グオオオオオオオオ――!」

 並のハンターならばとっくに天に召されているだろうネルギガンテの猛攻を、しかし二人はしのぎ切る。
 全身に大小様々な大きさの傷を負いながらも果敢に。
 ネルギガンテがもし人間の姿を持っていたなら、この時舌打ちのひとつでもして苛立ちを見せたかもしれない。
 ネルギガンテの棘は吹き飛んだ端から再生していくため、傍からするとまったく傷を負っていないように見える。
 しかし確かにダメージは蓄積されているのだ――そこを見誤ってしまうかどうかが、狩猟の成否を分かつひとつの分岐点。

「ゴアアアア……!」

 切歌の大鎌が前足の白棘を勢いよく薙ぎ払うと、怯んだようにネルギガンテは動きを止めて呻き声をあげた。
 ネルギガンテの棘は非常に固く武器を容易に弾くが――それはあくまでも黒い棘に限った話。
 再生したての白い棘は脆く砕けやすい。
 当然身を守る鎧としての役割も不十分だ。
 このネルギガンテという古龍には数少ない、それでいて最大の弱点――それが彼の強みでもある“再生能力”なのである。
 意図したわけではないだろうが、ちょうどひるんだ隙に炎の弾が直撃する。
 爆炎とともにネルギガンテがまた傷つくも――追撃として発砲した方の弾はガキンと音を立てて弾かれた。
 そこにあったのは黒い棘。白い棘は破壊されればすぐさま本来の強度を取り戻す。
 またも、新たな古龍の生態が明らかになった瞬間だった。

「ゴォォォォォオオオオオオ!!」

 咆哮とともに飛び上がるネルギガンテ。
 今度は橘の方へと、その巨大な角ごと頭を叩きつけての攻撃を試みる。
 空中から“落ちる”攻撃であるため、ネルギガンテ自身の重さは本来のそれより更に上を行くだろう。
 対処の方法を間違えば――それで一巻の終わりともなりかねない危険な一撃だ。

【遅れてごめんなさい。レス見落としてました。】

3ヶ月前 No.124

ヴィルヘルム @casebycase☆0c9nqQGSPbs ★0w2hUnjmki_mgE

【深みの墓地街/ワルシャワ蜂起戦線/ヴィルヘルム・エーレンブルグ】

破砕音、続き立ち上った噴煙が此方の攻撃が十二分に発揮されたことを物語る。この結果を鑑みるに少なくとも相手方には此方側の術技へと直接干渉してくる類の能力を持ち合わせてはいないらしい。

「生きてるわけねぇか……ハッ、馬鹿か俺は」

長年の習慣か、考察してはみたものの現実的な観点でいえばそれも無益な徒労であろう。暴発した感情のままにばら撒いた攻撃だが、故に常人が躱せるほどの抜け目もまた無い。さらにいえばあれらの一発一発が鉄版を容易く貫通うし得る威力を秘めている。自身同様の人から外れた存在ならばまだしも、生身の人間が喰らって生きている道理はない。あの青年は十中八九絶命しているだろう。
後悔と失望、行き場のない鬱屈した気分に思わず歯噛みする。呆気なく息絶えた不甲斐ない相手、そしてなにより久しぶりに歯ごたえのある獲物だと目星を付けた自身の観察眼に対する怒りで視界が紅く染まる。

『少しお喋りがすぎるんじゃないか。弱い奴ほどよく吠えるって言うぜ』

憤怒に身を震わす魔人の背後、粉塵の合間より不敵な台詞が漏れる。腕より多少の出血はあるようだが、土埃を払いながら悠然と立ち上がる姿は実際無傷といっても差し支えないだろう。再び対峙する錬鉄の英雄を前に白貌がその表情を三度歪める――――溢れんばかりの歓喜に。

「『受けた』か?『避けた』か?それとも『捌いた』か?まぁ、それはどうあれテメェは俺の加減なしの攻撃に晒されて腕一本で切り抜けやがった……つまりはテメェも『コッチ側』の人間って訳だなぁオイ!カハッ、嬉しいじゃねぇか、多少饒舌になるぐらいは大目に見ろよなぁ?!」

『聖遺物』。
それは度し難いほどの情念と妄執を蓄積し意思を持つに至った器物。ヴィルヘルムを始めとした黒円卓の魔人たちはそれらを核とし、人の魂を燃料として消費することにより超常の力を発揮する。彼らの攻撃は例え徒手空拳によるものであったとしても人命を消費して作用する魔術魔導の一撃に等しい。
故先の攻撃も尋常には非ず。強固な盾を用意できるのならば、体術の達人であるのならば、あるいは物理的なダメージを防ぐことは可能だろう。しかしそこに込められた人を蝕む悪意、毒の如き呪いを防ぐことは叶わないだろう。
特にヴィルヘルムの『闇の賜物(クリフォト・バチカル)』はかのヴラド・ドラクル公の血液が結晶化したものであり、呪いというのならば指折りのものだ。それを受けて手傷程度で済んでいるのは青年が白貌同様の『聖遺物』の使徒であるか、この世界独特のソウルの御業によるものなのか、あるいは魔術魔導の心得があるということか。
瞬時の攻防により青年の評価は『迷い込んだ哀れな小動物』から『狩るべき獲物』へと切り替えた白貌は呵呵大笑に破顔する。暫らくぶりの抵抗を可能にする敵の出現に忘れかけた感覚が想起される。戦慄と、高揚と、恐怖と、歓喜。

短い詠唱、瞬時の生成された双刃を手に跳躍する青年。体重移動、加え落下速度により威力を上げた二振りを掲げた両の腕で真っ向から受け止める。鋼で鋼を打ち据えたような高い打突音、人間程度なら骨まで造作なく両断せしめる一撃が白貌の腕と拮抗していた。身に纏う軍服は切り裂けてもその下の、男特有の白い肌には切り傷一つ付けることは出来ていない。

「聖槍十三騎士団黒円卓第四位ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイだ。名乗れよガキ、戦の作法も知らねぇか?」

刃を挟んでの拮抗状態、息がかかる程の至近で吸血鬼の宣戦布告が此処に成された。

>衛宮士朗、ALL

3ヶ月前 No.125

農業王 @aries ★DQNK0CuQfY_BXv

【枯れた大樹/廃校/白鳥歌野】

 「あら、それってつまり私が至高のアートってことですか?嬉しい事言ってくれますね。
  死ぬ気はないと言えば、それは確かに傲慢に取られてしまいそうですが……例え勝敗が決まっていても、私は私らしくありたいので……!」

 シュピーネとの戦いに、確かにソウルの格差はあった。
 だがその格差から、決して殺されないなんて可能性は無かっただろう。
 純粋なスペック差を凌駕する要因はいくらでもある。この男が割り込まなかったとしても、死んでいたかもしれないという実感は持っていた。
 そして今現在も死に直面している。確実に生き残るのであれば、男の言う通り隙を見て逃げおおせるべきだっただろう。

 しかし、しかしだ。
 彼女にとって、それが第一に優先するべきことでは無かった。
 大事なのは一分一秒でも生きることじゃない────等と口にすれば怒られてしまうだろうが。
 "私が私であるために。"日常を大事にしていたように、それは同様に譲れないものでもあった。

 「取引の余地ナシか……では仕方ありません。ソウルをリリースしてくれるまで私も粘りますとも!」

 眼前で凍るような金属音が響こうとも、後ずさりせず、逆に距離を縮めるべく一気に加速する。
 右腕は殆ど関係ないとはいえ、息は上がったままだ。全盛とまではいかない。
 だから一発だけ、一発だけは受けに入る体勢で距離を詰める。
 左手に備えた藤蔓で、通常の弾丸であれば一回は払えるだろうと踏んでの特攻。
 逆に言うのであれば、OS技のように連続で振り回す力も残っていない分、その一回限りだ。後は己の肉体と勇者装束の耐久性を信じる他無い。

 「それに……!ゴーストになろうとも…!それこそ私は私ですので……!
  えぇ、変わりませんよ、どんな存在に成り下がろうと、私は勇者です……!」

 突っ込んでいく中、息も途切れ途切れに笑みを浮かべて告げる。
 弱きを救い、悪者を挫く。そんなおとぎ話のような存在にはなれずとも、暗闇で絶えず輝き続けられる、太陽の様に。
 一人では無理だとしても、ここでだって二人一緒になら、きっと────

 「オォォォォ────ッ!!」

 全てが上手くいかなければ意味の無い。取れる行動としては愚策に入る部類だとしても、歌野は止まらない。
 それでも仮に、仮にだ。
 彼女の藤蔓が銃弾を弾き、肉薄するまでに己の肉体が持ち、エミヤへと接近することが出来たなら……彼女は藤蔓を手放し、左の拳を握って、エミヤの顔へ向けて、こう叫んで振るうだろう。
 「勇者パンチ」と。

>エミヤ[オルタ]

3ヶ月前 No.126

チェイス @ask2 ★iPhone=P9oxZSYDmV

【ソドム/Lobotomy Corporation/仮面ライダーチェイサー】

 >若葉、ゲブラー、アルゴル

 若葉とアルゴルがゲブラーを抑えている間、死地において赦されたひとときの間隙にチェイスは再び変身を試みる。

「──変、身」

 シグナルバイクをドライバーに装填する。紫のエフェクトがチェイスと重なり、一体化。瞬間、彼の姿は再び白銀の戦士へと転じる。

「ぐっ……!」

 バチバチと迸る紫電がチェイスを苛んだ。変身解除からの再変身による過負荷は苦戦を強いられた身体には耐えがたいほどに重大で、しかし、決してチェイスは膝をつくことはしなかった。
 武器を握る手に力を込める。
 ゲブラーの使い捨てた武器のうちの一つ、肉に覆われた大剣。敵の力にこそ勝機の一端を見出す、そのための剣。
 駆け出す。倒すべき敵、怒りに狂うデーモンへ肉薄する。
 迫るさなか、アルゴルの放った光弾が巨大な口蓋に貪られた。汚らしい咀嚼音と死臭を振りまいて、なおも止まらない貪欲な屍山。
 そこへ畳み掛けるようにゲブラーはもう片方の得物を振るう。審判の名のもとに下された一閃は蒼褪めた煌めきを派生させ、数十にも至る断裂が二人を襲う。
 チェイスは両者の前へ、一切の躊躇なく躍り出た。構えるは大剣。肉に埋もれた眼球が覚悟の程を問うように彼を凝視している。
 初めて触れる他人の武器にも関わらず、いかなる力によるものか、それの扱い方は自然と理解していた。
 腰を落とし、切っ先を下げ、力を溜める。
 無防備に晒された身体へ顎が迫った。

「ぐ――ぅ、お、おおおおお……ッッ!」

 空間ごと貪るような咀嚼、粉砕機めいて凶悪なそれが身も心も削り、砕いていく。――それら全てを、掌中の手応えで堪えきる。力は十全まで溜めた。刀身に纏わりついた肉が肥大化し、そのサイズを大幅に拡張させる。

「お前の力……その身で受けろ!」

 チェイスが大剣を振り抜く。
 精神を蝕む痛覚を斬り離すように。
 迫る蒼褪めた死を打ち払うように。
 後に続く二人の活路を開くように。

3ヶ月前 No.127

乃木若葉 @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_BXv

【ソドム/Lobotomy Corporation/乃木若葉】
【OS技『精霊・義経』解除 OSレベル3→2】

 こちらの咄嗟の連携に相手がとった対応は、正面からの迎撃だった。想定していたことだ。だが、その規模までは想像できなかった。
 予め陽動を目的としていたため、回避に移ることは容易かった。だが如何せん、その重圧の範囲から出るためには全精力を後方への撤退に割かねばならなかった。
 迫る重圧。その範囲から逃れようと踏み込んだところを、追うようにして剣の雨が殺到する。
 既に全力で後ろっ飛びに回避行動へ移っている以上、対応するだけの余力はない。辛うじて生太刀で迫る剣先をいなそうとするが無駄な足掻きだ。
 左肩、右脹脛、左脇、と三か所を審判の剣先がえぐり取る。血の飛沫が飛び、途方もない激痛が襲う。


「ぐ、ああァァ――――ッ!!」


 しかし痛みに絶叫している暇などなく。連続する剣先の後続が十重二十重と此方へ向けて追い打ってくる。今でさえ重傷だ、この上後続の剣まで受ければ即死は免れず。
 故にこそ……横合いから『準備』を済ませたチェイスが迎え撃つ。
 追撃の一手を免れた若葉はしかし、己の血で古錆びたコンクリートの床を赤く染めながらもんどりうって倒れた。
 慣性のまま転がり続け、やがて壁にぶつかり若葉の体が停止する。

「かは、ぁ――っ、けほっ、けほっ……」

 精霊の定着が途絶えたのは、それと同時だった。緊張の糸が切れたように、変化した勇者装束は元の形状へ戻り、ソウルの格も同様に落ちる。
 若葉は苦悶の表情で喀血する。口いっぱいに饐えた鉄のような味が広がり、しびれるように全身が動かない。
 精霊の反動と実際のダメージによる負荷は、若葉の想像を超えて蓄積していた。

「はぁ……、はぁ……、っ、勇者は――」

 もう立てない。戦えない。
 誰の目から見ても明らかだった。
 これ以上は無駄だ。たとえ立ったとしても、せいぜい一発的になる程度だろう。
 後は任せて、己はこのまま倒れていればいい。
 己は十分、役割を果たしただろう。だから――



「――、根性……!」


 だから/いや、まだだ。
 精霊のケガレによる精神汚染。気づかぬうちに湧き出そうとしていた弱音を、その一言で断ち切る。
 霊剣を支えに立ち上がり、強い意思の力と護りたいと願う心が、勇者の体にマホウを掛ける。
 まだ、己はやるべきことを全うしていない。それが終わるまで、死んでも死にきれない。
 そもそもがこれは最初の一歩だ。だから、こんなところでくじけるつもりはない。
 すべてに報いを。
 それが乃木若葉の生き様だから。

 辛うじて命は繋いだ。だが、それだけだ。既に自らのソウルを使った変身は消え、体力も限界まで消耗した。控えめに表現して満身創痍というところだ。
 そこから先は、限界を超えた力の行使となる。
 だが――"勇者は根性"だ。
 少しつらいだろうが、ここからが踏ん張り時だ。自分ひとり、早々に没して仲間を危険にさらすわけにはいかない。
>ゲブラー、チェイス、アルゴル

3ヶ月前 No.128

赤い霧 @vtyjf ★4gCE4td3c0_BXv

【ソドム/Lobotomy Corporation/ゲブラー】

>>仮面ライダーチェイサー、乃木若葉、アルゴル

死が全てを呑み込む。あの時のように、かつてのこの場所のように。
結局はそうなのだ。どれだけ希望を信じ、どれだけ夢を語り、どれだけの幸福を作り出そうとも――結局は『彼女』のように、そしてそれを容認した私達のように、全てが絶望と死に呑まれて消え行くのだ。

だからこそ、私は怒り、狂うことしか出来ない。認めないと、否定を重ねて現実から目を背けることしか出来ない。認めることなど、出来はしない。

――誰よりも熱意を持っていた少女は、絶望の中死を懇願しながら息絶えるまで地獄を味わい続けた。

――誰よりも優しかった青年は、心を殺し、合理的な判断に徹した結果、心を壊して自ら首を吊った。

――誰よりも『彼女』を助けたかった青年は、繰り返される投薬実験によって生と死の境すら曖昧になり、最期は壊れた笑みを浮かべながら死んでいった。

――誰よりも幼いがゆえに未熟だった少女は、恐怖に屈し、そして罪悪感から自ら命を断った。

――誰よりも無垢だった少年と少女は、壊れ、そして己の存在すら否定して死んでいった。

――誰よりも生意気で、有能で、皆を笑わせていた青年は、絶望に負けた己のせいで全員が死んだと、慰めの一つもない絶望の中死んでいった。

――人類を救いたいと、救いようもなく薄汚く醜い私の故郷すら救いたいと、希望の笑顔を振りまいた彼女もまた。

目を閉じて、耳を塞いで、ただ暴れる以外に、私にどうすれば良いというのだ。

救いようのない絶望、覆し難い死、踏み越えれるはずがない。超えられるわけなどない、そのはずなのに。

咆哮、そして赤。かつて私が振るった、そして今は敵が振るう刃。五体から感覚消失し、一瞬の暗転。砕けて窪んだ壁の中に埋まるように縫い付けられた状態で、意識が覚醒する。身体の確認――するまでもない。右腕は肘から先を失い、胴が繋がっていることすら奇跡に近い。間違いようもない、致命傷だ。

「結局……この力では、何一つ叶えられないのか……」

崩れ落ちるように、地面へと倒れ込む。その衝撃で仮面が砕ける――よく保った方だと、そう自嘲する。割れた仮面、疵面を半分晒し、久しぶりに直視したこの場所はひどい有様だった。

「ああ……壊れていく……」

身体も、心も、魂さえも、全て、壊れて――消えていく。そして、そして――

3ヶ月前 No.129

赤い霧 @vtyjf ★4gCE4td3c0_BXv

そいつは、『彼女』と共にいた。
目つきが悪く、いつも何かを睨んでいるようだった。誰かと接する事が下手くそで、いつも無愛想だった。いつも言葉が足りず、配慮に欠け、繊細で、諦めやすく、そのくせに誰よりも賢かった。

そいつは、彼女に夢を託された。
決して簡単なことではなかった。そいつは適任ではなかった。幾度も幾度も心が折れた。何度も何度も投げ出そうとした。職員の命を無駄にした、意味のない実験で人が死んだ、うまく指揮が出来ず多くの犠牲者を出した。
そいつは、決して優れた人間ではなかった。

だが、そいつは言ったのだ。怒り狂い、全てを壊そうとした私を止め、そいつは言ったのだ。

『お前のお蔭で私と、もう一人は救われた――そして、『彼女』の意志は今も生きている』

この施設が、『彼女』の意志を継ぐ場所なのだと、そう言った。生きて繋がれていると、『彼女』の意志は、『彼女』の願いは、今もこうして受け継がれていると。

――希望は潰えた、だが、希望の芽は未だ芽吹くのを待ち侘びている。

『――お願い、ここの人たちを守ってあげて』


【ソドム/Lobotomy Corporation/ゲブラー→赤い霧】

>>仮面ライダーチェイサー、乃木若葉、アルゴル


永い永い、夢から覚めたような気分だった。思い出した、何をすべきなのかを。思い出した、何をしたかったのかを。


「――だが」

左手、残る武器の感触を確かめるように握りしめる。

「――この身体が粉々になろうとも」

剣を支えに立ち上がる。罅割れ、砕け、消えかえている身体で、それでも立ち上がる。

「――もう武器は手放さない」

砕けた仮面、久しぶりの肉眼で捉える懐かしい場所。

「もう、何も諦めない。最期まで私は戦おう――」

死に体、濁った瞳はぼやけた世界を写すのみで、身体は満足に動かない。下手をすれば転んでしまうだけで二度と立ち上がれなくなるだろう。

だが、左手に握る剣が、震える。EGOは自我の武器、折れぬ心がある限り――限界を超えて、その性能を発揮する。即ち

――その刀身に巻き付いた包帯、その戒めが今解かれる。

「終末を、ここに――黄昏」

現れたのは、無数の黄色い瞳が覗く刀身、柄は黄金の天秤と白い羽飾り、鍔を覆う赤い肉塊とそこから生えた鋭い歯。永遠に閉じることのない目、すべての罪を測る天秤、どんなものも一口で飲み込むクチバシ。終焉という絶対的な平和をもたらすその剣。終末を乗り越えた者だけが手にする、あらゆる敵を屠ることが出来るその剣。

「私が帰ってきた――苦痛より歩み出た赤い霧」

しっかりと、敵を見据える。己がなすべきことを再び誓う。
左手一本、消えかけの身体、視界は濁り疲労は極限を超えている。

「貴様らに感謝しよう――そして後悔させてやる」

大切な事を思い出せたことへの感謝、そして、己を取り戻させたことへの後悔を、宣言する。
もはや彼女は間違えない。

――かつての英雄が、今ここに帰還した。

3ヶ月前 No.130

チェイス @ask2 ★iPhone=P9oxZSYDmV

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3ヶ月前 No.131

乃木若葉 @wakame3☆FYUOhnBVGmk ★2RykzmoSz4_08J

【ソドム/Lobotomy Corporation/乃木若葉】
【『精霊・大天狗』使用 LV2 → LV4】

 人を奮い立たせるものは何か。何度となく味わった絶望の中で、若葉は確かに見出していた。
 それは、本来ただの少女に課せられるにはあまりに残酷なものであった。
 だがそれでも、若葉はそれを選んだ。託されたバトンを、決して手放さないために。

 意思の力で立ち上がった若葉の前には、また意思の力で立ち上がるゲブラーの姿があった。
 砕け散った仮面。満身創痍の体。どう見ても立ち上がれはしない、致命傷だった。それでもなぜ立ち上がれるか、など最早問うまでもない。若葉はそれを知っている。
 それは人の強さだ。
 護りたいと願う心が掛ける、奇跡などではない根性の力だ。
 己が相手をしてきた、どんなバーテックスなどよりも強い……『勇者たち』の力だ。
 彼女が何を見出したのか、若葉は知る由もない。それでも――彼女がその勇者と同じ覚悟を手にしたことは、目を見るだけで理解できた。
 もう、言葉は不要だ。

「……ああ」

 激励をかけるチェイスに、ただ短く答えると、若葉は静かに両目を閉じた。
 此処に再度限界を超えた力の行使を発現させる。
 神樹の概念的記録から、更なる精霊の情報を引き出す。
 それは三大妖怪の一柱。神に匹敵する大妖。小天狗、十二天狗、有摩那天狗、数万騎天狗を従える、化外の主。その験力は天上世界を一夜にして灰燼に帰したという、正真正銘の大妖怪である。

 八岐大蛇に通じる大妖、酒呑童子と並ぶその強大な力は、しかし相応のリスクを伴う。
 しかも、義経と切り替える形での神降ろし。連続の精霊使用は、生前の若葉も行ったことのない所業だ。
 加えて、ソウルレベル制限による過負荷。既に自らのソウルを削った以上、発動の元手となるのは己が器に他ならない。
 基本的には、反動に耐えきれず一撃放つ間もなく自滅するか、最悪即死する所業だ。
 目を伏せ、意識を集中させたと同時、のしかかる膨大な負荷がその総身を打ちのめした。

「ぐ、ごほ……ッ!」

 せりあがる血に咽せながら喀血する。
 同時に溢れ出すマイナス感情。
 軋みを上げるソウルの器。
 心も体も魂も、今にも罅割れ、砕け散りそうだ。

 だが……

 絶え間なくあふれる血を顧みず、若葉は力を行使する。
 怒り、憎しみ、敵に対する途方もない憎悪の感情を、理性によって制御する。
 軋む魂の器は、しかし閾値の寸前で踏みとどまっている。
 心も体も魂も、今にも罅割れ砕け散る、その手前にあるというのに。

 それでもなぜ折れないか。そんなことは分かり切っている。
 若葉も、チェイスも。今も敵対するゲブラーも同じ、簡単な理屈。



 ――人は守るべきもののためなら、無限に強くなれる。



 己には仲間がいる。
 己には守りたい場所がある。



 ――だから勇者は絶対、負けないんだ。



 己には、もうあの時散った最愛の友たちはいなくとも。
 受け継がれたバトンを渡す。それを全うするためならば。
 何度だって立ち上がり、駆け抜けて見せよう。



 ――そうだろう、友奈ッ!




「降りよ――大天狗!!」


 大樹の根が張るように、大地から幾重もの光線(ライン)が伸びる。
 若葉の小さな体に、注ぎ込まれる神々の記憶。
 それはこの星に刻まれた、数多の神々の力を身に降ろす行為であり――少女の身が背負うには、あまりに荷が勝ちすぎる。
 元のベースが人間であった義経ならば況や、これはそれをはるか凌駕する六道を外れた天狗道の王の力。


「ッ、つああああァァァーーーーッ!!!」


 だが、若葉は耐えた。
 最後の力を振り絞るように
 同時に、天華が花開くように……天の劫火が炸裂した。

 燃え盛る炎の中から、黒い羽を散らせながら、姿を変えた若葉がその身を晒した。
 背にまとう黒い翼。
 山伏姿を思わせる白い装束。
 本来なら発動すら不可能、よしんば成功しても直後に自滅するだろう、二連続の切り札行使を、しかし若葉は成し遂げた。
 ただ、勇気という奇跡によって。

「――行くぞォォォォォォォーーーーーーーッッ!!」

 鬨の声と共に天を舞う若葉が吶喊する。その速度たるや、最早義経など遥か超えており、当然そこから放たれる一刀もまた常軌を逸している。
 さながら天を裂くような一閃。それを、先行するチェイスと合わせるように放つ。
 剣戟はそれのみでは終わらない。刺突、斬撃、薙ぎ、払い、殺到する超速度の剣戟は星座クラスのバーテックスさえ膾にする破壊力を持っている。

 だが……これで、彼女を断てるとは思っていない。
 今のゲブラーが持つのは、怒りで振るわれるような脆弱な剣では最早ない。なればこそ、己は持てるすべてを出し切らねばならない。

>ゲブラー、チェイス、アルゴル

2ヶ月前 No.132

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【記事主より削除】 ( 2018/06/26 08:03 )

2ヶ月前 No.133

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2ヶ月前 No.134

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2ヶ月前 No.135

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2ヶ月前 No.136

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2ヶ月前 No.137

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2ヶ月前 No.138

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【この投稿は”管理者-kotori-”により削除されました】 削除者: ことり☆リーダー ( 2018/06/29 21:44 )  削除理由: マナー違反・リアクション違反

2ヶ月前 No.139
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